社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/12/10
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 廃棄物処理法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 廃棄物処理法案については、今日まで各般の質問が各党を通じて行なわれてまいりました。その重要な意味はすでに御理解をいただいているとおりであります。特に増大をする廃棄物の中で、家庭の廃棄をするものをはじめとするいわゆる一般廃棄物と称するものの処理対策については、これを進めるにあたっては、本来地方自治体の固有事務として地方自治法の規定もある現状でありますから、やはり原則としては委託業者にゆだねる、あるいは許可業者を増加させるということのないように、本来的な意味における市町村の直営事業として実施すべきであるというふうにわれわれは考えておりますけれども、この際ひとつ大臣からこれに対する方針を承りたいと思います。
○内田国務大臣 田邊さんの御提起の問題は、先般来だんだん当委員会において御議論がございましたが、一般廃棄物の処理事業の実態を見ますと、それぞれの市町村によって条件は違いますが、今後の行政指導上の重要な課題であると考えますので、御趣旨も十分承りましたので、今後十分の検討を進めてまいりたい所存であります。
○田邊委員 われわれの主張と趣旨を生かして今後に対処していただくように心からお願いいたします。 さらに、いま申し上げた法案の中における一般廃棄物のうちで、特に家庭から排出されるもの——粗大ごみ等を除きまして、純粋に家庭が日常の生活の中から排出をするものについては、これは当然無料とすべきであるというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、これに対して厚生大臣はいかなる所見をお持ちであり、いかなる決意と方針をお持ちであるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○内田国務大臣 これも先般来御議論がございましたとおりでございまして、一般廃棄物の処理に対する手数料につきましては市町村が定めることになっておりますが、一般廃棄物のうち家庭ごみなどについてその実態を見ますと、だんだんと無料の扱いをする市町村が増加してきているところでもあり、御趣旨のような方向で今後とも努力してまいりたいと存じます。
○田邊委員 ひとつ、残余の問題もありますけれども、いま質問を申し上げたことを含めて、今回の法律の中身が国民生活、都市に集中をするところの市民生活に対して快適な生活が保持できるように、そして今後の日本の産業の発達と国民生活の向上に資するような十分な施策をやられるよう特にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○倉成委員長 ただいままでに委員長の手元に、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君から修正案が、また寺前巖君から修正案が、それぞれ提出されております。
○倉成委員長 順次、趣旨の説明を聴取いたします。まず、伊東正義君。
○伊東委員 私は、ただいま議題となっております廃棄物処理法案に対する自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 その要旨は、第一は、廃棄物の処理のみならず、清掃もこの法律の対象であることを明確にするため、題名を廃棄物の処理及び清掃に関する法律とするとともに、第一条のこの法律の目的に、生活環境を清潔にするという表現を加える等の修正を行なうことであります。 第二は、事業者の製造、加工、販売等にかかる製品、容器等が廃棄物となった場合において、その適正な処理が困難になることのないようにしなければならないこととして、事業者の責務を強化したことであります。 第三は、一般廃棄物処理業の許可の条件について、市町村による一般廃棄物の処理が困難である場合を加えたことであります。 以上のほか、所要の条文整理をいたしております。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
