社会労働委員会 閉会後第5号
- 発言数
- 205 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/10/08
会議録
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る六日、小柳勇君及び松井誠君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君及び中村英男君が選任され、また昨七日、中村英男君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。
○委員長(佐野芳雄君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○藤原道子君 私は、厚生大臣に対しまして、厚生行政の長期構想についてお伺いしたい。 厚生行政の長期構想の内容について、まず説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) これは率直に申しますと、厚生省の行政が非常に窓口が広くて、必ずしも最大公約数をもって割り切れるものばかりではございませんでしたので、従来、個々の行政について年次計画的あるいは長期的な構想もなかったわけではございませんが、厚生省の行政全体についての長期的な見通しと申しますか、ことに相当期間の間には社会情勢等も急激な変動をしていくことは当然考えられますので、そういう社会情勢などの変動をも含んで厚生行政全体についての一つの施策の相関的な構想というようなものを立てる必要があると考えまして、いわば、私どもの野心的な試みといたしまして、お尋ねのような厚生行政についての長期構想というものを今度検討をいたしまして、計画ということになりますと、これは関係各省あるいは財政の面、さらには閣議決定等の面もございますので、そういう計画のさらに背後的な一つの書き割りというような意味、あるいはさらには演習といっていいのかもしれませんが、そういう意味において計画のもう一つ前の姿というものを、プロジェクトチームのようなものをつくらせましてこしらえ上げたと、その性格はこういうものでございます。したがって、決して政府部内においてオーソライズされたものではございませんし、また年度割り等によって、四十六年度、四十七年度等々年度割りなどももちろんきめてはございません。しかし、私はそういうもの全体についての変動を基盤とした上での構想を持つことが厚生省としてはぜひ必要だ、こう考えましてそういうものをつくらしたわけでございます。でございますから、たとえば、従来からございますような清掃施設などについての五カ年計画とかあるいは水道計画についての五カ年計画とか、さらに今度の構想とは別に社会福祉施設というようなものにつきましては、これは別個の長期計画をつくっておりますが、そういうものとはいささか趣を異にしますが、そういうものの基盤にもなるという意味において今度の構想をつくったわけでございます。でございますので、いろいろ詰めてまいりますと、詰め切れない点、ことに予算や財源との関連というようなものについては、必ずしも裏づけがないことも構想の性格上やむを得ない点もございますが、私どもの行政の一つの進歩としてそういうものをこしらえて、皆さま方のいろいろな御叱正、御教導を得たい、こういう一つのものでございます。そのように御理解をいただければ幸いでございます。
○藤原道子君 私は新聞等を通じて承知したわけでございますが、大臣は厚生行政の長期構想、生きがいのある社会を目ざすと、こういうまことに意気盛んな構想を発表していらっしゃる。だからもっと歯切れのいい答弁がいただけると思ったら、いま聞いていると何かたよりないようなお話で、もっと確信を持ってこれを実現するために努力するという答弁がほしかった。 と同時に、長期構想が発表されながらわれわれの手にはいただいていないんですね。これはせめて社労委員くらいにはこういうものを発表なさるときにちょうだいしたいと思うんですが、当然従来私たちは厚生省からこうしたものはちょうだいしていたんですが、今度はこれだけ重大な構想の発表でありながら私たちはいただいていない、これはどういうわけなんですか。
○国務大臣(内田常雄君) 終わりのほうのお尋ねからお答えいたしますが、従来は、差し上げるにも差し上げないにも、こういうものはございませんでした。厚生白書というものは別にございます。これは間もなく、今月中の閣議にかけまして決定をいたしまして、そして正式な印刷ができ上がる前にでも皆さま方のほうに、閣議決定になり次第お届けを——これは従来もそうであったと思いますが、今度もお届けをいたしたいと思いますが、私は、実はその毎年の白書だけで、大蔵省もこれでよしと、政府も差しつかえないといったものだけでは満足し切れないものがございまして、白書のさらに向こうにあるものとして、これからの世の中はどんどん変わってまいりまして、私は、日本の行くべき道は軍事大国でもなければまた経済大国だけでもなしに、いつも申すように、社会福祉大国としてのあり方がこれからの日本の大きな目標であると考えますので、そういう目標をも野心的に描いたものが白書以外にもほしいと考えまして、今度初めての試みであります。したがって外には出しておりませんが、これは未定稿とかあるいは試案とか、あるいは御検討までというような意味において、そういう御理解のもとに差し上げてもけっこうでございます。しかし、これはあくまでも私の野心であり、厚生省の野心であり、構想でございますので、その実現に向かって毎年の予算なり、毎年の法律改正なり、毎年の制度の組み立てというものをやってはまいりますけれども、そのもの自体がこれで六年間は変わらないものだと、こういうものでは決してございませんし、これはもう野心的なものでありまして、決して歯切れの悪いものじゃなしに、私はそれくらいのものを厚生省は持たなければ、もう行き当たりばったりの、一つの部門部門の各局ごとのできるものからの五カ年計画とか三年計画とか一これは保育所などの計画にもそういうものはもちろんあるのでございますが、それだけでは足りないという、むしろ御激励をいただけるような意味での、勉強という意味でやりました。歯切れの悪いという性格のものではございませんで、いままでやらなかったものを、皆さま方からのいろいろな平素からのお尋ねや、皆さま方の御意向なども頭に置きながら、これから数年間あるいはさらにその先へのこと、さらに変動をも構想しながら一つの方向づけをする資料をつくったと、こういうものでございますので、これは差し上げたいと思います。しかし、これは決してそのとおりやれなかったからといって、これはお責めになるのはかまいませんけれども、ややそういうものとは違いますので、その辺も御理解いただきたいと思います。
○藤原道子君 私は、厚生行政がおくれているから大いに厚生省を励ます意味で従来もやってきている。だから、せっかくこれだけのものをお出しになった以上はもっと確信を持ってやっていただきたい。それからまだ勉強の意味でもようございますから、そのいまできているものをさっそくちょうだいしたい。きょうもあるいはそれを読んでいたら、私はもう少し質問が違うかもわかりません。きょうは長期構想についてのあなたのお考えを伺う。新聞等には発表になってるんですけれども、それによると、何だかこの構想は、私たちが見て一番重要だと思う医療保険の抜本改正を除外していらっしゃる、入っていないように承っておりますが、これは一体どういうことなのか。
○国務大臣(内田常雄君) そのとおり、医療保険制度の抜本改正の仕組み、構想については全く入っておりません。ただ、私は人間というものは、健康で文化的な生活をすることが人間のあり方だと考えますので、したがって、人間の医療が十分に満足され、またその医療の水準というものは高かるべきだという理念はもちろん今度の構想の中にも入れておりますが、その方法につきましては、これは二つの見地から、一つは、御承知のとおり、関係の社会保障制度審議会と社会保険審議会におはかりをいたしまして、抜本改正の具体的な措置についての御意見をいただけるのをお待ちをいたしております。したがって、そういう問題とのからみもございますので、具体的な医療保険の構造等についてはことさら避けてございます、ということで御理解いただきたい。もう一つは、わが国の医療保障に関する限りは、これは全体として見まするときには、社会保障制度の中でも、そのウエートが非常に高く取り上げられております、と私は思います。これは先発諸国に比べましても、決して劣っていないような仕組みになっておりますので、たとえば年金の制度でありますとかあるいはいろんな社会福祉施策についての制度でありますとか、そういうものとは違いまして、財政の問題とか、掛け金の問題とか、方法論の問題とかは別といたしまして、医療保障そのものの給付の占める割合というものは、いつも論ぜられます国民所得に対する振替所得なりあるいは社会保障給付なりの割合でも非常に高い率を占めておりますので、これについては、決して全体としてはおくれているものとは考えませんので、その二つの意味からも、特にこれはあまり掘り下げてはいない次第でございます。
○藤原道子君 どうもおかしい。それは審議会のほうへかかっていることは承知している。けれども、医療に対するあなた方の心がまえとか、方針とか、あるいは予防医学に対してはこうするというようなことぐらいは打ち出してもいいんじゃないかと思いました。こういうことをいろいろ伺ってみると、年次計画とかあるいは対策が、財政措置等についても明確にされていないわけです。ということは、大臣のいまの御答弁をあわせて考えまして、どうもせっかく出されたこの長期構想が砂上の楼閣のような、夢物語に終わるんじゃないか、こういうことを懸念いたします。したがって、もっと大臣は勇気を持って、財政当局に対しても、関係各省に対してももっと確信を持ってひとつこれが実現のために努力してほしいと思うんです。 ところが、いまもお話しがあったように、何といいますか、医療のことは諸外国に比べても決して劣っていない、あるいは振替所得のその占めておるウエートも非常に高い、こういうことでございましたが、その国民所得に対する振替所得や、社会保障給付費についても、西欧各国に比べて非常に低いですね。それで、大臣のこれによりますと、昭和四十四年度が五・二%、これを七%程度に上げたい、こういうことを言われているんです。ところが、これでは日本は五・五%。諸外国の例を見ますと、アメリカで七・八%、ほかの国国を見ましても非常に高いのですね、一二%とか、一七%とか。フランスのごときは、二三%というように非常に高いのです。経済の成長は世界第二位だという日本ですが、その経済成長率の非常に低い国でもパーセントが高くなっておる。それを何とか努力して七%に引き上げたいというのでは納得いかない。これはどうしてももう少し、少なくとも一〇%程度はやってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) これは御説明をさせていただきますが、藤原先生のおっしゃったこと、それもこれも承知であえてこういう演習といいますか、構想というものを私は出しておるのです。そこでさっき申し上げるように、これから昭和五十年ぐらいをとりましても、七〇年代は変動の十年と言われますので、大いに変動もあると思われますし、また日本の社会保障、福祉についてのウエートが決して高いとは思いませんので、何とかひとつこれは私は社会福祉、社会保障についての行政のウエート、あるいはその窓口というものを広げたい。そのためには各方面がバランスをとってこういうことをやるべきだという、そういう意欲を政治家の方々ばかりでなしに、国民のあらゆる方々に持っていただきたいという意味で演習に名をかりて、構想に名をかりて実はこういうものを初めて出したわけであります。でありますから、政府の閣議決定した計画ではないわけでありますから、いろいろ責められては困る面もあります。また責めていただきたい点もあるわけであります。これはまああまり責められると、いままでの厚生省がそうであったかどうか知りませんけれども、キジも鳴かずば打たれまい、もの言えばくちびる寒しというわけで、何も言わぬというようなことになりますので、出さぬほうがいいということなんですが、私があえてこれをひとつ演習ということで出そうじゃないか、ちょろちょろと出す、閣議には持ち出さない、大蔵省とも折衝しないということで実はこういうものを出しております。いま藤原先生のおあげになりましたわが国の社会保障施設と申しますか、国民所得に占める振替所得の割合も、北欧の諸国、北欧というよりも、実際はヨーロッパの諸国のそれらの比率は非常に高いようでありまして、多い地域によりますと、わが国の振替所得の比率の三倍くらい、北欧の諸国でも二倍くらいになっておるわけでありますから、御激励のように、だんだんそういうところへ持っていきたい。しかし、今度の構想における六年間の状況におきましては、そういうふうにいきなり一〇%とかあるいは一二%とかにいけない客観的の事情も四つぐらいございますが、この機会でありますから申し上げますと、これはいつも私が申しておりますように、わが国の人口構造の老齢化の現状、まだ西欧ほど老齢化の状況が進んでいない。しかし、これはこれから十年ないし三十年くらいの間に急激に進みますので、老人問題の重要性があります。しかし五年、六年の後にはまだ西欧の諸国よりも老齢化の現象が進んでいかないということが第一点。したがって、老人対策等も十分やります。やりますが、やってもそのウエートというものは西欧ほど高くはないということ。それから、わが国では、何と申しましても、家族制度が崩壊しつつありますが、やはりいろいろの子供にしても、おとなにしても、妊産婦にしても、身体障害者にしましても、家族制度の中でめんどうを見ている面、家族扶養の面がかなり残っておりますし、まだ一般企業のこの福祉制度というものが、近年における労働組合等の発展もございまして、外国に比べましても非常に進んでいることも事実でございますが、社会保障といいますか、社会に投げ出された福祉施策のウエートが西欧ほど高くないということも第二点でございます。それから三番目は、これもよく言っておりますが、年金制度、たとえば国民年金制度というもの、これは十分の制度、十分の金額ではないにいたしましても、まだ国民年金を受けておる人が——福祉年金は別といたしまして、来年から始まるというようなことで。母子年金や障害年金は若干の方々が受けておりますけれども、国民年金というものは受給者は老齢年金は一人もない、来年から始まるというようなこと。また厚生年金にいたしましても、これが設けられましたのは戦争中でございますので、やはり掛け金をする人が多くて受給者は少ないと、こういうような年金制度も未成熟であるということが第三点。第四番目は、現状においても、今後の五年間をとりましても、先般の経済社会発展計画などを見ましても、やはり国民所得、国民総生産の伸び方というものが、一方においては、公害政策などにも必要なものがあるにかかわらず、やはり非常に大きいために、社会福祉のための振替所得は相当伸びましても、分母になるところの国民所得が非常に伸びますので、この点のバランスも西欧諸国と違っておりますが、割合にしてみますと一〇何%にならない、この五年、六年くらいの時期においては。そういうことも御承知いただきたいと思います。ただ絶対金額にいたしますと、おそらく昭和五十年ごろには、この構想によりますと、社会福祉のための振替所得あるいは社会保障給付金というものは、年間、これは国の予算だけではありませんけれども、当然七兆円台になるということでございます。これは大蔵省なんかへ見せましたらびっくりして、そんなものは発行停止だというようなことになるでしょうが、当然七兆円以上に私はなると思います。そのときの日本の国民所得というものは百兆くらいにはなるでございましょうから、七兆をこえるのは当然で、その七兆の中において占める財政の割合も相当多くなる、こういう絶対数字にはなるわけでございます。
○藤原道子君 大臣が、日本の社会保障費が低いことに対してそんなるる陳弁することないでしょう。低いんだから、これをどう上げていくかというのがあなたの使命だと思うのです。ところが五・五%までいったのが去年は五・二%に減っておるんですよね。それでもって何とかして七%に上げたいというのはあまりにも内輪過ぎはしないか。結局国際比を見ましても、疾病とか出産に対する日本のあれは二・一%、日本よりはるかに経済力の劣っておるイタリアでも三・二%となっておる。ことに児童手当すら日本にはまだないのに、やりますやりますといいながら、またことしも来年も流れそうなんですね。これは別の機会にお伺いするとして、せっかく出された厚生行政のこの長期展望があまりに弱いんじゃないか。しかも出したものに対して実現性を大臣すら疑いを持っておるというようなことでは困るということを申し上げておるわけなんですね。 次に、社会福祉施設の整備及び運営、改善等について、最近社会福祉施設の整備計画が発表されておるが、その内容をちょっとこの際明らかにしていただきたい。あるいは予算確保には自信をもってこういう発表をしておいでになるのかどうか、その点をちょっとお伺いしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 藤原先生のこの構想についての御激励のことばと私は解しますが、藤原さん何もかにも御承知の上でのこういうふうな発言だと思うわけでございます。喜んで御激励を受けまして、私は、この構想を突破口として、そうして年々の施策の充実をはかってまいりたいと思います。その一環としてといいますか、こういう構想を背景に置きまして、社会福祉施設についての充足の年次計画を立てようといたしております。これは単に厚生省だけの役所の計画でなしに、自民党の政調会のほうにも対応する機関をつくっていただきまして、そうして政府と党との協力という形におきまして社会福祉施設の充足の計画を出しておりますが、その第一のねらいは、何と申しましてもやはり老人、ことに寝たきり老人等に関する施設の充実とかあるいはその重度重症心身障害者に対する施設の充実ということを第一番に置いております。 それから、これらの施設で従来存在するものも非常に老朽化のものが多うございますので、そういう老朽化のものもできるだけこの際新しく更新して、そして不幸な事態などが万一にも生じないように、またその中に収容されている方々が快適な生活ができるようなものにいたすことも重点の一つといたしております。これは財政的な裏づけもいたしまして、そして年度割をもつくりつつございまして、先ほど来の全般的な構想とは違って、何とかこの福祉施設の充足だけは毎年度財政のベースにものせてやってまいりたい、またやってまいる見通しもある、こういうことで進めております。
○藤原道子君 これは、発表されますとぜひこれが実現されるようにと期待する人は多いわけでございますから、もっと確信をもってがんばって、少しでも前進されるように、特に大臣の言われた老齢者の問題あるいは心身障害児者の問題、いろいろな難病の問題、やらねばならないことはたくさんございますので、それこそ覚悟を新たに出発していただきたいということを強く要望して、あわせまして、この長期展望の資料をぜひ委員長、配付するようにお願いしたいと思います。 そこで、ほかの問題はまた他の機会に譲るといたしまして、保育所の諸問題についてお伺いしたいと思います。 長期計画構想と、それから保育所の絶対数の不足解消、これについてお伺いしたいのです。 保育所は、現在、総数が不足しておることは御案内のとおりでございます。それと同時に、昨今、母親の就労に伴なって保育を必要とする児童がふえていることも御案内のとおりでございます。これらの児童を相手にする保育対策を伺いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 保育所といいますものも、藤原さんがお尋ねの社会福祉施設の整備計画の実は一環として関連を持たして取り上げておりまして、先ほども述べましたような寝たきり老人あるいは重症心身障害者等についての施策とあわせて、その保育所の整備というものにも重点を置いております。現状は、藤原先生御承知のとおり、保育所の数は必ずしも少なくない——だんだんお聞きください。おそらく私の記憶では一万三千ないし一万四千ぐらいになってきております。毎年五百以上はまあふやしておりますが、しかし、保育所の数が少なくない一方、保育所に子供をぜひ入れたい、また保育を必要とするような児童がふえてきておる社会的な情勢の変動もそれ以上に急激に変わってきておるものがございますので、現況においては保育所はいくらつくってもつくり足りないということになってきております。現に昭和四十二年に保育所についての実態調査をいたしたり、あるいは昭和四十六年度ぐらいまでの五年間を目ざした年次計画というようなものも立てまして、そしてその保育所を整備いたしてまいってきておりまして、そのときの調査では、昭和四十六年度までに計画の保育所ができ上がれば、保育所に入れられないような子供も若干は残りますが、おおむねは収容できるというような見込みでありましたものが、最近いろいろな資料を集めてみますると、とてもいまの計画ではだめのようでございます。従来の計画だけで進みますと、おそらく昭和四十六年度、来年度におきましても保育所に入所できるお子さんの数はぜいぜい百四十万人台ぐらいだと思いますが、実際は少なくとも百六十万ないし百八十万人ぐらいの児童を収容する必要が出てきておるようでございますので、したがって、その上乗せの分をさらに今度の長期計画の中に入れまして、そうして保育所の増強計画というものを立てつつございます。しかし、これもまたいままでのような定員制を基礎とする認可保育所だけではとうてい百六十万人あるいは百八十万人の要措置児童の収容はできないと思いますので、これも私が実は当局を督励しまして、やかましいことを言わないで、いわば企業内に置かれる託児所というのか、企業内保育所というのか、従来の無認可保育所あるいは児童福祉法上の要件に該当しないようなものも今日現実の社会情勢のもとには存在するのであるから、それらについても労働省と打ち合わせの上、いわば準認可保育所というような制度をつくって、そうして助成指導の方法も考えて、そこにもやはり措置児童を収容することが必要であろう、ぜひそれをやってほしいというような注文も出しておりまして、それも今度の保育所の計画の一環として取り入れることにいたしております。かくして昭和四十六年度ぐらいには、来年には、百三十万人ぐらいの児童収容、これは正規の認可保育所だけで、四十七年度百三十七万人、四十八年度百四十五万人、四十九年度百五十三万人、昭和五十年度百六十二万人を正規の保育所に収容し、ほかに、いま申しますような企業内保育所等を準保育所として助成指導することによって、合計で百八十五万人ぐらいの児童を収容するような、そういう計画をもって進むように着々と党のほうとも打ち合わせ、また大蔵省にもそういうことで、これは来年度の分は来年度の分として、それ以降の分についても協力を求めるつもりでおります。
○藤原道子君 私は、企業内保育所に対する助成ということにちょっと疑義があるのです。児童三十人以上ですかの保育所、企業内保育所に対する助成というのですね。そうすると、三十人以上の子供というと相当な企業になるのじゃないですか。中小企業を合わせて三十人という案もあるやに聞いておりますけれども、企業内保育所の補助ということに対しては、企業そのものがやるべきであって、そのほかにいま保育に欠ける子供が多いために、民間でやっております無認可保育所、これに対してはどのように考えておいでになるか。あるいはまた過疎地帯、過疎地域といいますか、こういうところの保育所、ただいま申し上げました小規模保育所等が特にこの際必要と思いますが、これに対してはどのように考えておりますか。
○国務大臣(内田常雄君) これは女性であられる藤原先生のお尋ねでありまして、厚生省の保育所行政は、ちょうどここにいらっしゃる岩佐君が女性でいろいろ心配をしてくれているものですから、岩佐君からもひとつお答えさせたいと思いますが、企業内の保育所、託児所を論ずる場合に、私の本心は、三十人以上とかなんとか言わぬほうがいいのじゃないか。五人でも六人でも、その必要があるものは何らかの方法において取り上ぐべきだと、私は個人的に考えるわけでありますが、しかし、これはやはり準認可保育所のような形で、そうして児童福祉法等の系列で取り上げるとすれば、やはりその設備の基準とか、あるいはその保母さんですか、保健婦さんでしょうか、そういう方々の配置とか何とかというようなことも考えていかないと、ただ子供さんだけ預って、しろうとが子供のおもりだけすればいいということでは、これはたとえ乳児であっても、あるいは幼児になればなおさらのこと、これは一種の子供のしつけの面もある、健康管理の面もございましょうから、何でもめんどう見ればいいということではない。そうすると、ある程度三十人とかいうことの人数でないと、いま申しますようないろいろなその基準をもって指導することができないということから、いままでは認可保育所というのは、御承知のとおり、六十人というようなこと、六十人以上というようなことでしょうが、厚生省は清水の舞台から飛びおりたつもりで、三十人までごめんどう見よう、こういうことだと思いますが、議論の存するところだと思いますので、岩佐君にも答えてもらいます。 それから僻地保育所などについても、僻地なんですから、人が元来おらぬわけです。これに入る人がおらぬわけですから、そういうところにたくさんの児童数を基準とした認可保育所の基準をしいるということはできないはずでありますから、これもずっと基準を下げてやってこそ初めて僻地保育所としての意味があると私は思いますので、その辺のことにつきましても、緩急よろしくめんどうを見るような施策をすることが現実的だと、こういうことを私は思うものでございます。これはひとつお許しを得て岩佐課長からお答えをいただきたいと思います。
○藤原道子君 答弁は簡潔にしてもらいたい。
○説明員(坂元貞一郎君) 無認可保育所なり、過疎地域の保育所対策でございますが、無認可保育所の対策につきましては、藤原先生十分御存じのとおり、従来から正規の保育所というものを整備するというのが基本方針でありますが、だからといって、無認可保育所というものがなかなか解消できないというような現実の事情も片一方においてあるわけでありますので、数年前から、いわゆる小規模保育所というような考え方を推進してきておるわけであります。したがいまして、そういう小規模保育所というようなものを今後特例的に認めていきまして、そして、できるだけ無認可保育所というものを正規の保育所に、施設の問題、それから運営の問題、全般について指導を加えながら格上げしていく、こういう方針を今後も続けてまいりたい、かように考えております。 それから、過疎地域の保育所対策につきましては、確かにいま大臣もお答えしましたように、人口減、人口が減少するわけでありますので、非常に保育所を経営する場合も、経営面で苦労されているというのが現実の地方公共団体等の悩みでございますので、従来から、私どもは、いま申しました小規模保育所というものを都市周辺だけに考えておったわけでありますが、やはり、新しいそういう時代の要請にこたえる意味において、今後過疎地域のための特別の小規模保育所というものを明年度から考えてまいりたい。これは、こういう線で予算要求しておるわけでございます。同時にまた過疎地域等でどんどん入所児童の定員が割れていく、定員割れしていくという、こういう現象も否定できないわけでありますから、この定員割れの保育所に対しては運営費の面で特別加算の方式を考えていく。こういうことも過疎地域のための対策として、私どもは、明年度以降も積極的にやっていきたい、かように思っておるわけでございます。
○藤原道子君 それから保育所における保育単価を実情に合わせて考えてほしい。いまのあり方が正しいとは思ってないと思うのですが、これに対する考えはどうですか。
○説明員(坂元貞一郎君) 保育所に出しておりますいわゆる措置費というものの考え方でありますが、従来から非常に私どもきめこまかく措置費の積算なり何なりを計算しましてやってきておりますが、いまお尋ねのように、実情に合わないじゃないかという御意見も片一方にあるように私も聞いております。それから、非常に措置費の中身が複雑になっておりまして、なかなかわかりにくいというような問題点がございますので、いま、措置費全般につきましては今後——すぐこれはなかなか急にはいきませんが、措置費全般の仕組み等につきましてもいま研究を進めておりますので、できるだけ早く、党のほうとも御相談しながら、そういう仕組み全般についての基本的な考え方をまとめたいと思っております。 同時にまた、いまお尋ねのように、単価というものが実情に合わないという点がございますが、これも従来からいろいろ予算折衝等の過程においてできるだけがんばってきておるわけでありますが、まだまだ十分でない面もあるようでありますので、今後、明年度予算等の編成過程等を通じまして、できるだけ実情に合うように、保母さんの給与、中に入っている児童のいわゆる保護の問題、保護費等につきましても、そういう面で実情に合うように今後努力していきたい、かように思っております。
