予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/14
会議録
○主査(塩出啓典君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、亀田得治君及び岩動道行君が本分科の担当委員を辞任され、その補欠として岡三郎君及び吉武恵一君が選任されました。 —————————————
○主査(塩出啓典君) 昭和四十五年度総予算中労働省所管を議題といたします。 まず、慣例では政府側の説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元に配付いたしてあります資料をごらん願うこととし、直ちに質疑に入りたいと思います。また、その説明の資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○岡三郎君 初めに、この労働省の施策の中における労働力不足に対する積極的対策ですね。その労働力不足というものを七〇年代を通してどういうふうに労働省として見通しておるか、まずその点をお伺いしたい。
○国務大臣(野原正勝君) 七〇年代のわが国の経済産業の成長は、労働力に期待する面が非常に多い。しかも非常に不足をしてまいるということが予想されます。そこで、われわれはまず質の向上としまして、でき得るだけ働く人たちの技能の訓練その他を徹底いたしまして、十分その能力が発揮できるような対策を講ずる必要もございます。同時にまた、労働力の不足に対しましては、かなり現在において労働力のむだづかいがあるということも指摘できると思いますが、そういうむだをなくするという問題、あるいはまた労働力の新しい開発という問題が起こってまいります。特に婦人労働につきましては、家庭生活と一体となって、家庭生活と両立できるような形で、その人たちの労働力を十分に生かすことができないものかどうかという問題を考えておるわけでございます。そういう点につきましては、単に労働省内だけでなしに、厚生省あるいは文部省等とも関連がございますけれども、託児所の施設あるいは保育所の施設というものが当然必要でございます。あるいはその家庭においてパートタイマーというものが現在も相当ございますけれども、これはかなりふえるのではないかと予想しております。同時にまた、家内労働という問題、これも現在もすでにかなりの数に上っておりますけれども、これも今後ますますふえる傾向にあるのでございます。こういった面で労働力をできるだけ開発をして、わが国の経済の成長発展に応じて、それが有効に十分に発揮できるという体制を整備してまいりたい。そのためには労働省が持っておる使命と役割りはますます重大であると考えるわけでございます。そういう観点から、今後の施策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○岡三郎君 いまのことで、七十年代に対して、労働力の不足の状況というものを、どういうふうに見通しているのかということから、それに対応する対策、施策というものが裏づけになって出てこなければいかぬと思うのです。その基礎的な資料——大体これから先を見るというと、いままで高度経済成長の十年間、この間においてどのくらい、どうなってきておるかということをもう少し詳細に、いままでの経験を通して、十年先をどう見通しておるのかということが、ある程度明確にならないと、その対応策がこま切れで、そのつど、そのつどに追われていくという形になるのじゃないか。そういう点について、かりに農業労働力がいわゆる工業労働力にどう転換してくるのかというふうな問題も、具体的にあるわけです。この間の総務長官の答弁によるというと、やはり十年間人口移動というものは持続するであろう。こういうふうにも言われておりますが、しかし最近においては逆に工業を地方に分散するということもいろいろと計画されてきている。これは相対的に労働力が非常に枯渇してきているという問題も、いろいろと総合対策の面で何とかしなければならぬという面があると思います。そういう点で、ひとつ十年の過去を振り返ってみて、これから十年をどういうふうに見ていくか、それをもう一ぺん伺いたい。
○政府委員(住榮作君) いろいろ過去の実績とともに、将来の労働力状況がどうなっていくか。こういうお尋ねでございますが、まず労働力人口がどういうような状況であったかということを申し上げますと、昭和三十年度におきまして労働力人口は四千二百三十万人、それが昭和四十年度におきまして四千八百十六万人、こういう状況でございます。それから、一番新しい数字といたしまして四十三年度が五千七十六万人、こういうような推移をたどってきております。 そこで今後の状況でございますが、昭和五十年度における労働力人口がどうなるかということでございますが、これはいろいろ推計法がございますけれども、大体五千四百八十一万人程度が労働力人口として把握できる。この労働力人口の伸び率でございますが、たとえば昭和四十年から四十三年にかけての年度平均の労働力人口の伸び率が一・八%でございます。ところが四十三年から五十年の年度平均で考えてみますと、その伸びが一・一%というように非常に下がってくるということが総体の数字として言えると思うわけでございます。しかも、その労働力供給の内容を考えてみますと、先生御承知のように、非常に学卒者の数が絶対数として減少してくる。申し上げてみますと、たとえば中学校、高校卒の就職者の見通しについて申し上げますと、たとえば四十三年度の就職者の数は百四十三万人でございましたけれども、これがことしの三月には百二十三万四千人というように推定されておりますし、さらに、昭和五十年三月卒につきまして申し上げますと、百十四万人というような数字になってまいります。しかも、この新規労働力の給源として非常に大きいウエートを占めております新規学卒の就職者の学歴構成が変わりまして、中学卒の割合が減少してまいりました。現に四十五年度におきましては、中学校を出て就職する者と大学を出て就職する者との数がほぼ匹敵してくるというようなことで、新規学卒者の学歴構成が非常に違ってくるということが一つございます。と同時に、わが国の出生率、死亡率の影響を受けまして労働力人口の高年齢化が進んでまいるわけでございます。たとえば、昭和四十三年から五十年度について見ますと、労働力人口のうち二十五歳未満の若年層は二百二十六万ほど減少いたしまして、二十五歳から三十九歳層につきましても、その増加は大体百三十五万人程度しか増加しないのに、四十歳から六十四歳層について見ますと、これが約五百万人も増加する。こういうことでございまして、ちなみに、過去の三十五年−四十三年度における四十歳から六十歳層の増加は二百四十七万人でございましたのが、いま申し上げましたように、四十三年から五十年にかけましては四百九十三万人、約五百万人も増加するというようなことで、非常に労働力人口の増加率が鈍ると同時に、労働力人口の高齢化が進むということが大まかな特徴としてあげられると思います。これに対しまして需要でございますが、やはり、現在発表されております経済発展計画等におきましても、経済の成長率が一〇%以上、こういう率になっておりますので、労働力需要というものは、そういった経済の発展に伴いまして相当伸びていくわけでございまして、そういう意味で、需要の増に対しまして供給がいままでの労働力人口の増勢に比べまして鈍化してまいりますので、そういう意味で非常に労働力不足が強まってくる。特に若年労働力に対する需要というものに対しましては、供給がいま申し上げましたような状況でございますので、非常にそのアンバランスが目立ってくるのじゃなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。
○岡三郎君 最近いわれている一つの事実は、中小企業のほうでいわゆる労務倒産といいますか、働く人が確保できないので会社自体の運営が非常に困難になってきているという面が小規模のところにおいてはかなりいわれてきておるけれども、最近におけるそういう事例から考えてみて若年者の供給が非常に減ってきている。そこで、全体的にいってレジャー産業関係には相当に若い人、婦人層のほうにおいても若い人、こういう人がかなり目立ってきているという現象がいわれておるわけですが、こういう面については職業につく自由ということから、なかなか施策というものが思うようにいかぬけれども、しかし大体からいって収入面から見ると、これはたとえばデパートとか一般的な観光関係、こういうふうなところに行というと、かなり収入がいいのではないかという一つの話もあるわけですが、しかしこれはさておいて、その若い層というか、ぴちぴちした層というものが国家の基幹的な産業、あるいは、いわゆる第二次産業といいますか、そういうふうな方向に行くような施策というものはできないものかどうか、この点労働省として考えたことがあるわけですか。つまりいわゆる第一次、第二次、第三次産業と考えたときに、第三次産業のほうに流れていく傾向というものが非常にあるのではないか。そういう問題に対して、第二次産業というものについてこういう労働力というものをどう確保するのか、こういう点についてどう考えていますか。
○政府委員(住榮作君) 一体、たとえば学卒者がどういう業種に就職するか、こういう実態でございますが、たとえば昭和四十三年三月卒について見ますと、第一次産業に就職する者の割合が三・九%、第二次産業が四五・八%、第三次産業が五〇・三%、こういうような状況でございまして、この就職割合というものは、たとえば四十年以降をとってみますと、そう変化がございません。大体半数ぐらいの者が第三次産業、その他は、一次産業を除いて——一次産業の割合が逐次下がってきておりますが、第二次産業に就職しておる、こういうような状況になっております。そこで、そういう場合に非常に生産工程への需要があるわけでございますが、いま申し上げましたように、労働条件の問題とか、あるいはそういうところに就職したほうがかっこうがいいとか、いろんなこと等がございまして、その割合というものはなかなか変わっていないのでございますが、まず私どもは御趣旨の点はよくわかるのでございますが、先生もおっしゃいましたように、一つは職業選択の自由の問題があるわけでございます。そういう職業選択の自由を大前提といたしまして、できるだけ、学卒者について申し上げますと、本人の適正あるいは能力というものをどのようにして把握するか、そしてその適性、能力にマッチする職場というものは何であるか、こういうような点につきまして、たとえば本年度から適性検査を実施する等の方法によりまして、職業指導、就職あっせん、こういうことを考えておるわけでございまして、特に必要な産業なり職業に対する特別の誘導策というものについてはまだ十分の対策を立てるに至っておりません。そういう意味で、ただ私ども現在は、本人の適性、能力というものを把握し、その適性、能力が十分発揮される職場なり産業にあっせんを申し上げる、こういう基本方針のもとにおいて職業紹介をいたしておるわけでございます。 —————————————
○主査(塩出啓典君) 分科担当委員の異動につき御報告いたします。 本日、委員の異動に伴い、郡祐一君が本分科会の担当委員に選任されました。 —————————————
○岡三郎君 私は、この問題を考えたときに、いまの第二次産業の生産工程の中に労働者が埋没してきておる。それは機械化の中において人間が機械に振り回されている。しかも、作業そのものがこま切れになっていて、非常に全体に興味が持てない、だんだんと工場がマンモス化して機械化する中において、そういう面について若い者の失望感というか、そういうものが非常にある。だから、新卒の人は就職して一年間にかなりの職場移動というものが行なわれている。これは中学校の校長や、あるいは高等学校の先生方に聞いても、最初は非常に大企業のいろんな面にあこがれて行くけれども、非常に部分的に労働力というものが消費されていく。そういう面について厚生福利の面をとっても、大会社自体がスポーツをやるにしても選手本位であって、ほんとうに働いている者の全体のそういう面の施設というものが非常に立ちおくれているのではないか。特に土地の値上がりとか、そういう問題からして、どんどん生産設備の拡張、工場敷地は求めるけれども、それに伴うところの付属施設とかそういうものには——工場全体の仕組みの中にも、あるいは、それに伴うところの施設についても相当問題があるのではないかということが言われているわけです。こういう点で、なかなかこの問題についての回答はむずかしいにしても、産業自体の人間性の回復といいますか、こういう面についての指導というものが労働省においても非常に必要じゃないかと考えるわけです。大学においてもそうですが、日本のスポーツあるいは厚生全体が、一部の者に限られて、全般的に普及していかないという弊が強いのではないか。だから工場に働いておる人自体が、たとえばいろいろスポーツをしたいと言っても、なかなか施設というものがない。それに伴っていろいろと会社の中でも厚生関係について力をずいぶん入れているようですが、中小企業なんかにおいては、そういう面についての施設の利用とか、そういう面が非常に立ちおくれているような感じがするのですが、最近において勤労者を中心にした、そういうふうな運動場施設ですか、そういうふうなものを考えている人の意見を聞いてみて、積極的に会社に対して——一、二の会社ではなかなか持ち切れないものを相当数の会社がまとまって、そうしてそういうふうな総合的な一つのグラウンドとか、そういうふうな施設という面についての政策なんというものも相当重要性を持ってきているのではないかということが言われているのですが、そういう面のことを考えたことがありますか。
○政府委員(住榮作君) おっしゃるとおり現在の福祉施設、企業における福祉施設のあり方、まあ大企業と中小企業と比べてみますと、中小企業の福祉施設が劣っている、これはもうおっしゃるとおりだと思うわけでございます。私ども、たとえば新規学卒者を中小企業に紹介する場合におきましても、やはり中小企業における条件というものは整備されていないと、なかなか紹介しにくいわけでございまして、中小企業の職場そのものが魅力ある職場でなければならない。その魅力ある職場と申しますのは、単に作業環境、労働条件の問題ばかりでなくて、広い意味での福祉施設、こういうものも含めての考え方でございますが、そういう点に対しまして、できるだけ中小企業のそういう福祉対策が改善されるように労働省といたしましても対策を講じておるわけでございますが、たとえば先生御承知のように、雇用促進事業団を通じまして雇用促進のための融資を考えておるわけでございます。その融資の中身といたしましては、住宅とか厚生施設とか食堂、託児施設、こういうものに対する融資を考えておりまして、本年度におきましては百七十億ということで昨年度に比べまして大幅の融資をいたしております。と同時に、たとえば中小企業の従業員が使う施設といたしまして、たとえば中小企業レクリエーションセンターとか勤労者の総合福祉センターとか、あるいは勤労青少年の体育施設とか、勤労者の総合福祉センターの建設等をやっておるわけでございます。あわせまして勤労青少年ホームとか働く婦人の家等をも、まあ数としては十分ではございませんけれども、そういった施設を中小企業の多い地域を選びまして逐次拡充整備いたしまして、中小企業従業員の福祉の向上の一助といたしておるような次第でございます。
○岡三郎君 これについては、具体的にいま横浜市の北部といいますか、神奈川地区において総合スポーツセンター的なものをつくって、これは中小企業を中心にした一つの会員制度にするかどうかということは、これはいま計画をして、横浜市等にもそういう面について非常に積極的にやられておる方々がおるわけなんですが、これはやはり周辺における厚生施設そのものも非常に立ちおくれている。前にも問題があったように、たとえば箱根の山に中小企業を中心とした一つの休養施設ですか、そういうものをつくろうとしたときに、インチキな業者にひっかかってこれが非常にうまくいかなかったというような例がずいぶんあるわけであります。そういうふうないろいろな社会の要請に伴う、そういう面についての指導というものも広くひとつ厚生省とも連絡をして労働省にお願いしたいというふうに考えるわけです。この問題は別にして、直接的に私は、いま労働省の当面の問題として、働く婦人の——ちょうどいま婦人週間になって局長さんが富山に行っておられるということですが、最近、横浜市長なんかとも相談するというと、非常に保育所、託児所が——あるいは乳児の保育園というのですか、こういうものが要請されているが、実際的に言って土地の入手難、こういうものがある。そうして、各会社はこぞってパートの人を大々的に宣伝して集めている。こういうふうな中で一体これをどう解決していくのか。そういうふうなことを考えていったときに、大きなところでは会社内に託児所とか保育園とかを設けろという指導がぼつぼつされてきている。これをもっと積極的にやってもらうと同時に、中小の面における保育園とか託児所の施設というものの拡充というものを、どうしてもこれは自治体がやらなければならぬ。こういうふうになって、非常にその要請が強く出てきているわけです。こういう面について、これは端的に言って、厚生省関係の重要な仕事であるけれども、労働力の確保という面から見ても、労働省のほうとして中小企業関係、大企業関係、こういうものがそういうものをつくることの義務的な面を打ち出すべき必要があるのではないか。ということは、労働力を確保するために安上がりにパートを導入する。しかしだんだんと、そういう量がふえてくるにしたがって、社会的な問題が一つ出てきている。そういう点について、どういうふうに労働省として考えているのか。具体的に言って、パートタイマーの増加傾向、そういう問題と、共かせぎの現象面ということから考えて、具体的に労働省の対策というものをひとつ御説明願いたいと思います。
○説明員(藤井敏子君) 家庭に責任を持つ婦人の労働者が非常にふえてきておることは、御承知のとおりでありまして、いま先生が御指摘なさいましたように、パートタイマーがたいへんたくさん出ております。また、この傾向は今後も続くであろうということが言われております。当然、託児を必要とする子供を持った母親がふえてきておりますので、労働省といたしましては、かねてから働く母親の子供が、母親の働いている間、無事に保護されるようにということについて関心を持ってまいりまして、いろいろ検討を進めてきたところでございますが、一つの方法といたしましては、先ほど住職業安定局長から申し上げましたように、雇用促進事業団の融資をもちまして、できるだけ各企業の中に、必要な企業には託児施設を設置するようにということをいたして進めております。それから、そのほかにも、厚生省の地域保育所の増設ということについても、たいへん必要だと思いますので、厚生省とも連絡をとって、その増設についても私どものほうから厚生省にお願いしておるところでございますけれども、地域保育所だけではなお足りないというような現状だと思いますので、企業内にもっと託児施設をつくっていくことにつきまして、具体的にどういうふうにすればいいかということにつきまして、ただいま関係官庁とも連絡を密にとりながら検討中でございます。
○岡三郎君 現在、企業内における保育所、託児所、あるいは乳児保育所というものがどのくらいできておりますか。これは調査がありますか。
○説明員(藤井敏子君) ちょっと前の資料になりますけれども、企業内にできていると言われておりますのが二千二百九カ所ございます。
○岡三郎君 それは大企業、中小と分けて、どういうふうになっていますか。
○説明員(藤井敏子君) その内訳はちょっとわかりません。把握いたしておりません。
○岡三郎君 最近の増加状況から見て、これは労働組合自体も会社に対して、あるいは働いているパートの方々も会社に当然要求すべきだと思っておりますが、結局遠くへある程度働きに行くということになれば、どうしても地元に保育所がほしい。しかし中小企業を含めて、家庭と両立するということで近くに職場を求める、そういうふうなことになってきて、会社自体のこういう面に対する施策が非常におくれているんじゃないかと、強く私は思うんですが、これは何かこれを推進するのに、どうしたらいいのか、どこに隘路があるのか。こういう面についての指導は労働省でやっておられるわけですか。
○説明員(藤井敏子君) 特に大規模な指導はいたしておりませんが、私どものほうは、各都道府県に婦人少年室という出先がございまして、そこの職員が事業所を始終回っております。婦人労働者の保護、福祉等のための指導を目的として回っておりますが、そのときに各企業ごとの事情を見まして、ここの企業には託児施設が必要じゃないかと思われますような場合、使用者の方々と話し合いの中で指導をいたしております。その際、雇用促進事業団の融資等の利用についても知らせるようにいたしております。 それから、使用者の方々からも、最近は事業内の託児施設の設置のことについてたいへん相談を受けて——室長等にどういうふうにすればいいか、相談を受けるというふうに聞いております。
○岡三郎君 会社等についてはかなり利潤が上がっているという面で、パートの人々の増加傾向に対する各社のそういうふうな調査というか、そういうものをやられる必要が私はあると思うんですが、一定の規模に達した場合は当然必置するというか、そういう面についての強力なる指導がほしいんじゃないかと思うのです。それは一般の民間についてのあれは、昨日も厚生省についてやったわけですが、何といっても建築費を百万から百五十万くらい助成しても、土地代という問題でネックにかかっている。それで当面の過密地域における労働力の不足という問題とあわせて、義務制の学校にほとんど市費というものがとられてしまう。だから義務教育になってない幼児の問題については、皆さんがわかりながらも、なかなか思ったとおりにいかない。たとえば横浜でいうと、五十年までに小学校、中学校あわせて百二十一校つくらなければ国の義務としての施設ができてこない。そうするというと、市費の教育費がどんどんどんどんふくれている中において、最近においては六割ないし七割は教育補助にいってしまう。そうなると、全体的にいって保育所をもっとふやさなければならぬということを考えつつも、土地の問題で非常にむずかしい問題が出てくる。どんどんどんどんパートがふえてくる。そうするというと、いまの住民の意識では全部要求を自治体に持ってくる。自治体の財政状況では、なかなか、思いつつもはかばかしくない。だから土地を持っている人が保育所をつくるという場合については積極的に助成するが、公営の保育所をつくるという場合についての予算措置というものは、住民が考えているところとはほど遠い状況になってくる。ここに一つの問題点があって、どうしても私は、この際は、企業がパートの方々に働いてもらっているわけだから、そうすると一時間に百四十円とか百三十円とか、そうして一切その他の負担がない安い労働力でどんどんどんどん生産をあげて、そうして会社は増収している、もうけている。そういうふうな中において、それに対する会社の見返りということになりますか、そういう施設というものをしっかりつくっていくということが、長期的に七〇年代において考えられないかということになってくると、これは責任のなすり合いという形になってしまって、働く人々の、ある程度これからの雇用促進という問題についても、非常なギャップが出てくるのじゃないか、こういう点で大臣にお願いするのですが、ひとつこの問題については、なぜ私がこういうかというと、総理大臣は施政演説の中で、幼児から大学までの、特に家庭のしつけということを言っている。ところが、いまの状況が続いていくというと、極端に言えば、家庭教育自体が行き詰まってきているんではないか。もちろん家庭において子弟の問題を十分考えるということは、どの親御さんも同じだと思うのです。しかし、実際に家庭生活と両立するようなことを考えていきながらも、小さい子供がいる場合においてそれができない。だから、こういう問題を解決するためには、やはり自治体とあわせて産業界自体が積極的な姿勢をとらないということは、これはおかしいという気持ちを非常に強く持っているわけです。これについて労働大臣のひとつ所見を聞きたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、今後の働く婦人の問題について、家庭生活と両立できるか、また母としての使命、あるいは妻としての使命を果たしながら、しかも社会に最も必要な生産の立場に御協力願うということが、日本の繁栄のこれは道でございます。したがいまして、この問題については真剣に考えまして、託児所というか、幼児までも含めた、ある意味においては教育の問題があるわけでございますが、これらの施設について、真剣にひとつ対策を講ずる必要があると思うのでございます。したがいまして、このことは労働省だけの対策では不十分だ、これは厚生省に関連を持ちますし、同時にまた文部省の関連もございます。それらの問題を十分に連絡をいたしまして、その方向に今後は強力にひとつ主張をいたしたいと考えております。
○岡三郎君 これは一般的に託児所の保母さんにも言えることですが、非常に給料も安いし、それから働く環境が非常によくないということで非常に苦しんでおるわけですし、園長さん自体にしてもかなり犠牲的な精神でやっておるけれども、なかなか人を得にくい。そういうふうな面が一方にあると思うのです。したがって、企業内における託児所の問題等についても、これは厚生省、文部省とも十分連絡をとって、いま大臣が言われているようにやってもらわなければなりませんが、一つには、やはり待遇の問題だと思うのです。こういうものは、待遇の裏づけというものをある程度指針としてやはり出していってもらわなければ、私は困ると思うのです。全体的に見て、全国的に二千二百九カ所というと、ほとんどもう取るに足らぬ数じゃないかと思うのですね。ですから、この点については、会社自体が私は力が十分にあると思うのです。ただ、ふしぎなのは、労働組合関係がこういうものについて積極的に会社に要求すると、かなり推進すると思うのですが、そういう面については比較的にないですね。これはだから、パートというものと一般の労働者という関係が利害相反して、一般労働者の賃金の足を引っぱっているというふうな理解のしかたになっているのかはわかりませんが、しかし、それはそれ、これはこれで、とにかく働いている現実がずっと来ているのですから、これは労働省のほうとしても、そういう面について積極的な施策というものを——私は何か、やはり一定のパートの方々の数によってはある程度——強制とは言わぬけれども設置義務があるというふうな指導というものを確立していってもらいたいと思うのです。これは、自治体にそこまで手が回るようになっていってもらえば、私は両立してうまくいくと思うのですが、いまの現状の中においては、そういう面がなかなかしわ寄せがあって苦しいという点で、その点お願いしたいと思うのですが、現在のパートの方々の数はどれくらいになっていますか。
