予算委員会 第10号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/28
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 議事に先立って、昨日の委員会において問題になりましたソ連の演習問題について外務大臣はソ連の大使と交渉をされたと伺っておりますが、その経緯その他について詳細に本委員会において御報告をお願い申し上げたいと存じます。愛知外務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日午後五時にトロヤノフスキーソ連駐日大使を招致いたしまして、三月二十六日ソビエト連邦関係当局によって公示された爆撃演習計画について、日本政府としてソ連政府に対する申し入れをいたしました要点を口上書の形に取りまとめまして申し入れをいたしましたので、この件につきまして、以下御報告を申し上げたいと存じます。 三月二十六日ソ連の当局によって公示されました爆撃演習計画によりますと、能登半島北方水域、四国南方水域、この二つの水域が特に問題と考えられるわけでございます。で、日本国政府といたしましては、公海における爆撃演習等の実施に際しましては、他国による公海及びその上空使用の権利に合理的な考慮を払うことが、かかる種類の演習実施をする国の当然の義務であると考えるのであります。で、ことに問題の二つの水域は、いずれも日本の漁業にとって重要な漁場であることはもちろん、船舶及び航空機の航路に当たっておりますので、この水域において演習が行なわれるというようなことになりますならば、日本側としていろいろの意味の損失がきわめて大きなものであることは、あらためて述べるまでもないところであります。しかも、これら両水域は公海ではありますが、いずれも日本国の中央部にきわめて近接する水域であることについて、日本国政府は大きな関心と懸念を有するものであります。こうした状況でございますので、在本邦ソビエト大使館を通じまして、ソビエト連邦政府が本爆撃演習計画を中止するよう、日本国政府としてはここに強く要請する、こういうことを主たる内容にいたしました口上書を手交いたしたわけでございます。さらに、私から口頭で、日ソの親善関係の中でかかることが行なわれることは全く理解しがたいことであり、特にこういう点にかんがみまして、ソ連政府としてこの計画を即時中止するようにということを、いろいろの観点から説明を付加いたしまして、反省を求めた次第でございます。ソ連の大使としては、この件について何ら本国政府からいまだ通報も受けておりませんし、自分としてはまだ情報も持っていない。そこで、何もここで申し上げることはないのだけれども、ただ自分としては、ソ連政府として国際慣例に反するようなことはしないはずであるということを、とりあえずのコメントとして申し上げるにとどまると、こういうことでございました。私としては、いま申しましたような点を繰り返し強調し、大使としては、日本国政府のこの申し入れ並びに私の説明と申しますか、抗議と申しますか、これを詳細に即刻本国政府に伝達をするということを約しまして、この会談を一応終わりました。 以上御報告申し上げます。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) それでは小野明君の質疑を行ないます。小野君。
○小野明君 外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 昨日の交渉の模様については、いまの御説明によってわかったわけでありますが、今回のソ連の爆撃訓練というものは、国際法あるいは慣例に違反をしておる、こういう受けとめ方をしておられるのであるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この点は昨日もちょっと触れたところでございますが、公海法によりますと、公海というものは自由が保障されていることは事実でございますが、同時に、公海の利用については、各国とも、沿岸国あるいは非沿岸国でありましても、航行とか漁業等については、沿岸国、非沿岸国の利益というものを考慮に入れて公海の自由の原則を守るという趣旨もまた公海法に規定されているところでございますから、こうした考え方から申せば、私ただいま申し上げました口上書にも載せておきましたけれども、公海上のことではあるかもしれないけれども、日本国としては、近接した水域でありますし、かつ、ほぼ同時に日本海及び土佐沖においてこういう演習がされるということについては、かりにそういう計画があるといたしましても、事前に外交ルートを通してその詳細な説明なり了解なりを求めてくるのが、日本政府としては妥当な解釈であり、これを要求する立場にあることは私は当然だと思うのでありまして、そういう点を基礎にいたしまして申し入れ、抗議をいたしたわけでございますし、また、そういう立場に立ち、もう一つ国際政治的な観点から見ても、これを取りやめることがソ連のためにもよいことではないかということを、あわせて強調して申し入れをいたした。かような次第でございます。
○小野明君 われわれも、この問題をきわめて重大に受け取っておるのであります。ところが、ソ連側はそれほど重大に受け取っていないといいますか、そういったことが新聞にも報道をされておるようでありますし、いま御報告のありましたトロヤノフスキー大使のお話にもその辺がうかがわれるのであります。現地大使館もあることでありますから、ソ連側の受けとめ方というのは、あるいはこの問題の考え方というのは一体どうなのか、おわかりになっておるところで御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたようなところで大体御理解いただけるかと思いますけれども、これからソ連側が昨日のわがほうの申し入れに対しましてどういう態度をとるか、私は、わがほうの態度に対して理解と協力を示すことを期待しているわけでございますけれども、その前に、にわかにソ連側の態度ということについて私から、何と申しますか、批評することは、あるいは適当でないかと思いますけれども、あるいは、ただいま御指摘のように、われわれが考えるほどに重大な問題とは考えていなかったかもしれない、そういうような感じも、率直に申しますと、受け取れないではないのでございまして、よほど、本件のこの機会に、わがほうとしての筋の通った主張、そうしてわがほうとしてはこれを非常に重大な問題と考えておりますから、そのことをソ連側によく理解をさせるような努力というものは引き続きやっていかなければならないということを私も感じた次第でございます。
○小野明君 先ほどの大臣の御報告の中にはございませんでしたが、わが国は、当然、訓練によって損害が生じたならば賠償請求の権利を保留すると、こういうことも言われたというふうに伝えられておるのでありますが、この点はいかがでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、第一義的に中止を要請しているわけでございます。しかし、万一ということも考えなければなりませんので、損害の補償ということについての権利の留保ということについては触れておきました。しかし、あくまでもわがほうの今日の主張というものは中止ということを中心に要請をいたしておるわけでございます。
○小野明君 まあ、ポドゴルヌイ議長もこの四月にはお見えになることでもありますし、また、モスクワで日ソ交渉その他も行なわれているときでもあるわけです。友好ムードのあるときでありますから、もしソ連側がそういったこの理解の不足ということに原因があるならば、やはり十分わが国の立場というものを向こうに重ねて説明をし、この中止を要求すべきではないかと思います。この点を御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 幸いに、いまお示しのありましたように、ポドゴルヌイ一行、これはだいぶ外交の専門家も随員の中に入ってもおりますし、そういう関係から申しましても、この問題に限らず、やはり日本のものの考え方、姿勢というものを十分に理解してもらうよい機会であると考えますし、また、こちらからも、モスクワの見本市開催を機会に自民党の川島副総裁も一両日中に出かけるわけでございます。まあ、こういう機会をできるだけ活用いたしまして、本件に限らず、相互の理解というものを進めていくことは非常に必要であると思います。ただ、今日のこの演習の問題はでございますね、非常に緊迫しております、時日が。向こうの予定としては。したがいまして、それらをもう待たずに、適時適切な要請や段取りをしていかなければならない、かように存じております。
○小野明君 総理にお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほどの説明でもおわかりのように、ちょっとした食い違いということから重大な問題が発生をしかねぬ事態でもあるかと思うのであります。この点についての総理の御見解を承っておきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど外務大臣から詳細に経過を報告し、わがほうのとっている手段等について説明がございました。私は、全面的に愛知君の処置をただいま適当だと、かように考え、また、相手国のソ連がどういうような反応を示すか、これは、駐在の大使自身が事前に本国政府から、あるいは本国の陸海軍から、そういう問題についての連絡をとっておらなかったと、こういうこともございますから、こちらからの申し入れに対してどういうような反応を示すか、これは十分監視しなければならない。まあそれまでに軽率な批判をすることは、これは避けなきゃならぬ。これはもう両国の友好、そういう点から見ましても必要なことだと思います。御承知のように、ただいま万国博に最高幹部会議長も出てくることになっておりますし、また、その前にちょうど日航機の初便がモスクワに向かって出発する、こういうこともありますし、また、モスクワで開催される日本の見本市、これには大臣のかわりといいますか、私の特使として川島副総裁が出かけることになっております。したがって、そういう機会には必ずソ連の最高幹部の諸君とも会えると、かように思っておりますので、最近のこういう問題についても十分話し合って、相互理解を深めて、そうして両国間の親善に支障を来たさないように、この上とも努力する考えでございます。
○横川正市君 いまのに関連をして二、三質問をいたしたいと思いますが、一つは、いま総理が答弁をされておりますような事態の認識ということが常識であるとすれば、そういう事態の認識の上に立った処置ということになろうと思うのですが、その処置ということになると、航空便の第一便が飛び立つときのというような、いわば主体的に解決をする立場ではなしに、きわめて関連的な立場に立ってものごとを解決しよう、こういう趣旨のようにとれるわけですが、このソ連との親善関係について、日本国としてはどういう考え方に立っているのか、親善ということの、いわばことばだけのものでなくて、実質的にも親善関係が逐次深まっていくという理解の上に立って今日これに対処されようとしているのかどうか。これも具体的ないろいろな問題があるわけですから、それについてお聞きいたしたいと思います。 それと関連をして、一つは、大体その国の鼻っつらに来て、こういうような事態が地球のどこかで前例としてあったかどうかという問題であります。それと同時に、ソ連が日本海とそれから太平洋の日本にきわめて隣接する近海で演習を行なう。演習を行なうということは、状況によりますと、ソ連に何らかの脅威を感ずる問題があるので、あらかじめこの地点において修練を積もうという趣旨も隠されているのではないか、そういう点から考えてみて、この点を、私はやはり日本側の立場でどう判断をされておるかも明らかにすべきだと思います。 私どもは、たとえば、日中の雪解けムードの問題とか、米中会談が行なわれているということから、付随的にこの雪解けの一つの足がかりもありますけれども、しかし、委員会で明らかにされたように、日本と中国との歴史的な関連において、何らかの機会にこの日中間の国交の回復ということがあるべきだという根本的な考え方に立って行なわれているということはいなめないと思うのであります。しかも、この問題とまた別個ではありますけれども、北方領土に対するものの考え方はきわめて直接的に緊迫的に国民の前にも訴えられているという事実もありますし、交渉それ自体はそれほど私どもが期待のできるような両国関係にないということも、これは十分考えられるところであります。そういうような問題と関連しながら、漁業交渉においては資源問題その他で両者の食い違いはきわめて大きな格差を招来いたしております。しかし、一方においては、これは米ソの共存政策の上に立って逐次私どもはやはりものごとを解決するのに、戦争への道で解決するのではなしに、交渉、話し合いの道で解決しようとする空気がきわめて濃厚になり、熾烈になってきているという、こういう状態でありますから、この点なんかも考えてみますと、今回の演習はきわめて唐突に考えられるわけであります。分析をいかにいたしてみましても、答えはこれはなかなか出ないような状態にはありますけれども、いま言ったような問題に対して政府としてはどういうお考えに立っているか、お聞きをしたいと思う。
○国務大臣(愛知揆一君) まず、今回の問題について申し上げますと、私といたしましても、いかなる意図で、いかなる背景で、こういうことを行なうことになったのか、そこが一番確かめたいところでございまして、それを含めましてソ連側に直接申し入れをした中でも、その点を強く要請しているわけでございます。なお、その他いろいろの情報を集めて今後に処さなければならないと思っております。 それからソ連との一般的な関係については、もうあえて申し上げるまでもないと思いますが、北方領土の問題については対立状態が続いておるわけでございますが、その他の面におきまして、たとえば、一般的な貿易の関係、あるいは経済協力に対する関係、あるいは、これはまだできておりませんけれども、文化協定をつくりたいという考え方は双方にも出ております。それから最近におきましては、双方に第二の総領事館を開設することが合意せられまして、実施の段階に入っております。たとえばこちらはレニングラードに、先方は大阪にということでこれは合意ができ、予算上御審議を願っている中にもこれが入っておるようなわけでございます。しかし、昨日も御論議がありましたように、現に行なわれております漁業交渉はなかなかきびしい話し合いの中にありますが、これは何としても両方の主張というものをもう少し煮詰め、掘り下げて、何とか早急に妥結をはかっていきたい。何と申しましても、政府としては、基本方針でありますが、体制の異なった国との間にも国交を円満につくり上げていくということを一番大切なことにしておりますから、基本的にソ連に対する態度というものもそういう態度でいっておりますし、また、ソ連側も、いま申しました硬軟両面ございますけれども、決して、いままでのところ、日本に対してきわめてよいとかいうことはあるいは言えないかもしれませんが、さりとて悪い状態にはない。正常に円滑な国交が維持されてきておると私は認識いたしておりますが、そこでこういう事件が起こり、かつ、こういう演習などについての心がまえというものに双方の考え方が違っておると、あるいはソ連の考え方がわれわれが考えているほどには重要視していないとすれば、その点を根本的にただし、そして解決していくことが非常に必要なことであるということを、今回のこの問題につきましても、私自身としても痛感いたしたわけでございます。 従来も、ソ連としては、演習を、たとえば北方水域などでやっておりまして、この場合におきましても、その回数は相当多いのでありますけれども、十分事前に沿岸の方面に対しては注意を先方からも出しております。これらに比べて、今回は、いわば予告期間も比較的少ないし、しかも、日本海と土佐沖と両方ほぼ同時ということは、何としても私も解せないところでございます。これはもう、国民全部がそう考えられておることと思いますから、この点をとくと究明し、そして筋の立つような、納得のできるような線に持っていかなければならない。この点については、き然たる態度で臨まなければならないということを痛切に私も感じまして、努力を新たにいたしたいと思っておる次第でございます。
○鈴木強君 関連。 委員長、これは非常に大事な問題で、社会党としては緊急質問の時間を特にとっていただきたいと思いました。前例もありますし。しかし、きょうは土曜日でもありますし、諸般のことを考えて、十分に関連をしていただくということを条件にわれわれはきておりますから、他の党にも質問があると思います。非常に大事な問題ですから、この際、日本国民の気持ちを率直に私は国会を通じて反映をして、外交交渉をバックアップしたいと思います。そういう意味でございますから、どうぞひとつ時間はかなり許していただきたいと思います。 それで、第一点。先ほどの口上書をソ連の大使に渡したそうですけれど、その中に、能登と、それから四国は非常に重要だというふうに言われておって、あとの二つの地域については触れておらないようですけれど、外務大臣としては、従来いろいろ、日本近海といいますか、北方においてソ連のこういう訓練もあるようですから、他の二つはやむを得ない、ただし、能登半島とこの四国の土佐沖については非常に大事だというふうに考えてやったものかどうか。そうであるならば、その能登半島と土佐沖の日本の権益にかかわるような、航空の問題、あるいは海運の問題、あるいは漁業の問題、それがあると思います。ですから、この爆撃がかりにやられるとすれば、どういう被害が想定されておるのか、これをひとつ関係の大臣からも聞きたいと思いますし、外務大臣としてはその辺をどう整理をして口上書を出したかということですね、まず、これを伺いたい。 それからもう一つは、口上書については、ある程度日限をつけて——四月一日から始まりますから、おるのかどうなのか。 それからもう一つは、モスクワの日本大使館に対して——これは全然事前には知らなかったようですね、その後どういうふうな連絡をとっておられるかどうか。 それからもう一つは、こういった爆撃をやろうとする政治的な背景ですね。一体これをどういうふうに日本政府は分析をしておられるのか。総理がおっしゃるように、日ソ親善友好の中でこういうことが起きるということは、はなはだこれは合点がいかない。だからして、どういう政治的な国際的な背景の中で、ソ連が日本に非常に問題が起きるような爆撃をあえてやるかという、その政治的な背景を示してもらいたいと思うんです。 それから、もし不幸な場合を想定して、外務大臣も損害賠償については権利を留保しておる、こういうことを言われたそうですが、今日までの間に、そういう爆撃、他のある一国の爆撃によって他の国が損害を受けたときに、それを賠償したというような例がありますかどうですか、その点をひとつ。 それから防衛庁長官に伺いますが、最近、ソ連の戦闘機が日本の周辺にかなり来て訓練をしておる、そういう情報がありますが、防衛庁として、その辺の情報をどういうふうにとっておられるか、これをひとつ聞きたい。 それから運輸大臣に対しては、そもそもきのうの新聞の全面をにぎわしたそのニュースソースは、運輸大臣がきのうの閣議に御報告になりました、ウラジオストックのソ連海軍無線局が放送をした放送を日本の海上保安庁の通信所が傍受をして、それによってこの問題が出てきたわけです。外交的な通知も何もない中で、ただ一つ、そこにいまの問題の出発点があると思います。そこで私は、この情報収集の基本についてこの際伺っておきたいんですが、海上保安庁はもちろん海上の保安のためにいろいろと各国の情報も集められておると思いますが、この二十六日の午前九時三十分から十時四十五分までの間の、四つの地域の爆撃をするという、訓練爆撃をするという、その情報は、その周波数は何サイクルか、それからコールサインはどういうコールサインを使っているのか。それはボイスでやっているのか、ワイヤレスでやっているのか、それから、四月一日から二十七日、四つの水域は二十四時間ぶっ通しでもって訓練をやるのかどうか。それから、防衛庁の長官にお聞きしたいのだが、訓練の爆撃の規模というのは一体どのようなものが考えられるのか。防衛庁として、もし研究されておったら教えてもらいたいと思います。そもそも海上保安庁のほうがこれをキャッチしたわけなんだが、防衛庁としては一体どういう情報機関を持っておるのでございましょうか。私は、アメリカさんの情報だけもらってやっておるということではないと思いますけれども、これは少なくとも盗聴とかなんとかではなくて、向こうが堂々と報道しているその放送を傍受する権利があるわけなんです。大いに防衛庁としても傍受をしていると思いますけれども、これはあえて政治的に、海上保安庁のほうと防衛庁が一緒にキャッチしたけれど、運輸大臣が海上保安庁のほうで受けたのを出したのかどうかわかりませんけれども、その辺の情報網の確立の点も含めてひとつ御返答していただきたいと思います。 それから、最後に、ただ口上書を出しただけでなくて、さらにこれをもっとハイレベルのところでやるとか、あるいは事態の推移によっては向こうに出かけて行くとか、そういう交渉についてもお考えをいただいておるかどうか。 これだけを伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) まず、私に対するお尋ねのお答えをいたしますが、先ほど申しましたように、口上書には要点を記載いたしましたし、ことに、直接最も重大だと思われますのは日本海と土佐沖の問題でございますから、これに対しては中止を要請するということを中心に記載いたしましたが、同時に、口上書というものはその名のとおりでございますし、外務大臣といたしまして口頭で大使に対して話しますことは、私は、これは外交上も相当のレベルにおける申し入れであり、抗議であると慣例上も理解いたしておるわけでございますから、詳細に本件についての日本政府の見解を明らかにしております。で、その中には、もちろん、カムチャッカ水域についての二つの水域のことにも言及いたしておりますし、その点も含めて、万々一の場合もございますから、損害賠償要求の権利を留保するということも、これを明らかにいたしておきました。 それからなお、二つの一番重大な水域において、とりあえぜ運輸省で試算されました予想される損害、あるいは農林省においてとりあえず算定した予想される被害というようなものにつきましては、とりあえず概略を口頭で申しましたが、随時資料のできるに従ってどんどん送りつけるということにいたしておいた次第でございます。 それから、モスクワの日本大使館に対しましては、私は、トロヤノフスキー大使を招致するよりも前に、もうすでに訓令を出しておりまして、先ほど来申しておりますような、入手し得る限りの、この意図の背景、あるいは取り扱い方等について、できるだけすみやかに情報を特段の努力をもって収集するように訓令も出しておるような次第でございます。 それから、今後どうするかということでございますが、先ほど率直に私の見解を申しましたように、こういうことがわがほうの考え方あるいは国民の受け方とソ連のやり方との間には、あるいは大きな食い違いがあるかもしれないということを私も感じとりましたので、今後ともこういうことの相違の起きないように、そうしてまた、したがって、具体的にこういうふうな突如として思わざるような演習が行なわれることのないように、十分これからまた対ソ外交上も注意してまいらなければならぬ、あらゆる機会にあらゆる努力を継続していかなければならない、かように考えておるわけでございます。 それから、他国の例でございますが、これは、いまちょっと十分御説明するだけの資料を持ち合わせておりませんが、すぐに適例として申し上げるようなことが、あまりたくさんの例がないのではなかろうかと思いますけれども、これはなお調査いたしまして、追って御説明申し上げるに適当なものがございましたならば、御報告することにさせていただきたいと思います。
○鈴木強君 期限をつけたか、口上書に。
○国務大臣(愛知揆一君) これは最もすみやかに、たとえば、中には四月一日に始まると予定しておるものもございますから、こういうことを即時とめろということで、そしてトロヤノフスキー大使も、先ほど申しましたように、ただいま直ちに本国に通報すると同時に、本国側の態度をできるだけすみやかに随時連絡、御報告をする、できるだけの努力をするということは約束いたしておりますから、もう期限というよりも、非常にもう急ぐ問題であるという角度で取り上げ、このことは大使も十分認識しておると思います。
○鈴木強君 それから、政治的背景。
○国務大臣(愛知揆一君) その政治的背景については、ですから、先ほど来申しておりますように、そういう点については的確にお話し申し上げるだけの、私も、心証等、情報をまだ持っておりません。しかし、これはなかなか注意を要することであるという心証は私受けておりますから、したがって、十分の努力をいたしまして、背景などについてもひとつ十分調べてみたいと考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回のソ連の軍事演習につきましては、目下外交当局が処理している分野でございまして、われわれのほうはまだ直接タッチする分野ではございません。しかし、いかなる意図でああいう行動をやるか、まことにわれわれとしても了解に苦しむところでございます。一方において、万国博覧会でソ連館なんかが人気があるというのに、これじゃおそらくお客さんも少なくなるんじゃないか。万国博覧会に対して軍国博覧会を土佐沖でやられるんじゃたまらぬ、国民は歓迎しない、こう思います。 最近、あの土佐沖の海域にソ連の艦船が二隻遊よくしております。それから、最近、ソ連は陸軍国だけではない、われわれは海軍国でもあると、ソ連の総司令官がそういうような言明もいたしまして、インド洋やその他に相当な艦隊等を派遣しておりますが、そういうような力を誇示するという意味もあるのではないかとも想像されます。それで、最近の情勢は、大体日本海を中心に約百隻以上の潜水艦がソ連のほうにあると思われ、相当数は海峡に出没しております。それから、いわゆる「東京急行」というような、北海道の沿岸から銚子沖まで下ってくる偵察飛行は昨年よりもふえております。それから能登沖に対しましては、かなりの低空で飛行機群が近接しているという状態がございますし、対馬海峡につきましては、同じく飛行機群が千メートルぐらいの超低空で東シナ海のほうに抜けていくという情勢もございますし、それが沖繩の外縁の方向に向かって飛行しているという状態もときどきございます。今回どの程度の飛行機が来るかわれわれはわかりませんが、おそらく、かりにやるとすれば、「バジャー」というタイプではなくて、「ベア」というタイプであろう。それで、日本の外縁を回ってあの海域に来るとなりますと、低空で来る場合にはあまり滞空時間がない、しかし高空で来る場合にはかなりの滞空時間がある、そういう意味でどういう空域を通ってくるかということもわれわれとしては相当の関心事でございます。 それから情報につきましてはもちろん海上保安庁と同時にこちらもキャッチしておりまして、海上保安庁と密接な関係を持ってまいりました。防衛庁としては、もし万一、軍事演習を強行するような場合に、われわれのほうの船舶の被害その他を救難、防止するために万全の措置をとる必要がありますし、また、飛行機等がわが領空に近接するような領空侵犯のおそれがある場合には、こちらも当然スクランブルをかけて警戒を要する、そのほか万般の必要な措置をとるようにしなければならぬと考えております。
○国務大臣(橋本登美三郎君) この外国からの航行警報、これは船舶の航行の安全に影響する問題でありますので、水路通報としてお互いに慣習的に、国際慣習としてやっておるものであります。 この今回のソ連の爆撃の影響は海運関係でも相当ありますが、特に航空路の上においては非常な影響がありまして、数字で申し上げますというと、いわゆるアンカレッヂ方面の千島の東側の地域は大体この期間中で七十九便が影響する、時間的には約三十分だけ迂回をしなければならぬということになります。それからCの区域、これは日本海の方面ですが、これでは大体期間中十四便、約四分——こまかい点はよろしゅうごさいますか。四分のおくれをとることになります。また、危険区域のD、いわゆる土佐沖の方面では非常に数が多くなりまして、大体において百四十四便、時間的には約六分のおくれ。これがために金額としては漁業ほどではありませんが、相当の金額を受けるであろうということであります。 なお、最近いわゆるソ連の爆撃演習というものは非常に増加してまいりまして、海上保安庁でこれを、警報を受け取ったといいましょうか、受信した数から見ましても、最近では四十三年には大体において十六件、これは沿海州付近がおもであります。その次、カムチャッカ方面で六、千島列島付近で二、それが四十四年では沿海州が十六、韃靼海湾海域で十七、カムチャッカ半島付近で十一回、千島列島付近で十七回、択捉付近で六回、樺太海域で二回、四十五年になりまして、これは今日までのわずか三カ月の間ですが、沿海州付近で十五回、韃靼海湾海域で六回、カムチャッカ半島付近で五回、千島列島付近で四回、択捉海域付近で二回、今回のような日本の本土に近いところ及び土佐沖等でやった例は最近においてはいまだかつてなかったのであります。 ただ、われわれ業務を担当する省からいうならば、これはソ連に限らないと思いますけれども、この種の危険を伴う軍事訓練あるいは平和利用でもけっこうですが、そういうような危険なことを行なう場合には単なる無線通報だけじゃなく、前もって文書をもっていわゆる通告をしてもらう、こういう措置をこれは考えてもらう必要があろうと思う。いまから二十年、三十年前のように、太平洋あるいは空がからっぽである時代はかまいませんけれども、最近のこの二、三十年間、いわゆる海運といいましても、航空にしても、空も海も一ぱいなんでありますからして、いかなる地域でこのようなことを行なうにしても、これは平和なる業務を達成するためには影響があります。そういう意味では、従来の国際慣習が無電をもって行なうことになっておりましても、これからはできるだけ文書をもって前もって通達をしてもらう、こういうことにしませんというと、あるいは手抜かりがあって間違いが起きるという例がないとは言い得ないのでありますからして、実は外務省に向かってもその点もお願いをしようと考えております。なお、先ほど周波数等の事務的な問題でありますが、これについては海上保安庁長官が来ておりますからして、海上保安庁長官から周波数その他事務的なことは御報告させます。
○政府委員(河毛一郎君) ただいまお話のございましたコールサイン等につきましてお答えを申し上げます。私どもが航行警報を聴取いたしました局でございますが、これはソ連の商船省ウラジオストック無線局が発信局でございます。使っております周波数は五〇〇KC、中波でございます。それからコールサインでございますが、UFL、UIK、この二つがございます。
○矢追秀彦君 三点お伺いしたいと思いますが、最初にこういうふうな問題が起きる場合、やはり公海の問題、公海自由の原則というのがありますけれども、これはたとえ公海は自由に航行できるとしても、やはりそこにそのまわりの国の国益を損ずるようなことがあってはならない、そういう議論はかなり国連の委員会においても起こっておるわけでありまして、特にこの国際法委員会においては、すでにその海洋法草案というものが提案をされて、その中にもそういう問題がうたわれている、こういうふうにも聞いておりますし、これはちょっと文献を持ち合わせませんので記憶になりますので、あるいは不確かな点があるかと思いますが、たしか一九五八年の第一回のジュネーブの海洋法会議におきましても、この公海の航行の問題が出たときに、軍事演習を公海上でやってはならない、そういう議論が出たということを記憶しておりますが、軍事演習を絶対公海ではやらないということがきめられると、いろいろななかなか実現しにくい問題があると思いますが、特に公海でもかなり陸地に近いそういうとこら辺での公海ではそういった軍事演習をやらない、そういう方向は私はかなり出せるんではないか。そのときの議論ではたしかソ連が賛成をしてアメリカが反対をした、そういうふうに記憶をしておりますけれども、したがって私は、今後日本の政府として国連におきまして、こういう公海の使用という問題について、特にその国の陸地に近いところの公海におけるこういった軍事演習というものは避けるべきであるというふうなそういう主張を、そういうことを私はもっと強くやるとともに、できればそういう法律の中に盛り込むようなことがとれないのかどうか、それに対する政府の所信をまず第一点でお伺いしたい。 次に、いま中曽根防衛庁長官からもありましたが、やはりソ連の考えておりますアジア集団安保構想というのがありますが、これの一つのあらわれではないか、このような見方もあるということを新聞で伺いましたけれども、このソ連のアジア集団安全保障構想に対して現在の日本のとっておるこの安保体制というものははたしてどうなるのか、今後の方向としてどうなるのか、こういう点、ソ連が出てくるのは、ソ連がこういうふうな態度に出てきた、だから日本の防衛体制をこうするというのよりも、私はむしろ日本が日米安保条約を持ち、また昨年の総理とニクソン大統領との間のあの共同声明における、何か軍事的にまたアメリカと強く提携をし、韓国の問題あるいは台湾の問題等を含めますと、やはりそういった面でまだソ連を刺激する点があるのではないか。そういった点も、ある程度、ただいろいろな文化協定とかそういう親善の交渉をしていくだけではなくて、やはりそういう軍事面においても何かソ連を刺激するような体制になっておるのではないか。特に、現在の自衛隊のあり方は、中国向けというよりもソ連向けということが強いということも感じられますし、そういう点でどのようにこれから対処されるのか。 最後にもう一点、総理にお伺いしたいんですが、やはりこういう問題も出てきますので、ソ連との間に、まあ領土問題という非常にむずかしい問題はありますけれども、やはり日ソ平和条約という線へ積み重ねの努力をされる必要があると、このように思いますが、この日ソ平和条約の締結についての総理のこれからのプログラムというものをお伺いしたい。 この三点を関連でお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもちょっと触れた点でございますけれども、まず、条約的な角度からのお尋ねにお答えをいたしたいと思いますが、一九六二年から効力が発生されております公海条約、これは日本も参加いたしておるわけですが、念のために申し上げますと、その第二条に、「公海は、すべての国民に開放されているので、」云々云々と、そして、「主権の下におくことを有効に主張することが」、各国とも、「できない。」、これはいわゆる公海自由の原則がうたわれているわけでございますが、「この公海の自由には、沿岸国についても、非沿岸国についても、特に次のものが含まれる。」ということで、「航行の自由」「漁獲の自由」「海底電線及び海底。パイプラインを敷設する自由」「公海の上空を飛行する自由」という四つがあげられておりまして、「これらの自由及び国際法の一般原則により承認されたその他の自由は、すべての国により、公海の自由が他国に与える利益に合理的な、考慮を払って、行使されなければならない。」ということが、この公海条約にも、御承知のように、明確に規定されてあるわけでございますから、条約的に言えば、この最後に私読み上げました「合理的な考慮を払って、行使されなければならない。」ということについての「合理的な考慮」が払われていないではないかということが、条約的に言っても、わがほうの主張の根拠に私はなると思うのでございます。さらに、それ以上に、政治的、あるいは両国の親善関係ということがさらにこれに対して付加されると、これがわがほうの主張である、かように考えるわけでございます。 それからさらに、ただいま一九五八年の海洋法会議に御言及になりましたが、これはまことに興味のあることであるとも思いますけれども、ソ連は、その当時において、ブルガリア、アルバニア両国とともに三国提案をしておりますが、その中に、航行の自由を制限する海、空軍の射撃練習区域または他の戦闘訓練区域は、外国の海岸に近い公海上または国際海路上においてこれを設定してはならない、これがソ連を含む三国の提案として一九五八年のジュネーブ会議に提案されたわけでございます。この点は、私、先ほど申しました、昨日のトロヤノフスキー大使との会談においても、特にこの点についてもソ連側の関心を喚起するように、この点はポイントアウトいたしておいた次第でございます。 第三の問題については、総理から御答弁があると思いますけれども、私は平和条約を結ぶことは両国のために非常に必要であると思いますが、わがほうとしては、領土問題さえ解決すれば、いつでも、直ちに平和条約締結の用意があるということは、前々から内外に明らかにしている日本政府の態度であるということは御承知のとおりと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 平和条約を締結することのスケジュール、どういう考えかという矢追君のお尋ねだと思いますが、ただいまそこまで考えるような状態ではございませんので、私は日ソ間の友好親善を一そう深める、そういう努力をして、しかる上でただいまのような平和条約、これができ上がるものだと、かように思っております。ただいまは、いま、そういう問題に触れるという時期ではないように思っております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 安保条約、集団安保というお尋ねでございましたが、これはむしろ外務大臣の所管事項でございますが、こういうことが行なわれても、安保条約や、われわれの防衛方針には何ら影響はございません。日本の防衛というものは、憲法以下に定めるところに従って専守防衛ということに徹してやろうと思っておるのでありまして、自分で行なうことを謙虚にやっていくという立場は、こういうことによっていささかも影響あることはございません。むしろ、こういう国際礼譲に反するようなことが自分の国の玄関先で行なわれるというようなことがあれば、かえって、国民の皆さんは安保条約や、自主防衛の必要性を痛感されるのではないかと私は思います。だといって、これに乗ずるというような、そんなやぼな考えは持っておりません。
