文教委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/07/10
会議録
○委員長(楠正俊君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 五月十二日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が、翌十三日、小山邦太郎君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君が、六月一日、田中茂穂君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正雄君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(楠正俊君) おはかりいたします。秋山長造君から文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 つきましては、直ちにその補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例によりその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に安永英雄君を指名いたします。 —————————————
○委員長(楠正俊君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。 政府側から西岡文部政務次官、宮地初等中等局長、岩間管理局長が出席しております。 質疑の申し出がありますので、これを許します。杉原君。
○杉原一雄君 私のほうでは最初に給与の問題とも思っておりましたが、鈴木委員との打ち合わせの中で、鈴木委員のほうから給与の問題を集中的に質疑を続けたいということでございますので、一応私のところはこれを省略していきたいと思います。でありますので、学校公害の問題にしぼって質問をしたいと思います。 私から申すまでもなく、昭和四十二年の二月に第一回の学校の公害の調査、次に学校環境と学校衛生に関する調査速報というのをいただいておりますが、それは昨年の十月一日、そして三月にまとめられたもののように理解されます。そこでお伺いしたいことは、第一回の調査と第二回の調査に見る大きな変化、それはどういう変化があるのか。たとえば騒音による被害が学校が二倍になったとか、あるいは大気汚染の学校が三・三倍になったとか、そうしたような好ましからざる増加率を実は示しておりますし、これは量の問題でありますが、質的な問題につきましても大きな変化があるものと想定、判断されます。その点について本委員会を通じて明確にわかりやすく問題点を明らかにしていただくと同時に、時たまたま予算の作業が進んでいる段階でございますから、第二回の調査発表の時点はもうすでに予算は国会で審議されている段階でございますから、学校の設備改善とか、あるいは公害防止の施策点等につきましてはまだ私、的確な対策が許されていなかったようにも理解されますので、もうすでに四十六年度予算編成の中においてこれが施策として改善の努力が、どのような形においていま作業が進んでいるかということを実はお尋ねしたいわけです。 と申し上げますのは、私の心の中にいま描かれていることは、先般田村理事とともに千歳市の小校学を訪問をしております。そうした問題については後ほど具体的にもいろいろお伺いしたいのでありますが、この学校の管理者、市役所等は冷暖房の維持費等において非常に頭を痛めているという事実があります。高台小学校です。それから先般私の県の交通が非常に激しい、いわゆる交通騒音によって学校の授業が妨げられるというので、とりあえず市役所が二重窓の設置をやったのでありますが、この現場に臨みまして、きようもその学校は授業していると思います。確かに音は入らないでしょうけれども、非常に蒸し暑い状況の中で、北陸独特の蒸し暑い教室、環境の中で授業している子供の姿が思い浮かべられてならないのであります。これはたいへんなことであります。同時にまた、最近のこうした汚染された環境の中で教育し、育っている子供たちの姿をいろいろ思い浮かべるのであります。 ある大都会の子供がいなかに帰って、夏休みのときに大空にちりばめられた星を見てびっくりして、何かおれはじんましんにもかかるような気がするというような、大自然の姿に直接触れて実は病的なショックさえ受けているということが言われておるわけです。また騒音の中に生活をしている子供にとってみれば、騒音のないところへ行きましたら全く落ち着きを失ってしまうというような、人間のきわめて自然な感覚が非常に狂っているというような事実等も幾多子供の作文等をもって指摘されているわけです。また学校の教師の側にしましてもたいへんな苦労をしながらこうした問題に実は対処しているわけです。そうした具体的な事例等も後ほど申し上げますが、きょう大臣が出席がおそいようでありますから、当局のほうで責任ある政務次官等を通じて、いま申し上げました第一回と第二回の調査の中の大きな違いと、それに対応する行政施策について、いま努力中の問題を明確に示してもらいたい。これが第一点であります。答弁によってあと質問を続けます。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 学校に及ぼす公害の実態につきましては、御指摘のとおり昭和四十二年に高等学校以下の公立学校を対象といたしまして調査をいたしました。この調査の対象校は約四万四千校に対して行なったわけでございます。さらに御指摘のとおり昨年四十四年にも調査を行ないまして、これの対象校が約三万五千校でございます。四十二年度の場合には高等学校以下の公立学校を対象といたしております。ただ四十四年度の場合の調査三万五千校と申しますのは、小・中学校を対象として調査をしたわけでございますので、正確な比較ということになりますと若干問題がございますが、大まかに申しまして、たとえば、騒音等につきましては航空機による騒音がおおむね倍増をしているということが指摘をされます。また自動車の騒音、これも約三倍近くになっている。また軌道、これは列車その他のことでございますが、これにつきましても約二倍半程度の増加を見ている。そういうふうな点が指摘をされるわけでございます。また大気汚染等につきましても、これも倍増をしている。非常に学校環境をめぐります公害が激増をしているということが実態でございます。 また、これらの対策の問題等ですが、文部省といたしましては、学校に及ぼす公害対策の調査研究の予算を毎年度計上をいたしておりまして、四十四年度の場合、予算額にいたしまして百三十三万六千円の調査研究費を計上いたしておりますが、四十五年度これを四百二十九万円に大幅に増額をいたしまして、調査研究の徹底につとめているところでございます。 また公害関係の防止の国庫補助でございますが、四十四年度二億九百万三千円の予算に対しまして四十五年度二億二千八百四十万円を計上をいたしております。 なお、そのほかに公害、特に騒音でございますが、航空機の騒音につきましては発生源が明らかになっておりますので、防衛庁、運輸省がこれについての対策を別途行なっているわけでございます。具体的な予算といたしましては、四十五年度防衛庁が出しておりますのが約八十億円、運輸省が十二億五千万円の予算を計上して対策を立てているところでございます。 以上でございます。
○杉原一雄君 ぼくのことばがわかりにくいですか。それは四十五年度までですね。いま作業中の四十六年度は……。
○説明員(西岡武夫君) 来年度の予算につきましては、御指摘のとおり現在省内におきまして原案を検討中でございますので、まだ最終的な文部省としての来年度の予算の案は決定をいたしておりませんが、これらの調査に基づきまして、十分これに対応する対策を立てていかなければならない、かように考えている次第でございます。
○杉原一雄君 それ以上話は進めるわけにはいかないのですね。努力の方向ぐらいは、これこれの方法でこういうふうにしたいといったようなことぐらいは言えないですか。というのは、第一回と第二回の調査の結果が飛躍的な数字の増加率を示しているわけですから、これは並みたいていのやり方ではだめだと思うのです。その辺のところをもっとはっきり言い切れないですかね。
○説明員(岩間英太郎君) ただいま政務次官から申し上げましたように、ただいま検討中でございますけれど、私ども事務的な検討の段階におきましては、ことしの予算が、先ほど政務次官からお答えいたしましたように約二億三千万でございますが、これを上回るような要求が出てきております。これは予算のやりくりによりまして、一応全部公害に関するものは取り上げて、その要求を満たしていきたいというふうに考えておりますけれども、先ほど政務次官から申し上げましたように、騒音それから大気汚染等の公害が非常にふえてきておるという事実は、これは否定できないわけでございまして、これからもこれがますます激しくなってくるんじゃないかということが予想されるわけでございます。それに対応するような予算を組んでまいりたいということが一つでございます。これはいわば事業量の拡大でございます。 それから公害の場合には、教育関係と申しますのは、これは受け身でございまして、その発生源をとめるということは、これはできないわけでございまして、現実に騒音、それから大気汚染等がございますと、それに応じて子供に被害が及ばないように、その対策を立てていくということが必要なわけでございます。その場合に現在いろいろな工事をやっておりますけれども、それに対する対策というのは、非常にこれは特殊な場合が多うございまして、いわば具体的にケース・バイ・ケースで対策を立てていかなければならないというふうな点が指摘されるわけでございます。最近におきましても、ある社会党の先生から学校の騒音について御相談があって、たとえば、防音壁をつくったらどうかというような御相談があったわけでございますけれども、私どものほうの技術の者が実際に調べましたら、とても防音壁じゃこれは対処できない。むしろ校舎の位置をずらすとか、あるいは校舎の向きを変えるとか、そういうことまでも検討しなければならないというふうな結果がわかったわけでございます。そういうふうに非常に具体的な問題が多いわけでございますし、また現在先ほど先生が御指摘になりましたように、二重窓その他におきましてもいろいろそれが効果的にやっておるかどうか。また実際に二重窓をやって騒音は防げたけれども、非常に教育環境としてはよろしくないんじゃないかというふうな御指摘もございましたですが、そういうふうな問題もございまして、まだ公害対策につきましてはこれがきめ手だというものはないわけでございますので、ただいまいろいろと実際の例を通じまして調査をいたしておるところでございます。そういうものにつきましても、ある程度結論が出ましたものにつきましては、それに対する対策を考えていく、そういう考えでございます。 それからもう一つ先生御指摘になりました正常の設備を動かしますのに、市町村におきましてかなり多額の維持費と申しますか、そういうものを使っておるというふうな御指摘がございました。これにつきましてもいままで財政上の措置を十分講じていなかったという面がございますので、これは新しく自治省と相談いたしまして、新しい財政措置を講ずるということも考えてみたい。いろいろいまのところ事務的に考えを立てておるわけでございますけれども、まだ具体的に省全体にもこの問題について御意見を承るという機会がないものでございますから、今後十分文部省としての方針というものを打ち出していきたいというふうに考えております。
○杉原一雄君 問題は未来の主人公の子供に精神的にも肉体的にも直接的な大きな影響を与えることであるし、かてて加えて、せっかく教育を進めていこうとする教育効果にも大きな阻害をもたらすところの公害の問題ですから、取り組み方も穴があいたから障子のつくろいをするというような、そういう後手と申しますか、あと始末的な政策だけではだめだ、特にきのうも公害対策の特別委員会をこの部屋でやったんですが、いま非常に大きな問題として全国的にいま吹き上がっているわけです。だから文部省も背伸びをして、いまこうした問題について内閣の中で強く主張されることがきわめて適切だし、タイミングもよろしいと思いますので、勇断を持って臨んでもらいたいという期待を込めながら実は質問をしているわけです。そういう中で、実はこれは私だけの意見でございませんので、先般調査室等を通じて集めていただいた資料の中で、石川県教育委員会から四月六日付の資料が私の手元に届いております。これはもちろんジェット機あるいは自動車騒音、会社工場の汚染、粉じんの問題という原因も明らかにしながらも、結論として要望事項としてあがっている点を若干そのままお伝えしてみたいと思うのでありますが、第一点として、対象校については、先ほど政務次官の言によりますと、ことしは九千八百もたくさんの学校がということなんだが、石川県の場合でも「対象校については全額国庫補助としてほしい」と、こういう要求が第一項出ております。これに対して、できなければなぜできないか、その点を明確にしてもらいたいと思うんです。第二点として、「体育館は、講堂として活用することが多いので補助対象工事としてほしい。」できなければなぜできないのか。それから三点として、「愛知・岐阜以南の各県は、教室内の防湿工事が認められている。以北の各県についても認めてほしい。」こういう三点にわたる地方自治体としての要求事項があがっております。とりあえずこれに対する考え方をまずお聞きしたいと思います。
○説明員(岩間英太郎君) 対象校につきましての全額国庫補助の制度でございますけれども、これは現在防衛庁とか運輸省におきましては、まあ七五%から一〇〇%までの補助をいたしております。これはちょっと考え方が別でございまして、発生源が、先ほど政務次官が申されましたように、はっきりいたしておりまして、それに対する損害補てんと申しますか、あるいは損害賠償と申しますか、そういう観点からその防音工事を行なうというふうなことでございます。私どものほうは主として発生源が混合しておるような、たとえば交通機関が非常に近い、あるいは道路が非常に込んでトラックその他の騒音がまじってきているという場合に財源措置をしてきているわけでございまして、これは損害賠償というような考え方ではちょっといきにくいものでございますから、まあ公害を受けている学校に対する国庫補助というふうな形にならざるを得ないと思います。まあその場合に、これは御案内のとおり補助率は三分の一でございますけれども、その裏財源につきましては、起債が七五%、それから地方交付税が二五%というふうな一応財源措置のルールというものができておりまして、それによりまして実際には市町村のほうに御迷惑はかからないような国としての財源措置をとっているわけでございまして、まあできるだけ補助が多いというほうが、まあ単価差その他のこまかい点におきましても、心理的に申しましてもそのほうがよろしいわけでございますけれども、国として必要な財源措置をとってあれば、それも一つの行き方じゃないかというふうに考えておりますので、私どもとしましては従来の財源措置で十分ではないかというふうな気持ちでおるわけでございます。 それから第二点の体育館と講堂の問題、この点につきましては、やはりこれは石川県だけではなくて、各方面から御要望がございます。つまり講堂として使用するためにはある程度の防音工事をしなければならない、そうしなければうるさくて必要な話も聞こえないというふうなことでございます。体育館の防音というのは技術的にも、あるいは費用の面でもなかなか困難な面が多いわけでございます。しかしこの問題は確かにそういう事実があるわけでございますから、決してこれを無視するということではなくて、私どものほうで適切な方法がございましたら、その対策を検討したいと考えているわけでございます。 それから最後の、地域別格差が、防音防湿対策につきましてはある程度線が引かれておるということでございますが、これは確かに先生の御指摘のような点がございますので、これにつきましては前向きに検討するように今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○杉原一雄君 それは見解としてはそれ以上押しても始まらないと思いますが、いま石川の委員会のあれを質問する中で、ついでに防衛庁なり運輸省の問題が出てまいります。おっしゃるとおり発生源はきわめて明らかだ。われわれ公害問題を論ずる者にとっては、犯人があえて指名手配するまでもなくそこにでんとしてすわっておるわけですから、この犯人がそれに対する、賠償という概念が妥当なのかそれはわかりませんが、そのほうで、発生源者が企業であれば企業側が費用負担するということは、これはいまの世の中といえども正しいと思いますが、そういう意味で先般の北海道の視察の中で、千歳市はジェット基地でもありまして、市内にある学校、飛行場からかなり距離がかりにあっても、それは上空をしきりにF104等が飛んでおるわけでありますから、学校としてはたいへんであります。私たち見せていただいたのは高台小学校であって、これは鉄筋コンクリートで、すばらしいということが妥当かどうかしれませんが、かなり防音については完ぺきに近い二重窓なりそういう施設が整えられていることは認めております。なおかつ、それに冷暖房完備ということになっておるわけですが、その点は、見た以上私たち確認してまいったわけですが、ただ、そこで内輪話が出るわけですね。施設については先ほどおっしゃったように一級校ですから、防衛庁から相当金額のお金が出ているわけですが、さてどっこい地下室でボイラーを運転するその維持費の問題が非常に頭が痛いんですが、いま維持費の問題というのは、やはり地方自治体のまるまる負担という形にいまなっているのでしょうが、向こうの希望を言えば、その面でも見てもらいたいということなんですが、その辺のところ一応どうなっているんですか、従来。
○説明員(岩間英太郎君) ただいまお話しのございましたように、これはまるまる地方負担ということになっているわけでございます。ただ、これは仄聞するところでございますから、あるいは正確ではないかもしれませんが、防衛庁のほうとしては、これに対する維持費の予算を要求しておるというふうに聞いておりますけれども、それが現在のところ実現いたしておりませんので、全部自治体の負担になっているという形でございます。
○杉原一雄君 もう一度確認しますが、防衛庁では四十六年度を目ざしてまるまるでも、あるいは幾分でも少しめんどう見ようという努力があるというふうに確認していいですか。
○説明員(岩間英太郎君) 四十六年度の予算においてはまだわかりませんけれども、四十五年度の予算要求の際にそういうことがあったということを聞いておるわけでございます。
○杉原一雄君 そこで、聞いておるんじゃなくて、それはあなたのほうからも横からアドバイスなり、ぼくらのことばで言うと圧力をかけてもらうほうが望ましい。同時に、これは防衛庁へお願いするというたてまえは間違いだと思う。これは産業公害の場合でも言えるわけですが、発生源は企業であり防衛庁であり、あるいは飛行場であるということになれば、おのずから責任は明確なんです。でありますから、原因者負担という原則は世界のどこだって同じだと思う。日本はどうもその辺のところ、高度成長の世の中で頭が狂っているわけですからおかしいことになっているけれども、私はそういう点やはり文部省は、子供の教育の問題ですから、だれに遠慮することなく、もう少し的確にそうした行動を起こしてもらいたいというふうに実は思うわけです。同時に、去年ジェット機が金沢に墜ちたときに、いつか言ったかと思いますが、小松基地の永田基地司令の部屋に入ったのであります。基地司令の部屋に感謝状というものが上がっておりまして、その感謝状というのはどこから来たのかと言うと、小松市教育委員会から来た。小・中学校の二重窓その他の防音装置をするのにたいへん多大な援助をいただきましてありがとうございました。そんなおかしい感謝状がほかにあるかね。どろぼうにありがとうございましたなんておかしいですよ。犯人なんですよ、防衛庁は。私は財政法のことさっぱりわからぬから、めくらめっぽうのことを言いますが、防衛庁がそういう予算を取ったら、文部省が学校に出すようなことはできぬかなと思うんですよ。それはイデオロギーの問題で、また佐藤総理から笑われるかもしれませんが、イデオロギーの問題です。たいへんなことですね。そういうことで子供たちが学芸会をやって、永田基地司令を呼んで、感謝のつどいをやってみたり、おかしいじゃないですか。根本的にどこかに間違いがありますよ。だからこれは財政的な措置その他で困難かもしれませんけれども、文部省が全部もろうて、そこから文部省が引き出すようなタイプの流し方を考えていったらどうかと思いますが、これはしろうと考えであると言われるかもしれませんが、そういうことを考えるべきだと思うんです。私はそこまでいかないと問題の本質が明確にならないと実は思うわけですが、これはやぼな質問ですからお答えなくてもいいです。どうです。
○説明員(西岡武夫君) ただいまの御指摘は、私どもも全くさように心得るわけでございまして、来年度の予算の取り組み方の中で、文部省といたしましては強く要請をし、先生の御指摘のことが実現をいたしますように努力をいたしますことをお約束を申し上げたいと思います。 また、ただいまの防衛庁の予算を文部省を通じてという御指摘でございますが、これも一つの考え方として私どもも検討をしていかなければならないと思っておりますが、これもやろうと思えばできないことではないと考えます。ただ発生源としての関係者が常にこの問題に対して関心を払っていくという点から言いますと、防衛庁独自の予算化をしていくことは、そういう意味ではまたそれなりの意味があるのではないかと、かように思っておるわけでございます。
○杉原一雄君 では、私はもう一つ具体的なものに落としますが、昨年、私新潟の東山の下小学校という学校を実は公害総点検の形で、党の立場で調査団として行ってまいったわけですが、私の言わんとすることを、言わない先に宮地さんか岩間さんか、だれか行ってきた人がありましたら、その概況なり考え方をお聞きします。
○説明員(岩間英太郎君) 文部省の管理局の指導課におります事務官が行ったようでございますけれども、具体的な報告は、私ちょっと記憶にございませんので、ここでちょっとお答えできないわけでございます。
○杉原一雄君 私の手元に四十五年度認定申請一覧表というのが、これは出所が明らかでないけれども、たぶん、調査室からもらったんですが、そちらのほうから出ている資料じゃないかと思いますがね。この中に新潟県の新潟市東山の下小学校というのが、いわゆるこの防止工事補助金申請の点等が出ているわけだし、また原因はどういう状態になっているか等々についても簡単にしるされているわけですね。ただ私が痛感いたすことは、この学校は二重窓になっております。そしてまた換気扇もそなえております。しかし、私が入って廊下の窓べりのところで手をこうやって指でなでればやはりごみがつきます。この環境で子供はよく勉強しているなと思うのですが、こういう世の中ですから、こういうところで勉強して抵抗力をつけるという教育目的があるのか知りませんが、それは私間違いだと思いますね。だから問題は、いろいろな公害があって、公害デパートということばが富山県に、私の県に当てはまるそうです。この学校はまさに公害の渦の中心におるわけですね。音あり、いわゆるソ連の木材を引っぱっていく発動機船のどかどかという音があったり、日本鋼管から出る粉じん、あるいはそれぞれの化学工場から出るにおい、さまざまな公害がこの学校に集中的で、公害のそうしたデパートのまん中におるわけですね。だから、そろそろプールに子供が入る時期だと思いますが、子供らプールから上がってくると、からだはまつ黒という表現は当たりませんけれども、黒い粉じんがからだや手足に一ぱいついているというような状況がことしもあると思うのですよ。だから、端的に申せば、二重窓にするとか換気扇をつけるとか、そういうことで解決される学校ではない。この学校の別の名前はカラスの学校と言うぐらいですから、学校の外側の壁が全部黒くなってしまっている、こういう状態でございますから、根本的に教育をほんとうに考えるならば、地元のまとまった意見はぼくは承知しておりませんけれども、これは移転する以外に方法はない、このように私は思います。そういう点で文部省はもう少し的確な情勢をつかんでいただいて、しかもその際に、移転すべきだという結論に到達した場合に、これに対する対処、財政的な問題ですが、そうした問題等についてやはり指導なり手を差し伸べていただくなりということを私は実は期待したいのでありますが、いまお聞きしますと、あまり十分材料を持っておらないということでありますので、具体的な討論をかわし得ないのを非常に残念に思いますが、たいへんなことなんですが、いかがでしょうか、ここらあたりで。