○藤原道子君 そこで、公立と民間の開きですね。これが、保母さんの賃金を見ても、公の場合と民間の場合と約九千円くらいの差があるのですね。そのくらい差がある。これらについても考えてほしいのです。それから特に給与の開きとともに、退職手当というものがありますね。これなんか見ても、二十五年勤務した場合の差は、公の場合は二百八十五万五千二百五十円となっている。ところが民間の場合には八十七万七千五百円、約二百万円の差が出ている。全部公でおやりになるなら別として、これはとても不可能なことです。したがって保母さんに対する待遇、民間の保母さんの給与の開きとか処遇の改善をこの際真剣に考えてほしいと思いますが、いかがですか。
○説明員(坂元貞一郎君) 保母さんの給与に関して公私の較差があることは、私どもも認めざるを得ない現状でございます。これはいろいろの原因があるわけでありますが、その原因は別としまして、いまお尋ねのように、やはり公私の較差というものをできるだけ縮めていくという方針が当然とられなければならぬわけでございますので、私ども、従来からそういう線で努力はしてきておりますが、まだまだそういう開きが厳然としてあることも否定できませんので、これはやはり保母給与というものをどうするかという基本問題をまず一回洗い直してみたいと思っております。保母さんというものを専門職にしていくというような考え方も別にございますので、そういう問題も含めまして、保母給与というものをどういうふうにしていくかという基本問題をまず洗い直してみまして、これに対応する保母給与の改善策というものを真剣に考えてまいりたい。実はこれは自民党のほうでも委員会をつくっていま検討を進めておりますので、前向きに検討していきたい、かように考えております。 それから退職手当のほうは社会局長のほうから……。
○説明員(伊部英男君) 給与全体の問題につきましては、いま児童局長から答弁がありましたように、基本的には、公私較差をなくする、あるいは専門職としてのふさわしい社会的、経済的な処遇を目途とするということを基本線として考えてまいりたいと思っているのでございまして、ただいま社会福祉審議会におきまして、職員問題分科会を設けまして、昨年以来、鋭意検討を進めている段階でございますが、なお若干の時日を要すると考えますので、明年度は手当の改善あるいは定数の是正等を主眼点とするつもりで、四十七年度を目途に、その間に各般の改善の準備を整えたいということを基本線に考えているのでございます。 退職金につきましても、本年度予算におきまして、従来基礎額が一律一万七千三百円でございましたのを一万九千円と二万六千円の二段階に改善をいたしたのでございますが、これをもって十分とは考えておりませんで、退職金の問題あるいは年金の問題、こういう問題につきまして職員問題分科会を中心に明年度中に前向きの線を出していただきたい。また自民党の方にも、政調におきまして社会福祉施設小委員会ができておりますので、十分こういう各方面の御意見も拝聴しつつ前向きに解決をしてまいりたい。また、社会福祉施設整備の一環といたしましても、ただいまいろいろ案を立てて財政当局と相談をしておる段階でございますが、その中に職員住宅というものを新たに持ち出したいというふうに考えておるのでございます。いずれにいたしましても、基本線は先生の御指摘のとおりでございまして、ぜひその線で長期的に前向きに努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤原道子君 それから、ゆうべ資料を見てびっくりしちゃったんですが、いま子供の健康管理ということは非常に大事なんですね。外国へ行ってみまして驚いたのは、保育所にも幼稚園にも医者と看護婦が従事しているんですね。そして、当番が朝来た子供の顔色を見てすぐ健康診断をして、それぞれの処置をしている。ところが日本の場合は嘱託医ですわね、保育所。それもいいといたしまして、嘱託医手当が制度ができてから現在まで同額なんです。上がってないんですよ、嘱託医手当が。これ一体どういうことなんでしょう。物価も上がった、あんた方の給与も上がっている、お互い。にもかかわらず嘱託医の手当が制度ができてから現在まで同額であるということは、いかに厚生省が児童の健康管理に不熱心であるかということを物語るものじゃないかと思って、ちょっとこの点をお伺いしたい。
○説明員(坂元貞一郎君) 保育所のみならず、社会福祉施設全般についての嘱託医手当というのが低いのを私ども認めざるを得ません。たとえば保育所の場合、現在年額一万二千円と、こういうようなものになっておりまして、藤原先生御指摘のとおりでございます。私ども、従来から予算要求の際は、この嘱託医手当を増額することで折衝してまいりましたが、今日までそれがなかなか増額はできていないわけでありますので、明年度予算におきましては、いま社会局長も答弁しましたように、もちろん職員の手当、それからこういう嘱託医の手当等につきましては、重点項目としまして増額の方向に努力をしていきたい、かように考えているわけであります。
○藤原道子君 そこで、保母の処遇の問題ですね。長時間保育がこのごろ必要になってきている、働くおかあさんがふえたもんで。きょうの新聞にも出てたけれども、えらい夫婦ともかせぎの家庭で悩んでおりましたが、朝早く連れて行って、それで夜ちょっと時間がおくれても延長時間に対する何というんですか、あれ出さなきゃならないわけですね、保育料を。というようなことで非常に困っているし、保母さんも長時間勤務で非常に過労になっている。異常出産なども多いんです、保母さん看護婦さんというのにね。こういう点で、もう必然的に長時間保育ということが現実に行なわれているんだから、これに対する対策はどのように考えておるか。これは早出、おそ出をつくって、それで保母さんの人数をふやして何とかしていくなり何なりしなきゃ、現実の保育所は実情に合わないんですよ。それで保母の犠牲の上に置かれている。それから異常出産が多いということも、妊娠中のあるいは出産後の休養ということが思わしく行なわれていない。だからこれに対しましては、この代替保母さんというような制度をとるか、何とかその点をせなければ、このままではいくら保育所をふやしても、保母さんがいなければ保育はできないのですから、この保母の処遇ということが非常に大切だと思いますが、この点に対して何かお考えを持っていられますか。
○説明員(坂元貞一郎君) 長時間保育の問題につきましては、確かに現実のそういう要請と、それからこの長時間保育そのものに対する考え方につきましていろいろまだ世上議論があるわけでございます。これはもう藤原先生十分御存じのとおりでございます。あまりにも長い長時間保育をやることによって、いわゆる母子の分離というものが長時間にわたると、児童に与える心身上の影響とかいうようなことを学者等が言っておりますので、長時間保育自体についても、その考え方をどうするかという問題が一つございますけれども、しかし、いま御指摘のように、最近の社会情勢というものがそういう長時間保育をある程度余儀なくさせているというようなことも、私どもは、現実の事実としてわかるわけでありますので、従来からこの長時間保育につきましてはいろいろ規定なり規則はございます、御存じのように。八時間保育を原則とするけれども、施設長において適宜弾力的にやっていくというようなたてまえになっておりますが、やはりそういうたてまえを弾力的に運用すると同時に、いまおっしゃいましたように、いわゆる早出、おそ出というような時差勤務というものを今後私どももある程度積極的に指導してまいりたい。と同時にまた、最後にお触れになりましたように、保母さんというものがそのために過重労働になるということに対しても真剣に片一方において対策を考えなければならぬわけでございますので、そういう保母さんが過重労働にならないような考え方というものを明年度においても、たとえば予備保母というようなものを一定数の保育所については予算要求をしてみたい、かように思って、いま大蔵当局と折衝しているわけでございます。
○藤原道子君 局長のただいまの御答弁に期待しておりますので、ぜひ実現さしてください。私は、母体保護の立場からいっても非常に重大な問題だと思っています。それから長時間保育は子供に云々と言うけれども、そこに十分な保育所で保母さんの手が回るならば、母親が子供に接するということも、保母さんが母性愛を持って接すればそんなことは問題じゃないですし、そういう点もひとつお考えをいただきたい。 保母の養成資格というものをどういうふうにしていらっしゃるか。保母の養成所の整備、これを急いでいただきたい。それから無資格者が比較的多いのですね。給与が低いということもありましょうし、人手が足りないからまあ臨時にというようなことで無資格者が働いている。だから保母の養成に対しての熱意のほどをお聞かせ願いたい。
○説明員(坂元貞一郎君) 保育所を増設すると同時に、いま御指摘の中で、働いてもらう保母さんというものの養成、確保というものは当然私どもが相関連して考えなければならぬ重要な柱でございますので、従来から保母養成というものについては特段の力を入れているわけであります。たとえば保母養成所というものを毎年毎年二十個所以上増設しておりますし、養成所の定員というようなものもふやしてきております。しかしながら、現実には、なお今日の時点においても、いわゆる保母さんの数がまだ十分でない、足らないということは、これは否定できないわけであります。そのために、いまお触れになりましたように、無資格の保母さんというものがやはり現実に全国的に相当おるわけでありますので、こういう無資格保母さんにつきましては、私ども都道府県等を通じまして、いわゆる講習会、研修会等を鋭意開催さしまして、できるだけ資格を取るように、と同時にまた、保母試験等の受験の問題に関連しましても、できるだけ保母試験等を受験させるような方向で都道府県等を通じて指導しております。しかし、やはり基本的にはもう少し保母養成所というものをふやす、増設するということが基本でございますので、そういうようなことを今後五カ年計画で十分保育所の増設と相並行して考えていく計画を私どもいま進めているわけでございます。
○藤原道子君 これはぜひ実現してほしい。保母さんの過重労働というのは目に余るものがある。しかも保母さんになる人は非常に子供の好きな人が多いのです。それには私は敬意を表している。そういう人に犠牲を押しつけて、それで過ごしているということは許されないと思います。したがって、この点を特にお願いしておきたいと思います。 それから一番足りないのは乳児保育ですよね。乳児保育に対して非常に施設が足りないで悩んでおります。これに対しての構想はどう考えていらっしゃるか。それから乳児保育におけるC階層ですね、C階層以上と低所得階層との不均衡があるわけですね、保母さんの数に。だからおまえさん金持ちの子供だから保母は少なくていいというわけにいかない、預かった以上は。C階層以上からは保育料をたくさん取っているのですが、それらに対して、保母さんの数を少なくするというのはどういうわけなのか。これは改めるべきだと思いますが、ぜひこの点をお願いしたい。 それから私は企業内保育所の助成、育成については私は大いに疑問を持っているわけです。これは労働省がやるならいい。一般民間の私立をうっちゃっておいて、それで企業内の保育所、これに助成をする、これはまあ三千八百四十八万円ですね。きのうちょっと聞いたら中小企業集めてやるのだと言うけれども、一般三十人以上となれば大企業ですよね。それなら企業がやったらいい。工業廃棄物はどんどんたれ流しで公害を起こしておいて、そこに働く労働者の子供まで国家の予算でみるということはどうも納得がいかない。それよりも、民間に星の数ほどといって要求されておる保育所、それも三十人程度のところをもう少し考えてやるべきじゃないかと思いますので、この企業内保育所に対する資料はあるでしょう。これを私はいただきたいと思います。 そこで、文部省にずっと来ていただいてたいへん失礼をいたしました。幼児教育の一元化、これに対しての考えを聞きたいのです。私は、児童福祉法ができるときに、幼児教育の一元化ということで、森戸さんが当時大臣でいられたときに質問をしたのです。そうしたら保育所は保育に欠ける子供を保育するところであり、幼稚園は幼児教育が目的である、こういう答弁を得た。私は、それはおかしい、それならば貧乏人の子供は幼児教育は必要でないのか。だから保育所に行く子供、幼稚園に行く子供、幼児に対する教育が必要とするならば同じ扱いをすべきじゃないかというようなことで論争したことがあるのです。その後この委員会でもしばしば幼児教育の一元化ということについて質問をしている。そうすると、文部省でも検討中、厚生省でも文部省と打ち合わせ中、それでもう七、八年たっちゃっている。一体それはどうなっているかということを伺いたい。ということは、最近、中教審ですか、そこで発表されました幼児教育についての発表によりましても、幼稚園と保育所の一元化に対しては触れてないのですね、保育所に対しては。これについてどういうお考えを持っておいでか。とのごろ問題になりますのは、幼稚園は四時間制なんですね。そうすると送り迎えせなければならない、たいていのところは。スクールバスを持っておるところは別ですよ。送り迎えをしなければならない。と同時に、何といいますか、小学校低学年の子供すらかぎっ子問題が大きな問題になっておる。幼稚園の子供もそういう点が問題にならないかどうか。あるいはそれならば幼稚園にも保育所的な感覚を持たせる、それから保育所にも幼稚園的な教育を織り込んでいくというようなことで、年齢の制限をするなり何なりして、幼児教育という以上は私はすべての幼児に適用するような方向が望ましいと思いますが、これに対して文部省、それから厚生省のお考えをひとつお聞かせ願いたい。
○説明員(徳山正人君) 幼稚園は学校教育法で定めております「学校」の中の一種でございまして、幼児に対しての学校教育をやっておるたてまえになっております。それから保育所は児童福祉法に基づくものでございまして、保育に欠ける乳児または幼児などを日々保護者の委託を受けて保育する児童福祉施設というふうになっております。両者はそれぞれの目的、性格を有するものでございます。しかし、現実には幼稚園に行きたいという子供でも幼稚園がないために保育所に行っているとか、あるいは先生御指摘ございましたように、保育所に行っている子供でも、その保育の内容は幼稚園教育と似たことをやるというふうな現実の問題がございまして、両省での扱いが二元的であるというふうなことも言われております。そこで、従来からそれぞれの目的に従いまして適切な運営を行なうようにということを両省の間で協議、確認いたしまして、それぞれの目的、性格に応じた運営を進めております。けれども、現実においては、いまなお両者の間の若干の混線も見られるようでございます。一元化につきましては、いろいろと問題ございますが、当面、私どもは保育に欠ける子供はどうしてもこれは幼稚園のように四時間やそこらで早く帰しましても困りますので、保育に欠ける子供は保育所で、そのほかの子供は幼稚園で、そして希望する子供はすべて幼稚園に来られるように幼稚園の拡充策を進めていきたいというふうな線でいっております。 それでお話しにございました中教審で、今年五月に中間報告を出しておりまして、その後なお検討中でございますが、この中教審の幼稚園教育の関係部分には、幼稚園に入園を希望するすべての五歳児を就学させることを第一次の目標とする。そして当面の施策としては、経過的には保育に欠ける幼児は、保育所において、幼稚園のその該当年齢の子供につきましては幼稚園に準ずる教育を行なうというふうなことで、第一段としては五歳児の全員就園、もしくは保育所でそれに準じる教育を受けて、そして小学校に進む、こういうふうな方策をとるべきであるということが提案されております。この中教審は、なお今後最終のまとめをいたしますが、大体その方向は変わらないと思いまして、私どもも、この線に沿って保育所、幼稚園それぞれの目的、性格を生かしながら、すべての子供が就学前の保育なり、訓練なりが受けられるようにということを目標にして進みたいと思っております。
○説明員(坂元貞一郎君) いまの問題は、確かにこれは一つの大きな幼児教育のあり方とも関連しまして非常に大きな基本問題だと思っております。それで、従来から文部省と厚生省、非常に調整をとりながらやってきておりますが、いま御指摘のように、中央教育審議会等の考え方の基本が発表されたことによりまして、この問題が非常にまた大きくクローズアップされてきております。したがいまして、役所段階では、文部省と厚生省と特に一つの考え方というところまでいまものごとを整埋してきておりませんが、やはり文部省のほうは文部省のほうで教育審議会等を通じて一つの考え方を出していただく、同時にまた、私ども厚生省のほうでは私どものほうの審議会等で、この基本問題についての真剣な議論をやっていただきたいと思って、いま発足したばかりでございます。したがいまして、従来からこの幼稚園、保育所の問題についてはいろいろな考え方が実はございます。先生御存じのように。賛成的な意見もございますし、やや消極的な意見もございますが、ここらでひとつそういう幼稚園と保育所の関係についての基本的な考え方というものを、政府部内においても、また審議会等においても十分根本的に掘り下げまして、考え方をやはり整埋していくということがこれからの幼児教育のあり方とも関連して非常に大きな課題だと思っております。いろいろ厚生省が従来言ってきておりますけれども、それはさておき、やはりこういう基本問題というものは、ちょうどいまその検討をする、そして結論を出すという一つの大きなチャンスだと思っておりますので、私どもも審議会等とよく連絡をとりながら、この問題についての基本的な考え方を早急に出していきたい、かように思っているわけでございます。
○藤原道子君 時間がなくなりました。 そこで、中教審も、初めの意見より若干前進してきているんですよね。この保育所においても幼児教育を、幼稚園教育を与えることが原則であるというところまできたんですよね。だから、それをほんとうに学校教育法にのっとってやるから云云というんでなしに、全般の児童に対する教育ということを文部省でも考えるべきだと思う。学校の子供だけだからということでなしに、幼児教育−幼児から教育したほうがいいということは、いま学者の結論ですよね。それならば、すべての幼児に対する教育はいかにあるべきかという基本的な点に立って厚生省と打ち合わせて、すべての幼児が差別なく幼児教育が受けられるような方向へ、特に世間でも幼児教育の一元化ということは前々から言われていることであり、私は、昭和二十二年以来、このことを主張し続けておりますので、文部省もかたくなにならないで、ひとつ幼児教育にもっと真剣にお取り組みを願いたいということを申し上げまして、最後に大臣にお願いしたいことは、問題は保育所問題だけで、まだきょう質問し足りないんですよ。次の機会に譲るといたしますけれども、もう山積しているんです、問題は。だから、各省大臣の中で厚生大臣は一番権威があるくらいな意気込み七大いに主張して、この問題についても確信を持って予算獲得なり、施設の改善等々についても御努力が願いたい。 この点について最後に大臣のお考えを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 保育所の問題につきましては、幼児教育の問題のみならず、乳児の保育等の問題にもからみまして、今後社会構造の変動とともに大きな問題であると思いますので、これらについて国としても十分な施策が行き届くようにいろいろの面で、財政問題も含めてできるだけの努力を重ねてまいりたいと思います。
○柏原ヤス君 児童手当制度についてお聞きしたいと思います。 九月十六日に児童手当審議会から児童手当制度の創設について中間答申がございましたが、その経過と内容についてお伺いいたします。
○国務大臣(内田常雄君) 児童手当の制度を日本に創設したいという願望は、国会における各政党、また政府を通じての長年の懸案でございまして、そのために昨年児童手当審議会が設けられ、各方面の先生方が御熱心に検討をしていただきました結果、先般、その大綱につきましての答申をいただきました。その答申に基づきまして、現在その細目を関係方面と調整中でございますが、その大綱の考え方は、柏原さん御承知のように、大体義務教育終了以前の子供が三人以上いる場合において、第三子以降の児童を対象とする。それからその場合に所得制限等、子供の資格に差別はつけない。児童手当の額につきましても、大綱の考え方は、企業等に従事する職員の子弟あるいはまた自営業者、農民等の子弟につきましても、金額は当面一律に月三千円にすると、こういうこと。 それからその財源につきましては、企業関係に所属する従業員の児童に対する財源につきましては企業が相当分の拠出をする、残りの一部分については国が負担をする。自営業者、農民等、企業に関係のない方々の家庭に属する児童の財源につきましては、ある程度の所得のある親たちの一部の負担を求めるとともに、残額につきましては国費その他の公費をもって支弁する。こういうのがその骨子でございます。 これらの実施につきましてはいろいろ調整すべき細目が残されておりまして、その調整を急いでおりますこと、御承知のとおりでございます。
○柏原ヤス君 なぜ中間答申としたかという点、これは今後児童手当審議会はどうなるのか。またあといろいろ問題が残されておりますが、そういう問題は政府まかせにしてしまうのか、こういう点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) ただいまも述べましたように、答申は骨組みの大綱だけでございまして、拠出の割合とかあるいは負担の割合とか、また現に実施をされている児童関連の若干の福祉のための施策等の調整をどうするかというようなことにつきましては、これは審議会だけで結論に達し得ないことでございますので、政府が関係方面ともいろいろ検討を重ねました段階でもう一度審議会に持ち込みまして、大綱の実施につきましてはこういう方向でいかがでござるか、こういうことを御相談をいたすべきだと考えますので、そこで中間答申と、こういうことにいたしたわけでございます。
○柏原ヤス君 答申が出ましたし、また総理は大蔵大臣、厚生大臣にも昭和四十六年度実施をするようにという指示がございました。そうした喜ばしい状況になったかと思いましたら、一方には、財政制度審議会が九月二十八日に開かれまして、児童手当制度は、昭和四十六年度実施は事実上不可能だというような結論が出ているようでございますが、これに対して世間では、四十六年度実施は不可能なんじゃないかという声も非常に強いわけです。この児童手当審議会の中間答申と財政制度審議会の見解は全く対立している。これに対して政府はどのように対処していこうとしていらっしゃるのですか。
○国務大臣(内田常雄君) 児童手当実施のための構想について御検討を法律上願っておるのは児童手当審議会でございますので、私どもは、児童手当審議会の答申の線に沿ってその実施の段取りを考えておるわけでございます。一方、大蔵大臣所属の財政制度審議会というものは、児童手当の問題ということが当面当然の課題になっておるわけではございませんので、国の財政全体につきまして、財政の安定というようなことあるいは国民負担とか、貨幣価値とかいうような面から、広い見地からものごとを考えておられるわけだと思います。財政制度審議会が、児童手当というものは将来財政硬直化の原因をなすことあるべきことをも心配されたというだけのことでありまして、政府といたしましては、そういう財政制度審議会の意向が全然なかったということにするわけのものではございませんけれども、児童手当の実施に関する限りは、児童手当審議会の答申並びに先般総理大臣、大蔵大臣、私並びに官房長官の打ち合わせの線によりましてこれを実施する方向で進めておりますわけでございます。
○柏原ヤス君 わが党におきましても、再三再四児童手当の問題は強く訴えてまいりました。これがこのときに来たってほんとうに昭和四十六年度実施できるというはっきりとした態度を厚生大臣からお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(内田常雄君) 公明党のみならず、他の野党の政策としても児童手当の問題が取り上げられ、また自由民主党におきましても、自由民主党の政策の一つとして従来も取り上げられていることでございます。したがいまして、私は、今日においては児童手当は各政党を通ずる国民の声であると考えますので、自民党を基礎にする政府といたしまして、私どもはこの機会にこの制度を明年度から発足さぜる決意でおります。
○柏原ヤス君 そこで、今度の通常国会に法律としてこれをお出しになるつもりでいらっしゃるかどうかという点です。
○国務大臣(内田常雄君) そういうつもりでおります。
○柏原ヤス君 それでは、法律を提出してそれが通った、しかし、実際にこれがいつ支給されるかということが非常に問題だと思います。法律はできても、一体いつ支給されるかを考えてみますと、準備期間を含めて相当の期間が必要であると思います。そこで給付をいつするか、これをお聞きいたします。
○国務大臣(内田常雄君) お尋ねの点は、柏原先生の御意向にもあったとおりでございまして、法律をつくる準備、また法律をつくりましてもそれを実施をする——一部の給付財源を集めたり、またその給付がおそらくは市町村当局等を通じて給付をすることになるわけでございますので、現、実にお金が該当者に渡るまでの間には当然若干の時間を要することと考えます。なるべくそれは法律をつくりました以上は給付も早いほうがいいと考えますが、いま申し述べましたような技術的な点、また柏原さん自身が御指摘のようなそういう関係もございますので、ただいまのところでは、まだその点に到達いたしてはおりません。要はできるだけ早くやりたいと思います。
○藤原道子君 ちょっと一つ関連で。第三子からということになると、対象の子供は何人くらいですか。このごろ第三子といったらほとんどないですね。
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど申しました大綱の線で第三子を計算いたしますと、二百二十六万人くらいでございます。
○柏原ヤス君 支給の時日について大臣がはっきりとお答えにならないと、昭和四十六年度に実施するという先ほどのおことばとは——ちょっとあいまいな点じゃないかと思いますが、昭和四十六年度実施といいますと、やはり昭和四十六年度に支給されるものとみんな思うわけですが、おそくとも昭和四十六年度に実施ということを公約した以上は、おくれても昭和四十七年にはできると、もう少し希望のある御答弁がいただけないものでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 細目を詰めておりませんので、私が、昭和四十六年の十月から支給されるとかあるいは四十七年の一月から支給されるとかいうことをいまここで申し得ないことはまことに残念でございますが、せっかく各党、また政府の言明によってやるときめたことでございますので、四十六年度に法律が動くような制度をつくります以上は、期待をされておられる国民を失望させないような意味におきましても、そうむやみに支給の時期をおくらせたくないと考えております。
○柏原ヤス君 審議会で出されました内容について少し触れてみたいと思います。 この制度の目的が二つに分かれて言われておるように思います。一つは、児童養育費の家計負担の軽減を取り上げております。また二つには、児童の健全な育成と資質の向上という点を取り上げております。この二つの内容は違うと思うのですね。政府では、いままで児童の健全な育成と資質の向上という点をうたってきたように思います。ここでもう少しこの目的について大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私、いまお読み上げになられましたとおりの二つの目的を持ってこの制度を実施いたします。以前には、人口の増殖策の一環としてこの制度を考えるべきであるとか、あるいはまた労働給源の補給のためにもこういう制度が必要であるというような意見がなきにしもあらずであったと思いますけれども、私どもが今回審議会の諸先生から目標としてお教えを受けました点は、いま申しましたようなかつての人口、労働給源等の考え方は適当でないということで、柏原さんお読み上げの二つの目標になりましたが、私はその考え方が適正、適当であると思います。
○柏原ヤス君 そこで、児童の健全な育成と資質の向上を期待するということが目的の一つであるならば、第三子以下という考え方は非常に矛盾するのじゃないか、第一子からやるべきじゃないか、私はこういうふうに考えておりますが、大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 子供のめんどうは私はみな国ができるだけの協力をして見るのがよいと思いますが、一人二人の子供を育てるのも相当費用がかかりますが、いろいろの資料、お話によりますと、やはり三人目くらいの子供を育てるそれ以降がそのお子様を育てる年齢の御夫婦にとっては一番苦しいと、こういうこともあらわれておりますので、当面三子ということに限定をされて出発をいたしております。しかし、とにかくその児童手当制度というものを創設することが私は肝要であると考えますので、この際、お話のように、これを一子まで引き上げるということにつきましては、これはまた将来の検討の課題といたしたいと思いますし、正直のところ私自身の気持ちが三子をもって出発し、なお、私どもがやらなければならない身体障害者あるいは老齢者等に対する福祉の施設等とも、施策等とも十分勘案しながらこの三子の限定をさらに二子、一子に及ぼすというようなことについては考えなければならない問題だと私自身は考えますが、そういう問題をも含めまして、お説のことは、今後出発以後において検討をすべきことと考えております。