○倉成委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 ただいま議題となっております廃棄物処理法案に対する日本共産党提案にかかる修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 その要旨は、三つの問題点を持っております。 第一番目は、原案でありますところの政府の法案、これは市民生活を中心とした従来の清掃法を受け継ぐというわけには必ずしも言い切れないという性格を持っております。この点で必要な改正を考えたものであります。 第二番目の問題点は、国の責務がきわめて不十分であるということであります。国が、家庭用品の中に入り込んでくるこれらの廃棄物の困難な問題点に対する責務を負うこと、そして、同時に財政上の責務においてもきわめて弱いという問題があります。 第三点は、ここで出されたところの原案、これがはたして産業廃棄物を責任をもって正しく処理することになるかといえば、きわめて疑問を多く持っている。 こういう三つの点において、私は原案を支持するわけにいかず、ここに修正を出すわけであります。 何とぞ委員各位の賛成をお願いいたします。
○倉成委員長 両修正案について御発言はありませんか。 —————————————
○倉成委員長 なければ、これより廃棄物処理法案、これに対する伊東正義君外三名提出の修正案、寺前巖君提出の修正案を討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決いたします。 まず、寺前巖君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、伊東正義君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、廃棄物処理法案は、伊東正義君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○倉成委員長 この際、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君から、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。田邊誠君。
○田邊委員 私は自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。 廃棄物処理法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の実施にあたつては、特に次の事項について配慮すべきである。 一 廃棄物の処理にあたつては、これを再生利用し、資源化することを重視し、必要な処理技術の研究開発について特段の努力をすること。 二 産業廃棄物の処理は、事業者自らの責任で適正に行なうべきものであり、その処理を安易に都道府県又は市町村の行なう処理事業に委ねることのないように運用すること。 三 産業廃棄物の範囲を定める政令の制定にあたつては、その範囲を狭く限定することによつて一般廃棄物の範囲を不当に拡大することのないよう留意すること。 四 市町村が行なう一般廃棄物の処理に要する費用については、住民の負担を軽減するよう努めること。 五 一般廃棄物処理施設設置費に対する国庫補助率を引き上げる等国庫補助の内容の改善に努めるとともに、産業廃棄物処理施設設置費についても財政上の措置を考慮すること。 六 海洋に投入処分できる廃棄物を定める場合は、海洋を汚染し、自浄作用の限界をこえることのないよう慎重に配慮すること。 七 便所が設けられている国鉄等の車輌について衛生的にし尿処理ができる設備を早急に整備するため、関係各省庁の間において具体的方針を明確にし、処置を講ずること。 八 廃棄物処理施設の整備計画については、昭和四十六年度を初年度とする五ケ年計画を策定し、その実施に努めること。 九 廃棄物処理事業に従事する技術者の養成及びその事業に従事する者の労働条件の改善を図り、また、適正な人員配置を行なうこと。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については、伊東正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
○内田国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、政府といたしましても努力する所存であります。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、自然公園法の一部を改正する法律案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○倉成委員長 この際、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君から、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 自然公園法の一部を改正する法律案に対 する附帯決議(案) 政府は、自然公園の保護を強化するため、次 の事項について配意すべきである。 一 汚水排水設備の新設等に際しては、その資 金に対する金融上の措置を講ずること。 