物価等対策特別委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/08/11
会議録
○委員長(横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。 当面の物価等対策樹立に関する調査中、消費者行政に関する件及び当面の物価対策に関する件を一括して議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。 竹田君。
○竹田四郎君 公正取引委員会が従来から独禁懇話会等々を通じまして管理価格あるいは独占価格について、たいへん御研究をなさっていらっしゃって、ある程度意見の取りまとめができたようでございますが、その中では、特にこれからの独占価格に対する監視を強めていくということが強く述べられておりますし、公取委員長も、そういうつもりで、いまの独禁法では管理価格に対する調査あるいはそれに対する介入というようなこともできないから、独占禁止法の改正というようなことも新聞紙上伝えられているわけでありますが、まあそれと関連いたしまして、最近特に経済の急激な成長の過程であらわれている一つのことに、企業と企業との業務提携ということが最近極端に行なわれているようです。 私も、つとめてその内容について当たってきたわけでありますが、業務提携の内容というものを大ざっぱに分けてみますと、技術援助や技術協力によるというような形での業務提携の一つの形があります。それから、生産調整を主体と考えているところの業務調整があるわけであります。これなんかを見ますと、一つは、合理化のために、企業の中の一つの特定の部門というものは生産を中止させて、他の企業の同種の部門と合併をすることによって一つの新会社をつくるというような業務提携もあるわけであります。あるいは、販売ルートを確保するという意味で、たとえばリッカーミシンと三菱電機、こういうようなものを見てみますと、他社の販売ルートに乗せるために業務提携をする、こういうような形がありますけれども、この生産調整にいたしましても、販売ルートの確保にいたしましても、表面的にはそう書いてありますけれども、実際には、どうも価格維持というようなものを内容的に含んでいるのではないか、こういうふうに私ども感ずるわけであります。それからあるいは、金融を受けるために新しい会社を合弁でつくっていくというようなものもありますし、あるいは、その際に株式をお互いに持ち合うというような問題もあります。あるいは、特にシステム産業等におきましては、需要先を確保するための業務提携、特に見られるのは住宅産業と電機産業とか、あるいは木材関係と不動産会社とか、こういうところでも業務提携が見られるわけであります。それから、何といいますか、最も進んだものといいますか、あるいは、もっと市場支配的な要素といたしましては、合併と同様な効果を得るための業務提携というようなものがあります。たとえば日産といす父の業務提携というようなものは私はこれに類するものではないだろうか、こういうふうに思っております。たとえば日産の乗用車をいす父の工場でつくらして、それを日産なりあるいはいすゞの販売ルートに乗せて売っていく、こういうような形で、実際には合併とほとんど似たような形でやっているというような業務提携もあるわけです。それからたとえば製糖関係、砂糖の関係なんかを見ますと、商標を統一する、たとえば横浜精糖と芝浦精糖でしたか、こういうところでは「スプーンじるし」という形で商標を統一する。その他でも「カップじるし」の商標というようなことで商標を統一する。こういうような形で商標を統一していくことによって、これは当然価格の維持もそういう形でやられていくわけでありましょう。価格も、同じ商標で、片方で幾ら片方で幾らというようなことも当然なくなって、同じ価格という形で商標を統一することによって実際上の価格カルテル的な行き方というものにどうしても結びついていくのではないか、こういうふうに見られるわけですが、こういうような業務提携というものが、ただ単に企業の独自の立場から行なわれている場合もありますけれども、ある面では、自由化対策あるいは技術面の革新対策ということで、通産省あたりにおいては、それを推進をしていく、こういうような面もあります。 こうした面から考えますと、業務提携全部が悪いとは思いませんけれども、業務提携の中に、価格を維持する、あるいは販売のテリトリーをお互いに協定をする、あるいは生産を調整することによって価格を維持していく、こういうような内容もどうもかなりあるのではなかろうかという危惧を私どもに抱かせるわけでありまして、そうした意味で、ある意味では企業のグループ化と言ってもいいと思いますが、たとえば工作機械の面などにおいては、何々グループ、何々グループというような形で生産調整をやる、生産分野をお互いに協定をする、こういうようなことが非常に行なわれているように思うわけであります。あるいは大手商社とスーパーとが協定をいたしましてやっていく、こういうような形で、一つ一つ例をあげればおそらく切りがないと思うのです。そうした面からの市場支配といいますか、あるいは価格の維持とか、そういうようなことをやってまいりまして、そうした面では、こうした業務提携の内容というようなものをもう少し精査をして、チェックするものはチェックをしていくような形を今後とっていかないと、私は、物価対策の中で幾ら議論をしても、実際には価格の上昇ということを招く、こういうことになるのではなかろうかと思うわけです。 ことし八月初めの日銀の調査を見ましても、主要企業の四百八十四社ですか、これの四十四年度下期決算の内容が出ておりますが、その内容によりますと、金融引き締めの事態の中で企業の収益というものが非常に上がっていく、こんなに金融引き締めの状況下の中で純利益が上がっていくというのは今度初めてだそうであります。そうした形で、たいへん純利益が上がっているという報告が出ております。しかし、その上がった内容を調べてみますと、日銀の調査によりますと、それは価格の上昇によって利益が上がったということでありまして、私どもはこのニュースを見まして実に驚いたわけであります。生産性が上がって販売量がふえた、それによって利益が上がったということであれば、あるいは生産性の向上ということによって利益が上がったということであれば、これはある程度納得もいくわけでありますけれども、物価が高い高いと言われている中で、大きな主要企業が純利益を上げたのは価格の上昇が一番大きな原因だというようなことは、一体われわれの面で議論されていることと業界の実態とはあまりにもかけ離れ過ぎているのではないか。こういうことであって一体いいだろうか。まあ七〇年代、その前から物価問題というのは当面の一番重要な問題であって、物価抑制をしなければならないという中で、日本の主要企業がそういう形でやっているということは、私は非常に遺憾だと思うのです。そういう意味では、もっと、こうした面の調査と、さらにそれに対する規制というようなものを私は強めていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、幸い、公取におきましても、管理価格という面でいろいろ御研究になっております。こういう業務提携の問題に対する公取のこれからの態度といいますか、そういうものは別に独禁法に即違反しているのではないのだからしかたがないというお考えであるのか、全体の管理価格を形成していると思われる今日の中で、これに対して何らかもっと精密な調査をして、独禁法改正へと結びつけていくという考え方であられるのかどうなのか。こうした業務提携の問題に対しての公取の考え方、こうしたものを伺わせていただきたい。
○説明員(谷村裕君) 答弁申し上げる前に、一言、当委員会に対してお礼を申し上げたいことがございます。 たいへんお忙しいところを、また天候の不順な折りに、私どもの高松事務所を皆さまで御視察いただきまして、いろいろと地方における問題などについて御勉強いただき、また御教示もいただきましたことを、この機会にまず御礼を申し上げたいと思います。 ただいまの竹田委員の御質問でありますが、いわばこれからの日本経済における産業組織論と申しますか、あるいは産業体制と申しますか、もっと基本的なことで言えば、経済運営のいわば基本的な、ちょっとこう、オーバーな表現で言えば哲学とでも申しましょうか、そういった問題に触れられた、非常に貴重なポイントをつかれたお話であると思って私も承りました。 実は、この問題は、私個人といたしましても、また委員会といたしましても、日本経済というものが、かつて独禁法ができ、また運用してこられた昭和二十年代あるいは三十年代というところから、だんだんと高度化し変貌していっている中で、どういうふうにわれわれの独禁政策なり、あるいはもっと広い意味での経済運営の姿というものが展開されていくのだろうかという、その問題の中に、一つのこういう姿をわれわれも実は予想し、また、それに対してどうあるべきかということも探っているという状況でございます。よく言われておりますが、アメリカなどでも、たとえばシステム化というふうなことばでそれが表現されておりますけれども、一つのプロジェクトに向かっていろいろな企業が協調体制といいますか、共同作業をする、それが必ずしも一つのプロジェクトでなくても、たとえば異種業といいますか、違ったそれぞれの企業が、違った分野での仕事をしております企業が提携する場合もございましょうし、また、同種類の仕事をしております企業が相互に、たとえば研究開発等において提携するといったような場合もございましょうが、いろいろいま御指摘のありましたようなグループ化とか、あるいは企業の業務提携とかいう問題が、これからいよいよ技術的にも高度な発展を遂げてまいりますと、起こってくることが予想されます。私どもの基本的な理念は、やはり、経済を運営してまいります一番の基本にあるものは、やや大げさな表現になりますが、「見えざる手」と言ってもよろしいですけれども、市場メカニズム、あるいは価格メカニズムという、そのメカニズムによって全体の調和が行なわれるということに求めているわけでございますけれども、しかし、それだけでなくて、その上にまた企業がいろいろのくふうをこらして一つの協調体制をとるということ、あるいは秩序ある一つの、何と申しますか、仕事の進め方をするということも考えられるわけでございます。しかし、たとえば、いま例に引かれました研究という問題一つつかまえましても、共同研究というものが、ある意味ではお互いの足らざるを補い、知恵を出し合って、三人寄れば文殊の知恵ということもございますが、非常に有利な、有効なと申しますか、能率の高い成果をあげるということもございますけれども、同時に、へたをしますと、競争というものがそこで失われますと、かえって安易に流れ、やすきにつくというおそれもあるわけでございまして、いわゆる競争と協調という問題、これをどういうふうにあんばいさしていったらよろしいのか、たいへん大きな問題でございます。 ただいま御指摘になりましたように、現行の独占禁止の法体系というものは、たとえば九条とか十一条の、持株会社とか金融機関の株式保有の制限ということは別といたしまして、他の条項では不公正な取引は別といたしますと、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」を目標として、そういう事態を起こさせないようにいろいろの規制をしているわけでございますけれども、この実質的に競争制限になるというポイントをどう考えていくかというのは、これは、御高承のように、現実に即して考えますと、非常にむずかしい問題でございますが、しかし、そういう競争制限という見地からだけでなく、もうちょっと広い意味での、産業組織全体の考え方から一体どう見ていくか。よく言われますようなグループ化というふうな問題も、グループの間での相互間でのいろいろな競争というものが存在している限りは、これは競争制限ということが起こらない、そういう事態にまで立ち至らないという、そういう、競争制限という面からだけなら一つの見方ができますけれども、あるグループが、グループという名のもとにおいて一つの強い支配力を持つような姿になるかどうか、あるいはそのグループの中核に立つようなものが非常な強い統制力というようなものを持つようになるかならないかというふうな問題が、また別の面からながめられるということも考えられるわけでございまして、たとえば、アメリカにおいてコングロマリットというふうな形でできてきております企業の問題を取り上げて、ある経済力があるものを中核とし、あるいはある企業を中心として非常に集中するという問題それ自体を、競争の制限それ自体とは別の角度からながめて見ていくと、こういう問題も一体われわれとしては今後どういうふうに扱ったらいいのか、そういう問題を考えているわけでございます。いま直ちに私はそれを右にするとか左にするとか、どうしたらいいという結論を実は持っているわけではございませんが、しかし、今後出てくる問題として、しかも、いま御指摘のありましたように、そういう傾向をすべてよろしくない傾向であるというふうに言うべきでは、もちろんないとしても、そういう傾向がもたらす経済全般の、いわば有効な、あるいは能率のいい経済体制に対する悪い影響とか、あるいは消費者あるいは経済的弱者に対する悪い影響とかいうものをどう排除するように考えていったらいいかとか、これは、正直申しまして、まだ私ども、問題がいわば直接一つの具体的な事実としてあらわれているというよりも、もう少し前の段階の、将来そういうことが起こり得る可能性があるかもしれないという意味において当面している問題である、さように考えて、今後もう少し勉強を詰めさしていただきたい。そういう意味では、管理価格といわれるものの問題も、私ども、さっき御指摘がありましたような企業の行動の面から考えて、問題になりつつあることであると思っておりますけれども、業務提携等がもたらすいろいろな問題というものは、もう少しばかり先の問題ではないかという感じもいたしておりますが、しかし、今後の重要な研究課題である、そうして、それは私どもだけでなしに、やはり政府全体の経済政策の問題としてこういう問題をどう考えたらいいかということは、やはり取り組まなければいけない問題ではないか、さように考えております。 なお、もう少し詳しい個々の問題でありますれば、必要があれば経済部長から補足いたさせます。
○委員長(横山フク君) 委員長にちょっとお願いしますが、きょうは非常に短時間なんです。御質問の方は非常に大ぜいなんです。ちょっと御答弁が十分を越えているのです。一人の割り当て時間が委員長一人の答弁で終わってしまうような形になります。大きい問題なので簡単にできないかもしれませんが、そこら辺よろしくお願いいたします。
○竹田四郎君 業務提携の問題というのは、おそらくこれから独占価格を導き出すところの前提問題となってくる可能性が非常に強いと私は思います。多くの業務提携の内容を見ますと、販売価格の面とか、あるいはシェアの面、あるいは何といいますか、生産を調整するというような問題が非常に表面に出てきておりますが、この問題は、ここですべてについて、先ほど申しましたように、業務提携はすべて悪だという判断は私もいま持っておりませんけれども、しかし、どうもそういう方向に行く可能性というものが非常に強かろうと思う。もちろん、持ち株会社の問題も聞きたいのですが、時間がありませんのでこれは省きますけれども、実際は、こういう形を通じての、持ち株会社ではないけれども、主要な企業が生産分野というものを支配をしていくという可能性というものも非常に多かろうと思います。会社の同種企業、あるいは他種企業の株をたくさん持っているというようなこともこの中から出てきそうであります。この点については、ひとつ私ももう少し勉強していかなくちゃならぬと思いますけれども、公取といたしましても、この点ひとつ、さらに追及をしていただきまして、こうした面も、独禁法改正の際に入れるべきものはやはり入れてもらわなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、その点、特にお願いをしておきたいと思うわけであります。 それから、この際、再販価格維持契約の問題についてちょっとお聞きをしておきたいと思いますが、再販価格というものが一体今日の状況でどうなっているかということはいろいろ問題があろうと思いますが、時間がありませんので、非常に簡単で申しわけないと思いますが、この再販価格の中でも、たとえば歯みがき、家庭用石けんというものが指定商品にされたというのは実に昭和二十八年、それからもう二十年近くたっておる。その間に、こうした業界のあり方というものも非常に変わってきているわけであります。あるいは、新規に業者が入ってまいりまして、そして実際には、洗剤なんかにおきましても、この間の地婦連の調査等によりますと、定価の四〇%も安く売っている。片方では再販価格を維持している。こういうことは、消費者の立場から見ますと非常にふしぎに思うわけであります。そうした意味では、今日、歯みがきにいたしましても、石けんにいたしましても、その他の化粧品、医薬品等につきましても、消費者も、昭和二十年代に比べますれば、確かに選択というものが賢くなっていると思うわけであります。そういう意味では、こうしたものは私は再検討する時期に来ておるのではなかろうかと思います。もちろん、再販価格をやめたから価格が下がるということに直ちになるかどうかということは、これについては疑問もあるわけであります。実際には、再販価格維持制度の中で企業の集中生産というものが行なわれてきておるし、あるいはシェアというものも非常に数社に強まってきているというようなこともありますし、まあ、最近のマスコミを通じての商品差別化ということによるところの消費者の選択というものが賢くはなっているけれども、そうした宣伝に動かされているというようなことで価格が実際上は維持されていると思いますけれども、そうした三本柱といいますか、そうしたことによって現在の価格維持がされている面があろうと思います。こうしたものも、今日これだけ技術が発達し、生産が伸びてきている段階で、私は、少なくともこうした独占的な価格を維持するための柱の一つになっている再販売価格維持契約の指定というようなものも再検討すべき時期にあるのではないか、そして、実際に全体として消費者価格を下げていく、こういうようなことが必要ではないか、こういうふうに思うわけでありますが、少なくとも昭和二十八年、九年——二十年前あたりに指定したものについては、業界の実情、商品販売の実態、そういうものを見まして、私は、取り消すべきものは取り消して、こうした独禁法の特例というようなものはやはりなるべく少なくしていくということが望ましいのではないかと思いますが、この点についての委員長のお考え方を承っておきたいと思います。
○説明員(谷村裕君) ただいま、再販の問題では、石けん、洗剤、あるいは歯みがきというのを例としてあげられましたが、いずれも昭和二十八年にこの制度ができましてから指定になって、そうして一番それが多く利用され、また、いわば消費者にとっても目につきやすいという意味においては、たとえば化粧品、また医薬品といったようなものもあるわけでございます。そうして、すでに何べんか国会でも議論され、また国会外でも問題にされております再販問題につきまして、いかなる考え方でどういうふうにこの問題を扱ったらいいかということを、実は私も委員長になりましてから鋭意検討しておるところでございますが、先ほどの物価安定政策会議のほうの提言でも、この問題を二つに分けまして、品目の問題と、それからいわばリベートと、消費者の利益を害するようなものをどうするかというような、こういう御指摘がございました。そういう線に沿って見ているわけでございますが、再販制度そのものが持つ意味というもの、これは立法当初においても言われておりますし、あるわけでございまして、それがいかに適正に、しかも消費者のためになるように使われているかという問題、そういう視点から問題を見ますときは、いまおっしゃいましたような品目についても、また御指摘にならなかった品目についても、同じ角度から検討されるべき問題であるというふうに思っております。そうして、そういう意味で、この問題を少し時間をかけて、いろんな角度から、何がこの法律の規定で守られるべき利益であるか、その利益の度を越えてこれが使われているとすれば、それにはどうするかというようなこととして、目下検討しておる段階でございますので、具体的に、いまおっしゃられた品目をどうだというふうなこととして、いまここでちょっとお答え申し上げるわけにもいかないような状況でございます。
○委員長(横山フク君) 瀬谷君。
○瀬谷英行君 公取委員長、時間の都合があるようですから、問題をしぼってちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、カラーテレビの輸出価格・国内価格の格差の問題ですね。これ、だいぶ取りざたされているようですけれども、ほかにもそういう例はあると思うんです。電機製品あるいは自動車といったような、ほかの品目でもあると思うのですけれども、カラーテレビのように小売り価格の非常に高い品物が代表的なものだと思うわけで、それで私お聞きしたかったわけですが、アメリカで買う場合と日本で買う場合と、アメリカのほうがはるかに安いというようなことは、われわれ国民としては非常に不愉快なものです。日本の国民の犠牲でもってアメリカ人にサービスしているんじゃないか、端的に言えばそういう印象を受けるわけですね。それで、いろいろ調べてもらったんですけれども、なぜそういうふうになっておるのか、それを公取としては規制したり指導したりするといったようなことをやってきたのか、できないのか、今後どうするのか、そういった点についてお聞きしたいと思います。
○説明員(谷村裕君) まず、率直に申し上げておきますが、実際のところ、私どもといたしましては、百何十種類かあるテレビの機種につきまして、それのFOBあるいは向こうのCIF価格、あるいはさらに代理店を通して最終末端の価格がどういうふうになっているかということの正確な調査をいたしておりません。これはまことに遺憾なことでございますが、いつごろでございましたか、ことしの春ごろでございましたか、事務局とそういう話もして、調べようじゃないかということ、あるいは通産省にひとつそれを聞いてみようじゃないかというような話をしたことはございますけれども、現実の問題としてそれを知っておりません。まことに申しわけない話でありますが、それは事実でございますから、そう申し上げておきます。 次に、なぜこういうことができるかということについて、これはまあ、輸出価格というものと国内価格というものとの間にいろいろな差があり得ることはわかりますが、まず、程度の問題があると思います。その程度の問題をわれわれは実は吟味しなければなりませんが、それをわれわれがやる先に、たとえば通産省なら通産省がそういう問題を取り上げてやっていただければ非常にけっこうだと私は思っておりますけれども、そのもう一つ裏に、国内で価格を何社かが共同して末端価格を維持したり、何か申し合わせておるような形においてやっているというふうなことがあれば、それは私どもとしては、たたかなければならない問題であります。しかし、現実には、ただいまのところは、国内における家電の競争というのは相当激烈であり、生産性が上がって、価格はある意味ではむしろくずれてきているというふうな状況が見られます、というふうに考えております。かつては、私どもがただいま案件を持っておりますように——家電六社あるいは松下といったような案件もありましたように、そういう問題について若干乗り出したことがございますが、いまの段階では、国内でそういうものがあるというふうには見ておりませんが、しかし、それは十分今後ともそういう点を監視していかなければならない、かように考えております。