○柏原ヤス君 この第三子からという問題は、児童手当制度が実施されて非常に喜ばしいという反面ですね、国民はがっかりもしているわけです。第三子というのがいまの家庭ではたしてどれだけいるか。こういう点から考えますと、第三子という限定によってその児童手当をもらえる家庭というのは非常に少ない。調べてみますと、全児童の約一割ぐらいきり当たらないわけですね、この第三子という限界でもって児童手当の支給対象を考えますと。そういう点で非常にこれは期待はずれだというふうに考えております。ぜひこういう点も第一子からといきなりできなければ第二子から、そして第一子にまでなるように努力をしていただきたい、こういうふうに強くお願いするわけでございます。 次に問題は、月額三千円とした点でございますが、これは三千円という内容はどういう計算でできたものかお聞きいたします。
○説明員(坂元貞一郎君) 審議会で三千円というような答申を出していただいた基礎の考え方でございますが、いわゆる全国の児童の養育費の実態調査というのが以前になされたわけでありますが、その児童の養育費の実態調査の結果、大体子供が三人いる家庭の現金支出というものが児童一人当たりに換算しまして計算いたしますと六千五百円ぐらいになっているという調査結果が出てきております。もちろんこれは家計支出でございます。児童一人当たりの家計支出を平均した場合の支出額でございます。この六千五百円ぐらいの見当の家計支出というのが児童一人当たりにかかっている。こういうことから考えますと、大体その半額程度というものは親の責任のほかに、いわゆる国家社会といいますか、そういう社会的な援助というものが半額程度やはりなさるべきではなかろうか。このことは、大体養育費の半額程度を児童手当として支給しているというような諸外国の例もございまして、そういうことによりまして、審議会の審議の結果は三千円くらいが大体妥当な線だと、こういうふうな結論に相なったわけでございます。
○柏原ヤス君 時間がございませんので、もう一点だけお聞きして、またいずれ審議の段階でいろいろ内容についてお聞きしたいと思います。 事務当局の説明によりますと、事業主と国の負担の割合は、事業主が八、国が二ということで審議会では全会一致したというように聞いておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) これは、実はその事業主の方々の世界といいますか、組織というものもございますので——国会で法律で八〇%ときめてしまえば、これはもう法律できまったことでありますから、事業主の世界でも法律に従がわざるを得ませんけれども、現段階では審議会の答申でございますので、それを何十%ときめつけてしまうということもいかがかと思います。しかし、おおむねの割合は、柏原先生が御想像になっているようなところに落ちつけたいと思いまして、これにつきましては法律なり政令なりにそういう数字を入れます間に、審議会のその方面の代表の委員の方々を通じ、あるいは私自身がそういう負担を願うサークルの代表の方々にお目にかかって、そうしてそのパーセンテージというものについての法律の原案をきめるのが順序だと考えておりますので、現在のところはきめない形にしておると、こういうわけで、その点御理解いただきたいと思います。
○委員長(佐野芳雄君) 本件に対する午前中の調査はこの程度にいたします。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 —————・————— 午後一時十三分開会
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○大橋和孝君 現代は社会の構造変化のスピードが驚くほど速くて、国民はこれに対応できない。また一方では過密過疎、交通戦争、公害といったようなものがひずみとしてあらわれておるのでありまして、言うなれば国民生活を二重にも三重にも圧迫しておるというように考えられるのであります。 こうした中で、疾病の構造の上におきましても大きな変化がきておるわけでありまして、公害病やあるいはガンだとか、精神病だとか、数えれば数限りのないほど激増しておるわけであります。その中でも、とりわけ私がきょう問題としてお尋ねしたいと思うのは、原因不明、したがって治療法も明確でないといわれる、いわゆる難病といわれておるこの定義についてもいろいろ学者の意見もあろうと思いますが、まず大体そういうふうなとらえ方をした難病といわれるこういうものに対して、幾つかの疾病についてお尋ねをしたいと思いますが、この病気にかかった者は、いまの医療保障の恩恵も十分に受けられないで悲惨な生活を送っている者が大部分であるわけであります。 私は、以前、本委員会におきましても、数度にわたりましてスモンの問題をお尋ねしたり、またこれに対する対策等に対しましてもいろいろと御質疑をしたわけでありますが、きょうは最も問題になっておりますところのベーチェット病に対して、これを中心にそのほかの難病に対する対策、こういうものに対して伺ってみたいと、こう思っておるわけです。きょうは大臣も御都合が悪いようでありますし、いろいろな意味で十分にお答えを願うのに私は不満の点が多いわけでありますが、せっかく担当の方々においで願っておるので、できるだけひとつこの問題に対しても前向きな姿勢でいろいろと御答弁願いたいと思うわけです。 スモンだとか、ベーチェットだとか、難病といわれる原因不明あるいは治療法がまだ未確定の疾患は非常にたくさんあるわけでありますが、厚生省としましては、これに対する基本的な配慮というか、考え方というか、こういうふうな問題についてはどういうふうに考えておられるのか、まずその基本的な考え方をちょっと尋ねておきたいと思うのですが、これは大臣がおられぬから十分な答弁はできないかもしれませんが、当局でこれに当たっておられる方々、ひとつ局長のほうからでもお答え願いたいと思います。
○説明員(萩島武夫君) 基本的な姿勢といたしまして、戦後、先生の御指摘のように、非常な社会変動とともに国民の生活が脅かされる要因が非常に多くなってまいりまして、七〇年代を迎えまして、これからほんとうに健康を確保するための施策について十分内容のある進展をはからなければならないのではないかと思っております。そのような観点からいたしましても、特に原因がよくわからないような疾病で現実の毎日の生活に不自由をしておられる方々のためにも、今後研究面の強化というのはそれなりに飛躍的に伸ばしていく必要があるという気持ちでございます。
○大橋和孝君 この問題に対しましても、非常にむずかしいわけでありましょうから、なかなか答えにくいと思うのでありますけれども、この時期にこうした病気で非常な苦しい状態におられる方が多い。ことになおる時期もわからない、しかもそれが働き手であるというような場合には特に問題もあろうと思います。だから、こういうことはいまの経済の状態、いろいろな点からいったらもっと基本的な態度をある程度明確に打ち出してもらわないと、もうこういう問題に対しても対処ができないと思うのでありますから、基本的なこの問題に対する取り組み方を厚生省内でもひとつ至急に考えてもらいたい、こういうふうに思うわけです。 いまのお話にもありましたように、難病といわれるものにはどのようなものが一体あるとしていま厚生省ではとらえていられるのか。私は、さっきのような定義をつけたわけでありますが、この患者の数は一体どれくらいあるのか。そういう病気の者一つ一つに対して対策をどのようにいま考えておられるのか、この問題についてまずお答えを願いたいと思うのです。 これは、こんなことを何でいまおかしなということになると思いますが、実際は、こういうことをあえてお尋ねしたいというのは、いま申しましたように、難病といわれている病気にかかった場合に、ことに一家の働き手がそうであるという場合には家計に及ぼす影響が非常に大きいわけです。しかも、それがなおるという当てもなくて、医療機関をあちらこちらたずねて、何とかそれをほんとうに手がけてもらえるような治療法が明確でないために医療機関に対しても不安がある。そうして医療費の負担についてみればかなりこれが大きい。それで職を失っている。しまいには生活保護にも転落していかなければならないというケースがいま非常に多いわけですが、なおりがおそければおそいほど、そういうことがあってあたりまえだと思うのです。わが国の医療制度などいまのこういう人たちにはほんとうに役に立たないというようなことにもなってくるわけでありまして、非常にこの実態がきびしいものがあるわけです。そういうことから考えまして、いま厚生省ではこの難病というものをどれくらいにとらえられて、そうしてまた、それに対してどれくらいに把握をしておられるか。対策としては、この各病気に対してどういうふうにやっておられるかということを聞いておきたい。
○説明員(萩島武夫君) 御質問の、難病をどの程度把握しておるかというのは、非常にたいへんな数にのぼりますので、特に純粋の学問的に原因が不明というのは研究が進めば進むほど不明の部分も明確になってまいったりする要素もございまして、全体についての把握は不十分だと思いますけれども、行政上特に御要望があったり、特に家庭の崩壊なんかにつきましていろいろ問題が多い部分だけにつきましても相当な数にのぼります。従来からそのような観点で行なってまいりました疾病は、スモンも最近のことでございますし、ベーチェット病につきましても研究その他行なっておりますし、またサルコイドーシスというものもございますし、進行性筋ジストロフィーも徐々に研究面の強化をしてまいっておりますし、また小児自閉症というような子供もございますし、また最近新聞にも出ましたカシンペックというような病気もございます。その他行政上に取り上げられて、かつそこに研究費を出したというような疾病も相当ございます。そのほかに、最近話題になっておる疾病の中で私たちが注目をしなければならないであろうという、将来そういう可能性があるのではないかと思われるようなものにつきましても若干調べてございますが、たとえばビニールハウス病というようなものもなかなか社会的には大きな影響がある事情もあるようでございますけれども、なかなかその成因も明確ではない。それから、最近の公害に関係のあります重金属の中毒問題それから大気汚染なんかに関係のありますぜんそく、呼吸器系関係、それから、これも最近話題になりましたけれども、花粉なんかによるアレルギーの問題、その他農薬に関係のある問題とか、いろいろまだ当面やらなければならないと思われるような部分につきましても相当多くのものがございます。先生御指摘のように、この原因とかあるいは治療とか、そういう判断の基準も明確でないもののほうが多うございますので、ある研究を担当していただいた先生の推計によればというような患者数あるいはこの年齢に特に多いはずだといわれるような文献はございますけれども、それが日本じゆうに何人かというような部分につきましても明確でない部分のほうが多うございますが、それの医療、特に家庭の問題になります福祉関係におきましても進行性筋ジストロフィー、自閉症等、現在の医療ではその家庭の負担でまかないきれない、また子供のためにはもっと適切な施設その他に収容することのほうが子供のためあるいは家庭のために幸福であるというような部面につきましては、漸次各局でその収容なりあるいはその手当てについて努力をしているところでございます。
○大橋和孝君 先ほど御説明のありましたように、この難病というものが最近非常に騒がれて、世論もいろいろ評価したりあるいはまた議論をされたり、心配されたりするものが多いようですが、その点から考えまして、私が先ほど第一問でお願いしたこれに対する基本的な態度と対策ということでございますが、いまおっしゃいましたように、こういうようなものは非常に他のいろいろな新しい事態にも関連があって、公害とか、そういうことにも関係がありましょう。あるいは原因が不明であるというのもたくさんあるわけです。こういうような問題は、いまのような行政の個々のレベルで考えてもらうと、なかなかこれはいつまでたっても解決しにくいんじゃなかろうか。特にこれからあとで御質問申し上げたいと思いますが、こういう問題に対しての根本的な態度を打ち出していただかないと、いわゆる調査費にしても、研究費にしてもあるいは開発するためのいろいろな問題に対しましても、非常に進歩がおそいというか、むしろそれがほとんど不可能という状態に置かれるというようなことになります。いまこの経済の成長の中で国民が生活を豊かにするための欲望というものを非常に持っているところに、一番初めに申したように大きなひずみとなってそれがあらわれている。全般的にやらなければならぬ大きないろいろな課題があると思いますけれども、そこの中で特に私はこの難病というものを取り上げた理由は、そしてまたその対策はどうであるかということを心配して一番初めに質問さしていただいたということは、こういうようなものが非常に、何と申しますか、いまの状態では厚生省の中でも風が当たらない、日陰に置かれている向きだと思うわけです。ですから、難病であればあるほど、あるいはまた時によってその実態が十分に把握されていない。どれくらいあるかということがわからない状態があるのです、初めの状態に。非常にこれがクローズアップされるまでに時期を要する。こういうことではやはりそのまたひずみの最低にあるもの、一番目の当たらない、日陰に置かれている者というものは、いつまでも放っておかれる一つの原因になろうと思いますから、これに対する態度、厚生省の中で早く根本的な対策を考えてもらいたいという、そこにねらいがあるわけです。そういうことにつきましては、きょうは大臣が都合が悪くて出ていませんけれども、参事官のほうから十分その将来のことを取り上げてもらって、こういう問題に対してどう取り扱っていくか、基本的な態度、これに対してどう予算を裏づけていくか、あるいはまた、どういう組織で研究をしてもらうか。研究班とかいうことも必要でしょう。また、そういう人たちをどういうふうに収容してどこでそういう人をあたたかく治療せしめるか。あるいはまた生活の保障にまでこれがいかなければいけない。あとに後遺症が残っていくというような状態があるわけでありますからして、この基本的な態度を打ち立てるに際しては、ただ観念的に口だけでこうだああだと言うだけでなくて、もっと具体的な方策をこの際やっておいてもらわないと、こういう難病の解決というものが非常におくれてしまう。また、これを解決するために、研究者もやりたいけれども一まあ、だれでもあることでありますが、目標が明るくて、それでこの研究陣でこうやればこういう結果が出るという目標のつきやすいものは判断がつきます。ところが、全然そういう原因もわからなければ、治療もわからないような病気に対しては、やはり研究者としても雲をつかむようなものでありますから、これに対していどむことは、言うならば労多くして功の少ない、そういうことになりますから、よほど厚生省のほうでそういうおぜん立てをして、そうしてお願いをしなければ、なかなかそういうことを自発的にやるにしてもあと回しになるということになろうと思うのです。私も長い間研究をしておったこともありますので、よくわかりますけれども、一つ学位の問題をとっても、こういうテーマに取り組みおったら、いつになったら解決できるかわからぬというやつはあと回しにして、明るい方面の研究をしたいということは研究者として当然で、効果のあらわれやすいほうになびくのも実際あり得ると思うのです。そういう点からいっても、厚生省のとられる態度というものがいかに大事かということを考えて、わかっていただいて取り組んでいただかない限り、こうした非常に暗いものはいつまでも残る。風が当たらん谷間に置かれて、日当たりが悪いままに置かれていくということになるので、こういうものを解決していくという態度でひとつ今後厚生省としても真剣に取り組んでもらいたい。特に私は大臣に対しましても、厚生省内のいろいろなその省議の中でもこれを取り上げていただきたいということがまず第一であります。 続きまして、私は、「ベーチェット病患者を救う医師の会」というのが最近できたのでありますが、そのことを知りまして、その事務局長をやっておられる方からベーチェット病の問題についていろいろ話を聞き、また私の考えを申し上げたりして、この問題の実態について詳しく話し合う機会を得たわけであります。この会は、今年の三月の十六日に結成されまして以来行動を起こして、各方面にベーチェットのキャンペーンを張っておられるわけです。悲惨な実情を訴え続けておられるわけでありますが、その成果として、七月の四日にベーチェット病総合研究班というのが発足したわけであります。この研究班に対しましては、六月の十一日の衆議院社労委員会で、厚生大臣は、研究助成金をとりあえず五百万出すと言明をしておられながら、実際は四百万に切っておられる。縮小されたわけです。そこで「医師の会」が六月十五日に科学技術庁を訪れて、その緊急性を訴えながら特別研究費を要望したところ、来年度を待たないで特別調整金を出すことができる旨の回答があったようであります。厚生省医務局にこのことを訴えたところが、すでにきまっている四百万に千百万円を上乗せして、千五百万円の研究計画を作成して科学技術庁へ提出したというような話があったようでありますが、しかし、このとき種痘禍といいますかの問題が起こってまいりまして、事実上握りつぶすというような形になってしまっているようであります。このことは、厚生行政がほんとうに国民のためのものとなっていないことを示す一つの話題となるんではないかと私は思うくらいでありますが、種痘禍とベーチェットとはどちらも全く関係はないけれども、重要なものでありますので、科学技術庁は二カ月後には支出できると「医師の会」には言明しておられるにもかかわらず、八月の十二日には、厚生省はベーチェットには緊急性を認めない、したがって科学技術庁から特別調整費はもらわないと正式な回答があったというふうに聞いているわけであります。この間の状況をもしおわかりでありましたら御説明を願いたいと思います。これはちょっとわかりにくいですか、どうですか。わかったらお聞かせ願いたい。
○説明員(萩島武夫君) 先生方のお集まりの代表の方に、最近私も新しくなりましてからお目にかかりました。先生方のお話も承ったんですけれども、その予算の面につきましては、先ほど先生のお話のように、種痘の問題とかその他緊急な部分が年度内に出てまいります場合には、もらっている予算の中で一応努力をするということが前提になりますので、そういう判断をその当時いたしたと思います。その後、科学技術庁のほうでも話をされまして、出してみたら、つけるというようなお話があったということを私もお聞きいたしました。その後まだ正式に科学技術庁のほうとは連絡をとっておりませんけれども、厚生省の考え方ももう一度述べまして、再度折衝してみたいと思います。
○説明員(小久保肇君) 科学技術庁といたしましては、特別研究促進調整費という予算を持っております。本年度の額といたしましては、一億八千万、これはいわば研究予備費——というと語弊がありますが、一応前年度概算要求時には予測できなかった新規事態が発生した、次の概算要求まで待てない、そういった事態に対処するための研究費として一億八千万持っております。したがいまして、当初、「医師の会」の方たちとのお話の際には、私も実はその当時まだ着任しておりませんでしたので、詳しい事情は存じませんが、おそらくそういう経費があるので、緊急やむを得ない場合には研究費を出し得るというお話があったと思います。それで実際これを支出を受けますのは、関係各省と御相談をして、そして大蔵省に協議をした上で移しかえるというあれになっております。それで、その後厚生省のほうと詳細に御相談をした結果、厚生省のほうで本年度はこの五百万の研究費を支出する、来年度以降についてもしかるべき予算措置を講じていく、それで研究を進めていくというようなことになりましたので、科学技術庁としては、本件につきまして特別研究促進調整費を支出することは一応考えていないということかと思います。
○大橋和孝君 先ほど言ったように、この種痘禍あたりの問題とか、そういうものとすりかえられたとは思いませんけれども、しかし、こうした特別な調査あるいは研究するための費用というものがあまりにもいままで少なくて、四百万そこらでとてもできない。上積みしてもらって千五百万にしても、それでも少ないと思います。非常に配慮があったのが消えるということはたいへんな問題だと思います。これは大臣も前には衆議院のほうでそう言っておられるにかかわらず、それができなくなっているというのですから、きょう私は大臣にいろいろそういう点についてのいきさつを詳しく聞きたいと思ったのですけれども、きょうは大臣の御都合が悪いのでおいでになれないから次の機会に譲りますけれども、非常に大事な問題でありますから、今後の予算化のためにもあるいはまたことし特別に何か出してもらう、いま言っているように、予備費なんかのほうから出していただける手前もあれば、ぜひこういうものを先ほど申したような趣旨からしてひとつ徹底的に進めてもらいたいと思いますので、省内においてもこれをひとつ早く取り上げていただいて、何かの機会に御返事をいただきたい。いままだ取りきまっていない点はひとつ何とかするということで御返事をいただきたい。これ以上議論しても始まらぬことですから、そのことをひとつかなえられるような方向でひとつお知らせを願いたい、こういうふうに思うわけです。 それから、四十六年度の予算要求の話で、特別研究費としてスモンの病因と治療に関する研究、ベーチェット病の成因と治療に関する研究、臓器移植に関する研究など九課題について二億円ほどを、先ほど聞いたように、要求しているということでありますけれども、その中身について詳しい説明を実はしてもらいたいと思うのでありますが、特にスモンにはどういうふうに、ベーチェットにはどういうふうにするというようなことがおわかりでありましたらひとつ詳しいことを聞かせていただきたい。そういう点はよくおわかりにならないですか、どうですか。
○説明員(萩島武夫君) 内容の細部につきましてわかりにくい部分がございますけれども、いまの先生のお話のように、昨年以降来年も継続しようというのが三課題ございます。それはスモンの実態、病因及び治療に関する研究、それから臓器移植、それからベーチェット病の成因と治療に関する研究という三課題継続してやるということで内容を検討しております。そのほか進行性筋ジストロフィー症の問題、それから脳性小児麻痺の問題等につきましては、児童局のほうからいま別途要求するような形でございます。それから、最近これも例が多くなってまいっておりますけれども、脳卒中その他の、あとでことばを全然失ってしまうという失語症というものがございますけれども、そういう研究のためにも課題を選んでおります。それから身体障害者の生活環境の改善をはかるという、従来の補装具関係の問題も最近電気その他いろいろな材料で日常生活ができる方向に研究が相当進んでまいっておることも考えまして、各種器械の開発というようなこともそのテーマの一つにしてございます。それから子供につきましても、最近熱が出る疾病で、なかなか従来の疾病とは違う小児発熱発疹性疾患というのがいろいろ報告をされておりまして、これの問題の解決のためにもテーマを掲げよう、また児童の精神障害、これも古い疾病でございますけれども、なかなかその究明が明確でないのでピッチを上げてやっていただこうと、それからアルコール等依存性薬品の中毒につきましても一つのテーマを掲げまして、総額二億ということで要求をいたしております。
○大橋和孝君 ちょっといま概略聞いただけでも、私の感じでは、非常にいままでの何というか、継続事業的なものであって、いまの段階でユニークにひとつ取り組むというところがまだないように思うわけであります。先ほど申したように、この問題は相当ユニークに取り組んでもらって予算化してもらわないといけないので、来年度に対しては、ここで一ぺんひとつスタートをし直すといいますか、仕切り直すといいますか、そういうような形で予算要求をうんとこの方面にやってもらいたいと思う。また、それについての理由をいまここで申し上げたいと思いますが、たとえばスモンに研究班はかなり精力的に活動を進めているけれども、ベーチェットのほうは非常におくれておりまして、東大眼科の鹿野信一教授を班長にいたしまして、九名の研究者からなる研究班ができて、疫学的な調査を中心に調査研究を進めているようでありますが、私は、もっと病理学的、臨床的など、あるゆる面からのこの病気に対する研究が必要だと思うのであります。そのためにはもっと多くの研究人と研究費というものが必要になってくるわけでありますが、わが国のベーチェット病患者というものの実数さえ、いまおっしゃったように、なかなかつかまえにいく。いまだにはっきりとした数はわからないのでありますけれども、一九六四年のローマで開かれました学会では、日本の推計患者数は世界のどの国よりも一番多くて、第二位であるイタリアの七倍だと、こう言われているわけであります。日本を除く世界じゅうの患者の総数よりも日本の患者のほうが多いと言われておる。こういうことが発表されておるわけでありますが、このベーチェット病というのが何で日本にこんなに多いのかというふうなことは私どもわからないわけであります。しかし、驚くべき状態がそこでは言われていた。御存じだろうと思うんです。こうしたことを考えてみますと、一日も早くこの実態を把握してこれに対処することが必要である。それのためには何が一番必要かと言えば、私はやっぱり予算措置であり、これに取り組んでもらうことだと、こういうふうに思うわけであります。幸いにして、こういうふうな問題に対して東大の鹿野教授あたりが入られて取り組まれる。特に、これは失明してしまってあとは非常に悲惨な状態になる。現在見ていましても、いまの状態では失明はしてないけれども、もう少ししたらじき失明するんだと患者に引導授けられるというものもたくさんおるわけですね。こういうふうなことを考えてみると、われわれ目に不自由のない者が考えるよりは失明した人たちがどんなに苦しい状態に置かれているか。こういうことを考えると、私は非常にこの問題に対してぞっとするような感じを持つわけであります。こんな状態でいま置いていいのかという感を深くしているわけでありますが、特にこのベーチェット病は、また一面から申しますと、二十歳から三十歳の働き盛りに出てくるということですね。ですから、おじいさんとか、もう一定の仕事をやり遂げた人ではなくて、これからやろうとする家庭の中堅の人にこれが起こってくる。しかもこれは男性に多いんですね。女性の二倍から三倍多いと言われているくらい男性に起こってくるわけであります。そしてまた失明率を見ましても、七六%から八〇%だと言われている。ですから、この病気におかされると確実な治療法がない。そういう中でその八〇%近くの人が失明してしまうというのですから、これは考えてみるならば、社会的な問題としては一番重大な意味を持つ疾患であろうと思うのです。そして失明したのちもなおこの疾病の進行が停止しないために、障害が固定しないでおるという理由でなかなか更生施設にも入れない。それからまた失明しておるから更生施設へ入るのにもなかなか問題がある、こういうふうなことで、職業訓練を施すこともなかなかできないし、それからまた国立の視力障害センターあたりにも入所できないような状態になっているわけです。中途の失明で、困られるのは生まれつきの人よりもひどいのにかかわらず、しかもこうした施設がないし、そういう人たちに対する訓練もしないということであれば、言語道断だというふうに私は考えられるわけであります。そういう点からも、私は、この病気そのものが非常に悲惨な状態を起こしておると言わなきゃならぬと思うのであります。全国でも福岡、神戸、東京、塩原、函館、五カ所の視力障害センターで定員はわずか千名程度しかないので、このベーチェットを含む中途の視力障害者は十一万と言われておるわけでありますから、百倍以上の人々がおるわけなんです。先天性と合わせて見ますなら、十八歳以上で、四十年度の統計での視力障害者は二十四万三千人もいると、こう言われているわけであります。こういうことを考えてみますと、何ゆえ施設をもっとふやさないのか、こういう点も私は考えるわけであります。少なくとも各県一カ所ぐらいにはこういう視力障害センターというようなものを設けて、こういう方々、中途からの失明者に対する特別措置ということもまたこれは考えなきゃいかぬのじゃないかと思います。 それからこの視力障害センターの実態について、一体、予算、運営、内容について、どういうふうになっているのか。こういう点をひとつ聞いておきたいと思うんですが、きょうは、その担当の人がおいでにならないから、わかりにくいかもしれませんが、あなたのほうでわかっている程度で、ありましたらひとつ御説明を願いたい。