○向井長年君 関連。今回のこのソ連の演習を新聞でながめ、先ほど外務大臣から報告を聞いておりますと、これは日本本土を目標にしたような演習のように私は考えるわけです。そこで、これに対して特にソ連側はあまり深刻に考えていないような報道のように聞くんですが、特に防衛庁長官にお聞きいたしたいんですけれども、通常演習であるから通報の義務はないというようなことが新聞に出ております。通常演習と特別演習とどういう違いがあるのですか、これをまずお聞きいたしたいと思います。 なおまた、国際法上、公海においての通常演習であればこれは通報しなくてもいいが、特別演習であれば通報しなければならぬことになるわけですか。そして、いま外務大臣から、矢追君の御質問に答弁されましたが、条約上の「合理的な考慮を払って、」云々ということがございましたが、こういう問題については過去において慣例がございますか、他国においての慣例があるかどうか、そういう点。 最後の一つは、日本政府が、もし、それが実施された場合において損害を受けたときには損害賠償要求の権利を留保する、こう言われておりますが、これは国際法上当然だと思うのですが、これはどういうことなんですか。国際法上そういう場合においては、当然これは要求もできるし、賠償しなければならぬ、こういう結果になっておるのか、その点をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 「合理的な考慮を」云々をめぐりまして、外国相互間に見解の相違、あるいは具体的な紛争があったかどうかという御質問でございますが、これは具体的な事例はあまり従来なかったようでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、念を入れて精査いたしまして、何かございましたら御答弁申し上げることにいたしたいと思います。 ちょっと、もう一つ落としましたが、損害賠償については先ほど申しましたが、万々一の場合を考慮いたしまして権利を留保しておりますが、これは国際法上当然の要求と考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の聞きました範囲では、通常演習とか特別演習とかいう区別なしに、演習一般はモールス信号その他によって海上の船舶や各国に一般的に電波で通知するというやり方が慣行だそうであります。特別に外務当局を通じて通報してくるというのは特例ではないかと、こういうことを聞いております。
○小野明君 いまの橋本運輸大臣の御答弁の中に、もうカムチャッカあるいは日本近海のかなりの周辺において再々演習が行なわれておった、こういうお話がございました。今回の事件が傍受によってしか察知し得なかった、このことがきわめて私は遺憾なことだと思います。現地には大使館もあることでもありますし、今回のような突発的なニュースということにならないように今後万全の配慮を外務大臣にお願いをいたしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともな御意見でございまして、実は従来カムチャッカあるいは沿海州方面におきまして、この種のことがございましたときにも、日本政府といたしましては、ソ連側にいろいろの形で申し入れをいたしておったわけですが、ただ率直に申しまして、今回のような日本の近海ということと多少状況も違っておりましたが、そのときのこちらの申し入れによりまして、演習を若干計画を変更したりいたしましたことはございますが、基本的の態度は、先ほどの公海条約の解釈などにも関連してまいりますが、適当な考慮ということの中に含まれているようなものではない、したがって、これは人命等の危険を予防するために事前にかなり前広に水域を、航路通信と称するものでございましょうか、無電でもってかなり前広にこの水域に関心を持つ漁業者その他には通報していたんだから、それでいいではないかというような態度が大体ソ連の従来の態度であったようでございます。しかし、ただいま仰せのように、今回こういうふうな日本近海にこういうことが、日本側としては突然に外交ルートを通しての接触も何もなしに、無電で傍受するというような事態が起こりましたことは非常に遺憾であり、かつ日本側としてもこの事件に対しまして、非常に私どもとしても考えなければならないことを痛感いたしましたので、今後はこういうことが起こらないようにできるだけの努力を払いたいと考えております。
○小野明君 さらに、今回の当然のわが国の要求に対して、ソ連はおそらく聞き入れてくれるのではないか、こう考えられますけれども、この見通しは一体どうなのか、もし不幸にして——不幸にしてこの演習が行なわれるという事態になった場合の措置は一体どのようにお考えになっておるのか、お尋ねいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 現在といたしましては、わがほうとして昨日の夕方、もう正式、公式の申し入れをしておるわけでございますから、わがほうの要請が達成できるようにこの上とも全力をあげたいと、かように考えております。 ただ、先ほど申し上げましたように、今度の水域は四水域でございまして、比較的には本邦から遠隔なところの水域もございますが、これについても私は昨日注意を喚起いたしまして、それらも含めて万一の場合に損害賠償の権利を留保すると申しましたのもその点にあるわけでございます。この辺のところを御了察いただきたいと思います。
○小野明君 もし演習が行なわれた場合に、当然漁業をやっている者あるいはいろいろな被害に対して保全の措置をとらなければならぬと思うのですが、そういった際にはどういう措置になるのか、海上保安庁が当たるのか、あるいは防衛庁が当たるのか、いろいろな当たり方があると思うのですが、どういう措置をおとりになるお考えなのかということをお聞きいたしておるわけです。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 万一、外務省の交渉によって中止されない場合、その場合の危険区域に対する対策は海上保安庁がこれをやります。事前において各方面にも周知徹底せしめて、この地域は非常に危険であるから寄りつくなという事前の通知をすると同時に、またその期間中においても海上保安庁の船等を出しまして、そうして安全を期する対策を、いつもこれを講じておるわけであります。
○小野明君 漁業保障の問題について一体どのようになっておるのか、御答弁がなかったように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 今回の事件につきまして、取り急いで調査をいたしておるわけでありますが、範囲が広いものですから、まだ詳細なものはございませんが、能登地方ではサケマス漁業底びきでございます、これはマス、エビなどでございます。大体この時期には九百隻出漁いたしまして、大体二億円と計算しております。それから、四国南方ではカツオ、マグロ漁業でございます。ここではこの時期に千六百隻出漁いたしまして、これは約三千万円ほどであります。北千島東方は底引き網漁業でございまして、これは航行の道筋でございますので、これは非常に、損害を計算すればたいへんなことになるわけであります、迂回いたしたり。ここを通りますのは大体百五十隻であります。これは遠洋でございます。カムチャッカ西南方は底引き網漁業、カニ漁業、スケソーダラ、タラバガニ、イバラガニ、これは二百三十隻、一億七千万と言っております。この地域は、いまソ連とカニ交渉をしておるその地域も包含されます。これは一応取り急ぎ取りまとめました船及びその漁獲高のあらましのことでありますが、しかし、こういうことが真実行なわれるということになりますれば、漁業者の恐怖心等がかり立てられて、それによる損失というものはちょっとはかるべからざるものが出てくるのではないかと、こう思っているわけでございます。
○小野明君 それでは、この問題を終わりまして、公害の問題、それから社会保障の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まず、総理にお尋ねをいたしたいと思いますが、公害防止に対する基本的な態度についてお尋ねをいたしたいと思います。 総理の施政方針演説をお聞きをし、また読み返してみたのでありますが、いろいろこの偉大な七〇年云々ということばは見当たるのでありますが、この七〇年代のきわめて大きな内政上の問題として重大な考慮を払わなければならぬ公害の防止につとめるというおことばはきわめて少ない。長い施政方針の中に公害という文字が二つあるだけであります。これは比較をして悪いのですけれども、ニクソン大統領の環境汚染に関する教書というものを見ますと、御承知のように、水の汚染、大気汚染、あるいは固型廃棄物等五項目、三十七項目にわたってきわめて意欲的な内容というものが盛られておる、十分な金もつけて対処しようとされておるのであります。まあ事情が違うといえばそれまでの話でありますけれども、どうも総理のこの公害問題に取り組む姿勢の弱さというものが感じられてならぬのでありますが、最初にひとつ御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 施政方針と大気汚染についての教書と、これを比べられては、いまおことばにありましたように、それは困るんです。施政方針演説で基本的な問題は私ども取り上げて、これは明確にしております。したがって、これは軽視したものではございません。したがって、いろいろ具体的の問題等についてはこれからいろいろお尋ねもあろうかと思いますが、私どもこの内閣は公害問題を軽視しておらないということだけ申し上げて、基本方針を施政方針演説でも述べているじゃないか、それをひとつ御理解いただきたいと申し上げておきます。
○小野明君 軽視をしておらぬということは重視をしておらぬということにもまあことばじりをとるようですが、なりかねぬのであります。まあおいおいお尋ねをしてまいりたいと思いますが、私感じますのは、公害防止の基本法の中に、第一条に、産業の発展との調和をはかると、こういうことばが公害対策との間に述べられておるのであります。この辺が、大気汚染防止法にもありますし、それから水質保全法あるいは騒音、それぞれ代表的な法律の基本的な事項として盛られておる、あるいはその精神が政令、末端まで続いておるのであります。この点に関して、やはり公害対策のしんが抜けるのはこの辺にあるのじゃないか。これは公害というのはやはり政府あるいは企業、地方自治体一体になってやらなければならぬものですが、この辺がどうも隠れみのになってしり抜けの公害対策になっておるのではないかという気がいたします。また公害法である限り、こういうことはうたわぬでもいいんではないか、こういう気がいたすわけでありますが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この点は別に誤解があってはならないと思います。また私も、いまお尋ねになりましたことを誤解してはならぬと思っております。いわゆる近代産業というものは、それはやはり国民のしあわせ、住みいい社会、そういうものをつくるために進歩発展があるのだと思っておりますし、経済そのものもそういう意味で役立たなければならない。しかし、経済発展の陰に、ただいまのような公害という住みにくい状態が出てきております。これは一体何事だという御批判であり、またわれわれが取り組まなきゃならないのはその点だと思います。公害のない世界とかように申しましても、原始的な時代、それに返れと、かようなことを言っているわけじゃないんで、この点も私ども誤解してはならない。しかしただいまのように、その二つのものがお互いに背反している、それをいかに調和するか、ここに問題があるのだと、かように思っております。したがって、私はいまの小野君のお尋ねも十分理解したつもりでおりますし、またわれわれの態度についても、まだその公害のほうにもっとはっきり対策を明示しないと、いま私がかように申しましても、調和をとるのだというその点がやや理解がされておらないと、こういうこともございますから、さらに私どもも反省をいたしますが、とにかく世の中は進歩し、どんどん新しいものができていく、またそのことは必ず国民生活、それに役立つものでなければならない、またそういう方向にわれわれがくふうすれば必ず役立つ、かように思っております。まあたとえば一つの例で、自動車そのものをとってみましても、自動車がわれわれの足となり、げたから自動車にかわることによってたいへん変わってきておると思いますけれども、かもし出す大気汚染、これなどは何とかしてくふうしてこの大気汚染を防止することはできるんじゃないだろうか、かように思いますし、もうその基本的な石油産業等について、硫黄の脱硫装置を積極的に進める、こういうことは必要だと思います。これからまあいろいろお尋ねがあることだと思いますが、やはり企業者の責任、同時に国、地方団体等がいかにしてただいまのような公害対策を進めていくかと、こういうことが最も大事なことだと、かように私は考えております。
○小野明君 この三月上旬に東京で、国際的な社会科学者が集まりまして、環境汚染に関する国際会議というのを開かれたのは御承知だと思います。その結果、東京宣言というものが発表されておりまして、きわめて大きな示唆を与えていると私は見ているのであります。それで、施政方針を引用いたしましてなんですが、やはり総理なり大蔵大臣の施政方針あるいは財政方針を見ましても、GNPというものをやはり人間の幸福をはかるものさしであるかのように書かれていると思うのであります。しかし、これの急激な経済成長というものがやはり物価の上昇を生み出しあるいは公害の深刻化、特に国土の狭いわが国でありますから、非常に深刻な公害を起こしておる、しかもそれを防止するための費用というものもまたばく大にのぼっておる、こうなると、GNPそのものによって人間の幸福あるいは国民生活の福祉の度合いをはかるという考え方はこれは変えていかなければならぬのではないかという気がいたします。この点はいかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近開かれたシンポジウム、その東京宣言、これでやっぱり指摘しておるものは、近代工業化、都市化、その二つだと思います。これが最も大きないまの傾向だ、そうしてただいま言われるような問題が至るところに起きておる。日本の国は最も激しいと、こういう見方もありますが、アメリカから来た方に、君のところは国土がたいへん広いからこういう問題はあまりないだろうと言うと、いやそうでもないんだと、アメリカのあの広い国土でやっぱりニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスの三都市にはそういう問題があるのだ。またEECから出てきたベルジウムの方に公害問題について話すと、最近の都市の都市化、都市集中化、これはなかなか激しい状態だ、われわれの地方においてもそのことが盛んに行なわれている。そこで、最近いままでも、もとの都市を守っておると言われるパリはどうだ、ブリュッセルはどうだという話を聞いてみると、もう昔のような面影はだんだん消えて新しくなりつつある。そこにいまの新しい問題が起こるわけであります。でありますから、私は近代国家の一つの悩みだと、そしてそのことが、公害が起こって住みにくい都市になりつつあるにかかわらず、しかも、どんどん膨張しつつある。ここらに一体どういうわけでそうなるのか。本来ならば、その住みにくいそういう都市化現象というものは何かブレーキがかかってしかるべきだと思うが、やっぱりいまのように住みにくい公害が発生していると言いながらも、どんどんその都市が膨張している。これがいま困った現象がございます。そこで、ただいまのそういうような状態に対していかにわれわれが対処していくか、こういう近代的な問題がある。この場合に、やはりいまの国力の尺度、それは一体何なのか、また、国民生活の尺度は一体何ではかるのか。かようなことを考えてみると、公害はずいぶんあるが、やっぱりGNPというものが一つの尺度ではないか、かように私は思います。したがって、いろいろシンポジウム等を開きましても、やはりGNPが一つの基準であり、尺度であるということに変わりはないようであります。私は、いまお尋ねがありましたが、いまのような矛盾がありながらも、やっぱり都市化、都市が集中、膨大化する。そこらにやっぱり尺度は、この生産、GNPというものじゃないだろうか、かように思います。しかし、GNPが、しからば直ちにその数字そのものが国民生活の向上、幸せにつながっているかというと、そうでもない。ただいま御指摘したように、また御指摘のありましたように、これはやっぱりGNP、これが増大すると同時に、公害対策の費用もそれだけやっぱりふえていかなきゃならない、かように思っております。私は、本年度の公害に対する白書はまだ出してはおりませんが、予算的な推移をごらんになれば、政府がいかにこの公害対策に真剣に取り組んでおるか。最近、ことに両三年の間にどんどん進んでいきつつある。しかし、まだまだ予算的にも不十分なら、制度的にも不十分な点が多々あると思います。これらの点も、さらに皆さま方のお知恵も拝借して、制度的な不備あるいは法制的な不備等もこれから補っていかなきゃならない、かように私は思っております。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまの御議論は、先般のシンポジウム等でもいろいろと議論が出たところでございます。そこで、これについて二つ考え方がございまして、この一つは、最近経済企画庁でも一応研究は進めておるんですが、公害のほかに、そのほか、たとえば交通の災害であるとか、国民生活の環境全体に対する指標をどういうふうにして数字的にあらわすか、こういう問題があるわけです。これはひとつ公害だけでなく、全体を考えなきゃいかぬわけですが、それを物量的に、つまり非貨幣的にあらわす手法をいろいろと研究をいたしております。非常にこれはむずかしいもののようでして、まだほんの研究の緒についた程度なんですが、これはこれでわれわれとして大いに進めていかなきゃならない。 それからもう一つ、GNPにつきましてはいま総理がおっしゃいましたように、今日のGNPは御存じのように、あくまで財貨・サービスの表現であります。でありますが、先般の会議でも、いまやGNPの額だけでは国民の幸福の指標たり得るには不十分である。そういう意味で公害によるところのものを差し引く必要があるというような一部の学者の議論が出たことは事実でございます。現にGNPの計算のときに、自然災害あるいは火災等の災害はこれを資本減耗として引いております。でありますから、この公害について、もし計算できるものならば、そういう方法も一つの方法だという議論は当然出たわけです。ただ公害と言いますと、単に資本のコストというものに限られない、もっと精神的、人間的な損害まで含めるかどうか、いろいろむずかしい問題がございます。今後これらをよほど経済学、社会工学、いろいろの見地から研究しなければならない問題でありますので、もう少しこれは検討に待たなければならない課題である。いずれにしましても、しかし公害ということが私たちにとって単なるGNPの計算だけでなく、大きな問題を提供しておる、これも事実でございます。なお、今後検討を進めたいと、こう思っています。
○小野明君 総理の御答弁の中にもGNPを基準にはするけれども、それから、社会的な費用というものを差し引くべきだ。こういうお話がありました。企画庁長官の御説明の中に、一部の学者からそういう意見が出た。東京国際シンポジウムに集まりました一部の学者から出たのだ。こういうふうなお話、御答弁でありますけれども、実は私も調べてみたんですが、これをそういった社会的な損失というものを数量化すべきである。また、それがどのような被害であるか、その因果関係を明らかにしていく、こういった作業あるいは数量化する作業というもの、そうして、そこに国民生活向上の指標とすべきである。こういう点は経済企画庁が出されました四十四年度の年次経済報告の中にちゃんと書いてあるわけです。どうも一部の学者がというふうな言われ方をしますと、どうも納得がいかないのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) どうも言い方がまずかったかもしれません。まあ先般はレオンチェフ教授をはじめ有力な学者のその話は、だいぶ出ていることは事実でございます。先ほど申し上げましたように、経済企画庁では、もっと広範な、単に公害だけでなく、もっと広い意味の研究を、まあ開始し始めているところでございます。これは今後われわれがどうしてもやらなきゃならぬ問題であることは御承知のとおりでございます。
○小野明君 総理にお尋ねいたしたいと思いますが、公害の責任というのは、第一義的には、企業にあるわけであります。その辺がどうもわが国の産業界では徹底を欠いておると、やっぱり総理がGNPに重点を置かれたお考えである。その点が、やはり何か影響と言いますか、そういうお考えが浸透しておりまして、産業界に、自分のところでまず公害防止の第一義責任をとっていくのだという考えが非常に徹底を欠いておるという気がいたします。 先般も一酸化炭素についての環境基準をきめました。続いて運輸省で、自動車の排ガス規制を行ないました。ある新聞に、そのあと、この排ガス規制は二年に一度の車検であるし、自賠責はこれはだれでもかかるけれども、二年に一度の車検ぐらいならいつでもチェックできると、どうにでもできると、だからこれはざる法だと、こういうふうなことも言われておるのであります。この辺でこういった声が、あながちこれはこういった主要中古車業者といいますか、主要家庭車の業者のみではないのではないか。この辺にどう徹底をさしていくかということを総理にひとつお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんむずかしい問題——理論的には非常にはっきりした問題、だが取り扱い上はむずかしい問題です。企業責任、これはもう——しかし、現に発生した公害そのものが一つの企業者の責任である場合には、これは対策も立てやすいのです。しかし、お互いに一緒になりましてかもし出すような大気汚染というような問題になってくると、これはなかなかむずかしい問題だと、かように思います。したがって、そういうむずかしい問題については、むずかしいなりにやはり対策を立てなきゃいかぬし、また責任者のはっきりしておるものについては、直ちにその責任を問うと、こういう形が望ましいのではないだろうかと、かように思います。私は、自動車の排気ガスの大気汚染、この問題等についてもだんだん基準が高まりつつあること、これなぞもやっぱり時勢がかようにならしめていると、かように思っております。したがって、こういう問題を十分論議し、そうしてお互いに納得のいく程度に持ち上げていくと、まあそこにいわゆる調和という問題があるんじゃないだろうかと、かように思っております。
○小野明君 運輸大臣に先ほど申し上げたように、業者のことばもあるわけです。今回おきめになりました排ガス規制というものはそんなざる法なのかどうか。それからなお一酸化炭素、それからブローバイガス、炭化水素のですね、その点は規制をしてあります。なお、この炭化水素の他の二部門あるいは窒素酸化物等については検討中と、このようにあります。一括してお尋ねをいしたますが、まあガスというものは総合的に出るものですから、その辺の規制はどのようになるのか、あわせてお尋ねをいたしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 総理からお答えがありましたように、やはり問題は二つの面からこれを規制していくといいますか、考え方でいかなくちゃならぬ問題があると思います。一つは、これはメーカーがやはり考えなくちゃならぬと同時に、できました問題については、国が何らかの措置をとらざるを得ないという二つの問題があると思いますが、せんだっての閣僚会議で、御承知のように一酸化炭素の排出ガス対策の方法をきめまして、その一酸化炭素の原因は、何といっても自動車が発生源の大部分を占めておるわけであります。そこで、今般の一酸化炭素の環境基準の決定にかんがみまして、自動車の排出ガスの対策の強化をやることになりまして、現在動いておる車につきましても、これをある一定期間をおいて規制を行なうと同時に、特にアイドル時間、その時間における一酸化炭素の濃度の検査を、これをひとつ徹底的に調べる。また新車に対しましては、これは多少の時間的余裕も必要がありますからして、明年の一月から軽自動車及びLPG自動車もこの中に加えると、こういうことで、規制の対象範囲を拡大して積極的な措置を講ずることにいたしておるわけであります。また一酸化炭素の低減が出てまいりますというと、また窒素酸化物というものが残って、あるいはよけい発生するという現象があるわけであります。これが目下、この対策はなかなかめんどうでありまするが、運輸技術懇談会等でこれの対策を練っておりますので、できるだけ早い機会にこれが計画を実施する、こういう段階で進めてまいっておるわけであります。
○小野明君 次に、厚生大臣にお尋ねいたしたいと思います。 この対策というのは、事後対策から予防に進行していかなければならないものだと思いますが、産業、経済、運輸、こういった活動については、きわめて広域に汚染をしてまいるわけですね、大気汚染。そういたしますと、いまの対策というのは、大体地方自治体単位になっておるわけですね。これは公害防止計画を見ましても、県あるいは市単位と、こういう大体県が単位になって組まれておるわけであります。ところが脱硫の技術開発がまだできない、見通し立たない——あとで聞きますけれども、すぐ実用にならないという事態から、煙突を高くするだけの対策になりますと、かなり広域に汚染をしてまいる。地方自治体単位の汚染対策というものは広域的な対策に変更しなければならぬのではないか。そうしなければ手おくれになっていくのではないかと思います。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 大気汚染等につきましては、広域防止対策の見地からこれを取り上げなければならないところにきておりますことは、小野さんお説のとおりだと私は思うものでございます。大体この公害対策は、沿革的には各地方がそれぞれの住民に対する直接的な施策としてとってきたものも多いわけでございますけれども、国としては、いまのような広域的な見地から、基本的なことは国で取り上げていこうということで、公害防止対策基本法をつくりましたり、あるいは大気汚染防止法をつくり、あるいはまた水質保全法というようなもので、一方においては地域の施策としながら、最大公約数的なことは国できめていこうと、こういうことになってまいっております。もっとも騒音等につきましては、まだ地方の段階にまかせるものも多いわけでございます。さらにまた厚生省といたしましては、広域監視測定網というものを、したがって整備する必要があることにかんがみまして、四十四年、四十五年からこの方面の予算も組みまして、そうして都道府県の範囲を越える助成もいたすことにいたしております。
○小野明君 広域監視測定網の整備をおやりになると、こういうことであります。ところがそれだけでよろしいか。まあ中央の場合は公害対策会議というのがありまして、総理がこの会長をなさっておられる。しかし実際はばらばら行政になっておる。それが、その弊がこの公害防止対策ではやっぱりぬぐえない。まあ一朝にしてぬぐえないといえば、そういう議論も成り立ちますけれども、中央ではばらばらの行政である。しかし、それが全部ひとつ地方自治体にいっておる。これを受け入れ得るかどうかという能力もありますけれども、やはりその地方自治体に幾らかつないでこの対策をしていくというのは、やっぱりこの監視測定網だけの整備というのでは、機構の上からいって、やはり問題があるのではないか。あるいは制度の上からいいましてですね。その辺で、測定網だけではなくて、さらに整備をすべき問題は何なのか、この点をお尋ねをしたいのであります。
○国務大臣(内田常雄君) まず、小野委員が御指摘の、中央においては公害対策がばらばらだということにつきましては、かりにこれを厚生省一本にまとめることも不可能ではございませんけれども、たとえば環境基準を設けるとかあるいは地方の防止計画をつくるとかいうようなことをやりましても、実際、いまお話が出ましたように、自動車の排出基準を押えるのはやはり運輸省にやってもらうことが一番よろしいし、鉱山や工場からのこれまた排出基準を現実的に取り締まってもらうのは通産省にやっていただくことが一番実効ある措置だということで、中央公害対策会議とかその他連絡会議をつくりながら、各省が分担しつつ、その音頭を、私どもが、人間の健康を守るという趣旨から、とらせていただいているというところでございます。これを地方に移しますときには、各省が協力して、建設省までも含めました施策を協力して、先ほどお話にも出ました、たとえば千葉市原地区の公害防止計画でありますとか、あるいはまたこれからも東京、神奈川、大阪、名古屋等の方面に、必ずしも一市町村に限らず、場合によっては、やや広い範囲もとりながら、この公害防止対策というものを都市計画の面の上におっかぶせるような形でつくってまいるということでやっておりますこと御承知のとおりでございますが、不備な点はこれからまたいろいろ御指摘いただいてやってまいりたいと思います。
○小野明君 公害防止計画というのがありまして、これが結局中央のいわばばらばら行政というものを一手に地方で統一して引き受けなければならぬようになっておるわけですね。これは厚生大臣がおっしゃるように、それぞれ国できめるもの、なすべきこと、あるいは県でなすべきこと、自治体がやるべきことといろいろありますから、その辺はわかるわけです。そこで、今度は受けるほうの地方自治体ですね、これは自治大臣にお尋ねをいたしますが、この国の公害防止計画、これを受ける側の地方自治体にとりましてはどういう悩みがおありになるのか、問題点があるのか、ひとつ説明をいただきたい。
