予算委員会 第14号
- 発言数
- 281 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/04/03
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 まず、小野明君の質疑を行ないます。小野君。
○小野明君 外務大臣がまだお見えでございませんから、お見えになった時点で、日航機の問題についてはお尋ねいたしたいと思います。 最初に、社会保障の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 社会保障のわが国の水準というのは、国際的に見まして、きわめて低位にあることは、大蔵大臣もお認めであろうかと思います。これを社会保障給付の対国民所得比で見ますと、統計が少し古いのですけれども、出ておりませんので、六七年度にいたしますと、約六%である、きわめて低位にありますが、この原因と、それから、どう改善をされていこうとするのか、まず大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 小野さん御指摘のように、社会保障給付の水準は、わが国は他の先進諸国に比べると比較的低い水準であります。これはなぜかというと、一つは、わが国の社会保障体制というものが、実質的に言いますれば、戦後初めて取り組む課題になったといってもいいくらい戦前においては顧みられなかった、そういうことが一つと思います。それから、もう一つの問題は、わが国におきましては、敗戦から立ち上がるという過程におきまして、国民の負担をなるべく軽くしていきたいと、こういう考え方が一貫してとられてきておるわけであります。社会保障政策を充実するということになりますれば、どうしたって高負担という考え方をとらざるを得ないわけでございますが、それを避けまして、経済の成長発展、敗戦からの立ち上がりということに努力してきた、そういう二つ——いろいろありましょうが、二つの問題が指摘されると思います。 しかし、日本の経済もここまで来た、こういう段階になりますると、社会保障政策、これは考え直さなければならない時期に来ておると、こういうふうに考えておるのでありまして、いま企画庁が中心になって作業をしておる新経済社会発展計画、これにおきましては、いままでの趨勢では、社会保障費の増加、これは一八%をちょっとこえるというような状態でありましたが、今度の新しい六カ年、昭和五十年に至る六カ年におきましては、これを一九・六%ずつ伸ばそうと、こういう構想になっておる次第でありまして、これがそのまま実現されますれば、社会保障はかなり前進をするというふうに考えております。いまのGNPに対する比率、これが二%くらいは上がっていくのではあるまいか、そういうふうに展望いたしておるわけでありまして、そういう段階になりますると、大体アメリカの水準と並ぶか、あるいはこれを多少越すかというくらいになろうか、こういうふうに見ておるのであります。
○小野明君 取り組みがおそいということも一つの理由にあげられておるようであります。しかし、もう戦後二十五年にもなるわけでありまして、しかも、三十七年には社会保障制度審議会から勧告、答申も出されておる、こういった段階で、取り組みがおそかったなんということは、これは許されないことだと思います。まあ、新経済社会発展計画でいきますと一九・六%というお話でありまするけれども、過去五年間の社会保障の伸びを見ますときに、総体的な一四%程度のワクをきめて、それぞれ、社会福祉にせよ、あるいは生活保護にせよ、社会保険にせよ、機械的な伸びしか出しておらぬわけです。前年が二・三%であったからことしはまた二・三にしようということで、制度審議会の勧告があってもそれが無視されて、きわめて機械的な、しかも一番イージーなやり方でしか見てこなかった。そこで、やはりこの問題は長期計画的に国際水準に引き上げるという努力といいますか、そういった計画性が必要なんではないかと思うのであります。それが答申なり勧告の趣旨に沿うことであろうと思いますが、その点はいかがですか。これは大蔵大臣並びに厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 社会保障体制が非常に立ちおくれておる、これの取り戻しを急がなければならぬ、そういう考えでおるということはただいま申し上げたとおりでございますが、さあそれを、数字的なめどをどうするかということについては、ただいま申し上げたとおり、まあ大体、今日五・五%という国民所得に対する水準です。昨年は五・二%であったのですが、これを二%くらい引き上げよう、そのために年々の社会保障費一九・六%増ということを目標としよう、これが新経済社会発展計画でねらっておるところでございますが、さてその中身をどうするかというと、社会保障制度の最も大きな部分を占める医療制度につきまして、御承知のような医療制度の抜本改正という問題があるのです。この抜本改正というのが、言うはやすく実行はなかなかむずかしい問題でありまして、これらをどうするかということをにらみ合わせがなら中身はきめていかなきゃならぬ問題——いま大筋の路線は二%アップというので目標としてきめたいと思いますが、しかし、その中身につきましては、今後鋭意医療制度の問題等ともからめて見当つけていかなきゃならぬ問題である、さように考えております。
○国務大臣(内田常雄君) 社会保障水準の立ちおくれというような状況がわが国において数字的に見られることは小野委員のおっしゃるとおりでございますが、これはぜひひとつ、こういう点もあわせてお考えをいただきたいと思います。 それは、わが国の国民所得あるいは国民総生産の伸び率というものがここ十年間非常に高度でありましたために、振りかえ所得ないし社会保障給付の金額もふえてはいますけれども、国民所得のほうの伸びが非常に高いために、それに対する割合といたしましては、ここ数年間五%とか六%とかいう程度にとどまっておった、こういう形でございます。この点が欧米などとはかなり違うわけでありまして、今後は、いま大蔵大臣も申されましたように、所得水準全体の伸びがある程度安定してまいるのに対しまして、社会保障のほうは、今後は私どもの努力も集中をいたしますので、それに対する比率というものは急激に上がっていく勘定になっております。今度の経済社会発展計画の構想によりましても、経済成長のほうは、これは実質一〇・何%の伸び、あるいはこれ、名目にいたしましても一四%程度の伸びに対しまして、社会保障のほうの支出というものは、いまもお話がございましたように一九%をこえるというような伸び方になりますので、今後数年間の間にわが国の社会保障の国民所得に対する数字というものは、かなり上がってくるものと私どもは考えております。 それにもう一つ、これも大蔵大臣からお話がございましたように、社会保障の中で一番大きな要素を占めまする年金制度というものができましてからまだ十年そこそこでございまして、したがって、まだこれが成熟をしておらない。二万円年金というようなことを言いましても、現実にはその二万円が出されておりません。これは、だんだんこれから五年たち十年たちます間には、当然、年金が成熟をいたしてまいりますので、そういう関係におきましても、社会保障関係の支出の割合は相当伸びてまいるということをぜひ同時にお考えをいただきたいと思います。それにいたしましても、今後、私どもは成り行きまかせということでなしに、その伸びの中におきまして総合的計画的なプログラムをつくってまいりたいと思います。ことに、社会福祉関係の施設などにつきましては、これはやろうと思えば、私は総合計画ができるものだと思いますので、総合計画のできるものからまず手をつけまして、そして、いわゆる社会保障のおくれというようなものが十分伸展をいたしますように進めてまいりたいと考えておるものでございます。
○小野明君 大蔵大臣、医療制度の抜本改革というものがどう落ちつくか、これがおさまらないと、その展望がたたない。これはことしの夏におやりになるわけですね。そういうふうに御答弁になっておりますが、このほうは、かなりパーセンテージが高いわけですね。その他の面におきますと、社会福祉あるいは保健衛生にいたしましても非常に低い水準にある。特に社会福祉においては一番低い水準にあるわけです。で、一九・六%というような数字をお示しになりましても、それじゃ何年計画で国際水準になるんだと——医療保険の部門を除いて、その他の社会保険の面については何年計画でこの水準になるのかというめどが立たない。だから、医療制度の抜本改革と同時に、そのめどを立てるべく、いま厚生大臣の御答弁にあったようですけれども、やっぱり若干長期の計画を立てるべきではないのかと、こういう質問を申し上げておるのです。再度お尋ねいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 厚生大臣からもお話がありましたが、GNPに対する比率、そういう問題だけからとらえますと非常に誤解を招きやすいと思うのです。わが国はGNPが非常な勢いで伸びていくわけです。おそらく十年を待たずしてアメリカに次いで一人当たりにおきましてもGNP第二というような地位になると思うのですが、いま西欧諸国では、GNPに対する社会保障費の比率が比較的高いわけです。ところが、アメリカになりますると、これは低い、これは何かというと、GNPが非常に大きいからなんです。わが国はアメリカ的な体質というか、そういうふうな道をたどっておるわけでありまして、GNPが低い西欧先進国と同じような社会保障費の割合だということになりますと、これはもう非常な勢いでこれを伸ばさなければならぬということになる。そうすると、その財源を一体どうするのだと、こういうことになります。急激に国民に負担を求める、これもいかがかと思うわけです。そこでまあ、漸進的というと非常に消極的な響きを持ちますが、まず、財源の問題も配慮しながらいかなければならぬ問題である、そういうようなことで、新経済社会発展計画では平均の伸びを一九・六と、こういうところに置こうと、これはもうかなり高い伸び率になるわけでありますが、そのワク内におきまして個々の問題をどういうふうに処理するか、こういうことかと思うのでありますが、これは、一九・六%、平均の伸び率だといったら、たいへんな高さでございますが、そういう意気込みでこの問題に取り組んでいくという考え方をいたしておるわけであります。
○小野明君 GNPが高くなれば、それを国民にどう還元するかということを当然お考えになってもらわなければいかぬ問題ですね。で、一九・六%というのはかなりの高さであることはわかります。 それでは、その数字を示されたが、何年ぐらいで西欧水準、国際水準に追いつくのか。現行の率で伸ばしておれば、いつまでたっても六%、GNP比率で見ても五・二%、こういう数字を脱却できないのではないか。だから、計画性をもって、長期計画をもって、この際GNPが伸びておる、これに対して国際水準に追いつくように若干手厚く配慮をすべきではなかろうかと、こういうことを申し上げておるのです。
○国務大臣(福田赳夫君) まさにそのとおり考えているのです。新経済社会発展計画では、GNPの伸びが大体一四、五%になると思いますが、それに対して社会保障費の伸びを一九・六に持っていこうと、こういうのです。その結果どうなるかというと、いま五・五、昨年五・二という水準のものが、二%ぐらい引き上げになる。ですから、小野さんの御指摘されておるような方向でこの問題をとらえておると、かように御了承願います。
○小野明君 厚生大臣にお尋ねをいたしますが、年金部門が非常に悪い、確かにこれは社会福祉の面でこの年金部門ということをとらえなければならぬと思います。そこで、老人の問題が先般もあっておりましたが、大臣の御答弁は、医療保険、この問題だけについて対策をお述べになったのであります。しかし、これから老人というのが二割にも達しようかと、こういう数字が予測されるわけです。老人問題というのは医療保険だけではいかぬわけですね。その他いろいろ考えなければいかぬ。たとえば、所得保障をどうするか、あるいは福祉施設の充実、あるいは老人向きの公共住宅をどうするのだとか、あるいは平均寿命は延びておりますから、あらためて職場を考えて、労働というものを考えて働き場所を考えるとか、総合的な施策でなければいけないと思うのですが、そういった面を配慮いたしました老人対策というのをどのようにお考えであるか。
○国務大臣(内田常雄君) いま小野さんからも御指摘がありましたように、わが国の人口は、これから十年、十五年の間に急速に老人人口の割合が多くなってまいります。そういうことに対応いたしますためにも、老人対策というものは非常に重要な政治上の課題にもなることを私どもは予測いたしておりますので、単に医療対策ばかりじゃなしに、所得保障の面におきましても、あるいはまた、老人を収容する施設、あるいは住宅等の面におきましても、これらの事態に対応するだけの準備を進めてまいらなければならないと思います。そればかりではありません。ただ年とった人々の何か援護とか福祉対策ということだけでなしに、これから日本人の寿命もまだまだ延びる余地もあるわけでございますので、いわゆる老人という人々にほんとうに働きがい、生きがいを与えるような、そういうようなことも考えてまいらなければならない。さらにまた、労働需給の逼迫等の面に対応いたしますために、これまでと違って、お年寄りの方々でも働きたい意欲や能力のある人も多いわけでありますので、そういう就業あっせん等の面におきましても考慮をいたしまして、老人対策としての総合施策をぜひ私ども打ち出してまいりたい、こういうことを構想いたしまして、ことしじゅうには何か一つの老人総合対策を打ち出す仕組みをつくり出しまして、そうして訴えてまいりたいとも考えておるところでございます。
○小野明君 総合対策をお立てになるということですが、当面は、やはり福祉施設ですね。二十万あるいは四十万の老人がおる、この中でいま収容されておるのは六万八千七百七十七しかない。あるいは公共住宅にいたしましても二千七百七十七しかない。こういう貧弱な施策の状態ですから、これを当面急速に充実してまいる、こういうことを中心に考えられてはいかがでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) お説のとおり、人ホームとか、ことに寝たきり老人に対する特別養護老人ホームというようなものははなはだ充足率が低い状態にありますことは、私どもも遺憾にたえません。そればかりでなしに、さらに軽費老人ホームといったようなもの、さらにまた有料老人ホームでも私はぜひつくってまいりたい。それらのものも、たとえば年金積み立て金などの融資の面におきましてもさらに今後取り上げてまいりまして、そしてそういう施設の充実を考えなければならないということは、全く小野さんと私は同感でありますので、今年度における国の社会福祉施設の整備費の助成につきましても老人の施設に重点を置いて、この予算が成立いたしました後におきまして、直ちに配分計画を立ててまいる所存でございます。
○小野明君 厚生大臣、老人のとらえ方ですね。一体、制度上からいったら何歳からとらえるのか。たとえば、非常にむずかしい六十歳以上をとらえれば千百万、六十五歳以上をとらえれば七百三十万。しかも、年金の支給開始年齢から見ましても、六十割、六十五割、あるいは福祉年金七十割。一体、老人とはどの層から老人と言うのか、制度上の混乱がありますが、この点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(内田常雄君) それも御指摘のとおりでございまして、たとえば、老人福祉法というようなものを先年つくりました際も、老人とは何歳以上の方々をいう、という定義を実はことさら置いてございません。それは、必ずしも六十五歳以上の方が医療対策を必要とするわけでもございませんし、人により年齢により違いますので、それぞれの目的によりまして具体的にその年齢をあげまして施策の対象といたしているわけであります。これも御指摘がありましたように、厚生年金保険におきましては六十歳以上の方を年金の対象といたし、国民年金におきましては六十五歳、あるいはまた無拠出の福祉年金におきましては七十歳以上ということにいたしておりますが、これなどにつきましても、私は、ある種の老人福祉年金につきましては一律に七十歳とすべきではない、年齢をもう少し前に持ってきたほうがいいというようなことの課題もありますので、これらはやはり実態に応じまして、また制度の趣旨に応じまして年齢もきめてまいる、一律に何歳以上は老人だということにしないほうがよろしい面もあると考えるものでございます。
○委員長(堀本宜実君) 小野君の質疑の途中でありますが、午後一時再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。 午後零時六分休憩 —————・————— 午後一時十一分開会
○委員長(堀本宜実君) 午前に引き続き、小野明君の質疑を行ないます。
○小野明君 労働、運輸大臣が衆議院の関係があるようでございますから、若干質問の順序を変更いたしまして先にお尋ねをいたしたいと思います。 先般のハイヤー・タクシーの運賃の改定によって乗車拒否等もなくなってくると、こういう宣伝がなされておりました。そのとおりになるかと思っておりましたら、なかなかそうではない実情にあります。私もある運転手に聞いてみました。賃金部分が上がったかと、こう聞きますと、全然上がっておらぬ、むしろ運賃改定の前よりも悪くなっておるんだ、こういうずるいやり方が行なわれているようでありまして、おまけに処分がきびしくなってきておる。こういうことでまことに実情にそぐわない施策だ、こう言わざるを得ぬ。そこでハイタクの賃金体系というものは一体どういうふうになっておるのか、どういう特徴を持っておるのか、労働大臣にまずお尋ねをしたいと思うのです。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。 タクシー運転者の賃金制度は、その業務の性格上固定給制度だけの企業は少なくて、固定給と各種の歩合給との組み合わせでやっている企業が多いのであります。この歩合制の給与制度のうちで極端に刺激的な累進歩合制をとっておるところ等が運転者の過労の原因であり、また交通事故に結びついていく弊害が多いのでありますが、労働省におきましては、昭和四十二年以来、自動車運転者の労働時間等の改善基準に基づきまして監督指導を行なってきたところでありますが、その結果、事態がおおむね改善をいたしまして、昭和四十三年当時は累進歩合給制度をとっていた企業が全体の五三%であったのでありますが、昨年の七月には三%まで下がっており、現在ではほとんどなくなっておるというような状態で、その意味では非常に改善を見たわけでございますが、御指摘のとおり、なかなかこの問題につきましてはむずかしい問題でありまして、今後も重ねて改善を進めてまいりたいと考えております。
○小野明君 改善をされたとおっしゃいましたけれども、本質的にはオール歩合給という非常に過酷な、事故を起こさざるを得ぬような賃金形態が続いておる。しかも、拘束十八時間、実働十六時間という、労働条件に至ってもきわめてきびしいものがあると思うのです。そこで四十四年、昨年の十一月十二日に、これは労働省から通達等が出されおりますが、この内容の要点というのはどういうことでしょうか。
○国務大臣(野原正勝君) 御質問の御趣旨は、昨年十一月十二日、労働基準局長名で全国乗用自動車連合会に対しまして行なった申入れをさすものと考えておりますが、政府委員からかわってこまかく御説明申し上げたいと思います。
○政府委員(和田勝美君) お答え申し上げます。 昨年の十一月十二日に自動者運転者組合のほうの経営者側の方においでをいただきまして要望をいたしたのが、ただいま先生の御指摘のあったことだと思いますが、内容を簡単に申し上げますと、第一は、私どもが四十二年の二月九日に出しました自動車運転者の労働時間の改善基準というのがございますが、それを完全に実施するようにしてほしいということが第一点。それから特に労働時間については運行管理、労務管理の体制をなお一そう充実強化して、いやしくも違法な時間外、あるいは休日労働が行なわれないように措置をされたいということ。それから一勤務の労働時間の短縮をはかることについてさらに関係者で検討してもらいたいということ。それから定期給与のうち歩合給の割合はできるだけ少なくするように改善をしてもらいたいということ。次は欠勤等によって急激に所得が減少するような賃金制度を改めるようにしてもらいたいというようなこと。私どもが見ておりますと、どうもタクシー・ハイヤー業界における労使間の意思の疎通が十分でないような向きがありますので、労使間の自主的な交渉に待つべきことでありますが、もっと意思の疎通をはかるような措置を講じてもらいたい。 大体以上のようなことを内容とするものを業界に要望申し上げました。
○小野明君 同じく昨年の十一月二十一日に物価対策閣僚協議会でこのタクシー事業の体質改善、運賃の改定について決定があっておるわけであります。この要点について運輸大臣の御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) 昨年の十一月、閣僚協議会の決定がございましたことは御指摘のとおりでございまして、労働省の労働条件改善に関する通達、ないしはただいま労働大臣あるいは基準局長からお述べになりました点とあわせまして、この閣僚協議会で方針を立てたわけでございますが、それはおよそ労働条件の改善を指導すべき五つの項目にわたっておりまして、まず給与水準の引き上げ、累進歩合制の完全廃止、第三は保証給の部分を引き上げる、歩合給の部分を三割以内とする、こういうことにいたし、第四は労働時間の短縮、第五は日雇いの運転者の雇用を禁止する、こういう線を打ち出したような次第でございます。
○小野明君 おっしゃるとおりと思いますが、この五条件が満足しておれば、かなりこのハイヤー・タクシーの運転者の給与、労働条件というのはよくなっておらなければならぬ。同じくこの問題の決定については、関係各省庁が随時監査を行なってこの徹底をはかる、このように決定があっておりますが、この五条件はどのように実施をされておるとごらんになっておられるか。運輸大臣並びに労働大臣の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) ただいまの時点ではまだ出発早々でございまして、必ずしも末端において歩みが均一になっておらぬ面もあろうかと思うのでございます。そのために御案内のように、基準に適合した優良な業者には賃運の値上げを認め、あるいは条件が満たされておらないのには少し時間をおいて許可するというような方針をとったわけでございますが、まだ末端に若干不ぞろいな点があろうと思いますけれども、逐次その方向に向っておるように考えております。
○国務大臣(野原正勝君) ハイヤー・タクシー業における労働条件の改善につきましては、かねてから労働基準監督の重点として監督指導を行なっておるところでありますが、昨年の秋のタクシー業界に対する労働条件の改善対策を一段と推進するよう勧告するとともに、問題の多い六大都市、特に東京、大阪を中心として、反復して監督指導を実施をいたしました。かなりの改善を見たところでありますが、なお、さきのタクシー運賃改定にあたっては、関係閣僚協議会において、タクシー業の体質改善対策、なかんずく労働条件の改善対策を強力に推進すべきことが決定をされております。この趣旨にかんがみまして、今後とも運輸省との間に連絡を密にしまして、労働条件の改善指導を強力に推進してまいる所存でございますが、御指摘のとおり、まだ必ずしも十分に徹底していないと、これから大いに実績をあげてまいりたいということでございます。
○小野明君 運賃改定の認可にあたりましては、この条件を守るということを条件にして認可をすると、こういうふうにおっしゃったんですが、これは各社ごとに認定がやられるのか、包括的に業者協会というようなものについてやられるのか、総括的なものをやられるものですから、一向に各社ごとには徹底をしておらぬ、前よりまだ悪いと、こういう状況があるのではないかと思いますが、どのように見ておられますか。
