大蔵委員会 第21号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/28
会議録
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 新得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は、順次御発言願います。
○松井誠君 いま議題となりました三法案について、特に法人税を中心にして二、三お伺いいたしたいと思いますが、前の委員の質問と重複するところがあるかもしれませんけれども、その点はひとつ御容赦をいただきたいと思います。 最初に、私の質問はきわめて大ざっぱな質問ばかりでありますから、主として大臣にお答えをいただきたいと思うのでありますが、ことしの法人税率の引き上げは、最初からことしの税制改正の大きな柱で、所得税の減税、利子・配当課税をどうするかということのほかに、もう一つ、法人税率の引き上げということがあったと思うのでありますが、それが二年間という臨時措置になって、法人税法の改正としてじゃなく、特別措置法の改正として、特別措置法の改正の中に含まれている臨時措置という方法をとったのは、基本的には一体どういう理由からでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今回法人税の税率引き上げを考えましたのは実は総選挙の最中で、そしてだんだんと意見が固まってきましたのが総選挙直後であると、こういう時間的経過があるわけです。特別国会は早く招集しなければならぬ。そういう間になかなか基本的な考え方としての法人税の率の改正というものが非常にむずかしかった、そういう事情が一つあるわけでございます。つまり、法人税率をどういうふうに固定化するかということにつきましては、時間的な余裕が少なかった、こういうことが一つあります。同時に、いま、法人税につきましては、いろいろな議論があるわけであります。配当軽課措置をどうするかというような問題もあります。その他、さらにさかのぼって、法人税の対象となる法人の性格をどうするかというようなものもあります。そういうようなことを考えまするときに、この際法人税率をここで固定化させるということはいかがであろうかというたてまえから、まあ臨時的措置である、こういう見解のもとに、これを法人税率の本法の率におけるところの引き上げとしないで、特別措置だと、こいういう法的措置をとった、かように御理解願いたいと思います。
○松井誠君 そうしますと、期限が来る二年後に一体法人税率はどうするかという基本的な方向は、なんにもきまっていない、このように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところは、それまでの法人税制に対するいろいろな論議、そういうものも煮詰めておりますけれども、その二年後におきましてこれをどうするかということにつきましては、まだ何らの結論も持っておらぬという状況でございます。
○松井誠君 大臣がよくことしの予算編成の方針として中立型予算だというようなことを言う理由の一つとして、一方で減税をしたけれども、法人税は増税をした、そういうことをよく理由にあげているわけです。法人税の増税がそういう意味であるいは景気調整の意味を持っておるというようなことを大臣はいままで言われておったと思うのですが、そういう景気調整の役割りをこれからあとも果たさせるという意味も、臨時措置だから必ずしもそういうことを恒久的に考えているんじゃないというように理解をしていいのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 選挙中にそういう発想が生まれた、その直後にそういう考え方が固定化してきた、こういう発想なり、固定化したという理由は、今日の景気情勢から判断いたしまして、法人税をここで引き上げておくということが適当であるという考え方があるわけであります。それが基本になっておるわけであります。そこで、法人税率の修正というものと景気調整という考え方は密着しておる、こういうふうな考え方であります。
○松井誠君 そうしますと、法人税率の上げ下げは景気調整の役割りを持たせるということは、二年後の税率改正のときにやはり貫かれる、そういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) さように考えたいと思います。
○松井誠君 ことしのこの法人税率の改正で、初年度六百何十億ですね。予算全体が八兆円の予算の中で六百何十億ということになると、はたして景気調整の役割りをこれで一体果たしたと言えるかどうかという数字の上から疑問を持つわけですが、この点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ごもっともな御議論と思います。この六百数十億で一体景気調整の役割りが達成できるか、こういうと、私ははなはだ疑問であると思います。しかし、私は、その量的な意味における実質的な影響というよりは、政府が設備投資に対してかような考え方を持っておるのだということを明らかに示しているというところに大きな理由があるというふうに考えるのであります。その考え方のうらはらといたしまして、金融調整措置をかなり強力に進めておるのであります。そちらのほうに実質的な浸透力、影響力というものがあるだろうというふうに思います。財政におきましても、これに同調して、考え方としてはこうだということを示す、そこに私はこの改正の意義というものを押し出していこう、こういう考え方であります。
○松井誠君 二年間の臨時措置にしたということと、もう一つ、最初の案の二%アップというのが後退をして、一・七五%というところに落ちついた。この一・七五%をはじき出す基礎として、法人税率三五%の五%という計算方法がいわれているのですけれども、そういう三五%の五%アップという考え方、そういう計算を通してでなければ一・七五という数字は出なかったのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、私どもは、初めは法人税率二%アップ、つまり現行の基本税率三五を三七にしたいという考え方を出したわけです。しかし、いろいろ議論いたしましたが、まあ五%アップという考え方もどうだろうという有力意見も出てきたわけです。かたがた、地方税と合わせまして大体五%アップが法人税率の二%アップに相当するという見方もありまして、こういうものは、政府が出した当初の案が多少の変化が常々あるものでございます。最初に出すものは、場合によると、アドバルーン的な性格を持つ場合もあるわけであります。必ずしも政府が最初に出したアドバルーンで最後まで押し通すということが適当であるかどうか、そういう場面もあるわけであります。そういう諸般の事情を考えまして、当初出しました五%アップというものは、これは地方税と合わせまして二%、また、本税の税率自体に比べますと五%アップになる、その辺がこの際妥当ではないか、そういうことで一つは法人税率の一・七五%の増徴ということにいたしたわけであります。 そこで、私どもはなぜ法人税の増徴ということを早々と出さなかったかということは、いまわが国における企業の自己資本が非常な悪い状況にあるわけです。しかも、それがだんだんとまた悪化するような傾向がある。これを是正しなければならぬという一方の要請もあるわけであります。そういう際に、景気調整という大きなお題目の立場からとはいえ、法人税率を引き上げる、それは自然に企業の資本構成の面にもマイナスの影響があるわけであります。そういうようなことから、法人税率の引き上げは景気調整下でありまするけれどもいかがであろうかと考えておりましたので、まあ慎重にならざるを得なかったわけでございますが、そういう考え方もあるけれども、いま景気は過熱の寸前にある、こういう際に、一時資本構成の問題には多少マイナスの影響があるにいたしましても、ここで景気の調整をはからなければならぬ、こういうふうな考え方をとるに至ったわけであります。したがって、この問題の考え方は臨時的のものにしようというようなことで、特別措置扱いをするということにいたしたのであります。
○松井誠君 私がお聞きをしているのは、二%というのは一種のアドバルーンで、それが一・七五になったということは、それはそれなりに理解できないわけじゃないのですが、一・七五という数字をはじき出す根拠として、いま大臣が言われた、地方税が〇・二五%アップなんだから、合計で二%だというならば、〇・二五%を差し引いた残りの一・七五%をこの法人税のアップにするのだぞと言えばそれでよさそうなものなのに、そうでなくて、三五%の五%アップという、これは付加税というのですか、そういう形式をわざわざとったのはどういうわけかというんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 考え方のいきさつはいま申し上げたとおりでございますが、結果として、ちょうど三五%の五%アップ、それが一・七五%に該当する、こういうことで、税法上の扱いの技術的な見地から五%アップという表現をとった、表現であります。
○松井誠君 その裏には、法人税の税率の現行の三五%というのは大体これで固定化すると、そういういわば含みもあって、一・七五%アップにしないで、三五%の五%というような計算にした、そう勘ぐられないこともないし、そういうふうに受け取れるわけです。これで三五%といえば、臨時措置という形をとるけれども、実際は三五%という形で固定化される、そういう考え方がこの表現の仕方の中に含まれているのじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 現時点の法制におきましては、三五%というものは固定化されておるわけであります。しかし、臨時的措置としてそれを三六・七五%に引き上げた、その臨時的措置の期限は二カ年であります、こういうふうになっておるのであります。ですから、この臨時的措置を一体二年後にどういうふうに処置するかということにつきましては、いま予断を持っておらぬわけでございますが、その時点におきまする経済環境、つまり景気の情勢、またその二カ年の間におけるところの法人税全体に対する議論、そういうような帰趨を見ましてこれをどういうふうに扱うかということはその際に考えていく、こういう考え方でございます。
○松井誠君 ですから、いま大臣が言われたように、二年後に法人税をいじるときに、この臨時併置で改正になる三六・七五%を基本にしてどうするということになるんじゃなくて、やっぱり三五%を基本にしてどうするかという、そういう発想にならざるを得ないわけでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、現在の法のたてまえからそうであります。これはもう三五%というのは基本税率として固定をしておるわけであります。それに一・七五%を積み増しをしておる、こういうことであります。その積み増し分を一体どういうふうに扱うか、これを固定部分に入れてしまうのか、あるいはまた臨時措置として何がしかの増徴を行なうのか、あるいはそれを取ってしまうのか、あるいはさらに根本的に法人税制全体についてもっと大きな改正が加えられるのか、それらの点は二年後の臨時措置の終了の時点で決着をつけたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○松井誠君 私はやはり考えが違いまして、昭和四十年、四十一年に不況だということで相次いで合計三%下げられた。現在、景気の状態はむしろ過熱を危惧されておるぐらいだから、当然引き上げるということを基本的な方向にしなければならぬわけです。現に、法人税の国際的な比較をしてみても、日本の法人税の負担というのは軽いほうです、あとで数字をお教えをいただきたいと思いますけれども。そういう現状に立ちますと、またここで三五%据え置きをいわば固執して、そこから上げるか下げるかの方向さえもきめないという考え方ではたしていいのかという基本的な疑問を持つんですけれども、いまの法人税率の国際比較の問題ですが、どのような数字になっていますか。
○政府委員(細見卓君) 日本は、御承知のように、二段階税率になっているわけであります。こういうような分け方をいたしておりますのがやはりアメリカでございまして、アメリカは、二万五千ドルを境にいたしまして、二万五千ドル以下が、普通税が二二%になり、それから二万五千ドル以上につきましては付加税がつきまして、これが二六%ということになっております。それに現在は加重税がかかりまして、二万五千ドル以下につきましても一・一%、それから二万五千ドル以上につきましては二・四%、これがいわゆるサーチャージといわれておるものであります。そういたしますと、合計で、片一方が二一二二、また片方が五〇・四というようなことになるわけであります……
○松井誠君 ちょっとすみませんけれども、こまかい数字はけっこうです。表面税率と実効税率を平均した最終的な数字だけ二、三比較してお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(細見卓君) それじゃ、重いほうだけの実効税率で申し上げます。アメリカが五三・八七、これは州税も入っております。イギリスが四五%、それから西ドイツが四九・〇五%、フランスが五〇%、日本はその場合に該当するものは四五・〇四%ということになります。