○説明員(伊部英男君) 視力障害センターにつきましては、ただいま先生から御指摘のように、東京、塩原、神戸、函館、福岡の五カ所にございまして、定員九百九十名でございます。この施設は、中途失明者に対する施設でございまして、視力障害者は、ただいま御指摘のように、相当の数があるわけでありますが、一応視力障害全体につきましては、たとえば文部省系統の盲学校あるいはその他各種の施設もあるのでございますが、この東京視力等のものは中途失明者に対しまして、これらの方々を入所さしてあんま、はり、きゅうの教育をするということがおもな任になっておるわけでございます。
○大橋和孝君 これはあんま、はり、きゅうというあれじゃなくて、中途失明者に対して非常に職業訓練の部面も少ないと思いますけれども、特にベーチェットの場合は、まだ症状が進行するわけですね。目は見えなくなるし、多少進行していくという状態にあるわけですから、治療ももちろんしなければならぬけれども、そういう面で、非常に患者の不安を除くために、何かそのあんま、はり、きゅう以外に、もう少し新しい職業の開発というものについてもこのセンターで研究をしていくべきじゃないか。目が見えなくなったらあんま、はり、きゅうだけということじゃなくて、もっとその向き向きの職業を開発する必要もあります。目が見えなくてもできる仕事がまだほかにたくさん考えればあると思うんですね。ですから、そういうことなんかについても相当のあれをしなきゃならぬ。いまちょっと私は数を示しましたけれども、そちらのほうでも一応わかっているように、非常に数が多いわけです。だから、こういうことに対してもう少しいろいろ、同じ目の見えない視力障害者であっても、これをもっと分析をして、そうしてそれに適合した職業開発あるいはそれの指導というふうなことに対しては、もっと積極的にやればもう少し新しい分野ができるんではないかというようなこともいま考えられると思います。たとえて言うならたくさん私は持っておりますけれども、そんなことを羅列してみてもはじまりませんと思いますから。こういうふうな状態を見て、同じ目が見えなくなった人でも、ベーチェットの人に対しては、また特別なあれが要ると思いますね。そういうことなんかの取り組み方というものを特に考えてもらいたい。これが内容と運営の面でどうそれを新しく開拓していくかということは、この時点でもう一ぺん考え直す必要がある。失明者に対するいろいろな措置ということに対しましても特別な研究的な態度で、そういうものを新開発をしていかなければいけない時期じゃないかと思います。特に最近では、そのはり、きゅうにいたしましても、めしいではない健康な人がかなり領分を侵しているような形になっているわけです。これは領分を侵す侵さないということは、また別の問題の視点でありますから、そういうことを議論するのも、そう言っしてまうのも正しくないことは私はよくわかるのでありますが、しかし、ただそれが一つの職業であるとするならば、あまりにもそういう人たちには過酷であろうと思いますので、いろいろな意味から、いまの科学の進歩した段階で、あるいはまた経済の発展をした段階でこういう問題に一ぺんメスを入れなきゃならぬもう時期であることはいなめない状態であると思いますので、そういう意味で、この視力障害者センターというのも数は少ないし、予算的にも少ないし、その運営の面にも新しさがない、こういうようなことを私は指摘したいと思うのです、率直に言いまして。ですから、この問題に対しましても、どうぞひとつ厚生省の中では、これを局長のほうでも十分話を進めてもらって、そうしてこの問題に真剣にひとつ取り組んでもらいたいと思います。ほんとうに御存じのことと思いますけれども、このベーチェットの中途の段階で失明した人たちは実に暗い世の中です。こういう人たちをほんとうに救うのには、その病気がある程度こうすればなおるというものがあればいいが、これが一番問題になるのは、もうしばらくたてば失明するぞという状態の人がたくさんおる。こういう人たちに対して的確な処置ということがいまできない状態に置かれているのです。むしろもうその開発のためにうんと金を使ってもらわなければいけない。しかもそういうことでたまたま失明した人でもまだ進行していくわけですから、こういう人たちを視力センターでいろいろ遇する中にも特別な方法がないか。こういうふうに思うのですが、そういうふうなきめこまかい処置をとらない限り前向きにはならぬわけですから、非常に悲惨な人たちに取り組む取り組み方、これはひとつ徹底的に考えてもらいたいと思うわけであります。ことにベーチェット病にかかると、最初は休業、休職、そのうちには病気が長引くために失業をして、そうして保険が切れるころになるとだんだん目がつぶれてくる。こういうような悲劇の状態で一家離散するような状態もあるし、あるいはまた生活保護に転落して非常に苦しんでいる状態も、ほんとうに聞くに忍びないのがたくさんございます。ですから、このベーチェットの一〇%のものがニューロベーチェットといって、ハスクロベーチェットで死亡するのがあるわけです。これが近年だんだんふえつつある、こういう状態であります。スモンもそうでありましょうけれども、こういう難病に対して公費の負担医療、こういうものをひとつ打ち立てる必要がある大事な時期だと思います。ことに保険が切れてくる、あるいはまたその何割かを負担することができない、こういうことで非常に状態が悪くなる、そうして死亡していくという状態でありますので、私は、こういうふうな難病に対しては少なくとも公費負担で、すべて長引く病気をなおしてしまうということを打ち立ててもらいたい、こういうふうに思います。言うならば、この難病を救済するための特別立法でも出してもらって、こうしたものを完全に救い得るような最終的なあれをしてもらいたいと思いますので、厚生省ではこれを前向きにとらえていただいて、この難病救済のための特別立法、それからまた公費負担で医療を整える、この二点ぐらいはひとつ至急考えてもらいたいと思います。局長のほうからもひとつ大臣に、また省内においてもこの問題をひとつ進めていただいて、どういうことになるかということをひとつあとから知らしていただきたい、こういうふうに思うのです。 特に、いま局長のお考えも聞いておきながら、ひとつ将来どういうふうにしてもらえるかということに対しての決意のほどを聞いて質問を終わります。
○説明員(伊部英男君) ベーチェットに限りませんが、原因のいかんを問わず、障害が発生した場合におきましては年金あるいは身障法によります福祉の各種の措置がとられるわけでありますが、盲人に対しましては、日本は、ある意味においてあんま、はり、きゅうという非常に外国にはない職業分野を持っておりまして、その点では一つのメリットがございますけれども、しかし、半面、先生御指摘のように、新しい職業の開発というものにつきまして、いわば、やや努力が足りなかったという点は事実であろうと思います。最近におきましては、たとえば、かなタイプでございますとかあるいは盲人の電話交換、そういう仕事もぼつぼつ視力障害センターではやっておりますし、大阪のライトハウス等においても行なわれておりますが、いずれにいたしましても、非常に新職業の開発あるいはいろいろな科学技術の研究、職員の養成等が不足をしているという点は事実であろうと思います。 先般の身体障害者福祉審議会におきましても、そういう問題をとらえて、職員の養成、訓練、研究あるいは医療等を含めた総合的なリハビリテーションセンターを設立して、各県にあるいろいろな更生相談所あるいはリハビリテーションセンターのいわば中核的な使命を果たすようなものにしてほしいという御要望がございまして、厚生省としても、この問題につきましては前向きに検討いたしておる段階でございます。予算でございますから何でございますが、来年度はこれに関する調査費を要求しようと考えておるのでございます。その際、いま御指摘ありました視力障害センター、この中途失明者でありますが、これらの方々は、たとえば盲学校の別科というような制度もありますし、また各民間等にも若干の施設があるわけでございますが、そういういわば機能の分担をどういうふうに考えていくか、それからまた、いろいろ施設の面におきましても不十分な点が多いのでございまして、そのセンター構想を中心にこういう視力障害センターの位置づけ、そういうものにつきまして早急に事務的な検討を進めたいと考えておるのでございます。 なお、ベーチェットに関しましていろいろ先生御指摘のような問題があるわけでございまして、先生のいろいろ御意見をちょうだいしたわけでございますが、関係各局に十分連絡をとりまして前向きに検討さしていただきたいと思います。
○藤原道子君 委員長関連して。 私は、このベーチェット病については前回、前々回と御質問申し上げたわけで、私、この間視力センターを視察したのです。いろいろもうほんとうに胸の痛いような陳情がございました。私がまず聞きたいのは、ベーチェット病に対する研究費ですね、これは幾らあるか。すべての難病に対してのはいま伺いましたが、ベーチェットに対してはどの程度が計上されておるのか、どういうことをしようとしておるのか、これをまず一点。 それから、この間、視力センターに参りましたら一つの部屋に四人おるんです。机がずっと置いてあるんです、四人分。そうしてそこに四つのふとんを敷くんです。しかも目が見えない中途失明者が多い。畳は破れておる。私はほんとうに許せないような憤りを持ったわけですが、これでいいと思っておられるのか。それから至るところに段段があるわけです、歩くところに。ちょっとした段々でもこれは愛情があればなおるなあというような施設の状態でございました。それから陳情の中の一つは、ぜひせめて教科書代はただにしてもらいたい、こういう不幸な者が集まっておるのだから、ほんとうならすべてをただにしてほしいんですけれども、教科書代、食事代くらいはただにしていいんじゃないかと私は思います。それからもう一つは、何といいますか、同じような、目的が違うというけれども文部省はただですよね、教科書その他はね。それから労働省の施設も若干あるやに聞いておりますけれども、これらと比べても厚生省の待遇が一番悪いんですよ。厚生省は人間を守っていくという基本的な使命があるわけなんです。にもかかわらず厚生省のこれらに対する対策は非常に立ちおくれておる。畳は破れておる、一つの部屋に四人寝ていて、そこに机を並べておる、それからタイプなんかも置いてあるんですね、勉強したいために。テープなんかもみんな自費なんです。そうして夜中に便所に起きるときにまっ暗だということを言っておりましたが、こういうことに対してどういうお考えをもって、今後どうしていくのか。 私は関連でございますからこの程度にしておきますけれども、いつも検討いたします、こういう方法でございますということを聞くけれども、一向にそれが実現しない。私は、厚生省に一つの何といいますか、不信感を持ってこの間視察してまいりましたが、ひとつそのお考えを率直に聞かしてほしい。
○説明員(萩島武夫君) 研究費のことにつきましてお答えをいたします。 過去の実績の中には、文部省では、当初三十三年度に二百三十万ほどの予算で、翌年——三十四年ですが、同じく二百三十万。特にベーチェット病というのはどういう疾病かというようなことを中心にされまして、病理学的な研究を行なわれたようでございます。それから四十年に至りまして厚生省の社会局のほうで、厚生科学研究費というのがございまして、その中から失明者のリハビリテーションの研究というので二十万出されております。それから一番最近は四十五年の緊急ということで特別研究費が四百万出されております、四十五年は。四十六年、来年度につきましては、先ほど話題になりましたように、千五百万ぐらいを含めまして二億円の要求を全体としてはいたしているということでございます。
○説明員(伊部英男君) 視力障害センターの現状につきましていろいろ御指摘があったわけでございますが、厚生省といたしましても、現状をもって十分とは考えていないのでございます。最近できます施設、たとえば福岡の施設等につきましては、ごらんいただけば東京視力とは相当内容が違うという認識を持っていただけると思うのでございますが、古い建物につきましては、昔の建築基準あるいは単価でございますので、なかなか思うにまかせぬ面があるのでございます。しかしながら、現状をもって十分とは考えていないのでございまして、先ほど申し上げました総合リハビリテーションセンターを設置をするその一環として、それらの問題にも取り組んでいきたいという覚悟をきめているのでございます。 それから各省と比べてどうだという御議論がございますが、各省それぞれ一つの目的体系がございまして、なかなか一律にもいかない面があるのでございますが、目標といたしましては、見劣りをしないように努力したいと考えております。教科書代、食費等の御議論もございましたが、につきましては、まあ福祉事務所におきまして措置委託をする際にボーダーラインで線を引きまして、約八割程度は食費は無料でございますが、それ以上の方につきましては自己負担をしていただいております。教科書代につきましては自己負担でございますが、生保の方につきましては技能修得費でめんどうを見ているわけでございます。いずれにいたしましても、基本的にはそういう考え方で努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
○藤原道子君 生保がただになるのはあたりまえで、私はそんなことは聞いていない。不幸な運命を背負っていらっしゃる人たちがせめて少しは安心して治療なり、訓練を受けられるようにしてもらいたい。局長にお願いをしておきますが、一度行って見てください、施設を。あの現状でいいのか。私は、断じて許せない気持ちでこの間見て参りました。ちょっと手を加えれば直るようなところがたくさんあるのです。そういう点もあなたの現実の眼で見ていただいて、少しでも気持ちよく訓練を受けられるようにしてもらいたい。 それからさっきこちらの参事官の方がおっしゃいましたが、ことしは四百万円、来年は千何百万円、どういうことをする金なのですか。病気の原因がわからないのですよね。その研究はどのようになさっておるか、基本的な点を聞かしてもらいたい。
○説明員(萩島武夫君) 今年度の四百万の研究のやり方でございますけれども、先ほど大橋先生からもお話がございましたように、各大学を含めまして疫学的な調査研究、それから眼科の先生、皮膚科の先生、内科の先生、病理の先生、いろいろな各班をつくりまして、それぞれの班の領域に区分をしていただきまして、班別の研究を総合的な判断というような内容でそれぞれ御研究をいただく計画になっております。
○藤原道子君 それだけの金でどれだけのことができるか。ベーチェット病に熱心に取っ組んでいらっしゃる先生方の自己犠牲でいろいろしているのですよ。四百万を割ってごらんなさい、幾らになるか。そういう考え方では解決ができません。世界一だと言われる日本ベーチェット病、しかも原因がわからない。先進国のように思っている国で、これでいいのかどうか。私は、この問題についてはもっと真剣に取っ組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、関連でございますからやめます。
○大橋和孝君 いま、局長から私のほうも説明を受けたし、藤原委員からも強力に御質問がございましたが、私は、いまの最後の質問の中で言ったように、これに取り組んでいただくのには、非常に何といいますか、治療もできないし、原因もわからないし、失明をするような状態になってきていることを考えますと、この難病を救済するためにはやはり基本的に特別な立法をこしらえて、そうしてその救済、生活保護までいけるようなたてまえを立てない限り、これはうまくいかないわけですね。そういう人たちを法律によってささえていく、こういうものをつくらなければならぬわけでありまして、私は、そういうことがほんとうに必要じゃないかと思いますが、いまの御答弁の中にそれが落ちておったように思いますので、特にそれを付加させてもらったのでありますが、それと同時に、そうした病気は長引く病気でありますからして、これは公費負担でもしなければ、いまの経済がいかによくなったといっても方法がないわけです。だから、先ほどおっしゃっているように、生活保護とかなんとかにいくわけなんですが、それはそこで考えてもらえるとしても、やはり特別な障害年金とか何かでそのあたたかいささえがない限りこれはできないわけです。これはひとついろいろな意味で救済的な特別立法でもこしらえて真剣に臨むということが必要なわけで、この点は前向きに考えてもらいたい。研究費だとかあるいはまた研究に対するいろいろな運営の状態ということに対してはもちろんでありますけれども、基本的にはもっとうしろをささえるものがないとだめですから、基本的に特別な立法をこしらえるなりあるいはまた特別な状態をここでつくってもらいたい。世界じゅうのこの病気の患者数を日本がまだ上回って発生しているという状態は那辺にあるかということを研究してもらうだけでも、私は、相当な費用を注ぎ込まなかったらできないと思います。この問題は来年度の予算を考えまして、いまは非常に大事な段階ですから、ベーチェット病に対して、あるいはまた難病に対しては徹底的にこれに取り組むというような姿勢で予算も獲得してもらわなければならぬし、前向きな姿勢をとっていただかなければならぬ。きょうは大臣とそういうことに対して徹底的に話し合いを進めたいと思っておりましたけれども、大臣がおられませんから、局長、また参事官のほうからどうぞひとつ省内で大きく取り上げていただきたい。こう思いますから、どうかひとつよろしくお願いいたします。
○説明員(伊部英男君) 全体的に申しますと、スモンにつきましては研究体制その他相当進んできまして、ベーチェット病につきましてはそれを追っかけておるという状況だと思いますが、ベーチェット病につきましても、先生おっしゃったような姿勢で臨んでまいりたいと思います。 なお、特別立法等が適当かどうか等につきましては、省内でも関係局で十分検討したいと思います。
○渋谷邦彦君 参事官にお尋ねをしておきます。本来は公衆衛生局長にお尋ねすべき問題でありますけれども、きょうは確認という意味で一点だけ伺っておきたいと思います。 一つは、予防接種について集団的に医師が拒否をするという傾向があちらこちらに出ております。これが日本全国的に広がりを見せますと、重大な社会問題に発展をすることは論をまたない。これに対する政府としての対応措置をどのように考えられているのか、これが一つ。 それからつい数日前も、厚生省に種痘禍による家族の方々がその補償をめぐって陳情に行っておられるはずであります。三百三十万という金額はもうだいぶ久しい前から出ておるわけでありますけれども、どういう点でそういう金額を設定されているのか。それからその金額の負担については国、地方公共団体が負担をする、こういうふうになっておるそうです。それでなくても地方自治体においては財源が乏しい。それを負担させるのが一体合理的なやり方なのかどうなのか、まずこの二点を最初に伺っておきたいと思います。
○説明員(萩島武夫君) その両方の問題につきまして、直接、先生御指摘のように、公衆衛生局の問題でございまして、私はその責任でございません。ただ、いま先生御指摘の問題につきましては、本日お話を承ったことを十分伝えさしていただければ、私はそのまま御返事をお持ちいただくことにいたしたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
○渋谷邦彦君 参事官は前に保健関係の仕事をおやりになっていらっしゃる。また、大臣官房の参事官をしている。当然局内のそういう経過については了承されているものと、こう心得まして、いまお尋ねをしたわけです。もしどうしても答弁ができないというならば、次の機会に大臣に直接私は聞きます。
○説明員(萩島武夫君) この問題は、先生御指摘のように、重要な問題を含んでおると思います。直接私の責任でないことは確かでございますけれども、官房参事官として知ってる範囲につきましても、先生の御質問は非常に重要な点が多うございますので、私からはむつかしいと思います。
○渋谷邦彦君 それではね、次の機会にお約束してください。いま私が申し上げた二点について責任を持って次の委員会まで——回答は大臣から直接これは伺いますから、よろしゅうございますね。
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐野芳雄君) 速記を起こして。 —————————————
○委員長(佐野芳雄君) 次に、労働問題に関する調査を議題にいたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○戸田菊雄君 質問の本論に入る前に委員長に要望しておきたいんでありますが、それは、きょう実は運輸大臣に出席要請しておったんですが、運輸省から参りまして、実は吾孫子——取手間の複複線化のくわ入れ式で一日つぶれるということであったものですから、それじゃやむを得ぬだろうということで了承はいたしました。了承はいたしましたけれども、その後情勢を聞きますと、何かそういうことではないという話を聞くんですね。ですから、少なくとも国会審議の中の必要で招請するわけですから、もしそういう事態がほんとだとすれば、これは国会軽視ということになると思う。その辺の内容について委員長でしがるべく取り調べていただいて善処していただきたい、要請をいたします。
○委員長(佐野芳雄君) わかりました。
○戸田菊雄君 それで本論に入るわけですが、私は去る六月に社会党本部の要請によりまして、仙台鉄道管理局内の郡山、福島、長町の三機関区の動力車労働組合に対する不当労働行為の実態について、数名の同僚議員と調査に参加いたしました。したがって、その調査に基づいて、不当労働行為問題についてそれを中心に質問をしてまいりたいというふうに考えます。 冒頭に労働大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、現在、日本の労働組合と労働者は、資本と当局側から戦略的には丸抱えといいますか、戦術的には分裂、こういうことばに端的に現われておりますように、大々的に、そうして多角的な、非常に巧妙な組織攻撃というものがいま行なわれている。これは全組合にそういう形があると思う。したがって、決していま始まったことではなくて、これは長い年月そういう情勢が続けられてきたと思うのです。したがって、そういう攻撃の内容に対して、いわば組合の組織破壊、あるいは団結保障という問題が次々とそこなわれていくような、こういう事態に対して、労働大臣としては何か具体的な対応措置があるのかあるいは具体的に検討された内容があるのか、こういう問題について率直にお聞かせを願いたいと思う。 もう一つは、最近のものでけっこうでございますが、いわゆる労組法七条、地公労法の四条あるいは公労法三条等々による不当労働行為事象として提訴をされているその件数、それが一体どれくらいあるのか、その内容についてお示しを願いたいと思う。 もう一つは、差別待遇禁止の問題でありますが、これは非現業地方公務員、いわゆる地公法の五十六条だと思いますが、あるいは非現業国家公務員、これは国公法の百八条七と記憶いたしますが、等によるものは一体どのくらいあるのか、以上三点について詳細御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 労働組合を不当に弾圧するという行為、これは禁止されておりまして、あくまでも使用者と労組の間には労働組合法に基づきまして、当然の権利としてこれは認めているところによって、そうした弾圧などはあり得ない、またすべきではないと考えております。したがって、もしもそういうような事実がございますならば、これは明らかに労働組合法にも反するわけでございます。そういう点で、御指摘のような問題がございますれば、これは十分厳重に不当労働行為等が起きないように対策を講ずる必要があると考えております。どうも鉄道のいろいろの関係から見ますると、国民経済の面から、あるいは財政上非常に困難であるとかというような種々の問題がございましょうけれども、あくまでもこれは円満な労使関係、相互の信頼に基づいてやはり堂々とひとつ双方の主張をお互い述べ合って、そこに円満な解決の道を講ずるということが妥当であると思います。その意味でこうした不当労働行為などが発生することは好ましくない。当局としましては、不当労働行為などの起きないように対策を十分講ずるということの方針でまいりたいと考えております。
○説明員(石黒拓爾君) 最近の不当労働行為の申し立て件数についてのお尋ねでございますが、労働委員会の関係、要するに公企体以外のものにつきましては、地労委、中労委合わせまして、昭和四十二年八百七件、四十三年六百七十四件、四十四年七百四十六件でございます。 それから公企体の関係では、公労委に四十二年三件、四十三年度ゼロ、四十四年度五件ということに相なっております。 なお、国家公務員法、地方公務員法の不利益取り扱いに関する申し立てにつきましては、私ども所管でございませんので、手元に資料ございませんので、必要がございましたならば所管庁に申しまして取り寄せたいと思います。
○戸田菊雄君 その労政局長の答弁の後段の内容については、じゃあ、ひとつあとで資料で教えていただきたいと思います。 それから労働大臣に私が伺ったのは、単に厳重に取り締まるとかあるいは相互信頼でなければいけないとか、あるいは権利は尊重しなければいけない、単にこう一般的な抽象的な回答を求めているんではないんです。現にいま労政局長が発表になったように、労働委員会の場合には地、中を含めて、四十二年は八百七件もあるわけですね。あるいは四十三年は六百七十四件、四十四年は七百四十六件もある。ですから、こういった不当労働行為事象というものは現実に発生しているわけですから、こういう問題に対して、一体労働大臣として具体的にどういう対策で対処したか、このことを私は聞きたい。もう少し具体的、詳細に答えていただきたい。
○国務大臣(野原正勝君) 不当労働行為は労働組合法によって明らかに禁止をされておる。こうした問題がございますれば、これは不断のまあいろんな教育によってこうした問題に対しては正しい労働法の解釈を徹底さぜるということが必要でありますが、同時にまた、この問題が起きましたときには、具体的な機関としては公労委であるとか中労委、その他のいろんな機関で慎重に検討して裁定を下すということになっておりまして、そうした機関が取り扱う案件としてこうした問題が相当の数にのぼっておることは遺憾でございますが、直接的には労働組合法によって禁止されておるという点を十分に周知徹底せしめて、かかる不当労働行為などの生じないようにいたしたいということが必要かと存じます。そういう面で問題が発生しますれば、中労委あるいは公労委等において審査をする、そうして裁定を下すということになろうかと存じます。
○戸田菊雄君 その労働大臣の説明ですと、いわゆる行政的な方向ですべて対処していると、こういう言い方ですけれども、では、いま労政局長が発表された、労働委員会で各件数あるわけですけれども、その中で解雇された、こういう不当労働行為はおおよそどのくらいありますか。
○説明員(石黒拓爾君) ちょっと私の手元にございませんので、調べまして後刻申し上げたいと思います。
○戸田菊雄君 時間をあまりいただいておりませんから先へ急ぎますが、次に国鉄の山口常務にお伺いをいたしますけれども、現在の国鉄の労務管理政策の具体的内容についてお伺いするわけですが、その一つは、国鉄当局が労務管理の中心に置いているのは職制機構、とりわけ中間ないし末端機構の強化であると思いますが、項目的に申し上げますと職制機構の整備、こういうことになるわけです。もう一つは職制の増員、これは職制層の非組合員化ということになると思うんでありますが、それから職制の教育の徹底、おおむねこの三つを柱にして、目下国鉄当局全体の労務管理政策というものが系統的に実施されておるんではないかと思うのでありますが、その辺の内容について御説明願いたい。
○説明員(山口茂夫君) ただいまの御質問でございますが、労務管理ということばは非常にいろいろなニュアンスがございますが、両面考えられると思います。一つは対集団の、組合との関係ということが一つあると思います。これは労働組合が国鉄内にできましてから二十年余たっておりまして、慣行的に本社では職員局、それから地方では労働課、人事課というようなところで主として相手をしておるわけであります。 ただ、こういう流れのほかに、いろいろな業務機関がございますので、そういうところで、総務課とかあるいはそれに類するところが対組合の関係をやっておる。なお、組合との関係で労働協約等も結ばれますと、これは羈絆力を持っておりますから、こういうものが現場で実施される過程では、当局側の代表としましては、いまお話のございました現場長とか助役という非組合員が当局側の意思を伝達し執行する機関になる。それに対しまして組合側では支部なり分会なりという機関が対応しておる。 その団体的な労使関係のほかに、国鉄の職員として従業員を指導していく面が別にございます。これに対しましては、いまお話のございました職制ということばが通常使われておりますが、現場長、助役、主任というような系列で当局側の意思の徹底をはかることにしております。この流れが最近特に変わったというぐあいには考えておりません。管理職の増員というお話がございましたが、広い意味での管理職は現在の国鉄の財政事情から言いまして全般的に合理化の方向にございますので、管理職につきましてもその例外ではございません。 なお、教育の問題がございましたが、これは確かに管理者に対する管理者教育というのを一生懸命やっております。これは特に最近学校の問題等に見られますように、若い職員との意思の疎通を欠くというような傾向もございますので、そういうことのないように、管理者はもっと青年の中に溶け込んで一緒になって話し合うというような教育を一生懸命いたしております。
