予算委員会 第18号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/04/10
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、 以上三案を一括議題といたします。 まず、分科会に関する件についておはかりをいたします。理事会におきまして、分科会に関する件について協議をいたしましたので、その要旨について御報告をいたします。 分科会の審査期間は、来たる十三日、十四日及び十五日の三日間でございます。分科会の数は四個とし、それぞれの所管事項、分科担当委員数等、これが各会派別の割り当てはお手元に配布をいたしております刷りもののとおりでございます。分科担当委員の選別は、前例によりまして、委員長において指名する方法によること、並びに分科担当委員の変更につきましては、その取り扱いを委員長に一任することといたしました。 また、分科会において参考人の出席要求を決定したときは、その取り扱いを委員長に一任することといたしました。 以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) それでは、木村禧八郎君の質疑を行ないます。木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 私は、総括質問で物価問題を中心に質疑を行ないましたが、その後発表されました本年二月の全国消費物価指数及び本年三月の東京都区部消費物価指数を前年同月に比べまして、それぞれ八%ないし八・五%の大幅の上昇を示しまして、物価問題はいよいよ重大化するに至りましたので、さらに引き続いて物価問題について政府の所信をただしますとともに、一日も早く政府をして物価安定の具体策を実行せしめたいと思うわけであります。 まず、経済企画庁長官に伺います。四十四年度の消費物価指数の上昇率及び物価指数はどういうふうになりましたか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 四十四年度は、御存じのように、改訂見通しにおきまして五・七でございましたけれども、その後の季節商品の値上がりを中心とする消費者物価の上昇によりまして、まだ正式に三月の全国が出ておりませんが、二月までももう相当上がっております。このままでいきましても、大体六・四というくらいの上昇率になると思います。
○木村禧八郎君 六・四ですと、物価指数としてはどのくらいになるのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 六・四といたしますと、一二三・五になります。
○木村禧八郎君 政府の四十五年度の物価の値上がりの見通しは四・八%ですね。それはですね、四十四年度の一二二・七をもとにしているわけですね。そうしますと、その根っこのもとが一二三・五になったのでしょう。そうしますと、四・八%は一二三・五の四・八なんですか、どうなんですか。一二二・七の四・八だったのが根っこが今度上がったわけですから、改訂しなければならぬと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) おっしゃるとおり、四・八といいますときには、前年度の実績に対して言うわけであります。それで、この実績というのは相当ずれてきます。でありますから、正式にはそこでわかるのでありますけれども、いずれにいたしましても、四・八で目下計算いたしておるという指数は一二八・六でありますけれども、これは御存じのように、一応五・七をあの当時改訂いたしまして見通しとしておりましたから、それに応じた数字でもって一応出してありますけれども、実態はあくまで前年度の実績に対して四・八、こういうたてまえになっています。
○木村禧八郎君 そうしますと、実績見通し一二二・七をもとに計算されて四・八、すなわち四十四年度の平均は一六八・六ですよ。そうでしょう。ですから、もとが狂ったんですから、一二二・七の四・八と、一二三・五の四・八とたいへん違うわけですよ。ですから、いまの一二三・五に対して四・八は一二二・七をもとにして計算しますと四・八ではないですよ。五・四くらいになりますよ。そうすれば、政府が四十四年度の予算編成の前提とした物価、その基礎になっている物価の基礎が狂ってくるわけです。これは予算全体に影響する大きな問題ですよ、これは。ですから改訂さるべきですよ、もとが狂っているのですから。改訂されなければ私はおかしいと思うのです。そうでなければごまかしですよ。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、従来からの経済見通しの立て方の問題に関するわけでありますけれども、つまり実績に対しまして従来から四・八なら四・八と、こういう上昇率を見通しの核心としているわけであります。でありますからして、まさしく御指摘のように、実績は狂うということが幾らもあり得るわけであります。これはもちろん見通し全体の問題でありますが、物価だけでございませんで、ほかの数字においても起こり得ることであります。そういうことで、今日のところ、いま五・七の改訂見通しをいたしましたところよりも、だいぶ実績が違ってきておりますから、そういう意味では御指摘の点があると思います。
○木村禧八郎君 御指摘の点があるというならなぜ改訂されないのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、見通しにつきましては、物価だけではなく、全体のものであります。それで、これは年によることでありますけれども、ほかの指数もある程度わかりました適当なときにそうした改訂を行なうことも起こり得るわけであります。
○木村禧八郎君 いままでそんな説明をされておりませんよ。毎年予算を国会に出します。その予算編成の前提として経済見通しというものを出します。主要経済指標を出します。それで、この予算の前提になっておるのは、総生産が幾ら、政府財貨サービスが幾ら、卸売り物価が幾ら、消費者物価が幾らとちゃんと出ているんですよ。そうしてたとえば生活保護費の基準にしましても、社会保障費の基準にしましても、公共事業費その他の予算の積算の基礎になるじゃありませんか。大体その根本が狂ってくるんでしょう。いまの四・八は、はっきりと一二二・七ですね。これは四十四年度の実績と一応仮定して、それから四十五年度の消費者物価指数一六八・七、これは四・八なんですよ、四・八なんです、計算してみたらはっきりと。ところが、先ほどお話しのように、一二二・七、四十四年度の平均が一二三・五になっているでしょう。そうなりますと、それの四・八は一二二・七に対しましては五・四くらいになるんですよ、四・八じゃないんです。そうしますと、予算編成の基礎が狂ってくるんですから、これは全部積算の基礎が変わってくるんですから重大な問題ですよ、これは。それをいま実績実績とおっしゃっておりますけれども、実績が狂ってきたんですから、そうして予算を編成するときに基礎にしたそのものが、根っこが変わってきたんですから、これは当然私は改訂しなければ、これは責任問題だと思いますよ。
○国務大臣(佐藤一郎君) 見込みと実績との狂いにつきましてはそういうことで、全体としての見通しの問題でありますから、ほかの数字等もできるだけ得られるものを全体として得まして、そうして適当な時期に改訂することも十分考えられるわけであります。
○木村禧八郎君 適当な時期に改訂されるというのは、具体的にはどういうことなんですか。ちょうど四十四年度で変えましたね、五%を五・七に。その適当な時期というのは、大体もうわかっているじゃありませんか。いまお話ししましたように、御答弁があったように、大体四十四年度は一二三・五は大体わかっておる。それはもうすぐ改訂できるはずですよ。
○国務大臣(佐藤一郎君) 物価ももちろん一つの重要な目標でありますけれども、成長率、全体の生産、そうした数字というものでございますが、いわゆるGNPの実績が大体八月末ごろにわかるわけです。それでそういう全体の実績を合わせまして、そうして九月過ぎに改訂見通しを出すというようなことを、もし今回やるとすれば、そういうようなことを考えるわけです。
○木村禧八郎君 そうしますと、大体九月ごろそれを見てこれは改訂されるということですね。
○国務大臣(佐藤一郎君) 大体そうお考え願えればよいと思います。
○木村禧八郎君 それからもう一つ、物価指数で伺いたいんですが、そうすると四十四年度の三月末ですね、三月現在の消費者物価指数は、指数のほうはどのくらいになります、全国で。
○国務大臣(佐藤一郎君) 実はいま東京都のしかございませんから、もし、あれでしたらちょっと調べまして……。全国のはまだ出ていないわけであります。
○木村禧八郎君 東京都で。
○国務大臣(佐藤一郎君) 東京都は対前年同月比で八・〇です。
○木村禧八郎君 指数です、指数を聞いておる。
○国務大臣(佐藤一郎君) 指数で言いますと、一二八・六です。
○木村禧八郎君 一二八・六、四十五年度の指数は幾つですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは東京都の分としては特にわかっていないわけです。
○木村禧八郎君 四十五年度の予算の基礎になっている物価指数であります。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは御存じのように四・八%です。
○木村禧八郎君 指数を聞いておるのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) 指数ですか、これは四・八ですと、四・八を先ほどの前提でやると、一二八・六と先ほど申し上げた数字になるわけであります、四・八にしますと。
○木村禧八郎君 東京都のと同じじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは偶然の一致であります。
○木村禧八郎君 そうなると、偶然なんと言っておられませんよ。もし全国も大体同じとすれば、三月、その一二八・六がそのままずっと横ばいして一つも上がらないとして政府の一二八・六と同じなんですから。四・八%上げてはいけないことになりますよ。その指数が実現されちゃっているんじゃありませんか。四十五年度の予算の基礎になっておる一二八・六ですか、これがもうすでに三月に達しちゃっているんですよ。ですからその三月の物価がそのままもう横ばいで上がらないとして、政府の四十五年度の見通しの物価指数になっちゃっているんですから。そうしましたら、四・八%上げることがもうできないわけですよ。指数からいえばもう実現されちゃっているんです。どうしますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん東京都と全国ではだいぶん違います。その点は割り引いて考えなければいけませんが、しかし、お説のように、残念なことでありますけれども、二月、三月というもののあの御承知の値上がりと、こういう事態でございますからして、どうしてもこれがその後に尾を引いて影響してくることは、これはもう十分考えられます。
○木村禧八郎君 そういうことを聞いているんじゃないのですね。これはもうすでに四十四年度の三月で、四十五年度の予算の前提となった物価指数ですね、その物価指数のところまでもう上がっちゃっているんですよ。だから、それをずっと横ばいして四十五年度の予算編成の前提とした物価指数と同じなんでありますから、それから四・八%を上げることはできないでしょう。四十五年度予算の前提となった物価指数にまですでに四十五年、本年三月にもう到達しちゃったんですからね。それがずっと横ばいで一つも上げないとして、すでに政府の予定した一二八・六になっちゃっているんですから、全国の場合は一二八と相当違ってきます……。相当は違わない、私の計算では一二八・四ですよ、逆算しますと。六・四%を逆算しますと三月は全国は一二六・四です。ですからね、もうこれから物価を上げることができないということになるのですよ。上げてはいけないという前提になってしまうんですよ。どうなんですか、それは。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまの木村さんの御指摘の〇・二というのは少し小さ過ぎると思います。全国と東京都の差は、これはもっと開きがあると思いますが、しかし、これはこまかい計算ですから、いずれにしてもある程度の開きはある。しかし、いずれにしましても、全国の計算で三月の実績はまだわかりませんけれども、二月の実績までを手につかみまして、それを横ばいにいたしますね、そうしまして計算をしてみますと、いま木村さんが御指摘の数字は三・二になります。
○木村禧八郎君 そうしますと、まあ九月ごろまた生産とかその他を経過を見て改訂されますから、そのときにはこの指数も変えなければならぬと思いますけれども、一二八・六ではいけないことになると思うんですね。これも改訂されるわけでしょう。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、今回の二、三月の物価というものが、非常に変動性の高い野菜等を中心にしております。それで、これから春夏に向いましてどういう動きになるか。相当下がると私たちは実は考えております。そこで、それらのものをやはりこれからの推移を十分見きわめまして、そして九月あたりにほかの数字が出そろいましたときに、そのときの物価指数の情勢に応じて、それはもし改めることになれば改めなければなりませんが、まあ私たちは、現在の全国の実績で大体横ばいにすると三・二%です。でありますから、三・二%と四・八%の関係におきましては、まだ今後の努力によって十分これは実現するつもりでおります。
○木村禧八郎君 三・二%と四・八%、一・六%ですか。いわゆるげたと言いますけれども、一・六%しか余裕がないということですね、いま。 そこで、私は物価問題が非常に重大化しましたので調べてみたんですけれども、それにしても、いままで政府が四・八%の値上がりと言ってましたけれども、四十四年度の二月、三月の値上がりがございまして、四十四年度の各月の対前年比の物価の値上がり率をずっと計算してみたんです。そうしたら、四十四年度の値上がり率でかりに四十五年度も値上がりすると仮定しますと、八・六%上がるという、そういう計算が出てくるわけです。四十四年度のテンポで四十五年度も上がると仮定しますと八・六%、物価指数は一三四・一になる。四十四年度の値上がり率のかりに半分の値上がり率が四十五年度にあらわれるとしましても六・二%なんです、値上がり率が。その物価指数は一三一・一であります。四十四年度の値上がり率のかりに三分の一の値上がり率が四十五年度にあらわれると仮定しますと、そのときの値上がり率は五・五%です。物価指数は一三〇・三であります。そうしますと、四・八%というこれまでの前提でも、とてもその程度にはおさまらないという、そういう見通し計算が出てきたわけです。それは、四十四年度の二、三月の値上がりが非常に高かったからでありまして、これは主として生鮮食料品、野菜類と言われますが、しかし、それも今後毎年中期変動がございますが、そんなに急に私は下がるようにも見られないと思うんですね。そうしますと、今後の物価の値上がりテンポというものは、私は相当にこれは憂慮すべき状況になってきていると、こう判断するわけです。私がつくったこの資料ですがね、これ参考にひとつごらん願います。 そこでこんど大蔵大臣に伺いたいのですがね。このように四十五年度予算編成の基礎になるこの物価の見通しが、非常に、偶然の一致とさっき言われましたけれども、狂ったことは事実ですね、大蔵大臣もお認めだと思う。そうなりますと、これに対する何か調整措置を講じなければならなくなってくるのじゃありませんか。そのままほっておいてよろしいでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さん御指摘のように、多少の狂いは出てきております。つまり四十五年度予算の基礎となる物価が動いてきた、こういうことであります。しかし、こういう事態はまあいつも最近はあるわけでありまして、その辺は理論的には考えられることではございまするけれども、実際問題といたしますと、さした財政上への数字上の影響、それはまあ考えられないというふうに思います。なお、詳しく申し上げますれば歳入面です。歳入面は、これは卸売り物価が動きますと、これはそれだけ影響するわけですが、小売り物価の動きはさしたる影響は、関連はありません。多少のことはあります。一番関係がありますのは、給与が、見通したものとどういうふうになるかということでありますが、これはまだ現実の動き、これが春闘だ、なんだというようなことがわかりませんから、これはまあ今日議論の対象にはなし得ないというふうに考えます。それから歳出面でございますが、歳出は消費者物価がどうなるであろうというようなことと密着して支出をきめておりません。そういうようなことで、これも消費者物価の動きというものはそう影響はない。それから卸し売り物価が動きますと、これは歳出面にはそれだけ物財の購入費というようなことで影響してまいります。それから給与はまた歳出面におきまして大きな影響を持ってくる、こういうふうに考えますが、まあ多少年末にきめまする経済見通しが、その翌年の三月末までの間に多少の狂いがあったということは、これはどうも生きておる経済ですから、そう神経質に考えて予算を論ずるというわけにもいかぬと思いますが、傾向的には確かに御指摘のような点があろうと思います。
