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64回国会参議院1970/12/11

公害対策特別委員会、地方行政委員会、法務委員会、社会労働委員会、農林水産委員会、商工委員会、運輸委員会、建設委員会連合審査会 第1号

発言数
315
登壇者
20
会派数
4
開催日
1970/12/11

会議録

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会、地方行政委員会、法務委員会、社会労働委員会、農林水産委員会、商工委員会、運輸委員会、建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。  公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、道路交通法の一部を改正する法律案、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案、廃棄物処理法案、自然公園法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案、農薬取締法の一部を改正する法律案、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案、水質汚濁防止法案、海洋汚染防止法案及び下水道法の一部を改正する法案律を便宜一括して議題といたします。  質疑に入ります前に一言申し上げます。質疑者の順位及び質疑時間については、お手元に配付してある質疑通告表のとおりでございますので、御協力をお願いいたします。  これより質疑に入ります。  加瀬完君。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最初に、公害についての政府の見方、考え方を、まずお伺いします。  今回の立法にあたって、総理は、将来の公害をどう予想されましたか。また、最も防止しようとした重点は何でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) このまま経済が成長していくと、とんでもないことになる、これが一つの問題であります。この辺で、現状についての是正というか、ものの考え方、その基本的な観点に立って公害問題と取り組もう、いわゆる、私どもが言っているように、福祉なくして成長なしという、この観点に立って、また、国民生活の保護、その人間優先の立場に立って企業の発展をはかっていこう、こういうことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国民の今回の立法に対する期待は、公害立法によって将来の公害のおそれを断ち、また、現在公害によって被害を受けておりますものが救済されることだと思いますが、この点はそのまま認めてよろしゅうございますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大体間違いないです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的な問題で伺いますが、これは千葉県市原市の小学校の児童の作文でございますが、読み上げさしていただきます。「さいきんは、くさいにおいがしたり、木が枯れたりするのを見ます。ぼくは体育の時間が好きだけど、いやなにおいがすると、空気を少ししか吸わないように気をつけています。」——空気を少ししか吸わないように気をつけています、こういう公害の実態が、今回の諸法によって完全に解決をされると認めてよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 直ちに完全にということは、これはちょっと現状から見まして困難なことだと思います。しかし、公害防止対策、そういう施設もどんどん進んでまいりますし、現在持つ科学技術、これに力を投入すれば、こういうものも克服できるんじゃないか、可能だ、また、そうなくちゃならないんだと。私はしばしば申し上げますように、経済成長こそは、国民福祉のための手段、手段にすぎない。その手段と目標、これが逆になってはならない。かように思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 京葉地帯でも、昔は、樹木が繁り、何千羽というウミウが住まっておった状態でございました。そこで、今回の政府の公害諸法は、鳥が住んでいた時代の快適な自然環境に返すことが目的でございますか。それとも、現在の公害現象のひどいものだけを限定的にとらえて対策を立てるということが目的でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、いまの対策をよく御検討願うと、現状だけの防止対策だけではないんだと。もともと、私ども、公害の発生についての防止、それと取り組まなければならない。したがって、やはり昔のような状態に返したい、そういう目標のもとに進めていくつもりであります。それかと申しまして、神代の時代に返すわけではございませんから、その点は誤解のないように願っておきます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私も神代の話を申し上げておるわけではございません。では、快適な生活を阻害するものはみんな公害だという立場でお取り組みになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私ども、この基本的な考え方、やっぱり憲法の二十五条、この趣旨に沿っていろいろ立案したわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、あるべき生活環境の基準をつくることが目的で、今日の行政目標にはとどまらないと解してよろしゅうございますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、公害発生の原因あるいは責任の点について伺いますが、わが国の現在の公害は企業公害であるという指摘がございますが、総理はどうお考えになりますか。お認めになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ見方がありますが、加害者は企業者だと、こういうように簡単に言えるものもありましょうし、また、簡単に加害者を把握できないものもあるんじゃないかと、かように私思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 しかし、企業による公害が大きいことはお認めになりますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) それは間違いございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、企業が公害防止の責任を十分に果たしているという御認定でございますか、現状は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 現状においては、そういうようには言えない。断ぜられない。これはやはり法律の不備もございましょうし、また、科学技術の使い方の不完全さ、そういうものもあるようです。だから、したがって、そういうものを法律において整備するし、また、負うべき責任を果たし得るような科学技術の進め方もあるだろう、かように私は考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 さらに、今日の公害は政治公害であるという批判がございますが、この点をどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政治公害ということばをどういう意味にお使いになったのか、私ちょっとわかりかねますので、もう少し説明していただきたい。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、私が言うのではなくて、そういう学者たちの指摘がありますがという前提をまず申し上げます。それでは、いままでの公害に対する政府の姿勢は、命にかかわるようなことでないと取り上げない、集積された結果公害をもたらすような、いわゆる集積公害は取り上げない、公害の基準が非常に不明確である、こういう指摘がございますが、この点についてはいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういう批評も当たろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、政府の行政行使が合理適正に行なわれておれば現状の公害も若干減少させ得たとはお考えになりませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政府の態度、公害と取り組む態度、これがもっと変わっていたら現状とはよほど変わっているだろう、かように思います。まあ、そういう意味で政治公害だとおっしゃることなら、それは一つの批判だろう、また、その批判が当たらないわけでもないだろう、かように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、現況、公害がこのように世論をかまびすしくしておりますことは、一面、政治の責任もあると御承知をいただきたいと思いますので、そこで、あらためてこの公害諸法を御提出なさいました今後の内閣の責任でございますが、総理は、この公害の現況に対しまして、いまあげました行政責任を明確にしていくという点と、もう一面、先ほど御説明のございました、企業にも公害の責任があるという点はお認めいただいたわけでございますから、公害に対する企業の責任を明確にした対策を進めていくものだと了解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういう立場から、いろいろ御審議を願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、公害防止施策の基本的姿勢について伺いますが、総理は、この公害を犯罪だとは御認識はなさいませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる刑事責任と民事責任と、やっぱり二つに分けて考えないと、十分の対策も立てかねるのではないか、かように思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 多くの人が公害によって命を落としておるわけでございますから、そういう面だけとらえてみても、これは犯罪であるという認識をしていただけると思いますが、重ねてお伺いをいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの、命を落としている、そこらにやはり故意あるいは重大なる過失、こういうものがやはり刑事責任を追及する場合の基礎になっている、かように思いますので、いまの企業者の立場も、そういう点でその説明ができれば、証明ができれば、これは責任として追及すべきだと思います。ただ、いわゆる不幸にして生命を失った、こういう場合に、その原因は非常にはっきりしている——原因関係を十分追及しなければ結論の出ないことですが、非常に追及して、結果的にはこれが原因だと、こういうことがわかった場合に、民事責任であと片づけが済む場合もありましょうし、また、刑事責任まで及ぶ場合もあるだろう、かように私は考えます。そこらに問題があるのではないかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 次に、いずれにいたしましても、公害を完全に防止するという施策が掲げられたわけでございますので、そこで、公害行政を進めていく主体は国に置くのでございますか、それとも、地方にまかせるのでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) それはどうも、国ばかり、あるいは地方ばかり、かようには言えないので、国にもあるし、やはり地方自治体にもあるだろう、かように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、国の行政責任の範囲、地方の行政責任の範囲は、どういうようにきめられておりますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ただいまの責任の区分は、ただいま総理がきわめて概括的におっしゃいましたが、御承知の公害対策基本法の四条と五条に、国の責務と地方公共団体の責務がそれぞれ書いてございます。その規定によれば、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務は国にある。そして、そのような国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の自然的、社会的条件に応じた公害の防止に関する施策を策定し、これを実施するのが地方公共団体の責務だと、これは公害対策基本法にあるとおりであろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それが非常にあいまいでございますね。国の責任ということであれば、一切のこれからの防止事業の経費というものは国が負担をしなければならない。ところが、地方にあるというならば、地方が負担をしなければならない。しかし、あとで申し上げますが、いろいろのこれからの制約基準というものは国でつくられることが多い。そして、地方独自でいろいろと一般の公害防止事業をしても、国の財源から補てんというものは、はなはだ不明確である。こういう点がありますので、いまのお答えは承服しかねます。財源の問題をだれが負担するかということが明確を欠いているのではないかということでございますが、これはあとで申し上げます。  一応、衆議院の討議の段階を伺っておりますと、国の権限を地方に大幅に委譲をするんだということでございますが、これはそのとおりでございますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、事柄の性質上、地方自治体に大幅に委譲すべきものがある、また、本来地方自治体において処理されることが適当なものもあると、かように私考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 地方自治体で処理することが適当なものが多ければ、これは、公害業務というものは地方の固有事務と規定をするのが当然だと思うわけです。それはしかし議論になりますから、申し上げません。  そこで、大幅に権限委譲を地方にするというのならば、地方がそれぞれの条例で公害防止に役立つような内容を盛り込むということは望ましいことだと御判定になりますね。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 原則はそのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 地方に対して権限委譲をしたと言うが、責任だけを地方に押しつけている委譲方式という一面がございますが、この点はどうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) そこのところのかね合いはたいへん問題でございまして、すなわち、国が地方に権限を原則的に委譲するということと、国が責任を回避して逃げるという、そういう姿になってはならないのである、やはり一義的には、国が、われわれの国土、民族の将来にわたって、いまの私たちが何をしなければならないかということにこたえる責務を有しておると思います。それに対して、財源問題も含めて、当然、これは地方で行なっていただくについても、国のほうの責任において財源その他のめんどうをみる必要があろう、国はいわゆる国の一義的な責任は負いつつ、実際上にローカルの事情に適した具体的な仕事は知事あるいは場合によっては市、あるいは、清掃やその他の予定しておりまする悪臭防止とか騒音等々については、これはもう町村固有事務が一番ふさわしいということの区分けはいたしておりますが、考え方の上では、地方自治体の行政に沿うものとして、これを権限委譲しておるつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 よくわかりました。その点は、あとで大蔵大臣にも御確認をいただきたいわけでございますが、一義的には国が責任を持つという点を、ここで明確に承っておきます。  そこで、政令と地方条例の関連が当然生ずるわけでございます。いまの御説明でございますと、大幅に地方に権限委譲をするということでありますから、条例のワクも大幅に認めて、政令で地方が動きのとれないような、いわゆる政令で頭打ちはさせないと解してよろしゅうございますね。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 当初、この問題については、関係閣僚協において、政府の定めた基準並びに政令において定める範囲内において、地方自治体のその地方に応じた上のせを認めようという基本線で出発をいたしました。しかしながら、その後作業を進めてまいりまして、結果的には、やはり知事さんを全面的に信用して、それらの地域に対する最もふさわしい施策を行なっていくことが今日の公害行政の実態であろうと割り切ることにいたしまして、政府の統一見解として、衆議院の産業公害対策特別委員会において、私から、政令において上のせの天井は設けないということを言明をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それならば、今回法案審議において、政令の内容というものが一応概要だけでも示されて、法案とともに討議の対象にされることが望ましいと思いますが、一体政令はどんな内容を大体これから組もうとするのか、それからいつ出すのか、延び延びにいつまでも政令を出さないで、地方を現実的に束縛をするというようなことは絶対にないということなのか、この点を明らかにしていただきます。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは、申すまでもなく、法律が通って、国会の意思が最終的に決定をされました後、その意思に基づいて政令を具体的に定めていくわけであります。しかしながら、その御質疑の過程において、政令で予見し得るものは何かということについては、はっきりとそれぞれの規制法の所管の各省において答弁する用意は整っておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 各委員会の公害関係法案の審議の際は、その政令の内容もお示しいただける、あるいは具体的に政令を出す事務的なこれからのスケジュールについても御説明がいただけると解してよろしゅうございますね。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで、政令で大幅に委譲された地方は、結局、一般の公害防止事業も含めて公害事業対策が進められるわけでございますが、その場合、国が地方に与える財源措置は、政令のワクを越えた事業に対しても認められる、認めていただけると解してよろしゅうございますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは憲法に定めがございますとおり、地方自治体の条例は国の法律の範囲内で定めることになっておりますから、私の申しましたのは、政令で上限を設ける予定であったそれぞれの基準の天井というものを設けないことにしたというのでありますから、それについては、条例制定と国の法律との関係はないわけであります。国の法律で基準が示されているもの、そういうものについて、さらにそれを条例が越える場合は、憲法の条章から照らして、あり得ないことだと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的な問題になりますと、そこらが非常にまだあいまいなんです。政令で上限を設けないというならば、上限を設けない、すなわち政令以上のワクで公害対策の進められる可能性というものはありますね。それなら、その財源措置等を当然考えられなければなりませんのに、結局、いまの御説明ですと、条例でどういう内容を盛り込もうがけっこうだが、それに対する財源措置は政令のワクの中だ、いわゆる政令といいますか、政令の、政府が考えたその一番下の線のワクの中だということになっては、財源の裏づけのない条例をどんなにつくったところで、それは条例だけで、実際の効果が非常に薄められると、こういう点を心配をしておるわけであります。これは、あとで財政問題を申し上げますから、そのときに伺います。  次に、この「経済の健全な発展との調和」というものを削除したのは、たびたび御説明がございますように、憲法にいう国民の健康で文化的な生活を確保する目的を明確にするためだということですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それなら、公害原因の第一人者が企業であるとするならば、企業責任がもっと追及されるべきだと思いますが、この点はどうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、具体的にどういうことを言っておられるか、私は、やはり、加害者である企業責任、これは追及していく——その程度の問題は別でございますよ。けれども、当然追及さるべきものだと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 先ほど総理も、このまま経済成長をしていくととんでもないことになる、そこで、福祉なくして成長なし、これから生活・人間優先の施策を進めるという基本態度で公害問題に取り組むのだという御説明がございました。で、経済成長率と公害の伸び率といいますか、拡大率は比例をしておる。ですから、公害をとめようと思うなら、いままでの政府の経済政策にある程度の反省を加えなければ完全な公害防止はできないということになろうかと思いますが、この点はどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、いわゆる反省を加えなければとおっしゃるところに、やや私としては抵抗を感ずるのです。私は、いままでも、経済成長、これはどこまでも国民生活の福祉を進めるための手段にすぎない、こういう意味で、たびたびお答えをしてまいったと思っております。したがって、いままでの態度、それをいきなり変えるというような気持ちはございません。また、ただいまの点から申しましても、いろいろエネルギー調査会等の答申を見ましても、このまま経済が成長したらこれはたいへんなことになる、だから、低硫黄の重油を使うようになるとか、あるいは原油をやはり購入してくるとか、そういうような意味合いの答申もございます。また、われわれの持っておる科学技術を十分に働かせれば、たとえばセメント工場あたり、ずいぶん粉じんを出しているが、これをやはり、とだえさせることによって、副産物として、りっぱなものができる。こういうように科学技術がどんどん進んでおるわけですね。いま公害で、川に流し、あるいは海に流す、ずいぶんそれも、途中で流さないで、つかまえて、もっと有用に使うことの方法が可能なんじゃないか。そういうような点を、これからやはり経済発展の場合に、そこまで考えていったらどうか、こういうことをいろいろ言っているわけです。そういう点も御理解をいただきたい。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おっしゃるとおりに、福祉を進めるために経済成長を願っておるわけなんで、経済成長は確かに人類の生活を進歩させる一つの手段ということでございますが、現実は、その経済成長という手段が公害という現実を生んでいるわけですね。公害という現実を生んでいる。それならば、いままでのような経済成長の手段というものをそのまま進めては、手段によって公害はますますふえてくるという仮説もまた立つわけですよ。その点、一体、福祉を優先させるというのならば、経済政策も変えていくということに当然ならなければならないと思いますが、私の伺っているのはその点です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 加瀬君と、あるいは同一のことを言っているのか知りませんが、ちょっと食い違っておるのです。いま、われわれがこうして特別審査をお願いしておる、こういう事柄は、いままでの経済政策の場合にはなかった、新しいものがやはりここに出てきておる、こういう事柄自身があるいは政策の変更だとお考えになれば、これはまた御自由だと思う。いままでのように野放しで経済成長をさすという、そういう考え方ではない。そういう点について適当なワク組みをつくる、こういう考え方でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 野放しで経済成長をさせるわけではない——特に公害企業に対しては、逆に言えば、きびしくこれに制約を与えていかなければならないということになろうかと思うのです。そうであるならば、公害を出した責任企業というものに対しては、当然それを第一の対象に取り上げられて、公害の規制というものは行なわれるべきだと思うのです。そういう意味で、出された関係の法案を見ますと、法文上に企業公害というものをはっきり認める、あるいは企業責任をあくまでも追及するという点が明文化されておらないように思いますが、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ政府としては、一応考えられるもの、まずスタートするものとしてはこの程度じゃないか、かように思って、ただいま御審議を願っておるわけです。もちろん、これからも新しいものがどんどんできるかわからないし、あるいはまた、これでは内容が不十分だ、そういうことがあろうかと思いますが、そういうものはまたこれからどんどん直していくとか、新しいものをつくっていく、こういう政府の態度でございます。今日出たもの一切変更なしと、こういうようなわけではございません。したがって、御承知のように、衆議院段階におきましても各党から御意見が出まして、そうして修正を加えられたものが数点ございます。これらの点も十分お考えいただいて、政府も弾力的な考え方——弾力的というのは不適当かわかりませんが、新しい試みでございますだけに、十分幅のある審議を皆さま方にお願いしている、かように御了承いただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 角度を変えて伺いますが、公害行政で一番大切なことは、防止体制を強めるということではないでしょうか。これはお認めになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。同時にまた、起きた公害、これもずいぶん悲惨なものがございますから、そういうものについての救済、これにやはり万全を期さなければならない、かように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 結果がわかったときは、すでに後手でございますので、したがって、たびたび問題になっている無過失賠償責任、これを明確にすることが、この後手を先手にすることになりませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、無過失賠償責任になりますと、私はちょっと弱いのです。と申しますのは、いままでの賠償責任の原則が、故意または重大なる過失と、こういうことでございますから、全然新しいものだ、こういうことで、無過失賠償責任という、そういうことで全部をひっくくることはなかなかむずかしいのだろう、だから、個々のものについて、これには無過失責任を負わすべきだとか、あるいはこれはどうもつかみにくいとか、いろいろ議論があるのじゃないだろうか、そこらでただいま検討しておるのが政府の態度であります。これは衆議院段階でもいろいろお話がございましたが、その点をはっきりただいま検討しておるのだということを申し上げます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 政府事業のあらゆる分野で原因者負担の原則というものがございますね。それならば、無過失責任はほかのほうからも検討しなければなりませんが、はっきりと企業責任だということがわかっておるものに対しても公害発生の原因者には原因者負担の原則を適用しないということは、はなはだ不合理ではございませんか。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) この論議は非常にやかましく行なわれておるのでありますが、これはどなたも御承知のように、過失のないところに責任がないということは、もう何百年来も行なわれてきた民法上の原則である。しかし、今日のように非常にむずかしい化学工業その他によって公害が生ずる、その原因結果の証明あるいは過失の証明がきわめて困難、あるいは場合によっては不可能のような事態が生じておるからして、そういう伝来の過失責任、こういう原則についてある程度の例外を認むべきではないか、こういう議論が出てきておるのでありまして、しかし、これにつきましては、過失責任という大原則を動かすということは例外中の例外でなければならぬ、したがって、公害のような新しい事態については、そういうことは検討せらるべきことであるが、しかし、例外中の例外である以上は、包括的に、ただ公害だからというて無過失責任を認めるということは社会秩序にも大きな影響があると、こういうことでありますから私どもは無過失責任を認めないということでありまして、ものによって認めるような必要が出てきておる、こういうことでございまするから、ものによってということは、企業の態様あるいは公害の実態、こういうふうな個々の問題について、ひとつさような問題を検討していきたい、すなわち、衆議院におきまして公害に対する無過失責任という法案の提案はありましたが、ああいう包括的に、いわば横断的の規定でなくて、個々の公害の態様について検討してまいりたい、こういうことで、今日の段階においては、それぞれの個別法においてこの問題を解決し、また、将来においては、それが多くなれば横割り的の法律も考えられるかと、こういうふうに思いますが、この段階においては、いま私が申すように、個々の実態について個別の法においてひとつ検討し、適当な規定を設けたい、こういうことを考えておるのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の質問は、何回も繰り返された無過失責任の法的解釈だけではなくて、原因者負担という原則があるのに、公害に限って原因者負担の原則を明確にしないのはおかしいじゃないかという点を伺っておるわけです。これはむしろ大蔵大臣に伺ったほうがいいかもしれませんが、どうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは混同するといけませんので、まず、公害を排出してはならない、これが企業に対する姿勢でございますので、公害を防止するための施設は全額企業が負担する、これが第一の原則です。さらに、不幸にして公害を公共事業的なもので排除しなければならない、そういう現象を除去しなければならない場合において、基本法の二十二条の要求いたしておりまする公害事業費の事業者負担法というものを今回御審議を願うわけでありますが、これによって、まず一義的に、企業がその起こった現象に対して、関係した、その度合いに応じてまず企業の負担を定めていく、これは事業の種類ごとに、あるいはその度合いごとに定まるわけでございますが、その基準を示し、その残りを国と地方自治体とが公共事業で行ないましょうという、いわゆる一つのそういう考え方は一貫しておるわけでございます。さらに今度は、法律論から言えば、小林法務大臣も言われたとおり、民法の特別法としての制定は公害というものに限ってのみ課するということの純法理論上の問題があるようでございます。これは非常に困難な問題を私も認めざるを得ませんが、この検討は検討で続けていってもらうことにいたしながらも、一方において、原子力法や鉱山関係等において無過失賠償の法文の明記がすでにされておる例もございますので、今回の個別立法の中で、それになじむもの、すなわち、これは明確に無過失責任の対象として規定を今後追加して定めていってもいいものが幾つあるか、あるいはそうしなければならないと考えられるものが幾つあって、それが現実に法制上できるかどうかについて、さらに私のほうでも精力的な検討をいたしますし、あるいはまた、特定な有害な物質に限って、物質をとらえて、各規制法を横断的に、この物質にかかわるものについては人の健康その他に被害を与えた場合において無過失賠償の責めに任じなければならない、あるいは、最低でも、今日の公害訴訟等の実態を見ますときに、訴えておる人たちは、不特定多数の、いわば資力も、あるいは係争するための能力も、あるいは生活そのものもひっくるめて、非常に弱い立場に置かれております。この実態を考えるときに、挙証責任の転換という議論等は当然提起されてまいっておると、私たちは政府の責任において受けとめなければなりませんので、これらのことも含めながら、精力的な検討を続けてまいるつもりでありますので、今度の臨時国会に間に合っておりませんが、その方向において検討し、成果を得次第、次々と国会に政府の姿勢を明らかにしてまいるつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いま、お二人の大臣から、ものによっては認める、あるいは、排除しなければならない状態が確認されれば、その状態を発生させた原因者に負担を求めていく、こういう御答弁がございましたが、私は、もっと公害現象というものを押えて、こういう公害現象を除去するにはどういう方法がとられなければならないかという、国民の立場から検討がほしいと思う。  具体的に伺います。これは千葉の京葉工業地区のある町の調査でございますが、かぜ一二%、気管支炎四・五%、へんとう腺四・七%、ぜんそく〇・九%、こういう調査が出ています。また、千葉大学医学部の同じ地区の三歳児三百八十三人の調査によれば、鼻炎、気管支炎、へんとう腺炎が四三・三%と出ております。こういう公害現実というものはどういう方法で解決をしてくれるのか。ものによっては認めるというんですが、これはお認めになるワクに入りますか。それから、排除しなければならない状態があれば考えるというんですが、排除しなければならない状態とは、これはお認めになりませんか。伺います。これは山中さんでけっこうです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私も専門家でありませんが、そのようなケースが微妙なところでございますので、たとえば、厚生省の、ことしからできました公害に係る健康被害の救済法等についての実施についても、それらの判断について、公害のその発生した地域に何年以上居住しているとか、いろいろないわゆる公害というものによってその状態が起こったんだというような個人差もありましょうし、体質その他もありましょうから、それらの認定というものが非常にむずかしいという半面もあります。