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63回国会参議院1970/04/15

予算委員会第二分科会 第3号

発言数
261
登壇者
17
会派数
4
開催日
1970/04/15

会議録

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  昨日、予算委員の異動に伴い、岩間正男君の補欠として須藤五郎君が選任されました。また平泉渉君、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として高橋文五郎君、沢田実君が委員に選任されました。また本日、予算委員の異動に伴い、沢田実君の補欠として三木忠雄君が委員に選任されました。     —————————————

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 昭和四十五年度総予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  昨日の会議と同様、政府の説明は省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 物価問題でさらに詰めの質問をしたいと思うのですが、きょうまた卸売り物価が出ておりましたね。これは消費者物価と同じような問題が起こってくると思うのです。四十五年度経済見通しでは、卸売り物価は一・九%のアップになっていますね。それで指数は一一〇・七。ところが、三月の卸売り物価は御承知のように一一一・三でしょう、それを上回っちゃっているんですよ。だから、もし四月以後ずっと横ばいとしましても二・五%上がるということになりますね。そうすれば、政府の一・九%のアップよりも上がらざるを得ない、こういうことになるわけですね。そうすると、これもやはりもう改定をせざるを得ない。これなんか最もはっきりしているのですね、上回っちゃっているのですからね。これを一体どうされるか。これは消費者物価と同時にこれも改定しなければならぬと思いますけれども、その改定のしかたなんですよ。その前に一体どういうふうにその見通しについて改定をおやりになるのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いまの卸売り物価の点は、私たちはまあ御存じのように鉄鋼と非鉄金属が中心ですから、今度の値上がりは鉄鋼と非鉄金属が中心で、それで鉄鋼も下がったりしている面もありますし、それから非鉄金属はこれはまた上がり下がりが激しいものです。まあこのところの情勢は、ちょっとわれわれも異常高と見ておるのです。ですから、今後この非鉄金属、鉄鋼というようなものがある程度鎮静化していくだろう、こういうことを頭に置いておりますから、まあそれの鎮静の度合いにはいろいろ問題があるでしょうけれども、そういうことから見ると、必ずしもいま御指摘の二、三とは言い切れないのです。これは今後の情勢を、もっと推移を、海外情勢が大きな影響度がありますから、そういう点を見ませんと何とも言えないと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これはもう少し——いまのような御答弁がほんとうに物価対策に取り組む姿勢なのか疑いたくなる。原因をもっと分析してみる必要があると思う。きょうこれは毎日新聞で「卸売物価連騰の背景」というのでかなり背景について詳しく分析していますね。いま卸売り物価も消費者物価もそうですが、大体その原因というのはもうわかってきている。大体三つですね。ディマンド・プルとそれから管理価格——アドミニスタード・プライス、それからコスト・プッシュ、大体こう三分類できるでしょう。問題は、いま現時点における卸売り物価あるいは消費者物価値上がりをプッシュしている一番大きな原因は何であるかということが問題なんです。単に鉄鋼だけ、あるいは非鉄金属だけというような、そういうような部分的な問題じゃないですよ。大体において大企業製品がかなり上がってきていることが問題なんです。そこで、この場限りで、ここであなたは答弁して済んじゃうかもしれませんけれども、しかし、そんな問題じゃないのです。国民の暮らしにとって重大な問題ですよ。重大化しています。今後の経済にとって重大なんですから、もっと基本的な分析に基づいた答弁をしていただかないと困る。大体私は取り組む姿勢が本気になって物価値上がりを食いとめる姿勢になってないんじゃないかと思う。そこに基本的に問題がある。ことばでは、あなたはもう議論の段階ではない、実行の段階だと言う。私は姿勢が非常に違うと思う。ですから、これを改定せざるを得ないでしょう。そんなのんきなことで、この場限りの答弁では済まされない、私は承知できませんですね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) あるいは私のお答えが不十分であったかもしれませんが、木村さんのおっしゃるとおりだと私も思っております。私はそういう意味においてはむしろ数字よりも基本的な方針、態度が大事だとは考えています。そういう意味でわれわれもこれから物価の総合的な対策を展開するつもりでおります。いまの総需要対策の一環である金融引き締め等もやはりそういう気持ちでやっておるわけです。これは卸売り物価についてはやはり大きな影響をもたらす対策であるというふうに私たちは考えておるのですが、これをもう少し情勢を見ながら今後の動向を決していくつもりでいますけれども、今後なお継続をしてまいる、こういう考え方を持っております。そうしてその他従来からもいろいろ提案がされていますが、価格対策というものを、物価対策というものを推進してまいりたい。  そこで、いまわれわれがいわゆる数字の問題として取り上げられているもの、これを一体変えるかどうか、こういうことであります。もちろん見通しでありますから多少の違いは当然ある程度許されると思うのでありますけれども、この数字の変化を通じて政府の経済見通し全般に非常に大きな影響をもたらす。あるいは国全体をミスリードするとか、そういうようなおそれがあるというようなことになったり、それからまた政府の方針自体、政策自体にも変化を来たす、こういうふうなときには、これはもう数字の問題だけでなく、これを通じてわれわれとして見通し全体を変えていくという問題が当然起こってくると思います。そこで私の申し上げたのは、卸売り物価については、いま御指摘のように最近いわゆる底が強いです。そして大企業製品についても堅調を持続しています。そういうことは十分に承知の上で、しかしなお海外の要因というものが非常に大きい。そこで私たちは非鉄金属や鉄鋼等も値下がりというものを十分期待していいと、まあかねがねそういうふうに考えておるわけです。そこでそうしたことがどんな姿、数字になってあらわれるか、そこいらをよく見きわめてみたい、こういうふうに考えておるのです。そういう意味では木村さん御指摘のように、物価の基調そのものは、私は実績の数字はともかく、変わってはいない。私たちもいま御指摘のような気持ちで実は臨んでいるわけですから……。そうしてまた消費者物価の場合には野菜と、卸売り物価の場合にはそうした海外の要因というものが今回は残念ながら非常に大きなやはり影響をもたらしていることは事実であります。そういう意味で私は申し上げているので、今日における卸売り物価というものは一ころと情勢が違ってきている。そういうことはわれわれもよくわかっています。そのつもりで今後の対策をやってまいらなきゃならない、こういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは口ではわかっていると言われますけれども、三月の卸売り物価の急上昇は、これはいままでとまた違った重要な意味を持っているのですよ。そして昨年九月から卸売り物価はずっと上がっています。日銀が九月に金融を引き締めているのですよ。卸売り物価を上げないような政策をとっているそのもとでまた上がっているということが問題なんですよ。しかも政府の見通し以上に上がっちゃっているでしょう、四十五年の三月の指数はそうですよ。そこにやはり私は認識の深さがないと思うのですよ、重大性についてのね。だから、私は理論的にも政策的にも一つ何か欠けているところがあるのじゃないかと思う。だから、ここで私は詰めの質問をこれからしていきたいと思うのです。  そこで私は問題は数字数字と言われますけれどもね、単なる数字の問題じゃないのです。これは予算の積算の基礎になっているのですから、物価は。人件費と物価でしょう。しかも物価が一%動く場合は成長率に大体二%影響するといわれていますね。もしこれから予想と違って、上昇率なり指数を直す場合ですね、どっちへ直すかによって非常な大きな影響が出てくるのですね。四・八%、消費者物価で言えばそれを三・六%ぐらいまでダウンさせるような形で修正するのか、あるいは五・四%に上げるという形で修正するのか、これは卸売り物価についても同様だと思う。どういう修正のしかたをするかによって非常に違いが出てくる。成長率にも違いが出てくる。そうすると、四十五年度予算編成の一番基礎になる成長率にも物価にも……、積算の基礎になるそういう物価ですよ、これがみんな積算の基礎になるのですからね。たとえば生活保護費算定の場合とか、それからその他の公共事業費とか、あらゆるものに物価上昇率を勘案する場合、大体四十五年度は四・八ということを目安にして組んでいる。それからまた減税の場合も、いわゆる物価調整減税というものを大体四・八をもとにして計算して考えているのでしょう。これが狂ってくると単なる数字の問題じゃないのでね。財政上、予算上大きな狂いが出てくるのでありまして、表面これをいじらないとすれば、今度は予算の支出について内容的に非常にまあ窮屈になるとかね、そういう問題も出てくるわけですから、そこで私は質問しているわけなんですけれども、くどく数字をもとにして。それで予算は全部一から十まで数字なんですから、数字をもとにして議論をしなきゃお話にならぬのですよ。だから政府も数字的にみんな発表しているわけで、これに狂いが出てくるというのでは、われわれがどうしても問題にしなければならない。ですから問題は様子を見てというのじゃなくて、もうすでにさいころは投げられちゃっている。物価上昇率を政府の見通しよりダウンさせるという形で調整するのか、アップさせるという形で調整するのか、そこの問題にきていると思うのです。それはどういうふうに見ているのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これはこの前も申し上げたかもしれませんが、私たちは、一つは物価以外の全体の経済見通しについての数字というものがある程度つかめる段階、四十四年の実績がつかめる段階、これが一つのめどです。これはこの前申し上げましたように、GNPについても大体九月にはわかるだろう、八月末ごろまでに入るのじゃないかと思うのですが、そういう時点と、それからまた四十五年度自体の動向というものがある程度つかめる段階、こういうものをやはり見まして、その上で考えたい。われわれも、もし非常にそういう点について全体として見通しが大きく狂うというようなことがあったときには、私は変えることにはやぶさかではありません。ただ、いま申し上げたように全体の情勢をよく見て、その上で変えるものなら変える必要がある、こういう感じです。それからもちろん物価だけでございませんで、GNPをはじめ全体の様子というものを広く見る、これも私は大事だと、こういうふうに考えています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 全体を通じて非常に私と認識が違うのですけれども、たとえばこの四十五年度予算が景気刺激的であるかないか、物価刺激的であるかないかを議論したときに、需給ギャップについて私は話しました。あとでも大蔵大臣には需給ギャップについてこの間私説明しましたが、それについてちょっと意見を聞きたいのです。根本的に間違っているんですよ、認識がね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 大蔵省があなに示されたそれがあなたの意見と根本的に違うのですか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ええ、それは大蔵大臣が説明を求めた、説明いたしました。大蔵大臣も需給ギャップをおっしゃったそうです。需給ギャップの観念が違うんですね、大体。それはあとで質問しますけれども、能力GNPとそれから実質成長率との開きをゆとり、ゆとりと言っているんだ、これなんか根本的に間違いです。ゆとりができること自体が、何かこれは構造的要因によって、ほんとうに能力GNPまで生産力が高まらなければならないのを、差があるのです。むしろ物価の値上がりを刺激するんですね、景気を刺激するんですから、能力があるんですから。それをゆとりゆとりと言っているんです。そういうような認識の違い。だから需給ギャップというのは、能力GNPとそれから有効需要ですね、デマンド、いわゆる国民総支出との比較をしなければ、インフレギャップとかそういうものが出てこないでしょう。だから一体この物価問題と関連して基本的な論議なり考えを持っているのか、それはあとでお伺いしますが、ところが、あとで七、八月ごろ数字がそろうのを見て、訂正する必要があれば訂正すると言いますけれども、すでにそういう需給ギャップが開いていて、私の計算では二兆円以上この需給ギャップがあるのですけれども、そういうもとで、しかもすでに卸売り物価なり消費者物価指数が政府の経済見通しを上回っておるんです、卸売り物価のほうが上回っているんですよ。四月からそれが横ばいとしたって二・五%になっている。だから、よく見るといったって改定しなければならないのは明白なんです。改定しないとすればダウンさせなければならないでしょう、成長率を。はっきりしておりますよ。だから、そういうはっきりした詰めの質問をしているのですから、仮定の質問ではない、はっきりあれがあるのですから、これは将来のことですけれども、データがそろっているのです。卸売り物価指数——逆算していけばアップ率がわかるでしょう、もう出てきている。そうすれば卸売り物価でも政府の一・九に対して四月から、ずっと横ばいとしても二・五%とアップになる。ここで相違が出てきちゃう。消費者物価だってそうでしょう。四・八に対して五・四、それをもとにして論じなければならぬ。ですからその場合の問題は、もう改定するかしないかの問題じゃなくて、それをダウンさせるような形において改定するのか、あるいは見通しよりアップするような形において改定するのか、それによって政策が非常に違ってくるわけです。もしダウンさせるような形でやるとすれば、これはもう相当財政的にも大体成長率を九%くらいにしなければならぬですから、大幅な繰り延べをやるとか、相当金融引き締めをやるとか、かなりラジカルな政策をとらなければならぬと思うのですよ。そういうことが不可能だとすれば、それをアップする形において調整しなければならぬ。そうなると、また今度は物価に影響するという問題が起こるわけです。どっちを選ぶのか、もう選択の問題ですよ。そこを聞いているのです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 率直に言いまして、いまの問題は、むしろ見通しを離れて、現時点において政府としてどういう道を選ぶかと、こういうことになります。私たちは、特に消費者物価について言いますと、まことに残念なことですけれども、やはり何といっても季節商品の影響が大きい、これはいなめない。季節商品を除いたものは大きく見通しとは狂ってないと、こういうふうな感じを持っているのですから、そこで野菜の季節性ということも頭に入れて、今後相当下がることも考えられる、こういうふうなことがあるものですから、まあそういうことも頭に一面置きながら、したがってある意味では底が下がっていく。その面ではそういう点も頭に置いて、現在の四・八という伸び率を別にこの際四・一とか、こういうふうに下げるという必要はないと考えているのです。ですから実績として四十四年度の指数が、たとえば一二八・六といったものが、いまの六・四のベースですと、一二九をこえてくる、これは事実としてやむを得ない、その上に立っていままで申し上げてきた四・八というものの中に物価をできるだけ押える努力をしてまいる、こういういま考え方です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 全くほんとうにあれですね、こっちはずいぶん焦点を明らかにして質問しているのです。四・八より以下に押えなければつじつまが合わぬわけです。そういう政策をやれるかと言うのです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) われわれとしては……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 かなりラジカルな、実質成長率九%くらいにしないと合わないです。予算がそういう前提になっている。すみからすみまできちんとしたものじゃないけれども、大体そういう見通しに立って編成しているのですから、そこに一番大きな狂いが出ているのですから。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 予算の問題ということになりますと、これは実行をどうするかという問題ですね。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それを聞いているのです。繰り延べをもっとやるのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) この間の大蔵大臣の答弁でもありましたように、底が少し上がったという意味でもって多少苦しさはあるけれども、これでもって予算を実行することは十分可能である。そう支障はないと、こういうふうに答弁しておりましたが、私たちもそういうつもりでおりますが。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して。それでいまお話を聞いておって、四十五年度の物価上昇率が四・八%におさまらない場合に、見通しの改定ということを言われましたね。見通しの改定ということも大事だが、目標の範囲におさめるためにどういう有効な政策手段をとるかという、これがなかったために毎年見通しの改定をやるのでしょう。だから、それの問題じゃないですか。それができないということになると、いま木村さんのおっしゃったとおりになる。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いま議論になっておりますのは、私たちもいま四・八というものはずっとそれを守る、そういう気持ちでおるわけです。ただ、木村先生の言われますのは、前年の実績の指数が上がってきたから、だからもう四十五年においては出発点から指数そのものが変わってくる、こういう話です。この指数を、これが見通しに出ている指数と違ってくることになりますから、それを一体変えるか、それとも四・八をもっと低くして指数をそのまま押える、このくらいのところまでやるか、こういうお話です。そこでわれわれとしても四・八というのは、物価の問題についてはいろいろな観点がありますけれども、やはり対前年に対するところの上昇率というものをわれわれは非常に重視しておりますから、そういう意味で四・八をできるだけ守りたい。そしてまたこの指数が——この四・八というのはもちろんわれわれとしてはそれ以内という意味ですから、四・八以内におさまるように努力した結果なるとすれば、これはたいへん幸いなことですし、そういうことになれば指数というものもいま考えられているほど上がらないで済むようになるわけであります。そういう意味で、これはやはりもう少し情勢を見て、そうして指数を変えるべきかいなか、こういうようなことをもし考える段階になればそのときに考える、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どうも経済企画庁らしい答弁じゃないですね。だって四・八に、あるいはそれ以下におさめたいというんなら、もうこの数字からいえば大体三・六くらいにおさめなければならない。そうすると、成長率を九%ぐらいにしなければなりませんね、物価と成長率の関係。その場合に、それでは有効需要をどれだけ押えるか、こういうことが出てこなければならない。それには公共事業費がどれだけ繰り延べられる必要があるか、経済企画庁ならコンピューターではじけるわけですよ。最近では相当そういう作業のためにPPBSとか、いろいろコンピュターでやっているでしょう。もういまの段階では可能なんですよ。そのくらいの答弁をされなければ、いままでのような答弁では満足できない。われわれはもうかなり計算しているのですから、さっきお話のように需給ギャップなんかでもこまかい計算をやっている。それに対していまのような抽象的な答弁をされたのでは、われわれとして質問する張り合いがなくなってしまうのですよ。ですから、そんな四・八%以下におさめるというんなら、どれだけの成長率のダウンをさせ、それには有効需要をどのくらいに押えなければならないか。そうすると、そう言っては悪いですけれども、この間物価関連予算として約九千百億あると言いましたね、かりにあの九千百億を全然使わない、有効需要にしないとすると、そうすると乗数効果を二ないし二・二ぐらいにしますと、大体二兆円くらいの有効需要のカットができるのですね。そうすると、私の言う需給ギャップがそれだけでかなり縮まる。それは皮肉ですけれどもね、物価対策関連費を使わないと、かえって物価対策になるのですよ、逆に。そういう計算も出てきますね。ですから、そこのところを詰める質問ですから、そこまで詰めなければ意味がない。計数的に詰めていま質問しているのですからね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 木村さんのお話もわれわれよくわかるのです。そこで木村さんはこの指数を変えるのじゃ意味がない、四・八を変えるとおっしゃいますが、ですからわれわれのほうは、もし変えるような情勢というものが出てまいった場合には、むしろ指数を変えざるを得ないかもしれない、しかしそれはもう少し先になってこないと何とも申し上げられない、必要があると思ったときには指数を変えることになるだろう、こういうことを申し上げているわけです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間がありませんから、次に移ります。  いま物価関連予算のお話が出ましたから一ついでにこの物価関連予算、これは四十五年度で九千百五十四億円ですね。前年度より千百九十七億円、一五・一%ふえている。この中で一つでもいいです、一つでもいいから、この予算を実行することによって物価の値上がりをある程度ダウンするに寄与するのか、そういうことが計数的に出る予算があるかないか、指摘してもらいたい。たとえば低生産部門の生産的向上とか、流通対策とか、労働力の流動化促進、競争条件の整備、生産必需物資等の安定的供給、家賃及び地価の安定、公共施設の整備と、こう七つくらいあります。この中で一つくらいはっきり目標を立てて、この予算を実行すれば物価の値上がりを何%押えられるかという目標を立てて組んだ予算がありますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) この物価関連予算というものは、私は実は別な考えを持っていたのです。つまりこれがちょっと大き過ぎる。それで、これは私も就任のときに見まして、これはもっとほんとうは洗い直して、そうしてもっと直接的なものに編成し直したほうがいいと私はそう思ったのです。ところが、御存じの何か去年来のいきさつがあったようです、私は知らないけれども。それで私に言わせますと、間接的な経費がずいぶん入っているように思うのです。そこでいまの御質問ですが、私はそういう意味でもこの物価対策費というか、間接的なものが入っている意味では多少私自身も満足しない点があるのですが、いわゆる物価対策費としてこれが何ポイント物価指数に影響するかという形で計算して組んでいるものはもちろんございません。むしろ長い目でもって合理化をしていこうという、いわゆる低生産部門の生産性を上昇させるというような、比較的長期的な観点に立った予算がその中に多いわけです。そういう意味でもって、いまおっしゃったような意味で的確にこれがポイントとなってあらわれるというようなものは少ない。それからまず値上がるのを防ぐというような性格のもの、まあいずれにしても短期的に効果的なものというのは私は少ないと思いますが、もしこれが許されるものなら、たとえばお米なんかは、これは三千億円削れば削れるというか、これは削るとむしろいまの情勢から言うと上がっちゃいますな。そういう意味では消極的な役割りはしています。そういう消極的な役割りをしているもの、それから長期的な視野でもって考えるもの、いろいろなものがありますが、まことに残念なんですけれども、いまおっしゃったような意味ですぐこうポイントになってあらわれるというような対策費というものはちょっといま考えつきませんけれどもね。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは非常に大きい金額です。いま企画庁長官がいみじくも言われたように、これは洗い直してみなければだめですよ。これには生産者サイドの、生産者保護的な予算も物価対策になっているのですよ。もっともあまり消費者サイドのものは少ないのですけれども、しかし、ほんとうにいま言ったように目標がなくては、これは何%くらいときちんとしなくともいいんですが、物価安定に寄与するという目標を立てて積算して、そのとおりにならなくとも、一応目標がなくてはだめですよ。それがなければ物価安定対策費なんて言わなければいいんですよ。物価安定対策費なら物価値上がりをどの程度食いとめるとか、そういう戦略目標を立てておいて、そのためにこれだけの予算、これが多過ぎるとか少な過ぎるとか議論をすればいい。これを洗ってみると、生産者保護的な予算で、消費者保護的予算というのはいま言われた食管に組み入れられた多少そういうものがありますが、ですからこれは仕分けしなければならない。仕分けをして、ほんとうに物価対策予算なら、これから今後は一応目標を立てていかなければならないと思う。流通対策なら大体何%ぐらい寄与させるためにはこれだけの予算が必要だ、これが多いか少ないかは、一つの戦略目標がなければ多いか少ないか判定できないじゃありませんか。だから今後そういう物価対策予算の組みかえをされるんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いまそれでひとつこれを一ぺん私も洗い直した上でつくってみたいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしませんと、NHKテレビでこの「9000億円のききめ」とか何とかやりましたが、あのときでも大体取り上げ方自体が、この予算自体は物価安定対策費とは言えないような予算なんです。それを一般国民はこれによって何か物価安定ができるような予算と錯覚を起し、またそれを親切に解説もしない、する人もいない。この予算は一応物価関連予算で物価対策費のように見えるけれども、中身を洗ってみれば、生産者保護的予算になっているのが多いんです。あるいは消費者サイド的なものは非常にわずかである。それからそれについて、それをもっと明らかにする必要があるということを解説すればいいんですが、だから何か物価対策予算というと、末端に行って調べてみると全く逆のようなことになっておる。それに関連して今後将来洗い直して組み直すと、そういうことですからあれですけれども、そのとき私は最後まで見ておったんですが、最後に佐藤長官が、「国民の皆さんの意識にも分裂があると思いますよ」、こういう答弁をして、そうしてこれは朝日新聞に出ておりますが、この番組を批評しておる人があります。番組を批評して、「政府の無策はたなに上げ、物価騰貴は国民大衆の側に非があるといわんばかりなのには、あいた口がふさがらなかった。」という批評なんです。これはやはり私は企画庁長官は物価担当の大臣ですから、いまの当面及び七十年代を通じて一番重大な政治課題になろうとしている物価担当大臣としては、姿勢が問題じゃないかと最初に言ったんです。こういうふうに国民の側に責任があるような言い方、こういう姿勢は私はいけないと思う。  そこで、何か国民の側とか、あるいは経営者側とかいうことですが、根本の問題は、この物価値上がりの原因をどういうふうにとらえられておるかということが私は重要問題だと思う。それに対する対応のしかたが私は問題だと思う。そこで質問いたしますが、四月九日、経団連の首脳部とお会いになっておりますね、丸の内パレスホテルで経済団体連合会首脳と最近の物価上昇、賃金上昇などの問題について意見を交換したと新聞に出ております。この席上で長官は、最近二年間賃金上昇率が生産性の上昇を上回わっており、これが物価値上がりの大きな原因になっておる。このままで進むと、新経済社会発展計画の達成はおぼつかない情勢である。政府は総力をあげてこの問題に取り組むが、民間側でもこの問題の解決に当たってもらいたい。と述べている。ここでは賃金が生産性の上昇を上回っておる、ここに物価値上がりの原因があると重点を置いて、あなたは経営者に大幅賃上げをしないようにと要求しておるわけでしょう。どうなんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) それはどういう発表の経路で出たのか私は知りませんが、私は一番問題にしておるのは、景気の上昇期におきましては、従来は普通は生産性の上昇のほうが賃金の上昇を上回ってきておる、それが景気が下降のときにはむしろ賃金のほうが生産性を上回っておる、こういう傾向がある。そこで従来ずっと長く見ていますと、生産性と賃金の関係というのは、ある時期には生産性のほうが高いときが続き、ある時期には賃金がそれを越えた時期が続き、いろいろありましたけれども、四十年代に入りまして、しばらく生産性のほうが賃金を上回っていき、ところが、ここへきて急に生産性を上回る賃金の上昇というものが出てきた。これが定着化するかどうかが私は非常な問題だと思っているのですが、最近の勢いはなかなか強い。そういうことになりますと、しかも非常に高いベースの上に伸び率が最近どんどん伸びておりますし、四十年か四十一年ごろ一〇%そこそこであったものが最近では一六、七%、こういう伸びですから、この勢いでどんどん伸びるということになってくると、われわれが今後予想しておるいわゆる安定成長という見地から見て、これが賃金の場合にはおそらく卸売り物価にそのまますぐはね返るかどうか、これは産業によっても違いますが、そういうようなこともありますので、これはよほどわれわれとしても注意をして見なければならぬ。ただし、その際に私はくれぐれも断わってあるのは、別にわれわれが賃金を抑制しようということでやっておるのではなくて、賃金というものが経済の成長とともにどんどん伸びていく、これは私は当然のことである。ただその上がり方があまりに一気に激しいという場合においてはバランスをくずす問題が起こることで十分考えなければならぬ、こういう意味で申し上げておるわけです。でありますから、私も今後の動向をよく見たいと、そしてその動向があまり突っ走るようなことがあると、これはわれわれとしても非常に心配だと、こういう気持ちで話しておるわけです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まあはなはだどうも失礼ですけれども、全然認識を欠いておりますね。それからいまの物価対策の政府の方針とも違った認識ですよ。さっき話したように、物価値上がりの原因には三つある。ディマンド・プル、アドミニスタード・プライス、それからコスト・プッシュ、だから賃金が物価にはね返るのがいけないとは言いませんよ。しかし、コスト・プッシュは、賃金が物価にはね返るということは、これは新しい型なんです。相当学者間でも慎重に扱わなければならんとハンセン教授も言っておりますよ。アメリカの物価を具体的に分析したときに、賃金が物価値上がりの原因になる、これは具体的に事実を検討しなければならぬ。ところが、昨年九月卸売り物価が相当上がってきて、日銀が金融引き締めをやっておる。日銀が金融引き締めをやるにつきまして、消費者物価と卸売り物価の値上がりはもちろん管理価格の問題もありましょう。それから賃上げの問題も全然私は出てないとは思いません。しかし、いまの一番大きい原因はディマンド・プルだ、総需要を抑制しなければならぬということで、金融引き締めで一生懸命やっているんでしょう。日銀の説明によれば、最近日銀で企業の経営コスト分析をやっているんです。賃金上昇を含めたコスト上昇以上に製品価格が引き上げられている、だから大企業を中心にコスト高にもかかわらず収益率が高まっているのはこのためである、このような大幅な製品価格の引き上げは需給が逼迫しているからこそできることなのだ、これは西川日銀の統計局長がこう指摘してきているんです。これなんかフリードマンが言うディマンド・プルとか、あるいは最近のハーバラーでもそうです。最近の卸売り物価の値上がりは海外の品物が値上がりした、海外の物価が上がった、だか値上がりしたので、金融を引き締めても値上がりを食いとめることができないとよく言っている。私は海外で物価が上がっても、総需要を押えれば値上がりを押えることができると思う。いまの政府の物価対策の最も重点は総需要を押えることだ。そうしてまた経営者が賃金その他のコストを物価にはね返らしてはいけないというところにあるのですよ。ですから、経営者にあなたがおっしゃるならば、これはアメリカのアクリー方式というのがありますね。アクリー委員会でも、賃金が上がっても、生産性を上げ、経営者の利潤、分配率を下げれば物価にはね返らないというアクリー方式です。どうも企画庁の最近の物価に対する考え方は、いわゆるフィリップス曲線によるトレード・オフの考え方です。フィリップス曲線というのは、一応近代経済学で使いますけれども、これは非常に過去の古いときの事実をとらえて出した曲線です。相当これは批判があるのです。だからアクリー方式ではっきりと、賃金上がっても生産性が上がり、あるいは経営者のほうの利潤、分配率を下げれば物価にはね返らないという方式があるわけですからね。そこで日銀は、結局企業経営コスト分析によると、賃金上昇を含めたコスト上昇以上に製品価格が上がってくるのだ、それはどうして上がるかといえば、結局需給が逼迫しているからだ、いわゆる総需要が大きいからだ。そして昨年の九月から金利を上げ金融を引き締めた。最近政府もようやく、ほんとうに意識的にやっているのかどうか知りませんけれども、予算の繰り延べ的な方向にいっていますね。これは意識的か伺いたいのですが、暫定予算でおくれたそのおくれを取り戻さないということ、これはやっぱりそういう繰り延べ的な考え方でおやりになっているのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私も木村さんとそう認識は違っていないと思うのですが、最近における需給の逼迫、これは私も大いにそのつもりで認識しています。ただ一方に賃金の上昇のベースが、一二が一三、一四と伸び率も上がってくると、そうするとある時点にきまして——これからだと思うのですが、インフレーションになっちゃう、定着しちゃう。今度は総需要のほうを押えたけれども賃金のほうは勢いがとまらないということで、これが硬直化しちゃうということになるとたいへんだ、そういう心配を持っておりますから、いまのような申し上げ方をしたのですが、そういう意味では、総需要の点も私は大いにいまお話ししたような意味で認識をしておるつもりです。それですから、総需要対策ということをしきりに言っているわけですし、それからまたいまお話の予算につきましては、これは大蔵大臣が申し上げることですけれども、私が聞いたところでは、やはりいますぐいわゆる繰り延べというところまではもちろん考えておらないけれども、しかし情勢を見ると、予算のほうからあまり刺激的なことはしない。金融引き締めの効果というものを見守っている際だけに、予算のほうから刺激的なことは避けたい。そういう意味でとにかく情勢を見守るというくらいの気持ちで、手続としてはきわめて普通の手続を経て、特別これが繰り延べるとかなんとかいう形じゃないけれども、そういう気持ちをやはり持っているということは事実です。まあ総需要については、やはり輸出需要というものはわれわれも心配でありますし、これは何とか早く鎮静しなければいかぬと思っておりますが、海外との関係ですから、何か思うにまかせない要素がありますけれども、今後もひとつ引き締めは継続してまいる、そういう気持ちでおります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間がなくなりましたから、簡潔にあと具体的に三つばかり聞きますけれども、これは大蔵省の調査ですから、政府全体の統一した見解ではないと思います。もちろんこれは経済企画庁とほんとうは連絡をとって検討した上で発表されるのが正式じゃないかと思うのですが、大蔵大臣に私は需給ギャップについて質問したら、自分のほうでもこれはやっぱり検討してみる必要があるというので、徹夜してだいぶ苦心しておつくりになった。それをこの間答弁されておりますから、速記にも載っているわけですから、これについて質問しても差しつかえないのじゃないかと思うのですが、どうせ公表されるものと思うから……。その場合にこう言われている。私は四十五年度予算が景気刺激的インフレ予算だという立場で質問しておったのですが、大蔵省のほうではそうではないという立場で、その説明として需給ギャップを計算してみた、国民経済の供給能力の算定方法はまだ確立してないけれども、別紙の四つの方法によると、四十五年度の供給能力増加率は二・六ないし一二・六%、需給ギャップ率(供給能力のゆとり率)は二・一ないし四・六となっている。どの程度のゆとりがあるのが正常かの判断は容易でないが、三十三年度——四十四年度(実績見込み)の十年間の平均ゆとり率は二・八ないし六・〇%となっている。こういう説明です。成長経済においては、ある程度の物価上昇は避けられない、正常なゆとり率のもとでも、名目GNPの伸びは実績GNPの伸びを上回るのが普通である。こういう説明です。そこで、これは今後やはり経済企画庁のお仕事なわけです。政府財貨サービスの購入、あるいはこういう需給ギャップの調整が今後やはり物価対策なりあるいは景気対策の基本になる問題です。そこで一番問題なのは需給ギャップ率、これを供給能力のゆとり率というふうに見ているんです。これが非常に問題じゃないかと思う。経済企画庁はどういうふうにこの需給ギャップというものを考えるか、ゆとり率で見ていいのか、むしろゆとりがあることがマイナス要因だと思うのです。逆に何かプラス要因のような理解のしかたですよ。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは需給ギャップということばは、やはりわれわれは従来、いま木村さんが御紹介なさった大蔵省と同じ考えで使っております。ですから、問題は需要と供給の関係がどの程度逼迫しているかという議論が別にあるわけです。しかし、いわゆる需給ギャップというのは、従来から実質成長率というものといまの能力というものとの差ということで従来から考えられていると思いますね。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そこが問題なので、それは能力GNPと実質成長率がなぜ差が出てくるか。差が大きいことが何かいいというように思っておりますね。何かゆとりがある。私のほうの計算は、その差及び次年度にふえる部分を加えて、GNP成長率を私は一三・六と計算している。それは含んでいるのです、これを。しかし、この場合、能力がこれだげあるのに実質成長率がこれを下回っているということは、それだけフルに能力が運転していないということでしょう。稼働していないということですよ。それは何かほかに構造的に要因がある。たとえば原料が十分入らないとか、労働力が不足であるとか、能力があるけれども十分に稼働しない。ここに問題があるのですよ。そうすると、それは能力GNPがこれだけあるのに実質成長率がこれだけである。ここのところに開きがあるというのは、有効需要との比較では供給力がそれだけ十分でないということです。それがむしろマイナス要因になる、そうでしょう。むしろそれだけ需給は逼迫してしまう。だからそれを何かプラス要因のように考える、これは全くナンセンスですよ。こういう考え方は一つの調査としては必要でしょう。どのくらい能力の稼働率があるかということはこれは必要ですけれども、これが景気刺激的であるとか、物価刺激的であるとか、あるいは景気にどういう影響を持つかという場合は、ともすれば実質成長率と能力GNPの成長率と、それから国民総支出、いわゆる有効需要——エフェクティブ・デマンドですよ、これとの比較をしなければ意味がないと思いますよ。ですからそういう作業をやっぱりおやりになる必要があるのじゃないですか。これを需給ギャップで供給能力にゆとりがあるというのでは、それは一つの参考にはなりますし、稼働率なんかいまよく問題になる。たとえば損益分岐点がどのくらいであるかということを調査する場合にはいいですよ、これはむだじゃありませんが、ですからそういう調査をおやりになっていないんですかね。

