予算委員会 第13号
- 発言数
- 308 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/04/02
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 まず、理事会における一般質疑の取り扱いについて、その要旨を御報告申し上げます。 審査日数は七日間といたします。質疑総時間は九百六十分とし、各会派への割り当て質疑順位につきましては、先般配付をいたしました刷りものの要領により取り運びたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) それでは、これより一般質疑を行ないます。横川正市君。
○横川正市君 きょうは、第一に、外務大臣から日航機乗っ取り事件の現況について報告を求めたいと思っておりましたが、まだ出席がありませんので、これは出席をした段階でお聞きをいたしたいと思います。 第二は、郵政の公社化問題について、関係する局からその事情をお聞きをいたしたい。 第三番目は、選挙制度審議会の問題と関連して、選挙制度について御質問をいたしたいと思っております。 最初に、郵政当局に、一昨年の十月四日に前郵政大臣が諮問をいたしました「郵政事業の経営形態を公社化とすることの是非について」の諮問、この諮問を得て、郵政審議会はそれから約一年論議をされ、答申がすでに出ておるわけです。その答申を受けて、郵政当局の態度決定は、本年の七月に公社化へ移行することを目途としてその他の整備をするということになっておったものであるわけでありますが、現況どのような取り組み方をしているか、報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) 横川さんにお答えいたします。 まあ、答申の内容その他については、もう先刻よく御承知の問題でございますから、これは繰り返しませんが、これを受けまして、郵政省といたしましては、答申の趣旨を十分に尊重するというたてまえで、本来の経営形態のあり方に関しまして、ずっと検討中でございますが、御案内のように、事業の根幹にかかわる重大であり、かつ多岐な問題でございますから、それについては、昨年十二月に郵政省内に郵政事業公社化対策委員会なるものを設けまして、その中で、答申に示されました事項、問題点、これらに関して掘り下げた具体的な検討をただいましておる最中でございます。御承知のように、これは多年の歴史、沿革のある事業でございますから、私のいまの見通しで、まだどうも検討に少し時間がかかるのではなかろうか。まあ、本年の夏、予算の概算要求をするというような時期までには何とかめどをつけたいという考え方で、鋭意検討を進めておる、こういうさなかでございます。
○横川正市君 そこで、具体的にお聞きをいたしていきたいと思うのですが、まず第一は、郵政事業の歴史的な沿革からいきまして、事業の今日の状態というものを、これはもう当事者ですから、しっかりと把握をされているのではないかと思うわけであります。公社化ということは経営形態が著しい変革をすることですから、これに対しては準備その他があることは当然だと思いますが、それは一応おくとして、今日の三事業、あるいはその他の委託事業を入れて、事業そのものに対する当局の考え方というのは、どういうたてまえに立っておられるかですね。この答申の前段では、今日的な郵政の事業のとらえ方としては、非常に困難な事態を迎えていて、これは現状で打開できるのか、それとも、一歩進めて経営形態を公社化したらいいのかという、その点については、私どもはやはり人それぞれに意見というものはあると思うのですが、郵政当局は、心がまえとしては、現状でこれを解決をすることがまだ可能だと考えられているか、それとも、公社化が最善の道と考えておられるか、現状認識とあわせて、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) まあ、郵便の仕事、さらに貯金、保険、それぞれこれは特徴あるわけでございますが、その中で郵便事業は何といいましても人力に大部分をおんぶしなければならない仕事でございまして、これは、わが国のみならず、各国ともに悩みが深いようであります。したがいまして、これを公社化することによって、はたしてどれだけのメリットが得られるか、また、デメリットの点も考えなければならぬ次第でございまして、そういう点をまだ実は明確にして割り切って、公社化に踏み切るべきだという結論も必ずしも出ておりません。そういう次第でございまして、もうしばらく検討の期間、これをお与えをいただきたい、こう考えております。
○横川正市君 大臣の言われていることもわからないわけではないわけですが、どういう道筋を立てたら困難な問題が解決するかという道筋は、ある程度の検討の期間があっていいと思うのです。しかし、現状への認識はどういう認識に立っていますかという点は、もう少し具体的な問題に触れて報告があっていいのじゃないか、こういうふうに私どもは考えます。一例をとりますと、私は、いまの政府のとっておられる高度成長経済の中での郵政事業の地位というのは、これはやはり非常に困難な状態だと思うわけなんであります。そういう事業のとらえ方をもう少し明確にしていかないと、実は私どもも、公社化がいいかどうかについて、ずばりとした解答を持っているわけではないわけなんですが、そういう点から見て、郵政当局としては一体現状をどういうふうに把握されておるのか。 それともう一つ、公社化へ移行する非常に大切な問題としては、責任者が長期にわたって実施をするという体制ということが求められているわけなんですが、その点では、前郵政大臣が公社化への経営形態の答申を求めた時点と、それから新郵政大臣になってから求めた時点では、どうもやはり少し感覚的にも実際的にも違うのじゃないだろうか。その違いが、実は逆に、何らかの体制を必要とする問題につながらないか、私は、困難な問題が一つあるが、それを解決する手だてというのは、前大臣はこう考える、新しい大臣はこう考えるということが、実は解決をする手だてとして求めている一番大きな問題につながるのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけですから、そういう面から新大臣としての考え方もお聞きいたしたいし、現状認識はどうか……。これは事務当局で、もし説明されるのでしたら、それでけっこうです。
○国務大臣(井出一太郎君) 私もまだ日が浅いのでございますけれども、事業の現状を観察をしてみました場合に、いま横川さんがおっしゃるように、経営責任という点から考えますと、いまのような行政の一部として運用いたします場合には、首脳者がしばしばひんぱんにかわる、これをもう少し定着した人事でやるというような点は、電電公社の例など見ましても確かに能率的であるというプラスの面はあろうかと思うのでございます。まあ、そうかといいまして、一面、非常に公共的なサービスというあたりから考えました場合に、公社に踏み切ることによって、いまの困難な条件がことごとく解消されるかどうかというあたりにも、まだ検討を要する点が多々あるのではないか、このようなところにまだ模索をしておるというのが、正直、実態でございます。 なお、もし詳しいことが御必要ならば、政府委員もおりますから……。
○横川正市君 これは、私はいまの点でちょっとひっかかるわけですが、前大臣は現状認識を非常にきびしくして、そうして打開の道を、これをやはり経営形態の変更を求めることによって、より今日的なものよりか妥当なことではないかと考えられて答申をされたと思うんですね。じゃ、その場合に、現状の三事業、あるいは委託業務、あるいは特定局の経営という問題は、一体どういう考え方の上に立って困難を感じ、そしてこれの解決策を求められたかということと、それから、今日経営形態が変わることは非常にたいへんなことなので、それをいろいろ検討しているということは、前段でいえば、郵政事業の置かれている困難な度合いというものは少しも変わっていない。しかし、旧来のいろいろな行きがかりもあるだろうし、そう一朝一夕に解決できない困難な問題があるので、ということは私どもも理解するわけなんですが、前段にしても、後段にしても、困難な事情というものは変わっておらないわけですから、実は私はその困難な事情というものをもう少しはっきりさせていきたい、こう思っているわけなんです。これは事務当局で説明できれば、していただきたい。
○政府委員(野田誠二郎君) お答えを申し上げます。 御指摘の郵政三事業の現状の認識でございますが、これは郵政審議会の答申にもうたわれておりますように、貯金事業、保険事業におきましては、現実に、前昭和四十四年度の実績におきましても、郵便貯金の対前年度伸び率が二〇%をこえておるような現状でございますし、簡易保険につきましても二〇%弱の対前年度の伸びを見せておるのでありまして、そういう点から申し上げまして、基本的には、郵便貯金事業及び簡易保険事業の運営につきましてもいろいろ問題点がございまして、これは郵政審議会の長い審議の間にもいろいろ御指摘をいただいたのでありますが、基本的に公社化ということの問題が直接提起されました契機になりましたのは、御承知のとおり、やはり郵便事業の運営でございます。 現在、すでに郵便物数、年間取り扱い物数は百億をこえております。それに対応するだけの労働力の確保ということもなかなか容易でない実情にあります。さらに、そのほか、過密化になかなか関係の施設が追いつかないというような問題、そういうふうな点、あるいは交通事情のますますの困難化、こういうことに対応いたしまして、省といたしましても、御承知のとおりの郵便物の自動区分機なり、あるいは集配施設の改善等々、いろいろな手を打っておるのでありますが、いかんせん、ただいま申し上げましたような諸種の困難な事情が積み重なりまして、必ずしも将来にわたっての明快な、明るい見通しというものは立たない。こういうことから、基本的には郵政事業の公社化、これが課題として提起をされたわけでありまして、やはり何と申しましても、直接の課題といいますのは郵便事業にあろうかと、かように考えておるのであります。
○横川正市君 実は、現状認識の前段で、企業形態からいきますと、郵便と、それから電信電話とか、あるいは国際電電とかいうようなものは、その持ち分は違っておりましても、内容としては通信業務に該当いたします。それから貯金とか保険というのは、これは民間との間の競合もありまして、通信というものとは直接な関係がない。ただ、窓口を非常に多数持っておるということその他で、きわめて便利な取り扱いのできる体質を持っているということが言えると思うんですが、いまさかのぼって系列を明確化することはもうこれは不可能であるから、そうすると、少し体質的には異質であるけれども、成り来たりの事業形態として郵便と貯金と保険、委託業務、そういったものの関連で郵政省というものの仕事というものが存在をする、こういうことが言えるのではないかと思うのですが、三事業の結びつきの問題について郵政省としてはどういうふうに考えているか。一般には、たとえば公社化の場合には、郵便は公社化しても、貯金、保険は公社化する必要がないんじゃないかというような意見もあるわけですが、その点とかみ合わせてひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) おっしゃいますように、郵便事業と貯金、保険あるいは委託業務、体質的には相当の相違のある仕事だと思います。で、これらがこん然一体といいますか、郵政事業といわれる経営の中で遂行されておるわけでありますが、それをそれじゃ切り離して、郵便なら郵便だけ独立性を保って、採算的にも公社化することが一体十分に可能であるかどうか。こういうあたりも、まだ問題点がいろいろと伏在しておるように思いまするし、そういった点の検討に、もう少し私は時間をかけたいというのが、ただいまの考え方であります。
○横川正市君 実は、私は、この問題をお聞きする場合に、郵便の置かれている困難性というものを少し具体的にお聞きをいたしたいと思ったんですが、時間がないのでその点は省略をして、大まかな問題でずっと聞いていきたいと思うのですが、まず、公社化に移行するというふうな考え方があって諮問をされたときの問題点、現状の郵政事業というたてまえから立って、問題点というのはどういうふうに考えられたかですね、その問題点の内容をひとつお聞きしたいと思うのです。
○政府委員(野田誠二郎君) お答えをいたします。 ただいまの御質問でございますが、これは四十三年の十月四日、前々郵政大臣の小林大臣のときの諮問書に載っておるのでありますが、「現在の郵政事業は、高度の公共性を持っておる事業であることから、国が直接経営することになっておる。また、事業の企業的運営を確保するために、一般の行政事務と異なって、ある程度の弾力的措置が講じられるようになっておるけれども、やはり国の行政機関としての一面から受ける制約、これが非常に多い。」こういうことが言われております。したがって、いまの時点で、「国民の必要とするサービス、それから事業の経済的な企業的な運営、これについて社会経済の進展に即応したサービスを遅滞なく提供するとともに、企業的な経営をはかっていくということが要請される。したがって、事業の基本的な公共性ということを十分考慮した上で、なお主体性のある機動的効率的な運営をはかることが現時点で非常に強く望まれておる。」、こういうことが指摘をせられております。これらの公共性を考えながら、しかも事業の主体性のある、しかも機動的効率的な運営をはかる、これは、先生御指摘の、やはり各事業の現実というものに着目しての議論でありますが、こういう観点から郵政事業の抜本的な改善ということを考えての諮問であると、かように考えております。
○横川正市君 その諮問を私どもはよく承知をしているわけなんで、そういう諮問をした現状認識というものの上に立てば、実は答申までにいろいろな紆余曲折があったようで、その内容を聞くことは省略いたしますが、少なくとも七月には公社化へ移行するような準備をしたい、こういう考え方が出たのは、実は、いま言ったような諮問の事情によるのだろうと思う。それがどうしておくれておるかという問題でひとつお聞きしたいのですが、これは、郵政の中の、いわば公社化への移行がまだ意思疎通の面でまとまっていないと、こういうふうに判断されるのか、それとも、公社化までののプロセスというものにいろいろな問題があって、それに対して適宜な答えが出ないということなのか、そのどちらなんでしょうか。
○国務大臣(井出一太郎君) 横川さん御承知のように、答申の文言の中にも、たとえば公社化をするにつきまして、「これを機として経営の合理化、国民に対するサービスの向上を推進するという真剣な決意をもつて、あらゆる努力が傾注されるならば、その効果をあげるに役立つ方策として採用に価する」と、たいへん含蓄のある表現のように思いますし、さらにまた、「具体案を作成するにあたつては、さらに周密な検討と万全の配意が肝要である。」と、こういう記述があるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃる二つの考え方のいずれかという御質問でございますが、部内に必ずしも意見の相違があるというふうなことではなくして、この「周密な検討と万全の配意」というところにウエートを置いて検討をしておると、こういうことでございます。
○横川正市君 この、サービスが低下をし、そのサービスの改善をしなければいけないというたてまえに立って、そして非常に大きな改革をしようというような考え方の上に立ったにしては、私は、これは経営者ですから現状認識というものは十分されておると思うのですよ。そういうたてまえからすると、周到か何かわかりませんけれども、私が聞くことと答えとが非常にかみ合わないのは何が原因かと言いますと、実は郵政当局にその確固たる考え方がないということじゃないでしょうか。そうでなければ、もう少しかみ合った質疑になるんじゃないかと思うのですが、大臣として、どうでしょうか、その現状、郵政当局のいろいろな内部事情をごらんになって……。
○国務大臣(井出一太郎君) 事は非常に重要でございまして、おそらく郵政の歴史としては、これは大転換をしなければならぬと、こういう時期でございますから、あるいはまあ、何を遅疑逡巡しておるのかと、こうおっしゃるのでありましょうけれども、いま申し上げましたような非常な大きな変革に当面をしなければならぬということでございますから、そういう点を誤りなきを期したいと、こういう非常に周到なかまえ方をしておると、こういうことでございます。
○横川正市君 それじゃ具体問題で伺っておきたいと思うのですが、この、経済の成長に合わせて郵便の生産性を維持していく、こういうたてまえをとった場合、現状の成長と、それから郵政の生産性というようなそれは、現状はどういうふうになっておって、それにどう対処されようとされておるのか、聞きたいと思うのです。
○国務大臣(井出一太郎君) 先ほど政府委員のほうから申し上げましたが、郵便物数などにいたしましても、これは経済成長に伴って当然ふえてまいるわけでございまして、ただいまの想定では、昭和六十年に相なりますれば二百億通をこえるであろう、こういう予測がされるわけでございまして、これは国民所得の伸びの倍率ほどにはふえないにしましても、その傾向値、趨勢値としては同じようなふえ方をしてまいる想定でおります。それに対応いたしまするために郵便事業の生産性をどういうふうに考えるかということでございますが、郵便定員一人当たりの年間集計物数を、指数を一〇〇といたしました場合に、過去——これはまあ十年前を一〇〇といたしまするならば、現在は一二二ぐらいの数値になっております。そういうことでございまして、もっと生産性は上がるべきではないかと、まあ他産業に比べればもっともっと数値は高まるべきであるにかかわらず、そういっておらないということは、機械化、近代化、合理化、こういった努力はしておりまするものの、その受け持つ分野というものはごく限界がございまして、どうしても八〇%ぐらいは労務に負わなければならぬという現状であります。しかも、一方、都市の過密地帯ができると同時に、地方に過疎地帯ができる。過疎になったからといって、そこはほっておくわけにはまいらないといったようなもろもろの困難性があるわけでございますから、これらに対処いたしまするために一体どうしたらいいのか、なかなか雇用条件等もきびしくなっておりますから、その要員を確保するという努力も必要でございましょうし、それからまた、これに対応するところのもろもろの施設であるとか、あるいは働く人々の環境をどういうふうに整備するかといったような問題もこれに付随して起こるのでございまして、そういう点がなかなか他産業と同じようにいかないというところに非常な困難性を感じておるわけでございまして、そういう点をどう打開をしつつこの公社化の問題とかみ合わせようかというあたりに、ただいま検討の焦点を置いておるというような段階でございます。
○横川正市君 郵政と他の通信サービスの構成と、それからその伸び率ですね。たとえば電話の場合、電信の場合、それから郵便の場合、これ、どういうような比率で伸びていっておりますか。
○国務大臣(井出一太郎君) 私、いまの明確な数字は持ち合わせておりませんが、政府委員もおりますのでお答えさせますが、まあ、これはほかの例にならうならば、ちょうどテレビやその他の電波が発達をいたしましても、新聞というものはやはりそれに伴ってどうしても必要であると同じような意味で、電信——まあ電信は少し停滞していますけれども、電話が取ってかわるという分野がありますものの、しかし、やはり郵便というものの文字を通して媒介をするという性質の通信が、これまた必要であるということは、もう御存じのとおりでございまして、電話等に比べれば伸び率はそれほど著しいとは思いませんが、漸進的に、たしか年率にしまして五、六%の伸びが見られるというふうに心得ておりますが、なお詳しいことは事務当局から申し上げます。
○政府委員(野田誠二郎君) 大臣の御答弁、補足をいたします。 通信サービスにつきましての構成比といいますか、この構成の割合につきまして、昭和三十二年から四十二年までの統計があるのでありますが、郵便につきましてはこれは収入額ということで金額のほうで出しておりますが、郵便につきましては、通信部門におきますシェアが、三十二年の二四・三%から四十二年は二〇・九%に落ちております。ただし、これは物数とかそういうことでなく、収入額であります。電話につきましては、三十二年が六六・四%、約三分の二でありますが、これが四十二年には七四・〇%に当たっております。電信につきましては、三・九%、これが四十二年には一・九%になっております。数字の合わない分は、これは電信、電話の専用の利用率といいますか、これ、金額でやはり出ておりますが、三十二年度には五・四%であったのが、四十二年におきましては三・二%ということに減っております。郵便につきましては、やはり通信サービスの収入額の面からだけ見ますと、構成比が逐次下がっているということが一応言えようかと思います。
○横川正市君 じゃ、もう一つ、いまの企業の中の問題点として三つあげてみたいと思います。 一つは、雇用関係の見通し、それから対策。それから特定局の問題と関連して、これは過密過疎で労働密度、それから実際上の収入の問題。それから公共性というものと実際の企業性というものとをどういうふうにかみ合わせて考えられているのかという問題。これは、現状をそのまま見ますと、この点は非常にはっきりしたことは言われないが、ただ歴史的にそういう結果になったからということで是認をしている点がたくさんあるわけですが、それらについては、現状をどう考えられ、それをどう改善されようとしているか、お聞きしたいと思います。
○説明員(神山文男君) お答えいたします。 郵便事業の雇用問題でございますが、先ほども問題が提起されましたように、雇用難、それから過密過疎というような問題から、特に大都市周辺におきまして要員の確保というものが今後相当困難が予想されるであろうと考えております。で、現在のところは、まだ地方に参りますと相当労働力がありまして、そういう方々を採用いたしまして大都市の職場で働いていただく。それで、寮の施設とか、そういう施設を設けまして雇用対策を講じているわけでございます。で、将来そういう労働力の枯渇というものが地方にまで及んでいくということも予想されますので、その他婦人労働力あるいは中高年齢層を積極的に活用していくというような面について今後とも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○横川正市君 ちょっと答弁ができていないんですがね。雇用難だからどうするか。それから特定局の労働密度というのは、これは過密過疎の関係で、都市化現象の中で、企業としてどういう対応策を持っているのか。 それからもう一つは、成り来たりの公共性が優先的であって、採算性が度外視されていて、一体企業というのは成り立っていくのか、そういう面を個別に聞いたわけで、その点のお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(野田誠二郎君) お答え申し上げます。 特定局の労働密度、これの把握と、これに対応する対応策でございますが、確かに、首都圏をかかえております東京郵政局管内及び大阪郵政局、名古屋郵政局等におきます過密地帯におきます特定局の職員の労働密度というのは相当上がってきておると思うのでありますが、これらにつきまして、いわゆる過疎地帯を数多くかかえておりますところを管内といたします郵政局との定員のアンバランスといいますか、この労働密度に応じた定員の配分、これが必ずしも万全にできていないというような点につきましては、各事業別にいろいろ定員をはじきまして、たとえば貯金なり保険なり、これは内外勤を通じまして定員のバランスをとるように逐次改善を見、あるいは予算的に増員が認められました場合におきましては、ただいま申し上げましたような過密地帯に重点的というよりも、むしろもうほとんど東京なり大阪なりに集中的にこれらの要員を配置しておる、こういうことでございます。 第二点の公共性と採算性の問題でございますが、これは、郵政事業の何といいますか、本来の一番課題とするところでありまして、これらの採算点といいますか、これらをどこに求めるかということは非常にむずかしい。たとえば、郵政窓口機関の配置にしましても、あるいはサービス提供というものの限度にしましても、これを採算性の中に閉じ込めるかどうか、あるいは国民の要請するサービスというものにこたえて非常に幅広くとるかということにつきましては、なかなか非常に大きな問題があるのでありまして、ただし、総体的には一応この採算性のワクの中でこの公共性の責務を果たしていく、こういう考え方で運営せざるを得ないし、また、そうやっているつもりでございます。
○横川正市君 外務大臣が出席されましたので、先ほど懸案になっておりました日航機乗っ取り事件の現況についてお聞きをいたしたいと思います。あわせて、機内で相当長時間抑留されてしまっている乗客、乗員の健康状態とか、知れる限り、あるいはその後の解決への道筋とか、そういったものがわかっているだけひとつお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 日航機の乗っ取り事件に関する現在までのところを御報告申し上げたいと思います。 政府といたしましては、橋本運輸大臣の一行を派遣することをきめ、昨一日の午後五時七分に金浦空港に到着をいたしました。直ちに橋本大臣らは韓国側とも密接に協議しながら説得工作を続行いたしております。韓国側は、人命保護の見地から、やむを得ないときには北に向けての出発を認めるとの方針でありまして、当初からこの考え方は日本国政府の方針と一致いたしておる次第でございます。外務省におきましては、この機会にちょっと御報告をさせていただきたいと思いますが、三月三十一日の夜から四月一日の払暁にかけまして、起こり得るあらゆる事態を想定いたしまして、それに対する万般の対策を検討し、韓国、ソ連、北鮮赤十字社、軍事休戦委員会等に対する連絡要請を内々展開しておった次第でございます。その具体的な結果といたしましては、まず、軍事休戦委員会を通じて一日十二時三十九分に、北朝鮮側より平壌までの航空の安全と乗客に対する人道的取り扱いの保証を得ました。また北朝鮮赤十字からは、同様の趣旨に加えて、乗務員、乗客はすぐに、これは英語で回答でございますが、「スーン」ということばが使われております。スーンに日本に帰らせる旨の回答が、本二日午前二時に日赤に到着いたしました。ソ連政府との関係では、やはり本二日午前二時に、かねて中川大使から日本政府の要請をいたしておりましたものに対しまして、ソ連当局が直ちに措置する旨の回答があったとの公電が到着いたしました。政府といたしましては、これらの措置をいたし、それぞれ回答を取りつけたゆえんのものは、いかなる場合をも想定しながら、乗組員及び乗客の人命の保護に徹したいとの考え方に基づいたものでございます。橋本運輸大臣は、以上のような環境や条件を踏まえ、現地において適宜の措置を取り得べき使命を持っておりますが、午前九時現在、犯人側はいまだ乗客釈放には同意いたしておりません。そもそも犯人が北朝鮮行きの目的達成のために乗客を人質にしていたと解せられまする以上、すでに北朝鮮行きの保証が得られましたからには、一刻もすみやかに乗客を釈放して、直ちにその安全を確保することを承認してしかるべきではないかと存ずる次第でありまして、いわゆる赤軍派諸君の冷静な反応を期待いたしておる次第でございます。なお、前にも申し上げましたとおり、韓国政府が今回の事件について、人命保護を第一義として、あらゆる配慮と対策を講じつつあることに対し、あらためて感謝するとともに、政府が要請いたしました相手諸国政府機関が、すみやかに協力の姿勢を示してくれましたことに対しても、あわせて感謝の意を表する次第でございます。 なお、運輸大臣に対する出発に際しましての政府としての訓令の趣旨は、同大臣から赤軍派に対し、軍事休戦委員会を通じて北鮮側の保証を取りつけたので、政府としても平壌まで行かせることを確約するから、乗客全員を解放するよう説得につとめることを趣旨といたしておる次第でございます。 以上、ただいままでの経過を御報告申し上げます。
