地方行政委員会 第5号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/03/12
会議録
○委員長(山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 昭和四十五年度自治省の施策及び予算に関する件を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 大臣が見えるまで消防行政について最初にお尋ねをいたしますが、消防関係の予算のみを数字の上で見てみますと、交付税についても相当努力をされて、年々伸びております。補助金についても、消防施設強化促進法に基づく補助金のほかに、予算補助の面でも確かに伸びております。総じて一般予算の伸び率よりも消防関係予算のほうがはるかに高いといわれながら、そう充実感を感じさせないどころか、ある意味ではますます心細さを感じさせるのは、そこにはいわゆる都市化時代、高度社会に対応した異常な消防行政需要が存在するからだと私は思います。そこで考えなければならないことは、市町村消防そのものの充実であることはもちろんでありますが、市町村消防ではとうてい処理し切れない特殊火災対策であります。昨年十二月八日に出されました行政管理庁の消防行政に関する行政監察結果に基づく勧告も、この特殊火災対策について一項設けて、さらにそれを港湾及び空港、石油コンビナート地区、地下街、中高層建築物地区、温泉地区、四つに分けてそれぞれ答申を行なっておりますが、その中で、消防法第十四条の三に規定する自衛消防組織の強化ということが言われておりますが、現状はどうなっているのか、あるいはどのような方向をたどっているのか、まずお聞きをしたい。
○政府委員(松島五郎君) 消防法に規定しております自衛消防につきましては、政令で定める基準に従いまして、それぞれの関係の危険物等を持っておりますところでは自衛消防隊を置かなければならぬ、こういうふうにして整備を進めてきているわけでございます。
○和田静夫君 それはわかっているんです。現状は一体どういうふうになっておりますか。
○政府委員(松島五郎君) 現状と申しますと、そういうことで整備してきておりますので、いま手元に、どこにどれだけあるというのはただいま資料を持っておりませんが、それぞれこの法律の定めるところによって設置しているという現状でございます。
○和田静夫君 そうすると、資料を調べられれば大体現状をわれわれが検討できるような形で出していただける予定ですか。
○政府委員(松島五郎君) 資料のまとまっておるところにつきましては、御提出いたします。
○和田静夫君 では後ほど届けていただきたいと思いますが、消防行政についていろいろと語られるときに必ず出てくる問題は、人手不足ということであります。しかし、一方では勤務内容は高度化するばかりだと思うんです。この問題をどう解消したらよいかといえば、私は、一般的に言われる労働条件改善以前に、消防の場合、近代的な労使関係の確立が実は急務だと思うのです。消防団員制度などというのは、近代消防には似つかわしくない制度だと思われてしかたがありませんが、いかがお考えですか。
○政府委員(松島五郎君) 消防団の制度は、御承知のとおり市町村の自分の地域の安全は自分たちでもって守ろうという地方自治の精神から出発いたしておるのでございまして、そういう意味から申しますならば、地方自治の観点からも必要な制度ではなかろうかというふうに考えます。また、かたがた新しい社会の進展に伴いまして、火災の態様というものも変わってまいりまして、したがいまして専門的な訓練、専門的な技術を持った者が消火に当たるという必要性もだんだん強くなってきていることは確かでございまして、そういう面から申しますならば、できるだけ常備化を進めていくという方向がとられなければならないというふうに考え、われわれとしてもその方向で進めてきておるわけでございます。しかしながら、いかに常備化を進めてまいりましても、常備化をいたしてまいりますためには相当の経費というものも必要でございますし、そうなりますと、火災の発生の確率の問題と経費の問題というようなものを総合的に勘案して、どの程度まで常備化するかという問題も考えなければならぬ点があろうかと思います。そういった点で、私どもできるだけ常備化を進める、しかも財政的な問題からくる制約というものもできるだけ少なくなるようにするために、今後常備化を進めていきます地域はおおむね町村の地域でございますので、共同して組合等の形で常備化を進めていくという方向で進めているわけでございます。
○和田静夫君 近代的な労使関係の確立の問題に関連をして、ヨーロッパの幾つかの国が現実に実施をして、またいま公務員制度審議会においても議論になっておりますが、消防職員に団結権を与えることについて、どのように考えていらっしゃいますか。
○政府委員(松島五郎君) この問題につきましては、公務員制度審議会でもいろいろ御検討なさっておられるところでございますが、ただいまのところ私どもといたしましては、消防の任務というものが常に有事即応の体制を整えるという必要があるということ、そのためには、単に火災のときだけでなくて、常日ごろから強固な規律と統制のもとになければならないというふうに考えております。また一たん火災が発生をいたしました場合には、これは完全な部隊行動をとって行動しなければならない。そういう意味から申しますならば、やはりこれは広い意味で国の安全、国民の生命、身体、財産の保護に当たる任務でございますので、軍隊、警察というのと同様に、団結権を与えるということは適当ではないのではないかというふうに考えております。
○和田静夫君 大臣に聞くのがいいんでしょうが、いませんから。言ってみれば消防職員に団結権を与えておると、いまの長官の話じゃないですが、逆の意味では、一たん有事の際に規律を守ることができないなどというような形になるから、警察やその他と同様な形で、団結権を与えるべきではない、そういうようなお説のように承られますが、そういうことですか。
○政府委員(松島五郎君) やはり私はそういうふうに考えております。
○和田静夫君 全くとんでもない話で、いま大臣が見えたら、この部分についてはもう一ぺんお聞きします。 人手不足、そしてオーバーワーク、こういうような現況については、さきの勧告に先立ち監察を行なった行政管理庁の監察官も明確に認めているんですね。これはお認めになりますね。
○政府委員(松島五郎君) 御承知のとおり現在の消防の体制は市町村単位になっておりますので、常備消防につきましても、市町村によってかなり勤務の実態と申しますか、繁閑が私は違っているように考えております。火災の発生件数等を統計によって見ましても、人口一万人当たりの火災の発生件数は、年間、東京都の特別区におきましては八・一件でございますけれども、町村部におきましては二・九件ということでございますから、人口一万人の町で一年間に火災の発生が三件ということでございます。そういうふうに考えてまいりますと、町村の場合は全部常備消防になっているわけではございませんけれども、常備消防になりました場合においても、年間にほんとうの火災で出動する件数というのはきわめて限られた回数であるというふうに考えられるわけでございます。そういう面からいえば、勤務がオーバーワークになっているというふうに必ずしも言えない面があろうかと思います。ただ大都市等におきましては、最近火災の発生件数も非常に多くなっております。そのほかに予防業務というのが非常に重要性を増しております。要するに火災があるから出動するという以外に、火災を起こさせないために、常時消防職員がそういう活動をしてもらわなければならないという面がふえてきておりますので、そういう面につきましては、かなり忙しいところもあろうかと考えております。そういう部分につきましては、できるだけ人員の充実をはかるように努力をいたしておるわけでございます。
○和田静夫君 それじゃ、大臣見えましたから、ちょっと最初に返りますが、実は、地方行政委員会における自治大臣の所信表明、読ませていただいたのでありますが、私、一枚、実は所信表明抜けてるんじゃないかと思って、何度もページ合わせてみたら、ページが合ってるんです。そこで、七二年に沖繩が返ってくるというのはうそなわけですか。
○国務大臣(秋田大助君) 御承知のとおり、うそではありません。
○和田静夫君 そうしますと、所信表明の中に、沖繩問題に対しては、自治大臣としては何もお考えはない、こういうことですか。
○国務大臣(秋田大助君) 考えないわけではございませんが、一応総理府のもとに、沖繩返還並びにこれに関する準備処置の問題が取り扱われておりますので、そういう意味合いから、一応所信表明に取り扱わなかったのでございますが、内部においては、あるいは準備処置等心組みをいたしておることは申すまでもございません。
○和田静夫君 たいへん不満の意を表明をしておきたいと思います。何といったって、この国会、沖繩の問題というのはたいへんな焦点だと思うのです。予算委員会等の議論を通じて、ほかのところへ論議がいっておりますけれども、私は、少なくとも沖繩の問題を中心として、一体昨秋行なわれたニクソン・佐藤会談の真実は何であったかということを国民の前に私たちが知らせる、そういうことを義務づけられている。本来ならば臨時国会でそのことをやって総選挙というのがあたりまえだったと思うのですが、そういう意味を持っておる国会の中で、少なくとも新任大臣の所信表明の中で一番重要な問題が落とされているということに、これは不満の意を表明をせざるを得ません。で、すでに大蔵省は、大臣のおことばではありませんが、各省それぞれ方針を出してるんですね。大蔵省は沖繩復興に特別会計を設けることや、あるいは四十六年度から、沖繩援助費のうち地方行政費を交付税で見るようにしたいという考え方を明らかにしておる。運輸省も沖繩開発の基本方針を明らかにしていますね。しかるに自治省は、沖繩の地方制度をどうするのかという点については所信表明で触れられなかったわけでありますから、われわれ、まあ知るよしもないんです。何か自治省関係の官僚の方々も沖繩へたくさん行っているようでありますが、それは一体どういうことを意味するのか、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 実は所信表明の原稿作成の際に、私から、事務当局との話し合いの際その点を指摘いたしまして、考慮にのぼせたのであります。しかし、御承知のとおり沖繩の現状と本土の現状と、行財政組織にいろいろ格差、違いがございます。これのすり合わせということは、非常にデリケートで困難な問題を含んでいると思います。かつ、各省いろいろ関係をいたします。いま機構的には、総理府総務長官のもとに御管轄を願っておりますので、そういう諸般の事情を考慮いたしまして、慎重を期した次第でございます。しかしながら、沖繩を本土に復帰させるにつきましては、本土との一体化をはかりまして、行財政等の水準につきましても、十分準備体制を整えて、これが本土復帰に少なくとも円滑を欠くことのないように処置をすべきは当然でありまして、その大綱について少なくとも述べるべきであったかと、ただいま反省はいたしております。以上のような事情をひとつ考慮、御了承を願いたいと存ずるのであります。
○和田静夫君 理事会で制限された時間ですから、後の機会に沖繩の本土復帰に伴う地方制度の改革については十分議論をさせていただく。委員長議論の場を与えてもらいたいと思うのです。そのことは留保をしておきますが、前提として、大臣でなくてけっこうですが、自治省はいま復帰に伴う沖繩の地方制度改革にとって、何と何が問題であるとお考えになっているのか、聞かしておいてもらいたいと思います。
○政府委員(鎌田要人君) ただいま大臣から御答弁を申しましたように、自治省内部において検討いたしておるわけでございますが、まず基本的に、お尋ねの沖繩の地方制度ということにつきまして、何が基本的な問題であるかということになりますと、何と申しましても、現在沖繩の行政制度といいますか、は、琉球政府と市町村、この二つからなっているわけでございます。この琉球政府中の仕事のには、わが国に比較をいたしました場合に、いわゆる国政事務、それから府県の行なう事務、それから市町村の行なう事務、こういうものが琉球政府の中にございますし、市町村は市町村として、わが国の市町村に比較いたしました場合に一番大きな相違ということになりますというと、教育というものがある、こういうことがあろうかと思うわけであります。 そこで、現在の琉球政府が行なっておりまする事務の中で、これを国の事務、それから府県の事務、市町村の事務、こういうふうに割り振りをする。そこに従事せられる職員の身分というものを、そこでどういうふうに区分をしてまいるかという問題があろうと思うわけであります。それから教育の問題も同様でございます。教育というものを、今日の府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会、こういったシステムに切りかえてまいる。それから税制でございますが、税制につきましても、御承知のとおり琉球政府が徴収いたしておりまする税、市町村が徴収いたしておりまする税、それをわが国の内国税あるいは府県税、市町村税というものと比較をいたしますと、これまた入り組みがございます。市町村が事業税をとっている、こういう形に一例を申し上げますとなっておるわけであります。そこで、この税制の改革という問題があろうかと思います。また市町村も、現在沖繩の市町村の数は、たしか六十幾つありましたのを五十幾つに減らそう、こういうことで町村合併、ちょうどわが国の町村合併促進法と同じような形の町村合併法というものがあるようでございます。これがことしの十一月で期限が切れるようですが、やはりある程度市町村の行政基盤、財政基盤というものを強化してまいるという意味合いにおきましても合併を進めてまいらなければならないだろう。あるいはまた職員の共済制度、これにつきましても、御案内のとおり、わが国の場合でございますと、国家公務員あるいは府県の公務員あるいは公社の公務員、こういったものが一本で公務員等の共済制度、それから教職員のほうは別の共済制度、こういうものになっております。それに議員もやはりこの職員の期間を通算をする、こういう変わった制度になっているわけであります。この辺の調整という問題もあろうかと思います。 さらにはまた消防制度でございますが、消防が、やはりわが国のように現在のこういった自治体消防という形でございませんで、警察の所管に入っておるようでございます。そういったところが当面私どもが整理をしてまいらなければならない点。したがいまして、そういう全体の需要というものと収入というものを見込みまして、地方交付税というものにどういうふうに溶け込ませていくか、こういったようなもろもろの問題があるわけでございます。自治省といたしましては、そういったことをこなしますために、官房長を長といたしまして、関係局課長をメンバーといたしまして委員会を設けまして、その局の宿題といたしまして、復帰までにやらなければならない問題、復帰のときにやらなければならない問題、復帰後にやらなければならない問題大体時期的に三つに分けまして、現在それぞれ宿題を持って作業をいたしておる、こういう状況でございます。近いうちに荒いデッサンでも、結論を私の手元で一応まとめたいというところで現在検討いたしているところでございます。
○和田静夫君 もう一つ重要なのでは、おそらく行政改革があると思うんですが、たとえば現行の四局制を部制にするとかという形のものもあると思うんですが、一番基本的な問題では、きょうは深追いしません。ただ一点だけ沖繩問題で、これで最後にしますが、沖繩の本土復帰に伴う問題で具体的に聞いておきたいのは、私はここに旧沖繩県時代の昭和十八年十月一日現在の県有財産表を持っております。これは沖繩開発にとってたいへん重要な意味を持つんだろうと私は思うんですが、いまそれが米軍によって接収をされているわけですけれども、琉球政府当局者の話によりますと、これがいまどのように使われているかということについて、幾らかでも、どういう理由かしらぬが、米軍は明らかにしないのであります。たいへん困っているようであります。ところがこの間調べたのでは、大蔵省の係官が向こうに行ったときか何か、国有財産の調査で沖繩に行ったときに、旧県有財産の使途明細についてもつかんで帰ってきたと、こう言われているんですが、まだ手元に来ておりませんが、自治省はその写しでも大蔵省から手渡されておりますか。
○政府委員(鎌田要人君) その資料はまだ私ども入手いたしておりません。
○和田静夫君 大臣にぜひお願いしたいんですが、自治省として、琉球政府が困っているという旧沖繩県有財産の使途明細ですね、一日も早く手に入れてもらって、手に入ったならば私ども資料としていただきたいのですが、渡していただけましょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 御趣旨に沿うて努力をいたし、実現させたいと思います。
○和田静夫君 大臣は冒頭、自治大臣になられて、地方自治の重要性をあらためて認識をされた、こういうふうに述べられて、以下所信表明をなされているわけですが、この地方自治が非常に重要であると痛感をされておることについてたいへん意を強くしているんですが、そこで一つお聞きをしたいのは、大臣はまず、一九七〇年代は全く内政の時代だと言わんばかりに、一九六〇年代における高度経済成長のひずみの拡大を強調されたあとで、二ページですが、「とりわけ、住民生活に身近な行政分野の大半を直接地方公共団体が行なっている現状に思いをいたしまするとき、今日ほど、内政における地方自治行政の使命が強調され、その内容の充実、強化が望まれる時代はないと考えるものであります。」と述べられております。そこで、ここで言われている内政における地方自治行政と地方自治そのものとは異なる概念だ、私はそう思うんです。大臣は自治大臣という立場におかれて、国政としての地方自治行政の重要性について確かに認識をされていることを十分読ませていただきましたが、地方自治を破壊をする地方自治行政だって見られるわけですから、その点についてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(秋田大助君) 内政における地方自治行政の重要性を認識いたしました関係において、地方自治そのものを考慮する点に欠けるところがありやしないかというお話と思いますが、当然地方行政の根幹に地方自治というものがあるのでございまして、これを取り除きましては、内政といたしましての地方行政の全部が根本からくずれるわけです。言わずもがなのことでありまして、地方自治行政の地方自治という精神そのものは私はこれは忘れていない。当然中心にかたく持っている次第でございます。
○和田静夫君 私は、地方行政は行政効率を追及する以前の問題として、まず地方自治体の自発性、創意性、そういうものを引き出す観点が貫かれていなければならないということを常日ごろ痛感いたしております。前の国会でも野田自治大臣にも申し上げましたが、新憲法下における地方自治の規定というものは、少なくとも憲法構造が全体として保障する民主主義との関連において不可分の要素として、わが国の伝統的な、言ってみれば官僚制支配に対する深刻なる反省をこめたものである。このことは私たちは常に忘れてはならない、こう思っているのです。もちろん私もアメリカあるいはイギリスの民主的な地方自治制度を原理的に導入してきたはずのわが国の現行制度が、わが国の政治的社会的な風土の中で、住民の自治意識のある面では未成熟のゆえに、あるいは議員活動の前近代性のゆえに、所期の効果を十分発揮したと言えないことは認めないわけではありません。しかしそれにしても、住民の近代的な自治意識をつくり上げていく観点で国は一体どれだけのことをいままでしてきたのだろうかということを常に思うのです。それどころか、自治省は、全部が全部とは申しませんが、これは自治体のほんのわずかな創意性でも、自分たちが気に入らなかったならば、行政的に財政的に締めつけてそれを圧殺する態度をとってきたといっても私は過言でないと思う。 そのいい例が、今度の東京都の職員のベースアップにおいて、人事院勧告どおり五月から実施しようということに対しての自治省の干渉が明確にありますが、秋田自治大臣も、深く全体をお知りになる前に美濃部さんと何回かお会いになるということをやられたと思います。大臣はほんとうにわずかこの一カ月分という地方自治もやはりお認めにならないつもりですか。
○国務大臣(秋田大助君) ちょっと最後のところをもう一回……。
○和田静夫君 五月実施というのはわずか一カ月分です。そういうわずかなところで、それもお認めにならぬのでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 美濃部さんの、昇給、ベースアップを国の公務員支給時六月より一カ月さかのぼって実行される、これは人事委員会の勧告に従われたことでございまして、そのことはそのこととして評価されるべきことともちろん私は心得ております。しかし同時に、中央政府の一般職員の給与との均衡、あるいは他の地方団体における職員の給与との関係、これらとのやはり調和を保たるべきことは、地方公務員法の私は規定する精神であろうと思います。その点にひとつ着目いたしますときに、何らかの反省が行なわれてしかるべきものである。こういう観点に立ちまして、美濃部さんに反省を求めたのでありまして、このことが地方自治を犯すものとは私は考えておりません。地方自治は、自治体の自治をもちろん尊重いたし、それの原則はかたく堅持さるべきことでありまするけれども、同時に、他の地方公共団体との統一、連絡、調整、これも同時に要望されておるものと心得ますので、この点から考えまして、自治省のとりました態度は決して自治の本旨にもとるものではないと私は考えております。
