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64回国会衆議院1970/12/10

物価問題等に関する特別委員会 第2号

発言数
110
登壇者
10
会派数
4
開催日
1970/12/10

会議録

松平忠久日本社会党

○松平委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。

武部文日本社会党

○武部委員 経済企画庁長官にさきの委員会で、今後の物価上昇の見通しとその対策について見解を承ったわけでありますが、そのとき・四・八%という当初の政府の見通しは達成できなくなった、したがって、現在の物価上昇の推移からするならば六%台になるようなそういう傾向である、これはたいへんなことであるので、できるだけ安定するようにつとめたいというような趣旨の答弁がございました。私は、この八月、九月、十月の全国消費者物価の上昇の指数なり、あるいは東京都の一番新しい消費者物価の指数の上昇の傾向から見て、四十五年度の物価上昇の数字は七%をこすのではないか、こういうことを申し上げました。最近の数字は、このまま横ばいをいたしたとしても七%をこえるということは、否定のできない事実となってあらわれるだろう、私はこのように思うのであります。長官は当時、この見通しが年度途中において変更せざるを得ないときには、これは変更しなければならぬので、十二月のうちにそういうことをやりたいというような意味のことを申しておられたわけでありますが、最初に私がお伺いをいたしたいのは、いまの物価上昇の動向から見て、大体十一月、十二月、一月、二月、三月というのは、平年度の数字をずっと見ましても、上昇率は高いほうであります。そうなってくると、六尾台ということはほとんど不可能になって、七%台という数字になるというふうに私は考えますが、この点についてどう考えておられるか、これが一点。  第二は、もう明らかに四・八という数字は架空の数字になってしまった、この際政府としては具体的な今後の数字を明らかにして、それによって国民に今後の対策を示すべき時期ではないか、こう思うわけですが、これについての見解。最初にこの二つをお伺いしておきたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 武部さんのまさしく御指摘のように、まことに遺憾なことでありますが、本年の消費者物価の上昇はきわめて顕著なものがございます。先般も私は、なかなか六露台に押えることさえ非常に困難な状態であるというふうに申し上げたのでございますが、最近の物価というものを横ばいに、十月等のものを横ばいにいたしますと七%をわずかにこえることになる数字がございますし、まあ東京都の十一月の数字が十月よりも少し反落をいたしておりますので、全国の十一月の指数が同じような傾向を持つことになるかどうか、そこいらのところはまだわかりませんが、かりに全国が東京都と同じ程度に十一月に反落をするということにいたしまして、その反落したところで横ばいによりましで七%ちょうどぐらいになろうかと思います。そういうことでありますから、ちょうどきわどいところでございまして、七%になる公算もきわめて強い点がございます。ここいらの点は、なお今後の情勢の推移を見きわめないといけない、こういうふうにいま考えております。  政府といたしましては、十二月の時期において経済見通しの見直しをすることになりますが、ほかの指標ともあわせまして十分検討を急いでおるところでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 そこで、これからの具体的な質問に入るわけでありますが、ここ数日来問題になりました公共料金のストップのことについて、これは企画庁長官が閣議で提唱をされ、いろいろと報道されておりますので、私ども報道を通じて承知する程度でありますが、今回この時期に企画庁長官が、閣議に公共料金ストップということを提唱されたその背景なり、あるいは長官のこれからの構想なり決意なり、そうしたことをひとつお伺いをして、それから御質問いたしたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いま御指摘がありましたように、最近の消費者物価の上昇は非常な勢いでございます。七%、場合によって八%、こういう数字まで出るに至ったわけでございます。  そこで、われわれとしてもこれについての対処を考えなければならないわけでございますが、もともと物価政策は総合的なものでございますし、こうした今日までの異常とまでいうべき消費者物価の上昇ということにつきましては、やはり何と申しましても、この打ち続くところの超高度成長ともいうべき高度成長をもたらしたところの非常に強い需要、そうしてまた、そうしたことから労働力不足に拍車がかかり、そのことかち賃金の上昇をもたらし、一たびそういうことになりますと、それが相互に循環をする過程を描きがちであります。これは先進諸国の例、経験に徴しましても十分うかがえるところでもあり、また現実の日本の姿を直視いたしましてもこうした傾向がなきにしもあらず、そういうふうに見とられてくるようになってきたわけであります。そこで、当初の高度成長ということから出発いたしまして、最近ではコストプッシュ的な傾向が強まってきておる、こういうふうな各方面での指摘があるようになってきたことは、御承知のとおりであります。  こういうことでありますからして、物価対策も、非常に根の深い問題に対する取り組み方、態度が必要であろうと思います。一面において、われわれはやはり成長を適当に冷やしてまいらなければならぬ、スローダウンをしてまいらなければならぬ、そういうような方向を考えて、御存じのように経済の引き締め等をやってきたわけでございます。もちろん、景気との関連を十分に考えながらやる必要があるわけでありますが、こういうことで、この引き締めの効果も必ず私は出てまいるものと思っておりますけれども、しかし、これにはある程度の時間的なタイムラグが必要になってまいります。最近は、このタイムラグが非常にますます長引いておる。これもまた日本の過去の経験あるいは諸外国の経験から見て、そういうふうに言えると思うのであります。  そういうことで、引き締めの効果は少し先に出るものということを期待しながらも、しかし、同時に各般の先般来いろいろとここでも議論の出ておる個別的な物価対策を進めていく。それにつきましても、やはり政府みずからができるだけ、こういう特に敏感な状態の時期でございますからして、みずからの手によって物価の引き上げ傾向を刺激しないように、やはり公共料金については、もともと経済的な性格を持っておるものとはいいながらも、なお政府自身がこれを決定するものでありますだけに、この際公共料金の抑制ということを特にこういう時期にこそ考えなければならない、こういう判断で行なったわけでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 公共料金のストップのことは、数年前にこの委員会でいろいろやりとりをいたしました。確かに三十六年と三十九年に一年間ストップがありまして、そのときの数字を調べてみますと、三十九年の際には、私の資料ですが、三十八年の七・六%という数字が、三十九年のストップによって半分の三・八%に下がったということを、当委員会で何回か論議をいたしたところであります。しかし、一年間ストップをしておったけれども、何らの具体的な政策がなかった。したがって、解除したとたんにメジロ押しにまた上がって、そこで四十年の消費者物価の指数は同様に倍にはね上がって、七・六になったと、ここで論争したことがあるのです。おそらくそういうことも承知の上で――今度の公共料金の問題は、聞くところによると、一年という期間を限定しておられないというようなことも聞いておるわけですが、これは一体、三十六年なり三十九年のストップとはいささか内容が違うのでありますが、その点はどういう考え方で期間を区切らないでストップをしたのか、その点はどうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 公共料金政策というものは、確かに非常にむずかしい問題を含んでおります。公共料金政策だけで物価政策になるわけではございませんでして、まあ一種の補完政策といいますか、一つの政策にすぎません。全体の総合対策の中の一つの政策であろうと思います。  まさしく御指摘のように、過去のわれわれの経験に徴しますと、一年間ストップをやりましたあとにおいて、またしばしば上げざるを得ない、こういうことで、相当上がった経験もございます。しかしながら、また同時に、この数年間をずっととってみますと、結局公共料金の抑制という大きな方針がありますために、一般の物価指数の上昇率の半分とまではいきませんが、それに近い程度の上昇率に公共料金を押えることができております。これはずっと数年間のものをとってみますと、そういうことが言えると思うのであります。そしてまた、それはある意味において、全体の物価上昇を抑制する上において一つの効果を持っておる、こういうことは確かに言えると思います。  そこで、本来公共料金の抑制ということは、何も一年間に限るべきものではなくして、できるだけそういう意味においても抑制を講じていかなければならない。そしてまた、それでは一年たって後には上げてもいいのか、こういうような反論もございますので、今回は特に一年という限定はいたしませんでした。しかし、たとえば予算的な問題との関連等もきわめて濃い関係のものが公共料金には多うございますから、そういう意味において、予算時期をそれでもって乗り切るということになりますれば、最低一年間はそのままの状態に据え置かれるほうが――実際問題として、結果として当然そうなってくるわけでございます。そういう意味におきまして、実質においては一年間は最低引き上げられないという方針、しかし、しいて一年という期限というものをあえてつけないでおいた、こういうことでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 それにはいろいろ憶測もありまして、私どもはあまり憶測をしたくないわけですが、報道でしかわかりませんが、ケース・バイ・ケースでいくのだとか、いろいろな発言が閣議であったというふうに聞くのです。そしてお伺いをいたしたいのは、あなたが御提案をなされた閣議の反応ですね、総理をはじめとして、公共料金のストップについて閣議でどういう反応があったのか。結局そこで結論が出ないで、何か除外の例を認めなければならぬとか、いろいろな話があって、最終決定は延期になっておる、こういうようなことを聞くわけですが、提案をされたときの閣議の状況なり、佐藤総理のこれに対する基本的な見解なり、そういう点について長官のほうから述べていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 先ほども申し上げましたように、それでは一年たったら上げていいのか、それから、その間一体物価対策はどうなるんだというように、公共料金政策につきましては、一面において、こういう一律抑制についてこれをよしとして推進しようとする意見もございますが、反面において、そこには無理があるということで、もともと議論の多い政策でございます。そういう意味においては、ずいぶんと議論が起こることは当然やむを得ないのでございますが、特に今回のいわゆる抑制というものは、従来われわれが経験しておりましたものは、大体予算が成立してしまいましたあとにおいて、ある意味においては、上げるものは上げてしまってから抑制政策をとったという感じのものも非常に強かったのでありますが、今度は、ある意味においては予算編成自体を動かす、こういうようなことも頭に置いて行ないましたから、予算編成との関係においてやはりいろいろと問題が起こってきていることは当然でございます。そういう意味においては、公共料金政策を遂行するタイミングとしてはむしろ一番困難な時期を選んだことになるかもしれません。そういう意味で議論は活発に行なわれましたけれども、しかし、閣僚協議会の全体の空気といたしまして、個々の問題についていろいろと問題はあろうけれども、この際こうした方向をできるだけ推進していかなければならない、こういう意味において意見が一致をいたしております。そういうことで、予算の編成を目前に控えた具体的な問題との関連において直ちに決定できないものが一、二ありまして、しかし、そういうものは早急にはっきりときめてまいる、こういうことになったわけであります。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、ただいまの段階では、公共料金のストップについては積極論もあれば消極論もある。しかし、大体大筋において、公共料金のストップの政策を佐藤内閣としては推進していこうという程度の申し合わせになっておる。  そこで、私は具体的にお伺いをいたしたいのでありますが、一番問題になったのは郵便料金の値上げだというふうに聞いておるわけです。そこで、これは時間の関係で先を急いで、先に申し上げるわけですが、十二月の一日に、消費者五団体の代表者なる御婦人たちが佐藤総理とお会いになった。物価安定について具体的に項目を並べて、ぜひひとつ実現をしてもらいたいという申し入れをされた。そのときの報道が、各新聞に大々的に載りました。私もほとんどの新聞を見て、若干ニュアンスは違うけれども、ほとんど同じ佐藤総理の回答というようなものが載っておったのでございます。ちょうどそこを私切り抜いてここに持ってきておりますが、八項目の申し入れに対する回答で、まず公共料金の値上げ問題で次のようなことばがあります。「郵便料金はどれもこれも上げるわけにいかない。はがき、封書は値上げしないように担当大臣に言いつけてある。」こういうことがございました。これはほかの新聞にも、そういうことが載っておった。  そこで、私は昨日逓信委員会で、郵政大臣に出席をしていただきまして、十二月一日にこういう話が総理からあった、あなたはこの答申を受けておるんだが、その後公共料金の値上げの問題が閣議で出たときに、答申もあったし、郵便の現在の状況から見て困るということをあなたは言ったということだが、それならば、佐藤総理から、こういうふうに「郵便料金はどれもこれも上げるわけにいかない。はがき、封書は値上げしないように担当大臣に言いつけてある。」ということだが、どういうことをあなたは言いつかっておるのか、どういう指示を受けたのか、こういうことをきのう委員会で質問いたしましたら、郵政大臣はどう言ったでしょうか。何と、そんなことは一つも聞いておりません、そんなことは聞いた覚えがないというのですよ。  こんなばかげたことが実際あっていいでしょうか。これは議事録を私はお見せしますが、聞いておった連中はみんなびっくりしたのですよ。これだけうれしがらせる発言をして――あのときは大々的にテレビに出ましたよ。皆さん見たと思うのですがね。佐藤総理にしては珍しいことを言う、りっぱなことを言うと思ったのだが、前のことはない、うそです。これは担当大臣が、そんなことは聞いてないと言うんです。そこで、さらに追及したところが、私も総理の気持ちがわからぬので一体総理はどういうお気持ちだろうかと思って、その後郵政大臣は聞きに行ったというんですね。  これこそ佐藤総理の口と腹とが全く違って、消費者団体がやかましく言ってきた、その場で何とか適当なことを言って帰してしまえ、これが私は厳然たる事実だと思うんですよ。このことは、佐藤総理がここへ来ておられるなら一番いいのだけれども、こんなばかげたことを言って、その場限りで適当なことを言うような、総理大臣がうそを言うようなことじゃ――あの人はしょっちゅう、うそはいいませんということを言いますが、完全にこれはうそですよ。私はこんなばかげたことはないし、これを聞いたら、おそらく消費者団体の皆さんはおこると思うんですよ。あなたはこのことを知っておりませんか、佐藤企画庁長官。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 ただいまのはどの事実についてのことですか。

武部文日本社会党

○武部委員 封書とはがきは値上げしないように担当大臣に申しつけてある、こういうことです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 その消費者団体と会いましたときにどういう発言があったか、私も新聞報道以外には聞いておりません。しかし、やはりこの際できるだけ公共料金を押えなければならない、そういう際でもあるから、こういう、郵便料金七円を十円に上げるというようなことは非常に好ましくない、こういうことは総理も、まあ担当というのがどっちの担当であったか知りませんが、私には話しておった事実がございます。ですから、郵政大臣に言わなかったかどうか知りませんが、私もそうした点は、そういうふうに了解をしておりました。

