予算委員会 第7号
- 発言数
- 400 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/03/25
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、足鹿覺君の質疑を行ないます。足鹿君。
○足鹿覺君 本日は、農業問題を中心にお伺いいたします。 いま、農民は雪を分けて苗しろの準備に取りかかっており、この際方針を明らかにしていただかなければならない問題は、米の生産調整と今後の農政の方針についてであります。米作農民はもとより、すべての農民は、農業の前途に絶望感を抱き、その去就に迷っているからであります。この意味で、次の諸点を明確にしていただきたいのであります。 まず第一は、去る三月十日、衆議院本会議で、松沢議員の質問に答え、総理は、米の生産調整は日本農業を自衛する措置との認識に立って米の生産調整に協力してほしいと答えられておりますが、その真意はどういうものでありますか。この際、明確にしていただきたいと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 自衛措置ということばが適当か不適当か、これは別問題としまして、とにかく、米がせっかくできて、まあ豊作だ、過剰生産だ、消費されない、しかも、この日本の米の値段からいたしまして、これは国際的な市場を見つけるわけにもいかない、そういうことを考えると、どうしても米作の調整をせざるを得ない。これが日本農業を守るゆえんではないだろうか。健全農政をそこに見つける、そういう時期ではないだろうか。かように実は私は思って発言をしたのであります。で、いわゆる米が足らないとき、不足するとき、そういう際は、なかなか、生産性を上げるとか合理的な近代化をはかるとかいうことは困難でありますが、米が余っておる、消費し切れないほど過剰だと、そういう際こそ、いわゆる近代化を進める、生産性を上げる最もいい時期ではないか、かように思って、そういう意味で、独立した産業にまで農業を持ち上げる、そのためにもこのことは必要ではないかと、かように考えて私は発言したのです。
○足鹿覺君 先進国も過剰小麦の生産調整政策を進めていることを私も承知しておりますが、アメリカでも、小麦の作付転換に際しては、具体的に作付転換の方向を示し、綿花、たばこ、落花生等の作目を指摘して転換を指示し、価格の引き下げや所得低下に対する補償を考えて、転換作物の価格安定と価格支持を行なっているではありませんか。農民も、所得の保障さえあれば過剰農産物を無理をしてつくることもせず、生産調整に協力するはずであります。作目転換による農民の所得確保の基本対策をこの際明らかにしていただきたいと思います。 ただいまも述べられましたように、首相は、本国会の施政演説でも、「生産性の高い近代農業の育成を目ざして、総合農政を積極的に展開いたしますが、農民各位の近代化への創意と努力を切に期待する」と述べておられます。季節生産である農業は、半年操業、半年休業、宿命的に一年一回の収穫で、資本の回転率は最も悪い経営でございます。この生産性が低く、兼業化していくことは当然予想されるのでありますが、その近代化のために、固定資本の増大が行なわれれば行なわれるほど、その適正操業度への要求は本来強くなってまいるのであります。この適正操業への到達、すなわち、総理の言われる生産性の高い近代農業育成のための理論的な道筋と手段をこの際明らかにされてこそ、初めて総理の言われることが具体化されるのではないかと思いますので、その大綱を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) あるいは、この点は、私の足らない点をさらに農林大臣が補足することになるだろうと思いますが、まあ、日本の農業は、しばしば指摘されるように、米麦中心だ、かように言われております。これは確かに、この気候、風土等から見まして、米麦中心にならざるを得ない、かように思います。まあ、麦はもう中心からはずれてきたと、こういう状況だと思っておりますが、とにかく米作中心であることは、これはそのとおりでございます。しかし、足鹿君も御承知のように、われわれの食糧は米だけではないはずなんだ。ことに、私ども総合的食糧をただいまとっておる。そういう意味からもですよ、これはやはり、肉も果実も野菜も、そういう各種の農産物、そういう方面からわれわれの食糧をささえておる。こういうことでございますね。そうして、ただいま申し上げるように、米は非常に余っておりますが、しかし、肉やその他の点においては、これ、不足しておる。生ま牛乳、これは世界一安いといいながらも、乳製品、加工品は、これは世界一高いと言われておる。私ども、まだ、農業として各種のくふうをこらすべき段階に来ておるんではないかと思うのであります。 いままでもしばしば議論されたように、総合農政として食糧の自給度を一体幾らにするつもりだと、こういうことをしばしば聞かれます。私は、米については、これはもう一〇〇%だ、また同時に、卵やあるいは牛乳なども、これはもう一〇〇%近いものが望ましいと思っております。また、そういうことは可能であろうと思います。また、最近の状態から見まして、園芸蔬菜、これなどはたいへん値段が高い。需給の状況から見ましても、これなどが物価を、台所を、とにかく圧迫しておる。こういうことを考えると、私ども米だけに——いま御指摘になりましたように、単作地帯だから米と、こういうだけで在来の農業を守るというわけにもいかないのじゃないのか。足鹿君の場所、鳥取県などは、いち早くナシの栽培をしておる。「二十世紀」。これはずいぶん鳥取の「二十世紀」で売り出したものだと思う。ところが、果実そのものは絶えず品種が変わっております。嗜好も変わっております。したがって、この果実も、一つのものをいつまでもそのまま持続するわけにはいかない。やはり絶えず改良、改種が加えられなければならない。そこらに、近代的農業があるのではないかと思います。いま私は、鳥取県でいろいろ言われておることで、砂丘地帯、そういうところで園芸蔬菜がどんどんつくられるということを聞いておりますが、これなども一つのくふうではないかと思う。で、私ども、それを合わして、いわゆる総合農政という表現をしておりますが、総合農政、これは一体、その土地、適地適作、さらにまた、われわれがくふうをすることによって自然をある程度克服して、そうして季節はずれのものもできるという、そういう時期に来ておるのじゃないだろうか。そこらに総合農政の妙味があるのだろう。また、農家収入もそういう意味で増加するのではないだろうか。これはまた消費者の国民からもそういう点を希望する。生産者、消費者一体となって需給関係ができ上がるのではないかと、かように私は思います。 ただ、そういう点が、いまアメリカなどでもやられておると言われておりますが、ただいま言われるように、小麦におけるがごとく、国際的価格で米の競争ができるならば、これはもうたいへんけっこうであります。しかしながら、小麦が国際価格で競争ができておりましても、日本の米の場合は、これは国際価格と比べると、たいへん高いところへ来ておりますから、どうしても、これがいまのままでは国際的な市場を見つけるというわけにはいかない。そうすると、やはり米の生産調整はやらなければならない。しかし、これを政府と申しましても、幾ら政府といっても、強権を用いてどうこうするというわけにはまいりませんから、そこらで、各種団体の方々と、また生産者と話し合った上で、ただいま総合農政を展開すると、こういうことでございます。これがいかにも手ぬるいとか、あるいは問題がはっきりしておらないじゃないかと、こういうおしかりは受けておりますが、しかし、私は、今回取り組んでおるいわゆる百五十万トン分の制限、削減、これについては、積極的に自治体や農業団体、さらにまた生産者等の協力を得ておると、かように私は理解しております。
○国務大臣(倉石忠雄君) 総理が詳しく申し上げましたとおり、現在、私どもがいわゆる総合農政という中でも、いまお話のございましたように、農業全体としては私どもが維持強化してまいらなければならないたてまえ、しかし、その中では、ただ一つ例外的に現在のような状況でありますので、米の生産調整に努力をいたしておると、こういうわけでありますが、米の調整以外につきましては、私どもは、他の農作物について全力をあげて、いわゆるいまお話のありましたように、適地適産で農作物の増産をはかってまいりたいと、こういうのがあらましの考え方であります。
○足鹿覺君 私の聞いておりますのは、総合農政の目的達成のための政策手段の大綱でもいいから承りたいと、こう申したのでありますが、この問題はあとでまた触れますので、その際に譲ります。 そこで、次に、政府は四十五年産米価は両米価の水準を据え置く方針だと言っておりますが、水準とはどういうことでありますか。農林大臣の御所見を承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 現在、米の供給過剰の実情にかんがみまして、生産者米価の水準を据え置く、こういう方針を予算編成のときに決定しておりますことは、いま御指摘のとおりでありますが、ただいまのように米穀の大幅な過剰の実情を考えますと、まことにやむを得ないと私どもも存じます。そこで、この際、国民各位の理解と御協力を得たいのでありますが、いまのお話の水準を据え置くと申しましたのは、通常政府が買い入れます米の総体としての価格の水準を据え置くという意味でございます。で、昨年は、御承知のように、米価据え置きと言っておったわけでありますが、本年米価の水準を据え置くと申しましたのは、つまり、全体の総合の平均、その水準を据え置くと、こういうふうに考えておる。足鹿さん御存じのように、米にはそれぞれ格づけがございますから、そういう格によって、いろいろそれについてつけたりをやっております、価格決定のときには。したがって、そういうものをひっくるめた平均の水準を据え置くんだと……。これからもお話があるかもしれませんが、等級間格差だとか、銘柄格差だとか、いろいろお話も、あるいはあるかもしれませんが、そういうことを考慮いたしまして、やっぱり水準を据え置くということが正しいんではないかと、こう思っております。
○足鹿覺君 このことは、あとでもう少し触れたいと思っておりますが、四十四年度の米の生産費は前年比一一・五%アップしておるにもかかわらず、生産者米価は据え置かれ、四十五年度におきましても、物価上昇を四・八%程度に押えたいと政府みずからが言いながら、二年間も引き続き米価を据え置くことは、実際には大幅引き下げと同様であります。農民を愚弄する政策でありまして、このようなむちゃな政策には絶対に承服できません。また、ただいま倉石さんは、暗に二本立て米価を進めるかのごときことばを述べられましたが、これは等級間格差の拡大や、銘柄格差の設定、検査基準の改定等を取り入れる考えのあることを示唆されたと思いますが、これによって、実質的にも米価水準の引き下げとなるのではないかと憂えるものでありますが、二本立て米価をとるのか、とらないのか。また、本年産の水準据え置き米価の算定の根拠を承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) そのほうの専門家の足鹿さんに申し上げるまでもないことでございますが、いま、こういうような米の実情になっておりますので、世間では、こういう際、銘柄格差、つまり味のよい米は高く、まずいものは安くというのが常識ではないかという、新聞などにもたくさんそういう御意見が出ております。しかし、まあこれもまた、それぞれの技術的専門家の話によりますというと、そういうことはなかなか言うべくしてむずかしいことであるとは言われておりますが、私どものほうでは、もっぱらそういうことについて研究はさせております。それからまた、等級間格差、これにつきましては取り入れる考えをもとに研究を命じておるわけでありますが、まあ、いろいろそういうことで研究はいたしておりますけれども、なるべく早くそういうことについて考え方をきめたいと思いますが、いまお話のような二段の米価というふうなことをいま何も考えておるわけではありませんし、ことに米価は米審の意見を聞いてからきめるわけでありますから、まだ具体的にどういう方向ということについては考えをきめておることではありませんけれども、現在はそういう段階でございます。
○足鹿覺君 米審の構成、米審の開催時期等はいかがでありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、麦に関する二、三の報告をいたさなければならない時期が、はっきり記憶しておりませんが、もう間近いことではないかと思っております。そのために、その麦に関する二、三の報告をするための米審は開かなければならぬと思っておりますが、米審の構成については、いまのところ、別段変えるという考えを持っておりません。
○足鹿覺君 次に、七〇年代の農民像について、総理以下関係閣僚に伺いますが、農林大臣は、本年の所信表明で、わが国の農業を国際経済に対処し得る農業に体質を改めたいと述べられました。ところが、二十七日国会提出の予定であると聞く農業白書で、特に他産業並みの所得を得ている自立農家が、農家全体の一三%から一〇%に減ったと述べております。七〇年代農業は苦難そのものであると言わなければなりません。したがって、端的に言って、七〇年代の農民像とは、年間農業所得に見積もってどれくらいを目標としておられるのか、端的にお答えいただきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、わが国の農業は、先ほど総理のお話にもございましたように、産業としてりっぱに成り立ち得る農業を育成していきたいと、これは「総合農政の推進について」等においても申しておるとおりであります。米の問題は、何とかしてこれを処理する、同時に、その一方においては、まず第一には、わが国の国民の食糧の安定的供給、それをまたやっていただくためには、農業が産業としてりっぱに成り立ち得るような農業を育成していかなければならないわけでありますから、そういう自立経営農家を中核にして集団的営農の集団をつくってまいりたいと、こういうことを構想として出しておるわけでありますが、政府の諮問機関であります農政審議会の中間答申でも申しておりますように、とりあえず私たちは、四ないし五ヘクタールぐらいな面積の自立農業をまず当面目標にしよう、同時にまた、酪農で申せば、搾乳牛二十頭程度のものを一つの目標として育成していこうではないかと、こういうことを目標にして自立経営の農家を育てていこう、まずもってそういうことを考えております。
○足鹿覺君 年間の農業所得について、どの程度を目標にしておられますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 忘れました。失礼いたしました。 大体そのときには二百万円程度の所得のあり得る農家をつくっていきたいと、こういうふうに思っております。
○足鹿覺君 農業白書で、一三%の自立農家が一〇%に減ったという、この現実に対して、農林大臣はどのような御所見をお持ちでありますか。これは大事なことだろうと思うんです、数字ですから。
○国務大臣(倉石忠雄君) 長期的にごらんいただければ、そういうふうには減っておらないわけでありますが、いま御指摘のように、大体、政府の出しております統計を見ましても、七八、九%ぐらいは兼業の農家でありまして、その他がようやく自立経営の農家。で、私たちは、いま申し上げましたように、わが国の特殊性から見まして、かなり長期にわたって兼業農家という形が持続するのではないかと、こう思っておるわけでありますが、したがって、いまお話に出ております自立経営農家を育成してまいると、こういうことが中核である。その中核の自立経営農家をまん中にして、いま申し上げましたように、農業それ自体としては、つまり農家所得全体から見ますというと、農業所得よりも兼業所得のほうの多い農家の数のほうが多いのでありますから、そういうものを、自立経営の農家を中核にして兼業農家等をその周囲に取り入れた集団的なものを育成していくということがいいではないかと、こういうことで考えておるわけであります。
○足鹿覺君 あまり専門的なことで責め立てることはお気の毒だと思いますので次に移りますが、政策手段の問題について一つの提案を申し上げたいと思うんですが、いままでの農地の造成あるいは基盤整備のやり方を変えてはどうですか。たとえば田畑輪換の基盤整備にこれを変える、あるいは目的別の土地等の造成政策へ転換をする、つまり、国際競争力のある高能率近代的農業に体質を改めるには、生産費の安い適地の大規模農業を育成助長し、体質改善をはかることが必要であることは先ほども述べられました。 そこで、八郎潟やあるいははすでに総理も御存じの河北潟その他の入植可能な干拓地の入植を一時中止しておる。そうではなしに、新しい農民像に基づいて、それらの国営農地においてこそ、具体的な、いま農林大臣が述べられたような農民像を示すべきではないか。入植を禁止する、こういうのではなくして、もう一歩切り込んでいく、そしてまた、これからの農地の干拓政策、農地造成については、水田一辺倒の農地造成や開発をやめ、基盤整備には必ず田畑輪換を取り入れていく、また多目的土地造成政策への転換が必要であり、特に民有林等の活用によって採草放牧地や乳肉用牛の育成牧場等の大規模の開発が政策手段として必要だと思いますが、この点について御所見を承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のありました河北潟、それから八郎潟、これは、当初の目的はもう御存じのとおりでございますが、いまのような実情になりましたので、農林省は、これを工事を中止いたすわけではございませんで、水田の面は畑作地に転換させるように指導をいたしたい。それから、いままで入植いたしておりました者は、これはそのままでありますが、家等をたたんで今度入植するために去年参っておる者があります。そういう人たちだけは家に帰すということでなくて、継続してもらうんでありますが、それも畑地に変えていこう——ただその中で、いまお話のございました、私はたいへん有意義な御意見であると存じております。したがって、たとえば八郎潟などでも、これはもういまに始まったことではありませんが、牧草の種を植えまして、将来これを草地造成をいたして畜産に転換させようということで研究をいたしてまいりました。まだヘドロの固まらないような地域でありましたので、その草地化につきまして成功はいたしておりませんが、あきらめてはおりませんで、そういうことについての研究を継続いたしておるわけであります。中海その他各地にあります干拓事業についても、私どもは、やっぱり農業としてのまとまった一つのモデル的にこういうところを活用して、そして将来あるべき日本の比較的大規模な農業経営の地域としてこれを何とか活用してまいりたい、そういうことを考えておる。いま足鹿さんのおっしゃいましたような、そういう御意見も十分尊重してやってまいりたいと思っております。
○足鹿覺君 食糧の国内総合自給度を高めていくためには、小麦や大豆や飼料は、ばく大な輸入量に達しております。これを国内で自給するためには、耕地は足りません。そこで、総理にも先ほど伺いましたが、現在行なっておる干拓計画等を手直しをする、あるいは水田一辺倒の造成方針を工場あるいはその関連施設地域あるいは畑地というふうに多目的開発にこれを切りかえて継続すべきではないか、かように思いますが、これは大きな問題でありますし、総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、足鹿君の御意見を誤解しておるとは思いません。ただいま言われるように、新しい農政のあり方というものを、それをやはり頭に描きつつ、新しい土地造成をしていかなきゃならない。その場合には、やはり在来の農地あるいは耕地、あるいは農業等のあり方についても、そのままに残しておいて、新しいものだけでモデルの進んだものをやるということでなしにですよ、やはり並行して、同時に行なわれないと、そのものがなかなか効果をあげない。でありますから、いま言われるように、干拓地が新しい総合的な用途に使われること、これは望ましいことでございますけれども、しかし、いまのような干拓事業をやっておりますと、どうしても手っとり早い在来の農業、水田計画にどうも移りやすいのです。したがって、あわせて全体が新しい総合農政、その方向に進む、こういうことに踏み切らなきゃいかぬと、かように思いますので、先ほど来のお話を聞いておりまして、たいへんごもっともな御趣旨だと、かように考え、いま農林省で指導しておるのも、そういう意味であります。ただいま、それぞれの干拓事業を一時中止したようでありますけれども、これは、農林省の干拓事業がやんだというだけで、その事業そのものを全部やめるわけではありません。中海干拓事業にいたしましても、今度は総合的な用途にその地域が使われるようにくふうをしておる。このことも見のがすわけでなくって、新しくやはり土地造成は必要だ。いままた御指摘になりましたように、山間その他の場所において積極的に総合農政を展開するように、畑地等の土地事業、それとも積極的に取り組むべきその段階ではないだろうか、また、そういう場合に、今度は通年工事施行というか、通年工事施行でよほど米作等の削減も計画できるんじゃないだろうか、こういうことも考えておりますので、そういう点は私誤解していないつもりでございますが、おそらくそういうことだろうと、私は賛成でございます。
○足鹿覺君 昨日、通産大臣から貿易自由化の見通しについて承りました。大幅の残存輸入制限の繰り上げ撤廃、輸入額の拡大等は選択的拡大政策によるせっかく芽の出た果樹や畜産等のその芽をつみ取ることになるのではないかと心配いたします。したがって、日本農業の前途を暗くすることになりますし、総合農政自体政策的に大きな矛盾を引き起こすことになることは必至と思いますが、農相のこれに対する所信はいかがでありますか。たとえば輸入課徴金あるいは関税率の調整その他必要な国内農畜産業との調整対策はどのように考えておいでになりますか、承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 輸入自由化、貿易の自由化はわが国の産業全体にとってその方向は大切な方向であると私どもは存じております。しかし、そういう国策を遂行してまいります過程において、いろいろな意味において大小の影響を受ける農作物につきましては、それぞれ私どもは対処していかなければならないと思っておるわけでありますが、申し上げるまでもないことでありますが、わが国で非常に大手のものはほとんど自由化されております。濃厚飼料の原料でありますトウモロコシ、マイロ、大幅にこれはもう自由化されている。あと残っておるものはだんだんと制約されてきておりますが、その中でもいまの状況としては、私どもは政府全体としての方針に従いましてできるだけ自由化に協力をいたしたいのがたてまえでありますが、そこでただいまお話しのように、わが国の農業を維持してまいるために必要やむを得ざるものにつきましては、これは野放しの自由化ということは不可能でございますので、農政審議会等の中間答申にもありますように、そういうものにつきましてはただいまお話しのございましたような課徴金あるいは不足払い制等についてどのようにいたすべきであるか、そして国境における消費者に渡る価格については同じようにして国際競争力を維持してまいるためには私は価格政策が必要であると存じます。そういうことについて、政府としてまだ方針がきまっておるわけではございませんけれども、第二段階としてはそういう検討を掘り下げてしなければならないところにいまきておるのではないか、このように見ておるわけであります。
○足鹿覺君 構造政策の問題についてまた一つの提言をしてみたいと思いますが、要は、輪作体系を含めた地域別営農類型のモデルを示されました。その主作物の価格の安定、これに伴う必要な金融制度の抜本改正、販売流通対策、所得確保対策等、あるいはまた、農業団体の自主的活動を促すというようなことが必要であろうと思います。ただいまもその一端を述べられましたが、一例を総理に申し上げますと、金融問題ですが、四十三年度から総合資金制度が発足をいたしました。四十五年度には百八十億計上されておりますが、対象農家は全国で二千二百五十戸にすぎません。これを一県当たりに直しますと、四十八戸にすぎないのではありませんか。この程度では、私は、いかに総合農政を説かれましてもなかなか進まないのではないか。民間金融ベースの対象にならない農業の資金装備のためにも制度金融を充実し、また農業金融のあり方を再検討し、近代化への政策手段の大きな柱とされるお考えがございませんか。それなくして、私は目的達成は、必ずしもこれだけには限りませんが、十分ではないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもがふだん気がつき、また心配しておりますことをただいま御指摘いただいたわけでありまして、先ほどもお話し申し上げましたように、自由化などに対処いたしますためにも特にわれわれが育成してまいらなければなりません畜産あるいは果樹、そういうほうの事業を伸ばしてまいりますためにも、私どもはなおもっと総合資金制度、これは三年前にいまお話のように開始いたしたわけでありますが、決して十分であると私どもは考えておりません。それから系統金融等についても、これは御存じのように、資金はかなり持っておるわけでありますけれども、これをもう少し活用すること。なおそれに加うるに、いずれまた他の委員会で農協法の改正案等についても御審議を願うわけでありますが、私はやはり今日以後の農業をさらに活発に展開いたしてまいりますためには、農業者自身がつくっておりますああいう農業団体というようなものも、いままでのような姿にさらに力を入れて、そうしてみずから経済的な運営を営めるように、もっと活発にやられるように指導すべきではないかと思っておる。そういうことを考えてみますというと、これからいまお話にありました系統資金及び彼らみずから持っております資金をできるだけたくみに運営してまいるという、金融についての協力をしなければならぬということを、私どもは前から考えておるわけであります。ただいま御指摘のことは、なお一そうひとつ検討いたしてまいりたいと思っております。
○足鹿覺君 ぜひ総合資金制度等については前向きですみやかにやっていただきたいと、特にお願いを申し上げておきます。 次に、米の買い入れ制限問題についてお尋ねをいたしますが、現行食管法のままでも米の買い入れ制限ができるという農林大臣の法律解釈についてでありますが、およそ法律の解釈は、条文だけの単なる文理解釈にとどまらず、法の目的や全体構造との関連でその意味をとらえなくてはならないこと、これは法に携わる者の最も基本的なことであると考えますが、農相の御所見を伺いたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 米の大幅な供給過剰の実情にかんがみまして、政府といたしましては異常な決意を持って米の減産対策に取り組むことといたしまして、地方公共団体、生産者団体の協力を得て所期の目標の達成を期しておるところでございます。 ただいまお話の二月十九日の参議院本会議における私の答弁は、法的見解を述べたもので、買い入れ制限をするとかしないとかいう意図を表明いたしたものではないのでございまして、自分といたしましては、いま買い入れ制限をするということは考えておりません。 法律は、御指摘のように、全体的に解釈すべきものであるということはそのとおりでございまして、また法律の取り扱いは、政策的配慮のもとに慎重に行なう必要があると考えております。
○足鹿覺君 買い入れ制限というような食管制度に重大な変更を及ぼすような措置をする場合には、いたずらに法の文理解釈にとらわれて事を処するということは、行政府による行政権の乱用であり、立法府の意思を無視するものであって、私どもは断じて認めるわけにはまいりません。したがって、立法府の意思を尊重して対処されたいが、この問題についてただいまも農相の御所信を承りましたが、法制局長官の御所見をお伺いいたしたい。