○和田静夫君 地方公務員の給与は国に準ずる、そういう趣旨の法律の諸条項を、自治大臣に就任されておそらく自治省の官僚から詰め込まれ、それをたてにとられた自治省の言いのがれをうのみにされているような感じがいたします。それならば、人事委員会制度というものが法律的に厳存しているということについてどのように一体考えるのですか。地方公務員の賃金格差の問題と言われましたのですが、これは全国的なものです。いわば日本の公務員制度全般に深く食い入った形で、私は別個に考究されるべきものだ、そういうふうに実は考えているものであります。人事委員会という法的人事機関の勧告を守るという自治体のきわめて正当な自主性ですね、これをさえ認められないということになるならば、日本の地方自治というのはまさに何をか言わんやという感がするのであります。 いま大臣の横にすわっていらっしゃる鎌田さん、官房長として忙しいだろうと思ったから、私はきょうはお呼びしなかったつもりですが、ちゃんとお見えになっておりますから幸いなんですが、あなたが、地方公務員月報の四十三年一月号で述べたことは、いま私が読み上げるまでもなく、あなたは御存じだと思いますが、大臣に念のために聞いていただきたいと思います。「人事委員会の勧告機能というのは、いったいどういうふうに評価したらいいものだろうか。人事院勧告のおうむ返し、機械的なおさらいにすぎないんじゃないかという話になるわけです。こういう点が地方公務員の給与改訂に関する人事委員会の勧告の機能評価という問題につながるわけです。」、まあ、前段の部分が少し一言多いと思うんですがね。これはまあ性格を知っておる者が見れば何でもないんでしょうけれども、鎌田さんを知らずに読む者は、全くけしからぬという怒りが私は人事委員会から起こってきたっていいんだろうと思うんです。これからあとなんです。「東京都の場合はまことに数少ない例外のひとつでありまして、現実に都と民間との給与格差を算出し、この格差に応ずる給与勧告を行なっている、いわゆる独自方式ですが、この東京都の場合は数少ない例外であって、そのほかの所は当該地域の公民格差のいかんにかかわらず人事院勧告のおうむ返し的な勧告をしている所が多い。」 そこで大臣、いま読み上げましたように、当時自治省の公務員部長であられた鎌田官房長が、自治省のこの指導機関誌でこのように絶賛をした数少ない例外を、ほかならぬ自治省がつぶしかかっているわけですね。東京都の人事委員会というのはまさに数少ない例外の独自性を持っておる、こう評価をされておる。その人事委員会の勧告を自治体の首長が守ろうとする、そのときに、自治省そのものはそれをつぶしにかかっているわけです。大臣はどのように弁明をされますか。
○政府委員(鎌田要人君) 大臣がお答えになります前に、私のしゃべりましたことが問題になっておりますので、ちょっとその間の釈明だけお許しいただきたいと思います。 私がここで申しておりますのは、人事委員会の勧告機能という問題を申しておるわけでございまして、それを地方団体でどういうふうに受けとめて実施をされるかということとは別問題だというふうに私はそこは割り切っておるつもりでございます。「おうむ返し」ということばにつきましては、実は前にも私おしかりをいただいたわけでございますが、これは確かに表現として適切でない。ただそこで申し上げたいと思いましたことは、人事委員会の調査の結果、それからこの勧告に出されるものとの間に、何と申しますか、断絶があると申しますか、この調査結果においては、ある場合でありますとほとんど公民給与の格差はないという数字が出ておる、あるいは国の場合よりは低い格差が出ておるにもかかわらず、この勧告なり意見なりのところにまいりますというと、国家公務員にならって給与改定をやることが適当である、あるいは望ましい、こういう意見なり勧告なりになっておる、そういうことを申したかったわけであります。おそらく民間給与のとり方も問題があると思いますけれども、北海道から鹿児島まで同じような公民給与の格差という数字が出るはずはない。そこのところで出てくる答えとしては、国の給与改定に準ずる、こういう勧告の機能というものは一体どういうふうに評価したらいいものであろうかという私の率直なる疑問の表明でございます。
○国務大臣(秋田大助君) 人事委員会の勧告はこれは尊重さるべきものであることは申すまでもありません。その点における美濃部さんの行動、処置については、私はそれなりに評価をいたしております。しかしながら、実施に関しましては、やはりその団体の財政の事情、あるいは他の地方団体その他民間の状況等ともやはり考慮をされまして、財政的な事情から、これを尊重しつつも同時にそのとおりにされないということもこれは認めらるべきものである、そういう観点から、単に人事委員会なり人事院の勧告は文字どおり尊重されなければならないものだ、そういう法的拘束力があるんだとは考えておりません。十分尊重さるべきは申すまでもないことでございます。
○和田静夫君 時間も長くなりますから、十分尊重されなければならないという大臣のおことばをそのまま受けとめておきます。 で、私はやっぱり最近特に思うんですが、地方自治とは何か、自治とは何かということをつらつら考えてみますと、政治の中に人間性を回復することだという感じが非常に最近強くするんです。どうもやっぱり企業本位に地域開発政策が進められてみたり、そういうことが非常に多いんですね。で、過疎の中に老人が孤独の中で泣くという状態などを、特に私は北陸を回る機会が多いですから、何べんも何べんもぶつかると、そういう感じがするんです。そこで、自治とは人間性を政治の中に回復するものであると考えてみて、やっぱり自治省がもっと果たさなければならない役割りがたくさんあると思う。たとえば立川のあの飛行場ですね。市議会の諸君が特別委員会をつくって満場一致できめて、平和利用のために、防衛庁の施設関係に対して、たとえば道路は開放してください、あるいは社会福祉的な施設としての公共施設をあの中につくってください、あるいは立川の駅の貨物駅に関してはそこに移してくださいなどという要求を住民との関係で話し合って上げていく。それは当然自治省は側面的に、防衛庁なりに対してその立場を尊重しながら行動を展開をする。そこに初めて私は、自治省が自治の本旨に基づいて存在をする、そういう省としての役割りを果たしていくと、こう思うんです。ところが住民には、あそこは自衛隊が入ってきて使うんだなどというような形で、五十年ぶりに爆音から解放されて、静寂を、人間的な生活の場を取り戻した立川の市民が何も知らないところで、そういう形のものが行なわれてしまうなどという悲劇もあった。最近もまた経験しつつあります。ああいう場合に、自治省がとられた、やられた、そういうことについて、この機会に立場を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 政治から人間性を守っていくということ、それが地方自治の内容的な一つの本質をなしているということ、お説のとおりだと思います。また現実の問題につきまして、そういう考え方で措置をすべきものであると、私もその点は同感であります。しかし、時代とその国の事情と世界の情勢に応じまして、現実の措置におきましてはその間の調和が求められるべきこともまた当然でございまして、それらと無関係に、直ちに、宙で人間性の尊重だけが取り上げられるというところにおきましては、また全体を考えてとるべき措置が出てまいるという場合もあるかと思います。そこいらの、現実は調和の問題であろうかと思いますが、あくまでも地方自治の本旨は個人、住民の福祉を中心に考えて措置をすべきことであるという点については、私は間違いないと思う。そういう心がけで地方自治の指導に当たりたいと私は考えております。
○和田静夫君 立川の基地の問題の取り扱いについて、具体的に官房長あたり……。
○政府委員(鎌田要人君) 立川の問題につきまして、自治省といたしまして特別の行動をとったことはございません。
○和田静夫君 そうしますと、これは大臣まだ就任前の話ですが、たとえば昨年の十月に、これは政府側もまあ一部分は知っておったのでしょうが、あっと驚くぐらいアメリカが一方的に、使用不能になったからやめる。私は昭和二十九年砂川の基地の反対闘争の先頭に立っておった一人であります。そういう意味では、私たちの非武装の闘いの成果が十五年ぶりに実った。これからあの広場が東京都の民衆の広場として、立川の行政の中の、いわゆる民衆の生活の広場として返ってくることがあり得るだろうと考えたほどです。自治省としては、当然あれだけの広大なものが使用不能になった、そうすれば事後に一体どうこれを活用をしていくか、東京都民のために、立川市民のために、こういう形の観点に立たれるのは当然ではないですか。それに対して何ら措置を講ぜられないということに対しては、これはもうたいへん不信の念を持たざるを得ません。いかがですか。
○国務大臣(秋田大助君) ただいま申し上げましたとおり、地方自治行政というものは、その自治を尊重さるべきことは申すまでもありませんけれども、同時に、これは日本の国家というものを離れた日本の地方あるいは日本の自治行政というものはないのでございます。そこで、現実のこの時点、この国際環境におきまして、立川問題と自治問題との接点の調和を求めなければいけません。したがって、これは自治省といたしましては、防衛庁なり、外務省なり、その他行政当局との国策の関連において処置をさるべきものでありまして、私、就任前の立川の具体的な処理におきまして認識十分つまびらかでございませんから、具体的にお答えを申し上げる立場にただいまありません——立場はありますかもしれませんが、知識をつまびらかにいたしておりませんが、趣旨としては、自治省といたしましてその点において欠くるところはなかった、こう私は考えております。
○和田静夫君 前段のほうは大臣の答弁非常によかったのですが、一番最後非常にあれなんですが、私はさっきから強調される調和発展は否定をしません。しかし、それも私は自治省というフィルターを通して言うことがやはりたいへん大切なんだと思います。そこが日本の政治の中で忘れられているところに実は多くの問題が出てくるのではないか、こう思います。そうして国のためにといわれるその立場に立って見ても、私はその国の国民の生活全体を包括をするものでありますから、その立場に立てば、自治省は明確に立川の基地のあとの利用問題について、たとえば防衛庁の意向があれば、われわれの立場はこうだというくらいの主張は当然あってしかるべきだし、自治体では住民を広範に巻き込んで、平和利用の要求が上がっているのですから、それにこたえる道での努力があってしかるべきだと思う。そうして結果的にはこうなったと言われるならまた話は別です。ところがその経過というもの、過程というものは、鎌田官房長の先ほどの答弁では、なかったのであります。そういうことを私は問題にして、そういうことは今後たいへん困る、こう考えます。
○政府委員(鎌田要人君) 立川の問題に限らないと思うわけでございますけれども、そういった基地のあと地をどういうふうに利用するかということになりますと、物体は国有財産でございますし、その市としての将来の計画というものもございましょう、あるいは都の場合でございますと、都としての全体の土地利用計画と申しますか、施設の利用計画というものもある、そういうものがある程度できまして、それに対してこういうところがネックになっている、自治省としてこうしてほしい——現在の仕組といたしまして、市町村の行財政の指導といたしましては、都道府県というものを間にもう一つ置きまして、私どもといたしましては行なっているというのが実情でございます。したがいまして、そういった問題につきましては、やはり都道府県が第一次的にいろいろ相談に乗ってあげられる、そこで計画が立てられたところで、各省の問題としてあがってくる、その場合に、自治省としてどういった形で連絡調整ということができるか、こういうことに相なろうかと思うわけであります。
○山本伊三郎君 自治大臣に初めてちょっと意見聞きたいと思います。 先ほど和田委員に対する地方自治の基本的な問題について、具体的な問題としてちょっと私は気になりました。地方自治権と申しますか、それは一つ認めざるを得ない、「しかし」と言う。いつもあなた「しかし」があとについている。これが問題でございます。言われたのは、地方自治と国の統治権との調和、こう私は受け取るわけです。具体的な例として和田委員は、立川におけるあの基地の問題を取り上げられましたが、時間がありませんから簡潔に結論だけ申し上げます。かつて私は東富士演習場の問題でも、山梨県民の意向を無視して、政府はいまだに解決のできない問題が多々ある。これは基地問題だけではございません。その際に私は、和田委員の質問の趣旨は、自治省は国家の一つの統治権の一環の自治省であるから、どうも要するに国の行政の方向に加担しやすい。ぼくらは、地方自治体のいわゆる自治体の一つの味方として常に政府部内で主張をしてもらいたいという希望を持っているのです。そういう省であると私は認識をしている。かつて戦後自治省の前にもいわゆる地方財政委員会という組織でやって出発いたしました。庁になり省になるにしたがって、だんだん政府のほうに加担をして、結果は国の統治権の重みを持ってきておるという状態。時間ありませんから例は示しません。そういう点で、初めて大臣になられましたので、地方自治というものに対する、少なくとも自治省は、政府部内、大きく言えば国家統治機関の中において地方自治体に対して常にこれを擁護していく立場をとっていただきたい。例を申しません。そういうものについての考え方——「調和」と申されましたけれども、やはり私はむしろ自治体にあなたが立った立場で、いわゆる閣議でもっても秋田自治大臣はそういう立場で考えてもらいたいという考えを持っておるんですが、これに対する御所感を聞きたい。
○国務大臣(秋田大助君) まさに地方行政、自治行政の本旨から見て、ただいま先生御指摘のとおりの立場をとるべきと考えております。しかし——また「しかし」ということばがつくというおしかりを受けるかもしれませんが——国というものを別にして地方自治というものが宙にあるわけじゃございません。そしてまた、国の地方行政の面においては内政面の地方行政があると同時に、国の外政面に自治行政が関連をする点がございます。この接点におきましては、これは表現が「調和」と申しては妥当を欠くかもしれませんが、何らかの調整があることは当然でございます。今日、世界がユートピアになって一国のような状態に世界がなりますならば、まさに山本先生のとおりの立場で首尾一貫した立場を私もとれるかもしれません。しかし、現実の国際社会というものを見ました場合に、それと地方行政との接点の場合に、ことばは適当でないかもしれませんが、理屈どおり、文字どおりに自治行政の立場だけを貫く、純粋にその立場を貫くということはなかなか問題があると思うんです。この点、これはまあ人生観の相違に最後は帰着いたすかもしれませんが、私はただいま申しましたような立場に立っております。
○山本伊三郎君 ぼくは地方自治体の立場だけを固執できないことは知っております、自治省は国家行政機関の一翼ですから。しかし、少なくとも自治大臣、自治省は、先ほど言いましたように、自治体をどう発展させ地方民を守っていくかという立場を重点に考えてもらう。「調和」と言われましたけれども、いまの現実を見ますと、むしろ国家の統治権のほうに重きを置いたようなものが多いのです。和田委員がたまたま指摘されましたけれども、そういうふうに、私は少なくとも自治省、自治大臣はそういう立場をとってもらいたい。何も地方自治体の首長のような立場を守れと言っておりませんよ。そう理解しておりますけれども、少なくともそういう考え方でやってもらいたい、こういうことです。答弁は要りませんけれどもね。
○和田静夫君 次に、広域行政とその行政の簡素化の所信表明の部分についてお聞きをしますが、昭和三十九年の九月に臨時行政調査会が提出をした「広域行政の改革に関する意見」、それもまあ指摘をしていますが、「広域行政」という概念は、あるいはその問題の性格について論者の見解は必ずしも確定をしておりません。むしろ広域行政ということばはきわめて融通性を持ったあいまいもことしたことばとして使われております。それにしても広域行政という場合は、今日私は次の二つの観点で取り上げられているという特徴があると思います。 その第一は、変化した、あるいは変化しつつある今日の社会経済状態に対応して既存の行政制度を改め時代の要請に適応した制度に再編をする、そういう問題の一つとして提起をされている。この点は自治大臣所信表明で述べられたとおりです。 もう一つは、そうした改革が国政と地方行政の接点である府県制度の改革という問題として提起されている点に私は特徴があると思う。この点について自治大臣は、相変わらず色あせた自主合併方式ですね、都道府県合併特例法案ということでお茶をにごそうとされているのです。しかし私は、この時点において、問題の本質を回避をして通せるようなことではもうないと思うのですね。たとえば、いま財界から道州制をしけという提案がなされています。これについては自治省の考え方はどうなんだと聞けば、必ずあなた方は地方制度調査会の議を経て云々とお逃げになることはもうわかっていますが、しかし、この問題はいまに始まったことではありません。昭和十年代に、道州制の問題を含めて国、地方を通ずる行政制度の根本的改革の機運が高まって、これをめぐって財界や官界の有力者たちがさまざまな発言をしたことを私たちは記録で知ることができます。今日とただ一つ違っているのは、われわれ革新陣営が全く弾圧をされていましたから、そういう意味で発言をする機会がなかったというだけが違っているのです。もちろん、当時の状況が戦時体制であったという特殊性はありますが、道州制が府県制度のあり方の問題を回避して出されてきている点では私は共通であると思うのです。むしろそれは、辻清明教授なんかも述べられたごとく、行政任務の拡大に伴う行政組織分立化という現代国家に必然的に内在をする行政権利の一般的な要請とかそういう発展が、戦争の勃発によって一そう先鋭的な形で露出したにすぎなかったとも言えると思うのです。昭和十七年の九月二十六日から二十九日にかけて大政翼賛会の第三回中央協力会議が開かれましたが、そこで財界の代表であった当時の日本団体生命保険会社の社長膳桂之助氏が道州制案を出した。これは地方行政の本位を県から道州とする、府県は廃止するが道州の補助機関とするという点で、いま話題になっている日本商工会議所の永野重雄氏らの案と実は非常に似ているのに、この間からいろいろひっくり返して見てびっくりしている。この道州制案に対して、当時すぐれた官僚といわれた内務省の山崎次官が反対論を展開していますね。この両者の対抗関係といいますか、あるいは均衡関係といいますか、こういう関係の上に乗った形で、戦前の場合は地方行政協議会があのような形で現実化をしていったのだと思うのです。私はこの歴史的な類推は、今日の段階における財界の道州制論と都道府県合併特例法案に相も変わらずこだわる自治省との関係に、相当——ある程度当てはまっている、そういうふうに思います。時間的な経過はあるけれども、この部分についてはさっぱり経過がないというふうな感じがするのです。 そこでお尋ねをしたいのですが、府県制度の現状に照らしてみて、あるいは府県制度改革の地平においてとでもいいますか、自治省は現在道州制というものをどのようにお考えになっていますか。
○国務大臣(秋田大助君) これは検討に値する、一つのある意味における広域行政の形と考えて、せっかく検討中でございます。
○和田静夫君 一月二十六日の地方の新聞に、自治省は広域市町村圏の推進を通して市町村の力を強めつつ道州制案を実現する考えだという記事が載っているわけですね。広域市町村圏と道州制との関係というものは一体どうなるのですか。言ってみれば、ここでいわれている広域市町村圏を通じての市町村の力の強化という場合、その市町村とは広域市町村圏を構成する市町村の強化なのか、広域市町村圏が一個の強化された都市になっていくということなのか、どちらですか。
○国務大臣(秋田大助君) これは今後の発展過程にもよることで、かつ、いまの市町村を市町村としてただ強化するのか、広域市町村として強化されるのか。すなわち、いま自治省が進めている広域市町村圏が一つの合併をしまして市に必ずさすんだと、こういう考えを持っておれば、いまお尋ねの二つの問題は一つにそこで合するのかもしれません。必ずそうしなきゃいかぬものだというふうにも考えておりません。これはやはり広域市町村圏が市町村合併になるなり、私は少しいまの御質問よりは問題を拡大さすかもしれませんが、先ほどの道州制におきましても、やはりそういうものが成立するのには成立する前提条件があろうと思うのです。昔の戦争時代の道州制というのとことばは同じだけれども、これは軍国日本としての軍事的要求から出てきた問題です。今後の広域市町村圏、あるいはあるべき都市の形態、あるいは府県の合併の形態、これはあくまでも民主的なものでなければならないということを考えますと、この基礎には地域住民の納得、同一地域意識、そういうものがなければならぬと思うのです。それを無視しての道州制、それを無視しての府県合併、市町村合併、広域市町村圏の施策はもちろんできないわけです。そういうものの同一住民意識の根底には、道路であるとか、あるいは下水道の整備であるとか、そういう生活環境の整備、環境施設の整備が具体的にありまして、そうしてそういうものが生まれてくる、こう考えておりますから、私はその点は民主的な地方団体のあり方ということを中心に考えておりますので、固定的にいまこうしなきゃいかぬという考えは持っておりません。
○和田静夫君 大臣の言われたとおりに進んでおればあまり文句も言わないんですがね、中央からの、言ってみれば、押しつけ的な広域行政、民主的な民衆の意見というものはくみ上げられない、そういう形で進んでいるものだから取り上げているわけですが、磯村英一さんが最近、最近になって自治省が広域市町村圏構想、あるいは建設省が地方生活圏、そうして経済企画庁が広域生活圏などを提唱しているのは、やがてはその目標が広い地域の新産業都市地域にまで及んでいくことを予測するからだ、それでなければ、新産業都市などという都市を呼称する必要がなかったはずであるという議論を展開されておるのであります。これはこの間の都道府県合併特例法のときに自由民主党推薦の参考人として出られた方であることは御存じのとおりでありますが、この点は一体どうですか。
○政府委員(宮澤弘君) 磯村教授がどういう趣旨で言っておられるか、ただいま和田委員お読みなさいましたことだけでは判断をしかねるわけでございますが、申し上げるまでもなく、新産業都市は、ああいう時代を背景に新しい工業立地を中心にした一つの地域政策であります。昨年から自治省が提唱いたしております広域市町村圏は、そういう工業生産なり経済発展という観点が主眼ではなくして、やはり住民生活の水準の向上なり充実という観点が中心でございます。したがいまして、観点も違っておりますし、また、地域のとり方というようなものも違ってまいります。計画としては、なるべく調整をするような配慮をいたしておりますけれども、観点が違っているわけでございます。ちょっとただいま、磯村教授のおっしゃったこと、私どもには解しかねるわけでございます。
○和田静夫君 どうもわれわれの理事から時間を迫られておりますから深追いしませんが、私がなぜこのような疑問を持つかと申しますと、やはり府県制度との関連においてなんです。かつて地方制度調査会が府県合併の促進を答申をしたときに、都道府県を広域的地方自治体と定義をして、基礎的地方自治体である市町村との自治の二重構造を前提としたことはこれはまあ周知のことなんですが、地方自治体の広域行政体制という点から見ますと、都道府県があれば足りるのであります。もし今回の広域市町村圏構想が都道府県の廃止を前提としたものであるならば——まあ私は反対ですけれども——それなりに筋が通ると言えましょう。しかるにこの構想では、広域市町村圏の区域は都道府県知事が公示することとなっている点、あるいは都道府県が必要に応じて広域行政機構に介入をする点、あるいは広域市町村の計画の策定実施に介入をする、そういうことになっている点などなどですね、考えてみますと、広域市町村圏なる特別地方公共団体は都道府県ときわめて密接な関係になるように考えられているわけです。もし都道府県が実質的に完全に地方自治体であるならば、市町村の共同体に介入をすることは許されないことではないでしょうか。また、もし都道府県が完全に自治体でないとなれば、そのような介入のしかたはまさに自治に対する侵害だと、こう思うのですがね。これはいかがですか。
