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63回国会参議院1970/04/20

決算委員会 第11号

発言数
419
登壇者
39
会派数
5
開催日
1970/04/20

会議録

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十二年度決算外二件を議題といたします。  これより総括質疑に入ります。午前は内閣総理大臣に対する質疑を行ないます。  なお、理事会におきまして、総理に対する質疑時間は、答弁を含めて一時間三十分ということに決定いたしましたので、非常に窮屈でございますが、質疑者並びに答弁者の皆さんに協力のほどをお願いいたしたいと思います。  御質疑のある方は順次御発言を願います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 去る三月十八日に、シアヌーク元首が親米軍部によって追放されたあと、カンボジアでは四月に入ってベトナム人の集団虐殺事件が相次いで起こり、これらの事件を裏書きするかのように、四月十五日、ロン・ノル・カンボジア首相は、「一八四〇年にクメール人が一斉決起し、数千のベトナム人を殺し、その支配から国を解放したときのようにベトナム人を追い出そう」と、国民に呼びかけておるのであります。こうした状況の中にあって、シアヌーク殿下は、十六日カンボジア国内ゲリラとの交流の意思を明らかにして、一方一昨日来の新聞は、アメリカによるカンボジアへの武器援助の動きを伝えております。ラオス戦局の激化と相待って、これらの動きはベトナム戦争の全インドシナ半島規模への拡大を意味する、少なくともそのきざしであると思いますが、総理はいかがお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) インドシナ半島におけるカンボジアの政変以来、たいへん困難な状況にぶつかっておると思います。したがって私は、一日も早くこのことが平静に復するように、かように考えております。ベトナム、ラオス、カンボジア三国に対しましてそれぞれいままでも対策は立てられております。あるいはフランス提案なるものも出ております。またカンボジア自身においても、いま指摘されたように、アメリカに対する武器援助を要請した、こういうことですが、アメリカ自身もこれに対しては、たいへん慎重な態度をとっておるようであります。私は、それらのことは、このインドシナ半島におけるただいまの状態を一そう激化の方向でなしに、鎮静というか、しばらく模様を見なきゃならない方向にいま向いておる、かように私考えております。また一日もさような方向であってほしいと心から願っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 佐藤総理とニクソンのいわゆる共同声明で、総理大臣は日本としてはインドシナ地域の安定のため果たし得る役割りを探求している旨を述べた、こういう形になっているのでありますが、いわゆるインドシナ地域安定のために果たし得る役割りを探求しているということは、その役割りとは、たとえば経済援助、あるいは第四次防に向かっての武器輸出まで含んで探求されておるということかどうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 経済援助はもちろん私どものやらなければならぬことだと、かように思っております、これはいわゆるポスト・ベトナム、こういう意味で。しかし。武器援助、武器輸出等については全然考えはございませんし、紛争をそういうことこそ助長するゆえんである、武器の輸出については、厳重にいまの三原則からも、そういうことはやらないという考えでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 アメリカの政府と軍部の指導者にとって、インドシナ半島は何か一つという根強い発想がある。したがって、ベトナムでの敗北というものが半島全域での敗北につながっている、そういう感覚があるような感じがいたします。そうなった場合に、ベトナム戦争の終結を前提とした沖繩の七二年返還という形のものは、どのようになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の返還は一九七二年中に実現する。しかし、ただいまのインドシナ半島における問題が解決しておらなかった場合、その場合にはあらためて協議する。こういうことでございますから、返還は返還、問題が続いておればその返還というワク内で協議する。かようなことでございますから、返還については何らの疑念は持っておらない、かように御了承いただきたい。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 七二年沖繩返還の時点でベトナム戦争が終結していなかったならば、いまの答弁にありましたように、少なくともその中で協議をする。言ってみれば、米軍基地の縮小や撤去、そういうことはないと言えることではないかと思います。それは、現に日米共同声明の内容からしても、アメリカ側のいまのままということになっている点、たとえばこの沖繩返還ということが、英文ではやはり復権という形で、明確に施政権の返還ないし移転以上のものではないということが明らかでありますから、そのように考えられますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 和田君のお話は、ちょっと私いま聞きとりかねたというか、あるいは誤解があると悪いんですが、ベトナムの紛争が続く限り、縮小や撤去ということは沖繩において考えられない。こういうお尋ねかと思いますけれども、先ほど申しましたように、七二年返還、これはベトナムの問題が続いておった場合でも返還は返還として考えよう、そのワク内で協議しよう。それじゃ協議は一体何か、こういうことになりますが、ただいまの状態では協議の内容が全然わからないのであります。私どもは、まあ大体七二年にはベトナム問題は解決する。かように考えているものですから、そのときの状態で協議するという、それは新しい問題でございます。ただいまの沖繩の基地の撤去あるいは縮小、これはもう当然日本の本土並みになるべきものでございますから、私は、順次撤去あるいは縮小、その方向に行くだろうと思います。しかし、そのこともただいまある軍基地がたいへん膨大なものであり、そして特殊の働きをしている。そういう関係で、短期間の間に撤去あるいは縮小、それはなかなか期待できないだろう。こういうことは考えられますが、そういうことをも含めて、ただいまの協議の対象になる、かように御了承いただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 佐藤総理は、この際、カンボジアのロン・ノル政権に向かって、戦争は異常を生み、その異常は虐殺という非人間化の極限をつくることを訴えて、そのことを通して、いわゆるジェノサイド反対の国際世論喚起の先頭に立つおつもりはありませんか。このことは、みずからは再び南京やシンガポールの、あの苦い道を歩まないとの内外に対する宣言と保障に役立つでありましょうし、いまアジア近隣諸国から佐藤政府に集まっている軍国主義復活の声に対する佐藤政府の一つの回答にもなろうと、私は思うから、明確な御答弁をいただきたいと思うんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まず、あるいは答弁が逆になるかわかりませんが、私が軍国主義的な方向に動いておる——国内でよもやさような疑問を持たれる方はないだろうと思います。もし国内でさような疑問を持たれるなら、たいへん私の説明が足らないことだと、かように思っております。これはもう予算委員会を通じ、またその他の機会を通じ、わが国の平和に徹した基本方針はよく伝えてありますし、自衛隊をさらに再軍備するという、そういう方向でない、徴兵制度を採用するというようなことでもないし、また憲法改正などは考えないというはっきりしたことを申しておりますから、よもや国内にさような議論があろうとは思いません。しかし、いままでの報道で、国外における外国の日本の見方、これはいろいろまちまちだろうと思います。それに一々私どもが答える必要はないことだろうと思います。これは、ああいう内政の干渉にもなることだし、日本は日本で自由にやるんだからまかしておいてもらいたい、かように私は申し上げたい。  だから、その話は逆になるかわりませんが、私自身の姿勢なり、それに対して、野党といえども私が軍国主義的な方向あるいは帝国主義的な方向、さようなものを歩んでいない、これは御理解いただけるだろうと思います。  それはともかくといたしまして、このカンボジアの問題に対して、何か日本が平和的な方法でわれわれの希望する方向、それを具体化する方法はないだろうか。これについて、過日、わが党の川島副総裁がソ連を訪問いたしました際に、このことはもうすでに予算委員会でも答えたのでありますから、私、この席でも申し上げたいと思うんでありますが、私どもも同じようにやっぱり二大軍事強国、ソ連並びにアメリカがこういう問題について話し合うことが必要じゃないか。したがって日本が提案するんだから米、ソ、日本三国の間でこういう問題について話し合う用意がないか。日本にはあるんだが、ぜひそういうことをやってくれないか、こういう申し入れをソ連でいたしたのであります。しかし不幸にしてソ連の賛成を得ることができなかった。したがって私どもも、平和的な解決方法があるならば、それはぜひとも進めたいと思います。ただ単に米、ソ、日本、こういうような国に限る必要もないし、多数国でやる国際会議とか、これはもう望ましいことであります。ことにカンボジアがいま問題になっておりますが、ベトナム、ラオス、こういうものが北ベトナムとの間には介在するのでございますから、このラオスの問題等についてのジュネーブ会議、その会議がやはり厳格に行なわれることが戦闘を停止するゆえんでもあろう、かように考えますので、少なくともジュネーブにおける会議、これが開催されることが心から望ましいことではないか、かように私は思っております。また、日本でできることは経済的な援助でございますから、いわゆるポスト・ベトナム、ベトナム戦以後における同地方の経済復興、経済再建等において、多数の国と手を携えてこれらの国が経済再建ができるように日本も応分の援助をする、こういう態度は、もういち早く示しておるという状況でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いわゆるあの大量虐殺事件について、端的に国際的に提起をする用意はありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大量虐殺事件も、私は残虐そのものの行為でまことに遺憾に思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 時間もありませんから、じゃ物価問題について。  これはいろいろな角度で、いろんな人によって論ぜられてきました。しかし、これほど議論の成果があがっていない問題はないと思うんです。三月十一日に佐々木日銀総裁は、「世界各国ともインフレとの戦いに取り組んでいるが、いまのような完全雇用のもとでは物価安定はきわめて困難である。」と語ったと。私は、これが政府当局者たちの言いたい偽らざる本音だろうと実は思うのです。その証拠には、お隣にすわっていらっしゃる福田大蔵大臣も、総選挙中に名古屋で、「物価問題で一番の眼目は総需要をある程度押えることだ。流通、中小企業の近代化など個別の対策を進めても、実質成長率が一四−一五%では物価を安定させることはむずかしい」、そう語っていらっしゃいます。  つまり完全雇用政策、そしてその日本的あらわれとしての超高度成長政策に物価上昇というものはビルトインされてしまっているということであろうと思う。総理なども、国民を統治していく上で言わざるを得ないものですから、物価安定などということをよく口にされるわけですが、ほんとうに物価を安定させるということは、私は、佐藤政府にとっては政策の大転換を意味する以外にないと思うわけです。国際収支の面からのチェックが働かない限り、佐藤政府の政策は、高度成長ムードという国民世論上のプラス要因と、物価上昇というマイナス要因とをてんびんにかけているようなものでありますから、まあ選挙で自民党が大敗北でも喫しない限り、物価安定などはないと私は思います。しかし、それにしても最近の消費者物価の値上がりはちょっとひど過ぎます。冬大根一本が二百円近くなるなどということは、これはもうたいへんなことであります。  私はそこで、総理にお聞きしたいのは、この野菜などの値上がりについて、私は、これは単にインフレといったような一般的なことばで片づけるわけにいかない何か特殊な事情があると思うのであります。インフレということばの定義がまたさまざまなので、今日の生鮮食料品の価格の急上昇を、少なくとも貨幣減価による一般的物価上昇と言うことはできないと思うのです。総理は、一体、今日の生鮮食料品の価格の急上昇の原因は何だとお考えになっているわけですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えいたしますが、生鮮食料品、ことに野菜の急上昇は、これはもう需給の関係からそういう状態になった、供給が非常に少ない、その供給の少ないことは何によるか、これはいままでの異常乾燥その他天候、気候のせいだと、私はかように思います。したがって、春野菜が出ましたただいまはだんだん豊富になりつつある。これあたりは、ほんとうに需給だけできまる問題でありますから、やはりその供給を豊富にする、これが必要だと、かように思いますが、このほうはむしろ簡単な問題じゃないかと思います。したがって、物によりましては、国内だけでなしに、国外からも輸入することによって供給を豊富にする、そういうことで価格を低下することができる、かように思います。しかし、その前段に述べられた特殊な価格上昇、これは卸売りといい、あるいはその他一般の耐久消費財等は、あるものは、テレビや自動車は下がっておりますけれども、しかし一般的に上昇傾向にある、これはいなめない事実であります。むしろ、そのほうが問題ではないかと思います。しかし、この状態を直ちにインフレだと言うのは少し言い過ぎではないかと思います。私は、国内の需給の問題と、外国からの問題と両方合わせて、ただいまの国内の卸売り物価の値段、相場などはだんだん変わってくる。かように思いますので、総需要を押える、抑制する、これは国内だけの問題としては十分効果をあげつつあると思いますけれども、しかし、国際的にはそういうものはなかなか押えられない、こういう点があるだろうと思います。インフレだという議論になれば、これはやはり貨幣価値の暴落だと、そういう点だと思いますが、ただいまの状態は悪性インフレだと、それは、私は当たらないと思います。通貨の国際価格がたいへん強含みで、たいへん円などは強いと言われている。ドルに対しても、ポンドに対しても、外貨のどの国に対しても円が強い。それから見ると、悪性インフレだということは当たらないと思います。この辺にいまの経済事情のむずかしさがある、かように私は思っております。したがって、和田君のお尋ねも、ただ、いま時節もの、季節ものである生鮮野菜だけの問題に限られれば、これは特殊な事情です。これに対する対策は需給調整をうまくやる。したがって、国内だけで供給が十分でなければ、タマネギの緊急輸入を台湾からしたように、やはり輸入も考えていく、こういうことだと、かように思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 総理は、さきの参議院予算委員会で、物価上昇の元凶は地価である。そういう趣旨から、地価公示額を上回る価格での土地売買には一〇〇%課税も考えていると述べられたそうですが、建設大臣は否定する発言をしまして、閣内の不統一を見せておりますが、物価上昇の元凶が地価であるという場合、私は二つのことが考えられます。一つは、地価が直接に、あるいは間接に商品原価にはね返るという問題であります。もう一つは、いわゆる都市化現象に伴う地価上昇への思惑が農家をして農業意欲を減退させて、野菜等の生鮮食料品の著しい需給アンバランスを生ぜしめているということだろうと思います。そこで、総理が「物価上昇の元凶は地価である」と言った真意は何か、地価公示額を上回る価格での土地売買にはほんとうに一〇〇%課税を行なうつもりですか。やるとすれば、いつどのような形で制度化するつもりですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、物価の問題で、いま時節もの、季節もの、それもございますが、やはり根強いものとして一番国民から住宅不足が言われております。そういう意味で住宅の問題を解決しようとしている。そうすると、一番問題になるのは——ネックになるのは土地であります。そういう意味から土地の値段がどんどん上がる。これを持っておることによって高くなることが期待される、こういうことが言われております。したがってなかなか手放さない。逆に土地に対する要求というか、需要は集中していく。土地を持ちたい、そういう方向にこれが非常に激しくなってきて、その方向にいけばいわゆる換物、土地に投資、こういうようなことに変わっていって、場合によれば悪性インフレにもなりがちでございます。ただいまのところ、そこまでは考えておりません。悪性インフレにはならないと思っておりますが、しかし、土地が一つの物価の基幹、基本になる、かように私は考えております。でありますから、土地の値段が高くなれば、それにやはり比例してだんだん物が高くなる。もちろんこれは価格形成の場合の一つの大きな要因でもありますから、そういう意味で地価が一つのポイントになる、かように考えます。したがって、土地の値段を高くしないように、そういう政策はぜひとらなければならない。これはいままで説明してきたところであります。そこで、地価対策のいろいろな方法が考えられておりますが、そのうちの問題の一つに、いわゆる地価の公示制度、これを発表すると、そして周知徹底させると、こういう問題がございます。しかし、幾ら周知徹底させるといっても、どんどんそれより以上に売買されて、それがみんな利益になって土地所有者のふところに入るなら、これは公示制度の効果というものは十分目的を達することができない、かように思います。そこで公示制度をしいて、地価というものについての国民の一つの理解ができたならば、それより以上の高い値段で売った場合に、それに対して課税する、重課する、そういう方法はとれないか、これがいま尋ねられておる問題だと思います。私は、そういう事態に、公示制度が国民の間に普及徹底して、そうして自分の持っておる地価は幾ら幾らになる。これより以上に売ることができても、それがみんな税金になるんだと。それじゃ、自分のふところに入らないから意味がない。こういうことになれば、公示制度は役に立ち、また地価を上げなくても済む、かように実は思っておるのであります。したがって、かつて委員会でそういう意味の発言をしたと記憶しております。しかし、ただいまの公示制度はいまできたばかりであります。まだ三大都市についてその公示制度を部分的に出しておる程度で、まだ全部が示表されたと、こういうものでもございません。大至急に公示制度を徹底さすこと。そうしてこれが国民の間に十分理解されれば、それから後の課税の問題というものは、これは取り上げ得ることだ、かように私は考えております。今日でも特別ないわゆる短期の、投機的な地価の売買等については、やはり課税対象にこれを取り上げる、こういうことはできるように思いますが、やはり一般的な取引でこの点が抑圧される、押えられるようにならないと、十分の効果はない。かように思っておりますので、至急に中身を整備していく、こういうことで取り組みたい、かように思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 新社会経済発展計画は、課題達成のための政策案の中で、物価安定に関しては第一総需要政策の適切な運用が基本であることが示され、あわせて構造政策、競争条件の整備、輸入政策、公共料金政策など各種の政策の併用の必要性が述べられ、実質成長率平均一〇・六%、消費者物価上昇率年平均四・四%の案が採択されているわけでありますが、この計画に、総理は、まず責任をお持ちになるかどうか、そのことが一つ。  時間がありませんから続けて聞きますが、新計画では、比較的低い消費者物価上昇率と小幅な国際収支の黒字、成長率一〇・六%という三本の柱が立てられているようでありますが、この計画のフレームワークの中に多くの問題があるようであります。詳しくは別の機会に論じたいと思いますけれども、ただ一点だけお聞きをしておきたいのは、四・四%の低い物価上昇率と一〇・六%の成長率を両立せしめている前提として、残存輸入制限のすみやかな撤廃あるいは関税率の引き下げなど、自由化政策のかなり思い切った断行が考えられているのではないかということであります。この私の疑問には、かなり私なりに理論的な根拠があるのですが、その点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま総合開発計画、社会経済発展計画、これで一体どういうような目標の数字が適当か、こういうことでいろいろデータも集め、知恵をしぼったわけであります。そこでまあ成長率一〇・六というのがきまったわけでありますが、これはもう和田君も御承知のように、非常に経済成長率が高い日本の場合、これが日本経済を成長拡大する、そうして同時に地位を高めることができたと思います。しかしながら、この結果もたらされたものが完全雇用であり、そうしてその他の面で社会投資の、社会資本の不足その他いろいろの弊害を生じておるわけであります。やっぱり経済の成長は望ましいことだが、適正な経済成長、こういうことに努力をしないと長期的な経済の拡大ははかれない、やはり息切れがすることになるのだと、かように実は考えておるのであります。そこでまあ最近の経済成長は、経済社会発展計画では一〇・六と、こういう数字を選んだわけであります。この点ではいろいろの御議論がおありだろうと思います。もちろん私たちは、いわゆる計画経済そのものをやっておるわけではありません。したがって私どもが立てたこの数字は、そのとおりにならないからといって、これは別に不都合だ、かようなおしかりがすぐそのままはね返るものだとも思っておらぬのであります。しかし一たんきめたこういう計画数字、これはやはり守るようにあらゆる努力をしなければ意味をなさないことになる、かように思っておりますので、いまの政治を遂行していく上からは、やはりこれは一つの強い指標になっておる、計画に準ずる指標になっておる、このことは申し上げ得ることだと思っております。したがってこの成長率にいたしましても、一〇・六、これが実現するようにいろいろの努力をしておるわけであります。それが金融政策になり、さらにまた財政政策にもなり、さらにまたそれが貿易政策になる、こういうことに次々に発展する。これはもう当然のことであります。したがいまして、今回成立した予算にいたしましても、金融諸政策とあわせて予算の実行にあたっては、十分経済の動向を見きわめて、そうしてこれはこすわけにはまいりませんが、下回るような、必要ならば引き締めもやむを得ない、かように私ども考えている次第でございます。そこでただいま言われますように、貿易の面ではこの残存輸入制限、そういうものを大幅に撤廃するのじゃないか——そのとおりであります。私どもやっぱりもう一国経済、そのワク内に閉じこもっていては、ただいまのような安定成長を期することはできませんし、また物価問題などの解決もできない、かように思います。したがって残存輸入制限も、これをなくする方向で努力してまいります。また関税等の諸政策も、これも再検討してまいります。もちろんその場合に、わが国産業に及ぼす影響を考えなければなりません。方針が自由化だからといって、何でも自由化だ、そういう意味で事足りるわけではない。しかし私どもが全体の動きを十分成果あるように進めていく上においては、ときに一部に問題が起こりましても、やはり踏み切らざるを得ないのじゃないか。自由化の方向に踏み切らざるを得ないのじゃないか。そうして自由化がかもし出すいろいろな状態については、そのときに対策を立てればいい、かように実は考えておる次第でありまして、貿易の自由化、残存輸入制限、これの撤廃あるいは資本の自由化等につきましても、さらに考えていくつもりであります。大体の方向はそのとおりであります。  また冒頭に聞かれましたように、ただいまの経済成長並びに物価について責任を負うか、かような点については、私は、冒頭に申し上げましたように、完全な計画経済ではないのだ、だからそういう意味においてはこの情勢の変化に応じて修正されることもある、かように思いますが、ただいわゆる目安、目標というよりも、より強い意味においての一つの指標だと、かように私どもはこの数字を理解しておる。このことをつけ加えさせてもらいます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうしますと、四十二年度の決算の中で、いわゆる電子計算機運営に直接要した費用の総額が約八十八億六千万円なんです。これについてずっと追及をしていきたかったのですが、時間がないようですから一点お尋ねをしますが、まあ政治が予見であるとするならば、行政へのPPBSの導入の問題がわが国でもそろそろ話題になりつつありますが、これとかみ合わせた政治システムの問題が、私は今後表面化するだろういうのがあるそうですが、その事務局次長をなされておる中山太郎氏が、昨年十二月八日に開かれた月曜会という会合で、「それは行政機構の中だけでもそうですが、立法と司法と行政も全部オンラインすれば、これは三権分立を否定することになる。そうするとデモクラシーは根底からくずれていく。したがって、次の情報社会では、電話線がその国民の生活を変化させるということになってくる。しかしそういう新しい社会機構を迎えるにあたって、便利だからとか、いままで能率が非常に悪かったから、これはこうしたほうがよろしいというような簡単な発想で通信線でコンピューターをつなぐことには、相当慎重な配慮がいるだろうと思う。」というふうに指摘している。