○木村禧八郎君 われわれは予算委員としまして、国民の税金を扱うときに、そういういま大蔵大臣が御答弁のようないいかげんなことで予算審議はできないのです。予算の基礎は人件費と物価でしょう、人件費と物価が予算の積算の基礎になるのです。その一方の物価のほうが、その積算の一番の基礎が変わってくるのですから、そこでわれわれ予算委員としましては、全体の予算の、今度は積算が変わってくるのですから、それについての変化をやはりわれわれ十分検討しなければならぬわけですよ。厳密に国民の税金の使い方なんですから。しかも歳出の積算の場合、たとえば生活保護費なり、あるいは社会保障費なり、その他の積算するときに、四・八がもとになっているのじゃないですか、大体。そうでしょう。それから大蔵省が物価調整減税ということをやりますね。あのときに発表しました、四十五年度の物価調整減税は幾らだと発表しました、五百幾らだと。あの基礎は四・八ですよ、やっぱり。そうなんです。ですから一応四・八をもとにして、歳入歳出について積算をしまして予算ができているのですから、その基礎が狂うんですから、われわれとしてここでただしろうとならそれでいいかしれませんが、われわれ国民の税金の取り方、使い方を審議する予算委員としてはそんなルーズな考え方ではいけないと思うんですよ、いかがでしょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 四・八という物価を基礎にしておりますが、これが非常に苦しくなってきた、これは御指摘のとおりです。ですから、四・八という目標もありますが、さらに努力をして物価のメリットを上げてもらいたい、そして予算の執行にも支障のないようにする。そのほかないと思います。
○木村禧八郎君 非常に政府にとっては不幸なことに予算審議が非常におくれたわけですよ。毎年もうとっくに予算が通っているわけなんです。選挙の関係で延びたもんですから、四月にずっとわたって、毎年私は予算が一カ月ずれれば政府の見通しがずっと狂っているのを予算審議の過程ではっきりするわけなんです。ところが、いつもそうした変化があらわれる以前にもうすでに予算が通ちゃいますからね。ところが、ことしは不幸にして、不幸にしてその後の経済の変化が予算審議の過程においてはっきりあらわれてきてしまったから、そこでこういうことになったと思います。はなはだ、総選挙を昨年末やってその結果こういうことになって、お気の毒ではございますけれども、しかし、実態は変わってきているんですから、それにつれて私は何かの調整措置を講じなきゃいけないんじゃないか、そう言っているわけです。実際狂ってきていることはお認めなんですから、やっぱりそこはあんまりこだわらずに、やはり狂ったのがいけない、そんな窮屈なこと言ったってしょうがないですから、実態が狂ったんだからそれに合わせて、たとえば調整減税だって前に発表したのと変わってくるんですから。それから生活保護その他の社会保障もいろいろ積算の基礎が変わってくるんです。大蔵大臣が一番知っているんですよ、大蔵大臣が。そんなことは百も承知なんです。だから、そういう情勢の変化に応じて調整する、そういう御答弁があればいいんですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) お話の点はようくわかるんです。わかるんですが、多少その見通しと実績が狂うという場合もある。その狂いを根拠としまして予算を修正するとか、そういうほどのことではない、こういうことを申し上げているんです。先ほどから申し上げておりまするとおり、これは歳入面におきまして、若干の問題が出てくるだろうと思う。つまり四・八のそのもとになる四十四年度の数字が動いてきたんですが、多少のことはありますけれども、しかし、歳入の積算の基礎になるおもな指標は卸売り物価であります。これも多少動いておりますが、卸売り物価なんでありまして、消費者物価だけをとらえてみまするとさほどの影響はあるまい、こういうふうに見ておりますが、お説はお説のとおりでありますから、この調整につきましては物価を抑制するというところに最大の努力をする、こういうことで御了承願います。
○木村禧八郎君 たまたまいま大蔵大臣の御説明によって、政府が一番関心を抱いているのは卸売り物価なんですね。卸売り物価は大体大企業中心の物価なんですよ。消費者物価というのは一般庶民の生活に一番重大な関係のある物価なんですよ。どっちにウエートを置くかということはもういまの政府の姿勢がはっきりわかりました。前から卸売り物価さえ安定しておれば消費者物価が上がって国民が苦しくなってもしかたがないと言わんばかりの——しかたがないとは言いませんでしたけれども、言わんばかりの、そういう私は御説明だと思うのです。そこに、非常にわれわれと物価に対する感覚が違うわけです。どうもいまの政府の物価の取り組み方、姿勢がどうも私は国民から見て、庶民から見て真剣さを欠いているというのはそういうところにあるのじゃないかと思うのですが、この姿勢は私は非常に……、これからまた質問していきますけれども、重要じゃないかと思うのですが、どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 問題は物価問題そのものにあるというふうに考えております。経済は何と言っても国際収支と物価、これが呼吸であり脈である、こういうふうに考えておるんです。まあ国際収支のほうはやや順調でありまするから、全力を物価問題に傾倒する、政府の考えはそういうところにあるわけであります。
○木村禧八郎君 物価問題についてまだ伺いたいのですけれども、その前に、政府経済見通し、もう一つ非常に大きく狂っていることがあるのです。これもやはり私は改訂していただかなければならぬと思うのです。財貨サービス見通しなんです、この前論争しましたね。ところが、これはさる学者が計算してくれたのですが、これは経済企画庁の研究所のシリーズがありまして、その十九号に財政制度モデルの研究というのがあるのです。その二四ページ以下の算式に従って計算してみたものがあるわけなんです。これによりますと、政府財貨サービス購入の四十五年度の伸び率は、政府の一四・八ではなくて一七・一なんです、たいへんな違いなんです。そうなりますると、これまで四十五年度予算が景気刺激的な予算ではない、こう言っておりました。それで、その理由として、経済成長率一五・八ですか、それに対して政府財貨サービス購入が一四・八であるから、それ以下であるから景気刺激的でない、こう説明してきたのですけれども、政府財貨サービスの伸び率が一七・一ということになれば、これは経済成長率一五・八%の伸び率をはるかにこえるわけです。経済企画庁の資料によってそういう結果が出てきているんです。これは私は非常に問題ではないか、今後の私は経済見通しを行なう場合、また予算の編成の基礎としての経済諸指標、あれをつくって発表される場合、非常に問題ではないかと思うのです。この計算によりますと、昭和四十五年度の政府財貨サービスは十一兆二千八百五十一億です。四十四年度は九兆六千四百三十一億です。これは中央、地方合わせまして。そうすると一七・一なんですよ。これは経済研究所ですね、経済企画庁の。そうして、われわれ税金によって専門的にこうした調査研究をさしているところの結論がこうなんであります。どうなんでしょうか、その点は。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私どものほうの経済研究所の試算は一種の簡便法というようなものをとったようであります。そしてある個人の試算方式のようであります。で、この計算方法を木村さんがおとりになって計算すると、一七・一という計算のようでありますが、これは非常に費目の取り方等にも非常にサンプル調査的なところがありまして、問題もあるようであります。それから、たとえば在庫の関係を計算に入れてありませんとか、いろいろだいぶ問題があります。ところで、問題の一四・八を出しました政府の計算方法は、これは最近私のほうでもだんだんと経験を積みまして、それであらゆる費目につきましてこれを番号で打ちまして、コンピューターで出したものでありまして、その簡便方法とは違いまして、これは正真正銘正確な数字である、こういうふうに私ども考えております。ですから、この計算方法にはなお問題があると私たちは考えておるわけです。
○木村禧八郎君 問題があるというのでしたら、その問題点を指摘していただきたいです。というのは、わざわざ経済研究所というものを設けて、そこで専門的に研究さしているのでしょう、その結論がこういうふうに出ているのですから、私は、そういうものを政府が研究させて、その成果をその行政の上に反映させようとするならば、むしろ、政府のこれまでの算定のしかたに問題があるのじゃないか、そういう見方もできるわけですよ。ですから、問題があると言うならどこに問題があるかを指摘さるべきだと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) ですから、いま申し上げましたように、これは経済企画庁の研究所で出しておりますけれども、あくまでそれは私見であると思います。そういう簡便法というものを私見として出したものとお受け取り願っていいと思います。いま申し上げましたように、これについては、比較をする場合に当初当初の比較も成り立ちますし、実績当初の比較も成り立ちますし、そこいらのところもはっきりしてないのです。そして在庫も含まれておらない。あるいは特定の費目につきまして代表さして全体の伸びを見ているのですけれども、その場合の費目の選び方にも問題があるように思います。そういうようなことで、一方において政府の計算方法は、これは間違いなく正確に計算されておるものと、こういうふうに考えています。
○木村禧八郎君 政府が、四十五年度の前提としての政府財貨サービスを計算するときには地方財政計画がまだわかってないのですよ。その地方財政計画が出てきた段階でこれは計算されているのですよね。それで、特に地方財政はもう御承知と思うのですけれども、計画と決算とではうんと開きがあるのですよね。そうでしょう。ですから、政府がいつも当初予算を発表するときにはその計画で計算される。しかも本年度は計画がまだ出ていないときに計算されてしまったのですね。私の調べたところでも、この地方財政につきましては、計画とそれから決算とでは一兆円ぐらい差がありますよ。前に、企画庁の方に、計画と実績とどうして差が出てくる、つまり実績のほうが計画より大きい数字が出るのはどういうことかと聞いたところが、それは米の在庫の違いだという説明だったのですよ。ところが、米の在庫では約一千億ぐらいしか差がないのです。地方財政を調べてみますと一兆円以上です。たとえば昭和四十三年の地方財政計画は五兆六千五十一億です。ところが、決算は六兆七千二百九十六億なんです。一兆一千二百四十五億、二〇%も違っているのですね。ですから、私は、当初とね、計画と決算とが大きな違いがありますから、そこで私は非常に大きな狂いが出てくるのじゃないかと、そういう点もあるわけですね。ですから、私が申したいことは、政府財貨サービスを予算の規模と比較しまして、それが経済成長率より下であるから景気刺激的であるとかないとか、そういう根拠としてこれまで政府が説明してきたのですね。これはあまり有力な根拠にならぬということなんですよね。ですから、これはあまり振り回さないほうがいいということを申したいのですよ。それを有力な根拠のようにこれまで言って説明してきておりますから、だんだんこれを具体的に調べてまいりますと、非常にこれは根拠の薄いものだということなんですよ。そういう点を理解していただけばいいです。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま御指摘になりました私どもが政府財貨サービスの計算を立てますときには、御指摘のように、地方財政計画は立っておりませんでしたが、しかし、いろいろなデータはそろっております。つまり政府一般会計の関係と地方財政は非常に補助金その他関係が深いのでございますが、そうしたような伸び率、あるいは起債の計画、あるいは財政投融資と、こういうようなことで前年の財政計画に対する伸び率を推定いたしまして、そうして今日までほぼほとんど狂いのない数字を予定してきております。でありますから、今回の地方財政のこの財貨サービスの計算も、あとでもって決定されました地方財政計画による計算とほとんど寸分の狂いもないというところに来ております。ですから、この点だけはひとつ御了承を願いたい。ただ、木村さんの御指摘になった決算との関係は、これは御存じのように補正予算もございますし、いろいろな原因でもってこの計画と決算との間には大きな開きがしばしば出るわけであります。まあこれは別の問題になるわけでありますが、財貨サービスの計算について地方の関係についてはほぼ大体財政計画の結果と同じことになっておりますから、そこのところは御安心願っていいと思います。問題は、そういうふうにしてでき上がりました財貨サービスの計算というものをいわゆる予算の規模論に関連させて言うことが言い過ぎじゃないかというお話でありますけれども、もちろん御存じのように、財貨サービスは振替所得その他いわゆる重複計算を除いてございます。そういうようなことでいわゆる予算の直接の数字規模の伸びというものとは違いますし、そのカバレージも違うことは当然でありますけれども、しかしまた、性格的にはその全体のものをおおっておる性格を持っておるわけです。そういう意味で、私どもはやはりこの政府財貨サービスの伸びというものは有力な資料になる、やはり予算規模を論ずるときの有力なデータである、こういうふうに考えておるわけであります。
