公害対策特別委員会 第8号
- 発言数
- 184 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/05/08
会議録
○委員長(松井誠君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。 公害紛争処理法案(閣法第一八号)、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第二〇号)以上いずれも衆議院送付、以上両案を一括して議題といたします。 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。 〔委員長退席、理事小野明君着席〕
○松井誠君 私は、公害紛争処理法案について数点お尋ねをいたしたいと思います。 最初に管轄の問題でありますけれども、この管轄は具体的には政令にゆだねられておる、この政令は、案としてはもうでき上がりましたか。
○国務大臣(山中貞則君) 法律を立案いたします当初から、当然政令の内容について概略は想定をして立案するわけでございますが、最終的に決定をいたしまするには、私を交えまして各衆参両院の質疑応答等、そういうものを参考にいたしながら、最終的に決定をいたす手順にいたしておりますので、最終的にはいまだ固まっておりません。
○松井誠君 そのことを実は私きのう聞きまして非常に驚いたわけです。この法律案は今度が初めてではございませんし、この前の国会にも出て採決寸前まで行ったわけです。したがって、もうこの法律案の審議もこの国会でどたんばに近くなっておるわけですから、われわれの常識から言えば、少なくとも案としては一応の成案を得ておるのではないかと、このように思ったんでありますけれども、いまの長官のお話では、そういう手続の関係もあっておくれているという話、私この点で長官にひとつぜひとも御意見をお伺いをしておきたいと思うのでありますが、最近は特にこの政令とか省令に事項をゆだね過ぎる。本来なら法律事項であるものを、どうも政令にゆだねて国会の審議を逃げるというきらいがある、こういう根深い不満を実はわれわれ持っておるわけです。しかし、その点については、きょう私は、問題がこんがらがりますから申しませんけれども、しかし、今度の場合のように、新しく法律案ができる、政令というのは法律といわば一体となって、具体的に政令でどのように具体化されるかというその問題も含めて、法律案のほんとうの性格というものは浮き彫りにされる、ですから、何でもかんでも政令の改正のときにまで国会の審議に乗せろとは私ども言いません。しかし、少なくとも法律案が新しくできるときには、おおよその政令案というものは固まっておってしかるべきではないか。そうしてそれはまさに法律案の審議と一体のものとして国会の審議にかけても、行政のいわば能率化という面で欠けるところはないのではないか、このように考えるのですけれども、どうも普通の場合は、この政令案というものは出されない場合が多い、これは私はよくない慣行だと思う。この点についての御意見を最初に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 私が申し上げましたのは、そういう意味で法律をつくってもらっておいて、あとで政令で適当にごまかしてしまおうという意味の先ほどの発言ではございませんで、法律をつくりますときには、当然それを受けて施行すべき政令、準拠すべき事柄はおおむね固まっておるわけです。しかし、ただいまも今日までずっと衆参両院で議論をいたしておりますうちに、私はまた行政の責任者といたしまして、その政令にさらにつけ加えるべきもの、あるいは考え方を改めた角度から政令を設定すべきもの等々がやはり反映してしかるべきだと思いますので、そういう意味で最終決定をしていないと申し上げましたけれども、全般的な傾向としては、租税法定主義の思想というものはやはり他の法令にも当然同じ考え方で臨むべき基本的な考え方であることに変わりはないと考えます。ですから、政令で極端に法律事項であるべきものまで逃げ込んであとであいまいにしてしまうというようなことは断じてあってはならない。それがまた法を執行するところの行政府の責任であると考えます。したがって、いまの段階でお答えできる点について答えろとおっしゃるのであれば、政令の内容についても次々とお答えはいたすつもりでございます。
○松井誠君 私の申し上げますのは少し焦点が違うわけです。われわれも、法律案が最終的にきまらないのに政令案を出さぬのはけしからんなんというばかなことは言いません。あなたの言われたように、確かに政令案というものは法律の審議というものを参酌して、そうしてあらためて練り直すということはあってしかるべきだと思う。しかし、そういう前提があってなおかつやはり一応の政令案というものは法律案の審議と一緒に出すということが必要ではないか。具体的にこの法律案がどういうふうに具体化をされるかという展望を含みながらわれわれ一緒に審議するほうがベターでもあるわけです。ところが、いままでは政令案というものは、もう普通のきわめて技術的な事務的な簡単な政令案なら別なんですが、問題になりそうな政令案ですと出てこないのが普通なんです。こういう慣行というのは私はよくないと思う。これは将来変わることがあり得ますよ、最終案ではありませんという、そういう留保つきでけっこうでありますけれども、しかしやはり出すべきではないのか、本来、そのように考えるわけです。あらためて御意見をお伺いします。
○国務大臣(山中貞則君) 政令案を出せという御要求があれば、当然これまでにも委員長もしくは委員の御希望があれば、現在の時点においてはという前提でお出しすることは可能でございましたし、私どもそれをやらなかったことの怠慢を責められるならば、その点はおっしゃるとおりだと思います。
○松井誠君 私はきょうのこのどたんばに来て具体的な政令案の提出をお願いはしませんけれども、私が長官に特に申し上げておりますのは、この問題の取り扱いだけではなくして、いわゆる国会の審議全般における政令案の取り扱いを、これはどなたに申し上げていいのかわかりませんけれども、むしろやはり総理府に向かってものを申すのが一番いいかと思いまして、それでこの機会にいままでのこういう悪い慣行というものをこの際改める気持ちはないのか、政令案というものを法律案と一緒に出すということを原則にするような方法をとったほうがいいのじゃないか、そういう趣旨で申し上げているわけです。
○国務大臣(山中貞則君) 私も原則論としては異論はございません。そのような方法をとることのほうがあるいはよろしいのかとも思います。法律の一応の国会に提案されましたものが具体的にどのような展開が行政上されていくのか、そのことがまた法律の審議そのものの内容においても違ってくるでありましょうから、その点はそういうふうに、まあ私がほかの大臣まで全部そうせよと言うことはできませんが、それがいいということであれば、それに対して私たちは少しも反対という意思はございません。運営の方法としてそういう手段をおとりになれば、これからはそういうふうに御要求があれば応じていいと。なお政令につきましては、御承知のように、閣議決定をいたしますので、ある省が恣意的に、あるいは関係省の一方的な主張によって曲げられて、本来の法律の趣旨から少し逸脱したり、あるいは逃げたりするようなものはなかなか簡単には閣議決定にかからない。やはり閣議決定は各省大臣全員が承知をしたものが決定されるわけでありますから、そういういいかげんな方法でやっているものではないということだけは一応申し上げておきます。
○松井誠君 国会審議がこれによって非能率になるわけでもございませんし、むしろやはり国会の審議をしてその実をあげる方法にもなるわけでありますから、ひとつ長官あたりからそういう方法のプッシュをしていただきたい。 そこでお伺いしたいのでありますけれども、この政令の案では、この二十四条の一項の管轄の問題でありますけれども、どういうものを予定をきれておるか。
○政府委員(青鹿明司君) 中央と地方の管轄でございますが、御指摘のとおり、政令で定めることになっておりまして、ただいま私どもが考えております点を申し上げますと、やはり中央で管轄いたしますものは、いわゆる四大公害事件のように、被害の度合いなり影響の及ぶ範囲から見まして、全国的に統一的に処理をするのが適当と思われるような事案を政令で指定いたしたいと考えているわけであります。具体的に申しますと、これにつきましては、健康上の被害と生活環境に対する被害と両方あるかと存じますが、健康上の被害につきましては原因と疾病の態様をもとといたしまして、それから財産的な被害につきましては、財産なり収入の減少の度合いによりまして、これらをもととして政令で定めて中央の管轄としたいと考えております。なお、いずれにしても中央と地方の管轄の問題でございますので、政令段階では懸念がないように、疑問点がないように明確に規定するようにいたしたいと、かように考えております。
○松井誠君 その規定のしかたでありますけれども、いまお話しのように、いわば抽象的に書くのか、あるいは具体的な、たとえば病気の名前でもあげるのか、あるいは、私が予想しておったのは激甚法にあるように、何か規模を数字であらわすようなそういう方法でもやるのか、この法律案を読んだ限りではてんで見当がつかない。ですからその点もう少し、大体案として固まっておりましたらお聞きしたい。
○政府委員(青鹿明司君) 健康上の被害につきましては、疾病を、名前をあげまして定めたいと思っております。それから生活環境につきましては、被害の度合いを、これは絶対額で書きますか、率で書きますか、ちょっとまだきめかねているわけでございますが、具体的な数字でもって政令を定めたい、かように考えております。
○松井誠君 この生活環境の問題については、書き方があるいは流動的——もし被害の額とかそういう数字を入れるのだということになりますと、流動的と言えるわけでありますから、したがって、それを政令にまかせるということは私はあながち反対いたしませんけれども、しかし病気を書くということは、これはたとえば法律に書いておいて、その他政令で定めるものという形で法律事項にしても私はよかったのじゃないかと思うのですね。そういうようにされないという理由は、もうすでに病気の名前も一応固まっておるとすれば、なおさら法律事項にしてもよかったのじゃないか。どうですか。
○政府委員(青鹿明司君) やはり疾病の態様を、かなりいろいろ流動的な点もあろうと存じますし、たとえば慢性気管支炎等も当然その疾病の中に入ろうかと存じますけれども、そういう現実に応じた措置ができるように包括的に政令でいこうと、かように考えております。
○松井誠君 管轄がそのように中央と地方で違うわけでありますが、実は私ちょっと気になりますのは、地方で公害紛争が起きる、それが地方の紛争処理の審査会にかけることにちゅうちょするような場合があるかもしれないと思う。問題が、たとえば知事なら知事が何か特定の企業に非常に縁が深い。知事とは一応相対的に独立しておる機関ではありますけれども、やはり何がしかの疑惑がある、あるいは現地でやるには企業からの圧迫がある、そういうことで、できれば地方でやりたくなくて中央でやりたい、そういう希望がある場合も私はあるだろうと思います。これはもう審査会の委員会の人選が悪ければ悪いほどそういう希望というものが出てくる。そういう意味でその審査委員の希望によっては地方に持っていける、最初から持っていける、そういう仕組み、そういういわば弾力的な管轄というものを設けたほうがよかったのじゃないか、このように思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(青鹿明司君) やはり中央委員会と地方の審査会の管轄の問題でございますので、原則はやはり重複しないように定めるべきではなかろうかと考えるわけでございます。確かに先生御指摘のように、地方にはなじみがたいような事案も具体的には起こり得る可能性があると存じます。その際の準備といたしまして、法律の三十八条に引き継ぎの規定を設けております。これは申請当事者の同意を得まして、中央委員会で協議をしまして、相当の理由がある場合には管轄を中央から地方に移すという道を開いておりますので、これによって処置したい、かように考えております。
○松井誠君 いま読まれたのは、いわば移送ではなくて、事務の引き継ぎという形ですね。したがって、一応受け付けて何がしかの調停をやってみて、特に何かしかるべき特段の事由が出てきたから事務を引き継ぎますという形式であって、初めから中央でやるという形式ではないわけですね。具体的な事例をあげるのは差し控えますけれども、最近は公害の問題の認識がずいぶん浸透してきました。しかし、数年前までは、多少の公害があっても工場誘致のほうがいいんじゃないか、工場誘致をするためには公害であまり騒がないほうがいいんじゃないか、そういう知事さんもおったわけです。そういう空気の中では、なかなか公害紛争というものはやりにくい。ですからそういうときにはこの引き継ぎという規定を活用するのでなくして、初めから起こさせるような方法をとったほうがいいと思うのです。その方法がないならば、引き継ぎという方法を活用してやるよりほかにないので、これは規定の体裁からいけば、しばらくこれでやってみて、だめだから中央に移すというような、何か理由があるから中央に移すというような形式でありますけれども、たとえば申請人が、ほんとうならば中央でやってもらいたいのだけれども、それができないから、とりあえずここで起こします。しかし起こしますけれども、実質的には中央で処理するようにしてください、そういう希望があれば、事実上それをいれて中央に移す、こういう取り扱いもこの引き継ぎという規定でしてもよろしいですか。
○政府委員(青鹿明司君) その当事者の御主張に相当の理由があると考える場合には、ただいま先生の御質問にありましたような扱いも可能であろうと思います。
○松井誠君 それに関連をするのですけれども、中央の場合問題になり得ると思いますが、調停を起こし、調停委員をきめる。三名の調停委員をきめる。その三名の調停委員をきめるときに、この間も裁判官の忌避ということが問題になりましたけれども、忌避という制度はこの中にはないわけですね。しかし、実際問題として、その人選によろしきを得なければ、どうもくさい調停委員が出てきたり、企業と何らかの関係で、くっつきのある調停委員が出てきたり、そういう場合に、そういう人たちの意向というものを、何か忌避をしたいという当事者の意向、そういうものを生かす方法というのはございますか。
○国務大臣(山中貞則君) 仲裁については裁判と同様に、仲裁人の忌避の制度を設けることにしております。しかし、調停のほうは、最終的に当事者双方の合意ということが前提でございますから、忌避ということまでは必要ないのじゃないかという感触でおるわけでございます。
○松井誠君 これは裁判所の調停の場合にでもときどきあるのですけれども、やはり忌避という制度がない。しかし、裁判所に申し出て更迭を願う。そういうことは事実上やるときもあるわけです。この場合も調停委員といちか、選ぶときは、あらかじめ両方の当事者の希望を聞くなり内容を聞くなり、そういう方法で、人選に少なくとも忌避されるような人間を入れないくらいの配慮は私はしてもしかるべきだと思うのですけれども、いかがですか。
○国務大臣(山中貞則君) これは前にも答弁いたしましたとおり、法律には識見とかいろいろ言っておりますけれども、実際上は一方の利益に片寄らない人、あるいは相互から信頼をかち得られる人、ことにこの法律は被害者救済の立場に立ってあくまでも立法したものでございますから、少なくとも加害者と思われる起因者側に立つ人は絶対困るという感触を貫いた人選を中央、地方においても指導していきたいと考えます。
○松井誠君 人選の場合で、人選といいますか、任命するときの人選の場合でなくて、具体的に調停委員を三名なら三名選ぶときに、何名かのうち、九名ないし十名ですか、その中の三名を選ぶときに、これだけは困りますよ、できればこの人とこの人を調停委員にしてくださいという、そういう希望はいれられますか。
○国務大臣(山中貞則君) 困りますということはいれられると思いますが、この人を頼みますということは、善意においてはいいんですが、それが裏目にこの人をと指名された場合に、当事者側の一方がなぜ希望したかに気がつかないであとで気がついて、しまったと思うようなことになるといけませんので、そこらのところは、やはりある意味の節度がなければならぬと考えます。
