逓信委員会 第6号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/03/12
会議録
○委員長(近藤信一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。 これより郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。 本件に関し質疑のある方は、順次御発言願います。
○野上元君 さきに私の質問要項については通知してありますけれども、必ずしも一項一項やっていくというわけではありません。したがって、相互に関連しておると思いますから、そういうことをあらかじめ御了承いただきたいと思います。また、一つ一つやっておりますと、一つに一時間も二時間もかかるような問題もあるようですから、時間が限られておりますから、総合的にひとつ質問してみたいと思います。 まず第一に、私が一番関心を持っておるのは、この非常に激しい科学技術の進歩が見られておる工業社会の中における郵便の地位といいますか、あるいは使命といいますか、そういうものについてひとつ聞いてみたいと思うんですが、特に、昨年四十四年の五月に政府が策定いたしました新全国総合開発計画ですか、これが昭和六十年までの十五年間における日本のあるべき姿というものを一応青写真にして、これに向かって今後すべての施策を進めていく、こういうことになったようですが、この中における通信事業、特に郵便の事業というのはどういう計画ではめ込まれておるのか、この点ひとつ聞きたいのです。
○政府委員(野田誠二郎君) お答え申し上げます。 この新しい全国総合開発計画におきまして、これは前回の全国総合開発計画と違いまして、全国的なネットワーク、これによりまして地域格差の解消等々、何といいますか、都市化、情報化、高速化という新たな観点から国土利用の抜本的な再編成をはかりまして、全国土を有効に利用、開発、保全をするという、こういう基本的な方向を示しておるわけであります。特に、郵政省の所掌事項に関連しましては、先ほどお話もありましたように、通信の機能を広域的に体系化するため全国的なネットワークの整備を掲げております。特に、当省所掌としましては、電話及びデータ通信について全国的なネットワーク網を整備、形成するという点が今度の計画にはうたってあるのでございますが、郵便につきましてはすでに、データ通信等と異なりまして、あまねく全国に、それこそ津々浦々に郵便局を設けまして通信網を形成をいたしております点、並びに今回の計画が新たな大規模な投資というものを必要とする開発計画ということに重点が置かれております関係上、この計画の中には、特に郵便につきましては触れられていないのであります。ただ、この新しい計画が作成せられます過程におきまして、通信の一環といたしまして、事務的な各種の折衝あるいはヒヤリングということが行なわれておるのでありますが、この計画自体の中には、郵便につきましては特段に掲げられておりません。
○野上元君 そうしますと、新全総といいますか、この中における政府の考え方あるいは思想から判断すると、通信政策というものの中に郵便というものは入っておらない、こういうふうに見てよろしいですか。
○政府委員(野田誠二郎君) 先ほど申し上げましたように、この新しいいわゆる新全総というものが、何と申しますか、新たな大規模な投資ということを必要とするということに非常に重点が置かれております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、当省所掌としましては、電話並びにデータ通信というものが非常に大きく取り上げられておりますので、郵便につきましてはもうすでにでき上がっておる。しかも何と申しますか、今後新たに非常に大規模な投資を必要とするというような事態がありませんと、——そういうことから直接的には触れられておりませんけれども、この新全総の中に盛られました考え方あるいは具体的な方策というものに沿いまして、やはり郵政省としましては、この郵便の今後の運営あるいは方策の樹立という点につきましては、この線に沿って今後努力をしていく、またしていくべきだと、かように考えております。
○野上元君 私は、それは都市を先につくって道路をつくるようなものであって、そういうやり方が私は郵便が立ちおくれるのじゃないかというような気がするのです。いま官房長のお話のように、この新全総の計画の最も基本的なものは、いわゆる大投資を必要とするようなものを一括新全総の中に含めて、そうして国が一体どれくらいの投資ができるか、あるいは民間は、どれくらいの投資ができるかということをひとつ計画しようというその考え方はわかります。わかりますが、しかし、その大計画が行なわれたときにおいて受ける郵便の影響というものは絶大なものがあると私は見ておるのですよ。あとでいろいろと私は証拠をあげて論議していきたいと思いますが、その影響があるということがわかっておりながら、この新全総の中に郵便事業に対する計画が最初にビルトインされておらないということは、これは将来にとって重大な問題が私は出てくると思う。というのは、先ほど言ったように、町をつくって、あとから道路をつくるということになると、これはたいへんなことなんですね。だから、最初からこの新全総の中に郵便事業のあるべき姿というものをしっかりビルトインするというような発言というものがなければおかしいと思うんですね。その点どうですか。
○政府委員(竹下一記君) 新全総が策定されます段階で、いろいろと経企庁と話をしたようでございます。郵便といたしましては、昭和六十年には郵便物はいまの大体倍になると、二百十億通にはなると、それを処理する要員はいまの大体一・八倍ぐらいの人員を必要とすると、そのほか局舎計画、機械化の問題等々を持ち出しまして、いろいろ話をしたようでございますけれども、いま官房長が申し上げましたようなことで、巨額の投資資本を要するというわけでもないと、それから今日すでに郵便網は相当充実しておるというようなこともございまして、郵政省といたしましては、新しく策定されます新全総の線に沿いまして、郵政省独自で大いにやってもらいたいといったようなことで話がつきまして、それで引き下がったような経緯があるようでございますが、私どもといたしましては、私ども自体みずからの計画をちゃんと持っておりまして、これは新全総の思想及びその方向と一致するものでございますから、決して何もしないでいる、あるいはあとからのこのこ追っかけていくというようなことでございませんで、みずから計画を立てて、その方向で努力してまいりたい、かように存じます。
○野上元君 話は飛びますが、私が心配しておるのは、政府内において郵便事業というものに対して思想がばらばらだという気がするのです。たとえば、あなた方が公社化の問題を提起したときに大蔵大臣は何と言ったかというと、こう言っておるのです。郵便事業なんというのは、もともとナショナルミニマムなんだと、そんなにむきになって事業を拡大する必要はないんだと、またコマーシャリズムに乗ってやる必要もないんだと、もう最低のサービスをしておけばいいのが郵便事業じゃないかと、それを何で公社化なんかして商売気を出すんだと、こういうことを発言されておりますね。私はこれを新聞で見て、将来これは問題にしようと思ってたんですが、たまたま予算委員会では、その問題は取り上げられなかったから、ここであなたに言うんですが、そういう考え方が少なくともさいふを握っておる大蔵省にあるんです。だから、私はこういうことを聞いておるわけです。少なくとも、政府の首脳が公社化に待ったをかけたんですね。これは佐藤総理も待ったをかけたんです、最後。というのは、やはりそういう思想が首脳部にあるんではないか。それに対して郵政当局は一体どう抵抗しておるのか、どう発言しておるのかという点が私たちは非常に心配なんです。というのは、あなたが先ほど言われたように、二百十億通くらいの郵便物数になるだろう。そうしてこれを処理するための人員もおおむね一・八倍必要であろう、現在の。こういう一応の計画を立てられておるが、そんなことができるかどうかが問題なんですね。一・八倍の労働力をあなた方が確保できるか。これから私はそれを証拠をあげて、できないという証拠を出してみたいと思うのだけれども、そういう点が、私はちょっとなまぬるいように思うのだな。郵政当局はこれはどうなんです。これはナショナルミニマムと考えておるのか。それとももっと別の性格を考えておるのか。
○政府委員(竹下一記君) 決してナショナルミニマムとは考えていないのでありまして、むしろ、今後ますます大きくなっていく事業であると、このように考えているわけです。それは過去の、今日までの歩みを見ておりましてもそれがわかるのでありまして、郵便物数は、この十年間にざっと二倍になっておるわけでございます。で、これは経済成長の発展に伴って確実に郵便物数が伸びてきておる。これは過去の実績でございます。今後まあ工業化が進む、情報化社会にさらに突入していく、こういうことでございまして、コンピューターが発達すれば、この情報は無限に広がっていくわけでありますが、その情報を伝播する、あるいはまた情報を新しくつくり出すという機能を郵便はまさしくになっておるわけでございまして、よく電気通信が発達すれば、郵便はそれに伴って下降線をたどるのではないかといったようなそういう言い方もございますけれども、私どもは決してそういうように考えておりません。むしろ逆に、情報化が進めば進むほど郵便の利用がふえると、これはすでにアメリカにおいてその傾向が顕著に出ておるわけでございます。コンピューターは郵便を呼び込むわけでございます。そういうことでございまして、とかく私どもPRがへたくそでございますので、郵便はどうも斜陽であるというような言い方をされますけれども、内容は決してそうでないと、かように存じます。
○野上元君 私は、地球上に人類が消えない限り郵便が斜陽になるとは思わないのですよ。ただ問題は、あなたが言われるように、人口がふえると産業が発達する、したがって、郵便の規模は大きくなってくる、これは私も認めたいと思う。ただ問題はその思想ですね、考え方です、この郵便に対する。これはナショナルミニマムなんだと、だから、そんなにむきになってやらなくてもいいんだという考え方が政府にあるのですね。あなた方は、もう飛行機ができたら飛行機に載せ、特急ができたら特急に、新幹線ができたら新幹線に載せなきゃいかぬ、そういうことを考える必要ないじゃないか、届けばいいじゃないか、最低のサービスをしておきなさい。それが郵便なんですよという考え方が首脳部にあるとすると、あなた方の考え方といつも衝突するのじゃないかというような気がするのですね。で、先ほど新全総の中において、私はおそるべき変化がもたらされるだろうと思うのです、昭和六十年の段階においては。そのときに郵便は一体どういう姿になっておるのか。ナショナルミニマムという思想でいけばどういう姿になっているかということが非常に重大な、何と言いますか、大きな開きが出てくるだろうと思うのです、あなた方との考え方の間に。その点が心配なんですけれども、その点はどうなんですかね。 公社化に飛びますがね、公社化をあなた方が提起したときに、やっぱり問題になりましたね、明らかに。電電公社だとか国鉄だとかあるいは専売の場合には公社化が何らの障害を受けずにするするといった。ところが、郵便の公社化の場合には待ったがかかっておるわけですね。これはどういうところにそれじゃ原因があるのですか。
○政府委員(竹下一記君) かなり個人的な見解になるかと思いますが、公社化問題につきましては、郵便事業につきましては、これを公社化するという考え方につきましては、さほど問題がなかったように私は特別委員会等の審議、それから答申を見まして受け取るわけでございます。もう一つの仕事でございますところの郵便貯金、簡易保険の運営に関連いたしまして、先ほどナショナルミニマムといったような考え方が強く出てきた経緯がございまして、むしろ、そのほうの抵抗が大きかったんじゃないかと思います。
○野上元君 それが私は重大だと思っているんですよ、実はね。で、最近——最近というよりも、きのうのテレビのニュースあるいは二、三日前の新聞に、いわゆる新幹線網の建設という問題が取り上げられているんですね。これは、しかも、四党が共同で議員立法で提案しよう、そして昭和六十年までに十一兆円の金をかけて九千キロの新幹線網をつくろう、こういうわけです。ところが、御承知のように、国鉄はいま三千億近い赤字できゅうきゅうとしているわけですね。で、先般、三方一両損で、運賃を値上げし、そして政府は財政援助をする、そして国鉄自体は六万人の合理化をやると、こういうような、いわゆる三方一両損という方針でスタートしたばかりなんですね。ところが、もうすでに今日の鉄道網の状態は、いわゆるナショナルミニマムという考え方なら十分であろうというように考えるんだが、これは将来日本の経済の発展にとって重大な問題である。したがって、この新幹線網をつくらなきゃならぬというので、政府も乗り気だし、各党も足並みをそろえて提案しようとしておるわけですね。郵便との違いがここに非常に顕著にあらわれておるわけですね。この考え方の開きが政府の間にあるということになると、将来、鉄道であるとか、あるいは電信電話であるとか、あるいは放送であるとか、こういう交通通信と郵便との懸隔は非常に大きくなってくるように思うんだが、郵便に関する問題は、いま遅配の問題で、慢性的遅配といわれて、各国とも非常に頭を悩ましておりますが、しかし、これに対する手を打とうという意欲が政府にはないんじゃないですか。やはりナショナルミニマムという思想が非常に強く出てきておるんじゃないか。これが将来、あなた方にとって非常に大きな障害になるんじゃないかというような気がするんだが、どう思いますか。この鉄道建設をめぐっての政府の考え方と郵政に対する考え方、郵便事業に対する考え方との開きはどう考えますか。
○政府委員(竹下一記君) 郵便事業は若干国鉄と違う面があろうかと思うんです。国鉄はみずから線路を開きましてお客を誘致していく、そのためにはまた巨大なる資本を必要とする、こういうことでございますが、郵便事業は、過去の歴史を見ましても、どちらかというと、みずから巨大なる資本を使って通信網を開拓するというよりも、むしろ、鉄道、あるいは自動車、飛行機、船、こういった交通機関に依存をいたしまして——と申しますことは、みずからそういうものを所有し開拓するということは、経費的に見ましても非常に膨大なものになりますので、既存のもの、自分以外のそういった運輸機関というものをフルに活用するという、いわば他力本願、あるいは何といいますか、積極的というよりも、むしろそういう面では消極的な面が出てまいるわけでございますが、そういう姿でやってきたものですから、国鉄の場合と様子がだいぶ違うと思います。しかし、みずからやるやらないにかかわらず、そういった利用できる最大の利便をフルに活用していくという姿勢は、これは決して消極的でございませんで積極的でなきゃいけない。そういう姿勢が少なければそれは私どもの努力の不足によるわけでございますから、積極的な姿勢をどんどん打ち出していかなくちゃならない、かように存ずるわけでございます。
○野上元君 あなたの話を聞いておると、鉄道に従属して、たまたま鉄道あるいはその他の交通機関があるから郵便というものはあり得るのだというような考え方ですね。昔はそうじゃなかったですね。昔は交通機関なんというものはなくて、とにかく積極的に飛脚を派遣して郵便を伝達したんですね。いまはもう交通機関がなければ郵便はもうお手あげだと、郵便事業はお手あげだというようなあなたの考え方なんですね。 そこで、まあそれは現在の状況はそうでしょうから、それを問い詰めてもしかたがないと思うんだが、かりに鉄道建設計画が実現した場合ですね、全国に九千キロにわたる新幹線網ができるわけですね、新幹線には郵便は載せてくれませんね、おそらく、そんなものを載せておったら鉄道はおくれるばかりですから。そうすると、ほかの列車は全部犠牲にしても新幹線は通していくということになると、常に郵便を載せておらない速い汽車が動いていくということになるわけです。したがって、この新幹線網ができるということは、郵便事業にとっては非常に重大な影響が私はあるというふうに思うんです。これは一昨日も私は触れましたが、遅配には絶対的遅配と、相対的遅配とあるような気がするんですね。私はこれはもう絶対的遅配はその原因をえぐって直していくこともできると思うんだが、しかし相対的な遅配ということになると、これは非常にむずかしいと思うんですね。人間は大阪まで一時間で行けるようになる、昭和六十年には。ところが郵便は三日も四日もかかるということになると、これは非常にやっぱり問題になると思うんですね。これはいわゆる絶対的にはもう遅配でないかもしらぬけれども、しかし相対的に見れば、郵便なんて一体何をやっているんだということになると思うんだが、そういう新幹線網ができるという場合に、郵便は一体どう利用するのか、そういう計画があなた方のほうにあるのか。新幹線網が全国に張りめぐらされたときに、一体どういう列車に郵便は載せてもらえるのかということも早いところ計画をし、そうして当局と話し合っていかなければ、新幹線に郵便を載せてくれないということになれば必然的におくれていくのだが、そういう点の配慮はないですか。
○政府委員(竹下一記君) 新幹線の利用につきましては、残念ながら今日国鉄の大きい政策がございまして、郵便は貨物と同様に新幹線の利用はできないということに今日なっております。新しくできます新幹線につきましてもおそらくそういうことになるんではなかろうかと思われます。ただ、国鉄も貨物輸送、手荷物輸送の仕事をかかえておりますので、旅客の列車以外に、貨物の快速列車というものを計画しまして、相当緻密な計画を立てて、それを実行に移しておるわけでございます。したがいまして、私どもは次善の策といたしまして、快速列車の開設を強く国鉄に要望することにしております。 それから国鉄とちょっと離れますけれども、遠距離につきましては、たとえば九州、札幌、東北の一部、中国あるいは四国で、航空機の利用のきくところは郵便物はすべて——ただし小包でありますとか、大型の郵便物は除きますけれども、普通の通常郵便物はすべて航空機に載せるという新しいポリシーを打ち出すといったようなことも考えておるようなわけでございまして、残念ながら新幹線には取り残されましたけれども、また取り残されようとしておりますけれども、それにかわるべきいい方法を詰めてまいりたいと存じます。
○野上元君 そういう配慮をされておることはわかりましたが、見通しはどうですか、そういう点についての見通しは。たとえば、航空機に全部載せ得るのか、あるいは特急の貨物列車が走ることになるのか、そういう点の見通しはどうなんですか。
○政府委員(竹下一記君) 見通しはあると思います。
○野上元君 私は先ほども言いましたように、この六十年に終わる新全総の全貌を見ますと、大体五百兆円ないし七百兆円ぐらいの政府、民間の投資を行なうということになると思うわけです。これは計画ですからどうなるかわかりません。五百兆円をはるかにこえるかもしれないし、七百兆円になるかもしれませんが、少なく見積もっても五百兆円は必要だと、こういうことになるわけです。いまの経済情勢の発展から見て、おそらくこれは可能だろうというふうに言われております、最低のものは。おそらく七百兆円ぐらいになるだろうと、こういうふうに言われていますね。そこで私が関心を払っておるのは、ある書物から見て調べたところ、明治以来今日まで日本において政府並びに民間が投資した総額は、今日の金に直しておおむね百四十兆円だと言われておる。昭和三十年代の十年間に投資された政府及び民間の資金はおよそ六十二兆円だと言われておる。日本が非常に大きな変貌を遂げてきたのはこの十年間ですね。したがって、六十二兆円の投資がもたらした変化は、これはおそるべき変化を見ておるわけですね。われわれがもう予想もしなかったような変化がいま起きつつあるわけですね。たとえば、新幹線の問題であるとか、あるいは東名、名神高速道路であるとか、あるいは京葉工業地帯であるとか、あるいはマンモス団地の造成であるとか、あるいは人口の都市への集中化であるとか、いろいろな問題が起きているわけですね。わずか六十二兆円の投資によってこれだけの変化をもたらすということになると、それを十倍にした投資を行なう昭和六十年代における変貌というものは、われわれの想像でははかりがたいものがくるであろうと私は見ておる。そして特に人口の集中が都会に非常に強くなってくると思う。大体新全総を研究しておる人に言わせると、東京都圏の人口は二千五百万人ぐらいになるだろうと言っている。ということになると、いまの東京の人口の倍以上になる。したがって、東京の中にもう一つ東京がはめ込まれるというぐらいに人口が集中するだろう。そういう変化をもたらすときに、郵便事業というものが従来のままの考え方で、伝統的な考え方で、この変化を乗り切っていくことができるだろうかということを私は実は心配しているのですが、そういう点について、あなた何かお考えありますか。
○政府委員(竹下一記君) いろいろと考えておるわけでございます。都市はますます膨大化して過密の度を増していくわけでございまして、戸数、人口の増加、住居表示の混乱、人口の移動の激しさ、交通難、こういうことを考えますと、郵便、特に外勤作業の困難性は非常に増してくると思うわけでございます。それともう一つは、人手不足の問題がございまして、今日でもすでに東京等におきましては雇用難でございますけれども、十年先、十五年先はその度合いはますます強くなってくる。作業のにない手をどこに求めるか、あるいは仕事のしかたをどう変えていくか、サービスというものはいまのままでよいのかといったようなことも関連いたしましていろいろと考えてはおります。
○野上元君 ただ考えただけでは、この変化になかなか私は追いついていけないと思うのだが、たとえば私の調べたところによりますと、労働力増加の推移を見ますと、昭和四十年から四十五年の間には九十八万人年平均増加していったのです。ところが昭和四十五年から、いよいよことしから五十年の五年間には年平均三十七万人の増加という非常に大きな低落があるわけです。そして五十年から六十年の十年間には年平均二十一万人という増加になるわけです。ということになると、六十年以降になると、労働人口というものは非常に少なくなっていくということが考えられるわけですね。ところがいまさっきあなたが言われたように、昭和六十年においては郵便物は二百十億くらいになるだろう、そして現在の一・八倍の労働力を必要とするだろう、こういうふうに言われておりますが、どうやってこれを確保していくか。数字的に見ると非常に私はむずかしいと思うのです。特に、この人口の増加というやつは大体つかめるのですね。十年、二十年先が正確につかめる。経済成長なんていうのはどういう要因によって動くか、それは非常にむずかしいわけですね。その見通しがなかなか困難なんです。しかし、労働力の減少状況というのは大体もう当たるわけですね。ということになると、どうやってあなた方はこれを確保していくかというような重大な問題にぶつかるのであって、ただ単に考えているだけではどうにもならぬのじゃないかというような気がするのです。聞くところによると、もう東京都内においても、いわゆる郵便外務員の定数が非常な減少を見ている。いわゆる欠員を補充できないといいますか、そういう実態と合わせてみると、何かあなた方のほうで、具体的な策がなければこれは問題になるのじゃないか。その点はどういうふうに見ていますか。