武部文日本社会党

○武部委員 その担当大臣で逃げてもらっちゃ困りますよ。あなたはうまいこと言って、担当大臣は物価担当だから私だ、私には言っておった、それはおかしいですよ。七円を十円に上げ、十五円を二十円に上げるというのは、これは担当大臣は郵政大臣ですから、ましてや答申が目前に控えておることはわかっているんですから、なるほど、あなたは佐藤総理をかばって、自分に言っておったけれどもというようなことをおっしゃるけれども、これは担当大臣というのは郵政大臣ですよ。そういうふうにかばってもらったって困るんですがね。ぜひこれは佐藤総理に言ってもらわなければいかぬです。これは消費者代表が聞いたらおこりますよ。こんないいかげんなことを言って、ていよく追い返した。一国の総理がそういう態度をとっちゃいかぬ、私はそう思います。  そこで、いまの段階で、この公共料金を押える中から、いわゆる例外的措置といいましょうか、保留をするものが何項目かあるということが一応報道されております。それは郵便料金と、電話の設備料を三万から五万に上げるのと、広域時分制で七円を三分制にして十円にするのだ、それから国立大学の授業料、公団、公社住宅の入居料、家賃ですね、こういうものが一応ワク外になっておる。きょうの新聞によると、小学校、中学校の教科書の値上げは、これは公共料金じゃないからワク外だ、こうなっておるのですが、なるほどこれは義務制ですから、家庭には直接影響はないが、高校の場合は家庭に影響しますから、そういう問題で、公共料金の抑制はするけれども、一応ケース・バイ・ケースでワク外があるのだ、そういうものの考え方で、いま佐藤内閣としては取り扱っておるのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 授業料等もはっきり上げないということにしております。刷にワク外という取り扱いはしておりません。ですから、どうしてそういうことの報道がなされたのか、ちょっと私は理解に苦しんでおります。  それから、いわゆる電信のほうでございますが、これについては、電話料金の引き上げということはいたさないということが、もちろん基本でございます。それから時分制というのは、これはわれわれは別の観点から理解しております。これは値上げの問題とは別に、いわゆるコンピューター問題がだんだん出てきまして、従来のままでもって無制限に放てきしておいたのでは、結局コンピューターを電話回線に導入することができないという問題、そういう緊急的な問題も控え、かつ各国においても実際問題として、みな時分制をとっておるのでございますから、そういう意味の制度の合理化という問題として、われわれは理解しております。でございますから、その時分制の問題はこれは別である。こういうふうに解しております。問題は、基本料金は上げない、こういうふうに解しておるわけであります。  小学校の教科書の問題、これは議論をいたしませんでした。これは予算の問題ということでもって、当初から議題にのせなかったわけであります。

武部文日本社会党

○武部委員 いまあなたがおっしゃった広域時分制のことは、私どもから見ると少し違うのです。これはやはり値上げと関連をするし、国民の負担の度合いからいうと、これはちょっと問題があるやり方ですから、そのように企業の合理化だからというような、ただ単純な理解では困ると思うのです。これは逓信委員会のことですから、申し上げませんが、遠距離通話を値上げをする。しかし、東京二十三区に三多摩を全部合わせて一つの区域にして、時分制をとって七円を十円に上げる。これはどんどん通話料がかさむのです。遠距離というのは、企業がやるのです。九州へかけたり、北海道にかけたりする。そういう点から見て、負担の率は、国民の各庶民階層の負担が上がって、企業関係のいわゆる支出が減ってくる。それは企業は、公社は合理化かもしれませんが、内容はそのような内容を持っているものです。ですから、これは私どもはやはり値上げに通じると見ているのです。  三万円の問題を五万円にするというのは、この間一万円が三万円になったばかりですから、それをまたぞろ三万円から五万円に上げるということは、これは非常に問題があることを指摘しておきます。  それから、当面をする郵便料金、これは一種、二種の問題と三種の問題、ダイレクトその他もございますが、現実に郵便事業がたいへんな危機におちいっていることは、私どもも率直にこれは認めざるを得ないのです。ただ問題は、いまこの時期に、公共料金をストップするという政府の大前提があるにかかわらず、その特例として郵便料金の値上げを認めるということになると、それはまた次の特例を生み、さらに特例を生む。そういうケース・バイ・ケースでいくというような形になってくれば、これは公共料金ストップという基本方針がくずれていくじゃないか。したがって、個々の公共料金の問題はあとにまた申し上げますが、郵便料金の問題をいまここで、何か大蔵大臣と経企庁長官と郵政大臣と三者で再協議をするのだというような話ですが、本来この郵便事業というのは、もう八割が入手です。人件費になることはもう間違いないのです。これはもう、アメリカだってそのとおりなんです。  いま日本の郵便通数は年間百十一億、アメリカ八百四十億ですよ。これはどうにもこうにもならないのです。それで、アメリカは公社に踏み切って、公社によって独立採算制をとろうとしたわけなんです。その独立採算制をとるにしても、八年先なんですよ。それまでは、一般会計から赤字に繰り入れながら、八年先にほんとうの意味においての独立採算制をとるという長い計画を立てて、アメリカは郵便事業の危機を乗り切ろうとしておるわけです。  ところが、日本ではすぐに、独立採算制のもとでもうどうにもならぬから、赤字だから、あとは料金の値上げしかないというような――そういうものの考え方ではなしに、一般会計の繰り入れなりあるいは財政投融資のほうから金も回すなり、そういうやり方をして、いまの郵便事業の危機を乗り切らなければならない。そういう人件費、人手にたよっておるところの郵政事業の本質を考えたときには、安易に、郵便料金の値上げでこの赤字を克服するということは間違いだ。これは抜本的に、三事業あるわけですから、保険、貯金、郵便と三つのものをミックスして公社案なら公社案というものを考えて、そこにさっき言った財政投融資なり一般会計からの繰り入れをしながら、徐徐に――これは私はアメリカのやり方はいいと思うのですが、いいことはまねすればいいのですから、そういうやり方をして郵便事業というものの危機を克服しなければならない。いまここで七円を十円にして、十五円を二十円にして、なるほど当座はいいでしょう。しかし、またぞろ同じ結果が起きてくるということを私は安じるがゆえに、今回郵便料金の値上げはやめるべきだ。いまここでこれが一つくずれたら、せっかく長官が提案されたこの公共料金の値上げストップということは、全く画餅に帰するじゃないか、こういう気持ちを私は持っておるのですが、いままでの郵政大臣とあなたとのやりとりの中で、この点はどうなっているでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 時分制の問題は、御存じのように、そういうふうに逆に皮肉な理解もあるのですけれども、第一に、四十六年度は絶対に時分制は実行できないわけです。四十七年にならなければできないわけであります。ですから、時分制そのものは四十六年度中は採用できない。少なくとも一年間確実です。それから四十七年以後も、これは工事費を伴う問題でありますから、ぼつぼつと合理化が行なわれていく、こういうことでございまして、何か時分制をとったから非常に値上げになる、こういうことは私はいえないと思うのであります。特に公社は、過去の実績によって、何か一人頭の通話の時間を百秒以内とかなんとかわれわれに言っておりますが、そういうような実績を踏まえてやっていることでもあり、合理化でもあり、しかも、それは四十七年度以後漸を追って行なってまいる、こういうことでありますから、私はこれは別の観点で議論いたしていい、こう思っておるわけです。  それから郵便の問題は、これは武部さんの御指摘が正しいと思います。一体こそこそ的に上げていって、そうしてまた人件費に困って、また再びすぐに値上げをするというような繰り返しになることはいかぬじゃないか。おっしゃるように、もっと抜本的な対策というものがないかどうか。これは私も専門家ではございませんから、自分自身で中身を持っておりませんけれども、やはりその道の専門家に要求して、財政の面も含めまして、ひとつ十分検討してもらわなければならぬ、そういう気持ちでおります。これは私も、郵政大臣にも強く申し入れてあります。  そこで、さしあたっての郵便料金は、やはりこうした際であるから、できるだけ公共料金抑制の大原則に照らして上げないように押えるべきである、こういう強い申し入れを今日までもしてきております。したがいまして、その点が問題として一応最終決定ということからはずれました。これは先ほども申し上げましたように、特に予算との関係が非常にむずかしい問題があるものですから、今後やはりそのめどをつけた上で行なうべきものである。こういう意味と、それからもう一つは、あたかもその前日に審議会の答申が出まして、その答申との関連において、答申が出た翌日に、郵政大臣がもういかぬのだ――検討もしないで結論を出したという感じも、われわれはやはり避けるべきである、ちょっといろいろ具体的な配慮がありまして、そういうことで一応形を留保いたしました。  そこで、今後のことでありますけれども、これは大蔵大臣、郵政大臣、それぞれの立場があろうと思いますが、われわれはできるだけそうした抑制の方針に沿うようにひとつやってまいる、交渉をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 そういたしますと、あなたが提案をされた公共料金ストップに対するある程度の決定と申しましょうか、方針というものが示されて、内閣として決定する時期はいつごろと見ていいでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 あの決定で、厳に抑制するという原則のワク外として、特にこの郵便料金だけをいっておりますから、これは早急に三者で相談をして結論を出したい、こういうことでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、しつこいようですが、あなたの提案をされた公共料金のストップの中で、ワク外としていま協議されておるのは、郵便料金の値上げ問題だけだ。そのほかはこの方針に従って、期限はつけないけれども抑制をする。それは佐藤内閣として責任をもって物価対策をやる。こういうことなんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 おっしゃるとおりでございます。郵便料金以外のもので最近問題になっているものは一通り議論をいしまして、そしてこれはやらないということにいたしたわけでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 それでは重ねて要望しておきますが、やはりこの郵便料金の問題が相当影響するところが大きいわけであります。したがって、先ほど申し上げるような郵政事業の将来の問題から見て公社案なりそういう点についての計画を練った、その上でこの郵便事業の再建ということ、危機を乗り切るということが正しいと、私はいまでも思っております。さしむきそれならば、当面をする今回五百七十二億の赤字予算を組んでおる現実、郵政省は、もう五百七十二億の赤字予算を組んでおるものをどう解決するかということが、私は佐藤内閣の政治的な決断だと思うのです。郵政省に働いている諸君が集めてきた簡易保険の資金なりあるいは郵便貯金の資金なりというものは、ばく大なものです。先般も私ちょっと聞きますと、九兆円をこえるそうですが、そういうものを営々として彼らが募集をし、国でこれを積み立てておるんですね。それが財投に使われておる。その中から、当面をする郵政事業を乗り切るために財投のそういうものをふり向けるというようなことをしながら、何としてもこの公共料金の値上げをストップしてもらいたい。このやり方については、必ずしも全面的に全部が賛成しておるわけでもないようです。それはもう全く物価問題に対しての小手先細工だというようなことを言う人もおりますけれども、さればといって、このままほっておいて物価が鎮静するかといえば、そうでもない。だとするならば、何かいま政府がここで気慨をもって方針をひとつ立てたということならば、やはりそれに全力を集中して、そうした計画なり方針を貫主通してもらわなければならぬ。佐藤総理が蛮勇というのはこういうときだと思うのです。こういうときに蛮勇をふるってもらわなければならぬと、国民も思っておると思うのです。そういう意味で、やはり郵便料金をワク外というような形でこの問題を逃げるのではなしに、ぜひひとつ郵政大臣にも協力を求め、大蔵大臣にも協力を求めて、この上昇を続けておる物価を何とか押えるという、そういう蛮勇を同時に佐藤長官にもふるってもらわなければならぬ、私はそういうように思うのであります。  そこで、これはこれからのいろいろな対策の面でありますが、私もそう専門ではありませんし、いろいろ勉強してきたわけですが、このインフレ傾向というのは日本だけではないわけですね。アメリカもそうですし、西ドイツもフランスもみんなそうですが、その国はその国なりにいろいろやっておるようですね。私はこの間、日曜特集という約一時間近くのNHKの「インフレと闘う」という各国のテレビを見ました。非常にこれは参考になるテレビでありまして、おそらく全国でもたくさんの人が見ておったと思うのです。アメリカなりあるいは西ドイツ、フランス、イギリスなりの物価上昇の状況なりあるいはそれに対する対策、そういうことを非常に長い時間かかってやっておって、日本の物価問題と比較をして、たいへん私参考になったと思うのです。  長官、ごらんになったかどうかわかりませんが、その中で、特にフランスが物価統制令をいまだに実はやっておる。日本で物価統制令の対象になっておるのは米とアルコールぐらいのものですが、いまだに、伝家の宝刀として物価統制令でもってやっている。ちょっとここに基準がありますが、特に工業製品の八割にその物価統制令を適用しておる。専任の監視員が全国を回って、この物価統制令を実際問題としてどのようにやっておるかということを監視をしておる。そうして違反をしたものは停止をするとか、場合によっては検察庁に告発をするとかいう、そういうやり方をしておるということをあのテレビの中ではっきりと聞いたわけですが、これはやり方としては、非常にきちんとしたやり方をしておるのじゃないか。しかし、それじゃフランスの消費者物価の値上がりがとどまっているかというと、必ずしもそうじゃありません。ありませんが、フランスの物価の上昇は日本に比べて非常に低い。  それから西ドイツは、昨年の九月に物価安定を目標にマルクの切り上げをいたしましたね。これは長官御存じだと思うのですが、このマルクの切り上げをしたということは、第二次世界大戦後においてマルクの切り下げをした、平価の切り下げをした国はたくさんありますが、切り上げをしたのはおそらく西ドイツだけと思うのです。しかし、これによって西ドイツの物価が全面的に安定したかというと、必ずしもそうではなかった。しかし、現実にそういう点について西ドイツでは、国民の中に反対があったけれども、それを押し切ってマルクの切り上げをやったという事実もありますね。これは物価政策です。さっきのフランスの物価統制令も物価政策です。そういうことをその国なりにやはり相当な決意をもってやっておる。  だとするならば、これだけ日本で消費者物価が上昇してたいへんな問題になっておるときに――きょうの新聞によれば、日本の物価が世界一と書いてあう点したね。お読みになったですか。東京は世界一物価高と書いてありますが、そういうときに、せめていまあなたのほうで提案をされた、物価担当大臣としてあなたが提案をされた公共料金の問題で、ここで腰くだけになってワク外を認める、例外を認めるというようなことになるとするならば、これはまたぞろ、佐藤内閣の担当大臣としてのかなえの軽重を問われると私は思うのです。そういう意味で、ぜひひとつ決意をもってやっていただかなければならぬ。それによって何がしかの物価に対する影響が出てくるとすれば、国民は、あるいは佐藤内閣の物価政策について一るの期待を持つかもしれません。しかし、いまは肝心かなめの総理大臣が、ああいう適当なことを言ってその場をごまかしておる。こういうことでは国民が信頼いたしません。私は、今回の公共料金のストップを提案されたならば、ひとつ途中で腰くだけにならぬように、この所信をぜひ貫いていただきたい、こう思いますから、最後にひとつ長官の考え方をお聞きしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いまいろいろと各国の例もお話しになりましたが、それぞれの国の事情が違うものと思います。いま御指摘がありましたフランスは、実は物価統制令までは残してはおりませんが、いわゆる計画契約、こういう制度をとっております。そして企業者が一々契約を結びまして、その契約の条件として、特に更改が認められない限りにおいては一定の物価でもって経営を行なっていく、こういう制度でございます。率直に言いまして、やってみたけれども抜け穴だらけであるということで、物価の指数のとり方いろいろありますけれども、全般はフランスはもっと高い上昇率を示してきておるわけでありまして、統制的手法というものを導入して直ちに物価がおさまるかというと、率直に申し上げましてなかなかむずかしいのが、われわれの過去の経験でもあります。そういう意味におきまして、あえて統制というような形はとらないで何とかやっていきたいもの、私はそういうふうに考えております。  マルクの切り上げは国際通貨問題として、日本とだいぶ事情が違いまして、どんどん周囲の国から短資の流入が行なわれてまいって、結局そうしたことからしてマルクの切り上げに追い込まれたという、ドイツのいわゆる国際金融上に占める特殊の地位のさせたことと私は考えております。いろいろと日本とは事情の違うという点もあろうかと思います。  そういうことで、各種の政策いろいろと考えられるのでありますが、やはり日本は、日本の置かれた立場に即した対策をとる以外にはなかろう。率直に申し上げまして、武部さんが御指摘になりましたように、なかなか物価抑制の効果というものが直ちに出てまいらない。しかし、先ほども申し上げましたように、私は、タイムラグこそ長くなってまいりましたけれども、やはり成長を落とし、引き締めを行なったということの結果というものは、もうちょっと先には必ず出てまいるというふうに判断をいたしておるのでございます。そうして、もちろんそれだけで済むことではございませんから、従来も議論された各種の対策をさらに徹底するように進めてまいりたい、その一環として公共料金の問題を取り上げておる、こういうことでございます。そういう意味において、郵便料金の取り扱い等についてもこの抑制の趣旨に沿ってということでもございますからできるだけその方向でやってまいりたい。具体的には予算の金額にも関係することでございますから、いわばこれは大蔵大臣との折衝にもなるわけであります。そういうことで、なおできるだけの努力をしたい、こう思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 この公共料金の問題等については、同僚委員からもそれぞれまた質疑があるようでございますから、私は、次に公正取引委員長に一つの問題についてお伺いをいたしたいのであります。  この委員会で何回か同僚委員から、カラーテレビの二重価格制の問題について話がございました。十一月二十七日に公正取引委員会は、カラーテレビ、白黒テレビ、それから洗たく機、冷蔵庫の四商品について、現金正価が実勢価格より一五%以上離れていたら不当表示で摘発するという意味のことをお述べになったことが、大々的に報道されました。このことについて業界がどういう態度を示すかということを、私ども見守っておったわけですが、これを受け入れるという態度を決定したということも、これまた報道によって明らかになったところであります。  そこで、きょう私がお伺いをいたしたいのは、まず一五%という数字はいかなる理論的根拠、算定根拠を持っておるのか、いかなる算定基礎に立って一五%ということが出たのか。時間の関係でざっと質問を先にいたしますから、一括して御答弁いただきたいと思います。  第二番目は、かねて地婦連等が調査をいたしておりますが、この調査によりますと、三〇ないし四〇%もこの間に差があるということはもうざらであります。こうなってくると、一五という数字をお出しになったわけですが、これは逆にメーカーにとっては一五%というのはてこ入れになりゃしないか、メーカーはこれをさか手にとってくるのじゃないか、一五%以上の値引きはできませんというようなことの逆手をとってくるのではないかという心配が当然出てくるわけですが、これについて公正取引委員長はどういう見解を持っておられるか。  それからいま一つは、公正取引委員会が現金正価ということを、もしあなたのほうのやり方としてお認めになるとするならば、松下がいままで独禁法違反のやみ再販で摘発をされておりますが、そういうことと矛盾をすることになりやしないか。なお、この松下は、やみ再販の問題で摘発をされ、審決が出たわけでありますが、系列支配をしておるのは何も松下だけじゃないのです。大きなメーカーはすべてこの系列支配をしておるわけですが、公正取引委員会としてはもっと調査をして、ほかのメーカーも同様にやみ再販として摘発をすべきではないか、このように思いますが、この点について最初に御答弁をいただきたいと思います。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 第一の、どの程度の値開きというものがあったならば私どもの言う不当表示として排除命令を出す、さような法的措置までとるようなものとして考えるか、このポイントでございます。  問題は三つあると思います。まず、値開きがどれくらいあるか、それから、その値開きのある姿がどの程度に広がっているか、一軒や二軒じゃなくて広がり、そしてまた、それがどの程度の期間にわたってつながっておるか、かようなことでございまして、簡単ではございませんが、要約してお答えいたしますならば、たとえば一五%以上の値開きが起こっているような店が、その品物を扱っている店のうちのまず三分の二ぐらい、大多数を占めるというふうになったら、これはやはりかけ離れたものと見るべきではないかというのが一つの案。あるいはまた、二割も離れているというものが過半数を占めているようだったら、それは、そういうような実態と遊離してしまったものになっているというふうに認められるのではないかというふうな、いろいろな実態とかけ離れているということの認定のしかたの問題として、一例としてそういうのが出ているわけであります。  それで、一〇%くらいの値開きというものがたとえば九五%も起こっている、これもあるいは一つのあれかもしれません。しかし、あのような家電製品等につきましては、全国のいろいろな立地条件のところにいろいろな形での販売の態様がございますので、統制経済ではございませんし自由経済でございますから、小売り店の店先においてある程度値に差があるということは当然でございましょう。さような意味におきまして、一五%以上の値開きが大多数、大部分にわたって起こっているようなときは、これはいけない、かようなことを言いましたので、実はその前提となっておりますいろいろな商品についての値開き分布状況、たとえば一五%から二〇%までの値開きが起こっておるのが全体のたとえば二割であるとかあるいは二割から二割五分まで、それが調べた店のうちの二割ぐらいであるとか大多数であるとか、たとえばさようなことを調べた上でやったわけでありまして、個別的に申すならば、ただいま武部委員御指摘のとおり、大きく開いているものもございます。開いていないものもございます。品物により銘柄によりいろいろ違っておりますが、一つの平均的な問題としていろいろな数字を見てみますと、少なくともその辺まできておれば、不当な表示として私どもが認定するだけの値開きがある、かような考え方はどうだろう、こういうふうに一つの案として申したわけでございます。  それで、武部委員おっしゃられますように、そういう値開きの一五%まではいいんだというふうに思われたり、あるいはそこでひとつがんばっていこうかという話になったら、これは私どもの意図するところと全く違うわけでありまして、それは不当の表示であるから手直しをせよということは言っております。そして、手直しをするときにはできるだけ実売価格に近づけるようにせよ、もうちょっと値が動くとすぐ一五%の線に引っかかってしまうということではなしに、思い切ってそのときにはちゃんと実売価格に近い線に直せ。実売価格に近い線というのが、これがまた何も一定しているわけではありませんから、それは多少値開きがあってもいいんでしょうが、たとえばおおよそ八割とか九割とかの店がほぼ現金正価――現金正価ということばは実は私は使いたくないのですが、ある程度の、メーカーの希望小売り価格から五%以内の範囲にとどまっているとか、あるいは一割以内の範囲にとどまっているような手直しのしかたをせよというようなことも一つの考え方としておりますので、一五%がまず下限で、そこさえうまくごまかしておけばいいんだというような考え方はまずとっておらない。これもメーカーの方も承知しておると思います。  それから第二に、当然のことながら、さような姿になっておりましても、小売り商の方々が、自分の経営努力によりましてより安く消費者に品物を提供しようとして努力してくださることを私どもは希望しておりますし、そういう意味で、値開きがさらにまた実態として起こってくればきたで、そのときまたそれを是正していただくということは考えておりますけれども、その位開きが起こらないようにしろというふうな拘束を小売り店に加えるようであれば、おっしゃるとおり、これはいわゆるやみ再販的なものとして厳重に取り締まらなければならない問題だと考えております。  そこで、第三番目のいわゆる系列店問題、これに対して、いろいろ営業のしかたといたしまして、どういう店に自分たちの品物を扱わせるか、扱わせる場合にはどういう約束をしてやらせるか、また量販店をどう使うか、百貨店をどう使うか、その場合にはどういう卸の系統を通じてやるか、いろいろ各社において営業政策の問題として考え方がありましょうが、私どもとしましては、かりに系列なら系列の店であれ何であれ、少なくともその系列店の活動を拘束するようなことをしてはならない、やみ再販規制といわれておりますが、系列店をつくること自身が問題ではなくて、その系列店に対する圧力、拘束、さようなことがよろしくないというふうに考えておりますので、御指摘のとおり、もし系列支配というおことばが拘束を加えるという問題であるとするならば、それは私どもは、厳重にこれからも注意してまいらなければならないと思います。ただ、私の見ますところでは、実態の問題としまして、いわゆる価格メカニズム、市場機能の発露と申しますか、あらわれだと思いますが、現在家電業界等におきましては、そういうこともなかなか実際問題としては、系列を支配しようと思ったって、なかなかメーカーの思うようにいかないような事態が、現実問題としても出てきておると思います。それだけになお、私どもはよく注意して見てまいらなければならないと思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、いまのお話では、一応一五%という数字を画した。ちょっと私は間違って聞いたかもしれませんが、かりに一五%に満たないところがあった、その場合に、一五%にするようにとメーカーが小売り店を強制する、強要する、拘束するというようなことがあった場合には、やみ再販として摘発する、こういうことですか、ちょっとその辺わかりにくかったのですが……。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 私もちょっとわからないのですが、一五%に満たないというのはどういう意味でございましょうか、その逆でございましょうか。