○政府委員(黒住忠行君) 運賃の認可にあたりましては、今回は就業規則、賃金規程を各社ごとに全部提出しておるかどうかということを確認いたしまして、提出が終わりましたので認可をいたしました。さらに東京と大阪につきましては、実施の期日を指定いたします前に、提出いたしましたそれらの規則どおりに実際行なわれているかどうかということにつきまして、各営業所に当たりまして、労働省のほうで監査をしていただく、その結果六十二社六十八営業所につきましては十分でなかったわけでございますので、他の会社よりもおくれて実施日を指定いたしました。個々の会社につきまして労働関係等を監査いたしました結果に基づきまして、認可あるいは指定をいたした次第でございます。
○小野明君 なお、運輸大臣にこの閣僚協の決定というのは、大都市と書いてありますが、六大都市に限るものか、全国的にこれを押し及ぼすべきものかどうか、その点を一点お尋ねしておきます。
○国務大臣(井出一太郎君) とりあえずは大都市に適用して発足せしめておりますが、逐次この方針のもとに地方都市にも押し及ぼしたいと、かように考えております。
○小野明君 いま御説明によりますと、各社ごとというような御説明がありましたが、実は非常なからくりがこの中には入っておる。たとえば閣僚協ですと、固定給七、歩合給三と、こういうふうになっておりますね。それで、これはきちっと守るというのはなかなかむずかしいと思いますが、固定給部分を若干上げるけれども、今度は歩合給について、いままで四五%あったものを四〇%にするとか、そういうからくりを内容でやりますと、非常に実質手取りというものは下がってくる。たとえば歩合給は十万円をこえた分について払うと、こういったものを十二万円をこえなければ払わぬと、こういうことになっておりまして、非常に業者の間で操作が行なわれておるんではないかと思いますが、この点はどうごらんになっておるか、お尋ねしておきます。
○政府委員(黒住忠行君) 従来平均的に見ますと、固定給部分が六割で歩合給部分が四割でございます。これを七対三の割合のほうに持っていくという指導をしておるわけでございます。先ほど申し上げました就業規則その他につきましては、これは二九通達その他を順守したものでなくちゃならないということでございますが、固定給を上げる、相対的に歩合給を下げていくという面につきましては、今後その方向につきまして労働省と運輸省と指導をして、内容的にも充実さしていくというふうに考えております。
○小野明君 いま申し上げたような歩合給、固定給の割合は守るけれども、今度は水揚げとの比率においてからくりをやる、実質的には給与が下がると、こういうふうなことをやらせないように、監査を改定の際の認可とか、これはもう条件で改定してしまっておるのですが、さらに監督をきびしくしていただきたいと思うんですが、御見解をお尋ねしておきます。
○国務大臣(井出一太郎君) そのような抜け道があってはいけませんから、十分に気をつけて監督をいたしたいと思います。
○小野明君 それから先ほど大都市に対する決定というのは逐次全国的に押し及ぼしていくべきものだと、こういうふうに言われておりますけれども、ある陸運局によりましては、利用者の還元はいまから考えるんだ、それから運賃改定は業者の経営内容が苦しいから上げたんでというようなことを堂々と労働者との交渉の中で言う。一向にこの労働者の労働条件や賃金は配慮が払われていないというような意図が見えるところがございます。こういった点は厳にひとつきびしく是正をしていただくようにお願いをいたしたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(井出一太郎君) 閣僚協の決定は一番優先的に労働条件を引き上げるということが内容をなしておるものでございますから、いまおっしゃいますようなことはあり得てはいけないことでありまして、監督官庁が業界と癒着をしておるといったようなことではたいへんでありますから、この辺は十分に監督を厳にいたす所存でございます。
○小野明君 それでは次の問題に移りたいと思いますが、経済企画庁長官にお尋ねいたします。簡単な問題ですから。 先般の総括の質問の際に、具体的に北九州小倉の紫川と、こういうふうにあげてお尋ねをいたしましたが、数値の点で若干問題がありまして、満足できる御答弁がありませんでした。その後さらに現地で調査をいたしますというと、下流の井戸水が全部カドミウムで汚染をされておる。その井戸水は約三百五十戸ばかりが使っておる。しかも、銅や亜鉛も入っておる、井戸水としては不適だというようなことが新聞に報道をされておるんであります。そこで、この調査対象に指定をいたしましてもそう多くの金は必要としないわけでありますから、ぜひこれは紫川については対象に入れていただきますようにお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤一郎君) 紫川の件は、先般の小野さんの御質問のときも、私お答えしたつもりでおったんですが、これは、以前に当方においても調査をいたしましたけれども、しかし、なおそういう疑問のあるということであるならば、もう一回調査をしましょうと、こういうふうに答弁申し上げたつもりだったんですが、趣旨が不徹底であったかもしれません。調査をしてみたいと思っております。
○小野明君 長官、調査をしてみたいということは、この法にいう調査対象水域に入れると、紫川をそれに入れるということですね。それをはっきり言ってもらわなきゃ困る。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御趣旨は、調査をすればいいんだろうと思うんですが、調査はいたします。間違いございません。
○小野明君 それでは、社会保障について厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 所得保障、特に公的な年金が非常に国際水準から見て低いということは、大臣も御承知であろうと思います。それで三十七年にはこの制度審議会からの勧告、答申というものもありまして、これはいま分立と乱立と、こういう状況になっておるんで、これについて年金制度の総合調整、こういうことについて計画をお持ちであるのかどうか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(内田常雄君) 年金の給付水準の問題と、また、公的年金がたしか私の記憶では七つか八つかありますので、それらの共通部分について調整をするという問題とは違う問題であると思うのでございますが、この給付水準につきましては、たとえば国民年金につきましても、来年初めて経過的な十年年金の支払いが行なわれるというような段階にありまして、御承知のとおり成熟をいたしておりません。成熟をいたす段階になりますと、二十年年金、二十五年年金が出るような事態になりますと、西欧の水準とほとんど遜色がないという状況にあるわけでありまして、これは将来物価とか生活水準の問題が他に出てまいりますと、それに応じた措置、改定、スライドという問題はあるにいたしましても、制度そのものは、私どもはこれが成熟した暁においては、いま申すようにおくれているものではないと考えます。 それから各種の年金の調整の問題につきましては、これも小野さん御承知と存じますが、私のほうでも早くから総理府を中心として取り上げざるを得ないようなことになっておりまして、公的年金調整連絡協議会でございますか、そういうものを設けまして、先年来共通部分と、また制度目的から照らしまして、一本にしないほうがいい部分と分けまして検討をいたしておりますけれども、まだ最終的結論に達していないという状況にございます。
○小野明君 各国に比べて劣っておらぬと言われますけれども、それは受給の対象者が現在少ないからその率が低い。だんだん受給対象がふえれば老人が多くなって、ふえればふえてくると、そういう自然増的な見方をなさっておるんではないかと思います。で、現在では確かに国民所得の比率を見ますと一割以下である、〇・四でありまして、非常に低いわけです。だからこれを引き上げると同時に、この八本か九本乱立して、それぞれあるものをやはり総合調整をすべきではないかと、こう申し上げておるんですが。
○国務大臣(内田常雄君) お尋ねの、後段のほうの調整をすべきであることについては、ただいまも申し述べましたように、私どももその必要を認めております。ただし、これが非常にむずかしい問題でございまして、厚生年金と国民年金との間の——老齢年金の通算というようなことまではできましたけれども、障害年金とか遺族年金とかいうものにつきましては、いまある公的年金との間の間隔があまりにあり過ぎまして、現在まだそれの調整統合ができないという状況を率直にお答えせざるを得ない次第でございまして、これは今後も研究を続けさせていただきます。 それから前段のほうの問題は、かりにいまの二万円年金、二万五千円年金というものが、そのままの姿でヨーロッパ等に行なわれております年金と比べてみますと、これはまだ日本では二万円年金、二万五千円年金というものは、実は数字上の、もっと平たいことばで言いますと、絵にかいたもちで、だれもまだもらっている人はないという状況でありますが、それが実現するという姿においては西欧とはおくれておりません。お尋ねのように、これから十年、十五年たちます間に成熟をして、その場合においては西欧の年金と格差はないんですが、その間物価や生活水準の問題につきましては別だと、こういうことを申し上げておる次第でございます。
○小野明君 そこでやはり、そんな二十年、二十五年先の話をしたって始まらぬ話であります。医療制度の抜本改革というのは、近くお考えになっておる、であるとするならば、医療制度に比べましてさらに低い水準にあるこの公的年金部門についても、やはりこの抜本改革というものが必要な時期ではないか、そういう構想をすべき時期にあるのではないか、こう考えますが、いかがでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) これは他の方面の共済組合等に所属する年金についても同じだと思いますが、少なくとも私どものほうで所管をいたしております厚生年金、国民年金につきましては、御承知のように生活水準に応じてときどきその給付水準というものを、それに応ずるように見直すべきであるという法律上の制度にもなっておりまするし、また、五年に一ぺんずつは少なくとも財政再検討をすべきだというようなことにもなっておりまして、実は昨年にこれらの点を見直しまして、そうして厚生年金、国民年金とも、いわばかなり大幅な改正をいたして、それがようやくことしの七月とか十月から昨年の改正の分が実施される、こういう段階にあるわけでございます。したがいまして、年金相互間の総合調整の問題につきましては、私は今後も、これまでの調整措置について検討を続けるべきであると思いますけれども、年金そのもの、公的年金そのものの給付水準等につきましては、昨年の改定というものを前提として、今後物価や生活水準の情勢に応ずる考慮をしていけばそれで足りるものと思います。もっとも、福祉年金などにつきましては、これは毎年御承知のとおり少しずつ引き上げておりますが、幾ら拠出制がないからと申しましても、必ずしも十分な額とも言えませんし、また、支給年齢も七十歳というようなことでは、これは七十歳にならない人でもずいぶん気の毒な状態にある方々もありますので、そういう面につきましては、これは私は特に取り上げて検討いたしたいと、こういうつもりでございます。
○小野明君 いまの制度でいいではないか、こうおっしゃる。たとえば厚生年金を例にとってみますと、二十四年間で妻に対する加給を含めて二万円ちょっと切れるわけです。ところが、二万円でそれではいま食えるのか、実際暮らしておる人の意見を聞いてみますと、六割ぐらいの生活費にしか当たらぬ。しかもこの二万円もらえる人というのはごく少数でありまして、普通はたいがい二万二千円、一万三千円であるわけですよ、生活保護費並みなんです。だからこの年金のいまのシステムというか、年金がこれは十分である、もうこれでいいというようなことでは、これは私は問題があると思うんで、やっぱり水準を引き上げなければならぬと思います。この点をさらにひとつ御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) さような点を含めまして、昨年制度の改正をいたしたわけであります。したがって厚生年金、国民年金とも、二万円年金といわれているものは、これは今日ヨーロッパの諸国で行なわれておりますところの、これはヨーロッパのほうでは現実に年金制度は早く発足しておりますから、日本の二万円年金に相当するものは支給されておりますが、それとわが国の昨年改定をいたしました年金、これは現実の支給は行なわれておりませんけれども、姿そのものは、決して日本のほうがおくれてはいないと、こういうことでございます。ただし、現実に支給されておりませんので、少なくとも、少しでもその早く支給が行なわれるような、そういうような状況を来たすような検討はもちろん続けてまいりたいと思います。
○小野明君 まあ最低基準は、どうやら昨年の国年と厚生年金の問題で満たしていると思います。しかし全体の水準が低いわけです。そこでILOの百二号、この条件は私は満たしていると思います。しかし、百二十八号についても、これは批准が可能なのではないか、こう思いますが、この二条約について批准をする意思はないのかということをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) ILOの百二号条約は、年金ばかりでなしに、たしか九つか十ぐらいの社会福祉の施策を掲ざまして、そのうち幾つかを達成した場合にはこれが批准ができることになっておりますことは御承知のとおりでございます。ところが、いまお話しがございました百二十八号条約のごとく、今日の事態におきましては、初めに百二でいろいろ取り上げておりました中の個々の年金でありますとか、その他の社会福祉の水準につきまして、個別の条約ができるような状態になってきているということが一つと、それからわが国の社会保障も、おくれながら百二号の水準をばはるかに突破してきているような状態にありますので、現在百二号を批准するということよりも、むしろ百二十八号のように、その個々の年金なりその他の社会福祉の施策についての満たすべき要件というものを掲げられましたあとのほうの条約について検討をすべき段階ではないか、こういうことに私どものほうの検討の結果はなっておるわけであります。ことばをかえますと、ことばは悪いかもしれませんが、もう日本は百二号の水準以上になっておって、いまさら百二号でいくよりも、最近の新しいILOの条約の個々の施策についてむしろ検討を進めていくべきではないか。それについては関連検討事項もあるので、百二十八の比准についてはもうしばらく検討をさしていただきたい、こういうことでございます。
○小野明君 時間がありませんので、先に進みたいと思います。施設庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。 昨年ニクソン大統領のグアム宣言によりまして、日本の基地が大量に整理あるいは機能縮小されておる、あるいは労働者が大量に解雇をされておるという状態が続いておるのでありますが、この概要について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(山上信重君) 現在の施設の整理あるいは縮小という問題につきましては、先だって米陸軍長官が、日本にある補給施設を段階的に縮小整理していくという言明をなすったということを聞いておりますが、したがって、米軍施設について、特に陸上施設を中心にして、今後若干の変動ということが考えられると思いますが、現在その具体的な個所については何らまだ通報を受けておりませんので、この点については明確なお返事はいたしかねると思いますが、施設につきましては、御承知のように、一昨年日米安保協議委員会におきまして、約五十の施設の整理縮小ということを、あるいは返還、あるいは共同使用、あるいは使用転換というようなことで協議ができまして、それに伴って、その実施といたしまして、昨年来今日まで日米合同委員会におきまして、二十七の施設につきまして返還等の合意を見ておるのでございます。残りの施設につきましては、今後これらについてさらに努力いたしてまいるつもりでおるわけでございます。 一方、人員の整理の問題につきましては、これらの国防費の削減等のことがこれありでございまして、昨年におきまして十月から十二月の間に約千八百人ぐらい、それから本年に入りまして、一月から六月までの見通しといたしまして約五千百八十人、これらの人員を整理するということの通告をしてきておるのでございます。昨年の整理についてはすでに実施済みでございます。 以上が大体現在における現状及び見通しでございます。
○小野明君 そうすると来年ですね、七〇会計年度の見通し、こういうものはどうなっておりますか。
○政府委員(山上信重君) 約五十の施設につきましての整理ということについて、引き続きわれわれは努力いたしてまいりたいと思いますが、その数がどのくらいになるかということは、これからの折衝がございますので、いま明確に申し上げかねると思いますが、さらに数カ所については返還可能ではないかというふうに考えておる次第でございます。 人員につきましてどういうふうになるかということは、ただいま申し上げました六月までの見通しを申し上げましたが、その後の数等については、ただいま明確な状況にはなっておらない次第でございます。
○小野明君 労働大臣お急ぎのようですから質問しておきます。 この離職者については、どういう措置を講じられておるのか。この数が、たとえば昨年の十二月までの整理が千八百人ばかりありました。その半分ぐらいしか再就職あるいは企業を営むという状態にしかなっていないわけです。いろいろな退職条件というものがあるようですが、それについて、どういった点について改善をされようとするのか、その点をあわせてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 駐留軍関係の離職者対策につきましては、中央駐留軍関係離職者対策協議会を中心としまして、関係各省で総合的な対策を講じておるわけでございますが、労働省ではその一環として、まず給与者に対しましては、手当を支給しながら職業指導、職業訓練、職業の紹介などを行なっております。次に、自営業を始めたいという離職者に対しましては、自営支度金の支給や開業資金の借り入れ等に伴う債務の保証を行なっております。さらに離職者を雇い入れる事業主に対しましては、雇用奨励金、労働者住宅確保奨励金の支給を行なっておるのであります。今後とも関係各省庁と密接な連携をとりながら、各種職業援護措置を積極的に活用して、早期の再就職をはかってまいりたいと考えております。 昨年の千八百名の離職者に対しましては、御指摘のとおり、八百名ほどの就職を見たにとどまっておりまして、特に高年齢の問題につきましては、なかなか容易でない。今後はそれに対しまして、できるだけ職業訓練やその他の手厚い保護を加えまして、就職のあっせんを行ないたいと考えております。
○小野明君 労働大臣、この離職者等臨時措置法ですね、この内容について現在の条件よりも引き上げられないか、あるいは離職者センター等の充実についてさらに配慮すべき点はないのか、こう重ねてお尋ねをいたしたいと思うのです。
○国務大臣(野原正勝君) 駐留軍関係の離職者の就職援護対策につきましては、昭和三十三年に駐留軍関係離職者等臨時措置法が設けられまして、以来、職業訓練手当、就職促進手当、債務保証等の制度を順次設けまして、逐年その充実をはかってきたのでございますが、最近におきましては、四十三年度に再就職奨励金、四十四年度に労働者住宅確保奨励金の制度を新たに設けたところでございます。今後とも離職者の再就職を促進するため必要な援護対策の充実について努力してまいりたいと考えております。 なお、事業資金の貸し付けは特に行なっていないのでありますが、自営業を開始する離職者には自営支度金を支給し、また銀行から開業資金を借り入れる必要のある離職者には、必要に応じまして雇用促進事業団で債務の保証を行なうことにしておるわけでございます。
○小野明君 施設庁長官にお尋ねいたします。 この労働者の整理に関しましては、大体当初六カ月以上、こういう話し合いがついておったようですが、それが若干下がりまして、三カ月の予告期間を置くように話がついておるやに承っております。ところが、今回の大量整理にあたっては、その条件を下回っている、その条件を満たさない解雇者もどんどん出ておるというような状況だそうでありますが、その点はいかがですか。
○政府委員(山上信重君) 駐留軍従業員の解雇の予告期限の問題につきましては、調整期間をなるべく延ばすようにということを昨年来米側と折衝いたしておったのでございます。基本的には契約改定をいたしてこれを確実にするのが一番いい方法でございますので、これについて米側と折衝いたしておったのでございまするが、現在までのところ契約改定につきましては米側がきわめて強い難色を示しておりまするので、実際措置として極力三カ月以上の調整期間を設けるようにということで米側との間に内意を得ておるのでございまするが、現実問題として、国防費の節減ということが急速にきておるというようなことで、この三カ月という期限をそれ以上にいたしかねるという場面が若干出てきておるのでございます。 一月以降整理をいたします人員につきましては、全体の整理人員が五千百何十名のうち、約千四百名が九十日を欠ける、その他の四分の三につきましては九十日以上、三カ月以上の調整期間を置くようにということについて、米側も非常な努力の結果こういうふうな数字になっておるという説明をいたしておるのでございまするが、なお千数百名の者がその期間に満たないという状況にございます。これらにつきましては、われわれといたしましても、現実の再就職、あるいは就職のあっせんその他最大の努力をいたして調整につとめるつもりでございます。
○小野明君 これは長官にはちょっと無理かもしれませんが、基地の業務を停止したり、あるいはは、停止した分はこれはいいと思いますが、整理縮小ですね、こういったことが現実に多く行なわれておるんですが、これらの基地についてはやはり強く返還を求めるべきではないか、そしてこれをやはり労働者の再雇用、雇用対策の充実等に振り向けるべきではないかと思いますが、この点をお尋ねしておきます。
○政府委員(山上信重君) 基地の業務を停止し、あるいは業務をまあ病院のように整理いたしているというような場合につきましては、当方といたしましては、そのつど基地の返還について米側に要請をいたしております。ただこの場合、米側としてはまだ返還に応じられないというような現実の問題がございまして、解決いたしてないものもございます。また、その業務を停止したあと地の処理につきましては、防衛庁長官の御方針としても、防衛上必要なものにつきましては自衛隊等がさらにこれを用いるということもまず考え、さらには地元の要望等も考慮いたしまして処理してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小野明君 そうしますと、返還をされました基地の、いかに転用するか、この方針というのはどういうものですか。いま、これはこうだ、これはこうだというふうに現象的に説明があったのでありますが、この点は基本的な考え方というのはどういうものですか。
○政府委員(山上信重君) 基地の返還後の処理の方法につきましては、これは元来申しますと、返還の土地が国有地でありまする場合は、当然これは大蔵省のほうで主体となって、各省と協議いたしまして方針をきめるわけでございまするので、私のほうからどうするということを直ちに御返事するのは、あるいは適当でないかと思いますが、われわれ防衛庁といたしましては、これらが先ほど申し上げたように防衛上必要な施設である場合におきましては、自衛隊への使用転換ということをまず考えたいと思うのでございまするが、これらにつきましては、地元の御要望あるいは地元におけるところの種々の条件もございまするので、それらをいろいろ総合いたしまして、関係機関と協議して御決定なさる、こういうふうに考えている次第でございます。