○瀬谷英行君 アメリカと繊維交渉が決裂をした。その次に今度はテレビのダンピング容疑で関税評価差しとめの強行命令を出すということは決定的だと、こういうような話があるわけでありますが、ダンピングのらく印を押されるといったようなことは、これはあまり名誉なことじゃないという気がするわけです。しかも、そのダンピングのらく印を押されてもしかたのないような価格になっておったということになると、これは日本としても、国際的な問題であるだけに、相当慎重に考える必要があるんじゃないか、はたしてダンピングということばに値するような実態なのかどうか、それらの点についてどのように見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(谷村裕君) 問題は二つあると思うのでございますが、私どもの受け持っておりますことば、もちろん、まず第一義的に国内における公正な競争の維持ということでございます。したがって、国内における不当廉売といったようなものは、われわれが規制しなければならない法秩序の一つの対象として考えるわけでございますが、外国に向かって、たとえば非常に限界的な商品が国内需要の減退というような場合に出ていくとか、いろいろな形で外国にいろいろの値段で出ると思いますが、その際に、それがダンピングというような形であるかどうかということは、国際的な一つの商取引における秩序の問題として出てくるのだと思います。そして私どもも、それに国際的な意味での一つの公正取引とか、あるいは不当な競争制限とかいう問題があることに対しては関心を持ち、それ相応の対応策をとらなければならないと思いますけれども、いわば、それは日本のいまの独禁法でいえば一つの別の角度の問題であるというふうに考えます。関心を持たないというわけでは決してございません。したがって、外国に出しているものの、たとえば関税評価の問題であるとすれば、まさにCIF価格あるいはFOB価格の問題になると思いますが、それをどういうふうに見るかという点について私の立場からいまちょっとお答えする、そういう立場にないのでございまして、むしろ、これは通商政策等の問題として考えられるべき問題ではないかと思います。決して関心を持っていないわけではございませんが、そういう私の立場でございます。
○瀬谷英行君 それでは、そういう国際的な問題は、一応、公取委員長の立場とすれば、いまの答弁、わからないことはないんですが、では端的にお伺いをするんですけれども、カラーテレビの国内における販売価格というものは妥当なものであるというふうに考えられるのかどうか、これは、原価の関係、生産費等の関係、いろいろ調査はしておられると思うんですが、まあ公取としてはどのように見ておられるのか。
○説明員(谷村裕君) 二つお答えできると思います。 一つは、現実に小売りの店でお客さんが買う値段、これは、私は、先ほど申し上げましたように、相当の競争のもとに形成されていると思います。したがって、それがたとえばかなりのもうけを得ているかどうかということは、これは別といたしまして、少なくとも競争市場において価格形成が公正に行なわれている限りは、それは私は、私どもの立場としての価格は妥当であるというふうに考えます。もうけるならもうけても、それは企業が競争の中でもうけることでありますから、差しつかえないことであると思います。 しかし、第二の問題、すなわち、メーカーが、この品物は十九万五千円であるとか、十何万幾らであるとかいう現金正価というものをぶら下げておりまして、そしてその現金正価なるものが実はメーカーの希望小売り価格であると言いながら、ある意味でいかにもそれが特価品として特別割引で売られているかのごとき印象を消費者に与えるような役割りを果たしているとすれば、いわゆる現金正価なるものは非常に問題があると思う、かように思います。 もし瀬谷委員の御質問が現実の販売価格であるとするならばさっきのようなお答えであるし、いわゆる現金正価としてぶら下げているもののお話であるとすれば第二のお答えになる、かようなわけでございます。
○瀬谷英行君 この定価、公表されている価格というものは必ずしもそのとおりでないということであれば、現金正価とかいろいろありますけれども、そういうものを公表することの意味がなくなるだろうという気がするわけです。看板は十九万であろうと、十八万であろうと、そいつが実際にはもっと値引きできるんだと。そうすると、夜店の品物と同じようなもので、そういうことが現実には行なわれているわけでしょう。そうすると、公表価格というものをはたして野放しにしておいてよろしいのかどうか。そこの辺にメスを入れる必要があるんじゃないか、そういう気がするんですが、その点、どうですか。
○説明員(谷村裕君) まさにそのとおりでありまして、私どもから言うと、不当な二重価格の表示になるおそれがあるという考え方を抱くに至っておりますので、この点については実は今春来、業界のほうにもその問題を提示して善処方を、私ども実態調査とともに、やるようにしておったわけでありますが、先般地域婦人連でありましたか、そこの調査によっても、そういうことが非常に消費者サイドからも大きく問題にされておるという状況でございますので、いわば見せかけの現金正価というものが持つ消費者に対するいわば悪い効果、それを私どもとしては是正していく方向で考えたいと思っております。
○瀬谷英行君 業者側には何か言い分というものがあるんでしょうか。それとも、公取としては、それらの言い分というものを聞いた上で具体的に措置をするという用意があるんでしょうか。その点はどうですか。
○説明員(谷村裕君) 初めのうちは、あれは一つの希望価格であるとか、あるいは一つの、テレビならテレビというものの機種の格を示すものであるというふうな説明があったやに聞いておりまして、それ以上あれがどういう意味を持つかということについて私としてはあまり納得のいく説明を聞いておりません。近ごろは、あるいはこの問題はなるほど公取の言うとおりかもしれないといって考えていらっしゃるんじゃないかと、こう思っております。
○瀬谷英行君 たとえば本なんかの価格は、本屋へ行っても、まけるということはないでしょう。ところが、こういう電機製品というのは、テレビに限らないんですけれども、電機製品というのは非常に格差があるんですね、実際の販売価格に。そうすると、損をして売るわけがないんだから、定価のほうがインチキだということになる。で、定価のほうが信用できないということになると、デパートなんかで定価どおりに買うやつは、よほどの間抜けだということになっちゃう。こんなことは好ましいことじゃないし、どうも調べてみると、いなかで買うほうが高くつく、東京で買うほうが安くつく、こういう結果が出てくるわけです。これもどうも消費者としては納得のいかないことだと思います。だから、こういう点は、むしろ公取としては、きびしく指導をしていくという必要があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○説明員(谷村裕君) ちょっと別な話になりますけれども、日本では非常に定価制度とか正札というものに対する一つの慣習とかイメージというものがあったように思います。いまデパートとか小売りがつけている正札、正価という問題と、それから戦後にああいう、いわば技術的な大量生産品によって見られるようなメーカーがつける正札、正価という問題と、この二つが混同されているように思いますが、どちらにいたしましても、私は、いま御指摘になったメーカーがつけている現金正価なるものが持つ正しい意味における消費者への、選択の便というよりは、むしろそれを誤解させる、誤認させるほうの効果のほうに着目いたしまして、大体おっしゃったような趣旨において私ども今後の処置を考えてまいりたいと考えております。
○委員長(横山フク君) 阿部君。
○阿部憲一君 公取委員長に伺いますが、現在、市場価格のほかに、先ほどもちょっと触れられたようですけれども、管理価格というようなものが、ほかにか、あるいは市場価格の中にあるのか、そこらもはっきりしない面もありますけれども、市場を寡占化する、独占化するに伴います弊害、これは、大企業の集中化による需要供給やコストなどにたとえ変化があっても、価格が硬直化しましてなかなか下がらない、こういうようなこと、これは管理価格の一番主要な問題だと思いますけれども、先般、独占禁止懇話会が中間報告をしておりますけれども、一体、現在このような問題になっている管理価格というのはどんなようなものか、委員長の御指摘を願いたいと思います。
○説明員(谷村裕君) 管理価格一般の問題としましては、実はアメリカでも、それから西欧でも、みんな議論があるわけでございます。そして管理ということばがあるように、俗なことばで申しますと、一般的な競争市場において価格メカニズムが働いて値段がきまるというのでなくて、どうやら、まあメーカー側の力が強くて、それが市場に対する影響力を持って、そしておおむね自分が管理するように値段がきめられるような体制にある、そういう場合だと、そういうふうに言われておりますが、具体的にある値段、ある品種のものがかりに安定していて、一年なら一年、二年なら二年動かなかったからといって、そのこと自体が直ちにそれでは企業のほうの力が強くて市場価格が硬直して動かないのだというふうに見られるかどうかというと、個々の問題になりますと、実はアメリカでもずいぶん勉強したようでありますが、なかなかこれがそうだというふうに言うきめ手がないわけでございます。したがって、私ども先般中間的な取りまとめを独占禁止懇話会のほうからしていただきましたけれども、ここでも、問題のつかまえ方とか見方とかいうことを書いておることは事実でございますが、どういう品種がこれに該当するという言い方はしていないわけでございます。しかし、別の角度から申し上げれば、そういうことになるおそれのある業種、業態というのはどういうものであるかといえば、まさに御指摘のように、寡占的な姿を持っているそういう業種、業態である、こういうふうに言えるわけでございます。このことは、私がいま思いついたように言うのではなくて、たとえば、よく御存じの、今度きめました新経済社会発展計画におきましても、あるいは昭和四十二年の三月にきめております古いほうの経済社会発展計画の中でもそういう問題を指摘し、そしてそれに対してどう対応したらいいか、こういうことを言っているのでございまして、ある品種、たとえば何がということを言うことは非常にむずかしいのでございますが、そういう業種をやはり注意して見ていなければならない、こういう問題はおのずからみんなの頭の中に出てくるんじゃないか、かように考えます。
○阿部憲一君 御答弁にもありますように、じゃ何が管理価格か、管理価格を形成しているかということは、なかなか判然としないわけでございますけれども、実は、この件につきまして私ども公明党でもって、五月でございますけれども、物価の総点検を行ないました。その目的は、もちろん本来国民の福祉向上を基調として発展すべき産業とそれから経済成長が、どういうわけで物価の高騰となって消費者の生活を脅かしているか、そのような矛盾のメカニズムがどこにあるのか、その態様をできるだけ解明して、物価高騰の奥深い病巣を探りあてよう、こういうような目的で行なったわけでございますけれども、この総点検に関連しまして、いまの管理価格とみなされるようなものを拾い上げたわけでございますけれども、その一例をちょっと申し上げますと、たとえばガソリンでございますが、私どもの調査によりますと、自動車用のガソリンでございますが、メーカーは日石、出光、三菱、丸善、共同と、こういうことになっておりますけれども、ところが、この販売価格は、やっぱり各メーカーともリットル四十八円から五十五円、そういうふうになってまいります。それからその中で、どうしてこの値段ができたかというと、これは組合できめましたという返事、これが七〇%、それからしかも、その値上げした時期というのは大体四十四年の一月、それからまた十月と、こういうような時期を切っている。そこらから判断しますと、やはりそこに管理価格らしきものが形成されてるんじゃないかと、こういうふうに思われるんでございますが、このガソリンのほかにも、たとえばレコードなんかでもそうですけれども、コロンビア、東芝、ビクター、クラウンというレコードのメーカーがありますけれども、これもやはり値段が、三百八十円、四百円、あるいはまた地域的にもきまる、大体一斉にやるとかいうようなこと。また、先ほどから問題になったカラーテレビなんかもそうでございますけれども、やっぱり十九万円、最近は値下げしておるようでございますが、十九万円というようなのが各メーカーとも一致している。ここらが、どうも私ども、管理価格らしきものをつくってるんじゃないか、このように思うわけでございます。これは、委員長、このガソリンとかレコード、カラーテレビなんかあげましたけれども、これについてどんなふうにお考えですか、まあ市場価格との関連性ですね。
○説明員(谷村裕君) 私どももいただきまして、いろいろの分類をしておられて、たとえばカルテル行為があるものとか、たとえば再販売価格があるものとか、たとえばプライス・リーダーシップというようなのがあって、それが一つやると、あとがえたりとついていくものとか、いろいろ分類をしておられましたが、ただいま例を引かれましたガソリンについて、あるいは石油製品について見ますと、私が着任いたしましてからも、半年の間に、いわゆるガソリン、灯油類の末端販売価格を系列店舗を通じてメーカーが指示し、そして最終的には小売り業者の組合がその競争をお互いに制限しながら値を上げていくという事例を、もう各県とか、あっちこっちでもって、ずいぶんまあ、何と申しますか、処理いたしましたのを覚えております。 で、これは私どもから申しますと、いわゆる管理価格——管理価格といううちの中でも、明白な協定行為があるものというもので、協定行為があれば協定行為それ自体をたたけと、こういう問題でありますから、われわれが扱いにくい問題としてつかまえている管理価格それ自身では実はないわけでございます。私どもが扱いにくい管理価格的なものと思っているのは、腕を組んでて、お互いに顔を見てて、あうんの呼吸で大体わかってしまうというふうな式の、独禁法でつかまえにくいようなものが大体そういうわけでございまして、自動車の例でいきますれば、末端の小売り価格については、まさに協定、御指摘のように協定をやらしたり申し合わせをしたりしてやっておりましたので、それをたたいておりますけれども、確かに小売りは激しい競争をいたしております。その競争を何とかまとめていこうというところに協定行為が出てくる、こういう姿でございます。しかし、メーカーのほうでも非常に強い競争を、御承知のように、いたしております。そこへもってきて、たとえば運賃その他コストの上昇というものがあって、さてどうするかというような話が、たとえばけさの新聞でも拝見しますと、メーカー側のほうでいま方法を考えているようであります。というようなときには、私どもとしては、そこにいわゆる価格協定等の共同行為があれば、これは私どもとしてたたかねばならない、かように考えております。 それからレコードのようなものでありますと、これはいわば再販売価格が認められているというものでございます。先ほど本の問題も出ましたが、著作物ということで、二十四条の二の四項で著作物ということで再販売価格が出ております。しかし、再販価格をどうきめたら一番うまくいくかということについて、お互いに、コロンビアとか、ビクターとかと、クラウンとかというのがそれぞれ協定をして大体レコードの売り値をきめているというふうにただいまおっしゃいましたが、そういうように理解すべきか、あるいはおのずから大体消費者の希望、動向、市場調査、そういうようないわば情報化社会における市場管理政策というものを通じて、それぞれみんなが、売り値がどの辺が一番フィットするかというふうに見た結果が一致しちゃっているというふうになっているのか、そこらが非常に私どもとしてはつかまえにくいところではないかというふうに思います。 さような問題でありまして、管理価格ということばだけで言うわけではなくて、むしろ、その実体をどう見、どう把握していくかということが、これからの私ども、また私どもだけでなくて、それぞれの業種を所管しておられる官庁も、消費者の立場、国民の立場に立って業界を指導していかれる、そういう考え方をとっていかれる上で大事なポイントではないかと、かように考えます。
○阿部憲一君 いまおっしゃられたような管理価格の問題でありますけれども、これは現在の独禁法だけで、一体あなたのお考えになっているような管理価格までを、再販価格というようなものについて、はっきりと規制がしていけるかどうか、要するに物価安定に役立たせるような操作ができるかどうかということと、それからまた、それには独禁法の運用の強化をする必要があるのか、さらには、この間新聞にも出ておりましたし、企画庁の長官とあなたとで何かお話しになったそうで、価格監視機構というものをつくるべきなんだ、それについて意見が一致したというふうなことを新聞で拝見いたしましたので、そのような管理価格等に対する対策と申しますか、規制の方法、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。
○説明員(谷村裕君) もちろん、第一番目は、できるだけ競争条件を整備することでございます。それは、独占禁止政策で与えられておりますいろいろなわれわれとしての政策手段をもってそういう競争条件を整備することにつとめることはもちろんでありますが、同時に、国際化ということが進んでまいりました今日においては、たとえば輸入あるいは資本の自由化というようなことを通じて、より日本の経済体制を競争条件のもとに置くようにつとめる、あるいは消費者の立場を、もっといわば大企業に対して対抗的なものにしていく、あるいは流通業者というようなものがメーカーに対して一つの大きな対抗勢力となる、いろいろな形で競争条件を整備するということがまず第一であり、私どもが本来それに力を注ぐべきだと思います。 しかしながら、第二に、さようにいたしましても、なおかつ競争条件の整備というものがうまく進まない、有効な競争というものが行なわれないような状況が起こってきましたときにはどうするかという問題がございます。それについては、いろいろな考え方もございましょうが、私は、経済社会発展計画でかつてそういうふうなことを言っておりますけれども、当然それは企業の責任である、企業が社会的な責任を痛感して、しっかりやれということもございましょうが、やはりその背後には、国民のためにいろいろと施策をします行政府というものが国民にかわって大企業の行動を調査し、監視するということがあっていいのではないか。これは経済社会発展計画の中にそういった考え方が出ておりますので、私はやはりそういう考え方をとるべきではないか。また、外国でもさような方向に例としては動いている。しかし、あくまで基調は自由競争、企業の自己責任、そうして創意くふうを活発に働かして競争条件のもとに動いていっていただくということが基本である。それを補うものとしてそういう問題を考えるべきではないか。しからば、そういう体制はどういう体制であるか、またどういう権限であるか、何がやれるのか、かような問題につきましては、今後ともいろいろと関係の向きとも御相談し、そちらのお考え方、また国民一般のいわば考え方というものも全部これから熟していくと申しますか、形成されていくことが必要であると思いますけれども、方向としては、私この間申しましたような意味において、そういうことがやはり必要ではないかと、こう考えております。
○阿部憲一君 もう一問、最後にお伺いいたしますが、この秋に予定されています第三次資本自由化に対応しまして、財界方面では独禁法や商法を大幅に改正すべきであるというような考えがありますが、特に独禁法の改正のねらいは、持ち株会社禁止と金融機関の株式保有制限、この両規定を緩和しようというようなことを聞いております。新経済社会発展計画でも独禁法の運用の強化をうたっておりますし、自由で公正な競争を維持するという独禁法の精神を踏みにじるような改正——改正というよりも、むしろ骨抜きは絶対避けるべきだ、こう考えますけれども、委員長のお考えを承りまして、私の質問を終わります。
○説明員(谷村裕君) いわゆる財界と申しますか、経団連あるいは日本商工会議所が、そういう提言と申しますか、をしたことは私も承知いたしておりますが、具体的にどういう必要のために、何がじゃまであるからどうしてほしいという詳しい話は、実は存じておりません。いわば感触として、たとえばアメリカなりその他外国とイコール・フッティングでありたいという気持ちであろうというふうにうかがわれます。しかし、それがはたして第九条なり第十一条なりを何か手直しをしなければそういう姿にならないのか、それとも、そうでなくて十分所期することが達せられるのか、そういう点をもっと具体的につまびらかにしませんといかぬと思っておりますが、阿部委員のおっしゃるとおり、やはり一番日本の経済をりっぱに推進させ、発展させていく基調になっておりますところの、公正にしてかつ自由な競争、あるいは一握りの資本が優越的な支配力をふるうというような、そういう形を排除しようとしておる独禁法の基本をそこなうような、さような改正には私は応ずるつもりはございません。
○委員長(横山フク君) 渡辺君。