○政府委員(高辻正巳君) 米穀の買い入れ制限ということでございますが、これは私が申し上げるまでもなく、食糧管理法のたてまえに即して申しますと、政府に売り渡しの義務が課される米穀の数量を減らすということになると思いますが、それはともかくといたしまして、あるいままでの制度を改めて一定の施策を行なうという場合には、申すまでもなく、その当時の法律がそれを許すかどうかという法律解釈論上の問題があることはむろんでございますが、それにとどまらないで、新たな施策がはたしてたやすく一般の受け入れるところになるかどうかという観点からする配慮が必要であることは言うまでもないわけでございます。それは農林大臣が法律解釈のほかに政策としての問題として別途に考えることを仰せになっていることからもそう言うことができますが、そういう際に、かりに国会というところにそういう施策に関して支配的な意向というものがもしくみ取れるものがあるとすれば、それがその配慮に際して参考に供されることはきわめて自然のことであろうと思います。
○足鹿覺君 食管法の本文にたとえ全量買い上げの明記がなくとも、少なくとも生産者が予約申し込みをした数量を買い上げるのがたてまえであると考えますが、農林大臣の政策運用の姿勢は先ほど述べられましたが、この具体的な問題についての御所見を承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府の買い入れ手続をどのように行ないますか、生産者にどのように売り渡し義務を課するかということは、いかなるときでも変わらないというものではございませんが、現行法令の規定のもとにおきましては、政策運用の態度としては、予約のあったものにつきましては、政府がそれを買い入れるたてまえで運用するということはお説のとおりでございます。
○足鹿覺君 先般の参議院における農相の発言は農民に強いショックを与え、農民はその不安におののいております。重要な制度の改正にあたっては、法を改正するか、特別の立法をもってするかしなければ、現行法のもとでは米の買い入れ制限は絶対にできないと解するのが妥当であります。また、買い入れ制限などやるべきでないと考えまするが、この点につきまして政府の再考を促すとともに、総理大臣のこれに対する統一見解をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来足鹿君から、国民が、ことに生産者が疑問にするであろう、また不安に思うであろうという点を農林大臣にお尋ねになり、農林大臣からはっきり申し上げましたので、もう生産者である農民諸君も必ず不安は一掃されたことだと私は信じますが、私自身も、この機会に法自身の解釈を求められれば、これは法制局長官に譲ればいいことで、そして具体的な政策自身はその法律に基づいて大臣がいかに処理するか、こういうことが問題でございますから、先ほど来申しますように、ただいま買い入れ制限を考えておらない、という農林大臣のはっきりした声明でありますから、その点を御了承いただきたいと、かように思います。
○足鹿覺君 政府の発表した「総合農政の推進について」によりますと、食料の安定的供給という条項に、「近代的農業によって相当程度の自給率を確保することが必要である。」とされておりますが、その相当程度の自給率の確保とはどういうことですか。相当程度というようなことばは初めて出てきた。従来は自給率の向上という一点ばりであります。このことは、食料の国内の自給をやめるということでありますか。何かしら重大な政策転換を意味しておるように受けとめられますが、この点についての御見解を承っておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもこの自給度を考えますときに、ただいまの自給度は、米の一一〇何%を加えまして八三%というようなことになっているわけでありますが、米をかりに一〇〇%の自給率と計算いたしますと、八三よりもやや下がっております。そこで、たとえば畜産のことをお考えいただいてもわかりますように、価格の高騰によりましては、輸入を適当にいたして物価を調整いたしておるというような、そういう制度も調整の間に取り入れて、一般国民消費者に納得していただくような施策を講じなければなりません。そういうことを頭に置きながら、われわれは自給度を高めてまいりたいと、こういうことでございますので、相当程度と申しましても、別に深い意味があるわけではございません。ことに私、つまり農林省の立場といたしましては、選択的拡大の方向でいままで指導してまいりましたのでありますから、大事な農作物についての自給度を強化していくことに努力することは当然なことでございますので、総合農政において相当なといっておりますのは、従来の考え方と少しも変化しておるわけではありませんで、ただいまの時代に応じて、そういう考えでございますということを申し上げているわけであります。
○足鹿覺君 食管会計の運営と古々米の飼料化の問題について伺います。 四十五年度の食管会計の国内管理勘定は二千九百六十三億円であります。従来と同じ性格の赤字、いわゆる売買差損は千二百二十五億円であります。異常在庫に起因する赤字、あるいは対外貸し付けに起因する赤字、対韓第一次分の三十三万三千トンにいたしましても、金利にしては二十三億五千万円、第二次、第三次といきますと多額なものになります。また対外延べ払い輸出に起因する赤字等は、今後予想されるインドネシア、ビアフラへの援助等によっても生ずると思います。古古米の廉価処分に起因する赤字というように、このような食管の赤字が多様化してまいりまして、これを、食管赤字を従来と同じ性格の赤字、すなわち売買差損等その他のものと区分し、後者については食管赤字と別途にこれを処理して一切りつけるということが私は必要だと思いますが、この点について蔵相の御所見も大事だと思います。蔵相並びに農林大臣の御所見を承っておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 古々米の処理というのが相当大きな問題になりつつあるわけであります。試験的に、手初めとしていたしますが、そのよって生ずる赤字をどういうふうに整理するか、これは、古々米の根本的対策ですね、これと関連を持ちながらひとつ検討してみたいと、かように考えております。まあこれもいままでのような方式がいいか、あるいは別途処理というような形がいいか、あるいはまた第三の道があるか、それらの点はこれから検討いたしたいと存じます。
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、食管会計の赤字が従来よりも複雑な要因で変動するようになってまいりましたことは御指摘のとおりであります。したがって、私どもといたしましてはその要因をよく検討いたしまして対処していかなければならぬと思っております。御存じのように、食管赤字の中には、たとえば沖縄への売り渡しによる損失、こういうものは別途に処理するようなふうにいたしております。その他、大蔵大臣のお話もありましたが、その要因をよく検討して、お話しのように慎重にやってまいりたいと思っております。
○足鹿覺君 これは国民に与える印象もありますし、食管会計の経理上の大きな問題でありますので、前向きでひとつ御検討を願いたいと思います。 古々米の飼料化につきまして伺いますが、古々米の処理として、その一つに古々米の飼料化がはかられております。過剰米処理対策として本年度補正予算、明年度予算には合計二十四万トンを処分することをきめ、四十二年度古々米を三月から六月にかけて試験的に六万トン飼料用として関係業界に払い下げるという話でありますが、関係業界とは実需者団体をさすのでありますか。その御見解を承りたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 古々米の用途につきましては、いろいろ苦心をいたしております。まあ輸出であるとか、あるいは国内のみそ、しょうゆその他の原料に内地米を使ってもらうとか、いろいろあるわけでありますが、大口の話では、全購連等の飼料工場でございますが、飼料の何%かに用いたらどうだろうという話が出てまいりまして、それの実験用として、お話のように、六万トンほどとりあえず出して、そしてその飼料用として適当であるかどうか、また何%配合したらいいのだろうかという研究をしてもらおうという話が出たわけでありますけれども、このことにつきまして、その話が出ただけでももうたいへんいろいろなルーマーが出てき、警戒警報が出たりいたしておりますので、このことにつきましてはいやしくも間違いがあってはいけませんので、どういうようなやり方でその疑惑をなくしてりっぱに処理できるかというようなことについて、それらのことに経験のある方々にお集まりをいただいて、間違いのない方向を検討しようではないかと、こういうことで、まだそういう方向でやるために研究しようという段階でございまして、これからまだそのいろんな方の御意見を伺ってから処理したい。飼料の相手は全購連等の飼料工場でございます。
○足鹿覺君 この売り渡し価格はトン当たり二万六千円と予定されておると聞いておりますが、予算面ではトン当たり十万八千円と評価されておるように私は見ておるのであります。現在判明しております古々米の最終的処理計画というものは、そうしますとないわけですか。これからおつくりになるわけですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 他の用途に向けます、たとえば学校給食であるとか、輸出であるとか、みそ、しょうゆの原料、まあみそもあとでやりますけれども、いま研究中でありますという大量のやつは飼料用でありますので、これはもう第一、飼料として適当であるかどうかという研究、それからしたがって価額などは全然まだこれからのことでございます。
○足鹿覺君 大蔵大臣の御見解はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ米の価格はお話しのとおりな評価をしておるわけです。これをかなり安く売ると、こういうことですから、これが世の中の疑惑を招かないように、適正な価格でなければならぬというので、これは慎重な検討をした上決定すべきものである、さように考えております。
○足鹿覺君 古々米の食用としての可能性は十分あるのになぜ飼料化を急がせるのか、私は十分まだ理解がいきませんが、御参考までに申し上げますが、古々米の試食会が去る三月十二日に催されました。その結果を見ますと、いずれも岩手県産のフジミノリでありますが、二十五人が試食をして次のようになっております。現物と見本がここにありますから、ごらんいただけばけっこうでありますが、四十二年産のものを八九%についたものについては、まずいという人が八人、ややまずいという人が九人、普通というのが八人です。これを四十二年産米の同じ米を八二%につき上げたものになりますと、まずいという人が二人、ややまずいという人が十三人、普通だという人が七人、ややうまいという人が三人という数字になっておるのであります。これをひとつごらんいただきたいと思うのです。非常にもったいないと思うのです。古米の処理について。これが八二%、これが八九%。このような試食結果でありまして、けっこうおいしく食べられることを私どもは体験をしました。これでもわかりますように、つきぐあいを上げますならば十分食用となるわけであります。これを十キロ千円以下の徳用米等にいたしまして配給することが私は適当ではないかと思います。十分慎重に検討するということでありますので、御検討あって御善処をお願いいたしたいと思います。 そこでこの払い下げの場合に間違いのないように念のため申し上げておきますが、米を破砕して払い下げられますか、そうしないと格上げ混米というような事態が防止できないではないかという心配があります。夜の目も寝ずに番するというわけにもまいりません。よほど前でありますが、カナダ産の飼料小麦マニトバ五号が製粉業者にそのまま横流れをいたしましていわゆる相馬表に、新聞にその相馬表が載ったという事件がありまして問題となったことがございます。私はこの二の舞いを招かないために申し上げるのでありまして、どうか十分そういう点については御善処をいただきたいと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 大事なことでございますので、ことにまた飼料用でございますから、その場合は。破砕してどういうふうに使うかというふうなことをも含めて、先ほど申しました専門家たちの研究に依頼をいたして慎重にやっていこうと思っております。
○足鹿覺君 次に、四十二年一月選挙で総理の公約されました、「農民にも恩給を」というあの問題について伺います。政府は、このたび農業者年金基金法を総合農政の一環として実施される方針をきめられました。この内容を見ますと、およそ農民に恩給のイメージとは遠くかけ離れたものでありまして、たとえば六十五才までに経営を移譲しなかった場合、二十年間掛金を毎月七百五十円ずつ掛けて給付は六十五歳以降に三千六百円となっておりますが、これでは拠出した掛け金の元利相当額約四千円すら給付されぬこととなっております。またこの制度は、端的に言って、主目的は経営を移譲させることであり、それが年金を支給する第一条件となっております。したがって、農民の老後保障は農民自身で行なわなければならず、国の政策として五反歩以下の小規模農民を離農させ、農業合理化のため農民に協力をさせて掛け金負担を強制させることがこの制度の内容であり、要するに、離農政策であります。したがって、総理大臣の言われた「農民にも恩給を」というあの公約とはよほどずれておると私は考えますが、率直な御所見を承りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農民にも恩給をといったそのことばが適不適は別として、一般国民年金制度とは別途に農民年金制度を設けるというこの点で、いろいろ経過措置その他もございますから、それらも十分御理解をいただきたいと思います。そうすれば私の言った事柄も、今回の年金制度で一応目的を達しつつある、かように私自身は考えております。ただいま申しますように、恩給、こういうことばを使ったことが適当であるかどうか、これはまた別の問題だ、かように考えております。
○足鹿覺君 別の問題だということは、別に農民にも恩給をという無拠出年金というようなものでもお考えになっておるという意味ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一般国民としての国民年金があり、それとは別に農民年金制度を設けた、こういうことで私の目的は一応達したと、かように私自身は理解しておる、かように申しておるのです。
○足鹿覺君 では、ちょっとこの点、内容の御認識が総理はまだついておらぬようでありますから私は申し上げますが、掛け金が国民年金等に比して格段と高くなっておるのであります。すなわちこの年金は国民年金への上乗せの方式でありますから、国民年金部分と合算をいたしますと、掛け金は月に二千円となるのであります。与党のある議員さんが農業者年金にも掛け金が要るのかと言った笑い話さえあると伝わっておるのであります。したがって、給付内容も被用者年金の水準とするのが妥当と考えます。これだけ高額の掛け金をさせるのでありますから、料金の掛け捨てが起きないように少なくともすべきではないか、かように私は考えます。ただいまの総理大臣の御答弁から関連をいたしまして、この点の御配慮は、農相、厚相が主務大臣のように聞いておりますが、いかがでありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは総理からただいまお話がございました国民年金のほかにということばをお使いになりましたが、そのとおりでありまして、私どもは、この農業者年金制度を創設いたしました趣旨は、これは農政のことに専門でいらっしゃる足鹿さんよく御存じのとおり、だんだん変化してまいります社会情勢、経済情勢に応じて、やはり経営規模を広げていくためには離農者も出てくる、こういうことに対しての一つの考慮、もう一つは同じように働いておる人でも労働が特に加わってくる農民に対する老後保障、この二つの考え方で、実は自民党の中では私がその担当者で、ほんとうの担当者はうしろにおります山中総務長官が全部つくったんであり、彼がここで答弁申し上げるともっと精細に、事務当局よりもっとよく知っておるわけでありますけれども、なお詳細ならば山中君に答弁してもらいますが、大ざっぱに申しまして、国民年金は六十五歳からです。そこで農業者は御存じのように六十歳からです。そこで六十五歳に到達いたしました場合には、国民年金の上の所得比例という分がついておりますが、その上に若干なものが農民年金としてつくわけでありますが、これはしろうと名——しろうと名というと悪いですけれども、恩給的な老後保障の意味がそこへ出てきているわけであります。たいへんこれは苦心の策でございまして、これは御存じのように、われわれが発明した制度ではありません。規模を拡大してまいりますヨーロッパ諸国では、ずいぶん前からいろいろ形は違ってもやっておりますが、国民年金と、その掛け金及びその掛け金に対する政府負担分、それから支給される額は国民年金よりは有利で——有利といいますか、よくて厚生年金と同じでございますが、しかも政府の負担額は厚生年金とほぼ同じでございますので、私は、これはほめられ、感謝されこそすれ、批判を受けることはないと思うのであります。もちろん当初から完全無欠なものはできませんから、これからわが国の経済、財政がもっと豊かになれば、こういう一面における社会保障的なものは改正をすることは可能でございますが、そういう意味でございますので、総理が国民年金と違ってとおっしゃいましたのは、いま申し上げましたように確かに違っている。ことに、〇・五アール以下のものには御承知のように、一時金を支給することにもなっております。年齢によっても一時金を支給することになっておりますので、この制度は、まあ欲をいえば切りありませんけれども、御存じのように、農業団体でも一般の農村の人々でもたいへん喜んでいていただける制度ではないかと思っているわけであります。
○足鹿覺君 それじゃ総務長官から伺いましょう。私はこの問題を議論しようとしておるのではありません。問題点を指摘しておるのであります。総理の「農民にも恩給を」というイメージとは違うではないか、その問題点を指摘しておるのでありまして、後日に譲りましょう。 ただ一点だけどうしても改めてもらいたいものがありますので、御所見を聞きますが、この基金の理事者はすべて主務大臣が任命し、掛け金の徴収は市町村の農協にやらせる、農民から集まった年間約百八十億円の運用は基金が行ない、その金で農地の売買資金に充てられるということであります。御承知のように、年金制度の資金運用は、安全、効率的、加入者の福祉に役立つという三原則が全く無視されております。この機構の運営について特に政府は再検討され、農民の老後保障の充実と農業の近代化に資すべき内容とし、真に農民の立場に立った制度を創設されるべきであると主張するものでありますが、この点につきまして何か御所見がありましたならば、承っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) この制度を実施いたしますにつきまして、農業者年金基金という特殊法人をつくっていただくことにいたしておるわけでありますが、これにつきましては、特殊法人にいたしましたのは、とにかく政府もそれに資金を出す、それから契約者も出すという、そういう大事な保険制度でございますので、これはやはり特殊法人というようなしっかりしたものでやることが必要であると、こういうことで、その特殊法人の基金の運営はその資金で運営することになっているわけであります。これから国会で御審議を願うわけでありますけれども、ただいまお話のございましたように、大ぜい掛け金を出す人が農民自身でございますので、この運営につきましては、やはりこれ、私どもの考えていることでございますが、その運営の中に、農業団体の代表者が入っていただくことも妥当なことではないかと思っておるわけでありますが、これは国会で審議されたあとのことでございますけれども、運営について御協力を願う、それからまた、出先の農協の事務所でもこれについて事務的な御協力を願うわけでありますから、農業団体とは密着しているものでございますが、その資金の運営はやはり特殊法人として厳然たる中立機関にやらせたいと、こう思っております。それで、その基金の取り扱いにつきまして、いまお話のございましたように、規模拡大するために、農地を離れようとする人が、農地を売却して他に転職したいというような方々の農地を合理的に扱ってやるというには、そういう基金がやつでやることがきわめて農村を守るために必要なことではないかということで、基金にそういう任務を負わせようと、こういうことを法案の中には書いてございます。
○国務大臣(内田常雄君) 農業者年金の構想におきましては、掛け金者が途中で脱退、死亡等がございました場合には、もちろん、その一時金といたしまして、掛け金プラス若干の運用利回りをつけましたものを本人に支給をいたすことにいたしております。 また、先ほど足鹿さんからお話がございました、掛け金と、また政府助成あるいは農業者に対する年金の金額等が必ずしも有利でないということにつきましては、これは私どものほうにアクチュアリーという、その方面の計算の担当がおりまして、やりました結果はこういうことになります。 御承知のように、国民年金、夫婦と、それに所得比例の分を加えますと、掛け金が千二百五十円になりますが、それで、二十五年掛けで二万五百円という国民年金を受け取るわけであります。ところが、今度の場合は、合計で二千円にしようということで、この農業者年金に加入せられる方々は、七百五十円月掛け金をいたしまして、同じ二十五年をとりますと、六十歳から六十五歳までの間二万円を受け、さらに六十五歳をこえました後には六千五百円を受ける、こういう仕組みになっておりまして、その間の国の助成も、これは今度の農業者年金が、経営移譲の性格と、また農業者老齢年金の上積みと、両方の性格を持っていますので、経営移譲のほうに有利なたてまえをとりまして、そして、いま言うような計算にいたしております。六十五歳までに経営を移譲しなかった方につきましても御損がないように、これは二十五年掛けですと、四千五百円をずっと永久に支給すると、こういうようなかっこうになっておりまして、その間一経営移譲の場合につきましては、国の助成をも考えまして、かなりの有利な計算になっておりますことは、これは私どもが実際に計算をいたしておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
○足鹿覺君 私の計算とは違いまして、私がしたのは掛け捨てになるということは明確でありますが、これは他日に譲ります。 最後に、農業後継者対策と農業教育のあり方について伺います。 米の生産調整のショックは、来年度の農業高校の志願数に深刻な影響を及ぼし、本年は特に農業科で定員に満たぬ学校が続出し、かつてない傾向を見せております。これは、生産調整と都市化の拡大などによって、農業に見切りをつけた農家が、長男などを後継者として予定していた者まで普通高校や工業高校などに志願させるような傾向が増大しつつありますし、そしてまた、農業高校の先生方も、あやふやな現在の農政を立て直さなければ何を教えてよいかわからないという声も聞かれ、教えるほうも教わるほうも困った状態に直面しておると思います。重大な問題でありますので、文部大臣、農林大臣に御所見を承りたい。
○国務大臣(坂田道太君) 中学校、高等学校の新規卒業者で、農業に従事する者の総数が毎年減ってきたことは御指摘のとおりでございまして、三十九年ごろ大体六万程度であったのが、今度の白書によりますと、大体四万八千人、昭和四十四年度でございますが、しかしながら、農業高校の卒業者の割合と実数におきましては、三十九年に一八%、一万二千人でございましたけれども、漸次、四十一年三七%、二万四千人、四十三年度四三%、二万六千人というふうに上がってきておる。四十四年度の統計がまだ出ておりません。したがいまして、あるいは下がっておるかどうか、その辺、ちょっと私は承知をいたしておりませんが、しかし、今後農業後継者を養成するという場合におきまして、中学校卒のみならず、農業高校の比重というものは非常に大きくなっていくんじゃなかろうか、また、そうなければ今日の総合農政に対処できないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。われわれのほうでも、その内容の改善充実につとめてきておりますし、また、高等学校の学習指導要領等におきましても、企業としての農業経営の面、その他について重視をしてまいりたいというふうに考えます。 しかし、御案内のとおりに、農業基本法が、昭和三十六年でございましたか、できまして以来、中央産業教育審議会におきまして、農業近代化に対して農業教育をどうやっていくかということについて建議も行なわれ、その翌年でございましたか、三十八年に諮問を文部大臣としてやりまして、そして三十九年に答申を得まして、自営者農業の充実ということで四十年からこれを実施をしてまいりまして、現在全国に二十七校あるかと思います。御承知のように、発足当時は大体三町歩あるいはそれを越えておったところもございますし、あるいは現在では二十五町、その他少し下がっておるところもございますが、とにかく、まず実習地をたくさん持つということ、そして近代的な農業というものを実際やってみる、畜産にいたしましても、養蚕にいたしましても、あるいは果樹にしましても、そういうことをやってまいりまして、これは二十七校、県でやっておりますが、やはり知事さんあるいは市町村長その他の意欲のあるのとないのとで、農業後継者教育が生かされておる県と、そうでない県とがあるようでございまして、この点について私たちの指導というものをもう少し普遍化していかなければならない、高い水準に持っていかなければならないというふうに考えておりますが、これはかなり効果があったようでございます。 それからさらに、私たちといたしましては、本年度御審議をわずらわしておりまする今度の予算におきまして、普通の農業高校の上に、もう一つ専攻科というものを設けまして、一たん農業高等学校を卒業された者も、さらにもう一ぺん高等学校に入って、そして再教育を受ける、あるいは勉強する、実習をやるというようなことを四校試みて、約二千六百万円計上をいたしておる、こういうぐあいであります。 ただ、総合農政、去年からことしにかけまして画期的なことでございますから、これにむしろ先行すべきが教育かと思いますし、あるいはその地方に定着する農業者を育成していくというのが文部省としての責任かと思うわけでございまして、今後とも、農業高校あるいは専攻科あるいは後継者のための自営者農業ということにつきましては、十分考えてまいりたい。また、農林省当局と文部省とよく相談をいたしまして、総合農政の一環をにないたい、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま文部大臣からお話がございましたようでございますが、農林省でも、文部省と協力いたしまして、優良なあとのにない手を育成するために骨折っておるわけでありますが、農林省にございます研修施設も、今度農業大学校ということにいたしまして——これは、御存じのように、希望者が非常に殺到いたしておりまして、優秀な若者たちがそこで勉強いたしております。同時にまた、後継者育成資金、いま皮でワクは五十億円でありましたのを今度七十億円にワクを広げました。それから一人の金額が五十万円でありましたのを七十五万円に増額をいたすようなことをいたして、農政につきましては、農政推進について申しておりますように、将来の農業に明るいビジョンを持って喜んで若者たちが農業のにない手となってもらうように、さらにわれわれは努力を続けてまいりたいと思っております。
○足鹿覺君 問題は、この農業高校教育を受けた者が後継者として定着しないということなのです。教育内容も普通高校とあまり変わりばえがない、大学進学の予備校的存在になっておる現在の農業同校のあり方について、これらの矛盾と欠陥をどのように改善されていこうとしておられるのか、この点の御答弁を承ると同時に、いまのお話は、全寮制の農業高校あるいは農業大学校のお話でありますが、これまた、成果をあげる状態とは言えません。農林省の農業大学校にしましても、定員はわずか百名未満、鳥取県でも、五十名の農業大学校に対して三十五人しか受験者がありません。こういう、規模も小さくて、とても期待を抱くことはできないと考えますが、いかがでありますか。