○国務大臣(秋田大助君) 私はその専門家でございませんから、非常にいま細精な理論を展開されたようでございますが、しかし、私は常識的に、府県というものは国と地方自治行政の基本的な要素である市町村、それを主体とした広域市町村圏との中間にあってその機能を十分果たすべき役割りを持っておる地方団体と考えますから、広域市町村圏との間に介在しいろいろの関係を持つといとことは当然のことでありまして、そこに私はおっしゃったような問題を起こすものではないと、こう考えております。
○和田静夫君 これはまたおいおい委員会の中であれしますから、自治省にもし広域市町村圏を地方自治抑圧の——まあ言い方は少しきびしいが——手段に使おうなどという意思がないとすれば、どうも自治省というのは市町村自治というものに対するぬぐいがたい不信感を持ってやっているのではないかという感じがしてしようがない。確かに昭和四十四年の五月二十八日付「昭和四十四年度における広域市町村圏の振興整備に関する措置について」各都道府県知事あて事務次官通達には、「広域市町村圏の振興整備を図ろうとする希望がある地域については、下記にご留意のうえ、すみやかに」云々とある。しかし、社会資本の決定的な立ちおくれと市町村財政の状況から見て、各市町村が全くみずからの希望に忠実に広域市町村圏の指定を受けるか受けないかを判断する状況ではないのであります。広域市町村圏に関連して、これも前国会の都道府県合併法の参考人に見えた恒松制治氏が述べた次のことばを私は自治省関係者はもって肝に銘ずべきだと思うのであります。「多くの市町村は心中、「財源を豊かにしてくれるだけで十分だ」と思っているであろう。「地方自治は自分たちが守ってやらなくては」と、もし自治省が考えているとすれば、これらの多くの市町村はかえって迷惑に思うであろう。私はそこにこそ地方自治があるのだと思う。重ねて主張したい。地方自治という、たえざる努力を必要とする課題が、変貌する社会にふり回されることは望ましいことではないし、変化に適応しようとすればするほど地方自治は定着しなくなる可能性が大きい、ということを。」、こう「市政」の五月号では書いている。 次に、この所信表明は、公務員行政、地方財政、地方税制と続いておりますが、時間がなくなりましたから、各論的に別の機会に、委員長からさっき保証をもらいましたので、やらしてもらいますが、次の二、三点について最後にお聞きをしておきたいと思うんです。 その第一点は道路財源の問題。四十五年度の予算編成の過程で、道路整備に関する国庫補助率の特例の存廃をめぐって自治、大蔵両省の間で若干のやりとりがあった。その際、自治省も指摘をされておりましたが、国、地方を比べてみた場合に、道路特定財源の国への偏在というのはたいへんおびただしいものがあって、国庫補助事業としての道路整備事業が地方財政に過重な負担となってきたことについてはいまさら指摘するまでもありません。しかるに、新たにまた道路整備五カ年計画が発足しようとしているわけですね。まあ、よしあしは別としても、田中自民党幹事長の自動車新税構想なんというのは表に出ないまま消えちまいましたけれども、自治省は、この五カ年計画実施に伴って地方自治体が負担しなければならない財源ですね、これはどこに求められようとしておるわけですか。
○説明員(首藤堯君) 第五次の道路整備五カ年計画がこのたび改定をされることになりまして、全体の、六兆六千億の第五次が、十兆三千五百億ほどに増大をするものになることは御承知のとおりでございます。このことに関連をいたしまして、特に、私どもといたしましても、地方道、その中でも特に市町村道、これの整備が緊急である、このように考えております関係上、新道路整備五カ年計画でもこのような地方道の整備に重点を置いてもらように建設省当局とも十分折衝をいたしたわけでございます。その結果、かなり地方団体の負担が増加をいたしまして、これに対します道路特定財源、目的財源の充当の比率が、現行のままでございますと、低下をいたしてくると、こういうことに相なろうかと思うわけでございます。ただし、この第六次五カ年計画の道路整備のための目的財源の措置等につきましては、今後、政府部内におきましても、どのような措置をとりますのか、いろいろ案があろうかと思いますが、検討が続行されるということになっておりますので、その過程を通じまして、地方財源の充実についても私どもとしては十分な努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○和田静夫君 大臣は所信表明で、住民税の課税最低限の引き上げを中心とした「地方税負担の軽減合理化」云々と述べられた。所得税が一応目標の百万円に達した。昭和四十五年度以降、一体自治省はどのような計画で住民税の課税最低限を引き上げていくつもりなのか。何年かのうちにはそれを所得税の課税最低限と一致させるつもりなのか。
○国務大臣(秋田大助君) 住民税の課税最低限引き上げに関して計画性を持たせよというお話しでございます。なかなか、税の性格上、これが地方税の中心をなしておる。これにおいて相当の税収額をあげていかなければならないというこの要求、それから一方に経済の伸び、あるいは国民生活のいろいろな状況、こういう点から考えまして、この税の最低限引き上げについて計画的な措置をとるべきであるという議論はもちろん考えられますが、なかなか現実、困難なところがあるようでございます。世間には、所得税の課税最低限との一致をはかれという御要望もございますが、所得税と住民税との税の性格の差異も御承知のとおりでございます。したがいまして、これの差を詰めようということは十分考えております。だんだん詰めてまいりたいと考えておりますが、これに計画性を付与するという点については、遺憾ながら非常に困難な点がありますので、いまのところ具体的な計画は持っておりません。
○和田静夫君 何といってもやっぱり両者の約三十万円というあれは一向に縮まらないものですから、実はその理由として持ち出されるのに負担分任の原則というのがあるわけですね。私はこれは昨年の四月八日の地方行政委員会でも、一体この原則はだれがいつ打ち立てた原則なのかと尋ねた。いま消防庁長官でいらっしゃる当時の税務局長は、まっこうからお答えにならずに、税調の長期税制の答申の内容をお示しになったわけです。その際私が聞きたかったのは、税調が用いる、したがって自治省関係者が好んで用いられる負担分任の原則とはどこから来たのか、そういうところから聞きたかったわけです。時間がありませんから、一々一問一答やりませんが、私の見解だけ述べて、あとで引き続いてやりたいと思うのですが、住民税と負担分任の原則との結びつきを説明するためには住民税制定の沿革にさかのぼらなければならないと思うんです。もともと住民による負担分任ということ自体は、何も住民税だけに特別な性格であるのではなくて、これは地方自治制度が発足以来の財政自治の原則を規定したものにほかならないわけですね。住民税に限らずに、すべての地方税に適用されるこの原則が、特に住民税の特質として結びつけられたのは、どうも調べて見ると昭和十五年の税制改正以来のようであります。しかるに、昭和十五年の税制改革者たちは、負担分任という地方自治の道義的な根本原則を援用して、税の存在理由を説明し得ることの限界を私は心得ていたと思うんです。そこには財政収入としての重要度の低さ、納税者が等級高下のある、いわゆる会費のごときものとして寛容できる程度の税の重さあるいは軽さ、特別の資格を要件としない一般的で大衆的な義務者という、三つの要件が必要であるようでありますね。この限度を越えて収入としての重要性が高まるときに、正当な租税として担税力の正確な分析や把握が私は必要になると思うのです。同時に、個々の納税者の寛容に期待することもできず、それをそのまま大衆に及ぼすことも制限を受けてくるわけでありましょう。これはすでに単純な負担分任ではなくて、その課税は厳密な財政的検討と、検証を受けなければならなくなるとこう思うんですね。市町村民税が均等割り一本でいかないことが十分その萌芽であると私は思うんです。私どもは戸数割りが分解されて、各個の税目に吸収をされて、その分解のあとに残ったものだけが負担分任の精神を強調されて、市町村民税となることが認められたことも、この限界の存在を私は物語っていると思うのです。にもかかわらず、自治省の関係者たちが厳密に財政的な検討を抜きに所得税と住民税の課税最低限の差を相も変わらず負担分任の原則だけから説明されるのは一体なぜか、これはもうどうしても理解できないのですよ。ここだけちょっと答えておいていただけませんか。
○説明員(首藤堯君) 住民税の性格についての御意見でございますが、ただいま御指摘になりましたように、負担分任と申しますその思想だけで貫けるというふうには私どもも考えておりません。負担分任と申しますものは、御承知のように、地域社会の費用をその住民が能力に応じてなるたけ広く負担をしていこうと、こういう考え方であって、その点のニュアンス、濃淡につきまして所得税との間に若干の差があるではないかと、こういうことを申し上げておるわけでございます。御承知のように、住民税は均等割りと申しますしろものにつきましては、全く負担分任と申しますか、こういう思想が貫かれておるわけでございますが、所得割りにつきましてはその能力に応じました応能な負担と、それからなるたけ広くと、こういう地方自治と申しますか、そこから由来をいたしました考え方との調和点で、その所得割りの課税の限界がきめられてくると、これは先ほど御指摘がございましたように、経済の状況でございますとか、所得の状況でございますとか、こういうことによって変動し得るものであると、こう考えておるわけでございます。なお、もう一点は、これも御案内のことと思いますが、所得税の課税最低限に住民税のそれを全く一致をさせますことは、現在の地方財政にとりましてはゆゆしい非常に大きな財源の喪失、こういうことにも相なりますし、それからもう一点、小さな市町村におきましては所得割りを納める人の数が非常に減ってしまう、ごく少ない数になってしまう、こういう状況も御案内のとおりあるわけでございます。その付近の調和点に課税最低限の設定が求められてしかるべきだ、このように考えておるわけでございます。
○和田静夫君 時間がないですからあれですが、総理が二月二十六日の予算委員会で地方税に付加税方式を取り入れることが好ましいと、こう述べた、御存じのとおりです。大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(秋田大助君) 総理は総理の立場でおっしゃったと思います。私はそういう考えは持っておりません。
○和田静夫君 これは実はもっと明確にしなければならぬと思うのですが、「持っておりません」とはっきりそこであれしておいて、あと税法のときに譲ります。 今度の税制改正で、現在資本金一億円以上の製造業にとられている分割法人の事業税の各地方団体に対する配分基準を製造業以外の全業種にも適用することになるようでありますが、これによって減税になる地方団体はどことどこであり、その減収額はそれぞれどのくらいですか。
○政府委員(降矢敬義君) これによって税が動く団体はいまの試算では東京都と大阪府でございます。その額は東京が三十一億八千万、大阪が七億九千万でございます。
○和田静夫君 東京はもっと多くありませんか。
○政府委員(降矢敬義君) 東京につきましては動く支店がまたございますので、入ってくるものがございます。差し引きして申し上げたわけでございます。
○和田静夫君 一部の報道雑誌で、これは東京都に対するいやがらせだ、五月実施に対する腹いせだと、そういうふうにうわさをされているのでありますけれども、したがって、公式の答弁をお伺いをしておきたいのですが、資本金一億円以上の製造業にとられている分割法人の事業税のいわゆる各地方団体に対する配分基準を従来どおりに製造業種のみに限っていた法の趣旨は何であったか。今回のように改正しなければならない事情の変化は何であるか、お伺いいたします。
○政府委員(降矢敬義君) 分割法人につきましてどういう基準で法人の所得を各地方団体に帰属させるか。つまり、全国に工場を持ち本店がある府県にあるという場合の法人は、全体として所得を上げますと、各団体が課税権を持つ。したがって、どれだけの所得はどの府県に帰属させるか、こういうことであります。したがって、それは事業の活動規模をあらわすような指標が一番いいし、また、納税側の立場に立っても、できるだけ一定をした容易な基準のほうがよろしい。従来製造業につきまして、三十七年までは、いま申し上げたように従業員数だけで配っておったわけでございますけれども、だんだんといわゆる工場が地方に分散し、工場誘致ということも盛んになりましたときでありますし、かたがた、当時、御案内かと存じますけれども、地方団体間の税源帰属の適正化ということが府県の間で特に問題になっておったわけでございます。したがいまして、そういう両方の面からしまして、製造業につきまして、しかも資本金一億円以上というふうに限りましたのは、ある程度規模の大きい工場、会社、こういうものは実際実益があるわけであります。小さいものになりますと、これは御案内のとおり約八十万の法人がございまして、そういうこともできませんので、資本金一億円以上の製造業について分割基準の改正をして、所得の帰属の適正化、同時に、それは府県間の税源配分の適正化、こういうことをはかったわけでございます。今回におきましても、その後の情勢からいたしまして、管理中枢機能は本店に集中いたしますけれども、地元のほうではだんだん機械化いたしますし、また管理中枢機能というのは結局その法人の活動全体を動かすものでございます。したがって、一部の府県におきましては管理中枢部門というのは全体に配分すべきであってそこにある特定の団体だけに配分を考えるという基準というものは適当じゃないというような御意見もあったわけでございます。したがいまして、今回製造業以外の資本金一億円以上のものにつきましても御指摘のような従業員数を基準にとるならば、やはり二分の一というものを考えたほうがよかろう、こういうことで今回改正を考えたわけでございます。
○和田静夫君 それは税制の問題のときにさらにいまの点をもっと深めたいと思います。 そこで、最後でありますが、消防関係に戻ります。大臣お見えになる前に若干消防関係でやったことはお聞きになったと思いますから、時間がなくなりますので、重複を避けて、協力する意味であれしませんが、一つ大臣にどうしてもお聞きしなければならぬのですけれども、消防職員の団結権についてどうお考えになるか。これはあとでお答え願いたいのですが、そこで、先ほど申し上げた続きでありますけれども、たとえば消防職員の人手不足や、あるいはオーバーワークというものが耐えがたいものになったときに、消防職員といえども、たとえば消防庁に対して人員の増であるとか、あるいは待遇改善を要求することは私は当然だと思うのですね。そのことを否定をされるような長官の答弁というのは私は疑義に思うのです。これは私は言ってみれば消防行政の向上にとって必要なことだと思うからなんです。しかるに、昨年十一月十三日群馬県境町の消防職員がそういう行動をとったところ、境町の町長は直ちにそれらの消防職員の処分をするという態度に出られました。また警察を介入させてこれを調べるという挙に出ました。町当局はこうした事態にもっと私は前向きの姿勢をとってしかるべきであると、こう実は思うんですね。これは、消防職員というのは、たいへんぼくは気の毒な状態にあると思うんです。で、大臣は、いま私が述べたことに対してどうお考えになるか、それが二つ目。 そして三つ目には、大臣は所信表明の中で、「従来から国庫補助金の増額等によりその整備の促進をはかってまいりましたが、昭和四十五年度においても林野火災対策用消防施設、救助工作車等を新たに補助対象とするなど引き続き消防施設の整備につとめてまいる所存であります。」、こう述べているのでありますが、人件費の補助についてはお考えにならないのですか。
○国務大臣(秋田大助君) 消防職員の団結権の問題でございますが、御承知のとおり、国民の貴重な人命そして財産、その災害に対処する公共的な使命を持っておられる方々でありまして、その活動は有事に即応し、かつ団体規律をもって行動させるべきことが要求されている職務でございます。その職務の性格に徴しまして、いわゆる労働権上の団結権を認められておらないのでございまして、この点はひとつ、人間として待遇の要求その他をすることは当然じゃないかという点はわかりますけれども、その職務の性格にかんがみまして、団結権を認めてないという点をひとつ御了承を願いたいと思うのでございます。しこうして、施設のみならず、人に対する待遇の改善ということは十分考えておるのでございまして、四十五年度御審議を願います地方財政の点につきまして、交付税の基準財政需要額におきまして、消防団その他職員の臨時手当なり、あるいは出動手当なり、あるいは被服等につきまして、格段の配慮を講じておるところでありまして、その詳細につきましては事務当局より、必要があれば説明をいたさせます。——職員ではございません、団員でございます。失礼いたしました。
○千葉千代世君 私は、地方政治と陳情政治の関連について自治大臣にお尋ねしたいと思っております。そのあとで、いまアメリカで国家予算の編成段階で活用していると聞いておりますいわゆるPPBS方式という、これは日本でも活用したらどうかという御意見もあったやに聞いて、いま大蔵省とかあるいは経済企画庁でそれぞれ研究しておるやに聞いておりますから、現段階でどのような研究状態になっているかということをお聞きしたいと思います、これは陳情政府とたいへん深い関係を持っていると思いますので。 そこで陳情の問題ですけれども、毎年国家予算の編成段階になりますと陳情団が地方から押しかけてくる。ことしも例年に漏れないでたいへん激しかった。特に一月の二十四日に大蔵省の原案が内示されて、それで二十五日から復活折衝が始まると、その前後して六百五十億の調整財源をめぐって分取り合戦が激しく行なわれた。この陳情の実態について各新聞社もかなり詳しく報道されましたし、私どもも現実にその様子を見ております。自治大臣は、この予算編成段階における陳情合戦について、各県の実情をどのように把握していらっしゃいますか。いわゆる動員された人数とかあるいは費用とか、地方自治の停滞状況とか、かなり波及してくる部面が多いと思うんです。その実情を述べていただきたいと思います。
○政府委員(鎌田要人君) お尋ねのような資料というものを持ち合わしておりません。実は新聞等でいろいろ出たわけでございますが、私どものほうで調査をいたしますにしましても、陳情の目的、性格、こういったものによりましていわゆる全体——どういうものでどういう調査をやるか、ちょっと調査の手がかりがつかめないものでありますから、調査をいたしておらないというところが実情でございます。
○千葉千代世君 私は大臣に伺っているので、あなたは大臣だったですか。
○政府委員(鎌田要人君) 事務的なことでございましたので、失礼いたしました。
○国務大臣(秋田大助君) 予算編成時における地方からの陳情の状態、これは私も見聞をいたしておりますし、また、新聞の報道等についても承知をいたしておりますけれども、一体数字的にどういうことになっているか、いかにこれが地方の財政に影響を及ぼしておるか、これは当然考うべきことでございまして、陳情そのものは民意を反映する一つの有力な手段でございまして、それ自体は私は決して非難さるべきことではない。しかしこれには節度がある。同時に、したがって節度ある行動に、また行為に出ていただきたいということは、自治省としてはかねがね希望もし、指導もいたしておる。この点についてはさらに指導を強化する必要も感じております。そうしたいと思っております。しかしながら、実態につきましては、数字的な把握につきましては、いま官房長からお答えをいたしましたとおり、なかなかつかみにくい点がありますので、この点つかんではおりません。しかし、確かにこういう陳情の弊害ができるのにはやはりできるだけの私は理由があると思います。その点につきましては、十分に自治省といたしましても考えなければならない問題を含んでおると思います。おそらくその点が次の御提示の問題と関連をするのであろうと思うのでございますが、ひとつこの点については節度ある態度を地方の方々に要求するとともに、国の機関としましても、地方をして陳情をせしめなくても足るようなひとつ組織なり機構なり活動を十分この点について考慮すべきものを持っておる、こう考えております。
○千葉千代世君 陳情をしてこられたのは、いろんな圧力団体とか、あるいは地方の知事さんを先頭に各部課長とか、大挙して来ておりますね。それから地方議員とか、こうあります。全部の掌握というのはなかなかむずかしいかもしれませんが、少なくとも自分の管轄する各県の地方自治の責任者が大挙上京してきているという実情の中で、全然それを把握していないというのはどういうことなんでしょうか。把握していないで節度ある態度というのは、どこから出てきたんでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 節度ある態度というのは、大体をつかんで言えることでございますが、さあきょうはどこから何人出てきた、そしてそれはどういう方であった、これの全部を一々チェックをしまして点検するということはなかなかむずかしい、こういうところでつかみにくい、こう申し上げたわけであります。
○千葉千代世君 新聞報道だけでも、一月の二十日前後から三十日にかけまして、各社でたいへん詳しく報道しておりますね。ごらんになられたと思うのです。そのごらんになられて頭に残っておる部分だけでもけっこうですけれども、お示しいただきたいのですけれども、それはお隣にいらっしゃる方でもけっこうです。
○政府委員(鎌田要人君) お許しをいただきまして答弁させていただきたいと思います。 先ほど全貌をつかめないということを申し上げました点をもう少し補足させていただきますと、本来の業務で上京されて、そのついでに陳情をされるというものもございましょうし、あるいはまた、本来陳情それ自身の目的でおいでになられるものもございましょうし、あるいはまた、ちょうど時期的にたまたまそういう時期に本来の用務で上京された、こういったいろいろな形態が考えられるものでございますから、それを一々仕分けをするということは、ちょっと技術的にむずかしかろうというふうに考えておる次第でございます。当時新聞に出ましたところでは、ある新聞でございますけれども、県の知事、副知事、それから部長、何県は何人不在、何人出張して不在というのをお出しになっておられまして、大体県の首脳部の方々はあの時期に最低一回は上京しておられたように新聞報道では記憶をいたしております。