○国務大臣(野原正勝君) 現在、これは四十三年の調べでございますが、六十四万人。したがって、働く婦人の方々の六・七%と言われておるわけであります。先ほど岡先生からお話しの問題でございますが、これはやはりパートタイマー等がふえる。あるいは働く婦人の人たちが積極的に職場に進出を願うという点から見ると、どうしてもやはり絶対必要条件は託児施設だと考えております。したがいまして、その必要性がだんだんと理解され協力されてきますというと、御指摘のように、あるいはこれは当然この施設は持たなければならぬというような段階にもなってまいることが予想されるわけでございますが、そういうような方向に将来はいくのではないかというふうに考えております。しかし、確かに現状におきましてはわずか二千二百カ所というふうなもので非常に少ないわけでございます。したがいまして、各企業がそういう施設をできるだけつくりやすいようにするために、雇用促進事業団に長期融資の道を開いてもらっておりますし、ワクはまだ十分ではないかもしれませんが、そういった融資の道でとりあえずやってきたというわけでございますが、こういった問題が大きな政策として、特に婦人労働力を必要とする段階が深刻になってまいりますれば、当然これは託児所等の施設はますます拡充強化を要するわけでございます。と同時に、託児所に働く人たち——園長さんであるとか、あるいは係の方々につきましても非常に大事な子弟を預かっていくわけでございますから、特殊教育も必要である。そういう面でその人たちの待遇が非常に低いということ、これは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、それらの人たちにもまあできるだけ待遇等も改善してあげて、遺憾のない幼児教育がその場でなし得るということが好ましいわけでございます。そういう面でも慎重にひとつ検討いたしまして積極的に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
○岡三郎君 私は最後に要望しますが、特に雇用促進事業団ですか、特に大会社には自力でやっていく力があるわけですから、中小企業の面についてひとつ特段の配慮を願いたい。 それからもう一つは、一般的な保育所も重視していかなきゃならぬけれども、と同時に乳児ですね、この面が非常に立ちおくれていると思うのです。そういう点で、この間も私、横浜で働かなきゃならぬ、しかし、ゼロ歳から一歳の子供さんを預かるところがなかなかない。それで何とか世話してくれないかと思って自分で調査してみたら、乳児というのは三歳まで預かってそれから出る、ほとんど病院関係、それから宗教関係ですね。一般的に言うと乳児を預かったんじゃ仕事にならぬということで、とても手が回らぬし、そういう人を得るわけにもいかぬということで非常な隘路があるようですが、こういう面についてもどういうふうにするのか、私自体も、いかに苦しいといっても自治体もひとつ積極的にこういう面についてやるように市長等にも言っているわけですけれども、そういう面についてひとつ特段の配慮をお願いしたい。これは結局一人で預かる小さな赤ちゃんの限度がきまってくるわけですね。そうするというと給料が出せないという形がいわれておるわけですね。それで一般的に措置児というふうな問題についても不十分な取り扱いしかできない。そういう点でやってみたが怒られたり、批判をされたのではとてもかなわぬ。やるならばやっぱりしっかりした施設を持って人を確保したい。ところがその裏づけがない。だからやろうと思っても、あとでやった結果がよければいいけれども、うまくないと言われたのでは踏み切れない。これはやはり国とそれから自治体全体がひとつ協力して、こういう面におけるもっと画期的な方策というものを立ててもらえぬか。私はなぜ言うかというと、たまたま北欧その他を見てきて、これは日本の労働人口とは全然違うので及びもつかないとは思いつつも、非常によくできて働きに行っているお父さんでもお母さんでも職場から帰ってくると、そこへ寄って、まあその人の働く時間によっては六時でも七時でも、そこに行くというとすぐ渡してくれる。赤ちゃんと家へ帰る。また朝行くときにそこに預けていく。非常にスムーズに働く環境というものができているわけですね。だから、日本のほうとしても、こういう面については急速な労働力不足というふうな問題に追いついていかないいまの状況なんですが、とにかくいずれにしても必然的な勢いというものは、そういうふうな労働力の必要性というものが国家的にこれは強く要請されているわけですから、産業界だけではなく、国家全体としてこれをどうするか、根本はこれは母性保護という問題に帰着すると思うのですが、そういう点についてひとつ十分なる施策を労働者を中心にしてやってほしい。そうして最終的には幼児教育としてただ預かるだけではなくして、幼稚園と保育所と含めて、やっぱり教育の一環としていまの家庭生活、家庭教育の現実から、これをひとつ補っていくような方向への指導というものを次の段階にほしいと思うのです。そうしないというと、経済のみに追われて、気がついたときに、ある程度生活が楽になったときに、子供はむしろ放任のまま、ほったらかされて大きくなってくる。そういうふうな条件が重なってしまって、あとで騒いでも追いつかぬぞという気を実は強く持っているわけです。この点お願いして終わります。
○国務大臣(野原正勝君) まことに同感でございます。まさしく岡さんのおっしゃるような施設が必要であると思います。婦人労働の問題がますます深刻化しまして、婦人の人たちにたよるという情勢が強くなってまいりますれば、やがては当然そういうことにしなければならぬと思うのです。私も、実はしばしば北欧に参りまして、スエーデンその他の国々の施設を見てまいりました。非常にうらやましく感じてまいったのでありますが、すべからく北欧に学びたいと考えておったわけでございます。こういうことにつきましては今後十分検討し、施策として取り上げていきたいと考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 ちょうど婦人週間の最中で、全国の働く婦人がいま大きなキャンペーンをしている最中です。それで、いま岡先生からも婦人労働の問題で一生懸命発言をしていただいて私はほんとうにうれしく思っていますが、いま労働大臣も婦人労働力というものにたよらなければならなくなってきた、真剣に考えなければならないようになったとおっしゃいましたので、きょうは全く私も婦人労働者の権利の立場から——実はこのあとすぐ大蔵委員会のほうに来るよう、いま督促されております。で、時間が短くなりましたので、くわしい問題を避けまして、専売公社ですね、合理化計画がいま提案されているわけです。その中で、専売公社というのは伝統的に、働く婦人が非常にたくさんいる職場でございます。過去にはもう過半数——もっとたくさんの女子労働者がおったのですね。そういうところでいま提案されております専売公社の合理化計画の中で、第一次中期計画というのが発表されております。その中で、その計画の対象になって非常に悩まなければならないのが、大部分が女子労働者。そういう意味から婦人労働者の権利を守るということを、いま労働大臣もおっしゃったし、北欧並みにしたいというふうにおっしゃったので、そういう立場から、ぜひ決意を聞かしていただきたいと思います。 で、公社の合理化問題の中に入ることは、この委員会では避けたいと思いますけれども、実は専売公社は非常に——けさもテレビで報道いたしておりましたが、たいへん売り上げが上がった。近年にない二千百億本も売れたということで、たいへん成績がよくなったということを言っておりますが、実は今度の合理化計画というのは、国際的な競争がたばこの世界でも非常に激しくなってくる。そのために、国際競争に打ち勝つためには、機械も非常に高速のものを入れて、そして合理化しなくちゃならない。その合理化の中で二交代勤務制度を導入しようとしているわけですね。私はそこのところに集中して大臣のお考えを伺いたいと思うのです。 まず基本的にいって、婦人労働に対して先ほどの岡先生の御発言も、家庭を持って、子供を持って働く労働婦人を守れということであったと思うのですね。そのためには労働者が率先してやれということだったのですが、この家庭の責任を持っておるところの女子労働者というものは戦後だんだんふえてきておるわけなんですね。この専売の場合、大体非常に長く勤続しております。ほかの産業に比べて勤続が大体平均十四年、女の人で。それから平均年齢が三十四歳、そのうち既婚者が七〇%も全体としているわけですね。こういうつまり家庭の責任を持っている婦人労働者がたくさんいる職場なんです。私たちは戦後婦人が職場に定着するように、長く続けられるように、家庭を持っても、結婚しても、子供を持っても仕事が続けられるように、そうすることが職業人として全うすることである。そういうことを一生懸命にお互いに言い合って、励ましてきたわけです。こういうふうに長くつとめるようになり、それから年齢も長く、結婚しても働くというふうになったことは、労働大臣としては、これは好ましいことだというふうにお考えになりますかどうか。まずその御意見を聞かしてください。
○国務大臣(野原正勝君) 好ましいというよりも、実は非常によく専売の仕事をささえてきたと、非常に私はいままでの御功績というか、婦人の方々の仕事に対して衷心から敬意を表したいと思います。よく存じませんけれども、専売公社がやはり近代化を要する、そこでだんだんと変わってきておると思うのでありますが、いまいかなる場合におきましても専売公社の仕事というものは、やはり大部分が婦人労働に依存せざるを得ないような職場かと拝察をしておりますが、その限りにおきましてはやはり既婚者が七〇%もあると、勤続年数が十四年であるというふうなことから見まして、やはりその職場に愛着を持ち、仕事の意義を考えておられる、そういう人たちに対しては十分、幼児の託児、教育の問題まで含めて公社のほうがやはりあたたかい施策を講じてあげる、これは当然やっておると思いますけれども、まだ十分でないとすれば、この際大いに奮発してやってもらいたいと思います。そういうことでやはり今後といえども当然近代化は必要だと、しかし近代化の中におきましても、婦人の持っておる役割りあるいは生理的の立場もございましょうから、それらは十分に尊重されて、専売の事業と両立できるような態勢を考えていただきたい。そのために必要な施設を十分につくってやることが、むしろ専売事業を健全に今後も続けていくために、これは絶対必要条件ではないかというふうに考えているわけであります。そういう観点から非常に、ただいまのお話を興味深く実は伺ったのであります。私も、十分には勉強しておりませんが、今後何かそういった婦人労働を今後も正しく育成強化していくという面におきまして、労働省の立場でなし得ることがあるならば、喜んで御協力申し上げたいと考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 専売で婦人労働者が非常にたくさん長く働いてきた。その伝統というのは戦前、十分に婦人労働者の保護がなかった当時でもたくさん働いていたというのは、当時の専売事業に女子労働者が非常に必要であったからで、必要な場合にはみな使用者というのは便宜を提供するわけです。ですから専売の工場には昔から保育所がついておったわけですね。戦後になりまして、婦人の労働というものが非常にふえて、そして方々で必要になってくる。ことに最近は労働力が不足してきて婦人労働に頼らなければならないという面が出てきますと、ほうぼうで婦人の保護が、家庭の責任を持っておる労働者にも保護が与えられるということになってきて、ここまで進んできたが、まだまだ不十分だ。さっき岡先生がおっしゃいましたように、乳児をかかえて婦人労働者が働けない条件が一ぱいある。こういう状況ですが、比較的工場内に保育所を持って今日までつとめてきたわけです。ところで、最近の専売公社が近代化、合理化の政策の中で二交代制勤務を導入するということを徹底しているわけなんですね。この二交代勤務というものは一体いまどういう状況にあるか、全産業的にみてふえつつあるというふうに一般に言うけれども、どういう面でこれはふえていくのかということを把握しておいでになりましたらお知らせいただきます。どういう産業にどういう条件のもとに二交代制勤務を採用されておるのかということについて。
○政府委員(和田勝美君) お答え申し上げます。私のほうで賃金労働時間制度に関します調査を毎年一回実施しておるのですが、これは非農林業についての調査を主としてやっております。この調査によりまして規模五千人以上の製造業で交代制を有する事業所の割合は四十二年が七〇・四%、四十三年が六八・九%ということになっております。交代制をやっております事業所が非常に多いということを表明しておると思います。これは、どの産業ということを限定的に申し上げられません。大きな数で交代制がありますが、たとえば鉄鋼業のように二十四時間どうしても稼動しなければならない、あるいは化学工業におけるように、生産の工程を途中で中断できないような面を持っておりますところでは、交代制によりましてその施設をフル運転するというようなことが一般的には多く行なわれておると考えております。
○田中寿美子君 いまの数字なんですけれども、おたくのいま出されている四十三年の資料ですね、事業所数では五千人以上の事業所は現在三四・六%というふうに出ておりますね、交代制を有するものが。労働者数では二六・三%。いまの数字は何によりますか。
○説明員(佐竹一郎君) 昭和四十三年の賃金労働時間制度総合調査でございます。
○田中寿美子君 それでいま私聞きましたように、事業所数で五千人以上のものは三四・六%交代制がある。労働者数では二六・三とありますけれども、その数字が違いますが。
○説明員(佐竹一郎君) ただいまの基準局長の申し上げましたのは、製造業の五千人以上の数字でございます。
○田中寿美子君 製造業だけですね。
○説明員(佐竹一郎君) はい。
○田中寿美子君 それでは交代制勤務を導入する理由は、どういうところにありますか。
○政府委員(和田勝美君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、鉄鋼業等におきましては溶鋼炉を二十四時間稼動することはまことにやむを得ない、生産工程としてやむを得ないわけでございます。そういうような場合とか、それから化学工業におきましても工程の中断ができないような装置産業でやっておる場合がございます。そういう場合におきましてはどうしても交代制でもってやる。これは交代制をやらざるを得ないというものでございます。それ以外ににおきましても生産の工程の組み方それから需要、一般的な社会的な動向というようなことで、二交代でもって生産を行なうというのが、いろいろ事情はございましょうが、そういうようなことによって生産能率を上げるという意味合いにおいて交代制をとるというようなものもあろうと思います。
○田中寿美子君 それがいま、専売公社で二交代制勤務を取り入れる提案をしております。いまおっしゃったように、これは生産性本部なんかの統計なんかでもそういうことを言っておりますけれども、鉄道とか警察とか、そういう公共性のあるもの、こういうものはどうしても交代制勤務が必要であり、それから機械を中断することのできない、連続して絶えず動かしておかなければならない、そういうものではやはりどうしても交代勤務制を置かなければならない。しかしそういうふうに、どうしても全部ではないけれども、企業の能率を上げるために、いわばもうけをたくさんにする、機械を入れたからという意味で交代制をとっているところがある。それは過去にはたとえば繊維労働者——大部分は婦人なんですけれども、いつも大体二交代勤務制をとっておったわけですね。こういうものの中に多いということである。そこで今回専売の場合、これに交代勤務制を取り入れる理由というのは、これは高速の機械を入れて、そして非常に近代化するが、その機械が非常に高い。それでそれの償却費を回収していくためにはできるだけフル回転して、交代にして、そして企業の利益を追わなければならない、こういうことが理由になっているわけです。それはちゃんと公社の側もそう言っておるわけですね。そのことを大臣、どうお思いになりますか。さっきから女子労働者にたいへん依存しておる、女子労働者は大事にされなければいけないということはおっしゃったんですが、専売公社という公共企業体は企業の利潤追求を第一義にして、そして交代勤務制を取り入れるべきであるとお思いになりますかどうですか。
○国務大臣(野原正勝君) 専売公社の場合は、まあ一般企業と違いまして利潤の追求は必要でなく、生産性を上げるという必要からやったものと思いますが、その事情は実はよく聞いておりませんので、いま何とも言えませんけれども、まあ専売事業の近代化、生産性の向上という一点から非常に高速の機械を入れたというお話でございます。その際にあっても、特に婦人労働者が非常な犠牲をしいられるようなことがないように配慮する必要があろうという点は、考えてまいらなければならないと思います。二交代制の可否とかいう問題になりますと、これは別個な問題でございますから、にわかに回答はできませんけれども、とにかく婦人の方々がそのために非常な苦痛をしいられるような事態は避けなければならないというふうに考えております。
○田中寿美子君 労働大臣、たいへんやっぱり働く人たちの立場に立ったお答えだったと思います。専売公社の側も利潤追求を第一にしなくてもいいと思うと、そして女子労働者が苦痛をしいられないようにすべきだと、これは私賛成です。そこで二交代勤務を提案されておるのは、女の人は朝の六時三十分から夜の九時五十分まで、男の人は十一時までです。これは地方的に少し違いますけれども、その間で二交代をやるということです。ですから、ある者は六時三十分から二時十五分まで、ある者は午後の二時から夜の九時五十分まで。で、さっきも申し上げましたように七〇%が既婚者です。ことに公社が提案しております、まず六つの工場について合理化計画を出しているのです。ここで見ますと、非常に既婚率が高いわけです。函館工場八〇%、盛岡工場九〇%、金沢工場九〇、高松八〇、徳島九〇、臼杵九〇、品川六〇、業平六〇、たいへん既婚率が高いのですね。この工場がまず合理化の二交代勤務導入の提案を受けているわけです。そしてそこは保育所が企業内にあります。専売の工場にはみんなある……。保育所に子供を預けている数もそれぞれ相当のものです。つまり子供を連れてみんな働いているわけですね。そういう場合に、朝の六時三十分から子供を連れてくることができるか。六時三十分始業ですから、家は五時半ごろにはどうしても出なければならないということになるでしょう。それから夜九時五十分ということになりますと、帰りつくのは十時半か十一時になるかもしれません。こういうことをしながら子供を持つ婦人が働き続けられるかどうか、その辺はどうお思いになりますか。
○国務大臣(野原正勝君) いまのお話を伺いますと非常にこれは無理なように思います。どうも婦人の立場というものは、生理的な関係もありますし、家庭との関係も考えてみるというと、朝の六時三十分から働いて二時までと、二時から九時五十分ですか、これは非常に、かなり無理があるのじゃないかと思います。そこで私は、専売公社がこういうことを計画された事情というものをよく知りませんけれども、これは特に既婚婦人が八〇%あるいは九〇%ということから考えてみますときには、これはよほど慎重に考えてもらわぬと容易でないというふうな感じを持ちます、率直な話が。
○田中寿美子君 それで労働大臣、やはり働く人の権利を守る立場にいらっしゃる労働省ですから、ぜひ、いまのようなことを専売公社に対しては忠告していただきたいと思うのですね。実は、専売で働く婦人一万五千人、そのうちの七〇%が既婚者ですから、この二交代制勤務が入ってまいりますと、事実上これは共かせぎですからね、もう家庭はむちゃくちゃになる。六時半に就業するために、赤ちゃんを朝早く連れ出すというようなことは、これはもうちょっと残酷物語ですね。ですから家庭の生活もむちゃくちゃになりますし、それから事実上できなくなると思う。ということは、二交代勤務が入ってきたら専売で働く婦人の大部分はやめざるを得なくなるんじゃないか。つまり働く婦人の権利の問題になってきますね。働く権利の問題、権利を侵害するということになってくる。そういう点を十分考えていただきたいと思います。このごろ共かせぎの婦人が非常に多いわけですね。そういう場合に、夫と妻が別のところに転勤させられるというような場合にも、これは家庭を破壊するという意味で違憲訴訟をして、そして違憲の判決を受けている事例もあります。ですから、家庭生活ができなくなるような状況に追い込まれるということは、これは働く婦人の権利の侵害にもなる、そういう点をどうお考えになりますか。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘の点は、十分工場のほうにも聞いてみたいと思います。あとうならばこうした無理な交代制——交代制はやめ得ないとしても、早朝から深更に至るまでの間については慎重に検討願わなければならないというふうに思います。
○田中寿美子君 それで、専売公社が出しておりますPRの資料ですね、これで見ますと、世界的に交代制勤務をとっているところが多いということを書いていますね。特に食品だとか——国内の場合は食品だとか電気器具関係に交代勤務——女の職場ですね、があげてあるのですけれども、この中に繊維のことはあまり書いてない。繊維の労働者というのはもう伝統的に交代勤務で、たいへん激しい無理な交代勤務をしておるわけです。したがって、繊維労働者が夜勤——深夜勤務に近いところまでの交代勤務をやるために寄宿舎にいなければいけないのですね。独身者でなければ勤められないという状況になっておる。こういうことはまあこの中には書いてありませんが、そういうことからしましても、実際にいま専売に働く女子労働者は、自分たちはもうこの仕事を続けられなくなるという非常な恐怖を持っている。 そこで、時間がありませんから、ひとつぜひ労働大臣並びに労働省側の見解をお聞きしたいことは、ILO八十九号条約、これはまだ日本が批准しておりません。しかし、これによりますと、もちろんILO百二十三号勧告のように、家庭の責任を持った婦人が働けるようにいろいろ保護を与えよという勧告もあります。しかし、この八十九号条約というのは、女子労働者の夜業に関する条約ですね。で、これによりますと、夜間というものの定義があるわけなんです。夜間というのは夜の十時から朝の七時までの間の七時間を含む十一時間という規定です。いま日本の基準法は夜の十時から朝の五時までです。七時間でしょう。七時間を夜間と規定して、この七時間の間働いたら深夜業で、製造工場に働く女子労働者は夜業が禁止されている。特定のもの以外は禁止されているというわけで、夜は十時まで、朝は五時から働くことができるわけです。朝五時というのは四時ごろ起きなければならないし、夜十時というのは十一時ごろまで起きていなければならないということになります。ですから、ILOの八十九号条約の精神からいうと、非常に深夜業に食い込んだ形で交代勤務がされておるわけですね。もしいま専売公社で二交代勤務を導入するとしたら、九時五十分、それから朝は六時三十分ということは、さっきから言いますようにいろいろ準備時間を加えて深夜に食い込む作業をするわけなので、こういうことは女子労働者にとって、母性となるべき女子労働者にとって好ましくないことだと私思うのですけれどもね。労働省はこれをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、女子労働者の保護の立場から夜業というものをいまのような規定のままでいいと思っていらっしゃるかどうかお伺いしたい。
○政府委員(和田勝美君) 先生御指摘のように、現在の基準法におきましては、朝五時から十時まで、交代制の場合は三十分のズレがございますが、その間は婦人は、十時から五時までの間の深夜業は原則的には禁止をしてございます。これは週四十八時間、一日八時間制というものから計算をいたしますと、五時から十時までということが一応二交代でいく場合を考えますと、割り当てると、そういうことになるわけでございます。そういう点は御指摘のようにILOの八十九号条約の夜業に関する条約とは確かに食い違っておりまして、そういうことがありましてこの八十九号条約はまあ批准ができない状態でございます。これは実は、日本はずっと前からの長い歴史を持ったいろいろの産業がそういうような二交代制で組み込まれておったというようなこともありまして、二十二年の基準法制定のときにああいう規定が設けられたわけでございます。実は世界的に見ますと、日本の規定は必ずしも行き過ぎでございませんで、一応世界的なレベルにはあると思います。しかし条約と合わないということに関連をして、この問題をもう二十何年たった今日相変わらずこのままにおいていいかどうかという点は確かに問題があろうと思います。特に、婦人労働の問題がこれからは労働力不足との関連で非常に問題になってくる世の中でございますので、これらにつきましては、実は私どもは昨年九月から労働基準法研究会というのをつくりまして、せっかく御討議をいただいておりますが、その中におきまして、婦人及び年少者に関する就業制限問題が非常に大きな議題になることが十分予想されます。で、そういう場合におきましては、研究会の態度としましては国際的な水準がどうなっておるか。ILOの条約勧告はどんな要求をしているか。それに対して日本の現在及びこれから近い将来を見越して、日本の労働はどういうかっこうで行なわれていくべきものだろうかというような御討議をいただくことになっているわけでございます。ただいま御指摘の八九号条約につきましても、私どもとしてすでに資料として研究会にも提出してございまして、これらについては十分御討議をいただけるものと思いますが、いまのところ安全衛生関係が主になって御議論が進んでおりますので、しかるべき段階でこの問題については研究会の御討議をいただきまして、それらの結果を待ちながら、私どもとしては深夜業問題についても検討をさしていただきたい、かように考えるわけでございます。
○田中寿美子君 大臣、よく外国の人がほんとうに驚くんですけれども、日本の商店も夜おそくまであいているわけですね。それから、日本の人は働きたがるんだなあ、みんなオーバータイムをやっている。最近も英国の婦人が来て非常に驚いていたわけなんです。で、一般に労働基準法できめてあったり、協約できめてあるような条件以上に働く癖があるわけですね。それは賃金との関係もあるかもしれないんですけれども。ですから八時間労働といっても実際にはそれより長い場合が非常に多い。オーバータイムをやっている。しかも十分超勤手当をとっていないというのは公務員の場合はたくさんありますよね。そういうことをしているという状況の中で、やはりこれは婦人少年局から出された資料から見たんですけれども、EEC諸国の中で、夜業といえば夜の八時から朝の七時までを規定している国もありますね。ですから、これは八九号条約に沿っているわけなんです。で、女子や年少者にとって、やっぱり夜間の作業というのは——、これはもうたくさんの研究がありますし、もう時間がありませんから言いませんけれど、生理的には全くよくないことです。あるいは家庭生活も破壊していくわけですね。こういうことを考えますと、かりに二交代制をとる場合だって、夜間というものはもっと縮めて、つまり制限のほうは長くしなきゃいけない。つまり夜間がいいということではないわけですね。どうしても夜間作業をしなければならないような分野では、これはたくさんの交代勤務——四交代なり何なりして労働時間を縮めていくという形、そのほかの条件をよくしなきゃいけないわけです。ですからそういうことからいって、この八九号条約はいま研究中とおっしゃったけれども、やはり八九号条約を批准する方向にいって、婦人や少年労働者の夜間作業は、もう八時以後は絶対させないとかというような方向にいくおつもりはないかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) ILO条約の場合については、どうも批准したものが非常に——二十六でございますか、少ないので、これはどうも一日も早く——まあ大体国際的にはやや中位にありますけれども、もうちょっと条約批准を急ぎたいと考えまして、せっかくいま検討しておるわけでございますが、非常にむずかしい問題でございまして、委員会の御意見等を尊重して、できるだけ早くこの問題は批准ができるようにいたしたいと考えております。田中さんのおっしゃいました問題は十分胸にとめておきまして、今後あらゆる機会にひとつ主張してみたいと考えております。