○説明員(岩間英太郎君) 御指摘のとおり、まあたいへんひどい状態のようでございまして、私どもとしましては、移転の意思が新潟にございましを場合には、当然移転につきまして国の財政措置た講ずるということにいたしたいと考えております。ただこれは小学校でございまして、小学校になりますと、非常に通学等の関係がございまして移転がむずかしいという場合もあるわけでございます。まあそういう場合には、やむを得ませんから、それに必要な措置をとるということ以外に方法はないのじゃないかと思います。ただいま事務のほうからちょっと聞いたわけでございますけれども、新潟市のほうではまだ移転の計画が進んでおらないようでございますが、もしそういうことになりました場合には、御指摘のような措置をとりたいというふうに考えます。
○杉原一雄君 それではもう一つ、話はちょっと転換いたしますけれども、昭和四十五年度において講じようとする公害の防止に関する施策、これは政府の責任において出ているわけですね。いわゆる公害白書と一緒に出される形で議会に報告されるものです。公害基本法に基づいて年一回行なわれる、こういう性質のものですが、この中で学校公害というものについてどういう記述をされているかということをぼくはちょっと点検をしてみたところが、こういうことがわかったのですね。大気汚染の問題については、学校の公害として特段記載されて対策その他が明示されておらない。出ているのは騒音ですね。学校騒音対策のみが出ているのですが、その辺の対策を仕上げる場合に、文部省が、厚生省中心か企画庁中心か通産省中、心かわかりませんが、これを書き上げる過程でどのような形において参画し、なぜ大気汚染のところだけについては学校公害として特記しなかったのか。これは本の印刷費のコストの問題なのか。政策上の問題なのか。その辺のところを答弁できたら、局長、どういうことか……。
○説明員(岩間英太郎君) 御指摘ございました参画につきましては、私どもも参画さしていただいております。 それから騒音につきましては、航空機の場合のように、非常に原因がはっきりしている場合もございますけれども、大気汚染の場合には非常にその実態の把握がむずかしいという点があるわけでございます。 それからもう一つは、大気汚染の場合には、これは単に学校だけではなくてその地域全体に影響があるというふうな意味から、学校だけというふうなとらえ方がむずかしいという点、その二点があるわけでございます。その第一点の被害の状況が非常にとらまえにくいというのは、たとえば風が非常に強く吹きますと、空気が非常にきれいになるわけでございまして、そういう点からどの程度の日数あるいは時間、あるいはそのときにおける汚染の濃度、そういうものがあれば大気汚染といえるのか、そういう点につきましてまだ明確な基準と申しますか、そういうものが私どもにもないという点がございます。 それからもう一つは、これは地域全体を対象として考えていただきませんと、学校ではいい空気を吸っておるけれども、うちへ帰ればきたない空気を吸っておるというふうなことでは、やはり子供のからだの上からいたしますといろいろ問題があるわけでございまして、学校だけのとらえ方というものがはたしていいのかどうか、そういう面もあろうと思います。しかしながらこれもやはり現実にそういうふうな公害があるわけでございますから、これに対して私どもが教育という立場から問題をとらえていかなければならぬことは申すまでもございません。それにつきましてはさらに努力をしたいということでございまして、今度の白書にはその点が記載されなかったということでございます。
○杉原一雄君 そのことで、実はぼくは別なことを心配して言っているのですけれども、ある学校をたずねたら、第二回調査のときの調査票の原票を見せてくれたんです。ところがその場合に騒音の問題があって、大気汚染の問題についてその学校には調査票がきていないわけです。だからそういう調査のときに、手心、手かげんを加えるようなことを文部省がまさかおやりになっていないと思うのだけれども、いまおっしゃった意味で大気汚染の問題が今度のこれには載っていないという意味はわかりますが、調査の段階においても実態把握の面におきましてもそうした面を避けて通る、これは企業とぶつかるというようなことなどあって、あなた方、頭がいいですからそういうことを考えておられたんじゃなかろうかと、ぼくはなかなか人間が悪いですから邪推するんですけれども、その辺はないんですか、どうです。
○説明員(岩間英太郎君) そういう点は、私どものほうは毛頭やるつもりはございませんが、何ぶんにも非常に膨大な調査でございます。そこで県とかあるいは市町村の教育委員会とか手数をわずらわしてやるわけでございまして、あるいはその判断によりまして、あそこは騒音はあるけれども公害のほうはいいんじゃないかというようなことがあったかもしれません。そういう点で調査が不完全になるということはまことに遺憾なことでございますから、その点につきましても十分注意をいたしたいというふうに考えます。
○杉原一雄君 局長が申したように、それは私、学校はおっしゃればわかる、僕は行ってきたんだから。そういうデータが第二次のこういう形になって出ているということを一応頭に置いていただかないと、政務次官がたいへんだ、たいへんだとおっしゃっておるけれども、その上になおたいへんなんだ。その辺の事実を頭に置いて、四十六年度の予算編成の過程の中で学校公害の問題にどうぞ馬力をかけてもらいたいということでございます。 続いて宮地さんのほうにお伺いしますが、来年度から小学校の指導要領が改定されるわけですが、その指導要領の改定の中で、私は新しいというよりも時期的に適切だと思われることの一つには、公害問題を指導の中で提起されておるというふうに理解するんですが、どうでしょうか。
○説明員(宮地茂君) 先般来新聞の報道等で、公害についてあいまいであるとか、あるいはうしろ向きであるとかという御批判がございますが、新しい教科書を見ていただけばいままでのよりもはっきりと前向きに記事が書かれておるということはごらんいただけると思います。御必要ございますれば、まあいま持ち合わせませんが後ほど現物を見ていただきたいと思います。繰り返しますが新聞報道は私どもは間違いであると思います。
○杉原一雄君 その新聞報道ですが、きょうは切り抜きを持っておりませんけれども、新聞報道の中で公害問題を扱っておるという事実は認めているわけでしょう、新聞報道といえども。だから問題は、その中で原因者——端的に言えば産業公害の場合は企業、そうした問題に追及の手が鋭く伸びるようなところについては手控えするような一そういうことばにはなっていないかもしれませんが、何かそういうふうになっておるように書いておりましたが、そういうことはないですね。公害の発生源ですね、それを子供たちが研究する、勉強する場合には、おのずから原因追及、因果関係を追及するのは科学的態度ですから、そうした点についての、五年生ですか、社会科における教育、そうした面については手かげんを加えるようなことの表現はされていないというふうに思いますが、どうですか、新聞はそういうふうにとらえておらないわけですから。
○説明員(西岡武夫君) その点についてお答えをいたします。私も新聞その他がただいま先生御指摘のような批評をしておりますので、教科書を私もたんねんに読んでみたわけでございますが、私が読んだ限りにおきましては、意識的に企業側に立った形で公害の発生源というものを避けて公害問題を取り扱っておるという事実はございません。
○鈴木力君 関連して。いまの防音校舎のあれで、防衛施設庁から予算が出るわけですね。設計とか施工とかの責任系統はどういうふうになっているんですか。
○説明員(岩間英太郎君) 工事の責任は、これは防衛庁に全部あるわけでございますけれども、設計の段階におきまして文部省と防衛庁のほうで御相談をして、それに基づきまして実際の施工につきましては防衛庁が責任を持ってやるというふうな形になっております。杉原先生から予算をどっちへつけたらいいかというような御質問がございました際に少し検討したのでございますけれども、いまのところ技術関係の者が見た目では、技術的に問題のあったというようなことはないようでございますから、今後とも注意はいたしますけれども、防衛庁にまかしておいていまのところは技術的に問題はないということが申し上げられるかと思います。
○鈴木力君 問題がないという御答弁は、もうちょっとそういう校舎は文部省が追跡調査をしてもらいたいという私の要望にかわるわけですか。これはおとといですが、私茨城県に参りました場合に、文部省が直接やってくれればこんな設計はなかったのにと、学校の先生たちがぼやいておった例がある。それで校長さん以下、たとえば給食室とその隣の部屋の施設との間を、機らどう頼んでも防衛庁系統の工事責任者は聞いてくれない。教育という考え方ではなしにやはり防音したらいいだろうというような態度で、そういう例は私が学校を訪問する限りにおいては、そういう場合がずいぶんあると思う。だからさっき杉原委員からの予算をどっちにつければいいかというようなことになると思いますが、同じ国の金なら発生源がそちらであっても文部省が直轄でやるというふうになればいまの問題は解消するだろうと思うんですけれども、いきなり制度を直さないにしても少なくとも設計と工事の監督は文部省なり教育系統がびっしりこれを握るということをしないと、いまの欠陥は直らないのではないかと思うのです。これは実は私は前に宮崎県の新田原でもそういう例を見ておるのです。あちこちにそういう例があると思いますから、その点の御配慮をお願いしたいと思うのです。
○説明員(岩間英太郎君) 実は私も茨城県にこの前参議院の視察団にお伴いたしまして行ったのでございますけれども、そのときにはそういう話が出てなかったものでございますから、私もいままでうまく行っておると考えておりましたが、なお今年八都府県につきまして防衛庁がいたしました工事につきましてさらにそのアフターケアと申しますか、調査を私どものほうでもしてみたいと考えておりまして、その結果また先生御指摘のようなまずいところがございましたら、これは是正するような方向で努力をしたいと考えます。
○委員長(楠正俊君) 引き続いてどうぞ。
○鈴木力君 最初に、明日香村の保存の問題についてお伺いいたしたいと思うのですが、総理府の総務副長官はまだ……。 それでは文化庁の今長官にまずお伺いいたしますけれども、最近まあ飛鳥の保存につきましては総理大臣以下現地を視察なさったり、それぞれその保存の方法にあらゆる機関が努力をされるというそういう空気が出てきたと言いますか、たいへん私どもといたしましても喜ばしいことだと、こう思うのです。そこで若干お伺いいたしたいのは、長官も佐藤総理には同行なさったようでありますが、総理が明日香村をたずねまして、そして保存についての積極的な発言をなさっていらっしゃるようなのですが、しかし、明日香村の村民にとっては、具体性が何もないものでありますから、あの総理発言というものはおそらく政府の構想というふうに見るわけであります。その政府の構想が具体的にどうなっているのだろうかということが一番聞きたいところだと思うのです。したがいまして、きょうはまずその政府の明日香村保存についての基本的な構想をここで承りたいと思います。
○説明員(今日出海君) これはまだその保存する地域につきましてもたとえば明日香村、それに続く藤原旧跡というものを一緒にしてやるか、それとも切ってやるかというような問題につきましても、まだ一本の統一された計画ができていないのでありまして、ただ、総理はあの飛鳥の丘の上に立っての考えでありまして、それには保存につきまして二つの柱が考えられる。一つは、この飛鳥地域をこのままに保存していきたいものだという一つの考えから、これをどういうようにして保存するかという方法につきましても、いま文化財保護法、古都保存法という以外にまた一つの新法をもってこの保存にあてるかどうかということも、まだ新しい法律をつくるかということも未決定でございます。まあとにかく保存をしたいということと、それから保存というのは、御承知のごとく、明日香村と隣の橿原市との間にはもうほとんど接近して宅地ができております。これはもう一歩のところでこれを村の人たちが食いとめてきたという事実に対しまして、この村を保守する、外からの侵入を何とかして食いとめるという意味の保存と、それから、この姿をまあまあいまより悪くしないようにしていきたい。そういうようなもし古都保存法の特別地域にいたしますか、あるいは新しい法律を設けるか、いずれにせよ、外を食いとめるというために、外の侵入を食いとめるということ以外に、必ずそういうことをすればあるいはそこに住んでいる人々に窮屈な思いをさせやしないか、あるいはこのままの生活を維持できるかどうかというようなことが起こり得るので、そういうことのないようにしたい。いままでには文化財保護法でも、一つの宮のあとであるとか寺のあとであるとかという小さな地域を発掘したりして、その土地を買い上げたり、あるいは村の人たちとの納得づくでそこを発掘したりはしておりますが、大きな地域でいままでの生活をそのまま続けていくというような、いけるような方法、そうしてその村の人たちが法律によってはなはだしく生活が窮屈になったり縛られたりしないような法律ができないか、こういうことがまあ大体における二本の柱でございます。それを行なうには新法を制定するかあるいは古都保存法でいくかというようなことはまだきまっていない状態でございます。ただ、そういう二つの柱を矛盾なく両立させていけるかどうか、いかなければならないということがおそらくあそこをごらんになった議員の方々あるいは総理はじめ政府の人もそういうように考えておられますが、まだそこにはっきりしたことが、どういうようにするかという地域の問題と、それからいまのような法律の問題もまだ決定してないというのが実情でございます。
○鈴木力君 お気持ちはよくわかるのです。そうしてまあこまかな細案とか具体案がそう簡単にできるというふうに私どもも思いません。ただしかし、いま長官がおっしゃいましたような、確かに文化財としてあるいは遺跡として保存しなければならないし、その地域の住民の生活を脅かしてはならない。このことは現地に行かなくたってそういうことだと思うのですね。飛鳥というところがあると聞けば、それは保存が必要だ。まあ保存が必要でないとおっしゃる方はまずいないと思いますから、その点はよろしいです。それからまた、そのためには住民の生活を脅かしてはいけないよということもこれは原則なわけでして、特に明日香に当てはまる原則じゃないと私は思うのです。それが総理大臣以下村にお出かけになって、そして具体的に言いますと、いろいろな具体的な検討をするということをすでにおっしゃられておるのです。これは村民は、あるいは村民だけじゃなしに飛鳥をわかる国民全体はいま長官がおっしゃったようなことだとは受け取っていないと思うのですね。でありますから、あすこまでこうまいりますと、もう少しまあ具体的にどこの村から、あるいはどの部落どの部落までという設計はできないにしても、何によって一体住民の生活を維持していこうとするのか。それからもう一つ、長官がいまいままでの生活を維持するとおっしゃったけれども、これは明日香の村ばかりではなしに、いまの日本国民はいままでの生活を維持するという考え方ではないだろうと思う。これからさらに進んだ生活をどう開発をするかということだと思うのです。そうすると、保存と開発と住民の利益といいますか、生活といいますか、これがどうマッチするかという課題があるわけです。この課題についてはもう論議の対象にならぬ。これをどうするか、どこから手をつけてどうするかということが重大な問題だと思うのですね。そういうことについて何にも構想はないのですか。
○説明員(今日出海君) 飛鳥を守れという声は、いま御指摘のごとくほとんど国民の声といってもいいのではないかと思うのでありますが、この文化財というものに対して非常に利害というものが、こっちはこういうように残したいと思っても、いやそいつは困るというような問題が起こってきている。もう常に文化財の保存というものと開発というものは両立するということははなはだむずかしいので、万一そういうような事件が、明日香のみならず日本の方々にございますが、いまそれによりまして統一的な見解がまだできていないということでありますが、私らのほうではこういうようにしたいものだというような案がございまして、それはいまそういうものがはたしてどの程度まで通るかどうかということは、私はまだ関係の方々と相談しておりませんが、文化庁の案というものはございますが、したがってこれは公の案ではございませんからいかがか、よろしければ申し上げてもいいんですが、それは一般に通用するかどうか……。
○鈴木力君 最終的に通るかどうかというその責任を含めてまではとてもいまお伺いする段階じゃないと思います。ですから、もちろん文化庁にもし案があればその案もお示しいただきたいし、それからその案をもし実現をするためにどういう手てだとかどういう方法とか、そういう点も構想があればお伺いしたいと思うのです、あまり時間がないから。私のほうからなぜこういうことを申し上げるかといいますと、ある程度のものを示さないということになりますと、私は、総理大臣が明日香に行ったというのは、無意味というよりはむしろ害毒を流したと思うのです。明日香村というのは非常に大きなものだということで、注目を集めたことは事実ですね。しかし明日香の村の人たちは、あのことによっていま非常に動揺していると思うのです。非常に動揺している。そうしておって、それにまだプランもなければ何もないと言われてしまったのでは、これはもう明日香だけじゃなしに、国民もだいぶがっかりするだろうと思う。だから詳細な設計というのは、これはそう簡単にいけることじゃないと思います。ないと思うけれども、基本的にこうしたいということがなくして、総理大臣が行って予算も何とかしたい、法律も何とか検討したい、それから文化庁だけじゃなしに役所の名前まで並べて、ものを言うような、そういうことをやられるということはどうも混乱をされるのではないか。私は行ったことがけしからぬと言っているのではないのです。非常にいいことをした、いいことをしたならばその裏打ちを出さないといいことにならないという意味で、ものを申し上げているのです。そういう意味でお伺いするのです。
○説明員(安達健二君) 飛鳥の保存対策の問題につきましては、現在私どもなり関係省でも検討いたしているところでございまして、その方法としていまお話がございましたような、古都保存法の問題、あるいは文化財保護法の問題、あるいは新しい立法によるかどうか、そういう点の問題が一つと、それから財政的な措置といたしまして考えられますことは、一つはこの地域内におきまして、宮あと、寺院あと、その他の遺跡が多数ございます。そういうものにつきましては、積極的に計画的にこれを買い上げて整備していくということが一つございます。それからまたそれ以外の、旧跡等遺跡等ではない土地について、大きなこの保存としてやるためには、それらの地域についても住民の希望に応じて土地を買い上げていくかどうか、こういうような問題もございます。それからまたこの大きな地域というものを保存するためには、単にそのまま保存するだけじゃなくて、これを遺跡として整備いたしまして、そしてそれについて国民がこの遺跡を見て、その往時をしのぶことができるようにするというようなためには、たとえばそういう遺跡の間を巡歴するというような歩道を考えていく、あるいは飛鳥川というようなものを整備して、その川沿いにそういうような道をつくっていくというようなことがまあ当然考えられるわけでございましょう。それからまたその地域について国民が理解を深めるためには、その地域外に、地域の入り口と申しますか、地域外において、たとえばそういうものを理解するための、歴史資料センターと申しますか、そういうようなものをつくっていくとか、あるいはまたそういう地域内においてはそういう巡歴道路というようなものを中心にして、そこに至るまでのところで駐車場をつくっていくとか、そういうような整備とかいう問題、保存と整備と活用というようなことが一体となって、しかもこれがばらばらでなく計画的に考えられていかなければならない。そういうような点が今後の対策として当然考えるべき問題であろう、かように考えているところでございます。
○鈴木力君 湊副長官にお伺いしたいのですが、この飛鳥の保存は、いま文化庁からも伺いしましたし、おそらく政府の方針としても、大方針としてはそう違わないと思いますけれども、伺いますと、政府がこれをやっていくためには、文化庁だけではなしに、建設省なり農林省なり、いろいろな各省にまたがるものでありますから、総理府がこれを担当して、統一的にこの仕事を進めていくことになったと伺っているのですが、そうですか。
○説明員(湊徹郎君) 過般の閣議でそういうふうな話がございまして、先ほどから議論がございましたように、いかにして文化財史跡を保存していくかという問題、反面、村民の皆さんの立場からするならば、生活の問題もあるし、さらに開発の側面等についても、先ほど話がありましたように、裏づけを持った対策が必要であろうというふうな御意見等もございますので、関係各省にまたがる問題でございますから、私どものほうで調整役というふうな意味でこの問題をひとつ検討していこうというので、事務的にはすでに検討に入らしておるわけでございまして、総理が行かれたことについてのいろいろな御批判等も先ほどからございましたけれども、しかし、とにかく私ども民族のふるさととしての飛鳥というものを政府全体の責任でひとつうまくやっていこうと、こういうふうな立場で私ども取りまとめをさしていただこうというふうに思っておる次第でございます。
○鈴木力君 そこで副長官にお伺いしますが、これをやっていくためにどういう機構をおつくりになってお進めになられるのでございますか。
○説明員(湊徹郎君) 特に機構をつくってそれから進めるということは、現時点においては考えておりません。
○鈴木力君 それでは私のほうから申し上げたいのは、先ほど以来住民の生活ということがおっしゃられておる。私どもも相当これは重視しなきゃいけないと思う。それから、その地域の開発という問題がございます。そうして、保存という問題が、どなたがやっても非常にむずかしい問題であることは間違いないし、またやらなければならないことでもあります。そこで、やはり総務長官が取りまとめをやっていただく場合に、各省間の取りまとめはよくわかるのでありますけれども、地元を入れるというお考えはございませんか。要するに、明日香の村民を……。 私も明日香に二回ほどおじやましているんですけれども、どなたにお会いしても、保存しようという意図は非常に強いと思う。飛鳥は保存は要らないんだという村民の方は、まずいらっしゃらないのだと私は見ました。その中で、やっぱりおれたちも生きるんだという、その中で悩んでおられるわけですから、そういう代表を入れながらあるいは奈良県も入れ、地元明日香村の代表も入れる、そうして政府も入れるというような、そういう一つの何かの機構なり機関をつくって、具体的に作業を進めていくというところにもう入っていくという考えはございませんでしょうか。できれば、そういうものをつくっていただきたいと私は希望しているんです。
○説明員(湊徹郎君) 山中長官の気持ちも、いろんな角度からの御議論があるんだけれども、やっぱり村自体ないし奈良県の地元の直接行政にタッチされ、また村民等の生活を、村民等の意向を代表されるような立場の人の意見というものは、相当強くやっぱり入れていく必要があるんじゃないか、こういうことをきのうも実は相談しておりましたし、明日香の村長さんもまたまたまおいでになりましたので、それを反映させるような相談の場といいますか、これは各省庁これから相談して、早急に御趣旨に沿うような形でやってまいりたいというふうに思っております。