○松井誠君 私の言ったのは言い過ぎだったかもしれませんが、少なくともこの人だけは困る、そういう希望は十分尊重してよろしいと、こういうことですね。 それから、この調停の非公開の点についてお尋ねをしたいのですが、これはもう仮定の話ですが、もし両方の当事者が公開でよろしいという、公開について同意をしてまあ公開をする、そういうことまで禁じられておるわけではないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山中貞則君) 法律としては一応非公開ということでございますから、禁じられておるという言い方は刺激的でございますけれども、今回の場合には、公開をする必要はなかろうということで非公開ということにいたしております。 しかし、私は、これを初めから絶対に公開してはならないんだという強い意思を持ってこの法律を推進してきたものではありません。ということは、もうすでに先ほど冒頭におっしゃったように、過去において一院を通過して、他院の意思がおおむね表明された内容の法律でございますので、内容の賛否の分かれた立場は別にいたしまして、やはり私のほうで基本的な問題をひっくり返すには、今度は逆にこれは絶対に公開としなければならない強い理由を私自身が発見しなければ原案を変えることは非常に困難であると考えました。その意味においては、今回のこの制度の運用に関する限り一応非公開でいっても、これが特定の立場の一方のものをひどく不利な状態に追い込むことになるというようなことにはならないだろうと私は思っております。
○松井誠君 私が聞きたいのはそういう意味ではなくて、非公開と書いてあるけれども、しかし、これを公開しても別に違法になるのではないと解釈していいではないかということです。それを調停委員が独断で当事者の反対を押し切って公開をするということはおそらくないでしょう。しかし、少なくとも両方の当事者がよろしいと言えば公開をするということも実際の取り扱いとしてあり得るのです。それがこの規定に抵触をして違法だということにはならないのではないかというのが私の質問の趣旨です。
○国務大臣(山中貞則君) その事の可否は別にいたしまして、純法律的に議論いたしますならば、残念でございますが、違法と言わざるを得ないと思います。
○松井誠君 違法になりますかね。これは、公開をしなければならないというわけではないんで、なぜ一体非公開にしたかという、じゃその理由ですね。そこから考えていけば、両方の当事者が公開をよろしいということになれば、公開しても私は差しつかえないんじゃないか。裁判の場合公開で、調停の場合非公開というのは、どこの裁判所にもある。それは当事者がいわば公開を希望をしない、事柄の性質上あまり知られたくない、そういう希望をいわば尊重をして非公開にしたのじゃないか。だとすれば、この場合にはそういう条件が、両方の当事者が希望をすれば、あるいは同意をすれば、なくなるのですから、したがって、非公開にする理由はないのじゃないか。公開にしたからといって違法になる理由はないと、こう思うのですが、どうですか。
○国務大臣(山中貞則君) それは先ほど、お気持ちはわかりますが——ということを前置きに申し上げたので、法律的にはそれを違法でないとするならば、ただし当事者間の双方において公開とすることを認めたときにはこの限りではない——とかなんとか法律に書いてないと、やはりこれは違法である。これはあなたのほうが専門家でございますから私が教えてもらっているわけですけれども、そういうことにならざるを得ないと思います。
○松井誠君 私がこんなことを聞くのは、これは十分に予想がされるように、公害紛争の処理というものは、一つの住民運動として起きてくる、そういう場合がずいぶん多いだろうと思う。したがって、調停そのものも運動の一つの形態として行なわれるというような、そういう場合が多い。純粋な民事的な紛争というものとは性格がだいぶ違ってくる。したがって、民事的な普通の紛争ならば、調停は非公開という原則は私はわかる。しかし、運動をやっている立場からいえば、これが非公開になって全く普通の民事事件と同じようなペースでやられるということになると、運動のエネルギーまで失われてしまう。少なくとも被害者の側からいえばマイナスに作用をする。ですから、こういう規定があるにかかわらずこれを公開とする具体的な方法はないかと思って実は聞いている。 それじゃ伺いますけれども、この条文には代理人の規定はないわけですね。代理人あるいは当事者はもちろんいいわけでしょうけれども、当事者自身も何十人あるいは何百人となるので、これはしかるべき制限をされるのはやむを得ませんけれども、少なくともその当事者あるいは代理人というものの数をふやすことによって事実上公開的な性格をとらせる、こういうことはやってもよろしゅうございますか。
○国務大臣(山中貞則君) 代理人制度は当然設けなければなりませんが、しかし、それを数をふやすことによって公開と同じにするというのは、善意に解釈すればなるべく多くの関係者が公平に自分たちの耳で目で確かめながら進行を、推移を見守るということで、いいんでしょうけれども、これを逆に解釈すれば、相当多数の者の力をもって公開という場所において圧力をかけるということも形の上では想像できる形になりますので、まあ、代理人を置くことと、それはしからば多数であって事実上公開にしてもいいほどの代理人の数でもいいのかということとは、そこにおのずからやはり当事者にかわるべき人を代理人という以上、当事者以上の数の人が大ぜい入るというのはいかがなもんでございましょう。
○松井誠君 その代理人の問題ですけれども、これは原則として自由、代理人の選任は自由と考えていいですね。
○国務大臣(山中貞則君) それは代理人を置きたいという方の意思によって自由でございます。
○松井誠君 そうしますと、いま長官が、本人の数よりも多い代理人は置かないと言われましたけれども、許可制でなくてということになれば、委任状が何通出てきてもこれはしかたがないんじゃないですか。
○国務大臣(山中貞則君) まあ理屈を言うつもりはありませんが、やはり代理人は本人にかわるべき人を代理というのでしょうから、一名の代理が十一名であるというのはやはりやや常識上おかしいと思うのですよ。どうでしょうか。 まあ専門家ですからあなたの意見のほうをひとつ聞かしてもらいます。
○松井誠君 それは一人の依頼者が数人の弁護士を選ぶことは幾らでもあるんですから、本人の数よりも代理人の数が多いということは幾らでもある。ただ私が事務当局に聞いたところでは、代理人を政令で許可制にする、そういう意向を聞いたもんですから、そういうことも含めて実はお伺いしたんですけれども、事務当局ではどうなんですか。
○政府委員(青鹿明司君) その点につきましてはいずれ政令で定めたいと存じておりますけれども、直接代理人の数等を制限いたしますか、あるいは長官からいま御答弁申し上げましたように、全体として委員会の秩序維持という観点から所要の権限を委員会に認めるようにするか、ただいま検討中の段階でございまして、結論を得ておりませんが、いずれにいたしましても、審理の進行が阻害されるような場合にはそれを排除する規定は手続上必要ではないかと、かように考えております。
○松井誠君 私も代理人を無制限に認めていいとは実は思いません。しかし、代理人そのものを許可制にするのではなくて、代理人は何人でも認める。しかし、具体的にその調停の場というその場所的な制限がありますから、そういう意味で調停の進行に差しつかえがあるような代理人の数では困るということは私はあえて反対しません。けれども代理人の数そのものを初めから制限したりということは、えてして乱用されるという危険性が私はあると思う。ですからこの代理人の選任についてそれを全く白紙で政令に委任をしておるということ自体、私もちょっと解せないですがね、そういう配慮、つまり基本的な人権といってもいいんですが、こういう紛争処理のために自分が代理人を選ぶというそのこと自体は制限ができない。しかし、その代理人が具体的に調停の場所に出てくる数というものについてはあるいは制限されてもやむを得ない。そういう方法で制限をされるのですか、どうなんですか。
○国務大臣(山中貞則君) だからそこらのところが、こうやって質疑応答をやっておりますと、政令を最終的にきめるときに私の頭の中に入ってくるわけでございますから、ただいまの御意見は貴重な御意見として拝聴いたしまして、政令の制定に当たりたいと思います。
○松井誠君 あんまりつついて妙な政令を出されても困りますから、この辺でやめますけれども、しかし、少なくともやはりお役所仕事で、なるべく無難のほうがいいだろうというようなことで安きにつくようなやり方だけはひとつやめてほしい。これは、何としても代理人の問題というのは相当やはり重要な問題、調停の段階でも重要な問題だと思うのです。したがって、その取り扱いはひとつ慎重にお願いをしたい。 それから費用の負担の問題ですけれども、これは何度もいままで質疑がなされておりますが、もう一度あらためてこの四十四条の負担ですね、当事者が負担すべき費用としては大体どんなことを考えておられるのか、そこからまずお伺いをしたい。
○国務大臣(山中貞則君) これは先ほどの御答弁に、もう一応お答えしておきますが、この種の公害紛争処理のあり方について逃げてみたり、ごまかしてみたりすることはもう通用しない時代が来つつありまして、この法律で運用してみてもなおかつ私は問題点がたくさん出てくるだろうと思います。ですから政府の政治の姿勢として、公害に対する政治の取り組み方全体の問題は逐次点検、改正、あるいは抜本的な構想等が出なければならない時期がすでに来ているのでありますから、法律の執行にあたっていささかもごまかすようなことを考えてみたところでそれは世間に通用しない、非難を招くばかりでありまして、そういうことはむだなことだと基本的には考えております。 それからいまの費用の問題は、事柄が事柄でございますから、あとで室長から答弁させますが、被害者が当初持ち込むわけでございますから、それらの人々の負担に過重な影響のないように、なるべく配慮できる範囲の最大の軽減措置を講じてまいりたいと考えております。
○政府委員(青鹿明司君) 補足してお答え申し上げますが、この費用を分類いたしますと、大体三つに分かれるのではないかと考えます。 一つは、当事者が直接支払うようなものでございます。たとえば代理人の費用とか、あるいは出頭に要する費用、こういったものが第一の分類。 それから第二は、個々の事案ごとに委員会が審理を進めるに際しまして必要な費用でございます。たとえば参考人あるいは鑑定人等に関する費用もこれに含まれるのではないかと思います。 それから第三番目には、これは事案があるなしにかかわらず当然委員会として経常的に要るような費用、委員の手当とか、職員の俸給とか、経常的な費用でございます。 この三つに分けまして、第一の分類に属するものは、これは当事者に御負担を願わざるを得ないのではないか。それから第三の分類に属しますものは、当然公費でもってこれを支弁するということにいたしたいと思います。問題は第二の委員会の審理活動に伴って要る費用でございますが、当事者が任意で行なわれるものは別にいたしまして、やはり委員会として活動するものにつきましては、これは公費でもって支弁するということに考えてまいりたいと存じております。
○松井誠君 問題はその第二のグループの問題ですけれども、いまのお話ですと、たとえば鑑定というのが相当大きな費用に実際問題としてなる場合が多いわけですが、当事者のほうからその鑑定の申請をする、調停委員会の手でひとつ鑑定をさせるという仕事をやってもらいたい、そういう場合には、鑑定の費用というのは当事者負担ではないということですね。
○政府委員(青鹿明司君) ただいまの御質問の点は、これは公費でもって支弁すべきものと考えております。
○松井誠君 その申請手数料ですけれども、私はこれは形式的な定額を取るのかと思っておりましたら、そうではなくて、やはり具体的な紛争の案件の価格に応じて手数料を取るというような意向だということを承りましたけれども、そうなんですか。
○政府委員(青鹿明司君) やはりその事案で、解決によりましていわゆる利益に応じてスライド的にやはり申請手数料は考えるべきではないかというふうにただいま考えておるわけでございます。民事調停法あるいは建築工事の紛争につきましても同様スライド制をとっておりますので、同様の仕組みで考えてまいりたいと思います。
○松井誠君 私は少なくとも申請手数料だけは一件につき幾らという定額で取るべきはないかと実は思うんです。これは裁判の場合と違って訴訟救助という方法もない、したがって、その費用というものはどっちみち納めなければならないわけです。しかし、この費用を納めるということについて、こういう公害の紛争処理というのは何も好きこのんでやるわけでもない。普通の民事的な訴訟も好きこのんでやるわけでもないでしょうけれども、好きこのんでやるのではないという度合いがもっと強い。起こさざるを得なくなって起こすわけです。起こさざるを得なくなって起こすというところに私はやはり政治の責任というものがあると思う。政治というもののおかげでわれわれはこういう紛争処理の費用がかかる、そういうやはり負担感というものが多い。特によく言われますように、費用負担の能力の低い人たちが多いというケースがずいぶんあるわけです。したがって、その申請手数料で、しかも損害賠償なら損害賠償の額というものはずいぶん普通の民事事件よりも大きいのが現実じゃないか、被害の額というのは大きい。そうしますというと、私はやはり普通のいろんないままでのお話だと、裁判所の調停の例なんか申されましたけれども、それとやはり違った考え方をしなければならぬ。繰り返しますけれども、これは政治の責任だという、そういう一面があるとすれば、そういうことも含めて同じようには考えられないのではないか。いまスライド制ということを言われましたけれども、そのスライド制で考えて、たとえば一億円なら一億円の損害額ですと、いまの政令案ではどの程度の手数料になりますか。
○政府委員(青鹿明司君) 具体的に一億の数字で申し上げますと——まずその前に、民事調停あたりで幾らぐらいになるか、まず申し上げておきますが、一億でございますと、民事調停は二十万一千二百円でございます。それから建設紛争でございますと、これはあっせん、調停、仲裁それぞれ違いますが、あっせんで五万二千円、調停で十万四千二百五十円、仲裁で二十一万九千六百円ということになっております。公害紛争の場合でございますが、これは先生御指摘のとおりの事情もございますので、ただいま申し上げたような数字を上限にいたしまして、極力費用の負担を少なくならしめたいということで、ただいま政府部内で検討中でございますので、ちょっと具体的な数字は申しかねるのでございますが、大ざっぱに申し上げますと、大体この建設紛争の半分ぐらいで済ませたいというような考えを私ども持っておりますので、その線で今後引き続き政府部内の折衝にあたりまして結論を出したい、かように考えております。
○松井誠君 建設紛争の手数料というのは、裁判の民事調停の手数料のどのくらい、何割ぐらいですか。
○政府委員(青鹿明司君) 約二分の一でございます。
○松井誠君 そうしますと、民事の調停の手数料の約四分の一ぐらいをめどにする、そういうことですか。
○政府委員(青鹿明司君) ただいま私どもの段階で考えておりますのは、四分の一ぐらいをめどに考えたい、かように考えております。
○松井誠君 長官にその点お願いしておきたいんですが、まさに審議の経過を参酌するという意味で、私はやはりこの公害紛争というのは国が何がしかの責任が本来ある。そういうことを考えれば、普通の民事事件の処理のような形で手数料を取るということ自体が私はむしろおかしいと思う。ですから何がしかの行政行為をやるんだから、その代価として最小限度これだけ要るんだ、一件幾らという形式的なものでいいと思う。しかし、それの基本的な方針がそうでないとすれば、できるだけ当事者の負担にならないように——繰り返しますけれども、裁判の場合には御承知のように、訴訟救助という方法がある、あるいは弁護士を頼む費用さえも法律扶助という制度があって、とりあえず一銭もなくても裁判ができるという形式が整えられているわけです。しかし、これには一つもそういうことがないわけです。ですからひとつできるだけ低額に押えるように特に長官にお願いしておきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) ただいまの御意見を十分了承した上で政令の制定に当たりたいと思います。
○松井誠君 最後に時間がなくなりましたので、一つだけ鉱山保安局にお尋ねをしたいと思います。実は私どもは、先般大分県のあれは奥嶽川に三菱金属の尾平鉱山の廃坑の水が流れ、その中にカドミウムが含まれておる、そういうことで視察をしたわけですが、そのときに考えたのは、その鉱山はもうすでに廃坑になっておる、十年くらい前に廃坑になっておる。しかし、その中にカドミウムが含まれておるということで、三菱金属にそれのしかるべき施設をさせておるわけです。そのことでお尋ねをしたいのですけれども、すでに廃坑になっておっても鉱山保安監督局あたりの規制はまだきく。しかし何か聞きますと、もしこれを鉱業権がある場合、しかし鉱業権がなくなると五年たてばもう規制の方法がない、こういうことを聞きましたけれども、そういう仕組みになっているのですか。
