法務委員会 第10号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/04/14
会議録
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い理事が一名欠員になっておりますので、この際その補欠選任を行ないたいと存じます。選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に河口陽一君を指名いたします。 —————————————
○委員長(小平芳平君) 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法案を議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○亀田得治君 法務省からいただいておる参考資料ですね、これの一三ページに「沖繩の弁護士資格者数調」という一覧表が載っているんですが、これについてもう少しできるだけ詳しく、わかりやすくまず御説明を願いたいと思うんです。その上でお聞きいたしますから。
○政府委員(影山勇君) それでは一三ページの表について御説明を申し上げます。 この表は、沖繩の弁護士の資格を有する者の数を、ここにございますように、昨年の十月三十一日現在でできる限り正確を期して調べたものでございます。左にございますように、「潜在的資格者」とか「顕在的資格者」というのがございましたり、A、B、C、D、Eというような文字がありますので、これを説明申し上げます。 まず、この「区分」という欄がございますが、この「区分」にA、B、C、D、Eというふうに書いてございます。このAと申しますのは、結局沖繩の弁護士有資格者の中で本土の資格を有している人でございます。先日の補足説明にも申し上げましたように、沖繩の判検事、弁護士、つまり法曹資格者は、沖繩の布告十二号というものによって資格を取得しておりますが、その資格の種別がA、B、C、D、Eでございまして、Aはいま申しました本土の資格者でございます。Bは、これは沖繩で判検事に任ぜられまして五年間判検事の職にあるということによって初めて弁護士資格を取得するという要件によって取得した者をBということにいたしております。それから、同じく布告でCと申しますのは、沖繩ではございませんが、公認の法律学校を出まして二年間裁判所、検察庁、弁護士事務所等で法律的訓練を要する職務に従事したということによって弁護士資格を取律したという者でございます。Dは、これは沖繩において昭和二十七年度以降施行されるようになりました沖繩の司法試験の合格者でございます。それから次に、Eと申しますのは、これは昭和四十三年の一月一日から施行になりました沖繩の新弁護士法によりまして初めて認められた資格でございまして、大学教授、助教授を三年やるということによって弁護士の資格を取得するというのをここにかりにEというふうにしてあらわしたわけでございます。 それから、その「区分」の下を縦に見ていただきますと、先ほど申し上げました「顕在的資格者」と書いてございます。これは、現に資格を持ち、現に裁判官、検察官、弁護士の仕事をしている人という意味でございます。で、これを内訳で見ますと、裁判官が、A項、先ほど申しました本土の弁護士資格を有する方が裁判官の中に二人。それからB、沖繩で判検事、弁護士を五年やったことによって資格を取得した方が八、それからCが、Cと申しますと、先ほど申しました、公認の法律学校を出て二年間法律的訓練を要する職務についた者というのが二十一、それからD、沖繩司法試験を通った者が二十四名、それから二十四の次にカッコの中に十六とございますのは、これは向こうの司法試験を通りまして、本土の司法研修所に委託されまして、本土の修習生と同一の修習課程を終わった者であります。この数が十六名ございます。要するに、法曹資格者のうちの裁判官は五十五名ということに相なります。検察官は、同様にして、A項はゼロ、B項が六名、C項が二十三名、D項が八名、うち五名が司法修習を本土で受けた者ということになっておるわけでございます。その次の弁護士も、ここにございますような人数になっておりまして、これで見ますと、ごらんのとおりC項が弁護士においても多いということになります。そのほかに、弁護士については、先ほど申し上げました大学教授をやったということで弁護士資格を取得した者が三という人数になるわけでございます。これを合計いたしますと、A項が沖繩では全部で十八名、そのうち十六名が弁護士でございます。それからB項が二十五名、C項が百三十一名、D、すなわち沖繩の司法試験を受けた者が四十名ということになりまして、現職にある判検事、弁護士の総数は二百十七名ということになるわけでございます。 それから、その下のほうの「潜在的資格者」と申しますのは、一応こういうふうに名づけましたのは、弁護士資格を有しながら、現に裁判官、検察官、弁護士という職務をやっていない方、たとえば裁判所の裁判官以外の職員、検察庁の検察官以外の職員、それから弁護士以外の法律事務所の職員という方々でありまして、この数字は、やはりA、B、C、Dに分けますと、ごらんのような数字になっているわけでございます。