私の言っているのは、そのようなことの仕分けで言っているのでありませんで、たとえば、自動車の排気ガスが非常に多量に出されて、鉛その他で沿線の人たちが困った被害現象の中にあるという場合に、その自動車を一律に全部つかまえて、通りかかったものだけが、無過失責任であるとか、あるいは挙証責任というようなことは、なかなかなじまないであろう。でありますから、そういうことを念頭に置いて申し上げたので、なるべくそういう御趣旨の方向にいかなければならない社会の実相が出ておることについては、私も否定するものではありません。でありますので、毒物とか劇物とか、特定の有害物質等が今後規制されてまいりますから、そういうものにかかるもの等は、そういう方向でなじむのではないかということを、先ほど積極的な例として一つ御提示申し上げた次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いま政府の出されている法案の内容、それから御説明によれば、単一のものの基準というものは明確にされますけど、この京葉の三歳児の被害のような複合公害というものに対しては、基準を明確にしかねておりますね。ですから、現実を押えて、その現実の公害を解消するという方法をとっていただかなければ、どうにもならないと思うわけでございます。  法務大臣、お忙しいそうですから先に伺いますが、衆議院の蒸し返しになりますが、「危険」と「危険のおそれ」ということが問題になりました。いまの市原の、これは「危険」ですか、「危険のおそれ」ですか。「危険」というものと「危険のおそれ」というものの限界はどこで引くんです。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) 今回の公害罪というものは、従来の刑法による危険犯として規定をする、その危険を生じさせたということと、危険を生じさせるおそれがある、こういうことになれば、字義上は「おそれ」があるほうが不明確であるが、多少広いであろう、こういうことは言われるのでありまするが、刑罰法規というものはできるだけ刑罰の対象を明確にする、こういう意味からいたしますれば、「おそれ」があるほうが、かなり不確定的に広くあろう。それから、危険を生じさせたということは具体的なことである。これは、刑法の規定にも、ガスの漏出罪とか、あるいは往来の危険罪とか、こういうふうな危険犯というものがありまするが、そういう考えにおいて、これをある程度刑事罰の対象を明確にする、こういう趣旨から「おそれのある」という字句が排除された。したがって、観念的にはその範囲が多少狭まった、こういうふうな感じを持つわけでありまするが、これの法律の運用上においては、なかなかこの「おそれある」というのは、だれがきめるんだとか、あるいは抽象的だとか、いろいろな議論があったのでありまして、結局、ある程度これを明確にすると、こういう趣旨からいまのような案が出ておるのでありまして、お話しのように、その限界というものは何か観念的にはある程度あるように思われるが、具体的にはなかなか明確にならないと、こういうふうなことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 「危険のおそれ」ということでは不確定であるし、ワクが広がってあいまいになってとらえがたいというけれども、それなら「危険」と「危険のおそれ」というものの区別がつきますか。たとえば、公共水域の水質汚濁防止法が今度出ていますね、ヘドロが問題なんでしょう。ヘドロがどの程度になったら「危険」で、どの程度まではこれは「危険のおそれ」だと、こういう区別がつきますか。あるいは農地の土壌汚染防止法が出ていますね。カドミウムの汚染というものを取り上げましたが、ここまでならば「危険」で、これからが「危険」でないということになりますか。瞬間的に押えて「危険」でなくたって、集積されれば「危険」になるということにもなりますからね。ですから、公害全般について、厳密な意味で「危険」というものを防ぐためには、「危険のおそれ」まで含めて「危険」とみなさなければこれは防ぎようがないでしょう。この点はどうですか。これは総理大臣にひとつ伺います。これは常識の判断がいいですよ、常識の判断。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 一応私、御答弁さしていただきますが、ただいま法務大臣からお話がございましたし、また、ただいま御質問の中に、「危険のおそれ」のあるということは「危険」に含まれるんではないかというようなこともございましたが、私ども立法担当者として、「危険のおそれを生じさせた状態」、それから「危険を生じさせた」ということを理論的に区別できるかできないかと言われれば、むろんこれはどうもやっぱり同じであるとは必ずしも言えないと思います。ただ、一番大事なことは、やはり「危険のおそれ」がある、あるいは「危険がある」というのについて、ただいまお話の中にありましたように、いずれにしても、これは実害発生の事前の防止、実害発生の事前の処罰を期しておるという点においては、実は少しも変わりがないわけでございます。  それから、法制当局でございますから、当然法務省の案について私どもが判断を加えたわけでございますが、それを「危険を生じさせた」というほうにいたしましたのは、ただいまもお話がございましたけれども、「危険」ということばそのものが危害を発生する「おそれ」ということで実はございます。それにさらに「おそれ」をかぶせるということ、これはいま言ったようなことばからいって、必ずしもその必要もないんではないかと、私の知る限りではございますが、純粋の刑法犯体系にはそういうような「危険」に「おそれ」をかぶせた例はなかったと思いますし……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでいいです。もういいです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) それから、もう一つ申し上げたいのは……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もういいですよ。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) また、将来の刑事法体系に、そういう「おそれ」を導入するということがある危険性も幾らか私どもは考えたということを申し上げたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そのあなた方の法観念、法体系というものでこんなに公害が出てしまったわけでしょう。公害防止をする法体系や法観念というものは、いままでの法解釈の保守性というものを断ち切らなければ対策は立たないですよ。だから、具体的にあなた答弁できますか。カドミウムがどのくらい出れば「おそれ」で一どれくらいまではその「おそれ」で、どれくらいになれば「危険」だという判断がつきますか。結局、少しでも出ればこれは「危険」でしょう。だから、「危険のおそれ」というような文句を入れたほうが、予防対策の上ではこれははっきりしている。そういう立場でなければ公害対策にはならない、こういう点を私は申し上げたいわけであります。で、法制局の、あるいは法解釈の通念だけで公害立法というものを考えていたら、これはほんとうの公害立法はできないと、こう私は思いますが、この点はひとつ山中さんでも、どうですか。いまの法律だけでしょうが、ないでしょう、これは。総理大臣でもけっこうです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は、全法律の調整に当たりました。しかしながら、公害罪法案というのは、非常に純司法上、法理論上の問題で、たいへんいまのようなむずかしい議論でございますので、そこで法務省でこれは全責任を持って立案していただくということにいたしました例外法案でございます。したがって、私のほうから答弁を要求されたわけでありますが、逃げるわけではございませんし、私は私なりの解釈も持っております。すなわち、いままでは、(「言え」と呼ぶ者あり)申し上げます。いままでは、そのような刑法における特別法という形態はなかった。しかしながら、今日のわが国の公害の事情を見るときに、諸外国に対しても恥ずかしいような現状もございますから、あえてここで刑法の特別法としてそういう立法に踏み切ったと、そのことが非常に大きな意義がある。しかも、それが人の健康に直接被害があった場合でなくて、危険を生じさせる場合、生じた場合でありますから、確かに人体に危険が起こるぞという段階においては、刑法が自然に働いていくということについては、一説、一方には人殺しや、強盗と一緒にするかという意見もあるようですけれども、日本の公害というものは、残念ながらそういう状態にきておるということで踏み切った政府の姿勢というものは、これは冷静に、感情的でなく考えれば、私は前進した面があるものと確信しております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私も、後退したと申しません。前進したことは認めますよ。さらに、前進させようという、先ほどの総理の御意図であれば、「おそれ」なんというものを、途中でおそれてどっかに持っていくということは要らないわけです。当然「おそれ」を入れてしかるべきではないかと思うわけです。  次に伺いますが、こまかいことになって恐縮ですが、環境基準の設定が、これからの公害行政を進める一つの問題になろうと思う。一例をあげれば、大気汚染の基準にしても、いままでのように煙突が高ければ、拡散の面積が広がれば、幾ら量は排出してもいいということでは、一体これで環境の保全ができるか。大工場はだんだん高い煙突にして、幾らでも有害物質を排出すると、中小企業の工場は、量としてはたいしてガスを出しておらないけれども、規制にはひっかかると、こういうことになるわけですから、一体中小企業の公害対策というものの費用というものは、どういうように国が考えるのか。それから排出量の総量規制というものになぜ踏み切れないのか、この点。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 大気汚染の問題については、厚生大臣から答弁してもらいますが、中小企業については、基本法二十四条でも中小企業に対して特別な配慮をするよう、法全体がその思想を求めておるわけでありますけれども、今回提案いたしました公害防止事業費事業者負担法についても、特別に項目を立てて中小企業の分担金そのもの、負担金そのものについても政令と一応なっておりますが、ここで申し上げますと、延納とか分割納付とかいうことを念頭に置いておりますけれども、負担金そのものについても配慮すると同時に、税制、金融等についてこれを措置しようということで、いま大蔵と詰めておりますが、後ほど御質問あるかもしれませんけれども、償却等について通例の三分の一償却を、中小企業に限って二分の一にするとか、あるいは負担金等について損金で落とすとかいうようなこと等についていろいろ具体的な検討をいたしておるわけでございまして、私たちはやはり中小企業については、公害を出すことはにくむべきでありますが、しかし、それをにくむために、中小企業が弱い立場においてばたばた倒産していくことを決して、従業員の立場もあるわけでありますし、好むものではありませんし、やってはならないことであると思って、それらの配慮をしておる次第でございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 公害対策には目標と、その目標を達成するための許容限度の基準と二つございまして、加瀬さんのお尋ねになります環境基準というのは目標でございますから、いわば総量でございます。空気中に硫黄酸化物の総量がどれだけ以上あってはならない、あるいは水の中に有害物質がどれだけあってはいけないということをきめまして——これは総量でございます。それを達成するために個々の許容基準ということにつきましては、これは許容限度とも許容基準とも申しますが、それにはいろいろの方法がございますけれども、現在私どもがたとえば大気でとっておりますのは、煙突の高さとかあるいは排出の個々の、ばい煙発生施設から発生する個々の量、それをかけ合わせて、それに目標達成への配慮からある種の函数をかけまして排出基準というものをつくっております。しかし、それに対して一つ一つの排出施設ではなしに、その工場全体からの総量を規制すべしという考え方もございます。たとえば東京都が条例でやっておる方法はそれに似たものでございますが、私どものほうでも技術面から両者を比較してみますると、どちらの強弱ということも言い得ないような状態でございます。しかし、その排出許容量のきめ方、排出基準につきましてはいまの私どもがやっている方法だけが世界唯一の最善の方法だとはきめ切れませんので、さらにこれは科学技術の進歩とともに合理的な方法をとっていくこともあり得るという気持ちで私どもは現実に対処いたします。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その排出基準だけを押えておっては、先ほど申し上げましたぜんそくやあるいは非常にかぜ引きの患者が多くなるといった空気全体の汚染というものを防ぐわけにはいかない、現実が。だから排出総量を押えて、総量規制というものをやっていかなければだめなんで、これは東京都の条例のほうが私は進歩していると思う。ですから将来この総量規制というものもひとつ含めて、全体の地域の保全対策というものを立てていっていただきたい、これは希望をいたしておきます。  それから終わりに、この公害防止と財政措置の関係について伺いますが、公害事業の財源措置は地方に限定をいたしますと、指定地のみを国がめんどうを見るということになりますか。指定都市、公害指定地ですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そういう限られた考え方は持っておりませんです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、地方団体が行なう一般公害予防事業も国の財政責任のワク内であると解してよろしゅうございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その事業、事業によってきめたいと思っております。これはいままだどういう事業に対してどういう国の補助、助成をするかということをきめておりませんが、昭和四十六年度の予算の編成の中で織り込んで解決したいと、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 実例で伺います。東京都の四十四年の公害対策費は四十四億円、このうち交付税による算定と見込まれるものは七億円、都民の負担は三十七億円ということになります。千葉県の公害対策費は一般会計から出ているものだけを取り上げると十億円、交付税の算定は五千三百十万円、こういう状態であります。結局国が見ているものは五千三百十万円であるにかかわらず、十億円の仕事をしなければならないというのが地方の公害対策事業の現状であります。これは四十四年と四十五年でありますから、来年の予算というわけにはまいりませんけれども、この現状が不合理だということはお認めになりますね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) どういう計算か私もそれはわかりませんが、四十五年度の予算では一般会計のほうで公害対策事業費ですね、これは六百六十六億円使っているんです。それに対応いたしまして地方のほうでは、これはまあはっきりとは申し上げられませんが、概算七百四十億円ぐらい使っております。半々じゃありませんけれども、国も相当の負担をしておる。いまの数字につきましてはちょっと私も理解いたしかねます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 四十五年度の公害対策予算は一般会計が百五十六億、特別会計が四十二億、計百九十八億でございましょう。で大臣のおっしゃるのは、下水道とかその他公害関係の公共事業を含めて、それに対する補助はありますよね。ところが、純然たる持ち出しの十億というものの、千葉県の場合ならば公害事業に対しては五千三百十万円の結局交付税しかないということが現状でございます。これは東京都と千葉県から資料をとりましたから間違いございません。そこで、企業者の負担もなく、都民なり県民なりが一般公害事業として被害者であるにもかかわらずこれだけの財源を捻出しなければならないということは、どういう法的根拠によってこれを出さなければならないことになりますか。これは自治大臣にひとつ伺います。もう一回申しましょうか。住民が公害を出しているわけではない。住民は公害を受けているほうなんです。にもかかわらず、東京都の場合なら四十四億の公害対策費の中で三十七億は都民が負担をする。どういう根拠で負担をしなければならないことになりますか。法的根拠がありますか。住民負担をしなければならない法的根拠がありますか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 従来公害対策に対する措置といたしましては、今後は企業負担がまいりますけれども、国の国庫支出金があり、そのほかに地方交付税、それから地方債等をもって処置をしてまいったわけであります。そこで、今後権限委譲等によっていろいろ公害対策上当然やらなければならない費用がふえてまいります。並びにいろいろ防止計画事業等もございます。で今後は国の責任を明確にいたしまして、企業負担以外の分につきましては、やはり国庫補助制度の拡充というものを十分考えてまいらなければいけない。その上で必要なものにつきましては交付税の措置、基準財政需要額の増額強化、そして足らざるものは地方債をもってこの負担率をふやしていく、それにはこの資金を十分増していく、こういう措置をもって、現状あるいは不合理なものもあったかもしれませんが、ここらについてはせっかくただいまいろいろ総合的に関係官庁と検討いたしておりまして、来年度所要の措置、所要の結論を得たいと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると大臣、法的には住民が公害事業に対して負担をしなければならない義務はございませんね。そう了解してよろしゅうございますね、東京都の場合、千葉県の場合。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 企業者が正当に負担すべきものが今回御審議を願っておる法案の結果出てまいります。そのほか、国が負担すべしと考えたものを国が補助金の形で出します。その他のものはただいま申し上げましたとおり、財政上強化をはかる意味におきまして、地方交付税交付金でいろいろ基準財政需要額の増額を考えてまいる。その他はやはり地方債をもって充てていかなければならぬと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これからどうするということを伺っているわけじゃないんです。ですから法的に出すべき義務のないものを出しているわけですから、これは総理大臣にも聞いていただきたいと思いますが、受益者負担ということを政府は一つの方針として出しております。この道路をつくる。おまえら受益者から幾ら負担しろ。これは受害者負担ですよね。害を受けているにかかわらずいろいろの公害事業費を出さなければならない。こういう受害者負担の原則というものはまさか政府がとるはずはないと思いますがね。この受害者負担というものは将来なくしていくんだと考えてよろしゅうございますね。いまは受害者負担があるかどうか、あるということを御認定いただいて、これをなくしていく。これを御確認いただきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの企業者負担というか、そういうのはわりにはっきりしていますね。ただ、しかし、どの程度企業者が負担できるか、そういう限度もあるだろうと思います。そこで、いま国が負担する、地方自治体が負担する、こういうように言われますが、国は国民が納税したその金をやはり歳入として地方に分けるんであります。ところが、その地域住民というものが国民と離れてあるわけじゃないんです。だから、いまの負担論は私にはどうもそこらがわからない。どうも地域住民は——国が持っている歳入の源は一体だれなのか。それは国民の負担からですよ。やはり国がまかなうんじゃないか。それがやはり地方に還元される。こういうことで、やはり……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もう一回説明しますよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もう一度やってください、よくわからないから。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 東京都の場合、一般公害対策費として四十四億を計上している。ところが、交付税として一応計算される額は、交付税はもらっておりませんけれども、一応計算される額をあげても七億円。そうすると、三十七億円というものは東京都民が負担をするという形になる。一般公害事業がほとんどいままでは地方の負担にさせられておって、その実態というものは、公害を受けているほうのものが自分たちの税金から公害の対策費を出さなければならないということになっておりますが、これはことばをかえて言えば、受益者負担ということではなくて、受害者負担という傾向がある。これをお認めになるわけにいかぬでしょう。で、これは財源をどうするかということをあとで御検討をいただかなければならないではございませんかと、こういうことです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ受益者負担ということばはありますけれども、受害者負担という、そういうことばはございません。しかしながら、それだけははっきりしておりますが、やはり国の予算だとか、地方の予算だとか、かように申しましても全部が国民なんですね。だから、地域住民は国民とは別だと、こういう議論にはならないんだと、私はそれを言っているんです。だから、受益者負担という、そういう出し方はありますけれども、受害者負担というそういう出し方はない。そういう観念はないんですよ。けれども、やっぱり国といえども財源がなきゃそれはどうしようもないじゃないですか。それはやっぱり国民の負担なんだ。国民は、地方住民だろうが、全国民だろうが、それは同じ立場で同一の人が納めているんです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の言うのは、受害者負担ということばがあってはなりませんが、受害者負担になっておる。それで、公害行政は国の責任だということで、究極の責任は国がとると山中さんもおっしゃっている。それならば、これだけの法案を出すなら、当然公害事業もふえる。補正予算か何かきちんとしたものを出して、そしてこういう財源でこれだけのことを地方もやれという対策がなければおかしいじゃないですか。補正予算を出さなかったのはどういうわけです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これから法律ができる段階でありまして、本年度の問題としますと、予備費が三百億あります。ですから、必要がありますればこれでもう十分に支弁できると、かように考えておりますので、補正予算を必要としないと、かような見解であります。昭和四十六年度につきましては、いま各省から多額の予算の要求があります。これはこれから審査をいたしまして、決定をして、そうして予算案として御審議をわずらわすと、こういう考えであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 必要があればとおっしゃいますが、必要があるという前提で法案が出たでしょう。法案が出れば、事業というものが当然進められなければ法案の実現にはならない。必要はあるわけなんだから、これは財政措置というものを講じないのがおかしいんです。ここはもっとほんとうは文句をつけたいんですけれども、時間がありませんから……。  委任事務というように考えていますね、いま多くの公害事業を、政府は。地方に対して機関委任をしたんだという考え方ですね。これは担当大臣どうですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) それはもう固有事務的なものもあれば、委任事務的なものもあります。それは事業によって異なりますが、原則的には地方にそれらの権限をゆだねることを原則とした。その前例は、工場排水規制法の政令において委任されないで、残っておりました十一の業種については、過般政令を改正しまして、たとえば大蔵省の造幣工場の紙幣印刷をするところまで、それまでも全部知事の監督のもとに立ち入り検査その他一切の権限をおろしまして、そういう姿勢は貫いておりますので、ただいま言ったような仕分けが二通りあるということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 委任事務の財政責任は委任者が持つのが当然じゃございませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 現にその仕事を執行する主体が、これが財政責任を持つ。しかし、その仕事の性格によりまして、まあその主体が地方になるという場合において国がこれに対して援助をする、こういう形になると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これはおかしいですよ。そんなことないですよ。国の委任事務というものを地方にまかせれば、その地方に委任経費というものを国が負担をするのが当然です。それは農業委員だってなんだって国の事務で委任されているものは、それは十分にはいっておりませんけれども、一応はたてまえとしては委任者が責任を持つということになっている。ところが、いま申し上げましたとおり、東京都は四十四億のうち七億円、千葉県は十億のうち五千三百十万円しか——これは交付税として見ているわけですね。交付税として見るということはおかしいですよ、委任事務は。国の事務なら、これは国庫負掛金で見なければならない。今度の公害のいろいろの一般事業に対しても国庫負担金で見るという制度がないじゃないですか。法律はきめるけれどもやることはそっちだ、金は出さない、やらなくてもいいですか、しかたがありませんねということになるのじゃないですか。どうですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) それですから、その点について関係方面とせっかくいま検討をいたしまして、国の責任のもとに国の責任を持つべきものは国で持つということにいたしたいと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最初に担当大臣が、公害行政は一義的には国の責任ですとお答えになっている。だから、国の責任であるならば、国の事務を委任しているわけですから、その事務遂行の財政責任は国が持つべきだ。一元的であるということは、幾らか地方にいくというなら、それは地方の固有事務として固有事務に移して、そして財政責任を地方に持たせるということでなければ、これは法体系の上からおかしい、「おそれ」まで取っているんだから。こういう当然のことをはっきりさせなければおかしいんですよ。  そこで、私が伺っているのは、なぜ一体国の委任事務ならば国庫負担金という制度を設けないか。公害関係については国庫負担金できちんと、事業は地方にやらせますけれども、金は国が出しますという制度をとらないか、こういうことですよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公害対策事業を地方自治体が執行する。その際における主要財源はこれは企業者、公害発生の原因者の負担金、拠出金であります。今度の費用負担法による拠出金であります。で、その足らずまえをこれを地方団体が事業担当者として負担をする。その負担に対しまして国が助成もします。そういう場合もある。それからあるいは起債において協力をする、こういう場合もあります。また、地方自治団体自体が交付税の配分においてこの問題を考えるという場合もあるわけでありまして、それらをどういう組み合わせにしますか。これは非常に複雑多岐な問題でありまして、いろいろ基礎資料なんかを検討しなければならぬ。そういうような関係で間に合いませんでしたが、四十六年度予算においてはこれを明らかにしたいと、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国の事務であるなら足らずまえを地方が出すというのはおかしいのだ。全部国が出すべきであって、足らずまえなんということは、地方の固有事務であって、地方がやったけれども、国から補助金もらってやったけれども、足りないからこれは地方が持ち出すべきだという理屈は立つけれども、国の事務を引き受けておいて、その国の事務をやるのに金が足らないのを地方が出すという理屈は立たない。これは御検討をしていただかなければならぬし、御研究が不足ですよ。  それから国が指定をする事業については、これは国が見ますけれども、その他、一般公害事業として地方がやるものに対しましては地方にやらせられるのですね、これは。やらざるを得なくて地方がやるものに対しては、財源措置は国は一つも考えていない。そこで、もっと明確に、公害事業については国庫負担金制度というものを立ててもらわなければ、財源の裏づけは確定をしない。その点を御検討をしてあるか、あるいは今後どういう対策を立てるか。いま出されている負担金制度の方法ではだめだということを申し上げているのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それらの点を含めまして、目下検討をいたしておるんです。ただ、これはもうどこまでも国が事業主体である。地方が財政の第一義的責任をとる。それに対して国がどういうふうな協力をするかと、そういうふうな考え方でやっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最初のほうはだいぶいいことを言ったけれども、あとのほう、何かまたわからなくなっちゃった。  国が事業主体だということを明確にして、その国の事業主体を地方に委任するのだということを明確にすれば、財源措置は国がとらなければならないということになる。法律上はそうでなければならない。それを地方がやったことに足らないところはまた何とか、ということは要らないことだ、これは。その点を確認してください。国が責任をとるか、とらないか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国は第一義的な責任はとりません。第一義的な責任は、多くの場合において、これは地方自治団体がとる。それに対して国は財政上の協力をする、そういう立場にあります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おかしいじゃないですか。公害行政の第一義的な責任は国だと担当大臣は答えています。ところが、金だけは地方だというのはどういうわけだ、これは。話が合わないじゃないですか。行政責任が国なら財政責任も国のはずだ。行政責任は国だが財政責任は地方だというやり方をしているから公害事業はさっぱり進まない。公害対策もできないというのが現状なんです。現状の御認識をもう少しきちんと整理をしていただかなければ困ります。理屈が合わないでしょう、そんな理屈。行政責任は国だが、金はおまえのほうが出せ。これは法制局長官でもいい。幾ら読んだってそんなことは出てこないでしょう。言わなくてもいい。答弁要らない。統一見解を……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公害対策事業というのは、大体地域社会の問題なんです。大体、地方自治団体の仕事なんです、これは。それが今度は法的にはっきりと国から地方に委譲されている。ですから、地方自治団体が行なうところの公害対策事業は、これは地方自治団体に最もなじんだ事業なんです。ですから、これが財政をやる上において第一義的な責任をとる。これは当然なんです。それに対してその事業の性質なんかに応じまして国も協力いたしましょう。それからまた、それの前提といたしまして金も要ることでありましょう、ということから費用負担法というものも今度作成されたと、こういうのが実情でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 地域社会の問題だというなら、公害行政は地方の固有事務に規定をすべきですよ。で、公害行政は国の仕事だと、こう総理大臣はおっしゃっている。あなたのお話はそれと食い違っている。そういうあいまいさがこのような公害の実態を生じている一因をつくってもいるのです。これは担当大臣、そこをはっきりさしてくださいよ。総理大臣と相談して、きちんと答えてくださいよ。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は、公害に対する対策は第一義的に国が責任を持つべきであるということを、はっきり申しております。しかし、個々の仕事について、それを全額国が持たなければならないのだということを申し上げたつもりはありません。それらのケースについては公共事業で行なえる場合は一般の公共事業の補助率とどのように違えるか。国がどのような誠意を示すか。地方自治体の負担についてはどれだけの起債を、ことに富裕団体等に交付税等があまりいかないところが多いわけですから、そういうところを配慮をしながら起債を認めるか。それの元利償還等についてどうするか等々の配慮を加えていくべきケースと、あるいはまた——よろしいですか。だからケースによっていろいろと違うと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ケースによって違うといったって、原則がきまらなければケースが出ないでしょう。原則はこれは機関委任事務なのか、国の事務なのかと言ったら、国の事務で機関委任をするのだ——それならば原則的には財政負担を国がとるということでなければおかしいじゃないか。具体的に地方にまかせて、あるいは地方に——非常に地方自体で考えたような事業に対してどうするというのは別だ、原則は公害行政は国の責任だというのなら、財政責任も国がとるべきじゃないかという点が一点。  それから交付税ということをよくおっしゃいますが、公害の必要費は将来大きくなるでしょう。交付税というものは限定されているわけだ、三税の何%と。だから交付税で公害の費用をまかなえば一般地方の固有事務の財源である交付税というのは制限されることになるわけです。交付税を公害の財源にするということは、これは交付税法の違反ですよ。そういう点がはっきりしない。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 速記を中止してください。   〔速記中止〕