○鈴木力君 そこで、もう少し伺いたいのは、これは実は私の偏見かもしれませんですけれども、さっき私は、明白香の村民が動揺しているということを申し上げました。動揺しているということを申し上げたのは、これは今度のことというよりも、いままでこの文化財保護の行政と村民の生活との間に、どうもいろいろ相克があったというのか、矛盾があったというのか、何か村民は指定されることはありがたいけれども、制約のほうが先に来て、制約だらけだという感情が非常に強いように思うんです。 文化庁の長官にお伺いいたしますけれども、たとえばいま飛鳥寺ですか、飛鳥寺と思いましたですが、あそこの中にまだ残っている、許可をしないけれども、その後建物が建っちゃったというところがある。ああいう問題なんかが明日香の村民にどういう影響を与えているのかといいますと、お寺さんなんか許可されないでも建てていいというなら——これは前に役場におられた方の話なんです、おれだって一生働いて退職金も出たし、うちをつくろうと思ったら、おれの分だけ建てちゃいかぬ、お寺さんだけ建てているというのはこれはおかしいという話が出ておりました。そんな話がたくさん出てくるのです。 そこで、私が伺いたいのは、いままでの文化財行政に対する予算のつけ方といいますか、かけ声とそれから金の裏づけというのは政府は非常に違っておったのではないかという感じがするのです。たとえば、明日香でビニールハウスをつくっちゃいかぬということを言われた人があった。県の方に聞いてみたらば絶対つくっちゃいかぬというのじゃなくて、景観に見合うようなビニールハウスをつくれと言われた。そうしますと、そういう制約に合うようなビニールハウスをつくるには、何らかの補助がないとやっぱりできないわけです。それから、ある製材工場の方が製材所をつくりたいと、近代的な機械を入れてつくりたいのだけれども、ここに入れると景観をこわすからだめだ。しかし、多少金をかけると、移転をすればできないわけでもないけれども、その金がないというような、そういうところにほんとうに保存しようとするなら、いまある問題を、まず現在起こっておる問題を、大きな構想もさることながら、それを少し予算をつけてもらって、文化庁がそれぞれの手当てをして、だいじょうぶ行けるという道を切り開くことが先決ではないか、こういうふうにも考えるのですけれども、その辺についての御見解はいかがなものですか。
○説明員(今日出海君) 全く御趣旨は、ふしぎなくらい同じ考えを持って明日香をやろうと思っておるのでございますが(笑声)たとえばいまのお話で、飛鳥寺の問題、私は、断じて、あのような休憩所をあの場所に建てていいと申したことはございません。こっちが金を出してもあれを取りこわしたい、あるいはそれを別な土地へ運んでいきたいというくらいに強い考えを持っておりまして、全く私のほうでこれはよろしくないと言ったのに、あれは建てたのでありまして、それを私はずるずるに許可する気は毛頭ございません。 それから、いま動揺ということは、これは私、たびたび太宰府の問題もございまして、あそこの農民とほんとうにひざを突き合わせて野らで話し合ったこともございまして、いま太宰府のほうでは問題がなく、非常に協力してもらっております。そのくらいの経験で申しちゃなんでございますが、それは多少の反対者もございましょうが、できることなら、あれだけ明日香村民が、あの急激な開発の侵入に対しまして守ってきたということは、相当強力な意志と誇りと強さを持っておるものだと私は思うのであります。これは、これからも、いまおっしゃるように、まあ村役場でいろいろな意見をまとめてもらうとか、あるいはこっちからも参りますし、また太宰府のように、問題がありますれば私のほうへどんどん直接に言ってこられるがいいと思うのです。そうして、一人の意見でも私は十分耳を傾けて、その生活を束縛しないということと、それからもう一つは、いまのビニールハウスの問題ですが、私は、ビニールハウスはいけないというような考えは持っておりません。つくればつくるし、またそれに金が要るようなことがあれば私らのほうの予算で、そんなに莫大なものでもございませんし、何とかそういうこともいたしたいと思うのです。また家の改築とかそういうようなものもなかなか束縛があると思いますが、それは改築したり広げたりするということは差しつかえないのでございます。ただ屋根の色でも、あの辺はたいがいかわらなんですが、赤いかわらだの青いかわらというのをやると何だか不自然じゃないか。赤とか青は安いんですね、普通のかわらよりも。安いほうをとるのは当然じゃないかといえば、普通のかわらがよければ普通のかわらの値段の差額を何とかしてそれはいたします。そのようにして多少法律で束縛されることがあるということは手続の問題で、手続だけのことならばあとの始末はわれわれのほうで何とかいたしまして、いま予算をつくっておりますが、いままでの太宰府の問題から類推しまして、何とかやれるんじゃないかというように考えております。で、村役場からもいってくるし、こっちからも絶えず人をやって、村民の話を聞きたいと思っております。しかし、それでもなかなか手落ちのあることもございましょうから、いまのような話を承ると私は非常に逆に心強いような感じがいたします。どうかこれからも、態度はそのようでありますから、よろしく。
○鈴木力君 最後にもう一つだけ申し上げますが、やはり一つの遺跡を保存という考え方と、生活を維持する考え方があるんですけれども、どうしてもやっぱりいまのあれですから、新しい生活を求めるという意欲が非常に強いわけだと思うのです。したがいまして、あそこは農村でありますけれども、この村の経済の将来をどういう構想をと聞きますと、どこかには何かそこの地域にも間に合うような工場誘致なり、工場というものをぜひほしいのだという声がやっぱり強いと思うのです。そういうように私は印象づけられておるのです。そういたしますと、あの村だけじゃなしに藤原も含めてもいいと思うのですけれども、もちろん外部から入ってくる侵入は防がなければなりませんが、その中でも新しい一つの村づくりということがどうしたってないと保存には結びつかないんじゃないかという感じが私はしております。さっきビニールハウスの話をいたしましたが、あれはたぶん誤解があるように私は見てまいりました。それはいままでの文化財保護というのは制約ばかり多いものですから、何か言われるとこれもやられたぞというふうなそれが非常に多いようにも見受けますけれども、そういう例もずいぶんあるようで、あるいは家は建てたが農作業の小屋を建てる場所に文化財があって、そこに建てちゃいけないということになるとか、そういう個々の問題がたくさんある。その個々の問題が解決されないまま、総理が行って網をかけたとかいう話が出るものですから、これは大ごとだぞということになっていると思うのです。そういう個々の問題の解決にまず文化庁が、政府が強力なバックアップをしながらでもやるということが先で、そうして政府全体が村を入れた一つの機構をつくって、そうして保存計画というものがほんとうに具体的に動いていかないと、いつまでも構想がありません、原則だけやっておけと、総理何しに来たという声のほうに逆になる。これでは私は文化財保護行政はプラスにならないでマイナスになると思いましたので、お伺いをしたわけです。
○説明員(今日出海君) 工場の問題が出ましたが、私は工場の種類にもよると思いまして、あそこでいま考えられているような工場ならば私は差しつかえないのじゃないか。できるだけ村民がそういうような、たとえば製材所であるとか、あるいは時計工場のようなものならいいのじゃないかと、向こうのほうで遠慮してそういうようなことを言っておりますが、私はそれは一向差しつかえないと、ただ建てる場所の問題でございまして、それをひとつこれから、もしそういうことが具体化しそうならば一緒に相談してみようと思います。それもけっこうだと思うのです。ただ非常にまあ役所は何となくいままでは、悪かったかどうか知りませんが、誤解を受けて、石舞台なんというような、あれはお墓のわけなんですが、どうですか、名前が石舞台なんというと、必ず来た人があの上に乗るのです。乗るなと言っても、これしょうがないのですけれども、あの上でみんな弁当を開いてビールを飲んでそのままにして帰るというような状況なんで、何とかあそこにあまり乗って一ぱい飲んだり何かしないようにしてほしいと、下のほうがすっかりくずれてくるおそれもあるので、そういうようなことを言ったところが、たとえばあそこに登らないようにという立て札を立てるとか、あるいはさくでも立ててやるというような、それはその場で皆さんのいいように考えてほしいと、こういうように申したのですが、新聞を見ますと、文化庁はあそこへ立て札を立てて人を入れないようにしていると書かれたりしておりまして、はなはだ私不徳のいたすところでどうもそういうように書かれてしまったり、とられてしまいがちでありまして、私は、あそこに関してばかりじゃない、いろいろな面でそういう誤解のないように、もう少しこまかい話し合いをして両方で納得ずくでやりたいというのが今度の方針の一つなんでありまして、また気がつかないところがありましたらどうか御指摘願います。
○鈴木力君 それでは、いまの飛鳥につきましては、文化庁は制限のほうは手っとり早く、スピードがあるけれども、予算をつけて何かの補助をするというときには非常にテンポがおそいという評判もありますから、そのテンポを逆にされるとさらに大事業が推進するのじゃないかと思いますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 あと、賃金について若干伺いたいと思います。 公務員賃金についてまず湊副長官にお伺いいたしますが、新聞だけの知識でありますからよくわかりませんけれども、何か政府が研究職の給与について閣議で何か御決定をされたという記事があったように見たのですが、もしあればその内容をお聞きいたしたいと思うのです。
○説明員(湊徹郎君) 閣議の事項でございますので文部大臣のほうから。
○国務大臣(坂田道太君) 私ども文部関係の給与の問題については日ごろ関心を持って……。
○鈴木力君 ぼくは文部大臣に聞いているのじゃないので、文部関係じゃなくて、総理府の総務長官の代理でいらっしゃいます副長官に、政府全体の公務員賃金について要するに公務員賃金担当大臣の総理府総務長官であるから伺っているわけです。国家公務員の全体の研究職の給与について閣議で申し合わせをされたという記事を私は見たのですけれども、あればその中身をお伺いしたいということです。
○説明員(湊徹郎君) 閣議事項でございますので文部大臣からと申し上げたのでありますが、閣議において、特に技術職員と一般の事務職員と比べて、技術職員の処遇について非常に格差があるじゃないか、特に研究職等についてもなかなか昇進の道その他現在の給与の体系上ちょっと開きがある、これをやはり昇正する方向で検討をしてみる必要がありはせぬかというようなことが閣議の話題になったことは事実でございますけれども、それについては一応、従来、人事院の勧告に基づいて処置するというのが政府の方針というたてまえもございますので、いずれも人事院総裁と山中長官の間でひとつそういう話があったということをいろいろ御相談していこうではないかということで、申し合せとか、決定とか閣議了解とか、そういう形ではございません。
○鈴木力君 それでは人事院の給与局次長さんがおいでになっていらっしゃいますのでお尋ねしますが、人事院に対して政府各省からいろいろやはり給与についての申し入れがあったように、これも私は新聞で見ただけですから正確なものはわかりませんが、見ておりますので、どの省からどういう申し入れがあったかお尋ねいたしたい。
○説明員(渡辺哲利君) お答え申し上げます。 給与に関する各省の御要望は非常にたくさんございまして、連日のようにいただいておるところでございます。各省全般を通じます御要望といたしましては、各省の人事課長会議から各省共通の問題として御要望をいただいておりますが、そのおもな内容につきましては、採用が非常に困難だということもございまして、初任給の大幅引き上げでございますとか、あるいは中堅職員の中だるみ傾向を是正してほしいというようなことを中心といたしまして、なお、その他諸手当のいろいろな部分にわたって御要望がございます。 なおそのほか各省といたしまして、たとえば医師の給与でございますとか、あるいは看護婦さんでございますとか、あるいは警察官、それから文部省からは教員、その他科学技術庁からは研究者、全般を通じましていろいろな御要望を承っております。 なおそのほか、各省の直轄研究機関でございますとか、いろいろな機関がございますけれども、そういうところからもいろいろと御要望をいただいておりまして、全部をながめてみますと、本俸あるいは手当全般にわたりまして、ほとんど全体についての御要望があるというふうな状況でございます。これらの御要望につきましては、私どもとして十分謙虚に検討させていただきまして、今回の勧告の中でいろいろと検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○鈴木力君 私がこれを伺いましたのは、いろいろ見方があるだろうと思いますけれども、各省ともそれぞれ自分のところの所管職員の賃金については相当研究が進められているんじゃないかというふうに見るわけですね、いまのようなことで。 それから、あとで文部大臣に伺うつもりですけれども、文部省でも相当詳細な御意見も出されているように思います。私はこれは非常にいいことだと思うのですけれども、この際、人事院総裁がいらっしゃらないのでちょっと申し上げにくいのですが、あるいは総理府の総務長官がおいでいただくとありがたいのでしたけれども、公務員賃金の決定の仕組みについて、これは湊副長官よくお聞きおきいただきたい。再検討する時期にきているんじゃないかという感じを私は持つのです。要するに、文部省にしても、あるいは厚生省にしても、農林省にしても、それぞれ所管の職員の賃金についてはもう相当権威がある意見というものを、権威があるかないかという見方もありますけれども、相当研究が進んでいるし、その研究する機関もそれぞれできかかっておるわけです。そうなってくると、いままでのような公務員賃金、回りくどいことよりも本来各省ごとに賃金を決定するというようなシステムに検討する時期がきているんじゃないか、こう私は考えるのですけれども、総務長官の御意見はいかがですか。もしあれでしたら、総理府として、公務員給与担当の省として、この点については御検討をしていただきたいという御要望でもしておきますけれども、どうぞこれはひとつ検討願いたいと思います。 なお人事院にちょっと伺いますが、これも新聞ですけれども、内閣委員会等でも質問がありまして、人事院からの御答弁もいただいておるようでありますが、ことしの勧告につきましては相当大幅な勧告がなされる見通しであるという答弁を総裁からいただいておるようであります。巷間一二・五%というのが、これは公労協の賃金等からいって相場であるというふうに見られておるわけですけれども、一二・五%は下回らないというふうに、われわれもいまそう見ておってよろしゅうございますか。
○説明員(渡辺哲利君) 今回の給与改善の上げ幅の問題でございますけれども、御指摘もございましたように、民間の動向は労働省の毎勤の結果、あるいは今回の民間の春闘の結果等を見ましても相当に昨年を上回っております。また公労協の裁定につきましても昨年を上回った結果でございますので、今回私どもが現在やっております調査はまだ結果が出ておりませんので、まだ何とも申し上げられませんけれども、おそらくそれは正確にそういう民間の状況が反映されるだろうというふうに期待をしているわけでございます。そういう意味で総裁も大幅かつ高額というふうに答えられたことと存じますが、ただお話のございました十二・五を上回るか下回るかという点につきましては、まだ私どもの調査結果も出ておりませんので、それはどうなるかまだわかりませんが、いずれにいたしましても高額かつ大幅であるということは私どもも期待をしているところでございます。
○鈴木力君 人事院からそういう勧告が出れば政府は直ちにことしはそのとおり実施するという方針であるというふうに伺っておりますけれども、間違いございませんか。
○説明員(湊徹郎君) 間違いございません。勧告を尊重してそのとおり実施をいたしたいというふうに再々確認をいたしております。
○鈴木力君 先ほど私が公務員賃金の決定のしかたをもう抜本的に検討する時期がきたではないかというふうに申し上げて御検討いただきたいと申し上げたのは、そういう段階を迎えまして、思えばいままでは人事院の勧告の処理につきましては、どっちかというと実施期日にしぼられたみたいな形で、考えてみますと、およそ十年間かかってやっと完全実施ということにきておるわけなんですが、政府が自分のつくった人事院を初めて一人前にしたのが十年かかったということになると思うのでありますが、しかし一方は、そういう問題は一応一つのところに到達をいたしまして、さっき言いましたように各省の賃金の研究というものは相当進んでおる。そうなってくると、公務員賃金の決定という問題はやっぱり新しい一つの段階を迎えるだろうと、こう思うのです。そういう意味で御検討願いたいと、こう申し上げたいわけであります。 そこで、このあと教育職の給与について若干伺いたいのですが、まず文部大臣からいろいろ人事院にも申し入れをなさっているようでありますが、この教育職の給与についての基本的なお考えをひとつお伺いいたしたいと思うのです。
○国務大臣(坂田道太君) 実は七月の三日、私、次官、その他関係の局長等を帯同いたしまして、人事院総裁にお目にかかりまして私が冒頭に申し上げましたことは、今日、文部省としては教育制度の抜本的改革というものをやっておる、中教審においても大学に関する中間報告をもらっておる、また幼稚園から大学までの全体の制度改革についても試案が発表され、この秋ごろまでには中間報告をもらえるだろう、さらには来春四月、五月には両方の最終答申を受けるということになると思います。しかし、これから大学改革をやり、あるいは幼稚園から大学までに至る制度改革ということを本格的に取り上げ、これを具体的にはかっていく場合に考えることは、やはり教育界全体に、下は幼稚園から大学までよき人材を吸収することだ。ところが最近の目ざましい経済成長につれて、産業界が非常に著しい発展を遂げておるがために、ともすれば人材がそちらのほうへ流れていく。これは特に文部省だけじゃない、公務員全体についても言えるのじゃないかというふうに思います。特に教育が将来の民族の運命を決定する大事なものであるということが今日叫ばれ、またそのような認識を国民全体として持ち始めたこの段階において、やはり抜本的なひとつ給与改善というものをやる必要があるのだというふうに私は考えます。それについては、ひとつ人事院においても十分このことをお考えいただかなければ、幾ら制度改革をやりましても、それが実を結ばないというふうに考えて、実は私のこれからの運びといたしましても給与問題は一つの大きい柱として考えていくつもりでございます。当面の問題もいろいろありますけれども、私は、これからはやはりよき人材をこの教育界に定着させるということをまず申し上げますということを申し上げました上で、実は大学関係、あるいは高等学校以下の問題についてお話を申し上げたわけでございます。大学関係で申しますと、一つは学長給与が五段階に区分されておりますのを三段階程度にするということ、これはまあ当面の問題でございます。教授の指定職の適用範囲を拡大するとともに、教員について初任給及び中堅層を中心とした俸給の引き上げをはかるということ、二番目には高等専門学校関係でございますが、校長、教員を大学教員に準じたものに改善する。
○鈴木力君 基本的に、いまの大臣の御答弁を伺いまして、そういう方向でいってもらうことを私どもも考えております。 そこでもう少し伺いたいのは、現状につきまして、これは人事院にお伺いしたいのですけれども、いま大臣がおっしゃいましたような、文部省とすると広く人材を集めるために抜本的に給与改定をしなければいけないとお考えになっています。ところが今日の教員の給与の体系について、いまのような点から言うとだいぶ私はやはり問題があるように思うのです。人事院として御検討なさっていらっしゃるならお伺いいたしたいのは、一つは教育職というのは免許職であるということですね。大学を卒業して免許を取得する職務でありますから、そういう免許職であるという点がいまの教育職の給与体系にどこに出ておるのか、あるいは今度の勧告ではどういうふうに実現をしようとしていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
○説明員(渡辺哲利君) 教員の給与につきましては、いま御指摘もございましたように、免許職でございまして、しかも大学を出まして教員になりますと、すぐその日から一人前の仕事をするということが一つの特徴でございます。なお一般行政関係でございますと、最初に入りましてからだんだん年がたつにつれまして地位も向上していくというようなことでございますが、教員につきましてはそういう段階が非常に少ないということも一つの特徴でございまして、そういうことを反映いたしまして現在の俸給表につきましては等級の数も少ない、かつ同じ等級の中で非常に長い号俸を持った体系をとっているわけでございます。私はそれはそれなりに教員の職務と責任を反映している体系であろうというふうに考えております。したがってそういう意味で、たとえば免許状を得て即日から一人前の仕事をするというようなところもございまして、通常の行政職の大学卒に比べまして、初任給部分で通常の者に比べて、二号とさらにその上に一定の金額を上積みをいたしまして、初任級辺を一般行政職に比べて高めているわけでございます。ただ御指摘もございましたように、教員の教育の仕事そのものは、国の発展に非常に重要な基礎をなすものでもございますし、また昨今公務員全般、特に教員につきましては非常にその確保が困難であるというような事情もございますので、そういう点も今後十分考慮をいたしまして、今後の勧告におきまして十分そういう点を配慮いたしまして、検討を加えていきたいというふうに考えている次第でございます。
○鈴木力君 それで、いまのおっしゃった点もわかるのですが、私は何も教員だけが国に重要な仕事をやっているというつもりでものを申し上げているわけじゃございませんで、どの公務員もそれぞれが重要な役目を果たしているわけであります。その中にただ免許職という一つの特別の関係がある、それからいま次長がおっしゃったような責任の度合いというのは初めから同じであります。そういう点の配慮というものはやはりなされてしかるべきであろう、そういう点ではいま初任給プラスアルファということ、二号プラスアルファ、初任給についてはあとで若干申し上げますが、もう一つの問題は、ちょうどことし勤続十七年になる教師は、新制大学の卒業なんですね、前の師範学校制度の制度じゃなしに、新しい制度ができた卒業生がちょうど十七年になる、この十七年を経過した者の給料をいま比較してみますと、ちょうどいまのベースで教員のほうは七万二千百円、ところが一般職のほうは四等級の九号と見て、たいていは三等級になっているようでありますけれども、下のほうの四等級の九号と見ても七万四千二百円、この間に二千百円の差がある。私は平均とる間がありませんので平均をとらないから、分布がどうなっているかわかりませんけれども、何でも多くは三等級の五号になっている方が多いようです。課長になっている方が多い、十七年たちますと三等級の五号になっておりますと、私が見ますと七万五千三百円、ここで三千二百円の差が出てくる。大学出て免許職でそういう条件のものが十何年たてばクロスするとかしないとか、職員たちの議論はありますが、それは別といたしまして、十七年たつと三千幾らというのが、教育職員は下回らなければならないというこの理由について、私はどうもよくわからぬ。こういう給与体系については、人事院としてはどういうお考えをお持ちなんですか。
○説明員(渡辺哲利君) ただいまの教員の給与体系の上で十七年は確かに御指摘のとおり新制大学卒が現在そこまで到達しているところでございます。従来は師範学校であった者が新制大学に切りかわったということで、その時点をだんだん追いかけまして、その交差するところをだんだん従来伸ばしてきておったわけでございます。現在大体十七年ぐらいをめどにしているわけでございますが、その場合に行政のほうのどこと比べるかというのがいろいろ問題のあるところでございます。行政のほうが三等級までいっているのか、あるいは四等級なのか、あるいは五等級なのかといういろいろな問題がございますが、行政の場合には必ずしも全員がその時点で四等級なり三等級になるというものではございませんで、その間にいろんな選択行為が行なわれまして、三等級もあり四等級もあり五等級もあるというのが実情でございます。ただ教員の場合には免許所有者という点もございますので、その点も今後十分考慮いたしまして、それらの関係について最も適正だと思われるような方向でいろいろ検討いたしまして改善をはかっていきたいというふうに考えている次第でございます。