○国務大臣(坂田道太君) 後継者の方々、がなかなか、農業高校に入ったんだけれども定着をしない、これには、やはり、われわれの教育の部面と、それから農林省でおやりになりますところの所得ある農業というものが相まって初めて定着ということが出てくると思うのでございます。他産業と均衡のとれた、あるいはけっこうやっていける農業というものをやはり確立するということが前提となって初めて後継者というものが残ると思いますが、しかし、私たちといたしましては、つとめて、先ほどお話を申し上げましたとおりに、自営者農業というものは、その自営の意思をかたく持ち、そして定着する希望を強く持っておる者に優先的に学校に入れて教育をするというたてまえをとり、したがって、先ほど申しますように、三十町程度の実習場も持ち、同時に、全寮制の寄宿舎というものをつくって、そして農業というものは、二十四時間、生物、生きものを対象とするわけでございますから、それを身につけさせるということで、また、それに従事されるところの先生方も、これは普通高校の先生方と比べると労働時間その他について問題があろうからということで、今度は農水手当というものもつけたということでございます。しかし、これでもって十分だとは私たち考えておりません。そしてまた、農業高校の指導要領等につきましても、抜本的な改正もあるいは必要かと考えるわけでございますが、現在の制度におきましても、普通高校と農業高校におきましては、かなり実習その他、内容等は、農業それ自体に対する学科が多いことは、もう先生御承知のとおりでございます。ただ、やはり、この農業高校にいい先生を確保するということは非常に大事なことじゃないかと苦慮いたしておる次第でございまして、また、いろいろお知恵がございましたら、ひとつお教えをいただきたいと、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業大学校は、御存じのように、講習、実習、それから派遣実習等をやりまして、実際に即した勉強をさせておるわけでありますが、できるだけこれは全寮制のほうが望ましいと思っております。 それから、それの教育等につきまして、ただいま実際に基づく御注意もございましたので、そういう点も十分に考慮いたしまして、なお私どもの目的が達成されますように、いろいろな角度から努力をしていかなければならないと思っております。
○足鹿覺君 最後に、農業従業者そのものの確保対策につきまして、総合的に総理に伺いたいと思います。 農政の重要な課題として、後継者対策は一番重要でございます。農林省の四十二年農業経営に関する意識調査では、五百七十万戸のうち後継者を確保している農家は百七十万、三割にすぎません。四十三年の農家就業動向調査の新規学卒者——中高卒でありますが、の農業就業率は一〇%台を割り、このままでは、優秀な農業経営者はもちろん、必要とする農業従事者そのものの確保さえおぼつかないと心配される事態でございます。農業の近代化も——生産性の高い農業の育成を総理は説かれますが、後継者があるかないかということが、また、その質と量が欠けたならば、それは砂上の楼閣に終わると思うのでありまして、この点、きわめて重要な問題でありますので、総理の御所見を承りたいと存じます。、
○国務大臣(佐藤榮作君) 後継者の必要なことは、御指摘のとおりであります。そのためには一体どうしたらいいのか。申すまでもなく、農業自身がりっぱな近代的な魅力ある産業に育成されること、育つこと、同時に、この生活環境自身も改善されまして、いわゆる過疎状態、それが解消されるような、いなかにおいても、また山間においても、同じように文化的な近代的生活ができるような、この生活環境を改善することが必要だろうと思います。幸いにして、わが国土は狭い、また長い地域、島でございますから、総合開発をすることによりまして、私は必ずしも都市にばかり集まる心要はないのじゃないのか、また、生活環境も、地方においても都市と同様、あるいはより以上の生活環境のもとで生活ができるのじゃないのだろうか、かように私は考えますので、ただいま申しますように、農業自身の生産性を高め、近代化をはかると同時に、生活環境の改善に積極的に取り組んでいく、それが、ただいま新全国総合開発計画、それにもなるわけであります。私は、いろいろ、いまのように兼業農家の多い状態等から考え、やはり農家収入も、専業農家、その収入も、それが骨子でありますから、それもふえるように十分育成してまいりますが、同時に、兼業農家が全然ないというわけにはいかないと、こういうことを考えると、やはり、地方にも工場の分散計画があってしかるべきじゃないか、あるいは交通の便をもっと整備することによって、近郊の都会との連絡も楽にとれるようになって、生活環境の改善も積極的にできるのではないか、かように私は考えますので、それらの点をあわせて、今後、後継者、魅力ある農業をつくり、また、魅力ある山村の生活、こういう環境をつくることによりまして、りっぱな後継者を育成していきたいと、かように私考えております。
○足鹿覺君 以上で質問を終わります。失礼いたしました。(拍手)
○委員長(堀本宜実君) 以上で足鹿君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、二宮文造君の質疑を行ないます。二宮君。
○二宮文造君 初めにお断わりをするわけでありますが、昨日の質疑通告のあとで、繊維規制の問題につきまして非常にあわただしい空気が伝えられております。非常に大事な問題でございますし、また、新聞報道によりますと、二十五日の朝、すなわちけさですね、堀越経団連副会長と大屋帝人社長が総理官邸にお伺いをすると、こういうふうな新聞報道が出ております。また、その際業界の意向も伝えたい、こういう趣旨のものが出ておりまして、また、先ほど耳に入ったところによりますと、官邸ですでにお会いをなされて、堀越副会長はブラジルへいらっしゃる、それからまた大屋社長はトルコへいらっしゃる、そういうふうなごあいさつで総理のところへ行かれたようでありますけれども、当面の問題について何かと業界の意向が伝えられたと思いますが、その点についてまず総理からお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 繊維問題の騒がしい際に、帝人の大屋晋三氏があらわれた、こういうことで、さぞ繊維問題の話をするだろうと、かように新聞記者の諸君も実は刮目していたようです。ところが、これは、大屋君が団長でトルコへ出かけまして、そしてトルコから帰っての報告であります。いまから行くのではない、実は報告であります。したがいまして、トルコに出かけましたのは、ボスポラス海峡に橋がかかると、こういうことで国際入札が行なわれた、ところが、日本も参加しましたが、実は日本の入札が少し高くて採用されなかったと、そういうあとで実はトルコへ出かけたのであります。ところで、これはよけいな話ですが、出かけて、トルコのほうでは、せっかくボスポラス海峡の橋にまで参加してくれたのだから、日本は三千万ドル程度のものは用意しているのだろう、ぜひその三千万ドル程度を他のプロジェクトに使わしてくれないか、こういう話を実は持ち帰ったのであります。私が会いました一行は十数名でございますので、ただいまのような繊維問題など話をする余裕はございません。また堀越君は、これからブラジルに参るのであります。ついては、総理の親書、私の紹介状を持っていきたいからその点をお願いするという、そういう程度でございました。したがって、ただいま繊維の問題と関係のないということだけはっきり申し上げて、この問題は私から以上のような経過を御報告しておきます。
○二宮文造君 総理からのお話でございますけれども、重ねてお伺いしたいのですが、いまの趣旨はよく了解しました。ですが、まあ総理がそのようにお考えになるように、繊維問題というのは、何かきょうの新聞の報道によりますと、大体ぎりぎり決着のところにまで方向が向き始めた、この月のうちにも結着するのじゃないかと、こういうことのように推測が盛んに行なわれております。その一部として、業界筋では、一年間限りの包括的な自主規制の線で取りきめを進めたらどうか、こういうふうな意向にまでまとまりつつある、こういうお話でありますけれども、総理のお耳に入っておりますかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆるケンドールさんの案なるものが新聞に伝えられております。その程度に私の耳にも入っております。また、関係大臣から積極的には連絡をまだ聞いておりません。そこで、私はさらにつけ加えて申し上げますが、昨日も申したのですが、ケンドールさんにはこちらにいらしたときに会っております。一時間半ばかり会っておる。しかし、ただいまの繊維問題については私はネゴシエーターではないのだと、交渉に来たのではございませんと、こういうことで、むしろ積極的な貿易自由化なり資本自由化についてのいろいろな話は聞いております。けれども、いま懸案になっておる繊維の問題、これはたいへん私の心配していることもケンドールさんは理解してくれたと、かように思って、その後の連絡は私にはございません。
○二宮文造君 いまケンドール氏のお話が出ましたけれども、これはまたあとでお伺いすることにしまして、外務大臣は昨日記者会見をしまして、そしてその見出しが、暫定規制を示唆したと、こういうふうな見出しになっておりますけれども、なかなか非常に微妙なときですし、外務大臣の発言というのは何かと影響を大きくします。したがいまして、この席で昨日の記者会見の模様を、趣旨をもう一つ外務大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日の記事というのは、実は一昨日の当委員会におきます私の御答弁申し上げたことを中心に書かれているような感じを私は抱いたわけでございます。仰せのように、非常に微妙な段階に入っておりますけれども、政府といたしましては、かねがね明らかにいたしておりますように、一言で言えば、被害のないところに規制はないというガットの考え方のワクの中で筋目を通した解決をはかるべきである、これを本旨にいたしておるわけでございます。そのワクの中でこれからもいろいろの話し合いが行なわれると思いますけれども、双方の主張がなかなか折り合いがつきません、こういう状況でございますから、最終的に双方互譲妥協の精神で話をまとめなければならない。日米の親善友好の関係から申しましても、そういうかまえ方は必要だろうと思いますが、同時にしかし、筋目を立てた解決でありませんと、関係国も多いことでもございますし、また将来のためを思いまして、無原則の妥協ということはやるべきでない、こういう姿勢で臨みたい。同時に、できるだけ早く円満に解決はいたしたい、こういうことで苦慮しておるような状況でございます。
○二宮文造君 くどいようですけれども、そのいまの外務大臣のお話を伺っておりますと、いわゆるガットの一般原則による多数国間の協定ができるならばそういうようなことも考えてもいいというふうな趣旨の答弁だったと、こう考えますが、その事前に日米間の何らかの合意というものがなければならない。そのために、そういう論法の詰め方をしていきますと、ここに見出しに書かれております暫定規制、あるいは一年間なら一年間の包括的な規制、そういうものも含めての大臣の趣旨のように私受け取れたんですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、政府としていまこういうところで話をまとめたいという具体的な案というものはまだ持ち合わせておりませんわけで、基本的な考え方で、たとえば、御案内のように、今月の上旬にこれまでの日本側の主張というものをいわば集大成いたしまして、日本の考え方というものができるだけアメリカ側にも理解、納得をこの上ともにしてもらうべく、いわゆるエードメモワールの形でもって日本側の見解を明らかにいたしましたものを訓令として駐米大使館に出しまして、それに基づいた話し合い、折衝を続けておるわけでございます。で、これは、ただいま申しましたような基本原則、なわち被害のないところには規制があり得ない、そして、その後においてこれもいろいろと報道せられましたけれども、たとえば米国の国内の消費に対して輸入の率、シェアが相当高いものであって、そうしてそういうものの中から被害の立証、あるいは重大な被害がさしむき起こってきそうなものというようなものが説明され、あるいは資料の提示があるならば、これは自主的な規制ということにも考え得るものであるというような趣旨で折衝をいたしておるわけでございますが、この線におきまする話し合いというものは実はあまり進捗はいたしておりません。一方において、先ほどもお話が出ておりましたが、ケンドール案と伝えられておるような——これはまあアメリカ側のだれが起草したものかわかりませんが、世の中にはケンドール案というものも伝えられております。これにも一つの考え方は示唆があるわけでございますが、これは米国の政府案でもないし、日本の政府としてまだこれにコミットし得る段階でもございませんわけですが、一つの考え方はにじみ出ているように思いますから、検討に値するものとは思いますけれども、ただ、いまもお話にありましたような点で、いろいろ問題を含んでいると、かように考えておりますので、いまこれに対して政府の態度を明確にするという段階ではないと思っております。
○二宮文造君 先ほど新聞の報道で、業界に一部の妥協の動きがあると、こういうことが伝えられますと同時に、昨日、繊維産業連盟が会合を開きまして、ここでは、暫定的な包括規制なんというものはもう断固反対だと、きわめて強い姿勢を発表しております。このような業界の動きを、やはりその指導される立場にある通産大臣はいまどういうお考えでこの業界のこういう意見に対処されているか、これをお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日も申し上げましたとおり、ケンドール氏といろいろ話をしておりまして、いま外務大臣がお述べになりましたような基本的な日本政府の立場というものは、ケンドール氏個人としてはよくわかったということであったわけでございます。そこで、しかしその上に何か被害の調査というようなものには時間がかかりますから、つなぎの措置が考えられないかということがございまして、私としては、政府としてはそれは適当でないと思う、考えられない、政府の立場からは考えられないということを申しました。ところが、その後にケンドール氏が一度日本を離れましてから旅程を変更してもう一度戻ってまいりまして、業界と個人——実業家としてのケンドールとが接触をして、そのベースで、いわゆるつなぎに当たる部分でございますけれども、これを話し合うことについては別に異存はないかということでございましたから、私としてはそれは別に異存はないということを申しました。大体それが現在の段階でございまして、伝えられるような案がしたがって業界に提示され——業界と申しますか、日本の財界及び業界に提示をされて、それをめぐっていろいろ議論が行なわれておるというのがいまの現状だと思います。政府といたしましての公の立場は、したがってただいま申し上げましたとおりでございますから、こういういわば私的な両国の実業人間の話し合いというものを政府は静観をして見ておる、こういうのが政府の公の立場でございます。
○二宮文造君 私が次に質問をしたいようなことを先に大臣が答弁されたのですが、私の質問は、一方では、最初に申し上げましたように、一年間限りの包括規制、こういうものを受けてもやむを得ないのじゃないかという意見と、それから、そういうことはもう断固反対だと、こういう意見とがいま業界で競合しておる。したがって、その指導的な立場にある大臣としては、この業界の動きというものをどうキャッチされておるか、これをお伺いしたわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、財界、業界にもいろいろな意見があるようでございます。したがって、その帰趨がどうなるかということになりますと、ただいまの段階ではどうも私にははっきり把握ができません。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はしばしばこの問題でお尋ねに答え、そうして日米間でこの種の問題をいつまでも懸案事項として残しておくことは両国のためにならない、どうしてもできるだけ早くそういう問題は解決さるべきだ、そうしてそれぞれがやはり、たてまえはたてまえ、同時に互譲の精神は互譲の精神、そういうところで話し合いを続けて、そうして結論を見出すべきじゃないか、こういうことをしばしば申し述べております。そうして、そういう意味で政府間の接触もただいまやっておる最中でございます。そこに持ってきて、ただいまケンドールさんからいわゆるケンドール案なるものが新聞に伝えられておる。なかなか日本の業界もこれに納得をしたというような状態ではいまないようであります。私は、そういうこともあるだろう。問題は、いま要求されておるもの、またわれわれも考えておるもの、それはやはり自主規制であります。しかも、一国だけの問題ではない。アメリカに打撃を与えたであろうという、あるいは与えるおそれがあるだろうという同業の国が多数あるわけでありますから、二国間だけで話がまとまるわけではない、これは御指摘のとおりであります。そういう意味で、政府も、そういう何かの案がないものだろうか、こういうことをただいま模索しておる最中で、それならば、いきなりジュネーブで会議をやればいいじゃないか、こういう議論がないでもございませんが、そういうことがありますけれども、しかし何ら方向もきまらないうちにいきなりジュネーブで会議をいたしましても、こういう問題が簡単に解決されるとは思えないのであります。そういうことを考えると、やはり日米間双方で何らか落ち着けるべき方向、落ち着けるべきところ、予備的に話し合うということは必要ではないだろうかと。これは、私は日米間だけできめるというのでもございません。これは、関係国を交えてそういうものは最終的にきまるんだということでございます。しかし、この問題をいつまでも伏せておくことは、アメリカ側の業者大会もある。日本側の業者大会もある。しかも、二次産業の点でもいろいろ混乱を来たしつつある。そういうことを考えると、これは、両国の基本的な友好親善関係を維持する上からも、またその波紋をできるだけ最小限度にそれぞれの国内でとどめるためにも、必要なことではないだろうか、できるだけ早く話がつくことが望ましいのではないだろうか、こういうことで、私も実は対策についていろいろ苦慮しておる状態であります。しかし、もともと日本の態度は、自由経済のもとでございますし、事柄が自主規制という問題でございますので、私自身が今日までのところはタッチしないで、その成り行きを見ていると、こういう状態でございます。
○委員長(堀本宜実君) 二宮君の質疑の途中でありますが、後前の審査はこの程度にとどめます。 午後一時再開することとし、これにて休憩をいたします。 午後零時一分休憩 —————・————— 午後一時十三分開会
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、二宮君の質疑を行ないます。二宮君。
○二宮文造君 午前に引き続いて繊維の問題で若干まだ続けさせていただきたいと思います。 通産大臣が見えませんのでちょっと飛ばしますけれども、外務大臣にお伺いしたい。本来通産大臣にお伺いしたほうがいいかもしれませんけれども、先ほどのケンドール会長のあっせん案、これは外務大臣の答弁によりますと、日米両国政府には関係がない、こういうようなお話でありましたけれども、どうも見ておりますと、この問題、その案が提示されてから繊維規制問題というのが、何がしか前のほうへ動き出したというふうな雰囲気を私ども感ずるのですが、大臣の印象はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は通産大臣から御答弁申し上げたほうが適当と思いますが、私の受けております印象は、これは先ほど申しましたように、このケンドール案と伝えられているものは、アメリカの政府の案ではございませんし、また日本政府として、アメリカ側からこれについての意見を求められたこともございません。しかし同時に、両国の関係者が非常に多い、そして意見が対立しているということを、アメリカの財界人としての立場で、何か自分もこの間に立って調整をはかりたいという非常な意欲を持っておられるように、私は印象を受けているわけでございます。同時に、日本の繊維業界の方々とも、民間財界人として接触があったのではないかと思われますから、そういう点からいろいろと報道や記事をにぎわしている、こういう状況ではなかろうかと思いますが、先ほど申しましたように、いま政府といたしましても、いろいろの情報をもとにしながら、しかし日本の筋目の立った交渉態度ということが大事であると思いますので、いままだ政府としての腹案を持ちませんし、したがって、また、ケンドール案というものの性格も性格でございますから、いまこの案につきまして意見を申し上げるということは、この時期では適当ではないと、こういうふうに考えておりますので、その辺のところを御了察いただければ幸いと存じます。
○二宮文造君 非常に微妙な、関係があるようなないような大臣の答弁でございましたけれども、伝えられるところによりますと、御承知のようにこのケンドール氏の案というのは、一九六九年で一応包括的にストップしようじゃないか、そうしてまた数品目、被害のある品目については調査に入ろう、一年間という暫定の期間を設けて提案をされているわけであります。したがってその中には、包括的規則というものが当然含まれてくるわけであります。そこで私ども心配するのは、また、しかも業界が心配しておりますのは、もしケンドール氏の案をとるならば、先ほど大臣も言われましたけれども、ガットのルールによる解決とか、被害がなければ規制なしとかいう原則、それをどたんばで放棄したことになるじゃないか。暫定と、こういわれておりますけれども、一年間でも包括規制を受けたならば、あの綿製品のことで思い合わしますと、それが実績になって、半永久的に、少なくとも五年間程度はこれはもうくくられてしまうのじゃないか、こういうことが業界筋での大きな不安の一つになっておりますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) ケンドール案につきましての態度は、先ほど申し上げましたとおりでございますが、包括規制ということは、先ほど来申しましたような政府の従来からの基本的な態度からいって、ことに前の綿についての協定の経過にもかんがみまして、注意しなければならない点はもう十分に注意して、今後の話し合いに臨まなければならない。包括的規制、しかもそれが暫定的であろうが何であろうが、将来に尾を引くようなことがあってはならない、こういう御意見につきましては、私も全然同感でございます。
○二宮文造君 日本では、正直者がばかを見るという格言がありますけれども、今度の繊維規制はまさにそうではないか。たとえばいまも話題に出ましたけれども、綿製品の協定のときに、ガットの例外措置について、綿以外の分野に適用さるべきでない、このように第一条に明記されているわけですね。ところが今度は毛とか、あるいは化繊だとか合繊だとか、こういうものの規制要求に発展してきたわけです。ですから米国側は、この問題に関する限り、過去の約束や信義を無視している、こういうふうな非難があるわけでありますけれども、それでもしも——もう私は包括規制ということを頭に描きながら申し上げるわけですけれども、もしもそういうふうなことになりますと、暫定措置とはいってみても、今度は、あの綿協定がフュー・イアーズと、こうなっているのが、もうすでに八年も続いている。ネキスト・フュー・イアーズですか、それが八年も続いている。しかも、ことしの九月にはさらにまたそれを改定しようじゃないかというような動きもある。そういうようなことをひっくるめて見て、暫定といってみても、この暫定が非常に心配になってくる。こう思うのですが、大臣どうでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) その点も私はごもっともと考えるわけでございまして、形がどうでありましょうとも、実質あるいは将来のことを考えてと、先ほど申しましたのは、まあかりに暫定というようなことを、これはまあ仮定の問題でございますけれども、そういうことがあります場合にも、押えるところについては十分の保証がなければなるまいかと、かように考えます。
○二宮文造君 それからもう一つ見のがしてなりませんことは、昨年の五月に国会の決議がございます。御承知のとおりであります。また、それだけでなく、この繊維の交渉につきましては、いわゆるアジアの国々が、あるいはEEC諸国が非常に刮目をしております。したがって、もし変な取りきめをやりますと、それらの国々からも不信感も買いますし、日本はいつまでたってもアメリカの言いなりになってしまうじゃないか、こういうふうな印象をますます強めることになりますし、大きな汚点を残すことになるので、ぜひその点は頭に置いてやっていただきたい、こういう気持ちで一ぱいでありますけれども、大臣の印象はどうでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど総理からの御答弁もございましたように、この関係国がこの問題については非常に多い。これは、お示しのように東南アジアや、もっと近くの韓国、香港、台湾というようなところを含めて、それからヨーロッパの国々にも相当の関係国がございます。そして、日本の去就と申しましょうか、進み方については、やはり非常な大きな関心を持っております。その上に踏まえて解決をしていかなければならないと、政府におきましても、その点を十分心に入れて現に苦慮、苦心をして、解決案に臨もうとしておるわけでございます。
○二宮文造君 この問題がいままあ急転直下とは言い切れないかもわかりませんけれども、何か動きだしたと、私ちょっと振り返ってみますと、総理の本意でないかもしれませんけれども、あの日米会談のときの密約があったと、で、年内に云々するとか、あるいはまあ三月の十五日、万博ごろまでには何とか目鼻がつくだろうとか、こういうふうなことが、その根拠はやはり日米会談での総理の話にあると、密約にあると、だから政府のほうは急ぐんだと、こういう見解がありますし、また、総理は、早期解決で合意はしたけれども、解決の方法については約束はしてないと、こう答弁されておりますけれども、私ども思いますのに、少なくとも包括規制受け入れの心証を相手に与えるような話し合いではなかっただろうか。もしもそれがアメリカの姿勢に影響しているというならば、その趣旨を業界に率直に表明をされて、そしてまた問題に取っ組む姿勢を検討してもらう、こういうふうにされたほうがいいんじゃないかと思うのですが、この点総理はどうでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私とニクソン大統領との間に密約説、いわゆる密約説が盛んに出ております。そのことも私の耳に入っております。しかし、事柄の性質上、ニクソン大統領にいたしましても私にいたしましても、繊維のどういうところが問題になるのか、そんな詳しいものは事情は知らないんです。しかし、この日米間にこういう懸案事項のあることだけは、これははっきりしておりますから、私どもがこれを早期解決するということについて、否定はいたしません。これはもうもちろん話も出ております。だから、懸案事項はとにかく解決しようじゃないか、できるだけ早くと。これはまだあの当時でございますから、これはもう年内にもそういうことは解決しようと、こういうような意気込みでそれに取り組んだことも、これは事実でございます。ところが、なかなか年内に話がつかないと、今度は万博が解決する——開催されると、そうしてお祭り騒ぎになる。そういう際にまでこの問題をかかえていることは、何としても両国のためにならない。したがって、私は万博開催までにはこういう問題を解決すべきだと、かように申しまして、事務当局に言いつけておる。これは事実でございます。 しかして、同時に、先ほど来お話が出ておりますように、この事務当局自身が、そういうものが幾らニクソン大統領と佐藤との間の話にしろ、無原則ではやれませんということ、そういうこともたびたび聞いておりますし、また、そういうものが包括的で云々という、これはやはり一番の問題点でございますから、そういう点には私も触れてはおりませんし、また二国間だけでそういう問題が解決すると、こういうものでないことも、これはもう私どもが知っておることであります。ただ私は、いきなりジュネーブで会議を開いても、全部が解決するとは思わない。そういう意味の下相談があってしかるべきだ。これは両国間でそういう意味のことはすべきではないだろうか。御承知のように、ニクソン大統領と私会談したその際に、すでにジュネーブの会談は始まっております。したがって、私どもがワシントンにこの会談を持ち込むという、そういう気持ちは当時はなかった。だから、そのジュネーブで会談が進められて、そこで解決を見ることは望ましい。そうして、そういうものが早く解決さるべきだ。これには両方とも異存がなかったと、かような状態でございます。