二 湖沼等を指定した際既に設置している施設 よりの汚水の排出及び特別地域内の河川への 汚水の排出については、適切な行政指導等を 行なうこと。 三 汚水排出許可基準の設定に際しては適正を 期すること。 四 特別地域内の民有地買上制度を今後さらに 拡充すること。 五 管理体制の充実を図るため、国立公園管理 事務所の増設及び管理員の増員を行なうこ と。 六 自然保護思想の徹底を期するため、自然保 護憲章が早急に制定されるよう努力するこ と。 七 自然公園内の自然環境の保護のため、森林 をはじめとする植生の保護復元に努めるこ と。 八 自然公園内における清掃の実施等その清潔 の保持に要する費用に対し財政上の援助措置 について特に配慮すること。以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については、伊東正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
○内田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重して、政府といたしましても善処する所存でございます。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○倉成委員長 この際、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君から、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。田畑金光君。
○田畑委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の実施にあたつては、特に次の事項について、配慮すべきである。 一 毒物又は劇物の運搬についての安全基準を定めるにあたつては、毒物、劇物関係取締官庁間において緊密な協議をし、また、毒物、劇物運搬業者の管理監督についても相互協力をすること。 二 無機シアン化合物を取り扱うメッキ業者の排出する無機シアン化合物を含有する廃液の処理について、管理監督を強化すること。 三 農薬の事故防止のため、農薬の正しい取扱い方、中毒時の応急措置などの周知徹底を図ること。 四 毒物又は劇物を使用した家庭用品の表示については、正確にかつ具体的に明示する等抜本的改善を図ること。 五 毒物又は劇物の運搬業者又は処理業者について、毒物及び劇物取締法による登録業者とすることを検討すること。 六 毒物劇物営業者等が廃棄物の回収等の命令に従わない場合の罰則について検討すること。 七 毒物及び劇物の指定にあたつては、単に急性毒性のみならず、催奇性等も考慮し、総合的に毒性の判断を行なつて指定するようにすること。 八 毒物及び劇物の監視体制を強化し、特に毒物劇物監視員の充実を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については、伊東正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
○内田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重して、政府といたしましても対処する所存でございます。 なお、先般来慎重御審議をいただきました公害関係三法律案につきまして、本日御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。 —————————————
○倉成委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○倉成委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 今国会は公害国会といわれまして、国民のいろいろな災害に対してこれを救済する措置を講ずることをわれわれは検討してまいりました。イタイイタイ病、水俣病あるいはその他カドミウム汚染等によるところの被害者の救済はきわめて緊急を要するのであります。公害に悩むところの国民に対して国が責任を負うべきことは当然でありまするけれども、しかしまた、いま日本の国にはそれ以外にいろいろと大きな病気、困難な病気にかかっておる国民も多いのであります。 私が本日特に大臣に対してお伺いしたいのは、いわゆる小児ガンといわれておる子供の難病についてであります。この小児ガンによるところの死亡は、現在明確ではありませんけれども、年間二千人に及ぶといわれております。子供の病気の中では死亡率は第一位を占めるといわれておるのであります。しかもこの特徴は、ガン細胞の発達がきわめて早い。したがって、年間四千人余の罹病の中でその半数以上が死亡するという悲惨な状態であります。さらには、子供のかかる病気であり、しかも治療が長くかかり、治療費が高い、そういった点から見て、若い親たちにとってはきわめて負担が多いということであります。