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64回国会衆議院1970/12/16

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号

発言数
43
登壇者
7
会派数
3
開催日
1970/12/16

会議録

大西正男自由民主党

○大西委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため、委員長の指定により私が委員長の職務を行ないます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡沢完治君。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 私は最初に、宮澤行政局長が二時までしかこっちにおっていただけないということでございますので……。  局長はこの夏たしかヨーロッパにお行きになりまして、それだけが目的ではございませんでしたが、十八歳選挙権の問題等につきましても御調査になり、見聞を広めてこられたというふうに仄聞をいたしております。この十八歳選挙権の問題は、当委員会でも何回か議論の対象になりました。アメリカ、西ドイツ、イギリス等新しくこの制度を採用した国もございます。それぞれ国情の違いもあり、またその採用の理由につきましても個別的な事情があろうかと思いますが、日本におきましても十八歳の諸君の現状を考えました場合、りっぱに社会人として大多数が労働に従事し、しかも納税の義務も果たしておるというようなことも考え、最近の心身の異常な成長というようなことも考え、逆にまた彼らのあり余る力が、昨年等におきましては学生騒動という形をもって暴発したことを考えました場合、この彼らの不満あるいははけ口をむしろ積極的に国政に参加させるということによって、責任感、自覚を与えるというような効用も考えられようかと思いますので、行政局長の明敏な頭脳で、最近のヨーロッパの知識等を中心にして、この十八歳の選挙権問題について、大臣、次官とは違った角度でどういうふうな御見解、御抱負をお持ちであるか、そのメリット、デメリットも含めてお聞かせ願いたいと思います。