そこで総理は、行政へのアマチュアリズムの導入、民主主義の確保の観点から、いま行政ぺースで進められているコンピューター導入に、どのような限界を設定されるおつもりですか。具体的なことは、私は午後の決算委員会で各省とやりますが、それともまだ当分は、総理は野放しにしておいてよいとお考えになりますか。実はたいへんばらばらにコンピューターが導入されてきて、たいへん困ってきているわけです。穴あけ一つでも非常な混乱が起きてきている。それから公務員制度もたいへんゆがめられている。機械の操作ができないから、特殊な民間の従業員がそこに入ってきて、公務に携わるというような形が起こってきている。これらについては、どのような措置をされるおつもりですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) コンピューターの時代になったという、そういう意味ではよほど早く突き進んだ考え方がただいま支配している。各省ともこのコンピューターの使い方、これを利用することによって新しい行政のあり方を生み出そうとしている、これはたいへんけっこうであります。ところがコンピューターというものが、和田君も御承知のように製造会社が一つならいいですけれども、幾つもある。その機械の選び方一つによりましても、いろいろな問題をかもし出すだろうと思います。しかも現在まだコンピューターが一つのシステムとして完成されておらないだけに、この段階できめていくことはいろいろ誤解をまた受けることにもなるのじゃないだろうか、かように思っております。私は、コンピューターの導入、これは絶対に必要だ。しかし必要なんだが、いまの特定の機械、どこそこのもの、こういうことについては、よほどこれは慎重に扱ってもらいたい。そうでないと、たいへんな問題を引き起こすように思う。しかしどうもどこかに落ちつかざるを得ないのだ。使っている機械がまちまちではオンラインの問題でも非常な問題を起こすし、なかなか総合的に運用ができない。そこらにも問題が一つある。そういう意味で、ただいまは試験期間だと、かように思って、いま現実には競争さしておるような状況でございます。私は、まあそのうちに、もう少したてばこういう問題が自然に落ちついてくるのじゃないか、ただいま非常にむずかしい時期だと、かように思っております。それより以上に申すことはちょっといま適当じゃないのじゃないかと思っております。私は、そういう意味で早くやりたい、かようには考えますが、まだ一つの機種をきめ、そうしてオンラインの制度一つ考える、こういうような限定したところにまで持っていきかねております。予算編成におけるPPBSにいたしましても、大蔵大臣は、つとにこれを取り入れたい、かように申してはおりますが、やはり事実からして基本的な問題は取り扱わざるを得ないという状況で、また技術者の要員から、また取り入れるその措置等についてもくふうしている最中である、かように私思っておりますから、いましばらく模様を見たい、これが私のいまの心境でもあり結論でもあります。ただしかし、ほうっておきますといろいろな弊害を生じやすいと思いますので、絶えず目を光らせつつ、かような状態でどういうような方向に推移していくか、発展していくか、これを十分見きわめたい、かように思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 最後に、これも午後の法務大臣とのやりとりの中でやりたいと思いますが、総理から一つだけお聞きをします。  昨日の新聞に一せいに載りました、四月十八日午後五時半、法務省が札幌地裁に対して福島裁判長の忌避の申し立てをした。これは法務省だけの独走ではなく、政府部内で検討した措置と受けとめてよろしいか。私は、客観的に見て、司法、行政、立法というわが国の三権分立の状況の中で、最も腐敗してなかったのは司法だけだと思うのです。それがかろうじてわが国の近代国家たる性格を保ったとさえ言われているのでありますが、そういう点においてたいへん重要な問題であると思いますので、この最後の答弁だけ明確にしておいていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは当然起こるべくして起こった、かように私は考えております。しかしまず第一に、誤解のないように願っておきたいことは三権分立——三権分立の基礎は乱るつもりはございません。私は、施政演説で立法、司法、行政、三者ともそれぞれ時代に即応した考え方が必要だ、こういうことを指摘いたしました。それかといって、いわゆる行政がすべてに優先する、こういう考え方でないことは、これは御了承願っておきたいと思います。ただその立場に立ってみまして、それぞれがそれぞれにやはり時代に即応する方向でいろいろな問題と取り組んでいかれるだろうと思います。ただこの場合に、いまの裁判長忌避の問題は、国自身が実は相手方というか、被害者というか、忌避者自身でございます。いわゆる裁判のあり方がどうこうということでなしに、この国自身が訴訟の当事者である、そういう立場からやはり国自身がこの裁判長を忌避する、かように私は考え、またそれは当然のことではないか、かように思っております。私が申し上げるまでもなく、裁判は公正でなければならない。いままで公正に行なわれておる、かように思っております。また、そういう意味からも裁判の独立は守られてきた、かように思っております。また幾らいわゆる行政的な上級だというような意味におきましても、裁判の独立性を十分確保する意味では、この前に手紙で指示したとかどうとかいうようなことが問題になりましたが、やはり裁判所の独立性、これを維持していかなければならない、かように思っております。ただ、この場合の忌避いたしました理由が、青法協云々というような問題がいまからんでおります。私はいま、よもや裁判長自身が特殊な団体に属するがゆえに、その点から特殊な政治活動をし、その政治活動が裁判にまで影響したのだろうとは私も思いたくありませんけれども、もしそういうことがあるならば、これは当事者として忌避を主張する、これは、私は当然のことじゃないか、かように思っております。これは忌避を申し立てたと、こういうことですから、その意味においていずれ、その忌避についての判断がそのうち下るだろう、かように私は思っております。それを静かに待つのが国の態度である、かように思っております。冒頭に申しましたように、どこまでも三権分立がその立場でございますから、私どもが司法を行政権で干渉する、こういうものではないことだけは誤解のないようにお願いしておきます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 時間が非常に限られていますので、要点だけ聞きます。  通告してございませんでしたけれども、昨日、日中覚え書き交渉が一応妥結をいたしまして、共同声明が出ましたので、二、三それについて緊急な質問をしたいと思いますが、私たち予測はしていたものの、非常にきびしい表現が出ております。軍国主義の復活やら、あるいは沖繩返還はペテンだ、あるいは日米共同声明に対するきびしい批判、中には佐藤榮作なんて——すみません。そういうような私たち日本国民の感情を刺激するようなことばまであえて使って、きびしく佐藤政府そのものを批判している、このようなことでございます。総理は、この共同声明を全体的にどう受けとめられ、どう評価しているか、まずお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 中共政府——いわゆる覚え書き交渉の全文がいま発表されております。まだ報道の点でございますから、いずれ古井君が帰ってきてから明らかにされるだろうと思います。しかし、両国間、これはたいへん近接はしているけれども、誤解はたいへんはなはだしく、なかなか解きがたいものがある。このことを私は強く認めざるを得ないのであります。先ほども社会党の和田君からも、わが国の態度等についていろいろの批判がありましたが、私は、国内でよもや軍国主義化するとか、あるいは日米共同声明について、本土の沖繩化、かようなことを考える人はないだろうと現在は思っておりますが、しかし外国から見ればいろいろの批判があるだろう。ときには感情的な議論まで述べられている、かようにも思う次第でございまして、それは黒柳君の御指摘のとおりであります。私は、他の場所におきましてもこの点に言及いたしまして、少なくとも私は周恩来首相の言っていることについて一々とやかくは言わないけれども、少なくともわが国の性格が軍国主義化あるいは帝国主義化、そういう方向に進んでいないこと、これはひとつはっきり理解してもらいたいし、この誤解は解きたいし、またアメリカの手先でもないこと、これも理解してほしい、こういうことを申したのでございます。きょうもやはりそのことだけははっきり申し上げておきます。この長い間にわたる相互の誤解というのは、交流がないというか、ただいまのような重大なる誤認、誤解、不信、さようなものがかもし出されている。また、両国のためにまことに残念である、遺憾である、かように思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 古井代議士も談話で述べられておりますように、これは私一人の責任だ、あるいは自民党内部でも相当批判があるだろう、このようなコメントもきております。まあ、それにしてもともかくこういう政治会談について、いわゆる訪中使節団、なかんずく古井氏一人だけを人質に取られたような形で、そうして準政府間のパイプをつなぐためにはどうしても中国側の批判、これを全面的にのまざるを得ない、こういうような政治会談については、もう意味がないんじゃないか。けさもマスコミを通じて木村官房副長官あたりは、もう限界にきた、このようなことをおっしゃっておりましたし、また来年あたりは相当考えなければならない、こういうようなことばも出ておりますが、総理としてはこのようなことについてどのような考えを持つか。いわゆる準政府のパイプを残さざるを得ないような立場に古井さんは立たされ、そのためには日本側の見解としてああいうものを——コメントを出さざるを得ない。あるいは押しつけられたということも当人は発言するかもしれません。これは帰ってきていろいろな実情を聴取する必要があると思うのですけれども、要は、こういうことについて来年は意味がないという、こういう発言も一部にはあるのですけれども、総理のお考えはいかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この問題についてはいろいろの批判があるだろうと思います。私は、古井君が出かける前に、たぶんきびしい批判を受けるだろう、これについては古井君にもよく話をしたつもりであります。しかし、もう少し話を続けるにしても、何か言い方はなかったものだろうか、かように思って残念に思う点もないではございません。しかし、ただいまそういうことについて触れることはいかがかと思います。しかし私は、とにかく日本の新しいいき方、平和に徹する、そういう立場でございますし、また、あらゆる国の理解も得たいと思いますし、そういう点を特に強調したいと思います。まあ、たとえば逆の、別な例でございますけれども、「よど」号事件、これなどは、一般の予想は「よど」号を帰さないだろう、かようにいわれたものであります。しかし、これは無事に帰ることを、われわれ国民も念願した、これがそのとおり実現した。しかも、周恩来首相——佐藤政権をあれだけ強く批判いたしておる。その首相の来る前に、前日に帰ってきた、こういうような事態もあったのでございますから、そこらはどうも、国際間の問題は一方的に批判することはなかなかむずかしい。そういうときこそ、もっと慎重にわれわれの態度をきめるべきだろう、かように思います。ただ、私どもは、いまわずかな経済の問題ではございますけれども、この経済の問題は、商売がしたいという経済的な理由からだけではございません。こういうものをつなぐことによって、両国間にその誤解を解き得る一つの機縁ができるのじゃないだろうか、こういう意味で覚え書き貿易を続けておるのでございます。金額としてもわずかなことですし、その金がほしいというエコノミックアニマルではないことだけは十分理解してもらわなければならない。また、こういうものをつなぐことによって誤解が深まるようでは困りますから、むしろ薄らいでいく、こういう方向にこの覚え書き貿易を働かせていく、これが必要なことではないだろうか、かように私は考えます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 その形ですけれども、四十日間もいて、そうして話をすれば、どうしてもああいう形にならざるを得ない。見解を出さざるを得ない。ですから、中国寄りの第三国なり、あるいは中国から日本に来てもらうなり、あるいは四十日間続ければ、中断して、休んでまたあらためて話を続けるなり、そういう形というものをこの次は考えられないかという意見も出ているのです。また、いま総理がおっしゃった経済問題、日本の急速な経済成長というものが将来、軍国主義に移行するのではないかというおそれもあるのじゃないか、こういうようなこともいわれておりますが、このようなことについてのお考えはどうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいまのような交渉のいき方、やり方は幾つもあるだろうと思います。しかし、いま人をかえてみましても、なかなかほかにわが党には中共と交渉をするような人が少ないだろう。ほとんどないのではないかと思っております。したがって、ずいぶん苦しい状況で四十日間も苦闘した古井君、これは私は少しは慰労してあげたいような気がないでもございません。しかし、とにかく何によらず、あらゆる場合に理解しようとしない相手方であることは、これを何とかして理解させようとする努力、これはたいへんむずかしいことだと思います。ただ、態度で、いまのようなかけ引きと思われるようなことはしないがよろしい。やはり出かけたら、その際に話が片づくように最善を尽くして帰ってくる、こういうことが望ましいのではないか。いま言われるように、途中で帰ってくる、まあ、それは結局そのルートは切れる、かようにも考えざるを得ないだろう、かように思いますので、私はそこらの点も含めて古井君が帰ってきたらよく話し合ってみたいと、かように思っております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 いろいろな誤解もあるかと思います、情報交換が少ない両者でありますから。しかしながら中国側は、日本、なかんずく佐藤政府を敵視していることは、これは現実の事実なわけです。こういう事実を踏まえて、総理も当参議院の予算委員会で、決していまの日中関係はいいとは思わない。このような御答弁もされているわけでございますけれども、こういうきびしい中国の現実、佐藤政府に対する態度、これについては、ただ単に、それは誤解だとかなんとかいって済ましますと、中国を国際社会に引っぱり出そうとする世界の動きに日本だけがおくれるというような、従来のそういう常識的な意見がそのまま現実になる可能性があるのじゃないかと私は憂えるわけでございますけれども、この際あらためて、この共同声明というものを十二分に御検討されて、政府の中国に対する態度、政策というものをもう一歩検討し、ないしは前向きに変更する余地もあるではないかと、こう私思うのでございますが、いかがでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 問題は基本的にはそこへ行かざるを得ない、かように思っております。しかし私ども中国の代表として、中華民国を選んだのでございますから、この国際上の権利義務、これはやはり守ることがわが国のためにも、国際的信用をつなぐゆえんでもあるのではないか、かように思っておりますので、いわゆる二つの中国論、これに加担するものでもなければ、やはり私は中国が、大陸がいかに大きくとも、やはり小さい中華民国を代表として選んだ以上、これはやはり守っていくことが国際信用を高めるゆえんではないだろうか、かように私は思っておりますので、もう少し時間をかけて、やはり国内問題がととのったときに、われわれの態度もきまる、それに付随していくと、かように御理解をいただきたいと思います。ただいま直ちに大陸に対する態度を百八十度転換する、こういうことはできない、かように思っております。おそらく当時——サンフランシスコの締結前、当時、いまから二十五年前ですか、その時分の状態は、大体日本が選んだこと、これは間違いだという人はあまりないのじゃないかと思っております。ただそれをいつまでも墨守している、そこらに情勢がよほど変わっているじゃないか、変わっただけに日本も態度を変えたらいいじゃないか、変えないと日本がおくれると、こういうような国内にもその声があることも私は気づかないではございません。またアメリカ自身もいわゆる封じ込め政策をとっているといわれながらも、中共自身と交渉を持っておる、大使間交渉を開始しておる、そういう事態でございます。私どもも蒋介石政権を承認したと、かようには申しておりますが、やっぱり一方で民間貿易や覚え書き貿易あるいはまた大使級会談もわれわれは拒むものではない、そういう態度を表明しておりますから、これらの点でおかっていただけるのじゃないだろうか、かように思っておりますけれども、まだなかなかそこまではいかない、やはり問題の禍根というか、原因はやはり中国の承認問題にからんでおる、かように思います。まあこれはしかし七〇年代におそらく解決される問題でしょうが、ここ一両年直ちに大転換があるとは思えない。まあいまのところ不十分ではあり、またまことに残念ではありますが、いまのような状態を続けていかざるを得ないのじゃないか、かように私は思っております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 日中問題について、最後にまたしつこいみたいですが、総理は国内問題がととのったらという御発言がありましたが、いま中国の皆さんがこの問題を注目されていると思いますが、たとえばそれを具体的におっしゃることができるならば、たとえばこういうことであるということはいかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国内問題がととのったらと言ったのは、私のほうではなくて、中国の国内問題がととのったらということであります。私どももいわゆる中国は一つなんだ、かように考えておりますので、二つの中国、これに加担するつもりはございません。中国は一つだ、されば国内の問題であろう、中国国内の問題であろうからそこで問題が解決されるべきだ、かように思うということを申したのであります。いまのことばが不十分でしたから、あるいは日本国内の国内問題かと、かようにとられたかと思いますけれども、そこに誤解のないようにお願いしたいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 いろいろ御意見があると思うのですけれども、きょうは総括質問なものですから、私は、委員会を通じてやりました公務員の綱紀粛正の問題について、時間がありませんから一言だけ質問いたします。ゴルフの問題ですけれども、これは二年前、私が総理に対して、この問題について発言したわけですけれども、最近のわずか一、二週間の間に非常に問題が多々出てまいりました。四月十七日は会計検査院の調査官が平日にゴルフをしているとか、あるいは四月の十二日は専売公社の職員部長が平日にゴルフをしていたとか、あるいは四月の十一日には防衛庁の米軍ゴルフ場、これが本来の目的じゃなくて、八割方日本人が使用しているとか、あるいは九日には電電公社所有のゴルフ株は絶対手離さないとか、あるいは三月二十七日には私がこの問題を取り上げた、こういうことでございます。公務員の綱紀粛正というものは数年前から叫ばれて、最近はそういう問題が起こらなくなった。これは関係者の努力、なかんずく行政当局の非常な熱意がこの点にあらわれておる。私は、こういう面については評価したいと思うのですが、反面また、非常に大衆スポーツ化しようとしておるこのゴルフの問題が、私なんかも言いますように、平日にやったりあるいは公金でやったりすることはうまくない。これについてはもう総理も、そういう見解を発表されましたが、また国鉄総裁あるいは専売公社総裁あるいは各省関係者の長もみな発言しております。なかんずく、こういう問題というのは、まだ一部の不心得な公務員によって行なわれている。自分の金で自分の時間にやる分には、これは全然問題がない。しかしながらやはり、こういうことがまだ一、二潜在的に行なわれていると、こういう現実は、私は非常に残念だと思うのですけれども、こういう一部の、ごく一部と思います。こういうゴルフを中心にしての問題は、まあ私のところにものすごく多数の投書が来ております。これは一々調べたわけではありませんけれども、信憑性のあるものばかりです。これを一々取り上げましたら、私は、個人の問題にもかかわりますし、またその人のいろいろ将来に対しての問題も当然考えなければならないということで、一々は取り上げてはおりませんけれども、やはり大きな、これは国民のといいますか、下からの不満の声があるということも現実だと思うのですけれども、こういうことについての御意見が一つ。  それからもう一つは、専売公社は全面的にこれは所有のゴルフ場株を手放す、こうおっしゃったけれども、国鉄はどうしても必要だと、電電、これは五十一株というのは必要最小限だ、こういうようなこともおっしゃった。国鉄と電電はどうしてもゴルフ場株を持っておりたい。これは官公庁の人たちあるいは業者を接待するため、そのおつきあいのためと、こうおっしゃっておるわけですね。これはその場ではやむを得ないことと、こう言ったんですけれども、その後あまりにもこの国鉄あるいは電電に対しての不満が個人の名前をあげてびまんしておる。投書、意見、直接私に文句を言いに来るのが圧倒的にあるのです。これについて私は、このままにしておいたならばまた第二の専売の例が出るのじゃないかと、私は内心憂えているわけですけれども、この件についても国鉄、電電がゴルフ場株を持たざるを得ないならば、それでしようがないと思うのですけれども、それでまたこういう専売みたいな例が出た場合には、また取り返しがつかなくなると思うのですけれども、その点についての国鉄、電電の保有のゴルフ場について総理が大所高所にお立ちになられて、どのようにこれを取り扱われ、判断をされたらいいか、ひとつ御見解を……。うしろのほうで皮肉笑いか、笑っておる方がいらっしゃる。そういう方は非常に覚えがある、こういうふうに思われますけれどもいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私自身がゴルフがたいへん好きで、というか、ゴルフ以外に運動がないと、それでときに平日でもやりたいと思いながらも、まあ総理が平日にやったらたいへんだと思って、いまのところ、わずかに日曜ゴルファーですけれども、しかし私は、このことはたびたび決算委員会やその他で問題になっておるから、十分徹底しておる、かように思ったのでございますが、ただいまもさようなお話が黒柳君から出ておる。これはやはりいろいろとまた問題を起こしやすい。ゴルフのあとどこかへ行く、どうしたとかいうことにもなると、ゴルフだけで済まない。いろいろ波及するところもあると思いますから、これはひとつ綱紀粛正、そういう意味でさらによく平日のゴルフ、これは万やむを得ない場合には、たとえば外人客等の接待の場合だとか、これは平日でもやむを得ないだろうと思いますが、そういう場合でない限りにおいては、やはり厳重に慎んで、やはり勤務をおろそかにしないように、勤務第一というふうに徹するようにしたいものだ、かように思います。私は国鉄それ自身がゴルフ場を持っておるかどうか、私自身も知らないわけでございます。しかし、いま言われるように電電や国鉄等において所有しておる、こういうようなことがあるならば、これはよく実情を調べて弊害のないようにいたしたいものだと思っております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 会員権です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはよくひとつ調べてみたい。いまの大蔵大臣の言っているのは、電電公社、国鉄が会員権を持っておる、いわゆる法人加入、そういう制度じゃないかと思いますが、そういう意味で使われている、こういうことを、これはゴルフ場の建設にあたりまして、やはり法人会員というものをとっておる。そこらに一つの問題があります。そうして最近はゴルファーが非常に多いですし、それからまあネコもしゃくしもみんなゴルフだと、こういうようなことにもなっております。ときによっては会員が非常に多い、会員が出かけてもほとんどやれない、二時間も三時間も待たなければというような話も耳にするわけであります。私の行くところなどは、たいへん厳重にやっておるようですから、いつでもやれるようです。あまり会員もそうたくさんいないようであります。そういうところだと最初が非常に高いとかというようなことで、なかなか大衆化しない。大衆化することはスポーツですから望ましい、そういう意味ならやはりどうしても会員——基本的に入会金が安くなっておる、そのためにどうしても数がふえる、こういうことがあるように思います。しかし、それにいたしましても、大体常識の程度はこしてはならない。どうも最近よく耳にするのですが、ゴルフ場経営だけは絶対損しない、こういうような話を聞きますが、これなどは行き過ぎもはなはだしいんじゃないか、かように思いますが、そういう点でもゴルフ場経営者そのものにもやはり自粛してもらわなければならない。これは法律でどうこうはできませんが、自粛してもらわなきゃならぬと思います。また、いまの法人会員という制度、これはどういうふうにしておるか、実情はよく調べてみなければ——あまり誤解を受けないように、おろそかにしないように——仕事がおろそかになりますと、国鉄あたりは、仕事が生命を守っておるというか、預かっておる、そういう仕事でありますだけに、事故を起こしたりするような、いわゆる士気がたるむ、こういうようなことになってはたいへんだと思いますから、よく取り調べてみたいと思います。