新田庚一経済企画庁調整局長

○政府委員(新田庚一君) ただいまの木村先生のお話、前にございましたので、いろいろ検討しておるのでございますが、非常にむずかしい問題でございまして、私どもの需給ギャップという概念が、先生おっしゃいましたように、実質GNP、能力GNPとのギャップである。そのギャップというものは物価が上がるから出てくるわけでございまして、物価の上がる原因がかりにすべてデマンドプルでいくというふうに仮定いたしますと、GNPのギャップというものはなくなるのじゃないかと思います。そこで、名目GNPとそれから能力GNPのギャップというものが物価要因として働く。しかしそれ以外のコスト要因で物価が上がるというほかの面を考えますと、かりに能力GNPを名目GNPがこえなくても、その分の減価というものはあって、そのギャップというものは当然出てくる感じがいたします。そこで生産函数、私どもの能力GNPの計算、生産函数による計算方法とか、あるいは資本計数による計算方法、いろいろございます。いろいろ改良の途中でございますので、私のほうの企画庁でも、モデルがあっていろいろ数字もあるのでございますが、どれが一番いいかというふうな検討をこれからやってみたい。さらにその能力GNPというものと、先生の言われます名目GNPとの比較の場合に、はたして単純に比較していいのか。それともコスト要因、その他の要因による物価上昇度をある程度引いたもので比較する。そうするとその区分というものは一体どういう方法でやるのかという、いろいろの技術的の問題がございますので、今後とも検討してみたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 あと簡単に質問します。  政府財貨サービスの計算ですね、これは前に私、企画庁の経済研究所の資料をもとにして、はっきり言えば、前に参議院の予算室長の正木千冬君が計算したものです。これを私は計算してそれで質問したところが、これは何か一部学者の計算にすぎないのであまり信頼性がないということを言われましたが、その後検算してみたんです。そうしたら、正木君の企画庁の資料をもとにやった計算が政府のより低いんですよ、政府財貨サービスの。たとえば、企画庁の経済研究所の試算による計算では十一兆二千八百五十一億、政府のほうは十二兆一千八百三十億ですね。ですから、重複計算とかあるいは振替所得みんなちゃんと引いて過去の趨勢値をずっと計算して出したんです。一番差が出てくるのはどこに問題があるかというと、地方財政ですと指摘しているんです。なるほど調査してみると地方財政が計画と実績では一兆円ぐらい違いますからね。政府の十二兆一千八百三十億出すときには地方財政計画ができていないんです。腰だめでやっているんですよ。ですから私は、せっかく研究所でこういういい調査をやっているんですからね。こっちのほうは批判にたえるんですよ、経済研究所の調査のほうが。政府のほうは実績がわからぬうちにやっているんですからね。そこに非常に欠陥がある。批判にたえない点があるんですよ。だから、もし研究所より政府がいいというならその論拠を示してもらいたい。そしてこれでは地方財政計画と実績がどれだけ違うか明らかにしてもらいたいんです。そうしないと、せっかく国民の税金を使って研究所でこういういい調査をやっているのに、むしろ研究所のいい調査のほうが批判にたえるのに、そっちのほうが間違っている、欠陥がある政府の調査のほうを主としている。こんな私は本末転倒はないと思う。研究所にはもっともっと予算をつけていい研究をさせるべきですよ。できた成果がいいのだったらそれを政策に反映させるべきですよ。今度は十分検討していただきたいと思います。こっちのほうが検算してみると正しいんですよ。批判にたえます。政府のほうは批判にたえないですよ。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) いまのお話は、政府のほうはむしろ見通しを立てる時期に制約があります。ですから、いま御指摘のように、地方財政計画がまだ立つ前でもあるしするので、推定を用いてもこれはやむを得ないと思います。もしも実績によって計算をするということであれば、これはまた私は話は別だと思うのです。いずれにしましても、しかし、この間何か一七・一とかいう数字を伺ったというので、私のほうではだいぶ違いがあり過ぎるというので問題にして、あの論文についての中身を一応検討さしたわけですけれども、もちろんわれわれが考えている以上のいいものが出るならそれはやぶさかでありませんから、もう一回再検討はひとつさせてみます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最後に、これは東大の小宮隆太郎氏が新経済計画に関連して提言しているんですが、非常にもっともだと思うんです。この点やはり今後十分留意されるべきじゃないか。これは経済企画庁長官に質問するのは無理かもしれぬが、これは総理大臣によく伝えてこの点踏み切らなければ何にもならない。というのは、こういう提言なんです。経済政策の政治学ともいうべき問題がある。これはちっとも触れていない。たとえば物価政策として輸入政策とるでしょう。ところが輸入して、たとえば豚肉なんか輸入しても業者の反対にあって倉庫にしまっておいて出さないんですね。そういう問題があるでしょう。カルテルの問題だって管理価格の問題だって。ですから、政策は立っても政治的な反対にあって実際できないんです。これを振り切らなければだめだと思うんです。そこのところが、ずいぶんこれは作文としていい政策を並べても、中山提言一つだって実現されないでしょう。それはカルテルとか何とかみんな利害ふくそうしちゃって、だから政治力がなきゃ全くだめだと思うんです。この点は今後物価対策として、どんなに百万言費やしていい政策ね、輸入政策だ何だって、いわゆる管理価格をもっと押えて、それで企業に反省を促してコストダウンをしたら、それを価格の引き下げへ反映させるなんて幾ら口で言ったって、業界の反発を食っちゃうんですからそれがどうにもならぬ。しかし、それが政府の有力な資金のスポンサーなんですよ、自民党のスポンサーなんです、大体多くは。だから、捕えてみればわが子なりなんだ。これではほんとうの物価政策できませんよ。  最後に、私は企画庁長官に感想を伺って、この質問やめますが、総理大臣にもよく伝えていただきたいと思うんです。長官だけでは無理だと思うんですがね。これが私はきめ手だと思うんです。結局物価対策は政治ですよ、そう思うんですが、ひとつ。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私は木村さんの御指摘のように、この物価対策の前途はなかなか容易でない。そしてまたいろんな提言というものを実行する際に、いろいろとそういう利害の問題が起こるということもわかっているつもりです。しかし、そうしたものをできるだけ乗り越えてやっていかなければ物価対策は進まない。で、その際に、いま御指摘の、捕えてみればわが子なりなんというようなことはないとお考えくださっていいと思うんです。そのためにどうとかということは、一切自民党の政府は別に考えておるわけではございません。ひとつできるだけ各種の提言も私たちも吟味し、そして各省とも一緒になってこれを実行していこう、いまそういう矢先でございます。もちろん、この前の行政会議の提言のような問題については、他の行政目的からする介入、こういうような問題もありますから、そう一がいに機械的に論ずることはできないと思いますけれども、できるだけひとつ物価政策を推し進めてまいりたい。そういう気持ちでおります。またいまの気持ちは総理にもよくお伝えしましょう。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 長官の時間の御都合もあって、まだあとお二人質問者があるので、私はほんの簡単に二、三質問をいたします。  古い経済社会発展計画では約五兆円の公債発行を予定したわけですね。ところが実際には二兆円で、これは四十二——四十五年度の四年間で二兆円で済んだわけです。で、今度の新しい計画では、六年間に公債発行はどのくらい予定をしているのか、計画は全然これに触れていませんね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは例の財政収支バランスというものを別に計算してあります、新しい計画のもとで。その計算の結果として、特に公債発行を予定するような大きな数字が出てこないわけです。ですから特に具体的な数字を今回あげておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 計画ではあげていないが、長官としてはどういうお感じをお持ちですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは今日まで大蔵省でもいわゆる公債依存度というものを相当気にしてきています。それで昭和四十年の補正、それから四十一年に本格的に公債発行をしました当時に戻って私いま考えてみますと、あのときには、これが端緒となって相当公債発行が続くんじゃないか。また当時羽生さんも御存じのように、あのときにはあれじゃ足らない、もっと一兆円の公債を出せというような声が一面にはありました。そういう段階を経て、今日振り返ってみますと、あれから逐次公債発行を減らす努力をしてきております。そういうことで、大蔵省としても公債をむやみに増額するというような意図をはっきり持っておらないわけですから、公債依存度を、現在も五%台ですから、あれを著しく私は低めるという必要はないと思います。しかし、もうこれから特に公債依存度を引き上げるような方向をいま考えておらない、こういうことだろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 大体五%程度になったわけですね、現在。そこでそれを引き上げる考えはないと言われましたが、それはあたりまえの私は話だと思うんで、問題は、今後自然増収があった場合に、さらに五%以下に引き下げるのか、あるいは情勢によってはゼロまでもっていくのかということが問題になるわけですね。蔵相は前に何らかの機会に、火種ぐらいは残しておかなければならないという議論をやられたこともありますがね。ですからこういう計画を立てる場合に、やはり財源との関係もありますから、公債についてもこれは全然触れておらぬということは私はちょっとおかしいと思うんで、この場合に、やはり、いま五%より上げる考えはないと言われたけど、むしろ問題は五%以下に下げる考えもあるのかどうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは全然触れてないわけではないんですけど、新計画では。それでやはり市中消化の原則をあくまでも徹底するということを中心にして、そしてやはり抑制に努力をする、こういう方針的なことを書いてありますし、それから一方において財政の弾力性ということを言っています。そしてやはり公債発行というのは、ポリシー・ミックスの時代に一種の財政の機能を弾力化する一つの有力手段というふうにわれわれ考えているわけです。そういうことでありますから、今後の財政の情勢にももちろんよることでありますけれども、趨勢的にはこの公債依存度を引き上げるようなことはもちろんしないし、またもし可能なものなら、それは漸減してもいいと思います。ただ、五%ぐらいの依存度といいますと、率直に言いまして私たちの考え方では、ある意味では底に近いんじゃないかという感じを持っています。たとえば金融関係のほうの連中から言わせると、まあ今後の財政金融調節をする意味においては、オペレーションというもの、オペレーション政策というものが重要な位置を占めます。このオペレーション政策ということを考えると、ある程度の公債発行ということは必要なんだというようなことも、かねがねそういう説もあるわけです。ですから大蔵大臣の火種を絶やさないという意味は、そういう意味で申し上げているんだろうと思います。公債依存度が多少今後下がることがあったにしても、趨勢的には非常に大きな変化はないんじゃないか、大体そういう感じです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私はそれはわからぬわけでもないが、自然増収が相当額に達したような場合ですね、それでもなおかつ何%残して、火種を残しておかなければならぬということがどうも私にはあまり理解できない。前に昭和三十年ですか、三十一年ですか、経済基盤強化資金というものをつくったことがありますね。だからああいう形のものにするのか公債でいくのか、これはそれと関連して減税のほうに回すということもある。だから私、無理に火種を残しておかなけりゃならぬということもないような気がする。これほど大型の経済になって、パーセンテージがこれほどのものなら何も無理にちっとばかり火種残さぬだってほかに方法があると思うんだが。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) おっしゃるように、自然増収が出ますとまず減税の問題が一部で問題になるでしょう。それからまあ一萬田蔵相のときに行なったあの調節資金のようなことを、最近においてはドイツが行なっておりますが、ああしたことを実行——一方で公債発行を少ししながらやることも私は可能であると思いますし、これは完全に財政の機能を多方面に多角的にやるという意味でできると思います。まあいま申し上げた今後のオペレーションにどの程度のものが要るのか私は知りませんが、計算、いま持っていませんが、しかし、いずれにしてもある程度ということであって、これは五%でなきゃならぬことはないわけですから、今後も、いまの経済成長ですと、自然増収がまた相当出てくるわけだし、そういうことになれば、また逐次依存率がわずかずつでも逓減していく、こういう状態が続くと思いますが、まあ、これをゼロにすることはないんじゃないか、こういう感じを持ちます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、先ほどの木村委員の質問にも少し関連するんですが、新しい経済社会発展計画では、成長率を一〇・六%と見ている。これは実は去年のこの予算第二分科会で私が質問したときに蔵相が、今後数年間一〇%台にとどめたいと言った数字と一致するわけです、この今度の一〇・六%というのは。ところでこの成長目標の数字は単なるやはり、先ほど議論があったように、見通しであって、いままでもそうであったけれども、これがブレーキをかける目安にはなっていなかったわけですね。そこで今度の場合は計画数字を一応の——一応ということは計画数字を目安にしてブレーキをかけるのか。ですから、さっき木村さんは非常に学問的な立場で言われましたが、私は政策的な意味で、実際にその見通しと実績との乖離が長年続いてきたわけですけれども、今度の計画では見通しどおりにとどめようとすることにウエートを置いて、そして政策的にブレーキをかけることがあるのかどうか。そうして見通しと実績との乖離の幅を縮めるということでなければ、全然私はこういう計画というものは意味がない。ときどき何か論文を拝見するようなことになってしまうと思うのですが、その辺のお心がまえは一体どういうものか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘の点はわれわれも十分考えています。まあ、実績とあまり乖離するという非難も十分わかっているわけです。そういう意味で、実勢というものも一応頭に置きながら、この程度のところに落ちつけていくということが今後のバランスのある発展を遂げる意味において適当である、こういう考え方に立っていますから、これはできるだけ——数字のさまつにこだわりませんけれども、大きな考え方として、現在の高い成長水準をもう少しスローダウンしていく、こういう意味でやはりわれわれとしてはこの計画の数字というものは一つの政策の指標になる、こういうふうに考えております。同時に、いま日本の経済見通し、国際経済に依存度も高い際ですから、なかなか狂いがちでありますけれども、できるだけ近づけるようには努力しなければならない。また羽生さんがおっしゃいましたけれども、これで見通しの数字や計画の数字が全然ないと国会でも議論されにくいのじゃないかと思う。ですから……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いやいや、そういう意味では尊重します。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) そのつもりでおります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それからもう一つ。今度のこの新計画では財政バランスはどうなるのか。財政計画の必要はないのか。それを示す必要はないのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは御存じのように、かねがね財政計画の問題があるわけです。それでもちろんこの新計画を立てる際の試算としまして、財政収支計算というものを行なっております。五十年度三十三兆というような試算を行なっておるのです。ただ、まあこれをいわゆるドイツでいうような意味の、法律に基づく計画というところまではわれわれとしてはまだあげておりません。まあこれをするについては、これはよほど慎重にしませんと、ドイツはそれをまた毎年変えています、ですから毎年変えるというような意味の計画という意味で計画といっていいのか、ここらはいろいろ議論が分かれるところであります。目下そういう意味では計画化は考えておりませんが、一応の試算というものを持っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで最後はちょっと意見になるのですよ。意見を開陳しておきたいと思いますが、この七〇年代が人間尊重という立場で公害その他に立ち向かっていく新しい計画を必要とする時代といわれておるわけで、先日も私ハーマン・カーンさんと三時間ばかり話をして、そこでまあ日本の高度成長について大いにカーンさんの意見を聞くのも有益ではあるが、同時に今度は、その高度成長、GNPの高い伸びが人間のしあわせとどう結びつくかが日本の今後の課題だということを私は述べたわけです。そこでこのGNPが、資本主義国家間で第二位に、共産圏を入れれば第三位ということになって——いずれは世界一位になるかもしれぬ、そういう場合に私たち考えさせられることは、いま申し上げた人間性回復といいますかね、人間疎外のいまの条件を克服していくために生活環境の整備に重点を置く政策にウエートが移らねばいかぬと思う。それは予算の中に、毎年社会保障費が幾らふえたとか、あるいは公害対策費が幾ら盛り込まれておるとか、生活環境整備費が前年度に比べて幾らふえたとか、それはあります。しかしそういうものではなしに、それも大事ですが、たとえば身体障害者をどうする、老人対策をどうする、あるいは託児所をどうする、あるいはごみの処理をどうする、上下水道をどうする、そのほか幅広く幾らでもありますね、公害はもとより。そういう問題に国の財政の性格の重点を移すと。ある程度性格を変えるくらいなものでなければ、前年度に比べて〇・何%ふえましたというふうなことで片づくような性質のものじゃないと思う。私はその感を深くするのです。そして、そういう意味では国際競争力も大事であるけれども、そのGNPの伸びだけが何か国の発展のしわざであるというふうな考え方を根本的に改める必要があるのじゃないか、そういう意味で新しい七〇年代の国の予算あるいは財政の基本的な性格にしなければならぬのじゃないか。それじゃ設備投資はみな押えてしまって、国際競争力も何もなくなって成長がおそろしくダウンしてもいいかと、私はそんなことは言いません。国際均衡もとらなければならぬし、同時にまた国内均衡も必要であるということですね。そういう意味で前年度に比べて何%ふえたというようなことじゃなしに、もっと根本的に、予算の性格が変わるくらいな気がまえで問題に立ち向かわなければ私は、所得が伸びても、今度自分を防衛するための費用に、自分の生活なり自分の生活環境を防衛するための費用に自分の収入がふえた分が食われてしまうという、これは千ドル、千五百ドル個人当たりの収入、所得が二千ドル台になれば、なればなるほど自分の生活を高めるというよりも防衛するほうに収入が回ってくる可能性が十分あると思う。そういう意味で私は、こういう根本的な問題を考えないと、数字をいじっているだけで問題は解決しないということをつくづく最近感じるわけで、これは具体的な質問にならぬわけですけれどもね、私の気持ちを述べて長官の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 実は私も羽生さんと同じ気持ちなんです。それでこの間の国際シンポジウムでGNPに対して、公害その他の問題についてマイナス項目を立てるというような議論もしてきたわけです。私も、これは技術的に非常にむずかしいようです。だからすぐどうというわけにいかないのですけれども、むしろマイナス項目を立てるような方向でGNPの計算をするのも一つじゃないかと、実はいま自分だけの考えですけれども、そんな気持ちを持っておるのです。ただ、まあこれはまたこれで、いわゆるただ紙の上のそういう計算をして済む問題じゃありません。一方で外貨も現実にどんどんたまってしまう。そうすると、幾ら紙の上で計算してマイナスしてみても、それはそれだけのことであって現実の姿じゃないですから、ですからそういう方法がいいのか。それとも、そういうマイナス計算まではしなくても、いまおっしゃったように、政策の充実という中身の問題としてこれを扱っていくのがいいのか。そこで、まあ私たちがいま成長率をスローダウンする、スローダウンすると言っていることの意味は、いろいろな意味があります。たとえば経済の過熱を押えるとか、そういうようないわゆる安定的な成長を願うとかいろいろな意味もありますが、同時に、実際問題として、今後公害その他についての資本コストが高まっていくから、やはりそういうことも強く押さなければならぬ。もしそれをまじめに押していけば、それはいままでのような高い成長一点張りということでなくなる姿が出てくるわけですから、そういうこともわれわれは考えなければならぬ。それからまた、個人の所得がいたずらに一人頭昭和五十年度は百万円になる、いまの四十九万円が百万円になるからといって喜んでいられない。