この経費負担にたえかねるという悲痛な叫びが随所に起こっている状態であります。 小児ガンは、専門的にいえばいろいろとございましょうけれども、その多くは急性の白血病が多い。すなわち血液のガンでございます。一時は化学療法等によって表面の回復が、緩解といわれる状態がまいりまするけれども、しかし結局は死亡するという例が非常に多いのであります。私の手元にも小児ガンで子供をなくしたおかあさんからの手紙がいろいろと届いております。私はこれを読みまして、涙なしに実は見ることができなかったのでありまするけれども、こういった例は全国各地に山積をしておるのではないかと思います。しかも子供は助けたい、病気はなおしてやりたい、しかし治療費にはたえかねる、こういういわば悲痛な叫びに対して、私はこれを黙って見過ごすわけにはいかないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。 しかし、これに対するところの国の対策の実態というのはきわめて貧弱であります。国立がんセンターに子供の部屋というのがあるそうでございまするけれども、わずか十五ベッドがこの子供の難病に対して当てられているところの病床である、こういうふうにわれわれは聞いておるわけでございます。小児ガンの研究費を含めた助成費というのはわずか五百万円に足りない、こういう実情であると承っておるのであります。アメリカにはすでに小児ガンの研究財団ができておりまして、ジミーファンドというりっぱな財団の中でもって実は小児ガンに対して積極的に取り組んでいる、こういう状態であります。国立がんセンターの話をいたしましたけれども、専門医はわずか二人、看護婦はおとなのベッド三十ベッドを含めて昼三人、夜一人という状態であるということを私どもは聞くにつけて、現在のこの国の政策の貧困さに対して嘆かざるを得ないのであります。 この小児ガンについては、いま申し上げたように、何としても治療費がたくさんかかる。病院への支払いが一日平均四千円ぐらいかかるのではないか。しかも、これに加えて付き添いのための食事代、あるいは親たちが病院に通うところの交通費等を含めまするならば一日大体五千円ぐらいはかかるのではないかともいわれておるのであります。たとえ医療保護を受けましても、いわば部屋はできるだけ個室がほしい、こういう状態からいいましても、一日三千円ぐらいはどうしても最低必要であるという状態を私どもはよく認識をしなければならぬと思います。加えて、この小児ガンにかかった子供に対して一番必要なのは、何といっても輸血であります。しかもこれは保存血ではなくて生鮮血を必要とするところに実は大きな壁がございます。これらのものを加えて見ますると、たとえば半年間入院をいたしましても治療費が七十万もかかる、こういうことを実はわれわれは承っておるのでありまして、こういった治療費の膨大なのにたえかねてやむなく退院をさせる、こういう例も実は間々あるわけでございまして、子供の死亡を待つばかりという悲惨なことを私は聞き伝えて、まさに腹の中が煮えくり返るような気がいたしておるわけであります。 こういった現状に照らして、私どもはこの小児ガンの対策というものを、いまや国の責任において早急に立つべき段階にきたと私は認識をいたしておるわけであります。もちろん小児ガンだけが病気ではございません。子供がかかるところの病気には、それ以外にもたくさんの病気がございます。長くかかる病気もございまするし、医学上まだ十分な原因の究明あるいは治療対策等がはかられておらないものもございます。しかし、いずれにいたしましても、この難病中の難病といわれる小児ガンに対して、国の対策というものが確立することは、すなわちそれ以外の子供の病気あるいはおとなの病気も含めて、国民が悩んでおるところの困難な病気に対して、国の施策が進む一つの一里塚、突破口になるのではないか、こういうように実は私は考えておるわけでございまして、そういった点で厚生大臣以下厚生省当局もいろいろと悩んでいらっしゃると思う。率直に言って私はいろいろと苦労されておると思いまするけれども、このいわば随所に起こっておるところの小児ガンの悲惨な状態を踏まえて、これに対するところの対策をこの際ひとつ前進をさせる必要に迫られてきておるのではないかと私は思うわけであります。 現状の認識について大臣もおわかりだろうと思いまするけれども、まだまだ十分な調査が行き届いておらないために、実態の把握も実は十分ではございません。しかし、ともかくもいろいろとこれに対するところの、いわば国民的なキャンペーンもしかれており、あるいは生鮮血を求めるところの学生の立ち上がり等も実は見られておるという現状の中から、これに対して何らかの措置をすべきであるということに対しては、私の意見に御賛同いただけると思うわけでございまして、ひとつこの際大臣から、現在の状態に対して、あなた方は一体どういうふうにこれをしようとするのかということに対して、まず基本的な考え方を承りたいと思います。