○政府委員(竹下一記君) 何よりもまず機械化だろうと思います。これは郵便作業の機械化には限度がございまして、全部機械に切りかえるということにはとうていまいりませんけれども、それでも局内作業の相当部分につきましては、区分作業あるいは運搬作業等につきまして機械化の余地は相当残されております。そういう面で省力化をはかる。外勤面は非常に機械化がむずかしいのですけれども、それでもできるだけオートバイその他の機動力を活用いたしまして、機械化、省力化を極力講ずるというのが第一点であろうと思います。 その次は、特に人手を要します外回りの外勤の仕事の面の省力化でございますが、たとえば私書箱制度を拡大いたしまして、お客さんには悪いのですけれども、私書箱まで取りに来ていただくという制度を拡大する。そのために局舎の構造を変えるとか、そういうことをいたさなければいけないかと思います。日本は私書箱制度が外国の先進国に比べますと、まだ足りないと思うわけでございまして、このことはサービスにも関係いたしますし、お客さんの協力を求めるということにもなりますので、問題は相当大きいかと思いますが、そういうこともそろそろやらなければいけないのじゃなかろうかと、かように存ずるわけでございます。それからまた都市化に伴って高層ビルができる。従来でありますると、各戸配達ですから、一々持って上がるというようなことでございますが、あるいは団地ができると、四階、五階へ持って上がるというようなことでございますが、これは先般の法律改正でもちまして第一階に受け箱を集中的にこさえてもらうというようなことをいたしましたけれども、そのやり方をもっと拡大をするというようなこともやらなくちゃいけないと思います。人力の節約につきましてはなかなかむずかしい面が郵便事業につきましてはありますけれども、いま申しましたようなこと等からまず手をつけていくべきではなかろうかと思います。
○野上元君 そうすると、あなたのほうでは郵便法あるいは郵便規則等の改正も考えておるということですか。
○政府委員(竹下一記君) 今後の情勢によりましてそういうことも考えていかなくちゃいけないと思います。
○野上元君 私はその点がどうもなまぬるいような気がするんですよ。さっきも言ったように、これだけ大きな変革があるのに、明治時代につくった規則をこの社会に当てはめようとするところに無理があるんじゃないですか。大胆に、やはりすべてのものを改革していかなければとても対応できないんじゃないでしょうか。情勢の変化があったらやるんじゃなくて、もう情勢の変化あってるんでしょう。もういろいろとむずかしい問題が出てきておると思うんですがね。もうすでに古い伝統的な郵便関係法規は今日の社会においてはかえってじゃまになるぐらいじゃないですか。それぐらいの考え方で取り組まないと間に合わないんじゃないですか。その点どうですかね。
○政府委員(竹下一記君) おっしゃいますような時勢にだんだん移行しつつあると思いますけれども、私ども、たとえば労働力の問題にいたしましても、あれやこれやの方策を講じまして、東京で得られなければいなかのほうで得まして、それを東京に連れてきまして、それを定着させるといったような、たいへん手間もかかるしお金もかかるやり方をやっておるんですけれども、ともかくいまの態勢で何とか待っておる、仕事も待っておるという情勢ですので、懸命にいま目下のところまあ現状維持というところで努力をしておるわけでございますけれども、これから先の情勢はいまお話がございましたような方向に、郵便もだんだんそういう方向に行くんではなかろうかという予感といいますか、予想といいますか、そういうものは持ってるわけでございます。
○野上元君 まあこれは質問じゃないですけどね。あなたの話聞いておると、伝統的な郵便法を守るためにいろいろな手を尽くしてるんだというふうに聞こえるんですよ、私には。だから、郵便法あるいは関係法規類なんていうのは、これは手段であって、目的じゃないわけですね、こんなものは。はっきり言えばどんな法律であったって、そんな不変の法律はないですね。不変なんていう思想は、これは未来のない思想ですね。常に変化するんですよ。この変化に対応していけるものが生き残っていくわけですから。こんなことを考えると、いまある法律を何とかいけるところまで守っていくんだというような考え方でなくて、こんなものはさっと捨てて、目的のために手段はどうあるべきかというふうに逆に考えてもらいたい。でないと手おくれになるんじゃないかという心配をするわけです。だから、心配がなければそれでいいんですが、やっていけるとなれば。だから、私が具体的に指摘するならば、いま、標準配達日数というのを天下に公表されたらどうですか、一ぺん。たとえば東京から大阪までは何日何時間何十分がこれは標準の配達時間です、あるいは熊本までは何日何時間何十分です、札幌は何日何時間ですというふうに、天下に標準時間を公表してみたらどうですか。そうすれば遅配であるかどうかということがよくわかるんじゃないでしょうか。それはだれも知らないですからね、いまのところ大衆は。ああ郵便が来たわと。私らもそうだ、ほとんど日付なんか見ませんよね。ああ郵便が来たわ、というような調子ですからね。だから救われとると思うんですよ。だから、あなたのほうで実際に標準時間を出して、そしてはかってごらんなさい、これは相当問題が起きると思いますよ。問題が起きてからでは私は間に合わぬ、だから、少なくとも標準時間を科学的に編み出して、そしてそれに間に合うような施設を持つべきだ、まず目的をつくって、そして手段はどうあるべきかということを完備していくという態度が望ましいのじゃないでしょうか。とにかく、いまある法律を何とか守っていくのだ、変えなくてもやっていけるのだというような考え方では消極的過ぎるので、その点をもう一ぺん考え直してみてもらえないかと思うわけです。 そこで、さらに聞きたいのですが、先ほど機械化の問題、この問題を解決するのには機械化以外にはないのだというお話がありました。一般論としてはそうでしょう。しかし郵便事業をフローとして見たときに、その流れのどこにネックがあるのか、一番大きなネックはどこなんですか。
○政府委員(竹下一記君) 郵便の流れを阻害するネックは幾つかあると思うのですが、最大のものは外勤の仕事です。局によりましては内勤の差し立て業務、配達区分、そういった面もございますが、最大のものは外勤でございます。それから郵便物の運送という面につきましては、これはほとんど問題がないというふうに考えます。
○野上元君 そこで、私はあなたの機械化というやつがちょっと疑問になるんですよ。郵便の事業というものを流れとして見た場合に、流れ作業として見た場合、一番端末の配達が問題なんだ、これがネックになっているのだというんでしょう。ところが、そこは機械化何もやっておらぬでしょう、オートバイや自動車つくったぐらいの話で。そこでネックでないところを機械化しているわけですね、多額の金をかけて。したがって、大きな一つの土管にたとえれば、水の流れにたとえれば、大きな土管から小さな土管に最終的に流し込むようなかっこうになるわけですね。途中は大きな土管にして、いよいよ最後の端末のところは小さな土管にしてしまう。交通なんかはいまそれで問題になっていますが、それでどんどん郵便は来るが、最後の流れのところにとまっているわけです。ところが、ここは機械化できない。実際問題としてわれわれが考えてみても私はなかなか機械化がむずかしいと思うのです、ここのところしかも、ナショナル・ミニマムだというふうに政府も考え、産業界も考えていれば、機械化するような意欲はないんですね。技術の進歩もここにはないと思うんです、ナショナルミニマムというような思想の中には。そこに私は問題があると思う。だから、あなたが機械化言われても、私はそのネックのところは機械化されないで、ネックでないところが機械化されているから、これでは逆に配達のところがたまるばかり、洪水になるばかりだと思うのですが、その点どうですか。
○政府委員(竹下一記君) 確かにおっしゃるようなことだと思います。一番パイプの細くなる外勤のところで詰まるわけですから、おっしゃるとおりだと思います。
○野上元君 私が言うとおりになっちゃ困るんですね。だから、それをどう解決するかの問題なんですが、何かいい知恵はないかということを実は考えているわけです。私は、私なりにそれを考えるならば、やはり郵便法に手を触れざるを得ないというふうに私は考えるんですね。たとえば、あて所配達というようなことをいつまで一体やらなければならないのか、これは問題だと思いますね。少なくとも高等信ならそういう思想はまだ生かされていいと思うんです。しかし広告やらを、あて所配達なんていうことを最終的にやらなければならぬかどうかという問題を私は考えてみる必要があるというような気がするのです。したがって、これは私のほんとうにビジョンですよ、ビジョンというのを何というのですか、広辞苑でひいてみたら、幻想だとかなんとか夢だとかということですから現実性はないと思いますが、いわゆる端末の郵便局に、配達をやらない郵便局をつくって、いっぱいつくって、そこで私書函と同じような機能を果たさせる。そうして各家庭にテレビがあるんだから、そのテレビに一日の時間さいて、そして郵便物の到着をずっと絵で出していく。そうしたら自分のやつがあったら、そこの局に取りに行くというようなことでも考えなければ、将来この問題は解決しないんじゃないかというような気がします。 さらに私は労働力の問題であなたに聞きたいと思っているんですがね、労働力の確保の問題について、機械化と労働力の問題で私は完全に行き詰まるんじゃないかというような気がするんだが、どうですか。
○政府委員(竹下一記君) 私書函を拡充していきたいということは先ほど私、触れましたわけですが、そのほかにも幾つかあろうかと思います。最大のものは、都市の市内の二度配達ということもあろうかと思います。これは今日の物増の、猛烈なる物数の増加と労働力の関連を考えました場合に、実は事業運営上非常に大きい問題になってきております。団地配達のこともあろうかと思います。いろいろ考えておりますけれども、すべてこれ国民に対するサービスに関連してまいりますので、実は非常に神経を使っておるわけでございまして、最近団地配達につきまして本務者が得られないもんですから、ママさん配達等を試行的にやっておりますんですが、非常に世間の人たちのこれに対する関心といいますか、批判といいますかが強いもんですから慎重に事を運んでおるわけでございます。国民の方々の利益あるいは利便、そういったものをやはり考えるもんですから、いろんなアイデアがございますけれども、そういうものを十分考慮しつつ今後アイデアを処理していかなくちゃいけない。唐突に出しましては世間に非常に混乱といいますか、そういうものをまいてもいけませんので、そういう面で慎重に扱っておるわけでございます。
○野上元君 私は、あなたがサービス精神に徹しているということについて異論はないんです。しかし、それはね、あまりそれを考えると、逆の効果になるんじゃないかというような気がするんですね。たとえば郵便物はその日に着くようにしますと、こういうふうに言うそのこと自体、国民で反対する人いないでしょう。しかし、それができなかったらば逆にその非難がくるんですね。私、それが心配なんですよ。だからできることを国民に約束すべきである、そして約束をしたことをやるべきである、こういうふうに実は考えるわけです。したがって、あなたがやっぱり国民にサービスだサービスだという考え方、それはいいでしょう。しかし、それをやれなければそれはあだ花になるわけですね。逆の効果を私はあらわすんじゃないかというような気がするんですね。その点の私は、政府の、郵便だけじゃありません、すべての問題についてのごまかしがあるような気がするんです。たとえば、物価の問題とってみてもそうでしょう。物価安定させますと、こう言うんです。しかし、経済成長させながら、しかも、増税をしないで物価の上昇をとめるなんという方法が一体あるのか。ないと思うんですよ、私は。物価を安定させるには経済成長もとめなければいかぬし、あるいは有効需要をふやさぬように増税もしなければならぬでしょう。減税なんというのはできないでしょう、おそらく。ところが、経済成長もやります、減税もやります、物価もとめますなんて、そういうことを言うから国民はまただまされたということになるわけです。できないことを私は約束しないほうがいいと思うんです、政府は、特に。だからそういう点がどうも私は思い切りが足らぬような気がするんですよ。いつの日にか改革しなきゃならぬでしょう。早いほうがいいと私は思うんです。徐々に徐々に国民が知らぬうちに改革していきたいというふうにあなたは考えておられるか知らぬけれども、もうすでにそういう時代じゃない。先ほども話したように、ある意味では科学技術の進歩というやつは歴史の断絶を認めておるわけですよ。というより断絶を行なっているわけですよ。いままでの技術は全然今日はもう役に立たないのですからね。郵便だけが明治時代のやつが役に立つなんというはずはないのですよ。その点がどうも私は、サービス精神はいいけれども、それがかえって逆の効果になるのじゃないかというような心配をするからあなたにちょっと聞いてみたのですがね。 そこで労働力の問題にちょっと入ってみたいと思うのですが、これは厚生省の人口問題研究所が推計したものですが、いわゆる労働人口というのはだんだんだんやはり減ってきつつある。たとえば十四歳から六十四歳までのいわゆる労働人口というものがパーセンテージから見ると非常に落ちてきつつある。逆に六十五歳以上の人が非常にふえてくるのですね。この問題を一体どうするかという問題ですね。この調査によりますと、昭和六十年において十五歳から六十四歳までのいわゆる労働人口といわれるものは八千百九万人ですね。それで六十五歳以上が千百五十万人に伸びてきておるわけですね。だから、この六十五歳以上の人たちを一体どうするかという問題なども、私はあなた方もよく先を見越しながら計画していかなければならぬのじゃないかというように感じるわけです。それからもう一つは、学校の進学率が非常に高くなってきたのですね。たとえば、昭和三十年には高校進学率というのは大体五一%だったのです。ところが昭和五十年には、これが八〇%になる、六十年には、九五%までいくだろう、こういわれているわけです。大学の進学率は四十一年に大体二五%、四人に一人だと、六十年にはこれが四〇%まで伸びていくだろう、だから百人のうち四十人はもう同じ年齢の人が大学生になる、大学を卒業することになる、これが外務員の募集にどういう影響をもたらすだろうかということはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(竹下一記君) 今日すでに外務員の中に大学卒がかなりおります。ですが、だんだん進学の率が高くなって学歴の高い人が多くなっていくということは、外勤の雇用という面からいきますると雇用難を強くすると、こういうふうに大勢としては考えられます。
○野上元君 そうしますと、昭和六十年度において一・八倍の労働力を確保するということは非常にむずかしいことになると思うのですが、六十年いかない間にもうパンクしてしまうでしょう、現在でももうパンク寸前ですからね、都会においては。これをどうやってあなた方は切り抜けようとするのですか。
○政府委員(竹下一記君) 私は労働人口問題はしろうとですからよくわかりませんが、雇用難に苦しんでおるのは郵便事業だけではないということが一つあります。民間の会社、企業、日本じゅうがこの雇用難の問題に直面しておる、片一方、この労働力の不足ということの実態を見ますると、日本の場合労働力の偏在ということも相当ございまして、つまりホワイトカラーにどうも偏在しておりまして、よその国のようにブルーカラーのほうへ行きたがらないという傾向がございますが、これは今後の時代の変遷とともにそういう偏向というものはだいぶ是正されてゆくのではなかろうかと、これは個人的には考えるわけでございます。それと郵便の場合に、従来のような人の採用ということだけではこれは間に合いませんので、いま申し上げました社会的な事情の変遷とも見合いまして、婦人労働力を従来よりもよけいに活用してゆく。それから先ほどのお話ございました中高年齢層の活用、これは仕事の仕組みをそれに合わせればできないことはないのでありまして、郵便外勤の仕事につきましても、配達区域を小さくするとか物数を控え目にやらせるとか、いろいろやる手がございます。中高年齢層の活用ということ、これは相当大幅に取り上げていきませんと、労働力の問題に対処はできないとかように存じます。
○野上元君 この雇用難の問題、あなたも認識されているようですが、しかし郵便事業だけじゃなくて、これは一般の企業、産業界においても同様だと、こう言われるわけです。しかし、一般の産業界特に製造業界においては雇用難はむしろこれが刺激剤になっているわけです。そうして、すぐこの雇用難を吸収できる技術の開発をやっちゃうわけです。そうしてどんどん生産性を高めていっているんです、これが現状なんです。一般の産業界においてはむしろこれはいいインパクトです、雇用難は産業界にとってはむしろ。ところが郵便事業に関する限り、これは全然性質が違うと思うのです。全く文字どおりの雇用難におちいるのではないかというような心配が私はあるわけです。したがって、あなたがいま幾つかの方針を言われたけれども、それでは、現実に東京都において外務員はどれくらい足りないのですか、なぜそれが埋まらないのですか。
○政府委員(竹下一記君) 外務員の欠員が東京都及びその近郊におきまして百数十名あったかと存じます。いま正確なところ調べます。
○野上元君 人事局長いま郵務局長の言われたように、東京近郊で百数十名の欠員という程度ですか。
○政府委員(中田正一君) 郵便外務員の確保、雇用について苦労しておることは事実でございますけれども、いろいろの苦労の結果、現在の時点におきましては業務を運営するにまずまずというような定員充足状況でございます。まあしかし現実に欠員を生じていることは事実でございますが、たとえて申し上げますと、東京とその周辺、東京郵政局管内におきまして、これは郵便外勤の場合には、百五十人ほどというようなことでございます。もっともこの欠員と申しますのは、これはある時点つかまえますと、必ず欠員というものはございまして、ただその欠員がどれくらいの状況の間に補充されるかというようなことが問題であるわけでございます。一時期非常に欠員をかかえておったことがございますが、現時点におきましては、おおよそいま申し上げたような数字でございます。
○野上元君 四十五年度は、この東京都近郊において外務員の増員要求はどれくらいあるのですか。
○政府委員(竹下一記君) 四十五年度予算を通していただきますならば、千八百数十名計上されておりますので、相当部分が東京へ行くと、従来の経緯で申しますと半分は東京へ行くというふうに考えます。
○野上元君 これはもうすでに募集は開始されておるわけですか。
○政府委員(中田正一君) 東京、大阪、名古屋、そういった大都市につきましては相当長期の計画をもって欠員の充足あるいは新しく増員さるべきものの補充というようなことを考えておりまして、いわゆる見越し採用、四月以降七月、あるいは東京などの場合には十月、十一月くらいまで先を見越しまして学校卒業時期に確保しようということで、前年の夏の間から手配をいたしまして、現在着々と進めつつある状況でございます。
○野上元君 そうすると、千八百人の増員要求が実現すれば、その半分はおおむね東京都内に落ちるだろうということですが、現実の問題として九百人を埋めるということは可能ですか。
○政府委員(中田正一君) いままでの措置模様から見まして、また現時点の状況におきましても、ただいま申しましたように相当の見越し採用をやっておりますので、四月から七月くらいまで、あるいは九月、十月くらいまで、そういう期間については格別問題がない。問題が起きますのは、ある程度見越し採用しておきましたものがだんだん底をついてくるというようなことで、九月、十月ごろちょっと問題を生ずる、あるいは年末にかけて問題を生ずるというようなことでございますが、そういった面も別の方法でもって補強するというようなことでありますれば、さしむき増員の分に対する充員というようなことについては、これは何とかやっていけるのではなかろうかというふうに考えております。
○野上元君 採用難が、そういうふうに顕著になってきたというのはいつごろからですか。
○政府委員(中田正一君) これは先ほど郵務局長の答弁にありましたように、地域的なアンバランスがあるわけでありまして、現在におきましても、九州とかあるいは四国とかあるいは信越というようなところにおきましては、郵便外務員の採用を公けにいたしますと、これに何倍する人が集まってくるわけであります、現実に、現在におきましても。ただ、東京近辺においては非常に苦労する。これも郵便の内勤については、現在でも、東京、大阪におきましてもまずまず何とか充員できるが、郵便外勤についてこの二年ほど前から、昨年、一昨年、そのあたりから急激に苦労の度合いがきびしくなってきておるという状況でございます。これも全国的な労働力のアンバランスを是正しながら地方の労働力を東京へ吸収するような方策を講ずる。具体的に申し上げれば、宿舎の用意をさらに拡充するとか、あるいは初任給、給与の問題、あるいは採用年齢の引き上げ、いままではこれは相当苦労しておると申しましても、ある意味ではまだゆとりがあるという点もあるわけであります。非常に、将来のことを考えて採用年齢を制限しております。縛っております。そういう制限を逐次ゆるめざるを得ない。ゆるめていきますに従って募集が容易になるというふうなことでありますので、そういう方法を講じながら進めておる次第でございます。
○野上元君 何といいますかね、やはり産業化社会というものが爛熟期に入ってきた。そうして労働力の側からいえばだんだん買手市場に変わりつつあるということは言えますね。したがって、この職を選択することはもう自由になってきたということも言えるわけです。そして、さっき言ったように、進学率が非常に高くなってきた。したがって、できるだけはなやかな仕事につこうというような考え方も、そういう選択の余裕も出てきたというような幾つかの変化がやはり見られるわけですね。今後、私がさっき言ったように、五百兆円なり七百兆円の金が投下されたときにおける日本の産業界の給与レベルというのは、いまのアメリカをはるかに追い越してくるというのですね。ということになると、これはもう非常に採用が今後はむずかしくなってくるのではないかというように考えるのですね。そういう点について、いまあなた方はこれを努力せざるを得ないわけですね、いま急激に変わりようがないのですから。しかし、この努力がいつまでできるかですね、問題は。実現できるかですね、努力によって欠員補充が、あるいは新採用が。これはやはり問題だと思う。私は来年になればさらにむずかしくなってくる。再来年になればさらにむずかしくなってくる。だんだんむずかしくなっていくと思うのだが、そういう点について特別な配慮をしているのですか。
○政府委員(竹下一記君) 採用難の傾向はさらに激化すると思います。したがいまして、局内作業につきましても一部テストケースとしまして婦人労働力の積極的な活用、外勤につきましても、先ほど申しました団地配達におきまするママさんの活用、こういったものは今後の採用難という事態、そういうむずかしい事態に対処するための一つのテストとしてやっておると、こういう意味合いがございます。