武部文日本社会党

○武部委員 その逆です。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 それではお答え申し上げます。  それは当然のことでございまして、私どもが不当表示であるとして認定するラインが、たとえば三分の二の店においてはもうすでに一五%以上の値開きが起こっている、あるところでは二〇%、あるところでは二五%、しかし百軒の店を調べてみますと、そのうちのたとえば七割はもう一五%以上の値開きが起こっているというふうなときには、その値開きがもう一般化していると認めて、その値開きはよろしくありませんから直しなさいと言っているので、その意味で、かりに二割開いているところが、それは困るから一五%に開きを縮めてくださいよ――そんなことは、経済の価格メカニズムが第一許さないと私は思いますけれども、かりにもそういうことを言って拘束を加えたら、それはいけない、こういうことを申したわけでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 この一五%という数字の問題については、私どもは大いに異論があるところなんです。意見があるところなんです。これは相当時間を食うわけで、それであとでちょっと触れなければならぬのですが、私は、現状の取引で有力メーカーというのは、リベート制を活用して小売り店を拘束しておる、そうして現金正価はこれに準ずるといういわゆるやみ再販価格で売らしておる、そのように見ておるわけです。したがって、寡占メーカーの現金正価というのは、形式的には希望価格であるとかあるいは推奨価格ということを言っておるわけですけれども、それは形式的にそういうことばを言っているだけであって、これは明らかに実質的には再販価格だ、私はそういうふうに思うのですが、公正取引委員長はどう思いますか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 いわゆる現金正価と称せられておりますものが、本質的には何も正価ではなくて、裏にいろいろのマージンなりリベートなりというものがあって、小売り店でそういう値段は出ておっても値引きがかなりできるという実態がまずあるということは、御指摘のとおりだと思います。そうして、そういう実態がうしろにありながら、なおかつ現金正価なるものを守れ守れといって拘束をしておったとすれば、それはやみ再販になるわけでございますけれども、現実の姿は、もうすでにさようなことは、かりに希望したとしてもそうはいかなくて、現金正価と実売価格とが離れてきているという姿になっております。ですからこそ、その現金正価なるものは、もはや再販拘束価格ではなくて二重表示価格、十九万円のものを十五万円で売っておりますよと、いかにも安く見せかけるための手段として使われるという問題としていま論議されておる、かように私どもは考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 そうしますと、これは家電製品に限らずですが、現在市場を支配しておる寡占メーカーがつけるところの定価、そういうものは少なくとも独禁法違反のケースが過去において非常に多かったということは、あなたもお認めになると思うのです。いわゆる寡占メーカーがつけておるところの定価というものは、そういう家電製品に限らず、独禁法違反ということのケースが過去においてあった、これはやはり定価というものは禁止すべきではないだろうかということを私は思います。  それからいま一つは、小売りと消費者という相対するものがここにおるのに、第三者であるメーカーが消費者価格をきめるということですね。これはもう越権行為だ、少なくとも価格は消費者と小売りが店においてきめるべきものだ、こういうふうに思うのですが、そうじゃありませんか。どうでしょう。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 原則論として、武部先生のおっしゃるとおりだと思います。先般も、たとえばビールの会社が小売り販売価格が百四十円であるというふうなことを言っているのは、これは本来間違いであって、ビール会社が幾らで流通業者に仕切るかということがまずポイントであって、その流通業者から最末端の小売りまで行ったときに幾らで売るかは、それは消費者と小売りの問題である、かように私はどこかで申し上げたと思うのですが、実際今度は、キリンビールでありましたかが、もう自分の仕切り価格しかいわない。しかし、実際問題としては、それは百四十円で売ったり、あるいは百三十七円で売っているところがあるかもしれません。その辺はもう自由である、さような考え方を私どもはとっております。  ただ、それでは一体メーカーというものが、定価ということばがいいかどうか知りませんけれども、この機械、この製品は、消費者価格としてはこういう値段のものであると思います、こういうことで提供いたしますというふうにして――私はそれを希望小売り価格と言っておりますが、そういうことが全く反社会的なあるいは反経済的なことであるかどうかという点になりますと、たとえば銘柄品、商標品であり、しかも内容がきわめて高度に技術的で、品質その他についても、小売り業者のいわば説明なり何なりによって買うというよりは、むしろメーカーを信頼し、メーカーの保証を受け、そしてメーカーがそれを宣伝し、メーカーがそれをいろいろと消費者に推奨する、そういうふうな形できておりますものについては、ある程度消費者のほうからも、何らかの形でそれについての値打ちというものを、これはメーカーに正しく言ってもらうことが必要だと思います。いいかげんなことを言ってもらってはいけませんが、ある意味で正しくほんとうに表示してくれれば、そういう品物については望ましい。何もわからない、小売りさんの店へ行ってみても、小売りのつけた値段ではどうも信頼ができない、かような考え方を持っておられる方もあるようですし、日本の経済社会はまだそこを一挙に踏み切って、およそメーカーは、小売り価格について希望価格を付するようなことをしてはならないというふうな考え方になるまでに、日本の経済常識と申しますかがなっているかというと、そこにはまだ問題が残っているように思います。さような意味で、私は原則、大筋としては武部委員のおっしゃるとおりだということを申し上げたいと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 これは最後になりますが、いまの最後のところでは、やはり原則的に正しくとも、現実に定価ということを公正取引委員長はお認めになっておるわけですが、私はこう思うのですよ。消費者が店に買いに行ったときに、便宜を与えてもらう何ものかの説明なりそういうことは必要だと思うのです。それを否定はいたしません。しかし、少なくとも小売り商が自分の責任において正札販売をやるということによって、消費者はそれによって選択をする。その店のものがいいか悪いかということは、消費者自身がそれを選択する。今日、デパートがあれだけ隆盛になったのは正札販売です。これは一銭もまけやしません。そういうことを現実に行なってきた。したがって、例をとってみれば、たとえば伊勢丹と三越に行けば正札でちゃんと売っている。どっちが安いか、どっちがいいかということは、消費者自身が判定できるのです。ですから、あなたがおっしゃるように、消費者がなるたけ見やすいように、その品質なり性能なりに関する表示というものは絶対必要だと思うのです。たとえば使用の明細とかそういうものをつけて、消費者が一目してそのものの性能がよくわかるようにする。それはいいのですが、メーカーがそうした定価にまで介入するということについては、私は間違いだと思う。ただその点は、いまあなたは、一挙にできないので徐々にそういうことにしたいとおっしゃるわけですが、もうこの辺で、この問題がここまで話題にのぼり、消費者もメーカーも小売り店も、それぞれその認識を新たにしてきているわけですから、やはり、メーカーが小売り店に並ぶ品物の値段にまで介入するということは、私は間違いだと思う。そういう点については、やはり消費者のこういう運動を進めなければならぬだろうし、公正取引委員会としても、ぜひそういう方向でこれからも指導していかなければならぬ、私はこういうふうに思いますが、どうでしょうか。それを聞いて終わりにしたいと思います。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 一つの有力なる御意見、考え方と私は思います。