○岡三郎君 関連。私いまの点について基本的にお尋ねすることなんですが、非常に都市が急速に発展して過密状態になって、基地は従来郊外にあったけれども、それが町の中に含まれてしまっている。こういうところの基地の開放という問題について、基本的にこれは、その地域における民衆のための開放、こういう方針が立てられない限り、自衛隊とか米軍の基地に対する地域住民の反感というものは絶えないと思うのです。つまり、現在においても十分なるその使用がなされておらないにもかかわらず膨大な土地が占拠されている、占有されている。それで、国の方針として、大蔵省等は、すぐ国有財産のこれは特別会計とかなんとか言って、その中で売り払ってどうするとか、そんなことばかり考える。私は、現状における国の施策の中で一番根本的に間違っているのは、とにかく都市におけるところの交通災害、その問題をとらえてみても、子供の遊び場がない。それから、いまスポーツがだんだんとふえ、小学校においても高学年なり、あるいは中学生の子供の遊ぶ場所というものがほとんどない。そういうふうな状況の中で、私は端的に言って、都市の中における自衛隊というものに対しての、いわゆる米軍の基地の問題、開放の問題については、積極的にそういうふうな方面への努力というものが大蔵省を通じてなされない限り、当面の財産というものを売り払ってどうするとかいう帳簿面の帳じりだけでは私は解決されないと思う。特に私は、その都市の場合における地震というものを考えて政治がなされているかどうか。自衛隊とかそういうものが守るということを言っているが、直接的にいって、もしも関東大震災程度のものが現状において大東京なりあるいは大阪等の周辺の工業地帯、人口稠密地帯に起こった場合に、これは一体空地というものをどう考えているのかということについても関連してくると私は思っているわけです。国の大本として、積極的にやはり地域を開放して、緑地なり、スポーツの場所なり、全体的なやはり計画の中において考えていかざる以上、そこに開放されたものが自衛隊に切りかわるというだけでは、それでは国民としての、国を守るということに私はならぬと思う。そういう点で、私は、防衛施設庁としても、積極的にそういう面における、開放後における国民的な利用方法というものを納得するように考えない限り、ただ米軍の肩がわりとして自衛隊にそれをまかせるということでは、国民的に私は納得できぬ。そういう点で、ひとつお考えを聞きたいと思う。
○政府委員(山上信重君) 人口過密な都市の中にありまする米軍基地等につきましては、御承知のように、昨年の安保協議委員会以後におきまする基地の整理の考え方におきましても、これらの土地、たとえば横浜におきまするところの根岸の競馬場であるとか、そういったようなものにつきましては、返還後の処理については、これは地方の公共的な利用というようなことにされるものと私どもは考えて処理をいたしておりまするし、また住宅等につきまして、過密都市の中にあるものについて、移転後の処理につきましては、地方の住宅であるとか、あるいは公園その他地方の利用に供せられるということを考えつつ処理いたしておるのでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、防衛上特に必要なものについては、そういう考えをとるとは申しましたが、現実の処理といたしましては、いま仰せのような考え方でむしろ処理されつつあるというふうに私ども考えておる次第でございます。
○小野明君 いま関連質問にありましたように、これは大蔵大臣にお尋ねしたいと思うんです。これは返還された場合は、国有地である場合、いま施設庁長官がいろいろ説明されておりますが、これは返還された軍事基地については、民生安定に向けるのか、あるいは自衛隊に向けるのか。どういう一体方針なのかということがなかなかわからぬ。だから、大蔵大臣としては一体どういう方向にこの返還された基地を使おうとなさっているか、その基本的な考え方をお尋ねいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、基地というような幅の広い土地が日本に返ってくる、日本政府のものになると、そういう際には、なるべく売り渋るというか、国においてこれを保有する、しておくというたてまえをとろうかと思うんです。しかし、そういうことが適当でない場合もあろうかと思います。つまり、売り払いをする、そういう場合においても、公共の用途、そういうことに役立つためにこれを使っていきたい、そういう方針でやっていこうと思っております。先ほど岡さんからも話がありましたが、考え方としては、ああいうような考え方でこの問題は処置すべきものである、そういうふうに考えます。
○小野明君 施設庁長官、日米協議委員会あるいは合同委員会というような場があるわけですが、アメリカが海外基地の縮小整理という方向をとっておる以上、これはわが国としましても、あなたもそういった場に出るわけですから、基地公害、あるいはこの基地に対する国民の不安——核兵器を持っておるんではないか、あるいはインドシナ、第二のベトナム戦に使われるんじゃないか、いろいろ不安があるわけです。だから、全面的にこの基地については返還せよと、こういう御要求を強くなさるべきだと思うんですが、そういうことは日本側としてはどういうふうになっておるんですか。
○政府委員(山上信重君) 在日米軍基地につきましては、これは安保条約上の義務の履行、あるいは日本の安全のための米軍の日本におけるところの駐留に資するために提供をいたしておるのでございまするから、米軍基地を全面的に返還せよというふうな考え方には私どもは立てないと思うのでございます。ただ、米軍施設が現在利用していないとか、あるいは利用度がきわめて少ないというようなものにつきましては、一昨年の協議委員会においてもそういうふうに協議せられたごとく、今後もこれらについて必要な返還、整理等を求めるという考えは持っておるのでございます。さような方法で今後も処理してまいりたい、かように考えております。
○小野明君 それから、具体的にあげますが、板付の軍事基地については、早期に撤去ですか、移転をはかる、こういうふうにこれは総理も言われておるのでありますが、その後この進展はどうなっておりますか。
○政府委員(山上信重君) 板付の基地の移転の問題につきましては、一昨年方針を定めましてから、その移転候補地の調査に努力いたしておるのでございまするが、現在までのところまだ具体的な候補地を決定するという段階に至っておらないのでございます。
○小野明君 これは大蔵大臣、どうも返還、移転ということになりますと、日本政府が、金がかかるから困る、こういうことをいろいろ聞くわけです。これはある雑誌か新聞で読んだんですが、アメリカ側は返したい、日本側が金がかかるんで困るんでいまちょっと待ったと、こういうことがいろいろ報道されておるわけです。そういう態度が日本政府にあるんですか、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 返還交渉ですね、これは防衛庁でやっておりますし、また外務省とも相談しながらやっておると思いますが、これは金のことももちろん考えるわけです。代替施設としての金の問題も考えると思いますが、しかし返してもらうということが一番大事な問題なんで、ウエートから言いますれば、そっちのほうにウエートがあると思う。しかし、代替施設をつくらなけばならぬという際において、その金の問題も全然考慮しないということは私はないと思います。
○小野明君 じゃ、ウエートがあるわけですね。
○国務大臣(福田赳夫君) ウエートは、私は返すほうにウエートがある、さように考えます。
○小野明君 そういうふうに言われますけれども、私がお聞きしておるのは、移転にはなかなか金がかかるんで日本政府自身が渋っておる、こういう話を聞くんですが、それは事実ですかと、こうお尋ねしておる。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はそういう事例について聞いておりませんです。
○小野明君 それから、施設庁長官、板付基地の山田弾薬庫ですね、これは非常に大量の労働者を整理しておる。二百六十人ぐらい働いておりまして、二百十人ぐらい整理されておる。しかも、北九州のあの公害の多いところで百万坪という土地を持っておる。こういう基地については、もう機能を停止しておるのですから、あるいは大幅な縮小をしておるわけですから、早期に返還を求めるべきではないかと思うのですが、これは具体的にどうなっておりますか。
○政府委員(山上信重君) 山田の基地につきましては、大量の人員も整理し、現在業務的にはきわめて微々たる業務になっておることは、御指摘のとおりでございますので、この整理のありました際にも、私は米側に対してこれの返還について考慮するようにということの話をいたしたのでございまするが、現在のところまだ米側において返還するという考えに同意いたしかねておるような実情でございます。これらをどういうふうに今後活用していくべきかにつきましては、私どもただいま防衛庁内におきましてもいろいろ検討をいたしておる次第でございます。
○小野明君 施設庁長官ですね、この返還を強く要求しておるかと、こういう質問をしておるわけです。それに答えてもらえばいい。
○政府委員(山上信重君) ただいまも申し上げましたとおり、向こう側の意向をただしましたところ、現在返還の意思がないということが明らかでございまするので、これらの活用方法についていま検討をいたしておる次第でございます。
○小野明君 それでは外務大臣の質問がありますから留保いたしたいと思います。
○委員長(堀本宜実君) 外務大臣が間に合いませんので、小野君の残余の質疑は後刻行なうことといたします。
○委員長(堀本宜実君) 次に、平泉渉君の質疑を行ないます。平泉君。
○平泉渉君 本日は対外経済政策全般にわたりまして、最近非常に重大な時期ではないかと、こう思いますので、御質問を申し上げたいと思います。 一番初めに、日本の国際収支、ことに経常国際収支が非常に好転してきたということが新聞でも一般にいわれておるわけです。その実態について、これは経済企画庁長官のほうからひとつ実態を教えていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問でございますが、御存じのように、政府はこの四十四年度の国際収支の見通しの中におきまして、経常収支は大体二十一億ドルぐらいの黒字になるであろう、こういうふうに見込んでおりまして、今日までのところ、まだ二月までの実績しかわからないのでございますが、十九億ドルをだいぶこえておる現状でございまして、大体この四十四年度の当初の見通しをほぼ実現する、多少わずかであるが上回る程度にいくものと、こういうふうに見られております。輸出が百六十四億ドル、これもわずか見通しよりも少しこえると思います。輸入の百二十六億ドル、この見通しも実績においてはおそらく少しこえる。両方とも輸出も輸入も少しずつ伸びます。そういうようなことで、今日までのところ、貿易を中心とする経常収支の状況はきわめて明るいものがございます。
○平泉渉君 経常収支は、まあ貿易によって非常に伸びる場合、それから輸入が非常にふえる場合、かなり波があるのが、かなり先進国でも例があるわけです。しかし、まあ基調として黒字化したと、こういうことがいわれておりますが、その点についても、単にことしというようなこと、あるいは去年、そういうだけでなしに、今後の日本の経済の動きとして基調的に経常収支は黒字だと、こう言えるお考えであるかどうか。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいま二十億ドルぐらいの黒字ということを申し上げましたが、四十五年度においても私たちそういう見込みを立てております。そこで、まあいまの黒字が定着しているかどうかという問題でございます。これについては、なかなか判断のむずかしいところだと思いますが、一面において日本の国際競争力というものが非常な力をつけてきておる。そしてまた、各方面の貿易政策が実りまして、そういう意味では今後ますます発展をするであろうことは間違いないと思うのでありますが、しかし同時に、御存じのアメリカ、ヨーロッパを通ずるところの世界的な好景気、まあ、ある意味ではインフレーション、こういうような状況がやはり日本の輸出を伸ばしておる一つの大きな原因になっておることも、これもまたいなめないと思うのであります。そういう意味におきまして、貿易が伸びることは間違いないのでございますけれども、しかし、これが今後確実にいまのテンポで伸びるかということになりますと、第一に、世界貿易の伸び自体がこの二、三年は非常な大きな伸びを示しておりますけれども、今後の伸びがはたしてこの二、三年ほどにいくかということになりますと、これは相当内輪に見なければならないというふうに考えております。幸いに通貨問題は一応小康を得ております。しかし、まだいわゆる南北問題もございますし、それからまた、いわゆる保護政策的な機運というものが一面に出ております。また、各国におきましては、現在のインフレを何とか鎮静せなければならぬ、こういう努力を相当積み重ねております。そうしたことを考え、また貿易政策上も片貿易の是正を行なわなければならないとか、また、今後における各種の通商政策を実行していく上においての各種の条件がございます。そういうことを考えますと、一がいにことしあたりの状況がずっと続いていくというところまでまだ断定し得るかどうか、よほどまあ私たちも慎重に情勢を見守っていきたい、こう思っております。
○平泉渉君 経企庁長官の御答弁、非常にさすがに慎重でございますけれども、まあ私は、やはり日本経済の構造自体が相当変わってきておるので、もちろん、非常に大幅な黒字というのは少しいろいろなまだ輸入制限なんかの問題を含めて、やはりあまり大幅というのは必ずしも好ましいことかどうかわからない。そういう意味では問題があるとしても、基調的にかなり変わってきているという印象を受けるのでありますけれども、そういう点、やはり日本の産業構造自体、経済体制自身が従来とは相当変わってきているのじゃないか、こういう印象を受けております。その意味では、こういう黒字化ということの一番の意味、原因はどこにあるかという問題をひとつ大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も企画庁長官同様、まだ黒字が定着したのだという見解はとらないのです。つまり、いま長官が言われるように、今後の世界経済の動き、そういうものに大きく日本の経済も左右されるとともに、わが国の経済は、貿易の面におきましても、また資本の面におきましても、各国と比べものにならない厚い保護を受けておるわけです。まあ、温室の中の日本経済というふうなことがいわれますが、そういう状態において大きな黒字が出ておる、これをはずした場合に一体どうなるかということも考えて、今後の国際経済政策に当たらなければならぬと、かようなふうに考え、したがって、黒字定着論という議論はとっていないのです。まあ企画庁長官同様に慎重なかまえで国際収支は見ていこうというふうに思っております。で、最近日本の輸出が非常に伸びておりますが、一つは私は、昭和四十年、四十一年、これはまあ非常な不況下にあったわけです。あの不況の試練に耐えながら、わが国の経済が近代化、合理化された、こういう一面があると思います、これは経済全体を通じまして。それからもう一つは、先進諸国において多かれ少なかれ通貨不安、そういうような状態があった、わが国にはそういう状態がない。わが国は四十年、四十一年の不況を克服し、その後活発な経済活動が安定的に拡大をされてきた。そういう点にあると思うのです。特にまあ貿易に非常に関係のある卸売り物価が、わが国におきましては、一昨年までは他の諸外国に比べて安定しておったという点ですね。ところが、わが国におきましても憂うべき問題が起きてきておるのでありまして、卸売り物価が最近初めて昨年はかなりの高騰を示すというようなことになり、また、わが国におきましても、経済成長が労働の需給をかなり窮屈にしつつある、まあ、先進国型経済になってきたわけです。そういうようなことを考えますと、日本の経済もよほどこれはふんどしを締めてかからなきゃならぬ時期に来ている、さような心がまえでやっております。
○平泉渉君 いま大蔵大臣のお話の中にも、日本のたとえば海外で円の切り上げというようなこと、これは非常に軽率な議論で、日本はまだ為替管理など非常に厳重な管理をやっておる、裸の円の力を見た上でなきゃいかんということをいつも大臣言っておるわけですが、この為替管理のことが、実は昭和八年以来、実に四十年の長きにわたって日本は厳重な為替管理をやってきておる。これが結局においてその中で高度成長政策をわが保守党はとってきて、民間経済論者の中では、高度成長政策は国際収支の面で崩壊するだろうという議論が非常に強かったわけですね。それにもかかわらず、実際にこういう経常収支黒字という事態に到着したということは、これは非常に慶賀しなきゃならぬことだ。ただ、為替管理がやはりそのささえになっておったんじゃないか。その意味から言うと、従来四十年間続いてきたこの為替管理の体制というものを、これをやはり少しレビューしてみる必要があるんじゃないか。工業化を達成し、成長政策をとるという意味ではいままで非常な功績があったと思うんでございますけれども、これから他面、マイナスの面というものは、やはり外貨節約または外貨獲得というために、本来非生産的な分野が非常に温存されたり助長されたり、そういう意味で、産業政策が必ずしも自由に行ない得なかったという面もあったと思うんでございます。そういう点からは、一九七〇年代というのは内政中心の時代だと、こういうことを言っておられますし、また大蔵大臣自身も、経済成長の質的内容を高める時代だと、こういうことを財政演説で言っておられるわけです。この内政中心政策ということの基本は、やはりあまり国際収支の問題にとらわれて、従来あまりにもそのことが、非常に国際収支の天井ということで制限されていた産業政策、経済政策を、もう少し選択の範囲が広くなったということじゃないかと思うんです。そういう意味で、やはりもう少し従来押えられていた内政面のチョイスというものを広げよう、こういう点から見ますと、わが国の産業政策というものはやはり少しずつ変わっていかなきゃならない時期じゃないか。国際分業のやはり利益というものを広く享受させるような産業政策、従来必ずしも日本では育たない産業でも外貨の節約のためには育成しなきゃならぬ産業もあった。そういう点はそろそろレビューしなきゃならぬ時期じゃないか、こう思うわけでございます。ひとつ、大蔵大臣と経企庁長官、御両所から。
○国務大度(福田赳夫君) お話の大筋は、私全くそのとおりだと思います。わが国は資源が少ない国でありますので、どうしても外国の資源を取り入れて、それにわれわれの労力、頭をつけ加えて、付加価値の高いものとしてこれを海外に売り出す、そういう過程を経ながら経済全体を拡大をしていくという考え方をとらなきゃならぬわけなんです。そのためには、どうしても世界が、物資の面におきましても、あるいは資本の面におきましても、これは自由化体制になければならぬわけでありまして、もし、これが逆に保護体制に転落するというようなことになれば、これは一番被害を受けるのは先進諸国の中じゃわが日本じゃないかというふうにも心配をされます。そういうような見地で、お話しのように、資本につきましても、ずいぶんいままでは窮屈な状態でございましたが、日本の資本が海外に出ていく、そういう余力もできましたので、これを活発にしていきたい、さように思いますし、特に開発途上国への協力ということにも日本は尽くしていかなければならない。そういうふうに考えますると同時に、やはり国内において自由競争体制が大きな働きをしておる。その同じ原理が国際社会においても働くのだろうと思います。そういう意味合いにおいて、世界のすぐれた技術、すぐれた経営、そういうものを伴いながら外国の資本がわが国へ入ってくるこういうことは非常にわが国の経済のために大きな刺戟になっているのだろう、こういうふうに思いますので、いわゆる対内資本自由化、この問題もそういう角度から考えていかなければならぬ、こういうふうに思います。貿易の自由化、これについても、全く同様に考えておるのであります。
○国務大臣(佐藤一郎君) 今後国際収支に相当のゆとりを生じてまいる、そうして私たちとしてはやはり国際経済協力ということを、まあ経済が巨大化するに従いまして、その義務を果たすべき立場がますます強くなってまいりますから、いまお話に出ましたように、その方向を大いに推進してまいらなければなりませんが、同時にまた、わが国内産業のあり方といたしましては、いま御指摘がありましたように、いわゆる国際分業の利益というものをうまく調整しながら国内産業政策を進めていく。これもまた時代の要請であると思います。加うるにわが日本は、御存じのように、労働力の不足が目に見えてまいってきております。そうしてまた、その資本の蓄積を急いでいるとはいいましても、これにも限度があるのでございます。今後海外経済協力というようなことを進めてまいるにつきましても、日本の産業全体の構想というものを立てる際に、いま御指摘になると同様な点も頭に入れていかなければならない。一方において新しい産業、新しい技術がますます進んできますから、こっちのほうで大きく伸びなければならぬ部面もあります。あるいはまた、公害問題等を考えましても、あるいはまた、原料の入手についての制約というようなことを考えましても、いろいろな意味において日本の産業政策のあるべき姿としてやはり広く国際的な視野からこれを見直さなければならぬ、こういう感じを持っております。
○平泉渉君 非常に国際貿易自由化を進めていこうというお話を承っておるわけであります。政府はIMF、ガットにはすでに相当前から入っておる。さらにOECDにおいては、いわゆる資本の自由化の問題についても特に声明を発表して推進するということを言っておられる。まあ、現実には国際収支の経常収支の黒字というものはわりあい最近のことで、必ずしも実際には不安がぬぐい切れなかった。国民一般の受け取り方も、自由化の問題というものは非常に外圧である、外国から圧迫されてせざるを得ないのだというような受け取り方が必ずしも少なくないと思うのです。そういう点は今後はひとつ国民にも大いにPRして納得を得て、ほんとうに経済の質的発展をはからなければならない。ところが、どうも外国の風当たりが非常に強くなってきた。一番問題になるのは、数量制限とか非閲税障壁といわれるいろいろなそのほかのもろもろの問題が非常にガットその他で問題になっているわけです。こういう点について、これは本来通産大臣でもございましょうが、ひとつやはり経済全般を見ておられる大蔵大臣に非関税障壁の現状についての問題どうお考えになっているか。
○国務大臣(福田赳夫君) 自由化に対する基本的な考え方は、ただいま申し上げたとおりでありまするが、したがって、関税並びに非関税障壁につきましても同じような考え方をとるべきだというふうに考えておるわけでございます。関税につきましては、わが国はケネディ・ラウンドの線に従いましてかなりの関税引き下げを実行しつつあります。それからさらに後進国援助というたてまえで、また後進国からの輸入を促進するための関税引き下げを行ないまして、後進国経済発展に協力しようという姿勢をとっておるわけです。それから非関税障壁につきましても、まあ同じ考え方になるわけでございますが、一面においてこの自由化という問題があるのです。この自由化をする、そういう際に、自由化されたその日本の業界の利益も守らなければならぬと、そういう立場からただいまも申し上げたような考え方とは逆に、関税を上げるというそのことを考えたり、あるいは割り当てということを考えたりもいたしますが、基調といたしましては、まあ自由化の方向でやる。万やむを得ざる自由化、つまり自由化は非常にいま日本が国際社会で要望されておるわけです。これは急いでやらなければならぬ。そのために、ときに割り当て制度が、あるいは関税の率の引き上げがということもありますが、それはどこまでも当面のびぼう策、自由化への対策であるということで、臨時過渡的なことであるというふうに考えてやっておる次第でございます。