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 速記をつけてください。  加瀬委員の御質問の途中でありましたが、理事会を開きまして、政府側としての統一見解を出していただくと、こういうことに理事会としては決定いたしました。ただし、この問題は非常に重大な問題でありますから、いますぐというわけにはまいりませんので、午後の再開の劈頭にこの問題を統一見解を明らかにしていただく、こういう取りはからいにしたいと思います。したがって、加瀬委員の御質問を続けていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あと二分ですから、ここで休憩していただいて……。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) わかりました。加瀬委員は二分余して午後にひとつ回していただきたいと思います。  次に進みたいと思いますが、よろしゅうございますか。(拍手)     —————————————

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 木村睦男君。(拍手)

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 今回の非常に短い臨時国会の期間で、改正法案あるいは新法を含めまして十四の公害関係の法案の審議をされ、すでに衆議院を上がったわけでございますが、非常に政府のこの公害対策に対する熱意のきわめて強いということについては、非常に私としては敬意を表するところでございます。  そこで、いままでしばしば衆議院におきましても議論がされたのではございますが、非常に重要な問題がたくさん含まれておりますので、ごく基本的な問題につきまして総理はじめ関係閣僚にお尋ねしたいと思っております。  その第一点は、今回改正されました公害対策基本法の点でございます。この第一条の第二項を削除されたわけでございますが、この第二項は、生活環境の保全について、経済の健全な発展との調和をはかるという条項を削除されたわけでございます。これは公害の現状から考えまして、政府が公害に取り組むきわめてきびしい姿勢を明らかにされたということについて私もきわめて同感でございますが、今日までわが国の経済がきわめて短期間の間に目ざましい発展を遂げた、またそれに伴って国民の所得の増大という今日の時点において、公害防止を最優先に考えるということは国民みな望んでおるところでございます。ただ、ここで総理の御意見を一言お聞きしたいのは、憲法で言いますところの、健康で文化的な国民生活の保障というものはきわめて大切でございますが、そこでこの国民のきわめて文化的な健康な生活というものの中にも、経済生活というものが含まれておることは当然のことでございます。この国民一人一人が文化的な生活ができるということのためには、国の産業、経済あるいは科学技術の一そうの発展、進歩ということもまた必要であるわけでございますが、そういった広い立場に立って考えますときに、国民生活の向上ということを考えますと、政府としてはこの際、公害防止を最優先に考えるということはきわめて必要なことであり、妥当であると思いますが、この企業優先ではないんだということを明確に宣言されるとともに、そのことだけを言いっぱなしにしてあったんでは、国民生活のほんとうの向上ということにはちょっと足らない点があるんではないか。この際、公害対策を優先にはかるんだという一面、産業、経済あるいは科学技術の進展についてどういうふうに今後処理していくかということについて総理の御見解をお聞きしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどの加瀬君の御質問にも同様なものがございました。  私は、いままでも経済成長の必要なことはしばしば説いてまいりました。しかし、経済成長が必要だといっても、これは何といっても人間生活の充実、福祉のための手段だ、その意味において経済生活の発展が必要なんだと、その手段であるという点を明確にしておかないと困るのではないか、かように思います。いわゆる公害基本法を今度修正してただいま御審議をいただいておりますが、この修正も原案、もとの案だと、どうもそこらの手段と目標が混淆していて明確さを欠いているんじゃないか、だからその点はむしろ疑問が残らないように削除すべきだろうというので、今回削除したのであります。どこまでも経済成長はお互いの生活の福祉のための手段である、これの考え方に徹して、そして経済成長をはかっていかないことには、ただ単に経済成長と福祉、これを選択的にどちらを選ぶかと、こういうような設問ではこの問題は解決しないのであります。私どもは昔のような——先ほどもたいへん極端な話をして、そんなことはだれも考えていない、こう言って加瀬君からしかられたのですが、何にも産業が起こらない神代の時代を考えているのか、こういうと、そうじゃない、やはり近代産業は必要なんだと、だが近代産業がかもし出す公害、これだけは排除してくれないと、お互いの生活を、福祉を向上させようというこの手段である経済成長が福祉そのものをこわしている、こういうことは耐えられないのだ、かように私は思っておるのであります。今回大幅に各方面にわたって審議をいただいているのも、ただいま申し上げるような観点に立ってでございます。どうかそういう意味で十分御審議のほどをお願いいたします。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 経済の健全な発展との調和という意味は、私は企業優先という意味ではなくて、これはやはり総合的な国民生活の今後の向上のために考えていくべき問題だという意味において御質問をしたわけでございまして、ただいまの御答弁を非常に多とするところでございます。  次に、今国会に提案されました法案の中で、世界的に非常に画期的なものであるという意味で注目を浴びております、先ほどもいろいろ御討議がありましたが、公害犯罪の処罰に関する法律案の件でございます。人間の健康に非常な影響があるこの公害を、殺人やあるいは窃盗と同じように、刑事犯罪としてこれをとらえようとしておるということはまことに注目すべきことでございます。これは私は法理論としてもなかなかむずかしい議論のあるところだと思いますが、今後の傾向といたしましてやはり公害罪というものを一般犯罪と同一に論じていくこの傾向というものは、まあ日本が皮切りでございますが、今後世界的に広がっていくんではないかという意味におきましてこれを高く評価するわけでございます。  ところで、この法案のねらいは、公害の未然防止、つまり公害予防というところに重点が置かれておるということは提案理由の説明の中でも承っておるところでございます。そこで、いろいろ議論が出ました中で、最初担当省でございます法務省では、犯罪構成の要件といたしまして、人の健康に害を及ぼすおそれのある状態が生じた場合に三年以下の懲役云々というのが法務省の原案であったように承っておるのでございますが、最終的に提案されました法案としては、「公衆の生命または身体に危険を生じさせた者」というふうになっておるわけでございますが、いろいろいままでこれについての御説明はございましたが、あらためて法務大臣にもう一度この思想の転換——というほど大げさなものではございませんが、自然犯罪いわゆる刑事犯としてこれをとらえた場合に、こういうふうに変わってきた理由といいますか、考え方の変遷というものがあったと思います。その点について御説明を賜わりたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これは従来公害という新しい態様を概括的にとらえてこれを犯罪とすると、こういうふうな考え方がなかったのでありまするが、日本における公害の実情から見てそこまで高めてこれを取り締まらなければ、公害の予防あるいは防止ということについては不完全であろうと、したがって、こういうものをいわゆる刑法の危険犯と規定することによって、企業者等がこれによって場合によればこれは自然犯——刑事犯になると、こういうことを考えて公害の予防あるいは防止ということについての自粛自戒を求めると、こういういわば予防的効果が大きかろうと、すなわち、通常の場合は行政法規によって公害を出さないように、また、もし出したなら行政罰でひとつこれを取り締まっていくと、こういう考え方をしておったのでありますが、一般社会におきましてもこれが一つの法定犯、あるいは行政罰であることとこれが自然犯であることと、こういうことについての相当な区別があると、したがって、自然犯そのものはいかなる社会においてもこれを排除しなければならぬ社会悪だと、こういうふうな考え方からして、さような刑事罰とすることが大きく見て私は公害の予防になる、かように考えたのでございます。で、この考え方によりますと、初めのうち、いわゆる「おそれのある」ということばを入れたということは、実はいままでの法体系の中では、この「おそれのある」ということばは行政罰の範囲において入っておったのでありまして、刑事罰の関係においてはそういうことばがなかったと、しかし、予防的効果をねらうためには多少行政的な要素も入れて範囲を広いようにしておくということが全体のために役立つんではないかと、こういうことに考えておったのでありますが、公害の法律がだんだんできまして、たとえば、基準をこえて排出したり、水あるいは空気を汚濁した場合には、もうその基準をこえただけで相当な行政罰を加える、これはわれわれのほうでもって直罰と称しておりますが、われわれが公害罪を審議しておる際には、そういう直罰という規定はなかった、したがって、ある程度範囲を広げるような形において「おそれ」ということばを入れておくほうがよかろう、こういうふうな考え方でおったのでありますが、結局において、はそれぞれの法律において、もう基準をこえれば直罰すると、すぐに相当な行政罰を加えると、こういうことになると、「おそれ」というふうな関係も多少違ってきたと、こういうふうなことも考えたのでありますし、なお、刑事罰であるならば、これはもう罪刑法定主義とか申しまして、できるだけ犯罪の態様を明確にする必要がある。「おそれがある」ということは多少不明確であると、また、多少これは行政的なことばであると、こういうふうな事柄からいろいろ検討いたしまして、最終的にはその「おそれ」ということばを取って私が提案をしたと、こういう形になっておりますが、先ほどからの説明のように、これはあくまでも危険犯だから、人の生命、身体に実害を生ずる必要はない、実害を生ずる前の段階において、危険であればこれを処罰すると、こういうふうな考え方からいたしますれば、要するに実害のない場合にも、いまのような危険を生じさせたと、こういうことばだけで、これを犯罪としてとらえることができるから、いわゆるある程度の予防的の効果はこれによって失われないということでもって、究極において私どもはこれを除いたということでありまして、事情変更も若干あった。すなわち、大気汚染、水質汚濁等において、直罰規定がその後においてはっきりしたということは、ある程度、「おそれ」を取っても、その点においてこれが救済になる、直罰規定が相当な効果を発揮するから、「おそれのある」という多少不明確のことばがなくても、実害の前にとらえられると、こういう考え方もあったのであります。要は、私どもは大きく見て、これが一つの危険犯としてとらえることによって、一般の市民もまた企業者もそういうこれは犯罪ですよという考えを定着させることがこの問題の解決の助けになると、こういう考え方をもって提出をいたしておるのでございます。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 私もこの問題については、公害罪を刑事事犯として規定します以上は、罪刑法定主義のたてまえから、その構成要件はきわめて厳格でなければいけない。たとえば戦前にありましたような予防検束といったような事態を起こすようなおそれがあってはならないというふうに厳格にやるべきだと思います。しかし、これは法理論でございまして、その法理論はあくまでも貫いて規定されたことはけっこうだと思います。ただ、しかし、一方におきまして国民がこの法律に期待しておったところのものは何かといいますというと、ただいま申し上げましたような公害の未然防止の効果でございます。で、今度の法案でただいま御説明がございましたように、「生命または身体に危険を生じさせた」と、実害があったという前の段階の、実害はない、危険は生じたんだという段階で、すでに刑事罰の対象になっておるわけでございます。そこで、その実害が起きたという手前の危険が生じた、それから原案の原案で考えておられた「危険を及ぼすおそれのある」という、この間の実害を中心にした距離といいますか、若干その遠近的なニュアンスの相違はあると思います。したがって、国民の要望しておるところの未然防止ということを、この法律の運用によって十分果たし得るかどうかというところに非常に私は問題があると思います。先ほど法制局長官の御説明によりましても、「危険」ということばの中にも「おそれ」という意味も含まれておるんであるからという御答弁があったのでございますが、この未然防止という効果を徹底さすために、危険を生じさせた段階で公害罪としてとらえるということが、いわゆる俗にいう「おそれのある」段階でとらえられると、ますます接近してきて運用できれば、法律の理論的な考え方と実際の要望とが合致するわけでございますが、そういう点につきまして、いま一度わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) この問題は、水質汚濁の場合によい例がとれるということで、私どものほうの局長は、たとえば、水銀が排出された、それをプランクトンがのみ込んだ、こういう状態でそのプランクトンを魚が食べればその魚がそういう有毒の状態におちいる。そうしてその魚を人間が食べる。魚を食べた段階において発病等すればそれが実害を生じた段階と、こういうことで、プランクトンの状態においてとらえることができるならば、それは「おそれのある状態」と考えると、魚が汚濁した状態において、それはここにいう「危険を生じさした」と、こういうふうに分けて説明をされたのでありますが、私はそういうふうな問題で、要するに魚が汚濁されたと、このことが要するに「危険を生じさした」と、こういうふうに説明をされておりますので、一つの例として私は適当ではないかと、かように考えております。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 この問題は、法の解釈は解釈として、厳格でなければなりませんし、一方国民の要望は要望として十分考えてもらわなければならない問題でございますが、この点に関しまして総理としての御所見を一応承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいろいろ伺っておりましても、なかなか理解しにくい議論をしておられると思うのですが、片一方で、その処罰を受けるほう、刑事責任を問われるほう、その身になってみると、やはり非常にものごとがはっきりしている。故意または重大なる過失があって処罰を受ける、これならばおそらく納得するだろうと思います。ただ非常な議論のある、「おそれ」があるかないかという、そういうところでつかまって刑事責任を問われるということは、どうも納得がいかないという、そういう立場じゃないだろうかと思います。もちろんかように申しましたからといって、公害罪を野放しにしろというつもりは毛頭ございません。ただいまも法務大臣から説明するように、それぞれ行政罰またその他の指導、いろいろ事前にはあるだろうと思います。それらの処置を行ないながら実害が起こらないようにすると、そうして刑事責任をとる、その場合にはもう問題のない、議論の余地のないようなものがつかまっていくという、そういうことでないと、やはり法の権威も十分権威あらしめるためにもそれは必要なんじゃないか、ことに刑事責任ですから、そういう意味におきまして、この観念だけは明確にあるべきだ、かように私は思っております。しかし、事柄の性格上、時に無過失責任もございますから、そういう意味でもっと範囲も広いと、こういうことも言えるんではないだろうか、かように思いますから、さらにそういう点については検討をしてみたいと、かようには思っておりますが、しかし、いやしくもその刑事責任を問うと、こういう立場に立てば、もっとみんなが納得のいくような、問題のないように、その段階において刑事責任を問うと、こういうのがたてまえではないだろうか、かように思っております。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 次に、公害問題で最も議論のありますのは、いわゆる公害発生の責任者に対する無過失責任の問題でございます。これもしばしば議論されたところでございますが、わが国の民法が個人主義的な法理論をとっております。したがって、過失責任論がそのたてまえになっておるわけでございますが、それに対してこういう問題に無過失責任論がいろいろと論ぜられますのは、要するに法理論と、それに対する何といいますか、経済あるいは社会的な均衡論、こういうものとの一つの接点にこの議論があるわけでございます。そこで、この公害問題についての無過失責任ということを考えてみますというと、まあ公害の内容あるいは公害発生の企業の状況あるいは受ける被害の様相、いろいろまあ千差万別であるわけでございます。そこで、ある程度無過失責任ということも社会経済的な均衡上あってしかるべきではないか、私もそういうふうに考えるわけでございます。しかし、これは非常にその権利関係としてまた利害、非常に深刻な問題がございますので、簡単にこれに結論を出して処理するということは私もどうかと思います。十分今後時間をかけて、この問題は真剣に取り組んで研究をしてもらいたいと思うのでございますが、ただ将来に対する政府の考え方といたしまして、先ほど来も総務長官からもちょっとお話がございましたが、私はやはり将来に向かっては、この問題を排斥しないで考えていくべき問題だろうと思います。たとえば、公害の種類によって横断的にあるいは個別的にという、いろいろ考え方もございましょうが、ぜひこれは引き続き慎重に検討をしていただいて、公害の対策に十全を期していただきたい。特に私はそれを痛感し、またお願いをするわけでございますが、この点についての総理の御所見を承っておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 民事上の無過失責任、これは理論的にもまた先例もございますから、そういうとりきめをしたものがありますので、この公害について、やっぱりそういう議論が起こるのは当然だろうと思います。したがって、十分検討してみたい。先ほど山中国務大臣からお答えしましたように、あるいは個々の問題について、あるいはまた横断的にそういうものは考えられるかどうか、さらに慎重に検討しようと、かように答えておりましたが、私も同様な考え方でございます。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 次に、今回の法案の中で公害防止事業費事業者負担法案がございます。これは公害基本法の二十二条二項を受けて企業者の費用負担が明らかにきめられておるわけでございます。要するに、原因者であるところの企業者が、原因の範囲と内容とに従って負担するというたてまえでございますが、今後産業あるいは公害を含む工業の発展に従って、この額はますますふえていくものであろうと、かように思うわけでございます。その中にありまして、特に経済基盤の非常に浅いいわゆる中小企業、これがその公害を発生する企業の中にかなりあるわけでございます。こういった中小企業が公害防止のばく大な費用を負担するということになりますというと、いろいろそこに国として考えなければならない多くの問題があろうと思うのでございます。ことに十四の法案が全部成立いたしますと、それぞれの法案にいろいろと公害防止の義務づけがあるわけでございますので、それらを一斉に適用されるということになりますというと、こういった中小企業はあるいは操業停止に追い込まれるというふうなおそれもなきにしもあらずということを私は憂慮するものでございます。今日の状況で、一般的な輸出の環境の悪化が、あるいは国内需要の鈍化があるという中にあって、中小企業の黒字倒産ということがおそれられておりますが、それに公害が加わりまして、あろいは公害型の倒産になるのじゃないかというふうな危険もあるわけでございます。ある調査機関で調べたところによりますというと、この中小企業も含めまして公害対策が必要だ、こう感じておるものは六〇%近くあるということで、かなりその意識は進んでおる。その中にありまして実際に公害の対策を講じておるという企業者はやはりその中で六、七割あるということで、かなり公害防止に対しての中小企業の意識は高いものだと私たちは考えております。それだけにこれらに対する対策を今後考えていくべきである。これらの中小企業の公害防止についての費用をいろいろ国が財政あるいは金融の面でめんどうを見なければなりませんが、同時に生産性の向上なりあるいは近代化の中でこれを吸収するといいましても、やはり生産コストに二%から五%ぐらいの影響はあるということも、調査の結果、そういうことも出ておる向きもあるわけでございます。そうしますというと、この公害防止の措置が、結局いま非常に重大でありますところの物価に影響してくるというおそれもあるわけでございます。この物価との関係におきまして、政府はどういうふうに考えておられますか。企画庁長官の御所見を承りたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまのお話は二つございまして、全般としてのいわゆる公害費用の問題、それから特に中小企業の問題の御指摘がありました。全般として公害の費用というものが、これがいわゆる経営の上におけるコストであること、これはもう間違いのないことでございます。そしてまた、そのコストとしては他のコストと少しも違わないことでございまして、価格を構成する原価になるわけでございます。ただそのために直ちに今日よく言われておりますように価格の上昇、価格への転嫁が行なわれるかというと、これは決してそういうわけではございません。まあ当然企業の努力というものが前提になっておるわけでございます。でありますから、これは全体の物価の一環として決して便乗値上げその他の許される筋のものでないことは明白でございます。特に最近のように企業の付加価値の配分の実情等を見ますれば、その余力が十分あるわけでございますから、直ちに公害の費用がかかったということだけを理由にして値上げをするということは許されるわけではございません。ただ、中小企業につきましては先ほども御指摘がありましたように負担力の問題等もございます。これにつきましては、政府といたしましても、いわゆる防止施設等につきまして財政負担というものを十分考慮する。こういうたてまえになっておるわけでございます。また全体としては税制その他についても種々配慮をするところがあるわけでございます。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 物価への影響は極力避けていくというたてまえであり、また、合理化なりあるいは近代化、あるいは生産性向上の中で消化するといいましても、基盤が浅い中小企業でございますから、なかなか短期間にそういうことは期待できないと思います。そういたしますというと、ひっきょうするところ、政府の金融あるいは財政措置ということが主軸にならざるを得ないのでございますが、たまたま来年度の予算編成を前に控えまして、この問題についての大蔵大臣の決意のあるところをお聞かせをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十六年度予算につきましては、ただいま鋭意編成の準備中でございますが、その眼目とするところは、ただいま御論議の公害とそれからもう一つは物価、この二つに、ひとついたしてみたい、こういうふうに考えております。公害につきましては、いま各省からもかなり巨額の要求がある。一般会計におきましても、あるいは財政投融資にいたしましてもよく審査いたしまして、この重要な公害対策の執行に支障のないようにいたしたい、かように考えております。また、企業がこの公害の対策によりましてかなりの影響を受ける、これはひとり中小企業ばかりでございません。大企業もかなりの影響を受ける、こういうことになりますので、企業がみずから行なう公害対策、施設、その施設に対しましては税制並びに金融両面からこれを援助したい、かように考えております。特に中小企業につきましては、政府の議機構の定特別ワクを設けるとかあるいは税制におきましてもこれは大企業と違った厚い措置をとるとか、さようなことをしてみたいと思います。また、企業が政府や地方公共団体の行なう公害対策事業、これに対して費用負担法による負担をするわけでございますが、その負担も、これも円滑になし得るように税制上金融上配慮いたしていきたい、かように考えております。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 中央公害対策本部がまとめたところによりますというと、ただいまのところ四十六年度の公害関係の概算要求として千六十二億円ということでございますが、その中で大半が下水道の整備とかあるいは基地の防音対策、こういうことにありまして、残りわずかに二百億程度というふうに聞いております。これでは私は公害防止の対策の予算としてはちょっともの足りないのじゃないかという感じを非常に強くするものでございますが、今後いよいよ来年度予算の編成があるわけでございますので、ただいまの大蔵大臣の御決意のように、ひとつ十分な公害防止の予算を組んでいただきたいと思います。なお、企業に対する金融、税制あるいは融資という面と別に、この公害対策につきまして、やはり政府として取り組んでいくために、いろいろと具体的な予算上の措置も要るわけでございます。公害防止のために公害罪の法律もでき、あるいはその他のいろんな規制措置もできておるのでございますが、これを十分に実施をいたしまして、効果をあげるというためには、ただ単に刑事罰をもって臨むとか、あるいは従来のように命令、強制ということだけでは、私は十分な効果が発揮できない。やはり企業と政府と地方団体と国民一般、それぞれが十分な理解の上に立って、善意と合意の上に立って公害対策を実行していかなければならない、私はこう思うのでございます。そこで、政府部内におきましても、あるいはそのために行政機構にメスを入れることも必要でございます。また新しい行政機構をつくられるということも私は大いに検討していただきたいと思っております。また、個々には公害防止の指導行政のためにいろいろ必要な経費も盛り込んでもらう。また、監視あるいは指導という面におきまして要員も相当必要であろう、かように思うわけであります。こういった予算、人員の面におきまして、政府自体の措置、これは私はきわめて重要であろうと思いますが、こういう点につきまして、総理のお考えをお聞きしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政府また各党とも公害防止対策、これについては非常な関心が深い、政府はこの問題と取り組むために、まず公害対策本部をつくり、私自身が本部長になり山中君を副本部長にしまして、各省で取り扱う公害対策業務、この足並みを乱さないように、山中君のところですべてを見ていただいたのであります。その結果がようやく十四法案を提案し、ただいま御審議をいただいておる、こういう状態にまでなりました。これはいままでのところで非常な進歩だと思います。しかし、この審議を受けるその段階におきまして、これだけで、法案だけで十分か。十分じゃないことはよくわかりますし、また、何よりも行政を積極的にこの方向に向かって展開することが必要であります。そういう意味からも新しいくふうなども、いろいろ政府部内でも論議されております。ところで、日本社会党をはじめ公明党、民社党、三党提案による新しい省をつくれという、そういう強い御意見も出ております。大体、行政整理といいますか、人員を減らせという、そういう方向の御議論が強い際にもかかわらず、こういう問題とは積極的に取り組むために一省をつくる、また、専任の大臣をつくるのがしかるべきだ、こういうような御意見も伺っております。私はこの問題をどういうように扱うか、十分これらの点をも、皆さん方の御意見をも十分含んで、積極的に行政の完全実施、そういう方向に取り組んでいきたいと思います。いまようやく足並みがそろった。しかしながら、実効をあげるために、いまの公害罪なんかは、もうそんなものを発動しなくて済むような、そういう事態が望ましいのでございますから、そういうように行政の面でもっと足並みがそろい、そうして積極的に前向きに進めるような、そういうものにしたいと、かように考えておる次第であります。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 最後に、大気汚染の関係でお尋ねしたいと思うわけでございます。  今回の大気汚染防止法の一部改正の中で、自動車の排出ガスによって急激な大気汚染が発生した場合には、公安委員会に要請をして強い交通規制もできるということになっております。また、騒音規制法の一部改正の中でも、新たに自動車騒音を規制の対象にされました。で、騒音が所定の限度をこえた場合には、やはり知事の要請によって公安委員会が道路交通の通行制限をやる、交通規制をできるというふうになっておるわけでございます。大都会におきます空気の汚染、騒音もさることながら、空気の汚染は非常にひどいものがございまして、私もこれほどひどいとは思わなかったのでありますが、私の郷里の岡山の水島の工業地帯における大気の汚染度よりも東京の丸の内地区における大気の汚染度がその二倍もあるのだということをこの間聞きまして、毎日そこで生活をしておりながら、実はびっくりしたような状況でございます。この大都会の人口の集中と、自動車交通量の激増というものは、単に排気ガスやあるいは騒音のほかに、都会における交通混雑の激化、つまり、これらを含めて広く交通公害ともいうふうな状態が今後ますますひどくなっていっておるのは、お互いに経験しておるようなところでございます。国家公安委員会といたしましても、こういった大都市の生活者の交通利便をそこなわないように、いろいろと今日までも道路の交通規制を行なっておられるわけでございますが、特に東京、大阪のような超大都市では、もはや今日まで行なわれておられますようななまぬるい交通規制ではどうにもならなくなってきておる。もう、いいとか悪いとか別にいたしまして、どんどんそういう極限がきつつあるのじゃないかというふうな感じがいたしておるわけでございます。そこで、この際長期的な展望の上に立って大都市の特に道路交通について思い切った交通規制を行なうべきであると私は思うのであります。たとえば、東京都などを例にとって考えます場合に、国電の環状線を一つのサークルにいたしまして、それ以内への、都心への一般自動車の乗り入れを禁止するというふうな方向までいくべきではないか。このまま放置しておれば、必ずそういう必要に迫られてくると、強行せざるを得ないというふうなときがくるんではないかと思いますが、この大都会の騒音あるいは大気汚染の公害を含めまして、この交通混雑緩和、交通規制、道路交通の問題につきまして今後どういうふうな方向で公安委員長としてはお考えになっておられますか、少しく将来のことを含めてお考をお示しいただければと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交通公害の防止をはかるために、さしあたり大気汚染による交通公害の防止につきましては、たとえば、信号機の操作による単位時間当たりの自動車交通量の削減、迂回路があるときの自動車の通行の禁止、制限等が考えられます。また、騒音や震動による交通公害の防止につきましてはたとえば、法定の最高限度より低い最高速度の指定、徐行すべき場所の指定、大型自動車の夜間の通行の禁止、制限等が考えられるのであります。さらに、お説のとおり都市におきましての交通公害に関連する事態は容易ならざるものがありますので、今後とるべき措置等について概略申し上げます。  第一に、住宅街、裏道等、住民の生活道路ともいうべき狭い道路につきましては、歩行者保護のため通過交通を排除して、通勤、通学道路、買いもの道路等、時間帯による自動車の通行禁止、制限を行ないます。  第二に、大量公共輸送機関を優先させるため、当面、指導によってラッシュ時におけるバス優先車線等を設定する見込みであります。  第三に、都市内の幹線道路の一方通行規制を強化してまいります。  第四に、都心部における駐車禁止規制を強化して、不急車両の都心乗り入れを間接的に抑制してまいります。  第五に、これらの措置によってなお交通渋滞が著しく、都市機能を麻痺させるおそれが生じるような場合には、さらに何らかの合理的な選別基準によりまして車種別、用途別に自動車の都心乗り入れ禁止の制限を行なう必要があるかと考えます。  第六に、以上の交通規制を行なうため都心部の乗り入れ規制、バス優先車線の設定等必要な道路交通法の改正についても考えたいと存じております。