武部文日本社会党

○武部委員 終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 公共料金の問題で、先ほど武部委員からいろいろ御質問がございましたし、私もいろいろ伺っておりましたので、大体わかったのですけれども、やはりどうしても念を押しておきたいというような気がいたしますので、一、二点伺いたいと思います。  そこで、いままでの答弁を伺っておりますと、公共料金の中で郵便料金を除いては大体ストップをする、しかし郵便料金についても、長官自身は、これをできるだけストップさせたいというようなお考えのようでした。  その点なんですけれども、伺っている間に、どうも私すっきりしないのです。はたして郵便料金が上がらないのか上がるのかということが、非常に気になるわけです。特にそれにこだわります理由は二つあります。  その一つは、郵便料金というのはだれにでも影響のあることです。この間、野菜の問題でいろいろ議論をしました。そのときに、ある市場の市場長がこういうことを言ったわけです。セロリとかレタスとかいうようなものは、上がっても消費者はちっとも騒がない、けれども、ダイコンとかいうものが上がると非常に騒ぐと言ったので、私は、それは当然だと言ったのです。高級野菜の場合にはある程度しかたがないけれども、ダイコンなんか、昭和二十三年には六銭だった、それがいま百円だ百五十円だといえば、私たちは毎日使うのだから、どうしたって騒がざるを得ない。こういうことを言いながら、私もいま、一生懸命八百屋さん通いをしております。三日間で、キャベツなんか三十円から四十円上がっております。ダイコンが十円下がったかと思うと、キャベツが三十円、四十円上がるわけです。こういうふうな、日常私たちの生活に関係のあるものが上がるから、やはり私たちは物価の値上がりというものが直接響いてくる、感じるわけです。そういうことから考えても、郵便料金なんか上げられるということは、日常生活に非常に影響のあることですから、どうしてもやめていただきたい。  それからもう一つは、婦人団体と一国の総理が約束されたことを、約束を破るというようなことは、私は、今日の政府の不信を買うだけでなくて、ある程度責任をとらなければならぬ問題だと思うのです。ですから、そういう意味でも、どうしても郵便料金は上げないのだというぐらいの覚悟を持っていただきたいのですが、そのことをまず伺っておきたいのと、それから、しばらくの間、ああいう約束もあるし、物価の委員会でもいろいろ言われるから上げないでいるけれどもそのうちにというような、そういう態度でなくて、もうこれは上げないのだというぐらいの覚悟のほどを、ちょっと示しておいていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 総理がどう言われたかについては、私はまだ直接聞いていませんが、参考に伺っておいてもいいです。調べておきます。  いずれにしても、われわれとしてはできるだけこれを上げないように、いま御指摘のあったような、引例もありましたが、そういう意味においても、国民生活の一番基本に関係する料金は上げない、こういうことが基本ですから、私たちもそういうことでもって交渉をするつもりでございます。これからの交渉ではありますけれども、いま戸叶さんの御指摘になったような点を私も十分に考えてやりたいと思っておりますから、そこのところはもうちょっと時間的に御猶予を願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 長官の誠意のほどはわかるのですけれども、なるべくそれがほんとうに実るようにしていただきたいのです。  そこで、それの裏づけになることを私は一つ申し上げたいのですが、消費者保護基本法をつくりましたときに消費者保護会議というものをつくりました。そのときに私たちは、消費者保護基本法をつくるにあたって――たいへんに物価高で国民が困っているのだから、その物価高を抑制したいけれども、しかし、そういうものは経済の問題であって、法律でどうこうするわけにはいかない。しかし、せめていろいろな面から消費者を守っていこうということで、消費者基本法というものが国会でできたと思うのです。そのときに、消費者保護会議をつくって、閣僚級のレベルで消費者保護会議を持つのだといったときに、非常に議論もありました。また屋上屋を重ねるものじゃないかとか、あるいは、閣僚がやっても閣僚会議と違うのじゃないか、こういうふうなことを言われたのですけれども、そうじゃないのだ。今度の場合は特に違っていて、新たに設置された行政機構であり、その行政機構の長になるのは内閣総理大臣なんだ。そして各閣僚が出ていって、そうして消費者を保護するためのいろいろなことを議論する。ことに物価の問題もここでいろいろ議論をする。そうすれば、担当大臣が出てきて、これを上げたいのだと言ったときには、それはいけないといって経済企画庁長官なり何なりががんばる形で、公共料金なども、ときにはここである程度チェックできるようにしなければいけないということを私たちは考えて、閣僚会議というものをあの一条の中に入れたつもりでございます。  そうやって考えてみますと、その消費者保護会議の長である佐藤さんのお約束でございますから、私は当然守らるべきじゃないかということも考えるわけで、消費者保護会議の目的とするところは何であるかということを思い出していただいて、長官自身も、公共料金のときにはチェックをするのだという気持ちで、私たちのつくったこの内容というものを思い出して、それを各閣僚にも伝えて、ぜひストップをさせていただきたい、こういうことを私は要望いたしまして――要望であり、そしてまた、どうぞそういう気持ちでやっていただきたいということを激励して、私の質問を終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 松浦利尚君。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 実は、きょう消費者保護会議の内容について本委員会で議論があるということで、そのほうの資料をそろえてきたわけですけれども、長官がおいでになって、物価の問題が中心になるということでありますから、簡潔に物価の問題について御質問をしたいと思うのです。  先ほど武部委員からもお話がありましたように、閣僚会議で公共料金を抑制する、こういう方針を出されたわけですけれども、私は、来年度の予算編成を目の前にして佐藤長官が公共料金を抑制するという発言をされたことは、確かに勇気のある発言だと思うのです。現実に、郵便関係で五百億近くの赤字が出ておる、だから郵便料金の値上げをしなければならぬという郵政審議会の答申が出されてくる。しかし、そういったものを目の前にして、絶対に料金は値上げしないのだ、こういう発言をしたというのは、私は、これは国民に向かった、国民の立場に立った長官の発言だ、国民も拍手しておると思うのです。  ところが、どうも閣僚会議が終わったあとの姿勢というのが、だんだん怪しくなってきておるわけですね。実際に郵便料金は値上げしないということを、予算の編成期を前にして、国民の前にはっきりここで言えるのかどうか。また、三Kといわれておる国鉄の赤字、食管会計の赤字あるいは政府管掌健康保険の赤字、来年度の予算編成の一つの大きな問題だと政府は言っておるわけですけれども、こういったものを目の前にして、公共料金の中に入る消費者米価あるいは国鉄運賃、国民健康保険なり社会保険、こういったものは値上げしないのだ、こういうことを長官はここではっきり断言できますか、どうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 当然物価の担当の立場から、消費者米価については、私は値上げについては絶対反対の意見を持っておりますし、消費者米価の問題は、実はまだ問題が全然固まっておりません。そういうことであまり時間をかけてもしかたがなかったものですから、私の意図ははっきりしておりますけれども、特に議論をしなかったわけであります。これは今後の経過においてわれわれが努力をし、ぜひともそういう方向で実現したいと思っております。ただ消費者米価の問題は、いわゆる食管制度とのからみもありまして、目下それの成案を得るのに非常にデリケートな情勢でもあるものですから、かえってあまり騒がぬほうがいいんだというようなことを言う人もおります。しかし私は、やはり消費者米価についてはこれは絶対上げない、こういう方向でもってこれを推進する、こういう覚悟でございます。  医療費に至っては、目下のところ、なお全く五里霧中でありまして、上げるとも上げないともわかっておりません。そういう意味でもって議題からはずれております。これは健康保険制度全体の問題にも関連する問題でありますから、われわれとして、いま結論めいたことを言うことは控えたいと思います。これは一体物価なのかどうかということについて、いろいろと議論する向きもあるようであります。われわれとしては、やはりこれについても、赤字対策ということが一面にあることはわかっておりますけれども、できるだけ上げない方向を打ち出したい、これはもうちょっと具体的な案といいますか、そうしたものが具体化した段階でもってはっきりさせたい、こう思っております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いまのお話を聞いておりますと、閣僚協議会は私は非常にあいまいだと思うのです。公共料金を抑制するというなら、やはり国鉄運賃も公共料金だし、消費者米価も公共料金だし、郵便、電信電話も公共料金なんですね。ところが、現在問題になっておるものについてのみ公共料金という解釈をしておるから、国民が非常に不満を感ずると私は思うのです。  いま長官のお話を聞いておると、消費者米価については、長官の意見としては上げてもらいたくない。しかし、この消費者米価という公共料金、物価に直接関係のある料金について、閣僚会議の方向というものは不明確なんでしょう。これをわいわい騒ぐと困るからちょっと控えておきました、こういう言い方ですから、下がることは全然ないのですが、上がるか据え置きかということがはっきりわからない。ところが、来年度になってみたら、消費者米価はずっと上がってしまった、そうすると、また佐藤長官は国民にうそを言ったこういうことになるわけですね。  あの私鉄運賃に、私たちは苦い経験を持っておるのです。御承知のように、あの私鉄の運賃値上げをしましたときに、われわれは、私鉄は多角経営をしておって、不動産部門あるいは、デパート部門、こういったものを総合するなら黒字なんだ、黒字だから値上げしないでいいじゃないかという強硬な主張をしたにもかかわらず、政府は私鉄の運賃値上げを認めたわけです。黒字で認めたわけです。ところが、実際にいま赤字である郵便関係、郵政会計は明らかに赤字なんです。あるいは食管会計も赤字であるということも、国民ははっきり知っておる。黒字のものを上げておいて、赤字のものは上げませんということは、常識的に、いまの政府にやり得るかどうか、私は非常に疑問に思うのです。  長官は物価担当の長官でありますから、公共料金に属するものについては一切値上げをしない、予算編成のときにあっても、消費者米価も上げません。健康保険についても、社会保険関係等についても上げない、国鉄運賃も上げぬ、郵便料金も上げません、こういうことをこの際私は、物価担当大臣として勇気ある発言をひとつここでしてもらいたいと思うのです。その点どうでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私鉄料金は黒字で上げたということは、私は基本的に見解が違うと思います。やはり赤字であるという数字がはっきりしておった。結果として、ああいう結論が出たわけであります。政府としては、何も黒字であるものを特に上げる、こういう気持ちはございません。  それから、消費者米価については、これはもうわれわれとして最後まで上げない、こういうつもりでおります。  健康保険のほうは、率直に言いまして、いま上げるとも上げないとも、どういうことになっているのか、皆目まだそうした具体的な問題が出ておりません。でありますから、私としてはいま何とも言えませんけれども、いま申し上げましたように、もし何か具体的な案が出てきましたならば、われわれとしてはできるだけ上げないようにしてまいる、こういうことです。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それから、今度電信電話料金の設備料が三万円から五万円に値上げになりましたね。そのことは長官お認めになったわけですけれども、電電公社が次の国会に出すであろう七カ年計画によりますと、電話を希望する家庭には全部電話がつくように計画をされておるのです。そうなってくると、この設備料というのは公共料金の範疇には入らないという解釈をされて、三万円の設備料を五万円に上げることについて賛成なさったのでございますか。その点どうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 一方において電信電話の計画の遂行という必要性も、私たち認めております。そういう意味においていわゆる料金と性格が多少異なる、こういう点も頭に置いてそういう結論になったわけです。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 全部の国民に電話がつくのです、希望した者には全部つくのです。だとすると、私は設備料はやはり公共料金の範疇に入ると思うのです。電話料金の値上げに通ずるものだと思うのです。しかも電電公社は、四十四年度で二百六十八億の黒字なんですね。電電公社が赤字だったことは一ぺんもないのです。四十四年度で二百六十八億の黒字を残しておる電電公社が、設備料を三万円から五万円に値上げをする。さらに先ほど広域時分制のことをちょっと言われましたけれども、三分間七円ということは、いま長官が四分間電話をかけたら十四円、こういうことですよ。いままでは七円でよかったのです。これは値上げじゃないのでしょうかね。どう思われますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 そこで先ほども、公共料金の問題と、それから各種の政策の遂行との調整の問題が問題になるということを申し上げたわけでありますが、かりに時分制の問題をとりましても、とにかく四十六年度中に行なわれないことははっきりしています。そして今後四十七年度以後におきまして、時分制の問題、それも決して一挙にではなくて、逐次工事の進むに従ってその制度が採用されてまいる、こういうことであります。そしてまた一方において、これはある意味において使用の合理化の問題も伴っております。必ずこれが値上げになるというものではない、私はこういうふうに考えております。現に電電公社の統計によりますと、何か平均九十何秒とかいう数字が出ておりますけれども、そこいらもにらんで合理化の基準にしておることでございますから、それをもって私は値上げというのは言い過ぎである、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 物価担当大臣――経済企画庁長官とは申しません、物価担当大臣と申し上げますが、そこにやはり国民の感覚とズレがあると思うのです。いま国民の公衆電話が三分打ち切りになっているのですね。長官も経験されたと思うのですが、用を足しておったら途中で切れるのです。また十円入れなければならない。実際にまともな用を足そうと思えば、一通話に対して四分間はかかるといっている。六分間話すというのじゃないのですね。六分間まで話せるけれども、いままでの通話を平均すると大体四分間なんです。九十何秒じゃないのですね。そうしますと、実際に十四円払わなければならぬということは七円の値上がりになるのです。しかも、電電公社は二百六十八億の黒字を出しているのです。そういったことを考えてくると、今度長官が、公共料金を抑制するという範疇の外に、一通話の時分制を採用して三分七円ということに賛成なさったということは、非常に残念だと思うのです。  また電報料金につきましても、これも実質的に赤字だということ、確かにこれは赤字です。調べてみても、いま数字は記憶しておりませんが、赤字であることは事実です。しかし、全体の電信電話事業というものは、二百六十八億の黒字を出しているのですね。赤字分もカバーして二百六十八億の黒字だ。だとするならば、もっと略符号電報をふやして国民のためになるようなサービスを供給することによって、その赤字部門を解消するということを考えてしかるべきだと思うのです。安易な電報料金の値上げということでカバーしてしまおうとする、そういう点は、私はどうも国民の感情からすると離れた政策だ、離れたところで何か物価問題が論じられているという気がしてならないのですが、その点は長官どう思われますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 事は制度上の問題でありますけれども、たとえば時分制の問題一つをとりましても、いよいよコンピューターを取り入れる際のことを考えてみますと、これを無制限に使わせるということの事態を延引すれば延引するほど合理化はおくれる、こういうふうに私は信じております。でありますから、一面において、合理化を行なうことの必要性というものは非常に高いと私は思っております。そしてまた、水道料金の中にもよくメーターをつけているものと無制限に使用するものとがあり、それが徐々にメーター制に変わっていきつつあるように、これはやはり時分制というものは電話制度における基本的な方向である。