宮澤弘自治省行政局長

○宮澤政府委員 ただいまお話しの十八歳の選挙権問題でございますが、ただいまお話しのように何ぶん日数等も長いことではございませんので、必ずしも十分な調査ができたとは思いませんが、大体調査をいたしました概略を御報告をいたしたいと存じます。  まずイギリスでございますが、イギリスにおきましては五、六年前からこの問題が一般に議論をされていたようでございます。労働党も一九六六年でございますか、それ以来党の公約もし、そういう形でこの問題の推進をはかっていたようでございます。そういうことを背景にいたしまして、イギリスの国会の下院に、選挙制度全般についての問題点を議論をいたします下院議長の諮問委員会ができまして、その中でただいまお示しの選挙年齢の引き下げの問題もいろいろ議論をいたしたようでございます。その結果といたしまして、諮問委員会におきましては二十一歳から二十歳に年齢を引き下げる、こういう決定をしたようでございます。それから、そのころ同時に政府の諮問機関といたしまして、成人年齢全般について審議をいたしますレーティ委員会というのができております。この委員会は、公民権の問題を除いて成人年齢全般についての審議をいたすことを使命にしていたようでございます。このレーティ委員会は、審議の結果といたしまして、成人年齢を二十一歳から十八歳に引き下げる、こういうことを決定をいたしたわけでございます。そこで、当時の労働党政府といたしましては、ただいまも申しましたように、一つは国会内部の委員会、一つは内閣の審議会というような形でございましたけれども、二つの委員会からの答申がございまして、その答申の中身が必ずしも同じではないというような事情であったわけでございますが、いろいろ議論をいたしました結果、選挙権の年齢を二十一歳から十八歳に引き下げる、こういう案を提案いたしまして、議会で多数で可決された、こういうことになっておるようでございます。  そこで、議会の審議その他につきましては、委員会の議事録等が公表をされていないというような慣習もあるようでございますので、必ずしもどういう議論が行なわれたか、的確な資料がないわけでございます。新聞その他から、国会の審議をめぐってどういう議論が行なわれたかということの大体について御報告を申し上げてみますと、これにつきましては賛否両論あったようでございます。  賛成論といたしましては、先ほど岡沢委員お示しのように、近ごろは肉体的に成熟が早くなったわけでございます。結婚の年齢も若くなった、したがって、社会に対して若い人が責任を持っておる、こういうような意見でございます。あるいは、教育も進み、青年層の知識も豊かになってきたというような意見でございます。あるいは、政治に若い人のアイデアリズム、理想主義を吹き込むためにも選挙年齢を引き下げるべきではないかというような賛成論もございます。あるいは、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、学生運動等を中心にやはり若い人の問題が国家的な関心事になっておりまして、そういう若い人の疎外感というものを克服するということは、やはり国政に参加させるということを通じて疎外感を克服させる必要があるのではないかというような意見でございます。あるいは、税金を払っている以上は当然国政に参加をする権利があるのではないかというような意見等がございます。そういうようなものが選挙権の年齢を引き下げるにあたっての賛成論であったように承知をしております。  これに対しまして反対論、消極論というのは、その裏になるわけでございますけれども、結局、たとえば肉体的にはなるほど成熟しておるけれども、精神的には成熟していないではないかというような意見でございます。あるいは、成人に理想主義を吹き込むといっても、未熟なアイデアリズムというようなものは危険ではないかというような意見でございます。あるいは、若い人自身が国政に参加することをそう望んでいるとは思えないというような見解でございます。さらに、なるほどいろいろ社会的には若い人も活動をしておるけれども、私的なことについての判断能力、それから公的な社会的なことに対する判断能力というものはおのずから異なってよいのではないかというような反対論と申しますか、消極論というものがあったように承知をいたしております。  しかし、そういう議論が戦わされました結果、国会におきましては多数で可決をされて、ことしの春の選挙から十八歳に引き下げられておる、こういうことになっておるようでございます。  そこで、それに関連いたしまして、選挙権の年齢を引き下げるならば、そのほかの成人年齢、こういうことは一体どうなっているだろうか、こういう問題が一つあるわけでございますが、イギリスにおきましては、選挙権の年齢引き下げとともに他の法令におきます成人年齢も大体十八歳に引き下げているようでございます。ただ刑法の成年、未成年、これは相変らず引き下げていないようであります。それ以外の、たとえば結婚の年齢でございますとか、あるいは訴訟能力についての年齢というようなものは引き下げているということになっているようでございます。以上、が大体イギリスにおきます事情でございます。  それから西ドイツでございますが、西ドイツは御承知のように連邦国家でございます。経緯といたしましては、各州が年齢を引き下げまして、そういうことを背景に、連邦議会の選挙権の年齢につきましても引き下げを行なう、こういう経緯がございまして、二十一歳から十八歳に引き下げられているわけでございます。やはりこの引き下げにつきましては、イギリスにおきますと同じような、いろいろ賛否両論の議論が行なわれていたようでございます。ただ、西ドイツにおきましては、イギリスと多少事情が違います点の一つは、御承知のように、西ドイツにおきましては徴兵制をとっております。徴兵年齢が十八歳でございます。したがいまして、兵役の義務に服する以上は当然政治に参画をすべきではないかというような意見もより強く主張された、こういうような経緯もあるように承知をいたします。大体ドイツにおきましては以上のとおりでございます。  それからデンマークにつきまして、やはり大ざっぱでございますが調査をいたしたわけでございますが、デンマークにおきましても選挙年齢は二十一歳でございます。これにつきましては、昨年でございますか、選挙年齢を二十一歳から十八歳に引き下げるという法律案が国会で通過をいたしました。ただデンマークにおきましては、憲法の規定上、それを国民投票に付さなければならないということになっていたようでございます。そこで国民投票に付しましたところが、七対三くらいの割合で否決をされた、こういう経緯があるようでございます。なおその辺を聞いてみますと、二十一歳から十八歳に引き下げることについては否定的な意見が多いけれども、二十一歳をあるいは二十歳くらいに引き下げるということであれば賛否相半ばするのではないか、こういうような調査というものがあるように承知をいたします。  