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64回国会衆議院1970/12/09

文教委員会 第1号

発言数
75
登壇者
13
会派数
3
開催日
1970/12/09

会議録

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 これより会議を開きます。  この際、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。  去る十一月二十五日、理事伊藤卯四郎君が委員を辞任されました結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認めます。それでは、鈴木一君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  一、文教行政の基本施策に関する事項  二、学校教育に関する事項  三、社会教育に関する事項  四、体育に関する事項  五、学術研究及び宗教に関する事項  六、国際文化交流に関する事項  七、文化財保護に関する事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中、国政に関する調査を行ないたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ――――◇―――――

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 次に、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会の協議により、文化財保護に関する調査のため、小委員十一名よりなる文化財保護に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認めます。  それでは、小委員に       小沢 一郎君    久保田円次君       河野 洋平君    谷川 和穗君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    川村 継義君       小林 信一君    正木 良明君       鈴木  一君以上十一名の方々を指名いたします。  なお、小委員長には久保田円次君を指名いたします。  なお、委員辞任に伴う小委員及び小委員長の補欠選任、小委員及び小委員長の辞任の許可及びそれに伴う補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ――――◇―――――

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。堀田政孝君。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 当面、政治の最大課題でございます公害問題に関する文部御当局の基本的なお考えをきょうは若干お伺いいたしてみたい、こう考えておりますが、まず、具体的な問題からお尋ねをします。  申すまでもございませんが、公害基本法でいわれております公害の定義にございます大気汚染あるいは悪臭の防止、騒音、これらの問題どれ一つをとりましても、学校の児童生徒等がその被害に悩んでおることは申し上げるまでもないことでございますが、これらの子供を守り、よりよい教育環境を与えてやるということが教育の目的であり、教育御当局の当面の行政目標であられると思うのでございますが、現在、学校が受けておる公害と申しますか、それの一番ひどいもの、こういうものはどういうものがあるか、教えていただきたいと思うのです。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 私のほうで調査をいたしました結果によりますと、昭和四十二年度に高等学校以下四万四千校につきましてその被害の状況を調査いたしていますが、その際には、何らかの被害を受けている学校は二千校ほどでございました。ところが、昭和四十四年の十月に、対象校約三万五千につきまして騒音と大気汚染によります被害状況を調べましたところが、小学校が約二千校、中学校が一千校、合計三千校でございまして、前回に比べまして相当の被害の伸びが見られるわけでございます。中身について申し上げますと、航空機、自動車、軌道その他の騒音によります被害が、四十二年度の場合には二百七十八というのに対しまして、四十四年度では四百七十七、大気汚染が、二百七十四校に対しまして八百三校というふうにふえているわけでございます。  全般的に申しますとただいまのような状況でございますけれども、先生の御指摘になりました非常にひどい場合と申しますと、これは騒音と大気汚染、そういうものが複合いたしまして、学校を移転しなければ児童生徒の健康、それから実際の授業に非常に支障があるというふうな状況でございます。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 そういたしますと、学校の移転をしなければならないというようなひどい状況以外のところ、ある程度予防措置なり規制措置を講じて何とか教育環境を保つことができるというようなところについては、どのような規制措置をおやりになったか、これをお知らせいただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 学校を移転しないでも済むような状態にありますものにつきましては、たとえば大気汚染の場合でございますと、二重窓をつけまして清浄装置をつける、それから騒音の場合もほぼ同じでございますけれども、たとえば防音壁その他を考える、そういうふうな対策をとっていままではやってまいったのでございます。今後も、その程度に応じまして、やはり同じような措置をする必要があるというふうに考えております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 これは防衛庁にお聞きすべきかもしれませんが、もしおわかりでございましたら数字を教えていただきたい。もしおわかりでなかったら、あとで資料でお示しを願いたいのでございますが、従来、騒音防止工事を各年度別でどのくらいの割りでおやりになっておるか。つまり、要求額に対してどういうパーセンテージくらいの充足率で防音工事をおやりになったか、あるいは、いまおっしゃった大気汚染を防止するための二重窓あるいはそのほかの工事をどの程度おやりになったかということを教えていただきたいと存じます。

大塚正名運輸省航空局飛行場部管理課長

○大塚説明員 私ども運輸省といたしましては、昭和四十二年八月に騒音防止法を制定いたしまして、東京、大阪両空港等を特定飛行場に指定いたしまして、その法律に基づきまして学校の防音工事等の助成措置を講じておるわけでございます。ただいま先生の御質問がございました、当初の地元の要求と実際の実施の比率の問題でございますけれども、私どもの所管している部分につきましては、できるだけ地元の要求をそのまま取り入れるように勘案いたしまして、予算要求をいたしておる次第でございまして、四十二年から始まりました学校の防音工事に対する助成につきましても、四十四年度予算までは要求額のほとんど全額がついているというふうに私ども考えております。その実施の比率は、ほぼ満額にひとしいということが申し上げられるかと存じます。ただ、本年度につきましては、二十八億要求いたしまして、十八億円が防音工事のための予算として御承認いただいたわけでございます。その範囲では、四十五年度につきましては、その比率が大体八四%ということに相なろうかと存じます。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 ただいまお答えいただきましたのは学校でございますが、学校類似の施設等につきましてはどういうことになっていますか。これは文部省でも運輸省でもけっこうでございます。