○田中寿美子君 それじゃもう時間がありませんから、最後のお尋ねです。 それで、私はいまILO八九号条約に沿うならば、夜間が十一時間ですから昼間は十三時間になるわけです。そうすると、かりに二交代にすると六時間半勤務、そういうふうな方向に私は向かっていってほしいと思います、特に女子の家庭持ちを使うという気ならば。そしてそれは働く婦人の権利でもあると私は信じます。そこで、今回専売公社で提案されている二交代勤務制度は、いままでの条件より全部後退していくもの。まず、さっき大臣が認識されましたように、家庭生活には非常な無理がいくんじゃないか。子供に無理がいくんじゃないか。それからいままで週休二日をとっている工場が多いわけです。月に一回だけ土曜日に出る。あとは二日というのが専売の製造工場の習慣だったわけです。それを今度はずすわけですね。六日にしてしまって二交代、これも逆行だと思いますね。それから通勤が非常な困難になってくる。夜明けのそのころはもう交通機関がありませんから、公社側は通勤バスを用意するというようなことを言っておりますけれども、みんなばらばらに住んでおりますので、六時半までに到着するためには終夜運転でもしていなきゃならない。帰る人も十時ごろから帰るわけですから。男子は十一時まででしょう。それこそ終夜運転するバスが必要になってくる。そんなことをはたしてするかどうか。それから、おかあさんが夜明けに早く出るということになりますと、それはもう学校へ行くまでの子供全部が問題になってきます。そういうこともありまして、非常に条件の逆行になってきます。こういうことを考えますと、いま、ちまたに、労働基準法の中で女子に対して母性保護の規定を制限していくべきだというような意見も出ているのです。こういうようなことがあればですね、婦人を引き出せ引き出せ、家庭でも職場でも働けるようにする。さっき大臣が北欧並みと言われたけれども、北欧の考え方は、労働時間が短くて、そして十分家庭生活も楽しめるような形にしてあるし、それから、若いときだけ働いて、一たん家庭に入って、また再雇用というパターンはもう古い、いまでは。全生涯を通じて男も女も一緒に社会生活も家庭生活も分け合うべきだといういま方向を出しているわけです。 私、婦人少年局からもおいでになっておりますから、婦人の立場から、そういう方向にぜひ向かうように、企業に対して。企業は企業の権利を守る官庁がたくさんあるんですから、労働省はぜひ労働者の立場を守るような方向をとっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。最後の決意をひとつ。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘の点はまことにごもっともでございます。今後、労働行政の推進にあたりましては、十分その点を尊重いたしまして今後検討していきたいと思います。
○説明員(藤井敏子君) 田中先生のおことばよく伺わしていただきまして、私どもも前から婦人労働者の母性保護というものをたいへん重要な仕事としていままで仕事してきましたので、さらにもっと強くいろいろ研究検討を進めながら、努力してまいりたいと思っております。
○田中寿美子君 どうもありがとうございました。 〔主査退席、副主査着席〕
○塩出啓典君 きょうは身体障害者の雇用促進の状態、そういう点についてお聞きしたいと思います。 先般労働大臣もお聞き及びとは思うのでございますけれども、参議院の予算委員会の公聴会に公述人として身体障害者の方が車いすに乗って見えられ、そうして公述人としていろいろわが国のそういう身体障害者に対する政策の面についていろいろ意見を述べられたわけであります。私もその話をいろいろ聞きまして非常に感ずるところがあったわけでございます。その人はもう小さいときから下半身が非常に不自由で教育も十分受けられず、学校にも行けなかった。それで、近所の人の使い古した古い教科書をもらって一生懸命勉強した。そうして予算委員会の公聴会に出ても非常にしっかりした発言をされたわけであります。その人が言うのには「身体障害者に対する国の政策というものは、ただかわいそうな人だから恵んでやるとか、そういうような感じではいけない。一人の人間として扱ってもらいたい。だから、普通の人と同じように身体障害者の方も教育が受けられるようにしてもらいたい。また、いまどんどんあらゆる生産も機械化されて、作業自体が非常に分化されてきている、だから、身体障害者の人といえども全部の機能がだめなわけではない。まあ手足が不自由でも頭脳は元気だとか、視力はいいんだとか、そういう残された機能を開発して、それを社会の上に大いに生かす方向、そういう方向でやはり国の身体障害者に対する政策も推進してもらいたい。」、そういうような話を聞きまして、私もほんとうにそのとおりだと思い、それに深く感銘を受けたわけでございます。その問題に対して、私はそのとおりだと思うのですが、労働大臣としてそういう点どう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) まさに御指摘のとおりでございまして、身体障害者の皆さん方が進んで人生に生きがいを感ずる、それにはやっぱり自分の能力に応じ、生産する部門に進んで御参加をいただくということが非常に好ましいわけでございまして、そのために思索をこらしておるというのが現状でございます。しかし、正直な話、身体障害者の中にはまだ必ずしも十分でない者がおるわけで、したがって、これは労働という面のみならず、もっと大きな社会問題として考えてみたいと思っておりますが、とにかくそうした身体障害者の方々までも進んでわが国の産業、経済の進歩発展に何らかの御協力をいただけるような時代をつくりたい。そのためには、さまざまな施設を用意し、進んで、喜んで、安心して仕事ができるような体制をつくっていく。そのためには、今後あらゆる面で十分でなかった面を考えまして、今後の対策を積極的に取り上げていくという方針でいきたいと考えております。
○塩出啓典君 それで、まず、これは関係の局長さんの御答弁でよろしいと思うのでございますが、現在わが国における身体障害者の数ですね、労働省として大体何名ぐらいおると判断しておるのか、その点をお聞きします。
○政府委員(住榮作君) 身体障害者の数につきましては、私ども厚生省の身体障害者の実態調査によって把握いたしておるわけでありますが、十八歳以上の身体障害者が百四万八千人でございます。そのうち就業者、働いている者の数が四十一万二千人、百四万八千に対しまして三九・三%でございます。一般の場合は、先生御承知のように六五・二%でございますので、就業者の割合は身体障害者については非常に少ない、こういうような実情と承知いたしております。
○塩出啓典君 この百四万八千人というのは、いわゆる精神薄弱者は入っておりますか。 それと、もう一点お聞きしたいことは、この四十一万二千人という人が就職しておるという、そういう数はどのような調査によってわかったのか。私はその点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(住榮作君) 数字は四十年八月の厚生省の身体障害者実態調査によるものでございます。それから就業者のうち被用者が、四十一万のうち他人に雇われて働いている者の数が十四万八千人でございます。
○塩出啓典君 身体障害者の中には、精神薄弱者が含まれておりますか。入っているのですか。
○政府委員(住榮作君) いま申し上げました数字の中には精薄が含まれておりません。それで、精薄者の数でございますが、これも厚生省の精神薄弱者の実態調査で、十五歳以上の者の数が二十八万九千六百人でございます。
○塩出啓典君 この四十一万二千人の人が働いているというのは、労働省で年に一回、全国調査をすると聞いておりますが、その調査の結果集計された数字でございますか。
○政府委員(住榮作君) これは厚生省の調査によっております。
○塩出啓典君 働いておる人の数も厚生省の調査によるわけですね。それで、十八歳以上の身体障害者の方が百四万八千人、それから精神薄弱者の方が十五歳以上が二十八万九千六百人いるわけでございますが、この数については、非常に実際より少ないのじゃないかと、そのようなことをいわれておりますが、どの程度正確であるかということは、これは、調査は厚生省がやったわけですから、ここでは問題にはできないと思いますが、この合計百三十万人余りの人がおるわけでありますが、そういう人の中で何人ぐらいの人は、もし仕事につくとするならば、就業可能であると考えられますか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(住榮作君) 結局働いておられる方が百四万八千のうち四十一万二千でございますが、残りが働いておられない方六十三万六千人になるわけでございますが、その六十三万六千人の内訳といたしまして申し上げますと、休業中の者が五千人、それから失業中の者が六千人、それから身体上の理由により就業が不能だと、こういう方が四十万一千人、それから就業の必要がないという方が十五万九千人、それからその他といたしまして六万五千人と、こういう数字になっておりまして、したがいまして、この調査によりますと、失業中として掲げられている数字が六千人でございますので、一番働きたいと考えておりながら働けないという方がこの調査では六千人と、こういうことになっておると思います。
○塩出啓典君 そうすると、労働省のお考えとしては、今年度もいろいろ身体障害者の方の雇用促進のためにさまざまな予算が取られているわけでございますが、その予算の対象は、現在失業中の六千人ですか、その人を対象とするのであって、就業可能な人は現在の就業者プラス六千人、それだけしかいないと、そのように考えているわけですか。
○政府委員(住榮作君) いまのは厚生省の身体障害者実態調査の数字を申し上げたのでございますが、安定所におきます状況について申し上げますと、実は身体障害者の方々で職業のあっせんをしてほしいということで安定所に求職の申し込みをされるわけでございますが、これはたとえば昭和四十四年三月で見ますと、求職されておる方々が一万二百三十三人おられます。したがいまして、先ほどはこの調査では六千人というように申し上げておるわけでございますが、現に安定所に求職を申し込んでおられる方が大体一万人ぐらいおられる。年々一万人ぐらいの方々が求職の申し込みをされる、こういうように私ども把握しております。と同時に、別に私ども身体障害者の雇用を促進する観点から、身体障害者雇用促進法によりまして雇用率を設定いたしておりますが、その雇用率を設定するにあたって、実は四十三年の十月、雇用率の引き上げをはかったのでございます。〇・二%程度の引き上げをはかったわけでございますが、このとき考えましたのは、たとえば雇用対策の対象になる身体障害者の数というものは、四十五年度までに四万人程度あるのではないだろうか、それと同時に、これは四十三年十月雇用率改定の際の推計でございますが、さらにその四万人のほかに将来雇用されることを希望する者が増加すると、こういうような見通しを立てまして、そういった方々に雇用の機会を与えるという観点から、雇用率をおおむね〇・二%ずつ引き上げたというように考えておりますので、調査とは別に、私どもの推計によりますとそういうような数字を把握し、身体障害者の雇用促進をはかっていこう、こういうためにいろいろな対策を講じておるところでございます。
○塩出啓典君 これは私、非常に根本的な問題でございますので、局長並びに大臣にも御答弁をいただきたいと思うのでございますが、先般の参議院予算委員会における公聴会で、身体障害者のその青年が、車いすに乗ってきて、彼が言うのには、「現在のようにだんだん仕事というものは分化されて、体全体使わなくても、体の一部の機能でできる仕事が非常に多くなってきている」というわけですね。まあたとえばエレベーターなんかの場合は、ボタンを押すだけでもいいわけですし、そういう点から考えれば、専門家の話によりますと、どのような身体障害者の人でも、その人のできる仕事というのはどっかにあるはずだ。そのようなことを言っている人もあるわけであります。これはたまたま私四月九日の毎日新聞で見たのでございますが、これは大臣も御存じかと思いますが、墨田区の大久保製びん会社という会社が、従業員の半数が身体障害者を雇っているわけですね。でこの企業は年間十億円ほどの売り上げのびんをつくる中小企業でありますが、昭和二十九年に精神薄弱者を採用し、七人三十七年まで。結果がよくて、三十八年一月からの拡充計画では、毎年四十人の採用者のうち三十人心身障害者を採用した。だから身体障害者雇用促進法をつくり、鳴りもの入りで身障者の雇用を宣伝していた労働省や職安もこの計画にびっくりした、これは新聞ですから、どうか知りませんけれども、そうしてまあ危ぶんだが、現在では三百五十人の従業員のうち、身体障害者が七十一人、精神薄弱者が八十六人もいるというわけですね。で、この会社には、検査、箱詰め、運搬、原料の調合など二十の職種があるが、そのうち十六職種に精神薄弱者が、五職種に身体障害者が就業していると、こう書いているわけです。 たとえば電話交換手のA子さんは盲目で昨年九月就職した。企業での盲人交換手は日本で初めてで、同社の取引先の二百にのぼる電話番号は暗記してしまった。盲でも電話交換ができているのだそうですね。ここでは従業員の出入りをチエックする守衛さんは、六人全員が手や足を事故で失った人たち。また箱張りをしているB君はIQ一八、IQというのは知能指数ですが、一八だと。自分の名前も言えないし、休日がわからないから毎日仕事場へ出てくるので、この人は年中無休だそうです。就職して三年九カ月になり、月給は二万一千円、C君はIQ三五で昨年四月就職、びんの型になる金型の修理をしている。普通の人とかわりなく旋盤を使って型のゆがみを直すと。このような、私はほんとうに大久保製びん会社の社長のその御努力には深く敬意を表し、私も感動したわけでございますが、そういう点から考えれば、現在労働省からいただきましたこの資料の中には、身体上の理由により就業不能というのは六三%あるわけですね。しかもこの数には全然精神薄弱者は対象外になっております。おそらく労働省としては、精神薄弱児なんかはもう働ける見込みないと、これはオミットしたのではないかと思われてもしかたないんじゃないかと思うのですけれども、私は、今後のやはり身体障害者の雇用促進という面は、そういう人まで働けるようにやはりしていくことが大きな国としての方針でなければならないんじゃないかと思う。もちろんそういう人たちが就職するには、本人の気持ち、あるいはまたその家族ですね、あるいはまた雇う側の企業——この大久保さんみたいなそういう会社の社長はいないと思うのですけれども——そういうやはり会社とかあるいは家族の方々、本人、そういう人たちに対する総合的な政策をして、こういう人たちが全部それぞれの立場において社会の発展に貢献していくということは、私は身体障害者自身のためでもあり、また家族のためでもあり、また現在人手不足である日本の産業界のためにも大きなプラスである。そういう点で、いままで身体上の理由により就業不能といわれている人たちにまで手を伸ばしていくような、そういうもっと強力な姿勢でいかなければならないんじゃないか、このように私考えるわけなんでございますが、その点、大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(野原正勝君) まことにごもっともな点でございます。特に墨田区の大久保工場の身障者や精薄の方々を進んで雇用されておって、しかもりっぱにやっておられるという点には衷心から敬意を表したいと思います。そうしたことで身障者や精薄の方々も職場に復帰して協力願えるような態勢をつくっていきたいと考えております。 先日は小平市の職業訓練所やあるいは作業訓練所等を参観してまいりましたが、そこには多数の実は身障者がおりました。同時に、一部は精薄の方々もいたわけであります。そこで、労働省の訓練局でそれぞれの人たちに対しましてまことにあたたかい思いやりのある職業訓練をやっておるわけであります。同時に、また先般東京でそれぞれの方々の作品を展示いたしました。これを見ましたが、なかなかりっぱなものだというふうな点で私も感服をしたわけでありますが、御指摘のとおり、だんだんと仕事が分化されてまいりますというと、おそらく身障者の方たちでも十分にやっていけるような職種がたくさんあるはずでございます。そういう面ではすでに労働省でもそういう対策をしまして遺憾のない対策を講ずべく努力をしておるわけでございますが、訓練の施設等は、身障者に対しましては小平市にあるほか全国で現在まで十一カ所の施設があるそうでございます。しかし、これが必ずしも十分であるかというと、そうではないのでありまして、今後はその面でも施設を拡充強化いたしまして、十分身障者や精薄の方々が進んで職場に復帰できるように対策を講じてまいりたい、そういう考えでございます。
○塩出啓典君 大臣からそのような方向に進んでいくとの答弁をいただきまして、私も感謝する次第でありますが、ところが私も今年度のそういう身体障害者対策関係の予算等を見まして、そういういままで身体上の理由によって就職不能とか、あるいは就職の必要がないとか、そういうような人たちにまで手を伸ばして、そういう人たちが何らかの形で社会の発展に寄与すると、ただし身障者として、あるいは精神薄弱児として人から恵んでもらうような、そういう立場ではなくして、社会の発展に何らかの寄与をしていかなきゃならない。そういうような方向にこれから一歩一歩やはり持っていかなきゃならないのじゃないかと思いますけれども、そういう点で、私はまず精神薄弱児を、このおたくからもらった資料の中にも全然これは省いているわけでありますが、やはり当然精神薄弱児に対する雇用促進というのも進めるべきじゃないかと思う。その点はどうですかね。精神薄弱児の件については、これを加えてないのは何か理由がございますか。
○政府委員(住榮作君) 精薄につきましては、現在の身体障害者雇用促進法に基づきまして身体障害者についていろいろ対策を講じておるわけでございますが、精薄につきましても全く同じ観点から精薄者の雇用の促進をはかっておるわけでございまして、先ほど安定所の登録者数を申し上げたのでございますが、その中にも精薄者が約八千名程度含まれておるわけでございまして、含めまして身体障害者の登録求職者数が何人であるか、こういうように申し上げておるわけでございまして、別に精薄については対策をとっていないということではございませんので、お含みおき願いたいと思います。
○塩出啓典君 そこで今年度、この身体障害者のいろいろ予算、資料をいただきましたのでございますが、まず一つは——その前にお聞きしたいのは、いまおたくで身体障害者求職登録状況というのは、四十四年度末で八万五千五百四十四人だと、ところが実際に就職している人は四十一万就職しているわけですね。これはやはり就職しているけれども、登録してないのか、どういうわけでこれは登録者のほうがずっと少ないわけですかね。
○政府委員(住榮作君) 登録者が少ないのは、安定所を通じて求職をされ、安定所を通じて就職されるという方々を登録してあるわけでございます。登録します理由は、一つは身体障害者の方々には、一般の方と違ってやっぱり相当きめのこまかい職業指導なり職業紹介を行なう。身体上の障害の問題だとか、その能力だとか、適性の問題だとか、そういうものを十分把握した上でまず紹介をする、こういう目的で登録をいたしておるわけでございますが、さらにその方々が就職された後におきましても、就職後のアフターケアの材料といたすために求職登録の際のそういうデータを使っていく、こういう観点から求職者の登録をしておるわけでございます。したがいまして、一般の就業者の数と違いますのは、やはり就業者の中には自営業あるいは家族自営業をしておられる方もございますし、それからまた雇用者になられる場合であっても、縁故就職とか、そういうような就職もございますので、その差というものが出ておるものと考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 私は、就職している人はいいとしても、先ほどのお話では百四万の身障者、精薄の方を入れれば約百三十万になんなんとする人がおるわけでございますが、ところが就職しているのは四十万である。そうすると、九十万以上の人がまだ就職もしていない。もちろんそういう中には就職の必要もないと考えている人や、人前に出るのが恥ずかしいという人もおると思うのですが、やはりそういう人がこぞって職業安定所の求職登録をするように、そうなってこなければならぬと思うのですけれども、そういう点では、今年度の予算においては、どういうように職業安定所としてそういう啓蒙をし、登録をふやすか。また、ほんとうにうちのむすこでも働けるんだ、いままで身障者、身障者と控え目にしていたけれども、そういうふうに役に立つんだ、そういうことを親の方々、企業の方々にもPRして、まず家族の人たち、本人にそういう仕事をしたいという気持ちを起こさせるには、本年はどういうふうな対策を立てておりますか。
○政府委員(住榮作君) まず働きたい方々の把握でございますが、これは先生御承知のように、身体障害者の場合は登録されておられるわけでございまして、そういう登録されておる社会福祉事務所等と連絡をとる、あるいは特殊学校、そういった施設との連絡を密接にする。そこで私どもといたしましては、そういう方々に対して、一体こういう身体の障害のある方にはこういう職業が適当であるとか、あるいはこういう職業から求人があるとか、そういうような連絡体制というものをはっきり確立していきたい、そういう意味で、まず安定所を利用して就職先をあっせんする、こういう体制をはっきり打ち立ててまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 時間もありませんので、深くは、私もあまり詳しく知りませんのでやりませんけれども、ひとつこの点は大臣にもよく検討していただいて、現在まず八万五千五百四十四人で、九十万にのぼる身体障害者の方々はもう働けないものだと思ってあきらめているのじゃないかと思うのです。そういう人に対するやはり施策、これは現在においては職業安定所というのがその第一線でやっていると思うのでありますが、やはり職業安定所においてもそういう身体障害者の方々に対する専門家——おそらくなかなか人員の少ない中で第一線の人は苦労していると思うのですけれども、そういう点にひとつ力を入れて、このやり方を検討していただいて、要は、まず登録者の数がどんどんふえてくるような、そういう結果の出るような施策をひとつ検討していただきたい、そのように大臣にお願いしたいのですが、その点よろしいでしょうか。
○国務大臣(野原正勝君) 身体障害者の方々に、できるだけ多く職業戦線に進んで行っていただくというために、職業紹介業務の拡充ということはもちろんであります。同時にまた、そういう方々がいかなるところに働き得るかという点については、職業訓練所施設を十分活用いたしましてやっていくとか、あるいはまた身体障害者のためには特に通勤用の自動車なども実は融資の道を開いております。あらゆる点で身体障害者が進んで職場に進出ができるように対策を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 それで、やはり労働省としても、私はやはり身体障害者雇用促進に対する長期計画といいますか、これはなかなか九十万人おるから一ぺんに一年でやることは無理だと思うのです。やはり五年計画なり立てて、そして昭和五十年には何人の人が就業できるというように、ちゃんとした長期計画を立てるべきじゃないかと思うのでありますが、その点どうですか、担当局長さんでもいいですが、そういう考え方はどうか。
○政府委員(住榮作君) 御承知のように身体障害者の雇用を促進するために、まあ官公庁の場合は雇用率一・七%、民間事業所の場合は一・三%、こういうような目標を立てまして、身体障害者の雇用を促進しておるわけでございますが、私ども、ちょうどことしは身体障害者雇用促進法が制定されましてから十周年になっておるわけです。ぜひ本年度中にいま申し上げました雇用率が、民間においても官公庁においても達成されるように、これは当面の目標でございます。その後、そういった目標を達成しましたあとで、それではさらに将来の計画としてどのように目標を設定し、その目標の達成のために必要な対策を打ち出すかということにつきましては、ひとつ身体障害者雇用審議会等の意見をも聞きまして、計画的に御指摘のように身体障害者の雇用の促進をはかってまいりたいというように考えております。
○塩出啓典君 現在の雇用促進法の目標をまず達成して、それから次の新たな段階を立てていきたい。そういう御答弁でございますが、その点、積極的な施策をよろしくお願いをいたします。今年は大体何名くらいの雇用を促進する目標なんですか。
○政府委員(住榮作君) いま申し上げましたように、たとえば、現在官公庁におきまして設定をされております雇用率が一・七%でございます。昨年の十月一日の状況はそれが一・六六%になっております。それから民間事業所におきましては雇用率が一・三%でございまして、現在同じく四十四年十月一日の達成率が一・二五%でございますので、本年度は、ただいま申し上げましたように、官公庁におきましては〇・〇四%引き上げる、民間におきましては〇・〇五%を引き上げる、こういう計画でやってまいるつもりでございます。
○塩出啓典君 身体障害者雇用奨励金というのが九千三百九十二万円、これは大体一人に月八千円で十二カ月間支給ですけれども、大体千人分くらいじゃないかと思うのです。それから職場適応訓練補助金というのは、これは身体障害者の人が職場で訓練を受ける期間は本人に二万八千円、雇用者に六千八百円を支給するという、そういう制度、これは中高年齢失業者等の転職、転換訓練費補助金も入っているわけでございますが、このうち身体障害者に関する部分というのは、別にはっきり分けられてないですね、非常に上のほうは千人、下のほうは大体何人分くらい……。この点は、いずれにしても予算というのは多いほうがいいわけでありますが、九十万人もまだ就職してないそういう対象者があるのに、千人分くらいでは非常に少ないのじゃないかと思うのですけれどもね。そういう点もひとつ大いにがんばってもらいたいと思うのですが、どうですか。職業安定局長としても千人分くらいでやはり十分ですか。