○渡辺武君 谷村委員長に伺います。 ただいまもお話がありましたが、独占禁止懇話会が最近管理価格問題についての中間的取りまとめというのを発表されて、委員長はこの中間報告を受けて、記者会見、新聞紙上などで、いろいろ見解を発表されておられます。きょうは、その点について詳しく伺う時間がございませんので、端的に伺います。 私が新聞紙上で拝見した限りにおいて、委員長の見解として述べられた中で第一の重要な点と思われますのは、ただいまもお話がありましたが、いわゆる管理価格を規制するために政府内に新しい監視機関が必要であるというふうに述べておられる点だと思います。そこで伺いますけれども、政府内に新しい監視機関とは具体的にどのようなものを考えておられるか、また、それは現在の公正取引委員会にかわるべきものとして考えておられるのか、それとも公正取引委員会と併存するものか、もし公正取引委員会と併存するものだというふうに考えておられるならば、公正取引委員会との関係はどんなふうなものになるか、そういう点、まず伺いたいと思います。 それから、かためて伺いますが、政府内に新しい監視機関を設ける必要があるというふうに考えられた理由、これはどんなところにありましょうか。特に現行の独占禁止法に限界があるとお考えの上でのことか、あるいは現行独禁法の運用に限界があるというふうにお考えになってのことか、あるいは、法もしくはその運用については問題がないけれども、現在の公正取引委員会の権限もしくは機構に限界があるというふうに考えられてのことか、その点をまず伺いたいと思います。
○説明員(谷村裕君) 第一の問題でありますが、阿部委員にもお答えいたしましたように、私は、新しい監視機関というふうに申したというよりは、むしろ、政府あるいは行政府がそういう体制をとることが必要である、かような考え方で申したわけでありまして、それが新しい機構であったほうがいいか、あるいは公取とは別の何か機構があったほうがいいのか、あるいは既存の機構がそれぞれフルにそういう面に向かって動き出すというふうな姿がいいのか、これは、行政機構全体もできるだけ簡素にしてかつ強力にという要請もあるわけでございますから、いたずらに屋上屋を重ねるということではないほうがいいという、そういう意見があることも私は承知いたしております。しかし、いままでの体制のままでは、やはりなかなかそちらに力が向かないから、そこに一つしっかりしたものをつくれ、そういう御意見もあるいはあろうかと思います。そういうふうな意味で、かりに公取がそれをやれという御意見が非常に強くなれば、それも一つの考え方かもしれません。まだ、そこはどういう姿がいいかということは実は考えておりません。これから考えていく問題でございます。しかし、たとえば公害なら公害という問題についても、それぞれの所管官庁がそれぞれ責任を持ちつつ、またその背後に一つの推進体制というものができるという姿がいいのか、それとも公害のために一つの特別の機構をつくるのがいいのかというようなことが当面の問題として議論されておりますが、大体それと似たような問題ではなかろうかと、かように思います。 それから第二に、どういう理由であるかということでありますが、私は、いまの法律それ自体が、たとえば独占禁止法それ自体が持っておりますことだけでは十分に働かないという、法律それ自体に限界があると、かように考えております。ということは、たとえば競争をさせてまいります。非常にフェアな競争をやってまいります。しかし、ある一社が非常に強力になってまいります。なお競争をさせます。競争すればするほど、その一社は場合によれば強くなるかもしれません。そうして強くなった結果は、非常に市場に対して優越した地位を得るようになるかもしれません。独占禁止法は、公正な競争の結果さような強力な企業ができた場合にも、これを何らするわけにはいかない。もちろんけっこうなことであります。問題は、そのあとでその企業がいかなるビヘービアをとるか、こういう問題でございます。たとえばそういう問題があるということだけ申し上げます。
○渡辺武君 現行独禁法の反独占条項の中にまだ足りないところがあるという点は、私どもも十分理解できるところですけれども、しかし、かりに、もしそうだとするならば、政府内に監視機関をもしつくったとしても、法に限界があるならば、これは十分な機能を発揮できないのじゃないだろうかという気がします。また同時に、この間の合成洗剤の事件でもわかりますが、公正取引委員会が合成洗剤メーカーの上位三社に、管理価格をやっている疑いがある、価格が硬直しているというような審決案を出そうとしたときに、通産省が、いやそういうことはないのだ、価格の硬直性というものはないのだというようなことを言い出すというような例でもわかりますけれども、新しいというと、なんですが、政府内にそういうような機関を設けたときに、かえって公正取引委員会の行動に対して水をぶっかけるような、そういう役割りを果たすおそれがなきにしもあらずじゃなかろうかという気もするわけです。 特に私どもが指摘したいことは、先ほど阿部委員からも御指摘がありましたけれども、現在、財界政界に、独占禁止法の改悪、それからまた公正取引委員会の権限の縮小や公正取引委員会の機構そのものの改悪についての要求が、昨年の鉄鋼合併以来特に強くなったというふうにわれわれは見ております。このような要求の中には、たとえば公正取引委員長には現職の大臣を任命すべきだ、あるいはまた公正取引委員会が現在持っている独自な審決権や勧告権を与えちゃならない、あるいは単なる監視機能だけを持たせるようにしたらどうだというような内容が含まれております。これは、独自な行政委員会として政府機関から一応相対的に独立した機関であり、独自な審決権を持って、委員の身分保障も行なわれている、こういう公正取引委員会の持っている民主的な側面を根本的に否定するような内容じゃなかろうか。もしこのような要求が通れば、公正取引委員会は名目だけのものになって、政府機関に完全に従属するというものになるおそれが十分にあると思うんです。ところで、そういう動きを頭に入れて、先ほど委員長のおっしゃった政府部内に監視機関を設けるという案を考えてみたときに、これは主観的にどう思われているかは別にいたしまして、客観的には、いま申し上げたような危険な要求を持つ勢力に利用される危険があるんじゃなかろうかというふうに思われます。 時間がもうなんですから、結局のところ、一言に申しますと、今日必要なことは、委員長の指摘されたように、独禁法の反独占条項が限界があれば、この反独占条項を強めるということ、あるいはその運用を強化するということ、あるいはまた、この点でも公正取引委員会の権限や機構を強化するということこそが必要であって、政府内に新しい機構を設けるということではないんじゃなかろうかという気がするわけです。特にわが党は、御承知のように、かねてから、国会に必要な権限を持った調査機関を設けるべきだということを主張しておりますし、わが党のこの主張は、たとえばアメリカのキーフォーバー委員会の例を見てもわかりますように、決して非現実的な主張ではないわけでして、政府部内に新しい機関を設けるという主張よりも、国会内に必要な権限を持った調査機関を設けるということのほうが、現行独禁法の運用をさらに強化していくという面からしても、適切なものじゃなかろうかというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
○説明員(谷村裕君) 一つの御意見であると思っておりますが、私必ずしもその御意見に賛同いたしかねる点もございます。 第一に、どういう姿でもって今後やっていくのがいいかという問題でございますけれども、私ども公取の立場を非常にバックアップしてくださっていることは、まことにありがたいと思うのでございますが、私はやはり、政府全体がこういう問題に取り組むという考え方が必要であると思います。ちょうど、公害について、たとえば二年前あるいは三年前にいろいろなことが議論されておりましたときと今日とでは、その姿勢、取り組み方にも大きな差が出ていると私は思います。たとえば、そういう政府部内——公取ももちろん政府の一部でございますが、たとえば他の各省各庁がこういった問題を取り扱いましたときに、どちらかといえば水をかけるようなことになるんじゃないかと、簡単に言えば業者の方を向いちゃうんじゃないかというようなお話も、たとえば公害に見られると同じような意味で、要するに政府全体のものの考え方であるというふうに思います。私は、そういう意味で、どういう考え方をとるかはこれからの問題でございますが、そういうことがあるからこの問題はどうだというふうには、私自身としては、やや理想主義にお聞こえになるかもしれませんが、必ずしも考えておりません。 それから第二に、各方面から独禁法を骨抜きにしようとか、あるいは機構をもっと弱めてやろうとか、そういう動きがあるではないか、それに利用されるおそれがないか、そういうことについて、私は、一つの御忠告としてありがたく承り、また、さようなことのないようにいたしたいと思いますが、私の感じておりますところは、これまた、やや、おまえはどうも楽観的で理想主義的であると言われるかもしれませんが、むしろやはり、いかにこれから有効な競争条件というものを整備していくかという問題、これが大事であるかということが、そして公取のやっているこの仕事が、何か横っちょで公取がきゃあきゃあやっているというような、そんな感じでなく、政府全体がそんな感じにならなきゃいけないという、そういう見方がより広く国民全体に徹底し、また、財界といわれる方々の中にも、そういう問題をまさに自分たちの命の問題として、それこそはいまの経済体制が立っているもとではないか、かように考えておられるというふうに私は見ております。そういう意味で、たとえばむしろ現職の大臣がなったほうがいいかどうかというのは、公取というものを弱めてしまうために、言うこと聞かせるためにするのだというふうによく言われておりますが、逆の見方をすれば、かえって強い発言力を持ち、政府部内においても強い立場で臨めるということもあり得るわけでございまして、ものごとは悪く見れば見るほどだんだん悪くなりますけれども、ひとつうまくこの機会にわれわれのやっておりますような仕事をもっと力強いものにしていくというふうにとれば、またとれるようにこれからしていくのが私たちのつとめではないか、かように考えております。 それから第三番目に、国会に調査のそういう監視機構を設けたらどうか。これは私が答弁する立場ではないのでございますけれども、国政調査権の範囲におきましてそれぞれ必要な調査を国会がされることは、これは当然可能でございますし、また有効なことであると思います。私が申しておりますことは、そういう国政調査権の発動としての国会の一つの機能の発言ではなくて、行政部門が行政として一定の調査権限を持ち、調査した結果に基づいて、たとえば価格なり何なりについて必要な措置がとれるというふうな意味における権限を持った——そこまで一挙にいけるかどうかは別としても、行政の面における一つのそういう体制というものを考えるべきではないかということでございまして、その点はおのずから国における国会と行政府とのいわば機能の差というものがあるのではないか、かように考えております。
○渡辺武君 ちょっと、時間のなにもございましょうけれども、ほんの一問だけあるのですけれども、いいでしょうか。
○委員長(横山フク君) はい、あとの経企庁長官のときにあるいは少しおたくのほうの時間を削らしていただきます。
○渡辺武君 最後に一問だけさしていただきます。 委員長の見解の第二の重要な点ですね。これは、管理価格対策と所得政策とを直結しようというふうにされている点だと思います。で、所得政策の主要な目標が賃金に対する抑制政策であることは、これを採用して失敗したイギリスの例からしても、また、この日本ではいわゆる熊谷報告に照らしても、これは明らかだと思います。ところが、いわゆる管理価格の問題は、大企業による生産市場などの独占から生まれる独占価格の問題である、賃金の問題とは直接に関係がないというふうに考えられます。本来、賃金の上昇は、利潤を低下させるなどの影響は直接に出ますけれども、しかし直接に価格に影響を与えるものではありません。ところが、現在賃金の上昇が物価に影響を与えるように見えるのは、大企業が生産市場などの独占に基づいて賃金の上昇を独占価格に転嫁させて、利潤の低下を防ぎ、もしくは利潤の増大をはかるというところに原因があると思います。 で、このように直接に結びつけべからざるものを直結されようとする理由ですね、これは一体どこにあるのか。管理価格に対するいまこの国民の不満が非常に強いわけですけれども、いわゆる管理価格——われわれのことばで言えば独占価格、に対する国民の不満を、これを所得政策、つまり賃金抑制政策の方向に誘導するという役割りを客観的には果たすことになるのじゃなかろうかというふうに思います。やはり管理価格の問題は所得政策とは切り離して、独自にこれは抑制措置を講ずべきだというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
○説明員(谷村裕君) 先ほどの、価格が硬直していたり、あるいは管理価格というような問題が出たときに、なぜそれが問題になるのか、価格が硬直しているからいかぬというのは、逆の面でいえば、価格が安定しているからいいじゃないかという、そういう理屈も出るわけでございます。そこで、私どもが独禁懇からいただきましたポイントとしては、こういうふうに書いてございます。物価の問題というようなところから見てみますと、管理価格が競争制限的なものであるからといって、これをすべて形式的に不当であると判断するのは行き過ぎで、不当に高い価格水準、すなわち、超過利潤、価格に安易に転嫁された高賃金、過度の広告宣伝費等の存在を問題とすべきではないか、かようなことが考え方としてある。管理価格が形成されるような競争制限的な市場のもとでは、一般に、企業はコスト上昇を容易に価格に転嫁できる、これは、競争が激しければコストに転嫁できないんですけれども、競争があまりないと、まあ値上げしちまえというふうにしてしまう。安易な態度をとりやすく、同様な意味において、生産性向上によるコスト・ダウンが行なわれるような場合でも、その成果が国民に還元されることなく、賃金の上昇、あるいは利潤の増加、こういう姿になりやすい。そうして、このような各企業の賃金の上昇や利潤の増加は、これがまた同時に一つの需要となって、また市場の価格を上げていく。したがって、購買力となり、あるいは設備投資もまた盛んになっていくという形で循環していく。 この問題は、実は日本だけではなくて、むしろまだ日本はいいほうでございまして、コスト・プッシュ・インフレーションという形で、アメリカ、イギリス等々で非常にこれが問題になっておる。いま渡辺委員が端的に所得政策等の問題を賃金抑制だけというふうに言われましたけれども、管理価格問題のむしろ基本は、一つは超過利潤の問題であります。しかし、超過利潤という問題を見る場合に、しからば他の問題を全然見なくていいのかというと、そうではなくて、やはり全体としてのインフレーション的な動きというものの中では、生産性向上、しかもすぐ賃金上昇、あるいはその他の宣伝費とか広告費とか、そういったものを幾らでも使える、そういった問題もあるわけでございますから、結局、企業全体のコストを見ていくのでなければならない。で、私は直結ということばは決して使っておりませんが、賃金だけが所得政策の対象ではもちろんないんで、企業全体のコスト、利潤、生産性あるいは賃金、そういった問題を総体としてつかまえて見るのでなければ何にもならない。何にもならないというのは言い過ぎかもしれません、意味がないと、また、それを避けて通るわけにはいかないのではないかと、かようなことを言っているわけでございます。
○委員長(横山フク君) 佐藤経済企画庁長官に申し上げます。十一時半にはここへ御出席になるという予定なので、各委員さんには公取委員長に対する質問は非常に制約していただいたんです。ところが、十四分遅刻されました。政府委員室には早くお入りになっているように伺いましたが……。こういうことでは委員会の運営に支障を来たしますので、今後御出席になる時間には御出席になっていただくように、格別の御配慮をお願いしたいと思います。 経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいま委員長から御指摘がありました点、まことに遺憾に存じます。今後こういうことのないように十分注意してまいりたい、こう思っております。
○委員長(横山フク君) 宮崎国民生活局長。
○説明員(宮崎仁君) 私、七月に国民生活局長を拝命いたしました宮崎でございます。いろいろお世話になります。どうぞよろしく。 最近の物価の動向について御説明をするようにという委員長からのお話でございますので、簡単に申し上げます。 御承知のとおり、消費者物価、卸売り物価ともに昨年度異常な高騰を示したわけでございますが、消費者物価につきましては昨年度六・四%という非常な上昇になりまして、本年度に入って、さらに四月に野菜の急騰等ございまして、八・三%前年度より上がるというような状況でございましたが、五月には〇・六%、六月には〇・五%の下落ということで、季節商品の反落等もございまして続落いたしました。しかし、七月に入りまして、この東京の指数を見ますと、〇・三%の上昇ということになっておりまして、今後はあまり楽観を許さないと、こういうようなふうに考えられます。前年同月比でこれを見てまいりますと、先ほど申しましたように、四月は非常に高かったわけでございますが、その後若干下がってまいりまして、大体六月の数字で六・八%という程度になっておりますけれども、今後さらにこれが下がっていくというかっこうでないと、なかなか政府の見通しとして考えております四・八%におさめるということが困難なような状況でございます。卸売り物価につきましては、御承知のとおり、十五カ月間という非常な長い期間騰貴を続けたわけでございますが、五月に入って横ばいに転じました。六月は〇・四%の下落、七月中旬までは横ばいという状況で、やや落ち着いております。このような下落は、市況商品である鉄鋼、非鉄の下落に負うところが大きいのでございますが、一方では、金属製品、食料品、窯業製品などの上昇もございます。また、七月に入ってからは、鉄鋼がやや持ち直すとか、あるいは春闘の結果、労賃が非常に上がっておりますが、そういったものの影響がどう出てくるかというようなこともございまして、このほうにつきましても、本年度の見通しの一・九%上昇に押えることに特段の努力を必要とする、こういったように考えられる状況でございます。 それから、引き続きまして、御指摘がございました物価安定政策会議の提言の実施状況につきまして、これも簡単に御説明いたします。 去る四月の物価安定政策会議におきまして、行政介入と物価という問題で、十数項目にわたる御提言をいただきました。この趣旨に基づきまして、去る六月九日、政府の物価関係閣僚協議会におきまして、大体この内容に沿った事項を、総合対策、当面の物価安定対策ということで決定をいたしております。その内容はかなりいろいろにわたっておりますが、たとえば、薬局、公衆浴場等の問題、これは店舗の規制等についての緩和の問題でございますが、それぞれ閣僚協議会でこれを取り上げておりまして、関係各省でいまその実現方をいろいろとやっておるという状況でございます。酒類販売業あるいは清酒の製造業等につきましても同様の問題がございます。それから理容業につきましても、これは厚生省のほうで、やはりこの物価閣僚協議会の意向に基づいて現在研究会等が設けられまして、いろいろ努力をいたしておるという状況でございます。それからタクシーにつきましては、やはり物価閣僚協議会で取り上げておりますが、運輸省のほうで台数の制限緩和につきまして具体的な措置をとっております。それから百貨店等につきましても、通産省において現在実施方を検討をいたしておるということでございます。 それから、一つの項目として輸入の管理の問題がございますが、この輸入の管理の問題につきましては、二点ほど大きく問題が取り上げられておりますけれども、これも物価関係閣僚協議会において同様の趣旨をきめております。このうち、特に輸入自由化の推進につきましては、年内に実施するということで現在作業が逐次進められております。また、特に物価関係の問題として、国内消費用の二%まで達しないものについて、二%までの輸入割り当てを行なうということが閣僚協議会できまっておりますが、このほうにつきましては、去る七月十四日、一部十数品目について措置がとられました。引き続き、近日また残りのものについて措置がとられる、こういう状況でございます。 それからカルテルとか再販の問題等もございましたが、これにつきましては、引き続き検討ということで、閣僚協議会の決定事項には入っておりません。ブタ肉につきましても、価格安定帯の問題として取り上げられておりますが、この問題につきましては輸入の促進をするということで、関税制度の改正の問題、あるいは将来の自由化というような問題について農林省のほうでも大蔵省も検討する、こういうことでございます。砂糖につきましても、砂糖消費税の問題その他が取り上げられておりますが、これも現在検討が進められておる、こういうことでございまして、いずれもこういった形で閣僚協議会としての決定が続いて行なわれまして、これに基づいて現在関係各省でそれぞれ措置を進めておる、こういう状況でございます。
○委員長(横山フク君) 瀬谷君。
○瀬谷英行君 最初に、私鉄運賃の値上げについて質問をしたいと思います。 この前の委員会の際に、私鉄運賃の値上げについて私質問したら、まだ問題は出ておらぬということだったのですが、いずれにせよ、私鉄運賃の値上げが問題になる時期が早いんじゃないかということで、私前回質問したわけです。今回私鉄運賃の値上げの申請が出ているわけですが、この私鉄の運賃は、新聞報道によると、値上げを認めざるを得ないのではないかという記事が出て、その次、総理大臣のほうから、値上げをしてはいけない、だからこれを凍結にしろといったような意味の発言があったということを聞いておるわけです。この私鉄運賃の値上げ問題については政府としてどういう方針でいま臨もうとしておるのか、その辺を一番最初にお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまの点でございますが、新聞等にもすでに出ておりますが、私たちとしましては、経済企画庁としては、一応運輸省の説明も十分検討いたしまして、ただいまのところ、最近のいわゆる緊急的な交通施設の整備、こういうものの負担等も重なりまして、私鉄に相当の赤字があるんじゃないか、こういうことを大体推定し得る状態にあると考えております。そういうことで、これは、従来から申し上げております公共料金をできるだけ一方において抑制しなければならぬという問題とどういうふうに調整するかという、むずかしい問題に立ち至っておりまして、一面におきまして、私鉄運賃金の上昇というものがいわゆる便乗値上げを誘うとか、そうしたことは一面極力われわれとしても警戒しなければなりません。そういう意味で、できるだけひとつ合理化をやってもらうという前提でいろいろと検討を進めておりますが、それにしましても、なお相当の赤字が考えられるんじゃないか、そういう感じを現在まで持っておったわけでありますが、まあ現在の政府全体としての公共料金抑制の方針にも照らしまして、さらに一そう検討を十分に加える必要があるのじゃないかと、これは総理の耳にも当然入っておるわけでありますが、そういう角度から一そうの再検討を行なう、こういう段階になっております。