○野上元君 非常にこれから苦労されると思いますがね、その新採用難、あるいは欠員の補充という問題の中に含まれておることは、先ほど言ったように、これから昔の従業員とはものの考え方が変わった人たちが入ってくるわけです、今度は。したがって、最初の就職というものに対する考え方は、何といいますか、まあ第一回目の見合いというような考え方ではないかと思うのです、私は若い人たちにとって。少しつき合ってみて、よければもう少しつき合おうというような考え方と思うのです。自分に合ってないと思えばすぐやめてしまう。またどこにでも行けるわけですから、買手市場ですから、そういう状態が来ると思う。いわゆる労働力のモビリティといいますか、流動化が非常に激しくなってきますね。そういうものに対処していくためにも採用ばかりでなくて、それを定着させる努力というものがまた必要になってくると思う。ところが昔の従業員のような、郵便は公共のためにあるのだと、われわれはこれが天職なんだというような使命感なんというものをあなた方が教えようとしても、それは無理なんですね。いまの若い人たちにそういうことを言っても、それはナンセンスだと言われるだけであって無理なんです。目的は自分なんですからね、いまの若い人たちは公共のサービスが目的じゃないのですね。そういう人たちをどうやって定着させていくかということについてもあなた方は相当研究してやっていかなければならないというように実は考えるのですが、その点どうですか。
○政府委員(中田正一君) 郵便の場合あるいは郵政業務の場合、まあ時代がどのように変わりましょうとも、やはり使命感というものは、これはもう基本的な問題だろうと思います。したがいまして、使命感の高揚というようなことは、これはもう引き続き重要な業務運営の要素であるとわれわれは思うのでありますが、しかし、一方、現実の新しい職員に対しましていろいろの定着のための施策を考えなければならぬということは、これはもう当然のことでございまして、そのためにいろいろ現在までも進めておりますし、さらに、これから進めなければならないというように思っておりますのは、何と申しましてもやはり給与の問題、初任給、あるいは昇給のカーブをどう描くか、要するにさしむきの初任給がいかほど高うございましても、これから結婚し、一生を託するに足るかどうかというような見通しがありませんと、なかなか定着もいたしません。そういう観点から、初任給はもとよりのこと、全体の将来の昇給のカーブ、動きというようなものも職員に十分受け入れられるようなものでなければならぬというようなことで、着々さらに改善を考えているわけでございます。 また昇進の問題にしましても、郵便外務員なるがゆえに、これはあくまでも郵便外務というのでは、なかなか郵便外務の確保、定着が得られないということでございますので、郵便内勤との交流、あるいはさらに上への昇進というようなルートもよりはっきりするようなことも考えなければならない。あるいは先ほども申し上げましたが、宿舎の点も、いままではとかく確保の段階に重点があったきらいなきにしもあらずでありますが、これからは定着の観点から結婚年齢に達した場合に、安んじて宿舎の用意がなされ得るような、そういう方面への投資、そういうものも強化しなければなるまい。あるいは、まあこれは人事管理の面以外の業務施設の面についても若い職員に魅力あるような施設、用具、そういうもろもろの配慮を進めなければならぬし、進めるべきだと思うのであります。
○野上元君 そのかくあるべきだというのは私もわかるのですよ。しかし、かくあるべきではどうにもならないのだな。かくあると、なければ飛びついて来ないのですよ、若い人は。そこに問題があるのですよ。で、あなたは先ほど使命感ということを言われましたが、これは論争になるからあまり深くタッチしませんが、私つくづく考えるのは、あなたのような年輩、私のような年輩などは、いわゆる活字文化の中に生きてきた男ですよ、人間ですよ。したがって、ものごとを論理的に判断し、そうして自分の考えにそれが合ったときに、それを知識として、われわれたくわえていく、こういう習慣でずっときているわけです。したがって、どうも論理的なんです、ものごとの判断が。ところが、いまの若い人は朝から絵を見て生活しているわけですね。活字なんか見ておらぬですね。朝からテレビを見、電車の中では絵を見ているのです。いわゆる感覚的にものごとを判断するという人たちが多いのです。だから論理と感覚の相剋じゃないかという気がしてしようがないのです。最近、これは自分の仕事柄若い人とよく論争するのですが、どうもそういう点がかみ合わないのです。よくよく考えてみたらどうもわれわれは論理で考える。向こうは感覚的にものごとを判断するという差があるようなふうに思うのです。したがって、そういう人たちに郵便は公共事業なんですよ、これは大切なんですよ、したがってあなた方使命感を持ちなさい、こういうような論理的なことを言っても、彼らはなかなかうんと言わないですね。何も郵便だけではないのじゃないかということになるわけですね。すべて物を生産しているところ公共でないものはないですからね、たまたま政府がやっておるから公共機関だというだけであって、そういうことを考えると、なかなか非常にむずかしいのじゃないか、そういうことをあなた方も十分ひとつ考えてもらいたいと思うのです。 それからもう一つは、給与の問題なんですが、いままでは要するにみなと同一の賃金、いわゆる水平運動といいますか、レベル運動といいますか、そういうもので足りたのですね。しかし、いまはそれは宣伝、広告のテーマにならないのですね、同一ということは。そうでなくて、人より差があるというものがいまの広告のテーマなんです。差がなければ人は飛びついてこないです。同じ自動車を持っておってもだめなんです。ちょっとでも変わった性能のいいものを持たないと、もう飛びついてこないという時代になりつつある。したがって、初任給が一般公務員と同じだと、一切遜色はない、こういうようなことで郵政省がやっておられたら、これは全然採用できませんね。特に二、三日前、新聞に発表されておりまするように、地方公務員の平均給与が出ておりますが、東京都の職員の平均は六万七千円。ところが、公務員の平均賃金は四万七、八千円ですね。優に二万円からの差があるわけですね。これでは、同一どころではなくて、どうして採用ができるか。こういう点は、どういうふうにお考えですか。
○政府委員(中田正一君) 仰せのとおりでございまして、郵政職員の場合に、郵政事業の特殊性から、一般公務員との関連でいろいろ措置をしております。特に郵便外務員の場合には、確保の点、仕事の内容の点から、特別の配意をいたしておりまして、一般公務員と同じだからよろしいじゃないかというようなことでなしに、郵政職員の初任給そもそもが一般公務員よりよくなっておりますが、郵便外務員の場合にはさらによくしてやろう。だから公務員と比べます限り、あるいは郵政職員の場合にも、内勤職員と比べる限りにおいては、郵便外務員は、特に大都市の場合には相当よろしいものになっているわけでございます。先ほど、地方公務員の平均給与と国家公務員の平均給与との比較のお話しがありましたけれども、これは郵政職員を除くというか、郵政職員も入れた資料かどうか存じませんが、主として一般公務員の平均給与と地方公務員の比較ではなかろうかと思うのでございまして、郵政職員の場合、相当配意しておるということでございます。
○野上元君 昔は、公務員の賃金を論ずる場合には、他の公務員との比較ということが非常に重要なポイントだったわけです。これが一つのテーマだった。しかし、さっき言ったように、買い手市場になってくると、公務員との比較だけじゃだめなんですね。いわゆる一般の民間企業が大きく開放されているわけですから、しかも、花形産業が一ぱいあるわけですからね、労働力を吸収しようとしているところが。そういうものと比較をするわけです、これからは。だから、よほど思い切った措置をとっていかないと、とにかく、外務員は私は吸収できないと思うのです。しかも、郵便事業としては、ネックはここの、外務員のところにある。しかも、これは思うようになかなか機械化ができないということになると、しかも、郵便物がふえるに従ってその対応策としては、どうしても労働力をふやしていかなければならない。これは、もう明らかなんですね。さっきの論理じゃないけれども、論理的に言えば。こういうことになると、これがあなた方の使命だということになれば、相当思い切ったことを考えないと、一般の公務員との間の比較なんかではとても来ないかもしれませんね。これは、あなた方もよく考えていただきたいと思います。 これは要らぬことですが、社会心理学者等の研究によりますと、最終的に問題になるのは、いわゆる人のいやがる仕事をだれがやるかという問題だというのですよ。最終的に、世界で一番問題になるのは。たとえば、いまの給与の四倍、五倍にもなるというのですね。日本も、西暦二〇〇〇年になると、大体一人当たりの国民所得は四千ドルから一万ドルの間になるだろうと、こういうのですね。そういう場合に、どこへ行ってもそれだけの賃金がもらえるならば、人のいやがるような仕事をはたしてするだろうかという問題が最終的に残る問題だというのですね、それだけ高い俸給をどこでもくれるならば。だから、市役所あたりの清掃事業ですね。便所のくみ取りだとか、あるいはダスター・ボックスの整理だとか、こういうことはだれが一体やるのだろう。おそらく、二倍も三倍も給与を出さなければ、そんなことはやらなくなるだろう。そんなことをやらなくても、自動車の二、三台も持って、ゆうゆう生活ができるのに、だれが、何を好んでダスター・ボックスの中に首を突っ込むものがいるだろうか。したがって、そういう点が心配なんです。したがって、そういう点は早く考えて、二、三倍の給与を出すようなことを考えなければ、とても人は来ないだろうということになるのですね。そのことを外務員と比較するのは不見識だと思いますよ。不見識だと思いますけれども、しかし、やっぱりそう思われたら、これは問題ですね。郵便局の中では一番いやな仕事なんだというふうに、従業員自身が思うようになったときには、もう人は採用できないということになると、非常に問題があると思います。したがって、その点は、いままでの公務員の給与にちょっと、千円くらい高いとかというようなことでは、とても採用はできなくなるのじゃないか。しかも、これが郵政事業のキーポイントだということになれば、相当の犠牲を払う覚悟が必要じゃないかという気がしますけれども、どうですか、郵務局長。
○政府委員(竹下一記君) おっしゃるとおりだと思います。
○野上元君 それで先ほど中田さんから幾つかの努力目標があげられましたね。たとえば、宿舎の施設を完備するとか、あるいは局舎そのものの設備を完備するとか、あるいは初任給をよくするとか、あるいは服装をよくするとか、いろんなことを考えられておるということです。しかし、あなたのそういうことばを私は信じないわけじゃないんですよ。しかしさっき言ったように、そのことができるかどうかが問題なんですね。できないことなら言わぬほうがいいです。四十五年度の予算を見ていると百三十何億の赤字ですね、もうすでに。その赤字をかかえておって、そういうことができるのかどうか、来年は一体どうするのですか、その赤字を。
○政府委員(溝呂木繁君) 赤字の問題がありましたので私からお答え申し上げますが、なるほど昭和四十五年度の予算では歳出が歳入をオーバーすること百三十三億ですが、逆に申し上げますと、収入の増は四十四年度に対して相当盛り込んだつもりです。先ほど来いろいろ論争されました点等を考慮して、さらに建設勘定、業務費の中にも相当の支出増を見込んだ結果、逆にいうと、支出がオーバーして収入が赤字になるという形です。しかし、これは御承知のようにそういう予算を見込み得るだけの、いうところの持ち越し現金がありましたためにそういう予算が組めたということでございますが、今後四十六年度以降、まあわれわれの認識が、いまの議論を見ましてもまだまだ甘いと、もっともっと危機感を持っていろんな郵便事業の対策をしなければならぬとすると、いままでのベースの予算の支出ではちょっと問題があるような気がいたします。相当抜本的なことをするとかなりの支出増を見込まなきゃならない。一方現実的な問題としては、民間賃金が上がっていくことによる仲裁裁定、これはどちらかといえば最低的な線になるかもしれませんが、いずれ仲裁裁定というものが出てくる、もちろんそれは一般論ですが、さらにそのような青少年の新しい雇用難に対処するための別の経費、いわゆる立体的な経費が必要になってくるということになりますと、四十六年度以降は、今度は、そういう支出をまかなうだけの収入がないとするならば、しかも、持ち越し現金という手はございませんので、当然それに対しては一般会計の繰り入れが、借り入れ金か、料金値上げか、この三つによってしか、その財政危機を解除することはできないという状況になろうかと思います。
○野上元君 もう一ぺんその結論を言ってください。条件は幾つありますか。
○政府委員(溝呂木繁君) 一般会計からの補てん、それから借り入れ金、それから料金値上げ、そのうちちょっと御説明しておきますと、一般会計からの繰り入れというのは、これを補てんというふうに考えるといいますか、単なる借り入れでなしに、赤字を補てんしてしまうということになりますと、これは赤字補てんになって赤字が消えます。二番目に申し上げました借り入れというのは、単に、赤字予算を組みますと、結局資金が不足しますので、赤字でありながら結局事業を遂行するために必要な資金の借り入れという形で、いわゆる赤字の対策にはなりませんが、その業務を遂行するに必要な資金という意味でその手当ての問題が出てまいります。それから料金値上げ、これは財政そのものを立て直す抜本的な方法ということになろうかと思います。
○野上元君 経理局長は、郵政の将来からみてどの方法が一番いいと思いますか。
○政府委員(溝呂木繁君) この三つの方法についての評価でございますが、それぞれの立場立場によって評価は変わろうかと思います。一般国民の物価安定という面から見れば、また別の意見があろうかと思いますが、ここでは私は郵政の財政をになう一員としての意見ということでお聞き願いたいと思いますが、一応われわれ郵政事業というもの、特に郵便事業というものは独立採算制をもってすべきだという観念に立っております。ということは、郵便の支出は郵便の利用者からいただくという、受益者負担による独立採算制が郵便事業の基本的な考え方ではないだろうかというふうに考えますならば、しかもその財政の赤字を埋めるのに他の方法をもってすれば一時的な方法であるにしても、長い将来、計画等を考える方法ということを二つ考え合わせるならば、料金値上げが財政当局からすれば一番望ましい方法ではないかというふうに考えております。
○野上元君 そうしますと、あなた方が事務的に考えてみれば、来年あたり料金値上げが望ましい、できれば提案したい、こういう考え方ですか。
○政府委員(溝呂木繁君) 先ほど申し上げましたように、事務当局の意見でございますが、いろいろ物価安定という問題はそういった財政のというか、事業の筋とか、そういうものをもこえて、より以上の重要な政策問題になってくれば、当然その問題はもう少しわれわれ以上のレベルの段階で取捨選択されるものと思いますが、あくまでも私が申し上げましたのは、事業財政をあずかる面からの希望的見解というふうに御理解願いたいと思います。
○野上元君 その点で二、三質問してみたいと思うんですが、私もやっぱりそういう考え方が、いわゆる独立採算というか、企業的経営ということが望ましいというふうには実は考えておったんです。しかし、どうも政府の考え方はさっき言ったように、ナショナルミニマム的な考え方なんです。ということになると、どだい思想的に企業経営としては成り立たぬと思うんです、ナショナルミニマム的な考え方では。したがって、もしも政府が、大蔵省がそういうなら一般会計のほうにしてしまって、独立採算でやるより一般会計にして、そして思い切った施策をやらしていくほうがむしろ得策じゃないか。料金値上げということになると、常に何といいますか、つまらぬプレッシャーがかかってくるわけです。事務的に見れば、経営的に見れば、政治的プレッシャーがかかるわけですから、これは企業経営としては、そういうものがかかってきたんでは成り立たないわけです。それを埋めるのはやっぱり財政的援助がなければならないわけです。あるいは借り入れにしても、将来の見通しなく借り入れしたら、ますます重みを背負うばかりですからね。だからかえって問題があるというような気がするから、その点では一般会計にしたらどうかというような気がするんだが、その点どうですか。
○政府委員(溝呂木繁君) 先ほど来郵便事業というものが、ナショナルミニマムだというお話があったわけでありますが、郵務局長からもちょっとお話があったかと思いますが、今度、公社化問題でナショナルミニマムという面が強く前面に出されましたのは、金融機関、貯金、保険関係についてでありまして、そのときに日本の金融というものはどうあるべきか、民間金融機関というものがこれだけ発達した中において、郵政省の扱う郵便貯金とか簡易保険、そういったものが、いわゆる大蔵省のほうから見るならば、民間金融機関に対する一種の、彼らのことばを言わせれば、補完的な立場にあるのじゃないか。その限りにおいて必要性がなくなれば、交代してもいいんじゃないか。要するに、財投資金として必要な限りにおいてはわかるけれども、そういう他からの要望なしにかってに自分から銀行とか民間金融機関と競争して表に出るべきものではないという意味において、ナショナルミニマムということばが使われたというように私は記憶しております。郵便事業につきましては、ナショナルミニマムということばはほとんど大蔵方面あるいはその他の先生からも使われなかったように思います。したがいまして、私どもとしては、先ほどから郵務局長が御説明したとおり、郵便事業については、ナショナルミニマムというふうに考えております。ただ、それにしては、先生方から見るならば、あまりにも態度が消極的という、何かしら弱腰であるというのでわれわれを激励する意味において、いまの状態ならナショナルミニマムだと、こういうふうにおっしゃった批判のことばならばそのまま受け取ります。要するに、外部からのナショナルミニマムというのは、郵便事業では使わないと考えております。したがいまして、われわれ郵便事業というものを、一時はナショナルミニマムという考え方よりは、むしろ情報化社会の中において電気通信なりデータ通信、そういうものが発達すれば郵便事業というものが斜陽になるのじゃないかということを事実心配した時代があります。そういうことが何かしら消極的な感じを持たせております。先ほどから郵務局長からお話がありましたように、アメリカあたりでも世界的な問題ですが、決していまの情報化社会が高度に発達しても郵便の需要というものは減らない。ただ、構成面からいいますと、一種、二種的なものよりも商業通信そういったものに移行するであろう。そういった社会の郵便需要に応じた施策を講ずるならば、郵便事業そのものはまだまだ発展し、伸びるであろう、これだけ外部の需要が発展し伸びるものであれば、それをやるだけの事業として、当然事業を独立してできるはずである。したがいまして、われわれとして、はそういう将来伸びる郵便事業に対処するだけの財政というものを考える意味で、独立採算でなし得るのではないか、ただ、その事業というものが機械化できない、いわゆる装備化できないために生産性の向上が十分にいかない、しかし、いろいろの所得というものは伸びていく、そのギャップがあるために赤字が生じてくるという面がございまして、これは、何もわれわれだけでなしに、人的——人の力によらざるを得ないサービス産業——床屋さんだとかそういったものはある程度料金値上げというか、サービス料金、いわゆる人が負う分だけは料金が上がっていくという形で工業化社会というものは安定するのではないか。やはり郵便事業というものの料金を、そういった意味において許容していただいて、それ相当の料金水準というものが保ち得る、そうしてその上において独立採算制を考えていく、こういうふうに考えておりまして、このことについては、必ずしも財務当局は反対しておるのじゃないというふうに私は考えております。
○野上元君 それなら、そういう考え方も一つあると思いますが、ただ、私が実際心配するのは、料金の問題でいつも私は論争するわけですが、郵便事業というものを経営的に見た場合に、適正料金というのはあるのかどうか、経営的に見てですよ。適正料金というのは一体あるのかというのです。たとえばここまで料金を上げてくれればこれだけの設備投資ができてそれだけ生産性が向上するから、したがってむだは吸収できる。そうして少なくとも損益分岐点はそこからはもう下がりません。ところが実際はそうじゃないのだね。上がって、料金値上げをしたときだけ、その年だけ損益分岐点が下がるが、また翌年からどんどん上がってくる、そうしてパンクしてしまう。これを三年か四年の周期で繰り返しているわけです。郵便料金というものは適正料金というものはないのだ、企業的に見て、経営的に見て。そういうことを私は思うのですね。たとえばいまの郵便料金を二倍にしたら、もう将来永久に、あるいは永久というのはおかしいけれども、長期にわたってもう上げる必要がないのだ、だんだんだんだん収益が上がっていく、したがって、それによって今度は新しい設備投資もできて生産性向上もできるのだという循環ができるのだ、いわゆる拡大生産の循環がうまくいくのだというものがないのですね。だから、上げるけれども三年——四年たつとまたパンクするということを繰り返しておっては、これはあなた方が幾ら独立採算制がどうだの、企業経営的にどうだの言っても、どだい成り立たないことをやろうとしておるのじゃないか、それに向かって努力しているのじゃないか。それで逆に政治的プレッシャーがかかって料金値上げをやらせられる。そうしてあなた方苦労しなければならぬということを繰り返しておるならば、少なくともそれはもう成り立たないのだという見通しの上に立って、一般会計でやっていくということにしたらどうなんだというような気がするのですね。それで、私もついきのう、九日の新聞で地方公務員の実態というやつを、朝日新聞に出ておるのを見ておったら、警察官が非常に急増しておるのですね。ところが、一般公務員はわずか二%くらいしかふえておらない、警察官は七%も八%もふえているということを考えると、いわゆる独立採算制にしておくほうが採用がむずかしいのであって、一般会計にしたほうが採用しやすいのじゃないかというような気がしてならぬのです。最近のそういう点どうですか。
○政府委員(溝呂木繁君) 一般論を私申し上げたいと思いますが、最近における——確かにおっしゃいますように、四十一年度値上げして、すでに四十五年度で赤字が出るということで、いま御説のように、値上げをした当座はいいが、すぐに赤字になる、こういう状態では要するに長期的な事業の独立採算制が見込めないのじゃないかという御批判かと思います。おっしゃるように実態はそうなっております。ただ、なぜ最近においてそういう状態になっておるかと申し上げますと、たまたま日本のGNPあるいは経済成長が非常に激しいということ、それからそれが先ほど出ましたように日本の社会構造というものが非常にいまの時点で大きく変化しつつある。たとえば同じ郵便物数であったならば、昔ならばそれが同じ収入を生み、同じコストであったものが、核分裂といいますか、世帯が分かれていくので、それに応じて配達個所がふえていく。したがって、同じ物数であっても配達料金は上がっていくとか、いろいろ社会構造の急変に応じていわゆる郵便事業というものはかなり大きな困難をきたすという気がいたします。その例を具体的に見ますと、われわれのいま収入を見ますと、大体最近、今度の四十五年度予算では四十四年度に対して六、七%の収入増を見込んでおります。これが一般的な社会の発展途上における増加であるならば、十分いろいろの増をまかなうに足る、何といいますか、対前年増加率だと思います。しかし一方では、国民所得の伸び等とも比例して支出のほうは一三、四%伸びております、ベースアップとか、そういったもので。したがいまして、ちょうど何といいますか、所得の伸びのズレといいますか、そういった関係で収入が支出に追いつかない。これがここ十年間ぐらいの形でございまして、これが続く限りにおいては、おっしゃいましたような郵便事業というものはある程度値上げしたときはいいが、だんだん収支の逆ざやが詰まっていって、数年間で赤字になる、こういう状態を現出しておるわけであります。ただ、今後われわれが期待しておりますのは、いずれ物価の安定、そういった発展しながらもある程度の安定発展ということをいろいろ考えていただいているようでありますので、そうなってくれば、郵便というものも決して独立採算に合わない事業ではなく、ある程度独立採算の上に乗って事業が運営できるというふうに考えております。