それから、順序が前後してたいへん恐縮でございますが、先ほど、イギリスにおきましては選挙権の年齢の引き下げに応じて、特別なものを除いて、ほかの成人年齢も大体引き下げたということを申し上げたのでございますが、ドイツにおきましては選挙権の年齢だけを引き下げておりまして、ほかの民事法なり刑事法なりその他のいわゆる成人年齢につきましては、引き下げを行なっていないのでございます。その点につきまして学者その他に質問をいたしたわけでございますが、ドイツにおきましては、民事法なり刑事法なりは独自の年齢の体系を持っているようでございまして、たとえば刑事法でございますと、二十一歳から十八歳までが一つのグループ、それから十八歳から十四歳でございますか、というようなものが一つのグループということになっております。選挙権の年齢の引き下げに応じて、たとえばいまの刑事法の年齢を引き下げますと、非常にそこに矛盾が出てくるというようなことから、選挙権の年齢だけを引き下げており、そのほかのものは引き下げていないというのが現状でございます。  たいへん大ざっぱでございますが、大体調査をいたしましたところの概略は以上のとおりでございます。  そこで、先ほど、そういうことを前提にして、この問題についておまえはどう考えるか、こういう御質問でございました。この点につきましては大臣も御答弁を申し上げていると思うのでございますが、私個人の意見といたしましても、いま申しましたように、イギリスとドイツとでは、選挙権の年齢とほかの年齢の引き下げとの関係が全く立場が異なっておりますので、選挙権の年齢を引き下げるということは、やはり他の法令なり制度なりの年齢というものとあわせて考えるべきではなかろうか。まだ固まった自分の見解でもございませんけれども、私はどうもそういう感じがいたしまして帰ってきた次第でございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 時間の関係がありますので、この問題についてはその程度で質問を終わらしてもらいますが、せっかく政務次官お見えでございますので、大石政務次官、この十八歳選挙年齢引き下げについての、私見でもけっこうですが、御抱負をお聞かせいただきたい。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 私は、年齢が幾つになるかわかりませんが、多少下げていいという感じがいたします。その場合は、私の感じは、高等学校を卒業した年齢、それが一体幾つになるのかということでありますが、もう高等学校まではほとんど全部の者が行くということであれば、それを卒業したところというのはどうかという感じがいたします。ただ、私が一番ショックを受けたのは、読売新聞及びサンケイ新聞でアンケートをとったところが、この代に相当する年齢の人が選挙権は要らないという、正確な表現は忘れましたが、なくてよろしいという回答がかなり多数であります。三〇%以上だったと思うのです。しかもその理由は、まだ政治判断がはっきりできないからということをその人たち自身も言っている。実は私、頭の中で少し下げてもいいなと思っていたのが、当事者にアンケートしたところが、そこの年齢層が案外選挙権を必要としないという回答が、サンケイもそうだったし読売のもそうだった。そこで私は多少心理的混乱に実はいまあるわけですが、最初はそういう感じがいたしました。しかし、当事者がそういうことを言っているところをみると、一体これはどういうふうに判定すべきかという感じがいたします。  もう一つ、私は、学生騒動その他いろいろの問題を考えて、あれはやはり政治的な問題ともつながりがあるわけで、そういう意味では相当政治意識というものもあるとすれば、選挙権を与えていいのではないかというような判定も自分の材料であったのです。ただ、その後出てきた結果において、いま少し慎重に十分ためそうと思っている段階でございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いまなかなか前向きの次官の御答弁で、この問題はもう少し論じたい気もいたしますけれども、行政局長が二時までということでございますので、やはり事務的な質問でございますので、次の質問に入りたいと思います。  私たち公職選挙特別委員のメンバーが国政調査で九州地区の視察をさせていただきましたその際に、私は熊本県と長崎県での調査に参加したわけでございますが、その両選管の一致した意見の一つに、選挙に関連した啓蒙活動と申しますか、社会教育と申しますか、あるいは学校教育の必要性というのを第一線に携わっておられる選管の委員長が期せずして要求というか希望しておられました。それにつけての予算の不足、人員の不足ということも共通した指摘でございました。いま次官の御答弁にも、お若い人がせっかく与えられようとしている選挙権、これをあまりありがたがらないという趣旨の話もございましたが、前回の衆議院選挙の結果を見ましても、若い層に、しかもインテリ層あるいは都会の青年層に棄権率が非常に高いということは、彼らが一部で政治に対する大きな不信あるいは不満を持ちながら、一方で建設的な参加の責任と申しますか、そういう方面の自覚の不足ということも指摘されてしかるべきかと思います。しかし、将来の日本を背負うのは若い青年層でもございますし、またインテリ層からあるいは良識層からそっぽを向かれて政治がよくなるはずはないわけでございます。選挙の際の違反行為の取り締まりも不必要とは申しませんけれども、しかし何と申しましても、前向きな選挙に対する選挙権者あるいは被選挙権者の自覚あるいは建設的な協力ということが選挙の意義を意義づけるきわめて重要な課題ではないかと思います。地味なようでありますけれども、日本の政治をよくする基礎は、やはり選挙をよくすることだし、選挙をよくするためには、選挙民に正しい判断力を与える、あるいは選挙の意義を理解させるということが私はきわめて重要ではないか。そういう意味から、それを抽象論で言っても切りがありませんので、来年度の予算で、そういう面での御用意をいかになさっておるか。いわゆる選挙啓蒙のための教育費用、あるいは選管の充実についての人的な費用、これはほかの経費に比べたらきわめてわずかの努力でかなりの成果をあげ得る。具体的に本年までのそういう方面の予算措置と比較して、来年度の抱負、予算編成も煮詰まっておる段階で、少しおそいかという気もいたしますけれども、われわれの委員会の視察には自治省からも御参加になっておられたはずでございます。この面での共通の要望があったことは御承知だと思います。それについて、この視察を生かす意味からも、予算措置、人的、物的な地方選算の充実とも結びつけて、一般の選挙、政治教育についての来年度の自治省の態度をただします。