その合理化計画というものをおくらせること自体はまたマイナスになる、こういうふうに私は考えております。  それから、電報制度のごときに至っては、郵便制度は御存じのように八割が人件費である。この人件費が毎年毎年上がっていく傾向がある。こういう際に、毎年人件費が上がるのをそれじゃ一体何でもってカバーするのかということになれば、やはり労力配置の適正化というような問題も重要な一つの問題になります。先ほど抜本的な改正という話がございましたけれども、その抜本的な改正にはいろいろなことが考えられなければならぬと思いますが、その一つはそれであろうと思います。われわれも聞いてみますと、今日電報のために常時たいへんな人手を置いておるようでありますけれども、ほとんどただ待ち時間が多いというような現状になっておるようであります。そういうようなこともありまして、一方において電話の普及とも相まち、電報制度についてこのまま放置をすることはできない。そういうことで、これはこれでそうした制度の立場からの合理化、こういうものを徐々に進めていく必要性というものを私は認めておるわけであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 電信電話の合理化という問題、いま長官が総括的にお話しになりましたけれども、私が調べてみますと、市内料金を一通話十円にして――それは七円に押えられましたけれども、そして市外通話をダウンさせるというのですね。市外料金をダウンさせる、だからとんとんで料金値上げにはならないんだという電電公社の案だったのです。ところが、実際に考えてみますと、われわれ庶民が使う電話というのは市内が多いのですよ。しかも、東京のようにだんだん周辺に居住が移ってまいりますと、東京都から自分の家に電話をする、それが市外電話料になっているのですね。電電公社に質問すると、東京でかける市外電話の九五%は近郊電話だというのですよ。ところが、その東京近郊にかける市外電話は高いのですよ。東京から九州へかけるような場合は三〇%もダウンするような案ですね。そしてとんとんにする、こういう考え方ですよ。結局電話料金という問題は、電話を一番日常に使う国民というものを犠牲にして、逆に長距離を使う人に有利になるように電話体系を変えようとする案が、実は今度の案なんですよ。そうすると、実際にわれわれが高いものを払って、たくさん電話を使う企業のほうの負担を一般庶民がするという結果になるのじゃないかと思うのですよ。そういう合理化案なんですよ。  確かにいま言われたように、データ通信、コンピューターに接続するオンラインシステムという問題もあるでしょう。しかし、それは国民にとってはあまり関係のない無縁のものなんです。だとすれば、時分制で一通話三分間七円、それを物価担当大臣が許可したということは、国民にとっては料金値上げである。主婦会の皆さんや消費団体の皆さんが、電話料金を値上げしてくれるな、こういう要望を佐藤大臣にしたのは、実は、市内料金が上がる、自分の近いところの市外電話料金が上がる、こういうことについて苦情を言っていったはずなんですよ。ところが大臣は、いや将来の展望からいうならば、コンピューターを導入するとかオンラインシステムだ、当然それは将来やるべきだというふうに言われますけれども、なかなかそういう点、国民は理解できないと私は思うのです。そこに私は、物価担当大臣として国民との間に何か差があるような気がしてならぬのですね。  私は、希望ですけれども、一ぺん大臣はぜひ国民の声を聞いてもらいたいと思う。電話料金の値上げをする、時分制を採用したことを国民の大多数が喜んでおるかどうかという問題だと思うのですよ。そういう点、私が考えるなら、いま出てきておる公共料金、大学の授業料の値上げなんというのは、値上げをしたらまた大学紛争が起こるからというので、初めから文部省は上げる意志がなかったのですよ。そういう簡単なものだけは表面に出して、上げません上げませんとこう言われますけれども、大もとの重要な問題については依然として、まだどうなるかわからないというようなことでは、せっかく大臣が物価担当大臣として国民の立場に立って、公共料金を抑制することが即物価安定というものにはならないけれども、その一つの方向として公共料金の抑制をすると言われたそのことが、私は結果的に砂上の楼閣、空中楼閣に終わるんじゃないかという気がしてならぬのですがね。この際大臣が、電話料金についてももう一ぺん再検討し直す、あるいはその他の公共料金についても値上げをしないようにさらに検討を加える、こういうことについて、国民の願いについてどう対処されるか、最後にもう一ぺんお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 松浦さんのお気持ちはわかるのですが、多少一方的な見方もあるんじゃないかと思うのです。たとえば公社の案は、近郊の値下げ率を一番重視しております。たとえば東京と横浜の間は三割二分ぐらい落とそうとか、それは距離によってどの程度を長距離というか知りませんが、これは中身の問題ですから、ひとつよく御検討を願いたいと思います。  私、コンピューターの例を引きましたけれども、結局限られた資源、資材というものをこれからの国民生活の向上あるいはまた経済の成長、そういうような立場から見て、なけなしの資源というものをどういうふうに分け合うかということは、やはりこれからの一番大きな問題であろうと思います。ですから、それは一人の人間が何ぼでも自由におしゃべりをしてもいいんだ、そうしてそれを保護しなければならぬという議論もあるかもしれませんけれども、そこいらは物価の問題であると同時に制度の問題、合理化の問題というものは、ある程度進めていかなければならないんじゃないかというふうに実は私は考えているわけです。多少見解の違いがあるかもしれませんが、まあそういうことでありまして、しかし、基本の問題については、あなたが御指摘になりましたように、これをできるだけ押えていく。特に時分制の問題も、いま言ったように議論はございますけれども、少なくとも四十六年度は、これは絶対に上がる問題ではございません。しかも徐々に行なっていく合理化である、そういうようなことも頭に置いて踏み切ったようなわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 国民がたよるのは物価担当大臣の佐藤企画庁長官以外にないわけですから、公共料金についてはぜひ初心を貫いていただくように激励をして、あと小坂委員のほうから質問があるそうでありますから、私の質問を終わらせていただきます。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 松浦利尚君の質問に関連いたしまして、小坂君から関連質問の要望がありますので、これを許します。小坂徳三郎君。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いまの公共料金の問題、原因は賃金の問題等いろいろあると思います。先ごろ企画庁で、これから物価と賃金の問題を遮断するという意思があるのかないのか、ガイドポストを導入すべきだというような概論を出されたと思うのですが、これは私は現時点では非常に重要な問題だと思うので、できれば長官から、あなたの考えていらっしゃるガイドラインといいますかガイドポストというか――前回にも私は質問をしたことがありますが、当面そんなことは考えてないというお話であったが、六カ月たった今日、急にそれが企画庁から出されているというその変化、そしてまた内容について、われわれは新聞紙上でしか知らないものですから、あなたのお考えをひとつ率直に述べていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 まあ物価と労賃の問題は、非常にむずかしい問題を含んでおります。そして率直に言いまして、この両者の関係あるいはまたどういう筋道を通って形成されていくかという基本的なメカニズムの究明が、今日において必ずしも十分でない、そういうことを私は、ますます最近も感じております。そういう意味において、いわゆる諸外国が行なっております所得政策ということの採用についてはよほど慎重であらねばならぬという考えを、従来から私は持っておりました。  しかし、率直に言いまして、このところにきまして物価の指数がこういうふうに上がってまいりました。しかも、それがおしなべて労働集約的なものが非常に上がってまいる。結局このことは、やはり労賃の問題というものが、物価問題を今日論ずるときに無視できない問題である。もちろん、その基本には、十カ年以上にわたるところの高度の、世界的に見ても倍ともいうべき経済成長というものがあった。この急激な経済成長がやはり労力不足というものを非常に激化してまいる。そしてそのことが、やはり全体として賃金高を生じておる。もちろん、その賃金の高まりをカバーするだけの生産性の上昇も行なわれている部門もずいぶんございますし、そういう意味においては、その一つの産業部門だけとって考えてみますならば、生産性の上がった範囲内において賃金を上昇するということは、その部門だけ考えますと物価に関係がないようでありますけれども、しかし、広く見渡してみますると、一方において日本の製造工業の中には、世界的なレベルで生産性の高いものが幾つもございますけれども、日本の農業あるいはまた中小企業、こういうようなものを考えてみますると、これらはきわめて生産性の低いものである。そうしてまた、あるいは生産性に関係のない職業もございます。そういうようなことで、一部門において非常に高い生産性を誇っておるから、それゆえに直ちに幾らでも賃金を上げていいという結論は出ない。国民経済全体の生産性というものを考えて賃金の上げ方というものを考えていかないと、いずれ必ず物価に対して大きな影響を持ってくるであろう、こういうことで考えられておったわけでありますが、最近の事態を見てみますると、やはりそうした現実というものがあらわれつつあるように思います。  大企業の賃金が上がりますと、大体一年くらいの時間的な間隔を置きまして、これが中小企業の賃上げになってまいる。そうして中小企業の場合においては生産性の上昇が伴いませんから、どうしても価格引上げに通じてくる。こういうことでほぼ二年ぐらいいたしますと、経済成長との間に間隔を置いて物価高が出てくる、こういうようなデータもわれわれは持っておりますが、最近このタイムラグが相当長くなってきております。  そうしたことを考えますと、なかなかこの物価と労賃の問題等についてのメカニズムの究明ということは、一面においてそれが非常に影響していることがわかっておりますけれども、同時にさらに究明すべきものがあるんじゃないか、こういうようなことから、われわれは一方において、適正な賃金の上昇は当然これを認めなければならないけれども、経済成長全体のバランスから見て、あまり過度な賃金の上昇が行なわれる場合には、われわれとしても物価政策上十分注目しなければならぬ。そういうことから、最近この物価と賃金の相互関係ということについて特に注目をしておるという政府の考え方を出したようなわけであります。  先日の会議においても、公共料金の問題と同時にこの問題が取り上げられまして、そして政府としては、賃金の特別急激な上昇についてはこれを十分に注目する、こういうことになってきたわけでありますが、同時に、そこにガイドポストを採用するかどうかという議論が出ました。それで、いま直ちにそれを行なう用意は必ずしもない。なぜといいますと、日本の産業が、特にいま申し上げましたように格差のひどいものを持っておりますために、適当なガイドポストを求め得るかどうか、そういうような点について、いささか技術的にも困難を感じております。でありますから、ある場合においては、ガイドポストを設けることによって逆に賃金の引き上げを結果する、こういうような部面も十分出てくるわけであります。それからまた、現実の事態との関連において、一体どの程度にしたらいいかというような点については、いろいろとまだ議論がございます。そういうことで、決してこの問題を等閑視し、あるいはほっておるわけではないのでありますけれども、経済審議会の中に特別の委員会を設けまして、そうしてもう少し検討を十分にさせたい、こういうところになっているわけであります。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いま大幅な賃上げということなんですけれども、私は、現在の物価の上昇の中では、これは団体交渉や何かをやってみた人でないと実感がわかぬと思いますけれども、やはりそれぞれの理由、あるいは支払い能力というもので大体きまってきているのですね。そうした中で、やはり中小、零細企業との格差がますます広がってきているということ。私はやはり政府が、いわゆる賃金と物価の悪循環ということをあまり軽々に取り上げないほうがいいのではないか。むしろ物価上昇の、現在の消費者物価をもっと安定させるということに巨大なエネルギーを使ってもらいたいと思うのです。  同時に、もう一つは、物価上昇の中で中小、零細の人たちとの格差がますます広がっているときに、政府がガイドラインを引くのであるとか、賃金と物価の悪循環がひどいのだということをいうことは、一方において非常に社会的な不安を呼び起こすと思うのです。何せ大企業に働いている人の数と中小、零細で働いている人の数を比較しますと、全然問題にならない。やはり自民党としては、こういう大多数の人たちに対してもっと安心感を与えるというような方向を、賃金の問題を論ずる場合も、また物価を論ずる場合も、非常に頭に置いてもらいたい。ややもすると最近は、今度の公害でもそうでありますけれども、何か取り締まればいいんだというような感覚、何か権力で押えればいいんだというような感覚がちらちら出ておるのは、私は非常に遺憾だと思うわけです。  これは私の意見でございますが、しかし、もう一つ考えるべきことは、現在のわが国の賃金水準というものが、欧米に比して絶対にそんなに高くないということ、われわれはその点を指摘されると、ぐうの音も出ないわけですね。世界二番目の工業国になった。それでは一体賃金はどうなんだ。なぜ世界二番目の工業国なんだ。賃金面からいってそういう疑問がある。素朴な一つの、働いている人たちの疑問というものが非常に出るわけですね。やはりそういう問題に対して政治がこたえていくという姿勢をもっと厳密に打ち出してもらいたい。  特に、先ほども長官がおっしゃったように、七%も上がった。ことしの初めには四%、五%とか六%だとかいうことを宣言したものが、修正しても七%にはなるんだというような現状を考えますときに、この時点をすぐとらえて賃金との悪循環というところにまで持ち込まないで、もう少し他の物価安定政策、あるいはまた、これは長官としてぜひ考えてもらいたいことは、生活している人たちのことなんですから、収入の手取りがふえるということが何よりありがたいことだと思うのです。そうした場合のいわゆる減税、そうした問題について、長官は物価安定と同時に、まじめに生活している人の立場もやはり考えて、そうしたことを閣内においてぜひひとつ強力に発言をしていただきたい。それから後に、ガイドポストラインというものを引くか引かないかという議論をひとつ公にしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 まあ、ガイドポストを提案した閣僚もおったのですが、私は先ほど申し上げたような意味において、今日まだガイドポストをとる意向はないということを表明したわけであります。ただ、もちろん物価をわれわれの立場から見ておりまして、やはり賃金問題がこれ以上――たとえば同じ一三%の実質成長率でありますけれども、四十二年、四十三年、四十四年と非常な勢いでもってベースが上がるのみならず、上げ幅が非常に急激に上がってくる、こういうようなことについては、やはりわれわれとして注目せざるを得ない。ですから、その点は、もうちょっとよくこういう問題について検討したい、こういう気持ちはもちろん持っております。おりますけれども、ガイドポストをいま直ちに設定する気持ちはない、こういうことでありまして、もちろん小坂さんの御指摘のような点もわれわれ十分考えておるつもりであります。  一方において、いわゆる社会的需要というものはますます増大し、したがって財源の要求はますます多いわけでありますけれども、その中にあって、何とか所得税あるいは住民税の減税はできるだけこれを進めていこう、こういう気持ちは十分に持っておるつもりでございます。また、その方向で政府もいま立案もしよう、こうしておる際であることは、御存じのとおりであります。  今日の物価の問題は、一面においてそうした傾向の問題もありますが、特にいわゆる生鮮食料品の問題等の問題が大きな比重を持っています。あいにくなことでありますが、ちょうど日本の農業の大きな転換期にぶつかってきておる。一方において余ったものをつくっておるかと思うと、一方において消費需要に十分こたえられない供給力しか実現できない部門もある。こうした過度の経済成長、工業面における成長というものが農業に与えた影響、農業に与えた被害、そうしたことを十分に割り引いて考えないと、今日の生鮮食料品の問題が理解できないのでありますが、さればといって、そのために毎日の台所で必要なものが上がるということを、このまま認めることもできない。そういう意味において、農業生産をもっと急速に拡大し、かつ合理化するにはどうしたらいいか、こういう基本的な問題がやはりありうると思います。