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63回国会参議院1970/04/13

予算委員会第四分科会 第1号

発言数
389
登壇者
23
会派数
4
開催日
1970/04/13

会議録

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  この際、分科担当委員の異動について、御報告いたします。  本日、委員の異動に伴い、田村賢作君が本分科の担当委員に選任されました。  また、本日、吉武恵市君が本分科の担当委員を辞任され、その補欠として岩動道行君が選任されました。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査の選任につき、その議事を主宰いたします。  これより正副主査の選任を行ないますが、選任は、投票によらないで、主宰者にその指名を御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 御異議ないと認めます。  それでは、主査に塩出啓典君、副主査に田村賢作君を指名いたします。(拍手)  御協力ありがとうございました。     —————————————   〔塩出啓典君主査席に着く〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) ただいま、皆さまの御推挙によりまして主査に指名されましたが、何ぶんにもふなれでございますので、皆さまの御協力をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたしたいと思います。  本分科会は、昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管を審査することになっております。明後十五日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は文部省、厚生省、明十四日は午前労働省、午後科学技術庁、明後十五日は自治省という順序で進めていただきたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは速記をとめてください。   〔速記中止〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) それでは速記をお願いします。  それでは、昭和四十五年度総予算中、文部省所管を議題といたします。  まず、慣例では、政府側の説明を求める順序でありますが、説明は、これを省略して、お手元に配付いたしてあります資料をごらん願うこととして、直ちに質疑に入りたいと思います。また、その説明の資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。

岩動道行自由民主党

○岩動道行君 私は文部大臣にお伺いいたしますが、戦後のわが国の教育の傾向といたしましては、特に科学技術のほうにきわめて重点的な、傾斜的な方向で行なわれてきたように思うわけでございまするが、しかしながら、その結果は、非常に今日の日本の経済の振興には大きな役割りを果たしてきたと思うわけでございます。一面におきましては、人文系のほうに対する教育政策というものがはたして十分であったかどうかというような点も私は反省をしてみる時期にきているのではないだろうか、かように考えるわけでございます。特に、最近の赤軍派等のようなああいう事件が起こるということになってまいりますると、これは科学技術にあまり重点が入り過ぎて、いわば人文的な、精神的な、倫理的な、あるいは法律と、こういったような面に対する教育の面において必ずしも十分な配慮があったのかどうか、あったといたしましても、その全国的な配置において十分な配慮があったかどうか、かような点が反省をされなければならないというふうにも思うわけでございます。  そこで、私は、時間もございませんので端的に申し上げたいと思いまするが、教育の環境を、たとえば筑波学園都市をつくるというように、非常に環境のいいところで教育を行なうということが今後の日本の国立大学等のあり方においても特に配慮をされているわけでございます。したがいまして、東北におきましても、そのような生活環境、自然環境というものはきわめてよろしい、教育のためにはきわめてよい環境にある地域ではないだろうか、かように考えるわけでございます。そこで、過密都市に教育が集中されているような今日の傾向を、環境のいい東北地方等にも十分に大学の充実をはかってまいるということも検討されていいのではないだろうか、かような意味におきまして、私は、特に岩手大学において法文学部をつくるというようなことを、ひとつ具体的に御検討をいただきたい。今日は科学技術の時代であり、コンピューターの時代であり、情報化社会の時代であると申されておりまするが、ハードウエアの面におきましては、それは過密都市等において生産をされまするが、これを活用するためには何といいましてもソフトウエアの面が重要でございます。かような観点からも、人文系、法文系と、こういったようなものを充実してまいることが今後の日本の発展にはきわめて重大ではないだろうか、かような意味におきまして、私は岩手大学におきましても、現在、農学部あるいは教育学部、工学部というようなものもございまするが、そこへ法文学部を設けて、そうして北東北、秋田、青森、岩手を含めた北東北というものを一つのブロック的な考え方に置いて、弘前には人文学部というものはございまするが、岩手大学に法文学部というようなものを設けて、そうして今後の新しい時代に備えていくというような教育制度をつくってまいったらどうだろうか、かように考えるわけでございまするが、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 戦後の大学改革におきまして、社会の変化、特に科学技術が非常に進歩をいたしました結果としまして、大学が、ともいたしますと、自然科学系統に重点が置かれてきたということは御指摘のとおりだと思います。特に国立におきましては、そういう考え方が強かったわけでございますが、しかし、それも実は私立大学ということを頭に置きまして考えられたことでございますし、ことに私立大学におきましては、むしろ人文系統の学生数というものが非常に多かったということであるわけでございます。国立大学におきましても、特に工学部系統におきましては、時代の要請もございまして、非常に大きくなってきた。たとえば東京大学だけを考えましても、少しそこがふくらみ過ぎて、総合大学として一体人文、社会の点はどうなのかということが、まとまった形でやはり検討されるべきであったと思います。ちょうど来年——昨年度の大学紛争をきっかけに、大学制度全般についての検討を中教審で行なっておるわけでございますが、来年の春ごろまでにはこの中教審の試案の肉づけを行ないまして、長期教育計画、あるいはそれに対する財政措置というものも考えていただく。そしてその答申を待ちまして、私は日本列島全体に対してどのような大学をつくり、またどういう配置を考えたらいいかということに着手しなければならないと考えておるわけでございます。  ただ、私がここで申し上げておきたいことは、最近まで学部の創設要求は非常に多うございますが、学部の創設につきましては、いまの大学の状況、あるいは今後の大学学部の配置になお検討を要する点がございますので、特に慎重を期してきたわけでございます。で、四十五年度の予算編成に当たりましても、多くの大学から学部創設の要求がございましたが、取り上げましたのは、秋田大学の医学部だけでございます。しかし、私の基本的な考え方といたしましては、都市集中、そしてその都市集中の中に大学が非常に多い。六〇%以上もひしめき合っておるということがやはり人間疎外を起こし、あるいは学生運動にもはね返ってきておるのではなかろうか。また教育の場としては、やはり都市というよりも地方の自然の豊かな環境において教育研究が行なわれるということが望ましいことではなかろうか。  それからもう一つは、地方大学を充実していくということが昭和七十年代からの方向だということは私も頭の中に実はございます。そういう意味から申しまして、今後は広くは日本列島全体、そしてまた東北一帯ということを考えまして、この新たなる学部の創設について判断を下していくということがいいのではないか。一県の要求ということじゃなくて、やはり東北全体を通しまして、どういうような学部をどこの大学に持たせるか、そして東北全体の要請にもこたえるし、また日本全体、あるいは世界の要請にもこたえていくということになろうかと思うのでございまして、十分検討に値する問題だと考えておるわけでございます。

岩動道行自由民主党

○岩動道行君 前向きの御答弁をいただきましてたいへんありがたいと思いますが、従来、たとえば旧制の高等学校のあった山形でありまするとか、弘前、こういうところがそのまま人文系の学部がつくられたというような、いわば成り行き的な形での学部ができておりますが、かような意味におきまして、私はただいま大臣がおっしゃったように、日本列島全体を再検討する、そうして学部の配置を考えてまいりたい、創設を考えると、こういうお考えには全面的に賛成であり、これには積極的に取り組んでいただきたい。かように心からお願いを申し上げる次第でございます。特に岩手は、地域的に申しますると四国四県と同じ広さでございます。あるいはまた身近なところで申しますると、東京、神奈川、千葉、埼玉、そして山梨の半分、これだけの面積を持った、非常に日本としては珍しいくらいに広大な将来性のある地域でございます。これらの点を考えただけでも私は十分に法文系の学部を岩手に置くということは地理的にも十分検討に値する問題であろう、かように考えますので、重ねてその点についての大臣の前向きの御検討をお願いしたい。これは経過的に申しますると、四十四年度の予算要求までは出しておりましたが、四十五年度は大学の紛争問題等もあったので、特に予算要求を地元からも出さなかったということもございまするが、大臣の御手腕等によりまして、大学の紛争もやや落ちついたかに見えまするので、あらためて四十六年度には前向きにこれを取り上げていくように、私どももいたしたいし、また文部当局においても御検討をいただきたい。かように思うわけでございます。  なお、二、三分時間がございまするので、続けて一つだけ、これは要望を申し上げておきたいと思いまするが、外国からの留学生に対する施設、留学生会館と申しまするか、これにつきましては、国費留学と私費留学によっていろいろ施設が分かれているようでございます。そして国費のものにつきましては、文部省が所管をいたしまして、日本国際教育協会というものを通じましてほとんど一〇〇%の国費補助、助成によってこれが運営され、設置されている、まことにけっこうでございまするが、一方において、外務省所管で国際学友会というものがございます。そしてこれが主として私費留学というようなものを扱っておるわけでございまするが、どうも私は国のあり方としては、文部、外務両省でこのように分裂したようなかっこうで留学生を扱うということはいささか問題があるのではないか。そしてまた今後の日本の立場ということを考えた場合には、一本化をしてやっていくというようなことについては十分に政府側において検討をしていただく必要がありはしないかということを考えておりまするので、この点について一言触れて、大臣の今後の御方針、御所見を簡単に承って私の質問を終わりたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私もこの外国人留学生の問題につきまして少し基本的にその姿勢を考えてみる必要があるのじゃないか。特にこれから日本が、東南アジアあるいはアフリカ等におきまして、いろいろの形においてアプローチをするというときにおきまして、留学生の果たす役割り、またその影響、あるいはそれを受けとめる日本側の姿勢というものは非常に大きいと思うのでございます。ところが今も申されますように、従来、外務省と文部省とで、片方の国費留学生は文部省所管、私立の留学生につきましては外務省が主としてこれを扱っておるというようなことが、いろいろの学生運動とのかね合いにおきましても、実は適切な一貫した態度がとれない点もあるんじゃなかろうかというようなことを実は痛感いたしておりまして、数日前も、私はそのことを文部省自身としてこの際考えてみたらどうだろうといって指示をしているような状況でございます。でございますから、お説の点につきましては十分検討をさせて、来年の予算編成までには何らかの方針を打ち出したいというふうに考えておるわけでございます。  それから、最初の岩手大学に法文学部創設の御意見でございます。私は一般的に申しまして、確かに地方の大学を充実するという方向に進めなきゃならないというふうに思います。でございますけれども、これは高等学校以下のいわば学校を建てるのと比較にならないような金額を要する問題でございます。また、りっぱな大学をつくりますためには、そのスタッフ、人材を、十分りっぱな先生を確保するということが前提でございますから、それは相当時間がかかるということもございますので、その点は十分ひとつ御留意願いたい。われわれもつとめてスタッフの養成等につきましても考えたいとは思っておるわけでございますから、念のために——もちろんおわかりのことではございますけれども申し上げておきたいというふうに思います。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 時間が少ないので、個々にわたらざるを得なくなっていると思うのですが、大臣は冒頭に、過密地域における学校の建設に非常に苦しんでおるということは文部大臣も十分御了承のところと思います。先般の総括質問の中で、文部省、それから自治大臣並びに大蔵大臣、佐藤総理にこの点を尋ねたわけですが、そのときに、大体、政府の考え方としては、一番重要な用地費の問題については地方交付税で処置するということが根幹になっているという答弁がありましたが、私は文部省として、この問題については明確にいまの状況の中においては緊急措置として、これは臨時的なものでけっこうでございますから、つまり人口が増加しているこの際でございまするから、恒久施策というよりも、臨時的な立場で、用地費に対する国庫補助という問題が緊急の問題だろうと思うわけです。これについて文部大臣の見解を聞きたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 先般の岡委員の質問に対しまして、一応、私、御答弁申し上げたわけでございますけれども、過密地域の学校建築、あるいは用地の確保ということは非常に喫緊な問題でございます。この間の御質問等も踏まえまして、私その点につきましては関係各省と十分連絡をとりまして、緊急性というところに着眼をいたしまして、国庫補助を含むような努力をいたしてみたいというふうに考えております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 努力はけっこうだし、坂田さんの考えに私は何もまっこうから反対するわけではないが、この問題については少し文部省が弱いんじゃないかという気がするんです。それはどういうことかというと、要するに、義務教育の問題はもう何ものにもまして、とにかく自治体としてはこれを推進しなきゃならぬ。ところが土地の値上がりで非常に入手難だ、特に最近は公団その他非常に配慮してきて、この点については自治体のほうにおいても、宅地造成についてはかなりチェックして用地の確保につとめていることはわれわれもよく知っておるし、協力しておるわけですが、しかし、段階としては、いま言ったように、緊急問題として臨時的に、恒久立法ということになると問題があるにしても、臨時的な用地費の国庫補助という問題を四十五年度はかなり努力せられているようですが、不十分である、したがって来たるべき予算編成においては、ひとつその点は十分文部省全体として法制化に御努力願いたい。これは基本的に言うと、大蔵省も反対ではないけれども、しかし、交付税の中でやっていこう、これは自治省としてもそういう考え方が強いと思うのですが、大蔵省を含めて、自治省とも十分話をして、直接的にそういう補助がいって、そして自治体としても勇気を出して間に合わせるような、ひとつ施策を講ずるような方法にしてもらいたいと思う。具体的に言って、このときに積み増しが百一億あると自治省当局は答弁したわけですが、そのときに坂田文部大臣のほうで、自治省と話し合いをしているということだと思いますと、こう答弁しておりますが、それに対して、具体的にその後どうなっておるか、文部省並びに自治省からちょっと簡単に聞きたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) 先般、大臣が答弁申し上げましたのは、四十五年度における交付税の関係の費用でございまして、四十五年度はまだ措置はきまっておりませんので、これからの問題でございますが、四十四年度におきましては用地が大体主体でございますが、百一億の交付税上の積算をいたしております。たとえば、横浜でございますと、その配分が六億くらいになってくると聞いておりますが、過密の市町村に対しまして過密補正というものをやっておりますが、その金額が百一億になっておるということを申し上げたわけでございます。これは土地のほかに整地費だとか、そういうものも入っておりますが、大体用地のための財源措置というふうに私どもは理解いたしております。これは四十五年はまだ積算が行なわれておりませんが、これを増額するという方向で検討中でございますので、私どもも鋭意話をいたしまして、できる限りの財源措置ができますように努力をしたいということでございます。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 人口急増地域の学校用地の問題は、御指摘のように、たいへん緊急の問題になっております。そういうことから、地方交付税で一応の措置をやっているのが実情でございます。その内容はいま文部省のほうからお話ございましたように、小学校費、中学校費につきまして、児童生徒数の増加率を基礎にいたしまして、増加率の高いところに小学校費、中学校費の割り増しをする、交付税法上は人口急増補正という名称を用いておりますが、そういう形で算入いたしております。算入のしかたといたしましては、一定の用地費、整地費、あるいはその関連の各種の施設費等——校舎の建築は別でございますが——を一括して一定の金額をモデルとしてつくりまして、その一部を算入するというしかたでございます。ただ、交付税のことでございますので、一般財源の付与という形になりますし、個々の市町村の現実の用地の需要というものに完全に見合うということにはなりません。そういう点で私どもはなお問題があろうかと思いますが、できるだけこれを充実していくように努力してまいりたいと思います。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 自治省のほうにも、文部省と同時にお願いしておきたいと思うことは、結局二、三年で、いま起債でやっているものが償還時期にどんどんどんどんくる。償還のためにまた起債をしなければならぬという悪循環になるおそれが非常にあるわけですから、いま言ったように、具体的に最も過密地域に対する増額という問題について鋭意やっておられるようでありますが、私のほうとしては、緊急措置として、直接的にいま響く情勢にだいぶなってきているわけです。そういう点で、自治省の従来とってきたやり方について私が異論をはさむわけではないが、緊急性にかんがみてやはり用地費に対する補助というものをここ数年、大臣、やってもらって、緊急対策としての成果をあげてもらいたいと思います。それから自治省としても総体的にこういう面についての配慮を願いたい。特にこの縁故債では問題は解決しないわけですよ。非常に利息が高いですからね、七分過ぎて、七分五厘というような金では、ちょっといまの状況にはまことに不似合いということで、ひとつ利息の安い起債というような方法をやってもらいたいと思います。時間がありませんので、その点については今後の検討と、急速なるひとつ配分ということをお願いして、次に、いま一番要望されている点は、非常に学校が建設されてきておりますが、先生、教官の充足というか、質的な改善というか、この問題が非常に強く要望されてきていると思うんです。つまり量から質へということがあらゆる面において重大なる問題になってきていると思うんですが、教育界に人材を集めるという点については、私が言うまでもなく、文部省としても十分検討されてきていると思うんですが、この点について大臣として具体的にどういう施策をしようとしているのか、この点についてひとつ所見を伺いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) あとで初中局長のほうから御説明申し上げたいと思いますが、私も基本的には今日この教育の問題が非常に大事な問題として取り上げられてきております。ところが、実態はなかなか先生方が集まらないというようなこともあるかと思うんでございます。あるいは産業界にどんどん引っぱられていくという実情もあるかと思うわけでございますが、戦前のこと等を考えますと、やはり人材を教育界に求めるためには、安心して教育に専念できるという体制が整えられなければならないというふうに思うのでございまして、その意味合いにおきまして、やはり待遇の問題は非常に大きい問題であるというふうに考えまして、すでに二年にわたりまして先生方の待遇の改善方策について検討をいたしておるわけでございます。本年度の予算におきましても、その集計等について、あるいはその分析等につきましての予算を計上し、すみやかにその検討を終わり、そうして抜本的なひとつ教員の待遇改善を考えたいというふうに思っておる次第でございます。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 趣旨はいま大臣が申されましたが、特に過密地域等におきまして、小中学校の先生方が具体的な問題としては不足をしてくる。とりわけ正教員の不足ということが神奈川県をはじめ、過密七県と称されます地域では目立っております。そういうようなことから、大臣の説明されました趣旨に合わせまして、具体的な措置といたしましては、これは大学局、初中局合わせて施策いたしておりますが、教員養成大学の教員養成を志望する生徒の定員増を過去教年間ふやしてまいっております。そのほか各都道府県でそういう教師に対する講習を実施するとか、さらに教員養成大学と当該所在の都道府県教育委員会とが十分連絡をとり合う、また少なくともブロック単位くらいの教育長間におきまして広域の人事交流が促進できるとか、そういったような直接予算に結びつくもの、あるいは行政措置だけのものといったようなことで施策は逐年推進いたしておりますが、しかし、必ずしもそれで十分であるというふうには申せない段階でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 いま言われた臨時教員ですね。いま過密地域における特徴は、臨時教員が非常に多い。これは局長が言われたと思うのですが、これに対しても各都道府県で教育委員会の措置というものが非常にまちまちだと思う。つまり学校につとめながら小学校の正規の免状を取らせるような施策をやっているところもあれば、埼玉県のように採用は採用だ、それは別だ、だから正規な資格を取っても、新しくまた試験を受け直すというような形が多いようです。ですから、私はやはり根本的に、いわばいまの教育学部の中身というものもいろいろと検討されなければならぬと思うのですが、特に義務制、特に小学校の先生が不足ということは非常に大きな問題だと思っているわけですよ。そういう意味において、ひとつ一貫した教師の養成といいますか、そういう問題について、これもいま便宜措置としてやられている点についても十分検討して、就職した者が腰かけ的にいつまでもやっているような形になってはまずい、こういう点についての措置を願いたい。大体、臨時教員はどのくらいいますか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは四十三年十月一日現在で全国平均の数字でございますが、全教員のうち臨時免許状所有のいわゆる臨時教員の占める比率は一・八%でございます。ところが埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫といったようないわゆる過密県と言われる七県の平均をとりますと、二・三%の臨免教員でございます。ところで、これは一般の状況でございますが、特にここ数年間におきまして、新採用の教員の中で臨免の教員の占める比率は相当ふえておりまして、四十四年度で過密七県の新規採用教員のうちで臨時教員が占める比率は九%、約一割近くが過密七県では臨免教員である、こういう実態になっております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 だから、この問題については、ひとつ急速に内容改善といいますか、資格を取るような措置が望まれていると思うのです。また臨時教員になった方々についても、中学校の免状を持っている人とか、あるいはその他高等学校の免状を持っている者とか、いろいろあると思う。そういうふうな点については、ひとつ具体的にあたたかい施策で教育界として安定するように指導願いたいと思うのです。これはまちまちですからね。県々によって、就職させながらその機会を与えて、そうして学校を指定して、ここへ行って勉強しろというふうにやっているところもあれば、かってに通信教育でやっている。しかし正規な免状を取っても、また新しく採用試験を受けるとか、いろいろな問題が介在しておるような面があるようです。この点については、これはもういまそれが改善されておるならばいいわけですが、その臨時教員に対する、一割近い人々を文部省として内容充実の方向にやってもらいたいと思う。それから、いま答弁の中に出た全国的な人事の交流ですね。これは、戦前と比較して戦後は非常にこの問題が私は困ったものだと思ってきている。これは、いまの教育委員会の成り立ちというものから考えてみてそういう傾向が強くなるのは当然だと言う者もあります。しかし、少なくとも人事の交流といいますか、やはりその点については、十分なる行政的な配慮があって、スムーズにこれがいけるようにするということが一つの大きな問題じゃないかと思う。そういうふうにしてもう少し積極的にこの隘路を打開していく方向の行政的な指導がほしいと思うんですがね。これは法制的にやっぱりやらなければならぬ面もあると思いますが、この点、大臣、どうですかな。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 実際、この人事の交流というのは非常にこれは大事なことなんで、たとえば、同じ県内でも、全体の絶対数としてはある程度いっているんだけれども、人事交流がうまくいかないために、あるところは非常に足りないという現象が実は起こっておるわけなんで、この辺は、戦後、教育委員会というものが各県にでき、また、市町村教育委員会というものができて、ここに、人事交流の形と、あるいはその意図とは無関係に、実際上なかなかむずかしい点が出てきたんじゃないか。それからまた、先生方のほうもやはり都市に集中をしていく。それから、なかなか生活環境になれない僻地というところには行きたがらない。それからまた、自分の子供がだんだん成長してくればその教育の問題もあってという、個人的に考えるならば非常に同情すべき点もございますが、こういうようなこと。それから、一人一人の先生の承諾を得なければこれはいけないというようなことにもなっておりますので、この辺のところをどういうふうに行政的に考えていくかということかと思うのでございます。また、同時に、各県でもそうでございますけれども、各県またまちまちの給与の実態、あるいは教員構成というものもございまして、これがなかなか行なわれないということでございますが、しかし、岡さん御指摘のとおりなんで、私たちの中学時代なんというのは、大体、中学の先生が全国各地から来られた。これは私の経験から言うと、非常にやっぱり意味があったんじゃないかということなんです。私は九州生まれでございますけれども、雪みたいなことは知らないわけです。ところが、先生が新潟から来られる、あるいは秋田から来られるということで、雪というのはこういうものだとか、スキーはこうだとか、あるいはスケートはこうだというようなことも、なかなか私の人間形成には役立っておると思いますし、そういうようなことを考えますときに、ちょっと固定化してしまっているんじゃないかというふうに思います。この辺についてはもう少しひとつ考えさしていただきたい。御趣旨は私はもっともだというふうに考えております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 特に私の要望する点は、全国交流ですね。県内における問題は県の教育委員会が施策を立ててこれを十分行政的に指導する。しかし、全国的な交流という面になると、どうしても、文部省がイニシアチブをとって、そしてこれがうまくいくようにしなきゃならぬ。ただ、全体的に言って、最近の傾向、お医者さんにしても、大学の先生にしても、都市に集中したいという、これは一体どこに問題があるのかということを考えていけば、やはり研究なり、あるいは収入なり、いろんな面があると思う。そういうふうな面について、最小限度、とにかく教育をやらんとする者がどこの土地に行ってもある程度生活が保障されるということの原則が確立されなければ、これは机上の空論になってしまうと思うんです。そこで、私はいまの教員給与というものを見たときに、結局、公務員と大体同じような措置がとられている。教育公務員だから当然だといっても、しかし、私は教育に対しては明治以来さまざまな角度において優遇策というものがとられてきたんではないか、こういうふうに考えるわけです。特に、ただ単なる収入だけではなくて、身分としても、あるいは相当、特別という形の中でいろいろと施策が講じられてきたというふうに考えます。そこで、大体、戦前からずっと考えてみて、いまの物価をいろいろと評価する人があるけれども、まあ大体千倍とすれば、五十円取っていた者は五万円というふうになるわけです。全体から見るというと、当時に比べて公務員の給与がダウンしたとも言えるかと思うんですが、その点について、どうも全体的に給与そのものが低過ぎるんではないか、そういうふうなことを考えます。しかし、国家公務員には国家公務員の宿舎というものがある。そういうふうな面で、いろいろと施策として補っておるけれども、全体として考えていった場合に、現状では、ますます人材が集まらなくなってくるのではないかというふうな気が強くいたします。これは最近におけるいろんな報告を聞いてみても、特に義務制の中においては男子の先生が著しく減っていく傾向がある。これはアメリカ並みになったといっている人もありますが、アメリカにおいても特段に給料が先生にいいということじゃございません。しかし、政府の施策として、七〇年代の教育というものを考えてみたときに、やはり待遇の改善という問題が根本的にあると思う。こういう点について——時間がありませんが、文部省のほうとして、やはりいろいろと考えられておるけれども、最近における一つの傾向として、超勤問題をめぐって、先生を専門職、聖職的な方向に持っていこうというふうな考え方が強く出ているんではないかということを指摘する人もございます。しかし、いずれにしても、内容的にいって、教員の待遇の改善等については、あまり政治的、政略的にものを考えないで、やっぱりすなおに、教育界に人材が集まるような施策というものが要望されてしかるべきだと思います。最近において、文部省で、二号俸ないし三号俸かさ上げをするというふうなことを聞くのですが、これはしないよりかいいと思うんです。そのほかに、私はやはり昔の年功加俸という問題について、どういうふうにものを考えているのか。つまり、いろんな待遇の改善策を考えていった場合に、公務員との均衡とか、いろんな問題があるにしても、住宅問題一つとらまえても、これは均衡を失していると私は考えています。そういうふうな面を考えて、たとえば、学校を卒業して十年たったら、研究費なら研究費を大幅に増額するなり、あるいは二十年たったらどうするか、いろんな方法が考えられると思うんですがね。これは一つの、いま、私がここで簡単に言いますが、財政的にもこれは相当多額になると思いますが、しかし、抜本的に待遇を改善するということになれば、何らかの具体的な、通りやすい措置というふうになると思うんですがね。この点について、二号俸、三号俸かさ上げをするというふうな考え方は、いまどうなってるんですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) そのことについて御説明を申し上げます前に、戦前、これは昭和九年から十一年の平均と、それから戦後の昭和四十年〜四十二年の比較でございますが、一応の試算でございますけれども、たとえば、昔の市町村立の尋常高等小学校におきまして名目額が七百二十五円、それを四十年度に換算いたしますと六十四万三千円、そうすると、これに対しまして一人当たりの国民所得の名目が二百九円、それに対して今日では名目が三十五万六千円になっている。こういうふうにして、これを考えますと、その当時は、国民所得一人当たりに対して三・五倍であったのが、現在一・八倍ということで、先ほどおっしゃったようなことが、数字にも実はあらわれておる。これはこの統計だけですべてを割り切るわけにいかぬと思いますけれども、やはり人材を集める努力というのは、相当戦前において行なわれておったのじゃないかというふうに思いますし、戦後になりましてからも、初任給につきましても、それから国家公務員等につきましても、多少配慮はいたしてきているわけでございますが、最近になりますと、それがずっと幅が狭くなってきておるように思うわけなんでございまして、この点につきましては、やはり抜本的な改正が必要じゃないか。当面の一号とか二号とかいうふうなことでやるのでなくて、私は調査結果を待ちまして、ちょうど昭和四十三年、四十四年の二年度にわたりまして、給与の実態調査を行なってまいりました。この調査結果を分析いたしまして、そしていろいろの戦前との関係やその他の公務員との関係等もよく考えて抜本的な改正が前向きに検討されなきゃならぬじゃないかと、こう考えておる次第でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 特に大学教官の問題について考えてみまするというと、これに、したがって、義務制のほうも出てきているわけですが、この人事院のほうの月報の中で見ても、助教授なり若手なんかでは、まだ七、八万というのがかなりおるということで、社会常識からいって相当の頭脳もあり、大学につとめてもう七、八年から十年ぐらいたっておる、三十四、五、そういうふうな方々がこれでは落ちついて教育をすることにはならぬじゃないか。だから大学に入っても研究をもっぱらして、教えることは片手間ということになって、業績をあげてどっか上のほうに、とにかく学界の中でも何でも目立つようになれば、またいろんな面において収入というものが非常にふえてくる。したがって、学生にものを教えることに精力をそぐよりも、このシステムでいうと研究オンリーになって、研究の実績をあげなければうだつが上がらぬということに体系もなっている。だから、そういう面においていまの大学の教育を論ずるときに、私は文部省が悪いんだ、大学が悪いんだというふうなことではなくて、相ともにこれは直すべきところは直していくという形、こういう点について、私は坂田さんもそう思っているんではないかと思うんです。そういう点でいまの俸給体系から見ても、これでは落ちついて生涯を大学にということになかなか七〇年代はならぬじゃないかという心配をしております。教授の最高俸が十六万四千七百円、これではその道におけるオーソリティーというふうな方々に対する待遇があんまりよくない。それで、小学校の校長で三十一年もやっていて、手取りが、ボーナスが十万そこそこというふうなことの報告も一、二来ておりますが、これは低いほうですけれども、しかし、根本的に言って、私はいまの大学の中を見て、その点についてやはり思い切った施策がとれないものかどうか。つまり教育を十分やっていくというために、もちろん大学ですから研究も十分やってもらわにゃならぬけれども、現状改革にはやはり研究と教育の両輪を併立するということについて施策を講じてもらうためには、教育に力を入れる、教官が浮かび上がっていけるような一つの方向づけというものが必要じゃないかと思うんですが、この点どういうふうにお考えですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) その点につきましても、一つの指標でございますけれども、これは日本の大学の先生につきましては、国民所得一人当たりに対して約三倍と、こういうことになっております。十万五千八百円ということになっておりますが、アメリカはかなり低うございまして——アメリカのほうはこれには出ておりませんが、イギリスの場合は五倍、それから西ドイツの場合にはもっと高くて五・八倍ということになるのでございます。やはり大学の先生というものはかなり高い水準にあるということかと思います。いまおっしゃるようなことも、私自身も実は考えておるわけでございまして、やはり今度の調査結果を待ちまして、大学の先生等も含めて前向きに検討しなきゃならぬというふうに思っております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 戦後非常に学校の数、それから教授の数もふえて、かなりこれに対しては財源を要すると思いまするが、根本はやっぱり教育の振興にあるということになるならば、いま大臣が言ったように、事務当局のほうとしても、この点をひとつ督励してやってもらいたいというふうに思います。そうして文部省の役人をしているよりも大学のほうがいいんだというふうに、まあ教育委員会でいろいろとやっていられるよりも、現場の先生になって、はつらつとした教育をやっていたほうが生きがいがあるというふうな方向に問題の処置をしていってほしいというふうに考えます。  まあ公務員は全体に国としての一つの基準というものがあるわけですが、教育職に対してはいま言ったように各国さまざまな状態をなしていると思うんですが、いろいろと資質の向上という面について、現職教育というものをやられておると思うんですが、アメリカの方式等からいえば、資格が上がるに従って給与がぐっとついてくる。したがって、現職にいる先生が、たとえば大学を卒業して、それから夏季大学とか、そういうものに対して自分が修士なら修士課程をとっていくというふうな一つの努力目標の中でそれをとれば俸給がずっと上がるとか、とにかく俸給自体の内容としても、ある程度そういうふうな面についての励みとか、それから現場にいて——最近はだんだん先生が増加しておりまするけれども、私は持論として、これもいろいろと意見があると思うのですが、少なくとも義務制においても男子の先生と女子の先生が均衡のとれた形の職員配置ということが望ましいんではないか。時代の流れで有能な男子は教職につかぬ、そうして大体レベルが中間以下だ、でもしか先生と、こういうふうなことが世上言われている。これでは教育に気概を持てと言っても、これはちょっと気概が持てないんじゃないかという気がするわけですね。したがって、私は、やはり全部が待遇待遇だけではないと思いますが、しかし、その点については、いま大臣が言われたように、大学の先生を含めてひとつやってもらいたい。ただ、ここで私がお願いをするのは、研究する研究すると言っているうちに大臣をやめちゃうような状態なんですよ、いままでの文部行政の根本欠陥は。つまり非常にいいことを言われるんだけれども、実が熟さないうちに、その言われていることが花が咲いても実にならないうちに大体交代される。だから、結局何というか、いまの行政的な責任というものは、政党政治の中においては、あるんだかないんだかわからぬという心配がある。だから、坂田さんの在任中にこのことをやってもらえるかどうか、このことを、大臣、ちょっとやはりはっきりお考えを聞いておきたいんです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これはまあ岡さんも御承知のとおりに、私、昭和二十一年に国会に出てまいりましてから、その大部分を教育の問題と取り組んでおります。したがいまして、在野にあろうと、あるいは大臣になろうと、一筋に、この何といいますか、教育の充実のために努力をしてきたつもりでございます。したがいまして、そのことにつきましては、私がやめようと、それは責任を果たしたいというふうに考えているわけでございまして、たとえば証拠をちょっと申し上げますと、たとえば……。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 坂田さんは正直だからね、私は、あえてそれに対して反論しませんけれども、正直だから、あなたはまあ最近に珍しい文部大臣だと思っておりますからね。しかし、少なくとも今度次の四十六年度においてはまだ在職するという可能性が強いわけですから、ことし、ひとつこの問題をとらまえてやるという決意を持ってもらわないと困る。いつまでも研究研究と言うているうちに日が暮れるという形では、それは坂田さんがやめて、もちろん自民党の文教部の重鎮としてやられることについては、いささかも疑っておりません。しかし、何といってもやはり文部大臣の一つの職責というものは、これを推進するのには非常に力があるわけです。そういう点で、これは文部省の官僚陣営を含めて、坂田さんを応援して、ひとつりっぱな待遇改善の実が上がるように、これは私のほうで強くお願いしておきたいと思う。これは何もいままでのやり方がなまぬるいとか何とか攻撃するだけでは問題が処理できません。いままでの御努力とか、そういうふうな調査ということについては是として、ひとつその上に立った施策をお願いしたい。  時間がありませんのでもう少し……。私は私学振興について一言。ようやくこの人件費が補助になってきた。いままでは非常に難航してきた。で、大学紛争という問題からなかなか大学で授業料の値上げというものが簡単にできなくなってきている。そういう面で、一方においては大学の内容の改善を言われ、一方においては財政が非常に危機に瀕している。こういう両面の中から国の大部分の教育を引き受けている私学に対する国の補助としては、これはおそきに失したのではないかとも思っておったわけであります。しかし、ことしからこれが出発するわけですが、その人件費の補助というものを考えてみたときに、この大学の寄付金ですね、これは大学自体としても悪意があってやっているとは思いません。やはり経営内容その他非常に苦しい。一、二の大学は非常にずさんきわまる経営内容ということがしばしば指摘されておりますが、しかし、大部分の大学がこつこつとやはり子弟の教育に努力していることを私は十分認めていかなければならぬと思うのですが、ただその場合に、人件費の補助はした、その他の一般的な助成はしている。ところが入学期になってみるというと、いささかも父兄の負担が軽減されていない。これでは私は国民的に私学の助成に対して腹の中から応援してやろうという気持ちが起こらぬと思うのです。こういう面について、寄付とかそういうものについて、いまここに、助成するから全部やめろとかいってもそれは一ぺんにはできぬと思いますが、一つの限度があると思うのです、社会的な常識の。そういうものについて、特に福岡の薬科大学とか、あるいは日大の芸術学部の問題とか、その他、これは氷山の一角ですが、寄付金を見て入学の発表をあとでする、これは行き過ぎではないかと思うのです。こういうふうな行き過ぎの問題については遠慮なくやっぱり指導して、そして一面においては財政というものについて率直にひとつ支援していくということがないといけないと思うのですが、その寄付金について大臣の所見をひとつお願いしたい。極端なところがありますから。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) いまおっしゃいますとおりですね、その点は。ただ、この収入と支出との関係でございますけれども、たとえば一般収入で千二百五十八億、これが六〇%でございまして、その大宗が納付金収入が九百七十七億、四六%、援業料が五百四十七億、二六・六%、施設拡充費が百八十億、八・二%。しかし、その中で寄付金が百六十三億で七・八%なんであります。この中には会社その他の寄付金も含まれておると思うわけでありますが、しかし、最近新聞等に出ておりまするちょっと常軌を逸したような寄付金のきめ方、それから、何かいかにもそれを寄付金を納めなければ入れてやらないというようなやり方、これは私は間違っておると思うので、私たちでわかりましたそのつど、これに対しては注意を与えておるという現状でございます。詳しくは管理局長からあと説明を申し上げると思いますが、そういうようなこともございますし、それから国立、公立の先生方の給与が、毎年上げなければならない、また上がっておる、そういう実態で、どうしてもこの私学のほうも上げていかなければならない。しかしながら、今日の私学経営のこの実態から申しますと、結局、基金とか、あるいは寄付金とか、事業収入とかというようなことだけでは、とても私学の経営というものはやっていかれない。また教育の質的向上というものがはかれない。国立だろうが、私立だろうが、学生一人を教育するのには百数十万のお金がかかる。これは同じなんで、そうすると、結局納付金、援業料その他の寄付金によらざるを得ないという実態に追い込まれてきた。あのようなお金持ちでありますアメリカにおいても、昔はロックフェラーとか、カーネギーとか、何とかというような大会社がその寄付金を出すならば、大体授業料三分の一、寄付金その他三分の一というようなことで、三分の一、三分の一でやれたのですが、そのアメリカすらも今日大学生一人教育する、特に自然科学系統の学生を教育するには非常な多額な金を要する。しかも、その大学生は非常に多くなったということで、もう財閥ですらもそれはスズメの涙というような形になってきて、結局国が、あるいは連邦政府がお金を四〇数%出さなければやっていけないのだ、こういうふうに変化をしてきたわけなんで、ひとり日本が経済成長が豊かと申しましても、その私立大学百六十万人の学生をほんとうに教育程度の高い研究をやりつつ卒業させるためには相当の経費が要るわけで、これを納付金や授業料とか、あるいは寄付金だけでまかなうということはもう不可能だと私は思うのです。したがいまして、私はどうしても私の在職中にこの私学助成だけはひとつけりをつけたい。先ほどのお話ではございませんけれども、前々から、私は野にありますときからそれを申し続けてきたわけでございますが、これは果たしたいということで、その初年度として百数十億の人件費を含む経常費支出ということをやり、そしてまた日本私学振興財団法もまた審議をわずらわすということに相なっておるわけでございます。これは非常に少ないので、やはり私は本俸の少なくとも半分までは国がめんどうを見るというところまでいかなければならないというふうに考えておる次第でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 いまその点聞こうと思ったら、大臣のほうから、大体五割程度目標にしていく、しかし、経済はいろいろと変わってきますからね、結局イギリス等においても、ほとんど私立は全部国でもうやっている、まあ援助してコントロールしないというふうな形が原則としてできておりますが、私、端的に言って五割の目標はほんとうは大臣少ないと思うのですよ。少なくとも六割ぐらいやっておいてやはり問題を処理していかないというと、いまだんだんだんだん物価が高くなっていきますから、いまの物価の度合いがこれでおさまっていけばかなりその点はよくなると思う。ただし、いまの物価の上昇の度合いからいけば、五割程度ではこれは実態がなかなか動きつかなくなるのではないかと思う。しかし、当面五割ということについてひとつやってもらいたいと思う。同時に、自治省のほうで高等学校以下の私学の助成、これについてやられていた記事を見たわけですが、これはどういうふうにやられるか、ひとつ具体的に単簡に。いよいよ時間がなくなってきたから。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) ただいまお話のように、大学、短大、高専につきまして、国の予算で人件費を含む経常経費について新たな助成措置が講ぜられたわけでございますが、高校以下の私立学校につきまして、従来から地方で自主的にかなりな助成をいたしております。また交付税の計算上もそれを前提にいたしまして相当額の計上をいたしておりましたが、今回、国において大学等について新たなる助成措置が講ぜられましたので、それに準じまして大幅な増額をいたしました。具体的な金額で申しますと、従来は四十億程度、基準財政需要額に算入しておりましたが、四十五年度は八十億を基準財政需要額に算入する。算入方法のしかたにつきましては、国の経常経費の計上に準じた形で交付税計算をすることにいたしております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 そうすると、それは高等学校以下各種学校まで含みますか、含まないのですか。学校種別で言ってください。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 各種学校を除きまして、高等学校、小中学校、幼稚園を含むということになっております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 そこで、大体生徒一人どのくらいになるんです。積算の基準があると思う。高等学校、小中学校。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 実は交付税の確定は、御承知のように八月でございます。いま鋭意単位費用につきましては、国会で交付税法の御審議をお願いいたしております。別途、児童生徒数などによりまして補正をいたしたいと考えておるわけでございます。各府県ごとに必ずしも実態が同じでございません。と申しますのは、この関係の経費は、人口で一応基準にいたしまして計算いたしております。人口ではもちろん的確な算入ができませんので、児童生徒数の多寡によりまして補正をいたしたいと、こう考えております。その補正関係の数値の確定をいたしますのが八月でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 おおよそどのくらいですか。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) いまのところ高校小中学校につきましては四千円前後、それから幼稚園につきましては千五百円前後という考え方で計算を進めるようにいたしております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 時間がありませんので、大臣ね、この私学振興財団ですね。この人事権は大臣が、この法案が成立すれば持つわけです。で、この人事の問題によって、私は財団が真に生きてくるかどうかということがあると思うのですね。私は必ずしも民間とか官界とか、いろんなことは言わぬが、しかし、端的に言って、まあ私学というものについて、やり方が総花的にやられるとは私は思いせんからね。具体的に言って、人事によって、この私学振興財団というものが非常に有効になるのかどうかということがかかわってくると思うのです。特にこれが国家予算みたいに配分の陳情が激しくなって、それによって左右されてしまうというようなことがあってはならぬと思うのですが、このいわゆる人事についての問題と、人件費補助その他について、基本的にどういうふうなことを考えているかということが第一点でございます。総花でないとするというと、結局具体的に大学設置基準について、いろいろと大学の構成、いわゆる待遇というものが、各大学まちまちだと思うのです。それをおしなべて一割やるんだというんでは意味ないと思うのですね。したがって、鋭意経営に努力して内容を充実してきた大学というものについて積極助成していくとか、いろいろと方法があると思うのですがね。その点についてお答えを願いたいということと、私は最終的に幼稚園の——これは学制改革に触れる時間がないから、これは文教委員会に回して、六三三制を通じて、幼稚園教育、五歳児教育という問題との関連の中で、幼稚園の義務化というふうな問題が非常に言われております。これは父兄のほうからいえば、財力的にいってもいまの幼稚園の経費その他、教育費の値上がりでとてもたえられぬという問題があると思うのですが、この幼児教育の中における幼稚園の義務化について文部省はどういうふうに考えておられるか。五歳児教育についての考え方、この二つについて。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 日本私学振興財団の人事の問題は、もうこの運営いかんにかかっていると思いますから、人事につきましては十分注意をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。まあ私の気持ちといたしましては、イギリスに定着いたしておりまするUGCみたいな、ほんとうにだれからでも、私学からも、国あるいは一般の民間の人たちでも、これならばまかせておけるんだと、こういうような財団にしたいというふうに、実は思っておるわけでございます。でございますが、そこで、この人事につきましても、少数精鋭というような考え方を実は持っておりまして、常任理事四名、それから監事二名、それから非常勤理事四名ということ、それから運営審議会というものは、これは二十五名とか、三十名とか、大いに私学の人たちを入れてというような話もあったわけですけれども、私はこれはやはり少数精鋭で、ほんとうに私学振興に対する基本的な課題について御審議をわずらわす、あるいはいま御指摘になりましたように、積算基礎等について誤りのないようなことが、はっきりやれるような人をここに得たいという意味におきまして、十人の人をお願いをするということにいたしておるわけでございます。もちろん私学のことがよくわかって、また幅広い視野を持った学識経験者等を入れて、これを運営していきたいというのが私の基本的考え方でございます。  それからもう一つは、幼稚園の五歳児教育の問題でございますが、これはまあただいま中教審におきまして検討をしているところでございます。私は五歳児から、学校教育のこの学年のいまの形において義務教育化するということと、現在の幼稚園教育というものを充実した形において、それをある程度義務制にするのと、やはり二つの考え方があろうかと思うのでございまして、この点については、いろいろこの検討をしなければならないんじゃないかというふうに思います。イギリスはインファントスクールを五歳児から始めておるわけでございます。私もそれは見にまいりましたけれども、今度は過去におきまして、幼稚園をやってこられた人たちの話をすると、ああいう考え方はなっとらぬ。つまり就学前教育というものをわかっておらないのだ。むしろフランスと同じように幼児教育は幼児教育、学校教育は学校教育という形でなければならない。そうして幼稚園のむしろ義務化ということを考えたほうがよろしいというような御意見もあるわけでございまして、やはりその点はもう少し十分検討させていただきたいというふうに思っておるわけであります。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 以上で質疑を終わりますが、最終的に大臣に強い要望ですが、私はずっと文化勲章というのを見ていて、教育者というものがあまりにも冷遇されておるんではないかと、いつも日ごろ思っておるわけです。何かの尺度がなければ表彰しない。だから大学の先生は前に言ったように、研究が中心で教育が従の従になっている。つまり、教育に実績があがった人を社会的にも国家的にも認めていくという、文部省に具体的な案がないわけですね。私はこれは次回の文化勲章には、教育に功労のあった者をひとつ必ず一名程度は入れて、それは音楽であれ、絵画その他いいですよ、学者の研究大いにやらなければならない。一番肝心な人間を教えている人のその努力というものについて報いないということは、私はないのじゃないかと思う。これは文部省のほうでもいろいろ配慮されていると思うけれども、具体的な選考になるというと、何か業績業績といって、目にみえるものだけがものさしにあたって、ほうとうに人間を形成していくという努力をしていく人の中から、文化勲章というふうな形の推薦がいままで私はなかったと思うのです。あったならば教えてもらいたいと思うのですが、そういう点について、教育尊重というものの実をあげるために、せめてひとつ坂田さんのときに、教育界に教育、教えることについて非常に功績があったという方々をぜひ入れてもらいたい。これはただ物質的な問題だけではなくて、非常に精神的に教育を尊重するという実をあげる、一つの尺度にもなるのじゃないかと思うのです。この点は特にひとつお願いしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) いまのお話は私も同感なんで、私自身もそのことを、この前のときにも、実は努力をしてみたんです。ところが、なかなかいまのようにだれをするかという段階で非常にむずかしゅうございました。しかし、これはどういう基準でやるかは別といたしまして、やらなければならぬことだと思います。どうも大学紛争を考えておりましても、大学の先生方というのは、教育研究といいながら、研究だけが中心になって、教育を忘れているんじゃなかろうか、そこにやはり問題があるのじゃないかと思います。ところが、最近の東大のレポートを見ますというと、やはりそれではいけないんだという反省に立って教育従事者の方向も出てきておるようでございますし、私は、やはりこの際、学術研究のすばらしい研究をなされた方に勲章やることも大切ですけれども、ほんとうに打ち込んで、一生教育界に尽くされた人たちに対して文化勲章を差し上げるということは、ぜひやらなきゃならないことだというふうに思っておるわけでございまして、この点の具体的検討につきましても、私ひとつ考えていきたいと思っております。