○政府委員(橋本徳男君) 鉱山は御承知のように、特殊な事業がございまして、作業をやりましてから実際の鉱害の発生までに若干の日時を要します。したがいまして、現在の鉱山保安法におきましては、鉱業権が存続しておる間はもちろんいろいろな命令その他の措置ができます。それから鉱業権がなくなりましても、鉱業権者であった者に対しまして五年間の間は鉱業権者とみなして各種の保安法上の措置をとることができるというふうな規定になっております。ただいま問題になりましたような三菱尾平のような場合には、すでにこういった三菱鉱山というものが現に存在しておりますので、保安法によりまして十分そういった保安法上の対策が講ぜられるというふうに考えております。
○松井誠君 それは鉱業権がなくなって五年たった以後もですか。
○政府委員(橋本徳男君) 実際に鉱業権がなくなりましたというときには、これはたとえば小さな鉱山で、一社一山といったような場合は、これは鉱業権がなくなっても、その会社がたとえばほかの事業をやっているといったような場合に、五年間追及していろんな保安法上の措置がとれると思いますが、尾平のような場合には三菱鉱山というものが現に鉱業権者として存在しておりますから、これは問題ございませんです。
○松井誠君 鉱山保安法をちょっと読みますと、やはり鉱業権がなくなってから五年の間はというような書き方をしてあるから、鉱業権というものは当該その鉱山の鉱業権というふうに読めるわけだけれども、あなたのお話を聞くとそうじゃなくて、会社が存続しておる限りは、具体的にそこの鉱業権がなくなっても鉱山保安法上のいわば規制としてその廃坑になったところの規制ができる、このように考えていいのですね。
○政府委員(橋本徳男君) 三菱鉱山のような場合には、三菱鉱山として鉱業権をとっておりますのでこれは問題ございませんです。ただその周辺にたとえば蔵内鉱山なんていうのがございますが、これは鉱業権消滅後五年というようなことではございませんが、そういうような一山一社のような場合に、その山についての鉱業権が消滅いたしました場合においては五年間と、こういうふうな仕組みでございます。
○松井誠君 ちょっとよくわからなかったのですが、もう一回……。
○政府委員(橋本徳男君) 三菱とか三井とか古河とかいったような大手の山につきましては、これは三菱鉱山として鉱業権を持っておる場合が多くございます。したがって、それは一つの山が廃坑になりましても、鉱業権者三菱鉱山というようなものが残る、三井鉱山というものが現に残っておりますので、これは保安法上永久に保安法の体系に基づきますような措置を講ずることができると思います。ただ、そうじゃなしに、小さな山で一社一山という形にあった場合に、その会社が鉱業権を放棄して、たとえばほかの砂利採取とかほかの事業は継続しておるといったような場合に、初めてそれであっても五年間は保安法でいろんな措置をやらせられるというふうなことでございますので、その仕組み方におきまして、三菱の場合には実際問題といたしましてこういった保安法上の問題はほとんどないというふうに考えております。
○松井誠君 私現地を見たときに、相手が三菱だからいいようなものの、これが小さな会社でつぶれておったらどうなったんだろうということを気にした。いまのあなたのお話ですと、小さな鉱山でつぶれると一緒に鉱業権がなくなるというような場合の話をお聞きしたいのですが、つぶれた場合どうなるのですか、会社がつぶれた場合……。
○政府委員(橋本徳男君) たとえば一社一山でございまして、その会社が全くつぶれてしまったというふうな場合にはもうこれは対象がございませんので、その場合には保安法で命令をしようにも相手がいないというふうなことで、これは保安法が適用できない状態になっております。
○松井誠君 そこで、そういうのをお聞きをしたいのですが、とにかく現実に公害が生じておる、しかしその公害を生ぜしめた原因者というものはもう消えてなくなっている。会社は解散しておる。そういう場合、特に鉱山の廃坑なんかの場合に多いと思うのですね。そういう場合には一体だれを相手にして紛争処理調停の申し立てをするのか。あるいはそれはもう調停申し立てができない事件になっちゃうのか。その点はどうなんですか。
○政府委員(青鹿明司君) この制度も公害にかかる紛争でございまして、紛争でございます以上、当然当事者がないと紛争にならないわけでございます。相手方が消滅して、ないという場合には遺憾ながらこの法案によります調停なり救済に訴える道はなくなるということになるわけでございまして、その段階では、やはり苦情の問題として一般の行政上処理する以外にないのではないかと考えておるわけでございます。
○松井誠君 一説によりますと、土地の所有者に責任があるのじゃないかという議論も実はお聞きをしたのです。その点どうですか。
○政府委員(青鹿明司君) 民法上の問題でございますので、私ども正確に御答弁いたしかねるわけでございますが、民法七百十七条に、土地の工作物の占有者あるいは所有者の責任等もあるわけでございますので、あるいはこういった規定によりましてその土地の占有者あるいは所有者に対する紛争として処理することも場合によってはあり得るのではないか。かように考えております。
○松井誠君 場合によってあり得るので、つまり当事者がいま言ったような法律の条文に具体的に該当する場合に限ってできる。そうでなければこれは国が行政上、政治上の責任として処理する以外にはないわけですね。長官どうですか。
○国務大臣(山中貞則君) いまの鉱山のケースで申しますと、やはりその地域の住民、地方自治体、あるいは都道府県というようなものからのルートによって、かつて鉱業権を認めた通産省に対してその工事の施行を求め、そしてそれに伴う補償等を許認可官庁を通じて求めていって、それを政治上、行政上解決する道しかなかろうかと考えます。 〔理事小野明君退席、委員長着席〕
○小野明君 厚生省のほうにお尋ねをいたします。先般、これは私ども福岡県下の公害の視察に参りまして、特に北九州大牟田の汚染の実態を視察をいたしたのであります。その際の状況でございますが、時間もありませんから北九州市に限りましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。北九州市の大気汚染の動向はいかがになっておりましょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 北九州市の場合と限ってのお尋ねでありますので、北九州市に限定してお答え申し上げたいと思います。北九州市の降下ばいじん量は昭和三十四年から全市的に調査を続けてまいりました。測定開始当初は平均二十三・七トンを示しておりましたが、年々減少を続けてまいっております。測定開始当初測定点五十一カ所において行なってまいりました当時が平均二十三・七トンでありましたが、四十一年ごろから大体十六ないし十七トン程度、測定点は三十カ所でありますが、その程度の横ばいの数字となりました。ただ最近再び増加の傾向を示し出しておりますので、私どもとしてきわめて注目を払っておる点であります。地域的に申し上げますと、八幡、戸畑及び若松地区が高く、特に工場地帯に囲まれた八幡の城山地区というところでありますが、ここは四十三年最高九十八・五トン、平均五十二・一トンのきわめて高い値を示しました。また、浮遊粉じんにつきましては、昭和四三年度の環境大気調査の結果によりますと、ハイボリューム・エアサンプラーで測定した北九州市の十カ所の平均濃度が一立方メートル当たり三百七十七マイクログラム、公害防止計画で示した年間を通じての測定値の五〇%は一立方メートル中百五十マイクログラムであります 暫定目標値の倍以上の高い汚染率を示しております。また、金属成分を見ますと、他の工業都市に比べまして鉄及びマンガンがふえておる、非常に多いということが申せると思います。なお、硫黄酸化物につきましては、四十年度の平均濃度は戸畑区が〇・〇五五PPM、若松区が〇・〇七六PPM、八幡区が〇・〇三三PPMでありまして、四十四年にはそれぞれ〇・〇三三PPM、〇・〇四九PPM、〇・〇三四PPMと減少の傾向を示しております。以上です。
○小野明君 最近も続けて警報がなるというような状態がありまして、いまの御説明でも、かなりひどくなっておるということがわかるわけであります。 それで、次のお尋ねでありますが、この北九州市の常時の監視体制はどのように整備をきれておるのかですね。また、国の整備基準はどのようになっておるのか。補助のほうもあわせてお尋ねをいたしておきたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 常時監視測定点につきましては、厚生省としては一応二十五平方キロメートルに一カ所という基準をもって整備を進めておるわけでありますけれども、その基準からまいりますと、北九州市の場合には計算上は十八カ所必要となるわけであります。しかし、先生よく御承知のとおりに、北九州市の場合山が多いと、非常に特殊な地形をなしておりますので、実際に要する数はこれよりおそらく少なくなるであろうと考えられております。ただ、その場合に、地域のこの地形の特性が非常に問題でありますために、北九州市の場合には特に気象条件を十分考慮して定めることがきわめて必要であります。現在北九州市の大気汚染常時監視体制の当面の整備につきましては、四十四年度、四十五年度の二カ年の継続事業として監視センターを一カ所及び市内の主要地点に測定局を九カ所配置をいたしまして、テレメーター方式による常時監視網を整備する計画を持っておるわけでありまして、四十四年度においてはこのらち監視センター及び測定局七カ所が整備されました。今年度中に残る二カ所の整備を終わる予定であります。これに対しては国は三分の一の補助を行なっております。なおこれで、何ぶんにもきわめて特殊な地形を持っておりますだけに、気象条件等で左右される部分もありますので、将来なおこれらの計画につきましては、北九州市あるいは県等と十分相談をして対処してまいりたいと今日考えておる次第であります。
○小野明君 それでは次のお尋ねですが、大気汚染防止法によりまして硫黄酸化物の排出基準が強化をされておると、こういうふうに聞いておりますが、北九州市の場合どのようになっておるのかですね、粉じんの排出基準、この点についてもおわかりでしたら御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 先生よく御承知のとおりに、大気汚染防止法におきまして硫黄酸化物について指定地域ごとに排出基準をきめておるわけでありますけれども、北九州市の場合には告示できめたKの値というものは従来二六・三でありましたものを、昨年十二月にこれを改正強化いたしまして一四・〇まで押えてまいりました。これは煙突一本当たりから排出される煙の拡散による着地点においてその着地点における一時間の最大の濃度が〇・〇二四PPMに相当するわけであります。それと同時に、粉じんの排出基準は、旧ばい煙規制法時代からばい煙発生施設の種類ごとに定められておったものでありますけれども、これは四十五年度において粉じんの排出基準については改正強化をしてまいりたいと今日考えておる次第であります。
○小野明君 先ほどのお答えの中に、特殊な地形でありますから、気象条件というものを考慮に入れなければならぬと、こういう御説明がありました。きょう気象庁のほうに来ていただいておるのでありますが、特に数年前から北九州市においては、気象官署として測候所がほしい、ぜひひとつテレメーターの現在ある施設だけではなくて、その要望が非常に強いわけですが、それは当然厚生省のほうにも陳情が行っておると思うのですが、そういう点についてはどのようにお考えなんでしょうか。またどのように対処をされてまいっておるんでありましょうか、参考までに。
○政府委員(橋本龍太郎君) 気象庁の関係、これは率直に申し上げまして私どものいわゆる権限の外に出るものでありますけれども、これは私どもとしてこの地域にはそうした施設があることを心から願っております。と申しますのは、いかに公害の発生を食いとめるべく監視所その他を設置いたしてまいりましても、そのときどきの気象状況その他がある程度予想できる事態においては、これは同じ問題が発生しても早い規制が行なえるわけであります。また、その発生原因者に対しても早い勧告が行なえるわけであります。そうした点での状況の把握が十分してありません場合に、むしろその対策が後手後手に回るということも考えられるわけでありまして、むしろ私どもとしては、この場合、これは他省の所管事項でありますけれども、もしわれわれの意見を言えと言われるならば、こうした施設が当該地域内に設置されることはきわめて喜ばしいことであります。
○小野明君 この問題はあとでお尋ねをいたします。 次の問題に移りますが、先般から北九州市では知事の権限を全面的に市長のほうに委任をいたしておるわけであります。それでその効果いかんということでわれわれも注目をいたしておるんですが、その執行状況はいかがでありましょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) これはいま先生の御指摘のとおりでありまして、実は北九州市の場合、これは全国初めてこういう方法をとられたということで、私どもも非常に期待と同時に注目を払ってきたところであります。現在の時点においては、むしろ私どもが非常に前進をしてきているというので実はこの方式に対しては非常に喜んでおるととろであります。と申しますのは、この北九州市に県の権限の委任が行なわれましてから、従来公害対策課というものが二つの係、十七名で仕事が行なわれておりまして、現在これが公害対策部に市の中でも昇格をされ二課、四係、係員の数も二十四名という人員の増も行なわれましたお陰で、処理体制の強化拡充という当初の目的は十分に実は果たしておると考えておるわけであります。なお、本年度私どもが北九州市地域を対象とする公害防止計画の基本方針を作成することとしておるわけでありますが、この計画の策定、実施にあたっては、県、市に対しましても一体となって御推進を願わなければならぬわけでありますけれども、その実際の執行に当たっていただく市当局の執行体制の整備、強化等も今日以上に私ども行なわれていくことを実は心から願っておるわけであります。なお、現実の事務の執行状況といたしましては、緊急時の措置として、本年に入りましてからすでに七回にわたりまして二〇%のばい煙量削減勧告などが北九州市長に出され、また、延べ九十四工場に対して立ち入り検査等も行なわれておるような状況でありまして、私どもとしては、この体制がなお今後強化されていくことを心から願っておる次第であります。
○小野明君 気象庁にお尋ねをいたします。いま次官のほうからお答えをいただきましたように、この北九州市では非常に公害、大気汚染の状況がひどくなる状況でもある。しかも地形が特殊な地形であるということから測候所の設立をずいぶん以前から要望いたしておったわけであります。そのことについて気象庁としては御存じであったかどうか、御存じであればどのように受けとめてまいってこられたのかお尋ねいたします。
○政府委員(坂本勁介君) お答え申し上げます。 北九州市に測候所をつくっていただきたいという御要望はもう四、五年先からあるということは十分存じております。ただありていに申し上げますと、一般的に非常に組織の新設というのはむずかしい状態でございます。ただそれにかてて加えまして、ちょっと気象庁の沿革的な歴史にまでさかのぼって申し上げなくてはならないわけでございますが、戦前は気象庁は、中央気象台というものだけが国でやっておりまして、地方の測候所等々は大体地方の公共団体でそれぞれの気象業務を行なっておりましたものを、戦後——戦争直後でございますけれども、気象庁になりました際に、それをそのままの形で実は一緒くたにして、いわば非常にことばは悪うございますかもしれませんが、積み木細工のような形で積み上げられてきたような実は形になっております。内部事情の恥を申し上げるようかもしれませんが、たとえば静岡県には測候所が五つ六つもあるけれども、お隣りの神奈川県には、もちろん中央気象台は横浜にございますけれども、それ以外には測候所は全然ないといったような状態でございます。いろんないわばアンバランスがございます。正直申し上げまして、そういった測候所の配置も含めました全般のあり方の再編成をいわば考えた上でないと、なかなか財政当局のほうにも思うような説明もできないというのが実は正直いった実情でございます。ただしかし、北九州市、先ほど先生も御指摘になりましたように、非常に最近大気汚染もひどくなってきておりますし、私どもとしましても、せめて観測施設なりとは考えておりますけれども、自動気象計もまた開発中でございまして、どうしても観測施設を設けるということになると定員をつけなくてはならない。となるといやでも組織上の問題になってこざるを得ないといったようなことで、また先ほどの話に戻りますが、非常にジレンマにおちいっているわけでございます。ただそのままにしてほうっておくわけにいかないと思います。たまたまいろんな意味で社会の変動に応じなければならないようなかっこうで、いわば気象庁が曲がりかどに来ているかとも私たち思っておりますので、諸般の業務を全般的に見直して再編成に取りかかろうとしてただいま鋭意作業中でございます。そういう意味合いで、全国的に測候所のあり方等々との関連の上で北九州市の測候所の設置をどうしたらいいかということをできるだけ前向きの方向で検討いたしたいと思っております。