○政府委員(住榮作君) 私どもといたしましては、従来の実績等をも勘案いたしまして予算をお願いしておるわけでございます。そこで先生も御指摘のように、この費目は職業転換給付金の中の積算の一項目になっておるわけでございまして、実は職業転換給付金につきましても、従来の実績から見ますと、若干の不用額を出しておるようなこともございますので、少々の人数の増加がございましても十分対処できる金額であるというように考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 こういうお金が余るということは、結局それだけ徹底が不十分なわけで、九十万人おるわけだから、希望者が多くて金が足りないほどひとつ推進をしてもらいたい、そのことを要望しておきます。それと、いわゆる公共職業訓練所が全国で十カ所、これも非常に私は少ないのじゃないかと思うのですね。それで今年度からいわゆる身体障害者職業センターというのを上野につくる、昨年は一億一千五百万、今年度は一億五千二百万、来年度まででおそらく総経費は四億円くらいの身体障害者職業センターが上野にできるのじゃないかと思うのでありますが、身体障害者の方々は手足も不自由な人だし、東京の上野にこんな金かけてりっぱなものをつくるよりも、私はもっと地方のほうに少々小さな規模であってもたくさんつくったほうがいいのじゃないかと、そういうふうな気がするのですけれどもね。この点どうなんですか。身体障害者職業センターというのは一体何をするところですか。
○政府委員(住榮作君) センターでは身体障害者なり精薄の方々の職業をどう安定させるかという観点から、身体障害者の職業能力の判定についての問題とか、あるいは作業補助具の改善等の問題、あるいは就職後の職場定着についての問題、そういうようなことを一貫してやる、いわば一種の総合的な施設として、比較的身体障害者が多いと思われる地域に逐次私どもこういう施設をつくっていきたいというように考えて予算をお願いしておるわけでございますが、それと同時に、何もそこだけではございませんで、各安定所でも主要な安定所には身体障害者の専門の窓口と申しますか、コーナーのような施設を設けまして、身体障害者の方々に気楽に来ていただいて、いろいろな職業の相談をするような体制もしいておるわけであります。そういうような体制と相まちまして、たとえば上野でつくろうとする施設は、申し上げたような総合的なセンターとしての機能を果たさしていこう、こういう考え方でお願いを申し上げておるわけでございます。
○塩出啓典君 そういう大きな建物をつくれば、外面はいいかもしれませんけれども、やはりそういうところへ来る人はまだいい。それを、来ない人あるいは家庭におる人、相当もっともっと職業安定所の体制を強化して、ただ相談に行ける人だけではなくて、来ない人までやはりこちらから手を伸ばしていく、そうして家族にも説得する。もちろん社会福祉事務所にも連絡を密にして。そういうような体制は、やはりなかなか一朝一夕にはいきませんけれども、そういう方向でひとつ強力に進めていただきたい。そのことを御要望したいと思います。大臣、その点よろしくお願いいたします。 それともう一つは、いわゆる雇用促進法による法定雇用率でございますが、これは大体一・六%あるいは一・七%というようにきまっておるわけですけれども、これは民間の場合は一・三、一・六とかそういうものがあるわけでありますが、非常に職種によって違うと思うのですね。将来労働省としてはこういう人にはこういう職種があるのだ、やはり職種ごとのきめのこまかい法定雇用率、そういうものをやはりつくる方向にいくべきじゃないか、そのように思うのですが、その点、局長はどう考えられますか。
○政府委員(住榮作君) 先生御承知のように、諸外国におきましても身体障害者の雇用促進のためのいろいろな制度があるわけでございますが、国によっては職種を利用いたしまして、身体障害者をそういった職種に当てる、こういう制度をとっておる国もございます。わが国の場合は雇用促進法制定の当時から現業的、非現業的と、こういうような観点から、いわば一括したような雇用率を設定しておるわけでございますが、実は今後の身体障害者の雇用をさらに進めていくにあたりまして、一体どういう制度がいいのか。職種によって雇用率を設けるとか、あるいはさらに努力雇用率ではなくて、義務雇用率のようにするのかどうなのか、こういうようないろいろな問題があるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、私ども身体障害者の雇用対策を推進していく場合に、身体障害者雇用審議会の意見を聞いてまいっておりますので、いま先生御指摘のような問題、あるいは今後の雇用促進の方策等につきましては、ひとつ身体障害者雇用審議会の意見等をも十分お聞きした上で対策を立ててまいりたい、検討してまいりたい、こういうように思います。
○塩出啓典君 それで、最後に、これは数日前の読売新聞に載っておったわけでありますが、「身障者に冷たい官公庁」、「試験パスの青年「不採用」」、こういう記事が載っておる。これは京都の宇治市の十八歳の青年でございますが、三歳のとき小児マヒにかかり、両足マヒで身障者手帳では一番重症の一種一級だが、松葉づえを使えば不自由はなく、地元の小学校、中学校、高校も卒業した。それで地味で長続きする職場をというので、国家公務員初級試験を受けて、二・三倍の試験をパスした。ところが一月の京都地検、京都大、京都教育大、京都府、大阪府など七つの官公庁で面接試験を受けたがいずれも不採用。最後に受けた国立京都病院だけが「あなたのような身障者に適する職種は当病院にはありません。」と理由を明らかにした。彼は非常にショックを受けて、自室にカギをかけて閉じこもる日が続いたと、こういうような記事を読みまして、私も非常に胸の痛む思いがしたわけでございますが、身障者の青年が七つの官庁に一つ一つ受けに行かなければならない。しかも非常に官庁の態度も冷たい。あまりにもこれは、身障者雇用促進法によって推進している政府の立場からいっても……。これは民間の企業等に対しても官公庁がこういうことであっては非常によくないのではないかと思うのですよ。こういう点は、やはりもっと職業安定所が——これはひとつ職安局長にお願いしたいのですが——職業安定所が、青年が一人来たならば責任を持って、現在、公務員以外の場合は職安が責任を持ってあっせんするようでありますが、国家公務員の場合でも、やはりその青年が地元の職安に来れば、そこが責任を持って官公庁へも世話をするような、そういう責任を持って対処をする、そのようにすべきじゃないかと思うのですけれども、その点どうですか。
○政府委員(住榮作君) この点につきましては、私ども、身体障害者の雇用を促進するという観点から、非常に遺憾な事態であるというように考えておるわけでございますが、まあ四月十二日に新聞が報道する以前におきまして、安定所といたしましても、ここに書いておりますような就職希望者について問い合わせたのでございますが、いずれも不向きであるというようなことで、結果としては新聞に報道されているような状況になっておるわけでございます。そこで、先週末、特に本人が府の安定課のほうにも参っております。そこで府の安定課が中心になりまして、この方の就職につきまして現在努力中というように聞いておるわけでございまして、何とか御希望も十分伺いながら、首尾よく就職ができるような措置をとってまいりたい、こういうように考えております。
○塩出啓典君 まあ職業安定所の第一線の人たちも、身障者だけではない、一般のたくさんの方をかかえて、なかなか忙しいために手の回らない点もあるんじゃないかと思うのですけれども、しかしそういう点はひとつ大臣も大いに力を入れて、そういう身体障害者の方たちはどうしてもひがみがちですので、そういう方たちのためにひとつあたたかい施策、これをお願いしたいと思います。 最後に、大臣のお考えだけを聞きたいと思うのでございますけれども、中小企業、いわゆる下請企業ですね。そういう人たちのいわゆる賃金の状態。実は私も長年八幡製鉄におりまして、八幡製鉄の現場なんか、同じ職場に下請がおるわけですね。そのまた孫請がある。もう一つ、曽孫請というのがあるそうでありますが、ところが同じ工場内に作業していて、下請の人たちのやっている仕事というのは非常に危険な仕事が多いわけなんですね。われわれ八幡製鉄の連中は安全もしっかりしている。ところが下請の人たちは危険だ。その間にも非常な賃金格差がある。向こうは残業も多い。ボーナスも少ない。社宅もない。そういう点で非常な差があるわけでございます。先般私も商工委員会で八幡製鉄の下請企業の調査に行ったわけでございますが、いろいろ聞いてみますと、最近は非常に差がなくなってきているのだ、下請のほうがいいんだ、そのように会社の幹部は言うわけですね。確かに、労働省から出ております賃金統計、そういうものを見ますと、だんだんだんだん大企業と中小企業の格差、学歴の差というものはなくなってきている。この資料で見る限りは、日本経済は非常にいい方向に向いていると思うのです。しかし私は、この問題についても、じゃこの資料がどういう方法で調査したか、また九人以下のほうを、この資料では全国約九十万人の調査をしているわけですけれども、退職金とかボーナス等が含まれているのか。あるいはこの平均値が出ているが、ばらつきはどうなのか。あるいは、通勤手当社宅の有無、そういう厚生福利施設はどう入っているのか。あるいは残業の有無はどうなっているのか。そういうような点、非常に私の見る限りでは、この資料というものはほんとうに下請、孫請の実態をつかんでいないと思うのですね。そういうことをなぜ私が申し上げるかといいますと、これはたまたま「たいまつ」という雑誌にこういう一文が載っておったわけです。これは八幡の下請、孫請につとめている人の書いた文があるのでございますが、「昨年の暮、ボーナスが支給されました。マルエス労働者は平均十一万五千円。」、マルエス労働者というのは八幡製鉄の労働者ですね、ところが「下請労働者は平均五万円。孫請工はゼロでした。ゼロから見れば、同じ工場でいっしょに働く十一万五千円は雲の上のことにみえるはずです。」そういうようにいろいろ書いておるわけですね。私もかつて八幡におった自分の体験、また、こういうものから見て私はこのほうが正しいと思うのです。ところが、労働省のそういう賃金構造の実態というものは書いていない。ボーナスの、賞与の差にいたしましても、ここに書いているのは大企業も中小企業もあまり差がないのですね。だからそういう点、私は今後の労働行政の一つの問題としては、やはり平均的な姿で見るのでなくて、同じ小規模企業、中小企業でもかなり差があるのじゃないか。また、こういう全国平均ではなくて、一つの企業の下請、孫請、特に下請というものは大企業に対しては非常に弱い立場にあるのです。わが国の下請企業というものは、一〇〇%親企業にたよっているのですから、そういうような問題点を今後労働省としても、より詳細にひとつ調査をしていただいて、大企業の繁栄とともに、やはりその下請、孫請の人たちも繁栄を受けるように、そういう点まで、私は目を配っていかなければならないのじゃないか、そのように考えるわけですけれども、そういう点で関係局長及び大臣のそれに対する考え方をひとつお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のごとく下請企業について、非常に条件等に考えなければならない問題があるようでございます。まあ日本の産業の二重構造というものは、一日も早く解消をして、そういう不合理がなくなることが望ましいのでありますが、現実には、下請あるいは孫請等も存在している現状を考えまして、一日も早くそれらの条件を適正化するような対策を講じてまいるという点で、一そうの努力を払うことといたしたいと考えております。
○塩出啓典君 局長さんはどこが担当ですか。そういうような担当はないのですか。
○政府委員(和田勝美君) 私のほうは、働いておる方の労働条件の向上問題が主たる所管になっておるのであります。ただいま大臣から申し上げましたとおりのことで、ぜひ格差是正という方向に向かって努力をさしていただきたい、かように考えております。
○塩出啓典君 来年度からこういう統計ももう少し詳細に、ばらつきとか、またそういう平均賃金等にしても、その人の賃金というものもいろいろあるんです。ボーナスを含む賃金、社宅の有無とか、残業して収入がふえた、そういうふうな点をやはりはっきり明示して、またある面からはそういった全国平均ではなくて、ある一つの企業の下請、孫請の実態がどうなっているか、そういう縦の方向の調査というものが、やはり全国的にできなくても、部分的にやっていかなければ、私はほんとうの国民のための労働行政はできないじゃないかと思うんですが、そういう点、来年度はこれを検討する用意があるかどうか、その点一つ。
○政府委員(和田勝美君) ちょうど来年度は賃金構造基本調査、大調査の年に当たりますので、先生のいまお話のところは、できるだけくみ入れるように努力をいたしたいと思っております。 〔副主査退席、主査着席〕
○萩原幽香子君 予算委員会で質問するつもりでおりましたが、時間の関係でできませんでしたので、きょうはその予算委員会の続きのような形で、妻の座の一環として働く婦人の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。 最近の物価高と労働力の不足などの理由で、働く婦人たちが非常に多くなってまいりました。そこで、最近五ヵ年の婦人の就業の動向と将来の見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
○説明員(藤井敏子君) 婦人労働者は最近五ヵ年間ふえ方がたいへん激しゅうございまして、昭和四十四年の女子雇用者の数が——一昨年の数が一千三十二万人でございました。その前、五年ですから昭和三十九年が八百八十万人でございました。ですから相当の増加率でこの五年間に婦人労働者はふえてきているということでございます。 それからもう一つ。最近の大きな変化といたしまして、中高年層婦人の雇用労働者となっていく率が非常に高くなってきている。従来は三十歳未満の婦人労働者の比率のほうが高うございましたけれども、最近は三十歳以上の婦人の比率のほうが高くなってきております。 それからもう一つ特色といたしましては、有配偶関係別に見ました場合に、既婚婦人、現在夫を持っている層の婦人のふえ方が一番激しゅうございますが、現在有夫者とそれから夫と死離別した婦人、両方でございまして、これが既婚の婦人でございますが、昨年の数字によりますと、五〇%をこえております。五年前はまだ未婚者層の方が多うございました。これはちょっと画期的なものじゃないかと思っております。既婚者の比率のほうが未婚者を上回ったのは昨年初めてでございます。 それから就業分野について大ざっぱに申し上げたいと思います。非常に各産業に広まり方がこの五年間にたいへんきわだってきております。特に金属機械分野への進出が著しくなってきております。その中で職業別に見ましても、いろいろ機械工的な分野、いわゆる従来女の方があんまりつかなかった現場労働者、技能工的な分野にたくさんの女の方が進出している。それから職業分野別でございますが、数は少のうございますけれども、いわゆる管理的職業につく婦人の増加率がたいへん高まってきている。もともと絶対数が少のうございますから、増加率は約二倍半ぐらいにふえておりますが、数そのものは低いのでございますが、高い地位に出てくる婦人もこの五年間にふえてきている、大ざっぱに申しますとそういうような数です。
○萩原幽香子君 それが今後どういうふうに婦人の労働というものが変わってまいりますでしょうか。将来の見通しについてお伺いいたします。
○説明員(藤井敏子君) 将来のことでございますので、はっきり自信があるというものではございません。過去からいままでにきました実績とそれからいろいろ統計数字に基づきますと、これから将来を推定いたしますと、たとえばこの間経済企画庁から出ました労働力研究委員会報告でございますか、あの結果によりましても、婦人労働力不足はますます進むので、将来は婦人労働力に対する期待がたいへん強まるだろう、とりわけ中高年齢婦人の労働力にわが国の産業の発展は期待しなければならなくなるだろうということが出ております。ですから、私どものほうでは、今後女の方はますます職業というものが女の方の生涯の生活の中にたいへん高い比率を占めるようになるのではないかと思っております。したがいまして、職業を得られますときに、もっと女の方は計画的に職業を選ぶようになるのではないかと思っております。そうしますと、従来一番女子が多く占めておりましたいわゆる単純労働とか、それから単なる生産工程従事者といったような分野だけじゃなくて、もっと専門的、技術的職業とか、それから同じような技能労働的な中でも何らか技術を持つような方向、そういったような方向についていく婦人がずっとふえてくるのじゃないかと思っております。同時に、三次産業も発展すると思いますので、中高年婦人の場合は三次産業の発展に伴って中高年に向くといわれる職種もふえてくると思いますので、そういった方向に進出してくるのじゃないかというふうに思っております。
○萩原幽香子君 中高年層がふえる、こういうことについての原因でございますね、この中高年層に期待もするし、実際またふえていく動向にある、こういうことについての理由はどのようにお考えでございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) これは社会的な要因と、それから婦人自身の側の要因と両方に分けて考えられると思います。社会的要因と申しますと、何と申しましても労働力不足、人手不足、特に若い労働力が足りないということ、それから一般の男の方はほとんど労働市場の中へ全部出尽くしていらっしゃる、そうしますと、今度労働力不足下でさらに新しく出てきて期待ができる分野といいますと、家庭の主婦からということになるのじゃないかと思います。どうしても将来中高年婦人の進出はますます盛んになってくるのではないかということが言えると思います。それからやはり社会的要因といたしまして、技術革新の進展ということが今後もっと進んでいくと思いますので、従来たいへんむずかしかったとか、あるいは力を要したといったような仕事が機械化されまして、女の方、中高年婦人の方でも、つこうと思えば、何の経験のない中高年婦人がつこうと思えば、分業化された、力もそう要らない、非常に単純化された分野もたいへんふえてくるのじゃないかと思います。そうしますと、そういう方たちもすぐにつこうと思えばつける分野もふえてくるので、そういう理由からも、中高年婦人で仕事につく方がふえるのではないかと思われます。 それから婦人側についていいますと、出生率の低下ということは、先生もよく御存じだと思いますが、そういうことから、子供を早く生みあげて、比較的昔に比べて子供にかかる時間というものが早くなくなり、余暇がふえてくるだろう。それから生活、衣食住すべてについて合理化される、あるいは電化されまして、昔のように主婦がつききりで衣食住のことを見なくても、社会化されたものもございますが、非常にそういうものにさかれる時間がなくなってきた。それから物価高ということもあると思います。夫の収入だけでは食べるには困らなくても、だれでも人間はよりよい生活をして、子供を将来学校に入れるための学資の積み立てとか、そういうようなことを考えますときに、働けるひまも比較的できたというのが、外に出て収入を得たいということの理由になると思います。 それから中高年婦人みずから最近平均学歴が高まっていますというようなことから、たいへん社会、職業といったものについての関心が高まっております。生活のいろいろ違いはありますが、経済的理由という大きな理由もございますが、とにかく意識の面からも職業というものを持って、少しでも自分の力を社会に寄与したい、そういったような婦人の意識の向上もたしかに中高年婦人が外にたくさん出る一つの理由になっていると思います。大体大ざっぱに言いましておもなことは以上のようなことであります。
○萩原幽香子君 ありがとうございました。 そこで、ただいまのところでは、中高年婦人の中で一番多いのはやはりパートタイマーじゃないかと、こう考えるのでございます。そこで、パートタイマーというものの性格と、ただいま持っております問題点、そういうものについて多少お伺いいたしたいと思います。
○説明員(藤井敏子君) ただいま中高年婦人の大部分はパートタイマーであろうという御指摘がございましたが、パートタイマーは年齢別にはっきりはわかりませんけれども、全女子雇用者の約六・七%がパートタイム雇用に従事いたしております。ですから、中高年婦人で家庭に責任を持った方はパートタイマーとなっている方は多うございますけれども、案外世間で言われるほど絶対数はまだ多くないわけでございます。中高年婦人の大部分はそうでございますけれども、たいへん先生は中高年婦人が全部に近いぐらいの印象を持っていらっしたように私とれましたものですから……。フルタイマーも中高年齢にもかなりふえているということをちょっと初めに申し上げておきたかったわけでございます。 それからパートタイム雇用の問題点でございますが、パートタイム雇用は、日本におきましては大体三十八年ごろから相当たくさんの企業が導入するようになりまして、まだ歴史が浅いものですから、労使ともにまだふなれな面が多分にあるということが言えると思います。それで、受け入れ側の問題点といいましょうか、そういうもののおもなものを、私ども考えておりますことを申し上げますと、一つには、パートタイマーあるいはパートタイム雇用というものの概念がまだ混乱を来たしているのではないだろうか。たとえば、働く時間は一般の婦人労働者と同じで、これを臨時雇いといったような形のものをパートタイマーとかパートタイム雇用と呼んでいる企業がまだかなりあるのではないかと、そういうようなことからパートタイム雇用の概念を整理しなければならないのではないか。それが一つの問題になろうかと思っております。 それからパートタイム雇用者は、中高年婦人で職業経験とか社会性にあまり厚くない中高年の方が多いものですから、比較的就職いたしますときに、のんきな考えでパートタイマー自身が就職する人が多いのではないかと思います。そういうことからでしょうが、入りますときに労働条件を使用者側もあまりはっきり明示しない場合があるし、婦人のほうもそういうことを確かめないで就職するというケースがまだあるのじゃないか。そういうことから、つとめ始めていろいろ知らなかったわというようなことでトラブルが起きる可能性、そういう例がよく見られますので、この労働条件の明示、入りますときの。これが一つの問題ではないかと思っております。 それから、パートタイマーは、普通のフルタイマーよりも労働時間が短いというだけのことで、労働者であるという点においては基本的に変わりはないわけでございますので、当然基本的には労働基準法等の適用を受けるわけでございますが、このことについてちょっと知識が、パートタイマーはもとより、世間一般でもあまり……。パートタイマーは特別じゃないかといったような考えを持っている面もあるのではないか、こういうことも一つの問題ではないかと思っております。 それから社会保険の加入でございますが、このことはやはり雇用者である以上、基本的には社会保険に加入するのがいいと私どもも思いますが、主婦であるということから夫が保険に加入していてその扶養者になっているというようなことから、いろいろ社会保険のことについて労使ともに取り扱いにとまどっている面があるのではないか、そういう点も、したがって社会保険に入っている者がまだそう多くないというようなこともやはり一つの問題ではないか。 大ざっぱにそういう点がまあおもな問題点だと思います。
○萩原幽香子君 私はこの間、兵庫の婦人のつどいというのに出かけたのでございますが、そのときに、私はパートタイマーなんだけれども、フルタイマーと同じように、先ほど課長さんがおっしゃいました時間が短いというお話がございましたですね。ところが、同じように終日勤務しているにもかかわらず、企業の中にやはり保険がございますね、そういうものには入れていただくこともできないし、ボーナスもない。こういったようなことで身分も不安定だというような訴えがあったわけでございます。ですから、そういったようなパートタイマーというものを保護するような規定というものがございますでしょうか。
○説明員(藤井敏子君) 先ほどちょっと申し上げましたように、労働者でありますので、労働基準法が適用になることになっております。ですから、労働基準法の中の保護規定がパートタイマーの全部に適用されるわけでございます。
○萩原幽香子君 その方のお話ですと、やはり自分たちは守られていないという感じが非常に強いというわけなんですね。結局、ほかの人たち、フルタイマーの人たちとは、自分たちは違った扱いを受けていると、そういう考え方なんですね。そこで、まあちょっと問題を変えますと、たとえば普通のフルタイマーの人たちでございますと、労働組合の中に入っているということも一つあると思うのです。そういうところで守られているということもあると思うのです。そこで、これは問題を少し変えますけれども、パートタイマーというような人たちが労働組合をつくるということができるのかどうかと、そういう点、ちょっとお伺いいたしたいと存じます。
○説明員(大塚達一君) お答えいたします。 パートタイマーでございましても、いま先生おっしゃいましたように、単に勤務時間が短い、あるいは勤務日数が少ないというような差があるだけで、一般には労働者である点において変わりはございませんので、労働組合に加入し、あるいは労働組合を結成するということはできることになると思います。
○萩原幽香子君 そういうことでございますと、これはおそらく彼女たちはそういうことを知らないものだから、自分たちはパートタイマーだからそういう仲間にも入れてもらえない。だから、いろいろなことが守られないのだ、非常に身分も不安定だ、こういうことを考えていると思うのですけれども、ただいまのお話で、パートタイマーもやはり組合の中に入ることができると、これはたいへんうれしいことだと思います。 そこで、パートタイマーで少しなれてまいりますと、準社員という形を与えられるんだそうでございますね。この準社員というのは普通のパートタイマーよりも少し給料はよろしい。ところがやっぱり日給月給制であるといったような矛盾もあると、こういうことでございますけれども、いわゆるこの準社員という性格はどのようなものでございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) ただいまの先生のお話は、ある一つの企業の例じゃないかと存じますわけでございます。で、これはパートタイマーの扱いにつきましては、別にどう扱わなければ……、先ほど申し上げました基準法の適用とか、そういうものは当然でございますけれども、法律以外の面でどういうふうな待遇を受けるかということにつきましては、企業ごとでそれぞれ違いますので、ある企業では、普通は初めはパートタイマーで入って、ある一定の期間がたつと本来的な社員に近づける意味で、準社員というふうな格上げみたいな形で遇しているというような企業もあるというふうに聞いております。ですから、準社員そのものの絶対的な定義は、はっきり私わかりませんが、必ずしもどこの会社にも通用する制度ではないので、たまたま先生のお聞きになった企業がそういう制度を導入していらっしゃるんではないかというふうに思います。