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 ちょっと関連して。坂田文部大臣の時代に私学振興会を発展的に解消して、そして私学振興財団を設立すると、これは私学に対する一つの大きな配慮、前進であると喜ぶ次第であります。また、私学についての経常費を助成する、これも私学にとって非常に振興上役に立つことでありまして喜びにたえないのであります。本年度の予算に百三十二億二千万円掲げてあるようですが、これを分配される基準というものがあるならば承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) この予算編成の過程におきまして、やはり傾斜をつけるべきだということで、本職員に対する去年の実績をその基礎にいたしたわけでございますが、それに対して医科、歯科というものは大体三分の一、それから理工系が五分の一、それから文科、社会系統が十分の一、それから短大、それから高専というものがたしか二分の一、理工系の高専につきましては、高専は理工系でございますから、これは五分の一ということでございます。

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 もう一つ。私立の大学は援助の問題が出てしあわせだと思いますが、高等学校以下の私立学校、山口県でも私立の高等学校で生徒がふえたということで設備を拡充したのであります。ある高等学校でも、このため負債が一億もできたのでありますが、昨今は志望者が激減し、学校はこのままでは廃校せねばならぬという状況になっております。すでに一校は廃校いたしましたが、自治省は高等学校で生徒一人当たり四千円助成する、交付税で見ると、こういうことでしたが、これは本年度ですか、これからやるんですか。それは特別に交付税で生徒当たり見て、一般交付税で渡すんですか、その点。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 先ほどもお答え申し上げましたように、地方交付税の基準財政需要額に算入いたします。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最初に、私の質問は岡委員の最初の質問に関連するわけですが、都市化現象のために公共施設が非常に必要化されてきた。特に学校用地の取得には財政負担が非常に大きい、この点は文部省も自治省も御異論がございませんね。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) 異論はございません。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 しかし、自治省の説明のように、人口急増補正という方法だけでこれが解決するかということになりますと、私はそうはいかないと思う。人口急増補正といったところで、これは交付税に付随して補正するわけでございましょうから、そうなら不交付団体は一体どうなるか。人口急増地域ではわりあいに不交付団体が多い。  それからあとで詳しく申し上げますが、これは先行投資で土地を獲得するというが、先行投資を一体対象にしておるのかということになりますと、対象外ではないかと思いますが、どうですか。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 第一点の、地方交付税については、基準財政需要額に四十四年度は百一億円程度の用地費、整地費その他種々のものを含めまして人口急増補正をやっているが、十分でないのではないかという御指摘でございますが、これは私どもも同様に考えております。もっと拡充措置を講じなければならぬという考えを強く持っております。  それから第二点の、先行取得の問題でございますが、これは御承知の、交付税の基準財政需要の算定上、土地開発基金制度を設けております。これによります措置と、それから御承知の公共用地の先行取得、これは四十五年度二百五十五億円程度を予定しております。そういうものを運営いたしまして措置してまいる。ただ、そうは申しましても、起債のワクも十分でございませんので、なおそのほかに縁故債などを弾力的に活用してまいることがぜひ必要であろう、こういうふうに考えております。  なお、交付団体につきましては、これは交付税計算の仕組みも、先生十分御承知でございますので、交付税によります措置は、全団体を通じて基準財政需要額に所要額を算入し、基準財政収入額がその需要総額をこえます場合には、交付税の交付はないということになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、結局、地域的には一番必要とするところには何ら手当てが施されていないということが現状ではないかと思うのです。開発基金といったって、開発基金で一体先行投資の何%を補うことができますか。具体的にひとつ申し上げてみたいと思います。千葉県の市川市でございますが、この間の予算委員会で私申し上げたんですが、学校分だけ先行投資をして、縁故債でまかなわなければならない金額が五億九千万あるわけですよ。そこへ今度はまた住宅地の造成で新しい住宅地が生まれてくる。私どものところへ参りました陳情書によりますと、新しい区画整理事業によりまして、この地域内に流入する人口が七万人、小学校六、中学校三及び保育所六の公共施設が必要となるわけです。したがいまして、この用地面積が十八万平方メートル、金額にして二十八億八千万ということになります。大体一平方メートル当たり一万六千円という単価であります。これは区画整理組合から市が先行投資で買い入れをするわけでありますが、しかし、その金がありませんと、これはいますぐ買うというわけにはまいりません。そうすると、区画整理組合は決算をする関係上、また市よりは民間に売ったほうが高く売れるわけですから、民間に売られるというふうになるわけです。しかし、この財源はどこにもないわけです。これは開発基金といったって、開発基金が幾ら補うわけでもございませんし、また不交付団体でございますから、先ほど御説明のような急増補正の恩典にも浴さないわけですね。こういう地域に対して、御説明の限りでは、現行法の関係では何にも財源手当てはない、どうして、急増地域を最小限に見ても小学校六、中学校三というものの用地を取得できますか。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 市川市は、実は四十三年度までは不交付団体でございましたが、土地開発基金、あるいは先ほど申しましたように、人口急増補正、あるいは都市圏補正というふうな、各種の過密地域における基準財政要額の大幅な割り増しを四十四年度に行ないましたので、交付団体になっております。  ところで、いま御指摘の先行取得の問題でございますけれども、土地開発基金につきましては、市町村分は四十四年度が三百七十七億の措置、四十五年度は六百億、合わせまして約千億の措置を二カ年度でやることにいたしております。さらに引き続いて、ここ当分の間これを続けてまいりたいと、かように思っております。このほかに先ほど申し上げました先行取得債を重点的に学校用地を中心といたしまして手当てしてまいりたい。さらに、これでもって補えない部分につきましては縁故債なども活用して措置してまいるということで、一応現実の用地問題につきましては、できるだけ手当てをできるように努力してまいりたいと思っているわけでございます。ただ、先ほどもお話がございましたように、地方債につきましてはあと元利償還の問題が残ってまいります。その辺のところを考えまして、やはりいま少し前進した抜本的な策というものを検討する必要があろうかというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 都市化現象によってすでに縁故債が十四億あるわけですね。四十四年度までに十四億という縁故債がある。そこへさらに二俣という地域に防衛庁の宿舎が千二百世帯設置をされましたので、小学校を新設せざるを余儀なくされまして、用地費が一億五千三百七十九万二千円、建設費が一億五千三百七十九万二千円、これは市に出せませんから、債務負担行為でまかないをつけて、そこへ新しく二十八億八千万という費用で土地を先買いをしなければ学校の土地が取得できない。いま先買いをしなければ区画整理組合はよそへ売ってしまいます。十四億の縁故債をかかえているところへ、あと二十八億縁故債といったって、そういう縁故債なんかは求めようがありませんよ。大体四十三年度ごろの市川の予算は三十億、いま若干ふえておりますけれども、それで二十八億八千万の一体縁故債はどうしたって得られるはずのものではございませんよ。こういう点に全然手当てが施されておらない。手当てが施されておらないのは二つ理由があると思うんです。四十五年までに超過負担の解消を自治大臣と文部大臣の間に約束がされておりますが、この超過負担の中に公共用地を取得する費用というものが対象になっておらない。それから、これは文部省の問題でございますが、超過負担を生じた理由として、単価差、数量差、対象差というのがありますが、用地は補助の対象になっておりませんね。しかも、これは関係団体からこういう急増地域については建築費の費用も小学校でも——小学校が一番対象は多いわけですから、中学校並みの二分の一の補助に引き上げてくれという要求がありまして、一応、文部省も考慮はされておるようですが、この実現もございませんね。全然手当てなしということですよ、これは。この点は文部省にひとつ伺いたいのですけれども、二十八億八千万もかけなければ用地の取得ができない。用地の取得ができなければ、区画整理をした都市計画地域内ですから、人口増が当然ある。とすると、小学校も中学校も子供の収容ができないという状態なんです。しかしながら、財政的な措置は何にもないということであっては、義務教育というものの一番前提になる施設というものが整備される条件はどこにもないでしょう。こういう問題はこれは文部大臣だけでどうこうという問題ではございませんが、どういうようにお考えを、あるいは対策をお立てくださいますか、ひとつ御説明をいただきます。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) いわゆる人口急増地帯の問題でございますけれども、先ほど来お話のございますように、学校だけの問題ではなくて、生活環境全般等非常に広い範囲にわたっておりますので、私どもも非常に対策に困惑しておるわけでございますけれども、その中で特に御指摘のように、学校関係の用地の問題というのが非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。従来までは私どもはこれは起債の対象として、起債で何とか処理をお願いできないかということで自治省等にもお願いをいたしておりまして、四十五年度には政府保証債が八十億というふうなことも実現したわけでございますけれども、しかし、用地の問題は総額にいたしましてかなりの額になりまして、それを上回るというふうなことでございますので、私どもも行政管理庁等の勧告もございますので、土地の問題につきましては、先ほど大臣がお答えいたしましたように、少し従来とはまあ態度を改めまして、現在指摘されておりますような土地に対する利子補給というふうな問題もございますので、それらを総合的に考えまして、来年度どういうふうな予算の要求をするのかというふうな態度をきめたいというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 起債とおっしゃいますがね、起債は限度額にきているわけなんですよね。こういう状況を放置しておきますと、償還額のほうが起債額よりも大きいということになりかねない。金は借りますけれども、払いましたら、残ったものは持ち出しだということにもなりかねない。  次に、税収入についてもここに表がございますが、人口一人当たりの税収で、こういうように団地化されたところに入ってくる方の市税と、それから従来いらした方の市税とを分けますと、隣りの船橋市においては、一般分は平均四千八十一円、ところがこういう団地分は、急増地域に入ってきた方の税金は二千四百三円、松戸市におきましても前が三千九百六円、あとが二千八百六十八円、いまの市川の問題をやりますと、この防衛庁関係、当たりさわりがあって恐縮ですが、千二百世帯入ってくる。全体の税金は千五百万にしかならない。千五百万の収入に対して、用地費一億五千三百七十九万二千円、建設費一億五千三百七十九万二千円、もちろん補助がありますけれども、補助は一部分でありますから、これだけの持ち出しをしなきゃならない。毎年毎年これだけの学校がたくさん急増地帯でできてきては、これは終末処理場もつくらなきゃならない、街路もつくらなきゃならないといったような、ほかの都市的な投資もあるわけです。やっていけないですね。そうすると、新しい学校はつくらざるを得ない、旧来の学校は施設が老朽であってもそのままという悪循環を繰り返すことになりますから、これは局長さんではなくて、大臣に、どうしてくれるのか、どうなさろうとお考えでございますのか、ひとつ御所見を承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これは予算委員会におきましてもいろいろ御指摘になられた点でございます。私どもといたしましては、やはり臨時的な措置として、単に起債だけではなしに、利子補給とか、あるいはまた補助率アップとか、あるいはまた土地取得に対する国庫補助も含めてこれは考えなければ処理はできないんじゃないかと、率直に私はいまそう思っておるところでございます。そういうような考えでございますが、十分ひとつこれは検討をいたさせていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは自治省に御見解を承りたいんですけれども、まず第一点は、先行投資をする財源をどうして確保できるのか、その方法を考えていただきたいというのが一点、それから特別交付税等で、こういう急増地域というのは、やはり過疎地域にいろいろな方法を法律的にこれから講ぜられるというなら、急増地域にも当然行政的に講ぜられる範囲で、たとえば特別交付税等の配分で元利償還を何とか補うといった方法を講じてもらえるかどうか、この二点をひとつ伺いたい。