○横川正市君 まあ、万般のことで手配をすることと、手おくれにならないことで最善を尽くされるように要望いたします。
○鈴木強君 関連。ちょっといまの大臣の……。この外務大臣が全力を尽くして問題の解決のために努力をされていることは、非常に心から感謝しますが、ただ、いまの御報告を聞きましても問題になる点がありますから、それだけ伺っておきたいと思います。 それは事件発生以来五十時間、金浦に着陸して以来四十時間たっておるわけですね。したがって、横川委員がいま質問した中に、お客さんや乗員、そういう人たちの健康状態はどうだろうか、こういう質問をしましたが、あえて答えてないわけですけれど、ここが非常にわれわれが心配をするところです。したがって、北朝鮮に参る場合、航路の保証、着陸の保証、人命の保証、こういうことは取りつけられたようです。そこで、食い違っているのは、金浦で乗員をおろして乗り組み員と犯人を平壌に送ると、こういう考え方との食い違いだと思いますね。しかし、それも限度があるのでありまして、いつまでもそういう状態を固執しておったならば、人命にも問題が出てくると思います。したがって、いずれかの時期に踏み切って、お客さんとも平壌に送るという、そういうことも考えなければならぬのじゃないでしょうか。私は十時に、このところでトランジスタで聞いておりましたら、日本航空はすでに北に出発をするという決意をきめて、指令を出しているというNHKのニュースを私は聞きました、ここで。そして、すでに機体もある程度この前着陸をした地点から移動しておる、そういう情報も入っておるわけです。したがって、韓国政府のいろいろな御厚情、御好意、こういうものは、感謝しつつも、何としても人命を救っていくということになれば、いま申し上げたような、最後の手段をとらざるを得ないのじゃないですか。もうそれは時期がきていると私は思うのです。したがって、いろいろあるでしょう、あるでしょうが、いまの外交の焦点は、もうすでに韓国側にもよく了解をしていただいて、私はすみやかに日航のきめられたその決定を、政府として取り計らうべきではないか、こう思うのです。ですから、この点だけ外務大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともでございまして、先ほど御報告申し上げた中にも触れましたが、韓国政府といたしましても、われわれの考え方が十分に理解され、協力の実をあげてくれておるわけでございます。いずれにいたしましても、北に向けて飛行機が飛び立つということについては、それぞれ技術的にも十分の用意、準備が整いつつあると承知いたしております。 それから病人の発生の状態につきましては、何分機内に入って状況を見ることができない状態でございますから確認はできません。中には、実は外国人の宣教師もおられるわけで、心臓発作の持病を持っている方だそうでございまして、この人に対する緊急の薬を届けること、その他につきましても、現地でしかるべく最善の措置をとりつつあるようでございます。 なお、これも先ほど触れたところでございますが、私は率直に申せば、すでに北鮮行きということについて、この赤軍の諸君が要望しておることがかなえられた、保証が取りつけられたんですから、この上ともに人質を伴ってまで他国にさらに運ぶということは、全くこれは人道上その他の点から見ましても理解できないところでございますから、病人の状態等も、ほんとうに気がかりですから、ここですぐ金浦でおろしてくれということを、離陸の準備をいたしながら最後的なその話を、説得工作を続けておる。そして橋本国務大臣としての努力と見識に待って、国民的な心配に対する最後の処置というものをいかにすべきかということを、ぎりぎりのところでただいま大いに苦慮しておるところではなかろうかと思っております。 念のためでございますが、一部に伝えられておるようでございますけれども、この点に対して政治的な角度から韓国政府がわれわれの期待と違ったような考え方を持っているというようなことは全然ございませんで、これも率直に申し上げますならば、板付飛行場においてもできなかったような食料の搬入、あるいは毛布の搬入というようなことについても、ほんとうに涙ぐましい努力をしておられる、この事実には私はすなおに心から敬意を表したいと思う次第でございます。 それからなお、先ほどもこれも触れたわけでございますけれども、本件の最終的な始末として、いろいろ結果については御批判もありましょうけれども、政府といたしましては、人命の保護ということに徹しまして、先ほど申しましたように、事件発生の当時から、内々起こり得べきあらゆる状態を想定いたしまして、具体的にただいま御報告いたしましたような点について、諸国政府あるいは諸機関に要請をいたしておいたわけでございますが、非常に早く姿勢を示してくれ、日本に対して非常に好意のある態度をとり、また措置をしてくれたことに対しましても、あわせて感謝をいたしたいわけでございまして、外国側がこういったような積極的な人命保護の立場に徹して、これほどまでに手早く環境や条件をつくってくれておって、しかもこの赤軍派の要請というのが北鮮に何でも行きたい、その行きたいということに対して、これもいろいろの批判、好むと好まざるとにかかわらず、その要件も、安全保証までできたわけでございますから、ここで一刻も早く病人に対する措置なり、あるいは家族の方々の御安心を持ちたいということの考え方に徹して最後の努力をしていることも御了承をいただきたいと思います。
○鈴木強君 外務大臣ね、端的でいいですからね。もう私は限度にきていると見ているのですよ。これ以上事態を遷延することはその他の健康上の問題から見て危険だと思いますから、したがって、向こうへ、北朝鮮に行ける手配は済んでおるんだが、あくまでも犯人と話し合いをして乗客はおろしたいという、それはわかります。その努力は私たちもきのうから強く願っておりました。ところが、こんなことを言ってみたって、相手がああいう相手ですから、おそらくもうけさも六時、七時ごろから全努力を、最後の努力を尽くしたんだがだめだったんでしょう。もう一回やったと思うのですね。それもだめじゃないでしょうか。したがって、そんなことを繰り返しておる間に、また事態は悪化していくわけですから、何としても早くこの事態を解決するためには最終的な判断をする時期があると思う。そういう点は現地へ行っております橋本運輸大臣に全部一任をされているのですか。新しく訓令を受けてそういうことをやる、要するに、北のほうに乗客も乗せて飛ぶということですよ。そういうことの判断はもう橋本さんに全部まかされているのですか。日航からはすでに出発の準備をしろという、向こうへ行けという指令が出ておるということを聞いておりますから、そういうこととあわして、一体どこに限度をおいて、何時に一もうきょうは十一時だ。そういうことをはっきりしてもらわなきゃ国民としては安心できませんよ。むずかしいかもしらぬが、それはひとつはっきりしてください。
○国務大臣(愛知揆一君) ぎりぎりの時間が切迫していると思います。同時に、これは私から申し上げるのは適当でないと思いますけれども、この航空機の運転について、乗員の心身状態ということも、これは日航の当局でも非常な心配をされて、すでに交代要員を送っておられるわけで、現地で待機しているわけでございますが、したがって、機体の発航準備等に万般の準備をしながら、これも相当の時間やはりかかるようでございます。そして乗員の整備というようなことが整うのと共に、それをぎりぎりの一つの限界点として考えるというのが常識的な措置ではなかろうか。 それから政府といたしまして運輸大臣を派遣いたしましたのは、やはり適時適切な措置が、見識のある処置がとられなければなりませんので、韓国側の閣僚も詰め切りで心配しておるようでございますが、それにこたえる意味ももちろんございますが、現場において最善の、大所高所に立った判断が必要であると考えまして、政府の望ましき処置はこうこうであるという訓令は、先ほど申しましたように、出発するに際して携行いたしておりますけれども、ここは国務大臣としての見識や処置に対して、私どもとしては信頼を置いて、全幅の期待をかけているわけでございます。橋本君自身が、この点については念を押しておきたいとか、あるいはこういう点はどうするかということで、現地での判断において政府の訓令、あるいは指図を求めることはあり得ましょうけれども、政府の立場といたしましては全幅の期待をかけておる、かような状況でございます。
○横川正市君 大蔵大臣にお聞きをいたしたいと思うのですが、貯金業務の運営について、これは確かに通信業務とは別個ですが、郵政としては貯金、保険というのは一体化された運営だということになっているのですが、そうして、またその資金を集めるというたてまえからすれば、現状のような担当者の努力ということよりか、もっとやはり集めやすい環境というのをつくってやる必要があるのじゃないかということで、たびたび一部資金の運用についての移管を希望いたしているわけですが、大蔵省としてはこの点をどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 非常に数の多い郵便局の窓口での貸し出し、これは非常にこまかい配慮の要る仕事でございます。これを扱うのは適当でないと、こういうふうに従来から考えております。
○横川正市君 いま社会資本を充実しなければいけない、しかも、その資金は零細資金であるけれども、蓄積された預金に依存をする、こういう状態にいまなっているわけなんですが、その預金の集め方ですね。これは戦時中は一つの目的をもって強制的に集めたわけですが、それはもうできなくなりました。そうすると、相手側に有利な条件を与えながら、より働きやすい環境というものをつくっていく必要があるのじゃないか。この努力は郵政としてはずいぶん払ってきていると思うのです。しかし、いよいよ困難な状態というものを予想され、より多くのものにこたえるための方策として考えられたものが、いまいったようなものなんですが、大蔵省としては、それがだめというのならば、ひとつ他に何らかの形で預金の増強をはかる手段というようなものをお考えになっておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま免税措置をとっておるわけですね。これはまあ、非常に郵便貯金に対しましては有利な条件であると、こういうふうに考えております。預金の利子につきましては、いま一般のほうにつきましては、これは改定をする、つまり多少引き上げるというような話もありますが、そういう際にはもちろん郵便貯金につきましても同様な配慮をしなければならぬと思いますが、まあともかく郵便貯金のほうは全額が無税であると、こういうようなことで預金を奨励する、預金を郵便局にしやすくするということにつきましては、非常に大きな力になっていると思います。
○横川正市君 この免税点は現行どおりしておくとして、この最高制限額というのがあるわけです。これは保険の場合も貯金の場合も同じなんですが、これは適当だとお考えですか。それとも、これを取り払っても、さほど民間企業との競合でトラブルが起こるというふうには考えられないと私も思うのですが、これは郵政当局はどうお考えか、大蔵当局はどうお考えか、お聞きをしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) これは免税問題とまあ関連もしておるわけなんです。それからいまお触れになりましたけれども、一般の預貯金につきまして、この免税はいま百万円になりましたか、以下しかやっておりません。そういうことの権衡もありまして、郵便貯金の額を引き上げる、これにつきましては、まあ慎重な配慮を要すると、つまり、時勢がだんだん変わっていくということは考えておかなきゃならぬと思いまするけれども、ただいまの段階では、今日の限度、これが適正な限度であると、こういうふうな考えです。
○横川正市君 私は最高額の制限を取り払うことは、これは全国に散在する窓口利用者に便宜を与えるだけであって、その他はあまり不都合はないと思うのです。で、この免税点というのは、これは他の企業との間の競合がありますから、現行で、あるいは周囲の情勢に従って、増額をしていくという手段があってもいいと思うのですが、取り扱いの金額の制限は、私は必要がないんじゃないかと思いますので、大蔵大臣からもう一回ひとつ。
○国務大臣(福田赳夫君) 郵便貯金につきましては、有形無形ですね、まあ国家事業としての立場で有利な条件になっておるわけであります。そういうようなことで、民業との関係ですね、これを考え、また民業との仕事の分野ということを考えたときに、そうその多額のものを扱うということは、これは適切ではないと、ある一定の限度を設けまして、そしてそれ以下のものに限るというふうにして、民業との間の調整をとってきておりますが、今日のこの限度、これはまあまあこの段階では適正であると、しかしこの経済情勢の変化、そういうようなものに応じて、まあこれがずっと据え置かるべきものとは考えておりません。まあ弾力的には考えていかなければならぬと、さような見解であります。
○横川正市君 保険事業の関係で一番大きな問題は、やはり経済の成長に伴って通貨価値が著しく下落をしていく。十五年、二十年、三十年と掛けていく、収入がふえているから、その掛け金のパーセンテージは、おそらくこれは少なくなるから、もらい金が少なくなるというのは別に問題なかろうと、収入がふえれば掛け金をたくさん取って保証額をふやせばいいというようなことだけでは解決のつかない、たとえば養老年金のように貯蓄と同じような意味で掛けられている保険というようなものがあるわけですが、これに対して、通貨価値の安定が第一義なんですが、もしも政府保険として、加入者に対する利点として、いわば何らかの方策があるとすれば、簡易保険の運用その他については、これはひとつ全部郵政省がまかない、その利点はある程度還元できる、こういう施策をとるべきだと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 郵便局がやっております保険にいたしましても、貯金にいたしましても、これは国家資金なんであります。統一運用をやる。しかも国民の大事なお金をお預かりいたすわけでありますから、有利にはしなければならないことはもちろんでありますけれども、同時に、確実にこれを回収できるということにいたさなければならないわけでございますが、そういう二つの要件を充足させるという目的をもって統合運用をしておる。いま横川さんの御意見では、これを郵便局の窓口でというか、郵政省においてこの独立運用をさせたらどうかというような、こういうようなお話でありますが、これは国家資金の統一運用という面から見まして、かなりこれはむずかしい問題である、こういう見解であります。
○横川正市君 加入者保護というたてまえから言いますと、運用利回りというのは、保険の場合には六・五九%、民間保険は七・六六%、農協は七・七五%ということで、同じような形態で行なわれておりましても、いま大臣の言われるような趣旨で利回りがきまり、そのことが加入者保護ということにはなっておらないわけですね。その点はどうお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これはまあ民業が必ずしも大胆な貸し付け運用をする、そういうふうには思いません。思いませんけれども、やはり国民から政府が責任を持ってお預かりする保険料なり、あるいは貯金である、こういうことで、確実というところにきわめて大きな重点を置いておる、そういうようなことから多少利回りの違いが出てくる、こういうこともやむを得ないのじゃないか、さように見ておるのであります。
○横川正市君 社会資本の立ちおくれ、これを充実したいという、その意味で国民が協力をしている。それに対して、政府の事業だからと言って、加入者保護が他の民間企業との間に差がある。これは二重、三重にだいぶこの義務行為だけを押しつけられている結果になるわけですね。そうでなしに、もう少しまあ郵政事業の生産性の問題、成長と生産性にアンバランスがありますから、郵政事業それ自体がその点で困難を感じている。これをどうカバーするかが、より活気のある事業経営というのが成り立つと思うのです。その点がまず解決できない。同時に加入者の立場というものは、郵便にしても貯金にしても、保険にしても、いつでも政府サービスというものが十分ではない。この点の解決のためには、やはり抜本的な一つの考え方というものが出てきていいんじゃないでしょうか、成り立ちのものではなくて、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの郵便局というものは明治以来、これは預貯金の窓口としても、国民に非常になじまれておる、非常に大きな国家的な役割りをしておる、こういうように見ております。いま何もこれを根本的に制度的な改正をしなければならぬというような状態にあるという考え方、これは私どもといたしましてはとっていないのです。
○横川正市君 これは大蔵大臣の認識を深めるために、郵政大臣にもう少し大蔵大臣と接触してもらわないといかぬと思うのです。ことにひどい状態は、都市における雇用難、サービス低下、これは郵政省にお聞きしたいのですが、一体郵便物というのは、どういう認識の上でこれを取り扱っておるかをひとつお聞きしたいと思います。これは四日でも五日でもおくれても、郵便は届ければいいというたてまえでやっているのか、完全なきめられた時間に届けなければいけないという信書送達のたてまえに立っておるのかということなんです。
○国務大臣(井出一太郎君) 非常に本質的なお問いだったものですから、むしろかえって答えに窮するような非常に一番基本的な問題でございます。これは郵便法にも明記してあるとおり、安全に確実に、そうして信書の秘密を厳守して、そうしてきちんとお届けをする、これがたてまえでございます。
○横川正市君 社会の要請に従って、おくれるのじゃなくて、早くならにゃいけないのじゃないですか。
○国務大臣(井出一太郎君) そのとおりでございましょう。
○横川正市君 そのとおりになっておりますか。
○国務大臣(井出一太郎君) 御案内のように、現状なかなか遺憾な点が多うございまして、私も心を痛めておるわけであります。
○横川正市君 どうも心を痛めただけじゃ困るのですね。だから解決しなきゃいかぬわけです。解決するとすれば何ですか、それは。たとえば地方で採用される者の採用点数がたとえば七十五点とか八十点、ところが東京へ来る人は六十点とか六十五点でも採用いたします。そういうような関係で人手の必要な郵政事業が運営されているという時点については、どうお考えでしょうか。
○説明員(神山文男君) お答えいたします。 先ほどお答えいたしましたが、地方におきましてはなお応募者数もございまして、そういう方々を採用いたしまして、都市で働いていただく、こういうことでございます。で、大都市におきましても、極力採用方努力はいたしておりまして、現在のとおり、年採用回数をふやしましてやっておりまして、現在のところは欠員がほぼ埋まっていると、近くまた学卒者を一括採用いたしまして、過員の形で各郵便局に配置するという措置もとりますので、現在のところは、ほぼだいじょうぶであろうと、こういうふうに考えております。
○横川正市君 事業の中の予算の約八〇%が人件費だということについては、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(井出一太郎君) 機械化、近代化等をいろいろと努力をいたしまして、たとえば自動読み取り区分機といったような新らしい機械も開発したのでありますが、どうもこれには限界があるわけでありまして、どうしても差し立てとかあるいは戸ごとの配達とか、これはもう人手に待たざるを得ないわけでございます。御存じのようないろいろな困難な条件がありまして、なかなか的確な要員を十分に確保するということには困難な事情下に置かれておるわけでありますが、それにしましても、この仕事の本質にかんがみまして、有能な労務というものを確保し、さらにその職場環境、その他にも十分に留意をしながらやってまいらなければなりません。そのためには、これはやはり先立つものは金であるというようなことにもなり、目下郵政の会計、たいへんに窮状に入りつつあるというのが現状であります。
○横川正市君 経済関係大臣で協議をされた物価問題と関連して、公共料金については、どういうお考えでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 何ですか。
○横川正市君 公共料金を上げる上げないという場合の政府の考え方です。
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金につきましては、これはいま物価が上昇気がまえの時期でありますので、これが引き上げへの改定ですね、これにつきましては慎重な取り扱いをしなければならぬと、こういうふうに考えておりまして、昭和四十五年度におきましても、公共料金、これの引き上げにつきましては、予算上何も考えてはおらぬ、特別な措置をとっておるわけであります。
○横川正市君 郵政省のその年来の歴史的な経過から見て、きわめて大きい変革を予想したにもかかわらず、その取り組み方、それからいろいろな疑問点に対しての対処のしかたですね、これが非常に私は不十分だと思うのです。その不十分さだけがわかっただけですから、これはひとつ一そう、この問題どうするかは別問題として、今日の現状打開のために努力をしていただきたい、かように思いますが、ひとつ最後に大臣から意向をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) きょうは横川さんからたいへん郵政に対するいろいろな御叱正を賜わると同時に、また御同情のある御意見を拝聴したわけであります。 先ほど来のたとえば貯金の限度引き上げの問題でありますとか、あるいは保険にしましても、もう少し運用の道を開く手だてはないかというような御指摘がございまして、これらは、きょうは御一緒に大蔵大臣もお聞きをいただいたのでありますから、なお私はよく福田さんともお話し合いをしたいと考えておるわけであります。そしてまた、一番基本の郵便の問題につきましては、きょうの論議もそこに集中したわけでありますが、どのようにこれを打開し、改善をしていくかということにつきまして、御意見のほどをも参考に供しつつ、鋭意努力をいたしてまいる所存でございます。
○横川正市君 選挙制度問題について自治大臣にお聞きをいたしたいと思うのですが、まず一つは、第六次がまだ途中です、答申出す前段になってきていると思うのですが、私ども選挙制度委員会の中には、自由民主党を代表する委員の方もおられるわけです。総理大臣の第六次の制度審議会が持たれたときのごあいさつの中にも、それから自治大臣のあいさつの中にも、今度の場合は参議院の定数問題がこれが非常に重要だからこれの解決をしたい、そのための諮問をされたというふうに私どもはお伺いし、趣旨を承知をして、そして審議をいたしておるわけなんですが、いまのところ、参議院制度の問題についてはほぼ結論が出ましたが、定数問題については、自由民主党側を代表する人たちの意見というのがそれほどまとまっておらないわけなんです。私は政府の趣旨をもう一回ここでお聞きをいたしたいのは、定数問題を諮問したと承知をいたしておりますけれども、その点自治大臣の意見をひとつお伺いしたいと思う。
○国務大臣(秋田大助君) 定数の問題も含めまして参議院のあり方につきましてお尋ねをしておる、諮問をしておると、こういうことでございます。
○横川正市君 そういう趣旨でやられているわけですから、これはまあ総理大臣にお聞きをしなきゃいけないわけなのですが、もっとやはり前向きに意見の開陳があってしかるべきだと思いますが、その点がほとんどまとまった形で出てこないので、ぜひこれは、自治大臣、総理大臣と御相談しておいていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 横川先生の御趣旨のほどは総理にも伝えたいと思いますが、われわれも答申の趣旨に従ってこの問題は考えておるわけでございます。
○横川正市君 選挙管理事務を担当されている自治省として、選挙管理をやりながら、今日、いろいろな問題にぶつかっているんじゃないかと私は思うんです。その第一は、残念ながら現職者の意見を聞くことはできませんけれども、すでに外郭に出られた取り締まり当局の方の意見ですね。たとえば、検事総長と経験された、あるいは警察庁長官、あるいは警視総監を経験された、そういう人たちの意見の中に、選挙違反という事犯の考え方、これはまあ言ってみれば災難というような考え方を持っておるわけなんです。で、現職の方はそういうことはなかなか言えないんでしょうが、実際の取り締まりの衝に当たった方はそのことを実は端的に指摘をされるわけなんですが、自治大臣としてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 健全な民主政治の発展のために基礎になるものは、公正な選挙の執行であろうと思います。したがいまして、この意味から申しまして、選挙事犯というものに対する考えはもっと厳粛でなければいかぬと。多少世の中にそういう風潮のあることは遺憾でございます。これにはいろいろの原因もございましょう。これを直すようにいろいろ法のほうで考えなければなりませんが、一般に順法精神の高揚を期し、ことに選挙違反に対する順法精神というものをもっと高めるように措置をする、くふうをするということの必要性もあろうと痛感をいたしております。なお、選挙違反の取り締まり等についても問題ありますが、その点はまあ私どもの管轄以外でございますが、選挙取り締まりの規定におきまして、法規の整備におきまして、とかく、あまり形式的なものがありまして、国民の日常の生活感情意識と少し遊離しておるものもあるんじゃなかろうかという点についても反省をして、ひとつ全体として順法精神が高まるように処置をしなければならぬものと考えております。
○横川正市君 すでに食糧管理法がなくなったと同じように、もうすでに既定の事実としてなくなってしかるべきものが非常にきびして残っくいるという感じがするわけですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) そういう点も、私、個人的にも感ぜられる点もございます。しかし、これらの点につきましては、各方面、各政党の共通な合意を求めながら、妥当な線を考えなければならない。確かにその辺についても一つくふうを要する段階になってきておると、こう考えております。
○横川正市君 選挙の施行に、大体衆議院の場合には四年の任期中ということではありませんで、そのときの政治情勢で解散があります。参議院は定期です。これらの地方区の場合とか、衆議院の場合の補欠選挙ですね、これは残存期間と明確になっているわけですね、前任者の。ところが、地方の首長——議会議員等の場合はそうですが、市長その他の場合には残存期間ではなくして、そのときにあらためて新しい任期が出てくるというふうな選挙のしかたをしてるんですが、これは私は何かの不都合があって解散される場合であっても、それから解散する事情があったにしても、残存期間ということを任期とするということの妥当性を考えるわけですが、これに対して自治大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 地方でも、議会の場合は残存期間という観念でやっておるんです。首長の場合に、その残存期間という観念がない趣旨で立法されておるのでありまして、まあ現状この程度が妥当ではないかと考えられておるものと存じておりますが、なお、検討もいたしてもらいますが、大体これで妥当ではないかと現状は考えておるわけであります。