○戸田菊雄君 なお、この具体的な内容等について質問してまいりたいと思うのですが、私の調査によりますと、四十五年に、従来は参与、参事あるいは参事補、こういうものがすでに制定をされておったんでありますが、それにさらに制度的に副参事あるいは副参事補、こういうものが設けられて、管理職手当を支給して、同時にこういうものの増額をはかりつつ、今日のこの労務管理全体の体制強化をはかっておる。こういうことが具体的に実はあるわけであります。さらにこの副参事補というものは、主として現場管理者の中堅クラスですね。具体的に申し上げますと、区の支区長あるいは助役、分区長あるいは予備助役、公安主任等等の職務の内容の方々が全部これに組み込まれておる。結局、磯崎総裁の言をかりますると、これは四十四年の八月十日掲載の「日経」になりますけれども、現在の逆転している労使関係を正常化するために現場管理者の姿勢を正すために現場長強化を推進していく、これは明らかに新聞報道になっているところであります。このくらい真剣にいま——戦う現場長ということになりましょうかね。そういう職制づくりというものが非常に強化されて推進をされている。こういうのがいま事実じゃないかというふうに考えるわけです。 もう一つは、職制機構の改編ないしは強化、あるいはその職制等を制度的に組合員から切り離して非組合員範囲の拡大策をとっている。こういうことになっておるわけですけれども、こういう具体的な内容に対しましては、労務管理の強化対策と判断されますかどうですか。その内容が一つであります。 それからもう一つは、国労の問題でありまするけれども、非組合員の増加傾向が最近ふえているんではないかと思うんですが、もしそれがわかっておったら、四十一年、二年、三年でけっこうでありますが、数字的に発表願いたいと思います。
○説明員(山口茂夫君) 最初に身分制度のお話がございましたが、これは、従来、国鉄では職員の中に指定職という制度、これは昭和二十年代からございますが、設けております。ここでは参与、参事、副参事というような三つの段階を設けまして、大きな現場長あるいは地方の管理局の管理者等にこういう身分を付与いたしまして、ある種の秩序を保つ身分制度をとっております。その後現業機関の統廃合その他がございまして、ポストが従来のような三つの段階だけでは間に合わなくなってきた。こういう身分制度といいますのは、どちらかといいますと、何かの法則にありますように、どうしても広がっていく傾向にあります。こういう要望が非常に現場で強うございまして、それで従来の三つのさらに間に一つずつふやしまして身分制度をつくったわけでございます。しかし、この新しいこういう指定職のランクに入りました現場長その他の管理職は、従来の管理職という職分の中にありましたもので、この絶対数がふえたということではございません。従来からの現場長、管理職の中の大部分が指定職の中に入った、かように御理解いただけばけっこうでございます。 なお、それと関連いたしまして戦う現場長というようなおことばもございましたが、これは国鉄の中で毎日の業務をやります場合に、もちろん労働組合との関係も重要なことではございますが、毎日のうちのほとんど大部分の仕事は旅客、貨物の安全な輸送ということが使命でございまして、戦ってばかりいたのでは仕事にならないわけでございます。したがって、異常な労使関係の時期にはそういうことばが出ることはございますが、たてまえといたしましては、そういう戦う現場長あるいは戦う管理者というようなサイドで増員をしたものでないことはお断わりをいたしておきます。 それから、なお四十一年以降の管理職非組合員の数字につきましては、申しわけございませんが、いま手元に持っておりませんので、後ほど取り調べまして御提出をいたします。
○戸田菊雄君 増加の正式数字はあとで資料と、てお願いをしたいと思います。私の調査によりますと、国労の場合でありますが、非組合員の増加傾向は、四十一年四万三千五百名あるのだ、四十二年は四万五千二百名、したがって千七百名の増加ということになるのじゃないか。四十三年は四万六千九百名ですから、同じく千七百名。四十三年までの間で大体三千四百名も全国的にふえておる。したがって四十四年、四十五年、これを考えますると、一万に近いものになっていくのじゃないかと思うのでありますが、その辺の内容についてはあとで具体的にひとつ資料として御提示を願いたいと思うのであります。 それで職制教育の具体的な内容についてお伺いをするわけでありますが、ことに仙台鉄道管理局で職制に配付をされました機密文書でありますが、その一端が具体的に資料としてあるわけです。その内容は、たとえば一九七〇年問題シリーズ、これは第一集から第十集まで発行されておるようであります。その内容を見ますると、一つは安保賛成か反対か、あるいは反安保勢力の動向あるいは左翼勢力の七十年闘争のやり方と企業側の対策、あるいは増員問題等々、私の理解する限りでは十集まで目下発刊をされて機密文書として各現場に配付をされ、そういうものを教育として徹底をはかられる、こういう内容が過日の私たちが調査に行った長町機関区や福島機関区、郡山機関区等々でもすべて管理者に向けて徹底した教育をやられる、こういう内容について御存じでしょうか。これが一つであります。 それからもう一つは、そういう攻撃を通じて、言うなれば動労の労働者あるいは国労の労働者、そういうものの漸次弱体化に向けていろいろな形で悪宣伝、PRをやっておる。これが必ず教育の内容の中に付随的に、むしろ本命として入っていっていますね。ですから、こういう事実について御存じかどうか。ことにもっと具体的な内容を言えば、たとえば仙台等では青年寮への無断入室あるいは私物点検、そういうものまでやられている。まさしく私は人権侵害に通ずるものだと思うのでありますが、そういう内容がございます。あるいは青函でありますけれども、抗議リボン着用の組合員に対して町の中で職制がはずせというようなことを大声でどなっておる、こういうこともあったようであります。あるいはビラ張りに対する職制の抗議が各所であるわけですけれども、抗議すれば機動隊が導入をされる、こういうことは日常茶飯でありますね。さらに集団交渉、こういうものを口実にいたしまして直ちに警察に連絡をとる、ないし機動隊の出動を要請する、あるいは待機をさせる、こういうことも非常に最近特徴的なケースではないかと思うのであります。あるいは二組との——鉄労ですね。鉄労幹部と勤務時間中に始終会合をいたしまして、もっぱら動労に対する抗議策動等をやっておる。具体的な事実といたしまして枚挙にいとまがないのでありますが、まさしくこういう形でいま各般の現場における労働組合切りくずしというものが具体的に進められておる。こういう内容について御存じか、あるいはまたこういう問題に対して具体的に国鉄当局としてはどういう一体対処策で進められておるのであるか、その辺の内容について御説明していただきたいと思うのです。
○説明員(山口茂夫君) 第一番目に、一九七〇年という機密文書を配付して組合を誹謗したりというようなお話がございましたが、これは前回当委員会で松井先生からお話がございまして、非常に部数が少のうございましたが、委員会に正式に提出をしております。これはごらんいただきますとわかりますように、ガリ版で書きました、機密文書でも何でもございませんで、のりとはさみでできたような、中は至って主観の多いものでございます。したがいまして、これが国鉄の当局の意思である、あるいはこういうものを現場の各管理者なり、職員に押しつけるという性格のものではございません。これは一部の職員が七〇年問題というものに対しまして、いろいろなセミナーその他へ行きまして拾い集めましたノートを転記したようなものでございます。 なお、そのあといろいろございましたが、お断わりをいたしておきますが、この一九七〇年という印刷物を含めまして、いまお話のございましたいろいろなことは、実は第三者機関に不当労働行為の問題として取り上げられておりまして、昨日、きょう、あすと実は審問が継続中でございます。直接関係いたしております職員が上京して、現在第三者機関でいろいろ陳述をいたしております。私がいまから申しますのは、それらの一種の伝聞でございますが、もし第三者機関での公述その他とニュアンス等で食い違う点がございますれば、第三者機関で申し立てていることのほうが真実に近いということをあらかじめお断わりいたしておきます。 それから動労、国労に対する不当労働行為のお話がございましたが、これもいま申し上げましたように、私どもはそういうことはないと確信いたしておりますが、争いのあるところで、現在第三者機関で審間中でございますのでお答えを省略させていただきます。 それから青年寮での私物の問題とか、あるいは青函で市中でリボンを取り上げたというお話がございましたが、これは事情を承知いたしておりませんので、何ともお答えいたしかねます。ただ、おことばの中で、そういう争いがあるとすぐ機動隊を導入するとか、警察の出動を求めるとかいうおことばもございましたが、警察とか機動隊というようなものは、簡単に国鉄の当局がお願いしますといって出てこられる性格のものではございませんので、もしそういう出動があったとすれば、それは客観的にそういう情勢があった場合であろうと思います。
○戸田菊雄君 常務の回答ですと、そういう指摘されるようなことはやっておらないという確信のようでありますが、しかし、いま本問題等については明らかに公労委に持ち込まれてそれぞれ係争中であるわけですね。ですから、そういう事実が係争されているということはお認めになるわけですか。
○説明員(山口茂夫君) 当時の昨年、一昨年という状態を考えてみますと、ちょうど一九七〇年安保問題というような前年に当たりまして労使間で相当エキサイトした空気があったことは事実でございます。それに加えまして、動力車労働組合対国鉄当局の場合にはEL・DLの問題と称しておりますが、ディーゼル機関車、電気機関車の乗務員を一人にするか二人にするかという問題が大きく取り上げられまして、非常に大きな紛争状態のあったことは事実でございます。現場長で不当労働行為の問題もいま取り上げられています。いろいろなケースを見ますと、この安保の時期あるいはEL・DLの紛争の時期に組合側が大きなストライキをかまえて、これは国鉄では許されていない行為でございますが、これをかまえているという状態を背景にしまして、できるだけそういう状態を回避したい、そういう心情が働いておった。片方の組合側の役員はかなりエキサイトしている。したがって、総体的に両方とも意気込みが上がっておるというような状態で感情の行き違いから不当労働行為というような事象に見られるような現象が出てきたんだと思います。労使間でそういう問題で争いのあること自体は、これは第三者機関にあがっておりますので否定はいたしません。ただ申し上げられますことは、当時のそういう異常な背景があったということ、それはまた昨年からこの春までの問題である。その後背景になりました安保の問題も済んだし、動力車職員の問題も労使間で調印が行なわれて、紛争自体は円満に解決したのでございますが、これからはこういう過ぎたいろいろないさかいは別にいたしまして、新しい労使関係のできることを期待いたします。
○戸田菊雄君 労政局長にお伺いするのですが、いまのような具体的な事実に対して、法律的な問題は別ですが、好ましいと思いますかどうですか。
○説明員(石黒拓爾君) 国鉄というのは、申すまでもなく先生が一番よく御存じでございますが、非常に大きな企業であり、かつ非常に強い公共性を持っているところでございます。したがいまして、その労使の双方の責任というのは、これは一般の中小企業の労使よりも非常に大きいと申してよろしいのじゃないか。そういうところでは、法律に規定されていることに違反しないというようなことはもちろん、やはりできる限り全国的に見て模範的な労使関係であるというふうにあってほしいと私ども常々念願しておるわけでございます。それに対しましていろいろ紛争があると一まあ、労使間でございますから紛争は当然でございますが、これはあくまでフェアプレーでやっていただきたいというように私ども念願しております。フェアプレーでない、アンフェアである、あるいは場合によっては違法であるというような疑いを持たれるということは、やはり労使双方にとりまして反省すべき点があるのじゃなかろうか、私どもはそういう観点から自重をお願いしたいと考えております。
○吉田忠三郎君 戸田委員の質問に関連をして、労働大臣にちょっと伺ってみたいと思います。国鉄の山口常務からそれぞれの答えがございました。手元に若干資料が出ておりまして、秘密の文書ではない、こういうお話もございましたけれども、この資料を見ますと、昭和四十四年の十二月二十日、答えられたように、仙鉄の労働課、マル秘と書いてございますから、これは秘密じゃないかと私は思うのですが、いずれにいたしましても、そういう文書が出ておる。それからナンバー八六、四十四年八月二十日、同じく仙鉄の労働課——労働大臣、ここを大臣に私は伺います。この労務管理資料「老いた総評と暴走する鬼子」というタイトルですね。非常に山口常務も申されたように、内容は客観性を欠いております。主観的に総評の大会をむしろ誹謗するような文書になっておる。はたしてこういうことが、国鉄の一地方のこの機関、特にその労働課が——冒頭、山口常務も答えられたように、労使慣行をつくっていくという労務の管理面には二つの面がある、私もそう思いますが、そういうことに一体こういうことが必要であるかどうか。それから四十五年の一月の六日、これも仙鉄の労働課、これは私も読んでおりますけれども、「毎日新聞」に出ておった。そのことを引用して、これも労働大臣、こういうことが必要であるかどうか。いま労政局長が答えられたようなフェアな労使慣行をつくっていただきたいという点から見て、こういうことが必要であろうと思いますか。「安保からむ賃上げ、響くか総選挙の社会党の惨敗」、こういうタイトルで、これまたきわめて主観的な内容で出ておりますね。一体、国鉄の地方のこうした管理局の一労働課というところで、その労務管理面で、先ほど常務の答えられたことが踏まえられてこういうことがなされているかどうか、非常に私は疑問に思いますね。全くこういうものは必要ないと思いますよ、国鉄の労働課というものの性格からいってですね。大臣どうですか。この三つを実例をあげて、これは国鉄側が具体的に出した資料にちょっと目を通すとこれくらいあるんですね。労働大臣、どう思いますか。政党の下部機関ではないですからね。
○国務大臣(野原正勝君) 労働組合法によって不当労働行為を禁止しているという点から見まして、仙台の国鉄の鉄道管理局が、何かいろんな労働組合に対する文書をつくっておるということをいま初めて聞きましたが、これはどうも国鉄のはたして正しいあり方かいなかということになろうと思います。そういうことについて、常に労働組合等の動き、いろんな考え方ももちろん鉄道管理局としては十分注目をしておるでありましょうが、しかし、こういうものをどういう意図のもとにつくったのかわかりませんが、とにかくこの問題につきましては十分な資料を私は見ておりませんので、しかも、いま聞いてみますというと、これは公労委に提訴しておる。そこで慎重に検討して裁定を下そうということになっておるそうでございます。したがって、この問題につきましては公正な判断を下して、できるだけ早くそれに対する公労委の考え方が明らかになるということを期待しております。それによって、私どものほうは必要に応じて適切な措置を講ずるということにいたしたいと考えております。
○吉田忠三郎君 大臣、関連ですからあまり多く時間をとりたくない。たった一言でいいですよ。国鉄の、つまりこの地方局であろうとあるいは本社であろうと、あるいはまた末端の一機関であろうと、政党の下部機関ではないでしょう。おのずからそれぞれの諸法規による制約がありますよ。そういう制約があるのにもかかわらず——私ども社会党の党員だからといって憤りを感じてものを言っておるわけじゃないんですよ。「総選挙の社会党の惨敗」などということは、大臣が所属しておる政党で書くなら私は認めますよ。これは国鉄の一機関の労働課ですよ、仙鉄の労働課。これは「毎日新聞」に出ておったものと同じですよ。そういうものを連載して、労務管理資料ナンバー九五。私は、正しいとか正しくないとかいう以前の問題として、行き過ぎじゃないでしょうか。大臣、これだけ言ってもらいたい、どうなんですか。
○国務大臣(野原正勝君) どうも鉄道管理局の労働課ですか、が堂々とそういう文書を出しておるというのはいかなる意図に基づくものかわかりませんが、必ずしもそれは公正なものとは考えられません。したがって、どうもこの問題につきましては私十分わかりませんけれども、もちろん政党の下部組織でないことは間違いございません。しかし、そういう労働課がそういう文書をつくって出したというのはいかなる意図に基づくものかわかりませんけれども、これが直ちに不当労働行為であるかいなかという問題は、公労委のほうで慎重に検討して、いずれ結論が出るでありましょうが、そういう問題は決して好ましいことではないというように考えます。
○戸田菊雄君 いまの関連質問の、好ましくなければ、しからば大臣としてはどういう措置をとるわけですか。
○国務大臣(野原正勝君) 先ほど申しましたように、公労委のほうでいま提訴を受けて、慎重に調査をして何らかの結論、裁定を下そうということになっておるそうでございます。したがって、私どもは公労委の裁定にゆだねておるわけでございますから、いまの段階においては、それに対してどうも公労委の措置に期待するという以外にないと思います。
○戸田菊雄君 まあ、要望として大臣にあれしておくのですが、好ましくないというならば、行政官庁として、やはり国鉄は政府企業ですから、そういうものに対して、好ましくない事実について具体的な措置をやはりとってもらいたいと思います。それを要望しておきます。 以下、また具体的な内容について山口常務理事に質問してまいりますが、さっきの具体的な内容について、さらにいま国鉄では社内報あるいは社内教育、職場懇談会あるいは下部懇談会、はては提案制度ないしは即賞制度等の各般の労務対策と見られる諸会合がいま数多く行なわれておるわけでございますが、これはいろいろな事実証拠によってあとから具体的な事実については質問してまいるわけですが、こういうものがやはり結果的には、一つは企業忠誠心、あるいは組合で言えば労使協調、そういうものを系統的に教育で培養しているという事実が実はあるわけですけれども、こういう内容については事実あるのか。あるいはまたそういうことが当局の根回しによって具体的に措置されているか、こういう点についてひとつお伺いしたい。
○説明員(山口茂夫君) 幾つか項目がございました。聞き漏らしたところがございましたらまた別にお答えすることにいたします。 提案制度につきましては、国鉄は昔から技術関係の職場が非常に大きなウエートを占めております。昔から現場での提案制度というのは重要視をいたしております。現に提案制度で発明考案というようなことで毎年相当数の表彰を行なっておりますし、この中で相当程度の高いものは科学技術庁長官賞をいただくということもございます。それからまた部内的には下山賞というのがございますし、総裁賞というような制度が昔から定着いたしております。したがいまして、提案制度につきましては、労働組合結成以前から伝統的に定着している制度でございます。 また、社内報につきましては、これはいろいろな業務関係の指導も、あるいはもう少しやわらかい家庭向けのものも地方でくふうをいたしていろいろなものを出しておる。これは御承知かと思いますが、非常にローカルカラーがありますが、かなり幅広く昔から力を入れてやっておる。ただこの問題と労使間の問題とは少し部面が違うと考えております。ただ、こういうものを通じましてある程度当局側からする組合に対する批判というようなものがゼロではないだろうと思います。しかし、組合が自分できめるべきことに立ち入って批判をすることは不当労働行為になるかと思いますが、当局側から見た組合というものを批判することは、これはお互いに許されることではないかと思います。いままでの何といいますか、慣行と言っては行き過ぎかもしれませんが、感じといたしまして、どちらかといえば組合側はわりあいいいたいことを言うが、当局側はまあ多少おとなで控えるというような雰囲気がございます。そういう面から見ると、多少刺激的なところがあるかもしれません。
○戸田菊雄君 これは前の吉田委員の質問に対して労働大臣の御答弁がありましたように、やはり私はそれに該当するんじゃないかと思います。 具体的に申し上げます。たとえば当局の労務対策社内報「つばめ」というのが発行されております。これを見ますと、主として国労、動労の諸闘争に対する反対キャンペーンをはっているわけです。あるいは国鉄合理化や国鉄再建の推進、こういうものが両面的に取り上げられて、そういうものが中心にやられていることは間違いないと思うんです。あるいは外郭団体の交通協力会というのがありますが、こういうものの中で発行されている交通新聞の一体化、これなんか具体的にきょう資料を持ってきておりませんが、七〇年春闘で一貫して動労、国労に対する中傷、誹謗、こういうものをやっているわけですね。それからほかに「国有鉄道」あるいは「フォアマン」、あるいは「運輸と経済」、大体私の理解するところでは十指に余る各種の機関紙というものが発行されて、そういうものを通じて大々的にいわば反対キャンペーンをはるということがやられておると思うんです。それから仙台の関係で申し上げますと、東北支社の——これは正式に読み上げます。「東北支社主催第十六回運転業務研究会」、内容は「私達が望む職場管理」、四十四年十一月六日発行でありますが、以下発行者の名前を記してそういうものが出されておる。あるいは管理体制の強化、あとで具体的な内容には触れてまいりまするけれども、業務命令の出し方、あるいは勤務要員の確保のしかた、職場秩序の確立、現場長交渉のあり方、あるいはビラ張り、時間内職場集会の持ち方、順法闘争に対する通達なり、信号所占拠についての対処のしかた等々が一貫して出されております。先ほど指摘いたしましたように、一九七〇年の問題、第二仙鉄労組、これがさつき申し上げましたように、私の理解では十集程度まで発行をされている。さらにこの仙鉄の「こだま」というのがありますが、これは号外という形で出されているんですが、このナンバーでいきますと、ナンバー四を付してありまするから、私の手元にはそういうものがありますが、おそらくこの内容を見ると、週に一回は定期的に刊行されているんではないか、こういうふうに理解ができます。それからもう一つは、この労務管理資料ということで、現場長会議の質問に答えて、管理者よ、あなたの職場でヒラ張り行為があったとき——ナンバー八五でありまするから、当然八十五部発行されておるということは理解できると思うんです。こういった数多くの言わば動力車労働組合組織切りくずしが各般の当局文書によって一貫して行なわれておる。まさしく巧妙に、多角的にやられておる。非常にこれは進んだ形でやられておるのではないか、こういう内容が具体的に実はあるわけであります。 もう一つは、提案制度でありますが、これは明らかにアメリカの管理方式ですね。労務管理対策方式、これのなま写しで国鉄が採用しておる。これはだれがみても、いまのアメリカの管理方式というものをみれば明らかだと思う。そういう自発性と自己申告性というものでありますから、こういうものの発揚をして、あるいはE誤まり、C原因、除去R、こういつたいわばヒヤット申告というんですか、そういうものが具体的に巧妙にやられておる。こういうものもあると思う。それに加えて即賞制度、これは国鉄の就業規則や行賞規程には全然ないわけですね。そうして即物的にそのときに単に現場長の判断一つで、おまえこういういいことをやったから昇給を与えると、こういう形で具体的にやられておる。そういうものがいま現場の中で、ことに動力車労働組合等に対して徹底的にやられておる。そういう実情がわれわれの調査の内容の中で歴然としてきているわけです。ですから、こういう問題については、私は明らかに不当労働行為対象事項であろうと思っておる。ですから、いま公労委にかけていろいろ係争中だと言われましたけれども、具体的な事実をわれわれ調査団として行ってそういうものを現認してきておりますから、こういうものに対して即刻国鉄当局としては法律に基づいた諸行為の是正をしていくべきではないか、こういうふうに考えるわけです。さらに最近これも新しい方法だと思いますが、国鉄を明るくする会、懇談、提携、扶助、リクリエーション、国鉄再建、大同団結の呼びかけ、こういうものがなされているわけですね。ですからこういう各般の巧妙な労務行為政策、こういうものがいま行なわれて、具体的には仙台の動労がかって約三千百名おったものが現在では二千百名、二年間のうちで約千百名が脱退を慫慂させられており、そのすべてが鉄労に入っておる、こういうことでありますね。鉄労に入ったときには必ず職制が陰で糸を引いておる、あるいは直接参画をする、みずから脱退を窓通しておる、そういうものが具体的に実はあるわけです。どういう方法でやっておるかというと、これは一つの方法でありますけれども、加入届というものがある、脱退届、警告書というものがあります。一つは、いま動労に入っている組合員が脱退をするときには脱退届を動労にやる。それから新しい鉄労に入るときに加入届をそちらに出していく、もう一つは職制、当局に報告をするようになっておる。この三点制が明確に印刷されて具体的に職場の中でやられておる、こういう事実であります。こういう事実について労働大臣は一体どういう見解を示しておるか、内容について具体的に説明していただきたい。それから国鉄の山口常務のほうには、そういう事実があることを現認してきておりますが、聞いておるのか、知っておるのか、あるいは聞いたことはないのか、こういう内容について具体的にお示しを願いたいと思います。これは見本ですから大臣ひとつ見てください。
○国務大臣(野原正勝君) ただいまの御質問の点は、先ほど申しましたように、公労委におまかせしていま調査中である。したがって近く結論が出てまいると考えておりますので、労働大臣としては、公労委の結論を待って適切な措置を講ずるという以外に、ただいまのところ申し上げられないのであります。
○説明員(山口茂夫君) 即賞制度、ビラ張り、いろいろございますが、特賞制度につきましては、就業規則にはございませんが、たくさんの人間を使ってまいります現場長が、何か部下の職員に善行なり、ほめるべきことがあったときに、すぐタオル十本ぐらい出してほめるというのは、これは大きな組織で人を使う立場に立てば、まあ当然のことではないかと思います。これはその特賞制度をもって終わるものではなくて、とりあえずその場でほめるという意味の品物でございまして、これが別に労働関係にどうこうというようなものではないと理解いたします。 それから、先ほど御指摘のございました労働課の資料の中に、ビラ張りの場合に云々というようなお話がございましたけれども、労使間で組合の意思を組合員に伝達するためにどういう伝達方法をとるかということでは、こういう場所でこういう規格のもので周知をさせるというような話し合いがちゃんとできている。したがって、先ほどお話のございましたようなビラをはがすとか何とかというのは、その約束の場所以外のところに張られるビラのことだろうと思います。組合側も同じような労務管理資料を組合員に配っております。これにはビラ張り闘争ということばが使ってございます。したがいまして、闘争ということでビラを張られるならば、やはり闘争を処理しなければならない現場長も間違わずに処理できるような手段を教えるのは、これはわれわれは仕事だと思っております。そういう意味で、刺激的でない程度の手段、方法を書いて配ったのでございます。 それから、動労の組合員が非常に減っているという話でございますが、これはそのとおりの現象が少なくとも仙台では起こっているようでございます。ただ、これが当局側の不当労働行為によるものかどうかという点では、先ほどから申し上げておりますように、議論が分かれているところでございます。背景には、やはり先ほど御指摘のございました労務管理資料のうち、職員が出しました運転研究会の作文の話がございました。これは、運転研究会という職能的な現場の職員の機関がいろいろなレポートを出しまして、その中でできのいいものを管理局長なり、支社長が表彰するという制度でございますが、先ほど御指摘のございました四十四年十一月の分には「交流機関車の保守方法」とか、いろいろ技術的な作文がございまして、その三編のうちの一つが先ほど御指摘のものでございます。これは、むしろ若い機関助士の諸君が三人で書いた作文でございまして、何が書いてあるかといいますと、われわれは国鉄に非常な夢を持って入ってきたが、五年たってみると、何か労使間でいがみ合いばかりしている、これではわれわれに夢がない、したがって、現場長、管理者はもう少ししっかりして若い者を引っぱっていってもらわなければ困るということが書いてあるわけでございまして、むしろ職制に対する青年職員の要望というような構成になっているわけでございます。これがたまたま賞に入って出たわけでございますが、お目ざわりになったのはそれだと思います。そういうことばが、若い職員が五年間つとめてそういうことを管理者に言わなければならないというようなことは、まことにわれわれとしてはお恥ずかしいことでございますが、そういう雰囲気自体がやはり客観的に見て組合員の数に影響してきているんではないかと思います。発生的には、動力車労働組合は国鉄労働組合から分かれた組合でございまして、動力車区の現場長その他はほとんどが動力車労働組合出身者で占められている。したがいまして、何といいますか、心情的には動力車労働組合にどちらかといえば近い雰囲気を持っていると思います。したがって、仙台ではそういう特殊な現象を呈しておりますので、逆にいえば問題になっているのかもしれません。