○瀬谷英行君 再検討を行なうということの具体的な意味ですね、これは、実施時期をずらすというのか、あるいは賃率について手直しをさせるということなのか、どういう意味を持っているんですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) そうした問題全部を含めて、さらに再検討をしなければならぬ、こういうことであります。
○瀬谷英行君 再検討の時期、結論を出す時期等はどういうことになりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 再検討いたしておりますが、結論を出す時期については、いままだ、いつというところまでは出しておりません。
○瀬谷英行君 結論を出す時期も再検討しているような感じなんですがね。そうすると何だかわからぬことになるわけです。しかし、運輸審議会のほうに問題が提起をされているわけですね。これをこの間ちょっと調べてみたら、申請の内容というのは、一概に言えませんけれども、たとえば東武、西武、京成等は国鉄並みの運賃を申請しているわけです。一キロ当たり四円二十銭にするような申請をしております。京王帝都電鉄が国鉄よりは十銭高くて四円三十銭、小田急が若干安い程度、大体比較してみると、この新しい運賃でもってどうなるかを見ますと、国鉄並みになるか、国鉄にちょっと届かない程度になるかというのが多いようです。それから西鉄なんかの場合は国鉄より若干高くなる。こういうことで、大体において国鉄並みという運賃の値上げを申請しているわけですが、もし、この私鉄の運賃の値上げは物価対策上よろしくない、まだ合理化の余地があるのだ、こういうことでもってこれを押えるということであれば、先に上げたほうの国鉄の運賃のほうはこれはどういうことになるのかということになるわけです。国鉄の運賃が先に上がっているわけです、四円二十銭に、去年ですね。ところが、私鉄のほうは四円二十銭に上げることはまかりならぬ、何とかしろということの意味は一体どういうことなのか。では私鉄に対してはどういう方法でもってその採算をとらせるようにするのか、合理化というのは具体的には何をやらせるのかという問題が出てくると思うわけですが、その点はどうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 国鉄と私鉄は鉄軌道業という関係においてはもちろん共通なものを持っておりますけれども、また違う条件もございます。御存じのように、あなたに申し上げるのは釈迦に説法でありますが、国鉄は全国にまたがるところの路線でございまして、そこにはいわゆる不採算路線というものも多く抱えております。そういうものに比しまして、私鉄のほうにおきましては、相当通勤路線を中心にしますところの都市に近接した面が多い。またあるいは、それによって不動産の開発利益を吸収している面もある。いろいろと事情の違う点もございます。それからまた、私鉄の中においてもまた事情の相違がございます。そういうようなこともやはり十分に検討をいたさなければならない、こういう事情にあると思います。
○瀬谷英行君 それは、私鉄と国鉄は事情が違うのはわかっておりますけれども、しかし、運賃の問題、たとえばキロ当たり一円も違っておれば、これは私鉄のほうが国鉄並みにしろというのは理屈からいえば当然だろうと思うのです。国鉄を押えてあれば別です。ところが、国鉄は去年の国会でもって上げてしまったわけですね。そうして私鉄だけ押えようということは、これは無理が出てくるわけです。だから、その無理をあえて押して私鉄の運賃を押えようとすれば、いまほかの、たとえば不動産業等のほかの仕事でもってまかなえというふうにも聞き取れるわけなんですが、そういうほかの仕事でもってまかない得るからかまわないのだ、そっちのほうでやらせるのだということなんですか。それから国鉄の問題は、赤字線区も抱えておる、だから四円二十銭上げるのばしかたがない、こういうふうに聞き取れるわけですが、では赤字線区の問題を一体どうするのか、いろいろな問題が出ているわけですね。赤字線区を全部はずしてしまえ、はずしてしまうことができない場合には、その地域についての道路整備の予算は削るという大蔵省の考え方があるということも出ているわけですね。これはもう輸送全体の問題になっているわけです。もう流通機構にも全部影響してくると思うのです。だから、政府としては、国鉄なり私鉄のそれぞれの企業の内部事情だけじゃなくて、輸送形態をどうするかということから検討していかなければならぬだろうという気がするのですが、数々の矛盾が出てくると思うのですがね。いまでも、こういう同じ地域でも、国鉄と私鉄では運賃がずっと違うという例があるわけです。そのために、国鉄にいかないで私鉄へみんな集中するという現象も生まれていると思うのです。こういう問題はほうっておいていいものかどうかですね。こういうことはある程度考える必要があるのじゃないだろうかと思うのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、料金問題と同時に、いわゆる交通政策、こういう見地も別にあるわけであります。それらとの調整が今日むずかしくなっている理由なのでありますけれども、たとえば、いま御指摘のように、確かに一部において国鉄の乗客が私鉄に流れる、こういう現象もないではございません。もちろん、これについては、いわゆる通勤関係とその路線との関係、それぞれの受ける便益、そうしたものを総合的に判断するわけですから、少しぐらい私鉄が安いからといってすぐ私鉄に流れるとまでも、そうはっきりと割り切れない問題もたくさんあろうと思います。そういうことでいろいろと問題はあるのでありますが、同時に、今日におけるところの公共料金の抑制、こういう立場との調整も考えなければなりません。そういうことで彼此勘案いたしまして、いろいろと調整をしなければならぬと私たちは考えておるわけであります。
○瀬谷英行君 どうも長官の言っていることはさっぱり要領を得ないのですがね。調整ということばは重宝なようだけれども、ごまかしの文句ですよ。具体的にはどうするかというのです。運賃値上げの申請が出ている、私鉄から出ているんだけれども、これを押えていくのだ——押えるなら押えるで、ことし一ぱい上げないとか、あるいは四円二十銭という申請があるけれども、これを四円にまけさせるとか、どういう方法があるのかということなんですよね。そういう点、さっぱりはっきりしていないのです。これは、運輸省から山村次官も見えておるようですが、一体このままでいってどういうことになるのか、総理は一体何を言わんとしているのか、総理のほうに押えられたのならば、総理はどうしようということを言っているのか、その点をはっきりさしてもらいたいと思うのですが……。
○説明員(山村新治郎君) 運輸省といたしましては、いわゆる国鉄、私鉄のいま値上げの問題ということになるわけですが、特にこの国鉄、私鉄の場合、ただいま大臣も申されましたように、都市周辺、これの交通というものをつかさどる運輸省といたしまして、まず計算いたしましたところ、四十三年大体八十七億円、四十四年百九十七億円、そういうような大きな赤字が出ておりまして、運輸省としていままでやっておりました第三次のいわゆる輸送力増強等の五カ年計画、これは昭和四十二年から四十六年まででございますが、これに大体四千八百億円の金をぶち込みたい、そういうことでやっておるわけですが、これはもちろん、輸送力の増強、それといわゆる運転保安ということで、安全という面でやっておるわけですが、それにどうしてもそれだけの赤字というものが出てくれば、先日のベースアップというような、予想もしないような大きなベースアップがあるということで、監督官庁としての運輸省として、それを遂行してもらうためには、どうしてもやはり値上げというものを考えなくっちゃならない。そういうぐあいで、これはもちろん企画庁のほうにお願いしてでございますが、運輸省としてはそういうような苦境に立っているというのが現状でございます。
○瀬谷英行君 苦境に立っているという話で、じゃどうしようということになるのですがね。運輸省としては、じゃ値上げの申請を認めようという腹だということなんですか。それを、たとえば経済企画庁なり総理のほうから待ったがかかっておるというふうに理解をしてよろしいということですか。
○説明員(山村新治郎君) 端的に申し上げたいということなんですが、事実運輸省として、ただいま申しましたように、いわゆる行政指導をしながらやってまいるわけですが、しかし、それにしましても、それだけの大きな赤字というものが現実に出てきておりまして、そしておそらく本年度はもっとそれを上回るような大きなものが出てくる、運輸省の輸送力増強、それから安全ということを考えますと、どうしてもこれはお願いしなければならないじゃないか、しかし、それにしましても、これは経済企画庁のほうと十分相談いたしまして慎重にやっていかなければならない、そういうぐあいに考えております。
○瀬谷英行君 先ほど、予想もしないベースアップという答弁がございましたけれどもね。ベースアップというのは予想されると思うのですよ、物価がこう上がっておりますからね。物価が上がっていてベースアップがないということはあり得ないわけです。そうすると、これから先もベースアップということは十分に予想しなければならない。これは何も私鉄に限らないですよ、ベースアップということは。公務員であろうと民間であろうと、全部ベースアップということが出てくる。そうすると、ベースアップに伴う人件費がふえるということは、これは当然のことなんです。じゃ運賃はどこまで据え置いていかれるのか。もし運賃の値上げを認めないでいこうとする場合にはどうするのか。これは、収入と支出のバランスを失えば赤字になるのは当然のことなんですね。その赤字を、じゃどうやってカバーをしていくということなのか。国鉄の問題もそうなんです。国鉄の赤字路線、これは何とかして切りたい、しかし地元の反対がある、地方自治体と地元と国鉄と、三者でこれを何とかしていこうということもあるということも聞いておるのですがね。そうすると、国鉄の赤字路線の問題も、私鉄の経営難の問題も、これは共通した問題が出てくると思うのです。四円かかるところを三円の運賃しか取らなければ、これは私鉄であろうと国鉄であろうと、やっていけないということになるのは、もう目に見えておるわけです。だから、これは単なる運賃だけの問題では解決はつかない。物価全体の問題になってくるわけなんですね。ただこれだけを押えようとしたって押え切れないだろうという心配があるから私のほうは聞いておるわけです。一体どうするのかということです。ベースアップはこの間行なわれた、これからも、来年の春もまた行なわれるであろう。もっとも、政府がそれまでに物価を押えて、物価が上らないという確証が持てればベースアップの必要もないということも出てくるかもしれない。物価の値下げをするというような当ては、それは経済企画庁長官だってないのでしょうからね。ないとすれば一体どうするかという問題です。いずれか結論を出さなければならない問題でしょう、これは。どうもまだ時期が早いといっていられる問題じゃない、ごまかし切れる問題じゃないと思うから私のほうは聞いておるわけです。
○説明員(山村新治郎君) ただいまちょっと私オーバーにどうも言い過ぎたようで、運輸省として予想しておった以上に大幅に賃金というのが上がったということでございます。 それと、いま先生おっしゃいました運賃が認められない場合どうするかということですが、運輸省といたしましては、もちろん、いわゆる合理化対策、また省力化対策、これに全力を尽くすように指導してまいりたいと思いますが、しかし、また、先ほど申しましたように、本年度の赤字も大幅にふえるということになってまいりますと、運輸省として開銀の融資の拡大、また国の助成策、これらを強化するにいたしましても、やはり金利の負担の増大、これらを含めまして、いろいろな問題が出てくると思います。そうすると、結局はやはり、運転保安工事、また輸送力増強工事、これらについても大幅に削減せざるを得ないような状況が出てくるので、ほんとうに困ってしまうというのが運輸省の考えでございます。
○委員長(横山フク君) いまの瀬谷先生の御発言なんですが、物価対策委員会としては運賃を上げたくない、物価を押えたいということは事実だろうと思うんです。しかし、私鉄やなにかが赤字になっているために新線の建設の意欲をそぐという形になる。そうすると、いま東京やなにかで私鉄の沿線の地価は非常に上がっているけれども、交通の不便なところの地価は同じ東京の中でも安いわけです。そういうところに私鉄なり国鉄が敷かれてくる。そうすると、そういうところが、また新しい形で安い地価が影響されるという形になるし、そういうふうに、ただ運賃を上げたくない、物価に響くから、という形の小さい目で見るのではなくて、大きい目で考えながらやってほしいという意味を含ませて瀬谷先生は運賃の問題も言われているのだろうと私は思うんです。そういう角度から、運輸省なり経済企画庁でも考えておられる角度の点も含ませて答弁していただいたらいいんだろうと思うんですけれども。
○説明員(山村新治郎君) まあ、運輸省といたしましても、いわゆる大手の私鉄に対しましても、そのような、ほかのほうでも採算の上がるものをというようなことでいろいろ指導をいたしております。こまかい内容は事務局のほうから御説明いたします。
○説明員(山口真弘君) ただいま先生御指摘のございましたように、運賃問題というのは、短期的に見れば、これはまさにそれだけの運賃を値上げすれば、それによって物価に対する影響というものがあろうというようなことであろうかと思います。しかしながら、これは、ただいま先生御指摘のように、まさに長期的に見た場合にどうかという問題であるのでございまして、輸送力が非常に少ないということになれば、それは地価の高騰というものにつながってしまう。輸送力増強を大いにやりまして、そして輸送力が大いにつけば、土地の供給というものもふえてくるわけですから、そういう意味では地価対策に貢献をするということも十分に考えられるべきでございまして、その意味でも運賃改定というのは必ずしも物価に対する悪影響ではなくして、いい影響をも及ぼすということも十分考えられるところでございます。そういった各般の事情も考えつつ、この運賃問題というのを当委員会でも御検討をいただければと思う次第でございます。
○瀬谷英行君 運賃値上げでいい影響があるというふうに言われたのですけれども、それじゃ、いい影響があるということがはっきりわかっているならば、どういう影響があるかということを明らかにしていかなければいかぬと思うんですね。たとえば、ここの運賃を上げることによって、ここの地価がもっと運賃の上がった分をはるかにしのいで地価が下がるといったような代償がはっきり出てくるのかどうか。これはばく然と期待しているだけじゃ、なかなか出てこないと思うのです。これは、運輸政務次官のほうは困っておるということなんですが、困ってばかりいられないわけで、じゃどうしたらいいかということですよ。私鉄のほうは押える、運賃を押えるというので、今度は不動産業かなんかでせっせと金もうけをしようとする。そうすると地価のほうが上がるという問題が出てきたのではたいへんなことになる。地価の問題と運賃の問題、みんなからんでいると思うのですよ。だから、からんでいる問題ですから、国として、たとえばなるべく運賃を上げないで済むような助成策を講ずるという方法を考えているのかどうか。それがないと、これは、えさを求めているひなみたいなもので、くれないでおけば飢え死にしてしまうという状態になるわけですから、何か方法を考えなければならぬでしょう。だから、地価対策協議会といったようなものも何回も開いておるようだけれども、なかなか結論が出ていない。それと物価の閣僚協議会も、この前の委員会で私は、ひまつぶしをしているのじゃないかという意味のことを言ったら、そんなわけではない、一生懸命やっているのだというお話があったのですけれども、一生懸命やっているのなら、実効があがらなければならないわけです。実効があがらないで会議ばかり開いておっても、これは意味がないわけです。そういう問題を一体どうするのか。ほっておけば、どうにもならなくなりますよ、これは。だから、政府としてはこういう対策があるので、だから私鉄の運賃を押えられるのだということでないと意味がないでしょう。ただ漫然と押えるだけ押えているということなら、どこかで破局的な状態になり、破産をしてしまう。そこまでほったらかしておくということなのかどうか。これは何かの策を政府として考えなければならぬ。現にあなたのお隣りで山村次官は困った困ったということばを何回も繰り返している。隣りにいて困った困ったという答弁を聞いておって、あなたのほうは困らないような顔をしていられないと思う。その点は具体的な対策というものをお答えいただきたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま、運輸省のほうからも話がありましたが、ますます通勤線を中心としました近郊の路線を延長していく、これはわれわれとしても大いに考えるべきことであります。いま地価対策の話が出ましたが、これは主管の建設省が中心になりまして、ごく近々中に対策を発表する予定になっておりますが、そうした地価対策の見地から言いましても、できるだけ通勤の輸送力を伸ばしてもらいたい、それによって新しい住宅地が生まれ、住宅地の供給がふえていく、これは、地価対策、土地対策の上からいっても一つの方法であります。そういうようなこともありますから、われわれとしましては、この私鉄の増強というようなことには同時に非常に強い関心を持っております。問題は、そうした増強工事の資金というものが行き詰まるほどに私鉄の経理が悪化しているかどうか、こういうところの判断の問題でございます。もちろん、一方において、賃上げによるところの経理圧迫、これも無視はできません。そういうこともいろいろと勘案いたしまして、現在の状況においてなかなか私鉄もたいへんである、こういう印象を私たちも率直に持っているわけでありますが、一方において物価ということから考えますと、いついかなる形でもって実行するか、これについてはやはりよほど慎重に考慮しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、さらに合理化の検討の余地はないものかどうか、再検討の余地がさらにないのだろうかということを考えてみますと、もうちょっと検討に時間がほしいと私は思うのであります。いま御指摘がありましたように、われわれとしても、ただ私鉄の料金だけではなくて、そうした総体的なことも頭に置きながら、どういうところでその調整ができるか、それを苦心しているわけでございます。私鉄の、たとえば不動産の問題が出ましたが、これなんかも、もちろん、いわゆる私鉄の鉄軌道があるがゆえにその不動産について収益が出るという分野には、できるだけわれわれとしてもこれを計算に入れる、こういうことも一面において考慮しなければならない要素であろうと思います。そうしたことも十分検討し、さらに合理化の余地も検討しまして、そうして結論を出す、それにはもうちょっと慎重でなければならない、こういうところでございます。
○瀬谷英行君 要するに、どうしようとしているのかということがさっぱりわからぬわけです、いままでの答弁ではね。きょうの新聞には、航空運賃の値上げということも出ております。私鉄の値上げと航空運賃の値上げ、電話料金の値上げ、いろいろな値上げがこれから一斉に始まろうとする。しかし、物価は一向に下がらない。ベースアップというものはどうしても必要になってくる。そうすると、一体この先物価をどうするのかという問題が出てきますよ。それで、たとえば私鉄の問題にしても、過密地帯と過疎地帯がある。過密地帯なんかの場合は、輸送力を増強をして、こことここに線を引っ張って電車を走らせればかなり利用者が多くなるんじゃないかと思われる場所でも、財政難を理由にして私鉄の場合は投資をしない。不便をそのままにして、そして積極的な投資を怠っておるという傾向もあるわけですね。そんなことでは、ますますこれはじり貧になっちゃうんじゃないかという気がするわけです。 航空運賃なんかの場合は、これはたとえば合理化といっても、われわれ飛行機に乗ってみて感ずることがあるんですがね。たとえば大阪まで四十分で飛んでいける。九州に行くにしても、北海道に行くにしても、いま一時間そこそこで行けるわけです。こういう場合に、飛行機の中でスチュワーデスが、おしぼりを配ったり、それからケーキを配ったり、いろいろなことをサービスして歩くわけです。そうすると、われわれ考えるのに、四十分や一時間飛行機に乗るのに何か飲まないではいられないというものではないし、それからおしほりをもらわなければ因るというものじゃないと思うんですね。ああいうようなことは、やらなければやらないでも済むものだと思う。水が飲みたければ、国鉄の車の中にあるような水飲みなんか置いておいて、かってに飲ませればいい。コーヒーやなにかが飲みたければ、乗る前に飲むとか、降りてから飲めばいい。四十分や一時間の間何か飲まなければいられない、食べなければいられない、おしぼりをもらわなければいられないというものじゃないと思うんです。だから、ああいう問題を考えてみると、なるほど合理化をやってやれないことはないなと、こう思うんです。 ところが、私鉄の場合、国鉄の場合も同じだけれども、超満員の通勤電車なんていうのは、これは今日交通公害と言ってもいいと思う。いま公害は、スモッグやらヘドロやら、そういう問題に集中されておる観がありますけれども、通勤問題なんか一種の交通公害です。これはもう定員百人のところに三百人も客が詰め込まれて、一時間というもの、おしぼりどころじゃないですよ、これは。そういうサービスなんていうものは、まるきり期待できない。こういう状態をそのままにしておいて、どういう合理化が考えられるのか。じゃ政府として指導しようとしている合理化の内容というものは一体具体的にはどういうものなのか。どこにその一つの方策を求めようとしているのか。私は、へたにまごつくと、利用者と従業員が一切のしわ寄せをされるという結果になるんじゃないかと、こういうことを心配するわけです。そういう、利用者なりあるいは従業員に犠牲のしわ寄せをさせないような方法でもって合理化をすることができる余地があるとすれば、どういうような方法があるか。その点をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、本年のベースアップの状況等を見ましても、私は別に、いま従業員の諸君に今日の私鉄の状況において非常にしわ寄せがいっているというような感じは、率直に言って、持ってはおりません。一般の利用者につきましては、料金を中心に考えるか、その利用の効率、内容を中心に考えるか、確かに判断のむずかしいところだろうと私は思います。しかし、いずれにしても、瀬谷さんがおっしゃっていますように、できるだけ合理化すべきものは合理化していかなければならない。それからまた、政府としても、たとえば開銀の投融資等につきましても、できるだけ合理化すべきものは合理化しなければならぬ、こういうふうに私は考えております。そうしてまた、経理全体としますと、先ほどのように不動産収益等はこれを考慮しなければならぬ。そういうことを総合的に見まして、そうして、まあいわば納得のいく、料金の値上げというものが真に不可避のものである、やむを得ないものであるということが大方に納得される、そういうような程度のものでなければ、なかなか軽々にこの料金値上げというものは、公共料金のたてまえからいっても、むずかしいのじゃないだろうか、こういうところで私たちも慎重を期しているようなわけであります。