○小野明君 内部の問題も御説明があったわけですが、内部の再編成ということも、あるいは再検討ということもさることながら、もうかなり以前から北九州市としては測候所がほしいということで要望をいたしておるわけですね。大気汚染がひどくなることに対する要求、需要、こういうものを優先的に、この要素をいれた私は再編成というものを考えるべきではないか。再編成が先に立ちまして、機構いじりが先で、国民の需要にはあとでこたえるということは、これは問題があるかと思います。その辺を再度伺います。
○政府委員(坂本勁介君) おっしゃるとおりだと思います。できるだけそういう姿勢でなるべく早急にこの問題を解決したいとは思っております。 なお、それまでの間なりとも、現在正直申し上げますと、福岡県につきましては福岡の管区気象台とそれから飯塚の測候所と、福岡県ではございませんが、近所に下関の測候所とそれから小倉の空港がございまして、そこでいろいろな観測をやっております。大体その辺のデータを取りまとめまして、北九州市から問い合わせがあったときには、そのときの気象状況あるいは将来予測される気象状況を御通知申し上げておりますし、北九州市で開かれる委員会等には必ず出席いたしまして、できるだけいろいろな意見を、助言もいたしているわけでありますが、北九州市には残念ながら小倉空港を除きまして実は私ども何らの観測施設を持っておりません。これは先ほど厚生政務次官が言われましたような、あるいはその必要性が急がれるかと思いますが、その辺を早急に検討いたしたいと思います。ただ組織の問題はここで来年、再来年というふうにははっきりお答えいたしかねるのでありますが、単に再編成という、それまではという意味じゃなくて、あれだけの大都市でございますので、それとからみつつ、と言うとちょっとあれですが、できるだけ早急に善処したいと思います。
○小野明君 ひっかかるのは、空港にあるから、福岡にあるからという御説明があったわけですが、この空港がある側と一番大気汚染のひどい北九州市というのは全然気象条件が違うのですね。あるいは福岡にあるから北九州市を落とすということは困るのだし、いま警報を出すについてもいろいろ気象状況については福岡まで電話をかけて聞いて、それから北九州市で対処する、そういう非常に回りくどい方法しかないのですね。ですから、福岡にあるのは福岡の目的があるし、あるいは空港にあるのは空港の目的に即して建てられているわけですから、大気汚染がひどくなれば、北九州市の状況というものに対してこれに対処するということで、これは北九州市にぜひ置くようにしてもらわなければならぬ、こう思うわけです。再度御答弁願います。
○政府委員(坂本勁介君) 実は大気汚染の気象業務のことでは、ここ数年財政当局と非常に議論をしている最中でございますけれども、どこまでが気象庁の範囲で、どこまでが地方公共団体としてやる範囲かどうかということでいま現実にディスカッションをやっているところでありますが、いま先生申されましたように、私、先ほど申し上げましたのは、小倉空港にあるからそれで事足れりという意味で申し上げたのじゃございません。小倉空港と北九州市とはちょっと場所として離れているかもしれませんし、もっと枢要な地点に何らかの観測施設を設ける必要があろうかと思いますので、それは今後もそういう方向で検討していきたいと思いますが、何しろ財政当局のほうがいま申し上げたようなそういうふうな議論中でございますが、私どもはそういう姿勢で積極的に取り組んでいくということにいたしたいと思います。
○小野明君 聞くところによると、予算要求もまだしていないというお話をお聞きしているのですが、それは一体組織の再検討ということをいま言われるわけですが、これはいつごろになったらできるのか、いつごろまためどにしておるのか。結局この測候所の必要ということはいまお認めになったようですけれども、組織財源とからんで云々と言われると、五年先のことやら十年先のことやらわからぬわけですね。ですからその辺はいつごろをめどに、そしてこの問題については測候所を置かなければならぬという問題ははっきり要求をする、こういうことで作業なさっておるのかどうか、御説明いただきたい。
○政府委員(坂本勁介君) 気象庁といたしましては、いま申し上げました再編成の問題そのものを五年先、十年先というような、極論すればスローテンポでは実はだめだと考えております。御存じかとも思いますが、実は非常にいま定員削減自体の問題でも気象庁たいへんな時代になっておりまして、その意味からもたとえば観測網自体につきましても再展開をはかるとか、いろんな観測のあり方自体についても全般的に総合的にものを見直すとか、そういう作業もやっております。そういうものと並行いたしまして、いわばそういう組織のあり方等も早急に検討しなければならないと私ども実は考えております。五年先、十年先、それが二年先か三年先かということは、私はちょっとここで確実には申し上げかねますけれども、五年、十年というスローテンポでやるようではこれは気象庁自身が伸びないと思っておりますし、そういう意味で早急に取り組まなければならない問題だと考えております。
○小野明君 何のことやらわからぬわけですよ。五年先、十年先ではない、それでは二年先、三年先ではない、何もやってないのと同じじゃないですか。大体計画を再検討やる場合には、それはあなたのほうが詳しいでしょうが、何年をめどにどうする、必ず置かなければならぬのはこれだ、この点はダブっているから必要ないという検討をやられるわけでしょうが、めどもつけない、そして、どれを必置するという点の御説明もないということになると、何をやっておられるのかさっぱりわからぬですね。再度はっきりしたひとつ説明をいただきたいと思うんです。
○政府委員(坂本勁介君) 五年先でも十年先でもない、二年先でも三年先でもないという意味ではなくて、五年先でも、十年先でもというようなスローテンポでは私どももだめだと思っております。ただそれが二年先か三年先かということははっきり申し上げられませんと申し上げただけで、なろうことならば、ここ二年くらいの間にそういうようなことをし遂げたいと実は考えておるわけですが、実は先ほど申し上げました組織の新設と同様に、今度は組織を一つどこかの測候所をつぶすというようなこと、たとえばそれ自身でも今度は地元からたいへんに声が起こってきたりしまして、これは非常に作業それ自体いろんな情報を見ながら、非常に綿密にほんとうの意味でのこれは機構学的にいろんな形でその土地の方々にも納得していただけるような形の積み上げ作業をやりませんといけませんので、これは現在やっておりますが、なかなかこれは難作業でございまして、ただし、また何のことかわからないというおしかりをこうむるかもしれませんが、どうしてもやらなければならないと思っております。そんなに引き延ばしてのんびりかまえるつもりはございません。そのときに合わせて、そのときと合わせてといいますか、それともからみ合わせつつ北九州市に測候所というものをつくっていくということを前向きの方向で検討していきたいと、こういうことでございます。
○小野明君 何のことやらわからぬ説明ばかりされて不満なんですが、私が申し上げておるのは、公害で汚染をされたけれども、それがしかも最近は非常にひどくなりまして、警報が何回も鳴るという状態だ、だからそういう北九州百万の公害対策という意味からも測候所建設というのは喫緊を要する問題である、こういうことで、この機構の再編の問題もさることながら、これはお役所仕事でいろいろありましょうが、きちっとこれを置くと、そして予算要求もやる、そして機構再編は私は別に尋ねているわけじゃないですから、いつごろをめどに作業をし、予算要求をするんだと、こういうふうなはっきりした答弁をいただかないとぐあいが悪いんです。実は公害視察に参りまして、ある団員のほうから運輸大臣のほうにはもうきちっと言ってあるわけですよ。かなりな答弁も大臣のほうからもらっておるわけです。あなたのほうは必要認めるなら運輸大臣のほうまで予算要求をしたり、事情説明をしたんですか、どうですか。われわれのほうはそれほどやっておる、それまでやっておってある答えをもらっているのだが、気象庁は一体どうされているのか、あなたがそういう答弁をなさるから私は再度この点を尋ねておきたいと思います。
○政府委員(坂本勁介君) 組織の要求としての測候所の新設というものを予算要求いたしたことは正直言ってございません。ただ大気汚染との関連の上で北九州市観測施設を設けるということは予算要求したことがございます。それが先ほどちょっと申しましたように、ただいま大蔵と議論のまっ最中でございまして、どこまでが私ども気象庁の受け持ち範囲で、どこからどう地方公共団体の受け持ち範囲かというようなところでただいま両者で詰めをやっている最中でございます。これは観測施設の問題でございます。測候所のほうはまだ実は予算要求いたしておりません。これはまた繰り返しになるかもしれませんが、非常に全国的に測候所のアンバラがございますので、ここで私から申し上げるのはあれですけれども、北九州市からそれじゃ測候所をつくる必要性は認めるが、そのかわりたとえば、これはたとえばの話でございますけれども、飯塚をつぶしたらどうだとか、あるいは神奈川県に一つもなくて静岡県に六つもある、そのうちの一つ振りかえたらどうかという議論を必ず誘発するわけでございます。その意味から組織の新設云々といいました場合には、気象庁沿革的にそういうふうになっておりますが、その全般のかね合いのところも一度きれいにした形で、あるいは少なくともその構想を打ち立てた上で組織の要求ということをいたしませんと、なかなか通りにくかろうというのが実は客観的な事情でございます。
○小野明君 くどいようですが、これは来年度予算要求に間に合いますか。来年度やれますか。
○政府委員(坂本勁介君) ここで確とした答弁いたしかねます。ただいま予算要求の編成中でございまして、まだ庁として来年度の予算要求をきめておりませんが、先生の御意見も大いに参酌しながら長官にもお伝えして、その辺どうするか、あらためて検討さしていただきたいと思います。
○小野明君 次官もいまおわかりいただけたと思いますが、厚生省のほうからもぜひひとつ運輸省、気象庁のほうに積極的に御提言をいただきたいと思うのであります。最後にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 先刻申し上げましたとおり、私どもとしては、これは必ずしも北九州市ばかりではなく、大気汚染の特異な地形による気象条件の問題があるような場所についてはこうした施設を非常に希望しているわけでございますが、その場合にも北九州市というのは、今日すでに実は問題の発生しております地域でありますだけに、いま先生のお話のありましたような御意見も私どもの考え方と同一の線上のものでもありますので、私どものほうからも運輸省当局に対し、あるいは気象庁に対し私どもの役所としてのできる限りのお願いはいたすつもりであります。
○小平芳平君 初めに厚生省にお尋ねしますが、救済法ができまして地域指定をし、また疾病指定をなさった四日市の場合ですけれども、地域指定と疾病指定をしたけれども、その地域以外に同じ公害病患者と指定された患者がいるわけですね、現実に。また将来もそういう人が出る可能性がないとは言えないわけです。そこでもって、この公害の救済法による地域指定、疾病指定というのはどういう段取りでおやりになったか、まずその御説明から……。
○政府委員(城戸謙次君) 現在の公害にかかる健康被害の救済制度におきます指定地域の要件といたしましては、事業活動等に伴いまして相当範囲にわたる著しい大気の汚染あるいは水質の汚濁が生じておるということ、また、大気の汚染なりあるいは水質の汚濁なりによって疾病が多発しているということ、この二つが要件になっておるわけでございます。したがって、私どもとしましては、政令で指定地域を定めるにあたりましては、汚染あるいは汚濁の状況とそれから疾病の発生の状況、この二つの面にわたります調査をいたして決定するわけでございますが、制度の発足にあたりましては、とりあえずこれまで地方公共団体がやってまいりました測定や調査がございますればそういうものをしんしゃくしながら、最も汚染が著しいと思われる地域から優先的にとりまして、厚生省としましてさらに詳細な調査をした上で必要なところを指定してまいったわけでございます。著しい大気の汚染あるいは水質の汚濁により疾病が多発するおそれのある地域につきましては、今後ともそういうような調査をしながら地域の指定を追加をしていくと、こういう考え方でやっておるわけでございます。いまお尋ねになりました四日市のケースでございますが、これにつきましては、四日市市が従来から、先生御承知のように、国庫補助を受けながら、独自に指定地域を設けまして救済の措置を講じてきたというような事情も考慮しまして、現地の意見を十分聞きまして、私どもの調査で許される範囲におきまして、実情に沿うよう指定地域を広げてきめてまいったわけでございます。ただ、四日市につきましては、従来市が定めておりました指定地域にいない、それ以外に居住する者につきましても、一部例外的に認定患者としておった例がございますが、これらの患者が居住しています地域があるいは疾病の発生状況が、私どもの今度の法律の指定地域としてとり得ないというような場合がありますれば、その部分につきましては今度の制度の指定からはずれるということはやむを得ないと思っておるわけでございます。ただ、そういうような患者が現にあるということでございますので、従来の経緯にもかんがみまして、この部分につきましては法律の適用とは別個に、予算措置によりまして措置を現在いたしておるというのが実情でございます。
○小平芳平君 私がお尋ねしている点はもう少し具体的な手続ですね。要するに、結果としては四日市の中で指定地域外に公害病患者に指定された人がいるわけですから、ですから、それはその地元の意見をよく聞いた、あるいはある程度広く指定をなさったという御説明はわかりますけれども、現実に厚生大臣の指定した地域外に患者がいるわけでしょう。ですからお尋ねする趣旨は、一つは将来そういう人は認定するというふうに方針をきめられればそれで私はもうけっこうなんですが、あるいはもう一つは、制度的に厚生大臣が全国の地域を指定し、疾病を指定するということは無理じゃなかろうか。むしろこうした今度できるこの中央委員会あるいは審査会とは全く救済法は関係なく運用されるようですけれども、そういう点、民間の声といいますか、地域住民の声を制度的に取り上げるようなものが必要じゃないかという、そういう二点です。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまお話のございました指定地域外にいる者でございますが、この指定地域外で、従来医療費の補助を受けておりましたのが二十四人いるわけでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたような事情で、法律が適用ができませんので、公害医療研究補助金で措置をいたしているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、あくまで地域の汚染状況と、それから疾病の多発状況と、その二面から押えまして、地域を指定して、その指定地域内にいる人につきまして、居住歴等を考えた上で認定をするというたてまえになっておりますので、指定地域を今後広げるかどうかということについては、汚染状況の調査等でまた違った結果が出れば広げることがあるわけでございますが、指定地域に全く関係のない人まで拾っていく、そういうことはできないわけでございます。そういう点で、予算措置によりまして、従来予算的な裏づけによる医療費の自己負担分の補助を受けられた人が、いきなり切られるということになりませんように、ひとつ措置をしてまいりたいと考えているわけでございます。なお、この指定につきましては、これは確かに地方の実情がございますので、私どもとしましては、法律に従いまして、それぞれ都道府県知事の意見を聞いた上で措置しているわけでございますが、ただ地方まかせになりますと、それぞれ全国的な均衡がとれた行政ができませんので、やはり現在のような法律の立て方でいくということはやむを得ないのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。