○国務大臣(秋田大助君) 公害問題は申すまでもなく地域の問題であり、地域住民の福祉に直接関係のある問題でありますので、対策は基本的な対策を国で立てられましても、受けるところは地方公共団体であり、沿革的にも現状もまたそうなっておるわけでございます。そこで、これが総合的に受ける能力があるか、私はあると思い、またその機能をさらに強化すべく措置も自治省として指導してまいらなければならぬと思っております。これは体制的にも整え、かつ、その体制下の組織の実力をも付するようにしなければならない。で、体制的には各地方公共団体でこの専門的に管理の課あるいは係というものを置いておるところは、課で二十八、それから係で十七、まあ、各都道府県、一県を余すのみで、あと全部組織的にはこの点はできておると聞いております。なお、これには各地方で基本の公害対策を議する審議会もございます。これは都道府県は四十三できて、あと三つ余しておる。市町村のほうでは百五十一組織ができて、これは少し足らないかと思います、三千に余る市町村段階に百五十一でございますから。しかし、これは全部も要らないかもしれませんが、実情に即してここらの組織を固める必要があろうと思いますので、指導してまいりたいと思います。そしてこれが対策に関する行政機能を発揮するには監視体制と、問題もただいまございましたが、最近はやりではございませんが、これに科学的に十分対処するためには、私といたしましては、今後情報化社会の新しい情報処理手法等も取り入れまして、万全を期していきたいと考えております。予算措置といたしましては四十三年交付税の中で十二億円、本年度は三十億円を予定をいたしており、特交で四十四年中四億、その他地方債の中にそれぞれ配置をさしておりまして、地方公共団体としてもできるだけの予算措置もするように今後講じていきたいと思っております。ただ問題は、ただいまも御指摘がありましたとおり、広域的にこの公害というものは広がっていくものでありますから、一つ一つの府県単位だけでなく、広域性の連絡強化という点、また対策については機動性を発揮するという点等を考慮して指導してまいりたい。ことに中央との関係においては中央の縦割り行政とひとつ十分連絡を密にするようにお互いに各省配慮をしなければならぬ。この点は閣議等でも逐次また随次関係閣僚協議をし、心配をいたしておるところであります。しこうして、地方と中央とは相互いに住民福祉の共通の目的のために協調、連絡を密にするように、この点も配慮すべきものと思っております。
○小野明君 きれいな御答弁でありますけれども、私は実態を知っておりますだけにかなり実態と違いがあると思います。地方自治体はまずこの公害の専門職員がおらぬ。これに一番困っております。それからもちろん金がない。こういう点に困っている。結局、だれがやるかというやり手がないというのにたいへん困っている。ところが、総理は公害対策会長でありますが、この公害問題はやはりそれこそ上から下までと言っては語弊がありますけれども、確実に実行できる法体系を整備するというのが政府の責任であろうと思います。ところがそれをこなし得ない地方自治体があるというのが地方自治体の実態であるとすれば、これはたいへんであります。実際は地方自治体はそういう職員の不足や、あるいは金の不足ということで非常に問題になっておるのですが、現状と、今後の問題としてどのようにお考えになっておられますか、再度お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) それは各公共団体、地域によってもだいぶ違うようでございますが、小野さんが御指摘のような公共団体のあることも十分うなずかれるところでございます。そこで、地方におきましてはそういう職員の指導といいますか、研修といいますか、そういうような体制もまずとっていくべきだと私は考えます。 次に費用の点につきましては、これは先ほども御議論がございましたように、その費用の全部または一部は場合によっては企業者にこれを負担させることができるような仕組みも法律のもとにおいてはできておりますので、この点につきましても、だんだん費用分担の範囲等につきましても詰めてまいりたいと思います。それから法律の二十三条、基本法の二十三条にも、国は地方公共団体のとる公害防止対策の費用について財政上、金融上便宜の措置をとるべき旨が書いてございますので、そういう点につきましても私ども十分配慮をいたしてまいらなければならないと考えます。
○小野明君 まあ、その問題とも関係がありますからお尋ねをしたいと思いますが、経済企画庁長官、水質の汚染についてでありますが、これは三十一日に一応の答申がまとまって、今後の水の規制というものが本格的に進んでまいるように伺っております。この問題で、これは話が、例が小さくてたいへん恐縮でありますが、北九州の小倉に紫川というのがあります。これは四十三年の経企庁の告示によりまして調査対象水域、これは小倉から若松の間という広い指定をされておる。これは二級河川ですから、この河川をはずしては調査対象水域なんてあまり意味がないわけですね。ところが、これは昨年の二月の五日に、上水道に使われておる川ですが、カドミウムが〇・〇一四、基準が〇・〇一ですから、かなり上回ったものが発見されておる。あるいは亜鉛が発見されておる。クロムが出ておる。これがそのまま県に上がってこなかった、県も経企庁に申請してなかった、こういう問題があるのですが、この問題は一体どういうふうな経過になっておるのか、きのうも通告しておきましたから、お調べいただいたと思いますが、御報告をいただきたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまの紫川の件でございますが、私どもの調べたところによりますと、今回の基準は、御存じのように、流水の中で〇・〇一PPMですか、これに対して、この場所におきましては排水の中で〇・〇〇二もしくは〇・〇〇八、つまり〇・〇一PPMより非常に低い水準になっておる、こういうふうな調べになっております。その結果として、現状においてはあまり弊害がないだろうという感じを持っておるのでありますが、しかし、いま御指摘になったような数字は私も初めて聞きましたから、これはよく至急調査をしなければならぬと思います。もちろん、御指摘のように、これをこえるというような数字でありますれば、これは大事なことでありますから、さっそくそれに応じた排水規制等の措置をしなければなりません。目下のところ私どもつかんでおる数字は申し上げたような程度になっております。
○小野明君 いま長官が発表されました数字というのは、これはいつの調査であるか、どこがおやりになった調査なのか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 二年前くらいから逐次やっておりまして、九州産業大学ですか、ここに委嘱してやった調査であります。
○小野明君 そうしますと、去年の二月五日の調査、これは市がやりました調査ですが、この調査の数字よりも以前のものですね。この数字が出ておるとすれば、当然この規制の対象、環境基準の対象になると思いますが。
○国務大臣(佐藤一郎君) 最近の分は四十四年七月の分であります。
○小野明君 そういたしますと、これはずいぶん私が聞いております数字と違いますですね。私はこれは再度お調べいただきたいと思いますが、二月五日に九大と九産大、これは北九州市が委嘱したかどうか知りませんが、その調査、しかもカドミウムが〇・〇一四、ほかにコバルト、ニッケル、鉛、銅、メチル水銀、ありとあらゆる汚染物質が入っておるのであります。しかもこれが調査対象水域からはずされる、こういうことはたいへん不届きなことだと思いますが、これはどういうことなのですか、私のほうの間違いですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 一番最近のものは先ほど申し上げました七月ですが、これはときどきやっておりますから、それでいま御指摘の二月五日の分は、これはやはり先ほど申し上げたように〇・〇〇二PPM、これは坑内水の洗鉱廃水ですね、ですから本来非常に濃いはずのところです。濃いはずのところでこの程度になっておる。それ以下同じような程度のものが種類別に出ております。ですから、あるいはこれは何かの行き違いもあるかもしれませんから、なお調査をしてみたいと思います。
○小野明君 そうしますと、これは、この川は当然小倉−若松間の指定の地域でもありますし、紫川というのが指定になるのは間違いございませんね。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま申し上げましたように、調査をいたしまして、その結果によって判断したいと思います。
○小野明君 それで、この二十六日に審議会が答申を出されておりますね、答申の大綱ですか。三十一日にも水質の環境基準へと一歩歩を進める対策が出されるようでありますが、今後の問題点としては、長官としてはどのようなことをお考えになっておるのか、お示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、今回の環境基準の設定にあたりましては、人命に関係するものと、それからいわゆる生活環境一般にかかわるものと、二つに分けまして、そうして人命にかかわるものについては即時実施をする、生活環境にかかわるものについては地域によりましてある程度の猶予期間を設けて逐次実施をしてまいるということでございますが、いずれにいたしましても、やはり基本は、排出規制の強化をさらに進めていかなければならない、対象を広げなければならないということで、御存じのように、法律を今回出しております。それからまた、その基準も、これも強めていかなければならぬ、水域も広めていかなければならない、これはもう早急に水域の拡大をやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、いずれにしても、それらをいわゆる防止するために、さらに広範な配慮が必要であろうと思います。下水道の施設の整備も促進しなければなりませんし、それからまた、今後いろいろな大きな工場団地やあるいは住宅団地を設定する際のいわゆる土地利用の計画、立地についての配慮、そういうようなことも考えなければなりません。あるいはまた、先ほどからお話が出ております監視の体制、測定の体制、これらについては、地方公共団体にも助成を行なって、そうしてやってまいりたい。あるいはまた、御存じのように、最近は日進月歩でこの方面の技術開発が進んでおりますから、このほうの技術開発をやっていかなければならぬ、できるだけの方法を講じてまいりたいと、こう考えております。
○小野明君 今回の案を拝見をいたしますと、五年ないし十年と、こういう年数をお考えになっておるようです。ところが、これでいきますと、湖沼群、あるいは海域群、いろいろ分けましても、これだけ長い十年なんというものをおきますと、あるいは五年なんというものをおきますと、もう河川の様相が変わってしまう、もうできたときには全くほかのものになっていたというようなことになるのではないかと心配されます。この年数は長過ぎるように思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 今日の都市化の現象からいたしまして、率直に言いまして、私も少し長いと思います。そこで、これは、この役所の仕事というのは、ほんとうの規制が確実に一滴漏らさずできるというような気持ちで、つい大事をとりがちでありますが、私の考えでは、これは五年後を原則にする。五年でも考えようによっては長いんですけれども、人命に関するものは即日実施いたします。いわゆる環境保全についての分だけは、場所によりまして下水道の整備その他に時間のかかるものがあります。そういう意味において、大体五年原則でやってまいりたいと、こういうふうに考えております。
○小野明君 次に、総理にお尋ねをいたしたいと思います。 大気汚染についてであります。まあ大気汚染といいますもののわが国の対策を考えてみますと、去年亜硫酸ガスをやりましたね。それから硫黄酸化物ですね。それからことしの二月になりまして一酸化炭素、こういうふうに非常に有害物質の規制が一つずつおくれてきておる。ところが現実には複合汚染である。大気汚染というのは複合汚染である。浮遊粉じんあり、あるいは窒素酸化物あり、あるいは降下ばいじんというものが非常にたくさんある。その複合汚染、それらの物質の相乗効果というものがありますわけですが、それらを総合的にとらえないで——もちろんこれは硫黄酸化物だって重要ではあります。重要ではありますが、要素を一つずつ引っぱり出して次から次にやっていく、この次はまあ窒素酸化物だというようなことも言われておるようでありますけれども、やはり総合的に、計画的にやるということが方針に示されておる以上、やっぱり複合汚染としてのとらえ方をして、そうして総合的に同時に手をつけていく、こういうことをいたしませんと、いつまでたってもこの汚染というものはなくならぬではないか。そういった意味では、わが国の大気汚染公害防止計画の策定というのは重大な誤りをおかしてきたのではないか、このように考えています。この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話は、まあ重大なるあやまちというよりも、たいへんおくれているんじゃないかと、そのほうが適当な表現ではないだろうかと思います。私どももいま大気汚染と取り組む、あるいは水質汚濁にいたしましても、先ほど紫川の話が出ましたが、私も若いときに門司に勤務していたのでその話を知っておりますが、紫川もたいへんきれいな水が流れておった。その当時は魚もたくさんすんでいた。最近の河川の汚濁、毒物等が出てずいぶん魚が浮上する、死ぬ、こういうような話が多摩川自身でも出ております。こういうような事柄もあわせて考えていかなければならない。だから汚水が流れ込む状態、一つの基準はこしらえましても、それがやはり複合的にいろいろの悪影響をかもし出しておるんだと、かように考えますので、それに対する対策を立てなきゃならない。 一つの問題をとりましても、水質汚濁についていま議論をされましたような点についても、そういうことがございますが、大気そのものについては、ただ煙突を高くし、そうして一つ一つを上げるだけでは、これは事足りるわけではございません。いま言われるように、複合汚染というものと、やっぱり相当取り組まなきゃだめだと思う。それは御指摘のとおりでございます。わが国の公害対策がおくれておると、したがって、最初に小野君からも指摘されて、産業ばかりに重点を置いた結果じゃないかと、こういうような御批判まで受けるようになっておると、こういうように思いますので、私どもも一そうこういう問題とも積極的に急いで取り組むべきじゃないだろうか、かように私は思っております。
○小野明君 厚生大臣にもお尋ねしたいと思うんですが、粉じんというのはきわめて重大な汚染要素になっております。窒素酸化物も同様でありますが、これらの今後の規制の計画ですね、今後どのような方針であるか、あるいはさらに通産大臣にもお尋ねしておきますが、降下ばいじんというのが非常にわが国の汚染には多いわけですね。この点の排出規制というのが大気汚染にきわめて重要な要素でありますが、厚生大臣に引き続いてこの問題についてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 御承知のように、ばいじんの中に降下ばいじんと、またそれよりさらに粒の小さい浮遊粉じんがあるわけですが、粒の大きいほうの降下ばいじんは、最近燃料が石炭から重油に切りかえられたことと、もう一つは、企業における集じん装置というようなものがかなり進んでまいりましたために、近年におきましては非常に降下ばいじんは減ってまいりました。そのかわり浮遊粉じんは、落ちついておったと見えましたところが、最近は、いまおっしゃったように非常にふえておりまして、この中には微粒重金属のような非常に有害なものも含んでおりますので、私どもといたしましては、まず二段のかまえをいたします。その一つは、浮遊粉じんにつきまして環境基準もつくるんですが、それよりも前に、一そう浮遊粉じんの排出基準をことしじゅうに厳重に改めます。続いて浮遊粉じんにつきましての環境基準というものをつくるべく、ただいま検討を進めておりますので、御承知をいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) いま厚生大臣のお答えになりました排出基準の強化については、私どももできるだけ、全面的に協力いたしたいと思っています。それからなお、集じん器の改良などにつきましても、必要な指導を行なってまいります。
○小野明君 それから、これは通産大臣ですが、間接脱硫、直接脱硫、それぞれ研究をなさっておるようでありますが、多額の費用がかかったにもかかわらず、あまり効果があがってないというような話も聞くのでありますが、これの現状、さらに産業廃棄物の処理の研究等についてはどのようになっておるのか、あわせてお尋ねをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 排煙脱硫につきましては、一応工業技術院で長いこと時間をかけまして技術的には今回完成いたしましたので、すでに一、二の電力会社が実験的にこれを採用しておることは御承知のとおりでございます。なおそこでいろいろ費用がかかるといったような問題も聞いておりますが、これにつきましても、必要があれば工業技術院等からさらに指導していきたいと思います。直接脱硫は、今年から大型のプロジェクトとして工業技術院で研究を始めるところでございます。なお御承知のように民間会社ですでにやったところもございますが、相当の費用がやはりかかるので、工業技術院の技術を完成させたいと思っております。 なお、それから、いわゆる廃棄物でございますが、高分子の廃棄物の処理については、世界各国ともまだこれという対策がないところでございますが、これも工業技術院で新たにそのような廃棄物をどのようにしたら処理し得るかという研究をいまいたしておるところでございます。なお、別に産業構造審議会には、廃棄物の処理についての部会というものを新たに設けまして、その面からも検討を進めておるところでございます。
○小野明君 いまの御説明ではちょっとわかりにくいところがありますが、排煙脱硫については実用化のめどがつかないというようなことはないのか、または重油脱硫については、この稼働率といいますか、非常に低いといいますか、パーセンテージ、歩どまりが悪い、こういう話も聞くんですが、もちろんわが国の科学技術でこれが克服できるのかどうかという問題もありますけれども、それらの見通し等も含めましてお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 排煙脱硫は、先ほど申し上げましたように、すでに一応工業技術院の段階を終わりまして、東京電力の五井と中部の四日市ですでに実際に採用をして実験をしてもらっておるところでございます。それから直接脱硫につきましては、これから工業技術院が技術を完成しようとしておるところでございますが、その辺のところ、ちょっと私にもそれから先が、むずかしい御質問にお答えできませんので、工業技術院の院長がまいっておりますから、要すればお聞き取り願います。
○政府委員(朝永良夫君) 現在脱硫は、重油の脱硫を中心といたしまして、外国からの技術導入等によって実施されておるものがございます。これは一応の成果をおさめておりますが、性能等にまだ問題がございますために、工業技術院といたしましては、大型プロジェクト研究制度によりまして研究開発を現在行なっておるわけでございます。このうち排煙脱硫技術につきましては、昭和四十四年度でもってほぼ所期の成果をおさめまして、大型プロジェクト制度によります研究開発を終了いたしまして、現在電力業界が中心となりまして、実用化を目ざして追加研究を行なっておる段階でございます。電力業界におきましては、これらの研究成果をもとにしまして、開銀融資等の助成を受けまして、昭和四十五年度中に実用規模に近い設備の建設に着手するはずでございます。総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会の報告のとおり、この運転経験を生かしながら、昭和四十七年度以降、実用規模装置の建設に着手することができるものと考えられます。一方の重油の直接脱硫につきましては、昭和四十六年度までの予定で、現在やはり大型プロジェクト制度によりまして研究開発を進めておりまして、現在のところ、ほぼ順調に研究は進捗していると考えております。
○小野明君 次に、総理にお尋ねをいたしたいと思いますが、カネミライスオイル事件というのを総理は御存じでしょうか。また、この事件をもし御存じでしたら、どのようにごらんになりますか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ詳しくは厚生大臣から答えさしていただきますが、私もこの痛ましい被害者に対しまして、心から同情しておるものでございます。ただいま、いろいろの措置がとられておりますが、こういうものが一日も早く健康を回復されるように、かように私念願しておるような次第でございます。以上で、 あとは厚生大臣に。
○小野明君 厚生大臣にお尋ねをいたします。 これは前大臣も、公害病に準じた扱いにする、あるいは前々大臣も、この医療費の立てかえ払いを即刻やるのだというようなことをおっしゃられたわけです。ところが、一向にそのとおりにならぬというのが実態であります。そこで、ぜひこの内田厚生大臣によって解決を願いたいと思うのですが、やはりこの現状をどうするかという問題と今後の問題とあります。で、現在患者が一番ほしがっておる問題は、要求しております問題は、やはり治療対策、治療方法の究明をどうするか、どうしてくれるのだと。それからもう一つは、やはりこの生活保障——一家全部入院をいたしましたり、あるいは廃人同様になっておるわけですから、市販のものを、油を食べましてそうなっておるわけですから、これは彼らの罪、患者の罪だなんていうことはもちろん言ってはとんでもないことですから、これは当然国なり地方自治体なり、あるいは企業なりが救済しなければならぬ問題ですが、この治療方法の究明、それから生活保障、この点は一体どのように考えておるのか。
○国務大臣(内田常雄君) この事件は、全く患者の方には罪も責任もないことでありまして、私はお気の毒千万に思います。しかし、これはもう原因が非常に当初からはっきりいたしておりまして、カネミ倉庫株式会社のぬか油製造過程における誤りから生じたものでありまして、会社のほうでもその責任を感じておりまして、御承知のように、治療の場合における負担、自己負担分でありますとか、あるいは通院費といいますか、交通費といいますか、あるいは若干の見舞い金のようなものを出しておるところでございますし、また、訴訟にもなっておるわけでございます。政府といたしましては、したがって、この病気が非常に難症でありまして、診断治療の方法もまだ確立されていないというような状況でございますので、事件が起こりました昭和四十三年、また四十四年、それぞれ数千万円の予算を捻出をいたしまして、これの診断治療対策を、一つのチームを編成をいたしまして、ある場合には大学の医学部にお願いをいたし、また他の場合には、これらが関西地方に広がっておりますので、それらの各地域の大学の医学部の専門医等の方々に御協力いただきまして、現在でも厚生省の医療機関が中心になりまして、カネミオイル対策本部というようなものをつくりまして、診断治療のことにつきましては、四十五年も引き続きまして、できる限り予算を捻出いたしまして、その治療診断対策を究明をしてまいる所存でございます。 もう一方のほうの生活保障につきましては、これは私の聞いておりますところにおきましては、地元の福岡県、北九州等では、生活資金の貸し付け、最高十五万円までをもやられているということでございますので、これは私の私案といたしまして、国でもこれ、世帯更生資金というような制度が、このことに関連なくしてあるのだから、これの適用によって生活資金というようなものを低利長期の貸し付けの方法について研究すべしということを、私が就任直後、担当のほうにも申しつけておりますので、何らかそういう方向をもとってまいりたいと考えております。
○小野明君 厚生大臣、答弁抽象的でありまして、困るわけです。治療対策には、この治療方法の究明には幾ら予算を充てる、そして継続してやらせるのだ、あるいは生活保障は、いまある制度の中からどのようにしてやるのだと、こういう御答弁がいただきたい。
○国務大臣(内田常雄君) 診断治療対策といたしまして、昭和四十三年度には千八百五十二万円を支出いたしております。四十四年には、これは厚生省のお金千九百余万円と、それから科学技術庁のほうの放射線医学総合研究所のほうに使わせるお金一千一百余万円、合わせまして三千万円ぐらいのお金を使っております。四十五年度におきましては、厚生省が、この場合のみならず、このような場合に特別に支出し得る研究費が一億一千万円ございます。そのうち幾ら出せるかということを、これは先生御承知のように、ほかにむずかしい病気がございますので、それらとのかね合いにおいて、でき得る限り私はこのほうから支出いたしたいと思います。 それから世帯更生資金のほうは、これは最高限度があるはずであります。私の記憶では三十万円ぐらいが最高限度であると思いますので、その限度内において、どういう方法で出すかということにつきまして、その方法を検討せしめておりますので、できるだけ早く何らかの私は対策を講じてまいりたいと思いますが、いま現在では、この瞬間では申し上げられません。
○小野明君 厚生大臣、いま一億一千万あるものの中で、私が聞いたところでは、大蔵省のほうでは全然それはないのだ、ゼロだ、こういうふうに言われておるという話も聞くわけです。それからいま三十万円を限度としてと、こうおっしゃるけれども、地元の県議会ではある程度の世帯更生資金の数字というものが何か出ておるように私は伺っておるわけであります。もしおわかりであるならば大蔵省の見解も含めて、そうして、この内容について世帯更生資金を使うなら世帯更生資金の内容についていま少し御説明いただきたい。
○国務大臣(内田常雄君) 大蔵省のほうとは全体としての話をつけまして、その中から幾ら出すかということにつきましては、私どものほうの判断で出さしていただくことになっておるそうでございます。世帯更生資金の貸し付けの方法、限度等につきましては、もともと無理かもしれないものを、私がやるべしということで検討さしておりますので、もうちょっとお待ちをいただきたいと思います。
○小野明君 わかりました。それでまあ期待をしておきたいと思いますが、今後の問題、食品公害がこれほど非常に多くなってまいっておる。しかも、それはわりあい中小企業が多くて、公害を起こしやすい状態にあると、こう言わなきゃならぬ。カネミのような事件が起こりましたのは、やはり現行の食品衛生法に私は問題があるのではないかと、こう考えておるわけであります。で、これは御検討なさっておると思いますが、この食品衛生法の盲点をいろいろ補てんをしていく、新たな立法をおやりになっていくのか、あるいは改正でいくのか、この点はどのようにお考えなのか。さらに、経済企画庁のほうで食品法というようなものも何か検討されておる、食品規制法ですか、そういうふうなお話も承るのでありますが、まず食品衛生法についてどのように改善するのか、厚生大臣の見解を伺います。
○国務大臣(内田常雄君) 食品衛生法という非常に広範な事態に対処し得る法律がございまして、事衛生に関する限りは全部私のほうで実はタッチすることになっておるわけでございます。ところが、その法律にタッチいたしますのは人間でございまして、地方公共団体の食品衛生監視員の方々が主としてこれの指導監督あるいは検査等を行ないますが、その数が全国で五千四百人余りでございます。ところが、専任者は千人内外でございますので、これに対応いたしまして食品衛生法上タッチする業者というものは頭数にいたしまして二百七十二万人ございます。しかも食品衛生法に基づく政令によりましてこの種の業者には一年に何回タッチすべし、何回検査すべしということがきまっておりまして、一番事情の重い業者に対しましては一年に十二回タッチすることになっておりますので、したがって、法令どおりタッチいたすといたしますと、たしか延べで千七百万回タッチしなければならぬということになりますので、したがって、いま申しましたような食品衛生監視員、また私どものほうの中央に二十人ないし三十人の食品衛生監視員がございますが、これらは輸入品の監視に当たっておりますので、したがって、法律の改正だけでは対処し得ないという悩みがございます。しかも、食品衛生監視員は、ただ高等学校、大学を出たしろうとではだめでございまして、医師とか、獣医師とか、薬剤師とか、それぞれ専門職でありますので、実際問題としてこの補充ができないという悩みがあります。そこで、私どもは自主監査といいますか、その食品関係の業者に自主的に食品衛生管理というものを義務づけるというようなこともいたしつつ、できる限りこれに対処してまいりたいと思います。なお、カネミ事件のあと、食品衛生法に基づく政令も改正をいたしまして、無理を承知で、この事業許可業種の範囲をふやしたり、あるいはまた自主監査、管理者を置くような、その業種をふやしたり、表示義務を特に加重したりもいたしております。小野さんがあとからお尋ねになりました経済企画庁におきまして、食品法の改正ということにつきましては、食品の問題が他の見地から、たとえば公正取引委員会であるとか、あるいは農林省等においてもタッチする面がございますので、総合的に食品行政をという意味でこの食品行政検討会というものを企画庁中心でやっていただいておりまして、場合によったらこれは消費者の指導面をも含めたり、あるいは不当広告防止等の面をも含めましたコンプリヘンシブな、そういう食品消費者指導法というようなものをつくることについて野心的な検討もいたしておるわけでございますが、これもできるならばやってまいるべき事項であると考えます。
○小野明君 そういたしますと、食品衛生監視員をふやしていく、あるいは衛生管理者、このカネミには置かなくていいようになっていたわけですね。これを置くようにした、そういう程度のものであって、この食品衛生法自体を、これを改正するというようなことはお考えになっておらぬわけですか。
○国務大臣(内田常雄君) 私は正直に申しまして、改正したほうがいい点も考えられます。しかし、先ほども申しましたように、幾ら改正いたしましても、その監視、監督をいたす人間の問題がひっかかるのが一番の悩みでございます。
○小野明君 これから先はあれですが、ぜひひとつ先ほども患者の生活保障という問題、治療対策の問題、さらに食品衛生法については、やはり抜本的に、今回のような事件でもこの欠陥というものは出ておるわけですから、またこれほど大きな食品公害ともいわれるような事件を起こしておるときでもありますから、ぜひこれはひとつ改正をすべきではないかと思うのです。この前、衆議院で総理も、食品添加物の総点検をやる、こういうようにおっしゃっておられるようですが、このものすごい食品公害に対処するためにもぜひひとつこの改正か、あるいは新規立法をお考えになっていただきたいと思いますが、最後に総理の御見解をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの御意見を交えてのお尋ね、私しごくもっともなことだと思います。最近はどうも食品添加物に非常に問題があるように思います。ことに自然のままではなしに着色した食品が非常に多い。これなどはまあ物価問題のやかましい際に、着色までしてそういう値段を上げるまでもないだろうと思いますし、またそれが人命その他にも影響する、かように考えますので、これらの点についてやはりもっと取り締まりというか、そういうものも総点検をすることは、これは当然ではないだろうかと、私はかように思っております。そういう意味でいま督励しておる最中でございます。私はそうして添加物が適正に添加されるという、そういう状態がかもし出されるならばけっこうでございますけれども、なかなか化学的な添加物、これは一見よろしいようでありますが、いろいろ弊害が起きておる、かように思いますので、これは非常に厳重に取り扱わなければならない問題だと、かように私は思っております。
○委員長(堀本宜実君) 小野君の質疑の途中でありますが、午後一時十分まで休憩をいたします。 午後零時四十分休憩 —————・————— 午後一時二十分開会
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 午前に引き続き、小野君の質疑を行ないます。小野君。
○小野明君 先ほどカネミライスオイル事件の患者の生活保障という問題で、厚生大臣の答弁が若干違っておるところがありますから、再度尋ね直します。 それは厚生大臣は、三十万、世帯更生資金と、こうおっしゃったんだけれども、それは生業資金の誤りでありまして、世帯更生資金をどうするか。これは現在は七千円ですが、この点は一体どうされようとするのか、重ねてお尋ねしておきます。
○国務大臣(内田常雄君) 世帯更生資金の中にはいろいろな用途があるはずでございます。その中には毎月生活資金のように数千円ずつ貸し付ける制度もございましょうし、あるいは何かちょっとまとまった仕事をするというような場合には、最高三十万円までお貸しをするという制度もあるはずでございます。そこで私が、それはどういう形にするか、ひとつ検討のまだ過程にありますからということを申し上げたわけでございまして、借りたい方の状況に沿いまして、毎月お貸しすることの場合がいいのか、あるいはその仕事の関係で何かまとめて借りたいという場合もあるのではないかというようなふうにも考えられますので、その辺どの種目に当てはめて貸し出すかということについては、検討をもうしばらくさしていただきたい、こういうことで私は考えておりますので、一括して三十万円以下でいくのか、あるいは月々でいのかというようなことにつきましても、もうちょっとしばらく検討さしてお預けをいただきたい、かように思います。
○小野明君 厚生大臣、その生業資金の三十万円ももちろん要る。しかし世帯更生資金というのは現在あるわけですから、これはどちらもやはり貸す方向で検討なさるのかどうか、その辺をさらに前向きの答弁をひとつ願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 実はほんとうを申しますと、私もしろうとでございますが、この事件を聞きまして、私は何かこれに対処すべきだ、厚生省の関係では、世帯更生資金の貸し付け制度というものがあるはずだから、地方公共団体でさえも何かの貸し付けをやっているのだから、そういう制度を、いまある制度を厳密に解釈するとなかなか適用にならぬかもしれないが、その辺若干弾力的な考え方でこれに対処するように検討をしてほしいということを、私のほうの省内の当局に私が申しつけた、こういうことでございますので、多少弾力性を持たして考えさしていただきたいと思います。前向きでやりたいと思います。
○小野明君 それでは次の問題に進みまして、総理にお尋ねいたしたいと思います。 これは総理も企業責任、公害は第一義的には企業の責任であるということをお認めである。そうしてこれは法にも規制してありますし、多くの人をこれだけ傷つけあるいは殺すということは、イタイイタイ病その他についても同様でありますが、一体公害罪というものを新設をすべきではないかと思いますが、この辺の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 公害罪、これはもちろんものによってはもうすでにこれこれのことをすれば、そういう者は起訴されるというか、そうしなければならないことになっております。そういう規定もございますが、いま言われるのは一般的な公害罪というものを規定しろ、こういうことだろうと思います。私は、やはり刑法上にそういう問題があってしかるべきだ、かように思います。法務省で、法制審議会でいろいろ審議しておる。なかなかむずかしい点もあるようでございます。しかし、むずかしい点がいずれもあるに違いございませんけれども、とにかく個人の権利は尊重すると同時に、この種のものについて、そういう罪名をつけた条文があってしかるべきだろうと私は思いますので、こういうような点がどんな調査になっているか、小林君からお聞き取りいただきたいと思います。