○二宮文造君 通産大臣まだお見えになりませんので、外務大臣にお願いしたいと思うのですが、三月の十八日から二十日まで、サンフランシスコでアメリカの業者が大会を開きまして、非常に強い姿勢を示した。即時打ち切れとか、それから制限立法を通せとか、こういうようなサーモンド案とか何とかという、日本にとっては非常にきびしいものも即刻法律をつくっちまえと、こういうような強い姿勢が見せられております。 で、私、この問題の解決にあたって政府がとるべき姿勢というものはどうだろうかと考えてみますと、アメリカが輸入制限立法を行ないますその場合と、それから日本の自主規制とを比較して、その得失を考えました場合に、アメリカにとっては前者のほうが不利なのは、これはもう当然きまっております。輸出国の自主規制ならば、アメリカも自由貿易の旗をおろさずに済むわけでありますけれども、輸入制限立法に踏み切りますと、世界各国から非難を受ける、あるいは批判を受ける。で、自由貿易を世界に主張しにくくなってくる。これはアメリカの立場です。また、輸出国はガットの報復の権利を留保することができます。さらに輸入の一定額以上を押えるという、そういう輸入制限になりますと、輸出国の協力がないと技術上もむずかしい。したがって、アメリカ側でいま盛んに論議をされておりますこの輸入制限立法、これはそういうふうな反面も出てまいりますので、日本としては、そういうことも考えながら交渉に当たってよろしいんではないか、こう思うのですが、大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) アメリカの国会のとる態度の問題でございますから、私からとやかく推測を交えて申し上げることもいかがかと思いますけれども、お話しのように相当強い機運が出ていることは報道されているとおりと観測いたしております。そこで、これからどうなるかということでございますが、まあ一般論としても、輸入制限立法をするというようなことは、お話しのとおりに、従来からの主義主張とこれは食い違うことにもなりましょうし、また、そのやり方いかんによりましては、これは日本の問題もございましょうが、その他の国の反響ということもございましょうし、あるいはまた、ガットのワクの中で考えてみましても、それに対して今度は報復的な手段を輸出国においてとるということも可能である面も出てこようかもしれませんし、それらのところをアメリカの側におかれてもいわば良識的な判断によって決せらるべき問題であろうと、それから、日米の関係から見ますると、そういうことになるのは私は好ましくないことであると、かように考えるわけでございます。お断わりいたしましたように、アメリカ側の今後の態度というものについて、にわかに私から予測を交えての意見を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、一般論といたしましては、輸入制限立法というものは、多数国間においても、あるいは日本との関係においても、決して好ましいものではない、さような状態にならないように話し合いで解決をすることが妥当であろうと、日本の立場としてはそう考えるべきではなかろうか、またアメリカの良識に期待を持つべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○二宮文造君 最後に総理にお伺いしてこの問題を終わりたいと思いますが、アメリカでは輸入制限立法、これをいまやかましくいわれている。日本のほうでは、業界の中で意見がまとまらない。したがって、自主規制というのは非常にむずかしい、これがいまの現状ではないかと思います。ですけれども、日米間のいわゆる経済関係というものを友好的に持続するために政府が苦心をされまして、もしかすると貿易管理令などによってこの問題を切り抜けようとするのではないかという心配もございますが、もし管理令を発動するようなことになりますと、これはたいへんなことになります。ぜひ、そういうことはしないということを総理から明言をいただきたいわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 二宮君からただいま、貿易管理令を発動すると、そういうことを政府は考えているかと、こういうお話ですが、さようなことは考えておりません。私は、どこまでも業界で話をつけるべき筋のものだと、かように思っておりますけれども、しかし、先ほども御意見にありましたように、それならそれで、政府がもう少し業界にタッチして、経過を十分説明したらどうか、こういうお話もあったように伺っております。私も、こういうこともあわせて、私ども立法措置やあるいは管理令だとか、こういうようなことはしないで、これはどこまでも両国間の友好関係のうちに話をつけたいと、いわゆる互譲の精神でと、かように考えております。しかし私、まあ経過を見まして、アメリカでも業者大会が行なわれる、また、当方でも業者大会を行なう。それぞれがたいへん強いそれぞれの決議をしておる。そういう場合に一体政府はどうしたら一番いいのか。これはなかなか、私どもが動き出してうまく効果をあげればいいが、逆に誤解を受けて、そうでなくても密約説が云々されておるそういう際に、政府がこれにくちばしを出す余地はただいまのところないと、かように実は思って見ております。しかし私、いつまでもこういう状態ではいかぬのだろうと思いますし、とにかく適当なときに話し合い、互譲の精神で話を詰めていかなきゃならぬのだと、かように思っておりますので、そういう点を見守りながら、ただいま過ごしているというのが政府の態度でございます。御了承いただきたいと思います。
○二宮文造君 貿易管理令は考えてない、この答弁をいただきまして、で、あと外交、防衛あるいは経済問題、その他非常に重要な当面の課題がございますけれども、これは後日の同僚委員の質疑にゆだねたいと思います。私はもっぱら国政運営の第一線で起こっておりますいろいろな問題について、ぜひ総理の認識を新たにしていただきたい、こういう趣旨のもとに話を進めてまいりたいと思いますし、また同時に、無理をすれば法律も道理も引っ込んでしまうんだと、こういうような不信を抱いております多くの国民各位に対しましても、それらの問題について政府の明快な姿勢を示していただきたいという立場で二、三の問題を取り上げてみたいと思います。 初めに、失業対策事業における地方議員の不正就労の問題についてでありますけれども、この問題は、総理も御承知のように、去る四日、補正予算審議に際しまして公明党の黒柳委員から提起されたものであります。そして、議員としての所得を得ながら失対事業に就労することは失対事業の本質にもとるじゃないか、また、本会議や委員会やあるいは議員としての出張中も失対に就労したことにして賃金を得ていることは不当ではないか、こういう趣旨の質問でありました。もちろん、失対の打ち切りだとかあるいは労働強化というような問題は取り上げてない、こう私は会議録の中から感じ取るわけでありますけれども、答弁に立たれた総理の印象はいかがでございましたか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はただいま、当時もお答えしたと思いますが、失対事業そのものを打ち切るとか、あるいはその中身について特殊な考慮を払うとか、こういうことをするという質問ではなかったと思います。せっかくある制度が、その制度の目的とする失業者に対する救済政策としての特殊な施策が十分にその効果を発揮することができないようにこれが悪用されているんだと、かような意味で御指摘があったと、かように私は受け取ったのであります。しかし私は、この制度が、現状においてはだんだんと完全就労の状態になりつつありますから、比較的にいままでの失業対策事業、その中身も変わりつつありますが、同時に、特殊な地域におきましてはこの種の事業がどうしても必要だ、また特定の年令層に対しましてはこれも必要だと、かように考えますので、そういう意味でことしなど予算は縮小いたしましたが、事業そのものをやはり存続する必要があると、かように考えておりますし、黒柳議員のお話自身も、そういう意味のことで、ただいまの失業対策事業そのものをやめろ、こういうようなお話ではなかったと、かように私は理解いたしております。
○二宮文造君 ところが、いまここに私一枚だけビラを持ってまいりましたけれども、これは福島県のいわき市内の失対事業の現場で配布された印刷物です。その中で次のように言っております。「公明党は、全日自労をつぶし、低賃金と無権利の労働者をつくり、独占資本をもうけさせ、海外進出に名をかりて戦争への道を強行しようとする戦争政策の片棒をかつぎ」云々と、こういうふうに黒柳委員の、質問が、趣旨がすりかえられているわけです。そして抗議電報とかはがきを出そうじゃないか、こう要請しまして、党本部あるいは御丁寧にも黒柳委員の住所までその末尾にちゃんと書き込んでございます。私持ってまいろうと思ったのですが、あまりにもかかえられないほどのものがございますので持ってまいりませんでしたけれども、また同時に、公明党の所属の衆議院議員の自宅の電話が二回にわたって切断され、あるいは、いま席におりますけれども、参議院議員の自宅に強迫電話が舞い込んでくる。こういうことを私考えますと、また現実にそういう事実にぶつかりますと、これらは議員の名誉を傷つけるばかりでなく、善意の人たちに虚偽の扇動をして言論を抑圧する行為ではないか、こう私どもは思うわけです。総理の率直な見解を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 率直に申しまして、私も、いまのようなお話を伺うと、二宮君と同じような感じを持ちます。もともと、この国会におきまして、特別ないわゆる言論圧迫の問題が出た。その問題の趣旨は、取り上げられ方は私は正しいことであったと思いますが、しかし、ものごとは行き過ぎると、いつの間にか本体がすりかえられる、そういう方向に行きやすいのであります。私はそのことを非常に心配して、今日までみずから答弁に立ちながらも、その点ではすりかえられないように注意はしてまいっておりました。ところが、ただいまも言われるように、各党同士の間でただいまのような事態が起こること、これはまことに残念だと思います。また、国会の審議はどこまでもそれぞれの党が責任を持って堂々とその意見を戦わされるところであります。ことに政府の関与する事柄についての政府追及についてはたいへん活発に行なわれるので、そういう意味では、政府も防戦これつとめ、また、よく理解を得るように努力しておりますけれども、どうも政党間同士の問題が矢面に立ちますと、私どもも原則論的な話に終始する。そのために、どうも問題の所在をすりかえられる危険があるのだろうと、かように思いますが、これはお互いに注意すべきことだろうと、かように思っております。
○二宮文造君 政党間同士の問題にすりかえられては困ると、注意しようじゃないかという趣旨、私も賛成でございます。この質問も、私の質問もそういう線に沿いまして非常に注意を払いながら質問を展開してまいりたいと思います。で、問題はやつ。はり事が失対事業の問題でありますから、本質は私この際明らかにしておかなければならぬと思います。 そこで、労働大臣にお伺いしますけれども、失対事業には本来所得制限を設けるべきではない、あるいは現行の失対法には所得制限は設けてない、こういう言い方がありますし、また、議員の報酬が幾らであろうと関係なく、失対事業には就労ができるんだ、そういう議論がありますけれども、これはひとつ大臣のほうから明快にしていただきたい。
○国務大臣(野原正勝君) 一定基準を越した所得がある。それは議員であるといないとを問わず、そういうものは失対事業には就労できないということになっておりますし、また、ましてや失対事業に出なかった日にも賃金を払うというふうなことは、厳にこれは禁止をしておるわけでございます。したがいまして、一定基準以上の所得がある者に対しては失対事業に就労させてはならないと、はっきりと注意しておるわけでございます。したがって、そういう事実がないことと思っておりましたが、先般来のお話によりますと、かなりあるらしいということがわかりました。目下調査中でございます。
○二宮文造君 はっきりいたしましたけれども、もう一つそれを詰めておきたいと思うのです。先ほど、議員の報酬が幾らであろうと関係なく失対事業には就労できるのだ、こういうふうな見解の中に、地方議員の報酬は歳費ではない、あくまでも公務に対する謝礼だ、一般にいわれる給料と混同ずるのは間違いだ、こういうことを論拠にして議員の報酬が幾らであろうとも失対事業には就労できるのだ、こういう議論を立てておりますけれども、この点はどうですか。
○国務大臣(野原正勝君) 国会議員には歳費という形で報酬が払われております。地方議会におきましては、地方自治法のほうで、これは国会議員に準じまして報酬という形になっておりますけれども、しょせん内容は同じものでございまして、これは所得とみなすべきものであるというふうに考えております。
○二宮文造君 所得とみなす……。
○国務大臣(野原正勝君) 所得とみなすべきであるというふうに考えます。
○二宮文造君 そこで、もう一つこういう議論があります。失対事業運営管理規程の第二十三条によって、議員が議会に出席した場合にも失対事業のほうから賃金はもらっていいのだ、こういう見解がありますけれども、大臣いかがですか。
○国務大臣(野原正勝君) 議会に出席をしておるというふうなときに失対事業に就労できるというふうなことは、これは絶対あり得ない。そういう場合は失対事業のほうは御遠慮願うべきものであろうと思っております。また、そういうことが慣例としてあったかに聞いておりますけれども、そういう慣例ははなはだ適正ではないと考えておるわけでございます。
○二宮文造君 これは政府委員にお伺いしたいのですが、いまちょっと大臣、慣例があったというふうなお話でありますけれども、法のたてまえで私はその質問をしているわけであります。政府委員のほうからお願いしたいのですが、二十三条を、先ほど申しました管理規程の二十三条をたてまえにしてそういう議論があるのですが、その点について説明いただきたい。
○政府委員(住榮作君) お答えいたします。失業対策事業運営管理規程によりますと、就労者が有給で労働時間を利用することにつきまして非常に限定的に列記いたしております。したがいまして、議会の用務は有給で労働時間を利用すると、こういうことにはいたしておりませんのでお答え申し上げます。
○二宮文造君 それでもう一つ安定局長にお伺いしたいのですが、そういうように労働省は明快な答弁をされておりますけれども、去る十日に、小樽市議会の失対課長が同じような質問に対してこう答えております。現行法からいって、議員に当選したから失対事業排除という法はない、運営管理規程の中の労働基準法による就業規則に、裁判所など官公署、公務のための呼び出しを受けたとき労働時間を利用できるとなっており、議員としての活動は公務である。これは毎日新聞所載の記事でありますけれども、こういうふうに小樽市の失対課長が答弁をしております。また、北海道の道のほうでは、これはいけないのだと、いまの労働省の見解と同じでございますけれども、この点はひとつ整理をしていただかないと地方団体で混乱が起こっておりますから、もう一つこの点を踏まえて答弁を願いたい。
○政府委員(住榮作君) ただいまも申し上げましたとおり、二十三条には、御承知のように、「選挙権その他公民権を行使するとき。」「裁判所又は官公署より公務のため呼び出されたとき。」等、きわめて明瞭にそのことが規定してございますので、議会関係の出席等につきましてはこの範囲からはずれておるというように考えております。
○二宮文造君 労働省は明快な答弁をされるのに、どうして市のほうにこういう誤った見解が出るのでしょう。労働省はしっかりした見解をお立てになっておる。ところが市のほうではまるでうらはらな解釈をしておる。どうしてこういうあやまちが出るのか、これを私はお伺いしたい。
○政府委員(住榮作君) 私どものほうといたしましては、かねてから申し上げておる線で事業主体を指導しておるのでございますが、その点の指導の徹底を欠いている点から、そういうことも起きたのではないかと思いますけれども、指導といたしましては、管理規程を示しまして事業主体までの徹底をはかっているところでございます。
○二宮文造君 それじゃさらにその指導の徹底をはかって、末端で混乱が起こらないようにしていただきたいと思います。また、同じようなことでありますけれども、これは私ちょっとわからないんですが、委員会に出席の場合に失対賃金の受領を認める協定が、事業主体者である市と労働組合との間でできておる。だから不正就労でもないし、賃金をもらってもいいんだ、こういうふうな見解がありますけれども、この点はどうでしょうか。
○政府委員(住榮作君) 御指摘のような、組合と事業主体の間で委員会出席の場合に賃金を払うという協定ができあがっているとは考えておりません。また、私どもの調査によりましても、そういう協定書があるということはないと考えております。
○二宮文造君 非常にめんどうな問題が続きますので、もう一回局長に登壇願いたいのですが、先ほどの所得制限について従来はあまり適用がなかった、こういう主張があります。ところが黒柳質問によって、労働省が三月六日付失業対策部長名で、「失業者就労事業へ紹介する者の取扱いについて」という通達を出しております。これは失対就労者の労働組合すなわち全日自労の弾圧をそそのかしたものである、黒柳議員がその張本人だと、こういうふうにいま攻撃を受けておりますけれども、失対部長がこういう通達を出した趣旨、同じく同日付で、「失業対策事業の運営の改善について」という通達が出ておりますが、これはやはり黒柳質問による労務管理強化の指示である、こういうふうな見解をとられている向きがあるのでありますけれども、この通達を出した趣旨、いきさつについて、明快に御答弁を願いたいわけであります。
○政府委員(住榮作君) お答えいたします。 まず前段の失業対策事業に就労する者の取り扱いについての通達の経緯なり趣旨でございますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、一定の水準を越える所得を有する者を失対事業に就労させるということは、緊急失業対策法の趣旨からいいまして適当ではございません。さらに、失対事業就労者につきましても、その所得が中高年齢の失業者に対する就職促進措置の要件でございます所得の基準を越えないことが私ども当然の前提になっておる、こういうように考えておるわけでございます。したがいましてそういうような趣旨から、全国会議等におきまして、口頭ではございましたけれども指示いたしておったのでございますが、当委員会におきます御指摘等もございまして、通達として指示をいたしたものでございます。 それから第二点でございますが、これは失対事業の運営の改善についてという三月六日付の通達のことと考えますが、これも、従来、失業対策事業の運営につきましては失対事業の正常な運営をはかると、こういう観点から詳細な指示をいたしておるのでございますけれども、今回、たとえば失対事業の運営の改善について、いま問題になっております働かないのに賃金を払うということ等に対する措置をさらに徹底するために繰り返して通達として指示いたしたものでございます。
○二宮文造君 通達は従来の見解を文書にまとめたに過ぎないと。私聞きましたところによりますと、二月の中旬にも全国の都道府県の主管部長に対してその旨を、口頭ではあるけれども、厳重に指示をしておるという話も聞いております。したがってそういうことではなかったと、黒柳委員が火をつけたんではなかったと、これは私はそういうふうに理解をいたします。いままで言われてまいりましたような失業対策事業であるならば、私は議員として要職に選ばれた者は、道義的にでも、いままでの習慣がどうであろうとも、道義的にでも就労を辞退する、これでこそ選ばれた議員ではないかと私は思うわけであります。 それはさておきまして、先ほどの所得制限でありますけれども、具体的に、夫婦、子供二人、いわゆる標準世帯で幾らが限度になるか、この際明確にしていただきたい。
○政府委員(住榮作君) 現行の基準額は扶養家族の有無、扶養親族の数によりまして変わっておりますが、典型的な場合といたしまして、本人に配偶者がございまして、扶養親族が二人の場合、これは五十二万七千円、こういうことでございます。
○二宮文造君 現在額ですね。
○政府委員(住榮作君) 現行基準額でございます。
○二宮文造君 大臣、労働省でも調査されたと思うのですが、地方議員でいま言われた限度額、現在の状況で、四月から変わるかもしれませんが、現在の状況で失対事業に就労している議員は何人で、その中で現行の所得制限にかかる議員はどれくらいいるか、これは御調査されたと思うのですが、概略でけっこうです。
○国務大臣(野原正勝君) 地方議員で失対に就労しておる者は大体百十名以上になっておるようでございます。限度額の問題でございますが、まだはっきりはしませんけれども、家族の構成などがはっきりしませんので何とも言えませんが、少なくもその半分程度、あるいはそれ以上が限度を越えておるんじゃないかというふうに言われております。
○二宮文造君 了解しました。ちょっと個人の名前が出て申しわけないのですが、九州の山田市の、この間黒柳委員が指摘しました西村市会議員の二重取りの不正事件につきましては、黒柳さんが指摘したとおりでありますけれども、調査をされた結果はどうでした。
○国務大臣(野原正勝君) 西村議員の場合は、何か先般就労しなかったということの分を返してきた、戻したということが報告があります。
○二宮文造君 一たん受け取っていたものが黒柳質問の後に返ってきた、こういう御答弁ですから、あと詰めません。 それから次、福岡県議会で、三市一町の失対不正について監査請求がされて、それが決議をされ、いま調査の段階に入ったそうです。また労働省も現地に調査官を派遣したと聞きますけれども、その調査の結果は出ましたか、あるいはそのあらましはどうですか、お伺いしたい。
○国務大臣(野原正勝君) まだ調査が続いておるわけでございまして、帰ってまいりませんが、いずれ近いうちにきわめて明確にその点が報告されると考えております。
○二宮文造君 どうでしょう、職安局長さんが調査官を派遣したんですが、概況はどうであったでしょうか。その派遣されて調査をされた地名とか概況はどうでしょうか。
○政府委員(住榮作君) いま大臣から申し上げたとおりでございますが、当委員会で御指摘等のございました北九州市、山田市、田川市、筑後市等におきまして、就労者が議会出席当日に失対賃金をもらっておった、こういう事例があったことははっきりいたしております。それに伴ういろんな事情等につきましてはさらに調査を進める、こういう手はずにいたしております。
○二宮文造君 先ほどのお話で、議員で失対に就労している者が百十名以上、それからその中で、−所得制限にかかる、現在の所得制限にかかる人が半数程度またはそれ以上という答弁がありましたから、同様な問題が出てくるのは当然ではないかと思うんですが、九州にとどまりませんで、北海道、福島、兵庫県、高知県、愛媛県と、私どもの調査では不正就労や不正受給の県が浮かび上がってまいりました。労働省は事が起こってから調査をするんではなくて、もうこれだけの事実が出てまいったとするならば、もっとその姿勢を明確にして全国の指導なり調査なりをやるべきではないか、こう思うんですが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(野原正勝君) そのような趣旨で先般通達を発しておりますし、厳重に調査をするようにということで命令しておりますから、近いうちに必ず各方面からそういう事実があれば報告が寄せられると考えております。
○二宮文造君 それから、所得制限にかかる人はいつからその紹介をやめるんですか。
○政府委員(住榮作君) 先ほど申し上げましたように、このことにつきましては、三月六日付で明確な通達を出しております。それから所得等の関係、これは議員の場合はかなりはっきりしておりますが、扶養家族その他の関係がはっきりする限りにおきまして、失対事業への紹介を停止する、こういうような措置をとってまいりたいと考えております。
○二宮文造君 いつから……。
○政府委員(住榮作君) 調査ができ次第やっております。現にそういう事例も出ております。
○二宮文造君 問題は不正受給が残ることですが、この不正受給に対する国の取り扱いはどうなさるのですか。
○国務大臣(野原正勝君) そういう事実が明確になりますれば、当然返納を命じまするし、またその他の厳重な措置を講ずる決心でございます。
○二宮文造君 返納を命ずるという答弁でございますけれども、事業主体者は市であり、県のはずです。国は一体どこへ返納を申しつけるんですか。
○政府委員(住榮作君) 御承知のように、失対事業は地方公共団体に対しまして補助金を交付いたしまして実施しております。そこで、一つはそういう不正な賃金の支払いが明確になりましたときには、補助金の返還を命ずることになります。それから、働かないのに賃金を受け取った者に対しましては、事業主体のほうから本人に対しまして受け取った金額の返納を命ずる、これが通常の措置となっております。
○二宮文造君 以上の質問で、先般行なわれました黒柳質問の趣旨が、そういう議員の不正就労だとか、あるいは不正受給を明らかにするところに主題があって、失対事業の打ち切り等を問題にしたのではないということが国民各位、なかんずく善意の失対労務者の各位の方々に明確に私は理解してもらえたと思うわけであります。しかし、情報社会と言われます今日では、数々のすりかえ論議も予想されますので、またあわせて失対就労者の不安というものがそういうすりかえ論議の中からも出てまいる、私はこれは非常に気の毒なことだ、こう思うわけであります。したがって、失対に就労されている方々がその不安を起こさないように、ひとつ、先ほども総理大臣から答弁がありましたけれども、重ねて答弁を願って、この問題の質問を終わりにしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 失業対策事業、これは最近はやや減ってはおりますけれども、この失業対策費、これはやはり必要な現状でございますし、またその趣旨に沿って十分の成果をあげていくように、この上とも努力していかなければ相ならないと思います。そこで、先ほど来、質疑を通じて明らかになった点が諸点ございますので、それぞれの官庁におきましても事後処置と申しますか、あるいは事前にこういう事柄が重ねて起こらないように注意を喚起するとか等々の処置は、積極的に私もしたいものだ、かように思いますので、労働省の所管事項等につきましては、十分その本来の趣旨を生かすように、また現に就労しておる失業者諸君に不安を与えないように十分徹底させたいものだ、かように思っております。
○二宮文造君 時間の都合でちょっと質疑の通告の順序を変えさせていただきまして、社会保障、特に生活保護法の問題について若干お伺いをしたいと思います。 まず、総理にお伺いしますが、本年の初頭に某週刊誌に、「ああ、ヒューマン・スクラップ」——実にショッキングな題のルポ記事が連載されております。その一の「生き埋めさながらの保護地獄」、こういう題のところでは、特に北九州付近でございますけれども、その付近の生活保護法の適用を受ける炭鉱離職者や貧しい農家の人たちが、一日というのは扶助金がもらえる日です、その一日に、福祉事務所の前で待ちかまえている金貸しから担保にしておった扶助金の支給カードをもらうわけです。そして事務所に入って扶助金をもらう、出るやいなや受け取ったばかりの扶助金のそのほとんどを金貸しに巻き上げられてしまう。ですから、また支給カードを担保にして、その月のお金を借りて帰る、また月二割になるような利子や手数料が天引きされている、こういうことが冒頭に書かれております。また別のページでは、この付近では、この種の金融業者から金を借りている数は、保護世帯のほぼ七割に当たる、こういうふうにも指摘をされております。その月のぎりぎりの最低生活に充てるべき扶助金が、こうした形で流れている現状について、総理の所感を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま紹介されました週刊誌は、私はその記事も見ておりません。また、そういう事態が起きておるとすれば、これはたいへんゆゆしい問題だと、かように私は思いますので、これはおそらく厚生省関係も知っている人もあるだろうと思いますので、そのほうで事態についてどういうように処理しているか等も、この機会に説明さしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) その週刊誌の記事は、私はみずから見たことはございませんが、役所の者から聞いております。まことに私は、せっかく生活保護の制度というもののあるのがじゅうりんされた、いかにも残酷な状況であると考えまして、心を暗くいたしております。また生活保護法の中には、生活保護のために支給を受ける金品等につきましては差し押えができないことになっておるわけでございますにもかかわらず、そういうことが現実行なわれておりますことは、これは法の精神をも無視した私は状態であると思うわけでありまして、関係方面とも相談をいたしまして何らかの方法によって、いまお述べになったような状態を改善をしなければならないかと思います。もっともこれはひとり厚生省だけでできる問題ではございませんで、日歩三十銭をこえるような高金利というものは、そのほうの法律から見ましても違法のはずでございますので、その辺のことにつきましても私は、関係方面の注意を喚起してまいらなければならないと思います。もっともこれは生活保護受給者だけに限らず、あの地域におきましてはいま二宮さんがお述べのような事態もありますので、そういう高利貸しから同様な仕打ちを受けておるところの、生活保護受給者以外の給与者等も非常に多いということも同時に聞いておりますので、これらもあわせまして、何らかの対策を立ててまいるべきだと考えております。