○小平芳平君 どうもお答えがすっきりのみ込めないのですけれども、四日市に公害が発生していることは間違いないですね。そこで、地域指定もしたし、疾病指定もした、ここまではよろしいわけですね。ところが、私が申し上げていることは、いま部長がおっしゃるように、全然関係のないところの人を指定しろと、予算化せいと言っているのじゃないわけですね。同じ隣接地域でも、いままで二十四人の人が公害病患者と指定されていたわけですね。今後ともそういう人が発生する可能性がないとは言えないわけです。ですから、そういう人をワク外にほうっておくというのはおかしいじゃないか、全然関係のないところの人をやれと言っているのじゃないんです。わずか、隣接地域というのですから、川一本、道一本隔てただけでも、同じ症状を持っている患者に対して、あなた地域外だから予算はついてないんだぞという運営はおかしいじゃないか。もう少しそうした運営にあたっては、今度できる公害紛争処理法案のような、こうした審査会や、あるいは中央委員会というものがせっかくできる。専門委員も委嘱される。むしろそういった人の意見を聞いたほうがいいくらいであって、厚生大臣がびっしり地域指定して、あなたははずれたからだめだぞというような事態は、運営上あまりおもしろくないと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(城戸謙次君) これは確かに立法の段階においては、しかるべく審査会等の意見を聞いてやるべきではないかということもあったわけでございますが、いろいろのいきさつからそれがはずれたわけでございまして、私どもとしましてはそういうこともございますので、できるだけ慎重に、実態に沿うようにやってまいりたいと思っているわけでございます。ただ、こういう大気系の公害病でございますが、これにつきましては、いわゆる慢性気管支炎等と大気汚染との関係は特異的ではなくて、非特異的だと言われますように、要するに、大気汚染の影響ではなくて慢性気管支炎等にかかる人があるわけでございまして、そこに何らかの限界を設けなければならぬということで、地域指定なり、あるいは居住期間の限定と、あるいは勤務している人につきましては、一日当たりの勤務時間の限定ということを設けているわけでございまして、したがって、そういうような地域指定、あるいは居住期間ということは、全然はずすことはできないわけでございます。あとあとまで運用として、どこまでの地域を見るかということでございまして、これにつきましては、私どもとしましても環境の調査と、それから疾病の多発状況の調査、これをやりまして、その高いところをしかるべく線を引いて指定をすること以外にないわけでございまして、ただいま具体的問題になっています四日市について、非常にいまの引き方はおかしいのじゃないかということがございますれば、またこれは検討すべき問題だと思いますが、制度といたしましてはどこかで線を引かなければならぬということはひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
○小平芳平君 じゃあこれ以上押し問答をしても同じことで、時間がございませんのでいたしませんが、総務長官いかがでございますか、いまのことで。これは救済法ができまして、四日市で地域を指定し、また疾病を指定したわけですが、ところが、その隣接地域に二十四人の、いまの厚生省の説明でも二十四人の同じ患者がいるわけです。その人たちは同じ公害病患者としての認定を受けているわけです。ですから、そういう人たちをまるきり関係のないところの人をやれと言っているのじゃなくて、わずかに道路一つ隔てるか何かの関係で指定地域に入らないがゆえに、予算がないといって、厚生省では取り上げてくれないというような場合は紛争処理に持ち込んだらよろしいわけでしょうか。あるいは紛争処理に持ち込まれた場合に、原則的に政治の面から長官はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(山中貞則君) 私、交通対策特別委員会のほうに行っておりまして前半の質問を聞いておりませんので、大体いま概略お話しいただきました範囲内でお答えいたしますと、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づく厚生省の一定の基準を設定せざるを得ないという理由も私なりにわかる気もいたします。しかしながら、この紛争処理法案が通過をいたしました場合において、公害と明らかにただいまのお話では断定されている、それらの人々が相当多数になって、それが紛争の形になって持ち込まれまする場合においては、今回の紛争処理法案の当然救済対象としてそれを受けることになるだろうと考えます。
○小平芳平君 そういう点厚生省も研究してもういたいと思うのですね、いまの地域指定についてはですね。 で、もう一つ長官にお尋ねしますが、そうした地域指定について、あるいは疾病の指定についての争いがあるような場合、これはむしろ厚生大臣と地域住民との争いになるわけですが、それもこの紛争処理として原則的には扱えるわけですか。
○国務大臣(山中貞則君) これは、御承知のように、起因者とその被害者の関係においての紛争処理をいたすわけでございますので、国を相手どっていたしまする場合は、別途一般の法の裁きのもとになる、こういうことに考えております。
○小平芳平君 そうなると、ますます厚生省が、第一この救済法の審議されている段階でも、いま公明党からも、社会党からも、代案が出まして、もっと民間の意見をよく聞くような代案を出したんですが、結局政府案で成立したからこういう不合理が起きるのじゃないかと思うのですがね。ということは、明らかに公害病患者だとお医者さんが認定しているのに、あんた地域はずれているからだめだと言われるのですから、そういう点はひとつ研究してもらいたいと思うわけです。 それからもう一つ、この救済法についてですが、入院患者四千円、通院患者は二千円、毎月救済法によって出るようになったわけですが、これについての質問は二つですが、一つは、所得制限があるわけですね。ですから、公害病患者ですから、所得制限というのは原則的にはないほうがいいし、たとえ所得制限するとしてもうんとゆるめていかないと、全く公害病患者は自分の不注意なんかでなった病気じゃないわけですから、そういう点は所得制限は撤廃するか、もしくはきわめてゆるくするという線が必要だと思うのが一つと、それからもう一つは、入院していて四千円ではいかにも少ないということですね。ですから、四日市の方は、入院していながら生活が成り立たないから、やむを得ず昼間は働きにいく。働きにいくためには薬を、栄養剤を買ったり、そういう薬を買うので、家計はますますかさむし、と同時に、また働きながら治療しているような状態だからなおらないのですね、なかなか。ですから、どうしても安心して治療できるように生活を見てやる、生活を見てやるというまでいかなくても、月四千円、入院患者四千円は、次の段階ではもっと飛躍的に上げていただきたいと、こういう意見ですが、いかがでしょう。
○政府委員(城戸謙次君) ただいま申されました第一点でございますが、所得制限の緩和につきましては、本年度予算に認められましたところに従いまして、特別措置法の施行令の一部改正が本日の閣議で決定されておりまして、標準四人世帯で申し上げますと、これまで九十三万円でございましたのが百十四万円を限度とするとか、障害者加算がございます場合には百五万円でございますのが百二十八万円になるということでございます。形式的には前年度の所得税額一万七千二百円というのを二万九千二百円に引き上げまして、それを境としまして所得制限を撤廃する、所得制限を調整するということにいたしたわけでございます。御承知のように、所得制限につきまして、私ども毎年できるだけ緩和する方向で努力してまいりたいと思っておるわけでございます。 それから金額の点でございますが、これはこの関連がございます各種のたとえば原爆被爆者に対する特別措置法による認定被爆者に対します医療手当あるいは特別被爆者に対します健康管理手当とか、こういう他制度の手当がございますので、こういうものとのバランスも考慮しながら将来改善をいたしたいと思っておりますが、現在のところまだ制度が発足したばかりでございますので、できるだけ適正な運営につとめてまいりたいと思っておるわけでございます。
○小平芳平君 適正な運営につとめるとおっしゃるのですが、その金額を上げるようにつとめていただきたいということです。よろしいですか。
○政府委員(城戸謙次君) いま申し上げましたような、現在発足当初でございますので、そのままの運営をできるだけ適正にいたしていくということでございます。将来の問題としましては、他制度とのバランスも考えまして、できるだけ改善に努力したい、こういう趣旨でございます。
○小平芳平君 それから四日市の場合は裁判が始まっているわけでありますね。ですからこの裁判は四十二年九月一日に提訴されているのですが、この九名の患者さんのうちで一名は死亡されて八名になっているのです。あまりこれが長引いていると、死亡する人が次から次に出たんじゃ意味がなくなるわけですが、すでに二年半、三年近くなるわけですが、この見通しはいかがでしょうか。御存じですか。——じゃあいいです。 じゃあひとつ長官に、まあ公害の場合は、裁判が始まっても実際上むずかしくてなかなか結論が出ないし、それはまあそういうことについての御説明はあったから繰り返さなくてけっこうなんですが、こうしたこのせっかくの紛争処理のための中央委員会ができ、審査会ができました場合ですね、この職権で動くことはないわけですね。職権で動くこともないし、また持ち込まれてくる苦情も紛争も、この基本法でいうところの公害以外のものは扱わないということになりますと、非常にこの紛争処理法案自体が限られた運用しかできないわけですね、実際上は。
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと趣旨がよくわかりませんが、限られた扱いと申しますか、現在裁判の進行中のものの中で日照権等二、三のものが、本法案では一応対象としておりません。これはもうそのような、生活環境の加害者と被害者の関係がきわめて明白でありまして、そういう問題については、今回の典型的な公害を取り上げました中からは排除いたしております。しかしながら、一方、裁判で、おそらく、いろんな手続なんかで議論をしておるようでありますから、相当続く長い裁判である。しかし、両方ともどこかでもう話し合いに持ち込みたいというような場合には、公害紛争処理法案が成立をいたしますれば、こちらのほうに持ち込むことも可能でございます。しかし、これまた御承知ですけれども、仲裁の場合には訴権放棄ということになりますので、一応訴訟を取り下げてこちらのほうに持ってくるということになると思いますが、こちらのほうに移して話し合いで早く解決するという道は開かれることになるわけでございます。
○小平芳平君 裁判にかかっているものはそういうことになるということと、それから日照権等は審査会では扱わないということと、それから、とにかく当事者が言ってこなければ動くことはないわけですね。ですから、委員が任命され、あるいは審査会ができ事務局ができても、あらかじめ調査するとか、あるいは意見は出せるようになっているようですが、その辺の運用はどのようにお考えでしょうか。要するに、公害が発生することはわかっていても、あるいは現に公害があることがわかっても、当事者が言ってこなければ動かない、それだけでもちょっともの足りないんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) まず、日照権の問題で、この法案の中には持ち込めないと申しましたけれども、苦情相談員のところの苦情相談には、当然地域の住民として相談に乗ってあげられるわけでございますから、その意味では全くタッチしないわけでもございませんが、本法案で公害と規定をいたすものの中に、極端に狭い範囲の、起因者も被害者もはっきりわかっているというようなものを一応除いてある。しかし、現実の裁判の中にそういうものも、一件でございますが訴訟中のものがあるというふうに最高裁から聞いております。 なお、今後の運用の問題として、何もいまのところはないけれども、その企業が、たとえば、水銀等を出すおそれがある、その操業はすでに始まっておる、それが川のほうに流されている、下流の地域に住民が存在している、あるいは海があるというような場合において、事前にこの法案によって何か行動を起こすのかということでございますが、これはやはり、まず第一義的には、許認可官庁、あるいは人命財産を保護するという意味では主として厚生省になりましょうか、それぞれの官庁において事前のチェックというものは、許認可の際における措置、たとえば、はっきりいたしております排煙——ばい煙等の排出、亜硫酸ガスの脱硫装置等、そういうもの等は、すでにいろんな、煙突を七十メートル以上にしたら固定資産税の免除あるいは特別償却、それでもなおだめならば、収益につながらない多額の投資をしなければならないこの重油脱硫については、ことしから関税の還付制度をやる、そういう側面的なそれぞれの官庁のプロパーの仕事の中で、やはり事前のそれが起こらない措置がなされていかなければならないと思います。私たちは、起こることを期待しておるのではなく、それが起こらない措置が前提となっていて、なおかつ、日本の産業の高度化あるいは工業形態の多様化に伴って、地域住民に予想外の、想像もつかなかった被害というものが起こってくる、あるいは、医学の進歩によって、スモン病というものが病名として明らかになって、そのための患者数がどれだけ存在しているかというような問題が提起されてくるというような場合において、それが紛争になった——まあスモン病は直接そうじゃありませんが、いろんな形態が今後起こってくるでありましょうから、やむを得ず起こった場合の紛争には、私たちのほうで対処してやりましょうという趣旨のことで御理解願いたいと思います。
○小平芳平君 それでは別の問題ですが、文部省来ておりますか——。 この四日市の今度の指定地域の中には、中学校六校、小学校が十二校あるわけですが、こうした実情は、お調べになっていらっしゃるかどうか。各教室に空気清浄器というものをつけている。まあ全部が全部つけ切れないでいるわけですけれども、せっかく空気清浄器をつけても、校舎が古くて、窓が不完全で、室内の空気を清浄しようとしても、校舎が古ければ効果が十分発揮できないというようなこと。あるいは、夏は窓を締め切って空気清浄器を動かすものですから、暑くて、とても勉強にはならないというようなこと。そういうようなことで非常に地元では困っているんですが、文部省はいかがでしょうか、お答え願いたい。
○説明員(栗山幸三君) 私どもは、公害に関しては、ともかく、根本的には公害源の除去、規制ということが一番大事だと思っておりますが、現実の問題としては、必ずしもそういうふうにストレートに参りませんということで、一応、いま先生がおっしゃられた公害の防止工事というものをやっています。そのやった結果について、必ずしも十分というふうには私どもも考えていませんで、現在、学識経験者、いろんな方にお願いをして、何とかいい空気清浄器なり、あるいは暖冷房装置などについて、開発をしていきたいというふうに考えておりまして、いま、先生のおっしゃったとおり、必ずしも十分でないということも、私どもかねて承知をしております。現に、私どもは、昭和四十三年から、公害防止工事というものを本格的に取り上げてまいったわけでございますが、それらの工事が一体どんな効果があったか、よかったか、悪かったか。それからそのほか、子供たちに対する影響、いろんな影響がございます。心理的な影響もございます。そういうような問題を、ひとつ今年度、まあいま確定的ではございませんが、二十校ばかり学校を選びまして、そうして本格的な検討、研究を進めてまいり、そうしていまのような御指摘の問題点を早く解消してまいりたいと思います。ただ、私ども、もし、設置者において、特にそれらの工事で改善を要する点がございますれば、私どもはよく連絡をとりまして、そうして大至急、改善のためのいろいろな検討を、個々のケースにおいて行なってまいりたいと、かように考えております。