大塚正名運輸省航空局飛行場部管理課長

○大塚説明員 お答えいたします。  私どもの、先ほど申しました騒音防止法施行令におきましては、第四条に、児童福祉法に規定する保育所、同精神薄弱児施設、同精神薄弱児通園施設のほか、医療法に定める診療所で、運輸大臣が定める人数、つまり六人以上の患者を収容するベッドのあるもの、そういった診療所を対象にいたしております。なお、その他老人養護ホームというものも規定いたしまして、補助の対象にいたしておる次第でございます。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 防衛庁の関係でございますが、防衛施設周辺の整備等に関する法律によりまして学校教育法第一条に掲げる学校ということになっておりますが、そのほかでは児童福祉法に定める保育所、それから精神薄弱児通園施設、教護院、それから医療法に定める施設、それから生活保護法に定める救護施設、老人福祉法に定める老人ホームとか特別養護老人ホーム、そういうものが入っております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 ただいまのお答えでは、大体要求校もしくは要求施設の一〇〇%が救済されておるというお答えでございますが、どうもわれわれ――私は山形県でございますけれども、山形県にも飛行場が一つございます。私の選挙区でも、やはり要求はしているけれどもなかなか実現はしない。いろいろ基準に合わないからというようなことで予算がつかないという状況であろうと思いますが、しかし、飛行機の発着回数がふえるのは、これはもう年を追ってひどくなるばかりでございます。   〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕 同時に、飛行場の整備が強化されればされるほど、その傾向は強まるという状況でございますので、できるだけひとつこの要求に対しては、御答弁のございましたように、一〇〇%要求をいれてやるという御措置を今後ともお願いしたい、かように考えます。  その次に、もう一つお伺いしたいと思いますのは、たとえば大気汚染が非常にひどくて小児ぜんそく等が蔓延する地域、こういうようなところの児童生徒、普通の壮年者であればそうした心配はないにしても、老年もしくは児童生徒等について、やはりぜんそく等の気管支関係の疾患にかかりやすいというような地帯、これへの対策等はどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 大気汚染の防止地域におきましては、いま御指摘にありましたように、子供たちにのどの関係、気管支の関係、目の関係の疾病が、一般の非汚染地区と比べましてかなり高い率で出ているわけでございます。そのため、そういう地区におきましては、通常学校保健法できめております健康診断のほかに特別の健康診断を実施いたしまして、できるだけ早期にそういう該当児童生徒の発見につとめる、そしてそれに対処する措置を講じているというのが現在の実態でございまして、四日市、北九州市、富士市あるいは川崎市等のそうした地区におきまして、肺気腫等の検査等特別な検査を実施して、その対応策を講じております。  なお、こうした事態がありますために、施設のほうでは空調施設を入れる等のことによりまして、室内の空気の浄化につとめるというような措置を進めているところでございます。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 とりあえずの対策としてはやむを得ないと考えておりますが、しかし、これから十年後の日本の状態を考えますと、自動車の保有台数にしても三倍ないし三倍半になるであろう、あるいは道路の建設、新幹線の建設あるいは飛行場の整備等は、おそらくいまの五倍程度に達するのではないだろうか。GNPが四倍になり、NDの消費が同じくやはり四倍になるという状況でございますし、経済企画庁などのお話では、鉄鋼の生産が二倍、石油化学の消費量が五倍というようなべらぼうな状況になるということでございますから、そのときの教育環境を考えてみますと、いまわれわれが考えていることとは想像を絶するような状況になるのではないだろうか。したがって、もっと具体的なことを申しますと、いまのたとえば飛行場の離着陸のコースの下にある学校が、防音装置の工事だけで何とか急場をしのいでいるその状況が、今度はジェット機が排出いたします例の排気ガス、これがそのまま下におりるというようなことからガス排除に対する処置、こういうようなものも当然出てまいりますでしょうし、同時に、大工業地帯の大気汚染の問題は、もっともっとひどい問題になるのではないだろうか。おそらく学校などは、工業地帯には置けなくなるのではないだろうかというような懸念を私どもは持っておりますけれでも、ちょうど太平洋戦争中にわれわれの先輩が考えた学童の疎開、少なくとも成長期にある子供は疎開をさせてそこで勉強させるとか、あるいはそういう地区には学校を置かないで、抜本的に学校は全部移転してしまう、工業地帯あるいは飛行場等の滑走路のそばにあるようなものは全部移転をしてしまうといったような、抜本的な対策を将来お考えになる必要があるのではないだろうかというようなことを考えておりますが、この点はいかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 子供たちを公害から直接守っていくということも非常に大切ではございますが、さらに、積極的にこの子供たちを自然の環境に親しませるという政策もとっていかなければならぬのではないかというふうに考えております。したがいまして、少年自然の家等を順次推進してまいりたいというふうに考えておりますし、また、御指摘のジェット機発着の飛行場周辺における住宅及び学校等が――どういたしましても住宅があれば学校を建てなければならぬという事情にあるかと思いますが、おそらく将来におきましては、そういう周辺には住宅地というものもだんだん計画的に建てられるということになろうかと思います。したがいまして、それに準じまして学校等も直接の被害を受けないような環境に建てるという一つの考え方も出てまいるかと思いますし、私たちもそういうようなことに御協力を申し上げていかなければならない、かように考えておるわけでございます。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 今回政府から御提案になっております悪臭防止法で、新たに都道府県知事が、住民の集合地域あるいは病院、学校等の周辺地区などの悪臭の発するようなところ、これを規制地域に指定して法律措置を講ずる、こういうような法案を提出しておりますが、周辺施設に対する規制で悪臭が防止できないような状態、つまり悪臭を発するような工場に規制措置を講じてそれを防止するということだけでは規制できないような状態、たとえば、飛行場の例をまたあげて恐縮でございますが、私は羽田の飛行場に参りますと、あそこの航空燃料のにおいでかなり刺激をされます。非常に長時間おりますと、不愉快な感じがいたしてまいります。あのようなにおいが将来ともに飛行場の周辺に漂うというようなことも、やはり考えていかなければならない。したがって、その悪臭防止法による周辺施設の規制だけではどうにもならない、こういうようなことにつきましては、政府としては将来どういうふうに措置をしていくおつもりなのか、お示しを願いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 いままで私どもが公害対策としておりますのは、騒音の関係、大気汚染の関係、これは一応基準がございまして、たとえば騒音でございますと、窓を締めた状態で教室のまん中で五十ホンとか、あるいは大気汚染の関係でございますと、たとえば硫黄酸化物でございますと一日の平均が〇・〇五PPM、一時間の値が〇・一PPM以下という基準になるわけでございます。悪臭の場合にはどういうふうな基準ができますか、いまのところ私ども承知していないわけでございますが、そういうような基準ができました場合に、客観的に見てそれを越えるものというふうな場合がございました場合には、やはり大気汚染などと同じような扱いをせざるを得ないということでございます。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 騒音の問題について防衛庁に若干お聞きをしようと思いましたが、ほかの委員会の関係で御出席できないようでございますので、資料で後刻お願いをいたしたいと思っております。  次の問題でありますが、結局公害問題というのは非常に入り組んだ複雑な問題で、公害の発生を防ぎ、われわれの生活環境を整備すると申しましても、なかなかそう尋常一様にはまいらない。しかも将来これはますますそういうような傾向になるということは、皆さますべてそう御理解になっておると思うのでございますが、そのために私は一つ心配があるのは、たとえばトラブルが起きたときに、必ずその原因を示せ、因果関係が一体はっきりしておるのか、証明できるのかというやりとりが、加害者と被害者と称せられる者の間で行なわれていくということであります。これは、特にはなはだしい場合にはそういうことは起こらないかもしれませんが、しかし、非常に微妙な問題、しかもその被害者がばらばらの市民である、集団をなしていない市民であるといったような場合には、証明してみろ、あるいは因果関係をはっきりさせてみろというようなことを言いましても、なかなかできるものではない。そういうところで、やはり科学的なきめ手を何らかつけるような組織的な措置、これを国としてはお考えいただかなければいけないのではないか。そのためには、もっともっと公害に関するいろいろな研究機関なり、あるいは科学の開発、研究者の勉強を願いたいと思うのであります。  そこで、その致命的な問題というのは、たとえば公衆衛生の立場から、疫病、疫学上の原因を示しますときには統計数字をもって示すわけです。ところが、理工科系の実験をおもにした学者は、実験に基づく因果関係、これを必ず要求いたします。したがって、両者が話し合いをするときには、なかなか話が軌道に乗らないということが致命的に生じます。それから経済活動をいろいろと判定する場合に、理工系の立場から学者が判断をし、同時に、大気汚染だとかあるいは水質汚濁、そういう問題を論議するときには、物理、化学、土木、生物学等の学者がこれについては意見を入れ、あるいは健康管理とか環境整備等については医学あるいは農林水産学と申しますか、そういう学者たちがやはりそれぞれの意見を言う。なかなか三者の、あるいは大きく分けますと、二つのグループの学者の意見が一致しないということが致命的な問題じゃないだろうか。そういう問題について、今後文部省としては、国立大学あるいはそのほかの研究所、研究施設を通じて大いに開発をしておいきになるというおつもりだろうと思いますが、どういうような見通しと確信をお持ちになっておるか、伺いたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山政府委員 御指摘のように、公害は法律できめております典型的なものだけでも七種類ほどありまして、その態様は多種多様であります。したがって、その原因と結果の因果関係などのつかみ方につきましても、きわめて複雑なものがあります。たとえば騒音でありますとか振動でありますとか、こういう問題につきましては比較的原因と結果の関係がつかみやすうございますが、たとえば大気汚染でありますとか水質汚濁といったようなことになりますと、発生原因と結果の間にいろいろ拡散現象などがはさまりましてつかみがたい。そこで、学者がいろいろな立場からいろいろな研究をし、結論が必ずしも一様でないということは御指摘のとおりであります。そういう問題につきまして、文部省としてはこういう問題の研究を大学の関連の学部、学科、講座、研究所等の研究活動を通じ、また必要な費用につきましては科学研究費の採択などを通じまして助成振興をはかっていくつもりでありまして、現在までも相当程度の、たとえば科学研究費にいたしましても最近数年間に二百四、五十件、金額にいたしまして三億をこえる程度の費用を支出しております。こういう努力は今後も続けてまいりたいと思いますけれども、御指摘のように、その結論が区々にわたらないように統一させる方策いかんということにたりますと、学問の研究はいろいろな立場でやりますので、研究それ自体としては、結論を統一させるということはなかなかむずかしいのではないかという気がいたします。そこで、やはり研究は研究といたしまして、公害の対策というような角度から結論をなるべくまとめるためには、文部省における学問の研究というような基礎的な問題のほかに、もっと行政的な対応というようなことが必要になるのではなかろうかと思います。そういうことになりますと、直接の所管といたしましては総理府でおまとめになっておられますし、それから人体に対する影響というようなことになりますと、どうしても厚生省あたりが中心になろうかと思います。文部省としてはそれらの行政的対応が学問的な基礎を持ち得るように従来もやってまいりましたけれども、これからも関連の大学の学科あるいは研究施設、あるいは研究費の拡充といったことに努力をしてまいりたい、かように思っております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 お尋ねをいたします前に、先ほど私、質問の中で失言をいたしておりますので訂正をさせていただきたいと思いますのは、悪臭防止法が提出をされているがというふうに先ほど申し上げましたが、提出されるやに聞くがという意味でございましたので、訂正いたします。  ただいまの御答弁でよくわかったのでございますが、確かになかなか結論が出るはずはないので、八〇%大体わかったところであとの二〇%をおきめになるのは、これは行政官であり、大臣であるというふうに私も思いますけれども、ただ極端なことをいいますと、学者というものはセクショナリズムと申しますか、たとえば何々大学グループというのは何々大学グループでかたまってしまって、Aという意見を押し通すと、B大学グループというのはそれに対してなかなか同調しないというような傾向があるやに私は聞いております。