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 私は、国家公務員並びに学校教員汚職問題を中心として若干総理にお聞きしたいんですが、会計検査院の報告によりますと、不正不当が全般的に多少減ったのではないかという報告をしておるわけであります。しかしそれは検査の結果に基づいて、その年によって多少変わってくるものだと思うのです。ところが最近の傾向を見ますと、補助金に対する不正不当が非常にふえておる。大蔵省の租税関係を除きますと、ほとんどが建設省並びに農林省さらに文部省、こういうところの不正不当というものが非常にふえておるわけです。なお、この文部省関係を見ましても、私が憂慮いたしますことは——しかもわずかな補助金でありますが、給食児童に対する補助金の問題、これは金額にしてはわずかでございますけれども、教育家という立場から、こういう不当があるということはゆゆしい問題だと思うわけです。そういう面からいきますと、何が一体原因かということになると、これはいろんな問題がございましょう。こういう状態を放任するわけにいかない事態は、今日の教育行政からいっても、また公務員の綱紀粛正の問題からいっても、私は重要な問題だと思うのです。したがって、こういう問題を、総理は基本的にどうお考えになっておるのか、お聞きしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま高山君からいろいろ詳細にわたって、事実の問題についても指摘してのお尋ねがありました。もちろん、会計検査が必要だという、これは私が申すまでもなく予算の執行にあたって、はたして十二分に予算の目的を遂行するに足るように使われておるかどうか。不正はないか。まあ予算と決算、これは一体、うらはらをなすものであります。次の予算を編成する場合には、政府においてもこの決算の実情は十分取り入れられてしかるべきでございます。そういう意味から、完全な会計検査が行なわれるわけではございませんけれども、これは部分的にまだ不十分ながら、抜き取り検査と申しますか、検査にかかるものは非常に少ない。したがって、この件数だけからいまの状況を判断することは、これまた間違いも起こりやすいと思います。しかし、まあわずかながらでも最近の状況はいい方向へいっておる。これは厳正にやられておる。かように見てもいいのかと思いますが、しかし、それだけでもうたいへん決算の状況はうまくいっている、予算はうまく使われておる、かように私どもも心をゆるめるつもりはございませんし、また、いま御指摘になりましたうちでも、補助金の使用、これが一番問題だ——確かにそのとおりでございます。まあ少額補助金、そういうものは整理すべきだとしばしば言われるのも、補助金をめぐって何かといろいろの問題をかもし出しておる。政府の補助金はわずかだが、政府の補助金を理由にして一般から寄付金をつのる、そういうような問題。そうして問題が他に発展していく、いつの間にか別の方向にいく、こういうような問題にも変わっておりますから、これはよほど気をつけなければならない問題だと思います。それが、ただいま農林省や文部省が多い、こういう御注意でございます。これらの点については十分私どもも気をつけてまいりますが、どうもただいまの状態では全部について検査は行なうわけにいかない、やっぱり一部について検査を行なう。そしてそれで全体を判断していく、こういうことには間違いが起こりやすい。さような御注意があったと私はいまのお話を受け取り、ことに補助金の使い方においては非常に問題が多いということ、これも全体として考えてまいりたいと、かように思っております。御指摘になりました文部省、あるいは農林省、ことに文部省の場合には非常に私どもも影響するところが大きい。かように思いますので、この補助金が適正に使われる、これを期待しながら、一そう厳重に、御指摘になったように注意してまいるつもりであります。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 私は、すべてではないという総理の御意見でありますが、総理は実態を間違っておられるのじゃないかと思うのです。四百五十の事業のうちで約十件あるのです。事業は三千百六十五もあるのですね、その中で四百五十しか検査してないのです。それでもそのくらい出ておる。ところが、わずかな金でもそういう不当を起こさなくちゃならないような情勢がどこから来ておるかということを、私は、総理にお考え願いたいと思う。私の考えでは、やはり給与面の改定を大幅に一応やるべきだ。日本のこの高度成長によって一般民間企業と比較してみて、国家公務員には大きな格差が出ております。大体三十歳から三十四歳までで、民間と学校の教師の公立の先生の平均をとってみますと、五千八百四十九円の格差があります。それが、今度三十五歳から三十九歳までにまいりますと一万三千五百四円の格差がある。五十歳から五十九歳までになりますと三万二千二百二十八円という格差が出ておるのです。一般労働者と、しかも学校の教育家——国家公務員でこれだけの格差があって正常な——こういう不正、不当を一体防ぐことができるか。今日の物価の値上がりから見ても、生活に全く困って内職をやる以外には生活の道はないんではないかという観点に私は立つわけです。しかも、国家公務員は昨年の四月に比較してみますと一八%応募者が減っております。国家公務員になり手がないのですね、一八%も減っておるわけです。しかも、大学を見ますと、教養学部に入る志望者はCクラスだ。こういう現状で日本の全体を眺めてみて、従来はある程度地位の高い方が就職しておった国家公務員、さらに教養学部の学生にしても相当なAクラスの人が志望しておった。それがそれだけ低下しておる。それは一体何からくるのかということを、私は憂うるものであります。そういうものを是正しないで、不正、不当だけを取り上げて、検査院の指摘でこの状態が直るかというと、これは無理ではないか、こういうふうに考えるのですが、総理はどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) その待遇が悪いから不正が行なわれると、こう結びつけてもいかがかと思います。私は、公務員の待遇そのものについては、不正不当とは別個にやはり適正なる公務員の処遇をする、そういうたてまえであってほしいと思います。どうも待遇が悪いから不正をしたのだ、それが原因だと、何かどろぼうにも三分の理があるような言い方だと思うのですが、どうも抵抗を感ぜざるを得ないのです。これはやはり、待遇は待遇として適当な処遇をする、そういう方向であるべきである。また補助金の使途は使途、こういうことで明確に区別すべきじゃないだろうかと私は思います。  そこで、いま処遇のほうから主として説明をされたと思いますが、最近たいへんこの点もやかましくなっておりますし、国家公務員の人事院勧告を完全実施しない、そういう意味の政府の責任、これは重大だと、かように考えております。いままで順次公務員の人事院勧告を尊重するという仕組みでやってまいりました。ことしからは完全実施ができる年じゃないか、かように思っております。一つでも前進したと、かように思います。しかして、やはり公務員間でもそれぞれの処遇が違うのじゃないか。教員あるいは先生方の所遇というものについて、もっと国家公務員としての特別な制度を設けることはたいへん困難だと思います。先生の場合はこうだとか、あるいはこの場合は人命をあずかるからとか、何か特別な考え方で所遇を二、三にすることはなかなか困難だと思いますが、しかし、少なくとも先生方の給与というものについては、私は特別の考慮が払われてしかるべきじゃないか、これは国民のコンセンサスじゃないだろうかと、かように私はいま思っておりますので、国民の皆さんからりっぱな先生方を要求する、そういう意味では先生になるのにふさわしいような所遇もしなさい、また特別な教養機関も設けなさい、こういうようなことがいま要望されているのじゃないかと思っております。したがいまして、そういう意味の制度も完備していくし、所遇も適当な方法でやっぱり一般公務員とは区別してしかるべきじゃないだろうかと、かように思います。まあ人事院そのものが絶えず民間の給与と均衡をとるように、まあ大体一年おくれじゃございますけれども、やはり均衡をとるように考えられておりますので、やはり政府自身が完全実施と、こういう方向であるべきだろう、かように思います。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 私は前にも、こういう問題で質問しまして、一応人事院もその線に従って、結婚適齢期になる者と初任給と七年間勤続した場合の賃金の改正がことしから行なわれたのです。これは一応私は是といたします。けれども、総理はいつでもこの問題を質問しますと、人事院というものの権限が当然あるから、そう主張されると思いますけれども、人事院で十分でない場合は総理に責任があるわけですよ。法律からいったって当然のことです。人事院で昨年の四月出されました基本賃金は何ぼかと申しますと、基礎ベースにされたのは東京を中心にしまして六万七千二十円、四人標準家族です。ところが政府の関係であります総理府の統計局が出しましたものは四人標準家族で八万三千六百三十三円です。基礎ベースが違っておるんですよ。総理府で八万三千六百三十三円であるのに、人事院が基礎ベースにとりましたのは六万七千二十円ですよ。これで賃金の格差ができないということはどう考えてみてもおかしいと思うのですね。私は、こういう問題こそ、政府は人事院が勧告したものに対してもう五月実施は当然のことです。こんなことはいまごろ聞く場合でもないと私は思っておりますが、こういう基礎ベースが違うものに対して、政府として一応再検討をされて、もっと公務員の給与なり、学校の教師なりの給与の改定をやるべきだ、私はこう思うのです。これをやらなければ……、いまの日本の小中学校の教師をごらんなさい。校長と教頭が格差があるだけで、しかも職務給と申しますか、そういう手当てがついておるだけで、あとは全部一律でしょう。しかも昇給の場合は、あるいは賃上げをやった場合は年功序列型の賃金でしょう。一体何の希望を持って働こうとするのか、優秀な教師を得ることができるんですか、それで。こういう点を私は、少なくともこの際政府は責任を持って是正すべきところは是正して、そうしてまた政府の指導に基づく教師の日常の問題に対しても注意を与えるものは注意を与えて、優秀な教育家をやっぱり指導していくのだ、こういう立場に立つべきではないかと私は考えるのです。この点は、いままで長い間、全く五月実施の人事院勧告が出ても、六月にしたり七月にしたり、いよいよ来年から五月にしよう。こうおっしゃっておるのですが、少なくとも私は、学校の教師の中だるみをこの際是正すべきだ、こう思うのですが、総理はどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、私の責任だといま言われますけれども、人事院そのものを設けたゆえんは、人事院が公務員の給与について全責任をもってこれを調べて、そして適正化する、こういういまの制度であることは御承知のとおりだろうと思います。したがって私は、来年からじゃない、ことしから人事院の勧告どおりやる、こういうことをいま申しておるのでありますので、この点も誤解のないようにお願いしておきます。人事院の勧告は、まだことしは出ておらないけれども、しかしことし出れば、そのとおりやるということを申し上げておきたい。  私は、とにかく先生方を大事にすることが、教育問題を解決することのキーポイントだと思っております。ただ、これは社会的に優遇されるということでありまして、給与も給与だと思いますけれども、やはり先生方の社会的地位が高まるということ、こういうことが最も望ましいことではないだろうか、かように思いますので、そういう方向で指導する考えでございます。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 時間の御協力をお願いいたします。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 生活保障のないところに社会的地位なんて考えたって、今日の物価高において、それは総理、大きな間違いですよ。何でしょう、フランスの物価よりも日本のほうが高いということが、けさの新聞にも載っておるじゃありませんか。そういう状態の中で、給与の改定もしないで、そうして一方的な教育を文部省にやらせようというところに、私は問題があると思うのですよ。  もう一つ、最後に総理にお聞きしますが、教育委員は各都道府県知事の任命権になっております。これは公選制度であったのです。ところが今日、教育の面に対して全然しろうとの方が教育委員長に互選されるという形であって、大阪でも御承知のように自殺者を出しております。なおまた、婦人の教育主事も出ております。こういう事態を考えてみても、こういう知事の任命権というものは教育上に大きな誤りをおかすのではないかと私は思うのです。首長がかわって教育委員がかわってくると、考え方が全然反対にかわってくるという様相がないとも限りません。したがってもとの公選制に是正すべきではないか。そうして国民の世論のもとに教育委員というものを選出し、しかも首長がかわってもあまりその教育方針というものがかわらないように、あるいはまた教員の取り扱いも、それによって収賄事件等が起こらないような人物を市民が選ぶ、あるいは町民が選ぶ、こういうふうにするほうが正しいのではないか。任命権にしたことは大きな誤りではないかと思うのですが、これを改正する意思はございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはよく検討しないと、直ちに結論は出ないだろうと思います。ただいまそういう点の御指摘のあったことを伺っておきまして、十分検討してみたいと思います。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 終わります。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 私は、野原労働大臣の問題について、総理に伺いたいと思います。  戦後、自民党政府のもとで、数多くの汚職事件が起こりました。特に佐藤内閣の成立以来、共和製糖グループ事件、日本通運事件など、大小多数の汚職事件が相次いで起こっております。日本共産党は、このような現象は、大資本と骨がらみに結びついた自民党政府の体質そのものから生まれるものであることを指摘してまいりましたけれども、このことは、佐藤内閣が政治資金規制問題などに、いまだにほおかぶりをしている、そうして汚職問題にまじめな態度をとっていないことにもあらわれていると思います。現在、佐藤内閣の閣僚の一人にまたまた汚職問題が起こっております。この事件は、総理もすでに御承知かと思いますけれども、現職の労働大臣である野原正勝氏が、自民党政府の過疎対策、工場誘致政策などの宣伝とその政治的地位を利用して、過疎に苦しむ町の乏しい財政を食いものにして、町当局と町民に大きな被害を及ぼしているということは、政治的にも道義的にも許すことのできない事件であります。また、労働大臣自身が役員の地位にある会社が数々の不正行為を行なっていることからしても、刑法上、商法上の責任を免れることのできない事件であります。総理はすでに、この問題について労働大臣を調査されたと思いますけれども、野原労働大臣が潔白だと考えていらっしゃるかどうか。また、このたび重なる汚職事件に対して、総理大臣としてどのように責任を感ぜられ、どのような処置をとられるのか、伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 野原労働大臣は、ただいま御指摘になったような事柄について全然関知しておりません。これは本人から私自身が調べ、また関係の会社もそのことについてあやまっております。いつのまにか知らないうちにあれを重役にしておる。また報酬は全然その会社は払っておらないということであります。もともと、大臣に任命いたします際に、私どもは、営利会社の場合にはその会社をやめてもらう、また公益法人の場合でも報酬はいただかない、報酬を取っておる場合にはそういうものもやめてもらう、大臣任命の際にはこういう念書を取っておるわけでございます。野原君の場合も、それにちゃんとそのとおりやっておるわけであります。ただ、本人が全然知らないことであったり、この会社をやめておらなかったと、したがってそこらに行き違いがあるようでございます。これは秘書がかってに扱っていたようであります。そうして調べてみまると、四十四年の三月ということでありますから、三月に登記がされておる、役員になっておる、その登記抹消を要求しておるということでございますが、そのまま今日まで続いておる。たいへん申しわけない、かように会社のほうで申しておりますから、私は、野原君の場合は——これは誤解に基づくもの、また、いまの材料だけから野原君が汚職に関係ありと、かように言われてもまたやむを得ないかと思いますが、全然本人の関知しないことでございますから私は了承しておりますし、またこの際に、はっきり渡辺君にも申しますが、野原君自身関知しておらない、また不正を行なっておらない、そのことをはっきり申し上げたい。特に便宜をはかったこともない、かように申しておりますから、この点をはっきり申し上げ、御了承をいただきたいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 ここに、ことしの四月七日付の森産業株式会社の登記の謄本がございます。これによれば、役員に関する事項のところに取締役野原正勝というふうにちゃんと明記されております。また監査役としては、野原さんの第一秘書であった大村敬一さんの名前がちゃんと登記されている。これは官報にちゃんと載せられて広告されたものです。官報に広告されたものですよ。ですから、野原さんがいまに至って知らなかったなどと言える性質のものじゃないと私は思う。それからまた、ここにも森産業の商業登記の際の付属書類、これの写真版がございます。これによりますと、野原さんは取締役会にも出席している。株主総会にも出席してちゃんとその議決にも参加して、その議決を確任するために判こを押している。野原正勝という一番大きな判こを押されているのです。念のために首相にこれは見ていただきますけれども、これが商業登記の謄本です。いいですか、ここに野原正勝・取締役、ちゃんと書いてあります。これが監査役の大村敬一氏の名前です。こちらが取締役会の議事録です。いいですか。ここにちゃんと野原正勝。いいですか。これが臨時株主総会の議事録です。ちゃんとここにも野原正勝というふうに判こを押されているのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま言われるように、この材料は整っておるようでございます。しかし、問題は秘書の大村敬一、この大村敬一がかってに処理した、こういうことでございますので、大村敬一を通じて登記抹消の手続を四十四年三月に要求したということでございますから、ただいま言われることは誤解を受けるような材料はそろっている。これも私認めざるを得ない、かように思います。しかし実際は、本人自身が関知しておらない、しばしば政治家の場合にそういうことがございます。よく名前を使う。そうしてまた秘書がそういうものを扱う、こういう場合もございます。この辺はどうも監督不行き届き、そういうことの責任は当然負わなければならないと私も思います。しかし、ただいま申し上げたとおり、この問題については本人はただいま関係がございません。その点御了承いただきたいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 この四月十五日に岩手県西根町——問題の起こっている岩手県西根町ですね、森産業問題特別調査委員会というのが開かれている。その席上で西根町の助役さんがはっきりとその特別委員会に報告したことの中に、森産業の会社設立については森虎悦氏、野原正勝氏らが相談の上でつくったものだということもはっきり言明しております。大体、第一秘書が取締役をしている会社で野原さんが取締役になっているかどうか、それを知らなかったなんというばかなことが言えますか。しかも、いま申しましたように、この会社の設立登記がちゃんと官報に載せられて公告されている。野原さんがいまさら知らなかったと言える性質のものじゃないんです。一度官報に載せられて公告されれば、第三者も知らなかったということはできない。まして当事者が知らなかったなんということはできるものですか。そんな子供だましなことで世間がだませると思ったら、これはたいへんなことだと私は思うのです。私は、首相がそんなことをいまここでおっしゃるということ自身がまことにこれはおかしい、そう思います。常識はずれですよ。ところで、いまも首相がちょっと言われたと思いますが、労働大臣自身も四月十五日夜の記者会見で、大臣になったとき関係会社の役職を一切辞任したと語っておられる。ところが、ここにはその翌日の四月十六日付の登記簿の謄本がございます。これによりますと、労働大臣は盛岡市の岩手精密工業株式会社の代表取締役をいまだになさっておられる。いいですか。それから同じ盛岡市の岩手酪農運送株式会社の会長と取締役もやっていらっしゃる。会長や社長といえば会社の最高責任者です。いかな野原さんでも、自分が社長になっていたということを知らなかったなんて言えますか。これは全く笑い話だと思いますよ。私は、以上のことは、森産業問題も含めて、野原労働大臣のおっしゃっておられることがまっかなうそだということを、私ははっきり示していると思います。汚職問題も、こういううそで言いのがれをしようとしているのじゃないでしょうか。ですから、野原労働大臣が町有林払い下げ詐欺問題、それからまた不正融資問題など、森産業の名前で犯した一連の問題に十分な責任を負っておる。被害者どころか加害者の一人だということは、私は明らかだと思います。そこで、総理大臣に伺いますけれども、このように世間に平気でうそをつくような人物を閣僚に選ばれた総理の責任を伺いたいと思います。また、時間がないのでまとめて伺いますけれども、岸内閣以来、現職大臣が営利会社の役員を兼職することを禁止するという閣議申し合わせ、これはいまも総理のおっしゃったとおりでありますけれども——これは守られていると思いますけれども、野原労働大臣がこれを犯していることは、いま私がここで証明したとおりであります。このような事態をいままで放置してきたことは、総理が汚職問題にまじめな態度をとっていないということの明々白々たる証拠だと思いますけれども、どうでしょうか。また総理は、この閣議申し合わせを今後各大臣に厳格に守らせる意思がおありかどうか。また、これを犯している野原労働大臣をどのように処置されるおつもりか、その点を伺いたいと思います。  ここにありますから、どうぞごらんいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これ、もらっていっていいですか。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それは私のですから、あとから届けましょう。これが岩手精密工業株式会社。いいですか。これは、こういうふうに取締役野原正勝というふうにちゃんと出ている。これを取ったのは、ここにちゃんとございますけれども、四十五年四月十六日です。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 時間がだいぶ経過しておりますから、御協力願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まあただいま御指摘になりましたように、初閣議でこれは厳重な申し合わせをして、そうしてそれぞれが処置する。いままではこういう問題は起こっておらない。すべて関係者それぞれが関係しておったものもやめております。また、さように野原君の場合もいままで行なわれておるものだと確信しておりました。しかし、いま材料もいろいろ出ておりますので、その後の状況については十分取り調べてみる必要があると思います。私、まあ森産業の場合についてもう少し補足しておきますが、森産業自身が野原君のたいへんな支持者の多いところのように聞いております。ただいまは県会議員、これは落選中だそうですが、森産業社長の実兄が野原君の有力なる後援者でもある、かように聞いておりますので、そこらの関係からこの会社設立に際して、さっき言われた秘書大村君がやっぱり野原君の命を受けて特別な便宜を、めんどうを見るようにと、こういうことを言われて、この大村君がいろいろめんどうを見たと、このように私は伺っております。しかし、本人が役員になるとか、本人が責任者になるとか、そういうようなことはないように聞いておりました。また、これから報酬などもいただいておらないということでございます。しかし、その後になりまして、この会社——森産業に役員になっておる、これがわかったから、四十四年の三月登記抹消の要求を出したと、こういうことであります。しかし、社長が失念しておりましてたいへん御迷惑をおかけして申しわけございませんと、ただいまそのお断わりの書類もここに出ております。したがって、私そのほうはそれで御了承がいくだろうと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それは、うそを言ってるんですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) けれども、いま他の場合の問題が出ておりますので、これらの点もよく調べないことには、私とやかくいまこの席で申し上げることはできない、かように思います。この材料をひとつ貸していただければ、たいへんしあわせだと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 あとからまたお届けします。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 以上で総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  午後一時まで休憩することにして、一時に再開いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後一時十四分開会