○小野明君 法務大臣にお尋ねをいたしますが、これは大臣がかわるたびにいろいろ見解が出まして、混乱をするわけですが、現在検討されております内容について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) 公害というものが、経済成長に伴って非常に激甚になってきておる。したがってこれを防止するためには、第一次的には行政官庁の指導とか規制とか、こういうものにまつべきだと思いまするが、しかしそれだけでは十分でない。ことに、私ども見ておって、公害に関する法律が幾つか出ておりまして、その法律の中には基準を設けたりあるいは改善命令を出す、こういうことが規定されておって、これにそむいた場合には懲役または罰金を科する、こういう刑罰規定もありまするが、従来これが実行された例がほとんどない、こういう状態でございます。 しかして、いまの激甚の程度、あるいは世論、こういうものからして、公害というものを単に行政罰の対象としてとどむべきではない、すなわち自然犯として、刑事罰の対象としてとらうべき時期である、かようなことがいわれておるのでありまして、私どももさようなことに考えております。 いま総理がお答えしましたように、法制審議会においてこれを検討しておりますが、これは刑法の一般問題として検討しておりますもので、たいへん長い期間を今後要するであろう。そういうものにまかしておくべきでない。こういうことを私どもも考えまして、これらの問題は非常な困難な問題であります。ことに単一の企業がそういう罪を犯した場合には非常に単純でありますが、公害そのものは、あるいはいろいろな原因が集合したり、複合したり、あるいは多数のものが全体として公害になっている、こういうふうな非常な困難な問題があるのでありまするが、しかし、困難があっても、困難だからできない、こういうことでは許されない、こういうことでありまして、いま私どもは事務当局に刑法とは別にして、公害防止に関する罪、こういうふうなものをひとつ単独法で出すような方向に持っていくべきだ、こういう考えで検討いたしておりますが、何ぶんにも行政法規にはいま大気汚染、あるいは水質汚濁、あるいは騒音、あるいは地下水の汲み取りと、いろいろの法規がありますが、私どものいまの検討の対象としては、やはり大気と水質の汚濁、こういうふうなものに大体限定されるのではないか。その原因によって生命身体等に危険を生ぜしめた、こういうものはひとつ自然犯としての対象にいたしたい、こういうことを考えております。 しかしてまた、あるいはお尋ねがあるかもしれませんが、検討検討でいたずらに日を過ごすべきではない、こういうふうに私ども考えておりますので、法務当局の責任においてひとつこの問題を処理し、検討すべきだということで、その検討を始めておる、こういうことでございます。では、いつになるか、こういう問題も出てくると思いますが、私どもとしましては、何とかひとつこれらの問題については、昭和四十六年の通常国会ぐらいまでには結論を出したい、かようなことで真剣にこれに取り組んでおるということをひとつ御了解願いたいと存じます。
○小野明君 次に文部大臣にお尋ねをいたしますが、学童に対する影響というのが、特に小さいだけにきわめてひどいものがあると思います。そこで、文部省のお考えになっております学校公害の対策のあらましについて御説明いただきたい。
○国務大臣(坂田道太君) 学校公害におきましても、やはり広域にわたる場合が多うございます。したがいまして、学校限りで対策を講ずるということはなかなか困難が多うございます。基本的にはやはり公害発生源を突きとめて、それに対する対策を講ずるということかと思います。しかし、これらの措置が早急にとれない場合におきましては、緊急に措置をしなきゃならぬことは言うまでもないことでございますので、学校におきましても施設対策といたしまして、たとえば二重窓やあるいは空気の清浄装置の設置等の公害防止工事について補助をいたしております。また、これらの公害防止工事で処理できないという場合におきましては、学校の移転対策、これにつきましても補助を行なっております。 また、この公害の児童生徒に及ぼす影響というものがどういうものであるかということに対する調査、研究をいたしておるわけでございますが、昭和四十二年に高等学校以下の公立学校についての被害状況を調べてみますると、被害を受けておる対象校が大体二千校ぐらいございます。こまかい内訳は申し上げませんが、しかし、昭和四十四年度の十月に実は再調査をいたしましたら、さらにこれがふえて三千校にも及んでおる。この四十四年度の十月の詳細の点につきましては、まだいま調査が完了いたしておりませんけれども、そのようなことになっておるわけでございます。
○小野明君 私が知っております北九州のある公害のひどい学校では、降じん量が月に一平方キロで千百七トン、亜硫酸ガスも〇・九九ときわめて高いわけです。その学校の中へ行きますと、教室の中には空気清浄器が入っておりますけれども、廊下はないわけですね。そういうふうに教室の中だけは粗末な空気清浄器で子供はおるけれども、さあ廊下に出ると、廊下自身ももう汚染でいたんでおりますけれども、もう何もない。もちろん校舎全体も非常にいたんでおるという実情であります。そこで、この公害防止計画、国の計画に合わしました指定地域は、やはり学童の身体検査、あるいは学校施設、設備の再点検ということをおやりになる必要があるのではないか。お尋ねいたします。
○国務大臣(坂田道太君) 調査の結果によりますと、かなり北九州とかあるいは四日市とか、その他におきましては、咽喉、あるいはせきが非常に出るとか、あるいはたんが出るとか、それから目をやられるとかいうようなことが非常に多うございまして、全体の調査がございますが、かなり全国平均を上回る、そしてひどい症状が起きておるようでございます。私どものほうでもそういうようなことにかんがみまして、たとえば大阪地区で申しますと、目が痛いというのが一〇・九%、のどが痛いというのが二〇・九%、たんが出るというのが二一・六%、せきが非常に出るというのが三五・八%ということで、かなり汚染校が多いようでございます。そういうようなことに対しまして、やはり大気汚染、それから騒音でございます。その他の公害と思われるいまのような疼痛や、あるいは目やのどの痛み、あるいはたん等の自覚症状を訴える生徒児童が多い、こういう現実にかんがみまして、かねてから実態の把握につとめてまいり、また学校保健関係者の研修会とかあるいは研究会等におきまして、指導を続けてまいっているわけでございますが、学校におきますところの定期健康診断は、公害に起因する疾病の早期発見、あるいは事後措置、さらにはその予防対策をとることについて十分活用されなければならないと考えておりますし、やはり臨時に健康診断を行なうということも必要であろうと思うわけでございまして、これらの地域の公害の実態に応じた健康診断を実施し、公害に起因する疾病の防止につとめるように一そう努力をいたしたい、かように考えている次第であります。
○小野明君 それで、先ほど申し上げた学校はあれなんです。欠席率が三一%、施設、設備も非常にいま申し上げたように問題がある。だからこういうものにやはり点検と言いますか、検査を指定区域だけは強化をしてまいる、こういう方針と承ってよろしいですね。
○国務大臣(坂田道太君) そのようにお考えいただいてけっこうでございます。
○小野明君 そこで、一義的にはもうこれは大気汚染、騒音というものがなくなることが一番根本的な対策としてやらなければならぬ。ところが、この公害で汚染されている地域の学校を建てます場合には、補助率が小学校が三分の一、中学校が二分の一である。ところが空港周辺の法律によりますと十割の補助である。十割で建てる。あるいは基地周辺、防衛施設周辺になりますと十割である。この違いというものは、同じ公害でありながら補助率が違う、国の手当てが違うというのはどういうところに原因、理由がありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 特に騒音が問題になると思うのですが、飛行機による騒音、これは非常に激しい。ところが基地周辺ですね、あるいは飛行場周辺、空港周辺、それと比べまして、ただ単に道路であるというような場合は、これはそれほどの騒音でもない、そういうことで、これは常識的に見てもかなりの違いがあるであろうということで、空港や基地周辺のさような施設に対しましては十割補助をしております。しかし一般のそういう自動車騒音というようなものにつきましては三分の一、こういうまあ大体飛行機とその他の騒音、こういうことで差別をしている。かように御了承願っていいと思います。
○小野明君 その差別は了承するわけにいかぬです。一方は、大気汚染のほうは公立文教施設で全国一律に三分の一、二分の一である。これも公害である。騒音も公害であるけれども、この十割でやる、こういう差別は撤回をしなければならぬと思います。是正をしてもらわなければならぬと思いますが、再度御答弁をいただきます。
○国務大臣(福田赳夫君) 実際上差別があると思われまするので、これは差別がつくことは私はやむを得ないと思います。これは差別を全然なくすというわけにはいかない。しかし三分の一補助の一般の地域につきましても、その七五%、残りの三分の二の七五%は政府資金の起債をやるのです。それから残りの二五%につきましては、これは交付税を充当すると、こういうことをしている。そうして、しかもその七五%の政府資金による起債につきましても、その元利償還について六〇%まで交付税で見ようと、こういうのですから、ほとんど違いはないのです。しかし、若干の違いがあるということは、これはまあ私どもも違ってあってしかるべきであると、さように考えております。
○小野明君 時間がなくなりましたから……、私は、差別があってしかるべきとは考えない。運輸大臣所管と防衛施設庁所管と、文部大臣だけはぐっと低いと、こんなばかなことはないはずです。大蔵大臣の御意見には私は納得しかねるし、文部大臣もおそらくこれは同意見ではないかと思いますが、さらにこれが同じように扱われるという方向で御努力をいただくことをお願いをし、総理にも、この差別は私はおかしいと、同様なこの学校建築のあり方にしてもらいたい、これを要望いたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのは、もし時間があればもっとやりとりがあってしかるべき問題だと思いますが、御要望は私どもよく承りましたので、次の場合には十分考えに入れたいと、かように思っております。
○小野明君 終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で小野君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、山崎昇君の質疑を行ないます。山崎君。
○山崎昇君 私は、内政問題の中でわりあい政府によって等閑視をされておると思われる行政改革の問題を中心にお尋ねをしたいと思うのです。ただ、それに入る前に、いま春闘が行なわれておりますために、公務員の給与関係について一、二点お聞きをしたいと思います。 昨日、わが党の鈴木委員の質問に対して、佐藤総理から人事院勧告については四十五年度から完全実施をいたします、こういう答弁がございました。そこで、大蔵大臣にお聞きをいたしますが、四十五年度の予算案を見ますというと、五月から五%引き上げる。そのための費用として、六百四十三億五千二百万組んであるわけなんです。ところが、いまの春闘の状況からまいりますというと、私は、どうしても昨年以上の勧告になるのではないだろうか。これは推定であります。そうなると、当然この予算案では間に合いませんので、公務員給与に対してどう財政的に対処されるのか、まず大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 最近におきまする物価の状況、それから春闘の予想、そういうものから考えまして、来年度つまり四十五年度における人事院勧告、これはおそらく五%をかなりこえるものであろうと、こういうふうに想定をいたしたわけであります。しかし、その勧告がいかなるものであるか、これはまだわからない。しかし、少なくとも勧告がある、つまり五%以上になるということにはなりそうだというので、その最低額の五%を予算に計上する。こういうことにいたしたわけでありますが、足らず前はこれは予備費をもって支弁をする、こういうことにいたしたいと思います。
○山崎昇君 予備費も昨年よりは二百億ばかり多いのです。しかし、災害その他等の関係から考えますと、この予備費からだけで私は公務員給与が充当されるというふうにはどうも考えられない。したがいまして、補正予算その他を私は予定せざるを得ないのではないだろうか、こう考えるのですが、これは少し先走った見解かもしれませんが、財源的にはそれはもう公務員には心配かけないんだと、こういうふうに私は理解しておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 財源といたしましては、御心配はかけません。
○山崎昇君 そこで、もう一つ大蔵大臣に聞いておきたいのですが、昨年も補正予算が組まれました。そしてこの補正予算の財源を見ますというと、そのうちの三百八十二億九千万というものはこれは節減並びに不用額ということになっているわけですね。そこで私はこの節減、不用額というものを調べてみますとね、毎年度同じ科目で不用額というものが設定をされているのが、四十四年度だけで約二十三項目あります。これも大体一億以上削ったものがあります。特に私がその中でわかりませんのは、飼料需給安定費のごときは、三十一億組んで三十一億そっくりなくなっておる。全部不用額になっておる。あるいはまた、労働省関係の失業保険負担金の場合には、三十五億円がこれまた不用額になっておる。あるいは総理府の恩給費関係を見ますというと、四十三年度は十九億不用額、四十四年度は十七億不用額として計上されておる。そうして四十五年度の予算案を見れば、四十四年度に比べて約二億九千万ばかり増額をしておるわけなんですが、どうもこの不用額という設定から見れば、何十億も不用額を出しながら、わずか恩給費なんかは四十五年度で増額しておる。私は、この不用額というあり方について、予算編成上何らかの欠陥があるのじゃないだろうかと、こういう気がするのですが、これは違う立場でまたやってみたいと思いますが、一応大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま掲げられましたいろいろな例は、大体義務費の系統です。たとえば恩給につきましては、役所をやめられた人が幾らであると、またそのうちで死亡した人が幾らであると、そういうのを推定をするわけです。で、このくらいの恩給費が必要であろうと、こういうふうに算定をするわけでありますが、ところが死亡者なんかになりますと、なかなかこれは実際上変化もあるわけです。そこで不用額というものが、死亡の多い場合におきましては生ずるわけであります。しかし、それを低目に見るというようなことになると、予備費からまた支出をしなければならぬというような事態になりまして、予備費が窮屈になる。私どもは、かねがね申し上げているのですが、総合予算主義だというので、そういう義務費に対しまして、どうせあとで補正予算をすればいいのだというような安易なことでなくて、これはこの予算で義務費といえどもやっていくのだというたてまえから、安全度を見て予算を編成しておりますので、それで不用というような事態もあり得ると、かようにお考えくださっていいのじゃないかと思います。
○山崎昇君 これはまた別な機会にお聞きをしたいと思うのです。 そこで、自治大臣にお聞きをしますが、公務員の給与関係について、地方財政計画で、ベースアップ等があった場合にはどういう措置をされるのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 国に準じまして、五%アップの給与費を財政計画の上において組んでおりまして、これが総額千四十五億円、その中で一般経費のほうの給与所要額が八百六十億円、こういうものを措置をいたしております。なおまあ、もし五%で足らない分につきましては、七百億円一般経費のほうで包括計上いたしております。それのほうから充当をいたしたい、国に準じて処置をいたしたい、こう考えております。
○山崎昇君 重ねて自治大臣にお聞きをしますが、いま国に準じて地方財政計画上で多少見ているようでありますが、これも五%の五月実施ですね。そこで、先ほど来申し上げているように、この勧告が昨年以上になるとかりに仮定をすれば、ほぼこれの倍近くの予算というものを考えなきゃならぬ。そこで、先ほど大蔵大臣からは、国家公務員については財源は御心配かけませんと、こう言う。地方公務員についてもそういう事態については心配かけないと私は確信をしておきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(秋田大助君) 地方公務員の給与は、その改定がありました場合、改定の実施時期も含めまして、これは国の公務員に準じて取り扱うべきものでありますから、ただいま御心配の点につきましては、国等に準じて同様に処置をするつもりでございますから、御心配をかけないように処置をいたしたいと思っております。
○山崎昇君 心配をかけないようにするということでありますから了解をしておきたいと思います。 そこで人事院総裁に、いまの春闘から見て、ことしの人事院勧告はいままだ推定できないかもしれぬけれども、どういう方針のもとにこれから勧告作業をやられるのか。そして、いま聞くところによれば、なかなか公務員の採用が労働条件等とも関連をして中堅職員等は困難になってきていると私ども聞くわけなんですが、そういう意味ではこの人事院勧告のあり方というのはきわめて重要性を帯びていると思うんで、あなたの決意を聞いておきたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 御承知のとおりに、私どもの勧告にあたりましては、きわめて精密なる民間企業の調査の結果に基づきまして官民の水準を突き合わせて、その格差をそのまま勧告の基礎とするというたてまえでやっておりますので、まだ御承知のようにその調査はこれからの関係でございますので予測はできませんけれども、まあ常識として考えまして、勧告は必至であることはもう当然のことと申し上げてよろしいと思います。いまの新規採用の関係では、またお示しになりましたように、私どもとして、採用の責任者として非常に苦労しておるわけでございます。これが初任給の問題に響き、あるいは給与全般の問題にも響くわけでございます。さればと申しまして、民間のいいところを上回るような初任給をきめるわけにもいきませんし、その辺の諸条件を勘案しながら適正なる勧告を申し上げたい、かようなつもりでおります。
○山崎昇君 それでは佐藤総理に行政改革についてお尋ねをしたいと思うんです。実は今度の国会に理総の施政方針演説が出されまして、私も詳細に聞きましたし読ましてもいただきましたが、残念ながら行政に関しては、「行政の能率化」というわずか六文字で終わっておるわけなんです。そして、私の記憶に間違いがなければ、理総が昭和三十九年の十一月に総理になられましてからこの六十三国会まで十七回の国会が開催をされて、そしてあなたは十六回ぐらい演説をやっておるわけなんですけれども、ほとんどこの行政改革については示されてない、熱意が示されてない、あるいは触れられておらない、こう私ども考えるわけです。私はこの問題を重要視をいたしますのは、近代国家は何といっても行政国家にやっぱりなりつつある。そして年々行政需要というものがふえて、行政対象もまたふえてくる。したがって、これをどういうふうにするかは国民の権利義務にも関連をしてまいりますから、きわめてまあ国民生活からいえば密接不可分なんです。ところがなかなかこの行政機構というのは、ほんとうは国民からいって一番大切なんですが、遠い存在になっておる。そういう意味で私は少しお尋ねをしたいのですが、佐藤総理の行政改革に対する基本的な考え方といいますか、決意といいますか、そういうものをまずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 行政機構の簡素能率化、これには積極的に取り組んでおるつもりでございます。御承知のように、私どももこの点で特別な方々に委嘱して、そうして臨時行政調査会等からも答申も得ておりますし、その答申を忠実に実施する、こういうところに政府の役目があると、さように考えております。私自身が官僚の出身でありますが、ただいま官僚のやり方等については十分考えておりますから、いまの行管あるいは臨調等の意見を十分取り入れて、そうして能率的な簡素したものにしたいと、かように思っております。そこで一番問題になりますのは、最近はいま御指摘になったように、行政事務が非常にふえております。ふえたからといってどんどん役所をふやすということでは相ならないと、かように思いますから、その増加という場合にこれを抑止するといいますか押えなければならない、その点はよく守られておると思います。ことに皆さんの御審議をいただいてでき上がりました総定員法、これなぞはいわゆる出血をしないで削減をすると、こういう方向で五%の削減を三カ年間に計画している、これなぞは具体的な一つの事例でもあります。また、どんどんそれぞれが新しい要望はありますけれども、やっぱり一省一局削減と、こういうようなこともとらしたのもただいまのような趣旨からであります。また、特殊法人等の設定等についても非常な限定的な考え方できびしく臨んでおる、これらの処置から、いわゆる施政方針演説に出てないから不熱心だと、かようには判断されないで、実際にやっておることをひとつ十分お調べをいただきたいと思います。
○横川正市君 関連。 この際ですから、人事院総裁にお聞きをいたしておきたいと思うのですが、最近のこの労働力不足が官庁にも相当影響力を与えてきていると思うのですが、この給与体系の中に、まあいわばブルーカラーとホワイトカラーというような分け方は厳密にはできないまでも、現業的な業務をしている者の賃金体系に対してやはり永年勤続者は逐次悪くなってきているような給与表が依然として採用されているわけですが、官庁の中のおもだったところでそのままにしておいて、一般の民間あるいは現業関係に取り上げれと言っても無理なことなんですが、このホワイトカラーとブルーカラーとの関係について、社会の情勢の変化に伴った対応策を講ずべきではないかというふうに考えるわけですが、その点どのようにお取り上げになっておりますか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 純粋のブルーカラーといわれる方々は大体われわれの所管いたします一般職の範囲から除かれて、団交グループと申しますか、そのほうに入っていらっしゃいますけれども、われわれのほうのお預かりしております部門にも現業的な、あるいは単純労務的な仕事に携わっている方がいらっしゃいます。それらの方々については、御承知のように、現在行政職の第(一)表、第(二)表というように分けておりまして、第(二)表のほうで扱っておるわけでございますけれども、これはかねがね私どもとしては待遇の面に非常に留意をいたしまして、最近まあその面においては相当手厚いところまでいっておると考えております。それ以上の根本的な問題になりますと、われわれの宿題になっておりますたとえば職階制の問題などもございまして、そういう根本問題とつなぎ合わせながらやはり考えてまいりませんと抜本的な措置はできないのではないかと、そういうかまえで目下勉強中でございます。
○山崎昇君 いま佐藤総理は、実質的にいろんなことをやっておられると、こういう答弁です。しかし私の見るところ、昭和四十一年の八月にあなたが内閣を改造して新聞記者会見をやられたときに一番力点を置いて述べられておったのは物価でありますし、それから行政機構問題等についてもいろいろ述べられておる。それ以来ほとんどないんです、正直に言って。そして、そのときにあなたは物価の問題にも関連しますが、各省のなわ張りがあるし、むずかしいが、総理が音頭をとって真一文字に進みますと、こう言われている。しかし真一文字に進んだわりあいに物価は上がって、下がったためしはないし、行政改革については、根本問題は一つも解決していない。臨時行政調査会の答申が出てからすでに六年、最近に至りましては行政監理委員会から種々の見解が述べられるけれども、一つもこれはやられていない。ただ末梢的な事務の多少の許認可の改正だとかそういうものはやらなかったとは私は言いません、やった。しかしあとは基本的な問題については一つも何もやってない。ですから臨調の会長をやりました佐藤喜一郎さんは、あなたの行政改革については十五点だと点数をつけておる。学校の成績ならば落第もいいところですよ、これは。ですから、私は幾らあなたがいまそう言われても、さっぱり実績というのはあがっておらない。そこで総理のリーダーシップというものについてどういうふうに考えられて、ほんとうにやられるのかどうか、もう一ぺん聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) この点は先ほども申したとおりであります。とにかく総理自身がこの問題と取り組まないと、いわゆる各省まかせでは各省のセクショナリズム、それにメスが入らないと、かように考えますので、これは御指摘のとおり私がリーダーシップを持つこと、そうしてそれが十分徹底すること、ここに問題があろうかと、かように思います。だから、同一の御指摘になったような御意見どおりに今後も働いていくつもりであります。
○山崎昇君 行政管理庁長官にお尋ねしますが、あなたは一省一局削減、これは当時は木村武雄さんでした。しかし総定員法のときはあなたでしたが、そのときには一省一局削減というのはこれはショック療法である。総定員法はこれは起爆剤である。これが通れば官庁のセクショナリズムはなくしてみせます、行政改革はどんどん進めます、こういうあなた方の答弁でありました、当時。私はそんな簡単にできるものではないんじゃないかということで、かなりいろんなことをお聞きしましたが、胸を張られた、あなた方。その後どういうふうにこのセクショナリズムが直って、どういうふうに行政改革は現実に進んだのか、ひとつあなたからお聞きをしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 各省庁の局部等の整理、これは具体的に進行しておりませんけれども、総定員法が通りまして以来、従来、毎年一万人以上ふえる定員はふえないで済んでおる。そのことが行政の簡素、合理化、少数精鋭の線につながる成果だと思うんでありまして、それが局の削減とかいうことにつながるのについては時間がかかりますけれども、結果はそういうことになるであろうということが期待されると思います。と申しますのは、臨調設置法のときにも衆参両院の委員会において附帯決議がつけられまして、出血整理を伴わないでやれ、配置転換でやれということでございますために、そのことを尊重していきます限りなかなかずばりと各局の削減等につながりません。それで総定員法の、いま申し上げたようなやり方によって徐々にその方向に持っていくということで成果をあげつつあると思っております。
○山崎昇君 私は何も局の削減をやれということをあなたに言っているのじゃない。しかし、いま総理にも申し上げましたように、臨調の答申やら行政監理委員会が出されたものやら、基本的な行政の問題については何にも解決されていない。ただ末梢的なことはあなた方やられておる。そういうことについてあなたにお聞きしたのです、いま。それから、きのうも意見が出ましたが、各省庁のセクショナリズムというものが直らない限り行政の前進がないということはみなさんおわかりのとおりなんです。だからどういうふうにセクショナリズムを解決するためにあなたはやられたのかというふうに聞いているのです。知らぬと言うならば、一省一局削減をやったって、全部総括整理職でありますとかその他の名称でこれは何も減っていないんじゃないですか。そうして残された局長が一等級上がって指定職俸給表になっただけの話であって、何にもこれは簡素化になっていません。予算面で言うならば一つも減っていません、こんなものは。そういうことだけをあなた方やっておって、ほんとうの意味の行政改革というものを何もやられていないから、いまお聞きしているのです。もう一ぺん聞きたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のとおり、目立った姿で局の削減等の結果はあらわれておりませんけれども、いま申し上げるように総定員法の成立によりまして、各省庁のセクショナリズムは実質的に非常に是正されておるということを申し上げたいのであります。そういう意味において、毎年採用します新規採用にしましても、なるべく精鋭の者を選びたい。さらには、増員は原則として認められないから既存の定員を差し繰って十分にやっていく覚悟をきめてかからなければなるまいというふうな考え方にだんだん定着しつつあると存じております。
○山崎昇君 そこで、行管長官ね、私は行政改革というのは、具体的にはやっぱり機構、定員、そうして機構の運営、それに関連をして人の問題が私は重要だと思っている。そこでひとつ機構の問題について基本的な考え方をお聞きしたいのだが、私は内閣委員会でもかなり国家行政組織法の不備については指摘をしたはずなんですが、その後この国家行政組織法上どういう点がいま論議され、どういう方向に向いているのかお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 国家行政組織法の再検討につきましては、昭和四十四年七月十一日の第二次行政改革におきまして、行政需要の変化に即応した効率的な行政の実現に資する等のためにこれを行なうものとされ、続いて同年八月六日、行政改革本部により国家行政組織法等検討協議会が設けられて具体的検討を開始したのであります。同協議会の構成は、内閣官房内閣審議室長、内閣法制局第二部長、同総務主幹、内閣総理大臣官房総務課長、行政管理庁管理局長、同行政管理局審議官及び大蔵省主計局長の七名よりなり、必要に応じて関係行政機関の職員または学識経験ある者の出席を求めてその意見を聞くことができるものとされております。現在までおおむね月一回のペースで五回の会議が開催されておりますが、その審議事項等は次のごとくであります。第一回、今後の検討事項について。第二回、行政機関の調整、企画機能を所掌する組織等のあり方について。第三回、合議制機関について。第四回、外局制度について。第五回、八条機関について。なお、今後の予定としては、引き続き内部部局、地方支分局及び行政組織の規制形式等について順次検討を加え、各方面の意見等も積極的に求めて、適切な改正案を作成すべく努力することといたしております。
○山崎昇君 内部の検討のスケジュールを私は聞いているんじゃないですよ。国家行政組織法の幾多の欠陥あるいは問題点があるんだが、そういう問題点をどういうふうにいま把握をして、どういう方向でやられるとするのか、その内容についてお聞きをしたいということを申し上げておる。だから、むしろ私のほうから具体的に言うなら、三条機関、八条機関、内閣の総合調整に関する機能、セクショナリズム、審議会の問題、それから専管あるいは共管事務の問題、そして、国と地方の事務配分あるいはラインとスタッフの関係、私は、少なくともこれくらいの問題は国家行政組織法の中で問題点だと思っているんです。そういう点について、具体的に私がいま申し上げましたから説明を願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国家行政組織法は、第三条で、府、省及びその外局である委員会、庁を国の行政機関として規定しており、これらの行政機関には内部部局、地方支分部局及び付属機関が置かれることとされております。第八条の機関は、第三条の行政機関に置かれる機関でありまして、内部部局及び地方支分部局以外のものであります。現実に置かれている八条機関は多種多様でありますが、一応類別すれば、審議会等、試験・研究機関、検査・検定機関、研修・文教機関、医療・療養所、作業所その他の機関に分けることができます。さらに国家行政組織法は、第三条の行政機関について、機関の長に府省令、委員会規則の制定権、告示、訓令など通達を発する権限を与えております。また国家公務員法は、当該機関に属する職員の任命権を与えております。これらの点は八条機関に見られない特色となっております。従来、行政目的を遂行するために、新たに国家機関を設けようとする場合、その機関の行なう事務、権限、規模等から見て、三条機関として置くのが適当か、八条機関として置くのが適当かを個別的に判断して区分している次第であります。しかしながら、いかなる機関を三条機関とし、いかなる機関を八条機関とするかについては、国会でも論議されたところであり、また、現行国家行政組織法の基準が、経済社会の進展に伴う行政需要の変動に必ずしも適応しているとはいえない面があることも事実でありますので、八条機関のあり方の問題も含めて、さきに、政府部内に設けた国家行政組織法等検討協議会において検討している次第であります。
○山崎昇君 政府委員でけっこうですから、先ほど私が指摘した内容について——何か新聞によれば、ずいぶん進んでおって、報道されておる。あるいはまた、部局の改廃は政令でやりたいだとか、いろんなことを、あなた方は新聞記者会見をやっておるようでありますから、相当私は進んでおるんだと思います。もう少し内容についてひとつ説明を願いたい。