○千葉千代世君 陳情に対する費用とか、そういう点について把握していらっしゃいますか。どこから出て、大体概数どのくらいかかったという……。
○政府委員(鎌田要人君) ちょっとその点は私、手元に資料を持ち合わしておりません。
○千葉千代世君 これでは全然論議になりませんけれども、私いま国会で取り上げたいと思いましたのは、たいへんこれは地方自治が阻害されるという観点からゆゆしい問題だと思ったわけです。それで大臣は所信表明の中にも、「国土全体の均衡のとれた発展と、豊かで住みよい地域社会の建設を通じて快適な国民生活を実現してまいるために、国、地方公共団体をはじめ、国民全体が」云云というあとで、「とりわけ、住民生活に身近な行政分野の大半を直接地方公共団体が行なっている現状に思いをいたしまするとき、今日ほど、内政における地方自治行政の使命が強調され」云々ということが出ているわけです。そうするとこの所信の内容分析をしていきますというと、たとえ陳情そのものが一端であるといたしましても、重要な関連を持っていると思うのです。 私間違うといけませんから、国会図書館で各新聞社の、読売さん、朝日さん、毎日さん、東京タイムス、東京新聞ですか、全部その前後のを調べてもらいました。これは新聞社のお書きになったこと、私自身も調べましたのですが、一つの県のデータなので、全部調べてみましたのですが、これは決裁がとれなくてたいへん困っている実情、たくさん出てきました。きょうはこまかいことはやめますけれども、一つの例で申し上げてみますというと、大体二万人前後が来ているということです。それで衆議院会館、二つの会館には大体毎日五千人ぐらい来ている。参議院会館だけでも三千人ぐらい、こういう人数になっている。内訳で見ますというと、たとえば一つの県の例をとって恐縮なんですが、この岩手県などですというと、岩手では一月の二十三日の朝、岩手の東京事務所に大体五十人の陳情団が繰り込んできている。それを待ち受けて千田知事、副知事、土木、厚生、農務、農地林務各部長、教育長、これがごっそり上京してきている。同じように、たとえば栃木県ではこれまたたくさん来ております。したがって、この上京するためには、急行の「なすの一号」というのは陳情列車という異明をとっているということも聞いております。 こんなように考えてきますというと、栃木だけでも延べ二百人来ている。群馬ですと、大蔵大臣のおひざ元ですから、たいへん鼻息が荒くて、逆に群馬の東京事務所には、ほかの県から連絡をつけて、大蔵大臣に会う手づるはないか、というような実際も伺っております。めちゃくちゃですね。新潟県にいきますというと、これは実力者のひざ元ですね。これは県議団が熱心なんです。熱心なあまり、県で陳情テキストというのをつくって、それを首っ引きで見ながら——テキストの内容を私伺いましたら、やはり大蔵省の何は何という人で、担当主計官は何であって、それから、出ている議員は何であって、こういう、テキストというのは道案内みたいなものですけれども、こういうテキストが出されているわけです。北海道では、これは道庁で幹部等全部が押しかけてきて、大体幹部ですけれども、一日に大挙して東京に来ているのです。こうして、これは新聞ですけれども、一月三十一日の「毎日」を見ますと、病身を押して千歳から上京した市議会議長のお年寄りの方が、連日防衛庁に基地の問題で陳情して、疲れて心臓麻痺を起こして死んだ、こういう例がある。新聞にあって御承知だと思います。幾らか心臓も悪かったということも書いておりますが、とにかくそういうように病を押して連日通わなければならないということになって、こういうふうに数えてきますというと、切りがなくて、特にこれはどういう省に一体陳情が集中するのかということも調べてみたわけです。 そういう点について自治省では、自分の管轄ではないから、ほかの省のことは関係ないと思われるかもしれませんけれども、やはり閣僚の一人として、国の行政をつかさどっていらっしゃれば、出てくるのは自分の管轄の地方の公共団体の人が多いわけですから、ですから、おれは知らないでは通せないと思うのです。そういう観点から、大臣は、陳情したという陳情先ですね。各省のどこが一番多くて、どういう順序になっているかということはおわかりでございますか。
○国務大臣(秋田大助君) いま御要求の、どこが一番多くて、どんなふうになっているかの数字的な検討は、申しわけございませんが、いたしておりませんし、したがって、私の頭の中に数字的な把握はされておりません。 ただいま貴重な御意見でございまして、こういう国会の場でそういうことが国会議員の間から起こるといういうことはけっこうなことだろうと思うのです。しかし、自治省が把握しておらぬのはけしからぬだろうという反面御意見のようにも聞けますが、私どもも陳情に対する節度というものは十分考慮さるべきものと考えております。ただいま申し上げましたとおり、陳情が地方の実情あるいは地方住民の赤裸々な要望をお伝えくださる、と同時に、その機会にわれわれの考えておるところを正確に申し上げる。そうして地方の住民の方も、国の行政の方針あるいは内容等について正確な知識を把握していただくという効果は、私は十分あるものでありまして、あの陳情全部が無意味とは考えられないのでございます。しかし、ここには節度があるべきものでございます。しかし、自治省がその数字を一々調べ上げまして、そうしてこれを地方に示していくというような態度、手法というものは、やはりそこにも節度が要求さるべきものと思います。 要は、先ほども論議されました、地方自治を尊重しながらいくべき点もあるのでございまして、そういうような観点から、節度ある陳情を希望し、機会あるごとにその趣旨において地方に本省の意向を伝えて指導をしておる。この立場と態度をひとつお考え願いたいと思うのでございます。
○千葉千代世君 陳情先が大蔵省であるとか建設省であるとか、農林省であるとか、かなり片寄っておるわけですね。反対に陳情のあまりない省もあるわけなんです。そういうふうなバランスの問題は別にしましても、一つの例で申しますと、県道とか市町村道とか、そういう地方との関連の深い道路局ですか、建設省は。そこあたりは一日平均三十件も陳情者があったと聞いております。そうすると、局長さんは蓑輪さんという局長さんですが御不浄に立つひまもなかったというんですが、これはほんとうかどうか、一ぺん聞いてみたいと思うんですが、これはほかから聞いたんですが、そういう例がある。一方、消費者行政のほうの課とか部では、主婦の方々がふだんはいろんなことを言ってくるけれども、予算のときにはさっぱりあと押しがないとぶ然としておったということも聞いた。 こういうふうに各省庁によって圧力関係と微妙なあれを持つわけなんです。したがいまして、一つのところでは金をかけても効果はあると幹部は断言するわけなんですね。復活要求が通れば百億単位なんだから、取れるだけ取れということになってくる。まるでゆすりみたいなことを起こしているわけです。これについては、大臣、節度があると思いますか、ないと思いますか。
○国務大臣(秋田大助君) そのケースで一がいにどうこうと申されないと思いますが、しかし、ある程度節度のない場合もなきにしもあらずと見られます。しかし、これらが改まるのには、民主政治というものは多少時間がかかりますから、多少そういう傾向がありますが、今後の指導並びに、われわれも陳情を受けた多少の経験がございますが、よく事情を申し上げておるわけです。時間の経過とともに地方の方々もこういうことがわかっていただくということを通じまして、漸次改めていくべきものは改まっていくと考えております。
○千葉千代世君 実情把握していないのに漸次改めるという、どういうことでしょうか。やっぱり実情を把握しておって、こういう弊害がある。だからこれを直していこうとか、あるいは大臣がさっき、陳情を半ば肯定されておったんですが、民主政治には手間がかかる。だからこの程度はやむを得ないと暗におっしゃったんですが、私はそうではないと思うんです。どこに、地方自治をからっぽにして、決裁もとれないような状態にしておいて、大挙押しかけてきて、大臣が節度あるようなやり方がいいというようなことでは、これは地方自治の民主化なんてことはほど遠いと思うんです。大臣の所信の中ではっきり言われていることとたいへん違うんじゃないかと思うんです。 たいへん言い方が失礼になるかもしれませんけれども、このためにどんな犠牲をこうむっているかということを、私は例で立証したいと思っているんですが、半面、これだけの陳情団がまかり通っているのに、片方は福祉団体関係ですが、たった五人で地方事務所の職員が来て歩いている。そうすると膨大な陳情団を横目で見て、おれたちの陳情は一体効果があるんだろうかなと、さびしそうにつぶやいて歩いて行ったという、こういう実態ですね。これはほんとうの陳情というものは、その地方地方あるいはその省々、それがずっと末端までにほんとうに政治が行き渡っておれば、その中に出てきたひずみが吸い上げられてきて予算の編成になっていくというのが、ほんとうのやっぱり地方自治の発展じゃないかと思うんですけれども、大臣はたいへん賢明な方ですから、節度ある陳情なんて言われておる。私もふらふらとそうだなと思う。節度あればいいかなと思うんですが、やっぱり根本的に考え直す必要があるんじゃないかと思うんです。どうなんしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 実情につきましては、数字的な把握はいたしておりませんが、当然政治家としての良識と常識によりまして把握をいたし、それによって対処をいたしておるつもりでございます。また、政府といたしましても、従来陳情によって大きく動かされておるというようなことはないのでありまして、信ずるところによって予算配分をいたしておると存じておりまして、その確信を持っておりますが、それらの点につきまして、やはり来ていただいた際に申し上げる、実情を認識していただくということも、陳情の効果の一つにはあるんだということを申し上げたい。しかしながら、全体といたしまして、常識的に節度に欠ける部分があることは十分認められますので、機会あるごとにそのことにつきましては御指導申し上げており、今後それを徹底していきたい、こう考えておる次第でございます。 なお、いま福祉行政あるいは消費者行政のような係のところには陳情が少なくて、これでほんとうに効果があがっているかどうだろうかという御心配があるという御意見もございましたが、私もいささかそういう社会福祉関係の点につきまして関連をした部門がございますが、たとえ陳情団が少なくても、政府といたしましては、すべき施策は行なっている、その点の御心配はないものとひとつ御承知置きを願いたいと思います。
○千葉千代世君 そうすると、自治大臣のいまのお話は、陳情無用ということになりますね。陳情がなくても、陳情団が少なくても、政府の行なうべき施策はとる、こうおっしゃったのですね。
○国務大臣(秋田大助君) ことばが足りなかったかもしれませんが、そこはひとつ全体の意味を把握していただきたいと思うのであります。初めにも申し上げておりますとおり、陳情については、地方の実情をこちらにお伝え願う、また、お気持ちをお伝え願うということと同時に、政府の考え方もお伝えをする。この間におきまして、もちろん改むべきものは改められていくのでございまして、人間がやることでありますから、政府は絶対に全部合理的に間違いないことをやっているのだということを申し上げておるわけじゃございません。その点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
○千葉千代世君 はっきりしないので誤解のしようもないのですが、たとえば一つの例で、自治省関係ですというと、地方自治体の交付金の問題であるとか、あるいは補助金の問題で最後まで難航しておりましたね。そういうときに陳情がございましたでしょう。そういう点は把握しているでしょうね。陳情してよかったとお思いになりますか、余分なことをするとお思いになりますか。来なくても、おれたちがちゃんとやるのだからと思っていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) お示しの事例につきましては御陳情もございました。また、おいでになるのも無理からぬと存じておりますし、また、それについてのこちらの気持ちを申し上げて御理解も願い、あの陳情はそうめちゃくちゃな過度にわたる陳情ではなくて、あれはよかった、こう思っております。
○千葉千代世君 これは市町村会館でございますね。あれは一月の二十日から二月四日まで超満員なんですね、全然泊まれないくらい、全部陳情団です。各県の東京事務所の自動車、あそこに外車がたくさんあるので、陳情に来た人は逆に驚いて、ぼくたちは町の費用も出してもらったし、積み立てもしてきたし、農協から費用をもらってきた。東京事務所に来てみると外車がずらりと並んでいる、こう言うのです。各県の人が隣りの県に遊びに行くと何だか気持ちが変になると言うのです。それで一つの会ですが、ここなんかでは三百人大体集まって大会を開いております。二班に分かれて陳情することになったら、その人たちがぶつぶつおこって、最後に陳情に回ったのは五十人です。あとは東京見物に行っているのです。これは団体の名前ははばかりますけれども、東京見物をかねて陳情に来るというなら、まだこれも何といいますか、話もいろいろ解釈のしようもありますけれども、こういうふうに公然となってしまった。そうしてもう一つのこれは農協関係ですが、四百人集まって、一月二十五日に全国農協代表連絡会というのを開いて、大々的にやっていらっしゃる。そういうところへは各議員さんは大挙押しかけて行って、八十名行っているわけですね。さっき言った福祉大会のほうに行く議員さんは、これは党は申しませんけれども、これは十何人しか行っていないということがある。そうしますと、この陳情と、陳情する項目と団体との関連ということも、私はやっぱりここらで考えていかなければならないのではないか、こういうふうに考えます。出て来るのはやっぱりこれは地方自治に関係した職員ほとんどなんです。ですからそれくらいの数とか、あれくらいの数で、ごまかされたのでは迷惑なんです、これは調べてごらんなさい。 あそこのプリンスホテルにどういう会がどれくらいあって、どこが朝めし会が何回あって、懇親会が何回、予算の打ち上げ会がどこで幾ら使った、こういうことになってまいりますと、大体私はそんなに多いと思っていなかったのですが、宿泊費とか旅費とか、おみやげ品とか、何とか土地の名物を持っきて、秋田県なんかワカサギだか白魚ですか、これは悪くならないように冷凍づけで持ってきたりして。そういうふうにしてやっていきますと、大体数十億、私は常識的に考えて、そんなに使うはずはないと思うのです。かりに五分の一と考えたって十億です、三分の一と考えたって二十億でしょう。とにかく億の数字がそれだけ飛んでしまっているということは、やっぱり金で金を買うという政治ということが、私は結論的に結論づけられているのではないかと思うのです。大臣が非常に良識あるりっぱな方で、節度ある態度を望んだって、実際はこれが来年続くとしたら、どうなんですか。というのは、去年陳情に来た人たちが行ったら、自分の県はみすぼらしくって、隣の県はこれこれこういうところを借りておった。負けてはならぬと、ことしは競争になったわけです。ほおっておいたら、これまた続くわけです。これはやっぱり日本の政治の特異体質じゃないかと思うのですけれども、どうなんですか。節度があればいいんですか、これでも。私じょうずなことわからないんですが。
○国務大臣(秋田大助君) さきにお尋ねにあずかりました事例は、地方交付税の問題につきましての私の陳情についての御質問でございます。私が経験しました分野と、先生が見られた町の一般の状況との間に食い違いがあることが私わかりました。私のその示された交付税の問題についての陳情に関しましては、地方六団体の主要な方々が、まあ十数名おいでになった程度でございます。私のその問題、地方交付税に関する陳情の経験はそうでございましたので、そこの状況というものは、まあ過度にはわたっていない、こう申し上げたわけです。いま先生お示しの事例は、その背後にあるいろいろ町における状況でございます。それにつきましては、私は先ほどから申し上げておるとおり、多少節度あるとは申しかねるものがあるということは認めておるのでありまして、したがってこれについての反省を強く求めていきたい、こういうことは最初から申し上げているとおりでございます。
○千葉千代世君 そこで大体陳情した県は、県知事はじめ各県ほとんどなんです。全然一ぺんも陳情のない府県はございますか。それもわかっていないのでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 私のところに関係する問題につきましては、地方六団体の代表者の方がおいでになりまするから、したがいまして、日本全国の六団体に属する府県、都道府県全部の方が来られる。しかし、それは代表者十数名によって代表される、こういうふうに心得ております。
○千葉千代世君 自治省に長くいらっしゃる鎌田官房長さんですか、伺いますけれども、あなたは長くいらっしゃるからおわかりでしょうけれども、一ぺんも陳情に来ない府県がございますね。その府県と陳情に来た県との差はどんなか、おわかりでしょうか。私いま県の名前は言いませんけれども、把握していらっしゃいませんか。
○政府委員(鎌田要人君) 自治省の仕事自身が、御案内のとおり、陳情によって左右されるという性格のものではございませんので、陳情に一ぺんも来られない県あるいは来られた県、そういうものにつきまして、率直に申しまして、私記憶はございません。したがいまして、それに伴いまして、現実の自治省の施策の上でどういう差をつけたといったことにつきましても、そういう事実はないと申し上げざるを得ないと思います。
○千葉千代世君 大臣に重ねて、しつこいようですけれども、伺いますけれども、節度のある陳情ならよいという御判断でしたね。そうすると、その節度の判定はどこでなさるのですか。たとえば、私の聞きたいのは、さっき岩手の実例を申し上げたのですが、岩手ばかりではございません。知事さん、副知事さん、各部長ですね、教育長までごそっと来る。その次の段階の県ですというと、知事さんが来ると、副知事が一人残るとか、かわりばんこにやって、県民の前では体裁をつくろっている。それから部課長が順番に、去年おまえさんが行ったから、ことしはだれと、名目は陳情予算はありませんけれども、大体その予算を県予算の中に組んである。そういうふうにしてまで県民の税金というものをやると、県民にとっては二重も三重もの負担をしているわけです、税の負担を。それがまた別に使われる、陳情政治に。こういうふうになってくるというと、これはたいへんな問題じゃないかと思うのです。 大臣はたいへんすぱっと割り切って、非常にに気に入った所信をお出しになったけれども、調べていくと、どうも内容が……。ここらにメスを入れていかなければ、陳情政治を断ち切って、ほんとうに住民の求めているものが、一つ一つ地方議会の具体的な政策にそれがすっと順々に吸い上がってくるなら、逆に国の方針というものが今度は国会で審議され、あるいは地方に行く、こういう有機的に交錯し合って、縦と横とにやっていかなければ、政治の妙味というものはどこにもないのじゃないかと思うのです。暴力団みたいですね。酒だるをかつぎ込んだり、どこかの省で、新聞で見ましたが、自分で見ないことはあまり言えませんですが、酒がごろごろしているとか、それから何だかお魚が腐ってしまうから窓の外に——農林省です、窓の外につるしておいて……。実際人をばかにしていると思うのです。私行って引きちぎってたたきつけてやりたいような気がしたのです。こういうふうに一ぱいあるのです。夕飯は要らないとか、夜になると弁当がたくさんあるので、弁当代が助かるとか。新聞社がこれは書いたのですから、私その人をおこるわけではありませんけれども、もしこれがほんとうだとしたら、こんな政治はやっぱり腐敗堕落じゃないかと思うのです。 だから、幾ら教育の中で道徳を説いても、こういうふうに腐敗堕落したものが横行しておって、青少年対策でびっしりやれといっても無理なんです、やはり青少年対策をやると同時に国の政治を直していかなければ。現実に、お父ちゃんどこへ行くと言ったら、陳情に行く、金はどうするのだ、予算に組んである、みやげは持ってきたか、団体の長の人が買ってくれた、これで一体政治がよくなると思っているのか。節度の段階ではないと思うのです。具体的に自治大臣は、この陳情をやめさせる方向に閣議でがんばってもらいたいと思うのですが、どうなんですか。やっぱり節度があればいいと言ってみたいのですか。
○国務大臣(秋田大助君) これは常識、良識の問題であろうと思います。ただいまのところ、これについて一定のワクをはめましてどうこうしろという点は、お気持ちはよくわかります。また、私も一部弊害はぜひ改めるべきものと考えておりますが、これはやはり地方自治の本旨にのっとりまして、地方の自発的な態度に待ちたいと、しかしながら、それを要望する措置だけはもちろんとっていく、また強化したい、徹底させたいということは申し上げておるところでございます。
○千葉千代世君 私、個人個人の常識とか、そういうことを聞いているんじゃないですよ。政治のルールとして、これがいいのか悪いのかということなんです。節度を持てばいいのかどうかということなんです。
○国務大臣(秋田大助君) 政治のあり方としていいとは思っておりません。これは改むべきものと思います。しかしながら、改めていく手法といたしましては、そこに一つの順序もあり、いろいろ方法等もあるのでありまして、いま直ちにこれを押しつけがましい方法をとるということは十分考えていかなければならぬ、こう考えております。
○千葉千代世君 押しつけがましいというのは、それはどういう——私何だか変なんですね。大臣はやはり自治大臣でしょう。地方自治の発展のために寄与して、特に地方行政の使命が強調されて、内容の充実と強化をいまほど望まれる時代はないということを言われているんですよ。それを常識で解決したり何かして効果があがると思うのですか。
○国務大臣(秋田大助君) 御趣旨はもう全く同感でありまして、私といたしましても、先ほどから申し上げておりますとおり、機会を得ました場合に、これについて地方の反省を求めるとともに、その強化をはかりたいと考えておりますが、大上段に振りかぶりまして、これを絶対やっちゃいかぬというような手法に出ることはいかがかと、こう申しておるわけであります。