○戸田菊雄君 私、具体的な事実はあとでひとつまた出していきますけれども、もう少し基本的な問題について質問してまいるわけですが、われわれが仙台管理局の具体的調査に行って感じたことは、大体六つぐらい感じられますね。一つはどういうことかというと、人事面を通じて動労の組合御用化をはかっておるという点。それから一つは労使慣行がすべて一方的に破棄をきれる。たとえば就業時間中の組合活動の禁止とかあるいは施設利用の制限、あるいは掲示板撤去、あるいは掲示内容の干渉、あるいはビラの配布、貼付の禁止並びにそういうものに対する制限、あるいはリボン、組合バッジ、こういう各般の具体的な制限ないし組合活動の妨害といいますか、そういうものが一つ具体的にあるわけです。一つは間々職場交渉それ自体の拒否をするという、こういう形、拒否をしないまでにも数を徹底的に制限強化していくというようなことがございます。それから昇職、昇格、昇給、こういうものに対する一あとで発表いたしますが、徹底した差別待遇ですね。ことに鉄労と動労との差別待遇、こういうものが一つあります。それからもう一つは第二組合を徹底的に育成強化している。こういう具体的事象があるわけでありますが、こういう内容をわれわれが見ますると、一貫して不当労働行為で、いわゆる動労の切りくずしというものがやられているわけです。ですから、こういうものが団結権保障という、いわば法的意味、内容、そういう角度から考えて、さらにいわゆる団結権に対する基本的人権、こういう保障をしている憲法二十八条との関係あるいは二十八条等による労働運動の歴史、あるいは団結権の生成過程各般の客観諸情勢から考えて、少なくとも組合運動そのものは、先ほど大臣も答弁をされたように、国家権力から一つはこれは自由でなければいけないんだろう、こう思うんですね。したがって刑事事件に対する免責事項があるわけです。あるいは組合自治の保障というものがあるわけです。もう一つは、やっぱり使用者からの自由というものが私は当然あるんだろうと思うわけです。そういうために、具体的には民事訴訟の免責があり、不当労働行為の禁止というものが労組法七条で各日きめられておる、こういう筋道で私はきておると思う。ですから、いま私が具体的に現地の実情というものを指摘したような、こういうものが現存しているということについては、明らかにこういった憲法なり各種法律に比較しても、これは明確に違法行為ではないか。こういう点について、労働大臣はどう一体お考えですか。
○国務大臣(野原正勝君) 先ほど来申したとおり、この問題につきましては、ただいま公労委で慎重に検討している、近く結論が生まれるということでございますから、その結論を得た上で私どもの対策を講じたいと考えております。
○戸田菊雄君 労働大臣の回答はもっぱら労働委員会の結論待ちということですが、あなたは労働大臣ですからね。こういう現実の諸問題が現場に行って実際あるというんです。このあった事実について、もしなかったとしても、仮定として大臣は一体どう考えるか、その見解をはっきり示してください。
○国務大臣(野原正勝君) はたしてそういう事実があったかどうかもあわせていま検討しておると思うんでございます。したがって、一方的にただいまの御指摘の話だけを聞いて結論を出せと言われても、これは公労委におまかせしてある案件である、しばらくその結論を待って対策を講じたいと考えております。
○戸田菊雄君 じゃあ、大臣、そういうものを労働大臣として調査をする意思はないですか。こういう事実について調査をする意思はないですか。
○国務大臣(野原正勝君) 公労委がそういうものを取り扱う機関でございまして、十分公労委としてはその調査もしたでありましょうし、その上で慎重に結論を出すという態度であると思うんでありまして、いましばらくは公労委の結論を待つ以外にないと考えております。
○戸田菊雄君 時間がありませんから、先に具体的な内容で進みますが、常務にお伺いするんでございますが、この業務命令について、資料のこの仙鉄発行の「管理体制の強化」というものが発行されているんですが、この内容を見ますると、こういうことになっているんですね。ちょっと読んでみますと、「業務命令は毅然たる態度をもって発すること。業務命令書を役員が一括して返上に来た場合は無用の問答を避け受領を拒否する。各自が夫々返上に来た場合も又同じ、仮にこれを受取ったとすれば、出した業務命令を取消したことになる。相手を恐れず違法行為は絶対行ってはならないという態度を堅持する。相手の行動を現認して記録する。その要領は次のとおり」、ここまでくると労働者はまさに犯人ですね。そして具体的には「いつ、どこで、誰が何をしたか」、「就労していたか、いなかったか」、「相手が手をふれたときは「〇〇君暴力をふるったな」等と大声で叫び直ちに時間と場所、関係者及び具体的内容等を記録する。」、こういうことで業務命令等に対する具体的な現地の取り扱い指示内容というものがこの中にあるわけです。そこで私は考えるんですけれども、業務命令というものがすべてこの文章でいきますると絶対的なものだというふうに思われているんですね、当局の考えでいきますと。もう何かにつけてとにかく業務命令というものを乱発してくる、あるいは処分のおどしをかけてくる、そして服従というものを徹底的にごり押ししていく。ことに組合活動そのものに対してはものすごくきびしいんですね。だから、こういうことを考えますと、いまの各種近代法からいって、労働者は金はないですけれども、その使用者と労働者といえども、これは自由平等において私は全く同等だと思うんですね。あるいは労働契約、法律的に対等であるべきなんですね。あるいは人間同士としてはもちろん同等ですね。こういう各般の業務命令というものが乱発をされているんですけれども、こういう事実内容についてはどうお考えですか。 それからもっとあるんですが、これはあとでまた指摘をしまするけれども、こういう内容ですね。私は判断するに、労働契約で約束した範囲内のものについて業務命令、こういうことがあることは当然だろうと思う。しかし全部がそういうもので業務命令で押しつけていっていいんだということは私は考えられないのですね。あるいは各種法律、協約その他と比較をして違法なものについては、これは当然従わなくてもいいわけですね。あるいはこの就業規則に対する違反事項、こういうものも従わなくていいんだと思う。あるいはこの法令違反、こういうものはもちろんですね。さらにこの慣行に対して違反しているようなものも従わなくていいんだと思う。ところが、いまの状態でいきますと、すべてが公労法十七条もしくは業務命令違反ということで大量に乱発をして、正当な組合活動それ自体が全部剥奪される、こういうやり方。だからこういう問題について詳細に常務理事の回答を求めたい。と同時に、これは労政局長の法的見解を明確に示していただきたい。
○説明員(山口茂夫君) いまお話のございました業務命令でございますが、労働組合と当局は団体交渉を行ないまして労働協約を結びます。これは立法的な一つの機能を持っております。それからお話のございました業務命令は、この協約なり協定の範囲内で仕事を毎日やっていく上に具体化する、言ってみれば、行政に似たような行為だと思います。そういう意味では、お話のございましたように、労働協約や協定を破るような命令というものはあり得ないわけでございまして、その範囲内で常に当局側の規定が整備され、労働条件に関係のあるところはその範囲内で執行するというのが当然でございます。それからそういうことについて協定なり協約あるいは規定の解釈運用等について誤りがあるというぐあいに職員が感じました場合には、これは司法的な機能を持った苦情処理という制度がございます。ここにまかせます。これは労使双方から代表が出ております苦情処理機関でこれを処理をして、裁定を出して、間違っておれば直す、あるいは立法といいますか、協約の不備等があればもう一度団体交渉に戻って労働協約を結び直して規範をつくるというような動きになると思います。したがいまして、この業務命令というのは、何でもかんでも当局側が雇用者であるという立場で無理難題を押しつけるというような性格のものではございません。それからお話の中で、違法な業務命令には従わなくていい、これは当然のことでございます。私どもが組合との関係で争いが特に現場で起こりますのは、違法な組合の指令には従わなくていいという点で争いが起こるわけでございまして、違法であるか違法でないかという場合に、個々の実定法で言うのか、憲法までさかのぼっていろいろ言うか、その辺に立場の相違がございますが、違法な命令は業務命令であろうと組合命令であろうと、組合の指令であろうと職員はこれは従う必要がないのじゃないかと、かように思います。
○説明員(石黒拓爾君) 業務命令についてのお尋ねでございますが、申すまでもなく、労働者というのは労務を提供しその対価として賃金その他の給与を受けるものであります。その提供した労務をどのように使うかということは一応使用者の権限に属します。したがいまして、業務命令と申しますのは、使用者が提供された労務の処理というものにつきまして必要がある場合に特にこれを明示するというのが業務命令であろうかと存ずるわけでございます。御指摘のように、業務命令というのは、ともかく何でもかんでも出してよろしいものではございませんで、法令並びに労働協約、労働契約の範囲内において行なわれるべきものであることは申すまでもないわけでございますが、その範囲につきましてときどき争いが起こる。特にわが国におきましては、労働契約というのを文書にするという慣行がございませんために、ときに争いが起こるわけでございます。そういう争いが出ました場合には、もちろん裁判所というものがあるわけでございますが、できますことならば、これは労使双方が協議をいたしまして、そうしてそこで自主的に解決するということがきわめて望ましい。労使関係というものにつきまして、私ども、労使自治ということを非常に重く見る立場におりますので、自主的に解決することがきわめて望ましいと存じますが、ただ公企体につきましては、当局側もそうでございますが、労働組合、労働者側もいろいろな法令の制約を受けている。かなり双方とも行動が窮屈になっておる。それが紛争の際になりますと、かえってその間労働組合側の行為あるいは使用者側の業務命令といったようなものが適法であるかどうかということの争いをしばしば生ずるきらいがございます。これは民間よりもむしろ多いんじゃないかという感じもいたすわけでございます。これにつきましては、双方に法令、労働協約等の趣旨を十分理解して、自主的に解決をしていただきたいし、また基本的には相互信頼に立ちまして、よき労働慣行をつくるというふうに努力をしてもらいたいというふうに私どもは考えております。
○戸田菊雄君 具体的な問題で、では、こういう問題はどうですか。松井委員もいろいろ質問をしているんですがね、家庭訪問というようなのをやっているんです。それは、たとえば、ある機関区では職制——区長が先頭になって一団のグループを編成して、あるいは指導機関士、そういったものがいろいろグループを編成して昼夜を分かたず、一時でも二時でも家庭訪問して、ストライキ違反署名、それから動労の脱退慫慂、こういうことを具体的にやっているわけです。こういう問題は明らかに就業規則を見ても、労働協約を見ても、各法律を見ても、まさしく業務命令的に推し進められているわけですから、私は違反だと思う。こういうケースについては、どう考えていますか。
○説明員(石黒拓爾君) 業務命令は、労働時間内の業務遂行についてなされるものでございまして、従業員同士がかりにそれが職制上、上とか下とかいう関係はございましても、労働時間外に相互に家庭を訪問するということは、通常は業務の範囲外であろうかと考えるわけでございます。その業務の範囲外でありましても、場合によりましては、たとえば災害防止について家族の協力を求めるというようなことをやってはいけないということはもちろんございません。同時にまた、組合の内部干渉をするというようなことは、これは労働時間外であってもやってはいけないことでございます。それからまた昼夜を分かたずというお話がございましたが、プライバシーを過度に侵害するというようなことは、これは労働法以前の問題であろうかと考えるわけでございます。同時にまた、しかしお互いに行き来をするというようなことは、これは相互の親睦のことでもございますし、一がいにいつもいけないというわけでもございませんで、これは要するに中身の問題じゃなかろうかと考えております。
○説明員(山口茂夫君) 家庭訪問につきましては、前回も当委員会で御質問を受けております。いま労政局長からお話のように、行き過ぎのある場合には、これはもう労働関係以前の問題でございます。常識の問題でございまして、それを越えるものは常識的にも否定されるべきものだと考えます。ただ、仙台で問題になっておりますケースをわれわれなりに聴取いたしますと「三ない運動」というものをやっております。これはけがをしない、事故を起こさない、そういう運動をやっておりまして、これが家庭訪問で非常に効果的であるという考えでやっておるようでございます。ただ、お話しのように、その際に組合の脱退を勧誘したりあるいは他方の組合への加入を勧誘したりというようなことが行なわれれば、これは当然いけないことだと思います。 なお、御承知のように、動力車乗務員、列車乗務員につきましては在宅予備というような制度もございまして、通常乗務をいたします職員のほかに、かわりの要員が予備員として区に出勤をいたします。それ以外に自宅で何時から何時までは予備員として待機をされたいというような制度が——きわめて国鉄的な制度でございますが、ございまして、これは自宅にいる時間も後ほど、たとえば動力車乗務員であれば六分の一はハンドル時間に換算するというような制度が定着いたしているわけでございます。こういう意味からも、家族に対して在宅時間もいろいろ気をつかってもらいたいというようなことは、ある意味では恕し得る、恕していただけることではなかろうかと考えております。
○吉田忠三郎君 山口常務、あなた、たいへんきれいごとを一般論として、一般の常識論として答えられているのですが、これは仙台だけではないでしょう。全国的に意図的に、意識的に、目的的に家庭訪問をやっているじゃないですか。たまたまいま仙台の問題が同僚戸田君から指摘されておりますから、仙台に限り答えているのだと思いますが、私ども北海道へ行ってもそうですよ。それがいまあなたの答えられているようなことで日常やっているなら問題は起きないと思うのですよ。ところが、ある一定の何かのときに目的意識的に家庭訪問をしている。いまあなたがおっしゃられたような、乗務員に対する安全の問題であるとかあるいはその他等々の問題で家庭を訪問して、その職員の家族に協力を求められるということについて私ども否定しませんよ。ある意味においては積極的にやったっていいと思う。ところが、そういうことではないのです。非常に各それぞれの職員の家族は迷惑をしている。それは、あなたのおとうさんがこういうことをやるから保護願いを出しなさいとか、あるいは戸田委員が質問されたような内容のものを持って家庭を訪問するわけですね。しかも、労政局長が答えられたように、一般論としてそういうことをやるならば問題になりませんが、ややともするとプライバシーの侵害にまで及ぶ問題を惹起しているじゃないですか、全国的に。ないですか、そういう問題。家庭を訪問して、その家庭の奥さんと手を握ったとかあるいはお酒をごちそうになったなんという実例がないですか。ただ、国鉄の職員は良識があるからこういう問題をいまだかつて表面に出さなかったにすぎないので、先ほど申し上げたように災害の協力あるいは国鉄の安全輸送を確保するための協力などなどは、これは常識論でありますから了承しますけれども、いま国鉄が全国一斉にやられているものはそういうものではないと思います。これは私は個人のプライバシーの問題として、当然いつかはこういう国会の場で問題になるであろうと予測をしておりました。こういうものはさっそくよしたほうがいいと思うのですけれども、どうですか。
○大橋和孝君 関連して。いまの議せられている問題は、私は京都なんですが、関西にもある。私も、その事例があるので一度これは問題にしようと考えておったわけでありまして、戸田委員あるいは吉田理事のほうからもお話しがありましたが、私も、そういう面はたくさん実例を承知しているわけです。たとえばいろいろ思想的な考え方を奥さんのほうから是正するように要望してみたり、いろいろなことが出ているわけでありまして、この問題は、ただ単にいまのような答弁では済まないものがあるということを常務のほうもおそらく承知しておられての返答であろうと思うのでありますが、この点についてひとつある程度明確にしておかないと、せっかくこういう問題が出たときに、きれいごとだけで済まされてはいけないと思います。いまのあなたが答弁しておられたような域を脱しなければ別にかまわないと思いますが、その域を脱していることが現実にあることを常務としては十分把握して、もっと善後措置を考える必要があると思うんで、私も一言この問題に対しては補足をして考え方を聞きたいと思います。
○説明員(山口茂夫君) 先ほど「三ない運動」と申し上げましたが、一つはけがをしない、一つは事故を起こさない、三番目を省略いたしましたので、三番目は闘争に参加しない。国鉄は、現在の公労法のたてまえはストライキを御承知のように禁止をされております。ところが現実には組合側からスト指令が出ます。たてまえとして汽車を動かさなければならないたてまえになっておりますので、できるだけの職員を出勤をしてもらわなければなりません。こういう場合に、先ほど申し上げました在宅予備という制度が非常に効果的なわけでございます。出てきた職員がいろいろな紛争に巻き込まれて汽車に乗り込めない場合、在宅予備の職員にちょっと出てくれという——それはその場の思いつきではございませんで、前々こういう事態が起こったときには、あなたの勤務はこうなるという勤務指定はもちろん要るわけでございますが、そういう制度がある。そういう場合に、こういう呼び出しがあったらぜひ出てもらいたいという職員に対する希望と同時に、家族の方にもそういう事例があるからというようなことで、これは現場長の信条として、できるだけ自分の受け持ちの範囲では列車を正常に運行させたいという信条からやむを得ないものではないかと思っております。ただ、お話のように、闘争というのは法律で規定されているんだから、出て乗務をしてくれという話のほかに、いろいろなお話しの思想の問題でございますとか、そういうプライベートな問題まで立ち入ることがあれば、これは多少問題があると思いますが、この辺は労使間の問題を離れました常識の問題ではないかと思います。
○吉田忠三郎君 常識の問題が度を過ぎているんですよ。家族の方は迷惑だと言っているんですよね。駅長なり助役あるいは管理者が来て、玄関先でいまあなたのおっしゃられたような要請、それは時と場合によってはあり得るでしょう。上がり込んじゃってすわり込んで、これは子弟の教育上よくないという訴えがわれわれに来ていますよ。握手を求めたり、いいかげん酒気を帯びて来るやつもいるというんだな。あなたの常識論でいっても問題はたくさんありますよ。それが仙台だけではなくして、あなたはストに参加してもらいたくないからと、こう言っていますから、全国的に私はやっているんじゃないかと思うんですが、全国至るところで目的達成のためにやっているんですね。家族は、あなた在宅予備ということを言われますが、関係ないですよ、これは。家族まで拘束するものは何もないでしょう、法律的に。日鉄法あるいは国鉄営業法、あるいは運転規則にしたって家族を拘束するものは何もないでしょう。それを事もあろうに、深夜であろうと早朝であろうと、所と時間をかまわずあなた方の指示によってやられている。迷惑だと言っていますよ、子弟の教育上よろしくありませんという。この間、小樽でも私に直接育った奥さんがいましたよ。この辺は、あなたどう判断しますか。国鉄ともあろうものがそういう卑劣な労務管理の法則なんてありますか。
○説明員(山口茂夫君) いま吉田先生から御指摘のございましたようなケースは、行き過ぎがありますれば、これは当然労使間の問題を離れまして非常識な行為だと思います。そういう行為がもしありますれば改めなければならないと思います。
○戸田菊雄君 その家庭訪問は、いまいろいろと指摘をされているわけですがね。実際ひどいですね、現地へ行きますとね。もうここでゆうちょうにやっているようなものじゃないです。少なくとも常識からいったって、十時以降というと深夜ですね。もうどこの家庭だって就寝の時間ですよ。そういうところにぬけぬけと十一時であろうが十二時であろうが訪問しているんですよ。これは何件となく具体的な事実があるんですから。少なくとも労働者というのはまじめですからね、うそを言っていません。現実こういうことでいまやっているわけです。ですからそういう内容が非常に多い。吉田理事も話をされましたように、ある者は職制をかさに着て脅迫的な、あるいは酒気を帯びている。はなはだしきは当該労働者が——これは来られちゃいやだから、面と向かってやられれば職制だからどうにもこうにも、そういうことで断わり切れないので友達のうちへ行って泊まるというのです。そうすると奥さんしかいないわけです。そうすると奥さんに向かって徹底的に説得して、ストライキをやるなと言う。こういうことがいまやられていることは間違いない。これはわれわれも行って、現地の責任者がやっていますと言うのです。それでこういう事実もあったじゃないか、こういう事実もあったじゃないか、こういう事実もあったじゃないかと言われると、しらを切って逃げるという状況です。こういうあくどいやり方は私は即刻停止をしてもらいたいと思うんです。これは強くひとつ常務のほうに要請すると同時に、これは大臣ね、労働問題以前の問題だ。いやしくもプライバシーの問題、私生活の干渉だ。これは基本的人権なんというものじゃないです。それ以前です。とにかくそういう不当の限りを現地においてはやられているという事実が一ぱいありますけれども、私は時間ありませんから一例を申し上げて、これは即刻ひとつあれしてもらいたいと思うんですね。そういう点について、これは常務も、非常識である——非常識であるというのは違法だということでしょうから、即刻それは中止をさせてもらいたい。労政局長も同様の答えをしている。これは共通的な答えが出ているわけですから、そういう面については、ひとつ大臣直ちに停止をさせるということでやってもらいたいと思いますが、どうですか。
○説明員(石黒拓爾君) 私のことばを御引用になりましたので、私から一応お答え申し上げますが、家庭訪問等につきまして、これが行き過ぎになってはいかぬ、特に労働省の立場としては、これが不当労働行為になるというようなことはぜひやめていただきたいと思います。ただ著しく深夜にわたるというような問題につきまして、不当労働行為の問題を除きますと、それは非常に好ましくない、非常識であると常務理事も言われますけれども、非常識の場合もあるかもしれません。そういう問題につきましては、私どもも好ましくないと思いますが、これは何も労働運動の問題だけじゃございませんで、社会現象としてほうぼうでいろいろなものがございまして、私どもとしましては、そういうことがあるという場合にはたいへん好ましくないと思いますが、それを労働省といたしまして即刻停止させるとかなんとかというようなわけにもまいりませんで、これは当事者の良識に訴えるという以外にありません点を御了承いただきたいと思います。
○戸田菊雄君 それは労政局長、だめですよ。かりにあんたの家庭に毎晩何かの要請で行ってごらんなさい。その場合に、あんたどうしますか。住居侵入その他で直ちに訴える——大臣だって同じことでしょう。そんななまやさしい問題じゃないですよ、訪問なんて。どうなんです。
○説明員(石黒拓爾君) 私も一ころ、あることで非常にしばしば家に押しかけられて迷惑をいたしたことがございます。したがって、そういうことをされる方の迷惑というのは十分察せられますが、これはよくよくひどくなりませんと住居侵入というのにはなかなかもつていきにくいものでございまして、住居侵入の構成要件というのはいろいろございますから、そこまでいたしません。もちろん警察に言って警察官に処理してもらうわけでございますが、そこまではいかないけれども、ずいぶんしつこいひどいやつというのがしばしば世の中ではあると思います。そういうケースにつきましては、なかなか私どもとして、適切に処理しろと言われましても、ぴたっとやめさせるような方法はなかなか持ち合わせがございませんという趣旨で申し上げましたので、御了承願いたいと思います。
○戸田菊雄君 時間がありませんし、内容が非常に膨大でありますから、いずれ機会を見てまた次の機会にやりまするけれども、労働基準局長に一点、この年休の問題でお伺いをしたいのです。それはこういうことなんです。同じように「管理体制の強化」の中で「勤務要員の確保」、こういうものがありまして、読み上げますと「年休、組休は、業務に支障あるとし抑制すること。」、こうなっていますね。ところが動力車労働組合と国鉄当局の間で結ばれている「労働協約・協定集」というのがある。これによりますと、年次有給休暇については、計画使用と自由使用と二つに分かれている。その配分がありまして、計画使用は十二日間、自由使用は八日間、合計二十日間の使用ということになっておる。それで(運用)の第四条には「毎月1日に発給する休暇の3/5の日数を計画附与とし、残りの2/5の日数については自由使用とする。」、こう明確になってる。それから十条の(自由使用)にまいりますると「自由使用の対象となる休暇は、計画附与の対象とした日数以外のもの及び計画附与の期間内に不消化となり2年目に繰り越されたものとする。」と明確なんですね、この運用方式は。ところがこの「管理体制の強化」というこの通達内容を見ますると、業務に支障あるとしてあらかじめ抑制しているわけです。それから労働基準法へまいりますと、これは基準局長の分野ですからもうすでにおわかりだと思います。基準法の三十九条に、年次有給休暇の支給方法というものは明らかなんですね。こういう各般の協定・協約集やあるいは労働基準法からいって、こういう管理体制強化の名目のもとに年休をあらかじめ抑制するというのは、はたして違法でないのかどうか、この見解をひとつ。
○説明員(和田勝美君) ただいま先生御指摘のように、労働基準法では、三十九条に年次有給休暇の規定がございまして、与える日数、与える条件、こういうものを書いております。したがいまして、この三十九条に該当する年次有給休暇につきましては、三十九条に規定してあるとおりの使用をしていただかなければならない。三十九条をこえる有給休暇につきましては、それは労使双方で取りきめられた方式によってやっていただければけっこうである、こういう扱いでございます。いまお述べになりましたような日数の計算が、実は先生すでに御存じのように、個人によって、勤務年数によって違っておりますので、一がいには言えないと思います。そういうことからいたしまして、相当長い方につきましては二十日間までは法律に定める有給休暇になり、勤務年数の短い方につきましては六日以上二十日間までというようなことになりますので、直ちに一がいに言えない点があると思います。ただ、法律の三十九条に基づきます年次有給休暇でございますと、これは労働者の請求権になっておりまして、労働者が請求した時季に与えなければならない、こういう規定になっております。ただ、その請求をされた時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては他の時季にこれを与えるという選択権を一応使用者が持っておる。こういうことでございまして、本質的には労働者の請求したときに与えろと、こういうような条件でありますので、三十九条に規定してある年次有給休暇に関する限り、いま申し述べましたようなことで国鉄でもやっておられると思いますが、それに違反があるようならば、私どもとしても十分それに対処していきたい、かように思っております。