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問のうちにいろいろな問題点の御指摘がございましたが、先ほど、長官から御答弁申し上げましたように、現在までの段階で検討いたしました点は、各行政機関の調整、企画機能を所掌する組織について、それから合議制の機関について、外局制度について、それから八条機関についての四点でございます。 なお、御指摘のありましたその他の点につきましても、今後検討は重ねていくことにいたしております。 また、ただいま新聞記者発表というふうなお話がございましたが、正式にそういうことをいたしてはおりませんで、私どもがどういうことを検討しているかということを聞かれました際に、個別に、こんなことをやっているということは申してはおりますが、正式にこういうものを全部そろえてやっておるという新聞記者の会見のようなものはいたしておりません。で、ただいまおっしゃいました法律組織の規制形式でございますが、そういう点につきましても、将来これは検討の対象としては検討いたすつもりでおりますが、現在のところまでは、まだ具体的な検討はいたしておりません。 なお、ただいままで検討いたしました内容につきまして、若干御説明申し上げますと、たとえば行政機関の調整、企画機能を所掌する組織等の検討につきましては、この数年間、若干の省庁から事務次官補という組織をつくったらどうかという要求も出てきております。また必ずしも各省庁の要求とぴったり合った意味ではございませんが、臨時行政調査会の意見の中にも、事務次官補というようなことは書いてございます。そういう事務次官補的なものを設けまして、各省庁内の企画あるいは調整機能を総括させるということは、一つの考え方だと思っておりまして、これについては真剣に検討いたしております。 なお、それと関連いたしまして、山崎先生、以前よりよく御指摘の政令に基づく調整、これは総括整理職でございますとか、分掌官でございますとか、あるいは国家行政組織法十七条の二に規定してございます総括整理職でございますとか、そういう点につきましても、この企画、調整、総括的な機能を所掌する組織として検討いたしております。また合議制機関につきましては、これも山崎先生以前から御指摘でございますが、三条機関と八条機関の中で、それぞれ合議制機関と独任制の官庁でございますが、その中の合議制機関のそれぞれの区分の問題、どういうふうに分類すべきか、あるいは法制上どういうふうに考えるべきかということについて、先ほど大臣から申し上げましたメンバーの間でいろいろと意見交換は行なっております。また外局制度につきましては、戦前から外局という制度はございまして、しかしながら、現在の私どもが行政組織法におきまして考えております外局とは必ずしも一致した観念ではないと思いますが、やはり現在でも、その外局というものの観念が非常にはっきりしない点は確かにあると思っております。また同じ外局の中でも、委員会と庁と二つ並んでおりますが、これは必ずしも外局という同じことばで二つをまとめるのが適当かどうかという点も問題だと思っております。そういう点についても自由な意見の交換をいたしております。また八条機関につきましても、これも従前から先生の御指摘の点でございますが、現在の八条機関は、三条機関としての行政機関以外に、内部機関それから地方出先機関として、それぞれ七条、九条で認められておりますもの以外のものがすべて八条に入っているということでございまして、現在の八条機関に属しております機関は、いろいろな種類のものが御指摘のとおり入っております。それにつきましても、これはその整除ということが非常にむずかしい問題だと思っております。と申しますのは、行政機構自体が生々発展いたします行政需要に対応して、いろいろな新しい形をとってくる場合もございますし、従来のワクでははめにくいものも必ず出てくると思いますので、そういうものもどう受けるかということもございますので、八条機関というものがぴしゃりと整除できるかどうか、これはいろいろな問題点があると思いますが、それにつきましても現在いろいろと研究いたしておるところでございます。 ごく簡単に現在の検討事情を御報告申しました。
○山崎昇君 そこで行管長官にお尋ねしますが、いま部内で検討されておる、フリーにいろいろ討議をされておる、こういうことだそうでありますが、この新聞報道が間違いなら間違いと指摘してもらってもいいのですがね。三月二十六日の報道によれば、すでに行政管理庁は部局の改廃等は政令でやるように腹をきめた、これに対して「野党「審議権無視」と反発か」というような題で報道される。あるいはまたあとで定員とも関連しますが、公務員の待命制度、勧奨退職、こういうものが行政管理庁で議論されて、相当向かっておるような新聞報道がなされてくる。こういうものについて、やっぱり公務員側からいろいろ反発が出ておることも事実です。こういう点は、総務長官とも相談をされてやっておられるのか、あるいは人事院とも相談をされてやられておるのか、行政管理庁だけで走りまくっているのか、その辺のいきさつも含めて、この報道が間違いなら間違いと言ってください。そういうことをやらないならやらないと言ってください。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。 間違いであります。間違いであるということも完全じゃないかもしれませんが、御指摘のような論議はしておるかもしれません。しかし、私はまだ承知しておりませんので、その意味において間違いであると思います。
○山崎昇君 総務長官、ちょっとお尋ねしますが、いま間違いであると、こう言うんですが、あなたのほうは公務員の人事管理をやるわけなんですが、この待命制度だとか、あるいはまた勧奨退職だとか、そういうことがあなたに相談があって総理府でも検討されているのですか、お聞きをしておきます。
○国務大臣(山中貞則君) いまお聞きのとおり、所管大臣の荒木さんもまだ聞いていないとおっしゃるのですから、私のほうには、ましてや何の相談もありません。
○山崎昇君 次にお聞きをします。先ほど、総理から、臨調の答申やら行政監理委員会等の意見を尊重してやると、こう繰り返し答弁をされるわけなんですが、どうも、私の見たところ、あまり尊重されておらない。したがって、最近は、行政監理委員会は国会を通じて国会の決議でやったらどうかという動きさえあるといわれています。そういう意味で、行管長官というのは行政監理委員会の委員長も兼ねているわけなんですが、どういうふうにこれを使い分けをされるのですか。行政監理委員会では、あなたやりなさいと、こう言う。行管長官ならば、それはだめだと、こう言う。どっちが本心で、どういうふうにされようとするのか、ひとつ臨調の答申やら行政管理委員会の考え方というものの実現についてあなたの考えを聞きたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 どっちもほんとうでございます。各委員の方々が民間の有識者としての立場で個人個人の六人の意向をまとめて発表されることもあります。これは、行管長官に対して、あるいは総理大臣に対して、もの申すという立場であります。それから行政管理庁長官は委員長を兼ねておりますが、私が入りまして行政管理委員会の意見として出すこともあります。両面ございまして、いずれもその取り扱いに差別があろうはずがありませんので、その趣旨を尊重して検討しておるところであります。
○山崎昇君 行管長官に重ねて聞きますが、先ほど政府委員からの説明の中に、審議会等の問題については何も答弁がありませんでした。これも、行政管理委員会からかなり具体的な意見が出されておる。あるいは、特殊法人の問題についても出されておる。こういう点については、いまどういう作業形態にあるのか、お聞きをしておきたいと思う。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現在各省庁に置かれております審議会等は二百四十一にのぼっておりますが、いずれも重要施策について行政機関の諮問に応じて調査、審議し、あるいは行政処分について不服審査を行ない、または資格得喪の審査、検定、調停等に当たっているもので、政府が民主的な行政を行ない、また、各種専門知識の導入、処分の公正確保等を行なう上で重要な手段として活用されているものであります。しかし、一方で行政の簡素化と能率化は政府の方針であり、審議会等の設置も必要最少限度にとどめるべきものであることは当然で、政府としては、従来とも、目的を終了したもの等を整理し、あるいは類似目的のものを統合する等の措置を講じてきたところであります。最近では、昭和四十一年に三十四を廃止し、また、昭和四十四年七月の第二次行政改革でも二十一を廃止することを決定して、逐次その実施をはかりつつあるところであります。今国会提出分は十五であります。 さらに、審議会等の運営についても、行政責任の不明確、事務の遅延等を来たすものとする批判がありますので、審議会等の機能をさらに十分に発揮させるべく、従来から閣議決定等によってその構成員数等について合理化方策を定め、その改善につとめてきたところであります。 以上のように、審議会等は一般的に適切に運営されていると考えますが、何ぶんにも多数にのぼりますので、今後ともその設置運営の合理化につとめてまいることとしております。
○山崎昇君 いま一般的に審議会等の問題が述べられましたが、どうもこれを二百四十一の内容を調べますと、予算面から見てもかなりでこぼこがある。ほとんど予算は皆無にひとしいところもあります。また、審議会がほとんど開かれないところもある。あるいはまた、重要な役割りを演じているところもある。そういう点を考えてみますと、もう少し私は行政管理庁は真剣にこの問題を考えてもらいたいし、各省においても考えてもらいたいと思う。ですから、いま大ざっぱなお話でありますけれども、もう少し審議会の内容について、政府委員のほうでいいですが、検討されている内容等について明らかにしてもらいたい。
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。具体的な数字についてお答え申し上げます。 ただいま御指摘のように、審議会は全部で二百四十一ございまして、その大部分がこれは必要的付議による審議会でございます。そのうち、先ほど御指摘の開催回数の少ないものというような御指摘がございましたが、これは、実は、開催回数の非常に少ないもののうちの大部分は、いわゆる不服審査と申しますか、不服申し立てを待って自動的に開催されるものでございまして、不服申し立てがない場合には、これが二年、三年間にわたって開催されないものもございます。そういうことで、活動が不活発な審議会の大多数はこの不服申し立てを受けとめる審査会、審議会になっております。 また、予算でございますが、先ほど御質問のございました予算につきましては、審議会の総額予算は、四十三年度約五億六千八百十万、四十四年度は約六億一千十二万の予算になっております。 こういう審議会につきまして、現在、先ほど八条機関につきましての検討をいたしておると申し上げましたのですが、審議会の内容が、それぞれ、ただいま申しましたような、必要的付議、あるいは諮問調査、あるいは不服申し立てというようなものでございまして、その内容によりましていろいろと取り扱いを変えるべきかどうか、そういう点につきましても八条機関あるいは合議制機関の検討の際にいろいろと検討を重ねております。
○山崎昇君 次に、私は、戦後の行政推進の中で特徴だと思われるのは、特殊法人といわれる公団、公社だと思うのですね。これもずいぶん抑制をするするというのですが、だんだんふえている。現在百十四ぐらいありますね。 そこで、行管長官にお尋ねしますが、公社、公庫、銀行、金庫、基金、公団、事業団、いろいろな名前があるのですが、一体、目的、性格がどうしてこう違うのか、御説明願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 目的、性格等がそれぞれ違うことは当然でございまして、格別申し上げることもないと思いますが……。
○山崎昇君 それじゃ、長官に聞きますが、公庫、銀行、金庫、基金ですね、これはどう違いますか。それから公団、事業団、これはどう違いますか。そのほかに、株式会社もあるわけです。ですから、いま申し上げたように、私の知っているだけでもいま七つ八つの種類に分かれるのだが、それぞれあなたの言うように目的があるでしょう、性格があるでしょう。説明してください。
○政府委員(河合三良君) 特殊法人の名称による区分についてお答え申し上げます。 公社とは、一般に、三公社と総称される日本国有鉄道、専売公社、電電公社でございまして、実定法上は公共企業体という名前のついております特殊法人で、最も公共的性格が強い、従来国が特別会計をもって経営していたものがこれに移ったものでございます。全額政府出資でございまして、予算についても、国の予算の議決の例により国会の審議を受け、決算も国会に提出されます。 公庫につきましては、国民金融公庫をはじめといたしまして、かなりの数の公庫がございますが、いずれも金融事業を営む全額政府出資の法人でございます。その企業体としての性格においては三公社に比して独立採算制が希薄であり、政策金利によって特定の対象に融資を行なうものでございます。いわば一般市中金融機関の補完的な役割りをなすものと考えております。 銀行につきましては、銀行という名前の特殊法人は、日本銀行、日本開発銀行及び日本輸出入銀行でございます。開発銀行、輸出入銀行は、前掲の公庫との違いは、あまり大きな相違はございません。全額政府出資でございまして、政策金利で特定の対象を相手方として、一般金融機関の補完的融資を行なうことを目的といたしております。その点は、公庫とほぼ同様でございます。 金庫につきましては、これは農林中央金庫及び商工組合中央金庫でございまして、いずれもいわゆる組合金融を営む法人でございます。前者は農林漁業関係の協同組合、後者は中小企業協同組合、商工組合、輸出組合、輸入組合等を主たる出資者として、これに政府の出資を加えて、系統金融機関としての機能を果たしてきているものでございます。 基金がございますが、基金の名称を有する特殊法人はかなりございまして、たとえば海外経済協力基金、社会保険診療報酬支払基金等々かなりの数がございます。これは、他の一般の基金のうち、社会保険診療報酬支払基金は、保険者から報酬診療を受け取り、それを診療担当者に支払うという機能、また、消防団員等公務災害補償責任基金は、消防団員等の公務災害補償に関する市町村等の支払い責任の共済制度による掛け金の収受及び共済金の支払いを行なうものでございます。予算資金計画は、主務大臣の認可にかからしめられております。 公団につきましては、現在、日本住宅公団、日本道路公団、その他数公団がございまして、住宅建設、道路建設、旅客船の建造、大規模用水事業のごとく、その業務は種々な範囲にわたっております。また、その資本の有無、資本構成等においても、いろいろな形態がございます。なかなか正直に申しまして統一的にその性格を集約することはむずかしいと思いますが、概括的に申しますと、主として社会的に要請の強い公共事業を実施するもので、事業規模も大きく、また、複雑なものでございます。資金を民間または地方団体にも求めることが適当であるというように考えられるものでございます。 最後に、事業団でございますが、これも、新技術開発事業団、海外技術協力事業団等、かなりの数の事業団がございます。その事業の内容につきましては、これも共通性というのはございませんが、公団の場合と同様に、全額政府出資の場合もございますし、あるいは地方公共団体あるいは私人との共同出資の場合もございます。また、資本金を有しない機能法人もございます。公団との違いとなりますと、事業団は、公団が主として公共事業を対象とするのに対しまして、その他の国の経済政策、社会政策を行なうというように理解されております。 以上が、現在、特殊法人がいろいろな名称がございまして、一応こういう名称の区分ということで理解いたしておりますが、ただいま御説明申し上げましたうちにも申しましたように、なかなか完全に割り切れているものばかりではございません。その事業の内容によりましてやはりいろいろな特色を持っておりますが、名称区分によります御説明は、大体まあ大ざっぱに申しまして以上のような点でございます。
○山崎昇君 いまの説明を聞いて、これはわかる人はほとんどおらないと思うのですね。片方は公共性が強いから公団で、片方は社会政策が入るから事業団だなんといったって、わかるしかけのものではないと思う。そして、いまや、特殊法人といわれるこの公団は、中央官庁のいわばなわ張り争いの一つに入っている。あるいは、中央官庁の偉い方々の就職先といわれておる。こういう点は私はやっぱり指摘をしておかなければなりませんし、そういうことでこの公団というものがさまざまな名称をつけられて同じようなことをやりながらも違ったものができてくる。そして、抑制する抑制するといわれながらも、現在百十四もある。だんだんふえるという傾向にある。こういう点は、あとで天下りのところでも申し上げますけれども、一体この特殊法人というのを今後どうされるのか、この点はひとつ総理から聞きたいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまだんだん数がふえてきている。これは、しかし、私は、やはり整理すべき方向にただいまある、新しく新設することはよほど慎重でなければならないと、そういう基本的原則を採用しております。また、ものによりましては、ときに合併して二つのものを一つにすると、こういうようなこともあってしかるべきだと、かように思っておりますので、いわゆる総合して整理の方向に向かっておるのだと、このことだけ申し上げて、新しいものをつくることは非常に慎重、慎重な上にも慎重を期すと、こういう考え方でございます。
○山崎昇君 慎重の上にも慎重というんですが、一番きつい方針を出した昭和四十二年一つをとってみても、このときに七つふえているんですね。今年度またふえます。ですから、特殊法人というのは戦後の特徴性でありますけれども、抑制はされていない。この点は、いま、佐藤総理から、抑制をするというお話ですから、これ以上私は問答をやっても、最高責任者が抑制すると言うのに、そうではあるまいと言っても、議論は並行しますから、それに期待をしますけれども、いま指摘をした中央官庁のお偉い人の天下り先の確保だとか、あるいは名前だけは公団だとかなんかやっておりますが、事業はあまりそう進展をしておらないとか、あるいは汚職のにおいがぶんぶんするとか、いろいろな指摘がされております。そういう点は、私は、ひとつ十分監視をしてもらいたいという意味で、この特殊法人の扱いについてはきつく申し入れをしておきたいと思う。 それからその次に行管長官にお尋ねしますが、自治法の附則八条のいわゆる国費の職員の身分移管については、昭和二十二年に自治法が施行以来、「当分の間、」という文字のために、二十三年間放置をされておる。そして、幾多の問題点がいろいろな団体から指摘をされておる。この移管については、全国知事会も、地方制度調査会も、あるいはまた議長会も、市町村長会も、俗にいう六団体といわれる団体は、一致してこれは移管をすべきだと。できないのは、中央官庁のセクショナリズムといいますか、なわ張り争いといいますか、そういう関係でこれが実現されていない、一体、これは、いつまで、どうされようというのか、聞いておきたいと思う。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 地方事務官制度につきましては、ここ二十年来の困難な懸案でありますが、政府としましては、行政改革三年計画においてとり上げて、今後の検討の基本的方向を明らかにするとともに、月下関係省庁において検討を進めております。地方自治行政との関連、事務の性格等を十分考慮の上、適切な解決をはかっていく考えであります。これは関係省の閣僚の覚え書きとして周知されておるところであります。覚え書き締結以来、それぞれ詰めておりますが、まだ詰まりません。ただし労働省関係、運輸省関係につきましてはだいぶん進捗いたしました。厚生省関係のほうがまだこれは保険関係その他の抜本的な改革を待たないとできませんために、それを待っておる状態であります。そのほかの関係は極力進捗を急ぎまして、できれば今国会にお願いしたいと思っておりますが、あるいは困難かとも思います。相当詰まっております。
○山崎昇君 自治大臣に伺います。 この問題は、衆参の地方行政委員会でもかなり議論された問題ですね。それから臨調の答申にも出ている問題でもあり、行政監理委員会のたびたびの意見書の中にも出てくる問題です。それがどうしてでき上がらないのか、私はふしぎに思うわけです。特に一番問題になりますのは、課長とか、上級職員はなるほど中央との交流はあります。しかし、一般の職員についてはその自治体の職員と交流するかしなければよどんでしまうわけです、知事に人事権ないわけですから。したがって、そういう意味で実際に都道府県におられる方々というのは全く放置をされているという状況にある。そういう意味もありまして、これは衆参の地方行政委員会で、当分の間というのは長過ぎて、困りますというのは、自治省の役人がそう答弁しているのですよ。自治大臣としても、どうしますか。いつまでにどういうめどを立てるのかはっきり御回答願いたいと思うのです。
○国務大臣(秋田大助君) 確かに、いま先生お話のような批判が出ておるところであります。ただいま行政管理庁長官からもお話がありましたとおり、運輸省関係並びに労働省関係につきましては、いわゆる三大臣覚え書きの線に沿いまして、これらの行政機構のあり方に検討を加え、地方の行政機構との関連につきまして、これは廃止の方向に処置をするという了解のもとに関係官庁せっかく協議をいたしておりますので、いましばらくお待ちを願いたい。そうして厚生省関係につきましては、医療保険制度の抜本的改正と関係がありますので、はなはだ申しわけございませんが、いましばらくこれとの関係においてお待ちを願いたいと存じます。
○山崎昇君 自治大臣ね、重ねてお聞きしますが、いましばらくいましばらくといって二十三年たった。あとどのくらいたったらいましばらくが終わりますか、はっきりしてください。
○国務大臣(秋田大助君) どうも具体的に年限を限られますとたいへん困りますが、誠意を持って当たりたいと存じます。
○山崎昇君 誠意を持ってと言われても、現実的にこれができ上がってこなければ、私どもはなかなか誠意というのは認め難い気がします。 しかし、こればかりやるわけにはいきませんので、次に、定員の問題に移りたいと思いますが、行管長官にお尋ねいたします。 定員というのは、どういう方法できめておるのですか。まず定員のきめ方についてお聞きをします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 業務の量及び質を考えまして、簡素化、近代化の努力を払いながら、それと見合って定員をきめております。
○山崎昇君 どうも、いまの答弁ではわからないのです。私は、定員というのは、組織がきまって、それに置かれるべき職がきまって、そうしてそれに何人で担当すべきかというふうに量がきまってくるものだと思っているのですが、そういう順序であなたのほうはやられておるのかどうか、お聞きをしたい。
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。 ただいま定員のきめ方という御質問でございましたが、正直に申しまして、定員をきめますのは、事実問題としては非常にむずかしい問題だと思っております。理屈だけで申しますれば、仕事がありまして、その仕事に応じた適当な組織とそれを処理する人間ということだと思っておりますが、理論的に申しますと、その仕事をどうはかるか、そういうことは非常にむずかしい問題だと思っております。ただ、現業的な役所でございますと、これは一時はやりましたタイムスタディでごさいますとか——このごろはあまりはやらないという話も聞いておりますが、そういうことでございますとか、かなり何と申しますか、科学的な把握が一つの要素にはなり得ると思いますが、どうも必ずしもそればかりではないと思いますし、また、特に企画的な部局になりますと、これはどういう仕事を企画するかということについて責任者をきめましてその補助者をきめていくというような、いわば事務量ということ等ももちろん含めますが、それ以外の要素も入ってきめるべきではないかというふうに思っております。
○山崎昇君 私も、理論的にだけではいかないということは理解をしていま質問をしているわけなんですが、ただ、いまの政府の定員のきめ方を見て私がどうしても納得できませんのは、あまりにも事業量と定員が合わない。ですから、大量の定員外職員を置かなければ現実的に事業の遂行ができないという現実をどう行管は見られるのか。そういうことから考えると、いまの事業に対して定員というのはまことに合わない。これは各大臣全部に私は聞きたいと思っているのです、ほんとうは。あなたの所管で、いま定員外職員が一名もいなくて実際に行政というものが遂行できるのかどうか、ほんとうは聞きたいと思うのですが、時間もないと思いますから、一、二特徴的なところを聞きたいと思うのです。 第一に私はお聞きをしたいのは、まず法務です。この前、内閣委員会でお聞きしますというと、昭和三十三年以降登記事務というのは約六倍半ふえたというのです。人員はわずか一〇%しかふえていないというのです。そうして約二千人近い定員外職員というものを置いて登記事務というものがやられておる。そうして人事院月報によれば、法務省は、各省ある中で三番目に病気やあるいはその他の事故者が多い官庁になっているわけであります。ですから、法務大臣にお聞きしますが、あなたは、いまの定員で事業をやれると思いますか、どうですか。
○国務大臣(小林武治君) 私どもの管理機構の仕事あるいは政策の立案の官庁と現業事務というものは、おのずから定員関係は違ってこなければならぬ。特にお話のその登記事務というものは、もうよく御案内のように、いまはもうレジャー産業あるいは団地がたくさんできる、あるいは埋め立てができる、大規模な公共事業が行なわれると、こういうことによりまして日本じゅうの土地が動き出した。ことに山間僻地等までが土地が動き出した、所有が動き出した、こういう事実があるのでございまして、したがって、いまの定員ではほとんど不可能であるということでありまして、お話のように、昭和三十五年から四十四年の間に、人員の増加は一一〇%、仕事は三四〇%、こういうことになっておりまして、したがって、この登記事務の中に経常的な仕事と、基本台帳あるいは登記簿の一元化と、こういう臨時的な仕事は手が回りかねるということで、現在約千二百人の定員外が賃金で使役されている。こういう状態でありまして、私は登記事務のごときものが法務省全体の人員の中でもって計算されるということは非常に私は不合理であると、したがって、これらの事務は取りのけて——これは受身の仕事であって、相手がある仕事で、われわれがつくっておる仕事ではありません。さようなわけでありますから、登記事務については別のひとつ定員計算をしてもらいたいと、こういう希望を強く持っていることを申し上げておきます。
○山崎昇君 法務大臣、まあ、そこにおってください、もう一回聞きますから。いま、あなたからできないと言われた。そうだと思うんですね。私は、新潟県のある町へ行って調べてみると、登記事務が農協でやられておるあるいは役場の職員でやっておる。これは財産権の問題ですよ。もし、一歩この登記事務が誤ったらどうなりますか。私は、はだ寒いものを感じておるんです。いま、千二百名とあなたは言う。実際は二千名ぐらいいるようでありますが、そういうものがおらなければ、これはもうどうにもならない。ところが、三十六年二月二十八日の閣議決定を持ち出して、いま一生懸命働いておるこの定員外職員というのが、三月三十一日で首を切れという通達が出された。これは民事局長の通達であります。その通達の内容を見ると、四月の三日にはまた採用しなさいという、二日間だけ休ませなさいというんですね。こういう通達が堂々と出る。一体こういうことをどういうふうにあなたはお考えになりますか。これは総理にも聞きたいと思うんです。
○国務大臣(小林武治君) これは、いまの要するに定員外の職員の常勤化を防ぐと、こういう閣議決定に従ってやむを得ずやっておると、こういうことでありまして……。
○山崎昇君 事故が起きたらどうしますか、あなた。やむを得ずで終わりますか。
○国務大臣(小林武治君) いまの登記の仕事をある程度いまお話のようなことでやっておる面がございます。不動産の権利の保全でこれだけ大事な仕事が、われわれの固有の手だけでやり切れないという面もあることは、非常に私も残念に思っておるのでありまして、したがいまして、政府部内が人の増員を抑制すると、この方針は非常に私もよく理解をいたしておりますが、登記事務のような全く客観的事情から仕事がしいられておる、こういうものについては特別なやっぱり配慮が必要であると。いまお話のように、われわれも約二千人近くの定員外を賃金で使用しておる、これはやむを得ないと、しかし、これの常勤化を防ぐためにはいまのようなこともやっておるのは事実でございます。したがって、私どもは、この方面についてはぜひ増員を認めてもらいたいと、したがって、わずかな法務省に与えられる増員の中でも登記事務のほうに一番多くのものを全体として回しておる、そういうことでございまして、お話のようなことは、私はやはり合理的でないというふうに考えております。
○山崎昇君 総理、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま法務大臣がお答えをいたしましたように、もともと定員外職員というか、そういうような制度があってはならないと、しかしながら、常勤的に定員外の職員、さようなものを採用しておると、こういうものが現実にはあるわけであります。今度総定員法を設けていただいたのも出血しないと、こういう意味でやはり各省間の定員の融通、それに尽きるんじゃないのかと、そういうところをねらったのであります。しかし、まだこれもなかなかなじまない制度でありますだけに、いままでのような特定な、特殊な役所では定員外の者をある程度使わざるを得ない、これはまことに申しわけない、残念に思っております。しかし、こういうものが常時、定員に入らないで常勤の形で定員外職員というものがあってはならない、かように思いますので、これは順次定員化するかあるいは総定員法でうまくまかなえるか、そこらも一つの問題じゃないかと思っております。私は、臨時要員といえば、これはもうほんとうに臨時的なものであってしかるべきである、そういうもののないことをいまの制度のもとではねらっておるわけであります。
○山崎昇君 行管長官にお尋ねしますがね。あなたのほうでは、定員外職員調査中だと私ども聞いているんだが、各省庁なり出先に対して、三月三十一日でいま働いておる者を切りなさいという指示をしたんですか、しないんですか。まず、それをお聞きします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう指示はいたしません。
○山崎昇君 いま総理から、総定員法ができてからうまくいきそうなお話なんですね。 そこで、行管長官にお尋ねします。総定員法の定員と予算定員との間に差がある。昭和四十五年度で二千七百名の差がある。予算定員が少ない。したがって、私からいえば、総定員法満度に使うとするならば二千七百名やれる。定員を残しておきながら、片方では臨時職員をたくさん採用しておる。そうして、あなたのほうの指示ではないというのに、三月三十一日で首を切って、四月の三日にはまたいらっしゃいという、こういう人事管理をあなた方やっているんです、現実に。どうですか、これに対して。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 総定員法の関係で二千何百名余裕があるということは、総定員法の運用上の必要から生まれ出たことでありまして、それがあるからといって臨時職員を、定員外の職員を定員内に入れるための引き充てにするということは、これは別問題だと存じます。臨時職員はあくまでも臨時職員でありまして、ただ、臨時職員でありながら、本来恒常的な職務に充つべき、定員内に置くべきものをそうでない扱いをしておりはせぬかということの疑いを持って昨年調査をいたしました。その調査はまだ整理中でございまして、結論は出ませんけれども、それとこれとは別問題だと存じます。
○山崎昇君 定員外職員の扱いと定員というのは、あなたの言うとおり、私も認める。ただ、私が言いたいのは、事業と定員がマッチしない。それで現実に総定員法の定員が残っておる、あるんです。そういう事態を持ちながら、片方では十何万に及ぶような臨時職員を置いておいて、仕事はある、三月三十一日で首を切って四月の三日にまた採用しなければ登記事務ができないと言う。その間にもし事故があったらどうしますかと私は聞いている。ですから、定員がないならばいざ知らずですね、総定員法という法律を変えなければならぬならいざ知らず、ちゃんとあるんです。ただ、予算が低く見積ってあるというだけの話なんです。そうして私の調べによれば、年間平均でありますが、各省の自然退職率は約五%です、省にもよりますが。そういうもの等とまぜて考えるならば、ある程度の常勤化されておる非常勤の対策というものは出てくるのではないだろうか、こう私は考えるんだが、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのおっしゃる常勤化されておる非常勤職員というものが現にあるとするならば考えなきゃなりませんけれども、それをいま調査中であります。
○山崎昇君 それじゃ、いつできますか、調査は。調査はいつ終わりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 調査は間もなく終わると思いますが、まだ国会で報告する段階に至りません。
○山崎昇君 運輸大臣に聞きます。 私の手元に静岡新聞が送られてまいりまして、御前崎の気象観測の職員が、この定員削減で削られて漁業関係者あるいは町議会等々で反対の決議がされて、わずか一、二名のこの予報官を削るために思わざる事故が起こるんじゃないかというたいへんな心配だ、という新聞が送られてまいりました。そこで、運輸大臣にお聞きをするんですが、一体いまの天候不順といわれる、どうもいまの気候というのはなかなかつかみにくいという、そしてできるだけ二十四回観測やっているのを定員を削るものだから八回になっちゃう。それが漁業関係者から猛烈心配だということで新聞が報道しているわけです。こういう点について運輸大臣、どう考えますか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) この問題は、定員の削減とは直接に関係がありません。気象通報及び気象観測、これは最近非常に機械化されておりまして、観測が二十四時間でやっておるわけであります。ただ、通報勤務といいますか、通報は必ずしも毎時通報しなくとも、常態の場合においては一日三回ないし四回通報すれば十分であるという見解でさような措置をとったのでありまして、したがって、台風時とか、あるいは特別な状態が起きた場合には、これはもうそういうことに限らず通報すると、こういうたてまえになっておりますので、地方の方の御心配は全くないと申し上げてよろしいと思います。