○平泉渉君 臨時過渡的なものである、こう言っておられますが、現在わが国のいわゆる残存輸入制限品目というものの大宗をなすのは農林物資というのが実際現状で、この農業の問題、非常にこれはわが国のいま一番大きな問題の一つではないか、こう思うわけです。過去において非常にわが国の外貨を節約するという政策に奉仕してきたわけでありますし、また自給自足主義がとられたこともあるわけですけれども、現在の状況というのはなかなか困難じゃないか。そういう中でですね、やはり都市居住者が非常に国民の大部分を占めてくるような現状において、やはり消費者としての国民が豊富で安価な食料品、しかもバラエティーに富んだ食品を得るということは非常にいま要望されておるのじゃないか。そういう点から見ますと、普通経済的に見れば、数量制限よりはむしろ関税政策、そして不足払い、こういうほうが普通納得されやすい議論じゃないか、こう思うわけです。その点、いわゆる農産物の輸入調整のやり方について農林大臣のお考えを承りたいことと、具体的には私は中級の牛肉の供給の体制、これが実際の若いジェネレーションの国民にとって非常に大事なことじゃないかと思いますので、その点もひとつあわせてお伺いをいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、最近のわが国の国民の食生活に対する嗜好がだいぶ変わってまいりました。同時にまた、一般の生活水準が向上するに従って、バラエティーに富んだ食物を要求するようになってまいりました。それとあわせまして、私どもは米に対する生産調整を考えますときに、他にどのような転換作物を考えるか、やはりわが国の国民が非常に需要が旺盛であるところのもので、しかもなおわが国で生産し得る可能性を持っておるような農作物につきましては、あらゆる施策を講じましてそういうものの生産を多くしてまいる、そういうことのために、構造政策、土地改良その他あらゆる努力をいたしておるわけでありますが、しかしただいまここで両閣僚が申し上げておりますように、私ども、わが国の一般的方向としてはできるだけ自由化をしていかなければならない。なるほどいまここでお話がありましたように、ただいまの黒字基調というものは決して固定し、安定、定着をしているものではないとは申しながら、やはり現在GNPで世界第二位というようなところにきておりますわが国に対して、あらゆる国が自由化を要求するのは、他の半面から考えましても当然のことだと思うのであります。同時にまた、私自身のところへも、このごろテレビなどの影響もあるんでありましょうが、全国から、消費者階層らしき方々から非常に多く投書が参りまして、物価安定のためになぜ自由化を早くやらないのかというようなこともございます。しかしながら、一方において総同農政を推進するという立場から見ますというと、なかなかそこに困難性がございます。そこで、生産性を向上せしめるために全力をあげながら、やはり国際競争力を維持し得るように農業の体質を改善いたしてまいるのが私どもに与えられた任務であると存ずるのであります。したがって、そういう消費者大衆の御要望はもちろんのこと、そういうことを念頭に置きながらわが国の農業について考えてまいるわけでありますが、やはり必要やむを得ざる場合においては、先ほどお話のありましたような関税、あるいは課徴金制度というようなことも検討しなければならないかと思っておりますが、その前に、まず私どもは構造政策でできるだけコストを引き下げて、国際競争力を増強するというようなことに全力をあげてまいりたい、こう思っているわけであります。
○平泉渉君 牛肉の問題を……。
○国務大臣(倉石忠雄君) 失礼いたしました。 牛肉は、実はきょうも午前中、万博に参りましたカナダの閣僚が参っておりまして、国際間における肉類の話などをいたしておりましたが、これは御承知のように、ただいま中肉について非常に需要が出てまいっております。これは御承知のように畜産振興事業団という組織で御存じのような措置をいたしておるわけでありますが、これにつきましては、さらに転換先作物として、私どもは畜産、果樹等に力を入れておるわけでありますので、わが国の需要に、それは十分満たすわけにはいきませんけれども、増産に全力をあげているわけでありますが、これは適時に輸入を活用いたしまして、その調整をはかるようにいたしておるわけであります。
○平泉渉君 農産物の輸入の問題についてでありますが、一般に輸入に数量制限を課しますと、どうしても流通過程でマージンが起こってくるわけです。これは自由化をした場合であっても、長年輸入を管理した政策をしておりますと、どうしても輸入品の流通という問題は非常に非合理的な体制になる可能性があるわけです。現在物価対策は、非常に消費者物価の問題が問題になっているわけですが、こういう輸入物資、ことに数量制限されている輸入物資から発生する超過マージンは、よくときどき新聞紙上をにぎわす品目があるわけですが、そういう問題も含めて、輸入政策を活用しての消費者物価対策という場合における流通過程の問題について、現状にメスを入れる必要があるんじゃないか。経企庁長官のお話を伺いたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまお話のございましたように、せっかくこの輸入の自由化が行なわれましても、それに相応したところの流通機構の整備というものが行なわれないために、何ら価格の下落が十分に実現しない、こういう議論が非常に多いのでございますし、また事実そういう現象も見られないのでありますが、そういう意味においては、私たちも多大の犠牲を払って行なう輸入の自由化、こういうものを実現する上においては、ぜひあわせてその流通機構の問題を取り上げて、そうしてこれがほんとうの意味での価格対策になるように、これは各省関係になるわけでございますけれども、私たちも大いにその点に注意をいたしまして、ひとつ各省とともにその機構の改正を行なう、不備な点を補うと、こういう気持ちでやってまいりたい、そう思っています。
○平泉渉君 次に、いわゆる資本の自由化の問題でお伺いいたします。 対内直接投資について、最近新聞紙上などでは、従来のポジチブ・リスト方式からネガチブ・リスト方式に移るということがちらほら出てくるわけであります。そういう問題についても、ほんとうにそうであるのか、まずそれをひとつ伺っておきます。
○国務大臣(福田赳夫君) 資本の対内自由化の問題につきましては、すでに第一次、第二次とやりまして、どのくらいになりますか、これは数え方がむずかしいのですが、大体業種別に見まして三割程度のところまでいっていると思います。それで第三次をことしの秋ころやりたいというふうに考えておりまして、この問題の大蔵省としての御相談にあずかる外資審議会というのがありますが、数日前に外資審議会が懇談会をいたしまして、第三次問題をどう扱うかという相談をいたしたわけです、その席上の空気は、やっぱり、秋ごろまでに第三次をやっていきたい、そしてしかも今度の第三次というのは、かなりの幅であり、かっかなり大事な品物も含めたい、こういうような空気でありました。でありまするので、そういう空気なんかも勘案いたしまして、政府といたしましては、正式にこの外資審議会に諮問をするという手続をとることになると思います。それはそう差し迫った話でございませんが、両三ヵ月のうちにはそういう手続をとる、そういうことになると思いますが、その際に、量的にも質的にもかなり充実したことをやりたいと言っておるその審議会が、ネガ・リスト方式をとるのかポジ・リスト方式をとるのか、その辺はまだ煮詰まった考え方ではないようでございます。皆さんが御相談なすって、そうして政府に献策をしてくださるわけですが、いずれにしても、かなり積極的であるということだけは、これはそう申し上げることができると、かように考えております。
○平泉渉君 この資本の自由化、対内直接投資としての資本の自由化のみならず、今度は逆に日本の資本が外へ出ていく場合もあるわけです。資本が自由に国際間を移動するという問題については、もちろんただいま大蔵大臣が言われましたように、非常にもちろん積極的に進むべき問題ではございますけれども、他面、国際的に独占が生ずるとか、あるいは寡占が生ずる。非常に簡単なことばで言えば、世界の自動車はGMとフォードしか供給できないというようなことが、世界の消費者にとってはたしてあるべき姿かどうか。やはり世界的に見て妥当な需給秩序というものを樹立するんだというような発想からした対内直接投資、まあ日本のような国、世界で自動車を生産できる国は——かりに自動車を業種にあげれば——そうたくさんあるわけではない。そうすると、それがある国に偏在するということよりは、むしろたとえば日本が生産者の列に入ったほうがいいのではないか。これは国際的に見ていいのではないか、そういう議論もできると思うのですね。そういう点からいうと、どうもわれわれは、従来、直接投資の問題についての受け方が非常に受け身で、もう少しやはり現在の日本の立場、それから将来日本の資本が外へ出て行く場合も、やはりそういう経験を踏まえて、ひとつの新しい理論があったほうが積極的な寄与になるのではないか。現実に世界企業の行動、ビヘービアということについてかなりいろんな国際的な波紋が起こってくる。そういう点どうも受け身で、どうも大勢だからしかたがないというだけでなしに、積極的に主張すべきものは主張する、こういう態勢が望ましいと思うのでございますが、その点について大蔵大臣の御所見を承りたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ資本につきましても物財につきましても、私はもうここまで日本の経済が成長してきたと、こういう段階になりますると、もう国の中で競争しているという事態から一歩踏み出しまして、世界市場で競争をする、こういうことかと思うのです。その際に、平泉さんのおっしゃるように、世界全体から見て寡占が生じても困るわけであります。そういう点は気をつけなきゃならぬと思いまするけれども、国際収支も、定着とは私は申し上げませんけれども、かなり楽な状態になってきた、外貨もふえてきた。こういう際にこそ自由活発なふるまいをして、そうして大きく飛躍をする将来に備えなきゃならぬ、こういう考えでございます。
○平泉渉君 これは少し技術的な問題に入りますが、現在の為替管理法というものについて、これは非常に為替管理法の二条自身で、これはだんだん制限を廃止または緩和していくのだということが書いてあります。しかし、実際においてかなり自由化されておるわけですけれども、たてまえが、非常に原則禁止、それで自由なものは例外的にやっていくんだと、こういうたてまえになっているために、これはまあ行政的に見れば非常にそれは便利なやり方なんです。しかし民間サイドから見ると、一体どこが禁止されていて、どこがいいのか、相当たくさん——政令、省令、通達、日銀の取り扱い、全部見ないと実態がわからない、こういう実情じゃないか。これはやはり法律のあり方としても、一体、権利義務関係があまりはっきりしなくて非常に委任が多いというのはいささか問題があるのじゃないかと思う。やはり全般的にだんだん自由化されていくということが御方針であるといままで承っておるわけですが、そういう国内体制をさらに整備するという意味からいいますと、現在の為替管理のやり方、実態というものについてもう少しこれを国民にわかりやすい、そしてまたかなり実際は自由化されておるにもかかわらず、不必要で繁雑な手続が為替銀行の窓口で残っておったりということがあるんじゃないか、そういう点を一度レビューして、国民全般にとって、より簡明でわかりやすい為替管理というものがあるべきじゃないかと思うのですけれども、その点について大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 為替管理の法制の方式といたしましては、一括して禁止の原則をとると、それに対して例外を認めていくというやり方と、原則は一括自由だと、そういって例外をもってこれを制限するといういき方とがありまして、そういう立法例は各国まちまちのようでございますが、お話のように、わが国の為替管理は、まあ不自由を原則とし、それに対して例外を設けると、こういうたてまえをとっておるわけです。そこで、基本法のほかに、政令でありますとか、あるいは手続をきめる通達ですね、そういうようなものがありまして、お話のように、私は日本の法制がそう国民に対してすっきりとした感じを与えておるとは考えません。私どもでもなかなか理解のできないような点が多々あるわけであります。そういうようなことでありますが、お話のような点を考慮いたしまして、政令等はこれを随時見通しまして、そして一本化をする、こういう考え方をとっておるのです。そういうことで、国民との関係ではわりあいにすっきりしたと役所のほうでは言っておりますが、非常にこれは為替法制をどうするか、いま実態問題が動いておる際ですから、いまにわかに手はつけられませんけれども、将来の問題といたしましてはよく検討してみたい、かように存じます。
○平泉渉君 為替面の統制というのはできる限りわかりやすくしていただくと。数年前に大蔵省御自身が対外経済法というものの制度に切りかえようということをなさった、一度プランされたことがあると承っておるわけです。そういう中で、現実問題としてたとえば旅行者外貨割り当てなんかは非常に幅が、ワクがふえてきたわけです。現実に、ごく最近に千ドルぐらい。しかし、わが国の海外旅行、国民の海外旅行という問題については、これは特殊事情を考えなければならぬ。これは、日本は海外旅行者というものは、まあ三千年の歴史できわめて新しいことです。ことに大部分の人が、国民一般が行けるというのは、ごく最近のことです。そういう点からいうと、やはり同じレクリエーション、レジャーであっても、国内でレジャーをやるのと、ことばがわからないのを苦労しながらでも外国に行って学んでくるという見方もあるわけですね。やはり国民全体の、この日本の国は、一億が小さな国で生きていけるというのは、やはり世界があるからで、そういう点の認識というものをやはり高めるという意味からいうと、一がいに浪費とは言えないと思うのですね、海外旅行というものも。そういう点も私は、やはりこういうワクというようなものがどうも浪費的だというのは、少しこれは、そういう考え方がもしかりにあるとするならば、私は必ずしもそうは一がいに言えないのじゃないかと思うわけです。そういう中で、現実には日銀券が非常に大量に国外に持ち出されているといううわさがある。そうして国外の市場で日銀券が不当に廉価に取引されているというようなことがあるようでありますけれども、こういう点、全体を見直しまして、少なくとも日銀券の取り扱いなんかはもう少し自由化していいんじゃないか。むしろそれが国際的に見てあまりにも——実際に円の切り上げと言われているときに四百円近い値段で売買されるというようなことも、これはやはり国際的に円貨というものをもう少し親しましていくということも言われております、そういう必要もあるじゃないかと。大蔵大臣の御所見を。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はまあ、為替管理につきましては、自由化の方向ということを申し上げましたが、短期資金ですね、これはそう簡単に自由化すべきものではないと、こういうふうに考えておるのです。ですから、長期資本、これのほうは大いに積極的に自由化するが、短期資本のほうの扱いは注意しなければならぬ。昨年のヨーロッパの通貨不安を見ましても、やっぱり短期資本が出たり入ったりすると。まあ投機的要因で資金が出入りをするわけです。そういうようなことで、ずいぶん有力なる先進国が悩まされたというようなことを考えましても、短期資本の移動につきましては慎重を期さなければならぬと、こういうふうに考えています。 で、、円の、札の、日本銀行券の問題ですね。やはり同じような考え方をとらなければならぬかというふうに思うのです。いま二万円までは自由にということになっておりますが、これはまあ大体OECDの水準なんでありまして、別にそれで外国から批判を受けるような状態にはないわけでございますが、これが多量に海外に蓄積されるという状態は、まあ円の価値を維持するという上におきましてかなりこれは深刻な問題になってくるであろうというふうに考えるわけであります。まあいま国際水準である二万円持ち出し自由という体制を、さらにこれを拡大いたしましても、さしたる私はメリットはない、むしろ逆な効果が心配されるんじゃないか、そんな感想でございます。
○平泉渉君 いま、短期資本と長期資本を区別して、長期資本については非常に積極的だというお話しでありますけれども、全般にわが国の経済は海外における蓄積が浅い、在外資産というものがほとんどないにひとしいと。その点、英国なんかは戦争後あらためて再びアメリカに次ぐ、ほとんどアメリカの三分の一ぐらいの膨大な海外資産を再建したということが報ぜられておるわけです。そういう点からいうと、国外に企業が進出していく、そして原料、資源を確保するという意味からも、こういうことは非常に伸ばしていただきたいものだと、こう考えるわけです。また、経済協力を進める中でも、どうも政府間のべースだけでなしに民間サイドの経済協力という意味からいうと、いわゆる延べ払いというようなこともですね、それはもうわりあいに従来は標準外決済でありますから非常にチェックを受けておる。こういものもむしろ民間サイドで現実にできることならそれはもっとやるべきじゃないかと、こういう議論がかなりあるわけであります。その点について大蔵大臣に。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、日本は最近になって国際収支が好転した。それまでは国際収支国際収支とはれもののような扱いを受けてきたわけでありますから、蓄積なんていう力はなかなかなかったわけです。ところが、とにかく外貨保有高も三十八億六千万ドルに達するというようなことになりますると、お話しのように、この外貨、対外的な意味における資産です、保有ですね、こういうことにつきましてはいままでのような考え方でなくていいと、そういうように考えております。 で、輸出の際の延べ払いでありまするが、いま普通の延べ払い輸出は、これは輸銀がその資金を供与していると、ほとんどがそうなんです。しかし、輸銀が関与しないで民間が延べ払いで自分の責任においてやろうという人が出てくると、そういう際にこれを妨げる、日本政府が干渉するというようなことは、たとえばあそこへ投資することはこういう事情であぶないですよという注意とかなんとかは、これは与えることが親切であると思いまするが、業者が自己の責任において輸出しよう、特別の事情もそこに伏在していないと、こういうようなことでありますれば、政府は干渉する意向は持ちませんです。
○平泉渉君 まあ、世界経済の動きを見ておりますと、EECの経済統合というのがさらに一段階進んできておる。共通の対外経済政策というものを確立する段階に入ってきておる。また英国が加入するという動きもあるんじゃないか。そういたしますと、現実にいま世界貿易の七割は先進諸国の間だけで行なわれる。そうすると、その先進諸国の体制が非常に変動しつつある。アメリカ、ソビエト、それにEECが非常に巨大な単位として誕生する。そうすると、それからはずれておるのは日本だけだ。あと豪州、カナダ、ニュージランドというようなものがありますけれども、そういうものの経済的なウエートは、これは日本やEECのような単位とはちょっと比べものにならない。そうしてみると、わが国の経済外交体制というものも非常に考え直さなければならぬ事態ではないか。と申しますのは、やはり国内市場の非常に大きな国家群、アメリカ、ソビエト、EECというようなものは、どうしても保護貿易主義が発生する余地が大きいんじゃないか、こう思うわけであります、まあ、現実にこの際、今度の繊維問題なんかでも、アメリカにおける保護貿易主義というものがかなり声高だということがいわれておるわけでありますけれども、そういう保護貿易主義の発生という点について、経企庁長官、現在のアメリカの情勢についてどういう御認識を持っておられるか。
○国務大臣(佐藤一郎君) おっしゃいますように、アメリカを上回るEECの結合によるところの貿易単位としての力はますますふえてきておりますし、また、アメリカはアメリカで一つの大きなユニットであります。そういうことで、最近もアメリカなどの傾向を見ましても、その基調はもちろん自由主義の基調というものをくずしておりませんけれども、個々のケースになって見ますと、しばしば御指摘のような心配も見られないではございません。特にアメリカは御存じのように、ああいう特殊な国内の事情のある国でございますから、一方において連邦政府としてはケネディ・ラウンドをはじめ、いわゆる自由主義的な通商政策というものを極力遂行しようとする気持ちを持っておりましても議会その他の面で、一方において保護主義的な傾向が発生しておるということでございます。また、EECにおきましても、単なるEEC諸国の結合ということでありますけれども、やはりそれらの利害の立場に立ちましてよほど注意しないと、御指摘のような点が発生しないとも限りません。これは私は、やはりこの自由主義的な貿易政策を根幹としなければ今後成り立っていかない日本のような国が、やはり率先してこの自由主義的な通商政策を提唱する、そして国際会議その他においても機会あるごとに、そうした逆行的なかげりがもし生じましたときには警告を発しなければいかぬ、こういうことであります。でありますから、日本の自由化政策と称するものもまたその一環として、私たちがやはりくみ取らなければならないものであろうと思います。第一次大戦のあとのあの一九三〇年代のような事態が再び起こるというようなことになっては、これは世界全体の不幸でございます。日本の経済にとってもゆゆしき問題でございます。そういう意味におきまして、現在まだガットを中心とする自由通商のメカニズムも健在でありますし、そして全体としてのスピリットにおいては、私はまだ自由通商に影がさしているとは思いませんけれども、日本の経済が巨大化してきましたにつけても、ひとつ重要な地位にある日本が率先してそういう立場をとらなければならぬ、そういうふうに感じています。
○平泉渉君 大体時間が終わってしまいましたが、いま経企庁長官が言われたような、わが国がやはり率先して自由貿易主義の中心にならなければならぬ、こういう点が私は非常にこれから強調されなければならぬのじゃないかと思うのであります。ソビエトは必ずしも、ああいう特殊な国家であるから、とてもそういう動きには入れない。EEC、アメリカについていささか不安があるという観点から見ますと、これから私は、やはり日本の外交の場においても、ぜひそういう問題を国際的に妥当な議論として、日本が世界全体の利益のためにそういう問題を推進するんだという体制をぜひとっていただきたい。ことに経済協力の問題についても、どうも日本は、従来経済協力の問題については、日本自身がまだまだたいへんなんだ、国内体制がたいへんなんだということで、どうもむしろいわゆる先進国よりは、かたくなな態度だという批評がある。そういう点は実はよほどこれは重大な問題で、日本の経済がこれだけ大きくなったサイズのもとにおいては、東南アジアその他の国々が日本の一つのべースとして一緒に行動してもらえるということがやはり将来の体制として大事である。そういう場合に経済協力のやはり非常に積極性というものを加味して、基本的な国際理論というものをどんどん打ち出していく必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。その点本来外務大臣の所掌分野かもしれませんが、国務大臣としての福田先生にひとつ御見解を承りたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まことにお話のような態度をもってこの海外経済協力問題に取り組んでおります。現にわが国は、一九七〇年におきましては十四億ドルに達するか達しないか、その辺までの海外経済協力という規模になるわけです。これはアメリカに次いで第二位になりますか、第三くらいになりますか、その辺の量的にはそういうことになります。それからよく言われる国民総生産に対する割合は、これは〇・七%多少こえるようなことになり、アメリカの場合よりは高いのです。そういうようなことでかなりやっておりますが、お話しのように、国内において問題が私はあると思うのです。そういうことの必要なゆえんについて国民的なコンセンサスを得ると、これが非常にむしろ大事な問題じゃないか、こういうふうに考えておるのであります。わが日本は、わが日本だけで栄えようといたしましても、そういうわけにはいかない、日本だけで平和であろうとしてもそういうわけにいかない。弱小国でありますればそれもようございますが、しかし、いまや日本の一挙手一行動というものが、これが世界に影響すると、また世界のすみずみの動きが日本に影響してくるという大きな立場になったわけでございまするから、国民のそういうコンセンサスを得て、活発に世界を舞台として活動しなければならぬ、かように考えます。