その百万円にふえるということがいいのか。その百万円を十万円削って、その十万円分をみんな集めて、そうして公共資本の立ちおくれに投じたり、あるいは環境整備のほうに回したり、そういうふうにするほうがいいのか。そういうことになると、いわゆる高福祉高負担ということ、所得の上昇に伴ってそういう観点も出てくるわけです。そういうようなことで、一方において、公害は資本の当然コストである、こういう考え方をやはり進めなければいけませんし、それからまた、ある意味において、この民間資本の上昇率に対して、社会資本、公共資本の上昇率を、しばらくの間は、公共資本の立ちおくれている間は、これの上昇率を伸ばすことが必要である。そういう意味で、今度の新計画は公共資本の上昇率を少し上回らしておりますが、そういうようなものの考え方が必要である。しかし、これは要するにその年々の財政の組み方とかいろいろなことで具体化しなければなりません。そういう意味で、民間資本と社会資本のバランスの問題、いまの成長率の問題、あるいは高福祉高負担の問題、いろいろな形で、いまおっしゃったような意味でもっと実のある所得にする。百万円というものをただ名目的なものにしないで実のある百万円にする。それには一体どういうふうにしたらいいか。これがやはりわれわれとしての一番考えどころであると思いますし、それには、一応、一面において見通し、それから今回の計画のいろいろな課題なり、提言なり、こういうものに含まれている政策をできるだけ実行してまいる。さらにこの提言に限りません。できるだけひとつただいまお話のありました方向でやはり政策を進めていかなければならない。こういう感じを持っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 わかりましたが、もう一つ。  そこで、この新計画の中に公共投資等も若干余分に盛り込んであるというお話ですが、先ほど私が申し上げたようなことが新計画の中に完全に盛り込まれておるわけではないですね。ですから、そういう意味での新計画の修正というものが私は将来あっていいと思う、やっていく過程で修正というものがね。ですから、新計画以外のものであってもいいんですよ。年度予算でそのつどそれを盛り込んでいけばそれもけっこうです。それは企画庁長官としてだけでなしに、内閣全体として、七〇年代に取り組む国民の福祉、国民の真のしあわせをどうして守るかという角度から一そうの御努力を希望して、私の質問を終わりたいと思います。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 時間の関係もありまして、主として物価の問題に限定して若干お尋ねをいたしたいと思います。  佐藤長官の経済演説の中でこういうことが言われているわけですね。「今や、インフレとの戦いに安易な態度は許されないのであり、この戦いに勝つことなくして、今後のわが国の発展はあり得ないと考えるのであります。そして、物価問題の解決は、議論の段階から、これをいかに実行するかの段階にきていると考えます。」非常に勇敢で率直だと敬意を表するわけです。で、この基本的な考え方が今回の新経済社会発展計画の中にどういうふうにあらわれてきておるのかという点であります。特に消費者物価については、あれは藤山さんの長官のときでしたか、前の経済計画では、消費者物価も漸次逓減していく、減っていく、そうして最終は三%台ですか、ということになっていたと思います。しかし、あれは必ずしも計画の中には具体的に入っていなかったように思う。で、結果は、御承知のとおりです。パーセントが若干違うということはこれは当然にあり得ることですね。しかし、漸減していくというその考え方が逆に漸増していくという結果になっているわけですね。こういうことは計画を基礎にする一つの考え方としては感心されないと思うわけです。今度の新計画においてはそういう点どういうふうに扱われておるのかということが第一点であります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) ちょっと失礼いたしましたが、いま漸増と言いますと、物価の……。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 いや、対前年度の比率をだんだん減らしていくというやつが、必ずしも減っていなかったわけですね、これまで、藤山さんのときの。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは平均でもってもちろん一応出した上で、しかしそれを最終年度に三%台に持っていくという表現で、われわれはその気持ちで出しているつもりだったのですが、むしろ物価問題につきましては、やはり現行計画と新しい計画を見まして、比重の置き方が非常に物価にかかっているというふうに私は見ていいと思うのです。これはいろいろの表現を通じましてのことで、具体的にいまこまかいことを申し上げることではありませんけれども、やはり段階が違ってきた。そういう意味で物価ということを非常に前面に押し出して、そうして計画としても取り上げておる、これははっきり言えると思います。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 それでは、今度新しい計画の内容を検討する機会を持てなかったので、これから持つつもりですけれども、これは一応いろいろのケースの組み合わせの段階において出てきているわけですね。そういうふうに理解していいのですね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) そうです。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 それからあの中に、物価の対策として、若干の具体的な構想が出ているわけです。第一に、総需要の抑制をはかるということが出ていると思います。これは私は政府の公的な見解としては初めてではなかろうかと思うのです。いろいろ論議はありましたけれども、これも重要な政策の課題として出してきたのは今度が初めてだろうと思います。非常に重要な問題で、総需要を抑制するという考え方の具体的な方法論ですね、具体的にどういうふうに考えておられるのかということをひとつお伺いしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) この物価安定政策会議で御存じのように総需要の抑制についての提言が行なわれておりますし、その提言の中でも触れておりますけれども、やはりいわゆる物価政策として総需要の抑制ということは本来の手段というよりもむしろその前提条件である、その補完的性格である。しかも、同時にこれはやはり欠くことのできない条件である。こういう考え方だと思うんです。そういう意味で今日まで必ずしも取り上げられてきておりませんでしたが、これはむしろ当然の前提というようなこと、あるいはまた景気対策というような見地から暗黙のうちに考えられておったかもしれません。しかし、今日高い成長がずっと続いてまいりまして、そうしてそれがいろいろとひずみなりアンバランスというものが経済全体の上に生じてきておる。こういうことでございますから、成長はしなければならないけれども、しかし、あまりに過度な成長、行き過ぎになった成長ということは、われわれもその道をとらない、こういう現実の事態に直面しまして、やはりこの総需要の抑制という要素が非常なウエートを増してきておる。こういう感じが今回の物価逓減政策の中の総需要の抑制の取り上げ方に出てきておるというふうに私は考えております。これも具体的に言うということになりますと、これはやはり今日非常に民間設備の投資であるとか、あるいは財政需要であるとか、いろいろなそうした需要について対策が必要であるという場合に、一方において金融によるところの調節があり、一方において財政によるところの調節がある。この二つが二つの大きな調節手段、こういうふうに考えられると思います。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 個々の物資の価格、これを対象にして生鮮食料品とか、それを押えていくという性質の段階を越えまして、全体的な一つのインフレ対策という観点に立つと、どうしてもやはり個々の物資を追いかけてみてもある意味でははじまらないのです。それはそれで必要でしょうけれども、基本的には総需要を抑制するということが、お話しのように、私は基本的な一つの態度といいますか、政策である必要があるだろう。その場合にお話しのように、従来も景気過熱対策として行なわれましたけれども、設備投資の需要ですね、これを金融上の措置で押えていく。これは現在日銀中心で行なわれております。ことしの予算が警戒型か中立型かは別ですが、財政需要として総需要の中で持つ財政需要の立場においてこれを若干抑制し、コントロールするということは、これも従来やり得ることであり、若干の経験もあるわけですね。ところが残されておる非常に大きな需要である一般の消費需要ですが、その点については何というか、これまでそれを対象にして調整等のことは考えられたことがないように思う。また、そのめどをどうするかということもあまり検討されておらないような感じがするんですが、この点はどうでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは消費需要というものはもちろん非常に大きなウエートを持っておるわけでありますから、われわれとしてもこの点を無視することはできないんです。御存じのように、日本のいわゆる経済成長パターンがどちらかというと消費需要が少しずつウエートが下がっていくというようになっておるんです。今度も一〇・六%の成長を続けるということになっておるんですが、昭和五十年度のときのGNPに占める消費需要のウエートは四〇%台に落ち込むんです。それでそういうふうな点もありまして、消費需要というものは相当伸びておるようなんですけれども、国民全体の、国全体の総生産あるいは総需要、こういうような中においてウエートが落ちておるということを考えますと、まあ、これについてどういうコントロールをするかというこの議論がどうも実際問題として起きてこないと、もちろんいろいろ立場による消費需要の方向、傾向についての議論はございます。もっとこういう方向への消費需要であってほしいとか、いろいろそういうのはあると思いますけれども、そういうことでまだ日本においては、同時に消費需要についてのコントロールを的確になし得るような手段というものも十分に一面においては備わっていないような情勢であります。よく外国でいわれるような、いわゆる消費金融等を通ずるところのコントロール、これも私はアメリカのようになってしまうと相当問題だと思っておりますし、そういうような問題、これから今後どういうふうにするかというその問題が起こってくると思いますし、それからまた今度は英国のように、間接税の操作によって、そうしてその消費需要を調節する、こういうふうな問題もまだ現実問題として日本においては不十分であります。実際問題としていまのような前提条件を考えてみますと、まあやはり何といっても今日需要の急増というものを抑制していくということになりますと、この金融調節あるいは財政調節、こういうような手段が一番的確でもあるし、そうしたことでもってやっていく以外にはないじゃないかと考えています。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 現在までのところは大体長官のお話しのような事態であったように私も思います。消費を適当な方法で調整していくということは、そのこと自体日本には熟していない反面、非常に消費が旺盛といいますか、力が強い。将来、全体のシェアは減っていくかもしれません。しかし、インフレの情勢というものが今日よりも強くなっていくというふうな状況を考えますと、これはやはりそれに対する施策というものを検討しておく必要があるのではなかろうか。たまたま直接税間接税のバランスというものが、非常に直接税のほうにウエートがきまして間接税が下がってきた。来年はひとつ間接税のほうに相当のウエートを移していこうじゃないかということを大蔵大臣も言っておられるので、そういうことも考えていく必要がある。設備投資の場合いろいろありますけれども、消費需要の議論とかそういう面における金融について、もちろんいまの段階でどうこう言う必要はないかもしれませんが、将来やはり考える必要があるんじゃなかろうか。  それからもう一つは輸出需要ですね、これをどういうふうに考えていくべきであろうかということが非常に大事じゃなかろうかと思います。これは、御承知のように、輸出増進というものはこれまで日本の国の政策の中で最も重要な一つの基本的な政策で、あえて過保護ということばを使う必要はないと思いますけれども、相当保護されてきたことは事実です。それはそれなりに理由もあり効果もあったと思いますけれども、今後輸出についてどういうふうに長官は考えていかれるのかということであります。これはやはり物価なりインフレの問題に関連を持つ非常に重要な問題ですから。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) まことに御指摘のとおりであろうと思います。日本における輸出需要というもの、あるいは貿易の規模ですね、これは必ずしも、輸出立国とか貿易立国とかいうふうに言われているわりに国民総生産に対する貿易の規模というものは比較的に大きくございません。そういう点をやはり頭に置き、それからまた、したがってこの外貨準備というふうなものを今日の日本の経済規模から見ると、まだ決して過大というわけにはまいりません。こういうふうなことで、全体としてまだそういう輸出とか貿易とか、そういう系統の規模が全体から見てそう大きくないということも一面に頭に置きまして、しかしながら、たとえば輸出入を通じて海外の好景気というか、インフレというか、こういうものが日本に対して反映し影響する、これをどういうふうにさばくかと、こういうことだろうと思います。日本においては、もちろんこれを金融調節の全体の中で、いわゆる資金の収支バランスということで、日銀が中心でそれの調節を行なってきたわけです。あまりこれが過大になるとなかなか金融調節の負担を重くして非常にむずかしくなるわけですけれども、まあ今日までのところその機能によってやってきたと思います。ただ心配なのは、大体普通の場合にはこうしたものはそう永続性、継続性を持たないわけです。ある時期にそういうものがありましても、やがて海外の景気も鎮静するというふうなことで、実際上の調節というものが行なわれてきた。国際的な景気の調節の自然の循環によって、ある意味においては調節が行なわれてきた。それがこう何かのことで非常に継続的に輸出の需要というものが高いままに続くというふうなことになると、やはりわれわれとしても、これは日本の景気調節に大きな影響を持つわけですから、そういう意味でさらにいまの金融調節その他によってできるだけ影響を少なくしてまいる、こういうこともしなければならぬ。まあ総需要の抑制ということが今日非常に叫ばれてきましたのには、民間設備投資の高い水準というものにも問題がありますけれども、いま言ったような貿易関係の問題も反映していると思います。まあ今後それによって支障のないようにやっていかなければならぬと思っております。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 最後に、いまの問題にも関連するんですけれども、まあ長年の間日本の外貨準備は二十億ドルという一つの現実の増勢を続けてきたわけですね。一体その外貨準備の基準というもの、適正規模はどうあるべきかについてはいろいろ論議があってはっきりしない。まあはっきりしない性質のものでしょうが、それがこのところいろいろの事情で短い時間の間に相当急激な増加があらわれてきたわけですね。これがなお今後相当増大すると考える場合に、やはりそこに一つのインフレ的な要因をつくり上げることになるわけだと思う。それに対してどう考えられるかということと、とにかくこれまでは日本の大きな景気の調節には歯どめとして外貨の問題があって、それが減るとか、あるいは赤字ということが国際的な一つの視野、立場からと、それに合わして日本国内の金融上の措置、あるいは財政上の措置で調整をしていって効果をあげてきたわけです。今度はその歯どめがなくなるわけです。むしろインフレ的な性格を持ちながら歯どめがなくなる、こういうことになってくるというと、外部からくる一つのインフレ要因、国内のインフレ要因、両々に対して考える、まあやや常識的な方法としましては、円貨の何らかの方法による、何らかの切り上げということが、何となしにある必然性を持つだろうという感じを生んでおるわけですね。この問題についての長官の見通しなり、お考えを承りたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私どもはまだいわゆる切り上げというような問題は、全く実は考えておりませんが、これは全く考えないというのは、どういうわけだというお話ですが、まだ外貨準備もそれほど国際的に見ても高い水準というわけではないと思います。でありますから、ただいまの程度のところでどうということはありません。ただ、まあ将来この傾向が続いていった場合どうなるかということも含めましてですけれども、何といいましてもまだまだ先にすることがある。自由化の問題を控えておりますし、それからさらに、さらに輸入を促進をしていくという問題も控えておりますし、それからまた経済協力の問題も控えておりますし、こういうようなことで、二面において国際収支の黒字基調というものが、現在の国際競争力から見てなお続くとしましても、一面においてまたわれわれ出さなければならない金もたくさんあるわけです。そういうことですから、まあ直ちに外貨準備が急増するというわけでもございません。それから、一方において日本の経済の成長というものは、非常に伸びが早うございますが、少しぐらいの外貨の準備ということが行なわれましても、バランスからいってそれでどうこうということは私はないというふうに考えております。いずれにしましても、諸外国等においても、まだ日本の切り上げ問題は、多少言う人がないじゃありませんけれども、いわゆる日程にのぼる段階には私はほど遠いと、実は考えておるわけです。むしろ外国がしきりにいっているのは、それによって自由化を促進するてこに使っておる実情だと思います。それから、かりに切り上げということが議論になりますと、これはよほど慎重に私どもは考えなければいけない、そういうことだろうと思います。

高橋文五郎自由民主党

○高橋文五郎君 二、三質問いたしたいと思います。  まず国土の総合開発の基本的な方向を示した新全総を策定し、推進しつつあることに対しては、あらためて深く敬意を表したいと思います。どうぞ経済審議会答申の新経済社会発展計画と相まって均整のとれた豊かな社会を実現せしめるように努力を願いたいと思います。  新全総計画によって均整のとれた各地域の開発計画を早くほんとうに具現しようとするためには、開発計画と同時に何といってもその実現手段が相伴なうことが必要であろうと存じます。先進地域のほうはいまになればほっといても加速度がついている、こういうことでありまして、たとえばアメリカでもぶざまに広がる非人間化されたメガロポリスの化けもの、こういったようなことばが出るほど公害とか、交通問題とか、いろんな問題を含みながら発展していっているわけですが、これから発展させようとする地域にはやはり実現手段を強力に発揮していただくという必要があろうと思います。ただいま数多くの開発制度が立てられてそれぞれ地域指定が行なわれておるわけですが、今度の新全総には従来の関係法令を再検討して体系的な整備をするとともに総合的な開発、行政組織を整えるというふうにうたわれておるのでありますが、いろいろ御検討中のことと存じますが、とりわけ東北開発について申しますと、長い沿革と経過をたどっておりますので、開発行政の再検討にあたっては東北をモデルケースとして作業を進められておるというようなことを言われておるんですが、首都圏の場合のように財政上の特別措置までも含めた案を御検討中なのかどうか、それをお尋ねいたしたいのが一つ。  現在の東北開発促進計画は昭和四十五年度で期限切れとなるわけでございます。明年から新しい開発計画が発足できますように早急に法制化していただくようにお願いしたい、こう思うわけです。従来の東北開発促進法は東北の資源開発というようなことを進めるためであって、何となく首都圏発展のための従属性を多分に含んでおる、こういうふうに思われてならないのでありますが、新全総による東北開発はその特性とあるいは主体性というようなものを持った経済社会圏の発展を促して、国土のつり合いのとれた発展に役立ったというならば、東北知事会の提案された東北圏開発法といったような新しい立法が必要じゃないか。いわゆる新しい酒は新しい皮袋に入れるというような方向でいっていただきたい、こう思う次第でございますが、いかがでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いまの高橋先生のお話は、私たちも東北の特殊性ということは十分わかっております。そして、新全総計画においても御存じのように、東北は一面においては日本有数の食糧基地としての性格を持っておる。しかし、同時にその地域としての広域的な開発を同時に進めていかなければならない、こういう性格、両面持っていると思うのです。そういう意味において、新全総の段階を迎えまして、いま御指摘のような東北の開発の基本を示す法律体系の整備、こういう問題が日程にのぼってきているわけでございますが、私たちもそれにつきましては、従来御存じのように各種の法律がさまざまにございますし、そうしたものをこの際できれば一本化して、そしてもっとはっきりした東北開発の基本的な方向づけのある法律体系というものを樹立していくべきではないか、こういう考え方に基づきまして、現在目下検討しておる、こういう段階でございます。もちろん、その際には御指摘の首都圏の整備法ですか、そうしたものももちろん参考にしますし、それから財政の問題も頭に置かなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけです。まだ非常に具体的な段階ではございませんで、各地方からの意見も取り寄せまして、そして検討中、こういったところでございます。