○鈴木力君 文部大臣にちょっとお伺いいたしたいのですが、前の剱木文部大臣が教員の給与についてやはり抜本的に考えなければいけないということをおっしゃったことがあるのです、委員会で。いま速記録を持っていないから正確なことはわかりませんけれども、剱木文部大臣がおっしゃったことは、階段制をとりまして、初任給を相当大幅に高くしておいて、これは給与法の精神を相当に取り入れるわけです、責任の度合いと労働の量ですか質ですか、それをみなして。それから数年は平らにいってまた階段になっている。階段で上がる型をまず当面取り入れたらどうかという御答弁をなさったことがある。非常に私は一つの進んだ考え方だと承っておるのですが、文部省はあの剱木大臣の案というものを捨て去ったのですか、生かして検討されているのですか。どういう状態なのですか。
○説明員(宮地茂君) いまの鈴木先生のおっしゃる剱木元文部大臣のそういう御発言、私どもも承っておりますが、それを受けまして、文部省といたしましては、昭和四十三年それから四十四年度、まず教員の給与の実態はどうなっておるか。ただ文部大臣だけが自分のお考えを申されても、やはり関係省庁いろいろ協議も要りますので、やはり十分実情を把握して、しかる後に剱木大臣の御構想なりまたそれ以上の構想を打ち出すのがやはり関係者を説得するのにもよいであろう、そう考えましていま作業を進めておるところでございます。
○鈴木力君 どなたかくしゃみなさっておるかもしれませんけれども、その作業はわかりますが、私は基本的にいまの問題については、制度上からいいましてもこれはほんとうに考えていただきたいと思うことなんです。これは人事院に対してもあまりどうこうと言えない。というのは、人事院は国家公務員が対象の役所でありますから、そうすると、たとえば小・中学校の教師を対象にいたしますと、人事院の直接の担当の教員というのは国立大学の付属しかありませんから、ほんのわずかしかないわけです。そのほんのわずかを調査の対象にしての給与体系というものは非常にむずかしい状態にある。ところが地方の人事委員会は、これはロボットというと叱られますけれども、給与の勧告は人事院が勧告を出して、それですぐ右にならえのものを出せばまだいいほうなんでして、政府が実施期日をきめるのを待って、それから勧告するというような、それほどの状態に落ち込んでおりますから、いまほんとうに教育職に見合った教員の賃金はどうなければいけないかということを、そうは言っても人事院は心配して調査はなさっていらっしゃいますけれども、機関としてはいまはないわけです。そうしておいていま私が申し上げた、たとえば十七年たちますと、もう二千百円から三千二百円ぐらいの差が一般職と違ってきている。私は賃金だけではなしに、明治以来の伝統である教員は役人の下であるという一つの思想が、この教員の給与体系にも生きているのではないかというふうにさえ思うのです。先ほど説明されたように、免許職であるから初任給は上げますと、りっぱに見えます。りっぱに見えるが、どうせ何年かたつと役人は課長だ局長だといって、ずっと偉くなるんだ。教員はある程度以上給料は上がっちゃいかんのだという給与体系になっている。これでは文部大臣が人材を集めようとしても、これは中途はんぱの人材しか集まりません。学校の先生になったのでは、月給は途中までしかいかないからならないという者が出てくる、こういう面で給与体系の抜本的な検討というものを私はぜひお願いしたいのです。人事院でもいまのような立場で、今度の勧告では、体系上は相当のものを取り入れていただきたいと、こう思うのです。私はそういうひがんだものの言い方をしましたけれども、こういう考え方についての所見を大臣から伺いたい。
○国務大臣(坂田道太君) 私が先ほど申し上げましたように、今後人材を確保するためには、やはり抜本的な給与体系、特に教職員としての職務にかんがみた給与体系を考えてほしいと、またわれわれ自身としても、そのために三カ年にわたって検討してきているということでございます。でございますが、そういう一つの将来というものを考えた場合に、現在の人事院の仕組みにおいても考慮できる部面があるのではなかろうか、あるいは中だるみの面等々においてやれることは、ひとつ今度の勧告においても実現してほしいというのが、先ほど申し上げました気持ちでございまして、鈴木さんのお話と、私の話とは大体一致しているのじゃなかろうかというふうに思っております。ただ、これをどうやって実現していくかということを、いま苦慮し、また努力を重ねているというふうに御了解いただきたいと思います。
○鈴木力君 そこで文部大臣にもう少し伺いたいのですが、何かさっきもちらっと出ましたけれども、文部省の中に教員給与問題研究協議会とかというものをつくるということが新聞記事にあったようですけれども、この構想はどういう構想ですか。
○国務大臣(坂田道太君) そういうような考え方でもって進めたいと思っておりますが、まだ人選をいたしておらないわけでございます。
○鈴木力君 その人選はまずあとにしまして、構想はどういうことですか、ただ無差別に人を集めて協議会をつくるというのか、人を集める母体を考えていらっしゃるのですか。
○説明員(宮地茂君) 先ほど私も大臣も申しましたように、文部省としましては、教員給与改善を抜本的にいたしたい、そういう前提のもとに諸般の調査研究をいたしております。ただ研究というより、いままではある程度の資料集めといったようなことで、昨年、一昨年調査しましたものもその一つでございます。したがいまして、そういう資料を集めまして、その次の問題としましては、この資料だけではできない問題、先ほどから先生がおっしゃっておられます免許職としてはどうしていくか、さらに大学を卒業して採用されて、直ちに一般の教員と同じ、いわば、一人前の働きをするということであれば、どのような初任給にすべきかとか、要するに資料に基づいていろいろ研究すべき問題がございます。現在のところ資料集めがほとんど終わりまして、これからいよいよ研究に入りたいということで、先ほど大臣がおっしゃいましたようにまだ人選もしておりませんし、また新聞で伝えます教育問題研究協議会という名称にすることも考えておりません。ともかく資料ができれば早急につくって、一刻も早く関係者の御協力で結論を出したい、そういう考えでおります。
○鈴木力君 それじゃまだだそうですから、このままにいたしまして、あと、文部省が人事院に申し入れした事項について、大筋からいうとだいぶ教育職の待遇について配慮されているということはよくわかりますし、そういう方向でひとつなお文部省もさらに御努力を願いまして、ただ、さっきの研究協議会というようなことで文部省が人選をして一つの機関をつくるということになってくると、私はやはりいまの給与制度からいって、さっき言いましたようにそれぞれの省がそれぞれの給与を決定するというところに移行する、そういう方向でやるということであれば私も賛成なんですけれども、そういうことでなしに、そういうところからまた人事院をこういうような諸機構——いろいろ疑念があると思います。これは将来いろいろ検討を要する問題だと、こう思います。 なお、人事院に申し入れした中で若干お伺いしたいのは、そうたくさんはございませんけれども「実習助手について」これはわれわれもいまの実習助手の待遇は改善をしなければいけないと、こう思っておりますから、そういう点でこれもよくわかるのでありますが、ただ、言われていることの中に、こまかいことかもしれませんが「昇給曲線をひきおこすこと。」と、こういう表現があるのです。この「昇給曲線をひきおこす」という意味は、どういうことを人事院におっしゃったのか、ちょっとこまかいことですけれども、お伺いしたい。
○説明員(宮地茂君) これは、ことばをかえて申しますと、昇給間の差額が少ないからもう少し昇給間差額をふやして一号から二号はもう少し高く上げるように、そういう意味で、グラフに書けば昇給曲線がこうなっておればもっとこうぐっと高くなるようにしてほしいという意味で書きました。
○鈴木力君 わかりましたが、それなら実習助手の中にいま免許状をとっている者もあるのです。それからまさに免許状をとらんとしている者もある。そこまでいくのであれば、二等級のわたりをまず考えたらどうか。これは技術的な問題です。これは私のほうからひとつ御要望申し上げておきます。 その次に「教頭等について」というのが一つあります。だいぶこれは分量が多い。そこで伺うのですが、この教頭というのはどの学校に教頭がいるかちょっと伺いたい。
○政府委員(宮地茂君) 小学校、中学校、高等学校にはほとんど全部といってもいいと思いますが、校長の下に教頭がおります。
○鈴木力君 その教頭という職は、何法の何によっておりますか。
○説明員(宮地茂君) 学校教育法施行規則に教頭の規定がございまして、それに基づきまして発令いたしております。
○鈴木力君 私が、聞いたのは、法律を聞いている。
○説明員(宮地茂君) 学校教育法に基づきまして学校教育法施行規則ができております。その学校教育法施行規則に書かれております。
○鈴木力君 それは理屈でよくわかりますけれども、そういたしますと、施行規則で教頭というのがあると、それでよろしゅうございますね。わかりました。今後法律に教頭を入れなければならないなどということはおっしゃらないわけですね。それだけはっきりしておきます。それでいいですね。 そこで伺うのですが、これはもう考え方の相違かもしれませんが、なぜ教頭職の給与を別なワクにしなければいけないのかということです。まこずれについて理由をひとつ伺いたい。
○説明員(宮地茂君) 校長には校長の号俸がございます。教諭には教諭の号俸がございます。もちろん、先生の先ほど来の学校教育法になくて、施行規則だとおっしゃいますところからも類推するわけですが、学校教育法には確かに教頭はございません。校長、教諭ということで、その面では教諭でございますが、一面におきまして校長を補佐する教頭でございますし、また実態として各学校で校長と一般の授業、生徒指導等を中心といたします教諭の間のような職務でございます。これは実態を調査いたしましても、校長、教頭、教員の直接指導あるいは学校管理事務、こういうものにどの程度の時間をさいておるか、四十一年度に調査したところによりましても、校長は小学校で直接指導、これは授業担当ですが、三時間余り、管理事務が二十四時間程度、教頭は、授業の直接指導が七時間程度、管理事務が二十時間、それに対しまして一般の教諭は直接指導が二十一時間余り、学校事務は二時間余り、こういうふうな実態から見ましても、非常に校長に近い管理事務をやっております。 そういうような観点から、いまの場合ですと、国立学校ですと教頭が、付属学校では教授が校長になっております。ですから、そこの教頭は実質的に校長のような仕事をいたしておりますが、しかし、校長は教授がなり、教頭は教諭がなっておる。その人々には校長の、いわゆる先生がおっしゃいましたわたりといったようなことで、一等級の格づけができておりますが、都道府県ではそれが諸般の事情でできません。そういった現実の問題もございまして、これは教頭だけに目をつけますと、なぜ教頭だけを引っぱり出すかという問題もありますが、教頭を出す理論的な根拠も先ほど申しましたようなことですが、同時に教師の給与を上げていく一つの現実の問題として、教師の給与を上げていく一つの方法にもなろう、こういうような考え方から、私どもといたしましては、教頭の号俸をやはりはっきりしたほうがいい、こういう考えで人事院にも要望したところでございます。
○鈴木力君 これはどうせ、私どもとは考えが違うでしょうが、私は文部省の皆さんにまじめな気持ちで聞いてもらいたいのは、いま一番学校教育をこわしているものは何かということなんです。いろいろなことを言うけれども、私はやはり、やたらに文部省が管理職管理職と言う、管理体制というものが学校教育をこわしているということは間違いないと思う。そういう意味で月給を上げることについては、どの層も上げなければいけませんが、その考え方をもう少し文部省は真剣に検討してもらいたい、こう言うのです。いま文部大臣が何か、人材を集めるために月給を引き上げたい、私は大臣のそのおことばにはきわめて敬意を表するし、そういう形でやってもらいたい。ところが、それを教頭職——ほんとうを言えば、校長も管理職なのか教育職なのかということは、ずいぶん議論があるのです。しかし、校長は校長としてあるわけでございますけれども、教頭も補佐する役目としてはあってもよろしい。そこに特権を与えて管理体制を強めていくというところに、きわめて何か学校の職場に、不明朗なものを巻き起こしている。正直言いまして皆さんのお考えは、役人的な考え方だと私は申し上げたいと思うのです。何か教育効果というものを、帳簿面で帳じりが合っておればよろしいというやり方が非常にいま行政の末端では激しいわけです。教育効果なんというものは帳じりが合っているか合っていないかなどということではとても判断できないものがたくさんあります。私がそれを言うのはどういうことかといいますと、教師というのは教育職では権威者だと私は思うのですよ。また、権威者でなければならないですね、教師は。ところが、文部省が最近管理職にしている校長や教頭はどういう姿かといいますと、行政職の末端になり下がっている、私に言わせると。なり下がったと言うと行政職のおえら方はしゃくにさわることばかもしれませんけれどもですよ。ところが、行政はずぶのしろうとでしょう、校長も教頭も。教育については権威者ですよ。行政についてはしろうとだ。そのしろうとに対して、おまえは管理職だから管理者だ管理者だといって教育職からくらがえさせている。私どもはしょっちゅう学校にも遊びにも行きますし、おじゃまをするのですけれども、見ると、法律書ですか規則ですか首っ引きで、まず教育委員会に一日に何回か電話かけて聞かなければいけない。それでも自分が安心できないから、隣の学校長にまた電話かけて、おまえはこうとかああとか言う、そんなところに落とし込んでしまっている。卑屈なものですよ、校長というものはいまの状態からいうと。そういうような状態をもう少し教育者として、教育の専門家として引き上げてやることをしないと、いまの学校は生き生きとならないと思います。私はそういう観点に立ってこの給与の——文部省のおっしゃることをみますと、教頭についての月給を上げようとしておる。さらに、今度は相当規模の学校については教頭を複数制にして、そして複数教頭の全員及び教頭に準ずるものに管理職手当を支給する。教育の責任については、さっき言った免許職ですよ。全部一人前の職員です。一人前の責任を持っています。その一人前の責任を持っているものを、年でいうのか何でいうのかランクをつけて、そしておまえは教頭に準ずるものだ、管理職に準ずるものだということをやっていくところに教育の職場というものはおかしくなる。事務を主とする行政の職場の考え方で学校を規制しようとするところにいろいろ問題が起こるということを私は申し上げておきたい。これは文部省にも申し上げますが、人事院にはよく聞いておいていただきたいことなんです。間違っても勧告にこういうものを取り入れないようにしていただくようにですね、これはもうはっきりと申し上げておきたい。さっき給与局次長がおっしゃった、教育職に見合ったという職の中に、体系が単純であるということをおっしゃった。体系の本数が非常に少ない。これがいまの免許職の教育職に見合った体系であるということを、次長が先ほどそういう見解を述べられました。私もそうだと思う。これ以上変なものをどんどんどんどん突っ込んできたら、これは教育の場が混乱をする。だから、もし待遇を改善をしようとすることをほんとうにお考えになるならば、そういうようなつまらぬことを考えないで、たとえば諸般の事情でわたりができないと初中局長おっしゃいましたけれども、諸般の事情を克服することが私は行政の責任だと思う。そして、わたりの道をつくってやる。そういうことで教師が責任のある教育をやってどんどん渡っていけるような、そういう道をつくってやることが愛情のある教員の待遇の改善だと思う。いまの教員養成大学の学生なんかの教師にならない人の話、これはまあ私は統計を取ったわけじゃありませんが、二、三の人に聞くと、あんな管理体系の強いところに行くよりも民間のほうがよほど気が楽だという、そういうものも出てきました。よほど気をつけなければいけないということをつけ加えておきます。これは質問というよりも、長くなりましたが私の意見を申し上げたわけです。そういう面で、教員の抜本的な給与については、私は人事院の勧告が実施される時期の進みぐあいと各省の検討が相当に進んできている状態からいって、これはさっき総理府に申し上げましたが、そういう観点で文部省にひとつ積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) これは、鈴木さんによく聞いていただきたいし、また御意見があれば承りたいと思うんですけれども、やはり学校長といえども教職の専門職であって、そして私どもは、場合によっては校長先生がまあ行政的なことをやられるのもけっこうだけれども、確かに今日の状況からいいますと、何だかやはり学校をほっぽり出して飛び出してばっかりおるというのが私感じられるわけです。そういうことであってはならない。確かに終戦直後、まあ六・三の初めのころですね、どうして新しい校舎をつくるかということで奔走され、そしてまあ、今日の六・三・三・四というものが確立したその御努力に対してはきわめて私は敬意を表するわけなんですけれども、同時にこのあたりでやはり校長先生もじっくり学校におって、そうして教育全体についてどうやっていくか、専門職はどうなくちゃならないか、そして場合によっては自分も教壇に立つというくらいのことが望ましいと思うんです。だからその意味において、教頭さんもそうなんですけれども、一面において、たとえば二千人くらいのある学校という場合に、校長さん一人でそれじゃ管理の事務がやれるかといったら、これはなかなかやれないんじゃないか、いろいろの複雑な問題が出てまいっておりますから。そうしますとやはりそれを補佐するところの教頭さんというのがいる。また自然発生的にそうやって出てきておる。こういう現実を踏まえた場合に、その職務に対してやはり教頭という位置づけをするということもすなおな考え方じゃないだろうか。 いま産業界のお話がありましたけれども、産業界においてもやはりそういうようなグレードがちゃんとあって、そうして一応の近代的なやり方が行なわれておる。そういうようなグレードがあるからといって民主的なところもあるし、民主的でないところもある。うまくいっておるところもあればうまくいっていないところもある。そういうことそれ自身がどうだこうだじゃなくて、やはり今日近代社会においては二千人もの生徒がおるし、数十人の教師とともに教職という職分を全うするためには、ある程度の管理的要素といいますか、管理管理というといかにもことば上いけないもののように思っておりますけれども、まあ英語でアドミニストレーションということが、今日の代近社会を維持していくための非常に重大な役割り、それはやはり学校においても認識すべき必要があるのじゃないか、かように私は考えるわけなんで、何かそういうようなアドミニストレーションは必要であり、かつそのもとにおいて一体専門職というものが十分発揮できるような体制をとるということがやはりわれわれに課された責任ではなかろうか、同時に県教育委員会あるいは中央教育委員会に課された責任ではなかろうか、あるいは一校を預かるところの校長としましてもやはり責任じゃなかろうかと、こう思うのでございまして、その点はそう矛盾して考える必要はないんじゃないか、それをどうも受け取り方に多少問題があるように思うんですけれども、まあこれは冒頭に鈴木さんも、あるいは意見が違うかもしれないとおっしゃいましたからこれ以上は申し上げませんけれども、何だか鈴木さんのようなものわかりのいい方がこの辺のことをどうしてわかっていただけないかというようなことを、ちょっとそういうふうに感じたもんですから申し上げたいわけでございます。
○鈴木力君 私は、いまの大臣のおっしゃることに全面的というと一〇〇%になるが、九八%くらいは賛成なんですね。そういう学校にしたいということですよ。ところが、大臣がおっしゃるそういう学校にいまの管理職がなっているかということなんですね。まず出歩くということが一つです。これは私ももっといるべきだと思う。その出歩くというのはどこに出歩くかというと、ほとんどが教育委員会の呼び出しです。あるいは校長同士の会合を開かせて、あるいは自発的に集まっても校長の集まるのは一向だれもが文句を言わないのですね。たまに教員が出ると処分だという形になる。こういうところに文句を言わないで、たまに教員が出ると処分だという形になってくる。こういうところに一つの特権意識を与え過ぎて、いまの管理職の役割りは何かと言いますと、教員を取り締まることが役割りみたいな錯覚を持たしてしまっているということですよ。いつかも私はこの席で言ったことがあると思うんですけれども、校長さんでさえ嘆いている校長がたくさんいる。いまの校長というのは、例が悪いけれども、土木の監督と同じじゃないか。設計書を持たされて、そしてその設計書どおり先生たちを動かす役割りしかしていない。たまには欄干をつくる場合の色彩ぐらいは校長に与えてもいいじゃないかという、そういう校長の意見が出ているということですね。そういう形で管理体制というものを押え込んでしまっているから、そういうところにいまの管理職の等級を、ひとつグレードをつくるという意味は、決して大臣がおっしゃるようにはならないということですよ。ですから、私が大臣にこの際、ずいぶん新聞等でも大臣もいろいろ実情を視察に行脚されていらっしゃるようですから、校長を通して行脚しないで、下の先生たちを通して学校に入るということを多少やってみたらいかがかと思うんです。私が御案内してもいい。そういう実情調査の上に、一体いまの学校がどうなのかということを、これはあっちだこっちだという立場からものを言うんじゃなくて、いまの学校というものをまじめに考えると、そういう点は文部省もやっぱり考えてみるべきときが来ている。人事異動だってそうなんです。これはあとで別の機会に時間をいただいて、いまの管理職の経営と管理体制がどんなに教師を泣かしているかという例をあげながら御質問も申し上げたいと、こう思いますけれども、そういう面の配慮なしに、こういうことで教員の待遇などということは役人的であり、帳簿じりを合わせれば教育効果があがるという、もっと悪口を言うとそういう感覚からの行政である、こう言いたいということなんです。
○多田省吾君 私は、まず文化財保護につきまして大臣にお尋ねしたいと思いますが、文化財保護法が設置されたのは昭和二十五年の五月三十日ですから、このたびは満二十周年の記念ということで、また古都保存法も四年間たっております。そういう中で、いまいわゆる東名道路であるとか、あるいは山陽新幹線あるいは住宅地域の急増、こういった点がございますので、日本に十七万カ所のいわゆる遺跡があると言われておりますけれども、そういう遺跡が片っ端から取り払われている。しかも総理大臣がこの前明日香に行かれたときに、文化財保護は、遺跡保護は行政面の一元化をはかりたいというようなことをおっしゃっているようでございますけれども、現実は農林省のほうは、農業の構造改善事業においてどんどんそういう遺跡のところをつぶしてしまうような案を出しているようでございますし、また建設省、運輸省い等も相当関係あることでございます。また地方自治体とも大いに関係がございます。こういった点において、いわゆる遺跡を保護するということと国土開発という点で大きな矛盾点があるわけです。そういった点で、やはり文化財保護という立場に立てば、文部省がイニシアチブをとって強力に各省に働きかけて、一元化といってもやっぱり文部省が中心になって遺跡保存を積極的にはからなければたいへんなことになると思うんです。 もう一つは、文化財保護法によれば、指定はするけれども金は出さないということで、非常に地域住民の方々の評判が悪い。そのほかいろいろ問題があるわけです。工事中に遺跡が見つかったら届け出るようにというような法律の規制はありますけれども、届けなくても罰則がないということもあります。ですから、文化財保護法を改正すべきではないかというような考えもあるわけです。また最近では、先ほど今長官がおっしゃったように、広域全体の保存に適するような新法、これをつくる必要があるんじゃないかということも提唱されておるようでございます。こういった事実において、文部大臣として、この文化財保護という面においてどういう覚悟を持って臨まれるのか、各省にどういう働きかけをなさるのか。幸い総理大臣も閣議等でこの文化財保護には熱を入れられておるようでございますから、いまが絶好の機会ではないか。このときをのがしたらたいへんなことになるんじゃないか、こう思いますので、最初に文部大臣のひとつ御決意といったようなものをお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、理事永野鎮雄君着席〕