○千葉千代世君 たいへんしつこいようですけれども、大上段に振りかぶるとか、そんなことじゃないんですよ。当然のことを当然の行政官の責位としてやるということを、どうしてちゅうちょされるんですかということなんです。それを一点聞いて次に進みます。
○国務大臣(秋田大助君) その点はちゅうちょいたしておりません。機会あるごとに申し上げて、反省を促しておるところでございます。
○千葉千代世君 それで次に大蔵省でお見えになっているでしょうか。——PPBS方式といわれているので、私もあらためて勉強させてもらったわけなんです。英語に弱いものですから。そういう内容の中で、いわゆるアメリカで国家的な政策の目標を決定して、長期にわたる大々的ないろいろな手段を含めて対策を研究すると、いわゆるプランニングですね。その次にはプログラミング——決定された政策目標に向かってそれを現実的に云々という、人力とか、資材とか、施設等を検討して、これで生ずるいろいろな問題を検討、政治の中に比較してくるということ。それからBは、御承知のようにこのプログラムに従って当該年度の予算の項目などをきめていく。それからSのほうは、御承知のように機構とかシステムとかということになるんじゃないかと、これは私は字引きで引いたんですから間違っておったら訂正していただきたいと思いますが、こういうふうな構想がアメリカで大体ケネディ時代から発想されて、それからニクソンが五年前に閣議で決定して、これを予算編成段階で採用している。この内容の中で見ていきますというと、やはり防衛目的とか、あるいは宇宙開発とか、そういう問題の国家目的に沿って云々ということを言われた本があったわけなんです。 私は、それをそのまま日本のあれに活用するということについては問題がある。で、具体的には私もアメリカを二カ月ずっと各州の地方をすみからすみまで回ってきた中で、あそこはやっぱり地方自治が発達して州ができた。こういうものと、日本の自治のあり方、いままでの慣習とたいへんな違いがありますから、それらの問題を観点に置きながらこれを比べていった場合に、大蔵省がPPBS方式を取り入れて、日本の国家予算の編成段階でこれを活用していくという考えで研究しているのかいないのかということと、それから、いまの研究段階はどうなっているかということと、その点についてお知らせいただきたい。それから経済企画庁とか防衛庁とかでも手をつけているというふうに聞いたのですが、その関連もお知らせいただきたい。
○説明員(金子太郎君) PPBSのわが国への導入の問題につきましては、二年ほど前から研究を始めておりまして、すでに大蔵省の主計局の中に予算科学分析室というのをつくっておりますし、また企画庁にはシステム分析調査室というのをつくっております。そのほか建設省、防衛庁にそれぞれ同じような室がございますし、四十五年度の予算が成立いたしますと、農林省、労働省にも同じような室がつくられることになっております。 それからPPBSは、いわゆる中核になっておりますシステム・アナリシスというような科学的な分析の手法を予算編成に導入するというものでございますから、いわゆる人工衛星を打ち上げましたようなシステムを、工学の方法を、いわゆる社会問題に応用するという性格のものでございます。したがいまして、これをこなすためには、自然科学的な素養と同時に社会科学的な素養もあわせ持たなければならないわけでございますが、その両者をあわせ持っております要員を確保するということが容易でございません。ただいま幾つかの研修をいたしまして、その要員の養成を始めているところでございます。 たとえば中堅の若い職員を財務研修所に六カ月、各省から御出向いただきまして、自然科学及び社会科学の両方の御研究をいただくようなことをすでに始めております。しかしながら、その要員養成には、まだまだ相当な時間を要するわけでもございますし、また二番目に、アメリカの場合にはランド・コーポレーションなどで知られておりますような民間のシステム・アナリシスの研究機関が相当数ありまして、それが高い実力を持っておるわけでございますが、また、その力を借りてPPBSの導入ができたわけでありますが、わが国の場合には、最近そういう研究機関ができたばかりでございます。最近にわかに新聞でもシステム設立機関というのができておりますが、いずれも設立されたばかりでございまして、まだ十分な分析ができるという段階にまでは到達いたしておりません。 それから三番目に、その科学的分析をやってまいります場合には、その費用とか効果を測定するデータが大量に必要でございますが、そのデータを蓄積するのにまた相当の年月を要するわけでございます。そういう事情がございまして、直ちに全面的に導入できるような情勢にはございませんが、何といいましても、予算の効率化をはかっていくためにはきわめて有効な手法でございますので、鋭意研究を進めてまいりまして、準備が整った段階で部分的選択的にこういう科学的な方法を予算編成に持ち込んでいきたいというふうに考えております。
○千葉千代世君 防衛庁とか企画庁とかでそれをやっていらっしゃるということはどうなんですか。
○説明員(金子太郎君) 各省とも自分の省の予算上の問題を科学的に分析するためには、どういう資料から勉強を始めなければならないか。また、科学的な手法にはどういうものがあるかというようなことを勉強しておられるわけでございます。そのほか最近にわかにはやっておりますが、いわゆる情報処理システムというふうなものを、各省それぞれの立場からどういうようにつくり上げていかなければならないかというようなことも勉強しておられるわけでございます。
○千葉千代世君 そうすると、たとえばあなたがいまおっしゃったアメリカ方式の中の宇宙開発時代云々と、いまお金の問題が出ていたわけですが、あそこは御承知のように一つの地方地方、州なら州で、教育税なら教育税を、ここはかける、ここはかけないとか、あるいはたばこの税金はここはかけてかるとか、ここは安いとか、だいぶ自由裁断があるわけですね。ところが、宇宙開発とか防衛目的に沿っていくということ、国がそれだけのお金をやっていって、地方自治との摩擦を起こさないためのこのPPBS方式といったように私は把握したのですが、それはどうなんですか。そうすると日本の現段階で、これを導入していって、日本の国家予算編成段階でこれをやるとなるというと、先に国家目的がきまってしまうわけですか。たとえば地方自治体が、いまのようにやたらに陳情にやってきて、それで予算を百億も取れれば、陳情してもむだじゃないからというので、ぶんどり合戦で、金で金を買うようなことになってくる。そうすると、いまあなたが述べられたような問題が、日本の実情に合わせて、これが導入されて実施の段階にくるとなれば、陳情政治というものは完全に断ち切れるわけですね、いい面だけとれば。これは、いい面も悪い面もたくさんありますが、時間もないので私言えないんですが、陳情政治との関連で聞いているものですから、そこに焦点を合わせているわけなんですが、大臣があんなに真剣にお答えになっていますから、そういう意味で、やはり大蔵省がよほどしっかりしなければ、自治大臣ばっかり責めてもだめなんですよ。大蔵省に陳情にくれば予算をたくさん取れるような錯覚を起こさせるような政治の現況なんですよ。だからそういう意味で……。
○説明員(金子太郎君) たいへんむずかしい御質問でございますが、このPPBSというものは、国家目標あるいは行政目的というものが明確に与えらております場合には非常に威力を発揮するものであるというふうに言われておりますが、決して万能なものではないようでございます。いわゆる価値尺度が共通であるというような場合には威力を発揮いたしますが、たとえばバターか大砲かというような場合には、いまの段階では全然使うことはできない。また、公共事業費の中でも河川か道路かということになりますと、現在の科学的分析のレベルをもってしてはまだ無理である。アメリカで非常に効果を発揮いたしましたのは、たまたまマクナマラが出てまいりました時代の、アメリカの保持すべき核戦力のレベルはどのくらいであるべきか、あるいは核の運搬手段というものはどういう組み合わせが最適かというような問題が非常に大きな問題だったわけでございますが、こういう問題に対しましては非常な威力を発揮する、こういうことでございます。 そこでお尋ねのむずかしい問題でございますが、たとえばどこの地点にダムを先につくるかというような問題になりますと、相当科学的分析をもっていい結果を出すことができるようでございますから、御陳情を待たずしても決定がし得るようになるのだと思いますが、たとえば瀬戸内海に橋を三本かける問題になりますと、建設費用のほうはある程度正確に出てまいりましても、橋をかけた効果そのものにつきましては、その結果、四国のそれぞれの地域がどれだけに経済的に発展されるか、そのいわゆる間接効果と呼んでおりますが、その把握は現在の段階ではまず不可能に近い、こういう状態でございますから、まだまだ適応し得る分野はむしろ狭いとお考えいただいたほうがいいのではないかと思います。 それからもう一つは、せっかく科学的な結果が出てまいりましても、ルールを守るという精神が皆さんに、国民全部に浸透していなければ、数字的な結果はそうであっても、自分には自分の別の事情があるということになりますと、何ら新しい進歩は得られない、こういうことにもなるわけでございますし、特にアメリカで言われておりますのは、コンピューターが人間にかわって判断をするのではない。やはり、人間の判断の助けをする、その判断をより正確なものにする道具だ、こういうことを言われておりますので、そういう限界が、非常に大きな限界があるということも言えるのではないかと思います。
○千葉千代世君 それで、いまのマクナマラ国防長官のおっしゃったのですが、あれはあなたがおっしゃったとおり、やはりケネディ時代にマクナマラ国防長官が発想した案、それは国防の目的が多かったのです。効率的にどうするかということで、予算の編成段階でも注意を引きました。こういうことでやったところが、それが途中、一九六五年だと思います。たしかジョンソン大統領のときに、閣議で決定したときに、内容がかなり変わってきていることは、いまあなたがおっしゃったより安く効果的にというか、そういうような運用面とか、あるいは新しい仕事に取り組む場合に、正確な情報によって完全な判断を下すとか、拡大すべきものと縮小すべきもの、その選別とか、あるいは意思決定をする場合に、恣意で、私ごとですね、自分のわがまま、つまり日本でいえば各省別のぶんどり合戦ということなんです、そういうものを排除する、こういう内容に変わってきているわけです。そうすると日本で研究していらっしゃるのですから、大蔵省が特に研究していらっしゃるところを見ると、早晩その問題について見解が出されると思うのです。その場合に、私は長いことは申しませんけれども、やはりこの中に欠陥もありますね。計算ばかり重視し過ぎるとか、あるいは国民の生活要求はわりと軽く見られて、経済性のみが重視されるとか、あるいは中央集権的なものが多くなりはしないか。さっき御指摘になったような点もあったわけですが、ところが、ここで歯どめになるのは、やはり議会が、日本なら日本の国会が権能を持って、そうして最終的にはその判断によって決定するということがきちっと存続されておれば、それらのものが排除されていくと思うのですが、どうでしょうか。そういう場合のこの陳情政治——実に陳情政治には、調べれば調べるほど、しゃくにさわってくるのですが、何かそういう方法を、政府全体の責任として考えていくような資料になるのですか。
○説明員(金子太郎君) 非常にむずかしい御質問でございますが、アメリカの場合でも、ジョンソン大統領が、国防省以外の各省に導入してからのPPBSというものは、必ずしもうまくいっているとはいえないようでございます。最近はアメリカの場合、州とか市という地方公共団体のほうがむしろ進んでいるということをいわれておりますが、その理由の一つといたしまして、アメリカの連邦政府が補助金を配分するに際して、PPBSの手法に基づく資料を提出することを地方公共団体に要求するということが、一つの要因になっているように承っておりますから、こういうことを徐徐に進めることによって、お説のような問題が徐々に解決されていくことは期待できるのではないかと思います。
○千葉千代世君 最後に大臣、いま大蔵省の研究過程を伺ったのですけれども、やはり政府が一環となって——私このPPBS方式がいいとか悪いとかということでいま言っているのじゃありません。そのことがいいとか悪い——両方たくさんいい悪いという点がある、それを言っているのでもありませんし、また、言う権限外ですから言いませんけれども、やはり大臣はここでもって、決断をもって陳情政治を排除していく、そうして住民の要求というものがやはり政治ルールを通して解決されていくという仕組みの中で考えていくという御決断をぜひお願いしたいと思うのですけれども、御所信を伺って、私の質問を終わります。
○国務大臣(秋田大助君) いま千葉先生お示しのとおり私も考えております。しこうして、このPPBSなるものは、コンピューターを使いまして、あるべき姿をあらゆる問題の分野について求めていく考えでございます。したがって、問題がごく簡単な具体的なものなら相当の効果を発揮いたしましょう。しかしながら、複雑な社会人文の分野におきましては、これはまあいかに情報時代といいながら、非常に複雑な、多岐にわたるあらゆる知識、データを集めまして、そうしてこれを可能な範囲のいろいろ技術的、数学的手法を用いまして分析をして決定をするものでありますが、機械は何も新しいものをつくりません。この精密な性能の高いコンピューターによって、人間の英知を通して、これを駆使することによってわれわれの求める数値等が出てくるものと思います。そういう考え方の場合にはこのPPBSというシステムが非常に効果を発揮して、いままでのような、大体当てずっぽうだとか、あるいは腰だめだとか、そういうことが排除されてくるのでありまして、まさにわれわれが考えていかなければならない手法の一つであろうと思います。地方自治行政を運用していくにつきましても大いにこれを活用していくべきものだろうと心得ております。都市問題の解決についても、公害問題の解決につきましても、交通の問題の解決につきましても、あるべき姿を精密な手法とたくさんなデータを集めましてあるべき姿を求める、地方行政のあるべき姿を求める、地方の社会資本のあるべき姿を求める、税金の効率的なあるべき姿を求める、これを求めるにあたりましては、やはり関係のあらゆる知識を集めることが必要である。したがってこれは決して地方行政を圧迫するものでない、地方自治を侵すものではない、地方自治のあるべき姿をこの手法をもって求めていく、ここに新しい地方行政の分野を開拓すべきものである、こういうような考え方で取り組んでいきたい、こう考えております。
○阿部憲一君 私も自治大臣に二、三所信表明に対する質問をしたいと思います。なるべく簡単にやるつもりですから御了承願います。 まず、地方制度の改革については、古くから論じられているわけでありますけれども、内政充実といわれる七〇年代を迎えて、社会経済の急激な変貌に応ずる地方制度のあり方、これが大きな焦点になっております。地方制度調査会等においてもこの問題については真剣に取り組んでおるようでございますけれども、今後激動するといわれる七〇年代の地方行政全般について政府はどのような長期ビジョンを持っておられるか、まずその基本姿勢について新大臣にお伺いしたい、こう思うのでございます。
○国務大臣(秋田大助君) 御承知のとおり、社会経済の急激な変化がございます。これに応じて地方の制度、地方の団体もあるべき姿に変貌を要望されておると思います。その社会的、時代的要請にこたえる地方制度なり地方行政の内容を充実していくということが、まずもって内政重視を要望されております一九七〇年代を展望しての自治省の施策の中心であろうと思います。しこうして内容的に考えてみますと、地方制度のあり方としては広域化ということが要望されておると思います。何と申しましても、地方行政の中心は市町村行政にございまするから、この市町村段階におきまする広域化というものをしっかり把握して、これをしっかり施策したい、これが根本でございます。その上に府県制度というものがどういう変貌をしていくであろうか、われわれといたしましては、ただいまのところ府県合併の形を考えておりますが、道州制も同時に検討すべき問題点として考えられておることは御承知のとおりでありまして、われわれもそれに対する検討を怠りなくいたしておるつもりでございます。しこうして、これらの変化の過程において一番考えておらなければならぬことは、民主的な地方行政が行なわれるということを忘れてはならないというところであろうと思っております。 それから内容的に申しますれば、さらに豊かで住みよい、かつ均衡のとれた国土の開発を求めなければならないのでありまして、それがために、ただいま時代の問題となっております過密、過疎対策に十分な配慮をしなければなりません。過密、過疎の問題は、互いにうらはらをなしております。いずれもなかなか問題点が多く、かつ、むかずしい問題でありますが、こういう問題の取り組みにあたりましては、ただいま問題になりましたPPBSのシステムとか、こういう手法も十分取り入れまして、あるべき行政の姿を合理的に求めながら効率のあがるひとつ行政を行なってまいりたい。かつ、消防行政なり、並びに自治省の範囲といたしましては選挙資金規正法の問題もございますが、これも十分検討をして時代の要請にこたえていく、こういうふうに考えておる次第でございます。 概略を申し上げました。
○阿部憲一君 七〇年代のビジョンということを承りましても、これは時間がございませんですし、いまここでもって詳しくというわけにはいかないと思います。ごくこれは見解を聞いておきますが、いまお述べになったことで広域化問題これはまっ先に大臣がお取り上げになりましたが、私はこの広域化の問題、それから同時にこれは過疎、過密問題の解決にもなると思いまするが、この中でも特に都市問題が私は最も最近重要視すべき問題であるかと思いますが、この大都市制度の改革について、大臣はどのようなお考えをお持ちになっておりますか、ちょっと承りたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 大都市の問題は、これは一九七〇年代の地方行財政における一つの大きな問題であり、また世界的な大問題で、経済社会の急激な発展によりまして人口が集中する、産業その他の経済が過度に大都会に集中をする、そこで起こってまいりまするいろいろの社会問題、公害の問題、交通の問題、その各項目の中にも、これを分類いたしますと各種の複雑にして解決困難なあらゆるいろいろの問題が包含されておると思います。これらに対しまして、やはり計画的な長期ビジョンに立った方針を立てまして、着々これが解決に当たるというような態度は当然とらるべきでございますが、この点についていまだ十分でないことはわれわれも認めております。財政的に、あるいは税制の面につきましていろいろくふうをこらし、処置を行なっておりますが、なおこれらの点につきましてもいろいろ改善をすべき問題がございます。これらの点につきましても、ただいま千葉先生からも御指摘のPPBSの方式、こういう点を活用すべき分野が多分に残されておると思います。それでなければ、科学的な計画的な、組織的な手法をもってこういうものを考え、処理をいたしませんと対策が対照的になりまして、真の効果はあらわし得ない、こう考えておりますので、ひとつそういう方面を特に留意しながら今後の大都市問題の解決にあたりたいと、こう考えております。
○阿部憲一君 この問題につきましては、大臣の高邁なる御理想が実現できるようにがんばっていただきたいと思います。 先ほどちょっと触れられた問題ですけれども、例の公務員給与のあり方について一応一言お伺いしたいと思いますが、これは政府がいうところの地方公務員の適正な給与制度及びその運用、福祉厚生の増進を通じて公務能率の向上をはかる、かつ綱紀の粛正と服務紀律の厳守に努力するということはこれは当然でありますが、それにはまず政府みずからが範を垂れまして、そして人事院勧告の給与改定を完全に実施すべきではないか、こう私は思うのでございますけれども、これについて新大臣のお考えをもう一度承りたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 御所論は私も賛成でございます。そうあるべきであると思います。人事院の勧告あるいは地方における人事委員会の給与に関する勧告、これは最大限尊重をさるべきものであります。同時に、しかし国家及び地方団体におきましては、それぞれの財政上の事情がございます。その要望に応じ切れないという点も現実に出てくる場合におきましては、その勧告の趣旨を尊重しながら、ひとつそのとき、その事情に応ずる現実の処置ということ、そしてこれが国、地方を通じてある程度の調和を保たすように処置をするということも、これはやむを得ないことでございまして、国全体、地方全体の健全な発展という点から、その点は考慮さるべき問題を残しておる。しかしながら、このしかしはいいほうのしかしでございまして、公務員の地方、国を通じての給与につきましては、人事院なり、人事委員会の勧告を尊重さるべきであります。したがって、国といたしましても、四十五年度からは人事院勧告に従うということを申し上げておる次第でございまして、この点はひとつ私の意のあるところを十分お察しを願いたいと思います。
○阿部憲一君 新大臣のお考えはわかりましたのですが、結局四十四年度に完全実施ができないという、大きな原因というのはやはり財政問題でございましょうか。
○国務大臣(秋田大助君) さようでございます。
○阿部憲一君 次に、交付税の問題についてちょっと二、三御質問したいと思いますが、経済の高度成長、工業の進展などに伴いまして、地域間の財政的不均衡が拡大しつつあります。このような方向は必ずしも好ましいとは思われませんけれども、これは何も日本だけの問題ではなくて、ある意味においては工業国全体の問題じゃないかと思いますが、こういうような傾向から考えましても、地方交付税制度というものは、地方自治体が一定の行政水準を維持するために欠くことができない財源である、こう言えるわけであります。したがいまして、交付税率の増減いかんということは、住民の最低生活を保障する自治体の機能を左右するほどの影響力を持つことは言うまでもありません。ところが、去る二十七日の衆議院の予算委員会におきまして、総理及び大蔵大臣が地方交付税率の引き下げをにおわせるようなかまえといいましょうか、発言があったように見受けられますが、もしそれが事実とすれば、はなはだ私遺憾なことだと思っております。本来ならば、その点につきまして、その御当人である総理あるいは大蔵大臣に御出席願って確かめたいところでありますが、本日、自治大臣にこの点について所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 先ほども総理の地方交付税制度についてのお尋ねがございました。総理の御発言は、必ずしもそうするという意味ではなかったように思います。多少誤解を与えるような表現ではあったかとも私は思いますが、必ずしもそうされるというおつもりではなかったように私は思ったのでございますが、やはり交付税というものは申すまでもなく地方のための固有の財源でございまして、地方のおくれました行政水準の維持のために必要なものとして、地方の固有の財源として交付税というものが認められ、またその率が求められ、その他税制等の決定におきましても、やはり地方の行政のあるべき姿を求め、国と地方との事務配分の合理的な一線を求め、これに配する裏づけの税制というものが主体になり、それに固有の財源というものが認められていくべきものでありまして、国の都合によってこれがかえられる、こういうような仕組み、こういうような考え方で運用さるべきものであってはならないと思っております。