○小平芳平君 もう一つで終わりますが、通産省の方、参っておられますね——。 同じ三重県の尾鷲ですね、尾鷲で、火力発電所が現在できているわけですが、それをもう二基ふやすということでしたかね、ちょっと私もその辺——現在二基あるものを四基にしようという計画なんですか、まあ、それは計算の上では、二基を四基にしても、煙突を高くするとか、いろんなことで公害が広がることはないということを説明するのだそうですが、地元の人たちにとっては、何せ七方、山で、一方が海というような地形なんですね。要するに、海はほんのもうわずか開かれている湾になっているだけであって、山に囲まれている。現在の二基が四基になるということは、非常に四日市ぜんそくと同じような被害が、今度は尾鷲に起きやしないかということで心配していたわけですが、その点いかがですか。
○説明員(深見英二君) お尋ねの尾鷲の問題でございますが、現在、三十七万五千キロワットの機械が二台運転しております。あと、五十万キロワットを二台追加したいということで、電源開発調整審議会をパスしております。現在のところ先生おっしゃいましたように、一号、二号の三十七万五千、二台につきましては百二十メートルの集合煙突を立てております。五十万に対しましては百五十メートルの煙突を立てる予定でございます。この結果、先ほど先生おっしゃいました計算でございますが、一・七%のサルファがあります重油をたきまして、地上濃度の計算でございますが、〇・〇二二PPMということで、この地方での排出基準と言いますか、法律で規制されております値の半分以下になっております。そういうことでわれわれとしてはSO2による被害はないものだと判断しております。 それから先ほどおっしゃいました特別の地形でございますが、これにつきましても風洞実験を行ないまして、その結果その心配はないという結果を得ております。
○小平芳平君 それじゃ話し合いがつかないですか、ついたですか、あるいはつかなくてもやっちゃうわけですか。
○説明員(深見英二君) SO2については地元の話し合いはついておると聞いております。またつかないときには着工しないことになっております。
○委員長(松井誠君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(松井誠君) 速記起こして。
○田中寿美子君 厚生省の環境衛生局長がおいでになるのを待って私質問を延ばしておったのですが、どうしても環境衛生局長とそれから農林省の方々と厚生省の方々と一緒に私は質疑をしたいと思っておりました。 一昨日、私BHC汚染牛乳の問題を中心にして、BHCのことについて質疑を申し上げたのですが、それに続いてもう少し具体的に詳細にお尋ねしたいと思っております。私、一昨日の質疑の中から、それから今回このBHCの問題を研究してまいりまして、行政当局のとってきた態度、それから質問に対する答えその他の中から、三つの重大な欠陥があるというふうに感じました。第一は、牛乳の中のBHC残留ということに注意を怠っていたということ、これははからずも農林省の方が私のところに見えたときに、盲点だったというふうなことばを使われましたけれども、これは故意なのかあるいは不注意でそうだったのかわかりませんけれども、牛乳中のBHC残留に注意をしてこなかったということは非常に重大なことだと思います。 それから第二点は、このBHCの中のベータの毒性の認識が非常に不十分だったということです。ガンマばかりに注意していてべータの残留しているということに非常に不注意だった。べータのほかにまだいろいろ異性体があるのですが、全体の含む数量というものは非常に大きいものなんですね。農林省が私に答えられたのは農薬にしてガンマ化した、特にリンデンを中心にした数量をおっしゃったのですけれども、実はべータその他の異性体を含むBHCの生産量というものは非常に膨大なものなんで、これはベータは大量に出回っている。これは必ずしも農業だけではない。工業のほうにも出回っている。そういうことからしますと、このBHCの害悪というのは非常に大きく環境汚染をしているということなんです。で、このBHCを公害の中に扱うかどうかということはまだ疑問だというふうなお答えがあったけれども、水とか土壌とか、それから農薬の場合だって森林散布だの果樹園に散布したりする。それで空気の汚染にもなるわけですから、そういう意味で環境汚染に大きくベータが役割りを果たしているということに非常に不注意であったということが第二点です。 それから第三点に、WHO、FAOのガンマの基準だけがあって、国内の許容基準というものはガンマについてもつくっていないのですね。ましてベータについては何にも持っていない。WHO、FAOではべータについても基準がない。そういうような言い方をするということはたいへん逃げ口上に使われるわけです。日本には基準がないのだ、だからそういうことはBHCが野放しに出回ることができるようになっているわけなんですね。そういう意味で非常に重大なことなんで、やはり国内の人体許容一日摂取量、ADIというのを早急に制定しませんと、食品の中に入っているBHC、あるいは水や土から入ってくるBHC、そういうものに対する不安が非常に国民の中に一般に出てくる。だから牛乳に大量に出てくる、国内の許容基準がないから、もうあるということだけで、みんなおそれおののいて心配になってしまう。だからこういう不安をちゃんと一掃するためにはちゃんとしたADIというものをつくって、それにそういうものの基準を越さない牛乳をつくる、その基準を越さない牛肉あるいは食品をつくるということにしなければいけないわけなんで、WHO、FAOの基準があるだけで、国内にはありません。厚生大臣にもそういうふうに言わせていらっしゃるのですね。ベータについては基準がないものですからああいう逃げ口上を使ってはいけないということなんですね。もっときびしく考えていただかないと。 そこでこういう重大な三つの欠陥のもとで今度のBHC騒ぎがあってから後の対策が非常におくれてきている。そして今後の確固たる対策も私はまだ見出せない。これは農林省、厚生省両方にもっとはっきりとしていただきたいと思っているわけなんです。 そこでお尋ねしたいのですけれども、四月二十一日、例の食品衛生調査会の二つの合同部会の会合の後の発表ですね。その発表の前にとってきた措置のことです。環境衛生局長にお尋ねしますけれども、三月の二十一日だと思いますが、全国衛生課長会議、それから県の衛生研究所長会議をお開きになったと思うのですが、そのときに牛乳の中のBHCの問題、そのほかどういうことが報告ざれたのか、ちょっと伺いたいのですが。
○政府委員(金光克己君) 三月に開催しました環境衛生担当課長会議でございまするが、これにおきましては、従来牛乳のBHC汚染につきまして研究を、調査を進めてまいっておりました。その経過、それからその中間的なデータに基づく一つの考え方、それから農林省等でとっていただいておる対策等について説明をいたし、なお牛乳の農薬汚染防止につきまして、十分各県におきましても注意を払って、農林当局と協力して減少対策につとめるようにということにつきまして説明いたしておるということでございます。
○田中寿美子君 そういうふうに非常に抽象的にお答えになるんですけれども、それじゃ、具体的に、牛乳だけですか、問題は。そのほかの検査をされた結果がそこでは発表されていないかどうかということ、まずそれを。
○政府委員(金光克己君) 結果につきましては、大体牛乳だけでございまして、その他につきましてはなお調査を進めていくということについて説明いたしたわけでございます。
○田中寿美子君 ということは、中間の報告がその他のものについてもされたわけですか。肉類、水その他で。
○政府委員(金光克己君) 中間的なデータは、昨年の暮れに発表したわけでございまして、これは中間的なデータは牛乳のBHC農薬汚染ということでございまして、その他の乳製品等のデータは一部の県でやっておった形跡がございますけれども、これはごく一部でございまして、調査研究班としては、まだまとまっていないということで発表されていないわけです。
○田中寿美子君 それですね、まあ私は卵、先日のあなたの御答弁の中に、やはり肉も卵もやっていただく、しかし、牛乳の汚染が一番ひどかったので牛乳に集中した。それはそうだったと思うんですね。関係課長会議ではその他のことが報告されていたはずだと思うんですね。たとえば水について相当程度のBHCの汚染があるというような報告もあったように私は聞いていますが、それはあまり深く追及しないことにして、あとで水についてお伺いします。 そこで、それは三月の二十一日、発表されたのは四月の二十一日なんですね。三月という段階はもうすでに暮れからBHCが非常にたくさん出ているというので、対策をどんどんとらなければならない。もうとってきたはずの時点なんですね。それで一体、私は一昨日申し上げましたように、農林省の対応も非常に緩慢だったと思うんですが、厚生省も緩慢であった。一月、二月、三月の間に一体BHCは、これは牛乳の場合ははっきりと減っているかどうか。これはおたくの発表されたデータで見ても愛知県なんか三月かえってふえておりますね。それで一体、これは農林省のほうにもお尋ねしますけれども、十二月に通知を出し、一月に通知を出し、そして二月、三月がふえていくというのは、一体どういうことなんですか。どういう対策を実際にとられておるのか。
○政府委員(金光克己君) 一月、二月、三月のデータでございますが、一月、二月は大体変わってないわけでございますが、大阪とか、それから長崎といったところ、それから愛知と、三県が三月のデータも出ておるわけでございますが、大阪、長崎におきましては、約半分ぐらいのべータBHCにおきましては減っております。ただ、愛知県は御指摘のように、べータBHCは、二月は〇・二五三で、三月が〇・二六〇と、ほぼ同じという状態でございますが、先ほど申しましたように、ほかの二県は約半分ぐらいに減っておるということでございまして、一月、二月はやはり十分切りかえの指導が行なえなかったという点もあろうかと思うのでございますが、そういうことで、三月からようやくこういうような傾向が見られるということで、今後はかなり減少してくるというように期待しておると、またそうありたいと、しなければならぬと、かように考えております。
○田中寿美子君 私はその希望を伺っているんじゃない。確実なデータを伺いたいんで、三月は大阪、愛知、長崎しか出ておりませんけれども、実際にはもう出ておりますでしょう。それではっきりと、三月にはその他の、つまり一月、二月で非常に大きな汚染が出ていた、あるいは十二月段階で大きな汚染が出ていたところがどういうデータになっているのかということです。
○政府委員(金光克己君) 実は三月にほかの県のデータも間に合うかということで、この集計する時点におきまして期待しておったわけでございますが、ほかの県の分はデータが間に合いませんので、ここに三県の分だけ出ておるわけでございまして、その後のデータにつきましては、なお逐次報告を求めておるというような状態でございまして、いまここにそれを御説明申し上げる資料を持っていないということ、この点御了解いただきたいと思います。
○田中寿美子君 それは了解できません。もう五月ですからね。三月のデータがいまだにないということは私はあり得ないと思います。そうしてこの八地方だけではだめなんです。ほんとうはもっと疑わしいところはたくさんある。これはしさいに見てみますと非常に問題がある。これは農林省からもらいましたBHCの使用量ですね。これは地域別に見ると、一応BHCをたくさん使った地域で汚染された牛乳がたくさん出ておるということなんですけれども、そういう考え方でしますと、たとえば山口県なんというのは非常に大量に使っておるわけです。それから九州はBHC、NACというのがありますね、混合農薬、それを軒並みにたくさん使っております。BHCが一番多く出た長崎が二万四千三百八十二トン、そうしてその付近の佐賀も福岡も熊本、大分、みんなそれ以上に使っておるわけです。ですから調べて見れば必ずもっと出たはずなんですがね。ですから、そういうデータもつかんでいないということでは非常に環境衛生局としては私はおかしいと思うのですが、ほんとうにないのですか、それとも発表できないのでしょうか。
○政府委員(金光克己君) この調査は、御承知のように、国立衛生試験所を中心に全国の八都道府県と共同して調査を進めておるわけでございます。そういうことでございまして、一部の資料はすでに国立衛試にも出て、その後の資料も出てまいっておると思いますが、ただいま私がここにそういった資料をまとめて持ってきていないということでお断わり申し上げたわけでございます。
○田中寿美子君 この前お尋ねしたときに、能力のあるところにさせたというふうに厚生省の方は私に説明なさいました。それは困るのでして、疑わしいところ、つまり農林省ともし密接な連絡をとっていらっしゃるなら、BHC農薬を非常に大量に使ったというところは、もう時を移さず調べていただかなければならないのですが、いまだにそのデータを持ってこないとおっしゃるのは、発表したくないというふうに私は解釈せざるを得ないと思うのですね。ですから二月、三月、四月の段階ではたしてちゃんと減っていっておるのかどうか。三月、四月で減っていっておるのかどうか、非常に疑わしいという気がするのですね。それで農林省に対してどういうふうな警告といいますか、どういうふうにしてくれというふうに言われたのですか、厚生省は。
○政府委員(金光克己君) これにつきましては、農林省からも御説明が従来ございましたが、昨年の末から牛乳がBHCによって汚染されておる、かなり濃度が高いということにつきましては、この傾向が見られるということで、問題は、減少対策といいますか、BHCの残存量を減少させることが、一番の、もちろん問題でございまして、その方策を強力に進めてもらいたいということでお話し合いいたしまして、それで、先ほど来お話が出ておりますように、一番、その飼料の中で一番問題になる稲わらを他の飼料に切りかえていくということをお願いしたと、こういうことで、まあ現在まで来ておるわけでございます。
○田中寿美子君 それじゃ農林省のほうに伺いますけれども、農林省は二回の通牒を、十二月と一月に出しているわけですね。で、農林省独自の調査というようなことが通牒の中にも書いてあるわけなんです。一体どういう調査をなさって、どういう具体的なデータが出たかということ。
○説明員(藤井伸夫君) 汚染経路の調査でございますが一内容といたしましては、飼料の種類、それから稲作に対しますBHCの使用の状況、そういったような飼料構造、農薬の使用状況等を勘案しまして、生乳並びにそのサンプルをとって調査したわけでございますが、その結果を申し上げますと、まず第一に、飼料中に含まれますBHCでございますが、とりました飼料は、稲わら、乾燥、イタリアンライグラス、サイレージ等でございます。この中のBHCは、稲わらが一番高くて、トータルで三・一〇六、それから乾燥が〇・一六一、イタリアンライグラスが〇・〇七三、サイレージ〇・〇四七、さらに稲わらにつきましては、BHCの使用時期等を勘案しまして、後期まで使用したもの、それから中期まで使用、あるいは前期使用か未使用のものというようなことを調べたわけでございます。前期または未使用のものは、トータルでは〇・九九八、それから中期まで使用が二・三二人、後期までの使用が一〇・五九七。後期までの使用が非常に多かったわけでございます。で、さらにこれらの飼料を与えました乳牛からしぼりました生乳中に含まれますBHCは、まず稲わらの後期まで使用が〇・三八九、それから中期までが〇・二一五、それから前期が〇・一七四。飼料そのものを主体にいたしましたものが〇・〇六五、それから草地飼料作物主体が〇・〇一五というふうな結果が得られたわけでございます。
○田中寿美子君 それは、いつどこでやった調査なんですか。
○説明員(藤井伸夫君) これは、サンプル採取が十二月の末でございまして、北海道ほか十一県で行なっております。
○田中寿美子君 厚生省の四月二十一日の発表の中に、長崎、非常に汚染の大きかったところですね。ここでは稲わらの給与を十一月から三月十七日までしていると書いてある。以後全廃した。十二月と一月にこの通牒を出しておきながら、三月十七日まで、あそこ一番ひどいとこだったんですね。おたくでは長崎に、それじゃ特定のところをお尋ねしますけれども、長崎に対してはどういう指導をなさったのか、そして、どういうふうに徹底させなさったのか。
○説明員(藤井伸夫君) 長崎に対しましては、三月でございますか、確実な日にちは覚えておりませんが、三月に担当官を直接長崎県に派遣いたしまして……。
○田中寿美子君 三月何日ですか。
○説明員(藤井伸夫君) 三月四日派遣いたしまして、県の担当官側と話し合いをいたしまして、稲わら使用の規制につきましての具体的な方法を相談したわけでございます。で、方向といたしましては、一つは繊維質飼料、濃厚飼料を多給するということ、それから、普通酪農家は、冬の飼料といたしまして稲わらのほかにサイレージとか、あるいは乾燥といったものを貯蔵しておるわけでございます。そういうものを計画を繰り上げて給与する。その不足しますものにつきましては、飼料の作付計画を変更する。特に御存じの水田の休耕と申しますか、この休耕水田等を積極的に利用して、その不足分を補充するというようなことを指導いたしますとともに、さらにこれは十分徹底いたしませんでしたが、県内で汚染の少ないわらがあるならば、それのあっせんをするようにといったような指導をいたしたわけでございます。