したがって、公害問題に関することを先ほど私はいろいろ申し上げましたが、総合的な判断をする学者を一カ所に集めて、そうして一〇〇%の結論、ぴったりした結論は出ないまでも、八〇%くらいだろうなという結論が出るような機関をおつくりになったならば一番いいのじゃないか、そういうようなことはお考えにはなれないだろうかというお尋ねなのでございます。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山政府委員 十分なお答えは文部省としてはできかねるかと思いますけれども、文部省といたしましては、なるべくしっかりした基礎を与えるような学問研究を促進するということで努力いたしております。政府全体といたしましては、私必ずしもお答えする立場ではないかもしれませんけれども、御承知のように、総理府に統一的な対処の機構が設けられております。そういうところで、対処のしかたがばらばらにならないようにできるだけ配慮されると思いますし、文部省としても文部省の立場でそれに御協力申し上げたい、かように思っております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 もう一歩、念を押すようでございますけれども、さらに将来の公害の複雑な様相を想定いたしまして、たとえば新しくシステム化される科学技術の開発といいますか、ちょっときざな言い方でありますけれども、新しくシステム化されるような科学技術、そういうものを考えた国家機関を将来お考えいただけないものだろうか。たとえば全然公害を発生しない自動車、電気で走るような自動車、あるいは窒素酸化物に対する対策を基本的に研究するような学者グループ、あるいはいま水の処理は第二次処理まで下水道処理でやっておりますけれども、それを三次処理までやる、そして水の自然化というものを保持する、あるいはさらに新しく問題になってきて頭の痛い問題でございます廃棄物の処理技術、これはたいへんむずかしい問題でございますけれども、廃棄物の処理技術を考えるといったような、そういうシステム化された新しい科学技術の総合研究機関といったようなものを将来国でお考えいただいて、国の機関として設置をしていただくようなお考えはないかどうかという点でございます。  なぜ私はそういうことを言うかといいますと、いま一番多い自動車の追突事故で被害者と加害者がけんかをいたします。そのときに、保険会社が一緒になりまして補償額が多いとか少ないとか、あるいは加害者の言い分がどうだこうだということで盛んにけんかをいたしますが、最後に私どもはだれの意見を聞いたらいいのかというと、東京労災病院の外科部長であります。この人がその問題については一番深く研究をしておられて権威のある意見を持たれるというので、外科部長のところにみんな行く。多少文句があっても、外科部長の裁断があればみんな従うという現状でございます。私も実はこの間追突を受けまして、いますったもんだやっているわけでございますが、そういうような自分の体験からいたしまして、国家機関でそういう権威ある機関をつくられれば、公害問題でいま言ったような四の五のというようなよけいなエネルギーを使う余地はなくなるのじゃないか。ぜひひとつ将来お考えいただきたいと考えるわけでございます。  それから次に、これも関連をした問題でございますけれども、今度は児童生徒の問題について、私は、社会問題調査所というところでつくりました若い人の意識調査の資料を読んでおりましたところが、非常におもしろい統計数字が出ております。それは、あなたは地震、雷、火事、おやじのうちでは何が一番おっかないか、といったところが、地震である。これは当然であります。それでは、交通事故、戦争、ガン、公害のうちでは何が一番おそろしいかという質問に対しまして、これは全部十代の若い方が交通事故ということをいっております。もちろん一番多いのは戦争でございまして、大体三〇%から五〇%までは戦争ということをいっておりますが、交通事故というのが意外に多い。ほとんど戦争に匹敵するくらいこわいのは交通事故である。それから公害というのは、この数字で見ますと少ないところで大体三%、多いところで一三%ぐらいのものでございます。したがって、交通事故が非常におそれられているということ。それから公害ということがわりに理解をされていない。私は交通事故を含めた公害というものを考えておりましたが、おそらく公害と交通事故は違うのだというふうに若い人たちは考えて、公害というのはあまりぴんときてないんじゃないかというようなところから、公害についての教育、これを今後は徹底してやっていただかないと困るのではないかと思いますが、公害に対する正しい考えを身につけさせるためにどのような方策をお考えになっているか、これをお伺いしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 公害問題に対する文部省としての基本的な姿勢について、まずお答え申し上げたいと思います。  公害の防止と根絶をはかるためには、基本的には、やはり国民の一人一人が自分たちの国土や生活環境を守っていく責任というものを、自覚を失ってはならないと思います。このような観点から、御指摘になりましたように、学校教育あるいは社会教育を通じまして、公害問題に対する正しい考え方や取り組み方を身につけさせるため、公害に対する教育の充実をはかってまいらなければならないと考えております。  また、公害問題に対処するについては、公害の発生を防ぎ、生活環境を守るための科学的な研究開発を行なうことはきわめて重要でありまして、そのことはただいまも申し上げたとおりであります。  また、今日のような状況におきまして、生徒たちみずからが公害のおそろしさ、危険というもの、またそれに対してどうやって守っていくかということがよくわかるために、十分な指導あるいは教育をやっていかなければならぬと思うわけでございますが、やはり公害発生地区というものは日本列島全体でかなり格差がございますし、はなはだしいところにおいては公害というものが最大の課題でございますけれども、他の地区においてはほとんどそういうものがない。ただ新聞、ラジオ、テレビ等においてわかるというような程度かと思います。そういうことで、全体としての調査からいうとかなり比が小さいかもしれませんが、しかし、局限された汚染地区におきましてはきわめてその意識が高いのではないかというふうに思っております。しかし、これから、先生も御指摘のとおり、公害問題はかなり深刻になってまいりますので、そのために生徒、児童を守る、またみずからもこれに対処する、あるいは認識を持つということのために、学校教育の中で重要なウエートを持ってこなければならない、あるいは学校教育の中においてもこれを重要な課題として取り上げていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、教育課程の改定につきましては十分注意をしてまいっておるところでございますし、また教科書等の記述等についても、公害に関する取り上げ方について指導いたしておるところでございます。しかしながら、今度の国会を契機といたしまして、まだまだ不十分な個所がございます。したがいまして、指導要領等において不十分なところにおきましては、これからの行政の中において、あるいは指導資料等を通じまして、従来の不十分であった個所等についてはこれを是正し、改正していきたいというふうに考えておりますし、また、そういう具体的な問題点についてはただいま検討をいたしておるということであります。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 そういたしますと、公害というものは一体どういうものであって、どのようにこれに対処をし、どのように解決をしたらいいかということに取り組むために教育課程を改定する、あるいは教師の特別教育をやる、あるいは教科書を新たにつくるというようなことは、まだ全然お考えになっていないというふうに解してよろしゅうございますか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたが、多少補足いたします。  公害につきましては、先生御指摘のような観点から、まず生命の尊重、健康第一、こういう観点に立ちまして従来から、公害基本法もございますし、そういう趣旨を受けまして、文部省が基本的になすべきことは、まず教育課程の基準、いわゆる学習指導要領の作成ということであろうと思います。さらには、適切な教科書が編集されるように検定をしていく。この二点であろうと思いますが、そういう観点から、来年から新しい教科書が小学校で使われますし、四十七年度から中学校、四十八年度から高等学校で、それぞれ新しい学習指導要領に基づいての新しい教科書が使われます。その場合の学習指導要領におきましては、いま申しましたような趣旨から、具体的に申しますと公害の種類、発生原因、さらに人体とか文化財に与えます影響、さらには、その公害防止についての対策、努力、こういったようなものを学習指導要領には基準として示しております。従来と申しますか現在行なわれております学習指導要領、これは十年前につくられたものでございまして、今日のような公害問題が強く叫ばれないときに書かれましたので、いま申しましたような点を十分念頭に置きまして新しい指導要領をつくっております。それに基づいて新しい教科書も検定いたしております。  ただ、それにいたしましても世の中が日進月歩の世の中でございますし、時々刻々変わっていく社会事象のようなもの、これは、教科書等は基本的なことを記載いたしますので、非常にアップツーデートなことはそこまで書けない。たとえば公害基本法の改正案が今国会に出されておりますが、そういった改正案を見越してまでのことは書かれておりませんので、そういったようなことで今国会で公害基本法の改正ができますれば、今後その趣旨に沿った指導もし、また教科書等の一部に、表現そのものが間違っておるというわけではございませんが、より一そう誤解を招かないように、より一そう公害基本法の改正の趣旨に沿ったことを表現する必要がございますれば、教科書というものは文部省でこういうふうに書けというものではございませんので、すでに来年から使われる教科書等につきましても、編集発行者のほうでそういう点を頭に置いて是正したいというようなことでございますれば、文部省としてもそうすることが望ましいと考えれば適当な措置をして、要するに国会で審議されておりますような、また国民の最大関心事である公害について適切な教育ができるということを念頭に置いて、できる限りの措置をしていきたい、こういうふうに考えております。また、従来からそのようにやっております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 それでは結論をお伺いいたしたいと思いますが、「エコノミスト」の十二月八日号に民社の麻生さんが「公害二題」というエッセイを書いておられます。そのエッセイの中には、陳情に来られた選挙区のおかみさんたちが、汚物処理の処理場を置かれるのは困る、何とかしてくれ、こういうお話だった。その汚物はだれが出したんだ。いや、われわれが出したんだ。あなた方が出したんならば、それはあなた方の汚物なんじゃないか。そうなんだ、しかし、その汚物の処理をわれわれのところに置かれるのは困るんだ。その汚物が出ないようにしたらいいじゃないか。出ないようにといったって、生きている以上は出さざるを得ないのだ。それじゃ、あんた、死んだらどうだ。こう言ったらおこって帰っちゃった。こういうエッセイでございました。しかし、私に言わせますと、公害に対する対処のしかた、つまり、いろいろなむずかしい問題があるけれども、私の村、私の町、私の家のそばからそういうものがなければかまわないのだ、それはもう根本的な解決にならなくても、私のところさえ迷惑をこうむらなきゃいいんだといったような意識が、もし一般国民の中に一般的であるとするならば、なかなかこれは解決のつかない問題じゃないだろうか。そこで、先ほど来たびたび繰り返してお伺いしておりますような、子供のときから公害というものについての基本的な考え方をはっきりさせておくべきではないか。もちろん、それには、権利の主張にははっきりした義務の裏づけというものが必要なんだということもありますけれども、公害教育の大事さということについては特段の御配慮をいただきたい、こう思いますので、繰り返しお尋ねしたわけでございます。この点についての文部省としての基本的な姿勢と申しますか、御方針と申しますか、これをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 非常な大事な御質問でございますが、私も全く同じような考え方を持っておるわけでございまして、結局は、人としての道徳の問題までにもさかのぼらなければ、最終的な解決というものはできないのじゃないかというふうに思うわけでございまして、しかもそれはおとなだけで処理できる問題ではない。むしろ、次の世代を負う青少年が、子供のうちからそういうものを身につけるということが一番肝心だというふうに思いますし、まず第一に、子供のときに、自分だけで世の中を渡っていけないのだ、そしてまた、自分のやることなすことが、どういうふうにこの社会あるいはほかの人たちに影響を及ぼすかということを十分考えることのできるような青少年を育成していかなければならない。自分さえよければというような子供たちが育ちますと、結局そういうおとなたちが一ぱいできるということになりますし、また、そういうような人たちが企業に入りますと、やはりそういうような企業だけの中心の行き方になる。そして公害を起こしても、それを何ら自覚、反省がないということにもつながっていくのじゃないか。まあそういう意味から、やはり人に迷惑をかけないというような気持ちを持たせるというようなこと、そしてまた、同時に、生命あるいは健康を維持するということが、いかに人間生活を営む上において大事なことであるか、そして自分がそう感ずることは、同時に他人もそのように感じておるということを、やはり小さいときから自覚させるということが大事だと思うし、これこそまた教育の問題だというふうに考えております。