森岡敞自治省財政局財政課長

○説明員(森岡敞君) 先行取得の財源措置、あるいは資金手当てにつきましては、先ほど申しましたように、やはり交付税で昨年から始めました土地開発資金をさらに拡充、継続していくことが一つ、それから先ほどこれも申しました、公共用地先行取得債のワクをさらに大幅に拡充していくことが一つ、この二つでもって私どもは資金手当ては措置していけるというふうに考えております。  それから用地取得、その他の地方債の元利償還費を中心といたします人口急増地域の財政需要に対する措置につきましては、これは単に私は特別交付税ということだけでなくて、普通交付税も含めまして、過密対策、人口急増地域対策として留意すべきだと思っております。また、ここ最近、その線で交付税の計算を強めてまいっております。さらにそれも留意するということが望ましいと、こう考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 自治省、けっこうです。  次に、文部省に伺いますが、文部省から各都道府県に出向いておりまする教育長は現在何名ですか、概数でいいですから。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 文部省から出向いておるということは、人によっていろいろございますが、千葉、群馬、それから秋田、福岡、鹿児島、北九州市、それから宮城、これが出向いておるというのが当たりますか、どうですか、文部省に長らく在職していた者が、現に教育長になっておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 長らく文部省におった者が教育長になっているところの教育、あるいは教育行政上の他の地域と比べての特質はどういう点ですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 文部省にかつてつとめておりました者が出向いております県とその他の府県の行政上の特色ということは、お尋ねの趣旨がよくわかりませんが、特に指摘できませんが、ただ、これらの者がまいります場合に、当該都道府県教育委員会のほうから、文部省のほうに、教育長候補者を推薦してほしいといったようなものもございますし、そうでなく、次長等でいきました者が、その県の事情で教育長になった者等もございますので、先生のお尋ねに直接お答えできにくうございますが、意図的に、こういうところであるから、こういうその他の県と比べて特にこのような事情があるので、特に文部省からいかしたといったような趣旨のものはございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 先ほどおあげになった人数も違っておりますが、私の質問しようとする趣旨はそういうところではございませんので進めてまいります。  地方教委は県教委の指示、あるいは指導を受けてやることがたてまえではないでしょう。自主運営をすることがたてまえだと考えてよろしゅうございますね。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは先生も御承知のように、地方教育行政に関する法律によりまして、それぞれ府県、市町村のなすべき職務は規定されておりますし、それに加えまして都道府県の教育委員会等が市町村の教育委員会に対していろいろ指導助言をするという機能が都道府県にはプラスして加えられておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、ある行為が地方教委にあって、その行為に対して指導助言ということがたてまえですわね。それなら県教委が、県教育長といいましょうか、地方教育長等を招集して、ある行政方針を実現させるように、細部にわたってこまごまとその指示をすることは好ましいことだとお考えですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 一般論といたしまして、何でもかんでもすべて指導助言権があるからということでするということは、これはまあいかがであるかと思いますが、具体的な問題に即しまして、小さい点までも指示を含んでの指導助言をする必要があろうかと思います。具体的な問題に即して考えるべきことであろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 指示とか助言とかというのは、あくまでもこれは受けて立つわき役的な役割りですわね。指示助言があって、それから地方教委が行動するということは逆ですよね。そこで、特に身分関係で、地方教委の内申もないのに、内申を強制するような指示をすることはどうです。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは一般論としてはなかなか——具体的な問題を踏まえての一般論の御質問であろうと思いますが、したがいまして、具体的な事項に即してお答えしないと誤解を生じようかと思いますが、少なくとも法律的には、内申と申しますのは先生御承知のように、人事の問題等につきましての内申権、任免権、それぞれ法律に規定がございます。したがいまして、それに基づいていろいろ指導助言が行なわれるものと思います。したがいまして、内申は市町村がするのだ、都道府県はそれを受けて任免をするのだというたてまえでございますが、しかしながら、内申につきましての一般的な指導助言ということは、これは地教行法の四十三条の規定にも規定されておりますので、あくまで具体的な問題に即して先生の御質問にお答えしたほうが誤解がなくてよいのではなかろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたがそういうことを言うから誤解になる。私は一般論を聞いている。人事は地方教委の内申があって県教委が行なうべきはずですわね。それを、内申も強制することは好ましいか、好ましくないかということを聞いている、一般論です。一般論を答えられないというばかな話はない。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 先生の御質問の趣旨をすなおに解釈しまして、強制ということは、これは私は好ましいことと思いません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 すなおに聞いてくださいよ、すなおに質問しているのだから。  それじゃ今度具体的に伺います。都教組の勤評事件に対する最高裁の判決を文部省はどう受け取っておりますか。これは前国会で答えているのだから、あなたが。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 昨年の四月二日の最高裁の判決のことだと存じます。あれにつきましては、私、政府委員だけでなくて、文部大臣との間に先生方との質疑応答もございまして申し上げているところでございますが、一口に申し上げますと、最高裁の判決は私どももちろん尊重すべきものと考えます。ただ、最高裁が判決を下されております理由書を熟読玩味いたしますと、ただ、地方公務員である教員は、労働基本権としてストライキのようなことをすることができるということはいわれておりますが、同時に小学校、中学校、高等学校の生徒の教育が国民のためにきわめて重要である。したがって、そういうことと労働基本権としてのストライキ等は、両者の調和が保たれるように行使すべきである。したがって、ストライキ権があるということだけで主張したり、あるいはないということだけで、いわゆる形式的な文字解釈で論ずべきものではないという趣旨の判決がございまして、それについての質疑応答ではそういう意味で私どもは受け取り、かつお答えしておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その中に、「違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないように十分な配慮がなされなければならず」ということが、行政上も留意すべき点であるとは認めてよろしゅうございますね。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) そのとおりと存じます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 「地公法三七条および六一条四号が違憲であるかどうかの問題は、右の基準に照らし、ことに、労働基本権の制限違反に伴う法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないように十分な配慮がなされなければならず、」といっておりますが、この「右」という法律行為の中には懲戒処分も含まれていると認めてよろしゅうございますね。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 詳細な資料持っておりませんが、一応いまの先生のお尋ねの件でございますが、昨年四月二日の最高裁の判決は、あくまでも刑事事件について答えられたものであるというふうに私ども考えております。しかしながら、その趣旨をどこまでふえんして、刑事事件でない行政罰についてまでその趣旨を生かして受け取るべきであるか、これはいろいろ検討しなければならぬ問題と思いますが、形式的な答弁で恐縮ですが、あれは刑事事件についての判決であった。したがいまして、いまのお尋ねの件、具体的な問題に即してどうであるかというふうなことでお答えしたほうがよろしいのではなかろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた答えているのですよ、前に、懲戒も含むということを。違いますか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) まことに失礼でございますが、先生のお尋ねの件、十分承知しておるのですが、答弁資料もちょっと持っておりませんので、いまの先生のお尋ねでは、ちょっと前後の関係が私不敏にして思い出せませんので、即座にどうだとお答えすることができませんのでございますが、ちょっとその点御了承いただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それではここに判決の中にいわれておる「必要な限度」が、訓告ではだめで、懲戒でなければならないという限界はどこで引くのですか。具体的に伺います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) ちょっと最高裁の判決と行政処分と、先生あわせて御質問のようでございますが……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 懲戒を含むということを言われているでしょう、法律的に。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 最高裁の判決から行政処分の懲戒がどうだという御質問でございますれば、あくまでもあれは刑事事件についての判決でございます。しかし、刑事事件の判決だから、行政処分については全然参考にならないということは毛頭考えませんが、ただ、あくまで刑事事件についての判決でございますので、おのずから行政処分につきましては、どの限度についてその趣旨を生かすかということは、十分検討してお答えしたほうがいいであろうというふうに存じます。  それで、いま先生がおっしゃいます文書訓告と懲戒、これはあくまでも形式的な御答弁で、あるいは失礼かもしれませんが、文書訓告、これは私ども懲戒と考えておりません。もしそういうお尋ねでございますれば、文書訓告は懲戒ではない、公務員法で規定する懲戒には該当していない、そういうように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 小林武君から、四十四年の最高裁判決の労働基本権の制限違反に伴う法律効果の中には行政処分は含まれますね、こういう質問に対してあなたは、含まれるということを答えているのです。これは法律的に解釈すれば、含まれることは当然です。そうであるならば、その懲戒に値する線と懲戒には満たない線というのはどういうところに引くのかという、行政的な当然問題点が出てくるわけです。具体的に聞きますと、地公法三十七条一項の「同盟罷業、怠業その他の争議行為、」または「怠業的行為」とはすべてのそのような行為というものではないと解すべきだと思いますが、どうですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 懲戒処分の軽いものは戒告と存じますが、それに当たらない文書訓告、これは、その処分なりあるいは文書訓告をいたします場合に、問題となりました当該職員が犯した違法行為の内容によって判断をさるべきものと存じます。したがいまして、一般的にこれはどうだという一般的な問題で、これは戒告であるか、あるいは文書訓告かということはちょっと一がいに即座にお答えしにくいように存じます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の質問が少し舌足らずですが、結局、地公法三十七条一項の内容で記載されているものがすべてこれが争議行為だと、いままでは二十八年の判決は解釈されておりましたのが、四十四年からは「同盟罷業、怠業その他の争議行為、」または「怠業的行為」の中にも、懲戒処分の対象とはしない部面が出てきたと最高裁は解釈しているでしょう。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 争議行為即懲戒処分対象というふうには考えません。違法な争議行為というふうに——もちろん違法でない争議行為と違法な争議行為は、それでは具体的に言ってみろと言われると、なかなかむずかしゅうございますが、形式論といたしましては、違法な争議行為はこれは処分対象にすべきでございましょうし、違法でない争議行為はこれはそうでない。それは最高裁の判決にも言っておられますし、そういう意味でのお尋ねでございますれば、そのように小林先生との質疑応答のときにお答えしております。また現在もそのように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、いままでは三十七条の一項に規定されている内容に少しでも触れれば、これは全部違法行為だ、懲戒に値するものだという解釈をしておったけれども、四十四年の判決では、争議的行為であっても、その行為が軽微というか、あるいは処罰に値しないといおうか、そういう面もあるという見方を新しく提示されたわけでしょう。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 私どもこの争議行為につきまして、教職員の服務との関係で、文部省も県教委に指導し、県教委も市町村教委に指導し、また職員にもそのように言っております場合に、あくまでも一般論として申しておりませんので、たとえば一〇・何とか一一・何のその本件の行為についてはということで従来から指導をいたしております。したがいまして、一般的な法解釈ではございませんで、従来からわれわれがとっております態度は、あくまでも、そのとき行なわれたその行為はという前提が頭にございまして申し上げておった次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おかしいですよ。判断をするには、事案があって判断をするのじゃないでしょう。どういう事案があろうとも、その前提に一つのものさしというものがなければならないでしょう。そのものさしは、四十四年判決の場合は、争議行為ではあるが懲戒に値しない、懲戒の要なし、こういう考く方が新しく加わってきておるわけでしょう。そうすると、十月何日であろうが、十一月何日であろうが、いろいろ各都道府県で処分があった。その処分についても、争議行為ではあるが懲戒に値しないという面があるかどうかという、そういう立場のやはり対策というものがなければならない。具体的にいうなら、争議行為には参加したけれども、参加時間が短い、あるいは授業に支障を来たさなかったとかいうようなものは懲戒に値するのか値しないのか、こういう判断が当然事前に行なわれなければならないわけです。そうでしょう。  もう一度申しますが、争議行為には参加したけれども、参加時間が短い、あるいは授業には支障がなかった、こういうものは二十八年と同じように、相変わらず文部省は、争議という三十七条一項に少しでも触れれば、全部これは処罰の対象だとお考えになっているのですか、いまでも。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 時間が短い、あるいは授業に支障がなかった、だからこれは懲戒に該当しない、一般論としては言えないと思いますが、当該争議行為について具体的な人がやりました行為につきましては、いま言いました時間とか、あるいは授業に支障があったかなかったかといったようなこと当は、然考慮されるものと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 二十八年最高裁判決に準じていままで地方公務員法を解釈すれば、一切がっさいのがれるものはなかったわけなんだけれども、四十四年最高裁の判決からすれば、争議行為なり争議的行為に参加した者でも情状酌量をしなければならない余地があるという判断を法律的にはすべきである、それは行政的にもこの考え方はやはり一つの基準になる、こういうようにあなたはお答えになった、小林武さんに対しては。それは原則としてそれでいいでしょう。二十八年まではきびしかったけれども、それより四十四年の最高裁の判決は幾らか解釈がゆるいのだ、そうでしょう。ゆるまないのですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 私は小林先生と、私と、まあ文部大臣もその間お答えになっておられましたが、そのときの速記録を、こういう御質問があると存じませんので持っておりませんので、いまの先生のおっしゃいます点、どうも私ぴんとこないのですけれども、従来から文部省がとってきておった態度が、昨年の最高裁判決で態度を変えざるを得ないとか、解釈が間違っておったとかいうふうには、文部省として考えておりませんという趣旨のことを申しておりますし、今日もその態度は変わりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、いまさらあなたがそういうことを言われるとは思わなかった。というのは、あなたのおっしゃったことを全部書いて持ってきておる。それで、私の申し上げたとおりおっしゃってはいませんけれども、趣旨は私の言っておることに少しも間違いないのです、おっしゃっておるのは。それは最高裁の刑事罰に対する判決がそのまま行政罰にイコールであるとは申しませんよ。しかし、最高裁の判決というものが、いままでの法解釈を変えてきたわけだから、法解釈の変わった点は、これは行政処分においても当然考え方が改められなければならないはずだと、こういう意味の質問を小林さんはなさっておる。それに対して、結局争議行為ではあるが懲戒に値しない、あるいは懲戒の要なしという考え方が新しく加わっておるということを、あなたのほうも認めておる。そこで、それならば授業に差しつかえないような一体集会への参加というものは、従前のようなきびしさで十ぱ一からげに処分をするということはないという考え方に立たなければおかしいじゃないかと、こう伺っておるわけです。これは文部大臣いかがですか、考慮の余地がないですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私の記憶少しあるいは不正確な点がもしありましたら、あとで訂正させていただきたいと思いますが、そのとき小林さんとやりましたときには、今度の最高裁の判決というのは、これはあくまでも東京都の一斉休暇闘争ということは、やはりこれは違法だ、しかし、それに対して刑事罰を与えるということは当たらない、これがもうあれの要旨であったというふうに思います。その間いろいろございましたけれども、しかしながら、われわれの考え方を基本的に変えるというようなことには答弁はいたしておらないので、最終的に小林さんと詰めていろいろやったときも、ただ十ぱ一からげに懲戒処分をするということにはならないということは、私はどこかで申し上げておるというふうに記憶をいたしておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 「法律効果には懲戒処分を含まれていると考えておいでですか、」と、こういう小林君の質問に対して宮地さんは、「いまおっしゃる労働基本権の制限違反に伴う法律効果の中には、行政処分は含まれると考えます。」、「この法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないよう十分な配慮がなされなければならない、」ということが、これで明らかになりましたと、小林さんに答えておる。これはそのとおりでしょう。間違いないでしょう。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) それは小林先生が言っておられることですか、私の答えですか。小林先生がそう承ったという……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 「行政処分は含まれると考えます。」というのは、あなたのお答えだ。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) どうもまことに失礼ですが、先生がお持ちになっておられるそのときの速記録を私持ちませんので、決して私、自分の言ったことを言っていないとは申し上げませんが、ただ小林先生との問答の中には、たびたび文部大臣も、それから政府委員も、大体答えたのはこういう意味と思うといったような前提がありまして、ずっとことばがつながる場所がございますので、もしそういう個所でございましたら、ちょっと私のほうもいかんとも言えないのですが、まことに先生失礼でございますが、その個所個所でいま御質疑いただいておりますのを、少し時間をかしていただきまして、ちょっと前後関係がどうも出てこないものですから、ひとつお答え……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 じゃもう一回言いますから。前後関係も何もないのですよ。小林さんの質問の詳細は省きますが、「法律効果には懲戒処分を含まれていると考えておいでですか、」「これは初中局長でけっこうです。」と聞いている。「政府委員(宮地茂君)いまおっしゃる労働基本権の制限違反に伴う法律効果の中には、行政処分は含まれると考えます。」と答えている。あと何もない、前後も何もない、それっきりだ。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) まことにおそれいりますが、御質問の法律効果というその前のほうをちょっと言っていただけませんか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法律効果の中には行政処分が入っているかと小林君は聞いている。それに対してあなたは入っていると答えている。この問答をやってたってしようがないけれども、これは間違いないですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) それは何の法律効果と言っているのでしょうか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでやっていったら時間がなくなってまいっちゃう。「法律効果には懲戒処分は含まれていると考えておいでですか、」というのです。法律効果というのは、いままでいろいろ問題になってきたあの話だよ。——これは言ったの言わないのということを私ここで取り立てて言おうと思っておらないわけですから、じゃ、具体的に聞きます。  授業に差しつかえないようにということで集会が持たれ、解散もされ、授業に差しつかえなかった場合、懲戒に値しますが、具体的にひとつ。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) それも一般論としましてはお答えしにくい問題だと思います。と申しますのは、ただそれだけの問題でも、たとえば懲戒にしなくても、文書訓告にしたり、あるいは口頭訓告もございましょうし……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 懲戒……。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 懲戒……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 戒告、じゃ、戒告と直します。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 戒告に該当するかどうかは、いまの一般論ではなくて、具体的にその事件を見てお答えしなければ、一般論としてそれは懲戒に該当しませんと言うことはいかがかと思います。と申しますのは、それが違法な争議行為であるかどうか——争議行為には間違いないようでございますから、先生のお尋ねのあれは。ただし、それが違法な争議行為であるかどうか、そういうことは、やはり具体的に行なわれました争議行為をいろいろな面から考えませんと、たとえて申しますと、一時間なら一時間、あるいは昨年の十一月のストライキは、教員組合のほうでは一時間半というふうにお組みになられたところが、人によっては三分参加した人もありましょうし、五分参加者もありましょうし、三十分以上もございます。したがいまして、具体的には個々の人が、背景に、どういうストライキであって、それに自分はどういう範囲内で参加したか、そういうことを具体的に踏んまえた上で違法な争議行為参加かどうかということになるのだろうと存じます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的に聞いているでしょう。順序立ててもう一回申し上げますからね。  四十四年の判決以来、一応行政処分についても三十七条の一項の適用というものには幅が出てきたということはいわれるでしょう。その幅というのは、争議的行為であっても懲戒に値しない、あるいは懲戒の要なし、こういう考え方も含めて、これは解釈を広げなければならないというふうになってきたのではないかと、これはいいでしょう。そうすると、いままでは参加をしたということだけでも、二十八年の最高裁の判決では処分二人対象ということになろうけれども、今度は、じゃ具体的に授業には差しつかえないようにということで集会が持たれ、解散をされ、授業には差しつかえなかったような場合でも、一体懲戒をしてよろしいのかどうか、こういう具体的な問題で文部省の御方針はどうですかと伺っているわけです。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 先生の場合に、授業と授業でない勤務内容と二つに分けられて、あくまでも授業に支障があったかなかったかということを非常に重点とされ、授業に支障がなければこれは問題にならないという前提が——まことに失礼ですが、そういうお考えでお尋ねになっておられるんではなかろうかという気持ちがいたします。したがいまして、授業に支障がなくても、やはりそれが違法な争議行為に参加しておるということであれば、当然懲戒処分の対象になり得ると思います。たとえば高等学校の先生は八時あるいは八時半に出られましても、授業は十時からとか十二時からの先生もおられます。したがいまして、授業に支障があるかないかということは、確かに処分をする場合の一つの要件ではございましょうけれども、ただ、前後の関係なく、いまお尋ねの、授業に支障がなくやった、やった行為は懲戒処分に当たるか当たらぬかというお答えに対しましては、当たる場合もありましょうし、十分調べてみて、違法な争議行為参加ということではないという場合もあろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その違法ということを、何を基準に違法とするか、違法からはずすかという、その基準が問題だとさっきから申し上げておるわけです。少なくとも違法の基準というのは、あるいはかりに違法であっても処罰の対象にならないという基準は、二十八年の最高裁の判決よりは四十四年のほうがワクが広がったといいますか、まあ処罰をするほうからいえば、処罰をしない範囲というものが広がったと認めざるを得ないのじゃないか。そこで違法ということは、さっき文部大臣からお答えになりましたように、教育は国民のために重要であるから、この国民のために重要な教育ということについて、非常に国民の期待を裏切るようなものを違法と基本的には解釈をするわけです。そうでしょう。教師の任務というのは教育をすることですよね、教育をすること。三十分早く来いと校長がきめたからといって、授業時間でもない三十分を早く行って校長の話を聞くだけが仕事じゃない。あくまでも学校教育法にあるように、教育というのが主体なんです。そうすると、結局学校できめられた勤務に差しつかえないというような状態で集会が行なわれたものまでも懲戒の対象に考えてよいかどうかということを聞いておるわけですよ。高等学校の先生が、午後の授業だから午前の、十二時までストライキやっていました。これは違法でないですか、あるですかということを聞いておるのじゃない。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これは具体的な事例に即してでないと、なかなか一般論では言えないのじゃないか。また、最高裁の判決というものも、その具体的ないろいろの事情を勘案しながらやらなければいかぬ。それはしゃくし定木に十ぱ一からげにやるということは注意なさいよということが一つあると思うのです。  それからもう一つは、教育的配慮として、やはり次代の、次の世代をになう青少年の教育に当たっておる職分がまさに教師としての職分であるから、その違法であるとかないとかということじゃなくて、やはりそういう重要な職責であるということを考えて、教師の側においても、あるいは組合の場合においてもお考えをいただきたいということが、最高裁の判決の気持ちに私は出てきておると思うのです。したがいまして、私たちは、実際問題としてこれが違法になるか、あるいはそうでないかということが、こうやってなかなかわからないくらいの問題であるから、そういうような違法性になるかもしれない、場合によっては処分も行なわれるかもしれない、そうすると処分を行なわれた先生にとっては、それが一生の、何といいますか、経歴の上に汚点として残るということもあるから、十分ひとつお考えをいただいて、そのような違法な争議行為にわたらないようによろしくお願いしますということを、常に組合でストライキをおきめになった場合にわれわれは指導といいますか、あるいは御注意を申し上げたわけです。そうしてその結果として、なおかつやはり一つの日教組の指令によりまして、そういうことが行なわれ、そして先生方が違法であるか違法でないかということになる。こういう事柄は、やはり何といっても子供たちを巻き込むことになるから、その点は十分ひとつ御注意を願わなければならない問題じゃないか。しかし、一たんそれが行なわれた場合には、いま申しますように、一般論じゃなくして、やはりその一人一人の先生方がやられた行為について、それが懲戒処分に値するのか、あるいはそうでないのか、あるいは懲戒処分にしましても、いろいろの段階がございましょうが、それがやはり個々の例について考えなければいけないのじゃないか。その点はひとつこれから先、教育委員会等においても十分指導をしなければならぬ課題だ、かように私は考えるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、文部省のやり方がいいとか悪いとか、日教組のやり方を是認しろというような主張をしておるわけではない。判断の根拠をどこに置くかということで形式的なことを聞いておる。  そこで、これは局長に伺いますがね。違法か争議行為かというこの判断は、校長が判断をして処置を教委に具申するという手続がとられることなんでしょうね、手続としては。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 任免権者が最終的には決定をいたしますが、事実問題としては、手続的にはまず一番末端であれば校長であるというふうに考えていいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 時間がありませんから、あとでこれは文教委員会か何かでまた重ねて聞きますが、じゃ校長から争議行為があったという報告は全然ない。地方教育委員会もそういう報告はない。県の教育長がそういう状態の中で、地方教育長を集めて、こういう点について報告をしろという指示をして、それを実行させて、その報告内容に基づいて行政処分の段階をきめて、それを持ち返らせて地教委で内申内容を決定させた。こういう方法を妥当だと思いますか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) いまのお尋ねの問題に一口でお答えするのがよいのだと思いますが、ちょっと一口でお答えできにくうございますので、ちょっと説明さしていただきますが、たとえば学校の先生に限らず、私ども一般公務員につきましても、たとえば課員が、課の者が非を犯した。その場合の上司としては、これを直ちに局長に伝えるかどうか、課長の判断があろうかと思います。また局長としてそれを知った場合に、大臣に直ちに申し上げて、処分をするかどうか、これはまあ教委に限らず、いろいろあろうと思います。したがいまして、結局は任命権者で最終判断すべきでございますが、経過的には校長が教師のやったことに対しまして、これはできれば、処分に該当すると思っても、処分をしないでほしいというような気持ちも動きましょう。そういうような場合に、県の教育委員会としましては、全体の各市町村におります同じことをした教員の全体のバランスを見るとか、いろいろ当該校長以上の広い立場と、任免権を直接行使する責任者という立場から、いろいろ考えることがあると存じます。そういうようなことから、かりに第一段階では校長が迷って、これは内申をしたくないと思うことであっても、それは間違いではないか、内申をしてくるべきではないかといったようなことが、県教委から指導されるということは私はあり得ることと存じます。したがいまして、いまの先生が前提を形式論として答えよとおっしゃいます点につきましても、一口にこうだということがお答えにくい問題が多々あろうかと思いますが、そういうことは絶対にあり得ないのだということで、ただただ県教委が任命権者という形式的な権限を振り回していろいろ指示するということでございますれば、それはよくないことは申し上げるまでもないと存じます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 県の教育長が、関係地方教育長を集めて報告内容をきめて、その報告をさせて、今度はその報告内容について懲戒の段階をつけてそれを決定させるということまでして、一体処分というものを扱うべきかどうかという問題なんですよ。私が前にるる述べましたのは、こういう方法をとらねば、報告が成規の手続では出てこないような行為を、行政処分として懲戒に価する行為と認めなければならないのか、少なくも四十四年判決というものは、もっと幅広く解釈をするようになっているはずなのに、相変わらず県教委の教育長によっては、二十八年の解釈と同じような考え方でやっている。  それは事を荒げるだけで、何にも教育にプラスにはならないじゃないか。問題は、私も文部大臣のおっしゃるように、国民のための重要性というのを考えてやらなければならない。ですから、最大公約数、いかなる方法をとれば、国民のための教育にプラスをするかということを考えれば、校長も地方教委も違法行為として認定しないものを、無理に違法行為につくりあげて処分をさせると、それでがやがや、がやがや休暇をもらっては県庁へきて騒ぎ立てておる。何にもならないじゃないか。行政指導というものはもっと頭のいい方法でやったらどうか。私は文部省がやっておるからどうこうということを言っておるのではありませんよ。文部省がやらしたとは言っておりません。もっと行政官というものは、少なくも最高裁の判決というものが出ておるのですから、その判決の趣旨を尊重したような取り扱い方をすべきじゃないかという点で私は伺ったわけでありますが、これは局長、おっしゃったことを何だか忘れちゃってはっきりしませんから、局長も勉強してもらうし、私ももう一回別の機会に、これはどうも予算委員会で取り上げる問題ではないので、それだけ申し上げて終わります。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 ちょっと関連して大臣に聞きますが、私はむずかしいことではなくて、勤評の問題はさておいて、私は最近における待遇改善の問題について、人事院の勧告というものについて、自治省と東京都でもかなりいろいろな問題がある。しかし財源はそのまま出して、いろいろとこれは使われたように聞いておるわけでありますが、事教育に関する問題としてこれをとらまえて言いたいのです。違法な者は罰するということについて、違法の内容の問題ですね。結局人事院の勧告という問題について、ことしちょうど値切らないで完全実施をするというところへようやくきた。これはたいへんに、私自体も教育界全体として非常にいいことだというふうに考えておりますが、問題は、長期にわたって勧告というものが完全実施されてきていなかったという点について、私は政府は政治的に責任を持ってしかるべきだという考え方が強いわけです。ただ、財政的に見て勧告の完全実施ができないということについては、まことに公務員諸君に対して申しわけないと、政府自体として。これはストライキ権というものが廃止されて、人事院というものができた経緯から見て、これは当然政治道義的に考えて実施すべきだ、この官庁の勧告権というものを重視していかなければならぬ。私はこういうところに順法精神の基本というものがあると思う。したがって、それに対して怒りをこめて、どうして完全実施をしないのだと、それでなくても給与が低いのに、こういうところでいまわれわれ自体も、文部当局も、先生方の待遇改善というものがやはり一つのポイントになっておるということは、先ほどるる答弁があった。だから私は政府のいままでの施策そのものについて、ここで私があえていろいろと言うということではなくて、そういうふうな見地に立った場合に、全国の諸先生方に対してとるべき手段、方法といいますか、それを法規にのみ照らして問題の処理をするということだけであっては、これは非常に問題があとへ残っていくというふうに私は考えておる一人なんです。したがってそれを放置しておくわけにいかぬと、文部省なり政府も、これはしばしば言ってきました。しかし一応の時点が過ぎて、完全実施なら完全実施の時点にきたときに、当然社会においても和解というものがあるわけですよ、精神的に和解というものが。だからそういう点について、政府自体のほうとしても、完全実施ができなかったことについてほんとうに遺憾であった、しかし本年から完全実施ができるようになったということについては、いい悪いということについての見解は別にしても、いろいろとそれに対する運動とか、そういうものが働きかけて、一方においては、国家財政の見地からもようやくできるようになった、そういうふうな面について、教師に対しても、法律を犯してやるということについては、もちろんこれはうまくはない。うまくはないとしても、その間における待遇の改善という問題については相ともに、文部省も日教組もともに進むべく、ひとつその点については相提携すべく、教育の振興という部面についてはあるのではないか、そういうふうに問題をとらまえて、この完全実施に至る時期に、特定のイデオロギーといういろいろな問題があるかもわからぬけれども、そうではなくて、全国の教師に対してこういう機会に、やはり一つの精神的な面を私は強く言いたいのですが、やっぱりここですっきりして教育の方向に進んでもらいたいということにおいて、各都道府県においてそういう問題においていろいろとトラブルを起こし、そうしていろいろと行政処分ということがされてきておるが、こういう点については時期をとらまえて、ひとつこの際いろいろなそういう問題を解消して、新しい教育に対する意気込みとして、ひとつ日本の教育を頼むというふうに、おおらかな、しかも国を愛し、それから教育を愛するという一点において、全国の教師に対して、文部大臣として、こういう方途を私はとってもらいたい、ほしいと、こういうふうに思うのです。  法規的にもいろいろな問題はあるけれども、一段落したこの際において、そういう方向というものの行政的な指導が部分的にできないものかどうか、それを文部大臣に頼みたいと日ごろ思っておったのです。けんかするばかりが能じゃなくて、この際はうまい方向にみんなが、文部省も日教組も、各種の教育団体も、中でごたごたやっておるのじゃなくて、ひとつ七〇年代はすっきり日本の教育を建て直していこうじゃないか、そのためには、文部省はやはり教育団体等も尊重して意向を聞こうと、待遇改善は言われるまでもなく、おれたちもやる。そのかわり教育を振興していこうじゃないかと、そういう方途をとってほしいと思うのですがね。文部大臣。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 岡さんの御意見は貴重な意見として、十分私の頭の中に入れておきたいと思います。  また、人事院勧告を尊重しなければならないということは、これは当然なことだと思うわけでございますけれども、しかし一面におきまして、政府といたしましては、財政全体を考えておりましたわけで、それが十分果たされなかったこともやむを得なかったと思います。しかし、これがお互いの努力によって、とにかく完全実施ができるということになったことは、ほんとうにめでたいことだと思いますし、この際、次代の青少年をになう先生方が、ほんとうに教育者としての自覚に立ってしっかりやっていただきたいということは、私は全く同感でございます。また、われわれのほうにおきましても、その教育を進めるということこそ私に与えられた責任でございますので、十分その点につきましては前向きで検討してまいりたいと思っております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 よろしく頼みます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この間の新聞が、私立大学の医学部の入学金、寄付金ですね。一千万円台になったという報道がありますですね。私も、去年ですけれども、私は同級生に医者が多いのですが、電話があって、どうしても私立の医学部に入れたいが、何か寄付金がかかるようだけれどもどうだということで、いろいろやってみましたら、去年、私はっきり記憶してないのですが、正規に合格しますと三百万円の寄付金が要ると、あと三十名程度補欠がある、それはプラス三百万円、それ以外に入るにはもう六百万円という話で、たいへんなものだなあと思ったわけです。そうしたら、この間一週間ぐらい前に、新聞が一千万円台になったと、しかもこれはまあ最低の基準であって、二千万円、三千万円というのがあるのだというのが出ておりましたね。  私は去年も痛切に感じたのですけれども、合格した者が三百万だと、補欠で入った者はプラスまた三百万、それ以外に入ったのはそれにまた六百万出すのだ、こういう形で私立の医学部というものは構成されている、医学部の学生というものが構成されているということは、これはどうも医学そのものを腐敗させるのじゃないか。腐敗どころの騒ぎじゃないのじゃないかという感じが非常に強いのですけれども、ですから大臣のこういうものについての考え方をひとつ聞かしていただきたい。これは医学が腐敗するだけじゃなくて、医療制度が腐敗してくると思いますですけれどもね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これはもう全く御指摘のとおりでございまして、そういうような形でこの入学が行なわれるということであってはならないと思うわけでございますが、やはりある程度、まあ私学でございますから、常識で考えられる程度のことは、大学側が事前にはっきり明示し、そしてその覚悟のもとに自発的に入学した人が、あるいはその父兄が納付金を納めるということは、これはいいといたしましても、いま先生がお話しになりましたような法外なお金というものは、これは早く解消をしなければならないというふうに思いますし、また、それを何か段階を設けて、あるいは事前には知らせないで、そして急にそういうようなことにかけるというようなことも二、三新聞等において報道されておりますし、そのつど私どもがそれを承知した限りにおきましては、当該大学に対しまして注意を与えておるということでございます。  しかし、実際医学教育につきましては、相当多額の経費を要しますし、昭和四十二年の場合、学生一人当たり大体六年間に約五百二十万円経費がかかるということだそうでございますが、で、今日、医学生を教育するのに、国立であろうと、あるいは私立であろうと、ほぼ同様の額がかかるわけでございまして、国立のほうは、国立でございますから、授業料一万二千円ということでこれがまかなわれ、そして多くは税金によって支出されておるわけでございますが、私学のほうは、戦前におきますと、かなり大学それ自体としても基金も持っておりましたし、あるいは寄付金も相当ございましたし、それからまた、学生数も非常に少なうございました。また、学生経費につきましてもそう高くはございませんでした。したがいまして、それが基金、寄付金あるいはまた授業料、納付金、その他若干によって大体経費がまかなわれておったわけでございますが、何分にも戦後は学生数が増し、そして経費もかかるようになった。また人件費も非常に高くなりましたし、あるいは学校経営の中における人件費のウエートというものが非常に大きくなってきたということから、どうしても、これは納付金やあるいは授業料を上げるということについてももう限度にきているということでございますので、私といたしましては、経常費補助、つまり人件費を含む経常費補助を私学にも及ぼさなければならないということを決心いたしまして、本年度百三十二億数千万円でございますけれども、一応これから四、五年の間に本務教員の半分ぐらいまではぜひともひとつ国が持つというところまで助成をいたすことにいたして、漸次いま仰せになりましたような不当な寄付金を求めるということがないようにいたさなければならないと、かように考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま大臣が私立大学一般についても言及されたのですが、医学部が特にこういう状況ですけれども、理工系もさらにまた文科系と違って、相当多額の寄付金が要求されているわけですね。私は、どうも政府は大学教育についてはものを言う資格がないのじゃないかというくらいの感じがしているわけなんですね。というのは、大学生が急にふえてきているのでありまして、一体国立大学というのはつくったのかと言いますと、それは一つもつくっていないわけですね。そしてふえたのは全部私立大学が吸収していった。今日、大学教育というものが世界第二位でアメリカに次いでいる。イギリスやフランスとはぐっと違って、大学教育が非常に普及してきた。しかし七割五分くらいというものは私立大学が吸収している。一体政府は、大学教育についてどの程度ものを言う資格があるのかという感じを私は従来いたしておるわけです。  今回、いま大臣がお話しのように、私立大学の振興について、人件費等を新しく持たれて、総計百三十二億ですか、御負担になったということですが、まあこれは日本独得の制度だと思いすね。この私立大学というのをこういうふうに冷酷に扱っているのは、これは日本だけじゃないかと思いますけれどもね。ですからお尋ねをしたいのは、いま百三十二億の補助を出されるようになったのですが、これは私立大学六百八十幾つありますが、それの経常費のどの程度を負担することになるのか、その点をお尋ねしたい。従来は一・四%くらいのものじゃなかったかと私は記憶しておりますが、一・四%——今度どの程度になるのか、二%こすことになるのかどうか、その点の御答弁をお願いいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私が昨年からずっと言い続けておりますのは、たとえば国立三十万に対しては、一人当たりが七十六万円あるいは八十万円もお金を出している。ところが百十数万の私立大学学生に対しては一万円、財政投融資を含めても二万五、六千円にしかならない。これではお話にならない。そこで大学教育といったらもう国立大学三十万しか頭にないいままでの考え方は変えなければならないというのが、私の就任以来の考え方でございます。まあ就任前も野にありましてそういうふうに考えておったわけでありますが、これだけはひとつ文部省も改めなければならぬし、また、大蔵省もひとつ考えていただかなければならぬ。財政当局もまた考えていかなければならぬ。国全体として、まずそういうふうなとらえ方をしなければいけないのだ。教育研究の高等教育機関における質の程度というものが、各国において比較した場合に悪いというけれども、それはまさに私学を含めてそれを全体としてやると非常に悪い。しかしそれにもかかわらず、私学はかなりの教育効果あるいは研究成果をおさめておる。あるいは日本の発展に寄与しておる。ここに着眼した場合においては、どうしてもやはり私学に対する大幅な人件費を含む経常費助成なくしてはやれない。  先ほども私がお答え申し上げましたけれども、アメリカのようなああいう豊かな金持ちの国ですらも、もはやカーネギーやロックフェラーや、その他の財閥の寄付金は、もう学生数、あるいは学生の経費を考えるとちょっぴりだ。連邦政府は金を出さなければならぬ。しかもそれが四〇何%になっている。イギリスは八〇%、もちろん私立大学だけでありますからそうでありますが、そのくらい出している。ここのところで、日本だけがこういうアンバランスではだめだということで、これはまず世論を喚起し、そうして政府がそういう気になって、そして国民的コンセンサスのもとにこの経営費助成というものをはかって、私学における教育研究の向上というものを目ざさなければならないという考え方から、今度その芽を出したということでございますので、この芽をひとつ育てて、花を咲かせ、そして実を実らせたいというのが私の念願でございます。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) 四十五年度で推測いたしますと、経常費だけをとりますと、経常費の約八%くらいになるのじゃないかと思います。それから臨時費を含めまして、そして貸し付け金を含めますと、一四%程度になるのじゃないかということでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 確かに、大学教育というものが一国の文化について非常な貢献をしておることは御承知のとおりですが、そういう大学教育の七五%というのが私立大学にまかせっきりだということでは、これは非常にたいへんな問題だと思いますし、また、大学教育、学問そのものをこんなことでは腐敗させていくと思いますから、ぜひ大臣のいまのお話しのように、特に急速に援助を深めていかれたいというふうにひとつ要望いたしたいと思います。  もう一つ、大学教育と同じように、義務教育前の幼稚園教育ですね、あるいは五歳児未満の教育、これが大学教育と同じような形で放棄されているんですね。政府としては放棄していると言ってもいいんですね。  それに入ります前に、国立大学の停年制の問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、私は見ていますと、大学は自治を持っている、あるいは自主性を非常に尊重するという形なんだが、その一つとして、停年制の問題について六十歳のところがありますね。六十三、六十五、それぞれ理由があると思いますね。これは自主性ですから教授会なら教授会でおきめになると思うんです。しかし、かってなきめ方をしているところがあるんじゃないかという私は気がしているんです。六十五から六十七にしたのを見たって、何か教授が自分のかってな考え方で、おれは六十七になったから今度七十にしよう、かってな自主性があるんじゃないかと思うんですけれども、これは停年制だけでなくて、自分の子分的な者でなければ教授の地位につけないとか、あるいは重要な地位につけないとか、それに対して反対する者については抑圧するとか、追放するとかということがある。これはかってですね。常識的にいってかってだという気がすることが私は非常に多いと思うんですね。医学部なんかはその最たるものですね。東大の医学部などは昔からそうですね。あそこはそれ以外にも、いま私が言ったような何か自主性とか自治とかいうたてまえのもとで、ちょっとかって過ぎるようなことがあるように思いますね。これは大学の教授の識見にも関係すると思うんです。そこで、いま停年の問題について、てめえが六十五になったものだから六十七にする、今度六十七になったら七十にするというような停年のきめ方なんというのは、これはどうも大学の先生にあるまじきことだと思うんです。それが自主性のもとに、また自治のもとにやられておるように見受けられるんですけれども、これはしかし、大臣がどうこう言う筋合いのものじゃないと思うんです。あまりにもひどいから一ぺん大臣に言っておかなければならぬと、ぼくはそういう気がしているんですがね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 確かに、やはり大学の自主性というものが叫ばれ、それはまた学問の自由と大学の自治ということに根ざすわけでございますけれども、どうも国民一般の常識から考えますと、大学のことは大学人だけにまかせておけとおっしゃいますけれども、ちょっと国民の側から見ると、それだけにまかしておかれないような気がいたすのでございます。でございますから、また、われわれ文部省のほうも、あまりにもそういう自主性を主張されるあまり、われわれが当然国民のために責任を感じて果たさなければならない最小限度の指導、助言すら、従来ともすると果たしてきていないんじゃないかというような気もいたすわけでございます。しかしながら、やはり私たちといたしましては、基本的には大学の自治を尊重しなければならぬわけでございまして、各大学の伝統とか独自性とか、あるいは教官の地域的需給関係等を重視してきたわけでございますが、いま御指摘のように、各大学の停年制をちょっと見てみますと、六十歳というのが東大と東京工大とございます。それから六十三歳というのが一番多うございまして三十四、六十五歳というのが三十三大学、それから六十七歳というのが一大学ございます。これは芸術大学でございます。これは芸術大学の六十七というのは、これにもいろいろ考え方はあるとは思いますけれども、かなり年齢がたった人でも、むしろ指導力があるんだと、こういう考え方だと思いますけれども、この辺も、しかしもう一ぺん考えてみる必要があるのじゃないか、検討をしてみる必要があるのじゃないかというふうに私は考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大学教育と同じように、入学前、小学校に入る前の五歳以下の教育が、またこれは政府としてはものを言う資格のないほどになっているわけですが、これはどういうふうになさっていかれるのか。ことし小学校に入る者の五三%ぐらい、八十五万というのが幼稚園を出ている。その幼稚園の中の七五%というのは私立の幼稚園であるわけですね。それからさらに二九%というのが保育園を出た方ですね。この保育園の動向というのは、毎年相当ふえてきていますね。そうしますと、やはり保育園を出る者の割合というのは非常にふえてくるのではないかと思いますけれども、それ以外に各会社、事業所が持っております託児所みたいなものがあるわけですね、これも相当盛んになってきておる。そうしますと、五歳児未満の教育といいますか、保育といいますか、そういう問題については、文部省の所管の幼稚園と、それから厚生省所管の保育園と、それにもう一つ、労働省の所管になるのでしょうね、企業とか会社とか、そういうところの託児所みたいなもの、保育園みたいなものですね、そういうようになりますね。そうしますと、これから政府としまして四十六年からまた五カ年計画とか七カ年計画の第二次の計画を立てられるようですが、そういう三つに分かれておることについて、どういうふうな考えを持っておられるのか。一方のほうは労働行政からでしょう。一方のほうは、何か保育といいますか、一方のほうは何かそうじゃなくて、五歳児教育というような感じがしますですね。そういう点について、どういうふうにこれから対処していかれようとするのか、伺いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) やはり就学前教育というのは、非常に私大事なものであるというふうに考えております。現在五一・八%が幼稚園に入っておる。本年度中に大体五六%まで持っていきたいというふうに思っておるわけでありますが、そのうちで御指摘のとおりに、私立が七十数%、公立が二十何%ということでございます。それから保育所が、これまた二九%ということでございます。合わせてまあ八〇%くらいになるし、それに労働省所管の関係もあると思いますが、全国をずっと私調べてみますると、非常にばらつきがございまして、たとえば香川とか兵庫とか徳島とか、つまり瀬戸内のほうは非常に幼稚園教育というものが大きいわけでございます。ところが、まあ、したがいまして、今度は保育所のほうは少ないと、ところが教育県といわれる長野県なんかは、幼稚園教育はあんまり、一六・一%でございまして、そうして保育所が実に六二・一%、こういうことになっておるわけでございます。これを一体どう考えていったらいいかということは、私自身も非常に頭を悩ましておるわけでございます。  一昨年、私はちょっと幼児教育ということだけでドイツ、フランス、イギリスを見て回りました。そうすると、ドイツは非常に、何と言いますか、幼稚園教育というものが幅広く、そうして内容もこう徹底してやっているかと思いましたら、私の見た限りでは、むしろ日本における保育所みたいな考え方、つまりしつけとか、あるいは幼児の教育は両親がやるべきものであって、幼稚園というのは補完的意味だということがはっきり理念として確立されておる。したがって、保育所の中において音楽教育だ、情操教育だ何だと、われわれまあ考え、また期待を持って行ったわけですけれども、実際はそうじゃなくて、もうけがをさせないように遊ばせて、そうしてあるいは食事等について十分衛生的な食事を与えるという、まあ日本で言いますと保育所でやっているようなことをやっておるということで、私見まして、これも一つの方法かなという感じを率直に実は持ったわけです。イギリスに参りましたら、従来幼稚園というものが就学前の教育としてあったわけですが、これをやはり義務制にしなくちゃいかぬということで、五歳児から入学させて、インファント・スクールで出発させておる。ところが、幼稚園の一番総裁の女の人でございますが、その人にお会いしましたら、まあイギリスでは就学前教育というのは、これによってだめになってしまったと、インファント・スクールをあなた見に行かれるようだけれども、ナースリー・スクールをごらんにならなければいけないと、ナースリー・スクールは、前の保守党政権もそうだったでしょうけれども、新たにつくることはできなくなったんですと、これではいけないというまあ考え方。しかし、五歳児からインファント・スクールで義務教育をやっているという点は、また一応の意味があるというふうに考えられるわけです。  それから、フランスに参りましたら、これは二年保育で四歳、五歳が八〇%、そうしてまた学校教育は別なんだ、これもはっきりした理念のもとにやっている。日本の場合はむしろやはりこのフランスのやり方のほうがいいんじゃないかということを、個人的に私は感じたわけでございまして、やっぱり就学前の教育というものを徹底してやるということ、そうしてその場合に考えましたことは、幼稚園と保育所との関係、これはやはり文部省と厚生省と、それから労働省とが一体となって、単に各省のなわ張り争いというようなことはやめて、厚生省は厚生省で保育をかぶる、人の子供たちを預かるということでございましょうけれども、そこで当然やはり教育というものもなされなきゃならないわけですから、その教育をなす場合においては、十分にわれわれの幼稚園の方針と同じような形において、できるだけひとつ相協力し合いながらやっていったほうがいいんじゃないか、日本の実態から考えて、こういうふうになっておるということを考えた場合には、そういう取り扱い方がやれないものかどうかということでございますが、これは昭和三十九年三月二十三日付で幼稚園教育要領というものができておりますし、それから保育所の保育指針というのが、その当時厚生省においてもできておりまして、それ以来、文部省と厚生省とはかなり緊密な連絡のもとに幼児教育あるいは保育ということについて施策を進めておる、こういう状況でございます。  私といたしましては、七カ年計画が終わりますけれども、さらに来年度からは新たなる年次計画を立てまして、この幼児教育の充実ということをはかってまいりたい。本年度も大学の私学に対しまして経常費の助成をやりましたが、同時に自治省と御相談を申し上げまして、高校以下の私立学校にもこの地方交付税で措置をしていただくということで、しかも、これを私立幼稚園、つまり学校法人の私立幼稚園までも及ぶということを一応お願いし、できるようになったわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この保育園が、厚生白書なんかを見ますと、ずっとふくれ上がってきておるのですね。それで、これからもおそらくふくれ上がっていくのだろうと思うのです。その数がふえていくのだろうと思うのです。ですから五歳児なら五歳児、あるいは四歳児なら四歳児の占めている割合というものは、相当比率が高くなっていくのじゃないか。そしてまた従来、働いている主婦というのは家庭に帰るのが第一だという考え方だったのですけれども、だんだんそういう傾向がなくなりましたですね。やはり家庭に帰らない形が相当強く出てきておる。これからも労働力が不足するということになりますと、ますます家庭に帰るというのじゃなくて、職場に入るという形のほうが普通になってくるのじゃないか。そうしますと、保育所というものの地位というものがもっと高まってくる。あるいは会社、企業等の託児所というものが高まってくるということになりますと、これは文部省のこの幼稚園というものと、これは問題が出てくるのではないかという私は感じがしておるわけですね。相当違いますね。学校に入ったときに、相当差別のあるところからきたという感じを小学校に入ると同時に受けるのじゃないかという、非常に懸念があるわけですけれどもね。  ですからそういう意味では、文部省が来年から第二次幼稚園の振興計画を立てられるというのですが、その場合に保育園を除いておられるのじゃないでしょうか。そういう点を、どういう形で幼稚園教育の中で非常に強い教育性を持たしていくかというのが大切じゃないかと私は思っておるのですがね。それを除いていくという考え方に立ちますと、これははっきり微妙な形になるのじゃないかという気がしますが、その点一つ伺うのと、もう一つは、これは先ほど大臣から御答弁がありましたですけれども、私立大学と同じように、幼稚園の場合におきましても七五%というものが私立幼稚園にまかしてある、しかも、その入園料なり、それから保育料なりというものは、公立よりも数倍であり十数倍であるというような異常な形ですよね、これは。ですからそういう面についてもっとやっぱりすみやかに、いまいろいろ援助なさるそうでありますが、もっとやはり援助を高めていく必要があるのではないかというふうに思いますので、その二つを、あるいは私立の幼稚園というものは公立かとってかわるというお考えなのかですね。これから五カ年計画、七カ年第二次計画で公立をつくっていくと、それが私立にとってかわるのだというお考えなのか、その点も含めてお伺いしたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 実は、この四十五年度で、昭和三十九年度に策定いたしました幼稚園振興七年計画が終わる予定でございます。それにつきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、当初私どもは、もう少しこれを六十数%の、七〇%近くの子供がこの七年計画で就園できるように私ども計画を立てましたが、正直に申しましてそこまでまいりません。六〇%未満の達成率でございます。そこで、四十六年度から、いままでのことも十分勘案いたしまして、第二次の、五年計画にいたしますか七年計画にいたしますか、要するに第二次の振興計画を立てたい、こういうふうに考えております。  その場合に、保育所をどうするかという問題でございますが、実は第一次七年計画を三十九年度に立てましたときに、いわゆる保育に欠ける子供というものの積算を一八%余り、二〇%足らずの数字ですが、これはどうしても保育に欠ける、家庭の事情等で幼稚園に通い得ないという考え方からはずしました。ところで、第二次の五年計画でございますが、保育に欠ける子供に対して保育所があるわけですが、そこで行ないます内容といたしましては、先ほど大臣からも答えられましたように、幼稚園教育要領に準じました保育指針のようなものを、厚生省と相談してつくっていただいております。それと、保育所に通う子供は、幼稚園に通う子供のように四時間程度じゃなくて、昼間八時間ずっとおります。したがいまして、その間、昼寝もしたり、食事もしたりというようなことがございますが、そこで、理想的に申しますれば、保育所に行っておって、午前中は、保育所は幼稚園でないのですから、幼稚園が別にあれば、保育児も幼稚園に行って、幼稚園が済めば保育所にまた戻ってくるといったようなのが理想の姿かと思いますが、ちょっとその辺につきましては、厚生省ともいろいろ話を進めてもおりますし、今後進めていきたいと思いますが、一応のところ、第二次の計画におきましては、この保育に欠ける子供が、今日保育所の数も非常に伸びておりまして、保育所に在籍しておる子供は二四%近くもおります。これを全部はずすのか、しかしその中には幼稚園に通うべき子供と申しますか、幼稚園があれば幼稚園に行きたいが、幼稚園がないので保育所に行っておるというような子供もおりますので、そういった子供はもちろん対象外にする必要はございません。何にしましても、昭和三十九年当時の一八%の保育に完全に欠ける子供、その数字だけ、それも全部取り込んで一〇〇%にするかということは、なかなか困難なことだと思います。したがいまして、一応保育に欠ける子供ははずしまして、その数字の取り方は十分検討しますが、その他の子供が、残った子供は全部が特別な事情のない限り行けるということを数字に置きまして、五年計画、七年計画を立てていきたい、こういうふうに考えております。  それから、その場合に、現在私立の幼稚園が非常に多いわけでございますが、それをどうするかという問題が残ります。そこで、これは中央教育審議会でも御検討いただいておりますが、私立の幼稚園の中の半数近くが個人立の幼稚園でございます。そこで少なくとも個人立の幼稚園は法人立に設置者を変えてもらいたいということをいまも推進いたしておりますが、一応そういう前提に立ちまして、それから、公立ができればもう私立はつぶしてしまうということではございませんで、私立の存在価値もございますし、また、今日まで果たした役割り、いろいろございますので、将来幼稚園が義務ということになりますれば、義務教育ということになりますれば、その場合に私立幼稚園に行っておる子供についての経費負担を地方公共団体でどの程度見るかとか、いろいろこまかい問題は残りますが、一応私立と両立するという前提で進みたい。しかし現在ある私立全部認めるということではなくて、半分に近い、少なくとも個人立幼稚園は法人立に変わってもらう、変わらなければ、これは一応公立のほうでその肩がわりをせざるを得ないであろう。非常に大まかな考えで恐縮ですが、そういったような考え方であります。それと、それを固めてまいりますためにこれは萩原先生からも昨年来御質問あったところですが、この四十五年度に、いま御審議をわずらわしております予算が通りますれば、四十五年度に幼稚園の実態調査をしたい、その実態調査を、ちょっとおくれておりますが、早急にまとめまして、次の計画の基本資料にしたい、こういうふうに考えております。  それから、私立幼稚園の援助につきましては、これは今日まで、まあ不十分ではございますが、数字で申しますれば、毎年増額を見ております。たとえば私立の施設整備につきましては補助金もございますし、また、振興会のほうの貸し付け金もございます。それから幼稚園の設備費としてのいわゆる園具でございますが、これも前年に比べて相当の増額を見ております。それからさらに、さっき大臣がおっしゃいました交付税につきまして、先般、つい先ほどの質問者に自治省のほうから答えられましたような、園児一人当たり千五百円ぐらいを見積もっておると自治省のほう言われましたが、その点につきましても、いま自治省と文部省のほうで相談いたしております。大体そういうことであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 時間がきましたから、これで終わります。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 ちょっと関連。