○内田国務大臣 田邊委員からだんだんと小児ガンの治療あるいはまた小児ガンを持たれる親の方方の苦痛、ことにそれは経済的苦痛と精神的苦痛の両方をあわせ背負ったような状態にあられること、それは私も全く同じ思いでございます。実は私もわりあいに最近ガンの子供を持つ親の会の代表者の方々にもお目にかかりましたし、また医療を担当されるほうの医師の代表の方々、また学会の方々にもお見にかかりまして、この小児ガンというものが非常に私どもが一そうの関心を持たなければならない疾病でありますこと、またその治療の方法や組織につきましても今後さらに国が配慮すべき幾多の点があることを感じておるものでございます。でございますが、これまで国のそれに対する施策というものは、御指摘のとおり十分でなかった点があることを、また同時に私は正直に認めております。 今日は国民皆保険、皆医療の時代にはなってきておりまして、ことに保険の場合には、被保険者本人の場合には、企業におつとめの方々はこれは全額保険負担というようなこともございましょうけれども、小児ガンというものは医療保険の被保険者本人では全くないわけでありまして、家族でありますために、そういう保険制度がございましてもやはり患者の自己負担、すなわちその両親の負担というものが残されております。また手術費も、ただいまお話がございましたように、非常に多額を要するものでございますので、その辺につきましては、私は保険だけですべてを処置し得るとは思いませんので、何らか社会があるいは国が力をかすべき対象のものであるとほんとうに私は考えます。 直接的には、国が出します場合には公費医療というようなものの対象にできるかできないかということでございますが、これは田邊先生もよく御承知のとおり、ガンで死亡される方は、子供さんばかりでなしに、おとなも含めますと年間十一、二万人ございまして、わが国における死亡原因の第二位を占めております。その中で小児ガンで死亡される子供たちは年に二千人内外と、こういう状態でございますが、実は同様の病気、たとえば小児のじん臓疾患でありますとか、あるいはまた小児の後天性の心臓疾患でありますとか、あるいは子供のリューマチ熱とかいうような、これは病気は違いますが、同じようにまことに悲惨で、精神的にも経済的にも親を必常に苦しめる病気がございまして、それらに対する取り扱いをもあわせて考えていかなければならないという問題がございます。 しかし私は、正直のところ、それを一ぺんに解決することができなくても、社会的にもこれだけ大きな反響を呼んでおります小児ガンというものを突破口として、私がいま述べましたような幾つかの小児の悲惨な病気、また両親の苦しみを救う道を開いてまいりたいと真剣に考えておりますが、何しろ国費といいますか、あるいは公費支弁ということになりますと、結局は大蔵省と交渉の問題もございますので、大蔵省と交渉を強く私は進めていきたい、こういう考え方でございます。また、公費負担ばかりでなしに、御指摘がございましたような治療の研究とか、治療の組織というものにつきましても、先ほども述べましたように、学界やまた医師の側からの御要請もございますので、それらの対応策につきましてもぜひ進めてまいらなければならない、こういう気持ちを持つものでございます。
○田邊委員 何しろ公害国会にふさわしい審議の中で、私が特にこれを取り上げたのは、いま大臣がお話しのあるように、国の政策というのは一つのバランスの上に立つことは私も十分承知しています。したがって、小児リューマチやあるいはじん臓疾患、心臓疾患ということで、それ以外においても実はいろいろな悩みの多い病気にかかっておる子供があることは私も承知しておりますが、私は、その中でも難病中の難病といわれ、死亡かこれだけ多い小児ガン——小児が非常にたくさんかかる、しかも、あとでお聞きをいたしまするが、いわゆる生鮮血を必要とするそういった特異な病気、これに対して国があたたかい措置をすることは、他のそれらのものに対するところのやはり一つの大きな礎石になる、こういう認識でありまして、その点は大臣と一致をいたしました。したがって私は、いま日本小児科学会の総会やあるいは小児外科学会の総会等において決議された、この要望を大臣が受けて、ひとつ前向きに善処したい、こういうお答えがあったことも十分承知をしながら、これらに対する具体的な対策をぜひひとつ進めてもらいたいということを実は要望しておるわけでございます。 東京都においては、この小児ガンの患者の本人負担分について都が肩がわりする、こういう措置をとったことも聞いておるわけでございまして、これらの予算措置というものを都かやっておることは、私は一つの画期的な事実だろうと思うわけでございまするが、国は国なりに私は悩みが多いと思うのです。