○横川正市君 非常に民主的な政治基盤、あるいは地方自治の基盤というものを選挙によってつくり上げるわけですから、これはもう非常に大切なことはわかるんですが、一つは、選挙が非常にまちまちであって、そのために非常に大きな行政上のロスが出てくる。それからもう一つは、私はやはり一様に行なわれるための管理制度の面からも、やはりまとまったほうがいいんじゃないかというように思うわけであります。これはひとつ検討していただきたいと思います。 それからもう一つは、一局削減をやりまして、そのときに選挙局が削減されたわけであります。当時、赤澤自治大臣であったと思うのでありますけれども、少し形式的に流れ過ぎた一局削減であったことも事実ですが、もう少しこれは強化をすることのほうが実は妥当なんであって、削減は、行なわれた結果として、きわめて妥当ではなかったと考えるわけですが、自治大臣の御意見はどうでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) おっしゃるとおり、まあ形式に多少流れて、実質を損じた感も私はいたしておりますが、しかし、大きな国策の線にも沿うてやったことでありますが、できますればこれは修正したいと思いますが、しかし、現状でひとつ最大の効果をあげるように、実質的にその効果をあげるようにつとめておる次第でございます。
○横川正市君 それでは終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で横川君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、鹿島俊雄君の質疑を行ないます。鹿島君。
○鹿島俊雄君 三月二十三日の総括質問の際に、白井委員から、優生保護法の運営に触れられました。そうして性道徳の退廃、青少年の非行、労働力の将来などの関連から、主として問題の提起がなされたわけであります。私はこの問題をさらにふえんして論議したいと存じます。 まず、文部大臣にお尋ねをいたします。 非行少年対策に関しましては、社会全体が大きな理想を失い、きわめて俗悪な社会風潮の中で、現在のような状況の中で、つまらない遊びをするなというようなお説教をいたしましても、私は効果が薄いと思います。肝心なことは、少年や青年にまっとうな夢を見ることができるような環境を築いてやることであろうと思うのでありまして、しかしながら、これは甘やかすことではだめだと思いますが、具体的な方策、御所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(坂田道太君) 健康的でしかも明るい社会環境のもとで、次の世代をになう青少年の育成ということはもちろんでございます。もちろん青少年の不良化防止ということも大切でございますけれども、それよりもやはり健全な青少年をどうやって育てていくかということが、やはり一番大事だというふうに、私考えるわけでございます。したがいまして、学外あるいは家庭外におけるいろいろの諸活動があるかと思いますが、われわれといたしましては、たとえば青年の家、国立青年の家も非常によかったと考えておりますし、またそれに伴いまして、県営の青年の家も、多数今日できておるわけであります。それから今度の予算におきましては、少年自然の家というものもつくることにいたしております。まあ、青年の家は、宿泊して同じかまどのめしをとりながら、そうして訓練をする、あるいは一定の規律ある団体訓練を行なう、こういうことでございます。まあ大体これも各ブロック別に漸次できておるわけでございます。 それからもう一つは、この都市集中の勤労青少年に対しましても、都市青年の家というものを整備をいたし、まあ健全なグループ活動を促進しております。 それからもう一つは、野外活動であるとか、あるいはボーイスカウト、ガールスカウトというような形で自然に親しむ。特に最近はこのような都市集中、あるいは科学技術、あるいは交通難というようなことで、非常に人間疎害のいろいろの問題が起きておるわけですが、むしろ青少年には、都会を離れて、ほんとうに自然の中に、もう素朴な、飯ごうをたいたり、あるいはたきぎを拾ってきて、それでたいたり、あるいは谷川の水をくんできたりというような、そういう素朴な、人間生活の一番基本になるようなものを身につけさせるということが、私は非常に大事だというふうに考えます。 それからもう一つ、私は、戦前と戦後の体育の時間というものを調べてみますると、やはりちょうど、何といいますか、エネルギーが旺盛になってきておる高等学校の段階で、戦前に比べますと、むしろ知的な教育の時間が非常に多過ぎまして、そうして昔は武道も非常に盛んでございましたし、銃剣道も非常に盛んでございましたし、それからまあ教練もございますし、あるいは掃除とかなんとかいうこともさせられたものでございまして、やはり教育基本の中に、この勤労という問題も教育の非常に大事な点なんで、やはり小学校、中学校で、昔私たちがやりましたような、先生みずから陣頭指揮で掃除をさせるというようなことも、私は教育の非常に大事なことじゃないかというふうに思うわけです。いま申しますスポーツ、特に武道館を今度は相当つくるようにいたしておりますし、あるいはプールというものも百十つくるようにいたしておりますけれども、こういうふうにしてもう少し鍛える、あるいは鍛えられる、そして汗を流す、こういうことが大切じゃないかと。どうも去年の大学紛争を見ておりますと、あまり知的教育ばかり詰め込まれて汗を流さなかった、スポーツが足りないんじゃないかというような気がしてなりませんので、学校だけじゃなく、あるいはいろいろな場面において汗を流すようなくふうというものがとらるべきである、あるいは自然に親しんで素朴な生活あるいは訓練、団体訓練あるいは友だち同士の友情をそこから感じ取らせるというようなことが非常に大事だというふうに私は思っております。
○鹿島俊雄君 ただいま大臣の御答弁で、受け入れ対策と申しますか、そういった面に関しましてはまことにけっこうだと存じます。ただ先ほど御質問申し上げました、俗悪な社会風潮と私は総括して申し上げましたところの最近における一部のピンク映画、エロ雑誌とか、特に西欧方面における極端な性解放の現況からかんがみまして、そういったような刺激を何とかやはり抑制をしなければならないんではないか。特に映画等につきましては、映倫等の一体態度がこれでいいのかというようなことについて御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) まあ青少年にふさわしくないようないろいろな雑誌あるいは映画あるいはテレビというものが、とめどもなく実ははんらんをして、そうしてそれが一方的にこれでもかこれでもかということで青少年に迫っておるわけでございます。私どもといたしましては、何とかしてこういうようなことがおとなの社会において自主的に解決されるということを念願するものでございますけれども、幾らこちらが念願しましても、なかなかそういうようなこともきかないで、はんらんをしておるということかと思うのでございます。ただ私どもといたしまして、直ちにこれをどういうふうにして規制するかということになりますと、なかなかむずかしい。まあしかしある県におきましては条例をきめて、ある程度の規制をやっておるようでございます。これはやはり父兄あるいは都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会あるいは学校当局というものが一体となりまして、これを防止する措置を講ずるように現在はつとめておるわけでございます。また私どもといたしましては、青少年向きのいろいろないい映画には奨励をするというようなことをやって、漸次そういうようなことにもかかわりなく、子供たちがすくすく伸びるようにつとめてまいりたいと、かように考えております。
○鹿島俊雄君 できるだけ大臣のただいまの御答弁の方向に御努力を願いたいと思います。 次に、最近青少年の間で、特にLSD、大麻等の持ち込みが増加し、又覚せい剤あるいはシンナー遊び等の状態が非常にはびこっております。これらの麻薬の審議につきましては、正常な青年である、少年であるうちに十分教え込んでおくということが必要であると思います。これらのことは薬事行政や警察行政だけでなく、主として教育行政との緊密な共同作戦が展開されない限り達成できないと考えるのであります。これらに対する御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、厚生省あるいは警察庁とも連絡をとりつつやっておるわけでございますけれども、たとえばシンナーとかボンドとか、プラボンドとかセメダインとか、その他の覚せい剤等につかれます学生数というものが、大体年間二万七千件ぐらいある。ことに中学生、高等学校生にそれが多いというゆゆしい事態でございます。しかもこれが接着剤等の関係で文房具店等からこれを買い入れるということでたやすく入手ができ、ことにいろいろな模型とかなんとかつくります、そっちのほうはまた言うならば子供の非常にいい意味の教材にもなり得るわけなんで、そういうものをつくりますことそれ自体は。しかし、そのときに、においますことでヒントを得て、あるいはそういうようなこととになっちゃうのだろうと思うわけでございますが、とにかくこういうことでもって犯罪の温床になるというようなこと、あるいは非行少年に走るというようなことにつきましては、十分、これは考えなければならぬと思っておるわけでございまして、学習指導要領の中におきましても、この点について十分指導するように、いま強化することになっております。現実には、小中高の段階におきまして先生方が指導いたしておると思いますけれども、この上とも私は、この点につきましては指導の徹底をはかりたいというふうに考えております。何かアメリカ等では相当数はびこっておるということを聞いておりますが、あのようなことにはひとつならせないようにしなければならないというふうに思っておる次第でございます。
○鹿島俊雄君 ただいまのお答えで、今後とも大臣の教育面における御努力を大きく期待をいたします。とにかく、次代を背負う青少年の健全教育は、わが国の将来を左右するといって過言でございませんので、こういった点につきましては、一そうの御努力をお願いをする次第であります。 次に労働大臣にお尋ねをいたします。最近の労働力不足はまことに深刻なものがございます。各企業体は、それぞれ労働力の確保、定着の状態を真剣に考えておるようでありまするが、このような状態の中で、労働人口推計によりまする労働力の人口増加数年平均がきわめて遺憾な状況を伝えております。昭和四十年から四十五年におきましては、大体年平均九十七万人を頂点として漸次下り坂をたどるであろうといわれております。十年後の昭和五十五年から六十年におきましては年平均二十二万人、十五年後の昭和六十年から六十五年におきましては年平均十九万人増等、非常な急降下をたどるといわれておるのでありまして、まことにこれは遺憾な状態であります。これに加うるに、高校あるいは大学の進学率が盛んになっております。これはまことにけっこうなことでございますが、一そうこれらのことが労働力の不足に拍車をかけるものと思います。なお、すでに過去十年間続いてまいりました出生率の低さが影響をあらわすのは、この時期に生まれました子供が出産年齢に達するこれからの十五年間でありまして、きわめてひどい若年労働不足の状態が予想されるのであります。これらの対策につきまして御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、近来労働力が非常に不足してまいりまして、この問題に対しては、まずもって労働力のむだづかいという問題を解明していきたい。同時にまた、未開発の労働資源をいかにして求めるかという問題でありますが、特に家庭の婦人等ができるだけ多くパートタイマーなりあるいは家庭労働としていかにそれが動員できるかというようなことを含めて考えたい。同時にまた、中高年齢層の方々をいかにして職業の分野でお働きをいただくかという問題がございます。同時にまた、農村地帯では農村労働力というものをいかようにして十分に労働力として取り入れていくかという問題もあるわけでございます。そういった問題につきましては、あるいは職業訓練の問題もございまするし、あるいはまた、青少年に対しましては、勤労青少年福祉法という問題をいま御検討いただいておるわけでございますが、そういった面で労働力を十分に活用をし、わが国の経済産業の発展に遺憾なきを期したいと考えておるわけでございますが、しょせんは、将来の人口出生率の問題が非常に大きな問題となってくるであろう。御指摘のとおり、残念ながら最近の日本の人口増殖の傾向は非常に心配な状態でございます。何としましても、日本経済が大きく成長し発展するためには、やはりそれに見合うだけの働く人たちのお力がなければ、日本の経済の発展はできないわけでございますから、まあ当分の間はある程度むだづかいをやめたり、新しい労働力としての開発をしたり、あるいは訓練もしたりということで済ましていくことはできると思いますけれども、やがて将来においては非常に労働力が不足するという時代を想定いたしますると、どうも、結局は人口問題についても御検討いただかなければならぬという段階がくるであろうと考えております。非常に憂慮すべき状態等を考えてみますると、これまた将来の労働給源として、やはり日本経済が大きく発展するためには、遺憾なき人口対策も当然必要であろうと考えておるわけでございますが、それには、ひとつ厚生省その他と十分に打ち合わせをいたしまして、今後の政策の面をひとついまから用意してかかる必要があると考えておるわけでございます。
○鹿島俊雄君 ただいまの労働大臣の御答弁ですが、主として私のお尋ねしている点は若年労働力人口であって、補助的労働人口ではないのでありまして、前者の若年労働問題に重点を置かれた政策がなければならぬと思います。このことに関連いたしまして、現在行なわれておりまする家族計画あるいは優生保護法との関連というような点につきましては、どのようにお考えになっておりますか、お尋ねいたします。
○国務大臣(野原正勝君) これは私どもの所管ではないのでございますけれども、やはり最近における日本の国民人口の出生率が非常に低いという問題の中には、優生保護法によって、俗に堕胎が非常に自由にされておるというような点があるようでございます。こういった問題につきましては、やはりわが国の将来の人口の問題、労働給源としての問題を含めて、ひとつ慎重に検討を要する案件かと考えておるわけでございます。
○鹿島俊雄君 次に、総務長官にお尋ねをいたします。 長官は、青少年対策本部長として熱心に御活躍をされておりまするが、最近におきます少年非行の現況は、先ほども触れましたが、シンナー、あるいはLSD、大麻の持ち込みの増加、覚せい剤の乱用、不良風俗営業・深夜営業等の出入、あるいは家出人、放浪者、さらに自動車等を利用いたします犯罪の発生、また特にフリー・セックスの横行による中高生女子の妊娠の増加、特にこの中の約五%以上は性病に罹患しているというような現状であります。このような事態は、自己抑制能力の欠除とこれを放任する社会環境、教育制度にも原因がございますが、特に刺激の強い一部のピンク・エロ映画、あるいはエロ雑誌等のはんらん、この影響は十分に考えられると思います。先ほども文部大臣に御質問をいたしましたが、これらに対します対策、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 映画とかエロ雑誌とかそういうものの取り締まりにつきましても、これは私のほうではありませんけれども、やはり一定の限度がやっぱりありますから、言論・出版の自由を侵すわけにもまいりませず、どうも最近の傾向というものは好ましくないということでははっきりしております。ところが、まあ映画などもテレビに押されて各国同じような状況になりますが、斜陽化していくまともな映画会社がまともな良心的な作品をつくろうとしても、実際上、入場者の数は独立プロかなんかの名においてつくられるエロダクションと俗称言われているもののほうによけい入場者がどうしても入って、そうすると、興業主としてはどうしてもそういう方向にだんだん向かっていく。だから最近はまともな大手の映画会社も何とか赤字が減りもしませんけれども、これが大手の映画会社のまともな会社のつくった映画かと思われるような映画も最近少し少なくなってまいりましたが、一時はんらんをいたしました。これらのことはたいへんかんばしくないことでありますし、私どものほうとしては、それぞれの担当省が青少年対策行政あるいは非行等の取り締まり行政等行なわれることに対しまして、そのような、ことに意識調査その他でこういうふうな考えを青少年は持っているようでございますとか、あるいは青少年の動向というものはこういうふうに見えるというようなものの調査その他を主にいたしておりますが、いままで総理府で青少年をあずかっているといいましても、この青少年対策のいろいろのこの運動ですね、そういう予算でいえば、幾らあっても満足することはないし、かりに少なくてもやれぬことはないというような会議をやったりいろんなまあパンフレットを出したりするというようなことで、きめ手というようなものは持っておりません。 先般私どものほうでいままで青少年といって、一体年齢はどういうふうにしていたのだということを聞きましたところ、どうもいままでの概念では幼児まで含まれそうな概念の感じでありましたので、これからの青少年対策は、やはり十五歳から二十歳まで、それからそのいろんな青少年団体の指導者等の育成、あるいは青年から成人になっていくその一般社会に溶け込むまでの過程ということで、二十五歳までをその青年後期的なものでとらえまして、年齢もはっきりと焦点を定めまして、これから対策をいろいろと講じていこうということに最近いたしました。そしていろいろと意識調査もしておりますが、やや日本では政府サイドでやることはタブーと思われておりましたセックス問題等についても率直にどういうふうにとらえておるのだろうかということは、これは政府が調査してもそろそろいい時期にきた、あるいは調査しておくことが国のために必要であるというふうな見解に立ちましたので、近く行なおうと考えておりますが、この次の青少年の意識調査の中には、フリーセックスをどう思うかとかというようなそういうような問いかけもありましょうが、いろいろと問いかけのしかたそのものにもすなおにすらっと答えが出せるような内容の問いかけ、設問にして、そういうところまで踏み込んでみて、それらの出ましたデータを文部省なりあるいは厚生省、法務省等に参考資料としてですね、ぜひ国政の上に反映をさしていただきたい。私どもはそれをとらえてさらに啓蒙、宣伝、指導その他のじみな仕事でありますが、たゆみない努力を続けていきたいと思います。
○鹿島俊雄君 ただいま長官の御説明で大体了承いたしますが、ただいまフリーセックス等の問題に触れられましたが、特に最近の青少年の間には、このフリーセックス、性的非行の原因が、現在行なわれております妊娠中絶の簡易という誤った考え方が、大きく影響をしておるのではないかという世論も相当ございます。これらに対する御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 私どもの国が諸外国から堕胎天国と呼ばれることは、決してこれは好ましいことではありませんで、日本にアメリカその他の国から、ことにカソリック系のきびしい戒律の国から、ひそかに堕胎のために訪日する婦人が相当あるということは、これはどうも私どもとしてはあんまり感心しないことであって、やはり人工妊娠中絶というものを認めておる法律の趣旨というものが、相当ルーズに行なわれておることの実態を雄弁に物語っておると考えます。ですから、胎児であっても一個の貴重な生命というものが、やみからやみに葬られることの罪というもの、あるいは人間の道徳意識、モラルの立場からいかに重大なことであるかということで、これは厚生省でありますけれども、いま少しく現在の法律のやむを得ない場合ということを厳密に条件を明示していかないと、日本の将来はたいへんなことになるのではないか。ことに日本の家族構成人員が、核家族化という表現等がされておりますけれども、いまや夫婦子三人といっているのは、大蔵省の福田大蔵大臣以下の税務当局者だけであって、総理府統計局においては、厳然として夫婦子一・九人が日本の標準世帯であると、こういうふうにいっておりますので、税もそういう方向に努力するというお考えを持っておられるようでありますけれども、これは現実はそうだから税も合わしていかなければなりませんが、せっかく日本の国家が一億のバイタリティでもってこれだけの国民総生産の力を見せてきておるのに、その内部が一人ぼっちの老人が疎外されて死んでいっても大都会の中では実子が、実際の子供が十日目に来て発見したりするような状態が日本にも見られてくるようになりました。憲法に親を養う義務がなくなったからといっても、これでは私どもはやはり今後の日本というものは発展は期待できないのではないか、子供の多い、世帯数の多い国がいいとはいいません。しかし、だんだんそのように結婚当時の二人きりの老夫婦がふえる、あるいは一人きりの老人がふえる、家族とは血縁であっても一緒に住めないというそのような状態にならないような何らかの努力がいまのうちに払われないと、日本民族の未来は、経済が発展しながら全く空洞化した民族の構成になるおそれがある、私はそのようなことも心配しております。ですから、今日の青少年の間でフリーセックス等が行なわれておることの背景に、なに、妊娠をしてしまえばそれは簡単に近くのお医者さんで処理してくれるからというような、安易な気持ちが背景にあることも立証はできませんが、意識でありますから。やはり調査等についてはそれらのところもそういうことを念頭においたフリーセックスというものが行なわれておるのか等も、調査する必要がある。あるいはフリーセックスが世界的なこれは現象であってやむを得ないのだ、とめることは不可能だと考えましても、これが青少年のみにとどまらないで、御指摘のように、中高年齢——、高年齢というのはちょっと無理かもしれませんが、中年齢の層にまで広がっていった結果、性病というものがおそるべき勢いで家庭の主婦に蔓延しつつある、私の友人に東京近郊で婦人科医を開業しておる者がありますが、実は婦人方が自分が性病にかかっているのだということの自覚が全くないそうです。ほとんど皆無である。ですから妊娠の診断をしてあげたときに、あなたは実は性病であるといっても、そんなはずはないというので、性病とは何ぞやということがだんだんとみなわからなくなってきておる。昔は性病というものの撲滅にも努力いたしましたし、そのかわり即効薬もあまりなかったせいもありまして、まあ有田ドラッグみたいなものが性病のおそろしさを絶えず興業的に見せたりしまして、とにかく性病というものはおそろしいものだ、民族の純血の上からいってもたいへんなことなんだという意識は国民の間にあったわけです。ところが最近は、相当子供を産む年齢もしくは産んだ経験のある経産婦等の間においても開業医から、あなたは病気だと言われても、絶対に承知しない。そんなはずはないと言うて、証明をしてあげてもなおかつ自分はそんなはずはないんだと言っておられる。いろいろと突き詰めていくと、そのことによって離婚になったケースもあるそうでありますが、そこらのところは、やはり日本人が戦争に負けたことによって取り落としたものの一つに、人間性とか、日本人の心とかいうものも確かにあるはずです。私たちはそういうことの現象というものがこれ以上進んでいかないような——これは政府、政治家、あるいはすべての社会の指導者各位の自覚も含めて、われわれが重大な問題として自覚していかなければならぬところと私考えます。私のほうでも青少年対策のほかに、売春対策審議会をあずかっておりますので、性病等その他の問題がやはり売春とも関連をいたしまして、いろいろと議論されておりますから、人ごとと見ないで、これらの問題に対するたゆまない努力を続けていきたいと考えます。
○鹿島俊雄君 ただいまきわめて長官の御卓見を拝聴いたしまして、まことに感銘いたしました。今後とも一そうの御努力を御要望申し上げます。 続いてお尋ねいたしますが、昨年末行なわれました総理府における妊娠中絶に関する世論調査が行なわれました。これらの解析、結果の発表はいつごろになるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) すでに調査結果は、おおむねまとめております。ただ一方において厚生省が同じような内容の調査をいたしております。したがって、あまり私どもは私のほうで、厚生省は厚生省でと、そうそうかってな、これは内容を変えるわけじゃありませんで、発表時期でありますが、そう飛び離れた発表をするのもおかしいので、厚生省のほうの作業がまとまり次第、ほぼ同じ時期ぐらいに私のほうでも発表をするように、いまは待機中というのが実相でありまして、大体四月の中旬——十五日から二十日ぐらいまでの間には厚生省と相談の上、私のほうの妊娠中絶に関する世論調査についての発表をいたす準備をしております。
○委員長(堀本宜実君) 鹿島君の質疑の途中ですが、午後一時再開することといたしまして、これにて休憩いたします。 午後零時十三分休憩 —————・————— 午後一時十一分開会
○委員長(堀本宜実君) 午前に引き続き鹿島君の質疑を行ないます。鹿島君。
○鹿島俊雄君 私はこの際、法制局長にお尋ねをいたします。 まず、きわめて基本的なしかも初歩的とも言える憲法上の原則として伺います。憲法第十三条は国民の生命の自由及び幸福は、公共の福祉に反しない限り最大の尊重を必要とする、という生命尊重の基本的原則がうたわれております。この条項は現に生きておる個人にだけでなく、これから生まれ出る命として存在いたしまする胎児にもこれを及ぼすものと解釈すべきものと考えます。この御所見を伺います。
○政府委員(真田秀夫君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、憲法は第十三条で、ただいまお述べになりましたような規定を置いておりまするし、いわゆる基本的人権の保障を数々定めているわけでございますが、やはりこの基本的人権の保障という制度は、権利宣言の由来とか、あるいは具体的に憲法が保障している個々の権利の内容に即しましても、やはりこれは現在生きている、つまり法律上の人格者である自然人を対象としているものだといわなければならないものだと考えます。胎児はまだ生まれるまでは、法律的に申しますと母体の一部でございまして、それ自身まだ人格者ではございませんから、何といってもじかに憲法が胎児のことを権利の対象として保障していると、権利の主体として保障していると見るわけにはまいらないと思います。ただ、胎児というのは近い将来、基本的人権の享有者である人になることが明らかでございますから、胎児の間におきましても、国のもろもろの制度の上において、その胎児としての存在を保護し、尊重するということは、憲法の精神に通ずるといいますか、おおらかな意味で憲法の規定に沿うものだということは言えると思います。たとえば児童福祉法の第一条を見ますと、すべて国民は、児童がすこやかに生まれることにつとめなければならない、ということを書いておりますのも、そういう精神から発しているものだろうと存ずるわけでございます。
○鹿島俊雄君 ただいまのお答えによりますると、胎児は憲法上の生命の対象としての考えに入らないというお答えでございますが、これはおかしいと思うのです。一つの例としてあげますと、国鉄輸送の取り扱いの中でも、死産胎児は、一定の時期を過ぎたものは一般の死体と同様な取り扱いがなされて輸送賃金が徴収されることになっている。引例としてはあまり適格ではありませんが、とにかく死体として取り扱う以上、これは一面胎児が現存する生命と同様に認められているわけであって、これはそのものずばり胎児の生命としての存在を確認しているものである。 以上のことは行政との取り扱いとはいえ、ただいまの答弁では私は納得ができない。重ねてお答え願いたい。
○政府委員(真田秀夫君) 繰り返すようなことに相なりまするけれども、やはり法律上は権利の主体は生きている人間、自然人に限ると、これはもうそう言わざるを得ないわけでございまして、やはり胎児の間は、もろもろの法律でいろいろ似たような扱いをしている例はございます。ただいまお述べになりました死体の取り扱いとか、あるいは民法上でも相続の関係、あるいは損害賠償の関係においては生まれたものとみなすという取り扱いをしている例はございますけれども、一般的にやはり権利の持ち主として、基本的権利の享有者として取り扱うというものではないというふうに考えるわけでございます。