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 簡単にお願いします。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 簡単に。先ほどやった続きですが、いままでの幼稚園と保育所に対する考え方を変えてもらわなくちゃいかぬ。それは総理の施政演説の中にも家庭教育のしつけということを言っておりますが、これは理想形態ではありますけれども、いまの実態はなかなかむずかしいのではないか。つまり共かせぎ、パートがふえて、そして実質的には小学校に行ってもかなりかぎっ子が出てきている。これがますます日本の労働力の関係でどんどんふえていくのではないかという状況だと思うのです。そういった場合に、やはり私がお願いすることは、幼児教育を学校教育体系の一貫性の上に位置づけてほしいということなんです。   〔主査退席、副主査着席〕 ですから、結局いまのところは、かなり父兄の間におけるみえということではないのですが、隣の子供も行っておればうちの子供もやらなきゃならぬということで、相当の経済負担をしている。だから幼稚園における経済負担の限度というものを一体どう考えるのかという問題とか、それからもう一つは、保育所でもいわゆる経済的な面だけではなくて、自由契約児の形で、幼稚園へ行くよりも保育所のほうが安いから保育所にやらせるのだ、といっても措置児としてやるということについてはやはりできない。そういうことで、特に頼んで保育園に幼稚園のかわりに入れてもらう、保育園のほうが安いというふうな問題がこの中にある。それで結局私立の幼稚園と保育園を見ますと、大体教えている保母さん、それから幼稚園の先生方、これが腰があたたまらないのですね、いまの状況では。したがって腰かけ的に失礼だがやられている部面が多い。これは幼稚園の経営上からいうと、とにかく人があればいいのだという形の中で、まあ質的な向上というものが、これは非常に大きな問題として要望されているのではないか、そういう点で保育所のほうは、もうほとんど全部法人でなければ許さなくなっていますね。だから私は、私立のほうについては遠慮なく法人にして、そして一代の個人がどうこうしてしまうということではなくて、国が補助するとなれば、人がかわってもそれが永続されていくというふうな面については、いろいろと財産保全の問題とか、いろいろな問題があるにしても、いままでは、言いたくないのですけれども、いい幼稚園もあるけれども、中には金もうけ本位の幼稚園が相当見られる。したがって、これを教育体系の上に乗せるための格段の措置というものが講ぜられなければならぬと思う。  これにはやはり義務づけという前に、相当の援助と、これに対する指導、こういうものがなされなければならぬと思うのです。その前提としては、法人格にこれをすみやかにしてもらう。個人経営というあいまいなものではなくて法人にしてもらう。いま保育所は法人でなければだめなんですから、だからそういうふうな点で、よろしくそういう点についての御指導をお願いしたい。でき得るならば、家庭教育なり幼児教育の指針ということばを言われたが、これはなかなかむずかしいかもわかりませんが、幼児教育の憲章的なものを持って、学校体系の一貫性の中に乗せてほしいと私は思う。特にこれからどんどんと、先ほどから言うようにパートがふえて、共かせぎがふえて、女性の職場進出が非常にふえる。これを補うということはなかなかむずかしいけれども、そういう面について留意して、教育的にひとつこれが行なわれるようにぜひともしてほしいと思うのですが、これは大臣あるいは局長でもいいのですが。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 幼稚園の問題につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、四歳児、五歳児の幼児教育という面で、いま中央教育審議会におきまして抜本的に学校制度の体系上検討していただいております。ところで、幼稚園は今日学校教育法の第一条に規定される一条学校になっておりますので、とにかく小・中学校と変わりなく、義務であるかないかは別として、りっぱな教育施設、学校でございます。ただ遺憾ながら、これが義務制でないといったような面もございまして、一般の小・中学校は学習指導要領がございますが、幼稚園の幼稚園教育要領は、若干学習指導要領に比べまして、もっと検討する必要がございます。そういった意味で、中央教育審議会の検討と相まちまして、私ども十分この問題を検討しております。とりわけ、個人立の幼稚園につきましては、とにかく最重点的にこれに法人格を得させるべく努力したい。こういうふうに考えております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 すみやかにひとつ頼みます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 時間がありませんので、ひとつ答弁のほうも簡潔に要点だけでよろしゅうございますが、今回大阪においてガス爆発の惨事を起こし、私どもも常日ごろから防災体制を強化しておかなければならないことを痛感したわけでございますが、きょうは自然災害に対する防災体制、特に大学における研究のあり方について文部大臣にお伺いいたします。  御存じのように日本は世界有数の地震国であり、台風の常襲地帯でもあります。国土は山と海岸が多く、急峻で平地が少ない状態であり、災害の発生しやすい条件を備えております。一昨年の十勝沖地震、飛騨川バス転落事故、昨年の富山、新潟の豪雨、ことしの台湾坊主等、枚挙にいとまがありません。そこで防災のためにはその原因等の究明が大事であり、原因を知らざる防災対策は効果を十分発揮し得ないと考えます。そういう点で私は、防災の研究は非常に大事である、そのように思います。その点についてのそれを認めるかどうか。  それともう一つは、防災科学の研究者は、現在各大学に約千名、また政府機関に三千名いるといわれておりますが、この大学における研究のあり方と、政府機関での研究のあり方、大体大学では基礎研究、また政府機関関係では応用研究、そういうようなことを言っている人もおりますが、私もそういう線が妥当ではないかと思うのでございますが、そういう点に対する文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 災害科学の研究所を特定の研究のワクからはずして、ガンの研究と同様に特定研究費として扱うことにつきましては、その他の学術研究分野との関係もございますので、なお研究する必要があると思うのでございますが、しかし、わが国におきまする災害対策の研究の重要性にかんがみまして、災害科学の研究費につきましては、従来からも特別な配慮をしております。特定研究費につきましては、通常三年間で終了するものではございますが、災害科学につきましては、昭和三十六年以来、十年間一貫して特別の扱いをしてまいっております。今後とも同様な考え方で対処していきたいと考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ちょっと私の質問と趣旨が違うようでございますが、次に進みます。  それで、災害科学の研究は、気象学、地震学、土木工学、地質学、建築学、物理学、そういうふうに非常に多岐にわたる一方においては、地域的な特性を持っていると考えるわけであります。したがって、研究はばらばらで行なわれたのでは効果を発揮し得ない。そういう観点から、現在全国大学の災害科学研究の学者が、昭和三十五年、災害科学総合研究班をつくり、文部省の特定研究費によって今日まで研究を続け、多くの成果をあげております。私は、そのように全国の大学の研究者が総合的に研究をやる、こういう研究体制は、まことに喜ばしいことであり、大いに推進すべきだと、このように考えるわけでございますが、大臣のお考えはどうでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) いま御指摘のとおりだと私も考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 そこで、ところがこれらの研究者の大部分は、十分な研究組織、設備、研究費がなく、今日までの研究は、先ほど大臣から答弁のありました文部省の科学研究補助金の特定研究費に多くを依存してきております。ところが、この特定研究費は三年間を単位とする臨時的性格のものである。ところが、ガンの研究だけは昭和四十年より特別研究として定常的なものとなっておるわけであります。災害は国土の大きなガンであり、災害王国日本にとっては、その研究ははなはだ肝心であります。いま大臣も、大学の研究者による災害科学総合研究班のようなそういう研究は大いに推進すべきであると、そういう建設的な御意見を賜わったわけでありますが、その推進のためにも、災害科学研究をガン並みの特定研究にしてほしいとの要望が強く出されておりますが、私も当然そういう方向に持っていくべきであると考えるわけでございますが、その点の御答弁をお聞きしたいと思うのでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま私お答えを申し上げましたとおりでございますが、やはり自然災害につきましては、十分これからわれわれの解決しなければならぬ大きい題目でございますから、まあガン研究の特別研究というものとは別ではございましても、その趣旨はそれに匹敵するような充実した研究を行なっていかなければならないということは当然なことだと考えております。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 災害科学につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、昭和三十六年以来、特定研究といたしまして、毎年継続して科学研究費を出しております。最近では大体毎年の実績が一億円前後になっております。これをまあ特別研究のワクにするか、特定研究でさらに長期的にやるかというのは、科学研究費運営のやや技術的な問題でございますが、いずれにいたしましても、この問題がきわめて重要で、かつまた長期的に取り組むべき課題だと思っておりますので、これが途中で打ち切られることのないように、必要に応じて助成してまいるように留意してまいるつもりでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 その点ひとつ、非常に研究費が少ないという声もあるわけでございますが、まず先ほど私が申しましたように、永久的な特定研究、特別研究の方向に持っていっていただきたい、そのことをお願いしておきます。池田元総理がガンになったときにガンが特別研究になったのだと、そういうふうな話も聞いておりますが、総理一人の命も大事でございますが、同様に、国民の生命も大事であります。そういう点で、ひとつこの点につきましては今後とも関係当局の善処を強く要望いたします。  ところで、これは関係局にお聞きしたいと思うのでありますが、この特定研究費の配分時期が非常におそく、たとえば信州大学では、十一月に配分され、三月決算では非常に期間が短く、効果ある研究ができない、もっと早くしてもらいたい、また場合によっては年度繰り越しを認めてほしい、そういう意見がございます。私はもっともなことであると思うのでございますが、文部省としてこれは即刻対処していただきたいと思うのでございますが、局長どうでしょうか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 科学研究費の配分の内定並びに実際にその資金を送金することにつきましては、研究者の利便を考えまして、できるだけ早くやるように留意いたしております。最近科学研究費の配分方法を若干切りかえたような関係で、四十三年あたりはちょっとおくれましたけれども、昨年はすでに一昨年よりは一カ月程度早くなっておりますし、今年度につきましては、さらにもう一カ月ぐらい少なくとも繰り上げて、できるだけ早く内定通知をし、また一刻も早く研究者の手元に届くようにいたしたいと思いますし、また、その使い方につきましても、会計法その他の法規が許す範囲で、できるだけ弾力的に使用できるように留意、くふうをいたしたいと存じます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 年度繰り越しは、これは認められないのですか。そういうような方向に検討できないのですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) まあ研究者並びに文部省としては、そういうことができればという気持ちもございますが、現在のところ、まだ認められておりません。将来の課題として検討いたしたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それから研究費の使用について、使い道をもっと自由にしてほしいという意見がたくさんございます。非常に前進の激しい今日の社会では、研究も流動的な面もあり、当初の計画どおりいかない点もあると思います。もちろん、まあ研究費も国民の税金ですから、目的外に使用するということは許されませんけれども、そこはある程度大学当局にまかせ、あとは研究終了後に事後報告してもらうというようにすれば、もっと効果的な研究ができるのではないか、そのように考えるわけでありますが、その点、今年度の予算より実施できるよう検討していただきたいと思いますが、その点どうでしょう。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 科学研究費は補助金でございますので、まあ研究者の申請によりまして決定交付いたします。研究者の申請の段階で、まあ自分が最も効率的に使えるような計画を立てて申請されれば、その金額が全部認められるかどうかは別といたしまして、使い道につきましては、そう窮屈でないと思いますし、また補助金がきまりましてからでも、若干の弾力的な使用はできますのでございます。まあ、なおもっと便利な方法があれば、さらに研究いたしたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 次に、この二重投資を防ぎ、研究を推進するためには、いままでのあらゆる研究結果の資料を総合的に集める必要があると思います。特に地方の官公庁あるいは公共団体などに未発表の資料があり、また配付範囲のごく限られたものがある。また新聞社の報道の写真等で学術研究上きわめて貴重なものがあるといわれております。そういう点で、そういう資料を全部集め、研究者がいつでも自由に、またすみやかに見ることができるようにするために、全国六カ所に資料センターを設けてほしいという要望が災害科学総合研究班から出され、すでに案としては京都大学、北大、東北大学、埼玉大学、名大、九大等があげられております。日本学術会議も昭和四十二年十月、同様の答申を行なっております。これはなかなか一朝一夕にはできないかもしれませんけれども、私も当然そういう方向に強力に推進していくべきではないか、そのように思うわけでございますが、これは大臣にお伺いしたかったのでございますが、ただいま席をはずしておられましたので、問題がわからないでしょうから、そちらからひとつお答え願いたいと思うのですが。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 災害科学に限らず、学術資料につきましては、資料をまとめて収集し、研究者の研さんにサービスをするということにつきましては、要望もあり、文部省としてもその必要を認めまして、すでにたとえば外国法でありますとか、あるいは経営学の問題でありますとか、あるいは東洋学などにつきましては、文献センターというものを設けております。ただ災害科学は、災害の種類が非常に多岐にわたっておりまして、それぞれ災害の種類によりまして、たとえば低温災害などは北海道大学の低温科学研究所、それから地震ということになりますと東大の地震研究所、それから防災をかなり総合的に取り扱っておりますのは京都大学の防災研究所というように、事柄に応じてその研究の中心的な存在がそれぞれあるわけでございまして、資料などにつきましても、やはり事柄に応じまして、災害科学を中心的に取り扱う研究所、あるいは大学などを中心にやったほうがあるいは便宜ではなかろうかと思います。まああらゆる災害につきましてブロック別にそれが間に合うようなセンターをつくるということが、はたして災害科学の資料センターとして適当であるかどうかにつきましては、私どもなお検討を要する点があるのではなかろうかと思います。当座はそういう中心的な研究機関を中心といたしまして、資料の収集、整備、サービスといったようなことにつとめてまいるのがとるべき対策ではなかろうかと考えまして、そういう方向で進めてまいりたいと思っております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 最後に、これは文部大臣にお伺いしたいと思うのでございますが、まあ大学における研究は基礎研究が重点であり、諸官庁における研究は応用面が中心、それぞれ目的が違いますが、しかしその間はやはり連携を保ってこそ効果があると思います。そこで、大学の基礎研究の結果が応用面に生かされ、また現場におけるいろいろの測量データ、そういうものがやはり研究の面に反映されてくる。ところが、そういうまあ大学と諸官庁との連携というのは非常に不十分である。大学間の研究よりも、むしろ官庁間との連携が非常に不十分である。そのように私どもの調査の結果は出ておるわけでございますが、もちろんこれは大学の研究の自主性ということは当然尊重しなければなりませんけれども、やはりその連携はとっていかなければならない。そこで、両者の調整と連携をはかるために、適当な地域ごとに総合研究計画会議を持つ必要があるのではないか。これもやはり先ほどの総合研究班からの強い要望があるわけでございます。私もこれはやはり当然大事である。これはもちろん文部省のみできめられる問題ではなく、関係各省の理解と協力がなければならないわけでございますが、私は、日本のそういう総合的な災害対策を樹立するために、当然やはり文部省としてもそういう方向に一歩一歩推進をし、また検討をしていただきたいということを要望するわけでございますが、そういう気持ちがあるかどうかお聞きしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) その地域社会における、大きい意味における地域社会における官庁、それから大学というものが、その研究の成果を交流する、あるいはまたその事前におきましても研究に参与するというようなことが、これからの望ましい姿だというふうに考えておるわけでございます。私が国民のための大学と申しますのは、そのような意味でございまして、大学は基礎研究ということが主体ではございますけれども、その基礎研究と応用開発というようなものがスムーズに合って初めて社会に還元ができるわけでございますし、また同時に社会のいろいろの要請というものに大学がこたえていくということが大学のまた使命でもあろうかと思うわけでございまして、大学対地域社会、あるいは地域社会のニードに大学がこたえていく、そうしてまた文部省がその間に立ってその調整をはかっていく、同時にまた文部省を中心としてこの災害関係につきましては各官庁が協力し合っていくという体制ができなければならないというふうに考えている次第でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 皆さんの生理的要求を無視してまことに恐縮でございますけれども、そのまま続けます。   〔副主査退席、主査着席〕  特に文部大臣と初等中等局長におかれましては、二時にはもうこの場をお出になるそうでございますので、私は非常に残念でございます。しかし、これもいたしかたございません。文部大臣にまずお尋ねをいたしますが、きょうは、前の六十一国会の二回の質問に続きまして、幼児教育振興について、大体幼稚園に勤務する人たちの待遇と勤務条件を中心にお尋ねをしてまいります。まず文部大臣、あの幼稚園の教員の給与はどうあるべきかという基本的なお考えをまず承りたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは、今日公務員につきましては、特に公立学校の先生につきましては、教員俸給表もできております。この教員俸給表が適切であるかどうかということはいろいろ問題もあり、文部省としましては、この公立学校の先生方の俸給を引き上げるべく、待遇改善すべく例年努力いたしており、特にここ数年来初任給は一般の職員の初任給のアップよりも以上の増額を見ております。ところで、公立の幼稚園につきましては、実態は、小中学校の職員の俸給表と同じ俸給表を使うべきであるにもかかわらず、それよりもなお低いというような実態にございますので、小中学校の先生方の給与改善と同等にと申しますか、それ以上の努力を公立学校の先生の給与について文部省としても努力すべきであろう、このように考えておるわけであります。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 それでは低いということはお認めでございますね。それでは、その低いということで、一体公立幼稚園の給与の初任給はどれぐらいになっておりますでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは、いわゆる公立学校の教員の俸給表どおりにいたしますれば、初任給は大学卒で三万二千九百円、短大卒で二万七千百円であるべきと存じますが、実態は、最高のところが三万三千五百四十八円、最低のところが一万九千百円、平均いたしまして——これは最高と最低を足して二で割るということではございませんで、そういう実態で全教員の平均をある前提のもとに設定いたしますと二万六千九百九十円ということで、三万二千九百円という標準的な金額よりも低くなっております。短大につきましても、あるべき標準額は二万七千百円でございますが、平均で二万三千四百二十五円と、低くなっております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 そういたしますと、この給与は同一学歴、同一経験年数の小中学校教員と比較した場合、大体どれほどの格差がございますか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは一、二の県で申しますれば調査は出ておりますが、全体の平均が出ておりませんので、ともかく小中学校に比べまして相当低いということで、幾らの格差ということはちょっと調査中でございますので、お許しいただきたいと思います。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 時間がございませんから、それでは局長さん、またお調べになって、確かなところをどうぞひとつ。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) はい。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 それで、文部省は、去る四十一年の十二月に、各都道府県教育委員会に対して、公立幼稚園の教職員の給与は小中学校と同じようにと、先ほどの御答弁と同じことですが、現在その通達はどのように生かされておりますでしょうか。これは地方自治体の実情を、市町村別と申しますと、また調査ができていないとおっしゃるかもしれませんけれども、大体それでは兵庫県だったらどれぐらいの実態になっておりますでしょうか、ちょっとお聞かせをいただきたいと存じます。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは、幼稚園教員の給与につきましては、先生御承知のとおりでございます。そういう関係で、まず小中学校の先生と同じ俸給表を適用しておるものと、それより若干低い市町村吏員と同じ給与表を適用しておるもの、さらにそれよりも低い幼稚園独自の教員俸給表の、三段階になっております。そこで、いまの四十一年の通達と申しますのは、そういったような実態になっておりますので、文部省としても、幼稚園のほうは国庫負担がございませんが、交付税で積算されます場合に、相当の金額は自治省のほうへ要求して見られておるので、幼稚園の教員のそういった低い独自の俸給表は直すようにという通達をいたしました。その結果、通達を出しました四十一年では、小中学校教員俸給表を適用しておる市町村が百三十一でございましたが、その数は、その後いろいろ幼稚園がふえておりますので、比率で申しますと、当時一一%でございましたのが、今日一三%、わずかでございますが、二%はこの小中学校の先生と同じ俸給表を使うようにというふうになっております。それから、市町村吏員の俸給表を使っておりました市町村が四十一年で七八%でございましたが、これはダウンいたしまして七五%というふうになっております。それから、一番低い幼稚園教員独自の給料表をつくっておりましたものが、四十一年と四十四年、これは遺憾ながらいずれも一一%で、直っておりません。ただ、四十一年よりも四十三年のほうが幼稚園数が相当多うございまして、まあこの調査から見ますれば、比率といたしましては、一番低い幼稚園教員独自の俸給表を使っておるところが一一%でございまして、先ほど申しました小中学校の先生と同じ俸給表を使うようになったものが比率で二%ふえております。したがって、その後、四十一年以後若干、少しずつで恐縮ですが、小中学校の教員俸給表を使うように転換をしたり、あるいはその後新設になったものがそのようになったものと存じます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 行政指導をせっかくやっていただいたんですけれども、効果はあんまり上がっておりませんでございますね。それはどういうところに原因があるのでございましょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) まあいろいろあろうと思いますので、各地方公共団体、特に市町村ごとで違うと思いますが、まあ率直に申しますれば、地方財政として、幼稚園の教員にまで——幼稚園の教員にまでと言ったんでは教員の方に失礼ですが、小中学校の先生のは法律ではっきり明記されており、また国が国庫負担もしていくといったようなことで、二分の一は国で見てもらえる、そういうようなことでございますが、市町村のほうはそういうことでない。したがいまして、まあ財政上の問題が一番の問題であろうと存じます。さらに、まあそうは申しましても、理屈は別として、金の問題を除きますれば、やはり幼稚園の先生を小中学校の先生と同じように待遇すべきであるという意識、熱意に欠けておるんではないかといったようなところが原因であろうと存じます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 私もそう思います。市町村の財政のあり方、あるいは幼稚園に対する熱意の問題、あるいは国の負担額が非常に少ないということ、こういうことが原因であろうと思うのですけれども、しかし、先ほどから出ておりますように、私はこの幼稚園の教育というのは非常に大事だと思うのですね。そういうことがなされていないというのは、やはり声を大にして叫ぶところには予算が出るけれども、まあまあおとなしいところには予算が出にくいと、こういったようなこともあるんじゃございませんか、実情といたしましては。だからまあ、幼稚園というのは大体が女の先生の若い先生ばかりというところで、かりに給与が低くても、大きな声を出してそれを言うことができないというところにも私は問題があるんではないだろうか、そういうふうに考えます。そこで、地方交付税の交付でございますけれども、その中で幼稚園の経費というものはどういうふうになっておりますのか、お伺いいたします。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは、大体人口十万人の標準市におきまして公立の幼稚園を四校持つであろう、まあそういう想定のもとに、教員給与、幼稚園の維持・運営・施設・設備費、こういったようなものが見積もられております。これにつきまして従来から交付税が積算されているわけでございますが、この一つの、人口十万の都市において四校という積算にいたしまする前は、そのような標準もございませんで、いろいろ不合理な面もございました。ところで、昭和四十三年度からそういう措置が講じられたわけでございますが、しかし実態は、国が交付税として措置しました金額どおりに地方は使ってない。まあ大体三分の二くらいで、三分の一くらいの金額に当たるものが、これは交付税は積算でございますので、どのように使おうと地方公共団体の自由でございますが、そういったような形になっております。そこで昨年、特にことしから、先ほど自治省の方も一部おっしゃいましたが、密度補正ということで、人口十万の都市で幼稚園四つ持つという想定ですが、持たないところがある。しかし、それ以上幼稚園教育に熱心なところ、まあ財政上豊かな面もございましょうが、持つところ、いろいろ不公平が出てまいりますので、密度補正というものをやりまして、実態に即するような交付税の配分の考え方に持っていく、昨年からそういう措置をとっておりますが、私ども自治省と相談しまして、もっと実態に即するように、密度補正を適正にやってもらうようにお願いいたしておるわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 その密度補正でございますけれども、いま県にその密度補正をやられておりますところはどのくらいございますでしょうか、額にいたしまして。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 失礼でございますが、ただいま資料を持っておりませんので、ちょっとその数字、必要でございますれば、後ほど恐縮ですがお届けさしていただきます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 いまのお話で、地方交付税にはひもがついていない、そのために、そういったような積算の基礎があるとしても、かってに使われている部分が三分の一もある、こういうことでございますね。それでは幼稚園がうまくいかないのは私は当然のことじゃないかと、こういうふうに思うわけです。そうなりますと、幼稚園の運営が非常にむずかしくなって、ひいては先生方の給与にも響くのではないか、こういうふうに考えられるわけでございますね。そこで、幼稚園の先生方といたしましては、この交付金の算定基礎というものを引き上げて、その他の教育費から幼稚園というものの経費を独立さしてほしい、こういうような願いもあるわけでございますが、その点につきましてはいかがでございましょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 私どものほうといたしましても、趣旨におきましては先生と同じ考え方でございます。ただ、今日もその他の教育費という中にございますが、その他の教育費でなくて、幼稚園というのをぜひ小学校・中学校と同じように起こすかどうかということも、もちろん趣旨としてはけっこうですが、それができなければ、その他の教育費の中でもよいから実態としてもっと実情に合うような積算をすべきである。しかし、先ほど申しましたように、地方公付税は不十分ながら積算されておっても、それを受け取った市町村においてはまた違った形で運用しているということでございますので、要は、この国としての交付税はこのように計算しているにもかかわらず、そのとおりに使われていないで流用されているという実態を県に申し、市町村に申して指導していくということが、まずその他の教育費の中から幼稚園費を独立させる以上に重要であろう、こう考えまして、これまで努力しておりますが、十分なる効果は実を結んでおりません。趣旨といたしましては同感でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 では、今後そういう——同感であるとおっしゃっていただいたのですが、その幼稚園の費用というものを独立させてくださるおつもりはおありでございましょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) これは、小学校・中学校は特に義務でございますし、各市町村にもございます。それに比べまして幼稚園が義務制になってないというようなことからいろいろ問題もございまするし、また実態としまして小・中・高校費ほど大きな経費になっておりませんが、今後第二次の振興計画を策定するのと並行いたしまして、幼稚園も少なくとも各市町村には義務と同じように置かれるということを前提といたしまして、御質問の御趣旨に沿うように努力も交付税においてもいたしたい、こう考えます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 ぜひそのようにお願いをいたしたいわけでございますが、この幼稚園の教員の待遇を教職給与三表とこういうところまで高めるためには、どうしても義務教育並みに国庫の負担制度というものを導入しなければむずかしいことになるんじゃないかと思うんでございますね。その点につきましてはいかがでございましょうか。幼稚園と申しますのは、私はもう準義務教育だと考えている。そこまできていると思うんです。そういう意味で、そういったような問題についてどのようにお考えでございましょうか、承りたいと存じます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、ただいま中央教育審議会で検討がなされているところでもございますし、国庫負担も含めて御検討になっていると思うわけでございますが、やはり幼稚園の教育における重要性ということを考えました場合は、いずれそういうようなところへまいらなければいかぬのじゃないかというふうに考えます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 中教審の答申は答申でございますが、大臣のおつもり、お考えはどうでございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ここで、何といいますか、前向きだとかなんとかというようなことは、気持ちはそうなんでございますけれども、やはりはっきりは申せないわけでございまして、私といたしましては、やはり教職員が安定した形において幼児教育に当たっていただくというその趣旨から言うならば、やはり何らかの国の助成なくしてはやれないということは当然出てくるだろうというふうに考えます。これを給与負担法の形においてやるのか、あるいはその他のやり方でやるのかということについては、もう少し検討させていただきたい。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 十分御検討いただきまして、実質的にぜひそういった形になるようにお願いを申し上げたいと存じます。  次いで、私立幼稚園についてのお尋ねをするわけでございます。先ほどからもいろいろ問題になっておりますし、前国会におきましても、私学共済に関する法案審議の際、私立幼稚園では初任給、平均給与ともに低いことを皆さん御確認になった。そしてそのときに、標準給与の最低額を一万二千円から一万八千円に引き上げようと、こういうことも出されたわけでございますね。そこで、私立幼稚園の給与がそこまで引き上げられるのではないかという私は希望的な観測を持ったわけでございますけれども、それからの実態はどのようになっておりますのかお伺いをいたしたいと存じます。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) 実態につきましては、私ども五年ごとに項目調査をやっておりますので、たいへん恐縮でございますが、ただいま四十年ごろの資料しかございませんが、この前お答え申し上げましたように、幼稚園の、特に私立の幼稚園の給与は非常に低いということでございまして、今後、先ほど来お話ございますように、地方交付税におきまして財源を調達する。これは、公立の幼稚園と違いまして、都道府県が補助の主体になるわけでございますけれども、そういう意味では、公立のほうよりむしろ補助が実際行なわれ、そのために教員の給与も引き上げられていく可能性は強いのではないかというふうにも期待しているわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 それはほんとうに高くなることはたいへんありがたいことで、それがしかし、国庫の補助ということがない現状におきましては、先生たちの給与の引き上げがそのまま父兄にはね返ってくるんではないか、こういう心配もあるわけでございますが、先ほどお話もございましたように、私立の幼稚園というのは非常に公立の幼稚園に対して高い。その高いというのは、やっぱりそういうところにも原因があるのではないかと思うんですが、こういうことで一体私は非常に心配を持つわけですが、この物価高の中でこういったようなことがどういうふうになりますのか、文部省のひとつはっきりした、そういうことはないんだ、父兄にはね返ったりすることはないんだというようなお考えでしょうか、そのあたりひとつはっきりしたお答えをいただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど来、大臣から大学その他についてお話がありましたが、大学につきましては教育の内容と研究を向上させるということが他面出るわけでありますが、幼稚園の場合を考えますと、これは内容と申しますよりも、現在父兄負担が非常に高いということに着目してある程度措置すべきじゃないかということから、このたびのような措置も考えたわけでございます。今後ともそういう観点に立ちまして、大学につきましては——むしろ高等学校以下につきましては、いわゆる父兄負担の軽減というものを頭に置きながら財源措置をするという方向ではないかと考えます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 ぜひこの際、私学助成の一環として、人件費に関する問題も御考慮いただきたいというふうに考えます。  次いで、時間がございませんから、まず、昭和四十一年度に文部省は小中学校教員の超過勤務の実態について調査されたと承っておりますが、幼稚園の教員についてはこういう調査がなされましたのかお伺いをいたしたいと存じます。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 幼稚園につきましてはいたしませんでした。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 局長ね、いたしませんでしたとおっしゃるが、これはぜひやっていただきませんと困るわけですね。と申しますのは、前の国会で、私学共済の組合費未納校八十一のうち四十三校が幼稚園だったということで、その理由の一つは多忙のためということを聞いたわけです。必ずしもお金ばかりの問題ではなくて、そういった多忙のためということでございましたが、一体幼稚園の教職員の構成というのはどのようになっておりますのか。調査しておりませんとおっしゃるのですからお答えは無理かと思いますが、大体幼稚園の職員はどういうふうになっておりますか、ちょっと承っておきたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 幼稚園は、幼稚園の園長、それから教諭、事務職員、看護職員、用務員といったような職員から構成されておりますが、園長、教諭は必ずおりますが、いわゆる事務職員は、先ほど申しております人口十万の町において四つの幼稚園が置かれるという場合におきましては、一人はそうした事務員ということで交付税上は積算いたされております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 そこで、用務員のいない幼稚園というのは大体どのくらいございますでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 約四千三百校でございます。四割に当たろうかと思います。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 その四割に当たる幼稚園に用務員がいないということについては、これは非常に小中学校の先生よりも雑務が多いということは確かだと思うのです。こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) そのようなことから、来年度交付税上の積算におきましては、標準都市でございますが、二人の職員増員ということで十八名を二十名にしたのも、実態が先生御指摘のように十分でないということを前提として、そうした交付税上の積算基礎を改めることにしたわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 まあできるだけ幼稚園にもそういうあたたかい御配慮をお願いいたします。  なお、私は姫路でございますが、姫路でも四十名の定員をオーバーしている幼稚園が非常に多いと聞いておりますけれども、その定員をオーバーしている幼稚園の数は全国でどれほどございますでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 昭和四十四年度の幼稚園、これは幼稚園の数よりも学級の数で申し上げたほうがより適切かと思いますので、学級数で申させていただきますが、総学級数が四十四年度四万五千九百八十二学級でございます。そのうち四十一人——これは定員は四十人以下を原則とするということになっておりますので、四十一人以上を定員超過と見まして、四十一人以上の幼児を収容する学級数を調査いたしましたところ八千五百九十五学級、全体で占めます比率は一八・七%でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 それでは、オーバーの最高人員はどのくらいになっておりますでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 従来の調査では、一人から十五人とか、十六人から二十人、三十六人から四十人まで、そういう人数段階で調査し、四十人以上は、四十一人以上ということでトータルをとりまして、四十一人以上五十人とか、五十一人以上六十人とかいったような調査はいたしておりません。いまの一八・七%は四十一人以上ということで、その詳細は不明でございますが、そういう状況もございますので、四十五年度調査におきましては、いま御質問のようなことも統計上はっきりさせたいと思って、そういう内容を含んでの調査をいたしたいと思っております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 これは、小さな小供を四十一人世話するのと五十人世話するのとでは、局長さん、たいへんな違いでございますね。ですから、この実態についてどういうふうな対策をお持ちでございますのか。ちょっとその対策、これは調査の上に立ってといういまのおことばでございましたが、少なくともこれ以上は絶対だめだというようなことですね。まあ四十一人以上なんとおっしゃいますと、これは四十一人でも四十一人以上ですし、五十人でもそうですし、六十人でもそうだということになりますので、ここらあたりひとつほんとうに実態に即したもので対策をお立ていただきたいと、こう考えるわけでございますが、そういうことについていかがでございましょうか、どういう対策をお立てになろうとしておられますのか伺いたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 幼稚園につきましては、小中学校のような教員定数に関する法律がございませんので、その辺がまことにこういった実態を起こすもとであろうと思います。したがいまして、そういうことを考えましても、要するに幼稚園の先生の数をふやしていくということが直接学級定員をオーバーしないことにつながると思います。そういうことで、繰り返して恐縮ですが、交付税の積算におきましても教職員数をふやしていくということに努力をいたしておりますが、そのほかにもいろいろございましょうが、結局はそういうことだろうと思います。ただ、さなきだにいまの教員給与が低い、それを上げたい、さらに今度は人間もふやす——いろいろ考え方といたしましては出てまいりますものの、結局は市町村の財政上の問題にはね返ってくる問題でございます。したがいまして、考え方は考え方でございますが、市町村の義務教育に当たる者のこういうことについての解決策といたしましては、結局幼稚園についての熱意、あるいは交付税等での予算措置、さらにわずかではございますが園具費とか施設費といったような国の補助金の増額、まあもろもろのものが相まって推進されなければいけないということは痛感いたしておりますし、そういうことを総合して結果的には教員の定数もふえるということに努力したいと考えます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 幼稚園の産休というようなものについてはどういうふうになっておりますでございましょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 交付税の積算におきましては、標準都市で——人口十万の都市で四つの幼稚園ということでございますが、その四つの幼稚園を合わせまして一人の産休のワク外教員を見込んでおります。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 幼稚園の先生は質が悪いとか、いろいろ批判もあるわけでありますね。ほんとうはいい先生になったころに子供を産んでやめなきゃいけないといったようなことが出てくるんじゃないか。人口十万に対してたった一人の産休ということになりますと、これは四校で一人と言えば非常に聞こえはいいようですけれど、なかなかこれでは私幼稚園の先生なんというのは子供は産めないと思うんですよ。これは人道上の問題じゃないかと思いますが、文部大臣いかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これは実態から考えまして人道上の問題になりかねないわけでございますから、そういうようなことの詳しい調査を今度いたしますので、それに合わせまして十分配慮してまいりたいと考えております。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) いま大臣から申されたとおりの趣旨でございますが、多少弁解がましくなりますが、一応先ほど申しました数字で申させていただきますと、人口十万の都市で四つの幼稚園がある。一校五人と見て、二十人という積算をいたしております。その人数がよいか悪いかは一応問題があるとしましても、それに対しまして一人ということは、これは機械的に比率に直して恐縮ですが、二十人に一人ということは、五%に当たる者が産休のワク外教員である。ところで、小中学校のほうは、そういった比率で見ますと、産休の代替教員は二・四%の比率でやっておるわけでございます。もちろん小中学校が不十分なんだから比較にならないという前提を置きますれば問題になりませんが、一応二十名に対して一人という措置はいたしております。しかし、これで十分とは申しません。趣旨としましては大臣が先ほど申されたとおりと思いますが、一応現状を御説明いたしました。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 幼稚園は大体若い先生が多いわけでございますね。そうしますと、大体一年に幼稚園で赤ちゃんを産まれる先生というのはどれくらいございますでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 小学校の場合に、何歳から何歳までの女の人が何人子供を産んでおるといった調査をいたしておりますが、それの合計をとりますと、大体三十歳を中心としての前後になっております。その比率は、大体五・四%の数字に当たる女教員がお産をしておるという数字になっております。したがいまして、決して弁解するわけではございませんが、一応五%の実態——幼稚園のほうは二十人に一人ということで、数字としてはそういうことも基礎にしておるものと存じますが、なお、必ずしも十分でございませんので今後努力はいたしたいと思います。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 もう時間がなくなりましたが、幼稚園によっては定年を四十五歳に定めておるところもあるように聞いておりますが、そういうようなことはいかがなんでございますか。四十五歳で定年というような、そういうところもあるというようなことを聞いておりますけれども、それについてのお考えを承りたいと存じます。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○政府委員(宮地茂君) 幼稚園の教員の定年でございますが、これは小学校・中学校につきましても、大学のように定年は幾つであるということをきめたものはないわけですが、いわゆる小中、幼稚園の先生方で定年といわれますのは、勧奨退職年限、勧奨退職の年として、公共団体が退職を勧奨しておる慣例上の年齢だと存じます。それにつきましては、小学校以上につきましては大体のことを把握いたしておりますが、幼稚園についてはそのようなこは詳細は不明でございます。しかしながら、幼稚園のほうが小中学校よりも教員の年齢構成は低うございますので、小中学校の先生について勧奨退職が相当行なわれるのと比べて、幼稚園のほうはそれほどシビアーではないのではなかろうか、しかし想像でございますが、幼稚園につきましても、勧奨退職年齢が大体慣行上定められているところも相当あるのではなかろうかと存じます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 まあ幼稚園にいたしましても、非常に勤務条件の悪い、しかも給与も劣悪の中で一生懸命にやっていてくださるわけでございますね。ですから、私たちといたしましては、特にこの幼児教育の重要性ということをお考えいただけますなら、だれもが喜んで、誇りを持って、幼稚園という幼児教育に携わるというように、そういう御配慮が特に願わしいと考えるわけでございます。先ほどからも申しておりますように、声が小さいところには予算も出にくいといったようなことではなくて、やはり黙っていても、これはたいへんに大事だと思えば予算をつけていくと、こういうかっこうでぜひ私はお願いを申し上げたいと考えるわけでございます。また、幼稚園の先生方からのいろいろの陳情も私はたくさん受けておるわけでございますけれど、きょうは時間もございませんので、そういうまだまだ、お尋ねしたいこともあるわけですが、皆さんの生理的要求も考えまして、このあたりで質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 以上をもちまして文部省所管に関する質疑は終了したと認めます。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 速記を起こしてください。     —————————————