○木村禧八郎君 そうであれば、やはりその根拠ですね。しかしそれはもっと、研究所のああいう研究もあるんですから、もっと納得性のあるものに私は詰めていく必要があると思います。 で、次に伺いますが、いわゆる中山委員会というのですか、物価安定政策会議ですね、提言が六日に行なわれました。非常に具体的な提言をしているわけです。これは特に行政介入と物価問題についてですけれどもね。あまり物価、行政介入すべきではないという立場に立っての提言でありますが、しかし、全面的に私はこの意見に賛成ではありません。むしろ政府は介入しなければならぬ面もあると思う。たとえばカルテルとかね、管理価格の問題では。しかし、非常にこれもまた具体的な提言をされておるのですから、これについて具体的に、たとえばタクシーなり、化粧品なり、ノリなり、酒なり、理容なり、この具体的な提言がなされておりますから、それについて関係各省がこれに対してどういう態度をおとりになるか、御答弁を願いたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、つい最近受け取りました。で、これにつきましては、もちろんこの物価安定政策会議の相当の研究を経て提言がなされたわけであります。そして政府のいわゆる行政行為によるところの介入というものが、いやしくも経済の効率化を妨げている方向で働いているということであれば、これはわれわれとしても検討しなければならぬと思っています。特に物価の問題がこれだけ重要なときでございますから、何らかの意味でそれが下がるべきはずの物価を下がらないように阻害しておるとか、そういうようなことがありますれば、大いに検討してこれに前向きで取り組んでまいりたいと思っております。ただ、いま御指摘もありましたように、それぞれの他の行政目的の見地からそうした制度があるわけであります。それからまた一方においては、他の目的によって設定された制度でありましても、それの運用を行なうことによって物価政策に協力させるような運用のしかたということも十分考えられないわけではございません。いずれにしましても、直ちにいまそれらのものすべてを、介入をやめろというような結論は当然出せないわけでありまして、これは一つ一つ十分に、しかも至急に、これを検討しまして、そうして各省と話し合いを進めて、そうして物価対策閣僚協議会において適当な処理をはかってまいりたい、こういうふうに考えています。
○木村禧八郎君 提言には、「スケジュールを作成し、本提言の具体化を積極的に推進し、一日も早くその成果を国民に明示することを強く要請する」。——ですから、スケジュールを立てなければならない。「一日も早く」となっていますから、検討検討なんてことではないのであります。しかも、企画庁長官は財政演説で、もう物価問題は議論の段階ではない、実行の段階だと言っているのでしょう。ですから、スケジュールをどう組んで、どう実行するか、そういうことが必要なんです。これだけではなく、これと関連して伺いますが、企画庁長官は、物価問題はもう議論の段階を済んでいる、実行の段階と言っていますよ。そうしますと、何をどう実行するか、これを具体的にお示しにならないと、単なることばだけだ。ですから、たとえば、総需要の抑制の問題があるでしょう。あるいは輸入政策もありましょう。あるいは構造的な改善の問題もありましょうし、これまで並べられましたいろいろな政策があるわけです。それを、スケジュール的にどういうふうに実行するかをあなたがお示しにならなければ……、具体的に。それで、あなたはこれを今月の中ごろまでに新しい画期的な対策を出されると、こういうことを言っているように新聞に出ております。もし、その具体策をあなた出さなければ、やはりいままでと同じように口先だけであるということになりますから、その点については、あなたここでお示し願いたいと思う。
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、ずいぶん多くの提言もなされてきていますから、できるだけ私といたしましても具体化を急ぎたい、実行を急ぎたい、こう思っております。もちろん、これは企画庁だけではできませんから、各省と折衝をし、そうしてやらなければなりません。最小限そうした時間はもちろんかかるわけでありますけれども、なおその上に凡百のものがあるわけでありますから、手順も大事でございます。そういうことで、いま多少私のニュアンスとは違う報道のようでありましたが、私がいま考えていますのは、半月ぐらいのうちに閣僚会議をもう一回開きまして、そうして、とにかく大臣レベルで大局的な見地から一ぺん議論をしてみたい、検討してみたい。そうして、やはりそれを集大成して、そうして各省の物価政策の具体策というものを、さらにそれから半月か一カ月ぐらいのうちにまとめまして、そうして今後各省としてどういう対策をとるかという点の道筋をはっきりさしたい。こんなくらいの気持ちでいまはいるのです。そこいらのところを考えておりましたところへ、また提言が出てきたわけでありますが、この提言も、もちろんその一部に入らなければならぬと思います。時間的に間に合わなければ、さらにその次になるわけですが、もちろんこれからは一回で済むわけじゃありませんから、次々と追っかけて、そうした政策の検討を継続して行なっていきたい。そうして、また閣僚会議もそれに応じて開いていかなければならぬ、こういう気持ちでいまおるわけであります。
○木村禧八郎君 何だか非常にたよりない御答弁ですが、今度、きのう答申されました新しい経済社会発展計画、あの発展計画で、やはり物価問題に相当重点を置いていますがね。発展計画では、物価問題をどういうふうに位置づけているか、私の見た限りでは、前の四十二年の経済社会発展計画における物価対策、これがあるんです。これより非常に後退しちゃっていますよ。これは、かなり具体的に、長期的な対策と当面の対策と、はっきり分けまして、そうして、値上がりムードを押えるために、国民の物価値上がりに対する心理的な不安を鎮静させるために、少なくともことしよりは来年、来年よりは再来年、着実に物価が少しでも下がっていくという、そういう具体策をとるべきだということがちゃんと示されている。このとおりにやっていれば、私は今日のような物価値上げに来ていないのだと思うのです。これと今度の新しい経済社会発展計画における物価対策とどこが違うか。こっちのほうがよほど前向きであり、はっきりしているんですよ。今度はこういう具体的なスケジュールがちゃんとないのです。四十二年の経済社会発展計画では、結論は三%台にしたいというのですよ。五年ずれているのです。五年先に発表したこのほうが、かなり具体性を持っている。長期展望と当面の対策ですね。だから、これでできなかったものが今後なぜできましょうか。いかに政府がこういうものを発表したって、私、信用しないと思うのです。前のほうがずっと私は、何というのですか、体系的にもよくできている。長期的な対策、当面の対策、それから国民の物価に対する心理的な効果というものをちゃんとふまえて、そうして当面重要なことは、消費者物価の上昇率が着実に低下するという実績をつくり出す、それによって物価上昇に対する消費者の危惧や生産者の思惑を打ち破る、これがインレマインドになることを防止する非常に重要な政策だと私は思うのですよ。ですから、少しずつでも、とにかくことしよりは来年、来年よりは再来年、少しでもいいから着実に下がる、そういう政策をとるべきだと思う。これに関して、もう時間がございませんが、もし物価が、福田大蔵大臣が言うように、たとえば預金の利率を上回るような傾向が出てくると、ちょうど本年度みたいな形になるようなときにはどうするのか、これまではそれに対してどうするということはちっとも言ってないです。だから、預金の利息以上に物価が上がる傾向になったら、あらゆる政策を動員して預金利率以下に下げる、そういう決意を持って物価対策に取り組むのか取り組まないのか、いままでは、物価が上がったって放任ですよ、口先だけなんですから。そうじゃなくて、もし預金利率以上に物価値上がりの可能性が出てきたら、あらゆる政策を動員して必ず着実に、ことしよりは来年、来年よりは再来年が下がるという、そういう決意で政策をやっておいでになるのかどうか、ここが私はけじめだと思うのです、最後の、物価対策の。この点について、大蔵大臣、あるいはまた企画庁長官の御意見を伺いまして、時間がまいりましたから、これで私はやめますけれども……。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまお示しの新計画の問題でありますが、私どもは、今度の新計画においては特に物価問題を重視していると、こういうふうに考えております。それは、数字は別といたしまして、全体の課題の解説においてそのつもりでおります。ただ、基本的に違いますのは、前回の計画では八%台の成長でございまして、これを一〇・六ということにしました。まあそのほか、われわれの経験によりまして、また、一面において、物価を引き下げることを困難ならしめているいろんな事情というものの発生なり、そういうことについても十分経験させられたわけです。そういうことを頭に置きまして、今回は、一方において成長はある程度上がるけれども、しかし、その成長といかにして両立させるか、こういうことで最大の努力を集中しなきゃならぬと、こういう気持ちがあの答申の中に盛られておるものと実は感じております。しかし、答申だけではいけないのでありまして、われわれも、いろいろ御議論がありましたけれども、ずいぶん御同感申し上げることが多いのであります。何とか集中して物価問題に取り組んでいく決意を持っております。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの木村さんの物価に対する御熱心な御所見は傾聴いたしました。私どもも、木村さんに負けない熱意を持ってこの問題をぜひ着実に進めてまいりたい、かように存じております。
○鈴木強君 関連しまして、大蔵大臣と経済企画庁長官に一つだけ伺います。 それは、きのう新しい経済社会発展計画が答申されました。総理大臣は、この答申を受けて、政府としての計画をつくりたい、こう言われておりますね。それで、失礼ですけれども、いままで経済政策から始まって、経済社会発展計画というものを実際におつくりになりましても、それと実際の経済の動きというものは、みなちぐはぐになっておりますね。そのとおりいっていない、正直言って。だからして、私は、いま木村委員からも質問がありますように、まあ四・四%の消費者物価を見ておりますね、六年間平均して。最終年度三・八%にしたい、こういうことですけれども、それがはたして四・四%というようなところでとどまるのかとどまらないのか、これは非常に疑問ですよ。だから、そこを木村委員は強く主張すると同時に、もう一つ、これは大蔵大臣に伺いたいのですけれども、確かに五%でおさめたいという四十四年度の消費者物価の見通しが、五%にもはまらないで、五・七%に変えましたね。そしてさらに、それが、この前の私の質問でも経済企画庁長官が言っているように、六・四%ぐらいにいっている。そこで、いま国会で予算を審議しているのは四月ですよ。四十四年度の場合には、ことしの二月くらいになって五・七%に消費者物価の見通しを変えたわけです。これはわずか二、三くらいの年度ですから大したことはないと思いますが、少なくとも現在、木村委員の言っておるように、五・七%をこして六%に達しているというこの事実が認められるとするならば、そういう消費者物価が上がっていくだろうという中で、それを基礎にして予算を組まなければ、実際四・八%で組んだ予算では、たいへんだろうと私は思うわけですよ。それは、紙一枚買う場合でも、鉛筆一本買う場合でも、お役所のものだけ消費者物価を、安くするというわけにはいかないわけですから、したがって、われわれは、そういう点で非常に苦しくなるだろう、やりにくくなるだろうという、逆に心配をするわけです。だからして、ある程度早い時期に見通しを変えるなら変えて、そしておやりにならなければたいへんじゃないかと、こう思うわけですよ。ですから、一つは、経済企画庁長官に、今度の新しい経済社会発展計画というものをお示しになっておりますけれども、まあ総理大臣がこれについて実行計画を立てるというのだが、その四・四%の物価の平均値上がりというものと、いまの関連している四・八%、あるいは実際には五・何%上がっているという、その関連性の中で、はたしてこの出された答申というものが妥当性があるかどうか、これはたいへん失礼なことだと思うけれども、私はそういう点を疑問に思うわけです。その感じを私はちょっとあなたに述べてもらいたいと思います。 それから大蔵大臣には、実際に予算上窮屈になるけれども、だいじょうぶかどうか。その推移いかんでは、ある段階で調整するということは当然お考えになると思いますけれども、その辺の御判断を聞いておきたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまお話しの点ですが、新しい計画でいろいろ課題を提供し、それからまた提言を行なっております。ですから、そうした政策の遂行ということが大事だろうと思います。そうして、その中でも特に物価対策を言っておるわけであります。そうした物価対策を集中的に行なう、こういうことを前提にし、そうしてそのほか、それに関係するところの産業対策、輸入対策、いろんなものが総合されて、そうして結局その政策努力を待って初めて、ああいう四・四ということになっているわけでありますから、私たちもその方向に政策を集中して実行してまいる、これによって何とかこの新計画の目標を達成してまいりたい、こういうふうに考えています。
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんから御指摘がありましたように、四十四年度の予算では消費者物価が五・七%上がるという前提で編成されたんです。それが実際は六・四になる。そうすると、四十五年度の物価四・八%、それに対して四・八%上がると、こういうふうに見ておりまするから、改訂見通しと実績見通し、基礎になっている点が動いてくる、こういう理屈になるわけです。したがって、実行上、四十五年度の消費者物価が四・八%アップでなくて、もう少し低目になれば、予算執行上は何らの支障がない、こういうことになるわけでありますから、何とか佐藤長官にも努力していただきまして、物価を、四・八%という目標はあるけれども、それ以下におさめていただきたいと、そういうふうにお願いをし、また御協力を申し上げたい、さように考えております。
○鈴木強君 いやいや、そうじゃない。ちょっともう一つ……。 私の言っているのは、新経済社会発展計画の平均の六年間の実質の成長が一〇・六%、それから四十五年度の政府が見込んだ経済実質成長率は一一・一%ですね。そこはいいとして、実際にその成長の中で物価は四・八%と、こうおたくのほうでは見たわけでしょう。そうして、それを基礎にして四十五年度の予算を組んだわけですね。ところが、実際に経済企画庁長官が認めているように、六・六%近く全国見ても上がっているということを言っているわけですね。したがって、政府の見通しとは大きなギャップがあるわけですよ。したがって、四・八%の四十五年度の政府見込みの消費者物価で組んだ予算というものは実情に合わないんじゃないか。だからして、そもそも年度当初だから、私は、この際、木村委員の言うように、もとを変えて出したらいいじゃないか。そうすれば実情に合うわけです。しかし、あなたのほうでは、いまは上がっているけれども、五月になったら下げると言うかもしれない。しかし、その辺の見通しが、はたしてそういくかどうかということは、お互いに見通しですから、むずかしいですよ。したがって、そこで、非常に国家予算というものは窮屈になる。だからして、その辺を逆に私らは心配しているというんです。だから、改訂すべきものはここで、五・七%なら五・七%に、ほんとうなら、そう政府が認めているんですから、それを基礎にしてお組みになったほうが筋が通るんじゃないですか、こういうことを言っている。その辺の見通しとの関連で、国家予算がどう動くかということはむずかしいですけれども、むずかしいだけに、ある時期において、調整するなら調整するということにしないと、問題が起こるんじゃないだろうかということを言っているんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 鈴木さんのお話のことを考えてお答えを申し上げておるのです。つまり、四・八でいったんじゃ四十五年度は少し予算が狂ってきやしないか、こういうお話ですが、まさにそのとおりなんです。多少の動きはあるはずです。しかし、四・八%消費者物価アップでなくて、それよりも幾らか下回るということになりますれば、予算執行上は何らの支障はないわけであります。その辺の推移を見て弾力的に対処していきたい、かように考えております。
