農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 327 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/12/08
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。千葉七郎君。
○千葉(七)委員 農薬取締法の一部を改正する法律案に対しまして、所感を申し上げ、当局の御所見を伺いたいと存じます。 昨日の審議によりまして、改正案の問題点はそれぞれ取り上げられまして論議をされたわけでございますが、当局の答弁その他関連をする事項につきまして、納得のいかない点もございますので、昨日の論議と多少重複する点もあるかと存じますが、四、五点にしぼりまして御質問をいたしたいと思うのであります。 今回の改正案は、現行の取締法から見ますと、たとえば目的の項目を設ける等、非常に前進をした改正案であることは、私も認めるにやぶさかではないのであります。しかし、この改正案に対する政府の姿勢と申しますか、積極的な態度にやや欠けているのではないか、かように私は感ずるのであります。 たとえば、旧法にない目的を第一条にうたったのでありますけれども、その条文を見ますと、第一条「この法律は、農薬について登録の制度を設け、販売及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、もつて農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。」このようにうたっておるのであります。私はこの条文を見まして、われわれ農業関係者がよるべき農業に対する態度は、このような消極的な態度ではいけないのではないか、このように思うのであります。もちろん国民の健康の保護、ざらには国民の生活環境の保全に寄与することは大切であります。しかし何と申しましても、いまの日本の農業の置かれている状態と申しますか、あるいは日本の食糧の問題等を踏まえて考えますときに、私から申し上げるまでもなく、米は確かに七百何十万トンか余っているでありましょう。しかし小麦の輸入は年々四百万トンをこえ、さらには小麦外の雑穀、飼料等の輸入も一千万トンをこえておるというような実態であります。したがって日本の食糧の国内の自給状態というものは、全体の国内の需要量から見ますと六〇%程度しか自給できないという実態に置かれておるわけであります。 昨日の質問に対する大臣の答弁によりますと、農業はすべての産業の基礎であるからして、国内農業の振興方策はこれを確立していかなければならぬということであったのでありますが、しかし今度のこの改正案の第一条の目的を見ますと、そういう積極的な姿勢があらわれていないのであります。もって農業生産の安定をはかる、安定とは何を意味するかと申しますと、安らかに定まるというのでありまして、この安定ということばの中には積極的な振興政策、振興の方針、そういう方針があらわされているとは決して考えられないわけであります。 私は、ただいま申し上げましたような、あらゆる産業の基礎であり、かつ国民生存の根本の基盤である食糧の生産、あらゆる農業関係の法律、あるいは農業関係の政策、それらはいまの日本の食糧の状態、これを踏まえまして、そして国内における食糧の自給率を高めるというところにこの基礎を置かなければならぬと思うのでありますが、今度の農薬取締法の改正案には、そういう積極性が見られないのであります。その点に対しては、大臣はいかなる御所見をお持ちであるか、お伺いをいたしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 この法律の目的の中に、農業の安定という文句がございますが、きのうもお答え申し上げましたように、私どもは、安定がなければ成長が行なわれないのでありますから、そういう意味では、安定して成長してまいるようにつとめる、そのためにはやはり農作物の病害虫等を除去することが必要でもありますし、また農薬による危害を除去することが必要である、こういうことで、目的の中にそういうことばを入れておるわけであります。私どもは、御存じのように、農業生産は農薬等が適切に利用されることによって生産性を向上してまいっておるわけでありますから、そういう意味で、やはり農業の安定的発展のためにも、農薬の害のあるものはこれを取り締まる、こういうことが必要な条件である、こういうことで、このたび本案を提出いたしておるような次第であります。
○千葉(七)委員 御答弁によりますと、安定がなければ発展がないんだということでありますが、私はそういう観点に立つとするならば、この条文に、農業生産の安定的発展と国民の健康の保護とか、こういう字句を当然挿入すべきではなかったかと思うのであります。御答弁によりまして、安定とは決していわゆる現状に安んずるという、そういう考えではないんだという答弁でありますから、了承することにいたしますけれども、何かいまの農林当局の態度は、食糧の増産に対する積極性というものが非常に欠けているような感じがするのであります。米の在庫が七百万トン以上にもなっておる、そういう状態に対して、いろいろ学界などからの意見もある。いつかの新聞には、国内の農業は一切やめてしまって、そしてブラジルかどこかへ土地を借りて、日本国内の食糧の生産をやったほうがいいのではないかといったような大学教授の意見などが載ったこともあります。また農林省当局内でも最高の責任の地位にある人が国内の米の生産を抑制するためには休耕、転作、そういった方向はもちろんのこと、生産者米価の引き下げをやって、米の生産の抑制をはかるべきだといったような議論をする方もあるようでありますが、私はそういう態度、そういう議論等によって農林省当局の食糧増産に対する態度が、従来から見るならば非常に消極的になっておるという感じを受けるのでありますけれども、そういうことではいけないと思うのであります。 昨日の朝日新聞に載った記事なんでありますけれども、兵器の国産化——これは食糧、農業関係とは直接関係がないのですけれども、兵器を国産化するというと、外国から兵器を買うよりも国費を非常にたくさん使うようになっておるようであります。第四次防計画の詳細な記事が載っておりますが、それを見ますと、飛行機などは一機二十七億円もかかるのでありますが、これを外国から買うと十六億円くらいで買える、それからまたスパローというミサイルを一発三千万円でつくるのだそうですが、米国から買いますと三分の一くらいで買える、あるいはサイドワインダーですか、これなども国産では一発四百万円もするのだそうですが、半分ないしそれ以下で買える、こういったことで兵器の国産化には外国から安く買えるものを買わないで、そして国内で生産をする、つまり国民の税金をむだ使いするというような方向、そういう方針がいま計画されておるわけでありまして、四十五年には兵器の調達費が二千七十八億円、四十七年にはおそらく五千億をこすだろう、しかもこういう兵器を外国から買うと二、三百億円もそこで冗費の節約ができるのでありますが、こういう方面にはどんどん金を使っておる、そういうことに対しては何ら政府の部内では批判の声があがらない。しかるに米が百万トンやそこら多く出るということには目の色を変えてそして二千億円やそこらの赤字を問題にして、国民の生活に最も大切な農業を縮小しようというような議論が、政府部内においても、しかも農林省の最高の地位にある人たちがそういう議論をしているということは、全く日本の食糧政策の上にとって大きな間違いではないか、そういう感じがするのであります。そういう点につきましてはこの際農林省当局としては十分反省をして、そして日本の国内の食糧は国内でできるだけ自給するという方針を進めていただきたい、かようにこの際要望いたしておく次第であります。 そこで、改正案の内容につきましてお伺いをいたしますが、今度の改正案によりますと、農薬の登録制度を拡大をして、そして毒性及び残留性に関する試験の成績書を添付させる、それを政府においてはそれぞれ検査をして、そして適正と認められるものに対して登録をする、こういう規定になっておるわけでありますが、農薬の登録申請にあたって添付をする試験の成績書、これは昨日の質問に対する政府の答弁によりますと、この農薬製造業者の試験のほかに公的な機関の試験成績書を添付する、こういうことになっておるわけであります。そこで、公的機関の試験の申し出と申しますか、それは防虫防疫関係は日本植物防疫協会がこの申し出を受け付ける、こういうことになっているわけであります。それから植物の生育促進あるいは抑制、こういう関係については日本植物調節剤研究協会、この団体が受け付けをする、こういう次第でありますけれども、この日本植物防疫協会または日本植物調節剤研究協会、この二つの団体はどういう法的な根拠に基づいてその取り扱いをするのか、こういう点きのうの論議では必ずしも明確になっていないのであります。いかなる法的な根拠によってこの取り扱いをするのか、こういう点を明確にしていただきたいと思うのであります。
○中野政府委員 ただいまの問題、昨日もいろいろ御質問があったわけでございますが、法律的に申し上げますと、農薬の登録を申請するためには農薬の薬効と薬害、今度の改正によりまして毒性と残留性についての試験成績書を添付して申請をしろということになっておるわけでございます。それの運用といたしまして、この法文からいたしますと業者の試験成績書だけでよろしいわけでございますが、それではいろいろ問題が出るというようなこともあり、また確実であるかどうかということもわかりませんので、事前の行政指導といたしまして、業者が自分でやった試験のほかにそういう公的機関の試験も経ました上で、それを業者の提出します試験成績書として農林省に出させる、それを農林省の農薬検査所におきまして検査をする、こういうたてまえをとっておりますので、法律的には根拠がございません。これは事前の行政指導としてやっておることでございます。
○千葉(七)委員 何ら法的な根拠のない団体を通じなければ検査が行なわれないということは、その点私は納得いかないのであります。業者の試験の成績のほかに、公的機関の試験成績書をつけよ、こういう答弁でありますが、その公的機関の試験をするために日本植物防疫協会なり日本植物調節剤研究協会なりの手を経て試験の成績書を試験をするという行政指導ですが、なぜそういう行政指導をしなければならぬかという根拠、その点ももう少し明確にしていただきたいと思うのです。
○中野政府委員 そういう行政指導をいたしませんと、農林省に持ってまいります成績書は、業者がかってにと言ってはおかしいのですが、業者が自分で試験をやりましたその結果だけを農林省に持ってくるということになるわけでございます。それを受けまして農林省は、もう一ぺんそれがほんとうであるかどうかを全部やり直さなければならぬということになるわけでございますが、実際問題としまして年に千件ぐらい、これは更新の登録もございますので全部新しいものではございませんが、相当な数になるということで、あらかじめ農林省に持ってきます前に、業者の責任におきまして出す成績書の中に、自分でやったもののほかに、そういう公的機関に試験をしてもらった成績をつけさせるということにいたしておるわけでございます。その中へ協会が入っておりますのは、きのうも申し上げましたようにこの協会の中に試験委員を置きまして、どういう申請書の中身のものはどういう試験場に頼んだらいいかということを学者が集まりました中で判断をいたしましてやらせるわけでございますが、特に薬のことでございますので、日本の気候条件からしまして北のほう南のほうというふうに地域的に試験場をきめるという必要もありましょうし、そういうものを適正に配分させるということが必要ではないかということで、先日も申し上げましたように公益法人によりましてそういうことをやらしておるということになるのでございます。
○千葉(七)委員 この植物防疫協会あるいは調節剤研究協会は、これ自体では農薬の試験はやらないわけでしょう、どうですか。
○中野政府委員 この両方の協会、一部自分自身でも試験研究はやっております。
○千葉(七)委員 何と申しますか、試験のあっせん機関として必要だ、取り次ぎ機関として必要だというような答弁に解釈されるわけですが、私としては、これはきのうから各質問者によっても論議されたところでありますけれども、どうもこういう自分自身で試験をするというような機関でないのがその中間に入って、その仲介を経なければ試験ができないというシステムは、何か割り切れないような感じがするのでありますが、それはそれとして、これ以上議論をしたところで議論が進展しないでしょうからこれで打ち切りにします。 次に、これもきのういろいろ論議をされたのでありますけれども、残留農薬の研究所の問題であります。これはきのうの答弁によりますと、総額七億五千万の資金でこれを建設をする。そして国からの出資がことしと来年で二億五千万。残額の五億円は、これはメーカー、農業団体の寄付によって建設をされる。こういう資金の内容になっておるわけでありますが、この残留農薬研究所の構成は、理事が二十一人で、その理事の構成は、学識経験者が三名、それから専門家が九名、関係団体から六名、メーカーから三名、合計二十一名の理事で運営をされる、こういう説明でありました。こういう公的な機関の資金を、これは昨日もいろいろ議論をされたんでありますが、メーカーから寄付をもらって設置をするということは、公的な機関として私はいかがなものか、非常に疑問に感ずるわけでありますが、この五億円のメーカー、農業団体の寄付、この金額の区分けはどうなっておるんですか。メーカーが何億、農業団体が何億、どうなっておりますか。その点をお伺いいたしたいと思います。
○中野政府委員 この寄付の問題は、ことしから来年にかけて研究所をつくります施設費でございますが、したがいましてまだ最終的には決定しておりませんで、メーカーが大体七割ぐらいになるんではないかというふうに考えております。
○千葉(七)委員 といたしますと、残額五億円に対してメーカーが七割ということになりますと、三億五千万円、それから農業団体が一億五千万円でありますから、したがってメーカーから出る資金というのは一番最高の額になるわけですね。国のほうからは二億五千万円、メーカーから三億五千万円、農業団体から一億五千万、合計七億五千万ということになるんでありますが、昨日の答弁によりますと、理事二十一名のうちメーカーからの理事はわずか三名であるからして、したがってこの農薬の試験研究等についてメーカー側と密着するということは絶対にないんだ、こういう答弁でありましたけれども、資金の構成から見ると、どうしても——まあ株式会社でいうならこれは一番の大株主であります。したがってこういう資金の構成から見ると、どうしてもメーカー等の関連というものを完全に断ち切ってそして公正な立場においてこの試験研究が行なわれるということに大きな疑問を抱かざるを得ないわけでありますが、そういう点については、それを抑制をするというような機関を何か研究所内において設けておく必要があるんじゃないかと思いますが、そういう点についての考慮がなされておるか、その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
○中野政府委員 昨日もこの研究所の理事の構成を申し上げたわけでありますが、ここができました際に、メーカーのほうから持ち込まれてきますものを試験する場合に、技術者は、これは別にメーカーのひもつきでございません、研究所自体が雇うわけでございまして、もちろん技術者がメーカーの意を受けて適当な試験をするというようなことは、これは考えられないことでございます。と同時に、この中にもいまの理事も大体学識経験者なりそれから公務員関係、関係団体が大部分でございますと同時に、もう少し試験委員等も学者を集めてやるということでございますので、なるほど建設費として寄付はいただきますが、この理由は先日も申し上げましたように、新しい薬を開発していけば、やはりメーカーの利益になるわけでありますから、相当な受益者負担があってしかるべきだという考え方からこうやっておるわけでありますが、持ち込まれました試験につきましては、繰り返すようでございますが、そういう技術者がやるわけでございまして、メーカーのひもつきの人がやるわけではございませんので、そういう心配はないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○千葉(七)委員 寄付をもらって設置をしてもメーカーの利益をはかるというようなことは絶対にない、こういう御答弁でありますから、それはそれで信用することにします。しかし私は、こういう公的な機関の設置の費用を受益者負担というようなそういう考えのもとに、メーカーに負担をさせるという考え方は誤っているんじゃないか。こういう公的な機関はやはり国が資金を出して、そしてその機関を利用する際には利用料というような形で出してもらう、徴収をする、そういう形態をとるのが本来の形ではないかと思うのですが、その点についてはどういう御所見を持っておられるか、お伺いをします。
○中野政府委員 いまのお話、そういう考え方も私もあると思います。思いますけれども、今回設立いたしましたものにつきましては、これは別に株式会社の株式をメーカーが持つということでございません。施設をつくるための寄付金でございます。したがいましてその寄付を得たからその寄付が全体の七割、八割あるんだから、その人の御意向を伺ってということにはならないということでございまして、いまお話しのように全部国でやってもそれはいけないということはもちろんないと思いますけれども、やはり研究所の性格といたしまして国の金、それから関係団体の金というものでつくっておきましても、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども、運営自体は公正が期せられるというふうに考えておるわけでございます。
○千葉(七)委員 私はどうもその答弁は納得いきません。こういう公的な機関はやはりその建設の費用は国なら国が全額、あるいはそれはもちろん関係の団体から寄付をもらうということは、これはいいかもしれませんけれども、いずれにいたしましてもその金額はわずか三億五千万円程度、これくらいの金をメーカーから出してもらわなければこういう大切な機関の設置ができないということはおそらくないと思うのです。ただいまの答弁によりますと、私が申し上げたように国が全額を負担をして建設をし、そしてそれを利用する業者なり団体なりからはその利用料を徴収するという方法も考えられるという答弁でもありますから、したがってそういう方向でいくのが正当な正しい方向ではないかと思うのでありますから、その点はひとつまだ寄付をもらったのではないのだそうですから、十分農林省当局におきましては再検討をしていただきたいと思うのであります。 それから、この問題はその程度にいたしまして、登録にあたりまして、登録の申請のあった農薬に対して農林大臣がこれを検査をする、これは農薬検査所で検査をするのだそうでありますが、その検査の要綱に合致をしない、つまり不合格の農薬に対しましては登録を保留するということになっておるようであります。その保留の要件の前提の基準というものはどういうことになっておるか、その基準をお知らせを願いたいと思うのであります。
○中野政府委員 お尋ねの基準につきましては、改正案の第三条第二項で、農林大臣がその基準を定めて告示をするということになっておりますが、まず作物残留性の農薬につきましては、これは食品衛生法の残留許容量というものを基準にしたいと考えております。それから五号の土壌残留性農薬につきましては、あと作の農作物についての厚生省の残留許容量できめたいということを考えております。それから六号は、水産動植物に対する問題でございますが、これにつきましてはコイが半数致死量というのですか、四十八時間にコイが半分死ぬ量、これは〇・一PPMということになっておりますが、かつそれの消失日数が一週間ということで、これは現在すでに告示がされております。 それから水質汚濁性の農薬につきましては、水質の環境基準というのがきめられております。この水質の環境基準を著しくこえ、かつ長期間汚濁が持続をするという場合に、これは保留をするということで基準をきめたいというふうに考えておるわけでございます。
○千葉(七)委員 そこでお伺いをいたしますが、ただいま答弁のありました基準、この基準について土壌関係と水質関係、この基準と公害対策基本法の第九条の規定とはどういう関係になるわけでありましょう。第九条の定めによりますと、「政府は、大気の汚染、水質の汚濁及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」こういう規定になっておるわけであります。この公害対策基本法の第九条の基準も、ただいま答弁のあった農薬取締法の基準と合致をすれば問題はないわけです。合致をすることになるか、しないことになるか、その点はどういうことになりますか。
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、水質の環境基準を予てのまま農林大臣の告示といいますか、基準にいたしたいと申し上げましたから、当然合致するわけでございます。
○千葉(七)委員 了承いたしました。 そこで、農薬の登録の申請に対して、要件に合致しないということで不合格になった、あるいは登録の取り消し等が行なわれるわけでありますが、この取り消しの決定は、これはもちろん農林大臣が決定をするわけでありますが、実際的に取り消しの決定を審議する機関は農業資材審議会の答申でそれらの決定をするというように承っておるのでありますが、間違いありませんか。
○中野政府委員 取り消しました理由によって違ってくるかと思いますが、非常に技術的な判断を要する場合には農業資材審議会の意見を聞いたほうがいいというふうに思いますので、昨日も必要なものはその意見を聞くということを申し上げたわけでございます。
○千葉(七)委員 そこでこの登録の取り消しに対する異議の申し立てがあった場合あるいは登録申請に対する不合格によって登録が保留されたといったようなことに対する異議の申し立てがあった場合に、これは農林大臣が異議申し立てに対する最終の決定をするということになっております。しかしきのうの議論に対するあなたの答弁によると、異議の申し立てのあった際にも、農業資材審議会の答申によって、この異議の申し立てを受け入れるか却下するということをきめるのだ、こういう答弁があったわけです。私はそういう考え方は非常におかしいのじゃないかと思うのです。登録の取り消しあるいは登録の保留をするのも農業資材審議会がやる。それに対してこの異議の申し立ての審判というか、それも同じ農業資材審議会が審議をする。取り消しをするにもこの農業資材審議会、その異議の申し立てを審議をするのも農業資材審議会、同じ機関が相反する事項を審議するということは、これは非常におかしい考え方ではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。
○中野政府委員 農林大臣が職権でその農薬の登録の取り消しをいたします場合は、これはお話しのように資材審議会の意見を聞くということを法律で、今度の改正案できめております。それを取り消しました際に、今度はメーカーのほうが異議の申し立てをした場合、これは必ず聞く必要はないわけでございますが、前にいろいろありました審議会の意見であるいはメーカーの意見を聞くべきことがあり得るかもわかりません。そういう場合はもう一ペん、技術的な問題でございますので、意見を聞くことがあるわけでございます。法律といたしましては、農林大臣が異議の申し立てを審査をして決定をするだけでございまして、慎重を期するためにもしメーカーのほうの異議の申し立ての内容についてもう一度その審議会に聞き直したらいいじゃないかという判断をした場合は、慎重を期して聞くという考え方でございますので、両方必ずぴしゃっとやらなければならないというふうには考えておりません。
○千葉(七)委員 この取り消しあるいは保留の決定をするのも農業資材審議会、それに対する異議の申し立ての審議をするのも同じ機関がやるということは、これはどうしてもふに落ちないのであります。したがって登録保留あるいは登録取り消し等を農業資材審議会の審議によって決定をするというならば、この保留や取り消しに対する異議の申し立ては、別な機関をつくってやるのが当然の筋道ではないかと思うのです。その点をひとつ十分考慮していただきたいと思います。同じ機関で相反することを審議するということは、これはどうしても筋道が通らないと思う。これは私の意見ですからひとつ十分御考慮をいただきたいと思います。 さらに指定農業の制度でありますが、この指定農薬の範囲を拡大して、そしてその使用の方法なり、あるいはまたいろいろな基準を定めるということは、これは農薬の薬害の防止にとっては非常に大切なことであり、たいへんいいことだと思うのでありますが、その定めた使用方法の基準の指導の体制が確立をされなければ、この条文の徹底は期されないと思うのであります。きのうの答弁によりますというと、農業改良普及員あるいは農協の営農指導員あるいは農薬の防除の指導員等一万八百人ですか、これらを通じてその指導に当たる、こういう御答弁でありました。指定の使用方法その他、容器等に明記をするということになっておるのでありますけれども、この使用方法等の基準の指導体制が確立をしなければ、せっかくこういう規定を設けても、それは末端まで浸透するということは非常に困難ではないか、かように考えられるわけであります。そこできのうの論議にもありましたが、この指導体制を確立するために、それぞれ適当な方法でもって指導員の防除の知識というものを高める必要があるのではないかと思うのでありますが、いま農林省が来年度予算に要求をしておるこの農薬関係の予算を見ますというと、防除指導員の再訓練の費用等は十分要求をされているようには考えられないわけであります。その点はどういうふうになっておりますか、御説明を願いたいと存じます。
○中野政府委員 防除員の活動費といたしまして、ことしの予算では六千百一万円。それから講習会、これは資質の向上のための講習会をやっておりますので、これの出席旅費、それから資質向上関係の資料を提供するための費用でございます。防除員につきましてはいまのように活動費と講習会の出席旅費、なお来年はそれをやりますための資質向上の資料費というものを要求しております。
○千葉(七)委員 ことしの予算が六千万円ですか。来年度の要求額が農薬安全使用指導分としては三千五百万しか要求していないのじゃないですか。農薬安全使用講習会開催費、農薬危害調査指導旅費、病害虫ハンドブック及び農薬安全使用普及経費、これは三千五百万しか要求してないですね。今年度の予算が六千万、来年度は三千五百万というと、ちょっと半額になっているような感じがするのですが、そうじゃないのですか。
○中野政府委員 ただいま申し上げましたように本年は病害虫防除員活動費は総額にいたしまして六千五百九十三万九千円でございますが、これはいま予算要求で大蔵省と折衝いたしております、それに対応いたしますのは九千百五十万六千円でございます。
○千葉(七)委員 ではこの調査書は間違っているということになりますね。わかりました。 そこで今後の防除体制をどういう方向に進めるかという点であります。もう時間ですからこれだけで私、質問を終わりますが、昨日の答弁によると、今後の防除体制は指定農薬の販売が拡大されるという関係からして、共同防除の方向を進めることが必要であろうということの答弁があったように聞いたのです。ところが今年度予算の要求を見ますというと、昨年は農薬安全対策費として八千三万六千円、この農薬安全使用の強化をはかるため、病害虫防除員に対する農薬安全使用教材費並びに共同防除組織育成に必要な経費、これが今年度はゼロになっているのです。つまり共同防除組織育成に必要な経費は全然上がっていない、要求されていない。昨日の答弁によると、今後の指定農薬による防除の体制は共同防除の方向とで進めるのが適当だと思う、こういう答弁。ところがその共同防除組織育成の費用というのは全然要求されてない。きのうの答弁と、予算要求の状態を見ると、全然そういう方向で考えてないのじゃないかという感じがするのですが、それはどうですか。