宮澤弘自治省行政局長

○宮澤政府委員 選挙の常時啓発と申しますか、社会教育、学校教育を通じての必要性についての御質問でございます。こういう常時啓発と申しますか、社会教育というようなものは、どういうふうに有効にお金を使ったらいいか、それがどう効果があらわれるか、なかなかむずかしいものであることは岡沢委員も御承知のとおりであろうと思いますが、といって、今後の公正な選挙の執行ということを考えますならば、やはり基本はそういうことからやっていかなければならぬ、私どももそのとおりに思っております。  そこで、選挙の常時啓発につきましては、本年度も五億六千万円ばかりの予算、御承知のように都道府県、市町村、あるいは全推協なり公明選挙連盟というようなものを通じまして、私どもといたしましても、せっかく努力をいたしているわけでございますが、来年度におきましては、予算要求といたしましては約九億円要求をいたしまして、ただいまおっしゃいましたような、じみちではございますけれども、一番重要なところに力を注いでいきたいと思っております。特に、先ほども御指摘になりましたし、前回でございましたかその前でございましたか、岡沢委員も学校教育等の選挙の啓蒙活動というようなものをもっと広げて考えられないかという御指摘があったわけでございます。私どもも、それ以来、文部省のほうとも連絡をとって、いろいろ研究をいたしているわけでございますが、来年度におきましては、私どもの予算要求の一項目といたしまして、選挙につきましての、主として中学校くらいの副読本というようなものをぜひつくって、これを自治省がつくりますか、あるいは自治省以外の団体に委託をいたしますか、そういう手続の問題は別にいたしまして、私どもといたしましては、やはりそういうようなところから、子供のときから選挙の重要性なり意味なりというものをよく知ってもらいますために、そういうことをぜひやってみたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、選管の充実につきましては、これもかねてからいろいろ検討をいたしているわけでございます。御承知のように、何ぶん選挙のときに非常に大きな人手を要し、そのほかのときには、選挙のときに比べて人手が非常に減るような仕事でございます。同時に、いまおっしゃいましたような常時啓発というようなことは常にやっていかなければならないわけであります。現在行政機構の簡素化でございますとか、定員の問題は国、地方を通じて重要な問題ではございますけれども、そういうことも頭に置きながら、何とかやはり常時啓発の体制を自治省においても整えていきたいということでいろいろ努力をいたしておるところでございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 局長への持ち時間は二時まででございますので、局長に対する質問はこれで終わりたいと思いますが、いまの御答弁でも、学校教育の面で私の意見も取り入れていただいて、副読本的な御採用を中学校の段階でおきめいただいた、御努力いただいたということについては非常にうれしく思います。ただ、いまの御答弁でも九億ですか、御要求が九億なんで、これは私が指摘するまでもなしに、防衛関係の予算ではファントムの一機分にも当たらないわけでございますね。選挙の重要性をここで論議する気持ちはございませんけれども、ほんとうに民主主義の出発点であり、また最大の行事でもあり、また政治をよくする基幹になろうかと思います。この選挙の重要性を考えました場合、先ほど機構上の問題がございました選挙局の廃止されるときにおきましては、われわれも大いに論議を戦わしたわけでございますけれども、第一線の選管、特に末端町村におきましては、専従の職員を一人も持っていないというほうがむしろ多いわけでございまして、これでは選挙の常時啓蒙は不可能かと思います。やっと選挙事務を何とか消化するというのが精一ぱいでございます。それがやはり選挙の大きな棄権率等とも結びついてきているかと思うわけでございます。即効薬ではございませんけれども、やはり選挙についての選挙民の自覚を求め、協力を求め、そしてまた選挙の意義を強調する機会をより多く選挙民に与えるということは、民主的な国家をつくるそれこそ出発点だという感じがするわけでございます。もう少し大きな方向をぜひ今後とも持ち続けていただきたいということを指摘さしていただきまして、局長は御退席いただいてけっこうでございます。  次に、小さい問題でございますが、私の選挙区で去る十三日に寝屋川市長選が行なわれました。投票率が四五・四六%、五〇%を割っているわけでございます。その理由はいろいろ考えられますけれども、結局選挙公報も発行されない、立ち会い演説会もない、いわゆるポスターとはがきと街頭の宣伝だけでございます。これでは選挙民が候補者を知る機会、知る条件と申しますか、全く閉ざされた形で、ポスターで識見や人格を知るわけにはまいりません。推薦はがきにも限度がございます。忙しい大多数の人が演説を聞く機会も少ないと思いますし、最近の傾向からいたしまして、街頭演説の効果等もきわめて薄いことは、お互いに承知いたしておるとおりでございます。法律上違反だという気持ちはございませんが、また違法だということは言えないと思いますけれども、形式的な選挙が行なわれて、それによって住民の一番大事な市長が選ばれる、半数以上が棄権をするという状態は、決して選挙の意義を十分に発揮する方法ではない。やはり市の選管に対して、当然選挙民に候補者を知る権利を与えてやる努力を、行政指導としてなされてしかるべきではなかったか。そういうことを考えました場合に、茨城県議選等におきましては、かなり選挙の公営が徹底したようでございますけれども、その同じ地方選挙で大きな格差があるというわけでございます。寝屋川市長選の場合は、市長が病死をした補欠的な選挙だったという理由もございます。しかし市長の病気は一年近くも続いておったわけでございますし、十一月一日になくなられて、十二月三日が告示でございましたから、一カ月以上の余裕はあったわけでございます。選挙公報なりあるいは立ち会い演説会は条例でできないことはなかったと私は思うのですが、事なかれ主義あるいはある政治的な意図から、むしろ選挙民に詳しく知らさないほうが有利だという立場の候補者もあったようでございまして、そういうことが作用して、結局のところ選挙民としては候補者なり選挙の意義について知る機会を得ないまま投票日を迎えた。寝屋川市は二十万都市でございますけれども、最近五年の間に人口が十割増したといわれるほどよそからこられた新移住者が多い選挙区であるだけに、よけい選挙啓蒙について選挙民に知らす努力が必要な条件があった市だと私は思いますけれども、この立ち会い演説会、選挙公報も出さないで、あるいはなさらないで選挙を行なうということについて、総括的に選挙の指導、監督に当たられる立場にある選管としてあるいは自治省として、どういうふうな御見解をお持ちか。