○瀬谷英行君 慎重を期しているとか、再検討するというお話なんですが、これは一体どうするのか、いつどうするのかという問題さっぱりわからないのですがね。わからなければ何回質問したってしょうがないから、私はやめますけれどもね。運賃の申請はもうすでにあった。内容もはっきりしている。しかし、総理としてこれを押えたということは、何らかの目算があって押えたんじゃないかと思うから、私はいろいろ聞いているのですよ。ただ漫然と押えているのじゃ、これはしようがない。押えられる自信があるならば、これは押えていってもらいたい。物価対策上、これはもう運賃に限らず、物価全体を抑制してほしいというのがわれわれの希望なんですから、物価全体の問題と、それから運賃の問題、あわせて押えていけるという自信があるのかどうか。これはもう毎回物価対策委員会を開いて、その事実は数字でもってはっきり出てきている。今後の傾向、これを押えられる自信があるのかどうか。運賃問題はどうするのかという点、慎重に検討するということは、結論を出す時期もずっと先に延ばすというふうに理解してよろしいのかどうか、当分延ばすということなのかどうか、あるいはいつごろこれは結論をつけるのだということについて、ある程度の目安があるのかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、物価問題、最近非常に微妙になってきております。まあ卸売り物価は一応落ちついてきましたが、消費者物価につきましても、このところ少し弱含みに転じております。ただ、その内容を検討いたしますと、これについては相当情勢の強い点もありまして、一ぺん再検討をしなければならぬ、こういうような要素も、率直に言ってございます。そういうことで、いま非常に微妙なところでありますが、われわれとしては、ひとつこの年度内におけるところの物価情勢、これをよく見きわめまして処置したいのでありますが、四・八%というさしあたっての目標、これを何とか達成したい、こういうふうに考えております。そういうことで、全体の基調が別に大きくくずれる、こういうことではもちろんないわけであります。それを前提にしましてわれわれとしても考えていくことにしたいということであります。 いまお話しの私鉄運賃の決定をいつごろにするかということでありますが、実をいうと、これがいま、いつごろというふうに時期を明示し得るところまでは、率直に言って、まだ言っておりません。しかし、できるだけひとつ、われわれとしても検討を急がなければならぬ、そういう情勢にあることはよくわかっておりますので、そういう点は今後さらに精を出していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○委員長(横山フク君) 竹田君。
○竹田四郎君 どうも、いまの私鉄運賃の問題を聞いていて、さっぱり何が何だかわからないわけです。私は、運輸大臣と経企庁の長官が私鉄運賃の値上げについて首相の了解を求めに行った、そのときに首相のほうから待ったがかかった、このニュースを聞きまして、率直な感じは、経企庁の長官のほうは、これはひとつ押える、運輸省のほうは、まあ実態の上から上げる、その調整役を実は首相に頼みに行ったのではないかと思ったわけです。ところが、お二人そろって運賃値上げをしてくれ、こういうふうに言っていかれたということなんですが、そういう点で、私は、一つは経済企画庁の長官あるいは企画庁の態度にやはり問題があるのじゃないか。首相はこの問題をもう少し待てと、こういうふうに言われたというのは、おそらく、いま瀬谷さんからお話がありましたように、何らかの目算があってそう言われたはずであります。いま長官は、確かに赤字で困っているのだ、しかしそれを再検討する、こういうふうなことをおっしゃいますと、いままで企画庁は一体何をしていたんだ、遊んでいたんじゃないのか、こんな感じすら受けるわけですね。ほんとうにもうどうにも合理化の余地がない、どうしてもしようがないというのならば、もっと首相に言う言い方があるのじゃないか。たとえば、運賃の値上げをしてくれともっと積極的に話があるとか、あるいは他のほうから私鉄に対する国の助成というような形で何らかの手がある、そういう形のことが当然経企庁の長官から言われていいのじゃなかろうか、こういうふうに実は私は思うわけであります。それでないとすれば、いままでの検討というものは、一体ほんとうに検討されたのかどうなのか。運輸省のほうの議論に巻き込まれてしまった、そういうふうにしか私は感じないわけであります、いまのお話聞いておりますと。おそらく長官はたいへん困っているような感じを実は受けるわけであります。しかし、私は、長官としてやはりそれに対して具体的な政策を出していかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この点はいまのお話の中で明示がございませんから、これ以上追及しても私はしようがないと思います。もう少し、そういう点で、ひとつ物価対策についてさらに経企庁として真剣にものを考えてもらわなければ困るということをこの機会にひとつ申し上げておきたいと思います。 それから、先ほどもお話が出ましたのですけれども、全体の物価問題というものを見てきますと、なるほど、先ほど国民生活局長は、五月、六月において特に生鮮食料品の値下がりというようなものから全体的な物価水準というのは若干下がった、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、しかし、その中でも、野菜は下がったけれども、その他のものにおいてはこの二カ月とも若干上がっているわけですね。そういう点については一体どう考えたのか。いままでは野菜や魚が上がっているというところに目をとられてしまっておりましたけれども、やはり、もう少し物価全体を引き下げていくというところにメスが入れられなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。先ほども公取の委員長に私申し上げたわけですけれども、最近日銀で発表された四十四年度の主要——かなり大きな企業でございます。これの四百八十四社の統計を見ましても、金融引き締めの状況の中で初めて非常に大きな利益をあげた、しかも、その利益の上がった原因が実は価格の上昇によって利益が上がっている、こういうふうに日銀調査は言っております。いままで物価が上がるのは中小の企業なんだ、大企業は安定しているのだということを盛んに言ってこられたわけであります。この日銀の調査を見て私どもはほんとうはびっくりしました。物価問題がいま一番大きな政治問題、内政問題だと言われながら、大きな企業は価格上昇によってもうけが出ている、それだけ国民が結局しばられている、こういうことになるのではないかと思う。まあ今後も、この九月になりますか、十月になりますか、ビールの五円の値上げもある。しょうゆ、みその値上げも新聞で伝えられている。牛乳の値上げも言われている。ガソリンの値上げも言われている。あるいはめん類やパンなどの値上げも言われている。こういう中で、一体経済企画庁は、こうした物価値上げの連続攻勢というものに対して、どういうようなことをお考えになっているのか、もう少し物価を引き下げるという立場をやはり堅持をしなくちゃならない問題が非常に多いだろうと思います。石油の問題にいたしましても、何かこれは海上運賃の値上がりによるんだと、こう言われております。それ以前にはたいへんもうけている。小麦粉の問題にいたしましても、若干の人件費の値上がり程度のもので、現実にはかなりもう上がっている。こう考えてみますと、もう少し経済企画庁として、物価を押える立場というものを全体的にもっと強く貫いてもらわなければ、今後悪性インフレというような形に進んでいく可能性すらあるのじゃないだろうか、こう思うのですが、具体的に、そうしたビールとか、みそ、しょうゆ、一番日常生活に関係のあるもの、ガソリンにいたしましてもそうです。パン、めん類にしてもそうです。こうしたものを具体的にどのようにしようと考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、一部に確かに反落しているものもありますけれども、御指摘のように、まだまだ非常に需要の強いものもございますし、そういう意味において、私たちは、今日までの需要抑制、金融引き締め、こういうような政策が一面においてやや効果を持ってきたことを認めながら、まだまだ不十分な点もある。そういうことで、依然として需要抑制政策というものを基本にしまして、これをまだ継続をしなければならない、こういう判断に立っているわけであります。そして、いろいろ御指摘になったような点につきましても、もちろん、法律上政府が全く手がかりのないものは別でありますけれども、できるだけ行政その他によっても指導をしていくように、これは各省においても相当そうした気持ちでおりますが、これについてはできるだけわれわれとしても強く要請をし、そしてそういう方向で実現するように要求を強く出しております。さっきお話のありました油の問題等につきましても、これは、公取や通産省をわずらわして、いわゆるやみカルテルを排除摘発してもらう、個別的なものについてはそれぞれいろいろな事情がありますし、そうしたことで行政指導してもらうもの、あるいはまた、そうした公取等をわずらわすもの、まあいろいろあると思うのでありますが、個別的の問題でありますから、これを完全に押えるについては、よほど政府としてもしっかりした態勢がなければなりません。そういう意味で、まさしくご指摘のように、われわれとしても今後なお物価対策閣僚協議会等も開いて、そうした点について今後一そうこれが抑制できますように進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 具体的に、ビールについては、そういう五円の値上げというものが新聞等でもいわれておりますが、このビールは、おととしですか、たしか全体的に三円値上げをやりましたね。おととしのビールの値上げというのは、大蔵省主税局ですか、国税庁ですか、税金を取るという立場で、むしろ暗黙の了解を事前に与えて、そのあとで上げてきた、こういう形であります。今度の五円の値上げは、何か卸以下のほうから強く突き上げられて上げていく、こういうふうに言われております。まあ、具体的に一つずつ聞いていきたいと思うのですが、ビールについてはどうしますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、そういううわさも聞いてないではないんですが、まだ具体的には的確な情報は入っておりませんが、もちろん、これについては極力押えるように、国税庁等とも通じて働きかけようと、こう思っております。まだ具体化するところまではいっておりません。
○竹田四郎君 それでは、みそ、しょうゆ、パン、めん類については、どういうお考えですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これらも、ものにもよろうと思うのですが、できるだけひとつ行政指導を発揮してもらわなきゃならぬと、こういうふうに考えております。まあ、これもまだ的確なものではなくして、一部にうわさが流れている程度でありますが、できるだけ事前に手を打って、各省の行政指導、行政誘導というものを活用してまいらなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 どうも御答弁が非常に抽象的なんですけれども、これは大臣でなくてけっこうなんですが、具体的にそういうものを押えていくということになれば、もう事前にある程度そういう面の実態というものが研究されておられると思うのですね。どうですか、局長、押えていくことができるような状態なんですか。さっきの私鉄運賃のような形で、どうにもしようがないものなのか、その辺の判断はどうですか。ビールとか、みそ、しょうゆ、あるいはパン、めん類、そういうものについて何らか御調査をなさっていらっしゃるのですか。それとも、まだ新聞のうわさの程度だからということで、具体化しなければ調査はできない、こういうことなんですか。どうなんですか。
○説明員(宮崎仁君) 御指摘の問題につきまして、ビールは、いま大臣からもお話がございましたが、そういった動きがある。たとえば、六月十九日、ビールの卸売り業者が大会を開きまして、マージンの引き上げと運賃の補助の引き上げをメーカーに要求するというようなことが行なわれております。しかし、これがまだ具体的な価格引き上げという問題にすぐに波及するということはない、こういうような判断をわれわれは伺っております。いずれにいたしましても、この動きには十分注意をしていかなければならない。そうしてまた、そういった動きが具体化しそうな状況であれば、国税庁等を通じて行政指導をしっかりやっていただきたい、こう思っておる次第でございます。 それから小麦粉につきまして、去る七月、若干の引き上げがございました。この点につきましても、食糧庁を通じまして業界に指導をしていただいたのでございますが、いろいろの事情もあって、どうも押え切れなかった、こういう問題でございます。この問題につきましては公正取引委員会のほうが調査をいたしておりますが、そういったような動きを通じまして今後の方針をきめていきたいと思います。これがパンあるいはめんにどう響くかという問題でございますが、この点につきましても、食糧庁を通じて、できるだけこういった波及のないように押えていくことを要請をいたしております。特にパン等につきましては、すでに四月ごろからいろいろ上がっておる面もあるようでございますので、この小麦粉の値上げという問題が直ちにそれらの小売り価格に響くことは、原価計算上はないのではないかと、こういうような判断も聞いておりますが、なおこの点も今後指導を強化していくように要請したいと思っております。 それからしょうゆ、みそ等につきましても、新聞紙上等でそういった動きが報道されておりまして、私どももこの問題について検討いたしておりますが、この点につきましては、政府の行政指導ということでもなかなか困難な面もございますが、なおまた食糧庁のほうにこういった面についての指導をお願いしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 いまのお話を聞いても、パン、めん類については、かなり明確にこれは価格に影響することはないであろう、こういうふうにおっしゃっていますが、その他については、各省を通じてそういうことがないようにいたしましょうということなんですが、この前、前々回でしたかの委員会においても、私はインフレマインドというものをかなり強く言ったと思います。インフレマインドをなくしていくということが、いまの情勢の中でかなり必要なことであろう、こういうふうに私はこの前申し上げたつもりでありますけれども、いまのような形ですと、やはり全体的に、新聞にはそう載っておるし、あれも上がりそうだこれも上がりそうだということになれば、ますますインフレマインドというものを大きくしていく、そういう危険性というものが非常に強くなってくるであろう。でありますから、たとえばビールのそういうような値上げの動きがある際に、たとえば卸売り業におけるところの経営実態から見て、これは上げる必要はないんだ、上げるのは便乗値上げなんだと、こういうようなものをやはり明確に出しておく必要があるんじゃないか、それくらいのかまえを企画庁として持っていってくれなければ、私は、こういう新聞記事によって、政府の規制等にかかわる価格についてはあるいはそういうことができるかもしれないが、そういう規制にかかわらないような問題については、ああ、あれも上がりそうだ、これも上がりそうだ、ではこっちも少し上げておこうという形で全体的に物価が上がっていくと思うんですが、そういうことはできないんですかどうなんですか、もう少し明確に、これは上げる必要はないんだ、上げるような実態にはないんだ、たとえばみそ、しょうゆについても、上げるような実態にはないんだというようなことを明確に示すような資料を企画庁から出していけるというような、そういう態勢はないんですかどうなんですか。
○説明員(宮崎仁君) ただいま御例示のありましたビールの問題、あるいはパン、めんというような、生活に非常に密着した、しかもかなり大きな問題につきましては、いろいろの形で私どものほうも、そういった価格引き上げの原因となるような問題についての調査等は実施いたしておりまして、実態的な判断をできるだけ得るようにいたしております。ただ、そういった調査にいたしましても、私どもが直接業界を調べるというほどの手もございませんので、主務官庁のほうの資料等を参照さしていただいてやっておるというのが多いわけでございますが、今後問題になってくるようなものにつきまして、できるだけ私どもとしてもその実態を調査をいたしまして、そうしてはっきりした根拠に基づいてものを言うようにしたい、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 そういうことは、はっきり約束してもらえますか、これから。
○説明員(宮崎仁君) これはいろいろのものがあるわけでございますから、そういった問題が出るものすべてについて調査をしていくということは事実上むずかしいと思いますけれども、非常に重要なものについては、そういったことの内容をつかまえまして極力やっていきたい、こういうつもりでございます。
○竹田四郎君 どうもその辺で逃げておられる面があるわけなんですが、長官のほうに聞きますけれども、どうなんですか、そういうことはできないんですか、現在の企画庁。その点、はっきりしてほしいと思う。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま国民生活局長の御説明しましたのは、ある意味において率直に能力についての話でありまして、もちろん、すべてのものを同時に調査するという体制にないということをぶちまけて申し上げたんでしょう。しかし、問題ごとに、しょっちゅうこれはトレースしておって、企画庁として全能力をあげて現在やっております。それからまた、もちろん、企画庁だけでなく、各省の力をかりなければならないわけでありまして、その各省の力をフルに利用しまして、そうしてその方面に対する考え方というものをできるだけ立てていく、これはできることであります。もちろん、具体的には、相手方のある話でありますから、論争にもなることも起こり得るでしょうが、見解の相違というものが生ずることはあるでしょうけれども、当方としてのある程度の考え方、これを持つことは、われわれもつとめていかなければならぬ、こういうふうに思っております。ただ、それを最初から頭から発表してやるやり方がいいのか、あるいは関係省を通じて指導をするという形がいいのか、まあ私は、やり方の問題でありまして、そのときの情勢あるいは品物によっても、やり方が違っていいと思いますけれども、御指摘のように、できるだけひとつ問題の起こりそうなものについては、われわれとしても調査の態勢を進めていく、これはまさしく御指摘のとおりでありまして、われわれもそういうふうに心がけていくつもりであります。
○竹田四郎君 まあ、長官のほうからそういう御返答があったわけでありますから、特に国民生活に非常に関係の深いものについては——事業省というのは、どうしてもいまの形では生産者保護に傾きやすいわけであります。そうした意味では、上ぐべきか上げざるべきか、これはやはり私は討論を起こしても差しつかえないと思うのです。そういう意味で、具体的な、上げるべきでないという指標をやはり経企庁としては示すべきである、それで論議をして、現実に生産ができないというならば、それはまたそれで考えれば私はいいと思うのです。そういう論議を起こすことこそが私はむしろ経企庁の役割りであるのではなかろうか、こういうふうに思いますから、いまの長官の発言を信じまして、主要な物価に特に大きな影響を及ぼすものについては、私はそういうような措置を経企庁として進んでとっていただくということをお願いをしておきたいと思います。 それから、最近、独禁法の改正につきまして、財界のほうから、商法の改正だとか、あるいは持ち株会社を認めろとか、あるいは株式の取得制限をはずせとか、こういう議論が出ておりまして、公正取引委員長としては、いまの管理価格というものですか、これに対して独禁法の法的限界があるから、そういうものまで手がつけられるように独禁法を改正しよう、こういうふうに前向きの意見を先ほども述べておられましたし、新聞紙上でも述べておられたわけでありますが、経企庁長官も、大体私は、新聞の報道では、公取委員長の方向にあるような気がいたしますけれども、しかし、財界方面の独禁法を改悪しろという意見というものは、かなり強く出ているわけであります。その点について、独禁法を改正する、管理価格等について介入のできる方向で改正するという公取委員長の意見については、長官は一体どのようにお考えになっているか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 公取委員長がどの程度のお話をされたかわかりませんが、方向としては私も賛成であります。まあ、集中の問題については、御指摘の財界からのいろいろな注文があるようであります。これは私どものほうは直接関係がありませんが、価格問題に関しては、もし運用の強化について公取委員長から何か発言があったとしますれば、私たちもその方向については賛成をしておるわけであります。