○中野政府委員 四十三年から四十五年までは共同防除組織育成費ということでやってまいりました。三カ年計画でやってまいりまして、モデル防除組合をつくってまいったわけでございます。そこで三カ年たちましたので少し知恵を出しまして、これは予算の大蔵省との折衝のテクニックということもあるかもわかりませんが、農薬安全管理対策事業費ということで、いままでの一年分の金額の三倍くらい、約二億一千万円を予算要求いたしております。これは昨日も若干申し上げましたが、焼却炉をつくったり、あるいはガラスびんの破砕機をつくったり、あるいは作業室をつくったりということで、共同防除の物的な施設を強化したいということと、あわせまして防除安全管理費ということで研修会、説明会等の必要な費用ということを要求しておりまして、引き続き共同防除の組織をつくっていくについて、もう少し物的な施設を強化したいという考え方から、名前を変えて提出しておりますので、あるいは誤解をいただいたかもわかりませんが、決してその点をおろそかにしているわけではございません。
○千葉(七)委員 時間でありますから以上で私の質問を終わります。共同防除の必要性はこれは政府自体も認めておるところでありますし、また、農業関係の団体等もそういう方向に進めることを要望しており、その必要が一そう強くなることだろうと思うのであります。したがって、物的な施設はもちろんのこと、人的な施設につきましても十分経費の面においても考慮を払われますように要望をいたしまして、私の質問を終わります。
○草野委員長 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 私はこの間の連合審査の際も倉石農林大臣にお尋ねをしたのでありますが、林野庁におきましては、国有林に大量の枯殺剤、除草剤——農薬を散布いたしておるわけでございます。その際に私どもも、特に私の郷里のある町におきましては、有権者が六千名の中に、四千五百名ほどの皆さんがこの除草剤の散布を中止をしてほしいという署名をもって要請をしたのであります。その署名をもとにして林野庁の出先の関係の方面といろいろ協議をいたしました。その際に、林野庁中央におきましては、地域の住民の反対を無視して強行するようなことはしない、こういう方針でありますと、こう言っておったのであります。しかし、結果的には、七割くらいの大ぜいの中止をしてもらいたいという署名を無視して、実はこの枯殺剤の空中散布を行なったわけであります。その説明は、人畜未踏の地だ、したがってあまり被害は出ないであろう、それから、今回散布をした枯殺剤は塩素酸系のもので被害はないのだ、こういう御説明でございました。しかし、散布をいたしますると四十日間以上の立ち入り禁止をそのあたり一帯に行なったわけであります。人畜に被害なしというものならば、地元民の受け取っておる気持ちといたしましては四十日以上の立ち入り禁止などをする必要がないじゃないか、こういっておるわけであります。したがって、時間がございませんので、私がきょうお尋ねをいたしたいのは、特にその際に出先の営林局長や署長の、お会いをいたしました限りにおいての態度、もの腰はものすごくりっぱで実はなかなか柔軟であります。しかしながら、七割以上の地域住民の中止をしてほしいという署名に基づく強い要望があったにかかわらず、大量の空中散布をやはり強行した。こういう形になったのであります。 そこでその際に、将来は一体どうなるのかということにつきましては、まあ来年から先になれば公害世論が非常にシビアになるだろう、したがって、いまやっておる考え方は変えざるを得ないようになるのではないか、こういう考え方が随所に出されました。私はその際に痛感いたしましたのは、これは地元住民も同じだと思うのでありますが、公害世論がシビアになれば、これは変わっていかざるを得ないだろう、公害世論があまり盛り上がらなければやっぱりやるぞというふうにもとれるのであります。私はどうもこういうところに政府が一体どういう考え方を持たれているのかということがつかみ切れない、わかりにくい。これがいま地元の住民の偽らざる感じ方でありまするので、一体今後この自然公園、特に私の地域では国定公園、自然公園、こういう地域の中に大量の枯殺剤の空中散布を行なったわけでありますが、いま山の自然を保護する、自然環境を保護するということが住民の大きな関心の的になっておりまするこの時期に、このような考え方というものはどうも地元ではわからぬ、政府は一体何を考えているのだろうか、こういうふうに受け取っておりまするので、今後この枯殺剤というものをどういうふうにやっていかれるおつもりなのか、最初にぜひ一つお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
○倉石国務大臣 いま御指摘のありました具体的なことは林野庁の長官からお答えいたさせますが、塩素酸製剤は害にならないのだということを申し上げたという話でありますが、これは害といったってどういうことの害か存じませんけれども、これは除草剤として平素使われておるものであります。塩素酸系とおっしゃいましたから、たぶんそれが使われたことと思っておりますが、その他の二四五丁のようなものにつきましては、使えます期間も、一ぺん使えばあと何十年と使わないもののようでありまして、そういうことについての使用の方法については、自然公園はやらないとか、あるいは湖水、河川等にはまかないとか、いろいろなことをやっておるようでありますが、大体いま林野庁として、私どもが悩んでおりますのは、非常に労働力が欠除してまいっておりますので、除草の、つまりいわゆる下草を刈ることにつきましては、できるだけ害を伴わないような除草剤を使うというのは、これはやむを得ないことでもあり、当然なことであります。それがいわゆる公害をもたらさないような薬品を、それから使い方を気をつけるということについては、これも当然なことでありますが、いまのお話の中に、公害問題がやかましくなれば云々というのは、だれが発言したことか存じませんけれども、そういう問題が出る出ないにかかわらず、いまもう私どもは政府全体として緑を保護し、天然を保護し、しかも人体に害のないようなことをできるだけ森林、農作物にもやっていかなければならぬということになっているのでありますから、やかましくなろうとなるまいと、やはり害のあるものは、なるべくそういうものは使わないようにする。またそういうものを使用する場合には適切な指導をして、人畜に害のないようなやり方をしなければならぬ、こういうことはもう政府としてはさまっていることであります。 したがって、個々具体的なケースにつきまして、私はよく存じておりませんから、林野庁の長官からお答えいたさせます。
○阿部(昭)委員 いま大臣の御答弁で除草剤、枯殺剤を使用するというのは、つまり労働力が非常に不足だ。したがって、それを薬剤によって代用しなければならぬ情勢にある、こういうふうに受け取ったのでありますが、今回私ども営林署やあるいは営林局に対して、相当早い時期に計画を明らかにするのであれば、地元の山元における農家の皆さんが一定のスケジュールを組んで、労働力の提供はできますよということを、実は前々から申し入れしておったのであります。そのことはよくわかりますけれども、林野庁の方針として、今回何が何でも除草剤を使えという強い指示なものですから、そういう皆さんの地元の協力体制はよくわかりますけれども、今回その薬剤は使わしてもらわなければ困るのだ、来年度以降のことは公害世論もきびしくなるでしょうから、またいろいろ考えなければならぬでしょうけれども、こういう言い方なんであります。私は、いま大臣の御答弁の中で、少なくとも地元の山元において、人間の手でいろいろな下刈りなりそういうことが可能な労働力の供給ができる、こういう裏づけのあるような場所においては薬剤の散布はしない、こういうふうに一歩進めていただけるのかという実は希望を持ってお伺いしたいのでありますが、この辺はいかがでありましょうか。
○倉石国務大臣 田の草を七回も八回もいままで取っておったのを、農薬によってそういう手間を除去し、生産をあげるということ、これはもういま世界的に水田のあるところでそういう傾向であることは御存じのとおり。ただいま林野庁の経理等についてお話しすべき時期ではないかもしれませんが、私どもはできるだけ省力で、経済的に運営をしてい、ということが大切なことであることはたてまえであります。したがって、そういう面からたぶん出先の営林署においても、いろいろ除草剤等について考えて措置をいたしておることだと思いますが、そういう意味でこれは民有林でも同じであります。いま民有林がだんだんだんだん荒廃してきているといわれております。その一つの大きな原因は、山を持っておってもそろばんに合わないということは、そろばんに合わないということの一つの大きな理由は労働力の関係であります。賃金の高騰によるコスト高ということでございまして、やはり林野庁におきましてもそういうことを考慮せざるを得ないのは当然であります。したがって、人体、農作物等に被害を及ぼすようなものについては、これは十分警戒をし、注意していたさなければなりませんが、除草剤をやめろという一般論につきましては、これはいろいろ議論があると思います。いま御指摘のような具体的なことにつきましては、私はつまびらかにいたしておりませんけれども、一般的にはいま私が申し上げた方針であります。
○阿部(昭)委員 林野庁長官に伺いますが、第一は地元の反対があるような状態の中で強行するようなことはしない、こういう方針を営林局長の局長会議の際に指示をされた、こういうふうに現場の林野当局の皆さんは言っておられるのであります。しかし、実際上は七割余の大ぜいの皆さんが、署名で、中止してもらいたい、いろいろな被害がある、人体の問題などにも影響がある、いろいろな理由を付して中止をしてほしいという強い要請を行なったにかかわらず、これを強行したわけであります。したがって、地元の反対があるような中では強行しないというこの長官の方針が、下部では守られておらないということになると思うのでありますが、これがまず第一。 それから第二の点は、現在林野庁において山林に使用する枯殺剤というものを、メーカーとの間に一定の製造を取りきめておるはずだと思うのであります。この取りきめの状況と、現在すでにそういう取りきめに基づいて、ある意味で林野庁の責任を持たねばならぬ数量というのはどのくらいあって、これが将来にわたってどういうことになるのかということを、概要についてお聞かせを願いたいと思うのであります。
○松本政府委員 第一点、地元の反対を押し切ってやったということでございますが、反対が相当署名されたということは確かにあったようでございます。が、これは、除草剤というものに対する理解が徹底しなかったときの署名でありまして、その後、その反対の状況に、営林署が動員されまして、個別にも集団的にも、除草剤、塩素酸塩系の薬はどういう薬なんだということの説明を部落にいたしまして、林野庁にも、その散布をするぎりぎりのところまで、するかしないかという相談がございました。林野庁としては、なおもう一度重ねて地元を説得しなさいということで、一両日延期もしたように記憶をしております。そのようにして地元の反対は大かた理解が取り付けられたという報告がございまして、それならばもう、安全を期して慎重に実施しなさいということで実施をいたしました。 それからメーカーとの取りきめがあるようだということでございますが、これは林野庁としては次の年に使用する薬につきまして、メーカーに対して発注するとか、大体の見当を、これぐらいどうだということは全くしておらないはずでございます。
○阿部(昭)委員 全くしておらないとおっしゃるのですが、そうしますと、出先で思い思いにかってに購入するわけですか。
○松本政府委員 いま除草剤の年度の予定は、営林局、営林署で立てて購入をいたしております。
○阿部(昭)委員 この薬はいま民間ではほとんど使っておりません。民間で使っておる例は、少なくとも私どもの地域では非常に少ない。この枯殺剤、除草剤というものは、大量にやっておるのはほとんどが国有林であります。そうなりますと、出先の営林署あるいは営林局において購入をする場合に、ぶっつけ本番、さてひとつどこかから買おうかということでやれるものじゃないのじゃないか。したがって、相当大量にやっておるわけでありますから、一定量というものをあらかじめメーカーとの間にいろいろな相談をしなければ、あれだけの薬剤を取りまとめすることはできないのじゃないかと思うわけであります。こういうことも一切やってないということでしょうか。私どもは局段階その他からいろいろなことをお聞きしておるのですが、全然やっておらぬというのはうそじゃありませんか。
○松本政府委員 林野庁としては、メーカーから見積もりの提出はあるようでございますが、来年度は幾ら使うというようなことは、その使う直前までは、そのメーカー、個別のメーカーに対しまして連絡をしておらないはずでございます。
○阿部(昭)委員 私ども実は現場の営林局やその他から、いろいろの経過や内容を承知しておるのであります。したがっていまの長官の答弁だけでは、納得せよといってもそれは無理なんでありますが、きょうは時間がありませんから次の機会に譲りたいと思うのでありますけれども、来年度、四十六年度はすでに見積もりなどを出さしておる、何もないところに見積もりを出すという業者もあまりないのじゃないかと思うのです。林野当局は相当使うだろうということで、見積もりを提出させられたり、いろいろなことになってきていると思う。したがって、四十六年度の見通し、計画、こういうものは全く無計画にただ動いているということにはならぬと思うのであります。私ども局段階その他から相当具体的な話を実は聞いておるのであります。来年度四十六年度はどうするつもりかということをお聞かせいただきたい。
○松本政府委員 林野庁としましては、数年前から分権管理方式といいまして、それ以前は中央で相当こまかい点にまで仕事の計画につきましてタッチをしておった。数年前から営林局へほとんどの業務計画をおろしております。したがって、営林局で翌年度の計画は立てる。そのために営林署から営林局へいろいろな資料を吸い上げるということはあろうかと思います。 それから民有林でいまあまり使っておらないというお話がございましたが、民有林でも逐次相当量使われております。民有林で四十四年度の使用面積は三万六千ヘクタールでございますから、国有林の面積にはちょっと足りませんが、大体近い面積が薬が使われております。
○阿部(昭)委員 そこで私は長官にこの機会に申し上げておきたいのでありますが、私ども現地におるものでありまして、私なんぞも活動範囲は相当幅が広いものでありますから、たとえば営林局のほうから木材の売り渡しなどを受けておる製材業者、素材業者など、たくさん知り合いがおります。この皆さんが、実はこの間の枯殺剤の強行散布に関してこういうことを私どもに言うわけであります。つい先般、今度の参議院選挙の際に売り渡し石数に見合う票を取れというので私ども業者が集められました。その際に当局の皆さんも出てきておって、今度の枯殺剤強行散布の問題にたまたまいろいろな説明がありました。その際には、つまり、これは無害じゃないので、いろいろ問題はあるんだ、あるんだが、少なくとも林野行政から売り渡しなどを受けておる、お世話になって恩恵にあずかっておる皆さんが、現地の住民の説得にひとつ先頭切って当たってくれ、こういう話を、つい最近業者が集められて、来年の参議院選挙の売り渡し石数に見合う票を集めろという、相談の会議の際に実は聞いたんです。ですからいまあなたは、現地に営林署関係者が何回か足を運んで、反対に対して説明が足らなかったから説明をやれといってやらせたと言っておるのですが、どこで説明をやったかということになると、町議会に行ってやっておる。町議会の中には製材業者その他が何人かおって、そうするとこの皆さんは私ども、個人的にはあんなことをやられちゃかなわぬけれども、われわれはどうも営林署のお世話になっておるので、やはり賛成だと言わざるを得ない。議会は何とはなしにそういう世論の中で、あまり反対でもないあまり賛成でもないみたいな結論を出した。それを受けて営林当局は、地元はおおむね納得したものと思うということでやることにいたしましたという回答を、実は関係者、七割以上の署名をやった方々に対してやっておるのであります。私はこれは反対世論に対して、疑問や批判を持っている皆さんに対して十分の説得や何か理解を深めたことにはならぬと思うのであります。いわんや来年の参議院選挙の票集めの会合をやりながら説得なんかやったって、ほんとうの説得なんかできるものじゃないと思う。きょうは時間がございませんのでこれ以上はできませんけれども、たとえばいま薬剤の関係は全部出先にまかせておる、こういうのですが、われわれの地域でそんな除草剤はどこでもつくっておりません。全部こっちからつくるわけであります。したがって、これは私ども局段階で全部詳しい話を聞いております。やはり林野庁全体で取りまとめられた窓口があって、そこからちゃんともらうようにやっておりますと言っているのであります。あなたのほうは全部出先のほうにまかして、こっちはわからぬと言うけれども、そんなはずはないと思う。私はこれ以上質問いたしませんけれども、次の機会にまたこの問題を深めさしてもらわなければならぬと思います。 以上で私の質問は終わります。
○草野委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農薬取締法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに農政局長等関係当局に質問いたします。昨日質問をいたしてまいったのでありますが、大臣が所用のために欠席をされましたので、本日引き続きあらためて大臣にお伺いしたいと思います。 まず最初にお伺いしておきたいのは、わが党からお手元に差し上げておりますが、農薬取締法の一部改正の中で、四点にわたって修正を考えておるところでございますが、まずその第一でございます「登録制度の改善」ということで、(記載事項の訂正又は品質改良の指示)というところで第三条の七号、「公共用水域の水質の汚濁が生じ、」という次に「環境が著しく汚染されるおそれがあるとき、」このようにぜひ挿入をしていただきたい、かようにお願いをするわけでございます。 御承知のように、現在日本は、公害列島日本といわれますように、自然環境が破壊されまして、日本人の住むところはもうなくなるのではないかといわれるほど公害に悩まされております。人間並びに家畜の被害だけでなく、環境が汚染された場合には当然規制をすべきではないかと思うのであります。最近、農薬によって環境の汚染が著しく目立ってまいっております。しかも益虫なんかも農薬などによっていなくなってまいっております。こういった意味から、ぜひ「環境が著しく汚染されるおそれがあるとき、」こういったことを入れなければ、この農薬取締法の内容も片手落ちになるのではないか、かように思って提案をしておるわけでございます。大臣からこのことについて明確なる御答弁をいただきたい。まず第一点、お伺いする次第であります。
○倉石国務大臣 いまお話のございました修正案を私まだ拝見いたしておりませんので、事務当局のほうでは見ておるかもしれませんが、事務当局からお答えいたさせます。
○中野政府委員 ただいまお話しの件、けさほど非公式にいただいたわけでございますが、今回の改正案におきまして、われわれ水質汚濁性農薬についての規制を考えました際に一番問題になりますのは、いままでからあります水産動植物に対する被害、そのほかに公共用水域につきまして、農薬が流れ込んで水質が汚濁しまして、それが人畜に被害を与える場合、この二つを規定したわけでございます。いまお話しの「環境が著しく汚染されるおそれがある」ということになりますと、非常にばくとしておりまして、農薬取締法から一体どういうふうな規制をしたらいいか、まだいまのところ——遠い将来は別でございますが、われわれ見当がつきません。それで今回は人畜の被害と水産動植物の被害ということを明確にして農薬取締法の面からは規制をしたいと考えておるわけでございます。
○瀬野委員 御承知かと思いますが、食用ガエルが昨年は輸出停止になりまして、アメリカからたくさんの製品が却下されたことがございます。もちろん農薬の残留があったということで、アメリカからも指摘されたことでございますが、関東一円に至りましてドル箱といわれ、しかも生産量においても自然に生産されまして、日本の外貨獲得の大きなウエートを占めてまいっておるこの食用ガエル等も、農薬の害によって被害を受けまして、それがアメリカの出荷停止を受けた関係から本年は田植え時期からこれが相当、捕獲されないために繁殖しました。この食用ガエルは年に三月と九月の二回くらい産卵するわけでありますが、これの泣き声の騒音並びに食用ガエルの繁殖が著しいために田植え時期に稲が倒伏する。将来もこういった問題がたくさん起きてくるわけでございますけれども、来年はどうなるかということで関東一円の業者も生産がストップしたし、また輸出もできない。しかも環境が破壊されたために、捕獲をしても製造の意味がないということからそういったことがたいへんな将来の問題になっております。これらは大臣もよく御存じだと思いますがそういった問題、また先ほど話がありましたように二四Dの除草剤の問題、いろいろございまして、至るところこういった事件が起きております。昨日も私、質問申し上げましたが、熊本県宇土半島一円もたびたび空中散布による農薬によって魚介類等が死滅をしておるという事態が起きて、それがまたいろいろな作物に影響を及ぼすというような事件も起きておりますが、こういったことから「環境が著しく汚染されるおそれ」ということをぜひ挿入していただかなければならぬ、かように思うのです。いま農政局長から答弁がございましたけれども、大臣もよく承知をして検討をしておられるわけですが、大臣の今後のこの法案に対するお考え、いまお聞きになっていろいろとおわかりになったと思いますけれども御見解を承りたい、こう重ねて申し上げるわけでございます。
○倉石国務大臣 お話しのことは私どももよくわかるわけであります。しかし事務当局もお答えいたしましたように、今回農薬取締法の一部を改正するにあたりましては人畜及び農産物についてのものを一応これからさらに私どもは研究を続けてまいるわけでありますから、その上でできるだけ対処してまいりたい、こう考えているわけであります。
○瀬野委員 農林大臣からいまできるだけ対処していきたいという答弁がございましたので、どうかひとつ農林省当局も、現在の環境がいかに汚染されておるか、国民の重大な関心でございます。また私も当委員会でたびたび自然環境等の問題については質問を申し上げ、提案してまいったところでございますが、この環境を守るということは当然政治の責任である、かようにも思っております。どうかひとつ慎重な検討をされて、大臣の御答弁にもありましたようにひとつ御検討をよろしくお願いする次第でございます。 次に第二点としては、登録の記載事項の変更及び登録の取り消しというところで、第六条の三第一項に基づき第二条第一項の登録を取り消したとき、または第九条第二項に基づき販売の制限をし、またはその販売を禁止したとき、とこうあります。その中で第六条の三の第一項に基づきというところの最後に政府案によりますと、「又はその登録を取り消すことができる。」と書いてございますが、これでは弱いわけでございまして、ここのところを「かかる農薬の回収並びに処分等の措置を命ずることができる。」このようにすべきである、かようにわが党は考えております。ぜひともこのように強い措置をしていただきますように修正方をお願いするわけでありますが、この点について大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
○中野政府委員 ただいまの問題でございますが、これは昨日もるる御議論がございまして、私御答弁申し上げましたのは、農林大臣といたしましてその後の科学技術の進歩によりまして登録を取り消しました場合に、販売を制限したりあるいは禁止するわけでございますが、そのあとの回収あるいは廃棄の問題、これは今後出てまいります薬によりましてどうやったらいいか、まあいろいろの考え方がございます。そこで農林省といたしましては、全国的な問題につきましては農林省で行政的な責任と申しましょうか、指導と申しましょうか、それを持ちましてどういうふうにしますかということでやりたい。それから一部の県の問題でありますれば県知事に責任を持ってもらいましてどういうようにしたらいいかということをきめた上でやるべきであって、これは指導としてやるべきでないということを申し上げたわけであります。われわれといたしましてはそのように考えておるわけであります。
○瀬野委員 私も昨日質問申し上げ、またいま答弁がございましたが、これが相当問題になりますし、BHCだけでも四億以上に及ぶ、こういう答弁がございましたが、たくさんの農家手持ちのものあるいは系統団体で持っておるものもございます。こういったものについてぜひとも強い処置をしていただくように御検討をお願いしたい、かように思っております。 次に第三点目でございますが、(農林大臣及び都道府県知事の援助)のところでございます。まずその中に第十二条の六に「品質の適正化に関する助言、指導その他の」云々とございます。政府案によりますと、最後のほうに「努めるものとする。」こういうふうになっております。これでは弱いので、「援助を行なうものとする。なお、これに当っては指導及び防除体制の確立を図る。」このように挿入をしていただきたい、かように思っておるわけです。共同防除とか指導といって昨日もいろいろと御答弁ございましたが、はっきり明文化すべきである。かってにしろといってもなかなかできないことでございますので、農家も個人個人が被害を受けておるわけでもございますし、またいろいろときのうからも論議された問題点もたくさんあるわけでございますので、ぜひ十二条の六の末尾の「努めるものとする。」というところを「援助を行なうものとする。なお、これに当っては指導及び防除体制の確立を図る。」このように挿入をしていただきたい、このように要求するものでありますが、農林大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 これから拝見いたしまして十分に検討させていただきます。
○瀬野委員 大臣からいろいろと検討していただくということでございますので、次の四点目に入ります。 第十二条の六のところでございますが、十二条の六の次にぜひ次のような一項を入れていただきたい、かように思います。「農林大臣は十二条の二及び三に規定された残留性農薬を使用した農産物の検査機関を充実し、当該農産物が出荷段階で許容量をこえないようにすること。」このように挿入いたしたいと要求するものであります。 これはどういうことかといいますと、先般岡山県でもドリン剤によりましてキュウリ等の出荷停止が起こりました。現在の検査機関ではわずかな人員でこれを取り扱っておりまして、なかなか常時検査ができない。しかも抜き取り検査等によってやっている、こういった意味からも検査機関の確立をはかるということは当然であると同時に、農産物の出荷段階で許容量をこえないようにすることが最も大事である。それは申すまでもなく国民の健康保持上からも第一に考えるべきであり、政府の責任でもある、かように考えるからでございます。この点について農林大臣の御見解を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 おっしゃることたいへんごもっともなことが多いと思いますが、ひとつ十分検討さしていただきます。
○瀬野委員 時間の制約もございますので、いろいろ四点について修正を申し上げましたが、十分検討するということでございますので、どうかひとつ政府当局におかれましても、ぜひこのように修正ができますように、早急なる検討をして、国民の健康保持と、また国民が安心して生活できますように、ひとつぜひお願いしたい。このほかにも数点あるのでありますが、この四点にしぼってぜひお願いをしたい、かように要求するものでございます。 さらに私はこの機会に若干の点をお尋ねをしておきたいと思います。 昭和四十六年度予算の要求中に、都道府県における残留農薬等に関する調査研究に必要な機器を設置し、農薬の安全使用をはかるための農薬分析機器設置事業費というのがありますが、昭和四十四年には五千九百六十六万円、昭和四十五年には七千七百五十五万七千円というものが計上されていたのでありますが、四十六年度はこれが計上されていないけれども、これについて御説明をいただきたい、こう思うのであります。これはすでに四十五年度までに都道府県に設置が済んだやにも聞き及んでおりますので、そういったことで、こういう予算を今回組んでいないのかとも私推定いたしますが、今後さらに農薬取締法によってこういったものを拡充強化し、あるいはまた今後の故障その他の経費も要るのではないかと思っておりますけれども、こういったことについてお伺いをしておきたいと思うのであります。