○萩原幽香子君 あるいはそうであるかもしれないと思います。それじゃお尋ねいたしますけれども、パートタイマーを雇用する事業所の作業別、規模別こういうことをお尋ねすればいいわけなんですけれども、時間がございませんから、そういうことで一時間についての最高と最低の賃金をお伺いいたしたいと存じます。
○説明員(藤井敏子君) 最高と最低の賃金と申しますと……。
○萩原幽香子君 一時間について。
○説明員(藤井敏子君) その調査が、最高幾ら、最低幾らというのはないんでございます。ですけれども、私どものほうで昭和四十二年に調査いたしましたのですと、だいぶ前でございますので、一時間の平均が八十円から百円ぐらいの相場が一番多かったと思います。幾らというふうに、はっきりそのときは取りませんで、賃金階層で取りましたので、大体八十円から百円くらいの層に属するものが比率が一番高かった。昭和四十二年の調査では高うございました。それから最近、これは労働者の、ちょっといま賃金の表をあれいたしましたので——見ます。すみません。
○萩原幽香子君 たいへん企業によって賃金の格差があるのでございますね。で、そういうことに対しまして、労働省としてはこれに対してどういう対策をお考えでございましょうか。たとえば、いまの課長さんのおっしゃいましたの四十二年ですから、それからかなりずれているんじゃないかという感じはいたします。それにいたしましても八時間労働で八百円という給料、一番最低でも八十円から百円ということですと、八時間働いて八百円ということになるわけでございますけれども、これはいまの物価高に対しましてお話にならない安さだということも言えるんじゃないかと思います。そういうこともございますし、企業によってこの賃金の格差、不公平ということは非常にあるんじゃないかと思うんです。そういうことに対しまして、労働省といたしましてはどういうふうにお考えでございましょうか。パートタイマーでも一時間は大体これくらいの賃金が望ましいといったような指導というようなものはできないものなんでございましょうか。その点、ちょっとお伺いいたしたいと存じます。
○説明員(藤井敏子君) さっきの賃金の、失礼いたしました。昭和四十四年のこれは製造業だけでございますけれども、それの全国平均の一時間当たり百二十四円でございます。先ほどのはだいぶ前のものでございますから、先生こちらのほうをおとりいただきたいと思います、一時間のパートタイマーの。
○萩原幽香子君 それは平均でございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) はい、平均でございます、百二十四円。
○萩原幽香子君 それで、いま平均をお示しいただいたんでございますけれども、企業によって違うということに対しての御指導はいかがでございましょうか。
○政府委員(和田勝美君) 賃金につきましては、国として直接やりますのは、最低賃金でもって下を切りまして、そこから下は一切払わせない、こういう制度がございます。それ以上につきましては実は幾ら幾らにすべきだという指導がなかなかむずかしゅうございますし、全国的に見ますと、東京が非常に高うございますが、南九州に行くと非常に低い。いろいろの賃金格差が、地方によりましてあるいは産業によりまして、あるいは企業によりまして非常に違います。そういう点から、私がどうこうとは言いにくいわけでございますが、現在はこういう賃金の状況になっている、こういうようなのがこういう産業では普通の姿だ、要するに相場と申しますか、賃金の相場とかそういうようなものを、一応そういう情報を提供したりなんかいたしまして、レベルを漸次そろえていくような努力、最近におきましては労働力が漸次不足の傾向になってきておりますので、昔と比べますと大企業と小企業の賃金格差がぐっと縮小してまいりまして、昔は一〇〇対五〇というような比率がございましたのが、いまはもう七割ぐらいまで上がってきている。そういういろいろの雇用情勢とか賃金の状態とか、そういう資料を提供しながら企業者の判断を促進する誘導的な行政指導と申しますか、そういうようなことで格差縮小ということをいま心がけてやっているところでございまして、労働省なり基準局に賃金相談室を設けましたり、あるいは府県の労政事務所にもいま言いましたような機能を営むための相談員を置きましたりいたしまして、無理のない姿で誘導政策をやっている、こういうことでございます。
○萩原幽香子君 きのう実は私厚生省のほうに、このごろ働くおかあさんたちが非常に多くて、子供たちが守られていないという状態がございますので、大体、いま保育所に入れなきゃならない子供というのは何ぼぐらいございますかと、こうお尋ねしましたら、大体五十万近い、こういうことでございますね。そうしまして、それじゃ一年にどれくらいずつ子供を入れてくださるおつもりかと、こうお伺いいたしましたところが、大体五万ぐらいだと、こういうお話でございます。そういうことになりますと、これは公立の保育所に入れようと思いましたらたいへんなことになるわけです。そこで無認可の保育所といったようなものがございましたり、あるいは社会福祉法人とか個人立の保育所もできてきている実態でございますけれども、その中でひとつ企業が保育所をつくりまして、そうして企業保育所といったような形で婦人労働を集めていこう、こういう考え方もあるようでございますね。 そこで、この女子就労のために保育所を持っている事業所というのは、一体全国でどれくらいございますでしょうか。
○説明員(藤井敏子君) 私どものほうで昨年調査いたしましたのによりますと、規模三十人以上の事業所のうちの一・六%が事業内託児施設を持っております。特にその中で製造業だけを拾ってみますと、三十人以上の製造業の事業所の一・八%が事業内託児施設を持っておるというふうに出ております。
○萩原幽香子君 そういう保育所というのは一体どういうような内容でございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) 内容は千差万別だと思います。私ども全部回って見ているわけじゃございませんけれども、企業によりましてはほんとにりっぱな、児童福祉法による基準をさらに上回るぐらいなりっぱな施設をし、保母さんの数もたくさん会社側から置いているところもございますし、あるいは中には畳の十畳間ぐらいにお守さんが一人か二人ついて、子供が遊ぶおもちゃや何かを少し置いて、その部屋を持っている建物を託児所と称しているような企業もございます。いろいろでございます。
○萩原幽香子君 そういう事業所内の保育所の問題につきましては、指導をしていただくことがたいへん困難かと思いますけれども、やはり保育所という形でその子供を保育するということでございますなら、やはり私は保育にかける、子供を預かるいわゆる保育基準というようなものをやはり労働省としても、そういう持っております事業所については、お示しをいただくということが必要ではないかと考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) 厚生省との関係もございますので、特別にこちらから何か文書を持って示すということはいたしておりませんが、私どものほうの全国の婦人少年室の職員が事業場等を回りまして、そういう託児施設のある事業場に参りましたときは必ずその施設を見せていただくようにいたしております。そしてたいへんあぶないなというようなものに気がつきましたときは、使用者のほうに、子供の安全がまず第一だから、いろいろ経費はたいへんでしょうけれども、一応安全ということの確保の上から、児童福祉法にある基準を大いに参考にして、あぶなくないようにしていくようになさるようにといったような指導といいますか、啓蒙といったようなものを、その場その場で、ケースごとにいたしております。
○萩原幽香子君 できますだけそういったような指導を、福祉法にのっとった保育所にしていただきますような御指導をお願いいたしたいと存じます。と申しますのは、こういうことでけが人を出した事業所がございましたり、そういうところへ子供を預けたために子供の性格的なものがまっすぐ育たなかったといったような例も私は一、二聞いておりますので、そういうことにつきましては労働省といたしましてもひとついろいろ監督をしていただき、御指導もいただきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。 続きまして、いま女の先生たちも非常に多くなり、あるいは保健婦さんも多くなり、看護婦さんも多くなった。そういったような優秀な人たち、働く職業婦人というものが多くなったわけでございますけれども、そういう人たちがお産にからんで、お産しなければならないためにやめます、こういったようなのもあるんじゃないかと思いますけれども、そういったようなものをひとつ職種別に、お産にからんでやめるという優秀な人たちの数、これをひとつお示しいただきたいと存じます。
○説明員(藤井敏子君) その資料は私どものほうで調査したことはございませんので、ちょっとただいまわかりかねます。
○萩原幽香子君 これは課長さんね、私はぜひ御調査をいただきたいと思うんです。と申しますのは、ただいま女教師の場合を例にとりますと、全国平均が大体小学校では六〇%近くになっているということでございますね。それが非常にお産ということにからんで、見てくれる人がない。保育所の数も先ほど申しましたようなことでございますし、また核家庭が多くなった関係もございますのでしょうか、そういう非常に優秀な先生方が、中堅になろうとしているような先生たちがやめていくといったようなケースが非常に多くなっております。これは女子教員の場合だけではございませんで、保健婦さんの場合にも言えます。そしてまた保育所の保母さんの場合にも言えます。また看護婦さんの場合にも言える、こういったような状態でございますので、これはそういうことにからんでやめられる人がどれくらいあるのかということを、それを基準にして私たちはまた次の段階にお願いをしたい問題が出てまいりますので、お尋ねをしたわけでございます。 それで課長さんにお願いしたいわけでございますし、きょうは労働大臣もお見えでございますから、そういったような、いわゆる働く婦人の熟練工でございますけれども、そういう人たちを守るという意味で、これは国家の見地に立ちましても大事な問題だと思います。そこで育児休暇を設ける必要があると思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○説明員(藤井敏子君) 育児休暇とか育児休職といわれておるものだと思っておりますが、この制度は、乳児を持つ婦人を出産後一定の期間休職扱いとして家庭において育児に専念させるといったようなものだと思います。これは最近電電公社とか、その他幾らかの企業で実施されているようでございまして、確かに有能な婦人の方を出産のあとだけ一時家庭にあっても、また元の職場に帰って引き続きその仕事について能力を生かすということができるという一つの方法であろうと私ども思っております。たいへんいい方法の一つだろうと思っておりますが、これをどこまでいろいろな企業にそのまま適用していくか等につきましては、ただいま私どものほうで検討を進めております。
○萩原幽香子君 この問題はほんとうに課長さん、全国のそういう未熟練労働者と申しますか、単純労働者ではなくて、もうりっぱに社会に貢献するという立場である婦人がどれくらいそういうことでやめていくか。いわゆる惜しい人たちですね。そういうことに対して、私は守っていただかなければならないという段階にきておると思うのです。そこで、いま電電公社とかおっしゃいましたけれども、そういうところでの実態、どういうような形でその育児休暇というものを与えておりますのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(藤井敏子君) こまかいことまでははっきり知らないこともございますけれども、ただいまはたしか三年間、子供を生みましたあと三年の間にまた職場に帰るときには、元の職場に——やめたときの待遇で復職といいますか、籍は置いてあるわけでございますから——戻ってくるというふうに聞いております。その三年の間も幾つかに区切ってありまして、半年ごとでしたかどうでしたか、ちょっとその辺こまかいことは覚えておりませんが、半年後で復帰できる、あとまた一年たってと、こういうふうに段階別にできることになっていて、最終三年というふうに聞いております。
○萩原幽香子君 これは各そういう企業のほうにも関係があることでございますが、いわゆる官公関係ですね。いわゆる学校の先生とかあるいは保健婦とか看護婦とか、そういったようなところでの育児休暇は一体どういうふうになっておりますか。またどういうふうにあるべきだとお考えでしょうか。これはちょっと労働大臣のほうにお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 正確なことは事務当局からお答えさせますが、有能な御婦人、特に看護婦であるとか、あるいは学校の教師であるとか、非常に重要な職務をやっておる方々が出産のために職場をやめると、これはまことに困るわけであります。出産の際には出産前後の休暇、これはやむを得ない、あとはやはりできるならば職場に復帰を願いたいのであります。そのために実は当然家庭と職場との間の両立という問題があります。したがってそういう段階におきましては、やはり育児の施設、そういうものが準備されて、その方々が子供さんを預けても職場に進んで出ていただくと、そのことがやはり今日の社会において当然必要だ。大事なかけがえのないそういう人たちのためには、そういった施設を用意して職場に復帰を願い、働いていただくということができるならば、最もこれが理想であろうと思います。そういう面で、どうもいままでのところ、伺っておりますと必ずしもどうも十分じゃないと、まことに残念に考えておりますが、そういった国家的な施設あるいは職場におきましてもそういう施設を設置をするというようなことに対しまして、本来ならば国がやれば一番いいのでありましょうが、全部国でやるというわけにもいかないという事情もありますれば、それは職場において託育所の経営を行なう、そういう場合におきましては、雇用促進事業団におきまして、その託児所の施設等については長期低利の資金を融資をするという道もあるようでございます。これも必ずしも十分ではないと思いますけれども、こういった婦人労働力を十分に活用する、特に有能な婦人の職場復帰の促進のためにそれらの施設を今後は積極的にひとつ行ないまして、そうして今後の日本経済の大きな発展に備えるということがますます必要であろうと存じまして、十分今後はその方面にも力を注いでみたいと考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 いや大臣、それはたいへんありがたいことなんでございますが、私が申しましたのは、そういう人たちに対しまして、いま育児休暇の問題を課長さんのほうに私がお尋ねしまして、課長さんのほうから三年間ぐらいは、半年区切りか一年区切りかどうかわからないけれども、やっている企業があると、こういうお話だったわけでございますね。そこで私は、女の先生とか、保健婦さんとか、看護婦さんとかいった人たちに、もちろんそういう子供を預ける施設は非常に大事でございますけれども、子供を産みましてから、たとえば一年ぐらいは子供のために親子の間で家庭の中でやられるような——たとえば子供が目があくのはどれぐらいの期間で親の顔がわかるか、大臣おわかりでございますか。大体子供というのは初めは目があかないんですけれども、その子供の目が親が見えるようになった、そのぽっかりと目が開いたときに、これはやっぱり私は一番先に見ていただきたいのは母親の顔でございますね。それを、そんなときからもうぽかりと預けてしまうというのではなくて、やっぱり一年ぐらいは母と子がその家の中でお乳を飲ましながらやっているということが——親子の断絶なんてこのごろいわれますけれども——私は一番大事なことじゃないだろうか。で、優秀な方ですから早く復帰してもらいたいんだけれども、せめて一年ぐらいは育児休暇というようなものを与えていただいて、そういうものを労働基準法の中に育児休暇として取り入れてくださるおつもりがあるのかないのかと、こういうことを大臣私はお尋ねをしているわけなんでございます。
○国務大臣(野原正勝君) たいへんこれはもう理想だと思いますが、なかなかそこまでいかないようでございます。まあ子供が生まれてから幾日ぐらいで親の顔を覚えたか、私もはっきりとは覚えていませんが、たしか四十日ぐらいで覚えたんじゃないかと思っていますが、とにかく昔のように母乳で自分で大事に育てるという慣習、それは最近だんだんなくなりまして、乳は出るけれども飲ませないというようなことで、どうも最近では人工栄養を飲ましている。子供の扱い方もだんだん粗末になりまして、最近は非常にその点は違ってきておる。もちろん私の家庭なんかでは全部母乳を飲ましたのでございますが、そういうような最近の傾向、これはいいか悪いかわかりませんが、これが近代化ということであれば反省の余地があると思います。やはりそれだけ世の中が忙しくなりまして、働く御婦人の方々の手を求めておるということがかくあらしめたと思います。 最近では家庭生活もだんだん機械化されまして、電気洗濯機があり、あるいは冷蔵庫を持っておる。電化製品等が十分行き渡っておるというので、ひまを持て余しておる。で、テレビにかじりついておるというのが、たいがいどこの家庭でも現状であろうと思います。したがって、そういうような面を考えますと、一方においては非常に労働力が不足してきたということからして、婦人の労働力に期待しておるという問題がだんだん強くなってまいりました。おそらく今後は非常に多くの家庭婦人までが、やはり育児に専念というわけにはいかない。これはある程度の期間を置いて、あとは託児所に預けて職場に行くという傾向になってまいると思うのであります。したがってそういうことのためには、やはりこの託児所の施設というものは、当然これは必要でありますから、こういうものの設置は大いに力を入れてやるということであると思いますし、また、家庭と職場との調和という問題につきましても、当然これはフルタイムで働くということは不可能としても、せめてパートタイムならば行けるという家庭の婦人も非常に多いと思います。そういう面で現在のところでは、まだパートタイマー六十四万といわれておりますが、これは将来だんだんふえていって、おそらく百万をこす、百五十万にもなるということに傾向としてはなると思う。そういった面で、非常に家庭婦人の職場進出、職場復帰はますます進んでくると考えます。特にいま非常に問題なのは、やはり大事な技能を持った、特殊技能を持った御婦人が家庭に縛られておるということでは、どうももったいない話であります。特に看護婦の方などは、もうほんとうに貴重でありますから、そういう方は全部特別な場合を除けば、やはり社会に御協力をいただくという意味で、十分そういう面は待遇の問題も考えながら、社会に働いていただくということができるようにひとついたしたいものだと思っておりますし、あるいは学校の教師の方々も同様であります。そういった面で、そういった方々のための施設というものが問題となってまいりますが、そういう問題がやはりだんだん整備されてくるということが、当然必要でありますが、おそらく日本の現状の状態から見まして、そういう方向に強力に進んでくると思うのであります。それを強力に促進したいというのが私どもの立場だというふうに考えます。これから大いにがんばります。やりますから……。
○萩原幽香子君 まことにありがとうございました。その施設の方向に、たいへんファイトを燃やしていただきましたこと、また、婦人の労働力をたいへん高く評価していただきました。まことにありがたい次第でございますが私どもが一番お願いしたいと思いますのは、お産をした一年ぐらいは優秀な方であればあるだけに、またひとつゆっくり子供とともにという時間を置いていただきたいと、だから育児休暇の制度というものを、労基法の中に実はつくっていただきたい。それが私の最後のお願いでございますので、まあ前向きに検討をしますとそちらから言いなさいと——そういうことをはっきり言うのじゃなしに、それは検討中だ、こういうふうにサゼスチョンがあったようでもございますけれども、これはそういう点も実はお願いをいたしまして、優秀な人が、優秀な子供を育てながら、やっぱり社会のために貢献していくというためには、育児休暇というものが非常に大事だ、これは大臣ひとつどうぞ銘記をしておいていただきまして、やがて私たちがこういうことを具体的にお願いをいたしたいと思いますので、その点はどうぞこの間萩原が言ったことだと、こういうふうにお考えいただいて、前向きの御返答をお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 萩原先生の御高見肝に銘じて今後検討することにいたします。 —————————————
○主査(塩出啓典君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、鶴園哲夫君が本分科の担当委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。 —————————————
○主査(塩出啓典君) 以上をもちまして労働省所管に関する質疑を終了したものと認めます。 午後二時二十分まで休憩をいたします。 午後一時三十分休憩 —————・————— 午後二時二十八分開会
○主査(塩出啓典君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、田中寿美子君が本分科の担当委員を辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。 —————————————
○主査(塩出啓典君) 昭和四十五年度総予算中科学技術庁所管を議題といたします。 政府の説明はこれを省略して、お手元に配布の説明書を本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○鈴木強君 最初にお尋ねいたしたいのは、資源調査会の勧告ないしは報告が、実際にどういうふうに行政の面に生かされておるかということについて伺います。資源調査会は昭和二十二年に発足をしたものでございますが、わが国の乏しい資源の高度利用と保全を行政経済面に反映させるために設置されたものでございます。ここには約七百人の専門の方々がいらっしゃいまして、それぞれの立場から研究をされ、討論を重ねて、重要な勧告や報告をなされておると思います。で、最初に、二十二年発足以来今日まで勧告と報告は幾つなされておりますでしょうか、これを教えていただきたいのです。
○政府委員(鈴木春夫君) 資源調査会は、科学技術庁設立のときに入ってまいったのでございますが、その以前からあったものでございまして、これの源は、二十二年に資源委員会として設立されたものでございます。それ以来この活動を続けているわけでございますが、当庁にまいりましてから以降のものを申し上げますと、勧告が二十三件、報告が五十三件でございます。
○鈴木強君 科学技術庁に移管される前から、要するに二十二年発足以来は幾つになっておりますか。
○政府委員(鈴木春夫君) 資源調査会の前身の設立以来からで申し上げますと、勧告が三十九、報告が五十七件でございます。
○鈴木強君 実はこの資源調査会の勧告とか報告とかというものは、内容を見ますと、非常に大事な点があるのでございまして、実際にこういう勧告なり報告というものが、行政の面にどう反映しているかということが問題になるのですが、長官として、この報告の中でどの程度が実際に生かされているかということの御判断はどういうふうにお持ちでしょうか。
○国務大臣(西田信一君) 鈴木先生御指摘のとおり、きわめて重要な調査をいたしておりまして、その勧告なり報告なりが十分に行政の面に生かされ、また民間においてもこれを有効に活用するということは、非常に大事でございますが、私も就任以来このことについて関心を持ちまして、いろいろ検討をいたしてみましたが、これは見方によりまして非常によく活用されているとも思いますし、あるいはまた不十分な面があるとも言えると思います。たとえば、ある問題について勧告なり報告がございますと、それを受けて行政の面あるいは民間で活用されておるといたしましても、それが部分的であるというようなものもございまして、全面的にこれが活用されておらないという面もございますから、そういうことで考えてまいりますと、七、八割程度何がしかは、とにかくこれが活用されているが、しかしこれが十分に活用されておらないということを考えます場合において、正確には申し上げられませんけれども、少なくとも過半のものは大体勧告なり、報告なりが生かされておる、かように見ておるのでございます。