○竹田四郎君 それから最後にお聞きをしておきたいと思いますが、最近の金融情勢でありますが、新聞の伝えるところによりますと、金融引き締めの実態というものはかなり下のほうまで浸透してきている。それと逆に、その影響によって、中小企業のほうでは最近非常に七月あたりは倒産がふえておるようであります。神奈川の例でも、最近一般倒産件数が月ごとに記録を増進していくという状況は長官もとくと御承知のとおりだと思います。そういう意味で、この際金融引き締めを緩和してはどうかという意見がかなりあちらこちらから出ているわけであります。景気の先行きについても、来年度はそうひどい不況にはならないだろうという意見がその根拠になっているようでありますが、来年の景気の情勢と金融引き締めの緩和というようなこと、こういうことの関連について、いま政府のほうでは一体どのように考えておられるのか、この点をはっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまいろいろ御指摘がありましたように、最近では倒産件数がふえております。これも本年に入ってからわりあいにずっと落ち着いておりまして、ごく最近になってそういう数字が出てきておりまして、これが今後どの程度の形になるものか、まだ簡単に私は予測はできないと思っております。が、確かに金融引き締めの効果というものはある程度あがっているということも言えると思います。ただ、率直に申しまして、御存じのように、日銀券の増発が相変らず一九%というようなことでありますし、それに並行いたしまして金融機関の貸し出しも相当高くなっております。そういうようなことで、いわゆる引き締めと申しましても、どこまできついかという判断は、これはなかなかむずかしいので、人によっても判断が違いますけれども、私たちは、まだこうした程度の引き締めでもって、いますぐに不況の問題とか、そういう問題にはならない、そういうふうに判断しております。それよりも、まだまだ一面において経済の過熱というものが相当に残っておる、こうしたものについて、やはりまだまだ引き締めについて期待しなければならぬ面もあると思うのであります。この倒産の中身を見ましても、本来の業務以外のものに手を広げ過ぎて、そうしてここでもって急に、金融引き締めで金繰りがつかなくなったとか、いろいろと経営上にも問題のあるものがやはり倒産しておるようでもありますし、そういうことで、ここのところ三、四年続きました好景気の波に乗りまして、竹田さんもしばしば言われるインフレマインドというものが相当浸透しかかっており、どうしても経営の面にもそうした影響があらわれてくる、それがここでもって金融引き締めでもって多少修正を受ける、そういう面はある程度あるかもしれません。しかし、もちろん、まじめな経営をやっている中小企業全体が金繰り逼迫のために経営が困難であるというような事態は、これは政府として絶対に容認することはできない事態でありますから、それについてはわれわれとしても十分注意を怠らないようにやってまいるつもりでございます。まあ、よく言われておりますように、今度の引き締めにおいては、むしろ大企業の金繰りが相当窮迫したわりに中小企業の金融機関はずっと貸し進んでまいっておるというような事態もございまして、ごく最近に至るまで、わりあいにそうした点においては余裕があったように思われます。まあ、今後は微妙な情勢でもありますので、ひとつ十分注意深く見守っていきたいと思っておりますが、しかし、同時に、経済全体の過熱というものについては、もうしばらく現在の引き締めというものを継続しまして、そうして情勢に応じてその後の対処をなしていきたい、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 確かに、長官のおっしゃられるような事態であろうと私も思うのであります。まあ、いままでの中小企業が比較的金融情勢がゆるやかであったということは、おそらく地方銀行なり、あるいは信用金庫なりの金がかなり回ってきた結果だろうと思います。まあ最近は、大企業も、都市銀行の金だけではなしに、地方銀行やあるいは信用金庫等の金を借り入れて資金融通しているという面もかなり強く出ているように言われております。そうしてまいりますと、いままでは中小企業は確かにそういう形で金融はついていたわけでありますが、今後というのは、中小企業がかなりそういう点で金融がつかなくなってくる。確かにおっしゃられるように、ほかのほうの余分なところに手を出して、やけどをして倒産するというのもありますけれども、これからの情勢というのは、かなり違ってくるのではなかろうかと私は思うわけであります。こういう面、いまからどうする、こうするということは、なかなかお答えしにくいだろうと思います。金融の引き締めということは、全体の景気の過熱を予防するという意味では私は賛成でありますけれども、ただ一般的にそれをやられたんでは、小さな企業はつぶれてしまいます。その辺の具体的な指導というものは、ここ、ある程度強めていただいて、いたずらに中小企業にだけ金融の逼迫のしわ寄せを与えることのないように、これはひとつ政府のほうでも、その辺は細心の注意を払いながらやっていただきたいと思うわけであります。まあ、大体以上によって私の質問は終わりたいと思いますが、強く要望しておきます。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま御趣旨の点は、私たちも十分に考えなきゃいかぬと思っております。そのために、政府関係機関は申すに及ばず、金融機関に対する通達においても、そうした点について、十分いまの御趣旨の点をあわせて措置していきたいと、こう思っております。
○委員長(横山フク君) 阿部君。
○阿部憲一君 まず、消費者物価の問題ですけれども、先ほども御報告があったんですが、ことしの上半期では、消費者物価指数が総合で一二八・二となっておりまして、昨年の同期と比べまして七・八%という異常な上昇を示しております。特に野菜などの値下がりの結果、五月と六月がわずかに下落していますけれども、季節的商品を除きます消費者物価の基調は、依然として、遺憾ながら騰勢にあるわけでございます。いまのところ、新聞紙上などでは公害問題がやかましく叫ばれておりますので、物価問題がちょっとお留守になったような感じでございますけれども、 〔委員長退席、理事林田悠紀夫君着席〕 こういったところにおいて、やはりじわじわと物価が上がっていくようなムードを感ずるわけでございます。先ほど来大臣がもうお答えになったのですが、今年度の消費者物価の目標である四・八%、これは達成するのが非常に困難であるようなお口ぶりでしたけれども、一番肝心の大臣が困難であるようなことになると、むしろ、これもおそらく昨年と同じように大幅に狂ってくるんじゃないかというような懸念がされますですが、その辺で、ひとつお考え方を、またこれに対処する方策をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) いろいろと、もちろんわれわれとしても心配しなければならないわけでありまして、困難な点も、強調すべきときに強調しなきゃならぬのですが、お説のように、この四・八という目標に向かって、われわれとしてもできるだけ努力をしなきゃならぬと思います。先ほども御質問を受けましたが、物価対策閣僚協議会において、できるだけ事前に打つべき手を打っていかなきゃならぬと、こういうふうに感じております。そういうことで、政府の手の届くものについては、できるだけひとつ政府の誘導によりまして値上げを押えてまいる。また、そういう方向でもってやってまいりたいと思います。輸入政策等の活用についてもまだ不十分でありまして、こうした点についても、われわれさらに方針を決定してるんであります。その具体化についても、今後十分各省のやっている点をトレースし、そして見守って、その上で注文を出さなきゃならぬというふうに考えております。いずれにしましても、個々の料金、あるいは個々の価格に、多少のそれぞれの騰落というものがあろうと思いますけれども、全体の趨勢として四・八%というものをできるだけ守るように、そうした方向でもってわれわれとしても努力をしていく、この点については何ら方針は変わっておりませんし、そういう方向で努力してまいりたい、こう思っております。
○阿部憲一君 大臣のおっしゃることもよくわかるわけですけれども、どうもこれを達成しようというような意欲が政府全体にない、非常に薄いような感じがするわけであります。といいまするのは、もうすでに新聞にもあらわれましたが、ついこの間も、一日付の新聞にも一斉に出ましたが、ちょっと読ましていただきますと、要するに、公共料金その他において値上げムードを政府自身がかき立てているような感じを抱くわけでございます。内容は、「来年度予算は公共料金値上げの予算になりそうだ。すでに郵便、電報・電話は値上げ構想が出されているが、予算編成の過程で国鉄運賃、公団住宅家賃、政府管理健康保険の保険料、国立大学授業料などの値上げが軒並み表面化するとみられている。さらに、専売公社も輸入たばこの小売価格引上げを検討している。こうした値上げの動きについて、政府首脳は、物価抑制という政治的見地から、これを極力避ける努力をするとみられるので、値上げが最終的にどこまで実現するかは予断を許さないが、値上げ問題が予算編成の一つの焦点になることは確実である。」、こういった記事が載っているわけでございますが、このような物価の上昇の加速度が衰えていないような現在において、さらにこれに輪をかけるような公共料金の値上げムード、それはいよいよ物価上昇に拍車をかけるような結果になるんじゃないかということをおそれるわけでございます。また、いままでの物価上昇のあとを見ましても、政府主導型の物価上昇だと国民が叫び、また非難しておるわけでありますが、その点をひとつよく反省して、ほんとうに物価を安定しよう……。先ほど大臣も四・八の目標を達成するようにしたい、努力すると言っておられましたけれども、どうも何か心もとないような感じがいたします。それで、いま記事になっております、値上げするかもしれぬといったような公共料金、これはひとつぜひストップさせる、そういうふうに感じますけれども、その辺についての長官の心がまえはいかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、政府全体として気魄が足らぬというお話でありましたが、そういう記事をごらんになると、私もごもっともだと思うのですが、各省としては、概算要求ということで、一面において料金の引き上げによって経理のつじつまを合わせたい、そういうことが頭につい先に立つのだろうと思いますが、立場としてわからぬではありませんが、そんなことでは困るのでありまして、概算要求というものは、これはすぐ表に出ちまいますし、いま各省としては、できるかできないかわからぬけれどもとにかく要求だけ出しておけ、こういう気持ちも、予算要求のときというと、とかくありがちであります。しかも、それが一方において、あまり、何というか、吟味されないままに報道に出てしまう、こういうことで、いまお感じになったような点が出てきがちでありまして、私も非常にそれは遺憾に思っております。公共料金の問題については、政府としてもできるだけ慎重な態度でやるつもりでおりますから、この機会に、ああした報道がありますけれども、もちろん、われわれとしては、一つ一つ十分吟味した上でないと、簡単にこの公共料金の値上げというものは容認するわけにはまいらぬのでありまして、原則としてできるだけ押えていく、この方針を来年度においても同様に貫いてまいりたい、こういうふうに考えております。
○阿部憲一君 大臣、非常におおような、温顔で、また堂々たる態度でいらっしゃいますが、何か真剣さが、物価を下げようというような、何といいますか、態度があまり見えないような感じがいたします。これは大臣、この印象は御損だと思いますけれども、 〔理事林田悠紀夫君退席、委員長着席〕 むしろ真剣に考えておられるのだろうと思いますが、どうもそんな感じを実は私ども残念ながら受けるわけでございます。 先ほど来瀬谷先生からも質問があったわけですけれども、例の私鉄の値上げの問題なんかにつきましても、新聞の伝えるところによれば、長官はそれもやむを得ないんだというようなことを言われたように書いてあります。それが総理との会談で一応見送られたと、でかでかと出ておりますと、あるいはまたなるほどそうかなあという感じさえ受けやすいわけです。しかし、いまお話を承ったんですけれども、私鉄の運賃だけでも、これはもちろん私鉄の経営が困難なことはわかっておりますし、どうしても上げなきゃならぬような数字も出ているだろうと私は想像しますけれども、しかし、私鉄の運賃の値上げを認めることになりますと、結局、これは何といいましょうか、公共料金の一角がくずれるといいましょうか、その方針、要するに値上げをストップしようというような一角がくずれてしまう、結局。そうすると、政府自体も公共料金を極力抑制するんだと言っている手前、もうその権威が、その一つの私鉄運賃の値上げということだけでもって、くずれるような感じがいたしますので、これについてはひとつ十分に、先ほど大臣が言われたように、検討すると言っておられましたが、ぜひ検討して、値上げしないで済むように努力していただきたいと思います。私はむしろ反対、政府がみずから価格を引き下げようと、そういうような取り組み方を望むわけでございまして、それが物価上昇基調の鎮静に非常に大きな効果があると思いますし、また、これによって政府みずからが非常に物価の安定に努力しているんだということを国民に示すことになるのじゃないかと思います。 具体的に言いますと、いまの砂糖消費税を撤廃すると、勢い砂糖の価格の引き下げになります。また、私どもかねがね主張しております電気ガス税、これを引き下げる、撤廃する、そうすれば、それだけ電気料金、ガス料金が下がるわけです。むしろ、物価が値上がりどころじゃない、値下がりするわけです。同時に、公共料金の値下げというような非常に望ましい事態が生ずるわけでございまして、私は、ぜひこのような、いまの砂糖消費税の問題、あるいは電気ガス税の引き下げ、いやむしろ撤廃というようなことを強く希望するわけでございますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私たちも、実は物価対策閣僚協議会の検討事項として砂糖消費税の問題を扱おうと思っております。ただ、これは御存じのように、いろいろとむずかしい問題もありますから、ちょっと時間がかかりますけれども、これはぜひその方向でもって検討したいと、こういうことで問題を提起しております。農林省も、従来のように頭から、これはもういかぬということでなく、十分検討に応ずる心がまえを持っておるように思いますけれども、これはひとつなお引き続き検討していきたい。 電気ガス税につきましては、地方財政の所要の財源というようなことで、自治省の立場としては、まだなかなかすぐ簡単にいいというところまでいっておりませんけれども、これも私たちとしても、ぜひ実現の方向でもってこれを持ってまいりたい。これらはいずれも法律に関連のあることでありますから、通常国会を目ざして今後われわれとしても検討してまいらなければならない。ただ、最近一部に付加価値税というような議論が非常に出てきまして、これはまた税制自身の立場からいろいろ議論のあるところでありますが、これはさしあたっては、われわれの物価対策上も非常に困るわけであります。いま御指摘のような点はみんな付加価値税の問題にも関連する重要な問題であります。そういう意味においても、今後政府部内の意思をまず統一しまして、そうしてその方向に向かってひとつ検討する、こういう気持ちでいるようなわけであります。
○阿部憲一君 山村次官がおいでになりますので、一言ちょっとお尋ねしたいと思います。 これは、ついおとといだったかの新聞でございますけれども、生鮮食料品の貨物の割引を撤廃するという記事がでかでかと出ております。私も実はびっくりしたのでございますけれども、来年度から生鮮食料品など生活必需品の貨物輸送に適用されている暫定割引と特別措置割引を全廃することを、国鉄財政の再建に取り組んでいる運輸省と国鉄はきめたというのですけれども、「近く農林、通産、文部の三省に申し入れるが、消費者物価への影響が心配される。」——新聞記事のとおり、非常に大きな影響を与えるのではないかと思います。特に、次官も御承知のように、いまの、物価が上がっているという、いわゆるムードと言いましょうか、国民全体、消費者の抱いている考え方とすれば、何といっても、生鮮食料品——一番目玉というか、中心になるこの生鮮食料品の物価が上がるというようなことは、私ども極力避けるべきだと思いますし、しかも、これは国の方針として、こういうことはすべきじゃない。——公共料金引き上げの一環かもしれませんけれども、また、国鉄はこうしなければ再建ができないというようなあるいはまた数字が出ているのかもしれませんけれども、しかし私は、これこそ何らか別途補助を出すなり何らかの措置によって、このような生鮮食料品の値段に直接はね返るような措置は取りやめるべきと思いますけれども、この辺の事情をひとつお聞かせ願いたい。
○説明員(山村新治郎君) 運輸省といたしましても、いわゆる物価を値下げする、それに協力するために、いわゆる輸送、これは運輸省がつかさどっているわけですが、それは十分考えております。先生のただいまの御質問は、毎年国鉄が申し入れているわけでございますが、しかし、これは一年限りでございますが、農林、通産、両省に申し入れた、運輸省といたしましては、これはいま検討中でございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、それがそのまま値下がりのほうにつながっていくということもございますので、それで運輸省としては前向きの姿勢で検討さしていただきます。
○阿部憲一君 もう一つお伺いしますけれども、この値上げに関連しまして、運輸省では——国鉄がやっていることだと思いますけれども、特定な貨物に対して非常に大きな割引をしている。大企業の製品と申しますか、家電とかあるいは紙とか、そういったものに対する非常に大きな特典を与えているというように聞いておりますけれども、これは私ども、それが事実だとすれば、むしろ一般消費者にこそそういった特典、いま申しました生鮮食料品なんかの値上げを押えて、それでむしろそのような特割りをしているような大企業の製品こそ特割りを撤廃すべきだと、そう思うのでございますけれども、その辺、いかがでございますか。
○説明員(山村新治郎君) 先生ただいま大企業に関係のあるものということで御質問でございましたが、運輸省の方針といたしましては、いわゆる国民生活に密接に関係のある物資ということに限ってということでやっております。しかし、先生おっしゃいましたような、そういうような点がございましたら、これはもちろん直してまいらなければなりません。いまのところ、運輸省の方針としては、ただいま申し上げました国民生活に密接な関係がある、そういうようなことを前提にいたしまして、それをやっております。もし先生おっしゃいましたような、そのような大企業にだけ特別というようなことがございましたら、もちろんこれは直してまいります。
○阿部憲一君 山村次官のおっしゃることを一応信じまして、山村次官に対する質問を終わりますけれども、いま大企業ということばを使ったので、誤解されるといけませんけれども、要するに、私も、ここに出ている生鮮食料品以外といったほうがむしろはっきりしたかもしれませんが、以外のもので、しかも、主として大きな企業が生産するものについては、何か私ども、たとえば九州から東京へ来る貨物だとか、あるいは北海道方面から東京へ来る貨物なんかについて特別な割り引きをしているというように伺っていますけれども、これは、もしそれが事実とすれば、私がいま申し上げましたように、国民消費者、特に一般庶民に関係の深いこのような生鮮食料品の特割りこそやはり実施すべきだ、そういうように思いましたので、その辺のところをお含みの上、よろしく御善処願いたいと思います。
○説明員(山村新治郎君) 先生のおっしゃった趣旨に沿いまして検討してまいります。
○阿部憲一君 物価の安定は経済企画庁がつかさどっているかっこうになっておりますが、ただ、この物価行政の面でもって経済企画庁の権限というのが法的には何か非常に弱いような感じを私受けるんですけれども、この辺のところを伺いたいと思うんですが、しいて言うならば、たとえば公共料金の値上げについては、産業経済関係の官庁から事前協議を受ける、これは当然なんですけれども、それ以上突き進んで、それをリードしていくというような強い法的な根拠がないんじゃないかというような感じがいたします。これは、私こう申しましたのは、実は先ほど来もいろいろ話がありますが、結局、運輸省にしろ、あるいはまた通産省にしろ、どちらかというと、企業をするほう、生産に従事するほうの肩を持つ、それは当然だと思いますけれども、そんなことで、結局それが、逆に言うならば、消費者に対して反対の立場に立つ、消費者の立場ということをあまり考慮しない、そのようなたてまえでいるような感じがします。経済企画庁だけが消費者のほうに味方、と言えばおかしいけれども、消費者の立場に重点を置いて施策するというような感じを持っているわけです。そしていま比較しますと、どうも経済企画庁のほうが弱くて、たとえばいまの私鉄の運賃なんかにつきましても、運輸省の方面の意向に引きずられるというような感じを受けやすいわけですけれども、これについて、私、もしもそうだとするならば、経済企画庁の権限の強化といいましょうか、官庁としての地位の強化をはかるべきだ、こういうように思うわけですけれども、その辺、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 企画庁は、御指摘のように、確かに一面において権限的には十分でないところはあると思います。思いますが、私は、これは運用のしかたもあると思うんです。そういう、私、持論なんですが、そこで、閣僚協議会等を通じても、できるだけのことをやってまいりたい。各省も、いつまでも、農林省は農民のことだけ考えればいいんだとか、通産省は企業のことだけ考えればいいんだという立場で存続し得るものではないと私は思うんです。やはり、その分野における行政というものをあずかる以上は、生産のことも大事ですけれども、流通のことも消費者のことも大事である、そういうふうな行政に各省が当然ならなければならぬ。率直に言いまして、必ずしもまだ十分にそうした転換が行なわれていないうらみは感じておりますけれども、しかし、このところ、そうした意識もずいぶん出てきていると思います。まあ、御指摘のように、かつての物価庁のように全部企画庁が自分自身できめてしまうというような決定権を企画庁が持っていく、こういうような機構についての意見もないんではないんですけれども、ものによっては、それでもってさばけるものもあります。しかし、先ほどの私鉄の場合のごとき、いま例を出されましたが、これは別に、ただ運輸省だけが判断して、そしてその見地だけからの方向できめられるというものでは私はないと思います。われわれも十分これにタッチをしなければいかぬと思います。ただ、今日においては、ただ各省の調整ということの権限が与えられているだけのものですから、それに応じて、私率直に申し上げて、スタッフも貧弱であります。何か大調査をしようと思えば、やはり私のところは課が一つしかないのですから、それでもってやろうということはなかなか困難である。結局、現在の仕組みというのは、やはり各省に協力してもらって、そうしてその機構というものを十分に使い、そうしてまたその各省の提出するデータというものは信頼すべきものである、こういう前提に立って行政をやる仕組みにどうしてもなっております。そういうものは、ものによって、時によって、あるいはもっと企画庁が自分でもって調査し、自分でもってやるべきじゃないかという見地から見て、隔靴掻痒の感じをお持ちになろうかと思うのであります。私も、率直に申しまして、機構が少し貧弱な点は、これは私自身も感じております。人間だけをふやしたり機構を大きくしたりするだけが能ではないという考えを私は昔から持っているから、その点はつらいところですが、今後は、物価問題はますます重要になってきますので、いまそういうような点については私も検討しなければならない、こう考えておりますが、はたして物価庁式のものがいいかどうかということになると、私はまだそこまでは考えておりません。自分である程度調査をし、そうして各省にもそうした点の考え方を促す、こういうことが大事だというふうに考えているようなわけであります。