○中野政府委員 お話しのように四十四年と四十五年とで各県に分析機械を整備をいたしました。今後はそれによります使われ方、その他の推移を見まして、なお拡充を検討いたしたいと思います。
○瀬野委員 今後の推移を見て拡充していくということでございますので、一応了といたします。 次に同じく昭和四十六年度予算要求中、登録市販されている農薬を対象に、厚生省において定める残留許容量に対応して安全使用基準を設定することを目途に、農薬の使用法と残留との関係を究明するために必要な経費として、すなわち農薬残留の緊急対策に関する調査研究費が、この資料を見ますと四十四年度、六千二百四十五万七千円、四十五年度、六千百十一万円であったのが、昭和四十六年度には全然計上されていないのでありますが、これはいかなる理由によるのか。資料等のミスによるものか、この点お伺いをしたいのであります。
○中野政府委員 四十二年からことしまでは農林省のほうの農林水産技術会議のほうに試験研究の予算として計上しておったわけでございますが、今度の取締法の改正に伴いまして、これは行政ベースに移すべきだということで、農政局のほうから農薬残留対策調査事業費ということで約一億くらいを要求いたしております。これによりまして早急に使用農薬の主要農産物における残留量というものを緊急に調査をしたいと考えておりますので、御指摘のようにゼロにしたわけではございません。
○瀬野委員 そうなりますと、この農薬安全使用対策関係の予算の中でございますが、四十六年度予算要求の中で農薬残留対策調査事業費、これが二千八百九万五千円として農薬の残留調査を継続実施し、調査結果に基づく安全使用基準を策定し、安全使用対策を推進するに必要な経費、こういうふうになっております。そして二千八百九万五千円というのが組んであります。こういうものとの関連性はどういうことになりますか。
○中野政府委員 ただいま言われました二千八百万円は、農薬残留対策調査をやります、本省でやる分でございます。そのほかに農薬残留対策調査委託費ということで、二十県に委託をいたしまして調査をしたいと考えておるわけでございまして、合計いたしまして先ほど申し上げました一億近い約九千七百四十万円という予算要求をしておるわけでございます。
○瀬野委員 私がいただいた資料には、それが載っていないのですけれども、これはミスプリントというわけでしょうね。調査室の資料でございますけれども、これに計上されていないわけです。
○中野政府委員 私、調査室の資料をまだ拝見しておりませんので何とも言えませんが、私が申し上げたことが正確でございます。
○瀬野委員 それでは一応了解いたします。 次に、やはり四十六年度予算要求の中で害虫の総合的防除法に関する研究として新規事業に一億四千七十一万九千円が計上され、天敵利用、不妊化などを取り入れた総合的な防除法の確立を行なうことになっているが、具体的に検討されていることについてお伺いいたしたいのであります。
○川井説明員 技術会議におきましては、害虫の総合的防除、これは最近の非常に重要な問題でございまして、この研究につきましてはできるだけ大規模な予算を組みまして、国、県あるいは大学、民間という研究機関を総合いたしまして、この生態防除の技術開発を進めていきたいということで、現在考えております。なお一応四十年から天敵ウイルスの利用による害虫防除に関する研究というものを進めてまいりましたが、たとえば果樹のアカエグリバ、稲の二化メイ虫や松のマツカレハなど、いろいろ最近実用化の見通しがつきつつある問題につきましては、この天敵ウイルス利用の研究成果としてあがってきたわけでございます。なおこの研究面は現在のところ非常に深い研究領域を持っておりますので、できるだけ研究の規模を拡大いたしまして、総合防除法の確立を期したいということで、一応予定しておるわけでございます。内容といたしましては天敵のウイルスを利用していく場合あるいは天敵のこん虫を利用する場合、それから化学的に害虫を性的に誘引していく、いわゆる性誘引物質というようなもの、あるいは化学的にこん虫の雄を繁殖不能にしていく、そういう直接農作物に農薬をかけるということではなくて、間接的にコントロールしていく、そういうような新しい研究領域も含めまして、一応害虫の総合防除に関する研究というものを現在要求をしているような状況であります。
○瀬野委員 果樹害虫天敵利用促進費としても千二百七十五万四千円が計上されております。一応ただいまの説明で了といたしますが、今後生物農薬というものは大いに使うべきであり、無公害の農薬としてこれから大いに期待される、こういうようにいわれているものであります。そこで、いまも説明がございましたが、ウイルスなんかは突然変異によってはこれが逆に害になるという場合もございますし、最近武田薬品等で開発いたしておりますところのハチでありますが、これがある時期においては養蚕の蚕にこれがいろいろと刺さりまして被害を受けるというようなことで、天敵として大いに必要な面、またそういった害も受けてくるという面がございます。こういったことは今後大いに研究すべき問題であると思いますが、これについてはどのような御見解を持っておられますか。この機会にお伺いしておきます。
○川井説明員 生態的にいろいろ防除に使われる方法が開発されてくるわけでございますけれども、これはやはり使用方法が非常に生態的な使用方法ということでございますので、開発されたウイルスあるいはこん虫につきましても、どういうふうにそれを目的地域に使っていくかということについては十分慎重な検討を経た上で進めていくという考え方でございます。
○瀬野委員 天敵利用ということについては、先ほども申し上げましたように、ひとつ今後の無公害農薬としてぜひこれを推進していただくと同時に、また強力な研究対策等も考えて、農業者が安心して営めますように、ぜひこの機会に要望しておく次第でございます。 次に、大臣にちょっとお伺いいたしたいのでありますが、実は沖繩のことでございます。 先般大臣も沖繩に参られましたが、沖繩の主産物としてはサトウキビ、パインまたは畜産というものが三つの柱であります。全琉ほとんどサトウキビでおおい尽くされておりますが、私も本年二回ほど沖繩へ参りまして実情を調査してまいりましたけれども、あのサトウキビの若い新芽に虫がついているのをつまびらかに調査してまいりました。ほとんど全琉にわたって、和名で申しますとカンシャコバネナガカメムシという虫でありますが、地元ではガイダーとこういうふうに方言で言っております。このカンシャコバネナガカメムシ、これはアリの小さいみたいな虫でありますけれども、これがサトウキビの新芽につきまして、そして成長を阻止し、またサトウキビの汁を吸うために農家は大いなる被害を受けて生産が低下しているというゆゆしい問題でございます。DDTとかBHC、またドリン剤等いろいろ使っているけれども、すでに免疫となりまして薬効がない。至るところを見ましても、虫がついて、どこへ行ってもこれが一ぱい葉茎についております。これは今後たいへんな問題であります。復帰を前に、沖繩のあのきびしい農業の生産の過程におきましてぜひこれに対する対策を考えなければならぬと思っておりますので、この機会に大臣にぜひお伺いをしたいのでありますが、大臣も現地に行かれていろいろ見、あるいは調査をされてこられたかと思いますが、これに対する御見解を承っておきたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 お話しのように、沖繩農業では八一%近くが砂糖であります。先般私が参りましたときも、四十五年度に比べて四十六年度のほうがこういうことに対して、たとえば省力のための機械あるいはまた基盤整備等について農林省としても財政当局にかなり増額して予算を要求いたしておるような次第であるから、いままでのように四年も五年もほうっておかれるようなことをされたのでは、せっかく御援助申し上げても効力がありませんからして、いままでは基地経済のようなもので所得も別にあったかもしれませんが、これから復帰後どうなるか、そういうことについてわれわれは予断を許さないのでありますが、少なくとも農業としてりっぱにサトウキビが立ち行くようにしようではありませんか、そういうことを各地の方にお話をいたしまして、全くそのとおりだと共鳴をしておられました。農業団体の方々などことにそういうことについて自覚をされていらっしゃいました。ただいまのお話の害虫の報告をまだ聞いておりませんで、実はびっくりいたしました。これは沖繩にとりましても、ことにただいまのところ沖繩の砂糖の値段をきめる最中でありますので、われわれにとりましても大事なお話でございますので、緊急にひとつ調査をいたしまして、それにきく薬もちゃんとあるそうでありますから、連絡をいたしまして適切な措置を講じられるように緊急に手配をいたしたいと思います。
○瀬野委員 このカンシャコバネナガカメムシの問題については、大臣も現地へ行っていろいろお聞きになって、緊急に調査をして適切な処置をするということでございますが、ぜひ復帰を前に、この農薬取締法のこの時期において御答弁をいただいたわけですが、対策を練っていただきたいと思います。私向こうへ行きまして、ホルマリンにつけたものを見本にいただいてこっちへ持って帰りましたが、あとでこれを御参考までに見ていただきますように、よろしくお願いしたいと思うのです。これが全琉にはびこって沖繩の人たちのたいへんな問題になっておりまして、こうしたものに対する対策も今後いずれ復帰をしてくる沖繩の県民の皆さん方のために、農薬取締法がいよいよここに改正されようとしているときでございますが、ぜひひとつ対策を御検討いただきたい、かように思うわけであります。 次に、農林大臣及び厚生省当局にお尋ねしたいのでありますが、悪質メーカーの取り締まりについてでございます。農薬の流通面で、農薬製造業者は三百五十社あるように聞いておりますが、うち全国的に多品目を製造、販売している業者は、約四十社で、そのシェアが九〇%となっておると伺っております。最近悪質なメーカーがかなりありまして、これはきびしく取り締まってくれという声があるわけであります。もちろん良心的なメーカーもたくさんございまして、良心的なメーカーが困る、こう言っておるのであります。農薬ではあまりもうからないために、どうしても多量の製造をして売り込みをする、世間並みのことばで申しますと、がめつく申しますと、がめつく押し込み販売をする、こういったことがよく取りざたされております。この悪質メーカーの取り締まりにつきまして、表示違反、これは法第七条によりましてでありますが、また法十条の二の一項に(虚偽の宣伝等の禁止)ということがございます。こういったことに関係しまして販売禁止等の行政措置を行なえるようになっておりますが、この取り締まりの状況、また摘発の状況、そのおもな内容等をどのように掌握しておられるか、時間の関係もございますので簡単に御答弁をいただきたい、かように思います。
○中野政府委員 流通いたしております農薬につきまして、農薬検査所を中心にいたしまして抜き取り検査をやっております。年間千件くらいやっておりますが、いま御指摘のように最近、たとえば昨年は二件ほど具体的に摘発をいたしまして、その業者に対して農薬の回収を命じ、かつ一年間販売を禁止するという行政処分をやりましたものが二件ございます。
○瀬野委員 これは件数のわりに摘発が少ないのでありますけれども、これは十分この機会に取り締まっていただいて、良心的なメーカーのためにも、一般消費者のためにもぜひ指導監督をお願いしたい、かように思っております。 次に、これは厚生省関係にお尋ねすることになると思いますが、メーカーが農薬があまりもうけが少ないということから農家にどうしても押しつけをする、または予防的な農薬として売り込みをする。虫が発生してないのだけれども予防としてこれを出す。きのうも私の質問に対して農政局長から答弁がございましたが、八百六十六億に及ぶ農薬を使っておりますが、これは九百億、一千億と毎年だんだんふえていく傾向にございまして、世界でも第一位といわれるような多量の農薬を使っております。こういったことから見まして、ますます製造いたしました農薬を外国へ輸出をするということがさらに活発になってきておる段階でございます。先般もBHCをインドネシアに送ったところが、日本で使わないものをどうして送ったのだということでクレームがついてきたという問題がございまして、いろいろ批判も受けておりますが、こういった農薬の輸出という問題、こういったものについての対策、御見解を承っておきたいのであります。
○中野政府委員 インドネシアにBHCを輸出したという話でありますが、私まだそこまで承知しておりません。ただ、現行の取締法によりますと、輸出については取り締まりの規定が適用になっておりません。しかしながら、それぞれの国でそれぞれの取締法がございますので、原則的には輸出業者は向こうの取り締まり規則に違反するようなものは出せないはずでございます。それによってやられているはずでございます。なお、これは若干つけ足しでございますが、日本の取締法がどうなっているかということは東南アジアをはじめ非常に関心を持っておるわけでございまして、その辺は十分今後ともメーカーのほうに注意をしなければならぬと思っております。
○瀬野委員 その点よく特にお願いいたしておきます。 次に、あと三点簡単にお尋ねをして終わりたいと思います。 大臣に、私の質問の持ち時間がわずかでございますので、食品衛生調査会の残留農薬部会があることはきのうもだいぶ論議したところでありますが、この委員に農業団体の代表をぜひ参加させてくれということが強くいわれているわけでございます。これに対しては大臣はどのようにお考えでございましょうか。ぜひ農業団体の代表を一名か二名ぐらい入れてもらいたい、かように思っておるわけですけれども、ひとつ、こまかい点は除きますけれども御見解を承りたいのであります。
○倉石国務大臣 厚生省の所管に属しますのでよく相談をいたしたいと思います。
○瀬野委員 厚生省、来ていますか。
○小島説明員 食品衛生調査会は食品にかかる重要な事項につきまして厚生大臣の諮問に応ずる機関でございまして、五十二名の委員が任命されております。その中にいろいろな部会を設けておりますが、残留農薬につきましては残留農薬部会というものを設けております。この食品衛生調査会の任務は非常に技術的な判断を下していただくために技術的な専門家をお願いしておるわけでございまして、この残留農薬部会の中に農薬関係の方といたしましては農林省の農政局長、農業技術研究所の所長それから農薬工業会の技術懇談会からの代表という三名の方をお願いしてございまして、いずれも農林関係の技術、学識というものを審議の過程で反映させていただいておるわけでございます。お話の向きの農業団体というようなお話がありましたが、私どもといたしましては農林省関係の方三名の御意見によりまして農林省サイドのいろいろな農薬の有効性その他についての御意見というものは反映されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○瀬野委員 いま答弁ございましたが、時間がございませんし、農林大臣も厚生省とよく相談したいという御答弁でございましたので、ぜひひとつ御検討いただいてよろしくお願いしたいと思います。 最後に一点だけお伺いしまして質問を終わることにいたします。 昨日私質問いたしたところでありますけれども、農林大臣はちょうどおいででございませんでしたが、農薬の量がますますふえてまいりまして、病害虫が薬に強くなってまいります。農薬はますますその量をふやさないと、今度はきき目がなくなってくる。そしてより強力な農薬が必要とされる段階になってまいります。これは釈迦に説法で皆さんよく御存じのとおりでありますが、時間の関係で取りまとめていろいろ申し上げますが、反面、病害虫の天敵を殺すことにもなっておりまして、今後開発される天適の問題ともいろいろ関連が出てまいります。そればかりか自然の環境をこわすといっても過言ではございません。最近は水田にわらなどをやりましても、わらなどの有機物が分解しなくなって、農家はわらを焼いているというようなことがあちこちで聞かれてまいったわけであります。いわば土地の生命を殺している、こういったこともいわれるわけでありまして、このままではならないと思うのです。取締法で規制されることもさることながら、日本の将来についても根本的に考えねばならない。よく最近では米などの無農薬栽培というものがいわれてくるわけですが、これらについて大臣の御見解さらに今後の農薬の開発のしかたにも問題がございます。今回の農薬取締法の一部を改正する法律案は、いろいろ規制しても、その思想的背景というものが問題になってくるわけでありまして、この農薬というのは殺虫、殺菌、除草剤というふうにありますが、自然を征服しようとする考えから出てきておるわけです。何でも殺す、こういう字がついております。よって無害とはいえないわけです。既存の農薬は、私に言わせればみな失格である、こういうように言いたいのであります。欧米でも、農薬は自然を征服しようとする考えから出ている、このようによくいわれているところであります。こういった意味で、自然界に存在するメカニズムをうまく取り入れていくということを大いに研究する段階ではないか、こういうように思うわけでございますが、これらについて最後に農林大臣から今後の対策についての御見解を、この農薬取締法の一部改正を機にぜひ国民の前に明らかにしていただきたい、かように思うわけであります。
○倉石国務大臣 たいへん大事なお話であったと思います。先年、アメリカ大統領のケネディが、レーチェル・カーソンという女の海洋生物学者の「沈黙の春」という本を読んでがく然としたということをわれわれも聞いておるわけでありますが、私どもも実際いなかに生まれまして、子供のころから今日までの経過を顧みますと、まことに感慨無量なものがたくさんございます。このたび農薬取締法の改正等に政府が踏み切ってまいりましたのも、ただいま御指摘のようなことに基礎があるわけでありまして、私ども科学的にはしろうとでございますが、日本人全体の英知をしぼって、自然が破壊されることをどのようにして防ぐかということに力を入れてまいらなければならぬと思いますし、政府もそういう方向で今回公害対策本部などを設けた次第でありまして、これで決して十分ではございません。これからがわれわれのほんとうの努力が必要な時期に入ってきておるのではないか、このように存じておりますので、ただいまのようなお話を十分体してひとつ進めてまいりたいと思っております。
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
○草野委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時五十分休憩 ————◇————— 午後二時八分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き、質疑を続行いたします。津川武一君。
○津川委員 日本共産党を代表して、農薬取締法一部改正案について質問します。 農薬の公害で実際に被害を受けるのは農民と消費者が一番であり、その農薬をつくった企業にはあまり責任を問うていないのがいままでの取締法であったし、今回の改正でも企業の責任はあまり問題にされていません。そればかりでなく、問題になった農薬の扱いによっては被害者である農民が懲役に付せられます。一、二の例をあげてみます。ついこの間福島県で生産したキュウリが関西に出荷され、エンドリンが含まれているというので返品され、生産者は泣きましたが、メーカーには何らの被害もありませんでした。この農民はことしはその塩素剤農薬を使用しなかったのですが、昨年使用したのが土壌の中に残っていたのです。これもことし西日本の牛乳にBHCが検出され、BHCの使用はとめられましたが、流通に回ったBHCはいまだ七千五百トンという大量が回収されずに残っております。ここで問題なのはこの公害の一番の源、一番の加害者であるメーカーには何らの規制が行なわれていないこと、損害を受けた農民は何らの補償、補てんもされていないこと、使用禁止をしてもその回収が行なわれていなかったことです。今回の改正案でもこの三つの問題は解決されそうもありません。 そこで質問です。 一つは、農薬の製造について何らの規制もしていないことです。第二条では農薬について登録の制度を設け、販売と使用は規制するといっておりますが、製造には及んでいない。登録が取り消された場合も製造は自由です。メーカーはつくり続け、外国に輸出することもできます。共産党は公害をその発生源において押えることを眼目としていますが、発生源である製造を規制すべきでありませんか。農林大臣の答弁をいただきます。
○中野政府委員 現行の農薬取締法におきましても、農薬というものは農林大臣の登録を受けなければ販売してはならないということになっております。したがいまして、販売ができないものを製造するはずがございませんので、法律の制度といたしましてはこういうふうに規定しておるわけでございます。当然業者のほうといたしましては登録が取り消されたりあるいは登録が却下されたものは製造するはずはないわけでございます。いま輸出の問題にお触れになりましたが、この問題につきましては、おっしゃいますように農薬取締法は国内の農薬の取り締まり規定でございまして、輸出についてはこの法律を適用しておりませんが、これは諸外国はおのおのやはり農薬取り締まり関係の法規がありまして、それに合わないものは向こうで輸入させてくれないということになっておるのがたてまえでございます。そういうようなわけでございますので、輸出についてはここでは規定はございませんけれども、これは午前中のどなたかのお話でございましたように、われわれといたしましても国内でこういう規制をしておるものを、国内で禁止されたものをどんどん出すということについてはやはり相手方の国も問題があろうと思いますので、その辺は十分業界とも話し合いをしまして指導をいたしたいと思っております。
○津川委員 輸出のことではあとでもう一度質問するとして質問を前進させます。 二つには、農民の受けた被害は補償すべきと用います。共産党は公害の被害者は補償されることをたてまえとしていますが、大臣も農政局長も昨日来法のたてまえ上政府としては責任ないと農民に背中を向ける答弁をしています。大臣の答弁に農民はおこっております。そこで法制局と農林大臣に尋ねます。メーカーが薬害、毒性及び残留性についての試験成績を添付して登録を申請したときどのように慢性毒性と残留性を確かめるかです。政府のこれからの計画でも三カ月間マウスとラッチについての試験成績をやるといっていますが、これでは後日必ず問題が起きてくるとも言い切れるのであります。起きてきても何のふしぎもございません。大きい動物でその種類も四種類、五種類にし、二カ年以上もやらなければならないと思います。農薬によってはラッテとマウスに別々な反応をするし、大きな動物にはまた別な反応をしております。もっともっと正確に毒性や残留性をつかむことがやる気になればできるのでありますし、そのほうが望ましいということ。文書の指摘はやめますが、政府の文書にも書いてあります。そのようなテストをしないで登録を受けるのです。こうした登録制度の被害で農民は泣くのです。 もう一つの問題は殺虫剤などの農薬ですが、神経の毒でございます。虫の神経を殺すので殺虫剤なのですが、人体の神経はラッチやマウスの神経とは比較にもならないほど発達もし、鋭敏でもあり、かてて加えて神経は一度やられるとなおることのできない再生不能なのであります。そうした農民と人体の神経関係について、この十一月の二十二日から四日までの三日間学術会議の一つのブランチである新日本医師協会で百人近い神経学者が集まってディスカッションしたのですが、農薬による人体の神経障害についての研究はほとんどやられていない。したがってこれからの研究にまつことが多い、研究ができれば防ぐことができるということが明らかになったのであります。こうした学問、試験研究体制が不備の中で登録がパスするので、後々いろいろの障害が出てくることはこれまた当然であります。そうした不備でできたその被害を農民が黙って甘受しなければならないのがこの改正案であります。 そこで法制局に伺いますが、これでも農民の被害に対して国もメーカーも責任はないというのでございましょうか、法制局にお願いします。
○林政府委員 お答えいたします。 およそ人の生命なりあるいは健康に害があるというようなものにつきましては、その製造、販売、場合によっては所持等を法律で禁止することはよくあることでございます。こういう場合に補償がいくかどうかという問題でございますが、立法例に幾つかございますけれども、私どもの考えといたしましては、かような危険なものにつきましては法律が直接所持禁止あるいは製造、販売その他いろいろございますが、禁止いたしましても、その禁止によって受けます経済的な損失、これを受忍いたしますことは、その危険なものを製造、販売、所持しておる者の何といいますか、社会的責務、受忍すべき限度の中のものであるというふうに考えております。 農薬の場合におきましても実はそういう点もいろいろ考えまして、第六条の三には特にやむを得ない必要があるときに限って取り消し処分ができるというように書いてあります。段階的には、取り消しの前にまず使用方法を変えるとかいろいろ考慮すべき点があると思います。そういった手を尽くしまして、なおかつやむを得ないというほんとうに危険なものという場合に、やむを得ず取り消すというような形にしてあるわけであります。
○津川委員 法制局にもう一度尋ねますが、農林省農政局植物防疫課長、医学博士福田秀夫、この人はラッチとマウスだけでは三カ月では足りない、もっと大きな動物で二年やることが望ましい、こう政府自身が言っておるわけであります。こういう状態で被害を受けたときに、国に責任はありませんか。
○林政府委員 法律論といたしましては、お答えはいまと同じだと思います。事実の問題でございますから、別途の政策の問題であろうというふうに存じます。
○津川委員 法制局では、農林省自身が言っておるので、今度の問題に不備はない、こう言い切れるのでございますか。
○林政府委員 法律上の問題といたしましてはたびたび申し上げたとおりでございます。
○津川委員 押し問答してもいけませんから進めます。 そこで倉石農林大臣にお伺いします。こういう状態で登録を受けることで、慢性の中毒、残留性についてもっと厳格に徹底的に、三カ月マウス、ラッチだけでなくて、犬だとかもっと大きな動物で二年以上実験の結果で登録させることを、登録を受けるときの一つの要件にしてみませんか。そういう政令をつくってみませんか。これは大臣に答えていただきます。
○中野政府委員 御指摘の点でございますが、現在は三カ月の亜急性試験をやっております。ただそういうラッチ、マウス等でやっておりますので、われわれとしましては人間への感染といいますか、そういうもののために千倍という安全率を見込んでおります。国際的にもこれでよかろうということになっておるわけでございますが、ただ、いまの御指摘のように、二年やる、この場合には安全率は大体百倍ということに国際的にもなっておるようでございますが、われわれとしましても、そういう準備を順次整えまして望ましい方向に持っていきたいという気持ちは、もちろん持っておるわけでございまして、あすからすぐこれに全部切りかえるというのはなかなか困難でございますけれども、将来そちらのほうに持っていきたいというふうに思っております。
○津川委員 将来は、ラッチやマウスだけでなく、もっと大きな動物に対して二年なり三年なり必要なことをやる、こういう意味でございますか。
○中野政府委員 試験のやり方としまして、いまの亜急性三カ月を二年にしたい。それから動物につきましては、これはそういう動物がどの程度得られるかどうかという問題もありましょうし、今後の研究課題にさせていただきたいと思っております。
○津川委員 それでは厚生省にお尋ねいたします。農薬のかなりのものが神経毒であるし、人間の神経はラッチやマウスと比較にならないほど発達しているので、農薬と神経毒の関係をひとつ本気になって研究してみる研究体制、研究機関、研究人員、予算、こういうものをつくってみる意図がありますかどうか答えていただきます。