このようないわば潜在的な資格者の数が合計百二十六名でございます。 したがって、四十四年十月三十一日現在に判明いたしました沖繩の弁護士有資格者の総数は三百四十三名ということになるわけでございます。 なお、このほかに、いまの表の裏でございますが、一四ページに、「上表に掲げる弁護士資格者のほかに、沖繩の司法修習生となる資格を有する者で、現在裁判所、検察庁又は法律事務所において法律事務に携わっているものが百四十一名ある。」、これは、沖繩の弁護士法が改正になりまして、従来資格取得の過程にあった者、新弁護士法によってさらに三年間裁判所、検察庁、また法律事務所で勤務することによって弁護士資格を得ることになっておる者でございまして、これはいずれ四十六年以降弁護士資格を得るという、いわば弁護士になる過程にあるという者でございます。これが百四十一名おりますわけであります。 簡単でございますが、この表について御説明申し上げました。
○亀田得治君 沖繩の司法試験制度ですね、これは琉球法曹会試験局がやっているわけでしょうが、その実態はどういうことでしょうか。たとえば試験科目なり、その内容、質的な水準なり、そういう点はどういうふうにごらんになっていますか。
○政府委員(影山勇君) これは、先ほど申しましたように、昭和二十六年度から施行されまして、当初は正規のルートの司法試験以外のルートの資格者が少なかったわけですから、司法試験ということによってこういう資格者をつくろうということで発足したように伺っております。したがって、その資格も、高等学校卒程度で受験ができるというふうにされていたようであります。しかし、その後だんだん教育が普及したりしてまいりまして、大学出も多く受けるようになりました。最近では受験者の合格者はほとんど大学出によって占められているというような状況でございます。試験科目あるいは試験の方法は、大体本土と同じよう、大体似ているように伺っております。それから試験委員は琉球法曹会の会員をもって構成しているようでありまして、これは大体先ほど申しました弁護士有資格者の中から試験委員を選んでいる。それからその質あるいは内容の点でございますが、これは実は特に調査の方法がございませんので、答案等をあらためて見るというようなこともどうかということで、特に質の点について高いとか低いとかということは申し上げられない状態でございます。試みにこの合格率などを申し上げますと、大体平均して二十名に一人ぐらい、最近特にだんだんむずかしくなってまいりまして、二十名に一人ぐらいではないかというふうに考えられます。
○亀田得治君 二十名に一人といいますと、日本の場合に比較してどうなりますか。
○政府委員(影山勇君) 日本はことしあたり四十名に一人ぐらいに当たるのではないか。ことしの受験者を基礎にいたしますと、大体四十名に一人ぐらいになるのではないかと思われます。
○亀田得治君 ことしが四十名に一人。ここ最近数年間、大体どういう数字ですか。
○政府委員(影山勇君) 大体そのくらいになっていると思います。
○亀田得治君 まあ二十名に一人というと、相当やはりきびしく厳選をした試験をやっておるというふうに理解していいように思うのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(影山勇君) これは、沖繩の中で見ますれば、やはり相当きびしい試験ではないか。特に最初のうちは、受験者も少のうございますし、わりにゆるい場合もあったようでございますが、近年に至ってかなりきびしい。たとえば、やはり若干きびしい年とそうでない年とあるようでございます。
○亀田得治君 非常にきびしい場合は、三十倍ぐらいになっている年もあるんじゃないですか。
○政府委員(影山勇君) これで見ますと、三十四年が大体二十倍でございます。三十七年度には四十三名受けて一名というので、この年は非常にきびしゅうございます。四十四年——昨年をとりますと、五十九名受けまして五名ということになっております。
○亀田得治君 その調査資料があるんでしたら、それを資料として、これは後ほどでいいですから、次回までにひとつ出してください。
○政府委員(影山勇君) 受験者の数と合格者という表がございます。
○亀田得治君 そこでお伺いいたしますが、本土の司法修習の課程を修了した人が、さっきのお話ですと、二十三名あるわけですね。こういろ方は、これはもう無条件で本土の資格を与えていいんじゃないですか。弁護士の試験の最終の締めくくりは司法修習の最終の試験に合格するということになっているわけですから、その本土における最終の締めくくりの試験を受けた人が二十三名おると、この二十三名についてはそのまま認めていくということでいいように私思いますが、その前の段階の沖繩の弁護士会がやっておる司法試験が非常にルーズなものだというんなら別ですが、これを相当厳密にやっていると、そうしてその試験を通って、さらにいわゆる司法修習の実地訓練ですね、これを沖繩でやらずに本土でやった、そして本土ではその締めくくりの試験をパスしておるわけですから、それ以上選考するというのは、どうも本土で行なった司法修習の最終の試験そのものをもう一度何か再検討するという感じにもなってくるわけですね。どうもおかしい、二回同じようなことをやるような感じがするんですが、今度の立法を見ますると、第二条の第一項の第二号でそういう人たちを扱っておるわけでしょう。この点は少しおかしいのじゃないかと思うんですがね、どうなんです。