堀田政孝自由民主党

○堀田委員 質問を終わります。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員長代理 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ただいま公害問題の合同審査なしておるのですが、行政的立場からの議論がおもなので、人間形成から公害問題を論ずる点は非常に希薄である。これは私はまことに遺憾に思っておるので、そういう立場に限定をして、教育政策として公害問題をもっと真剣に取り上げるべきではないかという立場で御質問をしたいと思うのです。時間がないので、端的にむだ口を言わないでお聞きしますから、また簡単明瞭にお答え願って、教育政策として公害が予防されるように今後の発展、推進をひとつ期待したいと思うのです。  まず、具体的に一つの問題として、この間、わが党の土井たか子委員から教科書の問題についての質問がありました。すなわち、公害を防ぐことも大事であるけれども、工場もつぶれては困るというふうなムードの教科書の記事についての質問があった。それに対して文部大臣は、早急に内容を検討して、問題があれば検討しますとお答えになった。この点について、その後どういうふうに文部省内において論議をされておるか、それをお聞きいたしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 あの教科書については、土井委員からお尋ねのときには全体を読んでおりませんでしたので、あとで私は読んでみました。教科書全体を通してみますと、公害についていろいろな角度から児童に考えさせるように構成され、記述されていると認められるのでありますが、しかし、問題とされました記述だけを取り上げてみますると、教科書として誤解を生ずるおそれが全くないとはいえないというふうに私は考えるわけでございまして、これは発行者におきましてもこの記述につきまして自発的に、もし何らかの改定ができるならばやりたいというような気持ちも持っておるようでございます。したがいまして、いま検討いたしておるわけでございます。仄聞いたしまするのに、これが幸いなことに来年後期から使う教科書であるということでございますので、もし手直しができるというようなことであると非常に幸いであるというふうに思います。そういうことで、もし修正が必要であるというような結論に達しますと、正誤修正の取り扱いというやり方で処理をする考えでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 善処方を要望いたしておきます。教科書会社のほうも考えておるのですから、新しい法案もできるとその思想に基づいて当然事情変更があるのですから、そういう指導をぜひしてもらいたい。  なお、一般的に文部省の通牒で――公害に対する思想、考え方というものが、まだ明確なことが常識化しておらない。公害と環境の調和という思想がどうも常識である。やはり人間優先、生命優先という思想を教育政策としては強調していくべきではないか。したがって、そういう通牒を一般的にお出しになるべきだと思うのですが、大臣、いかがでしょう。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 実は今回の指導要領におきましては、今回の公害基本法の趣旨にのっとりまして問題の個所を改正しておるわけでございます。一応、局長から御説明いたします。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 実はきのう参議院の文教委員会でもその件に関する御質問がございまして、学習指導要領は、先生御承知のように、審議会の答申を受けまして、教科書が子供に渡るまでの過程が三年半ばかりかかるわけでございまして、その間、たとえば学習指導要領の改定につきましては中間報告を出します。それで、高等学校の学習指導要領、実は学習指導要領の改定の中間報告を五月に出したわけでございます。ところが、五月に出しまして、それから十月に告示をいたしたわけでございますが、その間に相当の動きもございまして、中間報告のときには、いま先生がおっしゃいます公害基本法は一条の目的の二項が削られておりますが、その二項がございます。現在のような立場から五月の中間報告は出されておったわけです。しかし、いろいろ論議の末、十月に告示をいたしましたものは、いまの公害基本法の一条の目的のところで二項を削りました、そういう趣旨のものを書いております。そういうことで、今日、今国会で審議されております基本法の改正につきましては、私どもも、より一そう人命尊重、国民の健康優先という趣旨でございますので、通達でいたしますか何でいたしますかは別として、指導資料等で補充できるものはしたいと思っておりますし、それで足りなければ講習会、研修会の席でいろいろ指導する、さらにそれ以上のことが必要であれば、遺憾のないような措置をしたいというふうに考えておりますので、具体的にどうするということは今国会で法案が成立した後にさしていただきたいと思いますが、前向きに措置したいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 考え方の問題ですが、指導要領というものは、一たんきめると十年あるいは二十年それが基準になるものです。しかし、その間に新しい社会情勢の変化があり、あるいは国において新しい立法ができる、そうすると、同時に指導要領自体も国としては変更しなければならぬ新しい事情ができた、こういうときには、指導要領がまだあと十年ほど改正できないというふうなことは指導行政としては不適当だから、こういう場合に、新しい立法ができたときには指導要領を、中間報告でなくても決定したものであっても、指導行政の立場からその内容について修正を加えるということは当然正しい行政だと思うのですね。そういう観点において処理されたい。いまの御答弁、その趣旨ですね。それで、教科書とこの関係については、文部省においては善処するということを大体前向きで答弁があったので、これでけっこうです。大いに実効あるようにしてください。  ただ一つ遺憾なことには、宮地初中局長に苦言を呈したいのですが、文部大臣が答弁において、事情がわからないけれども中身をよく検討して善処したいとつつしんで答弁をしておるのだが、新聞ではどうもあなたは、「連合審査会に出ていて聞いたが、大変に意地の悪い質問だ。」こういう放言をまたしている。あなたはよく放言するのですね。そして、「現実に工場をつぶさないように、少々の公害は忍べといっている人もあり、その意見をのせてもおかしくない。」このことは不見識じゃないですか。ことに、いまのようにこれほど公害が政治問題になっておって、文部大臣が謙虚に答えておるのに、同じ新聞の記事だ。文部省の宮地初等中等教育局長の話はこういうことを言っている。家永教科書のときには、また判決に対してちょっと行き過ぎの通牒を出して、今度はまたこういうときに放言をされる。慎むべきではないですか。宮地さんどうですか。これであたりまえだと思っておるのですか。率直にここで言い直すのなら言い直しておきなさいよ。あなたの心境を聞いて次へ移る。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 実はその点、昨日も参議院の文教委員会で社会党の先生から言われましたが、特に弁解するつもりはございませんが、参議院の文教のほうでは、私がそういう談話を発表したようだが云々と、先生の御趣旨のような御質問がございました。私は決して談話を発表したわけでもございませんが、土曜日の連合審査会がありました夜でございました。八時か九時ごろある新聞社の方が電話で聞いてこられまして、確かにそういう御質問であったけれども、それは学校図書会社で出しております小学校社会五年下にございまして、一〇四ページから一〇五ページまでの記事でございますが、私は決して質問者に対してどうということではございませんが、大臣が、質問者が一行ばかりお読みになられたこの本を大臣自身自分は見てないとおっしゃいましたので、全体を読んでいただくとある程度理解もできるようには書いてあると思うという趣旨のことを申しました。電話でございましたのでいろいろやりとりがあって、それでは全体を読んだほうがあなたとしてはよくわかったということかということですから、一行だけでなくて、全体を読んだほうが、二ページばかり読まれたほうが大体の趣旨はわかるのではないか、質問者が言われたように一行だけでは、間違っておるとは申しませんが、ことさらそういうふうに重点が置かれる、全体を読めばそれほどでもないということを申しました。そうしましたら、結局一行だけ読んで全体を読まなかったということは、質問者としては意地が悪いということですか。まあそういうことでございましょうかということを申しました。それによりまして山中先生等からいろいろ不見識というような誤解が生ずるとしますれば本意ではございませんので、私ごときが取り消すとか取り消さぬとかいう問題ではございませんが、そういう意味で申しましたので、誤解を生むとすれば取り消したいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ものの考え方をこの機会に変えなければならぬと思うから言っておるので、たとえば総理大臣も、島本委員の六月の国会の質問のときに、公害というのは必要悪だという答弁をしている。そこで、工場もつぶれては困るという思想、この思想は、公害基本法においてもいまこの調和の思想をとっていこうとしているのだから、少なくとも人間形成の立場に立って、未成熟の子供に対して人命尊重というのだけを無条件に徹底させなければならぬのが教育なんだから、初中局長がこういうことを言うことは非常に不用意である。それは教科書全体の中で公害というものを特に取り上げて論議をしておる審議なんですから、教科書を全部読まなければならぬというよけいなことをおっしゃるのは、やはり思想の問題がちょっとあるので、もう一歩前進しなければいかぬのじゃないか。教育政策としてそれをぼくは強調しておるので、ここで時間を何だかんだ費やすことはしませんが、やはりすなおにその辺は、文部省は教育政策の立場で一般の論議よりも一歩前進すべきだ、そういうことを私は申し上げたい。  次に、教育環境保全のことについて申し上げたいのですが、読売新聞の十二月七日の写真を見たのです。神奈川県の川崎市立渡田小学校の校内において、一列行列で子供たちが結膜炎の巡回診療を受けておる。五人に一人が患者というので大きく読売新聞に載っておる。これを見たときに、教育政策というものがないために、厚生行政が学校の中まで入ってきているという感じがした。この絵を見たときに、私は、教育政策不在という感じが非常に濃厚にいたしました。そこで、こういう状況が大都市にたくさんあるということを考えたときに、教育政策としてこういう学校公害というものをなくしていくについて、相当積極的に文部省は考えるべきだ。その方法について二、三考えてみておるのですが、これも説明を省きます。大臣に御意見を聞いておきたいと思うのですが、はなはだしくひどいときには学校移転という問題が出るだろう。その学校移転のときには、特別にこういう公害問題の処理として、全額国庫負担で学校移転をさすというぐらいの政策が要ると思うのですが、これは大臣、いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点は、気持ちとしてはおっしゃるとおりに私も考えておりますが、具体的にどういうふうにやったほうがいいのか、まだそこまで考えていないわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 簡単に全額支出しますとは大蔵大臣でも言えないと思いますが、結局は補助と起債の裏づけをしてやらないとおそらくできないと思います。そのくらいの措置は前向きで検討されてしかるべきだ。そういう方向で検討してください。  それから第二に、空気が非常に汚染をしており、ぜんそくとか結膜炎が五人に一人というふうにふえるような大都市の小中学校を見たときに、むしろ学校の緑化をしたらどうか。周辺に思い切って植物を植えるとか、こういうことはそう金もかからないんだから。学校環境で、そう金はかからないでその付近に酸素をもっと多く出すような、そういう学校の緑化ということはどうでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その点も、私はできるだけ緑化の方向で考えていかなければならない、そのことはやはり教育環境の中の非常に大事な点だというふうに思っております。子供たちは、やはり自然を見るということ、特に校舎が最近、これまた地震、火事あるいは津波等の災害の防止のために鉄筋コンクリートになったことは、一面においてはけっこうでございますけれども、同時に、生きとし生けるものといいますか、生命あるもの、緑したたるもの、そういう自然なものを見る機会が非常に少なくなった。それで今日の文明社会というものは、ことばをかえて言うならば加工された社会なんだ、そこに一つの人間不在とかあるいは潤いのある情緒が出てこないという問題があると私は思います。その意味において学校に緑したたる植物を植えるというようなことは、おっしゃるとおり、人間教育をやる上においても非常に大事な点だというふうに考えております。ただ、これは具体的にどういうふうにやっていくかということについては、検討させていただきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 植物生態学の学者に言わせると、人間は植物の寄生虫だ、植物の出しておる酸素をとって、そして人間の生命が保持されているんだから、いまのように植物がなくなってくると人間自身も死滅するのだから、思い切って全国の小中学校を緑化するような一つのロマンを持った予算要求をして、坂田文部大臣時代に日本の学校が全部緑の中の学校になった、そういうものを歴史に残してもらいたい。こういう公害のときにせめて--これは金はそんなにかからぬですよ。苗圃その他からある程度してやればいいんだから、前向きで検討してもらいたいと思います。  