○阿部憲一君 四十四年度の予算編成にあたりまして、自治大臣と大蔵大臣の両大臣覚え書きというものがございますが、これによりますと、当分地方交付税率の引き下げは行なわないと、こういうふうに言っております。ところが、いまのような空気と申しましょうか、総理大臣については多少、非常に御弁解的な御発言だと思いますけれども、このようなやはり空気があるということは、私は現実にも、何といいましょうか、そのようないまの率を下げようというような考え方が、やはり政府の首脳部なり、あるいは担当の方にあるのじゃないか、こういうふうに思いますが、これは私非常に残念だと思います。わずかこの両大臣の覚え書きを出されてから一年くらいたつかたたないうちに、その政府の最高首脳が交付税率を引き下げるようなことを言ったということは、結局そのようなお考えが心のどこかにあったのじゃないか、このように思いまして、われわれもこのようなことがありますると、大臣の間の国会のお約束ということが、結局いくらか国会でもって説明されてもわれわれはこれを信ぜられないということになりはしないか、これをおそれているわけです。ですから、誤解を招くような発言をしてもらいたくありませんし、また政府自体の明確な答弁がほしい。くどいようですが、その点をはっきりお尋ねをしたわけでございます。 地方自治体には、公害、過密、過疎問題等いろいろ問題があることは御承知のとおりでございますけれども、特に地方の道路の改良、舗装、四十三年度までに道路の改良率は一三・七%、舗装率は六・七%でありまして、市街地の下水道普及率はわずか二一・九%にしかなっていませんが、これは諸外国の水準に比べましてあまりに著しい立ちおくれを示しておりますので、そういう状況と、それから先ほど来ちょっとお話がありましたが、二年後には沖繩が返ってくる。沖繩もこの意味においては非常におくれておる。内地、日本よりも一そうおくれておると思います。こういうようなことを考えますと、結局、いまの地方交付税率を三二%にキープするということよりも、むしろこれをふやして、わが党がかねて主張しております三五%くらいにする。この点については大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(秋田大助君) 大体、阿部先生のお考え方は合理的であり当然のことであろうと、大体において賛成でございます。
○阿部憲一君 御賛成を願って非常に、私どもむしろ地方行政のために喜ばしいということなので、ぜひそれを実現できるように大臣がんばっていただきたい、こう思うわけでございます。 なお、この地方交付税の性格の問題ですけれども、これについて一言お尋ねしたいと思いますが、地方交付税交付金の問題は毎年議論が繰り返されておりますが、その性格をはっきりさしておく必要があると思っております。これは福田蔵相は、過日の衆議院予算委員会におきまして、地方交付税交付金の財源はあくまで国のものであり、地方自治体が自主的に行なうという意味は、地方財政の運営に国が干渉しないということである、こういうふうなことを述べておるようでございます。前の国会では、自治大臣も大蔵大臣も国税三税の三二%は地方固有の財源であると、はっきり言っておったのでありますが、いろいろ問い詰められますと、若干、大蔵省の政府委員の中には、あやふやなことを言っておられましたが、大臣の御答弁としては私は明確であったと思っております。特に自治大臣は、固有の財源だから三税の三二%は一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接、交付税・譲与税特別会計に繰り入れる措置が妥当である、それを推進したい、こう言っていたのでございます。このことについては、これは前野田自治大臣の御答弁であったのでございますが、これはもう当然私は秋田大臣自体におかれましても同じお考えだと思いますけれども、この固有の財源である交付金を直接繰り入れるという問題、これを推進させるおつもりがおありになるかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 推進するつもりでございまして、大蔵大臣と過般予算折衝の際にも、そのことはひとつ検討していこうという約束になっております。
○阿部憲一君 次にもう一つ伺いたいのは、いまの交付税でございますけれども、地方の固有財源であるならば、国の財政の都合で貸し借りをするというのはおかしい。これはまた両院の附帯決議でも今後はそんなことはしない、こういいまして、大臣も善処するといっておったのでございますが、今回の三百億円減額措置、これは全く納得できないわけでございますが、今後もまたこういうことをお続けになるおつもりがおありなのかどうか承りたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) まことに遺憾でございまして、極力いわゆる貸し借りというものは避けたいと考えておったのでございます。しかしながら、いまもお話のありました国税三税の特別会計への直入の制度等確立がない現段階におきましていろいろむずかしい点がございます。詳しくは申し上げませんが、地方行政水準の維持に事欠かない財源のある程度の確保、いろいろ交渉過程にまつわる諸般の事情等を比較検討の結果、万やむを得ず今回もあの措置をとりました。しかしながら、今後においてはこれはいたさないようにいたしたいと考えております。
○阿部憲一君 もう一つの税金のことでございますが、固定資産税についてちょっと大臣にお伺いいたします。この固定資産税につきましては、大臣は本年度適正な評価がえを行なう、こういうふうに述べられておりますが、大都市内の農地と同じ地続きの宅地とでは、同一番地内にありながら、その評価額、免税点には天地雲泥の差がありまして、著しい税制上の不公平が見られておりますけれども、具体的にどのようにこれを是正し、評価なさろうとするのか、お伺いしたい。
○国務大臣(秋田大助君) 問題はいわゆる線引き区内における農地の固定資産税制度における取り扱いの問題であろうと存ずるのでございます。この点に関しましては、税制調査会などにおきましても、線引きされた市街区域の都市設備のでき上がった地域における農地については、近傍の宅地と同じ評価をいたして、同じ措置をすべきであるという御意見も表明せられておるところでございます。またそういう意見も非常に近来盛んでございます。これはずいぶん考えられ、また意味のある考え方であると思っておりますが、線引きのやはり今後の経過というものも見きわめる必要が一つあろうかと思います。一つはそういう線引きされたものの中でも、これはおよそ十年をもって都市設備を完備に導くということになっておるわけでありまして、全部一様の状態になっていないわけであります。そこで都市設備ができ上がった地域——一体、都市設備のでき上がった地域というのは、ことばの上では抽象的にわかりますが、具体的には一体何を言うかということになりますと、個々の点において問題もある。また実際にそれをつかまえると、非常に範囲が狭められてくる、実際上意味をなさないというような点も言われておるわけでありまして、ここいらに技術的ないろいろ問題点がございます。大体市街区域における農地に近傍の宅地と同じ並みの措置をとれということは、税制だけからの判断、措置はいたしかねると思います。やはり基本におきまして土地に対する政策、農業に対する政策、農地に対する国策というものの決定の上におきまして税制というものが補完的な二次的な意義を持った作用をするものである。そこで、この問題につきましては各般の事情をよく考慮し、各方面の御意見等もよく考えまして、慎重に検討を進めるべきものである、こう考えております。
○阿部憲一君 この問題ですけれども、大都市並びに市街化区域での農地や遊閑地に対しても、地価の対策上あるいは新都市計画上から考えましても、特別の課税措置を講ずるのは当然であるというような声が相当ありますが、これは住宅問題とも引っからんでおる大きな問題ですけれども、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(秋田大助君) ただいまも申し上げましたとおり、その時代的な御要求というものもよくわかっております。それらを十分踏まえまして関係方面の御意見も伺い、慎重に検討の結果、措置をいたしたい、こう考えております。
○阿部憲一君 いまのこの問題につきましては、結局、自治大臣は非常に慎重な御返事をなすったんですけれども、これはやはり私ども地価の高騰というものは一番大きな問題となっております。住宅問題の解決のネックになっております。ですから、これについてはむしろ前向きに対策をすみやかに樹立していただきたい。そうしてこの地価の暴騰を押える意味におきましても、土地に対する税制の確立を樹立していただきたい、これを要望する次第でございます。 最後に、消防のことで大臣にちょっとお伺いしたいと思いますが、火災のことについては先ほど大臣のお話にございましたんですが、毎年火災がふえておりますけれども、消防庁の統計によりますと、四十三年には、出火件数は五万三千六百五十四件、損害額が五百四十三億円、焼死者が千百六十人、負傷者が八千八百七人、焼損が四万三千八百六十四棟、被災世帯が三万四千百六十四世帯、こういうような被害報告が出ております。この中でも特に特徴的なのは、人身被害が非常に多くなってきております。それにつきまして、消防の予算の面から見ますと、東京都が全予算の二・八%、大阪が二・九%、大体同じでございます。非常にわずかでございます。ところが、ロンドンにおきましては六・四%、それからさらにニューヨークでも四%というように、非常に外国の例に比べましてわが国の消防体制のおくれがこの面からもうかがえるのであります。したがいまして、年々ふえる火災による被害を減少せしめるために、私は待遇改善による消防署員の確保、それから増強及び化学消防体制の強化をはかるとともに、一般消防施設に対する補助拡大、保安規制の強化など、総合的な消防対策の推進を行なっていかなければならないと思いますが、これにつきましてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) いまあげられました各般の施策、これは促進強化の必要が大いにあると思います。自治省行政の中で、消防、災害対策という点につきましては、従来、歴代大臣も意を尽くされたところでありますが、最近の火災あるいは災害情勢にかんがみまして、この点まだ非常に欠けるところが多いということは、私、就任早々痛感をいたしました。したがいまして、総額、絶対額においてははなはだ少なうございますが、消防補助行政につきまして、予算上、四十五年度はある程度の増額をはかり、かつ実現をいたしております。これだけでは不十分であることはもちろんでございます。人命の損害の多いことも事実でございます。また火事の発生の多いことも事実、いろいろ建築資材あるいは防火体制その他につきまして、もう考えなければならない、処置すべきものがあまりにも多過ぎることは痛感いたしますが、乏しき中にもひとつこれらの施策の運用を十分にいたしまして、消防災害の予算の整備とこれが対策に今後充実、促進を期してまいりたいと存じております。
○阿部憲一君 長官にお伺いしたいと思いますけれども、最近コンビナート工業地帯の事故が御承知のとおりに相次いで起こっております。川崎臨海工業地帯の日本石油化学で爆発事故を起こしたのに引き続きまして、同じ地帯の昭和石油川崎製油所でも火災がありました。幸いにして人身事故はなかったのでございますが、今後危険物のあるコンビナート地帯では、いついかなる大事故が発生するかわからない現状でございます。ついては、この危険地帯における消防組織はどのような状態になっているか、また工場で仕事をしている人、また付近の住民の火災に対する安全性というものは確認されているでしょうか。
○政府委員(松島五郎君) 石油コンビナート地帯の火災をはじめとする防災体制につきましては、かねてから消防審議会の御答申もありまして、私どもその整備に努力をいたしてきたところであります。まず、これがためには、地域全体としての防災体制を整えなければならないということから、防災体制の組織といたしましては、県の防災会議で石油コンビナート部会というようなものを設けて組織的な活動ができる体制を整えるように指導いたしてきているわけであります。また同時に、コンビナートが所在する市町村におきましても、同様な体制を整えるよう指導をいたしております。また、何と申しましても、関係の工場等において火災を出さないということが一番必要なことでございますので、これらの工場等に対しましては、保安教育の徹底、あるいは保安点検の実施、従業員に対する消防訓練の実施というようなことをお願いをしてきておりまして、これは最近かなり整備されてきていると思います。同時に、自衛消防体制の整備につきましてもかなり進んできておりまして、御承知とも存じますが、川崎の昭和石油の火災におきましても、当該工場の自衛消防隊はもとより、近辺の関係会社からも応援を得ております。これらの点につきましては、地域の協議会をつくらせまして、企業同士で連絡をとって協同して自衛消防に当たるようにさしているわけでございます。こういうふうにしていろいろやっておりますけれども、御承知のとおり、非常に巨大な施設がどんどん新しく出てまいりますので、やはり何と申しましても、関係企業の自衛体制を整えるとともに、市町村の消防体制も整えていかなければならないわけでございまして、昭和三十八年でございましたか、以来、化学消防施設についての補助金の強化をはかってまいりましたが、今後ともさらに努力をしてまいりたいと思います。 それから同時に、石油火災になりますと、普通の水をかけたのでは消火できませんので、あわ消火剤というような特殊な薬剤を用いなければなりません。これの備蓄というような問題につきましても、関係市町村はもとより、あるいは企業はもちろんでございますが、最近は県で協同して共通的な資材を保有させるような指導をいたしておりまして、御承知のとおり、現に神奈川県等ではそういう方向に進んでおるわけでございます。こういうようなことで整備をはかってきております。 また、地域の住民の方の安全の問題につきましては、これは該当市町村で消防計画をつくることになっておりますので、その際には地域住民の安全についての避難あるいは誘導の体制というようなものについて計画を立てさせておりまして、関係の地元にはPRをするようにつとめております。ただ、場所によって条件がいろいろと違いますので、一律にこういうやり方ということを私のほうから示すのは、かえって具体的な統制を欠くという面もございますので、そういう指導はいたしておりませんが、消防計画の中に取り上げてやるようには指導いたしております。
○阿部憲一君 いま長官から承りますと、非常にそれに対して努力をなさっているけれども、結局、最近の設備の拡張なんかに追いつけないような面もあるんじゃないかと思いますので、せっかくこの協力の体制を整えるように今後強力に推進していただきたいということをお願いしておきます。 なお、これについて消防法第十四条の三に、一定の危険物関係の事業所に対して自衛消防組織の強化を義務づけておりますけれども、設置数については消防白書には四十三年三月三十一日の調査で百七十九カ所となっていますが、これらの事業所は、政令に基づいて完全な態勢を整えているわけでございましょうか。
○政府委員(松島五郎君) 危険物の自衛組織につきましては、ただいま御指摘のございました消防法に基づきまして施行令が定めてございまして、一定の量の石油等を保有いたします場合には、その量に応じて化学消防車等の整備をさせることになっております。現在関係企業におきましては、この基準に従って整備してきております。
○阿部憲一君 いまの政令は非常に簡単なように見受けられますけれども、この程度の義務づけでいいのかどうか、すなわち政令で定められている範囲で十分であるとお考えですか。
○政府委員(松島五郎君) 災害の態様がいつどういう形で起きるかということを一般的に予測することはなかなか困難でございます。どんな状態でも絶対だいじょうぶかということになりますと、これは膨大な量の機材、施設等を必要とするわけでございますので、そういう意味から申しますならば、これでいついかなる天変地異が起ころうとも絶対だいじょうぶですと申し上げるわけにはまいりませんが、ただ、現在自衛消防隊に一応期待をいたしております点は、公設消防隊が到着するまでは、少なくとも現地にあります自衛消防隊が火災の拡大を防ぐために必要な化学消防車あるいはその薬剤の保有量というようなものを中心に規制をいたしているわけでございます。そういう意味から申しますと、いかなる場合にも十分だとは申し上げかねますけれども、一応の体制は整えられておる、しかし、化学消火薬剤の備蓄等の問題につきましては、さらになお検討する必要があろうと考えておりますし、また、消防法で規定しております自衛消防隊というのはいわゆる消防隊でございます。そのほかにこういう石油関係の施設につきましては、固定消火設備というようなものをいろいろと義務づけております。そういうものにつきましても整備をさしておりますので、一応の体制は整っていると、こういうふうに申し上げられると思います。
○阿部憲一君 この白書によりますと、消防と企業との責任範囲等五項目に対して現在検討中であるというふうに言われておりますが、これはどうなっておりますか。 それからもう一つ続きまして、特に自衛消防と自治体消防の責任範囲、言いかえるならば企業の責任と自治体の責任分担をどのように考えているかということ、非常にこれは大切なことでございまして、防災対策上重要なことであるのですが、これについてのお考えをあわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(松島五郎君) その問題はいろいろと問題になる点でございまして、私どもも従来から検討を続けてまいっておりますけれども、現在の段階でまだ結論を得ている段階ではございません。ある施設ができましたために、その施設が非常に危険性を持っているということによって、直ちに市町村が一般の方の納められる税金でもって施設を整備するということは、特定の会社のための施設になるのではないかという考え方が一方にございますと同時に、そういう施設が一たんできた以上は、少なくともその施設の損害は別として、その施設が災害にあった場合、その周辺に及ぶ損害というものは、いついかなる場合でも防がなければならない。したがって、その程度の準備というものは市町村の責任でどうしてもしなければならぬという考え方もございます。その辺は、それでは限界はどこかということになりますと、ここだといって線を引くことが非常にむずかしい問題でございまして、いまいろいろな角度から検討しておる段階でございます。
○阿部憲一君 最後にもう一つこれに関連して御質問申し上げますが、自衛消防組織と自治体消防の関係ということは、企業の規模や町村の行政能力によって非常に違ってくると思います。したがいまして、災害対策に対処する計画を具体的に作成しようという場合には、やはり消防庁において適切な助言をすることが非常に大切だと思いますが、この点はどのようにいまやっておられるか、御説明承りまして私の質問を終わります。
○政府委員(松島五郎君) 御指摘の問題でございますが、私どももそういうことを考えまして、関係のありますコンビナート地帯の市町村の消防の関係者に集まっていただきまして、こういう問題についての検討会というようなものをつくって検討を進めてきておりまして、それぞれの地域の実情に合うような進め方をするように、また、関係の企業に対しましては必要があれば私のほうから必要な連絡と申しますか、お願いをするというような方向で進めてきております。
○委員長(山内一郎君) これにて暫時休憩いたします。 午後一時五十四分休憩 —————・————— 午後二時四十二分開会
○委員長(山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、阿部憲一君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。 —————————————