○小島説明員 現在厚生省では国立衛生試験所におきまして、農薬の毒性研究を行なっているわけでございまして、当然先生のおっしゃられましたような神経毒というような問題もこちらで取り組むという体制になっておるわけでございます。しかしながら、御存じのように、国立研究機関の施設の充実あるいは人間の拡充ということもなかなか思うにまかせない実情でございますが、われわれとしては、さらにこれを充実して、新しい学問の立場から常に農薬の危険性というものを追及いたしまして、そして危険なものは排除していくという体制をとりたいというふうに考えておる次第でございます。 それから、先ほど先生からお話のございました三カ月では不十分ではないかという問題につきましては、実は私どもも全く先生のお話のように感じておる次第でございます。ただ、この経過を申し上げますと、実は以前は新農薬の登録にあたりましては、三カ月のデータも必要なかったというような状況であったわけでございますが、私ども農林省と相談をいたしまして、それではいけないのじゃないかということで、昭和四十三年から亜急性の毒性データの提出を義務づけるようになったわけでございます。しかしながら、先生御存じのように、日本国内におきます毒性試験の機関というものは、はなはだ不十分でございまして、いきなり二年間の毒性資料データの提出を義務づけますと、日本における農薬の開発というものが全くとんざしてしまうのではないかというような状況もございまして、とりあえずは三カ月の亜急性資料を提出させて、そして厚生省の委員会にかけまして、その意見をもとにして許可していただく。しかし、そのときには、安全率を、普通二年の慢性毒性に使う安全率よりもずっと高い安全率を使ってとりあえずの許可をして、そしてその許可したものにつきましては、厚生省が国立衛生試験所で二年以上の試験をするということで現存やっておるわけでございますが、先生のおっしゃられるように、最初から二年以上のデータを提出させるということにするのが理想的でございまして、実は今回の農薬取締法の改正が成立いたしました暁には、私どもとしては、農林省とお打ち合わせをいたしまして、そして新農薬の登録にあたりましては少なくとも二カ所以上の公立機関においてそれぞれ二種類以上の動物についての慢性毒性試験を二年以上にわたって行なっていただく。あるいはまた大きな動物を使いました代謝試験とかあるいは催奇形性試験とか、そういったものについても十分に行ないまして、また先生のおっしゃられましたような神経毒というような問題についても十分に追及した上で、安全な範囲で許可をするというような形にしてまいりたいということで、農林省のほうともよりよりお話ししているような状況で、今後とも農林省と協力いたしまして国民の健康の保全に尽くしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○津川委員 そこで、大蔵省が来ていたら答弁していただきたいのですが、そういう試験研究の技術者に聞いてみますと、どうも大蔵省が予算を出さない、人員もふやさない、こういうことが一様な悩みなのですが、いま言ったみたいなことの万全を期するために大蔵省は予算を惜しまないで出すつもりがあるかどうか。大蔵省、来ていたら答えていただきます。
○草野委員長 大蔵省は来ていません。
○津川委員 ではいいです。 次に、登録のとき、せっかく見本を提出させるのだから、この見本の検査について全部徹底的にやってみる必要があると思うのですが、この間検査所に行って聞いてみましたら、これは、ある程度まで、つけてきたものを、問題がなければパスさせるというふうに言っていますが、せっかくもらった見本だから徹底的に検査してみるつもりはありませんか。これは農政局長。
○中野政府委員 年間千件ほど登録申請がございます。このうちで新しいものはまず二十件ぐらい、あとは大体過去のものの更新でございます。これについては全部徹底的にということになりますと、かなり人員、予算その他の関係がございますけれども、できるだけ綿密に見るようにいたしたいと思います。
○津川委員 登録を取り消された農薬についてですが、これは何をおいても製造を禁止しなければならないと私は思うのです。登録が取り消されたのだから販売できない、だから差しつかえないというのでしょうが、そうはなりません。昨年一年でも、東南アジア、韓国、インドネシア、タイ、台湾にだけでも、MAP、IBP、PPA・BHC、DDT、DDVH、ダイアジン、NNFA乳剤その他マンネブなど、あわせて二十五億円近いものが輸出されております。外国への輸出全体では八十億円にもなっています。 さらに、これらの東南アジアの地域の中で、たとえばインドネシアですが、三井物産の手で一万二千ヘクタールのトウモロコシ、東芝、石川島播磨重工業、間組などの十社で四十三万ヘクタールの米百万トン、トウモロコシ三百万トン、住友商事による十万ヘクタールの水田開発などが計画され、一部実施されていますが、登録取り消しを受けた農薬が、これらの地域にそのまま、登録取り消しのまま持ち込まれることはありませんか。このことを農林大臣と通産省にお尋ねいたします。
○中野政府委員 相手国におきまして、たとえばいまお話しのBHCを国内で禁止しておりますれば、これは輸出が当然向こうでとめられるわけでございます。ただ、BHCは、御承知のように牛乳を通じて人体に影響があるのではないかということで、国内におきましては、去年の末、製造を中止させたわけでございますが、相手国のBHCの使い方によりましては、そういうことがない場合もございますので、なおその辺は十分調査をしまして、そしてその辺の指導を十分やらなければならないとは思いますけれども、いまお話しのように全部とめていいのかどうかということは、相手国での使われ方というものとの関連を調べてみる必要があるというふうに思います。
○草野委員長 津川君、大体時間ですが……。
○津川委員 もう少しで終わります。 この点で、ぜひ倉石農林大臣から、開発のときに日本の、この登録取り消しされたものが持ち込まれる心配がないか、答えていただきます。
○倉石国務大臣 もう一ぺんおっしゃってください。
○津川委員 登録を取り消された農薬が、製造禁止されないので、今度の適用除外によって輸出する農薬には適用されていませんから、東南アジアに、日本の人たちが農業開発のとき、持ち込む心配はないかということです。
○倉石国務大臣 その点は、先ほど農政局長がお答えいたしたとおりだと思います。
○津川委員 通産省からこの点答えていただきます。
○豊田説明員 農薬の輸出につきましては、現在何らの制限を加えているわけではございませんので、私どものほうでは、登録を取り消した、どういう日本の農薬がどこの国へどのくらい出ているかということをつまびらかにいたしているわけではございませんが、先ほど農政局長からの御答弁のように、相手国の立場、相手国の意向というものがございますので、その意向を尊重しまして、今後における農薬の輸出問題に対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○津川委員 通産省、その点を調べて、津川委員なり、この委員会に出していただきたいと思います。よろしいですか。
○豊田説明員 その前に、通産省側の立場を御説明いたしますと、農薬は、その品目によりましては、農薬以外の用途に使かれるというケースもございますので、私どものほうで、農薬のみを取り出して、どのくらいの輸出量があるかということをとることは不可能でございまして、やはり製薬会社なり何なりに、この物品は農薬であるかどうかということを聞かなければ統計がとれないというかっこうでございますので、この点御了承いただきたいと思います。
○津川委員 それでは質問を進めます。 登録を取り消された農薬は回収する必要があります。回収しなければ、今回のBHCみたいに後々まで残って使用されます。この回収についても気になることがあるのです。それは、農協中央会が陳情してきたところによりますと、取り消された農薬からは許容基準の規格をはずしてくれというのです。登録を取り消された、したがって販売も使用もできなくなった農薬から許容基準をはずさせて何しようとするのでしょう。ここにも私は、他に転用されたり輸出されることが考えられると思うのであります。改正案では、この回収について規定がないのです。ぜひ回収しなければならないし、その回収は政府の責任で、しかも政府が立ち会うとか確認する形で講じなければならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
○中野政府委員 昨日来その問題について御答弁申し上げているわけでございますが、取り消されました農薬について必要なものにつきましては回収の要があるものがあります。それからまた、その場で廃棄してしまったほうがいいようなものもございます。いろいろございますけれども、具体的にそういう農薬が出てまいりました場合には、これは全国的にまだかなりの在庫がありまして、手元にあるといった場合には、農林省が、行政責任といいましょうか、具体的な措置を指導する。それから一県単位のような問題になりますと、県知事にお願いして、それぞれ最も適当な方法での回収措置について指導するということで対処しかい、そういうふうに考えております。
○津川委員 次は、昨日来問題になっている残留農薬研究所です。資金のことは繰り返して言いませんが、これを運営するのが、農薬製造関係の人が理事長、販売に携わる人が常務理事、こういう形であります。したがって、これは、そういう販売を製薬の人に厚生省と農林省のえらい学者が入っていきます。これは、私は、初めから妥協でちゃんぽんだと思います。ここで残留農薬をきめたものを農薬研究所でやろうと思っても、これはだめです。したがって農薬の開発の研究は、農薬会社の私立のものでやって、検定は国立でやるべきだと思うのであります。七億五千万円の中で五億円を寄付に仰がないで、これはやはり国立にして、そういう形にして運営しなければ、私は、禍恨を将来に残すと思うのであります。農林大臣の意見と、これに対する財政当局の考えを聞きます。
○倉石国務大臣 先ほど来しばしばお答えいたしておるとおりであります。
○草野委員長 もう時間ですから……。
○津川委員 もうじき終わります。質問を急ぎますが、農薬の残留許可でございますが、米について基準をつくったのはよかったと思いますが、私たちが一番食べる米は、これはぜひ……。その次にからだに濃縮されてくるのが動物の肉、牛乳、魚であります。これに対して許容基準量をきめる必要があると思うのですが、今度厚生省が四十八種目の食品に二十八種類の農薬をやるというのですが、牛乳、肉、魚が入っていないのはなぜですか。これは入れる必要があると思うのですが、答弁していただきます。
○神林説明員 お答え申し上げます。 牛乳中の残留農薬に関しまして、その許容基準は、一応本年度内に作成する予定になっております。目下動物実験を続行中でございまして、検討してまいっております。そのほかのものにつきましても順次つくってまいります。肉は、まだ実態調査が十分終わっておりませんから、実態調査が終わってからなおつくってまいりたいと思います。魚も同じくです。少し時間がかかると思いますけれども、一応実態調査を、特に牛乳を本年度は中心にしてやっております。
○津川委員 最後に、農薬使用者が罰せられる心配があるということです。十三条一項の規定に反した場合は六カ月以下の懲役または三万円以下の罰金に処すとあります。農薬公害の被害者である農民を懲役にするというのは、私はちょっと問題があると思うのです。使用禁止された農薬が農民の手に残っているのを、補償して、有償で回収してくれれば農民は情報の提供や検査に応ずるでしょうが、農民に犠牲ばかりしいておって、その残留の報告を求めたり、立ち入りを求めたりしても応ぜられない場合が出てくると思うのですが、もし農民を罰するとしたならば、補償の体制をつくるべきだし、補償の体制がなかったならばこれの罰則ははずしてしかるべきと思うのですが、どうでございますか。
○中野政府委員 これは十三条にございますように、農薬の品質の保全という立場から農林大臣が、製造業者、輸入業者、販売業者あるいは防除業者その他農薬の使用者ということで、農家だけを罰するというふうになっておりません。やはりその農薬を使う場合に立ち入り検査等をやります場合には、これを拒んだ場合にはこれはそういう制度を担保するために罰則をかけるというのがいろいろな法令でのたてまえでございます。われわれといたしまして、農家に罰則をかけて、こういうことまで強制しようというつもりではありません。むしろ最後の担保ということでこういうことになっておるというふうに御了解願いたいと思います。
○津川委員 これで終わります。 そうすると、農家に犠牲だけはしいて、罰則、懲役にするというわけですか。これはひどいじゃありませんか。懲役にするのだったら農家に犠牲をなくして補償制度をつくるべきだ。その上でなら私も納得しますが、犠牲だけしいて、おまけに懲役というのは、これは何でございますか。
○中野政府委員 先ほどから申し上げておりますように、農家に犠牲をしいて罰則をかける、そういうたてまえで今回改正したのではございません。 ————◇—————
○草野委員長 農用地の土壌汚染防止等に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ツ林弥太郎君。
○三ツ林委員 ただいま提案になっております農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案につきまして、若干お尋ねいたしたいと存じます。 土壌汚染にかかわる公害問題は、古くは足尾、別子の鉱毒事件をはじめといたしまして大きな社会問題となってきたことは御承知のとおりでありますが、近年では、また土壌中に蓄積した重金属類の一種であるカドミウムが農作物を介して人の健康をそこなうおそれのあることが明らかになり、国民の健康の保護という見地からも重金属類による土壌の汚染があらためて大きな問題となってきたところであります。 今回、政府は、公害対策基本法を改正し、典型公害の一つとして、新たに土壌の汚染を追加するとともに、特定有害物質による土壌の汚染に対処するため、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案が提案されたわけでありますが、第一にお伺いいたしたいことは、農林大臣として、典型公害の一つとされる土壌の汚染にどのように対処されるおつもりであるか、大臣の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 御指摘のように、カドミウム、銅、亜鉛などの有害物質によります農用地の土壌の汚染の実情にかんがみまして、今回、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案を提案いたしておるわけでありますが、工場あるいは事業場からの排水それからばい煙につきまして、必要に応じて規制を強化するための措置を講ずるとともに、これとの関連のもとに汚染防止のためのかんがい排水事業や汚染された農用地の改良をはかるための客土等の事業を実施する等、必要な措置を講ずることによりまして、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、あるいは農産物等の生育が阻害されることを防止いたしまして、国民の健康の保護と生活環境の保全に資するというのが、この土壌汚染に対する私どもの考えでございます。
○三ツ林委員 次に、先日の提案理由の補足説明によりますと、土壌汚染の原因となる有害物質として、カドミウム、銅、亜鉛等の重金属類が考えられ、当面カドミウムを指定するとのことでありますが、カドミウム以外の有害物質につきましては、いつごろ指定することになるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。また、その指定の手続はどのように行なわれるのか、これもお伺いをいたしたいと思います。
○中野政府委員 ただいまお話がございましたように、当面緊急の問題として、われわれはまずカドミウムを指定いたしたいと考えておりますが、その次に問題になりますのは、農作物の生育障害上問題になっておる銅、亜鉛でございます。これを指定いたしたいと考えております。銅、亜鉛につきましては、至急調査を進めまして地域指定の基準等をきめた上で早期に、なるべく早く指定をしたいと考えております。 その次に、問題になりますのは鉛と砒素でございますが、これは人の健康に関連もございますので、食品規格との関連も予想されてまいりますので、それとの関連を考慮した上で指定いたすことといたしたいと考えております。 それから指定の手続でございますが、これは農林省のほうで至急調査をいたしております。その調査をいたしました上、土壌汚染対策審議会に意見を聞きました上で、具体的には指定をする考えでございます。
○三ツ林委員 次に、この法案では、土壌の汚染により人の健康をそこなうおそれがある農畜産物の生産を防止するほか、農作物の生育の阻害を防止することを目的として、必要な措置を講ずることとされておりますが、この法律で農作物の生育の阻害をも対象に加えた理由。またこの場合、豊作物の生育が阻害されるということはどの程度を考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 御存じのように、土壌の中に蓄積いたしております重金属類による農産物の生育阻害は、先ほどちょっとお話のありました足尾銅山や別子銅山などの鉱毒事件のように、古くから深刻な問題となっておるわけであります。そこで農業の生産環境を保全する上で見のがすことのできない重要な問題でございますので、今回農用地土壌汚染防止法案の提出にあたりましては、直接農畜産物等を通じて人の健康をそこなうおそれのありますカドミウム等の有害物質のほかに、農産物の生育を阻害するおそれのある銅、亜鉛等もその対象として取り上げる必要がある、こういうことで今回の措置を講じようとするわけであります。
○三ツ林委員 次に、法律案の第三条の規定によりますと、土壌の汚染が進んでおるところにつきましては、農用地土壌汚染対策地域として指定されることになっております。この場合、対策地域はどのような基準により指定されるのか、その考え方をお聞きをいたしたいと思います。
○中野政府委員 本来ならば、この法律が施行されました場合に、土壌の観点から基準をきめるべきだと思っておりますけれども、カドミウムにつきましては、まだその土壌と作物との関係というのが一義的に完全に解明されておるというところまで参っておりません。そこで当面は、カドミウムにつきましては、一PPM以上のカドミウムを含んでおります玄米が生産されると認められる地域と、それから近くもうそういう状態に達することが明らかな地域を対策地域として指定をしたい、こういう考え方でおるわけでございます。
○三ツ林委員 次に、法案の第五条の規定によりますと、対策地域に指定された地域につきましては、都道府県知事が農用地土壌汚染対策計画を定めることとなっておりますが、この対策計画に基づいて実施されることとなる土壌汚染の防止及び除去のための事業の経費については、土壌汚染の原因となった事業者、国、地方公共団体、農民との間ではどのような負担割合になるのか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 この土壌汚染をいたしました原因者があります場合には、事業費のうち、まず費用負担法によりましてその原因者の負担額を決定いたしまして、残額につきましては事業の特殊性にかんがみまして、農民にはできるだけ負担をかけないようにつとめてまいりたいと考えておりますが、事務当局から補足して御説明申し上げます。
○岩本政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、原因者がいる対策事業につきましては、まず費用負担法によって、原因度に応じて事業者の負担額を決定することとなります。その考え方は、事業費の総額に事業者の公害の寄与度と申しますか、原因度と申しますか、その公害の発生に寄与した度合いを勘案して、それをかけまして、その額から公害の原因となる物質が蓄積された期間などの事情を勘案しまして、妥当と認める額を差し引くことといたしております。原則として、原因者である企業が事業費の全額を負担するたてまえでございますけれども、長期にわたって有害物質が蓄積された場合には、その事情を勘案して、妥当な額を差し引くことといたしております。その方法によって算定することが困難な場合には、客土事業その他政令で定めます事業につきまして、公害の原因となる物質が長期間蓄積されております農用地関係のものに限りまして、事業費の総額に事業者の公害の寄与度を掛けまして、さらにその額に二分の一ないし四分の三を掛けるということにいたしております。すなわち、事業者の費用負担割合を事業費の四分の主ないし二分の一まで軽減できることにしておるわけでございます。したがいまして、その残額をどうするかという問題に相なるわけでございますが、こういう原因者がいる事業の特殊な性格、公害を与えたといったような性格にかんがみまして、できるだけ農民に負担をかけないという方向で、国と地方公共団体で負担をする方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
○三ツ林委員 次に、排水、排出規制の問題についてお尋ねいたします。 土壌の汚染源としては、水質の汚濁及び大気の汚染が大部分を占めているとのことでありますが、これら汚染源に対し、土壌汚染の防止の観点からの直接の規制は、水質汚濁防止法または大気汚染防止法等他の法律にゆだねるという本法律案の体系でありますので、土壌の汚染防止の目的が十分確保し得ると考えておりますかどうか、この際、関係法律の運用のしかたとあわせてそれらについて御説明をいただきたいと思います。
○中野政府委員 御指摘の問題は、今度の法律案の第七条にございますが、われわれといたしまして、都道府県知事が対策地域を指定しましたときは、対策地域の中の農用地の土壌の汚染の程度なり、それから、この法律にもございます対策事業の計画というようなものの内容を勘案いたしまして、一般的に大気汚染防止法なり水質汚濁防止法で排出基準をきめるわけでございます。普通はそれで足りるわけでございます。しかし、そういう特別な地域でございますので、一般的にきまりましたそういう排出基準では足りないといった場合には知事が必要な規制ができるという条文を置いておりますので、これによって十分だと思っております。 なお、そういうことを知事にやってもらうために、第十一条に、農林大臣が、必要なときは、関係行政機関の長にそこの基準を考え直してくれとか、あるいは地方公共団体の長に対しまして早くそういう措置を講じてもらいたいという要請もできるということを規定しておりますので、他の法律のそういう基準にゆだねましても、実質的には変わりはないというふうにわれわれは考えております。
○三ツ林委員 次に、土壌汚染の防止でありますが、土壌汚染という事実が発生してからではもはや手おくれでありますので、その進行中に問題をとらえ、あらかじめ適切な措置を講ずることが必要であろう、このように考えますが、この法律案にも規定されております調査測定に対する考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○中野政府委員 調査の問題につきましては、いまの御指摘のとおりでありまして、われわれといたしましても、来年度予算要求といたしまして、まず一般的な概況調査を、この際総点検という意味でやりたいと思っております。そういう中で、土壌汚染のおそれがあると思われるところにつきましては精密な調査をするということを考えております。その精密な調査をいたしました結果、対策地域の指定なり対策計画の樹立ということを次にやるわけでございます。そういうことをやりましても、土壌の汚染は蓄積が問題でございますから、排出規制がゼロにならない限り若干蓄積していきます。そこで、対策地域につきましては、動態的な調査もあわせてやりたい、そのあたりは、この法文にもございますように、対策計画の中で調査測定のこともあわせて計画として樹立するということにしております。
○三ツ林委員 最後に、実はこれは農林大臣にお願いしたいのですが、それは公害防止に対する農林省の姿勢ということでございます。今度の国会はいわゆる公害問題の国会で、関係法律案が十四件出て、政府の態度、姿勢が明らかにされまして、すでにもう連合審査で審査されて、本委員会でも二つの法律案をいま審議中でありますけれども、こういう法律案が出てまいりました。いずれにいたしましても、農林省としてこの公害防止に対しまする今後の考え方というか、決意といいすすか、そういうことを大臣にお伺いいたして質問を終わりたいと存じます。
○倉石国務大臣 先ほどもお答え申し上げたところでありますが、わが国のあらゆる方面で、経済の成長のために終戦以来日本人は一生懸命でやってまいりました。そのために、当然顧みるべきでありました自然的に出てまいります公害等について、やはり私どもは手抜かりであった、そういうことを全体としてみなどなたもお感じになってきておられることであろうと思います。 そこで、私どもは、この日本の経済的成長は慶賀すべきではありますけれども、それよりもっと優先して環境を保全し、そして農林関係で申せば、美しい緑を保護しながら、しかもなおかつ、われわれの大事な農業を維持拡大いたしてまいる、そういうことが必要ではないかということでございますので、当面、土壌の汚染防止等に関する法律案、こういうものは、いましばしば御論議のありましたように、カドミウム米その他人体に有害な重金属物質等による被害を除去することにまず力を入れなければならぬ。 もう一つは、農薬の使用法によりましては、これは意外な弊害を生じますので、こういうことについて、従来ありました法律を一部改正して、現代の情勢に合うようにこれを手直しして持ってまいりたい。しかし、われわれは、人間の知識というものの進歩は際限がないのでありますから、さらにこれからどのようなものが発明されてくるかもしれませんので、引き続いて抜かりなくそういうことに対処して私どもの農業の発展を一方においてははかり、安定的な農政を進めながら、一方においては公害の除去に絶え間なく力を注いでまいりたい、こういうことのために続けて努力をいたさなければならぬ、このように考えておるわけであります。
○三ツ林委員 ありがとうございました。
○草野委員長 長谷部七郎君。
○長谷部委員 ただいま議題になっております農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案に対しまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、本法案が決定されるまでには、各省間の調整あるいは特に財界等からの申し出があり、かなり紆余曲折を経た上で提案になっておるように見受けておるわけでありますが、事実、内容を拝見いたしますると、当初農林省の基本要綱案の中にありました無過失賠償責任の問題あるいは特別の排水基準、排出基準等の設定等の問題が姿を消しております。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 骨抜きになっておるということは否定できないだろうと思うのであります。まことに遺憾にたえない次第であります。 そこで、私は大臣に承りたいのは、この土壌汚染防止法案によりまして農産物の生産の基盤である農用地の土壌の汚染が防止され、正常な農作物を供給し、国民食生活の安定と農業経営の健全な発展を期することがはたしてできるかどうか。この点についてまず大臣の所見を承りたいと思うわけであります。
○倉石国務大臣 土壌汚染につきましては、私どもの立場は、どちらかというと被害者の立場に立つわけであります。一方今度は農業をやっていく方々が営農のためにお使いになる農薬がほかのものを害するということを考えてみると、加害者的立場に立つようであります。これは私どもの立場、つまり農業のほうはきわめてデリケートでありますが、私は先ほども三ツ林さんにもお答えいたしましたように、人間の知識には際限がないのであるから、この後どんなものが発明されてくるかわかりませんので、一般的な公害と称せられるものにつきましては注意おさおさ怠りなく、われわれが考えておりますような人体を害することのないように、しかも安定した営農が進められるようにするために努力を続けていかなければならぬ。したがって私どもは現在の提案いたしております法律だけが必ずしも完ぺきなものであるなどとは思っておりません。皆さん方の御協力を得て、国のためにだんだんよいものにしてまいらなければならないが、とりあえず問題になっておりますのは、農作物の中に含有いたしておるカドミウムの問題がきわめて大きくなっておりますので、そういうものをまず取り締まることを考えることが必要であると同時に、これは人体に直接加害をするものであります。さらにほかのもので、たとえば銅、亜鉛等で農作物の生産を阻害するようなもの、こういうものも逐次対処していかなければなるまい。その他亜鉛、砒素等も同様でありますので、さらにこういうものについて検討を続けながら、先ほど申しましたような目的を達成するように努力をしてまいりたい、こう思っているわけであります。