○松井誠君 ですから、いわゆる先進的な資本主義諸国の中では日本は低いほうだと思うんですね。それなのに、三五%、いわば据え置きを基礎にしていまだに法人税率のあり方を考えるという基本的な考え方が私はわからないのですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国は、先進諸国と違いまして、租税負担率が非常に低いのです、全体として。先進諸国が国民所得に対しまして大体三〇%前後という状態です。イギリスが一番高くて三九%ぐらいにいっています。わが国は、それに反しまして、わずかに一八%強である、こういう状態です。ですから、税負担全体が低いんですよ。その中において、法人税率は決して低くない。一八%じゃないんで、いま主税局長が申し上げましたように四五%にも及ぶ、こういうようなかなり高い税率になっておるわけであります。そういうことを国際比較をする場合において特に念頭に置くべきものと、こういうふうに思いますが、同時に、わが日本は、企業の内部蓄積がいま非常に悪いわけでありまして、これは数字でいいますると、とてもとても比較にならぬような状態である、そういうようなこともまた配慮しなければならぬ。私は、いまの三六・七五%、あるいは三五%という基本税率、わが日本の租税体系が、国際社会の中において低いものである、こういうふうには決して思っておりません。まあ、しかし、いろいろ議論はあります。議論はありまするけれども、結論において、そうおっしゃるような状態ではない、こういうふうに見ております。
○松井誠君 全体の税の負担率が日本は国際的に確かに低い、それはわかりますけれども、だから法人税率も低くていいという理屈にはならぬ。むしろ法人税の担税力がどれだけあるかというそこのところが問題であって、平均的な税全体の国民の負担率を基準にすべきではないと思いますが、この法人税率の問題で最後にちょっとお聞きをしておきたいのですが、この法人税率を上げるという議論のときに、上げた結果、地方交付税に対するはね返りをおそれて、なるべくはね返らないような改正の方法にしようというような議論があって、それがこの三五%の五%という形式をとらせた一つの原因であるかのように伝えられておったんですけれども、その点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 率直に言いますと、大蔵省でも、歳出当局ですね、主計局あたりは、何とかして交付税と遮断した方法はとれないものかというようなことを言う人もあります。しかし、私は、そういう小細工をしちゃいかぬ、これはもう地方税にはね返るべきものははね返るようにして、しかる上で中央・地方の財政調整は堂々とこれをやるべきであるという結論を下したわけであります。結論はそういうふうになっておるわけでございまするが、経過において多少そういうようなことがありましたことは事実であります。しかし、結論は、ちゃんと、地方財政、交付税にこれがはね返るというふうになっておりますので、十分御納得のいく処置であったと、かように考えております。
○松井誠君 そういう話が途中で出たことはわかるんですが、それがこの三五%の五%アップという形式をとらせた一つの理由ではないかということです。
○国務大臣(福田赳夫君) それと、ただいま申し上げた経過とは、何らの関係はございません。
○松井誠君 そうしますと、ますますどうしてこういう回りくどいような計算方法をしたのかわからなくなるのでありますけれども、これはこの程度にします。 利子と配当の特別措置のことについてお伺いをしたいのですが、先ほど来、大臣は、内部留保が少ない少ないということを言われておる。この利子の特別措置についても、これは貯蓄の奨励の意味だということを盛んに言われておる。貯蓄の奨励と利子の特別措置が具体的にどういう関係にあるということは必ずしも立証されてはいない。 そこで、事務当局にお伺いをするのですけれども、日本の貯蓄率のおおよその趨勢、国際的な比較は、大体の数字でけっこうですけれども、どうなっていますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の国際的比較においての貯蓄率は、非常に高うございます。貯蓄率一八、九%、二〇%近くいっているわけでございます。この趨勢は、ずっと長きにわたって維持されておるという状態であります。ほかの先進諸国は、私もいま数字を持っておりませんけれども、一〇%をかなり切る、こういうような情勢でございます。
○政府委員(細見卓君) いま大臣がお答え申し上げましたように、外国の数字が実は手元にございませんが、数%から、多いところで一〇%ぐらいであったかと存じております。
○松井誠君 私もいまちょっと手元に見当たりませんけれども、私の記憶では、もっと開いておる、むしろ二、三倍ぐらいの貯蓄率じゃなかったかと思いますが。
○政府委員(細見卓君) 五%で三倍になるわけでありますから……。
○松井誠君 ですから、それほど高い貯蓄率になっておるところになおさらに貯蓄奨励という必要が一体あるのかという問題が一つあるわけです。しかし、もっと基本的には、これが一体貯蓄奨励に役に立っておるのかどうか、その点についてはむしろ否定的な学者のほうが最近多くなっているのじゃないかと思うんですが、貯蓄率の趨勢も大体ずっと上がりっぱなしでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 戦後の日本経済の混乱期、この時代には低かったわけですが、その後上昇いたしまして、最近においては二〇%を若干切るという状態において安定を続けております。
○松井誠君 私が持っておるのは、去年の夏の税制調査会に公述人として出た小宮教授、この人の貯蓄率の推移の統計ですけれども、横ばいというよりも、ずっとやはり少しずつではあるけれども年々貯蓄率は上がってきております。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、昭和二十七年ごろ、朝鮮事変前後の日本経済の混乱期ですね、この時期におきましては七・八%です。
○松井誠君 それは何との比率ですか、個人貯蓄率……。
○国務大臣(福田赳夫君) 平均貯蓄率です。国民所得計算……
○松井誠君 国民所得に対する……
○国務大臣(福田赳夫君) における可処分所得ですね、それに対する貯蓄額です。これが七・八%というのが二十八年でございます。二十九年から改善に向かいまして、二十九年には九・六%、三十年が、これは利子に対する非課税措置がとられたときでありますが、これが一三・四%とはね上がりまして、自来二二・七%、一五・六%、一五・〇%、一六・七%、一七・四%、それから三十六年に至りまして、これが所得倍増のちょうどうたわれたときでありますが、一九・二%、三十七年一八・六%、三十八年が一八・〇%、三十九年にちょっと下がりまして二八・七%、それから四〇年が一七・八%、四十一年が一七・九%、四十二年が一九・四%、四十三年が一九・七%、かような数字になっております。
○松井誠君 ですから、少しずつではあるけれどもやはり上昇しておる。多少でこぼこはありますけれども上昇しておる。この上昇しておる趨勢というものに、利子の特別措置というものの制度がとられたからといって、その年あるいはその翌年に変動しておるというようなはっきりした因果関係はないのじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは判断の非常にむずかしい問題でありますが、とにかく、三十年に利子全体つきまして非課税措置をとった、このときにかなりの貯蓄率の上昇を見ておる。九・六%から一三・四%というふうに激増するという状況だったわけです。これは、もとよりそのとき経済が戦後初めて安定基調にのぼった時期でもありますが、しかし、同時に、私どもは、非課税措置がかなり響いておる、こういうふうに見ておるわけでございますが、その後はでこぼこの状態を続けております。しかし、問題は、もしここで利子あるいは配当に対する重課をする、従来よりも重課をするという変更を加えた場合に一体どういうふうになるか、こういう問題を考えると、これはなかなか容易ならざる問題が起こってくるのではあるまいか。松井さんは、貯蓄は大したことはない、大した効用はないのだというような御説をいま述べられましたが、これはもうたいへん大事なものです。日本経済が戦後ここまで来た背景は、最も大きな要因というものは貯蓄にある。いま、社会資本の立ちおくれと一生懸命公共土木事業なんかを起こして取り組んでおります。社会保障を充実しております。その財源は何かといいますれば、これは貯蓄なんです。特に日本の経済の中で世界じゅうから目をみはらされているところの設備投資、いろいろな工場ができ、そして働く者に職場を与えている、こういうようなものは原因は何であるか、その力は何であるかというと、これは貯蓄なんです。貯蓄があればこそ先進諸国に数倍するような大きな発展ができた、また、貯蓄が世界の水準より非常に高いというところにこそ原因があるのでありまして、貯蓄という問題はそう軽視するというわけにはまいりません。私どもは、貯蓄という問題を、日本経済をささえるほんとうの原動力だと、こういうふうに見ておりますので、この扱いにつきましては非常に神経質また非常に力点を置いてこれを推進していかなきゃならぬというふうに考えておるのであります。そういう際に、税制上貯蓄に対する措置が変わった、それがどういう影響を及ぼすかということにつきましては、慎重の上にも慎重を期さなきゃならぬ、かように考えております。
○松井誠君 利子についての特別措置をやめるのはたいへんだというのは、いままでの措置が貯蓄率に影響があるという議論の立て方が初めから前提になっておるわけですが、それを認めない者にとっては何も説得力が実はないわけです。そのことは、何も私らいわば野党的な立場の者が言っているだけではなくて、先ほどもちょっと申し上げました小宮さんというような東大の先生もそう言っているわけです。ですから、私は、その証明ができないままに特別措置を続けてきておるいい例が利子配当の問題じゃないかと思うのですが、今度、この間新聞で見ましたらところが、少額預金の非課税の百万円、それを二百万円まで上げるというようなことが閣議できまったとかなんとか、そういうことはございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことはありません。
○松井誠君 物価対策の一つとして大いに貯蓄をさせようと、総需要抑制の一つの措置として野菜の値段をどうするとかというようなことと一緒に、今日二十二、三日ごろ閣議できまったようなニュースがあったのですが、そういうととは全然ございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう議論を持ち出すことはありますが、まだ何ら結論を得ておりません。今度の税制改正の際もそういう引き上げをしようかというふうに考えた向きもあるのです。あるのですけれども、とにかく利子・配当につきましては全体としてこれを少し公平化というかそういう方向に向けようというような時期でもありますので、ことさらこれを引き上げるという措置はしないわけです。引き下げももちろんしないということで据え置くということにいたしましたが、まあ最近の物価情勢なんかの関係から、それを考えたらどうだろうというような説を持ち出す人もある——きめておりません。
○松井誠君 きめていないだけでなしに、そういうような引き上げは来年度の税制改正ではしないというように受け取っていいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは引き上げをしないというたてまえでこれを皆さんにおはかりをしておるわけです。引き上げをするということになりますれば、また立法を要するわけであります。まあ今国会の問題にはなり得まいと、こういうふうに考えておりますので、当面引き上げをするというふうには考えておらぬというふうに御了承願っていいと思います。まあいろいろ議論を尽くして、その必要があるということになれば、次の国会が開かれた機会に御審議を願うということになろうかと思います。
○松井誠君 それはまああたりまえのことで……。 それで、配当の特別措置のことについてお伺いしたいのですが、これは利子の場合と同じように自己資本の比率を改善するということが必要だという議論になっているんですが、その自己資本比率の改善というのも、先ほどもちょっと大臣が触れられましたけれども、どんどん自己資本率が減ってきて、資本構成が悪化している。二〇%を割るか割ろうとしておる。これは、配当の特別措置というものと自己資本の充実というものとは必ずしも関係がない、そういうことの証明にはなりませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 配当を軽減するということになりますれば、これはもう自己資本率には理論上当然いい影響になる、また、配当ばかりではございません、法人税全体といたしましてこれを軽減するということに相なりますれば、これは自己資本、内部留保にいい傾向があるということは、これはもう争えないところだと思います。 ただ、現実の問題として、内部蓄積、自己資本率、これが悪化を続けておる、そういう状態でありますが、これは、いま非常に猛烈な勢いで設備投資が進んでおる。その設備投資を調達する資金を株式資本に求めるいとまがない。そういうようなことから、勢い金融資本にたよらざるを得ない。つまり、借金であります。そこで借金が増大していく。もとより増資も行なわれますけれども、とても増資は借金のふえる比率には及ばない。そういうようなことから自己資本比率が悪化していくわけでありますが、これは一番問題になるのは、成長の速度がとにかく早過ぎる、こういうところに根本の問題があるであろう、こういうふうに思います。同時に、わが国におきましては、まあこれは付随的な原因と言ったほうがいいと思いまするけれども、もう一つは、資本市場が諸外国に比べるとまだ活発に動いておりません。この育成強化の途上である。そこで、株式に依存をするということが諸外国に比べるとやりにくい状態である、こういうようなことですね。しかし、何よりも成長の速度が大きい、設備投資が毎年毎年急増する、その財源を企業としては借金に依存する、この状態が資本蓄積を悪化させている、こういう認識であります。