○野上元君 いまそういう状態であるのはGNPの伸びが予想外に大きい、それに対する収入が追いつかないというような見解を表明されたわけですが、私もそうだと思うのです。ところが、その状態がますます続くと、私は思うのです。というのは過去十年間GNPが大体四・四倍ぐらい上がっているわけですね。今後昭和六十年に、さっきの新全総を見ればわかりますように、もうとてつもない大きな額の投資があるわけです。そうするとこれは当然GNPが四・四倍ぐらいは上がるだろうと思うのです、また今後十年間ぐらいに。そのときに先ほど郵務局長が言われたように郵便物は六十年には大体二百十億ですか、倍ぐらいになる。ところが、片一方GNPのほうは四倍も五倍も上がるわけです。そうしますと、そこにギャップが出てくると思うのですね。そうして給料もやはりGNPに従っていまの給料の三倍や四倍になると思うのです。ところが郵便物数のほうは二倍ぐらいしかふえていかないということになると、これは企業経営から見て非常にむずかしい問題をはらんでいるんじゃないか、特に今後の変化は激しいと思うのです。先ほど例にあげたように、過去十年間の投資額が六十二兆円とすると、今度は五百兆円ですから、今度はすばらしい変化があるだろうと思うのです。それに追いつけるかどうか。これは非常に問題があるんじゃないかという気がするんですね。
○政府委員(溝呂木繁君) いまGNPの伸びの新全総における例が出たわけであります。私の手元の資料によりますと確かに伸びますが、一応四十年から六十年代の年率の伸びは七・五%から八・三%のGNPの伸び率のように私どもの手元の資料にはあるわけでありますが、そうしますと、要するに七、八%の伸び率であれば、そしてわれわれの支出も七、八%の伸び率とすれば、今度は収入があと七、八%伸びていけば、とんとんか黒字になれば心配ないわけでございます。問題は七、八%でGNPの年率の伸びがとまるかどうかというのが心配でして、もし七、八%でとまれば、今度はわれわれのほうの郵便需要というものが七、八%ぐらいあるかどうか、そちらのほうの心配をしなければならぬ。また相手の、われわれの気持ちが座して需要を待つという形ではなしに、積極的に何か潜在需要というものを喚起しながら、少しでも郵便というものを出していただくような方向に積極的になるとか、そういう方法を講じていって、そして収入のほうも七、八%増になればそれほど心配しないで済む状態ではないかというふうに私は考えております。
○野上元君 あまり時間がないようですから適当なところでやめたいと思いますが、郵務局長に聞きたいのですが、いま通常郵便物数の中に占めるダイレクト・メールというのはどのくらいの比率を持っているのですか。
○政府委員(竹下一記君) ダイレクト・メールの占める比率は、通常郵便物の中でおおよそ三割ないし四割あるだろうと思います。
○野上元君 それを経理局長、郵便の通常収入から言ってもらえませんか。
○政府委員(溝呂木繁君) ダイレクト・メールという形態で収入をちょっと把握することは困難なんでありますが、一つの目安として、いま私の手元にあります資料では、要するに収入の中に切手収入、はがき収入、後別納収入という収入項目があるわけですが、それを見ますと、たとえば後納別の、これが大量に商業通信に使われる分と考えますと、これは三十三年を一〇〇にした場合に、四十三年では四九三ということで五倍近くなっております。全体では三倍近くの収入増の中で、後別納は実に五倍近くなっておる。それがある意味ではダイレクト・メール、そういった商業通信の伸びが実際の通信の上には反映しておるのではないかと思いますが、御質問とちょっと答えがすれ違ったかもしれませんが。
○野上元君 したがって現在においても、これは非常に大きな収入源であると同時に、あなたのほうでは将来産業社会がさらに情報化社会に発展していく段階においてこの部分がふえるだろう、こういうふうな見通しを持っておられるわけですか。
○政府委員(溝呂木繁君) 当然われわれの収入の大宗はそういった分野に依存せざるを得ないだろうというふうに考えております。
○野上元君 そこで、私もちょっと心配になったので聞いておきたいんですが、ニューヨークのラスター・リンク・コーポレーションという会社があるわけですが、CATV関係だろうと思いますけれども、この社長が今後の十年間における興味あるスケジュールを発表しておるのです。それによりますと、大体CATVが二十チャンネルになるのは一九七〇年中になるだろう。その二十チャンネルのCATVができると、買いものというのはテレビでやるだろう。ということは、逆にいえば、いわゆる販売業者はテレビに広告するだろう、いままでのようなダイレクト・メールなんかもう廃止して、テレビで各家庭にずっと商品を知らせる、それによって買えるという状態になるだろう、こう言うのですね。それから新聞のファクシミリも一九七一年になったら模写電送がやれるだろうということになると、新聞配達もなくなるだろう。それから一九七三年には四十チャンネルになるだろう。それからクレジットカードなどで銀行業務をやる、これは一九七四年中にはできる。家庭におってすべての商取引ができるのは一九七五年。そうして全世界との直接テレビ交信ができるのは一九七八年だと、こういう計画を発表したわけです。したがって、これが郵便事業にどういうふうに影響があるかということを実は考えてみたのですが、テレビによる買いものというものも影響あるわけです。ファクシミリができるということも重大な影響がある。これはプラスの面があるかもしれません、新聞の配達はむしろ赤字なんですから。それから銀行業務のクレジットカードができる、これは貯金関係に影響が出てくるのではないかという気がします。それから家庭にいながらにして商取引がすべてできるということになると、これも非常に重要なことになる。さらに人間が映るテレビ、ああいうものが、きのう展示会で私も万博のお嬢さんと話をしましたが、そういうものもできるというようなことになると、もうダイレクト・メールなんかに何千億という、あるいは何百億という広告費を出す必要はなくなるんじゃないか。百貨店はすべてテレビでずっともうやってしまう。それによって、いながらにしてそれを注文すればいいわけですから、そういう時代がこれによるともうすぐ来るんですな。五、六年の間に来るということになると、ダイレクト・メールは将来ふえるのだといって安心しておられるかというような心配が出たのです、実は私はよく本を読んでおって。その点はどうですか。
○政府委員(竹下一記君) テレビで買いものができる、あるいは広告主が広告をするという時代が来るようになれば、直接にはダイレクトメールが少なくなると思います。ところが先ほどお話がございました中に、クレジットカードの利用ということがありますが、これはアメリカだけでなくて、すでに日本でもあらわれてきております。 それから、いろんな買いものの支払い、公共料金の支払いですね、これは自動振替制度というのが、最近日本におきましても非常に発展いたしまして、水道、ガス、電気、NHKの聴取料、そういったものは自動振替制度を利用する、利用者は。それで依頼を受けました銀行等では、コンピューターを操作して集中処理をやると、こういうふうになってきておりますので、こういう傾向は今後一段と活発化してくると思われます。ただしその場合におもしろいことには、郵便物がふえるわけでありまして、そういう支払いの方法をやりましたあとには、必ず証拠書類のやりとりというものが伴ってきますから、現実に郵便がふえてくる。アメリカで最近物数がふえてきておる大きい原因の一つは、いま言ったような決済手段の何といいますか、自動振替制度の普及によるものだと言われております。そういう面のプラスが出てきて、これは案外大きい今後の郵便利用の新しい構造的な一面として出てくるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
○野上元君 それは何といいますかね、一つのものが発展して新しいものを生み出していく。しかし、次にはそれをまた吸収するものができるわけですね。その期間だけは確かにあなたの言われるように、郵便事業にとって物増というものをもたらすかもしれませんが、ここで言うのは、そういうものがいま郵便局を利用されておる、あるいは銀行を利用されておる、しかし今後はCATVといういわゆるケーブルテレビですね、ケーブルテレビによってそれを全部やってしまうと、こういうことなんですよ。したがって、もう郵便局は経由しないのです、そのメッセージはね。いきなりテレビにあらわれてくる、こういう計画をやっておるということなんです。したがって、あなたの言われておるような甘い汁がはたして出てくるかどうかは問題があるというように考えるわけです。しかし、これは先のことですからね。私も、どういうことになるか、私自身がよくわかりませんから、あなた方にどういう計画があるか聞きたかったんですが、しかしあなた方としては、現在の問題を解決するのに全精力をあげなければならぬということもよくわかるのですから、そういう点は考慮しながら今後やっていってもらいたい。でないと、結局行き詰まるのじゃなかろうかというような気がします。したがって、先ほどに返ってくるように、やっぱり郵便法あるいは郵便規則というようなものの抜本的な一つの改革というものを考慮しなきゃいかぬのじゃないかというような気もするわけですね。 そこで、これは官房長に聞いたらいいんだろうと思いますが、郵政審議会というのがありますね。このメンバーを見ますと、いわゆる伝統的な人が多いわけですな。いわば何といいますか、専門家がそろっているわけですね。だから、あれに、やはり血族結婚ではいい子供が生まれないと同じで、やはりアマチュアリズムをあの中に注ぎ込むべきですよ。私はそう思うのです。最近の状況から見て、特に開かれたこの社会から見て、いままで閉ざされた郵便という部門だけを専門的にやっておる人だけでは、どうしてもその伝統から解放できないのですね。どうしてもそこへいくのです。だからそれを解放する意味において少しアマチュアリズムをあの中に注入するという意味で私は提案をしたいのですけれどもね。たとえばいま政治においてももう哲学が必要なんですね。あるいは心理学も必要なんです。社会心理学も必要なんです。もう経済学も必要でしょう。政治学も必要でしょう。しかし、いままでのように政治と経済だけ知っていればよかったのじゃないのですね。いかにして人の心をつかむかということには心理学が非常に重要な働きをしているわけでしょう。だからやはり郵政審議会のメンバーの中にそういう斬新な者を注入して、やはりその中からいい結果を生み出せるような方途を早く考えて手を打っていかないと手おくれになりゃせぬか、同じ結論をしょっちゅう出しておるようなことになりゃせぬかというような気がするのだが、その点どうですか。
○政府委員(野田誠二郎君) 御承知のとおり、郵政審議会の中に郵便のみならず、貯金、保険、それから電気通信関係の部会もございますが、先生おっしゃいますように、まさに情報化時代といいますか、非常に高度化した、いろいろな技術的その他の点で非常にむずかしい世の中を迎えておりますので、先生の御趣旨を十分上司にお伝えしたい、かように考えております。
○野上元君 官房長としては、それくらいしか答弁できないと思いますがね、ぜひそれは私は実現したほうがいいと思うのです。率直に言って、もういまそういう人の知恵を借りてやらなければ発展がないですよ。やはり時代の何といいますか、変化にもう敏感に反応して、そうして対処できる組織だけが残るわけですからね。それに対処できない、反応をしないような組織はもうそれは滅びていくだけですから。 だから、そういう意味で、やはり早く知恵を借りたほうがいいような気がするのです。明治時代の郵便法で育てられた人ばかり集めてやっておると、やはりまた明治のほうに入っていって、明治は遠くなりにけりでなくて、明治は近くなりにけりのほうになっちゃうから、そういう点ちょっと心配なので、提案をしておきます。まあ実現されるかどうかは、ひとつ政務次官もおいでのようですから、ぜひ聞いておいてもらいたいと思います。 それから公社化の問題が出たのですがね……。
○永岡光治君 ちょっとその前に関連で、いいですか。 いま野上委員がきょう午前中から未来像といいますか、だいぶ長い展望に立っていろいろ郵政事業にこういう問題があるのじゃないか、こういうことはどう考えるかという、いろいろな示唆に富んだ質問も出ておるようでありますが、確かに傾聴に値すべき問題でありまして、やはり後手後手となってはならぬという感じがいたしておりますが、しかも当面は、また郵便の遅配等を中心にいたしまして、かなり議論が出ておりますし、その運営についても混乱が出ているようでありますが、それら等を含めまして特に未来の社会の発展に対する対策を考えていくと申しますか、そういう意味で、私はいまの郵政省の機構の中でそれを考える人があまりいないのじゃないか。まあ個々にそれぞれの部局課において考えておるけれども、私どもも外から見ておりますと、たいへん仕事が忙しくて、朝から夜おそくまで仕事に追われているという状況でありまして、これは非常に郵政としては大きな公共企業をかかえておるにもかかわらず、そういう経営なり運営について、あるいは労働不足に対する対策等の問題についての施策を考える部局が総合的にないような気がいたします。で、これは電電公社等を拝見いたしておりますと、それらの調査役等がその分野に当たっているようでありますけれども、一日じゅうたばこを吹かしてお茶を飲んでいるような人もたまにやってもいいのじゃないか、そういう施策を考えることを。そういう意味で、そういう考えを持つ部局と申しますか、そういう部局もどうも郵政省にとっては必要ではないだろうか。本省段階に、あるいは郵政局段階でやるかどうかは別といたしまして、やはりそういう機構を考えたらどうかと思うのでございますが、幸い、大臣おりませんけれども、政務次官おいでになりますので、ひとつ検討の対象としてこれは考える必要があるのじゃないかと思いますが、どうでございますか。
○政府委員(小渕恵三君) 御指摘のように現在の省内におきます官房企画の面におきまして、若干総合的な将来を見通してのビジョンを計画する面にはやや弱い点があろうかと思いますので、別の機構をつくり上げるかどうかにつきましては、今後検討を要すべきだと存じますけれども、当面は官房におきます企画をさらに強化し、あわせて将来の問題に対して検討してみたいと存じます。
○白井勇君 関連、私も、先ほど来の野上さんの御意見に全く賛成で、敬意を持って聞いておったんですが、いま永岡さんからお話があったんですけれども、これは郵政省というものは郵便業務だけについては何とかしなきゃいかぬですね。ですから、いま野上先生からお話しのあった郵政審議会の内容を変える必要があれば変えなければならない、あるいはまた事務局として何か部局をつくる、そういう必要があれば必要でありましょう。とにかく何らかの方法で差し迫ってやっぱり郵便事業について抜本的に何か対策を考えることをやらなきゃいかぬ段階じゃないかと思うんですね。私は、だから公社化については内部に協議会か何かできましてやるそうでありますけれども、公社化以上に私はやっぱり来年のことを考え郵便局そのものについての、先ほど来御指摘のようなことを根本的にここで洗い直すような、そういう体制に取り組むべきだと思うんですが、政務次官いかがですか。
○政府委員(小渕恵三君) 先ほど来、貴重な御意見を拝聴しておるわけでありますが、郵政事業の中にも電信電話の問題につきましては……。
○白井勇君 私は郵便事業のことを言っているんです。
○政府委員(小渕恵三君) 非常に未確定要素の問題がありますにもかかわらず、相当検討されておるという考え方をいたしておりますが、郵政事業の郵便の問題につきましては、御指摘のとおりに、いま一度総点検をされまして、将来の方向を定めていく時期にきたという感じをいたしております。
○野上元君 それでは、公社化の問題に入りたいと思いましたけれども、あまり時間がありませんからそれはやめにして、遅配の原因というものをどういうふうにお考えになっておるか、その点を聞きたいんですが、この間も話しましたように、私も朝日新聞の記事の中にソ連でも郵便遅配、トルストイもあっと言っておる、あっと驚くトルストイということで、『「七十年前、トルストイがモスクワからペテルスブルグ(現レニングラード)に出した手紙は翌日ついた。いまは五日もかかる」——この″情報化時代″に、郵便の遅れがひどすぎると、ソ連の文学新聞が四日、大論文を掲げて、郵便配達の能率化を要求した。』そして以下モスクワといろいろの都市との間の過去と現在の日数を比較しておりますが、みんな倍以上かかっている、七十年前から見ると。そうすると郵便というものは七十年間だんだんあとずさりしている、全然進歩していないということになるわけです。進歩どころじゃなくて著しく後退している、こういうことがソビエトでもいわれておるわけですね。やはり、これは日本にも関連があるんじゃないでしょうか。世界的な問題じゃないでしょうか。その点どういうふうにお考えなのか。それともう一つは、遅配とは何ぞや、さっき言ったように絶対的遅配と相対的遅配とありますけれども、少なくとも郵政省が考えておる標準的な差し出しから配達までの時間というものとの差というものはどういうふうにいまやっておられるのか、それに対してどう対処されようとしておるのか、そういう点を聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(竹下一記君) 世界的に、いわゆる相対的遅配が起きておるということは御指摘のとおりだと思います。その原因はやはり物数の著しい増加であると思います。日本でもそうですし、外国でも郵便物が非常に増加してきておる。それに対応する労働力の充足が思うにまかせないということだろうと思います。日本におきましても、戦前はたいへん理想的なサービスをやっておったわけですけれども、その当時は軍事郵便を入れましても四十七億か四十八億通にすぎなかったのでありまして、今日ではすでに百四億通になっておる。二倍以上になっておるという事実がございまして、この物数の異常な増加ということが最大の原因になっておると思います。この遅配のもう一つの面ですが、新幹線の利用ができない等々の事情もございまして、全体的には幾らか配達がおそくなっておる、いわゆるそれを相対的遅配と申しますとすれば、そういう傾向は全国的に見られるわけでございまして、これはやむを得ないとは申しませんけれども、なかなかむずかしい一面がございまして、これにつきましては局舎の改善、要員の充足、運送便の改善等々につきまして、相当気長に——気長と言うと非常にことばとして悪いのですが、かなり時間をかけませんと、相対的遅配の取り戻しはなかなかむずかしいと思います。ただし、その面につきましては、予算その他対策を講じて懸命に取り組んでおるわけでございます。一番問題になりますのは絶対的遅配のことだと思いますが、私どもは一応全国主要都市間の送達日数の標準的なものをちゃんと用意しておりますが、なかなかそういうふうにその日数で届かない、時間がかかるという現実に悩まされておるわけですが、その場合を見ますると、大部分の局が、仕事に取り組む姿勢あるいは体制といいますか、あるいは職場規律といいますか、そういった面でよろしくない、いわゆる荒れた職場ということになっておりまして、これはもちろん全国的に数はそう多くございません。局をあげれば幾つかの局があがってくるくらいの、きわめて少数の局でありますけれども、この局におきましては取り扱いが異常に普通世間並みでございませんで、能率が非常に悪い。こういうところは遅配にいたしましても二日とか三日とか、場合によりましたら五日、一週間といったようなおくれを出すわけでございまして、これはその原因は別にありますから、その対策も別途考慮する必要があろうかと思います。
○野上元君 まあレア・ケースは別として、一般論として郵便遅配の問題を論じてみたいと思うのですが、あなたのほうで一応の標準時間というものは持っておる、しかしなかなかそうはいかぬ、こういうわけですが、その標準時間というのは、それぞれ区別的にされておるわけでしょう。たとえば差し出してから消印までがどのくらいで、区分されるまでがどのくらいで、そうして汽車に乗ってどのくらいで、配達にどのくらいかというふうに分けておられると思うのですが、どこのところでおくれるのですか、標準時間よりも。
○政府委員(竹下一記君) 最大のものはやはり配達という面であります。それからもう一つは、差し出しという面もございます。何かの事情で多量のものが一度に差し出されるということになりますと、既定の結束が守れない。一便おくれ、二便おくれになって運送便にかかるということもございまして、いろいろ原因がございますが、最大のものはやはり到達した後の処理にあるように思います。
○野上元君 先ほど一般的に郵便の遅配は、たまたま日本の郵政省とソ連の郵政省とは同じことを言ってるわけですな。たとえば、ソビエトの郵政省は、この新聞でつつかれて、その回答として、「革命後五十年の間に郵便物は十二倍にふえたのに、郵便職員は七倍にしかふえていない」これが遅配の原因であると、こういうふうに言ってるわけです。はからずもソビエト的回答と日本の郵政省の回答は一致したわけです。これは、おそらく世界中の郵政省がそういう答弁をするんだと思うのです。ところが、新聞は承知しないんですね、この取り上げた新聞は。そういういいかげんな答弁は成り立たないと、こう言ってるわけです。だからそのかわりに汽車のスピードは早くなったではないか、集配には馬車のかわりに自動車が使われておるではないか、こういうふうに反論しておるわけですね。なぜいままで一日のやつが五日もかかるんだと、こういうふうに、人員が不足だけではないだろう、もっとほかに原因があるだろう、こういうことを突っ込んでおるわけですね。それには郵政省もおそらく弱ってると思うのですが、たとえばこのソビエトの郵政省、新聞にも同じことが書いてあるのですがね、古くから、まず第一に方向別、第二に州別、第三に市町村別、三段階の仕分け方式がある。もう過去七十年間一向に変わらない、こういうふうに言っておるわけですが、日本も同じですね。だから明治初年の郵便が始まったときの、あの郵便区分台の前に立っておる郵便従業員の、当時は官員さんと言われたんだそうですが、あの服装と、いまの服装とが違うだけであって、設備とか、やってることは全く同じですね。あの当時はフロックコートを着て郵便の区分けをやっておったわけですね、写真を見ると。いまはジャンパーを着てやってる。それだけの違いであって、中身は全然変わっておらぬ。私もそれを見てね、何というか、ソビエトも同じなんだなあと、やはり、ここら辺に問題があるんじゃないかというような気もするんですがね。全くその進歩がない。まあ、こういうことが原因じゃないかということが言われておるわけですが、そういう点について、郵政省はどういうふうに考えていますか。