○政府委員(影山勇君) 確かに仰せになりましたような問題点はあろうかと思われますけれども、一応やはり本土の法曹資格というのは、司法試験を経て裁判所法に定める司法修習を終えた者というたてまえがございまして、その基礎において、司法試験の内容等その他司法試験の実質においてはたして全くひとしいかどうか疑問がございますし、修習と申しますのは、結局こちらの修習生として修習するというのでなくて、いわば委託を受けて、同一の課程を経て、二回試験ではなくて、それと相当するような試験を受けているということでございまして、いわば沖繩からの委託に基づくもので、形は同じでございますが、本土の修習、それから二回試験とはやや意味において異なるのではないか。それからもう一つは先例でございますが、先例として的確かどうかは問題でございますけれども、終戦後朝鮮から引き揚げてこられました法曹資格者の方につきまして、これは朝鮮弁護士令によりまして、相当厳密な試験を経て、実務をやられて、そうして本土に引き揚げられてきた方々についても、やはり本土弁護士とは違うという点で、いずれも選考を受けていただいて、そうして本土の弁護士資格を付与するというふうなことになっておりますので、沖繩の有資格者という意味で、他の資格者と同一に選考だけは受けていただく。ただし、その場合に、おそらく二回試験を受けておられるので、選考でございますので、その成績と申しますか、その実績は十分評価を受けることになるだろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
○亀田得治君 沖繩からの委託に基づくものではありますが、しかし司法研修所における訓練なり試験の中身は日本の一般修習生と全く同じなんでしょう。差をつけてあるんですか。
○政府委員(影山勇君) そう差はないと思います。それから、試験についてもないと思われます。
○亀田得治君 そうすれば、本土の司法修習生と同じ力を司法研修所において認めたと、こうやはりなるわけでしょう、なっておるわけでしょう、そこを卒業した人は。それはどうなんです。
○政府委員(影山勇君) 一応そういう資格を——資格と申しますか、そういう学力を認めていることは、そのとおりだと思います。
○亀田得治君 そうすれば、日本でも弁護士になるにはいまおっしゃった試験を通らなきゃいかぬですから、ちっとも試験問題、訓練においても差をつけないでやっておりますということなら、すなおにそのまま認めてあげることが——これはまあ選考ですから、おそらく、その実績を認めてとこうおっしゃっておるから、この二十三名は全部通過するものだと私は思いますが、しかし気分がいいでしょうが、せっかく努力して二年間の修習を完全に終えてきたわけですから。そういうことは立法の過程において議論にならなかったのですか。
○政府委員(影山勇君) その点も議論になったわけでございます。ただ、沖繩で司法試験を終えて本土の修習を受けるというのは、人によりいろいろな事情で、これを派遣するほうの側の事情とか、そういうことで、必ずしもD号の者が全部こちらに来られたというものでもないわけで、そこで、たとえば修習を受けないD号について毛、おそらく優秀な人もあり得るわけでございます。そういう点も考え合わせまして、また多年法曹の実務に携わっている方々を考えますと、やはり朝鮮の場合の先例にならって選考は一応受けていただくのが均衡上いいのではないか、全体の均衡から見ていいのではないかということで、こういう案に落ち着いております。
○亀田得治君 この沖繩から委託を受けて研修所が預かって、そうしていろいろ修習をしてもらって、最終的に修習の最終段階の試験が通らなかった、こういう人はあるんですか。
○政府委員(影山勇君) その点は、過去にわたってずっと調査いたしておりませんが、私どもの伺っているところでは、落ちた人があったということは聞いておりません。
○亀田得治君 日本の場合にはどうなっていますか。
○政府委員(影山勇君) 日本の場合には、落ちる人も、ある場合——年によって落ちる人があるように聞いております。
○亀田得治君 きわめて少ないんですか。
○政府委員(影山勇君) 非常に少のうございまして、一人、二人だと思います。
○亀田得治君 非常にたくさんの人ですからね、健康を害したりいろいろなことでうまくいかないというふうなこともこれは予想されることですね。それはまあ、どういう理由ですか、たまにはずれるのがあるというのは、病気とかそういうことですか、やはり中身そのものが不十分と。それでまた、そういう方はどうするのですか、その翌年まで延ばすとかなんとかできるのですか。