○阿部憲一君 よくわかりましたけれども、結局、大臣のおっしゃるように、物価関係のお役所はまあ弱い。スタッフは非常に優秀な人がおられると存じておりますが、人数が少ない、機構が小さいということを私ども感じまして、物価問題というのは非常に大きな問題である以上、もう少し強力化すべきじゃないかと思うのであります。 実は、これに関連いたしまして、先般、独占禁止懇話会の中間報告の中にも、価格監視機構をつくるのが有効だというような報告が入っております。それに関連して、大臣もそれに賛意を表され、公取委員長ともども、懇談の上、前向きに取り組まれるような記事を拝見したのですが、この価格監視機構というものをこれからつくる必要があるということは、物価を監視する、特に管理価格らしきものを押えていく、排除していく、あるいは規制していくことが必要なんじゃないかということをお認めになってのことだと思いますけれども、それに関連して、いまの機構の問題ですが、いま価格監視機構をつくろうという場合に、やはり中心になるものは、経済企画庁あるいは公取というようなものが中心になってやる、もっと一歩進めて言うならば、いまの経済企画庁の機構などは物価を十分にコントロールできるような、監視できるような機構が必要だ、そんなふうにお感じになっているのじゃないかと思いますが、その辺のところ、一連の考え方をおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 新聞の報道については私も必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、実は、公取委員長からどういうふうに説明がありましたか知りませんが、公取委員長と話し合いましたときに、まず実態をつかまなければならない。実態がはっきりしていない。これは公取委員長自身も非常にそれを嘆いておりますし、そういうことで、それが先決である。いま早急に監視機構をかりにつくってみても、それではどういうふうに動くかということになると、どうも実態の問題にすぐなる。それにつけても、まず現行の調査機能を拡充をするということが先決じゃないか、こういうことで大体意見が一致したわけであります。私もそう思うのでありまして、先般来、公取委員会でも調査をやっておりますが、どうもあれだけの調査では結論が出てないようであります。それだけに、私は、調査機能の拡充を非常に訴えておる公取委員長のその気持ちと立場はよくわかるということで同感の意を表したわけでありますが、それが先決である。かりに監視機構というふうなものをつくるということになった場合には、おそらく企画庁のような性格の役所ではなくて、別の機関というか、そうしたものが要るんだろうと思いますけれども、まだそこまでいく前に、いろいろと検討しなきゃならぬ問題があるように思っておるわけであります。
○阿部憲一君 本年度の予算は前年比一七・九%増というふうな景気刺激型の予算でありましたけれども、来年度はどういった予算規模をお考えになっているか、お伺いしたいと思います。また、来年度予算において公債は相当大幅にお減らしになるのだろうと思いますけれども、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) これはまだ、率直に言いますと、政府として統一した見解をはっきり打ち立てておりません。まだ大蔵大臣ともよく話したりしておりませんが、現在の景気過熱状況というものがなかなか直らないというようなことになりましたら、これは、金融引き締め一本やりではいかぬ、財政についても十分考え直さなきゃならない、よほど景気抑制型というか、そうした予算を組まなきゃならぬかもしれない、そこいらのところは、もうちょっと成り行きを見て考えをはっきり打ち立てなきゃならぬ、こういうふうに実は思っております。 従来、御存じのように、日本の経済が二年か三年たちますと景気が過熱になり、そのたびに金融の引き締めをやる、金融引き締めをやる以上は財政も一緒に引き締めなきゃならぬ、こういうことを繰り返しておりまして、そのうちに民間投資のほうはどんどん進んでしまったんですけれども、財政投融資のほうは十分進まなかった。そのために、いわゆる私的資本と公的資本の間にアンバランスが拡大をしていく、そして今日のように、道路、港湾はじめ、あるいはまたさらに住宅、環境衛生のような問題についても、どっちかというと私的資本の充実に比べて非常な立ちおくれを指摘されるような状況になった、こういうふうなことが政府当局の頭にもあるもんですから、一方において金融引き締めはするけれども、公的資本の充実については、むしろおくれを取り戻さなきゃならぬということで、一般の評論家等の立場からいうと、財政について少しイージーじゃないかというような批評が予算成立のときからあったわけでありますし、確かにそういう影響をわれわれはやはり頭において感じておるのであります。でありますけれども、もしも、なかなかインフレ的な気分というものがおさまらぬというようなことになりますれば、それはやはり、いろんなくふうをしまして、公的資本の充実に支障を来たさないくふうをしながらも、財政というものを相当抑制的に考えていかざるを得ない。幸い、最近の金融引き締め、微弱ではありますけれども効果があらわれている点もありますし、ここいらのところは、なお本格的な予算編成期であるところの秋までにますます情勢もはっきりしてくるわけでありますし、それらを勘案しながら明年度の予算の編成の方向を打ち立てる必要がある、こういうふうに考えております。
○阿部憲一君 大臣、公債については何かお考えがありますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 公債につきましては、最近、公債発行論が強うございます。確かに公的な資本を充実していくという点においては、公債発行をやってもいいのじゃないかという議論が一部に出てくるわけでありますけれども、しかし、御存じのように、今日、日本銀行においても相当国債の保有を行なっております。こういう現状から見ますと、やはり、まず一義的には公債額をできるだけ抑制していく、削減していく、こういう今日までの方向は私は正しかったというふうに見ておりますので、明年度の収入状況等をもちろん十分見なきゃなりませんけれども、方向としては、公債というものは削減していく、それでいて公的資本の充実に支障を来たさないようにやっていく、ここのところがくふうのしどころだと思いますけれども、方向としてはそういうことだろうと思います。これは、明年度の財政収支の見通し等も十分見ながら、ひとつ考えなきゃいかぬ、こう思っております。
○阿部憲一君 大臣の御指摘のように、やはり公債をある程度抑制していくべきだというお考えはわかりました。御承知のように、公債の大量発行ということは、インフレーションに続いているわけであります。インフレの大きな要素になりますので、これはぜひ物価安定の立場からも抑制すべきものだと思います。御健闘をお祈りしたいと思います。 最後に一言お伺いしまして、私質問を終わりたいと思いますが、いわゆる輸入インフレ対策でありますけれども、世界的に定着してしまったインフレ傾向からわが国だけを守るというようなことは非常に困難が伴うわけでございますけれども、国際収支の黒字のもとに、またこの物価上昇が生じている点から、当然円レートの切り上げが問題になると思いますけれども、この点、大臣はどういうふうにお考えになっているか。輸入インフレに対処するお考え方を同時にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 輸入インフレを遮断しますために、円レートの切り上げ問題というのがときどき議論になっております。日本政府は、御存じのように、絶対そういうことは頭から考えていない、こういういま立場に立っております。ただ、外国のほうで最近議論が出ておりますのは、アメリカのドルというものがなかなか改善がはかばかしくない、そういうことで、ドルのほうは依然として弱い状態であります。そこで、その中でひときわ黒字の目立っておるドイツや日本に対してどうしても風当たりが強くなりまして、ドリの切り下げをするかわりにマルクや円の切り上げをしたらいいじゃないかというようなことを言う向きがございます。しかし、私は、現状においては、まだそうした状況は何ら定着をいたしてないと見ております。そうして、これは日本だけの話ではなく、国際全体の問題、国際問題でありますからして、そう簡単にはまいらない。日本は、IMFにおきましても固定為替相場の維持継続を主張しておる強い立場を持っております。こういうことで、日本自身が円の切り上げを考える段階ではない、また、そういうことを全然検討もしておらないというのが実情であります。ただ、いかにしていわゆる輸出景気によるところのインフレというものをできるだけおさめていくかということになりますと、私は、もっともっと日本は輸入をしなければならないというふうに考えます。いわゆる海外の景気の影響にもいろいろなルートを通ずるものがありますけれども、輸入原材料価格の上昇によるところの影響よりも、輸出需要の増大によるところの影響のほうがはるかにウエートが高いというふうに私は考えております。もちろん、輸入原材料価格でも、非鉄金属でありますとか、そういう特殊なものの影響はばかになりませんけれども、これも最近においては海外の状況を反映して鎮静化しております。そういうようなことで、輸出需要が強い。これもやや最近、海外——場所にもよりますけれども、鎮静している面もありますけれども、まだまだ輸出需要が強い。そういった面は私はもっともっと輸入を増大することによって、この影響というものを相殺していかなければならない、こういうふうな感じを持っております。でありますから、大いに、輸入自由化を含めまして、輸入の増大をはかってまいる、これは同時に価格政策上も重要な問題である、まあ円のレートをいじくるということまでは考えておらない、これが目下のところの考え方でございます。
○阿部憲一君 大臣、わかりました。そのお答えの中で、輸入をふやしていこう、結局、輸入をふやすには、御承知のように、円を切り上げたほうが有利だ、非常に国益を増すわけですけれども、その辺、いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘のように、切り上げたほうが安く入るわけでございますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、輸入原材料の価格の上昇による影響が非常にウエートが高ければその問題が起こりますけれども、それよりは、私は、輸出景気によるところの影響というものが大きい、こう見ておるわけです。ですから、輸入を大いに促進はする、しかし、まだ、日本経済全体の様子から見まして、円のレートの切り上げ問題に言及するのは適当ではない、こういうふうに考えておるわけであります。
○委員長(横山フク君) 渡辺君。
○渡辺武君 私は私鉄運賃の値上げ問題について質問したいと思います。 先ほど企画庁長官の御答弁を伺っておりますと、初めのうちは長官も企業が赤字であるというようなことからして運賃の値上げに賛成された。ところが、首相が難色を示したために、現在再検討中であるというような御趣旨の答弁をされたわけであります。私は、これは企画庁長官としては恥ずべきことじゃなかろうかというふうに思います。公共料金を極力抑制するというようなことは佐藤首相もたびたび言明され、また同時に、企画庁長官もたびたび言われたことだと思うのです。ですから、物価担当大臣としての長官は、これは何よりも公共料金の抑制ということで努力されることが私は至当だと思う。ところが、いち早く賛成され、それで首相にストップをかけられたというような事態にいまあるということでありますが、これは全く大臣として、やはりこの職務を十分に果たしていなかったのではないかという感じがするわけです。企業が赤字だというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、どうでしょう、物価の安定を最重点施策とするということは、これは佐藤内閣としてもたびたび言われてきたことですし、長官自身も再々言明されてきたことだと思うのです。ですから、物価の安定を最重点施策にするということであるならば、もしかりに企業が赤字であるとしても——かりにですよ、赤字であるとしても、物価を安定させる、いまの問題で言えば、私鉄運賃を上げないということを大前提として、企業に赤字があるならば、上げないでどうするかというふうに、経営問題もそこから出発して検討するということが私は正しいと思う。ところが、物価の安定を最重点施策とすると口ではおっしゃりながら、いざ具体的な問題になると、企業が赤字だからということで値上げに賛成する、つまり、これについては、結局のところ、大企業が赤字か黒字か、大企業の利益がどうかということを最重点施策として、物価の問題を逆に考えておられるということを意味するのではないかというふうに私は思います。この大企業本位の立場を捨てない限り、物価問題はこれは絶対に解決できない、このことを私ははっきり申し上げて質問に移りたいと思います。 まず、企業が赤字だといわれた問題についてでありますけれども、これは私鉄大手各社とも同じことをいま盛んに値上げにあたって宣伝しているわけです。ところが、この私鉄大手各社が行なっている赤字宣伝をよく見てみますと、私鉄大手各社は、鉄軌道部門だけ持っているわけじゃないわけですね。私申し上げるまでもなく、不動産事業、あるいは団地経営、あるいは田園都市経営、デパート、遊園地、ホテル、観光事業、あぶく銭がごろごろ入ってくるようなたくさんの事業をやっているわけですよ。直接会社として経営しているか、あるいはまた傍系会社として握っているか、これは別にしましても、やっているわけです。ところが、この赤字宣伝の特徴を見ますと、こういう高利潤を上げている事業、これから鉄軌道部門だけを切り離して、そうして鉄軌道部門が赤字だ赤字だというふうに宣伝しているところに、私は一つの特徴があると思うのです。なるほど、運輸省の発表した「民営鉄道の現状と対策」という資料を見てみましても、これは大企業の発表をそのままうのみにして、これ、書かれているのじゃないかと思うのですけれども、四十四年度の鉄軌道部門については百九十七億円の赤字が出ているという数字が出ております。しかし、同じ資料で見てみますと、私鉄経営全体についていえば、不動産部門では二百五十一億円の利益を出している。そうして、そのほかの損益も含めて全体としてはほぼ黒字というのが、運輸省自身の出しているこの資料でもはっきりしているわけです。しかし、これをさらによく検討してみますと、まず最初に申し上げなければなりませんことは、これはもう一割配当をやったあとの数字。ですから、一割配当で大体私鉄大手各社は、七十七、八億円ですか、の配当をしているわけですから、つまり、このことは、すでにこれだけも七十八億円程度もう黒字が出ているということを示していると思うのです。大体一割配当をやっている会社が、これが赤字だ赤字だとどんなに宣伝したって、だれもこれは信用できないと思うのですね。国民は、これは信用しませんよ。このことが第一。 第二に、私どもが私鉄大手十四社の営業報告をとってこれを計算したところによりますと、各社の報告どおりに計算してみても、四十四年度では十四社合計で百八十六億円の税引き後の純利益が出ております。ですから、私鉄経営全体としてとってみれば、大幅な黒字を出しているということは、これは明らかだと思うのです。 それだけではありません。第三に申し上げなければなりませんことは、私鉄各社の営業報告は、いろいろな形で利潤の隠蔽をやっております。その著しいものを一、二あげてみますけれども、まず、退職給与引き当て金だとか、あるいは賞与引き当て金、貸し倒れ引き当て金など、これらがこの四十四年度当期は非常にふえている。その増加額を合計すると百十五億円に及ぶ。これは利潤です。利潤を、ただ会計技術の上で費用というふうに計上したにすぎない。これは利潤として当然考えなければならぬものです。なお、このほかに、当期減価償却費四百八億円というものが計上されております。ところが、私、専門家に聞いてみますと、これは過大評価だ、減価償却費としては大体この半分くらいが正常な減価償却費じゃなかろうかということです。 これらを考えてみますと、私鉄経営全体としてとってみれば大幅な黒字をあげていて、この運賃値上げの根拠というものはほとんどないというふうに見てよろしいと思う。したがって、私は、この私鉄大手の経営の赤字黒字を論ずる場合に、鉄軌道部門だけを切り離して論ずるのではなくて、それと関連して、少なくともその鉄軌道事業と関連して私鉄大手各社がやっているさまざまな事業ですね、不動産事業、その他等々ですね、非常に高利潤をあげている関連事業、これなども全体として計算すべきだと思いますけれども、この点について、経済企画庁長官及び運輸政務次官の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) たいへん渡辺さんの意見は私たちに似ておりまして、十分そういうことも検討の対象にして今日までやってきておるつもりであります。詳しくは運輸省から説明があると思います。
○説明員(山村新治郎君) ただいま先生おっしゃいました、いわゆる大手私鉄の出した資料をそのままということですが、そうじゃございませんで、やはりこれは事務局におきましても十分検討した上で、いろいろな数字というものを出しております。現実に計算しましたところによりますと、昭和四十三年度で八十七億円、四十四年度、先生おっしゃいましたように、百九十七億円の赤字というものが出ております。そして、本年度はまた大幅な赤字が出るのじゃないかというふうに考えております。特に運輸省といたしましては、まず第一に安全という面でございます。それを考えましたときに、絶対に事故は起こさないということを考えまして、いわゆる運転保安投資というものもこれは行なわなければなりません。また、いわゆる都市周辺の高速鉄道網、これを充実するために、やはりいわゆる第三次輸送力増強等五カ年計画というものを策定して、四千八百億円というような膨大な経費がかかるわけでございます。それを監督官庁として考えてみます場合に、この鉄軌道部門が赤字であって、そしてそれをほかのところから回せといいましても、大体企業というのはこれは利益の追求でございます。そうなりますと、もうからないところへは金をかけないということになってまいりまして、輸送力の増強、それと安全の確保と、その面が少し手抜きになってしまうのじゃないか。そこで、運輸省としては、鉄軌道部門でそれこそ大幅な黒字を出すというようなことは考えませんで、まあどうやらやっていけるという線を考えてみましても、やはりこの際、少し値上げというものを考えなくてはならないのじゃないか、そういうぐあいに考えております。
○渡辺武君 私が伺った点に直接お答えいただいていないと思うんですね。私の伺ったことは、つまり、不動産事業にせよ、あるいはまたデパート経営にせよ、あるいはまた田園都市、団地事業にせよ、これはつまり私鉄各社が、運輸部門を握っているということと関連して初めて高収入をあげることのできている部門だと思うのですね。私、きょう時間がないから具体的な数字はあげませんけれども、東京都の多摩のニュータウンの例でもわかりますし、あるいは最近の西武の秩父の電鉄の施設でもわかりますけれども、鉄道部門を握っているということ、これが、私鉄各社がその沿線あるいは終点の駅の周辺、これらの土地を安く買いあさって、そして大幅な値上がりを待ってこれを売って、大きな利潤をあげることができるという主要な力になっているわけですね。したがって、こういう関連事業からあがる高収益、これは当然、赤字黒字を論ずる場合に考慮しなければならない、こういうことなんです。あなた方は鉄軌道部門だけをとって、そして鉄軌道部門で利益があがっていないから、だからこれじゃ投資はうまくいかないだろう、こういうようなことで値上げに賛成するというようなことを言っておりますけれども、これでは私が御質問した点についての御答弁になっていないと思う。 なお、重ねて申しますけれども、たとえば四十一年の五月三十一日の物価問題懇談会の提案で「都市交通について」というのがございます。これは御存じのとおりだと思いますが、ここではこういうことを言っております。「交通関係以外の兼営事業により開発利益を享受している交通企業については、運賃を検討する際、兼営事業部門における交通事業部門よりの受益の状況を考慮に入れる必要がある」、こういうことをはっきり言っている。また、私ここに持ってまいりましたけれども、運輸経済研究センターが「運賃料金に関する諸問題の研究」というのを出しております。そこでも同様の趣旨のことをはっきり述べております。ですから、大体専門家も、そしてまた国民は当然のことですよ。何だ、私鉄各社は土地を買い占めて大もうけをやっておる、デパートでも大もうけをやっておる、それで鉄道のほうはどうか、サービス改善を少しもやってないじゃないか、その上でまた今度料金を上げる、何事だと、これが国民の声だと思う。この国民の声と専門家の立場というのは、ほぼ一致しておると私は思う。ですから、今度の値上げを行なうかどうかというのを検討するにあたっても、こういう不動産事業などで高収益をあげておる、この利益を鉄道部門に還元をして、そうして、大幅な利益をあげておるわけですから、当然値上げは押えるべきだという.ふうに私ども思いますけれども、どうですか。