それから次に、児童生徒の保護ということが問題になるのですが、ちょっと頭に浮かべてみましても、通学道路の問題あるいはガードレールの問題、あるいは学校に通うとき必要な場所には信号機、歩道橋を増設するとか、通学時には、このごろ銀座その他に行くと歩行者天国にしておるのですが、その間の自動車停止地区をつくるとか、あるいは学校給食に食品公害をなくすための措置をするとか、教育行政としてなすべきことがたくさんあると私は思うのです。そういうことを私は考えてみるべきであると思うのですが、予算要求その他の中でそういう配慮がありますか。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 いま御指摘のございました子供の通学路の安全等も非常に大事な問題でございまして、通学の安全確保のためには、従来から集団登校あるいはあまり大きい集団にしてはいけないとか、いろいろこまかい指導をしてまいりましたけれども、子供の側に指導するだけではどうにもならない状況になってまいりました。そこで、正確な日にちは記憶しておりませんが、十月の初めか九月の終わりごろだったと思いますけれども、総理府及び警察庁、建設省、関係当局と相談をいたしまして、子供の通学路の安全確保のために積極的に施設を道路施設として整備をしていただきたい、それと同時に、また登校時間については車の交通規制を少し積極的に押し出していただきたいということを私どものほうからお願いをいたしまして、書面でも関係省庁了解のことというので下部の教育委員会にも通達をいたしました。行政当局がと申しますか教育委員会自体が、この段階ではもう少し積極的に管内の学校全体の通学路を点検する必要があるというふうに考えましてそのような指導をいたし、現在、ある地区をどのくらいに把握して関係者にどのような要望、意見を出しておるか取りまとめておるところでございまして、今月中には全国的にその概況が集まってくる予定になっております。この道路の措置につきましては、具体的な施策をとりますのがむしろ警察庁の関係であり、あるいは建設省の関係でございますので、そちらのほうへ予算を思い切って計上していただくことをお願いしてございます。  なお、子供の健康という点から栄養を考えるということは非常に大事なことでございますので、従来、学校給食につきましてはミルクを中心にしていい食事をつくっていただくということで、これまた具体的な食事全体につきましては末端の学校の努力にまつという姿勢を持ってきたわけでございますが、御指摘のように、かなり責任をもって食品の管理をしなければならぬという今日の時代になっておりますので、学校で使います給食物資につきましては、できるだけ市町村の当局あるいはまた県の関係者が食品管理について指導ができるようにしたいということで、来年の予算要求には、都道府県の給食会を中心にしまして食品の分析等の機能が持てる、必要な指導が持てる予算要求をいま私のほうでしているところでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その線でひとつ大いに予算要求をしてもらって、われわれも大いに協力したいと思いますから、遠慮なくどんどんやって、がんばってもらいたいと思います。  そこで、いま申し上げたことを総合して文部大臣に意見を聞きたいと思うのですが、学校環境の保全、これも何か特別措置が要るように思う。それから学校周辺にキャバレーができるとか公害企業が出る、したがって、学校周辺の教育的保護というような措置も要る。都市計画その他における特例法が要る。それから、学校の緑化というようなことについても特別の措置が要る。さらに、指導要領というふうなものも、一たんきまったけれども、事情変更あるいは公害立法ができることによって一部修正をしなければならぬ。その場合に、特別の措置として、指導行政で文部大臣が権限を持つということも必要ではないか。そういうことを考えますと、公害から教育を守る特別措置法といいますか、そういう立法を考えてもいいのじゃないか。そうでなければ、一般の文部省の予算要求の姿ならば公害防止の教育政策は推進しない。今度の国会においても各省からは公害関係の立法が出ておるが、教育政策からは何もない。これは遠慮なく文部省において立法措置をしなければ、いま大臣と意見交換をしたようなことはできないのじゃないか。そういうことを考えて教育環境保全、あるいは公害学校の移転、あるいは学校環境の改善、緑化のような問題、あるいは指導要領の特別処理というようなものも含んで特別措置法というものを考えるべきではないかと思うのですが、文部大臣の御意見を聞いておきたいと思います。検討されてはいかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 おっしゃる趣旨は全く同感なんです。ただ、それを法律によってやったほうがいいのかどうなのかということについては、まだ私もしかとそうでございますとは実は申し上げられない。むしろ考えてみますと、文部省としての、文部行政としての中身は一体何なんだといったら、教育環境、教育条件の整備ということに尽きるわけなんで、文部省のいままでやっておりますことそれ自身が、いまおっしゃるような教育を守る措置法ということになるのじゃないか。ですから、いまいろいろ御指摘になりました点はわれわれ、もっともだと思います。それを総合的に私たちとしてとらえていく、そして予算等においても十分獲得する努力をしたい、かように考えるわけでございます。おっしゃることはまさに同感でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 同感で、あとはわからないのだが、たとえば文化財保護にしても、このごろ地域保護というようなことが出て、立法論が出ているわけです。技術革新のために公害が発生して政治問題化し、各方面から立法運動が出ておる。ひとり文教関係が遠慮しておる必要はないので、子供を守るという大事な問題がありますから、私はこういう問題は立法措置というものを積極的に考えていいのじゃないかと思うので、私自身は考えるべきだと思うのです。与党の河野委員長代理、ここに大幹部もおられるようだが、そういう検討をされてしかるべきだ。各党一緒になってやってもいいと思うのです。どうも厚生行政だ何行政だばかりで、あれは当面の一般の対策なんです、企業というものを教育環境からある程度排除するというのは、これは立法力でなければできないのですから、遠慮なくやるべきである、私はそういう検討を切望しておきます。もう少し深めていきたいのだが、あとの方もあるようですから問題提起をしておきます。  最後に、こういう公害問題が起こったときに、私は、学問のあり方、教育のあり方を根本的に検討すべき問題が提起されておるのではないかと思うのです。たとえばヒューマニズムというものも、人類エゴイズムという立場に立たない教育原理、これを考え直さなければならぬ。人間だけを中心に考えないで、植物、動物、自然環境というものを考えた最近の生態学という学問の上から見た人間像、教育目標を立てる、あるいは教育原理の中に根本的に考えなければならぬ問題が提起されているのじゃないか。そのために、政治の場合についても、人間エゴイズムで企業の立場から生産、そして消費、そこから出てくる廃棄物が、自然に還元できない部分が公害になっているのだということを考えると、われわれは国民教育の教育思想を根本的に検討すべき必要がある。  私は、新聞の日本公害地図というのを見たのです。これを見ると、周辺の海の半分は汚濁しておる。北海道から九州に至るまで、大体六十幾つの公害地区がある。日本列島は公害列島になっている。そしてアラビアの石油を持ってきて、その石油を日本列島の中で工業原料に使うために、日本列島の上に大気汚染をしておるのだということを考えたときに、これは日本の国土全体、国民全体の問題として、国民教育の教育目標の中にこれを――きれいな国土あるいは緑の国土、あるいは脱公害社会といいますか、そういうふうなものを教育目標の中にわれわれは取り入れる根本の問題があるのじゃないか。  また第二に、経済合理主義というものがあらゆる階層の中に浸透しておって、最小の費用で最大の効果をあげる、最小の努力で最大の効果をあげるという経営合理主義、経済合理主義だけが国民の哲学みたいになってしまう。それに応じて教育政策もマル・バツ式テストをやって、努力プロセスのない結果だけを出すような教育ができておるために、その教育で最も成功したのは、何の努力もなしに銀行から三億円盗んで、絶対犯人がわからないあの人間は、いまの教育制度で最も成功した人間だと考える。もっと人間発達合理主義というものを教育の原理に持ってきて、根本的に考えるべきときである。公害問題というものは深刻に、教育のあり方、学問のあり方というところまで深化をして検討すべきときに来ておるのだ。したがって、現在国会の中で、行政の総合化という観点の公害問題の論議だけでは不満足なんです。そういう点から、文部大臣もどうも公害に対しては関心が足りないのだ、もっと真剣に検討すべきだと思っておるので、私はまことに不満を持っておる。そういうことも考えて、先般発表された「期待される人間像」なんというのは御破算にして、もっと人類と自然と、それから地球の管理だとか、何か違った角度において日本の教育目標を考える人間像、人間形成の目標を考えるべき段階ではないか。私は、そういうことを痛切に望みながら考えておる。こういう機会に文部大臣も、単なる一片の行政問題としてでなく、人間形成の立場に立った学問のあり方――公害が発生するような生産技術研究は学問でないのだ、公害が出ない生産技術にして初めて学問だ、あるいは人命尊重、人間尊重が国民の哲学になるような、知識でなくて哲学になるような教育の思想を打ち立てる段階に来ておると思うのでありまして、中教審その他についても、十八世紀ごろの思想だけ持っておる老人ばかり集めないで、新しい技術革新に即応する教育目標、教育政策が設定されるような、角度を変えた検討を願いたい。大臣の心境を聞いて、質問を終わります。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点も、山中さんの御主張と私、基本的には一致するのです。わが日本の国は、春夏秋冬の四季の変化のある、きわめて美しい国である。日本はもともと清潔の民といわれた、そういう歌さえあるくらいなんです。それが戦後二十年、大気は汚染され、水は汚濁し、そして公害に悩んでおる、こういう状況であります。こういう美しい日本を取り返していくということがやはり非常に大事なことだし、それが教育の基本になければならぬということも、私は全く同感なんです。特に日本人の思想には、ヨーロッパと違って、大自然の中に生きる生物の中の一つとして位置づけておる。そのためには、生きとし生けるもの、動物であろうが植物であろうが、ともにわが同胞であるという考え方が基本的に私はあったと思うのですね。あるいはそれが発展しますと、石のようなものですらも、水をやったり何かすることによって、生命あるものというふうにものを見てきたところに私は日本人のよさがあったと思うのです。  この五百年ばかり前にルネッサンスが起きた。それはなぜかというと、人間性を求めて逆にギリシアあるいはローマに返れ、そしてそのルネッサンスの花が、人間性の花が美術や政治や経済やあるいは芸術に出た。そのきっかけになったものは何かといえば、自然科学の発達なんですね。ところが、その自然科学の発達が逆に五百年の後において、万能な武器というか、われわれ社会を、人間を豊かにするものだと思い込んでしまった。そうして自然科学の発達が、これは人間の知恵なんですが、その集積が逆に人類の存在、生命そのものも否定するかもしれないおそれがある、こういう時代に入ってきておるということは御指摘のとおりだと私は思うのです。であればこそ、こういう自然科学的ものの考え方だけが唯一の認識論じゃないという学問論を展開しなければならないんだというあなたのお話は、私は非常に同感なんでございまして、むしろマルキシズム、あの書かれたときにはそれなりの意味は持ったかもしれないけれども、今日の世の中ではもう少し考え直さなければならないのではないか。唯物思想、唯物史観、あらゆるものもそうです。また、われわれが主張しておる資本主義社会それ自身もそれじゃどうかというならば、科学技術の進歩によって社会が管理社会みたいな形になって、そして機械の中の歯車になって機械から追い回されておる、こういう状況を露呈してきた。そしてこの二十年間、確かに生活はよくなったかもしれないけれども、心を失ってしまった。精神の貧しさというもの、物は豊かになったけれども、逆に心は貧しくなってしまったというところに今日の若者どもの反抗するところもあるのじゃないかというふうに思うわけなんで、ここで新しい哲学、思想というものが出てこなければならない。また、そのための教育というものが非常に大事だということは、もうほんとうにあなたと気持ちは一緒でございまして、私も及ばずながら最善の努力をしてまいりたいというふうに考えます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 これで終わりますが、日本人の自然を愛する自然観、そこまでは完全に一致する。ところが、自然を愛しながら自然を破壊している日本、これなんですね。だからイデオロギーを越えて、やはり資本主義における経済合理主義というものの中に、それと結びついて日本人の本来の自然愛好、自然とともに生きる、自然の和という精神が失われている。それなら自然が育つかというと、逆に破壊されてきて、日本列島が世界の公害国になっている。そういう点も検討しながら、これは共鳴だけじゃなくて行政の問題として、日本の国民教育の教育目標に取り入れることをしなければ意味がないんですから、えらい格調の高い質疑応答で終わりになっては困るのです。ほんとうに検討していただきたいと思います。  なお、三億円犯人云々のことについては、私はそう思っているのですがね。科学的に計画を立てて、そうして何の努力もしないで――もっとも合理主義というのか、これは日本人のいまの一番の欠陥であるけれども、こういうものが生まれてくるような教育政策であってはならないと私は思うのです。  質問を終わります。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員長代理 多田時子君。