○戸田菊雄君 基準局長の労基法三十九条の解釈は、原則的にそうだと、私もそう思う。もう一つは、この協約・協定集の年次有給休暇の覚え書きというものがある。この中でもいま言われたように、年数に応じてどういうふうに配分をしていくかということもこれは明らかに附属覚書の二項で明確化されているのです。たとえば十年以上では制限日数は三十日分以内、あるいは十年二十八日、八年が二十五日、ずっと最低が二年で七日と、こういうふうに全部区分、配分まで詳細にきめられている。そしてなおかつ自由使用の場合については、その支給のいわば順序も定まっている。どういうことかというと、前年発給の法定内休暇、これをまず優先的にやりなさい、あるいは前年発給の法定外休暇、あるいは当年発給の法定内休暇、当年発給の法定外休暇、第五条本文に定める計画休暇で消化されずに二年目に繰り越された休暇、第八条、第九条に定めるたなあげ休暇、こういうぐあいにもうすでに六項目にわたってその発給の順序も全部明確化されている。だからこういうものからいって、先ほど国鉄の常務も回答されたように、すべては就業規則、労働協約、各般の覚え書き、こういうものに違反するものは業務命令の違反だ。ところが「管理体制の強化」の中には、年休、組休は業務に支障あるとして抑制することと明白になっている。だからこういう指導内容というものは私はまさしく違反ではないか。だから基準局長がいま言う法律上の解釈はそのとおり私も賛成。こういう問題をどうするのか、これが私の質問なんです。その点です。
○説明員(和田勝美君) 三十九条の解釈については御賛成をいただいておりますから、それを前提にして申し上げますと、三十九条に定めてあります有給休暇につきましては抑制をするということが原則的にはできない、かように思います。三十九条をこえる分については、これは労使双方の約束事でできたものに従って処理されればけっこうである、かように考えています。
○戸田菊雄君 常務のほうの解釈はそれで当然ですね。
○説明員(山口茂夫君) 原則はそのとおりでございます。その労務管理——何をごらんになったかわかりませんが、おっしゃっておりますのは、闘争時の異常なときについての心得をいっているわけでございます。
○戸田菊雄君 それは常務、誤解ですよ。これは確かにそういう事態の中でしょう。しかし、いま現地はこのことが常態化されている、このことが。これはあとで現実調査していただきたい。そういうふうになっています。ですから私は問題にしたのであってね。
○説明員(山口茂夫君) 休暇の問題が労務管理の問題になりますのは主として闘争のときでございます。それ以外で問題になりますのは、国鉄の仕事は、御承知のとおり、断続が許されない仕事でございますので、一人の権利を認めますと他に迷惑をこうむる者がいるということで、そういうところは譲り合うという互譲の精神がなければ円満なチームワークはできないわけであります。そういう原則はございますが、一般的にいま戸田先生が御指摘のような、都合のいいときにしかやるなというような指導はいたしておりません。なお、現実にそう行なわれているという御指摘もございましたので取り調べてみます。
○戸田菊雄君 それから昇給昇格の問題について、これも各種協約、就業規則その他各般の付属規定があって明確化されているのですが、この問題について、いま協約の精神というものは、一つは欠格条項、一つは抜てき昇給、こういうものがいろいろあるわけですが、そういうものを除いた以外のものでも、これは具体的に差別昇給というものをやられている。具体的に申し上げますと、これは四十五年の四月期昇給ですから、今年度です。これは小牛田の場合ですけれども、機関助士五十六名おるわけですが、それが抜てき昇給と不均衡是正が動力車労働組合の場合ゼロ、鉄労の場合は三、二。全部鉄労です。それから長町機関区の場合は、乗務員格づけ四職が動労はゼロで鉄労が一名。事務掛七職、これも格づけですが、動労はゼロ、鉄労が一。検査長、これは抜てきですが、動労はゼロ、鉄労が三。それから検査掛が格づけ九職で、これは動労が一名、鉄労が六名。抜てきが動労はゼロ、鉄労が十四名。検修掛、格づけ六職、これは動労の場合がゼロ、鉄労が三名。車両掛、格づけ五職ですが、これは動労がゼロ、鉄労が二名。合計にまいりまして、この格づけが三十七名中、鉄労が二十一名、動労が十四名その他。抜てき昇給が五十三名中、動労が九名、鉄労が四十四名。そしてその動労の十四名、九名の中でさらに最近九名が脱退をしている。鉄労に入っている、この中からさらに。ですから、実質的には全体含めて動労は十四名の鉄労は五十三名です。だから、こういうふうに極端に経済上における各般の不利益待遇というものがやられている。これは労働組合の本来の使命から言ったって、動労としてはこれは認めることはできないと思うのです。こういう問題について、常務としては、一体どういうふうに考えておられるか、その内容をひとつ説明してください。
○説明員(山口茂夫君) いま先生から御指摘のございました数字は、ちょっと手元に確認する資料を持っておりませんので、お話のことを前提に意見を述べます。 昇給昇格等につきましては、基本的なルールは中央で協約を結びまして、これに従いましてその範囲内で地方で行なわれているわけでございます。この昇給なり昇格が規定なり労働協約に誤りがあるということを感じた職員は、これを苦情処理の機関に出しまして、労使で構成しております機関で部内的に自主的に解決するたてまえになっております。そういう救済手段はございます。なお、動労、鉄労という二つの組合だけの数字を拝聴したわけでございますが、おそらく国鉄労働組合の職員も中にいると思います。そういう全般を見ませんとわかりませんし、こういう問題は個人に特定したものでございますので、人間を捨象しまして数だけでいろいろ議論することもいかがかと思います。御指摘のありました機関につきましては、調べまして別途御報告を申し上げることにしたいと思います。
○戸田菊雄君 あと二つほど、若干時間をオーバーしておりますが、お許しを願います。 それは、いまの昇給昇格の不利益扱い等につきましては厳重に調査して、あとでひとつ回答をしていただきたい。 それからもう一つは、国鉄の職員採用、これは一定の公募制をとっているわけですが、この採用された職員の身元保証人は管理職以上でなければだめだということで、最近内規が改正された、こういうことなのですね。これは国鉄のみならず、全国的にそういう共通事項は実はあるわけですね。縁故者採用とかあるいは身元保証人が何か親戚の者でなければだめだとか、こういうことが数多くあるわけですが、こういう内容は、雇用契約上からいって労組法第七条第一号の本文の後段、これに大きく抵触するのじゃないか、まさに採用にあたっての不当労働行為でないか、こういうふうに一つは考えるわけです。こういう問題はもう世界的にもかってアメリカ等は黄犬契約と称してこのものが問題になって、いまは排除されたのですね。ですから、こういう雇用人事、いわゆる採用条件としてそういう特定の者に限定をした形で採用をやる、こういうことについてはそれを取り除く強制法というものは当然あってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、大臣の見解、これはどうですか。
○国務大臣(野原正勝君) 法律解釈でございますから、労政局長に答弁させます。
○戸田菊雄君 ぼくの言っているのは、今後の制度的な設定方式です。
○国務大臣(野原正勝君) 今後はひとつ十分検討しましょう。
○吉田忠三郎君 関連。大臣、今後検討しましょうだけで、はいそうですかということにはならないと思います、法律上の問題ですから。ただいま同僚の戸田委員のお話を聞いておりますと、たとえば採用したときの保証ですね、保証人、保証権の問題でしょうね。その場合に管理者でなければならないというようなことを規制していますから、その他はいけないということですね。そういう方が保証人になれば採用できないと、逆から言うとそういうことになりますね。ところが、民法で保証権というものは何人もできる。この点でどうでしょうか、民法というものを否定しているじゃないですか。民法というものを否定しているのですね。民法を見てくださいよ。民法には何人といえども禁治産者でない限りは保証権があるのですよ。この点をはっきりしてもらわなければいけないわけだな、これは。
○国務大臣(野原正勝君) 私どもも実はしょっちゅういろいろな保証をしてくれというので保証人になります。しかし、保証を受ける、保証を要する場合、やはり何か保証人をできるだけ信頼できるような者を保証人として選ぶのは当然だろうと思います。国鉄の場合、管理職でなければいかぬということは、実はどうもはたしてそうなっておるかどうか、私も疑問でございますけれども、労働組合員だから一切保証はいかぬとか、管理職でなければいかぬということはないと思います。もしそういうことがあるならば、これはどうもただいま吉田さんのおっしゃったような問題に触れると思いますが、この点はひとつ良識をもって、国鉄はできるだけ信頼できる人に保証をお願いしているのだと考えておりますが、その点がそうでないとすれば、特定の者だけに保証をお願いするということについては問題であろうかと思います。これはむしろ国鉄側の良識に待つということであろうと思います。
○説明員(山口茂夫君) 先ほどの戸田先生の御質問の中に、管理職でなければ保証人になれないという制度に改正したというお話がございましたが、そういうことではございません。「身元保証二関スル法律」に従っているほか、国鉄の就業規則で、従来、保証人になり得る者というのを職別にあげてございます。それが職制の改正その他で不適合になりましたので、集約をいたしまして、三つに改正をいたしました。第一は、国鉄の役員、管理職等の職にある者、それから第二は、退職した者であっても以前にその職にあった者、以上の該当する者がない場合には、市町村長が保証人として適当であると認めた者についてはだれでもよろしいというたてまえになっております。したがいまして、いま御指摘を受けましたようなたてまえにはなっておりません。
○吉田忠三郎君 山口常務、いまあなた三つ申されましたが、やはり規制しておるわけでしょう。保証人を規制していますね。民法の四百五十条にちゃんと規定されていますよ、労働大臣、保証人の条件というものが。時間がありませんから読み上げません。それから「身元保証二関スル法律」、この第一条から第六条までの間に保証人と、それぞれの資格というものを法律で定めていますよ。この法律を読んでみますと、いま山口常務が申し・上げた三つの条件で規制するということは違反ですよ。どんな人が法律を解釈したってそういうことになるだろうと思う。私、関連ですからこれ以上言いません。
○説明員(山口茂夫君) 保証人の問題につきましては、私どもはこれは法令に反しているとは考えておりません。ですが、法律の専門家でございませんので、もう一度帰りまして専門家に相談をいたします。従来定めておりました規定と何ら変わっておりませんので、体系を並べかえただけでございます。もし法律違反であるとしますと、ずっと百年近く法律違反をやってきたことになります。調べてみます。
○戸田菊雄君 本問題は、現実現地ではあるんです。そういう事実があるのです。ですから、私は問題にしているわけですが、いま吉田理事もお話をされたように、当然民法上の問題もあるでしょう。そういう意味合いでは、いま読み上げた三条件というものは、規制をしているわけです。それからもう一つ、この労組法第七条の一号の後段で、少なくとも現実の問題としては、そういう管理者でなければ保証人ができない、そして動労に入ることはだめだぞ、こういうことになっておるわけですから、明らかに不当労働行為対象になるのじゃないか、あるいは雇用契約条件からいっても、そういう基本的人権そのものを否定していることになりはしないか、こういう心配を持つわけですよ。ですから、こういう問題についての法的見解ですね。たとえば労働基準法の中でも、前借金制度あるいは強制貯金制度、こういうものは前期的な労務政策の一端だということで排除されているわけですね。だから、各般の法律態様から見ても、いまの国鉄の三条件の規制措置をとっているということは違反じゃないかと、こういうふうに考えるのですけれども、これは労政局長、基準局長、もう一度山口理事のほうから明確に答弁を願いたいと思います。
○説明員(和田勝美君) ただいま伺っております保証人の問題につきましては、基準法には積極的な規定もございませんので、一般民法及び「身元保証二関スル法律」によって解釈すべきであろうと思いまして、私も、いま手元にその資料がございませんので、どうこう申し上げることもできないところでございます。基準法にあります前借金の禁止とか、中間搾取の禁止というのは、これは法律上に明文がございまして、明確に禁止してございます。これはそういうことがございますれば基準法違反ということで処理をいたします。
○説明員(山口茂夫君) 先ほども申し上げましたように、従来からございました就業規則と特段に変わっている点はないと思いますので、法律的に違法であるという御指摘でございましたが、これは一度専門家と相談をいたしましてもう一度答えたいと思います。
○説明員(石黒拓爾君) 身元保証につきましては「身元保証二関スル法律」、私、不勉強でよく存じませんので、その点は研究さしていただきたいと思いますが、特定の組合に加入すること、またはしないことということを雇用条件とするということがございますれば、これは労組法の明文に反するところでございまして、ただ、いまおっしゃいました条件というものを、たとえば運用について三番目のものが実際上は九五%だということになりますと、これまた話が違いますので、一般論としてはただいま申し上げたようなことだと思います。
○戸田菊雄君 これで終わりたいのですが、最後に、以上具体的な事実としてまだまだ一ぱいあるのですけれども、全部指摘しかねているわけですが、そういう内容について、いま公労委においていろんな争いが生じているということなんですが、本来私は労働問題でありますから、こういう問題については労使双方でお互いに団体交渉の中で決着をつけていく、こういう筋道が一番好ましい姿ではないか、こう思うわけでありまして、そういう問題についてひとつ常務理事の明確な回答をいただきたいと思います点が一つ。 もう一つは、ついでですから資料を最後に委員長のほうにお願いをいたしまして、あとで御提示を願いたいと思うのですが、その一つは、さっき申し上げました昇級昇格、そういうものに対する実績ですね。今年度でけっこうでありますから、動労と鉄労の関係、できれば国労の関係含めまして、長町機関区、福島機関区、それから郡山機関区、それに小牛田機関区、この四機関区の実績についてひとつ資料の御提示を願いたいと思う。 それからいまの四機関区における事故の発生状況、これはでき得れば四十三年の九・一五闘争があった以降で私はけっこうだと思うのですが、その運転事故件数、傷害事故件数、この事故件数の内容についていまの四機関区の具体的な資料というものを出していただきたいと思うのです。 それからこれは松井委員からも資料請求がなされておったようでありますが、まだ各般の文書の資料要求についてきてない面が一ぱいあるわけですから、さっき私が読み上げたような管理体制の強化、それから一九七〇年の問題集というもの、十集私は出ていると思うのですが、ここにいただいたやつは、その全部はきてないわけですね。ですから、これに対する全資料をひとついただきたい。 それからこの「仙鉄こだま情報」というのが実は発行所が仙台の文書課になっているのですが、これを全部ひとつ提示をしていただきたい。 それから労務管理資料でもって現場長会議の質問に答えるということで、あなたの職場でビラ張り行為があったとき云々と全部表題が変わってまいりますけれども、これはおそらく百部以上私は発行されていると思うのですが、これの関係。 それからもう一つは業務命令関係として、四十四年十月二十三日に発行された資料があるのですが、これをひとつお願いをしたい。 もう一つは、仙鉄管内に五人委員会というのがあるわけですね。これのいろいろな目的とか趣旨とか、そういう任務、役割り等についてあるのだろうと思うのですが、これの資料をお願いをしたいと思うのです。 もう一つは、運転業務研究会の東北支社発刊の研究会資料があるわけです。それから仙鉄関係の労働事務必携、これがあります。 以上関係資料を次回の委員会までに御提示を願いたい。
○委員長(佐野芳雄君) 山口常務理事さん、ただいまの資料要求よろしいですか。
○説明員(山口茂夫君) はい。いま御要求のございました資料のうち、すでに当委員会で前回お許しを得たと思いますが、仙鉄のたぶん労働事務必携だと思います。これは昭和四十年か四十一年ころつくったものでございまして、現場長の数だけ刷ったものでございまして、もう散逸してないと思います。それで、大体どこの局も同じようなものをつくっておりますので、最近出ました東京の南局の新しいものをお届けすることで御了解を得ておりますので、そのようにお願いしたいと思います。 なお、その他のものにつきましては大体調製ができると思いますが、もう一度立ち帰えりまして、詳しく調べまして、別途御指示を仰ぎたいと思います。 それから、前段でこういういろいろな不当労働行為の問題についてどう考えているかという基本的な御指摘がございましたが、国鉄の企業内の労使間の問題をこういう高い場でいろいろお時間をおかけしてまことに申しわけないと思っております。また、労政当局にも非常な御迷惑をおかけいたしまして申しわけないと思っております。ただ、前回申し上げましたように、現在起こっております御指摘を受けました事案は、ほとんどが昨年、一昨年というような異常な労使関係のときに発生したものがほとんでございますし、また、それが尾を引いておるようなものがほとんどでございます。動力車労働組合とは基本的なEL・DLの問題その他大きな問題は、原則的な了解点に達しまして、何といいますか、新しい局面に変わったという状態でございます。したがいまして、われわれは、いまこういう、何と言いますか、労使間の不信の空気をなくして、国鉄はこれからたいへんなときでございますので、組合の協力を得て国鉄の再建をしたいという強い気持ちで一ぱいでございますので、今後ひとつよくごらんをいただきたいと思います。
○藤原道子君 私、時間がございませんので、一時間半ぐらい予定しておりましたけれども、とても時間がございません。したがって、ごくしぼりまして二つの点についてお伺いをしておきたいと思います。さらに資料の御提出を願いたい、こう思っております。 結局、日本の経済は世界第二位に成長した。ところが国民生活は二十位ということなんです。しかも外国の新聞等を見ますと、日本の高度経済成長は、日本労働者の勤勉さとその低賃金にささえられたものである、こういうことが報ぜられておる。それからまた労働白書を見ましても、このような経済成長をもたらしたものは二つある。一つはわが国労働者の勤勉さ、その二は技術革新である。どちらにしても労働者の勤勉さが評価されておる。ところがその労働者の待遇はどうかということになると、たいへんな問題があるのです。そういう点で、きょうは大臣と大いにやってみたいと思うのだけれども、時間がないのでいずれ次回に譲りますが、労働省が設置されたのは、労働者のサービス機関として私はできたと思います。ところが最近の動向を見ると、さらにまた先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、どうも労働者の保護というよりも、企業家にべったりのような気がしてならないのです。私はそういう点でひとつ初心に返って労働者の権利を守り、そうして労働者の生活の向上のために労働省は大いに働らいてほしい。たとえばさっきの質問の中で、企業側が家庭へ随時訪問して迷惑も省みずすわり込んでしまう。これをもし労働者がやっていたらどうでしょう。面会強要であるとかなんとかといってやられることは明らかでしょう。こういう点でも姿勢を正していただきたいということを私は強く要望いたしておきます。 そこで、最近問題になっておりますのは、定年制の延長でございます。基本的に言えば、この定年制というもの自体に問題がある。憲法で保障されております勤労の権利というものからいたしますならば、まだ働らく意思もあるし、働けるのにそれをちょん切るということは、私は、憲法に抵触するのじゃないかと思います。けれども、現段階において、現政府の、日本資本家のあり方から申しますと、この際定年制が引き上げられることには私も一応賛成をする、こういう態度でお伺いをしたいと思うのです。この定年制の延長はどういう考え方から論議をされているのか、これをまず聞きたいと思います。 それからもう一つは、財界あるいは学識経験者、労働者等からなっております産業労働懇談会が結論を出しましたね。ここで御審議されました内容、それからまた労働省がここに提出いたしました資料を要求しておきたい。労働省が出した定年制、退職金あるいは社会保障、労働事情等に対して資料を出したはずでございますので、これをぜひちょうだいいたしまして、次期委員会でいろいろやっていきたい、こう思います。 時間がないから続けていきますから覚えておいてください。 それから、今度の定年制の延長につきましても、若年労働力が不足であるというようなこと、あるいはまた。パートタイマーを主体とする婦人労働者対策にのみいままでこだわってきた結果が今日の労働力の不足をきたしたのじゃないか。その穴埋めとして中高年齢層に対する定年の延長というようなことが論議されておるのじゃないかと私は思いますが、この定年制の延長についての基本的なお考えをひとつ伺いたいと思うのです。 わが国の定年制はいつ発足したかというと、結局明治三十五年ですよね。明治三十五年に日本郵船が社員休暇規則の中で、五十五歳に達した社員は休職とし、一定期間後に解雇する、これが発足の第一号だそうです。ところが明治三十五年といえば、平均寿命は男四十四歳、女が四十五歳で、五十五歳になれば大半の社員は死亡しているだろう、こういう考え方でできたものだというようなうわさがある。ところが明治三十五年に五十五歳の定年制ができ、いま、御案内のように、日本では男は六十九歳ぐらいでしょう。女は七十四歳と何カ月、ここまで来ている。この法律ができたとき、私は二つだったのですよ。この私が今日七十歳、でもこの元気がある。それなのに、そのときからずっと五十五歳定年制が守られてきたということは、労働省としてもちょっとおかしいと思う。この点が一つ、だから当然定年の延長はあってしかるべきだ、こう思います。ところが大臣がこういう発言をしてるんですね。これは東京新聞かね、年功賃金を現状のままにして定年年齢だけを延長しても人件費がかさみ、人事が頭打ちになり、若手労働者の反発を招くだけと、こういってらっしゃる。それからもう一つは、ある一定年齢に達したら昇給ストップをし再雇用するのも一案だと述べて、事務当局に研究会を発足させて具体案を煮詰めるよう指示した、こういうことがまあ発表されております。ところが七十歳だって、六十五歳だって堂々と働ける者は一体どうなるか。 それからもう一つ私が伺っておきたいと思いますのは、諸外国の例を見ましても、強制的な定年制というものは少ないんですね。勧奨による定年、つまりアメリカあたりの問題にいたしましても勧奨定年は六十五歳で八一%、強制定年というのは六十五歳で三五・二%、それから六十八歳で 一九・八%、七十歳になってそれが三六・五%、こういう状態。それから七十歳以上でも八・五%というのがある。しかも、これらのほとんどが、八一%までは勧奨定年というんですか、これに重点が置かれているということなんです。それからもう一つ、フランスでは、人口及び家族問題審議会が調査したところによっても、勧奨、強制いずれかの定年制を実施している企業が三六%あるけれども、しかも、九七%が定年制年齢は六十五歳以上にして、しかも、ほとんどが本人の希望によって退職している。こういうふうになっている。私は、こういう点からいって、こういうものを延ばすと賃金がどうとか、あるいは若年労働者の反対があるとかいうようなことを大臣が考えること自身がおかしいと思う。ここに東京商工会議所から、企業における定年制の実態と定年延長に対する意見書というのが出ておりますけれども、大部分は、人件費が増大するという意見が四八%、人事が停滞するというのが二九%、若年労働者の反対というのはたった五%なんです。それはあたかも若年労働者の反対があるからやれないというようなことで大いにこういうことを宣伝なさることは労働者の団結を乱すようなものと私は考えます。だから外国の例を見ましても、定年というものに対してはいろいろ思いやりもあるし、他面、労働者の権利、こういうことが考えられる。ところが日本には勤労者の権利というものが憲法で保障されておりながら、明治三十五年にできた五十五歳の定年制がいままで行なわれている。平均年齢七十歳になり、働く意欲もあり、何といいますか、いろいろな熟練とか、豊富な経験等が無視されている。この資料を見ますと、ほとんどが五十五歳定年でやめさせられる。再雇用されなければ食えぬ。ところが再雇用されてみると給料が三〇%ぐらい低くなるんですね、七〇%ぐらいしかくれない。ところが、その年になってもまだ小学校や中学校へ行っている子がある。いまの物価高で五十五歳の定年になっても、家一つできないでしょう。社会保障は低いでしょう。こういう状態に置かれて、しかも企業をささえてきた労働者のその代償が、私はこれではあまりに過酷ではないかと、こう思います。大臣のこの定年制延長に対するお考え方を私は聞きたい。 それから労働省として、労働者にサービスする機関であるということのお考えをあわせて伺いたい。企業優先で、労働省も、通産省も、厚生省も全部企業優先保護だから、空気も水もあるいは道路も、あらゆるものが公害というのは私はおかしいと思う。産業汚染によって汚濁されちゃう、人間の生きるところがないじゃないですか。そういうことにならないように、もう少し労働者の権利とその生活を保障するその姿勢で労働省はやってほしいと考えておりますが、大臣のお考えを伺わしていただきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 戦後の日本経済の異常な成長発展は、勤労者の非常な勤勉と御努力に負うところ大であります。その点では、私も日本の経済の今日の状態は、勤労者諸君の非常な功績であるというふうに感じておるのであります。したがって、労働省の立場としましては、豊かな勤労者生活の実現という問題をまっ先に出しまして、できるだけひとつ所得の向上をはかろう、日本の経済の今後の安定、成長をしながら、勤労者の豊かな生活のためにいろいろな施策を講じていきたいという点で考えておるわけでございます。そういう観点から申しますと、ただいまの日本の賃金というものは、遺憾ながらまだ西欧に追いつきません。しかし、最近はどうやら非常な急テンポで賃金も上昇しておりますので、まあ数年のうちにヨーロッパの水準に到達をすると思います。今後十年を経ずしてアメリカの今日の水準になるであろうと言われておりますが、そういう戦後における異常な苦しい段階から、設備の投資をしたりあるいは技術の開発をしたりして今日のような繁栄の時代を迎えたのでありますが、まだまだなすべき問題がたくさんございます。必ずしもそれがことごとく勤労者の豊かな生活を実現するために十分な待遇を改善できないという問題があろうと思います。しかし、やがて勤労者の方々に安心して希望の持てるような生活を送っていただくということを可能とするような政策の実現に最善の努力を払う、決して企業優先を考えておりません。企業ももちろんつぶれてしまったのじゃしようがないので、やはり企業も安定し成長する、同時に勤労者は十分な待遇をなし得て、そこに希望をもって勤労に従事できるような体制というものも必要かと存じます。最近は、御承知のとおり、人間の寿命が非常に延びまして、御指摘のように、男はすでに七十歳近く、女は七十五歳に近いわけであります。これは今後はあまり急激には延びないと思いますけれども、それでも年々延びております。そういうことになりました以上は、五十五年で定年というふうなことはもうまことにおかしい。やはりこれは五十五になっても健康であって働きたいという意欲十分という方が非常に多いのであります。そういう方々のために進んで社会参加をお願いする。日本経済の発展のためにできるだけの適当な職場を与えて、その人たちに活躍を願うということは当然でありまして、この間、産業労働懇話会におきましても、使用者側の諸君もあるいは中立委員も、労働組合の関係の諸君も、みなことごとくこの問題に対しては何ら異議がない、ひとつ何とか定年制の問題についてはできるだけ早く結論を出していこうじゃないかという話になりました。 ただ、そこで問題になりましたのは、やはりいろいろな御意見があったのでありますが、いままでの日本の労働賃金というものは学閥尊重あるいは年功序列というものが非常に支配的でございました。まあ定年というか、年をとりましても、個人の差がございます。非常に健康な人もあれば、中にはだんだん能力の落ちてきている人もある。これがやはりそのままの姿でなりますというと、いままでの年功序列の賃金の姿からいきますというと、五十五になったそのころがまさに賃金上昇のピークを迎えます。そういうことの姿で延長になりますというと、非常に矛盾した非常な高い賃金を得ることになる。やはり、これは世界で日本だけだと思いますが、西欧あるいはアメリカ等では各人の能力に応じて賃金が支払われておるという慣習からまいりますというと、日本のそれというものは、必ずしもどうも本人の能力というものよりも、年功序列というものが支配的であったという点で、これをはたしてそのまま延長していいかどうかという問題、これはもう各方面の御意見がそういう問題に対してはむしろ新しい角度で賃金という問題を考え直してみたほうがいいという御意見があったわけであります。まあいろいろ若い人たちにしてみれば一昇進の道が狭められるというか、どうもそういう問題もあろうと思います。そういう点はむしろあらためて定年制の問題を十分に検討して、その検討の段階において何らかのいい結論を出してもらいたいということでお願いをしておるわけであります。 藤原さんのおっしゃることに全く同感の点が非常に多いのでありまして、私どもは、この際日本の経済をますます堅実に成長させる、そのためにはやはり年をとっても働く意欲がある、また能力も十分ある、経験もあるという方が大いに日本経済の発展に御協力願いたいという面で定年制の問題は慎重に考えたいと思っております。 先ほど御婦人の問題あるいは特に少年の問題も出ましたけれども、これらもやはり日本がいままで労働力の非常に過剰時代が長かった、初めて実は労働力の不足の時代に入ったのが七〇年代かと思います。そういう非常に余裕があったという時代においては、あらゆる面からやはり定年制というふうなものである程度整理をするということもやむを得ない時代があったと思います。しかし、いまになればむしろ定年になったけれどもやめてもらっては困る、むしろその人たちにその経験や知識を大いに用いてやっていただきたいというのが企業側の気持ちでもあるようでございます。そういう面から七〇年代においては、あらためて従来の考え方にこだわらずに、何らかの新しい体系のもとに定年制の問題の検討を進めてまいりたい。そういったいろいろな研究の機関等を設けまして、その結論が出てまいりますならば、それを全面的に実現いたしたい。ただし、これはあくまでも六十五になるまでとかあるいは六十歳になるまでとかというようなことで、命令とかあるいは強制的に定年を延長することはちょっと困難かと思います。これはあくまでも本人と、それを使う人たちとの間に話し合いをして協約を結ぶ、できればそれを社会全体がよく理解されて、年をとっても十分能力のある人は大いに働いていただく、したがって、できるだけの待遇ももちろん確保できるということになると思います。そういう面から、今後は国民のあらゆる方面で勤労者が少なくなる、特に技能労働者は非常に不足しておる時代でございますので、そういった面では中高年齢の方々にやはりできるだけ御参加をいただく。必要があれば中高年齢の方々に対しては職業訓練なども大いに行ないまして、そうして新しい七〇年代の労働力の不足に対処したいというふうに考えております。おそらく日本国民の八割までも勤労者ということになると考えております。そういう段階になりますれば、勤労者に対する政策は、とりも直さず国民全体の大多数のための政策であるという点から、勤労者の豊かな生活、またその安定という問題が大きな社会政策として最大の問題となるであろうというふうに考えておるわけでございます。その一環として、定年制の問題はここにあらためて検討し、皆さん方の御意見を十分尊重しながらひとつ結論を出してまいりたいというふうに考えております。