木村睦男自由民主党

○木村睦男君 道路の将来の交通規制についていま御説明のありましたような方向で、またその方法でひとつ十分措置を講じていただきたいと思うわけでございます。  そこで、そのように交通規制をやってまいりますというと、交通規制の効果はあがっても、置きざりになるのが都会生活者でございます。そこで、そういった強い道路交通における交通規制をやる反面あるいは都会生活者の日常生活あるいは物資の輸送、そういった方面に、非常にいろんな問題が起こると思います。こういう点につきましては、ただ単に道路のみならずあらゆる都市交通機関を含めて、今度は交通輸送対策というものが立たなければいけないと思いますが、ただいま公安委員長のお示しになったような方向で交通規制が行なわれました場合に、どういうふうに交通輸送の確保を都市生活者にするかという点につきまして運輸大臣のお考えを長期展望のもとにお聞かせいただきたいと思います。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、たとえば東京を考えますというと、交通機関があす。将来の都市交通体系としては、これらをやはり一元化し、その運営を能率的にしなければならぬ。もちろん、これは急速にできる問題ではありません。同時にまた、いま運輸省で計画いたしておりますのは、都市交通のあり方としての、いわゆる循環国電等の循環の複々線化あるいはまた道路等において将来モノレールというものも考えるべきであろう。かつまた自動車につきましても都内に入る自動車は、いわゆる将来、これは技術開発に待つところが大なのでありますけれども、たとえば電気自動車の開発、これは通産省と連絡をしながら、来年度から予算を要求いたしますが、こういうことによって都市交通体系の整備あるいはモノレール等を含めた新しいシステムを組むということが、やはり長期展望の一つであろうと思います。  かつまた、従来のガソリン自動車につきましても、現在四・五の規制をしておりますけれども、四十六年、四十八年と、二回の規制によって、昭和五十年においては三千三百三十万台の自動車が出ると言われております。昭和三十八年は八百万台でありまするが、その昭和三十八年代の八百万のときにはあまり大気汚染というものは言われなかった。その状態までに、このガス規制等によって、まずとりあえずの緊急措置を行なっていく。かような方針で邁進しておる次第であります。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) これで午前の会議を終わります。  午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  まず、冒頭に、加瀬君の質疑に対する政府の統一見解を御答弁願います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 政府部内で打ち合わせた結果でございますので、便宜私が申し上げます。  公害対策については、公害対策基本法の定めるところにより、国と地方公共団体の責務が明らかにされております。すなわち、国は公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策の策定及び実施の責任を持っているので、この意味で、先ほども出ておりましたが、第一義的な責任を有するものであります。地方公共団体は、当該地域の自然的、社会的条件に応じた公害の防止に関する施策の策定及び実施の責務を有しますので、その地域の公害対策の第一次的な責任を持っているものであります。  ところで、地方公共団体は、地方自治法の定めるところによりまして、本来、住民の健康及び福祉の保持の責任を持つものでありますから、地域の公害防止に関する権限を持っておりますが、全国的な見地から画一的に実施する必要があるものにつきましては国と地方公共団体が分担、協力することとし、その権限の行使につきましては地方公共団体の長に行なわせるという、いわゆる機関委任の形式をとることが適切であるとしたものであります。  次に、経費の分担の問題でございますが、地方公共団体の責務に属する事務及び事業にかかわる経費につきましては地方公共団体が支弁し、そのうち機関委任されているものの財源につきましては国が必要な措置を講ずることとなるものでございます。  以上が統一見解でございます。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 速記を起こして。  大橋和孝君。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 公害国会といわれるこの第六十四臨時国会におきまして、十二月の三日より、衆議院の代表質問に続いて四日の参議院の代表質問、そして四日、五日の連合審査を皮切りにして、わが党をはじめとする各党の質問が重ねられまして、十四本の法律が不備な欠陥の状態が日を追って明らかにされつつあるわけでありますが、私は、このいまの現時点において、少し角度を変えていろいろと質問をさせていただきたいと思うわけであります。  それは、公害の被害者、あるいはまた公害病の患者、または潜在的な公害病の患者という人々の心を心としての質問をしたいと思うわけでありますが、昨年十二月の十五日に、公害に係る健康被害救済措置法が制定されたのでありまして、本年の二月から実施されたわけでありますが、今次の国会に提出されております十四本の中に、この改正が一つも含まれておらないのであります。これは、佐藤総理をはじめ、関係閣僚が、口先では非常に前向きな、積極的な、あるいはまた、公害対策を非常に優位をして考えるというふうなことを言われておりますけれども、この公害患者を救済するところの法律案を、もっと私は改正をすることに踏み切って、提出されるべきだと思うのであります。しかし、政府のほうは現行で十分だとお考えになっておるのか、厚生大臣の御意見をひとつお伺いしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 公害に係る健康被害の救済特別措置法は、御承知のとおり、民事責任等によりまして被害者の損失が救済されるに至るまでの間、特に人の健康が緊急を要する場合をとらえまして、医療費、医療手当、介護手当などを出すわけでありますが、それらの改善につきましては、必ずしも法律を改正いたさなくても、地域の拡大あるいは支給金額の引き上げ、支給条件の緩和とか、あるいはまた必要あれば、対象となる疾病の種類の設定というようなこともできることになっておることは御承知のとおりでございます。現に、つい最近、地域も尼崎の一部を対象として拡大をしたり、また、本年五月には、これらの支給の条件あるいは金額等も改善をいたしてきておるわけでありまして、この際、必ずしも法律改正をしなくても、実情に応じた改善はできる仕組みでございますので、法案は提出いたしませんでした。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 仕組みであるとおっしゃいますけれども、いま現在、チッソの株主総会にあらわれておりますように、いま、被害者あたりはまだまだ解釈が十分でないので困っておるわけであります。特にそこのところを言うならば、結局、あの審査会におきましても、事実を詰めなければ、疑いではいけない、ことに全員一致で審査会を通るということで、なかなか被害者の言い分があらわれていない。そういうような実態であると思うんですが、そこらのいわゆる審査の運営の状態においても、どういうふうになっておるのか。特に初めぐらいはその行政に不服の申請を厚生省に出しているくらいであります。そこの辺のところをどうとらえているのか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 法律に基づく政令の条件がございますが、しかし、個々の具体的の認定は、御承知のように、県あるいはその特別の市に置かれております公害病患者認定審査会、これは主としてお医者さんのような実務家をもって構成されておるわけでありますが、これらの現地の事情に詳しく、また医学的知識も持っておられる方方の認定によるわけでございます。ことに厚生省は、特に私はそうでございますが、ものごとを辛く認定したり判定したりするよりも、こういうものはなるべく被害者の立場に立って、できることは被害者の身の上をおもんばかった認定をすべきだと考えますので、原因と病気との発生の関連などにつきましても、法律でございましたか、政令に書いてありますように、両者の間に影響があれば、必ずしも厳密な因果関係がなくてもこれを認定してまいるというふうに指導をいたしておるはずでございますし、また欠くるところがあれば、これは大橋先生などのお説もよく承りまして、そのような指導を強めていきたいと私は思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっとカドミウムについて厚生大臣に伺っておきたいと思うでありますが、ちょうどカドミウムが、空気あるいはまた水に排せつされて、そしてこれによって米なんかが汚染をされる。そしてそれを食べて蓄積することによって、あるいはまた、じん臓がおかされて、たん白が出てまいります。これは細尿管がやられるからであります。あるいはまた糸球体がやられて出てくるわけであります。そしてその経過が済んでから、今度はイタイイタイ病の本質である骨に影響を及ぼして、骨のほうへだんだん上がっていく。あるいはまた、骨が全体、骨折したりなにかしますので、身長が何十センチも小さくなる。あるいはまた、精神的にもいろいろなところに影響して、たいへんな重い病気になっておる。こういう状態でありますが、いま大臣が言われたように、この中で一体どの辺のところから、こういうものの補償なり審査なりを考えるのか。私どもは、このイタイイタイ病が出てしまってはとてもだめではないかと思うわけでありますが、そういう意味におきまして、たとえば、ぜんそくの場合でもそのとおりでありますが、のどに炎症を起こしてくる。これは、大気が汚染をされておるので気管支が気管支炎を起こしたり、あるいはまた、その上からだんだん肺気腫になり、あるいはまた心臓を圧迫して心臓障害を起こして、なくなるというような状態でありますが、そういうふうな経過をずっとたどっておるわけであります。  ところが、これの経過の中で、たとえば、これがほかの疾患、ぜんそくの場合であれば、前に結核をやっているという理由のもとに、それがどちらであるかわからないとか、あるいはまた、イタイイタイ病にしても、何かほかのほうに原因があるのではないか、栄養失調状態があったとか何かのことをかけて、なかなかそこのところに意見の一致を見ない。たとえば、全員一致のものしか取り上げないという審査の方法でありますから、一人二人が、あるいはまた企業のほうとの話し合いのもとにこれを強く拒否すれば、この問題がいつまででも遷延される。これは現にあるわけでありますが、こういうような問題をつかまえて、ほんとうにこの公害というものを先に考えて、人間本位に考えるとするならば、こういうようないままでの経過というものは非常に私は間違いがあったんではないか、こういうふうに思うんですが、大臣どうですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 被害者の健康救済のための特別措置にも、御承知のように、二種類ございまして、一種類は、大気汚染に基づく、たとえば気管支炎——漫性気管支炎でありますとか、ぜんそく性気管支炎でありまするような、そういう疾患でありまして、他の原因からもそういう疾病が起こり得るそういう疾病につきましては、その被害者として申請をされた者は一定の期間その地域に在住しておることを要件としておりますが、しかし、お尋ねのイタイイタイ病などにつきましては、ほかに原因は考えられておりませんので、したがって、もうそのものずばり、どこにどれだけの期間おらなければならないという条件は、かけておりません。また、イタイイタイ病についても、法律、政令はイタイイタイ病と規定しておるだけでございまして、どのくらい骨がばらばらになった、といいますか、あるいは、からだの成長がとまった場合に初めてイタイイタイ病としての適用を受けるということも規定いたしておりませんので、先ほども申しますように、認定審査会はもっぱら医師の方を中心といたしておるはずでございますので、それらの方の認定に、すべてをまかせる。しかも、これはむちゃくちゃに無理をして甘くしたのでは、これまた通りようもないのでありますが、こういう場合には、それこそ「おそれ」がある場合には認定して差しつがぬものと私は考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いま特に大臣から、疑わしいところのものはもう認定すると、こういうふうにおっしゃいました。それでよろしいんでございますね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 疑わしきは認定するというところまではいかないと思いますが、認定すべきといいますか、たとえば、それがカドミウムによる結果であると見られるおそれがあるといいますか、そういう場合には、これは公害犯罪の処罰法とは違いまして、これは認定をしていただくべきものだと、そうして、それらの困っておる人を助けていこう、私はこういう気持ちでおります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃ、そこのところ、詳しく一ぺん大臣に伺っておきたいと思いますが、たとえば、いまちょっと私が話しましたが、カドミウムが流されます。それで、土壌なり、あるいはまたいろいろ水が汚染されまして、そしてそこでとれた米、野菜に、ついておる。それを食べると、からだの中に蓄積いたします。その含んでおるものは、いま東京都あたりでは、〇・四PPMであったら、もう危険の度合いがある。厚生省も、一PPMまでの間は非常に危険度があるから、もうそれくらい含んでおるものは食べないほうがいいという、こういうふうな方針が出されているわけであります。ところが、それを食べまして、今度は、いま私が申したように、第一番目に来るのは、じん臓に来るのでありますが、もうじん臓に来たら、これはもう次にはすぐイタイイタイ病の、骨がうずき出すということになるわけですから、じん臓にたん白が出てくる状態は、これはもう病気の状態なんですね。ですから、そこのところで、とにかくちょっと出かけたときに、この基準、審査の基準では、もうイタイイタイ病の初期であると、こう見て、もうそこで公害病と認定してもらえる。これでいいですね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) カドミウムの、御承知の要警戒、要観察地域といいますか、そういう地域において、たとえば玄米中〇・四PPM以上の米が産出される、また、そこの居住者がそれを食べているという状態で、まだ病気は発生してないということでございますと、もちろんこの認定にはかかりませんけれども、病気が発生したと認定される場合には、その症状が重くならなければこの救済の対象としては取り上げないということではない。ことに、これは、私は医者ではございませんが、大橋先生のような医師の方が、これはもうイタイイタイ病にかかっておると認定されるような場合には、私は、それは初期であっても当然認定の対象として取り上げてよろしいのではないかと考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 これはひとつ特に大事なことでございますので、ほかの、公害に対して考えておっていただくところの各大臣あたりも心にとめておいていただきたいと思います。もう、ちょっと症状が出てきたら、もうあぶないから、そこで審査の対象になるというわけであります。これは、特にそうしてもらわぬと、公害病というものは、あの悲惨な状態で病院で呻吟しておられる、大臣も見てもらっておると思いますが、ああいう状態を見たならば、私は、それに一歩でも入るかもしれぬという危険のときには、必ずとめるべき責任があると思うのでありますから、いまの大臣の御答弁は非常に私は貴重な答弁だと思うのであります。これができれば、患者は非常に喜ぶと思います。いままで、水俣病なんかでも、これがなかなかできなかった。ですから、補償の問題も難航しているわけでありますから、こういうふうなところの考え方は、これはどうかひとつ、きちっと、いまの発言をはっきりしておいていただきたい、こういうふうに思います。  じゃ、続いて次にお願いしたいと思いますが、私は、イタイイタイ病、こういうような問題について、今度は研究体制、あるいはまた研究費の問題に、ひとつ移りたいと思うわけでありますが、ことにイタイイタイ病につきましては、現状では、ビタミンのDとか、B1とか、B12とか、あるいはカルシウムの補給、たん白の同化ホルモンなんかを使いまして、痛みをとったり、症状をとることは、だいぶ成功しておるわけでありますね。ところが、カドミウムを人体から取ってしまわないと、また再発する。それでまた同じように苦しんでおられるわけであります。ところが、尿中のカドミウムの計量というのは非常にむずかしいわけであります。そしてこれには、アメリカのターキンエルマという機械ができているわけであります。これはいま富山の衛生試験所にも、あるいはまた東京には、板橋かなんかの分析化学研究所あたりにも設置されているそうでありますが、これをやるときには、一回の被検物を検査するのに、三千円とか五千円とかかかる。しかも、非常に手数がかかるために、これを検査してもらおうとしても、なかなか処理をしてもらえない。こういうようなことを考えますと、非常にこの検査が進んでいない。こういうものは、ひとつ、国でもっと設備をして、各地区に、そういうものの起こりやすいような地区においては、もっともっと完ぺきにして、そうしてこれをやるべきじゃないか。したがって、やはり、そうする意味におきましても、設備の完備、こういうことをひとつやってもらわなければならぬと思うのでありますが、そういう点については、いままであまりにも少ないではないか。これは、大蔵大臣のほうにも、こういうことに対しては、来年度は、総合研究所をつくるために、四億何ぼ、厚生大臣のほうから、厚生省のほうから要求されておるように聞いておるわけであります。ですが、いままでは、ついこういうものがどんどんと削られてしまっている状態でありますが、私は、これをもっと前向きに、相当設備をしてもらわぬ限り、この公害病というものの対処のしかたができない、治療の方面でもできないし、予防の意味でもできない、こういうふうに思うわけでありますが、どうでございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 今日でも、御承知のとおり、厚生省には直属の国立の幾つかの試験所がございます。しかし、仰せのとおり、そういう公害の発生原因である有毒物質と、それの人体あるいは生活環境等への影響のこまかいところにつきましては、十分尽くし得ない分野がたくさんあるようでございます。現実には、これらの国立の試験所のみならず、地方の衛生研究所あるいは関係大学などの協力を得まして、それらの調査をいたしたり、影響を調べていたしたりしている実情でございますが、私は、正直に申しまして、それでは不備である、総合的に、公害の人体あるいは生態系統に及ぼす影響までも調べるような総合的な研究機関をつくること、しかも、この総合的な研究機関が、いまある大学が地方の試験所などの研究の結果を総合して、いわば資料を収集し得るような資料センターのような役目を果たすものをぜひほしいと考えまして、すでに四十五年度において、大蔵省からそのための調査費をいただいており、その調査費に基づきまして、専門家にお集まりいただきまして、いわば国立公害衛生センターみたいなものの構想につきまして、そのマスタープランをつくりつつありますので、明年度はその一歩を踏み出したい、こういうことで関係方面と折衝をいたしておりますので、万全を期する仕組みをぜひつくりたいと考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 厚生大臣、ちょっと伺いますが、モントリオール大学にパーク博士という人がおられるのですが、この方はプロトコルフィンクロミウムという薬を開発した。これについて、もうお取り組みになっておるのですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) どうも私は、その辺のことになりますと、私の専門領域じゃございませんので、よろしければ政府委員から答えさせましょうか。それとも、社会労働委員会などで、またお尋ねいただければ非常にありがたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 この薬は、イタイイタイ病患者の、いま申しましたカドミウムを体外に除去するために効力があるという薬だと言われております。ところが、これはまだ開発の途上で、初めてでありまして、まだ人体実験が行なわれていない。動物実験では、その効果が十分あると言われているわけであります。ですから、こういうものを動物実験なり——日本では、かなり医学、薬学が進んでいるわけでありますから、早く取り入れて、これを検査して、どれくらい飲ましたらば、飲ませる前と、飲ましている間と、飲んだあとに対して、尿の中にどれくらいカドミウムが排せつされるか。これを検査するのには、先ほど申しました検査機械が要るわけなんです。そうすると、これは十人なり三十人、動物なら十体なり二十体なりを検査をして、前と飲ませる間と飲ました後とに分けてまいりますと、相当の回数の分析をしなければならぬ、こういうようなことを考えてみますと、金もかかるし、なかなかそれが実行できないという状態であるわけでありますから、特にこういう問題に対して、ひとつ取り組んで、あれほど困って、がたがたと体も縮んでいくような病人が現在あるわけでありますから、できるだけそういうものを早く開発をしてもらって、そしてそういうものに対して報いるような方法をすべきではないか、私はいつもそういうように思っているわけであります。大臣は、やはり、いまの答弁の中で、それはやりたいというお気持ちでありますから、どうかひとつ、それらに対して研究費を十分に持っていただきたい。そういうことから言いますと、私は、この研究費の増額というものが相当そういうところにまで渡るところの増額をしなければならぬと思うのであります。だから、そういう意味において、私は、ひとつ大蔵大臣に、この段階において——またあとからもちょっとお伺いしますけれども、この段階においても、こういうものに対しては惜しみなく予算をつけてもらうということを、ひとつ決意のほどを示してもらわないと、いま病室で呻吟しておるこの患者あたりは非常に不安な気持ちを持っておるわけでありますから、もうそういうものに対してはどんどんと開発をしようという意気を示していただきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどもお答え申し上げましたが、四十六年度の予算は、公害と物価、これを二つの眼目として編成いたしたい、こういうふうに考えております。必要なものにつきまして出し惜しみをするというようなことはいたしません。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから、この公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法では、医療手当は、先ほど大臣もおっしゃいましたが、入院料月額四千円ですね。それから通院月額二千円。それからまた、通院には大気汚染関係は除かれている。特にまた、所得制限が行なわれておる。またその別面では介護手当が出ておりますが、これは一日に三百円ということでありますね。こういうことを考えてみますと、非常に私はいま微々たるものだと思うのですからして、こういう形の公害問題に対する取り組み方、対策としては、私は、前の原爆被爆者の特別措置法なんかがつくられましたが、あのような考え方で、いわゆる費用におきましては、生活補償におきましても、この被害者に対しては特別な措置法をこしらえて私は完全に守る体制をつくっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。特にまた、低い人の所得制限なんかも、きびしくやることに対して非常に痛手をこうむっている人もあるわけでありますから、生活と、それからまた医療と、その両面を守ることのできるような特別措置法というものを考えるべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 現在の健康被害の救済の特別措置法は、先ほども私からちょっと触れましたように、これは、加害者といいますか、公害発生責任者から、民事上の救済ではなしに、民事上の損害補償が行なわれるまでの間のつなぎとして、国が、あるいは地方公共団体等が公費をもって必要最小限度の医療上のめんどうを見ようという、あくまでも、つなぎの制度でございます。でありますから、厚生省の立場といたしましては、いま御指摘がありましたような、あまり多くもない医療手当、介護手当などというものを出しますよりも、発生責任者が与えた損害の総額につき早く補償ができるような道を開いてもらいたいという、私は気持ちであります。それが無過失損害賠償責任法をつくるべきであるという議論にもつながるわけでございましょうが、あまり国費で何でもかんでも見ることになりますと、そちらの法律はそれじゃ要らないじゃないかということになったら、これはまた私は何にもならないと思いますので、まあ私どもは、最小限度、ひとつ、つなぎをやらしていただくという、厚生省といたしましては、その範囲におきましては、できるだけの改善をいたすつもりでもございますし、若干の改善はいたしてまいりました。所得制限あるいは支給の金額の計算方法の切り上げというようなことを五月にもやりましたが、なお、これは世の中がどんどん進みますので、大蔵大臣ともよく御相談をして、内容の充実というようなことも、あのワク内におきましては私はつとめてまいりたいと考えるものでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣のおっしゃるの、もっともでありまして、私もそのように考えるわけでありますが、公害は、言うまでもなく、企業が無責任に有毒なものを流しておるのが原因だというのが大部分であろうと思うのであります。ですからして、公害病が発生した以上、あくまでもやっぱり企業の責任において、その医療なり、あるいはまた生活を補償することは、これは制度上確立してもらいたいと思うわけであります。しかし、私は、はっきりしないうちは——いま大臣も言われましたが、はっきりしないうちは、やっぱり国がそれを立てかえ払いでもいいから補償をしておいて、そして、原因がはっきりするに従って企業がこれをやっていく、あるいはまた、複合公害あたりで、どうしてもはっきりしないものは、国がこれを持つ、という形に持っていかなければならぬだろうと思うのでありますが、それに対しましては、いままで、われわれいままでの状態を見てみますと、労災補償保険法というのがあるわけでありますが、あの制度が確立されておるわけであります。ですからして、やはり早く制度を打ち立てていただいて、そして早期にその原因のわかったものは労災の補償のような形を取り入れてもいいじゃないかというふうに私は思うわけであります。特に、最近の、話が出ておりました監督官の問題なんかを見てみますと、労働省の監督官は司法権を持ちながら企業の中に立ち入りができるわけでありますから、こういう問題に対してどういうふうに考えておられるのか、どうしたらいいのか、というようなことなんかも、ひとつ労働省のほうからも、労働大臣も……。労災の監督官が司法権を持って企業に立ち入って、そしていろいろな監督ができる、こういうようないままでの制度、いままでは、わずか千五百人ですか、くらいしかいないようでありますが、そんなことであったら、とてもできないわけでありますが、それをどういうふうにしていったらいいか、そこのところの間から何か新しい一つの方向が見出せるのではないかと私は思うのでありますが、大臣の意見をひとつ聞かせていただきたいと思います。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 労働基準監督官を活用いたしまして公害対策に取り組ませると非常に効果があると思います。ことしの九月に、公害の発生源になっておりますような工場、事業場等を全国で一万三千六百六十五件というものを総点検をいたしました。これには約、基準監督官二千名を動員いたしましてやったわけでございますが、その結果、どうもあまりかんばしくないというような成績のものが約千九百件ございました。これに対しましては直ちに改善の勧告をし、あるいは改善命令を発するというふうなことでやっておるわけでございますが、公害問題が非常にやかましくなってまいりまして、このことに対しましては、いままでの労働基準監督官の使命を公害対策と適応させまして、これに一つの権能を与えまして、で、公害対策と取り組ませるということが必要であると考えまして、明年度の予算には相当数の思い切った大幅増員を要求いたしまして、公害対策に協力するという態勢で進みたいと考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 労働大臣のほうから多少応援をするという意味をやっておられるわけですが、私はそうじゃなくて、司法権を持っておるいまの監督官でありますから、相当しっかりと悪さを——まああなたのほうはいままでからやられまして、その報告も見せてもらって、そしてあの水俣の水銀の問題なんかのときにも、やはり従業員の検査をして、何%の間にその変化があったというような報告も聞いておるわけでありますが、それはそれといたしまして、私はこの将来の問題ですね、今度の公害国会の中で、監視官の問題もありましたが、そういう問題の中で、やはり私はこの労働行政を深めていくのか、あるいはまたそういうふうな問題を考えながら非常に企業というものの中に入ってほんとうに歯どめをしていかなきゃ私はできないと思いますので、そういう点であなたのほうの今後の考え方の方向を、これをちょっと聞いておきたいわけであります。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、これからは全企業が公害源を断ち切るというか、そのための対策、それには労働基準監督官の職務を大きくそのほうにも活用いたしまして、公害源の対策を講じていくことは当然必要ではございます。そういう観点から基準監督官を動員いたしまして、そのほうの仕事も十分にやらしていきたいと考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 山中長官来られたようですから、私が山中長官にちょっと聞きたい点を一、二お尋ねしたいと思います。  で、先ほどからもちょっと申し上げておりますが、たとえば水俣病で審査会を通りまして発表せられた患者が百二十一名もおって、しかもその中で四十六名も死んでおると、いまの生存者も、何と申しますか、精神的にもあるいはいろんな破壊をされて、そしてほとんど生きたしかばねのような状態である、こういう状態は御存じだと思うんでありますが、また、イタイイタイ病にいたしましてもそのとおりでありまして、非常に死者も六十九名も出ておりますし、いまの生存者も非常に残酷な状態でいまおるわけであります。四日市ぜんそくなんかを申しましても同じこと、やはり死者はことしだけでも十名ぐらいある、また患者にいたしましては五、六百名もいるというふうなことが報告されているわけでありますが、こういう状態の中で、私は非常にこの水俣病でも、あのような悲惨な状態、あるいはまた補償の点が十分でない、おそらく私はこの中では、無過失とかあるいはまたその挙証する責任が云々と言われて、なかなかそれが十分な補償にまでいかれないいままでの経過、今度の公害国会において対象となっているようなこの問題が解決されていないためにこのような状態が起こって、あの一株運動で非常な大きなセンセーションを巻き起こしたという状態であります。こういう問題をかまえられまして、大臣としては公害担当大臣として、一体今度の問題でいままで論議をされている中で、私はほんとうにもっとこういう患者が納得できるような今度こそ抜本的な公害法案を出してもらうべきだと考えておりましたのですが、いまのこの十四本、衆議院は通ってきたようであります、これであなたはほんとうにここらの患者さんに対して、満足のできるような公害の措置がとれる、こういうふうにお考えでございますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 満足な措置がとれるというふうには考えておりません。これは実際上法廷に持ち込まれて争われておる顕著なケースの例でもございますので、心情的には私も非常にお気の毒であり、また、企業者の側にもモラルの欠除しておるのではないかと見られる点を散見いたしますること、まことに遺憾に思います。しかしながら、先国会で通過いたしました公害紛争処理法案に基づいて中央公害審査委員会も発足いたしました。さらに厚生省でございますが、公害にかかる健康被害等の法律等も発足を見ておりますので、これらの問題にさらに補完して、基本的には先ほど他の委員に御答弁申し上げました各種取締法令の中において挙証責任の転換もしくは無過失賠償責任というようなものが明記できるかどうかの検討、さらに一歩進んで別な形としては、特定な有害物質というものをとらえて、それを各規制法を横断した形においてこれらの物質にかかる被害が人体の生命危険等に及ぼした影響があった場合には挙証責任の転換は企業側にあるいうような法制ができるかどうか、これらは精力的に検討してまいりたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまのお話を聞いておりますと、精力的にこれから考えるということであって、私はいまのこの十四本の体系では、おそらくこれができない、困っている人たちは、してもらえるという感じを受けないんじゃないか、私はそういうふうに思うわけです。一番私はきょうのお話の中心はですね……。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 速記ちょっととめてください。   〔速記中止〕

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) じゃ速記をつけてください。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 この公害に関連しまして、厚生大臣にちょっと伺いたいわけでありますが、非常に治療も原因も不明確である難病というのがいま盛んに言われておるわけであります。これは私の知っている範囲内におきましても、全身性のエリテマトーデスとか、これはまた推定二万人ぐらいあるようであります。それから進行性の強皮症、これも推定千人ぐらいはあるようであります。また皮膚筋炎も推定四、五千人ぐらいある。あるいはまた多発性の結節性の動脈炎、これは人員は不明でありますが、あるいはまた高安動脈炎、これも五千人ぐらいある。あるいは重症の筋無力症が推定千五百人、あるいは進行性の筋ジストロフィー、これも推定五千人ぐらいずつあるようであります。また多発性の硬化症、これも推定二千人だと言われております。それからサルコイ・ドージスだとかあるいはまたべーチェット病、スモン病に至っては数万あるわけであります。このようなことをずっと見てみますと、いつ、あすに自分の身に降りかかってくるかもわからないような、こういう重症な難病がたくさんあるわけでありますが、こういうことを考えてみますと、これは非常に苦しんでおるわけでありますが、この科学技術の発達にも、こういうものを含めまして、公害病と含めまして、もっと開発をしていかなきゃならぬ。いま、開発のためにはいろいろ乏しい費用の中でやられておるわけでありますが、この疾病が増強するばかりでありますからして、こういう問題をひとつ徹底的に早く取り上げる必要があるんではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。その意味において、ここらの治療においては、非常にいろんな検査も併用しなければならないし、あるいはまた免疫抑制、あるいはまたそういう製剤をも使わなきゃならぬ。これは、また副作用が多いわけでありますから、これに伴ういろんな検査をしなければならね、こういう問題も起こっておるわけでありまして、また、パーキンソン氏病なんかに至っては、エルドパというような注射薬ができておりますが、これは健康保険の適用になっていない。しかも、これは非常に高価な薬なんでありますね。こういうことを考えますと、非常に大事な問題点が出てくるんじゃないかと思います。特にまた小児ガンなんかでは、きのうもだいぶ質問があって、非常に前向きな答弁をなさいまして、私は非常に感激をしておるわけでありますが、この中におきましても、この硫酸のビンクリスチンなんという注射は、これは六千何百円もする薬があるわけであります。ベーチェットにいたしましても、ヒスタグロビンなんかも千八百円ぐらいするはずであります。こういうような、非常に高いけれども効果が著明であるという薬があって、なかなかこれを使うのには、患者としては非常にむずかしいという状態にあるわけであります。こういうようなことを考えますと、なかなかこれは放置しておいてはたいへんだ。いつ、あすはわが身に降りかかってくる難病ではないか、こういうようなことを考えてみますと、私は、いろいろ国庫負担の医療とする、公害病に対する医療負担というものは国庫でやるという、こういうようなことは非常に私は大事な問題じゃないかと思うんですね。いろんなことを、公害病とひっくるめて考えてみますと、思いっ切りこういうことをやってもらわなければならぬと思うのでありますが、そういうことに対して、もっと技術開発のために、もっともっと研究に対してお金を出していただかなきゃならぬ。特に私はお金の出る分を調べてみました。なかなか外国に比べますと、日本では非常にそういう研究に対しましても、非常に企業に対して出される分が多くて、そして大学とかあるいはまた公的な研究機関に出す分が非常に少ない。もし必要なら、私はテストの表を持っておりますけれども、そういうようなことを考えてみますと、ここらのところに費用負担を大きくいたされることが非常に私は大事じゃないかと思いますので、この点ひとつ大臣からのお答えを聞いておきたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) お話がございましたように、かつて人類が気づかなかったような新しい病気が、文明の高度化とも関連したり、また医療科学の進歩とも関連してあらわれてくるようになってまいってきておりますわけでございます。これらに対しましては、私どもは、まず第一に、とにかくそういう病気の実体をきわめると申しますか、診断すること。次には治療というようなことにかからなければならないわけでありまして、そのためには、これはまあ十分ではございませんけれども、できる限り研究費をそういう方面に投じまして厚生省だけが研究するのではなしに、各方面の専門の方々にお集まりをいただきまして、チーム、研究班のようなものを編成をいたしまして、そして診断基準、あるいは治療の方法について究明いたしておりますこと、たとえばスモン病でありますとか、ベーチェットでありますとか、カシンベックとか、そういうものについても進めつつありますこと、御承知のとおりでございます。そればかりでなしに、おあげになりましたようないろいろの、私自身が聞いてみましても、私には理解できないようなたくさんな病気をおあげになりましたが、そういうものもあるし、また昔からある病気でガンのように、毎年お医者さん方の頭数と同じぐらい十一万人の人がガンでは死ぬわけでありますが、それに対しましても治療法がまだ確立されていないというようなことにつきましては、これも組織的にそれらの治療、入院あるいはまた研究はむろんのこと、それらの研究や治療に従事する人的資源の養成というようなこともやらなければならないということで、ガンなどにつきましては一番先に取り上げられていることは御承知のとおりでありますので、その他の難病につきましても、できる限り私は国立病院、公立病院というようなものの使命はそういうところになければならないと思いますので、一般の私設のクリニックや病院と競争するばかりではなしに、そういうものを国公立の病院に取り組ましていくべきではないかということを省内でも私は申しておるところであります。  また、最後に御指摘がございました新しい薬の開発などにつきましても、それがきくかきかないかわからないという段階では、この保険において用いられる薬価基準に取り上げることはおそらくむずかしいと思いますが、ある程度それの有効性が確立されました場合には、薬価基準に取り上げて、どんな高価な薬でもやはり医療保険の恩典の対象にしていく、こういう態度をとりたいと思います。あるいはプレオマイシンと申しますか、そういうような薬をはじめ、似たようなものにつきましても、本年からは薬価基準に取り上げましたことをごらんいただきましても御理解いただけると思いますので、そういう前向きの姿勢はとりたいと思います。  しかし、そういうものをどんどん薬価基準に取り入れまして、そうして保険医療が高度化する、水準が上がることはけっこうでありますが、その反面、御承知のとおりたいへんな赤字も来たしておる。これらの措置をどうするかという問題もあわせて私どもは悩んでいるところでありますことも付言をいたしますが、それはそれとして、私は大橋先生の御指摘なさるようなことは、同時に厚生省が悩んだり、努力をしなければならない目的事項であると考えるものでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 もう一問で、あとの問題はちょっと長官がおられないといけないので残したいと思います。  一問としましては、厚生大臣にもう一つ聞きたいと思うんですが、それは結局水俣病なんかでもそう言われておりますが、そのために水俣市では、市立病院の中に湯之児分院といって、リハビリテーションの病院ができております。これはほかのほうの病気に対しましても、非常にこのリハビリテーションの問題が必要になってくるわけでありまして、患者の要望もたくさんあると思うんでありますが、特にこの水俣病にしましてもイタイイタイ病にしましても、一生もとに戻らないような患者、これはやっぱり私はリハビリテーションとともにコロニーをこしらえて、そして回復訓練あるいはいろんなことをやりながら、やはり一生生活を見てもらうようなコロニー建設までいかなきゃいかぬだろうと思います。これはやっぱり公害病として最後の最後まで見届けるという意味からは私はぜひ必要なことだろうと思うんでございますが、この際にひとつそういうことを厚生大臣としては決意をしておいていただきたいと思うんですが、その点いかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 水俣市の市立病院の湯之児分院は、御承知のように、胎児性水俣病と申しますか、おかあさんのおなかに入っている間に水俣病に罹患して、生まれるときから水俣病になっているというようなまことに気の毒な子供たちが入っているところであります。これはもちろんそれが十分治療されて、そして社会的にも耐えるような、そういう成人になってくれることを私どもは期待しますが、しかし、そのためにも私はおっしゃるとおり、リハビリテーションに力を入れないと、病気がなおりましてもなかなか社会復帰、社会活動ができないということになりますので、今後は新しい水俣病はもう出てこないはずでございますので、これまでかかっておった水俣病の子供たちのリハビリテーションということにつとめなければならないということは、私もお説のとおりでございます。そこで、いまの湯之児分院とは別に、何らかのやはりこれらの子供に対する施設、これは公立の施設になりますか、あるいは財団法人、社会福祉法人等の施設になりますか、そういうものの設立を実は地元の県、市とも御相談を申し上げておるところでございまして、そういうものができる段階におきましては、私ども国からもできる限りの協力、助成はしたいと思っております。私自身が実は佐良直美さんのチャリティーショーに行ってきまして、そしてお金をいただいて、その子供たちのそのリハビリテーション施設に寄付をさしていただいたというようなこともやりましたので、私は湯之児分院の記憶をなまなましく持っておるものでございます。     —————————————