○国務大臣(坂田道太君) 最近の国土開発が著しく発展をいたしておりますことに伴いまして、各地で文化財の破壊あるいはまたそれの減失の危険が生じていることは申すまでもないことでございまして、一面におきましてやはり開発ということも大切でございます。しかし同時に、われわれ日本民族が残しました文化財の遺産というものは、精神的な意味において非常に大事なものである、われわれがやはり守り続けていかなければならない、かように考えるわけでございまして、その開発と保存というものをどう調和していくか、あるいはその住民というもののなりわいとの調整、こう考えるわけでございますが、何と申しましても、やはり私は文化財保護ということに直接責任を負うのはやはり文化財保護の官庁でございます文化庁がこれに当たらなきゃならない、その調整ということについて、いろいろ内閣全体として、政府全体として、あるいは総理府等においておやりいただくことはけっこうでございますし、また望ましいことで、われわれもそれに参加をいたしまして、十分この調整をはからなきやならぬと思いますけれども、イニシアチブはあくまでもわれわれ自身が持ちまして、そうしてその文化財保護に徹し、そしてまた同時に調整をうまくやっていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。 ただそれじゃ一体文化財とは何か、あるいはそういうものを非常に広範囲に考えました場合には、もう全然開発というものはできないんだというようなことすら考えざるを得ないところも実はあるわけなんで、そうなった場合に、やはり文化財の中においても、これだけは残しておかなきゃならないというものと、調査をしてそうして記録にとどめることによってあとはもうこれはある程度皆さんの自由にお願いしてもよろしいという面とあろうかと思います。また残すものにいたしましても、いろいろの残し方がある。こういうきめこまかいことが実は十分に行なわれていないがために、住民との摩擦あるいは関係各省との摩擦を起こしているんじゃなかろうか、そういう意味におきまして、残すべきものについてのやはりはっきりしたもの、何と申しますか、姿勢と申しますか理念といいますか、そういうものを私たちがはっきり持って、そうして残すべきもの、あるいは買い上げるもの、そういうものについて、従来、ともすれば財政的な裏づけがないために、何か規制ばかりやって、そうしてちっとも文化行政がうまくいかないという批判を受けておることもあったわけでございまして、 〔理事永野鎮雄君退席、委員長着席〕 この点はやはり一つの文化財を保護する、保存するための理念のもとに、そういうようなそれぞれの文化財の価値に応じた残し方についてはっきりした以上は、それについての財政的裏づけをわれわれが積極的に責任を持ってやるということが可能ならば、いままでの御批判に対してある程度こたえることができるんではなかろうか、かように考えておるような次第でございます。
○多田省吾君 今長官にお伺いしますけれども、飛鳥の保存問題にからんで今長官が、「私の意見」として、ある新聞にも御意見を述べていらっしゃいます。最近のことでございますから御記憶に新しいことと思いますけれども、その中に、先ほどもおっしゃいましたけれども、史跡保存のために広域を指定して、国立史跡公園法とかあるいは飛鳥、藤原宮跡保存特別措置法とか、こういったような名前で、またある場合には九州の太宰府跡なんかも含めて適用できるような、一般的な新法をつくったほうがいいんじゃないかというような御提案をなされているようでございますけれども、この点はいまどうお考えでございますか。
○説明員(今日出海君) はなはだ私的なことを申しますが、私は四十年間鎌倉に住んでおります。どう考えても、あれが古都かどうか。一つの範囲がきめてありましても、中ではさまざまな建築が建っている。これについて何らの規制ができないというような状態を私は見てまいりましたので、あるいはこの飛鳥に広域保存というようなことで、古都保存法の網がかけられるならば、周囲は保存されても、中をどうするかということ、あるいは中に住んでいる人たちの生活というようなものがなかなかこれは保存法ではむずかしいのではないか。したがって、保存法の特別地域に関する法律をもう少し変えるか、あるいは新たに法律を設けるかということはなお研究の余地があるのではないかと、こう私は思うのです。絶対に古都保存法はいかぬ、文化財保護法もなっていないというようなことを私は申しているのでないのでありまして、その点で、たとえば土地を買ってしまえばいいじゃないか。それで飛鳥の土地をみんな買ってしまう。買われた人はどうするかというようなことになりますと、所有権は国に、買った以上あるのですから、これはそこにいるわけにいかない。あるいは国から借りなければならないというようなことになる。そういうことのないように、どうしてもこれは私のところで売りたいのだ、いま金が要るのだという場合には、それを希望によって買い上げもする。しかし、その土地は国の所有である、立ち入りいかぬというわけじゃなく、黙って、またいままでのように田をつくる人は田をつくるように、そういうような自由な考えで、人の生活を縛ったり、苦しめたりすることのないような一つの法律というものが書けるものかどうか、そういうものが可能かどうかというのをいま私のほうで研究さしております。そういうようなことはいままでの買い上げとかそういうものにはないので、これはやっぱり新しい法律が要るのではないかというだけのことなんです。
○多田省吾君 今長官はまた、まあ全国十七万カ所か十四万カ所か、両説ありますけれども、この日本のいわゆる遺跡と言われるものをいま専門家を動員して、そして早急にその重要度に応じてA、B、C、のランクをつける作業を進めたいと、Aというのは国家保存指定、Bというのは県が保存指定する、Cというのは記録だけ残すというような、先ほど文部大臣がおっしゃったような調査を始めておられるそうでございますけれども、これはいつごろ始められ、またいつごろ終了されるのか。あるいは県当局に対するいろいろなお手伝いをお願いするようなことはきちっと行なわれておるのかどうか。その辺をあわせてお教えいただきたいと思います。
○説明員(今日出海君) 十四万カ所の地図というものが、文化財の分布図というのもおかしいですが、分布図ができております。それは各県に配付してありまして、何か開発で問題になったときには、それを私らのほうにも届け出る、そしてそれを研究するのでありますが、この文化財保護でまた別な学問的な見地、歴史的な見地以外に私どものほうでCとつけても、県のほうで——実はこういうのはもう日本にはずいぶんたくさんあるから、これはCクラスだと思いますと申しましても、県のほうでは、いやこれはほかにあるかもしれぬけれども、うちの県にはこれしかないのだから、どうかこれCにしないで残してほしいというような、また別の希望もあるのであります。一がいに私どものほうでこれをA、B、Cとみんなランクをつけるということは事実上なかなかそうもいかない、ですから開発の進むにつれてその問題を個々別々にひとつ調査し研究していこうじゃないかというような態度を私どもはいまとっております。ですから、いま全部を調べるということもなかなかこれむずかしいことですし、それから調査と申しましても、いま文化財を発掘していけるエキスパートというのはそうたくさんないのであります。人数から申しましてもなんで、もう非常に手が足りないけれども、だれかをもって補えないというくらいな非常にむずかしいものでございまして、いつでも手不足ではございますが、また一がいにA、B、Cでは割り切れないものが、事情によって違うというのが現状でございます。
○多田省吾君 まあ長官が新聞等に発表されているのを見まして、非常に前向きのお考えだと思ったのですが、いまのお話を聞きますとなかなかたいへんだというようなことで、まあそれに違いなかろうと思いますけれども、いままでの現状が、あの文化財保護法ができてからすぐに静岡県の登呂遺跡に工事がかかる、あわてて中止命令を出したところがもうすでにセメントの流し込みが終わったとか、そういう事態がもうずっとたくさんあります。十四万カ所の中でも、ここ二、三年で五千カ所あるいは何千カ所と言われるものがまた取りこわされておると、こういう姿があるのです。やはり私はこれは緊急を要する問題だと思うのです。そういう意味で、やはりいろいろとお金の問題あるいは人員の問題等ありましょうけれども、各省にも積極的に協力を求めて、早急にこれは、文部大臣もおっしゃったわけでございますから、こういった調査ぐらいは短時日のうちにやらなくっちゃならないと、こう思うのです。 それからもう一つは、先ほども大臣に尋ねたのですけれども、いわゆる文化財保護法というものがちょっと、工事中の文化遺跡を発見したときに届け出なければならないというのであるけれども、悪徳業者なんかは全部それはもみつぶしてやってしまうだろうと思うのです。そういう姿が現在までございました。また史跡指定をしても全然金が出ないというような面もあります。こういった面で文化財保護法ももう少し前向きに改正する必要がないかどうか、こういった点もあるのです。こういった点もからんで、もう一回大臣にお願いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 大体私は多田先生おっしゃるように考えておるわけでございまして、この全体的な把握をいたしますとともに、その地方地方における個人のケースについては、やはり十分民意を尊重していくという態度が必要だというふうに思いますが、しかし、同時にまた、早急にやらないと破壊されてしまうということについては、私たちも積極的に前向きに取り組んでいきたい。それから、何と申しましても、買い上げするとか、あるいは指定をするとかいう場合においては、その財源の裏づけということがやはり必要でございますので、この点につきましては十分、文化庁の予算においても配慮をしてまいりたい。 それからまた第三点といたしましては、関係各省とはやはりよく調整をいたしたい、かように考えております。
○多田省吾君 時間もあまりございませんので、まとめて質問をいたしますけれども、先ほど鈴木委員の質問でだいぶ私もよくわかりましたけれども、飛鳥の保存につきましては、総理大臣も行っていることであり、また地元もいろいろ騒いでおるわけであります。これは当然だと思います。ただ、今長官のおっしゃるような内容を、いわゆる新法のことなんかでも誤解をされている面も相当あると思います。ですから私は、地元の方々はいままでこの飛鳥遺跡については、長官もおっしゃるように、あらゆる苦難を忍んで守ってまいられたことは明白でございますし、またこれからも保存はしていこうというお考えのようでございます。ですから私は、国と県とそういった地元の方方、あるいは学識経験者、こういった方々が一体となって、特に地元の方々の意向というものを十分尊重して、この新法問題等も地元にはかつてからいろいろ案をおっしゃったほうがよかったのではないか。また、地元の方々の全面的な意識調査等もなさって、また意見も十分聞くことが早急にこれは大事である、このように思います。長官も地元にもう一ぺん行ってみたいということをおっしゃっておられましたけれども、そういう地元の意見を全部吸い取ってくるというお考えはないかどうか。意識調査等もなされたことがあるのかどうか、こういう点をお伺いしたいわけでございます。私たちも文教部として何回も調査には行っているわけでございますけれども、今回も七月七日あたりに地元の明日香村の飛鳥地区の方々が反対期成同盟なんかをつくって、いろいろ要望なんかも出しているようでございます。こういったことも、相当意思の疎通がないと申しますか、誤解をしている面もあるんじゃないかと思いますけれども、長官はこの飛鳥問題に対してこれからの具体的な方策としてどのような態度で臨まれるか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(今日出海君) 私は、文化財を保護していこう、保存いたしていこうということにつきましては、全くこれは前向きと申しますか、私はあまり前向きだ、うしろ向きだというような表現は好きじゃありませんが、これは一生懸命やろうと思っております。かつ、私はそういうふうにして、職にある間じゅう、そういうものをゆるがせにはいたしたことはございませんが、しかし私はそういうことで、そこにいる人を苦しめてどうにもこうにもそれを押えつけてやろうという気は毛頭ございません。あくまでも話し合いをしていきたいという考えでいままでもおります。非常にやっかいでございましたけれども姫路城とか岡山の津島の問題も、一年間かかりましてとにかく話し合いということはずっとやってまいりました。飛鳥の問題も、意識調査とかなんとかそういうことばは私よく存じませんけれども、まあ、ひとつ反対の人なら喜んで私は会ってお話ししてみよう。私らの意見と、ああいう村の方々の意見とをほんとうに話し合って、ある了解に達しなければ私は何かそういう次の措置をいままではとりませんでした。だから、ある程度私は話し合いに達するものと信じております。
○多田省吾君 ですから、一般論的な問題でありますけれども、県のほうでもいわゆる保存、開発、生活の三本の柱でやっていきたいと言っておりますし、総理大臣もこの意向をくまれて、明日香にいらっしゃる間、この保存、開発、生活と、この三本柱は何回も強調しておられたそうでございますけれども、問題は、地元の方々にとってはそれは保存したい気持ちも十分ありましょうとも、問題は生活権の問題でございます。その問題がやはりいままでのような姿で、ただ史跡指定だけされて、もう住宅も建てられない。さっき話が出ましたけれども、若干誤解もあるようでございますけれども、とにかく地元の方々にとってはビニールハウスもつくれないのかという大きな不満があるわけでございます。そういった問題を全部やはり文化庁として聞かれて、そうして生活をほんとうに安定させ、また繁栄させる姿でこの史跡保存をはかっていかなければならないと思いますし、この飛鳥問題がこれからは大きな重要な試金石になると思います。そういう意味で何回もお尋ねするわけでありますけれども、大体さっきの具体的なお話で、重複したお答えをいただくつもりはありませんけれども、わかってもらえると思うというおことばでございましたけれども、じゃあ、この何日かのうちに、あるいは何週間かのうちに直接長官もまた出かけられて、地元の方々の意向を聞かれて、そうして陣頭指揮をとられる御予定があるのかどうか。そういった点をもう一回お尋ねしたいと思います。
○説明員(今日出海君) 何回でも私参ります。きのうも村長が参りまして、もうともかく何かあったら汽車賃も何とか出すから、とにかく直接来てくれと言ったら、たいへん喜んで、いや、汽車賃くらいございますと、こう言っているくらいでございますから、そうしてそのつど私も参れたら何度でも参りますし、そういう人と人との関係だけは私は何かそこにいやな思いを残したくない。あるいはいまできないことでもいつかは必ずやるということは村の人に約束できると思いますし、ただ、なかなかむずかしい問題で、ビニールハウスくらいのことは何でもないことなんですが、何せ昨年は七十万、大体平均一年に六十万の人があすこへ行く、そうしてこのごろはいいかっこうで行く人が多いものですから、野らにいる青年はまた別な意味で、いいかっこうしているなというような動揺もあるのです。いろいろな意味の動揺はあると思いますが、そういう点で、じゃ、いつまでも飛鳥は飛鳥のかっこうしていろというわけにはいかない。ビニールハウスくらいあったって美観がどうのこうのということはないと思います。そういうことは非常に大きく考えられておるようでございますが、私はそういうことはあまり意に介しておりません。どんなかっこうをしていようが、ビニールハウスがいっぱいできょうと私はかまわないと思います。
○多田省吾君 それにからんで、長官が先ほど太宰府についてもたびたび行っておられるというお話をなさいましたけれども、この太宰府問題について長官はどのようにお考えになっておられるか。 それからもう一点は、明日香の隣りの橿原市ではそうした遺跡の近くに市営住宅なんかも建てられておるようです。その工事の中止を文化庁で命じたけれども、なお工事は続いておるというような状況もあるそうでございますが、それは一体どうなっているのか。 第三点は平城京は昭和三十八年に旧跡全域を指定しまして、また国費で買い上げているわけでございます。百ヘクタールはもう買い上げられたと聞いておりますが、また東のほうに二十二ヘクタールばかり遺跡が発見された。これも買い上げられるのかという問題が起こっておりますけれども、これはどうなっているのか。この三点をお伺いしたいと思います。
○説明員(今日出海君) 太宰府のほうは、きのうですか私のほうの調査官が帰ってまいりまして、数日中に片づくそうでございます。ずいぶん長くかかりましたけれども、まあ村の人たちとの間のいまのような問題は大体解決したかと思います。ただ規模として、私はヘリコプターであの上を飛びまして、非常に一種独特な雰囲気を持った地域でございますが、惜しいことに、もう半分はちょっと回復の余地がないんじゃないかというように思われます。しからば、あとの半分を何とかして保存したいという考えで、村の人とも折衝したり地域をきめたりいたしまして、全部とは申しませんが、大体は結着がついたのではないかと思います。それから、これもいま飛鳥のもし新法ができたとしたらそれのほうがいいんじゃないかと——まあ大体きのうきまったんですが、またそういうように知事さんなんか考えておられるそうですが、それはそうなったらそうなったときの問題として、やれるだけのことはやろうと思います。 それから藤原の問題ですが、これはもう非常にめんどうでございます。というのは、津島遺跡の問題でも、私、弁護するわけじゃございませんが、誤ってパイルを打ちまして非常に深く掘ったために、けしからぬことをしたと私ら思うんですが、そのけしからぬことがはからずも地下数十メートルのところに遺跡が見つかったというような問題もございまして、掘っても何メートル下に何があるかというのは実はわからないので、偶然にもそういうようなあやまちがまた功名をもたらしたという事実もございまして、開発と保護というふうなものは非常に矛盾しているようで、またそれも一カ年半以上かかりまして解決したんですが、藤原の問題は、もうすでにあすこはどこまでが藤原の遺跡であったかという発見がおそくなったということもあるのでございますが、だから開発のほうが先になって、いまの難波宮もそうです。あれだけのビルの中に難波宮が発見されたということは、いまこのビルはけしからぬと言うよりはビルのほうが先なんです、難波宮の発見よりも。ですから、そういうようになかなか発見というものより開発のほうが先にいっちゃうというようなこともございますので、藤原の問題は、これはあらためてひとつきめなければならないような問題じゃないか。平城宮のような形で保存はしにくいんじゃないか、またする必要がはたしてあるかどうかということも学界の一つの問題じゃないかと思うんです。それはいずれもう少しはっきりしてからお答えできるかと思います。 それから平城宮の問題でございますが、あれはやはりあすこの平城宮の東側に道路をつくると、これまた道路をつくり出したら東院あとというものが発見された。非常にこれは重要なあとでございまして、これもまあどうも道路を掘ったばかりに見つかったわけですから、これをよけて道路を別なほうへやってくれと言うのも非常にやっかいな問題になりましたが、どうにかそうなりました。道路は別のほうになりましたが、今度はその土地の買い上げというのは、あらかじめそういうものが予定されておりませんものが発見されたので、この買い上げもだいぶおくれておるので、これは申しわけないのですが、どうも予算というものはむずかしいものでございまして、ちょうど大臣もおられることで、まあひとつ文部省、文化庁あげて、もう少しそういうような予算で、土地の人に来られると私いつも頭をかいているような状況で、何とかします、何とかしますと、この年で借金の言いわけみたいな形をしていて申しわけございませんけれども、ひとつ大臣もだいぶ前向きというか、力んでくださっていますから、これもことし、来年で少し目鼻がつくかと思います。以上でございます。
○多田省吾君 この文化財保護についてはこれだけにしたいと思いますが、長官おっしゃるように確かに財源がない、お金がないということで、調査も何も地元にお願いしたり、あるいは管理費も市町村が負担したり、あるいは山陽の新幹線の遺跡についてもいろいろその当事者にお願いしたり、非常に肩身の狭いような面があるやに伺うわけであります。そういう意味で大臣もいま積極的な御発言をなさっておりますし、また総理大臣も熱を入れておられるようでございますから、ひとつ財源等も含めて、緊急に徹底的な文化財保護の手を打っていただきたい。外国等でも文化財保護は非常に熱心なわけです。文化国家として立つとしている日本が、やっぱり公害と並んで、この文化財保護というのは、幾ら工業化しようとも、産業開発をしようとも、これだけはぜひとつておかなければ、悔いを数千年に残すようなことになると思います。この前も私、参議院議長のお供のような姿で韓国に行きましたときも、韓国では慶州地域に文化財、古跡、古墳が相当ございます。そういったところは朴大統領自身が視察して、史蹟登録の指定まで大統領自身がしているというふうな遺跡保存や観光地保存をはかっているようでございます。また新聞に出ておりますけれども、長野県の茶臼山という、いわゆるこれは旧石器時代の文化財で、アメリカ、カナダなんかでも高校の歴史の教科書に出ているそうでございますが、カナダのトロント大学のスミス教授が現地に行って尋ねられたところが、地元の人が全然知らなかったというようなこともあったそうでございますが、やはり偉大な遺産と文化財を持っているわが国として、やはり文化財保護ということは、文化国家というたてまえからも非常に重要である、こう思いますので、ひとつ大いにこれから文化財保護に力を入れていただきたい、このように要望いたします。 次に、大臣に二、三お尋ねしたいと思います。 一つは、この前七月四日の日に、高知県で一日自治省が行なわれました。秋田自治大臣が辺地対策をねらって、医師不足のために中学校卒業生をもって六年間の高専を、医学専門学校ですか、これをつくって医師の養成をはかりたいと、こういうような提案をしたわけですね。それに対して厚生省のほうも、こういうインスタント医師では困ると言いながら、結局この前の社会保障制度審議会で、内田厚生大臣が、来年度から医学部の募集定数を増員したいと、こう考慮したいということも言っているわけです。何といったって医師養成の所管は文部省にあると思います。そういう意味で、やっぱり文部大臣のお考えというのは、一番これは重要であると思います。全国で二千九百二十カ所も無医村地区がある。そうして現在は、台湾や韓国等の比較的医師の少ないところから、日本の辺地に医師がやってきて、美談として伝えられている。はっきりいって、わが国としてはこういう情ない状態です。わが国の医師の数は、先進国には及ばないにしても、まあ中くらいにはいっておるのじゃないかと思いますけれども、そうでもなお絶対量は不足でございましょうし、こういう辺地に医師の方々がなかなか行かないという点もありましょう。戦前においても医専というものはあったわけです。今後においてこういう問題を文部省としてどういうふうに解決なさろうとしておるのか、これをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 先般秋田自治大臣が高知にいらっしゃいまして、そして中学校から六年間の医学課程を経て医師の養成をはかるという構想を打ち上げられたわけでありまして、私どもといたしまして、今日高知県とか、あるいはまた北海道とか、その他の僻間の県におきまして非常に医師が不足をしておる、そのために医療行政がうまくいかない、したがって、住民の人たちから、とにかくひとつ医師を早く養成をして、そして充実をしてもらいたい、特に国民皆保険のこの世の中においてそれができないということは片手落ちではないかというような声があることは、私も十分承知をいたしております。この前の知事会議の際においても、そのような発言がいろいろございました。しかしながら、いまお述べになりました秋田自治大臣の六年制の課程の医学専門学校というものは、私どもの医師養成という立場から考えますと、なかなか問題があろうかと思うわけでございます。御承知のとおりに、戦後は、大学におきまして六年間の課程を経て、そして診療に従事させて一人前の医師にする。普通の学部の学生は四年でございますのを六年にし、さらに二年間臨床研修ということをやって初めて一人前のお医者さんになるのだと、こういう形で従来まいっておるわけでございまして、これはやはり人命を預かる医師養成としては当然なことではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、やはりそうは申しましても、日本の現状ではかなり医師の不足が各地で訴えられておるわけでございますが、これにはやはり一つには医療行政の問題があろうかと思うのでございまして、都市周辺にお医者さんがたくさんおる、しかも僻間の地における公的な病院においてすらもお医者さんが確保できないのだ、こういう事情にあるわけでございまして、これは一つには医療行政そのものにひとつ問題があろうかと思います。しかし、同時にやはり絶対数をふやしていくという役割り、そしてその生命を預かる医者の養成については、十分の資格を持った人になってもらうという考え方は、私たち文部省として当然考えていかなければならぬ問題で、本年度の予算におきましても、秋田大学に医学部を創設をいたしましたし、その他私立大学におきましても、三つの医学部の創設を認めたということでございます。しかし、こういうような問題が起こりましたので、私どもも十分意見の交換をしながら、どうやってこの医師の不足を解消していくかということについては真剣に考えてまいりたい、われわれのほうでもそういうようなことで、きのうもいろいろ相談をいたしたということでございます。