○委員長(堀本宜実君) 以上で平泉君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、原田立君の質疑を行ないます。原田君。
○原田立君 佐藤総理は、一九七〇年代は内政の年と言われ、それはただ単なるうたい文句ではなく、内政充実、住みよい社会をつくり上げることに結びつかなければならないと思います。そこで私は、まず初めに公害問題のうち、水質汚濁問題を取り上げてみたいと思うのであります。 まず、経企庁は、三十一日の水質審議会総会に、即日、諮問答申を得ている。この水質問題について、その内容について御説明願いたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、公害問題が非常にやかましくなってきましたが、特に水質の汚濁につきましては、関係方面が非常に多うございます。それでこれらがばらばらな基準を設けるというようなことであっては困るわけでございます。一種のいわば共通的な行政目標というものを立てなければいかぬということでありましたが、御存じのように、いわゆる環境改善のために公害基本法ができたわけでございますが、そこで、かねがね企画庁におきましても水質基準を、基本的な基準というものをきめようと、こういうことで先般審議会にはかったような次第でございます。この内容は大ざっぱに申しまして、いわゆる国民の生命に関するもの、それからまたいわゆる環境の保全に関するものと、こういうふうに分けまして、そして国民の生命に関するものにつきましては、これは全国一律に直ちに基準を施行してまいろう。いわゆる環境保全関係につきましては、地域ごとにできるだけすみやかにこれの基準を設定してまいると、そして利用目的に応じて水域ごとのグループをつくりまして、そしてそれについて基準を定めてまいる。大体こういうことで先般審議をいただいたわけであります。
○原田立君 水質問題については、国民は非常に大きな関心を持っておりますし、その実施を強く要望しているわけでありますが、この表の中によりますと、シアン、メチル水銀、有機燐、これらについては検出をされないことというふうになっておりますが、カドミウムについては〇・〇一PPM以下と基準値を示されております。御承知のように、カドミウムはイタイイタイ病の発生源であるし、現に富山県の神通川のイタイイタイ病は、魚介類を多く長らく摂取した地域住民に起きた病気であって、非常に悲惨なことは御承知のとおりであります。それで、私が言いたいのは、カドミウムは長い間の蓄積によって起こる発生源であると、こういう点でありますが、これを〇・〇一PPMと定めたのはどういう科学的な根拠があっておきめになったのか、お伺いしたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、カドミウムの地下水と地表水におきます含有率ですが、これは亜鉛の含有率の大体百分の一くらいと、こういうふうにいわれております。そこで、水道法によります飲料水の基準であります亜鉛の一PPM、こういうものから推定いたしまして、飲料水についてはカドミウム〇・〇一PPMを含有していることが許容されている、こういうふうに一応考えているわけであります。なお、この基準は諸外国と比較いたしましても、たとえば米国あるいはソ連、こういうところの環境基準も大体同じ数値を採用しております。また、WHOのヨーロッパの基準では〇・〇五PPMを採用している、こういうような状況でございます。これらを総合いたしまして、〇・〇一PPM、こういうものをいまのところ定めておるわけであります。
○原田立君 長官、いまの説明の中に、WHOは〇・〇五であるということでありますが、私が聞いたのでは、〇・〇〇五PPMである、こういうふうに聞いておるのですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは〇・〇〇五PPMで間違いないようであります。
○原田立君 アメリカ政府は、水質関係には五カ年計画で百億ドルを支出するというふうにきめたそうであります。膨大な金額でありますが、日本の場合には、四十五年度予算で公容対策費が百九十八億円、同財政投融資が三百一億円、これがやっと計上されたのでありますが、核戦争よりおそろしい内面の敵、いわゆる公害に、こんな対策で公害の絶滅をはたして期することができるかどうかと、たいへん心配しているのでありますが、まず四十五年度、水質関係において幾らの予算措置がされているか。あるいはまた、今後の長期計画はどのように立てておられるのか。これは経企庁のほうと、大蔵省のほうでもわかりましたらお願いします。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま御質問の水質関係でございますが、昭和四十五年度におきまして、経済企画庁では約八千万円程度でございますが、その他厚生省、農林省、通産省並びに運輸省、この関係各省並びに建設省にわたってついております。それで、この関係が四百八十二億ございますが、ただし、これは下水道が入っておりまして、この下水道を除きましたところの、いわゆる水質関係の純粋の予算は八億七千八百万円、こういうことであります。もっともこれは前年度に対しまして四割以上の伸びにはなっております。目下そういう状況であります。
○原田立君 大蔵大臣、いまお聞きのように、八億七千八百万円だそうです。前年度の伸びは四割伸びたそうでありますけれども、いまの公害発生の状況等からいってみて、これではたいへん少ないという私は不満を持つのです。今後、これをもっと大量に伸ばす、そういうお考えはございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公害は、これは基本的には企業がその責任を持つという考え方をとっておるわけです。ですから、まあ国の予算面でどのくらいの額が出てきておるかということよりは、むしろ、民間の事業会社等がどのくらい支出しているかということが問題だろうと思います。しかし、いま企画庁から御説明申し上げた政府予算のほかに、あるいは税法において特別措置としてこれを助成するという方式、それから関税ですね。公害で一番大きな問題は何といっても石油公害でありますが、石油の脱硫を助成しようというので関税を軽減すると、こういう措置をとるとか、あるいは融資——公害については金が要るだろう、こういうようなことで公害対策事業団というものを設け、これが融資に当たるとか、あるいは開発銀行がその融資に当たるとか、いろいろな対策をとっておるわけですが、政府のやっていることは誘導的ですね、助成的な措置でありまして、本体は企業にその責任を持ってもらうということに置いているわけであります。
○原田立君 大蔵大臣、理屈はそのとおりです。だけれども、現実に公害がたくさん発生している。おくれているわけですよ、日本の公害対策は。それでね、大蔵大臣は民間がやればいいのだと、国で何も出さなくてもいいのじゃないかというようなことですけれども、それだけでは足りないのです。おくれておるのです。もっと早く促進させろ、させなければいけないと、こういうことを申し上げておるのです。それに対する御回答をお願いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) ことばが足りなかったのですが、もうこれから日本の国として当面する問題は内政問題だというふうになっておりますが、その中でも公害問題、これは一番大きな問題じゃないかというふうに考えております。もとより、民間の公害を起こすその企業体というものの責任、これも重大でありますけれども、政府がまたいろいろな役割りを演じなければならぬということも当然でありまして、したがって、これに対する予算、税法上あるいは金融上の対策というものはますます重要になってくるし、重みを加えてくるであろう。また、そうさせなければならぬと、さように考えております。
○原田立君 先日、当委員会において北九州市小倉区に流れている紫川のことについて討論されたわけでありますが、その件について先ほども小野委員のほうから質問がありましたが、長官のお話によりますと、最近調査したということでありますが、概要を御説明願いたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) この紫川の件につきましては、私どものほうで調査を委嘱いたしました。その結果、排水中のカドミウムの含有量が、これは四十三年二月、北九州市の調査でありますが、〇・〇〇二PPMないし〇・〇〇八PPM、こういう調査が出ております。なお、この下流一キロのところの農業用水においても、十五キロ余の上水道取水点においてもカドミウムは検出されておりません。しかし実は、こういう調査を得ておりますけれども、先般来、いや、そうではないのだと、こういう疑問が提出されました。で、私たちのほうとしては、なお現在の調査で不十分であるということで、近く本年度中にこれの水質調査を至急に行なってみたいと、こういうふうに考えております。
○原田立君 長官、もう御存じだろうと思いますけれども、この紫川から四万一千トンを取水して小倉区の人が八万三百戸、この人たちが飲料水として使用している。その上流にあるのが日本磁力選鉱の吉原鉱業所です。そこから出ているのだろうと、こういうふうに言われておるのでありますが、私も現場へ実は行ってまいりました。そうしましたら、いろいろ関係者から聞いてみると、ヘドロの中からカドミウムが四・五PPMから最高二六PPM出ている。これはヘドロの中でありますけれども、四・五から二六PPM。それから先ほどお手元にもお渡ししてあると思いますけれども、九大の調査では洗鉱場のすぐそばのナンバー八のサンプル取水場のところで〇・〇一四——〇・〇〇八、それから九州産業大学のところで取ったところではナンバー三のところで〇・〇〇八、東谷川に流入するところで同じく〇・〇〇八と、〇・〇一の基準値に非常に近い数字、近いものが出ているわけです。まして、ヘドロの中ではその何十倍ものものが出ているわけで、これは飲料水に使用されている面を考慮に入れると非常に危険だと、市民はたいへん不安に思っている。ですから、〇・〇〇二PPMから〇・〇〇八PPMだからだいじょうぶだろうというようなことでなしに、飲料水に使っているということを主眼点に置きまして、もそっと慎重な態度であっていただきたい、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまお話しのように、工場内の沈澱池、これは非常に高いのは当然でありますが、一応沈澱池において〇・〇一四PPMといういまの御指摘のものが検出されております。また、排水口において〇・〇〇八PPM、最高で〇・〇〇八PPMというものが出ていることも承知しております。そういうこともございまして、従来は、他の地点の調査その他を前提にいたしまして、一応問題ないということでありましたけれども、こうしたこともございますので、今年ひとつ紫川の調査をやってまいろうと、こう思っております。
○原田立君 今年度調査をする、こういうことでございますが、そういうことは、調査水域の指定を、すなわち追加指定を行なう、こういうふうに理解していいのかどうか。 それから、実は、これが四十二年度に見送り、四十四年度もまた見送くられて、現在問題になって三度目なんです。ここで現に取水しておりますし、だから、本来から言えば、この四十五年度にぜひとも追加指定をしてもらいたい、こういうことが強い地元の要望なんです。その点、そういうふうにしてもらえるものかどうか、お考えを聞きたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) この調査区域の指定の追加はもう必要ございません。すでに小倉——若松港間の河川について、調査区域としてもう指定済みであります。でありますから、調査を実行するかどうかということが問題になっておったわけでありまして、これにつきまして、四十五年中に至急に調査をやりたい、こう思っております。
○原田立君 たいへんくどくて申しわけないんですが、四十五年中というのは、早いほうですか、おそいほうですか、まん中ですか。できるだけ早くしてもらいたいのです。飲料水に使用しておりますから。
○国務大臣(佐藤一郎君) 全国の調査でありますから、いろいろ手順もございますけれども、そういう御趣旨もよく承っておりますから、できるだけ早い機会に調査をしたいと思います。
○原田立君 この工場の洗鉱廃水沈澱池の設備がきわめて悪いんじゃないかと、こう心配しております。雨降りで川水の動きが激しくなったり、あるいはため池からあふれたりすると、川水の重金属含有量がアップする可能性があるんじゃないかと、こういうふうに心配しているわけですが、その設備改善をさせるべきだと思うんですが、いかがでしょう。これは通産省ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう計画があるように聞いておりますが、たいへん実は具体的な問題でございますので、政府委員からお聞き取りをお願いいたします。
○政府委員(橋本徳男君) 紫川の上流にございまする吉原鉱山の浄化装置でございますが、現在のところは、先ほどお話がございましたように、水質基準を下回っておりますから、一応とにかく安全性は保たれておるという感じはしておりますが、何らかそういった、たとえば雨期その他の特殊な条件の場合に備えまして、さらにこの鉱山に対しまして施設の改善をするようにということで話を進めております。具体的には、現在三つの沈澱池で処理はしておりますが、さらにそれを総合するために、新たに沈澱池を設置し、そこにシックナーその他の浄化装置をつけまして、より浄化をはかっていくというふうなことで、現在そういう話を進め中でございます。
○原田立君 保安局長、改善命令したのですか。
○政府委員(橋本徳男君) まだ現在のところは……。鉱山保安法に基づきまする改善命令の場合には、具体的な内容を指示して改善命令をするというたてまえになっておりまして、どういう施設をどんな形において、どういう能力でやるかというふうなことを検討中でございまして、それがまとまりますれば、改善指示あるいは改善命令というふうな形になってくると思うのでございます。もうしばらく……。その検討を続けておる次第でございます。できるだけ早急にその話を詰めたいと思っております。
○原田立君 できるだけ早くということでは、ちょっと、あんまりいい答えじゃないのですけれども、まあいいでしょう。できるだけ早くやってください。 それから経企庁長官にまたお伺いしたいのですが、こういうふうにカドミウムあるいは水銀等が川水の中に流れて非常に不安がっている、こういうのは全国あちらこちらと新聞報道でされて承知しているわけでありますけれども、全国的にそれを調査掌握なさったような、そういうことがございますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、水質の基準につきましては、いま極力、調査区域を急速に拡大するように私どももつとめておるところでございます。そして、大体上流に工場があるとか、そういうようなことから推定いたしまして、実際的にできるだけ調査を急いでおる、こういう状況でございます。まあ、いままでのところ、いまの例もございましたが、指定基準の〇・〇一PPMを上回っておらないということで、今日まで一応それでもって過ごしてきたものもありますけれども、私どもは、調査の時期等によりましては、その見直し等も至急にやらなければならない、こういうような計画も立てておる際であります。
○原田立君 具体的に、福岡県大牟田川の話なんですけれども、ヘドロの中にカドミウムが検出されたということは公表になっております。四十四年八月から十二月まで調査し、平均五・五二PPMという、そういうことが検出されております。カドミウムは、御承知のように、酸性に弱く、化学変化でいつ溶けて流水中に入り込むかわからない、そういう危険もありますし、たいへん沿岸の住民たちは不安がっておりますが、その対策はどうなっておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘のように、大牟田川のヘドロというものが問題になっておりまして、私どもの四十四年二月の調査によりますと、五月橋という中心のところの調査では、七PPMがヘドロの中にあるということがわかっております。ところが、流水は〇・〇一PPMから〇・〇〇五PPMと、非常に希薄になっておるのでございます。そういうことで、目下のところ、ヘドロと流水とではだいぶ検出値が違うのでございます。そこで、問題のヘドロの中のカドミウムと流水の水質との関係、これを専門家に委託いたしまして、そうして調査研究をいたしたい。なお、この大牟田水域につきましては、特にカドミウムのそういう問題がございますからして、今年度これの調査を特に追加をいたしまして行なう予定にいたしております。
○原田立君 先ほどお話があったけれども、長官、去年の十一月調べたのでは、一一・六PPM出ているんですよ。四十四年十一月。それから約ニキロ下流の有明海のノリ採取場の所でも〇・〇一PPM出ているんですよ。非常にこわい話なんであります。それで、そういうことを踏まえて申し上げたいのですが、大牟田川の水質基準は四十三年七月にきまっておりますが、この中にカドミウムは含まれておりません。この際カドミウムを入れるべきだと思いますが、いかがでしょう。大牟田の保健所の所長さんも、この件について国のほうに要請したが実は取り上げてもらえなかった、こう言っておるのですが、これはぜひ取り上げていただいて、カドミウムをその水質基準の中に入れてもらいたい。その点御返答をいただきたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま申し上げたつもりでありましたが、本年度はこれを追加して調査したい、こう思っています。
○原田立君 長官、調査したいではなしに、私のお聞きしているのは、水質基準の中にカドミウムを入れてもらいたい、入れるべきではないかと、こう申し上げているんですよ。調査して、じゃ入れるのか入れないのか、その点がはっきりしないのです。調査をしてもらうことはたいへんけっこうな話なんですけれども、ぜひその水質基準の中に入れてもらいたい、こうお願いしているのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) これも申し上げたのですが、水質基準に追加をするつもりでございます。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 原田君の質疑の途中でありますが、外務大臣が来られましたので、先刻留保されました小野君の質疑をこの機会に行なうことにいたします。小野君。
○小野明君 外務大臣、その後の日航機乗っ取り事件の経過について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日午後、本委員会を途中で中座をお許しいただいたわけでございますが、それからしばらくしてからソウルから橋本運輸大臣からの電話の連絡によりまして、山村運輸政務次官の身がわり案を軸とする案というものが考えられ始めたということの報に接したわけでございます。これに対しまして、政府としても直ちにその線に沿うた具体的な対策を速急に協議いたしましたわけでございますが、そうしておりますうちに——途中のいろいろの経過は省略いたしますけれども、午後六時十分になりましてから、山村政務次官の勇気のある英雄的な行動を中心といたしまして、犯人と申しますか、いわゆる赤軍派との間に、山村君が身がわりになることによって全乗客を飛行機からおろすということについて原則的な合意が一応できたわけでございます。そのことの報告に接したわけでございます。ただ、この合意については、社会党の阿部助哉代議士によって山村新治郎君のことを確認したいということが条件になっておりました。政府といたしましては、直ちに阿部助哉代議士に御協力を求めましたところ、即座に御快諾をいただいて、山村君の人物を立証するということをお引き受けいただきまして、さっそく、ほとんど即座に金浦に飛んでいただいたわけでございます。そうして、今朝来現地におきまして赤軍派との間にいろいろの経過がございました。これもこまかい点は省略いたしますけれども、午後の二時五十九分に山村政務次官がこの飛行機に搭乗いたしまして、その前に五十数名の乗客が無事に飛行機からおりたわけでございますが、山村君が飛行機に乗りまするのと引きかえに、残りの五十数名の乗客の方々が無事に地上におりることができました。これで、おかげさまをもちまして、全乗客——私正確に名簿によって確認をいたしたいと思いましたが、そのいとまがございませんでした。全乗客と申し上げて、まず間違いはないと思いますけれども、全員がようやく七十九時間後に自由になられた次第でございます。 こういう結果になりましたことにつきましては、国会における議員の方々の御熱心な御激励、御協力、御支援のほか、国民皆さまの非常な御心配と御激励をいただいた結果でありまして、政府といたしましては衷心からお礼を申し上げる次第でございます。 なお、昨日も申し上げましたが、今回の事件が起こりましてから、それぞれいろいろの立場で各国あるいは各機関の御協力を求めてまいりましたが、特に韓国政府におかれては、日本側の気持ちを十分くみ取って、日本の欲する線におきまして十分な支援をしてもらいましてこういう結果になりましたことについて、あらためて謝意を表しておきたいと思います。 かくして、乗客の方々はようやく自由を取り戻されて、いわばほっとしたわけでございますが、直ちにこの飛行機は北鮮向け、これは平壌に向かうことになっておりまして、こう申しておりまする間にも離陸をしたのではないかと思っておりますが、この飛行につきまして、これまた、韓国政府、ソ連邦その他に非常な協力をいただいております。さらに、軍事休戦委員会、赤十字、それからたとえばNHKの海外放送、国際電電というようなところの御協力——これは実はあらかじめ相当具体的にこれらの線を通して北鮮の協力を求めておったわけでございますが、これらの点につきまして、北鮮側におきましても、この飛行機、その乗員、乗っておる人たちの飛行の安全、人命の安全はもちろんでございますが、着陸後の人道的の取り扱いというようなことを保証しておりまするし、また、早期に帰れるような措置、特に山村君の早期の帰国というようなことについては、今度のこの称賛すべき行動に対しましても、政府といたしましても、ぜひすみやかに帰国をしてもらえるように、今後とも万全の措置をとりたいと考えております。前々から申し上げておりますように、本件につきましては、人間の生命の尊重、人道的立場、この線に徹して政府も措置してまいったつもりでございますし、また、関係各国、各機関もそういう線の上に立って協力をしていただいた。あるいはまた、今後も協力を続けていただけるということになっておりますことは、これまた政府といたしまして、ほんとうに感謝すべきことであると思っております。 最後に、あらためて、先ほども申し上げましたように、社会党の阿部代議士にもほんとうにお願いしにくいところを即座に快諾されて、この結果が実りますことに非常な御協力をいただいて、また各党各派、超党派的な御協力をいただきましたことに対しまして、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