○政府委員(竹下一記君) 郵便の差し立ての場合の区分方法は、基本的には明治時代と変わっていないようであります。ただ、運送媒体として飛行機、自動車というものが大幅に採用がききますから、送達時間はうんと短縮されたと思います。ただし、運送便にかかるまで、あるいは運送便にかかって到着した後の人手による作業の場合に時間がかかるというふうな傾向が見受けられるわけであります。
○野上元君 あなたのほうもソビエトと同じように、ひとつ一ぺんやってみたら、試験をしてみたらどうですか。十年前といまとはたして早くなったかどうか、何百通か出してみればわかるでしょう。それによってどこに問題があるのか、早くつかむ必要があるような気がしますね。そういう点も一ぺんあなた方検討してもらいたいと思うのですね、どうですか、一ぺんおやりになってみたら。
○政府委員(竹下一記君) 試験通信という制度を設けまして、事務的にはやっているんです。東京から全国の主要地あての送達日数を調べ上げておりまして、一応やってはおるということでございます。
○野上元君 いつか、それじゃ公式なものを資料として下さい。そうしないと早くなっただろうと思うというようなことでは、われわれもなかなか納得できないから、数字で過去と現在の同じ距離における配達日数を一ぺん知りたいと思いますから、飛行機を使ってますますおそくなっているのじゃ意味がないですから、そういう点はひとつ頼んでおきます。 最後に私も申し上げておきたいのですが、私も現在の立場上、新局をつくられたときによく祝辞を述べに来いというので行くことがあるんですね。そのときに、こういうことばをいつも言っているんです。ゲーテのことばなんですが、手紙は人が後世に残し得る最も意義深き記念物である。これは地球上に人類が存在する限り、手紙というものは非常に重要なものなんだ、記念物なんだ、だから諸君しっかりがんばってくれという祝辞をいつも述べるのですが、私はそう思っているんですよ内心、いかに他の通信手段が発達しても、手紙の何といいますか、価値というものはますますふえていくと私は思うのです。特に何回も何回もなつかしい友達からの手紙は引っぱり出して読む、そういう習慣がわれわれありますね。それほど価値の多いものだと私は見ているのです。その価値多いものがだんだんだんだんさびれていくということは、われわれ非常に心配なんです。だからそういう意味において、どうかひとつ郵政当局も先ほどナショナルミニマム論を出しましたけれども、ますます発奮してやってもらいたいと思うのです。その他いろいろな質問もたくさんしたいと思いましたけれども、時間がありませんから、きょうはこれでやめますが、私の申し上げたのは、相当無理もあると思います。また不確定要素もたくさん入っていると思いますが、何らか将来を示唆するものがあるとすれば、あなた方もひとつ謙虚にこれを取り入れてもらいたいということを、最後に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤信一君) 速記をつけて。 午前はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 —————・————— 午後二時十一分開会
○委員長(近藤信一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。 日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。 本件に関し、質疑のある方は順次御発言願います。
○森勝治君 これから四十二年度のNHKの決算について、若干質問をしてみたいと思います。 まず、会計検査院に質問したいのでありますが、ここに出ております決算書は、当該年度の末期における財政使用の羅列にすぎないような気がしてならぬわけであります。収支予算等が適切かつ効率的に執行されているかどうかということはもとよりでありますが、この中身だけでは、どうも全貌を把握することが至って困難なような気がしてならぬわけであります。そこで、私はその点について担当の方から、きょうは部長ですか、おいでになっておられまするので、検査院当局が検査をされ、文書あるいは口頭等によって、そちら側の所見というものをNHKにおそらく出されておるだろうと思いますので、そういう問題についてお伺いしてみたいのです。 こういう質問をなぜ申し上げるかと申しますと、先般の決算の説明のときに、非常に簡潔な御報告で、おおむね良好である云々ということで、行ならば二行、内容ならば三十秒程度の御報告、説明でありましたので、あまりにも簡潔であり過ぎるような気がしてならぬわけであります。したがって、もう少し詳細にお話を承りたいということで、四十二年度の決算の質問をするにあたり、まず検査院のほうからお話を承りたいと思います。
○説明員(石川達郎君) 日本放送協会の決算にあたりまして、ただいま先生から御指摘ありましたように、予算が効率的に使われているかどうか、そういう観点から検査をいたしているのであります。検査の結果、違法あるいは不当な事項あるいは今後改善を要するというようなことがございますれば、これは書面をもちまして相手方の責任者に意見を出し、その結果、御報告申し上げるのが筋でございますが、四十二年度の決算を検査いたしました結果、さような事項がございませんでしたので、あえて指摘事項なし、こういう表現をいたしているわけであります。 なお、ただいま口頭で指示したものがあるかどうかということでございますが、一般的に申しまして、調査官が現場におきまして口頭で指示するというような事項はきわめて軽微な事項でございまして、たとえば帳簿のつけ落としがあるとか、さような点に限られるわけでございまして、そういう口頭指示いたしましたことは、ちょっとわれわれのところまでも届いておりませんので、おそらくさようなことはなかったのではないか、かように考えるわけであります。
○森勝治君 そういたしますと、先般口頭でこの場で御説明なされた、決算はおおむね良好であるという、一言でいえばそういう御説明でございましたね。したがって、そうなりますならば、改善すべきところすなわち改めるべき問題は何一つなくて、すべて円満かつ適正になされておった、こういう報告だというふうに承ってよろしゅうございますか。
○説明員(石川達郎君) 会計経理上の問題といたしましては、さように御理解願って差しつかえなかろうと思います。
○森勝治君 それでは、検査の方法が種々あると思うのです。規則から見ますと、書面と実地という、実際の検査をする実地ということがあります。それならば、書面の検査はどのくらいあるのか、その内容と、実地に行なった場合の日時、それと所要時間等についてお話を承りたい。
○説明員(石川達郎君) 最初に、書面検査でございますが、書面検査を行なうにあたりまして徴しました計算書は十二冊、その証拠書類といたしまして四百六十冊、二万九千枚ほどの証拠書類を徴しているわけでございます。これは総合残高試算表とか、あるいはそれに付属いたしまして一件五百万以上の物品の購入調書あるいは一千万以上の購入調書、それらのものを徴して検査をいたしているわけでございます。 次に実地検査でございますが、四十二年度の決算につきましては、実地検査を要する個所は全部で六十八カ所ございますが、その中の十一カ所を百十五人日をもちまして検査をいたしております。 検査の方針でございますが、四十二年度につきましては、放送会館等の建設工要及びその経費、それから放送機器の調達管理等につきまして、特に重点を置いて検査をいたしました。
○森勝治君 いま、その中で一件五百万以上については書面というお話がありましたね。三百万から五百万に上がったわけでありますけれども、書面審査の場合ですね、一体どういう検査の内容をするのですか、書面だけというのは。書面だけで事足れりとするのでしょうか。書面の上にあらわれているので、もうNHKのことだから一切心配ないという、もう初めから信用されて——もちろん信頼される団体でありますから、そうあってしかるべきでありますが、あるいはまた額が僅少なるゆえをもってそうするのだ、監査の手数を省く、こういうことをおやりになるのですか。
○説明員(石川達郎君) 書面検査と申しましても、これはもちろん検査でございますので、提出されました証拠書類につきまして、その価格が妥当であるかどうか、契約の方法が妥当であるかどうか、そのような検査は、証拠書類によって一応確認できるわけでございます。そこで、五百万円以下あるいは一千万円以下につきましては、これは出てまいりません。したがいまして、その分につきましては、これは実地検査をいたします個所につきましては、それらのものについても検査をいたしておるわけでございますが、実地検査をいたさない個所、これにつきましては五百万円、あるいは一千万円以下というものにつきましては個別に検査は実はできないわけでございます。しかし、この点でございますが、これは会計検査院の検査全般に関係する問題でございまして、悉皆検査がいいか、あるいは特に重点を置いて検査するほうがいいか、いろいろ問題はありましょうけれども、現状といたしましては、われわれの人間的な、人数の関係等もございまして、おもなものにつきまして検査するほうがまあこれは検査としてもむしろ効率的ではなかろうか、かように考えて書類を提出している次第であります。
○森勝治君 いま後段に言われた人数等の関係によって云々ということばを私がオオム返しに私なりに推測をいたしますと、限られた人数で膨大な問題、案件を処理することがなかなかたいへんなので、その全部をつぶさに検査することができないので、要所要所について、あるいは要点について検査をする重点方針をとっておられる、こういうことですか。
○説明員(石川達郎君) 計数の検査につきましては、毎月その全体の数字につきまして、これは報告があるわけでございます。したがいまして、その合計が正しいかどうかというような点は、これは計数検査につきましては全般的にできるわけでございますが、内容につきましては、ただいま先生の仰せになられたとおりでございます。
○森勝治君 そういたしますと、一件五百万以上の物件、一千万以上の工事入札等、本来あれですか、重点施策というものが会計検査院の検査の正しいあり方なんでしょうか。ただ員数の制限あるゆえをもってやむなくそういう措置をとっているということでしょうか。本来、会計検査院の使命というものはどういうものでしょうか。
○説明員(石川達郎君) これは具体的には人数も関係してくるわけでございまして、検査というものは、そもそも悉皆検査——個別の事項につきましてそのことごとくを見なければならない、あるいはたとえば放送協会で申しますれば、五百万円以上、一千万円以上見ることによって全体が推しはかれるかどうかということになろうかと存じますが、現在の体制といたしましては、検査の効率的な運用という面から考えまして、これは日本放送協会のみにとどまりません、ほかの団体につきましてもさような方針をとっているわけでございます。
○森勝治君 そういたしますと、常時検査をしているということであるけれども、それは形の上では常時検査ということであるが、実体論という立場をとりますならば、問題のうちの小部分のものについて抽出検査をするということである。そして、そのことによってこの抽出した検査の問題が良好だということで全般を推しはかっておおむね良好云々と、こういうことになるのですね。
○説明員(石川達郎君) おっしゃるとおり、現在とっておりますのは、悉皆検査に対しまして抽出的な検査、こういうことになろうかと存じます。
○森勝治君 少人数でおやりですからたいへん御苦労だとは考えております。そこで私は具体的にお伺いしますが、たとえばここにテーブルがありますね。このテーブルが一件五百万円以上だと仮定いたしますと、まあ書面審査ということでありますから、これの適正価格——購入価格がおおむね妥当だと認定される場合の方法は、書面審査の場合でどういう措置をとられるのでしょうか、参考にひとつお聞かせ願いたい。
○説明員(石川達郎君) これは物件にもよりますけれども、たとえばお示しの物件につきましては、一般市販価格というものがありますれば、あるいはそれらの市販価格を参考にする。さらに同種のものにつきまして他省庁と、あるいは他の団体等で購入しているものが妥当であるかどうか、かようなことをひとつの検査の手がかりにしているわけでございます。
○森勝治君 そういたしますと、まことに失礼でありますが、群盲何とかをなでるということばがありますけれども、それまでにはいかないにしても、いまテーブルの話を私は具体的に持ち出しましたが、それは一般市販品ですか。そういう表現を用いられましたが、市販の場合はいざ知らず、特別発注の特製のテーブルの場合の価格の認定、判定はどうされるのですか。
○説明員(石川達郎君) お答えをする事例があまり適当でなかったかとも存じますが、いまおっしゃるような物品につきましては、これは予定価格調書というものが出てまいります。したがいまして、その素材の内容あるいは労賃の内容等につきましても検討をいたしまして、その物件の価格が適正であるかどうか、これを検討いたすわけでございます。
○森勝治君 しかし、いまあなたがつぶさにおっしゃられたように、膨大な資料で、限りある員数で、たとえばテーブルという具体的な事例を私は用いましたが、そういうのまでいまおっしゃられたように予定価格とか云々ということで詳細におやりになっておられるのですか。実際はできないのではないでしょうか。
○説明員(石川達郎君) これも日本放送協会のみに限らず、他の団体あるいは各省庁の検査の場合も同様でございますが、これは書面検査にあたりましては、それらにつきまして各調査官が検査をいたすわけでございますが、その検査の結果につきまして、逐一調書を局長まで、その検査の結果、何か問題があるかどうかというような点につきまして、一件ごとにこれは局長のところへ報告を徴しているわけでございます。これらを見まして、私としては検査の実態をつかんでいるわけでございます。
○森勝治君 そういたしますと、現在の会計検査院の検査の実施方法としては、いわゆる員数という、定数と申しましょうか、数が少ない、いわゆる員数が少ないものですから、本来ならば一つ一つの問題を取り上げて、詳細に検査をするのが至当であるけれども、そういう予算的あるいは人的関係でできない。そこで多くのそういう物件というか、その検査すべき事項の中の一部を抽出して、これについて全般を判断している。判断の資料にしている。これが当面する会計検査院の検査の当面の方針なんだ、あるいは過渡的方針だと言うことができるかと思うが、現在はそういう方法によらざるを得ない、こうおっしゃるわけですね。
○説明員(石川達郎君) 実情としてまさにおっしゃるとおりでございますが、でありますから抽出検査というものをいかに合理的に進めていくかということに、これはなろうかとも存じます。この点はなかなかわれわれも十分な結論を持っておりませんけれども、いかに合理的な抽出をすることができるかという点につきまして、絶えず検討をいたしながら検査をいたしているわけでございます。
○森勝治君 そこでさらにお伺いいたしますが、御承知のように放送協会の予算の執行等にタッチできるのは会計検査院だけでありますね。したがって、いまあなたと私の質疑応答の中でも若干出されましたように、やはり一部のものをもって他の多くを推しはかるという、検査の人的資源の配置上やむを得ざる措置をとっておられるということに相なりますと、はたしていまの会計検査院のNHKの予算の執行状況を検査するのにいわゆる万全の体制を引いておるかどうかということになりますと、しろうとでございますが、若干疑問がそこで生まれてくるわけでありますが、現行の検査体制で、これでいいんだと、十分だと、こうお考えになっておられるんですか。
○説明員(石川達郎君) これは会計検査院全体の人数にもかかわる問題でございまして、私からお答えするのが至当であるかどうか存じませんが、会計検査院全体としましても、絶えず調査官の増員等をお願いいたすとともに、さらに人数だけでなくて、その調査官の質的な向上をはかる意味におきまして絶えず検討いたしているわけでございます。 そこでNHK関係でございますが、現在非常に少数な調査官でやっているわけでございますが、これもその問題の所在等に従いまして、四十三年度の検査につきましては、これは他の団体の検査を含めますけれども、さらに調査官二名を増員いたすなど絶えず努力はしているわけでございます。
○森勝治君 そこで、まあ少ない員数で膨大な案件を処理されるわけですからその点はさぞ御苦労だと推察をいたしますが、さて、皆さんのような専門的な立場から見て、NHKの経営実績や財政状態というものをどういう眼で見ておられるのか。まあ決算のときは「おおむね健全」と、こういうことで一言で、私は失礼でありますが、片づけたとは思っておりませんが、そういう印象をぬぐい切れないのでありますので、この際せっかくおいで願ったわけでありますから、いま私がことあげしたような問題についての明快な専門的な立場の御見識をひとつ御披露していただきたい。
○説明員(石川達郎君) 先ほど来申し上げておりますことは、個々の会計経理行為が妥当であるかどうか、さような点にしぼりまして説明申し上げてきたわけでございますが、放送協会全体としての経営ということにつきましても、われわれとしても十分な関心を持っているわけでございます。したがいまして、毎年出します検査報告におきましては、かような重要な団体につきましては概説記述をいたしているわけでございます。さようなふうにわれわれも十分関心を持って財務経営の推移というものを見守っているわけでございますが、四十二年度の決算につきましては、特に意見を申し上げることもなかろうと存じます。
○森勝治君 大臣所用があって出かけられるそうでありますので御質問を御遠慮申し上げておりましたが、勤勉な新大臣でありますので、せっかくすわっておられますから、いま私が会計検査院に質問申し上げた部分について、大臣の所見をわずらわしたいと思うんであります。大臣が意見書を付されました後段にですね、四十二年度のNHKの決算はおおむね良好であった、こういう報告がなされておりますが、何をもって良好、健全だとおっしゃっておられるのか。監督行政の立場にあってどういう見方をされるのか。まことに失礼でありますが、これは十年一日のごとく同じ文章が末尾にここについてあるわけであります。これはNHKの健全経営だということでそう言われるのかもしれませんが、これはあまりにもものさしではかるような内容、意見書でありますので、もう少し明快な見解がつけられて、付されて私はよろしかろうと思うのであります。ですから、大臣から所見をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) 森委員と会計検査院との問答のやりとりを十分には初めから伺っておりませんでしたが、この意見書というのは業務報告について書き添えてあるわけでございまして、必ずしも決算報告に添付したというわけではないようでございます。しかし、いま御指摘のように、十年一日同じようだとおっしゃいますが、まあずっとNHKの報告を検討をいたしまして、特段批難すべきものもなかろう、こういうことで、概略的に見まして、このような表現をいたしたということであります。
○森勝治君 何か業務というものは、財政と無関係なような御答弁だというふうに承ったのでありますが、大臣の真意はそういうことではなかろうと思うのであります。業務の一端の中に、財政というものがあるのだという解釈のもとにお答えいただいたと思うのでありますが、実は意見書の中ではNHKの「財政の状況はおおむね健全である」、「財政の状況は」ですよ、「おおむね健全である」とこの報告書の末尾に書いてあります。いま決算報告でありますから、いわば財政の分野にわたる質問を私はいまやっているわけでありますから、そういうものについて、どうしてNHKの四十二年度のこの財政、決算報告というものが妥当だという結論、認定というものが大臣から出されたのか。よって来たるゆえんというものがあるでしょう。郵政大臣がキャッチをし、そして意見を出されたからには慎重な検討をされてしかるべきです。また、そうあったものと私は考えて質問するわけでありますから、どのようなキャッチのしかたをされたのか、その点をお伺いしたいのです。これは所管の長でもけっこうです。
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。 意見書の最後に、いわゆる「財政の状況はおおむね健全であると認められる。」という表現がございますが、これはその前にもありますように、大体受信料の収入、それからそれに対する収支あるいは建設計画、そういったものが順調であるという意味で、特にこの何と申しますか、赤字が出ているわけではなくて、まあ大体剰余金が八億幾らということにもなっておりまして、まあまあこの程度であれば健全である、そういう意味でございます。
○森勝治君 どうも、あまりただ健全だと言うだけじゃさっぱりわからぬですよ。こういう内容で検討してみたらこうだからということでおっしゃっていただかなければだめです。私はここでなぜこういう質問をしたかと申しますと、実はやはりほかに意味があるのです。ですから、いま申し上げますが、実はNHKの説明書の内容とそれから、もっとも同じ事案に対してでありましょうが、郵政大臣の意見書の内容、文章と、NHK会長から出された報告書の内容、全く同一なものなんです。これを称してオウム返しと言うんじゃないかと。私はどうもひねくれてものを解釈するたちでありますから、何だ、これはNHKの郵政大臣に出したものに、ちょっとこう、こんちはというのを削ってみたり、しからばというところをほかの文章に変えた、そういうことでおざなり式な大臣の見解の書ではないかと勘ぐっているわけです。うそだと思ったら大臣の意見書の前半約五行と、会長が出された前半の五行、読んでごらんなさい。同じじゃないですか。一つの案件だから同じだと、文章まで同じになっているのです。この辺はどうなんですか。失礼ですが、向こうからきたからひょっとことばを変えて出したのですか。また、これは私の雑言ならばお許しをいただきたいのですが、そんな気がしてならぬのですよ。放送局が出された報告書と、前半五行、前段のこの内容は全く同じです。どこが違うんですか。やっぱり郵政省には郵政省としての立場があるならば、違った角度から監督官庁として、指導する官庁としての考え方、心というものが、この文章の中ににじみ出てこなければならぬじゃないですか。そうでしょう。目で見る心は文字でしょう。耳で聞く心はことばです。どういうことなんです。これはひとつ私ども、こういう文章をさして、私の乏しい知識をもっていたしますならば、これはおざなり報告と言わざるを得ない。
○政府委員(藤木栄君) 先生のおっしゃるとおりかもしれませんけれども、私どもは、私どもの立場としまして意見書というものをつくりまして、大臣の決裁を得たわけでございます。ただし、この項目自体が、たとえば放送網の拡充であるにしろ、放送番組の充実あるいは受信関係業務の改善といったような部門は、それぞれ同じわけでございまして、そういった意味では、同じことばをつかっているということかもしれませんけれども、以下ありますような放送局の建設あるいは教育放送の充実、財政状況といったことにつきましては、私どもとしまして、十分に業務を調査いたしまして意見をつけたと、こういうふうに思っているわけでございます。
○森勝治君 恐縮でありますが、後段を若干聞き漏らしましたので、もう一度お答えをわずらわしたい。