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 竹田現照君。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 私は主として水質行政、水質汚濁防止に関係する問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  水質汚濁の問題は、二十一世紀における人類の生存をかけてその対策を検討しなければならない状態にきているということを言われておりますが、今回の法律提案にあたって、経企庁長官は衆議院で、わが国の水質汚濁対策のおくれを取り戻すためにこの新法をつくって提案をしたのだ、そういうお答えであります。しかし、私は今回出されたこの法案は、多少の前進はあるとしても、従来の水質二法を一本化しただけで、新しいビジョンというものをあまり感ずることができません。そういう意味で経企庁長官の御所見をまず最初にお伺いしておきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) このたびの制度の改正というものは、従来のこの方面の制度に比べますれば、やはり基本的な改革であろうと私は思っております。もちろんこの制度の改正だけですべてではございません。御存じのように、この水質汚濁防止法案は、水質基準を設けましてそれの取り締まりを行なう、水質規制、水質取り締まり、こういう観点からの立法でございますから、この法律ができたからといい、あるいはこの法律がいかに完備いたしましても、他の施策がこれに伴わなければならないわけでございます。それは必ずしも制度的な問題というよりも、これから並行して行なわれる各種の政策、環境汚染全体に対する施策が伴う、こういう必要は私ももちろん認めておるわけであります。しかし、水質規制のメカニズムといたしましては、もうすでに説明するまでもなく、御存じのように、国の仕事を地方に移した問題、あるいはまた指定水域制度というものを改正して全国に広げた問題、あるいはまた、従来、製造業を中心に限っておりましたものを全業種を対象にするようになりました問題、あるいはまた、従来は改善命令等だけでありましたが、このたびは直罰主義をとりました等々、この水質汚濁防止の直接の制度的内容は著しく前進した、こう考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 公害行政、あるいはまた水質行政で問題点として指摘できるものに、環境の保全という意味を一般人の生活の視点から解明をする必要が私はあると思います。そういう意味で、水質汚濁による環境の破壊が生活にとって持つ影響というものをよく究明をして、生活環境を悪化させないために、どの段階かでは生産の発展も阻止しなければならないということも、そういう場合も検討する必要が出てくるのではないかと思うのです。そういう意味で、市民の生活権ともいうべき新しい概念の上に立って水質汚濁の問題に取り組み、法の体系もそういう形でつくり上げていく必要があるんではないか、私はそう思いますが、いかがですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) まあいわゆる公害問題と称せられるものは、わが国においては環境汚染ということを中心にとらえられておりますし、国によっていろいろと観念が違いますが、われわれがまずさしあたって最も緊急を要する問題である環境汚染の問題をいかにして防止するか、これに今回の努力を集中しておるようなわけであります。もちろん竹田さんの御指摘のように、さらに進んで、よく言われますような自然との調節の回復の問題であるとか、いろいろの問題がございます。これはわれわれとしても当然今後この方面にも注目をして政策を進めていく、こういうつもりでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この現在の水質保全法が、汚染し、または汚染をしようとする公共用水域を、要するに、これ以上よごさせないとするための消極的な、いわばうしろ向きの方法で考えられている立法だと私は思いますが、これを立場をかえて、新しい角度でこの問題に取り組むという意味で、私はこの二法を合併をして、二つ合わせて法律を変えられた、そういうふうに理解をいたしますが、もしそういう理解に立つならば、この水質行政というものは汚染を防ぐばかりということではなくて、そればかりが目的ではなくて、積極的に公共用水域を利用して、都市計画であるとか、あるいは地域開発計画だとか、そういう総合的な問題と関連をさせた上で水汚染の問題に対処していくべきではないか、そういう形で新法というものが運用されるものかどうか、この点についてお尋ねをいたします。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 竹田さんのお説は私も賛成でございます。先ほど申し上げましたように、この水質規制は、いま御指摘のありましたように、いわゆる水質の規制だけを中心とした法律でございます。でありますから、この法律だけですべてが解決するわけではもちろんございません。ただ、今回の法律にいたしましても、たとえば、従来のようにすでに汚染せられたる地域を事後的に取り締まっていくということではなくして、御存じのいわゆるシビルミニマムというものをつくりまして、汚染がこれから起こるかもしれないが、まだ汚染されていない地域まで一律基準を設けまして、そうしていわゆる予防的な規制体制というものを整備する、特定の指定地域に限らない、こういうような点も水質規制からする一種の予防的な措置として十分評価していいんではないだろうか。もちろんこの法律以外に、いま御指摘になりましたように、広く立地政策的な観点でもってこの問題をとらえなければなりません。あるいはまたすでに汚濁した問題をどういうふうにするかという問題がございます。これらにつきましては既成の法律体制のもとにおいて、いわゆる公共投資をできるだけ推進して、そうしていわゆる改善をはかっていく、これについては、別途、予算その他において十分これが並行的に推進されなければならない、こういうふうに考えています。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この水質保全法に盛られました現行の産業の総合調和に寄与するということは、基本法の経済発展の調和条項が削除されるに伴いまして、この法律も削除されましたけれども、私はこの水質関係の法律を、大気汚染にしてもそうでありますが、政省令に委任をされておる事項が非常に多いわけであります。したがって、この政省令に委任をされた事項の実際的運用によっては、調和条項というものを削除したけれども、実体は一つも変わらないで、依然としてその思想というものは受け継がれていく危険性というものが多分にあるというふうに感じています。そこでこの条項を削除することによって、従来と異なった環境基準なりあるいは環境水質基準なりの改定というものが当然行なわれるものと考えますけれども、それでよろしゅうございますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) あるいはちょっと趣旨を取り違えましたら、またひとつ御指摘願いたいのですが、非常に政令の部分が多いと、こういうことで、場合によって従来よりも違った結果をもたらすような結果にならないかと、こういう御心配ですか。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いや、従来と同じようなことがやられるのではないかと……。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これはもちろん、もともと制度の改正だけでなく、今後当然水質基準というものがさらに現地の実情に合ったように、府県知事の考え方によってさらにきびしくなる、こういうことも十分考えられます。これは決して政令が多いとかいうこととは関係なく、いわゆる地方団体の長に地域住民の立場からの考え方を反映させる、こういう立場が貫かれておるわけであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 念を押してお尋ねをしておきます。ことしの四月の二十一日の閣議決定によってこの環境基準というものが設定をされましたけれども、現行法ではこれ二元的な構成になっています。国民の健康にかかわる基準、これは全国一律にあらゆる公共用水に適用されることになっているわけですね。そしてこの基準というものは常に絶対に確保されるべきものだということになっています。ところがこの生活環境にかかわる基準というのは、経済の発展の調和をはかりつつ個々の水域ごとに定めるべきだという、いわゆる二元的な構成を前提としているわけですけれども、調和条項が削除されましたから、この点については当然に私は改定をされるのではないか、生活環境にかかわる基準ですね。そういうふうに思いますが、よろしゅうございますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) そのとおりでございます。したがいまして、一律基準を一応設ける、そして地方の実情に応じて上乗せ基準を設定すると、こういうことになるわけです。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは、この水質保全と下水道とに関係をいたしまして、最初に建設大臣にお伺いをいたしますが、人口の都市集中あるいは産業の急激な発展に伴って、この都市の環境というものが非常に悪くなっている。そして水質汚濁についても非常に大きな社会問題となっておりまして、これはことしの公害白書でも最近の特徴としてこの問題が指摘をされ、非常に広域化しているということを述べています。水質の保全をはかる根本というものは、都市におけるこの下水浄化設備の整備ということが基本的に大事な問題であります。これは昭和三十三年に現行水質保全法が制定をされた際の提案理由にもはっきり書かれていることであり、また、そのときの法案審議の過程を会議録で拝見をしましても、厚生省、建設省は、下水道の浄化設備を、その当時ですよ、今後五ヵ年計画によって大いに促進をしていくということを答えられている。さらに、この都市における不衛生な処分は今後十年間でなくすように整備をしていくとお答えになっているのです、そのときに。ところが、このように水質保全にどうしても必要な緊急の整備が、いまもって十分に行なわれておらないという最大の原因はどこにあるのですか。   〔委員長退席、公害対策特別委員会理事杉原   一雄君着席〕

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、下水道法が昭和三十三年に制定されまして、三十四年、これが公布になってやっておりまするが、どうも日本におきましては、従来国の地形並びに地理上の条件が、このモンスーン地帯で降雨が非常に多い。世界で最も工業国家では水の多いところでしょう。それからまた、従来、日本では工業がそう発展していなかったために、下水に対する観念が非常におくれています。欧州諸国ではこれはまあ中世以来、いわゆるペストとかコレラとか、ああいう疫病がはやりますと、もう隣国から直ちにだっといきます。しかも降水量が少ないということで、そのために非常に発達したが、国是の下水に関する観念が非常におくれておったということ、そういうこともありまして、従来はこの下水事業は市町村の固有の事務のようになっておりまして、国のほうではほとんどたいした助成もしなければ、また、各市町村もそれほどの意欲を持っていなかった。そのために、昭和三十四年度国が補助した金はわずか十億そこそこでございます。それからまた、行政機構のあり方も、厚生省、建設省、それから通産省と三つに分かれておって、   〔委員長代理杉原一雄君退席、委員長着席〕 しかも、それが非常に錯雑した、権限紛争みたいのものがあったりして、なかなかそれができなかった。ようやく最近になりまして、御指摘のとおり、日本の経済発展に伴う都市集中の現象、それから工業発展、これが今度は急速に相乗的な関係で深刻になってきた。こういうところに下水がおくれ、かつ、これを緊急な問題として取り上げなきゃならないような状況になったと、こう思うのであります。  その意味で、実は四十五年度予算編成にあたりましても、従前以上にこれは政治的な課題として取り上げまして、そのために大蔵大臣と政治折衝の結果、従前に見ない相当の思い切った伸び率を示したのでございますが、とうていそれではできません。そこで現在、下水道五ヵ年計画がほんの途中でありますけれども、このままではとうてい——この都市化に伴う下水道処理、水質保全、この問題を取り上げて、明年度を第一年度とする新しい五ヵ年計画を策定しよう。しかも、それはいわゆる社会経済発展計画で一応総合的に五十五兆円と予定している中の下水道分として六年分で二兆三千億、それを五年間にして、われわれのほうとしては二兆六千億というものを要求し、本来ならば、従来のいきさつからするならば、大蔵省も経済企画庁もそれにはかなり抵抗するはずであり得るのですけれども、現在は各省とも、これは積極的にやらなければならぬというふうな意図のもとに、明年度予算に取り組んでおるという次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 国民の関心が薄かったとか、地方公共団体のどうとかといういま建設大臣のお話がありましたが、そこで新経済社会発展計画による下水道整備事業費二兆三千億、いま二兆六千億、こう言われていますが、これすら、この方針も閣議決定をまだ見ておらないのですね。それには財源的な問題、あるいは下水道整備をやっていく場合の組織的な問題、いろいろな問題があるのかもしれませんけれども、これはどういうことなんですか。さらにまた、都市計画審議会の下水道部会の答申によりますと、現行法の四十七指定水域の下水道を整備するだけでも五ヵ年間に三兆六千億かかると言っていますね。そうすると、この指定水域じゃなくて、広範なかっこうに今度は水質規制も行なわれる段階ですから、こういうことについて、具体的に財政問題を含めてどういうふうにお考えになっているのか、建設大臣と大蔵大臣、両方からお答えをいただきたいと思います。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  現在、昭和四十五年九月一日に四十九の水域の指定があったことは事実でございます。これを全部水質基準まで浄化するには三兆二千億かかる、こういうふうに見られております。しかるにもかかわらず、新しい下水道五ヵ年計画が、私のほうで提案しておるものにおいてすら二兆六千億だから、とうていそれは達成できないだろうという御指摘のようです。そのとおりです。そこで、われわれといたしましては四十九水域のうち、一番緊急を要するものとして二十五水系を五年間でこれは実施いたしたい。あとの二十四水系については暫定的な目標をつくりまして、そしてこれは次の五年までの間に実行いたしたい。これは実は正直なことを申し上げますと、金だけじゃなかなかこれはできないんです。現在、わが国における下水に関するところの技術者は非常に少ないんです。この養成もしなければ実はたいへんなことでございます。特に広域下水道をやって終末処理ということが第一次から第二次までやらなければならぬというような、そういう問題がございまして、やはり一挙に金を投じて全部やればいいということにはなりまするけれども、現実にはやはり五ヵ年計画でいま緊急の問題を措置し、それから順次六十年までかかって私は全日本の都市の市街地の水質を完全に浄化してまいりたい。それには大体十五兆円かかります。十五兆円かければ大体その基準に達するであろう。なおまた、御承知のように、従来は公害に関する、特に水に関する公害のいろいろの立法がなされていなかったのが、今度は相当立体的に、体系的にやられていきますれば、それだけ水を汚濁する原因がなくなってまいります。それからまた、先ほど竹田さんが御指摘されました点でございまするが、いわゆる総合的な国土開発、都市開発計画、これも一方でやっておりまするから、それだけまた一面においては汚染源を希釈して、そしていい環境をつくっていくということ等も含めて、やはりある程度の長期見通しでやることが至当である、こういうような考え方でございます。  なお、財源につきましては、これはいま問題になっておりまするのは国庫負担の対象の範囲をまず広げるということでございます。何よりも現在一部では国庫の補助率を上げろという議論もありまするが、現在われわれが関係市町村長、都道府県知事に会ってみると、まず何よりも事業量を多くさしてくれ、それから、それに対する国庫補助対象の範囲を広げてほしいということが第一点です。その次には起債のワクを広げてほしいということです。そうしてその次に出てくる問題は、今度の汚濁防止のいろいろの立法の裏づけとして原因者負担の原則が今度出てまいります。そこで、これは使用料も取ることができるし、さらには除去の命令も出すことができる。その上に今度は悪質の水を出す者、それから量を非常に多く出す者については使用料を取る、積極的に取るということ、それからもう一つは、一部ではありまするがいま検討しておりまするのは、水道利用債のことを前向きに研究しなければならない。これは建設省だけでできませんので、自治省並びに大蔵省とも検討いたしまして、総合的に下水道事業が飛躍的に実行できるような体制をつくるべきだと思って、いま目下関係当局と連絡中でございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま建設大臣から詳細にお答えがあったとおりでございます。竹田さん心配のように、下水道は非常に立ちおくれておる。まあ、ほかの先進国と比べまして数十年の立ちおくれじゃないかと思います。戦前の日本が生活環境、つまり公共土木、社会資本という方面に手を抜いたというたたりが今日きておる。いま公共土木事業、つまり社会資本につきましては、そのおくれの取り戻しに非常な勢いで努力をいたしておる最中でありまして、その予算の額、そういうものから見ましても、アメリカに次いで世界第二の額を投じております。そのGNPの中における比率だとか、あるいは財政の中におけるウエート、そういう見地から見ると、これは飛び抜けてわが日本が世界一の努力を払っておるわけなんであります。その中でも下水道のおくれ、これは特に努力をいたしておる。ことしの予算でも、一般の予算は、御承知のように、一七%何がしの増加ですが、下水道予算だけは二七%もふやすというような措置をとっておりますが、これはたいへんにおくれがひどいものでありますから、これは建設大臣からお話がありましたように、あらゆる努力を傾けましてそのおくれを取り戻すというために最善の努力を尽くします。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 使用料あるいは下水道利用債の問題についてお尋ねをしようと思っておりました先にお答えがありましたから、それは省きますが、それじゃ端的に、先ほど建設大臣いろいろとお答えがありましたからお伺いいたしますが、いま問題になっておる隅田川の汚濁なんというのは、一体何年かかったら期待をされるようにきれいな川になるのですか。二十五水域、五年間で達成するという中に入ると考えてよろしいのですか、簡単にお答え願いたい。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。端的に申し上げまして、十年かかると思っております、残念ながら。というのは、これは水質基準を設けましても、ずっと上流から広域下水道を完備しなければ困難でございます。これには、少なくとも広域下水道のために一千億かかるのです、多摩川水系、隅田川水系、あそこをずっとやりますと。ところが、御承知のように、大阪方面では、すでに広域下水道が発足してから五、六年になります。東京都はまだそこまでいっていないのです。しかも、その周辺には汚染源が全く累積しておるという状況であります。そうして二面において、もう数十年の長きにわたりまして汚泥がずっと堆積しております。したがって、 これをしゅんせつをしつつ汚染源もなくし、広域下水道を使ってやらなければならぬということで、ことばで簡単にやれるということも、これはたいへんでございます。しかし、これはぜひやらなければならぬと思っておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 問題はやはり政府の姿勢だと思うのですよ。私はフランスに行ったことはありませんけれども、セーヌ川の大水道というのは、百十年も前にナポレオン三世のときにできて、たいへんりっぱなものだそうですけれども、これがいま世界第二だとかなんとかといって経済成長を誇っておる日本で、百十年たって今日できないなんというのは大体おかしいわけですから、問題は政府の姿勢にかかっておると思いますが、その意味でひとつしっかりやっていただきたいと思いますが、そこで、水質汚濁でいまも下水道の問題について私がいろいろと質問をしておるような現状の中で水質汚濁法というものをつくったとしても、所期の目的が工場排水その他というものの規制ばかりをしたところで、こういう都市排水等の問題で具体的な効果というものはあげることが期待できないんじゃないか。そうすると、その面におけるいろいろと経過措置その他が政令その他においていいかげんにされてしまうということになれば、私は公害国会と言われるこの国会にこの法律を出した意味というものは一体どこにあるのかわからなくなってしまう、そう思いますが、これは提出をされた経企庁長官にその点の見解をひとつお伺いしておきます。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 私から……。御承知のように、いま水質に関するところの下水道には三つの系統がございます。いわゆる都市下水道、これは終末処理を持っていない、いわば汚水を相当持っているものです。それからもう一つは、公共下水道と流域下水道、これはすべてみな終末処理を持っております。そうして、これを整備することによって処置ができる。ただし、いままでのうち広域下水道でも終末処理を持ってないものがある。今度は義務づけてこれをやらせることになります。そういうことで、従来のやり方では非常に欠陥があったために、この汚濁防止に対する法律と下水道の改正法と、これで所期の目的を達成することができる、こう考えておる次第であります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この問題、これでとめますが、私は、特に政省令の問題でこだわっているのは、たとえば下水道法による三十四条の補助金等のものも政令にゆだねられていますけれども、いろいろと理屈は言いますが、その政令は十年たってなおかつ出ておらないんですね、現行の下水道法の。ことほどさように政令委任はさぼられたらいつまでたっても出ないわけですから、そういう意味でこの政省令も、先ほどの加瀬質問にもありましたけれども、法律が具体的に動き出すために早急に出せる姿勢というものをとっていただきたい、そう思います。  次に水質保全と電気事業の関係について若干お尋ねいたします。衆議院において、大気汚染防止法の関係から、電ガス事業の問題についていろいろと論議をされたようであります。私は、水質汚濁防止法に関連をしてお尋ねをしますが、今度のこの法律で水温も規制の対象にすることになりました。いわゆる温排水。水温でしかし最も問題となるのは発電所の排水であると思います。現に四国電力の坂出火力発電所での海水の水温上昇による地元漁業協同組合とのトラブル、あるいは北海道電力による原子力発電設置をめぐっての地元漁民の猛烈な反対運動など、この熱公害とも言うべき新しい問題というものがいま出ていますけれども、総理府令によって規制されることになっている排水基準の中に、温排水に対する温度基準というものが、熱汚染について十分な保護になり得るようなものをつくり得るのかどうか。具体的にいまそういうことが出せるのかどうか、経済企画庁長官にお尋ねをいたします。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 火力発電所等の発電所から排出されますところの温排水がかなりの温度になりましたときには、やはり公共水域に相当の影響を及ぼすであろうというふうに見られております。現実にはノリの収穫に影響いたしましたり、あるいはそこに住む、生息しておるところの魚類等にも影響があると言われておりますが、率直に言いまして、まだこれらの関係の具体的な因果関係についての科学解明が十分でございません。そこで、われわれとしてはできるだけこれを急ぎ、そうしてできるだけすみやかな機会のうちにこれらの基準の設定ができますように、できるだけ前向きでもって検討を急ぎたい、これが現状でございます。  それから、さっき実は答弁せよと申されて、私、お答えする機会がなかったので、申し上げますが、もちろん今回の法律だけで水がすっかりきれいになるというたぐいのものではございません。工場排水を中心とするところの水質規制の法律であるという、あくまでこの法律には制限、限界がありますから、ほかの制度、たとえばいまの下水の問題、あるいはその他のあらゆる方策をあわせ推進していく、こういうことによってこの問題の解決をはかる。しかし、この方面の制度の前進で相当今後汚染される程度のものをできるだけ予防するという力は大いに出てきたのではないか、こういうことです。  それから、さっきちょっと竹田さんの御質問を私が取り違えたと思う点がありますので補足しておきますが、先ほど政令が非常に多いから、従来の維持ができるか、こういうような御質問があったように思われたんです。私は排水基準の問題としてお答えしましたが、何か環境基準のお話をなさったそうです。この環境基準は、御存じのように今年の四月につくったばかりです。これは最近における公害問題の経緯もあわせ、最近のデータによってつくっております。ですから、法律がすぐ施行されたからすぐ変えるということでなくして、実情に応じて地方知事の意見等もあるでしょうが、今後の実情を見て考えていきたい、いま一律に直ちに改正する、こういう問題ではない、こういうことでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 その点は委員会でまたいろいろとお尋ねします。  そこで通産大臣にお伺いいたします。いまの発電所の温排水について、排出基準を守るように、あるいは上乗せするといったような要請があった場合に、いかなる具体的な判断基準でこの要請を受け入れて、電力会社に改善命令を出されたり、あるいはまた反対に、要請は受け入れることができないといって拒絶をされるのか。通産大臣の拒絶のいかんによっては、温排水に関する基準というものは事実上有名無実となって、水温も規制の対象にするという法律はいわゆるざる法になってしまう懸念がありますけれども、この点はいかがですか。  時間がありませんから、続いてもう一つお尋ねしますが、発電所の温排水は、温度というのは北海道の稚内も鹿児島も変わりないわけですね。問題はそれを流されるところによって、影響が違うわけであります。たとえば北海道においてサケ・マスが遡上する期間に温水によって遡上適温というものが変化を生じたり、あるいは排出によって潮流が変わったりするようなこと、それに伴って遡上ができなくなったり、迂回路が変わったりして、そのために漁民に対する損害というものが非常に大きくなる。そういうような場合が当然に生じてまいりますし、このことが、いま原子力発電の設置などをめぐって、トラブルが解決をしない理由でもあるわけですね。したがって、こういうことについて、通産省はどういう行政指導をなさるお考えがあるのか、この点をひとつはっきりお答えをいただきたいと思います。この点がはっきりしなければ、漁民は結果的に自衛上発電所の設置に反対する、あるいは非常にきびしい公害防止協定というものを電力会社に求める、そういうようなことになると思いますけれども、通産大臣の見解をひとつはっきりお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実際問題といたしまして、一番問題になるのはノリでございまして、その他の魚介類に対する温水の影響というものは、必ずしもプラス、マイナスはっきりしていない、まだ学問的にも究明されていないようであります。ノリについては確かに問題がしばしば出ますので、発電所が立地いたします前に、あるいはその前に地方団体が、港湾との関係の場合もございますが、漁業権を買い取るとかあるいは補償をするということが先行いたしまして、そういう形で現在大体行なわれておるわけでございます。それで、今後温水——大体五度から八度くらいの温度差があるかと思いますけれども、規制をするということになりましたら、やはり排水口の取りつけ方をよほどくふうするとか、あるいは冷却水をなるべく海の深いところから、温度の低いところから取るといったようなこと等々、いろいろくふうをしなければなりませんし、場合によりましては設備の改善もいたさなければならないことになるかと思いますが、実際問題といたしましては、立地前に漁業権との関係の解決をつけまして、トラブルが起こらないようにしていくというのが、いままでのやり方でございますし、これからもそうしなければならないであろうと思っております。     —————————————