○説明員(山村新治郎君) 私、先ほど申しましたように、やはり監督官庁としての運輸省の立場から申しますと、安全という面、それと輸送力の増強、これを考えます場合に、どうしても鉄軌道部門は、やはりその部分のみでなく、いろいろ考えなくっちゃならない。しかし、そうかと申しまして、兼営部門を全然考えないということではございません。これは、いま私のあとで担当の係官から御説明申し上げますが、しかし、やはり監督官庁の運輸省がその責任を全うする場合に、やはり利益のあがらないところには企業として投資はいたしません、そうなりますと、安全という面もそこなわれてまいりますので、その点で運輸省としてはどうしてもこの際ひとつお願いできないだろうかというのが運輸省の気持ちでございます。あと、兼業部門のほうを、ただ、それこそ黒字だけで、黒字が出たのを全然手をつけないということではないということを担当の係官から御説明申し上げます。
○説明員(須賀貞之助君) お話がありましたように、不動産部門で確かに相当な利益をあげて、これを鉄道事業の赤字のほうに補てんして、なお足りないところを鉄道事業固有の不動産の売却等によってつじつまを合わして一割配当をしておるというのが現状でございます。ただ、大手私鉄が持っておる不動産というものは、自分の沿線圏内のみにあるものではないわけでありまして、自分の私鉄の沿線にある鉄道部門の利益については相当程度これを運賃の低下のほうに振り向けていきたいという計算をしておるわけでございます。 なお、一割配当しておるから赤字じゃない、こういうお話があったわけでございますが、これにつきまして申し上げますと、先ほどお話が出ておりますように、第一次第二次と輸送力増強並びに保安工事をしておるわけでございますが、第三次の計画といたしまして、五カ年間に四千八百億、大体年一千億ペースの工事をしておるわけでございまして、これに要します資金を、自己資金のみならず、開発銀行あるいは社債あるいは一般の長期借り入れ金等からまかなうわけでございます。また、増資をするというかっこうになるわけでございます。わが国の一般の企業におきましても、大体一割程度のものは配当を持続して、これによりまして借り入れ能力を担保しておる、こういうかっこうであるわけでございます。一割の配当をしておるからもうかっているのだということではないというふうに考えるわけでございます。 なお、給与引き当て金その他につきましてもお話があったわけでございますが、これは会計上の負債性引き当て金として認められておるものでございます。 以上申し上げます。
○委員長(横山フク君) 速記を中止して。 〔速記中止〕
○委員長(横山フク君) 速記を始めて。
○渡辺武君 御答弁を伺っておりますと、私鉄各社が出しておる宣伝ビラとよく似たことをおっしゃるなという感じを非常に強くします。それはとにかくとしまして、私どもも別に、私鉄各社が輸送力を増強してもらっちゃ困るとか、安全施設を十分に完備してもらっちゃ困るとか、そんなことを言っておるわけじゃないのです。あの輸送力五カ年計画を検討してみますと、非常に不備です。もっともっと増強しなければならぬですよ。もっともっとサービスも改善しなければならぬし、安全施設も徹底的に改良しなければならぬですよ。しかし、そのさしあたりの所要資金も、五カ年間四千八百億円だと、こういうことでしょう。一年間にならして平均約一千億円、そのくらいの金は運賃を上げなくても十分まかない切れるんだと、そのことを私は言っているんです。いま私はいろいろ隠された利潤その他がたくさんあるということを申しましたけれども、このほかに、私のさっき申し上げた数字をよく検討していただきたいと思う。いまあなたのおっしゃった数字は、これはもう私鉄各社の言っているとおりのことを言っているのにすぎないので、もう少し科学的に分析をして、責任ある調査をやっていただきたい。 それに加えてさらに申し上げたい。それはどういうことかと申しますと、私鉄大手各社は、まだ処分することのできる資産をたくさん持っておりますよ。一、二特徴のあるものだけ申しますと、不動産事業について言いますと、販売用不動産、これだけを申し上げますと、合計二千五百十五億円、これは簿価です、になっております。ところが、その評価を見てみますと、個別法による原価法評価ということでして、つまり、土地を買ったその値段に若干の造成費をつければつけるというような程度のもの、ですから非常に低い。京成電鉄の場合で申しますと、一平方メートル当たりの値段が、千葉県の市原市では実に千三百九十一円という評価です。君津で千三百九十三円、館山で六百十三円。買ったばかりでしょうけれども、しかし現在の時価で考えてみれば、こんなことはとうてい考えられない。少なくとも現在ではおそらくこれの数十倍の時価だろうと見て差しつかえない。低い評価をして、しかもその不動産の所有高が二千五百十五億円、べらぼうなものです。 それからまた、四十五年三月末現在の退職給与引き当て金の残高六百三十三億円、賞与引き当て金二十七億円、貸し倒れ引き当て金二十一億円、合計六百八十一億円に及んでいる。これらは含み資産として蓄積されているものです。 それからまた、各社は膨大な社外投資をやっております。各社の有価証券報告書で計算してみますと、株式所有が八百三億円、貸し付け金が一千七十億円、保証債務二千八百億円、合計四千六百七十三億円になっている。違った資料で計算しますと、これら合計して、株式、貸し付け金を合計しただけで一千七百十八億円、これは私鉄十二社の合計です。 ですから、私は申し上げたいのです。先ほど申しましたように、年間、ほかの部門を含めれば数百億円に及ぶ利潤をおそらく上げていると思う。ですから、その利潤を輸送部門に投資させる、さらにまた処分可能な資産の適切な措置、処分、これをやらせる必要がある。たとえば、かれらが持っている販売可能の土地、これは住宅用地として国が適切な値段で買い上げて、一般の庶民に役立たせるというような措置をとれば、十分にこれは資金をまかない出すこともできるし、社外投資の一部、これも整理して、あるいは過大な引き当て金や準備金、これを取りくずすというような措置をとれば十分やっていけると思う。こういうような措置をとりさえすれば値上げをしなくても済む。したがって、輸送力増強と決して矛盾するものではない。先ほど政務次官は、この運輸部門で十分もうけが出ない、ほかでもうけが出る、もうけの出ない運輸部門へ投資をしろとは言い切れないと言うけれども、これは、一般企業については、そういったことを言ってもあるいは差しつかえないけれども、私鉄というのは、運輸というのは、これは公共事業です。公共事業ならば公共事業にふさわしいように、やはり適切な行政指導を行なうなどして、輸送力の増強、これを中心にして経営を運営させるようにすべきだと思う。それをやらないから、営利企業のあれでもって、あぶく銭がもうかるようなところにだけ投資をするようなことになる。これを野放しにするようなことは私は許されないと思う。この点、どうですか。
○説明員(山村新治郎君) もちろん、私鉄というものが公共事業であるということは十分承知しております。しかし、私は、もうからないからそこへ投資しろということは言いがたい、そういうような意味で言ったのではございませんで、四千八百億円という第三次輸送力増強等五カ年計画というものを完成させるためには、やはりそうかといって、先ほど申し上げましたが、四十三年度八十七億、四十四年度百九十七億という赤字が出ておる、本年度また大幅な赤字が出るだろうということになり、そこでまたひとつ金を出せということは、なかなか——私どもは申し入れますが、今度は私鉄側として、なかなか言うことをきかなくなるだろう。それよりは、運賃というものを少しいじっていただいて、それでひとつお願いできないだろうかというのが、私どもの本音でございます。しかし、先生おっしゃいましたように、その社有の不動産そのほかというものにつきましては、いろいろ検討さしてまいります。しかし、先生さっき御質問になりました市原の千三百九十一円というのが、いま数十倍だと申されましたが、私千葉県でございますが、いいところ五、六倍だと考えていいだろうと思います。それにいたしましても、先生のおっしゃいましたところを十分参考にさしていただきまして、いろいろ前向きに取り組みたいと思います。
○委員長(横山フク君) 両件に対する本日の調査は、この程度にとどめます。 —————————————
○委員長(横山フク君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。 先般当委員会の行ないました当面の物価等に関する諸問題の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。 まず第一班の報告を願います。林田君。
○林田悠紀夫君 第一班について報告いたします。 第一班は、六月二十二日から二十五日までの四日間、中沢理事、鈴木委員と私の三名で、愛媛、香川両県における生鮮食料品行政及び消費者行政の実情を調査してまいりました。 まず、愛媛県におきましては、同県がかんきつ類を中心とする生産県であるところから、主として生鮮食料品関係を見てまいりました。 愛媛県の果実生産は、全農業生産の二七%に達し、全国平均の六・七%を大きくこえているだけでなく、現金収入の大宗として県農政の中心になっております。 中でも、ミカンは質量とも日本一といわれておりますが、八三%が生食用、一六%が加工用、一%が輸出用であります。御承知のように、わが国の果実は生食用のウエートが非常に高いのでありますが、今後生産増とともに加工用の比率を高めること、輸出に力を入れることが地元でも強調されておりました。 ミカンの出荷は、八割が専門農協系、残りの一割ずつを総合農協系と商人系が扱っており、専門農協のウエートが圧倒的であります。 県当局の説明によりますと、このような青果連中心の出荷体制を今後も維持発展させたいとしております。また、本年はミカンが全国的に三割の生産増になると見込まれ、加工用消費の増大、出荷調整のための貯蔵庫の増設等が必要である、東京中央卸売り市場中心の出荷の体制を、他市場、生協、スーパー等との直結を大幅に取り入れた出荷体制に改める必要がある、宇高連絡船がネックになってコストの安い鉄道輸送が逼迫している、需要の停滞しているナツミカンの転換を進めている等の説明がありました。 関係施設として、県青果連ジュース工場、温泉青果農協の選果場及びかん詰め工場を視察いたしました。チクロ問題以来、ジュースは非常に好調のようでありましたし、商品性の高いかんきつ類を扱っているだけに、問題をエコノミカリーに処理する姿勢に感銘を受けましたが、国の果樹対策が不十分であること、農道をはじめ、省力化のための施設の整備や作業の合理化につとめていること、農道は規格がきびし過ぎること等の指摘がありました。 次に、卸売り市場関係を視察いたしました。本県は、青果物、水産物とも零細多数の市場に分散しておりますので、県卸売り市場整備計画に基づいて順次整備が進められております。松山市につきましては、中央卸売り市場に統合する話が進められておりますが、松山のようなところでは、卸売り人の複数制は実情に合わないとの意見が民営市場の経営者から出されました。また、米の作付転換で野菜の生産過剰のおそれがあるとの声もありました。 このほか、四国乳業株式会社今治工場を視察いたしました。この会社は、県酪連その他の関係農協連合会、畜産振興事業団及び愛媛県の三者の出資により昭和四十三年に設立された農協系の会社であり、農協系が愛媛県生乳生産の六八%を押えております。 次に、香川県について申し上げます。 同県は消費者行政がよく整備されておりまして、課に相当する企画部企画調整班が総合調整に当たり、県下七つの保健所に生活センターを併設して、相談、苦情処理、普及啓発業務を行なうとともに、本年度高松市に中央生活センターを設ける予定であります。 県庁において、県婦人団体代表、県庁生協代表、県青果販売農協連代表と懇談する機会を得ましたが、生産者からは、豊凶変動が大きく農家手取り率が低いこと、生協からは、外見や銘柄ものにとらわれた消費者の選好や規格統一の不十分な単協の出荷体制に問題があること、婦人団体からは、生鮮品の流通機構が複雑で中間マージン率が高過ぎること、商品の表示、添加物の規制が不十分であること等の意見が出されました。中央卸売り市場については、高値と安値の公表は高値のものは数量がきわめて少ないから問題である、香川では、高級魚は京阪神市場からUターンしている等の指摘がありました。 次いで、公正取引委員会高松地方事務所を視察いたしました。ここは、独禁法関係と同法の適用除外法関係のほか、下請代金支払遅延等防止法関係と不当景品類及び不当表示防止法関係の業務を行なっており、景表法関係については、五十人のモニターを公募し、試買検査会を開くなど、消費者の協力を得て監視体制の充実を期しておりますが、何ぶん、所長以下定員七名、現員八名という小人数で、さしあたり十一人ぐらいにしてもらいたいとの要望がありました。 次に、坂出市の食肉コンビナートを視察いたしました。ここは、昭和三十九年に四つの屠場を合併し、香川県食肉流通の基幹施設として設けられたものでありまして、一万三千平方メートルの敷地に、屠畜場、枝肉及び食鶏の処理冷蔵施設及びハム・ソーセージ等の加工施設の三つが併設されております。香川県産の素畜の五五%を処理しており、ほぼ能力いっぱいの操業状況であります。これは、従来の生体取引を枝肉ないし部分肉取引にすることにより、取引の安定性を増大できたからであります。豚肉については、一カ月前の価格低迷から十日前には輸入を要する事態になる等、事情の変動が大きすぎること、畜産事業団の輸入決定が早すぎるように思えること等の意見がありました。 次に、昭和四十二年に開設された高松中央卸売り市場を視察いたしました。ここの卸売り人は複数制で、卸、仲買い、売参の三部制であります。青果部に機械ぜりの装置がありますが、上場回数、荷口の零細性、買手の多数性などから、一種の入札制である小型の黒板にせり値を記入して最高値の者に落とす方法をとっております。まだ開設早々のため、中央卸売り市場のルールに関係者がなじむ努力が必要との声もありました。仲買い人の統合は昨年六月から進められており、市場はすでに狭隘であるということであります。 最後に、屋島のいわゆる栽培漁業センターを視察いたしました。これは、瀬戸内海栽培漁業協会の五つの事業所の一つで、車エビのふ化放流を行なっておりました。他の事業所ではその他の魚種も扱っており、事業の効果はかなり大きいということであります。 以上、ごくかいつまんで報告いたしました。 愛媛県はミカン等のかんきつ類に特化した生産県であり、香川は生産県であると同時に地場消費もかなりある消費県的性格をあわせ持っておりまして、生鮮食料品行政や消費者行政のあり方にも相違が認められたのであります。 以上をもって報告を終わります。
○委員長(横山フク君) 次に、第二班の報告を願います。阿部君。
○阿部憲一君 第二班は、去る七月六日から七月九日までの四日間、横山委員長、高田委員と私の三名が参加し、北海道の消費者行政及び消費者運動の実情を聴取したほか、北海道電力株式会社、旭川流通団地、苫小牧大規模工業基地等を視察するとともに、官民各界と物価問題等について意見の交換をしてまいりましたので、以下日程を追って、その調査の概要を御報告いたします。 まず、北海道の物価対策及び消費者保護施策について申し上げます。 道庁では、消費者行政を専管する機構として、商工部に消費経済課を設けておりますが、昭和四十五年度における行政の重点は、消費者物価の安定と消費生活の合理化の促進に大別されます。 まず、消費者物価につきましては、民間の意見を反映するための消費経済懇談会と行政の総合調整をはかるため、各部長を委員とする物価対策協議会、さらに政府関係機関と地方公共団体相互間の連絡調整をはかるため、地方行政連絡会議物価部会を設置しております。 〔委員長退席、理事林田悠紀夫君着席〕 また、個別価格対策として、道民生活に最も密接な関係を持つ商品で価格騰貴の激しいものを重点的に取り上げ、個別に流通過程、上昇要因等を解明して、価格安定対策を推進しております。このため、昭和四十一年度から物価安定資金融資制度を発足させ、本年度においては、道民の消費支出中大きなウエートを占めている燃料費の価格安定をはかるため家庭用燃料小売り近代化資金を新設しております。 次に、生鮮食料品につきましては、積雪寒冷地帯であるため、野菜の本州依存度は年間では四〇%も依存し、冬期や端境期には八五%にも達し、これが野菜価格の高騰を著しくしており、道庁は道内の系統出荷に奨励金を交付して、これに対処しております。 消費生活の合理化促進策としては、消費生活研究発表会広報誌「消費生活」を発行するとともに、消費者自身の自発的な活動を促すため、民間団体である社団法人北海道消費者協会に対して助成を行ない、同協会を通じて消費者行政の推進をはかっております。 また、教育活動として消費生活コンサルタント養成講座を設け、情報活動として、消費者意識、物価動向などの実態調査を行ない、組織活動として、地方消費者協会設置の促進と育成をはかり、現在二十六の地方協会が設置される等、積極的な姿勢で消費者行政に取り組んでおります。 次に、公共料金に関連して、北海道の電力の現状等について申し上げます。 北海道の電力料金は昭和二十九年以降料金改定を行なっておりませんが、御承知のように、広大な面積、わずかな人口、きびしい自然条件が重なっている上、本州との送電連係のない単独地域であるため、供給予備力も他社に比べ多くを保有する必要があり、また、系統容量も小さいため、効率のよい大容量発電所の建設がむずかしいとされているのであります。当社における最大の課題は、最近の石炭産業の動向であります。 石炭産業の動向は流動的で、今後の出炭規模を的確に見通すことは困難であり、量の確保に不安があるに加えて、最近価格の引上げ要求が出されており、炭価の値上がり分はそのまま支出の増となり、当社の経営に最大の影響を与えることになります。これらの情勢を考慮して、今後は、臨海重油専焼火力に重点を移し、さらに原子力発電の計画を進めておりますが、発電用燃料の低廉安定確保が最大の問題点であるとのことでした。 次に、札幌中央市場について申し上げます。 本市場は、昭和二十八年設置の構想が立てられ、二十九年より建設に着手し、三十四年から業務を開始しております。昭和三十五年が取り扱い高約三十億円、取り扱い数量約三万五千トンでありましたが、四十四年には、取り扱い高約二百二十四億円、取り扱い数量約九万一千トン、金額で七倍、数量で三倍弱と連年飛躍的な伸びを示し、市場施設が狭隘となってきたので、四十三年度から五カ年計画により施設を約二倍に拡張する工事を進めております。 当市場のせり方法は他の市場と異って「一パッゼリ」であり、この方法は市場内の需給関係が反映されないというきらいはあるが、せり価格が慎重にかつ正確にきめられるという特徴があるとのことでした。 次に、旭川流通団地について申し上げます。 この団地は、昭和四十二年に着工、四十六年に完成する予定で工事が進められておりますが、都心から約五キロメートルの、石狩川沿い、国道三十九号線に面して、九十四万平方メートルの規模を持っております。当団地は、最近の流通革命の動きに対処して、道北百六十万人を対象に流通機能の強化と広域化をはかろうとするものでありまして、各種の卸売り業はもとより、関連製造業、倉庫業、トラック運送業も立地させる流通センターとして構想されているのであります。 また、旭川地域の集約貨物駅を含む国鉄ヤードがこの流通団地の隣りに建設されつつあり、新しいネットワークの拠点として、流通機構の合理化、近代化が促進され、輸送、保管等の関連経費が節減されることが期待されると同時に、旭川市の発展と、ひいては道経済の発展に貢献することが期待されているのであります。 次に、新日本製鉄室蘭製鉄所について申し上げます。 当所は、道内資源の活用と北海道の開発を目ざして、明治四十二年に創業され、今日では、溶鉱炉から各種圧延工場を完備した近代的な鉄鋼一貫製鉄所として躍進している製鉄所であります。 当所は、いまや粗鋼年産四百三十万トン体制を確立し、道唯一の最新鋭の製鉄所として威力を発揮し、さらに技術革新と激しい国内外の競争を乗り越え、よりよい鉄を豊富に生産するため、技術の練磨、製品品質並びに生産性の向上につとめております。 また、公害対策については、これまでおよそ四十二億円の巨費を投し、最新の除塵装置、廃水処理、騒音防止設備等、また、使用熱源も公害のおそれがないガスを主燃料とするなど、あらゆる配慮をはかって、公害のない環境づくりにつとめているとの説明がありました。 最後に、苫小牧大規模工業基地建設計画について申し上げます。 当基地は、わが国経済の成長に積極的に寄与するとともに、本道工業構造の高度化と産業経済の発展をはかるため、第三期北海道総合開発計画の重要な柱の一つとして苫小牧東部地域に広大な用地を取得し、大型港湾の建設をはじめとする工業基地の建設を行なっているところであります。 港湾は、苫小牧港と同様に掘り込み式として、水路は中央水路から西部、北部、東部の三つの分水路を計画し、航路及び水路幅員は五百メートルから九百メートル、水深は七・五メートルから二十一メートル、水ぎわ線の延長は三十六キロメートルと想定され、この計画により新港が整備されると、二十五万トン級の船舶の入港が可能となるほか、さらに大型タンカーに対しては、シーバースを設け、これらにより一億数千万トンの貨物の取り扱いが可能になります。 工業配置にあたっては、公害の防止に十分留意したレイアウトを行なうとともに、企業の進出に際しても公害防除について指導強化を行なうとのことでした。 資金計画については、用地取得の総額は一千九百億円にのぼるので、その資金として、交付公債、一般財源及び土地開発基金より借り入れ金を充てることにしております。 現在、北海道の鉱工業生産高は約一兆一千億円と言われているが、この基地が完成すると約三倍の三兆円になる見通しであり、官民一体となって強力に推進しているところであります。 その他、ホクレン農業協同組合、町村、竹田両牧場、雪印乳業株式会社遠早工場を視察し、酪農産業、生鮮食料品対策等について意見の交換をしてまいりました。 以上、日程を追って調査の概要を御報告申し上げましたが、地方公共団体の物価対策にはおのずから限界がありますので、今後、来年度予算編成にあたっては、物価安定の見地に立った予算の編成がなされるとともに、強力な諸施策がとられる必要があると思います。 なお、道庁から物価の安定と消費者保護のため、 一、当面の物価安定対策について早急な具体化をはかられたい。 一、卸売り市場法の制定を促進されたい。 一、国鉄貨物運賃公共政策割引制度の恒久化をはかられたい。 一、食品の表示、品質、規格に関する統一法制の実現について検討願いたい。との四項目について特段の配慮をされるよう強い要望がありました。 以上簡単でありますが、調査結果の概要を申し上げて御報告といたします。
○理事(林田悠紀夫君) 別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十二分散会