○鈴木強君 七、八割が生かされているというお話ですけれども、私はそうは思わないのですね。これは後ほどまた少し触れさしていただきますが、たとえば今回の大阪のガス爆発事件等につきましても、われわれも実は政治家として少し不勉強のところがあると思います。だから、政府だけを責めるということでなくて、お互いに反省をするという立場で、私はきょうはものを言っているつもりです。したがって、こういう大事な性格というものがあるわけですから、これをひとつ宝にして、その宝の持ちぐされのないように生かしていくということをお互いに考えたいと思います。 昭和四十年五月に「工業都市建設におけるパイプライン網の整備に関する勧告」というのが、勧告第十六号で出ておりますが、この中にはたいへん重要な点が述べられておりまして、たとえば「パイプラインの計画的な発展、保安体制の整備をはかるため各種パイプラインの布設に関する記録を正確かつ総括的に整備すること。とくに、「パイプ布設状況総括図」を作成、整備すること。」とありますね。それからもう一つは、この「パイプラインの保安体制を確立するため、関係法令の改正、必要な条例の制定を行なうとともに、これらの運用に資する技術基準体系の確立をはかること。このため、各種パイプライン技術の体系的な調査研究を強力に推進する必要がある。」というのを見まして、これは共同溝の問題いろいろあるでしょう。しかし、そのこと自体、共同溝そのものについても国の方針はある程度きまりましても、実際にそれが年度計画で予算をつけ、キロ数まできめてありましても、それが実際には実行できないというのが実情でありまして、ですからそれは共同溝は共同溝としてのいい点と、また危険の点が技術的に科学的に検討されてくると思いますけれども、それはそれとしてもっと研究するとして、あわせてこういうパイプライン計画というものをやっておりましたならば、そしてそのパイプラインの保全を万全にしておりましたならば、私は大阪のガス爆発事件というものは未然に防げたと思うんですね。そう思うときに実に残念でたまらないわけです。ですから、ほかにも非常に重要な、食品衛星に関する問題だとか流通の問題だとか、いろんなものがございます。こういうものを積極的に推進していく役目というのは、基本的には各官庁にあると思いますが、それをやっております科学技術庁としても、もっと積極的にこれを各官庁にアピールし、もしうまくいかないようでしたら、これはどうしたというぐらいのことはおやりになったらどうかと思うんです。この調査会自体が行政組織法の八条に基づく調査会のようですから、いうならば科学技術庁の付属機関のような性格ですから、三条の公取委員会のような独立した権限を持っておらないからやりにくいと思いますけれども、私はむしろ三条委員会くらい権威づけて、そうしてこの勧告なり報告というのは各官庁が実施しなければならぬという義務づけをするくらいのやはりものにしなければいけないと思うんですよ。そういう点やはり科学技術庁として積極性に欠けておるんじゃないかと思うんですよ。八〇%実際にやられているということになりますと、それはかなり成果があったと見なければなりませんが、これは抽象論ではいけませんので、先ほどお話しのあった勧告三十九件、報告五十七件のうちで実際に幾つの勧告が生かされ、幾つの報告が生かされているかということを、後ほど資料としてぜひほしいと思うんです。これはまた私は締めくくりの総括質問でも総理にこのことをぜひ提言をして、もっと調査会自体の活動が万全を期せるような予算措置なり、あるいは陣容を整備してもらうと同時に、この調査会というものをもっと権威づけてこれを実際にやる。これは政府のやる部門と民間の企業の方々に協力をしていただかなければならぬものとあると思いますがね。そのくらい実はいま考えているんですよ。長官は私のこの意見に対してどうお考えでしょうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) ただいまの御指摘でありますが、私は先ほど、非常に広く見れば七、八割ぐらい、それは部分的にこれを活用されているものを加えれば、こう申したのです。実際はいいところ半分ぐらいしか活用されておらぬだろうというふうに思うのでありますけれども、たとえば、いまのパイプラインの四十年に出ました勧告に対しましても、実は調べてみますと、川崎とか四日市では、いま御指摘のようにちゃんと図面をつくりまして指定どおりのことをやっておる。そういうようにきわめて局部的にも取り上げているものを入れるとそういうふうになるだろう、こう申したのでございますが、しかしながら、都市ガスなどはもう大部分の都市でやっているんでありまして、それが一、二の都市しかそれを実際にこれを活用しておらないということになりますと、もうずっと、何といいますか、活用率というものは低下するわけでございます。そういう意味におきましては、御指摘のとおりでございます。そこで、実はこの貴重な勧告なり報告なりを受けますと、実は長官名で各省の大臣に対しましてそれぞれ要望という形になっておりますけれども、勧告という形はとっておりませんが、ぜひこれはひとつ活用してもらいたい、こういうことをそれぞれ通達をいたしまして、それからまた実際の調査にあたっては、各省からもそれぞれ参加をしてもらっております。そこで、さらにその通達をいたしました後において各省から集まってもらって、さらに具体的な打ち合わせ検討会などというようなものもやっております。そしてこれが十分に活用されるようにというようなことで、またそのほか民間、あるいは必要があれば関係方面にもいろんな貴重な報告資料を配布するというようなことをやりまして、その趣旨の徹底をはかる。それからまたせっかく研究いたしましても、これがほんとうに役立つかどうかという、これを実証してみる必要があるという場合には、公益団体に頼みまして実証調査ということを委託費を出しましてやっておるわけです。そして、これがほんとうにこの研究のとおり、これが効果があるかどうかというような実証もやっているわけでございます。そこで、いま御指摘のとおり、これが生かされたものもございますけれども、眠っているものもあるということは、御指摘のとおりでございまして、いまなお相当の価値を持ちながら必ずしも十分実現されていないものも相当ございます。これはたいへん遺憾なことでございます。そこで、私どものほうも少し手ぬるかったんじゃないかという御指摘がありますが、私は率直にこれを各省に通達いたしまして、それがどういうふうに活用されたかということの報告を徴するというところまで、実は手続をいたしておりませんようです、過去において。そこで、科学技術庁の立場におきましてその結果を追跡して、そしてその成果というものをまとめたものもございます。これはこのまま活用するという、科学技術庁自体がそういうことをやっておりますけれども、成果の追跡をやっておりますが、しかしそれは必ずしも十分とは言えないと思うんです。そこで、これから私はさらにこういうような調査会の貴重な結果が出てまいりますものですから、できればそういうふうにしていきたい。その調査あるいは勧告なり報告なりを大臣に要望いたします際に、できればその活用の結果を報告をしていただくというようなこともいたしたいと、こう考えておりますし、それからこれから先の研究ばかりでなくて、現在までの実際に価値のあるものがあるんでありますから、そこでたくさんの勧告、報告が十分活用されておらないという現状にかんがみまして、各省においてひとつもう一ぺん見直しをしていただくということをしたいというふうに思っておりまして、近くできれば——できればでなく、ぜひそういうふうに実は内部でも指示をしておるんでありますが、各省にもう一ぺん見直してもらって、そして価値のあるものはひとつこれを取り上げてもらうという措置をとりたい、かように考えておるのでございます。
○鈴木強君 いまのところちょっとわかりました。ひとつ積極的にその勧告を生かすためにやろうという長官の御決意のようですから、われわれもまたできることは相協力をして、何とか宝を生かしたいと、こう思います。一段のひとつ御検討をお願いしておきます。 それから次に科学技術財団の東京十二チャンネルの問題で若干伺っておきたいと思います。御承知のように、東京十二チャンネルは昭和三十九年四月、わが国で初めて科学教育専門局としてスタートをしたのでございます。このチャンネルは、米軍が使用しておりましたものが日本に返ってまいりまして、残された唯一のVHFの周波数であり、チャンネルであったことも御承知のとおりと思います。すでにこの十二チャンネルが発足をして満六年を経過しておると思うのでございます。この十二チャンネルは免許がおりて開局をされる当初から問題がございました。その一つは、免許を与えられなかった共願の他社から異議の申し出が出てまいりまして、これが行政訴訟として最高裁までまいりました。結局ここでは郵政省が負けました、敗訴した、そういうのが一つございます。それから私は、きょうはその敗訴したあとをどういう始末がなされておるのか、これは郵政当局からひとつ伺いたい。 それから、一方経営の面では、当初から財界関係の協力会費というもので運営していこうということでしたが、これは月一千万円くらいの寄付金を集めてそれで運営しようというような方針だったんですが、なかなかうまくいかないので、だんだんだんだんとしりつぼみになって、昭和四十一年でしたかね、二年目を迎えたときに、赤字の累積が借り入れ金とかその他利息を含めて約四十五億円にのぼるという赤字経営になってしまった。当時郵政省は、これに対して免許をいたしましたときの条件として、日本で初めて科学教育放送というものがスタートしたわけですから、それには放送する番組についても一つの基準を与えておったはずです。その基準が守られないということでありまして、経営全体に対する勧告を出しておるようでございます。そういう中で、昭和四十一年の三月十五日に日本科学技術財団は一つの再建案をきめました。その内容は職員二百名を募って希望退職をさせる。それから、当時十二時間半放送しておりましたこの放送時間を、五時間半に短縮する。それから昭和四十一年の四月四日から番組で、要するにコマーシャルみたいなものですね、を流して得た収入、そういうものはやめる。そして財界から再建資金として大体送られてくるだろうと予想される月間一億円のワクで健全運営をやるという、こういうような方針をおきめになりましたね。もちろんこういう再建案が出まして、十二チャンネルの労働組合側は反対をし、かなり長期にわたって争議行為が行なわれました。私も何回か現場にも行ったことがございますが、せっかく日本で科学技術専門局としてスタートした意義あるこの十二チャンネルが、こういう状態になったことに対しては、これは私たちも非常に残念に思いましたし、また何とかしてこれを再建したいということをみんな思っておっただろうと思うんです。しかしそのやり方が、いま申し上げたような財団側のやり方ですから、かなり反発を受け、十二時間半が五時間半になるという、貴重な電波をどうしてそれだけ放送を短縮しなけりゃならぬのかという、そういういろんな不満がございまして、かなりごたごたいたしました。それでこのときに、希望退職というものがなかなかうまくいかないということから指名解雇が行なわれましてね。特に労働組合の関係の諸君が首切りを受けたというようなことで、争議がどろ沼の形になりまして、その後、身分保全の仮処分等を起こし、さらに本訴になり、長いこと法廷で争われたと思うんですが、たしかこれは経営側が敗訴して、労働組合の言い分が通ったように思うんです。それはいろいろと過程のことですから、そういうことがありまして今日に至っておるのでありますが、私は最近この経営主体が日本経済新聞のほうに移ったということを聞いております。したがって、当初からこの問題にタッチしてまいりました私といたしましては、その後、一体日経新聞社に経営を移行するということはどういう理由からだっただろうか。そうしていままであった五十数億の負債というものは、一体今日どういうふうになっているのだろうか。組合側が勝訴をして解雇を、首切りをされた諸君が復職をされたということは聞いております。しかし、そういう処分も一体いまはどうしておられるのだろうかと、いろいろ頭の中に浮かんでくるわけです。ですから、きょうはおもにこの日経新聞社に移行をした理由、それから従来のこの負債というものは日経新聞が全部かぶって、それをしょい込んでいくようになっているのか、どうなのか。あるいはその間利息まで払えなくて、利息も赤字に加算されていくというような、そういう最悪の状態をこれはたどってきたのですから、その点は一体どうなっているんだろうか。 それから、私も最近時間があるときにはできるだけ注意して十二チャンネルを見ておりますが、はたしてこれが科学技術教育専門局としての番組であるだろうかということに対して疑問を持つこともあります。それからこれは郵政省のほうも免許をした立場にあるわけですから、絶えずこの番組については御関心を持っておられると思います。私は個々の番組に対してどうとかこうとかという介入をしようという意図は毛頭ありません。ただ、免許をいたしましたその基準に適合する科学技術教育専門局としての条件を満たしておるかどうかという、そういう観点に立って番組というものをひとつ郵政省は郵政省なりに、大臣は大臣なりに判断をされていると思いますが、そういう点を若干伺いたい、こう思ったのです。
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。 初めの十二チャンネルのいわゆる最高裁までいきまして敗訴したというその後の経過でございますが、郵政省が敗訴した結果、昭和四十四年の三月三十日に中央教育放送から昭和三十九年十一月十三日付の科学技術振興財団に対して行なったいわゆる第十二チャンネルによるテレビジョン放送局開局の仮免許処分並びに同日付の中央教育放送に対して行ないました措置処分の取り消しを求める異議の申し立てというものが行なわれまして、電波監理審議会で聴聞中でありましたが、昭和四十四年十月の二十七日異議申し立ての取り下げということが行なわれまして、本件は落着したということになったわけでございます。したがいまして、裁判の問題はいまのところございません。 それからいわゆるこの経営者の交代した理由ということでございますが、これはいま先生が質問されましたように、この財団テレビといったものは、発足当時からいろいろ問題があったわけでございますが、その財政的な基礎というものを、財界からの寄付金といったものに依存していたということのために、その後財界のいろいろな事情によりまして予定したほどの協力が得られなかったということで、多額の負債というものをかかえるようになったわけでございますが、このためにいわゆるこの財団の財政再建といったものをはかるために日本経済新聞、それから日本生命といったところが運営に参加したと、そういうふうに聞いておるわけでございます。現在のところその後経営の状態はわりあいに良好な方面に向かっておりまして、財政状態としましては昨年十一月からの収支のバランスといったものが大体とれてまいりまして、引き続き収支が好転しているということでございまして、私どもとしましてはまあ再建の緒についたのじゃないか、そういうふうに見ているわけでございます。 それから番組の面でございますが、まあこれは御存じのように、いわゆる郵政省といたしまして科学技術教育番組六〇%以上その他の教育番組及び教養番組の合計が二〇%以上、そういう条件をつけたわけでございまして、この条件の履行を確認するために、各四半期ごとに報告を徴しておるわけでございます。報告によりますと、条件は履行されているということになっておりますけれども、まあ実際にはなかなか内部的には問題があるわけでございますので、私どもとしましては今後とも科学技術教育といったものを主体とする教育専門局として十分納得できる放送が行なわれるように指導していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(西田信一君) 鈴木先生にもたいへんなお骨折りをちょうだいいたしましたわけでございますが、御指摘のように、四十三年の末には過去の累積赤字が、いろいろな寄付金等の措置が講じられたにもかかわらず二十三億ぐらいになっておりまして、四十四年上半期までは赤字がまだ増加する傾向でございましたが、ただいまお話のございましたように、財界の協力、あっせん等もございまして、日本経済新聞社が経営に参加する、こういうふうになりましてからいろいろ財界の協力も得られ、また経営改善の努力も払われました結果、いま郵政省からお話もございましたとおり、四十四年度の全期を通しまして大体収支が均衡をするというような見通しを得るまでにこぎつけてまいったわけでございます。この十二チャンネル発足の経緯から見ましても、十分その科学技術振興という立場からの目的を達成し得るような番組編成その他が望ましいわけでございます。またわれわれの立場からいたしましても、このような放送を通して科学技術の振興に効果を期待しておるわけでございます。この番組の編成等につきましても、ただいま郵政省からもお話がございましたが、かなり努力を払っておるようでございまして、ことしの四月以降の番組改編期を契機としまして、さらに一そう努力をいたしておるように承知をいたしておるわけでございます。 また先ほどお尋ねの日本経済新聞社が参加した事情等については、特別の事情はなくて、むしろ財界その他のごあっせん等もあり、日本経済新聞社の現状打破について協力しようという意図から参加されたように伺っておりますし、また、負債を肩がわりするのかというお尋ねでございますが、これは肩がわりはいたしておらないようでございますが、銀行負債等につきましては、三年間程度のたな上げをする、あるいは金利の引き下げをはかってもらうというような措置は講じたようでございます。最近では経営面にもようやく立ち直りの方向にあるようでございますので、今後とも科学技術振興を目的としてつくられました十二チャンネルが、十分その趣旨に沿うように経営の面あるいは運営の面についても、私どもの立場におきましてもあとう限りの指導をしてまいりたい、こういう心持ちでございます。
○政府委員(佐々木学君) 解雇者の問題につきましては、先生御承知のように二月に一たん解決いたしたわけでございます。これは当時昭和四十一年ごろ五百六名おりました従業員の中で大体月間一億円程度で制作をあげようといたしますと、人件費としてさき得る余裕金が大体二千二百万円くらいということで、約百八十名の人員整理を計画したわけでございます。ただ、自発的な退職あるいは就職あっせん等で片づいた方もだいぶおりまして、最終的には二十一名の指名解雇が四十一年三月に行なわれたのでございます。解雇された人たちが四十一年五月からその地位保全の仮処分の命令等の申請等を行ないまして、途中で訴訟を取り下げた方がございます。現在十七名でございますけれども、その後長い間争いが続いておったのでございますが、終局的には四十五年三月五日に地方裁判所で和議が成立いたしました。と同時に、組合と財団側で協定書が結ばれまして、この十七名全員の復職がきまったわけでございます。そうして復職に伴いますところの新しい給与の金額、そういったようなものも全部組合と財団側との協定できまりまして、二月一日から復職しておる。もちろん人によりまして三月一日からの人とかいろいろございますけれども、大体において二月一日復職ということで一応労働問題は片づいておるものと考えております。
○鈴木強君 郵政省にもう少し伺いたいんですが、何かお話を聞いておりますと、敗訴はしたのだ。そうしてそれについて電波審議会の聴聞を何回かおやりになった。その過程で異議申し立てを取り下げたので問題は解決した、ということをきわめてあっさり言われておりますが、私はそんな簡単なことではないと思います。少なくとも皆さんが免許をしたこの十二チャンネルが今日のような経緯をたどっておることは、これはもう申し上げるまでもなく、同時にその免許をめぐって当時いろいろと問題が起きて、行政訴訟の異議申し立てが出てきたわけですから、ですから当時の郵政省の免許のしかた、それから十二チャンネルの経営のあり方、こういうものをずっと見たときに、大いに反省してもらわなくちゃ私はいかぬと思う。取り下げたからもうそれで事が済んだのだという、そういう考え方ではないと思いますけれども、もう少し深刻に反省をしてもらいたいと思います。率直に言ってその後の電波行政というものは、私はもう言いたくないくらい言っておる、日本に電波行政ありやというくらい私は問題があると思う。最近の東京FMの免許のしかたにしても、私はあえてこれは公の場所で取り上げて異議を申したこともあります。十二チャンネルの免許のしかたについてもしかり、もっと先にやらなければならないところをあと回わしにして、そうしてあとでもいいところの免許を先にやるというそういう政治的な行政が電波の中ではやられておる。電波法や、放送法改正一つも今日までできない。そういう中で、私はこの問題をただ結果だけを論じてもらっては困る。もう少し当時のことを想起して、正すべきところは正し、少なくとも自分のやったことに対して異議が出て、しかもそれが裁判で負けたということは、これは郵政当局の恥だ。そういう点をもう少し私は真実を吐露してもらいたい。これは大臣にお伺いすることですが……。
○政府委員(藤木栄君) いま申し上げましたのは経過だけを実は申し上げたのでございまして、もちろん郵政省といたしましては、先生がおっしゃいましたようなことは十分反省をし、今後の行政に反映していきたいと、そういうふうに考えております。
○鈴木強君 ぜひ、これはほんとうに私は電波行政というものを憂う。あの放送行政に関する答申の中にもありますような放送行政委員会というものをつくって、そしてそこで公正な免許を与えるというような方法にしない限りは、政治というものがいつも裏に介入して、まあ藤木さんは監理局長ですから、行政官ですから、もっとあなたの上をいくところの力があるわけですから、これは私は大臣に言うべきことだと思うのですけれども、歴代の電波監理局長はいかに苦境に立っておるかということを、私たちはよく知っておる。カラーテレビのときもそうです。あの切りかえのときも裏の取引というものはひどいものです。だからしてぜひ謙虚に反省をしていただくように、これはまたあとで大臣に申し上げますけれども、あなたからも伝えてほしいと思います。 それから西田長官にもう少し伺いたいのですけれども、日経は経営参加という方法をとられた。これは科学技術財団の定款があると思います。これは総理大臣と郵政大臣が共管することになっていると思います。したがって、民法上の立ち入り権を持っておる。調査権を持っておる。そこで日本科学技術財団、東京十二チャンネル、これが経営の主体になっておるのですね。そこへ経営参加をするということは、定款上は問題がないのでございましょうか。 それからもう一つは日経と日本生命ですね、これが経営参加をしておるようですけれども、まあ日経さんにしても日本生命さんにしても、考え方によっては迷惑なことじゃないかと思うのですね。御相談を受けられて、赤字をしょい込んで、もう少しバランスのとれた健全経営がやられておる事業であれば、これはだれでもほしいと思うでしょう。しかし、まだ赤字が四十三年度末で二十数億くらいあるということですから、それをひとつ資料を、赤字の内容をあとで、借り入れ金でしょう、その累積赤字の二十三億円があるということですから、資料として出してもらいたい。そういう中で経営参加をする。経営参加という名だけであって、問題は金を幾ら寄付するかということだと思うのです。日経さんと日本生命さんはどれくらいの金を出すのですか、寄付金で出すのかどうか知りませんが。だから経営参加ということと、その金の点は私はちょっと理解できない点があるんですが、ちょっと説明してもらいたい。
○政府委員(佐々木学君) 御指摘のとおり、このテレビ事業の経営主体は従来どおり財団法人科学技術振興財団そのものでございます。ただ、その中におきますテレビの事業本部長、あるいは副本部長、そのほか制作局長であるとか、業務局長であるとか、テレビ関係の首脳部につきまして、日本経済だけではございませんけれども、日経系統の方がお入りになって、そして実際上その経営の衝に直接当たられる、そういうことでございます。 それと、もう一点は、別会社に東京十二チャンネル・プロダクションという会社がございます。ここに日本経済及び日本生命、日生会館が集まりまして、従来の資本金十億を二十億に増資いたしまして、その十億分だけこの日経系統で資本をお持ちになった。そしてこの十二チャンネルの番組の制作一切を引き受けまして、そして十二チャンネルはそこでつくりました番組を放映する、こういうことでございますので、まあ経営参加の実態というのは、十二チャンネルそのものといたしましては、実際の経営の人事交代、それと別の普通の営利会社であります十二チャンネル・プロダクションにつきまして資本金を十億円持っていただいたと、こういうことでございます。
○鈴木強君 大体わかりました。だから、まあその経営参加というんだけれど、そうじゃないんだ。日経系統から役員を起用すると、そういうことですね。そのかわりプロダクションのほうに十億出していただく。それはプロダクションのほうで十二チャンネルの経営のほうにあれですけれど、月幾らというふうに日経は今後経営参加をするという——まあ経営参加じゃないな、これは経営参加じゃないけれど、そう言われるようなそういうところからは特別の負担をしてもらうようになっておるんですか。
○政府委員(佐々木学君) 日経からはそのようなことはございません。ただ日本経済がこういうふうに経営の衝に当たられるということになりましたことを機会といたしまして、財界、金融界で応援をしていただくということで、毎月三千万円ずつ財界の十社が必ずスポンサーになるという確約を得ております。それと、先ほど大臣から申し上げましたように、長期借り入れ資金の金利を大体従来八・二%ぐらいの金利であったのを五・五%ぐらい、それから短期借り入れ資金が大体六・五%程度のものを五・五%程度に金利の値下げをしていただく。それと、借り入れ資金につきましては向こう三年間たな上げをする、こういうふうに財界及び金融界の協力を得ておるわけでございます。
○鈴木強君 財政協力を願う十社というのは、あとで資料で出していただけますか。
○政府委員(佐々木学君) 八幡、富士——現在もう新日本製鉄になりましたので九社になりますけれども、新日本製鉄、それから日本鋼管、日産自動車、それから東洋レーヨン、丸紅飯田、三菱商事、三菱重工、三井物産、日立製作所の九社でございます。
○鈴木強君 その十社でどのくらい出してもらえますか。
○政府委員(佐々木学君) 月三千万でございます。三千万円は必ずスポンサーになると、こういうことでございます。
○鈴木強君 この十社でですね。
○政府委員(佐々木学君) 九社でございます。
○鈴木強君 九社でですね。わかりました。 それで、今後の経営の見通しですけれども、これについて私の意見を申し上げたいし、それから長官の考え方も伺いたいんですけれど、私は日本にこういう科学技術専門の教育機関ができるということについては、賛成の立場をとったんです。それで、むしろこれは純民間経営でやるか、あるいは特殊財団のような形でやるか、いろいろ論議があったんですけれど、まあこういう新しいものですからして、しかも非常にむずかしいというので、スポンサーをつけるといっても、あれは教育番組の放送途中はCMは流しちゃいかぬとか、そういうふうなむずかしいこともあるわけです。ですからして、はたして民間経営でいけるかどうかということも、多少の疑問もあります。したがって科学技術財団がやったほうがいいんじゃないかというような意見が、大体大勢を占めましてやったわけですよ。一番問題になったのは協力費といって、運営費を財界が月何口ということでもって出してもらう、はたしてこれが出てくるかどうか。やっぱり欲と二人連れでCMを流して、もうかる番組だったら金は幾らでも出しますよ。しかし、およそ自分の会社の名前も出ないで、月何千万とか、何百万という金を出すことについては、ちょっと私らもちゅうちょしたですね、疑問を持った。しかしそれをひとつやってもらうのが教育放送を育てる一番基本だからというので、よろしいというのでスタートしたわけです。ところが、やっぱりわれわれが心配したような、途中でだんだんとそういう形になってしまった。いまコマーシャルを入れてやれば、けっこういまお話しのようにスポンサーがつくし、経営はよくなる。ですからどうしても純教育専門局としての番組というのがくずれてしまうわけですよ。そんな固いような番組にスポンサーになっても、なかなか採算とれないだろうけれども、しかし会社からすれば、自分の会社の名前が出て利益になれば、これはスポンサーがつくでしょうね。そこにやはりむずかしさがあると思うのです。いま教育放送なんていういうことも盛んに文部省あたりでやっている。チャンネルをちゃんととってある。しかし社会教育審議会が、その経営主体を一体どうするかということについては、とうとう答申できなかった。一体これはだれがやるかということはたいへんこれは問題なんです。いまの大学当局に力があるかというと、私はないと思う。それじゃ教育委員会なんていうことになりますと、これもまたいまのような官選の教育委員会で、私どもの立場からは非常に危険がある。国がやれば国営の全くワンサイドのものになる。これはぼくらは賛成できない。そこでNHKはどうだろうかとか、もう少し違った特殊法人的なものをつくってやらしたらどうかと、いずれにしてもそういう方針と、その運営費ですね。要するにこの資金を一体どうするか、はたして国が、国民全体がこれに協力してもらえるかどうか、そういう心配がある。だからどうしても十二チャンネルの場合でも、ほんとうに国家的な立場に立って、日本の科学技術を深め、教育程度を上げていくのだ、レベルアップしていくのだという崇高な立場に立って理解する人たちがなければだめなんです。アメリカのように、財界の金持ちがぽんぽんと寄付金を出す形になっていませんわな。死んでから墓場に金を持って行けないのだろうけれども、どうも欲が深いねえ、いまの金持ちは。だから願わくは、そういう純潔な浄財的なような立場に立って、どんどん教育のために金を出すというような人がおれば、りっぱに成功しますよ。ところがそれがなまの段階ではなかなかむずかしいのですね、日本の場合は。だからひもつきではない、しかも喜んで出してもらえるようなそういうことを願うと、どうしてもこれは一人々々の理解というものでなければ成り立っていかん。理解が必要になってくると思う。そこへもってくることが、何といったって必要だと思うのですよ。幸い今回日経とかほか九社の諸君が、よしやってやろうというので取っ組んでくれていると思いますから、その点ではある程度の従来より見通しは立ってくると思う。ただ私は心配するのは、番組の内容ですよ。今度スポンサーの関係で、番組の内容なんです。せっかく成り立っても、さっき電波監理局長が言っているように、六〇%の教育放送と二〇%の教養番組というものが流れるかどうか、そこにかかってくると思う。それとのかね合いでまだ心配が残っておるわけです。だから、私は何としても浄財というものを期待をしてとにかく再建するということはむずかしいけれども、考えておかなければならぬ大事なことだと思う。いろいろと紆余曲折がありました。これは私は放送大学を論ずる場合でも、非常に貴重な資料になると思うのです。貴重な経験ですね。そういう点を踏まえてやらないといけませんと思います。 そこで、科学技術庁としてもこの六年間ずいぶん苦労された、郵政省も苦労されたと思います。ですから、この体験を生かして、ほんとうに出発当初のような崇高な理念がこの放送を通じて行なわれるようにやってほしいと私は心から願うのですよ。これはたいへんな苦労だと思いますけれども、ぜひそれをやってもらいたいと思います。ひとつ、この点について長官の、国務大臣の立場で意見を聞かしてもらいたいです。