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、委員の異動に伴い前田佳都男君が本分科の担当委員に選任されました。     —————————————

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 昭和四十五年度総予算中、生省所管を議題といたします。  政府の説明はこれを省略して、お手元に配付の説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 現在の社会構造の悩みは過密と過疎かと思うのであります。特に私は過疎の問題、そのうちでも医療に限ってお伺いをしたいと思います。過疎町村におきまして医療対策にたいへん苦心をしております。医師を確保するために町村長の苦心は並々ならぬものがあると思います。どの町村も、あちこちの病院をかけめぐり、あるいは各大学を歩き回り、そうして過疎の各町村長は非常に苦心をしておる。たとい医師が見つかりましても、その医師に対して莫大な給料を払っておるわけであります。月五十万円はざらでありまして、ときには百万円くらい払っておる。しかも、その給料のほかに、過疎町村に駐在した場合は、ある一定の期間を経た後に外国に出張させるという条件までつけておる。そういうふうに苦心されておる。その実態、厚生省ではよくお知りだろうと思いますが、実態をお調べになったことがありますかどうか、それを最初にお伺いしたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) いわゆる僻地におきます医療が御指摘のとおり非常に困難な事情にありますこと、私どももいろいろな実態で承知いたしておるわけでございます。厚生省では、かねがねこういう僻地における医療を確保するという観点から、すでに御承知だと存じますが、いわゆる無医地区というものについて全国的な調査も実施をいたしております。この調査は、きわめてきめのこまかい問題でございますけれども、人口五十人以上いるような半径四キロの地区というものをとりまして、そういったものの中に医療機関がないか、そういったことをまず全体として把握いたします。さらたそれを、交通の事情でございますとか、あるいは人口の規模でございますとか、そういうことによってそれぞれ分けておりまして、人口が千人以上であるというようなことであっても、交通がきわめて不便である、たとえば公共的なバスが一日に二本しかない、あるいは片道徒歩で一時間半以上かからなければ医療機関に行けない、こういうような地域をそれぞれ調査対象として選んで、それぞれの数がどの程度であるということも承知をいたしておるわけでございます。それに対しまして、それぞれの地域に応じました診療所の設置でございますとか、あるいは機動力の活用でございますとかいうものを、その地域特性に合わせて対処させるように計画をいたしておる状況でございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 厚生省ではその実態をよく調べている、いろいろ診療所の設置等にも骨を折っておるというお話でありますが、現実は、たとえばわれわれの和歌山県を例にとっても、非常に苦心をしておる。はなはだ御説明はりっぱでありますが、実際問題として非常に苦心をしておる。現状のままで厚生省はいいと私はお考えになっておると思わないのですが、その点どうでしょうか。現状でいいと、もうすでに十分配置しておるというふうにお考えでしょうか、念のために伺います。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 先ほど来申し上げましたようないろいろな地区があることも承知をいたしておりますけれども、なおそういう地域における医療問題を解決するという計画が進行中でございますので、決してそのすべてが完全にカバーできたという段階ではございません。特に、ただいま御指摘のように、診療所をつくるということがあってもそこに医者が確保できないために有名無実になるのじゃないか、これはごもっともでございまして、私どももたいへんその点を心配いたしまして、特に最近におきましては、診療所をつくりますときは必ず親元病院を指定いたします。国の病院でありますとか、あるいは県立病院でございますとか、あるいはその他日赤、済生会等の公的病院、こういったものと診療所を結びつけまして、親元病院から必ずその診療所の診療については責任をとる、こういう形をつくって医者の確保をはかりたい。診療所につきましては、ただいまそういうような形で運用いたしておるわけでございます。  なお、四十五年度におきましては、そういう親元病院が活動の非常に低い診療所に対してさらにてこ入れをいたしますために医師を派遣する等の費用について助成をするような措置も新たに四十五年度から講じたところでございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 親元病院の制度をお考えになって、実際実行に移しておるということでございますが、四十五年度の予算を見ましても、率直に言って、過疎地域の医療対策というものはそれほど胸がすくようなものではない、何となく貧弱なんです。これじゃ過疎対策とは私は言えないと思うのです。予算面でその額は幾らですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 私どもの僻地医療対策として四十五年度計上いたしておりますのが三億八千百万円でございます。内容としましては、僻地の診療所の整備、これが約二千四百万円。それからそれの運営でございますが、かようなところは必ず収支相伴わないような診療所の運営になることが多うございます。そういう赤字に対してこれを補てんするという費用が一億八千万円でございます。そのほか僻地の患者輸送車——これは交通が次第に発達するに伴いまして、医師はおりませんが、患者輸送車を配置することによりまして、もよりの医療機関に町のほうまで患者をいつでも運べる、こういう体制を整えるための患者輸送車。これは海の場合には船、それからことしからは豪雪地帯のために医者みずからが運転できますような小型の雪上車もこの中に含めておりますが、それが約四千九百万円でございます。それからそのほかに僻地の巡回診療。いわば深刻さは非常に薄い地区でございましても、なお医療上欠けるところがあると思われる地区につきましては、巡回巡療を行なうようにいたしております。それらの船なり車の整備費が二千六百万円。それから、それにつきましては、これも運営費についてやはり負担がかかるわけであります。これは新規にことしからそれの運営費の助成といたしまして二千九百万円を計上いたしております。そのほか、先ほど申し上げました親元病院に対する協力助成、これが新規に二千百万円入っておるわけであります。それから、国立病院等が一定の非常勤の職員を配置いたしまして、そういう僻地のほうに医師を派遣するための費用として約五千万円を計上いたしております。   〔主査退席、副主査着席〕 はなはだ小さなものでございますけれども、各大学等が夏休み等を利用しまして僻地の巡回診療に学生ともども参る、こういうことによりまして若い卵の医者にそういう僻地の実態も把握させる、こういうための費用も約二百万円計上いたしまして、合計三億八千百万円でございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 ただいまの説明を聞いておりますと、いろいろアイデアをもってこれに対処されておるようでありますが、本物のお医者さんを確保するために、たとえば町で五十万円も百万円も出しておる。それに対する助成はその予算のうちにはないように思うのですが、その点を聞きたいことが一つ。おそらくそれはないでしょう。  それから、もう時間がないから急いで聞きますけれども、過疎地域の町村財政というものは非常に貧弱なんですね。実に貧弱なんです。背に腹はかえられないということで、非常に無理をしております。いわばやせ馬が重い荷物をかかえておるわけであります。医師を確保するために相当の無理をしておる。実にわれわれもう聞くにたえぬような無理をしておるわけであります。それで、私はこの際医務局長に聞きたいのですが、お医者さんを義務的に配置せしめることはできないと思うのです。営業の自由で、どこで開業しようと自由である。したがって、義務的に、どこにおまえは駐在して医療に当たりなさいということが言えないと思うのですね。それで、それを補う方法といたしまして、僻地向きのお医者さんを確保するために、医学生ですね、お医者の卵、医学生に給費制度をやる。おまえは卒業してから辺地に行きなさいという条件をつけて学費を補給する、給費する制度をお考えになっておるかどうか、その問題が一つ。それぞれについて回答を願いたい。  それからもう一つは、給費制度というものを行ないましても、卒業後、これはよく貸与制度の場合でもある例でありますが、卒業後学校を出るときに学校にいる間貸してもらったそれだけの学費を返したらいいじゃないかというわけで、せっかく卒業しても辺地に行かないで、その義務を履行しないで、学費を返済する、そうして辺地を離れるおそれがあると思うのです。そのためには、どうしても結論において給費制度というものもうまくいかないということになりますと、結局辺地に駐在するお医者さんをうんと優遇する以外に手はないと思います、現在の制度においては営業の自由があるのですから。現在の制度においてはうんと優遇する以外にない。ところが、うんと優遇するには、やせ馬の町村でありますから、優遇するだけの財源がない。それに対して国で補助、助成をしてやらなければいかぬ。そういう医師に対する優遇あるいは補助の五十万円、百万円というようなものは、とにかく現在のもとにおいてこれ以外にもうしようがない。それを思い切って優遇するために、辺地の駐在医師を優遇するために、現実に医者が来てもらえるように厚生省でうんと優遇するお考えがあるかどうか、それに対して財政援助をするお考えがあるかどうか、それについてお伺いしたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) ただいまの三十万あるいは五十万という金を出しても医者を確保しようとしている、その費用に対しましては直接の援助はいたしておりません。そのために幾らという予定はないわけであります。ただ、先ほど来申し上げましたけれども、そういうものを含めまして、避地診療所の運営というものが全体として赤字であるという場合につきましては、そういうものも一部含まれるはずでございます。そういうものも含まれた運営費の助成ということははかっているわけであります。ただ、医者の給与そのものに対してストレートに対応するというやり方はとっていないわけであります。  それから奨学金の問題でございますけれども、これは先生の御案内のとおり、和歌山県におきましても、たしか二万五千円だろうと思いますが、その程度のものを県が出しまして、そういうことの学生に対して奨学金を出しております。そのほか、各地方公共団体が出しているところがある程度——十カ所ほどあるわけでありますが、ただいま先生御指摘のように、そういう金が出ましても、卒業とともにやはりその金を返して去って行くということが非常に多いようでございます。したがって、この問題については、今回の予算には私どもとしてはまだ計上するに至っておりませんけれども、先生御質問のような趣旨に従いまして、何とかこの医者をそちらのほうに振り向ける方向にもう少し知恵を働かせてもらいたいということで検討を進めているわけであります。たとえば、ただいまのような奨学金制度は、大体医学生を相手にして行なわれているのが通例であります。しかしながら、学生中に将来の意向というものは必ずしもきまっておらない状態でございますので、私どもがもし考えるといたしましたならば、学生に在学中に奨学金を、しかもわりあい安い費用を出すのでなくて、卒業いたしましても、直ちにこれが実地に活動いたしますためには、なお相当研究を要する、本人の努力、勉強をしなければならぬ要素があるわけでありますので、できましたならばそういう卒業したあとに相当の費用をお貸しして、それによって一定の勉強ができたあとそういう僻地に行っていただくという方法はないか、そういったこともかなり具体的に私どもも検討を続けた次第でございます。なお、これについては、それのはたして効果がどこまで得られるかどうか、なお慎重に瀬踏みをする必要もございますので、ただいままだ検討の段階でございます。しかしながら、定着させるという方法としては、そういうことをひとつ考えていく。  それからもう一つは、同じようなそういう性格の中で、いま若い医者だけを対象にするという考え方が中心でございますけれども、必ずしもそういう若い医者だけを対象にする必要はないのじゃないか。たとえば、都会等に出ておりました医者が僻地に行きたがらない問題の一つは、子弟の教育ということも一つございます。そういう子弟の教育等も、ある程度完成したいわゆる中年医師が故郷に帰ってと申しますか、一定期間やっておった者に対して何らかの手当を差し上げるというようなことで、いわばもう一度カムバックしていただくというような方法、こういうことも将来検討すべきではなかろうか。いま申し上げましたようなことをいろいろ中核にいたしまして検討いたしておるわけでございますけれども、何しろいま御指摘のように義務づけということがきわめて困難でございます。したがいまして、私どもも引き続き、先ほど来申し上げた対策のほかに、そういうこともひとつ鋭意検討を続けまして、できるだけそういう医師の確保ができますように努力したいと考えておる段階でございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 それでは、その診療所全体の赤字が出た場合には、それを補給するということは考えましょう、しかし医者そのものに対する給与を補給するということは考えておりませんね。また、それについては今後とも、いまのところあまり積極的にそれはお考えにならぬわけですね。ところが、それではなかなかすぐには効果があがらぬと思いますね。実際、エコノミック・アニマルじゃありませんけれども、とにかくやはりどうしても収入の多いところを選ぶ傾向がありますから、結局やはり国で相当優遇するということを考えていただかなければ目的を達することはできないのじゃないかと思います。  それから、三月の二十五日の朝日新聞に、こういう記事が出ております。「医者が欲しけりゃ一億円」という題で出ております。これは北里大学という大学が医学部を設置いたします、それに「無医地区解消への協力」、それから「地域社会医療への協力」という見出しで、過疎地域を持つ県知事の推薦で学生を預かって医学教育をするということが書いてあります。ただし一億円の寄付をしなければならぬ。これは過疎地域を持つ県としてはむしろ安上がりであると言って非常に歓迎しておる傾向があるということが新聞に出ております。これについてどういうようにお考えですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 大学の医学部の認可の問題につきましては、私どもの所管外でございますが、北里大学が、現在の医学教育から見まして、特にそういう方向に将来行くという、伸びていくような医者を教育したいということを一つのいわば建学の精神にしようということは、私ども聞いておるわけであります。したがいまして、それに伴って、御賛同いただく公共団体からは応分のお金がいただければ、そういう推薦された学生で優秀な人を預かって、特にその教育につとめたいということで、お互いの話が成り立っているように聞いております。私どもはしかし、これは公共団体がお出しになる費用でございますので、それぞれの議会でいろいろおきめになったことだとすれば、私どももあえてそれをいけないということを申すわけにはいかないと思います。個人から取るわけではございませんので、そういう政策もある程度は必要かと存じますが、ただ、相当長い医学教育でございますので、その間にはたして所期の目的がそういう若い学生たちに貫いていかれるかどうかということは、この辺については、率直なところ、そのとおりすべてが保証できるというふうには、私は責任がとれないような気がいたしております。しかし、それは、教育としてそいう方向に向けていくということは、一面必要なことではないかと思います。ただ、一億円要るからということとは別問題であるというふうに私どもは考えております。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 文部省としてはどういうふうにお考えですか。

三角哲生文部省管理局振興課長

○説明員(三角哲生君) お話のございました寄付金につきましては、医師の不足に悩んでおります山形県の知事から、医学部新設にあたって、北里大学に対しまして、県内の医師養成に協力してほしいという旨の申し出が県のほうからございました。また同じような事情にありますほかの県からも同様のお申し出もございまして、北里大学としてはこれに協力することにしたというような事情であるというふうに承っております。で、北里大学の医学部といたしましては、こういった申し出のございます県から、入学定員の四分の一以内の範囲内で入学者を受け入れるというような方針のようでございまして、県としては、同大学に対して寄付を行ないますとともに、学生に対しましては学費を支弁するに足るような奨学金を支給する計画も持っておるように承っております。なお、寄付を行ないました県から学生を受け入れることにつきましては、公正な選抜の手続を経て、医学教育を受けるにふさわしい能力と資質を持った人を受け入れる限りは、問題はないのではないかというふうに考えております。  なお、北里大学の場合は、北里大学の資金計画中、当初六年間に医師不足の県からの寄付金四億円を予定しております。  なお、山形県につきましては、県会の議決ですでに寄付金の支出をきめておりまして、昭和四十五年度には三千万円の支出をするというふうにおきめになっておるようでございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 いま文部省のほうの説明を聞くと、なかなかいいようなアイデアのようにお話しでありますけれども、これは結局過疎地域を持つ府県がだまされるというと失礼でありますが、結局羊頭を掲げて狗肉を売るというか——辺地を持っておるところは一億円でも何億円でも出そうという気持ちは持っておるのですよ。さて、寄付をしてその学校に入れて、医者の教育を受けまして、卒業した後は、はたして辺地へ来てくれるかどうか。義務づける何ものもないのですね。また、その金を返せばいいでしょうということになると、どうすることもできない、そういう問題がある。この問題につきましては、あともうちょっと質問したいと思います。なお、これに関連して、県立医科大学、府立医科大学、いわゆる公立の医科大学が日本全国で相当たくさんある。相当ばく大な地方財政の負担をしておるわけであります。国立大学の医学部が過疎地域の医療問題に協力することはもちろんでありますが、しかし、まず地方財政の負担で持っているところの県立医科大学とかあるいは府立医科大学がこの過疎地域の地域医療というものに協力すべきであると思うのですがね。その点は厚生省の医務局長並びに文部省はどういう御意見でしょうかね。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 私どもは、やはり、大学が教育課程におきましても、また実質上多少昔とは事情が異なってまいりましたけれども、いわば医者の供給源としての大学教育という実態がございます。そういう地元の困難に対しましては、やはり率先して協力をすべきであると思います。また、私どももいろいろと僻地問題で具体的に取っ組みますときに、最近やはりそういう大学との連絡を、先ほど申し上げましたように、親元大学と病院とを結びつける、それからまた地元で援助する、そういう形を具体的にとっておるわけでございますので、御指摘のように、やはり積極的に協力すべきものであるというふうに考えております。

吉田寿雄文部省大学学術局大学課長

○説明員(吉田寿雄君) 文部省といたしましても、公立の医科大学あるいは医学部は、僻地の医療に対しまして教育研究に支障のない限りできるだけ協力すべきであるというふうに考えておりますし、従来からまたそのような方向で指導してまいっておるわけであります。ただ実際問題としては、必ずしもそれが十分に行なわれませんで、非常に問題はございますけれども、今後とも文部省としても、できるだけ僻地あるいは地方の医療に協力するように指導してまいりたい、こんなふうに考えております。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 大至急やりますが、それでは、これらの公立医科大学入学の際に、入学許可条件として、卒業後一定の期間県あるいは府が指定する過疎地域に駐在しなさいという条件で入学をオーケーすることができるかどうか。その場合には、多少成績が悪くても、過疎地域におまえは駐在するんですよ、よろしゅうございますと言えば入学をさせてやる、そういうことができますか、どうですか。

吉田寿雄文部省大学学術局大学課長

○説明員(吉田寿雄君) いまの憲法その他の精神からいたしますと、義務づけることはできないと私どもは考えております。しかしながら、たとえば、先ほどお話の出ておりましたように、関係の地方団体等から育英奨学資金等を貸与いたしまして、そして卒業後一定期間指定の僻地等に勤務すれば、その育英奨学資金を返還する必要はないというような条件で、積極的に奨学資金を活用するということは十分考えられると思います。しかしながら、やはりそういうことを抜きにして、卒業後一定期間僻地に勤務することを義務づけるというようなことは、いまの憲法その他の立場からしてできないのではないかというふうに解しておるわけでございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 しかし、人間には金もうけだけのことを考えない人間もいるんですよ。社会公共のために身を犠牲にしてもやってやろうという人も中にはいる。一生涯辺地の医療のために身をささげましょうという犠牲的精神の持ち主もあると思います。これらの人々が、医者になりたい、ただし私は山奥へ行きたいんです、辺地に行きたいんです、金もうけよりもそれをやりたい、社会公共のために尽くしたいという、そういう篤志家のために、医科大学に辺地科ということもおかしな話でありますが、辺地へ行ってもよろしい——辺地というか、山奥でもよろしい、医は仁術なりという精神を生かすようなことは文部省としてはどうです。

吉田寿雄文部省大学学術局大学課長

○説明員(吉田寿雄君) ただいまの御意見でございますけれども、いまの医学教育の中において、そういうたとえば辺地等において積極的に診療に従事するというような気概と申しますか、そういったような精神、これが非常に乏しいということは、確かに問題であるかと思います。したがいまして、今後の医学教育の中で、いわばおのずから医学生をしてそういうような気持ちにならせると申しますか、そういうような指導をもう少し徹底しなければならない、徹底する必要があるということは、言うまでもないことだと思います。しかしながら、ただこれは、精神訓話でもって、あるいは単なる教育だけでもって解決される問題では必ずしもなかろうと私ども思っておるわけでございます。したがいまして、やはり第一義的には、先ほど厚生省の方の御答弁の中にもございましたように、やはり医療制度の問題としてこれを解決する、あるいは一定期間交代でもって大学附属病院から僻地の医師として診療に従事させるというようなルールが確立できるように、私どもは厚生省に十分協力しなければならないのではないかというふうにふだん痛感しておるわけでございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 ところが、その文部省の考え方は直してもらわなければいかぬ。ということは、最近のこれは新聞でありますが、最近の医学部あるいは医科大学の入学金というものは非常に高いんですよ。入学金を三百万あるいは一千万取っているところがあるという話を聞いている。医学教育というのは金がかかるのはわかりますよ。しかし、こういう金持ちの息子から、医者の息子から、どんな人か知りませんが、あるいは医者になりたいような人から三百万、一千万という大体入学金を取ることを認めること自体、文部省の姿勢というものが非常におかしいと思うのです。文部省一体どういうようにお考えになっているか。こんなばく大な金を寄付するがために、これを回収しなければいかぬでしょう。回収するためには、卒業してからどうしても過密の、人の多いところで、スクーター医師というやつで、スクーターに乗ってどんどんかせぎまくるといろ医者が出るんです。入学の当初からそういうふうに、どうしても過疎地域に行けないような大学の医学教育をやっている。それを認めている文部省が、一千万も三百万も入学金を取っていることを黙って、医学教育というものは金が要りますから当然でございますとそれを認めること自体が、私はおかしいと思う。私は、分科会じゃなくて、ほかの委員会でも一ぺん文句を言いたい、どうです。残念ながら局長いないから……。

三角哲生文部省管理局振興課長

○説明員(三角哲生君) 私立の医科大学につきましては、入学金と申しますと、四十四年度入学時の学生納付金合計額の実績は学生一人当たり六十五万円でございます。そのうち入学金が約十六万円となっておりますが、先生のおっしゃいましたのは、いわゆるそういう正規の入学金ではございませんで、入学に際して学生ないしはその父兄から大学が取っておるいわゆる寄付金のことをおっしゃっておられるのかと存じますが、この寄付金につきましては、私ども全般的な調査を行なっておりませんが、問題がございます場合には、個々の学校に事情を照会して、そのあり方に非常に不明朗なものがあるような場合には、指導助言をいたしておる状況でございます。ただ、私立学校でございますので、先生もおっしゃいましたように、医学教育につきましては特に多額の経費が必要でございまして、たとえば昭和四十二年度の場合、経常経費だけで、学生一人当たり六年間の教育費推定約五百二十万円を必要とするというような状況でございます。それでございますので、はっきりした形で、そういうような前提を設けて、自発的にそういうものを出してもいいという父兄からこれを取るということは、ある程度やむを得ないかというふうに思っております。ただ、昭和四十五年度から私立大学等に対しまして人件費を含む経常的経費に対する補助を行なうことを予定しておるわけでございますが、これは予算の積算をいたしました際にも、医学・歯学系は特に学生当たりの教官数も非常に大ぜいの教官を必要といたしますし、それから施設・設備等にも多額の経費を必要とする、そういうような状況、それから理工系等についても同様なことがある程度言えますが、学部別に見ましても、非常に収支のバランスが医学・歯学系については悪い、どうしても寄付金にたよらざるを得ないというような状況がございますので、医学・歯学系に対します補助金の積算については、その他の学部に比べまして傾斜を設けて、いわば余分に渡るような積算にいたした状況でございます。私どもといたしましては、その人件費を含みますこの補助金を漸次拡充をすることに伴いまして、こういった法外な寄付金というものの解消をはかる上に寄与していきたいと、こういうぐあいに考えておるわけでございます。

前田佳都男自由民主党

○前田佳都男君 もう二つほどです。いまの文部省の回答ですがね。とにかくいずれにしましても、名目は何とあろうとも、一千万の、三百万の、五百万という金を寄付しなければいけない、入学さしていただくためには寄付するということ自体が、非常におかしい。私は、この問題は、きょうは時間ありませんから、今後も決算委員会でこの問題を少しお伺いしたいと思いますが、とにかく医学教育に対する姿勢がお金がかかるようにできている、金をかけた以上これを回収しなければいけませんので、それがために過密地域で開業する、過疎地域に行かない、そういうように教育自体がなっている、そこに非常に欠点がある。  それからもう一つ、時間がありませんから固めてはしょっていきます。デンマークか、スウェーデンか、フィンランドか、どこか知りませんけれども、そこにフライイング・ドクターというのがある。何か病人が出ると飛行機に乗って飛んでいく、そうしてすぐ治療するという、地域担当のそういう医療制度があるということを聞いているんですが、日本でも飛行機は使わないでしょうが、ヘリコプターあるいはジープでも使ってある一定の地域を担当して診療に行くことができないかどうか、それをお考えになったことがないか、それを聞きたい。このフライイング・ドクターは医務局長から伺いたい。  それから厚生大臣ですが、経済成長を謳歌しておるのが現在の姿であります。しかし、一九七〇年の政治を前向きに考えるということは、経済が成長だ、成長だと言って四国との間に橋をかけたり、そういうことを謳歌するのもいい。新幹線をつくるのもいい。しかし、その陰にこういう過疎地域で泣いておる町村があるということを、現実に困っておる町村があるということを認識していただきたい。治安のためにはどんな僻地にも警察官がおる。教育のためにはどんな山奥でも小学校、中学校がございます。しかし、それにまさるとも劣らぬような人間の生命、医療問題のためには、あるいは治安あるいは教育問題以上に考うべきであると私は思うのです。人間尊重ということは、まず生命の尊重、医療重視から始まるべきだと思うのです。この過疎地域の医療問題の解決のために、こういう問題について非常に事情の明るい内田厚生大臣の在任中に思い切った措置をひとつ講じていただきたい、これについての御意見を承りたいということを申し上げて私の質問を終わります。   〔副主査退席、主査着席〕