○鹿島俊雄君 私の見解としては、少なくともただいまの議論の中で、胎児は少なくとも広義に生命の対象と解釈すべきものと考えます。したがいましてこの胎児の生命、生命尊重という理念は、日本国民全体のものがこれを率直に認めなければならないものと信ずる。特定の人々の考えにすぎないというようなことは誤りだと思うのでありまして、こういった点につきまして、もう一度御所見を承りたいと思います。
○政府委員(真田秀夫君) 厳密な法律上の取り扱いといたしましては、先ほど述べたとおりでございますが、なおその際にも申し上げましたように、近く生まれまして権利の享有者になる状態にあるわけでございますから、その点をよく尊重いたしまして、胎児としての生命を全うするようにもろもろの施策を講ずるということはこれは憲法の趣旨に沿うということに相なろうかと思います。ただ厳密な意味では、やはり権利の主体ではないということでございます。
○鹿島俊雄君 それでは次に、厚生大臣にお尋ねをいたします。 現行刑法に堕胎罪が設けられておりますが、ただいま法制局の見解、多少私と食い違う点もございますが、広義解釈の上からやはりこれは生命の一つの単位であります。こう考えてまいりますと、この堕胎罪が設けられました理念の一つのあらわれとして、これは原則的に刑法が胎児を生命として私は認めたものではないかという考えを持ちます。これらの原則に立って、現行優生保護法は純医学的な理由で定められた部分を除きまして、これは一つの臨時措置立法であろうと解釈をいたすものであります。すなわち大戦終結に引き続きまして生活条件の極度の混乱、しかもこれを克服し得なかった当時の政治の貧困に対しまする民衆がみずからの生命を守るためのやむを得ずしてとらざるを得なかった臨時措置であったと解しています。したがいまして、やむを得ざる場合にのみ認められるべきものでありますから、その前提になった条件が解消すればその合理性は失うものと考えます。合理的な理由がなくなれば、憲法の広義の理念に沿った正しい姿、本来の姿に戻るべきものと考えます。なお、それにはこの際臨時措置立法を存在させるに足る社会条件がなくなったのではないか、あるいは一歩退いて、いますべてが解消していないといたしましても、きわめて近い時期に解消する見通しがあるかどうかということがきめ手になるわけでもございますので、このことに関して御所見をお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(内田常雄君) まず第一に、先ほど法制局との間に問答をせられました胎児の人格といいますか、あるいはその生命権の問題につきましては、純法律論といたしましては法制局が言われるとおりであるといたしましても、私ども厚生省の立場から見ます場合におきましては、母性の胎内にある胎児のうちから、私どもはこれの健全なる誕生ということを念頭に置きまして、いろいろな施策をやっておりますことは鹿島先生御承知のとおりであります。母子保健法というようなものがございまして、子供を懐胎したお母さんのときから一般健康診査あるいは精密健康診査等も国費で見ておるというようなことは、そういう私どもの胎児尊重の考え方の一つでございます。 ただいま優生保護法につきましての御評論がございましたが、これは終戦直後、昭和二十三年のころできた法律、しかもこれは議員立法で国会の御提案でつくられた法律と私は承知をいたしておりますが、ああいう当時の状況のもとに二回ほど条件がゆるめられるような改正がなされたまま今日にまあ至っておるわけでございまして、その間二十年近くも時日が経過をいたし、社会的のまた経済的の情勢も変わってきておることがこの背景にありますことを考えますときに、あらためて優生保護法というものは検討の対象にすべき事案であると考えておるものでございます。
○鹿島俊雄君 ただいま厚生大臣の御解釈は、胎児も広義の解釈の上で生命の対象であるとの御答弁がありましたが、大臣におかれましては、さような見解の上に立って今後これに関する行政はお進めを願いたいと私はまず要望申し上げます。 次に、人工妊娠中絶の理由でございますが、これはまず第一、医学的理由、第二、優性医学的な理由、第三、倫理的な理由、第四、経済的な理由というおよそ四つの理念に分類されるのが通常であります。その中で中絶乱用の原因をつくり、また国民道徳の乱れのもとにも通ずるものが経済的理由であろうと考えられます。優生保護法は条文としては経済的理由により中絶ができるとされておりますが、正しくはそれは原因としての母体の健康が著しく障害されるということが一つの前提であるということでなければならぬと思うのでございます。手続が簡略であるためにあたかも経済的理由だけで中絶が可能であるがごとく解釈されているわけでございますが、これは運用上の乱れが実態となっているものと私は思考いたします。そこで問題は手続を慎重にしていくことで解決されるかどうか、さらに一歩進めて、一方経済的理由を中絶適用として認めるかどうか、この辺で洗い直してみる必要があると存ずるものでございます。このところに、優生保護法改正論議の焦点が向けられるところと私は考えております。 そこでお尋ねをいたします。現在経済的理由に対する道として胎児の出生をはばまなければならないほど日本の国民経済力は弱いものであるかどうか。御所見をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(内田常雄君) 戦後二十五年の間に日本の経済が非常に成長いたし、また、国民の生活水準も非常に上がってまいっておることは疑いがございません。したがって、分べん、育児等に関する経済的なあるいは家庭的な条件というものも、この法律ができました当時とはだいぶ背景と申しますか、状況が違っておることであると私は率直にそのことは考えるものでございます。 ただ優生保護法における経済的理由というのは、子供を分べんした後における子供の養育のための経済的能力があるかないかということで、あの経済的理由というのが置かれたのではなしにですね、当時国会において修正をされて、あの文言を入れられました趣旨は、やはりその母体の生命、健康の観点から経済的理由というものを結びつけられておったと、かように伺っておりますので、したがって、今日のお互いの生活水準が上がってまいってきたということと、いま法律に述べる経済的理由ということと直ちに結びつくことでもございませんので、その辺につきましては、さらに検討をしてまいらなければならない事項であると考えます。
○鹿島俊雄君 大体私のお尋ねをいたしました点は大臣におかれよく御理解をされておると存じますので、次の質問に入りますが、現在この法律の中で身体的理由、経済的理由による妊娠中絶手術の件数、並びにこの両者の件数比率はどのようになっておるか、この点おわかりでしたらお尋ねをいたします。
○国務大臣(内田常雄君) 法律の規定があります身体的理由、経済的理由ということにつきましては、法律はこれを分けて届け出をさせる仕組みになっておりません。両方一本にして届け出がされておるわけでございますので、私どものほうにもこれを分けた数字は持っておりません。ただ鹿島さんも御承知のように、この優生保護法の問題が近来持ち上がっておりますので、私どものほうでは昨年からことしにかけまして、この人工妊娠中絶につきましてのいまお尋ねの事由の区分等をも含めました実態調査をいたしまして、現在それの集計、解析中でございます。これが解析できますと、ある程度までその二つの事由による区分が明らかになるものと考えます。
○鹿島俊雄君 大体時期はいつごろになるでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 今月の下旬ぐらいになりますとこれの集計、解析がまとまりまして、明らかにいたし得ると思います。
○鹿島俊雄君 次に、現在家族計画の推進を厚生省はやられておりまするが、これは二十七年、優生保護法の改正によりまして、中絶事由をゆるやかにしたことに対して、中絶を必要とするような条件をなるべく、できるだけなくしたいというねらいを持って受胎調節指導の強化を行なったと聞いております。これらの行政指導並びに効果等に関しまして現在十分かどうか、この点について御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(内田常雄君) 家族計画の指導は人工妊娠中絶が母体の生命及び健康に及ぼす影響に相当考慮すべきものがあることにかんがみまして、個別的または集団的に行なっているところでありますが、特に個別指導におきましては所定の講習会を終了して、都道府県知事の指定を受けた助産婦等の実地指導員が行なっておるのが現状でございます。実地指導が人工妊娠中絶の減少にどの程度の貢献をしているかにつきましては、数字的に把握することは困難でございますが、家族計画、特に家族計画特別普及事業が軌道に乗りました昭和三十年ごろをピークとして、以後年々この人工妊娠中絶が減少をいたしておりますこともまた事実でございます。 なお、実地指導の効果は、実地指導員の質にも影響されることが大きいことにかんがみまして、講習内容の向上等についても、私どもは、今後さらに十分なる検討を加えてまいるべきだと思っております。
○鹿島俊雄君 ただいまの大臣のおことばに関連いたしまして、妊娠調節の失敗したものが妊娠中絶に走る傾向が大きいのではないかという大方の意見がございますが、これについて御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) そういうことではないと私は考えるのでありまして、この受胎の調節指導をやっておりますのは、あくまでも人工妊娠中絶をすることが母体の生命及び健康に悪い影響を及ぼすという点を考慮をいたしまして、この家族計画の指導を行なっていると、こう解すべきであると思うものでございます。
○鹿島俊雄君 私の申し上げたことは、妊娠調節をやられる、それが失敗をする、計画外妊娠であると、そういったときに妊娠中絶に走る傾向があるのではないかということをお尋ねをしたわけでございますが、現在実態調査等も進行中でございますから、これ以上申し上げませんが、その点につきましては、大臣はひとつ十分頭の中にお入れおきを願いたいと考えます。 次に、現在、わが国の家族計画とは、少なく生んでよく育てるといういわゆる少数精鋭主義がキャッチフレーズでありますが、現状は少なく生んで悪い環境で育てておるのがわが国の現状であるというような世論も相当ございますが、これらに対して率直な御所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(内田常雄君) 御所見のような状況も、今日の社会情勢の中には相当見受けられると私は考えております。
○鹿島俊雄君 次に、人口問題審議会の答申によりますると、最近の出産率は先進国の中で最低の率を示しておるといわれております三十九年度現在におきまして〇・九五という数字が報告されております。この十年間に一以下の数値を示したものは、もちろんまたかような状態の長期継続がなされた国は先進国の中においてはほとんど例がないと言われております。三十年後の昭和七十五年ころになりますと、このような状況下において人口は減り始めると言われております。また、わが国の人口構造は漸次逆ピラミッド型になる傾向を持つといわれます。すなわち昭和四十五年においては、六十五歳以上の老人人口が七百三十万人、十五年後の六十年におきましては一千百五十万人、五十五年後の昭和百年におきましては実に二千二百九十九万、約三千万人がわが国の人口構造の中で老人人口としての占める数値であります。このような状態でわが国の人口は衰運の道をたどることは、私は必然であると思います。これらの見地から、現行家族計画並びに優生保護法等の関連をいかにお考えになっておられるか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) わが国の出生率が停滞をいたしておりますことは、鹿島委員御指摘のとおりでございます。昭和四十一年の前後には、例のひのえうまの観念というようなものもありまして、人口の純再生産率というようなものがいま御指摘のように一より下に落ちまして、〇・九幾らというようなことにも相なりましたが、最近はやや回復をいたしましたが、一をこえることごくわずかでございまして、一部の共産圏などを除きますと、先進国の中におきましては日本の出生、純再生産率が一番低いと、こういうような状況でありますことは、やはり私ども憂慮にたえない点でございます。一方、また、環境衛生等の改善に伴いまして、人の寿命が長くなっておりますので、かような状況で推移いたしますと、これは日本は老齢人口が急速にふえてまいりますことも、これもまた鹿島さん御指摘のとおりでございまして、したがって、私どもは、この人口対策の面につきましてもいろいろの点から考えてまいらなければならないと思うものでございます。
○鹿島俊雄君 ただいまお答えをいただきましたが、何といたしましても、この人口政策というものはきわめて早い時期に対策を立てなければならないものでございまして、その場その場において対処できないきわめて重要な問題でございますが、こういった点につきましても深くお考えおきを願う次第であります。 次に、そこで現在の状況にかんがみまして、行き過ぎた人工妊娠中絶は是正すべきである、胎児の生命尊重、性道徳の回復、労働力政策、人口政策等の観点から、現行優生保護法を再検討する必要があると思いまするが、重ねて御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(内田常雄君) だんだん申し述べましたように、いまから二十年前につくられた法律と、今日の社会経済情勢が違っておりますので、再検討をすべき段階にあると思いますが、これにつきましては、やはり母性の生命、健康の保護ということが十分重んぜられなければならない点がございますし、また、これがせっかくの国会における立法であり、また修正をされてまいった経緯等もございますので、これらの面をも十分私どもも皆さま方と、場合によりましてはお打ち合わせをする場もつくりまして、そしてできる限り早くこの問題の処置に関する結論を得て対処をいたしてまいるつもりでございます。
○鹿島俊雄君 ただいまの大臣のお答えを受けてお尋ねをいたしますが、この際大臣は、早急に優生保護法に関する審議機関を設置し、早急にこれらの問題を検討されることが必要と思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 目下のところ、そのために審議会をつくるということは考えておりませんが、先ほど述べましたような私どものほうの実態調査の結果も間近く出てまいりまするし、また、総理府でやっておりまする世論調査の結果も出てまいりますので、それを単に私どもだけで判断するということでなしに、関係の方々ともそれを判断し、この問題について討議するような場を設けて対処いたしたらいかがかと考えるものでございます。
○鹿島俊雄君 私も、ただいま審議機関と申し上げましたが、必ずしも法的なものでなくてもよろしいのでありまして、大臣の諮問機関として私設機関としてでもけっこうでありますから、とにかく可及的すみやかにそういった大臣の諮問がなされることを希望するものであります。
○国務大臣(内田常雄君) できる限り結論を急いでまいりたいと存じます。
○鹿島俊雄君 そこで大体優生保護法につきましては、重点的な御質問を申し上げ、お答えを得ましたが、この際、先ほど各大臣にお尋ね申し上げました麻薬対策等の関連でございますが、現在幻覚剤LSD等の乱用に関連いたしましては、非常に措置がよくとられております。しかしながら、最近ストレス解消に広く使われておりまする精神安定剤の乱用の弊害が麻薬に準ずるような規制の必要を喚起いたしております。一月の中旬から国連麻薬委員会におきましては、二十四カ国が集まって、精神疾患の治療に使われる向精神剤について、その使用、流通を規制する合意が成立したと聞いております。わが国の向精神剤に関しまするものは、ビタミン剤に次いで第二位の生産を続けております。毎年一割近くも伸び続けておりますものでありまするが、右の国連の動きに即して、国内におきます使用の規制、副作用の調査、監視体制はどのように進められておるか、お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 御指摘のように、麻薬でなくても、麻薬に次ぐような悪影響を来たしておりまする精神安定剤というものが存在することにつきましては、私どもも憂えを同じくいたす面がございます。そこで厚生省といたしましては、これらの精神安定剤の大部分はこれを習慣性薬品という指定をいたしますとともに、要指示医薬品の指定をいたしまして、医師の処方せんなりあるいは指示がなければ、これを販売もできないし、また購入もできないということにいたしております。ところが、現状はそういうような私どもの指示や配慮が必ずしも十分に守られているとも思えない面がございますので、このことにつきましては、いまの国際的動き等の関連もございますので、わが国におきましても十分の処理を今後さらに厳重に進めていくべきだと考えますので、そのように進めたいと思います。
○鹿島俊雄君 時間の関係もございますので、私はここで結論を申し上げます。 去る三月二十三日、佐藤総理は白井議員の質問に対し、胎児を含め生命尊重のきわめて重要なる旨の明確な御見解が示されました。この際、特に厚生大臣におかれましては、現在重要社会問題として提起されております優生保護法改正問題に対しましては、総理の御見解を十分に体し、生命尊重、母体保護の基本的精神のもとに、これに関連する諸社会保障政策もこれまた十分に勘案せられまして、すみやかにこれらの措置を講ぜられることを強く御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で鹿島君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に山崎昇君の質疑を行ないます。山崎君。
○山崎昇君 防衛問題に入る前に、あとで外務大臣がおいでになるそうでありますから、いま問題になっております日航機の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、幸い防衛庁の長官がおられますから、一点先に聞いておきたいと思います。 それは、きのう政府側の答弁の中に、金浦空港におりたのは北鮮側の発砲事件等もあったから、安全に航行できないと思って金浦空港におりたのだ、こういう説明がありました。ところが、けさ以来各新聞等を見ておりますというとそうではない。特にけさの朝日あるいは読売等見ますと、日本の自衛隊に韓国の軍隊が引き継いで、そしてそこに何らかのことがあって、金浦空港におりたというふうに報道されておる。また北鮮側は正式にそういうことは事実に反するという声明が出されておる。これにまだ外交関係のない国ではありますが、問題が微妙なときだけに、私は重要視をしなければならぬ発言ではないかと思うんですが、防衛庁長官の見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 「よど号」の飛行がああいうように変わっていきました真相については、まだ正直のところよくわかっておりません。日本の自衛隊と韓国の空軍との間に何らかの打ち合わせとか何かがあったという、航路変更に関するそういう問題は一切ございません。私自体も全く承知していないコースでありました。
○山崎昇君 きのうの外務大臣の答弁はそういうことがあったようであります。ただ飛行機が高度を飛んでおったから砲弾は当たらなかったんでしょうという答弁でありますね。ところが、そういう答弁に対して、どうも事実はそうではないのではないか。特にけさの朝日新聞はなぞに包まれた乗っ取り事件ということで、ずいぶん経過を追っております。あれを見ると、どうも外務大臣の説明というのは当を得ていない、あるいは未承認国でありますけれども、相手は事実否定をしておる、こういうことについて私はもう一ぺんひとつ長官にほんとうにあれが事実だったのかどうか、あなた方は事実だと思っているのかどうか、その点だけを聞いておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの当時いろいろ断片的な情報がまいりましたけれども、いずれも未確認情報でございまして、一部にこういう情報もありますと、そういう程度で答えてあるのでございます。われわれもこういう情報があるが、はたしてそのとおりかなということは確信を持てませんでしたから、一部の未確認情報として、こういうものがありますという程度で申し上げたことはございます。現在におきましても、あの航路を中心にします実態は全くよくわかっておりません。これは機長がおりてきて、そのときの情勢を説明していただかないとわからないのではないかと私思います。
○山崎昇君 この問題はあとで外務大臣が来られてからお聞きをしたいと思います。 そこで防衛庁長官に予備自衛官について二、三お尋ねをしたいと思うんです。この予備自衛官はいまどういう現状にあるか、現在員、そうして職業別の現在員等をまずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係局長をして答弁させます。
○政府委員(内海倫君) 予備自衛官は現在定員におきましては三万三千人でございますが、実員は三万二千三百名程度でございます。 職業別でございますが、一応概要を申し上げてみますと、昭和四十四年の三月三十一日現在、二万九千八百人のときの数字が明らかになっておりますので、これについて申し上げますと、農林漁業等に従事しておる者約四千七百人、それから工業、建設業に従事しておる者が約二千人、諸種の製造業に従事しておる者が約七千五百人、商業に従事しておる者が約三千三百人、運輸、通信その他の公営事業に約四千七百人、国家公務員、地方公務員等公務に従事しておる者約二千二百人、その他各種の職業に約五千四百人、こういうことでございます。 それから階級別でございますが、概数で申し上げますと、一尉以下の幹部で約三百人、三曹以上一曹までの曹が約七千八百人、士長以下の士が約二万四千二百人、これは四十五年の二月一日現在の人員でございまして、三万二千一二百人の内訳でございます。
○山崎昇君 公務員の二千二百のうち国家公務員が何名で、地方公務員が何名、それからその他の中でおもなるものは何なのか。
○政府委員(内海倫君) 国家公務員が千百六十五人、地方公務員が九百八十八人、この国家公務員の中には現在防衛庁に勤務しておる職員九百七十一人を含んでおります。 それからその他と私がいま申し上げました者のほかで、サービス業等に従事しておる者が二千九百四十五人等が含まれております。 その他につきましては一括いたしておりますので、いまここでさらに詳細な内容はちょっと資料を持っておりませんが、大体その他に該当する者が二千五百名ほどございます。パーセンテージでは全体の八%でございます。
○山崎昇君 その他の中で公職についている者はおりませんか。
○政府委員(内海倫君) いま私公務の中で数字を申し上げましたが、その中で市会議員になっている方が九名、それから町会議員が二名、村会議員が一名、私どもで承知いたしておりますもの十二名が地方議会の議員になっております。
○山崎昇君 そこでお尋ねをいたしますが、この予備自衛官は、だんだんだんだんふえる傾向にあるのではないか、また防衛庁もそういう見解をお持ちのようですが、今後どの程度ふやそうとされるのか、あらかじめお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予備自衛官はいままで陸にございましたが、ことしから海のほうにも若干名追加をいたしましたが、いずれ空海陸にわたりまして予備自衛官を採用してまいりたいと思います。何名程度充員していくかということは、いまのところまだきめてございません。これは大蔵省やそのほかとの関係もございますので、関係各省庁とよく相談した上で計画をつくってまいりたいと思います。
○山崎昇君 この予備自衛官をふやそうという最大の理由ですね、それをお聞きしておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予備自衛官を置きました理由は、防衛出動、そのほか防衛庁設置法、自衛隊法等できめられました出動等の場合の後方勤務並びに消耗補充というような意味で置いてあるのでございますが、練度の高い、そしてそういう使命感を持った人間を予備的に持っておるということは、やはり日本の自衛隊の力を充実さしていく上に効率的である、そういう考えに立って制度をつくったものでございます。
○山崎昇君 いま自衛隊の充足率は陸海空でどういう状況にありますか。
○政府委員(内海倫君) お答えを申し上げます。昭和四十四年の二月二十八日現在の数字で申し上げますと、陸上自衛隊の充足率が八七%、欠員にいたしまして二万一千二百六十三名、海上自衛隊が九四%、二千三十九名欠員、それから航空自衛隊が九六%の充足で、欠員が千六百六十三名、こういうことになっております。
○山崎昇君 そこで私は防衛庁長官にお聞きをしたいんですが、この予備自衛官をふやさなければならないというのは、確かにあなたの人材の登用ということもあるでしょう。それからこういう公務員については一朝一夕でなかなかでき上がらない、そういうこともあるでしょう。しかし、私は基本的にはいまの経済政策が続いていくならば、若年労働力がだんだんなくなってくる、これは午前中も自民党の先生方から指摘をされた点なんですね。あるいはいまの人口を見ますというと、これまた出生率等が下がっている、いわば十五歳から五十九歳に及ぶちょうど労働人口というものがあまりいい状態にはない。そうなれば、いまお聞きをしましたように、陸上で約二万一千、海上で二千人、空で千、合わせて約二万五千ほどの欠員がある、これはなかなか充足できない。そこでだんだん私はこの予備自衛官というのがふえていく傾向にあるのではないかと思うので、一体その限度というものをどの程度のことをお考えになっているのか、再度お聞きをしたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予備自衛官をどの程度拡充するのが適当であるかということは、日本の防衛力整備の必要性、あるいはほかの諸政策とのバランス等も考えてみないといけませんが、財政的負担とかあるいは予備自衛官の技術的練度、あるいは使命感、そういうものを考えてみますと、非常に効率的な制度であるだろうと私は思うのであります。各国においてはみな予備役制度、後備役制度というものを持っており、あるいは学生にリザーブ制度を持っておるという国が非常に多いのでございますけれども、日本はそういうものはございません。いろいろな面から見まして、予備自衛官制度というものは非常に適当な制度であると私思います。そういう意味からいたしまして、生海陸にわたりましてこれを漸増していくという基本方針を持ってまいりたいと思います。しかし、どの程度のスケールに計画的に広げていくかということは、これはまだ固まっておりませんので、大蔵省その他とも相談した上で、おいおい発表申し上げることになるだろうと思います。
○山崎昇君 先ほどの説明の中に、予備自衛官で防衛庁に勤務しておる者が九百七十一名あると、これは定員内ですか、定員外ですか。もしも定員内だとするならば、予備自衛官制度のあなた方の考えている予備自衛官というものと性格が変わってくるのではないか、意味がないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
○政府委員(内海倫君) 防衛庁の中に、先ほど申しましたような予備自衛官がおりますが、予備自衛官は御存じのように非常勤の定員外の特別職の公務員、こういうことになっております。したがいまして、防衛庁の現在の職員という立場では、もちろん防衛庁の定員のものでございますが、予備自衛官という点では、これは防衛庁の自衛官の定員外の職員でございます。