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十二年度決算外二件を議題といたします。  午後は、総理大臣以外に対する総括質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 前回の委員会で帝国ホテルの敷地の問題について問答いたしましたが、そこで、第一の問題は、その後、宮内庁からの調査によって大体はっきりいたしました。この間、宮内庁の瓜生次長以下皆さん方格別御努力をいただきまして、貴重な資料を私の手元に提出されました。これはずいぶんご苦労なことだったと思うんです。えらい古い文書で、武蔵国東京市趨町区内山下町一丁目などという古文書みたいなものが見つかりましたので、わかりました。  しかし、その問題の土地について私が申し上げた内幸町一の二、三という土地が判明した。そうすると、大蔵省と法務局は間違いで、宮内庁の言ったことが正しいということです。一の二に相当する部分が、私が申し上げた一の二、三の土地に該当するということに、書類によって判明いたしました。これはこれでよろしい。ただ、国有財産にかかる二重登記という事実はございますね。大蔵省。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 登記が二重ではないかという御質問でございますが、大蔵省が昭和二十二年に物納財産として引き継ぎましたものは一の四でございまして、その点につきましては、二重登記ということはございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私の言うのは、一の四のほうはこれからの問題ですよ——一の二のほうなのです。私が申し上げた所属不明の皇居付属地という一の二、三と、この公図に示されたところは現在のどこかということについて、大蔵省と法務省と、それから宮内庁にお聞きしたところ、その後、宮内庁の提出した書類によって、現在の一の二に該当する場所であるということがはっきりしたわけです。そこで、この一の二については、現在ここに謄本の写しも持っているんですが、この前問答いたしましたが、一の二については、明らかに二重登記がなされているという事実は、宮内庁にそれではお尋ねしますが、お認めになりますですね。