○政府委員(藤木栄君) 後段は結局、特にこの放送局の建設の問題であるとか、教育放送の充実の関係あるいは財政の状況といったものにつきましては、それぞれ私どもとしまして、十分検討した上でそういった意見を書いたというわけでございます。
○森勝治君 十分検討したとおっしゃるそのことば、そっくり信用いたしたいと思うんであります。 さて、具体的に十分信用というのはどういう方法をもっていたしたか、恐縮ですがひとつお答えいただければお答えをいただきたい。ただ十分、十分と言っても、どうもお答えのほうが不十分でございますから、ひとつ、私は立場が違うですから、私が十分納得するまでの答えをいただけないかもしれぬ。あなたがいかに卓絶する説得力があっても、私の耳がちょっとあまり上等でありませんから、あなたの御説明を十分そしゃく理解するわけにいかぬかもしれませんが、もう少し、十分検討したとおっしゃるならば、どういう線で十分検討されたか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(藤木栄君) 放送局の建設の関係につきましては、すでに予算で計画がございます。そういったものにつきまして一つ一つ検討いたしまして、所期の目的よりも上回るカバレージを得たということは、一つ一つ検討した上で、そういう結論を得たわけでございまして、ただし、そこに書いてありますように、標準放送につきましては、大阪のいわゆる超大電の建設が非常におくれている。これは現実におくれているわけでございますので、そういったものはいわゆる外国電波混信による難視聴ということもありますわけですから、大いに促進してもらいたいということで、その意見をつけたわけでございます。そのほか教育放送の充実にしましても、初めの予算であげられたとおりの、一日約一時間三十分増加して、この教育放送を総合放送と同じように一日十八時間放送を行なったり、あるいはそのほかのいわゆる高等学校に対する学校放送といったものの利用奨励を行なうといったようなことで、大いに教育放送の充実を行なったということをそこで書いたわけでございます。それから財政につきましては、先ほど申しましたように、この収入に対しましていろいろ建設その他の計画をやりまして、財政的にはおおむね健全であると、そういうようなことでございまして、私どもとしましては、精一ぱいの調査を行なって意見書をつけた、そういうふうに考えております。
○森勝治君 それでは、まあ次に移りましょう。 NHKの監事の方おいでですか。——失礼でありますが、常任の方でしょうか。
○参考人(長浜道夫君) 常任でございます。
○森勝治君 それでは、恐縮でありますが、NHKの監事の監査の概況についてひとつお聞かせをいただきたい。
○参考人(長浜道夫君) お答えをいたします。 御承知のように、放送法で監事の職責が定められております。それに基づきまして、監事は三人おりますが、常時NHKの経営状態のことで監査を行なっております。こまかくなりますが具体的に申し上げます。 NHKの各部局からまず資料を常時取り寄せております。たとえば、部内の監査報告あるいは番組についての考査報告、その他各NHKの部局——地方も含めてでございますが、各部局からの報告資料を監事事務局のほうに集めまして、同時に監事もこれに目を通しております。このほか直接聴取いたします機会といたしましては、まず経営委員会がございます。経営委員会は月一回開かれておりますが、この経営委員会に三人監事は出席いたしまして、ここに出席いたしておりますが、執行役員のほうから説明を経営委員と一緒に聴取いたしております。また、このほかに在京の経営委員でつくられております在京経営連絡会が月二回ほどございますが、これにも監事は出席をいたしまして、そこに出席いたしております関係部局長の説明を聞き、また経営委員と同じく監事も部局長に質問を行ないます。 なお、常勤の、私でございますが、常勤の監事は毎週開かれます理事会に臨席いたしまして、主要業務の執行状況についての審議状況を把握いたしております。またそのほか、NHKで行なわれます全局長会議と申しておりますが、全局長会議にも三人の監事は出席をいたしまして、各局長からの説明を聴取いたしております。大体、直接会議形式をもって聴取いたしますのは以上でございますが、そのほか必要に応じましては、関係の部局長に監事室のほうに来てもらいまして、説明を聞く場合もたびたびございます。 大体以上でございます。
○森勝治君 いまのお話にもありましたように、経営委員会に臨席をして、もろもろの事態を述べると、こうおっしゃっておられます。これは三十九年出された臨放調査会の答申の中にも、監事は経営委員会に出て積極的に業務について意見を述べるべきであるという強い答申が出されております。そこで、私は四十二年におきまして、監事として経営委員会にどういう御意見を出されたか、その点承っておきたい。
○参考人(長浜道夫君) 三つほどあると思いますが、第一は放送網の建設計画、これは毎年行なっておることではございますが、四十二年度におきましては、受信状況の改善のために放送網の建設を積極的にやるべきであると、こういう意見が監事から出ております。また、営業体制につきましても、聴視受信料収納、その他の営業体制でございますが、そういった問題につきましても営業体制の強化、合理化、こういったものにつきまして、監事側から経営委員会のほうに意見を申したのでございます。なお、このほかに、番組の充実、刷新、こういった問題につきましても、一そうNHKの経営陣が努力をするように要望いたしております。 以上のような点でございます。
○森勝治君 四十二年に経営委員会に監事が出席をして放送網の建設、営業体制の強化、合理化、それから三点は何でしたか、番組の編成の改善ですか、こう出されたとおっしゃいますが、これはすでにNHKが業務の中で日常行なっていることではないでしょうか。出されたとするならば、すでにNHKが日常業務として実施している問題について改善すべき時点、そういうものをとらまえたから、そういう御意見が出されたんではないか、私はこういうふうに理解したいんでありますが、さてしからば、以上三点について監事が経営委員会で経営の改善について意見を具申するためには、やはりそういうどうもおかしいじゃないかと感じた改善するべき余地、改良すべき余地、改める余地があったからでしょうが、どういう点でそういう障害——障害と言っては恐縮でありますが、運行上あるいはとんざしたとかいろいろあるでしょうが、どういうところからその三つの意見が出されたのですか。
○参考人(長浜道夫君) NHKの経営陣の一そうの熱意を要望したわけでございまして、経営陣の行ないます経営に欠陥があるから、こういう点を直したらどうかということではなかったのでございます。
○森勝治君 一そう奮起を促すということは、何もそういう事改めて経営委員会の中で発言されなくても、これは日常いわゆる業務監査の中でもそれは指摘できるんじゃないんですか、いかがですか。
○参考人(長浜道夫君) おっしゃるとおりでございまして、日常においても当然なすべきことでございますが、経営委員会は、正式の経営委員会で監事サイドで要望いたしました点が、この三つであると、こういう意味でございます。
○森勝治君 それはいま言った運営に何らの欠陥もない、皆さんは熱心におやりになっておる、しかし、それではもの足りないからはっぱかけた、こういうことでしょうね、げすなことばで申し上げますが。しかし、それならば監事として意見を具申するほどのしろものではないんじゃないでしょうか。あなた方が監事の立場でタッチをしてみて、これはたとえば合理化ですね。あるいは、たとえば最近は集金人も完全雇用されたんでしょう。当時は不完全雇用なら完全雇用にしなさいと、そういうお話ならばなるほどとうなずけるが、合理化すべきものは合理化し、改善すべきものは改善してきて、ただ士気を鼓舞するための意見というものであるならば、これは監事としてのそういう御発言を待たずともこと足りるのではないでしょうか。
○参考人(長浜道夫君) お答えいたします。 先生のおっしゃるとおりかと存じますが、NHKにたくさんの仕事を経営陣持っておるわけでございますが、このたくさんの業務の中でも、先ほど申し上げました三つの点を特に熱意を持って積極的に合理的な仕事ぶりをしてほしい、こういう意味で意見を申したわけでございます。
○森勝治君 具体的に第一点についてお伺いしましょう。 放送網の建設、これは電波局長がお答えの中で触れられましたように、難視聴地域解消のために巨額の資金を投じて大阪でつくったが、それが所期に反して非常におくれた。だからこういうものを出したとおっしゃるならば私はごりっぱです、失礼ですが、そういうふうに感心したいのでありますが、指摘すべき事項が何もなくて放送網の建設の整備、指摘すべき事項もなくて、営業の強化や合理せい、番組の偏向も何もなくて円満に行なわれていて番組の編成を強化しなさい、改善しなさい、これはどういうことなんでしょうか。あげ足を取るようで恐縮でありますが、監事の使命というのはほかにあるのではないでしょうか。何も問題のないのに意見を出す必要はないじゃないでしょうか。
○参考人(長浜道夫君) 私のことばがたいへん足りなかったかと思いますが、放送網の建設につきましては、御承知のようにだんだん僻地のほうに入ってまいりまして、比較的少数の世帯をカバーしなければならなくなってきておりますが、このための小電力局につきましては相当な経費がかかるわけでございまして、場所にもよりますが、二千万、三千万といろいろかかるわけでございますが、この点につきましても、当時監事側からも、できるだけ効率的な、しかも経費の安い置局を考えてほしいという要望が出ております。また、営業体制につきましては、当時からEDPSの導入によりまして合理化がはかられていたわけでございますが、この営業体制の中に業務の合理化という意味でEDPSを積極的に導入して、この営業体制の推進をはかりたい、こういう意見が出たわけでございます。また番組の充実刷新につきましても、もちろん先生のおっしゃいましたように、従来NHKの執行役員は努力いたしているのでございますが、聴視者の要望に一そうこたえるためにNHKが行なっております世論調査の結果であるとか、投書であるとか、あるいは聴視者懇談会の結果を十分取り入れるように具体的な要望をいたしております。
○森勝治君 やっとわかりました。そのように説明されれば従来NHKがとり行なってまいりましたもろもろの業務の中で改善すべき問題の具体的な一つの指摘のあらわれでありますから、そうお答えいただけば私はそんなよけいなげすの勘ぐりをしなくてよかったわけであります。御承知のように、臨放調査会の答申でも監事は監査結果のみを委員会に報告するだけにとどまることなく、一般業務についても改善すべき余地あらば積極的に意見を述べよ、こうあるわけですから、改善すべきことあらばということでありますから、そういうことでは、いま前段はさておいて後段三点にわたって説明されたのは、従来NHK職員が全力をあげてやったけれども、またそこで改善し国民の期待に報いるいろいろの問題が内蔵しているから、その点をよく国民の期待にこたえるように直しなさい、こういう勧告だろうと思うわけであります。 さて、御承知のように常任一名で非常勤が二名ということでありますね。今日、世界に冠たるNHKの運営にあたって、常任監事が一人で他は非常勤ということになると、常任のあなたの双肩に非常に重みがかかってきているような気がしてならぬわけでありますが、この点について、ひとつ、所見をお伺いしておきたい。
○参考人(長浜道夫君) お答えをいたします。 御指摘のように、常勤は私一人で、あと二名の方は非常勤でございますが、責任は、非常勤の方も常勤同様お持ちになっていると存じます。非常勤の先生方は、いろいろほかにもお忙しいお仕事をお持ちではございますが、一カ月の間に数回、毎週一回以上、御出局にもなりますし、また、私どものほうから、監事事務局のほうから、資料を随時、必要なつど、自宅のほうにお送りいたしまして、自宅で検討をお願いいたしております。非常勤一名ではたいへんであろうというお話しをいただいたわけでありますが、幸い二年ほど前から監事事務局ができまして、監事事務局にスタッフがそろっておりますので、現時点ではこの体制でいけるのではないかと、かように考えております。
○森勝治君 NHKの監事のあり方について、あまりあなたに質問するのも何でありますけれども、もう二、三お伺いしてみたいと思うのであります。 NHKの理事の皆さんは、御承知のように、兼務・兼職というものを禁止されておりますね。禁止でしたね。そうでしたね。さて、それならば、監事の皆さんは、常任を除いては、自由であるんでしょう。これは、どうしてこういうふうに違うのですか。この点、わかりませんからお伺いをするわけです。
○参考人(長浜道夫君) お答えいたします。 監事の職責が経営とは一線を画すという意味と、また、監事に適任の方はどこの社会から来ていただいてもよろしいという意味ではなかろうかと、かように考えております。
○森勝治君 どこの社会とおっしゃっても、一名については外部から任命してもよろしい、こういうことでしょう、一名は。あとは内部からあげてもよろしいということでしょう、二名は。
○参考人(長浜道夫君) その辺は、何も制限はないというふうに理解いたしております。
○森勝治君 でも、そういうふうになっているのじゃないですか、違いましょうか。私の記憶違いでしょうか。
○参考人(長浜道夫君) そういうふうにはなっておらないというふうに理解いたしております。
○森勝治君 それでは、だれでもいいですね。全部、三名とも外部でも、三名とも内部の職員を登用ということばを用いては恐縮でありますが、就任してもらってもいいのですね。
○参考人(長浜道夫君) その点には、何ら制限はないというふうに理解いたしております。
○森勝治君 失礼でありますが、庶務担当の、どなたか理事の方はおいでになっておりますか。——庶務担当の理事の方に、その点についてひとつ、監事さんは、若干私と考えを異にしておりますので、NHKの庶務担当の理事の方、その点、ひとつお答えをいただきたい。
○参考人(小野吉郎君) 現行放送法上におきましては、監事に三名以内を置くとなっておりまして、そのうちには常勤は何名でなければならない、非常勤がどうでなければならないといったような制限はございません。しかし、その三名以内の、いわゆる三名現在監事になっていただいているわけでございますけれども、全部非常勤ということは、これは監事体制として非常に不備だと思います。何名を常勤にしたらいいかという点については、法律上の制限はございませんけれども、常勤一名、あとの二名は、財政、経済関係にきわめて著名な方に委嘱いたしておりますし、あとの一名は、これはまた、非常に法制的には商法の権威でもありますし、いろいろなそういった会社の経営等の関係の内務につきましても、法制上、実務上の非常に詳しい方を非常勤でお願いしておる、こういうのが現状でございます。
○森勝治君 会長にお願いいたしますが、いま副会長からさようなお答えをいただきましたが、NHKといたしましては、三十九年に出された臨放調査会の答申案というものをついせんだってまでつぶさに尊重し、その期待する方向に向かって努力するというお答えをしばしば私はいただいたのでありますが、いま副会長のお答えや監事のお答え、もちろん監事の方は職務権限が違いますけれども、どうも臨放調査会の答申の案をNHK会長みずから尊重すると言いながら、さて尊重しているかという立場でお伺いいたしますと、さっぱり監事の問題については尊重してはおらない、こういうように考えざるを得ないのでありますが、会長の立場では、他の業務については臨放調査会の答申を尊重するが、監事というものは自分の権限のはるかに及ばざるところにおるから知らぬとおっしゃるのか、監事といえどもNHKの使命を全うする一翼をになう重要な職責であるから、NHKが臨放調査会の答申を尊重するとするならば、監事の分野にわたっても尊重するのが妥当だとお答えになるのか、この点ひとつ見解を明らかにしていただきたい。
○参考人(前田義徳君) 結論から先に申し上げますと、私といたしましては、最高に尊重いたしたいと考えております。あの調査会の劈頭には、私どもも冒頭の意見を求められまして、したがって、あの調査会の報告の中にはわれわれの見解も取り入れられておると考えております。 ただいまの御質問の中で、尊重するかしないかという問題と関連して、現実にただいままで伺っておりますと、二つの問題が内在しているのではないかと思いますが、監事事務局については、この答申案を尊重いたしまして、すでに事務局を設置しているわけでございます。 それからまた、この答申案の監事の任命は、事業の性格上経営委員会がこれを任命する現行方式が適当であるということについても、私どもはそのとおりだと考えており、特にこの答申案は、その任命について、NHK内の人事の延長の感があることは好ましくないということになっております。したがいまして、従来三名のうち、かつて二名がNHK関係者でございましたが、これを逆にいたしまして、三名のうち二名を部外者にお願いすることが適当であるという私の見解を経営委員会に述べたわけでございます。その結果として、現状のような形になっているわけでありまして、問題はこれで十分であるか、不十分であるかという問題に変わってくるのではないかと思いますが、この問題については、放送法の原則の問題が、現行放送法が存在する限りは、やはりその員数においても、それから任命の欠格条項においても、これは御承知のように放送法二十七条で、経営委員会が監事を任命する場合の資格条件がございます。この点は放送法が現存する限り、私は変更することは不可能であろうと、このように考えるわけでございます。
○森勝治君 大体会長のお答えでわかりましたが、私が聞きたいのは、なるほど長浜監事の言われたように、法理論としては制約はないでしょう。しかし、いま会長がいみじくも言われたように、三十九年の答申案では明らかに最低一名は外部の者も任命して運用しなさい、こういうことを言われているわけです。会長もこの答申案を尊重し、監事も委員も他の一般の方々もこの答申案を尊重して今日までNHKがきておるわけですから、たとえば監事の任命等にいたしましても、おのずからこの答申案の趣旨を体して今日まできたものであろうと考えます。そういう面からいたしますと、会長のお答えと長浜さんのお答えは若干違う。あるいはあなたは法理論だからそんなことは制約ないとおっしゃるかもしらぬが、運営の面では、当然そういう制約があって、しかもその点については会長がこぞって積極的に賛意を表されておるわけですから、監事とNHKがなれ合いになってはならぬということが経営委員会の厳に戒めるところであります。ですから外部から三人でもかまわない、内部から三人でもかまわないという説をとるということは、NHKの歴史的な過程からしてこれはとるべき手段ではないと私は思うのでありますが、長浜監事はどう考えておられますか。
○参考人(長浜道夫君) 先生のおっしゃるとおりと存じます。
○森勝治君 先ほど長浜さんのお答えの中でも、監事の活動を補佐するために監事の事務局も設けられたということでありますが、伝え聞くところによると、監事事務局は三名程度だというふうに聞くのでありますが、どういう事務局をおつくりになったのですか。
○参考人(長浜道夫君) 監事事務局は局長一名、次長一名、管理職の主査が二名、そのほかに一名の事務員、現在五名でございます。
○森勝治君 その五名の皆さんで十分にNHKの監査ができると思っておられますか。
○参考人(長浜道夫君) お答えいたします。 先生御承知のとおりと存じますが、監事事務局は五名でございますが、一方、部内監査といたしまして監査室、これは会長に直属いたしております。監事には直属いたしておりませんが、部内監査に当たります人間が全国で五十七名おります。東京に三十一名、地方に二十六名かと存じますが、五十七名が配置されておりまして、監事事務局では経営委員会の指示あるいは監事の指示によりまして、協会の経営についての最高監査をいたしますが、詳細の監査につきましては、部内監査であります監査室のほうから、毎週、毎月資料がまいりますので、その資料を監事事務局で検討いたしまして、もし疑問の点があれば監査室に問い合わせる、あるいは必要な場合には関係部局にも問い合わせておりますので、数は御指摘のように少数ではございますが、現在の時点では大体これでやっていけるというように私は確信をいたしております。
○森勝治君 現行の体制で十分だと、こうおっしゃるわけですね。
○参考人(長浜道夫君) 現在のNHKの業務量、それからNHKの内部の監査の状況、そういうものを勘案いたしますと、現時点では大体これでよろしいのではないかと、かように考えております。
○森勝治君 私の質問をいたしました中には、こういう問題も含んで質問をしたつもりなんです。常勤の監事が一名で、非常勤の監事が二名、スタッフが五名で、監事の常勤、非常勤の否とにかかわらず、現行のような方法でできるのかどうかということです。
○参考人(長浜道夫君) 大体できると考えております。
○森勝治君 先ほど会計検査院と私のやりとりをお聞き及びでしょう。ですから、私はさらに聞きたいのでありますが、会計検査院は全般にわたって目を通すことができないと、人間の関係で力がない、こう言っておられるのです。そういたしますと、監事にさらに私は重責が加わったような気がするわけであります。幸い会計検査院の目の——もっともあなたの目の届かざるものは、会計検査院の目の届かざるところに当然なるでしょうけれども、あなたのほうが十分目を通してくださらなければ、あるいはまた誤っている問題が出てくるかもしれないわけですね、かりに仮説を申し上げますれば。私どもの伝え聞くところによりますと、NHKの監事体制というものが稀薄だと言われます。稀薄ということばは当てはまらんかもしれぬが、体制が貧弱だと、こう言われるのです。失礼でありますが、監事の諸君は、何か執行体制のほうに押されて、何か奥歯に物のはさまったような発言を多くされるように聞きます。したがって、もし私どもがそういう喧伝されるような実態をしかりとするならば、NHKの将来のためにも必ずしも好ましい事柄ではありませんから、監事の委員をさらに三名ならば、三名以内ということですから、それらの方々に全部専従になってもらって、NHKの業務の監査をしてもらったほうが、NHKの将来にとってよいような気がするわけです。事足れりということでありますから、私はこれ以上ことあげしませんが、事足れりとあなたはおっしゃっておるが、私はそういうふうに聞いているわけです。今後とも現体制で十分おやりになれる自信がありますか。
○参考人(長浜道夫君) 私個人のことは別でございますが、現在の中山監事、鈴木監事は、御承知のように斯界の権威でございまして、NHKの執行役員に押されるとか、圧力を受けるとかということは全くございません。執行役員との間には、もちろん一線は画しております。その点は、私個人のことは別でございますが、両監事はそういうことは絶対にもちろんございません。また、現行体制でいいのかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、非常勤の両監事も大へん熱意を持って、NHKの業務の監査に当たっておられますし、私も微力ではございますが、努力いたしておりますので、もちろん浅学非才でございますので、十分とは申しかねますが、いまのところ大体責任は果たしていると、かように考えております。