○国務大臣(西田信一君) 十二チャンネルが三十九年以来今日までたいへん苦難の道をたどってまいりましたが、これは、もう先生が御指摘のような事由に基づくものでございますが、しかしながらいろいろな各界の各方面の積極的な御協力を得てようやく立ち直りを見せつつございます。どうしてもこれからの未来を考えますと、科学技術の振興ということが、日本の将来の大きなささえになるということは、これは疑いないところだと思うのであります。そういう意味におきまして、私どもは科学技術の振興ということに、積極的な取り組みをしていきたいと考えておるのであります。諸外国と比べましても、科学技術に投ずる国費の比率も必ずしも十分ではございませんし、ことに、いろいろな科学技術の分野がございますけれども、御案内のとおり、三大プロジェクトといわれるところの宇宙開発あるいはまた原子力開発あるいは海洋開発、これなどもこれからだと思うのです。そういうものもありまするし、また最近のいろいろな公害とか、いろいろな問題に対しましても、科学技術に求めるところが非常に多いというふうに思うわけでございます。そういう意味から申しまして、最近はこのような科学技術に関しまする財界の認識といいますか、これも非常に深まってきておるように思います。またたいへんな協力をいただいておると思います。そういうような大事な時期でございまするので、私どもは、やはりこのような科学技術を中心とするところの放送というものが大事だというふうに思います。またそういう意味で、財界のいろいろな協力もだんだん強まってきたものだと思います。それからまた一般の放送につきましても、いろいろな番組についてとかくのいろいろな批判もあるわけでございまして、これからひとつ、こういうふうな科学技術の番組というようなものが一般国民に理解され、またそれを求めて見ていたようなふうに、これは一挙にはまいりますまいが、そういうようなふうにもひとつ進めていかなければならぬと思います。このような立場におきまして、私どももできる限りこの番組の編成その他運営の面におきまして、十分その趣旨に沿うていただくようにいろいろ希望したり、また助言をしたりしていきたいと思っておりまするし、また経営の面につきましても、ただいま鈴木先生がおっしゃったように、さらに深い国民的な理解と、それから財界その他の方々が積極的に、その単なるすぐはね返ってくる利益だけでなくて、もっと長い先の利益につながるというような大きな気持ちでひとつ協力していただくということにわれわれも積極的な働きかけをして、健全な運営ができるように指導してまいりたいと考えております。
○鈴木強君 それではいまの長官の御答弁を了といたします。で、いま私が十二チャンネルのみに問題を限って申し上げましたけれど、これは単に十二チャンネルだけではないですよ、科学技術の問題は。日本の科学技術の全体の問題についても私は言えることだと思います。ですからして、もう少しこの科学技術というものがいかに大事であるかということを認識すればするほど、国民的世論というものがこれに相呼応するような体制をつくらなければだめだと思うのですよ。そういう意味において、まだPRも私は非常に不足しておる面もあると思います。ですからして、非常にじみな仕事です。しかし、これは未来学を論ずる一番大きな基本的な、しかも日本の産業経済のすべてを律するくらいの大事な基本的なことですから、国全体としても、国民全体としても強く支持するようにならなければいかぬと思いますけれども、基本法一つまだつくれないというような情けない状態にあるわけですから、その点もくんで一緒に私は申し上げたわけであります。 最後にもう一つ、宇宙開発について若干、時間も少ないですから伺いますが、昨年六十一国会で宇宙開発事業団法というのが成立しましてね。これは当時、逓信委員会、科学技術特別委員会との連合審査もしていただきました。私も意見を申し上げたわけですが、この事業団発足後まだ間がないわけですから、いませっかく御苦心の段階だと思いますが、一言に言って、順調にスタートし、順調にこの事業団は運用しておりますか、その点をちょっと最初に。
○国務大臣(西田信一君) 私からも後ほどお答え申し上げますが、発足後のいきさつ等につきまして局長からひとつ。
○政府委員(石川晃夫君) 昨年十月に発足いたしました宇宙開発事業団のその後の経緯についてお答えいたします。 十月一日に宇宙開発事業団が発足したわけでございますが、その後、事業団といたしましては、体制の整備、あるいはその中のいろいろな、それまで各省庁並びに各部門において進められておりましたいろいろな研究を総合的に行なうというようなことを実施していたわけでございますが、実際に行ないました事業といたしましては、ことしの二月にロケットを打ち上げて実験を行なったわけでございます。これは打ち上げました実験は成功いたしましたが、そのほか、その同じ時期に東京大学が打ち上げました、ラムダロケットで打ち上げました人工衛星の「おおすみ」でございますが、これの追跡にも、この事業団はこれの追跡を完全に行ないまして、非常にいい成果をあげているわけでございます。で、四十五年度に入りましてからは、まあ今後の四十五年度の事業計画を進めておるわけでございますが、主眼といたしましては、施設設備の整備あるいは内部組織の強化というものを行なっておるわけでございます。なお、四十五年度の計画といたしましては、前年度から引き続きましてQロケットの開発を進めることになっておりますが、そのほか種子島の宇宙センターの整備、それから開発試験、開発のために行ないますいろいろな試験設備の整備、さらに電離層観測衛星の開発というようなものを四十五年度の計画に設けまして、現在進行しているところでございます。
○鈴木強君 四十三年の一月のジョンソン駐日アメリカ大使から日本の政府に送られた例のジョンソンメモですね。これに基づいて日米の技術開発に関する協定というものは、協定というか、交換公文が取りかわされたわけですね。それでね、これが四十四年の七月三十一日に宇宙開発に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協力に関する交換公文、こういうものが結ばれたのですが、これによってなお詳しい技術協力的な協定といいますかね、何かそういうようなものを結ぶ必要はないわけですか。まあこの中にはかなり詳しく書いてありますけれども、アメリカと具体的に、まあこれとこれとこれは技術協力をしようというようなことで、これ以外に何か特別に協定をしようという考え方はないわけでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(石川晃夫君) 四十四年七月にできました協定によりまして、現在技術導入を具体的に行なっているわけでございますが、そのような別の協定をつくらなくても、現在技術導入は円滑に進んでおります。
○鈴木強君 いまこれは事業団に移管されたのかどうか、衛星本体のほうでやっておりますね、あれの技術面なんかで、要するに打ち上げられた星が太陽からどの程度の熱量というものを受けて、その中にあるものにどういう影響を与えるとか、そういうふうな科学的な技術というものはアメリカで教えておりますか。
○政府委員(石川晃夫君) 具体的な問題といたしまして、電離層観測衛星につきましては、従来この宇宙開発事業団ができますまでは、郵政省の電波研究所においてその開発が進められていたわけでございますが、事業団に移されまして、事業団の中でもこの開発を進めているわけでございます。当初電離層観測衛星の設計、その他は電波研究所で行なわれておりまして、それで進める予定になっておりましたが、いろいろ開発を進める段階におきまして、やはりさらにいいものをつくるためには、幾らか技術導入をする必要があるのではないかということで、そのほうの研究も現在進めておるところでございます。なお、事業団の中の衛星開発部におきましては、そこの職員も現在渡米いたしまして、その辺のところを現地のメーカーといろいろ検討を重ねているところでございます。
○鈴木強君 インテルサットの政府間会議は、せんだって第二回か三回が終わりましたが、地域衛星の打ち上げについてはこれは認めるという方向できまったのでしょうかね。藤木さん、わかておりましたらひとつ。
○政府委員(藤木栄君) 地域衛星につきましては、大体その方向で認められる方向でございますけれども、まだインテルサット会議自体は終わっておりませんで、最終的な条約といったものはできておりません。ですからまだ中間の段階でございます。
○鈴木強君 時間がないですから、最後になると思いますが、まあこの地域衛星の打ち上げについても、アメリカのほうは当初非常に問題にしまして、なかなか認めようとしない。それは打ち上げに対する、アメリカが打ち上げてやる衛星を使えという言い方ですね。私は宇宙空間というのは、これは世界万民のものだと思いますね。ですから特定の国がこれを専有することはおかしい。ですからアメリカにしてもソ連にしても、もう少し、ソ連はモルニア衛星を打ち上げているので、現在はインテルサットとモルニアの二つの国際的な組織がある。だからこういうものも統合するようにしてほしい。私は昨年科学アカデミーの招待でソ連に行きまして、端的に向こうの大臣に申し上げた。そうしましたら、あまりはっきりしたことは言ってくれませんでしたけれども、やはりそういうふうなセクト的なものがありまして、問題があると思うのです。ですからして、日本がこれから基礎実験衛星にしても、衛星のほうからいえば、これは一応東大にまかせるかっこうでしょう。それから、電離層とか実験用通信衛星の場合は、事業団のほうでおやりになる。これは石川さんにも伺いたいんですけれども、われわれ昨年審議するときに、一体、この宇宙開発基本法といいますか、そういうふうな法律をつくってそれから出すべきじゃないかということも言ったわけです。ところが、そういう本体があと回しになって事業団法が出てきたんですが、そのときに、法律二十四条に基づく事業団の業務は、宇宙開発委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める宇宙開発に関する基本計画に基づいて行なわれる、ということだったんですね。したがって、この基本計画というものは一体いつごろできてどうなるのか、ということをかなり詰めたはずですよ。そのときに皆さんは、たとえば電離層衛星というものは、衛星本体はアメリカの技術は何も必要ない、全部日本の技術でできるとおっしゃった。ただ問題は、この衛星とロケットというものが一体になるわけですからいろいろな問題があると思いますけれども、「おおすみ」が成功されたことは、私も非常に喜んでいる者の一人ですけれども、この電離層のたとえば観測衛星については、あなたは四十六年には打ち上げができるだろうという見通しだった。それから実験用静止通信衛星についても、四十八年には大体打ち上げられるだろうということだったが、実際に四十四年の十月一日に宇宙開発委員会がきめました基本計画を見ますと、これは総理大臣の決裁を得たかどうかも聞きたいけれども、それを見るといずれも一年間延びている。これは一体どういうことか。ロケットの開発が進まないで延びたのか、衛星本体の開発が進まないで延びたのかわかりませんけれども、少なくとも国会でわれわれの質問に答えて言ったそのことが、わずかの間に一年間延びるということは、一体どういうことか。日本の技術というのはそんなものなんですか。金がなくてできないのか、技術が弱くてできないのか。だから私は、アメリカと技術提携したといっても、アメリカさんだって、そう何もかも洗いざらいさらけ出して提供してくれませんよ。何兆という金を使って月へのアポロ計画を持っているアメリカですから、われわれが知らない無限の技術を持っている。そういうものを全部日本に知らせるそんなおっちょこちょいなばかな国ではないんです。知らしても日本では使えないかもしれないけれどもね。しかし、日本はロケットももう自分で開発して打ち上げられるという力を持っているんですから、もう少しこの点は統制をとって、そうして国民が納得できる方針をきめて、きめるからにはおそらくやってもらいたいと思う。だから、そういう点で、最終的にはこの基本計画がこういうようにきまったわけですからこれでおやりになるだろうが、これがわれわれが言ったように一年延びているけれども、またこれが延びると困るから、私はここで念を押す意味でそういうことを申し上げたい。時間がありませんから、これは大事な問題ですから、もう少し突っ込んだ論議をしたいんですが、主査から再三御注意もありますから私はこれで終わりますが、いまの問題について答えてください。
○政府委員(石川晃夫君) 初めに基本計画の問題でございます。事業団が事業計画をつくるにあたりましては、内閣総理大臣が定めました基本計画に基づいて事業計画をつくるわけでございますが、この基本計画は三月の二十六日に決定されたわけでございます。ただし、この内容を申し上げますと、実はこの内容の中に二つ項目がございまして、大体方針的なものを書いたものと、それから具体的な計画を書くというものと、二つに分けたわけでございます。方針的なものは、宇宙開発委員会で作成されました宇宙開発計画を尊重いたしまして、おおむねその趣旨を生かしまして、そうしてこの基本方針を決定したわけでございます。なお、具体的な計画につきましては、実は宇宙開発委員会で昨年の十月一日につくりましたものが四十四年度の決定でございまして、これが先ほど先生御指摘ございました電離層観測衛星が四十七年に延び、さらに実験用静止通信衛星が四十九年に延びたという内容を含んだ宇宙開発計画でございます。この計画を見るときに、今後のいろいろな技術の状況並びにいろいろ財政的なもの、そういうものを考えまして、毎年見直し計画をしていこうということになっております。この基本計画が三月にできましたので、実は四十五年度の見直し計画を早々に始める計画が進んでおります。宇宙開発委員会の中に計画部会と技術部会というのがございまして、ここで、今度の四十四年度に決定されました宇宙開発計画をさらに見直して実際に合った体制に持っていくというようなことで、この作業にかかる予定になっておりますので、それが大体目安といたしましては、ことしの七月終わりにはその開発計画をつくるということでございます。したがいまして、現在基本計画の中に四十四年度に決定されました宇宙開発計画の内容を具体的に盛り込みますと、あるいはこれは早晩に変更せざるを得ないということにもなりますので、実はこの具体的な計画につきましては、見直し計画が済んだあとで決定しようということになって、現在はこの基本計画の中にはそれは盛り込んでないわけでございます。追って定めるということにしてあるわけでございます。 次に、衛星ロケットの開発の状況でございますが、これは当初四十六年−四十八年という時点を決定いたしましたのは、宇宙開発委員会の前身の宇宙開発審議会において決定したわけでございます。この決定直後、種子島周辺におきます漁業対策の問題が出まして、やや一年半のロケット打ち上げができなかったという問題、それから技術導入が予定よりも非常におくれたという問題、この問題がありまして、宇宙開発委員会といたしましてはこの計画を一時延ばしたわけでございます。したがいまして、現在先ほど申し上げましたように、事業団としてもこの計画に沿うべく体制を整備し、施設を整備するということで懸命の努力を行なっておりまして、現に必要な人間を米国に派遣いたしまして、一刻も早くでき上がるように、この技術導入を消化できるように努力しているわけでございます。技術導入につきましても、現在協定ができましたあと、六件日本に入ってきております。まだあと四件審査中でございますが、これも近く技術導入されるという見通しでございます。 〔主査退席、副主査着席〕
○塩出啓典君 それでは、四十五年度の科学技術庁の予算の二、三の問題点についてお聞きしたいと思います。私、最初いろいろお聞きする予定のところがだいぶ変更いたしまして、前もって質問の通告等していない点もございますので、もし大臣でわからない点は、関係局長からお願いしたいと思います。 まず、ちょっと順序を変更いたしまして、先ほど鈴木委員から質問のありましたロケットの打ち上げの問題についてお聞きしたいと思うのでございますが、いまお話しありましたように、アメリカの技術を導入して、そして技術を開発する、そして打ち上げるわけでございますが、ところが、先ほどのジョンソンメモでございますか、その中には、将来のわが国の衛星の打ち上げというものはインテルサットの条約に従わなければならぬ、たしかそういう条項があったと思うわけでありますが、そうなりますと、インテルサット自体の条約がまだきまってないわけでございますが、私はアメリカの技術をたよったばかりに、将来打ち上げる場合もかなりアメリカの制約を受けて、地域衛星等も打ち上げることができないような状態になるようなことがあってはならぬわけでございますが、そういう点心配しておるわけでありますから、そういう点はどうなるか、これは郵政省のほうからお答えいただきたいと思います。
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、インテルサット条約はまだ締結されておらないのでございますけれども、通信衛星につきましては、それが認められるという方向で進んでおることだと思います。ただ、無条件で認めるというわけではございませんで、やはりインテルサットというものができ上がって、国際的な通信がそこで行なわれるということになるわけでございますので、これは日本も加盟しているわけでございますけれども、そういった国際的な通信、インテルサットの通信体系に著しく経済的な妨害を与えない、そういう範囲で地域衛星を認めよう、そういった方向に進んでいる、こういうふうに聞いております。
○塩出啓典君 その点了解いたしました。 それで、まず第一に、科学技術振興基盤の強化の項目でございますが、特に現在科学技術庁には国立防災科学技術センター、そういう直轄の研究機関がございます。今回の大阪におけるガス爆発等の問題もありまして、非常にわが国全体として防災の強化、そのことが強くうたわれておるわけでございます。そういう点で、私も非常に防災科学技術センターというものは、使命が大事じゃないかと思うのでありますが、そこで、現在そういう防災科学に対する研究は大学でもやっておる、また建設省とか気象庁あるいは農林省そのような各行政機関のところでも研究をやっております。私は、大学における研究は、非常に基礎的な研究ではないか、また行政機関における研究というのは、それを現場の工事に生かす非常に応用的な研究が主体ではないか。そういう点から考えて、この科学技術庁の国立防災科学技術センターというのは、大体どういう目的といいますか、非常にたくさんの研究分野の中どどういう分野を担当するためにできておるのか、これはどこが担当かわかりませんが、担当の局長にお答え願いたいと思います。
○政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。 この国立防災科学技術センターと申しますのは、自然災害に関連いたしまして、いろいろな防災科学技術を推進するというたてまえで設けられたわけでございますが、そのような防災科学技術というものを推進するための総合的な中枢機関ということで、昭和三十八年に発足したわけでございます。この防災科学技術を強力に推進するために、この防災センターは三つの基本的な業務を行なっております。まず第一には、関係行政機関の共用の施設でございますが、共用に供する大型の設備を設置する。これは各省庁でそれぞれ研究所を持っているわけでございますが、その研究所自体でそれぞれ大型のいろんな試験設備を持つということは、きわめて効率的にも思わしくないことでございますので、これを大型の設備につきましては、この防災センターにおいて設置し、それを運営するということを考えております。それからまた第二に、多数部門の協力を要する災害に対する総合的な研究及び試験を行なうということでございます。第三には、防災センターの中で基礎的な——これは防災センター自体でございますが、これが基礎的な、あるいは基本的な研究、試験を行なう。大体この三つの仕事を行なうのが、防災センターの目的になっております。 これを行ないますためには、現在防災センターにおきましては、三つの研究部を持っております。それから三つの支所がございます。この三つの研究部と申しますのは、大きく分けますと風水害、それから異常気象、それから地震、地すべり等の災害、そういうものに対する情報処理というようなことの研究部がございます。また支所が三つございまして、これは神奈川県の平塚にございますのは、沿岸防災に関する研究を行なっておりまして、長岡におきましては雪害実験研究を持っております。また現在新庄にも支所をつくりまして、ここでは雪害に対する夜間実験を主体として研究を行なっております。また初めに申しました大型の共用設備というものには、現在平塚におきます波浪観測等、それから筑波の研究学園都市に設けてあります大型耐震実験装置でございます。これは地震でございますが、大型の耐震実験装置というものを現在整備しております。このほか四十五年度からは大型の降雨装置をつくるべく現在予算の審議をお願いしているわけでございます。
○塩出啓典君 それで、今年度の国立防災科学技術センターの予算は六億何がしでございますが、実は文部省関係にも、全国大学のいわゆる災害科学の研究者約千名で防災科学総合研究班というものができてやっているわけでございますが、その人たちの研究費はおもに文部省の科学研究費の中のいわゆる特定研究でやっているわけでございます。その予算が大体一億円で、非常に予算が少ないと研究者は言っているわけでございますが、そういう学者の中には、政府はあまり研究の調整だけをしていないで、金のかかる研究はどんどん大学なんかに金を出せと、そういう意見もあるわけでございます。しかし私は、いま研究調整局長言われましたように、そういう大学ではできないような大型な研究、そういうものをやはりやっていくという、そういう特色、これはもっともだと思いますし、そういう点で非常に大事じゃないかと思うのであります。したがって、私がこの国立防災科学技術センターに望みたいことは、ことに大学あるいは各種の研究機関と連携を密にして、重複研究等があってはならないと思います。やはり国立防災科学技術センターでなければできない、そういう大事な研究があるのじゃないかと思うのですね。そういう点の配慮が十分払われているかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(石川晃夫君) ただいま先生のおっしゃいましたように、これはわが国の学識経験者あるいは学者、研究者、こういうものが一つになってやはり進めなければならない問題だと思うわけでございます。で、このためには科学技術庁は関係各省庁とは十分連絡をとってやっているわけでございますが、そのほか大学等の研究協力が必要であるということは十分に認めているわけでございます。したがいまして、このセンターの発足以来、関係各省庁それから大学との共同研究ということは強力に進めているわけでございます。このセンターにおきましては、防災科学技術の推進に関する協力体制というかっこうで各省庁からそれぞれ防災関係に関係あります研究所の所長、それからまた大学関係の関係者も来ていただきまして、運営委員会というものをつくっております。大学関係からは京都大学の防災研究所長とか、あるいは東北大学の理学部長とか、あるいは東京大学からもそういう関係の方々に集まっていただいているわけでございますが、そういう大学の方に集まっていただきまして、大体年に四回ないし五回、この運営委員会というものをやっております。この委員会におきまして研究協力に関する総合的な意見調整を行なって、実際にそれをそれぞれの研究に反映しているということでございます。また、その防災センターの中には流動研究官制度というのがございまして、優秀な研究官をそれぞれの各省庁で必要とする分野に派遣しているわけでございます。大学には直接派遣しているわけではございませんが、各省庁には二年程度の期間で派遣しているというかっこうをとりまして、研究を総合的に、かつ効率的に行なっているわけでございます。
○塩出啓典君 それで、ちょっと具体的な問題でございますが、この大型降雨実験施設でございますが、これはたしか京都大学の防災研究所にも降雨の実験施設は、私この前お伺いしたときにそういうものがあったのでございますが、私も実はこの防災科学技術センターのこの施設がどういうものであるかはよく知らないのでありますが、だいぶダブった同じようなものを何も東京と京都につくらなくてもいいのではないかと思いますが、これはどういう——京都のやつがだめだからつくったのか、その点はどうなんですか。