○山崎昇君 そうすると、この自衛隊に勤務している九百七十一名というのは何をやっているんですか。これは毎月千五百円の予備自衛官の手当だけで自衛隊はお使いになっているんですか。
○政府委員(内海倫君) 御存じのように、自衛隊には自衛官でない一般職員が二万数千名おるわけであります。いまの私の申しました予備自衛官になっておる者はいずれも一般職員として勤務しておる人たちでございます。したがいまして、いわゆる自衛官というものの中に入るものではもちろんございません。したがって、これをお考え願う場合には他の一般の官庁につとめておる公務員と同じような性格のものである、こういうふうにお考え願っていいかと思います。
○山崎昇君 重ねてお聞きしますが、この九百七十一名というのは予備自衛官でありますが、一般官庁と同様だというならば、臨時的任用職員かなんかでなければならぬと思うんですね。自衛隊法では予備自衛官のほかに非常勤の隊員というのを置いておる、それとは私は性格が別だと思うんですが、どうですか。
○政府委員(内海倫君) もう一度申し上げますが、予備自衛官というものは定員外の、しかも非常勤の特別職の公務員でございます。したがって他の一般官庁に勤務しておる公務員でありましても、これは予備自衛官を志願して選考の後採用されれば予備自衛官になって、いま仰せのように月手当千五百円をもらっておるわけであります。同じように防衛庁という官庁に勤務しておる一般職員でありまして、これはかつて自衛官、あるいは昔の保安庁時代の保安官、あるいは警察予備隊時代の警察官という職務あるいは身分を持っておった人が、自衛隊あるいは保安隊あるいは警察予備隊をやめた後に志願をして予備自衛官になっております。しかし、一方において本来の職務としては防衛庁の職員である。これは全然別の形において理解をしていただかなければいけないと、こういうふうに考えます。
○山崎昇君 どんな仕事をやっておるのですか、それじゃ。私はちょっと不思議だと思う。そうするとこれは定員法の脱法行為じゃないですか、考えようによっては。どうですか。どういう仕事をやっていますか。
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げますが、いろいろな仕事に従事をいたしております。先ほど申しましたように、自衛隊の中には定員に定められた自衛官もおりますが、同時に二万数千にわたる一般業務に従事するいわゆる事務官、技官等がたくさんおるわけです。これらはあるいは補給の業務にも従事しておれば、あるいは一般の庶務的な仕事にも従事しておりますし、あるいは研究の技術要員として従事もしておれば、その他各種の業務に従事いたしておるわけであります。したがって、これは本来の防衛庁職員としての職務を持ち、防衛庁の職員としての身分を持って仕事をしておる。決して自衛官のそういう意味の定員外のものでない。定員外という意味は、予備自衛官としての身分を持った形においてそれは定員外の非常勤の職員である、こういうことであります。
○山崎昇君 だからあなたに重ねて聞きますが、予備自衛官は確かに定員外として置かれておる。しかし、あなたはこの予備自衛官を一般官庁と同様に非常勤として使っておると言うから、それならばこれは一般公務員法の適用を受けるのですよ、特別職という。そうならば定員外の職員と同様になるはずではないですか。予備自衛官としての定員外とは別じゃないですか。それならばこれは二カ月雇用なんですか。三カ月雇用なんですか。一体任用形態というのはどういうようにとるんですか。お聞きします。
○政府委員(内海倫君) たいへんくどいようでございますが、もう一度制度として御説明を申し上げたいと思います。御承知と思いますけれども、予備自衛官というのは自衛隊を退職した者が志願をいたしまして、選考を受けて予備自衛官に採用されるわけでございます。それが現在その採用されております者が、先ほど御説明申しましたように三万二千三百名おるわけです。そうしてそれらが現在従事しておる各種職業も先ほど申し上げたとおりでございます。そうして公務に従事しておるという内訳の中に、自衛隊といいますか、防衛庁に勤務しておりますものが九百何名おるわけでございます。したがって、これはあるいは例は、はたしてそんなものがあるかどうかしりませんが、例を大蔵省に申しますれば、大蔵省に勤務しておって予備自衛官になっておるのと同じように、防衛庁に勤務をして、そうして予備自衛官になっておる、こういうものでございます。したがって防衛庁の職員として勤務しておりますこの男の本職は防衛庁の職員であり、しかも特別職の職員である、この自衛隊法の規定の適用を受ける自衛隊の職員でございます。
○山崎昇君 だんだん明らかになってまいりましたが、これは私はやはり自衛隊は脱法行為だと思う。予備自衛官は自衛隊をやめた人を予備自衛官として志願をしてなるほど選考で採用する。この人が就職する場合にあたっては、民間といわず官庁といわず、差別してはいけませんという規定があるから、どの職業についてもいいのだが、そのかわりこの予備自衛官については普通の自衛官と異なった、いわば政治行為についても服務についても職務専念義務を全部はずしておる、いわば一般民間人と同様なんです。だからそれを大蔵省で採用するならば、大蔵省の職員として採用しなければ使えないのですよ。予備自衛官として使うのではないのですよ。したがって、そういう防衛庁と同一の方法だというならば、当然予備自衛官を事務官なり、あるいは雇員でも何でもいいけれども、そういうものに雇って採用しなければ私はおかしいと思う。予備自衛官として定員外だから自衛隊は使ってもよろしいなんということにはなりませんよ、これは。もしそうだとすれば、これは明らかに定員法の脱法行為ですよ。どうですか。
○政府委員(内海倫君) もう一度申し上げますが、先ほども申しましたように、自衛官をやめて、そうして全くあらためてこの人たちは防衛庁の職員に採用された人であります。それで、防衛庁に採用されてから、本人の希望によりまして予備自衛官を志願した人であります。したがいまして、たとえば自衛官をやめて何々県の事務官になった人が志願をして予備自衛官に採用されたということと全く変わらないものであります。ただここで一言申し上げておきますけれども、私どもはそういうふうなこととは別個に、自衛官をやめた人が防衛庁に採用された場合、それが予備自衛官を志願するという場合には、採用は最近ずっと遠慮しております。ただ、前に採用した人たちがそのまま残っておるために九百何名というものがございますけれども、これは現在採用してはおりません。
○山崎昇君 これは長官ね、人事局長はやっぱり私は誤ってるんじゃないかと思うんですよ。それはねえ、自衛隊をやめて予備自衛官に志願をして、自衛隊の長官はあなたは、予備自衛官でけっこうでございますので採用して、その予備自衛官がどういう職業につくかはその人の自由だと、そしてそれを、職業につくときに差別してはいけませんとかですね、普通の自衛官の持っております制限条項というのを全部撤廃してるんです。だから、予備自衛官ではありますが、民間人と全く同様なんです。それを官庁に採用する場合には、大蔵省であろうと防衛庁であろうと、あるいは外務省であろうと、一般公務員としてこれは採用しなきゃいかぬ、ね。そうならば、定員内でなけりゃ私はおかしいと思う。防衛庁におられるいま九百七十一名というのは、これは一般職——防衛庁全体は特別職でありますから、間違っちゃいけませんが、特別職でいいですが、これはあらためて防衛庁の職員として採用して、防衛庁の給与法に基づいて何等級何号を払っておるのか、あるいは臨時的任用で、その人に対して日給でやっておるのか、任用形態を明らかにしてもらいたい。もしそうでないとするならばこれは脱法行為になりますよ。
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。 いま先生のおっしゃったとおりでございまして、要するに、防衛庁に採用いたしますにつきましては、防衛庁の身分を規制いたしております自衛隊法に基づいて、自衛隊法の要件を満たす者を自衛隊の職員として採用をいたしておると、こういうことでございます。で、たまたまその採用した人が元自衛官であるということによりまして予備自衛官を志願したと、そして予備自衛官になっておると、これだけのことでございます。したがいまして、予備自衛官であるということとそれから防衛庁の職員であるということとの関係は、一般の役所の公務員であることと予備自衛官であることとの条件と全く変わっておらない、こういうふうに私は申し上げておるわけでございます。
○山崎昇君 だから、そうするとこの採用されてる九百七十一名は防衛庁の定員内でしょう。定員内でなければつじつまが合わなくなりますよ。
○政府委員(内海倫君) 仰せのとおりでございます。
○山崎昇君 あなた先ほど、これは定員外だ、予備自衛官は定員外だから、定員外で使っております、何のふしぎがありますかと言うから、それはおかしいと言ったんだよ。どうですか、それ。そうすると正式の防衛庁の職員ですな、重ねて聞いておきますよ。
○政府委員(内海倫君) 仰せのとおりでありまして、正式の防衛庁の職員。 それから私、先ほど定員外と申しましたのは、予備自衛官というものが定員外の非常勤職員であると、こういうふうに申し上げたわけであります。
○山崎昇君 そこで、防衛庁長官にお尋ねしますが、この予備自衛官が自衛隊法の七十条で防衛招集になりますね。そうすると正当な理由がなければ、三日以内に出頭しないというとこれは三年以下の懲役になることになる。そこで、正当な理由というのはどういうものなのか、御説明願いたい。
○政府委員(内海倫君) お答えを申し上げます。 法律には、心身の故障その他真にやむを得ない事情のある場合と、こういうふうになっております。その法律の規定で、政令の定めるところにより長官が取り消しあるいは猶予することができる、こういうことで、その規定に基づきまして政令に定めておるわけでございますが、その政令に定めておるところでは、妻あるいは一等親の者が死亡した場合、あるいは同居の親族が死亡したような場合、あるいは自分の家が焼けたり、その他非常の災害を受けまして、本人がおらなければ処理し得ないような場合と、そういうふうなものが政令に列挙規定されております。
○山崎昇君 その次にお尋ねしたいのは、先ほど自衛隊におられる人を除いて、地方公務員も入れて、大体公務員になっている人が千二百人ぐらいおるわけなんです。そこでお聞きをしたいのは、防衛招集をされますというと、この一般職の国家公務員は特別職の自衛隊員になるわけですね、七十条の三項で。これは辞令を発せずして自衛隊員になるわけなんですが、そうすると、防衛庁以外の官庁に勤務しておるこの国家公務員の身分というのはどういうふうになってくるか、それから防衛招集後のその人の給与その他はどういう関係になってくるのか、国家公務員法との関係で法制的にひとつ御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 詳細は局長をして答弁せしめますが、まず兼任になるようであります。それで、防衛招集の期間は休暇扱いとなる、そういうことであるそうであります。
○政府委員(内海倫君) 長官の答弁の補足をして御説明を申し上げたいと思います。 一般の国家公務員であります者が防衛招集を受けますと、お説のように特別職の定員外の自衛官になるわけであります。したがいまして、この人についていえば、一般職である国家公務員であることと、それから防衛招集された自衛官であることは、兼業の関係になります。これは、国家公務員法百四条の規定及びそれに関しまする政令等によって定められておるところであります。したがって、身分はそういうことでございます。それから、給与の関係につきましては、これは御存じのように、許可を受けて兼業が許可されるわけでありますから、その許可の範囲内において一方の業務に従事することができる、こういうことになるわけですが、防衛招集を受けました場合におきましては、その自衛官であることは、同時に全部の仕事を自衛官としての仕事に当てるわけでございます。したがいまして、一般職のほうの国家公務員としての仕事はできなくなるわけだ、そういたしますと、その給与に関しましては、その勤務せざる分は全部減額される、こういうことになろうと思います。したがいまして、もしそれが長期にわたるならば、長期の間一般職の公務員としての給与はもらえなくなる、結果的にそういうことになろう、こういうふうに思います。
○山崎昇君 それでは局長にお尋ねいたします。 いまあなたから国家公務員法の百四条で兼業になると、こう言うんですね。これは一般職の公務員が他の公務員につく場合に兼業になるんですね。予備自衛官が一般職の公務員になるときは百四条ではないんだ、これはね。そこで、いま防衛招集になりますと、これは三日以内に出頭しますから出頭した日から特別職の公務員になる。このときに一般職の公務員は他の職業につくことを許可をとらなきゃならぬですね。とらなきゃならぬ。もしとらなければ、これはつけないということにもなってくる。そうすると、国家公務員法の百四条と予備自衛官というものと七十条の防衛招集後の問題とはどういうからみ合いになってくるのか、もう一ぺんひとつ。
○政府委員(内海倫君) 御存じのように一般職と一般職という関係になれば、これは併任という問題もあろうと思いますが、兼業の禁止というのが百四条の規定であることは御存じのとおりでございます。そうしますと、一定階級以上のものは内閣総理大臣、それ以下のものにつきましては、内閣総理大臣の委任に基づいた所属長が兼業の許可をするわけであります。そうしますと、予備自衛官を志願いたします場合、これ予備自衛官であるということも同時にそれは兼業の状態が発生いたしておるわけであります。したがって、予備自衛官を志願する場合には、当然その許可を受けておらなければならないものと、かように考えます。したがいまして、予備自衛官であることは、予備自衛官になるということは、結局、防衛招集に応ずる義務を負うこととともに、平時におきましては訓練招集に応じなければならないという、そういう任務を持つわけでありますから、したがって、すでに予備自衛官であるときに兼業の許可を受けておることによって防衛招集を受けましても、そのままそれが継続して続くものと、私どもはこういうふうに理解いたしております。
○山崎昇君 局長ね、それは少し違うんじゃないですか。あなたの言っているのは、一般職についたあとに予備自衛官になった場合のことを言うんだが、予備自衛官のほうはそうじゃないんですね。自衛隊をやめられて、そして予備自衛官になっている者が一般職に勤務するときには、職務専念義務を多少はずしてもらいたいとか、あるいは教育招集がありますとかということを述べて、それによって差別しちゃいかぬということになっておる。だから今度は予備自衛官が一般職に採用されておって、そして防衛招集になったあと、この百四条ということが発動されてくるんです。だから国家公務員法の百四条は、いまあなたの解釈ではできない。あらためてこれは関係長の許可をとらなければできないんですよ。その点はどうなりますか。
○政府委員(内海倫君) 私、この問題につきましての見解を申し上げたいと思いますが、確かに予備自衛官になっておいてから一般職の国家公務員なり地方公務員になることはあると思います。その場合において、いまお示しのありましたように、自衛隊法に予備自衛官であることをもって採用について差別してはならないというふうな規定がありますから、それに基づいて採用するものと思います。しかし、その時点において、私どもの理解いたします限りには、予備自衛官であるという兼業が採用者側において許可されたものと考えなければならないのではないのかと、こういうふうに考えます。
○山崎昇君 きょう人事院呼んでおりませんからね、実はあなたの答弁違うんだな。人事院の見解はまた違うんですね。私が述べているような見解を人事院がとるわけです。これはいまあなたと論争してもなかなか際限つかないと思うんですが、私はこの防衛招集によって予備自衛官というものが、一般官庁に勤務している者が自衛官になる場合にはこれは一般職同士でありませんから兼任ということは適当ではないと思いますよ。しかしそれと同じような方法による自衛官の採用方法だと思うのですね。そういうことになってくると、私はいまのあなたの百四条の考え方には賛成できない。これはやっぱり私は法制的に検討しておいてもらいたい、こういうふうに一つ思うのです。 そこで総務長官にお尋ねしたいのですがね。いま論争をやっておりますように、実はこの予備自衛官をめぐる問題はたくさんそのほかにもあります。後ほどまたお聞きをしますが、招集になったあと身分はそのままだと、こういうのです。私はこれはなくなるのではないかという見解をとる。したがって、それらについて総務長官の見解を聞いておきたい。それからもしも昔の召集令と同じように、一般公務員のほうの給与が高かった場合に、防衛招集されて自衛官になる、しかし一般公務員としての給与が高かった場合に、もちろん職務は専念しておりませんけれども、その差額等は払うということになるのか、それは一切払わないというのか。それから一般公務員についた場合に一体この月手当千五百円というものを出しておりますが、これはどういう取り扱いになってくるのか、ここらのことを公務員法を扱う総務長官から聞いておきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) やはりこれは招集に応じた場合には公務員法によって兼業であると思います。それから第二の点は防衛庁の人事局長の答弁がよろしかろうと思いますが、第三点の月千五百円は本来の報酬月額に上のせして別途給付されております。
○山崎昇君 次にお聞きをしたいのは、先ほどの説明で、市会議員等公職についている人がおります。そこで、正当な理由というのを聞いたら、心身の故障、それからやむを得ない事情としては、親属の死亡あるいは災害等の場合だと。そこでお聞きをしたいのは、市会議員等の場合に、市会が開かれておる、公職として自分はいろいろ活動しなければならぬ、その場合に防衛招集がくる、この人は、私はいま市会議員として市会が招集されておりますから職務を遂行したい、そういう意味でこの防衛招集に応ぜられないといった場合に、これは一体七十条の違反になるのかどうかですね、まずお聞きしておきたい。
○政府委員(内海倫君) 法律及び先ほど申しました政令のたてまえからいいますと、あの条件に該当しないで、したがってその意味におきます正当な理由がなくて招集に応じないで三日を経過した場合、これは罰則の適用を受ける。したがっていまの市会議員である人の場合におきましても、それを特に例外とする規定がございませんので、そういうことになろうかと思います。ただ、防衛招集は、これはもう御存じのように防衛出動が下令されておる場合に、内閣総理大臣の承認を得て長官が必要があれば招集する、こういうことになっております。そうしますと、当然これはまあまだそういう事態がありませんし、したがって諸般の手続規定などもできておりませんけれども、そういうふうな職務にある人等については長官が防衛招集命令を出す場合にこれは出さない、あるいはそういうことの状況をよく見た上で命令を出すということになるのではなかろうかと。したがってそういうふうな重要なしかも欠くことのできない公務に従事しておるというふうな人についての招集というものは命令が出されないのではないかと、こういうふうに私どもは考えたいと思います。
○山崎昇君 そうすると、いまの説明によると、現実的にはこういう公職についている人は防衛招集を避ける、避けて公職としての活動をさせるんだと、こういうふうに私は理解をするわけなんです。それでいいですか。——それは防衛庁長官から答えてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 事態の緊急度に応じましてそのような選択は当然なさるべきであると思います。
○山崎昇君 重ねてお聞きをしたいのは、先ほど政令で理由を述べられました。そこで、この公職におる人が防衛招集にかりに——これは仮定の話でありますから、まだないんですけれども、防衛招集になって、私は公職としてどうしても仕事をしていきたいから、予備自衛官というものをやめたい、こういう辞職願いを出したら、それは受理しますか、どういう扱いになりますか、これも聞いておきたいと思います。
○政府委員(内海倫君) この場合、防衛招集を受けまして自衛官になりますと、何ぼかのなお適用除外はございますけれども、一般的に自衛隊法の規定の適用を受けることになります。そうしますと、防衛出動の命令が出ております場合には、自衛隊法の定めるところによりましてかってにその職を離れることは許されないと、もしかってに離れた場合には罰則の適用があると、こういうことでございます。したがいまして、招集された自衛官も、かってにその職から離脱するということはできないと思います。ただ、先ほどもお話のありましたように、招集を受けた後、事由を具して長官に対して予備自衛官をやめるというふうな願いが出ました場合、これをどう取り扱うかということは、私は、なお今後の検討に待たなければならないもので、事務当局としてはいまのところにおいてはまだそういう問題を検討いたしておりません。また、大きな方針に基づいて検討をすべきものと考えております。
○山崎昇君 これはいま局長から検討するというんだが、私は、いまの民主主義というこの議会制度からいくと、これはなかなか重要な課題を含んでいると思う。片や、公職は、直接住民から選挙されて出て、その代表として活動しているわけですから、この問題は十分ひとつ配慮してもらいたいということと、あわせてお聞きをしたいのは、予備自衛官が防衛招集をされて自衛官なった後も、いまの公職選挙法でいくと立候補できることになっているんですね、市会議員に。これは、片や政治行為の制限をしておる。しかし、片っ方は、予備自衛官という名前のもとに公選法では現役の自衛官が立候補できて、立候補する限りには選挙運動をやらにゃいかぬ。どうしてこういう規定になるのか。また、そういうことを許しながら、政治行為をどういうふうに制限をするのか、現実的に。それも聞いておきたいと思う。
○政府委員(内海倫君) これも規定でよく御存じであろうと思いますが、予備自衛官が招集をされて自衛官として勤務いたしております場合も、政治活動等を禁止した規定のうちで、政治活動等はできないということになっておりますけれども、公職の選挙に対して立候補すると、あるいは役員等に就任すると、この点についてはなお規定の適用が排除されております。したがいまして、現実具体的には、自衛官として招集されて勤務いたしておりまして、みずからは選挙運動はできませんけれども、立候補はできると、こういうことになろうと思います。
○山崎昇君 そこで、長官にお聞きをしたいのですが、いま局長から説明がありましたように、防衛招集になって本人が出頭して自衛官として勤務をしておると。なおかつ、公職に立候補できると。選挙運動はどういうふうになっていくのか私はわかりませんが、これは少し行き過ぎなやり方ではないだろうかというふうに考える。現実に立候補さしておいて、どういう運動をさせるのか、どうも私はわからぬから、もう少し説明をしてもらいたいと思う。長官、どうですか、こういう考え方に。
○国務大臣(中曽根康弘君) どうも、その辺の制度は不備な点があるように思いますので、検討してみたいと思います。
○山崎昇君 どうですか、政府委員のほうで。自衛隊の中にいて政治行為はするな、しかし本人は市会議員なら市会議員に立候補して、そこらが具体的になったらどうなりますか。とめられますか。
○政府委員(内海倫君) 規定の上で見ます限り、選挙運動のできないままで立候補はできると、こういうことでございまして、確かに現実の面からはまあおかしいといえばおかしいと考えます。したがいまして、いま長官も申しましたように、予備自衛官のうち特に防衛招集を受けたような場合における諸般の点は、なお検討の余地もあろうと思います。十分今後検討いたしまして、合理的なものになすべきではなかろうかと事務的にも考えております。
○山崎昇君 そこで、重ねて自衛隊の政治活動について私は少しお聞きをしておきたいと思うのですが、たとえば、私は北海道でありますが、千歳市にも、予備自衛官から市会議員になっておる者が、前回の選挙で七名立候補して二名当選をしておる。いずれもこれは自民党公認である。そして、その選挙のやり方は、隊友会あるいは自衛隊協力会、こういうものを通じて猛烈な選挙運動が展開される。しかし、現役の自衛官が夜中走り回ったということをすぐ私は言っているのでありませんが、少なくとも、自衛官が相当程度の巧妙な運動を展開しなければなかなか当選は不可能だというふうに見るわけなんですが、そういう意味で、最近は、隊友会でありますとか自衛隊協力会という名前のもとに全国的な選挙運動が展開されていると私ども思われるんですが、自衛官の政治活動について長官はどういうふうにお考えになるか、聞いておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛官は公務員でありますから、公務員の規定に従って自粛しなければならぬ点は自粛しなけりゃいかぬと思いますが、隊友会等一般市民権をお持ちの方が公職選挙法の範囲内でおやりになることは、これは自由であって、われわれは拘束することはできないと思います。
○山崎昇君 私は、隊友会をそのままあなたにどうせいと言っているんじゃないんですよ。こういう組織を通じて現実的には自衛隊員が選挙運動をやっておるんです。その第一の証拠は、少し古くなりましたが、去年の四月の御殿場の市長選ではないでしょうか。これは、当時、新聞の全ページを費やして報道された問題である。そして、最近に至りましてから、あの富士におられる二佐の方が罰金刑に処せられておる。公務員の地位利用ということになっておる。こういうことを考えると、自衛隊がふえていく、特に予備自衛官がふえていく、そして、予備自衛官というのは、定員外という名のもとに、あるいはまた、自衛官でないから政治活動自由だという名前のもとに、選挙運動というものが功妙にやられているのではないか、こう考えていますから、いまお尋ねしたわけです。 そこで、重ねて聞きますが、それならば、この間判決のありました注連野二等陸佐というのは、その後どういう行政処分等をとられておるのですか、聞いておきます。
○政府委員(内海倫君) 注連野二佐につきましては、いまお話しのように、司法処分といたしましては、略式裁判による罰金刑三万円、公民権停止五年間の処分を受けましたし、自衛隊におきましては、自衛隊法第四十六条第二号に該当するものといたしまして戒告の処分が行なわれております。
○山崎昇君 長官、いまお聞きのとおり、あなたが決裁したんでしょうが、現実的にこういうものがもう発生をしておる。御殿場ではたいへんな状態である。私はすぐこれを全国的にそうだと言いませんが、自衛隊の法律では禁止しておるけれども、政治活動というのはだんだん多くなっていく傾向にある。わけても、予備自衛官という制度と関連をしてその傾向にあると思うんだが、今後、あなたは、自衛隊員の政治活動についてどう統制をされ、そういう傾向に対してどういうふうにされるのか、あなたの決意をまず聞いておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御殿場の事件は非常に遺憾な事件でございまして、防衛庁といたしましても、すぐ直後に全自衛官に対しまして注意を喚起いたしました。自衛官に関する限りは、法規典礼に従って厳正な行動をしなければならぬと思いますが、一般市民の身分を持っておられる方が公職選挙法の範囲内でおやりになることは、これは基本的人権でございまして、われわれは制肘することはできないと思います。
○山崎昇君 次にお聞きをしたいのは、今日まで自衛隊の事故はどのくらいですか。死亡者はどれくらいで、大ざっぱでいいです。
○政府委員(内海倫君) ただいま資料につきまして調べさしておりますので、わかり次第お答え申し上げます。——たいへんおそくなりました。お答えを申し上げます。 事故発生の状況でございますが、四十四年十二月現在で、車両事故が四十八件、これは死亡はございません。それから航空事故が四件、これは死亡が一名。それから艦艇事故が二件、死亡はございません。それから訓練作業事故、これは各種訓練でございますが、三十二件、死亡が二件。事故に関します数字及び死亡の数は、以上のとおりでございます。