○二宮文造君 いや、そういうふうに焦点をおぼかしになっちゃいけません。私が取り上げまして某週刊誌と申し上げておりますのは、これは三大あるいは四大誌と言われる権威のある週刊誌です。しかもそれが、もう非常に何と言いますか、ドキュメンタリーにその間の風景を書いております。ぜひこれは大臣がお読みになるのは当然ではないか、読んでいただきたい。そして、そのなまなましい問題に対する対策を立てていただきたいと思うのです。おそらくもし、これが厚生省に報告がないとすれば、私は、現地の方々が生活保護法を施行していくのにほんとうに形式的で、お役所仕事で、血の通った考え方がないんではないか。あの文章の表現を見た限り、また現地に住んでおります人たちに照会をして聞いた限りにおいても、決してオーバーな表現ではないわけであります。ですから、ぜひこれは対策を立てていただきたいし、国家公安委員長にお伺いしますが、これもおそらくあの方面の警察当局の方もごらんになったと思うのですが、こうした状況が行なわれているというような報告を受けたことがありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 報告を受けたことがございます。悪質貸し金業者の取り締まりのことでございますが、市民生活保護の観点から、かねてより強力に推進してきたところでありますが、生活保護を受けている者に対する金融違反は、これらの人々の生活に著しい障害を与え、また社会一般に与える影響も大きいので、厳重に取り締まっていく所存であります。御指摘の筑豊地区における問題につきましては、福岡県警において調査を進めているところであります。
○二宮文造君 ぜひ、これは列をなしてやっているという表現でございますからね。どうしても警察当局の取り締まりといいますか、それが弱い生活保護受給者の方々を守ってあげることにもなりますので、ひとつこの問題は厳格に取り組んでいただきたいと思うわけであります。 そこで言うまでもないことでありますけれども、生活保護というのは、憲法二十五条に規定されました「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、この規定に基づきまして、いわゆる国民の生活権保障という立場で、生活に困窮するすべての国民に必要な保護とその自立を推進する、これが生活保護法のたてまえであります。ところが、現実には対象者の選択や基準生活費あるいは所得の認定等々で、保護行政の上で改めなきゃならぬ点が多々ある。それをいまこれからひとつ総理にも関心を深めていただきたい意味で議論を積み重ねていくわけでありますけれども、まず予算額——生活保護費の予算額、それから対前年の伸び、それから支給世帯あるいは人数等を含めました生活保護の概況についてお伺いしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 生活保護を受けます対象人員とか、あるいは世帯数は、最近の経済成長に伴いまして減ってはおりますけれども、一方また、生活水準の向上、物価の上昇等もございますので、私どもは毎年そういう点をも勘案をいたしまして、生活扶助の基準の引き上げにつとめてまいりました。ここ三、四年間おおむね二二%程度の引き上げでございましたが、昭和四十五年度におきましては、これを一四%引き上げることにいたしまして予算を提案をいたしております。また、その総金額は四十五年度の予算におきましては二千二百億円がちょっと切れるくらいであったと思います。前年度——昭和四十四年度におきましては、それが千八百余億円であったと思います。したがいまして三百数十億円の増額、割合にいたしますと一八・七%ぐらい増加をいたしておりまして、前年度に対する今年度の予算の伸び率を上回るような状態になっておりまして、この方面につきましては私どももできるだけ心を砕いておる次第でございます。
○二宮文造君 人数、世帯の点についてお話がございませんでしたけれども、まあよろしいでしょう。 それで問題は、予算額は二千二百億円、なかなかたいへんな膨大な金額でありますけれども、これが世帯当たり——現行の世帯当たりの受給額はどうなりますか。級地別とかありましょうが、標準世帯で受給額を聞かしていただきたい。
○国務大臣(内田常雄君) 一級地、すなわち大都会におきまして、昭和四十四年度におきましては四人標準家族におき・まして二万九千九百円ぐらいのはずでございますが、今度それが予算が通り、法の改正が行なわれますと、これが三万四千円余りになるはずでございます。
○二宮文造君 たとえばこの三月にもらう人は二万九千九百幾らですか、もらっているわけですね。その二万九千幾らという金額はいつきまったんですか。
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ紙の上の理屈になるようなお答えになるかもしれませんが、私どもの計算の基準は、その年度が始まります四月一日現在ということになりますので、ことしの三月もらわれる方は、昨年——昭和四十四年の四月一日現在でおおむね一年間を見通した数字でできておると、こういうことを申し上げたいと思います。
○二宮文造君 昨年の四月一日現在できまったものを、一年間そのまま使うということになりますね。そして、その標準世帯に例をとりましても、飲食物費というのは一体幾らに計算されておりましょうか。
○国務大臣(内田常雄君) ただいまの私の説明が不十分であったかもしれませんが、いま三月にもらわれる方は昨年の四月一日現在から一年間の見通しのもとにきめられていると、こういうことを一これは紙の上の説明になりますが、申し上、げました。大体標準世帯で私の記憶では、これは他に職業があって若干の収入がある人と、職業が皆無の人と違いますが、おおむね一万九千円程度であると思います。
○二宮文造君 そうしますと、厚生省、国は被保護世帯のいわゆるエンゲル係数——生活費の中に占める飲食費の割合というものを何%ぐらいに置いておられるか——エンゲル係数。
○国務大慶(内田常雄君) これもエンゲル係数ができるだけ小さくなるほうが、生活が豊かになるわけでありますので、毎年若干ずつエンゲル係数を小さくいたしまして、おそらく四十四年度では四八が若干欠ける程度になってきておると思います。したがって四十五年度におきましては、それをさらに小さくしたいということで基準を一四%引き上げておるわけでございます。
○二宮文造君 大臣、続けていま言われたのは、被保護者実態調査という数字をお出しになったんだろうと思うんですが、同じように総理府の家計調査というのが出ていると思うんです。それで一般家庭におけるエンゲル係数は幾らでしょうか。
○政府委員(伊部英男君) お答え申し上げます。 エンゲル係数は、人口五万以上の都市勤労者世帯におきまして昭和四十三年が三三・二でございます。
○二宮文造君 先ほど大臣は、一生懸命被保護世帯のエンゲル係数を下げることに努力していると、こういうお話でございますけれども、それでも四八ですね。それから一年前の四十三年度の一般家計調査では勤労者の世帯で三二、三ですね。そうしますと、まあ被保護世帯の方々の占める飲食費の割合が非常に高い。しかもなお、ちょっと私ソロバンを入れてみました。先ほど一万九千幾らというお話でございましたから、四人世帯で一日の食費は幾らだろうかと、こういうように、こう割ってみますと、四人世帯で一日六百五十円です。そして一人一日が百五十何円です。一食は主食費を含めて五十一円なんです。これではたして健康を維持できるような食事がとれるのかどう か。これはどうでしょう。
○政府委員(伊部英男君) ただいま御指摘のように、昭和四十四年度標準四人世帯の生活扶助基準によります一人一食当たりの飲食物費は、夫が無業の場合五十円五十八銭、夫が日雇い、つまり有業の場合五十六円二十二銭でございます。しかしこれに対しまして昭和四十四年四月から十一月におきます低所得階層、人口五万以上の都市勤労者世帯の一人一食当たりの飲食物費は第一十分位の場合五十八円五十四銭、第一五分位でも六十円十六銭でございまして、これらの点との均衡を御考慮願いたいと思うのでございます。 なお、先ほどのエンゲル係数につきましても、第一十分位あるいは第一五分位になりますと、第一十分位は四二・五、第一五分位は四一・四と、かような数字になる次第でございます。
○二宮文造君 いま引用された数字が、これがボーダーライン層として非常に問題になってくるわけであります。高度成長の陰に、こういうふうに一食が五十一円、勤労世帯でも五十数円といま発表がございましたけれども、そういう生活を強いられている、われわれと同じ国民がいるということを、私は頭に置かなければならぬ、こう思うわけです。そしてまた、私、先ほど昨年の四月一日現在で一年間を通すのですねと念を押しましたのは、その間に物価の値上がりがあるわけです。で、経企庁にお伺いしたいのですが、昨年の四月と一番新しいデータでの小売物価指数の上昇率、特にその中でも飲食物費、これをひとつお出し願いたいのですが……。
○国務大臣(佐藤一郎君) 昨年の四月からこの一月までで申し上げますが、全体の消費者物価指数は六・一です。そうして季節消費を除いたところで五・一です。そのうち食料が七・七です。その食料の七・七のうちでも、御存じのように野菜が二一%、こういうようなことになっております。
○二宮文造君 わずか昨年の四月からことしの一月までの物価の値上がりは、いまお話しになったとおりであります。そうすると、物価が上がるごとに被保護世帯は生活が窮迫してくるわけですね。私は、こういう現実が明らかになったのですから、やはり被保護世帯の方々の苦労というものを考えて、一年間打ち切りというのじゃなくて、物価の値上がりにスライドして、三%以上上がるときには四半期ごとぐらいに基準生活費を訂正する、そういう幅があってもいいのではないか、こう思うのですが、大臣どうでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) まあ正直に申しまして、そうできますれば非常に親切な方法であると思いますが、これはなかなか毎四半期に予算を組みかえるというようなこともできませんので、先ほど私が、ことばが十分でないというところで申し添えましたように、四月一日できめるが、その一年間の物価の上昇等をおおむね見通して、そうしてたとえば明年度については一四%アップときめております。明年度の物価の値上がりで割りましても物価の値上がり以上の上昇率になるというところで、現在は一年ごとにやっているということで御理解いただきとう存じます。
○二宮文造君 言うことはわかるのですよ。ですけれども、来年上がるからきょう食うのを待てというわけにいかないのです。ですから、やはり金の出し方はいろいろな——これはやろうとすればお金の出し方はあるわけですね。予算の組み方もあるわけです。そういうふうに前向きに考えていくかどうかという姿勢が私は大事ではないか。いまのような行き方でいきますと、それは四月にはいいですよ。値上がり分をちょっと見越していいかもしれませんけれども、もののもう一、二四半期越さないうちに、もうかぶさってしまう。ですから、そういう方向に検討をする時期ではないか、こういう私の提案なんです。
○国務大臣(内田常雄君) たいへん親切な考え方でありますので、そういうことがやれるかやれないか、ぜひひとつ検討の課題にさしていただきたいと存じます。
○二宮文造君 大蔵大臣、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) どうも実際的ではないというような感じがします。つまり昭和四十五年は一四%というのは、あなたの方式でいうと、五月ごろには一二%アップ、また七月ごろは二二%アップと、こういうふうにされるのだろうというふうに思いますが、結局、年間を通ずれば同じことなんで、少し手続が繁雑に過ぎはしまいかというような感じがいたしますが、厚生大臣がせっかく検討すると申しておりますので、私も一緒に相談いたします。
○二宮文造君 せっかくの保護費が、私はやっぱり自立ということを保護法にうたっている限りにおいては、救貧、いま貧しいからあてがうのだというようなやり方じゃなくて、それからずっと位置が向上していくように保護費というものを検討していくべきではないか、そういうたてまえから問題が出てきます。級地別の差が、もう一級地から四級地までありますね。四級、いなかのほうになりますと相当数に、おそらく月で一万円ぐらい違うんじゃないでしょうか、標準世帯で。そういうふうになってきますと、この級地別の差も、大臣、これは検討しなきゃならぬと思いますし、第一基準生活費が低過ぎる。一四%あたりの増額じゃなくて、二五%ぐらいは値上げをしなきゃならぬじゃないか、これはもう定説になっておりますが、大臣どうですか。
○国務大臣(内田常雄君) 級地指定に関しましては、これは人口の都市集中等もございますので、実情に応じて私は随時告示でこれは直してまいるようにいたしたいと思います。 それから二四%の生活扶助費の基準引き上げということでございますが、大蔵大臣、総理大臣もずいぶんこの生活保護、社会保障については理解をされまして、昨年、一昨年よりも思い切った、踏み切った一四%というものを組ませていただいたわけでございますが、これは私どもが総理府の勤労者家計支出統計を見ますると、最近ここ四、五仲間の人口五万以上の都市における勤労者の家計消費支出の伸び率が大体一一%ないし一二%と、一昨年のごときは九・五%というような年もございまして、平均をいたしましても一一%ぐらいでございました。それに対応いたしまして、いろいろ私どもも知恵をしぼって大蔵大臣に一四%引き上げという、こういうところまで納得をしていただいた、こういう状態でございまして、今後さらに私はこれはつとめてまいりますけれども、いま一挙に二四%というところまではいき得ませんでしたことが実情でございました。
○二宮文造君 基準生活費の引き上げ、あるいは四半期ごとに物価にスライドさせる、これはどうしても私はやっていただきたい。 それからもう一つ問題になりますのが所得認定です、収入認定ですか……。若干の収入がありますと、それを差っ引いて保護費を渡すという現行制度ですね。それを社会局長の通達によりますと二千円と、こういうふうな——これはまた別ですが、いまの収入があれば差っ引くと、それからもう一つは地方公共団体のほうでいろいろな諸手当が出ます。それを受けた場合には二千円を限度とする、こういうので、それをこえますと保護費から差っ引いてしまう、こういう現行制度は、私はちょっと改めなきゃならぬのじゃないか。こういうやり方をしていくと、自立更生というのが、一番大事なところが消えてしまうのじゃないか。なぜ二千円とおきめになったか。あるいは収入認定の問題ですね。
○国務大臣(内田常雄君) 生活保護のたてまえが、他の収入だけでは最低生活が維持できないという場合に、国なり公共団体が資金を出してその生活を守ると、こういうことになっておりますので、他に収入があります場合に、それを全額計算外に置くわけにはまいりません。しかし二宮さんのお説のとおり、自立更生ということも生活保護の一つのモーティブでございますので、他に収入がありました場合には、その収入を得るに必要な適当な金額を勤労所得控除といたして収入に見ないことにいたしております。おおむね私の記憶では大体月に五千円近くぐらいまでは、これは収入に見ないということにいたしております。また地方公共団体等から欠陥のある家庭等に対して一種の手当あるいは激励金のようなものが出る場合がございましたが、それらにつきましては、従来の最大公約数的な金額をとりますと、おおむね二千円というところで九六尾ぐらいはカバーできますので、一応二千円までは収入に見ない、それをこえるものは収入に見るということにいたしておりますが、これは私は今後やつ。はり時勢の推進とともに、弾力性を持って考えていきたいと存じております。
○二宮文造君 問題がありますけれども、時間がありませんから次へいきます。 もう一つ大事なことは、保護を開始するのにあたって、現行法の保護の補足性の問題、第四条の趣旨ですね、これをひとつ御説明願いたい。
○政府委員(伊部英男君) お答えいたします。生活保護法は、法律のたてまえといたしまして、被保護者がその資産収入等を最低限度の生活の維持のために活用することを前提にいたしておりますので、その資産につきましても活用することをたてまえとしては期待いたしておるのでございます。ただ、社会通念上保持することが適当と認められるもの並びに自立更生に必要なもの等につきましては、具体的事例として保持を認めて、社会常識に合うような改善を逐次はかってきておるところでございます。
○二宮文造君 扶養家族……。
○政府委員(伊部英男君) 生活保護が最低生活を保障するものでございますので、やはり親族間の扶養ということを前提にするものでございます。しかしながら、最近の扶養問題関係につきましては、いろいろ世の中の変化もあるのでございまして、夫婦間の扶養あるいは親子間の扶養、こういう問題につきましては特に厳格に考えてまいりますけれども、その他の問題につきましては、に応じまして被保護世帯が最低生活を維持できるような配慮も加えてまいりたいと考えておるものでございます。
○二宮文造君 社会局長の答弁によりますと、その資産の問題についても相当に緩和されたような発言でありますけれども、実際に運用面においては、土地があるからだめだ、あるいは小屋のような家があるからだめだ、こういうだめだだめだ式が実際の支給にあたってはまだ行なわれております。それから扶養家族についても、もういま家族制度が大きく変化してまいりまして、御承知のように、核家族化ということになってきましたから、親子とかなんとか限定されてのお話ですけれども、いなかのほうへまいりますと、やっぱり福祉事務所のほうから照会をされて恥ずかしいというようなことで、やっぱりなけなしの扶養を強制されているようなきみもありますので、これは運営について特に気をつけていただきたい。先ほどの答弁の趣旨にはずれないような被保護者の立場に立った運営をしていただきたい。それでボーダーラインの問題がございますけれども、時間がありませんのではしょります。 それから非常に遺憾なことでございますけれども、不正受給の問題がやつ。はりいつも問題になって、善意の被保護者の方に非常に気の毒な恥ずかしい思いをさせております。この概況につきましては昨日の社労委員会で政務次官から答弁がございましたので、はしょりますし、また、具体的に先般東京で生活と健康を守る会の幹部三名を含む数名の起訴がございました。この内容についても昨日政務次官から答弁がございましたので、はしょりますが、ここで出てまいりました生活と健康を守る会というのは、どういう会なのか。また、その組織や会員数というのはどれぐらいに厚生省はつかんでいらっしゃるのか、これをお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(内田常雄君) 生活と健康を守る会というのは、私どもが聞いておりますところによると、昭和二十九年ぐらいにできた全国的な組織でありまして、現在会員は九万ぐらいおると推定をされております。しばしば生活保護等の問題にもからみまして、この会の名前が出ておりますことも御承知のとおりでございます。
○二宮文造君 それで、しばしば名前が出てまいりますのは非常に残念なことですけれども、陳情なんかの場合に暴力事件などを引き起こしたというのが過去の例のようであります。で、私、先ほどお伺いしようと思ったんですが、きのうも発表がありましたから飛ばしたのですが、都内の例ばかりじゃなくて、私が四国に限定して調査しただけでも、生健会の幹部とか、あるいは日本共産党の、これはまあ非常に気の毒なんですが、日本共産党の党員の不正受給というものが起こってまいりました。宇和島では大本某、あるいは今治では内山某、中渡某、それからこれは事件にはなりませんでしたけれども、丸亀の高木某、こういう方々の不正受給あるいは就労拒否、そういう問題のために打ち切りがされたり、あるいは告発されたりしたのですが、このあらましをひとつお伺いしたい。
○国務大臣(内田常雄君) いまお尋ねがございました四国の事件に限って申しますと、宇和島の事例は昭和三十九年七月二十九日に起訴されまして、第一番は有罪の判決がありました。これを不服として控訴をされまして、現在高松の高裁に係属中でございます。また今治の事例は二つございますが、一つは証拠不十分ということで不起訴になりましたが、あとの一つのほうのケースは、これは起訴になりまして、現在松山地裁に係属中であると聞いております。これらの事件はいずれも収入を偽って不正に保護費を受給していたものでございます。
○二宮文造君 答弁がございませんでしたけれども、宇和島の大本という人は、当時の肩書きは宇和島生健会の財政部長、それから内山という人は今治生健会の会長、当時ですよ。それから中渡という人は今治生健会の事務局次長、こういうふうに肩書きがついております。またいま大臣から答弁ございませんでしたけれども、丸亀の高木某という方は、これは生健会の書記長、また県の副会長もやっております。また内山という人はことしの一月に今治の市長選挙に党公認で立候補をしておりますし、また高木という人は四十二年に党公認で丸亀から県会議員に立候補しております。こういうふうな、私ちょっと調べただけでも、何かこう生健会の幹部が集団の力というものを背景において、何か不正受給の因を起こしているのではないかと、こう私ども思うわけでありますけれども、この点について、大臣は調査をされるか、あるいは不正受給というのはたいへんな問題ですから、今後の指導の面にどのようにされるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) まことに遺憾なことでございますが、私どもの調べ、あるいは関係公共団体からの報告によりましても、近年、やはり一年に二百件ぐらいの不正受給事件がございます。そのうち集団暴力を伴っておりますような案件がやはり最近でも二十件ないし数十件ぐらいはございまして、その中には何件かの、先生がおあげになった団体の名前も実は出てきておりますが、私どもといたしましては、これは個人であれ団体員であれ、せっかく国民の尊い税金から拠出される生活保護でございますので、これの支給につきましては厳正にやるべきである。万一趣旨にはずれるようなものがありましたならば、これにつきましては直ちに生活保護法上の措置をいたすことはむろんのこと、関係機関と相談をいたしまして、告発にも及ぶというようなことをいたしておりまして、最近におきましても告発あるいは起訴になった事例のあったことは御承知のとおりでございます。
○二宮文造君 そこで、私もう一つどうしても大臣にこれは考えていただかなければならぬのは、生活と健康を守る会が被保護世帯から会費を取っているんですね。それからまた事務費の補助とか、あるいは全国大会に出席する補助と称して市なんかから助成金を取っているわけなんです。そうしてそのいわゆる会費なり助成金なりの経理が明らかでない。このために会員のほうも一部ぶすぶす言っておりますけれども、何しろそういうことにはあまり関心のない方が非常に多いものですから、そのままにされておりますが、生活と健康を守る会が被保護者を中心にしてつくられた会であるならば、厚生省としてもその方向が正しい方向に進むように何がしかの指導育成なり、あるいは措置なり、そういうものをされるべきじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 生活保護の支給に関する監査制度がございまして、これは主として地方公共団体並びに福祉事務所の職員がそれに当たっておりますが、私どものほうにももちろん監査官もおりますので、従来もそうでございますが一今後はさらにいっそうこれらの地方公共団体の関係職員とも連絡を密にいたしまして、先ほどから申しますように、団体たると個人たるとを問わず、この処理に当たっては正しい道を踏んでいただけますように、十分の指導措置——事前措置も事後措置も——ってまいるつもりでございます。
○二宮文造君 参考のために申し上げておきますけれども、これは香川県坂出の例なんですが、坂出では、会長は市会議員の山下郁という人です、生活と健康を守る会の共産党の人です。四十二年に市から十五万円、四十三年に十八万円、四十四年に十四万円と助成金を受けておりますが、それがいずれも計画書とか要望書とかいうものだけで助成金を受けて、収支の計算は全然ないんです。一例を申し上げますと、レクリエーションをするんだといって六万円補助をもらって、計画によれば、どこそこへ、温泉へ招待するんだと、二百五十円の入場料で三百人を招待するんだ、こういう計画なんです。バスも四台使うんだという計画なんですが、実際使ったバスは二台、入場人員は百五十人。ですから、そこで相当にまた浮くわけですね。こういうふうなずさんな経理のもとに助成金を取る、その背後には、何かやはり肩書きとか集団とかいうものの威勢というものも加わっているようであります。これも市の税金でございますから、大事な金でございますし、むだ使いしちゃなりませんし、趣旨のとおりに使われなければならぬと思うんですが、そういうことがまま行なわれておりますということを大臣はよく御承知の上で、どうかひとつこの生活と健康を守る会を、会の趣旨に沿ったりっぱな会に仕上げていくように努力をしていただきたいと思う。 最後に、総理にお願いでありますけれども、生活保護法の問題、先ほど一食が五十一円、それから四月にきめられて、物価が上がっても来年まではそれが据え置きと、こういうふうな現状で、スライドしたらどうかとか、あるいは基準生活費を引き上げたらどうかというような趣旨の私質問をいたしました。総括してまた生活と健康を守る会のそういう問題も提起いたしたわけなんですが、総理の福祉行政についての所信というものをお伺いして、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ具体的な事例をあげて、お尋ねがあり、またそれぞれ大臣からもお答えをいたしました。私は、ただいまの制度そのもの等から見まして、一応形は整っておると、しかしながら、まだまだその中身を充実さしていく余地は多分にあると、かように考えますので、それぞれの大臣からもお答えいたしましたように、この種の問題は、さらに検討を続けていくと申しましたか、研究していくと、かように申しておりますので、しばらく、その研究の結果に成果を預けていただきたいと、かように思います。また、御指摘になりましたように、生活と健康を守る会、あるいはその前に出されました失業対策、それぞれがたとえば失業保険、そういうものは必要であり、また、生活保護費これまた必要でございますから、こういうものが正しく使われること、これが善意の人たちに迷惑の及ばないようにすることは、この上とも気をつけていかなければならないと思います。そういうことを考えると、善意の方を保護すると同時に、こういうものを悪用する、あるいはその制度を悪用しておる、利用しておる——まあ利用というのは正しいことばではございませんが、悪用しておる、こういうようなものについては、やはり法のたてまえ、制度を維持するというたてまえからも、厳正な態度で政府は臨まなきゃならないと、かように思います。それぞれあげられました事項につきましては、ただいま調査中というような事態でございますので、しばらく時間はかしていただきたいと思いますし、また私自身がその調査の結果も主管大臣から聞き取りまして、そうして適正な運営、そういう方向に一そう努力してまいりたいと、かように思います。