○政府委員(影山勇君) このいわゆる二回試験と申しますのは、最高裁で運用されておりますので、詳細は存じませんけれども、やはり病気の方とか、あるいははなはだしく学術関係の点数の少ない人とかということになるんだろうと思います。そうして、落ちた人は、またもう一度修習をし直すということになっているのではないかと思います。ただし、おそらく修習の規則で、もうとうてい将来判事、検事、弁護士になる見込みがないというような特段の事情がある場合においては、また別なことになるのではないかと思っております。
○亀田得治君 そうしたらね、それ最高裁のほうで一ぺん調べてみてください。沖繩と本土、両方どうなっているか、司法修習の最終試験の不合格者の数並びに理由ですね。
○政府委員(影山勇君) 最高裁判所に連絡いたしまして調査いたしたいと思っております。
○亀田得治君 そうすると、二十三名の本土における司法修習を終了している方、これは一応この第二条によって選考の中には入れておるが、その実績を認めてもちろん選考するので、これらはまあほとんど——ほとんどというか、全部通るものだ、そういう期待を持ってもいいものだと、こう理解していいですか。
○政府委員(影山勇君) これは選考委員会のおきめになることですが、私どもたぶんこういう方は選考に合格されるのではないかというふうにまあ考えております。
○亀田得治君 朝鮮の場合を先ほどおっしゃったんですが、朝鮮の場合はその点結果はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(影山勇君) 朝鮮の場合は、約四十六名ばかりございまして、そのうちの四十四名の方が選考に合格されておるようでございます。それで、この選考に落ちた方は、当時ございました弁護士試補として一年半修習をされて弁護士になるということであったようでございます。
○亀田得治君 それから、この第二条の第一項の二号ですね、二号の中で「政令で定める日までに」云々とこう書いてありますが、これはどういうめどになりますか。なるべくこの政令で定める日を延ばして、その間に——現在修習中の方がおりますね、それ何名になりますか。
○政府委員(影山勇君) 現在修習中の方は七名でございます。
○亀田得治君 その七名の方の修習が終わるのを待ってこの「政令で定める日」これをきめると、こういう含みでもあるわけですか。
○政府委員(影山勇君) これは、この選考は、本年度に一回と、それから次が復帰の日になるべく接着した時点で一回というふうにやりたいと思っておりまして、そのあとの時期をなるべく復帰に近いほうにずらして行なう、それによってなるべく直接試験を経ずして選考を受けられる人を多くしたいという考えでございます。
○亀田得治君 まあ、ことに何ですわね、現在司法修習中の人は、この法律ができた後にその最終試験を受けるわけですからね、それがちょうど弁護士試験みたいなもんですよ。だから、これはもう当然その試験に通ることによって本式のほうにこう入っていくという考え方でつくられておるようですが、ぜひそれはその考え方でひとつ運用してほしいと思います。 この第二条の第一項のほうですね、ここでも「政令で定める日」というのは、日のきめ方によってあとのほうの「三年以上」という計算が非常に違ってくるわけですね。だから、できるだけ本土復帰に接着した日に設定していく、そういう理解でいいわけですか。
○政府委員(影山勇君) そのとおりでございます。
○亀田得治君 それから、この選考とか、試験とか、こういろいろあるわけですが、講習というのもこの法案の中に入っておりますが、これはすべて司法試験管理委員会がやっている、こういうたてまえになっておりますが、この本土の場合にはいわゆる考査委員というのがあって、考査委員は、これは各専門の分野の専門家ですね。考査委員会でパスするかどうかをきめる。いわゆる司法試験管理委員会は全体の事務的な統括機関、こういうふうに区別されておりますがね。しかし、今回の場合は、何かどうもその点が一つ省かれておるような感じがいたしますが、その辺はどういうふうに運用されるわけでしょう。
○政府委員(影山勇君) この法律の四条の四項に「前二条及びこの条に規定するもののほか、選考、試験及び講習に関して必要な事項は、政令で定める。」というふうにございまして、この政令で試験委員、選考委員等を置くという考えでございます。この選考委員は、たとえば沖繩で行なうとか、あるいはいつ行なうとかということも、この政令で定めるということでございます。
○亀田得治君 本土と同じように、やはり本法の中に——大事な決定権を握る人たちですからね、そういうふうにしておくことが本筋じゃないかと思うんで、試験の場所をどこにするとか、そういうことは政令なり規則等でおやりになっていいと思うんですがね。実際何でしょう、司法試験管理委員会、これは人が三名きまっていますね、法務次官と最高裁判所事務総長、もう一人弁護士会からきめている。しかしこれは、みんな忙しい方であって、全体を見ておるにすぎない。実際の判定者というものは、ちゃんと法律に明記しているわけですからね。これは大事な点だと思うんで、当然本法の中に置いておいていいように思いますが、どうなんですか。