○木村禧八郎君 簡単に一つ。技術的なことなんですが、予算総則で公債発行の限度、財政法四条で定めております。これは大体手取りですね。ですから、財政法四条で予算総則できめるこの公債発行の限度は、私は額面を意味しているんじゃないか、債務総額というのはですね。ですから、私は、これを六条で定めているその二項というのをとって、それで、少し多目に組んでおけば、発行条件が変化したときに財源が足りないということはありませんから。そうでないと、財政法二十八条で報告するわけですよ、公債の現在高というのは。それと違いが出てきちゃうんですからね。それを私はお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 公債の予算への計上の方法につきましては、これは額面でやっているわけです。額面どおりに、額面価格をもって発行できれば実績もそのとおりになるんです。ところが、実際はそうはいかないで、幾らかの割り引きはあると、こういうことになるわけです。そこで、わざわざ予算総則におきまして、そういう場合におきましてはその差額分だけを額面としてはよけいに発行できる、こういうふうにしておるわけです。で、今度はいろんな報告をする、報告をする場合には、その実績、つまり現に発行した額、これを報告する。これは、私は別に支障もなくふしぎもなく、まさに当然のことじゃあるまいか、そういうふうに見ております。
○木村禧八郎君 私が申しますのは、第六条の一項で、額面で発行する。発行条件が変わったときはそれにプラスできるということになっているんですよ。しかし、発行条件が市場の情勢によって変更せざるを得なくなったとき、ことに発行しにくくなったような状態ですね、これは減らすべきじゃないかと言うんですよ、私は、むしろプラスしないで。それは、そういう条件になったときは発行が困難な場合ですから、そういうときは減らしたほうがいい条件になっているんじゃないか、事情が。そのほうが私は実際に合うんじゃないかという考え方なんです。こういう意味なんですがね。
○国務大臣(福田赳夫君) おっしゃる趣旨はわかりました。わかりましたが、そういう際には、発行しにくい状況になりますれば、これは国債の発行を減らす、こういうことは当然考えなきゃならぬと思いますが、予算の取り扱いの問題としますと、やっぱり額面で載っけといて、そして実績においてこれが調整されるという仕組み、これ以外にはどうも考えられないんじゃないか。かりに、木村さんのおっしゃるように、ある割り引き率を考えましてやっておきましても、実際の結果は、また違ってくるんです。同じことでございます。
○委員長(堀本宜実君) 以上で木村君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、羽生三七君の質疑を行ないます。
○羽生三七君 きょうは、主として経済問題をお伺いしますが、これからお尋ねしようと思うことは、先ほど来の御質問に関連する問題であります。 最初に承りたいことは、昨年福田大蔵大臣が、当委員会で、この経済の政府見通しと他の民間機関やあるいは経済企画庁の経済研究所の予測等との違いを指摘された際に、政府見通しは政策的意図が含まれておる。それで、もし政府が経済を放任しておけば、民間機関の予想と同程度のものになるであろう、だが、政策的に抑制することによって、四十四年度経済を政府見通しと同じようにする、こう答えられているわけですね。ところが、先ほど来指摘があったように、結果的には民間調査機関の予想と同程度のものになって、たいへんな政府見通しとは狂いがあったわけですね。このことは、結局、いろいろお話がありましても、政府が何ら効果的な、いわゆる政策的意図と言われるその政策を実施しなかったということになるんではないでしょうか。あるいは、これは日本経済の潜在的成長力ということでまた片づけられるのか。これは〇・何%という違いじゃないんですからね。この辺を、昨年の答弁と関連して承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年の答弁を引き合いに出されましたが、今日でもそういうふうに考えておるんです。昨年の経済見通しが実績と違ってきた。一つは、確かに経済抑制努力が足らなかった、こういうこと、これははっきり認めなければならぬと思います。つまり、昨年上半期の貸し出しの増加、これはすごいというような勢いでございまして、これに対して所要の手が機敏に打たれなかったという反省もしてみなけりゃならぬと思います。それからもう一つは輸出です。つまり、アメリカの景気です。私どもは、アメリカが増税を行ない、あるいは金融の引き締めを行ない、かなり景気抑制政策をとっておる、そういうことで対米輸出が鈍化するように見ておったのであります。ところが、そのアメリカの引き締め政策の影響というものがかなりずれてきまして、昨年中、日本の対米輸出が高水準で推移をしておる、こういう点。それから、ヨーロッパ各国が、通貨不安というものはありましたけれども、経済活動が活発であって、ヨーロッパ輸出がかなり鉄鋼を中心として活発に動いた、こういう内外の諸要因が働いておる、こういうふうに見ているのでございます。そういうことを反省しながら、昨年の九月から金融調整政策をとり、その後引き続いてその影響を、推移を見ながら対策を練りつつあると、こういうふうに御了承願いたいと思います。
○羽生三七君 政府見通しと実績との乖離については、いまの御説明では必ずしも納得しませんが、そこでですね、今度四十五年度の政府の経済見通し一一・一%、これも相当高いですね。ところが、四十五年度予算の執行に伴って、これもまた見通しを上回るような感じがするわけです。そこで、成長率を政府見通しどおり一一・一%にとどめる手段としては、金融引き締めだけなんでしょうか、あるいは他の手段も何か考えられるんですか、その辺をお伺いします。
○国務大臣(佐藤一郎君) 一昨年ということになりますが、四十二、四十三、四十四と、こうずっと高い成長が続いてまいりました。その一三%台の実質成長率を一一%そこそこにスローダウンさせよう、こういうことであります。それはどこでそれでは実現するようになっているか、やはりいま御指摘のありました従来非常に高いベースできたところの民間設備投資、これを何とかもっとスローダウンさせなければいかぬ、こういうことがやはり一つの大きな要素でございます。そういう意味におきましては、目下実行しておる金融の引き締め、こういうこともその一つの大きな政策の支柱になっている、総需要対策の重要な支柱になっている、こういうことが言えると思います。 なお、輸出入の貿易の見通しでございますが、これらにつきましても、現状はたいへんな輸出の勢いであります。しかしながら、私どもは今後、海外の景気は現在も相当好況を続けておりますけれども、各国のやはり鎮静対策というか、そうした物価引き下げの努力、あるいは景気を過度に行き過ぎないようにしようとする抑制対策、そうしたものの実現ということもある程度考え、それから、何といいましても、この国際貿易というものは、短期間の見通しだけではなかなかその見通しというものの確実性ということが裏づけられないものですから、比較的長期にわたる趨勢というようなことを考えて、そしてやっております。そういうことで、今日の実況とは少し違う押え目な感じがやはり海外との取引においても出ておることも事実であります。そうしたことが中心になりまして、そして現在までの一三%台というものを一一%そこそこというくらいのところに落ちつかせていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけであります。
○羽生三七君 そこで、先ほどの質問にも関連をするのですが、いまお話しの一一・一%と、この物価の四・八%との関連性であるが、この一一・一%にとどめることができないとすれば、物価にも及んでくる。その場合には、この金融引き締め以外の手段としては、たとえば予算の繰り延べというようなことも考えられるのかどうか、状況いかんによってですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 予算は、せっかく御審議をいただいて政府がこれを実施するという性格のものでありまするから、なるべくこれは動かさないようにしたいと思うのです。しかし、景気のいかんの状況によりましては、そうも言っておられない場合があるかもしれない。これは弾力的なかまえで運用する、こう申し上げることが適切かと、かように考えます。
○羽生三七君 そこで、今度は物価以外の問題に及ぶのですが、金融引き締めを続行していくとすれば、当然国際収支の黒字幅は見通しの十億ドルよりも拡大をすると思います。これは間違いないと思います。そこで、これに関連をして、最新の外貨準備高、その内訳ですね。特に金を増加したようでありますけれども、その辺のこともあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(奥村輝之君) 三月末現在の外貨準備高でございますが、三十八億六千八百万ドル、その中で金は四億六千九百万ドルでございます。
○羽生三七君 それ以外のもっと内訳はわからないですか。これはなかなかめんどうなこともあるのですから、差しつかえない範囲で教えてください。
○政府委員(奥村輝之君) そのほかゴールド・トランシュは四億九千四百万ドル、SDRが一億三千二百万ドルでございます。先ほど金について四億六千九百万ドルと申し上げましたが、金と外貨と合わせました金額は三十二億四千二百万ドルでございます。なお、ゴールド・トランシュの中をさらに分けまして、ベーシック・ゴールド・トランシュ、これは一億八千百万ドルでございます。スーパー・ゴールド・トランシュは三億一千三百万ドルでございます。SDRをさらに内訳を申し上げますと、配分を受けましたSDRは一億二千二百万ドルでございまして、外国から差し向けられたSDRは一千万ドルでございます。 以上でございます。
○羽生三七君 そこで、この今後の金の取り扱いの問題ですが、これはやはりSDRの創設で、金は金利を生まないからたいしたことはないと、そんなに特に金にウエートを置く必要はないという従来の考え方をそのまま継続されるのですか、あるいは幾らかふやされるのですか、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま国際金融局長から申しましたわが国の金の保有量は、外貨準備高の一三%に当たるわけです。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕 これは先進各国に比べますと、非常に低い水準になるわけであります。まあ買おうといたしますれば買えない状態ではないのでありますが、これまで金はあまりふやさないという考え方をとってきたのです。なぜであるかというと、わが国の外貨保有高がとにかく十年前には十三億ドルであった。そういうような状態からだんだん改善されて二十億ドル前後という時期がかなり長く続いたわけでありまするが、そういう乏しい外貨でありますると、これを金に運用するということになりますると、いまお話しのありまするように、これは利子を生まないわけであります。わが国として経済が開発発展の途上にある、そういうようなことを考えますと、また外貨保有高自体が乏しいということを考えますると、流動性の非常にあるドルを保有するにしかずという考え方であったのです。ところが今日になりますと、外貨準備高も十年前の三倍だというような状態になってきましたので、少しゆとりを生じてきたかと、こういうふうに見ております。したがいまして、今後は国際金市場にあまり影響がないと、悪い影響を与えないと、自然な入手の方法というものがありますれば、その機会をとらえてはこの保有額を少し積み増しをしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○羽生三七君 そこで、経済見通しの黒字幅が金融引き締めの続く限り拡大するということは、いま申したとおりですが、ある経済予測によりますと、年度末には外貨は五十四億ドルに達するのではないかといわれておる。蔵相はかって三十億ドルでは少な過ぎると、これは多いとは言えない。四十億ドルになったら対策を考えなければならぬと言われている。さらに、最近では、輸入の三分の一程度が適正基準ではないかと言われておる。あるいはまた五十億ドルくらいかというように、いろいろ言われておるわけですが、いずれにしても、総合的な外貨対策をする時期にきておるのではないかという気がするのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の外貨は三十八億六千万ドルになりましたけれども、その額としますと、これだけのGNPの日本とし、また、これだけの貿易をやっているわが国としますと、その比率は、先進各国に比べまして、そう高いものではないのであります。わが国は四十五年度におきましても、輸入百五十億ドルぐらいはあるだろうと、こういうふうに見ておりまするが、その三分の一といたしましても五十億ドルです。現にアメリカのごときは、外貨準備率は五〇%をこえるような状態でございますが、そういうことを考えますると、今日の三十八億六千万ドル、また、これから多少ふえるであろうその額は、必ずしも大きな額ではないと、こういうふうに考えておりますが、問題は、そのふえ方がいかにも急速でありまして、したがって、日本の外貨がふえるということは、外貨を失う国が他面においてあるわけでありまするから、そういうことで国際的に大きな関心を浴びておる、そのゆえんのものは、日本の保有の高にあるんじゃなくて、保有額の増加のその比率、速度、そこにあるわけなんであります。私どもといたしましては、国際経済社会の安定にも寄与、貢献をしなければならぬという立場にありまするので、あまり急激にふえるというのもいかがであろうというふうに考えまして、これが調整という方面の配慮もしなければならぬ時期にきたと、こういうふうに考えております。 そういうようなことから、輸入の自由化でありますとか、対外投資を弾力的——いままでのようなかたい態度でない考え方に改めますとか、あるいは関税、非関税の障壁を軽減をするという方式、それから一昨日日本銀行できめましたが、輸出金利——まあ、わが国は世界ただ一つの公定歩合上における輸出の優遇金利の制度をとっておった国でありまするが、これも、もうこの段階になりますると、国際的批判を受けざるを得ないと、こういう状態になってくる。それを是正するとか、そういういろいろなきめのこまかい手段を講じまして、そして外貨準備が不自然にふえるというようなことのないようにいたしていきたい、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 そうすると、世上よくいわれておる円レートの切り上げとか、そんなことではなしに、外国の圧力といわなくとも、外国との関連もあるので、今後かりに外貨増が続く趨勢にあるとしても、むしろそれは円切り上げ以外の他の手段、たとえば、いまお話しになったような資本の自由化とか、あるいは輸入の自由化、そういう問題で対処して、適正量を維持していく、こう理解をしていいのでありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。
○羽生三七君 それでその場合、そのことは戦術的な当面の対策なのか、長い目で見て戦略的に見ても、日本の外貨対策というものはそういう形でいくのか。とりあえず当面はそういうことでいくのだけれども、将来とすれば、適正な外貨基準というものはこの程度とか、そういうものなのか。まあ現状程度にしておいて、そしてあとは全部そういう、先ほど来お話しのような他の手段によってこれをカバーしていく、そういうお考えなのですか。その戦術、戦略的な問題の関連をひとつお聞かせください。
○国務大臣(福田赳夫君) 長期のことにつきましては、いまなかなか予測が困難でありまして、まあ私は、当面外貨は漸増する傾向にあるだろう、いろいろと手配はします。それにもかかわらず、外貨は漸増していくと、こういうふうに見ておるわけでございますが、さあ、どの辺が適正な外貨保有量であろうかと、国際的には大体輸入額の三分の一ということがいわれておるのです。これがある程度の外貨を保有しておりませんと、たいへん国内経済の運営上支障があるということになりますが、昨年のことを考えましても、経済の見通しより二十億ドルもよけいに黒字があった、こういう状態です。もしこれが逆に、今度マイナスの二十億ドルであったというようなことになったら、これはまあ、たいへんなことだったというふうに思いますが、そういうことで、国内経済運営という立場から見まして、外貨準備の天井を高くしていくと、こういう必要があろうかと思います。まあ一つの目標は、輸入量の三分の一という国際的のいろいろな世論ですな、こういうことも考えておかなければなりませんが、そこまでいくには時間はかかるだろうと思います。また、その時点において国の経済情勢はどうであるか、また、国際情勢はどうなってくるであろうかと、それらを勘案いたしまして考えていかなければならぬ、かように考えております。