○二宮文造君 私、もう一つ、民主商工会の問題について、あるいは労音の入場税の問題についてお伺いをしたかったわけです。また、そのためにわざわざ国民金融公庫の総裁もおいでをいただいたわけでありますが、ごらんのとおり、時間が超過をしてしまいました。たいへんに失礼をいたしました。 ただ、最後に一言だけ、私、国税庁にお伺いしたいんですが、労音が現在八億円ないし今度この三月末でおそらく十億になろうかというような入場税の滞納があると聞いております。これは訴訟事件になっておりますから、たちまちに結論はつかないと思いますが、この労音は人格なき社団と言われておりまして、かりに国が裁判に勝ったところで、所定の財産もなければ、責任者へ責任が及ぶというシステムにもなってない。裁判に勝っても十億円はこれはもう徴収不能になるんじゃないか、こういうことを私心配するのと、どうするのかというのが一点。それから、こう言っております今日ただいまも、労音の入場税の未収という問題は、日本のどこかで起こっております。一方では、正規に入場税を払う、そういう鑑賞団体がある。同じような催しものをやるのに、一方は入場税を全然頭に置かないで興業をやってしまう。こういう問題がこれから、ずっと未解決のまま続くとすれば、これは取り扱い上、税の公平を欠くということにもなりますし、ここでひとつ何がしかの結論を出し、いままでの分は裁判として争訟事件で整理するとしても、これからの問題については、そういうトラブルを起こさせないような手段、方法を講ずべきではないか、こう思うのですが、これの答弁をいただきまして私の質問を終わりにしたいと思います。 質問ができませんでした通産大臣あるいはまた関係の方々には、深くおわびをするわけでございます。ありがとうございました。よろしくお願いします。
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘のように、労音関係の滞納税額は現在八億近くになっております。この滞納税額につきましては、訴訟を起こしておるものもございますし、訴訟でないものもございますが、御指摘のように人格なき社団でございますので、本来人格なき社団に属する財産というものが考えられるわけでございますが、名義その他を把握することが非常に困難でございます。さような意味で現在取り立て訴訟を起こしておりますのが六件もございますが、その他、でき得る限り財産の把握にはつとめておりますけれども、非常な困難を感じております。また、現在労音で訴訟係属中のものが相当ございますし、多くの労音は、申告納税に直りました入場税について、申告納税をすることはみずから納税義務を認める結果になるというたてまえで申告を拒否しておるものが多うございます。しかし、各地で国の勝訴判決が出てまいりました結果、申告慫慂をいろいろつとめました結果といたしまして、現在かなりの数の労音が入場税の申告納税を始めてきております。
○二宮文造君 年間一億ずつふえてきていますよ。
○政府委員(吉國二郎君) 今後その線を推進いたしますとともに、なお、申告をいたさないものにつきましては、税務署員は非常な困難をおかしまして更正決定をかけております。やはり入場税の納税義務がある以上、片方に入場税をきちっと納めている団体があり、片方に同じようなことをしながら入場税を納めていないものがあるという状況は、税務当局としてとうてい看過できないわけでございます。非常な困難をおかしながら、第一線の職員は課税のために非常な努力を払っておりますし、今後もその努力はゆるめてまいらないつもりでございます。
○二宮文造君 事前にチェックする方法はありませんか。
○政府委員(吉國二郎君) 事前に、もちろんどういう催しものがされるかというようなことは事前にチェックもいたしますし、入場人員も確認をいたす努力をいたしております。
○二宮文造君 では、終わります。
○委員長(堀本宜実君) 以上で二宮君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(堀本宜実君) 次に、加瀬完君の質疑を行ないます。加瀬君。
○加瀬完君 私は、最初にサラリーマン減税について伺います。 大蔵大臣は、税については公平であること、負担能力に応じたものであること、摩擦を起こさぬものであることと本委員会でお述べになりましたが、総理大臣も同意見と承ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これが税の根幹をなす大原則だと、かように考えます。もちろん、例外のあることは申すまでもございません。
○加瀬完君 サラリーマンの所得税などは他業種の所得税と比べてクロヨンとか、トーゴーサンとか巷間いわれておりますが、そういう傾向は全然ないと総理は御否定なさいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆるクロヨン、トーゴーサンと、こういうことを聞くと、私は非常に心を痛く存じておる次第でございます。税制の上からは、皆さまにも御審議を願った税法によって執行するものでございまするから、これは公正にできておるわけであります。ところが、源泉徴収を受ける人と、また申告納税をする人とこうありまして、サラリーマン階層は源泉徴収を受ける階層になるわけでありますが、そういう方々は源泉で的確に税を把握される。これに反して申告のほうはどうも漏れが多いんじゃないかというのがトーゴーサンであり、あるいはクロヨンである、こういうふうに理解をいたしておるわけでございますが、そういうことがあっては相ならぬわけであります。制度上におきましても、サラリーマンの減税、四十五年度の予算案と関連いたしまして、制度的な改正を御審議願っておりますが、同時に徴収面におきましても、これは申告納税制度、これを的確に進めるようにしなければならぬ、かように考えておりますが、最近は青色申告、これも逐次普及してまいりまするし、また税の徴収の機構、これも充実してまいりましたので、まあだんだんとそういう声が聞かれなくなるようにということを念願しながら一生懸命精励をいたしておる、これが実情でございます。
○加瀬完君 念願はよくわかりました。そこで、お答えをさらにいただきたいのでございますが、昭和四十五年度における所得三百万円の給与所得者、いま御指摘の青色申告者、それから開業医、配当所得者の所得税は標準家族の場合それぞれ幾らになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員からお答えを申し上げます。
○政府委員(細見卓君) お答え申し上げます。 給与の場合、収入金額が三百万円ありますと、御承知のように、夫婦子三人の場合でありますが、給与所得控除がありまして、その税金は二十七万三千円ぐらいになります。で、所得三百万円の事業所得者でありますと、これは事業所得と申しますのは、御承知のように一般の販売業者を考えますと、物を売ったところから仕入れの値段その他の経費を差し引きました事業所得になるわけでありますが、これが多くの場合青色申告者のようなときには、専従者が大体一人ぐらいおられます。その場合、専従者の給与は、これは際限なくといいますか、無制限に経費として認められるわけでありますが、かりにその給与が二十四万と仮定いたしますと、その税金は三十四万ぐらいになります。もしその方が青色申告でなくて、白色、つまり普通の申告者でありますと、この場合、専従者がありましても、この場合の専従者控除は十五万ということで頭打ちになっておりますので、十五万を引きますと三十六万二千円、配当の場合はゼロでありますが、お医者さんの場合におきましても、この三百万の場合の所得は、青色申告であれば三十四万であり白色申告であれば三十六万と。よく巷間お医者さんの場合の税金が安いといわれる話は、これは実際の所得がもう少しあるにかかわらず、社会診療報酬の場合につきましては経費率が七二%と法定されておる。その結果、実際の所得よりは若干小さく申告されるのではないか、その結果、税負担が軽くなる。そういうわけでございまして、所得が三百万ある限りは、先ほども大蔵大臣からお答え申し上げましたとおり、どなたも同じ税を払っていただくことになっております。
○加瀬完君 いまの御説明ですと、給与所得者は二十七万三千円、それよりも青色申告のほうが多い、開業医もそれより多い、ただし、配当所得はこれはゼロですけれども。そういうことですか。
○政府委員(細見卓君) 計算上そのようになるわけでございます。
○加瀬完君 それでは、私の計算ではそうはならないわけでございますが、じゃ別の、収入二百万の準準家族における医師、作家、弁護士、サラリーマン、この場合はどうなりますか。
○政府委員(細見卓君) 計算は別途いたしますが、三百万でも、四百万でも、五百万でも同じことに計算がなるわけであります。
○加瀬完君 あとのほうの例で申しますと、医師の場合はゼロですね。作家の場合は三・五、弁護士の場合は五、サラリーマンの場合は七・五%ということに昨年まではなりますね。
○政府委員(細見卓君) たいへんいい機会でございますので、少し詳しく説明させていただきたいと思います。医者の収入につきまして税が安いと言われますのは、収入金額が一千万かりにありました場合に、普通にやれば五百万ぐらいの収入になるかもしれないのが二百八十万に所得が法律上きめられる。したがって五百万あったかもしれない人が二百八十万の所得申告で済む、したがって税が安くなるという話でございますし、したがってそこで出ております数字と申しますのは、収入金額でありまして所得ではないわけであります。サラリーマンの場合の収入金額というのは三百万でありまして、それから給与所得控除が引かれる。それから事業所得者あるいはお医者さんの場合は、その医療なりあるいは事業遂行にいろいろ仕入れとかあるいは運搬費とかいうようなものがかかりまして、その残りが所得になる。その残りの所得をとらまえまして三百万円で見れば、先ほど申し上げましたようにすべての人は同じように税法に従って税を払っていただいておる、そういうわけでございます。
○加瀬完君 私の言うのは、収入金額であります。それでは収入金額三百万のときに、青色申告あるいは開業医、これはどうなりますか。さきの御説明のとおりですか。
○政府委員(細見卓君) 収入金額で比較することはできないわけでございまして、収入から経費を引きましたものが所得でございますから、かりに一千万の収入がありましても、事業のへたな方でありますと、千五百万の経費をかけて赤字にもなるわけでございますし、非常にじょうずに商売をやられれば、一千万で六百万も八百万ももうけられる方もあるわけでありまして、収入金額で比較するということは、税の上ではできないわけでございます。
○加瀬完君 できないわけでございますというのはね、これはおたくのほうの御主張で、問題はその収入金額から必要経費を引く必要経費の算定にそれぞれ差がありますから、収入金額が同じでも結局出てくる税額が違ってくる。そこで、あらためて伺いますが、それでは必要経費の算定に差がないとお認めになりますか。
○政府委員(細見卓君) サラリーマンの場合は若干違いますが、医者とかあるいは事業所得者であるとか農業所得者ということになりますと、たてまえは全く同じでございまして、農業であれば、たとえばもみ代でありますとかあるいは水利費でありますとか、そういうものがかかるわけでありますし、営業でありますと、仕入れ賃とかあるいは運搬賃とか、あるいはいろいろな広告あるいは包装の紙とかいうようなものが経費になり、それを差し引くまでは、これはいわば事業活動でございまして、その残りが所得になる、こういうわけでございます。
○加瀬完君 それではね、議論を整理するためにひとつ前提を確認をしていただきます。現行所得税法では、純所得に対して課税すべきで、収入そのものに課税すべきではないということはお認めになりますね。
○政府委員(細見卓君) 所得に対して所得税がかかるわけでございます。
○加瀬完君 そんなこと聞いてない。純所得に対して課税するかどうかということ。はぐらかさないで。
○政府委員(細見卓君) 収入金額から経費を引きましたものが所得でございまして、その収入と所得との間の割合というようなものは、先ほど来申し上げておりますように、人により、事業によりそれぞれ違うわけでございまして、そういうふうに人により事業により違いました経費というものを差し引きましたものが所得でございまして、その所得に税がかかるわけでありまして、収入には税はかからないわけでございます。
○加瀬完君 すると、収入から経費または損失を差し引いた金額が、課税対象ということになりますね。
○政府委員(細見卓君) そのとおりでございます。
○加瀬完君 そうするとね、給与所得者の場合は、必要経費の算定が困難なので、便宜概算的にきめる、こういうことですね。
○政府委員(細見卓君) その概算的に経費を控除いたしますものが、給与所得控除といわれているものでございます。
○加瀬完君 それでは概算控除は、原則的には実額控除に見合うべきものだと考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(細見卓君) 本来は見合うべきものでございますが、私どもの計算によりますれば、現在の給与所得控除はむしろ勤労所得者の経費といわれるものよりも、かなり多目になっておると思います。
○加瀬完君 条件がいいということ……。 それでは、給与所得者の概算控除が実額控除に現在は見合っていると、こういう御確認ですね。
○政府委員(細見卓君) いろいろな議論をなさる方がありますので、この点について混乱があるわけでありますが、給与所得者がほんとうにつとめをするために必要な経費というものは、実に判定がむずかしいわけでございまして、これらの点について、たとえば、くつが要るとか洋服が要るとか申しましても、これはいわば生活費の一面があるわけで、そういうものは本来基礎控除で考えるべきものでもありまして、給与所得者であれば洋服を着、百姓であれば洋服を着てはいけないというわけではないわけでありまして、その辺の議論の混乱がいろいろあるわけでございます。
○加瀬完君 それでは、給与所得者と他の業種とを比較して、みじんも公平性は失われておらないという御確認ですね。
○政府委員(細見卓君) これは私などが答えることではないのかもしれませんが、私どもはそういう税制度だと思ってやっておるわけでございます。
○加瀬完君 事実そうかどうかということを聞いているんです。じゃ、大蔵大臣お答えください。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから主税局長から申し上げておるとおり、所得に対して税がかかるわけです。ところが給与所得者につきましては、その所得が非常に判定困難であります。つまり洋服を着る、くつをはく、そのくつの何%が生活のためであり、また何%が職務のためであるということを一々判定することは困難でありますので、まあ社会的、客観的に妥当と思われる生計費調査を基準といたしまして、まあひとつ概算的に控除しようと、こういう制度をとっておるわけです。
○加瀬完君 そうすると、給与所得控除は担税力が低い、早期納税のための利子相当分の配慮等があって、他の所得控除よりは有利になっていると解釈してよろしいですね。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
○政府委員(細見卓君) そういう要素も入っており、私どもとしては、現状では適正な控除になっておると思っております。
○加瀬完君 あなたはさっき有利とおっしゃったんです。適正以上に有利だというように確認していいですね。
○政府委員(細見卓君) 余裕を持ってきめられておると、そういう意味で申したわけで、適正であると思います。
○加瀬完君 別の問題ですがね、作家なり芸能人たちがやっぱり高課税を相当訴えておりますが、これに対する大蔵大臣の御所見はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これも必要経費が一体どういうところであろうかということが非常に困難であります。青色申告をしてくださると、そういう方々につきましてはまあ捕捉がわりあいに的確にいくわけでございまするけれども、帳簿も何もないという白色の申告をする人ですね、これに対する所得はどうだということとなりますと、非常に困難を感ずるのであります。そういう場合には税務当局におきまして、また一つの基準を設けまして、まあ何%ぐらいがこれは必要経費になるのだというようなことで課税をすること、まあやむを得ない場合もあるのでございますが、なるべく青色申告制によりまして具体的に捕捉し得る経費というものを捕捉して、適正な所得というものを算定いたしたいと、かように考えております。
○加瀬完君 その御趣旨による芸能人や作家の必要経費というものはどういうものを見ておられるか、御説明いただきます。国税庁願いましょう。
○政府委員(吉國二郎君) 作家、芸能人の必要経費というのが非常にまた困難な問題でございまして、最も困難な問題と考えられますのは交際費でございますとか、あるいは取材費といったものが非常にむずかしい範疇に属するわけでございます。たとえば、温泉に行って経験をしないと、ものが書けないというようなことをよくいわれます。ただ、現在の原則としての税法の規定でございますと、必要経費の範疇の中で家事関連費につきましては、その家事関連費のうち主たる部分がその事業の収入の獲得に必要であるもの以外はこれを必要経費に認めないという規定がございます。青色申告の場合に限って、その家事関連費であっても事業所得の収入を得るために必要な部分が明らかになっているものに限り、これを認めるというたてまえでございます。したがいまして、青色申告をつけておられる方で、取材費についても、この部分がこういうものについて取材として必要であったということが確認できるものは、これは控除いたしますけれども、ばく然と白色申告であって、生活と関連しているもので、しかもそれが具体的な作家活動に結果としてあらわれていないものは引けないというようなことでございますので、実は非常にむずかしい問題が多いんでございます。そういう意味では、作家の方が多く、先ほど大臣が申しました一つの基準に従って申告をしているのが実例であるということは申し上げられると思います。
○加瀬完君 それでは芸能人が交通費あるいは研究費、映画や演劇の費用、あるいは図書の費用、こういうものを出した場合は認めるか、認めないか。あるいは作家が取材収集あるいは調査費あるいは図書の購入費、こういうものを青色で出した場合は認めるか認めないか。
○政府委員(吉國二郎君) ただいまの御指摘のような諸経費につきまして、これを提出いたしました場合でも、書籍にいたしましても、 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕 直接その事業そのものに関係しないもの、するもの、これを区分いたしまして、その結果においてその事業活動に必要であったと認められるものは経費に算入いたしますし、継続性のあるものについては資産として減価償却を認めるという筋道でございます。
○加瀬完君 さっき大蔵大臣が、白色のものについては基準を設けて算定するということがございましたが、申告しないものは、いま大蔵大臣がおしゃるように、ある基準で評価をすると、こういうことになりますか。
○政府委員(吉國二郎君) 申告をしない場合でございましても、調査をいたしまして、調査の結果、たまたま帳簿等の記録があり、客観的に所得が計算される場合は、実額の所得によることにいたしております。ただ、多くの場合、申告をされない方、したがって青色申告も出されない方の場合には帳簿、記録等の備えがございません。この場合には、所得税法の規定で、その取引状況、生活条件その他を勘案して推計によって課税することができるという規定が設けてございます。その規定に従いまして、大体その同じ程度の業容の方に比準をいたしまして、推計課税をいたす場合がございます。
○加瀬完君 推計の基準は何ですか。経費率じゃないですか。
○政府委員(吉國二郎君) 推計の基準といたしましては、いろいろな方法が認められるわけでございますけれども、まず第一に収入そのものを把握する必要がございます。その収入が確実に把握された場合には、同じ程度の状態の方から推計される経費率を控除するという方法をとっている場合が多いわけでございます。
○加瀬完君 それでは、各職種の経費率をひとつ御説明ください。
○政府委員(吉國二郎君) この経費率につきましては、御承知のとおり青色申告と申しますか、本来必要経費というものは実額をもって算定すべきものでございますので、これは税務署が相手方が証明できない場合にやむを得ず使用するというたてまえで、外部には公開をしないというのは御承知のとおりでございます。
○加瀬完君 外部に公表できないようなものを使うからさじかげんで重いの、軽いのという不平が出てくるわけです。ここは国会でございますから、外部に公表をできなくとも、一応経費率のあるということはお認めになったわけですから、それならばその経費率がどういうものであるかということは御説明をいただきませんと、それじゃ適当にさじかげんでおやりになるというふうに了解をせざるを得なくなりますが、よろしゅうございますか。
○政府委員(吉國二郎君) 公開をいたさない趣旨は、先ほど申し上げましたように、本来実額をもって算定すべき経費をその率でやらなきゃならないというようなことになることが非常に適正申告の上に害があると考えられますので、発表しないわけでございますが、いいかげんな数字をやっているわけではございませんので、これは標準率を作成するためには幾つかのしっかりした帳簿の保有されているものを、しかもできるだけランダムに抽出いたしまして、その実績を調べた上でその平均値をとっておるということでございますから、他に証明がなければそれによって課税をせざるを得ないという、いわば客観的な数値であると申し上げられると思います。
○加瀬完君 それではいま私が申し上げますから、大体その辺か、非常に違っているか、ひとつ御指摘ください。収入五十万円以上の場合、作家は四〇%、野球選手は三五%、弁護士は三〇%、歌手は三五%から四〇%、バンドマンは二五%、大体こういうことが巷間いわれておりますが、当たらずとも遠からずですか。
○政府委員(吉國二郎君) 標準率と申しますのは、各局においてその状況によって相違をいたしますので、全国一律ではなく、地方的な差がございますし、さらにその標準率の場合に、いわゆる特別経費と申しまして標準率に入れられない、たとえば使用人を何人使っているというようなのは標準率に入りませんので、使用人費を別に引くとか、いろいろこまかい条件がございますので、巷間いわれているような結果論的なものと比較するわけにはまいらぬように思います。具体的に私はその数値を持っておりませんので、恐縮でございますが、ちょっとその比較はできかねるということを申し上げておきます。
○加瀬完君 これはひとつ数値を持っていなければ、持ってきて御発表いただきたいと思いますが、いま気にかかることは、地方差があるということであれば、同じ芸能人でも、東京で税金かけられるものと大阪で税金かけられるものは違うということになりますね。そうすると、同じ所得であって、他のいろいろな税金を除かれる条件が同じであって、地域によって違うということであれば、税金としてはおかしいじゃないですか。
○政府委員(吉國二郎君) 業種によって異なると思いますけれども、地方によって追加支出があったり、そのために所得の率が変わるということは、これは当然だと思います。たとえば、北海道等におきましては雪おろし費とか、そういうものが必要経費に入ってくるということは再々問題になっているところでございます。したがいまして、芸能人の場合、働く場所が交錯しておりますので、必ずしも地域差はないかもしれませんが、多くの場合、業種によっては、地域差を設けないほうがかえって実際にそぐわないという結果になるかと思います。
○加瀬完君 私はそういうことは伺っておらない。三百万なら三百万の収入のある標準家族を持った芸能人が青色申告をしなかった場合——青色申告をした場合は別だ、青色申告をしなかった場合、東京の税務署のかける課税金額と大阪の税務署のかける課税金額とが違うということではおかしいじゃないですか。
○政府委員(吉國二郎君) ただいま申し上げましたのは、主として営業について地域差があるように計算をいたしておりますが、芸能人の場合等は、実際問題として各局一致しておるのではないかと思います。業種によってその地域の収益率その他が違うものにつきましては、どうしても地域別の差が必要になってまいります。
○加瀬完君 それでは具体的に伺います。 百三十万、二百三十万、三百万円の所得の給与所得者、野球選手、歌手、バンドマンの給与所得控除及び必要経費率による控除額は幾らになりますか。
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得につきましては給与所得定額控除——形的な控除でございますから、これは出ますけれども、その他のものについては、御承知のとおりで必要経費のいかんによって所得は違ってまいります。先ほど主税局長が申しましたとおり、収入は同じであっても、所得は結果として違ってまいりますので……。
○加瀬完君 標準率による場合、経費率による場合ですよ。
○政府委員(吉國二郎君) この標準率については、先ほど申し上げましたとおり、私、いままでの伝統として、国会でも御承認を得て、発表しないことにしておりますので、その点は御容赦をお願いしたいと思います。
○加瀬完君 収入百三十万、二百三十万、三百万の場合、サラリーマンであれば三十一万六千円、三十七万六千円、四十二万八千円が控除額ですね。いま野球選手を——歌手もそうですけれども、三五%経費率を見るとすると、百三十万の野球選手は四十五万五千円、二百三十万の場合は八十万五千円、三百万の所得の者は百五万円が控除になりますね。バンドマンの一番安い二五%控除で見ても三十二万五千円、五十七万五千円、七十五万円となるわけですね。いま二百三十万のサラリーマンなら三十七万六千円しか控除にならないのに、バンドマンなら五十七万五千円控除になる。これでは、これはサラリーマンのほうが優遇されておるということにはならないということになります。これが違っておるというなら、おまえの言うその経費率は違うから、計算によるとこれこれだということで結論の数字だけでもいいから、じゃ控除率は金額にして幾らになるかお示しください。
○政府委員(細見卓君) どうも私の説明がまずくて混乱が起こっておるようでありますが、バンドマンのような場合でありますと、たとえばタキシードであるとか非常に特殊な洋服を仕入れるとか、あるいはまたバンドがいたんだとき、太鼓がいたんだときにそれを修繕しなければならないとか、そういうことで、つまり同じ被服費でありましても、バンドマンであるような、つまり普通のところへそれを着ていってはおかしいというような洋服は、それは事業に伴う経費でございます。たとえばイギリスなどの例で申し上げますと、おまわりさんの洋服は、これはおまわりさんがその制服を着て人をたずねるというのは、私的なときにたずねるというのは適当ではないというので、おまわりさんの被服を自分が立てかえて買ったときには経費になるわけでありますが、たとえば軍人でありますと、軍人の大将とか中将とかいうのはそれ自身威厳をあらわすものでありますので、それを着て公のところへも出れる。したがって、軍人の洋服は経費にならないとか、そういうふうに外国でもやっておるわけでありますが、同じ被服と申しましても、その職業だけに、たとえば、ちんどんやのような洋服でありますと、これはそのために要るわけでありまして、野球選手、バンドマンというような人たちは、請け負って、一定の金額を支給されて、その中で自分の衣服をととのえたりバンドを整備したりする、それが経費というわけでございます。
○加瀬完君 少し議論を整理したいと思いますが、あなたはさっき、サラリーマンは一般の業種の所得者よりも給与控除が大幅に優遇されていると前提なさったわけですね。それじゃ一般は、たとえばいま言ったバンドマンとか、相撲取りでもいいですよ、洋服が要るというなら裸の相撲取りでもいいですよ。野球選手でいいんだ。そういうのの青色申告をしない者は経費率で控除率をきめるわけです。その経費率で控除したものと比べるとサラリーマンのほうがはるかに重いじゃないですか、率からいっても。サラリーマンの二百三十万のものは一六%しか控除されないことになる。片一方は三五%控除されるということになるわけだけれども、これが違ってるなら御訂正ください。違っていなければおかしいじゃないか、こういうことを言ってる。