そこで、四十六年度の概算要求をしておりますから、直ちにそのワク外において問題の処理に当たることは現在の時点においては困難だと思いまするが、しかしそれにはそれのくふうがあると私は思うのであります。したがって、政府がいろいろと考えていらっしゃるところの、たとえば各種の研究費、その中にこの問題をとらえて、これに対するところの対処をするということも、これまた不可能ではないというように思うわけでございまして、特別研究費の概算要求の中で、特にこれらの問題に対してひとつ特別な研究の措置を講ずるような、そういうお考え方を出すことも一つの方法ではないかというように思っておるわけでありまして、直ちに全面的な公費負担という措置がとれなくても、ひとつ現在の時点の中で一つでもその道が開けるということに対して、大臣の決意とくふうを国民は要望しておる、こういうように私は思っておるわけでございます。私があまり多く突っ込んで、いま幾ら要求しておるのだ、これだけは回すべきだというようなことを話すことは、私はあえていたしませんけれども、しかし私の言わんとする趣旨はよくおわかりだろうと思うわけでございます。これをひとつ来年度を目ざしての予算の措置について、大臣なりあるいは厚生当局が前向きのお考えがあるならば、この際お答えいただきたい、このように思います。
○内田国務大臣 多くは申しませんが、田邊委員が言われましたこと、私は一つの示唆であると考えますので、いろいろ私も苦心してやってまいりたいと存じます。 ただ、元来が、いままでの公費医療の対象になっておりますのが一つは主として社会防衛的な疾病と申しますか、らいとか精神とか結核とか伝染病というようなものから始まりましたようでございまして、単にお金がかかるからということだけではなかなか取り上げられておらないようでございます。しかし今日の一部の老人医療とか、一部の小児医療とかいうもの、社会防衛的なものでないものを取り上げられるべきそういう時運に私は来ておると思いますので、いろいろなくふうをいたしまして善処をしてまいりたいと考えます。また、きょうは、幸い御要求によりましてここに医務局長も繁務局長も児童家庭局長もみなそろって、私の答弁やらあなたのお話を聞いておりますので、皆でくふうをいたしてまいりたいと思います。
○田邊委員 これは一つのタイミングというものがありまして、やはりいろいろとわれわれは現在の世論というものに対して——厚生省のやり方に対して私は叱咤激励するのではないかと思うのです。したがって、そういう意味合いからいいましても、大臣の御答弁がそのままひとつ実現の端緒となり、実現の方向に進むことを私は強く要望してみたいと思っておるわけであります。 それから、もう時間がないことを私は承知しておりまするので端的にお伺いいたしまするけれども、もう一つの問題は、何といっても血液の問題でありまして、保存血液でない生鮮血なり血小板なりが必要であるという点から、たとえば日赤等でもって血液センターから融通をしてもらうことはできましても、しかしこれに対しては、いわば借りた分を返すという、こういうことが必要になってまいります。あるいはまた、一回の生鮮血が大量に必要であるという、こういうこともございます。したがって、これに応ずる人たちというものを登録をし、それをそろえていくことは非常に困難であるというように思っておるわけでございまするけれども、現在東京献血学生連盟が献血のキャンペーンをしていることはすでに御承知のとおりでありますけれども、このいわば生鮮血なり血小板の大量に必要であるということに対して、これを一体どう系統的に充足できるものか、あるいはまた、これに融通してもらった血液を返さなくても済むような道を開くべきではないか、私はこう思っておりますけれども、これは大臣なり薬務局長からこれに対するところの体系づけと、適切な処理というものができるものかどうか、そういう具体的な方法について十分な検討をする御用意がおありなのかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○加藤政府委員 血液につきましては、確かに小児ガン等については新鮮血が必要であるということでございまして、実は血液センター等におきましては、従来は先生も御承知のように、採血後四日以上たった保存血液に重点を置いてやっておったわけでありますが、しかしやはり小児ガン等の病気で新鮮血がぜひ必要だという要望が強くなりましたので、ことしの二月から血液センターにおきましても新鮮血をどんどん供給するようにという措置を、これは全国の課長会議で行なったわけでございます。問題は、新鮮血の中には、いろいろな検査をやる前でございますので、ちょっとした危険もございます。しかし、そういうものについても危険があるということを注意の上で医療機関に流すという措置をいたしたわけでございます。それで血液センターから流したものについて返すということは、これはいわゆる血液銀行の預血の場合はそういう問題が出てまいりますけれども、日赤でやっております場合には返してもらう必要はないわけでございます。 