多田時子公明党

○多田委員 文部大臣に若干の質問を申し上げたいと思います。  時間も限られておりますので、要点だけを申し上げて進めてまいりたいと思いますが、先ほど来大臣の委員に対する御答弁をいろいろ伺っておりましても、公害教育という問題についてもたいへん御熱心でいらっしゃるように伺っております。  それで、その公害教育という問題でございますけれども、全国的に問題になっております中でも四日市の公害、四日市ぜんそくの問題、特にあのコンビナートの中あるいは外に学校がございます。いわゆる公害教育が一番進んでいるといわれている状態の学校があるようでございますけれども、そうした学校のいわゆる公害教育がどういうふうに行なわれているかという点について、まず最初にお尋ねしたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 お答えいたします。  四日市は、御承知のように、早くから公害で非常に問題になった町でもございます。そういうような関係から、ばい煙等の公害を多くこうむっておる地域という現状から、その他の地域に先がけまして、学校における公害教育の必要性を痛感していろいろな教育上の配慮もしておるようでございます。特に昭和四十二年度には、教科におきます公害問題についての取り扱いに関します指導資料をつくりまして各学校に配付し、さらに四十四年度には、四十二年度に配付しましたものを改定いたしまして、四日市市の公害の現状を含めまして、その公害問題についての取り扱いを指導資料としてつくりまして、小学校三年以上の全部の教師と中学校の社会科と保健体育科の教師全員に無償配付する、こういったようなことで非常に積極的に取り扱っております。  さらに、公害の認定を受けました子供に対しましては、二百名余りのようでございますが、そういう児童生徒を対象にしまして、夏休み中に林間学校を開いて、自然の中で伸び伸びと学習させるといったような学校外での教育もあわせて重視してきた、これが現状のようでございます。

多田時子公明党

○多田委員 最も公害のひどい中で公害教育が盛んに行なわれているという、いまの御説明にもあったとおりでございますけれども、この近くの学校で、つい二カ月ばかり前の十月にも、小学校一年生のお子さんがなくなっております。こういうふうに、そうした公害教育を盛んにやっているかたわらそうした悲劇もあとを断たない、こういうことでございまして、その塩浜小学校というのは日本でも公害教育に先がけているということで、たいへん有名なようでございます。それで皆さんが見学に行かれるそうなんですけれども、行った方の話によりますと、いまも若干御説明ございましたけれども、保健教育で乾布摩擦をするとか、あるいは重曹の水でうがいをするとか、あるいは公害マスクをするとか、あるいは毎朝学校に参りますときに、出欠を調査するのと同時に公害調査を行なっているのだそうです。つまり目が痛くないかとかあるいはのどが痛くないかとか、いわゆるそういう公害調査をする。それから保健管理、いまもお話がありましたけれども、肝油を飲ませるとかいろいろしているようです。また、各教室には空気の清浄器なども取りつけているようですけれども、ここで問題にいたしますことは、いわゆる公害の学習教育というものがなされていないという点でございます。そうしたいわゆる公害に免疫になる体質をつくる努力は、薬とかあるいは乾布摩擦とか、いろいろそういった面ではなされていても、結局公害の学習教育というものはなされていない。そこを突っ込んでみましたところが、「のびゆく四日市」とかいう社会科の副読本がございまして、それでいわゆる学習教育はされているそうです。ところが、これが一年に一回十一月にやるだけで、ほかはほとんどなされない。それも内容が、いわゆる公害教育ではなくて、四日市という地域を教えている。四日市にはこういう会社がある、こういうコンビナートがあるということを教えているのであって、公害教育という内容ではない。このような状況で、たいへん公害教育が進んでいるというふうに聞いて行ったけれども、内容はたいへんお粗末で失望をしてきた。これが実情のようでございますけれども、いま御説明いただきました二、三の点ももちろん大事なことではありますけれども、公害教育という学習教育の面について、もう一歩進める必要があるのではないかと思います。この点についてのお考えを伺いたい。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 いま御指摘の四日市にはある程度公害教育が進んでおると思いますが、さらにその他の学校を含めまして、従前つくりました学習指導要領、さらにそれに基づきます現行教科書、いずれもいま先生が御指摘になられましたように私どもも不本意な点が多々ございます。そういう観点から、来年から使われます小学校の教科書をはじめ、もとになります学習指導要領等を相当積極的に改正いたしまして、公害教育につきまして、いま先生の御指摘のようなことにもっとくふうをこらしまして、公害の種類とかあるいは発生の原因とか、からだに及ぼします影響、さらには文化財等への影響、ついてはこれについての予防対策、国民全体としての努力、こういったような観点からもっともっと積極的にやる必要があろうかと思います。そういった意味におきまして、四日市市のほうは全国的に見ますとまだ進んでおると思いますが、さらに御指摘のような点も考えまして、この国会での公害基本法の改正は、もっと積極的に人命尊重ということで改正が行なわれようとしております。そういうことも含めまして、今後公害教育はより一そう積極的にいたしたい。四日市を含めまして全国的な問題として、そういう姿勢で取っ組んでいく、機会あるごとに指導してまいりたい、こういうふうに思います。