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 大橋君。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 先ほどの質問に続きまして、長官もおいでになりましたので、各大臣にちょっと伺ってみたいと思うのであります。  先ほどからいろいろと問題については質問をさしていただいたわけでありますが、ほんとうにこの公害、ことにこの公害患者という側から立ちまして、この公害というものを見てみますときに、ほんとうにあの痛々しい患者ができないようにするための観点から、ひとつほんとうにこの公害を除去できる、もうああいう患者ができないという、そういうふうなたてまえでひとついろいろなものを考えてみたいと思うわけであります。私は、ここで来年度の公害対策関係の予算を見てみましたところが、この公害衛生研究所などの設置という項目を入れて四億七千五百万円の要求が厚生省から出ているようであります。現在この必要なのはやっぱり公害のための研究、これは小規模のものであっては私はいけないのだ。この際こうした公害国会もできているときでありますから、抜本的に今後は絶対にこの公害が起こらないという、そういうふうなたてまえでひとつここで大きく取り組んでもらいたい。そういう観点から、私は次に五つの問題を提起してみたいと思うのです。  それでは、その第一番といたしましては、あらゆる公害の起こり得ることを想定をして、そして、これに対してのひとつ、厚生省から言っておられるように、模型的なものをこしらえる。そうしてそこには亜硫酸ガスなら亜硫酸ガス、あるいはまたそのほか空気汚染のいろいろなもの、あるいはまた水質汚染、あるいはまたその他、いろいろ考えられるものの模型のものをこしらえていく、りっぱな。そこには植物なりあるいはまたこん虫なり動物なり、それに対応する非常に匹敵して反応敏感なものを集めて、そしてそこでその実験をする。実験の場所は非常にりっぱなものをこしらえてみる。そして各いままでほかの地区で起こりそうないろいろな条件をそこでつくって、しかもそうした動物実験をして、しかもこういうものは漫性的に来るものでありますから、相当長い経過で見ていくという一つのシステムをつくってもらう。  それからもう一つ考えられることは、マイナスの計量であります。たとえば、いろいろなことが起こり得る災害で、マイナスがどれだけ出てきた。たとえば生産がこう上がっていきますけれども、そのために何ぼのマイナスができると、こういうふうなことを考えて、その計量をすることのできるようなセンターというものをひとつ考えてもらったならば、それで初めてその企業の中でこれは公害を出すためにこれだけのマイナスを国民あるいはまた周囲に投げかけておるのだと、そのマイナスを取り返すためには何ぼのそこのところに施策を入れて、経済成長の中ではこれだけを見なければならぬというものが計算できるわけだと思うのであります。いわゆるマイナスの計量をする、その計算センターをつくる。これが第二点であります。  第三点は、私は、植生図をつくってもらいたい、考えてもらいたい。日本全国ずっと回りまして、やはり動物は公害が起きたら逃げられるわけでありますけれども、植物はそこに生えたままであります。また公害の起こりやすいような植物、被害を受けやすい植物もあるわけでありますから、そういうものをまんべんに日本列島の中にその植生図というものをつくってみて、どういう公害が起こったらどういう変化が起きたということで、日本全体を見回すならばどこに公害が起きてきたということが早く察知ができる、こういうふうなものも私はひとつ考えてもらったらどうだろうか、こういうふうに思うわけであります。  それから同時にまた、いままでやってまいりました各地域におきまして、いろいろな研究所があるわけであります。こういうものもひとつ十分にフルに使っていただいて、その地域のいわゆる公害のあり方、公害の状況というものをいろいろ計数的に調べてもらって、こういうものを中央に集める。特にまたそれに対しましては地方自治体でいろいろ創意くふうをして、そうしてその都道府県でデータを考えてもらう。こういうものが、あるいはまた研究をしてその技術なりあるいはまたその公害なりの問題を研究してもらう。こういうものをひとつ集めてみる。これが第四であります。  第五には、私は先ほどちょっと労働大臣にも話をしたわけでありますが、いわゆる労働省が労働衛生、安全衛生の研究所、産業医学研究所、こういうようなものを計画しておられるわけでありますから、こういうところでひとつうんとその努力をしてもらって、そうしてこれらの研究所にお金もずんとつけてそして研究もしてもらう。同時にまた、立ち入り検査の能力もあるわけでありますから、どんどんとやはり企業へ入って、そうしていろいろなそのデータをつかまえてそれを中央に集める。こういうようなふうなひとつ労働衛生あるいはまた安全衛生の面からこうしたチェックをしていく。こういうふうに申しまして、大体五つぐらいのところでそのチェックポイントをつくらなければ、私はその害ができてしまってからではとてもだめだと思うのでありますが、こういう構想についてひとつ考えていただきたいと思うのですが、各責任の大臣のほうで御答弁を願いたい。特に私は今後のことを考えてみますと、いわゆる物質と生命と生物との間のいまの非常なみぞは、私はこの高分子化学、いろいろな方面から、いまの技術革新のために生まれていくわけでありますから、いまの想像できないような公害はこれで起こり得るわけであるし、特に私は生物の生態の中にいろいろな変化を及ぼすものができてくる。ことに遺伝分子とか遺伝因子の中にもものができてくると思うわけでありますから、またそのほか、あるいは食品の公害、あるいはまた食品をつくるところの過程においてもいろいろな物質ができて、これが公害となってあらわれてくる。いろいろなことが考えられますので、こういう意味についてひとつ前向きの姿勢でこれを取り入れてもらう意向があるかどうか。総理大臣のほうから、あるいはまたいろいろな各大臣の御意見を聞いておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 対策本部設立以来、関係閣僚協を精力的に開いて問題点を煮詰めていったのでありますが、その中で、ただいまの御提案になりました植生図までは及んでおりませんが、問題点のあることは私どもは率直に認めまして、すなわち、中央の各省庁がそれぞれ持っております試験研究機関、あるいは民間も含めた有能なあるいは有益な研究成果等が、なかなか国の、政府一元化された形で循環していない。したがって、民間にも開放応用されるべき研究の成果がこれが享受されていない。ここらの点を反省いたしまして、さしあたり決定いたしました内容は、データバンクを設置しよう、こういうことまできております。その後総理から、ただいまのようなこともお考えになりまして、ただデータバンクだけでいいだろうか、やはり研究そのものも統合して、たとえば国立公害研究所みたいなものを考える必要があるかどうか検討しろという御指示をいただきましたので、私の手元で検討をいたしまして、総理の御判断を仰ぐところにきておるわけでありますが、ただいまのお話しの点は、いずれもごもっともであります。ことに植生図等については、単に陸上ばかりでなくて、先ほど竹田君でありましたかあげられました温熱排水等の問題、あるいは今日までの水質汚濁関係で考えられていなかった、すなわち水産動植物も含めたそれらの生物に関する人間以外のものの被害等についても、これから私たちは十分に研究の成果を積んでいかなければならないと考えるわけでございます。これらのことを踏まえて、総理においては昨日衆議院で産業公害特別委員会において、来年度予算で調査費を計上してみようという御答弁をされたようでありますが、なお、これらの問題については最終的に来年度予算でどう取り扱うか、機構はどのようにすべきか、アメリカの環境保護局や、あるいはスエーデンの環境保護省等をよく見ながら、日本においてせめて研究機関はどのようにあるべきかという問題も煮詰めてまいりたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 厚生省といたしましては、先ほどお話し申し上げましたように、国立公害衛生研究所の構想を持ちまして、すでに調査費もいただいておるわけでありますので、今回公害対策本部ができましたから、その構想を本部のほうまで持ち込んで、本部として総合検討していただいている段階です。その中にはいまお話がございましたような、あらゆる公害に対応する植物、動物などの影響を見るこれは模型的な施設といいますか、シミュレーター、そういうものの設置から、また植生図などにつきましても現在やってないわけではございませんので、私どものほうで管理をいたしております自然公園を土台とする研究、また文部省の文化庁でもこういう研究をやっておるようでございまして、その成果を厚生省が引き継いでおりますが、これは公害衛生研究所ができます場合にはそれをさらに集大成するようなことをいたすべきこと、それから第三番目には、いま御指摘がございましたように、各方面の大学あるいは地方の衛生研究所等におきましてもそれぞれの研究がされておるわけでありますから、それをばらばらにしたままにしないで、やはり総合集約するという体制、また資料を整えるという、いま山中大臣が言われたデータバンクといいますか、データセンターといいますか、少なくともそういうものは最も早くつくっていこうと、こういうことでございます。マイナスの計量につきましては、これは経済企画庁のほうから話していただくがよろしいかと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 思わず飛び火してまいりましたが、この経済指標全体について私たち、御存じのように検討をしております。いままでのGNPだけの指標というものでいいかどうかと、こういうことについて、経済審議会を中心にして委員会等を設けていま検討しております。それの試案等もありますが、率直に言いましてなかなか技術的な困難がございます。これをGNPからのマイナス項目、控除項目としたほうがいいか、全然別の生活指標項目を立てたほうがいいか、これらは十分研究を進めたいと、こう思っています。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私がいままでいろいろ申し上げました——いまの話も結局私は、この公害の問題を患者の側から見て、あるいは国民の側から見ますときに、よほどそこにチェックをするものを積極的に進めていただかないと、ついつい私は回しような被害者をつくることになると思うのであります。特に先ほども厚生大臣にもお願いをいたしましたように、どうぞひとつこの、何と申しますか、原爆の被爆者対策以上に、この被害者に対しては完全に報いるとともに、これが絶対に起こらない方法という、その方法のチェックのためには、いまのような状態で、いまの議論をずっと詰めて、衆議院段階から私どもいろいろ検討してまいりましても、私はほんとうにこの患者側から立ってもうこれで安心だと、次にこういう患者はできないという安心感を持つまでにいってないと思う。それが率直な国民の受け取り方だと私は感じているわけです。そういう観点から申しまして、どうかひとつこのことが繰り返さないようなチェックポイント、先ほど言ったようなことは各大臣のほうにもいろいろ関係があるわけでありますから、各主務大臣の中でこれをしっかり受けとめて、いま言うたような全日本列島にわたってのチェックポイントを考えてもらわない限りこれはできないと思うわけでありますから、これについてのひとつ十分な配慮をしていただきたいと、こう思うわけであります。  最後に、私はこの政治の問題はいま申したように、生命を一番大事にすることが政治の根幹であると私は考えますので、そういう意味で、医学も予防であればまた私は政治も予防の方向に向くべきだという観点で、どうかひとつこの公害問題に対しては、少なくとも発生をしないチェックポイントを万全を期していくというかまえを示していただきたい。そういう意味におきまして、先ほどからのいろいろな問題は山中長官からも今後検討されると言われるわけでありますから、次国会に際しましてもそういうことを含めて重要な施策を打ち出してもらいたい。私が主張したいろいろないままでの点はどうかこの次の国会で総理もひとつ打ち出していただいて、こうした問題に対処していただきたい、こういうことを強く念願をするわけでありまして、そういう問題に対しましての長官、あるいはまた厚生大臣あたりは特に健康の保護の問題からあれがありますので、決意を聞いて私の質問を終わる予定であります。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私たちは、公害国会と銘打って国会を開かざるを得ない環境に立ち至ったことを非常に恥ずかしく思っております。したがって、二度と私たちは公害国会を開いてはならないということであろうと思います。そのためには、公害国会が終わって、そのあとはほかの予算その他の関連法案に質疑応答が起こるについても、重点が移っていくについても、私たちは息長く、そして根気よくこの問題については決して忘れない姿勢を持って進まなければならぬと思いますので、今国会で十四の法案が成立させていただきました後もなお、今後必要な法案の整備、不備なところの補てんあるいは新しい態様に対応する姿勢等を打ち出すためには、絶対に政治がなまけることのないように、国民のために私たちは義務を負っておるものと感じておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっと時間あるから、もう一点だけ大蔵大臣にお伺いしておきたいと思います。  先ほどから申しましたのは、厚生省から今度の予算請求がされておりますけれども、それはほんとうにわれわれいまの観点から考えますと、とてもそれだけではできない、こういうふうに思います。ですから今度の、来年度に向かっての予算の中では、私はいま申したような構想の中で思い切りのひとつ予算をつけてもらいたい、こう思います。その予算の面に対する決意のほどをひとつ……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておりまするように、四十六年度予算はこれは物価と公害、この二つを柱として編成をいたしたい、こういう考えです。これは国の大事な費用でございまするから、みだりにというわけにはまいりません。しかし、必要なものはこれはもうどうしたって公害、物価と、こういうふうに観念いたしておりますので、重点的に配慮してまいりたい、かように考えます。     —————————————

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 小平芳平君。

小平芳平公明党

○小平芳平君 佐藤総理の公害に対する基本姿勢は、総理が公害対策は国民生活優先、あるいは福祉なくして成長なし、こうした基本姿勢をしばしば述べられておりますが、ことばとしては私たちも全く同感であります。ただ、具体的に総理がどのような公害に対して取り組んでおられるか、この点について私はお尋ねをいたしたい。といいますのは、七月三十一日に公害対策本部がつくられた、総理はみずから公害対策本部本部長に就任をされた。それ以来五ヶ月近くなりますが、総理は実際に公害被害地のどこかをごらんになったことがあるかどうか、あるいは直接被害者の方から実情をつぶさに聞かれたことがあるかどうか、その点を最初にお尋ねしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 特にこれという地域を視察したことはございません。しかし、東京に住んでおりますから、品川あるいは大井付近、これについては十分見ておりますし、また横浜に出かけるときにおきましても、川崎地帯については私は一通りは認識しておるつもりでございます。また、私自身その被害者から直接の話は聞いておりませんけれども、投書その他の形で私のところへそれぞれ実状を訴えておる、そういうものがございますので、不十分ながら認識はしておるつもりでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 この公害国会と呼ばれるほどのこの国会を召集し、そしてまた十四にのぼる法案を提出された、その法案を作成する過程で、総理が一番取り入れるべき意見というものは、総理は一体だれと相談していたかということなんです。ただ手紙等で、あるいは東京に住んでいるからとおっしゃるのですが、実際の、この公害対策というものは、公害防止の主眼というものは、そうした、たとえば現地へ行ったとしましても、会社のきれいごとを聞いたり、企業のきれいなところを見ていたり、そういうことでは公害対策の本質がぼけてしまう。やはり被災地、そしてまた被災者のほんとうの実情というものをつぶさに聞いた上で、また被災者の身になって、そこに公害対策の十四法案が出てくるのがほんとうであって、どうも総理がいまおっしゃるような御答弁では、私は、はなはだ満足しかねると思います。今後総理はどのような考えでいかれるおつもりか、お尋ねしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 小平君も御承知のように、公害の実態の把握というか、公明党は全国にわたって詳細に調査された。これは私どもも公明党の方から伺い、同時にまたこういう機会にその詳細についてのお話がありますが、政府がたいへん教えられている。こういうことは、まずお礼を申し上げてしかるべきかと思います。ところで、とにかく公害という問題が起きておる、経済が成長して、こういう事態が起こる。そのときに、一体何が目的で経済を成長さしているのか。経済成長はどこまでも手段だと、いわゆる国民生活優先という、そういう事柄がはっきりしていないと、公害問題はいつもあと追いになるだろう、かように私ども思いますので、今度は積極的に前向きの姿勢で、いわゆる福祉なくして成長なしという、そういう観点に立ってこの問題と取り組もう。まあいろいろの法案も山中君の努力で整備できて、御審議をいただくようになりましたが、同時に私は、法案もさることながら、各省の行政が公害防止ということに、生活優先ということに積極的に取り組む姿勢でない限り、行政でなかなか実効があがらない、こういうことでは、せっかくの法律をつくっても意味をなさないのじゃないか。だから、まあ各省大臣、そういう意味で、まず法案の整備もさることながら、同時に行政をやはり徹底さして、そうして生活優先の立場で各界にも呼びかけていく、そういうことが必要だろう。こういうことを、実は法律のできた最終段階で各大臣に閣議で特にお願いをしたような次第であります。  これは私、いろいろお話があり、また皆さん方も御熱心に御審議をいただいておりますから、各党からいろいろと御注文も出てくる。ものによりましては、そのまま受け入れられるものもありますし、受け入れられないものもある。そういうような状態であります。衆議院段階において相当の修正案——修正されて、そうして法案が可決された、こういうことも御存じだろうと思いますので、私どもは政府案をまあ守るだけ、そういうっもりでは毛頭ございません。そういう意味から、十分皆さん方からも教えていただき、政府は同時に鞭撻を賜わりたい、かように思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 総理としましては、御自身が公害被災地へ直接行かないまでも、かりに、こちらにおすわりの大臣の方々も、ひまがあれば——というのは、要するに別荘なり温泉なりゴルフなり、そういうひまがあるなら、公害被災地へ行って、そうして実際の被害の実情を身に体験し、また御意見を直接お聞きするという姿勢を、御自分にも、また各大臣にも望むことはありませんか。望みますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) とにかく、政府の真剣に取り組んでおる状態、これはただ話を聞くとか、あるいは現地で視察するとか、そういう形も大事だろうと思いますけれども、もっと国民に理解がいただけるような、そういう態度でなければならぬことは、これは御指摘のとおりだと思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 御指摘のとおりと総理もいわれますので、各大臣もよくお聞き願いたいのです。  それからもう一つ、ちょっと話が違いますが、各省から四十六年度予算の概算要求が大蔵省に出ているということであります。ところがいま、十四法案が衆議院を通過し、参議院の審議が始まった段階ですが、この十四法案が成立した段階、かりに成立したとしますれば、やはり概算要求ももう一ぺん重点的に、公害に対する重点的な考えをもう一ぺんやり直さなくちゃならないじゃないか。といいますのは、各省が要求したのはだいぶ前のことでもあり、それからまた、実際に国会でもって法律がきまりましても、ほとんど政令が多いわけですね。政令委任が非常に多いわけです。したがって、もう一ぺんこの予算の再検討も概算要求からなさるおつもりか。この点いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 概算要求がありましてから、この公害国会、またこの公害国会に法律案が出ておる、そういうようなことで、若干事情の変化、これがあるかと思います。しかし、概算要求を出し直すというような手続は、まあ必要はないかと思います。これから私どもの大蔵省と関係各省、折衝をいたすことになりますが、折衝の過程においてそれらを吸収していきたい、かように考えます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 あとでその点については大蔵大臣にお尋ねいたしますから、具体的な問題としてお尋ねをいたしたいと思います。  それから次に、総理にもう一つお尋ねしたいことは、例の公害罪についてですが、この法案は「おそれ」を削除したということはもう盛んにいままで論議されましたから、その点についての御答弁は要求いたしませんが、要するに法務省で原案を立て、それを法務大臣は法制審議会に諮問し、法制審議会は、原案どおりけっこうですと、十月十七日に法制審議会に諮問し、十一月十二日に法制審議会から法務大臣に、そのとおりけっこうですという答申があった。ところが法務大臣は、自分が、自分のほうで立てた案を、これは専門家が立てたわけですね、法務省は。それが法制審議会という、また専門的機関ではかって、けっこうですという返事を受けて、それから国会へ出すときには「おそれ」を削って出しちゃったという、そういう点ですね。小林法務大臣がむしろそういう苦境に立つような、なぜそんな結果になったと思われますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、閣議決定したその案は「おそれ」ということばのないその案で決定をしたのであります。それ以前の経緯はどんな状態であったか、そういうことは私知りません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それじゃ、法務大臣から御答弁してください。選挙制度審議会のような場合はたびたび骨抜きということがはやるわけですが、しかし、法務省が自分のほうで立てたものを法制審議会に諮問し、法制審議会でけっこうですと言ってきたのを、わざわざまた肝心なところを抜いて出すというようなことがありますか、普通。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これは、いま総理がお答えしたとおりでありまして、私どもは法制審議会に諮問をいたしたのでありまするが、その諮問をしたものをなぜ直したか、こういうことになりますると、実は法制審議会が通過した以後、いまの水質汚濁とかあるいは大気汚染とか、こういうものが、これらの法律におきまして、基準を越えたものは相当厳重に処罰する——いわゆるわれわれは直罰と申しておりますが、そういうものが決定されまして多少事情の変更があったと、こういうことでありまして、実は「おそれ」を取るにつきましても、私は政府部内には相談をいたしておりません。私の考え方で、従来多少行政的な傾きのある「おそれ」ということばを入れておったが、こういう直罰が認められたということになれば事前に多くの取り締まりが行なわれると、こういうことも考えまして、私が自分でこれをその責任において修正したのでありまして、このことは追ってまた法制審議会にも事後の了承を得たいと、かように考えておりますが、これを修正する段階におきましては、私は、総理にもむろん御報告申し上げておりませんし、部内の相談もいたしておりません。このことは私が率直にはっきり申し上げておきます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 要するに、法律的に専門的に考えた場合に「おそれ」があるのが問題だというふうなことではなくて、法務省の専門家——総理にもよくお聞き願いたい。法務省の専門家、法制審議会、この段階では「おそれ」があったほうがいいと、「おそれ」があって一向おそれはないということで通過しているものを、わざわざ今度はしろうとが抜いちゃったというところに問題があるということをよくお考え願いたい。  そこで、実際に、先ほどの御答弁では、水俣病の場合、水が、プランクトンが汚染された段階が「おそれ」で、魚が汚染された状態が危険で、人体に被害が出たそれが実害だと、こういうことでよろしいわけですか。——そうしますと、カドミウムの場合で、イタイイタイ病の場合で申しますと、たんぼが汚染された状態が「おそれ」で、米が汚染されたら危険で、そして実害が生ずると、こういうことでよろしいですか。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これは、まあいろいろ誤解を招いておるようでありますが、この法案を直したのは法務省の事務当局がこれを直したのでありまして、別段これは内閣と相談して直したわけではありません。私が、もともとこれは法務省の事務当局が立案し、いまのように多少の事情の変更があって、「おそれ」のある状態というものは、直罰主義が採用されるにおいてはそれほど事前の「おそれ」という状態は必要でないと。実害の生じない前の、いま申すような魚の汚染の状態において処罰できると、こういうことによりまして直したのでございまして、いわゆる政治的にどうこうというわけではありません。これは事務当局が十分に検討した上でさような修正をいたしたのでございます。  いまのカドミウム等のお話でありますが、これは抽象論でございますが、要するに、いまのように、人間が食べて実害を生ずる前において、たとえばいまのお米の問題等においても、抽象的に言えばそういうことになろう。人が食べたあとでなくて、食べる前にその食べ物が汚染されておればこれに該当すると、こういうふうに抽象的には相成るのでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 法務省が直したといいますけれどもね、法制審議会でせっかく出したことが……。そのことを言っているわけですよ。  それから、それだけで私の質問が終わっては困るので、要するに魚が汚染され、米が汚染された場合は、危険として捜査当局は捜査を開始するわけですね、その点をお尋ねしているのです。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これは犯罪の捜査というものは、捜査の端緒がなければ捜査はしない。したがって、しかるべき機関において、魚が汚染されていると、こういうことを知ればわれわれは発動する、こういうことになるのでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 もう一つ。直罰ですね、直罰がはっきりしたのでとおっしゃるのですが、従来、環境汚染、もうひどく農作物被害なりそういう状態が生ずる、あるいは現に魚が何十万匹と死んだ、こうなっても捜査当局は動かなかったわけですよ。そこで、私たちが、たとえばことしでも長良川のアユ、狩野川のアユ、そうしたものが何十万匹か想像もつかないほどの大量死をしたと。すぐ行って見てもですね、県の公害課あたりが、きょう夕方事件があったと、そうしてあくる日の午後とか、そのあくる日くらいに現場へ行って見ても手のつけようがないのですね。要するに、川へ何か流すわけですから、それは流れてしまうわけです。したがって、捜査当局が何とかその被害防止のためにも捜査に動くべきではないかということを再三私たちが言ってみたのですが、現在の法律では、健康被害のない限りは、そういう魚が死んだ程度では捜査は開始しないという返事しかなかった。そこで今回のこの直罰方式、これは大気汚染、水質汚濁ともに直罰方式で、そうしてまた現在の魚や米に危険が生じた、そういう毒物が蓄積した、そういう段階で捜査開始するということを国家公安委員長と法務大臣から御答弁願いたい。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これはそれぞれの事態によって考えなければなりませんが、いまのように魚が死ぬというようなことは、汚染されておると、したがってそれを食べれば実害が生ずるであろう、こういうことでありますから、この法律がないからいままではそれをしなかった。この法律があれば、いまのような危険が生じた、こういうことになりますから捜査が発動すると、こういうことを申し上げておきます。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。  原則として、警察としましては、公害関係の違反についても、犯罪の存在を認知した時点において捜査を開始いたします。しかしながら、公害などの事犯は、認知するのには科学的な技術的な知識及び資料等が必要であるものが多いのでありますから、平素指導監督をしている関係行政庁からの資料の提供を端緒として捜査を開始することが多いと存じます。もっとも、それ以外に付近住民からの被害の申告等警察独自で認知することができた場合においても捜査を行なうものであります。