○森勝治君 いま力強いお答えをいただきましたから、私はやや安堵をいたしました。 そこで、郵政省にお伺いしたいのでありますが、いまNHKでは、現行の監査機構で事足れり、長浜監事はそう胸を張ってお答えでありますが、さて、監督官庁としての郵政省は、それで満足されているのかどうかという、その点についてお伺いしたいわけです。なぜかと申しますと、先先々の大臣であります。いや先々ですか、だから小林元郵政大臣は、NHKの経営委員会や監事機構というものを、その機能の強化をはかりたい、こういうことを発言されておるわけであります。ところが、いま担当の監事さんは、いや現行でたくさんだと、こうおっしゃっておられるとするならば、監督官庁の立場でどういう目でいままで見てきたのか。私は、この辺が監督行政をつかさどる郵政省とNHKの間に断絶があるなどというはやりことばは用いませんが、若干そこに疎通を欠くるところがあるのではないか。こんな気がしてならぬわけでありますが、一体元大臣はもうやめてしまったから知らないとおっしゃるのか、食言ばかりしていたんだと言ってしまうのか。元大臣といえども、かつての輝ける郵政大臣でありますから、その主管の長である最高責任者の発言でありますから、やはりあとを受け継ぐ方々におきましても、当然そういう発言内容はつぶさに御承知のはずであります。したがって、どうNHKの監査機構について見ておられるのか、その辺をお伺いしたい。
○政府委員(小渕恵三君) 御指摘のように、三十九年に臨時放送関係法制調査会の答申が出まして、監事制度につきましては、委員会が任命する監事のうち、少なくとも一名は外部から選任、監事の監査事務に清新の気を注入するとともに、監事活動をNHKの業務全般に及ぼし、その改善意見を提出させ、あるいは委員会の使命及び責任を実効あらしめるよう、委員会との間に有機的なつながりある活動を行なわせるようにする旨の指摘があったとおりであります。その後NHKにおきましても、部外からの監事の選任、監事の事務局の設置などの処置を行なっておりますが、その機能をさらに発揮するためには、監査活動範囲の拡大、事務局のスタッフの増加などなお一そうの強化が必要であると、今日も考えております。
○森勝治君 次官は、そう明快にお答えいただきましたが、次官に重ねてお伺いしたいんでありますが、当事者は強化は要らないとおっしゃっていらっしゃるんですが、どうですか。必要でない、現行でけっこうだとおっしゃっているが、あなたはこれ以上強化するとおっしゃっている。私も、これ以上強化する必要があると思う。その点は、私はあなたの話を理解し受け入れて、これ以上強化する必要があると思う。一方の当事者は迷惑だとおっしゃっているんですが、この辺はどうですか。
○政府委員(小渕恵三君) 私迷惑だというふうには受け取っておらないわけでありますが、いずれにいたしましても、この調査会の答申を受けまして、かつての郵政省といたしましても、放送法の改正にまで取り組んだ経緯もございますので、その後NHKといたしましても、いま申し上げましたように、事務局の設置等その強化をはかっておるようでありますが、私どもといたしましては、さらに強化をし、万全をはかることが必要であると考えております。
○森勝治君 長浜さんにもう一度お伺いしたいのでありますが、所管の行政官庁であります郵政省はNHKの監査機構を充実したい、強化したいとおっしゃっておられるわけであります。ところが先ほどお答えいただいたように、あなたのほうではこれで十分だ、十分やっていける、こうお答えでありますね。人それぞれ違った立場で御発言をいたしますから、それはもう意見の違いは当然でありましょう。しかし、私どもが見ると、やはりNHKの将来のために監査機構を強化したほうがよろしきものと、こういう理解のもとに、判断のもとに、私は以上の発言をしてきたわけでありますが、私どもや郵政省がそういうふうに充実したいとおっしゃっておられるが、当事者のほうは、現行能力で十分だとおっしゃっておられるが、その辺はどうなんでしょうかね。郵政大臣がおっしゃったから長いものに巻かれてしようがないから賛成しようとおっしゃっておられるのか——これは失礼であります、不見識な発言で失礼ではありますが、いまの内容ならばだいじょうぶとおっしゃるのか、その辺をもう少し明快に答えていただけませんか。
○参考人(長浜道夫君) お答えいたします。 私、ことばが足りなかったかと思いますが、現時点では大体だいじょうぶであろうと申し上げたのでございますが、御承知のようにNHKの業務も年々増大いたしてまいりますし、またNHKの社会的使命も今後一そう重要になっていくと思います。そのときには、私は現在のままでよろしいというわけではございませんで、現在私が持っております職責、私の任期の間を考えまして、短い時限を考えますと、現時点では、大体非常勤監事の御努力もあり、大体国民の皆様からの聴取料を預かっておる事業体の監査機構としては、欠陥がないのではないかとかように考えております。
○森勝治君 監査機構に欠陥があってはなりません。欠陥がないという自信のほどを示された点については敬服を寄せるものであります。 そこで、私は同じことを押し問答をしてもなりますから、次に移りますが、先ほど長浜さんが言われた五十七名の内部監査——これは監査事務職員とでも申すのでしょうか、そういうお話がありましたので、 〔委員長退席、理事永岡光治君着席〕 しからばNHKの内部監査機構ですね、機構はどうなっておるのか。これはどちらにお伺いするのか、事務局にお伺いするのが正しいのでしょうね、内部機構ですから。それと監査の結果、いろいろ先ほども、まあ四十二年には三点指摘されたわけであります。そういう指摘された事項は、当然これを改善すべき余地あらば、これを入れて改善をし、改良をし、またあるものによっては、省力化したものもあるでありましょうが、どういうふうに活用されたか、この二点をお伺いしたい。
○参考人(小野吉郎君) NHKの内部監査の問題につきましては、会長直属に本部に監査室がございます。また地方の各中央放送局には監査主査を置いております。先ほど長浜監事から、その辺についても、その融通等についてお触れになりましたが、多少ちょっと相違の点もありますが、本部監査室には現在三十二名おります。すべて管理職であります。中央放送局には監査主査として二十七名、大阪以下各中央放送局に配置してございますが、合計五十九名でございます。NHKの監査体制につきましては申し上げるまでもなく、外部からは会計検査院の監査を受けておりますし、経営委員会直属の、ただいま御質問になりました監事機構がございます。と同時に、自治監査といたしまして、協会事務の運営の円滑と効率の発揮をはかりますがために、ただいま申し上げましたような監査機構を持っておるわけでございまして、中央の監査室におきましては、本部の各局の業務の運行状況あるいは物品管理、自動車等の使用の問題、電力、水道その他の使用関係、こういった全面にわたりまして監査をいたしますほか、各本部直属の放送局がございますが、この放送局と各中央送送局の監査を実行をいたしております。中央放送局の監査主査は、中央局自体の内部の監査もいたしますけれども、主として中央局管内の各局にわたりまして、全般の監査をいたしておるわけでございます。その点について正規の規定に沿っておらないものがあれば、これを指摘いたしまして、是正をいたしますように監査のつど当該局にこれの改善を促しておりまして、その改善の結果の報告を徴しております。と同時に、監査のそういった状況につきましては、毎月一回の理事会におきまして、月例監査の状況を詳しく報告をいたしまして、各理事担当の部面におきまして、会長の指示に従って監査報告によって改善を要するものがあれば、直ちに関係部局に改善を命令をいたし、この関係の報告を徴しております。そのような関係で、業務の正常な運行並びにあるいは物品の保有量の問題が適正を欠いておるとかあるいは契約関係においてもっと改善をすれば——一例を申し上げますと、電力関係の問題につきましても、契約のしかたいかんによっては、大量の電力の使用の関係については、料金が安くなる方法もあるわけであります。そういう面に粗漏があれば、これを改善するような監査報告をいたしておりますし、またそういう勧告をいたしておりまして、早急にそういう面は是正されてまいっております。その他、自動車の使用の面につきましても、適正を欠くものがあれば適正であるように是正をすべく意見を述べておられます。その意見に基づいて、直ちに措置をいたしてまいっておるというような状況でございます。
○森勝治君 いま内部監査の機構の問題についてお伺いしたわけであります。監事という制度と内部監査は御承知のようにおのずから違うわけでありますが、違うといってもNHKの運営にとって欠くべからざる重要な職務だと思うのであります。したがって、性格はおのずから違うといいながらも、じゃ違うからといって相互にわれ関せずということであってはまたならぬような気がするのでありますので、いわゆる監事というものとNHKの監査の内部機構との連帯と申しましょうか、有機的な関連というものがどういうふうに活用をされておるのでしょうか。いま申し上げたように、聞くところによると長浜さんのお話だと、その辺はあうんの呼吸で十分御活用なさっておるやに私は承ったわけでありますが、その辺をもう少し詳しく、いや全然違うのだとおっしゃるのか、いやものによっては連携するのだと、いろいろおありでしょうから、それぞれ携わる内容、その機能によってはそれぞれ趣は、目的は違いますが、機能が違いますから。それで、もろもろのものに分かれるだろうけれども、いま申し上げますようにどのように両方で——この辺は活用ということばがいいんでしょうな。利用とか何とかというと、いかにもペテンにかけたようなことにもなりかねないですから、いわゆる活用ということばを用いますけれども、どういうふうに相互が連帯感を持たれるのか、それをちょっと聞かせていただきたいと思うのです。
○参考人(小野吉郎君) 監事の職責は放送法によりまして明定されております。任命も経営委員会の任命でございますし、またその表現は、会長、副会長並びに理事の行なう業務を監査する、こうなっておりまして、この読み方は協会の業務を監査するというような面に読みかえてもいいようでございますが、特に会長、副会長、理事の行なう業務を監査する、こうなっておりますことは、経営委員会の——これはNHKの重要事項の決定機関でございます、議決機関でございますけれども、その事項が議決の趣旨のとおりに運用され、活用されておるかどうか、こういう点を監査されることが主体であろうと思います。と同時に、先般の臨時放送法制調査会における監事のあり方等についても、その活動の範囲をなるべく広げたほうがいい、こういう趣旨でございます。そういう面から申しますと、内部監査の面と監査の実態は同一でございますから、重複する面も出てこようかと思います。しかし、それは同じようなことを同じようにやるものが二重になったのでは、これは非常に機構上もむだがあろうかと思います。そこの関係から申しますと、監事の職責と内部監査の機構とのそれにつきましては、多少の性格の相違はございますけれども、やはり個々に緊密な連携がなければならないと思います。その面は先ほど長浜監事からもお答えがありましたように、内部監査の、監査室の結果等につきましては、つぶさにこれを資料を集めて、これを分析し検討せられて、監事の職責遂行の便に供しておられますし、また監査室といたしましても、そういうようなことで緊密に監事事務局には連絡をとっておるというのが現状でありまして、両者車の両輪のような関係でやはり運用されなければならない面もあろうかと思います。現実はそのように運用されておる、こう確信をいたしております。
○森勝治君 時間がだいぶ来たようでありますから、次の問題に移りたいと思うんであります。 予算総則に基づいて予算の調整を行なっておる、こう思うんでありますが、その概要をお聞かせをいただきたい。
○参考人(志賀正信君) 予算の調整につきましては、総則の定めるところに従いまして、経営委員会の議決を経まして、年間の予算を調整することが許されております。 〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕 御提出申し上げました資料には、事業収支におきまして五億四千万円、それから資本収支におきましては四十九億円の予算の調整を行なっております。以下その内容につきまして御説明申し上げます。 まず、当年度の収入の調整につきましては、まず受信者の数が当初契約甲におきまして九十八万という増加予定を見込んでおりましたが、年度末までに百万四百二十九という数字をあげることができましたので、二万四百二十九件の増加になっております。また一方、契約乙につきましては、年度当初の予算におきましては年間十万の増加を見ておりましたが、決算時におきましては十七万九千三百六十六の減少を見まして、年度末には予算に対しまして二十七万九千三百六十六の減少になっております。これらの契約件数の調整をいたしました結果、受信料収入といたしましては一億八千百六十二万六千円の増収となっております。また受信料の増収のほかに預金利息等の雑収入におきまして、いろいろと資金の効率的な運用をはかりました結果、四億一千七百六十五万三千円の、予算に対しましての増収を得ることができまして、増収総額といたしましては、五億九千九百二十七万九千円となっております。これを予算総則に従いまして、第七条に従いまして、次のように振り当てをいたして使用いたしてございます。 第一点は、銀行借り入れ金の返還でございまして、これには四億三千万円を引き当てをいたしてございます。 また、第二点は、特別の給与の支給にこれを振り当てまして、この総額は一億一千四十七万五千円でございます。 次に、二番目の問題といたしまして、総則の第六条に基づきます予備金の振り当てでございます。 まず第一点は、標準周波数割り当て計画の変更に伴う工事経費でございまして、これは、当時、ラジオにおきましては、全国で、第一放送で二十五局、第二放送で三十五局、合計六十局の周波数の変更工事がございまして、これに対しまして二千四百十八万三千円の費用を振り当てをいたしてございます。 また、次に、放送番組センターへの出損の問題がございます。この法人につきましては、四十三年の三月に発足いたしておりますが、発足にあたりまして予算に計上いたしておりませんでしたので、当初、基金といたしまして二千万円、運用財産といたしまして三千万円、合計五千万円を予備金から、振り当てをいたしております。 また、郵政省に委託をいたしております集金業務につきましても、契約に従いまして年間の単価改定がございまして、これにつきましては八千六百三万一千円の振り当てをいたしてございます。 また、当年度におきましては、経営委員、役員等の退任がございまして、これに対しましての慰労金といたしまして一億三千八百七十五万円を支出いたしてございます。 以上が予備金の支出の合計でございまして、二億九千八百九十六万四千円をそれぞれの費目に振り当てて使用をいたしてございます。 次に、予算総則の第五条に基づきまして、建設費関係の繰り越しの問題でございます。 これは、四十一年度の決算の結果、四十一年度から四十二年度に繰り越しました建設費の総額が四十四億八千二百十六万五千円ございました。内容といたしましては、高松ほかのテレビジョン局建設工事、及びFMの建設工事、大阪の大電力の建設工事、放送センターの建設工事、長崎その他の演奏所の建設工事、東京の愛宕山の総合放送文化研究所の建設工事、その他の全国放送所の施設の整備工事となっております。 それからもう一点は、四十二年度から四十三年度へ建設費の繰り越しがございます。これは総額で十六億六千万円になっておりまして、内容といたしましては、高松ほかのテレビジョン局の建設工事、小田原のFMの建設工事、大阪の大電力建設工事、帯広その他の演奏所整備工事、東京会館整備工事、室蘭の放送設備の整備工事、八千穂の受信所の整備工事、愛宕山の総合放送文化研究所の建設工事、その他施設の整備工事、大阪世帯寮の工事等になっております。 次に、四十一年度から引き継ぎました工事繰り越し収支剰余金の振り当てでございます。 これは総額四十四億三千五百八十二万二千円の工事繰り越し金がございましたが、当年度に国会に提出いたしました予算にあらかじめ二十億円を計上いたしておりまして、残りの二十四億三千万円につきましては、まず、建設費の繰り越しがございましたので、この中から六億三千二百十六万五千円を振り当てをいたしてございます。 なお、残余のうちの十八億円につきましては、当年度におきまして、予算の上で、建設財源といたしまして借り入れ金を五十億八千万円借りることに予定をいたしておりましたが、前年度からのこの持ち越し金を使用をいたしまして、この借り入れ金を三十二億二千万円にとどめて、十八億の減額をいたして、これに振り当てをいたしてございます。 以上が当年度の予算調整に基づく内容でございます。
○森勝治君 いま述べられた中で、四十一年度の建設繰り延べが四十四億ですね。四十二年度が十六億六千万、こういう巨額の建設資金が繰り延べされている。この理由というものはどういうことでしょうか。
○参考人(野村達治君) ただいまお話しがございました点につきましては幾つかございますが、たとえば大阪の大電力工事につきましては、第二放送の三百キロ増力ということを考えて、土地入手を計画いたしたわけでございますが、この前から大阪の堺の放送所につきましては大阪府の住宅供給公社からこの堺のラジオの放送所の移転の申し入れがありましたので、これに関連いたしまして、かえ地を住宅供給公社が提供するというお申し出がございまして、したがいまして、これを、提供を受けました土地に三百キロワットのものを建てるということにいたしまして、それが簡単に手に入るものというようなことでおりましたら、なかなかこれが難航をいたしまして、したがいまして、四十一年度からの大阪に関しますものも繰り延べをせざるを得なくなりました。事実上は、これは最終的には四十二年の十二月に着工ができるようになりまして、四十四年の二月に放送開始をいたすようになった次第でございます。これが一点でございます。 それから高松の総合並びに教育放送といったものを予定いたしまして予算を計上いたしたわけでございますが、これは周波数の割り当てがまだ郵政省のほうからきめられませんために繰り延べになりまして、これは四十四年の三月に完成することになったわけでございます。 それから大きいものといたしましては、放送センターの第二期工事でございますが、これにつきましては、当初規模を考えまして計画をいたしたわけでございますが、中途におきまして建物の規模等について再検討をいたしまして、そのために約二十三億円にわたりますものが着工がおくれたということで、この分が繰り延べになったものでございます。 それからFM放送局に関しますものは、周波数割り当てが年度の後半に至りましたものでございますので、年度内には完成しなかったというような状況でございます。
○森勝治君 四十一年が四十四億、四十二年が十六億六千万の繰り延べということになりますと、この繰り延べたことによって工事費がさらに増高を来たしたということはないのですか。
○参考人(野村達治君) 特に、そのようなことはないと思います。
○森勝治君 そうすると、繰り延べした理由は、先ほどもあげられたように、あくまでかえ地の問題がけりがつかなかったからというただそういう単純な内容だけですか。
○参考人(野村達治君) 大阪の大電力に関しましてはさようでございます。
○森勝治君 そのほかのほうはどうですか。
○参考人(野村達治君) そのほかのものにつきましては、たとえば高松につきましては、周波数の割り当てが受けられなくて、後ほどになりまして周波数割り当てが行なわれたということでございますし、FM局につきましては、周波数割り当てが年度後半に行なわれましたために、その年度内でできませんで、次の年度に行なわれたということになったものでございます。
○森勝治君 私どもは、難視聴のいっときも早く解消ということはもう多年の、むしろ念願とでも言うべきでありましょうが、この郵政大臣の四十二年度の決算に対する意見書の中でもこのことが触れられて、先ほど電波局長もおっしゃっておられるわけでありますが、ただ、単にかえ地がうまくいかないからというだけで、工事が繰り延べになったという単純な内容だけで、この問題、われわれはああそうかと聞くことができないような気がするわけです。なぜかと申しますと、NHKの皆さんは、その点は非常な慎重な皆さんでありまして、内部が固まり、ある程度の線に到達せぬと決して計画を他に発表しておらぬわけです、いままでは。ですから、今度のようにずるずる延びたということはあまりなかったように私は記憶をするんであります。そういう面から、とにかく四十四億という巨額なものが延びたということになると、やはりそこに何か私どもは、単純な代替地の問題がけりがつかないというそれ以前のものがあったような気がするんです。代替地に付随する、たとえば地価の問題や、そういう問題がこの中にからまっておるような気がしてしようがないんですが、その辺はどうなんですか。ほんとうに文字どおり、代替地がきまらぬから工事が延びた、こうおっしゃるわけですが、私どもは難視聴を解消するということでNHKもこれを大きく、高く掲げておるわけですから、そういう面から見るならば、代替地だけだということならば、これはもう早期に解決されてしかるべきものと、私のほうは単純に考えているわけです。したがって、もう少しその点を、その辺のなぜおくれたのか、その辺のいきさつが、代替地、代替地と言っても、それはわかります。用地取得難の状況はわかりますが、それは全般的にはわかりますが、NHKともあろうものがという立場を考えますと、若干その点一言多く言わざるを得ないんでありますので、こういう質問をしているわけですから、その点御返事いただきたい。
○参考人(野村達治君) この点に対しまして、もうちょっと詳しく申し上げます。 三十八年の七月に大阪府の住宅供給公社からNHKのラジオの堺のラジオの送信所の移転を申し入れてまいっております。これはここを住宅地として開発しておりました一番はじめのところにあるわけでございますが、これを公園地に、住宅に関連した公園地としてここの移転を申し入れてまいりました。私どものほうとしましては、移転先をいろいろ検討いたしまして、その移転先につきましても、住宅公社のほうがかえ地として出すということで、移転方針を決定いたしましたのが三十九年の四月でございます。これにつきまして、私どものほうからその次の月に口頭申し入れし、あるいは文書回答をいたしたわけでございます。最終的にはこの移転土地につきましては、住宅公社の側、並びに私ども両者が協力いたしまして、その適地をさがし求めまして、移転に関します基本協定を結びましたのが四十年の五月でございまして、四十一年の五月には移転用地が羽曳野市と三原町というところに決定されまして、買収が終わりましたのが四十二年の三月から七月の間にわたっておるわけでございます。
○参考人(小野吉郎君) ちょっと補足をいたしますけれども、四十四億、非常に大きな金が繰り越しになっております。いまの大阪大電力局の敷地の問題もございます。あるいは、高松、その他のU局の建設の問題、FM局の着手遅延の問題これは電波割り当て等との関係においてもあるわけでありますが、二十三億という大きな金が放送センター第二期工事の関係におきまして繰り越しになっております。これは当初われわれの計画をいたしました手順によって進めば、そういう繰り越しにはならなかったのでありますけれども、センター建設という重要な問題につきまして、経営委員会におきまして非常な重大な関心を払われて、詳細に内容を検討され、当初われわれの考えておりました一万六千坪ばかり、それをさらに圧縮いたしまして、結局一万四千坪で議決を得たわけであります。そういうことで、これは着工がかなりおくれました。そういう関係で、当然に年度内に出るべき経費二十三億が翌年度に繰り越された。これが四十四億の中に大きな比重を占めております。