○政府委員(影山勇君) これは、司法試験とやや変わっておりまして、第四条の二項で「選考及び試験の合格者は、司法試験管理委員会が定める。」というふうにいたしたわけでございます。この特に選考は、一律の試験ではございませんので、合否の判定をそのまま試験委員等にゆだねるというのには適さないのではないか。そこで、選考委員、試験委員は設けますけれども、それは現地においての選考を一応行ないまして、その結果について、法曹三者と申しますか、事務次官、事務総長、弁護士会の方によって最後の判定はきめていただくほうが適当ではないかということで、こういう規定にしたわけでございます。
○亀田得治君 この選考の場合は、そういう気持ちは多少わかるんでございますがね。しかし、その場合といえども、直接選考のためにどうせ相手方に来てもらって会うんでしょうが、お会いになって質疑応答をなさる方は、これは管理委員会じゃなしに、別個なやはり専門の方がおやりになるんでしょう。そこはどうなんでしょうか、選考の場合は。
○政府委員(影山勇君) いわば管理委員会の委員の行なう選考の補助的な機関と申しますか、そういう手足としてそういうことを選考委員にしていただくということになると思います。
○亀田得治君 それは法律が、選考委員会がきめると、こうなっちまったから、その選考委員は、それは補助的な機関ということに、自然にそうなるわけでしょうが、しかし実質はそこできまるわけでしょう、実際は。
○政府委員(影山勇君) これは、この法律のたてまえとしては、そこできまるということはないわけでございます。
○亀田得治君 試験のほうはどうです。試験のほうは、もう試験委員の判定で、実質上もうそこできまるわけでしょう。
○政府委員(影山勇君) 試験のほうは、これは一律に行なうわけでございますから、どういう問題を出し、どういう点数を得たかということは、この試験の最初の段階できまるわけでございますが、一体どの程度の点数を取れば選考を受けるのにふさわしいものと考えるべきかという点は、やはりこの法律案では、試験管理委員会の委員が協議しておきめになるということにいたしておるわけでございます。
○亀田得治君 それは実際に試験にタッチされない方がきめるということは、実際問題としてできぬことでしょう。多少点数が悪くても、これは実力があるというふうに見るか見ぬか、そういう問題がよくあるわけでしょう。しかし、これは第三者ではちょっとわからぬわけです、やはり試験委員でなければ。だから、実際上これは、選考委員、試験委員、ここできまるわけでしょう。そこできまったものが上のほうで相当動くというふうなことは予想しなくていいのでしょう。
○政府委員(影山勇君) こういう式の選考は、今回これで臨時的に行なうわけでございまして、どういうふうな運用になりますか、司法試験等の場合と違いまして、選考の対象者の人数も比較的限られておりますので、実際の運営で、一体選考の補助機関であるところできまってしまうというふうになるとは必ずしも言えないのではないかというふうに考えます。
○亀田得治君 そうすると、多少試験委員なり選考委員から見ると足らない点がある場合でも、そういう場合でも、この試験管理委員会のほうで引き上げていこうというふうな考えを持てば、それができる。また、非常に全部が通ってきておるが、いわゆる予定された水準、これは通ってきておるが、しかし何か別個な角度からふるい落とすというふうなこともあり得ると、こういうことになるのですか。
○政府委員(影山勇君) 選考委員と申しますのは、まあ補助機関でございますので、そこで実際の選考をいたします司法試験管理委員会の委員の判断に資するような資料を提供する、素材を提供するということになるであろうと思われます。
○亀田得治君 だから、素材を提供するということになると、素材どおりにいっても、いかぬでもいい。それは具体的に言えば、出てきたものを、さらに引き上げるとか、または引き落とすとか、そういうことが予想されるわけですね。
○国務大臣(小林武治君) これはもういろいろ分析をされるとお話のようなことになりまするが、要するに補助員というものがまあ実質的にある程度もうきまるということも言えるし、これが試験管理委員会のほうへ報告書を出して、そうしてその報告によってきまると、こういうことになりますが、衆議院におきましても、なるべくみな引き上げる——ということばは適当でありませんが、合格させるような配慮が必要だと、こういうふうな御意見もありますから、お話のような配慮もあり得ると、こういうことでございまして、要するに、最後の形式的の決定は試験管理委員会がやるが、それに実質的な報告その他の資料を提供するものはいまの補助者だと、そういうことになるから、いずれもお話のようなことがあり得ると、こういうふうに思います。なるべく気持ちの上で、沖繩の方もこういう資格が得られるようにと、こういう考え方は持っておるわけでございますから、結果的にはお話のような点もあり得ると、また思うと、こういうふうに申し上げておきます。