○政府委員(吉國二郎君) ただいまの御議論でございますと、たとえば小売り業であると、収入金額は百万円でも八十万円ぐらいの仕入れがあるわけです。八割の経費率がおかしいということになる。そういうことでございますから、野球選手の場合はバットを一度に二本折ったといたしますと、バットそのものを自分が買ってきてそれでやるわけです。これはまさにバットがなければ野球はできませんので必要な経費でございます。そういうように必要経費の内容が違うために差がつくことは、これはやむを得ないと思います。
○加瀬完君 そうじゃないでしょう。原則としての給与控除もサラリーマンのほうが優遇しているという。それでは青色申告でない白色のものの野球選手なりバンドマンというものを出すと、これは二五%なり三五%というものを控除している。それならその一般の控除額とサラリーマンの控除額を比べて、少なくとも一般よりサラリーマンがよけい控除されているということにならなければ優遇されているということにならないじゃないか、こういうことを言ってる。
○政府委員(吉國二郎君) 標準率につきまして、先ほど御説明申し上げましたように、実際にかかった経費、その実績をもとにして推計をいたしておるわけでございます。したがいまして、野球選手の場合には、その程度の収入金額の人を調べた場合に、それだけ経費がかかっていたという数字を基礎にしております。給与所得者の場合に同じだけの経費がかかっているにかかわらず給与所得控除の率が低ければ、おっしゃるとおり、給与所得者のほうがおかしいということになると思います。しかし給与所得者の場合の収入を得るための必要な経費と申しますのは、先ほど細見局長が申しましたように、非常に限定されてくる結果になります。で、たとえばいま申し上げたように、野球選手の場合に比べて、バットが要らないとかミットが要らないとか、実際問題として通勤から仕事場にいっていろいろ会社やあるいは役所の施設を利用してそして仕事をしているわけでございまして、いわゆる必要な経費の範囲が違う。したがって、その結果だけを御比較になりまして野球選手のほうが二五%であってどうであるとかいう御比較で、それだけで給与所得者のほうが過酷であるという結論は私は出ないと思うのでございます。
○加瀬完君 それじゃあなたの議論に合わせますよ。学校の先生は野球の、バットは要らないけれども、図書は要りますね。ところが学校の先生の場合の図書購入費は必要経費としては認められておりませんね。これはどうなんですか。
○政府委員(吉國二郎君) 学校の先生の場合は、この図書購入費もいわゆる給与所得控除の中に入っているというたてまえでございます。
○加瀬完君 それじゃあ作家や自由業の人が取材や資料集めをする費用は必要経費として認められますね。ところが公務員でも大学の先生のような方が取材したり調査をしたりする費用は、これは一体必要経費として省かれますか。省いていないでしょう。
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のとおり、みずから好んで調査をされる方もございますけれども、公務員や学校の先生の場合は、出張すれば旅費がつく。旅費につきましては、御承知のように、別に非課税措置をとっておりますので、これは収入には入ってまいりませんで、そのまま必要経費になっている。むしろ旅費が余ってもそれは課税をしないというたてまえになっているだけ有利になっているわけであります。
○加瀬完君 だめだ、そんなことをおっしゃっては。それじゃあ、給与をされる旅費以上の自前で旅費を出した場合、それが必要経費として算定されますか。算定されないでしょう。
○政府委員(吉國二郎君) いわゆる学校の教師としての必要な範囲であるかどうかというような点がいつも問題になりますので、これを具体的に決定をするのがむずかしいということを、先ほど大臣が申し上げたとおりであります。したがいまして、給与所得控除という形をとって現在進んできているというのが現在の姿であります。
○加瀬完君 ですからね、その給与所得控除が、最初の御説明のように、一般の所得者よりも大幅であれば問題はない。具体的に例を出しますよ。作家とか芸術家が団体加盟をするときの、これは会費、これは必要経費として削除されますね。大学の公務員である学者が学会に学会費を払う、あるいは一般の公務員が組合費を払う、これは必要経費としては控除されておらないでしょう。
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得者の場合には、そういういわば全体をひっくるめたものを給与所得控除といたしておりますから、特別に別の経費控除はいたしておりません。
○加瀬完君 問題は、ひっくるめて余ればいいけれども、幾らひっくるめても足りないところに問題があるわけですよ。そこで総理大臣でも大蔵大臣でも御答弁いただきたいのですけれども、こういう点で公平性とか平等性とかいうものがもう少し研究する余地があるのではないかという点はお認めいただけますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 税制が公平でなければならぬ、また負担能力に応ずるものでなければならぬ、また国民との間に摩擦感がないものでなければならない、この原則にのっとりまして、常時検討を続けております。
○加瀬完君 一番大きな問題として、生活費の課税を私は伺ってみたいと思うのです。課税の原則として生活費には課税しないという点は認めてよろしゅうございますか、大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) お説のとおりであります。
○加瀬完君 純所得に対して課税することは、そのお説からいうと当然なことになりますね。純然たる所得だけに課税をするということは。
○政府委員(細見卓君) 非常に新しいおことばでありますので、純所得というのがどういう意味かよくわかりませんので、私がこういうものは違いますということを申し上げたいと思いますが、もし純所得というものを所得から生活費を除いたものが純所得だというふうにお考えになって、その純所得だけに課税するのだとおっしゃるのでありますれば、それは生活費は所得税の上で経費になりませんから、そういう意味の純所得であればそれを課税するということではございません。
○加瀬完君 逆にいえば、サラリーマンの場合は、生活費にも課税をされておるということになりますね。
○政府委員(細見卓君) 生活費という概念もまたあいまいでございますが、事業所得者であっても、お医者さんであっても、農業者であっても、その生活費に充てた部分を含めて全体の所得が課税になっておる、そういう意味で皆さん平等でございます。
○加瀬完君 いや、平等であるか平等でないかはこれから論じますからまだお答えいただかなくてもけっこうです。完全にサラリーマンの場合は収入から経費または損失が差し引かれておるかどうか。
○政府委員(細見卓君) たとえば収入が八十万ぐらいのサラリーマン考えますと三六%、あるいは百万ぐらいでも三〇%ぐらいが給与所得控除として引かれるわけでありますので、給与を、つまり収入を得るためのほんとうに必要な経費という意味では十分カバーされておると思いますが、かりに一歩譲って基本的に考えてみましても、先ほど来申し上げておりますように、サラリーマンにとって何が給与の収入を得るためにほんとうにサラリーマン固有に経費となるものがあるかということになりまして、そのことについての社会的な一般的な基準というのは見つけがたいわけであります。たとえばよく言われますつとめ先におけるつき合い、あるいは部下を持ったときのいろんな支出というようなものにいたしましても、五万円までが必要なのか。あるいはもう少し気が大らかな人で十万円出した。その五万円は経費で、十万円は違うと言うか、そういう非常にむずかしい問題がございまして、これらの点については全体として社会的な通念と申しますか、社会的な評価が一定するまでいましばらくこの方式でいくのがむしろ適正な方法ではないかと、かように考えております。
○加瀬完君 具体的に伺いますがね、芸能人や作家の場合は乗用車の減価償却費、修繕代等は必要経費としてお認めになりますね。
○政府委員(細見卓君) 芸能人なり、あるいはそのほかの人たちが職業に使った、非常に厳格な言い方を申し上げますと、職業に使った部分についての償却は認めますが、それ以外のものはいわば生活費であると、こういうわけでございます。
○加瀬完君 それでは、具体的に歌手なら歌手が乗用車を買ったと。その乗用車の価格のうち生活費の部面はどういう点、それから職業の部面として控除する部面はどういう点、説明できますか。
○政府委員(細見卓君) それを税務調査によりまして調べて、どの部分が経費にならないということをきめるわけでございます。
○加瀬完君 百二十万の自動車を買ったと、歌手なら歌手が申告した場合、どういう調査によって区分けをするんです。
○政府委員(吉國二郎君) まず自動車を買いますと、自動車は耐用年数がございますので、減価償却費の部分だけがまずその年分の損金、経費になるわけでございますけれども、その場合にも、それが実際上半分以上家事に使用されておれば、これは否認をいたします。青色申告でない限りは否認をいたします。ガソリン代にいたしましても、実際上家事に使われている部分が多ければ、これは必要経費に算入しない。青色申告を出しておりまして、どこに演奏のために行くとか、あるいはどこの場所に出演のためにおもむくとかいうことが一々つけてあれば、これは当然その部分を損金、経費に見る。これはたてまえでございますが、そういう考え方でございます。
○加瀬完君 当該所得を生ずべき業務について生じた費用として提出された場合はそれを認めざるを得ないでしょう。
○政府委員(吉國二郎君) ただいま申しましたような検討をいたしまして、当該業務に必要である、収入を得るに必要な経費であるとした部分は、これは認めざるを得ません。ただ、白色の場合はその区分が十分できませんので、主としてそれが収入を得るために必要であるということが証明されない限りは経費に見ないというのがいまの法律のたてまえでございます。
○加瀬完君 学校の教員が汽車も電車もバスもなくて、自家用車を買って通勤をする場合は、所得を生ずる業務について生じた費用ということにはならないですか、これ。歩ってったらおくれちゃうんだから……。
○政府委員(細見卓君) 通勤費が、日本の給与体系でございますと、そういう場合に自家用車であっても支給されることになっておりますので、経費論というのはその意味で起こらないんだと思います。
○加瀬完君 文部大臣に伺いますがね、それじゃオートバイで通う通勤手当、それから自家用車で通う通勤手当、いま大体どのくらいの基準ですか。
○国務大臣(坂田道太君) 国立学校では九百円、公立義務教育諸学校で九百円、自転車利用者が七百円ということになっております。
○加瀬完君 そういうように、通勤手当は実際の通勤の費用には見合ってはいないですよ。ですから通勤手当をこえて、これは業務命令によって乗用車で通勤しなければならないような状態の場合は必要経費として認めなければ理論的におかしいでしょう、これは。
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、通勤費につきましては、原則として、公務員の場合、一般の通常の経費として公平に算定をされておりますので、特別な経費がかかっても給与しないというたてまえでございます。で、現在の給与所得控除には実は通勤費についても必要経費と申しますか、そういう意味では給与所得控除の中に入っているというたてまえでございますけれども、具体的に実費として給付された通勤手当までこれを収入に入れて課税するのは酷であるということで、特別に所得税法では、通勤費として支給されたものは非課税にするというたてまえにいたしております。したがいまして、オーバーをした部分、これはやはり給与所得控除に吸収されていると考えるよりほかにない、かように考えます。
○加瀬完君 実際吸収されないでしょう。吸収されないという点が一点と、他の業種に比べて給与所得者の場合は必要経費でありながら必要経費として計上されない、計算をされないという不利な点があるという点を指摘しているのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 給与所得者にも通勤だとか、いろいろそういう費用が要るんです。あるいは勉強するために学究書類を買うとか、そういうことも必要でありましょう。そういうものをひっくるめまして控除制度というものがあるわけでございまして、御指摘の点は、問題は、それは全部給与所得控除の中に包摂、吸収されている、こういうふうに御理解願いたいのであります。
○加瀬完君 吸収されておらないでしょう、他の業種と比べて。他の業種なら自動車の代もちゃんと控除されるのに、学校の教員の場合ならば九百円だけしか一カ月にすると控除されないことになるでしょう。 同じことを別の面から申し上げます。いま東京都下の公務員住宅三DKぐらいの家賃のところにおりますと二千七百六十円、同じ地域の公団住宅に住みますと一万六千五百円だ。一年間に十六万円の差が出るわけだけれども、純粋の収入は十六万円の差があっても課税金額は同じということになりますね。これ公平と言われますか。
○政府委員(細見卓君) 家賃はまさに生活費の典型になるものでございまして、それは所得の処分であって、税金をかける前の所得とはならないわけであります。
○加瀬完君 私の聞いてることはそういうことではない。十六万円の収入の差があるのに同じ税金がかかるというのはおかしいじゃないかということを聞いている。
○政府委員(吉國二郎君) ただいま主税局長が申しましたように、生活費、ことに住宅費というものは本来所得の処分でございます。したがいまして、現在の所得税法では所得に対して課税をいたしますけれども、その所得に対する課税の際に、いわば最低と申しますか、相当な生活費を課税範囲から除外するために、基礎控除、扶養控除、配偶者控除等の諸控除を行なっているわけでございます。その基準といたしましては、やはり全体の生計費というものを考えて各控除を配分いたしているわけでございまして、住宅費その他はその控除の中に当然含まれるという種類のものであると思います。もちろんその場合に、所得の処分でございますから、衣服にぜいたくをする人もあり、あるいは食べものにぜいたくをする人あり、あるいは大きな住宅に住まうことを好む人もありましょうが、それはやはり生活費の一般的な形態として妥当な額を控除すべきである、それがいわば課税最低限でございます。したがいまして、課税最低限の範囲内において生活費を控除いたしておりますので、具体的生活費がどうであるかということ自体によっては税の差が出てこないのは当然ではないかと思います。
○加瀬完君 大蔵大臣は負担能力ということを税の一つの原則にしているんでしょう。そうすると、負担能力というのは収入から少なくも生活費を引き去って、可処分所得の存在の状態を言うのじゃないですか。
○政府委員(細見卓君) 負担能力と申しますのはまさに公平でなければならないし、何が課税の対象にする所得、つまり負担能力ありなしを判断するもとかと申しますと、自分で自由に処分できる金でありまして、つまり、その中で生活費に幾ら充て、あるいは貯蓄に幾ら充て、それができる、つまり最低限の経費を差し引いたいわゆる所得と、文字どおりの所得と言われるものが、大臣が申しております所得に対して公平な課税の基礎となる所得でございます。
○加瀬完君 あなたのような議論ですとね、生活費を引き去る方法は許されていないわけですから、生活費分にも当然課税をされるということになるわけですよ。そうすると、負担能力ということはあまり重点にはなっておらないということにはなりませんか。
○政府委員(細見卓君) 本年の税制改正におきましても、課税最低限の一〇%程度引き上げが行なわれることになっておるわけでありますが、そういうふうに、回数万というような課税最低限、これがいわゆる税を課税するにあたってその分を控除して残りにかけるわけでありますから、その意味で負担能力に見合った税制になっておると思います。
○加瀬完君 主税局長に伺いますが、生活費へ食い込む課税が現状においては行なわれていると認めていいですね。
○政府委員(細見卓君) 生活費には食い込んでおらないと思います。
○加瀬完君 たとえば、Aの者とBの者では家賃だけでも十六万違う、しかし、十六万払おうが払うまいが、それは生活費の問題だから課税のワク外だというならば、十六万よけい払ってる者でも同じ税金をかけられるということであれば、これは生活費に食い込むという結論になるんじゃないですか。
○政府委員(細見卓君) 先ほど来、吉國長官が申しておりますように、生活のほうにぜいをこらされる方もあり、食べもののほうを重点に生活される方もあり、それは百二万なら百二万の課税最低限のワク内の個人の私生活、まさに尊厳な私生活でございますから、税はその部分についてはタッチしないと、こういうわけでございます。
○加瀬完君 さっぱり御説明が納得いきませんが、先を急ぎますので……。 税調会長のおいでを願ったわけですが、いらっしゃいませんけれども、所得減税は今後もするというような会長は談話を御発表しておりますが、政府も同様にお考えだと了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十五年度でいわゆる長期答申を完全実施をいたすわけでございますが、まあ一段落にはなります。なりますが、その後といえども直接、先ほど申し上げました第三の原則、国民、納税者との間の摩擦感をなるべく少なくする、そういうことを考えますと、直接税つまり所得税は今後も減らす方向へ努力すべきである、そういうふうに考えざるを得ないのであります。
○加瀬完君 その方向としては、課税最低限の引き上げに重点を置きますか、それとも税率の緩和のほうに重点を置かれますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺は税制調査会の意見、また、国会の御意向等を幅広く伺いましてきめていきたいと、かように考えております。
○加瀬完君 それでは、これは政府の御回答でなければ困るわけですが、今回の減税案は国民に非常に納得を得たものだとお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 各方面大体において納得してくださっておると、かように認識をしております。
○加瀬完君 それでは国税庁に伺いますが、子供二人の百三十万、二百万、三百万クラスの場合に、四十四年度と四十五年度で所得税の実質増減はどうなりましたか。ベースアップ分も含めてです。
○政府委員(細見卓君) こまかい数字ですから、私から申し上げます。 百三十万の場合の四十四年度の税負担額は、負担割合で三・九三%になっております。この方がかりに一〇%収入がふえたといたしまして、昭和四十五年に百四十三万になられたといたしましても、その負担割合は三・七二、したがいまして、負担割合は〇・二一%の減になります。同じく二百万円でとってまいりますと、四十四年は八・五三であり、二百二十万円になった四十五年を想定いたしますと七・二五ということで、その負担割合は一・二八%減になっておるわけでございます。ただ、そこで申し上げておきたいと思いますのは、百二十万の方が百四十三万になれば、十万収入がふえるわけでありますから、本来はやはり所得がふえるのに応じて税負担がふえるというのが累進税制の基本的なたてまえであります。ただ、その間物価の上昇とか、いろいろな問題がありますので、課税最低限その他の引き上げが行なわれておるわけであります。ただ、収入は十万ふえても、税金は一文もふえてはいかぬというのでは税制としては成り立たないのではないかと思います。
○加瀬完君 成り立つ、成り立たないは別問題といたしまして、夫婦子供二人の百三十万、二百万、三百万クラスの場合に、ベースアップ分を見込むとそれぞれ一万百円、二万一千二百二十五円、一万四十九円という税金をよけい払うことになりますね、去年とことしと比べて。
○政府委員(細見卓君) ちょっと聞き取れないのでございますが、ベースアップを幾らに見られたかによってその金額は違ってまいるわけでありまして、もし一五%に想定なさっておれば確かに税金は若干ふえようかと思います。ただ、一〇%でありますと先ほど申し上げましたように税額も減るというようなことになります。
○加瀬完君 おっしゃるように、税法上は百万円の標準家族の場合は五千三百十円減税となっておりますよね。しかし、物価アップを六%と見ますと、生活費への支出は四万二千円増となりますね。ですから、減税で生活が楽になったという、そういう感じは国民としては受け取れない。これが大幅減税とはたして言えるかどうか、こういう問題が私はあろうと思う、この点どうでしょうか。これは大蔵大臣でもお答えいただきます。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく今回の減税は、十数年ぶりで税率の引き下げをいたしたわけでありますが、これによる負担感の緩和、これはかなりのものがあろうかというふうに考えております。同時に、課税最低限の引き上げも行なわれたと。両々相まちまして、とにかく四十一年度のあの不況対策でとった減税、あれを除きますと、所得税としては戦後最大の規模の減税だと、こういうようなわけでございます。税は国民から見れば低いほう、軽いほうがいいのでありますから、一般的な議論として、税に対する負担感というものをこれをぬぐい去るわけにはまいりませんけれども、この改正なかりせばどういうふうになったかということを思い合わせれば、これは非常な減税になっておる、かように見ております。
○加瀬完君 非常な減税かどうかは、生計費との比較で検討をしなければならない面もあると思うのです。そこで、大蔵省は三十九年までは毎年基準生計費を発表しておったわけですね。この基準生計費というものは、課税最低限と何らかの関係はなかったんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今回は、そういうものを特に関連づけておりません。今回は国際水準が一応どうだということをよく見つめたわけでありますが、大体子供三人の五人世帯、これで百三万円という最低限は、国際水準といたしまして決して恥ずかしいものではない。大体国際水準にこれで到達した、かような判断をいたしておるわけであります。
○加瀬完君 私は前のほうが合理的だったと思う。基準生計費を押えて、課税の最低限を基準生計費の上に置いたということであれば、最低生計費には税金はかからないという一つのかまえ方ですから、そのほうが私は合理的だったと思うのです。そこで、四十三年度と四十四年度の生計費の、前年度に比べての上昇率を見ますと九%、それから十四%となっておりますね。生計費が非常に上がり方が激しい。これと見合った減税という内容にはなっておらないんじゃないか。これはいかがですか。
○政府委員(細見卓君) 数字にわたることでございますのでお答え申し上げます。 四十年の生計費を出しましたときに、五十八万円の消費支出で、課税最低限が五十四万円で、つまり九三%であったわけです。そのころはまさに最低生活費といいますか、基準生計費と課税最低限の問題が非常に大事な問題であったわけでありますが、四十二年になりますと、課税最低限のほうは八十万円であり、それに対して消費支出のほうは、いまお話のような伸びを見ましても六十六万七千円程度。四十四年になりますと最低限のほうは九十一万、消費支出のほうは七十万、約三割課税最低限のほうが上回っておる。四十五年の改正が、平年度じゃなくて、初年度で見ましても課税最低限が百万余りになるわけでありますが、消費支出のほうは約七十四万円で三割六分程度課税最低限のほうが高くなっております。そういう意味でございますので、もう発表する必要はなかろうと考えておるわけであります。
○加瀬完君 それでは、昭和三十六年の地方税改正前までは、住民税所得割の免税点と所得税の免税点と一致させておったわけですね。これはどういうわけですか。
○国務大臣(秋田大助君) 過去にはそういうことがあったわけであります。五つほど住民税についての課税方式があって、その第一に所得税と住民税の課税最低限を一致さしておる。その二八%、所得税の二八%が住民税である、こういう時代があったのですが、これでやると所得税、国税のほうの減税の影響がもろに地方財政にかかってくるし、地方財政の税源確保という意味からおもしろくないので、昭和三十八年からやめにしたわけでございます。そういう事情を御了承いただきたいと思います。
○加瀬完君 そうではないですね。応能の原則を優先させて、結局、基準生計費を下回る階層には税金はかけないということが、所得税でも住民税でも同一に行なわれておったわけですね。ところが、地方財政が非常に貧困だということで、一応所得税の免税点と住民税の免税点を遮断した。そこでその場合、応益の原則が優先するという説明をされた。しかし、個別割で、均頭割で地方税を払っているのです、住民税は。所得割にまで応益の原則を適用する理由は、交付税がこのようにふえた現況では、地方財政がふくらんだわけですから、なくなってきているわけです。なぜ一体——所得税だけが減税になったところで、まだまだ基準生計費を下回る階層に住民税が大きくかぶっているという現実は解消できないわけですから、住民税の元への引き戻しといいますか、所得税と住民税の課税最低限をそろえるという、そういう方法を自治省としてはおとりにならなかったか。これは大蔵大臣にも伺います。
○国務大臣(秋田大助君) 先ほど申し上げましたように、国税の運営の実態がもろにかかっておもしろくない。そこでいま加瀬さんは、地方財政が好転したからもういいのじゃないかというお考えかもしれませんが、これは好転したという議論も一部ございますけれども、地方の行政水準、まだまだ上げなければならないものが多くあるわけでありまして、現状をもって、好転したと、これははわかに即断できないと思いますので、やはりいままでの方式をとりたい。ただ、やはり低所得者階層の課税負担というものは、これは考えなければなりませんから、今年度におきましても前年度に引き続き課税最低限を大幅に引き上げまして、昨年度の国税と住民税との最低限の差よりは今年は一万数千円ばかり縮まっておるのでございまして、この縮める努力は、国民経済の状況、その他地方財政の状況を勘案して、差を縮めるように努力はいたしてまいりたいと考えております。
○加瀬完君 これは、あわせて大蔵大臣にもお答えいただきたいわけでございますが、百万円収入者の夫婦子供二人の場合の所得税は、八千八百十円、平年度。住民税は一万三千二百五円ですよ。この比率が公平だとお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国税と地方税は、から見ると負担という点で同じようなものでありますけれども、また、国と地域社会、こういう違った面があるわけであります。地域社会はなるべく多数の人がこれが経営に参画する、そういうようなことで課税最低限、これに違いが出てくる。これはもうやむを得ないことじゃないかと思う。非常に国も地方も余裕が出てきて、そうして最低限が一緒になるという事態にまでいきますれば、これはそれにこしたことはございませんけれども、今日まだ地方財政が貧弱であるというときにおいて、違いがあるといいましても、私はあえてこれは妥当でないのだという見解をとるべきではあるまい、かように考えております。
○加瀬完君 国民に対する減税対策というなら、国税と地方税をあわせて考えていただかなければ、出す者は国民、同じふところでありますから。ところが、住民税は前に所得税の最低限と同じでありましたのが、それが切り離された。ところが逆に、高額所得者は住民税が低まっているんですよ。税率の段階を簡単にしたものですから、低まっているのです。こういうところにむしろ不公平があろうかと思うわけでございます。しかし、いずれにしても住民税のほうがはるかに重い。いまおっしゃるように、地域の住民にはそれぞれ地域の財政の負担義務があるのじゃないか——それは均頭割で果たしているわけですね。むしろそういう意味なら均頭割を若干上げればいい。で、所得割はもっと、生計費に食い込むような所得割りというものは下げていくべきではないかと思うわけでございます。それはまあ一応御検討をいただきます。 そこで、時間がありませんから次に進みますが、仙台の国税局に提出されましたサラリーマンの確定申告書というのがございますね。これについての御見解を国税庁に伺います。