並木四郎皇室経済主管

○政府委員(並木四郎君) 先生のお手元に差し上げました直轄御料地図からいいまして、問題になっている内山下町一の二、三、それは現在の登記簿公図で一の二、一の三、一の八、この三つを合わせた面積にほぼ合致しております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 宮内庁の資料によるというと、内訳は、一つ、三千九百九十二坪六合、これは大正九年の七月一日に帝国ホテルに特売になっている、宅地として。それから四十四坪四四というのは下水敷、これは同年の、大正九年の七月一日に帝国ホテルに特売になっておる。百六十四坪が明治三十三年九月十三日、逓信用に引き渡した、鉄道用地として引き渡したということになっているから、合計すると四千二百一坪〇九という数字が出てまいりますから、これは前回の委員会で問題にした一の二に相当すると断定して私はいいと思う。これは宮内庁、大蔵省、法務省どうですか。宮内庁の資料によるというとぴったり一致するのだから、いままでの法務省や大蔵省の答弁は推定であって、間違いであった。宮内庁の資料によるというと坪数もぴったりだから、だから前回の委員会で問題にした一の二、三というのは実は現在の一の二、十七階の新しいビルを建てた場所に相当するというふうに法務省も、大蔵省も認めてもらわにゃいかぬ。認めますか。

枇杷田泰助法務省民事局第三課長

○説明員(枇杷田泰助君) 宮内庁の御調査になりました結果判明したところによりますと、ただいま御指摘のとおり、一番の二、一番の三、一番の八、三つの土地と、それから一番の二、三、五というふうに表現されております登記簿とが二重になっておることが言えるかと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 言えるね。大蔵省。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) ただいま法務省のおっしゃったとおりだと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると二重登記は認めるね、はっきり。認めた。それはどうなんですか。これは地面師なんかに利用されたらどういうことになりますか。そこで、大蔵省は国としてどういう措置をとったらいいと思いますか。二重登記の事実は認めているのだから、大蔵省も、法務省も、宮内庁も。そうしたらどういう措置をとります。このままにしておいたならば悪用される危険がある、国有地がかすめとられる危険もある。どういう行政措置をとろうと思うのですか。

枇杷田泰助法務省民事局第三課長

○説明員(枇杷田泰助君) 二重登記であることが判明いたしましたので、通常の手続に従いまして登記所のほうでは一番の二、三、五のほうの土地の登記簿用紙を閉鎖することにいたしたいと思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 閉鎖することにいたしたい。閉鎖するのでしょう。

枇杷田泰助法務省民事局第三課長

○説明員(枇杷田泰助君) 閉鎖いたす予定でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大蔵省は。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) それは法務省の問題かと思いますので、法務省のおっしゃったとおりでけっこうだと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それでよろしい。そうならないといかぬ。いいですね、その点は、むだな質問はしたくございませんから。——よし、こいつは二重登記をかたく取り消す。  その次に移ります。そうすると一の四の部分、すなわち別館のあるところ、これは大蔵省の答弁によるというと貸し付けをしたということですね。そこで詳細については大蔵省からの資料がどうもまだまだ不満足でございますから、これは詳細の質問はまた次回に譲ります。それで、きょうは端的にお伺いしますが、なぜ貸し付けでなくて売却しなかったか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 一の四の土地は大蔵省が、先ほど申し上げましたように、物納財産を引き継ぎまして、それ以前から帝国ホテルが借りておりましたので、引き続き貸し付け処理を行なってまいったわけでございます。ただいま御指摘の払い下げという点でございますが、帝国ホテルのほうの資金その他の問題がございまして、継続貸し付けを希望しておりましたので、私どものほうといたしましては引き続き貸し付けを続行している、こういう次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 いままでの経過を見るというと、それと違うでしょう。ホテル側から払い下げをしてくれという申し出があった時期があったです、昭和三十八年ごろ、これは認めますね。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 昭和三十四年に払い下げの申請がございました。価格の点で折り合いがつきませんで、そのまま貸し付け続行と、こういうことになったわけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると却下したのだね。帝国ホテル側から払い下げをしてくれという申請があったにもかかわらず、値段が折り合いつかなかったので却下したということですか。それは国がもっと高く買え、ホテル側が安くしてくれろということで折り合いがつかなかったということですか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 先生のおっしゃるとおりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それで却下をして——三十八年に却下をして、その後、今度は国のほうは買却しようということでその交渉をしたのでしょう、ホテル側と。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 売却しようという交渉は特にいたしておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 したでしょう。事実と相違したことを言うというと委員会はまずいですからな。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 国のほうから積極的に払い下げの交渉をしたことはございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それじゃあなたに続いて聞くが、売ったのがよいのかそれともいまのままに貸し付けしたほうがいいのかどっちがいいですか、理論的にどのほうが国のためになると思う、これは政務次官だな、もしくは大臣だ、大臣代理政務次官。

藤田正明自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(藤田正明君) 従来の経緯もありますので、一般論といたしましては売却するのが普通だと思います。一般論といたしましては売ったほうがよろしいかと思いますが、特別の理由の存するものについてはこの限りではないと。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、昭和三十四年ごろ売ってくれろと言うた時期があるのだから売る努力をすれば売れた、いままでのいきさつからして売る努力をすればきっと売買契約成立したであろう、そう推測される、これはどうです。

藤田正明自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(藤田正明君) そのときに値段の折り合いがつけばあるいは売却ということになったかと思いますが、私も当時の詳しい事情を知りませんが、値段の折り合いがつかなかったというふうに聞いております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで、私は国損が生まれたことになると思うのだ、結論的に言うと。これは明治以来ずっと継続的にホテル側が使用していたのだから。それで、契約によるというと一応期間が三十年ということだから昭和七十二年までということでしょう、貸し付けの契約が。これは間違いございませんね、大蔵省。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 間違いございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで、あの新築十七階の建物は六十年以上もちますからね、これは。これは未来永劫帝国ホテルが使うだろう、これはほぼ断言的に言えるだろうと思うが、どうだろう大蔵省、あの土地は未来永劫にわたって国のほうで使用はできないと。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 借地法の規定がございますので、その存続期間につきましても先生のおっしゃったとおりになろうかと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 期間三十年で昭和七十二年まで、その時期になったらこれは継続貸借契約ということになる予定だね、そう推定されるがどうですか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) その時期になりまして国のほうで、特にやっぱり使うという必要がなき場合には借地法の規定によりまして自動的にまた更新していくと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 とにかくこれは、ほぼ断言的に言えることは、いままで明治からずっと皇居付属地域であったものが帝国ホテルがいろいろな慣習によって使用していたと、その当時は帝国ホテルと国との関係もあったでしょう、特殊なものが。現在はあれは民間のホテルだね、純粋な。ホテルニューオータニと何ら変わるところはない。この土地はもう絶対に国には戻らぬ、国は使用できない土地だね、これはもうホテル側がずっと永久に使用できるという土地と私は推察する。それに間違いないと思う。そういうことになりますね、多分に。法律の解釈じゃなくて事実論として、ひとつ政務次官お答え下さい。

藤田正明自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(藤田正明君) 七十二年の十一月までの契約がありますので、この契約までは、七十二年まではこれはいたし方ないと思います。その契約の期間が切れるときにおいて、そこでまた話し合うというふうに私は常識上考えるわけです。

大森創造日本社会党

○大森創造君 政務次官というのは常識豊かな人がなるんだからね。法律論じゃなくて……。それは未来永劫に返らぬよ。この土地は帝国ホテルのものになっちゃったこととひとしいよ。より政治的センスがある私はそう思う。私の言うことのほうが正しいのだから、これは。大体いままでもずっと私が言ってきたことが正しいんだから、まずいと言ったらまずい。これはもう大蔵省の使用はできない状態に、あと少なくとも二百五十年くらいは置かれるな。そうだよ。あなた、途中で取り上げるなんて、そんなむちゃなことは大蔵省はできないよ。そうだね。政治的なセンス豊かな政務次官、政治的にお答えください。

藤田正明自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(藤田正明君) まあ一の四の土地に帝国ホテルが新しい建物をこのたびつくったわけであります。これが三十年もつかどうかということもございますが、ただ最近の建築様式は、あるいは設備その他が非常に日進月歩のこの際であります。三十年もすれば、おそらくはあの建物は旧式の建物になるんじゃないかと思います。そういたしますと、昭和七十二年にまた建て直すということがあり得るとも思います。そういう際は、また帝国ホテルと大蔵省との話し合いが行なわれるのではないかと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そういうのらくら問答はやめておきます、これは私の言うことに間違いがないから。そこで、くれちゃったみたいなものだけれども、これはね、売る努力をなぜしなかったかということです。これはホテル側はこのほうがもうかるんですよ、買うよりも。なぜかというと、この前の答弁によっても、大蔵省の積算では、坪当たり二百四十六万八千円だから、それかける三千八百七十四・二ということになるというと、九十五億千百五十二万だね、ホテル側はこの現ナマを用意する必要がなくなったんだ。そうでしょう、政務次官。そのときは政務次官でなかったんだから、これはもう何というか、はっきりわかると思うんですよ。ホテル側が九十五億、百億の金を用意するということは、これはなかなか容易ではない。これを用意する必要がないのだから、そうしてわずかに七億五千五百八十八万円の特別加算金を支払うことで、事実上の永久使用権を得たということになるわけです。そうでしょう。そこで、私が残念に思うのは、ホテル側は買いたい——分割支払いの方法などがあったはずだ、ホテル側はどこからか融資を受けるという方法があったはずだ、ところが、ホテル側のペースに巻き込まれて、七億五千五百八十八万円の特別加算金を支払うことによって、ホテル側は現ナマを百億用意する必要がなくなったという利益が生じたのです。これはホテル側は得ですよ、現ナマを百億用意して買わされるよりは、未来永劫にわたってこの土地は自分のところで自由に使えるのだから。建物は永久建築だ。そこで、大蔵省がかもいから、だんだんだんだんそのペースに巻き込まれていって、そして貸し付け契約は成立したに違いない。これは松本清張でなくてもぼくはよくわかる。なぜそういうかもいことになったか、これはいまの大臣のときでない。かもいと思うんだよ。これは政務次官以外の人、答えてください。その衝に当たったのはだれか。売買契約の衝に当たった人は大蔵省のだれですか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 売買契約はやっておりませんので、あるいは貸し付け契約の更新のことかと思いますが、四十二年当時でございますと、大村国有財産局長でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 その当時の関係書類があったら出してほしいが、どうですか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 関係書類と申しますと、契約書等でございましょうか。

大森創造日本社会党

○大森創造君 はい。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 契約書等は先般お出ししたつもりでございますが……。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それはそれでよろしいが、どうだろう、だれがやったにしたって、私の言う論理は正しいだろう。買ってもらう努力をしなかったんでないか、それでホテル側に利益をもたらす結果に、逆にいえば国損を招いたんではなかろうか、そういう意思をしっかり大蔵省が持っていたならば、売れば売れたんではなかろうか。それに違いないという私は確証がある。

三島和夫大蔵省理財局鑑定参事官

○説明員(三島和夫君) 一言お答えいたしておきます。ただいま先生が本地につきましては坪当たり二百四十六万円、そして総額で九十数億と、こういうお話でございます。これはいわゆるさら地価格でございます。ああいうふうに借地権が発生している土地につきましては、国有の持ち分というものは底地だけでございまして、したがって一般に現在物納財産を国税当局から大蔵省が引き継ぎまして、これを処分しております、その場合、やはりそこに住んで地上に建物を持っていらっしゃる方のいわゆる借地権というものがございます。その借地権を控除して初めて底地価格が出るわけでございます。本地のように非常に地価の高いところは、これは国税当局では借地権価格を九〇%に見ております。東京都もなおそのとおりでございます。したがって、そのようないわゆる借地権のある土地の底地というものは、価格は非常に低くなるわけでございます。先ほどの二百四十六万円というのは、いわゆるさら地価格でございます。それで一応御了解願いたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 とにかく、それならそれとして売買を契約すべきであったと思うんです。まあしかしいまとなっては問答しても始まらないと思うんですよ。売るべきだった、向こうは買ってもよろしいという時期があったんですから。  そこで今度は、年間貸し付け料が約四千二百七十五万円ですね、そうですね、もう一回確認します。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) 仰せのとおりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これ、安いと思いませんか。