○亀田得治君 これはまあ当然なことかとも思いますが、そういう際にいわゆる政治的な立場からの配慮ですね、もう少し具体的に言うと、まあ沖繩はああいう米軍の占領下にあるわけですから、非常なやはり本土とは違った政治的な動きというものがたくさんあるわけです。これはもう一般の大衆、それから知識階級の人、ほとんどすべてがこう渦中に入っておるような状態なんですね。おそらく、私は、上がってくる人の中にはずいぶんそういう面で活動される方もたくさんあろうと思うのです。そういうことの配慮というものは、こういう扱いにしてはならないというふうに考えるわけですが、当然なことだと思いますが、しかしまあ、試験を受けるということになると、なかなかみんな人間は神経使うもんですからね。そういう点はどういうふうにお考えになっておるか、これは大臣からひとつ、大事な点だと思いますので、お答えを願いたいと思います。
○政府委員(影山勇君) その点は、司法試験と同じでございます。思想・信条によって差別するということはございません。
○亀田得治君 その試験だけでこう通っていくというんなら、思想・信条で差別しようと思っても差別できなくなるんですわね。だから非常にこれは明朗だということになる。そこで選考という段階が最終的に入ると、またいろいろ心配事も起こる。これは、普通の民間の会社の入社試験など聞くと、まあいろいろおもしろい話も聞きますよね。役所のやることでそんなことはないと思いますが、ただ選考という過程が入るもんですからね。
○政府委員(影山勇君) これは、いま司法試験と申し上げましたのは、司法試験制度の目的と同じように、結局は本土の法曹資格を与えるということでございますので、したがって、この選考でございましても、思想・信条によって区別するということは考えられないわけでございます。法律の規定から申しましても、二条で「司法試験管理委員会が本邦の裁判官、検察官又は弁護士として必要な学識及びその応用能力があるかどうかを判定するために行なう」ということが規定してあります。これを出るものではないというふうに考えております。
○国務大臣(小林武治君) いまのことは衆議院でも御質問が出ましたが、これはもうあくまでも資格をきめる問題でありますから、いまお話しのような心配はありませんと、こういうふうに私は申し上げておきます。
○亀田得治君 本法で、本土の司法試験法と同じように、第四条の三項ですね、本土のほうでは十条でしたか、同じような規定があるわけですね。これはまあとにかく一回きりのこういう法律ですし、わざわざこういうことまで入れなきゃならぬのかという感じがするわけです。どうなんでしょう。
○政府委員(影山勇君) これは仰せのようにまあ臨時的な措置ではございますが、こういう選考試験をやります上には、この取り消しとか禁止ということはやはり法文に規定しておくことが必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
○亀田得治君 本土の場合に、十条の適用された事案なんてありますか。
○政府委員(影山勇君) 特に聞いておりません。
○亀田得治君 こういう規定がなくっても、当然取り消しということはできないものですか、どうなんです。
○政府委員(影山勇君) その点、こういう不正な方法は試験の予期するところではございませんので、一体そういう試験の受験者には資格がほんとうに与えられているのかどうか。そうじゃなくて、やはりそういう疑いのある場合には取り消しをし得るのだということを法律上明記しておくというほうがベターではないかというつもりでございます。
○亀田得治君 法曹資格の試験法ですから、これに対して、何か裁判官、検察官、弁護士になろうという者をばかにしているような感じのするそれは条文ですよ。私は前からそう思ってるんですわ、十条というものを。ところが、沖繩の一回きりのものについてもこういうことが出てきておるわけですが、沖繩の人から見ると、本土の十条をそのままに持ってきたんだというふうに理解してくれりゃいいんだけれども、妙な感じで受け取りかねないと私は思うんですね。こんなことは、私は要らぬこっちゃと思うんですが、これは削除したらどうかと思ってるんです。それによって何か、かえ玉使ったり、ごまかしたり、妙なことできるものじゃないと思う、きわめて少数の方々の試験なんですから。それは日本のようにずっと毎年相当大量の人を相手にしてやっていく試験制度ということになれば、まあ念のために置いておくということもあっていいかと思うんですがね。沖繩の人たちが長い間本土と一緒になろうと、今度は一緒になるんだと喜んでるときに、どうもこういうものは要らぬもののように感ずるんですが、どうなんです。
○政府委員(影山勇君) この点は、いわば念のためのという規定でございまして、他の沖繩関係の資格の一体化に関する法律におきましても、昨年成立いたしました臨時措置——沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法という中でも、いろいろな資格免許についてこの種の規定を設けておりますので、この法案でも、もちろんこういう不正のことが行なわれることがあろうとはまあ考えたくないわけでございますけれども、規定としては他の資格試験と同じようにこういう規定を設けているわけであります。