○田中寿美子君 たいへん緩慢なんですね、その対応が。三月四日ごろとおっしゃった、私も三月の中旬だったと思いますが、静岡に行ったり神奈川に行ったり、そのほかのところにも参りました。農林省にいえばそれは関東以北であるから、BHCをあまり使ってないところだから、指導は行きわたらなかったんだとおっしゃる。もしBHCの汚染しているところの稲わらを食べさせてはいけないということであれば、少量であるものだって、日本全国に対して指導しなければならないはずです。その長崎の場合にも係官を集めて話をされて、その係官がどういうふうに下までやったかということは、私は非常に疑問を持ちます。酪農家に聞きますと、ほとんど知らないでいる。どんどんわらは食べさせて、稲わら食べさせなければやっていけないというふうなことを言っておるわけです。さっき厚生省の環境衛生局長は、BHCに汚染されている稲わらがたくさんあるので、稲わらにかわるものを何とかしてほしいというようなことを申し入れたようにおっしゃったんですけれども、それに対する対策はとられたのですか。かわるものを配給するとか、世話するとか、そういうことはなさったでしょうか。
○説明員(藤井伸夫君) 飼料の構成といたしまして、粗飼料と濃厚飼料とございます。ある一定限度の粗飼料を必要とするわけでございますが、濃厚飼料と粗飼料とについての代替性がかなりあるというようなことで、粗飼料はぎりぎりまで減らして、濃厚飼料を多給するというような方法の指導でございます。それで具体的に粗飼料、ああいう稲わらとか、乾燥のようなバルキーなものを大量に移動するということは、非常に困難でございますので、先ほど申し上げましたように、各農家が持っております貯蔵エンシレージとか、乾燥の一部等をとにかく繰り上げて給与する。四月、五月に入りますと、相当使い切れないほどの青刈りの飼料が出てまいりますので、これを利用するので、そのあとの穴埋めにつきましては、先ほど言いましたような土地の利用を考えて、新たな計画をつくり直すというようなことを指導しておるわけであります。
○田中寿美子君 まあ、私はもし時間を徹底的にかけるなら、もっともっと言いたいこと一ぱいあります。ほんとうに緊急対策を講じていたとは思われない節がございます。たとえば長崎のようにあるいは大阪のように、相当の、非常に高度のBHCが出たところでは、もう、これは人間の命をほんとうに大事に思うんだったら、その稲わらは私は焼き捨てるべきだと私は思うんですね。そして緊急に農民のためにかわるべきものを、輸入してでも何でも、これは支給してやらなければならない責任があったと思う。しかし、日をかせいでいれば、四月過ぎれば青草が出てくるので、発表されたときにはもうそろそろだいじょうぶなころだという感じがしてならないんですね。そういう点でどうも厚生省の感度と、農林省の感度にズレがあるような気がするし、厚生省はそれじゃ徹底的にそれを推し進めていくかというと、どうもその辺でも遠慮がちだというような気がして、一体だれのために行政があるのかと思うわけなんです。私は牛乳を飲む消費者の立場、それから牛乳を生産する農民の立場も両方守らなければならない。そういう立場から厚生省と農林省が同じように歩調を合わせて行政をやらなければならない行政の非常な責任があるということを、この際ほんとに強く感じていただきたいと思うわけなんです。そこでBHCの問題なんですが、一昨日もお尋ねしたときに、BHCの現在量についてガンマのBHCの数量をおっしゃっているわけです。しかし、実際に調べてみますと、BHCの原体の生産量ですね、昭和三十八年二万二百七十二トン、四十一年になりますと三万四千五十八トン、四十三年四万六千六百九十五トン、これは一九六九年の農業要覧にちゃんと書いてある。その中からリンデンの原体、この前私がしろうとだと思ってそのリンデンのことだけをおっしゃった。ガンマの農薬の数量だけおっしゃっていたと思いますけれども、それはずっと少ないわけですね。実際にはそのほかにDDTも入っているし、それから混合された農薬もあるわけですね。BHCがガンマのことばかり考えていて、ガンマというのはそれは毒性が強くて虫を殺すのに非常にいいし非常に安い。だから農薬としては一番適当だということで、ガンマを九九%まで含むところのリンデンという農薬にして計算していらっしゃるわけなんですが、その際にベータその他のことは全然無視しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、それはどういうふうに説明していただけますか。
○説明員(遠藤寛二君) 原体生産量につきまして、先生のおっしゃったとおりのことなんでございますが、そこで先生におわかりいただいてない点があるんでございますが、私の説明がどうもまずいのかもしれないけれども、私はガンマBHC換算で申し上げたわけでございますけれども、ガンマBHC換算で申し上げますと、たとえば先生が先ほどおっしゃいました四十一年が四千四百九十トンになるわけでございます。それに原体換算、つまりアルファ、べータ、ガンマ、デルタ全部原体換算にいたしますと、同じく数字が四十一年三万四千五百六十八トンでございまして、それをさらに製剤になりますと、先生がおっしゃったように非常にまざったものがございますので、確たる数字は出しにくいわけでございますけれども、製剤の主要な部分になっておりますのは三%粉剤と六%乳剤でございますが、そのまん中をとりまして大体四・五%平均だというように考えますと、同じく四十一年の製剤換算量としましては九万九千七百トンくらいの製剤になる。この数字は私の言い方が悪かったんだと思いますけれども、ガンマBHC換算で申し上げました数字で、ただそれをほかの換算でし直すとそういう数字になるというだけの話でございまして、そのほかにあるというわけではないのでございます。確かにおっしゃいますとおりに、ガンマBHCと、リンデンというのは確かにガンマBHCを主成分にしてできているものではございますが、私がいままでガンマBHC換算で、通常BHCの生産量、私どもの仲間で使う場合はそう言っておりましたので、誤解を招いたと思います。
○田中寿美子君 そのことはわかるわけです。つまり農薬としてはガンマだけが問題だったわけです。ガンマが役に立つということでガンマだけを考えていた。しかし、実はその際に一緒に入り込んできているところのべータというのが蓄積性になって、そして動物や人体の中に入り込んでいるから重大な問題をいま起こしているわけですね。そして現に今回の牛乳の中のBHCはベータが非常に出ている。ですからガンマのことだけを考えていたのではだめだと、むしろこれは農薬の面からいうと、これは厚生省の管轄になってくると思います。そうしていまのベータについては非常に勉強不足だった、すでに国際的に問題になっていたのだけれども、非常に勉強不足でベータが野放しに出回っていた結果が今度こういうふうになってきた。こういうふうに思うのですが、環境衛生局長どうですか。
○政府委員(金光克己君) 御指摘のべータBHCということの注意につきましては、学問的にも注意が足りなかったと言えば率直に申し上げましてそういうことだろうと思うのでございます。と申しますのは、昭和四十一年に御承知のように、高知の衛生研究所でこの有機塩素剤の食品の中の残留量の調査を行なった結果が出ておりますが、その当時におきましては、むしろBHCはアルファBHCという問題が提起されておりまして、べータBHCはほとんど出ていないということでありまして、しかもBHCはその当時においてはやはり量が少なかったというような結果が出ているわけであります。したがいまして、その後高知県の衛生研究所で研究を続けてまいりまして、昨年からやっと——やっとと申しますか、べータBHCのことに気がついたということでありまして、世界的にもべータBHCの問題につきましては、学問的にそこまでの追究が行なわれていなかったということであります。その点におきましては、結果的に申し上げますれば、もう少し早く見つけるべきではなかったかということが言えるのじゃないかと思って、その点は反省いたしております。
○田中寿美子君 反省していただいて、対策をどんどん立てていかなければいけないと思うのでございます。それでさっきもちょっと申しましたように、BHCは工業用BHCもある。それと農薬のほうから出てくるのと、あるいは農薬の中で、森林や果樹に撒布するという場合には空気の汚染も考えられるし、それから長年BHCを使っていると土壌の中に浸透してくるわけです。それから水にも入り込んでくる。そういう意味で環境汚染をしているということをこれはあらためて認識してもらわなければいけないと思います。公害部長さんはまだ公式の意見は出せないとしても、私はこういう水質基準をつくるときにはどうしてもBHCを入れなければならないと思いますが、水質基準には入っておりませんか、今度の水質の環境基準ですね。
○政府委員(西川喬君) 今回決定いたしました環境基準におきましては、当面有機塩素は入っておりません。しかし、審議の過程におきまして、有機塩素の問題も出ておりまして、これは人の健康にかかわります項目、七項目を決定いたしておりますが、これが健康にかかわる項目全部ではありませんが、今後疫学上その他の検討が済み次第、それから各省の同意が得られ次第、引き続いて今後人の健康にかかわる項目を追加してまいりたい。こういうように考えているわけでございまして、有機塩素も審議の過程の中に入っておりますが、早急に各省のコンセンサスが得られましたならば、環境基準の項目としてこの中に入れたいと、このように考えております。
○田中寿美子君 私は、当然有機塩素系の殺虫剤というのは水質の中に入ってくるわけです。これは農薬からも流れてくる。よく川なんか流れてきますから、水質の環境基準をつくるときには当然入らなければならないものだと思いますので、ぜひそれは研究していただきたい。BHCのべータは急性毒性は弱いけれども蓄積するということ、これは国際的に認められている。これは前回にも私申しましたから重ねて申しませんけれども、高知の衛生研究所の上田雅彦さんが人体内の蓄積について研究していられて、最近その論文が出ますけれども、その中でも非常に警告している。アメリカではすでに一九五一年から報告されている。WHOでも研究がされているし、英国でも相当研究がされているわけですね。ですから一方環境汚染をするということと、もう一つは食品として食品衛生の観点からいって、人体の中に蓄積していくその径路は米、野菜、魚、肉、卵、牛乳、水そういうものから入ってくるということは十分想定しなければならないはずだと思うのです。その点を前回も申し上げましたように、環境衛生局では特に早急に研究をしていただかなければならないと思います。 そこでいま水の話が出ましたのでついでに水のことをお尋ねいたしますけれども、いま申しましたように、雨水の中にも、川の水の中にもあるいは貯水池の水にもあり得るわけなんですね。それで飲料水の中にBHCがあるかないかというようなことについて研究調査なすったことがありますかどうですか。
○政府委員(金光克己君) これは前回もちょっと申し上げたかと思うのでございますが、川の表流水等におきましては大体十億分の一とか三とかいった程度のBHCが検出されている成績が出ておるわけでございます。井戸水等につきましてはそれが十億分の一単位をもとにいたしまして〇・〇〇何、たとえば〇・〇〇四とかいったような数字でございまして、非常に微量であるという一部の成績が出ております。しかし、計画的に全般的にはまだ調査を行なってないわけでございまして、現在やっております調査研究の一環としまして、これはぜひ進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 水道の水ですね、これは水道法によって給水する直前のところで検査なさいますね。検査基準がありますね。これによると、非常にたくさんの検査をすることになっていますけれども、これはもちろんBHC入っていないのですが、新たに有毒なものが発生してくるという場合に追加することができるんでしょう、検査を。それでBHCを追加する考えがおありになるのか。
○政府委員(金光克己君) ただいま申しましたように、もう少し計画的に調査をいたしまして、その上で判断いたしたいと思うのでございますが、御承知のように、水道水の水質検査につきましては、水質基準の省令によりまして項目がきめられておりまして、一カ月に一回は検査をしなければならぬということに規定されておるわけでございます。そういうことでございますが、現在の状態では、いますぐそれを水道の水質基準に取り上げなければならぬというほどの量ではないと判断しておりますけれども、やはりこれは全般的な汚染の問題でございますので、調査研究班で調査いたしまして、その上に立って判断してまいりたい、かように考えておるわけであります。
○田中寿美子君 さっきから水に関しては一部にこういうようなデータがあるというような調子のお答えでこれは困るので、ここでいつ検査をしたらこういうデータが出ましたということでないと、私ども納得できないわけです。ですから重要なことですから、川の水もそれから飲料水も井戸の水も早急にBHCの検査を一ぺんしてみてもらいたい。そうしてある程度出るようでしたら、水道の水の検査基準の中に新たに加えていくというような方法をとってもらいたいと思います。 それから川の水の中にあるといろ証拠がありますね、証拠がというと、川の水にいま非常に少しだとおっしゃったけれども、先日の四月二十九日ですけれども、毎日新聞に「食用ガエルにも農薬公害」という題の記事が載っておりまして、これはアメリカに食用ガエルを日本が輸出しているのです。ところが、アメリカで十二月以降陸揚げするものがみんなBHCを含んでいるというのでキャンセルされている、輸入拒否をされているわけですね。食用ガエルは淡水の中で飼うのでしょう。どういうところで飼うのか私もよく知らないのですが、水の中で飼うわけですね。ですから水やあるいは食べるえさなんか、あるいは小さな虫に、水から汚染されているか、あるいは土壌から汚染されてきているか、少なくとも土や水、そういうものの中にBHCがあるということは十分考えられるわけです。で、アメリカがこれを拒否したのは、BHCについてアメリカは非常にたくさんの許容基準をきめているわけですね。ところが、食用ガエルに関しては許容基準の標準がないものだから、だから標準のないものはたとえ微量であってもBHCが出たらこれは輸入できないというので拒否しているわけです。だから、日本から相当のぜいたくな食料として輸出しているらしいのだけれども、全部それは返されているという状態です。だから淡水魚の中にも必ずBHCが入っているという証拠になると思うのですね。だから、環境衛生局長さん仕事が多いけれども、いま食品に関してみんなが非常な不安を持っているときですから、至急総力をあげてやってもらわないと困ると思うのです。 そこで今後のことをお尋ねしたいと思うのですがね。農林省たいへん私は重要な責任があると思うのです。それでBHC、今回四十四年産の稲わらが非常にあぶないし、はたして四十五年産も稲わらにBHCが出ないという保証はおできにならないでしょう、かりに前期だけ使ったとしても。それからいままで私が申しましたように、土壌や水、その他の汚染があるということであれば出てくることは十分考えられるわけですね。それでBHCの製造は禁止した——禁止じゃなくて停止というのですね、これはちょっと私もたいへんおかしいと思っておる。輸出用はまだ今後も製造するのかどうなのか。そこで汚染されたときだけ使用の禁止といっても、実はさっきわかりましたように、一月、二月、三月相当ルーズにしていらっしゃる、使用させているわけなんですよね。だからこれを売らないように、そして使用させないようにというような政策をほんとうはとるのが最も好ましいと思うのですが、それができにくいというのはどういうところに理由があるのですか、説明してください。