○山崎昇君 運輸大臣、あなたの言うことと違うんですよ。二月六日の静岡新聞によれば、「定員も二人削減漁業関係者は猛反対」航海の安全がはかれないということです。これは定員削減によって、そういうことが起きてきている。また、三月二十四日の日経新聞によれば「気象観測、バッサリ」人員削減で三分の一に観測が減らされる。単に観測の方法が変わっただけではない、人がいないからやれないと、こういうんです。もう一つあなたに私は、福岡気象台長から鹿児島の地方気象台長あてに打たれた電報がある。この電報を見ると、二人おって一人が病気で休んでおるから、何時と何時の気象観測やらなくてもいいというんですね。もしもあなた、気候が不順になってきて、しけでもきた場合にどうされますか。これによって思わざる事故が起きた場合に、あなた責任負えますか。ですから、こういうところの定員を削って、国民に対するサービスが低下をしていく。こういうことに対して運輸大臣どう思いますか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 先ほど申しましたように、気象通報ということと気象観測ということを区別しております。しかし、山崎さんがおっしゃるように、これが実施して現在は異常ありませんけれども、今後それのような心配がある場合には考えなきゃならぬと思っております。国民の生命に関する問題でありますから、考えなくちゃならないと思いますけれども、最近気象関係につきましても、できるだけコンピューター等を使いまして、人間のやるべき仕事を機械がやっておる。こういう意味合いにおいて、これはある程度人間を配置転換をしても十分である、という考え方でやっておりますが、しかし、御心配のようなことがあれば、これはまあ当然考えなきゃならないことであります。また、たとえば、飛行業務等につきましても、必ずしも私は定員削減ということで、ただむちゃくちゃに忙しいところも五%切るということは、私どもはいたしておりません。たとえば、航空関係で申し上げますれば、本年度の皆さんの御審議を願っておる予算で、二百十九名の増員を要求して、これは大蔵省の承認を得て国会にかけられております。このような意味において、必ずしも五%減ったから一律に能率を下げると、かような考え方でやっておるわけではないことを、御了承願いたいと思います。
○山崎昇君 北海道の開発庁長官に聞きたいのですが、この定員外職員については、北海道も大株主なんですね。定員が一万一千ぐらいで約六千ぐらいいる。そうして常勤的非常勤と称する者は昭和三十五年以降から約十年もたって四月の一日、一日だけ切られる職員がいる。こういうふうな定員あるいは定員外の職員を置かなければ、北海道の開発事業ができないことも事実なんですが、これについてどういうふうにされるのか開発庁長官に聞いておきたい。
○国務大臣(西田信一君) 北海道の開発事業が年々増加しておることは、山崎先生も御承知だろうと思います。ところが、定員は御承知のとおり総定員法は五%削減という適用を受けておりまして、むしろ減少いたしておるわけでございます。そこで、ただいま御指摘になりましたとおり、昨年は、きわめて短期間の者を含めますと、大体平均五千人ぐらいおります。しかし、十カ月以上十二カ月未満、こういう長い期間つとめております者は二千人程度おります。これも私どもは三十六年の閣議決定の線に沿って取り扱いをいたしておるわけでございます。しかしながら、これは決して望ましいことではございませんので、でき得る限りこれを整理と申しますか、縮減をはかっていきたい、こういうことでいろいろとくふうをいたしておるわけでございます。しかしながら、北海道は北海道のやはり特殊事情もございまして、この工事の適期が短いとかその他直営事業が非常に多いとか、いろいろございます。しかしながら、なお検討を要する、くふうを要する点も多々ございます。そこで、たとえばどういうことをやるかということを考えておるかということを申し上げますと、道路の維持あるいは港湾、河川工事の直営の仕事がかなりございますから、こういうもので請負に付すことが適当であるというようなものにつきましては、できるだけ請負化をはかってまいりたい、あるいは設計だとか測量であるとか調査であるとか登記の事務、こういうもので外注可能のものは外注に持っていく、あるいは給与その他の計算事務等におきましては、できるだけコンピューター処理等をやる、あるいはだんだん工事の規模が大きくなっておりますから、発注の工事規模も大型化をはかっていくとか、こういったようなことをやりますと同時に、御指摘のとおり常勤職員が一万人以上おります。その中には相当高齢の者もおります。六十歳以上の年齢に達した者が七百名近くいるのでございまして、これらの新陳代謝をはかって若い人に入っていただく、また非常勤職員の中でやや常勤的に近い勤務をしている者は、なるべくこういう新陳代謝の機会に定員の中に繰り入れていくというような方法によりまして、これからの開発事業というものは量も、あるいはまた予算の面におきましても、ますます増加していくと思いますが、ただいま申し上げましたようなくふうをはかりまして、そうしてできる限りこのような常勤職員に近いような状態の非常勤職員につきましては、縮減をはかってまいりたい。しかしながら、これが常勤職員全体の勤務条件に非常に影響を与えるということがあってはなりませんので、これらにつきましては、十分職員団体と話し合いをいたしまして、納得の上に、ただいま申し上げましたような方向をとってまいり、さように考えておる次第であります。
○山崎昇君 文部大臣にちょっとお聞きしますが、実は私は東京大学に行ってきました。そうしたら、理学部の話を聞いてまいりましたら、やはりこの定員外職員の問題で部長さんが悩んでおられまして、組合と団体交渉をやってこういう文書ができているんですね。それは「理学部に現在約七〇名いる常勤の定員外職員の大部分は、定員内職員の行なっている業務と同等の業務に従事している。」「上記の定員外職員がないならば、「理学部における教育・研究の規模は著るしく縮少され、理学部の運営は困難になるであろう。」「常勤する定員外職員の待遇の改善の努力を続ける。昭和44年6月17日東京大学理学部長久保亮五」これと組合との団体交渉ができてお互いに署名しているわけです。 そこで私が聞きたいのは、この大学関係の事務局でもかなり定員外職員がおられる。それがいなければ実際に研究ができないと言われる。これが大学紛争の一つの問題点にもなっていると私どもは聞いている。そういう意味で、大学における定員外職員について文部省はどういうふうにお考えになるのか、聞いておきたい。
○国務大臣(坂田道太君) 私のところの文部省関係では、本省とかあるいは文化庁その他はそうたいした人数ではございませんが、いまお話がございました国立学校、特に大学につきましては、全部で一万三百二十九名という者がおるわけでございます。これはなかなかむずかしい問題でございまして、いまおっしゃいますように、教育・研究の特殊性ということからいたしまして、すべてこれを定員で処理したほうが教育・研究にプラスになるかというと、必ずしもそうじゃないんじゃないかという面もあります。それからいま御指摘のように、むしろ常勤化すべき者も多少あるかと思うので、たとえば無給医局員等につきましては今度は考えたわけでございますが、とにかくそういう事情でございまして、戦前のごときはむしろ講座費でもう大学それ自体がお金を差し上げていろいろなものをそこで措置するというような形になってきておるわけでございますけれども、今日ではこういうような形で残されておる。これについてはやはり教育・研究の実態から考えてひとつお考えをいただかなければならない、というふうに私どもは思っておるわけでございまして、もちろんしかしながら、この定員外職員の常勤化の防止という三十六年二月二十八日の閣議決定がございますので、定員の再配分、あるいは事務の簡素化あるいは請負化、機械化、合理化というようなことも考えたいと思っておりますけれども、しかし、やはりこの点については、ひとつ御理解をいただきたいものだというふうに思っておるわけでございます。
○山崎昇君 そこで、総務長官と私は人事院にお聞きしたいのですが、いままで私はこの定員に関連して、事業と定員というものが必ずしもマッチしない、そして多数の定員外職員という者が置かれる、そうしてこの定員外職員というのは、御存じのとおり日々雇用から始まりまして何年も、十年近くもたった一日だけ切られて実際は引き続いて採用されている者もおる。そこで人事管理の面から、総務長官はいままで質問をお聞きになって、一体この定員というものをどうあなたも判断されるか。そうしてこの定員外職員というものをどうされようというのか、人事管理の面から聞きたいし、それから人事院総裁には、公務員法を扱う人事院総裁として、こういう者の存在、これだけ多数置くことについて公務員法上問題がないのかどうか。あればどういうふうに人事院としてはされようとするのか、聞いておきたい。
○国務大臣(山中貞則君) 率直に申しまして好ましくないことであると思います。またせっかく仕事は国民に奉仕する国家公務員たる立場とほとんど内容が同じような仕事をしておるわけでありますから、その意味では身分その他についてもはなはだ不安定であり、将来の保障等についても継続されませんし、これらの点は、これまでも衆参両院の大蔵委員会やその他の現業などを持っておりまする役所とまたちょっと違ったニュアンスの職員等もおりまするので、いろんな議論が展開されておることを私も知っておりますが、これらをどう処理するかについては、総定員法の前提のありまする問題であり、また人事院という独立の機関がございますので、それらの主管の立場の方々の御意向を受けまして、国家公務員所管の大臣としての意向を固めたいと考えますが、端的に言って、そのような現象が続くことは好ましくないことである、ということだけは申し上げておきます。
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもといたしましては、当面の局に当たっておりますために、関係者の方々御自身からいろいろな要望が集中しておるわけです。そういうことも考えまして、法律の条文としては、御承知のように給与法にちょっと片りんが出ておるだけでありまして、あとは大体人事院規則に特例をまかされておりますので、わがほうで規則の問題として扱っておりますけれども、これは相当できるだけのことはやっておるつもりであります。しかしそれ以上ということになりますと、これは何ぶん非常勤という本質を、そのワクを越えるわけにはいきませんので、これは結局公務員法上の問題というよりも、定員の中に入れていただくのが一番手っとり早いことではないかというふうに考えております。
○山崎昇君 そこで佐藤総理、私はほんとうは時間があれば、まだまだ本質論から始まって明らかにしたいと思うのですが、次の私質問したいこともありますから、この問題一応これで終えたいと思うのです。そこで総理に総括をして二、三点お願いをしておきたいと思うのです。 第一は、昭和三十六年二月二十八日の閣議決定ということが前面に出て、全くいまの事態というものを解決できない。ただ労働者の首を切ればいいというような姿にだけなっている。そこで私はこれは撤回してもらいたいと思うのだが、閣議決定はなかなかそう簡素に撤回できる問題ではありませんために、できるならこの閣議決定というのは、いまの事態に合うように弾力的に私は運用してもらいたいということが第一。 それから第二は、いま働いておる定員外職員については、それを首切るなんという処置でこの問題を解決するなんということをやらないようにしてもらいたいということ。 第三は、定員に欠員等が生じた場合には、この常勤的といわれる方々からやはり補充をしてもらいたい。さらにいま指摘をしましたように、法定定員と予算定員に二千七百の差があるのですから、実際には二千七百名採用できるのですから、そういう定員を使ってでも、早急にできるだけこの定員外職員というものの解消をはかってもらいたい。 それからその次は、十年もつとめておって、かりに定員内に入ったとしても、その十年間のその人の経歴というものは八割換算でありますとか、それから共済組合の適用がないとか、さまざまな不利益があります。したがってこの労働条件等については、できるだけ私はやっぱり月給制に直してもらいたい。そうして定員内職員と同様の待遇関係にしてもらいたい、こう思うのです。今後こういう事態のないように、事業と定員がマッチするように、真剣に私は内閣は検討してもらいたい。こう私は集約をして総理に提案をするのですが、これに同意していただけますか、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、閣議決定があったからといいまして、情勢の変化がございますから、それが未来永劫に変わらないものではございません。したがって私はそれを実情に即するように変更することにやぶさかではございません。また、ただいま御指摘になりましたように、現実に欠員が出たら、まずそういう者を先に採用しろ、また非常勤の職員というものが非常に受ける不都合、各種の問題等もこれから十分研究したいと、かように私考えますので、ただいまこの席で御満足のいくような答弁は直ちにはできませんが、御指摘になりましたことは、誠意をもってこれを取り組んでみたい、十分研究するつもりでございます。
○山崎昇君 佐藤総理から私のいまの提案について即答はしておりませんが、解決するように努力をしますということでありますから、一応この場は私は了承をしておきたいと思います。 そこで、もう時間がほんとうになくなりましたが、最後に天下りの問題についてお聞きをしておきたいと思います。 これは佐藤総理ね、私はほんとは天下りの問題というのは、官僚制度にメスを入れない限り私は直らないものだと思っているひとりなんです。本来ならば、時間があれば官僚制度について私はいろいろお聞きをしたいのですが、そんな時間がありませんから、いま起きておる現象面から二、三お聞きをしておきたいと思います。 この天下り、天下りと簡単にこういうのですが、私は天下りという問題については、ほぼ四つに分かれるのではないかと思う。一つは、中央官庁の高級公務員が民間企業の役員にいく場合、二つ目には、公団、公社、事業団等の役員にいく場合、三つ目は、地方自治体のポストに就任する場合、四つ目は、これはまあ同じことになると思いますが、自衛隊の幹部が軍需産業にほとんど就職するというやり方、私はこの四つになると思うのです。 そこで、ほんとうは逐一お聞きをしたいのですが、時間がありませんが、少し自民党に立ち入ったことを言うようで、たいへん恐縮でありますけれども、いま日本全体の動きを見ると、全く官僚でなければできないような仕組みになっているんじゃないだろうか。それは自民党の三百人の代議士のうち、官僚出身が約七十六人だという。今度の内閣改造で十九名の閣僚のうち十一名が官僚出身である。そして、公団あるいは公社、事業団、こういうところの役員は、九割九分までは高級官僚で占められておる。民間企業のこれは、人事院にほんとは数字を聞けばいいのですが、私の調べた限りでは、三十八年の人事院が報告義務を生じたときから千十名の高級公務員が民間企業にいっておる。そのうちの半分は厳然たる役職員です。こういう事実、そしてまた地方自治体には約七百名にのぼる高級官僚が派遣をされておる。こういうふうに考えますと、この日本全体——私は野党だから言うわけではありませんが、日本全体がもう官僚でなければ何にもできないような私は仕組みになっているんじゃないか、これは与党としても十分ひとつ反省をしてもらいたいし、考えてもらいたいと思う。特に、自治体に対するやり方なんぞは、全く私は言語道断だと思っている。人事院の採用試験を終わった者を、さらに自治省で採用試験をやって、そして何年組、何年組と称して配置をするわけです。いま私のここにありますのは、これは三十九年組です。二十名採用して地方自治体に派遣をして、二年後には自治省にこの二十名が全部戻っておるわけです。現在は全部府県の課長になっているという。わずか二十七、八歳で課長に出ていくわけです。またそして一年か二年たつと全部自治省に戻るんですね。この一年前の三十八年組はいま全部自治省におる。こういう私は現況を考えたり、私は北海道の出身でありますから北海道のことを言うと、自治法ができて二十三年でありますが、北海道の総務部長、現在まで八人、うち七人までは自治省出身者、地元出身はたった一人です。いま京都の知事選に出ている柴田さんもそうでありますが、ですから、北海道の総務部長というのは自治省出身者の指定職になっている、もう。 こういうことを私は考えると、これはやはり官僚の問題というのは、私はほんとに重要じゃないかと思うのですね。そこで、この天下りの問題に関連をして、一体、総理は、こういう事態に対してどうするのか、最後にひとつ総理の決心を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私もかつては、前歴は公務員、国家公務員である、だから、まあいわば官僚の出身だ、かように言われるかわかりません。しかし私は民主政治のもとで選挙を経て身分が変わってきたら、いわゆるいつまでも官僚出身だとか言わないことがいいのではないかと思っております。 そこで、ただいまの公務員が直接関係する会社等の重役になるという、こういうようなことはこれは避けるべきだと、こういうことで人事院が十分の資格審査をして、そうして一定の期間を終えた上で、ただいまそれぞれの地位につくと、こういうことであります。これはまあ中央の公務員ばかりでもなく、自衛隊の職員もやっぱり、自衛隊はみずからがその期間等を十分審査いたしますが、そういうことで制限は加わっております。しかし、公務員がある程度の人物であることは、これは認めないわけにはいかぬだろうと思う。私は、国家的にそういう意味で、そういう人物が使われることはむしろ望ましいことではないか。いまたいへん、定年その他ができまして、若くそれぞれの職場を離れておりますから、その職場の後を一体どういうように使うか、国家社会に奉仕するのはそういう方向であってしかるべきじゃないかと思う。 次の問題としての第二は、地方公務員との関係でありますが、この前地方公務員との関係でお尋ねがありまして、すでにお答えをいたしておりますから、もう重ねて申し上げるまでもないのでございますが、これは別に私ども地方に引き受けろという、そういうことを申しておるわけでもない、仕事の性質上やっぱり中央とのつながりから、やっぱり引き受けていたほうが便利な場合がある、かように思います。これは中央の公務員が地方に出ると同じように地方の公務員が中央において職を求める、これはやっぱり私どもも便宜をはかってしかるべきじゃないか、その間の交流をはかることは、これはよろしいのじゃないか、かように思います。 また公社、公団という、これがどうも公務員の出身だと言われますが、先ほども公社、公団の性格についていろいろお尋ねがございました。ものによっては国家的な、本来は国家的な機関であるという、そういう性格を持つものもあります。したがって、公務員がその延長として出かけるという、これもやむを得ないことではないかと思う。しかしこれも無制限に取り計らっては相ならないと思います。私は一方で公務員、官僚がどんどんそれぞれの地位につく、しかしてまた一方では、組合の役員がそれぞれその地位につかれる、これはそれぞれりっぱな人物がそのところを得るのであって、前歴がどうだということにあまりとらわれないで、その後、身分の変更が、平穏無事に変更がとられるなら、そういう点はむしろ歓迎し、それぞれ有用な方が各方面で活動されてしかるべきではないかと思います。 自衛隊の幹部については、これは先ほどもちょっと触れましたが、これがどうも産軍一体だと、かような批判を受けないように、そういう点では十分注意をしてまいるつもりでございます。 ただいまの定年その他から見まして、まだまだ十分国家社会に奉仕できるその立場でございますから、そういうような人材はその才能を十分発揮していただく、こういうことが望ましいのではないか、ただどうも公務員ということで、それだけを色目で見ないように、また、私どもの内閣に官僚出身が非常に多い、ことに大蔵出身が多いじゃないか、かような御指摘は、そのとおりでございますけれども、たまたまそういうことになったのでございまして、衆参両院、自民党の人々も、また社会党の方々も、その他の政党の方々もみんな国民から信託を受け、そうして国民を代表してりっぱな働きをされておる方でありますので、私どもだれを選んでもりっぱにその行政才能もあるだろうと思いますが、しかし、やはりそれぞれ得意がございますから、その得意を生かすようにいたしたいと、かように思います。御批判は御批判として承っておきますが、私は総体としてとにかく一応選挙の後は、もうあまり前歴は言わないことにひとつ願いたいと、よろしくお願いいたします。
○山崎昇君 それじゃ終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして山崎君の質疑は終了いたします。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、鶴園哲夫君の質疑を行ないます。鶴園君。
○鶴園哲夫君 沖繩の問題について、二つほどお伺いをいたします。 一つは、土地問題なんですが……。
○委員長(堀本宜実君) 静かに願います。
○鶴園哲夫君 発端は宮古島の旧陸軍飛行場にあるのですけれども、現在沖繩は、御承知のように膨大な土地を米軍が基地として使用しているわけです。それ以外に、また国有地、県有地等が、本土政府や琉球政府の裁量が及んでいないわけです。この軍用地の中にあります国有地あるいは県有地、それ以外に民政府によって管理されております国有地、県有地、そういうものの実態を把握しておられるのかどうか、大蔵大臣並びに自治大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 国有地につきましては、戦前の台帳がありますので、大体その実態は把握しております。
○国務大臣(山中貞則君) たいへんややこしいですから。まず国有地ですが、沖繩に所在する旧国有地で国有財産台帳、これは昭和十七年三月三十一日現在ですが、それに記載されているものが三億七千八百万平方メートルであります。これらの国有地は、現在米国民政府が管理しておりますが、米側の説明によりますと、これらの土地のうち国有林野、これが全体の九九%を占めております。これは米側から琉球政府が委託を受けて管理をしておりますが、国有林野以外の残りの一%になりますが、これは飛行場と琉球政府自体が使用しているものその他若干があります。さらに旧県有地でございますが、旧沖繩県有地は約一千三百万平方メートルです。これは昭和十八年の十月一日現在、沖繩県議会の議事録によるものでありますが、全体のこのうち約八〇%は同じく山林です。その管理は国有地の場合と同様に、米国民政府が管理していることとなっておりますが、実際は、そのうちの大部分を占める林野については、琉球政府に管理を委託いたしております。 なお、民有地の収用状況をついでに申し上げましょうか。よろしいですか。
○鶴園哲夫君 いいですよ。
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府の発表によれば、昭和四十三年六月三十日現在、米軍が使用している民有地の面積は六千三百十万四千五百五十坪となっております。これら民有地の使用は布令第二〇号、賃借権の取得により琉球政府が米軍の要求告知書に基づき、地主と基本契約を行ない、その後琉球政府と米軍工兵隊との間で総括賃貸借契約を結ぶ方法で行なわれております。米軍が収用する民有地に設定する権利は、五カ年賃借権と不定期賃借権の二種で、賃借は琉球政府行政主席が任命する委員からなる土地借賃評価委員会の評価及び勧告に基づき高等弁務官が決定することとなっております。一応御参考までに御説明申し上げておきます。
○鶴園哲夫君 先ほど大蔵大臣から大体把握しているというお話だったのですが、大体では困るのですがね。昨年年末に国有財産についてのミッションが出たんではないですか。明確に御答弁をいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 台帳の数量は三億七千八百万平方メートルであります。
○鶴園哲夫君 どうも大蔵大臣、あいまいのように思うのですけれども、あとほどもう少し確かめてまいりたいと思いますが、非常に激しい戦争で、たいへんだったですね。まあ土地台帳もだいぶ焼けておるらしいですね。それで住民が帰ってきたときは、すでにアメリカ軍が旧軍用地を占領しておる。それから民有地もだいぶ占有しておるというところから、住民としては、この土地の問題国有地、県有地の問題について非常に関心があるのですね。ですから一体自分の土地がどこにあるのか、どういう形になっているのか、わからないのですね。一変してしまっているのですね。結局膨大な軍事基地の中で、自分の土地はどこにあってどういう形になっているか、行ったことがない、見たこともない、この二十五年間。そういう実情なんですけれども、国有地と同じような形ではないですか、県有地も。それを、復帰を前にして国有地はどういう態様になっているか、どういう実情になっているのか、もっと正確に把握しておられるのじゃないかと思ったのですけれどもね。
○国務大臣(福田赳夫君) いま把握の方法は、国有財産台帳によるほかはない。それが一体どういう状態になっているかというのを確認する方法がない。まだ日本政府として実態調査をやってはおらないわけであります。そこで先ほど大体と、こういうように申し上げたわけでありますが、まあ返還も近く迫ってまいりましたから、それを確認し得る機会が近づきつつある、かように考えております。
○鶴園哲夫君 昨年共同声明が、国有財産についてのミッションが出ているのですけれども、それは大蔵省は、どういう把握をしてこられたのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 詳しい報告は受けておりませんけれども、実態調査はしないのです。まあ大体どんなかっこうだろうという、大ざっぱな台帳認識、こういう程度と承っております。
○鶴園哲夫君 米側から詳細なリストは出ていないのですか、県有地についても、国有地についても。
○政府委員(本間英郎君) お答えを申し上げます。 国有財産の実態につきましては、ただいま大蔵大臣から御答弁を申し上げましたように三億七千八百万平米でございますが、そのうちほとんどが国有林野事業特別会計に所属いたします財産でございます。それ以外の財産につきましては、米軍基地、あるいは沖繩にございます米軍家族の住宅地区、それから諮問委員会用地、それから琉球政府の公用の用地、その他道路等の公共の用に使われておるのが現状でございます。
○鶴園哲夫君 先ほど大蔵大臣話がありましたように、いまの国有財産の台帳というのは十七年ですか、昭和。
○政府委員(本間英郎君) お答えを申し上げます。 戦争前の国有財産台帳の数字をもって把握いたしておる次第でございます。
○鶴園哲夫君 それはいつですか。
○政府委員(本間英郎君) 昭和十七年の時点でございます。その後、戦争中並びに戦前におきまして旧陸、海軍が民有地を買収しているのもあるやに承っておりますが、その後、実態把握することが私たちとしては困難な状態にございましたので、詳細につきましては遺憾ながら現在把握できない状態にございます。先ほど大臣から申し上げましたように、近き将来におきまして、この実態につきまして詳細に調査並びに実測等ができます機会がありますれば、早急に把握いたしまして今後の処理を検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○鶴園哲夫君 それでは、非常に問題になっております私有地ですね、六千三百万坪あります私有地の態様等についても、おそらくこれはほとんど日本政府としては把握しておらないのですね。琉球政府も把握しておらないようですね。これは返還のときにはたいへんなことになるのじゃないですかね。自分の土地がどこにあるのかわからないというのですから。どういう形になっておるかわからない。たいへんだと思うのですけれども、すみやかにこれは正確な調査をしていただきたいと思いますね。この間、私ども沖繩に参りましたときに、ランパート高等弁務官も、基地内に入っての調査も協力するというようなことを言っておりましたですから、早くやってもらいたいですね、これは。えらいですよ。 そこで宮古島の飛行場の返還の問題について聞きたいのです。 これは昭和十八年に買ったんですけれども、土地台帳に載ってないですね、これ、国有財産台帳に。これは向こう側に行きますと、数十回にわたって日本政府、総理府総務長官に対して、琉球政府に対して、あるいは民政府に対して陳情をしたと、こういうことになっている。総理府総務長官、経緯を簡単に説明していただけませんか。
○国務大臣(山中貞則君) 実は、私就任いたしましてから宮古の旧日本の陸、海軍の使用をいたしました三つの飛行場についての陳情、もしくは主席からの正式なる要請等に接しておりません。しかしながら資料といたしまして、御参考までにただいままでに調査し終わりました坪数を申し上げますと、旧海軍飛行場でありました宮古島の平良市の、現在一部民間飛行場で使っておりまする分は、五十万九千八百四十一坪です。それから現在は農地として農民の方々が、耕作権と申しますか、貸しつけてありますものが上野村の旧野原飛行場と言っておりますが、これが三十四万四千五十五坪です。それから同じく農地として貸しつけて、したがって飛行場として使ってないものが、洌鎌飛行場と言われておりました下地町の十五万五千二百二十五坪、ここまではわかっております。
○鶴園哲夫君 宮古島の飛行場については、昨年私どもが沖繩に参ったときも非常に詳しい陳情を受けたのです。その陳情書によりますと、私がいま申し上げたように、日本政府に対して、琉球政府あるいは民政府に対して数十回にわたって陳情しているというわけですね、二十年にわたって。問題は、総動員法によりまして、昭和十八年ですけれども、十八年から十九年にかけまして、海軍があすこに一つの飛行場と、陸軍が二つの飛行場を宮古島につくった、そのときに、もちろん強制収用ですね、そのときに価格というのが正当に支払われていない。もう一つは、戦争が終わったらもとの値段で払い戻すという約束をしておった、約束をしたということも厚生省のほうから約束書が出ているわけです。だから返してくれ、戦争は終わったじゃないか、正当な補償が行なわれていないのだから返してくれ、こういう長年の間の要望なんですよ。だけれども、いまお話しのように、総理府総務長官お聞きになっていないと言うのですね。それじゃ申し上げましょう。これは国有地の台帳に載っていないわけでしょう。
○政府委員(本間英郎君) お答えをいたします。 宮古島におきます民有地の買収につきましては、現在私のほうにおきましては国有財産台帳に登載されておりません。聞くところによりますると、正当な対価を支払われて決済がなされているやに承っております。
○鶴園哲夫君 台帳に載っていなくてもこれは国有財産ですか。
○政府委員(本間英郎君) お答えをいたします。 正確に——戦争直前のことでもございましたので、私のほうでは台帳登載の手続が未了になっているのが現状でございます。
○鶴園哲夫君 宮古島には三つの飛行場がありまして、石垣島に行ったのですが、三カ所の飛行場があったのですが、その他いろいろこういう国有財産だといいながら、旧国有地だといいながら十七年以降、十七年の中ごろ以降のやつは国有財産土地台帳に載っていないですね、台帳に。あくまで政府としては国有地だと、こういうふうに言われるのですか、それともこれは国有地じゃないのですか。
○政府委員(本間英郎君) お答えをいたします。 仰せのとおり、現在国有財産台帳には登載されておりませんが、米軍の使用に基づきましても、国有財産である旨の説明を承っているところでございます。
○鶴園哲夫君 沖繩本島の南のほうに西原与那飛行場というのがあるのですね。これは旧陸軍がつくった飛行場なんですけれども、返還されていますね、返していますね。これはどうなんですか。こういう軍がつくった、戦車壕として陣地構築としてたくさんのものを、十七年の末ごろから十八年、十九年にかけてたいへんつくったわけです。そういうのは国有地として載っていないのじゃないですか、非常にあいまいだと思うのですね。向こうのほうでは、現地で国有地だと思っている。中には国有地じゃない、台帳には載っていないという主張をする人もいる。いま私が指摘しました宮古の飛行場は、土地台帳に載っていないと言っている、現地の人たちは。いまおっしゃるように、台帳に載っていないのですね。いま申し上げましたような西原与那飛行場ですね、これは返還しているのですよ、これはどういうわけですか。
○政府委員(本間英郎君) お答えをいたします。 正確に、私のほうでは現地に参りまして具体的に実地調査をいまだいたしておりませんので、先ほども申し上げましたように、仰せのとおり早急に事実を確認いたしまして、適正なる処理をいたしたいと考えておる次第でございます。
○鶴園哲夫君 この問題は、米琉土地諮問委員会というのがありまして、米琉土地諮問委員会が六五年に、高等弁務官に対しまして買ったときの値段で住民にひとつ返せと、返すようにという勧告をしているわけですね。理由とするところは、正当な補償が行なわれていないということと、戦争が終わったら返すということになっておったんだと、その二つを理由にいたしまして返せという勧告をしているわけなんですよ。返さなかったですね、これ。 そこで農林大臣にお尋ねをいたしますが、今度、熱帯農業研究所ができることになって、その支所は沖繩の石垣島にできますですね。この間行ってみますというと、あそこは国有地だというふうに聞いたんですけれども、どういうふうにしてあそこに土地を設定されることになっているんですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま国会で御審議を願っております農林省設置法の一部改正案が成立いたしましたら、いまお話しの熱帯農業研究センターをつくるわけであります。その支所を沖繩につくることになっておるわけであります。そこで、これ、法律案が成立いたしましたらさっそく外務省を通じてアメリカ側とも折衝いたしまして、早く土地を選定いたしたいと思っておるわけでありますが、まだその程度でありまして、どこともきめておりませんが、いま石垣のお話がございましたけれども、立地条件としては石垣の旧軍用地が適当ではないかという考えは持っておりますけれども、その程度のことであります。