○亀田得治君 念のためにということなら、政令なり規則なり目立たぬかっこうで置いておいたらどうなんですか、そこまで深く論議されたことではないと思いますので。大臣どうですか、あなた思い切ったことちょいちょいされるが、こんなものばさっと切ったらどうですか。
○国務大臣(小林武治君) これはいまお話しのような趣旨のことが深く検討されたわけではありませんが、まあよくおわかりのように、役人の習性としましては、よそにあれば、慣例とか、前例とか、こういうものを必ず使うのが習性と申すか、性格を持っておりますので、そうお話しのような検討を深くしたものと思いませんが、よそにあると、また沖繩についても昨年の法令にもそういう前例があると、こういうことで、まあ軽い気持ちでそういう慣行に従ったにすぎないと、こういうふうにお考えをいただきたいのでございまして、いま申すように、そういう配慮をもっとすべきだったとこういうことであれば、またそのとおりだと思いまするが、何でもほかに条文があれば同じものをみんな持ってくるということもいずれの法令でもお役所ではしておる。こういうふうなことにすぎないと思いますので、いまのような御注意はまことにごもっともだと思いますが、せっかくのことであるから、ひとつこの際は——将来はやっぱりこういうことも考えなければならぬ、ほかにあっても入れなくてもいいところは入れなくてもいいというふうに私も思いますが、今度はそういうふうな軽い考え方で入れたと、こういうふうに私も了解いたしておりますので、その辺のひとつ御了承をいただきたいと、かように考えます。
○亀田得治君 この沖繩における資格者を本土においてどう扱うかということで、日本弁護士連合会などは非常に強い態度を持っていたわけですね。しかしまあ、沖繩の方々は既律権というものを最大限にひとつ認めるような方法でやってくれという強い要求があり、両方私聞いておりますが、法務省としては、両者の意見を調和して、ここら辺というところでこの原案をおつくりになったものだと思います。それだけにまあ非常に苦労されておると思いますが、最後にこういうものが出てくると、何かつや消しになってしまうのです。ほかの官庁関係のやつはそういう条文が慣例的にあるかもしれぬが、われわれは沖繩の法曹の方を信頼しておるから、こういう一回限りの法律だからこういうものは省くというふうに出てごらんなさい。この原案についても、両方から不満があるわけですよ、若干ずつ。そういう不満も非常に解消するわけですよ。いま大臣から、まあ軽い意味でこうなっておるからというごあいさつがありましたが、もう一つそこを深く突っ込んでやっていただきますと非常にいいと思うのですね。衆議院も通るししておる関係等もあって、なかなかむずかしい話かもしれぬが、しかし、衆議院の皆さんにもよくお話をすればみんな了解してくれると思うし、少し研究してもらえませんかね。
○政府委員(影山勇君) こういう問題につきましては、ほかの資格についても、やはり立案あるいは法律のたてまえといたしましては、もし——さようなことはもちろん予期するところではありませんけれども、万一そういう場合がありました場合について、特にこれがその後ずっと本土の資格を持ち続けるという重要な問題でございますので、その合格の決定を取り消して資格を剥奪するという非常に大きい意味を持つ問題でございますので、これを法律に入れて、特に政令に落とすということでなく、この資格の剥奪という点でここに入れざるを得ないということであったわけでございます。
○亀田得治君 実際に不正な手段というのはどういうことなんですかね。かえ玉というようなことを言ったって、そんなことはちょっと、特定の人の関係ですからね、みんな名前も人柄もわかった人だし、考えられませんし、それはもう、かえ玉で成功したとしたって、さっきあなたのおっしゃったように、それは無資格ですよ、初めから。そういう方法で通ったところで、取り消すまでもないものです、そんなものは。どうもちょっと実際の場合というものを予想できないのですがね。どんなことを考えているのですか。
○政府委員(影山勇君) やはり、いまおっしゃったかえ玉であるとか、あるいは受験規則によってきめられた要件を偽っていたとかいうようなことが考えられると思います。これを、そういうものは当然無効だからと申しましても、そういうものはいつの時点から剥奪するという、取り消しということをしませんと、一般のその人の行なう法律関係の事務というものが明瞭でないというので、やはり取り消しは必要だろうというふうに考えておるわけでございます。
○亀田得治君 まあ役人さんは、実際にあろうがなかろうが、なかなかその御配慮のこまかい点は、敬服するわけですけれども、あまり行き過ぎると非常にこう失礼になる場合も出てくるわけでしてね。まあこれはこの程度にしておきます。 第七条について若干聞いておきます。この中で、終わりのほうに「同法第三条に規定する事務」、こう書いてあるのですが、この点をちょっと説明してください。「同法第三条」というの資料にはないようですし、どういう規定になっておりますか。