そういうような点も十分に頭に置いて、いま生鮮食料品を中心とする必需品についての関心が強いだけに、そっちの方面の対策というものを私は同時に非常に重視をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いまの長官のお答えで大体満足ですけれども、重ねて申し上げますが、来年度の予算においてはいわゆるサラリーマン減税をぜひ大幅にやるということを、ひとつ物価担当大臣として大いに主張してもらいたい。それから、生鮮食料についてもひとつ抜本的な政策をぜひ立てて、みんなが安心して生活できるという方向にまず地ならしをしていただきたい。  質問を終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 渡部通子君。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 公共料金凍結の問題については、いまたくさんの委員からいろいろ質問ありましたし、長官の御答弁を伺っておりまして、大体のことはわかったのでございますが、私たちも、凍結というニュースを聞いたときはかっさいをしたものでございます。ところが、一夜にして後退をしたのではないかという国民の不安はやはりぬぐい切れない。しかも、それはまた怒りにまで達するというような感じを受けているわけでありまして、私も幾つかの点で、また念押しのような形になるかもしれませんが、長官にお願いもし、また所見を伺いたいと思います。  長官、あまり根回しもしないでこの凍結の問題は発表したということも承りましたけれども、御承知のとおり公共料金を凍結すれば何でも物価が下がるということではなくして、やはりそれを打ち上げられるには、総合的な物価対策というものに対しましてかなりのプログラムとそれから御覚悟、そういうものをお持ちの上で一年間ということの凍結令を提案なすったと思うのでございますが、その長官のプログラムがございましたら、ひとつ伺わせていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 おっしゃるように、各省のほうでは、断わりなくいきなりやった、根回しを十分にしもしないでやったという非難も、ずいぶん出たようであります。こういうものをまた一々相談しておりますと、途中でもって提案自体がなかなかむずかしいような事態もよく起こりがちでありますから、私はあえてその非難は甘受しようと思っておるのですが、一番大事なのは、いま御指摘になった点であろうと思います。  プログラムといいますと、私はやはり、一方において総需要の対策というものを非常に重要視しております。これは何といっても、諸外国でいろいろと議論がございます。所得政策を正面から打ち出して、そして賃金を押えることが中心だ、こういうものの考え方の国も、ヨーロッパ等にずいぶんあります。しかし、また同時に、それよりもやはり需要を押えることが中心だ、こういう意見もあります。率直に言いまして、今日のような完全雇用下における物価政策はむずかしいだけに、意見も分かれております。その中で、私はやはり需要対策、総需要の抑制ということ、やはり高度成長というものを徐々に是正していく。是正していくといいましても、日本の成長は世界的に見ればたいへん高いのです。そういうことも頭に置きながら、現実の事態に合うような是正はしていかなければならぬ、これがやはり一つの基本になっていると思います。というのは、やはり今日の物価高というものは高度成長と非常に関係が深い、こういうことはだれしも認めるところでありまして、それだけに需要政策というものに比重を置いております。  ただ、よく最近いわれますように、不景気のもとにおける物価高、これが世界じゅうの先進諸国に行なわれております。これは、過去におけるところの引き締め政策、需要抑制政策というものが、昔のように、引き締めをやりますとすぐ物価が下がるというふうになかなかなってまいらない、少なくともその効果というものが一年先以上にならないと出てこない、こういうようなこともございまして、そうしてコストプッシュであるとか硬直化しておるとかいろいろなことが言われるようになったわけです。そういうことを考えてみますと、先般政府がとりました引き締め政策の効果というものは、やはりそれなりに一年ぐらいたって必ず効果が出てくるというふうに私は踏んでおります。そういうようなこともやはり頭に置き、それからまた、各個別的といいますか、いままでも皆さまの前でいろいろと議論になりました個別の物価対策、生産性上昇の努力も必要でございますし、それからしてまた輸入を活用して、そうして需要と供給の緩和につとめることも大事であります。それからまた、いわゆる自由競争の条件というものもできるだけ実現していくような努力も大事でございますし、そうしたわれわれが今日唱えておる政策を、不徹底なものをより徹底化していく、そういう個別政策も大事でございましょう。そうしたことによって、そしていま申し上げたような需要等の関係も頭に入れながら、大体一年ぐらいをめどにしてやっていけば、ちょうどタイミングとしてもよろしいのではないか、こういう考え方に立ってきておったわけであります。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 ただいまの御答弁にございましたけれども、この凍結の問題炉、真にいま仰せになったような一つの物価抑制のためなのか、あるいは所得政策の呼び水ではなかろうかというこの二つの議論がございますが、長官、それに対してはいかがでございましょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私といたしましては、いまこういうふうに七%も八%も物価が上昇してきたこういう際に、いま言ったような見通しを頭に置きながらも、この際政府みずからが動くことによってこういう大事な時期に物価上昇に刺激を与えるということは、極力避けなければならぬ、これがやはり今般の提唱の根本の原因でございます。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  先ほどお答えが落ちたかもしれませんが、実は凍結ということになりますと、これは物価、賃金、利潤、一切を凍結する、こういう政策でありまして、私はそういうやり方をやるというところには疑問を持っております。一種の行政的な手法になるわけでありまして、一切のものを凍結する、こういうところには立っておらないわけであります。公共料金というのは、特に政府の姿勢を示す上においても、また現実に物価を刺激するおそれのある点においても重要である、そういうことから来ておるわけです。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 大体わかるのですけれども、そういう抽象的な御説明ですと、やはり所得政策になってくるのではないかという懸念が多分にございます。先ほどの御答弁もありましたので繰り返しませんが、そういった点では中小企業等で働く人たちの立場、そういった点を十分考慮した上の今後の物価対策を進めていただきたい。これは重ねてお願いするわけでございます。  それから郵便料金については、いろいろお話がございまして、重ねるわけではございませんが、佐藤総理が消費者団体にお約束なさったことなどを、先ほど、あまりよく知らないとか、あるいはそういう指示を受けたということも、郵政大臣じゃなくて長官のほうではなかったかというような御答弁がございました。しかし、あれは新聞全紙にこまかく報道されたことでございまして、陳情した人はもちろん、物価に関心を持っておる国民というものは、あれは後生大事に覚えておると思うんですね。それを担当の大臣があまりはっきりなさらないということは、直接総理から伺ったかどうかは知りませんけれども、その辺やはり責任のがれになるのではないか、こう指摘せざるを得ないわけです。政治的に大臣同士の話し合いというものもいろいろ大事でございましょうけれども、やはり物価対策というものは、全部庶民のためにやっていただきたい。現実にさいふを握っている生活というものは、いまひどい値上がりでございます。実際のところ、ここのところの値上がりムードを見ておりますと、むしろ公害国会が値上げの隠れみのではないか、この騒ぎをやっている間にどんどん物価は上がるのじゃないか、これが実際に暮らしている実感でございまして、そういう人たちの声を裏切らないような、しかも約束した総理のことばを実行させていくように、担当大臣としての努力を願いたいし、重ねてですけれども、それについてはもう一度総理とかけ合って、そして消費者団体との約束を果たしていただきたい、こう思うわけです。この一点が一つ。  それから、郵便料金については大蔵、郵政、企画庁、この三大臣がすみやかに協議をしてきめる、こういうことになっております。大蔵、郵政と聞くと、やはりこれは値上げペースだなとだれしも思わないわけはないのでございまして、そこに大臣がお一人入っていらっしゃるわけですから、がんとしてがんばって、何とかこの郵便料金値上げの点は、公共料金をストップさせるというたてまえからいっても、断じて貫き通していただきたい、これは重ねてお伺いする次第でございます。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 たいへん御激励を受けたわけでありますが、総理の関係のことは、私、別に総理をかばっているわけでも、また言いのがれでもなくて、事実総理が、先ほど申し上げたようなことを私に言ったことを、私は記憶しておりますが、ただ、そのときの実際の談話をよく知りませんものですから、だれをさして言ったのかどうか、そこいらは私もつまびらかにしません。そして、外部の第三者が自由に判断することもあるでしょう。そういうことで、直接関係いたしませんが、しかし、総理が消費者団体にどう話されたかということを離れまして、この問題については、私も、いま御趣旨のあったような方向で、できるだけ努力してまいりたい、こう思っております。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 もう一点お伺いをいたします。  新経済社会発展計画でございますが、これを見ますと、物価の安定については、ここ数年の年率五%前後の上昇から、計画期間の終わる、すなわち昭和五十年には三%台に低下をさせる、こう明らかに書いてあります。これは閣議決定をされた経済発展計画でございますが、今年度の消費者物価指数の上昇がもうすでに七%をこすんじゃないかという、そういう御懸念を長官御自身もお持ちのような実態でありまして、この新経済社会発展計画それ自体に狂いが生じているのではないか。今年度の上昇率を見ましても、これがはたして五十年に三%台になるのかならないのか、もうすでに狂っているのではないかという感じがいたします。一体これを近い将来に改正なさるのかどうか、この点はいかがでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 率直に言いまして、私が就任したときにその計画がほぼでき上がったのを受け取ってみましたときにも、物価問題を非常に重視しているということで、私もその計画に対しては好感を持ちました。ただ、率直に言いまして、事態はそれほど甘くないというような感じを持ちました。  と申しますのは、先ほどから申し上げておりますように、物価問題というものが今日のような状態になったのは半年、一年の原因でなく、根の深いものがある。それだけに、われわれもまたその根深さを十分認識した上で、よほどしっかりと、忍耐強い腰がまえでもってやらなければ、物価問題のような根の深い問題を片づけることはできない。そういう意味において、一九七〇年代、いまわれわれはインフレとの闘争であるという気持ちを持たなければならない。先進諸国におきましても、いろいろな方策をやってみても、なかなか効果があがらないで、逆に上がっておる。そうしたことを考えますと、われわれとしてもやはり物価問題というものは甘く見てはいけない、そういう感じをしております。  だから、そういう意味においては、政府の目標というものが過大にすぎはしないかというような議論も当時ありました。しかし、一面において最近の物価上昇の中には、たとえば先ほども申し上げました食料費、特に農業関係の農産物の値上がりというふうなものがございます。これももちろん、高度成長の一種の影響であることに違いはないのですけれども、しかしまた、これは日本独特の特殊な問題を持っておると思います。そういう意味において、やはり特殊な問題であるだけに、特殊な対策を考えて、そしてできるだけ解決をはかっていく、それでこの方面における価格を何とか鎮静化していくという努力が実れば、全体としての調子というものもまただいぶ変わってくる。そういうこともありまして、こうした見通しを立て、かたがた、われわれとしての一つの目標というか、希望というか、そうしたものも表明して、こういうものがだんだんに出てきた。  特に日本の場合に無視できないのは、農産物、食料品を中心とするところの自由化問題であります。何といいましても日本だけが、先進諸国の中でこの方面の自由化がおくれておる。そのためにどうしても農産物価格というものを下ささえしておるという結果になっておる。これもやはりいろいろと困難があります。日本の農民は決して楽をしておるのじゃないので、いろいろ努力はしておりますけれども、しかし、今日の全体の物価の問題あるいは世界の大勢というものを見て、これの輸入の自由化ということは、いやおうなしにわれわれが迫られる問題である。そういうような自由化ということも相当大きな観点としてその計画の中にありまして、そうしたことの進展ということは、やはり物価問題の上には大きな影響を持ってくるであろう。そういうことをある程度金額的にも計算したり試算をしたりして、そして一応の目標を立てたようなわけであります。  現実の今日の事態と比べてあまりにも違い過ぎるではないかという御実感については、実は私自身も、現実の事態から見て全くそう考えますけれども、この新経済社会発展計画という昭和五十年を目標とする六カ年の見通しとしては、やはりそこらのところに目標を置いて努力をしたい、こういうふうに考えています。しかし、もちろん、たとえばことしの四・八%が七%となったのと同じような意味で、あまりかけ離れるというようなことが継続的に行なわれるというような見通しが起こりますれば、ほかの問題ともあわせて、十分に計画について再検討することはやぶさかではございません。もちろん計画のほうも、何ぶんにも一種の見通しであるということもありまして、この計画ができましたらば、三年目にはこれを改定のための検討をする用意があることを、計画の中自身に示しております。そういう性質のものでございますから、いま御指摘のような点も今後十分考えてまいりたい、こう思っております。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 公共料金の件については以上で終わりたいのですが、もう一点だけ、医療、それからお米、これをどうして対象外になさったかということでございます。  これは、先ほど御答弁にもございましたけれども、いま直ちに結論を出せないほど大事な問題であればなおさらのこと、一たん凍結をした上でゆっくり御検討を願う、こういうたてまえを逆におとりいただいたほうが国民も安心してまいれますし、そのほうが妥当ではないか。むしろそれは値上げに対するいいわけにすぎないのではないか、こういう懸念を強く持ちます。医療とお米等を対象外になさったことについて、大臣の御決意のほどを伺わせてください。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 消費者米価については、問題なく押えなければいかぬ、そういうくらいの強い気持ちを持っておりますから、私は何としてでも実現するつもりでおります。  医療費については、率直に言うと、郵政の問題以上に予算と密着した問題であるということと、それから、現在まだ案が全然立っていないのです。でありますから、まだ、上がるとも上がらないとも全然言ってない。もちろんいろいろな試案はございますけれども、そういうようなものについて取り上げるということのほうがかえって問題があるのじゃないか、こう思って、医療費については、そういう配慮もあって特別の扱いをしたわけでありますけれども、これも年を越すようになりますか、とにかく具体化するということになりますれば、われわれとして、この方針の趣旨に沿ってできるだけ努力をしてまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 特別な措置が寛大な措置にならないようにぜひお願いをしたいと思います。  いま話題になっておりますカラーテレビのことについて、きょうは若干お伺いをしたいと思っております。  八月以来二重価格の問題でだいぶ騒ぎまして、消費者の不買運動にまで広がって、五万円台のカラーテレビまで出てくる、こういう事態を引き起こしました。このカラーテレビの問題は、二重価格の問題だけで終わる問題ではございませんで、いろいろな問題をたくさん含んでいると同時に、これを一つの契機として、消費者保護のルールというものが確立されていくような方向が開かれなければいけない、こういう意味で、このカラーテレビの問題は非常に注目をしているようなわけでございます。  二重価格の問題については、ことしの六月でしたか、わが党で物価総点検をいたしましたおりにもよく承知をしておりました。ですけれども、公取がその後、モニターで詳細な調査データを発表してくださいまして、それによってまたあ然としたようなわけでございます。ですから、二重価格は当然解消されなければなりませんが、その前に私は、公取さんがお出しになった調査結果から見て、あまりにも種類が多いということに驚きを禁じ得なかったわけでございます。