○政府委員(吉國二郎君) 仙台国税庁管内におきまして、十数名の給与所得者が、みずから判断をいたしました必要経費相当分を控除いたしまして、従来源泉徴収されておりました税額を還付してほしいという還付申告書を提出をいたした事実がございます。この内容はよくまだしっかりつかんでおりませんけれども、大体、標準生計費から割り出しまして、世帯人員をそれに乗じた程度の必要経費を想定しているようでございます。しかし、これは、先ほど来御説明申し上げましたように、まさに課税最低限における基礎控除、扶養控除等で処置されているものでございまして、これが法令に準拠しないものであることは明らかでございます。しかし、これをほっておきますと、申告が一応ございますので、精査の上還付請求に対する更正を行ないまして、その還付請求を却下しなければならないという手続は残ります。したがいまして、このような無用な手続が繰り返されることはお互いに非常につまらないことである。法律上明らかに控除されないものを控除した還付申告書というものは、しょせん意味がないわけでございます。良識をもって処置をしていただきたいものだと、かように考えております。
○加瀬完君 すべてのサラリーマンが同種の確定申告を出した場合、逆に言うならば、源泉徴収の制度を、かりにですよ、かりに申告制度に変えたとすれば、国税庁の事務量というものはどういうことになりますか。
○政府委員(吉國二郎君) 現在、給与所得者は二千三百万人程度と推定されます。現在申告納税をいたしております人数が約四百万でございます。これ対しまして、八千人ばかりの所得税担当者が従事をいたしておるわけでございます。二千三百万の給与所得者がすべて申告書を提出するというような事態は、非常に徴税事務を複雑にし、かつ、たいへんな徴税費を要する結果になるのではないかと思います。ただし、給与所得控除というものを前提にしていまの制度のもとで申告書を出される限りは、これは結果は同じでございますから、そうたいした手数にはならないと思います。
○加瀬完君 一応申告制度に変えた場合、試算を願いたいんですが、その前提に、四十四年度の所得税に執務をしている人員は何名ですか。それから所得税の源泉分と申告分の額はおのおの幾らですか。
○政府委員(吉國二郎君) 現在申告所得税の事務に従事しております人員が、先ほど申し上げましたが、正確に申し上げますと、全国で八千九百名程度でございます。それから、四十四年分はまだ出ておりませんが、四十三年分で申しますと、申告所得税が四千二百二十八億、源泉による所得税が一兆二千四百七億という数字になっております。
○加瀬完君 すると、その加重平均はどういうことになりますか。——もう少し申し上げますと、それを加重平均から人員増を推定すると、一体人員増は何名くらいと見越されるか。
○政府委員(吉國二郎君) お尋ねは、申告と源泉との税額の比率から申して、もし申告に直したならば人数は幾らになるかという——いま申し上げましたとおり、申告所得税に対しまして源泉所得税は約三倍でございますから、そういたしますと、機械的にかければ八千九百人の三倍の人員が要するという結果になる、まあ計算だけで申しますとそういうようなことになります。
○加瀬完君 そうすると、金額にすると、五百八十億程度になりますか、増加分が。
○政府委員(細見卓君) いま徴税費の計算はいたしておりますが、お忘れになっておられるのじゃないかと思いますのは、先ほど来申し上げておりますように、給与所得者について何が経費であるか。同じ職場のつき合いと申しましても、どこまでが職場でほんとうに必要なつき合いであり、どこから先は過ぎたつき合いであるというようなことで、いわばいま二千数百万の源泉徴収で済んでおられる方々が、皆さん税務署へ来ていただいて、あなたのその部分は給与所得の経費じゃありませんとかありますとかということになりまして、国民の皆さまにもたいへんな迷惑をかける、その面の計算も別途要るのではないかと思います。
○加瀬完君 そういうことは聞いていませんよ。税金が下がれば、税務署へ行くくらいは何でもない。よけい取られるから行きづらいので、下げてくれるというなら毎日だって国民は行きたいと思う。 そこで、いま、百円に対する徴税コストは一円四十二銭程度でしょう。ところが、給与所得を申告制にすると、二円五十銭前後になりますね。そうすると、現行法は、大きく徴税費を軽減させていることになりますよ。ところが、この軽減分に見合う納税者への特典というのが何かあるんですか。私の聞きたいのはそれだ。
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、徴収の税金というものは徴税費が非常に少なくて済むということになると思います。これは、税体系全体で考えなくちゃいけない問題だと思います。ことに、揮発油税のごときはもっと低い徴税費で収入されておるわけでございますし、それからまた、源泉所得税の中にも、利子所得、配当所得が三千億以上入っております。そういう点から、各税目または税の中の所得内容によっても徴税費は違い得るし、総体としての徴税費を最少にすることが必要であるということであると思います。また、申告所得税にそれだけの徴税費がかかりますのは、やはり正しい申告をするための調査ということを相当やっておりますために徴税費がかかるわけで、この正しい所得が確保されてこそまた源泉徴収も正しく行なわれているのに対応した結果が得られるわけでございまして、それぞれ相まって最終結果が生まれている。やはり一円四十二銭平均でお考えを願いたい、かように考えるわけであります。
○加瀬完君 源泉徴収という最もやさしい制度を使っているから一円四十二銭で済むんですね。これが申告制度ということになれば、これはコストは当然上がりますよ。そういうこまかいことを言わなくても、源泉徴収で徴税費が助かっていることは事実だ。そんなら、給与所得以外の納税者は、納税によるそれぞれの特典があるわけですよね。ところが、給与所得者に対しては、いわゆるサラリーマンに対しては、的確に納税をしても、たいした特典がない。こういう点は、もっとくふうあってしかるべきじゃないか、こういう要求が当然あるわけですけれども、これは大蔵大臣なり総理大臣なりどう思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 源泉徴収制度をとっている結果、国も納税者つまりサラリーマンも両方が便益を得ておると、かように考えるわけであります。徴税費が少ないから源泉徴収の対象者に報奨金を考えるというような発想には、どうも私はなりかねます。
○加瀬完君 徴税費が助かっていることは、これは事実ですよね。国も納税者もと言うけれども、納税者は、何なら、御希望があれば、来年からみんな申告したっていいということにもなりかねませんよ。そういうことをやられたら、これはますます混乱をするわけですから、徴税費の軽減に大いに納税者がサービスしていることは事実なんですから、それについて、だからその見合いで幾ら引けということは出なくても、もう少しそういう点からも考慮して、給与所得者への所得税というものはもう少し検討されてしかるべきじゃないか。たとえば、必要経費といったって、その必要経費のつかみ方も、正しく、概算控除が実額控除に見合っているという点ばかりじゃないわけですから、そういう点をもっと税調にもくふうをしていただきたいし、大蔵省としても御検討をいただきたいと思うわけでございますが、もう一度申し上げますと、給与所得者への所得税というものはさらに検討の要があると思いますが、総理大臣、この問題では最後にひとつ御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま大蔵大臣の意見も聞きながら、私も加瀬君の発言しておられることもこれがわからないわけではございません。それぞれ税調等の機会もございますから、よくそういうところでもはかってみて、まあ前向きで検討しろという御要望だろうと思いますので、そういう御意見を伺っておくということにしておきたいと思います。
○加瀬完君 次に、地方財政について伺いますが、これは大蔵大臣に伺います。現在、財政計画と決算額というのが非常に隔たりがあるんですね。こういう地方財政の体質というものをどう御判断なさいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、実績と予定計画との間にたいへんな隔たりがある。これは私は好ましくないことであるというふうに考え、地方自治団体に対しましては、そういうことがないように努力してもらいたいと要望をいたしております。
○加瀬完君 自治大臣に伺いますが、好ましくないとおっしゃられるけれども、実際必要として結局地方はそれだけの金が決算の上に出てくるわけですね。そうすると、財政計画そのものが地方の実情に合わないじゃないか。結局、財政計画で地方財政の将来を計画していくことに現状では無理があるんじゃないか。この点はどうでしょう。
○国務大臣(秋田大助君) 確かに、おっしゃるように、地方財政計画と実際の決算との間に多少の乖離がありまして、最近その乖離が多少ひどくなる傾向があることは事実でありまして、これは好ましくありません。しかし、御承知のとおり、地方財政計画は、単年度最初のベースにおける標準的な歳入歳出で実際の財政経理を行なった結果と多少の差が生ずることは当然でございまして、そのなぜ起こるかといういろいろな原因等をこまかく申し上げませんが、よく御承知のことと思いますが、今後は、地方財政計画の策定にあたりまして、実際の点をよく考えまして、なるべくこの乖離を少なくするように——多少の点はこれは性格上やむを得ません。はなはだしくなることは防ぐようにひとつ処置をいたしてまいりたいと考えております。
○加瀬完君 四十二年度の決算で、単独事業費はどの程度ですか。それと比べて、公共事業に対する負担費用は何%くらいになっていますか。
○国務大臣(秋田大助君) 大体、単独事業は一割程度でありまして、経常歳入の中で経常的な支出が七五%もある。したがって、単独の事業に支出充当できるものは一割程度——最近少しは上がって、一%ぐらい上がりつつありますが、まあ一割程度であるということでございます。
○加瀬完君 地方が独自でやれる財源が一〇%程度、これは大きな問題だと思いますね。そこで、シャウプ勧告のあったころは、財源配分を都道府県と市町村に分けると、市町村分が六〇で、都道府県分が四〇くらいだった。いまは逆ですね。こういう財源配分というものをもっと市町村に多く配分転換をするような計画を立てませんと、自分でやれる費用は一〇%という域をこれはのがれるわけにはまいりませんね。独自財源は一〇%という域をのがれるわけにはまいりませんね。その点、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) まさに加瀬先生のおっしゃるとおりでございまして、したがって、市町村財源をひとり十分考慮していかなきゃならない。政府におきましても、四十三年度以来、自動車税の創設でありますとか、あるいは道路譲与税の譲与基準の配分の変更でありますとか、あるいは、ことしにおきましては、法人税の増徴による法人税割りの府県と市町村分の割合を変更いたしまして、いろいろ市町村財源の増加をはかっております。また、交付税の基準財政需要額の算定及び実際の配分等におきましても市町村分の配分を考えておるのでございまして、現に、交付税の増加分を考えましても、府県分が一八・五に対して市町村分は二八・九というような増加率四十四年度でございますが、同様な増加率を——正確に数字は同じじゃございませんが、本年度も示しておるわけでございまして、そういう計画をいたしておるわけでございまして、市町村の税源その他財源の充実については意を用いておるところでございます。
○加瀬完君 これは大蔵大臣に伺いますが、いまの地方行財政で過密過疎が非常に問題になっておるわけです。ここでは過密の都市化現象について伺いたいと思いますが、第十一次地方制度調査会で過密地帯の人口動態調査というものをなさいました。昭和三十五年と四十二年を比べると、八一%から一〇五%のドーナツ地帯といわれる市町村では人口増を来たしております。そうすれば、地方財政はそういう過密化のところにある程度重点が注がるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 過密過疎の過密、特に人口急増都市並びにその周辺、これは相当財政上も配意しなければならぬと思います。現に、財政上もまた金融上も配慮をいたしておるわけでありますが、あるいは学校の建設、あるいは道路、あるいは住宅でありますとか、あるいは下水道、あるいは交通対策諸費、そういうものをきめこまかに配慮をいたしておるのでございます。
○加瀬完君 たいへんいいことを伺いましたが、いまこまかいことを申し上げて恐縮ですが、その地方制度調査会の示した調査の中に、ある市の人口一人当たり税収で、一般市民の平均分とそれから増加をした象徴的な団地人口に対する一人当たりの税収分が示されました。ある市では、一般税収の一人当たりが四千八十一円に対して、団地は二千四百三円、ある市では、三千九百六円に対して二千八百六十八円。人口がふえましても、人口と同じように地方財源がふえているということにはならないわけです。この状況はお認めいただけますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう状況が出てきょうかと思います。でありまするから、まあ財源、特に交付税の配分等において注意をしていかなきゃならぬと、かように考えます。
○加瀬完君 自治大臣もあわせてお答えをいただきたいんですが、そのドーナツ地帯と言われるある市の四十四年度の予算で教育費が十億、このうち学校用地費、校舎の建設費が六億五千万、次のある市では、昭和四十三年と四十七年の見込みを比べると、小学校が三、中学が二つ新設をしなければならないという状態になっておるわけです。こういう現象はお認めになりますね。
○国務大臣(秋田大助君) 大体その傾向を認めます。
○加瀬完君 それでは、それらに対して財源が確実に与えられていると御認定なさいますか。
○国務大臣(秋田大助君) 完全に需要に応じての財源が充当されておるかというと、なかなか問題のところでありますが、つとめて起債あるいは交付税等でその充当率及びその配分を通じまして需要に応ずる処置を講じておるのでございまして、学校用地の取得等につきましても、起債ワクの増ワクをもってこれに対処いたしておるわけでございます。
○加瀬完君 都市化現象のための公共施設の必要ということはお認めいただけると思います。そこで、特に公共用地の取得に財政負担が非常に大きい。いま千葉県市川市の表がありますから申し上げますと、四十五年三月現在で、公共用地取得のための借り入れ金が学校分が五億九千万、道路街路分が二億一千九百万、終末処理場分が三億一千万、文化財の保護が一億九千万、市営住宅が八千万、計十四億、これで年間償還額は四十五年で二億四千万円ということになるわけです。これは市川市だけでなくて、埼玉県でも、神奈川県でも、この東京周辺あるいは大阪の周辺というものは、市町村はこういう傾向にみんな置かれておるわけです。都市化地域の地方財政はこの公共施設の需要増のためで、このままでは維持ができません。いま交付税とおっしゃられますが、この中には不交付団体もあるわけですから、交付税はもらえぬ。そこで、こういう特に公共用地の取得なんかについては特別の財源を考えていただかなければ、この解決はできないわけでございます。これは大蔵大臣と自治大臣ひとつ御所見をお述べをいただきます。
○国務大臣(秋田大助君) 地方団体等によりまする公共用地等の先行取得につきましては、御承知のとおり、昭和四十四年度から土地開発基金の制度も設けまして、すでに昨年度は道府県分は五百九十五億円、市町村分三百七十七億円を基準財政需要額に算入しまして、昭和四十五年度におきましても、引き続き市町村分について六百億円というものを入れております。また、先行取得債につきまして、四十四年度二百億、四十五年度二百五十五億というものを充てておりまして、さらに必要によりましては、縁故債のワク外債を認め、交付債の発行等も承認することによりまして、この需要に応ずる臨機の処置をとりたい、弾力的運用を地方債等についてはかりたいと考えておる次第でございます。
○加瀬完君 四十二年度の予算編成の際、大蔵大臣と自治大臣の両者の間で、今後三年間に超過負担の解消をはかるという覚え書きが取りかわされたわけですね。その後どうこれ進行しておりますか。効果が相当あがっておりますか。
○国務大臣(秋田大助君) 四十二年度、四十二年度分の超過負担の相当大額のものについて実態を調査いたしました。四十二年度、四十四年度三百二十億円、三百十二億円とさらに処置をいたしまして、四十五年度におきましては四百五十三億円というものを見込んでおるのでございまして、相当程度解消に資したと思いますが、なおこれで完全かとおっしゃいますと、多少のものは残っておると思いますから、きめこまかに今後は配慮して、関係方面と検討、交渉を続け、きめこまかに配慮していきたいと考えております。
○加瀬完君 いま自治省で計画しているのは単価差とか、数量差とか、対象差とかいうようなものばかりを取り上げておりますけれども、先ほどの都市化現象の地域とあわせてこの問題を検討いたしますと、都市化現象のために新しい公共施設を要しまするので、そのための負担金とか、寄付金とかいう問題が起こっているわけです。これはいままで考えられなかった超過負担の対象ということになるわけであります。そこで、少なくも法律、命令に触れるような、こういう地方負担というものは行なわれるべきではないとお考えになりますか。
○国務大臣(秋田大助君) 地財法に規定がございます。それに触れるような寄付を求めるというようなことは、これは法律違反であって、それを避けるように指導してまいる所存でございます。
○加瀬完君 それは人口急増になりまして、新しく国鉄の駅をつくらなければならない、新しく県立高校をつくらなければならない。しかし、県にはそういう財源はないわけですね。国鉄にもそういう財源はないわけですね。しかし、団地つくったって駅がなければ人間を運べませんから、これはどうしたって新駅を必要とする。人口がふえれば高等学校の教育施設というものは必要になる。ところがそういうものをまかなうに足る一体財源というものはどこから出てくることになりますか、現状で。
○国務大臣(秋田大助君) 過去におきまして、税外負担の解消のためにいろいろやってまいっておるのでして、税外負担の総額三十九年度百十七億、四十年度百五億、四十一年度八十八億、四十二年度七十八億、四十二年度七十三億というような額が指摘され、これに対して交付税及び基準財政需要額の作定を通じまして、所要の財源措置を講じてまいっておるように指導してきておるのでありますが、四十五年度におきましても引き続き所要の財源措置を講じて、その解消につとめてまいるように一そう指導いたしたいと存じております。
○加瀬完君 具体的に地域の要望で高等学校をつくろうとすると、敷地を寄付しなければだめだ、建設費の一部を持たなければだめだという要求があれば、これは法律で禁じられておるにもかかわらず、結局寄付を出すようになる、寄付を求めるようになるという形になるわけです。団地は住宅公団でできるといたしましても、住宅公団が通勤用の交通施設までは分担はいたしませんから、そうすると、これは私鉄の駅なりあるいは国鉄の駅なりというものをその付近につくらざるを得ないということになる。しかし、その財源は国鉄にはないわけです、県にもないわけです。地元負担という形で寄付をもらわなければ、どうにも新しい計画が進まないという実態なんです。これは一自治大臣でどうこうという問題ではないわけですから、大蔵大臣として、あるいは総理大臣としてそういう意味の都市化の現象によって起こる公共施設に対する財源というものをあらためて考えていただかなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政は、私は、全体とすると、もう非常な改善を見てきておる、見つつある、今後も改善されるだろうと、こういうふうに見ております。ところが、加瀬さんもおっしゃるとおり、局地的にいろいろ問題がある。問題を提起する方はどういう方面かというと、市町村が実は多いように私は見るのであります。で、改善されたこの地方財政全体の中の財源調整、こういうことが大きな課題になってくるのではあるまいか、そういうふうに見ておるのでありますが、あるいは税の配分を一体県と市町村でどういうふうにするか、あるいは交付税の配分をどういうふうにするか、起債の割り当てをどうするか、その辺にきめこまかく考えなきゃならぬところがあるのじゃあるまいか、そういうふうに私は見ておるのであります。まあ自治省ともよく話し合ってみたいと、さように考えております。
○加瀬完君 自治大臣に伺いますがね、そういう地域に対して、特別の開発基金なりあるいは新しく交付税の算定の対象に入れるというような点で御考慮いただけますか。
○国務大臣(秋田大助君) 今後の情勢に応じて検討してみたいと思っております。
○加瀬完君 いや、今後の情勢に応じて御検討をいただいているうちには、借金で地方は首が回らなくなってしまうんですよ。この間、交付税法の改正案が出ておりますがね。都道府県の単位費用をふやしておりますけれども、市町村の単位費用をふやしておりませんね。実情を知らない改訂もはなはだしいと思うわけです。いま大蔵大臣がおっしゃるように、問題は市町村なんです。市町村のそういった開発のために要する財源というものをもう少し配慮をしていただかなければならないと思うんです。希望をいたします。 そこで、交付税が非常にふえてきたわけですから、あれを国にプールするようなかっこうをしないで、そのままそういう地域に少し流してもらえば問題の解決はできるわけです。そこで、その交付税法は正しく運行されていると御認定なさいますか、自治大臣。
○国務大臣(秋田大助君) 正しく運行しておると考えております。
○加瀬完君 では、交付税は政治的配慮なんかによって増減されるようなことはないと御認定になりますね。
○国務大臣(秋田大助君) 法律に即して運営をいたしておるつもりでございます。
○加瀬完君 その点は、特別交付税も同じですね。
○国務大臣(秋田大助君) 同様でございます。
○加瀬完君 それでは運輸大臣、自治大臣に伺いますが、昭和四十三年三月九日、空管第四十一号の内容を御説明いただきます。
○政府委員(長野士郎君) 空管第四十一号と申しますのは、新東京国際空港建設実施本部長から千葉県知事にあてまして、「代替地提供に伴う負担について」ということで、代替地提供者から代替地提供に伴う負担を公共用地の提供の場合と同等にするような要望があった、そういうことで一関係大臣との協議の結果、差し向き県において、農民に対して公共用地を提供した者との均衡を失しないように処置せられたくお願いするという文書でございます。
○加瀬完君 それによって、成田空港の代替地の提供者の税金を免除するために、千葉県に特別交付税をやったということですね。その計算はどういうようになりますか、また金額は。
○政府委員(長野士郎君) 新東京国際空港の建設につきまして、千葉県としても、いろいろと地元の対策事業のために関連した数多くの事業が生じておったわけでございます。その四十三年におきましても、千葉県は、営農対策等の地元対策としていろいろな事業を実施いたしておりますが、これらの種々の事業実施の結果、相当の財政負担を必要としたことがありますので、これらの点を考慮いたしまして、特別交付税の算定にあたりましても、それらの需要を見まして算入の一つの要素にいたしたと、こういうことでございます。
○加瀬完君 金額は。
○政府委員(長野士郎君) 四十二年度分におきましては、措置額といたしまして、合計いたしますと千葉県分は一億二千九百万円でございます。
○加瀬完君 これは代替地を提供した者の税金も県が支払ったわけですね、八千万。その八千万に見合うべきものを交付税として千葉県に配付をしたわけですね。 そこで伺いますが、これは自治大臣。自治省の局長や課長の執筆をなさいましたそれぞれの法律内容の解釈や、説明は信用してよろしゅうございますか。
○国務大臣(秋田大助君) 信用していただいてけっこうでございます。
○加瀬完君 それでは、当時の交付税課長山本悟氏の「精解地方交付税」は信用してよろしゅうごさいますね。——信用してよろしいかどうかお答えいただければいいんです。
○国務大臣(秋田大助君) 信用していただいてけっこうでございます。
○加瀬完君 その山本さんの解説によりますと、そういうような地方団体における特殊な事項に関する財政需要は交付税の中には含まないと書いてあるんですよ、いかがでしょうか。税金の穴埋めの交付金はいけないということなんですね。
○政府委員(長野士郎君) 地方交付税法の第十五条に(特別交付税の額の算定)という条文が御承知のようにございますが、その中には「基準財政需要額の算定方法によっては補そくされなかった特別の財政需要がある」、その他「基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」交付するということでございまして、特別な財政需要があったという中にはいろいろな要素が入ることは御承知のとおりでございますが、当時、地元対策事業としていろんな関係の仕事が県当局においても行なわれておったわけでございます。その中に、いまの代替地提供問題というのも一つの問題として、空港建設実施本部長からのお話、申し込みもありますし、そういうことで、千葉県としては公的な措置をある面でとらざるを得なかったという当時の状況が私どもあったように思います。そういうことがございますので、そういういろんな需要の算定の中に、そういうものも要素の一部として考えまして、特別交付税の配分にあたってそういうものもある程度算入をいたしたと、こういう実情でございます。
○加瀬完君 この山本さんの解説は、いまの特別交付税をこう説明しているんですね、「特別交付税は、普通交付税の算定に対する補完措置が算定の原則であるから、地方団体の財政運営の拙劣に原因する歳入欠かんや積極的に特別の事業を実施したことによる財政窮迫等のいわば赤字補てん的なものは算定の対象とされない。」、これは八千万の県が税金の肩がわりをした赤字が出たので、これを何とかしてくれないかということで、当時の中曽根運輸大臣のほうから自治省のほうにそういう申し出があって、空管第四十一号という内容によって、結局交付税という方法をとった。金をくれてくれることはけっこうですが、交付税法というものがきちんとこういうようにきまっておるのに、運営にあたって法律を無視するようなやり方をされては交付税はどんぶり勘定になるおそれがあると思う。それを唯々として自治省が自分で解説した内容と違うような運営をするというのは、はなはだ私は当を得ないと思う。この点、大臣はどうでしょう。——いまの大臣、責任ないからどうも困る。
○国務大臣(秋田大助君) 成田新東京国際空港をつくるということは緊喫の問題であり、かつ、国家の非常に重要な仕事の一つであり、それに関連して、空港自身の建設以外、地方においては地方のいろいろ関連の事業がございます。それに関連をしておる問題でございまして、そういう性格にかんがみまして、特交にこれを見ましたことは法律の趣旨に反するものではない、こう考えて処置をいたしたものでございます。
○加瀬完君 その特別交付税法に関する解説に、現実の支給額をなるべく避ける。「客観的な数値を基準として間接的に算定する」、赤字補てん的なものは算入しない。恣意的なものは含まない、これが特別交付税の算定基準でありますね。すると、税金の穴埋めという交付金は、これは恣意的なものですよね。赤字補てん的なものですよね。少なくも客観的な数値を基準としてはじき出されるものではないのです。その点を指摘をしておきます。 そこで、政治的都合によって交付税が恣意的に配分されているということは、原則として私は認められないと思いますが、その点だけどうですか、恣意的な配分ということがあってはならないと、御確認をいただけますか。
○国務大臣(秋田大助君) 加瀬先生おっしゃるとおりでございます。
○加瀬完君 もう一点。交付税法は、もっと市町村の開発基金あるいは運営財源になるように単位費用が改定さるべきだと思いますが、いかがですか。そういう御考慮はいただけませんか。
○国務大臣(秋田大助君) 四十四年度の補正予算で、府県分のほうは基準財政需要額の単位費用を改めまして、市町村分においても同様の趣旨において四十五年度やってまいりたいと考えております。
○委員長(堀本宜実君) 以上で加瀬君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会をすることといたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時五十六分散会