○山崎昇君 これらに対してどういう補償措置をとっておるのか、概略でけっこうです。
○政府委員(内海倫君) いま申し上げました事故で、それぞれの事故によりまして異なります。したがいまして、その措置といいますか、むしろ事故発生後における死亡いたしました者に対するあるいは賞じゅつ金その他の措置について申し上げますならば、ジェット機によります事故につきましては、特別弔慰金ということで、二百五十万円を限度にした特別弔慰金が出ます。それからその他の航空機、あるいは空挺、あるいは潜水艦勤務等によりまして、その勤務に従事中事故が起こりまして死亡または不具廃疾等になりました場合には、二百万円を限度にする賞じゅつ金が出ます。それからその他の一般のいわゆる模範とするような生命をおかして仕事をいたしました、こういうふうな者に対しても、賞じゅつ金を二百万円を限度にして出すと、こういうふうになっております。その他は、御存じのように、国家公務員の災害補償法の準用によります全く同じものが適用されております。
○山崎昇君 そこで、防衛庁長官にお聞きしたいのですがね、これは防衛庁ばかりではありません。私は警察もあると思うんです。それから消防もあると思う。それから厚生省関係では麻薬の取り締まり関係等もあると思うんですね。これは一般には特殊公務員と、こういわれておるわけなんですが、ただこういう方々の事故の対策のやり方なんですが、この賞じゅつ金制度というものに私は疑問を持っているわけです。本来、政府の命令で、国家の命令で危険な仕事に従事するわけですから、当然国家の名前でこれは補償しなければならない、いわば災害という形で補償すべきものだと私は思う。ところが、賞じゅつ金制度というのが一長官の訓令でやられておる。これは防衛庁にもある、警察にもある、その他の省にもありまして、すべてこれはまちまちになっているわけです。私は、そういう性格のものではないんじゃないかと思うんです。そういう意味で防衛庁長官に、この賞じゅつ金制度というものと国家公務員災害補償法というものとの関係についてどういうふうにお考えになるのか、まずお聞きをしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係は、直接はないように私は思いますが、御指摘のとおり、消防あるいは警察官、あるいは自衛官のように、一般の公務員と違う特殊の職務に服している者につきましては、それに見返るだけの社会的待遇なりあるいは給与的保障というものが当然与えられるべきでありまして、御指摘のとおり、非常な欠陥であると思います。そういう点は是正していきたいと思います。
○山崎昇君 総務長官に聞きますが、いま防衛庁長官は是正をしていきたいと言うのだが、あなたの見解を聞いておきたい。
○国務大臣(山中貞則君) 防衛庁のみならず、お話しになりましたように、海上保安庁も含めて警察、消防、法務省、麻薬取締官と、いろいろございます。ただ、その職種の態様がそれぞれ違いますし、危険度もそれに対応して違います。したがって、それに伴っての死亡、不具廃疾等の発生の環境も違いますし、また、賞じゅつ金の対象となる表彰金的な見方から、国家に対して貢献した功労度、そういうものも違うと思うんです。そこで、制度としては、ただいま言われましたような国家公務員災害補償制度というものにきちんと乗せられればそれにこしたことはないと思います。しかし、ただいま私が前段で申しましたように、各種各様の職種による態様がございますので、ひとしく危険に立ち向かうことを覚悟の上で奉職いたしておりましても、その殉職、不具廃疾になった環境等、国家貢献度等はやはりそれぞれ一定の基準があってしかるべきだと思いますから、予算等の際に、金額の上限あるいはランクの分け方等いろいろありますけれども、やはり国家全体としてはそのバランスを失しないような予算措置がなされておりますから、その点において、限度額内において貢献度その他を、環境等を考えながら所轄の省庁の大臣というものが判断をすることがいまのところ私はよろしいんじゃないかと思いますが、防衛庁長官が、一省だけの立場では理想とはいえない、改正したほうがよろしいという御意向でありましたが、それを受けて作業もしてよろしゅうございますが、受けとめるほうの私がやはり野方図に走っていいわけじゃありませんので、このようなものは各省庁がきちんとワクを守ってやっていくほうが実態には合うのじゃないかという考えも持っておりますが、いずれ検討はいたします。
○山崎昇君 重ねて総務長官に私はお聞きしますが、昭和四十二年の六月に、災害補償特別調査研究会というのができておって、そうして——私のいま手元にこれはありますが、中間報告というのがすでに出されておる。この中間報告を見ますと、いまあげられました職種については、功労金という名前のもとにおける賞じゅつ金として見るのは誤りである、当然国家の災害補償としてやるべきであって、各省まちまちのやり方については当然整備すべきだということが昭和四十二年にすでに出されておる、中間報告ではありますが。そうして、私は去年でしたか、あの少年自衛隊員が死んだときに、国家公務員災害補償法ではわずか五万くらいしか金が出ない。この長官の訓令、何もこれは法的根拠はありませんが、この訓令の賞じゅつ金としては百五十万も二百万も出ている。こういうやり方というのは、やはり私は改めるべきではないか。だから、当然むずかしさはありますよ。むずかしさはありますけれども、そういう点、総理府としても制度的には整備をすべきじゃないか、あるいはまた特に国家を守るという重大な使命を与えておる——私は自衛隊そのものについては違憲論を持つものでありますが、現実にいま勤務をしておる自衛隊員はかなり年間けがをしている。この賞じゅつ金についても、私が自衛隊からもらった資料によれば、四十三年までしかありませんが、かなりな金額が支出をされておる。そういう意味で、この制度の整備というものを早急にやってもらいたいと思うのですが、どうですか。 それにあわせて、ここに大蔵大臣もおられますが、大蔵大臣としても、こういうもののやはり救済といいますか、処置といいますか、あるいはその者が安んじて職務をとるといいますか、家族に対する援護といいますか、そういうものを含めて、やはり国としてきちんとした補償制度というものを整備すべきだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(山中貞則君) いまの答申は人事院に対してなされておる中間答申だそうでありますが、人事院がその検討をいたしておりまするということは、その中間答申を受けて、その方向をしかるべしということにおいて検討をいたしておるのでありましょうから、そのようなことの結論が出まするならば、先ほどの私の感触は感触として申しましたので、具体的なそのような前提がありまするならば、国家として統一した基準のもとに、それぞれの職種、業態に応じた基準を統一した形の中で分けていくという方向に作業を進めてまいりたいと思いますが、人事院の作業をまず優先して見守りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 総務長官ともよく連絡をとりまして善処いたします。
○山崎昇君 委員長、外務大臣が来てから日航の問題で一、二お聞きしたいと思います。一応私の質問はあと保留さしておいていただきたいと思います。
○委員長(堀本宜実君) 山崎君の残余の質疑は、外務大臣出席の後行なうことといたします。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、岩動道行君の質疑を行ないます。岩動君。
○岩動道行君 委員長、だいぶ要求大臣がお見えになっていないので、たいへん順序が違ってきたり、また質問を留保せざるを得ない点がかなり出てくると思うのですが、その点で持ち時間等、しかるべく委員長のほうで御配慮いただきたいと思うのですが……。
○委員長(堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀本宜実君) 速記をつけて。
○岩動道行君 私は、本日は主として日本のエネルギー政策に関連した質疑を行ないたいと思うのでございまするが、順序から申しますると、エネルギーの大宗をなしておるのは石油というような時代でありまするので、通産大臣がお見えにならなければ、私の質問の端緒が始まらぬわけでございます。しかしながら、ただいま時間の都合で後ほど見えるというので、順序を変えまして、遺憾ながら科学技術庁のほうからまず伺うことにいたします。 そこで、科学技術庁に伺いますが、昭和四十二年に通産省の総合エネルギー調査会でつくりました昭和六十年度のエネルギーの供給源の見通しというものがございまするが、これが新しい経済の発展により、そして新社会経済発展計画の見通しのもとにおいて、どのようにこれが変わってくるのか、その点についてお話をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) お尋ねがございましたように、昭和四十二年総合エネルギー調査会が一つの見通しを立てまして、それによりますと、昭和六十年度におきますところの原子力発電の規模は四千万キロワット程度になるであろう、これは上限でありますが、このように見込まれております。そして、その年度におきます総発電規模は大体一億六千万キロワットでありますが、それに占める原子力発電の割合は二五%、また発電量におきましては総発電量の約三〇%程度になるものと予想せられます。しかしながら、その後、電力業界におきましては、原子力発電所建設の意向がかなり積極的になっております。また、石油等を使います発電所の公害問題を起こしておるというような点から考えましても、こういう事情から現時点で考えられます点は、昭和四十六年度の原子力発電は、先ほど申し上げました見通しの四千万キロワットを上回るのではなかろうか、かように見ております。
○岩動道行君 新社会経済発展計画によりますと、国民総生産の大体伸びの見込みは一〇・六%程度を一応策定いたしておるようであります。ところが、いままでは八%程度のものを実質的に考えておった。これが一〇・六%ということになると、相当大幅な改定が必要になってくる。そこで、油のほうもそうでありまするが、原子力についても、いまのお話のように、四千万キロワット程度ではおさまらないのじゃないかと、私どもの同志の研究の結果におきましても、五千万キロワットは楽にこえるのでないだろうか、こういう見通しも立てておりますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(西田信一君) 新しい社会経済発展計画におきましてもかなり高度の経済成長を見込んでおりまするし、また、先刻申し上げましたように、電力業界におきますところの考え方も、原子力発電のほうにかなりウエートがかかってきておりまするから、先ほど四千万キロワットをこえるであろうと申しましたが、あるいはお話のとおり、五千万キロワットに近い数字に到達するかもしれないと思われます。
○岩動道行君 そこで、従来の日本のエネルギー政策が水力、石炭、それがだんだんにウェートを小さくしてまいり、石炭からさらに石油と、石油に非常に大きな比重がかかってきておる。しかしながら、公害等の問題あるいは海外に大量の油源を求めなければいけない、こういうようなことから、今後のエネルギー政策の方向としては従来の考え方をさらに一そう石油から原子力へ傾斜していかなければならないと考えるのでありまするが、長官の御所見はいかがでございますか。
○国務大臣(西田信一君) お尋ねのとおり、石油、石炭その他には資源的に限界がございます。原子力の場合におきましては、これからの開発いかんによりましては、資源の供給の面におきましてかなり相違があると、しかもあるいは無限にこれを供給できるという可能性も期待できるわけでございます。そういう意味におきまして、わが国の将来の発電は原子力に大きく期待をかけ、またウエートをかくべきものという点におきましては同感でございます。
○岩動道行君 そこで、原子力エネルギーの有利性というものは何点かあると思いまするが、この点について政府の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) いろいろ有利性が考えられると思いますが、まず先ほど申し上げましたように、他の燃料源によりますところの発電におきましては、相当これが公害の原因になっておるということが言えると思います。原子力におきましては、その点は比較的心配は少ないと言えると存じます。また、資源——燃料源の点につきましても、先刻申し上げましたとおり、原子力のほうが優位である、かように存じます。それから、コストの面におきましても、現在はまだそこまで至っておりませんが、将来原子力の発電の技術が進みますれば、コストの面におきましても、現在のものに太刀打ちできるだけじゃなくて、将来それよりもっと安い発電コストで発電ができるという可能性も持っておると存じます。いろいろあると思いますが、こういった点がおもな利点じゃないかと思います。
○岩動道行君 私は、それらの点はもちろん了承いたしますが、さらにこれは企画庁長官にも伺っておきたいのであります、のちほど見えると思いますので。この今後の日本の長期的なエネルギー源というものは海外に依存する割合がきわめて大きくなるわけであります。そして、その割合がどうなるかは、いずれ通産大臣等にも伺いたいと思いますが、そのような意味において、原子力エネルギーの有利性の、さらに考えなければならない点は、原料が少なくて済むということ、そして備蓄の量もきわめて少ないということでありまするが、これは、たとえばウラン一トンについて石油に直したならば、大体どれくらいのものに比較できるか、そこら辺を詳しく御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) 石炭と比較しましてカロリーで約三万倍と言われておりますが、ただいま岩動委員が仰せられましたとおり、原子力の場合におきましてはこの燃料原料を有効に使える。これからの開発によりましては、現在使っておるものに比べまして比較にならないほど有効に使える。再度使える、有効に使える。こういう点が非常に他の燃料と相違する点であると思います。
○岩動道行君 在来型の炉においては二万倍くらい、二万トン程度の石油の量に相当するということが言われておるんですが、高速増殖炉に至っては百数十万トンに相当するということも言われておる。あるいは、核融合というものが開発されれば、まず無尽蔵の原料になるということでありまするから、このエネルギー源としての原子力というものは、きわめて人類にとっても重要な問題であると思いますので、まずこの点の認識から出発していただきたいと思うわけでありまするが、と同時に、われわれは平和利用ということに重点を置いていかなければならないわけでございまするが、この点に関する国民の核アレルギーというようなものがいまだにかなり強い。これらに対する現状と、そして政府が国民にどのようにこれを理解さしてまいるか。その方策を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) 原子力の開発利用は、発電のみならず、広範な立場から考えまして、国益上からも大いに促進をはかるべきであると存じます。ことに、この平和利用の幅は非常に広いのでございます。ところが原子力平和利用の健全な発展をはかるためには、国民一般の正しい理解がまず必要であると思います。そういう意味から申しますと、必ずしも十分な理解なり認識は持たれておらない。かように存じます。 御承知のとおり、科学技術庁では原子力の日というものをきめておりまして、これを中心として、全国各地でいろいろな講演会でありますとか、あるいは映画の会であるとか、いろいろな記念行事をやる。こういうことをやっておりまするし、また原子力普及に関しまする各種のパンフレット等も国民に配布をいたして、広く原子力の知識普及につとめておるわけでありまして、これらは予算で申しましても年額一千万円程度になっておるわけでございます。 また、中学であるとか、高校であるとか、こういう教員を対象といたしましたところの原子力セミナー、これも年二回全国各地で行なっております。特に理科担当の教員を対象といたしまして、原子力実験セミナー、これを年一回行なっております。また、四十三年からの試みでありますが、中学校、小学校の生徒に原子力に関する作文をつくらせまして、そうして、優秀なものに対しましては、私の名前で、大臣表彰をするというようなことも行なっております。また、都道府県とか、市町村の職員を対象としまして原子力行政セミナー、これを年一回行なう。こういったこともやっておりまするし、なお、民間の協力をいただきまして、原子力産業会議あるいは日本原子力文化振興財団、こういうような有力な団体にも御協力を願って、ただいま申しましたようないろんな手段方法によりまして、国民が正しい知識を持つように普及啓発活動を行なっておりますが、今後とも、さらに一そう活発にやってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○岩動道行君 これからの原子力発電は遠隔の、人けのないところにつくっていけばまずまず安心だというような空気で、いなかの遠いところにつくられるという傾向がみられるのでありますが、その安全性さえ国民に納得されるならば、都市周辺にむしろつくって、そうして、送電のロスをなくしてまいるということが、国民経済の上からも必要なわけであります。そのような意味において、さらに国民への理解を深める方法、そうしてまた、私は、その方法の一つとして、これは思いつきではありまするが、原子力博物館みたいなものを東京都あたりにつくってみたらどうかと考えておりまするが、いかがでございますか。
○国務大臣(西田信一君) まだ国民の間に、いわゆる核アレルギーが残っておるわが国の現状でございますが、原子力発電所をこれからつくってまいりますのに、いろいろPRが必要なことは、御指摘のとおりでございます。その原子力に関する博物館という御提唱でございますが、これは十分検討さしていただきたいと思いますが、何と申しましても、正しい原子力知識の普及と並んで、この原子炉の安全性が、厳密な審査によって、もう十分これを確保されているということを、これを十分周知させることが大事だと思います。これから原子力発電所がずっと遠いへんぴないなかだけにつくるのじゃなくて、あるいは都市に近いところにもつくるということが必要でございましょうし、原子力コンビナートというような時代も来ると思います。そういうことのためには、これは外国にも都市に近いところに原子力発電所ができておる例もございますし、わが国におきましてもPRとともに、そういった方向に向かわざるを得ないだろうと存じます。そういう意味におきましては御提案の点は十分にひとつ課題として検討させていただきたいと存じます。
○岩動道行君 大蔵大臣いかがでしょうか。ひとつ大いに予算化に御協力をいただきたいと思いますが。
○国務大臣(福田赳夫君) エネルギー問題は非常に大事でありますから、十分相談して協力いたします。
○岩動道行君 そこで、今後の原子力政策の具体的な方策について伺ってまいりたいと思いまするが、まず在来型炉の国産化を私は急速に進めてまいるべきではないか、西独においてはほとんど一〇〇%国産化が進んでいるということでありまするが、これらに関する政府の方針を伺っておきたい。
○国務大臣(西田信一君) 在来型炉につきましては、すでに実用段階に達しておりますので、民間におきますところの技術導入等によりましてその国産化あるいは改良をはかることを強く期待しております。最近は、原子力発電に関しまして、わが国の開発した技術が海外にも輸出をされるという傾向さえ出てきていることは、たいへん喜ばしいことでございます。政府といたしましては、長期低利資金の融資でありますとか、あるいは税制上の優遇措置等にさらにくふうをこらしまして、その助成を強化しますとともに、日本原子力研究所のJPDRII計画等、所要の研究開発を行なって国産化及び技術の改良に努力したいと考えております。
○岩動道行君 次に、ウランの濃縮技術の推進とそれから燃料サイクルの確立ということが大事になってまいりまするが、これについての海外のウラン資源の開発あるいは濃縮技術の開発、特にここ一両日前にきわめて簡便な有効な技術が実験的に開発されたということを聞いておりまするが、これらの点についての実情を伺っておきたい。
○国務大臣(西田信一君) 核燃料政策の基本になりますのは、もちろんこれは核燃料の低廉かつ安定的な供給確保、こういうことにあると思います。国内ウラン資源がほとんどわが国にはないと言っていいに等しい状態でございます。したがいまして、海外からこれを仰がなければならぬわけでございます。海外からこれらの安定的な入手をはかるとともに、また国内におきましても核燃料の確保、使用あるいは再処理、こういうものの一貫した自主的な効率的な開発を行ないまして、そうして核燃料サイクルの確立をはかる、有効利用をはかるということが非常に大事だと存じます。そのために政府といたしましては日米原子力協定によりますところの濃縮ウランの確保をはかってまいりますと同時に、ウラン資源の確保、核燃料加工事業の育成、使用済み燃料の再処理工場の建設、ウラン濃縮技術の開発、プルトニウムの有効利用、こういった施策を強力に進めつつあるわけでございます。 核燃料確保につきましては、現在主としてアメリカに依存しておりまするが、最近はアメリカ以外の諸国からも供給の道を開くあるいはみずから探鉱に乗り出す、こういった姿勢でございます。 ウラン濃縮の研究開発につきましては、今後急激に増大してまいりますこの利用の見込みに対処するために、原子力委員会では昨年の八月にウラン濃縮の研究開発について昭和四十五年度を初年度としまして第一段階の特定総合研究にとりかかったわけでございますが、それとまたウラン濃縮研究開発の基本計画も決定したわけでございます。この計画によりますと、研究開発の第一次段階といたしまして、大体昭和四十七年を目標としておりますが、ここで技術的諸問題の解明の見通しを得る、こういうことにいたしまして、その時点で諸外国におきまする進展の状況ともにらみ合わせまして、次の段階に入りたいと考えております。そうして大体昭和五十年くらいにひとつその結論を得たい、かように考えておるわけであります。 なお、先日新聞に大々的に報道されましたウラン濃縮の化学的な方法ですね、これはたいへんすばらしいことのようでございまするけれども、現在やっておりますガス拡散法、遠心分離法に比べまして、まだ研究室の中の研究という段階であると思います。この方法の将来性を見通すには、現時点ではまだ少し困難である、かように考えるのでございますが、しかしながら、たいへんすばらしい研究でございまするから、今後この研究の成果を十分注目してまいりたい、かように考えております。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 岩動君の質疑の途中でありますが、外務大臣が来られましたので、先刻留保されました山崎君の質疑を行ないます。山崎君。
○山崎昇君 日航事件についてのその後の状況を御報告をお願いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど、いままでの経過並びにその他の点につきまして、できるだけ詳細に御報告いたしたつもりでございますが、いまの時点におきましては、さらにそれにつけ加えて御報告するような新たなる事態は起こっておりません。
○山崎昇君 私のほうからお聞きをします。 午後三時のNHKのニュースによれば、韓国は緊急閣議を開いて、乗客をおろさなければ出発させないと決定をした、こういう報道がなされています。これについて一体どういうふうに連絡を受け、どう判断されますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 韓国政府でさような閣議決定をしたかどうかということについては、連絡をまだ受けておりません。したがって確認はいたしておりません。
○山崎昇君 NHKのニュースが違うのかどうか。私はこれは重大問題ですから、政府はもう人命尊重、人命尊重と言っておるのですから、だからこれが事実かどうか、即刻調べて御返事願いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど御報告を申し上げましたように、人命尊重という点に徹して、韓国政府の全面的な協力をもって対処いたしておることは、これは事実でございます。さような閣議決定があったという情報としては私のほうにも入っております。これはテレビ、ラジオ等を通しての情報等でございますけれども、それについては事情がどういう事情であるかということは、すでにただいま照会中でございます。
○横川正市君 ちょっと一言。関連ですから一問だけお聞きをいたしますが、人命尊重のたてまえから進められてきたということと、韓国政府があらゆる面で協力をしてくれた点については感謝をいたしますが、すでに三十八度線をめぐっての南北の対立の中にこの問題が埋没をしてしまって、解決のめどを失ったのではないかという、そういう気配がいたすわけでありますけれども、その点はどのようにお考えでありましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、あくまで人命の安全を保護するということが、もう何と言っても第一であり、全体の問題でございます。これは政治問題あるいは国際政治の紛争対立という問題の中に巻き込まれないようにするということが一番大事なかなめな点であるということは、われわれとしても重々考え方の基本にいたしておりますことは前々から申し上げておりますとおりでございます。
○山崎昇君 私は外務大臣の答弁を聞いて全くふしぎなんです。それは北朝鮮に行く場合に安全性が確保できないからいろいろ手を打っております。ところが、北朝鮮から安全は確保いたします、来られた方々はすぐ帰します、こういう返事が来ているにかかわらず、人命尊重、人命尊重という名前において、いま何か引き延ばされている。今晩の読売の夕刊を見ても、政府の無策を怒る町の声というのがずいぶん出ております。なかなか一々紹介できませんが、一つには、もしもどうしても政府を信頼しないというなら橋本運輸大臣が乗って行ったらどうですか、こういう声もある。あるいは人命尊重と言いながら、政府は何をしておるのだ、こういう町の怒りというものが政府に向けられてきている。せっかくあなたが努力しているのに、政府に対していま国民が怒りを発しつつある。こういうことを私考えると、もっと真剣に考えなきゃならぬし、けさあなたは、すでにもう最後の説得を運輸大臣がやっておられる、これが済めばあたかも出発させるようなあなたは答弁をしておった。しかし、いままた違ったような答弁ですね。一体いつをこれはめどにされるのですか。もう少し説明してください。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、三十一日にこの事件が起こりまして以来、ありとあらゆる場合を想定いたしまして、関係各国、協力を要請することが適当と思うところにあらゆる努力をいたしました結果が、詳細に御説明をいたしましたように、それぞれのルートを通しまして北朝鮮の態度というものは明確になりました。したがいまして、従来いろいろの報道、予測、確認されない情報等がございましたが、そういうことはなかったということがきわめて明白になりました。この点は私もほんとうによかったと思っております。したがいまして、外務省当局といたしましては、私たちのできるだけのことはここにいたしたつもりでございまして、先ほど申しましたように、従来から、それから橋本運輸大臣が参りますときの政府の基本的な立場というものは、人命尊重である。そして北鮮に行こうということを目的にしておった連中の目的も保証され、これが実行できるということになりました上は、人質の必要はなかろうではないか。そこで、人命尊重ということからいえば、ここで最後の説得をして、こう言っている瞬間にでも解決ができて、金浦空港で解放してもらえるならば、さらに日本より遠くに行くよりはベターではないか。こういう角度に立って、いま橋本運輸大臣としては全力をあげて説得、善処をいたしておる。これに先ほど申しましたように私どもとしては期待をかけて事態の推移を見守っているわけでございます。