○長谷部委員 出された法案が必ずしも完ぺきなものではない、今後事態の進展に伴ってますます補強していかなければならないという立場をとろうとする考え方については一応了承いたしますが、私はこの法案を拝見をいたしまして、少なくともこの会期中に私のほうから修正もしくは補強の意見を出したいと思っているわけであります。そういう場合に、大臣は謙虚にこの法案の整備のために応ずる態度があるかどうか、この際承っておきたいと思う。
○倉石国務大臣 どういう修正案が出るのかわかりませんので、何ともいまお話しのしようもないのでありますが、どなたさまの意見でも謙虚に承るというのが民主主義の原則だと思っております。
○長谷部委員 次に承りたいことは、この法案の第二条にまいりますと、本法の適用の対象は農用地に限定をしておるわけであります。私は、農用地に限定をするということは少しく狭いのではないか、かように考えます。特に今日河川敷等におきましてもかなりの放牧採草地がございます。あるいは開畑等が行なわれておるわけであります。さらに、民有林あるいは国有林の中におきましても、いわゆる林地におきましても林牧混合方式という形でだいぶ畜産が取り入れられております。したがって私は林地その他の土壌全般にわたって本法の適用の対象にすべきではないか、かように考えるものでありますけれども、これに対する御見解を承りたいと思うわけであります。
○倉石国務大臣 農用地の土壌の汚染防止等に関するただいま御提案申し上げております法案は、現実に問題となっております土壌の汚染に基因する農畜産物の汚染、それから農産物の生育障害に対処することといたしておるのは先ほど私がお答え申し上げたとおりでありますが、お話のようにその他のものについて、たとえば宅地であるとか、公園であるとか、林野であるとかというふうなものについては、その汚染による被害の実情の有無等について今後とも十分調査をいたしましてそういうものに対処してまいりたいということを、先ほど申し上げましたりしてございます。
○長谷部委員 林野庁長官に承りたいと思いますが、林野庁の指導方針として、国有林内におきましても林牧混合方式による指導がだいぶ主張され、今日モデル的に実施を試みているところもあるわけであります。さらにその結果、われわれの地方におきましても民有林地内において林牧混合による畜産経営というものがかなり普及してきております。したがって私はぜひともこの際、林地もこの土壌汚染防止の対象に加えるべきではないか、かような見解を持つものでありますが、林野庁長官の見解をひとつ承りたい。
○松本政府委員 林地の場合は農地と違いまして、散布される薬剤が毎年連続的に投与されることはございません。何十年に一−三回の程度でございます。また牧場に近いところ、造林地内で実験的に牧場をやっておりますが、そういうところには散布をしない、使わないということでございます。またいままでの例から見まして林業において有害な林産物が生産されたこと、また生育が阻害をされた例もございません。今後もそういった使われ方の実態から見まして、おそらくそういう阻害は考えられないと思いますが、なお念のために今後とも十分に調査をして検討をしてまいりた い、このように存じます。
○長谷部委員 われわれの地方では現在森林組合等の経営によるところの育苗施設、苗圃、苗畑ですね、あるいは県営の苗畑あるいは営林署等における苗畑事業もかなり広範に行なわれているわけであります。こういったいわゆる林地におきましても、農薬その他重金属による汚染というものはあるわけであります。したがって私はそういう見地から申し上げても、この際林地を本法の対象地域に加えるべきではないかという考えを持つものでありますが、重ねてお尋ねをいたしたい、こう思うのです。
○中野政府委員 ただいま林地と申されましたのですが、林業の苗畑あるいは植木等、このごろツツジその他を育てまして公園に持っていくというようなものもございます。これは肥培管理をやっておりますので、この法律の適用上は農用地として扱いましてこの法律を適用いたしたいと考えております。
○長谷部委員 農用地の範囲の中に考えておる、こういうことであれば私は了解をいたします。 さらに一歩進めて、林牧混合によって造林地内においていわゆる牧草等をまいておるわけであります。したがって、そういうところはかなり薬剤を、あるいはそういう地区内においても重金属等による汚染がたとえば鉱山の周辺等においてはかなり見受けられるわけでありますが、そういう場合もこれは考える余地はございませんかどうか、この点承りたいと思います。
○中野政府委員 この法律にもございますように、農作物等の定義は「農作物及び農作物以外の飼料用植物」と書いてございます。そこで、肥培管理をいたしますような採草地その他につきましてはこれに含まれるというふうにお考えいただきたいと思います。
○長谷部委員 そうしますと、主たる地目が造林地であってその中に牧草をまいておるという地域についてもこれは考えるというぐあいに解釈してもよろしゅうございますか。
○中野政府委員 地目によって判断するのではなくて、やはり農用地として見られるものは、そしてそれが汚染されるということを防止する法律でございますので、その辺は実情に即して判断をすべきだと思います。
○長谷部委員 そういう経緯であればわかります。したがって次に進めさせていただきます。 今度の法律の第二条によりますと、いわゆる特定の有害物質について政令で定める、こういうことになっておるようであります。しかも、いま同僚議員の質問に対しまして、当面はカドミウム一PPM以上の地域を対象にする、おいおい銅、亜鉛、鉛、こういった有害物質につきましても指定をしていく、こういう見解が述べられたわけであります。その考え方については一応了解いたしまするけれども、私はやはりカドミウム以外の銅、亜鉛、鉛等につきましても早急に結論を出すべきではないか、かように考えるものでありますが、その方法、私はこの際特に時期的な見通しをひとつただしておきたい、こう思うわけであります。
○中野政府委員 カドミウムにつきましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、法律が通りまして実施する段階におきましてすみやかにやりたいと考えております。銅、鉛、亜鉛につきましては、農林省にも過去のいろいろな調査がございますが、それを整理し、なおかつ整備をいたしまして一、二年ぐらいかかるのではないかとわれわれ思っておりますが、なるべく早くやりたいということで取り進めたいと思っております。
○長谷部委員 私の出身地である秋田県は昔から鉱山地帯でございまして、今日六十三にのぼる休廃止鉱山がございます。しかもこれは鉱山保安法に照らすならば全く違反をしておりまして、ほとんどの企業がたれ流しの現状にあります。これは明治の初期から今日まで約百年近い間土壌の中に蓄積されてきておるわけであります。したがって、農作物の収量は普通田の約半分に近い。こういうことで家畜もいろいろ障害を起こしておる。川には魚介類が一匹もおらない、こういうきわめて大きな被害をもたらしておるわけであります。したがって、こういう銅、鉛、亜鉛等によって汚染されておる土壌というものは全国的にかなり多いのではないか、こういうぐあいに考えます。カドミウムについて今回地域指定をやる、こういうことは一歩前進とはいうものの、われわれから言わせるならば、この銅、鉛、亜鉛の汚染こそもっと広い地域の国民が一日も早く指定をするようにということで望んでおると思うのであります。ですから一、二年などといわずに、できるだけ早い機会にこの政令で指定をしていただくように、政府特に農林省の努力を要請をいたしたい、こう私は思うわけであります。 次にお尋ねをしたい点は、今度土壌汚染対策地域ということで指定をする。特に著しいものについては特別地域として指定をする、こういうことになっております。この特別地域の指定でございますが、この法案を見てみますと、第三条に「政令で定める要件に該当するものを農用地土壌汚染対策地域として指定することができる。」ここで私お尋ねしたい点は、「政令で定める要件」というものは、具体的に申し上げる場合どういう内容なのか、この際承っておきたいと思うわけであります。
○中野政府委員 先ほど三ツ林委員からの御質問にお答え申し上げたわけでございますが、当面カドミウムにつきましては土壌からだけではなかなか基準がきめかねるわけでございます。作物と土壌との関連についていませっかく調査研究を進めております。しかし本件は緊急を要しますので、当面はカドミウムを一PPM以上含む原米が生産されると認められる地域、それと近くそういうような状態に達することが明らかな地域というものをこの「政令で定める要件」といたしたいと考えております。
○長谷部委員 そうしますと、この「政令で定める要件」に該当するものということになりますと、現在要観察地域になっている安中市など七地域に限られる、こういうぐあいに解釈してよろしゅうございますか。
○中野政府委員 必ずしも七地域に限られるとは私たちも考えておりません。その後いろいろ調査の結果、また地域がふえるかもわかりません。いずれにしましても、いまおっしゃいました七地域は、それが全部指定になるかどうか、これからの調査にもよりますけれども、まずそれらの地域が対象になって、また似たようなところが出てくれば逐次指定をしていく、こうなると考えております。
○長谷部委員 そうしますと全国的にいまカドミウムによる汚染米の問題が続発をしておるわけでありますから、逐次地域は追加になっていく、こういうぐあいに見てよろしゅうございますか。——そこで私がなぜこういうことを聞くかというと、いま四十六年度の予算編成の最中なわけでございます。私は、この指定地域というものが、おそらく来年度、昭和四十六年度中に調査をして四十七年度から着工する、こういうことだと思うのです。私は、やはりなるべく地域を限定せずに、予算的な裏づけというものも当然あると思うのですが、あまり予算に拘束されないで、できるだけ多くの地域を対象地域とするように指定するように、ひとつ当局の御配慮を願いたいものだ、こう思うわけであります。その点いかがでしょう。
○中野政府委員 この法律を提出することを政府としてきめましたのに伴いまして、われわれ、大蔵省とただいま予算を来年どう持っていくかということを相談しておりますので、万全を期したいと思います。
○長谷部委員 それから、いま通産省ではいろいろな工場調査あるいは労働省でも有害物の工場調査などがいろいろ進められまして、今日も発表になっていますね。次から次へと、こういったものに対して本法はどういう取り扱いをしようとしておるのか。その関係をひとつこの際御教示いただきたい。と同時に、いま都市計画、新都市計画法に基づいて、市街化区域、市街化調整区域の線引きが進んでおります。加えて農業振興地域、こういうものが指定になっているわけであります。こういった市街化調整区域あるいは農業振興地域、こういうものとの関係などについても、この地域指定はどういう関係で調整をしていくのか。この際ひとつ見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
○中野政府委員 各省でおやりになります調査は、われわれのほうで指定いたします際に非常に参考になるというふうに思いますので、緊密な連絡をとりたいと思っておりますが、農林省といたしましても、すでに土壌調査は昭和三十四年以来十数年にわたりましてほとんどの農地についてはやっております。それをなお一斉点検をいたしました上で、先ほど三ツ林委員の御質問にお答えいたしましたとおり、精密な調査までやりたいということを考えておるわけでございます。それから二番目の御質問の市街化区域、調整区域との関連でございますが、この対策地域がどういうところに指定されるかまだわかりませんので、なかなかお答えしにくい問題でございますが、市街化区域につきましては都市計画法の趣旨からいたしまして、これは十年間の間には市街化をするというところでございますから、そこにとり得る対策といたしましては一時的なものであろう。恒久的な農地復旧ということはこれは無理ではないかというふうに考えております。それからまた、振興地域との関連でございますが、今度の指定地域が振興地域に入りますれば、その地域、地域の振興計画と密接に関連させながらこの対策計画は立てるべきだというふうに考えます。
○長谷部委員 それから、特別地域に指定を受けた場合は、いわゆる農産物の作付制限、作付転換といいますか、こういうものを知事が勧告をする。こういうことになっているわけであります。そこで私、疑問を持つわけでありますが、はたしてこの法に定められているような知事の勧告等で成果があがるものかどうか。この点非常に私疑問にたえません。なお、もし勧告に従った場合でも、これは明らかに現在の価格あるいは流通機構のもとでは稲作に比べてかなりの損失になるわけであります。そういった損失の補償等は一体どういうぐあいに考えておるものか。またもしこの勧告に従わない場合は一体どういう取り扱いをされるつもりなのか。ここいら辺が少しく疑問でございますので、ひとつ局長の見解を承りたいのです。
○中野政府委員 当面問題になっておりますカドミウムについて申し上げますと、すでに厚生省のほうでは、カドミウムが一PPM以上含んでおる玄米は、これは食品衛生法上人の健康をそこなうおそれがあるということで、すでに告示をしております。したがいまして、いまあげましたところをこえる地域は特別地区になるわけでございます。したがいまして、農家としてもそこへ植えましたものはこれは食糧庁のほうでも買わないということにいたしておりますので、まずそこへ米を植えることはないと思います。しかし、そういう事情を知らなかったりということがございますので、これは知事のほうでもしそういうようなことがあるような場合にはそこへ植えるなよという勧告をするわけでございますので、われわれとしましてはこれで十分だと思っております。ただその勧告を聞かずして出たらどうするか。これはやはり食糧庁のほうでは買い上げをしないということになっております。そこまで勧告をしたにもかかわらず植えたら、植えたほうの農家の責任じゃないかというふうに思うわけでございます。 それからもう一つの問題は、作付転換等をする場合等いろいろ損失補償関係の問題が出てくると思うのでございますが、これは原因者の明らかな場合は当然その原因者と農家との話し合いでの損害賠償の問題になるわけでございます。
○長谷部委員 もし従わない場合のこともお尋ねしたわけでありますが、これはどうですか。
○中野政府委員 ただいまお答えしたと思いますけれども、これは一PPM以上カドミウムが米に入っております場合には、これは人の健康をそこなうおそれがあるということで、食糧庁も買わないということになるわけでございますので、それは農家の責任になるということであります。
○長谷部委員 ただいまもお話があったわけでありますが、この損害補償の場合、この確認をしておきたいことは、いわゆる原因者が明確な場合はこれはいわゆる発生源の原因者が一〇〇%負担をする、こういうことが貫かれていくと私は思います。その点ひとつもう一回確認を得ておきたいと思います。
○中野政府委員 損害賠償の場合でありますと、これは原因者が明確な場合はその一〇〇%であるかどうかは、その辺は原因者と農家との話し合いの問題になるわけでございます。
○長谷部委員 次にお尋ねしておきたいことは、土壌汚染対策事業について承りたいと思います。 一つはこの事業を進めていく場合の事業主体は一体どこが当たるのか。もう一つは具体的な事業内容についてひとつこの際お示しをいただきたい。第三点は事業費負担区分でございますが、これは原因者が明らかな場合は十分の十原因者がその費用を負担することになるだろうと思うのでありますが、原因者が必ずしも明らかでない、こういうような場合は、今度国会に出ておりますあの費用負担区分、費用負担法、事業者負担法によるものを適用されることになるんじゃないか、こう思うわけでありますが、この際ひとつ農林省の見解を承っておきたいと思います。
○中野政府委員 この対策計画におきまして、いまいろいろな事業をやることになっておりますが、これはお手元に先般差し上げました参考資料の中におもな土壌汚染対策事業というのが書いてございます。それをごらんいただければおわかりいただけるかと思いますが、土壌汚染の防止といたしましたのは水源の転換、それから沈でん池の設置、汚染土壌の改善といたしましては土壌改良、それから土層の改良、それから排土、客土、それからなお地域によりましては地目の転換もやる必要がある地域もあるかと思っております。これらをやります事業主体は、農林省といたしましては都道府県を原則に考えております。 それから費用負担の区分問題につきましては、先ほど三ツ林委員の御質問に対しまして大臣から御答弁がありましたように、原因者が明確な場合はこれは費用負担法に基づきまして費用負担法の原則によって金額がきまってまいります。その場合の残額につきましては、国と都道府県とがどう持つか。これは今後財政当局をまじえての話し合いの問題でございますが、大臣が御答弁になりましたように、できるだけ農家の負担が軽くなるようにする、こういうことになるわけでございます。
○長谷部委員 費用負担の問題になりますが、原因者が明確な場合は問題ございませんけれども、必ずしもその責任が明瞭でないという場合は当然これは国、県の負担ということになっていくと思うわけであります。お尋ねをしたところによりますと、この事業の主体は都道府県営の事業である、こういうことになりますと、当然今日の土地改良事業もそのとおりでありますけれども、国の補助率それから県営事業の場合県の負担分、さらには農民の負担分、かように定められているわけであります。したがって、県営事業ということになると、当然これは今度県の負担、自治体の負担というものも伴ってくるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、こういう広大な汚染防止事業は、私は、原則として国の事業として行なうべき性格のものではなかろうか、かように考えますけれども、この辺の見解をひとつ承りたい。
○中野政府委員 非常に広い地域になりました場合に、技術的に見ても国がやったほうがいいという場合は国営でやる可能性はあるかと思いますけれども、ただいまわれわれの頭に浮かんでおりますような地域につきましては、これは先ほど事業種類も申し上げましたような事業でございますので、県で十分やれるというふうに考えております。この場合も、御承知のように、一般の土地改良事業は、県営事業でありましても、国が相当程度の補助をしておりますので、この事業につきすしても当然国の補助、それから県の負担、それから地元の負担ということになるわけでございます。原因者の明確なものは、先ほど申し上げましたように、その部分は原因者が持つ。原因者がわからない部分につきましては、これを国と県だけで全部やって、農家に一銭もかけない、これはなかなかむずかしいのではないか。その点をどの程度軽減できるかは、今後のその補助率、負担率のきめ方の問題になってくるわけでございます。
○長谷部委員 本事業を施行する場合に、きわめて大きな流域もあろうし、また小さな流域もあろうかと思うのです。したがって、一がいにこれは県営でやる、国営でやる、あるいは市町村営でやるというぐあいに線は引きがたいと思うわけでありますけれども、私は、少なくとも現行の土地改良法によるように、関係面積等によって一つの基準というものをつくるべきではなかろうか、こう思うわけであります。それと同時に、水源の転換あるいは水路のつけかえ、排水路のつけかえなどということになると、これは建設省、いわゆる河川管理者との関係も出てくるわけであります。ですから、こういう河川管理者との関係で、原因者がいわゆる農林省であれば、これは農林省の予算でやることになろうかと思いますけれども、そこいら辺の調整はできておるのかどうか、この際承っておきたいと思うわけであります。
○中野政府委員 具体的な地区をどこにするか、まだきめておりませんので、具体的な地区の調整ということになりますとまだ御答弁できないわけでございますが、一般的な土地改良事業といたしまして、水利権に関係がある場合は当然その事業主体が、国営であれば国が、県営であれば県が河川管理者としての水利権の許可をとるということにいたしておりますし、その辺は今回の防止対策事業といえども土地改良事業法によりましてやるのが原則でございますので、十分調整措置はとれるというふうに思っております。
○長谷部委員 先ほどの大臣の御答弁によりますると、農民の負担を極力軽減をする中で本事業を推進してまいりたい、こういう御趣旨の御発言があったようでありますが、特に普通の土地改良事業と違いまして、長年公害のために低い収量に泣かされてきた、経済的にも非常に圧迫を受けてきた、犠牲にされてきた、こういう方々が非常に多いだけに、私はこの際、農民の負担を極力じゃなくて全然ないような形で本事業を進めていただくように、特にこの際、大臣から御配慮を願いたい、こう思うわけでありますが、あらためて御見解を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、極力努力いたすつもりであります。
○長谷部委員 次にお尋ねいたしたい点は、この法律の第十一条にまいりますと、特に必要がある場合はその防止のための必要な措置をとるべきことを関係団体、関係機関の長に要請するものとする、こういう規定になっております。私はこの点についてひとつ承っておきたいと思いますのは、関係機関の長に必要な措置を要請する、必要な措置について具体的な例をひとつこの際御紹介をいただきたいと思うわけであります。
○中野政府委員 大気汚染防止法によりましても、水質汚濁の防止法によりましても、いずれもこれは一般基準は政令なりあるいは通産、厚生両省令で全国的な排出基準が今度きめられることになりました。それで足りない場合は知事が条例でそれよりきびしい基準を定めるということは、両方の法律できまっております。そういうことを今回この法律では第七条で、土壌のことを考えた上できびしい基準を定めるように、あるいは一ぺんきめました基準を変更するように、知事はそういう措置をとるものとするということが書いてございます。これで大体知事は当然やることになるわけでございますが、なお農林大臣といたしましては、そういうことを知事にやってもらいたいということを要請するわけでございますから、端的に申し上げますと、その土壌汚染防止のための対策地域についての排出基準を土壌の観点から見まして、もう少しきびしくしてほしいというような要請が中心になろうかと思います。
○長谷部委員 いま承ったところによりますと、必要な措置を要請するその内容は、特別の排出基準あるいは排水基準を設けてもらいたい、こういうことが中心だろうというお話でございますが、この際私は、いわゆる事業者に対して改善命令であるとか、あるいは操業の停止の問題であるとか、あるいは排出の施設をする場合の届け出許可制であるとか、あるいは変更命令であるとか、こういうところまで考えていくべきではないか、こう思うわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
○中野政府委員 私、先ほど排出基準を要請するのが中心と申し上げましたが、いま先生おっしゃいました、両方の法律に基づきます改善命令その他の措置を当然知事がとれるはずでございますけれども、なお農林大臣からもそういうことも当然要請できるわけでございます。
○長谷部委員 最後にもう一つ。第七条に関連いたしますけれども、伝えられるところによりますと、農林省の当初つくられた本法の基本要綱案には、いわゆる必要ある場合は、水質汚濁防止法であるとかあるいは大気汚染防止法による一般的な排出、排水基準では防止ができないというぐあいに都道府県知事が認めた場合は、特別の排出基準あるいは排水基準というものを定めることができる、こういうぐあいにうたわれておったようでございます。ところがそれが、先ほど申し上げましたように、農林大臣が関係機関の長に対して要請をする、実はこういうぐあいに弱められているわけであります。 それからいま一つ、当初の要綱案には、これは新聞等にも出ておりましたが、無過失賠償責任の条項につきましても明文化されておったように、私は新聞を拝見をしておるわけであります。 ところが、今回出てまいりましたものを見ますと、この二つとも姿を消しているわけであります。私はほんとうに、この法案が地方公共団体の長に対して大幅な権限をゆだねる、あるいは無過失賠償の関係につきましても期待しておったわけでございます。しかるにその二つがなくなってきておる。いろいろこの理由等を尋ねてみますと、これはいずれも、公害対策本部の、いわゆる総理府の調整事項として除かれた、こういうぐあいに話が流布されておるわけであります。いわゆる無過失賠償責任の問題と特別基準の設定については統一的に取り扱うということで取り除かれた、こういうぐあいにいわれておるわけであります。しかも、そういうことで取り除かれて、では、はたして統一法案の中に、公害対策基本法の中に出てきているかというとそうでもない。どうもこれらを考えますと、これは財界等から意見書、建議案というものも出ておるというように聞いております。そういうことで、いわれているように、いわゆる財界等の圧力に屈してこれを取り除いた、こういうぐあいにしか解釈できないわけであります。そしてこの法案が大幅に後退したものとなってしまったわけでありますが、この点について大臣の見解を承っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 公害に関する無過失賠償責任、これは、御存じのように、今度法律を十四も出しておるわけでありますので、それぞれの法律によってずいぶんいろいろな法律上の問題が生じてまいります。相手が事業の経営者であろうと農業者であろうと、あるいは職場の勤務員であろうと、民法上の無過失賠償の責任を負わせるというふうなことについては、基本的な権利の問題でありますので、何人も慎重にならざるを得ないのであります。したがって、公害の問題を考えましたときに、ばらばらな行政のないようにということをおもんばかりまして政府に公害対策本部ができたわけでありますので、こういう法律上の問題はもちろんのこと、技術上の問題も各省ばらばらにいろいろなことを言わずに、すべて対策本部に持ち寄って政府としての統一見解で進むべきである。したがって、公害に関して一つの省を設けろというお説も一部に出ておりましたが、ああいうお考えもやはりそういうところにあるのだろうと思うのでありますが、そういう立場で政府の中に公害対策本部をつくったのでありますから、そういう人の基本的な権利に関するような問題について、これはやはり政府として統一した見解をもって臨むべきである、こういうことで、一般論として、個々別々な法律にどういうふうにするか、あるいは一本の法律の中で書くかというようなことについて、なお十分検討をする必要がある、こういうことでございますので、いま何か財界からどうとかこうとかという、御発言は自由でありますけれども、私どもにとりましてはたいへん意外なことでありまして、私ども農林省はどこからもまだそういうことについてお話を受けたことはありません。ただわれわれを取り巻く技術者、経営者、農業団体等からそれぞれの立場でいろいろな御注意をいただいておることはたくさんありますけれども、圧力というふうなものはわれわれは受けたこともありませんし、何のことやら一向判断ができないわけであります。