○森勝治君 それじゃまあ次に移りましょう。 予備費の問題についてお伺いしたいのでありますが、予算総則第六条ですと、「予備費は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない。」とありますが、さて、しからば予見しがたい予算の不足ということはどういう意味なのか、ひとつその点からお伺いしておきたい。
○参考人(志賀正信君) お答え申し上げます。 当初の予算に計上し得なかった事項について、かつ当年度の事業計画でおよその方向が定められておる範囲内のものであって、予算に計上し得なかったものについてあるいは偶発的に起きてきたような問題、そういうものにつきましては、予備金というふうに考えております。
○森勝治君 そこで、具体的に聞くのでありますが、四十三年の三月ですね、この放送番組センターへ五千万円を出しておられる。そうでしたね、四十三年三月ですね。
○参考人(志賀正信君) さようでございます。
○森勝治君 そうしますと、放送番組センターというのは予見せざる機関であったろうかどうか。こういうことになりますと、これはもう予見せざるどころじゃなくて、もう顕在となって、かねてからあらわれておった機関でありますから、そうなりますと、これが予見せざるというのじゃなくして、あるいはまたはからずもというものでなくして、当然想定されるものだと私は思う。こう規定づけてきますと、当然、これは予備費から出すのでなくして、一般予算の中に、これもかねてから計上してしかるべきであったのではないかと、なぜならば、それは予見のできる放送番組センターであったからであります。そうなりますと、予算総則の第六条にどうも抵触するような気がしてならぬわけでありますが、この点のお答えをいただきたい。
○参考人(志賀正信君) お答え申し上げます。 あらかじめ予定できます場合には当然、予算に計上して執行するのが常道であると考えておりますが、ちょうどこの法人につきましては、四十三年の三月三十日の認可になっておりまして、四十二年度の予算を御提出申し上げましたのは、四十二年の二月でございますので、その際におきましては、こういう法人が出現をする、NHKと関係を持つということにつきましては、予測できなかったわけでございます。なお四十三年度におきましても、同じような状態がございまして、ちょうど予算の提出を終わっておりましたので、これにつきましても、次年度も予備金の支出をいたしまして、前年度と同額の五千万円支出をいたしておりますが、その後四十四年度に至りましては、当然あらかじめ予定ができるわけでございますので、これは予算に計上いたしまして執行中でございます。
○森勝治君 現行は予算に計上だということですから、私も、これ以上この点について深く触れませんが、少なくとも四十三年の三月に放送番組センターへ出された五千万というのは、放送番組センターは御承知のように、前からいろいろ私どもが議論をしておるところであります。その内容については、それぞれ立場が違いますから、議論の分かれるところではありましたけれども、早晩これは誕生してくることが予見されたわけであります。したがって、こういう問題につきましては、当然これは本予算の中に組まれてしかるべきもの、今後はかくあるべきものと私は考えますので、まあ現在では本予算に組んでおると言われますから、その点は直されたんだと思いますけれども、これからも、こういう問題がおそらく出ないとも限りませんから、そういうときには、ひとつこのようなことがないようにしていただきたいと思うのであります。 次の問題に移ります。これは増収費の使途関係であります。私どもは衆参両院におきまして、しばしば当委員会において職員の企業努力による見返りというもの、ことばを変えますならば職員の待遇改善、是正の問題につきましては、両院がこぞってその改善の要請の決議をもう毎年度にわたってしておるわけであります。四十二年度の予算案の採決の際にも附帯決議をつけまして、協会は経営の合理化、能率の向上をはかり、従業員の待遇改善に資することと、毎年いま同様の趣旨の附帯決議をしばしばわれわれはつけてNHKにその改善方を要請してまいりました。四十二年度ではこの報告書の末尾に、特別賞与として一億一千万円何がしかが職員の努力に報いるという名目でありましょう、で、出されておりますが、私はこれは一億一千万というのは、伝え聞くところによりますと、職員一人当たり七千五百円程度に相当するそうでありますが、今日のNHKの予算の規模、事業の内容、職員の事業に取り組むいわゆる事業愛というものを主観的にも客観的にも勘案いたしましても、もう少しいわゆる仕事の量と、その内容についても待遇是正があってしかるべきもの、私みずからも当委員会でしばしばこの点について言及をいたしておりますが、四十二年度では一人頭七千五百円程度ということでは若干、両院で決議等いたし、理事の決意をうながした、こういう期待を持っております私どもの立場からいたしますと、若干期待がはずれたやに考えざるを得ないのでありますが、この点はもう少し見てあげることはできなかったのですか。
○参考人(志賀正信君) お答え申し上げます。 私どもといたしましては、ただいま先生のお説のとおりに考えて年々その考え方で実行してまいりました。たまたまこの四十二年度におきましては、ただいまの受信料制度即ち白黒料金とカラー料金を設定していただきましたその前年に当たるまだラジオの料金の残っておりました時代でございまして、ラジオの受信者が急速に漸減をいたしておりましたところでございまして、先ほど御説明申し上げましたように、当年度の受信料の増収額といたしましては一億八千百六十二万六千円にとどまっております。金額は非常に少のうございますが、これにとどめ得ましたことにつきましては、職員全般の努力のたまものというふうに考えております。これに対応いたしまして、これに報いますために、金額は御承知のように決して多くはございませんが、この受信料の増収額の六〇・八%に当たりますただいまお話がございましたような一億一千四十七万五千円の振り当てをいたしたのであります。なおまた翌年度の四十三年度におきましては、いろいろくふうをいたしまして、一人当たり一万五千円ばかりの振り当てをいたしておりますが、たまたまこの四十二年度につきましては、全体の増収額も雑収入を含めましてようやく五億九千万円というようなことにとどまりましたので、このような金額に相なった次第でございます。
○森勝治君 さらにお伺いしたい問題は報告書を見ますと、給与費の残と称して一億九千五百万円がいわば使い残りとして計上されているわけです。この内容をひとつお聞かせ願いたい。
○参考人(志賀正信君) お答え申し上げます。 四十二年度の給与の予算につきましては先ほどの調整を含めまして総額百八十七億三千四百九十七万三千円に相なっております。これに対しまして三月末までの決算総額が百八十五億三千九百五十四万一千円ございまして、一億九千五百四十三万二千円の残額を生じております。これの内容につきましてはまず基準外賃金の、主として時間外労働でございますが、基準外賃金の残額がこのうちで一億二百五十三万一千円でございます。およそ職員一人当たり月に三十七・七時間を予定いたしておりましたが、諸般の情勢から三十六・四時間にとどまっております。また労務費の残といたしまして七千三十一万五千円がございました。これは年間途中に労務員の減少があったためでございます。次に各種の手当、住宅手当、その他の手当等の残額といたしまして二千二百五十八万六千円ございます。以上三種類の内容を持っております。
○森勝治君 いまの御説明ですと、これだけ残ったと言う。そうすると、時間外労働を職員がそれだけしなかったということに記録の上ではなりますが、さて事業の上ではどうかというと、四十二年度の報告書の中にありますように、六年目ですか、五年目で、財政的に基盤が確立した、こういう報告内容ですね。そういう立場から見ましても、私はこれは職員が残業は確かに一億二百何十万円か残業料が残ったけれども、時間外に私はししとして努力した職員の汗の結晶の姿のような気がしてならぬわけであります。労賃もまたしかりであります。そうなりますならば、当然これは節約額という意味合いにもとれるだろうと思うのでありますが、この点はどうですか。もし節約額というふうにとることができるといたしますならば、こういうときにこそ、衆参両院でかねてから職員の待遇是正の問題については強くわれわれが指摘をし、決議をして理事者の善処を促しておるわけですから、こういう問題は、職員の勤労意欲の結集が節約額としてあらわれたものなら、これはただちに職員に与えられてしかるべきもの、こういうように私は素朴に考えておるわけですが、そういう措置はとれなかったのですか。
○参考人(志賀正信君) 非常にむずかしい問題でございますが、必ずしも節約額というふうにはまいらない点もあるかと思います。と申しますのは、やはり労働を課しました場合には、命令をいたしました場合には、当然基準外に当たりますればその賃金は支払わなければならない、当然のことでございますが、できるだけ過重の基準外の労働をしいることのないようにいたすのがまず前提かと思います。で、いろんな諸般の情勢から、先ほど申し述べましたようにおおよそ月間一人当たり三十七時間程度のものを予定をいたしましたが、これがまあ三十六・四時間にとどまりましたというわけでございまして、この内容、この時間の短縮がありました点につきましては、節約と申しますよりも、それも含めたいろんな効率的な業務のしかたというものも確かにあるかと思いますが、特に、職員に労働をしいながら賃金の支払いをセーブしたというような事実はないわけでございます。
○森勝治君 私は本来、時間外労働というのは反対の立場をとる者です。時間外労働をしなければ、それぞれの家庭の生計をささえることができないということは、これは全くいけないことだと思うんです。したがって、そういう立場は私はとりません。したがって、この時間外労働の賃金が全部残っても、とかくはそういう立場なら言う必要はないのでありますが、日本のいまの体制の中におきましては、人的配置というものが効率的にされているかどうかということを考えますと、なかなかそう簡単にいかない。合理化という美名のもとで、いわゆるオーバー労働をしいられていることは日本の労働界の現状であります。産業界がまたそういう姿になっておりますことは、皆さん御承知のとおりであります。NHKもまたしかりだろうと思うのであります。監事の方が第二点で、営業の強化と、その合理化と言っておられますが、NHKも近代文明の先がけをする立場でありますから、そういう面で新しい機械と取り組む職場であります。したがって、そこに働く労働者の皆さんは、さぞ気苦労の多いことだろうと思うのであります。したがって、残業などをせぬとも十分家族の生計をささえられるだけの賃金を労働の見返りとしてこれを与えるのが、経営者として、理事者として当然あるべき姿だろうと思うのであります。いま志賀さんは、必ずしも時間外労働節約額には当たらぬと言われつつも、なおかつその後段において効率的なということばを用いられました。効率的ということは、御承知のように、時間内で一生懸命仕事をして八時か九時ごろになるやつを六時か七時ごろで終了させる、こういうおそらくことばだろうと私は理解をしたわけであります。そうなれば、午後九時までかかってするものを、職員がししとして精励をして午後七時で終了すれば、二時間だけ仕事も早く終了したわけですから、本来ならば九時まで残業しなければならないものが七時で済むわけですから、二時間はこれはもう節約されたものというふうに私は理解をしておるわけです。したがって、そういう面からいたしますならば、これは節約額的な見方を私はしたいわけです。もちろん、これはあなた方と立場が違いますから別でありますが、そうなりますと、当然これは一億九千万ですから、これを一人頭で割れば大体幾らになりますか、一億一千万で七千五百円ですから、大体一万五、六千円、四十三年度に一万五千円出されたそうですから、四十二年度にはすでに一万五千円あたり職員に——還元するということばを使うのはどうかと思いますが、職員に職務に精励をしたゆえをもって節約をし還元すると、こういうことで反対給付ができるような気がするんであります。そういう点は今後ともとる意思はないのですか、どうですか。
○参考人(志賀正信君) 給与の総額の中にいろいろな項目がございますが、それの流用につきましては、これは執行として私どもにまかせられておりますので、先生のおっしゃるような方向がとれないということはないかと思います。たまたま四十二年度におきましては、先ほど節約というおことばがございましたが、趣旨におきましては先生のおっしゃることと全く同感でございますが、全体といたしましては、この一億九千万は給与総額の一・〇四%に当たるわけでございまして、たまたま決算時におきまして、三月が経過いたしましてから全国に割り当てました予算が戻ってまいると申しますか、こういう形で結果があらわれてきたということで、職員全般に対しましては三月のぎりぎりまでいろいろな形でこれのワク内で仕事をするようにいろいろ指導をいたしておるわけでございますが、この一・〇四%の額についてあらかじめこれを予定をしながら、先ほどの七千五百円にプラスするような形で配分ができなかったかどうかということにつきましては、この年には、そういう形にはならなかったんじゃないかと思います。今後につきまして、そういうことができないかできるかということにつきましては、できないとは言えないというふうに考えます。
○森勝治君 非常に含蓄のあるお答えであります。私はこの時間多労働の費用一億二百万のよって来たるゆえんというものを私なりに検討してみました。これはNHKの職員を使う施策が、こういうふうに一億という残業料を残してきたのだろう、いわばNHKの機構のしからしむるものだというふうに、このやりとりの中から私はそういう考え方がふと浮かんだのであります。ということはどういうことかと申しますと、たとえば、この残業料の中で予算総則の第六条で私がはしなくも言及いたし、引用いたしました予備金の予見せざるものというこのことは、どうも残業料——時間外手当の配算のときに、割り当てのときに予見せざる内容を含めて地方局におろしているのではないか、たとえば一朝有事のときに、天災地変、公害、人命等の問題が起きたときに云々というゆえをもって、これはそういうときでなければ使ってはならないというひもをつけておるやに私は推測をするのであります。しかし、いま申し上げた天災地変、公害、人命に著しい影響を及ぼすような重大事件の発生につきましては、これこそ予見し得ない、予測し得ないことですから、これは予備金支出がしかるべきでありましょう。したがって、時間外手当もそういうものを想定して過去に配算するというところに、私は失礼でありますが、放送協会の体質がちょっぴりのぞいておるような気がしてならぬわけであります。私のこの推測は的はずれなのでありましょうか、私はあながち——もうしばらく聞いてください、当たらずとも遠からず、こういう席でありますから、当たらずとも遠からずという表現を用います。したがって、このことについてはお答えは要りません。要りませんけれども、私は当たらずといえども遠からずということばを用いたいと思うのです。したがって、どうかこれから残業料等の配算に当りましては、予測しがたい事件等の場合には、皆さんがどんどん精励をしておるのですから、精励した方々には必ず一〇〇%時間外手当を払う、残った残業量について。そういう天災地変のとき、事件のときに充当するのはけっこうでありますが、経費を残業料で全部消費してしまう、使ってしまったあとにおいては、そういうとり方をされるのが私は一番正しいあり方だろうと思うわけです。したがって、今後の残業料の配分等にいたしましても、そうした面の予算の組み方をしていただけるならば、何も事件が起こらなかったということで、一億円も金を余す必要はないわけであります。その金をよそで使えば効率的に使えるわけでありますから。私はそんな気がするのです。部外者ですからよくわかりません。わかりませんけれども、この残業料のこの一億も残した、まあ残したのじゃない、残ったのでありましょうが、各部局に、地方局に配算するときもNHKの体臭というものが、一億二百万円にわたる残業料の未使用となって、ここに四十二年度の決算の数字の上にあらわれてきたような気がしてならぬわけです。したがって今後の予算編成にあたりましても、もう少し効率的な編成のしかた、これはほかの、——時間がありませんから、ほかの事業費等についての問題については言及いたしませんが、いまここで残業料の問題が出たから、私はこういう点に付言をしておるわけでありますが、そういう面で効率的な予算の編成を行なっていただきたいと思うのであります。したがって、基本的な問題について会長からお答えをいただきたいと思います。私が推測した分については、お答えには及びません。
○参考人(前田義徳君) 体臭はきわめてまじめな体臭を持っているというのがまあNHKの特徴かと思いますが、そのまじめさのゆえに融通がきかないという点もあるいはあるかと思います。答えなくてもよろしいということでありますので、具体的にはお答え申し上げませんが、お考え方は私どもも別に共感ができないというものではございませんが、しかし将来については、かりにまた年度末に残るということが確実であれば、その残った原因は何かということを検討しながら、できるだけこれを職員のために活用する方向に考慮を払ってまいりたいというふうに考えております。
○森勝治君 そこで志賀専務理事に聞きたいのですが、いまお話しの中で、時間外労働手当は月間三十七時間、こうおっしゃったわけですね。お答えはそうでしたね、平均。
○参考人(志賀正信君) さようでございます。
○森勝治君 そうすると、NHKの予算定員に三十七時間をかけて、これを一人の平均勤務時間、年間の勤務時間で割ると、当然そこに時間外をせずとも定員を配置すれば、月に三十七時間でたいへんな時間でありますし、皆さんが時間外労働をしないで済むような気がするわけであります。もちろん総額予算で縛られますから、人間の増員もそう簡単にはならぬことは重々承知いたしますけれども、職員にオーバー労働をしいるというよりも、むしろオーバー労働の時間というものを定員の中で編入をする、組み入れる、職員を増加させる、こういう方向を暫時とられるのが正しかろうと思うのでありますが、この点はいかがですか。
○参考人(志賀正信君) 基本的には、森先生のおっしゃったとおりだと思います。ただNHKの場合には、先ほど申し上げましたのは全国の職員の一人当たりの平均でございますので、これには非常にその職場によりましてでこぼこがあるわけでございますが、この時間外が出ないように人員の増加をはかって処理をするのが理想であるというような御意見でございましたが、基本的には、そういう方向が正しいかと思います。ただNHKの場合には、この業務の特殊性と申しますか、深夜勤務がございましたり、またほとんど四六時中この放送機の灯を絶やさないというような仕事をしております関係から、あるいは国際放送のように夜間、夜中を通して仕事をするというようなこともございます。また、最近はタレントの都合等で深夜になりましてからのいろんな収録というようなものもございまして、通常の業務でありながら、かつ、それに伴って基準外というような特殊な面がございますので、これを全部その頭数に置きかえてというような考え方は、必ずしも全部はとれないという事情がございます。
○森勝治君 そういう立場もわかりますけれども、私は基本線としては、臨時労務者を使うとかあるいは時間外労働で事足りるとするのは本質ではないと思うのですね。それこそ予見せざる問題が起こったからパートタイマーでこれを充当するのだ、これならわかりますけれども、もう四十時間も五十時間も毎月残業しなければならぬということでいたしますならば、当然これは本人がその長い年月には健康をそこねるおそれもあるわけでありますから、そういう問題からいたして、できるだけ残業をせずとも生計を立てることができるような方法を用いてやるのがしかるべきだと思うのです。まあ志賀さんなんか、そろばんをはじく専門家の責任者でありますからそうさいふのひもはゆるめられないで、福田さん並みの御発言だと思いますが、ですからそれは大蔵大臣の御発言でありますから、志賀さんのお話はそれはそれとして聞きまして、会長、私これいま志賀さんとそういうことで残業料の問題から予算定員の問題という問題を私が提起しているわけですが、その点はどう考えていただけますか。
○参考人(前田義徳君) 大筋では私にも異論はございません。その目標をもって、非常にくどいようですが、第二次六カ年計画以降、経営の近代化というタイトルのもとに補助的人手は機械に譲るとそういう考え方で、そして同時に、職員すなわち私の立場で申し上げれば職員は同僚であり、また組織で申し上げれば組合とも話し合いながら、労働の密度を安定させることによって、将来やはり待遇を向上させていくという方向で今日までやっております。理想的にいえば、日本の給与体制は単に時間外のみならず、あるいは住宅手当であるとか、幾つかの手当が非常に多いわけです。この点は事務の簡捷化の面から申し上げましても、まことに前世期的なものが残っていると、そういう意味では、できるだけプラス・エックスの給与体制というものを一本化するという方向に努力いたしたいと考えており、またこれまでの間にもあるものを整理しつつきておりますが、現在の時点ではそれが最終的に決着をつけると申しますか、結論をつけるという段階までには至っていないわけでございます。しかし、御趣旨は私自身も数年来考えているわけでありまして、そのような可能性がきわめて顕著となれば、逆に私としては、われわれのほうから積極的にそういう体制をとりたい、このように考えております。
○森勝治君 私の質問の約束の時間がきたようですから、私は残りあと一点だけ質問いたします。簡単な質問でございます。 この報告書を見ますと、四十二年度に各界有識者を集めてNHK懇話会なるものを設立したと聞きますが、NHK懇話会なるものは、そもいかなる目的で、いかなる内容をはらんでおるのか。もし、費用がかかるとすれば、予算措置はどうされているのか。それはいわゆるPRの費用の中から出しておるのか、あるいは先ほど言われた予備金の支出なのか。金がかからなきゃ、これは別問題でありますが、そういう問題について、ひとつお答えをいただきたい。
○参考人(前田義徳君) これは、先ほど来の、劈頭の御質問とも関連するわけでありまして、NHKの経営について一般的御理解をいただくことが非常な困難な環境にあり、事実と異なる印象を与える場合が非常に多いわけでございます。当委員会等においては、そのようなことはないと確信しておりますが、このためにはやはり経営の内容を公開すべきであるという原則を数年前にとりまして、特に昭和四十三年度に受信料の体制を改めていただきましたときを契機として、全国八カ所に、まあ率直に私が考えた呼び名は各階各層の御参加を願って経営懇談会という形でのものをつくりたい、そうしてそれをつくったわけでありますが、これは広報関係の、御承認をいただいた予算の中からこの会合を開いておるわけでございます。したがって、これはある意味では、非常に端的に申し上げればPR費の一部ということになるわけでありますが、PRにも、あるいは出版物とか、いろいろな方法がございますが、私どもといたしましては、当時このようなものを全国八カ所につくって皆さんの御意見、御不満も伺いながら、われわれの考え方、数字の中身もお話申し上げるという意味でつくった会合でございます。
○委員長(近藤信一君) 他に御発言がなければ、本伴についての本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十三分散会