ただ、医療機関の中には、日赤で新鮮血を供給するということについてまだ十分認識されてないという点もあるようでございまして、そういう点は私どものPRのしかたとか、あるいは日赤のPRのしかたにも問題があると思いますが、血液が不足の場合を調べてみますと、日赤の血液センターのほうに相談してないというような例もあるようでございます。そういう点は、早急に血液センターにおいて新鮮血を必要に応じてどんどん供給するという点ももう少し周知徹底する必要があろうと思います。しかし、何といってもまだ血が足りないということは事実でございまして、献血組織の育成、いま先生御指摘のありましたように、善意の学生さんたちが非常によくやっていただいておりますが、そういう献血組織をさらに育成していくということで、血液の絶対量を高めていくということに努力してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○田邊委員 この小児ガンについては、国民がかなり善意の立場に立って、非常な関心とともに協力しようという動きがあるわけであります。ところが、この小児ガン等に対して寄付をした場合は、残念ながら現在のところ、法人税法の規定によりまして、社会福祉事業に対するところの寄付については、指定寄付以外はいわば課税をされるという状態であります。「財団法人がんの子供を守る会」の設立に対して寄付をいたしました方に対して、一億円のうち四千二十九万円の課税がなされているという形であります。私はこの指定寄付が一般から広く応募されたもの、あるいは公益の事業で緊急を要するものという規定がございますことは十分承知いたしておりますけれども、やはり政治は本来あたたかいものでなければならぬという点から見れば、これは実は将来特定の人の寄付にとどまらなくなる、そしてまた、もちろん公益の事業であり、また子供のガンを守るという立場からいえば、その緊急性も当然私はその範疇に属することはできると考えるわけでありまして、法の趣旨を曲げたような立場の人があらわれることを防ぐことはあくまで必要でありますけれども、しかしまた、善意の寄付に対してその趣旨が十分生かされるようなことも国の措置で当然必要ではないかと思っているわけであります。いままでこういった課税の状態に対してわれわれはいささかの疑義と、これに対する危惧を持ってきたのでありますけれども、今後これらの寄付行為に対して法人税法の適用をさせ、あるいはまた何らかの幅広い措置を講ずる中でもって善意の寄付がそのまま生かされるような、そういう状態をぜひともつくり上げてもらいたいというふうに思っておりますけれども、大蔵省のほうはこれに対して一体どういうようなお考え方でありましょうか。
○倉成委員長 大蔵省、来ておりません。
○田邊委員 主税を呼んでいるはずです。
○内田国務大臣 実は私は田邊さんも御承知のように大蔵省におったこともございます。大蔵省におりましたときは、大蔵省的な考え方からすればいまの税法がいいと思っておりましたし、また今日の大蔵省におる人もそれがいいと思っておるようでありますが、さてその大蔵省を卒業して広く実社会に接してみますと、ああいうやり方は現実に合わない、また人類の理想に合わない、こう思うものでございまして、はなはだ微力で申しわけありませんが、厚生省に参っておる間に、これまでの社会福祉事業一般に対する非課税の取り扱いなどが現実に合わない点を幾つか指摘して、その非課税の範囲をできるだけ幅を広げるように私も努力をいたすつもりで現にやっております。これが直接富国生命の「がんの子供を守る会」に対する寄付金にぴったり合うものかどうか、まだ結論が出ませんけれども、そればかりを対象とせず、社会福祉というものは、国地方公共団体が税金を取ってそれをまたその予算に組んで支出するというような、取るとき、出るとき、摩擦熱でとうとい社会福祉の財源が半分に減ってしまうということばかりでなしに、やはり世の中の善意というものがそのままフルに社会福祉の財源になるような、そういうことも同時にやっていかなければ、私は直接財政だけで福祉国家の理想は達成されないと思いますので、税につきましては、この際できる限りそういう私が申したようなところにかなうようなことをしていただくようにさらに努力を続けます。
○田邊委員 ぜひ大蔵大臣とも相談されまして、これが現実的に適正な処理ができるように、大臣の努力を私は心からお願いしたいと思うのです。具体的な問題をいろいろお聞きしたいのですが、あと二、三分で終わります。 児童家庭局長もおいでですが、やはりこれは子供というワクでもって処理することは一つの大きな効果をあげるもとになるのじゃないか、私はこう思っているわけでありますが、児童家庭局長なり医務局長、国立の小児の医療センターを新設することが企てられておるようでございますけれども、それらの子供がおとなと接触をして多感な年代における病気に影響があってはいけませんので、その中に小児ガンなりその他の難病の特殊なセンターなりコーナーを設けることが必要なのではないかというふうに思っているわけでございますが、それらに対して来年度においてもその考え方の趣旨を小児ガンについても生かして適用する、こういうことをぜひやってもらいたいと思っているわけでありますけれども、お考え方がありましたら一言御説明いただきたい。