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) だんだんお話を承っておりまして、前田委員のおっしゃるとおりでございまして、私どもは、僻地医療の問題にはここ一、二年ということでなしに、数年前から頭を悩ましております。第何次計画というようなものを、これは現在第三次計画ということで医療対策の充実のためにいろいろな施策をやっておりますが、何と申しましても、いれものはたとえば四百幾つかできております。僻地診療所というものを国の補助でつくりましても、そのうち八%くらいは医者がないためにその診療所は遊んでおるというような状況もあるわけであります。しかし、本年度——四十五年度もやはり十三カ所の僻地診療所も医者が行ってくれそうなところにはつくっております。しかし、医者が一般的に確保することがむずかしいので、先ほど来局長から申し上げておりますように、国立病院はむろんのこと、公立病院につきましても、親元病院ということでひもをつけまして、必要があればそこからいつでも医者と看護婦さんとをチームにして僻地診療所に派遣するのみならず、定時にも派遣しよう。しかし、そのかわり、そういうものの費用は国で助成しようというようなことも実は本年度からやっておるわけであります。従来からやりますことをこれは述べておりますように、患者輸送は、患者が僻地に発生した場合に、車に乗せてそれで病院まで運んでくる。また、その巡回診療車もこれもでき得る限りふやしまして、従来は自動車買うための金の補助をいたしておりますが、今度は自動車の運営費の補助も四十五年度から初めていたすわけでありまして、これは、僻地と申しましても最近道路がたいへんよくなりましたので、患者の輸送とそれから巡回診療がかなり円滑にいくところもふえてまいりましたので、そういうところに対しましていま巡回診療の費用もふやしておる。そういうこともやりまして、巡回診療につきましてもこの運営費を四十五年度から初めて補助するというようなことをやっておるわけであります。そういうことで、それ以外の施策につきましては、正直申してお手上げでございますが、しかし、このままであってはならない。前田さんがおっしゃるように、でき得るならば、それは医学部、医科大学に僻地科をつくるのみならず、国立あたりで一つくらい僻地向け医学校というものをつくって、これは今日私ども入学を頼まれることがしばしばあるのでありますが、大体志望者は二十倍くらいあります。平均してそのくらいであろうと思いますので、本人に誓約書を書かせて学校に入れてやる。そのかわり卒業後何年かは僻地で研修するというようなことを条件にして。絶対できないということはない。私は前田さんのお説に賛成でありますので、そういうようなことも考えなければ、いまの親元病院でありますとか、巡回診療だけではとうてい間に合わないということが残されるわけであります。そこで、私どものほうも人間尊重の見地に立ちまして、できる限り努力いたします。ヘリコプターの件につきましても、いまは巡回診療車、患者輸送者あるいは患者輸送艇とか雪上車なども若干ございますが、だんだんヘリコプターも考えなければならない時期に来つつあるのでございます。実は四十五年度におきまして、これは医者や患者の輸送用だけのためではありませんが、すでに沖繩——これは離島の集合からできておるような島でございますので、沖繩にたしかヘリコプターを二台購入いたしまして、これは軍用ヘリコプターではございません。全く民用ヘリコプターを二台購入する助成を今度の沖繩の助成費に初めて入れたのでございまして、これができましたらば、本土におきましてもそれを病院に持たせるのがいいのか。一体市町村に持たせるのがいいのか。これは維持管理というものが自動車とは違いますので、なかなかたいへんでございますが、その辺の問題を考えながら、車にかえて考えなければならないときがだんだん来つつあると思います。  それから、最後にもう一つ、これは前田先生も御承知のように、今度皆さん方の御尽力によりまして僻地振興対策特別措置法というものを国会に提出を、もういたしましたが、あるいはいたすことになっております。その中に医療のくだりも実はございます。ございますが、僻地振興対策特別措置法に取り入れました僻地医療の施策の例示的になっておりますものは、先ほどからだんだん私がいま述べたり局長が述べた程度のことを例示にいたしまして、これらに対しましては補助金、助成費のかさ上げというような可能性をうたってあるにすぎませんので、これをまたひとつぜひ僻地振興対策特別措置法を御審議なさる際に、前田先生はじめ皆さん方からいろいろなお知恵や方法を出していただきまして、ぜひ私どもの僻地に対する医療が少しでもうまくいくことができますように御助力をいただきたいと、かように思うものでございます。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) いわゆるフライイング・ドクター・システムといわれているものの代表的なものの例としてよく知っておりますものは、オーストラリアにあるものでございます。非常に広大なところに人が点々と住んでおる、こういうところでございます。したがって、そこに、いわゆる通信系統の発達と相まちまして、連絡があればドクターが飛行機で参りましてそこで治療する、あるいは患者を運ぶ、こういうことでございます。ただいま大臣が申しましたように、わが国ではヘリコプターというものを将来いろいろ活用するというふうにすべきではなかろうかと考えております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 冒頭に内田さん、いまの件、これはもう数年前に参議院の決算で僻地の医療対策というものはずいぶんやられているわけですよ。厚生省のお役人の方も、わが党の竹田現照君が予算委員会においてやって、われわれ決算委員会の理事としてもこの問題をともにやったことがある。つまり、いまの大学の教室自体が親分子分の関係になっておるから、いいですか、北海道を例にとるというと、僻地の市町村は特別の予算を組んで大学に金を持っていかなければ門下生を派遣してくれない。幾ら本人が行きたいという意思があったって、大学の医学部というのは、その頂点に立ついわゆる主任教授ですね、これがうんと言わなければ、学生はもう行けなかったのです。いまだいぶ学生運動の問題から東大医学部の問題から火がついてきたといっても、現実はまだなかなか中身が変わっていない。だから、結局、これは文部省に直接的な問題があるというのですが、医者の養成機関ですね、やはりそのものを大改革しなければだめなんです。ただ本人が、医は仁術じゃなくて、いまや算術となったと言っておるけれども、そうでなくて、医者をやろうとする者は、いまでも宮崎博士のようにインドの救らい運動にも行っておるし、いろいろ努力しておる人も一ぱいあるのです。ところが、養成機関そのものが動脈硬化になっておるのです。ですから、とてもじゃないけれども、僻地に行っておればもう研究体制から捨て置かれちゃって、一生うだつが上がらぬということで、学問研究の分野から全然これはもう第二級、第三線級になっちゃう。だから、私はよく言うんですがね、大学の教授というものも、研究はなかなかやるけれども、教授そのものになるというと、ほんとうの意味における人間教育というものをどれだけやってるか私は非常に疑問に思ってずっときたんですが、これはもう何年たっても厚生省の返事は同じです。抜本的対策は文部省とほんとうに協議してやってくれてないんですよ。ですから市町村も、市町村長の大きな義務は、仕事は、毎年毎年大学の研究室に予算を計上して日参しなければ切られちゃう。だから私は、医師になろうとする本人だけではなくして、医学の養成の中における大学の教室の基本的な考え方を是正してもらわなければならぬというふうに私は思ってる、これは。しかし、そこまでいかないとするならば、何というか、講義だけする、講釈——いろんな精神訓話するだけじゃなくて、厚生省が、僻地に、各都道府県の中においていろんなお医者さんがいるけれども、認めて、そういうところに犠牲的な精神で行ってる人は、五年なら五年経過したら、欧米の先進的な医療の研究とか、施設というものを、国費をもってこれは派遣すると、予算的に言って一人二百万なら二百万持って、御苦労さんでしたと——ただ口の先だけじゃなくして、そういうふうに、一生懸命に僻地の生命を守ってきた人には、いろんな形の中においても、そういうふうに年間二十人でも三十人でもひとつ国費をもってそういう人には報いようというふうな、何かひとつ具体的な優遇施策というものを講ずるという方面の仕事がしてもらえぬか。これはいますぐは答弁聞こうと思いませんが、この点については実効のあがるようにやってもらいたい。そういう点については、僻地の人について大学の先生がどうじゃなくて、厚生省自体がそういう問題についてひとつやってもらいたいと、これは一つの例です。これはどうですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) ただいま御提案のございました、僻地におられる先生方に一定期間のあとに海外に留学等をさせるということを考えたことがあるかということでございます。私ども実は、それは非常に強く考えたことがございました。先ほど前田先生の御質問にお答え申し上げたときに、いわゆる学生時代からの奨学金という制度では、なかなか奨来の動向もきまってないときでございますので、むしろ卒業して医者の試験が通りましたときに、それから二年なり一定期間ひとつじっくり勉強してくれ、その間はちゃんと一定の、まあ相当の金額を貸与しよう、それが済みましたならば、今度は一定期間僻地に勤務していただきたい、そういうようなことを考えましたときの一環といたしましてそういうようなことを——海外にも行っていただく、いわばまあ御苦労さまでございましたということが言えるような、そういうことをひとつ計画に入れるべきではないかということはいろいろと検討いたしました。かなりこの点につきましては、率直のところ、僻地をお持ちの市町村長その他から御賛同いただいておったのでございますが、もう少し私どもで事務的に詰めておく必要があるというような段階でございましたので、ことしの予算にはまだ計上いたしておりませんけれども、引き続きそういう方向も含めまして検討を続けたいと思います。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 これはちょっとワク外になってるけれども、いまの点、内田大臣ね、ひとつ、これはまあ私の一つの部分的な案だけですけれども、何かやはり行った人に対して、しっかりした仕事をしてもらうということと同時に、やはりそれが一つの契機になって、いま言ったようにずっと優良——まあ医学を志す人たちがしっかりと海外の情勢も見てこれるというふうな、いろんな奨励策を講じて、それが実効のあがるように、それも文部省でいっている五十万や六十万くらいで校長先生を視察させて、教育の実効をあげるということは私は無理だと思うのです。だから、やはりしっかりした予算をつけて、僻地に対する医療対策が一応レールに乗るようにぜひとも御努力を要請したいのです。これは本年度はできなかったと医務局長の考え方を聞いて、私も一歩前進するなという気がいましたわけです。ぜひともそういう対策をお願いしたい。二年なら二年勉強して、それから三年なら三年いなかへ行く、四年なら四年行って、それが終わったら今度自分がまたもとの研究へ戻ってやる。研究してきて、その意思があったら、また僻地へ行って、施療しながら勉強をして、そうしてまたおくれないようにめんどう見てやるというふうな形からいけば、私は二百万という金が高いとは思わないですよ。いま言ったように、そういうお医者さんをつくるために都道府県が一億出そうというような気持ちがあるならば、これはひとつ厚生省の善政としてぜひお願いしたいというふうに考えます。これはよろしゅうございますね。やると言ってくださいよ、ぜひ実現すると。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私も僻地のことにつきしては、実はたいへん私が大きな関心を持っているところから、私もその出身でもございますから、あなたも同じはずでございますが、私もずいぶん医者さがしには、厚生大臣としてでなくて、代議士としても頼まれまして、外国人を無理に頼んで、つまり入出国なんかの関係を調整してもらってさえもその僻地の診療所に無理にお願いしておりますので、これは身をもって体験をいたしております。これは医者に限らず、ある村では村全体として国民健康保険が成り立たないような過疎状態にも入っております。これは教育の施設についても私は同じだと思いますが、これは人間の命に一番大切な関係を持つ医療のことでもありますし、私は厚生大臣ですから、ほかのことは言う必要はありませんが、医療のことについてはできるだけひとつ考えてみたいと思います。先ほども前田さんの御質問に対して答えましたように、幸い今度、過疎地域振興対策特別措置法案というものが出ますから、その際にできるだけ皆さんからもお知恵をおかりして、そうして尾ひれもつけていただく。われわれがそういう法律のもとにおきましてもいろいろなことがやりやすいように、この面においてもよろしくひとつ御鞭撻や……

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 それは返答になってない。いま医務局長が言ったような、ぜひそういう方向でやると……

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私がやると言いましても、大蔵省ここにおって、二人でやるかと……

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 やる意思があるかどうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) それらを含めまして、私はひとつ前向きで努力をいたします。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 それは逃げことばなんだな。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私が大蔵大臣ならやる、よろしいと。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 よろしいじゃなくて、そういう努力をすると、これはほんとうにやってくださいよ。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 前向きで努力をいたす所存でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 次に、最近におけるパートあるいは共かせぎ、こういう傾向が非常に増大していく。これは特に最近における労働力の不足の問題から、これは私が言わなくても御了承のことと思うのですが、それに伴って保育所という問題について、従来の考え方を少し変えていただきたいということは、幼稚園とそれから保育所というのが幼児のいま車の両輪になっていますね。しかし、いまの全国的な趨勢からいくと、幼稚園は非常に高いということで、保育所というものの施設が非常に要望されているわけです。ところが、土地が高くて建て切れない、こういうふうなことから、ぜひともこういうものに対する補助をふやしてくれというあれが非常に強いんですがね。ここに保育所の措置費、補助金としてずっと出ておりますが、まず第一に、建物に対してどの程度に今後考えているのか。いまのところ現状からいって、今後の趨勢というものも一ぺん私は伺わなければならぬと思ったんですが、現状は一保育所をつくるのにどのくらいの補助金を出すのですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) あとで担当の局長から補完させることといたしまして、私が当面お答えを申し上げますが、大体小さい保育所ですと百万円、それから規模のやや大きいものについて百五十万円ということで、最近値上げをしてそういうことでやっておるようであります。私は十分とは思いません。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 そうして建物や何かについての貸し付けその他ちょっと言ってくれないかな。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) それは補助金でございまして、保育所の経営主体は言うまでもなく市町村あるいは社会福祉法人あるいはその他の民間のものも若干ございます。市町村のものに対しましては、最近は年金積み立て金の還元融資ということでやることになっております。また、社会福祉法人の経営のものにつきましては、社会福祉事業振興会から保育所も融資の対象にいたしております。昨年度は十一億余り振興会から出ております。その他、これは私のほうで言う正式な保育所というところまで現在は来ておりませんが、企業所属の職場保育所のようなもの、これは児童福祉法による保育所に格上げされておりませんけれども、そういうものに対しましても、最近では年金福祉事業団でありますとか、雇用促進事業団から融資の道をぼちぼち開いてきております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 努力は認めますが、やはりこの場合において補助金が百万から百五十万、それから事業団のほうから貸し付けをするといっても、いまのやはり土地の値上がりの傾向から見て土地が非常にむずかしい。だから、自治体なんかにおいても義務制の教育をやるのにもこと欠いている。なかなか保育所について手が回らぬというのが実態だと思う。したがって、これに対して新しい方途としてやっぱり保育所に対して、用地費というものについてある程度補助の道を開いてもらいたいと思うんです、私はこれは。そうしないというと、幾ら地域の住民が欲しても市町村が財源に枯渇しておりますから、案外県費はあるんですよ、県の財政はある程度あるんだけれども、ところが、市町村がないんでしょう。こういうものについては市町村が責任を負ってやらなければならぬ部面が非常に多い。そういう点でひとつ何とか用地費についてもルートを開いてもらいたい。この点について。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 現在の保育所に対する補助金制度は、先ほど大臣から申し上げましたように、いわゆる建物だけを対象にしているわけでございます。そこで、用地買収費について補助の対象にするかどうかということでございますが、現在は国庫補助金のほうはそういうことで建物を主体にしておりますが、先ほど大臣申しましたように、各種の融資制度の上で土地買収というものをある程度見ていただく。国庫補助金の対象にするかどうかという点につきましては、従来ともそういう御要望が各方面からあったわけでございますが、何ぶんにも保育所の全国的な数というものが非常に不足しておる状況でございます。私どもとしましては、やはり確かに用地買収等について設立者のほうで非常にお困りになっている事情は十分わかるわけでありますが、非常に各市町村等から出てまいります保育所の設置希望というものは、私どもの補助金ではまかない切れないぐらいに数が多いわけでございます。やはり、どうしてもそういうような数をある程度、何と申しますか、こなしていくようなところまで全国的な保育所の整備をはかっていくということがまず先決だろうという気がいたしているわけでございますので、この用地買収等を国庫補助金等の対象にするということについては、非常に国庫補助の制度全般的に、先生御存じのように、そうでございますが、やはり関連があるわけでございますし、現在のところ用地買収を補助金の対象にするということについては、私ども慎重にやはりいろんな角度から研究を進めていかなければならぬと、かように思っているわけでございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 これは義務教育のほうに、あるいは公立の幼稚園、いろんな面についてこれは特別交付税とか交付税等で用地費を見てくるようになった、いま現在。この間も大蔵大臣はそれを答えている。これは全般的じゃなくして、過密地域の、特に労働力を必要とする地域において非常に要望が最近強くなり過ぎている。これは一面においては幼稚園が非常に高いからです。こういう問題がここにあらわれている。文部省のほうも今度は用地費については臨時立法をして、臨時的に、つまり恒久ではなくて臨時的に用地費についての補助金制度というものをひとつ四十五年度においてしっかりやってもらうということになってきた。そういう面については非常に真剣になってきたのです。私は、いまのところは、国民全体からいってこういう面についての建設促進が非常に要望されているということと、いま言った土地の入手難という問題から非常に困っている。そこで、特にこれは看護婦さんの養成の問題ともかかわりますが、潜在看護力の活用ということを考えて、ところが、子供さんを産んだ看護婦さんにしても、なかなか子供さんをほうって働けないのです。ところが、預ける適当な場所がなかなか少ない。しかも、その施設があってもなかなか内容的に問題点があるところが非常に多い。これは夜間勤務とかいろいろな条件があったにしても、やはりこれから各種の労働力をまかなうために、パートタイムとかあるいは共かせぎということについて総合的な施策というものの裏づけがない限り、幾ら口先だけで言っても、私はそれが確保できないと思います。だから、医療機関の中において、いま看護婦さんを確保するということについて非常に努力しているわけですが、私は現在ある看護婦についてはいろいろ統計的に調べておられると思いますが、どうしたらいわゆる潜在的な看護婦——いままで資格ある人で全然仕事をしていない——そういう人が医療機関に出てきて協力するのかということについて調査があったらば、それを確保するためにはどうしたらいいかということについてお考えがあると思いますので、これをちょっと聞きたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 看護婦が非常に足りないことは岡さんのおっしゃるとおりで、これは年次計画を立てて充足するのですが、その際、いわば私どももいまの潜在看護力の活用ということを考えざるを得ない。その場合に、私が承知している限りでは、三つくらいの対策しかないようです。一つは、ありふれたことでありまして、看護婦さんの待遇を改善することによって吸引力を強くする。それからもう一つは、これもあたりまえのことなんですが、講習会とか、もう一ぺん仕事に対して情熱を持っていただくような、そういう機会なり知識の普及ということに努力する。それから、最後の点が保育所の関係でございますが、どうせ子供のある方が多い、結婚してやめた人が多いのだから。その子供を連れて職場保育所や診療所保育所というか、そういうところに子供を預けて、そうして昼勤務なり夜勤なりができるそういう状態、それから住宅の問題もなるたけ病院の近くにつくるようにして、そうして客観的に病院にお子さま連れの結婚した看護婦さんが来られるような環境をつくってやる。こういうことを考えまして、すでに保育所につきましては、国立病院、療養所等につきましては何カ所か病院保育所をつくっておる。しかし、これはそれだけでなしに、医師会等、その他の養成所を持っておる機関に対しましても、養成所のみならず、保育所をつくる場合の資金を医療金融公庫の貸し出しに認めてやるとかなんとかいうことを、もししてなければ、何とかひとつ私は検討させて、そういう面から潜在看護力の起用ができるような情勢をさらに馴致したいと考えます。その点、ちょっと医務局上長がいると……

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 いや、あとでまた一ぺんやりますが、私ここでこういうことがなされているかちょっとお尋ねするのは、潜在的な資格を持ってやめられている人で、年齢がいろいろと層があると思う。特にまだ稼働力が強くてりっぱに看護婦さんとしてこなしていける方がかなりいる。こういう人々がみんなそれぞれの県あるいは市で登録されておりますか、全部。この地域にはそういう潜在的な看護婦さんがどのくらいいるんだ、その人たちにはこういうふうに手当てをすればそれは病院に出てこれるんだと、そういう調査がなされておりますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いま医務局長がもう一ぺん帰ってまいりますので、お答えいたさせます。私が承知しているところによりますと、一体潜在看護力というものはどのくらいの数字があるかということについて関心を持ちましたところが、現在稼働しておられる第一線の看護婦さんが二十五、六万いるんですが、それに近い方々がおられるのではないかともいわれております。これは看護婦の免許を取られた方の累積数から現在第一線で稼働されておられる人を引いてみればわかるわけであります。しかし、一説には、そんなにはいない、そんなにはいないんで、潜在看護力の対象として起用すべき数字は十万人ぐらいではなかろうかともいわれておりますので、したがって、少なく見れば十万人、多く見れば二十五万人ぐらいの潜在看護力があるという、こういうことになると思いますが、これは専門家の医務局長からお答えいたさせます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 医務局長、帰ってまた出てきて申しわけないんだが、私がたまたま聞いた看護婦さんの話は、住宅の問題とそれから子供さん方の問題で、もちろん待遇ですね、勤務条件、こういったものがあるにしても、とにかく家の問題と子供の問題がある程度解決できれば働きたいのだと、実際問題として。しかし、いまの条件の中ではとても人を頼んで子供さんを見てもらう、また住宅を移していくという場合には非常に困難性がある。だから、働きたくてもちょっと無理なんだという話が、たまたまそのときにまわりのおくさん方を含めて、とにかくいま一番何がほしいかといえば、共働きをしたい、あるいはパートに行きたいけれども、子供を何とか管理してくれるところがもっとできないのかと、つまり、電車に乗って行ったり、子供を送り迎えしてやるという、そういうふうなことはできないということですね。とにかく行ってすっと預かってもらって、仕事が終わったらそこからもらってくるというふうになってこない以上は、なかなか勤務できないということが強く言われているわけなんです。この数は私が聞いても相当のものだということを言ってましたよ、その人たちが言うには。ちょっとその点について聞きたいと思うんです。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 潜在看護力の数につきましては大臣からお答えがあったと思いますけれども、一応免許を出した数量から現在就業している人を引いた数が通例予定される潜在看護婦であろう、こういっておりますので、大体二十五万人というような数字が出るわけでございます。しかし、これはいまもう少し私どものほうで整理いたしておりますけれども、この中には、すでにもう、免許というものはございますけれども、病人でございますとか、お年を召された方とか、いろいろなことで、実は私どもが実際上の対象としてお相手にする数ではなかろう、こういうふうに考えるのが常識的でございますので、そこのところはもう少し別の方法で詰めたい。ただいまのところいろいろと検討いたしておるところでございますが、実際上ほんとうに働く意思のある方というものは、かなり私は減ってまいるというふうに考えて、それをもとにして考えたほうが安全ではなかろうかと考えております。大体、そういう意味におきまして十万人と、こういうこともございますけれども、この辺がおそらくマキシマムの数ではなかろうかと考えておるわけでございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 私は、よく調査して、そうして一定のある程度可能な条件がそろえば喜んで働ける、働きたいという人の御調査を願いたいと思う。これは市町村の協力を得て、自治体の協力を得て、そうして、せめてこれは焼石に水といわれても一万人程度——これは私の主観なんだけれども、一万人程度登録してもらって、そうして、ある程度この人々には国として日常的に登録した人に対してはある程度手当を出すというか、まあ、これは予備軍というわけじゃないけれども、とにかく日常いろんな問題があったときにそういうことに応じて稼働できるというふうな態勢をつくるために、看護婦さんについて一応まだまだ十分働けるという人についての条件をいろいろと整備して、また調査をされて、そういう方々については、まあ額はここで言わぬけれども、とにかく国としていろいろとがんばってほしいんだという意味において、登録と同時にあわしてこれに対する手当というものを出して、それに伴う整備なら整備、条件整備というものをして、火急の場合において、いまだんだんとこの看護婦養成を厚生省でもされていくということで、予算書を見せてもらったんだけれども、これではちょっと間に合わないと私は思うんですよ、いまの都市集中度合いから言って。ですから、そういうふうな形で何らかの方途を考えていったらどうかということを日ごろ考えておったからいま言ったんだが、そんな点はどうなんですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 潜在看護力を活用するということは御指摘のとおり非常に大事な問題であると思っております。特に、いろんな条件上困難はございますけれども、たとえば看護婦といたしまして、子供さんを持っておる、あるいは家庭に入っておる、そういう経験を持った人が患者の看護をしてくれるという場合は非常にプラスになる場合も考え得るわけでございます。そういう意味におきまして、私どもは、看護婦全体の対策の一環として、ぜひそういう潜在と称される看護婦さん方にまた再出動していただきたいと強く念願しておるわけでございます。  ただ問題は、「潜在」という名前がございますとおり、すでに職業を一応やめまして離れておりますので、その方々がどこにどういう形でおられるかということをつかむこと自体が一番問題でございます。したがって、本日ここにこまかい資料を持っておりませんが、静岡県その他でも現在働いております看護婦さんをつてにいたしまして、そうして自分の友人でありますとか、あるいは同じ学校の卒業生でありますとか、そういう方々を全部どこにおられるかということを集めて大体一つのリストをつくり上げる。ところが、第二の問題としましては、そういう方々が、人にもよりますが、大体は家庭に引っ込まれてからもう一度出動をいたしますときに、最近の医学なり看護の実態におくれているのじゃないかという不安をお持ちでございます。したがって、四十二年からでございますが、厚生省が中心になりましてそういう方々に対する講習会を始めてまいりました。これももっときめこまかにする必要がありますので、そういうふうにしてキャッチしました方々を、十日間程度で、最近の看護というものはこういうところが違ってきているということをそういう方々に講習したい、これは少なくとも各県単位にきめこまかにやりたいということが四十五年度の予定になっておるわけであります。そういうことによりましてひとつぜひ確保したいと思います。  なお、そういう場合でございましても、それぞれの看護婦の方の働きたいという条件がいろいろでございまして、決して一律ではございません。したがって、一般的に看護婦の宿舎に入って三交代勤務にするのだということだけを表面に出したのではなかなか実現できませんので、たとえば昼間だけ働きたい、そういう方であれば、外来のような、病院の外来のようなところであれば十分そういう方々に働いていただいていいわけで、そういうことも、受け取ります医療機関のほうでも十分配慮をいたしまして、ひとつきめこまかい形でそういう方々を受け入れる、こういう配慮が必要じゃなかろうかというふうに考えて、私どもも御指摘のとおり、非常にこれはむずかしい問題ではございますけれども、大事な問題ですから考えていくつもりでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いまの問題で、非常に感ずるのですけれども、私の友だち、国立大学の先生ですけれども、奥さんが四十ちょっとになりまして、もう子供が中学校、高等学校に入ったというので、ある期限で病院の看護婦さんになった。従来看護婦さんの経験があるのです。お医者さんの娘さんです。病院に行きまして、これは非常に生きがいがあると言って張り切っていましたよ。そしたら半年たったらやめました。どうしてやめたかと言ったら、税金なんですね。全然意味ないと言うんです、税金で。予算委員会でも問題になりました共働きの場合の税金です。ですから、夜間の勤務はやめまして日中だけの勤務で八時間働いたのでは税金でどうにもならない。初めはえらく年とってから生きがいがあると言って張り切っていましたよ。半年たったら、いま言ったようにやめました。働いても働きがいがない。こういう問題はやっぱり解決しなくちゃいかぬのじゃないですか。本格的な看護婦さんで、いまおっしゃるように、昼夜とも、夜間も通常の看護婦さんと同じ勤務ができるということであれば、これはまた収入もいいんでしょうけれども、そうでない人は少ないし、おまけに税金を取られてしまう。何にもならない。こういうわけですね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 税金の点、この間私も予算委員会の一般質問で萩原さんでございましたか、おやりになっておるのを聞いておりまして、いろいろ感ずるところがございます。私は元来実はそのほうの畑にも関係がございまして、ああいう話を聞きますと、厚生大臣をかりにやめたらばああいうことをぜひひとつ解決の方向に努力したいとさえも実は思うのでございますので、そういう面から、この人手が足りないときに、第一線に復帰して働ける方の出動を妨げておるようなそういう面は、私は除去しなきゃならぬと考えるものでございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 だから、この点については、ひとつ顕在的になれるように十分調査を、自治体と協力してもらって、私は可能だと思うのです。それでそういう人々が勉学したり、何かしたり、また何らかのときには自分たちがやるのだという気持ちを持たせるために、ある程度、何というか、進歩におくれないように本を買って勉強するとかなんとかする、そういうふうに、登録した人は国でもある程度日常的に交流、交信をする、連絡をするとか、そういうふうな点についてある程度、厚生省が全部やるのではなくして、もう各市町村でも、市立病院でも何でもみんな困っているわけですから、こういうものをやっぱり厚生省が音頭をとってやって、こういうところにはそういう人たちがおるということ、私はこのことは、たまたま看護婦さんをやっている人がやめて、子供さんができて、子供さんがいるということで、とてももういまの激しい看護についてはなかなか時間的にむずかしい問題があるので、子供さんを預かってもらう機関ができたら私は働きたいんですということを言ってきたことから、なるほど看護婦さんのいまやめておられる人の中にも働きたい人がずいぶんあるんだなと気がついたわけですから、この点はひとつきめこまかくやってもらいたいと思うのです。それとあわせて、この子供さんを保育園、あるいは幼稚園に預けても非常に金がかかる。それで、せめて早く児童手当でも出してもらえるというと、三番目が四番目の小さい子供は何とか役に立つのじゃないか。それでなかったら、とてもじゃないけれども、幼稚園に二人も上げていたら首が回らぬというふうなことで、児童手当をすぐやってくれるというふうに言っていたが、最近は政府もなかなか慎重になって、総理大臣以下、なかなかむずかしいと。むずかしいということは内田さん、これはやっぱり産業界のほうでこの問題についてはもうちょっと慎重にやれというふうになったのですか。これはどうなんです、児童手当の問題について。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 児童手当の前にぜひ一つ、岡さんも御承知とは思いますが、四十五年度からこの保育所に子供の保育を頼む低所得階層の人々につきましては……

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 それはいいです。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 二人目からは、これはいままでできなかったのを半額に減らすということ。それから児童手当が出ればそれでいいわけでありまして、児童手当のことにつきましては、昨年の七月に児童手当審議会というものが厚生省にできまして、厚生省としても一応この問題は逃げられないような形になってきた。ところが、八月の概算要求までに案がまとまりませんでした。これは三つぐらい案があるわけであります。前の斎藤厚生大臣も斎藤試案なるものをお出しになりましたが、まとまらなかったために、ついに概算要求をしないままで、また概算要求なしでも、十二月の段階に、正直に申して、私は何とかしたいということで努力をしたのですが、結局、形が出てきておらないので見送らざるを得なかったわけであります。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 その原因は河です。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) その原因は、まず時期的に間に合わなかったということです。七月の審議会から八月の概算要求までは、いろいろな案があり過ぎてまとまらなかったと言うことでございます。ただ財界が、財界の負担を渋るということだけではございません。財界が負担しない案も案としてはあったわけでございますから。財界でもなるべく負担しないほうがいいという気持ちはあったでしょうが、それだけではございません。そこで、たびたび衆議院、参議院でも御答弁申し上げているわけでありますが、これはあとの段取りを考えますと、ことしはどうしても八月までに審議会から何らかの形の答申を出してほしい。それも財界が反対するとか、あるいは労働界が反対するとかというような案ではなしに、とにかく最大公約数で背景のコンセンサス、一致を得られるような案をつくってほしい。今度は内田試案というものを出さないから、三人目からの子供にするか、四人目からの子供にするか、あるいはむしろ一人目から出す。子供を産むときに、最初の子供が一番苦しいのだ、若いときだから。そういうような考え方もいろいろあるわけですが、それらの点、それから財政負担の点なんかも、案は出さない。斎藤試案というものは、企業に属する従業員の児童分については、企業がたしか八〇%負担するような案だったと思いますが、私は何も出さないから、ひとつ皆さんの最大公約数でまとまる案を八月までということでお願いをいたしております。いまのところ審議会のほうからは、八月までにむずかしいから出せないという話は全くございません。ございませんので、私はそれを期待をいたしまして、だんだん完成させるにしても、初年度においては、まあ出発点で何とかみなが賛成する案であって、それから国の財政力あるいは経済成長の裏打ちみたいな……人間尊重ということも必要になってまいりますから、それから、それにだんだん尾ひれをつけたりひげをつけたりするようなことにしたいというつもりでおりますので、何が原因ということではなしに、もう一度申し上げますと、皆さんの意見の一致が得られなかったということが原因でありますので、意見の一致を得られるような案をお願いをいたしております最中でございます。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 まず当初やって、それからだんだん枝葉を茂らせるということで、まずどんなことがいいと思っているのですか。案がないといったって、いままでは斎藤試案を出してやられていらっしゃるのに、おれは案がないよ、みんなできめてくれと言ったって困るでしょう。もうちょっと骨格だけでも……。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私はいろいろ考えがございますが、委員会の皆さま方にお目にかかりましたときに、ああいうことをするとかえって案がまとまらないから、今度の大臣は自分の試案みたいなものを出してくれるなという、これは委員長はじめ皆さま方の御希望でございます。でありますから、もともと私は知恵のない男ではございますけれども、知恵のない男がまずい案を出したのじゃかえってつぶれると思いまして、慎重を期している、こういうわけでございます。しかし、何とかひとつつくってほしいということでやっておりますので、お含みおきを願いたいと思います。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 もう時間が来ておりますのでこれでやめますが、総体的に言って、これは労働省との関係もあるでしょうがね、働く婦人が非常に多くなっている。これは、いまの看護婦の例も一つですし、先ほど保育園に働く、幼稚園に働く人々、義務教育の中に働く婦人の方が非常にふえている。あるところは全部婦人でやっている。こういう人々が、お産があるためにやめて、そうしてまた新しい人の補充に非常に困るということで、育児に対する、お産で休むところに対しては、一般義務教育では帰える先生方を制度として設けている。だから、これはもう少し本質的に考えて、幼児の教育の重要性というか乳児の重要性というか、そういうような面から見て、育児に対する休暇制度ですね、これをどういうふうに厚生省としても考えていくのか。これは、母性保護の問題との関連がここにあると私は思う。  それからもう一つは、子供のしつけというか、小さい三つ子の魂百までもという、この小さいときにやっぱりある程度親が子供を見るということの中において、その間を休職にするのか、あるいは有休をある程度するのかは別にしても、とにかくそういうふうな点については、これはますます今後重要になってくるのじゃないか。そういう制度があればこの職業から逃げていかない、ある程度ね。そうして、一定の時期が終わったらば必ずそこへ復帰してくるというふうな形の制度がいまのところは十分ではないわけです。この点がひとつ、育児休暇制度全般について、母性保護の立場から、それからまたもう一つは幼児教育の重要性という面からこれを御検討をわずらわしたいと、こういうことを申し上げて終わります。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いまの保育所の保母の方のお産の前後における休暇制度というものは、実は確立をされておりまして、このお休みになる間の産休代替保母制度というものもございます。もちろん、その間は有休のはずでございますが、せっかく局長が来ておりますので、そのいまの産休代替制度のことについて説明をいたさせます。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) いま大臣から申し上げましたように、保育所等で働いていただいています保母さんにつきましては、産休のいわゆる代替保母制度というものがございます。これは、岡先生御存じのように、労働基準法にそういう制度がございまして、その制度を受けまして、保母さんがお産等で休んだ場合には代替保母ということをやっております。これは看護婦につきましても同じでございますが、予算措置を講じまして、四千人から五千人くらいの人員の補助をいたしているわけでございます。ただ、いま岡先生申されましたのは、そのことよりも……

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 そのことじゃないんだ、長期。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) もう少し幅広い立場での育児休暇制度というものを検討したらどうかという御提案のようでございます。確かにこれは労働基準法とも相関連してまいりますし、各関係の省と十分連絡をしながら検討をしていく価値のある問題だと、私どもはかように思っております。