○松井誠君 自己資本の比率がどんどん悪化をしてきておるこれのむしろ一番大きな原因は、いま大臣が言われたように、成長金融のあり方に問題がある。ですから、いくら配当の優遇措置をやっても、自己資本の比率には影響がない。ほんとうの原因というのはそれ以外のところにあって、自己資本の比率を悪化させておるのはそれ以外の原因であって、したがって、配当の特別措置というのは自己資本の比率の改善ということを前提にしておりますけれども、それが具体的には少しも立証されていない、こういう議論が多いわけですね。それに対して、特別措置のあり方が不徹底だから自己資本が下がるんで、もっとこれを拡大すればあるいはよくなるかもしらぬというような議論がありますけれども、私はそういう議論はナンセンスだと思うですね。自己資本の比率の改善と配当の特別の措置とが因果関係があるという前提でものを考えれば、それはなるほどいま比率が改善をされないのはもっと優遇措置が足らないからだという議論が出てくるでしょうけれども、しかし、その二つの間に因果関係がないという立場からはそういう議論は全然出てこない。いままでのところ、資本の充実が悪化をしておるこの趨勢というものを見ると、何か特別な措置を配当についてやったことで多少とも自己資本が改善をされておるというような因果関係は立証されないんじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、数字とすれば、自己資本問題は配当ばかりじゃございませんから、配当の影響だけを抽出して計算してみるということは不可能であります。しかし、配当に対して所得税の配当税率を強化するというようなことになったら、一体どうなるか。先ほど私が申し上げたとおり、いま資本市場が非常にウィークだ、諸外国に比べて比較にならぬような状態だというふうに申し上げましたが、それがさらに意気阻喪されるというような状態になるわけであります。そういうようなことになりますと、理論的に資本市場の育成とこの配当問題というものはもう切っても切れない関係にある、こういうふうに見ておるのでありますが、これを数字的にといいますと、これはもうとうてい計算はできかねます。
○松井誠君 数字的にとは言わなくても具体的に因果関係があるということの事実をもっての立証というのは足りないんじゃないか。貯蓄の場合もそうでありますけれども、自己資本の比率の場合も同じことで、大臣の言うのは、初めから因果関係があるんだということを前提にして議論をされておると思う、あくまでも。因果関係があるかないかということを問題にしておるのであって、因果関係があるんだからこれをもとに戻したらたいへんだとかなんとかいうのは、その前提を認めない者には説得力がないと思う。その点の因果関係ありという立証が実証的にできていないじゃないかということをさっきからお尋ねをしておるわけです。
○政府委員(細見卓君) この点につきましてよく言われますことは、配当性向の非常に大きな会社、具体的には、鉄でありますとか電力でありますとかいうふうに非常に株主の多い、いわば日本の資本市場の代表的な銘柄になっておるようなものにつきましては、御承知のように、配当性向が非常に高いわけです、収益力が低いという裏側にもなりますが。そういうものにつきましては、かの不況のとき、四十一年、四十二年のようなときにおきまして、一割の配当ができたということ、あるいは利回りが相当なものであったということは、やはりこの配当に関する軽課措置があったということがそのことについての大きな貢献をなしておったということがよく言われることでありまして、もしそういうものがなければ、さらに資本市場がダウンして二百円を割ったようなときにさらに壊滅的な影響を受けておったであろうというようなことがよく言われることでありますが、現実にはそれ以下にならなかったわけでありますから、その証拠として何だという場合には、そういう評価をする人が多いということでございます。
○松井誠君 押し問答はやめて、最後に、配当控除率の問題をお尋ねしたいと思います。 これは私の議論じゃないのですけれども、法人擬制説というのをいわば政府がシャウプ勧告以来とっている。今度、所得税の減税を一方でやって、一方で法人税の増税というものをやったのだから、いわば擬制説という立場をとるならば、所得控除率の引き上げを行なうべきではないか、そうしなければ擬制説として首尾一貫しないじゃないかという議論があるのですけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 法人税の引き上げ、これと所得税のほうの配当控除の引き下げ、これは矛盾をするじゃないか、こういうお考えのようでありますが、これはそうじゃないのです。私どもは法人税の引き上げは、先ほど申し上げましたような景気情勢から見て判断いたしまして、これは法人にも引き締めという姿勢をとってもらいたいという考え方からこういう措置をとったわけでございます。所得税のほうは、皆さんのほうがかねがね言っておられる配当控除体制、これをもう全廃または引き下げを行なうべし、こういうことです。そういうようなことを考慮いたしまして、皆さんの御意向にも沿うて今回の改正を行なうと、こういうことにいたしたわけであります。これは租税の根本議論をいまお話しでございますが、そういう考え方に立脚したわけではないのであります。 さらにつけ加えますれば、法人税におきましては配当軽課税率は据え置きといたしております。
○松井誠君 ですから、私は、私の意見ではありませんがということを申し上げたのです。 そこで、法人擬制説によって受け取る配当についてのそういう軽課措置、その軽課措置というのは、やっぱり所得税を減税をすればそちらのほうも減税をしなければ足並みがそろわぬじゃないかと、そういう意味のことと、もう一つは、法人税のほうで増税をした。法人税と配当の軽課というのはいわば二重の課税にならぬように調整をするのだという意味から言えば、法人税を増税をしたならば控除率のほうは引き上げをやってそちらのほうで減税をやって、全体としては増税にならぬようにすべきではないかというそういう議論、つまり擬制説の理屈からはどっちかが出てくるべきではないかというのですね。しかし、それをやらなくて控除率の引き下げをむしろやったというのは、擬制説そのものがすでに破綻をしているという証拠にならざるを得ないのじゃないか、こういう意味なんです。その点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 法人税につきましては、擬制説だとか実在説だとかいうそういう学理的な根本的なたてまえをとっているわけじゃないのです。一方におきましてはそういう学説もある。その学説もにらみますが、その学説を根拠にしてこれでなければならぬというようなかたい考え方をとっておるわけではないので、それをひとつお含み置き願いたいと同時に、先ほども申し上げましたが、今度法人税率を引き上げます。引き上げますが、配当軽過税率につきましては、これはもう引き上げも何もいたしません。これは従来どおりの二六%というので据え置いておるわけなんです。それとはしかし別な議論でありますけれども、どうも配当控除率を一五%というような高位に置くということは、他の所得者との権衡上、非常に厚い措置じゃないか、厚きに過ぎるじゃないかと、これはもう皆さんからしばしば指摘されておるところであります。そういう議論に対しまして、多少これは緩和する必要がある、こういうふうににらみまして、本年度のところは一〇%のところに持っていこう、経過的には一二%にしておこう、こういうような考え方をとっているわけであります。
○松井誠君 これでやめますけれども、ほかの税負担との公平の問題からここで引き下げをやったんだと。この控除率一〇%ないし一五%というのは、何か理論的な根拠というのはあるのですか。
○政府委員(細見卓君) シャウプのときからの沿革がずっとございまして、その後必ずしも理論的には一貫いたしておりませんが、現在の一五%ないしは七・五%という配当控除率は、これは三十六年に法人の配当軽課税率を導入いたしましたときに、従来の二〇%の配当控除率を、配当軽課で法人税のほうが四分の一軽くなったのに見合って、四分の一切り捨てしました。その結果、シャウプ勧告当時二五%であったものを以上の三十六年の改正を経て一五%にしたというのが現在の配当控除の控除率の沿革的な意味でございます。
○松井誠君 二五というそもそもの控除率というのは、どういう意味ですか。
○政府委員(細見卓君) シャウプのときには、当時の所得税の最高税率が五五%でございましたので、それを概数的に完全に所得控除において排除できるのは二五の控除率が適当であろうということでいたしたわけでありますが、配当控除率は、御承知のように、一方で法人税と所得税との二重課税の完全排除の方式としてはいわゆるグロスアップという方式がございます。それでなくて所得税の段階で概数的に法人税を控除するということになりますと、その階層その階層に適用し得る所得税の税率が違いますので、ほんとうの意味においては完全な二重課税の排除ということはできない。どうしても、上に厚く、下に薄くなるわけであります。そういうものがありまして、その後の法人税、所得税並びに配当控除の改正の経過は理論的に説明できる推移を必ずしもたどっておらないことは御案内のとおりでありますが、配当軽課措置を設けましたときに法人税率を四分の一軽課して、配当控除を四分の一切り捨てたということになって現在に至って、そして今回の改正になったというわけでございます。
○松井誠君 そうすると、現在の一〇ないし一五%というのは、当初とは違ってその理論的根拠を失ってしまった、したがって、こうでなければならぬというそういう歯どめというものは何もない、もっぱら税の負担ということだけでこれを考えていけばいい、このような理解をしていいのですか。
○政府委員(細見卓君) そのような面もございますし、二重課税を不完全に排除しておるという面の両面を持っているわけで、現行制度は、先ほど申しましたように、そもそも配当控除によりまして概数的に控除するときには、制度発足のときからあらゆる所得階層の人に完全に二重課税排除というのはできておらなかったと。それがたびたびの改正を経ておりますので、精神としては二重課税排除という精神も残っており、現実にはそれが非常に不完全になって形骸として残っておる、精神が。そういう形でございます。
○上林繁次郎君 今回の所得税法の改正によると、課税最低限が百三万円である。これを国際比較した場合に、まあアメリカ、フランスまでちょっと及ばないけれども、西ドイツ、イギリス等とはほぼ肩を並べたと。なるほど、額の面からいいますと、そういったことが言えると思うんです。で、この百三万円のとらえ方といいますか、たとえば、諸外国の社会保障の給付費だとか、あるいは住宅問題だとか、あるいは国民生活をささえているいろいろな条件があると思います。そういうものを加味してこういつた課税最低限というものが決定されたのかどうかということですね。百三万円と決定されるそれまでのとらえ方といいますか、その点についてひとつ……。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国は、国民一人当たりの所得におきまして、諸外国とたいへん違った条件があるわけです。まあアメリカに比べますと、三分の一ぐらいになりますか、そのくらいのものでございます。それから他の先進諸国にはだいぶ追いついてきましたが、まだもう一息というような状態でございます。そういう前提で課税最低限ということを考えてみまするときに、とにかく今度の百三万円というものは、アメリカに比べればまだかなりの差がありますけれども、他の先進諸国に比べますと、まず大体同じような水準まで来ると、こういう数字でございます。私どもは、世界の先進諸国の水準というものを目ざして、何とかそこまで早くこぎつけたいという考え方で、逐次課税最低限の引き上げを進めてきた、こういうことでございますが、これでやっと他の先進諸国の水準に追いついた、こういうことに相なるわけであります。