○政府委員(影山勇君) この「同法第三条」と申しますのは、カッコ内の弁護士法を受けまして、カッコ内の弁護士法の三条でございますが、読みますと、「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」。
○亀田得治君 そこで、いまお読みになった第三条に規定する事務を行なうという書き方ですね、弁護士の場合にはいわゆる代理行為ですね。非常に幅の広い行為なんですね。特にこうそこに「規定する事務を行なう」、これは何か、弁護士ではないのだけれども、その事務として扱わすのだというふうな感じがするのですね。普通ならば「同法第三条に規定する業務を行なうことができる。」というふうに書きますわね。これは相当何か研究された結果だろうと思いますが、ちょっと説明してくださいな。
○政府委員(影山勇君) この七条に規定する地域制限つきの弁護士——いわゆる弁護士は、弁護士法上にいう弁護士とは違うけれども、三条の一項にございます「その他一般の法律事務を行なうこと」ができるというので、弁護士の事務は行なうことができる。政令で定める範囲内でございますが、弁護士の事務を行なうことができるというつもりでございます。
○亀田得治君 そうしますと、たとえば名刺には「弁護士」というのは使えるのですか、使えないの ですか。
○政府委員(影山勇君) これは経過的な事件で、こういう弁護士にどういう名称をつけるか、あるいは弁護士という名称を与えて、この弁護士法で弁護士でない者が弁護士の名称を使ってはいかぬという規定について若干特例を設けるか、そこら辺はいま検討しておるところでございます。いずれにしても、復帰時までに、政令で定めるところによってそれを明らかにしたいと思います。これは実は、奄美群島が復帰いたしました場合に、やはり「同法三条に規定する事務を行なうことができる。」というふうに規定したわけでございます。で、その当時どういうふうな実情であったか、まだ詳細に判明いたしませんので、その点等も検討いたしまして、経過的に何らか適当な方法を講じたらどうかというふうに考えております。
○亀田得治君 政令の中でそういう点を具体的にきめたい、こういうことのようですが、これは弁護士会への加入ということももちろん必要がないんでしょうな。
○政府委員(影山勇君) これもやはり綱紀監督等の関係がありますので、まあ正規な弁護士会の会員となるか、あるいは準会員というような形になるか、やはり復帰の日までに考えたいというふうに考えております。
○亀田得治君 そういう点についての日弁連との折衝などはまだできておらぬわけですか。弁護士法の一部改正——そうすると、いずれ本土復帰までに、政令のきめ方に応じた一部改正というものが予想されると、そういうふうに理解していいわけですか。
○政府委員(影山勇君) 弁護士法の改正までに及びますか、あるいはこの政令等、日弁連の規則というようなことでまかなえるかは、なお検討いたしたいと思っております。 —————————————
○委員長(小平芳平君) 委員の異動について報告いたします。 本日、小林国司君が委員を辞任され、その補欠として大森久司君が選任されました。
○後藤義隆君 いま第七条が問題になったのですけれども、第七条の弁護士の事務を行なう人は沖繩だけでできるのであって、そうしてそれを沖繩以外の地域では行なわれないことになるが、高等裁判所に対する控訴状を書くとか、あるいは高等裁判所に提出するところの答弁書とか、準備書とか、そういうようなものとか、あるいは証拠申請書とか、そういうようなものをつくって出してやる行為はできるのですか、できないのですか。それを行なうのは沖繩で行なうのだが、事件の依頼者からそういうことを引き受けてやることはできるのですか、できないのですか。本人の名義じゃなしに——本人というのは、事件本への名義であって、その弁護士の事務を行なう人の名前じゃないのですね。
○政府委員(影山勇君) 何ぶんこの地域的な制限をつけて弁護士活動ができるという例はいままでわずかに奄美の場合だけでございまして、奄美の場合は弁護士さんの数も四名ぐらいでございまして、実際上そういう本土との関係でいろいろ問題があったようには聞いておりません。今度の場合は、いろいろそういう関係が起こるであろうと思うのです。たとえば控訴状を郵送する、そういたしますと、本土で実はその効力が出てくるというような行為は、やはり地域制限という点から、あるいはできないのではないか。ただ、刑事について控訴状は原審の裁判所に出すと、民事についてもまた第一審の裁判所に提出するということでございますので、その限度で——沖繩でその限度はできるのではないか、いまのところそういうふうに考えておりますが、この本土との交錯する問題につきましては、復帰の日までに十分検討したいというふうに考えております。
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十八分散会 —————・—————