今後こういう選挙が繰り返される可能性も多分にあるわけですが、特に末端の市町村に対する選挙の運営について、積極的な御指導をなさる用意があるかどうか、お尋ねいたします。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 市町村の場合の公営的な制度というものは、私どももこれからも進めてまいることが妥当であろうと思うわけです。ですから、そういうような方向で指導をやっていきたいと思うわけです。ただ、ポスターと立ち会い演説会それから選挙公報という三つの手段があるわけですけれども、立ち会い演説会を、首長選挙のような場合、なるべくこれはやってもらうようにしたいと思うのです。ただ選挙公報の場合は、立候補の届け出の問題があり、期限があり、そしてその選挙期間というものが限定されるものですから、原稿を受けて印刷をして、そしてその配布をするという一つの行為を考えますと、おそらく市町村の選挙のときは末端まで配布できるかどうかというような問題で実務的にかなり困るという点等が、私は選挙公報をわりあいしにくくさせている原因ではないかと思う。しかし立ち会い演説会は、これはやる意思を考えればかなりやり得るんだろうという意味で、候補者の考え方を聞かせるという意味で進めていくことが当面非常に大事ではないかというふうに思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 まあ市長ですから、寝屋川市の場合は候補者は六人で一人の席を争ったわけですが、立ち会い演説会として最適の人数だということは言えると思いますし、いまの選挙公報の問題としても、技術的な要件があることはよくわかりますけれども、同時選挙でないだけに印刷所等も幾らでも活用する方法もあるわけですから、やはり選管として、自治省として、これは民主主義社会で選挙は常時あるということを考えました場合は、これだけの科学技術の進歩の時代でございますから、私は技術的な隘路はくふうによって努力によって十分に補い得るものではないか。選挙をやるのが意義があるのじゃなしに、選挙をいかに公正に明るく多数の参加によって民意を反映するような結果をもたらす方法でやるかということが大事なんです。そういうような点からぜひ前向きな御指導、あるいは自治省としての御用意、場合によったら法改正あるいは条例への積極的な指導をしていただきたいとお願いいたします。  最後に、きょうの質問の中での一番大きな問題でございますけれども、いわゆる衆参両院の議員の定数是正の問題につきましてお聞かせをいただきたいと思います。  現在の定数配分がきわめて不公正と申しますか、各選挙区によって一票の重みに大きな格差があるということは、もうここで具体的に指摘することはやめたいと思いますけれども、しかし選挙はそれこそ民主主義の原点、出発点だと思います。この出発点がゆがんでおる、公平でない、公正でないということは、ある意味では民主主義そのものをゆがめることになりますし、また政治全体への不信のもとになるのではないかと思うわけでございます。今度新しく第七次選挙制度審議会も発足されるようでございますが、この問題に対する過去の審議会の答申等が無視されておるということ自体も、私は、審議会のメンバーの方々から見ても国民から見ても非常に遺憾な状態だということは、指摘するまでもないことではないかと思うわけでございます。公職選挙法の別表一末尾に「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行なわれた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」という規定がございますことは御承知のとおりでございます。この「例とする。」という解釈をこの際あらためて次官から明らかにしていただきたい。やはり憲法を守り法律を守るというのが行政の一つの基本だ、ましてこの民主主義の原点、出発点、選挙法を守る、選挙法の精神を生かすということは、きわめて重要不可欠の民主主義の要素だと思いますだけに、この点についての解釈を明らかにしてもらいたいと思います。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 私、この「例とする」ということばを法律上の意味でどういうふうに正確に解釈すべきか、ちょっと勉強が足りませんので、法律論的に返事をすることがちょっとできないので申しわけないと思うのですが、義務づけではないのではないかというふうな感じはいたしますけれども、その精神をくんでやらなければならぬように思います。  ただ、日本の場合に、流動している傾向が実は非常に多い。ふえるところもあるわけですし、人口が減っていってしまったところもある。そういう点で有権者当たり議員数ということでアンバランスが出ていることはもう御指摘のとおりで、その点については私どももほかに申し上げようはないと思う。今度参議院の定数について審議会から御答申をいただいたわけですけれども、いま概数にすぎませんけれども、今度の四十五年度の国調等を見ますと、その答申をいただいたその時点とはまた非常な変化が出てくるというふうに、非常に流動化が激しいという時点でございます。おそらく今度四十五年度の国調が来年になればはっきり出てきますから、この問題は次等に行なわれます衆議院のいわゆる定員制度という問題にもからんでくるし、しかもそれはかなり長い間の懸案ということになってきていると思いますから、私どもは、第七次の選挙制度審議会にこの問題等も含めて、いわゆる区制その他御検討を願うことになるだろうというふうに伺っておるわけであります。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 流動が激しいことはもうお互いに重重承知し、しかも長い間の懸案でありながらちっとも解決されない。いま次官のほうで、「例とする」というのは義務づけではないと思う、しかし少なくとも精神は国勢調査の結果によって別表の更正がなさるべきだという点については、私は一点の疑いがないと思うわけでございます。立法趣旨からいきましても、制度の本質からいいましても当然だと思います。  参議院地方区の定数は、昭和二十一年四月の都道府県人口を基礎にしているというふうに聞いておりますが、そのとおりですか。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 そのとおりでございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 衆議院の現行定数はいつの時点が基礎になっておりますか。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 最近、三十九年に一度改正をいたしておりますので、三十九年当時の人口が加味された形になっております。その後は動いておりません。