高橋文五郎自由民主党

○高橋文五郎君 新全総の地域開発は相当大規模なプロジェクトが織り込まれていることは申し上げるまでもございませんが、その実現のためには総合的な行政組織を整えて、強い国の指導助成というものが私はどうしても必要じゃないかと思います。プロジェクトを地方に示すだけでなく、計画を促進、実現するためには、地域の主体性を確立することはもちろんでございますけれども、やはり計画の仕上がりのあとを見届けてやるというだけの親切な、そして強い国の推進力が必要じゃないか、そういったようなことをひとつ企画庁のほうでお考え願いたい、こういう気持ちでございます。そのためには、財政投融資といったような、いわゆる金融上の措置は申すまでもございません、あるいは税制の問題、補助、助成といったような、いろいろの問題が出てくると思うのでありますが、やっぱり情熱と意欲に満ちた生きた行政指導というものが肝要じゃないか、こういうふうに思います。  たとえば、大規模工業立地のための土地の先行取得というようなものが行なえるわけでありますが、それと同時に工業誘導についての助成措置というようなものが十分にできていない。すなわちそういうものの方策が、施策が講ぜられなければならない。それから東北は最大の食糧供給基地であるということをうたわれておるわけでありますが、その実現のためには、それにふさわしいだけの土地基盤整備であるとか、あるいは集団的な生産組織であるとかないしは農業振興地域の指定、構造改善事業といったようないろいろの施策が行なわれるわけだろうと思いますが、特に濃密度の施策、助成というものが、前にも申し上げたように講ぜられなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。  それでプロジェクトと、その実施体制によってそれを推進する国の力と申しますか、そういうのがぜひ必要なのでありますが、東北について申し上げれば、さしあたって少なくとも東北開発室をもっと強化、拡充されまして、現在の方々がやっておらぬというそういう意味では決してないんですが、内容をもっと充実いたしまして、さっき申し上げましたような大きなプロジェクトに対してそれを推進し、あとを見届けるまでに親切な施策をし得るような充実したものにしていただきたい。そして十分な機能を発揮するようにしてほしい、こういうふうに申し上げて、プロジェクトを単に各関係省庁に示し、まかせるということだけでは、総合的かつ時間的にも均整のとれたものにはならないんじゃないかという不安を持つわけでございます。その点について長官どうですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) アフターケアを十分にせよというお話は私ももっともだろうと思います。それから結局その計画の具体化ということで、あるいは工場の導入にしましても、農業の基盤整備にいたしましても、これが全総計画でただ計画として指摘しているにとどまるのじゃもちろん問題になりません。これらにつきましては、それぞれの担当者においてこれの具体化を進めていくように、これはまた企画庁としてそれの音頭をとって進めなければならないと思います。具体的には、いま私たちは全国総合開発のための審議会、それからまた東北には東北開発の審議会があります。こういうようなところの審議会の審議を通じ、それからまたそこに特に専門家等を委嘱しまして研究会等も設けております。こうした研究会によって今後の東北開発のあるべき姿、進む姿、方向というものをできるだけいま検討し、さらに、実際的なそれにはどういう調査をすべきかというようなところまで踏み込んで検討をしておるわけであります。開発室は、残念ながらそんなにたくさんのスタッフはおりませんけれども、しかしそうした審議会の機構というものを十分に活用し、それから企画庁としても重点的な使用のしかたを考えることは十分できるのですから、現在のスタッフだけでなく、幾らもまた応援、協力によって、いまの御趣旨のように東北の問題についての政策の具体化が進むように、われわれとしてもできるだけの努力をしてまいりたい。またそれらを実現する手段といたしましては、御存じの東北開発公庫の問題であるとか、そうした問題もあるわけですから、そうしたことを頭に置いて、それらの機関を十分にフルに活用して、関係各省とも一体となって東北開発を進めてまいる、そういうことだろうと思います。

高橋文五郎自由民主党

○高橋文五郎君 大体、東北開発会社、北海道東北開発公庫に触れられました。これらの機関はいろいろと仕事をやってこられたわけでありますが、ある程度コマーシャルベースに乗った仕事は民間にこれを移譲して、今後は新しい公共事業的なもの、たとえば新産都市の建設のための臨港輸送施設であるとか、あるいは倉庫であるとかいったような事業に積極的な投資を行なうようにして、これに地方公共団体とか、あるいは民間とかいうようなものの協力を求めて地域開発の新分野を開拓するように御指導願いたい、こう思う次第でございます。  なお、時間がございませんから、ちょっとお願いを申し上げて終わりたいと思いますが、新全総には、仙台周辺に国際研究学園都市を建設するというような案が明記されておるわけでございますが、最近報道されております国連大学といったようなものもその一環としてぜひ実現するように私どもは期待し、要望を申し上げておきたいと思います。  以上申し上げましたことは、いろいろだだいま検討中のものが多いと思いますので、この次の東北開発審議会のころには成案を得て、ひとつ御報告、御発表をちょうだいいたすようにお進めを願いたいと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 限られた時間がわずか二十分程度でありますので、物価の問題について私は具体的にいろいろ聞きたいと思ったのですが、そうもできませんので、何点か長官並びに国税庁、農林省の方に伺って質問を終わりたいと思うのです。  初めに経企庁長官に伺いたいのですが、行政介入と物価についての物価安定政策会議の提言に対して、具体的にどういうようにやっていくのか。先ほども木村委員からもお話がありましたけれども、幾ら提言してみても、実際にやる気がなければ物価というものは下がらないと思うのです。この下がる実績を見せるのが政治の力じゃないかと思うのですが、具体的にどう取り組んでいくか、この点について私は伺いたいと思うのです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) この間の提言のありました行政介入の問題につきましては、さっそく各省にも検討をしてもらっておるわけであります。われわれとしましては、この行政介入がいやしくも経済の効率を妨げたり、それから価格が下がるはずのものを下げないような効果がもしあるということであるならば、これは当然その介入を廃止するかもしくは介入のあり方を直してもらう、どっちかのことをやらなければいけないと思います。まあそれぞれ他の目的もあってできている制度等もありますから、一がいにいま結論的に申し上げることはできませんけれども、私たちはいま、間もなく物価対策閣僚会議等をひんぱんに開きまして、そうしてこうした問題に真剣に取り組んでまいろう、こういう心組みでおります。いまその実績をお見せできないのは残念でありますが、そういう段階であります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 具体的にこの提言されておる問題の中でどういう点をまずまっ先に企画庁として取り上げるお考えでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これはもうちょっと時間の余裕をかしていただかないと、まだそういう中身について申し上げるところまで行っておりません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私、きょうは砂糖の問題と洋酒の問題で具体的に二、三いろいろ意見を申し上げておきたいと思うのですけれども、この物価安定会議の問題で、特に砂糖の問題が相当論議されているわけですね。この問題について具体的に、まあ最初に農林省のほうに伺いたいのですけれども、なぜ砂糖が安くならないのかということなんです。その点についてお願いします。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 砂糖につきましては、ただいま行政介入ということに関連して御質問がございましたが、現在農林省は糖価安定法を中心といたしまして砂糖の行政を行なっている次第でございます。その糖価安定法の趣旨は、糖価安定制度を設けることによって糖価の異常な変動による国内市場の混乱を防止するということと、それから国内産の保護を中心といたしております。その反面、一方では関税、消費税というものを設けることによりましてやっておりますが、過去、糖価安定法を制定して以来、卸売りの砂糖の価格はおおむね百円から百十円前後の間を動いておりまして、糖価の価格自身は安定していると思っている次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 糖価は安定しているというが、高いほうで安定しているのでありまして、具体的に言いますと、四十一年から四十二年のときは非常に砂糖は下がった。ところが、それからずっと上がった。その内容をいろいろ調べてみますと、砂糖の需給協議会というのがあるんだそうなんですね。これについての、この問題についてこの砂糖需給協議会というのですか、この協議会の内容とか、あるいは構成メンバーはどういうふうなぐあいになっておるのか、こういうところでどういうふうな操作が行なわれているのか、これについて伺いたい。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) この砂糖需給協議会というものを設けた趣旨は、いわゆる粗糖の自由化が昭和三十八年の八月に施行がされまして、その後、精糖業界関係方面が、非常に砂糖の価格が不安定になりまして、いろいろ過剰設備とか過当競争とか出まして非常に低迷したわけでございます。その結果、農林省といたしましては、業界も含めて公正取引委員会に申し入れいたしまして、不況カルテルの結成をしたわけでございますが、非常に、まあ四次だったと思いますが、四次にわたる不況カルテルの設定をすればするほど糖価は不安定になった。その結果、四十一年から農林省が中心となりまして糖価安定事業団あるいは糖業関係の専門家にお集まり願いまして、その年のいわゆる砂糖の需給の見通しを専門家の意見を聞いて、役所だけできめるとどうも見通しを誤りますので、関係者全部の意見を聞いて、半年ごとに砂糖の需給事情を定めることによりまして逐次糖価が比較的安定してきた、こういうふうに見ておる次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 協議会の、五社の代表が出ている、その代表をちょっと言ってください。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 五社というようなかっこうではございませんので……。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 五社じゃなく五方面から出ていますね。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 農林省が一人、それから糖価安定事業団から、それから全日本精糖工業会、それから日本ビート糖業協会、それから日本甘庶糖工業会、それから砂糖輸出入協議会、それから全国砂糖代理店会、それから全国砂糖元売商協同組合連合会、こういった関係者が集まりまして一、二へん開いている次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私は、行政介入の問題でこういうふうに生産者の業界の代表とか、それから役所であるとか、糖価安定事業団とか、消費者と全然関係のないこういう一部の人たちによって需給調整が行なわれるというのは私は物価問題に大きなガンがあるんじゃないかと思うのです。たとえば、ここで砂糖の需給関係のいろいろデータをもらった。ところが、需要と供給の関係を調べてみますと、二割くらいの少な目の需要目標しか出してない。こうなってくれば当然高くなるのはあたりまえだと私は思う。いろいろ資料をもらっても全部資料が違うのです、データを具体的に調べてみれば。こういう点で私はこの需給協議会で一部の人たちによって価格のつり上げ政策というか、安定とは言われるかもしれないけれども高いほうに安定しているわけですよね。もっともっと実際に、国内の砂糖の生産というのは四分の一しかない、四分の三が輸入と、私はこう聞いているわけです。輸入の自由化がどんどん行なわれておるにもかかわらず、政策的には輸入の自由化を導入しろというけれども、実際にこういうところで価格のつり上げが行なわれている。これでは一般消費者はどうなっているのだろうかと、こういうふうなぐあいになるわけだと思う。こういう点で実際に需給協議会で生産割り当てが行なわれているかどうか、この点についてお伺いしたい。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) ただいま砂糖が高く安定しているという御指摘がございましたが、実はこれは多少見解の相違かもわかりませんが、われわれといたしまして依然として砂糖の値段は現在の時点におきましてコストを割っているのではなかろうか、平均的には。で、十六社から営業報告書をいただいておりますが、そのうち七社がいわゆる累積の欠損金を出しておりまして、その欠損の総額が約七十六億円になっているのではなかろうかというふうに思いまして、なお砂糖の価格を何か高くするという気はございませんが、少なくとも採算点に到達の平均前後で糖価が安定することを強く考えている次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、この需給協議会に農林省等が入って、その協議会を行政指導するという、この法律的な根拠ですね、何かこういうものがあるのですか。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) この法律的な根拠は全然ございません。したがいましてわれわれとしましては、先ほど御質問にちょっとお答えしそこなったのですが、ここできめますのは、われわれ一応ガイドポストでありまして、これがことし一年間に入れるべき砂糖の、最も需給の中心点だろうということできめておる次第でございますが、それを各社別に割り振るとか、そういったことは一切われわれは了承しないし、またそういうことはさしておりませんので、むしろ砂糖関係者の、いわゆる企業のほうでも割り振るということはやはりこの自由競争の時代においてはなかなかむずかしいということで、実際はそのとおり守られないというのが実態ではなかろうかと、こういうふうに考えている次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私は農林省が入っておるために、行政介入として公正取引委員会もこういう問題にタッチできないと、こういうように私は伺っているわけですよね。いろいろこれはこまかく具体的な問題を追及していきますと、いろいろな問題が出てくると思うのですけれども、時間もありませんのでやりませんけれども、具体的にこういうふうなたとえば一つの例がある、行政介入の例が。実際に価格の安定といいますか、消費者を中心とした価格の安定を考えるのでなしに、一部のところで価格の操作が行なわれているのではないかと、したがって、砂糖は四分の三を輸入している。輸入価格から調べてみれば四十円か六十円ぐらいじゃないかと思うのです。加工品も……、ちょっと間違っておったら訂正していただきたいと思う。あと関税とか、あるいは砂糖消費税、これは国税の関係もあるでしょうし、いろいろな理由があると思いますけれども、なぜじゃあ砂糖にこれだけの関税をかけなければならないかということについて大蔵省からお願いいたします。

中橋敬次郎国税庁間税部長

○説明員(中橋敬次郎君) 砂糖消費税をかけておりますことにつきましては、これは……。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 関税でいいです、関税のほうで。

中橋敬次郎国税庁間税部長

○説明員(中橋敬次郎君) 関税は実は私どもの所管ではございませんですが……。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 関税局は来ていないですか……。農林省は……。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 農林省からかわりましてお答えいたします。関税は現在いわゆる砂糖換算いたしますと、大体キロ当たり四十三円五十銭程度の関税がかかっていると考えております。したがいまして、現在この時点におきまして、この二、三日の相場といたしますと、卸売り相場が百十一円前後というふうにいたしますと、そのうち関税が四十三円五十銭、それから粗糖の輸入平均価格はそれを砂糖換算いたしますと、三十二円四十銭ぐらいになっておりまして、さらに消費税が約十六円かかりますので、大体生産コストといたしまして十八円三十銭ぐらいが加工経費でございますので、大体製品コストとしては百十三円から百十四円というのがわれわれの現在の推定でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 遠回しの話じゃなしに、関税を四十三円かけている理由は何ですか。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) これは一つには国内産糖の保護ということもありまして、北海道、鹿児島のサトウキビ、それから沖繩のサトウキビというものを事業団におきまして一括買っておりますが、その国内産糖の保護ということとの関連におきまして四十三円五十銭の関税をわれわれは希望して実現したと。それからなおそのほかに、私のあるいは思い違いかもわかりませんが、大蔵省におかれましてはいわゆる関税収入、国の財政収入という観点もあわせ、同時に行なわれているものと理解しております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 まあ関税収入のことも私はいろいろあると思うのです。政策的に決して否定しているものではありませんけれども、たとえば一つの例が国内産糖の保護と、こういうことに考えた場合、私は確かに国内生産者の保護はしなければいけないと思うのです。これを考えるのであれば、別途な方法で生産者の所得補償を考えるほうがいいのじゃないかと、それならそれだけに所得補償を考えるなら、生産者はわずか限られた人なんですから、それをしないで、何もかも一緒くたにして消費者にそのしわ寄せを、関税をかけて物価をつり上げてしまっているというその行き方について私は納得がいかないと思うのですね。もう少しそういう点を、生産者の保護を考えるなら考えるように、もう少し優先順位を……。所得補償の問題等は生産的な、あるいは農林省の行政面でいろいろ考えることであって、その一部の保護のために国内砂糖の値段をつり上げてしまっているというような行き方は、私はちょっと考え違いじゃないかと、こういうように思うのですがね。もう少しこれは検討すべき余地があるのじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。この点についてはいかがですか。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、粗糖の輸入価格からだけ検討いたしますと、相当まあ五〇%から六〇%近いのが関税あるいは消費税というかっこうで取られて、いかにも不当に砂糖の価格が高くなっているように一見見受けられるのでありますが、われわれ外国のほうの関係も調べましたところ、ヨーロッパ等、いわゆるビート糖等を国内でそれぞれ御努力されて自給、ある程度供給されている国と小売り価格を比較してまいりますと、これは国際砂糖機関の資料でございますが、西ドイツでキログラムあたり、これは小売り価格でございますが、百八円、イタリアが百三十六円、オランダが百三十二円、日本は当時小売りで百二十九円、英国はほとんど全糖を輸入しているようでありますが、六十九円というふうに、われわれ日本といたしまして、西欧の生活水準と比較いたしまして、それほど高いものではないというふうに理解しておる次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 時間がありませんので、これ以上深く言いませんが、いずれにしても、企画庁長官に伺いたいのですが、実際に消費者保護の行政が行なわれるのか、それとも産業保護なのか、この問題は絶えず論議の的になってくるのじゃないかと思います。こういう問題については、やはり通産省とか大蔵省はながなかできないと思います、いろいろなことがあって。ところがやはり消費者行政について最も力を入れていかなければならないのは経企庁じゃないかと思います。この点についてはいかがお考えでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私も砂糖の問題については、その沿革、経緯をある程度今日まで知っているつもりでありますが、したがってなかなか根の深い問題ですが、やっぱり一面において御指摘の点が非常にあると思います。そこで今回もこうしたあり方について議論が出ると思います。私たちも今後これをどういうふうに持っていくか、関税、消費税の一本やりでいくのが一体いいのかどうか、これは大いに検討したいと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 それではもう一つ。提言の中にもありますように、輸入の管理という問題で、ノリ協会の一つの例があがっているわけであります。ところが私は洋酒をいろいろ調べてみますと、たとえばジョニーウォーカー、この黒と赤を調べてみますと、具体的に入ってくる値段というのは非常に安いんですね。それは関税、酒税もあるでしょうけれども、この輸入の管理ということが非常に提言されている。こういう問題について、ノリ協会を含め、いろいろな輸入割り当て、あるいは輸入協会をつくって何かそこで割り当てが行なわれて、輸入制限が行なわれ、価格がつり上げられているのじゃないかという懸念を、私は非常にこのジョニーウォーカーを通してみても、一例でありますが、するわけです。こういう輸入管理の提言の問題についてはどうお考えですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) ノリなんかはいま非常に問題になっておりまして、農林大臣も非常にこれについては関心を持っておられます。そのために最近わざわざ研究会をつくりまして、なかなか複雑な経路のようでありますから、これを十分研究した上で、もう少しいわゆる消費者行政としての観点を十分に入れるような方法を研究したいということで、いま進めております。ウイスキーの輸入等につきましても、これはよく議論が出ておりますが、せっかく物価政策ということで輸入政策をやっていく。ところが、何か中間の機構があって、そこでもってちっとも安くなってないんじゃないかという議論もわれわれの耳に間々入ります。まずこれらの実情をよく把握した上で、そうしたことがあるならばこれは大いに改めるようにしなければいかぬ、こういうふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 国税庁では、このウイスキーの輸入の経路はもう所管外の問題でしょうけれども、ジョニ黒とジョニ赤は幾らで入るんですか、的にひとつお示しください。

中橋敬次郎国税庁間税部長

○説明員(中橋敬次郎君) 現在私どもが調査いたしておるところによりますと、市場で一万円で売られておりますのは、CIF価格におきまして約一千百円ぐらい、市場で小売り価格として五千二百円ぐらいで売られておりますものがCIF価格として約五百円ぐらいでございます。そのCIF価格に対しまして関税が従量税として課税されます。そのほかにさらに、そのCIFプラス関税の方法として酒税がかかるという仕組みになっております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 時間がありませんので最後に申し上げたいのですけれども、確かに関税、酒税はありますけれども、具体的に六割、七割の流通経費がかかっているわけですね。こういう問題を私は一つの輸入協会を調べてみますと、こまかなことはきょうやりませんけれども、輸入協会に入っているメンバーが直接消費者に売る一つの経路があるわけなんです。その問題についても、やはり輸入商社即消費者につながる経路であっても、たとえばジョニ黒は一万円、あるいは、卸売り業者、小売り業者を通して消費者に行く場合でも消費者価格は一万円、あるいは、卸売り業者あるいはもう一つ卸売り業者を通して小売り業者を通って消費者、こういう場合にも一万円。こういうように、流通経路を省いたからどうだこうだという問題ではないところもあるわけですね。これはわかりづらい問題かもしれませんけれども、この流通経路を調べてみますと、あまりにもこういう問題が価格協定が行なわれていないんじゃないか。きょうは公正取引委員会呼んでおりませんのであれですけれども、具体的に私はこの流通経路の問題といたしまして、経企庁としてこの流通経路にもう少しメスを入れるなり、あるいはそれだけの予算をとられているわけでしょうから、いろいろ検討を加えるなりして、もう少し輸入ワクを広げるとか、あるいは需給のバランスはどうであるとか、こういうことに対する私はもう少ししっかりした見解を経企庁として持つべきじゃないか、こう思うのでありますが、最後に伺って私の質問を終わります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いまの御意見はまことに同感であります。

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 以上をもちまして経済企画庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午前の会議は一応この程度とし、午後は一時半から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 午前に引き続き、これより予算委員会第二分科会を再開いたします。     —————————————

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま高橋文五郎君が委員を辞任され、その補欠として平泉渉君が選任されました。     —————————————

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 昭和四十五年度総予算中、通商産業省所管を議題といたします。午前の会議と同様、政府の説明を省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。羽生君