○上林繁次郎君 いま大臣のお話を伺っていますと、まあどれだけかの条件を加味して決定されたということはわかるんですが、何となく額だけの面で、たとえば百三万なら百三万という金額が、西ドイツあるいはイギリス、こういう国と比べて大体同じようだというふうに、額の面からだけのとらえ方というような感じがするわけですね。そこで、私は言いたいことは、国民生活の実態というものを把握して、その中でこれをどうするかという考え方、こういったことが大事じゃないか、こう思うわけですね。そこで、ちょっと意地の悪いような質問になるかもしれませんけれども、国民生活をささえているどれだけかの条件の中から幾つかを取り上げて、そしてこれを具体的に検討してみたいと思うのですけれども、たとえば社会保障給付費、これがイギリスあたりのはどういうふうになっているか、あるいはまた、フランス、西ドイツにおいてはどういうふうになっているか、その辺をどのようにいまとらえておられるか。最初に、社会保障給付費について、イギリスや西ドイツ、フランス、これらの国の給付費はどういうことになっているか、この点からお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の国の国民生活が他の諸外国と比べて非常に特徴的にきわ立って違っている点は、社会資本の蓄積ですね、これが非常に立ちおくれておる。われわれの生活は、その年々の所得が重大なささえになる、これはもちろんでございまするが、同時に、これに次いで大きなささえをなすものは蓄積である。わが日本は、社会資本の蓄積において特に貧弱でございまするが、同時に、家庭における蓄積も、他の諸国に比べますると乏しい状態である。そういうことは、家庭の蓄積の中の住宅というようなものをごらんになりますと非常にはっきりするわけでございまするが、とにかくわれわれの生活をささえるものは、縦はわれわれのその年々におけるところの所得であります。これを横にささえるものは、過去の蓄積であります。縦横のささえがあってはじめて国民生活というものが評価されるということになるわけですが、その横の蓄積の面というのが非常に立ちおくれ、かつ、社会資本の立ちおくれというものが目立つわけであります。ですから、毎年毎年の国民所得はたいへん向上をしている、もうアメリカを除く他の先進諸国には接近しようとしておる、それにもかかわらず、われわれの生活がまあ楽になったという感じがしない。それは、社会資本をはじめ、蓄積の立ちおくれというところに問題があろうかというふうに思います。 それからもう一つ、いま社会保障のことを取り上げられましたが、社会保障ということをまた考えてみますと、社会保障に対しましては、社会保障税といいますか、振替所得といいますか、これを先進諸国の人は別に大きく負担しているわけなんです。社会保障面の負担を別個に取り上げてみますると、わが国におきましてはきわめてまだ低い状態にあるわけであります。これは社会保障の充実とうらはらをなす問題でありますけれども、社会保障の制度が充実しておらぬという問題と、所得税の最低限がどうあるかという問題は、これは同一に論ずるというよりは、むしろ分けて論ずることが適当ではあるまいか、そういうふうに考えます。
○上林繁次郎君 いずれにしましても、国民生活をささえる一環にはなると思いますね、社会保障という問題が。この点についても、日本の場合に諸外国に比べておくれておるということは、やはり個人個人の生活に影響をしてくる、こういうことは言えると思います。で、いわゆる社会保障の充実というものは個人生活の充実にもつながっていく、全部とは言えないけれども一環をなしておる、こういう考え方であります。そこで、数字的にはっきり言いますと、これはとらえ方は非常に古いものですが、フランスにおいても国民所得に対する社会保障の給付費の比率は一九・三%、そういったことです。これは七年くらい前の話です。そういう時点でとらえたものしかありませんので。西ドイツにしても二〇%、イタリアは一六・四%、こういう中で、この時点では日本は六・三%、こういうことになっておる。オランダとかスウェーデンとかイギリス、これらもあがっておりますけれども、少なくとも、日本は、昭和三十五、六年ですか、その当時のイギリス並みに持っていこうということで努力をしてきたわけですけれども、さっぱり進まない。日本の場合には六・三%である、こういうようなことですね。まずこの点でおくれておるということだけは間違いない。いろいろな議論はありますけれども、この点から見るとおくれておるということを私は言いたいわけです。 そこで、次には、物価の上昇率といいますか、物価の問題についてこの点についてのとらえ方、これはどういうふうなとらえ方をしているのか。私は、いわゆる百三万円をもって、諸外国並みになった、あるいは近づいたと、こういう話が出てきておりますが、じゃその内容はどうなんだということでいまお聞きしているわけです。その一つ一つを積み重ねてみたいということでお尋ねしているわけですが、物価の問題についてはどういうふうにとらえていらっしゃるか。
○国務大臣(福田赳夫君) 百三万円で先進諸国の水準だということでございますが、これが今後物価との関係をどういうふうに考えていくかというお尋ねかと思います。そこで、物価が上がってくる、これはなるべく低位に押えたいというふうに考えておりまするけれども、成長下において物価が上がるということは避け得られない、こういうふうに見ておるわけです。しかし、これは、わが国ばかりじゃないんです。アメリカにおきましても、あるいはイギリスでも、フランスでも、ドイツでも、今日のこれらの国々の経済の状況を見ておりますると、おそらく物価はこれらの国々においても上がっていくと、こういうふうに見ます。そういうことで、わが国ばかりがひとり物価の上昇があるということとは考えておりません。しかし、かりに万一、諸外国においては物価の安定に成功したと、もう物価は上がりませんと、わが国においてのみ物価上昇がありますという際におきましては、これは私どもは今日先進諸国の水準というふうに申し上げておりますけれども、そういうことが申し上げ得られない時期になるだろうと、こういうふうに思いますが、そういう際にはそういう際に応じた適応な対策は当然とらなければならないというふうに思います。
○上林繁次郎君 私、これで調べてきておるんですけれども、一九五八—一九六九年の十年間の各国の物価上昇の比率を見てみますると、アメリカでもって二七%、カナダが三〇%、日本が七〇%、オーストリアが四〇%、こうずっとあるわけです。フランスでも五四%、デンマークが七一%ということで日本よりも少し上がっておるということですが、それに次いで日本がこの十年間の物価上昇率が七〇%、非常に高い。また一九六五—一九六九年の五年間を見ても、やはり日本の場合は二〇%で相当高いわけです。こういうようなことを考えますと、物価の上昇による国民の生活、これは当然苦しいほうに追い込まれることは当然です。こういうことで、この面から言っても、やはり国民の生活は諸外国からいっても決して楽なものじゃない、こういうことが言えると思います。 そこで、住宅事情についても、昭和三十八年ころは日本において四百三十万戸足りなかった、こういうことです。外国の場合を見ても、アメリカはゼロである。フランスの場合には、一九六二年で百八十三万戸足りない。イギリスの場合には五十万戸から百万戸、これは一九六三年ですから、もうずいぶん進んでいると思いますがね。こういうことで、住宅にしてもおくれておる。生活の主体をなしていく住宅にしても、物価の問題にしても、いろいろな問題について、諸外国に比べて非常におくれているわけです。そういった面からいうと、日本の国民の一人一人の生活というものは、諸外国に比較して決して高いものではない、おくれておる、こういうことが言えると思う。そういった点を加味した上でもって課税最低限というものも決定されていくべきだ、ただ額の面だけでもって論ずるということは非常に危険である、こういう感じがするわけです。 そこで、これは一つ一つ聞こうと思ったのですけれども、一応私から結論的な話を申し上げますが、そういった点を十分に加味した場合に、今後早い機会にそういうおくれを取り戻すという意味から、課税最低限は百三十万あるいはまたそれ以上のところまで引き上げていかなければならないのじゃないか、こういう感じがするわけです。こういう点について大臣がどういうふうに考えておられるか、ひとつ明確なお答えを願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、上林さんが御指摘に相なられるように、課税最低限という問題を、ただ単に数字の面からだけ考えては相ならぬ、私もそのように思います。しかし、まず数字の面だけから考えますと、日本全体の一人当たりの国民所得は、先進諸国に比べまして、特にアメリカに比べますと、まだ非常な違いがある。そういう際に、アメリカを除く先進諸国とは同じ水準まで来たというのは、私は高く評価していただきたいものだというふうに思います。思いますが、いま特に住宅の問題と、先ほどまた社会保障の問題を取り上げられた。で、住宅の問題につきましては、御指摘のとおりです。非常な立ちおくれでございます。ですから、そういうことがまた年々のわれわれの一人当たりの所得というものと重なり合ってわれわれの生活感というものが出てきておるわけですから、そういうことも課税最低限を考える場合においては考慮に置くべきものである、こういうふうに考えます。それから社会保障の問題は、私は、先ほども申し上げましたように、これは別の問題、つまり社会保障につきましては、これは勢い社会保障税といろ問題がからまってきます。社会保障税がいまわが国においては非常に低位にあるわけなんです。いわゆる高負担高福祉というようなことばがありますが、国民がそれを指向するならばそういう方向もとられなきやならぬかなというふうにも考えておるわけでございまするが、まあそれはそれとして、いまの住宅等の事情、そういうことはまた数字とは別に考えておかなければならぬ問題ということにつきまして、私もそう考えますので、今後の所得税の扱いにつきましては、そういうことも頭に置きながら検討していきたい、かように考えております。
○上林繁次郎君 うるさいようでございますが、これはもう今後十分考えていこうと、こういうお話ですね。そこで、いま私が申し上げたのは、額の問題です。決して百三万円というものは諸外国並みではない、内容から言って。で、ことに充実した中で諸外国並みであると、こういうふうなところまで持っていってもらいたい。それには、いまの百三万円というものを、百三十万円あるいはそれ以上に早い機会にそうしていくべきではないか、こういう話をしたわけです。その辺について大臣がどうお考えであるかということについて、お答えをいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 額からいいますと、先ほど申し上げましたように、先進国の水準の数字になっておる。しかし、この先進国水準というのは、わが日本国政府とすると、まだ一人当たりの国民所得の低位にある状態下におきまして、かなり日本は高く評価されていい数字であるというふうに考えるのです。しかし、御指摘のように、国民生活の豊かさというものは、その年々の所得ばかりで評価するわけにはいかぬ、蓄積ということもそれにあわせて考えなければならぬ問題であると、こういうお考えにつきましては、私もそう考えます。でありますから、私は、今回の所得税減税をもって長期答申は完全実施したのだからといってピリオドを打つつもりはございません。そこで、何とかして所得税の負担は軽減をする方向で今後も努力をしたい、こういうふうに考えておりますわけです。いついつまでに百三十万円だとか百四、五十万円だというようなことは、ただ申し上げる段階ではございませんけれども、とにかく所得税の負担軽減については今後ともできる限りの努力を払っていきたいということだけははっきりひとつ申し上げさせていただきます。
○上林繁次郎君 それは、私は、いま百三十万円あるいはそれ以上にという話をしたのは、額の面を言っているわけでありませんで、いままでいろいろ、社会保障の面、あるいは物価の面、あるいは住宅の面、そういう面で劣っている。そういう中から百三万円ということは諸外国並みにはならぬ、この額がもっと上がってこそはじめて内容としてはいわゆる諸外国並みに近づいていくんじゃないか、こういうことです。その額を引き上げることによって国民生活をその面からどれだけか諸外国並みに近づけていくことができるのではないか、そういう意味での百三十万円ということなんです。あくまで額だけのことを私は申し上げているわけではない。その点をひとつおわかりいただきたいと思います。 これで終わります。
○瓜生清君 大臣に二、三御質問いたします。 四十六年度以降の税制について、国民の税負担感を緩和するため、所得税減税を今後とも続け、その反面、間接税を増徴するという方向を政府は打ち出しておりますが、納税者にとっては、心理的な負担感より、むしろ実質的な負担を軽くして、所得構造に応じた累進性を取り入れることが財政民主主義の建前上不可欠のことと思われますが、これに対して大臣の見解を問いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておるのですが、いま、日本国民の租税負担というものは、諸外国の水準に比べますと非常に軽いのです。それにもかかわらず、国民から租税租税といってその負担感を訴えられる。それはなぜかというと、これは全体とすると軽い租税負担ではありますけれども、直接税偏重になっておる、こういう点にあろうかというふうに見ておるわけであります。今後の財政のあり方を考えてみますときに、どうしても資本の充実ということが大きな問題になってくる。また、社会保障制度の充実、これもまた大きな問題になってくる。その二つのことを考えましても、今後財政は膨張せざるを得ない。その負担を一体どうするかという問題もまた別にあるわけです。第一には直接税偏重の税体制の是正、それからもう一つは、ふえゆくところの財政需要をいかに充足するか、こういうこと、そういうことを考えますと、どうしても直接税を増徴するというのはまあどうだろうかというふうに思うのです。そこで、間接税にその財源を求めるという考え方をとらざるを得ない。いま、瓜生さんは、高額所得者に対する累進度を上げたらどうだというお話でございますが、今日すでに累進度というのはかなりきついわけであります。一人当たりの国民所得はアメリカあたりに比べますと非常に低いわけでございますが、それに対する関係なんかを考えてみますと、わが日本においては累進税率の最高税率というのはかなり高い状態になっておるわけです。これをさらに強化するというようなことは、これはいかがであろうかというふうに考えます。まあ間接税の増徴ということを主として考えていきたい、またそれが妥当であろうというふうに考えております。