この公取の調査によりましても、これは現在メーカーが製造販売している機種に限ってということで、過去のものは含まないという断わり状がございますが、その例から申しましても、十九インチ型だけでも、数え切れないといってはちょっと大げさですけれども、サンヨーで十六種類、東芝で二十六種類、あるいはナショナルで二十三種類、三菱で二十四種類、各メーカーが、同じ十九インチ型だけでこれほどたくさんの型を出しているわけでございます。何のためにこんなに種類が必要なのかということを、まず率直に疑問に思いますが、この点、公取委員長、御意見いかがでございましょうか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 現在はいわゆる多様、複雑化した生活様式になっておりますために、メーカーのほうでも、それに応じたいろいろのものをつくって提供するという考え方であろうと思いますが、公取委員長としてお答えするというのもちょっと不向きでございますけれども、私の個人的な――前に行政官でおりましたときからそう考えていたのですけれども、生活の高度化というものと、そこで規格なり品質なり何なりというものがある程度簡素化されていくほうがいいという問題、これは非常にむずかしい問題だと思います。どっちかというと、いろいろなものがこれでもかこれでもかといって出るやり方は、私自身はあまり賛成しないのです。ちょっと公取委員長としてお答えをすることばではないのかもしれません。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 それでは、通産省のほうにお尋ねしたいと思います。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 私ども承知いたしております限りでは、十九インチ型のテレビの銘柄というのは大体七十六あるように承知をいたしております。  こういったように多数の銘柄があるということは、いま公取委員長からもお話がありましたが、一つには、やはり需要者の好みといいますか、生活様式の多用化に応ずるモデルの多様化ということがあろうかと思います。  さらにあと一、二考えられますことは、テレビといいますのはもう安定した商品であるようでございますが、同時に、中身につきましてはまだ技術の進歩がいろいろな面で行なわれております。たとえば最近の一番大きな例で申しますと、御存じのように真空管式からトランジスタ式になるというようなことも、非常に大きな技術進歩でございます。こういったような技術の革新に追っかけられまして、次々と新しい技術を取り入れた製品の発売ということが行なわれておることも一つの原因でございます。  それからもう一つ、これも考えておかなければなりませんことは、非常に大量生産の商品でございますから、一度生産をし始めますと、それがすでにいわば新しいものに取ってかわられておるわけなんですけれども、急に、その生産を取りやめるわけにいかない。あと一年なり二年なりは引き続き生産をしていくというようなことで、中身につきましては、いずれ一年後あるいはその辺前後でもう打ちどめにする、生産を中止するというようなことでございますけれども、市場にはやはりそういうものがまだ残っております。  そういったことから、カラーテレビの銘柄というものが、いま私が御説明いたしましたように、七十数種類も市場としては販売をされておるというような結果になっておるのではないかと考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 そういう寛大なお考えの上から出ているわけですが、これは消費者にとっては全く迷惑なことだと思うわけです。やはりモニター調査でわかりますけれども、発売して少したつと、今度はちょっとだけ変えるわけです。値引き競争が起こってくると少しだけモデルチェンジをする。これは悪く勘ぐれば、最初からそういう計画をしていたのではないかと思わざるを得ないくらいにちょこちょこ変えて、新型といってまた多大な広告費をかけて売り出す。こうなってまいりますと、これは価格を維続するほうに役立つのであって、決して根底的な価格の安定ということにはならず、ちっとも消費者の側の利益としては反映をしてこない。まして、消費者は選択の権利だとか自由だとかいわれておりますけれども、これは見ているほうにはわからないので、販売推奨人のすすめに従ってしまう。それが結局リベート作戦等につながる。このモデルチェンジがあまりにも激しく行なわれるということはメーカー側のやり方であって、それを通産省がそのままお認めになっているだけのことでございます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕  消費者にとっては非常に迷惑な実情になる。また際限のない価格競争を引き起こしていく、こういう結果になっていることはだれが見ても明白だと思うのですが、その点で、ちょうどいらっしゃいますから、長官に、非常にモデルチェンジが激しいということについてちょっと御意見を伺わせていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私は全く同感であります。ちょっと激し過ぎます。そうして、私もいつか、消費者の団体の会合で意見を交換したことがありますが、モデルチェンジをするのはいいのですけれども、チェンジの前の部品等をなくしてしまう、供給しない。当然、一定の期間くらいは必ずその部品を用意して、そうして店頭に備えるべきものである、これが消費者に対するメーカの義務であろうと私は思います。そういう点が行なわれないために、結局修繕ができない。いやおうなしに、モデルチェンジした新しいものを買っていかなければならない。こういうようなことは、消費者の立場からすればきわめて迷惑な話であります。  その問題がありましたときに、私も通産当局には強くお願いをしまして、少なくともそういう事態のないように、モデルチェンジがある以上はそうした点は十分配慮してほしい、こういうことを話したことがあります。確かにモデルチェンジについては、一方において国民所得が上昇してまいり、そして趣味も複雑多様化してきている、したがって消費の態様も複雑多様化してきているへそういうことの結果である一面というものを、私は否定できないと思います。そうしてまた一方において、メーカーがモデルチェンジをすることによって、さらにそうした傾向を促進しているように思われることも、これも感じられます。いずれにしても大事なのは、消費者がそんなに複雑にたくさんなものを必要とするというのであれば、ある程度つくっていいと思いますが、いま言ったような点、前のモデルのものを持っている者がもう修繕等もできないような状況にすることに問題がある、こういうふうに私は思うのであります。ですから、これは通産省でも、行政指導等によって十分そうしたことのないように指導をする、こういうお話でありましたから、私もそのときにはそれ以上のことは申しませんでしたけれども、確かにこのモデルの問題というのは、やはり消費者行政としては重要な問題であるだけに、メーカー側においても十分気を配ってほしい、こう思っております。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、非常にたくさんの機種があるようだがということで、これはどういうことだろうかということで、御答弁申し上げたわけであります。  あるいは誤解をされますといけませんので、いまのモデルチェンジについて私の考えを申し上げておきますが、私どもも、いまのモデルチェンジというものが新しい技術の商品化ということで必要である、あるいは消費需要の多様化に応じて必要があるという面でのモデルチェンジ、それによる機種の多様化、これはやはりある意味では消費者の選択の幅を広げていくということで、意味があろうと思います。ただ、いま御指摘のように、実質的な性能とか品質にかかわりなく、ただ目先を変えて販売を広げていく、そういうことのためにするモデルチェンジというものについては、私どもとしても厳にこれは慎むべきである、そのようなものは適当でないという考えを強く持っております。また同時に、いま長官から御答弁ございましたように、業界に対しましては、いまのような販売作戦のためにだけするモデルチェンジというものは厳に慎んでもらいたいという指導をいたしておる次第でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 長官、重ねてでございますが、ただいまの御意見で、何らかの意味でそういう販売促進のためのモデルチェンジのようなものは規制をしなければならないというふうにお考えでございますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 この規制ということが、いまの新製品の開拓であるとか技術の開発であるとかいうことの制約になってもいかぬと思いますが、いま通産省当局からも話がありましたが、できるだけ行政指導でやっていけるものはやったらいいと思うのであります。法律をつくりましても、実効があがらなければ結局何にもなりません。おそらくこういう問題は、法律で統制することが適当なものかどうか、多少疑問を持っています。しかし、あまり弊害がひどいようならば、そうしたものはやはり場合によって立法化も要るかもしれない、そういうような感じも私も一時持ったことがあるのですが、考えてみますと、実行されないと何にもならない。さしあたって行政指導をひとつなお徹底させてほしい、こういうふうに思っています。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 通産省にお伺いいたしますが、いま行政指導を強化という長官のおことばでございますが、これはモデルチェンジをした場合には届け出とか何とかいう、何かチェックの方法はございませんでしょうか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 ただいまのところ、テレビの機種について、何らかの法的な措置でもって届け出をさせるとか、あるいは許認可等、そういったものはございません。ただ実際問題といたしまして、安全基準というもの、これは電気用品取締法の関係の安全問題からいたします基準がございまして、新しい型を売り出します場合には、いずれもこの安全基準に合格するための検査を受けております。そういった点から、中身がどういったような中身であるかということは、その面から私ども承知できるわけであります。したがって、モデルチェンジと一がいに申しましても、内容がきわめて区々でございまして、非常に大幅な、たとえばいままで真空管式のものを全部トランジスタにかえたようなもの、あるいはそうではなくて、単なる外側のケースの意匠を変えるとかいうようなものであるとか、いろいろなものがあろうかと思いますが、そういった点につきましては、私ども一応、新しい製品ということで検査の対象になっておりますものは、内容がわかりますので、そういったものも十分見ながら、先ほど申し上げましたように、単なる目先を変えて売り出す、値段も変えるというような形のものにつきましては、そのつどメーカーに注意を喚起してまいりたい、こう考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 おっしゃることはわかりますが、結論としては野放しになるのではないかという心配もあるわけで、実質そういうお店に参りますと、実態はそうではないかと思うわけです。  公取委員長に伺いますが、競争規約等の方向へ行政指導なさるおつもりはございませんでしょうか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 特に御指摘のような家電製品のように、消費者にとって内容なり中身がどこがどう違うのか、ちょっとひねるとすぐどうだというような、いろいろな広告はございますが、それが消費者の選択に正しく役立つようにしていただくという意味で、いま御指摘の、たとえば公正競争規約をもって表示方法について、自分たちで、たとえばこういう消費者への示し方をしようというようなことをおきめになるという方向は、私はけっこうだと思います。ただ、たいへん技術的なことがたくさんございます。普通に考えられているように、簡単にこの表示の方法を、たとえばチーズがどうとかジュースがどうだとかいうようなふうに、あれはなかなかいかないだろうと思います。その辺に実態問題としてむずかしいことがありはしないかと思いますけれども、とにかく、消費者にいい情報をお互いに与えようという考え方を業界がおとりくださることは、私は賛成でございますし、おそらくどなたも御異論ないだろうと思います。ただ、どういうルールで縛るかというやり方がおそらく実態上はなかなかむずかしいのじゃないか、そんな気がいたします。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 私はなぜこれをくどくど申し上げたかと申しますと、やはりテレビの問題が価格の問題だけで片づけられてしまってはならない。品質と価格というものは常にあわせて解決されていっていただきたいということと、それから、これはカラーテレビだけの問題ではなくて、あらゆる製品にいま言えるわけでございます。ほかの製品にいろいろ及んでいくというものを考えた場合に、やはりその点のルールをしっかり確立していただきたいと思うわけです。  たとえば化粧品なんかはなはだしいものでございまして、私いままで三百円で使っておりましたふき取り化粧品なんですけれども、それを今度買いに行ったら五百円です。中身は、量はそんなに変わっておるとは思えないわけです。だけれども、びんがたいへんデラックスになった。いわゆる一種のモデルチェンジで、その性能や量にはたいして変わりなく、どんどん新製品のような売り出しをされてしまう。こういったことがカラーテレビに限らず、ほかの商品に大いにエスカレートしていく。こういったことの消費者保護という立場を、このカラーテレビを一つの例にとってルールを確立していただきたい。  ですから、公取さんも御苦労なさっていらっしゃるようですけれども、価格の推移が――化粧品などは価格の推移がとれない。それはなぜか。あまりにもモデルチェンジが激しい。それのチェックのしようがないから、一体価格が上がったのだか下がったのだかチェックのしようがないというのが、公取さんの実態のようでございます。そういった意味でも、私は、このカラーテレビのような話題になったもの、あるいは化粧品、薬品のように私たちの生活になくてはならないようなもの、こういうものに対しては、モデルチェンジということをある程度の規制を設けていただいて、品質と価格というものが、常に消費者側にバランスをとって明確になっていかなければならないのじゃないか、こういう趣旨で、実はくどくど申し上げたようなわけなんです。この点で公取委員長の御見解はいかがでございましょうか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 モデルチェンジ一般という問題を私どもの立場から規制するとかどうとかということは、法律のたてまえからむずかしい問題だと思います。しかし、いかに消費者に正しい内容のものを伝えるか、それを誤れば、いわゆる不当に消費者をして誤認させるというふうなことであれば、私どもがやはりやらなければならない仕事の一つであるかと思います。貴重な御意見として、今後研究さしていただきたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 それで、たとえばテレビの新機種が出た場合に、古いのに旧型と表示するような案はいかがでしょうか。製造年月日をつけたらというような意見もございましたけれども、やはり新型を発売するならば、旧型あるいは性能表示、表示の面でもう少し正確なことをお考えいただけないか、この点はいかがでしょうか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 ただいまお話しのように、先般、十一月に各メーカーに私どもの考えを述べました中に、今後製造するテレビにつきましては、製造時期をわかりやすく表示するために具体的な方法を検討してもらいたい、こういうことを要望し、メーカーのほうもその点は了承いたしております。したがって、どういう形でこれを全部徹底させるかどうか、また、表示をする場合どういう表示のしかたをするか、その辺のところはいま至急に検討いたしておりまして、近く結論を得て実施の運びになると思います。  それから、内容についてどういうような表示がいいか。いま、たとえば旧型というお話がございましたが、新型、旧型というのもまた、非常にわかりにくい表示だろうと私は思います。むしろそういうことよりも、このテレビはどういう性能でどういう中身であるのか、そういったことが、あまり専門的でなく、かつわかりやすく消費者の方にわかるという表示の方法はないだろうか、こういった点につきましても、いま具体的に工業会の内部で検討さしております。こういったことも、実はメーカーにより機種によりいろいろ違いますので、先ほど公正規約の問題で御質問ございましたが、実際問題として、非常に技術的な問題を含んでおりますので、そう言ってはあれでございますけれども、普通の消費物資のようなわけになかなかまいりにくい。むしろ、へたに書けば、それだけかえって消費者を迷わせるようなことになるそういう点もございますので、技術的に非常にむずかしい問題もございます。