庄司俊夫大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(庄司俊夫君) ただいま御指摘のございました貸し付け料四千二百七十五万円につきましては、ちょうど帝国ホテルの増改築を承諾する際に契約を改めましたので、その際に算定したわけでございますが、その当時、この種の増改築の場合の民間の引き上げ例あるいは民間の精通者の意見等を徴しまして、大体そういう場合には二・五倍ぐらいになっているということで、契約改定前の一千七百十万の貸し付け料に対しまして二・五倍いたしまして四千二百万という貸し付け料を算定した次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 とにかく銀行利子よりはずっと低い。現金を銀行に預けても五分五厘、あるいは日歩二銭、貸した預けたという場合の金利よりも低い。私の解釈では、国損を招いたことになると思う。まあとにかく帝国ホテルは、昔はともかく、現在は一民間のホテルなんだから、特別な扱いはしてもらっては困ると思うのです。もう少したってからこの問題はさらに吟味いたします。  次の問題に移ります。  この問題は、「今週の日本」という政府買い上げの新聞でございますが、これは何部買っておりますか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 現在十三万一千二百五十でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 違うんじゃないですか、もう一回。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 十三万一千二百五十。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それはことしですか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 四十四年四月からです。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それではなるほどそうだ。ところがふしぎなんだね。四十四年について言うてみると、大蔵省の積算の基礎は二十一万部になっているね、二十一万部に。そこで、総理府の実行という面についてはいまおっしゃったとおり十三万一千二百五十部になっている。これはどういうわけですか。どうしてこう違うんですか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 大蔵省の積算のほうは、最初の八ページ建ての新聞で二十五円となっておりますが、その後十六ページ建てに直しましたときに、単価も上がりまして、結局その予算で買える数字は十三万一千二百五十だったということになります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、私のほうの調査ではこれは私のほうは例によって正確だろうと思うんですが、四十三年度三十万部、一億九千五百万円、大蔵省積算は三十万部ということになっている。それで総理府の実行のほうは十八万七千五百、それから四十四年度はいまおっしゃったとおり。これは事実認めますね。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 四十四年、つまり四十三年の四月最初の予算要求して査定を受けたときには、八ページ建ての新聞という形だったものですから、これに対する査定は三十万という形でございましたが、実際発足したのは四十三年の十月でございます。そのときに、その前にいろいろ関係者集まって十六ページの新聞が必要であるというようなことからスタートしまして、実行計画をつくりましてそれを認めていただきまして、実際に四十三年中に買い上げたのは十八万ということになります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで、四十五年度、これで見るとあなた方のほうはわかりますか、四十五年度。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 四十五年度はやはり二億、いまのところ、数字としては十三万一千二百五十の予算しかついておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 十七万五千部、それから大蔵省積算が二十一万部になってやしないかな。大蔵省積算の基礎は二十一万部になっているでしょう。それから総理府のほうは十七万五千部になっているはずだが。

竹内道雄大蔵省主計局次長

○政府委員(竹内道雄君) ただいま総理府のほうから御説明いたしましたと同じことなんですが、四十五年度も、積算基礎として一応二十五円というものをもとにして二十一万部ということで二億七千三百万円の予算がついておりますが、実行といたしましてはおそらく現在四十円でございますので、四十四年度と同じような部数になるかと存じております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、いま大蔵省の方ですか。

竹内道雄大蔵省主計局次長

○政府委員(竹内道雄君) そうです。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで、これは合っているわけですよ、私のほうの調査と。二十一万部にしていますね。五十二週分として二十五円、二億七千三百万円でしょう、大蔵省も。

竹内道雄大蔵省主計局次長

○政府委員(竹内道雄君) そのとおりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そして総理府の実行のほうは十七万五千部、五十二週、五十二週は一致している。三十円でしょう。そうするとこれは二億七千三百万円として総額において一致する。そういう総理府の予算はなっているでしょう。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 現在四十四年末までは、先ほど申し上げましたように、四十円の単価で十三万一千二百五十、四十五年以降については同じ予算でございますが、いまだ具体的な計画は立てておりません。これから契約の段階に入るわけです。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで「今週の日本」というのは、実質発行部数幾つあると思いますか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 私どもが受けている報告では平均二十一万部印刷している。そういうことでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これ十五万部しかないと言うのだ。  そうすると、大蔵省は二十一万部というのを積算基礎にしているのだが、その印刷会社東日印刷の現場職員だの管理者、責任者業務の一致した話では十五万部しか刷っていない。これはどういうことだ。あなたのほうだってわからぬでしょう。わかるはずがない。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 私のほうは二十一万部と報告を受けております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 実際は十五万部しか印刷していないと言っているのだ。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 十五万というのは二回に分けたときの印刷じゃないかと思います。というのは、その間にいろいろと東日印刷が受注しているほかの新聞などが入ってきますので、何回にも、二回、三回に分けて印刷することがあると、そういうことも聞いております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そう断言してよろしいかな。ぼくは聞いてきたのですよ。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) よろしいかと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 十五万部しか印刷していないといのですよ。だれに当たって把握します、この数字は。いまのあなたの御答弁によるというと、こうだと推察されるということを言っておりますけれども、これは部数の把握はどこでどうすれば正しい数字が把握できますか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) これはやはり印刷会社だと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうでしょう。印刷会社は十五万部しか出していないと言っているのだ。どういうことだ。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 私どもは印刷会社へ行ってみたわけでございませんが、印刷会社へ行って立ち会っている「今週の日本」の編集局長からの御報告を私どもとしては信ぜざるを得ないと思います。まあいずれにしても、買い上げは十三万一千二百五十部でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 なぜ私の手元に十七万五千という数字が出てきたのかな。そこで、それが、五十二週三十円ということになるというと、大蔵省の積算と同じになる。合計二億七千三百万円、昨年度も同じように二億七千三百万円ということになる。大蔵省は二十一万部かける五十二週かける二十五円、これ計算するというと二億七千三百万円になる。二億七千三百万円という予算は同じなんだが、十七万五千部かける五十二週かける三十円ということになる。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 十七万というのは、全然聞いたことございませんけれども。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは幾らで売っているのですか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 一部売り四十円、月ぎめ二百円だと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大蔵省はどうして二十五円ということで計算したのですか。

竹内道雄大蔵省主計局次長

○政府委員(竹内道雄君) 四十五年度につきましては、現在も同じような四十円のものが発行されるかどうか必ずしもわからないわけでございますが、「今週の日本」が初めて発行されましたのが四十三年でございまして、御承知のようにそのときに八ページ建てということで、単価二十五円ということで積算はやったわけでございますが、その後毎年、四十四年、四十五年、翌年の事業が始まりまする前に予算をつけるような状況でございますので、一応二十五円というものを積算の基礎にいたしまして、予算の査定をしておるという状況でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは「今週の日本」という新聞をつくるために、株式会社にしたのですね。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 株式会社——まあ「今週の日本」の発行を一番大きな事業としておりますが、そのほかにも出版それから講演会、いろいろな事業計画を持っております。最初からそのような会社でございました。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは大部分買っているのですね、政府が。大部分買っているし、私の把握した数字によるというと、印刷会社で刷っているのは十五万部で、それで、大蔵省のほうはそれが二十一万部ということになっているから、これは事実かどうかわからないが、ほとんど買い取っているという形になっているわけですね。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 当初の趣旨はそのとおりじゃなかったのでございますが、つまりもっとどんどん売ってふやしていく、そういう形でございましたが、予定どおりにあまりに一般売り上げ及び広告収入が伸びませんので、したがって、政府の買い上げ率が総体的に高くなっている、そういうことでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 この「今週の日本」株式会社というのは、政府がこれは買い上げてやろうということでこれが発足したんと違いますか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) まあ発足の裏のこまかい事情は私いませんで知りませんが、まあ定款にいわれてあるとおり、政府の公共的な施策の広報、そういったことを主眼としておりますので、やはり買い上げということが最初かなり原因になっていると思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは政府がほとんど買い上げる。それで田中という総務長官いたかな——いましたな。田中総務長官は、これはどうも妙なものだから、あまりためにならないから、だんだん減らすということを言っているんだけれども、ふえている傾向もあるね。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) ふえてはおりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 ふえているでしょう。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) ふえてはおりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは人気がよくないね、この新聞は。政府が買い上げる以外の、一般人が買っている部数などわかりませんか。これよけいなことですから、わからなくてもいいですが。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) これは全部販売は毎日新聞社の専売店を通じて売っておりまして、毎日新聞社から報告を受けているわけでございます。専販店経由と、それから即売と、両方の数でございます。これはその号によってだいぶ上下しておりますけれども……。

大森創造日本社会党

○大森創造君 何によって。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) そのときの紙面によってかなり上下があるようでございますけれども、大体平均三万ぐらいと聞いております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 とにかくいまどきおもしろくない新聞らしいですね。それでマスコミの中では、あすこの関係者のことをうば捨て山といっているそうだ。  そこで、それはともかくとして、政府が買ってやるということがあって、そのために発足した株式会社「今週の日本」だな。それには間違いないね。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) その定款第一条がそのようにうたっておりますので、政府がある程度買い上げてやる、そういうことでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それで、これやめちゃったらどうですか、ぼくはずばり聞きますが、やめちゃったらどうですか。やめろ、大臣が来たら言う。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) これは私の一存ではとても言えません。現在効果がある限りはやはりある程度続けていかなければならないと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どういう効果があると思う。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) それは私どもに通じている限りでは、資料面の評価が非常に高く、特に日米共同声明のおりに英文を載せました。あの号に関して非常にたくさんの要望がございました。

大森創造日本社会党

○大森創造君 売れたのはそれだけ、喜ばれたのはそれだけかな。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) それはいろいろとございますから、号によって非常にできのいいときと悪いときと、やはりそれはございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 やめたらどうですか、わざわざ私が質問したことだから。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) それはちょっと私にはできません。私どもも実はいろいろと広報活動をやっております中で、これは一つの間接広報のような形で私のほうの広報活動の中で位置しているわけでございます。このようなやり方も私どもは広報活動のやり方としては必要である、そういうふうに考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どういう効果があるということを測定できないでしょう。私は効果なしと見ている。だれに配付しているの。どんな人に。金は取っているの。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 現在私どもが指定している配付先と、それから一般の希望者がございます。それにどんどん出しております。まあそういう人からいろいろと投書を受けたり、いろいろな批評を送ってきておりますが、そういうのを見る限り、かなり効果があがっていると思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そんなのはのらくら問答だな。効果あると言えば効果ある。何億という金を出してあちこち……。これはまあはな紙にはならないけれども、何かになるかもしれないな。だけど、私いろいろな点から考えて、あれをやめちゃったほうがいいと思う。大臣やがて来るんでしょう。来ないのか。これはひとつ大蔵省で相談をして、やめるが是かやめざるが是か、ひとつ検討してほしいと思う。私は、いまこれだけ印刷して何十万部か出したから、多少の効果はあるよ。発行するんだから、金を使って。だけれども、効率の点から見てどうだ。それからいろいろな問題ありますよ。これはもうこの会社、どうして広告が安いんだか、知っていますか。広告料が安いんです、これは。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) やはりこれは最初あんまり知名度が上がりませんものですから、どうしても広告料の収入あたり高く取れない、そういうようなことを聞いております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 いや、これはあれなんですよ、広告はあまり載せたくないんですよ。載せたくないから、だんだん広告料は下がってくるんですがね。だけれども、まあまあ載せないわけにもいかないだろうという心理で広告載せているんですよ。こういう実態おわかりになりませんか。あんまり喜んでいないんですよ、これは広告としての媒体能力がないと、こういうことでは。だから、ただにしたり安くしたりして、もらっているんですよ。政府がこうやるんだから、しかたがない、おつき合いだというので、しぶしぶ出している連中が断然多いね。あれは迷惑だと言っている人が相当多いよ。読みたくないという人が相当多いよ。それで会計検査院、こいつは困ったね。予算を幾らか、二億何ぼか出すんだけれども、これは実態は会計検査院、調査することできませんね。

中込良吉会計検査院事務総局第一局長

○説明員(中込良吉君) 実態につきましては、はなはだわかりにくいことでございますけれども、会計処理につきましては実地検査を十分やっております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、会計検査院がこのことについて調べられるのはどういうことを調べられるのですか。

中込良吉会計検査院事務総局第一局長

○説明員(中込良吉君) これは実際に支払いました関係の証拠書類に基づきまして、領収書とかその他積算資料等につきましていろいろ検討しております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どこに送っているんですか、一体、この「今週の日本」というのは。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 国会議員はじめ中央、地方の行政機関、それから市町村議会、それから大学、高専、高校、中学校、公民館、市町村、それから一般有識者、そういうところに送っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 「今週の日本」という株式会社の経営の悪いことを知っていますか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 先ほど申し上げましたように、「今週の日本」の経営は、一般有料販売と広告収入と政府買い上げとによってスタートしたわけでございますが、広告収入と一般有料販売のほうが最初の予定のとおりに伸びていないということは聞いております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで田中総務長官は決算委員会で竹田現照君の質問に答えて、両三年以内で何とか「今週の日本」から手を引くようなニュアンスの答弁をしているんだけれども、どうなんだろう。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) 残念ながら一般有料が伸びていないので、なかなかそういう状態にいかないわけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 何、何だって。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) まあまだ発足一年半でございまして、何とかして一般有料販売をふやすために編集上でもいろいろ努力を加えております。いろいろと編集上の紙面が動いていることは御承知かと思いますけれども、なかなか有料販売が伸びておりませんで、たいへん残念でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 いろいろ問題あるんだけれども、時間がありませんから、きょうは打ち切っておきますが、この新聞打ち切ったらどうですか。