○瓜生清君 次の点は、わが国の間接税は個別消費税体系をとっておりますが、各種物品を別々の基準で課税されているので、同一税目では、高級品にいくほど高税率となっており、一応のバランスはとられておりますが、総体的に見ますと、ダイヤの指輪とか銀狐毛皮のえり巻き等の税負担が一六・七%であるのに、大衆消費に供せられるビールの酒税負担は五一・六%、それからわれわれが吸っております「ハイライト」にかかる専売益金が五九・九%と、まことに均衡を失しているように思うのです。個別消費税体系はわが国に適した税体系であるといわれておりますけれども、現行のままでは、このように全体のバランスが著しくくずれていると思われます。この際、税負担能力、物価等の国民生活への影響を加味した個別消費税全体に適するような一つの統一原則を考える必要があるのではないかと思うのですが、この点、大臣はどうお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま、奢侈品に対する課税が低いという問題を一つ指摘されておりますが、その点は、私は、今後の税制改正におきましては再検討、洗い直してみたい、こういうふうに考えております。 それから第二に御指摘の、砂糖だとか、あるいはビールだとか、たばことか、そういうものに対する課税が重いじゃないか、それが奢侈品なんかとのバランスがいかがなものであろうかというようなお話でございますが、これは大衆の嗜好性というものに着目をいたしまして課税が行なわれるということになっておりますが、これはわが国ばかりじゃないのです、大体の国々におきまして特に後進諸国等におきましてはそういう傾向が強いわけでございますが、これは、何といいますか、財政目的というものがあるわけであります。フランスにおきましても、あるいはイギリスにおきましても、かなり高率の消費税負担というものをこれらの嗜好品に課しておる、こういう状態でございます。いまわが日本においてはそういうような体制がとられておるわけでありまするけれども、これが著しく増徴されるというようなことになると問題はありまするけれども、とにかくこれで一つの財政需要を達成するという目的のもとに一つの秩序をなしておるわけでございまして、これを大幅に緩和するというようなことが財政上可能であるかどうか、これはかなり問題のあるところであろうと、こういうふうに思うわけでございます。とにかく、財政需要に着目をしての措置であるというふうな考え方をおくみ取り願いたい、かように思います。
○瓜生清君 租税特別措置についてお伺いいたしますが、いままで二年間の期限つきでなされてきた特例をどういう理由で五年間も延長したのですか。特に経済変動の激しい現在、そういう長い期間延ばすということは、特別措置ではなくて、本則を改正する考え方が含まれているのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 五年の臨時特別措置というお話でございますが、これを採用いたしましたのは利子・配当課税についてだけであります。利子・配当課税につきましては、先ほども申し上げましたが、私ども神経質になっておる。ことに、いまの物価の情勢、また、わが国が当面しておる経済の成長政策からの角度、こういうようなことを考えますときに、貯蓄というものにいささかの動揺があっては相ならぬ、こういうふうに考え、慎重な配慮を加えたわけでありますが、従来のように二年の時限ということにしますと、来年の国会におきましてはまたこの改正を御論議願わなければならぬということになる。これでは、投資家あるいは貯蓄する一般国民、こういう人の生活設計とか、あるいは貯蓄に立ち向かうところの心がまえとか、そういうものが非常に不安定であろう。そこで、五年というふうに今度はいたそうとしておるわけですが、その中間段階というものを設けまして、二年目にはこうなりますよという目標を示しておるわけです。二年目にはこうたる、五年後にはこうなる、こういうようなことで大体見通しもつく、それに従って国民も貯蓄なり投資をしやすくなる、こういうことをねらいといたした次第でございまして、いままでの二年というところでは非常に短か過ぎる、こういうことから、今回初めてのことでありますが五年ということで御審議をお願いし、貯蓄増強ということを強力に進め、物価政策にも貢献し、また、わが国の成長政策にもその必要とする財源を整えるということのほうがむしろ国家的であるという考え方をとった次第でございます。
○瓜生清君 次に、所得税についてお伺いしますが、大臣は衆参両院におきまして課税最低限を今後も引き上げるということをしばしば言明されておりますが、その具体的な内容というものはあまりはっきりしません。それに対してどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま、日本国民全体の租税負担率は軽いというふうな認識を持っておるのですが、それでも負担感が重い重いという訴えがある。それはなぜかというと、所得税がとにかく軽い税負担の中においても大きなウエートを持っておるというところに根本的な原因があるというふうに考えておるのであります。そこで、四十五年度税制改正におきまして長期答申を一応完全実施ということになりますが、これをもってピリオドとせず、四十六年度以降におきましても所得税減税というのは財政の許す限りにおいてこれを考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでありますが、その具体的な内容につきましては、皆さんのこういうところにおける御論議、これもよく伺っております。また、税制調査会にもこれをはからなければならぬというようなことでございますして、ここでこういうふうにいたしたいとは申し上げかねますが、とにかく所得税負担の関係につきましては今後とも最善の努力をしていきたいというふうに考えておることを申し上げます。
○瓜生清君 新経済社会発展計画との関連で今後の税制についてお伺いしたいと思いますが、計画は財政の景気調整機能の重視をうたっていて、たとえば法人税の延納期間の伸縮等をあげておりますが、昭和四十二年に設けられました租税特別措置法第六十六条の六による「重要産業用合理化機械等の特別償却の停止」の措置は、現在の経済の好況下においても発動していないようでありますけれども、これはどういうわけですか、お尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) お話の償却制度の問題でありますが、景気調整という考え方で設けられたわけです。ところが、その対象となる品目は非常にわずかなんです。これをかりに今回発動するにいたしましても、とても景気調整の機能を発揮するというような影響はない、こういうふうに判断いたしたわけであります。それよりは、むしろ、一般的な法人税の増徴、これのほうがきびしい姿勢であり、また、そちらのほうが効果的な影響を与えるであろうというように考えまして、この償却の繰り延べ措置につきましては今回は適用いたさないことにいたしたわけであります。ああいう考え方は私は非常にいいと思うのですが、もう少し効果的に適用される道はないか、これは今後御指摘の点、御意見等も頭に置きまして再検討をしてみたい、こういうふうに考えております。
○瓜生清君 最後にお伺いしたいのですが、本案と関係がない問題ですが、私は、最近の株式市場をながめておりまして、どうも株価が少し行き過ぎではないかというふうに考えるのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 株価が行き過ぎであるかどうかは、私が申し上げますと、いろいろ憶測を生みまして、適当ならざる結果になるのじゃないかと思います。ですから、その点に対する見解表明は控えさしていただきたいと思うのですが、しかし、二千五百円相場というのが、きのうあたりの状況では二千四百円を切る、こういう状態になっておりますので、必ずしもあなたのおっしゃるような状況ではない、こういうことだけは申し上げさしていただきたいと思います。
○委員長(栗原祐幸君) 午後一時二十分再会することといたしまして、休憩いたします。 午後零時九分休憩 —————・————— 午後一時三十一分開会
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。 質疑のある方は、順次御発言願います。
○成瀬幡治君 大臣にお尋ねいたしますが、衆議院でも、三党いわゆる社会党、公明党、民社の三党で統一要求のような形で八項目をお願い申し上げたわけですけれども、なかなかうまくいかないようでありますが、特にその中でも重要視しておりましたのは所得税の定額控除の問題です。これは十万円になっておりますが、しかし、それは四十三年で、四十四年・四十五年と二度手直しが見送られているという形です。それまでは、毎年一万円引き上げられてきておるわけです。そこで、われわれとしては非常に残念であり、ぜひ修正案というようなことも実は考えてみたわけでございますけれども、別表の問題等これあり、いろいろな問題もあるかと思いますから、大臣として、どうせ臨時国会なり通常国会等も開かれるということが考えられますから、昭和四十六年の一月から定額控除を十万円のを五万円引き上げて十五万円にすきであるというふうにわれわれは考えておりますが、大臣のこうした問題についての御所見を最初に承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) いま、サラリーマンの定額控除の額十万円を四十六年の一月一日から引き上げを行なうべし、こういうお話でございますが、とにかくいま昭和四十五年度予算の審議を終わったばかりです。四十六年の一月一日に引き上げを実施するということになると、これは予算にも関連をしてくる重大問題でありまして、さあ、ここで、成瀬委員からのせっかくのお話でございますが、これをここでいたしますといういうことをお約束するわけにはまいりませんことは非常に残念ですけれども、しかし、この問題は、お説のように世間的な関心も高い問題でございます。私は、かねがね申し上げておりまするように、所得税の減税は将来ともいたしたいと、こういうふうに考えております。そういう際には、諸控除の引き上げというものが何といっても中心になるであろう、こういうふうに考えますが、その諸控除の一環といたしまして前向きでこれを検討する、そういうことでひとつ御了承をお願いしたいと思います。
○成瀬幡治君 反論というわけじゃございませんけれども、税の自然増なりいろいろ問題がございますし、そして税の重圧感なり不公平でいろいろなことを言われておることは、要求は、サラリーマン所得といいましょうか、いわゆる所得税が重いということが一番問題でございますから、そこで、情勢の変化等も私はなきにしもあらずだと思うのです。まあ、とにかく、予算を云々することになるから非常に困難だということは、お断わりになる大臣の立場としてはわからぬわけじゃないわけですよ。しかし、予算の修正ということも行なわれることはあるし、補正予算等もあるわけですから、そこで、ただいまのお答えを承っておりますと、税制調査会等の問題もこれあり、そういうようなものにはかつて、これは政府の大きな姿勢になってくると思いますけれども、必ずしも私たちは来年の一月一日から施行することが絶対に不可能だということには考えません。非常に期待を持って、大臣のいまの前向きに検討するということは、あれこれを踏まえての大臣としては非常に狭められた範囲内における立場の御答弁として、われわれはそういうものに対して十分な期待を持っておるということを申し上げまして、この点は了承をいたします。 次にお尋ねしたい点は、税金と物価の関係について、いろいろな問題があると思います。特に、今度、高福祉高負担ということが出てくると、いわゆる負担はやはり増税ということになってまいりましょう。その増税を何でやるかということが非常に問題であると思いますが、一体税をかけますとこれが物価にどうはね返ってくるのか、物価と関係がある、あるいはない、これは関税もからんでまいりますが、そういったことについて大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、この点を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 増税をいたしますということは、一般的に法人なり個人の購買力を吸収するというような意味におきまして、これは抑制的な効果を持つと思います。特に、直接税におきましては、直接的に購買力を抑制する。つまり、個人におきましては、購買力そのものであります。また、法人におきましては、設備投資を通じてのまた購買力ということになりますが、抑制的に働く。間接税におきましてもそういう傾向を持つであろうと思いますが、ただ、間接税におきましてはいわゆる転嫁ということがいわれるわけでありまして、そういう転嫁しやすい消費税対象につきましては、物価へのはね返りということが考えられるわけでありまして、私どもは当面物価問題が政策的に大事な問題だというふうに考えておりますので、物価に悪影響を及ぼすという税制の改正につきましては格別慎重に対処していかなければならぬ、かように考えております。