多田時子公明党

○多田委員 その指導要領の話が先ほど来出ておりまして、私もその指導要領について検討してみたわけでございます。先ほどもお話がありましたけれども、昭和三十三年に改定されたものがいま効力を発している。昭和四十三年に新しく改正されてそれが来年度から実施されるということでございますけれども、小学校はそれで来年度から進められるわけなのですが、さらに中学校のものは、昭和三十三年のものを四十四年に改正、それから高等学校は、三十五年に改正されて、さらにことし四十五年改正で四十八年からということで先ほども御説明ございましたけれども、小学校は来年としまして、中学、高校をまた再来年、またその翌年というふうに延ばすのは、こうした時代の急激な変化に即応しないのではないか。こういうわけで、小学校、中学校、高等学校ともに来年度から、その公害ということに関してのみ改革をする、あるいはそれを実施するという御意思はないものかどうか、その辺をお尋ねしたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 いまの御指摘の点でございますが、その前に実は学習指導要領の改定をいたしまして、それに基づきまして文部省としては指導書をつくり、さらにその詳細な資料としての指導資料、大体三段階のものをつくっております。そして教科書はもちろんこういうものを中心にいたしますが、主として学習指導要領を中心に教科書は編成されております。そういうことで、いま先生もお話しになられましたようなことで、小学校につきましては来年四月から新しい教科書が使われます。その新しく使われます教科書につきましても、先ほどの山中先生の御質問に文部大臣からもお答えいたしましたが、すでにつくっておる本につきましても、そういったようなことであるいは正誤といったようなことで修正もしたいという動きが教科書会社のほうにも出ております。したがいまして、そういう措置は、もちろん私のほうも教科書発行者に対して命令をするというわけには教科書検定の性質上なかなかまいりませんが、幸い教科書発行者のほうで、自分からもこのようにわかりよくしたほうがよいというようなことであれば、そのようにされることが望ましいと思っております。  さらに、いま先生のお話しになられました点でございますが、実は高等学校の学習指導要領は今年度、四十五年度につくりました。中学校は昨年、小学校はその前ということでございます。そこで、高等学校のほうはこれから指導書をつくり、さらに指導資料をつくるということになっております。それで、指導要領は比較的教育課程の基本的な、大綱的なことでございますので、公害は相当盛っておりますものの簡潔でございます。したがいまして、指導書なり指導資料で十分今回の公害基本法の改正の趣旨も含めてこれから書くことによって、十分いけると思っております。ただ、小学校、中学校につきましては指導要領ができておりますが、もちろん現在つくりました指導要領が、新しくつくったものの、さらにまた今回の公害基本法の改正の趣旨から見て不十分な面があれば検討いたしたいと思いますが、指導資料はまだつくっておりませんので、小中学校につきましては、これからつくる指導資料でも十分その点はカバーしていきたいと思っております。いずれにしましても、先ほどの山中先生の御指摘もございましたが、一度つくりましたものは絶対に十年間動かすことはできないのだという法律もありません。したがいまして、私ども、児童生徒の教育に、さらに今日非常に重視されております公害教育に遺憾のないような措置はあらゆる方途を講じて徹底させていきたい、こういうふうに考えております。

有島重武公明党

○有島委員 文部大臣にいまのことに関連して伺いたいのでございますけれども、先ほど初中局長から最初にお答えになったときのように、四日市のような特別なところでは特別な措置がとられておる。その中には特別の指導要領のようなものが出ておるということで、そのままで聞いてしまいますと、なるほどそうかと思うのですけれども、実際に行ってみて、また指導しているものを見てみますと、これはまるっきりやってないのと同じような、言ってしまえばほとんど効果があがっているとは考えられないような、そういった実情をよく認識していただきたいと思うのでございます。  それからその指導の姿勢ですけれども、先ほどから指導要領のこと、それから公害教育のことについてお話が出ておりましたけれども、公害の本質は、大体廃棄物が環境を汚染して、これが人間自身の存在なり健康をおかしていくのだ。平たく言ってしまえば、たれ流しの問題でございますけれども、こうした問題が、いまも局長のほうからちょっとお話がございましたけれども、来年からの指導要領の中で公害の種類であるとか、発生の原因であるとか、その予防であるとか、保健であるとか、そういうふうに公害というものを人間と別に考えておる。先ほどルネッサンスのたいへんいいお話があったようでございますけれども、人間という立場から公害をもう一つ考え直してみることは、人間のたれ流しといいますか、人間が、もし生徒たちが家庭なり教室でたれ流しをしていたら、これはたいへんな問題なんですね。そういう問題と質の同じ問題であるということが重要な指導要領の重点になるのではないかと思うのです。いままでの合同審議なりきょうのここでのお話を伺っておりましても、そういった人間の行動といま起こっている公害と、同じ質のものであるというような論点が抜けているのではないかと思います。そういった点について文部大臣に、先ほどのお答えをなおその点について明確にしておいていただきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはりいま先生から御指摘になりましたことは私自身としては考えておるわけでございます。それを行政でどう生かしていくかという問題、あるいは教育委員会、特に四日市の市の教育委員会で小学校、中学校の社会科、保健体育科における公害に関する指導資料というものができておりますが、これに書いてある範囲においては地方としてはかなりよくやっているなという感じがするのですけれども、しかし、私は現場を見ておりませんし、先生方は現場を見ていらっしゃいますから、そこのズレがあるのではないかと思います。われわれの検定をしました指導要領は別といたしまして、教科書あるいは指導書等にも、ちょっとその前の時点で考えておったときといまで考えておる時点とでは、どうも十分でないということがすでにあらわれておるわけでございまして、公害の問題は、ほんとうにきのうからきょう、またあすというふうに非常に変化のある問題じゃないか、われわれの予想しておる以上の問題がまた出てくるかもしれない、そういう可能性を秘めておるというふうに思います。そういうことで、かなりむずかしい問題だということは、ひとつみんなも頭に置いてかからなければならない。しかし基本は、おっしゃるように人間が排出すること、そのものの処理をどうするかということと同じような問題、そしてそれがまた人間にどういうふうに影響を与えていくか。それは原始時代あるいは日本だって美しい自然の中にあったときには、そのことそれ自身がむしろ自然の生命の活力を与えるものだというふうに簡単に考えられてきたし、また考えられてよかった時代もあったと思うのです。しかし、こんなに産業が発達し、自然科学が発達してまいりますと、この美しい日本がだんだん醜い日本になりつつあるということは、私は非常に問題だと思いますし、私は、しょっちゅう美しい日本に生まれた者は美しい心を持った人間になるんだ、こういうふうに思います。きたない国土、汚染された環境のもとにおいては心までもきたなくなっていくのじゃないか、だから心を美しくすることは、まず教育環境あるいは日本列島全体を美しくするということなくしては達成せられない、こう思うわけでございまして、基本的には先生おっしゃるように考えておるわけでございます。

有島重武公明党

○有島委員 いまのお答え、少しピントがぼやけているような感じがいたすのですよ。ですから、いまおとなたちがやっているこうした――四日市なんかは、行っただけでのどなんかやられてしまうようなところでございますけれども、そういったことが生徒さんたちが運動場や学校でたれ流しをしたと同じような構造なのだということ、そういう認識のしかたというもの――これがこれからどんなひどい状態になっていくかもしれない、あるいは是正されていくかもしれない、是正されてもまた別なことができてくるかもしれない、しかし、それは一貫して国民のマナーとして、公徳心としてしっかりと教えていかなければいけない問題だと思うのです。これは交通教育なんかの問題でございましても、親に社会教育や何かでもってやるのは非常にむずかしいのですけれども、子供にそういったことを教えただけで、今度親と一緒に歩いたときに、おとうさん、そこは通っちゃいけないんだよとか、ここだよとか、ああそうかというような、そういうような感覚は、やはり親の感覚と子供の感覚では子供の感覚がはるかにシャープなんです。それでもってお子さんの中には、工場を経営していらっしゃる方々のお子さんもいらっしゃるわけです。そういったような教育効果といいますか、社会に及ぼす効果というものははかり知れないのじゃないかと思います。それが第一点です。  もう一つは、処理の基本的な技術的な問題ですけれども、ポリエチレンであるとかビニールであるとか、それから金属と紙ときれ、あるいは野菜、そういうものがごちゃまぜにいま出てきている。非常に困難をしているところなんです。そういったものを、金属は金属、合成樹脂は合成樹脂、紙は紙というような分類をして捨てていくというマナーを、小学校の段階からくせをつけただけで、五年先、十年先ないしはもっと近い年月の間に非常な効力を発していくに違いないと思われるわけです。これは一例でありますけれども、学童を通じまた学生を通じていまの公害問題に働きかけていくということは、考えればまだまだたくさんあるのじゃないかと思います。そういった点、公害に対してほんとうに緊急な問題ですから、文部省なら文部省として、できる限りの力をそこに傾注していくという姿勢を具体的に示していっていただきたい。  以上、要望いたします。お答えは要りません。