松本芳晴内閣総理大臣官房広報室長

○政府委員(松本芳晴君) それは私からお答えできません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 二億七千三百万円使う価値がないと、そう思う。これは大蔵省内部で、それから内閣広報のほうで相談をして、やめる結論持ってこい。いいな。やめたほうがいいよ、これ。大蔵大臣と相談して次回の委員会に大森さんの言うとおりやめましたと、こう持ってこいよ。こんないたずらして……。こんなことはいたずらだよ。まあやめるだろうなということで、きょうのところは終わっておきます。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 速記を起こしてください。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 法務省からいきますが、けさの総理の続きでいいですね、政務次官見えていますか。  実は、福島重雄裁判長に対する忌避問題で、これはまあ予定していた質問ではないわけですが、昨日の朝の新聞に一斉に出まして、したがって法務大臣の出席を実は要求をしたのですが、ところが出張中だと、出張中なら非常に重要なことだかえ呼び返してもらいたい、そうしたら今度あとから病気だと、病気なら一体きょう欠席届けが出ているのかどうか、どういう病状なのか、お互いに参議院議員ですから心配になりますから、まずお聞きをするということにしていたのですが、病状おわかりですか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) 静岡のほうへ帰っておられて、そちらのほうでかぜを引かれたというようにお聞きしておるのでありますが、東京にいらっしゃらぬものですから、詳細わからぬで申しわけないわけでございますが、そういうことで、届けその他が出ておるかどうか、実は私よくわからないのでありますが、秘書課でも参りましたらお答えをいたしたいと思います。——いま秘書課で見えておりませんから、電話で至急照会いたしましてお答えをいたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 まず、基本的な問題で三点ばかりひとつお尋ねをいたしますが、法務省の今度の行為が、ひとり法務省ではなくて、けさの総理答弁で明らかなように、政府部内の統一をした見解、まあこういうことでありますから、制度の趣旨に十分にのっとったものであるかどうかということはまず別にしても、私はまず問題にしなければならないのは、たとえば昨年三月の公務員共闘の都公安条例違反事件に対する東京地裁の無罪判決、続いて四月の都教組事件の最高裁判決と、まあ政府に不利な判決が続いた上、東大裁判での弁護団の欠席、いわゆる平賀書簡問題などがあって、政府自民党内部にあった司法批判の高まりの頂点としてこれが出てきている点を見のがすわけにはいかないわけです。したがってそれ自体司法への行政介入のそしりを私は免れないと思うのですが、いかがお考えですか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) そういう御意見もあるかもしれませんが、この裁判官忌避の制度の本旨からいたしまして、政府が当事者になっておるこの訴訟におきまして、この忌避の制度の趣旨にのっとってやったものでございまして、決して政治の裁判介入というようなことは毛頭考えておらないことをはっきり申し上げておきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 忌避の本旨という問題についてはあとで触れますが、とにかく私は司法への行政介入である、そういうふうに考えます。けさほど総理も述べたのですが、言ってみれば三権分立の状況の中で、戦後、ともあれ一番腐敗しなかったのは司法、その腐敗をしなかったそこに焦点が当たっていることにたいへんな実は問題を感ずるわけでございます。まあある識者に言わせれば、近代国家たる性格をいわゆる司法が腐敗しなかったということで保ったとさえ述べておるのでありますが、したがって行政なり立法の座にあるものが、少なくともいま裁判官の思想問題あるいは団体加入の問題についてとやかく言う資格はない、裁判官の良心を私は信頼すべきだと思う。法務省の今度の態度というのは、そういう意味ではたいへんせっかち過ぎると思うのですが、いかがですか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) いまの御意見でございますが、先ほども申し上げましたように、政府が訴訟の一当事者になっておるというたてまえからいたしまして、忌避の理由があるときには忌避の申し立てをするということこそほんとうに三権分立の私は意味があるのだろうと思うわけでございまして、そういう面からいたしまして、ただ、いままでそういうことがなかったということは、幸いにしていままで忌避を申し立てるようないわゆる客観的な事情がなかったということに尽きると思うわけでございまして、国家が一方の当事者になっていながら、忌避の制度があるにもかかわらず忌避を申し立てないということこそ、私は法律的な面からいたしましておかしいと思うのでありまして、いままでなかったということは、いま出したことが不都合だということには私はならないだろうと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それでは次官、忌避の理由。忌避の理由は何だか言ってください、あなたの考えを。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) この福島裁判長個人について、いろいろの理由につきまして、訟務部のほうで見えておりますので。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 あなた自信を持って忌避の理由があると言ったのだから、あなたが述べてください。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) これは先ほども申し上げましたように、いわゆる客観的な事情からいたしまして、一般の国民がその裁判の結果について公正を疑うような事情のある場合においては、この忌避の申し立てをできるという制度になっておるからであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そんなことになっていません。どこになっていますか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) 民事訴訟法第三十七条第一項「裁判官二付裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキ」、こういうふうになっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 その「妨クヘキ事情」というのはどういう事情ですか、今度の場合。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) それは福島裁判長が青法協に加入しておる。そして青法協が自衛隊が違憲であるという考え方のもとに政治運動をやっておる。そして福島裁判官はそのメンバーであるということであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 福島裁判官はその政治運動をやっていらっしゃいますか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) こまかいことにつきましては、訟務部長が来ておりますから、訟務部長のほうから説明をさせていただきます。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 今回の長沼事件の裁判長福島重雄裁判官に対しまして忌避の申し立てをいたしました理由の要旨を申し述べます。  長沼事件の審理をしております札幌地裁の民事第一部の裁判長福島重雄裁判官は、青法協、青年法律家協会の会員でございます。この青法協は安保廃棄、自衛隊反対等の政治活動を行なっておりますほかに、長沼事件そのものにつきまして原告側の支援活動を活発に行なっているのでございます。その長沼事件が問題になっておる裁判所の裁判長としまして、青法協の会員である福島裁判官が関与するということは、当該裁判官がいかに公正を保持するといたしましても、その裁判の公正につきまして国民の疑惑を招くおそれがある、かような趣旨がまさに民事訴訟法三十七条一項の裁判の公正を妨ぐべき事情があるということに該当すると思量いたしまして申し立てた次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 福島さん自身は政治運動をやっていらっしゃったと判定なさっていらっしゃるのですか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 福島裁判官が政治運動をやっているかどうかは、これには関係しないことだというふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうしたら最高裁にお尋ねしますが、最高裁がお出しになっている裁判所法の逐条解説で、裁判官が特定の政党に加入して政党員になることは差しつかえない、そういうことにいまなっていますね、そのことは最高裁。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのような趣旨の解説をいたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうしますと、青法協会員であることについて、いま最高裁が判断をされていることは、いま確認をしたとおりです。そうしますと、福島裁判官が具体的に政治運動をやっているかやっていないかは関係なくて、協会員である、そうしてその協会がこういう方針を持っておる、それが民訴三十七条一項の忌避理由になるなどという論法にはならないではありませんか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 裁判官が積極的に政治活動をするということになりますと、これは忌避というふうな問題とは次元を異にした裁判所法五十二条の問題になってくるわけでございます。で、忌避の制度と申しますのは、裁判官に適格性があるとかないとか、あるいはその人格に対する攻撃では決してないのでございまして、国民から見ました場合、その裁判の公正が外部的に保障されている、疑惑を持つことがない、そういうふうなために、かりに当該裁判官がいかに主観的に公正でございましても、外部から見ました場合に、その公正について疑惑が持たれるような事情があるというときに、その裁判官が当該裁判に関与しないということにするために忌避の制度があるというふうに考えております。したがいまして、政治活動云々とは全然問題が違うことだというふうに存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いや、言ってみれば、自衛隊なりそれから長沼の今度の運動なり、それをいわゆる青法協会というものは支持をしておる、そういう政治運動をしていると次官を答えられたでしょう。そのことが忌避理由の中の大きな要項であるでしょう。そのことだけで、所属している会がどっちを向いておるかだけで三十七条一項の忌避理由が成り立っておるという説明だから、そんなことは忌避理由が成り立つ条件にはならないじゃないですかと私は言っておる。福島さん個人が具体的に政治運動に関与しておると、こう言われるのならば話は別ですよ。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 青法協自身が長沼事件の支援活動等の政治活動を行なっておる、その青法協に福島裁判官が会員として所属しておる。かような事実関係と結びつけまして、その支援しておる当該長沼事件の裁判をする裁判所の裁判長として関与するのは適当ではない、かような意味でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これであまり時間をとると、実は時間がなくなって困るので、簡単にしてやめようと思ったが、なかなかやめられないようになってきた。  それはそういうことにならない。いろいろ読んでみますと、たとえば青法協なら青法協に加入しておるにしても、その中において裁判官はいわゆる実際運動、実践の運動の場面には関与しないとか、いわゆる研究調査というような部分についてしかそのあれをしないとかなどという自発的な取りきめをやって運営をされていることは今日明らかです。したがって、あなた方が理由にされたように、青法協会が、言ってみれば一定の政治運動をやって、そうしてその会員としての福島裁判長もその運動をやっておる、したがって忌避だというのなら筋が通っております。あとは裁判所が判定をすることですから。しかしながら一般論でもってそういう形のことをされるとするならば、たとえば裁判官が偏見を持っておることが具体的に明らかなそういう一体証拠がありますか、福島さんが忌避理由に該当する。忌避権をあなた方が行使するに相当するところの、裁判官としての偏見が具体的にあるのだというような、そういう事実関係というのは明らかですか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 忌避の私どもが考えております理由については、十分疎明できるものとして裁判所に提出してございますが、いまおっしゃいましたように、福島裁判官がへんぱな、不公正な考えを持っておるかどうかということは、これは忌避の申し立ての理由があるかないかには関係ないことだと考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それでは最高裁にお尋ねしますが、訴訟当事者が忌避権を行使できる条件というのはどういうことですか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 一般論といたしましては、民事訴訟法三十七条「裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキハ」と、当事者が思料するということではないかと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いままで最高裁判所がいろいろの考え方を明らかにするにあたって、それを具体的に行使する場合に、たとえばいま具体的に裁判官の忌避問題ですが、裁判官が持っておる偏見というものが具体的に明らかにされるような、そういう事情というものが明確でない以上は、忌避権というものは本来的には行使できないでしょう。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 非常に微妙な問題でございまして、一般論として答えろということでございますが、具体的に事件が札幌地裁に係属いたしておりますので、私どもとしてはお答え申し上げるのを差し控えさしていただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 どうもそういう答弁に落ちてしまうんですが、それではもう一つ尋ねますが、裁判官であろうともどういう人であろうとも、一人の国民として思想を持つことは当然でありますね。これはまあ否定はされない、幾ら何でも。思うのです。本来、どういう思想を持つか、それは自由でありますし、憲法が保障している基本的な権利です。したがって、今回政府がとったところの措置というものは、この憲法の思想の自由との関係で考えなければならないのは、裁判官自身が偏見を持っておるという具体的な立証なしにして、所属団体のその方向だけを理由にしてこういう忌避権の行使というものが、憲法のいわゆる基本的権利の問題とのかね合いでどうなりますか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これも非常にむずかしい重要な問題でございますが、実は私ども新聞紙上で忌避の申し立ての事実を知りまして、通常忌避事件は報告することにはなっていない事件なんでございますが、非常に重要な事件でございますので、急遽報告するということを実はけさ求めたばかりでございます。まだ報告が参っておりませんので、具体的にどのような内容を示して、どのようになされたかということが判然といたしませんので、この際関連いたしまして、事務総局としてのいろいろ申し上げることは御遠慮さしていただきたい、このように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 時間の関係がありますから、いまの二点の問題は、もっと続けて実はこまかく最高裁の見解というものをこれから後尋ねていきたいと思います。  最後に次官に伺いますが、先ほどからずっと言われてきたことを総合的に考えてみると、たいへんな危険性を感ずるんですよ。ということは、言ってみれば、福島さんが具体的に政治運動に関与しているしていないは別問題で、所属している一つの団体という、こういうことになるのでありますが、それが忌避理由という。私はそれはもう忌避理由にはならぬ、忌避権の行使にはならぬ、こういうふうに言っているんですが、なぜならぬかというと、それではそういうふうにやっていかれるならば、裁判官各人がすべて中立であるはずがありません。裁判官各人がすべてが思想をお持ちでないはずがありません。で、たいへん右翼的な思想をお持ちの方もおられるでしょう。それらを含んで考えなければならないのは、いろいろ報じられておるように、たとえば青法協に加入している裁判官は約三百人ばかりだ、そういわれております。そうすると、それらの人たちが、その青法協に入っていることを理由とするならば、今後いろいろ起こるであろう自衛隊問題をめぐる、あるいは基地問題をめぐるいろいろの裁判において、すべて次々と忌避をされていく、そういう方針でありますが、どうですか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) これは先ほど最高裁からもお話がございましたように、具体的な事件について考えていかなければならないと思うのでありまして、いまおっしゃったように一般的におしゃったようなことは考えておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 具体的に考えていかなければならないというのは、私さっきから何べんも言っておるように、福島さんが政治運動をやっている、したがって公正を害するところの、いわゆるそういうことが予見ができる、よって忌避だ、それが具体的です。ところがあなた方の場合は具体的じゃないんですよ。青法協会というものはこういう政治運動をやっている、この裁判官はそれに所属している、忌避なんだ、こういう論理なんです。そうして具体的に三百人の青法協会員の裁判官がいる、それらに対して忌避問題はどうするんかということです。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) 先ほど訟務部長からもお話を申し上げたように、もし福島裁判官が青法協の運動に実際に関与していられるということになりますと、むしろ忌避でなくてやめていただかなければならない問題になるわけであります。いまの法律ではそうなっているのでありまして……。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そういうことになっていませんよ。役員じゃないでしょう、役員じゃないんですよ、そこの。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) それは裁判所法五十二条に、積極的に政治運動をしてはならないという規定がございますから、もしおやりになれば、忌避というような問題ではなく、むしろ罷免の問題にもつながる問題でございまして、忌避の問題はこの裁判だけに関与しないほうがいいんじゃないかという問題でございますので、相当先生の御質問とは違ってくるんじゃないかというふうに思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 違わないんですよ。たとえば罷免を含めて考えてみたって同じことが言えると思う。いま言われたとおりに、積極的に政治運動に関与した場合の罷免という場合と、たとえば政治運動に対して意見を述べても政治運動と具体的にいわれる場合があるわけでしょう。そういう事実関係というものが存在をして、言ってみれば忌避ということになっているんじゃないんですよ。それは何べんもさっきから尋ねてきておる。それはそうじゃないんでしょう。そういうことでないと、いわゆる青法協会に所属をするところの裁判官というものの今後の忌避問題というものは、一般論としても明らかになってくることです。それはやるおつもりか、やらないおつもりか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) それは先ほど申し上げたように、具体的な事案、それぞれを検討して善処いたしたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 法務省ですか、いまのこの忌避をきめられて閣議へ持っていかれたときの理由、これはどんな理由ですか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) これは閣議にはかけていないそうであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私はそのためにけさ総理に質問しているんですよ、閣議としての統一見解を明確に。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) この事件は長沼訴訟という一つの訴訟事件でございまして、法務大臣の指定代理人が訴訟を遂行しているわけでございます。したがいまして、もちろん実質的な当事者は農林大臣でございますけれども、法務大臣が訴訟の指揮権を持っており指定代理人を指定しておる。その関係で指定代理人におきまして忌避を申し立てるべき理由があるというふうになりますれば、特別の事件を要しないで申し立てができるわけでございます。さような事柄は、やはり非常に問題がある事柄ではございますけれども、訴訟遂行上の手続的な事務的な問題でございます。決して政府として統一見解とかあるいは閣議の了解というふうな性質の問題では全くございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それでは確認をしますが、私はけさ、こういうふうに質問したのです。法務省だけの独走ではなくて政府部内で検討した措置と私は受けとめるがそれでよろしいか佐藤総理と。そして、その旨の答弁がなされた。そうすると、全然やってらっしゃらないわけですね。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 事前にも閣議にはかけておりませんし、事後も報告いたしません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうするとこの問題、いま私が若干の問題について述べましたが、いま申し上げたようなこの論議があって、事後についてもいわゆる忌避の問題については政府部内であなた方は報告はしないと、こういうことですか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 政府に報告する筋合いの問題ではないと考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうしますと、これは法務省だけの見解でもってやられた……。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○説明員(香川保一君) 先ほど申しましたように、実質的には農林大臣が被告でございますので、農林省と法務省とで協議してきめたことであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 最後にしますが、そうすると、農林大臣、この問題について相談を受けられた場合に、あなたはどういう態度を示されましたか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) この訴訟につきましては、ただいま法務省側からお答えいたしましたように、当事者が農林省であることは間違いありません。いまのような訟務事件につきましては一切法務省に一任してございますので、法務省のおやりになることを尊重いたしておるわけであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは法務大臣にきょう——もうわかりましたか。

大竹太郎自由民主党法務政務次官

○政府委員(大竹太郎君) まだ連絡を受けておりませんから……。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 けさからやってるのを、大臣が私宅にいるというのは……。何時間たつか知らぬけれどもそんなに連絡悪いのですか、大臣と法務省の関係というのは。そうしたら、この忌避の問題だって大臣が知らぬうちにやっているかも知れませんね。そんなに連絡悪いのじゃ。  これはいまの論議経過というのは、最高裁の関係というのを四十二年度決算に関連して聞いたわけですから、この程度でやめますけれども、もっと突っ込んだ考え方をここでは公表できないと言われるから、あとで聞きます。そしてそれに基づいて法務省に対してさらに突っ込んだ論議をいたしますので、四十三年度決算が来月から始まりますから、その中でさらに引き続いてやりますから、大臣にはきょう私が申し上げたことを十分に伝えていただいて、その上に立って、言ってみれば、協会に所属している、あるいは特定の団体に所属している、そのことだけを理由にして忌避をするというような、そういうような行使権があるかどうかという点については、もっとはっきりしてもらいたいと思うのです。これは裁判官がこれから協議して判断してくれることだからよろしいなどというような形で、具体的に裁判がいろいろ行なわれているときにその中心的な裁判長が次々と忌避をされていくということになったら、それこそ司法の独立性というものが私はたいへんな勢いで荒らされる、そういう面については十分に伝えてもらいたいと思うのです。で、そういう意味ではたいへん今度の福島裁判長の忌避問題というのは、われわれは理解に苦しむところです。でき得ればそういう形のものは取り下げて、おそらくもう賢明な裁判官の諸君は忌避についてはその否とする態度を明らかにするだろうということを私たちは期待をしておりますけれども……。  時間がなくなってきましたが、午前中残った問題で農林大臣にまず次に伺いますが、生鮮食料品の流通の問題を、いわゆるこの物価の値上がりの問題を取り上げて実は午前中も総理にお尋ねをしたのですが、そのときに農林省ではコンピューターを——大体各省レンタルの条件にあるのに、レンタルがいいのかどうかということは論議は別問題として、農林省の場合はNEAC−一二四〇の小型を買い取っていらっしゃる。そしてこれは主として生鮮食料品流通情報サービス上におけるデータ処理、こういうことになっているコンピューターだそうです。そこで、これから得られたところの情報がどのような形で処理を一体されているのか、そしてその情報が生鮮食料品の価格の面に行政上どのように生かされたのか、農林大臣に伺いたいのです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 生鮮食料品の価格安定、それから流通改善対策の一環として四十三年度から青果物、畜産物につきまして生鮮食料品流通情報サービスを実施いたしております。これは消費地の市場の入荷量及び価格の動向並びに産地の出荷情報を迅速かつ的確に生産者、流通関係者等に提供しておるわけでありまして、このことは和田さんたぶんお調べいただいておると思いますが、利用者である生産者、それから消費地の人々、マーケットを通じて非常に喜ばれておるところであります。そういうわけでありますので、野菜生産出荷協議会の運営とも相まちまして、市場の需要の動向に即して従来より安定した出荷が可能となってきております。流通機構の改善、市場間における価格差等の是正がこれによってたいへん円滑に行なわれておると、私どもはそのように見ておるわけであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこで、行政管理庁は四十三年度も四十四年度も行政におけるコンピューター利用の実態調査を行なっていらっしゃいますね。いずれも各省庁による電子計算機導入台数、それに伴う経費の増高を指摘をされております。昭和四十二年度においてこの電子計算機運営に直接要した費用というものは総額約八十八億六千万円です。しかもその行政管理庁の指摘によると、それには非常なむだがある、こういうふうに言われているわけです。ものごとを非常に単純に考えてみますと、八十八億をこえる金で一台、あるいは二台、三台の非常に高性能なコンピューターを導入したとすると、それで累進的に高い行政効率といいますか、そういうものが期待できることになるのですが、ところが行政効率は高まるのではなくて逆作用をするような形で混乱を持ち込んでいる。各省庁縦割りのばらばらの導入のために、たいへんなむだが生じています。地方に行ってごらんなさい。農林省からおりてくるコンピューターの穴あけはこうだ、厚生省からおりてくる保険事務の穴あけはこうだ、あるいは農林統計はこうだ、あるいは職安のコンピューターはこうだ、みなまちまちなんです。こういう形のものについて行管は今後どう指導されるおつもりですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府における電子計算機の利用の伸展に伴ない、各省庁間並びに自治体における利用上の相互関連が高まり、機種が相違していることによって利用上の不便が生じていることが予想されます。政府におきましては、昭和四十三年八月三十日閣議決定で、政府における電子計算機利用の今後の方策についてということで、利用の総合調整をはかるため、可能な範囲で導入機種の統一につとめるとともに、データ交換のための装置及びその方法、磁気テープの規格の統一等の検討を行なっているのであります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大部分の省庁はコンピューターを民間企業からレンタルしているんです。で、各省庁の職員に実はこれを動かす能力がない。そういうところから、企業から人員が派遣されてくる結果になっています。公務に従事する民間労働者が現実にいるし、こういう公務に従事する尽間従業員というものが現実そのコンピューター室では多数なんです、公務員より。そうすると、これは公務員制度上基本的な問題を生ずると思うんですね。その辺についてどのようにお考えになりますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 電子計算機の操作、管理につきましては、機械の修理及び調整の必要から、電子計算機メーカー等との間に保守契約を結んで、必要に応じて行政機関への補修員の立ち入り及び派遣が行なわれております。これは経過的に公務員として習熟しまするまではやむを得ない措置かと思いますので、公務員制度上適当であるかどうかということとは別問題に考えざるを得ない問題かと心得ます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いまの同じ問題と公務員制度の問題とをどのように——総理府見えていると思うんですが——考えられますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員より答弁させます。