岡三郎日本社会党

○岡三郎君 まあ、ひとつ十分やってください。じゃ終わります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、主として騒音公害について伺う予定でございましたが、前田さん、岡さんから医師の充足問題が指摘されましたので、その点について若干伺います。  医師のアンバランスは僻地だけではないわけですね。私ども社会労働委員会にお世話になっておりまして、静岡へ参りましたら、静岡ではやはり静岡市等でも思うように県立病院の医師の充足ができないので、県立の医科大学をつくらなければどうにもならないだろうという問題でだいぶ陳情をされました。したがいまして、大臣のおっしゃるように、過疎地域の対策だけでこの医師の全般的な充足率が可能になるというわけにはまいらないと思うのでございます。その点で私は、一番の原因が、厚生省が医学会なり医師会なりに対して完全な掌握力を持っておらないという点ではないかと思いますが、これは医務局長、いかがですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 医者の偏在問題が医学会なり医師会に対しての厚生省の指導力なり把握力の不足のためだとおっしゃられたわけでございますけれども、かりに相当そういうふうに医師会等に働きかけたといたしましても、なかなかそれによっては解決しない問題があるのではなかろうか、そういうふうに考えておりまして、むしろ、そういったところに最大の理由があるというのは、ちょっと私もとっさでございますけれども、考えておらないことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そのどこに医師を配置するかと、たとえば国立病院にいたしたところで、この厚生省独自ではなかなかできないのですね。教室なり主任教授なりというものを完全にボイコットして医師の配置というのはできないような状態になっているでしょう。これが私は問題だろうと思うのです。この点はどうですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) そういう意味におきましては私も先生と同じような意識を持っておるものでございます。特に医師のいろいろな異動あるいは就職というに際しまして、従来ございましたように、いわゆる教室あるいは教授というものが、常に、極端に申し上げれば、一生その本人のいろいろ行くところについて口出しをする、こういう社会はちょっとほかにはない問題ではなかろうかというふうに私どもは考えております。ただ、現在の実態を逆に申し上げますれば、そういう習慣があったものが、先ほど来もお話がございましたような医学部騒動その他によりましてくずれ去ってまいりました。そういったところにむしろ従来の方法では通らないとまどいができてきているというところに過渡的に非常にいまスムーズにいかない一因があろうかというふうにも考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 さっき大臣が、はしなくも、外国人の医師を日本に在留させるのにお骨折りのお話が出ましたけれども、青森県では、あそこには青森大学に医学部がございます。で、僻地の町村では診療所を設けておりますけれども、これに医師を配置をしてもらうためには主任教授のところに、岡委員の指摘のように、これは盆暮れつけ届けをしなければどうにもならない。そのために、それが正規の予算には盛れませんから、結局その市町村長のポケットマネーで主任教授のところへつけ届けをして、何とかして医師の確保をはからなければならないということすらうわさされております。それならば、むしろ台湾あたりから外国人を呼んだほうが安上がりだということで、われわれのところまで、全然関係のないわれわれのところまで入国の手続をひとつ手伝ってくれという申し入れもあるくらいでございます。まあこの市町村の診療所とかあるいは私立の病院はとにかくとして、国立病院だけでも厚生省の責任で、学閥だとか教室閥だとか、こういうことにかかわりのない人事あるいは医師の配当というものができませんか。現実においてやはり学閥もありますれば、この教室の系統というもので国立病院も動かされておりますね。

松尾正雄厚生省医務局長

○政府委員(松尾正雄君) 国立の状態を申し上げますれば、御指摘のように、ある一定の教室系統からで埋めておるという場合もございます。また、全くそうでない、いわば混成軍によって構成されているところもございます。先ほど来私も申し上げましたような空気でございますが、最近におきましての若い人々は、特にそういうようなルートだけにたよることなく、自分たちの一つの意見によって、こういう病院に行けばこれだけの仕事ができ、これだけの勉強ができるじゃないか、そういうことでいろいろと就職をするという向きがふえてまいっておりますので、一挙に全部が従来の線がここで御破算になっているというわけにはまいりませんけれども、次第にそういう方向に向きつつありますので、私どももそういうような方向を育てながら、同時にまた、将来できるならば、私どもはやはり公開競争試験でもやって、そうして医者を募集するという形までくるのが本来の姿ではなかろうかと、こう考えております。まあ一挙にそこまでは参りませんけれども、そういう方向で努力はしてまいりたいと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 どうぞそのように御指導をお願いをいたします。  特に国立病院の医者などではすばらしい方がおりまして、結局、開業医になることは堕落だと、ですから、月給が安くても僻地へ行っても国立病院で就職したほうがいいという、全く徹底した高い倫理観でおやりになっている方もございますね。こういう方をやはり抜てきしてやったり、あるいは地位を与えてやったり、待遇を与えてやったりということも、具体的に私は進めていただかなければ、もうもうかるのは開業医のほうがいいということになって、あるいは地位を得るには教室に帰ったほうがいいということでは、国立病院に優秀な医師を確保するということはなかなかむずかしくなるのではないか、そういう点ひとつ御配慮をいただきたいのであります。  そこで、二番目の質問に入りますが、四十五年度における公害対策関係の予算は九億三千八百万円ということでございますね。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) さようでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その内訳は、公害防止対策が九億三千八百万のうち、公害調査研究委託費が一億一千二百万、それから公害監視測定体制整備費というのが一億九千六百万、その他公害防止事業団が四億四千三百四十一万ですか、こういうことですね、おもなるものは。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) ただいまおっしゃったとおり、内容はさような状況になっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大体調査をする段階で事業団の費用は一応配当をされておりますが、さて公害対策として具体的に仕事をする対象はどういうものを選んでいるのですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 現在、私ども公害関係で、特に公害防止事業団から助成あるいは貸し付け等、対象といたしておりますのは、主として工場の公害関係がおもでございます。と申しますのは、現在私どもの規制対象に騒音規制法等で取り上げておりますのは、工場の騒音とそれから建設作業騒音でございますが、特に前者の工場騒音につきまして、騒音の関係の公害がございます施設を一括しまして団地をつくって移転をするということが相当大幅に行なわれておりますので、そういうための事業が主たるものとなっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 公害ということになりますと、順序もありましょうから、何を対象に選んでいくかということも問題でありましょうが、その前に、交通騒音というものは規制の外にいま置かれておりますね。騒音というのは一応公害の対象になっておるのに、騒音の中では一番問題である交通騒音というものを規制の外に置くというのは、規制からはずしてしまったのはどういうわけですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 御承知のように、この公害関係の立法が整備せられます前は、大体地方公共団体の条例を中心として規制が行なわれていたわけでございます。それが四十二年の八月に公害対策基本法ができまして、騒音を公害の定義の中に加えまして各種の対策を講ずる、こういう趣旨をはっきりいたしたわけでございますが、それに引き続きまして、その実施法として騒音規制法ができたわけでございます。騒音規制法では、先ほど申し上げましたように、工場、事業場の騒音、それから建設作業の騒音、この二つを取り上げたわけでございますが、この二つをなぜ取り上げたかと申しますと、騒音に関しましては非常に防止の技術等で必ずしも十分でない面があるわけでございまして、やはりある程度一定のルールに従いました全国一律の規制ができる、こういうものを当初の騒音規制法の第一段階として取り上げてきたわけであります。  それからもう一つ道路交通騒音に関しましては、当時からすでに道路運送車両法あるいは道路交通法で一部規制が行なわれておりますので、それらにゆだね、その推移を見守りながら総合的施策を進めていこう、こういう考え方をとったわけです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 条例では交通騒音というものを対象にしておった自治体が相当ある。ところが、法律で結局交通騒音をはずしてしまったので、条例が法律に及びませんから、ひとりでに効力を失っておるというのが現実でしょう。全国的にやるということをねらいとするなら、交通騒音なんかというのは、どこに行ったって音の高いものは騒音が大きいということで、これは一番全国的に規制のできるものでしょう。道路交通法とかなんとかいうことで規制されておるものは微々たるものです。たとえば、先般環七の騒音被害というものが大きく新聞に取り上げられました。現実に。あるいは新幹線の周辺の騒音というものが取り上げられておりますね。あるいは羽田なり伊丹なりの空港騒音というものが大きく取り上げられておる。ところが、これは全然法律的には規制されないわけですね、飛行機ではどんな大きい音でも、たとえば——百ホン以上は規制されているが、八十五ホン、九十ホンという音で住民の頭の上を飛んでも飛行機であれば騒音の規制の対象にはならない。新幹線がどんなに大きく振動を与えようが、音を与えようが、新幹線であれば騒音の対象にならない。環七の道路をどんなに自動車がクラクションを鳴らして通っても、これは規制にならないということでは、ほんとうの意味の騒音、国民が要望しているほんとうの意味の騒音の規制というものは、大かたのところはずされてしまっているということになりませんか。厚生省は非常に不備だというお感じはないですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、騒音規制法では二つの騒音だけを対象といたしておりますので、そのほかの騒音といえば、当然国会の法律による規制がございます。あるいはないものにつきましては、地方公共団体が行政事務として規制していくのは一向差しつかえない。現実の状況としては、法律のできました当時では、騒音の関係では、自動車運転者に対し強力な要請というような程度のものがございましたほかは、たとえば町を静かにする運動ということで、警音器を鳴らさない運動をやるとか、そういうような運動の形で進められたのが多かった。私どもとしましては、道路交通騒音に関しましてまず申し上げますと、これは一片の法律をつくるだけではうまくいかないということでございまして、私どもまず何としましても、これだけの環境に、人が生活するという環境において、どのくらいの基準が公害対策基本法でいいます「維持されることが望ましい」行政目標としての基準であるか、これをまず明らかにしまして、それに向かって各種の総合的な施策を重点的にやっていこう、こういうような考え方をとったわけでございます。と申し上げますのは、道路交通騒音に関しましては、ただ一つの法律で全部規制するということをやっている国は非常に少ないわけでございまして……。

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 答弁を簡略に。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 各方面から総合的にやっていこうということで現在検討いたしておる段階でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おかしいでしょう。一番国民からすれば規制してもらいたい交通騒音をはずしておいて、それで厚生省としてこれとこれという騒音の選択をしたというのは、選択そのものが問題だということになりませんか。そこで、あなた方十分わかっておるでしょうが。何でこれをはずしたか理解に苦しむわけですが、この間、環状七号線の騒音で、「逃げ出したいこの騒音」という大きな見出しで、終日頭が痛い、眠れない、こういう老人の訴えというものが出されておりましたね。それから、これは騒音病というような名前で、お医者さんなんかは騒音被害を訴えているくらいでありますので、騒音によって非常に神経がいらいらする、心臓のどうきが高進する、血圧が上がる、難聴になる、食欲不振、幼児は不眠症になる、栄養失調になる、その他身体的影響が非常に大きく出る、こういった問題が医師会のほうからも強く指摘をされておるわけでしょう。この一番最たる交通騒音は飛行機であり、あるいは環状七号線の自動車である。あるいは住宅地の中を走る高架線であり、あるいは新幹線ということですね。それらが全然規制されないということではおかしいじゃないですか。ほかに、規制するといっても、法律でワクをはずしてあるものをこれを規制するわけにはいきませんよ。全国一律に規制するというなら、これは当然厚生省が取り上げて交通騒音というものを騒音公害として規制のワクにはめなければ困るじゃないですか。あなたの説明、どうも納得できませんね。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 御指摘のように、まず道路交通騒音等をはずしますにつきましては、それぞれ法律作成の段階ではいろいろないきさつはあったわけでございます。たとえば、いまの道路交通騒音に関連いたしましては、私どもが厚生省試案として要綱を発表しました段階では、自動車等の騒音対策としまして車両の通行制限に関しまして関係行政機関に対する協力の要請の規定があったのでございます。ただ、これはその後いろいろ検討いたしました結果、その段階でそれだけ単独で出すということでは、たとえば一方におきまして道路の混雑を避けようとして他方の道路でまた混雑することもあるというようなことその他の問題点がございまして、これらは総合的に将来の問題として検討するということで、厚生省としてはまず環境基準をつくって、それに基づいて各種の規制を、それぞれの関係法規、あるいは場合によりましては関係法規の改正を通じて積極的にやっていこうと、こういう考え方で実はこの法律が四十三年十二月から施行されたわけでございますが、その直前の十一月に環境基準の設定の検討を開始したわけでございます。もう間もなくその結論が出てまいるという段階になっているわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 どうも、ことさらに私は厚生省が避けているとしか受け取れないのですよ。騒音も公害の対象になるというなら、航空騒音なんというのは一番先に取り上げられなければおかしいでしょう。たとえば板付飛行場の騒音対策委員会というのが、これはもういまから六、七年前に騒音の学習阻害というものを取り上げましたね。これだというと、四十一年ごろですね、一年生から三年生程度はみな学習の阻害が大きい。それで、たとえば騒音のないところでは百点取っている子供が飛行機騒音の中で採点をすると、六十五点から七十点くらいしか取れない。ですから、大ざっぱに言えば三〇%から四〇%学習が阻害されている。こういうことが報告されておりますね。四十ホンから五十ホンくらいでも身体的影響があるといわれておるのに、大体飛行場の周辺というのはひどいところでは九十ホン以上でしょう。少ないところでも七十五ホン以上。十キロくらい離れていても七十ホン以上のところが多い。そうすると、頭痛とか耳鳴りとか心臓のどうきとかいうものの一般の人々からの訴えが非常に多い。これはたとえば東京周辺の飛行場についても、神奈川県の騒音対策委員会、あるいは東京都の同じような調査委員会で詳しい報告があるわけでしょう。で、たとえば学者の庄司光という方も、四十ホンから五十ホンでも身体的影響として頭痛がする、耳鳴りがする、心臓のどうきが激しくなると訴えているものが出てくる。五十五ホン以上六十ホン程度になりますと、半数の人々が身体的影響を訴えている、こういう発表をいたしておりますね。あるいは飯野薫さんという学者は、「防音装置の設計について」という論文の中で、防音建築の立場から騒音の許容量を考えると、事務室は四十五ホンから五十五ホン、学校の教室、図書館は三十五ホン以下、病院は三十ホン以下。学校の環境衛生の面から取り上げられているのは、いま六十ホンから七十ホンでしょう。ところが学者は、こんなことではとてもだめだというふうに騒音被害というものを指摘をしているわけです。これほど騒音の許容値が問題になっているのに、全然厚生省で公害対策の中に交通騒音を取り上げないというのは、どう考えたっておかしい。おかしくありませんか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) いままさに先生がおっしゃったような理由で、私どもはまず環境基準を早くきめるべきだ。環境基準がきまりますれば、それに基づいて各種の施策が総合的に進められるわけでございますから、私どもとしてはまず環境基準をきめるべきだということで、まず一般騒音から手をつけまして、昨年の七月にその第一次報告が出てまいりました。その次に今度は交通騒音を手がけているわけでございます。それがまもなく出てまいるという段階でございまして、その数値をもって各種の対策を総合的に進めるために検討していこう。したがって、環境基準がきまるのもそう長い時期ではございませんで、硫黄酸化物とか一酸化炭素とかと同じで、とにかく環境基準をきめるということをスタートにして、いまの道路交通騒音その他には対処していくのが最も適当であると判断して、そういうぐあいに進めておるわけでございまして、決して消極的な態度をとっているわけではございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 二点伺います。国際基準では、イギリスでは大体勉強部屋とか寝室は十五ホン、少なとも三十ホン以下でなければいけない。アメリカでは住宅は三十五ホン以下、こういうようなのが国際基準だといわれておりますが、やはりこれに準じて日本でも基準の許容値というものを考えるかどうか。もう一つは、御説明によりますと、いまは調査の段階だからそうだ。それは交通騒音であろうともこれは公害の対象として規制するワクには入れる、こう了解していいんですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 私ども、いま先生おっしゃったような各種の調査報告、これは海外のものもございますし、また、おっしゃったような国内の研究もございます。こういうようなあらゆる研究の成果を基礎にしまして環境基準の数値を出そうとしているのでございます。ただ、その場合に御注意いただきたいのは、いろいろな調査の数字がございますが、これはいろいろ衛生学上の数値でございますし、いろいろなものがございます。私どもとしては、その数値がすぐ行政に結びつきまして各種の施策を集中的にやっていける。現に、公害はそれによって克服できると、こういう意味での目標値をきめようと考えているわけでございます。また、いまおっしゃったとおりでございまして、私ども環境基準ができれば、当然、そのできた範囲におきまして関係の交通公害につきましても関係法でそれぞれ対処していくということを当然のことと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もう一つ伺いますが、現在は交通騒音は法律の規制のワタ内ではないのですけれども、条例で騒音を規制しておれば、その条例のワクの中には交通騒音も入っていると考えていいかどうか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) これはさっきお話しましたように、それぞれ道路運送車両法の規制があり、あるいは道路交通法の規制がある。それに矛盾しない範囲で残された分野のことは当然条例でできると、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 千葉県では、公害条例の騒音のワクを一応、市街地では昼間六十ホン、夜間五十五ホン、一般の地域ではそれより五ホンずつ高くしてやると。いま政府が急いでいる成田新東京国際空港も千葉県でございますから、現状においては六十五ホンなら六十五ホンというワクの中に入るわけです。そこへ九十ホンだの八十ホンだのという飛行機を飛ばすということになると、これは条例違反ということになりますか。それはワクの外だということですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) これは条例の書き方はどういうふうになっているか、手元に条例を持っておりませんから、何とも申し上げかねるのでありますが、私どもといたしましては、環境基準をきめた場合には、道路交通騒音に関してはこうだということでまずきめてまいりたいと思っております。それから、いまの航空機だとか新幹線というような特殊騒音につきましては、これはまた別個の環境基準をきめていくということになるだろうと思うのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこが問題ですよね。別個ということで、どんなに高い音を出しても飛行機は別ワクだと、電車は別ワクだということにされますと、その地域は全然これは騒音の被害というものからのがれるわけにはいかないわけです。もう一つ具体例をあげますと、地下鉄として認可された東京都の営団地下鉄ですよ、これが東京の千葉県寄りに参りますと高架線になりまして、いわゆる東西線と称する、大手町から西船橋まで行く線が、二分の一以上が、これはどんなに窓を締めても六十五フォンから七十フォンの被害を与えておる。東京都の条例は知りませんが、千葉県の条例は、市街地でありますので六十フォンで押えておる。しかしそれより大きい音を出して通るわけです。条例ができたあとに東西線ができたわけですけれども、この東西線を規制するわけには現状ではいかない。それは別にということで、六十フォン出ておるからここのところは六十五フォン以上を規制のワクにしようということになれば、これは全然底抜けでしょう。そういった対策ではどうにもならないじゃないか。だから、法律で、地下鉄東西線であろうとも、羽田の飛行機であろうとも、高い音をこれ以上出してはいけないんだというものをきちんとワクをはめなければ、住民の被害というものは、少なくも騒音からはのがれるわけにはいかぬ。そういう対策が、公害の法律をつくって、その公害のワクの中には騒音も入れておって、しかし飛行機や電車、汽車は別ですよということでは、どうにも住民は、政府の法律だけ待っておっても被害からのがれるわけにはいかないという矛盾を感じておるわけですが、これは大臣に一体どうしてくれるかお答えいただいたほうがよろしいと思いますが、どうですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私も承っておりましたが、たいへんむずかしい問題でございます。しかし国といたしましても、国会といたしましても、騒音はまず公害の一種であるということを公害対策基本法でも認めました。このほかに、大気とかあるいは水の汚染ということはもちろんでございますし、さらにはまた地盤沈下とかあるいはにおいというものも公害の種類と認めておりますが、何を公害というかという条文から離れて、さらに大気と水の汚染と騒音については、守らるべき環境基準をつくるべしということを特にうたわれております。でありますから、御承知のように、いままで私どもは大気について守らるべき一般的共通といいますか、総合的環境基準をつくってまいりました。硫黄酸化物でありますとか一酸化炭素、それからまた今回水につきまして、これは各水域ごとにいろいろ違ってくることでありますが、守らるべき環境基準というものが、おそらくは今月の終わりごろまでにはできることになりましょう。続いて、騒音の環境基準を、この法律を置いてあります以上はつくるということで努力をいたしておるわけであります。しかし、これが一体何の原因によって起こる騒音かという、一般基準としてつくれるか、あるいは加瀬さんがおっしゃいますように、騒音の原因ごとにつくらなければならない場合があるのか、あるいはまた地域を指定してつくらなければならないのかという問題はあるわけでございますが、いずれにしても、その辺で、行政目的として、原因のいかんを問わず、あるいはまた原因に従いながら守らるべき騒音の環境基準をつくりませんことには、ほかの運輸省に持ち出しましても、飛行機会社に持ち出しましても、あるいはまた通行の交通機関に対しましても、どの目標で規制するかという目標ができないことになりますので、とにもかくにもいろいろな場合を想定しながら騒音の環境基準をつくろうと、こういうことで努力し、それが遠からずできることになっておることは事実でございます。しかしおくれていることも事実でありまして、おくれている言いわけとして二つございます。一つは、騒音規制法というものをつくりながら、政府や都道府県が手を出しますのは工場とかあるいは建設騒音に限って、あとの深夜騒音あるいは商業騒音を初めその他のものについては市町村でしかるべくやれと、こういうようなことにして逃げているというようなこと等、問題を先に送っておる面があるということと、それからもう一つは、これは御承知のとおり、飛行機にいたしましても、基地周辺にいたしましても、音をとめるわけにいかぬわけでありますので、その音をとめるために防音装置をつくりますそのお金を国が何とか持ってやるべしと、そういうふうな変な対応的、防衛的、消極策だけをつくってきておるということは、公害防止法のほんとうの目的とするところじゃありませんので、私どもはまっ正面を向いて、やはり騒音というものについて、むずかしいけれども何らかの形によって加瀬先生にもおこたえ得るような努力をいたしつつありますことはぜひひとつお含み置き願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大臣の御活躍に大いに期待をいたすわけでございますが、次に、北海道大学の公衆衛生教室というのが、第二十三回全国日本公衆衛生学会というので、千歳空港周辺十二カ所で詳しく調べた騒音報告というのをいたしております。これは一番近いところで二キロ、遠いところは十二キロという各地域であります。そこで、その概略を申し上げますと、会話が聞こえないというのが、七キロぐらい離れても八五%あります。テレビ、ラジオ、電話が聞こえないというのが全域であります。赤ちゃんがおびえる、が全体の六七%、子供が夜中に目をさまして寝つかれないというのが四四・八%、耳が痛いというのが二一%、仕事をする気がなくなるというのが四五・二%、このほか身体的影響を訴える者がほとんどであります。いらいらするというのが五〇・八%、元気がなくなるというのが三二・七%、こういうように、とにかくそれが飛行機であろうが、何であろうが、騒音によって身体にあるいは生活に大きい被害を与えているということは明らかな学会の報告でございますが、これは部長、お認めになりますね。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 私どもも、先ほど申しました生活環境審議会専門委員会の報告では、いまおっしゃいましたような中身につきましてはほぼ同じようなことをいろいろ問題にしておるわけでございますが、これを一般狭義の健康にかかる問題だという意味じゃなく、たとえば睡眠障害、会話障害、産業能率低下、不快感、これはやはり生活環境にかかる問題として、生活環境の保全の見地から対策を進めるべきじゃないか。むしろ健康ということになりますと非常にレベルが低くなります。もっと積極的な、生活環境保全という見地から環境の保全をはかるべきじゃないか、こういう考え方に立っておるわけであります。ただ、その中でも特に航空機の騒音は、間隙的な騒音ではございますが、非常に強いわけでございます。これが健康被害があるかどうかという問題につきましては、別途大阪空港を中心といたしまして騒音影響調査会を設けまして、三年計画ぐらいで健康被害がどういう形であらわれるかということの調査研究を進めていっているような状況でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 伊丹空港の周辺の住民は訴訟を起こしておりますけれども、少なくとも人間尊重ということをたびたび総理大臣おっしゃるわけでございますから、人間尊重という政治であるなら、この騒音被害というものを考えないで道路や新幹線やあるいは空港をつくるということは考えられないと思うわけですね。で、騒音の被害の予想調査もしないで、現状においてはいきなりそこに線路が敷かれたり、空港がつくられたりしておるわけでございます。これでは私は人間尊重とは言われないと思う。いま部長さんのおっしゃるように、騒音から環境を守るというなら、静かな環境であるところに、どういう影響があるかを考えないでいきなり地下鉄を引っぱり上げる、あるいは静かなところへいきなり飛行機を飛ばすと、こういう無考慮な計画というのが進められては、これは公衆衛生といおうか、あるいは生活の安全といおうか、少なくも公害を予防するという立場からすれば、そういうことは許されていいはずのものではございませんね。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 私ども全くその点は同感でございまして、特に飛行機の中でもジェット機は非常に大きな騒音を発するわけでございまして、影響の範囲も非常に大きいということで、何よりも飛行場をつくる場合は、その周辺一帯の土地利用ということを中心としました施策が進められなければいかぬと。たとえばその騒音の見地から非常に不適当なところは、同じ騒音の工場の団地をつくるというようなことも考えて当然いけるわけでございまして、こういう土地利用計画が十分なされるべきだということを第一に考えているわけでございます。特にいまおっしゃいましたように、まあ新幹線の場合もそうでございますし、それから幹線道路の場合もそうでございますし、また大きな飛行場等の場合は、やはりその住民の訴えというのは、そのものができました当初二、三年というのが非常に大きいわけでございまして、これは、やはり従来の静かなところになれて、一ぺんに急に大きな音にさらされると、こういうことの結果だと思います。こういう点についても十分な配慮をなされるべきだという点は全く同じ考えに立っているわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 くどいようですけれども、騒音のある個所に住民が移動をしてきたなら、これは文句は言えませんよね。ところが、静かな生活環境のところにいきなり騒音のもとを持ってきて、被害が出てから問題を解決しましょうという態度では、これはどう考えてもうなずけない。伊丹とか羽田とかというところは、飛行機が大きくなるに従って騒音が大きく出てきた。ですから騒音被害というものの訴えが多いのはわかっている。それを成田の場合は、全然飛行場のないところに新しい飛行場をつくるわけですから、そうすればそこで騒音の状況がどうなるか、住民の被害の範囲なり員数なりというものがどういうものかということを綿密に検討をされて、まあこのくらいはあきらめてもらおうとか、これは無理だという検討がされなければなりませんのに、そういうものは何もないわけですね。ないということは、結局、交通騒音に対する規制する法律がきちんときまってないから、やったって何だって法律違反じゃないということに開き直られるということになるわけですよ。いつごろこの交通騒音に対する規制のワクはきちんときまりますか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○政府委員(城戸謙次君) 先ほどからお話ししておりますように、私どもとしては、第一には一般的な騒音の環境基準の案となるべき数値をまず想定しなければならぬと、その前提に立ちまして、それぞれの道路交通騒音につきましての環境基準はどうあるべきかということをいまやっているわけでございます。と申しますのは、この数値は一つでよかろうということもあるいは御指摘あろうかと思いますが、何と申しましても騒音につきましては、住民の苦情や住民のアンケートに相当の地域差があるわけでございます。これはいわばそれぞれの地域に応じてどのぐらいまで受忍すべきかという問題は、やはりその地域に住むことの利益ということとも関連がありますので、一般の場合は、やはりそういうものを地域区分に応じてやっていくという作業をひとまずやっております。これは国際標準化機構の騒音の音量基準の提案においても、地域差が設けられており、同じような考えに立っております。それからもら一つ、道路に面します場合は、その道路の公共性ということからある程度の考慮をしなきゃならぬ点もあるわけでございます。もちろん都市の住宅のまん中を通る道路とか、あるいは特に静穏を要するところ、これにつきましては、そういうことを考える余地はないと思いますが、幹線道路につきましては、やはりそういう公共性の見地ということも出てくるわけでございます。この辺をまずまとめまして、その数値を基礎にしまして道路交通騒音につきましての環境基準をつくり、それによって道路交通騒音についての総合対策を進めていこうと、これが第一段階でございます。それと並行いたしまして、いま御指摘のような種々の特殊騒音と呼んでおります航空機だとか、新幹線、高速道路、こういうものの騒音につきましての調査なり、あるいはそれに基づきます環境基準の設定なり、あるいは受忍限度の設定なり、こういう点についての検討を進めると、手順としてはそんな形になると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これ一問で終わります。  航空騒音に対しては、都市的変更をしない限り防止の方法はないといわれておるわけですね。都市的変更というのは、うるさいところはうるさくないところに全部移れということ、こういうことは不可能ですわね。そうすると、政府のほうできちんと交通騒音の規制というものをしてくれなければ困る。いま航空騒音については滑走路の前方二千メートル、横六百六十メートル、しかも音の高さ百ホン以上が法律の対象になる。では九十八ホンはどうなのか、八十五ホンはどうなのかというと、全然これは法律の対象にならないわけですね。そうすると空港のまわりじゅうこれは騒音の被害地域ですよ。しかし法律の規制は何にもない、こういうことでは騒音が大きな公害だという認識が一体政府にあるのかどうなのかという疑問を持つ。  そこでひとつ、先ほど大臣もお答えいただきましたので、航空騒音が騒音のうちで最たるものだという御認識をいただきまして、早急にこの法律的規制を厳格にやっていただきたいと思うのです。これはひとつ最後に大臣にお願いをいたします。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 決して私どもが騒音を公害の重要なる要素でないと思っておる次第ではございません。でありますから、先ほどもお答えいたしましたように、他のものから離れて、大気と汚染と騒音というものは環境基準をつくって、そうしておそらくこれは地域指定というようなことにも、これは大気の場合も——水の場合は水域指定になりますが、行なうことになると思いますが、そういう地域におきましては、その環境基準を高めるようないろいろな発生原因というものを、それぞれの法律で規制するという段階にだんだん入っていかざるを得ないと考えるものでありまして、騒音規制につきましては、私どもは大気、水に次ぐ、あるいはまた加瀬さんの御説のとおり、それと並んで、あるいはそれ以上に、人間生活やまた環境浄化のために放置し得ないものであるということをあらためて認識させていただきまして、努力いたしてまいりたい所存でございます。     —————————————

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、岡三郎君が本分科の担当委員を辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。     —————————————

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 農業者年金についてお伺いしたいんですが、この農業者年金が今度創設されるわけですけれども、これは国民年金に対しましていい影響を及ぼしているのか、好ましくない影響を及ぼしているのかですね、それをまずお尋ねいたします。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 農業者年金は、これは私が逃げ口上を申すわけではございませんが、ある意味では国民年金の一種でございます。国民の労働の保障を厚くいたしますために、御承知のように国民年金の上積みをする。ただ上積みをされる人々を農業政策に関連させたと、こういうことになるわけでございますので、私は必ずしも国民年金に悪い影響があると考えません。国民年金の基礎の上にできた年金だと、こうすなおに考えているものでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは厚生省の調査だと思いますが、この農業者年金をつくりますときに、第一種農家の調査によりますと、引退の意向というのを調査しているんですね。それによりますと、後継者に譲るというのが八七%近いんですよね。そこで、売るという人ですね、引退するときに売るという人は一・四%ですね。ですから後継者に八七%は譲ると言っておるんですね。それで、それじゃ引退をする、あるいは譲る年齢の調査がありますね。その年齢の調査によりますと、平均して六十三・八歳ですね。それで今度農業者年金というのは、六十から六十五の間に引退する、つまり、経営者が経営を移譲する場合ですね、この二つを考えますと、後継者に譲るんだという人が八七%、そして引退の年齢というのは過去六年間とってみて六十三・八歳、そうしますと、この年金というのは、一体その目的にありますように老後の保障、それから経営の合理化、それから農地保有の合理化というものに役立つというふうにお考えになっておるのかどうか。どうもこれで見ますと、あたりまえの話じゃないかと、移譲するのはあたりまえの話だ。それから年齢は六十三・八歳だと。引き下げるといっても、六十歳から六十五歳の間に譲ると。どういうことになるのかな、そういうふうに思うのですがね。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○政府委員(廣瀬治郎君) 農業者年金基金につきましては、農林省と厚生省とが共管でございまして、いまの御質問はあるいは農林省のほうが適当かと思いますが、農林省の考え方によりますと、現在の農業経営者が一般的に高齢でありまして、できるだけ、近代化するためには農業経営主を若返りさせたいということが目的の一つになっておりまして、そのためには後継者にできるだけ、六十くらいで譲ってもらうのが一番いいと思っておりますが、従来ですと、いまお話しのように、六十数歳になっておるわけでございます。ただ後継者に早く移譲しろと申しましても、やはり老後の保障が完全になりませんとなかなか目的が達せられませんので、六十歳に移譲した場合には、いわゆる経営移譲年金というものを出して、できるだけ適齢である六十歳に移譲をしやすいようにするというのがこの基金のねらいの一つでございます。それで、移譲は六十歳から六十五歳までにやれば、経営移譲年金がもらえるわけでございますが、経営移譲年金は、六十歳からやりますとまるまる五年間もらえますが、六十三歳か六十四歳になりますと、あと一年か二年ということになりますので、同じ移譲するなら六十歳のほうが金額的に得でございますので、適齢である六十歳に経営移譲を促進することに役立つであろうというふうに考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは農林省、農林大臣の問題なんでしょうが、年金ができますときに、厚生省のほうでも調査をされて検討されておられるようですから、厚生省のほうはどういうふうに見ておられるのかということでお伺いしたのですが、まあこれは容易じゃないですね。これは後継者に譲る場合に、老後を安定して譲るというわけにはなかなかいかないですね、二万円ぐらいですからね。なかなかそうはいかないと思いますけれども、それじゃまた、もう一つ国民年金に対して農業者年金というのが特に悪い影響を与えていないというお話だったですね。むしろ国民年金の上に上積みされたような形のものなんだというお話だったですね。一種の国民年金ですね、これは。そこで、農業基本法と林業基本法とそれから漁業基本法というのがあるのですよ。漁業は漁業基本法と言いませんで、沿岸漁業等振興法という名前ですけれども、たてまえは農業基本法と同じ、林業基本法と同じ、いずれもそのねらいとするところは農業基本法と同じなわけなんですね。そうしますと、農業者年金というのができますと、おのずから三基本法のもとに漁業、林業、農業をやっておりますから、林業者に対して、あるいは沿岸漁業者に対して、こういうものが波及していくというふうに考えたほうが妥当なのかどうか、そういう点は厚生省としてはどういうふうに見ておられるのか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○政府委員(廣瀬治郎君) 昨年の国民年金法の改正によりまして、国民年金は御承知のように政府でやっておりますが、同種同業のものが集まりまして、自分たちが特別に掛け金を出し合って、政府でやっております国民年金の上積みとしてプラスアルファをしようという目的のために、国民年金基金というものをつくり得ることにしてあります。この農業者年金基金もそれの一種と考えられるわけでございますが、この農業者年金基金のほうは、先ほど大臣が申されましたように、特に国としての農政上の特別の要請がありましたために、このように法律に基づきまして特別な基金をつくったわけでございます。林業につきましては、この農業者とかなりダブる方もあるかと思いますので、この農業者年金基金のほうに入られる方もあると思いますが、漁業につきましては、やはりいろいろ近代化というような問題があるかとも思いますが、ただ現在農業者についていわれておりますように、経営規模の拡大とか農地保有の合理化とか、そういう特別の要請というものはいまないように、これも農林省の問題ですが、ないように聞いております。したがいまして、いま現在は、こういう国の目的を達成するために、水産業につきまして、特別の法律をつくってやるというようなことは、農林省でも考えておられないようでございますし、私どもいまのところは考えておらないわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 農業者年金が国民年金に上積みする、あるいはその国民年金の中にできていくということが、この国民年金をこれからもう少し前進するための要素になるかどうかという点はいかがですか。たとえばいま年齢が六十五歳になっておりますが、農業者年金は六十歳から六十五歳の間ということになっていますね。そういう面についての影響があるのか。それから、上積みしますね、そういう問題についても影響があるのか、ないのか、これが契機になりまして。というのは、員数としましては二百万ぐらいのものですね、二千七、八百万ぐらいの中の二百万ぐらいのものなんですけれども、しかしこれは、考え方によっては相当影響してくるのではないかというふうにも思えますのでね。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○政府委員(廣瀬治郎君) まず、年金の支給開始年齢でございますが、御承知のように、国民年金は六十五歳ということになっております。ところが農業者年金基金につきましては、経営移譲した場合はに六十歳ということで、五歳早めておりますが、これはあくまでも、やはり先ほど申しましたように、まあ六十歳程度で農業の経営主の地位を後継者なり第三者に譲ったほうがいいという特別の政策的なねらいをもってこういうふうなしかけがなされておるわけでございまして、こういうものができたために、国民年金につきまして年齢を引き下げるというようなことは考えておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 時間三十分ということのようですが、簡単にお伺いいたします。  第一は、私の非常に親しい方の強い陳情を受けておる問題ですが、神経性の難聴ですね、耳が遠くなった神経性の難聴、これに対して保険の対象にしてほしいという要請があるんです。で、これは前々から若干厚生省にも陳情をいたしておりますが、他にもいろいろあるんでしょうが、名古屋で非常に耳にきくはりの治療をやっておるという先生がおるようです。しかしそれが保険の対象にされないものですから、途中でまたお金のない人はやめてしまうというようなことで、非常に気の毒なんです。何とかリューマチなどと同じように、保険の対象にしてもらえぬものだろうか、こういう要請があるんです。で、研究してみましょうというお話は聞いていたんですが、どういうふうになっておりますか、これは保険局長からひとつお答えを願いたい。