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 きょうは時間の関係もあるようでありますので、簡単に三、四の点だけをお伺いします。  最初に、先般の一般質問の際に、ちょうど通産大臣お見えにならなかったので、その際質問したこと、他の大臣に質問したことですが、資本の自由化という場合、外貨の蓄積との関連で、たとえば外貨が四十億ドルか五十億ドルか、どの程度が適正かという適正水準は別として、これ以上外貨がふえないようにまた外国からの圧力等を避けるために何をするかという私の質問に対して、大臣は、資本の自由化あるいは輸入の自由化——海外協力なんかも含まれておるかもしれませんが、そういうことでいわゆる調整をしていくという、こういう話だったのですが、しかしこの資本の自由化の場合、日本から出ていくのもあるけれども入ってくるのもたくさんあって、しかも年率一〇%以上の高成長の日本には当然外資が集中してくるとも思われるので、外資減らしじゃない、外資ふやしになるのじゃないかという気がするのですが、この点いかがですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、おそらく大蔵大臣が資本の自由化と言われましたときに、対外投資の自由化ということを主として頭に思って言われたのではないかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 だからそういうこともあり得るというわけですね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) はい。その点対外直接投資等につきましてもうすでにある程度ワクの緩和はやっておりますし、これから先それはさらに進めていきたいと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 次に、農産物の自由化問題なんですが、私は単純ないわゆる農業保護政策という立場とは少し意味が違った角度からお尋ねをするのです。実は昨年でありましたか、アメリカから財界の巨頭連中が数名参りました。たとえばファースト・ナショナル・シティ・バンクの頭取、チェーズ・マンハッタン銀行の副頭取、アラビア・アメリカン石油会社の社長とか数名が来まして、この貿易の自由化を強く要求をして、これは社会党本部へ来たのですね。だれもいなくて私一人が立ち会ったわけです。それで二時間にわたって、貿易自由化を強く要求して、その中に農産物についての自由化を持ち出したわけです。それで私はこういうことを言ったわけです。あなたの国のように、一人当たりの耕作面積が二百とか三百ヘクタールもある国と、一ヘクタール足らずの日本農業を同列に考えては困る、こう言ったところが、向こうは、おまえの国は生産性が高いと言う。そこで私、確かに反収は、一反歩当たりの収量は多いが、労働の生産性でいえば問題にならぬ、あなたの国に比べて。だから、そういう角度からだけでこういう問題についての自由化要求はどうかと思うと、こういう話をさんざんやったわけです。  そこで、いまの日本の政府の考えている自由化、いずれは農業も段階的に自由化をやっていくのだろうと思いますが、私は無原則的な自由化反対論者ではありません。それはよくわかりますが、問題は、自由化する過程で——自由化する過程というより、むしろ逆に外国農業と競争する体制を整える、この過程において自由化を促進していくことだろうと思いますね。そうしたらこの間、実は私一般質問の関連で述べたのですが、ど考えても日本の農業が近い将来に外国農業と競争できるような基盤あるいは体質改善ができる可能性は非常に少ないと思います。ほとんど半永久的なくらいに、兼業農家という形でいくだろうと思う。これはもう倉石農林大臣も、全くそのとおりだと言っていました。一部分においてはそれは高度化する面があると思いますけれども、全体としてはほとんど、つまり外国農業と競争できるような意味の農業構造改善はほとんど不可能に近いということが考えられるわけです。そうなりますと、農業保護とかなんとか、もちろんそれも大事ですが、農民の利益を守ることも大事ですけれども、つまり農産物の自由化というものが全くの自由にさらされて、何も他に手段のない場合には当然、国際競争力は持てないのですから、脱落していく以外に手がない。そこで、日本の政府としては農産物についてはかなり長い期間、残存輸入制限というものができるのか、あるいは他の手段で、関税あるいは価格問題等何らかの手段で別途の政策を講じて、そのかたわら自由化ということもやっていくのか、その辺が非常によく私にもわからないのでお聞かせいただきたいと思いますが、これは誤解のないように申し上げておきますが、何でもかんでも無原則に自由化反対と言っているわけじゃないのです。ただ、それが正当な主張であるにしても、日本のいまの農業の現状からいって非常にむずかしい条件を持っておるのではないか、そういう意味ですが、いかがでございましょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) お立場なりお考えはよく存じ上げておりますだけに、お答えすることが私も実は非常にむずかしい問題だと思うのでございます。それで、わが国の経済成長に伴いまして農業の中でかなり変化を受ける部分もあると思うのでございます。それは、たとえば特産品とでもいうようなものでございますけれども、こういったようなものがいつまで生産されていくかということは、必ずしも政府にもはっきりわかりませんし、その当事者の方々もわからないものが多いと思います。したがって、こういうものは時勢の変化に伴いまして、昔は生産があったが非常にこのごろは生産も減っていくというようなことになれば、自由化がしやすいのではないかというふうに考えております。  それから、しかし米を中心としての兼業農家というものは、これはまだまだ残っていくことはもう明らかでございますから、その場合には私は、一番むずかしいのは畜産酪農関係ではないかという感じがいたします。政府の新全国総合開発計画によりますと、草地を百四十万ヘクタールほど造成して、大酪農業をやるという構想になっておりますけれども、どうもこれは、昭和六十年あたりをめざしてのことですが、そういう方向にわが国の畜産がはたしていくのであろうか、いかないのであろうかということには非常に問題が多いのではないかと思います。しかし、いずれにしても、いわゆる兼業農家の一つの施策として——これは兼業ばかりではございません、専業もございますが、酪農ということがいわれております限りは、畜産関係、酪農関係の自由化というものは非常にむずかしいものの一つではないかと思います。  それから、これが一番私はむずかしいと思いますが、あとの特産でありますとか、あるいはくだものでありますとか、それからでん粉でございますが、イモの関係、これなどはやはり、前段に申しました日本の経済社会の変貌に従って自由化する時期が、これはどっちかといえば酪農ほどむずかしくないのではないかと思っております。  大体、そういう私は大まかな想像をいたしまして、ただいまの段階から、なるべく差しつかえなさそうなものについて自由化をしていきたいと思いますが、同時に、いきなり自由化にいきませんでも、輸入のクォータを少しずつ上げていく。いま、御承知のように、全くクォータがゼロというものも相当ございますから、クォータを少しずつ上げていって、国内にもそれになれてもらうというような考え方、それから先自由化にいきますときに、要すれば関税をいじるとか、あるいは暫定的なものであれば課徴金のようなものを考える、そういうことで逐次進めていくべきだと農産物については思っておりますが、ただいまのところ、御承知のように、政府は九十八品目の残存輸入制限を持っておりますので、これを明年の末までには六十にいたすわけであります。御承知のように、しばらく前も百二十から出発いたしました。まあ、できるだけ通産省の物資で自由化のほうの努力をしていきまして、農林のほうを少しでもおそくしながら国内の摩擦を避けよう、そういう方向で今日までやってまいりまして、なおしばらくそうしなければならないかと思います。  最後にどうしてもこれは当分自由化ができないというものが、いわゆるハードコアになります。そのハードコアが六十の中でどのくらいになるだろうか、これについて、いわば従来のような残存輸入制限の形でいくか、あるいは思い切ってガットへ出しまして議論をしてもらうか、それはその段階できめることになろうと思いますが、その時期は少なくともことし一ぱいとか、来年の半ばまでというほどのことはないと、こう思っておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 わかりました。  次は、先日の物価安定政策会議の提言でございますね、行政介入と物価に関連する。このうち通産省に関係するものはどのようなものがあるのでしょうか。つまり、特に例示されたもの、あるいは例示をされないもの等でひとつわかっている点あったら……。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 幾つか品目のあがっております中には、そうたくさんはなかったのでございますが、一つは再販売価格維持制度の関係についての言及があったと思いますが、この関係には化粧品でありますとかカメラとかいうものが御承知のようにございます。それから中小企業の団体法による不況カルテル等についてやはり答申書でございますか、意見書でございますか、言及がございまして、それと百貨店法とスーパーなんかの関係についても触れておったかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これはプラス要因とマイナス要因とそれぞれ区別しなければならないと思いますが、非常にこれは具体的な問題にぶち当たると複雑で抵抗も多いだろうし、それから新しい施策も必要なことになると思いますが、通産省としてはこの提言を受けて、すみやかにこれを実施に移し、またそのあとの経過も立ち入って検討するという種類の提言ですから、具体的にいつごろからこの問題に取り組まれるのか。他の省との関連等もあると思いますけれども、スケジュールといいますか、一応の取り組み方、お考えを承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は経済企画庁まで各省が所管の物価対策についてひとつ自分の所管の案を提出することになっておりまして、私どもの役所はもう提出をいたしました。これは閣僚会議の決定で先日そうなりまして、おそらく今月中と思いますが、各省の持ち寄りましたものを閣僚会議で検討するということになっております。今回の閣僚会議がこの問題に取り組みます姿勢の特色は、従来なるべくよその省のものについては発言を控えるという、御承知のような傾向が閣僚間にもございますし、事務当局間にもそういうような一種の礼儀のようなものがあるわけでございますが、今回はひとつそういうことはやめて人のことも言うが、自分のことも遠慮なく言うというような体制にしようということを閣僚会議できめましたので、今回はそのようなかなりよそのことについてものを言うというような案を各省が出すことになりました。通産省といたしましてもそういう線でかなりいろいろのことを案として出しておりますが、その中で中小企業のカルテルにつきましては相当長い間実施しておって、しかも近代化、合理化の努力が一向にあらわれないというようなものについては、もうこれは安定事業をやめさせるべきではないか。そういう見通しをすること、それから再販売価格維持制度については指定をされたままでいわゆるマンネリズムになっておるもの、指定要件がもうすでに欠けているようなものについての洗い直し、それから百貨店法の関係では御承知のようにむずかしい問題がこれにはございますので、百貨店法を廃止してしまえという考え方には踏み切れないでおります。そうではなくてその適用について、許可の坪数でございますとか、そういったこともございますので、消費者というものにもう少しウエートを置いてやっていくべきではないかということを私どもの案として申しております。  それから一般の通産物資も含めまして物資でございますけれども、従来、先刻も申し上げましたように、輸入クォータがほとんどないもの、あるいはもうあってなきがごときものと相当ございますので、一律に輸入クォータを何用という——高いことはいきなりいけないと思いますが、そういったことを少なくとも各省の所管物資一律について考えるべきではないか。あるいはケネディ・ラウンド等で関税率の段階的な引き下げを約束しておるわけですが、その引き下げのテンポをもう少し早めるべきではないか。それから非常に関税の高い物資が幾つか例外的にございますけれども、これらのものも一律にもう少し再検討すべきではないか、これは何省の物資にかかわらずそういったことも提案をしてみたい、こう思っておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 通産大臣の考え方はけさの新聞にちょこっと出ております。閣議での発言として出ておりまして拝見いたしましたが、ぜひ他の省についても自由に発言をし、他の省から幾らでも指摘があれば受けるということで、提言を十分政策の上につまり合理的な意味で生かせるようにお願いしたいと思います。ただこの場合、弱い者いじめにならぬようにということは特にお願いしておきたいと思いますが、さてそこでいまお話しのあったカルテル等の場合、お話しのように独禁法の適用除外が約九百あると言われておりますが、その場合にこれの生まれた必要性やその歴史的な経過というものはもちろんあると思います。あると思いますから、一律にこれをどうこうと言えないと思いますけれども、しかし、いまお話しがあったような意味で非常に不合理なものもあり、再検討を要するということは間違いのない事実だと思います。  そこでたまたまそういうときに中小企業白書が出ましたですね、昨日の新聞ですか、出たようでございます。これとひき比べ——私はほんとうに素読しただけですが、ひき比べてみて、中小企業のあり方等も従来のような保護政策、もちろんかなりの保護をしなければ生きていけないような零細企業もありますが、従来のような形のものだけでなくて、もっとそれこそ生産性が生かされて、そして外国の中小企業と——大企業とはちょっと困難でしょうが、外国の中小企業とも太刀打ちできる、そういう国際競争力を持てるような意味での、そういう意味での対策がないと、いろいろな意味のいまの独禁法の適用除外とか、あるいは金融とか、その他のいろいろな、もろもろの保護政策がありますが、そういうものも大事だけれども、むしろ生産面において中小企業は将来国際競争力を持って生き得る道を築きあげていくというのが新しい今後の姿になるのではないか、という感じがするのですが、その物価安定政策会議の提言と、この中小企業白書とを関連させてみて、私は非常に興味深いものがあると思いますので、お考え方をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業、ことに零細企業と申しますと現在のゼネレーション——相当年をとった方もあるわけですが——が続く限りなかなか急速な展開をするということは私はむずかしいと思っております。いろいろな施策はしておりますけれども、なかなかむずかしいのでございますから、そうことばで言うほど問題はやさしいとは思っておりませんけれども、この白書ではやはり世の中の消費が所得水準の向上に従って高度化するとか、あるいは多様化するとか、個性化するとかいうことが確かに起こりつつございますし、中小機械メーカーなんかにつきましても、工程が複雑化しましたりあるいは部品が多様化しましたり、数が多くなったりしてまいりましたから、そういうところに中小企業がいわゆる適応性を発揮できると、またそれが中小企業がこれから生きていく道だし、政府としてもそういうところを助けなければいかぬという、そういう思想を書いてございます。こういう点ではいわゆる前向きの中小企業の伸ばし方があると思うのでありまして、先ほど申し上げましたようないわゆる物価の観点からくる安定事業といったようなものもそういう観点から私はとらえていくべきなのではないかと思っております。で、前段に申しましたように、しかしなかなかそういう範疇に入ってこない零細企業がたくさんあるわけでございますから、問題は簡単だとは思いませんけれども、私はそういうとらえ方をする。と同時に、かつて中小企業政策審議会が答申いたしましたように、時勢の変化あるいは低開発国との関係等々ではっきり転業を必要とするものに対しては、むしろ積極的にそういう事態を認識して指導していくべきではないか、こういうふうに考えるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この問題はいずれ機会を見てお伺いしたいと思います。  次に、これは衆議院の予算審議の最初に江田君が産軍複合体制の問題について、関連して兵器の輸出問題で質問して、総理大臣それから通産大臣からお答えがあったと思いますが、これは私はあそこで江田氏が指摘した問題よりも、もっと重要な意味を場合によっては持つことになると思いますので、一言だけ要望をしておきたいと思いますが、昨日も防衛庁長官に質問の際に、たまたまこれは他の委員の質問の場合のほうに多く答弁されたと思いますが、日本の兵器の国産化ですね、これは今後とも進めていくという。ところが、どう考えてもあのいまある兵器の国産化をかりにやったとしても、あの程度の規模でマスプロができるはずはないと思います。そうすると、勢いこのマスプロを実現さしていくためには兵器の輸出ということを考えるようになる。これは貿易管理令ですかでチェックしていく、心配はないというのが通産大臣のお話ですが、これは完全になければいいけれども、将来どういうことで事情が変化して輸出というような道が開けないとも限らない。そこで、もし輸出されるようになりますと、これは必ずより輸出が伸びるためには、至るところに紛争の拡大することを希望するようになるんです。  これは余談でありますが、たまたまフルシチョフ首相が退陣する一カ月ほど前に話し合ったときに、平和共存を最もおそれるのは軍事産業家ではないだろうかという話をし合ったことがあります。これは私の意見だったわけでありますが。ですから、このアジアなんかにもし日本が——欧州へ行くということはない。主としてアジアだろうと思います。そういうところへ、いまはチェックされておりますけれども、かりに何らかの形で道が開かれて、一たん兵器の輸出ということが起こってくると、必ず兵器生産メーカーとしてはより大畠の兵器を輸出し、マスプロを効果的なものとするために、むしろ外地における紛争を希望することになる。それは私は必ず物理的にそういうことになると思います。ですから、これはもう非常にこれについては関心を払うべきではないか。したがって、貿易管理令でちょっとチェックすればいいんだということでなしに、もう日本政府の基本的な政策として、そういう意味の兵器輸出はやるべきでない。またそれで得た利益ぐらいは必ず他の面で失います。これはアジア諸国のいろいろな疑惑の面から失うことがあると思いますので、これは通産大臣とともに総理にも要望したいことでありますけれども、きょうは分科会の席でありますからこれは別として、一応衆議院の段階における大臣の御趣旨は承知いたしておりますけれども、あらためてこの機会に御決意のほどを承っておきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 御参考のために最近の兵器の輸出の数字をちょっと簡単に申し上げますと、四十一年度が二億四千万円、四十二年度が七千七百万円、四十三年度が五千九百万円、四十四年度は、これが二月末の数字でございますが四百万円、大体内容はほとんどが護身用拳銃、一部わずかに小銃が入っておりますが、このことは私どもがいままで兵器の輸出というものを少なくともあまり奨励するような政策をとってこなかった。貿易管理令でチェックされておりますので、そういうことを示しておると思いますし、今後自衛隊の装備を国産化すると申しましても、それにも限度があることでありますので、いわゆる兵器の専業メーカーというものが多数育つような政策をいままでやってまいらなかったと思うのでございます。それは私は今後も輸出を頭に置いてそういうことをすべきではないと思う。自然に自衛隊との関係で、限られたものができることはこれはとめませんけれども、輸出を頭に置いてすべきではないということは、おそらく大きな専業メーカーは育たないということになるだろうと思いますが、私はそれでいいんだというふうに考えております。なお航空機はこれは申し上げるまでもなく、航空機産業としては伸ばしていきたいと考えておりますが、これは御質問の兵器の中には私ども入れて考えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ぜひそういうことでお進めいただきたいと思います。特に先般、中近東の紛争にフランスが武器輸出でたいへんな国際的話題をにぎわしたああいう事例を見ましても、いかにこれが大きな問題に発展するかということがよくわかりますので、いまの方針を今後とも一そう堅持されるように希望いたします。  最後に一つだけ簡単にお伺いしますが、OECDの会議は大臣はまだおいでになるときまったわけじゃありませんか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 別にきまっておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 たまたまこれもきょうの新聞で読みますと、これは外務省所管かと思いますけれども、経済協力に関連をして、経済審議会の経済協力研究委員会が報告書を出しておりますね。それでこれは先般私が一般質問の際にもちょっと最後のところでお伺いして、大臣の御見解を一応はお聞きしたわけですが、これは外務省の所管には違いないが、もしOECDの会議があるとすれば、通常どなたが行かれるわけですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) これは経済企画庁長官がまいる場合が多いと承知しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 一部の新聞には通産大臣が行かれるのが決定的みたいに出ていたものですから承ったわけですが、それではそれに関連して実は承りたいことが少しあったのですが、大臣が所管でないとすれば、これは筋違いですから質問やめておきますが、行かれることもあり得るのですか、その点はどうですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 何も今回まだ総理大臣からも外務大臣からも聞いておりませんが、おそらく普通でございますと、経済企画庁長官が行かれることになるのではなかろうかと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もし行かれるとすれば、きょうの新聞に出ておる援助条件の緩和、また世界の均衡のためにGNPの一%ということが非常に強く要請された場合、援助規模が昭和五十年度では約三十九億六千万ドルという、膨大なものになる等々のことがこれに出ております。それでこれは国連の当該委員会の強い要請でもあるので、いずれはそういう方向へ進むとは思いますけれども、国内との関係はどうなるか、あるいはそれだけのものを実現するとすれば、この前ちょっと申し上げましたように援助の方法ですね、これはひもつきでないものなのか、完全な政府レベルの援助か、あるいは民間援助か、あるいは多数国間のものか、国連を通じてか、それからやる場合に相手の内政に干渉しないような形での非常に自由な援助か。その援助のあり方そのものもうんと問題があるわけですね。だからそういうことをお尋ねしようと思いましたが、どうも所管が違うようでありますから、これは他日の機会にして私の質問は一応これで終わらせていただきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は物価問題を中心に質問したいんですが、これまで四十五年度予算の審議にあたってずっと物価問題に焦点をしぼって質問してきたのですが、きょうで予算質問は終わりになるわけですね。で、通産行政と物価の関係は相当深い関係があると思うのですが、しかし質問する機会がなかったので、最後に御質問するわけですが、通産大臣は前に経済企画庁長官もやられまして、またこの物価問題に一見識を持っておられると思いますが、それから先ほど羽生委員の質問に対しましても、今度の中山提案等に対しましても、ほかの省のことについても忌憚なく発言する。ほかの省もまた忌憚なく発言していただいて、相互批判をやって、それでいい結論なりいい政策を実行していきたいというお考えのようですから、ここで日本のいまの物価の現状とか、それからもう少し長期的に見ますと、七〇年代の物価問題、これはやはりいまの新経済社会発展計画でも相当物価問題には大きなウエートを置いているようですし、それから重要な政策課題だと思います。そこでまだ大胆に一度も伺っていないものですから、物価問題について、いまの当面の物価の状況なり、あるいはもう少し長期的に見た物価問題についてどういうお考えを持っているか。それからまたどういうところに一番の問題があって、これに対してどういう手を打っていったらいいか、そういうようなことについて忌憚ない御意見を伺いたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に問題の提起が大きいので、どういうふうに申し上げていいのか……。やはり、一つはいろんな要因があると思いますけれども、わが国の一人当たりの生産性というものを考えますと、たとえば西ドイツなんかと比較いたしますと、GNPと就労人口との比から申しますと、わが国の労働生産性は二分の一程度ということになります。そのことの裏返しを考えますと、わが国の経済社会全体が、いわば合理化でありますとか、近代化でありますとか、あるいは機械装備率でありますとかいうものがもう一つまだいける。少なくとも西ドイツ並みまでは当然いけていいはずでございますから、そういう施策によって、すなわち生産性の向上、あるいは生産性の低いほうから生産性の高いほうへ労働力が自由に障害なく流動できるというような施策、これは社会形成のあり方でもあるかと思いますが、そういうことをすることによって一人当たりの生産性をあげていく、賃金の上昇ということは労働の需給関係から当然避けられないと思いますので、生産性上昇によって賃金の上昇が物価にはね返るその度合いを減らしていく、生産性上昇でカバーをしていくというような努力が、国全体として必要ではないかと考えるわけでございます。これは大企業についてはもちろんでありますけれども、問題がありますのは中小企業でありますとか、農業でありますとか、流通とかというところでございますので、そういう生産性上昇のための努力というのをわが国はまだまだ払うべきだし、払えばその効果はあらわれるはずだというふうに考えております。この系列のことが一つだと思うのでございます。  それから、先ほども羽生委員から御指摘もございましたが、そういう過程の中で、保護をするつもりで過保護におちいっているような施策がありましたら、それは改めていかなければならないと思います。そういうことのあり得る——あると申しませんが、あり得る領域は、やはり先ほども申し上げましたが、中小企業のカルテルであるとか、あるいは再販であるとか、あちこち、農業についてもあるかと思いますが、そういう領域であろうと思います。そうして、おしなべて可能な限り自由競争の原理を働かす、農業とか中小企業の一部には、いわゆる市場性、経済性に乗らない領域が従来ございましたから、そこが保護を受けておったわけですが、それが過保護になっていないかという問題が一つやはりあると思います。  それから国全体として生産性の向上の範囲内で労働賃金を上昇させてほしいということはしばしば私ども考えることでございますけれども、原則としてはそれは正しいと思いますが、実際にはなかなか行ない得ない場合が多いし、そういうことは常に国民各層に考えておいてもらいたいということはやはり一つのポイントではないだろうか。  それから何と言っても、毎年、最近でございますと二〇%に近い日銀券の平残がある、伸びがあるということも物価にはもちろん無縁ではないと思います。この点はやはり総需要を適当に保つということに関連をするというふうに考えております。  それからもう一つつけ加えますと、消費者の自覚、あるいはそれに対する協力というようなことも必要ではないか。たとえば、ことに大企業製品においてそうでございますけれども、いわゆるデラックス化するということの意味が、そのものの効用を、本来の効用を離れてあまり必要のないところに商品の改善といいますか、変化があらわれて、そうでなければ下がるべき商品の価格が下がらない、デラックス化しただけ安くなっておりますというような議論があるわけでございますけれども、それはスタンダードのものを使えば当然そういうものは逆に下がってしかるべきものと思いますけれども、メーカー側もそういうことはいたしませんし、消費者もなかなかスタンダードのものを買わないといったような消費の性向でありますとか、あるいは商品に対する消費者の知識についての啓発のおくれ、そういったようなこともやはりひとつ、これも結局物価に関係があるのではないか。  あといろいろございますと思いますが、生鮮食料品等につきましては御承知のとおりでありますし、一般的に自由化というものが物価の関係からいえば物価を引き下げる、あるいは少なくとも上がる幅を押える効果がありますことは、もう何度も申し上げておりますし、御承知のとおりだと思うのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まあ大体最近の——最近のと言ってもだいぶかなり長い間卸売り物価も値上がりを続けておりますね、十四カ月という。消費者物価のほうはもっと前から上がっているんですけれども、その原因についての認識なり、また、その対策の焦点ですね、いまの御答弁でほとんど網羅されておると思います。特に、私は、生産性上昇につきましては、全く同感なんでしてね。日本の人口の半分ぐらいの西ドイツで日本と大体同じような総生産が出ていますからね。ですから、くふうによってはかなり生産性は上がる可能性があると、これは将来の一つの大きな課題だと思うんですよ。これは開発の余地は相当あると思います。ところで、現実のいまの問題としましては、卸売り物価が最近非常に上がってきまして、そして、特にきょうの新聞に出ておりましたけれども、政府の四十五年度の卸売り物価の見通し上昇率は一・九%なんですよ。ところが、三月の卸売り物価は一一一・三になっておりますね。指数からいうと、四十五年度の政府の見通しでは一一〇・幾らかなんですがね。ですから、三月の指数をずっと横ばいに推移すると仮定して、二・五%の上昇率になるといわれておるわけですね。これは卸売り物価としてはかなり大幅の値上がりですし、今後の物価問題を考える場合、この大幅の卸売り物価値上がりの原因がどこにあるか、かなり詳細に分析してみる必要があるのじゃないか。ところが、いままでは、中小企業の製品は、よく言われる生産性格差というのですかね、賃金の波及効果というのですか、大企業の賃金が上がると、あと中小企業の賃金も上げざるを得ない。そういうようなのが物価にはね返ってくる。中小企業の値上がりはずっと続いてきていますけれども、大企業の製品のほうはいままであまり上がらなかったんですね。ところが、四十四年度には、一変して今度は大企業のほうの工業製品の上昇が非常に顕著になってきているわけですね。そこで、今度は、通産省としても、これがもしか事実であり、また、今後も続くということになりますと、やはり通産行政としてこれはほうっておくことは許されなくなるのじゃないかと思うんですね。こうした卸売り物価の値上がりが特に大企業の工業製品の値上がりに大きな原因があるというところに問題が新しくどうも出てきたように思うのですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のとおりだと思います。前々から木村委員が予算委員会等で言っていらっしゃいますように、卸売り物価の顕著な上昇というものは、いままであまり経験しなかったことでございますから、これが四十四年度限りのものなのであるか、あるいはこれから将来に向かっての同じトレンドのいまがその最初であるのかということは、非常に注意をして検討しなければならないと私どもも思っております。  それで、幾つか原因があると思いますが、一つは、やはり国際的に卸売り物価の上昇傾向が従来もあって、わが国がややその例外であったわけでございますけれども、資源の関係を通じてわが国も海外資源に依存することが多いだけに、いまやその影響を受け始めたという点が一つあろうかと思います。これは非鉄金属などにおいては御承知のように顕著でございますけれども、鉄くずのようなものにいたしましてもそういうことがございますので、その点は、結局、少し息の長い話でございますが、自分の資源をどうやって確保するかというような問題に発展していくのではないかと、こう思います。  それから、どう申しますか、需要の側で物価の値上がりに対して寛容であると申しますか、これは結局一種の総需要の問題になると思うのでございますけれども、工事の繰り延べをするとかいうようなことが一向に起こらずに、目的どおり工事は工事でやってしまおうというようなそういう問題もございますし、また、あるいは一部には価格形成のあり方について問題があるのかもしれません。最後の問題は、私どもはっきりこうだということを思ってではありませんけれども、主たる幾つかの商品については、少し価格形成のあり方を検討してみたいと思いまして、すでに私どもの役所で幾つかの商品を選びましてそういう検討を始めたところでございます。これらについては、あるいは場合によって公正、自由のうちに価格が形成されていないものがあるかもしれない。なければ幸いでございますが、そういう検討もいたしたいと思っています。  いずれにしても、卸売り物価が今年度一年四十四年度一ぺん限りのことでございましたらともかくでありますが、そうでありませんと、相当これは将来に向かっていろいろな影響がある問題になると考えておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そこで、卸売り物価の値上がりに対する対策というのですか、かりにこれが一時的じゃなくて、かなり今後もこうした上昇を続けていく一つの傾向が新しくあらわれてきたということになると、その対策も、いま通産大臣が言われましたように、需要側にも問題がありますね。フリードマン教授なんかは、海外の価格が高くなっても需要のほうがふえなければ上がらないじゃないかと申しております。その背後に、これは日銀なんか金融引き締めを行なっている現在の政策の基本がそういう考えのようですね。海外が原料が高くなった、それだから金融を引き締めてもきき目がないじゃないかという議論もありますけれども、やっぱり総需要というものと関連があると思うんですよ。それと同時に、通産行政として特に私は伺いたいのは、先ほどの過保護の問題とそれから価格形成について問題があるのじゃないかというお話、この点をひとつ詳しく伺いたいんですけれどもね。こまかいことになれば大臣でなくてもよろしいのですが、もしおわかりになれば、事務当局の方がおられれば、いま大垣が言われた「アルミニウム地金、写真フィルムおよび合成洗剤の価格形成の実態調査結果」、この資料をいただいたんですよ。これをさっと見ただけなんですけれども、この三つにつきましては、価格形成において寡占とかそれから複占とか言っておるんですね。そういういわゆる管理価格的な傾向がだいぶ見えるというような調査報告なんですよ。それは要約でいいんですが、その傾向をひとつ御説明いただけませんか、これは事務当局でけっこうなんですけれども。