○羽生三七君 そうすると、現状の三十八億何千万ドルという、程度が上がっても高くなっても、四十億ドルとか何とかいうところで、他は先ほど来お話しのような手段でやるということですか。五十億ドルくらいまでいっても、それはたいして国際的に問題はないと、いまのような他の政策併用すればですね。そこのところをお聞かせください。 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
○国務大臣(福田赳夫君) 問題になりますのは、外貨が急増するという点にあるのです。急増するゆえんは一体何なんだということが論議されるわけですが、第一は、何といっても貿易制限をやっておると、こういう点です。それから第二は、資本の移動制限をやっておるという問題、それからその他の非関税障壁、これを広範に設けているという問題、また、日本銀行の金融政策上優遇金利体制をとっておると、こういうような問題、国際的にそういう批判がないような状態になりますれば、私はおそらくその外貨の増加傾向というものはずいぶんスローダウンしてくることかと思いますが、そういうような状態になれば、多少の増加がありましても、国際的な批判を受けるというような状態にはない、かように見ているのであります。
○羽生三七君 これは宮澤通産大臣が来たときにお尋ねしようと思ったのですが、まあこの機会にお伺いしておきますけれども、資本の自由化という場合、日本からの投資のことだけお言いになっておりますが、自由化になれば、むしろ日本のように年率一〇%以上の高成長をしておる国には、むしろ資本が集まることになるのじゃないでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 確かにそうです。この二、三年来、外国の投資家が日本の証券を買う、こういう動きがあるわけでありまして、去年のごときもずいぶん活発であり、今日なお活発にそういう傾向が出てきておるわけであります。私は、資本は自由化とは申しまするけれども、そういう短期的な資本の自由化、これは相当慎重に扱っていかなければならぬと思うのです。昨年のヨーロッパの通貨不安の状態を見てみると、これは何だといいますれば、ロンドン市場の、あるいはボンの市場の短期資本が投機的に動いて回る、これをやられたのじゃなかなか金融政策できません。また、ああいうヨーロッパのような混乱が起きる。私、わが日本においてそういうことがあってはならぬと思いますので、短期資本の移動につきましては、私はこれは厳にこれを慎重を期してまいりたいという考えでございまするが、長期資本につきましては、なるべくこれを早い機会に自由化へ持っていきたいと、こういうふうに考えておるのです。で、まあ日本の経済がよろしゅうございまするから、長期資本の国内への流入の傾向が非常に強いです。そこで、第一次、第二次資本の自由化、これは外国から日本に対する資本の流入の自由化でございまするが、これは第三次というものを準備したい、そういうふうに考えておるわけであります。この第三次の自由化におきましては、かなりな幅の自由化、かつ実質的な産業部門、そういうものについてやってみたい、こういうふうにいま考えております。それから対外的な投資、これも同じ考え方で、優良な投資先に対する投資に対しましては、これはいままでのような窮屈な考えでなくて、わが国の必要とする資源をわが国の資本で開発するというようなものにつきましては、積極的にこれを認めていく、こういう考え方をとりたいと思っております。
○羽生三七君 今度はこれと関連して企画庁長官にお伺いしたいと思いますが、現在主要な先進国で起きているこのインフレですね、これは長官が言う意味のインフレ——長官はよく換物運動になるような趨勢のことを言われていると思うのですが、最初にちょっと経済企画庁長官の言われるインフレの定義をお聞きして、それから質問したいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) たびたびここで申し上げたと思いますが、最近非常に物資の需給が逼迫してまいりまして、この物資の需給が逼迫してまいってきておりますけれども、いわゆるまだ下方硬直的なところまではいってない、こういう感じを持っております。したがいまして、今後の情勢によりまして卸売り物価もまた下がる、こういうようなことでありますから、よく外国で言われているような意味のいわゆるクリーピング・インフレーションとかその他のインフレーションには該当しない。私たちは目下の状況を見ますると、なるほど換物傾向のようなものが土地等の一部にあらわれていることは私も事実だと思うのですが、まあそれが一般化しておらない。そういうことで、貯蓄率もわずかでありますけれどもむしろ上がっておるような状況である。こういう状況でございますから、まあ現在をもってインフレと言うのはまだ時期尚早である、こういうことを申し上げておるわけであります。
○羽生三七君 そこでぼくは、クリーピング・インフレはお認めになるが、古典的ないわゆるインフレーション、これはお認めにならないと、こういうふうに理解しておったのですが、そのクリーピング・インフレも認めない、何もない、ましてや古典的インフレにおいておや、こういうことになるわけで、何もないことになるわけですね。ところが、クリーピング・インフレというのは、言うまでもないことですが、これは経済も成長するが物価も間断なくじりじり上がっていく、その結果通貨価値が下落していく状態をいっていると思います。ところが、実際にはそれがいま日本にあるのですね。ところが、長官はいまインフレでないと言われる。この説明では私納得できない点は、これからあとで申し上げますが、大体日本の場合も、特殊な国は別として、通常の西欧の先進国とほぼ同じ私は条件にあると思う。たとえば、先日この予算の公聴会で、その席へ来て三菱商事の社長がインフレと言っているわけですね、日本の状態を。この日本の財界と政府との間に全く——少しの違いならあれだけれども、百八十度の違いがある、全く違いがあるということは、非常に理解に苦しむのです。そこで、貯蓄の増加をいまあげられましたね。ところがこれは、日本の貯蓄の増加は、日本独特のボーナス制度、これがあると思います。それから、それが他の金融資産に転用するにはあまりに少ない。そのために、若干の貯蓄の微増ということは、これはあると思います。それからもう一つ、これは根本建設大臣がおらぬとまずいのですが、換物運動の最も端的な例としては、先ほどのお話の土地の問題ですね。これは財産保全の手段として、有効な手段として土地を換物の対象にしておるわけです。先日私農業問題で関連質問をした際に、倉石農相は、いま都会へ来ておるいわゆるサラリーマンがまたもう一度Uターンをして故郷へ帰りつつある、喜ばしき傾向だ、農業後継者育成のために喜ばしき傾向だと言っておる。ところが、事実いなかへ行ってごらんになれば、それは帰るのは農業が好きで帰るのではないのですよ。先祖伝来のおやじの持っているこの財産は絶対に放すまいと思って帰っておる。これがいまの実情でありますね。それから、日本住宅協会が、昨年の七月、土地購入動機を調査した。その結果によると、資産保護のための購入が全体の四七%です。だから、いまさような傾向も少しあるなんというようなものではない。この日本全体の中のほぼ半分近いものがそういう形で投資対象——住宅協会の調査の場合、そういうことになっておる。しかも、その割合は漸次激増しつつあるわけですね。この趨勢は明らかにこの資産保護のための換物運動でありますから、これはもう長官が先ほど言われたように過小評価すべきではなしに、インフレ傾向の端的な一断面を私は示しておるのではないかと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 三菱商事の社長がインフレという話があったといいますが、インフレの呼び方はほんとうにたくさんあるように思います。先ほど諸外国のお話に触れられましたが、諸外国では二%、三%上がってもインフレという呼び方をしておるところもあるわけでありますから、いろいろな呼び方があると思うのです。いまの最後の問題の換物の傾向、私もこれが一般化してはたいへんだと思っていますが、従来持っておりました土地を何となく手放したくない、いまのこの動機ということで少しずつふえるという話でありましたが、確かにそういう危険がふえつつあると思うのですが、いわゆる換物傾向ということにも事実上なるのだということになりますが、御存じのように、積極的にどんどん物にかえていく、土地にかえていく、これは私も土地なんかについては先ほど申し上げたように一部あると思うのですが、土地のスペキュレーションというものは、われわれも調べてみたのですけれども、意外に少ない、私たちは調べてみましてそういう感じを持ったのです。それからまた、それが地価に及ぼす影響が、私も思ったほどでないという感じを持ったのですが、いずれにしましても、これが換物の傾向が普及し一般化しているというところまでは行っていないのじゃないか、こういうふうに私は感じておるのです。
○羽生三七君 先日この委員会の公聴会に来られた花原教授は、物価問題に関連して、日本経済のひずみの最大の問題はやはり土地の問題だ、地価の問題だと言っておられました。これは私は根本建設大臣の来られたときにお聞きしようと思っておりましたが、私先年ニューヨークヘ行ったときに、ちょうど自動車の運転手が日本語のわかる人で、話を聞いたら、日本の東京の地価の話をしたら信用しないのですよ。そんなばかなことがありますかと言う。ずっと聞いてみると、どう考えても日本が世界一高いんじゃないですか、特殊な例外を除いては。社会主義国はもちろんですが、資本主義国の中のアメリカのニューヨークよりももっと高い、場所によっては若干あれですが、総体として。ですから私は、これは建設大臣から聞かなければならぬことでありますから直接の御答弁は要りませんがね、これはたいへんな問題だと私は思っております。 そこで、そういうことに関連をしてこれからお尋ねするのは、貨幣価値の問題なんです。実はこの質問は、しても、えらいまともな答えが得られないので、実は私も質問しようかどうかと思ってちゅうちょした。ところが、いなかへ行って皆と話してみると、皆、ちょっとばかり持っている貯金が将来どうなるのですかという質問をいっぱい受けるわけです。実は私は一昨夜、いま来日中のハーマン・カーン氏に招かれて三時間ばかり懇談しました。で、問題は、高度成長だけでなしに、それがどうして人間のしあわせと結びつくかどうか問題ではないかということを彼に指摘しておきました。けさの読売新聞を見ると、たまたまやはり来日中の未来学者のロベルト・ユンク氏の言を引用した投書が出ております。それには「二十一世紀の初めに世界のトップに立つ国は最高の経済指標を示すことのできる国ではない。むしろ、機械と人間の共存という問題をマスターした国である」と、こう言っている。私もそのとおりだと思う。ですから、いまのような日本の経済のいびつな成長を見ておる国民にとっては、貨幣がどうなるか、その価値がどうなるかということがもう非常に大きな関心事です。そこで、大蔵大臣も言っているように、日本の大部分の貯蓄者は百万円以下の貯蓄者であるということをこの前も言われた。それもそのとおりだと思います。ところが、この諸君がマイホームの夢を持って貯蓄しても、貨幣価値の減価で夢がはかなくくずれてしまうわけですね。一体、こういう場合の政治的責任といいますかね、責任はだれが負うのか。少しぐらい物価が上がっても収入が増加すればそれでいいじゃないかというのが従来の観念でした。所得倍増計画のときにはそういう説明だったわけです。ところが、それが今度、収入が上がっても物価の上昇で相殺されるという問題のほかに、では年金や保険などの関係者はどうするかということなんです。これは大蔵大臣はスライドはおきらいのようですけれども、しかし、こういう人たちの損害というものは一体どうなるのか。これは切実な問題だと思います。私も昔、保険をかけておいて戦争が終わったら紙くず同然になってしまった。そんなひどいことはないにしても、これは非常に大きな問題だと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。これは両大臣からお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 羽生さんは、物価はだんだん上昇が拍車がかかるというようなことを前提にしてまあ議論を進められておるようでありますが、そうじゃない。政府のほうは、着実にこれを下げるように努力をする、その実効を期す、こういう前提に立っているわけです。私は、いまの日本の状態、これはまあ非常に物価問題は大事な段階に来ておるというふうには考えますが、まだ通貨に対する信頼感、これが失われておるというような状態ではない。そういう意味においてインフレだというふうな受けとめ方はいたしません。しかし、この物価問題につきましては、とにかく最も重大な関心を払わなければならぬ段階に来ているということは、そのとおり考えておるわけでありまして、とにかくこの問題、着実に下がるというか、上昇率が下がるという方向に持っていくことに最善を尽くすということが当面の最も大事な問題である、それを実現する、そういうことだろうと思います。まあしかし、それにもかかわらず、成長経済ですからこれはもう物価が上昇するであろう、その速度はなだらかになるにいたしましても、上昇するであろうということは、これは避け得られないと思います。また、そういう上昇を通じまして、所得の均衡化とかそういう問題、そういうことも進行しておるわけでございますが、まあそういう際に、年金所得者というような問題をどうするかという問題がありますが、これは私は、物価の上昇によって年金所得者がその手取りの価値を失うというようなことになってはこれは困る、かように考えまして、そういう年金所得者等に対しましては、その実質的価値が下がらないというような手当てはしていかなければならぬ、こういうふうにまあ考えておりますが、いま責任論という話がありましたが、責任論は何だとこういいますれば、これはもう全力を尽くして物価を着実にその速度をゆるめる方向に持っていく、そうして国民に安心してもらう、こういうことの一点にあると思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、羽生さんのおっしゃいましたように、各方面にいろいろな現象が出ていることは私も感じますが、これは率直に言いまして、全体として日本の経済がいわゆるインフレ的になって不健全になってきているかどうかということになりますと、私は全体としてはまだ健全な姿である。ただ、一部の現象がこのまま突っ走るとこれは困ったことになる。いま、そういう意味では、私も大事な時期だと思います。まあ、しばしば申し上げるのでありますが、全体を見回しまして一八%くらいの名目の需要でもって一三%くらいの実質の経済を実現できるというのは、まあまあいいところじゃないかというふうには感じています。ただしかし、これが今後、いまいろいろな御指摘のような点もありますし、今後いろいろと問題が大きくなってきて自動的に突っ走るようなことになると困る。つまり言いかえますと、わが日本の経済はまだ弾力性を持っておる。ですから、卸売り物価ももちろん、海外の要因とかいろいろありますが、そうしたものの鎮静が期待できるならば、これは十分下がっていく性質のものである、こういうような意味で、よくいわれている下方硬直性、こういうようなものについても、まだ日本の物価全体についてはそういう意味の弾力性は失われていないのじゃないか、こういう感じを実は持っているものですから、そこで、インフレというところにはまだ来ていない、しかし、いまのままで行くと非常におそれがあると申し上げているのはそこなんです。通貨価値ということも、結局そういうことに関連して考えられることであろうと、そういうふうに考えています。