こういった点も踏まえながら、目下工業会を中心に検討を進めておるという段階でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 検討中ということでございますが、では、いつごろお店にそういうものが表示としてあらわれてくるかという大体のめど、あわせて、部品も買えるようにしていただきたいと思うのですが、その辺はきちっと指導していただけますでしょうか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 いま、いつごろをめどにというお話がございましたが、実は私、いまのところ、具体的にいつまでという期限を切っておりませんので、詳細には承知をいたしておりません。ただ、私どもの気持ちとしては、できるだけ早く検討を終えて、新しく出るものからは製造月日等が少なくとも早くつくようにしたいと思います。いまの表示の問題につきましては、なおこれ以上むずかしい問題でございますので、引き続きこれも、できるだけ早く検討してまいるつもりでございます。  それから、部品の問題がございました。あるいは私どもの考え違いかもしれませんが、少なくとも現在市販をされております機種についての部品の手当てというものは、私の承知しております限りでは、メーカーとしてはできておると承知をしております。ただ、全国五万数千軒の小売り店がございますので、地域により、あるいは機種によりましては、そういったことのサービスが十分でない面もあろうかと思います。もしそういうような実情でございますれば、その点につきましては、十分そういった配慮をいたすように今後指導してまいりたいと考えます。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 それは、先ほど長官の御答弁の中にもありましたように、もしそういう実情でございますれば、じゃないのです。長官御自身も、消費者からそういう苦情を受けた、たいへんな問題だと、先ほどの御答弁の中にございました。確かに、モデルチェンジされちゃって、部品がなくなってしまって新しいものを買わざるを得ない、そういう方向に販売員がどうしても進めるわけですよ。そういう実情でございますれば、じゃないのです。もうそういう実情なんです。もしも通産省がそういう認識であったとしたら、その認識を改めていただきませんと、これからのテレビメーカーの指導はやはりメーカーサイドで、向こうの口車に乗せられてしまうのじゃないか、こういう懸念はぬぐえません。そういうわけで、その点ははっきり言明していただいて――そういう実情なのですから……。これはテレビだけに限った問題じゃないのです。みんな、新製品になると部品がなくなる、それが口実になって新しいものを買わされてしまう。消費者は王様じゃなくて、ほんとうにこき使われている、思うように踊らされているというのが実情でございまして、その辺を通産省としては、もう少し現実認識をきびしくしていただきたい。私は、お願いみたいな形ですけれども、これをやっていただきませんと困るわけですので……。  二重価格問題についてちょっとお伺いをしたいのです。  この間、二十七日に、公取のほうで警告という形でお出しになりました。これは先ほどの武部委員の御質問にもございましたけれども、メーカーの現金正価が実勢価格と一五%以上かけ離れている場合は不当表示である、こういう警告をなすったわけなんです。私は、警告というからには当然文書があるのじゃないか、それでこれをお願いしたのですが、文書はございません。これは少し非常識ではなかろうか。れっきとしたメーカーにきちっと公取という権限で警告をなさるからには、あらゆるブランド商品にも影響していくことでございます。これはほんとうに文書はなかったのでございますか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 新聞に出ましたところでは、そういうふうに警告したというふうにいっておりますが、私どもがやった実際のことを申し上げますと、いろいろの形でずうっと調査をしてまいりましたり、また、とにかく実勢価格とあまりにも開いておればそれはもう不当表示になるんだぞ、というようなことも言ってきたり、それから、モニター調査による価格がどうだというようなことを言ったり、いろいろなことをしてまいりまして、そのつど表にそういう話が出ておりましたが、メーカー十二社をカラーテレビに関して呼びましたその趣旨は、大体において、公取としては、さっき申し上げましたように、値開きの割合、そしてそれが広がっている割合、また、それがどの程度の時間続いているか、こういうようなところから、大体この辺のことをいままでのところ考えているぞという、いわば、ある意味でいえば連絡――従来ともそういう考え方をあまり言っておりませんので、ある意味でいえば連絡、ある意味でいえば大体そういうことで進んでおるぞ、そういうことを、新聞には警告というふうに出ておりますが、注意をしてやった、かようなのが実態でございます。  御承知のように、たとえばこの間、便利定期とか何とか定期とかいうことで、銀行協会あたりに警告を正式に出しましたけれども、あれを正式の文書として出す前にも、それぞれ個々にはいろいろな形で呼んで聞いたりしております。その段階で、あるいは警告とか注意とかいうふうに出した新聞もございましたが、締めくくりとしては、私どもは、いずれちゃんとした警告とか、あるいは要望とかいう形で関係の業界のほうにはお出しするつもりでおりますし、また私どもの内部でも、こういう取り扱いだということをはっきりいろいろの文書の形で整理したいと思っておりますが、いまはまだそこまでいかない段階である、さように御承知願いたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 私、やはり一五%という新聞の見出しで、はっきり具体的な数としてあがってまいりますと、大きな影響力を持ちますし、また、そういったことで私どもも一般国民も理解をするわけでございまして、連絡というか、へたするとお願いというようなことにもなりかねなくなってしまいますので、こういう場合には、やはりきちっと文書をつくってやっていただいたほうがいいのではないか、こう思うわけであります。  先ほど公取委員長は、この一五%ということについてたいへん幅の広いことをおっしゃいました。地域の三分の二だとか、あるいは一〇%くらいだったらとか、それが九〇%も占めていた場合とか――一体実態調査をなさることが可能なのかどうか、事実問題として、そういうことがどういうふうにして行なわれていくのだろうか、たいへん疑問を持ちますが、いかがですか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 おっしゃるとおりであります。事実、そういう事態に一体なっているかなっていないかということを、どういうふうにしてメーカーはみずから知り、また、われわれはそれをチェックできるのか、御指摘のとおりの問題がございます。  しかし、これはやはり私どもは、メーカーはメーカーの立場において、常にお客さんに対する自分の製品の値段の実態がどういうふうになっているかということをつかんで、不当表示にならないようにしていただくというだけのことは、やっていただかなければならぬだろうと思っております。そして私どものほうとしては、そうカラーテレビばかりしょっちゅう追っかけているわけにいきませんけれども、やはりあるときあるときに一つのルールと申しますか、軌道に乗るものはときどき調査をしてみる。モニターの方にお願いするとか、そういうような形でお願いするということが必要だろうと思うのです。とてもしょっちゅうは、率直に言って、追っかけるわけにはまいらないと思います。たいへんむずかしい問題でありますが、力のあるだけひとつしっかりやりたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 もう一つお願いしたいのですが、先ほど武部委員から出ましたが、メーカーがどうしても一五%以内に販売してもらうように、やはりここで値幅再販のようなものが成立しやしないかという心配、それから、一五%以下に下がることを予想して価格をきめるのではないかという欺瞞表示、この二点について公取の対策をお伺いします。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村政府委員 先ほどお答えをいたしましたとおり、第一の問題は、いわゆるやみ再販の問題として、私どもとしてできるだけ監視の目を光らせたいと思います。今度そういうふうに正式に要望書なり何なりが出るときは、その点もきつく申し上げたいと思っております。  第二の点につきましては、これはもちろん、吹っかけた、掛け値のある、いわゆる希望小売り価格みたいなものをつけるということはけしからぬことだと思いますけれども、かりに新しい値段をつけるときに、新しい機種についてどの辺のところでいくだろうということを、メーカーが御自分の判断である程度なさるということを、一々私どものほうでまた、チェックするというわけにまいりません。おそらく市場の実態価格のメカニズムがそれについて答えてくれるだろうと思います。答えたときに、それをできるだけすみやかに是正するかどうか、そういう問題になるわけだと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 時間がございませんのでこれで終わりにいたしますが、最後に通産省に、何とか実勢小売り価格まで現在の現金正価というものが下がるように行政指導をやっていただきたいと思いますが、その点の御決意のほどを……。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 私どもといたしましても、テレビというような非常に普及いたしました、いわば一種の必需品的になっておるものでございますから、こういうテレビが、良質のもの、しかも実態に近い価格で売られていく、こういったことがやはり必要だと考えております。いま御指摘のような線に沿いまして、今後ともできる限りの行政指導をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)委員 終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 大臣たいへん忙しいようですから、また、同僚議員から大事な点の御質問があったようですから、私の質問は、ごく簡単に大臣の気持ちをお聞きしたいと思います。  このごろ消費者運動というものが非常に出ておりますけれども、あの問題は、政府はおやりになろうという気持ちはずいぶんあるのですけれども、やるやるといってもなかなかやらないというような実情もあるので、消費者運動というものに対して、政府はどういうふうな態度でこれに臨もうとしておるのか、決意をお聞きしたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これにつきましては、われわれも非常な関心を持っております。率直に言いまして、今日の物価問題は、非常に錯雑して根の深い問題ではありますが、しかし、消費者のサイドの問題というものも十分にあり得ます。そういうことで、消費者がやはりしっかりしてもらう、そうして消費者の声というものが政府にもメーカーにも通るようにする、これはもうきわめて大事なことだと、私は重視しております。そういう意味において消費者運動がますます盛んになるということは、われわれとしてもぜひ期待したいところでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 消費者運動を通じていろいろな新しい動きの芽ばえがあると思うのですけれども、とりわけその中で生活協同組合運動が、だんだん実体をあの運動の中から整えつつあるわけですね。生活協同組合というものの先進国の例を見ましても、必ずこういう機会を通じて出てくるということなんですけれども、生活協同組合に対して政府は積極的に、物価の問題と関連させてこれを助成とか育成とか、あるいは好意的にこの問題を考えようとしているかどうか、この問題について……。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これも実は物価対策閣僚協議会でいろいろ議論のあったところでありまして、厚生大臣にも強く要請をしております。できるだけその趣旨に沿って改善、改正、検討する、こう言っておりますけれども、また近々中に価格対策の閣僚協議会の懇談会等を開きますから、なお厚生大臣に対して強くこれを要望し、この方面の前進がはかられるように、われわれの立場からも強く押したい、こう思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 今度の物価問題閣僚会議で長官がたいへんな決意を持ってがんばっておられることは、よく理解できるし、ひとつ大いにがんばってもらいたいと思うのですけれども、一つ長官に要望しておきたいことは、物価問題もいままでさんざんやってきたけれども、ようやく非常に重大な局面に来ているということはよくわかります。特に日本は、アメリカやあるいはドイツその他と違って、もしインフレの状態が起こってくれば、他のああいう大陸諸国よりはもっともっと弱い立場にあるということは、十分お考えいただかなければならぬと思うのです。公害が経済成長の前に立ちはだかる関所になるとすれば、同じような意味で、物価がある程度以上上がってくると、経済成長をとめても、あるいはいろいろな問題に優先をさして――公共料金なんか、もちろんのことですけれども優先させて、この関所を越えてはならないという関所のラインをもっと神経質に考えなければならない時期に来ていると思うのです。政府はいままで物価安定政策会議ですか、あれでも五%という線を、長年中山さんも言っておられましたけれども、今度七%を越すような模様ですけれども、ここのあたり、長官は具体的に関所の線をどういうふうにお考えになるのか、ちょっとお伺いしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 別に数字的にいま、何%以上が関所である関所でないということまでは、私は言えないと思うのであります。しかし、最近における七%、八%という事態は、これはもちろん捨てておけない事態であります。しかし、長い間の高度成長で好景気にいささか酔い、そして全体として、そういう意味でやや不感症的な面も出ておることも事実でありますが、この際、御指摘のように国民生活の問題である、あるいはまた、相当部分の国民生活の問題であると同時に経済運営全体の問題でもあります。そういう意味においてわれわれもこれを非常に重視し、一般の注意も喚起しなければならぬ、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 もう一つだけ。政府が異常な、特に長官が異常な決意で今度の公共料金の一年あるいは一時ストップという問題を提起しておるわけですけれども、そのあれを説得するための理由づけの一つとしてあげておるなればいいのですが、賃上げの悪循環というものが出てきた。これを断ち切るためというのが出ておるのですけれども、それは確かにその要素もありますけれども、やはり政府が何よりも先に――おそらく公共料金は、政府の決意で何ともできる。しかも自然増収とかいろいろな条件があるので、この公共料金だけは政府は誠意をもってストップさせておるのだという第一あれがないと、その他のことはなかなかうまくいかない。かりにこれを条件にしてということは、他の反対する人たちを説得する意味でこういうようなことを言うておられるのかもわかりませんけれども、それはどうなんですか。政府は何が何でも物価の安定について責任をもって、公共料金はどうしても一年間くらいはストップさすんだというお気持ちですか。賃上げが出る。賃上げを押えなければならぬから、公共料金は一応かっこうだけやっておこうというような意味ですか。その点についての長官のお考えをお聞きしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 先ほども実は御質問がありましたが、私は、とにかくこういうふうな事態になってきましたから、政府のサイドから物価の上昇を刺激するようなそうしたビヘービアは一切慎みたい、こういう気持ちでございます。確かに賃金の問題も議論いたしましたけれども、これはこれでなかなかむずかしい問題でございます。そういう意味において今後十分検討もし注視もしておりますけれども、公共料金の問題はその問題とまた離れて、とにかく政府自体としてやはりそうしたビヘービアが必要である、そういう認識に立っておるわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ほんとうにそうだと思います。これは賃金なんていうことばを出すことが逆に賃金の問題に抵抗を出すことであって、政府が真剣に物価の安定に対して取り組んでおるのだというこのビヘービアが必要なんですね。あとは何も言わなくても、そのことがいい反作用、副作用を持っていくということであって、賃上げがどうのこうのということをまず言うべき問題ではないわけです。実態からいってもそういうような要素もあるわけであって、ひとつ何よりも先に政府はみずからできること、やらなければならないこと――また日本は、いま申し上げたとおり、インフレが出てくるとどの先進国よりも弱い体質を持っているという、このことは非常に大事だと思います。そういうようなことですから、長官の今後の健闘をお願いいたしまして、御質問を終わることにいたします。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会

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