梅本純正厚生省保険局長

○政府委員(梅本純正君) はり、きゅうの問題と保険給付の問題でございますが、一応はり、きゅうの一定のものにつきましては、療養費を支給する、すなわち療養費払いという形式におきまして保険給付の対象にいたしております。しかしその趣旨といたしますところは、現在の診療報酬の問題につきまして、特に保険給付のうちの診療報酬の問題につきましては、やはり医師の診療行為に対しまして対価を支払うという形式が中心になっております。それで、この医師でないはり師、きゅう師、そういう方々が行なわれました行為につきましては、おのずから非常に限定された形で認めてきているというのが現行の制度でございます。で、したがいまして神経痛、リューマチ等でございまして、またそれに類似しますものといたしましては、その同じような範疇に認められる疾病でございまして、慢性的な疼痛を主症とする疾患というふうに限定をいたしているわけでございます。で、そういうことでございますので、御質問の神経性難聴につきましては、制度的に見まして、現在のところその範囲内に入っていないという形でございます。しかし御指摘がございましたので、今後いろいろな点につきましてわれわれのほうで研究さしていただきたいというふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはもし保険に加えるとしたら、何を改正することになりますか。法律などはいじる必要がないわけでしょう。その点ちょっと説明してください。

梅本純正厚生省保険局長

○政府委員(梅本純正君) 御指摘のとおり、法律の改正をしませんで、保険局長の通達の改正でできると思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 現在はりがいま御説明のあったように若干の部分については対象にされておるわけですが、年間の支出金額ですね、そうたいしたことはないと思いますがね、どんなものでしょう。

梅本純正厚生省保険局長

○政府委員(梅本純正君) まことに申しわけございませんが、このケースは非常に少ないケースでございまして、統計上あらわれておりませんので、ちょっとわかりかねます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ局長がわからぬくらいにこれはわずかなものだと思います。しかし、何をやってもなかなかうまくいかない、しかしこれならきくということをたよりにしておる人があれば、たとえわずかな人であっても、その範疇に入れていくということは、私は非常に大事だと思うんですね。現在の大体の考え方というのは、どうしてもいわゆる近代医学というんですか、そういうものが中心になっていて、それ以外のものはどうもやはり冷たく扱われる、こういう傾向ですね。しかしそういう根本問題にいまメスを入れるということは、そういう大きい問題をいま扱おうとしているわけじゃありませんが、しかし実際は、これは大臣なんかどうか知りませんが、政治家でもずいぶんいわゆる近代医学以外の治療法というか、そういうことを実際は活用しているんですよ。社会的にはそれほど手広くやっておって、しかも正規の制度になると、それは何とか類似行為だとか、妙なまま子扱いになっているわけですね。もう少し、だからその辺がね、根本的に考え方を改めていいんじゃないか。まあ東洋の社会主義国、たとえば中国なり北朝鮮へ行くと、これは併用しております。そして病人の、大まかに言いますと任意選択ですね。だから、したがって従来からの東洋医学の筋、そっちのほうも現在においても発展させるような方向が出てくるわけですね。しかしまあいまの日本の医療体系にそこまでの注文をしても、とても抵抗が多くてそれは話にならぬと思いますが、まあいま要請のあるようなこの相当きく可能性も考えられる神経性の難聴、こういうものには、ぜひひとつ併用してほしいのです。大したこれは支出になりませんよ。これは節約するにはもっともっとほかにあるはずですよ、保険会計など。実際役に立つというところが出てきたら、本人にとってはこれはたいへんなことなんですから、収入の少ない人にとっては。ぜひこれはひとつ、いま局長がおっしゃったような立場で、もっと前向きで検討してほしい。大臣にひとつこれはお聞きしておきましょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) はり、きゅうによる治療ですが、局長からお話がございましたように、リューマチとか神経痛については、あと払いというか、償還制で適用を受けている。いまお話の老人性の難聴といいますか、神経性の難聴、難聴について同じようなことを認めるのがいいか、あるいはまたはそれでなくても、はり、きゅうがほんとうに治療の効果を持つ他の分野の病気が私はあると思いますので、神経性の難聴ということだけにとらわれないで検討さしていただいて、筋の通るものはこれは保険医療の対象として検討に値するものと考えますので、さっそく関係方面に命じて引き続き検討させることにいたしたいと存じます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私は遠慮して、少なくともこれはということで申し上げたんですが、大臣のほうは何もそんな難聴だけに限る必要ないじゃないか……。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 難聴ははずれちゃ困る。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 きくものなら、ほかのものもみんな検討したらいいじゃないかと。ほんとうにそういう気持ちで大臣がやってくださることはたいへんありがたいと思うんです。ぜひひとつこの際前向きで御検討をお願いしておきます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 難聴ということにとらわれる必要ありませんね、難聴に関係ありませんね。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一つの例です。きくものはみんなやってください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) とらわれないで検討させましょう。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 神経性難聴はきくんです。これは厚生省の外郭団体にその研究所があるでしょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) ありますね。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこに日本一といわれる先生がおりましてね、そうしてその方は神経性の難聴であればきく可能性は十分考えられるというふうに厚生省の方におっしゃっておるようです。だから最小限それはやる。そのほかさらにあれば入れてやってほしい、お願いしておきます。  それから次に、いわゆる保健薬、このことについて若干お聞きをします。薬務局長、これはお尋ねしたいことはたくさんありますが、問題点をしぼってひとつ聞くことにしましょう。薬の認可の基準ですね、これは昭和四十年を境にして相当変えられておりますね、その点まず。これ、往復三十分だから中身のある答弁でさっと答えるようにしてください。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 医薬品の製造承認につきましては、いま先生御指摘のように昭和三十七年に一応厚生省の薬務局で方針をつくったわけでございますが、これが一応体系的にも整備されましたのは昭和四十二年でございます。四十二年に、医薬品の製造承認に関する基本方針というのを薬務局で制定いたしまして、そして医薬品の製造承認につきましては、医療用の医薬品とそれから一般用の医薬品、まあ大衆薬と申しておりますけれども、それとを一応区分して申請をしてもらう。そして審査の場合におきましては、それぞれ大衆薬と医療用薬品というものを分けて審査をしていくという方針をつくったわけでございます。そのほかいろいろございますが、そのうちで特に申し上げたいのは、これは、それより数年前に御承知のようにサリドマイド事件とかあるいはアンプル入りのかぜ薬の事件というような、社会的にも政治的にも問題になるような医薬品関係の問題が生じましたので、やはり医薬品につきましては安全性というものを特に重要視して、承認の場合には絶対にそういう害のないように、効能ももちろんなければこれは困るわけでございますが、効能と同時に、副作用とかあるいは遺伝的に影響があるというようなことの絶対にないようにということで、非常に厳密に資料を要求するということにいたしたわけでございます。そういう資料を、十種類ばかりの資料を全部はっきりいたしまして、そういうものを要求するということで、ことに新しい成分を含んだ医薬品というものにつきましては、特にそういう資料を厳重に要求いたしまして、その上で、必要なものについては、厚生省の付属機関としてあります中央の薬事審議会にかけまして、その同意を得て承認をする、こういう方針を立てたわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いわゆる大衆保健薬ですね、これは厚生省で認可されたのはいつごろになりますか調べていないですか。薬ごとにちょっとおっしゃってください。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) たとえば一番有名なアリナミンでございますが、これは現在アリナミンAというものが一般に市販されておりますが、これは昭和四十年の十月でございます。しかしそのもとになります、一番最初に承認されましたのが……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一番初めのやつを言うてください。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) アリナミンにつきましては、一番最初のやつは昭和二十九年の二月でございます。それから中外製薬のグロンサンでございますが、グロンサンが昭和二十六年でございます。それから、たとえばチオクタンというものがございますが、チオクタンというのが、これが昭和三十三年の七月でございます。それからアスパラというのが、これが昭和三十七年の二月。それからパロチン、これが昭和二十八年の八月。それからユベロンというのが昭和四十年の十二月。ハイシーAが昭和四十年の十月。それからパントというのが昭和四十一年の一月。マミアンが四十年の四月。それからリポビタンDというのが三十六年の十二月。大体そういう承認の年月日でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこで、端的に言って古く認可されたものですね。これは一度洗い直すべきではないか。斎藤厚生大臣も昨年でしたか、衆議院の予算の分科会でそういう意味のことをお答えになっておりますが、これは私は当然だと思うのですね、日進月歩なんだから。すべての許可の基準にしても進歩していくわけでしょう。だからこういう変化の激しいときに、しかも一方でその効力についていろいろいわれているときに、そんな古いものをいつまでもそのままにしておくというのはおかしいじゃないかと思うのですね。その点どういうふうにお考えですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに御指摘のように医学、薬学は日進月歩でございまして、その効能、効果等の判定をどういうぐあいに判定するかというような方法につきましてもいろいろ進歩をしてまいっているわけでございます。そういう意味におきまして、古く承認になった薬について、はたしていまの効能の判定方法で昔どおりの効果があるかどうかということについてはいろいろ検討する必要があろうと思います。それで、昨年の国会でも問題になりましたので、私どものほうから、それぞれ指摘されました大衆保健薬のメーカーにその後の検査その他がどうなっているか、有効性についての判定等はどういうぐあいに検討しておるかということを照会、調べたのでございますが、たとえば二、三の例を申し上げますと、アリナミンにつきましては、これは先ほど申し上げましたように昭和二十九年に承認になっておりますけれども、そのときには臨床例といたしまして大体百例ぐらいの臨床例でこれを承認しておるわけでございます。これは東大とか京大など五つの施設で大体百例ぐらいでございますが、しかしその後さらに検討を加えまして、私どもが照会いたしましたときは二十九年ですから相当古いわけでございますが、その後今日まで八千八百例につきまして調査をいたしております。その結果一応有効率は七七%というような数字が出ておるわけでございます。またたとえばハイシーにつきましても、同様に約七百五十例の追加の審査をやりまして、有効率が八〇・九%というぐあいで、その他たとえばグロンサンにつきましては約二千三百例というぐあいに、一々申し上げますと長くなりますが、それぞれメーカーによりまして症例は違いますけれども、その承認後もいろいろな症例を集めて、有効性というものについて検討しているという実情でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは各メーカーから一方的に持ってくるわけでしょう、自分の都合のいいものを。土台はちゃんと許可されたままになっているわけだ。だからそういうものを幾つ積み重ねて持ってきてもはたして客観性を持つかどうか非常に問題があると思うのですね。こういうことがあるのですね。イギリスの政府が、最近セインスバーリー卿ですか、この方に薬についての調査を依頼されたのですね。二年間調査しているのですね。その報告書が最近発表されましたが、それによりますと、イギリスで現在医薬品として流通しておる三分の一は好ましくないという意味のことを発表しておるようですね。私はこういうことを見ますると、日本の場合には、結局あとから何か追加されたからもうそれでいいんだというふうに簡単にやっておりますけれども、非常に問題があるのじゃないかというふうに思います。そこで私がお聞きしたいのは、厚生省で扱っておる許可のきめ手になった資料、それをやっぱり公開すべきじゃないか。そうすれば、それに対して各専門家がまた批判もできるわけだし、ともかく薬というのは厚生省と製薬会社がわかっておればいいんだ、そして専門家がちゃんと認定していればいいんだ、そんなものじゃなかろうと私は思うのです。これは一種の公器ですよ。だからその厚生省の決定の根拠となっておる資料を、これを公開制に踏み切るべきだ。そうすればこのいろんな疑念なりというものが相当晴れていくと思うのです。そういうことは考えられませんか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに先生の御指摘ごもっともだと思います。それで現状では一応私ども、先ほど申し上げましたように、四十二年からいろんな資料を要求して審査をやっておるわけでございますが、その中で基礎実験とかあるいは臨床試験、そういうものにつきましては、原則としてそういう臨床試験等は、学会とかあるいは学会誌に発表されたデータでなければいかぬ、こういうことで資料の要求をしているわけでございます。したがいまして、いろんな毒性の試験とかあるいはその他の臨床試験、そういうものにつきましては、すでに公開されて公の席で、しかも学問的な場で公開された資料でなければこれは資料として受けつけないということでございますので、その限りにおいてはある程度そういうものが公開されているということでございますが、全部の資料、審査に出されます全部の資料が公開されているという段階ではないわけでございます。おそらく先生はそういう点も全部公開したらという御指摘だろうと思いますが、これは私ども研究いたしてみますが、ただ一応考えますと、いろんなこういう新しい薬につきましては、その成分の試験法とかあるいは薬を安定させまするための安定の方法とか、いろいろその企業といたしましてはあまり他の企業に知られたくないという点もあろうと思います。したがいましてそういう点につきましては、やはり提出者の同意がないと公開できないのじゃないかという感じがするわけでございます。ただ、問題はやはりわが国の薬務行政につきましていろいろ疑いの目をもって見られているということは事実でございますので、そういう点を、何らかの形でそういう疑惑を解くという方法については私ども大いに努力をしていかなければならないと思いますが、いま御指摘の公開という点については、私どもは可能なものはできるだけ公開をしてまいりたいと思いますが、これ全部皆公開ということにつきましては、いましばらく検討さしていただきたいというぐあいに考えるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ会社としても、おそらくたくさんの費用をかけて研究をし、また宣伝もしておるわけですから、製造法についての特許なりあるいは商標等もちゃんと保護されるような手続はとってると思うのですね。そうすれば、その資料を公開したからといって、それは若干の不便はあるかもしれない、ともかく内部のことを知られないのが一番いいのですからね、会社としてみれば。しかし、私はそうはいかぬと思うのです。相手が自分のからだに使うわけなんですからね。そういうわけですから、たとえば判決を受ける、結論だけだと、これじゃあ納得せぬのと一緒でしてね。それは理由は全部書いてあるわけです。その理由となった資料もちゃんと判決の中に明示しなければならぬことになっている。私はそういうことが、たとえば現在の薬は広告に非常にたよっておりますね。そういうことの一つの大きなやはり規制のてこにもなってくると思うのですよ。そんな、広告とかそんなもので勝負するのじゃなしに、きちんとした根拠でいくのだと、お互いにね。そうなれば、まず厚生省が、おれはこういう理由でこれを認めたのだ、これを全部公表したって何もちっとも差しつかえないし、国民のほうは喜びますわ。だからそういう意味で、いま局長は、まあ全部はできないかもしれぬがというようなことをおっしゃいますけれども、そこに惰性があるのですよ、人間の。ただそういう感じがするだけですよ、そんなものは。だからどんな制度にしたって、一つの新しいことをやれば必ず抵抗もあれば長所も短所もあるのです。しかし私は、一体この薬に関しては公開するということを踏み切られたら、それによって受ける一般大衆の気持ちというものは非常にほがらかになり、プラスになるものがあると思うのですよ。これは大臣が決意しなければおそらくできぬことでしょうが、どうでしょうかね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) まあ伺っておりましたけれども、正直に申しまして技術的なもので、しろうとではどういうものか私はわかりませんので、先生と局長の問答の次第をなお局長から聞きまして、御意見を尊重できるものは尊重するようにさせたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから広告ですね、ずいぶん製薬会社が広告費にたくさん使っておるのですが、中には明らかに薬事法で禁止しておる誇大広告も私はあると思うのです。まあこういうときになると、特定の名前あげるとはなはだお気の毒ですけれども、たとえば王選手を薬の宣伝に出している。そうすると大衆はやはり錯覚を起こすわけでしょう。これは大事なことです。そういうことは六十六条で禁止してあるはずなんです。その禁止に違反した場合には罰則もあるわけですね。一体そういうことが厚生省で活用されておるのかどうか、簡単に答えてください。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに私ども、医薬品というものはほんとうに効能効果で競争すべきものであって、広告で競争すべきものではないというぐあいに考えております。行政指導におきましても、極力そういう方向で行政指導をやっております。ただ広告が、何と申しますか、広告の違反というぐあいに私どもが認めますのは、その効能効果というものについて、全然承認いたしますときの効能効果と違ったような効能効果がさもあるがごときに宣伝するというようなときには、私どもとしてはやはり好ましくないということで、これは行政上の措置をいたすわけでございます。ただいま王選手の出るような広告がどうかということでございますが、これはなかなか判定が非常にむずかしいので、そういう運動選手が出た場合には、これは広告として違反であるかどうかということは、これは慎重に検討すべき問題だと思いますが、ただ広告につきましては、私どもは極力これを押えるということで、過去数年、約六、七年の間に、大体売り上げに対する広告費の割合が、パーセントが半減いたしております。そのように、私どもはやはり医薬品というものは、広告ではなくて品質で勝負すべきである。それだけの金があるならば、それを研究費のほうに回すべきだという行政指導をやっているところでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それではもう一問だけ。大衆保健薬について高橋さんが厚生省に質問を出したり、また本を出しておりますね。厚生省ごらんになっていると思うのです。これは相当現在の医療行政のあり方に対して批判をしておるのです。だから、この高橋さんの言っていることがどうも言い過ぎだということであれば、厚生省としてはやはり反論しなければいかぬと思うのです。会社もそうだと思うのですが、最終的には厚生省がちゃんと認可をしておるのですからね。だから厚生省の責任のほうが会社よりももっと重いと思うのですよ。ところが黙っておるのですね。黙っておったら、一般の人がああやはり大体そういうことかな、こういうふうに考えるのですよ。われわれしろうとだから、この本をじっくり読みますと、やはり引きつけられます。この点、医療行政、薬事行政の根幹に触れておるのですから、どういうふうにされるのか。やはり黙っておるのか。大いに私は議論をしてもらったらいいと思うのです。あなたも反論があればする。またそれに対して意見が専門家から出てくるでしょう。そうじゃなければ一般の人は判断に苦しむのですよ。これはどうですか。もう一問ですから、大臣から。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いまの東大高橋講師の話は聞いております。その著書は読んでおりませんが、先般私のところにも、一、二印刷された書面をいただいておるわけでありますが、私は専門家ではありませんけれども、中身を見ましたところが、やや普通の質問形式とは違ったような形式になっております。まあたとえていいますとマル・バツ式のような形でございまして、それがマル・バツをつけるのもいかにもおとなげないような、それは私がつけるのではなしに薬務局長がつけるにいたしましても、適当でないような形式の御書面でございましたので、まあそれはそれといたしまして、ことに二重盲検法を中心とするような御意見が多かったようでございますので、それはそれとして承っておきまして、何らかの機会におきまして、高橋さんに対する御回答ということではなしに、厚生省のいまの薬の承認に対する原理、原則、態度等につきまして適当な形の表明をいたすのがよかろうと私は考えておるものでございます。     —————————————

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 分科担当委員の異動について報告いたします。  本日、委員の異動に伴い田中寿美子君が本分科の担当委員に選任されました。     —————————————

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 たいへんおそくなりまして恐縮でございます。  厚生大臣にお伺いいたしますけれども、若い妻で働きたくても働けない理由の一つには、やはり保育所の不足ということが考えられると思いますね。そこで、全国で保育所を必要とする幼児の数、それは大体どれぐらいでございますでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 数年前に厚生省でその調査をいたしましたところが、大体百二十八万人ぐらいの児童が保育を要する、つまり保育所に入れる必要があるということでございまして、それを一応の資料にいたしまして、その保育所の整備計画を進めてまいりました。ところが、だんだん時代の進歩と申しますか、経済情勢の変化に伴いまして、最近ではその数が大いに変わってまいりまして、昭和四十二年ぐらい、二年ぐらい前の調査では、百四十八万人ぐらいの児童が保育を要する。それに対しまして昨年の十月ぐらい現在の保育所収容児童数はたしか百十一万人ぐらいでございます。でありますから、まだ三十万人前後の児童が、保育所に入れなければならない性質の児童が入れないでおる、こういうことでございます。その数字を資料といたしまして、私どもも整備を進めてまいる所存でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 昨年六十一国会でちょっとそういうことをお尋ねしましたのですが、そのときは大体五十万ぐらい入れなければならない子供がいるということでございまして、そういう大きな数でございますが、それに対して厚生省は毎年何人の幼児を収容する準備を進めていてくださるわけでございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 大体まあ一年にこれまでの実績ですと五、六万人ぐらいの新しい児童を収容し得るような保育所の建設を助成をいたしてまいってきております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 五十万で五万ずつということでございますと、これはまあちょっこらちょいと追いつきませんね。そこで、こういう需要と供給のアンバランスからいろいろな保育所ができてくる。その中で特に無認可の保育所というのもたいへ多いと聞いているわけでございますが、全国で無認可の保育所というのはどれぐらいございますでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 無認可の保育所というのは、まあいわば簡単な託児の用には間に合っているのでございましょうが、ほんとうに保育の足りない子供を心身ともに一定の基準に従って育成できるような条件が整っておらない保育所のことを申します。私の記憶では、間違っておったら局長から訂正させますが、まだ二千ないし三千ぐらいの無認可保育所があるようでございます。なおこれにつきましては、それは現実でございますから、これを何とか正規の保育所に引き上げていただいて、そうして保育内容も充実していただくと同時に、国からも助成の道を講じようということで、最近は従来の通牒とか慣例とかの例によらないで、小規模保育所というものを正規に認めることにいたしまして、でき得る限り無認可保育所を正規の小規模保育所に切りかえて、そのかわり施設内容につきましてある程度の基準に合致するように充実をしていただく、またそのかわりに助成金も出す、こういうことにいたしております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 そういう方針はわかったわけでございますけれども、大体その無認可の保育所が正規の保育所に切りかえていただいた件数、それはどのくらいございますでしょうか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 私どもといたしましては、いま大臣が申し上げましたように、無認可保育所というものが二千二百ぐらいあるわけでございますが、このうち児童福祉法に基づきます最低基準に合致いたすものはできる限り正規の認可保育所に切りかえていこうということで、従来から予算をもちまして行政指導をいたしているわけでございます。その数は、昭和四十三年度から始めているわけでございますが、四十三年度百カ所、それから四十四年度に百五十カ所、それから四十五年度におきましても大体二百カ所ぐらいのものを、予算を補助をいたしまして正規の保育所に切りかえていこうというふうに考えております。それからもちろんこれ以外に、現実問題としましていろいろな基準に合致するものをできる限り拾い上げていくといいますか、正規の保育所にしていくということで、いわゆる私どもの指導では、社会福祉法人に経営主体をするようにということでやっておりますが、そういう社会福祉法人にするということでやっておりますのが大体年間に二百件ぐらいございます。以上でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 昨年の予算は大体それに対してはどれぐらい使われましたのでございましょうか。昨年それに使われた予算でございますね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 四十三年度の場合は七千八百万ぐらいでございます。それから四十四年度は二億一千万ぐらいの予算でございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 無認可から正常なものにかえる予算でございますね。はい、わかりました。それにいたしましても、大体働くおかあさんたちの中で、どうしても保育所にも入れられないし幼稚園にも入れられないしというので、働くおかあさんの四%くらいの方が零歳から三歳くらいまでの子供を一人で置いている、三歳から六歳くらいまでの子供は七%一人で置いているということでございますが、そういう零歳から六歳くらいまでの子供がだれも見る者がなくて一人でいるという生活状態は、一体どういうものでございましょうか、どういうふうに御想像でございましょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) それは児童福祉法の精神に反する状態にあると思います。と申しますのは、児童福祉法というのは、一条、二条をごらんいただけたと思いますが、実に、子供は天下の子供である、国民すべてが、子供といいますか、児童、乳児、幼児が心身ともに健全に発展するように協力しなければならないということ、また国及び地方公共団体が、これら特にそういうような保育に欠ける児童の発見につとめて、そして保育の措置を講じなければならないというような、全国民、国、地方公共団体が、乳幼児の保育についての一つの姿勢を堂々と高らかに掲げておる法律でございます。でありますから、萩原先生おっしゃるような状態があるといたしますならば、それはまことに遺憾な事情でありまして、私どもの怠慢、あるいは公共団体の怠慢、あるいは国民にも一そうの御協力をいただかなければならない事態が現実にあると思うわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 そういたしますと、そういう子供の実態、そういう乳幼児の実態をいままでに調査されたことはないわけでございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 調査はいたしたことがございまして、はっきりした数字ではございませんけれども、総理府に委託して調査をいたした、その結果、私の記憶に残っておるところによりましても、いま先生のおっしゃった数字と少し違いますけれども、たとえば先生のおっしゃった数字のほかに、働きたいけれども、子供をほうり出すわけにいかないから働けないというような婦人が一四%あるとか、などなどの数字が出ております。でありますから、おおむね先生のおっしゃるような状態がありますことを私は承知いたしております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 承知をいたしておりますと大臣おっしゃいますけれども、承知をしていただいておりますのなら、早急にこれに対しては手を打っていただかなければならないのではないか。まあそれが五十万も、一年に五万ずつということでは、この解消はなかなかむずかしいのではないか、そういうふうに思います。それで、実はこの社会福祉法人とか、あるいは個人での保有所設置者に対しまして国庫補助をもう少し増額をするというようなことが——公立の保育所にかわって肩がわりをしてやってくれておりますようなそういう社会福祉法人などに、そういうところにはもう少し国庫補助を出していただくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) それも賛成でございます。ただ補助に二色ございまして、保育所を新しくつくる場合の施設の整備費の補助でございます。これも実際はその自治体の超過負担として残るようなもの、あるいは自治体ではなしに、保育所設置者の超過負担として残るようなものの場合の状態でしか補助しておりません。具体的に申しますと、規模の大きいものは整備費は百五十万円くらい、規模の小さいものは百万円くらいでありまして、もう少し私はふやしたいと思います。それからもう一つの補助は運営補助でございます。言いかえると、措置費の国庫負担と、それから一部公共団体負担がございますが、措置費というのは、主としてそこで働いておられる保母さんはじめ職員の給与とか、あるいはまたそこで保育されている子供さんの食費でありますとか、折り紙代とか、衛生費でありますとか、あるいはまたその設備を維持するための庁費のようなものでございまして、これは両面とも徐々にふやしておりますけれども、なかなか一挙に手厚い金額までにはまいっておりません。でありますから、個々の設備費の補助の単価の引き上げなり、あるいは措置費の引き上げなりをしながらも、何とか保育所の設置のほうも進めまして、一年に五万人、六万人のお子さまを収容するのではなしに、さらに大ぜいの方を収容するようにいたしたいと思います。それで、四十五年度の予算折衝のときにも、これらは実は保育所分として別掲をされておりませんで、ことに設備等施設費の助成などにつきましては、別掲をされておりませんで、厚生省所管の福祉施設の整備とか、たとえば老人ホームでありますとか身障者の施設でありますとか、一ぺんに何十億とかというふうになっておりまして、その配分は、老人に重くするかあるいは保育所の施設に重くするかという問題が私のほうにございますが、とにかく全体を多くしたいということで、四十年度に比べますとかなりの予算の増額は見ております。しかしそれだけでは足りませんので、国民年金とかあるいは厚生年金の関連融資でございますとか、あるいは社会福祉事業振興会の財政的基礎を圧縮するとか、あるいはまた企業内の、これは保育所とは言えないのでございますけれども、託児所のようなものに対しましても、だんだん保育所の基準に合致するようにしていただくような方途を講ずるという気持ちを持つものでございますが、それはそれといたしまして、福祉年金事業団とか、あるいは雇用促進事業団等から当該企業に融資をして、それをもって企業内の保育所的託児所の設置をやらしているようなことをいたしております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 先ほど給与の問題が出ましたので、ちょっとこれ、私わからないのですけれども、保母さんたちの陳情によりますと、給料の格づけが変わって、昭和四十六年度からの新方式によりますと、行政職(一)表の七等級二号俸から八等級八号俸になって、給料が下がるということを私聞いたわけなんでございますね。これはほんとうでしょうかどうでしょうか。現在と四十六年度以降の保母の俸給基準についてちょっと御説明をいただきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 保育所の保母さんの給与でございますが、従来から私どもとしましては保育所の保母の給与というものについて全国的に統一した格づけをやろうということで努力してまいったわけでございます。いろいろいまお尋ねのような保育所の保母さんの給与につきましては、非常に各方面からいろいろ御意見もございますので、四十二年でございましたが、保育所の保母を含めましたすべての職員の実態調査をやったわけでございます。その実態調査の結果——この実態調査といいますのは、国家公務員にもし保母さんを直した場合はどのくらいの等級号俸に相当するかということで、実態調査の結果をそういう国家公務員に準じた等級号俸に置きかえたということになっているわけでございますが、その結果、いま御指摘のように、保育所の保母さんにつきましては実態調査の結果が、従来の実績よりも一号程度下がっているということが出てまいっておるのであります。そして四十四年度の当初からそういう一号のダウンの形態をとってまいったわけでありますが、しかしながら従来の実績の一号ダウンになるということは、いかにもこれはまずいのではなかろうかということでございまして、四十五年度におきましては、その一号ダウンをもとに戻すということで、つまりお述べになりましたように七等級の二号俸という格づけを四十五年度からしているわけでございます。したがいまして、これは従来の実績とほとんど同じでございます。この保育所の保母だけじゃございませんで、すべての社会福祉施設の職員につきましては、四十四年度から三カ年計画に基づきます格づけ是正というのをやっているわけでございます。これが四十六年度で一応終了するわけでございます。でございますので、保育所の保母につきましては、四十六年度までは現在の七等級の二号俸という形でいくわけでございます。四十六年度以降につきましては、この現在の格づけ是正の進行状況と、それからまたその後の情勢の推移等を見ながら、新たにまた実態を調査しながら、この四十六年度以降の保母さんの給与をどのようなところに格づけするかは十分検討をいたしたいと、かように思っております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 まあすべてがメジロ押しに高くなっておりますときに、保母さんの給料がそんなふうに据え置かれた形、あるいは少なくとも実質的にいえばダウンした形と、こういうようなことになりますと、なぜそういうことをなさるのでしょうか。その理由が私は承りたいと思うわけなんです。大体その保母さんなんていいますのは、教育プラス養護といったような非常にきびしい状態の中で過ごしておりますつとめでありますにもかかわりませず、そういった状態がとられているというその理由が私は納得いたしかねますので、その点の御説明をお願いいたします。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 実態調査のお話を申し上げましたが、やはり実態調査の結果では、従来私どものほうで措置費という中に積算をしている単価よりも現実の保母さんのいわゆる格づけというものが若干下がってきたということになっているわけでありますが、この事情はいろいろあろうかと思いますが、やはり現実に各施設ごとに非常に若い保母さんを入れている。いわゆる経験年数の少ない保母さんを入れているということが、おそらくこの大きな原因の一つになっているんじゃなかろうかと、こういうふうに思っているわけでございます。私どもの現在の格づけでは、大体高等学校卒業後六年というものを一応の基準にして四十四年度からの新しい格づけ是正をやっているわけでございます。そうしますと、大体施設側では、高等学校を出まして六年に満たない、いわばそれよりも経験年数の少ない方をやはり入れている施設が相当あるのじゃないか。それが現実の実態調査に反映してきまして、全国的にならしてみますと、いわゆる標準単価という形にならしていきますと、やや下回った額になっている、こういうようなことになろうかと思います。それから恐縮でございますが、私が先ほど四十六年度以降というふうに申し上げました、これは四十七年度以降の間違いでございます。訂正さしていただきます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 そうしますと、高校卒業して六年ということでの格づけは、一体初任給どのぐらいのものになるわけでございますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 高等学校卒業ということになりますと、国家公務員の給与の格づけ等級号俸に直しますと、八等級の一号俸、こういうことに相なるわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 幾らでございますか、私不勉強でちょっと金額……。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 八等級の一号俸ということになりますと、本俸だけで二万二千百三十円、こういうことに相なるわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 いま中卒で繊維会社、繊維工場ですか、で働きましても初任給は大体二万円から二万四、五千円というところでございますね。それに対して高等学校卒業して、保母という非常に大きな任務を負うその人たちが、そういう給与ではたしてよろしいのでございましょうか、その点ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) いま私申し上げましたのは、八等級一号俸ということになっていると申し上げたわけでございますが、現実には、やはり先ほど申しましたように、大体八等級の八号俸ぐらいのところで格づけといいますか、私どものほうの措置費の積算の標準単価にしておりますので、もし八等級の八号ということになりますと、本俸は二万九千九百八十円ということに相なっておるわけでございます。  それから中卒の例をお出しいただいたわけでございますが、一般の民間の給与と、それから国家公務員の給与というものを比較するということに相なろうかと思いますが、できるだけ国家公務員の給与というものも、人事院のほうにおきまして毎年実態調査をしながら政府のほうに給与の勧告をいたしておるわけでございます。方針としましては、民間給与と均衡をとるという一つの基本方針があるわけでございますので、今後ともそういう方針で国家公務員の給与も毎年毎年改善をされますし、それに従いまして自動的に保母さんの給与も毎年毎年こういうかっこうで改善をされる、こういうような仕組みになろうかと思うわけでございます。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 毎年給与改定がなされているということでございますが、保母さんの話によりますと、何年間か昇給のなされてないという実態を聞いたわけでございますけれども、これは私の聞き間違いでございましょうか。何年ぐらい据え置かれているのがありますのか、ひとつ実態をお聞かせいただきたいと存じます。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 定期昇給につきましては、いわゆる公立の保育所の場合と、それから私立の保育所の場合と若干実態が違っております。公立の保育所、これは大部分市町村立でございます。市町村立の保育所の場合は、市町村の給与条例というものによりまして、定期昇給というものが毎年毎年しかるべき方法でなされているわけであります。問題は民間の私立の保育所の場合の定期昇給でありますが、これは施設の実態によりましていろいろ千差万別であるようでございます。私どももそういうような定期昇給の民間立の保育所についての実態を詳細に調べたことがいままでないわけでありますが、給与準則等をつくっている民間の施設もあるようでございますし、そういうところは定期昇給というのが適切な方法で行なわれている。しかしながら、そういう給与体系というのが確立していない民間の保育所等については、定期昇給というのが非常にうまく行なわれていない、こういうようなことのようでございます。ただ、残念ながら、全国的に詳細な実態調査の資料を持っておりませんので、はっきりした数字は申し上げられませんが、大体の傾向としてはそういうような状況になっているものと思っております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 もう時間が参りましたので、勤務条件のことについてお尋ねすることができなくなったわけでございますけれども、全社協の保母の会というのが出しました四十三年十二月の調査によりますと、私立では七・〇九時間保育時間、そして一・二一時間の送迎、その他のものを合わせまして雑務二・一二時間、計一〇・四二時間、こういうような調査がされております。これは私立です。公立の場合にいたしましても、一〇・四七時間というのが勤務時間のようでございますね。まあ実勤務時間と、こういうことになっておるようでございます。そういたしますと、一日の大体半日分ですね、働いているような職場がほかにあるでしょうかと、こういうことを私は考えるわけなんです。こういう保母の勤務時間に対しまして、この給料というものはもうほんとうに話にならないと思うのです。しかもその調査の実態では、それは公立の場合でございましても、やはり調査の実態によってはつまみ支給なんというような給与のところもあるやに私は聞いておるわけでございます。こういうあたりひとつ十分御調査をいただきまして、その保母というものがどれくらいの時間勤務しているか、そしてその勤務内容というものが一体どういうものなのか、それに対しての給料との見合いはどうなのか、こういう点をひとつあたたかく御調査をいただきまして、やはり労働に見合うような給料というものを出していただきたいと、こういうように考えるわけです。とにもかくにも、この幼稚園にしましても保育所にしましても、大きな声を出す人が少ないという実態もございましょうけれども、とにかく悲しい場に置かれているという実態のようでございます。どうぞそういう点を十分御勘案くださいましてこの問題の善処方をお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと存じます。

塩出啓典公明党

○主査(塩出啓典君) 以上をもちまして、厚生省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会をいたします。    午後六時一分散会      —————・—————

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