小平芳平公明党

○小平芳平君 次は、国民福祉優先という総理のそのことの中には、こうした公害被害地の被害の方々こそ最も福祉優先でなくてはならないはずです。したがって、ただ総理が国民福祉優先と言っても、実際に被害者の方々のその意見なり、生活実態なり、被害の状態なり、これが一番問題なんです。総理は、そんなことは形式的なことだとさっき言われたですが、形式じゃないです。こうした現実をどう把握していくかということが一切の出発点でなくちゃならない、私はこのように考えるのです。  そこで、厚生大臣に伺いますが、健康被害地域として四日市が指定されたのはどういう基準に基づいて指定されたのか。私の調べたところでは、四日市の被害状況と同じ程度の被害状況がある——しかし、四日市を指定したのはけっこうですが、そのほか、たとえば静岡県の富士市では、県の保健所が千葉大に委託したりして、そして気管支ぜんそくというような呼吸器系統の疾患を受けている者が同程度出ているのに、なぜ指定をしないのか、それはいかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 健康被害の救済措置が発動いたしますためには、言うまでもなく、地域指定とそれから疾病の指定と、その条件を踏まえて地元の審査会の認定と、こういうことが必要になるわけでございます。ところで、地域を指定いたします際には、そこにおける気管支ぜんそくなりあるいは慢性気管支炎なりというような病気が多発しているということのほかに、その地域における、大気汚染について申すならば、大気汚染の状況が相当広範囲にわたって著しいと、こういう二つの条件を必要とするものでございまして、四日市につきましては、健康被災者の数も多いし、また、ああいう地域でございまして相当広範囲にわたって大気汚染も著しいと、こういうことから指定をいたしました。これに対しまして、いまおあげになりました富士市につきましては、これまでの私どもの調査によりますと、部分的には大気汚染の著しい区域もないわけではございませんが、広範囲から見ますると、大気汚染の状況は富士市においてはさほど著しくないと、こういう状況がございまして、現状におきましては指定地になっておらない。また、他の地域、塩尻でございましたかなどにつきましては、いままでの大気汚染防止法というものは、御承知のように、大気汚染防止法のそのものの仕組みが地域指定主義でございまして、塩尻などはその大気汚染の指定地からはずされておる。したがって、大気汚染状況の調査さえもないというような状況でございます。一部はあそこで健康診断をいたしました結果を私も聞いておりますが、一次診断の結果、二次診断つまり精密診断に回された方の数も多いようでございますが、いま申しますように、状況が必ずしもつまびらかでないために、これまでのところは指定されておりません。しかし、今後、先ほど他の委員の方からのお尋ねがございましたように、これらのことは状況に応じて必要があればいつでも追加をする用意はございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生大臣ですね、厚生省は静岡県富士市で何も調査しておりません。それは、県の保健所が調査をし、それを千葉大医学部に委託してそして調査をやった結果は、四十三年にも四十四年にもその結果が出ておる。その結果が四十三年にも四十四年にも出ていて、しかも、厚生省がやったのは、四日市でやったんです。その四日市でやったのも、厚生省は学童の健康診断をやっただけなんです。その学童の健康診断の結果は、非汚染地区に比べ汚染地区は約倍のそういう疾患の者がいると。約倍ですね。これは厚生省の出した公害白書に出ています、ちゃんと。ところが、富士の場合も、やはり学童が非汚染校に比べて汚染校は約倍の疾患が出ている。四十三年、四十四年に出ている。こういう点を、総理は、いかにもいまの行政というものが公害に対してのんびりし過ぎていると、このようにお考えになりませんか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私の答弁を補足さしていただきますが、御承知のように、厚生省は……。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 内田厚生大臣、これからは委員長が呼んでからひとつ出てください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) おそれいりました。  厚生省は、御承知のように、全国どこの地にも厚生省の地方機関というものは持ちません。厚生省第一線の機関は、すなわち県の衛生部であり、また保健所でございまして、厚生省がいろいろ調査をいたします際には、みずから出動するのではなしに、県の衛生部、あるいは地元の大学、保健所、そういうところの調査を基礎といたしましていろいろの処置をいたすことでございます。地方厚生所とか厚生局というのはございませんので、そういうことでいたします。いまの富士市の例、あるいはまた四日市の例は、四日市については思者も多いし大気汚染の状況も著しく広範囲においてよごれているので指定をいたしましたし、富士市については広範囲のよごれというものはないという——まあここに結果がございますが、(「あるある」と呼ぶ者あり)それで両要件がいままでのところ満足されていないので指定はいたしておりません。が、しかし、何べんも言いますように、私どもは、指定地域は現在七カ所でございますが、七カ所にくぎづけするものではございませんで、現にこの十二月にも尼崎の一部を指定をいたしましたように、それがどこであれ、条件に合致する限りは私どもは被災者の立場というものを考えまして指定もいたしてまいると、こういうことでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生大臣がよけいなことを言うもので、またこちらが説明しなきゃいけない。それは、厚生省は確かに出先機関は持ちませんが、それじゃ、保健所のやった調査に厚生省が幾ら金を出しましたか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) ここに大蔵大臣がおられますが、保健所というものは都道府県または指定市の機関でありまして、国の機関でないために、保健所活動に対しましては国は三四%の補助金を出しております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ですから、富士保健所がやる健康調査に厚生省はタッチしていないのです、何も。よろしいですか。で、私は、そのことをいま言っているのではない。四十三年、四十四年にこのような結果が出ているのを、総理、いまだにああでもないこうでもない言って指定に対して進まない、その行政ののんびりさを言っているのです。厚生大臣は汚染地域が広くないと言いますけれども、これも十カ所で定期観測をやっている、亜硫酸ガスの。その亜硫酸ガスの観測をやっている測定値も公害白書に出ている、ちゃんと。それによれば、十カ所のうち五カ所までは、厚生省の環境基準をこえている、四日市以上の汚染だと、こういうことがすでにもうおととしから、去年からいわれているのに、ことしも過ぎようという段階でいまだに動こうとしない、それが問題だと申し上げているのです。いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私どもが担当している行政についての御叱正でございます。私は、本部をつくったそのもとも、各省でまちまちな公害行政をやっている、こういうことでは困るんだと、だから、やっぱり何としても一つの基準といいますか、各省とも均衡のとれたような事柄をやって公害をなくしようじゃないかと、こういうことで実は本部をつくったわけであります。今回の法案をつくるにつきましても、そういう意味で各省事務当局もずいぶん督励し、山中君のところではほんとに徹夜作業で十四の法案ができたと、かように私は聞いておりますが、これは確かに御叱正をいただくような点もまた多々あるだろうと思います。しかし、こういうような審議を通じて各省とも同じような立場で今度は公害と取り組む、その姿勢を見てひとつこれからまた御鞭撻もいただきたいし、なお、直らなければ御叱正を賜わりたいと、かように思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 どうも抽象的な御答弁しか得られないのですが、じゃ、厚生大臣ですね、たださっきのような御答弁だけじゃなくて、具体的に静岡県の富士市の場合、四日市と同程度の汚染があれば——そのほかにもあるわけです。私があげたいところはたくさんあるんですが、そういう場合、同程度の汚染地域は積極的に地域指定をすると、そして、そうした公害病として認定された方の医療費負担その他を積極的に進めていくと、こういうふうに理解してよろしいですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるとおりでございます。  なお、先生からわざわざ公害白書——これは私どもと山中大臣のほうと協力してつくったものでございますが、これの三六ページを見ますと、富士市の区域が七カ所、それから富士宮が二カ所、富士川の地区が一カ所、まあ富士という字はついておりますが、富士市の区域は七カ所でございまして、その七カ所の資料は、これにも載っておりますし、私も持っておりますが、たとえば川崎地区とか大阪地区とか尼崎地区のような今日指定地域とされておりますところの大気汚染度から比べれば、いずれもこの七カ所が、まあこれは環境基準をこえているところもございますが、全体としては、状況は、亜硫酸ガスに関する限りは、そんなに悪くないと、こういうことになっております。しかし、先生がおあげになるわけでありますから、いろいろの根拠も見方もございましょうから、私どもは自説を突っぱるわけではございませんので、さらに十分——地域を指定するときには法律によりまして地元の公共団体と打ち合わせることになっておりますので、それらとも打ち合わせをいたしまして、客観情勢が指定すべきだという状況でありますならば、この富士市に限らず、他の地域についても、私はだんだん指定をするにやぶさかではございません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうして、問題は、指定する前の医療費ですね。そういうようにのんびりしているもんだから、そうした富士市のみならず、富士市周辺ですね、そこのみならず、実際に地域指定になり公害病に認定される以前に、もう呼吸器系統を病み、あるいは目とか鼻とかそういうところを病んでいる方々、こうした方の医療費は、公費なりあるいは企業負担なりすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いまの法律のたてまえは、あくまでも指定された地域における認定患者についてこの法律で医療費あるいは医療手当等を出すことになっております。したがって、指定されていない地域でそういう実害がありましたのは、いまの先生のおことばをかりますと、それは発生責任者である企業が見るのがたてまえということになるわけでありますが、それがなかなかその因果関係、責任関係等がはっきりしませんので、最小限度の場合において緊急な医療費だけは見るということでこの制度ができたわけであります。  なお、実際の取り扱いといたしまして、私どもは、さらに、指定地域でありましても、申請が出ましてその病気を認定するまでの間に時間がかかります、そういう場合には、申請のときにさかのぼって、つまり被害者の利益の立場に立って、それから申請のときにさかのぼって医療費を出すような実際上の取り扱いはいたしております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ここで、今回の法律改正によってそうした大気汚染がどの程度防止できるかという点についてお尋ねをしたいのですが、今回の改正法では、「ばい煙」の定義の中で、「いおう酸化物」とそれから「カドミウム、塩素、弗化水素」というふうにあげてあります。あげてありますが、まだ修正もありますが、私がいま申し上げる趣旨は、煙突から排出するものをただばい煙として規制するだけでなくて、そうしたすすや粉じん——これは慶大医学部の公衆衛生学教室ですが、このところでは、同じ粉じんでも、高度被害を出す重金属などの場合と、あるいは中程度、あるいは低い程度というふうに分けて規制をする基準を出しておりますが、今回の政府の改正案というものは、ただばい煙というだけで、そうした重金属の規制が入らないということに対してはいかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 粉じんと言い、ばいじんと言い、ばい煙と言い、同じようなことばが使ってございまして、現行法と今度の改正法との対比が非常に見にくくなっておりますが、先生のお尋ねの粉じんは、今度の新しい法律改正によりましては、煙突から発生するばい煙のみならず、ばい煙から分けまして、別に野積みの石炭とか、あるいは原料の鉄鉱石とか、ある場合には砕石のクラッシャーみたいなものから、つまり物の燃焼に伴わないで発生するものまでも定義をいたしまして粉じんとして第三条でございましたかその辺に規定をいたしてございます。そうして、それらにつきましては、燃焼ではない、煙突から出るものではないものでございますが、その設備について、設備規制、設備基準というものを設け、まだ、その設備を動かす使用基準というものを設けまして、そこで規制をすることにいたしました。煙突から出ますものにつきましては、二、三の例を法律はあげておりますが、政令で必要に応じて規定をいたしてまいります。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そこは質問していないです、まだ。私がいま質問しているところは、煙突のほうを質問したのであって、そして、今度は、その野積みのセメントとか、あるいは砕石場とか、そちらの粉じんをこれからやるんです。  そこで、どうも厚生大臣はよく理解していないので質問が合わないので、結果から申します、結果から。長野県の塩尻市、ここには大きな工場がある。その工場周辺にどのくらいの粉じんが落ちてくるか。この研究によりますと、一立方メートルに二ミリグラムというのが限度だと言われるそういう重金属が、県の調査でも、最高五・四三グラム——グラムです。こういう何百倍というものが、それは煙突からくるか野積みから舞い上がってくるかわからない。住民としては、どの粉じんが煙突の分で、どの粉じんが野積みの分か、わからない。そういう点を確実に今度の法律で規制をすべきだ。政令をきびしくきめて、そしてこういうふうな五グラム、四グラムというようなものが降りますと、ブドウなんかふさが、粒が全然なくなっちゃうわけですよ。粉じんで固まっちゃう。それからリンゴとかナシなどもまん丸になっちゃうんですよ、粉じんで。そういうものを厚生大臣、ひとつ政令ではっきり規制して、そして先ほどお尋ねしたように、それをこえたものは直罰にかけるというふうに御返答願いたい。いかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) お尋ねになられました粉じん、粉じんというおことばでございますが、これが今度の法律の改正によりまして、いままで粉じんと言っているものは今度の法律ではばいじんということになってしまいました。そして、粉じんにつきましては二条の四項というので、煙突から出ないもの、お前の答弁早過ぎたというお話でありますか、そのほうを粉じんとこう言うわけでありまして、先生は粉じんと、こういうおことばでございますから、新しい条文における粉じんのことについてお答えを申し上げました。いまの私のほうの調べで長野県塩尻市から出ております先生のいわゆる粉じん、今度の法律で言いますと、これはばいじんになりますが、そのばいじんについて言いますと、かなりの量が、最大十一・三トン、最小が四・一トンというものが出ているような記録を私も見せてもらっておりますが、これは何かこの方面の産業衛生協会というようなものがこのばいじん、また先生のおっしゃる粉じんにつきまして三種類ぐらいに分けて警告を出しておりますが、それとも対応いたしまして、私どもは必要な規制をかけてまいるつもりでおります。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ばいじんと粉じんと両方です、いまの質問は。ということは、被害者のほうではわからない、どっちから来たか。両方とも規制すると、政令でもうこれからは出さないようにして、そういうのを出したら直罰にかけると、——よろしいですね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) そういうことで、ばいじん、粉じんを分けまして、どちらもきつく規制すると、こういうたてまえをとったわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そしてこのような地域では、今度は自転車やトタン尾根が腐食する、それから洗たくものもだめになる、そういうような財産被害ですね、財産被害、これは挙証責任の転換という場合ですね、そんな小さなものをとおっしゃるかもしれませんが、こうした地域住民がきわめて日常生活に被害が大きい、こういう点に対する今回の法律では、出もとで規制することはおきますが、こうした日常生活の被害はいまは取り上げてくれない、どこへ行っても。そういう点政府は、山中長官答えますか、そういう点、自転車、トタン屋根、それから庭木、そういう生活上の被害をどう考えますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 先月発足いたしました公害紛争処理法に基づく中央公害審査委員会において、中央で処理すべきものと、地方の公害審査委員会において処理すべきものと、それぞれ御相談によって振り分けておりますので、それらの御相談をどちらかで受けることの可能性のある範囲の問題だと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 次にもう一つ、厚生大臣ですが、それから大蔵大臣にも財政上の措置をお尋ねしたいのですが、たとえばそうした紛じん、ばいじん両方です。紛じん、ばいじんから、とにかく落ちてきたものは煙突からきたか一建屋からきたかわからないのですが、その中から私たちの分析では、塩尻ではカドミウム、あるいは諏訪市でもカドミウムが多い、あるいは鉛、それから砒素、クローム、こういうようなものが検出されている、そういう点は先ほど申しましたように、重金属、特にこうした砒素とか、それからクローム、鉛、こういうような鉛公害ですね、こういうような重金属の規制はきびしくしてもらいたい。これは厚生大臣先ほど御答弁したですが、参考にしてとおっしゃったのですかね、この三段階を。重金属はきびしくしてもらいたい。それからもう一つは弗素ですね、この弗素の化合物が私たちの調査では非常に多い、弗素の化合物によって長野県の大町、ここでは野菜が四・四〇PPM、十二・四五PPM、七PPMというぐあいで、通常の野菜の〇・一からないし〇・九PPMというものに比べてきわめて多い、したがって、こういうような鉛、弗素、クローム、カドミウム、それからこういう毒物ですね、毒物は強く規制してもらいたいのと、それから弗素が健康にどんな影響を及ぼすかということをほとんど研究しておらない。こういう点研究にもっと積極的になってもらわないと、実際問題、弗素の健康に及ぼす影響に対してどれだけの予算を取っているか、それは七十万円だ、要するに。こういうような姿勢でなくて、重金属の規制とともに、健康に及ぼす影響をもっと積極的に研究してもらいたい、それに対して大蔵省も財政措置を講じてもらいたいと思いますが、いかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いまお尋ねの点が今回大気汚染防止法を改正して前進せしめた、私は非常に大きな点の一つと思いますが、従来おあげになりましたような有毒物質は、特定有毒物質という名のもとに、名前だけは二、三十載っけてありますが、実際は常時規制をしない。事故時だけを、何か施設に事故が起こってそういうものが発生したときだけの措置しか規定しておりませんのを、今度は、おあげになったようなものは常時規制の対象といたすことにして、常に排出規制をいたすことにいたしました。弗素というものは法律にも例示として弗化水素を掲げてございます。衆議院の修正で鉛も入れました。また、これらに対する研究費、ことに弗素の研究費は七十万円というお話でございましたが、これにつきましては、七十万円を出しているところもございますが、もう一口、これも小そうございますけれども、福島県知事に百万円の委託費を出して調査をしている、それに三百万円加えますから、四百七十万円ぐらいは弗化水素についても研究費を出しているそうでございます。三百万円というのは財団法人日本公衆衛生協会でございますか、そういうようなことでございます。これは多々ますます弁ずで、このやりとりを大蔵大臣に聞いておいていただきまして、研究費をたくさん出していただくようにしたいと考えます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 厚生大臣のお話よく承わりました。できる限り善処いたします。

小平芳平公明党

○小平芳平君 次はヘドロの問題で一、二お尋ねしますが、東京湾のヘドロ調査をやった結果は、非常に汚染がはなはだしいと、これは私たちもやったし、また都、県もおやりになった。そこで横浜市ではこうした基準を設定した、暫定基準として。そうして横浜市及び川崎市で暫定基準としたものに比べて、総水銀は両市とも一PPM以下としているのに対して、われわれの調査では六六PPMというものがある。カドミウムは、両市とも二PPM以下となっているのが、七・九PPMというものがあった、われわれの調査では。こういう点から、政府もこういう問題に対してどう取り組もうとなさるか、お尋ねしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私たち水質規制を今回強化をいたすことになりましたが、同時に過去のいわゆる堆積といいますか、汚濁の堆積がヘドロになっておる問題も重要な問題でございます。で、今後における水質の規制を通じまして、ヘドロの堆積が今後増加しないようにできるだけいたしますし、今後のアフターケアーとして、単に規制をするばかりでなく、その結果としてヘドロが生ずるようなことのないように常にいわゆる追跡調査をいたす、こういう体制を確立いたしました。しかし、過去のヘドロの問題は、今回の法律規制の対象に直接なっておりません。これは別に公害対策本部を中心にいたしまして今後ヘドロの処理をいかにしていくかということが大きな対策の眼目になろうと、こう思われます。現在は、御存じのように河川法、港湾法等によってしゅんせつをやっておりますが、この方面の公共投資というものが今回のような公害問題の焦眉の問題ということから、今後ますます計画的に大幅にこれを整備、増強しなければならないことになるであろうと、こういうふうに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうではなくてですね、ヘドロ汚染に対して横浜市が独自の基準を立てたと。それで、この毒物を捨てないように投棄を規制するという、こういうことを地方団体がやっているのに、政府は担当さえわからないんですか、これの。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 担当がわからないことはありませんで、今回の公害防止事業費事業者負担法について私のほうで所管いたしますので、これからそれらの事業の対象に水底質の悪化等のことで汚泥等を対象としておりますから、これをしゅんせつあるいは浄水導入等の仕事を行なってそれらの浄化という仕事をやっていくつもりでございます。  ただ、環境基準の設定というものは、これは非常にむずかしい問題でございますので、永年の堆積の結果がほとんどでございますから、それらについてはこれから企画庁等を中心にいたしまして判断基準的なものをつくっていくというつもりで、基本法の第九条からこの堆積汚泥等については省いてあるわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 じゃ担当は山中長官ですか、この。それなら早くそういうふうに返事すればいいのに。  要するに、市でこの投棄の規制をしよう、毒物を投棄してはいけないように規制しようと、こういうことに対して政府も積極的に取り組むべきだと申し上げているのです。  それからもう一つここで山中大臣にお尋ねしますが、田子の浦のヘドロを富士川の河川敷で処理するという、これは山中長官は本会議でも、それは県、それから県会が地元の説得に当たっているというふうな答弁をしておりますが、実際問題、その地元住民の説得どころじゃない問題なんです、これは。ということは、田子の浦の港に百万トンといわれるヘドロがある。その中の三十万トンをまあこの冬のうちに処理しようという、しかも富士川の河川敷で処理しようという。そうなると、一体三十万トンのものを、河川敷を囲って入れて、何日たったらかわくと思いますか。来年の出水期、五月までにはこれを必ず処理せよと建設省では条件をつけている。三十万トンのヘドロを船でもって河川敷へ持ってきた、何日でかわくと思いますか。かわけばからからになるから、どっかへ持っていけというのですが、その持っていく行き先もまだきまっていないですが、それが河川敷だから水がすっと吸い込むのだというならばその水はどこへ行きますか。その水はおそらく富士川の伏流水になるのじゃないかと専門家は見ている。そうなりますと、そこでもって、もっともっと技術的な研究をした上でなければ地元民の説得どころの段階じゃないということを私たちは指摘したいのですが、いかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私の本会議で答弁申し上げましたことは、何もうそ偽りを申しているわけではありませんで、それらについては船の中でも乾燥処理に近い脱水を行ない、さらにそれを堆積さした後、富士川の川原等においてこれをたしか荏原製作所の機械と聞いておりますが、これを静岡県が発注しましてその機械を通じて乾燥させるという処理で、ただいま申されたような乾燥廃棄ということが可能であるというふうに聞いております。一方伏水となって、伏流水となるおそれがある、この点については何よりも漁業組合の皆さんがたいへん心配をしておられました。これらの点は、一種の条件にもなっておるようであります。これについては漁業青の方々にそれが影響を与えないような、あるいはまたここではちょっと場所が、人家が離れているようでありますが、最悪の場合に井戸水等にまぎれ込む可能性がないというようなことは十分静岡県当局において、試験場その他において周辺の方あるいは漁業者の方の納得できる調査、実験のデータをお示しになるものと私は判断をいたしております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 調査実験ができてないのです、まだ。そんなに田子の浦から富士川の河口まで幾らも離れていないのです。その船の中で乾燥に近い状態にするのですか。そんなうまいことができるんだったら、何も河川敷に持ってくる必要ないじゃないですか。そんな簡単にいきませんですよ。要するに問題は、私がいまここで申し上げたい趣旨は、こういうような手おくれにならないように——総理ですね——こういうように、全く手おくれそのもの。東京湾、隅田川も、それからそのほかの諏訪湖とかそういう湖沼も手おくれになってしまう。ですから、今度の法律改正は政令で基準をきめ、政令で規制をするという部分が多いですけれども、こうした田子の浦のヘドロを二度と繰り返さない、それから東京湾の汚染のように、これを二度と繰り返さない、手おくれにしないということでいっていただきたいと思いますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 伺ってみればみるほどなかなかむずかしい問題のようですが、政府は皆さんの御趣旨も体しまして、りっぱな効果があがるように、この上とも努力したいと思います。  ただいま諏訪湖の話が出ておりますが、せんだっても滋賀県から参りまして、やはり琵琶湖の汚水、汚濁、そういうような話をしております。こういうところは、もうできるだけ早く下水道を整備するとか、いろいろなすべき事柄が多いだろうと思います。そういう点もあわせて、ただいまの御趣旨、二度とおしかりを受けないように、この上ともしたいもんだと、かように思っております。     —————————————