○小野明君 おわかりになっておりましたら、乗客の健康状態あるいは機長、乗務員の交代等については、いかがなっておりましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 何ぶんソウルからの電話、テレックスそのほかの方法によっておりますものですから、確実に詳細なことを御報告いたしまして間違いがあるといけませんけれども、一般的な所見といたしまして、乗客は意外に健康状態がよかったと申しますか、さほど心配すべき状態ではなかったようでございまして、今日飛行機からおりられた方の中で一人だけ救急車に乗られた。それから他の大部分の方々は、飛行機からおりられたその瞬間においても足取りも皆さんしっかりしておられたと、こういうふうな所見をいたしておりますことの報告に接しておる次第でございます。 それから実は、率直に申しまして、経過の説明のこまかいことを省略いたしましたが、パイロットの問題が最後までたいへん心配で——現にしておるところでございますけれども、どうしてもパイロットの交換については赤軍派のいれるところになりませんでして、そのために予定の時間が延びたのでありますけれども、現地におります橋本運輸大臣はじめ日本政府の者と、それから韓国側の人たちと協議に協議を重ねまして、ついにこれについては赤軍派の言うことを聞かざるを得なかった。現在まで乗っておりました機長、クルーがそのまま操縦をすることになって、最後のこの結果が行なわれることになったわけでございます。実は最後までその希望を捨てなかったわけでございますし、先ほど申し上げましたように、この北鮮向けの飛行機はもうすでに離陸したか、あるいはせんとしておるか、ここのところがまだ正確に入報がございませんので、最後のほんとうに離陸するときに何びとが操縦に当たったかというところまでまだ確認しておりませんけれども、話し合いの終末におきましては、日本側といたしましても、これは大所高所から立ってやはり乗客をおろすということ、この多くの方々の人命の尊重ということから考えまして、やむを得ず、ほんとうに忍びがたきを忍んでこの条件を受け入れた。こういう経緯に相なっておりますが、しかし、普通の健康状態としてさほどに心配する状況ではないことを期待いたしております。日航の当局においても精密な知識、経験、あるいは心身の状態がきわめて健全な状態でなければジェット機の運転はむずかいし。ことに知らない土地に行くのでありますからということで、最後までこの点についてはずいぶん慎重に検討いたしましたわけですが、いま申しましたようなことから、こういうことに相なったわけでございます。——そういうわけでございます。 それから先ほど、おそらく全乗員無事に地上におりたと申しましたが、それはさらに韓国テレビの報道でも確認されております。乗客九十九名、スチュワーデス四名、合計百三名を韓国側でも確認いたしたそうでございます。そうでございますれば、全員プラス・スチュワーデスということに相なります。
○小野明君 この事件は、初めてのケースだけに、いろいろ事件を終わりまして反省検討しなければならぬ問題が多いと思うのであります。とっさの間でありますけれども、ソ連あるいは北朝鮮との間にかなり外務大臣も折衝なさっておられるわけでありますから、二、三お尋ねをしたいと思うんですが、山村次官、それから乗務員、機長の送還ということについては、どのようになるわけでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 今回の日航「よど号」が、こうこういう状況で平壌に向けて立たねばならないことになるかもしれないというような状況判断をいたしまして、正確な日時は先般もちょっと一部申し上げたと思いますが、鋭意夜を徹して関係の筋にお願いをいたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、ただいま得ておりまする情報あるいは心証からいたしますれば、航行の安全、それからこの飛行機並びに飛行機の乗員の着陸してからの安全、そして北鮮の、たとえば赤十字から国際赤十字を通じての態度の表明の中には、近くと申しましょうか、これは英語で回答されております。スーンという字が使ってございますから、そのとおりに申し上げたほうがよかろうと思いますが、すみやかに返してくれるという意図の表明は受けておるわけでございます。
○小野明君 そうすると、この飛行機並びに乗務員、山村次官は間もなく、スーンということばだそうですが、返してくれる。しかし、その返還、送還のルートその他についてはまだ明確でない、こういうことでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは平壌に着きましてからのことでございますから、またその後におきまして、先方の好意によって、そして適当な空路を選んで近く返してくれるものと期待いたすわけでございます。この点につきましては、実は常識的に申しますと、最初の段階ではそういう場合があり得るかもしらぬから、あらかじめひとつ協力方について考慮を払っておいていただきたいというところから始まりまして、いよいよお世話にならなければならない段階になる公算が多いという段階、それからいよいよそういうことになりつつありますというような段階に分けて、各種のルートを通じてお願いをしているわけでございますが、それらに対しまして、いま申しましたような北鮮側の好意のある態度が表明されておるわけでございますが、今後その好意に期待して、早期の返還、こういうことに相なるわけでございますから、まだ、その航路がどういうところが選ばれるかというようなことにつきましては、現在のところは何ともわかりかねるというのが実情でございます。
○小野明君 未承認国との間に何ら窓口がなかったということが、一つ、大きな今後の問題点でもあると思うのであります。いま、ソ連並びに北朝鮮との間に折衝のルートというのはどういうものがございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは人道的な点から考えますと、まあきわめて常識的なことになって恐縮なんでありますけれども、赤十字の路線を通ずることが一番適当かと思いますし、また、今回のこの事件につきましても、国際赤十字を通ずる路線というものが好意をもって対処していただいたという、こういう関係にもあるわけでございます。それからまた、ものによりましては、やはり未承認国との関係の場合におきましては、通常の国際慣行としては友好関係にある第三国を通じて折衝をするということから申しますと、たとえばソ連政府に頼んでいろいろの問題の処理をするということが一つの普通の国際慣行ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。それからまた、今回のような朝鮮半島に関係する問題でございますと、軍事休戦委員会というものがたまたまできておったわけでございまして、この線の、今度の場合は非常に効果的な機能を発揮していただけましたけれども、しかし、これはやはり人道問題であるという観点に立って御協力をいただいたというふうに私は理解いたしておる次第でございます。
○小野明君 朝鮮民主主義人民共和国は、これは犯人グループに対しまして亡命というふうにみなすかどうかという点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点については、いま、何とも申し上げかねます。
○鈴木強君 関連して二つほどお尋ねいたします。 大臣が非常に熱心にこの問題に取り組んでいただきましたことについては、心から敬意を表します。で、念のためにこれは伺うんですが、北朝鮮の赤十字社との関係、それから北朝鮮政府との関係で、三十八度線を越した場合に、飛行機の安全、乗員の安全、それから直ちに返すということについては了解のあることを聞きました。しかし、こちらの条件が変わったわけですね。要するに、山村政務次官が乗っていくわけですね、お客さんがおりて。ですから、そういう事情の変化は、その後、北朝鮮側に十分連絡がとれておるかどうかということが一つです。 それからもう一つは、いま小野委員もおっしゃるように、今回のケースは初めてのケースでございます。したがって、犯罪の規模が国際的に広がってきているわけですが、何とかこれはひとつ、今度の経験を通してみても、国際的な連携の中で、犯人逮捕あるいは飛行機の安全確保ですね、こういったことを何らかの方法で取りきめておく必要があるのではないかという気がするのでございますが、これは未承認国の問題も含まれますから、非常にむずかしいと思いますが、わが国は貴重な体験国ですから、そういう点を十分考慮する必要があると思います。これはまあいま頭をたいへんお使いになっておる大臣に対して、少し先のことで恐縮ですけれど、この機会に大臣のお考え方を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ごもっともな御心配でございますが、山村政務次官が、いわば人質になってくれたということは、やはりこの「よど号」という飛行機が不法に乗り取られた。そしてその飛行機に、乗り取った連中が現に乗っておりますし、また、先ほど申しましたように、きわめて残念なことであったかと思いますけれども、操縦士等がかわっておらない、こういうことで、この飛行機と、それに乗っておる人たちは、その全体として見れば性格が変わったものとは見ないというのか——そういうふうな理解をしてくれると私は、政府としては、考えておる次第でございます。しかし、その点は、念には念を入れるほうがよろしゅうございますから、政府といたしましては、この事件の推移、そしてこういう決着になりましたこの事実も、先ほど申し上げましたように、いよいよこれが具体的な事案となり、ここに飛び立つことになりましたことについて、実は昨夜来早目に——早目とも申せないかもしれませんけれども、鋭意努力いたしまして、関係方面にお願いをさらに念を入れていたしております。幸いにして、それに少なくともそれは前のようには扱えないというような、反対的な意向というものはあらわれておりません。だいじょうぶこれは前々からの態度のとおり扱ってくれるものと考えております。 それから、一般的にこの飛行機乗っ取り、ハイジャックスと申しますか、これについてはもうほんとうに率直に言って、日本ではほど遠い問題かのようにわれわれも考えており、特に国内航路においてこういうことが起こるということを予想しなかったというところに、われわれの先見性がなかったということに対しては、非常に申しわけなく思っております。しかし、事実起こりましたこの大きな、世界的な耳目を聳動ずるような事件がここに起こりました以上は、もう早急にこれに対処する方途を講じなければならない。もうさっそくにも、実は今明日からでも、将来の十分な対策について関係当局間、あるいは民間の方々の御協力もいただきまして、早急な対策を徹底して打ち立てなければならないと、われわれも現にそういう決心でおる次第でございまして、早急に研究に着手し、そして前向きの具体的な措置をとらねばならないと、かように存じておる次第でございます。
○小野明君 最後に、公安委員長——公安委員長突然で恐縮でありますが、今回のこの犯人グループのやり方を、過激なある学生グループの二、三は高く評価をしておる向きがあるわけです。おれたちも機会があればやるんだと、こういうことを言っておるらしいのでありますが、新聞にも報道されておりますが、これらに対してどのようにお考えであるか、対処をしておられるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。 あの行動を高く評価しておるというせりふ回しが不届きしごくだと存じます。そういう考えを持って、再度同じことを繰り返すことなどはもちろん許すべきではないというふうに思います。
○小野明君 最後——それはあたりまえの話でありまして、いま愛知外務大臣が言われますように、今明日にも抜本的に再検討し対策を立てる、こう言われておるのであります。ですから、そういう御答弁ではなくて、政府間で十分協議の上、万般の対策を講じていただきたい、このようにお願いをしたいんであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん万般の対策を講じまして、さっき申し上げたとおりにいたしたいと思います。
○小野明君 終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で小野君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 再び原田君の質疑を行ないます。原田君。
○原田立君 経企庁長官にまたお伺いしますけれども、この大牟田川沿岸ではカドミウム及び水銀がそれぞれ出ると聞いておりますが、この工場排水の規制、その後どういうふうになっているか、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(佐藤一郎君) この大牟田川の水質につきましては、昭和四十三年の七月に水質基準を設定しております。そうして昨年の十一月に工場排水口を調査いたしました際に、シアンにつきまして水質基準から見ますと一部問題のところがございます。ただ御存じのように現在工場単位でもって排出基準を設けております。そういうことで、全体といたしましては、もちろん基準以下でございます。ただし、今後の万全を期するために、排水処理の改善の強化について指導をすることにしております。
○原田立君 その指導はひとつしっかりやってもらいたいと思うのですが、私の聞いたところによりますと、ある工場に二つ排水口がある、そのうちの一つがいまお話しのちょっと基準よりオーバーしている。工場全体の使用水量からいけば基準内であるけれども、その一つの排水口自体から見ると基準をオーバーしている、こういうようなことがあって、心配しているわけなんですが、そういう排水口をそれぞれに基準内であるように強力な指導をしてもらいたいと思うのですが、その点どうでしょう。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
○国務大臣(佐藤一郎君) これは排水の規制のことでございますから、ひとつ通産大臣ともよく相談いたしまして、ただいまのような方向にいかなけりゃならぬと私自身も思っております。そういう意味においてこの場合におきましては、特に追加してこの規制の強化について指導したい、こういうふうに思っています。
○原田立君 この大牟田川を実はしゅんせつしようという話が出ているんですが、土中をかき回すと、含んでいる危険物がまた余分に出るということで、地元漁協がたいへん心配して、反対陳情し、とうとう工事がそのままの状態になっております。で、こういう河川のそういうヘドロ中のものが魚介類あるいはノリ類なんかにどういうふうに影響するのかというようなことは、もう生活権もかかっている問題でありますから、早急に調査をしてもらいたいと思うんですが、実はこの問題、おととしあたりから強く政府に申し上げているんですが、いまもって、こうという結論が出ておりません。三年がかりなんです。もうここいら辺でそろそろ早くやってもらいたいと思うんですけれども、どうでしょう。
○国務大臣(佐藤一郎君) 先ほど申し上げましたように、このたびはカドミウムについても基準の追加をいたしますし、それから調査もさっそくやると、こういうことにいたしております。
○原田立君 厚生省は産業廃棄物の排出規制をするそうでありますが、何か清掃法を改正するというようなことなんだそうですが、具体的にどういうことか、御説明願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 産業廃棄物の排出規制をするということではなしに、むしろ今日では経済の複雑化高度化に伴いまして、各種の廃棄物が非常に多くなりまして、はたして従来の清掃法等の仕組みだけでカバーしきれるかどうかというところに大きな問題がございますので、これらの単なる家庭のゴミとかということだけでなしに、それの何倍かにも及ぶような産業廃棄物各種のものを含めました対応策につきまして、検討をいたしておる最中でございます。
○原田立君 これは通産省のほうだろうと思うんですが、実は工場の名前を申し上げて恐縮なんですが、熊本県の新日本窒素水俣工場、ここの工場廃液を、カーバイド類でありますが、海をせき切って堤防をつくって、その中にパイプを通し排水とともにカーバイドが流れる、そして埋め立ての用にするんだということでありますが、この海のところを実際行ってみました。そうしたらば、カーバイドが下に沈澱していて、海の色と白いのと二つ重なって、青紫色みたいなものすごい色をしているわけなんですが、一般住民が見たら、たいへんこれは危険なんじゃないだろうかと心配するんですが、私もその一人なんでありますけれども、そういう何か魚介類に与える影響あるいは人体に与える影響等、そういう心配はないんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的なことを存じませんので、報告されたところを申し上げるわけでございますけれども、そのプールの外壁がコンクリートになっておりまして、そのコンクリートの壁を逐次かさ上げをしてきている、そこで上澄みの液等が外部に流出したり、にじみ出たりする危険性はないと考えるというふうに私どものほうの専門家は申しております。私実情を存じませんので、報告されたままを申し上げるわけでございます。
○原田立君 実は、大牟田の三井化学でも、自分の所有地の早鐘工場内の敷地の中に、やはり山あり谷ありで大きい、四十万坪ぐらいあるそうでありますが、その中の谷をせき切って、そこに工場廃液を投下している。そして水は下に吸い込む、あるいはまた蒸発する、あとかすが残る、そのあとある程度かすがたまる、上に土をかぶせて何かまた家を建てるのだと、こういうことでありますが、これも事実現場を見てきたのですが、非常にきたない、私たちしろうとが見て、これではたしていいのだろうかという心配をたいへんしたわけなんですが、そういう点は人体の影響等はございませんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員からお聞き取りいただきたいと思います。
○政府委員(山下英明君) ただいま御指摘の廃棄物処理場は、その工業所から数キロメートル離れたところで、旧火薬工場あと地の谷でございまして、私どもに報告を受けておりますのでは、十五メートルの堤防を築きまして、雨の降った場合でも廃棄物が周辺に流出はいたさないという保証はいただいております。現在のところ、近辺への危険はないものと判断しております。
○原田立君 ちょっと、雨が降ってこぼれるだなんて、そんなこと心配しているのではないのですよ。たいへん色黒々とした工場廃液そのものを入れ込んでいるのですから、そういうふうなことが、そういう方法が、そういう処理が、危険ではないかと、危険物は含んでないかと心配してお聞きしているのです。雨漏りのお話じゃないのですから……。 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
○政府委員(山下英明君) 同工場は、言ってみれば総合化学工場でございまして、出てまいります廃棄物には各種ございまして、その一部排水口から流出できるものは排水いたしますが、むしろ排水することが好ましくないようなものをその奥地の山手に沈でんさせております。
○原田立君 それはわかっているのですよ。昔は川の中へ入れ込んだから、だから七色の川だとか燃える川だなんてあの大牟田川がいわれておる。それをいろいろな世論があって、自分の敷地の中に入れているのです。だけど、あればあと二、三年もすれば、もうそれでストップなんです。そうすると、またほかへ捨てるところを考えなければいけない、こういうことを工場の人も言っておりました。川に流して危険なものを、危険だったから、だから山の中に入れたのであって、私はしろうと考えでそう思うのです。だから、廃棄物そのものに危険はないのかということを聞いているのです。
○政府委員(山下英明君) 廃棄物は危険でございます。長年にわたってそこに堆積されたものをどう処理するか、他の工場等でもございます問題ですけれども、現在検討をいたしております。
○原田立君 検討のことであるそうですが、ひとつその点、あそこは大牟田市全体がもう公害の町になっておりますから、よく早急におきめ願いたいと思います。 次に、水俣病問題についてお伺いしたいのでありますが、去る昭和三十一年五月一日より発生した水俣病患者は死者四十五人、生存者七十一人で、合計百十六人の罹病者が出たのでありますが、また、その死亡率は四〇%にものぼり、世間のきびしい糾弾を浴びたものでありますが、その後の状況はどういうふうになっておりますか。厚生大臣御報告願いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) まずこの水俣病、あるいはそれとやや趣きは異にいたしますけれども、同じ微量重金属の影響によりますイタイイタイ病などの処理につきましては、厚生省におきまして、引き続き公害医療研究費補助金という予算を設定をいたしまして、関係地方の県立の中央病院あるいは大学等の研究を継続をして、それの対応策につとめております。また、水俣病そのものの事後処理につきましては、御承知のように関係者、一部の方々は厚生省のあっせんといいますか、仲介による事後処理の委託をされておりますので、私どものほうで三人のその方面の処理に適する方々の委員会をつくりまして、処理の対応策を樹立をいたしておりまするし、他の一部の方々は別に訴訟を起こしておりますこと御承知のとおりでございます。これらにつきましては、私どももほうっておかないで、いまの委員会などの結論につきましてもできる限り早く、また、犠牲者の気持ちに通ずるような処置をとっていただくように私からもお願いをいたしておるところでございます。
○原田立君 いまもお話がありましたが、訴訟を希望された方が三十七名、厚生省一任を希望されたのが七十人、こうなっているのでありますが、訴訟関係その後どういう進展をしているのか、あるいは厚生省に一任、調整を依頼された方等のその後の進展状況、おわかりでしたらば御報告願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 訴訟のほうの進展は、私はいまここでよく承知をしておりませんけれども、厚生大臣あっせんのもとの、先ほど述べました処理委員会と申しますか三人委員会のほうは、これまでの間に現地に二度ほど調査に参られ、当事者から事情や要望を聴取したほか、三十四回にわたって東京その他で打ち合わせ会を開催をいたしまして、問題の円満公正な解決に努力をいたしておるところでございます。また、ごく最近に、厚生省のほうにあっせん依頼されておられる家族の方々の代表者が私をおたずねになりましたので、私は皆さんのお話を十分お聞きした上、さらに同じ日に開かれる予定でございました三人委員会のほうにも私どものほうから御紹介、ごあっせんを申し上げて、そしてこの三人の委員にもいろいろ事情を訴えて要望等を聞き取っていただいておるところでございます。
○原田立君 こういう問題は長引くのだろうと思いますけれども、実はこの問題、去年のたしか三月の当予算委員会で実は問題にして起こった問題であります。厚生省一任問題、もう一年たっているのですけれども、まだ二、三年かかるのですか。
○国務大臣(内田常雄君) この委員会に発足をしていただきましたのは昨年の四月でございますが、先ほども申し述べましたように、もう数十回にわたって会合をいたしておりまして、私の受けております印象では、一年も二年もあとかからない、わりあいに早く妥当な結論を出していただけるのではないかと、私は期待いたしております。