両角良彦通商産業省企業局長

○政府委員(両角良彦君) 御指摘をいただいた最初のアルミニウムでございますが、今日、アルミニウムの日本におきます生産の態様が、そのほとんどのメーカーがアメリカあるいはカナダといった国際資本と資本的にも技術的にも深く結びついておりますために、これらアルミのメーカー価格、地金の価格と言いますのは、国際的な価格を比較的忠実に反映をいたしてきております。そういう意味で、国際価格が横ばいで推移をしておりますときはわが国も横ばい、向こうが上がりますとこちらも上がるといったような関係がございまして、そういった点が公取の注目を引いた点ではなかろうかと思っております。御参考までに申しますと、わが国の現在のアルミの地金価格は二十万円から二十二万円という線で過去二、三年推移をしております。この価格は当該時点におきまするアメリカの国内価格と大体同じ水準で推移してきておる、こういうふうに見ておるわけでございます。しかしながら、アルミの地金価格がやや安定的に推移をしておるということは、アルミの製品価格あるいは卸売り、小売り段階における各種のアルミ製品の価格の競争を妨げておるものではございませんので、これがアルミサッシでございますとかその他のアルミ製品の圧延もしくは最終製品段階におきまする競争はたいへん激しく逆に行なわれております。そういう意味での相場は非常に変動的であるということを申し添えさせていただきたいと思います。  それから第二に写真のフィルムでございますが、これは御指摘をいただきましたように昭和三十七年以降横ばいで推移をいたしてきまして、わが国のメーカーが二社でございまするために公取委員会におきましてこの問題のお取り上げをいただいたかと思いますが、三十七年以降、フィルムの代金、現像代金、プリント代金を入れまして約二千円弱という価格水準で横ばいになっておりまするが、その間品質がフィルムといたしましては約倍程度の向上を見ておりまするし、また、現実の小売り店の店頭売買価格というものは標準価格よりは下回る傾向を見せておりまして、むしろ小売り店段階における競争、あるいは現像所等におきまする競争はたいへん激しく行なわれておるというふうに見ております。なお、この間、コダック社のフィルムの輸入価格は、最終小売り店価格で五百四十円という標準価格を持っております。したがいまして、わが国価格が現状におきましてはコダックの輸入製品の小売り価格より安い。しかも、コダック製品は、現在、輸入ワクが消化されない程度の需要しかございませんので、そういう意味におきましても、日本の写真フィルム市場というものは、国際競争のもとにおいてなおかつ安定的に推移をいたしておる。その間において、消費者側にしましても、特にこの価格形成を問題にするような感覚よりは、むしろフィルムの品質を問題にする品質よる選択というような感じでフイルムの価格の問題をとらえているように見受けられる次第でございます。  第三に、合成洗剤でございますが、合成洗剤につきましてはたいへんメーカーの数が多うございまして、その価格というものは必ずしも一律ではございませんが、基準の価格で見ますと、一キログラム二百円から百円という間で非常な幅を持って推移をいたしております。このような価格の差というものは、品質そのものの差というよりは、むしろその宣伝あるいは包装、あるいは洗剤の着色等々の経費によって起こっているものも多いようでございます。そういう面から、消費者の選択が、むしろ品質そのものよりはそれ以外の要素によって行なわれておるといった面があるようでございます。したがいまして、洗剤の価格がやや硬直的であるということは大手のブランド商品について言えることでございまして、多数ある洗剤メーカーの間では非常に価格のばらつきがある。しかも、その品質から見るならば、その間における消費者の価格選択の自由は大幅にあるわけでございますが、それがブランドによってやや一部特定メーカーの製品に集中をしておる、こういったような現状にあろうかと思います。  以上、三品目は、それぞれ品目ごとの特殊な事情を反映しました価格形成並びに価格水準の推移をたどっておりまするので、これらの内容につきまして今後さらに推移を見守りながら十分ウオッチをしてまいりたいと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは公取のほうの調査なんですけれども、公取の調査によりますと、「生産体制は、フィルムがいわゆる複占、アルミニウム地金が四社による寡占、合成洗剤が生産の過半を占める大手と中小からなる二極集中と異なっているが、いずれも生産の集中が進んでいる点で共通している。」と、そしてかなり硬直的であるという報告なんですよ。いまのお話ですと、少し通産省のほうが見方が違いますね。その点、どうなんですかね。

両角良彦通商産業省企業局長

○政府委員(両角良彦君) ただいま御説明申しましたように、公取のほうの調査結果の感触と私どものそれとは多少異なっておりまして、むしろ業界の実態を調べてみますと、そういった価格形成の現状は、必ずしも公取の御指摘されるような硬直的かつ消費者利益に反するような結果のみが問題であるというふうには受け取っておらない次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、これからも、物価対策として、総需要対策とか、あるいはコスト・プッシュの問題もあるでしょうし、その中で管理価格とか、カルテルとか、そういう価格形成の問題がやはり一つあるわけなんですね。それで、私は、通産省のほうの通産行政が物価対策と非常に重要な関係がある、特にその中で輸入も一つの要素ですけれども、そのほかに価格形成についての通産省の対策を重要視しておったのですが、そうすると、実態に対する認識がそんなに公取と違いますと、これは相当問題なんです。大臣、どうでしょうかね。たとえばアルミについては、価格の動向についてはこういう報告になっていますね。「アルミニウム地金およびフィルムのメーカー仕切販売価格の推移をみると、いずれも景気変動に対して、概して変動の回数は少いし、かつ、変動の幅も狭い。また、より実勢を反映していると思われるリベート引きのメーカー販売価格によってみても、メーカー仕切販売価格に比しいくらか変動的に推移してはいるが、すう勢としてはほぼ同様の傾向を示している。」というんですよ。いまの御報告とだいぶ違うのですね、実態認識が。そうすると、これから物価対策としてカルテルの問題とか、寡占問題、管理価格の問題等は非常に重要な政策対象になるのですが、実態認識についてこんなに違うと、これは問題ですね。大臣、これはどうなんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) アルミ地金で見ますと、トン当たり、一九六〇年八月ごろ二十二万円でございますか、中間点で六四年ごろ二十万三千円、六九年の十月に二十二万三千円、まあほとんど価格の変化は少のうございますね。アメリカでも下がったり上がったりしておりますが、日本より少し上がり下がりが多うございます。六九年十月、二十二万二千円、円換算で書いてありますけれども、いま企業局長が申し上げましたことは、いままでの通産省のやっておりましたことを御報告をいたしたわけですけれども、これは私しろうと考えでございますけれども、やっぱり少し問題があるのではないかと、私自身はいまの時点としては考えるわけです。それは、結局、かつて日本軽金属、昭和電工、住友とやっておりまして、その後に三菱が新規参入をして、またその後になって三井——三井はまだ操業をしていないのかもしれませんが、そういうことをやってまいりました過程で、業界としても役所としても将来のアルミの需要量というものをおそらく算定をいたしまして、そこで新規参入は適当でないとかあるとかいろいろの議論があり、既存業界は、なるべく新規参入はしないでもらいたいということは、これは当然でございますけれども、将来の需給を算定して、やっぱり新規参入しては市場が混乱するというような議論が従来ともあったと思うのでございます。ところが、実際は、アルミの需要というものは、予想をはるかに上回って伸びて、最近では年率で三〇%も伸びてきている。そこで、地金をうんと輸入しなければならぬ。たとえば三割ぐらいはいま輸入になっているのではないかと思います。そうしますと、ニューエントリーというものについて、いままで業界の意向ばかりでない、これは需給の見通しについて多少正確でなかったものですから、しぶしぶ認めてきたというようなことに幾らか問題があるのではないか。もっとも、これは、外国の特許を伴いますし、一つ工場をつくりますのにたいへんな金が要りますので、そう安直なことではないと思いますけれども、やはりニューエントリーに対してもう少しいままでの態度と違う考え方をしてもいいのではないかという感じもいたします。ところで、これは、御承知のように、輸入が、アメリカでもアルコアあるいはアルキャンがかなり大きな支配力をもっておりますから、ある程度国際的に価格がそういうところに支配されやすい、そういうこともございまして、その両方の原因から、つまり輸入というものによって価格を冷やすということがわりにやりにくいので、向こうの価格もある程度といいますか、硬直しているというのでございましょうか、そんなことも手伝ったのではないかと思います。先ほど政府委員から現状までのことは御説明申し上げましたが、やはりちょっと一くふう要るのではないだろうか。物価対策の面から申しますと、私は、率直に申しまして、そういう印象を持っておるのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、一応公取の資料をいただいたものですから、それを見まして、通産省も同じようなこういうものをお読みになっており、調べておられたら、同じような御意見と思ったところが、だいぶニュアンスが違うわけです。そこで、もう少し今後実態を調べていただきたいと思うんです。それで、この公取の調べによると、そうした複占というんですか、あるいは寡占状態とか、そういう二極集中というような傾向がある。もちろん、アルミ地金、写真フィルム、合成洗済、それぞれ生産体制は品物によって違うわけです。しかし、共通している点は、生産の集中が相当進んでいるということは共通しているんですね。これ以外にもまだいろいろお調べになる必要があると思いますがね。物価問題が特に卸売り物価が高くなってきましたから、過保護の問題とか、カルテルの問題とか、寡占の問題とか、管理価格の問題とか、これは特に通産省が重点を置いて力を入れて調べていただきたいと思いますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 生産を所管するということは、最終的には消費者のためにやっておるわけでございますから、そういうものの考え方は私は大事だと思っています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 われわれから見ますと、通産省はどうしても業者のほうの立場に立ちやすいんですね。ですから、どうしても過保護になり、消費者サイドというより、むしろ業者サイド、メーカーサイドでお考えになるんですね。全体の資金の調整でも、設備投資でも、どっちかといえば通産省はあまり制限しないほうがいいという考え方になりやすいと思いますね。ですから、その点は、物価問題がこれだけ大きくなりましたし、七〇年代を通じて大きな政策課題になりますから、そこで、この物価問題にアプローチする通産省のこれからの態度は、少しやはり角度を変えてみる必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 私、就任以来、事務当局とも非常に率直にいろいろそういう問題を話し合っておりまして、もちろん産業を育てるということは大事なことでございます。大事なことでございますから、それをないがしろにしろと言っておるわけじゃもちろんございません。が、しかし、ある程度基盤ができましたら、やはり自由競争の風に当てるということが基本的に大事なことである、それがまた消費者のためにもなる、こういうつもりで行政をこれからもやってまいりたいと実は考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ほかの方からも御質問があるかもしれませんが、いまカルテルのあれがどのくらいあって、それから管理価格的なものがどの程度あって、これに対して、通産大臣が言われましたように、なるべく自由競争原理を導入していくように指導していくというんですけれども、カルテル的な、また過保護的な状態が存在しているんですから、それに対して具体的に今後どういう手をお打ちになっていくか。まあ中山提言につきましてもさっきお答えがあったようですけれども、これによると、具体的に通産省の関係の提案がありますですね。再販価格の問題とか、カルテルの問題とか、そういうものがございますので、今後それに対してどういうふうに具体的に対処していかれるかを伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業の安定事業につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、長いこと捨ておいて一向近代化、合理化が進まないというようなものは、これはもうそういう意思なしというふうに少しきびしいですが考えまして、指定をはずしていくというような姿勢が必要だと思います。再販につきましても、指定の要件が当時はあったとして、現在あるかどうかというような見直しをやっていくことが必要だ、基本的にそういう姿勢でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それで一つお願いしておきますが、管理価格とかカルテルが問題になりますと、どうしても通産省は業者的立場に立つものですから、なかなか生きた政策を打ち出せないように思われるんですよ。で、これは前に企画庁長官に申し上げたんですけれども、小宮隆太郎氏の提言があるんですよ。新経済社会発展計画に関連しましてこう言っている。「「新計画」の対象となっている日本経済の運営に関して、基本的に重要な一つの問題は「経済政策の政治学」ともいうべき問題である。一体、現在の日本において、経済政策に関する決定は、どのような政治的影響力に依存しているのであろうか。」「ある決定が国民の多くにとっては望ましいことであっても、もし特定の利害グループが、その決定は自らの利益に反すると考えるときには(それは錯覚に基づく場合も少なくないが)そのグループは強硬に抵抗し、したがってその実現は容易ではない。」と、これは実態だと思うんですね。ことに通産関係に非常に多いんじゃないですかね。いわゆる圧力団体とかそういう面です。それからいわゆる財界とか圧力があるわけですよ。ですから、ことに管理価格の問題とかカルテルとか、そういう物価の過保護、硬直性をもたらしている要因をつきくずすには、よほどの決意が要るんじゃないかと思うんですよ。その点、賢明な通産大臣はよく御存じだと思うんですが、今後忌憚なく政策について発言される必要があるというようなお話がありましたから、特に私は立場は多少——多少じゃなくかなり違っていたんだけれども、財政硬直化問題についてですね、確かに立場は違っていますけれども、一つの着眼でしたよね。通産大臣の企画庁長官のころの一つの着想ですよ、あれは。ですから、そういう非常な独創的な着想を持たれて、通産大臣、ですから、いまの小宮さんの提言、私はもうほんとうにそうだと思うんですよ。われわれも政界のことを多少知っていますからね、業界のことも。ここのところにどうもメスを入れないと、本式にならないと思うんですよ、物価対策というのはね。この点はどういうふうにお考えか、ざっくばらんな御意見をお聞かせいただきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) これはざっくばらんに申し上げまして、私は、通産行政については、わりに市場原則というものが本来働きやすいところでございますけれども、働いているように概して言えば考えているのでございます。たいへんざっくばらんに申しまして、これはどういう事情だというようなことで、実はというような話はあまりございません。むしろ、そうではなくて、たまにございますのは、先ほども申しましたように、将来の需給関係などを比較的、どう言いますか、低目に考えると申しますか、わが国の経済の成長については過小評価を政府全体がしておりますので、それもやむを得ないかと思いますが、需要の伸びをやや低目に考えておきますと、供給のほうをある程度そう野放図にやってもという気持ちになる。それは、悪意でなくて、そういう例は過去においてあったかと思いますのですが、業法がございますところは、これは業法内の意味がありますが、そうでないところは、私はわりに市場原則でやろうという意思は少なくとも概して貫かれておるというふうに実は思っておりますが、なおそうでないというところがあれば、これはまた改めていかなければなりませんので、どうぞこれも御遠慮なくざっくばらんにおっしゃっていただきたい。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは、私は、そうでないと思うんですよ。いま通産大臣の言われたような実態になっていないと思うんです。そんなら、もしそうなら管理価格について原価を発表できないはずはないと思うんです。なかなか発表されないでしょう、自動車とか、カラーテレビとか。なぜできないのか。いろんな事情はありましょうが、その他についても、これから管理価格なり寡占価格ですね、そういうものを通産省が強い力でなくしていこうというについては、やっぱり価格形成についての実態を明らかにできるようでないとだめじゃないかと思うんですよ。実態がわからん。たとえば、カラーテレビなんか、ものすごい。寡占的な実質と国内価格とは非常に違いますしね。それから二重価格があるでしょう、前は。そういう点を具体的に調べていきますと、相当あるんじゃないか。それからこれがどの程度信憑性あるのか知りませんが、最近、こういう本が出ている。これは私まだ読んでいないが「原価の秘密」という本です。これを見ますと、通産大臣がいま言われたようなそんなことじゃないと思うんです、実態は。だから、私は、今後もっと原価をどんどん公表できるような体制にならなきゃいかぬと思う。  それで伺いますが、じゃ、これからカラーテレビとか自動車の原価について公表されますかどうか。それからもう一つは、競争原理を導入するといいますけれども、八幡、富士合併後、鉄鋼価格が下がったのかどうか、鉄鋼価格はどういう推移を示しているか。この二点を伺いたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) その原価のことになりますと、また私には私の考え方が実はございますんで、これも批判をいただきたいと思いますが、私は、企業において原価というものは一番大切な機密であるというふうに考えております。原価を役所が知らなきゃならないということはないと思いますし、補助金でも出しておりますならこれは別でございますけれども、そうでない限り、原価というものは秘密にされておって、自由競争によって売価がその原価のほうに近づいていくというのが本来の姿なので、原価へ手を入れて、役所がかれこれ言うべきではない。市場経済は私はそういうものだと実は思わないのであります。それは競争原理によって消費者利益に還元されていくべきものだという考え方を実はとっておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 鉄鋼のほうは。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 鉄鋼は、最近におけるいわゆる鉄鋼の値上がりといわれますものは、もう御承知のように、棒鋼の上がりが三分の一ぐらい大きな寄与をしておると思います。御承知のように、これはいわゆる大手が棒鋼を引いておりませんので、せいぜい平炉メーカーあるいは伸鉄メーカーというところがやっておりまして、これが異常な値上がりを御指摘のようにいたしまして、いっとき六万円という価格まできめたわけでございまして、これは建築等に確かに反映をいたしました。昨年の十月ごろからそれは顕著でございます。そこで、私、就任いたしまして調べてみますと、そのころから通産省も手を打ち始めまして、まず大手メーカーにビレットをよけい出してもらいたい、それはそのとおり行なわれつつございます。それから棒鋼のあっせん所を設けて官需要というものを抑制しようといたしました。それからさらに、特殊鋼のメーカーに棒鋼を引かせるというようなことで、これがだんだんごく最近は市場に反映してまいりまして、大体月間五十万トンぐらいの生産でありましたものが、六十万トンのベースになり、七十万トンのベースに本年度内には近づいていくんじゃないかと考えますので、この棒鋼の問題は大体もう峠を越したのじゃなかろうかというふうにいまの時点で判断しております。これが鉄鋼価格が上がったといわれる一番のいわば犯人でございまして、その点私ども大体主たる部分については処置をした。このこと自身が、したがって、新日鉄の誕生とは関係がなかったものというふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最後に、今度の新経済社会発展計画の中の国民経済計算について一つだけ伺いたいのですが、この国民経済計算によりますと、国民総支出の中に占める個人消費の割合がずっと低下していく傾向になっていますね。たとえば、四十四年度の実績見込みでは五一%ですね、個人消費支出が。それから四十三年は五二・一なんです。五二・一が五一になり、五十年度は四九・八と低下してくるわけですね。それからもう一つ、国民総生産がやはり低下してくるわけです。ですから、経済成長率が、四十三年度は実質で一三・八、四十四年度一三・二、それから五十年が、年平均伸び率ですか、一一%あるいは一〇・四%、こう下がっているわけです、実質成長率が下がっている。それから個人消費支出も下がっているんです。そして、政府の固定資本形成がふえているんです。いわゆる社会資本を充実させる。そのために、設備投資のほうもかなり押えぎみ、民間設備投資も押えぎみ、それから個人消費支出のほうも押えぎみですね。そして、結局、結論から言うと、高金利高負担になってくると思うのです。高金利で設備投資を押えて、それで社会資本のほう、政府の固定資本形成のほうが伸びている。それから高負担高福祉にして、そして財政負担を多くして、それを今度は社会資本のほうの拡充に向ける、こういうパターンだと思うのです、大まかに言って。そのときに、どうも、私の感じでは、これでは縮小再生産みたいなふうに感じられるわけです、感じがですよ。それで、個人消費支出がふえて成長率が低下するというなら、われわれ大体判断がつくのです。ところが、個人消費支出割合も低下し、成長率も低下する、そして社会資本のほうですね、政府の固定資本形成がずっとふえていく、こういうことですね。こういう形をどういうふうにお考えですか、通産大臣。これは今後の設備投資の問題とも相当関連してくると思うんです。これはどうなんですか。それに、今度は、輸出とか、貿易の問題、あるいは設備投資の問題とか、いろいろからむのですが、通産行政にいろいろ相当影響があると思うんです。この際、新しい経済社会発展計画といわゆる通産行政のあり方ですか、位置づけというのですか、そういうものをどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたがったんです。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 新しい経済社会発展計画の問題意識としては、申し上げるまでもないことでございますけれども、インフラストラクチュアと民間資本形成との間のギャップが従来年とともに狭まらないで広がってきた、これをどうやって是正できるかというのが中心の問題意識であると思うのです。それでございますから、いま言われましたように、個人並びに法人の租税負担を上げていってでもそれを政府が吸収して、そしてそれを公共投資に向けようという方向は、私はもうそれでよろしいと思うのでございます。そういたしますと、従来に比べていわゆる民間設備投資の形成の伸びというのは少し落ちはしないかと言われますのは、私は計画の想定しておりますことはそうであると思います。しかし、従来のように年率で二〇%あるいは二〇%以上民間設備投資が伸び続けるということは、これはまた異常なことであろうと思いますから、私も、多少鈍化がありましても、それによって公共投資がより大きく形成されていくということであれば、これはこれでわが国のいまの姿としていいのではないか。むろん、それが、民間設備投資の伸びをマイナスにするとか、あるいは二、三%にしてしまうということではないわけでございますから、従来のような二〇数%ということが今後続いていくことが望ましいかといえば、それはわが国全体としてはもう少しモデレートであって差しつかえない。新経済社会発展計画の問題意識なり何なりには、私も同感いたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これでもう御答弁は要りません。問題は、高金利、高負担を一体だれの負担にするかということが問題ですけれども、これは時間がまいりましたから、議論になるようですから、私の質問はこれで終わります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 時間が限られておりますので、私は、防衛産業の問題について若干御質問申し上げたいと思います。   〔主査退席、副主査着席〕  最初に通産大臣に伺いたいのですが、通産省の防衛産業に対する政策といいますか考え方についてまずお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども、兵器産業につきましては、防衛庁の装備を国産化するという政府の方針に基づきまして、その範囲で兵器産業が育つということは望ましいことだと考えております。しかし、兵器をさらに輸出を奨励するというようなことは適当なことでないと考えておりますので、従来から貿易管理令で兵器の輸出については一件ごとにチェックをいたしておりますし、また、先ほども申し上げましたように、その輸出は非常に少ないものでございます。種類も、ほぼ護身用拳銃等に限られております。これにつきましては、御承知のように、いわゆる三原則と称しますものを他方で持っておりますので、兵器産業については、防衛庁の装備を充足するに足ればそれで十分であると、基本的にはそういう考え方であります。他方で、航空機は、私ども兵器産業とは考えておりませんで、これはわが国のような技術水準の高い、しかも、労働の資質の高い国におきましては、将来とも大いに育成をすべき産業であるというふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私たちも、防衛産業は、特定企業との癒着がほかの企業と比べて非常に強いと考えております。そのことが、とりもなおさず、政府の計画まで変更させられる、こういうことが間々あるのではないかと思うのです。たとえば、F104の生産のときにも、百八十機の納入が終わったあとで三十機の追加生産を認めた、こういうような例があるわけでありますけれども、F4Eについて昭和五十一年度に百四機の納入が終わると、間違いなく今後追加生産の要求が出てくるとも考えられておるのでありますけれども、この問題についてはどう考えられますか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) F4Eにつきましては、昨年の国防会議、閣議という手続で百四機を整備するというだけの方針がきまっておりまして、それをいま整備中でございます。その後どうなるかという問題につきましては、私どもとしましては、これだけの権限しか与えられていないということしかございませんが、今後の防衛を考えた場合、あるいは沖繩が返ってくるという問題を考えた場合、その点は今後の問題としてあると思いますけれども、一応われわれとしましては、きょう現在は百四機の生産に着手するということの内閣の決定を受けておるということでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、沖繩等の返還を考えて追加注文があると、追加生産があると認めてよろしいのですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) あるとは申しませんけれど、いまここで私はないと申し上げる問題でもなし あると申し上げることはできませんけれども、そういう段階でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 具体的に聞きますが、F104の追加生産が三十機追加生産になったわけでありますが、このことによって防衛計画はどのように変更されましたか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 過去のことでございますので、私も詳しく申し上げることができませんが、百八十機をつくったときはそのときの必要な航空機だけをつくったわけでございます。それが、落ちてくる。当然訓練中に落ちます。そういうような計画を含まないものであって、最初必要と考えた飛行隊数を維持するために必要なものをその後予備機としてとったというふうに了解しております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、104については、今後追加生産することはないと、こう考えてよろしいですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 104につきましては、追加生産はないというふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 次にファントムの問題でお伺いしたいのですが、このファントムの値上げ決定の問題ですね。昭和四十年の一月十日に行なわれました国防会議においてF4Eの国産価格は約二十億に決定したと、こういうように伺っておるのですが、これは事実ですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 国防会議に出す場合には、日本の防衛上、こういう戦闘機が要ります、それはこういう計画で何機要りますということを御了解いただいたわけでございまして、その際に大体計画としてはこの程度の価格になるのではなかろうかということは申し上げました。その後、価格の問題につきましては、四十四年度予算を組む際にこまかく詰めまして国会に提出して御審議を経たという経過になっております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、大体幾らで見積もられたのですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 一機いわゆる裸価格で十六億九千三百万というのを計画として組みました。もちろん、それだけでは動きませんので、予備費とかその他関連部品が要りますので、それを加えまして、四十四年度予算としましては三十四機を整備するということで、総額で六百九十二億という予算をお願いして組んでおいたわけであります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 聞くところによると、十九億八千万というふうにも伺っていますが、これは間違いでしょうか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 単純に計算しますと、そういうような計算もできますが、現実は、その三十四機というものを前提にしまして、その一機当たり十六億九千三百万という予定をしまして、それに必要なものを加えましたものが結果的には六百九十二億ということになったと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 この国防会議の当時においては、ベトナム戦争の問題とも関係するわけでありますけれども、業界筋の話によりますと、この当時においてはF4Eについては一機約十億円程度とか、こういうふうにいわれているわけですね。防衛庁が国産化をきめたときに、何か輸入価格を十五億円程度にきめて発注したと、これは何か深い根拠があったのでしょうか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) いまこまかい資料を持っておりませんが、そのときにも、日本の防衛を考える場合に国産をするのか輸入をするのかということは、たいへんな問題でございました。そういうデータもつくったわけでございます。結果を申しますと、アメリカから買った場合、それを当然分解して運び、日本へ来てまた組み立てて調整するという関係の費用を組みますと、たしか十四億をこえる額になります、こちらの部隊で手取り額が。また、そういうような第一線戦闘機でございますので、毎日激しい訓練をする。しかも、相当精度のいいものである。当然、その後方整備というか、後方支援が必要でございます。ある程度整備もしなければいけませんし、また、国外の場合には、それに自分で対策ができるという能力も持つ必要がある。そういう能力を加えますと十五億をこえる計算ができるということで、それでもいま申しました十七億弱のものに比べますと一億強、二億弱の価格差が出ます。それにつきましては、われわれとしましては、単に航空機を買うだけじゃなくて、今後十数年の運用をはからねばいかぬ。その間の部品等の整備、あるいは供給をせねばいかぬ。そういうようなことを考えますと、価格的にも輸入とそう変化はない。もう一つもっと大きな問題は、われわれ防衛上から考えましても、日本にこういうような航空機工業それから生産力があってはじめて防衛の中心である航空機の防衛力ができるという問題もございます。その関係では、日本の航空機工業力は非常に弱い、それをやはり強化してもらうという意味が一つございます。また、通産側から申しましても、航空機工業というのは非常に先導産業であって、他の工業に波及効果が多いというようなことを勘案しまして、最終的に国内で生産をするという方針をきめたわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これが最近になって聞くところによると、この国産価格の一機約二十億円近くが、これはもうあぶなくなったのじゃないかと、こういうふうに言われているわけですけれども、ほんとうにF4Eの一機二十億の国産価格は、これでできると考えてよろしいですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 現実に三十四機を今年度三月に関係会社と契約しまして、六百九十二億の中で三十四機という契約を済ませております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、そのときに防衛庁で一機二十億円の国産価格でつくるために、この国産化率は何%にきめられたのですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 国産化率という問題は104のときにもだいぶ問題になったのでありますけれども、今度のF4Eを決定というか国産する場合に、われわれの考えとしましては、いままで86Fから104まで相当な技術は導入して勉強したはずだと。そこで、今度のF4Eに手をつける場合は、第一点は訓練上どうしても消耗する部品、そういうものは国産化をしてほしい。第二点は、いままでの104の中で勉強できなかった問題で特に今後勉強したいという問題はこの際国産化したい。その他につきましては安いもので選択する。輸入したほうが安ければ輸入する、国産化したほうがいいものは国産化するという選択をいたしておりまして、大体五〇%前後になるのじゃないかと……