○鶴園哲夫君 いま農林大臣の説明ですと、政府のためには国有地を、御承知のように農場にしようというお話なんですが、石垣島の四百人の旧地主だちは、これは百二万坪の土地を返してくれ返してくれと二十年言い続けている。そういう措置ができないものかと思うんですね。しかも国有財産の台帳に載ってない。これは総理のひとつ御意見を承りたいですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) なかなかいろんな問題があるだろうと思います。いま、戦時中、しかも激戦が展開されたそういう場所でありますし、そうしてその後アメリカに占有されたと、そういうことでもうずいぶん長い期間経過しておりますから、また土木工事も行なわれてどうも地形は変形していると、こういうようなことで実際には昔の状態についての議論をいたしましてもなかなかわかりかねるだろうと思います。しかしまあ、いずれにしても、とにかく返ってくることが先決でありますし、これ、とにかく返ってこないことには、いまここでどんな議論をいたしましてもそれは通用しないんですから、返った際にただいまのようないろいろ紛糾があるだろうが、そういうことはよく話し合った上で解決をしていくと、こういうことにしたいものだと、かように私は考えております。
○横川正市君 関連してちょっと一問。 土地の返還の、おそらくこれから具体的に調査をし、それぞれの所有者に返すとかあるいは国のものは国にするとかいうような事態が起こるんだろうと思いますが、その場合に、小規模は小規模のまま所有権の移転をするというようなかっこうになるのか、それとも新しい農業体制というものをつくり上げて、それに基づいて権利その他を保証しながら処理をしていくのか、原形のままでもとの人に返すというかっこうでの処理のしかたもありますし、沖繩はこれから大きな産業問題とかあるいは沖繩の方々の雇用問題とかかかえてどうなるかということを心配しているわけですから、その点の検討は行なわれるわけですか、それとも現状のまま旧所有者ということでの解決のしかたをするんですか、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩が日本に返ってきますれば、元国有財産であった分は、それは国有財産にまた復元をするわけです。ですから、これは国有財産の一般原則に従いましてこれを処理する。その際には、普通のものにつきましては国家公共の用途にこれを使う。それからまた、特別の取りきめのあるたとえば将来お返しするとか、そういうような約束があるというようなものにつきましては、これをその約束に乗って返すという事例も出てくるかと、かように存じます。
○鶴園哲夫君 どうも総理、私は国有地じゃないんじゃないかと、台帳に載ってないんだから、国有地じゃないじゃないかという気持ちを持っておるわけです。それならそれで処理できるわけなんですね。民政府として処理できるわけです、地でないならですね。台帳に載ってないんだから、国有地でないというなれば、これは返せるんだと私は思う。かりにそうでないとしましてもですよ、そうなんですけれども、かりにそうでないとしても、いま農林大臣お答えのように、政府の努力によっては国有地を自分が使用することもできるわけです。だから、自分のためには努力するけれども、沖繩の県民の旧地主のためには努力しないというふうに受け取れてしょうがないんですけれども、そうじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そうでなくて、政府ばかりが権利を主張するわけでもございません。それは旧地主も、もちろん自分たちの土地ですから主張する場合もあるだろうと思います。そういう段階において、政府は仲裁をあっせんするような気持ちでこういう問題に取り組まないと、この問題は解決しないんじゃないか。先ほど申した実際の問題と当面してこの問題と取り組まなければしかたがないじゃないか、申したのはそういう意味です。 私は、いまもうすでに米軍が占有中に処理したもの、それをまたもう一ぺんもとへ返すというようなことも、これなかなか困難な状態でしょう。そういうものがもうすでに代価は払われておる、しかし、その代価はあまり適正でなかったとか、こんな議論をいまさら繰り返さないような、とにかくお互いが復帰した暁において、ほんとうにひざを突き合わせて話をすれば解決できる問題じゃないかと、かように私は思っております。したがって、ただいまのような問題をも含めて、私は、いろいろな予想しないような問題が次々に起こりやしないか、そのことを実は心配しております。けれど、返ってくるということに沖繩県民も一つの非常な希望を持ち喜びを感じておる、かように思いますから、ただいまのような点は国がどうこう言わないで、みんなが喜ぶような満足するような話し合いがつくものだと、かように私は思います。あまりただいまの状態でとやかく言うことは不適当だろう、かように思っております。
○鶴園哲夫君 沖繩の米軍の軍雇用者の間接雇用の問題について、きのう鈴木強理事のほうから質疑がありまして、それに総務長官から御答弁いただいたわけですが、したがって、重ねてお伺いする必要もないのですけれども、先般沖繩に参りましたときに、全軍労の幹部の人たちに会ったり、それからランパート高等弁務官に会ったりいたしまして、その際に、間接雇用の問題について若干疑問の点がある。そして、主としてこれはもっぱら日本政府とアメリカ政府との交渉の問題のように受け取れたわけです。問題は、復帰するときはこれは当然間接雇用になるのでしょう。ですから、すみやかな間接雇用を非常に期待しておるわけですね。そういう点についてはいかがでしょうか。いずれ復帰するときには間接雇用になるのでしょう。ですから、すみやかなる間接雇用を期待しておるわけです。その点についてどうか。ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 間接雇用の問題につきましては、沖繩の方々の切なる御要望を私も直接承り、また意見交換もいたしております。昨日、総務長官から御答弁があったとおりでございまして、もう少し詳しく補足して申し上げますと、日米協議委員会というものが、従来は沖繩に対する援助費を議題として相談し合う機関になっておりましたが、双方合意いたしまして、すでに沖繩の復帰準備の大綱をきめることに改組されたわけですが、まあ改組に先立っても、実質上そういうふうな動きをもうすでに始めたわけでございます。その席上でも——したがって、アメリカ側は駐日大使と高等弁務官、それから当方は外務大臣と総務長官、この席でもこれを実質上議題にいたしまして意見の交換をいたしたわけでございます。そうして、双方とも検討いたしまして、なかなかこれは法律的にもむずかしい問題でございますけれども、前向きに、積極的に検討して、どっちみちもはや再来年には復帰して——そうすれば当然間接雇用になるわけでございますから、その間もうわずかな期間でもございますから、できるだけ本土に準ずるような扱いにいたしたいということで、実は相当双方とも研究を現にやっておるわけです。そうして、これは単なる日米間の交渉というような問題よりも、むしろ共同研究というようなかっこうになっておりますから、大体案ができて、実質上合意ができますれば、もうそこで、こういう要請をした、アメリカ側はこれはけっこうだということで、そこで合意ができて実施できる。こういう運びにしたいということで、現在双方で努力を続けているわけでございます。伺うところによりますと、高等弁務官から日本側からの案が出ていない云々という話もあったやに仄聞いたしておりますけれども、これはまあ言い回し、表現の問題であって、実際は日米間で共同研究をし、そしてこれでいこうということに合意ができたところで所要の手続をしよう、こういうことに内々打ち合わせ済みでございますので、そういうことで何とか実現をはかりたいと思っております。なおそれ以外に、昨日総務長官から御答弁いたしましたように、他にも猶予期間の本土並みの問題あるいは退職手当の問題というようなこともございますが、これらについても鋭意、現地の沖繩の方々の御要望に沿うように、前向きに検討いたしておりますので、中には近々に結論の出るものもあろうかと期待しておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 総理府総務長官にお尋ねをしたいのですが、沖繩にあります米軍の大量解雇をめぐりまして、あの紛争について、日本側で一時肩がわりすることのできるものもあるように思う、その点についてひとつ考えていきたいというような発言があっておるのですが、これはその後どのような進捗になっているのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(山中貞則君) 外務大臣はたいへん謙虚に、ごく近い期間に解決するものも中にはあると思うということで、私に答弁をお譲りいただいたものと考えます。きのう鈴木委員にもここまで答弁が出かかったのでありますが、最終手続をいたしませんと発表ができませんので、たいへん失礼をいたしましたが、本日午前の持ち回わり閣議におきまして、次のようなことを決定いたし、本日発表をいたしました。これは日米双方同時の発表でございます。その文書を読み上げます。 沖繩の軍関係離職者に対する特別措置について 政府は、沖繩の軍雇用者の解雇問題が本土復帰を間近かにした沖繩の深刻な社会問題となっている特別な事情を考慮して、日米両国政府が協議のうえ、今回軍関係離職者に対し次の措置をとることとした。 なお、沖繩の軍労務者の雇用形態を改めることについては、復帰準備の一環として日米双方の事務当局間ですみやかに検討を始めることに意見の一致をみた。 記 政府は昭和四十四年度の予備費から、総額一九六、〇〇〇千円を支出し、これを琉球政府を通じて、昭和四十四年七月から昭和四十五年三月末までに解雇された軍労務者一、二三七人に対し、特別給付金の形式で見舞金を支払うものとすること。 この一億九千六百万円の根拠は、見舞金、一時金の形ではございますが、これは支出の名目でございまして、積算の根拠は、計算方式が本土の全駐労の諸君の計算方式と全軍労の現地側と異なりまする方式を、本土全駐労の計算方式に置きかえまして計算をいたしました係数によって求めた金額かける人数ということになるわけであります。なお、会計年度が三カ月ずれまして、あと四、五、六の三カ月間は現地側米会計年度の中で予算が進捗いたしてまいります。その間になお予測されるものは、二百十三名解雇の事態に立ち至るであろうという数字がございます。これにつきましては当方といたしましては、四十五年度予算、すなわち、いま国会に御審議をお願い申し上げておりまする予算に関する問題でありまするし、財政法のたてまえから、成立以前の予算の内容についてあらかじめ物事を決定することは不可能でありますので、二百十三名の問題につきましては、今回は言及いたしておりませんが、当然これに準じた措置を行なわなければなるまい、こう考えております。したがって、この現実を前提といたしまして、四月の春闘において全軍労と直接解雇関係に現在あります米軍との間に行なわれます協議の内容は、大きく変化いたしてくるであろうことを期待いたしておりまするし、そのような兆候が顕著であります。すなわち、一九七一会計年度からは、完全になるかどうかわかりませんが、全軍労の諸君の本土並みという解職予告期間、それから退職金そのもの、並びに、先ほど外務大臣の言われました雇用形態の改善、これらが前進してくるものという期待を持っておる次第でございます。鶴園委員はタイミングのいい質問時間になったわけでありますが、鈴木委員に対してはまことに申しわけなかったということをおわび申し上げます。
○鶴園哲夫君 たいへん努力を願って敬意を表したいと思いますが、残りました問題もありますので、一そうの努力を御要望申し上げておきます。 次に、中小商業の問題についてお伺いをいたしたいわけです。これは、日本の商業の中でも非常に高い地位を占めております中小企業の中でも圧倒的部分を占めている。にもかかわらず、中小企業の中のまた中小企業と言われましておるわけでありますが、この中小商業の問題につきまして、まあ大量生産・大量消費、あるいは流通が大型化してきまして、非常に大きな資本の圧迫を受けている。そこへもってきまして、資本の自由化、商業部門の資本の自由化が迫っているというところから、非常な生存の土台が洗われておるわけでありますけれども、この百六十六万という中小商業の問題について、政府の施策が非常におくれておるのではないか。予算の面から見ましても、わずかに八千万円ちょっと、百六十六万の中小商業に対しましてわずかに八千万円という予算、中小企業庁の予算の中でもわずかに〇・二%というような小さなものなんですが、非常にこれはおくれているのではないかと思うのですけれども、通産大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、一般会計について見ますと、そういう数字がございますけれども、たとえば中小企業振興事業団の高度化事業の中の一般案件、これは百四十何億円でございますけれども、この大半は中小商業に向くわけでございますし、経営改善普及事業の相当部分もそうでございます。 それから財投のほうで申し上げますと、政府関係三機関の近代化ワクとして四十五年度には六十五億円、それから生鮮食料品の小売業の近代化資金は二百七十億円といったように、一般会計でごらんになりますと、そのような数字がございますけれども、実は、中小企業対策の相当大きな部分がただいま言われますような中小商業に向けられるべき、そういう準備になっておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 そうすると、流通機構変動に対応しまして、協業化、共同化を進めつつありますね。どういうふうに進められておりますか。いま通産大臣の話ですと、何か、非常に金をこっちに回しているのだというような話ですけれども、そういうことなんですか、もう少し伺っていきますよ。どういうふうに進めておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それでは、その前に、ものの考え方を御説明申し上げておこうと思いますが、大量生産・大衆消費というものが進行してまいりますと、これは、いずれにしても機械化、省力・自働化ということになってまいりますわけですから、中小商業もいわゆる協業化とか近代化とかいうことで、できるだけそういうふうにいってもらいたい。それを助成したいと考えておることは、もう事実、そのとおりであります。しかし、他方でいわゆる大量生産・大量消費というものに、所得が進んでまいりますと、必ずしもあきたらない場合がずいぶん出てくる。それはサービス面でも、生産面でも、私はそうであると思いますので、そういたしますと、結局、もう一ぺん人間の値打ちと申しますか、何と申しますか、中小企業のほんとうの値打ちは人間がいるということでございますから、そこでそういう人たちの機械ではなし得ないサービス、あるいは技術といったようなものを中小企業というものが、一般にこの大衆消費・大量生産の次の段階でははっきりしてくるであろう。私どもはそういうふうに考えておりますから、そこでただいまの体制としては、いま申し上げましたように、近代化・協業化・高度化というようなことを中心に進めております。それらは御承知のように、卸団地であるとか、商店街の近代化であるとか、あるいは小売商店の店舗の共同化であるとか、御承知のようにいろいろな施策、それから改良普及事業といったようなことをいたしておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 ひとつ、中小商業の協業化の重要な一面といたしまして、ボランタリーチェーンが始まっているわけですが、これについて現状の把握なり、これからのあり方、そういう点について、あるいは融資のやり方なんかを見ますと、いま通産大臣が抽象的におっしゃったような形にはなっていないように思うのですけれども、お伺いいたしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) ボランタリーチェーンに対する中小企業振興事業団の融資実績という点でございますけれども、まあそういう特別の融資ワクを持っておりますことは御承知のとおりでございます。そこで私も、あらかじめお尋ねを事前にちょうだいしておりましたので、いろいろ聞いてみますと、確かに少しやり方に弾力性を欠いておるところがあるようでございます。つまり、中小企業事業団から都道府県、それから事業者というようなやり方のほかに、いわゆるB方式なるものを考えておるわけでありますけれども、どうもB方式ですと、全部の関係の都道府県がそろわなければ融資ができないというようなことになっておって、それを、しかし、必ず条件とするのであれば、なかなかそういう融資の方法は動かないと思いますので、どうもその辺に、私どものいままでのやり方も、少しこの二つの方式に限ってしまったところは画一的であったのではないかということを、お尋ねがございまして、私も気がつきました。少し検討をいたしてみたいと、実は思っておるところでございます。
○鶴園哲夫君 もう一つ、これはやはりボランタリーチェーンについて、近代化資金の融資のワクが六十五億円になっているんですけれども、そしてまた融資条件も若干緩和されていますが、ですけれども、肝心の金利が、特別で七分七厘、その他については八分二厘ですね。これは中小メーカーに比べますと高いですね。私は、農業と同じように、中小商業というのは最も生産性が低い、こういう高い金利というのはちょっと農業では考えられないですね。特利で七分七厘、そしてその他が八分二厘と、中小のメーカーと比べてみても高い、こういう点をみますと、これはもっと努力が要るんじゃないかと思いますけれども……。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは中小公庫、国民金融公庫の一般の貸し付け率が八分二厘でございますか、それに対応して七分七厘という特利を実は設けて、大いに優遇をしておるつもりなのでありますけれども、また、両公庫の金利体系の中では、これはかなり低い金利になっておるのでございますが、どうも二つの公庫の金利水準が、一般的になかなか私たちがこいねがっているほど実は低くならないというところに、基本の問題があろうかと思います。
○鶴園哲夫君 今度、通産省で商業近代化地域計画というのをつくられますね。これの具体策をお尋ねしたいんですけれども、大都市だけ計画されているんじゃないかと思いますけれども……。
○国務大臣(宮澤喜一君) 地域計画をやりたいと考えておるのでございますけれども、実態を把握したいと考えまして、さしずめ今回調査をいたしたいと思っております。これを日本商工会議所に委託をしてお願いしようと思っておりますが、私どもいま考えておりますのは、大都市だけを考えませんで、むしろ全国の幾つかの違ったケースを、なるべく特色のあるようなケースを幾つか、まあ四つぐらいを考えておるのでございますけれども、むしろそういう調査をしてみたいと思っております。
○鶴園哲夫君 時間がだいぶなくなりまして、お伺いするお約束になっている点がどうも果たせないようなことになったのですが、いまの通産大臣の御説明になりました近代化地域計画ですね。これはもちろん大都市も必要でありますけれども、ほんとうに必要なのは、これは中小都市で人口が減っていくところですね。ここの商店街が非常に期待をしておるわけなんです。これがほんとうに必要なわけです。そういう意味で、いまおっしゃるように、ぜひそういう典型的なところについての調査をなさるように期待をいたしておきたいと思います。いずれにいたしましても、中小企業の中の、またさらに中小企業といわれる中小の商店百六十六万あるといわれる、さらに小さな小規模企業、こういう問題を含めまして、中小企業基本法がありますけれども、この二つはいずれも特殊な性格を持っているわけです。生産性が非常に低い、零細である、さらに、生業的な色彩を非常に持っているという点から、こういう最もおくれた面について、小規模企業振興法というようなものをつくって適切な施策を行なうというお考えはないかどうか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、おことばではございますけれども、確かになかなかそういう零細規模の、ことに商業、小売り業について、手が十分に回りませんのは事実でございますから、ただいまお話のように、金利あるいは金融の方法、経営改善の普及事業、商工会の活用等々、そういうことを私どももう少しきめこまかくやっていかなければならない、これは痛感しております。ただ、それは新しく法律を設けることがどうしても必要であるのか、むしろ現在やっていることをさらに広げていく、きめこまかくしていくということのほうがいいのかという段になりますと、私はいまの体制をもう少し広げ、きめこまかくしていくことのほうが有効ではないのか、あえて法律を避けなければならないと考えておるわけではございませんが、ただいまとしてはそういうふうに思っております。
○鶴園哲夫君 農政の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいわけですが、これは先般足鹿委員からも質疑ありましたので、重複しないような問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 私は、どうも農政の基本目標というのは変わってきつつあるのではないかという気がいたしてしょうがないわけであります。農政の基本目標は、農業基本法の第一条で明確にしてあるのですが、どうも変わってくるような気がしてしようがないものですから、総理に農政の基本目標を確かめておきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農業基本法第一条で定めているところのもの、その中身が変わりつつあるのではないかという御懸念でございますが、私は全然変わっていないと、かように考えておりますし、また、あの定めてあることは、これは間違いではない、今日もぜひ必要で、あの線を守っていかなければならない、かように私は思っております。
○鶴園哲夫君 農業基本法の第一条は「農業従事者が」「他産業従事者と均衡」のある、生活水準の均衡をとるのだ、これが目標になっているのですね。昨地の九月二十九日、総理大臣の諮問機関であります農政審議会が答申を出しました。その答申の中に「農業従事者の所得と生活水準の向上を図る」ということが農政の基本目標だと、こうなっている。生活水準の均衡をはかるということではなくて「向上を図る」という形になっていますね。私は、そういう意味では、これは均衡をはかるということは目標になり得るけれども、「向上」というのは、どうも目標がないと思っているのですけれどもね。これは非常に大きな変化じゃないかと思って気をつかっているのですが、総理大臣の見解をひとつお伺いします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、やはり農業従事者の生産性は上がって所得がふえてきておると思います。いままで効果はあがりつつある。もう一つの目標である食糧の安定した供給、これをはかるという、その方向にもただいまの生産性が上がったということで、目的を達しつつあると思います。しかし、ただいまのとこ私どもが残念に思っておるのは、非常に片寄った生産、そういうところにあるのではないか、かように思いますので、ただいま総合農政という形で、ただいまの農業基本法の第一条の目的を達するように指導しておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 農林大臣にお尋ねしますけれども、この答申の中で最も重大な農政の基本目標というところから、他産業の従事者と生活水準の均衡をとるというこの目標がなくなったということは、非常に重大だと思うのですけれども、大臣はどういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いま、しばしばお話しになりましたような農業基本法第一条の精神、こういうことで私どもは農業というものをりっぱに育成していく義務があるわけでありますが、御存じのように、最近のいろいろな経済事情の変化で、ただいま中小企業のお話もございましたけれども、やはり、他産業の大きなものの生産性に比べまして、やや生産性が劣っております。しかし、それをどのようにして他産業に比べてひけをとらないような所得を得さしめることができるか、こういうことがわれわれの関心の一番大きな問題でございます。そこで、いまのような経済社会に処して、りっぱな一つの産業として成り立ってまいりますためにはどうすべきであるか、そういうことで私どもが考えましたのが、総合農政の推進についてという考えであります。したがって、その考え方では、できるだけ規模の大きな農業を育成して、農業としてりっぱに立ち行くような、そういう自立経営の農家を維持してまいりたい、こういう考え方であります。
○鶴園哲夫君 私の伺っているのは、そういうことを伺っているのじゃなくて、農業基本法の第一条にいう、他産業従事者と生活水準の均衡をとるのだと、その均衡ということがなくなったのだが、看板をおろしたことにならないか、他産業従事者の生活水準と均衡をとる、そこへ持っていくのだという目標があったわけです。その看板がなくなったじゃないか、この答申を読むと。それを伺っているのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは鶴園さんもすでにお読みになっていらっしゃるとおりでありまして、そういうふうに——数字はあげておりませんけれども——至るところにその趣旨を書いておりますのは御存じのとおりでありまして、この答申でも言っておりますし、私どもでも考えておりますのは、やはり他産業の、つまり、御存じのように農村周辺の五人以上の規模の勤労者に比べてひけをとらない所得、そういうものを目標にして計算をいたしておるわけであります。そういう他産業に比較してひけをとらない所得を農業として得られるようにというところの考え方は随所に出てきております。
○鶴園哲夫君 私は、欧州諸国、EEC諸国が、他産業に従事する者と生活水準の均衡をとるという看板をおろし始めておるようですから、日本の場合にも看板おろしたじゃないかというふうに見たわけですよ。ですから、答申は看板おろしておるわけですよ。答申の六ページ。ところがこれを受けて、政府の「総合農政の推進について」というこの政府の決定ですね、ことしの二月の二十日、これには他産業と生活水準の均衡をはかるとなっている。これは抜けている。それを聞いておるわけです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 看板をおろしているわけではないと思うんです。いま六ページ御指摘になりましたこの中で、「一部には、この厳しい現実を素直に肯定して、日本農業の衰退はやむをえないものとし、農政は農業の後退作戦をとるべきだとの意見もある。」と、「しかし、やがて人口が一億二千万人に達しようとするわが国において、食料の供給を主として海外に仰ぐこととするのは、国民生活の恒久的安定と向上を希求する政府のとるべき政策の方向とはなりにくいであろう。」と、つまりこれは後退作戦をとるべきだという意見もあるがというこれは少数意見で、そういう意見もあったがというわけでありまして、究極の答申は、われわれの考えておることと同じだと思うのであります。それからいま後退作戦と御認定になりましたかもしれませんが、その次のほうには「国民に良質な食料を安定した価格で豊富に供給するとともに、農業従事者の所得と生活水準の向上を図るという農政の基本的目標を達成するため、政府は、新たな決意のもとに農政を強力にすすめなければならない。」。やっぱり私どもと同じ考えで答申していると理解いたしております。
○鶴園哲夫君 農林大臣、私の質問を誤解していらっしゃるようですね。 いま大臣がお読みになった六ページの「農業従事者の所得と生活水準の向上を図る」ということが農政の基本目標になっているのですよ。前はそうじゃなかったのですよ。向上をはかって——その上にもう一つ目標がついておった。向上をはかって他産業従事者と生活水準の均衡をとるという、これが目標になっておった。それがなくなったじゃないかということを聞いているのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、同じこの人たちの集まられてわれわれに示された将来の方向として、農業につきましては四ないし五ヘクタールぐらいが経営の規模、搾入牛においては二十頭程度のものを維持していくことが必要であると、こういうふうに指摘いたしておりますので、なるほどいろいろな字句はそのときによって省かれておるかもしれませんが、この農政審議会の答申全体に流れております思想は、われわれとともに農業を憂え、同時にさらにわが国の農業を、いまここに言っておりますように一億以上になろうとする日本人口に対して適当な自給度を維持してやっていくように、しかも農業従事者もその生活水準の向上をはかることを考えなければいけないと、こういう指摘でございますので、私どもは同じ考え方で進んでおると思っているわけです。
○鶴園哲夫君 大臣、これ、答弁が少し食い違っているのですけれども、大臣が私におっしゃりたいことは、全体を見てくれということだろうと思うのですね。しかしこの目標というようなものがこういうふうに変わっちまっちゃこれは困るわけですよ。つまり所得を高めていく、これはいいですよ。高めていってどうなるのかというと、それは他産業従事者の生活水準と均衡をとるのだ、いままでは目標はあったわけですよ。それがなくなったじゃないか。ないのですよ、そんなものは。「向上を図る」とだけ書いてある。そこで私は、欧州諸国でそういう看板をおろし始めたから、日本においても看板をおろしたのじゃないかと思ったのです。ところが今度は政府の「総合農政の推進について」というのを見ますと、そうじゃなくて、また看板が出ているのですね。これはどういうことなんですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 鶴園さん相手に理屈を言う気持ちはちっともありません、もう長い間、そのほうの大家でありますから。けれども欧州で、たとえばEECで、なるほど米ではありませんけれども、酪農、砂糖関係の農産物が非常にオーバープロダクションで、御存じのようにEECではマンスホルト副委員長がプランを書きまして、一九八〇年を目標に出しました。けれどもあれはなるほど五百万ヘクタールという土地を、あるいは木を植えてしまうか、ほかのものにしてつぶしてしまうかというふうな大じかけな計画を長期間かけてやろうというわけでありますが、しかし最近、まあ日本もそうでありますが、非常に生産性が向上してまいりまして、しかも省力のできる機械等が非常に発達してまいりましたので、面積とそれに要する労働人口が少なくなってもなおかつ生産はふえてきております。イギリスなどの傾向でもそのとおりであります。したがって、私どもは注意深くあのEECの動きを見ておるわけでありますけれども、彼らはやはり彼らが必要とする農産物について、私は彼らが後退作戦をとってきているというふうには判断できないのじゃないかと思うのであります。 それで私どもは、欧州はともかくといたしまして、いまお話が出たから私の所感を申しげ上るのでありますけれども、私はわが国においては、もう後退作戦などということはとうてい考えられないと、こう思っております。
○鶴園哲夫君 大臣はさっぱりかみ合わない答弁をしまして、さっきから困っている。が、しかし、米の生産調整について大蔵大臣に……。