○羽生三七君 関連。昨日来の当局の御苦労に対して大いに敬意を表しますが、そこで問題は、関係各国の配慮にもかかわらず、韓国の閣議がもし伝えられておるような決定をして、橋本運輸大臣個人の考えではどうにもならないような事態になった場合には一体どうされるのか。この場合には、人命尊重が基本的な先決条件であるならば、総理大臣なり何なりから、あるいは閣議でもよろしゅうございます、関係閣僚会議でもかまいません、何らかの橋本運輸大臣のほうに連絡をこちらからやらなければ、もし事実韓国がそういう閣議決定をしておるならば、一橋本大臣の折衝で片づくような問題ではないと思いますが、われわれがこうして発言しておる瞬間にも問題が解決すればこんなけっこうなことはないし、それを希望いたしますが、いま私が心配したような問題がもし事実であるならば、政府としてはどうされますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまだ確認されていないことでございますから、公式に私は申し上げるわけでもございませんけれども、私は韓国政府がこれまで全くこちらの気持ちを体してやってくれておるわけでございますから、橋本国務大臣の説得の工作の効果が幸いにしてあがってまいりますような場合、あるいはその逆になりますようなことが不幸にして起こります場合、いずれにいたしましても、日本側のそしてまた韓国の従来の主張であるところの人命尊重ということを阻害するようなこと——韓国の政府が反対をしたり妨害をしたりするということは、実は考えられないわけでございますが、しかし、これはいわば私の現在における心境でございまして、いまお話しになっております閣議決定というようなものが事実行なわれ、またその真意というものがどういうことであったかということについては、先ほど来照会もしておるような状況でございますから、真相あるいは御報告すべきようなことがございますれば、もちろん御報告することにやぶさかではございません。 それからついでではなはだ恐縮なんでありますけれども、いま日航のほうは日航のほうで、これも御承知のとおりに、松尾社長が外国の出張から帰りまして、直ちに現場へさらに飛ぶことになっております。もう出発したかもしれませんけれども、その出発の際にも私にも協力を求められたのでありますけれども、現状をもってしては機長、乗り組み員のことが非常に心配である。現在の状況においては機長を少なくとも交代させなければ、人命保護という点からいって、安全航行ということからいって自信は持てない。しかし、これはまた現地からの報告や情報を基礎にしての分析、判断でございますから、これは現場に行かれてどういうふうな判断になるかわかりませんし、また、そう言っておる間に事態が解決すればたいへんしあわせでございますけれども、日航としてはすでに交代の要員を派遣して現地で待機している。まず、いずれの場合でありましても、これを交代させてくれなければ、自分としても責任をとることができないのではないだろうか。この悲壮な気持ちを訴えられてまいりまして、私も協力をお約束をいたしました。かような事実もありますことも現在ある問題であることも申し上げておきたいと思う次第でございます。
○山崎昇君 もう私の時間がありませんから、二つ聞きます。 一体政府は、いま情勢は動いていると思うのですが、解決のめどというものを最終的にいつに置かれるというお考えなのか。 もう一つは、韓国で緊急閣議を開いてこういう決定をしたという。そこで日本も、これを受けて緊急閣議を開いて、総合判断をして、私は決意すべき時期に来ているのではないかと思うがどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ韓国が緊急閣議云々ということも、これは事実をよく照会中でございますが、当方といたしましては、緊急にいますぐ閣議を開くということは、閣議を求めるということは私その必要はないんじゃないかと思いますくらい、まあ八方手を尽くし、また関係省庁の間でも、並びに日航当局との間も全く緊密な一体化で動いておりますし、それから、すでに現場にも運輸大臣以下練達な各省庁の幹部クラスをすっかり出しておりますし、日航も、いま申しましたように社長が出張中は副社長がおりましたが、社長みずからが参ります。ほとんどこちらとしては抜かりのない態勢をとっておるつもりでございます。 同時に、いつぎりぎりの決断と言われるわけでございますが、これはすみやかなればなるほどよろしいんでありますけれども、またいろいろと未確認の情報を申し上げると、あとでいろいろまたそれ自体が問題になることを私も痛感いたしましたから、これ以上多くを申し上げませんけれども、何しろ百人に余る人命の問題でございますから、周到な、ほんとうに水も漏らさぬあらゆる場合を想定して、すみやかに全員が早くフリーになるようにということに、徹底的な目標を置いておりますことだけは、毎々申し上げておるとおりでございますので、御了承いただきたいと存じます。
○山崎昇君 最後には、これは橋本運輸大臣の決断で私はやれるような政治情勢ではないんではないだろうかと、こう思うのです。そういう心配もありまして、もう一つは、人命尊重と言うけれども、時間がたつに従って、これはもう人命尊重でなくなる。人命損傷になってくる。だから私は、北朝鮮のそういう言明もあることだから、どうしても犯人がいまのところ聞かないわけでありますから、やはりここはもう政府が緊急閣議でも開いて、そして政府の態度として判断を示して運輸大臣に訓令をすべきではないか。それに基づいて韓国の緊急閣議に対する働きかけやらいろんな措置があろうと思います。そうすべき時期に来ているのじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、私が閣議を招集するわけにもまいりませんが、私がいま緊急の閣議をお願いするという気持ちはございません。というのは、むしろそれよりも現地に参りました橋本大臣一行と、そしてまた韓国政府の協力なくしては、いずれにいたしましても実施ができないわけですから、緊密な連携をとって情勢判断に誤りなきを期してすみやかに解決する、もうこの方向に進んでおるわけでございますから、あらためて私として閣議の開催を要請するということは、いま考えてはおらないわけでございます。 それから午前中にも申し上げたと思いますが、私どもは橋本大臣の見識ある事宜による裁量に期待をいたしておるわけでございますが、もししかし、橋本大臣としての判断において若干考えなければならないということがかりにあるとすれば、これは御本人として、本国政府といいますか、内閣にあらためて指示を仰ぐということはあり得ることかとは思いますけれども、先般来申し上げておりますように衆望をにない、期待をになって行った橋本大臣の活動なり判断なりに、私どもとしては全面的な信頼と期待を持っている、こういう状況でございます。
○鈴木強君 関連。けさも私はお答えをいただいて、そうなることを願っておりました。ところがいま質問がありますように、韓国の閣議が正式に、乗員をおろさない限り北朝鮮への飛行は認めないということをきめた。この情報についてもこれも私は非常に疑義に思うんですけれども、その決定が何時にどういうことによってなされたかということが、外務省で情報を受けていないということは私はないと思うのですよ、少なくとも私は三時のニュースで聞いたわけですから。そういう点の情報のあいまいさを理由にして、情勢の変化がないとおっしゃることが私はわからない。したがって、私は日本政府が韓国政府との間に寸分のすきもなく協力をしていただいているということですから、心から敬意を表しておったわけですが、少なくとも大きな食い違いが出てきたことは間違いないと思うのです。だからしてそういう情勢の変化に伴って、橋本運輸大臣に全権をまかしていっているということは、私は了承いたしましたですが、ところが、おそらくそれだけでは現地の交渉というのはなかなかむずかしかろうという配慮から、山崎委員は、もう一つ政府で考えたらいかがでございましょうか、ということを申し上げたと思うのです。これはおそらく外務大臣も総理大臣とも十分御連絡をとっておやりになっていることだと思いますけれども、ただそういう必要ないということだけで突っ放されますと、きょう三時半にたたなければ、もう今夜向こうへ行けないそうでございますね。しかも向こうは夕刻から天気が悪い。先ほどからのニュースを聞きますと。したがってもうきょうは向うへ行けないのでございましょう。そういうふうなことを考えると、もう六十時間近くなりますね、一体どうなんでしょうか、健康状態は。橋本さんが三時ごろからタワーにのぼって切々と犯人に訴えるということを、私はちょっと聞きました現地から。それがなおかつうまくいっていないのでしょう。きょうはもうすでに三時半を過ぎております。一体われわれは乗っている乗員の方々あるいは百数名の方々、この安否を非常に気づかいます。健康状態についても大臣からもお話がありました。時間がたてばたつほど、その健康状態も悪くなるのではないでしょうか。そういった一連のことを考えるときに、いまや内閣として一つの結論を出して解決するときではないか、こういうふうに言っているわけですからね。あまり一つの型だけにとらわれないようにしていただきたいと私は思いますから、私の意見を含めてお願いするわけです。もうやるべきです、私はこれは決断を出すべきです。
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、けさほども私の率直な意見を申し上げた次第でございます。いろいろただいまも御質疑と同時に、御意見や御忠告や御心配を伺っているわけでございますから、そういう点につきまして、政府としても十二分にそういう御心配を体して、あらゆる方法についてさらに全力をあげてまいりたいと思います。いろいろのことについて、あるいは未確認の情報などについて、あれをこれをと私、政府の立場というものを論議するよりは、まずこの人命の一刻もすみやかな安全の確保ということに全努力を払うべきである、かように考えますが、ただいまいろいろ御質疑において示された御意見や御心配を十分ひとつ体してやらせていただきたいと思います。
○委員長(堀本宜実君) 以上で山崎君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 再び岩動君の質疑を行ないます。岩動君。
○岩動道行君 外務大臣はたいへん緊急な立場におられまするので、質問の順序を変えまして、とりあえず外務大臣に質問を申し上げて、御退席を願いたいと思っております。 原子力問題に関連して、例の核防条約の調印と批准の関係でございまするが、調印はやむを得ない立場において政府においてなされたわけでございまするが、私は国民の一人としては、いささか早きに過ぎたと申しまするか、もっと慎重であってもよかったのではないかという感じを持っているわけでございます。しかし、今日調印をされた以上は、わが国益を守り、そしてまた、わが国の安全保障が確保されるという立場において、この核防条約が批准まで持っていかれなければいけないと、かように考えるものでございます。そこで、調印と批准との間において、どのような日本政府の立場でこの問題をお進めになってまいるか、これを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ、調印に踏み切りましたそのときの政府の決心のしかた、判断あるいは背景に対する分析、将来に対する国際政局の面における日本の立場、いろいろの角度からの政府の考え方については、ここでさらに申し上げますとあまり時間をとるかと思いますから、一言にとどめたいと思いますけれども、それらは署名に際しまして、内外に発表いたしました外国に対しては口上書の形になっております。国内に対しては政府声明という形になっておりますが、これに私は余すところなく考え方を集大成してあるつもりであります。調印と批准との関係については、これも前々から申し上げておりますとおりに、およそ条約というものは、調印すれば批准をするのは当然だ、これは一つの堂々たる原則論であると思います。同時に、核防条約というのは、非常に世界全体との間に結ぶ約束、 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕 こういう性格のものについては、日本国といたしましても、現に署名、調印をしたけれども、批准をしていないというものが、戦後だけでも十以上ございます。またあとでいろいろ御質疑も出るかと思いますけれども、この核防条約においては、たとえば査察を守らなければならないという義務はあるけれども、その義務として守らなければならない査察の協定、保障協定といわれているようなものは、これから検討されてつくり上げられるものであると、こういう性格のものでもございますから、署名、調印をして、そしてその後の条約をめぐるいろいろの動きを十分見すまし、また日本の国益が、これならばだいじょうぶというところの保障を得たところで批准ということになるのは、私はこの条約の性格からいいまして、きわめて自然であって、条約は署名すれば批准すべきものであるという原則は、この場合には私は当てはまらないと思うのであります。そういうことがこの核防条約について署名を踏み切りました背景にも一つありますことを御承知願いたいわけであります。 さて、それならば批准を決心するのはどうかと。原則論としていま申しましたような考え方に立っておりますが、ことに大事なのは、やはり原子力の平和利用ということについて、他国と不平等な査察を受けないような保障を取りつけるということが、一つの具体的な一番大きな問題ではないかと思いますから、今後、保障協定というものの成り行きに対して、日本は積極的な発言の場をできるだけ持つようにして、日本の主張を通すように努力すると同時に、その成り行きが日本の国益において、のみ込めるということの確信ができましたときに批准という措置にいくのが、いま考えたところでは私は妥当ではないかと、こういうふうに考えているわけであります。
○岩動道行君 基本的なお考えは十分に了解されますが、そこで私は、この核防条約に関する限りは、調印と批准というものは明確に分離して、わが国益に基づいて初めて批准の段階が生まれてくる、これをこの際、この国会において、この場において再確認をさしていただきたいということをいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう政府として当然のことと、この署名を決意し閣議決定いたしましたときから、これは政府の明確な態度でございまして、再確認をしたいという仰せでありますが、政府としては責任を持って確認をいたします。
○岩動道行君 外務大臣は、衆議院の予算委員会におきましても、この核防条約から脱退をする規定があるということで、たとえば、どのような場合であるかというようなことについて、一つの例として考えられる場合をあげておられます。それはNATOがなくなった場合などは、それぞれの関係国は脱退をし得る、そういう国の最高の問題として脱退が可能ではないかというような例をあげておられるわけでありまするが、しからば、わが日本におきましては、日米安保条約、これがもしなくなると、日米安保体制が非常にその内容が変わってきたときには、この条約から脱退をすることができると、またそうすべきであるというような考え方もあり得るかと思いまするが、この点についての御所見を承っておきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 脱退の規定、国の至高の利益云々というところを、どういうふうに理解しているかということについては、この核防条約そのものの国際的な審議のときにも意見が出ております。その経過から見て言えることは、まず第一に、この判断は、日本の場合で言えば、日本の主体的判断によって決定されるべきことは当然である、これが一つだと思います。それから、しからば、具体的にはどういうことだろうかと、これは主体的な判断でございますから、いろいろな場合が予想されるかもしれませんが、やはり従来、国際的な会議などで核防条約の草案のプロセスにおいて論議せられたときの議論の一つの例として申し上げたのが、 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕 NATO体制がなくなった、あるいはそれもなくなるという場合が、崩壊したあるいは加盟各国がこれをそれぞれの合意でやめたということもその中に含まれるかどうか。その辺は微妙なところだろうと思いますけれども、要するに、NATO体制というものがなくなったという場合は、どこの国も至高の利益としてそれを主張し得る一つの根拠になるのではなかろうかというのが、通説のようになっておりますから、それを引用したわけでございまして、日本の場合においては、国益の上に立って自主的に脱退をするかどうかをきめられるべきものでございますから、いまからにわかにどういう場合、どういう場合ということをあえてここで限定的にきめなくてもよろしいのではないか、そういうふうに私考えましたものですから、いままでの条約審議の過程において、国際的論議の中に出ている例とすれば、NATOの場合などがございます、ということを衆議院の予算委員会で申したわけでありまして、今日ただいま同様の考えを持っているわけでございます。
○岩動道行君 NATOを例に引き出されたということは、日本の場合にはやはり日米安保体制、条約と、こういったようなものが直ちに結びつくわれわれ国民の一般常識ではないだろうかというふうに考えられるのでありますが、これ以上の具体的なことは、あえてこの際お答えをいただくことはいたしません。時間もないので、外務大臣に対する質疑はこれで終わらしていただきますので、どうぞ……。 そこで、先ほど来、通産大臣等がお見えになっておりませんので、原子力関係のほうに先に入ったのでありまするが、たいへん恐縮でありますが、やはりまずエネルギー政策の総括的な点から始めたいと思いますので、科学技術庁長官には恐縮でございまするが、通産大臣、そして経企庁長官のところから始めさしていただきたいと思います。 そこでまず、経済企画庁長官にお伺いをいたしますが、新経済社会発展計画の作業が進んでおりまするが、これによりますと、大体国民総生産の伸び率は今後約一〇・六%程度を目標にしておられるというように聞いておるわけであります。そして国民総生産も、名目一四・七%程度というようなことを聞いておるわけでありますが、このような経済社会発展計画に基づいた場合に、昭和四十二年度につくられたエネルギーの総合需給計画というものが、きわめて大幅に変わってくるのではないだろうかと思いますので、その辺の状況をひとつお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) まさしく御指摘のとおりに、前回の調査会の見通しというものがかなり今後大幅な修正を受けざるを得ないと、こういうふうに考えております。 御存じのように、新しい新経済社会発展計画でございますが、そこの中では、一次エネルギーの大宗を占める石油をたとえば例にいたしますと、五十年度には三億キロリッター台と、こういうことで、四十四年度の実績のほぼ二倍近いものをすでに想定をいたそうとしております。そういうことでございますので、今後、個々のエネルギーの具体的見通しは、またあらためて調査会でもって検討してもらわなきゃならぬ、こういうことになろうと思います。
○岩動道行君 四十二年度の計画でございますと、昭和六十年度には約六億キロリッターという数字が出ておるわけでありまするが、これが経済成長率八%程度でも八億キロリッターぐらいまで伸びてしまう。まして、いまの一〇・六%といったようなさらに大きな伸び率ということになってきますると、この八億キロリッターもさらにふえて、爆発的なエネルギーの増大になる。しかも、それが石油と原子力を中心にするということでございますので、この辺に対するその見通しはすみやかにつけなければいけないし、また対策がきわめて大事であると思いまするが、いかがでございまするか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘のように、一〇・六の成長率でございますので、そうした成長率を前提にいたしますと、もう五十年ですでに四億七千万キロリットルぐらいのところまではどうしてもいく、六十年は、御指摘のようにさらに伸びることになろうと思います。そういうことでありますからして、これの見通しと見当につきましては、できるだけ早い機会にこの個別的なものについても検討をしてまいらなければならないと、こう思っております。 それからまた対策等につきましては、やはり同じ計画の中でもすでに指摘をしておるのでございますが、いわゆる海外資源その他の自主開発を確保していかなければならない。あるいはまた、原子力の関係の比重を高めるための対策を講じていかなければならない。あるいはまた、発電所の建設基地の問題でありますとか、低硫黄化のいわゆる公害対策の問題でありますとか、今後のエネルギー資源を開発していくために必要な対策を早急に立ててまいらなければならないと、こう考えております。
○岩動道行君 そこで通産大臣にお伺いいたしますが、いまのように爆発的なエネルギー源の需給状況になってまいると思いまするが、おおよそ腰だめで考えてみた場合に、昭和六十年度でどれくらいになるものでありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) かりに石油に換算いたしまして、やはり八億とか十億とかという十億キロリットルとかいう台になるのではないかと思います。あるいはそれより多いのではないかと、私思います。
○岩動道行君 そこで、かりにわれわれは八%程度のところで八億キロリットル、それが十億キロリットルをこえるかもしれないということになってまいりますると、その場合のおもなものは、原子力とそして石油というもので占められると思いまするが、四十二年の策定においては、原子力は一〇%、石油が七五%という割合で示されておりまするが、これはどのように変化をしてまいりましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げるべきであったのですが、新経済社会発展計画ができましたら、私ども従来の総合エネルギー調査会の需給バランスを改定して見直しをいたそうと思っておりますから、その作業に待つべきでございますが、一応いまのところ原子力を一〇%といっております。しかし、これはだいぶテンポが早いようでございますから、総量としてはもう少し大きくなるのかもしれない。しかし同時にエネルギーの総量がまたふえておるかもしれませんので、そういたしますと、残りは大部分石油になりまして、石炭のウエートは非常に小さくなる、こういうことかと思います。
○岩動道行君 そこで、ここ十五年ぐらい先の昭和六十年を一つの長期的な展望として考えた場合に、石炭から石油、そして原子力へと、特に原子力への傾斜的な政策が必要かと思いまするが、その点についての御所見はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは仰せのとおりだと思います。ことに公害等の問題もございますので、よけいそうであろうと思いますので、必要なウラン等の入手などにつきましても、そんな先まではまだ見通しが立っておらないわけでございますから、需要のほうがふえることだけはわかっております。で、科学技術庁長官も非常にいろいろ御努力をいまいただいておるところでございます。
○岩動道行君 そこで、当面七五%程度のシェアを持つといわれる石油が、何といっても具体的な目前のいろいろな政策対象になろうと思いまするが、そこで、石油政策に関して若干の質問を申し上げたいと思います。 まず第一に、従来の水力、石炭というものは国内資源でまかなわれておったのでありまするが、石油、原子力ということになりますると、その原料はほとんど海外に仰がなければいけない、したがって、この海外に依存をするということはきわめてわが国経済にとっては重大な問題であろうかと思います。われわれの力の及ぶコントロールのできるようなエネルギー資源というものを確保しなければならない。かような意味において海外の油田の開発あるいは大陸だなの石油資源の開発というものを、ナショナル。プロジェクトとして私は積極的に進めなければならないと思いまするが、この点についての方策を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来、御承知のように、新潟、秋田の沖あるいは山陰等で少しそういう作業が行なわれはじめましたが、今年度は北海道、それから東北の太平洋側などで、さらに作業を追加していこうと、なお、沖縄につきましても可能性のあることは御承知のとおりでございます。でありますが、大陸だなをそうやって進めていきますと同時に、なおこれとの関連では、今度工業技術院で大深度掘削装置というものの大型プロジェクトにかかることになりましたことも御承知のとおりであります。でありますが、同時に海外資源というものもどうしてもやっていかなければなりませんが、リスクが大きいことと、金額が大きいことと両方ございますので、やはりこれは国が、直接出ませんでも、資金的にあるいはいろんな形でバックアップをするという体制でないと、なかなかいつまでも個々の企業だけで、自力だけでやっていくことはむずかしかろうと思いますので、私はいま言われましたようなお考え方に基本的に賛成でございます。
○岩動道行君 大体民族系資本が油の場合には非常に弱い、弱小であるということが言われておるわけでありますが、それは何と言っても石油のアップストリームからダウンストリームヘのその一貫性がない。日本の場合にはダウンストリームだけの石油企業である。見たところははなはだ大きなりっぱな会社であるけれども、その内容はきわめて貧弱であり、脆弱である。こういうことでは海外への油田の開発もなかなか容易ではございません。そこで、国家資金の強力な援助、これはフランス等においても相当の力を入れてやっておるわけでありまするが、この国の財政投融資の問題、さらにまた民間の資金動員の方策と、これらについて政府側の対策を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにアップストリームのほうに商売としてのうまみはあるわけでございますが、わが国はそれをほとんど持っておりませんので、おっしゃるとおりのようなことになっておりますし、かつ石油資本というのは、世界的に一種の寡占体制に入っていることでございますから、ここへ入っていきますのには、もうどうしても国の資金的な少なくともバックアップがなければいけないわけであります。そこで、現在すでに十五企業でございますか、出ておりますが、このうちで民間資金が二百四十二億、石油開発公団の投融資が百七十億ございます。それから財政資金では、石油開発公団を通じて金を出しておる、あるいは債務補償をしておるということでございますし、税制のほうでは、石油開発投資損失準備金、そういうこともやっておるわけでございます。まあ今度の原油の関税軽減というのも、ある意味では、ややそういう施策になっておるわけでございます。いずれにいたしましても、相当国家的資金がバックアップをしなければならないことはたしかでありまして、御審議いただいております予算案でもかなり今度も計上しておるわけでございます。