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私が聞いておるのは、国防会議で決定したときは国産化率は何%だったわけですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 国防会議の説明では、104の例をあげまして、104が第一次生産では四三%におさまっております、第二次生産では六四%に国産化をしました、大体その程度のことを考えておりますという説明をいたしておるそうでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、これを最初の国防会議で決定したときの国産化率と比べますと、価格の問題等が出てきまして、国産化率を相当曲げるのじゃないかと、こういうように考えるわけですけれども、そうとってよろしいですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 先ほど申しましたような方針の中で、われわれの試算では、五〇%前後になるじゃなかろうかと思っております。ただ、現実に、何十万という部品がございますので、それを個々の会社が向こうと折衝した中で、いま言ったような選択基準でわれわれはやっておりますが、大体近いものになると思っております。  それから、いま先生の御質問は、国産化率が落ちるのではないかというお話でございますけれども、その点は、われわれがむしろ押えるぐらいに、メーカー側としては予算の範囲で国産化率を上げたいという気持ちを持っておりまして、この点の御心配はないのではないかという気がいたします。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これは技術の面においての国産化率はどうですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 技術の面からの国産化率、これはけっこうでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 金額的な面についてはいかがですか。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) 大体近い数字だと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 あまり時間がないのでこまかくは入れませんけれども、次に、通産大臣にお伺いしたいのです。  航空機産業の業界がプライムをとるかどうかということが非常に大きな問題だと、こういわれておるわけですね。この要因は何かといえば、やはり技術開発費の援助がほしい。こういう問題が大きな問題として考えられているようでありますけれども、テストパイロットから技術者に至るまでの一切の経費を国から援助されることは、業界にとってはこれほど望ましいことはないと思います。こういう意味で、技術開発費の援助を一部の特定大企業だけに限らずに、やはりそういう関係業界が技術開発を行なっていくために、これをやっていく方法がいいんではないか。こういうふうに私は考えるわけでありますけれども、通産大臣はどうお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 航空機用のエンジンというようなものになりますと、そうそう需要があるものではございません。また、わが国の技術水準は決して高くございませんので、そこで、行く行くは技術水準の非常に高いごく少数者、場合によってはそれが一社になることがあり得るかもしれません。そういうふうにして、これらのものは大衆消費財でもなんでもございませんから、高い水準を発揮していくということがいいと思いますけれども、ただいまそこにいきなりいけるわけではございません。したがって、ある程度のものに集約をして技術水準をだんだんそろえながら、歩調がかなりそろいましたところで、一社にいたしますかあるいは二社にいたしますか、そういう方向に持っていくべきなんですが、いまの段階は、何社かの技術水準を多少そろえていくという段階ではないかと思いますので、ただいまの段階としては一社だけがやればいいということではないと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そういうプライムの問題とも関連しまして、通産省は四十一年の十一月に、前の高島重工業局長の通達で、小型エンジンT63を三菱に、T53を川崎に、その他のエンジンを石川島に、こういうような通達も出ておったことがありますけれども、なぜ通産省はCXの小型エンジンを石川島から三菱に移したのですか。そういういきさつについてお伺いいたしたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 詳しいことは、ちょうど電工業局次長がおりますので後に申し上げますが、このときには、たまたまTXのエンジン、これは超高速に搭載する新鋭のエンジンでございますが、これを石川島にやらせる。これはまあどうしても石川島でないと無理だったのかと思いますが、そういうことが一つでございまして、その段階でCXについては、これはいずれにしても防衛庁の使われるものでありますから、ユーザーの御意見を一番尊重すべきだと考えまして、防衛庁の御意見を聞きましたのに対して、防衛庁のほうから、CXのプライムメーカーは三菱重工業が適当だと思う——一つは、先ほど言われました石川島一社が独占する、単数で担当すると独占の弊があるので、複数で競争原理を導入していきたいということが一つ。もう一つは、CX程度であれば、三菱の経験からしても国産が可能である、こういう趣旨の防衛庁の正式の判断をいただきましたので、それに従って処置をしたというふうに聞いております。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 補足的に御説明申し上げます。  ただいま大臣のお話ししたことで尽きておるわけでございますけれども、昭和四十一年に時の重工業局長が通達を出して、確かに先生のおっしゃいましたように、生産の分担といいますか、ある程度の原則を出したわけでございますが、   〔副主査退席、主査着席〕 この考え方をわれわれとしてはいま全然変えているわけではございませんで、むしろこの考え方の線に沿って、先ほど大臣のおっしゃいましたように、日本の航空機産業というものは、まだ資本力、技術力等におきまして非常に劣っておりますので、今後情勢の推移に応じまして、現在の企業のそれぞれの力を拡大して、将来は、より合理的な集中といいますか、企業体制に持っていきたいという考え方に立っておるわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、これは防衛庁のほうの意向によって決定したと、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それはユーザーの御意見がやはり一番大切でございますから、それを尊重いたしましたが、同時に、先ほどおっしゃいました通牒の線に沿っていることでございますから、通商産業省の従来の政策の延長でもある、こういう判断でございました。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、三菱のほうにはCXの小型エンジンをプライムするだけの施設や技術者もいないと、こういうふうに私は聞いているのですけれども、この点についてはどうですか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) CXの三菱重工における生産能力でございますけれども、現在、三菱重工ではヘリコプター用のエンジンなり、輸送機用のエンジンのオーバーホール等に関します、具体的に申し上げますと、大江工場というのがございまして、現在稼働率は大体七〇%ぐらいでありますが、われわれのほうといたしましては、CX用エンジンはこの大江工場で十分に余力があるという感じを持っております。したがって、三菱重工の生産能力が不十分ではないかというような考えはございません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、施設もありますね。それから技術者がいるのだったら、CX用の技術者の名簿がちゃんとそろっているかどうか、そういう人たちがほんとうにいるのかどうか、こういう点は間違いありませんか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 詳細な点はちょっと手元に資料ございませんのですけれども、技術陣、設備とも十分であるとわれわれは考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これは、私たちがいろいろエンジン業界に話を聞きましても、そんなに簡単に技術者は養成できるものではないそうですね。これは施設もないあるいは技術者もいないのに、ただこういう割り当てが行なわれたということ自体が私たちはちょっと納得がいかないのです。そうしますと、わずか二年間の間に、こういうエンジン開発がそんなに短期間にできるものであるかどうか、そのことについてはどうお考えになっておりますか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 三菱重工のエンジンの生産能力といいますか、生産技術といいますか、現在、小型のものにつきましては生産もされておりますし……。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 小型でしょう。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) ええ。それからこのCX用のエンジンにつきましては、これはライセンス生産でございますので、一応基本的な、基礎的な技術を持っております三菱がこのライセンスを受けまして、それを十分に消化し得るとわれわれは判断したわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 大臣、この問題については、具体的に三菱のほうで大型エンジンの製造ができる体制にあると、こうお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) これはもう727、737の段階に使っておりますエンジンと同じ種類のものでございますから、ライセンスがあればこれは三菱程度の能力があれば私はできると思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 専門的ないろいろの技術面を私たちも深く一々追及する余裕はありませんからやりませんけれども、私たちの聞いておる範囲では、こういう技術は簡単にできるものではない。また、いまの施設を利用してできるということは常識では考えられない。そのために、私はちょっと引用させていただきたいと思うんですが、これは三菱のアドアエンジンについてはロールスロイス、CX用エンジンについてはプラット・アンド・ホイットニーという会社にそれぞれ三菱がプライムとなるべく大いに吹聴して、日本のエンジン界の技術について非常に外国二社が当惑したと、こう言われているわけです。結局、この通産省のプライムがおりるまで疑惑の目で、日本との技術提携に対しては凍結しておった、こういうふうに聞いておるわけです。このように外国の企業にまで日本の産業が不信を引き起こしておるというのは、これは行政を担当しておる通産省の私は責任じゃないかというふうにも考えるわけでありますけれども、通産大臣どうお考えですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それはどういうところから出た情報でそのものを御発言なさいましたか存じませんが、そういうことはないように思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 この問題は、あとで深くやりたい。きょうは時間が限られておりますからできませんけれども、そのほかにT63のエンジンですね。これの当初の専門家筋の話によると、三菱の見積もりあるいは石川島の計画、これとの間に相当な狂いがあるのじゃないか、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、このT63エンジンは三菱では幾らで見積もりを立てられているんですか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) これは防衛庁の購入計画でございますので、通産省のほうではちょっとわかりかねるわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、通産省のほうでは、これは掌握していないわけですか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 契約の詳細につきましては、われわれのほうではつかんでおりません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私のほうで聞いているところでは、三菱が六百五十万、あるいは石川島は五百六十万、こういうふうな話まで聞いておるわけですが、こういうふうに、いろいろ契約の当初においても、エンジンの性能ではなしに、やはり金額の面においてもだいぶいろいろ差があるのじゃないかというふうに私たちは考えるんですね。とうとい国民の税金でまかなう防衛産業をやるには、もっともっと真剣に考えなければならないのではないか。あるいは四十二年、四十三年、四十四年の契約等についても、これは防衛庁の方がいなければわかりませんか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 先ほど申し上げましたように、契約の詳細につきましては私どもわかりかねるわけでございますけれども、このT58とT63が値段が非常に違うのではないかということに関連いたしまして、われわれのほうで感じております一つの理由づけといいますか、申し上げたいと思いますが、T58のほうは、昭和三十七年から生産が開始されております。現在までに約二百五十台の生産がなされております。四十四年度だけでも四十七台と、わりあいに生産台数が軌道に乗っておるといいますか、これは大幅なベースになっておるわけでございます。一方のT63のほうは、四十三年から生産開始されまして、現在までにわずか三十六台の生産ということでございますので、一応この売り値を立てます場合には、生産台数をならしまして、大体同じ値段で最初から終わりまでいくのが基準でございますので、その辺のことを加味いたしますと、生産台数との相関でT58のほうが非常に有利な価格の形成ができるというふうに聞いております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、たとえば私も今後をいろいろ見つめる問題として聞きたいと思うんですが、T63のエンジンがたとえば六百五十万なら六百五十万、これが四十三年、四十四年と、この契約金額はどんどんウナギ登りに上がっておるという状況はありませんか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 将来の発注の姿がどうなるかは、これは先ほど申し上げましたように、防衛庁のことでございますので、わかりかねますけれども、これは非常に多量の発注がなされるということでありますれば、いま先生のおっしゃいましたように、売り値も下がることは当然考えられるのではないか、こう思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、具体的にこれはこまかなデータはお持ちになっておりませんね。通産省としてはわからないわけですね。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 持っておりません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 まあ、実際に私は前からも申し上げておるように、大阪にお願いしたいわけですけれども、やはり国民の税金を実際に使われる防衛産業等についてはもっと有効に、あるいはもっともっと検討を加えらるべき問題があるように思いますね。いろいろ取りざたされるような、このようなものに対していろいろ疑惑を招くような、あるいはプライムの決定にいたしましても、すでにきまったというような何か疑惑を持たれるような行政指導のあり方というものは考え直さなければならないじゃないかというふうに私は強く感ずるわけですけれども、通産大臣はどうお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 何分にも単価の大きいものでございますから、ことに防衛庁となりますと、納税者の負担において行なわれるものでございますから、今後とも慎重に対処いたしたいと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 次にYXの問題で、ジェット旅客機が四十九年に初飛行される、こういう話も聞いておるわけでございますけれども、ジェット旅客機のYXのエンジンの開発はロールスロイスのトレントエンジンをこれに登載するというふうに聞いておりますけれども、これについての性能は非常にいいか悪いか。いいと思うのですけれども、この点についてのいろいろ検討が加えられたかどうか、この点について。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 御存じのとおり、現在ロールスロイスでトレントタイプのエンジンを開発いたしておるわけでございますけれども、このエンジンは、先生御存じのように、非常にむずかしいもので、現在のロールスロイスのトレントタイプというものは、大体百四、五十人をねらった非常に新しい、騒音の少ないバイパス比の高いエンジンでございます。われわれのほうといたしましても、これは日本航空機製造株式会社のほうで接触いたしておりますけれども、いろいろ情報を得ますと、一九六六年の四月に設計開始をされまして、一九六七年の十二月に一応試作エンジンが完成し、現在、地上で試験運転をいたしております。現時点におきましては約四百時間試験運転が終わったところで、その段階におきましては、先ほど申し上げましたような非常に性能の高い、どちらかというとバイパス比の高いエンジンといわれるような、非常にいい性能を示しておるやに聞いております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 ところが、この超音速高等練習機のTXのエンジン、それは英仏共同開発の超音速ジェット機「ジャガー」と同じロールスロイス社製のアドア型のエンジンを使っていると、こういうふうに言われているわけですけれども、この「ジャガー」の墜落事故が最近起こっておりますね。こういう問題についてり原因はいろいろおわかりでしょうか。いろいろお聞きになっておりますか。通産省として、今後使用する問題として非常な私は関心を持たれているんじゃないかと思うんですけれども。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 「ジャガー」のエンジン部門における故障というのは聞いておりますけれども、われわれのほうとしましても、この詳細な原因等につきまして情報を入れたいと思っておりますが、現時点におきましては、その情報がまだ入っておりません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 こういう問題について、これはまあすぐにはわかりませんけれども、やはり早くこういうものをキャッチしなければならないんじゃないかと思うんです。いつごろまでにこういう問題についてわかるような態勢になっておるでしょうか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 現在、日本航空機製造株式会社を通じまして、ロールスロイス社に対しましてその詳細な情報を要求しておりますので、ちょっといま断言はできませんが、間もなくといいますか、情報はいずれ入手できるということを期待いたしております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 大臣に最後に二、三問お伺いしたいんですけれども、このTXは軍用機です。YXは旅客機ですね。こういう問題になってきますと、このロールスロイス製のエンジンを搭載するのにいままで開発されたことのないようなこういうエンジンで、まだあまり使用していない、あるいはこの問題については、YXに使うのはどこもまだ使用しないものをそのまま使うわけですね。軍用機に載せることもなしにダイレクトにYXに搭載することになるわけでありますけれども、こういうふうに事故が「ジャガー」で起こったりいろいろしている状態から考えまして、人命の安全ということは保障されるのかどうか、この問題についての真剣な研究が行なわれているのかどうか、これについて伺いたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 民間機搭載用のエンジンにつきましては、安全性の見地から各社とも開発には十分念を入れているようでございます。私どもとしても、したがって、地上での運転などで十分確認をした上で、しかも厳格な耐久性基準を満足させるということでなければこれは採用するわけにまいりません。十分慎重にやってまいらなければならないと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 このYXは四十九年から初飛行ですか。