○長谷部委員 いま大臣は総理大臣のようなことを御答弁しておられますが、当初この要綱がつくられた場合は、明らかにこの特別基準の設定の問題と無過失責任の条項が農林省の事務当局の案の中には明文化されておる。そしてその後に及んで財界のほうからこの農林省がつくった要綱案の基準の設定に対して、こういう意味の意見書がきておる。御紹介を申し上げますと、「カドミウム等の有害物質によって土壌が汚染される場合、場所によっては長期にわたり蓄積されているので、きびしい規制が実施されると、企業経営が不可能になる。従って、カドミウムなどの有害性や、人体、農作物などへの影響の科学的究明が不十分な現状では、予防的排出規制は時期尚早である。とりあえず汚染米地域の処理、改良などの立法措置を行なうだけが適当である。」こういう意味の意見書が農林省に出されておる、こういうぐあいに私ども承っておるわけであります。私はいま出てきた法案を拝見をいたしますと、まさにこの意見書の線に沿うた形で出ているのではないか、こういうぐあいに考えざるを得ないのであります。いかに財界の圧力がなかった、そんなことは知らぬ存ぜぬと抗弁しようとも、出てきた法案はこの線に沿うたものである、こういわざるを得ないのです。カドミウム一PPMの米ができた地域だけにいま限定をしておる、これもちゃんと書いてあります。科学的究明が不十分な鉛や亜鉛や銅等についてはいわゆる予防的排出規制は時期尚早である、こういうこともいわれているわけであります。私は、これでは国民の期待にこたえる真の土壌汚染防止法にはなり得ないのではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。大臣のところには直接行かなかったかもしれません。しかし、こういう申し入れが農林省に出されておるということだけは、この際はっきり言えるのではないか、こう思うのでありますが、この点ひとつあらためて大臣の見解を承っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 私のところへは毎日のように陳情書みたいなものはたくさんまいります。それを圧力だといえば圧力かもしれませんが、農業団体などはかなり来ます。それは圧力ではなくて希望、陳情書でしょう。そういうものは私まだ見ておりませんけれども、しかし私どもは、立法いたしまして、いまさっきお話のありました無過失賠償責任については、私どもが政府部内において主張いたしておりました、つまりばらばらにしてはだめだ、だから慎重に検討して、そういう人間の基本的人権に関するような問題は軽率に扱うべきではないし、それから品目によってもずいぶん無過失賠償責任を課せられるものとならないものとありましょう。そういうことは慎重にやるべきである。これは公害対策本部というものがせっかくあるんだから、そこでさらに法律的に検討して、別々の法律に採用する必要があればそれもよかろうし、一括してかぶせることがいい、そういうことが可能であるというならばそれもよかろう。対策本部で態度をきめるべきである。それからまた、いまとりあえずカドミウムをやりまして、あと銅、鉛等についてはその次までに検討して政令に入れるということは、しばしばここで事務当局もお答えいたしておるとおりでありまして、それ以外に何ら関係はないわけであります。既定の方針に従ってできるだけ完ぺきを期してまいりたい、こう思っておるわけであります。
○長谷部委員 以上で質問を終わります。
○三ツ林委員長代理 鶴岡洋君。
○鶴岡委員 私は、ただいま議題となっております農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案について若干の質問をいたします。 前に質問された委員と重複するところがあると思いますが、了承していただきたいと思います。 法律案の内容については、ただいま長谷部委員から話のあったように、最初出た原案要綱から非常に後退している。私もこの法律案を見て多々感じるところがあるわけです。法案の内容に従って順次質問をしてまいります。 まず最初に、先ほど出ましたが、第一条の「目的」の中に「農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずること」云々とあります。本法案が農用地の土壌と限定されているが、その根拠はどこにあるのか。群馬県の安中の工場周辺を見てもおわかりのとおり、林野や自然植物がその吐き出される煙の害を受け、もうまる坊主になっているというのが現状であります。土壌汚染の対象にこれら林地が入っていないが、これは当然入れるべきだ、このようにも私思うのですが、この点いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでありまして、これはとりあえずは、いまカドミウムの問題が緊急を要しますし、農用地の関係を処理しなければなりませんので農用地に限ったわけでありますが、さらにこれから継続して研究をいたしまして、先ほどお答えいたしましたように林地あるいは公園その他の地域にも、そういうふうにやる条件が整うということでありますならば、私どもはそういうものを続けて検討いたしてまいりたい、こう思っております。
○鶴岡委員 もう一つ、第一条の「目的」の中ですが、「農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずる」とありますが、この「農用地の利用の合理化を図るために必要な措置」の意味を教えていただきたいのです。
○中野政府委員 この計画を立てます地域によりまして、いろいろ地域の実情が違います。そこでただいままで、たとえば米ばかりつくっておるということになりましても、当面、計画の中にあります復旧工事ができません間は米がつくれません。その場合には非食物性の植物を植えるとかあるいは極端に汚染されている場合で、農用地として使うよりはむしろ他用途に転用したほうがいい、いろいろな問題がございます。そこで、どういうふうにその汚染された農用地を使ったらいいかということを、その地域の実情に応じて合理的に判断をするという意味で「農用地の利用の合理化」ということを「目的」にうたったわけであります。
○鶴岡委員 前回の国会の農地法改正のときに、農地の合理化ということばがやはり出てきました。その際には、政府の答弁からいきますと、この農地の利用の合理化の意味は、おもに市街化、工場化、それから住宅化ということに重点が置れていたように私、記憶しております。そうすると、本法案のいま言った「農用地の利用の合理化を図る」このことばが出てくる以上、やはり同じような解釈として、まだ農業をやっていきたい、そういう人にも農業をやめさせることに主体が置かれるのではないか、このように思うわけです。極端に言えば廃村ということも考えられないでもないわけです。この点、いかがでしょうか。
○中野政府委員 それは極端なお話でございまして、われわれとしましては、地元の意向を聞いた上でこの計画を立てなければなりません。そこで、県知事も市町村長の意見を聞いて、と立てております。その地元の農家が非農地に転換することを望まないのにそういう計画を立てるわけにはいきません。それからまた、先ほど農地法にも漁触れになりましたが、農地法の合理化の問題にいたしましても、いま鶴岡先生お話のように、非農地にすることを目的としてということは書いてたかったはずでございますし、またそういう御答弁もしたわけではないというふうに記憶しておりますが、われわれとしましては、やはり地元の意向を聞きながら、できればもとのとおりにしてあげたい。しかしそういう土地がなかなかそうなりにくいものは、もう少しほかの使い道はないだろうか、こういうことを考えた上で最も合理的な計画を立てるというふうに考えております。
○鶴岡委員 それでは、農民のためをということで善意に解釈しておきますけれども、この「農用地の利用の合理化」という文章ですが、これは原案にはなかった。それがここに出てきた。この経過についてはどうでしょうか。
○中野政府委員 先ほどからたびたび原案というお話が出るので、われわれは非常に困っておるのでございますが、法律の立案をいたしますときはいろいろな案を何回にもわたって書くわけでございます。いまの先生のお話はどの原案であったか、私もよく承知しないのでございますが、その辺はでき上がったものについての御議論をいただかなければ——われわれ事務当局といたしましては、この法律をつくるのに苦心をしまして第何次案もつくっております。その途中のものと比べられてこれがどうだと言われましても、非常に困るわけでございます。 なお、私もいまどの原案であるか持っておりませんので、ちょっといま調べてみますけれども、その辺御了承いただきたいと思うのであります。
○鶴岡委員 原案という話ですけれども、それはもちろん過程を経て法律案をつくるわけですが、間違いなく、たしか十一月の十三日ごろだったと思ったのですが、それには載ってなかったように私記憶しておるわけです。もしそれがよければ、原案のとおりに私は入れるべきではないか、このように思うわけです。 それはそれとして次に大臣にお伺いしたいのですが、目的の最後のほうですが、「もって国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。」こうあります。これもこの「生活環境の保全」というところが変わっているわけです。最初は農作物の生育環境の保全、こういうふうになっておったわけです。これが「生活環境の保全に資する」、このように変わっているわけです。これも勘ぐれば、前のは農林省のたてまえであるいわゆる常に農業者サイドに立って考える、こういう立場で入れたのではないか。「生活環境の保全」といえば、農業者も拡大解釈すれば当然含まれるわけですけれども、これが変わったその理由、「生活環境の保全」になった理由、また「生活環境の保全」というのはどういうのか。
○倉石国務大臣 私が見ました原案は、いま出してあるのが原案でありまして、その前のものは読んだことはありません。先ほど来、お話がございますが、これはやはりそういう重金属類等の毒物を除去したり、それから生産を阻害するようなその他のものを排除することによって、農業経営を安定して、しかも農村の生活環境の保全に資することを目的とする、これは農村ばかりではありませんが、そういうことのために必要なことではないか、こういうことで、土壌汚染を防除することに国は力を入れるべきである、このように考えておるわけであります。
○鶴岡委員 私が言いたいのは、法案の名前からいっても、農用地の土壌汚染防止除去のための法律となっているわけですから、これは明らかに考え方が農業者サイドから少しずれているのではないか、このように思うわけです。 そこで、それならばこの目的の中の最後のほうに、この最終的に出てきたあれは、「もって国民の健康の保護及び生活環境の保全」、こうありますけれども、この「もって」の下に、農業者経営の安定とか確立とかと、このように入れたらどうだ、このように私は思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。
○中野政府委員 ここに「生活環境の保全」と書きましたのは、公害基本法の中に生活環境とは「動植物及びその生育環境を含む」とはっきり書いてございます。したがって、法文の整理として、そういった「生活環境の保全」ということを最終的に政府原案としてきめたわけでございます。何ら差異はございません。 それからいまの入れたらどうかというお話につきましては、承っておきたいと思います。
○鶴岡委員 「生活環境の保全」ということばですけれども、これを生態学からいけば、やはり当然林地が入ると思うのです。そうすれば、先ほど言ったように、林地もこの文章からいけば、農用地ではなくて、農林用地、このようにすべきであると思いますけれども、この生態学から考えた点についてどういうように考えられるか。
○中野政府委員 先ほどから大臣がたびたび御答弁になっておりますように、これは農用地という土壌を通じまして、人畜なり、あるいは農産物の生育障害になるというものを今回取り上げたわけでございます。林地につきましては、これはしばしば申し上げておりますように、まだ林地の汚染、それから林産物の汚染というのはどの程度どうなっているか、それの対策をどうするかということも、まだ明らかでありません。したがって、大臣が申されましたように、今後調査研究を進めた上で入れるということでございまして、今回の法案は、いま申し上げましたように、農用地に限定したわけでございます。
○鶴岡委員 じゃ次に移りますが、第二条の三項のところですが、ここに「特定有害物質」とありますが、この「特定有害物質」の具体的なものはどんなものか。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、カドミウム、銅、亜鉛、鉛、砒素というふうにわれわれは考えております。
○鶴岡委員 そこで農用地の土壌を汚染する特定有害物質としては、政令で定められることになっているが、いまお話のあったように、カドミウム、銅、亜鉛等の重金属ということですが、このうちカドミウムは農産物を媒体として人の健康に、また銅及び亜鉛は農作物の生育に悪影響を及ぼすといわれています。したがって政令で定める場合、第一に人の健康上問題となるカドミウムを指摘し、次いで銅、亜鉛、こういうことにするようですが、そこでカドミウム以外の有害物質については、早急に結論を得るよう措置すべきであろうかと思います。この点については先ほど農林大臣は至急に検討する、局長は一、二年できめる、こういうふうにおっしゃったようですけれども、現在銅の被害についても、亜鉛の被害についても御存じのように各地においていわゆる農作物の被害が相当あるわけです。こういう点から考えて一、二年といいますけれども、もう一度私のほうから要望いたします。努力していただきたい、このようにお願いしたいわけですが、この点についてもう一度お願いします。
○中野政府委員 見通しを先ほど申し上げたわけでございますが、われわれのほうといたしましても調査データその他の準備が整い次第できるだけ早くやりたいと考えております。
○鶴岡委員 この特定有害物質でありますが、これもまた前の要綱に関連してくるわけですけれども、その要綱の中を聞くところによると、特定有害物質とは工場または事業場から農業用水路等に排出される水または大気に排出されるばい煙に含まれるカドミウム等々となっておったようでございます。この等といえば銅、亜鉛が当然入る、このようなお話でもありました。農作物等の生育が阻害されるおそれは十分に銅にもあるわけです。それにもかかわらずカドミウムということから始まるということになってしまったわけですが、この銅を抜かした場合にどこにメリットがあるのか、その点だけお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 非公式に御説明申し上げましたものは、大綱とか要綱とか書いてあったはずでございます。そこで政令できめるべきものも、こういうものはということで例示で書いたのではないかと思いますが、われわれ今度の法律でちゃんと政令で指定することにいたします。何ら運用としては変わらないつもりでございます。
○鶴岡委員 次に第三条に入りますが、農用地の土壌汚染対策地域の指定については都道府県知車がすることになっております。これも農林大臣であったようでありますけれども、都道府県知事は国からの機関委任された知事であるわけです。こうなると、国から知事にということになると、国の責任は当然薄らいでくる、このように考えらわるわけです。これは国の逃げ腰、うしろ向きの体勢ではないか、このようにも考えるわけです。これは財政上の問題もあるでしょうけれども、先ほど大臣は、農林省は被害者側であり、また加害者側である、このようなお話もございましたけれども、この被害者側というのは私よくわからないのですが、そういった観点からすると、やはり財政当局の圧力といいますか、それでこうなったの下はないか、このように思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○中野政府委員 地域指定の考え方はいろいろ考え方があろうかと思いますが、先ほど先生おっしゃいましたように、これは機関委任としましての都道府県知事にお願いをするということでございますし、その指定のしかたの基準は政令で要件をきめますから、農林大臣がやりましょうと都宿府県知事がやりましょうと、それは同様でございます。われわれ前のいろいろな原案を考えました際にも、小さな地域は知事に委任をしまして指定をさせるつもりでおりましたから、考え方は変わっておりません。
○鶴岡委員 これも先ほど出た問題でたいへん恐縮ですけれども、第三条の汚染対策地域の指定のところですが、この要件は四点あげられると思います。「種類及び量」、それからその次の行へ来て「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、」その次の行へ来て「農作物等の生育が阻害されると認められるもの」、これが出ておりますけれども、抽象的でわからないわけです。具体的基準はどうなのか。特に種類と量ということについてお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 カドミウムに例をとって申し上げますと、たとえば米に一PPM以上のカドミウムが入っている場合、これが人の健康をそこなうおそれがあるということでございますので、この条文の「農作物等に含まれる特定有害物質の種類」といいますとカドミウム、「及び量」といいますと、これは米に一PPMのカドミウム、こう読むわけであります。それでは、米に一PPMカドミウムの含まれておる土壌にはカドミウムがどのくらい含まれておるかというのが、その前の「農用地の土壌」というふうに書いてありますが、それに含まれる特定有害物質の種類及び量というふうに読んでいただきますれば、たとえば米に一PPMカドミウムが入っている場合は土壌に十PPM入っておる、こういうふうに関連を読んでいただければよろしいかと思います。それから「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、」と申しますのは、カドミウムにつきましては、ただいまも申し上げましたように、米につきまして一PPM以上のカドミウムを含むもの、こういうふうにお読みいただければよろしいわけでございます。それから生育障害の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、農林省として資料を詰めました上でそういう具体的な考え方を出すわけでございます。それから「又はそれらのおそれが著しい」というのは、先ほども申し上げたと思いますが、いまの米に一PPM含まれておる土壌というようなもの、それに近づくおそれがある、近づくことが明らかな地域、こういうふうにお読みいただければ、大体おわかりいただけるのではないかと思います。
○鶴岡委員 それでは、土壌の汚染と生産された農作物の汚染との関係、これはやはり問題になってくると思うのです。これは種々雑多だと思いますけれども、その関係を調べる研究はいま農林省としてどの程度進んでいるのか、進める用意があるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○川井説明員 どろのカドミウムとお米のカドミウムとの関係でございますが、これにつきましては従来の全国的な調査のデータから現在検討いたしてみますと、土壌中のカドミウムの蓄積がふえてまいりますと作物中のカドミウムの含量が高くなってくるという関係につきましては、これまでの調査でかなりの程度認められております。しかし、地域が異なりますと土壌の条件といいますか、性格が異なってくるということのために、土壌中のカドミウムと米の中のカドミウムとの相関——相関はあるわけでありますけれども、その相関の程度と申しますか、そういうものが地域の特性を反映してあらわれ方が異なってくるというような事実がつかまえられております。
○鶴岡委員 そうすると、カドミウムと米、それから銅と野菜、こういう関係が出てくると思うのですが、いろいろな関係性を考えていまから各品目別にやるつもりなのか、それともある程度の品目に押えてそれで終わりにするのか、その辺はどうなんでしょうか。
○中野政府委員 人の健康との関連におきましては、食品衛生法の七条に基づきまして、人の健康を阻害するといいましょうか、そこなうおそれのあるものについて、厚生大臣が食品の成分の規格を定めます。それが定められますに応じましてわれわれは考えていかなければならないというふうに考えております。
○鶴岡委員 前の質問の、この種類と量等についての基準でございますが、この点について、公害対策基本法で定める土壌に関する環境基準との関係はどうなりますか。
○中野政府委員 先ほど技術会議の参事官のほうからもお話がありましたとおりでありまして、土壌という観点から環境基準をきめるには、まだ若干の研究を要します。そこで、いっきめられるかということはまだ的確に申し上げられないわけでございます。したがいまして、この環境基準がどういうふうにきめられるかということと指定地域との関係ということになってまいりますが、環境基準の水準と申しましょうか、環境基準の水準的なもの、これと地域指定との関係がどうなるかということにつきましては、具体的に環境基準が明確になった際明らかになるというふうに御了解願いたいと思います。
○鶴岡委員 次に、この汚染対策地域は、現在法律がまだできていないわけですが、できた場合にどこを予定しているのか。たぶん要観察地域を中心とすると思いますけれども、この法律でどう対処していくのか、この点をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 いまお話しのように、やはり一番問題になっております要観察地域が当面の対象になろうかと思います。
○鶴岡委員 いままで新聞を見るとたくさんの汚染された地域がありますが、この中で、ことしに入って四月から十月までの新聞を見ただけでも、黒部のカドミウム最高五三・二PPM、それから群馬の安中二〇PPM、それから佐賀のノリ、それから多摩水系カドミウム一四PPM、それから山口県の下関土壌汚染カドミウム六・六一PPM、それから福島の磐梯町水田の土壌汚染カドミウム五三・九四、それから最近になって東京の府中一三・八、それから昭島、立川一・九五、こういうふうにたくさんのものがまだまだあるわけですけれども、この点についてはどういうふうにしていくのか、その点をお伺いします。
○中野政府委員 農林省のほうでも、予算要求をいたしまして調査を緊急に進めておりますので、そういう点が明確になれば、明確になった際に逐次指定をしていくということになると考えております。
○鶴岡委員 この対策計画に入りますが、この設定の場合に県にその対策地域が指定されるわけですけれども、たとえば県外にこの対策計画がまたがる場合もあるのではないか。特に河川等は県境になっている例が非常に多いわけです。この点についてどういうふうに調整し、対策計画を立てていくのか、この点をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 この法律では、都道府県知事に地域指定をやらせるということにしてあるわけでございます。大体普通の場合は一県内の問題として片づくかと思います。まだ将来のことでわかりませんが、もし二県以上またがるような場合につきましては当然農林大臣としては両県知事に対しまして、同時にそういうことをやるようにということは要請するわけでございますし、またそういう指導もしなければならぬと思っております。
○鶴岡委員 それでは端的にお伺いしますけれども、対策計画の省令の考え方、この点についてお伺いします。
○中野政府委員 これはこの計画を立てる手続的なことを省令できめたいということを考えておるわけでございます。
○鶴岡委員 それでは次に第五条の二項の二号、イロハとありますけれども、この点について少しお伺いします。最初は「土壌の特定有害物質による汚染を防止するためのかんがい排水施設その他の施設の新設、管理又は変更」等がありますけれども、この新設等について具体的に内容、程度はどうするか、この点をお伺いします。
○岩本政府委員 農用地の汚染を防止しますために農用地にかかる水の水源を転換するために頭首工や排水路のつけかえをするとかあるいは集水暗渠を設ける等の事業を第一に考えております。また、現在のかんがい排水施設はかんがい用と排水用と未分離のものが多いわけでございますが、用水と排水とを分離して悪水が入らないようにすることも必要でございますので、そういう用水分離の施設を設けることも頭に置いております。さらに沈砂池、中和施設あるいは毒源の物質を処理する施設を新設、改修することも考えておりまして、さらにそういう施設の維持管理の面につきましても土壌汚染の防止に関係するものは含めて考えたいと考えております。
○鶴岡委員 農用地の対策地域内にある農用地にかかる事業でありますけれども、この事業の実施主体はどうなのかという点で三点お聞きします。 第一点は、これを県営事業または市町村営事業とするのか、その辺がはっきりこの法案にはないように見えます。これが一点。 それから二番目は事業の実施方法ですが、従来ある土地改良法、災害復旧法等を取り入れてやるのか。もし土地改良法でやるとすれば、これは現在は申請主義ということになっておるわけです。したがって、組織として組合、改良区等を組織するのかどうか。これが第二点。 第三番目は、この事業にあたって費用負担の問題でございますが、連合審査のとき山中総務長官は農民に負担をなるべくかけないようにする。もちろん原因が企業者であるということがはっきりすれば問題はありませんけれども、県営事業となると農家に多少なりとも負担率からいって負担がかかってくるではないか、このように思うわけであります。この辺についてお伺いしたいと思います。
○岩本政府委員 御質問の第一点の事業主体の問題でございますが、この対策計画に基づきます農用地の汚染の防止と申しますか、改良の事業は、土地改良法に基づいて実施をすることに相なりますので、事業主体としては国、県、市町村土地改良区が考えられるわけでございますが、この事業の性格にかんがみまして、農民のために非常に重要な事業であるという見地から、現在では県営の事業として実施してはどうかということで考えております。 それから事業の実施方法でございますが、先ほど申し上げましたように土地改良法に基づく諸手続を踏んでやるつもりでございます。この土壌汚染防止法の対策計画は一つのマスタープランでございまして、具体的に事業を実施いたします場合には土地改良法に基づいてその諸手続を踏まえて事業を実施することになりますから、当然申請主義ということに相なろうかと思います。したがいまして、県営事業でやるつもりでございますが、この申請主義を適用して事業を進めるつもりでおります。 さらに費用の負担につきましては、すでに連合審査会で御答弁がされておりますし、本日も三ツ林委員の御質問に答えたところでございますが、原因者のはっきりしておりますものにつきましては、費用負担法の手続によりまして、まずこの原因者の費用をはっきりさせ負担をさせる。残額についてはできるだけ農民の負担にならないように処置をしたいと考えておりますが、原因者がはっきりしない場合もございます。この場合には一般の土地改良事業に準じて考えていくことに相なるわけでございますが、御質問のようにその原因の重要性等考慮しまして、また農民が困っておるという立場も考慮しまして前向きに検討してまいりたいと考えております。
○鶴岡委員 いまも出てきましたけれども、これは先ほど長谷部委員が質問したとおり原因不明であり、しかも広い範囲、先ほどの例に申しましたけれども、多摩の昭島等を考えてみますと、あれは原因不明であり範囲が非常に広いわけです。この点について広範囲の場合は国営事業でやるべきではないか、このように私も思うのですけれども、いかがでしょうか。
○岩本政府委員 原因不明ということではなしに、原因者がだれかわからないということでございまして、特定有害物質によって汚染されておるという原因と結果がはっきりしたものが、この土壌汚染防止法の対策計画の内容になるわけでありますから、そうむやみに広くなることはないと考えますが、この対策計画に載りましたものにつきましては、法律の定めるところによって処置をし、また農民の立場も配慮しましてこれを運用してまいりたいというふうに考えております。
○鶴岡委員 次に「農用地の土壌の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業」とこういうふうに載っているわけです。この客土はどの程度のものか、一応の基準はあるのかどうか。費用の面等から考えると、客土というのは非常に費用がかかるものとなっております。土地改良にしても少ないところで一反三十万から四十万、これは一番少ないところですけれども、その程度の費用がかかるわけです。そういうことから踏んまえて、この客土の規模はどうするのか、この点をお伺いしたいと思います。
○岩本政府委員 客土等とございますが、客土ではなく、むしろ有害な土壌を外へ排出をする排土も必要であろうかと思います。また御質問のように客土にはたいへん経費がかかりますので、被害がそれほどでないという場合には客土でなしに土壌改良剤の投入とかあるいは深耕、天地返し等で済む場合もあります。したがいまして、この客土を一体どの程度やるのかという御質問でございますが、それは現地の被害の実情あるいは土壌の条件また土取り場の遠近等経費のかかりぐあい等を見まして、費用等効果と経済ということを考えてやらなければなりませんので、いまここで抽象的にどの程度やったらいいということは申し上げにくいわけでございますが、今後実施されます土壌の汚染に関する調査の結果を踏まえまして合理的に判断をしてまいりたいと考えております。