○羽生三七君 そこで、実質価値がそこなわれた場合には年金所得者を考えなければならぬと言われたが、そこなわれた場合にはどうするのですか。実質的な価値がそこなわれたような場合には、それは年金所得者等に対策を考えなければならぬがと言われましたが、そこなわれた場合が起こったときにはどうされますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、物価が変動しまして、形式的な年金の額が確保できましても実質価値は減るというような事態になりますれば、それは年金の額の改定を行ないまして、そうしてその実質的な価値を保全するという対策をとらなければならぬ、こういうことを申し上げているわけです。
○木村禧八郎君 関連。 関連ですから簡単に質問いたしますが、一つは、いまの日本の経済の状態がインフレでない理由としまして、土地なんかの投機的な傾向はそれは部分的だと言われましたが、そういうものが一般化すれば、それはもう悪性なインフレだと思うのです。それは換物運動が一般化してしまって貨幣価値が信頼を失ったら、これはもう悪性的なインフレである。それで、企画庁長官が取り組まなければならぬインフレになる危険があるというそのインフレということは、悪性インフレですよ。その悪性インフレのことをあなたはどうも頭に描いていると思うのですよ。われわれが言うのは、悪性インフレに行ってはたいへんだという、もうそういう悪性インフレに行く危険性があるいまの状態を、われわれはインフレと言っている。だから、あなたの言う、インフレでないという、物価騰貴だということは、内容的には私は違ってないんだと思います、ほんとうは。だから、悪性インフレになっちゃったらたいへんですよ。換物運動が一般化しちゃったらたいへんなものですよ。 それからもう一つは、健全、健全と言いますけれども、私はなぜ物価値上がりがいまの段階で重大化し、これをなるべく上がらないように抑制しなきゃならないかという一番重大な理由は、私は所得分配に対する不均衡が出てくるということ。財政の一番の目的は、所得再分配の調整にあると思うんですよ、一番重要な点は。そのほかには資源の適正配分とかいろいろありますけれども。いま私は重大なのは、物価値上がりによって、力の弱い人は、経済的弱者は犠牲になっていくんでしょう。ですから、その点は私は重要に考えなきゃいけないと思うんですよ。諸外国より値上がり率が高いというのは、特に日本の場合は高いですよね。所得再分配に対して非常に不公平な影響があるといったようなことですね。この点特に私は重要視しなきゃいけないということが大事なんで、その点は認識がまるで違うと思うんですね。 それから第三番目は、物価値上がりの場合、いま羽生氏から質問ありました保障の問題ですが、実質価値が減るという、それに対する政府の対策ですが、恩給については、大蔵大臣、きらいなスライドを採用しているじゃありませんか。恩給審議会の答申によってスライドする。恩給以外はどうしてスライドしないのですか。旧軍人恩給なりその他恩給を私はスライドしちゃいけないと言っているのじゃないのですよ。スライドしなくちゃいけないと言うのですよ、物価値上がりで実質価値が減っちゃうんですから。恩給制度がある以上は、やはりそれが否定しない以上は。恩給審議会でスライドしろというのでしょう。現に恩給のほうがスライドしてきているのです。そのほかがなぜスライドしちゃいけないのですか。恩給だけがスライドしている。これは非常に問題じゃないですか。大蔵大臣、きらい、きらいと言いながら、恩給はもうスライドしているんですよ。それから今度は共済がそれに準ずるわけでしよう、共済が。われわれはスライドしちゃいけないと言うのじゃなくて、スライドしなきゃいけないと、そうしなきゃ非常に不公平だと。この三点についてお伺いしたいです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は先ほどから申し上げているんですが、貨幣価値、物価の変動があった場合に、恩給生活者、これはその実質的な価値は保全をしなけりゃならぬと、こういうふうに考えているんです。他の恩給類似の年金、そういうものについても同様に考えております。ただ、これを制度化しまして、物価の指数で自動的に上がるんだというような考え方、これはなかなかむずかしい問題がありますのは、それには財源が必要なんです。その財源を一体だれが負担するんだというルール、これがまたなかなか自動制にはむずかしいまあいろんな問題がある、そういうこと。それからもう一つは、これを制度化するというようなことは、これは私は敗北主義だと思うんです。物価政策もうあきらめたと、こういうようなことだと思うんです。恩給が上がります。物価にも何がしかの影響がある、これは。また恩給は上がります。また物価が上がります、というような要因にもなります。そうじゃなくて、私が申し上げておりますのは、物価問題の克服にこそまず取り組まなきゃならない、それが先なんだと。まあしかしそれにいたしましても、なかなかむずかしい問題があるから、それに対しましては、その恩給生活者の、あるいは年金生活者のその手取りの実質的な価値は保全するという施策をしなければならぬ、そういう手配をしなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。
○国務大臣(佐藤一郎君) インフレの使い方になってしまいましたが、それじゃおまえはなぜ物価対策に努力しているのだということになるわけなのでありまして、私たちも総力をあげて物価対策に取り組まなければならない、こういう気持ちに変わりはございません。そういう状況をインフレというのだといういまのお話でございましたが、そこいらいのところは見解の相違ということになるのかもしれません。私たちは一生懸命物価を押えなければならぬという必要性は大いに認めております。そこで所得の再配分という問題、これは物価が異常に高くなると、確かに問題が起こってくると思います。そういうことで、いわゆるスライド制ではないけれども、物価が上がるという事実を認めておる以上は、それに対しての手直しというものをときどき政策的に行なっていく、これは事実現に行なわれていると思います。ただ、それが指数によって自動化するというようなことになれば、これはもういわゆる悪循環を自認することになる、こういういまの議論も出てきておるわけでありますが、一方において完全雇用下において、生産者としての立場から相当の収入が入っている経済であることは事実でありますけれども、御指摘のようにいわゆる年金所得者、こういうものについては、やはり物価高というものが非常につらいわけでございますから、われわれとしても極力これを押えてまいらなければいかぬ、そして最小限そういう場合においての手直しというものは現在も行なわれているのですが、それはやはり現在のような方向において行なわれていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。
○横川正市君 大蔵大臣の意気——意気はきわめてわれわれ同感するところなんです。しかし現実はという点で、最近たとえば郵便年金の募集停止という事実をつくり上げ、実施されておるわけです。それは相当長期にわたって企業経営してきたことなんですが、物価の上昇に従って、募集目的である年金の保障額というものが、これがそのときの物価と関連して保障することができない、いわゆる説明ができなくなったということで、郵便年金はいま募集を停止をいたしておるわけであります。それから保険の関係の推移を見ておりますと、長期にわたっての保障を契約の中に入れることは、これはどうもやはり現実にマッチしないのじゃないかと。だから短期ですね、たとえば一カ月とかあるいは三カ月とか、六カ月とか、あるいは一年とかというような損害保険的な、傷害保険的な、災害保険的な保険制度に変える必要があるんではないか。そういうふうに、貨幣価値の見るべき安定度というものがないところに、実は現実そういう変化を来たしてきているわけなんです。ですから私は、願わくば、これは物価の安定であって、貨幣価値の安定であって、そういうような制度その他を改正するということではないんだけれども、実際にはやはりその見込みということで、期待ができない。結果的にそういうふうな制度とかあるいは募集停止ということになってきている。そういう事実を踏まえた上で、たとえばこれは三年とか、五年とかというような年月を終えてのその時期に調査された物価に、これらの年金とか保険とかというものは補正されていく、それにスライドしていく、こういうことを制度的にとらなければ、既存の契約その他というものは有名無実になってしまうんじゃないかというふうに思うわけです。これは一つの約款、いわゆる契約の中に入れる必要があるんではないか。同時にこれは、物価が下がって貨幣価値が安定し、逐次その契約の状態が変わってきたときに、逆な意味もこのとき付加しておく必要があるんではないかというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は物価が上がるという現実を否定しているんじゃないんです。物価問題に対する対策、これは物価戦争ともいわれるくらいむずかしい、激しい内容のものであります。その際に、いわゆるスライド制というような制度的な考え方を取り入れるということは、私は、この物価戦争という戦争に対して敗北主義だと、こういうことを申し上げておるんです。ですから、現実にいろいろな動きがある、これは否定するものじゃありません。それに対してはそれぞれ対策を講じなきゃならぬ。ことに保険というような問題につきましては、かなりいろいろとこまかい配慮を加えなければならぬというふうに考えておりますが、私は、もうあきらめ感を持ってその上に立って制度をつくるという考え方はいかがなものでありましょうかと、こういうことなんです。
○羽生三七君 それで、大蔵大臣の言う敗北主義ではないかと、それはわかる、気持ちはわかりますよ。敗北主義ではないためには、徹底的に物価抑制あるいはインフレ的な傾向に立ち向かわなければいかぬわけですね。それは全く小手先の感じですね、率直に私たちは申し上げて。したがって、年金受給者とかあるいは保険加入者は必ず損害をこうむる。それはいなかへ行っていわゆる一般の人たちと会ってごらんなさい。これは将来どうなりますかと、みな言いますよ。だから私は、そういう人たちの気持ちを代表して質問申し上げておるわけです。そこで、昭和四十年を一〇〇とする消費者物価指数は四十四年で一二一・六と、こうなっておるわけですね。当然、私は今日まで物価の高騰に応じて通貨価値が下がってきたと思うが、この十年間にどれだけ物価が上がり、したがって、それが貨幣価値の下落を意味するわけですが、その十年間の資料を要求しておきましたからお示しください。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私、ちょっとうかつでしたが、御注文どおりのあれになるかどうかちょっとはっきりわかりませんが、三十五年から四十四年までの間の上昇率が消費者物価で七O・四です。ですから、これを年平均にいたしますと、五・五と、こういうことになっております。
○足鹿覺君 関連。物価と年金等の関係について関連してお尋ねをいたしますが、ただいま大蔵大臣は、スライドをしていくということは世界的に認められておっても、自分としてはそういう敗北主義はとらないのだと、こういうなかなか意気盛んな御答弁をいただいたわけです。その気持ちはある程度わからぬではありませんが、二つの点について、その気持ちについて伺いたいのです。 一つは、むしろスライド制を制度化しておくことによって、年金が上がっていく。そこで、これはたいへんなことになるという政府も腹ができますから、そこで、物価をこれは押えなければならぬ、こういう必死の努力がそこから生まれてくるのではないか、こういう考え方のほうが妥当ではないですか。大体、国家公務員共済に対しては、五%以上物価が上がった場合にはこれをスライドをすることができると、こういう規定が一方にあり、また軍人恩給については、先般の答申によって相当大幅の引き上げが行なわれ、今国会にも二百数十億の新財源が要求されておる。ところが、私学共済あるいは農民年金等々は、スライドすることができるという規定すら設けられておらないのが実情であります。もしほんとうに物価があなた方の努力によって着実に少しずつでも下がっていくと、こういう実績がいまここで示されておるならば、それは大蔵大臣の意気盛んな、敗北論であるというおことばを私どもは受けますけれども、現実にその効果があがっておらないのに大臣が力まれても、ちょっと私どもの共感を呼ぶということにはならぬと私は思うのであります。それを制度化して、そして背水の陣をしいて、政府はこの物価の抑制に備えていく、そして乏しい年金生活者等の問題をまず処理するとともに、一般の物価対策を真剣に講ずる、こういうことのほうが私は正しいのではないか、かように思いますので、おことばを返すようでありますけれども、考えていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はどうも、物価が毎年毎年物価の上昇に応じて毎年毎年各種年金が調整される、それがレールに乗っちゃうということになるというと、これはむしろ物価問題に対する安易感というものが出てくるんじゃないか、そういうふうに思います。これはまあ見解の相違ですが、私はそう思います。そうじゃなくて、とにかく物価は下げなきゃならぬと、しかし、下げなきゃならぬが、実際に下げ得なかったという際にその対策をどうするかということを着実に考えるというほうが、物価問題に取り組む姿勢として私は正しい行き方ではあるまいか、そういうことを申し上げておるわけであります。
○鈴木強君 関連。大蔵大臣、これは非常に大事なところですから、見解の相違ということでなくて、もう少し詰めて考えてほしいんですよ。それは経済が安定している場合はいいですけど、この十年間非常に高度に成長してきておりますから、毎年年率五%程度も物価が上がってくるというようなことになると、十年たてばもう五割ですね、簡単に計算しても。だからして、そういう中で好むと好まざるとにかかわらず、政府が幾ら物価を安定しようと、三%にしようとか、まあ、いろいろいままで努力はされておるんですけれども、残念ながらそうはいっていない。そこでスライド的なものが一部に導入されてきたと思うんですね。だから私は、もし大蔵大臣が、そういうことは敗北主義だとおっしゃるなら、これから、たまたま新経済社会発展計画が出てまいりました。これは四・四%ですね、年平均。で、五十年には三・八%にするというわけですから、それではこの新経済社会発展計画を受けて、政府が具体的に実行計画を立ててこれはだいじょうぶですと、絶対物価は下げますという、そういう国民が納得できるだけの具体的な政策が生まれてきて、それでなおかつスライド制をとるというのであるならば、これは、君たちの言うことは敗北主義だと言われても私たちはやむを得ませんけれども、十年間のこの経験に徴して、いま羽生先生もおっしゃっているように、案際に御家庭の奥さんが一生懸命苦しい中から貯金をしてたんすの中へ入れておっても、その物価どろぼうというものはどっかから入ってきて、貨幣の価値を毎年毎年下がらして、十年前の一万円のものが五千円になってしまうという、そういう切実感を持っておるわけです。だから、この物価どろぼうというものは何としても退治してもらいたいというのが実際の国民の願いだと思いますよ。だからして、そういう物価安定が願いなんです、大臣がおっしゃるように。それが、だいじょうぶだと、五年後には、六年後には三・八%にしますと、こういうはっきりしたものが出てくればいい。幸い、四月一日の物価安定政策会議からも提言があります。これは詳細に出ております。それといまの新経済社会発展計画と突き合わせて、そうして五年間の、六年先の物価はこうなるということを示してください、ここで。そうすれば、われわれはそれでもおまえらが言うのは敗北主義だと、スライド制をとるのは。私は引き下がりますよ。そうじゃないと思う。だからしてその政策を、いま言ってすぐというわけにはいかぬでしょうが、自信のあるところを、御両者おられるのだから、そこで相談してもいいですから、そういうことがなきゃ私は絶対下がりませんよ。これは見解の相違で片づけられては困ると思います。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく今度政府では新経済社会発展計画、これを見つめながら物価問題、これを中心に最善に努力をしてみようというのです。そういう際でありまするので、もう物価はずっと上がるのだということを前提にして制度的なものをつくること、これは私はいかがであろうか、こういうことを申し上げておるわけなんです。しかし、私は現実に、その努力にもかかわらず、物価は高度成長下においては上昇することは避け得られないと思います。その速度はゆるむにいたしましても、この上昇自体はこれはあるだろうと思う。その上昇の状況に応じまして、この物価のいろいろな手当て、特に年金等に対する手当て、こういうものは考えなきゃならぬ、それは適宜適切に考えるということを申し上げているわけです。