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 三十九年の改正のとき、人口が加味されただけであって、そのときの人口を基礎にして、いわゆる別表が公正に有権者数に比例して定数が配分をされたわけじゃないわけですね。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 全般にそのとおり比例してやったというふうには考えられておりません。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 先ほどこまかい一々の指摘はしないと申しましたが、明らかにする意味で、いわゆる逆転現象ですね、有権者の人口のほうが少ないのに、定数は他の選挙区よりも多いという区は、これは参議院、衆議院を通じて何区ほどございますか。もしいま明らかでなければ、そういう数字を明らかにした表でも私に示していただきたいと思います。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 参議院のほうはわりとはっきりわかっておりますが、衆議院がちょっとはっきりいたしておりませんので、後ほどその資料をお届けしたいと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 それでは、参議院のわかっているだけでも答えてくださいませんか。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 参議院につきましては、逆転現象、まず、四人区でありながら二人区のあるところよりも人口が少ないというところが、従来、この前の六次審議会のときの答申では三県あったわけでございます。最終的にいま確定いたしておりませんが、先般の概数が示されたおおむねそのとおりに近い数でかたまるということにいたしますと、五県ということになるわけでございます。正確に、名前まで申し上げますならば、二人区で一番多い宮城県よりも人口が少ないのにかかわらず四人区であるという県が、鹿児島、岡山、熊本、群馬、栃木というふうに予想されるわけでございます。それから、それ以外に、今度の概数をもとにいたしますと、六人区であって、かつ八人区である北海道よりも人口が多いという逆転現象を起こしておりますところが、大阪と愛知、それから神奈川が加わっております。したがいまして、全体として見れば、八府県の関連があるということになるわけでございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いまの数字の中でも、たとえば神奈川県のごときは、定数四でございますが、八人区の北海道よりも人口が多い。全く異常なアンバランスでございます。衆議院の場合、私の選挙区では、共産党の方でございますけれども、十二万票とって落選なさるという現象があるわけですね。隣の大阪二区の場合よりも有権者数ははるかに多くて定数は少ない。同じ府県内にもこういう現象が衆議院の場合たくさんあると思います。これはやはり私は、ほんとうの民主主義の出発点であるだけに、いろいろ問題はあろうかと思いますけれども、勇気をもってわれわれがこの是正に努力するということは、立法府の義務でもあろうと思うし、また、政府の責任でもあろうという感じがするわけでございます。この問題はむずかしい問題をはらんでいることは重々承知いたしながら、しかし、現実の選挙の実態を見ました場合、各区のアンバランスだけではなしに、たとえば、いわゆる過疎地帯と過密地帯の人口移動も加味されまして、結果として、これは大石次官のおられる前で言いにくうございますけれども、自民党が四七%の得票率でありながら、議席数は、衆議院の場合三百二議席をとられている。五〇%をこえる得票率を持つ野党が衆議院の場合百八十四名程度の議席しか持てない。これは選挙制度が、ある意味では政治をゆがめておると申し上げてもいいんではないか。この臨時国会の本会議で、佐藤総理は、わが党の春日委員の質問に関連して、選挙で洗礼を受けておるということをおっしゃいましたが、ゆがめられた制度のもとでの選挙で多数を占めておられるという言い方も、これは私は指摘できないことはないわけでございまして、こういう点からも、国民の政治への不信を除く意味から、私は、一般的にいわれます弱い野党は悪い与党をつくる——まあ野党のわれわれも反省すべき点はたくさんございますけれども、いわゆる選挙制度そのものが弱い野党をつくるという一つの役割りを果たしているということも指摘して誤まりではないと考えるだけに、この問題はお互いに、党利党略あるいは個人的な利害を越えた、民主主義のあり方を正しくすることによって、国民の民主主義政治への信頼をつなぐという意味からも、きわめて大切で、また緊急を要する問題ではないか。先ほど次官の答弁にもありましたように、懸案になりながら、いつもじんぜん時を過ごして、結果としては、昭和二十一年以来の改正が参議院の場合一度もなされておらない。しかも、きわめて異常な人口移動、民族大移動といわれるほどの人口移動があったことは、お互いに周知の事実でございます。特に今回は、ことしの十月一日付で国勢調査がなされて、公職選挙法別表の精神からいいましても、この機会は当然に、衆参両院を通じて、選挙区制度の公職選挙法に従った方向での改正を要すべき時期ではないかと考えられるわけでございますけれども、これについての次官の御答弁を承って、私の質問を終わりたいと思います。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 御指摘の点は、私ども、考え方としてはそのとおりに考えます。実は、幾つも問題があるように思いますし、一番一つは、総定数をどうするかということがもとになると思うのです。太平洋ベルト地帯には一九七〇年代のしまいごろになれば、たとえば日本の人口のうち、そういうふうに自然的になるかどうか知りませんが、説をなすものは七割も集まるというようなことを言っておりますが、一体単純に、そういう人口だけに比例していわゆる代議員が出てくることだけでいいのかという問題も実はあるように思いますし、総定数の問題もありますし、しかし、論議に論議の上、議題としては出てきた問題でありますから、今度の審議会等でほんとうに基本的なことから御検討願わなければならない時点ではないかというふうに思っております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いま次官の御答弁がございましたが、ちょっと関連して……。  確かにそういう御指摘の問題があります。それだけに、たとえばアメリカで、上院に関する限りは各州二名、人口に関係のない定数を確保している例もございますので、私は、この五年ごとの国勢調査が行なわれた現時点で、衆参両院を通じての定数の是正の問題とぜひ取り組むべき絶好の機会だ、また、われわれに課せられた義務だということを指摘さしていただきまして、質問を終わります。