○政府委員(石川晃夫君) このたびの筑波の研究学園都市につくろうという計画を持っております大型降雨実験施設でございますが、これは私、京都大学の施設を見ているわけではございませんが、それに比べまして相当大きなものになるというふうに聞いております。建屋の大きさとしましては、一応スパン五十メートル、長さ七十メートル、高さ二十メートルという大きさでございますが、これから出ます雨の放出還流装置でございますが、これが一応一番降雨実験装置としての問題点でございます。これは雨量の強度としまして一時間十ミリから百七十五ミリまでの間の範囲で任意に人口雨水を放出できるということになっております。また、雨のつぶは〇・六ミリ及び三ミリの二種類のものを天井のノズルから流そうというようなことでございまして、普通、豪雨といいますと、大体百三、四十ミリにもなりますと相当な豪雨になりまして、百七十五ミリというのは、想像できるあらゆる豪雨というものをカバーし得るというふうに考えております。
○塩出啓典君 この点は運営委員には京大の防災研究所の教授も入っているようでありますから、それぞれ目的があると思いますが、あとはよく検討さしていただきたいと思います。 次に原子力開発利用の推進の問題でございますが、特にこの中で原子力軍艦寄港時の監視体制の強化等放射能測定調査研究、そういうものを今年はやられるようになっておりますが、私この前の予算委員会でもちょっとばかり質問して、あまり時間がなくてできなかったのでございますが、これは原子力発電所がどんどんこれからふえ、現在も二基稼働中、さらに九基ふえる、さらにまた将来ふえると思うのでございますが、そういう原子力発電所から出る廃水の放射能というものによる海洋の汚染、それからまた原子力船ができれば、そういうものによる放射能の汚染というものはだんだんやはりふえるのじゃないか。また一方では、ロケットが海の中へ飛び込んでそこから放射能が漏れるという新聞も見たのでございますが、そこで先般新聞で——米政府原子力委員会のローレンス放射能研究所のゴフマン、タンプリン両博士は、ワシントンで開かれた環境汚染防止全国委員会主催の公開討論会で、原子力発電所が放出する放射能の法的許容限度を事実上ゼロにするように同委員会に勧告をした。非常に微量の、許容以下の放射能であっても、それが長期にわたれば影響が大きい。この博士が言うのには、「原子力発電所の放出する放射能は、放置すれば将来、生物学的な破滅を招くだろう。原子力発電所が大規模化し、数もふえれば、ガンや白血病で死亡する数が激増するおそれがある」と、このように言っているわけでございます。こういう問題については、これはわれわれもしろうとでございますのでよくわかりませんけれども、この職種は放出放射能をゼロにしろ、はたしてそういうことができるのかどうか、ゼロにせよということは原子力発電をやめろということにもなる。これは人類にとって大問題にもなりますし、そういう問題について科学技術庁としてはどのように考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力の海水への汚染でございますが、これにつきましては、われわれは初めからできるだけ少なくしていくという考え方でございます。ゼロにすることができればよろしゅうございますが、できるだけ可能性として少なくしていくということで、まず炉の設計が始まりますと、安全審査で、どのくらい捨てるか、そのときの基準といたしましては、国際基準ICRPがございます、このICRPの基準以下で捨てるという考え方をとっております。さらに、現在のところでは液体でもレベルの上のほうのものは一切捨てません。これを固化してしまいまして、低レベルのものは大量の海水をまぜて捨てるという考え方でやりますが、これにつきましてはいまのICRPの基準がございますが、実際にこれはいまの原電が東海で発電しておりますが、それで一番シビアとしてICRPできまっておりますのは、核種で違いますが、一番核種のわからないものがこれはシビアにやらなければならないことになっておりまして、それが10のマイナス8乗程度でございます。実際は現在の10のマイナス9乗程度で捨てております。これは保安規定等でICRPの基準をきめておりますが、実際の捨て方としてはなるべく捨てるものを少なくするというので、実際にはその一けた下で捨てておるのが現状でございます。そういうような形でなるべく捨てるのは少なくするという考え方でやっております。 それから、アメリカ等でいま問題になっておりますが、私たちアメリカの様子を聞いておりますところでは、ICRPの基準を当然守るといいますか、向こうではICRPの基準そのものまでにすればいいのだという考え方が非常に強かったようでございます。したがいまして、やはりゼロにいくように指導していくべきであるということで、現在アメリカではだんだんそういう形になってきているようでございます。われわれのほうは、いまの日本の現状としてできるだけ濃度を薄くして捨てるということで、ICRPより低い捨て方で捨てております。それから、原研その他におきましても、イオン交換樹脂でできるだけ放射能を取る、そういうような研究も進めて、できるだけ捨てるのを少なくするという方向で研究を進めております。
○塩出啓典君 それでこれは放射能の影響なんというものは、なかなか一つの検査をするにもものすごく長い期間かかると思う。これからそういうある一つの場所から出るのは少なくても、それがだんだん重なってくると——また一方では、この前にもお話ししましたように、瀬戸内海におきましても、中国電力が岡山あたりにそういうものを検討しております。瀬戸内海なんか水の流れはよどんでおりますから、日本海よりもそういう点で影響が大きい、放出する水の温度が非常に高い、そういう点で影響があると思います。そういう点で、いずれにしても国民の人たちにそういう不安をもたらさないように、やはりいまからその体制でどういう研究のやり方があるかということはよくわかりませんけれども、そういう研究をやっていかなければならないのではないか。それとまた同時に、ここにも原子力軍艦寄港時の監視体制の強化、これの放射能測定調査研究とありますが、やはり原電の海とかあるいはそういうような要所要所にはそういう測定の機能というものを今後充実しなければならない。おそらくこれはそういう意味ではないかと思いますが、そういう点の一つの研究あるいは測定体制、そういうものは今後やはりどういう方向に進んでいくか、その点お伺いしたいと思います。
○政府委員(梅澤邦臣君) 海が全般的に放射能でよごれるという問題は、発電所の問題それから原爆実験等のフォールアウトがございます。二つに分けてやっておりますが、フォールアウトの関係からできるだけ広く調査を進めております。自然放射能のあり方、それからそれに対して年間のふえ方等を統計的にとる体制をとっております。それから、原子力発電から出ますものにつきましては、これらの観測体制を義務として、設置者が観測器を置きまして常時その観測をする形をとっておりますが、比較的低い。あるいは茨城の東海は、相当たくさんの研究施設なり発電所ができております。したがって、全般的な考え方をとらなければいけませんので、そういう形として観測体制を当然整備していくのと、もう一つ、福井県あたりにおきましては、やはり第三者の評価が必要ではないかということで、第三者の機構を県として置いていただいております。そこで自主的に設置者が測定してその数量を、数字を提出して御批判をいただいておるという形をとりまして、これから原子力発電所が広くできてきました場合には、できるだけそれを自主的な立場でつくっていただくという、そういう形をとろうと思います。それから、原子力委員会でこれから検討に入りますが、そういう原子力発電所がたくさんできてまいります、あるいは再処理工場が今度建設に入ります。そういうときに、その評価をする中央機構をやはり考えるべきじゃないかということで、これについては慎重にいま検討しようということで懇談を進めておるわけでございます。
○塩出啓典君 それから次に第四は、海洋開発の推進の問題が書いてあるわけでございますが、これは今年の一月に海洋科学技術開発推進連絡会議、これは科学技術庁の官房長主催のもとにつくられた連絡会議が海洋開発に対する第一次実行計画案を発表したわけです。これもいろいろ見せていただいたわけでありますが、まあやはり海洋開発には鉱物資源をとる、石油をとったり、鉱物をとるような面と、もう一つは、これにも書いてありますように、海のそういう魚をどんどん養殖していくと、そういうような二つ、ほかにもいろいろあると思いますがね。そこで、やはりわが国の将来を考えるときに、人口の増加に伴ってたん白源として魚というものは非常に大事でもありますし、海洋国日本という点から考えて、非常に海がだんだん汚染されていくという、そういう問題について、この第一次実行計画の中には何ら触れておらない。私は、そういう点は、この計画を見まして、非常に何か鉱物資源の開発というものが中心であって、人間のために必要なそういう魚資源というものが忘れられておるような気がしたわけであります。そこで、この前予算委員会で話をしましたように、瀬戸内海の海水の汚濁による漁業補償も二年間で五倍くらいになっておりますし、もう非常に船舶からの油による汚染も急速度に進行しておるわけですね。そういう点で、こういう計画の中に海洋汚染の問題は取り上げられていないということは、私としては手落ちじゃないか。イギリスやフランスの海洋開発計画には、大事な柱の中に海洋汚染の問題が入っておるのに、入っていない。そういう点、科学技術庁として取り組み方が足りないじゃないか、そのようにわれわれは感ずるわけですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(石川晃夫君) 先生のおっしゃることごもっともでございまして、海洋科学技術審議会におきましてもその点は十分検討されたわけでございます。ただいま御指摘の、ことしの一月にできました海洋科学技術開発推進連絡会議と申しますものの第一次の実行計画でございますが、これは昨年七月につくりました、総理府の中にございます海洋科学技術審議会の答申を受けまして、それの実行計画を作成したわけでございまして、この海洋科学技術審議会の答申の中でも、この海洋汚染の問題につきましては相当関心を持っていたわけでございますが、ただ、この海洋科学技術審議会におきましては、もっぱら海洋開発における科学技術の面について審議したわけでございます。ところが、海水汚濁の問題につきましては、これはただ科学技術において解決されるだけの問題ではなく、その他いろいろな要因が複合されるわけでございます。したがいまして、この答申の中にも重要性は指摘されておりまして、海水汚濁の問題につきましても別途検討の上適切な方策を講ずることが必要であるということがいわれているわけでございます。この汚染の問題につきましては、ただいま御指摘ございましたように、船の油からの汚濁というものもございますが、現在考えられますことは、ほとんど陸上からの原因によりまして、海水が汚濁されるというのが現在の時点での現状でございます。しかし、将来海洋開発が進んでまいりますと、石油掘さくあるいはそのほかの増養殖の問題とも関連あると思いますけれども、また海中構造物、建築物の問題についてもやはりいろいろな公害問題といいますか、それに伴う海水汚濁の問題が出てまいります。したがいまして、この時点におきましては、そういうものを総合いたしまして、逐次実際の海洋開発が進む現状における海中汚染というものを的確に把握して、今後これを科学技術的に解決していきたいという考えでございます。
○塩出啓典君 それでいま研究調整局長言われましたように、将来もし日本の近海で石油とか、鉱物資源を発見して掘るとすれば、当然海がよごれるわけです。先般、四月三日の毎日新聞にも、私拝見したわけでありますが、オーストラリアの東海岸の海底油田の開発が、サンゴ礁が汚染するからという理由で、地元民と労組の反対でつまずいておる、そういう記事を見ました。そういう点で、これは将来、海洋開発の方向が鉱物資源の開発というものに重点を置いていけば、今度は生物資源の開発という点が当然おくれていく。ところが、わが国の現在の漁業というのを見ますと、大体沿岸漁業に従事している四十四万四千人。また、沿岸漁業や浅海増養殖の生産量は二百五十二万トンですから三割くらいです。これは将来ふえてくると思います。そういうような点を考えますと、どうしても鉱物資源の開発というものと、いわゆる浅海漁業の増進というものが、二つ相反する要素になってくると思うのです。鉱物資源も開発するけれども、海が汚染されないで開発できるという、そういう方法があればいいと思うのですけれども、そういう点に対する研究というのはどのようになっておりますか。
○政府委員(石川晃夫君) そういう点につきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、これが同時に同じような場所からこのような海洋開発が行なわれますと、やはり鉱物資源の掘さく——鉱物資源の開発と水産増養殖関係とぶつかるということは当然でございます。その点、当庁といたしましても、かねがね検討しているところでございます。しかし、ただ現在のわが国におきましては、まだ現状といたしまして、そこまで進んでいないものでございますから、これをどのように解決するかという具体的な案についてはまだできていないわけでございますが、一案といたしましては、将来あるいは石油掘さく地帯においては増養殖というものはそれ以外の場所に持っていく、いわゆる地域を指定するというような考え方も一つの案ではなかろうかと思います。ただし、水産業といたしましても、非常にその点が、水産をやるために、増養殖をやるために重要な個所であるという場合には、その点につきましても十分調整を行なわなければいけないと考えておるわけでございますが、ただ、現時点におきましては、先ほど申しましたように、まだ現状が進んでおりませんので、どのような具体的な方法をとるかという点についてはまだ決しかねておるのでございます。海洋開発、いわゆる海底油田掘さくのみではなく、先ほど御指摘ございました船舶からの油による汚染とか、そういうものにつきましては従来からも二、三研究が進められておりまして、それに対する解決策というものも逐次研究されているわけでございます。
○塩出啓典君 それで、この問題の最後に、これは長官にお伺いしたいと思うのでございますが、まあ非常にいま計画してみましても、われわれは、それは方向は、鉱物資源の開発に何か重点が置かれて——ところが、やっぱり鉱物資源の開発というのは、一回とってしまえば、あと、また石油が出るには、時間が何万年かかると思うのですね、ところが、そういう漁業資源の開発というのは、これは非常に無限大、何年でも、何回でもとれるわけです。これは非常に国民の健康を守る上に大事じゃないかと思うのですが、そういう点であまりにも鉱物資源の開発に重点が置かれて、そういうことから、どんどん発展していかなければならない漁業資源の面がなおざりにされてはこれは相ならない、そういう点を、やはり海洋資源開発が一つの大きなブームになっておりますけれども、その方法というものをやはり科学技術庁としてもしっかり定めて、やっぱり全体のバランスの上に——やっぱり通産省と農林省、どうしても通産省のほうが強くなりがちでございますが、そういう点やはり科学技術庁が調整をして、国民の福祉のためになる方向というものをはっきり定めてやっていただきたい。私はそのことを強く要望したいわけでございますが、長官のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) 海洋資源の開発というものは、いま非常に多元的にわたっておりまして、これをどのように進めていくかということは、御指摘のとおり非常に重要な課題だと思うのです。そこで総理大臣の諮問機関になっております海洋科学技術審議会というのがございまして、それが昨年の七月でございますか答申を行なっております。それによりますと、とりあえず当面推進をしなければならぬ海洋開発の課題といたしまして五つのことを取り上げておるわけでございます。その一つは大陸だな海底の調査をしなさい。それから、海洋環境の調査をしなさい。次は、水産増養殖のための技術の開発をしなさい。次に御指摘の海底石油の掘さくのための技術の開発。それから、総合的に先行的な海洋開発の技術の開発をしなさい。こういう五つの課題を示しているわけです。この五つのことを見ますと、どれを捨ててどれをということにはまいるまい、いずれも、さしあたり重要な課題であると思うのであります。しかしながら、いま御指摘のように、一方、鉱物資源の開発をやれば水産のほうに影響が出るということも、これは避けがたいことであるかもしれません。そういう意味におきまして、それらの相互調整を十分はかっていくということは大事なことだと思うのです。したがいまして、いま先生の御指摘は、あまり鉱物資源の開発のほうに重点を置き過ぎて、そしてたん白資源供給のための沿岸漁業、あるいはその他水産方面のことがそのために犠牲になってはいけない、こういう御指摘だと思いますが、そこら辺は、いまその問題の中に、いずれも両方とも含まれておるわけでございますけれども、そこら辺は十分調整をはかり、そしてまた技術開発によってできるだけ与える影響を少なくして、そして相互に成り立つように、あるいは地域の問題もございましょうし、あるいは技術上で解決できる問題もございましょうし、そこら辺はひとつ十分に配慮をしながら、これからの大きな五つの課題にひとつ取り組でまいりたい、こういう気持ちでおります。 鉱物資源開発のほうに特に重点を置くというような、そういった考えは持っておりませんが、ことに海底牧場であるとか養殖の問題とかいうことも非常に重要な事柄でございまするから、十分な配慮を行なってまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 ただいまの点は、科学技術庁におきましてもいまからひとつ研究をして万全の態勢で臨んでいただきたいと要望しておきます。 最後に、これももう先般の予算委員会でいろいろ御質問したことでございますが、いわゆる海水の淡水化の研究でございます。これには厚生省とか、あるいはいま通産省の工業技術院とか、あるいはまたこれは、将来はいわゆる原子力発電の余熱を利用するというような、そういう原子力研究所の関係、あるいはまた専売公社が塩をイオン交換樹脂膜で取る、それと関連して淡水化をはかるとか、あるいはかん水からウランを取る研究、そういうものとのやはり総合的な立場でこれは推進していかなければならない。そういう海水からの副産物が取れればコストが下がってくると思う。私はそういう非常に各基礎にまたがるこういう総合的な研究こそ科学技術庁が中心でやらなければならないのじゃないか。ところが、あまり科学技術庁としては、資源調査会がいろいろ資料を集めてそういうものをされておりますけれども、ちょっとそういう点は弱いのじゃないかと思うのですね。だんだんこれは水不足というのは世界的な要望になっておりますし、先般申し上げましたように、アメリカあたりは塩水局という局までつくり、塩水法という法律までつくりこれを強力に推進しているといわれます。私は、先般は経済企画庁がもっと中心になってやれと長官に申し上げたのですけれども、やはり技術の開発という点になると、これは科学技術庁が中心になると思うのです。今年の予算のどこの項目をさがしても、この海水の淡水化については一言も出ないし、これは出てない奥のほうにあるかもしれませんけれども、将来水の需要に対して非常に不足する。すでにもう瀬戸内海の島々で各所において水不足があるわけですね。もうすでに海水の淡水化というのはクウェートあたりかなり輸出しておりますし、将来も有望な輸出産業になるのじゃないかと私は思うのですね。そういう点で、もう少しこの問題についても科学技術庁が中心となって各そういう省との連携をとって、海水の淡水化、ウランを取る、塩を取る、あるいは原子力発電の余熱を利用するとか、総合的な立場からもっと強力に推進すべきじゃないか。その点を強く要望したいのですけれども、今年はそういうような予算が全然入ってないのですが、それはどうなんでしょうか。
○国務大臣(西田信一君) 局長から答弁させますが、先生御指摘のとおり、原子力発電というものがかなりわが国におきましても積極的に推進がはかられておりまするが、この原子力利用はさらに進んでまいりまして、多目的利用というようなこと、原子力を製鉄に利用いたしますとか、ただいま御指摘の海水の淡水化であるとか、さまざまな多目的利用ということがこれから開発されるであろうと思います。 〔副主査退席、主査着席〕 そういう意味におきまして、先般も予算委員会で先生に御答弁申し上げましたように、われわれのほうもそのための直接の目的で特別の予算はもらっておりません。与えられた予算の中で淡水のすでに試験も行なって、十分技術的には可能であるというようなところまで行っておるわけでございますが、何と申しましても現在の状態では、技術的には可能であるが、経済的にはかなりの単価になるような状況でございまするけれども、将来、原子力発電というものがもっと規模が大きくなり、そうしてまたいろいろ経済性が出てまいりますれば、したがって、それにつれて、いま御指摘の海水淡水化の経費というものも軽減されるであろうと思います。そういう意味におきまして、今後私どものほうも積極的な姿勢でこの問題と取り組んでまいりたいと存じまするが、特にこのため、ことしは予算を幾ら取ったかということは、実は特別な予算はついておりません。おりませんが、その点、私の答弁が間違っているようでありますれば答弁させますが、先生の御指摘のような方向でものを考えていく、積極的に進めていくということについては全く同感でございます。
○政府委員(石川晃夫君) ただいまの大臣の御答弁に補足させていただきますと、通商産業省の大型プロジェクトといたしまして、海水の淡水化及び副産物利用という項目におきまして、四十四年度は二億円予算がつきまして、本年、四十五年度におきましては六億五千七百五十八万円という予算がついているわけでございます。これは従来、通産省が継続事業としてやっておりましたものでございますので、特に継続されておりますので、新しい項目としては上がっていないわけでございます。
○政府委員(梅澤邦臣君) 淡水化の問題でございますが、われわれ原子力関係としても、エネルギーをいかに安く入れるかということが問題でございまして、検討、基礎研究はいたしました。しかし、淡水化として熱を利用するという一方、製鉄の問題、いろんなものがございまして、基礎的に熱として第一次的に利用する方法ということで、原子力局でいま取り上げております。 それから、淡水化との直接の関係でございますが、実は淡水化が始まりましたのは十数年前でございます。そのときに冷却法でいくか、あるいは蒸発法でいくかというようないろいろな形がございまして、実際にその技術者の育っているのは通産者の工業技術院の研究所でございます。それで数試験所が一緒になりましてやるのと、それから県の工業試験所に関係しております。そういう関係から、とりあえず、現在のところでは通産省のほうがリーダーとなってやっていただいて、私たちのほうは熱源を出すという形で現在進んでおります。これが大体相当のところまで研究がいきましたときには、当然、科学技術庁の立場の考え方でまいります。現在、要するに一番総がかりでかかっておりますのは通産省の研究所でございますので、そこがいわゆるリーダーをやっていただいて大型プロジェクトでしていただいておりますので、それに私たちのほうが関与するという考え方でやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
○国務大臣(西田信一君) さっき私申し上げるのを失念いたしましたが、先ほど鈴木先生から御質問がございました資源調査会ですね、これが四十二年に海水の淡水化の技術開発をするようにという技術開発に関する報告を出しております。それが動機となりまして、その後通産省で、先ほど局長説明申し上げましたような大型プロジェクトの計画が確立いたしまして、ことしは昨年の約三倍ぐらいの予算がついたわけでございます。また、わが科学技術庁といたしましては、いま通産省がやっておる研究を基礎にいたしまして、いまこちらの梅澤局長が申しましたような方向でわれわれの原子力発電の開発の進展とともに、将来十分検討してまいりたいと、かように考えております。先ほど私が申し上げましたのは、科学技術庁としては特別な予算は取っておらないと、こういう意味でございます。
○二木謙吾君 ちょっといま塩出委員から海水の淡水化という問題お話がございましたが、これは私は非常な大きな問題だと思うんで、水資源はもう日本の産業がいまのような状況でどんどん発達をしていきますというと、すぐ枯渇すると思うんです。それにはやはりどうしてこの水をつくるかということが問題だろうと思うんです。私のところに今後、周防灘開発という大きな問題がある。この大開発、もう水がちょっと行き詰まるのでございますが、海水を淡水化するということが、これが可能であるならば、これは世界的大発明だと思うんですが、どうですか。あなた方技術者であり、また学者でもあろうが、それについて可能であると思われるか。これはコストが高うて将来どうしてもぐあいが悪い、こういうようなお考えでございますか。これを研究していけばコストも下がって、そうしてある程度の実用化ができようと、こういうお見通しでございますか。あなた方のひとつ御所見を承りたい。
○政府委員(梅澤邦臣君) 淡水化は先生のおっしゃるように、簡単に申し上げますと、必ずできると思います。ただコストの問題で、現在百万トン日に処理しまして、たしかトン三十円くらいになる見込みで工業技術院でやっておりますが、しかし、この場合には、海水の中にもいろいろ有効成分がございます、その成分をいかに有効に利用するかということがコストを下げる。もう一つは、蒸発法等でやります場合に、最初にエネルギーを加えます。エネルギーを加えますとコストがかかります。それをいかに、触媒等を使ってエネルギーを下げていくか、そして安くしていくかということを考えますのと、もう一つ一番問題は、百万トンぐらいを処理しませんと淡水化の役をなしません。したがいまして、機械として大きく動かしまして、しかも、その機械が年間そう故障せずに動くということが一番大問題だろうと思います。これはエンジニアリングの問題で当然解決できるのではないか。したがいまして、われわれとしては、強力にこれを進めて必ずいけるんじゃないかという見込みで通産省のほうも努力していると思います。
○二木謙吾君 ひとつ西田大臣の時代に海水の淡水化、これはもうたいへんな功績でございますが、ひとつ科学技術庁の方たちが中心になられて、この問題に真剣に取り組んでいただいて解決をしていただきたい、見通しを立てていただきたいと考えておる次第であります。
○国務大臣(西田信一君) すでに先ほども申し上げましたように、科学技術庁の資源調査会が海水の淡水化、これを技術的な開発が可能であるという前提で報告を出し、それが動機となって、いま科学技術庁の日本原子力研究所でも技術的に研究しておりますが、通産省のほうで本格的ないま大型の研究が行なわれております。そこで、ひとつ、科学技術庁と申しますより、政府一体となってそのような大問題と取り組んでまいりたいと思います。
○主査(塩出啓典君) 以上をもちまして、科学技術庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会 —————・—————