○委員長(山内一郎君) 昭和四十五年度警察庁の施策及び予算に関する件を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○山本伊三郎君 それでは、先日、当委員会で表明されました国家公安委員長の所信表明に対して、きわめて簡単に二、三だけひとつ聞いておきたいと思います。 荒木大臣とは、予算委員会、内閣委員会でずいぶんやっておりますから、あなたの政治理念は大体私わかっているつもりですから、答弁は大体私も想像できますが、やはり委員会ですから一応伺っておきたいと思います。 私は大体警察行政を三つに区分していつも研究し、考えておるんですが、刑事警察、警備警察、交通警察ということで実は考えておるわけです。特に私はきょう取り上げたいのは、政府も今度、相当大幅な道交法の改正をされる。もうすでに閣議決定もしたようでありますが、この交通警察行政と申しますか、今日非常に問題があると思うんですね。私は一応そういうことはなかなか実現は不可能かもしれませんが、かつて社会党の政策審議会で交通省の設置というものはどうかという発言もしておるわけなんでありますが、それには相当なかなか問題がありますが、ここでひとつ大臣に聞いておきたいのは、きょうはもう所信表明に対するものだから枝葉末節なことは申しません。いまの交通問題、交通安全に対する根本的な施策と申しますか、これは警察行政だけではありません。運輸関係もありますし、そのほか幅広く各省にまたがりますけれども、警察行政の中に占める、国家公安委員長として交通安全の根本にどう対策を立てたらいいか、それだけひとつまず聞いておきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 端的に、舌足らずかもしれませんが、申し上げますれば、交通戦争下に交通事故がますますエスカレートしつつあることは全国民的な関心事だと思いますが、警察の立場におきましては全力を尽くして交通事故をゼロにするということを目標にあらゆる努力をすべきであろうと、かように思います。もっとも、警察だけですべてが解決することでないのは山本さんも御指摘のとおりでありまして、交通省も一案かとは思いますが、当面、政府としましては一元的な機構を特につくるよりも、さしより交通対策本部というものを設けて、総理府の総務長官をその責任者にして、各省庁にまたがる交通関係の行政を内閣の立場において調整しながら、冒頭に申し上げた目的に近づけようと、こういう方針でおりますことはすでに御案内のとおりでございます。お尋ねでございますから、なるべく簡潔に、幾らかふえんしてお答え申し上げたいと思います。 最近の交通情勢は年々悪化の傾向をたどっておりまして、これに伴って交通事故もむろん増加しておりますことはいま申し上げたとおりであります。そこで警察としましては歩行者、自転車運転者の死亡事故を大幅に減少させること、車対車、車単独の事故の現在の増加情勢を抑制するということ、これを当面の目標にいたしましてできる限り多くの警察官を動員して、また交通巡視員制度を新設いたしまして、街頭における交通監視体制を強化する一方、交通安全施策等整備事業の第二次三カ年計画を実施いたしまして、補助事業四十六億円、府県単独事業二百三十一億円、合計二百七十七億円をもって、信号機、道路標識、道路標示の整備をはかりますとともに、住宅地域などいわゆる裏通りにおける一時停止、一方通行などの交通規制を拡大して歩行者等の安全をはかりたいと存じます。 それと同時に、地方公共団体を中心とした地域交通安全活動や、事業所、団体等組織における交通安全教育が積極的に行なわれるように助言、協力をするなどして交通安全に関する国民運動の展開をはかり、また、免許更新時の講習等の充実につとめまして運転者対策を推進しておりますし、今後もさらに推進をはかりたいと存じます。 交通事故の増勢を防止するためにはもちろん警察だけでできませんこと先刻も申し上げましたが、関係機関団体等が協力して総合的な施策を有効適切に推進するとともに、一方、国民の一人一人が交通安全についての認識を深め、正しい交通方法の実現につとめることが何よりも重要であろうかと考えておる次第であります。
○山本伊三郎君 大体本年度の施策についてわかりましたが、やはりこの交通安全という問題の解決には国民全体の交通安全に対する認識というものが私は必要だと思う。で、先年、中国へ行きました。またアメリカをずっと回りましたけれども、非常に両国は、社会主義国と資本主義国と分けるといいますと、それは語弊があるかしりませんが、顕著なものが出ていますね。ハワイでは御存じのように、通行する何と申しますか、横断道路の標識のところを通らなければ通行人はいわゆる反則金といいますか、日本の反則金を取るぞと、それでやってしまう。中国のほうは、実は交通関係の警察官——まあ今度の巡視員、これは私はいいと思うんですが、巡視員がとめて説得して、わかるまで実は説得をしている姿ですね。したがって、日本の取り締まりというのは、いわゆる自動車を操縦する人が重点になっておる。私はそれも必要だと思います。非常ないわゆる悪質ドライバーがおりますから、もちろん必要ですが、そういう人を含めて全般に交通意識と申しますか、交通安全意識というものを徹底させなくちゃいかぬ。いま幼稚園からそういう訓練をしておりますが、これはいい傾向ですが、これはかりに学校でやっても、実態がそうであるときには、幸いこれは巡視員というのを二千五百名ですか、全国につくるということが道交法の改正に伴ってあるようですけれども、私はそういう方針で十分に一般国民に交通安全の認識を与えるということを徹底してもらいたいと思う。人間というのはすぐそういうものを忘れてしまいます。直接その点はこれは私は質問ではありませんが、特に交通警察に関係する諸君にその点は十分お願いしておきたいと思います。 それから、時間を急ぎますから、あとに質問者もおられますから私は簡単に次に移りますが、先ほど申し上げましたように、刑事警察、警備警察、これは刑事警察は一名政治警察といっておりますが、それから交通警察。交通、警備、刑事の関係者、交通には一般の巡査も入っおるようでありますけれども、保安警察ということになっておると思いますが、そのウエートは、警察官の人員はいま十七万ほどおられるようでありますが、刑事、交通、警備と三つに分けて人数の比例はどうなっておりますか。それによって大体警察行政の重点がどうなっておるか。単純な算術計算でございませんが、一応その目安としてどうなっておるか、ちょっとその点御説明願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的な数字は政府委員からお答え申し上げますが、十七万余警察官がおるわけでございますけれども、言うまでもなく一番多いのは外勤警察、交通警察官を含めましてこれが一番多いようであります。まあその次に刑事警察と申しますか、新聞紙上は機動隊がはなはだはでに報道されますけれども、数の上から申しますと十七万のうちのそう大部分を占めるというものじゃないと承知しておりますが、要すれば具体的数字でお答えをさせていただきます。
○政府委員(富田朝彦君) お答え申し上げます。 昭和四十四年度の定員総数はいま山本委員の御指摘のとおりの数でございますが、その内訳を比率で一応申し上げますと、刑事捜査関係、これは鑑識等も当然伴いますので、これを含めますと一七・七%、それから少年とか、あるいは銃砲、あるいは麻薬、こういうものの取り締まりに当たっております保安、防犯の関係でございますが、これが約六%、それから交通関係に従事しております警察官が一三%、警備関係に従事いたしておりますものが一一%、これはそのほかに機動隊、機動隊は警備関係のいわゆる治安警備にも相当従事いたしておりますが、雑踏警戒、災害あるいは暴力取り締まり、交通取り締まりにも従事いたしておるわけでありますが、これが五・七%、残りが、先ほど大臣からお答えいたしましたような外勤警察官でございます。
○山本伊三郎君 それは幾らですか。
○政府委員(富田朝彦君) これは約四〇%でございます。
○山本伊三郎君 数字だけで警察行政がどこにウエートを置いておるか、そういうことはそう即断できませんが、この保安といいますか、外勤といいますか、四〇%の警察官がおられる——約五万、六万ほどおられるのですが、七万ですか、案外いま巡羅と申しますか、パトーカーで回っておるのはわかりますが、あまり住宅方面の巡羅といいますか、それが、私も世田谷におりますが、十年住んでおるけれども、一ぺんも会ったことがないんですがね。まあ数は少ないことはわかりますので。それでよく近ごろ暴漢ではないのですが、痴漢と申しますか、子女をちょっと何といいますか、ちらったり何かしてやるというのが多いのですが、そういう点はどうですか。私は私の経験から見て非常にそういう巡羅が少ない。少ないのか、来ないのか知りませんが、この点はどういう認識に警察当局はおられるか。
○説明員(長谷川俊之君) お答え申し上げます。 外勤警察官は、御承知のように都市部におきましては派出所に勤務いたしておるわけでございますが、当然勤務時間が一週間四十四時間ないし四十八時間と、県によりまして差異がございますけれども、そういうことになっておりまするので、四万ないし五万、派出所におりましても一日に勤務いたします者はそれの三分の一、あるいは二部制でやっておりますところは二分の一、こういうことになりまして、ところによりましては、先生御指摘のように街頭に見かけないことが多いということもあり得るかと思うのございまするが、私ども外勤警察官は何といってもできるだけ街頭に出て、そうしてパトロールを中心とした活動をしなきゃいかぬ、こういうことで指導いたしておる状況でございます。
○山本伊三郎君 これはいずれまた機会がありましたらお尋ねいたしますが、捜査関係といいますか、刑事関係といいますか、これが一七・七%、最近凶悪犯罪が相当出ているわけなんですが、これが人心に与える影響というものはきわめて大きいと思うのです。警察不信の念とさえ言われる一部の人もおられますけれども、私も警察関係若干知っておりますから、いろいろ意見は聞いておりますけれども、やはり捜査としては——昔の警察はあれはむちゃです、あれは全くもう白状さして、拷問主義ですから、無理にやっておった傾向ありますが、いまは科学警察でありますから、なかなか証拠を得るためにむずかしいことはよくわかりますが、それにしても若干はがゆいような点もあるのですね。たとえばこういうことを言ってはどうかと思いますけれども、三億円の強奪事件ですか、あれはいまだに出てこないですね。もう一年半以上になるんですかね。あれは人命に影響なかったからそうあんまり社会的影響がないかもしれませんが、そういう点がどうも私は、相当今度の予算でも捜査研究、科学的な研究ということに力を入れられておるようですが、いまの警察力ではなかなか犯罪捜査はむずかしゅうございますが、警察の立場は警察の立場として、その実情を簡単でよろしいからちょっと御説明願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(高松敬治君) 御指摘のように、刑事警察はいま次第にむずかしくなってきたというように私ども内部的に感じております。で、警察の力自身の強さ弱さという問題、相対的なものでございましょうが、やはり犯罪自体が非常に悪質化している、あるいはまあ巧妙になってきている。一番根本的な問題は、何といっても犯罪が都市に集中している、都市化現象というものが最近非常に顕著でございますが、それに伴って、たとえば聞き込み捜査一つにしても、たいへん聞き込みがやりにくくなってきている。それからモータリゼーションの時代と言われておりますが、車を使う機動的な犯罪というものが非常に多い。それで、隣の県に住んでいて、それで隣の県へ行って犯行を犯すというものも非常に多いわけでございます。昔のように臟品を一つさがすにいたしましても、そのそばに臟品があるとは限らない。ほかの県、大阪で申せば臟品は神戸にも流れます、和歌山にも流れます、京都にも流れます、こういう形になりましてたいへんむずかしいわけでございます。それで私どもとしては、そういう一つの非常に激しく変わってまいります世の中の動きに即応する刑事警察にしなければいけない。そのためには装備の問題とか、教育の問題とか、訓練の問題とか、あるいは将来はコンピューター導入というようなこともいろいろやって、何とかこれに即応するような態勢に持っていかなければならないと思います。ただいま検挙率だけからいけば、アメリカ、イギリスに比べても検挙率は高いわけでございますけれども、しかし、このままいきますと、あるいはまあそういう外国並みに近くなってくるおそれが十分でございます。その点は私どもも十分に考え、施策を検討して、効率的な、国民の皆さまに御安心願える刑事警察をつくり上げたい、かように存じております。
○山本伊三郎君 その点は十分私もわかりますが、犯罪はますます巧妙といいますか、逆に犯罪のほうは科学的になってくる。完全犯罪というようなことを言われますが、これはなかなかむずかしい問題ですが、私は警察行政と申しますか、警察権自体は、私は国民にもあるという一つの政治理念なんです、国民自体が警察権を持っていると。ところがいまのところは、警察と言えば、ことばは悪うございますけれども、何か別の、まああまりおもしろくないところだ。警察でちゃんと拾った金をあげると言っても、なかなか警察はいやだという感情がありますね。大臣、聞いていてもらいたいのは、私は、その国民の警察であるという気持ちをやはり国民に持たして、犯罪を防ぐのは自分らがやるのだという、やはりこういう思想というものも私は必要じゃないかと思う。でないと、私は今後の犯罪というのはそう簡単にあがらないと思う。これは奈良県のどこですか、非常に協力して早くあげたというような例が新聞に載っておりましたね。やはりそういうふうに、刑事警察、特に刑事警察だけではありませんが、警察権という一つの権力ではないんだ、国民自体が警察機能を持っておるんだ。たまたま専門にやっておるというような気持ちで警察行政を運営していかなければ、アメリカのような、ああいう凶悪な犯罪がますますふえてくるのじゃないか。この点を、質問ではありませんが、私の意見として申し上げておきたいと思います。 最後に、万博の警備、交通関係、それをちょっとお伺いしておきます。これで終わります。 いよいよ世紀の万博ももうあさってですか、開会式は。十五日から一般に公開されますが、私は大阪出身ですから若干役員もしておりますけれども、これはたいへんだと思う。まあ交通関係も、交通局長からも若干これは私的にも聞いております。この機会には聞きませんけれども、相当万全の策をとっておるようですけれども、初めてのことですから、こちらの対策と実情も変わってくると思うのです。したがってこの点はひとつ十分やっていただきたいと思う。特に外国人が相当来ますから。きょうの新聞で——私きょう質問しようと思ったら、新聞のほうに先に出ておったので、あいつは新聞を見てから言ったと言われるのはどうもおもしろくないのですが、外国人の犯罪ですね。それから外国人がいわゆる亡命するというような形も、私はまれでないと思う。これは外交問題にも発展いたします。したがって、単なる行政関係の警察官だけでは私は問題を起こす場合もあるかもわからない。といって、外国人といえども、こういっては悪いかもしれませんけれども、悪い人、またすりというような連中もおるかもわかりません。こういうことを言うと非常に外国に対して相済みませんけれども、全然おらぬということもないと思う。それともう一つは、密輸入というものも、私はこれを利用して出てくるということも考えられると思います。これは皆さん警察以外のところも関係ありますけれども、そういうことで、外国人に対する取り締まり方法、それから交通に対する、いまの万全といわれる対策の大体の概要、考え方だけ聞いておきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いまいろんな課題を例示されましての御懸念は、私もお気持ちとしては同じように、心配すれば切りがないような課題があるなあと存じております。 ただ、一応の想定のもとに、交通渋滞あるいは万博の構内の混乱、交通関係については、一応のことは万全の措置をという気持ちで立ててはおりますけれども、その前提条件が流動する要素ばかりなものですから、幕をあけてみなければわからない。無責任な表現のようですけれども、そういう要素が多分にあると懸念いたしております。したがって、どんなことが起こりましょうとも、ケース・バイ・ケースで最善の努力をするのだというかまえもあわせ持ちながら、一応の想定のもとに、交通関係の信号でございますとか、あるいは一方交通にしてどうするとか、あるいは交通情報をお客さん方にも知っていただくというようなことを遠隔の地域にまでもそれを及ぼしましての人の流れ、車の流れの調整を考えてはおりますが、なかなか容易じゃないことはいま申し上げたとおりであります。密輸入等御指摘のような諸課題につきましても、要すれば後ほど政府委員からお答えを申し上げたいと思います。 早い話が、ピーク時には六十万ないし六十五万のお客さんが殺倒するであろうと万博協会でも想定しておりますが、六十万と仮定いたしまして、三十万人くらいは直接電車で、あるいは地下鉄で会場においでをいただきたいという計算のようであります。ところで、一方万博協会それ自体が千五百台の乗り合いバスを予約をいたしまして、それだけはどうにか手を打っているということを申しておりましたが、それが約百人さばくといたしまして十五万人、残りの十五万人がマイカー族ないしは、てくって来る人はほとんどないと思いますが、そういうことで、三人くらいが乗るとしまして、マイカー族が五万台のマイカーを駆使してやって来るであろう。ところで、一方聞いてみますと、万博協会で一応の予定しておりました駐車場のスペースは三万台、まあ少し水増し的に推定しても三万五千台。五万台と仮定しますれば、一万五千台があぶれる。この一万五千台が周囲の環状道路をうろちょろするであろう。いろいろな現象が想定されますが、そうだとすれば容易ではない。さらにまた電車、汽車で来てくださいと言っておりましても、マイカーで行きたいと言うであろうし、諸条件がそのつど違うであろう。その変化に応ずるダイナミックな対策も考えなければならないということで、関係当局者は努力を重ねておるようでございます。 いずれにいたしましても、国際的な行事であり、日本の国としてのメンツにも関することであり、御指摘のとおり国際問題に発展するおそれなしとしない課題も想像される状況でございますから、口幅ったく申せば、私どもの担当分野では万全を期すという一語に尽きる心がまえで臨んでおるような次第でございます。なお具体的には、政府委員から要すれば答弁いたさせます。
○山本伊三郎君 外人関係の取り締まりは、それはどこがやっておるのですか。
○説明員(長谷川俊之君) お答え申し上げます。 五千万の観客の中で、一応外人関係は約百万あるいはそれ以上になるかもしれませんが、約百万人来るのではないかというふうに予想されております。したがいまして、ここに先生の御指摘のように、いろいろ密輸の問題、あるいは危険物の持ち込みの問題あるいはまた風俗関係そのほかの事案が予想されるわけでございます。現地の警察はもちろんでございますが、羽田等も考えられますから、関係の警察におきましては、特にそういう外国人関係の犯罪につきまして、予想されます事案はどういう事案であるかというようなことを実際検討し、関係の者に教育をいたして、発生します犯罪につきましてできるだけこれを完全に検挙していくという態勢をとっておるわけでございます。今後におきましては、そういう関係ばかりではございませんが、そういう関係の要員を含めまして、私服の特別の隊員六十七名をもちまして編成いたしまして、そういうことに当たることにいたしております。
○二宮文造君 今朝来長時間にわたる審議でありますけれども、同僚の委員の皆さんの御理解を得て若干質問を続けさせていただきたいと思います。 国家公安委員長の所信表明につきましては、その全般についてお伺いをしたいわけでありますけれども、時間的な関係もございますし、また、いま山本委員からの発言もありましたので、重複を避けまして、問題を限ってお伺いしたいと思うわけであります。 大臣は、所信表明の中で、「警察といたしましては、これらの趨勢に対処して国民生活の安全と平和を確保するため、絶えず組織、体制のあり方や警察諸活動の方法について検討と改善を加えるとともに、諸活動の重点を真に国民の期待し、要望するところに指向してまいる所存であります。」とこう所信を述べられております。 そこで荒木国家公安委員長にお伺いしたいわけでありますけれども、大臣は、去る十日、記者会見で、日本共産党に対する秦野警視総監の発言について、日本共産党は依然破壊活動防止法の適用容疑団体云々の所見を述べられたようでありますけれども、まずその趣旨をお伺いしたいと思う次第であります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のとおり、私は去る十日、閣議後の記者会見で、都議会で問題になりました共産党に関する秦野警視総監の発言に関連して、秦野発言は当然のことであり、共産党は破壊活動防止法の容疑団体であるとの趣旨を述べたつもりであります。
○二宮文造君 さらに大臣にお伺いしますが、日本共産党所属の栗原都会議員は、その本会議におきましてこういうふうに述べております。「さらに重要なことは、今日の警視庁が公安警備、機動隊関係のみでなく、その機構全体が弾圧機関として運営されているという問題であります。警視庁が憲法違反のスパイ活動をやっていることは、周知の事実であります。」云々と、こういうように述べておりますが、この発言に対しまして公安委員長、大臣は、どのような見解をおとりになりますか、お伺いしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 警察は、申し上げるまでもなく警察法第二条により、公共の秩序の維持に当たることを責務といたしております。したがいまして、警察がすでに発生した犯罪の捜査に限らず、将来発生することが予想される事態に備えまして、その対策を講ずるため、国民の協力を得て各種の情報、資料を収集しますことも、当然に警察の責務に属することと存じます。これをしもスパイ活動というのは、警察の責務を理解しないところの偏見に基づく発言であると思います。いわんや、国民の負託にこたえて法律に基づき犯罪の予防、鎮圧、検挙を行なうための警察の組織や職務執行を、弾圧ということで表現されますことは心外千万と存じます。
○二宮文造君 都議会におきます秦野警視総監の答弁も、そういうふうな、いま大臣が言われるような趣旨からの発言であったろうと私どもは推察をするわけでありますけれども、なお、私もこの点を明確にしておきたいと思いますのでお伺いするわけでありますが、さきにあげました栗原都会議員、同じく日本共産党所属田村都会議員などの、いわゆる秦野警視総監の答弁を引き出した当該部分に関する質問、及びいま言いました総監の答弁について、当局のほうからさらに具体的な説明を願いたいと思う。
○政府委員(川島広守君) 先般の都議会で総監が答弁をいたしました内容をかいつまんで申しますと、共産党の都議会議員の質問は、警察が日本共産党に対していわゆる視察、内偵をすることは憲法違反ではないのかという質疑の内容でございました。これに対して、ただいま大臣から御答弁がございましたように、警察といたしましては、警察法の命ずるところに従って、公共の安全と秩序の維持の責めに任じておるわけでございますから、したがって、犯罪を犯すおそれのある団体、個人、いずれを問わず、これに対してふだんから関心を持っておりますことは、職責を果たす上において最も必要なことでございます。したがって、総監が申しましたのは、簡単に申しますと、日本共産党と申しますのは、政権獲得の手段として二つの方法をあげておる。一つは平和的移行の方法であり、一つは非平和的移行の可能性の問題である。したがって、そこで申しておりまするように、これは宮本現書記長も「日本革命の展望」という著書の中で、きわめて明確にそのことに触れておられるわけでございますけれども、いま申しましたところでもおわかりのように、平和的移行というのは、いわゆる議会主義の道ではないということをはっきり、その他の共産党の公刊物の中できわめて明瞭になっております。さような意味合いにおいて、最終的な政権獲得の手段としていわゆる暴力主義的な方式もとり得る、あり得るということをはっきり述べておるという、そういうふうな意味合いにおきましても、日本共産党に対しまして、警察の責務を達成する上において常に関心を持つ必要があるのだ、こういうふうな趣旨の答弁をいたしたように聞いております。