○説明員(遠藤寛二君) BHCは、いま御指摘のように、たとえばほんとうにすっぱり全部やめてしまいますれば、四十五年の稲わらには少なくともかけられないで済むということはあり得るわけでございます。しかし、私どもは、先日も少し申し上げましたけれども、大体四十四年度の例をとってみますと、二化メイ虫の一化期、今回まかれるといっております分に相当するものです、そこで使いましたBHCの量を面積に換算いたしますと、先ほどの計算の製剤で約四万トンでございます。これが大体BHC使用量の六割くらいに当たるわけでございます。それで防除ができる面積というのは百三十三万ヘクタールくらいになるわけでございます。それだけのものをBHCでいままで一化期だけで防除しておった。あとの四割で二化期以降に防除しておりますが、大体大まかに言いますと、その倍以上の量をBHCでカバーしておったということでございます。それからもう一つ問題がございますのは、従来、先生も御承知のように、急性毒性が非常に強いので、四十四年度をもってなくなってしまう農薬がございます。パラチオン系統でございます。そのものが四十四年度でおしまいになってしまいます。四十五年度は、それに対しまして低毒性燐剤をもって置きかえなければならないという事態が出ております。これがカバーをいたしております面積が百五万ヘクタールでございます。そういたしまして問題がございますのは、もう一つ、二化メイ虫の一化期の防除で代替農薬は何かと先生お尋ねでございますが、私、カーバメイト系のものと低毒性の有機燐剤とお答え申し上げましたのですが、カーバメイト系のウンカの薬にはかわるわけでございますけれども、二化メイ虫にはきかないわけでございます。これはカーバメイト系統のものは吸う虫にはきくのでございますが、かんで物を食べる虫にはきかない。そういう代替関係がございませんので、二化メイ虫の一化期に使いますものは、先般申し上げましたものの中で低毒性燐剤だけになってくるわけでございます。それが先ほど申し上げましたように、パラチオンの代替の問題と、それから膨大な面積をカバーしております二化メイ虫防除というようなものでございますと一ぺんにはとてもできないということがございます。それが一つの問題でございます。 それからもう一つは、稲わら流通の問題につきましては、まさに先生の御指摘のとおりの点があるわけでございます。飼料作物ないしはえさに関係のない地帯におきます稲につきまして、従来使っておりましたものをいわれもなく禁止もなかなかできないと思うのでございます。 それからもう一つは、すでに許容基準がきまっております作物がございます。そういったものにつきましては、許容基準の範囲内ではやはり使わせざるを得ないのではないかというような理由もございます。そのようなことを勘案いたしまして、いきなり全部やめてしまうというわけにはいかなかったわけでございます。 それから停止というのは何だというお話でございますが、これは農薬取締法というのは、一ぺん登録したものを製造禁止はできないというか、やる規定がないわけでございますので、指導によりまして大体つくらせないという形の指導に持っていっております。従来から切りかえてまいっております。パラチオン系統のものにつきましても、水銀につきましても同様の措置をやっております。これはあぶないといわれている限りにおきまして、その間つくられないというふうに御解釈願ってけっこうでございます。
○田中寿美子君 そうすると、いままでのBHCの使用基準、これは厚生省のほうでもし国内に向けての人体蓄積の許容度——許容基準というものをきめれば、今度は農薬のほうで安全使用基準というものをつくるということにほんとうは対応していかなければならないわけです。BHCに関してはガンマだけを考えていたわけです。いままではガンマBHCの安全使用基準というのをつくっていた、だからベータに関しては全然ないわけです。そのことは非常に大きな盲点になっているわけですね。ですから、いままだ相当在庫量があって、そしていまおっしゃるように、二化メイ虫には必要だ、あるいは許容限度内ならば使わせざるを得ないということであれば、まだ今後相当今年も出回るというふうに私は考えるのです。そういう状況で、食品の中に、あるいは環境汚染の中にBHCがどういう形でもってあるかということは非常に私は心配なわけです。それで、新しい農薬の開発ということは簡単にできない、それもわかります。しかし、いま非常にBHCが重大な問題になってきているときに、これを禁止、販売を指導できるとおっしゃったのですから、販売しないように、使用しないように指導して、それはその分、対策というものが全然考えられないのかどうか。いまおっしゃったように、全然ほかに、BHCを使わなければどうしてもやっていけないんだ、こういうことですか。いま。
○説明員(遠藤寛二君) いろいろ御質問がございましたわけでございますが、ただいままで許容基準をきめておりますものは野菜、くだものでございますが、それはガンマしかきめていないとおっしゃるわけでございますが、果実、野菜に大体使われおりますのはリンデンでございますので、大体ガンマできめて差しつかえないのではないかと思っております。 それからただいまのBHCをほんとうに、どうしてもそれは切りかえられないのかどうかという問題でございますが、私どもといたしましては、現在までの生産状況なり従来の使用量等から考えまして、ただいま直ちに全部使うことをやめてしまえという指導をいたすということは非常に困難であろうと思っております。でございますので、先生方の目でごらんになれば非常になまぬるいというふうにおぼしめされるだろうと思いますけれども、先ほど畜産局のほうで御説明いたしましたような一オーダー、一けた下がるという段階が大体データといたしまして確実であると思われます。前期だけの使用ということでとりあえず切り抜けざるを得ない、そういうふうに考えております。
○田中寿美子君 べータをすっかり抜いてしまうという方法などもあるのではないかと私は思うのですけれども、この問題を幾ら言っても農林省はそこまでしかおっしゃらないと思いますので、私、厚生省ですね、十二品目の野菜、果実の許容限度だけつくってあるわけです。牛乳、乳製品、肉類、卵、魚、こういうものについてはないということについて私は前回相当申し上げましたから、もう申しません。これについて早急に、この間も申しましたように、緊急に研究体制を整備する、そして一定期間を区切って研究してほしい、国立衛生試験所、それから各府県の研究所、公衆衛生院などでやってもいいし。それから科学技術庁の方がおいででございましたら、科学研究振興調整費というのですか、特別研究調整費というのですか、そういうものがいまどのくらいあるのですか、そして緊急に必要なものに回すお金がどのくらいあるのかも聞かしてもらって、環境衛生局長、この際それを厚生省だけではとても手が回らないということで要求するぐらいの意気込みを見せてほしいのですけれどもね。
○説明員(原野律郎君) 私ども科学技術庁で持っております特別研究促進調整費、これを略しまして特調費と呼んでおりますが、これが四十五年度の予算総額は六億八千万円でございます。この六億八千万円の中には、ただいま先生から御指摘いただきましたいわゆる不測の事態に対応する、そのために年度途中におきまして緊急に実施をする必要がある試験研究というものに対しまして支出する予定分が今年度は約一億八千万円、かように考えております。
○田中寿美子君 その一億八千万円といろ特別に緊急の場合には出してもいいお金があるのですからこれを使ってください、これは国民のためなんですから。また生産する農民のためでもあると思います。 それで環境衛生局長、さっき申しましたWHO、FAOだけにたよっていることは、これは口実になります。日本国内のADIがないということのために野放しになって、BHCがどれだけ出回っても取り締まられないで済むということになるのです。ですから国内の基準というものをつくって、その基準を越えないようなきれいな食べものをつくっていく。牛乳だったらことしのうちにはもう全部きれいなものになるのだというようなことをはっきりさせませんと、消費者は非常に心配してしまうわけです。肉だって、卵にしましても、それから魚にしてもそうですから、それをぜひやってほしい。
○政府委員(金光克己君) 御指摘のように、べータBHCの一日の安全摂取許容量というものが世界的にないわけでございまして、これにつきましては三カ月前から国立衛生試験所でサルによりまして実験を進めております。中途段階の結果も出ておりますが、これを引き続き推し進めましてべータBHCの人体安全許容量というものをできるだけ早く確立したいと考えております。それとあわせまして食物の牛乳食品につきましては残留許容量というものをきめてまいっておりますが、ただいま御説明ございましたような乳製品あるいはその他のものにつきましてのまた残留許容量というようなものにつきましても早急にきめたいと考えておりまして、これにつきましても必要な調査研究を強力に進めてまいりたい、かように考えております。
○田中寿美子君 最後に農林省ですね。農民への指導というのはもっと親身になって徹底してもらいたいと思います。私ども騒がれて消費者はほんとうにずいぶん不安で、そして行ってみると平気で稲わらをどんどん食べさせているというような状況があって、しかも通牒は出しました、手続上からいえば少しも手抜かりがなかったようなことをおっしゃっているのでは困るのですね。私は厚生省がどこか言いたいことを言わないような部分があるような気がします。そういうようなことがないように、どうか両方で緊密に連絡をとって、今回問題になった牛乳をはじめ、すべての食品が人体の中にBHCを残していくことのないようにするために、農作物は非常にたくさん関係がありますから本気でやっていただきたい。この際特にしっかり意思を発表していただきたいと思うのです。農林大臣にもお伝えください。
○説明員(遠藤寛二君) おしかりをいただきまして恐縮に存じている次第でございます。私どもなかなか広い範囲かつ数多くの相手をいたしておるものでございますから、至らない点がございまして申しわけないと思っております。私どもも通達の出しっぱなしでそれでいいと思っておるようなことは決してございませんで、本日も午前中四十六都道府県の係官を全部寄せておりまして、そこで私から詳しく説明をいたして協力を依頼をしております。それが帰りまして地区へ行きまして、それぞれの地区の組織を通じまして徹底されるように頼んでおります。また私どもも今後いよいよまくということになりましたら、係官の派遣あるいは会議の開催等を行ないまして、さらに徹底をいたしたいと思います。私どもも決していいかげんにやっておるわけじゃございませんけれども、ただなかなか手が回らないというようなことで御迷惑をかけたりおしかりをいただいたりしておりますが、誠意を持ってやりたいと思っております。また上司にも十分申し伝えたいと思います。
○委員長(松井誠君) ほかに御発言もなければ、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松井誠君) 御異議ないと認めます。 それではこれより両案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松井誠君) 御異議ないと認めます。 それではこれより両案の採決に入ります。 まず公害紛争処理法案(閣法第一八号)を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松井誠君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○小野明君 この際私はただいま可決されました公害紛争処理法案に対する各派共同の附帯決議案を提案いたします。 まず案文を朗読いたします。 公害紛争処理法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、累積する公害紛争の処理に充分な実効を挙げるため、次の事項について積極的に対処し、公害紛争処理制度の整備充実に万全を期すべきである。 一、公害発生源の明定、因果関係立証の困難性、被害者の立場の特殊性等公害紛争に固有の問題があることを考慮し、今後裁定制度の採用等を国家行政組織法第三条機関への移行を含めて、検討し、速やかに結論を出すよう努めること。 二、本法から除外されているいわゆる基地公害については、今後本法との関連において既存の防衛施設周辺の整備等に関する法律等をも含め真剣に再検討し、いわゆる基地公害の防止等の対策に遺憾なきを期すること。 三、公害紛争処理に関する議事は、非公開を旨としているが、公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加えること。 四、中央委員会及び審査会等の委員の選衡については、その果す機能にかんがみ、被害住民等当事者の信頼を得られるよう配慮すること。 五、公害苦情相談員の制度を実効あらしめるため、その機構、権限等についてさらに検討すること。 六、公害紛争処理の円滑公正な実施を図るため、中央、地方を通じて、機構、人員の整備、予算充実等について充分配慮すること。 右決議する。 以上でございます。何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
○委員長(松井誠君) ただいま述べられました小野君提出の附帯決議案を議題といたします。 小野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松井誠君) 全会一致と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は、本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
○国務大臣(山中貞則君) ただいま全会一致をもって委員会の附帯決議として可決いただきました各項目、ことに第四項につきましては、衆議院段階では論争はもちろん、御意見として拝聴したところでありますが、附帯決議として明確にここにつけ加えられております点も十分配慮いたしまして、さらに紛争処理の今後のあり方が複雑多岐、かつまたそれに対応する柔軟な法的措置、行政展開等を必要といたす事柄でありますことにかんがみまして、皆さん方におかれて、長時間の御意見、御高説を承わりました点は、今後はそれを十分に反映させたい、国民の生命、健康、生活を守るために懸命な努力を続けていくつもりでございます。決議の趣旨について全面的に尊重し、かつ、これに対して努力することを申し上げたいわけでございます。
○委員長(松井誠君) 次に、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松井誠君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○小野明君 私はこの際、ただいま可決されました公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する各派共同の附帯決議案を提案いたします。 まず案文を朗読いたします。 公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、公共用水域の水質の保全がわが国の公害対策上極めて重要な課題である実態にかんがみ、本改正案の成立に伴い、次の事項の実現を積極的に推進し、もつて公共用水域の水質の保全に万全を期すべきである。 一、水質保全の予防的対策を重視しつつ指定水域の指定及び水質基準の設定を促進するほか、指定水域における水質汚濁の実情等の公表措置並びに汚濁源の自粛を促がす措置について強化を図ること。 二、最近における公害被害の実情に照らし、重金属物質に係る水質の汚濁について、法的措置も含めて防止対策の強化を図ること。 三、公共用水域の水質の保全に万全を期するため、とくに地方自治体の機構、人員、予算等の充実及び権限の強化を図ること。 右決議する。 以上でございます。何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
○委員長(松井誠君) ただいま述べられました小野君提出の附帯決議案を議題といたします。 小野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松井誠君) 全会一致と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対して、経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまの附帯決議に関しましては、私どもも今日の水質保全行政の重要性、特にますます困難性を加えてまいってきている問題でございますから、よほどの覚悟を持ってそれの実施に当たらなければならないとかねがね思っておりますが、特に重要な問題点をここで御指摘を受けております。われわれもこれについてはかねがね覚悟いたしておるところでありますが、さらにひとつ一そうこの決議の御趣旨を体しまして、十分この趣旨を尊重しまして、具体的な施策をできるだけ急ぎたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○委員長(松井誠君) なお、本院規則第七十二条により、両案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松井誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会