○多田省吾君 ですから、私はこの自治大臣の構想も生かして、ただ中学校卒業以降六年ということでは、やはり、医師会も反対しておるし、ちょっとまずいと思います。ですから、やはり高校生等で将来医学部門に進みたいという方は非常に多いわけであります。ただ、非常にお金がかかるということがあります。また医学の問題で、やはり、辺地の医師として就任すると、なかなかその将来のことを考えて不安だという点もあるわけであります。そういった点も踏まえて、たとえば国と県と協力して、高校卒業生に対して新しい医学方面の大学でもつくって、そして自治大臣の構想もある部分は生かして、そして相当授業料等は免除していく。それで、卒業したならばやはり僻地に何年間か赴任する。将来性は保障する。こういうような構想を立てれば相当優秀な人が集まるのじゃないか、こういうことも十分考えられるわけです。また文部大臣も医学生の増員ということは考えておられるようでございますけれども、これは相当大事な問題であり、国民の生命に関することでございますし、またいま過疎問題等も非常に大きな重要問題として起こっておる現状でございますから、これも非常に緊急性の問題だと思います。そういった前向きの新しい構想というようなお考えはございませんですか。
○国務大臣(坂田道太君) 大学紛争の問題につきましても、東大におきましては医学部の問題からこれが起こってきたということで、大学における医学教育の問題、あるいは病院との関係をどうするかという問題が非常に大きい問題なんでありまして、今度の大学改革におきましても、たとえば単科大学としての医学大学をつくっていくというような方向はどうなんだという御意見もあるわけであります。そういうようなことをにらみ合わせまして、今後自治大臣のおっしゃったようなことも十分取り入れながら、医学部を卒業した人たちがそういう僻地に行けるような仕組みを考えていかなければならない。これはまた自治大臣と私たちだけではいけないので、厚生省ともよくお話をし、医療行政全般について考えていかなければならぬ課題だと思います。 それから、昔と違いまして、今日では卒業した方を、いくら全額の保障をいたしたところで、これを縛るわけにはいかない。しかし、事実上行っていただくような保障というものがあれば、その歩どまりを考えればかなり行っていただけるのじゃなかろうか。こういうことはお説のとおりだというふうに考えますので、十分検討いたしたいというふうに思っております。
○多田省吾君 最後に、時間もございませんので、国連大学の誘致問題で一問だけ御質問したいと思います。 七月八日に国連の事務局案という、九十五ページにわたるラル米コロンビア大学教授の案が出まして、九日には、日本の安倍国連大使が、国連経済社会理事会で、この国連大学構想に日本も強い関心を示しているというような演説をしまして誘致の方向を正式に発表したわけであります。聞くところによりますと、ことし秋の二十五回国連総会でそれをきめて大体八カ国ぐらいはだいじょうぶじゃないかというようなことも言われております。ただ、共産主義国は中立国に置いたほうがいいんじゃないかということも言っているそうでございますが、やはり国連大学誘致については、こういう外交問題と同様に、文部省関係のお考えというものが非常に大事だと思います。どの程度受け入れの準備が進んでおられるのか、また構想はどのように立てられているのか、またその国連大学誘致の理論的根拠。あるいは公用語を二カ国語とするというようなことが事務局案に出ておるようでありますが、こういった問題も非常に大事だと思います。また最近は東南アジア等からの日本における留学生問題というものが、欧米諸国と比べて日本に留学するとどうも二流になるというようなことで非常に評判が悪い、また一つには、日本の大学に留学生としてきますと日本語から学ばなければならないということで、どうせなら英語等で初めから終わりまで教えるような考えはないかというようなこともずいぶん言われておるわけです。国連大学等になりますと、これはどうしても国連公用語二カ国語は英語とかその他の国語でやられると思いますから、そういう国連大学設置にからめて留学生問題もやはり改善していかなければ国連大学誘致の方向としてははなはだまずいんじゃないかと、こう思いますので、その点をひとつからめた上でお答え願いたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) いわゆる国連大学につきましては、かねてから私は強い関心を持っておるわけでございます。日本ユネスコ国内委員会でまとめます国連大学構想案を国連事務当局が国連大学構想を作成する際の参考としてウ・タント事務総長に対し、去る五月に提出をいたしました。聞くところによりますと、国連事務局案について現在開かれております国連の経済社会理事会で概略の討議が行なわれ、秋の国連総会においてはさらに詳細に検討の上その設置を決定し、それ以後国連の作業部会において具体的、詳細な検討に着手する予定のようであります。わが国といたしましては、経済社会理事会及び国連総会には国連大学設置について前向きな態度で臨むことといたしております。国連事務局案には基本的にわが国の構想案が大幅に取り入れられていると伝えられますが、その原文は近く入手されますので、これを詳細に検討の上、わが国が招致するにふさわしいものであれば、国連総会の際等適当な機会にその招致を推進することにいたしたいというふうに考えております。このような事態を予見し、必要な場合は、外務省等関係当局の協力を得まして、これを推進するための準備体制を整備いたすつもりであります。実は一週間ばかり前でございましたけれども、ユネスコ本部のアレィセシア事務局次長が日本に参りまして、これは国際教育年の式典に参列をされたわけでございますが、その方と、私、夜あるいは昼二回にわたりましていろいろお話し合いを申しました。日本がこれほど国民的に熱心だということはここへ来て初めてわかったんだという発言をいたしております。そういうわけでございまして、私どもの考えておりますことと、たとえば新聞等によって報道されております事務局案を見てみますると、何だかうちの案が国連事務局案になっておるんじゃなかろうかというように思われるような節がございまして大いに意を強うしておるということでございます。その一例は、たとえば規模にいたしましても、そう大きいものではない。まあ五、六百の程度の定員である、あるいは大学院レベルあるいはまた数カ国といいますか、複数でこれを設置しようという考え方等々におきましてかなりわれわれの考え方に近い案が示されておる、こういう案であるならばわれわれは積極的にこれを誘致をするという態度がきめられるんじゃなかろうかというふうに考えられますけれども、まだドラフトを正式に得ておりませんので、何とも申し上げようもございませんが、しかし、いま申し上げましたように非常に光が見えてきたような気がいたしておるわけでございます。 それから、留学生の問題につきましては、私自身もちょうど留学生問題に対して基本的な日本の政府の姿勢をきめまして、そうして従来の行き方というものを改善すべき時期ではなかろうかというふうな考えで事務当局といま検討をいたしておる段階でございますが、昨日も実は関係の方々にお集まりをいただきまして、そしてフリートーキングをいたして、十分、留学生の問題について本質的な議論をいたしたようなわけでございます。今後、日本がやはりアジアに対しましてどういうような役割りをするかということを考えたときには、単に経済的な援助、あるいは経済的な民間べースの関係ということだけでなくて、新たに、やはり文化的な、あるいは人の交流、こういうものが非常に大事だ、そう考えた場合に、日本に受け入れている国費、私費を通じての留学生の教育のあり方、あるいは学生たちが生活をする上においてのめんどうの見方、そしてまた、日本で勉強をして、そしてそれぞれの国に帰って行かれた後において、そういう人たちがどういうような役割りを果たしておられるかということを考えました場合には、どうしてもその追跡調査もいたさなければならない、そういうようなことを踏まえて、ひとつ新しい留学生対策と申しますか、を打ち出したいという考えでおるわけでございまして、多田先生御指摘のような考え方でもって、今後具体的にこれを進めてまいりたいというふうに思っておるようなわけでございます。
○説明員(広長敬太郎君) ただいま大臣がお答えいたしましたように、国連大学の国連事務総長案が、現在開かれております経済社会理事会におきまして配布されたのでございますけれども、その原文はまだ届いておりません。二、三日後には届くものと思われます。その中身につきましては、新聞でも伝えられておりますが、大臣申されましたように、日本ユネスコ国内委員会で先般提出いたしました案が非常に取り入れられているというように考えられます。この事務局案はさらに原文が届きまして政府内部で検討していかなければならないものと思うのでありますけれども、私たちユネスコ関係者といたしましては、非常に、基本的に歓迎すべきものだというように考えております。 以上でございます。
○委員長(楠正俊君) 午前の委員会はこの程度にとどめ、午後二時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時二十九分休憩 —————・————— 午後二時四十一分開会
○委員長(楠正俊君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。 なお、政府側から西岡文部政務次官、宮地初等中等教育局長及び横手自治省交付税課長が出席いたしております。 質疑の申し出がございますので、これを許します。萩原君。
○萩原幽香子君 四十分でございますので、私もかけ足で申しますけれども、どうぞひとつ御答弁のほうも簡単明瞭にお願いいたしたいと存じます。 中教審の第二十五特別委員会の中間報告の基本構想案の中で、幼稚園教育について幾つか指摘をされております。そうした諸点につきましては、文部省としてはすでに御検討を進めておられることと存じます。 まずお尋ねいたしたいことは五歳児の問題でございますけれども、五歳児の心身発育の状態から就学年齢を引き下げるべきだという声が漸次高まっております。中教審におきましてもいろいろ御検討をなさったと承っておりますが、この点につきまして政務次官のお考えをまずお伺いいたしたいと存じます。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 御指摘のとおり、中教審の第二十五特別委員会の試案の中で幼稚園の教育に関する四点の指摘がなされているわけでございます。これは一つは、先導的試行としての幼児学校の構想というのがございます。幼稚園教育の積極的な普及充実について指摘がなされておりまして、まず五歳児の完全就学と市町村の幼稚園設置義務ということを述べておられます。二点は、幼稚園の教育課程の基準の改善。三点は、公・私立幼稚園の質的充実と修学上の経済的負担の軽減措置。四点といたしまして、個人立幼稚園の法人化を促進すべきであるという点が指摘をされているわけでございます。もちろん中教審の最終的な答申は来年の春ということに予定をされているわけでございますが、すでに五月二十八日に発表されております基本構想試案の中では五歳児の完全就学という方向、幼稚園の市町村における義務設置という方向が方向としてはすでにはっきりした形で出ておりますものですから、文部省といたしましては現在のところどのような形で取り組むかということを検討をいたしておりますが、方向といたしましては、いずれにいたしましても、幼稚園の施設を整備していくという方向でこれから取り組んでいくべきではないか。その場合市町村の設置義務の問題でございますが、これは私立の幼稚園とのいろいろな関係等もこれから調整をしていかなければならない点もございます。そういったことを勘案をいたしまして中教審の最終答申が来年の春に出ました時点で具体的な案をすぐに出せるような形で現在文部省としてできる準備を進めているということでございます。したがいまして、具体的には来年度の予算の中でどういうふうな形で幼稚園の施設を整備していくか、こういった点を今後検討を省内で続けていきたいと、かように考えているわけでございます。
○萩原幽香子君 五歳児というもののそういった入れものの問題でございますけれども、その就学年齢を引き下げると、引き下げるというそのことをどのようにお考えになっていらっしゃいますのか、それをお聞きしますときに、やはりその四歳児、五歳児、六歳児それぞれの発達段階におきまして、いわゆる精神的に、肉体的にどのような差異がございますのか。たとえば幼児学校というようなものをつくるといたしますと、おそらく四歳、五歳、六歳、七歳くらいを一くくりにしてと、こういう問題も出てくるのではないか、そういうことを考えますときに、この四歳、五歳、六歳というそういった子供たちの差異の問題をひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
○説明員(西岡武夫君) お答えをいたします。 満五歳児の就学の問題につきましては、これは大体世界的な傾向として、五歳児の就学の問題が完全に実施をされている国もございますし、これは世界的な趨勢としては一つの方向であろう、これは最近におけるわが国の子供たちの身体の発達の状況から見ましてもその問題はわが国においてもすでに取り組んでいいのではないかということが、まあ中教審が五歳児の完全就学ということを一つうたっております根拠になっておると思うわけでございます。しかし、ただいま御指摘のありましたように、幼稚園と小学校との教育の連続性の問題には、なお十分慎重に検討をしなければならない点があるということはこれは事実であろうと思います。したがいまして、ただいま御指摘のありましたようないわゆる前期初等教育という形で五歳、六歳、七歳、八歳ということを一つにくくってこれを連続的に教育をしていくという考え方も一部では論じられているところでございますが、これについてはまだ最終的な結論を得た一つの理論構成というものがまだ不十分ではないかと考えますので、この問題は中教審の最終的な答申と並行をいたしましてなお慎重に検討を要する問題であろう、かように考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 なるほどこの問題は非常に慎重に検討していただかなきゃなりませんので、きょうのように時間がございませんから、十分に発達段階についてのそのお考えをお聞きするまでにはまいらないと思いますから、これはまた日を改めましてそういうあたりひとつゆっくりとお考えを承りたいと存じます。 先ほどのお話の中に、この入園を布望する五歳児については、市町村は収容し得る幼稚園を設置する義務を課する。そうしてそれに対して国、府県が援助をするということが示されております。こで、入園を希望する五歳児は五歳児全体の何%ぐらいになっておりますでしょうか。
○説明員(宮地茂君) まだ五歳児の何%が入園を希望するかといったような、いわゆるそういった意味での調査はいたしておりません。したがいまして、まあ中教審で言っておられます趣旨は、たとえば八〇%の者がそのような希望を持っておるから、希望を持っておる八〇%の人のためにと、そういう調査の結果を受けての考えではございませんで、ともかく今日の状況では幼稚園に行きたくても幼稚園が地元にない、あるいはあっても私立の幼稚園で授業料が高いとかいったような状況にあって、まあ幼稚園に行きたいと思っても十分行かれていないから、したがって、希望する者には行けるような措置を講じてやれというのが中教審の趣旨であったように私ども受け取っております。なお、今後幼稚園をこの中教審の趣旨をもとに私どもが将来設置義務を課していくという場合には、はたして何人が希望するかといったようなことは、ただ何となく感じではなくて、はっきりした数字をつかんで措置すべきものと考えております。
○萩原幽香子君 この前のときに幼児の実態というものを調査する調査費というものがついたわけでございますね。そういうところで私はおそらくどれくらいの子供が大体希望するかという調査も必然的になされているんじゃないかというふうに考えたわけでございます。 そこでまずその八〇%という押え方でございますけれども、これはどういうところが根拠になって八〇%という数字を押えられましたのか、ちょっとお尋ねいたしたいと存じます。
○説明員(宮地茂君) 先ほど私が八〇%と申したのは全然意味はございません。かりに八〇%とかといった例示で申しまして、そういう意味で八〇%と申しましたので、八〇%が希望しておるかといったような数字ではございません。
○萩原幽香子君 私は、八〇%とおっしゃいましたのは、これは幼稚園に行きたくもやはり保育所へ行かなければならないような者があったり、あるいは心身障害者といったようなので、そういう幼稚園には行けないといったような者もある程度あったりしまして、大体八〇%ぐらいが希望するんじゃないかというような意味でお答えをいただいたのではないかと、私のほうは考えたわけでございますが、いや意味がありませんとおっしゃれば、もう一つちょっと意味づけも考えていただかなきやならないんじゃないかというふうに思います。 それに対しまして現在は何%が入園しておるわけでございますか。
○説明員(宮地茂君) 五歳児につきましては昭和四十四年度までの調査しかできておりませんで、四十五年度の調査はあと一、二カ月すれば中間的な数字が出ると思いますが、文部省のほうでやっております指定統計の中間集計がまだできておりません。したがいまして、四十四年度でお答えさせていただきますと、約五二%、多少まるい数字で恐縮ですが、五丁何%、二%を若干欠けます。
○萩原幽香子君 そうしますと、大体まあ八〇%ぐらいということで押えてみて、その残りの者を入園させるために今後どれだけの幼稚園が必要になりますでしょうか。
○説明員(宮地茂君) これは萩原先生、あるお考えを持ってお尋ねになっておられるようでございますが、これから申し上げますことは、何もこういうふうにするのだと私のほうで考えを持って答える意味ではございませんから、先ほどの八〇と申しましたのも、もうこれは八〇あるいは七〇でもよかったのですが、そういう意味で答えさせていただきます。そういう前提で申させていただきますと、昭和五十年度の五歳児の総数は百八十四万人、万単位で申させていただきますが、百八十四万人と考えられます。それから四十四年度ほど五二%と申し上げましたが、それに若干推定を入れまして、四十五年度の幼稚園、保育所の在園五歳児、これは一応百三十万と推定します。一、二カ月あとにははっきりすると思いますが、そうしますと、差し引き五十三万人という数字になります。したがいまして、この五十三万人というものが五十年度の幼児数と現在の幼稚園、保育所の在園数との差でございますので、これだけのものが全部幼稚園に行くか、あるいは保育所に行くか、いろいろございますが、幼稚園と保育所の比率をどの程度にすべきか、まあいろいろそれからは一つの考え方で作案しなければいけませんが、ともかく五十三万人という数字、これをくどいようですけれども、かりに八〇%なら八〇%というふうに見ますと、四十二、三万人という数字が出る。この四十二、三万人の子供を一学級何人ということにすれば、所要の学級数が出、四学級くらいを一つの幼稚園とすれば園数も出ようかと思います。歯切れが悪うございますけれども、一応その程度でお答えにさせていただきたいと思います。
○萩原幽香子君 ほんとうに局長さんちょっと歯切れが悪うございますね。それではどうも困るわけでございますが、こちらのほうが言ったわけではないと、こういうことでございますけれども、大体中教審の答申というものは非常に尊重されると思います。そしてまた幼児教育というものがほんとうに大事だということになれば、これはぜひおやりいただかなければならない段階にも来ておると思うわけでございますね。ですから、やっていただかなければなりまんが、そのあとで国及び府県の財政援助を強化するように指示されておりますが、それに対してどの程度補助をなさるおつもりなのか承りたいと思います。
○説明員(宮地茂君) 従来から公立の幼稚園につきましては施設費設備費、こういったものが三分の一補助なされておりますし、また私立学校のほうでは、ことしからは私学振興財団のほうに従来の私学振興会の仕事が移っておりますが、さらに昨年まで文部省で私立学校の施設に補助金を出しましたああいったようなものが、全部振興財団の所管になりますが、そういう従来のやり方を今後とも踏襲していくか、あるいはそれをもう少し前向きにやっていくか、さらに施設設備だけでなくて、その他のものも補助対象に加えていくべきかいろいろ考えられるものはございますし、私ども中教審の御答申まだ来年の春までにもう少し検討された答申になると思いますが、内々私どもとしてもいま申し上げましたようなことにつきまして検討もいたしております。ただ、その検討の結果、こういう姿で今後いくということにつきましてはもう少し検討をいたしまして、はっきりした計画案を申し上げさせていただきたい。いまは検討の段階で、まだいま直ちに中教審の答申を受けて、今後こういうものを補助対象にし、補助率は幾らでいく、そのための来年の予算要求金額はこれだけであるということを申し上げかねる次第でございます。
○萩原幽香子君 しかし、これは中教審としましても、私たちもいわゆる国民の気持ちをひっ下げて中教審をもっと激励をして、幼児教育が振興するようにというような運動が非常に国民運動として巻き起こるとすれば、これは宮地局長さんがいまお考えになっていらっしゃる以上に、もっと強化されるということが強く打ち出されていく可能性は十分にあろうかと存じます。そこで強化するということで、いわゆる施設設備の三分の一、こういうものが出ていたといたしますと、それには必ず人件費の問題、あとから給与の問題申しますけれども、人件費の問題なんかも考えていただかなければ、これは強化するということには私はならないと思うんですね。そういうこともどうぞひとつお考えいただいて、きょうは時間がありませんから、かけ足でまいりますけれども、そうして現在入園しております園児の七〇%は私立の幼稚園でございます。その私立の幼稚園に対してどういうふうに援助をなさるおつもりかこれを承りたいわけでございますが、この前に私学財団法が成立いたしましたときに、ほかのところではいわゆる人件費を含めてございますのに、幼稚園についてはその人件費というものがはずされておる、そういった幼稚園に対してなぜ人件費をはずされましたのか、その理由をちょっと承りたいと存じます。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 最後のほうの御質問でございますが、人件費を含む補助をすることにいたしておりますけれども、個人立については今回の処置では入っていないということでございます。
○萩原幽香子君 なぜそういうのがはずされましたのか、いわゆるいまの幼児教育の大半を受け持っているのが私立じゃないかと思うのです。そういう場合に、そうした差別がなされましたその理由ですね。そういうものを承りたいと思うんです。