山形栄治通商産業省重工業局次長

○説明員(山形栄治君) 売り出しは四十九年の二月ないし三月と考えておりますが、その前に初飛行というのをやりまして、運輸省の耐空証明をとらないと売り出せませんので、ほぼ一年前に初飛行を行なう予定になっております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私は、特に旅客機でありますので、どうしてもやはりこの生命安全の問題について徹底的な究明をしなければ、これは万が一のことがあってはどうにもならない問題じゃないかと思う。そういうことに対する徹底的な調査の方法は、その体制ができているのかどうか、これについてはどうでしょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、航空機製造会社等でも十分ロールスロイスとも打ち合わせ、またチェックもするし、地上のテストもいたしますし、また耐久試験もいたします。十分慎重にやってまいりたいと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 最後に、大臣に伺いたいのですが、もしYXの問題で、中途で安全が保障できなくなったと、こういうふうな万が一事故が起こったときの場合については、ロールスロイス製の開発を変更するだけの決意があるかどうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それは安全性が保障できないということになれば、そういたさなければならないと思いますが……。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 契約の廃棄の決意もございますね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それはあぶないものを載っけるわけにまいりません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 実は、私はほかの問題で通産大臣に御質問しようと思って準備をいたしましたところが、突然ガス爆発というような問題が起こってまいりましたので、質問を変えまして、きょうはガス爆発につきまして、時間の許す限り質問いたしたいと思います。  ガス事業法の改正法が成立しました四月八日に、大阪の地下鉄工事現場でガス爆発が起こって大惨事が起こった。このときに、新聞報道でございますけれども、ある通産省の幹部——まあ、公益事業局長とはっきり申し上げたほうがいいと思うのですが、かりにその改正法がもっと早く成立しておったらば事故は防げたかもしれないと、こういうふうに話された記事が新聞に出たわけです。そこで、法がなければ事故は防げないのか、また法があれば事故は防げるのかと、こういうことになりますが、私は、今回のガス爆発による惨事の原因は、決してそんな単純なものではないと、こういうふうに考えます。今回の重大な事故を引き起こした真の原因はどこにあるのか、この点政府当局はどう考えていらっしゃるか、ひとつ通産大臣にお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 近代社会におけるこういうできごとの真の原因は何かとおっしゃいますと、それは、まあ、どこまで人間の歴史を考えていっていいのか問題があると思います。ごく常識的なお答えをすることになろうかと思いますが、やはり新しいいろいろ文明の道具があらわれてくるということは、そのものがそれなりに、原始時代に比べれば、また新しい危険を持ち込むということになると思いますが、その危険度をある程度に見て安全度をはかるということをわれわれはいままで社会生活でやってきたと思います。ガスの場合にも、ガス管を埋設するというようなときには、通例の場合、どの程度が安全であるかということは当然関係者が考えてきたと思いますが、世の中の変化が非常に早うございますから、ことに、今回のように埋設した管をもう一度つり上げて、オープンカットで工事をするというようなときになりますと、その工事の上を通る重量も非常に変わってまいりますし、従来、これでよかったのだと考えておりましたことが、世の中の変化とともに必ずしも一〇〇%安全ではないということになり得る、また現実にそういう例は幾らもあると思います。ですから、そういう世の中の変化に対応して、工事関係者なりあるいはガス供給者なり、あるいは私ども行政に携わるものもそうでありますが、弾力的に動いていかなければならないものがその点において欠けておるところがあったのではないだろうか。原因がはっきりいたしますともう少しはっきりいたしますけれども、そういう問題が根本的にあったというふうに反省しております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今回のガス爆発事故の原因としまして、地下鉄工事そのものに安全上重大な問題があったと私は思うのですね。その点は、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、どのような御質問でありますか、オープンカットで管をつり下げてやるような工事そのものは危険ではないかと仰せられる意味かと思います。現実にそういうところから事故が起こったのでございますから、そうでないとは決して申せません。しかし、それならば、いわゆるシールド工法によったら必ず安全であったかということになりますと、おそらく地質等によりますが、浅いところでシールド工法をやりましたら、今度は逆に下へ埋没するという危険が、管が下へ落ちるというある程度危険がございますから、工法そのものは時とところによってやはり考えなければならないのではないかと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 シールド工法でやる場合は、いま大臣がおっしゃったような危険もそれは生じるおそれもあると思うのですが、それはうんと深く掘ればそういうことは防ぐことができると私は思います。オープンカット、シールド工法、どちらが危険性が多いかということになりますならば、やはりオープンカットのほうが危険性が、今日のような都市のあり方では多いと思うのです。だから、この点は今回の惨事を機会に通産省で十分検討して、そうしてより一そう安全な方法をとられる、こういうふうに私はしていただきたいと思いますが、大臣、その点はどうでしょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) シールド工法は、確かに深いほうが私はその点は安全だと存じますが、そういたしますと、今度は駅をつくりますときの工事が、少なくとも地上に駅を出すといたしますと相当問題がございますのと、シールド工法はかなりの高圧のもとに工事をいたすと思いますので、工事に携わる人たちの安全ということを別途に考える必要があろうと思います。しかし、差し引きまして、シールド工法のほうが安全のリミットが高いのではないかというふうに考えられますので、各省共同で大阪瓦斯爆発事故対策連絡本部というものを設けまして、すでに何回か会合をやっております。須藤委員の言われますような方向でシールド工法というものを検討しようと、おそらく一月くらいで基本的な方向を出せるというふうにいま考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私は、今日の段階での災害に対する問題点を少し出してみたいと思うのですが、私は、実は見に行ってきました。三日間調査をしてまいりました。東京の地下鉄工事を見ますと、鉄の板がずっと敷いてあるわけです。ところが、大阪の工事は鉄製補板のかわりに重さ四百キロから六百キロのコンクリート補板が使用されている。これは自動車がスリップしないかもしれません、鉄と比べまして。そういう点はあると思うのですが、非常に密着してすき間がないということになっているため、工事現場のガス漏れによる爆発条件を高めたという可能性があるんじゃなかろうかというふうに私は見てまいったわけですが、コンクリート補板の採用にあたりまして、路面の自動車交通のためでなくて、このような危険性を検討されたかどうかという点です。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、実は工事当局、つまり大阪地下鉄に聞いてみませんとはっきりいたしませんが、私は、今回のいわゆる補板を、鉄だけでなくコンクリートをそれに合成いたしましたのは、おそらく非常な善意でやったことであろうと、交通から言えば安全でございますし、この下の導管に上の交通の重みが伝わりにくいというような意味でもあるいは有効であったのではないかと思います。そこで、結果としては、穴があいておりませんからガスがよけいたまりやすかったということでありましょうが、かりに穴があいておったほうが早く引火して爆発したかもしれないということも言えると思うのでございます。このガス漏れということを想定してああいうものを使ったかとおっしゃるならば、おそらくそこまでは考えていなかったかもしれない。利害得失はいろいろございますと思います。地下鉄当局がどう考えておりましたか、しかとは存じておりません。いずれ調査の結果明らかになると思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 深く質問する時間的余裕がありませんが、こういう点も、あの補板にするにあたっては、どういう方法が一番よいかという点、この点もあわせて今後検討して、早く結論を出されたい、私はこういうふうに思います。  その次に御質問申し上げるのは、今度の災害を私たちが数日かけて調査した中で、一番問題点だろうと思いますが、ガス管をつり下げておりますね。この方法の適否は、ガス漏れ事故を防止する上で、保安対策の私はきめ手となると思うのですが、そのガス管のつり下げ方法の設計にあたりまして、路面の自動車交通などに伴う振動とガス管の特に曲折個所への影響、それからねじれぐあいをどのように考慮していらっしゃったか、十分考慮していらっしゃるかどうかという点をお尋ねするわけですが、実は、四月四日にすでにガス漏れがありました。そのときにガス会社は徹夜で修理した、こう言っているんですね。ところが、そのすぐそば、距離にして二メートルくらいでしょうか、二メートルか三メートルくらいの離れたところ、そこで四月八日のガス噴出があったわけです。ほぼ四月四日と同じような条件の個所で四月八日にガス漏れがしておるわけです。そこで、ああいうやり方がいいのかどうか、そういう点についてよく検討されてやられたのかどうか、こういうことです。

馬場一也通商産業省公益事業局長

○政府委員(馬場一也君) 確かに先生おっしゃいますように、いわゆるガス管の直線部分に比べまして、今度のように曲がっております部分には直線部分よりは、何といいますか、特殊な応力が加わることはそのとおりかと思います。したがいまして、そういう部分につきましても十分そういうことを考えまして、強度計算いたし、必要な安全係数をかけましてガス管の埋設自身が行なわれております。またつり上げが行なわれておるとわれわれは思っております。四月四日にその事故の現場地点のところでガス漏れがあったことも、大阪瓦斯からそのような報告を聞いております。このときのガス漏れの修理はその四日の日に行なわれておりまして、このときのガス漏れば今回の爆発のような大きなガス漏れではなかったというような報告を受けておるわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 通産大臣もすぐ飛行機で飛んで行かれて、九日の朝からは現場を視察なさったと思うのですが、まだ中へはお入りになっていらっしゃらないだろうと思うのです。私たちはつぶさに調べたのですが——こちらが東でこちらが西ですか、こういきまして、これが三百ミリのガス管なんですが、中圧管です。中庄管がここで曲がってこうきて、またここで曲がっている。四日はこの曲がったところでガス漏れがあったのですが、このガス漏れば八日にはここから漏れたのですが、ここからの距離はほんとうに二、三メートルしか離れていない。とにかく同じような条件のところでガスが漏れているということは、この工事自体に無理があったということがこれでも大体はっきりつかめるのじゃないかと思うのですよ。しかも、その四月八日のガス漏れのあった、これを大きくしますとこうなりまして、ここに関西電力のダクトが通っているんです。これはコンクリートでおおわれております。このダクトがあるために、この管がこういってこう、これを越えるために曲がって、そうしてこっちへいっているわけですね。で、四月四日にここで起こった。それで八日にここで起こったのですが、こういう非常に無理な条件がここにあったわけですね。それで、私は、こういう点で力学的にも、振動の上からも実際に科学的に詳しくお調べになったかどうかということで、実は市のほうに参りまして、市交通局第二建設事務所の技術係長の広内さんという人ですね。この人に聞きましたところが、この技術係長はこういうふうに言明していらっしゃるわけです。振動に対する計算はしなかったと言っている。こういう曲がったところは、もうこの路面からここまではほんのこれっぱかりしかないのですよ、距離がね。だから、この上は舗装してあっても、そのくらいの距離だったら十分です。このごろの自動車は十トンからの大きなやつが通りますから、これに必ず振動が加わって非常な無理がこの管に加わるということはわかりきっていることなんです。ところが、そういう振動に対する計算はしてなかったというお答えですね。それからもう一つは、この曲折個所ですね。この計算ですね、圧力の計算。そういうものも全然してなかったと、それでこういう工法を、やり方をガス会社に出したところ、ガス会社は、これでオーケだと、こういうことでやった。私は、その非科学的なやり方と申しますか、それが今度の災害の最大の原因だと思うのですよ。なお、ほかにもまだあるのですが、時間の都合がありますから、私、一気に問題点を出しますが、ここの継ぎ方ですね、継ぎ目。ここは、こちらは鋼管、一方は鋳物と、この曲がっているところは鋼管でやっているのですね。それで、ほかは鋳物でやっているのですね。そうすると、質の違ったものをこう結んでいますから、条件が違ってくるわけです、圧力なりいろいろなものに対する条件が。それと鋼管は、御存じのように、非常に滑りやすい。かたいですからね、滑りやすいと思うのです。鋼管のときにはやはり滑りどめをつけておくべきものだと思うのですが、調べてみますると、滑りどめが鋼管のほうについていないのですね、くっつけたところに。それが抜けないように、こういうふうにかみ合うように滑りどめがついていなくちゃならないのが、今度の場合はついてない。ただ、鋼管とほかの管とを結びつけるそこがこうやってあったですね。科学的に申しましてもずいぶんおかしいのです。そこの継ぎ目はこういうふうになっているのですね。継ぎ目を鉛をとかし込んでこれがひっつけてある。しかし、鉛はやわらかいですから振動で——鉛とゴムとそれから麻ですかね、何というのですか、ヤーンと書いてありますが、それをつけてつなぎ合わせてある。ところが^こういうふうに曲がったところですから振動が非常に加わりやすいのですね。だからそこがはずれて、それですぽっと抜けてしまったと、こういうことなんですよね。だから、工事自体に大きなずさんがあった。これはどうしても大阪瓦斯自体の大きな責任だと、こういうふうに私は思うのですが、大臣、どうですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、私どももそういうことを直接知りたいと思いましたので、ちょうど昨年、ガス防護対策会議で数カ月間研究をして答申を出していただきました方々のうち、数人の、これはほんとうにそのほうの専門の方々ばかりでございますが、この月曜日、一昨日現地に行っていただきました。おそらく須藤委員のお調べになりましたような種類のこと、それから上の交通が及ぼす振動等々について詳しくこれは専門的見地から調べて帰ってきていただくことになりました。それによりまして、専門家の方からの所見を私どもいただけると思います。また、その所見は、今回の原因究明にも間接的に役立つであろうと思っておりますけれども、そういうのをよく拝見いたしまして、今後同じようなことが起こらないように、そういう仕様をガス会社が承認したものであるのか等々のこともあわせまして事実判定を行ないたいと思っております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 これは、実は技術者ですね、者も私たちと一緒に参りまして、それで科学者の意見も求めてあるわけなんですが、私たちとしては、もうこれ以外にあれが抜けてガスが噴出した原因は、どう考えてもほかにあり得ないと、ほかのガス管の割れたところがありますけれども、それはおそらくあの爆発で割れたのであって、やはり抜けたというのが最大の原因だ、こういうふうに実は私どもつかんでまいったわけなんです。こういう点からいえば、もうガス会社の責任は非常に重大だと、手落ちが非常にあったということははっきり言えると思うのですね。  まず、四月四日、ガス漏れがありまして、先ほど申し上げましたように、直ちに修理したと、こうガス会社は言っております。徹夜で修理したと言っておりますが、四月八日のガス漏ればまたその近くで起こっておるという点から見まして、修理したとはいうものの、その修理が徹夜修理ですからね。非常に、まあことばは悪いですが、ずさんであって、不十分な修理しかしていなかったと、またはその修理はある個所ではしたが、それから三メートル離れたところからそういう大きな事故が起こるということに対しまして、その周辺に対する注意、ガス管全体に対する検査、こういうところで私はずさんだったのじゃないかと思うのです。  実は、ガス会社の話では、こういうことをガス会社の副社長は言っておるのですよ。この事故発生の一時間前に実は四人で点検に行ったと、そのときは異常を発見しなかった、それで帰ってきた、事故なしと、異常なしということで帰ってきたと、しかし、もう一時間後にそういう大きな事故が起こっているのですから、ほんとうに綿密に問題の個所を検査したかどうかということにも私は実は疑念を持つわけなんですね。それで、どういう検査をしたかと私が質問しましたら、三百ミリ——三十センチですね。中圧管の上を二人か歩いた、それから二人が下を歩いた、そうして検査をした、そうしてそのとき、御丁寧に写真を二枚とったというのですよ。それじゃ、そのとった写真をわれわれに資料として出してくださいといったら、その写真は警察へ行っておってありませんから出せませんということです。それから今度大阪府警へ行って、そういう写真はあるかといったら、府警にはそういう写真はないと、こう府警は答えているのですね。それでね、私は、はたしてそんな上を歩いたりすることができるかと思ってまた現場に行ったのですよ、おととい。そうしたところが、このつりひもからそのワクですね、つってある。それとその三百ミリの中圧管の通っている間は一メートル二かそこらしかないのですね。そうすると、その一メートルぐらいしかないところを大の男二人がどうして歩いたかということですね。これはもう四つんばいでほうて歩くより方法がないですよ。それでこの直径一尺ぐらいの管の上をほうて歩けるかということですね、大の男が。そうして写真がとれるかということです。これはガス会社が全くうそを言っているにきまっていると思う。今度私は災害対策から大阪にまた派遣されて現場を見に行きますが、私は、ガス会社の副社長を呼んで来まして、あの上を歩けるものなら歩いてごらんなさいと言います。ちゃんと歩くところを見届けたいと思います。副社長は歩いて調べたと言う。そうして、ガス検知器を持っていたかと言うと、ガス検知器は持っていなかった、それじゃ、何で調べたんだと言ったら、先生、科学者が、あすこにおる課長が言うのには、恥ずかしいながらガス検知器というものは非常に不できなものであまり役に立たないのだと、だからわれわれのこの鼻が一番いい検知器だと、こう言うのですよ。だからにおいをかいだ。それじゃ、その人が鼻が詰まっておったらだめじゃないかと言った。そうしたら、鼻の詰まったような人は採用しませんと言う。採用されてから鼻が詰まったらおしまいじゃないですか。そうじゃないですか、通産大臣。それほどこういうのに対して非科学的なんですね。異常ありませんでしたと、それで済ましている。それで一時間後に爆発が起きているということなんですよ。こういうことをどうしたらいいとお考えになりますか。こういうことのないようにしていくためにはどうしたらいいか。私は、ここでガス検知器の開発というものを科学的にやはり通産省が先頭に立って、現在のものはだめならいいものをつくるように大いに私は努力すべきだと思うのですが、その点ひとつお答えを願いたいと思うのです。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 私の聞いておりますところでは、ガス検知器は、現在あるものでは、いわゆるわれわれの申しておりますガス——都市ガスでございますけれども、それとその他のガス、たとえば自動車の排気ガスといったようなもの等をかぎ分ける力がないんだそうでございます。そこで、都市ガスの漏れを発見するのに役に立たない。そこで、相当強いにおいをつけておりますから人間の鼻にたよる。それであぶないときには今度は石けん水を施すというのでありますから、どうも非常に原始的なような印象を私も受けますが、科学者がそれが一番いま有効な方法だと言っている。確かにパイプは相当高いところを通っておりますから、下からでは私はどうも有効な発見ができぬのではないだろうか、これは本会議でも申し上げたとおりでございます。このようなことで、やはり都市ガスの漏れを発見するような機械を何とか開発をして、それを設置させるというようなことを当然しなければならないわけでございまして、冒頭に申し上げましたとおり、よろず私どもも含めまして、いろいろなことで十分でないところがあったというふうに反省しておりますから、連絡対策本部でも、ただいま申し上げましたようなことをつい先だっても決定をいたしたようなところでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今度は警察庁の人にちょっと尋ねておきたいのですが、大阪府警へも行きまして、方々の周辺の住民の人の意見も聞いてまいりました。——こちら西です。これは天六のほうです。ここには警察官が十数名出動した。そうして、ここに千人ほどおった人をあとのほうに下げる、それをやったそうです。ここに七台ほどのバスがとまっておった。このバスも誘導してこちらのほうに来た。これは答えておりますね。だから、こちらのほうはほとんど死人がない。ところが、こちらの東のほう、ここには大阪府警も、警察官は一人もいませんでしたと言っている。それじゃ、東のほうから来る人はどういうふうに規制したかといったら、ここの鉄の上で——通行どめというような、この置くものがありますね。これを二つ、三つ置いて通行者をとめた。バスはここで数台とまった。バスはとまったけれども、お客さんをここでおろした。だから、おりたお客さんは、ここらでパトカーが燃えているというようなことで、興味を持ってこちらのほうへずっと来たわけです。来たところが、ここで爆発が起こって、歩いてきた人がみんなやられちゃった。だから一番死傷者の多かったのはこの辺なんです。この道路のこの辺で一番たくさん死傷者が出た。私は、ここいらの商売人のおっさんから聞いてみましたよ。先生、ここら辺で死んだと、それはこちらからずっと歩いてきた人たちなんです。ここでどかんと……。それじゃ、なぜこちらを警察が規制しなかったか、交通整理をしなかったか、そういうことですよ、どうですか。

長谷川俊之警察庁刑事局保安部長

○説明員(長谷川俊之君) 警察のほうに一一〇番で知らせがあったわけでございますが、警察は曽根崎署の者、これはパトカーでございますが、それからその所轄の池田派出所、それから一方、通行人の方から天六の派出所のほうに知らせがありまして、それらの者がかけつけたわけでございますが、いずれもその事故の現場から見ますると、西側のほうにそれぞれまあそういうものがございまして、したがいまして、警察官は西のほうからそこへかけつけたわけでございます。ところが、その事故のパトカーが燃えておったところからやや西のほうの国分寺交差点付近に一番たくさんの、約千名近くの群衆の方がおったわけでございまして、少数の警察官でございますので、それを整理することが先決であると、こういうふうに判断をしまして、必死になってそれをやり、そうしてそのうち両署あわせて合計三名になりますが、それを東のほうに派遣をして整理をしようとしておったときに爆発をしてそういうような死傷が起こったと、こういうことでございまして、そのときの具体的な状況から判断しますと、一番そこに集まっておりましたところをまず整理したということはほんとうにやむを得なかったのではないかと思うのでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 さっき、午前中の災害対策委員会であなたにぼくは質問したと思うのですよ。そのガス漏れが起こったとき、大阪の本部長は庁内におったのです。それで五時三十分、一一〇番が入ったのですよ。ところが、本部長は、ガス爆発が起こってから報告を受けたというのです。それはおかしいじゃないか、一一〇番が入ったらまず本部長の指示を仰がなければいかぬ。それをしていなかったことは責任があると、あなた、朝おっしゃった。そういうことでは責任があると、朝あなたはお答えになったのですが、何ら指示してない、これについて大阪の本部長は。だから、ただこっちの西ばっかり目が届いちゃって東からだって人は来るのにきまっているじゃないですか。そうでしょう。東から来ないということは言えないでしょう、道路だもの。こっちに駅があるのですよ、天六のね、阪急の駅がある。だからみんなつとめに出た人はそこを見て帰ってくるのです。東から当然来るということはわかっている。バスはとめた。バスをとめたのは警官じゃないのですよ、警官じゃないです。従業員がとめた、バスを。ところが従業員ですから、バスからおりた人はこっちへ歩いてくるわけですね。そうして、歩いてきてそこでたくさんの人が死んでしまった。これは警察は、あなた、責任感じないのですか。これは道路とめるには両方とめなければうそじゃないですか。片方だけ気をとられて、片方そのままにして警官一人もいなかった。これは大阪本部長が言っている、警官は一人もおりませんでしたと。これはおかしいでしょう、道路だったら両方とめるのがほんとうじゃないですか。このことに責任感じないのですか。

長谷川俊之警察庁刑事局保安部長

○説明員(長谷川俊之君) 先ほども申し上げましたとおり、国分寺交差点に約千名の群衆の方がおられたわけでございまするから、その際、わずかの警察官の人数を分けまして、東と西に配って、そしてやったならばより被害が少なかったのか、あるいはまた、現場の者が判断いたしましたように、まずそこの最もたまっているところを整理をしたということのほうが被害が少なかったのか、それはよくわからないわけでございますが、とにかくやはり千人近くの群衆がひどく集まっているところをまず整理をしたということは、ほんとうはやむを得ないことではないかというふうに思うのであります。

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 須藤君、簡単に願います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 西のほうに行ったのも本部長の指示で行ったのじゃないですよ。だから、もしもそういうことをはっきり本部長がつかんでおったら、十三人や十五人の出動でなしに、もっとたくさんの警官を出動さして道路の両側を規制するのがほんとうですよ。それがやられていないというところにこういう死者を出した問題があるのですよ。ところが荒木国家公安委員長は、本会議での質問に対しまして、警察のとった措置は万全である、完ぺきであるという答えをしているんですよ。これで完璧と言えますか。私は、きょう荒木委員長にここへ来てもらいたかった。これで完ぺきと言えるか。彼は大みえを切りましたよ、完ぺきだったと。完ぺきどころじゃない、穴だらけじゃないですか。欠陥だらけじゃないですか。こういうことしかできないような警察ならやはり責任とらなければならない。責任を感じてもらわなければ困りますよ。それでないと、われわれは安心できませんよ。そうでしょう。大いに責任を感じていいでしょう。感じないんですか。責任を感じているでしょう。そこをはっきりしてください。責任を感じているなら感じているということを、感じていなければ感じていないと言ったらいいです。

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 簡単にお願いします。

長谷川俊之警察庁刑事局保安部長

○説明員(長谷川俊之君) 具体的な状況から見ますると、現地の警察としてはできるだけのことをやったというふうに思うのでございますが、やはり結果から見ますれば、それはもっと何らかの方法はなかったかというようなことはよく検討しまして、私どもも反省の材料にいたしたいと思っておるわけでございます。

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 以上をもちまして、通商産業省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。  これをもって、本分科会の審査を終了いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川上為治自由民主党

○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会      —————・—————

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