○松尾政府委員 小児ガンの問題を中心にして体系をつくりますことはきわめて必要が強いと私は従来から感じております。現在でもガンの治療体系は、すでに御承知のとおり、国立のがんセンターを中心にして都道府県まで一つのネットワークを張るということで整備してまいっております。現在、都道府県の段階で申しますと、約九十七の、都道府県にあるガン診療施設等が整備してまいっておるわけであります。そこではすべてのところに小児科という診療科を持っております。いわばガンの治療機能というものと子供の治療というものがそこで一つの接合ができるような形になっております。しかしながら、さらにこの問題はもっと子供という問題の特性、ただいま御指摘がございましたような点から、小児ガンも含めまして、小児の医療体系というものはもっと突っ込むべき問題であろうと考えて、そういう意味で国立のがんセンターというものを中心にするという考え方以外に、国立の小児病院という子供を中心にしたセンターがあるわけであります。したがって、その方向を中心にいたしまして、いわば子供にふさわしい治療体系のあるような施設をつくりたい、こういうことで私どものほうでも来年から国立、公立を含めまして都道府県にもそういうセンター、あるいは場合によりまして、御指摘のようにコーナーになるかもしれませんが、そういうものを体系的に整備したい、こう考えておるわけでございます。その際には、私どもは当然子供を特性としての治療を担当するわけでございます。同時に、小児ガンの治療のできるような施設というものにして、小児特有の治療環境あるいは治療施設というものの完備した施設を、お説のとおりにつくりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田邊委員 いま申し上げたように、医療の担当の面とあわせて、子供を守る、しかも悲惨な親を救うという立場から私はこの問題に対して対処されることがどうしても必要であるというふうに思っているわけでございまして、ひとつ坂元児童家庭局長も、いま申し上げた子供のサイドからこれを一体どう処理するか、それが他の子供の病気にどういうふうにいい影響を与えるかということに対しては十分のお考え方があると思うのでありますけれども、これらの対策に対して、あなたのほうの具体的な対策に対してもぜひお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○坂元説明員 小児ガンを含めまして、小児特有の疾病で、しかも治療費等が非常に高額にわたるものが非常にたくさんございます。したがいまして、そういうような問題全般を含めましてどうするかということは、先ほど大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、さしあたり小児ガン問題につきましては、すでに先生るる述べられましたように、いろいろな悲惨な状況なり経済的な負担というような困難な問題がございますので、私ども小児ガン問題につきましては、大臣からも強い御指示をいただいておりますので、この問題については、今後理論的な根拠というものを十分考えながら、一つの方策を今後前向きに検討していくという態度でいま省内においてその作業を進めているところでございます。
○田邊委員 大臣、いろいろとお聞きをしまして、私は意を尽くしませんけれども、私の意味するところは十分おわかりのとおりだろうと思うのであります。どうかひとつ幼い子供に将来の寿命を与えてやる、そうしてまた、若い親たちに対して光明を与えてやる、こういう立場のあたたかい仕事というものが厚生省当局によってなされ、厚生大臣の決意と勇断によってその道が開かれることを望んでいることを十分お含みをいただいて、これに対してひとつ大きな厚生行政の光をさしてもらいたいということを私は強く要望いたすわけであります。 最後に、大臣から繰り返してひとつこの問題に対して決意のあるところを一言お伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○内田国務大臣 先ほども申しましたとおり、近来この問題は私の心に大きくかかっている問題でもございますので、最善の努力を尽くしてまいりたいと存じております。
○倉成委員長 次回は、明十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十四分散会