○原田立君 関係者のひとつ御努力をお願いしたいと思います。 実は現地にいきましたところ、不顕性水俣病患者の補償はしないと水俣病審査委員会できめられたそうでありますが、たとえば本人がなくなられた後、解剖に付し、病理学上水俣病と判明したような場合には、これは補償したほうがいいんじゃないだろうか、こういうふうな一部の意見もありますし、いやそうじゃないんだというふうな、両方の意見だそうでございますが、かりにもこういう公害関係でなくなられた方々はやはりたいへん気の毒な方々なんでありますから、不顕性水俣病患者の補償等も、これはやるという方向に持っていくべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○国務大臣(内田常雄君) いま御意見のございましたその不顕性水俣病というのは、生存中は水俣病の徴候を呈しておらなくて死亡されたけれども、後に解剖いたしましたところ水俣病と同じような病理学的な所見が発見されたというような場合のようでございますが、私が報告を受けておりますところでは、そういう場合、そういう方がお一人、しかも相当高齢な方がおられるそうでございます。これは昨年当国会で成立をさしていただきました公害に係る健康被害の救済に関する法律がございまして、水俣病に対しましてもこれを指定して対処いたすことになっておりますが、しかしあの被害救済法というものが御承知のように、医療費とか医療手当などを支給するたてまえになっておりますので、したがって、なくなられた方にはそのままでは適用がしようがない、こういうことでありまして、補償の問題は直ちには今回の法律の対象にはならないというような見地から、あの法律に基づく現地の公害被害者認定審査会がことしの二月二十二日に、この不顕性水俣病についてはこれを認定の対象にしないということを決定を行なったものだと聞いておりまして、私もそれはそうであると思います。ただし、これは先生のおっしゃるような面もあるでありましょうから、これについてはそのままそれでいいんだということにしないで、検討の対象とも私はなり得べきことだと考えますので、さような場合にはこれはあらためて公害被害者認定審査会に意見を求めるなり、あるいはまた新しい課題にするなりというようなことも親切に検討してみるべきではないかと考えております。
○原田立君 水俣病及び第二水俣病あるいはイタイイタイ病、こういう特に水質関係にどれだけの研究費を投入なさっておられるのか、あるいはまた、実は現地のほうでは、こういう予算の決定が非常におそい、早くしてもらいたい、あるいはまた、厚生省できめている予算は診療、検査の費用及び研究学者の旅費等々というふうなことであるそうでありますが、こういう水銀関係あるいはカドミウム関係、こういう重金属関係の公害に対する研究というのはもっともっと手厚くしなければならないのじゃないか。そういう意味で、新規研究をぜひしたい、だけれども、それにも関係する機械を購入したいのですが、実はお金がないということで頭打ちになっているという、こういう状況を実は聞きました。こういう新規研究機械購入等促進のための予算も当然組むべきではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。 水俣病に関して初年度四十四年度、四十五年度どういう予算を組んだかという一点と、それからもう少し決定を早くしろというのが一点と、それから新規機械購入等促進のための予算をつけるべきではないかという一点、以上三点お答え願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 数字のことでございますので、政府委員から答弁いたさせます。
○政府委員(城戸謙次君) 先生ただいま御指摘の研究関係の厚生省の分でございますが、私どもは公害調査研究委託費で水銀、カドミウム等に大体二千万程度年間出しております。それから公害医療研究補助金のほうで一千万ほど出しておりますが、この中で水俣病の関係では約三百万ほど四十四年度は出しています。
○原田立君 四十四年度は百五十万じゃないですか、三百万というお話だけれども。四十五年度幾らですか。
○政府委員(城戸謙次君) ただいま申し上げましたのは、公害医療研究補助金の中で医療費として出しましたのは百二十三万七千、それから研究費として出しましたのは二百二十万円でございまして、合わせて概数三百万と申し上げた次第でございます。
○原田立君 厚生大臣、実はこういう重金属による病気は再起がはなはだ困難であり、そのためにもぜひとも予防医学というものにもつともっと力を入れなければならないのだと思うのですが、そういう面での今後のプログラム、どういうふうに省内でおきめになっているか、あるいはまた、これらの患者に対して、ただ単に治療するというのばかりではなしに、いかにして社会に復帰せしめるかということが実は重大問題なんでありますが、そういう社会復帰せしめるという面についてどういう研究がなされているのか、その点お伺いしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 水銀とかカドミウムとかその他の微量重金属が、私どもが取り上げております公害の有害排出物の中に多く入っておりますことにつきましても今後研究を進めなければなりません。そこで本年度、昭和四十五年度の予算におきましても、ぜひひとつ公害衛生研究所というものを厚生省に持たせてほしいということで、大蔵大臣並びに総理大臣にもお願いをいたしまして、まずその調査費を獲得いたしております。それによりましてマスタープランをつくりまして、四十六年度あたりから現実のそれらの整備費というようなものをぜひひとつ政府としても組んでまいりたいと思うことが第一点でございます。 その他厚生省におきましては、ただいまの政府委員から申し述べましたように、幾つかのこういうものに対する項目の違う研究費——特別研究費とか何やら、いろいろ名前のついた研究費がございまして、これはまあ使い方によっては私はいろいろの面に使い得るものと考えまするし、また、それで足りない場合には、科学技術庁の研究調整費というようなものも他の病気などの対応策として使わせていただいたこともありますので、あの手この手を使いまして研究を進めてまいりたいと思っております。また、不幸にしてこういう金属に基づく病気におかされました人々の社会復帰の対策につきましても、これは、それだけを目的とする、たとえばコロニーとか施設ということもなかなかできにくい場合もございましょうから、当該地方公共団体とも打ち合わせまして、コロニーとかあるいはその他の施設の中にこれを取り入れていくような方向で検討を進めてみたいと思います。
○原田立君 厚生大臣、実は私が質問しようと思ったのを先にお答えがあったのですが、たいへんそれでは不満なんです、私は。現在あるコロニー等に水俣病患者の併設は無理なんです。ひとつ局長お聞き願いたいと思うのですけれども、実は現地の人たちも、胎児性水俣病患者、現在十一歳から十四歳ぐらいになってるんですけれども、一生市でめんどう見ねばならない、ほかの病気なんかと併設してつくりたいと思うんですけれども、それがなかなかできないと、だから水俣病のような患者の独特のコロニーあるいはナーシングホームをつくってもらいたいという非常に強い要請がありました。で、現に水俣病はもうたいへん前の話でありますし、何か厚生省の中では、新潟の第二水俣病と同一歩調にするので、こういう社会復帰研究の問題は水俣の場合もう少し待てというふうにとめられているんだというようなそういう話でありますが、実際もう胎児性の患者は大きいので十四歳になっています。もうそろそろこの問題は新潟の問題とは切り離してでも、早急に手をつけなきゃいけないんじゃないんだろうか、こう思うんですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) 私のお答えが不十分であるかもしれませんので、あとから政府委員に補足答弁をいたさせますけれども、水俣病の関係で直接入院をなさっている方は現在十四人だと聞いております。これが単に入院治療ばかりでなしに、あとの社会復帰等とも関連していろいろごめんどうを見たいというような場合に、おそらくその数だけでは独立したコロニーとかナーシングホームというものは成り立たないじゃないかということを、私があるいは早合点をいたしておるのかもしれません。それに、こうした施設は国立でやるというものではなしに、どうしても地方公共団体等にやらせまして、国から助成をしていくという方向になろうと思いますので、その現地の府県とも打ち合わせてまいるべきだと、こういうことで先ほどのようなお返事を申し上げましたが、これは政府委員からなお追加答弁を私からさせるようにいたします。
○政府委員(城戸謙次君) ただいま御指摘になりましたしかるべき施設をつくれと、こういうことでございますが、この点につきましては、私ども現地から非常に要望があることはよく聞いております。ただ、どういうような施設が適当かと、こういうことを中心に現在検討いたしているわけでございます。現在何もやってないかということでございますが、この点に関しまして私どもとしましては、三十九年から四十一年にかけて患者のリハビリテーション施設を水俣市立病院の湯之児分院内につくっておりまして、一部研究費もつぎ込みまして、この運営に当たっているわけでございまして、それで当面やりながら、今後しかるべき適当な施設がございますれば、これを検討してまいると、こういうことで省内でいま進めているような状況でございます。
○原田立君 たいへん不満な答弁で、もう少し続けたいと思うんですけれども、時間がないのでこれで終わりにしたいと思うんですが、こういう水俣病の胎児性の患者、この人たちのコロニーはぜひつくってもらいたい。現在の水俣湯之児のリハビリテーションでは、あそこでは一般患者も入っています。あれでは無理なんです。その係官がそう言っております。大臣、ひとつコロニーはつくるような方向に検討するという御答弁いただきたいと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) 検討をさしていただきたいと思います。
○原田立君 公害問題はこのぐらいにして、交通問題をちょっとやりたいと思いますが、東名、中央、名神、各高速道路等が整備され、本格的な高速自動車交通時代を迎えているのでありますが、この高速道路交通に対する対策、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 高速道路における交通対策については、名神及び東名高速道路について、沿道の九府県の警察によって、四百台の交通取り締まり用パトカーと十五台の交通事故処理車で交通取り締まりと事故処理に当たっております。川崎、一宮及び吹田にこれら各府県警察を調整する連絡室を設置しております。中央高速道路については、警視庁と山梨県警で六台の交通取り締まり用。パトカーと三台の交通事故処理車を運用し、八王子に両県警察連絡室を設置しております。昨年一年間において五千四百四十七件の交通事故を処理し、二万一千八百九十八件の違反を検挙しておるのであります。関係都道府県警察の相互協力については、連絡室の調整により、または各パトカーの無線連絡により完全に行なっているところであります。高速道路の交通規制についても道路公団と連絡しながら、そのつど流入の制限、流出の誘導等必要な規制を行なっております。 なお、首都高速道路及び阪神高速道路は、現在約百九十キロメートルでありまして、警察はパトカー二十台、白バイ四台、事故処理車四台でこれら高速道路の交通取り締まりと事故処理に専従させております。昨年一年間に交通事故約千五百件発生しておりまして、両道路とも共用区間の延長に伴って交通事故防止体制の強化につとめております。首都扇速道路における昨年一年間の交通渋滞は約千三百件で、その八〇%が自然渋滞と交通事故によるものであり、警察としても公団側と協力して、そのつど流出入の制限や誘導及び渋滞情報の提供による交通の誘導制御、故障車、事故車の早期排除につとめておりますが、事故処理迅速化のためには、ステレオカメラの導入も計画中のところでございます。
○原田立君 指定自動車教習所が約千五百くらいあるそうでありますが、全国統一的に教習課程をきめられたと聞いたんですが、この点は厳正に行なわれているのでありましょうか。あるいはまた高速運転の知識に関する教習の推進をなさるというふうに載っておりますけれども、これは現実に高速道路の運転知識に関する教習はやっておられるんでしょうか。この点どうでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 指定自動車教習所における教習内容、方法等については、道路交通法施行規則に記載されているところでありますが、その教習内容の細目につきましては、昭和四十四年三月警察庁交通局長通達によりきめられておるところでありまして、昨年七月一日から全国的にこれによる運用を開始し、教習内容等の全国統一をはかったところであります。その内容は、まず教習科目について、従来の技能教習、法令教習及び構造教習の三科目に、安全運転の知識の教習を加えて四科目といたしました。さらに、各教習科目について教習内容を具体的に規定しました。特に技能教習については、全体の教習内容を四段階に区分し、各段階ごとに教習効果の確認を行ない、次の段階の教習に進める、いわゆる段階教習方式を採用し、教習の充実とあわせ随時適切な指導、監督が行なわれるようにいたしております。
○原田立君 全国交通安全運動期間における各種交通安全教育活動の中で、法令講習会というのが持たれているそうでありますが、その参加数、たとえばドライバーですと、四十四年春では二百三十一万である、こういうことでありますが、運転免許証の収得者は約二千四百五十一万と聞いております。そうすると、約一割ぐらいの人しか参加していないのでありますが、これは自発的行為で参加しているのか、あるいは強制力をもってやっているのか、その点はどうなんでしょうか。あるいはまたこういう法令講習参加等を通じて安全教育活動をもっと推進するためにも、交通事故を絶滅するためにも、もう少し強力にやるべきではないか、かようなふうな意見を持つのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この問題は、政府委員からお答えさせていただきます。
○政府委員(久保卓也君) 安全運動期間中は、春と秋と十日ずつでありますので、この期間中に講習をやる数字というものはおのずから限られてまいります。したがいまして、私どもといたしましては、年間を通じて講習を行なうということでありまして、一つは行政処分者の講習でありますが、これが昨年は若干少ないようでありまするけれども、七割ぐらいのものは行政処分の適用を受けた者の講習をやっております。それから更新時講習、これは三年おきに免許の更新を受けるわけでありますが、八九%に至っております。したがいまして、講習の受講者というものば相当数にのぼっております。ただ、将来の問題として、これを義務化するかどうかということは、私どもの将来の検討問題として残っております。
○原田立君 自家用乗用車及び貨物等の事故が百分比にしまして六四・七%と、自家用車が非常に多い。こういうためにも、自家用車の人たちに対する問題というのは重大な問題ではないかと思うのです。それを含めて、ことしに入っての交通事故死は一体どのくらいになっているのか。これはちょっと古い資料でありますけれども、三月十六日に警察庁で発表したのによりますと、これで三千四十一人の死亡がある。ということは、ことし四十五年は四十四年よりもまたはるかに交通事故者が多発するんじゃないかと、こういうようなことが報道されているのでありますが、その見通し、対策、それから自家用乗用車貨物車の指導、これらの点についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(久保卓也君) 本年に入りましての交通事故の情勢でありますが、三月末までの数字をとってみますると、件数で十五万二千件余、昨年の同期に比べて〇・三%の増であります。それから負傷者の数は二十万三千余でありまして、昨年同期に比べて〇・七%の増、これは昨年一年間の増加がそれぞれ一四、五%であったのに比べますると、いまのところたいへんよろしい成績かと思います。しかしながら、まだ三ヵ月間でありますので、私どもはあまり大きいことは申しておりません。しかしながら、死者の数が三千七百五十八人でありまして、昨年同期に比べますると七%の増であります。これは、昨年一年間の対前年比の増が一四%でありましたから、ほほ伸び率は半分でありますが、まだ私どもの所望の数字ではございません。私どもの目標としましては、せめて毎年の死者の数の伸びをさしあたって五%ぐらいに押えたい。その目標からいたしますると、まだそれには至っておらないということであります。 ところで、いまお話しの、自家用貨物車あるいは自家用乗用車の安全教育あるいは事故防止対策という点が問題でございまするが、自家用貨物車につきましては、企業者の努力によりまして漸減ないし横ばい程度でありまして、私どもが行なっておりまする安全運転管理者——各企業に置いておりまする安全運転管理者の教育を通じて、逐次効果があがっておるものと思います。一番問題でありますのは、いわゆるオーナードライバーでありまして、これは個々の運転者でありまするので、なかなかとらえにくいわけでありまするが、私どもが昨年の秋以降各県に指示をいたしておりまするのは、どのようなオーナードライバーであっても、どこかの会社につとめ、あるいは何らかの組織に入っているであろう、そういった組織を通じて教育をしてもらう。その教育について警察が協力をしていくというようにしてまいらねばならない。特に、商店、小さな商店などにおいて、商売上雇っている若い人たちに車を与えておるわけでありますが、この教育が非常にむずかしいわけで、商店街あるいは商店の組織その他を通じてアプローチするように努力をいたしております。これは昨年来力を入れ始めたので、逐次効果をあげるものと私どもは期待いたしております。
○原田立君 大阪で一方通行をやってたいへん成績がよかったということでありますが、東京都内の交通渋滞はきわめて悪化しているので、都内でも一方通行規制を検討中であるということが報道されておりますが、その点、どういうふうになっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 警視庁では、都内の交通事情悪化の傾向に対処するため、都心部の幹線道路の一方通行について検討しております。ただこの問題については、都内の道路網の形成が特殊であるためにむずかしい問題があるほかに、社会経済活動に及ぼす影響も大きいので、運輸省、建設省、東京都等関係機関の代表者を構成員とする交通事故防止対策推進実施本部を設置し、ここで関係者の意見と協力を求めながら慎重に調査検討作業を進めております。
○原田立君 交通反則金保険というのが最近出ているそうでありますが、これについていろいろと新聞紙上でも賛否両論ということでありますが、これについての見解を警察庁、法務省、あるいは大蔵省等々、お話し願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交通反則金保険につきましては、昨年の七月ごろから東京で三つの協会または組合がこのような目的のもとに設立され、以後、大阪、愛知などの六府県にもできていると聞いております。その多くは、おおむね千円程度の入会金及び半年間の会費千円を取って、半年間の一回の違反については反則金を協会が肩がわりして支払う仕組みになっております。 保険業法その他現行の法制上、この種の業態に対して取り締まる法規は見当たりませんが、このような法令に違反する行為を担保するような契約は、民法九十条にいう公序良俗に反する契約として、これに加入した者の一切の権利は法的に保護を受けないものであります。警察としては、このような危険性についてPRするとともに、これらの業界に対して常に監視しているところでありますが、このような業態のものが増加する傾向にありますので、これらに対する取り締まり法規を立法すべきかどうか検討中であります。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ私どもとしては聞いておりませんが、弊害があるような状況で保険業法違反の疑いがあれば、調査し、善処いたしたいと存じます。
○原田立君 それでは、法務省が来ていないので、あとでお伺いしたいと思います。 次に、住宅問題をお伺いしたいのでありますが、建設大臣、去る三月十九日各紙夕刊に「悲劇呼んだマイホームの夢」という記事が出ておるのでありますが、お読みになっただろうと思いますが、お読みになって、住宅問題に関係する問題でありますから、御感想はいかがですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 私、その記事は実は読んでおりませんが、質問の通告がありまして承知いたしました。まことにお気の毒に存じ、要するに、住宅難のためにこういうふうな問題が起きたことはまことに遺憾でございまして、今後、住宅行政を預かる者として、でき得るだけ住宅を充足しまして、こういう悲劇の起こらないように配慮したいと存じます。
○原田立君 建設大臣、一月二十二日付の某新聞に、「公団は賃貸の建設をやめる。そして、むしろ宅地開発に主力を置けばよい。まあこれは極端な話だがね。いずれにせよ、公営、公団のやめた分は、公社や民間にやらせることにしたい。」と、こういうような発言の記事が新聞に載っておりましたが、このようないわゆる公的住宅切り捨て論とも言うべき考えはおやめになるべきではないかと、こう思うんですが、御所見をお聞きしたい。
○国務大臣(根本龍太郎君) 私の本意がそのまま伝わってないようでございます。御承知のように、住宅難は、これは非常に大都市を中心として広範になっております。これを全部公的資金で充足することもまたこれはなはだ困難でございます。そこで、かなりのいんしん産業等においては毎年毎年高額のベースアップをやっているときでもございますし、そういう会社においては、でき得るだけ今度は持ち家政策をやってほしい。これによりまして公的賃貸に応募する人をできるだけ減らすということが、一面においては住宅政策の緩和になると。それからもう一つは、御承知のように、計画的にできなかったおもな原因のうち、特に東京都等では、御承知のように、住宅公団が宅地を持ち、いよいよこれを建築するときにあたりまして、付帯設備の負担の問題でいろいろのトラブルがあります。地方自治体において学校とか、保育園とかあるいはいろいろの施設を住宅公団で持ちなさいという抵抗がございます。これを持ちますというと、今度は家賃がどうしても高くなる。そういうために計画ができないという面が相当出ておりまするので、公的賃貸住宅でもでき得るだけ、都道府県に住宅供給公社がございますので、そこでやり、それでなおかつバランスのとれないところは住宅公団がやったほうがいいではないかと。さらに、私が民間資金活用と申し上げましたのは、先ほど申し上げたことのほかに、住宅ローンなども相当利用されるような傾向になりましたので、住宅ローンに対する保険制度を充実する、こういうふうにいたしまして、いわゆる中堅階層等における住宅需要が持ち家政策をやることによって相当程度緩和できる。それが従来あまりとられていないので、住宅政策の新たなる構想いかんということについての御質問だからそういうふうに申したことでございます。なおまた、住宅公団が、御承知のように、土地造成の使命を持っております。土地さえあればという要求も非常に強いので、住宅公団については土地造成も相当力を入れてやる、こういうふうなのが私の真意でございます。これは私が建設委員会あるいは本会議における、衆議院における答弁でも明らかにしているところでございます。
○原田立君 総理府統計局が実施した住宅統計調査あるいは建設省住宅局が実施した民間自力建設住宅実態調査と、もうすでに発表になっておるんでありますが、その概略をひとつ御説明願いたい。
○国務大臣(根本龍太郎君) 数字に関することでございまするので、政府委員から説明申し上げます。
○国務大臣(山中貞則君) 統計局を持っておりますから、私から説明いたします。 統計でございますので読ましていただきますが、本年一月に、昭和四十三年十月一日に実施した住宅統計調査の結果を公表いたしましたが、この調査では、住宅の構造、規模、設備に関する事項をはじめ、宅地、家賃、間代、世帯の人員、収入、世帯主の年齢、職業など、合わせて三十二項目にのぼる事項が調査され、その結果は、全国都道府県人口十万以上の都市別に集計されておりますが、今回発表した結果は、その内容が多岐にわたっております。その概略は次のとおりであります。 一、全国の住宅数は二千五百五十九万戸、昭和三十八年の二千百九万戸に比べて四百五十万一尺率にして二一%増加しております。昭和三十八年から四十三年の五年間に持ち家は百五十万戸、率にして一%増加いたしましたが、借家は二百三十二万戸、率にして三二%増加しております。昭和三十八年に比し、住宅の構造、規模、設備等の質的水準は改善を示しておりますが、欧米諸国の水準に比べると全般的にまだ低いということであります。地域別に念のためこれを見てみますと、大都市地域では住宅規模が総体的に小さくなっており、その反面、その他の地域では住宅の構造や設備の面でおくれが見られます。家賃の水準は、大都市地域ではその他の地域の二倍以上となっております。