○二宮文造君 私、この都議会の速記録の写しを手にしておるわけでありますけれども、その中のことを若干引用いたしますと、先ほどの栗原都会議員の質問に対して秦野総監はこう申しております。「はっきり申し上げますと共産党のこのいわゆるマルクス・レーニン主義の立場で、いろいろの文献その他ではっきりしておりますことは、この議会主義の先頭に立っておやりになるということをよくおっしゃいますけれども、最後のこの政権獲得の手段というものは、平和的方法だということではないわけですね。」云々と、このように申しております。さらに再質問に対しまして、「共産党の政権を獲得する方法というものにつきましては、綱領のみならず、綱領やいろんな説明、宮本書記長、宮本書記長の報告なり、いろんな文献の上からみて、」と、このように具体的に引用されているわけでありますけれども、総監がここで指摘をしております綱領あるいは説明あるいは報告、あるいは文献ということばにつきまして、具体的に御説明をいただきたいと思うわけであります。なお、いま「日本革命の展望」ですか、を引用されての答弁は伺いましたけれども、いま申し上げましたような趣旨で御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(川島広守君) 先ほど答弁いたしました「日本革命の展望」以外の個所におきましても、たとえば昭和四十一年の十月開かれました日本共産党第十回党大会で承認をされました中央委員の報告の中にも、はっきりそのことが出ております。具体的には「前衛」の昭和四十二年一月の臨時増刊号の中にも、革命が平和的に行なわれるか、あるいは非平和的に行なわれるかは、かかって敵の出方いかんにあるのだという趣旨のこともございまするし、しかもまた、いま申しました平和的ということばにつきましても、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる社会党と日本共産党との区別という点について、「日本共産党百問百答」の中にはっきりそのことがうたってあります。いわゆる社会党は議会に多数を占めるという方法によって政権をとる、日本共産党はそうではないんだという趣旨のことを、日本共産党と社会党との区別の要点にそのことをはっきりうたってございます。さらにまた、その他昭和四十二年の九月号の「議会と自治体」という共産党中央委員会が発行しております論文の中にも、はっきりと、日本共産党というものは一部の者が中傷するような平和革命論の立場をとるものではないんだということをはっきりそこにもうたってございまするし、あるいはまた、昭和四十三年の十一月三十日の週刊誌「東洋経済」の中にも、当時の青年学生対策部長でございます広谷俊二という人が、共産党は暴力一般を絶対的に否定したことはないんだとはっきり述べられておるわけでございます。その他いろいろたくさん資料はございますけれども、以上のような諸点のことをさして私はおそらく答弁があったんであろうと、かように考える次第でございます。
○二宮文造君 ここで法務政務次官にお伺いをするわけでありますけれども、お聞きのように、いま荒木国家公安委員長は、去る十日の記者会見のことばをさらにこの席上でお述べになりました。日本共産党は、依然、破壊活動防止法の適用容疑団体だと、このような発言がいま大臣からございました。そこでお伺いしたいことでありますけれども、日本共産党が破防法の調査対象団体、いわゆる容疑団体として指定を受けたのはいつ、その理由はどういうところにあったか、これをまず政務次官からお伺いしたい。
○政府委員(大竹太郎君) お答えいたします。 指定を受けたのは昭和二十七年七月下旬と聞いております。その理由はどうかとのお尋ねでございますが、その理由といたしましては、日共が破防法が規定しております破壊活動をする団体の容疑があるということから、これを指定したものであるというふうに聞いておる次第でございます。
○二宮文造君 この破壊活動防止法というのはなかなかたいへんな法律のように私ども承知しております。たとえば目的の第一条のところを読みますと、「この法律は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体に対する必要な規制措置を定めるとともに、暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補整し、もって、公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」、なかなかたいへんな目的を持った法律であります。その破防法の施行時期が昭和二十七年七月二十一日で、いまお伺いしたところによりますと、同じく七月下旬にその調査対象団体として指定をされたということは、いわゆる施行早々の適用である、こういうふうに判断をせざるを得ないわけであります。まあその点につきましては、昭和二十六、七年と申しますと、いわゆる日本共産党の火炎びん闘争が激しく展開されまして世間の耳目を驚かせますと同時に、また、恐怖の渦を巻き起こしたことは私どもの記憶に新しいところです。ですから、それらのことが直接の動機になって破防法の調査対象団体としての適用を受けたんだろうと思いますが、指定に至った経過について、さらに説明を当局のほうから伺いたいと思うわけであります。
○政府委員(内田達夫君) 先ほど次官からお答えいたしましたとおり、昭和二十七年七月下旬、公安調査庁発足直後に、日本共産党を調査対象団体として指定しております。その理由につきましては、当時、日本共産党は内乱の正当性、必要性を主張する文書を多量に頒布しております。あるいはまた集団的暴力活動の準備をするなど、暴力主義的破壊活動を行なった疑いが深かったのであります。しかも、日本共産党が将来もそのような活動を継続して、つまり破壊活動を行なうおそれなしとしないと考えまして、破壊活動防止法第三条、第二十七条及び公安調査庁設置法第三条等に基づきまして調査対象団体に指定した次第でございます。
○二宮文造君 日本共産党は、昭和二十六年の十月、日本共産党第五回全国協議会、いわゆる五全協で、言われますところの五一年綱領を採択し、その綱領の中では暴力革命を肯定している、こういうふうに言われておりますけれども、当該部分について原文を引いて御説明をいただきたいわけであります。
○政府委員(内田達夫君) 御指摘の五一年綱領を見ますと、その第四項目、「革命の力——民族解放民主統一戦線」という項目の中に、その一部を御紹介いたしますと、かように記載されております。「新しい民族解放民主政府が、妨害なしに、平和的な方法で、自然に生れると考えたり、あるいは、反動的な吉田政府が、新しい民主政府にじぶんの地位を譲るために、抵抗しないで、みずから進んで政権を投げ出すと考えるのは、重大な誤りである。このような予想は、根本的な誤りである。」、またその少しあとに、「日本の解放と民主的変革を、平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがいである。」、まだいろいろございますが、そのような記載がなされておるわけでございます。まあかような記載からいたしまして、いわゆる暴力革命を日本共産党は肯定しておると、私たちはいまさように解しておる次第でございます。
○二宮文造君 その五全協につきまして、日共が最近、これらは党の一部分子がかってに開催したものであって、五全協の決定は日本共産党が党として公式にやったものではない、こういうふうな弁明が盛んに行なわれているようでありますけれども、この点について当局の見解を伺いたいわけです。
○政府委員(内田達夫君) さような弁明が行なわれておることは承知しております。しかしながら、わが庁といたしましては、五全協の決定が党の一部分子がかってに開催したものとは考えておりません。
○二宮文造君 さらにお伺いしたいわけですが、それでは、もうすでに昭和二十七年に適用を受けまして今日まで至っているわけでありますけれども、その日本共産党が破防法の調査対象団体に指定されて以後の公安調査庁の見解を伺いたいと思うわけであります。
○政府委員(内田達夫君) 先ほど警察当局からも御紹介がありましたが、私たちのほうといたしましても、諸種の公然資料から合理的に判断いたしまして、現在においてもなお、日共は将来暴力主義的破壊活動を行なうおそれがあるものと認めておりますので、引き続き日共についての調査を続けておるわけでございます。
○二宮文造君 いまお話がありました公然資料、先ほども警察庁のほうから伺ったわけでありますけれども、調査庁のほうからも、その引用する公然資料にどんなものがあるか、これをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(内田達夫君) いろいろございますが、おもなものを二、三指摘いたしますと、その一つは、昭和三十三年七月第七回党大会における「綱領問題についての中央委員会の報告」というのがございます。その二つは、「前衛」、昭和三十六年三月号、「八十一カ国共産党、労働者党代表者会議の声明の主要な問題」、これは袴田里見論文でございます。その三は、昭和三十六年七月、第八回党大会中央委員会政治報告でございます。四は、先ほど警察からもありましたが、「前衛」昭和四十二年一月臨時増刊号、「議会活動の革命的意義」、下司順吉幹部会員候補の第十回党大会における発言でございます。
○二宮文造君 いまあげられました部分について、後日資料としてお出しをいただきたいと思うのですが、よろしゅうございましょうか。
○政府委員(内田達夫君) 承知いたしました。
○二宮文造君 さらにお伺いをしたいわけですが、昭和四十三年四月二十三日、第五十八回国会の衆議院法務委員会会議録第二十四号によりますと、日本共産党が今日破防法による容疑団体であるとの根拠として、当局はいわゆる石川六・二〇事件と称するものを引用されておりますが、その論拠について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(内田達夫君) 判決文はかなり長いのでございますが、これをごく要約いたしますと、かような趣旨になっております。 一つは、昭和二十六、七年ごろ国内各地において組織的な破壊活動が相次いで発生しておるという客観的な情勢、事実でございます。それから、その当時暴力によって政府を転覆することの正当性を主張し、集団的に暴力を行使すべきことを扇動する多数の文書が組織的に頒布されておるという客観的な事実。次は、日本共産党が昭和二十六年十月に採択した先ほどの五一年綱領の中で、「日本の解放と民主的変革を平和的手段によって達成し得ると考えるのは間違いである。」というような記載がなされております。 かような事実、これを総合して考えまして、五一年綱領と右集団的暴力の間には時期及び方法の二つの点で密接な関連が存在しておる。日共が団体の活動として過去に破壊活動を行なった疑いがあり、また将来破壊活動を行なう疑いがあると認定するについて相当合理的な、客観的な理由がある、こういうふうな判決文でございます。 また続きまして、公安調査庁が日本共産党を破壊活動の容疑団体と認め、同党に関して調査権を行使したことは違法ではない、かような判決、判旨の内容になっております。
○二宮文造君 いま一審の判決を引用されたわけでございますか。
○政府委員(内田達夫君) 一審も二審も同趣旨でございます。
○二宮文造君 それではさらにお伺いしたいのですが、もっと具体的にその辺聞きたいわけでありますけれども、昭和三十五年の二月二十七日に、名古屋高等裁判所金沢支部における二審判決がございました。いまその次長が引用されました、公安調査庁が日本共産党を調査の対象としているのは違法ではないという趣旨のことをいま引用されましたけれども、弁護人のほうからは、違法ではないか、こういうふうな論旨が述べられまして、裁判所は判決を下したわけでありますけれども、この調査庁が日共を調査の対象としているのは違法ではないか、こういう論旨につきましてどのように判決理由に述べられているか、具体的にお伺いをしたいわけであります。
○政府委員(内田達夫君) 弁護人の、公安調査庁が日本共産党を調査の対象としているのは違法であるという論旨に対しまして、第二審の判決ではかように述べております。「原審証拠調の結果を綜合すれば、(一)昭和二十六、七年頃国内各地に於て、集団的暴力により、暴行、脅迫、放火、殺傷等の罪を犯す、相当大規模な、且、組織的な破壊活動が相次で発生したこと、(二)これ等の破壊活動の背後には、暴力によつて政府を顛覆することの正当性を主張し、その準備的訓練として、集団的に暴力を行使すべきことをせん動する多数の文書が、組織的に頒布されていたこと、(三)日本共産党の昭和二十六年十月開催第五回全国協議会(所謂五全協)に於て採択された新綱領には「日本の解放と民主的変革を平和的手段によつて達成し得ると考えるのは間違いである。軍事行動は階級闘争の一部であり、その最も戦闘的手段である。」とする部分があつたこと、等の諸事実を肯認するに足り、以上の諸事実を綜合すれば、日本共産党五全協の新綱領と叙上集団的暴力の間には、時期及び方法の二点に於て、密接な関連が存在することを疑わしむる合理的な事由があつたものと考えられ、日本共産党は、少く共本件発生当時に於ては、団体の活動として、過去に於て破壊活動を行つた疑があり、また、将来に於て破壊活動を行う疑があるとされるについて、相当合理的な観客的理由があつたと認められても、仕方のない状況に在つたと言わざるを得ない。そうだとすれば、公安調査庁が日本共産党を破壊活動の容疑団体と認め、同党に関して調査権を行使したことは法違でなく、これと同旨に出た原審の此の点に関する見解は相当であつて、原判決は容疑の有無に関する事実を誤認したものでもなければ、また、破防法の解釈適用を誤ったものでもないから、論旨はその理由がない。」、さように判示しております。
○二宮文造君 それで、現在もなお、いわゆる容疑団体として指定せざるを得ないこの背後には、日本共産党の種々の資料に照らして、いま述べられましたような判決理由の趣旨ですね、それが存在しているかどうか、そのためにいまもその容疑団体として指定されているのかどうか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(内田達夫君) いまもなお存在しておるものと認めて調査を続けておるわけでございます。
○二宮文造君 さらにお伺いしたいわけでありますが、日共系の大衆団体として、全国生活と健康を守る会、略称全生連、また各地に組織されました民主商工会の全国組織でありますところの全国民主商工団体連合会、略称全商連、さらに日本民主医療機関連盟等々があげられておりますけれども、これらの団体の日本共産党との関係について、警察庁ではどのように理解されておりますか、お伺いしたい。
○政府委員(川島広守君) ただいまお尋ねの、いわゆる全生連あるいは全商連、民医連の三団体のお尋ねでございまするが、結論的に申しますれば、これら三団体はいずれも日本共産党との関係はきわめて緊密な関係にあると、こう申してよろしかろうと思います。たとえて申しますれば、全生連の場合には、機関誌「前衛」の中にもはっきり書いてございまするように、日本共産党と全生連との関係は協力共同の関係である、そういうようにはっきりうたってございますから、きわめて緊密な関係にあると、こう申してよろしかろうと思います。
○二宮文造君 いまは医療機関連盟のほうを引用されたわけですね。あと民商とか、それから全生連のほうはいかがですか。そういうような引用部分はありますか。
○政府委員(川島広守君) ただいま申しましたのは、生活と健康を守る会、全生連について申し上げたわけでございまするが、全商連等につきましても、日本共産党の機関紙の「赤旗」の普及運動、そういう点につきましても、両者の関係においてきわめて協力関係にあるというような文献もございまするし、あるいはまた民医連につきましても、共産党とはきわめて緊密な関係にある、言いかえますれば、これらの団体の中にはいわゆる日本共産党の勢力が顕著に浸透しているというふうに申してよかろうと思います。
○内藤誉三郎君 ちょっと関連して。民青との関連についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(川島広守君) 民青、青年同盟は、日本共産党と同様にいわゆるマルクス・レーニン主義というものを行動の指針にしているそういう団体でございまして、いわゆる俗なことばで申せば、民青と申しますのは、日本共産党との関係におきましては、共産党員も相当数民青の中にはございますから、そういう意味では非常な緊密な関係にある、こう申すべきだろうと思います。
○二宮文造君 いま警察庁の見解を伺って、まあ変わるはずもないと思うのですが、いわゆる破防法で日本共産党を容疑団体として指定をし、さらにまたその調査を将来も続けられるという。調査庁のほうでは、いま申しましたように、全生連、全商連あるいは全医連、こういうものと日本共産党との関係についてどのように把握されているか、お伺いしたい。
○政府委員(内田達夫君) 警察からも申されたとおり、日共とこれらの団体とは非常に緊密なる協力関係があるものと考えております。日共としましては、これらの団体の組織の拡大に協力し、これを支援しております。また多数の党員がこれら団体に入っておりまして、かなりの役職員等も党員が占めておるというような状況がうかがわれます。
○二宮文造君 これらのことにつきましては、後日関係の委員会で政府の考え方なりあるいは問題なりを明確に伺ってまいりたいと、こう思うわけでありますが、きょうは時間の関係もございますので、最後に大臣にお伺いしたい。 日本共産党が、一面では現行憲法下における公党として国政などに参加しております。また一面では、暴力主義的な破壊活動を規制するための破防法の容疑団体として指定を受けております。しかも、先ほどの答弁によりますと、将来も容疑団体として調査を続けていかにゃならぬ、こういうふうな見解がはっきりしたわけでありますが、こういう二面性について大臣はどのような見解を持っておられるか、所信をお伺いして質問を終わりたいと思うわけであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。 先ほども申し上げたことでございますが、警察は、警察法、警察官職務執行法、刑事訴訟法等、法の命ずるところに従って、公共の安全と社会の秩序の維持に当たることを責務といたしておるのであります。したがいまして、日本共産党の行なう合法的な政治活動については、警察として何らのかかわりのないところと心得ます。しかしながら、日本共産党は、先ほど来お話も出ておりますように、過去において暴力的な破壊活動を行なった容疑があり、現在も暴力革命の方針を捨てていないと確信し得る限り、警察が日本共産党に警察の立場から関心を持つことは、国民から負託されました責任を果たすためにも当然のことと考えます。
○内藤誉三郎君 関連。先ほど民青と共産党との関係についてお尋ねしたわけですが、昨年の一月に東大が民青を主にして締結したのがいわゆる十項目の確認書でございまして、この十項目の確認書よりますと、大学を革命の拠点にするという意図が私は濃厚に出ていると思う。特に警官の立ち入りを排除し、そして学生を処分しない、大学の運営は教授会が中心でなくて、学生、院生、職員平等にあるのだ、そして大衆団交権、団体交渉権を認めた、こういういわゆる大学を革命の拠点にしようという意図が露骨に出ているように思う。その傾向が各大学に相当浸透してきたと思う。最近、大学法の制定によりまして、確かにゲバ棒の学生はなくなりましたけれども、今度は民青支配になっているんじゃないかということをたいへん心配しているのです。私、この間、富山へ参りました。富山では、経済学部で無期限ストライキに突入している。聞いてみると、二十七人の教授のうち九人の、三分の一の教授が埋まらない。そこで学生が、おそらく民青系の学生だと思うのですが、ストライキに突入した。こういう事態を見ますと、大学の機能というものは全国至るところで麻痺しつつあると思う。これは富山大学の経済学部だけでなくて、名古屋大学の医学部にも同じような現象が出ておるし、ほかにもたくさんあると思う。きょうは文部省の方に来ていただこうと思いましたが、衆議院の予算委員会の分科会があってお出になられませんので、ただ、私はきょうは事実を調べておいていただきたいと思いますのは、いま国立大学の運営が民青によって麻痺しておるという実態を、警察ないし公安調査庁はよく御存じかどうか、特にその中には相当人権侵害にわたるものも私はあるように聞いているわけです。特に富山大学の内田穣吉という教授は、教授会から破門されまして、一年間授業を持たせない、そしてその講義は単位に認められないというような事態も起きておるし、その他相当私は深刻な事態が起きておるように思いますので、そういうことは許されないと思うんです。こういう点について、きょう資料がおありでしたらお答えいただきたいし、なかったならば、国立大学及び公私立大学における民青の活躍について具体的にお調べをいただきたいというお願いでございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いま内藤さんの御指摘のことについて、国家公安委員長の立場からかれこれ申し上げることは妥当ではないと存じます。ただ、現象的に事実を指摘してのお話、すなわち大学騒ぎの物理的な不正常な状況は一応おさまったやに見受けられるけれども、それはやがて民青の系統の者の独壇場がそこに設定されているおそれがあるという意味におきましては、一国民として私も憂慮する一人であります。 それから、警察の立場からあえて申し上げれば、東大をはじめとする国立大学が顕著のようですが、刑法犯罪をはじめとする不法行為が続出しておるにかかわらず、そうしてまた逮捕され、検挙され、起訴され、中には有罪になった者もおるようですけれども、そういうことについて、大学当局は教育的な立場からの処分、有機体としての大学内の秩序保持のための処分は一切行なわないという傾向が顕著であります。そのことを念頭において考えますと、いわば大学では無法まかり通ってよろしいということを大学当局によって公認しているやにおそれられる。そのことは、いやしくも民主主義国家、法治国日本におきまして、最高学府といわれる大学内における認識そのものが、まことに、警察責任を国民のために果たすという立場から見ましても、感心しないやり方じゃないかということをかねて心配している一人であります。
○政府委員(内田達夫君) 御指摘の民青によって大学が麻痺しているかどうかという点につきましては、さような傾向のあることは聞いておりますが、具体的な正確な資料を用意しておりませんので、その点についてはお答えができないことを遺憾に思います。
○委員長(山内一郎君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時五十三分散会 —————・—————