○岡三郎君 関連。私は端的に言って、敗北論とかいろいろなことを言いますが、とにかく実質的に恩給、年金生活者が現実に悲鳴をあげてきている。これを救済するといって実効は上がってないのですよ、問題は。それで政府のほうの経済政策そのものが、これだけ経済を成長させるんだということが一ぺんもその限度というものを守ったためしがない。実質経済成長というものが予定よりもどんどんきているわけです。ですから、私はその経済成長というものに対して、予定よりも行き過ぎたら、ほんとうにそこを修正して、物価というものを経済企画庁が言っているようにきちっとそれを次は押える、ことしは失敗したけれども、来年については必ずこの政策的なものについては政府が実行する、それが予定以上に物価が上がった場合については政府の責任をとる、物価政策において政治責任というものを国民に対してとる。いまの成長政策は産業中心ですからね。国民全体に対するところの人間尊重とかいろいろなことを言っているけれども、その修正というものについて、高度経済成長ということに対して成長度合いをゆるめる、ことしは、国の責任において、そうしてとにかく物価というものを中心にして経済成長も考えていくし、国民生活も考えていくというふうに、国民が信頼するような方向への政治の姿勢というものをつくってもらわないというと、ここまでは物価は上がりますけれども、これはだいじょうぶですと言っておきながら、成長度合いは膨大になった、次の政策についてはそれはまた変わってこない、基本的にですね。だから私はそういう点について具体的に、いまのままでいけば弱い者が泣いてしまう。もう十年近くひなたに当たっている者は当たりっぱなし、日陰におる者は日陰におりっぱなしということについて、基本的にやっぱりそういう面について国民に対する信頼される経済政策というものを確立してもらいたい。それを、これから新しい政策をつくるんだからまた待て、これは酷じゃないですか、大蔵大臣。だから敗北論と言う前に、政府が策定したその計画というものを誠心誠意その方向できちっとする、できなかったときには次の年においては必ずそこへいくという信頼感というものが政治の根幹にない限り、これはあなた、そのときのそのときの適当なごまかしというふうになってしまうのではないですか。だからわれわれはスライド制というものについて賛成はしないけれども、いまの状態のままでいくならばスライド制をやって国民生活の一般を、大きな責任としてこれを守っていくということにならざるを得ないのじゃないかというところに私は国民の願いがあると思うのであります。だから政策全体の中において政府は国民に対して責任を持つ、経済成長もさせるけれども国民に対して物価の問題を中心にして成長政策も見る、国民のそういった面についても見る、これが間違っていたのだから、見通しの間違いということは政府の責任だから、来年間違ったら政府は責任をとりますと言うぐらいの大胆にして、国民に対する訴えというものを持たない限り信頼が私は薄れていくばかりじゃなくして、全体として日陰になっている者は救われない、社会問題に来ているのじゃないかと私は思うのです。この点どうなんですか、敗北論ではないのですよ、これは経済企画庁も腹据えて答えてもらいたいと思う、責任をもって。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、物価問題につきましては総理ももう力説をされておるし、私も財政演説で申し上げておる、七〇年代の最大の課題はこれは物価の問題だと、つまり量的成長、これもだいじです、だいじだけれども、物価の問題、成長の質的側面、これがだいじだということを申し上げておるわけなんです。そういう見地に立ちまして新しい経済社会発展計画、これでその方向を策定をいたしておる、これをにらみながら政府の諸政策をやっていこうと、こういう体制でございます。非常に物価問題というものはいろいろな要素がある、まあ日本国内の要因ばかりじゃない、国際的な要素、そういうものもあります。そういう中において何とかひとつ物価は皆さんに御安心願う方向にやっていかなければならぬ、こういう努力をしようという決意をいたしておりますので、どうかひとつわれわれの努力の行くえというものをひとつ見守っていただきたい、かように思っております。
○岡三郎君 来年責任をとるかというのです。そうなったときに責任も何もとらなかったらだめですよ。私の言っているのは責任論ですよ。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま、要するに、物価についてわれわれとしても一生懸命これをやろうとしているわけですから、これについてできるだけ明確な目標をもってそして対処していきたい、こういうことでやる以外にはないと思います。
○岡三郎君 何年もやってきたのだから。
○国務大臣(佐藤一郎君) これについては、私は率直に申しまして、今度新しい計画を立てますときに、先ほどお話ししましたように、やはり一面において阻害要因も発生してきておる、ですからこれ、プラス、マイナスいろいろな要因が出てきています。そうしたことを頭に置いて今度の六カ年計画というものをやって臨まなければならない、こういうふうに考えているのです。そういう意味では前の計画よりも数量的に見ると歯切れが悪いじゃないかというさっきの話が出たのもそういう点があると思います。いずれにしても、しかし四・四%という目標に向かいましてそしてこれの実現に努力をすると、こうただいまとしては申し上げる以外にはありません。 なお、もちろんその過程におきまして、いましばしば触れておられます年金所得者等については、政府としても相当努力をしてときどき手直しを行なっておる、こういう実情であります。 それから、いまの数字でありますが、十五年間で八八・五です、これは暦年です。二十八年から四十四年までで八八・五、それから三十三年から四十四年までで七三・八、これはちょっとさっきの数字と取り方が……。
○羽生三七君 何に対して七三・八。
○国務大臣(佐藤一郎君) 三十三年から四十四年の間に七三・八上昇したとこういうわけです。十五年で八八・五。
○岡三郎君 私が聞いているのは大蔵大臣、経済企画庁長官よ、責任をとるのかとらぬのかと言っているのですよ。毎年同じことを言ってそれでごまかしてきているから、今度新しくやるのだからできなかったら責任をとると、それだけはっきり国民に誓いなさいよ、無責任論だよ。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、物価問題について政府が目標を立てておるのでありますからして、そういう目標に向かってあらゆる努力をすると、そうして一般の審判におきまして、どうもこれはだめだということになれば、これは政府全体の責任でございます。われわれとしてはできるだけ努力をして、一般の評価に値するだけのひとつ政策の実現につとめてまいりたい、こういうふうに考えています。
○羽生三七君 先ほどの資料要求に対して、いまお答えのような十五年間に貨幣価値の減価、物価上昇があったわけですね。そこで、FINBの調査によりますと、日本の通貨価値は主要先進国に比べればどれくらい減っておるか。一九五八年を一〇〇とする貨幣価値で見ると、一九六八年、十年間に日本は六二%減価しております。これは、ほぼいまの政府のあれと一致しております。それから、他の主要先進国ではアメリカが八三、西ドイツ八〇、イギリス七四、イタリア七二、フランス六九、こうなっております。それですから、ほぼこの十年間で言いますと統計でも明らかなように、日本の貨幣価値は、欧米と比べて減価の率としては最高であり、貨幣価値としては最低となっておると思います。 それから、そういうことからいって、当面の物価対策の重要性、緊急性は言うまでもないけれども、たとえば借金をすればインフレもまた楽しという、こういう処世術、処世訓、これが堂々と雑誌、活字に出ておるわけですね。こういうような事態、非常に私は重要だと思う。それは、ここで大臣がお考えになっておるような、実際、実世間の受け取り方はそんなものじゃありません。したがって、先ほど来お話になったように、こちらから関連質問もありましたが、自己資本はわずかで、ばく大な借金で会社を運営しておるような企業にとっては、インフレはまた楽しなんですよ。ところが、先ほど来申し上げたように、わずかな貯金しか持っておらない、それでマイホームの夢を託しておった、それに。ところが、それが減価してしまっていよいよ建てようと思うころには、大した価値がなくなるという人たちにとっては、これは非常に重要なことではないかと思う。ですから、これから一生懸命やるといえばそれはそれでかまいませんが、これは毎年同じことを繰り返しておるからいまのような関連質問が出るわけです。これはあとから漸次承っていきますが、そういうことが、私は先ほど申し上げるように非常に重要だと思う。 なおこれと関連して特に申し上げたいことは、物価の高騰の原因はいろいろあると思うが、その中で一つ、木村委員が先日総需要の問題をあげられました。それとともに、私はこの総需要を裏づける通貨の供給が大きな関連性を持っているんじゃないかと思う。もちろん成長通貨ということもあります。だから私は、一がいに経済が成長するのに貨幣の供給量が多くなっちゃいかぬなんという、そんなやぼを言うわけじゃありません。しかし、従来は物価というものが、あるいはインフレ問題は実物的な側面だけで見られてきた。だからその面が強調されてきたのですが、貨幣要因があまりに軽視されてきたのではないかと思う。これは私のしろうと論議かもしれませんが、この点についてのひとつお考えをお聞きかせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 通貨に経済情勢が非常に敏感に反映されると私は思います。ちょうど人の体の脈みたいなものだと、こういうふうに思うんです。しかし、脈が一体どうして高くなるのかという原因ですね。それとこの脈の問題はもう密接不可分の関係にある、こういうふうに思います。私は、通貨はその人体、その経済の健全、不健全、経済の動向というものを見詰める上におきまして、非常に重要な指標だというふうに考えておりますが、その根源に何があるのだということを同時に解析する、それが非常に必要であると、こういうふうに考えています。 それで大きく申し上げますと、つまり経済活動の結果がここへ出てきているのだ。それでありまするから、通貨だけを——根源を見詰めないで、そのよってあらわれてきた脈拍の現象だけを見詰めて、通貨を詰めるとかあるいは通貨をふやすとかいうようなことですね。これを問題の分析とすると、対処策とすると、逆になるような形になるんじゃあるまいかと、こういうふうに考えております。 最近は通貨の増勢がちょっと心配されるんです。去年のいまごろは、おそらくその前の年に比べまして一五、六%ぐらいの増勢であったと思う。最近の状態は去年のいまごろに比べまして二〇%近い増勢を示しておるんです。この変化がどの時点であらわれてきたかというと、昨年の夏のころから出てきておるわけでありまして、つまり昨年のボーナス期です。あれが一つの境になってきておる。あの時期に百貨店の売り上げなんかもふえる、また、通貨の増発も行なわれる。つまりあのときのボーナスの支払い、これが非常に多額なものであったという影響があろうかというふうに思います。しかし通貨がそういうふうな状態にあるということは、これは健全な状態ではないというふうに考えまして、何とかこれをまたもう少し低い増勢に持っていきたいというふうに考えておりますが、根源は通貨自体にあるんじゃなくって、よってその通貨の増勢をもたらした諸要因にある、こういうふうに考えまして、いろんな施策をとりたいと思っております。
○羽生三七君 経済の成長と通貨の関係がどっちが先か、鶏と卵のようなことになると思うけれども、この場合、私たちは実際にいろいろな資料から判断するよりしょうがないのですが、それでいくと、たとえば四十四年十一月の、これは調査月報、これを見ると、通貨の変動があると、一あるいは二・四半期程度おくれてこのGNPあるいは物価に影響が起こってくる。年率二割をこえる通貨の増勢があると、多くの場合、一あるいは二・四半期おくれて年率二割前後のGNPが増加し、または物価の上昇が起こってくる。こういうことが調査月報に出ておるわけです、調べてみて。 それから、四十四年の通貨残高を、これ、四半期ごとに四十三年と比べた場合、そうすると、第一・四半期が一四・四%、第二・四半期が一六・二%、第三・四半期が一九・六%、第四・四半期が二〇・六%、これはずっと金融引き締め後も増勢を続けておるわけですね。これは現在の物価上昇、経済の根強い拡大と私は無縁ではないと思う、資料から見る限りはですね。これはどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりだと思います。
○羽生三七君 そこで、この一月の物価安定政策会議でも、「財政金融と物価について」という問題の中で、通貨供給の適正化を物価対策の一つとして、これ、取り上げておりますね。政府の考える通貨の適正量というものは、どの程度を考えるのか。これは本来、きょう実は日銀総裁を呼んであったのです。ところが何か会議があって出張で、海外へですか、おられないようでありますので、総裁に聞くべきことを、これはどなたに承るべきですか。これは、適正通貨量の設定というものは非常にむずかしいと思いますが、しかし、ある程度の節度があってしかるべきだと思いますね、限界とか節度というものが。
○国務大臣(福田赳夫君) 適正通貨量というのは非常にむずかしいです。むずかしいですが、大体私どもは経済成長率を眺めながらそれとあまり乖離するという状態、これをどうするかということを考える次第でございます。
○委員長(堀本宜実君) 羽生君の質疑の途中でありますが、午後四時三十分まで休憩をいたします。 午後四時十分休憩 —————・————— 午後四時三十六分開会
○委員長(堀本宜実君) 予算委員会を再開いたします。 羽生君の質疑を続けます。羽生君。
○羽生三七君 先ほど木村委員の触れた物価安定政策会議の提言の問題に戻るのでありますが、これは大いに聞くべきものがあります、この提言には。しかし、その対象が、いずれも中小零細企業や農業部門と、弱い部面になっておる。電力とかガスとか私鉄運賃とか、こういう大企業関係は全然除外されておる。だから、政府がもし検討するならば、たとえ提言の中にそういうものは含まれておらないとしても、政府みずからのイニシアティブで同時に検討すべきものだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 提言は一つのやはり参考でありまして、われわれはわれわれとしてまた別に必要なものを対策を組まにゃいかぬと思います。そういう意味では、お説のとおりであります。