○鶴岡委員 「その他の事業」というのはこれは何ですか。
○岩本政府委員 例をあげて申しますと、代替農用地の造成の事業等も考え得ると思います。汚染された農用地を放棄をしまして別に新しい農地をつくってやるといったようなこともその他の事業として考え得ると思います。
○鶴岡委員 次は地目変換ですが、都道府県知事が汚染の程度によって農業の用に供するものとまた著しく汚染しているものは農用地の利用の合理化をはかるための地目変換その他の事業に利用するものとに区分されるようでありますけれども、この「地目変換その他の事業」とは具体的にどんなものを考えているのか。林地、樹林地等に利用するために行なう場合の地目変換の施策、どうなのか。植木とか庭木それからお茶の畑、いろいろ考えられますけれども、これに対して近代化資金等また改良資金等が考えられると思いますけれども、この助成対策についてお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 地目変換でございますからいろいろのことが考えられるわけでございますが、宅地に変える場合それからいまおっしゃいました林地に変える場合それから他の畑に変える場合等ございます。それぞれに応じまして近代化資金の活用も可能でございますし、公庫の標準融資も可能である場合があるわけでございます。
○鶴岡委員 次は、第五条の第三項でございますが、ここは三行になっております。この最後の「必要かつ適切と認められるものでなければならない。」こういう規定になっておりますが、その「必要かつ適切と認められるものでなければならない。」というこの意味を説明してもらいたい。
○中野政府委員 土壌汚染対策計画を立てますには、この三項によりましてその計画が具体的な地域の汚染の度合いなり費用なりあるいはそれの事業をやりました効果なり、緊急性というものから見まして必要でありかつ適切ということですから、これは当然のことを規定したわけでございまして、不必要なことを計画でやるというのは必要ないわけでございますから、当然のことを規定したわけでございます。
○鶴岡委員 これから見ると、これは認定事業であるわけです。そうすると、たとえば汚染の程度があまりない、それから費用がかかり過ぎると思われる場合、それから事業をやってもその効果があがらない、こういうように認めた場合、さらに緊急度はあまり要しない、こういうように思われた場合には、これはやめるのですか。
○中野政府委員 具体的な場合に即してこれを責めるわけでございまして、これを反対に言われますれば、いまみたいなような考え方もあろうかと思いますが、われわれといたしましてはこの計画を立てる際の知事の心がまえと申しましょうか、ここではそういうことを書いてあるというふうに御了解いただきたいと思います。
○鶴岡委員 この点でございますが、この対策地域計画は都道府県知事がやって、この計画に対してまたここで知事自身が内容についてしぼるといいますか縛るといいますか、このように私は考えるわけです。聞くところによりますと、この第三項はこの法案ができる前夜に挿入された、このようにも聞いておるのですけれども、そうすると、わざわざ都道府県知事がきめて、それを締めつけるようなことを考えれば、この項は必要ないのじゃないか、このようにも考えるのです。この項があるためにかえって事業が進まぬということも考えられないわけではありません。そういうことでこの点についてどう考えますか。
○中野政府委員 われわれといたしましては、こういう規定があって知事が適切な計画が立てられるというふうに判断をしております。
○鶴岡委員 次は第七条に入りますが、これは先ほど質問があったようですけれども、第七条の「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止するため必要があると認めるときは、水質汚濁防止法第三条第三項若しくは大気汚染防止法」こういうふうになっております。この排出基準についてでございますけれども、先ほどの質問のように、農林大臣がきめてもよいようになっておったのですけれども、いわゆる水質汚濁防止法、大気汚染防止法にゆだねて、言うなればあなたまかせだということになるわけですが、それで事足りるのかどうか、もう一度お伺いいたします。
○中野政府委員 先ほども今度の七条の運用のしかたと申し上げたわけでございますが、この両方の法律で知事がよりきびしい基準が定められるということになっております。普通の場合は一般的な政令での基準でよろしいのでございますが、なお知事がきびしい基準を定める。その場合に当然これまた土壌汚染のことも考えてそういう基準ができるはずでございますけれども、特にこの汚染の程度とかあるいは対策計画の内容を見まして、そういう基準ではだめな場合は、知事みずからがこの条文にもございますように、よりきびしい基準をきめるというために、ここに「必要な措置をとるものとする。」ということに規定をしてございますので、これでだいじょうぶだというふうに考えております。
○鶴岡委員 この排出基準でございますけれども、排出基準というのは、工場のいわゆる出口だけのことであって、基準を順守しても、多量にまた長期にわたって排出した場合には、当然土壌が汚染されるということが考えられるわけです。また蓄積したその汚染物は分解しにくい。ここで人体の健康、また農作物の生育阻害となるわけですけれども、この辺はどういうふうにお考えであるか。
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、排出基準をきめる場合に、土壌汚染という観点から蓄積が進むといった場合は、当然排出基準そのものにそういう観点が加えられなければならないというふうに思っております。これは人の健康との関係ではございませんが、現に渡良瀬川の水質基準につきましては、排出基準が現行の法律できまっておりますけれども、それは土壌のことを考えた上で当然排出基準をきめておるわけでございます。そういう例のごとく当然そのことを含めて考えるということになるわけでございます。
○鶴岡委員 第十条のこの勧告の件でございますけれども、いわゆる作付規制を行なう場合、単なる勧告をもってだいじょうぶなのか、これが一点と、まじめに勧告を受けてやった場合には、当然そこに何らかの損失というものが出てくるわけです。その損失の補償責任。それからもう一つは、勧告に従わなかった場合にはどうなるのか。先ほどは買い上げをしないという話がございましたけれども、カドミウムから今度亜鉛、銅ということになってくるわけです。そうした場合にお米だけではなくて野菜等も影響してくるわけです。こういう場合にはどうするのか、この辺をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 これはカドミウムにつきましては一PPM以上のカドミウムを含んでいる米のところを特別地区として指定をいたしますので、農家もおそらくその指定はわかります。したがって、そこへ普通の場合、農家は米を植えないはずでございますけれども、たまたまそれを知らなかったというようなことから作付をしないようにということを勧告するということでございますので、勧告で私はだいじょうぶだと考えております。それから勧告を聞かないで作付した場合、これはそこまで注意したにかかわらず作付したということは、これはもう農家が責任を持つべきではないかと思います。 損害賠償の問題でございますが、原因者がおればこれは当然その原因者がその損害賠償をすべきだということでありますが、もししない場合はこれはやはり自然汚染といいましょうか、そういうものに似ておるわけでございまして、やはり早く対策事業をとりまして、そういうことがないようにということになるわけでございまして、国がそこはかわって損害賠償をするとかそういうことはございません。 それからなお銅や亜鉛という話がございましたが、これは人の健康をそこなうおそれのある地域だけを特別地域として指定するつもりでございまして、銅、亜鉛等について生育障害の場合、これは人の健康に関係ないので、特別地域の指定をするつもりはございません。
○鶴岡委員 第十一条でしたか、ここで「農林大臣は、農用地の土壌が工場又は事業場から排出される排出水、ばい煙等に含まれる特定有害物質により汚染されることを防止するため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、鉱山保安法その他の法令の規定に基づき」云々とありますが、この中で、「汚染されることを防止するため特に必要があると認めるとき」としていることは、どういうことを想定しているのか。その辺をお伺いします。
○中野政府委員 先ほど第七条のところで申し上げましたように、知事は特別の排出基準をきめるために必要な措置をとるということになっておりますが、そういうことをなお農林大臣から知事に要請をする場合、あるいは水質汚濁防止法でありますとこれは企画庁長官が主管をいたしておりますが、大気汚染防止法でありますと厚生大臣、通産大臣が主管でございますので、それぞれの大臣にその法律に基づきまして、土壌汚染と関係のあるものにつきましていろいろな要請をする。鉱山保安法でありますと通産大臣に、いろいろなそれぞれの法律できめられております措置を各大臣がおとりになる場合、それらの法律に基づきます地方公共団体の長がいろいろな措置をとるわけでございます。そういうことをやってくれという要請をするわけでございます。
○鶴岡委員 私が考えるのには、なぜこのような措置、要請の規定を設けたのかということですが、いわゆる関係地方公共団体の長にしても、関係行政機関の長にしても、当然公務員であり、憲法上からいっても法律を順守するのが義務であるわけです。そこで、もちろん順守すべきでもありますが、あえてこの条文を入れるということは、この長が法律を守っていないところがある、このようにも解釈されるわけです。これを前提としてこの規定を設けたのではないか。そうすると、農林大臣が参画さしてくれ、要請ということはお願いということですから、これではちょっと弱腰ではないか、このようにも考えられるわけですけれども、こういう解釈のしかたはどうでしょう。
○中野政府委員 われわれといたしましては、関係の行政機関、通産省なりあるいは厚生省なりでございますので、行政機関同士でありますから、こういう要請をいたしますれば合理的なものは聞いていただけるわけでございますので、この規定でよろしいかと存じます。
○鶴岡委員 この中の鉱山保安法ですが、聞くところによると、鉱山保安法は非常にルーズなところがある。このようにも聞いているのですけれども、通産省の方がおられないので、次に進みます。 調査測定の件ですが、第十二条の「農用地の土壌の汚染に関する調査測定等」でありますが、この中で「特定有害物質による汚染の状況に関し、必要に応じて調査測定を実施し、その結果を公表するものとする。」こういうようにありますが、これもたいへん恐縮ですけれども、前の原案要綱では一番最初は常時監視し、汚染の進行状況等を調査測定するものとする。こうなっておったそうです。次には、これが定期的に変更になった。最後にこの原案が出てきたのですけれども、この原案によると、「必要に応じて」と、このようになっておるわけです。われわれから考えれば、公害はいつ起こるかわからない。一般国民の国民感情として常時やるのが当然であるし、またそうしてもらって公表してもらえば安心できる、こうなるわけですけれども、言うならば国民感情に背を向けてそういうようになったというのはどういう理由なのか、この点をお伺いします。
○中野政府委員 法文上、いろいろ変転があったわけでございますけれども、土壌につきましては、すでに農林省としまして大体農用地の八割ぐらいはもう調査をしてしまっております。これは一般の川の水等と違いまして、土壌を常時測定をしておく必要はございません。ただこういう問題が起きておりますので、念のためにわれわれといたしましては来年度予算を要求いたしまして、もう一ぺん日本全国のそういう土壌につきまして総点検をいたしたいと考えております。それからあとは、それによりまして問題となる汚染される可能性のあるあるいは汚染のおそれのあるようなところを精密な調査をする。その上で地域指定をやり、対策計画を立てていくわけでございますが、そういう地域につきましては、その後の蓄積状況等の動態調査をやるということになりますので、そういう段階になりますと、当然定期的に調査をするということになるわけでございます。そういう三つのことをいろいろ含めて考えたものですから、法文としてはこういうふうに書いたわけでございますが、内容はいま申し上げたことをやるつもりでございます。
○鶴岡委員 農林省の各地方県の農業試験場には、地力保全調査職員というのが約三百名全国におる、こういう話を聞いておりますけれども、この調査、測定、研究強化等を考えあわせて、公害問題は最近の問題でありますけれども、非常に重要な問題でもあるし、この点について農林大臣としては増員する考えがあるのかどうか、その点をお伺いします。
○中野政府委員 ただいまお話のありましたように、現在三百九名が県の農業試験場に調査部等を置きまして土壌の調査をしております。非常にベテランがおりますので、人員的には当面それでだいじょうぶだというふうにわれわれ考えておりまして、むしろそういう方々のやる機具、機械と申しましょうか、そういうものの整備が先決ではないかと考えておりますが、いずれ先々増員の必要があれば当然増員の努力をしなければならないと思っております。 〔三ツ林委員長代理退席、丹羽(兵)委員長代 理着席〕
○鶴岡委員 人間の食生活について、生産物である食品等とこの土壌の問題というのは同サイクルにあって、非常に重要な問題だと思いますので、今後の体制として厚生省等、関連機関との協力体制の確立が私は必要だと思うのです。今後の方向はどういうふうにするのか、また決意をお願いしたいと思います。
○中野政府委員 その点はまさに御指摘のとおりでございまして、この法文の作成中もいろいろ厚生省とも御相談申し上げましたし、また審議会をつくりますとそれにお入りもいただきたいと思っておりますので、今後とも人の健康をそこなうということの最終判断は厚生省でございますので、われわれは厚生省と緊密な連絡をとりたいと思っております。
○鶴岡委員 ここでひとつ、十一月二十七日の読売新聞ですが、この新聞には食糧事務所の合理化というのが出ております。この中には「この合理化を進めると、定年退職者を含めても、なお二、三千人の職員が余るため、その配置転換を必要とする。これに対しては、労組の反対が予想されるが、当面人手が足りない植物防疫所とか、今後新設される公害監視員(土壌汚染、水質汚濁、農薬など取り締まり)に配置できるよう研修制度を整備する方針である。」こういう記事が新聞に出ておるわけです。この新聞からすると、これは公害問題を機会にしてその監視体制強化のため、これを理由にして食管制度の改廃またはなしくずしに持っていくのではないか、このようにも勘ぐれないわけではないのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
○内村説明員 お答え申し上げます。 私もその新聞報道は見ておりますが、現在のところ食糧庁といたしまして食糧庁の職員を公害関係のほうに回すということは全く考えておりません。御承知のとおり現在食糧庁には二万六千二百人の職員がおりまして、食糧管理に関する事務に従事しているわけでございます。ところが最近の公務員のベースアップに関連いたしまして、政府といたしまして将来人を減らしていくという問題がございます。現在の食糧庁の機構は食糧庁、各県の食糧事務所、各支所、出張所、こういう構成になっております。そこで人間がだんだん減ってまいりますと、場所によっては出張所に一人しか職員がおらぬところも出てくるというようなこともございまして、食糧庁といたしましては、現行の食糧管理法で食糧庁に与えられた使命を忠実に実施するため少し末端の機構を整理して、場合によっては二段階制にしていこうということを考えております。このようなことが可能となりますことは、最近のように道路が整備されてまいりますと、支所に末端の人々を集めまして仕事をやるということもできるのではないかということで現在そういうことを研究しておりますが、食糧庁の人間をほかのほうに移すということはいまのところ考えておりません。
○鶴岡委員 それじゃ最後に一点。 十五条の第一項の最後のほうです。これは「立入調査等」の件ですが、「その必要の限度において、その職員に、農用地に立ち入り、土壌若しくは農作物等につき調査測定させ、」云々とありますが、そのあと「必要な最少量に限り土壌若しくは農作物等を無償で集取させることができる。」このようになっております。 〔丹羽(兵)委員長代理退席、三ツ林委員長代理着席〕 この「無償で集取させる」ということは、法律上の理屈の上ではどうなるのか、この点をお伺いします。
○中野政府委員 もしこの規定がございませんと、有償なのか無償なのかよくわからない。あとでトラブルが起こってもいけませんし、実際問題といたしましては、土壌の一握りあるいは稲の一株というお話でございますので、法律的にその辺を無償ということにいたしましてトラブルを避けるという意味でございます。
○鶴岡委員 まあこれはトラック一ぱいの土壌とか一俵、二俵の米とかいうようなことではないから、別にかまわないといえばかまわないかもしれませんけれども、正確に言えばやはり憲法二十九条に財産権の問題がありますが、これに抵触してくるのではないか、このように思うわけです。 さらにそれにつけ加えて、いま審議中の農薬取締法の十三条には、「農林大臣は、製造業者、輸入業者、販売業者又は防除業者に対し、」「農薬又はその原料を集取させるときは、時価によってその対価を支払わなければならない。」こうあるわけです。これに対照しても、この取締法のほうは販売業者に対しても時価を支払うようになっているにもかかわらず、本法案では無償ということになっているわけです。これはちょっと納得のいかないところなんです。ここで姿勢として、先ほど言ったように、トラック一ぱいの土壌でもないし、一俵、二俵の米でもないんだから、またそこに調査してやるんだからというような、いわゆる軽率な考えがないでもない、このようにも考えられるわけです。 つけ加えて申し上げますけれども、さらに十九条の中には、「調査測定又は集取を拒み、妨げ、又は忌避した者は、三万円以下の罰金」このようにもなっているわけです。この辺がどうもよくわからないのですが、見解はどうなのか、最後にお聞きします。
○中野政府委員 この土壌の汚染防止での立ち入り調査、これに似たような規定は、こういうことをやります場合に大体こういう規定になっているのが普通でございます。それでいまおっしゃいましたように、何もわれわれといたしまして罰則までかけて強制的にというのをねらっているのではなくて、やはり一つの制度を動かしていくためには、最後の担保としてここまで要るということで、大体ほかの法律におきましてもこういう例文ということになっておりまして、それ以上特にこれだけ、この土壌汚染防止法だけにこういう規定があるということではございません。
○鶴岡委員 それでは農薬取締法の十三条の解釈はどうですか。要するに時価によってその対価を支払うということです。
○中野政府委員 農薬の場合は、これは製品でございますので、こういうふうに書いてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、土壌の場合は一握りの土、一株の稲ということでございますので、一般の法律の例のように無償ということにいたしたわけでございます。農薬の場合のほうがむしろこれは特別的な規定だというふうに私は考えます。
○鶴岡委員 わかりました。 以上で質問を終わります。
○三ツ林委員長代理 小宮武喜君。
○小宮委員 私も農用地の土壌汚染防止法について質問をしてみたいと思います。 今回公害対策基本法に土壌汚染を典型公害の一つとして新たに加えて、農用地の土壌汚染防止法が立法化されることについては歓迎をするものでありますが、この法律案を検討してまいりますと、率直に言ってわれわれの期待に十分こたえておらず、半ば失望したというのが私の実感であります。 この法律案の内容を読んでみますと、まず都道府県知事が汚染対策地域の指定ができるようにしたことと、二つ目はその対象地域を指定したら、都道府県知事はその汚染対策計画を定めなければならないこと、三つ目には特別地区内においては適当でない農作物等の作付をしないように勧告することができるようにしたこと。もう一つは、都道府県知事がこの排出、排水基準の設定を行なうために必要な措置をとることができるようにしたこと。五つ目には、農林大臣が特に必要あるときは土壌の汚染防止に関して必要な措置を要請することができること等になっております。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 以上の大体五点に要約されるのではないかと考えます。これではたしてこの法律にうたわれておる目的の実現をはかることは可能かどうか。つまり目的の達成をはかるためには、その実効をあげることができるかどうかということについては疑問を感じておるわけでございます。したがいまして、ただいまからいろいろその疑問点について質問をしてみたいと思います。 まず質問の第一点は、この法律によって今後カドミウムによるイタイイタイ病とかあるいは米のカドミウム汚染というような問題が解決されると大臣は考えておられるのか。これは大臣に質問したいと思います。
○倉石国務大臣 いままでは汚染米に関する基準が必ずしも明らかでございませんでした。農業者が土壌の汚染の程度を知らないで稲の作付を行なってしまったことなどから汚染米が出現したものであろうと存じますが、このたびこの法律では土壌汚染対策地域のうち、人の健康をそこなうおそれがある農作物が生産されると認められる農用地につきましては特別地区として指定して稲の作付規制を行なうことになっており、またいまお話がありましたように、対策地域については都道府県知事が土壌汚染対策計画を定めて、これによって対策事業を実施することになりますので、この法律の制定によりまして汚染米は解消できると考えております。
○小宮委員 次の質問は、この法案の要綱段階では農林省原案の中には土壌の場合、水、大気等に含まれる排出物が人の健康に害を及ぼさない程度の微量であっても、蓄積する特質があるので無過失損害賠償の規定を設けることにしておったようでございますが、ただいま提案されております法律案ではそれが削除されておりますけれども、その理由についてお伺いします。これも農林大臣に質問します。
○倉石国務大臣 これは先ほどお答えいたしましたとおりでありまして、私どもは人の権利に関する重大な問題、民法上の大きな問題でございますので、個々別々な法律にどのようにしてこの考え方を入れるかというようなことにつきましてはもう少し検討する必要があるのではないか、政府では公害対策本部を設けて、そういうことについて各省からデータを出させましてそこで統一ある検討をいたした結果、将来についてこれをやってまいりたいということでありますので、そういうことで一般論として考えられるべきことであるからというのでこの法律には特に書かなかった、こういう経過であることは先ほど申し上げましたとおりであります。しかし私どもはこのことについてないがしろにしておるわけではありませんで、政府は検討を続けてまいるということであります。
○小宮委員 それから第二条の、先ほどからも質問が出ておりましたけれども、この法案の対象となる有害物質として、カドミウム、銅、亜鉛、鉛等の重金属が予定されておるようでありますが、当面カドミウムだけを指定することについての理由、これは先ほども御答弁があって、人体に特に影響を及ぼすということでカドミウムだけを当面まず取り上げたということのようでございますが、このカドミウムだけを指定する理由と、あわせてカドミウム以外の重金属類についても今後どのような措置をとるのか、その方法、見通し等についてひとつお聞きしたいと思います。
○倉石国務大臣 これも先ほど申し上げましたように、とりあえず私どもはいま人体に害のある重金属性カドミウムについて所要の措置を講じたわけでありますが、しばしばお答えいたしておるように、さらに他のものについても研究を続けてまいって政令に入れる、こういうことであります。
○小宮委員 あとは大臣でなくてもけっこうですから。 第三条、第四条の汚染対策地域の指定でございますが、汚染対策地域に指定する場合、政令で定める要件に該当する一定の地域としてございます。その要件の具体的内容とはいかなるものであるか。これは先ほど御質問が出ておったようですが……。また公害対策基本法で定められている土壌に関する環境基準との関係はどうなるのか、この点質問いたします。
○中野政府委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、カドミウムにつきましては当面まだ土壌と作物との関係から土壌を通じて基準が設定できませんので、カドミウム一PPM以上含む玄米が生産される土壌、そういう土壌に近くなるおそれのある地域、これを政令で定める要件に当面はしたいと考えております。 ただ、御質問のように、われわれの調査研究を早急に進めまして、環境基準が土壌についてできるという段階になりました際には、その環境基準とそれから政令の定める要件——その環境基準がどういうふうに定められるか考えまして、その段階で判断したいと考えております。
○小宮委員 この指定地域というのは、先ほどから質問に出ておりましたが、現在の要観察地域に指定されておる地域をそのままそっくり指定するのですか、また、八条、九条、十条にいわれておる特別地区とはどんな地区をさすのか、特別地区と一般地区の区別の基準についてはどういうものがあるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 要観察地域につきましては、なおわれわれのほうで現在調査を進めております。したがいまして、それがそっくりその地域そのままになるのかあるいは地域が広がるのかもう少し狭くなるかという問題はございますけれども、当面そういうものが対象になると思います。と同時に、これから調査が進みますと同時に地域がふえてくるというふうに考えております。 それから八条、九条の特別地区というのは、人の健康をそこなうおそれがあるということで、現在厚生省の食品衛生法に基づきまして一PPM以上のカドミウムを含む米は人の健康をそこなう、これはつくっても販売してもいけないということになっておりますので、米が一PPM以上のカドミウムを含んでおるところの圃場、これは特別地区として指定をするということになるわけでございます。したがって指定地域のうちでカドミウムが現に一PPM以上米に入っておる場合だけ特別に指定をする、こういうことになろうと思います。
○小宮委員 その点長崎県にも一つありますが、玄米が一PPM以上のカドミウムを含む汚染地域は特別地区に指定されるというふうに理解していいわけですか。結局現在の要観察地域の米はみな一PPM以上のカドミウム汚染をしておるわけです。そこで私が言いますのは、そういった一PPM以上の米の産出される土壌のあるところは特別地区だということになれば、いまの要観察地域はほとんど特別地区になりますかということです。
○中野政府委員 その点は現在の厚生省の要観察地域という中で、特に米が一PPM以上のカドミウムを含んでいるたんぼを線引きをいたしまして別に指定をしております。したがいまして、その要観察地域そのものは全部米が一PPM以上のカドミウムを含んでおるということではございません。