○成瀬幡治君 そうすると、高負担の場合に、直接税を主として、六五対三五にいたしましょうと、直間比率でいうと。だから、直接税は減らしていかなくちゃならぬ。ですから、おのずから間接税がふえざるを得なくなる。ただ、六五と三五のバランスをとっただけでも間接税がふえるわけです、直間の比率を直そうとするなら。ところが、片方ではより高福祉をやるためには高負担という、そういうことばが出てくれば、これは二%ぐらいといわれておりますけれども、どうしたって間接税がふえる。しかし、間接税がふえると、物価にはね返ってきます。物価にはね返ってきては困るからそういうものは税はなるたけかけたくないということになると、それじゃどういうものが間接税としてふえてくるのか。ほんとうに物価にはね返ってしまって上がるものなのか。どうも、企業の中で努力をされれば吸収されるというものも相当数あるんじゃないかという考え方もあると思うのです。ですから、その辺のところが、どうもいま大臣の御答弁を聞いておりますと、物価にはね返るようなおそれのあるものはやらぬよと、こういうことになると、間接税は片方ではふやすと言っておる。片方では物価にはね返ってやらぬわいと、こうなる。そうすると、どういうものをそれじゃ考えておられるのか、ちょっとつかみにくいのです。ですから、私はそういう抽象的な質問をしておるが、大臣のほうはもう少し具体的に御答弁が願えないものかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 間接税を考えておりますが、一般的な間接税、つまり、どの商品にも税をかける、こういうような売り上げ税あるいは付加価値税、そういう形のものは考えておりませんです。ただ、消費税の対象によりましては物価にさほど影響のないものを考えられる、こういうふうに存じております。きょうの午前中の御論議でも、具体的に取り上げられたものがあります。ありますが、いまここでどういう品目についてということを私から申し上げかねますが、物価にさしたる影響のないものもあります。あるいは、逆に、消費税によって消費の抑制効果が期待されるというようなものもあります。そういうようなものを模索いたしまして、そして私の考えておる直接税負担の軽減という方向の償いといたしたい、かように考えておるわけであります。
○木村禧八郎君 関連して。税金と物価との関係はいろいろ私も考えて、非常にむずかしい関係になっていると思うのです。一ころと非常に違ってきているんじゃないかと思うですね。たとえばたばこですね。昔は、たばこの値上げをすると、値上げ率がかなり大きい場合、売れ行きが減ったものですわね。そこで、大体どの程度値上げしたら売れ行きが減らないか、どの程度値上げしたらたばこの消費を節約ができるか、判定がついたと思うんですよ。最近では、実際問題として、値上げするでしょう。そうすると、新しいたばこのほうが売れ行きがいいというような状況ですね。ですから、その点は昔とかなり違ってきているんじゃないかと思うのですね。いわゆる間接税を引き上げたから消費を抑制するというようにストレートになかなかいかないです、最近では。そこがはっきりしないわけでして、ですから、大蔵省は、物価対策として財政面なり税制面から効果的な対策として一体何を考えているのか、さっぱりわからないですよ。この間、法人税だって、六百十億引き上げた。しかし、あれも、転嫁の問題があるわけですね。いろいろ学者の意見があるとしても、いままでの税調の答申では大体転嫁の公算が大ということになっているでしょう。そうなると、法人税を上げても、これが物価のほうへ反映してくる。間接税を上げても、物価のほうへ反映してくる。そういう場合、どういうふうに考えたらいいか。いま、大蔵大臣の話ですと、なるべく物価に影響のないような物品税なり消費税なりで、全般的なものは考えない。売り上げ税とか付加価値税という形では考えない。個々の間接税ですね、消費税を考えるといいますが、情勢が前と変わってきておりますから、私は、間接税を上げたら消費抑制に作用するということは、最近ではそういうことはいままでのような考えでは通用しなくなっていると思うんです。それは結局総需要との関係があるわけですけれども、いままでのような考え方で理解できない点が相当あると思います。だから、その点を踏まえてやはり考えませんと、そうしたら、間接税で上げるものはないですよ、物価対策として考えた場合ですよ。ですから、その点、ひとつはっきりさしていただきたい。 それから私は、何回もここで、大蔵省は財政、税制面から物価対策としてどういう方針を今後とっていくかといくら質問しても、はっきりした方針示されないんですが、しかし、政府のほうは、きのう総理大臣が主婦の方と会って、今度こそは本腰を入れて物価対策に取り組むと。いままでは本腰じゃなかったのかと突っ込まれたそうですが、そうなると、今度は、やはり財政、税制面からもいままでと違ったかまえでいかなければ、繰り返しにすぎないと思うんですよ。だから、そこにおそらく大蔵大臣としてはこれまでとは違った着想をお持ちになっているんじゃないか。財政の面、あるいは税制の面、それの基本的な考え方をひとつここで締めくくりとしてあなたからお伺いしておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 物品税その他消費税については、どういうものが物価抑制をするか、あるいはどういうものが物価の刺激的要素を持つか、こういうことは、判定が非常にむずかしい問題です。ですから、これはよほど国民の心理的動向等をも含めまして考えていく必要がある、こういうふうに思います。木村さんのように、あれもいかぬ、これもいかぬ、そう言っちゃうと、一体どうすればいいかといってお教えを請わざるを得ない、こういうことになりますが、今後お教えを請いながら適切な措置をとりたいと考えております。そうして所得税の負担の軽減、また、社会資本の充実、社会保障制度の整備、そういう方面への財源につきましては事欠かせないようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 基本的に物価対策を一体どうするかというと、この前予算委員会でもお答えした、これはやっぱり需給関係ですね。これは木村さんが力説をされたとおりであります。それから第二の問題は、コスト要因であります。これはだんだんそういう要因が出てきた中におきましては、賃金問題、これも非常に重要な問題である、これも木村さんが御容認なすった問題でございます。それから第三には、国際関係から起こる物価要因であります。輸入を増加するとか、関税の問題でありますとか、また輸入価格、輸出価格、これの物価への影響をどういうふうに把握するか、これが三つの大きな問題だと思います。 なお、その他に、流通の問題、これは総理がきのう言われている問題でありますが、これは根本的にメスを入れなければならない。また、独占価格の問題、こういう問題にも手を入れなければならない。また、さらには、これは長い見通しの問題でありますけれども、低生産部門の近代化合理化、そうしてこれによるところの生産性の向上、こういうものも着目をしなければならぬ。物価問題は総合的な問題で、どの一つということはないと思いますし、ただいま申し上げたような問題を、とにかく一斉に総力をあげて取り組む、こういう事柄だろう、かように考えております。
○木村禧八郎君 関連ですから簡単に質問いたしますが、大蔵大臣、コストプッシュについてちょっと誤解があるといけませんから、この際私も弁明しておかなければなりませんが、それは、私、物価値上げの原因の一つの要素としては認めているわけですよ。ただ、日本の現時点において、この物価値上がりの原因としては何が一番支配的原因かというそれについては、やっぱり、総需要とか、あるいは管理価格ですね、そういうものが大きく作用している。それから賃金値上げについては、どうも、大蔵大臣は、コスト・プッシュを必要以上に強調することによって、最近、何か賃上げを押える方向に、所得政策の方向に持っていこうとしているようにも思えるんですね。佐藤企画庁長官は、どうも所得政策を今後とる必要があるようなことをほのめかしている。これは重大な問題だと思う。諸外国ではみんな失敗しているんですね、所得政策をとりましたけれども。だから、今後日本で所得政策を打ち出していくのかどうか、この点が非常に重要だと思うんですけれどもね。ですから、かりに賃金が上がっても、すぐそれが物価にはね返らない方法がいくらでもあるわけで、人によっては利潤インフレと言う人さえあるんですよね。コストは上がったって、ものすごく利潤はふえている。だから、むしろ企業の側において自制しなければならぬ面が相当あるのだと思うのです。ところが、賃上げのほうばかりを非常に大きく要素として見る癖があって、そっちに責任を転嫁し、政府の政策にいろいろ原因があるのに、何か賃上げに原因があるようなほうに持っていこう持っていこうとしているように思うんですがね。その所得政策の問題ですね、どうも今後そっちの方向へ持っていこうとしているんじゃないか。あるいは、新経済社会発展計画では、大体所得政策というものが前提になっているんじゃないかと、どうもそういうようにも思われますし、それから最初の経済社会発展計画では、最後に三%台に持っていく場合に、やはり生産性と賃金との問題を考慮しなければならぬということが出ているんですよ。ですから、結局は所得政策の方向に持っていこうと努力しているのではないかと思うんですが、その点を最後に一つ質問したい、重要な問題ですから。
○国務大臣(福田赳夫君) 所得政策というのは、言われるところの意味が非常に広いわけであります。木村さんがおっしゃる所得政策というのは、おそらく強権をもって、政府の権力において所得を抑制すると、こういうことじゃないかと思いますが、そういう方向のことはただいま私どもは考えておりませんです。これは、お話しのように、諸外国でも失敗をしております。そうじゃないんです。私が申し上げておりますのは、これは理論的というか、実際問題というか、その両面を通じまして、いま生産性が賃上げを下回るような状態になってきておる。これがもう直ちに物価につながってくるわけです。それで、物価の上昇を放置しておきますと、これはやっぱり賃金・物価、賃金・物価の悪循環になって日本経済を根本から転覆する。そうなれば、働く者の職場にも関連してくる問題なんです。その辺については、賃金問題について、働く者も、おれたちの問題だという認識を持ってしかるべきじゃないかということを私は申し上げておるわけであります。そういう理解が働く者にも、あるいは経営者にも行き届きますれば、私は、この問題ははじめて解決のめどがつくと、こういうふうに考えております。強権をもってこれをどうしようというようなことは考えておりませんです。
○木村禧八郎君 一つだけ詰めて質問したいんですが、大蔵大臣は、賃金が生産性を上回るとすぐに物価にはね返るような、そういう御認識のようなんですよ。ところが、そこが非常に問題なんであって、コストは全部賃金じゃないわけですね。コストの中には、賃金もありますし、資材もありますし、管理費も、いろいろあるわけですよ。ですから、業種によっていろいろ違うと思うんですが、賃金がかりに生産性を上回っても、しかし、それはコストの一部なんですからね。ですから、そこで、たとえば資材のほうが下がれば、あるいは賃金が上がったって全体としてコストは上がりませんし、それからもう一つ重要なことは、前にも申し上げましたけれども、アメリカのアクリー委員会のアクリー方式というんですけれども、そのときは、企業の受け取る分配分ですね、利潤のほうを押えれば、すぐにはね返らないんですよ、物価に。アメリカではそういう研究をやっているんですよ、詳細なね。だから、賃金が生産性を上回るとすぐに物価値上がり、そういうふうに、賃金が一割上がったら物価がすぐに一割上がると、それだけでもう比較して、これは財界でもそうなんですよね。そこの比較の仕方があんまり単純ですし、もっとそこのところはきめこまかに考えなきゃいけないんじゃないか。だから、賃金が生産性を上回ったといっても、すぐそれが物価にはね返るものじゃない、いろいろな条件があるんですからね。そういう条件をいろいろこまかく調べ、それに対する指導をいたして、賃金が上がって毛物価が上がらないようにするのが政策なんですよ。しかし、それでもなおかつ賃金が上がってほかの対策がない場合には、それは物価にはね返ってくるわけですね。だから、その点は私は否定しないですけれども、すぐにそれを日本の現状に当てはめて、もうストレートに、賃金を上げるとすぐ物価にはね返る、だから大幅賃上げを押えろと、こういうような政策的意図からすぐにストレートに賃上げと生産性の問題を考えるのは、あまりに単純過ぎますし、よろしくないんじゃないかと思うんですがね。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、何回も申し上げているわけなんですが、賃金ばかりを言っているのじゃないんです。まず第一に私が言っているのは、いまの需給の問題だと。その次はコストの問題だと。コストの問題といっても、賃金ばかりじゃございませんが、しかし、賃金もその重要な要素です。それからさらに海外的な要因もある。流通機構の問題もある。管理価格等、価格政策の問題もあります。まあいろいろ並べ立てて言っているわけなんですよ。その中の賃金コストという問題を言わない人があるものですから、木村さんと違って言わない人があるものですから、特にこれは言い落としじゃありませんかという意味において申し上げておるのであって、決して賃金だけが物価上昇の要因であると、さようなことを申し上げておるわけじゃありません。