大西正男自由民主党

○大西委員長代理 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 きょうは大臣も見えないし、選挙部長も見えないので、一問だけ、ちょうど私たちが公職選挙法の改正に反対したとき心配したような事態が具体的に出てまいりましたので、その実情を調査し、そして、それに対する見解だけを次官と課長に聞いておきたいと思います。  実は、十二月十二日の朝日新聞に、茨城の県議選でにせの推薦文書が多数ばらまかれたという、そういう記事が出ております。  内容を調べてみますと、悪用された名前は、全国地域婦人団体連絡協議会という山高しげり会長、会員六百万人ですけれども、これはもう十三日に済みました茨城県の選挙の久慈郡の選挙区のある候補で、ここへ十一日、全国地婦連のにせ文書が多数郵送された。その内容は「……茨城県北が生んだ〇〇先生ほど本会のため御協力をいただいた方はありません。……できるだけ多くの婦人の方々の御支援を〇〇先生にお与え下さいますようお願いいたしたく存じます……」という筆書きの手紙を写真版にして配ったわけですね。そういう文書のうしろに書いてある名前は、婦人団体が三つありまして、いま言いました全国地域婦人団体連絡協議会会長山高しげりさん、それから主婦連合会会長奥むめおさん、全国農協婦人組織協議会会長白井小浪さん、この三人の名前でいま言った、〇〇先生に御支援をくださいますようお願いいたします、こう書いてあるわけですね。それで封筒のあて先は「茨城県久慈都大子町大字」というゴム印があるだけなんですね。消し印は東京・葛飾新宿郵便局の消し印で十二月五日付でついている。封書の裏書きの発信人は東京都大田区神田町一丁目三番地、全国地域婦人団体連絡協議会、こうなっているわけですね。  ところが、これがでたらめだということは、第一、地婦連も主婦連合会も全国農協婦人組織協議会もそういうものを出したことがないということと、それから封筒のうしろに書いてある、発信地である東京都大田区神田町一丁目三番地には全国地域婦人団体連絡協議会というものはないというわけですね。配達できないものが相当あったものですから、東京の蒲田郵便局が発信地へ持っていったところが、そこには地婦連なんというものはないということで、そこで蒲田郵便局が実際地婦連はどこにあるかということを調べまして、実際の地婦連へ持っていって、こういう手紙がたくさん配達が不能になりましたのでお返ししますと言ってきて、それで初めて本人の地婦連が知ったというわけなんですね。このことが発表になったのですぐ新聞にも出たわけですけれども、この返送がもう二日おくれれば、この蒲田郵便局が気をきかして実際の地婦連の所在地を調べて配達不能の文書を持ってきてくれなければ、地婦連としてはわからなかったわけなんですね。調べてみると、七日ごろから久慈郡の大子町の婦人会役員にも郵送されてきているということがわかったわけであります。これはえらいことでして、要するに全国地域婦人団体連絡協議会と主婦連合会と全国農協婦人組織協議会の三つの名前が悪用されているわけですね、実際やってないのに。ところが、これは配達が不能で返送になったからわかったので、わからなければそのままになってしまう。  そこで次官にお聞きしたいのは、第一に、これは新聞に出ているのですから、この事実を調べて、こんなことが何とも処理されないということになるとたいへんですから、調べていただいて、もしわかっているなら、課長でもいいですからその事実を報告していただいて、どういう処置をしたかを知らしていただきたい。  そこで問題は、選挙法改正で国会議員はビラは三種類、地方県会議員はビラは二種類しか出せませんものですから、もし県会議員が今度改正されようとしている公職選挙法に基づいて二種類出した後にこんな全国的な婦人団体の名前の偽造文書がばっとばらまかれたとすれば、一体それに対するどういう防御の方法があるのか。もう二種類のビラは出してしまった。いよいよ選挙の二日前に偽造文書が返送されたものだから初めて地婦連ではわかった。そんなものは私のほうで出しているはずがありません。防ぎようがないわけですね。いままでだったら、二日ぐらいの余裕があれば、すぐ次のビラを出して、それは偽造だとかなんとかいう防護の方法が相手方候補にできるけれども、できないわけですね。私たちはこういうことがあるということを心配して、むしろ偽造文書、不正文書に対する正当な防御方法の手を縛ってしまうのが今度の公職選挙法の改正の結果になるんだということを警告しました直後にこういう問題が出ておりますので、これは私は非常に重要だと思いまして、ひとつこの点を一問だけ質問をしたいと思うわけなんです。事実がわかっていたら、課長、事実をおっしゃってください。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 警察のほうで調べているように聞いておりますが、それ以上私はよく知りませんので、もし課長のほうでわかっておれば答弁をさせます。  それから、いまのお話の問題は、私はあまり選挙法も詳しくなくて申しわけないのですが、これはもうこの派の人がやったかやらないかは別として、簡単に言えば、ほんとうに偽造文書といいますか、非常に簡単な明白な選挙違反であろうと実は思うのです。その対象としてこれは処理されることであろうと思います。お話しの三種、二種という問題は、いわゆる政党その他確認団体の行為の問題として今後の選挙法改正の中にあるのだと思いますので、このことと直接は関係ないんじゃないか、私どもはこういうふうに思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ちょっとその点だけ……。もしこういうものがばらまがれたら、何々候補はこういう偽造文書をばらまきましたということを、やはり確認団体に所属する候補としては真実を明らかにするためにはっきりさせたいのでしょう。はっきりさせたくても、二種のビラが出てしまえば、もうそれ以上のビラが出せないから、これはあなたの言うように警察の手を待つよりほかしかたがない。あるいはたまたま新聞に発表されたからわかったということになるんじゃないですか。だから確認団体の候補者としては、何々候補はこういう不正なことをやっているんだ、こういう三つの全国的な婦人団体の名前を偽造して使っているんだということを言いたくても言えないんじゃないですか。そういうことになりませんか。(「ちょっとおかしいな」と呼ぶ者あり)いや、おかしくないよ。たとえば、自民党を利用して申しわけないが、自民党の候補がこういうことをやった。そこで共産党の候補のほうが、自民党の何々候補はこういう不正なことをやっております、皆さんだまされちゃたいへんですよということを言いたくても、共産党の候補がビラを二種類出してしまってあれば、そのことが言えないじゃないですか。新聞でこういうように発表になったからよかったけれども、そういうことになりませんか。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 実は確認団体がいうところのビラとかなんとかいう問題は、もう少し確認団体なり政党が政策上の問題として有権者に訴えるということが私ども頭に全体としてありまして、あれはうそだとか、これは不当だという個人問題の取り消しをさせたり、あるいはあれは半分うそだということを書き合ってやるというのにビラという問題を実は頭の中に具体的に置いていなかったし、いまでも確認団体の活動としてのビラというものは、そういうふうな前提で考えているわけです。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 全国地域婦人団体連絡協議会会長山高しげり、主婦連合会会長奥むめお、全国農協婦人組織協議会会長白井小浪なんという名前を使って、「〇〇先生ほど本会のため御協力をいただいた方はありません。」なんという手紙を出されれば、これは政策以上に効果があるわけなのですよ。どうしても相手方候補としては、それは偽造文書なのだから、これは偽造文書ですというのは正当防衛じゃないですか。三種、二種は政策のビラだけだから、ここではそんなことは適用はないと言ったってそれは当てはまらないことだと思いますがね。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 私、自分の選挙区であまりそういうことを経験したことがないからわかりませんが、いままでも、たとえばぎりぎりのところでそういうふうな偽造文書をやれば、実際問題としては選挙法の改正その他とも無関係にあり得るのではないか。ですから今度のことに直接関連してどうというふうにはならないように思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 だって十三日に行なわれる選挙に十一日に郵送されたのですからね。それで、うそだということがわかったので、二日余裕があったわけです。ぎりぎり十二時ちょうどじゃないわけです。まだ幾らでも反撃のビラが出せるわけなのですが、それが今後の公職選挙法の改正によれば、二日も余裕があっても、その前に政策ビラが二種類出ていれば、こんな選挙にとっては政策以上の決定的な影響を及ぼす、しかも偽造文書に対する正当防衛の手が縛られてしまうのじゃないか。私たち公職選挙法改正に反対した各党は、このことを憂えていたわけなのですが、それがそのまま出てきてしまっているということですね。(「違うよ」と呼ぶ者あり。)いや違わない。そのとおりですよ。これを私たちは心配していたのだ。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 確認団体の活動というのは、ビラの問題はいろいろの観点から制限をされたわけでありますが、宣伝車その他で声の活動は禁ぜられていないわけですから、それに対する対抗の方法というのは全く絶無ということでは私はないと思います。ですから、選挙違反それ自体の問題というのは選挙違反それ自体の問題として考えていただく以外にありませんし、また確認団体の活動というのは、いわゆる印刷物でなしに、声という形で、自動車を使うこともできますから、その一事だけで一切無制限にというところまで考えることはないのではないかというふうに思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ビラにはビラで戦う道が、ことにこういう不正なビラですから、不正のビラに対して正義のビラの手が縛られるということは、これは許されないことなので、そういうことをよくお考え願いたい。要するに偽造文書が多数送られて、しかも投票日の二日前だ。その偽造文書ということがわかっていながら、こういう偽造文書を何々候補は皆さんのところへお送りしました、しかしこれは本人たちは知らないと言っています、どうかごまかされないように御注意くださいというビラが出せないのですから、だから正しいことを伝えるビラは、二種類ということで、出せないということになる。これは間違いない。さっきからぶうぶう鍛冶さんが言っているけれども、むしろ大石さんのほうがわかっている。ビラでいけなければ声でやれと言っているけれども、声でなくて、ビラでやる道を開いておくべきじゃないかと思いますが、これはこれで問答を繰り返しても限りがありませんから、課長さん、このことでわかっている事実がありましたら、ここで報告してもらいたいし、あとで事実を調べて私に知らせていただきたいと思いますが、ここでわかっている限りのことを報告してください。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 私どもこの事実を聞きまして、すぐ地元の県のほうとも連絡をいたしておるわけでございますが、あそこに推薦を受けておる人が出しておるのか、あるいはほかの人がやっておるのか、その関係の事実がまだいまのところつかめてないようでございます。警察のほうももちろんこれについて捜査をいたしておられるわけでございますが、私どももまた県の選管等を通じて、きょうも連絡をとったわけでございますけれども、そこの基本的な原因と申しますか、それをいまのところ十分把握しておりませんので、判明し次第その点は明らかにいたしたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これで終わります。  地婦連の田中里子事務局長はこういう談話を出しているわけです。「返送がもう二日おくれればこの文書を信じて投票した人も多かったろう。大変なことになるところだった」こう言っておりますので、これも参考にして、ひとつ事実をよく調べて、私に報告願いたいし、また大石さんは自民党の有力者ですから、今度の公職選挙法の改正は時勢の動きに逆行するものであり、憲法で保障されているあの文書図画の自由に反する方向へ向かっているものではないかと思うので、慎重にひとつ再考慮を願いたい。このことを要望して、課長の答弁だけを求めまして、私質問を終わります。