○説明員(西岡武夫君) これは最初に御質問のございました、これからの私立幼稚園のあり方、そういったことと非常に関係する問題でございますが、中教審も指摘をいたしておりますように、現在の個人立幼稚園をなるべく法人立に持っていくように指導をしていかなければいけない。個人立の場合には御承知のとおり、個人財産ということになって、幼稚園が運営をされているわけでございますが、そういった点が法人立と同じような扱いで、これを公の金を使っていいかどうか、そういう問題がございます。そういった点もやはりこれから法人立のほうに指導して持っていくということによって、すべての幼稚園に国の費用を出していけるという形に整理をしていく、これがあるべき方向ではないかと考えます。
○萩原幽香子君 個人立の幼稚園を法人に切りかえていくその自信がおありでございますか。
○説明員(西岡武夫君) これは全体的な幼稚園教育の振興と深い関係のある問題でございますが、先ほどから御指摘のございましたように、現在幼児教育についての国民的な要求というものが非常に高まってきた、そこで中教審もさきの基本構想試案の中でも、特に幼児教育についてはある程度具体的な積極的な意見が出されているわけでございます。中間報告という形でございますけれども、中では一番具体化されているわけでございます。ただ問題は、先生も御指摘のありましたように、七〇%が私立の幼稚園によって実際に幼児教育というものが現在わが国で行なわれている。そうであるならば、公立幼稚園というものをいまから整備していく中で、私立との関係をどういうふうにつけていくのかということが、これは根本的な問題の一つではないか。これに対する基本的な考えが出ない限り、なかなかこの問題というものはスムーズに解決をしないのではないかと考えております。そういった中で、やはり非常に困難なことは事実でございますけれども、やはり強力に法人化のほうに指導を続けていく以外にはないのではないか、かように考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 望ましい方向への御努力は非常に大切なことになってくるかと思いますけれども、しかし非常に困難な事業であるということを十分御認識いただきまして、手をつけていただかないと、中途はんぱに終わってしまうというおそれが多分にございますから、その点どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。 なお、この構想案の中で公・私立の幼稚園の質的な充実をはかるための必要な財政上の措置ということが言われておりますけれども、まずお聞きしたいことは、幼稚園の教員の質の向上をはかるために、どのような計画をお進めになっておりますのか承りたいと存じます。
○説明員(宮地茂君) この基本構想試案は中教審としてこういうふうに考えるべきだというものをいただきまして、私のほうが考え方を持って、中教審にこう言っていただたいということではございませんので、こうおっしゃっておられる中教審の答申に、すぐいまの先生がおっしゃいますような計画が付随しておりません。お答えに対してちょっとあるいは失礼かとも思うのですが……。
○説明員(西岡武夫君) ただいま局長がお答え申し上げましたのは、中教審の——これは私も中教審、中教審ということで、文部省がいろいろな施策を行なう場合に、中教審の答申が出てから初めて行なうというあり方に実は疑問を持っております。しかし中教審というものが現に存在をして、そして中教審がそれなりに役割りを果たしてきていることは事実でございますし、現在中教審が鋭意初等中等教育のあるべき姿に対して検討をしておられるわけでございますので、やはり中教審の現在しておられる結論について、これに真剣に取り組んでいく、これを全然無視した形で文部省独自の政策を現在行なうということもいかがかと考えているわけでございます。したがいまして、五月二十八日に出されました計画案はまだ中間的な報告という形の試案という形で提示をされまして、さらにそれに対しまして、各方面の意見が十分盛り込まれた上で、最終答申が来年の春に行なわれるであろう、そういった結果を待って、具体的な策を文部省としては立案をしたい。ただそう申しておりますと、いつまでたってもまた一年先にならなければできないということでは文部省としては責任を果たせないということで、現在中間報告というものを一つの柱におきまして、最終答申の大体方向づけがなされておりますので、最終答申がなされたときには、大体すぐに具体的な政策を立案できるような準備を現在実は詰めているという、そういう意味で局長はお答え申し上げたわけであります。
○萩原幽香子君 局長さんね、何かお話を承っておりますと、中教審よりももうちょっと程度の低いようなことを私は文部省はお考えになっていらっしゃるんじゃないかなと、中教審がこういうふうに言ったけれども、しかしそれは私たちが言ってもらったわけじゃありませんからと局長さんはおっしゃいますけれども、それだったら私はもっともっと中教審より以上のものをやはり文部省としては考えていただかなきゃいけない。文部大臣はよく中教審の答申を待ちましてということをどこでもおっしゃるわけです。それは非常にけっこうどございますけれども、そうしたら、少なくとも中教審の答申がこれぐらいやれとこういっていることについて、だったら文部省はもう少しこれ以上のものをやらなきゃいけないのだというその計画を私は出していただいて、たとえば幼稚園の先生の質が悪いというのなら、それを向上させるためには、いま中教審はこういうことを言っているけれども、私たちとしてはこれぐらいのことを考えているのだというものをお示しいただかないと、文部省が非常に幼児教育に積極的に取り組んでいただいているということを私たちは安心して考えられないのですよ。私は口を開けば幼稚園のことを言いますから、また幼稚園かということになりますけれども、そういうぐらい幼稚園は大事なんです。それをそういうふうに軽く扱われたことは私はやり切れないわけです。だからどういう計画をお持ちなのか、ひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
○説明員(宮地茂君) どうも失礼いたしましたが、私が申しましたのは、中教審でこう答申しておる、これに対してどういう計画か、答申に付随しての計画のような計画はちょっとお答えしにくいと申し上げたわけで、しかし、先ほど来政務次官も言っておられますように、私ども中教審は中教審だ、文部省は文部省だという考えは持っていない。文部省もこれはこういう教育を振興したい、ついてはいいお考えを承りたいという考えでお聞きしておりますから、したがいまして、中教審がこういうふうにおっしゃった、これを受けて文部省としてこの中教審の答申を尊重し、あるいはこの答申以上の積極的なものという考え方はいろいろ研究しておりますが、いまこの場でこの答申を受けて、すぐこう考えておるというお答えはちょっともう少し時をかしていただきたいということを申し上げた次第でございまして、ひとつもこの答申より軽くいくとかそういう意味では毛頭ございません。
○萩原幽香子君 それはたいへんどうも失礼をいたしました。ですけれども、何かいままでずっと長い間この幼児教育が大事だということはもう言われ尽くしてきたほど言われておりますのにかかわらず、それでは先生たちの資質の向上のためには大体こういうことをやりたいと思っているのだと、それくらいのことがいまここで私は聞かせていただいて当然ではないかという感じを持ちましたのでお尋ねをしたわけでございます。なお、入園希望の五歳児の就学ということを考えますと、相当数の幼稚園が必要である。そうしますと、それに対しての教員養成という問題も出てこようかと思います。時間がございませんから、その問題はあとに譲らせていただきます。そして問題になっております幼・保一元化、こういう問題もあろうかと思いますので、将来重要なる課題として、この幼・保一元化の問題を文部省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、これも承りたいのですが、時間がございませんから、これもゆっくり時間をかけてまたお伺いをすることにいたします。 そこで、六十三国会の予算委員会の分科会で、私は幼稚園の教員の給与についてお尋ねをいたしました際に、宮地局長さんは、公立学校教員の俸給表どおりだと、初任給は大学卒で三万二千九百円、短大卒で二万七千百円だが、実態は大学卒二万六千九百九十円、短大卒は二万三千四百二十五円だと、こういうお答えで、幼稚園教員の給与が低いということをお認めになったわけでございます。これは会議録に示されておりますのでお読みいただいたらけっこうでございます。ところが、この給料がどれほど低いかということは、他の企業で働く女性との比較でもわかると思うわけでございます。そこで最も身近な繊維の会社に入社いたしました中学卒の娘さんたちの給料がいまどれくらいでございますか、お尋ねをいたしたいと存じます。
○説明員(宮地茂君) まことに恐縮ですが、教師の給与でございませんので、いま先生の御質問に直ちには、ちょっと資料持っておりませんので、お許しいただきたいと思います。
○萩原幽香子君 これはぜひ調べていただきとうございます。先ほど鈴木委員の御質問の中に、教員は役人の下、役人は確かに企業勤労者の下、そしてまた幼稚園は小・中学校の先生の下、こういうことになりますと、給料の面におきましては、幼稚園の先生は最低だということが私は言えるのじゃないかと、こういうふうに思います。これでは幼稚園の先生の質がよいとか悪いとか非難される以前の問題がありはしないか、こういうふうに考えるわけでございます。そこで、なぜこのような現象が起きてまいりましたのか、それについて、ちょっと次官のお考えを伺いたいと思います。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。これはやはり根本的には幼稚園教育が義務教育でないというところに問題があると思うわけです。と申しますのは、現在市町村に対しまして、小学校・中学校の教員の俸給表を適用するように文部省としても市町村を指導いたしておるわけでございます。これまでも四十一年、四十四年、ことしも五月の二十九日の日に初中局長が都道府県の教育長あてに、この給与表の適用ということを指示をいたしているわけでございますが、通達を出しているわけでございますが、少し改善をされてきて給与表の適用を行なってきているわけでございますけれども、まだ十分という段階までに至っていないというのが実態でございます。したがいまして、今後の問題でございますけれども、中教審が希望する満五歳児を就学させるという方向を打ち出しておりますが、これは市町村に設置義務を負わせるということになりますというと、満五歳児を義務教育にするということに事実上持っていかなければならない。その段階では現在小学校、中学校に対して国が給与に対して負担をいたしております水準に当然持っていける、そういった形で将来考えていきたいと、かように思っているわけでございます。
○萩原幽香子君 幼稚園教育七カ年計画というのをお出しになっておりますけれども、その七カ年計画ではこの幼稚園教員の給与費を従来都道府県の負担にすることを検討すると言っているわけですが、その検討がどのような結果を生んでおりますのか、ちょうど七カ年計画のことしは完成年に当たると思うんでございますが、その都道府県の負担ということを検討するということだったのですが、その検討の結果でございますね、どういうふうになっておりますか伺いたいと存じます。
○説明員(宮地茂君) 当初七年計画を立てましたときには、そのようなこともやはり並行していかないと結局給与関係が保育所などと比べまして、保育所の措置費のようなものがやはり幼稚園にないと、ただ設置を推進するといっても必ずしもうまくいかぬであろうといったようなことから、実際問題として給与と施設とが密接な関連があるわけじゃございませんが、実際問題としては関連がありますので、そういうことも検討したいということで考えましたが、何ぶんにも当初七年計画で六三%ぐらいな幼児は就園さしたいという計画で進みましたが、昨年お答えいたしましたように、その計画もおくれておりますので、むしろ施設設備のほうを重点としてというような考えに重点をかえましたのと、それからやはりこの都道府県のほうに給与を持たせるということは、先ほど政務次官も申されましたように、制度としてこれが義務教育であるとか、あるいは今後義務教育にするというはっきりした明快なそういう案が出されないと、ただ都道府県に負担させるといっても、これはなかなかむずかしい問題であろうといったようなことを検討いたしまして、検討と申しますか、そういうことで当初の都道府県負担も考えて、七年の終わりにはといった成果は十分出ておりません、給与につきまして。
○萩原幽香子君 それでは義務教育でないから、これはむずかしいという検討だけがなされたという結果になるわけでございますね、たいへん意地の悪いことを申しまして恐縮でございますけれども。私は三十八年にそういうことが言われた。そうすると、三十九年の段階ではこう、四十年ではこうというふうに七カ年経た現在では、ここまでは検討が進んだんですよという私はそれが伺えると思ったんですけれども、義務教育でないからむずかしいという検討だったら、初めからずっと同じことの繰り返しではなかったかと、こういう感じがするわけでございます。幼児教育を言わなければならない理由はこういうところに私はやはりあるように感じます。たいへん失礼でありますが、そういうあたりもう少し考えていただきたいと存じます。 それから、同じときの質問に、私は同一学歴、同一経験年数の小・中学校の先生と比べて幼稚園の先生はどれほどの格差があるか、こういうことをお尋ねしたわけですけれども、そのときに局長さんは、一、二の県の調査は出ているが、いま調査中だというお答えをいただきました。それから三カ月たっておるわけでございますが、もう大体結果は出たのではないかと思いますので、あらためまして全国的に見てどれほどの格差がございますのか承りたいと存じます。
○説明員(宮地茂君) それでは詳細は後に譲りまして、結果だけを申し上げます。百三十一市町村では小・中学校と同じでございます。それから七百四十七の市町村が小・中学校の先生より低い、吏員と同じということになっておりますから、七百四十七の市町村にあります幼稚園は同一学歴でも小・中学校の先生より低いと、こういうふうになります。それからさらに、これも昨年先生からお尋ねの、もう一本、幼稚園の先生独自の俸給表を持っておるその次の段階のが百九市町村ございます。以上で大体御想像できるのじゃないかと思いますが。
○萩原幽香子君 そうしますと、もう大多数が非常に低い給与ということになるわけでございますね。そうしますと、大体七年ぐらいたちましたときにはその開きというのはどれぐらいになりますか。ちょっとこれ御研究いただいておきたいと存じます。次の機会には必ず御説明をいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 それから次、自治省にお尋ねをいたします。自治省は四十五年度に地方交付税算定方法の改善をされたと聞きますが、幼稚園にしぼって、どのような配慮をなされたか、承りたいと存じます。
○説明員(横手正君) 幼稚園経費につきましては昨年度からかなり重点を置いてその充実につとめてきておりまするが、本年度におきましても、職員数の増加、あるいは校医手当の増額、その他需要額の増加、こうしたものを行なっております。結果的なことを申し上げますと、昨年度、経常経費としましては基準財政需要額に約二百九億円を算入いたしております。これへ建設投資関係、これが約七十二億円投入いたしておりますので、昨年度は二百八十億円程度の需要額の結果になっております。それからなお本年度でございまするが、経常経費につきましては約二百七十五億円程度、建設投資関係が七十七億円程度、合わせまして三百五十億円程度、こういう見込みでございます。なお、決算額、これと需要額とを比較いたしてみますと、昭和四十三年度の決算額が、経常経費で一般財源にしまして約百億円、建設投資関係の一般財源投入額が約三十億円、合わせまして百三十億円足らずでございましたので、その後二ヵ年でかなりの増加があるといたしましても、目下のところ交付税の措置のほうがかなりの過大算入、こういう結果になっておるわけでございます。
○萩原幽香子君 自治省に対しましてもう三点質問をさせていただきたいと思ったわけでございますが、時間が参りましたので、まだあと少し残りますが、またあとでお答えいただくことにいたします。せっかくお越しをいただいて、私はいろいろお聞かせをいただきたいと思ったんですが、いまのところ、時間が来ましたと、そういうことでございますので、ほんとうに残念でございますけれども、また後ほどお教えをいただきたいと存じます。終わります。
○小笠原貞子君 私、拓大拓忍会による安生君の殺害問題についてお伺いしたいと思います。 御承知のように、私この国会ずっとからだを悪くして休んでおりました。たくさんのおかあさんたち、特に学生を持っている母親たちが、ほんとうに涙ながらに私のところに飛んでこられたのです。どれだけお金をかけて、どれだけの時間をかけて療養させても、わが子が殺されたときの気持ちというのはほんとうに耐えていけない。ところが、白昼、大学という学校の場で安生君がああいうひどい殺され方をした。一体このことを私たちどう考えたらいいんだろうか、どうしたらいいんだろうか。私はそのたくさんのおかあさんたち、またおとうさんも含めて頼まれてまいりました。文部省としても、私にお答えいただくのではなくて、日本じゅうの、この事件に対して心を痛めているそういう方々への真剣なお答えとして御答弁をいただきたいと思います。 まず第一に、この事件が起こりましてから、文部省として一体この事件をどう考えて、どういう具体的な措置をとってこられたか、その点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 今回の拓大におきます事件は、文部省といたしましても、まことに遺憾と考えているところでございまして、亡くなった御本人はもちろんでございますが、御家族の方々のお気持ちに対しまして、心から申しわけないことであるということを感ずるものでございます。 文部省といたしましては、かねて、この種の学校におきますところの自治活動、課外活動をめぐっての暴力的な各種の事件に対しまして、いろいろ対策を立ててきているわけでございますが、昭和四十年に、農大でございましたか、ワンダーフォーゲルの事件がございました。そのときも、六月三日に国・公・私立大学に対しまして、学生の課外活動のあり方の検討、また不祥事件を起こさないように指導の徹底をはかるよう、その旨の強い指示を通達をもって出しているわけでございます。その後もあらゆる機会を通じまして文部省といたしましては指導を続けてきたところでございますが、まあ今回拓大における事件を起こしてしまいまして、これはあとの祭りでございますが、さらにこれを契機として、このような事件を起こすことのないよう、格段の配慮をするように、これまた六月二十四日付で各大学に強い指示を通達をもって出している次第でございます。また、拓大当局の学生部長も本省に招きまして、事情を聴取し、今後その対策に遺漏なきよう指導をいたしているところでございます。
○小笠原貞子君 その通達を、出されました四十年の分も読みましたし、また今度の分も読ませていただきました。しかし、その四十年の通達が出されて以後、そうして中曽根さんが総長になられて以後、実にまたたくさんの暴力が発生しております。四十二年に拓忍会員四名で中野で早大生が殺害されております。傷害致死で懲役になっております。また、四十三年の十一月早朝には、関東軍と称される拓大OB中心の暴力学生が日大芸術学部へなぐり込んだ事件が起きております。また、現在で申しますならば、あの報知印刷にも、それらの拓大の学生たちが動員されて暴力行為を続けていると。そしてまた、四十四年の四月、麗沢会の機関紙「扶桑」についても、これについての自分の都合の悪い点については伏せ字でもって発表している。そうして、それをまた回収していると。そうして、いろいろな意見を出したものについては、学生大会や、いろいろな場で発言したということで、学内にある麗沢湖という池の中に突っ込んでオッスというのを五十回も叫ばされるという事件が起こっている。また、群馬県の川原湯温泉で暴力事件が起きております。まだまだたくさんの事例が起きております。ですから、私が申し上げたいことは、いろいろと哀悼の意を表されて、努力しています、通達を出しましたとおっしゃっても、この通達が具体的には何らそれらの解決に役に立っていない。もっと具体的なそれらについての真剣な対策というものの御答弁をいただきたかったわけでございます。 それで、そのことはもう通達を出したということで御答弁いただいたから、もう時間がございませんから、次に進ませていただきたいと思うわけでございます。 いま言ったように、通達を出されてからあとも、特に中曽根総長就任以来、とみに拓大の中で、右翼暴力学生の暴力が白昼公然と行なわれている。この殺害事件が、単に偶発的に起きたのではない。その背後に一体どういう状態が行なわれているか、その実態を明らかにしなければならないと、そう思うわけでございます。で、その実態を私ちょっと関係者にも聞きました、そしてまたいろいろと各紙が出しておりました。調べてみました。暴力的な体質どういうものがあるだろうか。暴力ざたは日常ざたでございます。あいさつをしなかった、詰めえり服を着ていない、学生集会で発言したということに言いがかりをつけて体育系学生が一般学生をなぐる、けるの暴行を働いております。寮へ行けば、スリッパがよごれているとなぐられる、食事のときは下級生は四年生が食べ終わるまで食べられず、食べるものが残らない、そういうときもあった。このような一部学生の暴力によって、歯を折った者も、大けがをした者も、失明をした者もあると言われております。これは六月二十日の朝日の記事に出ております。また体育系学生は白昼学内で公然と短刀、日本刀、木刀を持ち歩いているのです。そして何か事があると、発言があったというようなときにはその短刀を抜き身にして、そしておどかしを続けているわけです。今回事件を起こしました拓忍会、拓禅会、柔剣道愛好会などは学外の右翼団体と結びついているばかりか、先ほど申しましたような、日大芸術学部になぐり込みをかける、報知新聞労組に攻撃をかけるというような、通称関東軍と言われるような特別防衛保障会社、そこに雇われてそして参加している、こういう事実もございます。また拓大には学生の自治会、学部、同好会などを統制するものとして麗沢会というそういう組織がつくられておりますが、その運営の実権というのが総長、理事など学校当局とともに体育系の学生など右翼暴力学生や同じ性格のOBなどにあることによって、一般学生の暴力の温存するその大きなもととなっているわけです。そして拓大の学生に実際会って聞いてみた。彼の言うことには、私はほんとうにいろいろと希望も持って学校に入ったけれども、拓大に入ってからこのかた一日も明るい気持ちになったことはない、何かといえば常に命の危険にさらされている、こういうことを言っているのです。これはもう各紙も取り上げておりますし、当事者から私も聞いたことでございます。文部省としてはこれらの事実を知っていらっしゃるのかどうか。白昼公然と先ほど言ったように短刀や日本刀、木刀などを持ち歩くなどということは、これはもう一般社会でも許されない。これが学内でまた行なわれている、これが教育の場で行なわれている。文部省はこれをどう考えていらっしゃるのか。政府は、これは当然学外でもきびしくこういう凶器を持つべきでないという措置がとられるべきはずではないかと思うのです。その点についてどう考えていらっしゃるのか。
○説明員(西岡武夫君) それはもうお答えするまでもなく、当然そのような暴力行為が行なわれることに対しては、政府といたしましても厳然としてこれに臨み、暴力の一掃に努力しなければならないことは当然でございます。