○成瀬幡治君 時間がございませんから次に移りますが、土地の問題で譲渡所得を分離されましたですね。そうしたら、新聞に、減税の恩典に浴した最高の人が何か二十億ぐらいの人があるというのが出ていて、こんなにえらい土地持ちがおったのかと、それから減税の恩典に浴した人がこん九におったのかと驚いたわけですが、それはそれとして、せっかく土地を持っておる人があの分離課税のために売ったと、今度買った人から末端へ実際に渡っていかなければあの税の恩典を与えた意味がない。とにかく、土地のほしい人たちが安く早く入手できるというのがねらいであったと思うんです。ところが、単に所有権の移転だけに終わってしまうと、たいへんなことになりゃしないだろうか。そこで、いや、この税をやることによって末端までそういうふうに行くんですよという見通しがあるのか、あるいは、末端にまで行くように何らか別途対策というものを考えておみえになるのかどうか。どうも、私は心配するのは、所有権の移転に終わってしまっておるような感じがしてならないわけですが、どうでございましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) この間新聞にも出ておりますが土地売買はかなり旺盛に行なわれた。その原因の一つは、私は、確かにこの税制にあったと思う。つまり、それだけの土地の供給というものはあらわれてきたと、こういうふうに理解しておるのです。いまも木村さんからもお話しがありましたが、地価は一体どういうふうなことで形成されるかというと、一番大きな要因は需要と供給の関係だろうと思います。その供給に大きな刺激となった、それがあの売買の激増の状態にあらわれてきていると、こういうふうに見るわけです。そして、さらに、それが真にこれを需要する人に渡ったかどうかということのお尋ねでございますが、あの買い取り先ですね、需要家先を大観してみますると、まあ例外もあるようでありますが、大体において土地のデベロッパーであるようであります。そうしますと、これがその土地を整備し、また、住宅を建てると、住宅政策に貢献すると、こういうようなことになると思うんです。広い土地の売買しか出ておりませんけれども、おそらくこまかい土地の売買というのはそういう意味合いにいてかなり行なわれているんじゃないか、そういうふうに見ておるのでございますが、私はあの傾向の税負担は軽過ぎるというデメリット、これを否定するものでありませんけれども、いま大事なことは土地の価格を下げることである、それには土地の供給をふやすことである、そういう意味合いにおいてあの税制がかなり働いておる、こういうふうに見ておるのであります。
○成瀬幡治君 これはもう少し先を見なければならない問題だと思いますが、私たちが心配することは、せっかくの恩典を与えたことが政府が考えておったような結果になれば非常にいいわけです。いわゆる需要と供給の関係で地価が少しでも上がるのが——下がることはないだろうが、上がるのがストップした、少しでもブレーキになったということならいいと思いますが、何らかの行政的なこれに対して措置をしないと、ただ税制で恩典を与えたと、これだけで目的を達するものじゃないと思いますから、建設省とも十分連絡をとって、何らかの行政的な措置をとられないと、せっかくのものが持っておる人だけのみ得をしたと、土地を持っておって手放した人が減税の恩典に浴しただけだと、こういうふうに立ち消えになってしまうと、大臣はよく税の公平ということを言っておみえになりますが、それを失うことになってしまいます。私はここでどうこうということを申しませんが、今後の成り行きというものを見て、適切な行政的な御指導もお願いしたいものだと思っております。 それと関連しまして、分離ですから、あれに対して累進を加味することはできないものでしょうかね。一億以上のものは、もう幾らでも同じになっちゃうわけですね。ちょっと刻んでそういうことはできないものであろうかという点が一つと、それからもう一つは、税制調査会で保有税ということを言っておりますね、土地保有税の問題が一つ。あるいはまた、法人の土地を持っておっていわゆる空閑地にしておるものは、三年以上持っておるものに対しては税をかけたらどうだというような問題、あるいは、土地を買ってそして値上がりを待っておって売らない人には何かの税をかけるというようなことも考えられておりますが、そういうようなことに対してどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) よく空閑地税でありますとか未利用地税でありますとか言われます。私はその考え方には賛成です。ところが、技術的にこれは非常にむずかしいのです。何が未利用地であるか、何が空閑地であるか、これはなかなか判定は困難じゃないかというふうに思います。ですから、当面、現在の社会体制の中で考えられることは、一般的な資産税で、つまり、土地を保有しておると、こういうものは荷やっかいだという効果のある課税、その効果を持っておるのが今日におきましては固定資産税で、あの固定資産税というのは、その名前のようにしておくがいいか、また、内容もそのままでいいか、これは問題があると思いますが、あの形のものを強化していくということが当面最善の策ではないか、こういうふうに考えておるわけですが、そういう意味合いにおいて、固定資産税につきましては、今後いまお話しのような御趣旨のことを頭に置きながら検討してみたい、かように考えております。
○成瀬幡治君 時間がありませんから、これで最後ですが、国税庁長官に伺いますが、国税審判所ですね、五月一日から施行になるとかでありますので、ぼつぼつ人事ができておると思うのですが、民間からどういうふうになっておるか、およそのことについて御報告願いたいと思います。
○政府委員(吉國二郎君) 先般御審議の際に私が申し上げましたのは、部外からできるだけ人材を入れたい、ことに審判所長となる人、その他大事な首席審判官には部外から人を得たいということを申し上げました。実は、たいへん申しわけない次第でございますけれども、現在なお人事を詰めておる段階でございまして、大体、審判所長と東京の首席審判官につきましては部外からおいでを願うという線は変わっておりません。その線で詰めております。それからなお、ほかにも、大阪地区においてはできるだけ部外の方から求めよう、時間的に間に合わない場合には若干空席を置いてもやりたい、かように考えております。そのほかに、大学の教授をしておられた方、あるいは税理士をしておられた方を審判官に迎えるべく、現在準備をいたしております。そういうことで、たいへん数は少のうございますけれども、四、五名の方を部外から求めるように現在取り進めておる次第でございます。
○成瀬幡治君 もう一言だけ、えらい恐縮ですが、これは衆議院で赤松勇代議士が質問主意書を出しました。その中身で三点ございますが一点だけ特にお尋ねをしておきたいのですが、事業主報酬について、個人企業においては青色専従者に限って完全給与制をとったらどうかということに対して、答弁書を見ますと、「所得を総合して課税するというのが所得税の建前であり、個人企業の事業所得は」云々で事業主の事業報酬費は認めるわけにいかないというそっけない話が出ておるのですが、これはちょっと考え直してもらうわけにいかぬだろうか。この答弁じゃ、まるっきりどうも……
○政府委員(細見卓君) 御承知のように、所得税におきまして一番の特徴と申しますのは、その人に帰属する所得を総合して課税して、総合して累進税率を適用するというところが、人的に統合するというのが所得税の基本的な生命であるわけであります。いまの青色申告の事業主控除と申しますもの、あるいは事業主給与と申しますものは、自分が自分に払われるわけですから、その意味におきましては、所得税のたてまえから、そういうことを擬制することは、完全に総合するという意味におきましては実益のないことであります。もし事業主控除ということによりまして給与所得控除を適用しようというお話でございましたら、今日サラリーマンの皆さんが事業所得とのバランスにおいて給与所得控除を云々しておられることに真正面から相反することでございますので、現状においてはそういうことは適当でない、こういうふうに考えた次第でございます。 —————————————
○委員長(栗原祐幸君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として高橋文五郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(栗原祐幸君) 他に御発言もなければ、三案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○松井誠君 私は、ただいま議題となりました三法案について、日本社会党を代表して反対の討論をいたします。本会議における反対討論の機会がございませんので、少しく詳細に申し上げることをお許しいただきたいと思います。 反対の理由を一言で申しますならば、いつものことながら、この三法案は、大企業、高額所得者の公然たる優遇が保証され、国民政党を僣称する政府自民党の階級的性格があざやかに貫徹されているからであります。 最初に、所得税改正法案について申し上げます。 政府は、今回の減税をみずから称して、史上最高と宣伝これつとめましたが、その減税総額がその名に値しないものであることは、すでに多くの指摘するところであります。真に関わるべきは、むしろだれのための減税かということでありましょう。今回の改正によって、課税最低限は、夫婦子二人の四人家族で、給与所得者の場合百二万八千円、専従者のいない事業所得者の場合は六十一万一千六百円、実に月五万円余の所得に所得税が課せられるのであります。さらに、独身者に至っては、年三十四万円をこえれば課税されるのであります。本年度中卒者の初任給が年三十九万円といわれておりますから、中学を卒業したばかりのいたいけな少年の肩に、情け容赦もなく所得税の重圧がかかるのであります。これに反し、年間二百万円ないし三百万円の所得を得るいわゆる中堅層は、給与所得控除及び税率改正のいずれにおいても最も恩恵をこうむるものであることは、すでに周知のとおりであります。 なお、この際注目したいことは、税負担の軽重については、単に軽減率だけではなく、軽減される税額の絶対値の比較が重要であるということであります。今回の改正によって、年所得百万円の給与所得者は、税率において約四二%の減税であるのに対し、年所得五百万円の所得者は約二四%の減税であります。しかし、税額においては、前者は年間わずか六千五百円の減税、後者は二十六万四千円の減税となるのであります。その生活に対して持つ実質的な重味の違いは、言わずして明らかでありましょう。 次に、法人税法及び租税特別措置法の各改正案につき、一括して反対の理由を申し上げます。 最初に、法人税について申し上げます。 法人税は、昭和四十年、四十一年の二回にわたり、経済的不況を理由に合計三%引き下げられ、現行の三五%となったのであります。したがって、むしろ景気過熱の危惧せられるに至った今日では、これを旧に復する意味も含めて三%引き上げるのが当然のこととして期待されたのであります。ところが、財界の公然たる圧力に屈し、その内部留保分に限り、法人税率三五%の五%すなわち一・七五%を法人税に付加する形式で、しかも二年間の臨時措置として引き上げるにとどまったのであります。これによって、引き上げ税率が低く押えられたばかりでなく、基本的な税率は三五%に固定する道をも開いたものと言い得るのであります。日本の法人税率は、実効税率においても表面税率においても、英、米、仏のそれより低率であることは、まぎれもない事実であります。にもかかわらず、国民総生産世界第三位の経済大国にのし上がった日本の政府のとった道がこれであります。もし税率を国民の期待するように三%引き上げれば、それによって改正案より増収となる額は約六百億円をこえ、この増収分によって、所得税の基礎控除及び配偶者控除を各一万円ずつ引き上げることが容易にできたのであります。だれのための減税か、言わずして明らかでありましょう。 しかも、政府は、この法人税率を改正するにあたり、二年間の臨時措置であることを理由に、これを法人税改正案に含めず、特別措置法改正案に譲ったのであります。このことによって、当然改正すべき法人税の問題を、二年後の改正の基本的方向を示さぬまま、臨時特則的性格を持たせてしまいました。法人税率改正の重大性にかんがみ、政府のこのような基本的姿勢に反対せざるを得ないのであります。 次に、その他の特別措置について申し上げます。 これらもろもろの一連の租税特別措置は、その実施当初は、日本経済の戦後性あるいは後進性を克服するための措置として、ある程度の正当性を主張することができました。しかし、その後、日本経済の成長につれて、その政策目的は、貿易自由化、さらには最近は資本自由化に備えることに変わり、国民的同意は全く失われてしまいました。政府は、そのために、特別措置の中に、大企業だけではなく、その他の国民階層にも影響のある特別措置を少しずつ導入することによって、特別措置に対する国民的非難を回避しようとしてまいりましたが、しかし、政府のこの涙ぐましい努力は成功せず、特別措置は、税負担の公平を害し、善良な納税者の納税意欲を阻害している元凶として怨嗟の的となっているのであります。 この特別措置の中の中核的部分は、特別措置による減収額の三八・六%を占める利子・配当の特別措置であります。この二つの措置が本年三月末をもって期限が到来するだけに、政府の措置が注目されたのでありますが、国民のわずかに抱いた期待はむなしい幻想にすぎなかったのであります。この利子・配当の特別措置がいかに高額所得者を利してきたか。たとえば利子所得は、これを総合課税した場合に、分離課税の場合よりも負担増になる所得階層は、年間二百万円以上の所得者に限られますが、このような所得者は、昭和四十三年度において全体の三・三%にしかすぎません。また、配当所得についても、昭和四十三年度の所得税申告納税者中二百万円超の者は一二・二%にすぎませんが、これらの少数の人々が配当所得の八七・六%を占めているのであります。