○小宮委員 現実では、しかし要観察地域の米はほとんど一PPM以上のカドミウム米なんですね。そうでしょう。それはいいです。 それではそういった意味では、最近要観察地域以外でもいろいろカドミウムの汚染問題が出ておるわけですが、そういったものもこの法律の中で、たとえば一PPM以上の米のとれるところでなくて、それ以下のところでもそういった汚染地域として指定することもあり得る。米の場合はすべてただ一PPM以上の場合とか要観察地帯であり、そういったところの中で特に問題なのは、特別地域に指定されたというふうに理解しておったわけですが、それらの一PPM以上の米のとれるところは特別地域ということになれば、そのほかに今度指定される指定地域、一般の指定地域というのは玄米一PPMじゃなくて、それ以下の米の産出されるところも指定される可能性があるということなんですか。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、汚染対策をやります場合に、現に米に一PPM以上出ているところだけを指定いたしますと、いわば、これは変な言い方でございますが、そこに排出しております工場、事業場の排出規制というのはゼロにしなければいけないはずでございます。しかしそうはなかなかまいりません。したがって現に汚染されておるところは早急に復旧工事をやると同時に、それ以上蓄積が進まないというために特別な地域をもう少し広げて、この法律にもございますように、現に汚染されているところ、それらのおそれが著しいところ、これを両方含めまして指定地域として指定をしていくのでございます。 それからなお先ほどの御質問にもございました点でございますが、繰り返して御説明しておきますと、現在の厚生省の要観察地域は、米が〇・四PPM出るということをスタートにいたしまして、それに基づいて調査をいたします。それをもとにしまして観察地域というものをきめます。その一部といたしまして、現に米が一PPMのカドミウムを含んでいた場所だけを特別に線引きをいたしまして、ここから出る米は食糧庁は買わないということになっておるわけでございます。
○小宮委員 それではこれも先ほどから質問が出ておりましたが、現在農振法で地域指定が行なわれていますが、この農振地域で指定された農用地については、制度上やはり公害除去を徹底すべきじゃないか、こういうふうな地域からは公害を全然なくする、除去するということを考えなければならないのではないかと考えますが、その点についてのお考えがあれば承りたいと思います。
○中野政府委員 農振地域につきましては、これは村全体の計画でございます。その村の中にこういう地域がありますれば、村の計画としては当然この計画で定められることを織り込んで計画を立てるということになるかと思います。もうすでにその村で農振地域の計画を立てておりますれば、今度この対策計画を立てるということになりますと、それを含めてまた計画を変更することの必要も生じてこようかと思います。
○小宮委員 またこの農振法による指定地域は、都市計画法による市街化区域や市街化の調整区域の線引きが現在も行なわれているわけですが、この法律による対策地域は、これらの地域と制度的にはいかなる措置を持って対処するのかということをお聞きしたいと思います。
○中野政府委員 制度的には直接関係はないわけでございまして、都市計画法によります市街化区域、調整地域は都市計画法によりまして、十年の間に市街化を促進する地域を市街化区域としてきめるわけでございます。それ以外のところは市街化を抑制するということで調整地域にいたします。今度もしたまたまそういう地域に特別対策をやらなければならぬものが出てまいりますと、それは調整地域に入りますか市街化区域の中に入りますか、それは今度のカドミウムその他の汚染の出てくる場所によって違ってくるわけでございます。 それから農振地域につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○小宮委員 この法律による対策地域の指定にあたっては農林省の当初の要綱案では、農林大臣は土壌中の含有量の限度を越える地域及び限度を越えるおそれがある地域を指定地域として指定できることとしていたわけですが、本法にうたわれておる対策地域の指定に関する条文との相違点はどういうふうなことになるのか、どこが相違しておるのか、その点をひとつ具体的にお聞きしたいと思います。
○中野政府委員 その点は第三条に書いてございますが、考え方は当初と変わっておりません。ここにもありますように、その地域内にある農用地の土壌に含まれる特定有害物質の種類及び量から見てというふうに書いてございます。ただ問題になりましたのは、カドミウムについて先ほども御説明いたしましたように、土壌から、たとえば土壌に一〇PPM以上入っておれば、それは人体をそこなう程度のものであるという断定が直ちにできません。そこでこの法文といたしましては、そのあとに「当該農用地に生育する農作物等に含まれる特定有害物質の種類及び量」というのを加えたわけでございまして、考え方としては当初から変わっておりません。
○小宮委員 特別地域に指定された区域では、この農用地において適当でない農作物等を作付しないように勧告することができることになっています。それでその適当でない農作物の範囲を定めるということになっておりますが、この適当でない農作物の範囲とは何をさすのか。米はもちろんのこと、食糧に供する作物、これは一切だめだと私は思うのですが、この適当でない農作物の範囲とは何をさすのか、その点質問します。
○中野政府委員 お説のように、米が汚染されておりますれば、そこへ小麦を植えましてもあるいはその他のものを植えましても汚染されるであろうとは思います。しかしこういう特別地区を指定しますのは、当面厚生省のほうの食品衛生法では、全部食品の基準をきめておるわけです。基準といいますか制限の規格をきめております。ただいま定めておりますのは米だけでございます。当面は、ここにございます農畜産物とありますのは、米をわれわれは考えておりますが、食品衛生法で食品の制限の規格が順次きめられてまいりますれば、それに応じてそういう作物は指定をすべきだと考えております。
○小宮委員 この勧告をした場合、従わなかった場合はどうなるのか。勧告は結局こういうような作物はつくるなということをただ単に勧告するだけのものか。さらに勧告をする場合は、これこれはつくってはいけませんよ、しかしこういうようなものをつくりなさいよという作目転換の指導もやるのか、ただ単につくってはいけませんという勧告だけなのか、その点ひとつお伺いいたします。
○中野政府委員 第五条にございますように、そういう地域につきましては汚染の程度等を勘案しまして利用上の区分をやりまして、そういう農用地はどう利用したらいいかという基本方針をきめます。したがって、そこは単に、おまえ、これをつくってはいけないというだけではなくて、指導といたしましては、そのかわりにどういうものをつくれということもあわせていろいろ指導はすべきだと思います。
○小宮委員 それではこの勧告に従って作目転換をする場合に、その転換資金は国が全額融資するわけでしょうか。また作目転換によって収入の道が開けるまでは農家の生活保障はどうするのか。ほかに転作するにしても転作資金が要るわけです。転作した品物が実際に現金収入となってくるまでには何年かかるわけですね。そうした場合の生活保障はどうするのかということなんです。これは米の生産調整とも密接な関係があるわけですが、いろいろ農家を回ってみますと、そのことが切実に訴えられているわけです。転換をしなさいという、転換資金はどうするのか、転換した場合に、それだけの品物が今後金になって生活に返ってくるまではだれが生活を見てくれるのかというような、そういったいろいろな話を農家の方からも聞かされておりますし、また訴えられておるわけです。したがって、そういった場合は、私は、国が——地方自治体でもかまいませんけれども、国が何らかの形の生活保障を考えてやるべきだというように考えます。特にこの問題は、そういった今後の——新聞紙上によれば三百万トンの生産調整をやろうとか転作の問題、いろいろありますし、いま農家の方々が非常に関心を持っておる問題でありますから、明確にひとつ御答弁をお願いいたします。
○中野政府委員 対策計画を立てて事業をやりますと、普通の場合は、もとの、米でありますればカドミウムを含まないようなものができるというところまで戻すわけでございます。客土なり何なりやりまして。ただ、そういうことができない、また、今後の農業の事情を見ましても、そこまで、米に戻す必要がないということになりますと、転作の問題が起きてまいります。しかしながら、その工事ができ上がってしまうまでの間は、やはり農家の生活の問題があろうかと思います。その場合に、原因者がおりますれば、それは暫定的にも損失を与えておるわけでございますから、その民事上の原因者と農家との間の話し合いで、損失補償の問題としてその問題は解決さるべきだと思います。ただ、原因者がいない場合どうするか。その点につきましては、いろいろな、地域によって実情が違うと思います。そこで、地域指定がありましたあとそういう問題が起こりますれば、融資の措置をどうするかということは、具体的にも農林省としても考えねばならぬことだと考えております。
○小宮委員 そのことに特に関係して、第五条、第六条、農用地の汚染対策についてでございますが、この法律にうたわれておる汚染対策としては、結局、水田の転換、沈でん池の設置、土壌改良、土層改良、地目の変換、こういったものがありますね。そうした場合に、「地目の変換その他の事業」とは、先ほどとも関連してくるわけですが、具体的にどのようなものを考えておられるのかということをお示し願いたいと同時に、この汚染対策事業を行なう場合、その費用については、この公害防止事業の費用負担法との関係は具体的にどうなるのか。これが適用されるはずですから、汚染対策事業を行なう場合のこの費用の負担については具体的にどうなるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
○岩本政府委員 第五条の第二項の二号の口の「農用地の土壌の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業」とありますのは、客土ははっきりしておりますけれども、客土の前提として、汚染した土を排除するという排除の事業も頭に置いております。それから、客土はしないで、土壌改良剤を投入したり、あるいは土を上層と下層をまぜ合わせて汚染の度合いを低くするといったようなこと、深耕なり天地返しなりをやることも頭に置いております。 それから、次のハの「汚染農用地の利用の合理化を図るための地目変換その他の事業」、この「その他の事業」は、先ほど答弁申し上げましたが、汚染農地にかえて他の農地を造成する事業等を頭に置いております。 法文の解釈は以上でございますが、これらの対策事業をやります場合の費用の負担をどうするかというお尋ねでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、原因者がはっきりしております場合には、費用負担法の原則にのっとりまして、その汚染の原因の寄与度等に応じて事業者に負担をかけていくということに相なります。この原則は、汚染の度合い、汚染の原因の度合いに応じて全額を事業者に持たせるのが原則でありますが、ただ、汚染の程度とか、あるいは汚染の原因となる物質の排出が非常に長期にわたる場合だとか企業者に全部を持たせるのが合理的でない場合には、妥当な額を減額することができるということになっております。ただ、その減額の程度を決定するのが非常に困難であります場合には、概定という規定がございまして、長期にわたってこの有害物質が積もった土壌の改良の場合には、四分の三から二分の一の範囲で企業者に負担させるということになっております。これが原因者がはっきりしております場合の費用負担法の費用負担の考え方の原則でございます。
○小宮委員 抽象的な表現ではなくて、もう少し具体的に答弁をいただきたかったわけですが、これはその企業に責任が明らかである場合は、この企業が二五%、国が五〇%、農民が二五%というような考え方を持っておるのじゃないですか。間違いですか。
○岩本政府委員 との問題も先ほどほかの委員の御質問に御答弁したところでございますが、原因者がはっきりしております場合には、ただいま御答弁しました費用負担法の原則によって費用を負担させますが、その残額につきましては、費用負担法には何も規定がございません。したがいまして、これはその個別の事業の実施の際に判断をして決定することになろうと思いますが、事業の特殊性、公害を受けておるという特殊性を判断して、農民にはできるだけ負担をかけないという方向で判断をしてまいりたいと考えております。
○小宮委員 できるだけ農民に負担をかけないということでなくて、もう農民には負担をかけさせないということで、やはり企業に責任がある場合は、企業と国なら国で負担をする、それで農民に対しては絶対に負担をかけません、できるだけとかなんとか言わぬで、もう少しはっきり言ってください。そうすると私も満足しますから……。
○岩本政府委員 個々のケースにあたって決定をしていく、決定されるべき性格のものだということをお答え申し上げましたのは、客土等の事業をやりますと、原状回復の効果を上回って、いわば増産効果と申しますか、そういうものが出てくる場合も考えられますので、原状回復に当たる分についてはお説のようなことになろうと思いますが、それ以上のことも考えられますので、ただいま申したようなお答えをしたわけでございます。
○小宮委員 いずれにしても、そういった土壌が汚染されたということは農家の責任じゃないわけですから、その土壌改良をやって見返りがよけいにくる場合には、そのことも考慮して幾らか出してもらおうというような考え方かもしれませんけれども、しかし、やはり土壌汚染は直接は農家の責任じゃないわけですから、そういった意味で私が意見として申し上げれば、やはりこれは、そういうような企業の責任が明らかである場合は、少なくとも企業と国が負担をして、農家の方には負担をさせないという考え方を明らかに、はっきりしてもらいたいと思います。 それからもしその場合、企業に責任が明らかである場合は別としても、やはり不明確な場合がありますね。そういうような場合に、企業に責任がはっきりしている場合はいいですけれども、不明確な場合にはどうなるかということなんです。そういった場合は、そういった考え方に立てば、少なくとも企業に責任がないということで、はっきりせぬということであれば、そういった場合といえども農民に対して費用の負担をかけさせてはいかぬ、したがって、その場合は国なり地方公共団体あたりでやはりその費用負担をすべきじゃないのかということで、企業の責任が明らかになった場合は別として、そういった不明確な場合に対する考え方をひとつお伺いします。
○岩本政府委員 原因者が不明確な場合におきましては、従来の土地改良事業のもろもろの制度に準じて対処することになると存じます。ただその場合にも、農民の負担につきましては、その公害であるという原因を考え、農民の立場を配慮しまして、この事業が円滑に行なわれるように対策を十分考えてまいりたいと思っております。
○小宮委員 これは地方自治体が負担する分についても、現在の地方財政はかなり窮乏しておるわけですから、できるだけ私は、そういうような責任の不明確な場合といえどもやはり国が全額負担するというくらいの気持ちで取り組んでもらいたいと思います。 それから汚染防止対策を実施する場合、公害防止事業団との業務の関係はどうなりますか。
○中野政府委員 公害防止事業団の業務範囲からいたしますと、おそらく農業関係のことはやらないように私記憶しておりますので、また先ほどから農地局長のほうが申し上げておりますように、これは県営事業でやりたいということで考えておりますので、両法は関係がないのではないかというふうに思っております。
○小宮委員 次は、第七条の特別の排水基準等のための都道府県知事の措置についてでございますが、この点については、農林省の当初の要綱案では、「農林大臣は、水質汚濁防止法若しくは大気汚染防止法の規定により定められた基準をもってしては、農用地の土壌の汚染を防止することが困難である場合に必要があると認めるときは排水基準又は排気基準を定めることができる」となっておりましたが、この要綱案による基準の設定について、財界からもいろんな苦情が出たように聞いておるわけですけれども、そういうような関係かどうかはわかりませんが、本法にうたわれておるような条文に変わっているわけです。この条文と当初の要綱案との関係でどういうように変わったのか、その点ひとつわかりやすく説明願いたいと思います。
○中野政府委員 当初われわれ土壌汚染防止法を考えろということを命ぜられました際は、まだ大気汚染防止法なり水質汚濁防止法がどういうふうに変わってくるかわかりませんでした。そこで土壌汚染の側からものを考えればこういう筋書きになるという気持ちで当初の案をわれわれつくったわけでございます。しかし、その後大気汚染なり水質汚濁の法律の体系が明確になりますと、そちらのほうで知事が一般の基準よりきびしい基準がきめられるということになったわけでございます。そうなりますと、そういう基準できびしい基準を定める場合に、土壌のことも普通は当然考えた上でつくるわけでございますが、場合によってはそういうことも考えない場合もあり得るわけであります。しかし、先ほどから申し上げております地域指定をやりまして、対策事業を、どのようなところにつきましてはそういう地域があって、どういう計画で対策上やれるかということも勘案した上で、なおもう少しきびしい基準が必要であれば、知事はそのことを頭に入れて必要な排出基準を定めなければならぬ、こういう気持ちで第七条を書きましたものですから、当初のものの考え方とそれほど——法文はいろいろ書き方は変わっておりますけれども、われわれとしまして実質的には同様のことはやれるというふうに考えておるわけでございます。
○小宮委員 次は第十一条の農用地の土壌汚染防止に関する措置の要請でありますが、その中で「汚染されることを防止するため特に必要があると認めるとき」とあるのはいかなることをさしておるのか。また「必要な措置をとるべきことを要請する」としておりますが、「必要な措置」とは何をさすのか、具体的な事例をあげて説明を願いたいと思います。さらに、このような措置規定を設けた趣旨及び必要性についてもひとつ御答弁願いたいと思います。
○中野政府委員 先ほど鶴岡先生の御質問にお答えしたとおりでございますが、これは一般的には、先ほど申し上げましたように、水とそれから大気の法律で規制ができます。しかし土壌のことを考えて知事が特別の排出基準を定めるというのもこの法律で書いてございます。しかし、それがなかなかできない場合というふうなわけではございませんけれども、その間関係各省と連絡調整をよくするために、ここにありますように農林大臣が関係行政機関、通産大臣なり厚生大臣なり企画庁長官に、もっときびしい基準をつくってくれないかという要請をするという意味でございます。そういう要請をすると同時に具体的に基準が定められますと、工場、事業場に対しまして都道府県知事はいろいろな改善命令なりその他の措置を講ずることが両方の法律できまっております。そういうこともひとつやってもらいたいということを農林大臣が要請をするという趣旨でございます。
○小宮委員 次は十二条の農用地の土壌の汚染に関する調査測定についてでありますが、都道府県のこの実施体制の現況と今後の方向がどうなっていくか。それと土壌の調査測定のみに限らず当然この生産物である食品等についても調査を行なうべきだと思いますので、関係機関の協力体制も必要ではなかろうかというように考えますが、この点についてだいじょうぶなのかどうか、ひとつお伺いします。
○中野政府委員 各県に、県の農業試験場でございますが、土壌のための調査部を設置しておりまして、全国で三百九名の職員を専任で置いております。したがいまして、人員的にはわれわれ当面これでだいじょうぶだと考えております。予算といたしましては、そういう職員が働く、また試験研究をやるための器具器材の充実をはからなければならないということを考えておりまして、今後ともこの事業の進展に伴いまして充実をはかっていきたいと考えております。それからまた各省とも、この土壌の問題がいろいろ食品の問題その他に影響がございますので、緊密な連絡をとるべまだと考えております。
○小宮委員 十三条、十四条の土壌汚染対策審議会の設置についてお伺いしますが、本法に規定する審議会は公害対策基本法において設立している公害対策審議会との関係はどうなるのかということです。この汚染対策審議会の設置は新設の必要性があるのかどうかという疑問を持つわけです。それよりもむしろ公害対策審議会の中にいろいろな分科会だとか部会などを設けても処理できるのじゃなかろうかというように考えます。特に審議会の設置とか整理統合に関しては昭和四十年にも閣議で決定されて、四十一年には審議会等の整理に関する法律が成立して、整理統合が行なわれている経緯から見てもむしろ逆行するのではなかろうかというふうに考えますが、ひとつ見解をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 一般論と申しましょうか、原則的には御指摘のとおりだと思います。行政の簡素化という意味で審議会等も不必要なものは整理をしておるという段階でございますが、これを特にここに入れましたのは、実は土壌汚染の問題を土壌の面から公害対策として取り上げましたのは、これはもちろん日本では初めてでございますし、諸外国にも例を見ません。先ほどから御議論がありますように、地域指定の基準を定めるにいたしましても、土壌を通じての専門家がかなりいるわけでございます。ところが中央の公害対策の審議会は委員二十名で組織されているだけでございまして、こういう土壌の専門家がなかなか入れにくいという特殊な事情がございまして、行政簡素化の中にありまして、特に関係方面の御了解を得ましてこういう審議会を特別に置いていただくということにしたわけでございます。
○小宮委員 十五条、十九条の立ち入り調査の問題ですね。これは先ほども質問が出ましたけれども、農薬取締法で明らかに立ち入り検査の問題は触れておるわけですが、そういったことについて先ほどの質問では私は不均衡が生じないかということなんです。片一方では有償にしておきながら、片一方では無償だ、そういう不均衡な問題がいろいろ農家の方の協力を得る場合に、やはり問題になってきはせぬかということをひとつ考えるわけですが、その点は御心配ないですか。
○中野政府委員 先ほども御説明いたしましたように、この場合はここにありますように、農作物なり土壌なりほんの少量最小限度いただくといった場合に、具体的な調査に県なりあるいは国の職員が行きます場合に、トラブルを起こしてはならないので、法律上の最小限の担保といたしましてこういうふうに規定したわけでございます。実際問題といたしましては農家に手ぬぐいを持っていくとかそういうことは事実上やっているわけでございます。その辺はわれわれ心配ないというふうに考えております。
○小宮委員 それから現在要観察地帯に指定された地域でのやはり汚染米の取り扱いですね。これについて再度質問したいと思います。これは私も九月十日の本委員会でも質問したわけですけれども、食糧庁長官はとにかく一PPM以上の米は買い上げませんという一点ばりであったわけです。この問題は、やはりいまの土壌汚染の防止法が成立してもすぐには解決できる問題ではないし、今後も依然として私は残る問題だというふうに考えます。したがってそういうような立場から、私はいまでも国が全部買い上げるべきだという主張には変わりはありませんけれども、不本意ながら一歩譲ったとしても、今度提案されておる公害防止事業の費用負担法あたりに準拠して何か、そういった企業責任が明確である場合は、先ほど汚染対策事業の場合に答弁されましたね、そういうような立場から、企業の側に責任があることが明らかになった場合は、そういった考え方で、ただ買い上げませんということではなくて、国なり企業なりが何らかやはり買い上げて農家の人たちにあたたかい手を差し伸べるということをすべきじゃないのかということを私考えるわけです。そういう場合、また不明確な場合はどうするかという問題があります。そういう場合、私はやはり国が買い上げるべきだというふうに考えますが、このことについて再度質問をして、買い上げませんという一点ばりのこの方針、姿勢を再検討する意思がないかどうか、ひとつ重ねて質問します。
○内村説明員 お答えいたします。 申し上げるまでもなく、現在の食糧管理制度は、国民の生活に必要な米を政府が買いまして、これを登録指定業者を通じて配給する、こういうたてまえになっているわけでございます。したがいまして、食管制度で扱う米はあくまで人間が食える米でなければならないわけでございます。ところが汚染米につきましては御承知のとおり、厚生省が食品衛生法に基づきまして一PPM以上のカドミウム含有米については販売、加工等一切の処分が禁止されているわけでございます。したがいまして、食糧庁といたしましてもそうした米は買うことができないというたてまえになっているわけでございます。 そこで、現在のところ、それでは一PPM以上のカドミウム含有米の線引きをした中の農家の米はどうなっておるかという問題でございますが、これにつきまして私が承知しているところでは、富山も群馬もそれぞれ企業が反当八万円何がしの補償をいたしまして、それからその保有米につきましては、人間の口に入れるわけにまいりませんので、食糧庁と県であっせんいたしまして、富山のものは新潟のライススターチの工場に売り、それから安中のものものりの業者に売っているということで、そういった保有米につきましても売買のあっせんをしまして、人間の口に入らないような形で処理しているわけでございます。したがいまして一PPM以上の米については、食品衛生法上の措置がとられておりますので、食糧庁としても買えない、こういうことになっております。
○小宮委員 たてまえはたてまえとして、この種の問題はそういった一つの政治ということも考えなければならないのではないかというふうに考えます。そういった意味では政府もようやく、要観察地域の一PPM以上の農家の保有米については政府米と無償で交換するということを決定したように新聞に報道されておりますが、この考え方をさらに一歩前進させて、そういったまあ政治でこの問題は解決できないものかどうか。これは、言ってもいまの答弁以上のことは出ないと思いますから、要望として申し上げておきます。 そのことと関連して、これはまた食糧庁のほうに質問しますが、最近の新聞で東京都が一PPM以上の汚染米の買い入れを決定したとか、あるいは〇・四PPM以上の水田を作目転換をさせる、それに対して必要な融資をするということが報道されております。この問題について山中総務長官が、それはいかにも食管法違反だというようなことを発言をしているわけですけれども、私はこういった問題についてはむしろ東京都がとったそういう姿勢がほんとうの政治ではなかろうかというふうに考えます。したがってそれをただ法律論だけでとやかく——いろいろな法的な関係もありましょうけれども、そういった問題をただ食管法違反であるかのごとき発言をしたり、水田の転作の問題にしても、買い上げの問題にしても、それはやれ法的な拘束力はないというようないろいろな問題はあったにしても、法理論的なものは別として、ものの考え方としては、こういった東京都がとったような姿勢というものがほんとうに農家の人たちの生活、いろいろな点に対してのあたたかい政治の姿だというふうに考えます。そういった意味で食糧庁長官としてこの問題についてどのような御見解を持っておられるか、山中総務長官はそういったことを言っておるわけですけれども、ひとつ食糧庁長官の見解を承りたいと思います。
○内村説明員 お答えいたします。 十一月二十五日にいわゆるカドミウムの汚染米と政府米との交換ということを政府が発表いたしましたが、これは要観察地域のカドミウム汚染度一・〇PPM以下の保有米と政府の米とを交換するということをきめたわけでございます。 次に東京都の問題でございますが、御承知のとおり現在の食糧管理法では自主流通米と特別の場合を除きまして、米を政府以外に売ったり買ったりすることは禁止されております。したがいまして個別に農林大臣の許可を得なければならないわけでございます。したがいまして産業公害対策特別委員会で山中長官が御答弁になりましたのは、東京都が食管法上の許可を得ないでやれば、これは食管法違反になるということを言われたわけでございます。そこで現在東京都は食糧庁にタッチしてまいりまして、いろいろ東京都と相談をしております。東京都といたしましては、個別的に農林大臣の許可を得て買い上げるということをやりたいという方針のようでございます。そこで十一月の二十五日に交換が発表になりましたので、ただいまのところでは東京都のほうも交換に非常に関心を持っておりまして、交換の手続等についていろいろ食糧庁の担当官と話をしているという現状でございます。
○小宮委員 これで私の質問を終わります。 ————◇—————
○草野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案の審査に資するため、参考人の出頭を求め、その意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は明九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十二分散会