○岩動道行君 そこで、国家資金も財政資金もあるいは民間資金もなかなか窮屈な現状でございまするので、個々の海外資源の油田の開発のために幾つかの会社が企業を興しておりまするが、一つ失敗するともうそれでおだぶつになってしまうというような状況が見受けられるわけであります。そこで、ここではひとつ民間資金を動員をしまして、その出資による持ち株会社的なものを考えて、そうして幾つかの開発会社に投融資をしてまいる。ある会社は成功するでありましょう。ある会社は失敗するかもしれない。しかし、これをプールした場合には成り立ってまいる、こういうような持ち株会社構想を考えて、大規模な国際的な油田開発を行なっていくようにしたらどうかというような構想もあるわけでありまするが、これについては通産省はどうお考えになるか、さらにまたこれが独禁法とどのような関係に相なるのか、この点について伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 石油開発公団というのは、一種のある意味でちょっと融資機関のような形になっておりますから、それと別個に民間の力を結集するような仕組みになったほうがいいのではないか、前からそういう議論がございます。それで私どもとしましては、民間企業でいろいろ考えられまして、やはりそういうことが好ましいということでございましたら、それは大いに考えてもいいことであろうと思っております。ただ、それがいわゆる持ち株会社といったようなものになってすぐに独禁法上の問題を起こさなければならないのか、あるいはそうではなくて、そういう独禁法改正というような問題に発展しないような姿で解決できるものなのか、その点は弾力的に私は考えていいことではないだろうかと思っております。
○政府委員(谷村裕君) ただいま通産大臣からお答えがありましたように、海外石油資源の開発のために、そういったような構想について、それがどういう姿のものがほんとうにわが国経済の将来の発展のために望ましいし、またかつ必要であるかという問題はあるかと存じます。そうして持ち株会社の点につきましては、御承知のようにただいま独占禁止法の第九条が原則的に、もう原則的にと申しますよりは絶対的に純粋に持ち株会社は禁止いたしております。その法目的というものから見まして、ただいまのお話のような特別のものがひとつ独禁法政策上の法目的から見て許容されるものであるかどうか、その際に一般にどういうこととしてそれを解決したらいいかということは、私どもとしても、決してもう耳もかさないということではなくて、必要に応じて私どもとしても研究は進めてまいりたい、かように考えております。
○岩動道行君 そこで独禁法九条の運用の問題になってくると思いまするが、形式的にこれを会社の資本構成等だけで見ることになればいろいろ問題があろうかと思いまするが、いま公取委員長がきわめて前向きにしかも経済の実態に合った九条の運用を考えていきたいというお話でございますので、私はこれを了承し、今後このような問題が起こったときには、積極的に前向きにわが国の経済の発展のために運用をお考えいただくということを特に強く御要望申し上げておきます。
○政府委員(谷村裕君) 再度補足さしていただきますが、ただいまの独禁法の第九条では、さような持ち株会社として他の会社を純粋に支配しているような、十条による事業持ち株会社は違いますけれども、純粋持ち株会社は、これは運用の問題としては解決できないということを御承知願いたいと思います。私は運用の問題としてなんとかできるというふうに申し上げたつもりはございません。
○岩動道行君 持ち株会社の問題については、いろいろくふうをすれば可能であろうかと思いますので、具体的な問題が起こったときの問題として残しておきたいと思います。 次に、海外で油田開発をいたしました場合でも、これを国内に引き取る問題でいろいろ困難な問題が現に起こっておりまするが、今後はこのような問題に対してどのようにお考えになるのかひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) アラビア石油のいわゆるカフジ原油の硫黄分が高いというところから、引き取りの問題が毎年むずかしくなっておるわけでございます。そこで、アラビア石油でも硫黄分の少ないフート原油というものの開発を始めて、その量はだんだんふえつつあるわけでございますが、それでもなお従来のカフジ原油のほうがはるかに多うございます。そこでまあ一つは、脱硫ということが御承知のように考えられ、行なわれ始めたわけでございます。重油脱硫はすでに実施した会社もございますし、排煙脱硫は、工業技術院の大型プロジェクトとしては一応完成をして、いま電力会社で実際に近いような形でのテストをしておる。それに開発銀行が金を出しておるというような現状でございます。重油脱硫のうち直接脱硫のほうは、これから工業技術院が技術を開発するというところでございます。でありますが、同時にこの油そのものを何とか処分をする方法はないかということになるわけで、外国の硫黄分の少ない油と交換することができないだろうか、多少硫黄分がありましてもかまわないという、 いわゆるわが国のような過密でない国もあるわけでございますから、交換の可能性、あるいはアスファルト等を当てにして需要のあるところへそれをまた売るというようなことも可能ではないだろうかといったようなことで、会社に対してもいろいろ私ども考えて相談をしたり行政指導をしたりしておるところでございます。
○岩動道行君 わが国のこの油の企業については、民族系の石油会社が脆弱であるということは先ほど申し上げましたが、これを再編強化して国際的な企業にまで持ち上げ、そうして海外から油を買うときに有利な体制で買い得ると、こういう構想を通産省としてはお持ちになっていないかどうか。あるいは共石グループの問題もその中に入ってくるかと思いますので、さらに、再編強化の方法として正道であるかどうかはわかりませんが、現在の石油業法では、精製設備の割り当てについて現状がどうなっているのか、これをさらに大規模なものにしていかなければ弱小の会社ばかりになって競争力ができないという問題もありますので、その辺について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) すでに従来から民族系の会社の育成ということは通産省の政策の中にございましたわけで、共同石油というようなものはそういう考え方でできておると思います。それに対しては開発銀行も特別の体制融資をするということでやっておりますが、そうしてそれは非常に努力が払われておることも事実でございますけれども、どうもまだ十分とは言いがたいのではないかというのが私の判断でございます。ところで、いまおっしゃいましたそれ以上の再編という問題になりますと、多くの会社にひもがついております、現実には。それは資金という形でひもがついておる場合もありますし、原油の供給という形でついておる場合、両方ございますので、なかなかそれらのものをどうということがむずかしい。しかし何かの形でそれらのものの中からも再編に参加し得るものがあるということでございますと、方向としては、いま岩動委員の言われましたようなことを考える可能性があるのではないだろうか。これはしかし、そのいわゆるひもというものとの関連がございますので、その辺はよほどじょうずに調整いたしませんと、どことどこということがなかなか出てまいりませんけれども、私は可能性としては常に考えておくべき問題だと思っております。
○岩動道行君 国際的な企業としてはどれくらいの規模のものが考えられるか、この辺はどうでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 考え方としまして、いまわが国で一番シェアの大きいのはたぶん日石であるかと思いますが、それと並ぶくらい、あるいはそれよりももう少し大きい程度のシェアのものができますと、これはやってみる価値があると実は思っているわけでございます。 それから設備の許可基準のこと、御入り用があれば政府委員から申し上げますが、申し上げましょうか。
○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。 国際的な規模ではどれくらいかということになりますと、スタンダード等は年間の売り上げが百四十七億ドルでございまして、わが国の出光、日石等は七億ないし八億でございますので、規模としては格段の相違があるという現状でございます。設備増設の許可基準につきましては、われわれといたしましてもできるだけまとまった単位で許可をすべきだと考えております。そこで生産計画、販売計画等適するものを選ぶことにいたしておりますが、規模といたしましても二十万バーレルの規模の敷地、あるいは関連施設等を持っておって、適切にこれを資金調達ができるという条件であることを一つの条件にしております。 それから集約化を行なうというようなものにつきましては、これを優先的に考えようということで考えておりまして、四十四年度の設備許可におきましては、大体十万、あるいはそれよりも若干下回る程度のものを許可いたしておりまして、四万、五万のものがございますが、これは過去にすでに許可をしたある程度の設備がございまして、それに追加する設備について、四、五万のものを認めました。一つは、特殊な石油製品の供給設備につきましては、小さい設備でも一応いけるということで許可をした。したがいまして、大体十万バーレルの程度のものを中心にして許可するという方針でございますが、今後もこうした方針を続けてまいりたい、こういうように考えております。
○岩動道行君 日本の精製会社は、規模が何といってもいまのように非常に小さいわけであります。そこにもってきて、これは総務長官に伺いたいのでありますが、沖縄というものが返還される前の段階において、外国系の精製会社が、いわばかけ込み的に許可を得て現地でやっている。これは将来日本全体の精製計画と申しますか、油の計画に対しては相当大きな影響を持ち、摩擦を起こすおそれがないとは言えない。したがってこのようなかけ込みの設備の増設ということは好ましいとは思えないのでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(山中貞則君) 厳密には石油に関してはかけ込みと思われるものはありません。ガルフ、エッソ両社がすでに申請、許可を受けておるわけでありますが、問題はその許可の条件が、フリーゾーン区域内における精製についてということでありましたものを、二社の企業側の琉球政府に対するその区域を撤廃してほしい——これは明らかに一九七二年に沖縄が日本に返ることが決定いたしましたことを受けて起こした行動であると私も判断いたしますが、そのことの申請を受けまして、琉球政府の外資審議会の幹事会が、その条件でありましたフリーゾーン区域外に商業活動をすることを認めてもよいではないかという内定をしたという知らせがありました。このことは、岩動君がただいま言われましたように、現在本土には、いい悪いは別として、石油業法があり、あるいは資本の自由化に、現在自由とまではいかない業種の中に石油業が厳然とある実態を考えてみますると、そのようなことを念頭に置かないで、琉球政府側だけの、復帰に伴う既得権益的なものを与えようとすることについては、通産行政のみならず、国民全体のエネルギーの問題からいって、私も所管大臣として問題のある点を感じますので、開発局長なり主席なり、あるいは私も直接会いまするし、私どものほうを通じまして、なるべく通産省側から直接向こう側に好ましい好ましくないという言い方をすることを避けまして、私のほうがワン・クッション置きまして、国益、権益というものは一致するものであるのだということでよく相談ずくで話を進めていくようにしておりますが、いずれにしても、沖縄の方々の、自分たちの郷里のためになることをなぜ本土政府は阻害しようとするのだというその感情が激しいものにならないような解決をしたいと考えております。
○岩動道行君 次に、大気汚染公害の大宗としては油が主役をなしておるような現状でございまするが、これに対する低硫黄化対策はどういうように進んでいるかということを伺いたいのでありますが、本年度、四十五年度の予算におきましては、特に脱硫装置を行なう者に対する関税の還付という画期的な第一歩をしていただいたことは政府としてはまことに英断であったと思いまするが、惜しむらくは、低硫黄の輸入につきましてはその軽減措置がとられなかった。この点については私どもはまだ不満足な感じを持っておるわけでございまするが、このような原重油関税というものを廃止することができなければ、できるだけこれを公害対策に使い、あるいはCTSの問題、その他いろいろ石油業界自体の体質の改善、社会環境の改善のためにこれを活用してまいるのが適当ではないだろうか、かように考えまするので、この辺に対する今後の御方針を承っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、今年脱硫との関係でキロ三百円という関税の軽減をすることになったわけでございますけれども、実はそのときに、仰せになりますように、低硫黄についての関税の軽減ということも問題にいたしたわけでございます。しかし、何ぶんにも実は問題の提起が比較的新しかったこと等々もございまして、低硫黄のほうの措置は、今回は、四十五年度につきましては見送りました。ただ、私はそのときに大蔵大臣にも申し上げたことでございましたが、いずれにいたしましても、昭和四十六年度には石炭対策との関連の原油関税というものをもう一ぺん見直さなければならない段階になりますので、それとのかね合いにおいてもう一度低硫黄輸入の場合の関税軽減について御相談をしたい、そういうことを申し上げまして、今年度はさしずめ脱硫のための軽減にとどめたわけでございます。問題を将来に残したことになっております。
○岩動道行君 大蔵大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま通産大臣から申し上げたとおり、四十五年度予算の編成の際に、通産大臣が非常に熱心に低硫黄原油の関税軽減方を要請をしたわけです。ところが、石炭対策の関係で、四十六年度においては原油関税これ自体について再検討しなければならぬということに相なるわけであります。それとのからまりにおいてこの問題はさらに掘り下げてみたい、こういうことで見送りにいたしましたが、そういう方向でまあ検討してみたい、かような考え方であります。
○岩動道行君 そこで、大体この原油関税は本来無税であるべきものでありますが、石炭対策の観点から現在かけられていると、したがって、石炭対策が終わらないうちはやむを得ない。しかしながら、多少のものは、やはり重油の低硫黄化であるとか、あるいは共同給油基地の建設であるとか、あるいはパイプラインの問題であるとか、備蓄対策、こういったような問題にこれを還元していくようなことをぜひ前向きにお考えをいただきたい。そこで、実は建設大臣にもわざわざおいでいただいたのでありまするが、これからはもう四十万トン、五十万トン・タンカーができてくる時代でございます。そうなりますると、そういうものを入れるような湾というものは日本には三つか四つぐらいしかない。たとえば、四国で申しまするならば宿毛湾などが一つの例かと思いまするが、そういうところに大量の給油基地ができた場合に、これを本土にどのようにしていくかということになりますると、本四間の架橋にこれを結びつけるというようなことが当然考えられなければならないのでありますが、この点についての建設大臣のお考えはいかがでございますか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、新全総においても、いま岩動さんが言われたように、太平洋岸に相当大規模なそうした石油基地的なものが必要であろうということも指摘されております。しかる場合におきましては、いま御指摘の四国のところにその適地もあるとも見られるのであります。そういう関連からして、本四連絡橋ができた場合に、パイプラインをそれに併設すべきだという御議論もあることは事実でございます。こういう問題は前向きで検討したいと思いまするが、御承知のように、これはかなり実は危険物でもございますので、その安全性との関連において十分に慎重に研究しながらそれらの要望にたえるような構造も研究してみたいと思っておる次第であります。
○岩動道行君 石油問題について最後の問題を伺いたいのでありますが、これは先ほど来申し上げたように、日本の石油企業というのは、見たところはきわめてりっぱな大きな施設を持ち企業内容がいいように見えまするが、他の製造業に比べると、きわめて自己資本率も低ければ、収益率も低い。そういう中において、道路財源等のために揮発油税、あるいは軽油引取税というものの相当の負担をいたしているわけであります。道路新五カ年計画等ができてまいる、そのつどこれらのガソリン税等の引き上げということが問題になるわけでありまするが、この引き上げということは、かなりもはや限界に来ているのではないだろうか、したがって、道路財源としては別の考え方を持っていくのが適当ではないだろうか、かようにも考えられまするが、大臣は直接税から間接税への構想をある程度持っておられる。しかし、こちらのほうに負担をかけるということはかなりの無理があるのではないだろうかというふうにも考えられますが、御所見を承っておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国における石油の税負担、これはかなりの限度に来ていることはいまお話しのとおりであります。数字で言いますと、六一%ということになります。まあ、国によりましては、たとえばイギリスだとか、ドイツでありますとか、あるいはフランス、これは七〇%をこえる負担をかけておるわけでありまするから、国際的に見ると、まあそうでもないじゃないかという話もできるわけでございますが、とにかく六一%、酒よりも、たばこよりも、あるいはビールよりも高いという税負担ですから、まあかなりのところに来ているというふうに思います。これからの国の財政のことを考えますると、一つは道路新五ケ年計画という問題があります。また、新幹線整備ということがいずれこれは日程にのぼってくると、こういうふうに思います。そういう際に何か財源がなければならぬわけでございまするが、私はいま日本の税制全体総括して見まして、その国民の負担、これが必ずしも高いところへきておるというわけじゃない。諸外国ではまあGNPの三〇%負担、四〇%負担というような重い税でありますが、わが国におきましてはこれは一八%内外というところで軽いんですし。ところが、そういうふうに相対的には軽いにもかかわらず、減税の要求がある。これはつまり、直接税が比重が非常に重いと、こういうことだろうと思うので、そういうところから間接税というものへの移行も——もちろん間接税中心じゃありません、直接税偏向を是正するというような意味でございますが、そういう際には、まあいろいろな個別的な物品税というようなものを考えたいと、こういうふうにまあ思っておるわけでありますが、ただいまガソリンもそういうようなところへきておりますから、そういうことも十分配意しながらそれらの財源対策は検討してみたいと、かように考えます。
○岩動道行君 科学技術庁のほうに問題を移してまいります。 先ほどの質問に続きまして、今後の原子力の平和利用の方向といたしましては、多目的原子炉——鉄鋼でありまするとか脱塩その他化学工業等各方面に原子力を活用してまいると、こういう高温ガス炉の利用という問題があるわけであります。と同時に、原子力のコンビナートを建設するという構想もそろそろ打ち立てていかなければならない。また、原子力センターというものも建設しなければいけない。あらゆる点において、国土が狭く、活用する地域が少ない現在でありまするので、早目にこのような大規模こ構想というものをおつくりになっていくお考えがないかどうか、地域開発の問題からも、特に企画庁からもお話を承りたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) 仰せのとおり、最近の原子力エネルギーを発電と同時に移目的に利用する——たとえば海水の淡水化であるとか、化学工業のプロセス・ヒート、あるいは地域暖房その他、原子力エネルギーの効率的な利用をはかることが考えられると思います。また、原子力製鉄ということにつきましても、かなり業界においても研究は進められつつございまして、このような多目的原子炉を開発することが非常に関心が高まってまいっております。 そこで、エネルギーを大量に使用する産業を集中化して原子力コンビナートをつくると、こういうことは、その将来性は非常に期待が持てると私は存じております。もちろん、原子力発電所の多目的利用、あるいは多目的原子炉の実用化によりまして原子力コンビナートが建設されるということになりますまでには、なお技術的な面で、あるいはまた経済的な面で、長期にわたって検討、また解決をしなければならない問題がかなり多いと思いますので、まだ具体的な構想を持つ段階ではございませんが、十分に将来性あるものとして検討を進めていきたいと存じます。 ただいま、地域開発との関連においてどう考えるかということでございますが、もちろんそういう点を十分考慮していかなければならぬと存じますけれども、まだどこにどうというような具体的な立地計画を持つという段階には至っておりません。
○国務大臣(佐藤一郎君) 新全総計画におきましても、この巨大なコンビナートの建設ということが大きなアイテムになっております。そこでまあ、いま御指摘の原子力コンビナート、こういう問題も早晩日程にのぼってくるものと思われます。科学技術庁長官のお話のように、まあ技術の進歩と、こういうものと歩調を合わせ、産業構造の変化と、こういうようなものと対応して、早晩これが問題になってくるであろうと思われます。 企画庁におきましては、そういう意味で、経済審議会の中にいわゆる産業立地のための研究会を置きまして、すでに一部研究をしてもらっておりますが、今後は新全総の審議会の中の総合調整部会におきまして引き続きそうした問題を検討する予定にしております。
○岩動道行君 核融合の開発促進体制はどのようになっておりましょうか。
○国務大臣(西田信一君) 核融合の実用化は、これが成功いたしますと、ほとんど無尽蔵のエネルギーの供給を可能にするものと思います。そういう意味におきまして、将来におきますところのわが国のエネルギー問題を究極的に解決をするという立場から、非常な期待が持たれるわけでございます。 で、昭和四十三年の七月に、原子力委員会は、このような世界の趨勢をも勘案いたしまして、核融合の研究開発を原子力の特定総合研究を指定をいたしました。そして四十四年から四十九年までを第一段階とする核融合研究開発基本計画を策定いたしました。この計画に従って、現在、大学でございますとか、あるいは民間企業等の協力のもとに、日本原子力研究所、それから電気試験所、理化学研究所等におきまして研究開発を進めておる段階でございます。 この計画では、将来におきまして核融合動力炉へと発展が予想されるトーラス磁場装置等を主な対象として選定しておりまするが、原研では、四十四年度の研究成果の上に立って、四十五年度からトコマック型トーラス磁場装置の設計、製作、実験を行ない、また理研におきましては関連技術の研究開発をやっております。また電気試験所では高べータプラズマの研究を行なうことといたしております。また各大学におきましてもプラズマ現象の基礎研究を行なうというようなぐあいにしておりまして、必要な人材の養成を行なうことにもつとめておるわけでございます。 将来このような研究開発がそれぞれの部門におきまして進んでまいりますれば、第二段階以降、研究規模が拡大する場合にはこれらの各機関の研究の一元化というようなこともはかってまいりまして、そうして研究開発の進展、また成功をはかりたい、かように考えております。
○岩動道行君 先ほどの核防条約に関係をしてまいるわけでございまするが、調印と批准の間において、特に平和利用の立場から科学技術庁としてはどのような基本方針ないし基準が確立されるならば批准に踏み切ってもよろしいか、その辺の点を具体的にお示しをいただきたい。
○国務大臣(西田信一君) 先ほど外務大臣から、政府の基本的な態度、方針等について詳細にお述べになりましたが、これで十分尽きておると存じまするが、特にわれわれの立場から申しますと、平和利用の面におきますところの産業活動の阻害等が起きないようにというようなこと、あるいは機密の漏洩等が心配がなくなるというようなことを主眼といたしまして、従来からも、民間からも十分意見を求めておるわけであります。またわれわれ自身におきましてもいろんな検討をいたしておるわけでございまして、条約はすでに発効いたしましたが、この査察を担当いたしますところのIAAにおきましても、新しい立場に立って、この標準的な査察に対する国際的な立場において検討が持たれております。この二月にもウィーンでそういう会合が持たれたわけでありますし、現在も——きょうあすあたりと思いますが、続いてそういう検討がなされておるようでございます。したがいまして、何らかのそのような検討の機構がつくられるであろうと、かように考えております。そういうような場合に備えまして、計器によるところの人にかわる査察の方法、あるいはシールを用いますとか、あるいは各国の管理制度を活用するとか、わが国にも原子炉等の規制に関するりっぱな規制制度がございまするし、こういうものの活用でありますとか、そういった点につきまして十分わが国の主張をいたしまして、そうしてこれが十分取り入れられてIAAとわが国間におきますところの協定が結べるという見通しを得た上で批准という段階に進むであろうということは、先ほど外務大臣が明確に申されたとおりでございます。少なくとも国益を害するような状況のもとにおいて批准ということはあり得ないというふうに考えております。なお、このために産業界にも非常にいろんな協力をちょうだいいたしておりますが、実は私から希望をいたしまして、原子力産業会議の方々——有力な方々に実はお願いをいたしましたところが、快諾をいただきましたので、このたしか十一日に出発をいたしまして、十五日間欧米各国を歴訪いたしまして、各国の制度でありますとか、技術開発の実情であるとか、あるいはユーラトムの査察の状況であるとか、こういったものを十分見きわめていただき、検討していただく。同時に、IAAに対しましても、わが国の主張が十分理解されるような御協力をちょうだいすることに相なりました。全力をあげまして、ひとつわれわれの主張が通って、そうして安心して批准できるような立場をつくりたいというのが私どもの考え方でございます。
○岩動道行君 防衛庁長官に一言だけ伺いますが、核防条約の調印と安全保障の関係について御所信を承っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 核防条約につきましては、調印はいたしましたが、批准はまだでございます。これは批准に至るまでの諸条件がどういうふうに満たされるかということを見守っていく必要があるからだろうと思います。わが国の防衛に関しましては、核抑止力については、日米安保条約によりまして、米軍の核抑止力を期待するという方針をとっておりまして、日本自体が自分で核抑止力をつくるとか持つとかいう考え方はありません。日米安保条約を維持していきながら米軍の核抑止力を期待するという政策が妥当であろうと考えております。
○岩動道行君 最後に私は、このエネルギーは、わが国の産業経済はもちろんのこと、文化の果てに至るまで、最も根本的な問題であろうかと思います。これにつきまして、行政機構が必ずしも十分であるかどうか検討を要する問題ではないか。と申しますのは、原子力は科学技術庁にあり、あるいは電力、石炭、石油は通産省というようなことでありまするが、将来を展望した場合には、動力燃料省というようなものをつくって、強力な国務大臣のもとに一貫したわが国のエネルギー政策を推進していくのがよろしいのではないだろうか、かような私見を持っているわけでございまするが、行管長官もお見えになっておりませんので、一応これは私の私見を申し上げまして、いずれおりを見て御回答もいただきたいと思います。 これをもちまして私の質問は、若干残っておりますが、終わりにいたします。
○委員長(堀本宜実君) 以上で岩動君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十一時三十分開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後四時五十四分散会