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 田渕哲也君。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 まず総理に、公審に取り組む基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。  総理はいままでの委員会での御答弁の中に、経済成長と福祉というものは二者択一でないということも言われております。しかしまた経済成長という、福祉のための手段を防いでしまっては何にもならない、まあこういうことばも言われております。しかし、このようなおことばを総合的に判断しますと、やはり経済成長と人間の福祉というものの調和ということをやっぱり念頭においておられるのではないか。まあこういうニュアンスを受けるのでありますけれども、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、生活優先あるいは人命尊重、こういうことが何よりも大事なことだと思っております。したがって福祉なくして成長なしという、このことばで端的に表現されたように思っております。私がしばしばそのことばを申しますのも、いまお尋ねにありましたように、二者択一的な議論がどうも耳に入りやすい、経済が成長するからこれだけの公害ができたのだ、そんなものはやめちまえと、すぐなるのですが、そうやめちまうと、これはおそらくわれわれの生活、これに福祉がもたらされないと、かように思います。ただ手段である経済成長、これは手段だという、それだけははっきり忘れないように頭において、そうして何といっても生活が大事なんだ、優先するんだと、こういうものの考え方でいきたいと思います。そのときにまあ調和というような、なまやさしいことばだと、どうしても誤解を招きやすい。かように思いますので、ただいま申し上げるようにはっきり生活優先、このことを申し上げてお答えといたします。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 総理の生活優先ということばは再再お聞きしておるわけですけれども、私はどうも、それがことばだけに終わるような感じを受けるわけです。といいますのは、いままでのいろいろな論議を通じて感ずるところは、やはり経済というものを無視できない、これは事実であります。だからその公害対策にしても、やはりそれを無視しては行なわれない。まあこのような感じがするわけであります。先ほども神代の時代に戻すことはできないというおことばがありましたけれども、だから少しぐらいの公害はしかたがないのじゃないかということばが裏にあるんではないか。こういう気がします。しかし私は、この生活優先かあるいは経済成長か、その中でどうする、こうするという問題は、ほんとうはその問題の焦点をそらしておるのではないかという気がします。といいますのは、マクロ的に見た場合に、日本の国民経済という観点から見た場合には、確かに経済成長があまり行き過ぎると公害問題が起こってくるのは事実である。だからその調和点をどこに求めるかという発想が生まれてくるわけであります。しかし私は、この公害問題の本質というのはそういうものではない。もっと具体的な問題ではないか。つまり経済優先、人間の生活の福祉のためには経済は必要であります。しかしながら現実に起こっておる問題は、日本の国民全体がその公害の被害を平等に受けておる。それから経済成長の恩恵を平等に受けておる。こういう前提があって初めて、そういう発想ができるわけでありますが、現実にはそうではない。特定の企業の営利活動のために特定の地域の住民が自分の健康を侵され、生活を侵されておる。これが私は現在のまず最も緊急を要すべき公害問題の本質ではないか。こういう気がするのでありますけれども、この点についての総理の御見解をお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま田渕君が指摘されたように、これはもうひとしく私どもも経済成長、その恩恵的な面も受けておる、かように私も考えます。ことに最近の科学技術の進歩から申せば、われわれがいま廃棄物として処理しておる、これはもう廃棄物でなくて、まだまだもっと有用に使えるものがずいぶんあるようであります。また、そこまでいかなければわれわれの知識を十分使ったとはいえない。こういうことを考えると、ただいまの公害対策にいたしましても、公害を起こさないでしあわせだけをもたらすような産業が育成できるのじゃないのか、そういうことを私は指摘したいのです。ただいま、たとえばセメント工場、そこがずいぶん粉じんを出している、しかしその粉じんはやはりこれをつかまえれば、りっぱに副産物として価値のあるものができる。こういう点は、やはり石油精製の場合だって、あるいは硫黄ができる、硫酸ができる等々、それぞれみんな有用なものがある。毒物を川に流しておるというが、それを流さないでうまく使えば、これもまた他の面で使う方法もあるわけです。そういうことで、もっとわれわれの科学技術、その知識、英知を働かして、そうして十二分に知恵を用うれば、りっぱに役立つのではないだろうか、かように私は思います。幾ら経済成長いたしましても、害毒を流さなくて済むのだ。そういうところまで持っていくのが今日の努力目標じゃないだろうか、かように私も思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 確かに公害を解決するには、技術が必要である、また科学的な研究も必要であるということは同感であります。しかしこの論議も、いうならばマクロの立場に立った論議ではないかという気がするわけであります。今日のこの公害のほんとうの問題は、確かにこのマクロの問題をそういうふうに考えることも必要であります。もうすでに地球上の全体の有害物質の総量とか、あるいは人類の生存の条件とか、そういう大きなとらえ方をしなければならない時期にきていることは事実でありますけれども、当面、私たちがまず解決しなければならない問題は個々の問題ではないか。個々の問題となりますと、やはり先ほど申し上げましたように、一方では私的利潤の追求のために、事業活動をやる。ところが、それが必要な用意、注意をしていないがために、まわりの住民の福祉、いうならば財産とか権利とか、健康とか、そういうものを侵かしておるのがいまの公害問題の実態であります。したがって私は、本会議でも申し上げましたように、現在の公害の原因は先ほど総理が言われましたように、科学の進歩に伴って、もっと人間が知恵を出して解決しなければならない、そういう意味は確かにあるわけですけれども、私は、現在切実な問題の公害の実態というのは、決してそういう点にはないと思うのであります。つまり公害を出しておる一番大きな原因は何かというと、経済の成長ではありません。私は、私的利益の追求のために、他人の利益やあるいは社会公共の利益の侵害を放置してきた政治の責任である、政治の怠慢であると言わざるを得ないのであります。また、もう一面では、わが国の国土を見た場合に、過度の集中また自然破壊というものが行なわれておりますけれども、これに対してあまりにも無策であった政治の責任ではないか。こういう気がするわけでありますけれども、総理の御答弁をお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのような、政治的な責任だろうと、こういう御指摘、あるいは過度集中について、もう少し何か考え方はなかったか、こういう御指摘、これまた私は当たっておる点も多分にあると、かように思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 私の申し上げたいことは、確かに経済成長というのはやっぱり必要なことなんです。だから経済成長のために、ある程度やむを得ないというような、そういう考え方あるいはそういう発想をやめていただいて、個別的に不当なことが行なわれて被害者を出しておるというこの現実に対して、やはりきびしい反省を行なっていただきたいということであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私がお答えしたように、ある点は当たっておるという——おそまきながらこうして皆さん方の御審議をいただいておる、これもただいまの責任を果たそうという、そういう立場でございます。したがって、私は多くを申しませんけれども、これはもう御批判は御自由だが、やはり切実な問題として現実にあるもの、これと取り組まなければならない。これからまあ、そういう原因が起こらないような世の中にするという、そのことも大事なことですが、もうすでに発生している公害、それに対処していく、これがやはり今日必要なことだろうと、かように思っております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 今度の臨時国会に当初提出される予定で、準備の都合で間に合わなかったもの、あるいは途中で取りやめたものもありますけれども、まず第一に、この無過失賠償責任制の確立の問題であります。それから第二点としましては、国の地方財政に対する特別措置。第三点は公害防止投資に関する税制上の特別措置。そういう準備が私はされるべきだったと思いますけれども、いままで政府がこの準備を進めてこられた経過と、今後の予定をお聞かせいただきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 第一点の無過失責任の問題は、先ほど来議論がかわされておりまするように、民法の特別法としての理論的な詰めができないということであります。これは一日内閣とはいえ、総理が世間に向かって公的に発言をされました宇都宮の所信の表明においても、公害罪については明確に臨時国会に出す方向の言明をされておりますが、しかし無過失責任については、これから検討を急ぐという表現で仕分けをいたしておりまするのは、やはり作業を開始してみて、たいへん困難な問題であるということがわかったからでございまして、なお引き続き今後も、先ほど来申し上げているようないろいろの個別法その他から入っていく手段等も検討していくつもりでございます。  さらに第二点の地方財政等に対する配慮でございますが、これは第三点の税制、金融等と一緒の事情でございまして、予算編成と同時にこれを解決をしたいということでございまして、これは決して出さないということではありません。臨時国会で出すには——私たちとしては予算編成と一緒にこれの作業を進めて、それを受けて次の通常国会に出すということだけでございますので、それの裏づけに対して怠るものではないことは大蔵大臣からも言明されておるところでございます。これから作業いたします。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 公害について特に開かれた今国会の任務といいますか、あるいは国民がこの国会に期待するものは、私は、環境保全も含めて、国民の健康と福祉を目ざす政治方針の確立がまず第一だろうと思います。  第二は、現在具体的に公害の発生原因となっているものを除去することである。  第三は被害者の救済である。  この三つの点について何らかの具体的な措置がとられることを国民は期待していると思いますが、その中でも、私はまず最も緊急を要するものは、すでに公害が発生して何らみずからの罪なくて病床に呻吟しておる被害者を救済することではないか。これがまず最も第一にやるべきことではないかと思います。この点について総理の見解をお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私もそのとおりだと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 ここで厚生大臣にお伺いしますが、現在の公害病患者の実態を簡単に報告していただきたいと思います。実態と言いますのは、その種類、人数、病状さらに会社との紛争の状況、係争の状況、さらには生活実態、この点について簡単に御答弁いただきたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) まず態様から申し上げますと、大気汚染にかかる疾病についての救済が四案件、これは尼崎を入れましたので四案件。それから水質の汚濁に基因する疾病に対する救済が三案件。合計七案件ということになります。  救済の対象になっておりまする被害者の現在の数は二千人を少しこえている状況でございます。またこれらの二千人の方々の生活の実態は、私もいまここではつまびらかにいたしませんが、その中には生活保護を受けなければならないような状態に落ち込んでいる人もかなりあると私は見ております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 厚生大臣の御報吉がありましたけれども、それ以外に食品公害の患者もおります。特にカネミオイルの患者が千人余りおる。そのように考えた場合、しかもこれらの患者の中で生活が困窮しつつある人が非常に多いわけです。そういう意味から考えましても、私は特に今度の国会では、この被害者に対して具体的にどういうことができたかということを、やはりはっきりする必要があると思います。そこで、この被害者救済にとって一番効果のある法案といわれたのは、いわゆる無過失賠償責任制度の採用であります。並びに挙証責任の転換である。こういうふうに思ますけれども、これは総理の一日内閣での発言にかかわらず、衆議院の審議によりますと、無過失責任につきましては公害一般を対象とした立法化は、政府はされない方針であるということが明らかになっております。さらに挙証の責任転換につきましても、衆議院の法務委員会での小林法務大臣の御答弁によりますと、きわめて消極的な答弁をされておる、この点について政府のこれからの方針をお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) この問題は私もしばしばお答え申し上げておりますが、過失のないところへ責任がない、こういうのはもう世界的にも、また長年の一つの法秩序の問題できめられておりますが、しかしその後、とにかくいろいろ社会の情勢が違ってきて、そしていまの各種の化学工業その他非常なむずかしい、もとは予想のできないような工業が出てきて、そのために公害というものが発生する、こういうことになるから、公害についても、私は従来のような考え方でなくて、ある程度民法の例外的な無過失責任というものを考える必要があろうと、こういうふうに申しておるのでありますが、しかし、これはあくまでも例外中の例外であるから、公害といういろいろの、また将来にもいろいろ態様は出てきょうこの段階において、公害というような包括的なことばでもって無過失責任を認めるということは、社会にいろいろな大きな影響があり、法律秩序を乱す、こういうたてまえからしまして、私は公害を生ずるような高度の危険性のある企業、また公害そのものの過失の証明がきわめて困難あるいはこれがほとんど不可能に属する、こういうふうな問題につきましては、無過失を検討すべきであり、したがってそれらの個々の公害の態様についてさような規定をすべきであろう。こういうことで政府部内においてもそう趣旨においてひとつ検討してもらいたい。将来の問題は、これは将来そういうふうなものがたくさん出てくれば、ある程度横の無過失責任の法制というものもできるだろうが、この段階においては、ひとつ個別的の本体の法律において規定してもらうべきだ、こういうふうに思っております。これは従来も御承知のように鉱業法等とか原子力法とかのように、そういうところに、個別法の中に規定がある、こういうことであるから、さしむきのところ、そういう方法においてひとつ進めていただくことがよいではないか、こういうふうに思っております。  挙証責任の問題も実はこれは非常に簡単なようでむずかしい問題でありまして、御承知のように現在、たとえば自動車の損害賠償保障法、こういうものに、わざわざ、それも加害者が過失のないということを証明しない限りは責任を負うべきだと、かような、やはり個別の法律の中に同様な規定があるのでありまして、しばらくこの段階においては、このような方法によるべきであろう、そして被害者の救済等も考えていくべきだと、かように考えております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 ただいまの法務大臣の御答弁でありますけれども、私はここでそれなら無過失責任の立法化ですね、個別法によるものでもけっこうですから、いつやられる予定か、また挙証責任の転換についても、それは次の通常国会で提案される予定なのか、それをお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これはいま私が申し上げたように各本体の法律というものは各省が所管されておる、したがって、各本体の所管省において検討をし、公害対策本部で調整をしてお出しをいただく、こういう順序になろうと思いますが、私がいまどの法律がいつ出るかということは、申し上げる段階にありません。さような意味において、私どもも真剣にひとつ各省と協議をいたそう、こういうふうなことを考えております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 各省で検討されるということですが、いままではまだ各省では全然検討されていないわけですか、これから検討されるわけですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは閣議で見解をお互いが述べ合いまして、結論を得た方針がございます。それについていま法務大臣が言われたわけでございますが、法務省の検討も引き続き対策本部として私はお願いをいたしました。そしてさらに法務省の言われることももっともでありますので、原子力や鉱山等の例をとるまでもなく、可能なものについては、現在の個別規制法の中で取り入れられるのではないか、その検討も続けております。  さらにこれを、先ほど答弁もいたしましたが、繰り返しますと特定有害物質等については各規制法を横断をして、この物質にかかる被害が生じたら、その法律によってそれはもう挙証責任の転換もしくは無過失の責任とみなすというようなこと等が可能であるかどうかについて作業を進めております。もちろん間に合えば、次の通常国会にでも私としては当然出すべき、急ぐべきことであろうということは、重々承知いたしております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 次に、被害者の救済措置の問題でありますけれども、先ほどもこの問題で論議が行なわれましたけれども、やはりこういう裁判が非常に長引くおそれがあるわけです。それで、おそらくほとんどの被害者がその長い裁判に耐えられない状態になっていると思います。ところが、現在の救済措置の内容というのは、ほんとうに医療に限っておるということでありますけれども、私がお願いしたいのは、まず第一にはこの医療に対する介護手当とか医療手当の面についても、これは引き上げをすべきではないか。  それからもう一つは、やっぱり生活保障費、これは衆議院の委員会でも厚生大臣は出すべきではない、いまの制度ではこれは出すべきではないものだというお答えがありましたけれども、やはりこれがなければ、実際被害者の救済にはならないんじゃないかという気がするわけです。この点について厚生大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 現在の救済法規は、いまお話がございましたように、健康被害のみに局限をいたしております。しかし、この法律によって支給すべきそれぞれの手当につきましては、これらは状況に応じて私どもはでき得る限り改善をいたしたいと思います。また支給の条件、すなわち所得水準、所得の拘束なんかにつきましても改善をいたしたいと思うし、現に改善をやってまいりました。医療費につきましては、これは引き上げの問題といいますよりも、医療保険の自己負担分を肩がわりして支出するわけでありますので、医療保険の医療費が高まってまいりますと、自動的にこの負担を肩がわりますので問題はございません。  さて、生活に関する保障とか救済の措置でございますが、これはいま御指摘がございましたとおり、衆議院におきまして私はあの答弁をいたしておりますが、元来損失の補てんは、公害の発生責任者がいたすべきであるのを、しかしそれのつなぎとして、最小限度の案件として健康上の問題だけを取り上げようということで、この法律ができました経緯から考えましても、いま生活上の救済に及ぶということは、やはり私は考えられないと、それはむしろ、そういう場合には今度発効いたしました公害紛争処理法による中央または地方の処理委員会に申し出て、そこで中間的な和解なり仲裁なりというような処置でいくか、あるいは本格的には無過失責任になりますか、あるいはまた挙証責任の転換になりますか、これらの被害者が発生者から容易に救済を受けやすいような道を早く開いていただくということに待つほかはないと私は考えます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 確かにいまの御答弁のように、本来は公害発生の原因者である企業が負担すべきものであることは事実であります。しかしまあ、企業から取るのにひまがかかってしかたがない。だから、その間せめて立てかえ払いですね、立てかえ払いをして裁判で企業から取れたときに返してもらうという制度ぐらいはできるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) これは御承知のように生活が困窮いたした場合には、生活保護法がございます。それに落ちろということでは決してございませんが、制度の体系といたしますと、公害によって生活が苦しくなった者だけに、国があるいは公共団体が公的の保障をするということには、なじまない性質のものだと私は考えます。しかしそればかりではなしに、現実の問題といたしましては、世帯更生費の貸し付け制度がございますので、保護世帯ということにならないように、そこに落ち込まないように、世帯更生資金のお世話などにつきましても、私はその方面を担当しておる地方の組織をも指導いたしまして、善処をいたしたいと考えます。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 田渕君、この際総理の出席は二十分まであと四、五分ですけど、もしありましたら総理の質問を。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それでは総理にお伺いしたいと思いますが、ただいまの御答弁を総合しますと、少なくとも被害者の救済については、具体的に何ら前進を見なかったということになると思いますが、この点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政府は何もしなかったということにはならない。いま言われるとおり、厚生大臣がお答えいたしましたとおり、とにかくどうしても治療費、急を要するもの、そういうものは政府が出して、本人の負担にならないようにする。こういうことですし、介護手当などもう少し考うべき余地があるかもわかりません。そういうことは政府自身ももっと研究すべきだろうと思います。  もう一つのいわゆる賃し付けの問題、これはまあひとつ資金を利用していただきたいと思います。生活保護というものは、これはまあ原因のいかんによって、生活保護の支給の方法が変わるという、そういうものじゃないように私は思いますので、まだそれは生活保護を受けるということは恥ずかしいことだと、かようにも思うかしれませんが、そういう点はそう御遠慮なさらないで、きまっているものは同じようにですよ、やはり生活保護を受けていいんじゃないか、かように私は思います。だからいま何もしていないのだというのは当たらない。ただもう少し何か裁判になっているものが早く結論が出るような方法はないか。そういう点で先ほど来議論のありましたあるいは無過失責任だとかあるいはもう一つは挙証責任だとか、こういうような問題がどうも事件を長引かしている、こういうようにも思います。これらの点についてくふうの余地があるかどうか。さらに私どもも検討を続けていきたいと、かように思っております。  それからもう一つ申し上げたいのは、この企業も、その地域住民の方の協力がなければ成り立たないのだ。また地域住民とほんとうに共存するという立場で事業を経営するという、そういうことでなければですよ、成功するものでもないのです。私はそういうところを考えますと、地域的にたいへん地域住民と企業者とうまく一体となってやっておるところも、全国的には数カ所あるように見受けます。私はそういうことを企業家に対しても心から要望して、そうして地域住民の協力を得るように、どうも企業は利益追求に専念しないように、そういうところに反省すべきものがあるのじゃないだろうか、かように思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 総理がもう時間のようなので、あと、じゃあ山中総務長官にかわってお聞きしますが、先ほど私が総理にお伺いしたときに、やはり被害者の救済が一番緊急を要するということをお認めになったわけですよ。ところが、肝心のその無過失責任の挙証責任の転換も全然実現されない。それからただいまは総理から生活保護を受ければいいというお話がありましたけれども、私はこれはちょっと性格が違うのではないか。なぜなら公害というのは、自分の責任で病気になったものではないわけですね。いうならばその産業活動を政府がもっと監視をして、そういうことをやらないようにしておかなければならないのに、いうならば政治のミスといいますか、怠慢といいますか、あるいはそこまで手が回わらなかったといいますか、そういう点によって不当な被害を与えられておるわけです。この被害については、もちろん、加害者である企業が出すべきものでありますけれども、やはり先ほどの立法措置ができなかったということで、裁判がやっぱり長引くことはしかたがない。現状では長引くわけですね。この間の生活保障はこれは国が見るのが私は当然じゃないかという気がするわけですが、この点、再度お答えいただきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 生活保障の問題は法案そのものも厚生大臣担当でありますので、補足していただくといたしまして、総理の生活保護について言及されたことの受け取り方が少し違っているんじゃないかと思いますが、それは生活保護というものは、一定の条件があればだれでも差し上げるものであって、その制度というものをそちらに落とし込むんだというようなふうに受け取っては間違いじゃないかということを言われたと私は聞いておりました。また、事実そういうものであるべきでありましょう。なお、それらの自分の、何の罪もなくて自分が前から住んでいた場所でいたのにかかわらず、被害を受けて、いわゆる公害というもののために病人にならなければならない。働き手が病気になって世帯の生活が苦しくなる等の事情については、私どもも十分わかりますし、これらを何とかすべき政治の責任というものも自覚しておりますが、それらを制度にのせるについては、やはり既存の、ことしできたばかりの、発足したばかりの法律でもございますし、現在の公害の健康被害の中身をいま少しく充実さしていく方向のほうが正しいのではなかろうか、と考えるわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 今回の公害対策関係法案がたくさん出たわけですけれども、たとえば大気汚染防止法にしましても、水質汚濁防止法にしましても、肝心の基準は全部政令、省令できめることになっております。したがって、国会で審議しておるのは、いうならば中身のない外ワクだけ論議しておるというような気がするわけです。もちろん、こういうこまかなものを法律できめるのは、適当ではないかもわかりませんけれども、私は少なくともこの基準について、政令案ぐらいは用意をしてこの国会に出すべきではなかったかという気がするわけですけれども、この点について政府の準備が足りなかったといいますか、準備不足の面もうかがわれるわけですけれども、私はやっぱりそこまでしないと、ほんとうにこの法案の内容がつかめないわけです。といいますのは、外ワクだけつくっても、基準のきめ方いかんで法律の価値が全然変わってまいります。すでに環境基準とか、いろいろ基準がきめられておりますけれども、たとえば四日市等におきましても、環境基準ができてもぜんそくが全然なくならないというようなこともあるわけでして、どのように基準を設定するかというのが、この法案の私は生命だろうというように考えておるわけですけれども、少なくともその案ぐらいは出していただきたかったと思うのですが、この点いかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 法律は、いずれも特殊なものを除いては、大体、恒例として六カ月以内に公布するということで締めくくってございます。というのは、法律が国会でよろしいと御議決をなりました後において、それらの御議論等も拝聴したことを成果として、それを取り入れた政令というものができていくわけでございいます。しかし、じゃ何の用意もなく、どうなるかわからない状態で政令にゆだねるという表現で臨んでおるかと言われれば、そうではないのでありまして、御疑念の点について御質問等がありますれば、ここで明らかにできる点の輪郭は明らかにできる。一例をあげますならば、公害防止事業費事業者負担法案の中で「政令で定める」と書いておりました事業の種類の中で、「その他」に属するものの中で、私の答弁で学校の移転、住居の移転等を考えておる、しかしながら、事業者の移転は現在の税制の特例による事業用資産買いかえの特例というものが生かされるので、事業者の移転については、この法律では特段の配慮を公害防止事業としては念頭に置いておらないという答弁等をいたしておったわけであります。しかしながら、それはやはり全部を政令に譲るというよりも、一つでもあとは「等」ということにして具体例を示すべきであるという国会の御意思がございまして、国会の修正で「住宅の移転」というのが入ることになりました。いずれの方法でも私は処理していただければけっこうであると思いますし、各規制法に伴う政令については、それぞれの所管において、お望みのことについての現在考えられる、あるいは政令にゆだねるときにどういうことを考えているかということについては、お答えのできることだと思いますが、印刷物でお出しいたしますと、またあのときはこういう印刷物だったけれども、その後、実際に政令を閣議できめたのを見ると、これが落っこちておる、けしからぬという必ずおしかりを受けるわけです。だから、印刷物、証拠物件というような形は、ちょっと私どももちゅうちょいたしておりますので、決してそういうことはひきょうな立場をとるために申し上げておるわけじゃありませんので、そういう意味で御質問のある点にはお答えをしていくつもりでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 私が申し上げたいのは、今度の国会で公害関係法案がたくさんできましたけれども、ほんとうに国民がこれを見て、じゃあ安心だというところがなかなかないわけですね。たとえば公害罪法案にしましても非常にあいまいであって、どの程度実効があがるか非常にわからない。また肝心の被害者の救済についても、具体的には何らこの国会では前進を見てない。先ほど佐藤総理も何もやっていないことではないと言われましたけれども、確かに何もやっていないと思いませんが、少なくともこの国会で具体的に取り上げて前進しなかったということは言えると思うのです。これはまあ勘ぐって言うならば、いまの政府がとにかく国民の世論を押えるために、何とかかっこうをつけるだけの法案をつくったと言われてもしかたがない面があるのじゃないか、こういう気がしてならないわけであります。この問題、抽象的ですから議論してもしかたないと思いますが、政府のほうでも考えていただきたいと思います。  次に、お伺いしたいのでありますけれども、総務長官は、よく公害対策を先取りする方向を確立したいということを言っておられます。確かに、公害というのは事後処理では後手であって、事前予防でなければならないということは事実であると思いますけれども、そういう総務長官の意欲あるおことばと、今回提出された法案との関係ですね、どこの部分にそういう意欲が盛り込まれているのか、お伺いしたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) まず、基本法から申し上げますと、基本法の第二条の、いわゆるわれわれが通常典型公害と言っておりまする公害に土壌の汚染を加えたこと、さらに水質の汚濁となっておりますものに、カッコして、水の状態及び水底の底質の悪化というものを加えたこと、これは具体的にはすでにアメリカやソ連において問題に供せられております原子力発電所等の冷却のための温熱排水の問題、これ、日本においても、すでに現在漁業者の方々との間に不安なり、論争なりが提起されておる個所が四カ所ほど起こっておりまするし、これらの問題は、いずれ法律を伴って……。まず、今回は水質汚濁防止法の中にさしあたりその対処策を講じておりますが、水産、動植物その他の上にまで、将来、念頭に置いた法律をつくらなければならない時代がくるであろうということを考えましたので、そういうことにいたしておりますし、さらに今日まで水の色というのは汚濁ではないという考えでおりましたものも、今回は水の色というものもやはり典型公害の水質の汚濁の範疇の中に入るんだということをはっきりとさしておるわけでございます。さらに、今日のその第二条の典型公害の現象、いわゆる人に有害な環境をもたらすような現象になる前の、産業が生産過程において不必要とするものを排せつする場合、それをいかなる場所に勝手に投げても、それが公害現象の第二条にいうところの状態にならなければいいんだという考え方が、一方においては海洋投棄とか、あるいは山に埋めるとか、あき地に捨てるとかという現象が散見いたしますので、この産業廃棄物を第三条「(事業者の責務)」のところに明確に打ち出しまして、さらに公害の、行なう事業においても産業廃棄物の処理ということを今日までの清掃法の概念を広くとらえまして、地方公共団体の町村を越えた広域の都道府県等を原則とした範囲において産業廃棄物の処理施設、あるいは産業廃棄物処理業者というようなもの等を規定して、おのおのがまず企業の中で公害に関係のある物質を事前処理をする、前処理をする責任をうたい込むと同時に、それを受けた法律をつくっておるつもりでございます。さらに、第一条の目的に第二項を削除したばかりでなくて、憲法の条章を受けた健康にして文化的な生活を守る国民の権利というものを掲げたつもりでおりますし、第十七条の二項で「緑地の保全その他自然環境の保護」等、われわれがいまいわゆる自然環境の破壊に立ち向かおうとしておる姿を、ここで私たちとしては意思を明確にしたつもりでございます。これらを受けて、世界の海洋関係の法律では最も進んでおると私どもが信じております海洋汚濁防止法なり、あるいは廃棄物処理法なり、それらの関連法案を今国会に提出しておる次第でございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 ただいま法案についていろいろ御説明がございましたけれども、私は、実際に法案をつくっても、それを実行する体制がなければ何にもならない。現在、わが国の場合を見てみますと、公害対策本部が三十五名、それから厚生省関係で公害担当者が三十名、それから通産省が二十四名、経済企画庁が十四名、運輸省が車両課の公害調査官が三名と交通安全公害研究所が十名、合計百十三名です。たとえばアメリカの大統領の教書に基づいてつくられた環境保護庁七千五百人の……。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 六千名です。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 六千名ですか——失礼しました。六千名に比べて、これはあまりにもお粗末な体制ではないかという気がするわけです。この点について、どういうふうにこれからされるのか、お答えいただきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私も、突然公害担当大臣を閣議で命ぜられて、まだ三カ月余りでございます。対策本部の機構がいわゆる機能の問題を重視して、行政機構としての能力を備えていないこと、すなわち、調整の役目を果たすのに精一ぱいの機能である、これは私も認めたいと思います。しかしながら、私は自分の命ぜられたこの範囲の中で、自分の全責任、全努力を傾けて仕事を遂行しておるつもりでございまして、これがはたしてこのままでいいのか悪いのか、私自身がいまのままではだめでございますという言い方をするならば、それは、私としてはどうも恥じになると思います。私自身としては精一ぱいやっております。しかし、長期的な機構であり得るかどうかについては、議論のあるところでありましょうし、各党の御意見等も衆参両院の本会議その他で伺っておりますので、総理もいまその判断をしておられる段階であると考える次第でございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 次に、公害罪の問題で若干お伺いしたいと思いますけれども、いままでのこの論議を通じましても、適用基準はきわめてあいまいだという印象を受けるわけです。そうして、よくこれは実効のないザル法ではないかといううわさも立っておりますけれども、その点について二、三御質問したいと思います。  まず、この公害罪法の適用条件というのがありまして、まず第一には故意・過失ということが条件になっておりますね。この場合の故意・過失がどういう場合に認定されるか、故意の場合はともかくとして、過失の認定というものは、私はきわめて微妙だと思います。だから、これは実際問題として、抜け道というものは幾らでもできるのではないかという気がします。  それから総理が、答弁の中でしばしば「重大な過失」ということばを使っておられるわけです。これは普通の過失と違うのかどうか。この点、法務大臣にお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) いまのこの過失の証明というものは、非常にむずかしいであろうと言いますが、たとえばきめてあることをやらなかったと、こういうふうなことはもうすぐに過失になるというふうになりまするし、それから総理がよく過失のことを重過失と言いますが、重過失も軽過失もありません、これは過失であります。過失は処罰される、こういうことでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それから、排出基準を守っていれば処罰されないという答弁もありましたけれども、これは基準が未設定の場合にはどうなるのか。たとえば水俣とか阿賀野川とか神通川の場合、かつてはこれは基準がなかった、こういう場合にはこれは適用されないのかどうか。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) この法案には、基準を守っておるとかおらぬとかということは書いてありません。そういうものを入れろという主張も相当あったことはありましたが、入っておらぬ。したがって、基準がない場合にも、危険を生ずれば処罰されると、こういうことでありまするし、基準を守っておったらどうかと、こういう問題になりますと、基準というものは損害が、実害が生じないであろうと、こういうことを前提として基準をつくられておるというからして、そのことを書かぬでも、政府の基準が私どもは間違っておるとは思いませんが、きびしい基準が定められておる以上は実害は生じないと、こういうことになりまするし、またもし、基準を守っておって万一、たとえば危険が生じたと、こういうふうな場合におきましては、基準を守ったということは過失とか故意がなかったと、こういうことになりますので、いわゆるむずかしいことばで私は聞いておるが、違法性がないということで処罰の対象にならぬということに相なっております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それから念のためにお伺いしたいのでありますけれども、今度の直罰主義に変更されたわけですけれども、その行政罰について、この場合は故意・過失が要件になるのかならないのか、この点をお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) 行政罰というものは、一定の行為を、あるいは基準を示すと、こういうことを守れと、これを守らなかった場合には処罰されるというのが行政罰でありまして、刑法罰はもう結果だけを論じておるのでありまして、その点が行政罰と違うと、こういうことでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それからもう一つの要件である、健康に危険を生ぜしめた場合ということがあるわけです。これは、おそれとかおそれがないとかというのは、もうすでに言い尽くされておりますから省略しまして、今回の場合、人体に限るわけですね。たとえば四日市港では廃酸が多量に出て、船舶や施設に被害を与えておるという例があります。それから洞海湾のように、そこで漁業が行なわれなくなった、魚が死んでしまった。こういう場合には公害罪法は適用されないわけですけれども、ただこういう場合に、何もしなくてもいいのかどうか、将来やっぱり公害罪というものをそこまで広げる必要があるのではないか、この点についてお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これも非常に議論のあったところでありまして、公害というものは単独の行為による公害ばかりでない、多数の工場等の公害が複合したり集合したりして実害を生ずる、こういうことになっておりますが、これもひとつ補足することがよいではないかという意見もありまするし、これがまたたいへんな問題であると、こういうことも言われるのでありまして、この際は将来の問題として考えるということで、複合とか集合とかというものは、この公害罪の対象にしないと、こういうことに相なっております。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それからこの処罰の要件として、やっぱり危険を生じた場合というようなことがあれば、この危険を常に察知するというのは、これは容易じゃないと思うのですね。そこで総点検、常時点検が行なわれていないと、やはり実際問題としてはなかなかむずかしいのではないかという気がします。特に水質の場合について、常時監視測定機構というものがはたしてできるのかどうか。また、そういうものを将来設ける予定があるめかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

小林武治自由民主党法務大臣

○国務大臣(小林武治君) これは事件として捜査するためには、そういう危険があったと、ごく平易な例で言えば、魚が浮かんだと、あるいは魚を食べたら人体に障害を来たすと、こういうふうなことは、みなそれぞれ科学的の裏づけと申すか、しろうとが見れば、たとえば魚が浮かんだと、こういうことになればすぐわかりますが、浮かばなくても害になると、こういうものもありますから、これらはそれぞれの向きにおいて調査をしてもらうということで、私も実は、公害法というものができたからには、公害を生ぜしめないために、これらを常時監視する、こういうふうな制度が私はぜひ必要ではないかということで、その向きの発言もいたしましたし、けさの閣議におきましても、これらをそういうふうな、人体に危険を生じておるかどうかというようなことについては、できるだけ政府も、ふだんあらゆる場合においてこれをとらえ得るような体制をつくらなければなるまいと、こういうことでいま御相談を願っておるのであります。

占部秀男日本社会党

○委員長(占部秀男君) 本日の質疑は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会

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