○政府委員(大津留温君) 建設省で行ないました住宅の需要実態調査の結果を申し上げます。 住宅困窮世帯は総世帯の約三分の一を占めておりまして、特に民間借家に居住する世帯にそれが多うございます。住宅の困窮の理由は、「住宅が狭い」というのが最も多く、次いで「家賃が高い」、「建物がいたんでいる」という順になっております。住宅困窮世帯のうち改善の見通しの立たないものの理由は、「資金を調達できない」ためが六割弱で最も多く、「適当な土地が見つからない」、「適当な民営借家がない」、「希望する公的借家に住める見込みがない」、「現在の場所を離れたくない」がそれに次いでおります。東京都の全世帯のうち民間アパート居住世帯は四分の一以上を占めており、主として一室の狭小な住宅に住んでおります。 それから民間アパートの実態でございますが、規模は六畳一間、設備は共用というのが大部分でございます。家賃については、東京では一畳当たり千四百円、大阪では一畳当たり九百円程度となっております。平均家賃負担率は二〇%をこえております。 住宅の立地について、民間のアパートについてでございますが、通勤時間が三十分以内というのが六割以上を占めておりまして、この通勤事情による制約が非常に高いと、こういう事実が出ております。
○原田立君 いま両方の統計によっても非常に住宅難で困っているというようなことが明らかになっているわけでありますが、居住水準が非常に低いと、欧米から比べてみて低い、こういうふうなことがいまも発表ありましたし、総務長官のほうからも発表ありました。今度第二次住宅建設計画なさるそうでありますが、どの程度まで引き上げようとなさっているのか、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 特にこれは公的住宅の問題だと思いまするが、これにつきましては、でき得るだけ生活環境を見まして——これは一がいには言えないのでございまするけれども、できるだけその面は改善してまいりたいと思っています。これは地区についてもかなり実は負担の問題との関係もありますので、いま結論は出しておりません。昭和四十六年を初年度とする住宅の総合的ないま検討をしておりまして、住宅宅地審議会にもはかりまするが、一応の構想は事務当局で準備しておるようでございまするので、その点については政府委員から一応御説明申し上げます。
○政府委員(大津留温君) 現在の居住水準は、一人当たりの畳数で申しまして五・六畳でございます。これは、昭和三十年当時の三・八畳であったのに比べますと、かなり向上しているといえると思います。次の五カ年計画におきましては、この居住水準をさらに引き上げたいと思いますが、昭和五十年度におきまして、一人当たりさらに一畳程度増加いたしたいと、こういう考えでおります。新全総計画によりましては、昭和六十年度に西欧水準並みの一世帯九十平米、これを目標にされておりますので、逐次これに近づけてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○原田立君 最近、家賃の値上がりが激しいのでありますが、この際家賃が収入の二割をこえるような場合には、こえた範囲を補助する家賃補助制度みたいなもの、そういうようなものを検討なさっておられるように聞いているんですが、御所見をお伺いしたい。
○国務大臣(根本龍太郎君) ただいま御提案になりましたことは、理由のあることだと思っております。ただし、これを実施する場合においては、非常に実はむずかしい条件になるのでございます。負担の公平と、どの程度の補助をするかについて非常にむずかしい問題がありまするので、現在、それぞれの御意見をも拝聴して、慎重にこれは検討をいたしたいと考えております。
○原田立君 この割り安な公団住宅の家賃を、何ですか、大蔵省のほうの要求で引き上げをしようという、こういうふうに建設省はきめたということだそうでありますが、その間の事情はどうですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。 以前に建てた公的貸し家と現在とはかなりの値段の差があります。しかも、前に建てたものは非常に交通便なところにあるにもかかわらず、あとでできたものは交通不便なところで、しかも、二倍もそれ以上もするというところで入居者間における不満感もあることも事実でございます。そういう観点でこれは是正すべきだという理由も相当あるのでございます。しかし、いま、本年から直ちにこれをどの程度上げるかについては結論を出しておりません。慎重に考慮の上、適正なる値上げと申しますか、入居者に対する負担をしてもらわなけりゃならぬ情勢にあることは事実でございます。
○原田立君 大蔵省のほうから……。
○国務大臣(福田赳夫君) 建設大臣から申し述べたとおりに考えております。
○原田立君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、こういう公団の資金コストの引き下げをはかるために、利子補給等を考えるべきじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 利子補給を現にやっております。つまり、公団住宅の資金は財投資金その他で調達しますが、六分五厘七毛なんです。家賃の中の利子が五分になるように、その差額を補給をしております。
○原田立君 防衛施設庁来ていますか……。 東京周辺の米軍基地で、返還後住宅地に転用できるもの、これは一体どのぐらいあるのか。あるいはまた、それの返還を強力に米軍に求めるような意思があるのかどうか、やっておられるのかどうか、現状を御説明願いたい。
○政府委員(山上信重君) 東京周辺にありまする米軍施設の利用計画と申しますか。返還後の施設がどういうふうに利用されるかということにつきましては、特に住宅に使われるかどうかという問題につきましては、私のほうでこれが適当であるというふうな判断はなかなかむずかしゅうございます。われわれといたしましては、東京周辺の米軍施設につきましても、相当多数のものについて返還の交渉をいたしておるのでございます。いろいろな施設がございますが、去る、一昨年の日米安保協議委員会において協議せられました施設の中にも、相当程度東京周辺のものがございます。これらのうち住宅にどの程度使われるかどうかということは、返還後の現実の態様あるいは地元の要望等を考慮してきめられるのではないかと思っております。ただ、とりあえず申し上げられるのは、現在グランドハイツあるいは武蔵野住宅、これらについては、住宅ということが主たる目標となって移転の計画が進められておるような状況でございます。その他のものにつきまして、どれが住宅に適するかということは、いま私のほうからお答え申し上げるのは非常にむずかしゅうございます。
○原田立君 建設大臣、十七日の衆議院の予算委員会分科会で、首都圏内で十二カ所の米軍返還施設は住宅用地にできる、こういうふうにきまっている、こういうふうなお話でありますけれども、この首都圏の中での基地数は約六十六、約七十ぐらいあると承知しております。それらの十二カ所以外に、もっと住宅地に適するようなもので返還を促進できる、そういうものはないのかどうか、その点はどうですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 当面は、いま御指摘のありました十二程度ですら、なかなかこれがわがほうが要望しているところまではいかないのでございます。でき得るだけこの返還成った際、いろいろの国家的な要望があるようでございまするが、住宅政策が一番いま困難なときになっておりまするので、これは大蔵省に対しましても、でき得るだけ返還された軍事基地と申しますか、これが返還された場合は、でき得るだけ公的住宅の宅地として利用するように要請している次第でございます。
○原田立君 家を建てたいとしても、足がないために、交通が少ないためになお住宅難を助長しているという、こういう意見があります。ところで、各私鉄会社等も不動産業で非常にもうかっているというようなことが新聞に書かれております。それで、こういう足を持たない公団住宅、住宅政策では今後の住宅難解消にはならないと思う。そこで、私鉄関係の新しい線をつくるような——これはうっかりしました、これは運輸大臣でしたな。積極的に新線の建設及び通勤輸送の改善を私鉄会社に指導すべきではないかと、かように思うのですが、いかがでしよう。
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘の点は、まことに私は適切なる御提言だと思います。現在、御質問にはございませんけれども、首都圏内において、できるだけ安くて多量の宅地を提供すべきであるということで、実は首都圏整備委員会の事務当局に対し、これから開発することが可能である、しかも今日手をつけられておらないところのものは、想像するところは、いま御指摘のように、鉄道か道路、これがあまりなく、それから水も問題でございます。この三つが整備されていないために地方自治体も、さらに民間デベロッパーも手をつけていない、相当あるはずだ。これを至急に首都圏内において調べて、これを報告することを要請しております。これに基づきましてそういうところはでき得るだけ土地を持っておる人と交渉の上、これは政府で買い上げて、そうしてこれに道路、私鉄、こういうものを敷いて大きく開発いたしたいと思いまして、その点については運輸省にも協力を求めておる次第でございます。
○政府委員(町田直君) ただいま建設大臣からお答えがございました。私から重ねて申し上げることはございませんけれども、運輸省といたしましては、四十二年から四十六年までの私鉄増強五カ年計画ということで大体四千八百億ぐらいの規模で計画いたしております。現在大体順調に進んでおりまして、四十四年度で五三%ぐらい消化しておる次第でございます。この中には多摩ニュータウン等の新線建設等も含んでおりまして、これらにつきましても、今後積極的に推進いたしたいと思っております。 なお、新しい線を敷くという問題でございますが、これにつきましては、建設省その他公共団体と連絡いたしまして、新しいニュータウンを事前に十分連絡をとりまして、私鉄の建設を進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○原田立君 東京の住宅難解消の一方法として千葉県内東部及び北部に私鉄を敷設し、通勤可能区域を広げれば、現在の住宅難が解消される、こういうふうなことを聞いております。それで、いま建設大臣もお話ありましたが、足のない公団住宅では住民がどれほど苦しんでいるかわからない。こういうような面での調査、研究はぜひやっていただきたいと思う。具体的に申し上げると、千葉県のその問題についていかが研究なさっておられましょうか。
○国務大臣(根本龍太郎君) その地点は私も着目いたしまして、首都圏のほうに調査を命じておきました。なおまた、この地帯は足の問題と水の問題が相当困難なところがあるようでございます。そのために、水の処理を考えないとなかなかむずかしいということで、その方面のいま調査を命じておるところでございます。
○原田立君 住宅問題はこれで終わりにしたいと思うんですが、建設大臣、この住宅問題が解消しないと非常に大ぜいの人が困るわけです。で、住宅基本法というようなものを政府みずから提出するような御意思はないかどうか。あるいはまた、総務長官にお伺いしたいんですが、現在の住宅宅地審議会というようなものは廃止して、住宅に困窮している人たちを含めた、いわゆる住宅会議というようなものを総理府に設け、土地、住宅に対する基本計画、こういうようなものをもって今後進めるというような、そういう御構想はないもんかどうか、あわせて御答弁を願いたい。
○国務大臣(根本龍太郎君) まず審議会のほうから申し上げますというと、御承知のように、これには学識経験者をほとんど網羅しております。なおまた審議会は参考人あるいは意見陳述する方々を招致して、広く意見を聞いておる次第でございまして、これをいまにわかに廃止して一般民間人に広く窓を開いたということになるかもしれませんが、これはまたいろいろの総合的なしかも専門的な問題もございまするので、原田さんの御意図はよくわかりますから、そうした意図が宅地審議会に反映できるようなことにしてこれは進めてまいりたいと思っております。 なおまた、住宅基本法をつくる意思がないということでございまするが、基本法も一応それは考えるべきものとは思います。しかし現段階においては、むしろ土地をいかにして大量に供給するかということの問題にあるのでございます。しかもそれは先ほど御指摘になりましたように、足との連関において、そうしてまた都市生活ができ得る条件を備えていないと、これまたできません。そこで御承知のように、市街地再開発法等いろいろの法律がございまするので、これを総合的に活用して、そうして財投なりあるいは一般会計なり相当つぎ込み得るということのほうがむしろ急務ではなかろうか。さらにはまた、先ほど申し上げました民間資金あるいは民間の企業能力をいかに活用するかということのほうに問題があると思いまするので、現在のところいま直ちに政府として住宅基本法をつくる考えは持っておりません。
○原田立君 厚生省並びに自治省にお伺いしたいのでありますが、最近水道工事の問題について、給水装置の工事費用の負担以外に、水道建設費に関連して住民から、名称はいろいろ違いますが、加入金とか納付金とかいう名目で受益者負担金的なものを徴収している地方団体が多くなったということでありますが、自治省、厚生省、どちらでもけっこうですから、どのくらいの市町村がこういう制度を採用しているのか、現在の御説明を願いたい。
○国務大臣(秋田大助君) 水道事業におきまして、新規加入者等からいわゆる工事負担金を徴収しているものは二百九十七事業があると言われております。徴収しておる金額につきましては、資料もございませんし、個々にいろいろ違っておると思って、その金額はわかりませんけれども、ただいまお尋ねの事業数は二百九十七あると思っております。
○原田立君 受益者負担の取り方、負担金額のきめ方などの実態をお伺いしたいのと、こういうことをきめるときに、地方自治法百九条の公聴会あるいは百十条の準用による公聴会、こういうふうなものを開いてはたして決定しているのかどうか、この点はいかがですか。
○国務大臣(秋田大助君) ただいまのところ、地方自治法百九条の4に「常任委員会は、予算その他重要な議案、陳情等について公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。」ということになっておりますので、必ず公聴会を開かなければならないというふうには解釈していないのでございまして、各地方団体の判断によりまして適宜措置をしておるものである、こう考えております。なお、この規定が三十八年から変わりまして、それからこういう解釈及び態度、措置をとっておるわけでございます。
○原田立君 何か公聴会を開かなくても、こういうふうなことが当局でできるのだというふうなお話なんですが、どうもよく納得がいかない。で、ぜひこの問題は調査してはっきりしてもらいたいと思う。その点よろしいですか。
○国務大臣(秋田大助君) われわれといたしましては、必ずしも公聴会を開かなければならぬというふうには解釈いたしておりませんが、そこらの実情について調査することばやぶさかではございません。
○原田立君 自治大臣、地方自治法第二百二十四条には分担金に関する規定がありますが、いまお話の加入金とか納付金というようなものはこの自治法第二百二十四条の分担金と、こう考えてよろしいのですか。二百二十四条に分担金に関する規定があるわけです。それからいろいろ加入金とか納付金とかということで現在取っているものがあるわけです、現実に。これは自治法の分担金と考えてよろしいのですかと、こう聞いておるのです。
○国務大臣(秋田大助君) 御質問の趣旨が必ずしもはっきり私、のみ込んでいないかもしれませんが、これは二重取りをしていることになりはしないかという御趣旨かと思いますが、そうではなくて、二百二十四条の部分はですね、新たに団地等ができまして、水道供給地帯をふやさなきゃならぬという場合の規定であり、分担金その他と解釈、言われておるものはこの水道法十四条によりまして、供給規程によりまして、水の必要需要が増加いたしまして、施設等を増量あるいは口径の太い管をさらに入れかえなきゃならぬというような場合の規定でございまして、これは決して二重取りになっておるものではない。こう考えております。
○原田立君 いま大臣から十四条の話が出ましたけれども、この十四条の中に「水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。」、こういう規定があるのと、規則の第四条で、その費用負担の算出根拠を明らかにしなくてはならないと、こうなっているわけでありますが、「その他の供給条件」というのはどういうことなんですか。これは厚生省のほうでしょうね。
○政府委員(金光克己君) お答えいたします。 水道法第十四条の供給規程の中に、「その他の供給条件」ということがございますが、この中には先ほど御説明がありました受益者の負担をやむを得ず必要な場合その負担法を定めることは「その他の供給条件」の一部に該当すると考えております。 それから給水の適正な保持をはかるために必要な手続方法それから手数料、検査、管理責任者等についての水道事業者と受益者の関係につきまして、これを供給条件と、「その他の供給条件」の中に含んでおります。
○原田立君 そうじゃなくてね、本管、枝管その建築費のそういうふうなことはどうなんですか。
○政府委員(金光克己君) 十四条の供給条件のその受益者負担金でございますが、これは給水計画内で配管の拡張等給水契約の申し込みがありまして、一部配管の拡張を行なうというような場合をこの十四条の適用にいたしておるわけでございます。それから二百二十四条は給水計画以外の地域におきまして、新しく水道事業を行なうような場合にこれが適用されると、こういう形になっておるわけでございます。
○原田立君 どうもその説明では納得がいかない、給水装置については給水装置及び給水管については工事費用を、個人が負担するのは、これはわかる。だけれども、配水本管及び配水枝管等のそういういろいろな外見条件によって変更するその水道工事費まで負担させるのは、これは「その他の供給条件」の中には入らないと思う。いかがですか。
○政府委員(金光克己君) 十四条に基づきまして、一部負担制度の条例をつくっておるような場合には、これはその給水管でなしに配水管等の一部負担金についてもこの中に含まれるというように解釈いたしております。
○原田立君 水道法には、第十五条で「事業計画に定める給水区域内の需用者から給水契約の申込を受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」、かようにあるわけですが、受益者負担金をもし払わなければ、給水を拒否するのですか、どうですか。
○政府委員(金光克己君) 先ほど申しましたように、十四条の規定に基づきまして、一部負担金につきまして条例をつくっておるような場合におきまして、その負担金を支払わない場合には「その他の供給条件」に含まれる、かように解釈いたしております。
○原田立君 そうじゃないよ、受益者負担金を払わなかったらば給水は拒否すると……。
○政府委員(金光克己君) したがいまして、水道の供給契約を拒否することか——支払わない場合には水道の供給契約を断ることができると解釈いたします。
○原田立君 それは重大な問題だ、水道法で定める供給条件による負担以上の負担を住民に求めるということは、これは許されないと思うのです。自治省は建設費の不足を埋めるため、地方自治法二百二十四条の規定によって分担金を徴収できるというふうに考えているようだけれども、水道法の精神は、良質、低廉な水を住民に供給させようとするところにあると思うのです。したがって水道法の規定以外に自治法によって財政的な都合で負担をさせるということは、水道法の精神を空洞化させるものじゃないか、かように思うのです。どうですか。自治省、厚生省。
○国務大臣(秋田大助君) この場合はある程度従来水道供給を受けておられた方と、今度新たに受ける方は、需要増によってさらにその建設、ある程度のものがふえてまいるのでございまして、やはりそこの負担の平等という点も考えまして、いま厚生省がとられましたような解釈は私は理由のあることである、こう解釈するわけでありまして、負担の公平という点から考えましても、全然どうも新たに相当の給水増を受けなければならぬ場合に、全然その分は関係なしにいくということもどうかと思われる理由によるわけでございます。
○原田立君 どうもさっぱりわからないのですが、その水道工事の場合、水道工事と受益の関係が明確な場合もありましょうが、きわめて不明確な場合が多いと思うのです。既設の水道を拡張する場合、従来からの給水需要が多くなったため、それに対応する部分もあろうし、新規加入者を予定する場合もあると思うのです。それなのに新規加入者だけに分担金を負担させるのは妥当でないと思う。また水道の利用は大口径の利用者もあるし、家庭用の小口径のものもありますし、受益の範囲というものはまちまちである、それなのに一律に加入金とか納付金を取られたのでは、これは明らかに法律に違反をするものではないか、こう言いたい。現実に東京や神奈川では分担金を取っていないということですが、それはこういったむずかしい問題があったからだと思うのです。法律の執行に誤りのないよう助言するのが政府の仕事なんですから、やはりよく実態を調べて、誤りを是正させるように持っていってもらいたいと思う。この分担金、納入金というのが二万円とか三万円あるいは五万円というふうに非常に高い金額になっております。これは払えないから水を供給しないというのでは、地方自治体の本来的任務が果たせていないと、こういう問題があると思うのです。どうですか。
○国務大臣(秋田大助君) お説のようなお考えもあるかと思いますが、ただいま私が申し上げました理由によりまして、やはり新しく給水を受ける方におきましても、従来の人の分との関係ということを考慮すべき点が多々あろうと思うのでございまして、この点は関係方面、すなわち厚生省ともさらに検討はいたしたいと思いますが、いまのところわれわれの見解はさようでございます。
○原田立君 さらに検討するということでありますので、なおそれは十分検討してもらいたいと思う。私はその使用料を取っている水道のようなものは、分担金を課すべきでないと思うのです。企業債の償還に見合うものは他の費用とともに水道料金でまかなうべきだと思うのです。ただ水道料金だけに依存しては生活必需品である水道の料金が高くなるので、起債の利子を下げたり一般財源を投入したりする措置が必要ですし、補助金制度の確立といったことがなくてはならないと、こう思うのです。言うなれば政府がこういった施策の面が非常におくれているために分担金などというものが、そういう施策がとられているのじゃないかと、かように考えるのです。こういう工業用水には補助があるが、人間の飲む上水道に補助がほとんどない。もっと人間尊重の精神に立って考慮してもらわなければならない、かように思うのですが、この点の御見解をお聞きして終わりにしたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 確かに水とか電気とか生活上の必需品ではございまするけれども、これが供給に多額なやはり費用を要しておるのでございまして、その点のことは考慮さるべきものであると考えております。
○委員長(堀本宜実君) 以上で原田君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時三十二分散会