○藤原道子君 私は、確かに人手が足りないから間に合わせで定年延長するというような考え方がちょいちょいあったから、あなたのことばの中に。だからこの点を追及した。そういう気持ちで対処されては困るから申し上げた。日本の社会保障がもっと進んでおればいまだって五十五歳定年でも——いま厚生年金は六十歳、国民年金は六十五歳なんですね、そうするとその間どうして食っていくかということがあるわけです。だから外国のように、年金制度が完備しておれば、働きたい人は働く、そして年金受給時期が来ても働けばやめたときには年金が加算されてくるという制度をとっておりますね。だけれども、もう働きたくない、人生に疲れたという人はゆうゆう自適で生活できるような方向へ持っていくのが理想だと、こう思っておるのであります。しかし、これは時間がございませんので、次回に、労働問題、パートタイマーその他ひっくるめまして御質問したいと思います。 ただ、いまあなたから中高年齢者雇用対策ということをちょっと言われたので、これに対しては、何といいますか、十九条に雇用率が設定されているはずなんです。したがって、民間企業でいわゆる中高年齢者がどの程度に雇用されておるかあるいは官庁においてはどうか。委員長、これに対する資料をひとつ提出してほしいと思う。 私は時間もないし、あとにもう一人いるので御遠慮申し上げて、きょうは十五分で終わりたいと思います。この次に御質問いたします。
○委員長(佐野芳雄君) いまの資料要求よろしいですね。
○柏原ヤス君 出かせぎ労働者にまつわるいろいろな社会問題がございます。きょうは、この出かせぎ労働者のことについてお聞きしたいと思います。 まず第一に、出かせぎ労働者対策についての基本的な考え方を大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 出かせぎ労働者が約六十万と言われ、あるいはもっと多いかとも言われておりますが、その方々がわが国の経済の発展に非常な力を発揮しております。特に万博のごときは、この方々の御協力なくしてはあれほどの成功をおさめなかっただろうと言われておりますが、ところが、出かせぎ労働者は、どうも遺憾ながら十分な技能を持っていないという点で非常にその待遇なんかも低いわけでございます。したがって、相当の所得を得るためには無理に働くというふうなことでございまして、非常にまだまだ解決を要する問題がたくさんにある。そうした点で、まあ出かせぎの労働者に対しましてはできるだけ短期の職業上の技能訓練等を実施をいたしまして、労働条件を改善をしたいということでやっております。同時に、出かせぎ手帳というものを用意いたしまして、常に職場との労働条件その他明確に手帳に記入させたり、そしてまた職業安定所がそれに対していろんな指導ができるようにいたしたい。ところが職業安定行政の中でそれが大部分職業安定行政になっておればいいのですけれども、遺憾ながらどうもいままでは非常に低くて、知人からすすめられたりあるいはいろんな縁故関係でいったりというふうなことで、どうも出かせぎの実態を十分に掌握し得ない点がございました。それが災害等にかかった場合においては非常に不利な条件のもとに、いろんな対策が講じられないということもございました。今後はできるだけそういった面も、出かせぎ労働者の相談に応じましていろんな対策を講じたい。東京、大阪、名古屋、札幌等に出かせぎ援護相談所というものがあるのでございますが、これを将来は拡充してまいりたい。 なお、出かせぎ労働者の通年雇用という問題につきましては、通年雇用の奨励金の制度を設けまして、できるだけ通年雇用に切りかえていただく。あるいは通年雇用するための設備、施設というものに対する融資の制度を設けるというふうなことをいたしておるわけでございます。 なお、農村地帯では、総合農政の進展に伴いまして、今後はますます出かせぎはふえる段階でございますが、しかし、いつまでも出かせぎでは困るということから、根本的には農村地域に工場の進出をお願いして、通勤可能な地帯で、勤労者が好むところによって働けるというふうな態勢を漸次つくっていきたい。このことはできるだけ急ぎたいのでありますが、ただいま全国的に農村地域のいろんな工場、作業場等を設ける、誘致するという積極的な政策をとりつつあるわけでございます。 そういった面で、いろいろな出かせぎの労働者に対する手厚い相談相手となりあるいは保護をする。同時にまた出かせぎ者の留守宅については、できるならば一時帰休制度というふうなものもぜひ考えたい。あるいはまた家族が来た場合においては、その家族との間のいろいろな話し合いをするような場所もぜひ設けたいというようなことでいろいろな検討をしておりますが、こうした出かせぎ問題は今後もひとつ、わが国の経済の発展に伴いまして、できるだけの対策を講ずる必要があるというふうに考えております。
○柏原ヤス君 現在の全農家のうち、自立経営のできる農家は二〇%で、他は自立経営ができないのが実態でございます。さらに減反調整などの影響で出かせぎは今後増加すると思います。 現在どのくらい出かせぎの農民がいるかということについて掌握していらっしゃいます内容をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(住榮作君) 出かせぎ労働者の数の問題でございますが、私どものほうで失業保険の受給者の状況から推測した資料がございます。これによりますと約五十九万人、こういう数字になっております。一方、農林省で農家就業動向調査という調査をいたしておりますが、それによりますと、農閑期、出かせぎ労働者の数といたしまして二十四万人、こういう数字がございます。この二つの数字等もあわせまして、大体出かせぎをして労働をしている者の数は約六十万前後でなかろうか、こういうように推定をいたしております。 さらに、資料といたしましては、いま申し上げたような資料をわれわれいろいろな対策の基礎にしておるわけでございますけれども、先ほど大臣が申されましたような対策をさらに徹底させていくきめこまかい対策を考える必要があり、どうしても実態の把握が必要でございます。そのために、私どものほうで、出かせぎの最盛期であります明年早々を期しまして全面的な実態調査を実施いたしまして、できるだけその実態の把握につとめよう、現在調査のやり方等について検討をいたしているというような状況でございます。
○柏原ヤス君 ただいまのお答えによって、実態調査が行なわれるということがわかりましたが、その内容と方法を具体的にお示しいただけないでしょうか。
○説明員(住榮作君) 現在、調査のやり方等につきましては私どものほうでいま検討いたしております。さらに農林省等とも調整を要する問題も出ておりますので、まとまった調査を、どういう調査をやるか、こういうものの内容はまだ確定いたしておりませんが、確定できますれば何らかの機会に御説明申し上げても差しつかえないと存じております。
○柏原ヤス君 ことし、東北方面の出かせぎ地帯に行ってまいりましたが、約七〇%の出かせぎ労働者は職安を通さないで就業をしている現状を見てまいりました。この職安を通さない原因がどこにあるか、この点についてお答え願います。
○説明員(住榮作君) 御指摘のように、安定所を通して働いておられる方、大体三〇%程度であろうと推計しておるわけでございますが、残りの七〇%は安定所を経由しないで就労する。その原因はいろいろあると思うのでございますが、一つには、安定所の所在地が限られておる。なかなか安定所まで出かけていくには不便、おっくうである、こういうようなこともあると思う。さらには非常に就職の機会がふえましたので、そういうような楽に就職の機会をめっけることができる、こういうようなこともあると思います。それから、これは誤解だと思うのでございますが、安定所を通すと、いろいろ本人のあるいはその世帯の所得等がきわめて明瞭になるんじゃないか、こういうような懸念、これは誤解に基づく懸念と思いますけれども、そういうようなこともあるんじゃなかろうか。あるいは最初の年は安定所を通じて就労をする、二年目からは雇った事業主が次の年もまた来てくれというような関係で、毎年雇用の予約のようなことが行なわれて、それに基づいて就職が行なわれる。こういうような割合も、最近とみに出かせぎ先が毎年同じ事業所になっていくというような傾向もございますので、そういうような原因もあるのではなかろうか。いろいろの原因が考えられるわけでございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、私ども正しい就労経路で就労していただく、こういうことが非常に大事なことと考えておりますので、できるだけ安定所なりあるいは市町村、そういうところで就労の経路がはっきりするような態勢をとってまいりたいと考えておるわけでございます。
○柏原ヤス君 出かせぎ労働者の保護の上から考えましても、また今後の対策から考えましても、職安を通すということが非常に大切である、こういう点をやはり出かせぎ労働者自身も自覚していかなければならない。これに対してどのように出かせぎ労働者の人たちにこれをわからしていくか、いわゆるPRとでも申しますか、その指導とでも申しますか、そういうものが積極的になされているかどうか、こういう点はいかがでしょうか。
○説明員(住榮作君) 全く御指摘のとおりでございまして、正しい就労経路による就労というのが出かせぎ労働者の労働のために必要なことであると考えて、従来、たとえば安定所にサービス課を配置いたしております。管内の農村なり漁村、山村を巡回いたしまして、御指摘のようなPRをやっておるわけでございます。それと同時に、先ほど大臣も申し上げましたように、親身になってやはり相談する態勢が必要である、こういうことで、たとえば農村人材銀行を要所に配置する、あるいは農業者のための相談員——たとえば農業のことを非常によく知っておられる方、地区のそういう経験のある方でございますが、そういう方々を相談員にお願いいたしまして、身近な相談をお受けできるような態勢をつくり上げていくというようなこと、と同時にまた市町村なり農業団体等とこれは連絡を密接にとることによって安定所の手の及ばないようなやはり周知方法なりあるいは相談もできる、こういうことでその連絡態勢を強化していくと、こういうあらゆる手段を講じながら、就労経路が正しくつかめるように、かりにそれが安定所を必ずしも通さなくても、安定所あるいは市町村、あるいは農業団体等において就労経路が正しくつかまれておればいいのではないか。そういった手段を講じてまず就労経路を正しくつかむと、こういう態勢をつくっていきたいというように考えておる次第でございます。
○柏原ヤス君 これは意見でございますが、その職安を通して就労するということをはかるために、出かせぎ者の季節的失業保険の支給を職安ルート以外は受けさせないというくらいの強力な指導があってもよいのではないか。職安ルートを強力に推進する方法を労働省としてもっと真剣に考えていかなければならないと私は思います。この点いかがでしょう。
○説明員(住榮作君) ただいまも申し上げましたように、正しい就労経路を通じて就労をしていただく。そうしてそれはまあ安定所を通じて私どもとしては就労をしていただく、これが非常に望ましいことだ、こういうように考えておるわけでございまして、そのために市町村と連絡をとったり、農業団体等と連絡をとってそういう指導なり政策を進めていきたいと考えておるわけでございますが、安定所を通さない者には失業保険金を支給しないという非常に強力な手段がとれるかどうか、これは法律的にも十分慎重に研究を要する問題であろうかと思いますので、そういう意味で研究はいたしますけれども、直ちに結論が出るかどうか、ちょっと自信がございませんので御了承いただきたいと考えております。
○柏原ヤス君 出かせぎ労働者の保護に当たっております労働基準監督官についてお聞きいたします。 この監督官一人当たり、事業所と労働者をどのくらい担当しておりますでしょうか。
○説明員(和田勝美君) 監督官は、ただいま二千七百五十三人でございまして、事業所数が約二百六十万でございますので、大体一千くらいの事業所を平均的に言いますれば担当していると、こういうような状態でございます。
○柏原ヤス君 そうしますと、一人が約千の事業所を担当していると、これでは監督が十分にできるわけがないと思います。資料をいただきまして見ますと、過去の推移が、昭和二十三年度を比較してみますと、事業所は五倍ふえております。労働者は三倍もふえておる。それにもかかわらず監督官はほとんど変わっていない。こういう状況を見ますと、労働省は監督官の存在価値を認めていないというふうに思わざるを得ないので、大臣はこれをどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 労働基準監督官の数が非常に少ないという点は、前々から承知をしておりまして、これについては、できるだけこの際大幅増員を行なうべきだということで、四十六年度の予算要求では相当大幅な要求をしております。実は工場、事業場等に対する監督指導という問題もございますが、最近は公害問題と取り組む必要もあろうかと思います。そういう面から、基準監督官は、この際大幅増員を絶対必要とするという点で、いま交渉しておる段階でございます。ぜひともこれを実現したいと考えております。
○柏原ヤス君 現在の事業所、労働者の数からみて、何人くらい必要だと思っていらっしゃるか、また来年度の予算には何人ふやそうというお考えでいらっしゃるかをお聞かせ願います。
○説明員(和田勝美君) 先生御存じのように、公務員の定員の問題につきましては非常に厳格な政府の方針がございます。そういう厳格な政府の方針の中で、ただいま御指摘がありましたように、事業場あるいは労働者数との関係において監督官の数がバランスがくずれているということも、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、私たちも痛切に考えております。ただ、この事業場、労働者数との関連で数字的だけにはなかなかいかない面がございますので、監督行政の合理化と申しますか、電算機等を活用をした集中管理その他のいろいろの方式、あるいは監督の機動力の強化というような監督方式の改善ということをかみ合わせながら、私どもとしては監督官の増員を考えたいと思いまして、一応来年度を初年度といたしまして三年計画くらいで、さしあたりの目標としては千三百人ばかりの監督官の増員要求をいたしたいと、かように考えております。
○柏原ヤス君 出かせぎ労働者は、社会的にも地位もなく力もない人々でございます。これらを保護する唯一の機関が労働省である。しかし労働省の対策を伺いましても、またいま伺いましたこの監督官の問題一つを取り上げてみましても、非常に不安を感ずるわけでございます。今後出かせぎ労働者が安心して働けるように、労働省が積極的に取り組むように希望いたしまして、出かせぎ問題の質問を終わらしていただきます。 次に、最近、職安をめぐる汚職の事件がひんぴんと起こっておりますが、このような事件は職安に対する不信感を抱かせるものと思います。労働省としては、はっきりとした指導と対策をすべきである、こういう点でお聞きしたいことがございます。 まず第一点に、今回埼玉県に端を発して神奈川県、東京へとエスカレートして、現在においては捜査中ということでございますが、この職安の汚職事件、労働省で調査しました結果について今日までのところを御説明願います。
○説明員(住榮作君) ただいまも御指摘のように、埼玉県、東京都、神奈川県におきまして職業紹介をめぐって不祥事件が発生しております。そうして司直の手をわずらわしておるのでございますが、これは全く釈明の余地のない事件でございます。まことに申しわけのないことと感じております。特にこういつたことで国民の皆さんにいろいろ御迷惑をかけており、おわびのしようがないくらい非常に残念なことであるというように考えております。 そこで、事件の概要でございますが、まず、埼玉県におきまして九月十五日に春日部職業安定所の紹介課長、同じく所沢職業安定所の係長が逮捕されております。次いで九月十六日に所沢安定所の紹介官が逮捕されております。いずれも求職者のあっせんに関しまして求人者から現金等を受け取ったり、あるいはゴルフの招待なり飲食の供応を受けた、こういう被疑事実によるものでございまして、これに関係する会社四社ほども同じく取り調べを受けております。 次に、東京都の関係でございますが、四月の二十八日に池袋職業安定所の紹介官一名、それから渋谷の職業安定所の紹介官及び職員、それから足立の公共職業安定所の一般職員、この四名が所沢署に逮捕されております。それからさらに十月三日に、上野公共職業安定所の係長が逮捕されますとともに、新宿の安定所の課長及び上野の職業安定所の係長が任意の取り調べを受けております。この被疑事実もまた、求職者を求人者にあっせんするに際しまして金品等の贈与を受けた、こういう事実によるものでございます。それから神奈川県におきましては、横須賀公共職業安定所の係長が九月二十二日に神奈川県の県警本部に逮捕されておりますが、これまた求職者のあっせんに関しまして現金を受け取っている、こういう事実によるものでございます。 以上が現在の事件の概要でございます。
○柏原ヤス君 過去にも同様の汚職事件が何件か起きておりますが、その調査結果、そうして処分の状況について御説明をお願いします。
○説明員(住榮作君) 過去にも同様の事例があるのでございますが、非常に大きな事件としまして、秋田県の職業安定機関にかかる収賄事件がございます。これの刑事処分の状況を申し上げますと、収賄側といたしまして、起訴された職員が七名、大体懲役は五カ月ないし一年六カ月で、執行猶予は二年ないし三年と、こういうことになっております。ただ、起訴猶予になった者の数が三十九名、起訴された者、起訴猶予された者合わせまして四十六名ということでございます。それからこれに対する贈賄側の関係といたしまして、起訴されました事業所が七社、略式命令として罰金の科せられた事業所が十四社、起訴猶予となった事業所が三十九社、こういう状況でございます。以上が刑事処分でございます。 行政処分といたしまして、本事件に関連いたしまして懲戒免職が七名、分限免職が一名、依願退職が一名、懲戒減給が二十二名、懲戒戒告が十三名、訓告が四名、こういうのが秋田事件の概況でございます。 次に、群馬県の職業安定関係に起きました収賄事件の概要でございますが、刑事処分の状況につきまして申し上げますと、起訴された職員が四名でございます。いずれも懲役刑で執行猶予が二年となっております。贈賄側におきまして起訴された者が五名でございます。 それから行政処分の状況でございますが、懲戒免職が四名、懲戒停職が二名、懲戒減給が四名、懲戒戒告が七名、合計十七名という状況でございます。
○柏原ヤス君 事件後、このように処分はしておいても引き続き同じ事件が起きている。なぜこのように引き続いて起きているか、原因は一体どこにあるか、この点お聞かせください。
○説明員(住榮作君) 第一の問題といたしまして、職業安定所におきます職業紹介業務が適切であるかどうかという問題が一つあると思います。私ども、職業紹介というものがそれぞれの状況の推移に応じながらそれにうまく合致するような方向で職業紹介を行なう。こういうことを基本といたしまして、求人求職の条件なりあるいは労働市場の動向に即しまして、職業紹介業務のやり方というものが正しく適切に行なわれるように常に配慮しておるのでございますが、そういう点について徹底を欠く点があったのではないか。そういう意味で業務管理の面で必ずしも十分でないことも一つの原因であろうかと考えております。 さらに第二の問題といたしまして、われわれ行政機関の職員は当然厳正な服務規律のもとにおきまして服務するのは当然でございますけれども、そういう点にやや油断があったのではないか。特に、たとえば求人者の指導等において安定所外で活動をする場合が間々あるのでございますが、そういう安定所を離れて服務する場合の規律の面について管理、監督なり、本人の気持ちの持ち方が十分であったかどうか、そういう点に欠ける点があったのではないだろうかということでございます。 それから、特にこれは私ども深く反省しなければならないと思うのでございますが、職員の教育訓練、正しいモラルを身につける、こういう点について欠けるところがあったのではないだろうか。服務規律は厳正でなければならないのでございますが、それによって萎縮をしてもいかぬわけでございまして、そういう面での正しい指導、配慮すべき点について不十分であったのではないか。 こういうようないろんな点から私ども深く反省いたしまして、そういう原因をさらに掘り下げまして、それに対する態勢をとっていかなければならないというように考えておる次第でございます。
○柏原ヤス君 いま原因を幾つかお述べになっておりますが、それでは、こういう事件を通してそういう問題に対してどういう指導をしていらっしゃるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(住榮作君) 従来も、職業安定行政、職業紹介業務というものは求人者と求職者の信頼関係というものが非常に大事である、そういう観点から、求人者、求職者に対して懇切に公平に迅速に事を処理するというようなことを基本的な考え方といたして指導をいたしておるわけでございます。それからまた職業紹介業務の進め方につきまして、先ほども申し上げましたように、いろいろ求人求職の条件が変わってまいります。あるいは労働市場の動向も変わってまいります。あるいは求人求職者の意識も非常に違ってまいります。そういうような事態に即応した職業紹介を実施するために、たとえば職業紹介業務のリアルタイム等の導入による合理化とか、雇用情報というものを求人者、求職者にできるだけ提供していく、あるいは職業紹介方法を改善していく、こういうような職業紹介業務の刷新強化という観点から業務の改善策を絶えず考えて指導もしてまいっておるわけでございます。 それから、職員の綱紀の粛正につきましては、これは従来の事件についての原因を分析いたしまして、もちろん求人者等から金品の贈与を受けたり飲食の供応を受けるということは、これはもう一切いけないんだ、こういうような考え方の徹底をはかっておるわけでございまして、さらに、業務命令によらないでかってに求人者を訪問したりあるいは自宅における求人者との接触等は、これは厳に戒めるべきであるというような点、それから県外出張——県内出張はもちろん許可を得ておるわけですが、県外出張についても、全員についてひとつ管理者のほうで把握する、県外出張、県内出張を問わず把握のしかたを徹底させる。それから、これは当然といえば当然のことでございますが、あるいは求人者と帯同して出張するような例があったのでございますが、そういうことは厳に戒める。あるいは職員の配置でございますが、できるだけ同様の配置に長くとどめておかない、こういうような職員管理の問題等、いろんな面からできること、気づくこと、これは全部取り上げましてその趣旨の徹底をはかる、こういう態勢で臨んでおるわけでございます。
○柏原ヤス君 いろいろと指導を施しておるようでございますが、たび重なる事件がこのように起こっている。またこの事件は氷山の一角であって、今後もこういう事件が発見されるのではないかということも考えられるわけです。そうした点から、いままで労働省で行なっておりました指導が誤まっているのではないか。こういう点、労働省としてはお認めになりますか。
○説明員(住榮作君) ただいま申し上げましたように、私ども、こういった不祥事件が起こらないように、各あらゆる方面から検討をし、それに対処する体制というものをつくってきたつもりでございますけれども、現に不祥事件が起きているわけでございまして、そういう体制に欠けるところがあった、あるいは徹底に欠けるところがあった、その結果こういう事件が起きたものだということで深く反省をいたしておる次第でございます。
○柏原ヤス君 私は、こういう事件を考えまして、行政処分が軽いのではないか、こういう点が事件を引き続き起こす原因の一つであると考えるわけです。そこで、いままで汚職に対して処分されておりますが、判定の基準を具体的にどういうふうにきめて処分したのか、お示しいただきたいと思います。
○説明員(住榮作君) いやしくも金品、現金を受け取る、こういう事案につきましては、一定額を定めまして、それ以上のものについては行政処分として懲戒免職を行なう、その他のものにつきましては、物品等でございますとかあるいは飲食の供応でございますが、そういう事案につきましては、それぞれの実態に応じて依願退職なり減給、停職あるいは戒告と、こういうようにいたしております。
○柏原ヤス君 この事件を引き起こしました事業所に対しても求人あっせんをしないというくらいの態度で臨むべきだと、こう思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(住榮作君) その事案の内容によりまして、紹介の全部停止とかあるいは特定地域における一部停止とか、そういう措置はとっております。
○柏原ヤス君 最後に、今回の事件はたび重なる事件でありますだけに、非常に関心を持って注目しているわけでございますが、大臣は、この問題についてどういうお考えでいらっしゃるか。このような事件が再び起こらないように積極的な対策を講ずべきだと思いますので、その御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) このたびの職安汚職の問題は、まことに遺憾に存じます。労働行政の綱紀を粛正するという点で厳重に訓示を行ないまして、今後は、この問題に対しては厳しく取り締まっていこうという方針で注意を喚起いたしました。しかし、こうした問題が起きましたことはまことに遺憾でございまして、申しわけないことだと考えております。
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十七分散会