○羽生三七君 関連して。 こういうことをお伺いしたいのですが、たとえば農業がすでに兼業農家が八〇%近くなっている。兼業ですから、これは農業収入のほかに、他の産業に従事しておるわけですね。それは工場の場合もあるし、あるいは官庁に勤める場合もあるし、出稼ぎの場合もある。そうすると、そういう兼業農家がほぼ八〇%程度。自立経営農家をふやしていきたいという政府の基本目標は、これは変わりはないわけでしょう。また、そうあるべきだと思うのです。だが、いまの趨勢でいけば、少なくとも五年や十年の間に何ヘクタールかわかりませんが、この適正規模の自立経営農家が少なくとも日本農業の全構成者の中の過半数を占めるような趨勢ではない。少なくとも八〇%の兼業農家が七〇%になり六〇%になり五〇%になって、漸次兼業農家が減って自立経営農家がふえていかなければ農業の基本目標は達成されないわけであります。そうすると、私は半永久的に、長い将来は知りませんが、半永久的に兼業農家が続くのではないか、こう思われる。ですから、そういう場合の農政のあり方はどうするかということは、これは私は別の問題だと思います。これは時間がありませんからきょうは多くを申し上げませんが、そういう意味で日本農業は政府の目標明示にもかかわらず、近い将来自立経営農家が支配的な構成要素になる可能性はほとんどない。意欲はわかりますよ。政府がそれを達成しようという意欲はわかりますよ。政府がそれを達成しようという意欲はわかるが、実際の趨勢としては、ほとんど、その可能性はきわめて薄い。その現実の上に立って今後どういう農政をやるかということは、これはまた別の問題でありますが、その基本的な問題は、非常に私は重要な意味を持っておると思います。 たとえば、私は米価を無制限に上げよと言っているわけじゃありません。そんなことはできるわけでもない。ただ、米価を上げなければ、兼業農家というものは片一方においては決して生産性を上げません。それは上げ得る場面もあります。しかし、全体としてはむしろ生産性の停滞を招来する。片一方の工場なりあるいは官庁なりあるいは出かせぎのほうでかせぐほうに収入のウエートを置くようになる。だから、農業はある意味においては、所と人によっては荒廃を招く場合もある。 でありますから、そういうことを考えると、日本農業が、この政府の目標明示にもかかわらずかなり大きな重要な条件変化を招来しておるんではないか、こういう感じがするんでありますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん大事な基本的なお話でございまして、ここで私ども農政を担当いたしておるものとしてみんなで考えなければなりませんのは、農業として、つまり安定的に国民食糧を供給する、しかも農業は農業として他産業に比較してひけをとらないような農業の所得を持たせていくということのためには、やはりいろいろ考えてみましても、規模の大きな専業農家を養成するということが大切でございます。これはもう第一段階であります。 もう一つは、いままで小さな農業でも、それは産業として成り立たないような方々であっても、そのままに持続さしていかなければならなかったんだという考え方というものは、私は時代の進展に伴って、これはいまヨーロッパの例も申しましたけれども、やっぱり頭を切りかえていく時期ではないかと思うんであります。たとえば、イギリスでいま三・八%ぐらいでしょう。有業人口の中の農業人口は。毎年ずっと人口は、農業従事者は減ってきておりますけれども、逆に生産は上がってきております。つまり、われわれはやっぱり規模を大きくして農業生産をやって、その人たちが農業としても立ち行くし、国内で必要なる生産をある程度持続させるためには、どうしてもそうやっていかなければ国際競争にかなわないんでありますからして、そういう農業を、農業者をつくっていくことが大切だというんでありますけれども、それが三割、四割、五割になるかというと、私はそうではないと思う。現在でも二割足らずでありますから、専業農家というものは。あとの八割が兼業農家でありまして、その兼業農家のうちのまた六対四で六割は第二種兼業農家でありまして、羽生さん御指摘のとおりであります。 そこで、農業全体としてここである程度の自給度を維持していかなければならないといって、そういう考えが出ておりますけれども、それはたとえば昭和四十三年には米が一一八%もあって、それを含めて全体の主要な農産物の自給度が七八%でありましたやつが、長期見通しによれば、この米の生産調整をいたしますから、一〇〇%にとどめますというと、全体平均して七七%で、一%程度自給度は落ちるけれども、この程度は維持していきたいと。しかし、これをやりますためには、だんだん農業人口というのは減ってきて一向支障はないのであります、この生産を継続いたしてまいるためには。そこで、農業としては、産業としてりっぱに立ち行く、同時にしかし農村をどうするかということでございます。 そこでこれは、いま私は羽生さんの御指摘のように、わが国ではおそらくきわめて長い時間この兼業農家という形は継続していくだろうと思う。その兼業農家というのは、御承知のようにいま都市労働者というのは、一年に二百八十日間ぐらいでございましょう、労働時間は、労働日数というのは。ところが、だんだんだんだん農業の技術が進歩してまいりまして、いま米などでもどんどん省力が行なわれてきております。ですから、たとえば平均一町歩の農家のものでも、都市労働者ほどの労働日数を必要といたしません。その三分の二くらいで済んでしまうでしょう。その余った労働力に対して、看板は農家であるけれどもやはり現金所得を取らしていくということが必要ではないか。しかも太平洋地帯にたくさんの人口が集まってしまうようなことは好ましいことではありませんし、地方の農村の人々も希望しておりますので、地方に産業をできるだけ計画的に分散をしてまいって、そうして、そのいま申しました農村における余った労働力というものをそこに吸収して、産業の地方分散で平均化し、産業が全国的に平均化していくのと同時に、農村の人々の余った労働力に所得を新しく所得源として吸収させるということが好ましい形ではないかと、こういうので、私どもは「総合農政の推進について」の中でもいっておりますのは、いまさっき申しました農業としてりっぱに立ち行く専業農家——これはわずかなもんであります。その人たちを中核にして、それに配するに、いま申しましたような産業が分散してまいります、兼業農家の人々をもそこにこう配列いたしまして、そうしてそこで生産から加工に至るようなものもできるような広域営農集団といったような形をつくっていくことが好ましいことではないか。 最近の傾向でありますけれども、金の卵などといわれておって、高等学校卒業した子供たちが中央の工場にどんどん就職いたしました。かれらがUターンしていく傾向がずいぶん出てきております。これは統計に出ております。これはなかなか私は将来の労働力の配置としてはむずかしい問題だと思いますが、農村のあと取りたちがこのごろは非常にこの農村を、農業を継続しようという傾向が出てきております。私は、国全体として私どもの立場から見ればありがたい傾向だと思っております。そういうような人たちをやはり空気のよい、だれにも支配を受けない、おてんとうさまを相手にするりっぱな自立農家というものをやっていかれるようになり、あるいはその余った労働力を地方に出てくる産業に吸収されるということになれば、かえって全体が好ましいことではないだろうかと、まあ、こういうようなことを申しております考え方で、いままで御説明申し上げた。羽生さんのおっしゃるとおり、私は兼業農家というもののこの所得をふやすという政策はぜひとるべきではないかと思っておるわけであります。
○羽生三七君 まだありますけれどもね。関連でありますから……。
○鶴園哲夫君 大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのは、五十万トン分の十一万八千ヘクタールというのは、これはその転用ですね。農地の転用は、これは三年計画の初年度なんだと、つまり三十五万ヘクタール以上というものを転用するのだ、筆の初年度だというような衆議院においての発言があるようなんですけれども、それをもう一ぺん発言していただけませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 鶴園さんもよく御承知と思いますが、米の減産問題、これは昨年の秋、農業協同組合中央会長の宮脇さんは、減産しなければならぬ、それには減反だと、その減反に対して反当たり四万円の休耕補償というものをするならば、農業協同組合は積極的にこの減産、減反に協力をすると、こう言い出したんです。私はそれを聞きまして、これはたいへんなことだと、いままで増産、増産と、また、米価を上げろと言ってきた農業団体が、もう百八十度の転換で、減産だと言ってきたのは、これはたいへんなできごとだと、農業団体も米の問題の深刻な段階をようやく認識したと、この宮脇構想というものは大事に育てなければいかぬと、こういうふうに思ったわけであります。そういうとらえ方をしたわけであります。ところが、総選挙だと、まあその直後にまた予算の編成をしなきゃならぬ、そういう事態になりまして、予算の編成のときになって、宮脇構想の具体化を考えたのですが、百五十万トンのまあ減産、減反を行なう、そういうことをどういうふうに実行するかということになる。いろいろの人と会い、相談もしたのですが、その過程において、百五十万トンに対して反四万円の休耕補償をすると、それだけじゃ問題解決しないのだ。つまり、いま一割方の水田が残っておる。まあ、三十五万ヘクタールに相当する。この三十五万ヘクタールが水田の用途を廃止するということになって初めてこの問題は解決じゃないか。その用途の廃止ということは、転作が定着をするという場合も一つです。それから農家が水田を他の目的、たとえば農住なんということがありますが、そういうことに使うということも一つである。あるいは国が、あるいは公共団体がずいぶん土地を使うわけでありまするが、水田に重きを置いて土地の収買を進めるという考え方、また工場等が水田を用いるということ、これも積極的に進める。そういうようないろいろな方法で、水田の用途を廃止するという、これは三年かかるか、五年かかるか、あるいはもっとかかるかわかりませんけれども、時間をかけてもそれをすべきであるという議論が出てきたわけであります。私はこれも正しいと思ったのです。そこで初めてそういうことでできるというので、三十五万ヘクタールでありますが、その三分の一はひとつそういう水田の他への転用ということで昭和四十五年に実行しよう、さしあたり四十五年度はそういうことにしようと、こういうことにいたしたわけです。そういうので、思想的に考えまして、私は他への転用という考え方、これは正しい考え方であるというふうに考えておりまするけれども、これを三年、五年、あるいは七年、計画的にやっていこうと、こういうまだ具体案はないのです。そう御了解願います。
○鶴園哲夫君 転用と転作と休閑という三つの方法で百五十万トン減らすということですね。ですが、それぞれこれは非常に違うのですね。農業の立場からいいますと、これは転作というのは生産力をある場合維持できますし、それから場合によっては発展させることができる。転用はこれは生産力を切り捨てることになるのですね。それから、休閑はもちろん生産力切り捨てですね。ですから、私は水田の、百五十万トンよけいになったから水田は用途を廃止するのだ、その生産力を押えるのだというやり方は、これは農業の発展にならないと思う。これはもちろん私は転作が非常に困難だからだと思うのですね。転作の見通しが明確にあれば、これは転作の方向に動けば米の生産量が減るわけですから。しかし、日本の農業の中で最も生産力のある水田を十一万ヘクタールつぶしていくとか、来年もつぶすのだとか、あるいは転用じゃなくて休閑で生産力をつぶしていくのだと、こういう考え方は、これは私おかしいと思うのですけれども、農林大臣どういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん大事な問題でございまして、私どもも一番苦しんだところでございますが、御存じのように、昨年一万ヘクタール農林省は希望いたしましたが、あれは全部転作でありますけれども、半分とちょっとしかできませんでした。ああいういわば実験的なことをやってみて、さて今度は非常に大きい百五十万トンとなりますと、五十万トン分は、いまの話別にして、百万トン、これをやはり転作——私どもとしては理想的に申せば——転作でございます。けれども、実際問題として考えてみまして、転作ばかりに期待するということは不可能だと思います。そこで、とにかく、先ほどお示しになりました農政審議会の答申などでも言っておりますように、とりあえず緊急を要するのは生産調整だと、こういうことでいたしますために、農業団体や県知事その他の関係者とも相談いたしました結果、これはやはり百万トンやってもらうならばぜひ休耕も同じように扱ってもらいたいということでございます。そこで、私どもといたしましては、いま御指摘のように、転作は非常に困難であったからではないか、これはまさに全部転作するということは困難でございます。けれども、なるべく転作をしてもらいたいということで、先般賛成をいただきました補正予算では、二十億の調査費をつくりまして、これを全国に配付いたしまして、小規模な土地改良をやったり、種を買わせたり、いろいろな施策をいたしまして、転作に協力いたしたわけであります。このごろ私は各地を歩いて見ますと、地方地方によりましては、非常に転作が進んでいるところもございます。それから、単作地帯のほうではなかなか困難なところもあります。けれども、いま申しましたように、まず大前提で大事なことが百万トンの生産調整であったものですから、やはり同じようにやって生産調整をやってもらいたいということで、同じ取り扱いをいたしたのでありますが、現在では地方の農業団体、それから県当局等と地域地域に一番適したものについての研究を地方農政局に命じまして、率先していろいろなことをやらしております。そのためのお手伝いをどんなにでもいたすということで、できるだけ転作を強力に推進するように努力を継続いたしておるのが現状の段階でございます。
○鶴園哲夫君 生産調整にあたりまして十二万町歩近い水田をつぶすということは、これは農業の立場からいいますとたいへんな後退だというふうに思います。さらに、福田大蔵大臣のお話ですと、転用に進んでいかれるようなお話ですけれども、日本の水田というのは最も生産力があるわけです。それがどんどん減っていくという、そういう政策をとるということは、農政の立場からはたいへんな後退だと、休閑をすすめていく、奨励をしていくということも、これは米を減らすためにはいいけれども、農業の立場から言えば後退になるのだという点を明確にしておきたいと思うのです。そこで、米の需要量は三十八年に千三百四十万トン、いまこれは千二百万トンに減っていますね。百四十万トン減ったわけですね。これからまあ十年の昭和五十二年までの間に一千百万トンぐらいに米の消費はなるのじゃないかという意見があるのですね。それはうなずけますですね。今日いまや一千二百万トンなんですから。ですから、これから五十二年の間に一千百万トンとなる、あるいは一千万トン一になるかもしれない。そうしますと、これは一反当たり五トンとれるとしますと、二百万ヘクタールちょっとあればいい。六トンとれるとしますと、これは二百万ヘクタールもなくていい。いま三百十七万ヘクタール農地、たんぼがあるわけですから、そうしますと、百万ヘクタールというものは完全に米から解放されるということになるのですね。自由民主党の総合農政小委員会野原試案というのが出ていますね。これを見ますというと、十年後に二百万ヘクタールでいいと、こう書いてある。水田は、水稲は二百万ヘクタールでいいと。そういうことになるのです。ぼくは農林省の本音はそこら辺にあるのじゃないかと思うのですけれどもね。農林大臣の答弁を願います。
○国務大臣(倉石忠雄君) たびたび例に出してあれですが、あの農政審議会の答申等でも、いろいろあすこへ集まった学者たちが研究してくれました。しかし、お説のようにはなっておりませんで、いまお話しの自民主党の総合農政小委員会が非常に熱心に精力的に研究を野原君委員長でだいぶやってくれましたが、その委員長の報告として公式に出ましたものには、二百万ヘクタールでいいとは書いてありませんです。私どもそういうふうに受け取っておりませんで、これは五十二年には二百七十七万ヘクタール、これは長期見通しで言っておるところでありまして、御指摘のように、毎年毎年米の一人当たりの消費量は減ってきています。それを計数的に計算いたしましても、五十二年には二百七十七万ヘクタール、こういうふうに言っておるわけであります。
○鶴園哲夫君 それは、四十三年の十一月に政府が発表いたしました長期見通しによりますと、昭和五十二年に二百七十七万ヘクタールなんだと、そのときの国民の総需要量は千二百四十四万トンぐらいだ、こういう推定だったんですね。ところが、いまもうすでに千二百万トン割りつつあるでしょう。ですから、その五十二年に千二百四十四万トンの需要量があるんじゃなくて、一千百万トンあるいは一千万トンの需要量になるんじゃないか。そうすれば水田は二百万ヘクタールでいいんじゃないかという意見が非常に有力じゃないかということを言っているわけです。私は野原私案というものは非常に正確にものを言っていると思うんですよ。二百万ヘクタールでいいということを言われたのは、そういう考えでいいんじゃないかという私は気がしているんです。その点を伺っているんですけどね。
○国務大臣(倉石忠雄君) 将来の傾向について私ども注意深くなお勉強を続けますが、ただいまのところでは二百万ヘクタールでよろしいという結論は出しておりません。
○鶴園哲夫君 これは総理大臣とそれから農林大臣にお尋ねしたいんですが、さっき倉石農林大臣はさっさと一人でおしゃべりになったんですけれども、農業の後退の話ですね。これは総理大臣、今度の農政審議会が総理大臣に答申をいたしましたですね、あの答申の中に、農業の深刻なきびしい現状を率直に認めて、農政はひとつ後退作戦をとるべきだという意見が一部にあるというのが出ているわけなんですね。それでまあ、従来、農政後退作戦をとるべきだと、経済合理主義的な立場からいっても農政は後退作戦をとるべきだという意見が財界やその他にあったことは承知しているんですけれども、公式の場でそれが論議されて、しかもその答申の中に地位を占めてくるという点についてどういうふうに見ておられるのか、お伺いをしたいのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ひとり農業というわけではございませんが、最近の産業革命、たいへん生産性が向上した、そういう中にあって、先ほどもお話しになりました、中小商業とまでは申しませんが、中小企業、農業、そういうものの生産性がおくれておる、こういうことを非常に心配しておるわけでございます。やはり一国の繁栄、これは申すまでもなく、社会経済の発展はすべての部門が均衡がとれて初めて目的を達するのだ、かように私は確信しております。そういう意味で、農業の生産性を上げることについてもいろいろ苦心を願っておるわけであります。私は、いままで、農業自身が曲がりかどにきたと言われておるのは、いわゆる米作中心の農業、これにはやはりメスを入れるべきではないか。国民の食糧、良質の食糧をやはり豊富に確保して、自給体制をつくって——自給とまでは申さなくとも、これが供給体制をつくって、そうして価格が安定した方向でこれが進められる、こういうことが望ましいのであります。そのことこそ、これは農業が、やはり農業従事者としても、他の産業におくれをとらないような所得を確保するゆえんだろうと思います。他の産業と比べて非常な格差がある、そういう状態で、私はただいま申すような状態は現出はできません。だから、社会経済発展の基本的なもの、これは総合的に考えて、そしておくれのない、すべてがやはり均衡がとれて発展すると、そういうことでなければならないと思います。まあ鶴園君がお話しになっておる農業の後退作戦という、これはどういうことを言われるのか、私はそういうことではなしに、積極的な前進作戦を実はとっておると——なるほど米の生産量は減りますけれども、しかしその他の部門でもっと農業として活動はしてもらわなきゃならない面もあるのではないか。最近ことに物価の問題で、農業生産品が非常に高い、高騰だという、消費者からも非常な批判を受けておる。こういうことを考えるにつけましても、もっと農業に政府自身が真剣に力をいたして、そうして消費者の満足を得るような農産物を供給する、そういう状態を現出しなければならない。そういう場合に、農業の従事者のその所得を考えないで、ただ後退する、そういうようなことではですよ。いまのような物価問題一つをとっても、これは解決できるものではないのでございます。私は、社会経済発展の総合的計画をいろいろ立てられておりますが、そういう時代にこそ、ただいまのようにもっと各方面に眼を開いて、そうして生産性も高め、やはり他の部門との均衡のとれた収益、これをあげられるような農政、その農業をつくらなきゃならぬ、私はかように考えております。 したがって、まあ最初の話に返りますが、やはり農業基本法の定めておる第一条、その精神は残っておるし、またどうしてもそれを守っていかなきゃならない。由来、いままでも、農村こそ国をささえるもとだ、農は国のもとだと言われておりますが、幾ら科学文明の世の中になりましても、依然としてその点は変わらないと、私はかような考え方を持っておる次第でございまして、後退なぞとんでもないことですから、もし一部さような事態があれば、すぐ私どもを叱正していただきたいし、鶴園君はその方面の先輩でもあるから、専門でもあるから、十分御叱正をいただきたいと思います。後退作戦は絶対にとりません。そのことははっきり申し上げておきます。
○鶴園哲夫君 まあ総理大臣のほうからそういうお答えがあったんでございますけれども、私は従来から、農業は後退作戦をとるべきだという意見がいろいろあったことを承知しております。ですが、これが先ほど申し上げたように総理の正式の諮問機関である農政審議会で論議されまして、それが答申の中に一つの地位を占めた、つまり少数意見としてその地位を占めてきたということは、これは非常に重大だというふうに思うんです。そして私の言いたいことは、その答申の内容そのもの、それから答申を受けましてことしの二月の二十日に政府が閣議決定をいたしました「総合農政の推進について」、この内容そのものが農業後退作戦に大きく譲歩した案になっているという点を非常に危惧するものですから心配しておるわけなんです。たとえば自由化の問題についての態度、それから農産物の価格についての考え方、それから自給率についての考え方ですね。政府のこの「総合農政の推進について」という中に出てくる農産物の価格、それから自給度、それから自由化に対する態度ですね、これは後退作戦とはっきりつながっているというふうな印象を私は強く受けるわけなんです。 ひとつ自給率についてお尋ねいたしますが、従来は政府は、自給率を維持して高めていくんだということを言っておられたのですね。今度は答申の中に、自給率を著しく低下させてはならないと言っているのです。それから政府の決定を見ましても、著しく低下させてはならぬと、こう言っているのです。いままでとは非常に違うわけですよ。維持して発展させると言った。それが今度はそうじゃなくて、著しく低下させてはならないということばになっている。この著しく低下させてはならないということはどういうことなんですか、農林大臣にお伺いします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、この文句も農政審議会のことばと同じことばを便宜使っておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、さっき御指摘になりました長期見通し、あの長期見通しの中で、四十三年から五十二年、中間をとっておりませんことは御存じのとおりでありますが、五十二年の見通しにつきまして、その四十三年のときには、全体のこの総合自給度というのは七八%で、これには米が一一八、小麦が二〇、大裸が六〇、果実・野菜等、これが八八、牛乳、乳製品が八八、肉類——鯨を除いてありますが、肉類は八三、鶏卵が九七、こういうのが四十三年でありますけれども、五十二年には一一八ありました米を、生産調整いたしますので一〇〇に落としました。小麦はもう御承知のような傾向でありますので一四と見ておりますが、あと大裸は四四ないし四五、それから果実は八三ないし九〇、牛乳、乳製品は八七ないし九六、肉類は八三ないし九四、鶏卵は九六ないし一〇一と、御承知のように五十二年はそう見ておりますので、四十三年の総合七八は、米が一一八でありましたやつを五十二年に一〇〇に落としておりますので、七七に総合はなりました。御存じのとおりでございます。それでこの程度、これをわれわれは下げてはならないという意気込みでやっておると、こういうことでございます。 そこで、御指摘のように、ただいま私どもの農政担当の側でいろいろ心配いたしております貿易・資本の自由化でございますが、これはやはり農政審議会の答申でも言っておりますように、今日国民経済全体から見て、やっぱり輸入という政策、ことに一方においては消費者の生活安定ということも大きな問題でありますし、かたがた、国際経済の中に立って生きていくために、この自由化を促進しなければならない。その中で、御存じのように濃厚飼料の大きな原料である小麦、トウモロコシ、マイロなどは、もうその大部分が輸入品で自由であることは御存じのとおりでありますが、わが国は農産物においては品目こそまだ若干残っておりますが、その大宗は大部分自由化しておることは御存じのとおりでございます。それでなおかつ今日の食料生産をやっておる。しかし、そのほかのもので、われわれのほうにとりましてどうしても困難なものがたくさんございます。そういうものを考慮いたしたときに、国際社会に立っていくためには、農業政策として価格政策を考えなければなるまいということをここに指摘しておりますし、私どももそうだと思うわけであります。しかし、どうしても譲れないものにとりましては、どういう施策をするかということでありますが、これも審議会の答申の中で触れておりますように、関税、課徴金制度などについて十分なる検討を要するときであると、こう言っております。私どもも農政当局といたしましては、国際経済の立場、国内のいろいろな立場等を考慮いたしまして、いま申し上げましたような最終的なことについて、つまり農政の中の価格政策について十分にこれから掘り下げて検討をしてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
○鶴園哲夫君 大臣ね、四十三年の食料総合自給率は七七か七八だとおっしゃったですね。これは農業白書では八三になっております。米を除いたら六九になっておる。そして五十二年には七七にするとおっしゃるのですか、七五じゃないですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 失礼いたしました。七八は米の自給率を一〇〇%に落とした場合でして、いまの一一八の計算でいくと御指摘のように八三であります。それから五十二年は七七ということ、一〇〇に落としますから。
○鶴園哲夫君 それが著しく低下しないということですか。とにかく八三から七七になると——七五だと思っているのですが、七になりましたね。高いところと中間と下限を三つとってあって、その中間をとっておったはず、七五のはずですね。上限のほうの七七をとっておっしゃっているのではないかと思うのですが。いずれにしましても、八三から七七におっしゃるようになるとしても、それが著しく低下してはならぬということですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) さっきも御説明申し上げましたように、この八三のときには米が一一八%でありますから、これも加えております。したがって、両方ともこれを一〇〇におろしますと、四十三年は七八で、五十二年は七七だと、こう申し上げて、それは現在は二八だから、それを入れなければならぬのではないかという御指摘でありまして、私の誤りでありました。したがって、一一八の米を入れますと八三である、こういうことでありますから、米の一一八は、もう御存じのように、生産調整をしなければなりませんので、当然この辺は一〇〇と見るのが順当ではないか、こう思いますので、これの差だけであります。
○鶴園哲夫君 どうも何ですね。大臣なかなか答弁がうまいものですから、かみ合わなくて困るのです、うまいのかどうかわからないですが。そこで、いま農産物の輸入の自由化について大臣から御説明があったのですが、だいぶ非常に急いでおられるようですね、自由化の問題について。ですから、政府としての農産物の自由化についてのもう少し具体的な方針といいますか、考え方を示してもらえませんか。農産物の自由化についての具体的なこれからの見通し、考え方。
○国務大臣(倉石忠雄君) たびたび申し上げるようですが、いまわが国の国際経済社会に処しております立場で見ますというと、いろいろなことを離れまして考えますと、できるだけ自由化を促進するということが国全体の利益であることは間違いないのでありますが、そういう場合に、なかなか容易にそういう需要に応じられないものもございますので、そういうものにつきましては、先ほど申しましたように関税課徴金制度等を、これからそういう制度を活用することについて品目別に検討しなければならないということを申し上げたわけでありまして、新聞ですでにお読みになったと思いますが、昨日決定いたしましたあれで、ここのところは——これから先そういう問題につきましては先ほど申し上げましたように、なおこれから検討しなければならない次第でありまして、いまは昨日決定いたした程度のことであります。これからさらに検討は続けてまいりますけれども、いまそういうことについてきまっておるものはありません。
○鶴園哲夫君 自由化の問題につきまして、過去自由化してまいったものが幾つもあるわけですね。たとえば大豆、なたね、これは三十五年に自由化しましたですね。大豆、なたねというのは、ほとんど日本列島から姿を消すということになったわけですね。若干のその対策はとりましたですけれどもね。大豆はもうなくなってしまって、なたねはいま見ようと思ったって見れなくなってしまったですね。それから麦類も、それから飼料等についてもこれは自由化されたと同じぐらい輸入されていますね。ですから、小麦とか麦類はどんどん日本列島からなくなってしまう。それから飼料作物なんというのはほとんどこれは育たないという状態になっているわけです。レモンが自由化されますと、日本のレモンというのはほとんど追放されるということになってしまうんですね。それは自由化についていろいろな政策をとられましたけれども、結論はそういうことになっているわけです。これからさらに一そう自由化されるということなんですけれども、ある程度の対策はとられたとしても、過去の経緯から見ますと、そういう作物というものは日本列島から追放されていくということにならぬのかということを心配しているわけです。紅茶が自由化されるということになったら、日本の紅茶なんというのは完全に追放されるのではないかというふうに考えなければならないし、トウモロコシでん粉がどんどん入ってくるということになったら、これはサツマイモなんというものは日本列島からなくなってしまうのではないかというふうな心配をするわけなんですね。その点はどういうふうに考えておられるわけですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 品目によりましては、自由化する場合にそれぞれの手配をいたしておることは御存じのとおりであります。そこで、いまお話を承るまでもなく、私も同じ心配をいたしておるわけでありますので、これからの問題——いままでもそうでありましたが、これからはなおかつ一品目ずつでも十分に検討いたしまして、私どもの事情がどのようにしたならば許されるであろうかということの検討をいたしまして対処してまいりたいと非常に慎重にやっておるわけであります。
○鶴園哲夫君 経済社会発展計画の中で、農産物の輸入の問題が出ておるわけですが、これによりますと、非常に高い農産物の輸入額になっておるようなんですが、昭和五十年にはたいへんな農産物の輸入が行なわれるような数字になっておるようですけれども、経済企画庁長官の御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) この経済社会発展計画は、いま取りまとめ中でありますが、この中に示されておりますいわゆるフレームワークといいますか、数字は、いわゆるマクロ方式によって出されております。でありますから、こまかい物資別に積み上げてやっておるものではもちろんございません。そういう意味で、正式の物資別の数字というものは、たとえば農産物で幾らということは出てこないのでありますが、しかし同時に、いわゆる全体の計画の中で政策について多くの提言が行なわれています。この政策の面におきまして、この国際化の時代を迎えまして、わが日本の経済も全体としてこれに受け太刀でばかりあってはならない。むしろ積極的な体制でもってこの産業構造の改善をはかっていかなければならない。で、それはひとり工業のみだけではない、農業においてもやはり構造改善、いわゆる革新を行なわなければならない、こういうふうな提言が行なわれています。そして、それと同時に、この輸入の自由化、農産物についての輸入の自由化並びに輸入の促進、こういうことをうたっております。そういう意味におきまして、相当農産物の輸入も今後はやってまいらなければならないと、こういうことははっきりしております。
○鶴園哲夫君 この経済審議会の輸入部会の委員の一人なんですが、最近、論文を発表いたしまして、その中で、昭和四十五年は二億ドルふやして、それから五十年度は——いま三十五年、八億八千万ドルの農産物の輸入なんですが、四十三年は二十四億ドルになっていますね。この傾向値を伸ばしていった上に、もう三十億ドルを昭和五十年度はふやすのだ、こういう意味のことを書いたのですね。そしてこれは実行に移される公算が非常に多い。もしそういうふうな農産物の輸入が行なわれるということになりますと、これは私はたいへんだと思う。経済企画庁は、農産物の輸入によって農業を合理化するのだというお話をよくされるのですよ。これは輸入によって農業の合理化ではなくて、輸入によって農業の後退作戦をとつているじゃないかというふうに私は受け取るわけですね。たいへんな輸入になっているのですよ。どうなんですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 輸入がある程度伸びるということが、すなわち農業の後退作戦につながるとは私ども考えておりません。一面におきまして、いわゆる新全国総合開発計画では、鶴園さんも御存じのように、農業地を昭和六十年までに一割以上伸ばす、こういうふうに考えております。そしてまた農業人口は御存じのように明らかに減ってまいります。そして一人頭の生産というものをどうしても高めてまいらなければならない。それの基盤としての農地法の改正も今回提案されておる、こういうことでいつまでも封鎖経済的な要素を残しておくわけにもまいらない。そして私どもが一番心配しておりますのは、工業方面の生産性だけがひとりどんどん高まる。そして農業なり、あるいは中小企業等の低生産部門の生産性というものがいつまでも進まない。そうすると、その間に格差がますます開いてまいる。そのことが今日の国内的な発展の不均衡ということの一つの大きな原因になっておる。こういう考え方から生産性を高めていく、人口は減るけれども農業地はふやしてまいる、こういうような考え方でありまして、これを農業の撤退というふうにはわれわれは考えてはおらないわけであります。
○鶴園哲夫君 過去の、三十五年からでいいのですが、三十五年から今日までの農産物の輸入が非常にふえたということが、結局農産物の自給率をうんと落としてきた、こういうことになるわけですね。自給率が落ちるということは、これは何と言っても農業の後退作戦、いま私が申し上げたように、これから昭和五十年に向かいまして、農産物の輸入がいままでの傾向値よりもっと非常に大きな額になってくるということは、これはどうしてもやはり自給率を落としていくということになるだろうと思う。著しく自給率を落とす、農林大臣は著しくということばをなかなかはっきりおっしゃらないけれども、著しく落ちるということになるじゃないかということは、農業の後退作戦になってくるのだ、私はそういうふうに理解をしておるわけなんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) いま輸入のお話がございましたが、たとえば私ども米作を転換してもらうために、一番先に、いわゆる選択的拡大と言っております肉類あるいは酪農、卵、まあ、そのほか桑がありますが、これは国内の問題といたしまして、そういうものを増産していかなければならない。さっきも申しましたような自給度を維持してまいるためには、濃厚飼料の原料がうんと必要であることはおわかりのとおりであります。そういう意味で、やはり農業関係の輸入が金額としてふえてまいることはあり得ることでありますが、私どもは、先ほど申し上げましたような自給度は維持してまいりたいというたてまえでございますので、その辺は十分警戒をしてやってまいるつもりであります。なお、農業の将来には、そういう意味で、晴れやかなビジョンを持ってもらうようにみんなに望みたいと、こう思っているわけであります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で鶴園君の質疑は終了いたしました。 次回は三十一日午前十時から暫定予算を審査することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時三十一分散会