○小笠原貞子君 当然のことが依然として行なわれていなかったということについて大きな反省をしていただきたいし、単にことばで今後善処したいなどという問題ではない。一人の青年の命が殺されているのですよ。あの現場のことをお聞きになったと思うのです。かんべんしてくれと言っている安生君に最後の一撃を加えて殺しているのでしょう、ほんとうに私たちとしてはこれは耐えられないことなんです。こういうようなことを私はきょうは大きな問題として質問したい、とすれば当然総長としての責任で中曽根大臣に出ていただきたかったのです、そしてまたそれが不可能ならば文部大臣としても責任をもって出ていただきたい、これもお出にならないということは、いろいろと答弁なすって哀悼の意を表されても、実際には私たちとしてはもうふんまんやる方ないということが言えると思うのです。 具体的にそういう一つの例をあげたいと思います。いわゆる中曽根体制ということがいわれておりますけれども、拓忍会の部長として津山講師というのが採用されているわけです。津山講師というのが一体どういう人であるか、このことはもういろいろと出されているわけですけれども、過去四回傷害事件を起こしているわけですね、暴力ざたで傷害事件を起こしている、そして退学をされた。そういう拓大の体育学部のOBが同大学の体育講師兼学生主事におさまっている。そしてことしの四月には講師に昇格をしております。そしてこの人が拓忍会の部長に現在なっていたわけでございます。教授の一人は、選考委員会でもたくさんの反対意見が強かったにかかわらず、これは講師になったという、そういうことを発言した教授もいます。また、学生に聞いてみたら、この津山講師というのは、たとえば昨年六月に学生運動が非常に盛り上がりを見せた、集会を開いていると、そのときにいつも姿を見せる、右翼や体育系学生などのなぐり込み、そういうおどかしに対して傍観しているだけではない、かえってけしかけるような態度をしていると、それを目撃した学生は証言しているのです。そしてこの講師こそ拓大にはびこっていた暴力支配の一端をになうもので、大学の暴力温存政策の具体的なあらわれにすぎないと、こうまで言っているわけでございます。こういうような人物が講師として選ばれて、そして責任者となっている、それについて総長は、そういうことがあったとは知らなかった、もし知っていたらそういうふうにはしなかったと、こういうような言いのがれをされているわけなんです。このことから見ても、この拓大の殺傷事件というものの中で起きたその背景というものは非常に根深いおそろしいものがあると言わざるを得ないと思うわけでございます。こういう学生たちがいま一体何を望んでいるか、この学生たちがほんとうに発言することは命がけだとそう言いながらも、これを黙っていられない、自分たちがまず安心して大学で勉強できるようなそんな場所にしてほしいと、そういう一般学生が集まって、六月二十三日でございます、その学生たちが当面の要求として四点にわたる要求を提出しております。これは、われわれは要求するという学生大会の提案でございます。この中で当面の要求としていることは、先ほど言ったような麗沢会というもの、これを直ちに解散してほしい、学内での暴力行為、凶器所持について全面的に禁止し、断固として取り締まってほしい、柔剣道愛好会、拓禅会その他暴力団体を直ちに解散させてほしい、総長講話をやめてほしい、学生の自治を認めよというような、こういうような要求が出されているわけでございます。普通の学校ではございません、殺人が行なわれた学校の中でまず一般学生が安心して学生生活が送られるような、そういう凶器の所持をなくして安心して学校に行けるようにしてほしいという、こういう学生たちの要求、私はこれは当然な学生の要求だと思うのでございますけれども、どうお考えでいらっしゃいましょうか。
○説明員(西岡武夫君) もちろん、学生が安心して勉強できる環境に学校が回復するようにと望むことは当然のことでございまして、もちろん拓大の当局としてもそれまでの管理上、監督上の不行き届きを反省をして、現在真剣に当面の措置、また暴力的な諸団体に対する対策、今後の改善の方針に取り組んでいるやに見えますので、まあ当面は大学当局がどのような形でこれを解決をしていくかということを期待しながら文部省といたしましても十分指導をしていきたいと、かように考えている次第でございます。
○小笠原貞子君 期待しながら見守りたいとおっしゃっておりますけれどもこういう学生たちの要求に対して具体的に大学では適当な処置をとられただろうか。このことに対して大学はロックアウトをやっております。しかも教授会も理事会も知らない中で中曽根総長、一部の独断によってロックアウトが行なわれている。そして学生たちと話し合おうとしない。そしてまた中曽根総長が各父兄などにお手紙をお出しになっていらっしゃいます。私ここに写しを持ってまいりました。ここで言われていることは、安生君のこの殺害に対して、安、心して学校で勉学できるようなそういう場をつくってほしいという、そういう学生たちの意見に対して、この安生君の死が、民青同盟、そういうような者に利用されて、政治的に利用されるとたいへん危険だ、そこでまた紛争が起きると困るんだ、だから大学はロックアウトしたんだと、こういうような非常に反共的な立場から。一般学生はほんとうに民主的に話し合いをしたいと同盟登校しているわけですね。それに対して機動隊を導入してロックアウトをしている、しかもそれも教授会にも理事会にもはかられないままに行なわれている、こういうことが行なわれている、これを一体どうお考えになるでしょうか。具体的に善処されているとお思いになるでしょうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(西岡武夫君) ロックアウトの状況でございますが、当時まだ暴力的な行為を行なうような、そういう空気が拓大の学園の中に残っていたと、そういった中でいろいろな意見を持った学生が感情的な対立を起こしては困るという判断が第一にあってロックアウトをされたというふうに私たちは報告を受けているわけでございます。したがいまして、そういう危険、そういう事件が起きてしまっては取り返しがつかないということで、あの時点における拓大のロックアウトの決定は、決定にいろいろ学内としての手続上の問題はあったかもしれませんけれども、そういう再び暴力的な行為というものが行なわれないためにやむを得ない処置であったと、まあそういう大学側の報告を私どもは受け取って、それはそれとして意味のある処置ではなかったかと、かように考えているわけでございます。
○小笠原貞子君 暴力が行なわれる危険があるからロックアウトというのも、それはしようがなかったとそうおっしゃっていますけれども、一体暴力というのは何をお指しになるんでしょうか。拓大の中で凶器を持参して、そして言いたいことも言えないようなそういうことが事実暴力として出てきているわけですね。暴力をなくそうと思ったら、まずそれについて徹底的に学校としてもまた学外でも凶器などを持ち歩かせないという、そういう具体的な措置をとること、そのことによって解決するんじゃないでしょうか。そういう暴力についての何らかの処置もされないままに、そこでまたこの前の学生の紛争が起こるというような、そういうような暴力というものを混同されて、学生と話し合いをしない、ロックアウトで臨むということについては、私はいまの御説明では納得できかねるんです。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 お話でございますが、私は暴力にいい暴力、悪い暴力という、そういう分け方はないと考えております。したがいまして暴力というものはいかなる理由があってもこれは悪であると、そういう観点から申しますと、どのような形であろうと暴力的な行為が行なわれることは未然に防ぐのが当然のやはり考え方ではないかと考えております。 そこで、帝大当局としてはその後これまでの経過の中で、拓大の学内あるいは学外において脅迫されたとか、そういったことの経験があった者については申し出てもらいたいとか、そういった暴力に対する総点検を行なっているというふうに私どもは報告を受けているわけでございまして、ロックアウトをしたことが暴力を未然に防ぐという観点からは意味があったと、意味があるのではないかと考えている点は私は間違いではないと考えております。
○小笠原貞子君 まず学生たちが要求している学内学外で凶器が大手を振って持ったまま歩かれると、こういうことについては、当然学外でも取り締まるべき処置をとらなければならないと思うが、いかがでございますか。
○説明員(西岡武夫君) 仰せのとおりでございます。
○小笠原貞子君 また、その深い背景の一つといたしましては、中曽根総長就任以来その教育内容というものがその暴力を温存するばかりではなく、まさに激励し育成するというそういう事実がたくさんございます。中曽根総長が総長講話というものを行なっていらっしゃるわけです。学生と一時間にわたって対話をしていると彼は言っていらっしゃるそうですけれども、一体その中身というのはどういう講話が行なわれているのか、少し例をあげてみたいと思います。四十三年度の入学式の告示の中でこう言っています。云々、前がありまして、自来、その伝統のもとに、拓殖大学は長い間海外に雄飛する青年を育ててきたのであります。その間あるいは日露戦争においては中国語を学んだ九十六名の在学生が通訳として陸海軍に従軍しているのであります。また、ある者は通訳に身を甘んずることなく、みずから銃をとって前線で戦ったりあるいはロシアの探偵、スパイとして敵の後方を撹乱するためみずから志願したのであります。これが四十三年の入学式の告示の中曽根総長の発言でございます。また、その総長訓話というものが印刷されていろいろ出ております。その特徴を一口で言うならば、拓大を学問研究の場、教育の場としてよりは、人物をつくるところというふうに見ていらっしゃいます。具体的に総長講話第十一集からちょっと引用したいと思います。「大学は、単に知識をさずけるという場所ではなく、学生を人聞的に成長させ、〃人物〃を育てるところであります。だから私にいわしむれば、大学では、最少限必要な専門知識を教授して、独立人格体としての社会性と徳性をもち、いかに考えるかということを知る人間を養成するところであります。いいかえれば、どうすればいいかという、その方法に関する判断力を養う場所でありまして、深淵な研究は大学からむしろ切り離して『研究大学』とか、『国立研究所』というところで行なわれるべきであろうと思う」これが四十四年の入学式のまた告示でございます。そしてまた「わが拓殖大学は『秀才』を育てるところではありません。〃人物〃を育てるところであります。拓大のいちばん特色とするところは〃人物〃を育てることであるけれども〃人物〃のいちばんの中心は、ロイヤリティということであります。忠節、忠誠ということであります。この学生が国家社会のために役立つ犠牲的精神を持っているということであるならば、どんどんばってきされる社会になりつつあります。」こういうことを言っております。「また、身体が強健で、運動部におって自分たちの後輩を育成し、日夜練磨して身体を強固にきたえた意思の強い学生ならば、会社においては労務係であるとか、工場管理という面において大いに歓迎しているのであります。きょうおいでになっている八幡製鉄の藤井副社長や、あるいは東電においても、日本航空においても一流会社から、拓大の運動部のキャプテンを採用したいといってこられているのであります。それもやはり、四年間の運動部の生活を通じて、鍛えられた尊い人間性をかっておられるものであります」これも総長講話第十一集「民主主義と暴力」という中で言われているわけです。こういった総長講話というのが行なわれているわけです。いまわずかの例でございますけれども、全部一度お続みになっていただきたいと思う。そしていま私が取り上げました中だけから御判断になっても、この内容が大学の目的に照らして、憲法の条項、教育基本法の条項に照らして、これは適切な内容であるとお考えになるかどうかお伺いしたいと思います。
○説明員(西岡武夫君) 非常にむずかしい問題でございますが、それぞれの大学がいろいろな教育方針で特色ある教育を行なう、これは当然のことだと思っております。その中でその大学がどこに重点を置くかということは、それぞれの大学を特徴づけるものでございまして、ある大学は、ただいまお読みになられました拓大の方針のように、人物を中心にするということもあり得ましょうし、ただその人物はどういう人物かというところになりますと、これはまた別の問題になりますが、知識を中心にするということもございましょうし、研究に重点を置くという大学もございましょうし、ただその比重の重点の置き方の問題ではないかと考えております。また、学校の教育の方針につきましては、現在のわが国の教育の基本的な諸条件から申しましても、文部省としてこの大学の教育方針は内容的に一つ一つ問題があるということをいろいろ申し上げるのは差し控えるべきではないかと考えております。
○小笠原貞子君 それぞれの大学が特色を持つということは、当然それは私立の場合あると思うんです。しかし、また最後に、文部省としてはそれについては差し控えたいと、そのことばもはやり聞き捨てにできないんです。やはり私立であれ国立であれ、教育という場においてわれわれが、実際を中心に、何を基準にして守られなければならないか、また政府としては当然憲法を守る立場において行なわれなければならないということは御存じだと思うんです。しかるに、先ほど言ったような軍国主義を鼓吹するようなそういうような演説が堂々と行なわれているという、こういう演説の内容についてまでも文部省としては差し控えなければならないんですか。
○説明員(西岡武夫君) ただいまの断片的にお読みになりました点だけを見て憲法違反の教育方針が拓大で行なわれているということをこの場で断定をするのはいかがかと考えます。
○小笠原貞子君 坂田文部大臣が、この事件が起きてから、調査すると、そういうふうにおっしゃっておりますが、その調査は一体どういうふうな調査で、いま具体的につくられているでしょうか、お聞きになっていらっしゃるでしょうか。
○説明員(村山松雄君) 私立大学に起こりました事柄につきまして文部省として調査する場合には、原則といたしまして大学のしかるべき方においで願いまして事情を聴取いたします。それに対しまして、文部省の教育行政のたてまえでありますところの指導、助言をいたすわけでございますが、指導、助言は、もちろん学校教育法ないし大学でありますれば大学設置基準といった基準にのっとりまして、不適当な点があればそれを指摘しまして指導いたすわけでございます。大学はそれをまた自主的に判断されまして、不ぐあいな点があれば是正するわけでありまして、拓殖大学の場合には、何回か学生部長がお見えになっておりまして、現在までのところ口頭でいろいろな事情の御説明があり、これからの方針についても若干の御開陳があったわけでございますが、概要は政務次官がお述べになりましたように、拓殖大学としては決して当該大学生の学内学外におる暴力事件といったようなものを不問に付しておるわけではございませんで、先ほど先生が御指摘になりました若干の事件につきましても、それぞれ調べまして、確かにその事実があると認められました場合には責任者を処分いたしております。また、将来そういうことのないように戒めつつあったわけでございますけれども、それにもかかわらず、今回のような遺憾な事件が起こりましたわけで、そこでさらに大学としては、これを契機といたしまして大学改革の特別委員会というようなものを設置しまして、各学部から何名かの委員を出し、そこで調査を現在いたしておるようであります。先ほど政務次官がお述べになりましたように、体育会あるいは同好会、愛好会といったような諸団体について総点検をし、そこで暴力的な傾向が従来あったか、あるいは個人的にも被害を受けた者があったかどうかというようなことを調べまして、そういう者についてはすべて責任は追及し、是正すべき点は是正するという態度で対処するということでざいますので、文部省といたしましても、その方針にのっとって、ぜひ学内から暴力を一掃し、拓大が教育研究を正常な形でやれるようにしてほしいということを申しているわけであります。 なお、口頭の御説明のほかに、調査が一段落した時点で文書による正式な報告もいただくということになっております。
○小笠原貞子君 そういう態度だから暴力というものがいままで温存されてきたんですよ。お聞きになるのが学校側の方からお聞きになる。学生からと言っても、一部の学生の声しかお聞きにならない。そういうものではなくて、具体的に総長講話が一体どういうものが出されているのか、そういうものを当然取り寄せてお調べになるのが文部省としての責任ではないでしょうか。常にいま御答弁になったような、まことにあいまいな態度で過ごされてきたからこそ、通達は何回出されても、そうしてまた事件が起きて当事者を処分しても暴力というものがいままで温存されてきたんです。私はいまの御答弁に対してたいへん不満に思います。文部省としてのほんとうの立場での責任は私は免れないと思います。 時間がございませんので次に移りますが、こういう学長の総長講話に続いて、産業特別講座とか、教養講座というような毎週特別講座が開かれているんです。その特別講座で一体どういうメンバーが、どういう発言をしているか、この事実も具体的な事実としての印刷物も出ております、ぜひお調べいただきたいと思うんです。たとえば自衛隊は誇りを持って殺せと、あとは坊主が引き受けると言ったあの今東光、核兵器、核武装は当然すべきであると言う石原慎太郎、それからまた、桃井防衛庁教官、こういった方々や大会社の社長、そういう方たちが講座に連なって、そうしてそこで全く私たち普通の目から見てもまさに憲法、教育基本法に照らしてこれはと驚くべき講座がその中で行なわれているわけです。この事実を指摘し、こういう事実を具体的に御調査なさることをお願いしたいと思います。 次に現職閣僚についての兼任の問題についてお伺いしたいと思うんですが、現職閣僚について岸内閣以来兼職禁止というような一種の申し合わせというようなものが行なわれて、そうして事実兼職はされていなかったわけです。これは調べてみたのでそういうことがわかったんですけれども、その中で現職の防衛庁長官、この方が拓大の総長というような形で入っていらっしゃる、このことは一体どんなんでしょうか。これはやはり好ましくないと思うんですけれども、いかがお考えでいらっしゃいますか。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 文部省といたしましては、ただいまの御質問の観点からではなくて、教育というものが片手間仕事で行ない得るものではないという観点から、中曽根防衛庁長官であろうとなかろうと、政治家が片手間仕事で教育の責任をすべて負っているという立場に立つのは不適当である、かように考えております。
○小笠原貞子君 またその現職閣僚が、まあいろいろな方も代議士として学長になっていらっしゃる場合があるわけですが、中曽根さんの場合は閣僚の立場で総長になっていらっしゃるということですね。その総長が、片一方の面では防衛庁長官が一つの人間です。これが直接総長講話という形で七〇年問題について、またまことに軍国主義を鼓吹し、そうして体育部系の暴力学生たちを激励するような、そういうようなことが行なわれているということが考えられるわけです。先ほど申し上げましたとおり、このことを一つの面から言えば、これはまさに教育基本法、日本国憲法の精神にのっとり、不当な支配に服することなく、国民全体に直接責任を負って行なわれるべきものであるという憲法や教育基本法の立場から考えれば、まさに国家権力、しかも防衛庁長官の現職の閣僚が学校の総長としてこういう内容を行なっているということは、まさに権力の介入と言われてもしかたがないんじゃないかと思うんです。いかがでございますか。
○説明員(村山松雄君) 文部省としましては、私学に対する態度としまして、設置認可の際にはその教授陣の構成まで判断いたしますが、設置認可された以後における学長はじめ、教授陣の構成、あるいは教育内容といったようなものについては立ちいたらないというのが文部省設置法の精神でもありますし、そういうことで従来もやってまいっておりますし、最近は私学振興財団法の審議におきましても、文部省は私学の人事、あるいは教育内容には立ち入らないということをしばしば言明しておるわけでございますので、こういう問題は遺憾であると思いますし、それからまた、他に重要な職を持っておられる方が大学の責任者になるということは文部省としては必ずしも望ましいこととは考えませんけれども、それについて文部省が行政上どうするということはいたしておりませんし、また現時点でいたす考えもございません。
○小笠原貞子君 時間がございませんので最後にお伺いしたいと思います。 「今週の日本」という、こういう新聞がございます。私が申し上げるまでもなく、そちらが御承知だと思います。発行部数のほとんどは総理府が買い上げておられます。全国の官公庁、学校へ広く配付されております。四十五年度の予算では、買い上げ、配布料、二億七千三百万円という総理府の予算をかけて、まあいわば政府の機関紙として「今週の日本」というのが出されている。この「今週の日本」七月十三日を見ました。ここに「民族派学生ただ今、猛勉中」、この内容に至りましては、こういう殺人まで犯すような、右翼暴力をほしいままにするこの学生たち、暴力学生たち、純情な、まじめな、好ましい学生だ、盛んに宣伝をしていらっしゃるんです。前申し上げましたように、早大事件が起きてから拓忍会というのが解散させられております。解散させられてまだ復活していない段階において、この機関紙ではすでに単一団体として拓忍会というのがはっきり出されているわけなんです。私はこのことを考えますと、最後に申し上げたいことは、よくお聞きになっていただきたいと思うんです、学生の、ほんとうに一般学生の安心して、命の危険なくして学校に行けるような要求について正当とお認めにるかどうか。そしてまた、暴力、凶器、これが白昼堂々と学内で持ち歩かれるということについて直ちに適切な措置をとってください。直ちに適切な措置をとっていただきたい。そうして、これを「今週の日本」が証明するように、口では遺憾でございます。こういうことがないようにやっていると思いますと答弁なさりながら、こういう機関紙で暴力を育成するというような、こういうことは直ちにやめていただきたいと思います。そうして、先ほどいろいろ申し上げました中から見ても、中曽根大臣、大学の総長としては不適任だと思います。ぜひこの際辞任していただきたい。こういうことを申し上げて質問を終わりたいと思います。どうぞ答弁をお願いをいたします。
○説明員(西岡武夫君) お答えいたします。 暴力につきましては、その原因になっておりますそれぞれの立場、左であろうと右であろうと暴力については、これは断固としてこれを排除していきたい。これは申すまでもないことでございます。ただこれを排除する場合の、実際にこれを行なうのは、もちろん文部省の立場ではございませんで、これは警察の問題であろうかと考えます。 また、先ほどからいろいろ文部省についてのおしかりを受けたわけでございますが、ここ数年来の大学紛争の経過をごらんいただきましておわかりいただけると思うのですが、文部省としてはいろいろ教育のすべての問題について最高の責任を最終的に負っているわけでございますけれども、先ほど大学局長からもお話を申し上げましたように、文部省は現在の法律の体系の中で、それぞれの学校について指導、助言しかできないという、そういう立場に置かれている。そこにいろいろな問題点があるということも御認識をいただきたいと思うわけでございます。
○小笠原貞子君 いまの御発言で、またいろいろと御質問させていただきたいことがございますが、時間がございませんので、それはまたあとで引き続いてお伺いいたしたいと思います。 しかし、いま最後におっしゃいました文部省としてはいろいろと考えているけれども、指導、助言という立場から、そこまでは立ち入れないというような趣旨の御発言のように思えたし、確かに指導、助言でございます。決して介入していただきたくはございません。しかし、この指導、助言というもの、現に殺人が犯されているのですよ。この殺人が犯されているのに、指導、助言の立場で文部省としては外からでなければできない。こういうことでは、これは全く問題だと思う。やはり文部省としては指導、助言の立場からでも、こういう暴力事件が起きていることについてもっともっと責任を持っていろいろと処置が行なわれるべきだと思うのです。指導、助言の立場しかないからというような、そういう逃げ腰の無責任な立場に対して断固抗議して、終わります。
○説明員(西岡武夫君) 無責任という御指摘でございましたが、決してそうではございませんで、これまでたびたび、再三申し上げて恐縮ですが、大学紛争で、いろいろの大学で集団的な暴力行為、破壊活動が行なわれた場合におきましても、文部省としては、これに具体的に、これをどうすればよいのかということで、たいへんいろいろ対策を立て、悩み、いろいろ検討をしながら、実効のある行動がとれなかった。ただいま、介入をしてもらっては困るという御指摘でございましたけれども、そういうところに文教行政の非常なむずかしさがあることを御認識をいただきたいと思うわけでございます。
○委員長(楠正俊君) 本件についての質疑は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後四時八分散会