土屋佳照自治省行政局選挙部選挙課長

○土屋説明員 いまお読みになりました記事から見ましても、これ自体が非常に虚偽なものであったということは言えるかと思います。ただ、それが推薦された本人が出したのか、あるいは他の人が、極端な言い方をしますと、故意に本人の名を使ってやったのか、そこらの事実関係もよくわかりませんので、十分証拠その他を洗った上ではっきりしたことを明らかにしたい、こういうことでございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 ちょっといまのに関連。  林君の言うことと私たいへんな違いですが、そういうものが出たら文書で反駁する、こういうことが林君の前提のようです。そんなものは文書で反駁どころでなく、偽造文書なんですから、出ると同時に直ちに取り締まりをやらなければいけない。選挙違反を通り越したものなんですよ。それを何か文書で反駁しなければ反駁できないような、それでもっと文書を出せ、こういう議論はとんでもない話なんで、そういうものが出たら、選挙違反を通り越して犯罪ですよ。それを急いでやらなければならぬ。またそういうものを取り締まるには、やたらに反駁する文書なんか出たら、あとでこんがらかって取っつかみにくくなりますよ。そういう意味において私は、それが出ると同時にやるべきものであって、そんな反対文書を出すというようなことは論外のことで、政策上出したほうがいいか知らぬが、それは趣旨が死んでしまう、私はそう思います。どうですか。

大石八治自由民主党自治政務次官

○大石政府委員 最初申し上げたとおり、ビラというのは全国的に共通するという問題で、政策段階のものであるというふうに私ども考えていますので、こういうことに一々ビラ活動というのを全く想定していないと思うのです。そうすると、それこそいわゆる文書合戦というものがとめどなく出てくる可能性は出てくるわけであります。いま言う政党確認団体のビラというのは、全国にその政党なり確認団体というふうなことをやるという前提でありますので、今度茨城のことが起きたために、直ちにビラを無制限に発行できるというふうに考えなくてもいいと思うのです。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 鍛冶さんの言うことはとんでもない話で、警察で取り締まるといったって、いままだ事実がそうかどうかわからないと言っているでしょう。しかし少なくとも地婦連の田中里子事務局長は「返送がもう二日おくれればこの文書を信じて投票した人も多かったろう。大変なことになるところだった」こう言っているわけなんですが、こういう事実を、被害を受けた候補者としては、すぐビラで真実を知らせることは、選挙活動の原則だと思うのですよ。要するに鍛冶さんの論法で言うと、悪いことを書いてビラをまいたほうが得だ、それは警察で取り締まれ、それに対する反駁はビラでやる必要はないんだといったって、選挙の期日は迫って、あすかあさって投票だというのに、警察の取り調べなんか待っていたら真実を伝えるひまはないのですから、被害を受けた候補者は被害を受けた候補者として、直ちに真実を自分の力で知らせる、ビラにはビラをもってこたえる道を開いておく、これが民主主義の根本だと思いますので、私は鍛冶さんの意見はこれこそとんでもない話だ、御意見だ、こういうふうに思いますが、これで終わります。      ————◇—————

大西正男自由民主党

○大西委員長代理 今国会におきまして、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、栃木県参議院地方区の定数減反対に関する陳情書、及び公職選挙法の改正反対に関する陳情書の二件でありますので、念のため御報告いたしておきます。     —————————————

大西正男自由民主党

○大西委員長代理 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  公職選挙法改正に関する件について、閉会中もなお審査を行なうため、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西正男自由民主党

○大西委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会

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