○羽生三七君 それからもう一つ、これは企画庁長官が先ほど経済関係の閣僚会議で検討すると言われましたが、私はそんなことで済むようななまやさしいものじゃないと思っております。これは、各省からものすごい抵抗が起こると思う。それで、これは、総理を中心にして徹底的な対策を講じなければ、そんな安易なことで実行できるようなものではない。きょうは総括質問じゃないから総理がおられませんけれども、これはぜひ蔵相からも企画庁長官からもお伝えをいただきたい。それだけの決意がなければ、徹底的な抵抗に出会います。しかし、それを、単に提言に終わらせることなく、ぜひ合理的な意味で実りあるものにしていただきたい。 それからもう一つは、行政管理庁長官にお伺いしたいのですが、この八日の定例会議で、長官がちょうど参議院の本会議に来ておられた留守だそうでありますが、そのときに、この物価安定政策会議の提言を検討した結果、行政面からもこの提言を実施すべきだとして、政府に意見書を提出するということを他の委員——長官を除く他の委員でおきめになったというふうに伝えられております。どの程度までこれは確報かわかりませんが、確報であるとないとにかかわらず、私はこれは正しいと思います。やはり行政面からもあるべき姿を独自の立場で検討されてはいかがかと長官が御不在の際にきめられた他の委員の考え方に対して、長官としてはどうお考えになるか、承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 四月八日は行政監理委員会の日でございますが、私もおりませんし、伝えられるところの行政介入と物価についての課題に関連しましては、一部の委員からその御意見が出まして、事務当局で検討してみてくれという注文であったということでございまして、事務当局も受けたばかりでございまして、何ら結論は出ておりません。
○羽生三七君 結論は出ておらないが、長官としては、個人としてどういう御感想をお持ちでありましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 関心をもって対処したいと思います。
○羽生三七君 そこで、これも先ほど木村委員がちょっと触れられましたが、今度の提言は、本来介入すべからざるものに介入したという一面を指摘しておるわけですね。ところが、私は、介入すべきものに介入しなかった点も相当あると思う。それを私先ほどから申し上げてるわけですね。特に、先ほど来問題になったように、たとえば物価を見通しどおりにおさめるという場合に、その一例として、公共料金については、ある一定期間確実にこれを抑制するという方針がなければ、極力ということでは、いままでと全然変わらないと思う。ですから、たとえばこういう問題にはほとんど——若干の介入というか、タッチされたことはあるが、あまりにもむしろそれが足りなかった。むしろ介入すべからざるところに介入した点はたくさん指摘されております。この点を企画庁長官にお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、この公共料金を一定期間押えると、こういう提言がときどきあるのです。三十九年でしたか、一ぺんやりまして、このときは必ずしも成功しなかった。逆にあとで上がったようなことにもなりまして、この物価の全体の趨勢にもよると思うのですけれども、一切がっさいある期間やめるという方法がいいのか、やはりもっといまの実情に即して、それぞれのまた料金の事情というものが実際あります。そういうものをよく検討しまして、もっと計画的に考えるほうがいいのか、少なくとも一定期間は上げないというようなことでもって現在やってるものもずいぶんありますから、そういう形でもって、極力上げないというと、非常に幅は広くなりますけれども、もちろんその意味は、安易な態度は一切やめるという気持ちであるわけですから、三年間なり四年間は今後上げないとか、いろいろとそうしたやはり方法が私はいいんじゃないかというふうに思っています。まあ、一律にやるということにはやはり無理がある場合も起こってくると思うのです。そういう意味で、御意見としてよく承っておきたいと思います。 それから、この介入の問題は、介入すべからざるものの介入と、それからすべきであったのに介入しなかったと、こういうことであります。これは具体的な問題について拾ってみなければ結論は出ないと思いますが、何分にも、前提として、いま大部分の物価には御存じのように介入ができない状況でございます。それだけに、私も、今度の提言については、介入をすっかりはずしさえすればいいと、それがはたして本筋かどうか、ここいらやはり今度の内容をよく見て結論を出していきたいと、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 誤解のないように申し上げておきますが、私、何もかにも介入してはいかぬというのじゃないのです。あまりにも今度の提言が零細企業や農業に片寄り過ぎて、大企業は野放しになってるんじゃないかということを中心に申し上げたわけです。誤解のないように。 それから、特に、これは古いこと申し上げて恐縮ですが、池田内閣当時、物価問題がやかましくなったときに、私、管理価格、独占価格、これを抑制すべきだという提言をしたことがあります。そのときに、当時の福田通産大臣——福田一さんですね。それが、翌日すぐ、大企業が生産性の向上で得た利益の一部を消費者に還元すべき、卸売り価格を引き下げるべきであるという談話を発表した。こんなことで物価がどうなるわけじゃないけれども、質問するほうの側からいえば、受け答えがちゃんとあるわけですよ。ですから、私は、こういう問題についても、やはり公取まかせでなしに、関係者が積極的な取り組みをしてもらいたい。この機会に要望をいたしておきます。これは御答弁は要りません。 そこで、通産大臣がお急ぎのようでありますので、時間もありませんから簡単にお伺いいたしますが、新聞報道によりますというと、この国際開発委員会、一九七五年までに先進国はGNPの一%を発展途上国に援助すること、また同じく一九七五年あるいはおそくも八十年までに政府開発援助をGNPの〇・七%までに達成すべきだという勧告をしておるようであります。これに対して宮澤通産大臣が近く、来月ですね。OECDの閣僚会議に出向かれて、ほぼその線に沿いたいような意向を明らかにされるという報道も一部にあるのですが、それは誤報なのか、あるいは——いや、おいでにならなければならなくてもいいんですね。考え方を承ればそれでいいんです。GNPの一%と、それから政府開発援助の〇・七%、GNPの。
○国務大臣(宮澤喜一君) OECDの会議が、ただいま外務大臣に伺いますと、あるそうでございますが、私自身については、そういうことを聞いておりません。それで、この点は前からUNCTADの、もう羽生委員よく御承知でございますが、問題になっておりまして、国民所得の一%ということは、これは実際上了解されておると思うのでございますが、その後に国民総生産という話になりまして、これについては、まあ、わが国として固くコミットしたということはないのだと思います。努力目標としていろいろ議論になっておるということは存じております。 それから、しかも、今度はその援助の中身が七〇%は政府ベースであるということになりますと、これはもっともっともう一つ、現状から見ますとむずかしい、日限を切られますとむずかしいことになると思います。ただ、ただいまのわが国の援助のふえ方から申しますと、実額はもう実にりっぱにふえていっておりますので、ただGNPの伸びがそれよりもはるかに大きいので、パーセンテージにしますと、ちょっと見ばえが悪いということになりますけれども、伸びで申しましたら、つまり実額で申しましたら、私は、恥ずかしいことはない。この勢いでまた伸びていくと思います。その中でむずかしいのは、政府分の七割とか七割五分とかという、ピアソン報告に言いますようなところは、私は、なかなかむずかしいのではないかと思っております。
○羽生三七君 外務大臣は、この問題はどういうふうにお考えでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) いま宮澤通産大臣から申しましたのと、大体同じような考え方でございます。御承知のように、ピアソン報告につきましては、先進国と申しましょうか、相当の国々は、この国連の第二次開発十年の年ということに結びつけまして、積極的にすでに賛意を表したり、あるいは具体的な計画を示そうとしておるところもございまするので、なかなかわが国への期待も大きいわけでございます。で、ピアソン報告それ自体も、私は、なかなか示唆に富むよい報告だと思っております。 それから、これには、御承知のように、日本の大来君も参加しておる。私、ピアソン氏にもこの勧告の出ます前にも話し合う機会もありましたけれども、なかなか考え方はよろしいんじゃないかと思うんです。しかし、ただいま宮澤大臣からも指摘されましたように、問題は、政府の援助〇・七%というような点は、なかなかこれは大蔵大臣がここにおられるからというわけでは決してございませんけれども、これは日本としても、なかなかこれをいまのお話のとおり、時間を切っていついつまでに達成ということを言うだけのまだ実は用意は十分にないんじゃないか。この辺のところが、今後真剣に検討すべきところではないかと思います。 なお、そのほかに、援助の条件の緩和というようなことにつきましては、かねがね他の委員会でも申し上げておりますように、関係各省等の協力を求めまして、こうしたピアソン報告とかあるいはDACの勧奨とかいう線に沿うて考えるべきところを考えてまいりたいと、かように考えております。
○羽生三七君 今度は大蔵大臣にお伺いしたいんですが、なぜ、私が物価問題の際に突然にこの問題を持ち出したかと言いますと、外貨の適正量を設定する場合、つまり幾らという一応限定はしないと、そのかわり、外国の圧力があるないにかかわらず、他の手段でこれに対応すると、先ほどおっしゃったわけですね。その中に私は海外援助なんかも入っておると思うんです資本の関係も。そこで私はこれを承るわけですが、大蔵大臣としてはどの程度が現在の日本で海外——この発展途上国の援助に適正、適当とお考えになるか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまわが国の対外経済援助ですね、これはGNPに対しましては〇・七五なんです。それで、これをピアソン報告によりますと、七五年までに一%に引き上げるということになります。それから政府援助はどうかといいますと、その〇・七の中で約三割ぐらいが政府援助であり、七割が民間援助という内容になっております。その二つのことが問題になるわけですが、まあ何ですね、GNPの一%、七五年までというのは相当これはむずかしい問題じゃないかというふうに思うのです。アメリカあたりがいま〇・六五%です。アメリカにいたしましてもこれを一%に持っていくと、これはとても私はなかなかたいへんなことじゃないかというふうに考えますが、しかし、ピアソン報告のねらうところは、私どもはこれは協力はしていかなければならぬというふうに考えております。それから政府援助のほうはさらに私はむずかしいんじゃないかと思います。で、私諸外国とわが国とが事情が違います点は、わが国はまあ確かにGNPは高いわけです。しかし、蓄積ですね、これが非常に乏しいわけであります。その蓄積とGNPとが一緒になってわれわれの生活をささえると、こういうことでありまするから、その辺もこれは諸外国とよく話し合って理解を求めなければならぬ点かと思いますが、とにかく精神におきましては、できるだけ協力をする姿勢をとらなければならぬが、さあ七五年までにGNPの一%、それから八〇年までに政府援助を〇・七五だと、こういうことになりますると、かなり困難な問題であり、これから国民にもかなり御理解を得るように努力しないとできない問題じゃないかと、さように考えております。
○羽生三七君 時間がないので、この海外援助のあり方も、経済大国とか、最近ではもっときびしい批判もあるので、あり方そのものを私一度考えてみたいと思っておりますが、時間がありませんからこれは省略をいたします。 最後に一問だけ。繊維交渉の最近の状況をこの前外務大臣からは承りましたが、通産大臣に最も最近の状況をお聞きしたい。特におとついの新聞を見ると、このサーモンド上院議院が下田駐米大使を呼んで、沖繩返還は自民党を勝利に導くための配慮もあったと、日本政府は米国が納得するような態度をとれということを言っておるようですね。私がかりに駐米大使を呼んだら、駐米大使は来るでしょうか。そんなことはいいですがね。ですから、これは非常に不謹慎な話だと思う。それはともかく、そんなことがこの繊維交渉に影響を与えることはないと思いますけれども、従来の方針と基本的には変わりはないのかどうか、最も新しいいまの政府の考え方をお聞かせいただきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) すでに外務大臣がお話しなされたそうでございますので、それにつけ加えるべきことは両国間の関係においてはないわけでございます。三月の初旬でございましたか、われわれの考えを先方に示しまして、それについて先方から公式には何も話がないわけでございます。ただ、米国の通商法案等々の審議の関係もあって時期を急いでおるようでありまして、その間非公式には少しづついろいろ接触がある。まあなるべく早く円満に妥結したいというのが両国の考えでございますから、いろいろなサウンディングはあるようでございますけれども、またその間ケンドールという人もまいりましたが、はっきり実を結ぶような方向にそのサウンディングが動いているというわけではございません。日本側からしたがって何かを正式に申し入れる、あるいは話しかけるというようなこともないわけでございます。サーモンドという人の下田大使に話しましたこと、あるいは上院かで演説しましたことは私も聞きましたが、ああいうことをお話しになりますと、こういう問題を円満に解決するのに少しも役に立たないと私は思うのであります。この人はまあ昔からああいうことを言うお方で、いまさら驚きもいたしませんが、今回のようにアメリカという国を一つの国と考えるから間違いなので、アメリカというのは一つ一つの州が一国だとそう考えるべきであるというようなことを言われますと、これはもうガットどころの話ではないので、別にああいう発言がありましたからといって、私ども正直に申して少しも意に介していないというのが私のただいまの考えでございます。
○国務大臣(愛知揆一君) 日米間の繊維問題につきましては、その後も動きはございません。日本側といたしましては、たびたび申し上げておりますように、筋目をはずした無原則の妥協というようなことはすべきでないと私は考えておりますが、そして日本側の態度、考え方は三月六日の日本側から出しましたエードメモワールに詳細に日本側の考え方を書いておりますから、そのワク内で何らかの妙案があればこれはまあけっこうなことと思いますけれども、なかなか向こうとの話し合いは今日のところ見通しがなかなかつきにくい、こういう状態でございます。それからサーモンド議員との会談の件は、サーモンド議員が会見を希望して、便宜上院内の会館で下田大使と会談をいたしましたが、これは詳しく報告はきておりますが、大体新聞に伝わっているとおりでございます。下田大使としては、いま申しました日本側の基本的な考え方に基づいて大いに論戦論駁をいたしました。その会談のあとで手紙が届いたようでございまして、その手紙の中身も大体報道されているような状況でございます。私といたしましては、しかしこれは沖繩問題はもはや日米最高首脳部の間で決定をした問題でございます。これとはそもそもつながりのない、また種類の違う問題でございます。したがいまして、政府といたしましてはもう当然のことと考えますけれども、既定の考え方によりまして、日本の業界、たいへん幅の広い、数も多い方々でございますが、その御期待に沿うように私としてはこの上ともがんばってまいりたい、こういうふうに決意を固めている次第でございます。
○委員長(堀本宜実君) 以上で羽生君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後四時五十八分散会