また、昭和四十年度に導入された配当の源泉選択制度にしても、源泉選択分離制度の適用者の分布状態を見れば、年間所得百万円未満ではその利用状況は二一%にすぎませんが、一千万円以上では実に六六%にのぼっているのであります。 これらの厳正な数字に目をつむり、政府は、これらの特別措置の存続を、貯蓄奨励あるいは自己資本充実などにその口実を求めているのであります。しかし、事実が教えるところによると、日本の貯蓄率は、GNPに対する国民総貯蓄の比率にしても、個人所得に対する個人貯蓄の比率においても、連年上昇の一途をたどり、現在諸外国に比べてはるかに高率であり、これ以上さらに貯蓄奨励を必要とする理由はないのであります。また、貯蓄率の上昇は、利子課税制度の内容とは関係なく、むしろ可処分所得の増加率と密接な関係があること、そして、利子課税制度は、貯蓄総額にでなく、この貯蓄が預貯金に向かうか、株式投資に向かうか、その資産の運用方法に影響するにすぎないことが立証せられているのであります。 また、配当の特別措置が企業の自己資本充実に資するという理由も、何ら証明されていないのであります。法人企業の自己資本比率の統計によれば、昭和二十九年ころから大勢として自己資本比率は下降の一途をたどり、配当軽課措置によって特に変動を生じたことは認められないのであります。日本の企業が自己資本比率の低いのは、高度成長下における成長金融のあり方そのものの中にその原因があるのであります。 このように利子・配当の特別措置は、その政策目的そのものに問題があるか、または政策目的との関連が立証せられないにかかわらず、今回、またもや大筋は五年間の据え置きとし、その範囲内で小幅な改正を行なったにすぎません。利子所得については源泉分離課税を認めることになり、政府はこれを総合課税への道を開いたと称していますが、しかし、分離選択の税率は、当初の三〇%ないし四〇%の案から、二〇%ないし二五%へと大きく後退し、これでは、高額所得者は、配当の場合と同じように、依然として分離課税を選ぶようになるでしょう。また、配当課税についても、たとえば配当控除率を昭和四十六、四十七年の二年は、本則の一〇%より高い一二・五%の特則を在置したため、配当のみの所得者の免税率は、本年度の二百八十二万円からさらに上がって三百四万円となり、また、控除率が一五%に据え置かれた本年度は、実に三百四十六万円までが無税なのであります。 以上、三法案の反対理由の主たるものだけを述べて、反対討論を終わります。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております租税三案に対して反対の意を表明するものであります。 税金の公平は国民の願望でありますことは、公明党の税制総点検によっても明らかであります。しかしながら、今回の改正案をこまかく検討してまいりますと、はなはだ納得できないのであります。所得減税から見ますと、目標を一応は達成できたとしているようでありますが、過去の減税財源割合の平均より少なくなっていることは、一兆四千億円という巨額な自然増収にもかかわらず、千七百六十七億円にとどまっていることは、依然として国民に負担が重くなっていることを示しております。サラリーマン減税が言われ、負担の重いことを言われているのに、今回改正は低所得サラリーマンには一向恩恵が少なかったとしか言えません。このように、低所得者は依然として高額所得者に比べて、はなはだもって不公平なものであることを示しているのであります。 さらに、政府は、課税最低限を西欧並みに引き上げたと言っておりますが、私は、諸外国との比較を政府のように早急に行なうところに問題があると思うわけであります。これを耳にしましても、国民は納得できないのであります。私は、GNP世界第二位の日本として、当然諸外国との比較をしてまいるのはけっこうなこととは思いますが、税率、あるいは階層別の負担の実態、そして生活水準とを比較することによって課税最低限を引き上げるべきではなかったかと、このように思うのであります。 次に、法人税でありますが、大蔵省では税率を二%引き上げることを内定しておりましたにもかかわらず、一・七五%の引き上げにとどまり、保留分については五%を増税し、三六・七五%となる付加税を課するようになったのであります。言うまで毛なく、法人税率は、景気回復を目途として過去に税率の引き下げがあったわけでありますが、経済成長の目ざましい今日、景気過熱を抑制し、社会資本を充実させるためにも、また、その財源を確保するためにも、むしろ税率の引き上げは三%以上にすべきであったと思うのであります。 次に、利子・配当課税についてでありますが、税の公平という観点から、はたして一つの政策の手段として妥当性があるのかどうかと見た場合、これもまた国民の納得でき得ないものでありましょう。一五%の利子に分離課税をすることにつきましても、貯蓄額百万円から二百万円までの人と一千万円の貯蓄のある人の場合を見ると、利子税が一五%の税率である以上は、一千万貯蓄の人に累進税率をかけない限りにおいては、税負担は不公平になるのであります。配当課税も、やはり同じように累進税率をかけなければ、税負担の不公平になるのであります。 利子・配当の特別措置は、国民の貯蓄によって国力を増強させようというものでありましたが、しかしながら、今日の貯蓄率は必ずしも個人の貯蓄ばかりではないのであります。低額貯蓄者にその措置の効果が薄くなり、高額貯蓄者が優遇されるのであっては、税の公平の原則に反するものであります。私は、利子・配当税にも当然累進税率をかけるべきであると主張いたします。 以上、税負担の不公平の点から簡単に述べてまいりましたが、課税最低限の不十分な効果、また、法人税率の不可解性、そして矛盾の多い優遇措置等々考え合わせてみれば、今回の税制改正は全く国民不在の税制であると断定せざるを得ないのであります。 以上、反対の趣旨を述べて、私の反対討論を終わります。
○瓜生清君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の租税三法の改正案に、次の理由で反対いたします。 まず、所得税法改正案に反対する理由といたしましては、減税規模において納得せざるものがあります。すなわち、一兆三千七百七十一億円という大幅自然増収が見込まれるのでありますから、標準世帯での課税最低限を百三十万円に引き上げるべきであったと強調するものであります。ところが、政府は、この点について史上最高を誇り、先進諸国並みに達したとし、今後このような減税の必要なしとされております。確かに、所得税減税は、これまでも毎年行なわれ、今回も少なからざるものがあったかもしれません。しかし、問題は、今日物価上昇が常に政府の目算を上回っており、これを補う意味で名目賃金も上昇し、したがって、税負担はさらに急増するのであります。だから、これを救済する措置は必要だし、加えて国民生活の向上をあわせ考えるならば、今回の減税措置でははなはだ不満足であったと言うほかありません。 次に、法人税改正案に反対する理由を端的に申し上げますならば、この際、法人所得の増大に徴して、景気調整のためにも、過去の引き下げ分は取り戻すべきであります。つまり、わが国の法人税率は、昭和二十七年に四二%に引き上げられた後漸次引き下げの方向をたどっています。特に四十年から四十一年にかけて、不況対策の一環として、合計三%の引き下げを行なっておるのであります。しかして、最近の法人企業は、近年にない好況を持続し、加えてわが国の法人税率は西欧諸国に比べ低税率になっております。したがいまして、今回の改正は、いかにも中途はんぱであったと指摘せざるを得ないのであります。 最後に、租税特別措置法の改正案に反対する最大の理由は、利子・配当の優遇措置並びに交際費課税などの不合理に対する抜本的改革が行なわれなかったことにあります。すなわち、租税負担の公平、平等の原則を貫くためには、利子・配当の優遇制度を今年限りで廃止すべきであります。さすれば、これによる増収額は一千億円にも達するのであります。また、交際費課税についても損金不算入率を八〇%に引き上げることによってこれを強化すべきでありましたが、いずれも聞き入れるところとならなかったことは、まことに残念であります。 以上が私の租税三案に対する反対の理由であります。
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、所得税法の一部改正法案、法人税法の一部改正法案、租税特別措置法の一部改正法案に反対するものであります。 まず、所得税法の一部改正法案に反対する第一の理由でありますが、今日、勤労者の所得の増加とは、物価上昇に伴う名目所得の増加にすぎず、したがって、勤労者の名目所得の増加に応じて累進する現行税率のもとでは、所得税は生計費に食い込むものとならざるを得ません。ところが、今回の改正案では、低所得ほど税率の刻みをこまかくして、この傾向をさらに強めております。しかも、諸控除の引き上げは、きわめて少額にすぎません。これでは、低所得者には事実上の増税となり、依然として生計費に食い込む課税とならざるを得ません。政府資料でも、昭和四十五年度の納税人口が二千八百十万人と前年度より二百七十万人もふえる見込みとなっていますが、これは所租税がますます低所得者を重点とした大衆課税となっている否定し得ない証拠であります。 この反面、第二に、今回の改正案は、年収三百万から四百万以上の比較的高額な所得者に対しては、給与所得控除の適用対象の拡大、控除率の大幅引き上げなど特別の優遇措置を講じており、さらに、第三に、税率の改正によって最高税率の適用対象を六千五百万円以上から八千万円以上に引き上げたことでもわかりますように、高額所得者ほど税率を引き下げ、わが党が主張している高額所得者に対する高度累進課税の原則に逆行する措置をとっているからであります。 次に、法人税法の一部改正法案に反対する理由は、完成工事補償引き当て金制度を創設し、将来発生する可能性のある費用を引き当て金とし、これによって利潤の隠蔽、いわゆる利潤の費用化の傾向を一そう促進させ、住宅産業等に進出する旧財閥系大企業グループなどに特別の優遇措置を講じているからであります。ところが、この反面、中小企業の九七%を占める同族会社に対してはわずかな減税にとどめ、中小企業家が強く要求している留保所得の特別課税の廃止については全然顧みられていないからであります。 最後に、租税特別措置法の一部改正法案に反対する第一の理由は、わが党がその廃止を主張している利子・配当所得者などの不労所得に対する優遇措置を五年間も延長し、しかも、ますます高額所得者に有利に改正しているからであります。 第二の理由は、わが党が高度累進制にすることを主張している法人税率の引き上げをわずか一・七五%にとどめ、しかも、法人税本法で改正せず、租税特別措置法で加重税と二年間の暫定期間という形態で引き上げたからであります。これは税法の基本を混乱させるものであり、税率変更を景気調整のために使用し、やがては政令をもって行なおうとするようになるおそれさえ持つものであるからであります。 第三の理由は、特別合併による割り増し償却、石油開発投資損失準備金、特定電子計算機の特別償却、特定ガス導管工事償却準備金の創設など、ますます特定業種の特定の大企業に対する優遇措置を強めようとしているからであります。 わが党は、このような大資産家、大企業に奉仕する本法案に反対すると同時に、租税特別措置法など大企業、大資産家に対する税の特別な減免制度を廃止し、高度累進課税とすること、また、所得税の課税最低限を夫婦子供三人で百五十万円に引き上げることを主張して、反対討論を終わります。
○委員長(栗原祐幸君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより三案を順次採決いたします。 まず、所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(栗原祐幸君) 多数と認めます。 次に、法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(栗原祐幸君) 多数と認めます。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(栗原祐幸君) 多数と認めます。 よって、三案は、いずれも多数をもって可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
○沢田一精君 私は、ただいま可決されました三法律案のうち、所得税法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同の附帯決議案を提出いたしたいと思います。その案文を朗読いたします。 以上のとおりでありますが、何とぞ御賛同くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(栗原祐幸君) ただいまの沢田君提出の附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(栗原祐幸君) 全会一致と認めます。 よって、沢田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議なされました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、今後とも税負担の適正化に努力いたしたいと存じます。
○委員長(栗原祐幸君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十五分散会