多田時子公明党

○多田委員 先ほどお答えをいただいたわけでございますけれども、指導要領の内容についてちょっと具体的にお尋ねしたいと思うのです。  それは、小学校指導書社会編の中に、「ただ注意しなければならないのは、産業公害の問題を扱うといっても、たとえば企業を悪者として糾弾させることが目的ではないし、開発と自然美や文化財の保護のどちらが優先すべきかという単純な結論を出させるのが目的でもないということである。産業が高度に発達すればするほど、こうした問題に賢明に対処し、自分たちの国土や環境を住みよいものとして守っていく責任を国民全体が強く自覚していかなければならないことに気づかせるのが主眼である。」こういう一文があるわけです。こういう前提ですから、教科書の検定に際しても企業を悪者扱いするような記述をしてはならない、そういったような方針といいますか、根本にそうしたものがあるというふうにも聞いております。結局、国民全体が強く自覚していかなければならないということで、やはり一億総ざんげ的ないき方、考え方、またその責任を国民全体が持つ。こうすると、さきほどちょっと文部大臣もそういう意味のことをおっしゃっておられたように思うのですけれども、そうしたことを伺っておりますと、当然だなというふうにまことしやかに聞こえるわけなんですけれども、国民全体がひとしく一つの公害を生み出している、こういうふうならばいざ知らず、いわゆる公害というのは企業が、または大中小さまざまな企業等が中心で出される。まあ家庭排水というような問題もありますけれども、大企業中心のそうした公害発生、そうした問題に対して、この一文を見ますとどうもやはり大企業を擁護するという、そうした観点から書かれているように思えるわけなんです。具体的にこうした問題がどのようにこれから検討されて、そして学習書として先生方が使われる段階にどのような変化が、あるいは改定がなされるものか、その辺を一歩先んじて伺っておきたいと思うのです。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 いま御指摘になられました点でございますが、意図いたしますところは、公害発生源がある企業にあるというような場合に、その企業に重大な責任があるということはもう言わずもがなのことなんだ、もとよりなんだけれども、だからそれが悪いんだ悪いんだといって企業の責任を追及するだけでは、この公害問題というものはそれだけでは解決できないんだといったような趣旨のことを書いたつもりでございますが、いま先生がおっしゃいますように、まあそうばかりもとれないというような誤解がございますれば、したがいまして企業を擁護するようにとれると、大ぜいの人の中にそのような観点と思われるということでありますれば、私どもの真意でもございません。したがいまして、この趣旨はそういうことでございますが、誤解を生むおそれがあるということでございますれば、十分そういうことのないようにこの点をわかりよくするとか、あるいは指導資料でもう少しふえんするとか、おっしゃいます趣旨はよくわかりますので、一番適切な方途を検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。

多田時子公明党

○多田委員 いまの御趣旨はよくわかりますが、一つ提案をさせていただきたいと思いますけれども、もちろん企業だけが悪いと、こう断定するのではなくして、人体に影響が出てくるまで公害を放置していた結果、今日のようないろいろな悲劇が起きている、そのことに対する反省とか、あるいは公害のよってくるところの背景を究明するとか、あるいは公害が生み出されるプロセスの説明あるいは分析とか、あるいは公害を生み出す責任の明確化とか、あるいは公害防除法の研究をしている内容とか、あるいは衛生関係、あるいは人間を公害から防除するというふうな衛生的な観点、そうした問題をやはり克明に織り込んで公害教育の一環にしていってはどうか、このように考えるわけでございます。これは一応提案だけに申し上げておきたいと思います。  それで、時間もありませんので公害問題はこれだけにいたしまして、最後に一つだけ文部大臣に伺っておきたいと思いますことは、昨日の夕刊にも出ておりましたけれども、このところ物価問題がたいへんやかましいわけでございます。国立大学の授業料の値上げの問題もございます。きのうの経済企画庁長官のお話の内容にもあったように思うのですけれども、国立大学の授業料の値上げといいますと、これまた私立大学の授業料の値上げだとかあるいはまた他の公共料金の値上げ、当然そういうものに全部誘発する引導力を持っておるわけでして、またさらには大学紛争のもとにもなりかねないというような諸般の情勢からいろいろ考えまして、これはどうしても――国立大学の授業料の値上げは、文部省の話でもしないような方向に向いているということでございますけれども、担当大臣でいらっしゃる文部大臣として、この辺ひとつ明確にお答えいただければと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 実は、けさ九時から十時まで物価問題関係閣僚協議会が開かれたわけでございます。したがいまして、結論といたしまして、最近の物価動向にかんがみ公共料金については厳にこれを抑制するという方針を確認し、特に郵便料金については、大蔵、企画、郵政三大臣によってこの趣旨にのっとってすみやかに協議決定をするということがきまったわけでございますが、その中におきまして、私の関係の国立大学の授業料の問題もございました。私、発言をいたしまして、諸般の事情からことしは授業料を上げないということにお願いしたい、私はそのように判断をするというふうに申し上げましたところ、それが了承されたわけでございます。したがいまして、来年度の国立大学の授業料値上げというものは据え置きということになろうかと思います。

多田時子公明党

○多田委員 以上、質問を終わります。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員長代理 川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村委員 二、三分いただきます。  先ほどの山中委員の質問、いまの多田委員の質問に関連して、ちょっと念を押して確認しておきたいと思います。  皆さん方の公害教育の一つの方針、私が先ほどからじっと聞いておりまして、よくわかります。ただ一つ、やはりこの際、もう少し明らかにしていただくほうがいいのじゃないかと私思いますからお尋ねいたしますが、小学校五年生の社会科の教科書にあげられたものに、これは一部取り上げるとまた宮地さん御不満かもしれませんが、全体をおいてあの文章の中に、むずかしい公害問題というものの中に、御承知のとおりに、けれども公害は防がなければならないが、「工場がつぶれてはこまる」というようなことを考えると、そのとりしまりをじゅうぶんに行なうことが、なかなかできません。」こう書いてある。私は、この問題は著作者のものの考え方に問題があると見ているんですよ。こういうとらえ方を客観的にとらえるならば、これはまた別の意見があると思うのです。こういうふうに主観的に断言をしておる表現が教育の中に持ち込まれるということは非常にこわいのじゃないか、こう思うのです。そこで先ほどから、出版社もこれをどうかしたいというような意向だから願わしいことだ、こういう御意見がありましたが、私はそこのところだと思うのですよ。もちろん文部省が出版社にこうせよと言うことは、それはできないと思うのですよ。しかし、皆さん方は、しょっちゅう教科書の検定権は文部省にある、こう言っておられるし、いま私がちょっと読みましたこういう表現を――新しい公害基本法というものができておってこういう表現があったとするならば、皆さん方の検定課はこれをおそらく没にしたのだろうと私は思うのです。やり直せ、こう言ったと思うのです。でなければおかしいのです、ほかにはたくさんいろいろな検定問題があったのだから。それはおいでおいで、そういうことだと思いますから文部省のいわゆる検定課、これは文部大臣のお力によらなければならぬが、やはり出版社――出版社だけじゃいかぬ、著作権があるから著作者、書かれた人との合意においてこういうようなものは直していく、文部省としてはそのように努力しますとかあるいはそのように指導しますとか、これくらいはここではっきりさせていただいていいのじゃないか。出版社がそういうような考えを持っておりますから、文部省としては願わしいことだと思っておりますなんて、何か煮え切らぬ考え方では困ると私は思うのです。大臣、どうですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 川村先生御承知のとおりに、来年の四月に使用いたします小学校の教科書というものはことし採択されたやつ。しかもずっとさかのぼってまいりますと、指導要領が改定をされ、教育課程審議会というものの中間報告があるわけでございますが、それが昭和四十二年でございます。それに基づいて教科書会社が執筆を依頼し、執筆をし、検定をし、そしてできてくる。四十二年から四年間かかって初めて教科書になるという仕組みになっておるというわけでございまして、確かに御指摘のとおり公害基本法が、四十二年のたしかあれは十月くらいにできたのじゃないかと記憶いたしておりますが、できたものの、実際は、中間答申を出した人たちは、そうあまり頭に置かないで書いていたに違いないと私は思うわけです。そういうぐあいではありますけれども、教科書をつくる段階においていろいろ注意もできたでございましょうけれども、しかし、世の中全体の公害に対する認識がまだ今日ほどなかったことも、これまた事実なんでございます。しかし、もう川村さんおっしゃるとおりでございまして、むしろ今度の新しい公害国会にこれだけの法律案も出され、そしておそらくこの法律が通り、施行されると思うわけです。そういう時点に立って教科書というものがつくられていかなければならぬし、あるいは公害教育というものが現になされていかなければならない。現実に出ておる教科書について、もし誤っておる、あるいは不適当である、あるいは十分でないということであるならば、われわれの許される範囲内において積極的にその指導助言をし、あるいは改めるところは改めるということでなければならぬというふうに私は思っております。したがいまして、御指摘のような問題の教科書もさることながら、私といたしましては、一斉に出回っております来年のほかの教科書ももう一ぺんそういう観点で全部見まして、そして各発行会社あるいは著作者等とも意見の交換等をやりながら、先生のおっしゃる方向で善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 ありがとうございました。ぜひひとつその点、お考え、御努力願いたい。  それからいま一つは、いままで出版されておる教科書等々を見ると、あるいは今度新しくできる公害基本法等の趣旨に沿わないものがあるかもしれません。あるいはすでに出版されたりして間に合わないのがあるかもしれません。そういう場合には、やはり文部省のほうから指導書というか、そういう形で行政的に各教育委員会、学校に指導してもらう。そして欠陥のないようにしてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、いま四日市の公害教育の問題等いろいろありましたが、局長あたりは、もう一ぺん指導書にもずっと目を通していただく必要が出てくると思うのです。指導要領が小学校来年、その次が四十七年中学校、四十八年高等学校、こういうようにやっていくということになると、各学校では、特に公害に直面しておるような地域では指導要領が出てくるのを待っておれないのですね。やはり教育委員会、学校としては公害教育をカリキュラムの上に乗せねばならぬ。そういう場合に、適切な指導が学校で行なわれるように行政指導を願いたい。  というのは、なぜ私がこういうことをお願いするかというと、御承知でもありますように、実は富山県でイタイイタイ病を授業に乗せたら、たいへん小言を受けたという。そういうこともあったし、熊本県で水俣病を授業に乗せたら、これまた教育委員会等からたいへん文句をつけられたというようなことがあったわけで、そういうようなことで一々教育委員会が学校の指導をチェックするとかいうことのないように、適切なる指導ができるように、これはやはり皆さんのほうでぜひ御配慮願いたい。カリキュラム等は、ちゃんと学校でやっていけるように考えてくれるという方針を大前提として考えてもらいたいと思います。  時間がありませんからいろいろ申し上げませんけれども、いまの点について大臣の御所見をひとつ。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 御指摘のとおりに努力いたしたいと思います。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会

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