栗山廉平総理府人事局長

○政府委員(栗山廉平君) ただいまの電子計算機の操作、管理上の問題でございますが、公務員制度とどういう関係になるかということにつきましては、あるいは人事院のほうの関係があろうかとも存じますけれども、一応われわれのほうからわれわれの関係をお答えさしていただきます。  ただいまのお話にございましたように、機械が非常に複雑でまた微妙な関係上、その修理調整という必要の上でメーカー等との間に保守契約を結んで、必要に応じ立ち入りあるいは派遣が行なわれているということでございます。そういうような観点からいたしますと、これは機械の操作上特殊、専門な必要から出ておることでございますので、公務員制度そのものの関係とは一応離して、機械の操作という面からその必要な専門的な操作員ということで、公務員制度そのものとは離して考えられるのではないかというふうに思っている次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そういうふうに考えられますか。私はこの間、予算委員会でも自治省に同じ質問をしましたが、本来各省庁は人員を求めています。五%削減なら五%削減という一つの方針にひっかかって、なかなか人員をふやすことができないから、言ってみれば便宜的に民間従業員をその部分に入れざるを得ない、こういう状態になっているのです。単に純粋に技術的な、いわゆる単純なそういう作業だけだと、こう言われますが、そうではありません。そうすると、公務員として行なわれるところの公務、行なわなければならないところの公務が、特定のいわゆる企業の従業員によって行なわれておる。そうして各省庁それぞれのコンピューター企業との結びつきがばらばらでありますから、それぞれの機械の相違によって行政上たいへんな混乱が起こる、こういう形になってきておるわけですよね。こういう悪循環というものは、早い機会に整理をしませんと、将来たいへんな禍根を私は残すだろう、そういうふうに思いますけれども、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 電子計算機の保守要員の行政機関への立ち入り、もしくは派遣につきましては、先ほど申し上げましたとおり専門技術的な立場から機械の修理及び調整について派遣されておるものでございまして、定員の五%削減と直接結びつかない、当分の間やむを得ざる問題かと心得ます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 たいへん一般的な答弁で非常に不満なんですね、長官。けさの総理の御答弁のほうがもう少しちょっと前進的だったと思うのですが、私は、やはりある一定の限界を設けた指導というものをしないと、当分の間しかたがないのだというような投げっぱなしだったら、あとで収拾がつかなくなると思います。これは意見ですから、その辺は十分にお考えを願いたいと思います。  次に、特殊法人の問題で二、三お尋ねをしておきますが、臨調なり行政監理委員会なりが特殊法人の廃止や統合を勧告した。しかし、その措置状況というのはあまりにもりょうりょうたるものである。これは本会議で指摘しました。そうして荒木行管長官は、それはそれなりに理由があるとお答えになりました。私はそれはそのとおりだと思うのですが、しかし、それなりの理屈を聞いておったら、たとえば一省一局削減ということもできなかったと思うのですが、各省庁内で働いている当事者たちに、この局を廃止したらというような形で持ちかけた場合に、なるほどと思われるような理由をつけて反対をされることが多いわけでしょう。しかし、なぜそれが一体削減がやられたかということを考えてみると、そこには行政の簡素化、効率化ということ、それ自体が必要であるという政治判断があったと、私はそう思います。そこで、特殊法人の統廃合の問題についても、何か特殊法人が全くむだなことをしておるという観点から論じられがちでありますけれども、私は行政の簡素化、効率化の必要という、そういう政治判断が前提だと思うのですけれども、行政管理庁は当然政治判断を是とされると思うのですが、それは端的に言って、それでよろしいですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政治判断から生まれ出た課題であるとは思いますけれども、実施するにあたりましては、まあ特殊法人といえども出血整理をしないという一般的な御要望はやはりかぶってくる関係もございまして、実施の時期についてなかなか容易でないものがございます。政治判断から結論的なことを申しましても、その実施のためには時間がかかるということを申し上げさしていただきます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 時間がありませんから、すべての問題についてやるわけにいきませんが、幾つかの特殊法人で、それじゃ具体的にお聞きしますが、まず公営競技に関する法人、これは臨調の意見、昭和三十九年の九月に、「公営競技の振興には一定の限界があり、また事業が射倖的性格の強いものであるので、国の統制が必要であることも当然である。しかしながら、法人の性格に統制の根拠を求めようとすると、しばしば当該法人の運営のあり方が必要以上に歪曲されるおそれがあるので、公営競技に関する法人を、民法上の法人に改組し、これに対する統制は別に検討することが望ましい。」、こういうふうになっておるのですね。この臨調の意見を受けて、行政管理庁はどのような観点から、どのような検討を行なって、どのような結論を得ましたか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えいたします。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。ただいまの公営競技に関する法人でございますが、日本自転車振興会、日本小型自動車振興会、地方競馬全国協会、日本船舶振興会に関する点というふうに考えます。以上の諸法人の民法上の法人への改組につきましては、種々検討をいたしましたが、交付金の配分業務は、財源の性質上、国にかわって国とは別個の法人に行なわせる必要があること、並びに交付金の配分業務及びその他の公営競技に関する業務の性質上、当該法人に対して国が特別の監督統制を加える必要があるという点にかんがみまして、民法法人への改組に踏み切ることにつきましては慎重に検討を要するという見解をとっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いまの問題について通産省、農林省、それぞれどういうふうに検討されましたか。

内田芳郎自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(内田芳郎君) 日本自転車振興会、日本小型自動車振興会につきましては、公営競技の実施に伴う八百長騒乱事件、また不明朗な事件の発生を防止をしまして、公営企業の健全化をはかるために、それぞれ競輪運営審議会あるいはまた公営競技調査会の答申に基づいて昭和三十二年、昭和三十七年にそれまでの民法法人を改組して発足したものでございます。これら特殊法人を発足したことにより、役員の任命あるいは解任、あるいは毎年毎事業年度の事業計画、収支予算の認可を行なうなどの点で通産大臣の監督権が強化されております。この結果、役員として業務運営の適任者を選任することができますほかに、審判員とかあるいは選手及び使用する自転車、小型自動車等の登録、その他競輪、小型自動車競走の実施方法の調整をはかるなど、公的性格のある業務を公正かつ円滑に実施させることができることになっております。現在これらの振興会は施行者からの交付金をもとにして関連産業の振興あるいは公益の増進を目的とする事業に対して補助を実施しておりますが、これら対象事業の選定につき、特に厳正に行なうよう監督できることになっております。したがって、現在のところ、両振興会を再び民法法人に改組する必要はないと考えております。

太田康二農林省畜産局長

○政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、地方競馬全国協会は競馬法に基づきまして馬主及び馬の登録、騎手の免許等の業務を行なっておるのでございますが、競馬の公正確保が強く要請されておることにかんがみまして、その適正な運営を確保いたすために国の強い監督のもとにあることは、御承知のとおりでございます。したがいまして、こういった関係の業務を民法法人に対して付与するというようなことは、やや妥当性を欠くのではないかというふうに私たちは考えておりまして、一応こういった業務は特殊法人とすることが妥当であるというふうに考えております。また、この協会が実施いたしております畜産振興の補助事業につきましては、これまた農林大臣の監督のもとに管理配分されておりまして、現行制度におきましてもこの交付金は重点的に、総合的に配分されておるというふうに理解をいたしておるのでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そう言われますけれども、たとえばそれじゃこれらの法人の業務、自転車競技法の第十二条、日本自転車振興会の目的として次のようにうたっていますね。「競輪の公正かつ円滑な実施を図るとともに、自転車その他の機械に関する事業」、そうすると、ここでいう「競輪の公正かつ円滑な実施を図る」というのは、本来実施主体者としての地方公共団体の仕事でしょう。いかがですか。

内田芳郎自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(内田芳郎君) 担当説明員からお答えいたさせます。

福田敏南通商産業省重工業局車両課長

○説明員(福田敏南君) お答えいたします。  開催しますのは地方自治団体でございますが、それを受けまして実際の業務をやっておりますのは各地の競技会でございます。したがいまして、その運営権を自治体にございますが、実際の運営は競技会が実施しておる。その競技会の運営が公正、厳正に行なわれるかどうかというのが問題になるわけでございまして、それを自転車振興会なり、小型自動車振興会が選手の管理もしくは審判員の管理という面を通じて管理しておるという形になっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 「競輪の公正かつ円滑な実施を図る」という、ここの部分は地方公共団体の任務でしょう。あなたの通産省のほうの任務は、次の「自転車その他の機械に関する事業」、ここがあなたのほうの任務でしょう。

福田敏南通商産業省重工業局車両課長

○説明員(福田敏南君) 開催権は地方自治団体にあるわけでございまして、したがいまして厳密に申し上げますと地方公共団体が自分で厳正に競技を実施しなければならぬわけでございますが、実際の運営というものは地方公共団体が一々できません。したがいまして、ただいま全国に八つございます競技会に委嘱してやるという形になるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いま十二条を言っているんですから。自転車振興会の規定ですから、ここは。時間がなくなってきましたからあれですが、そこで日本自転車振興会は、「体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資することを目的とする。」、この部分ですね、問題は。私は、これをずっと読んでみると、振興会の存在理由というのは、いまぼくが言ったここにあると思いますよ。そこで、日本自転車振興会に限らずに、日本小型自動車振興会にしても、あるいはさっきの農林省の地方競馬協会にしても、あるいは日本船舶振興会にしても同じことが言える。それぞれの業務の範囲としては自転車競技法は第十二条の十六の第一項第七号、小型自動車競走法は第十九条の十六の第一項第七号、モーターボート競走法は第二十二条の五の第一項第五号で体育事業その他の公益の増進を目的とする事業に補助金を出すという、きわめて共通性のある仕事をやっている。これはずっと共通しています。ただ競馬法だけはちょっと違う表現になっていて、第二十三条の二十二の第一項第三号に基づいて同様の運営が行なわれている。そして四者に共通する業務だけがこれらの法人の存在理由であると言えるとすれば、これは一本にしたらたいへん効率的になるんじゃないですか。何のためにそれぞれ分けておかなくちゃならぬのですか。長官、いかがです。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 検討さしていただきます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 軽くやられましたね、検討させてと。それじゃあ、私の期待にこたえるように、荒木さんは正直な人ですから。結果的にはそうなる、そういうふうに私は理解して、ここではこの整理が行なわれる、そういうふうに理解をしておきます。私の期待に十分こたえていただきたいと思います。  次に、日本消防検定協会。一々読みませんが、消防検定協会については、あの行管の意見を受けて——行政管理庁がどのような検討を行なって、どういう結論を消防検定協会についてはなされたんですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。  消防検定協会の検定業務につきましては、国民の保安公正を確保する見地から、これは本来国が取り上げるべきものと考えられておりますが、ただこれらの検査、検定業務の定型性、また大量の業務にわたることでございますので、国が直接行なうことよりも国の特別の監督のもとにある専門の実施機関をして行なわせることが効果的であるというふうに考えられてつくられたものでございます。この意味で、この協会によります検査の実施は合理的であるというふうに考えられます。その業務の運営の実態を監査調査いたしたわけでございますが、特に特殊法人として存在することの難点は認められないという結論に達しております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 消防庁の意見は……。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 日本消防検定協会は、御承知のとおり、消防用機器の検定をいたしておるわけでございますが、消火器の例をとってみましても、いざ火災というときに十分な機能を発揮しなければ何らの役にも立たないのでございまして、普通の商品のように日常の使用を通じまして、よし悪しが淘汰されていくという性質のものではございませんので、そういう意味で、万が一の場合にのみ使われるものであり、その万が一の場合に十分機能を発揮するということが必要でございますので、どうしても公の検定ということが私は必要であると思います。しかもその検定は、やはり国の十分な監督のもとに行なわれるという体制が必要でございますので、消防機械器具につきましては、いまの形で検定を続けていくのが合理的ではないか、かように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 消防白書、四十四年版、九十ページに「消防用機械器具等の検定には、型式承認と個別検定の二つがある。このうち型式承認は自治大臣が行ない、型式承認の前提となる型式試験と型式承認後の個別検定は日本消防検定協会で実施している。」、型式試験を言ってみれば、この消防研究所でなんでやらないのですか。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 先生も御承知のとおり、消防機器の検査は、かつては消防研究所で実施いたしておったのでございますけれども、いま行管からもお答えのございましたように、検定業務のような定型的な、かつ大量の業務を研究業務と同時に行ないますことは、研究のほうにもいろいろ支障もございます。また、検定のほうが研究に専念をすれば検定のほうが十分いかないということもございまして、この仕事を分離したわけでございまして、研究所は消防技術の開発、研究に専心をする、かような形で分離をいたしておるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それでは伺いますが、日本消防検定協会の検定員は何人ですか。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 四十四年三月現在の資料を持ち合わせておりますが、全部で七十三名でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それは、どういう資格を持った人ですか。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 理事、監事のほかは一般の検定業務に従事する職員並びに庶務的な仕事をやっておる職員でございます。一般検定業務に従事する職員は、それぞれ学校等において技術関係を修了してきた者を採用いたして、検定に当たらせているわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 その人は何人ですか。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 検定を直接担当しておりますのが五十一名でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 消防白書の九三ページ、四十三年度の個別検定の実績は何と九百三万個ですね。九百三万七千八百八十八個、そうするとこれを五十一名の人がやるわけですか。これは一体九百三万個の個別判定をどういう形でやっていらっしゃるのですか。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 型式検定と個別検定と分かれておりますが、型式検定は全部この一つ一つについて厳密な試験検定を行なっております。個別検定は型式検定を通りましたものに合っているかどうかという検査でございますので、抜き取り検定を行なっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 九百三万七千八百八十八個なんというものの個別検定が五十一名の人でやられている。そういう結果、消防機器に欠陥車じゃないがいろいろの欠陥が出てくる。私は、こういう形式的な検定をやるために消防検定協会が別に作られていなければならないという理由は一つもない、そういうふうに思うのです。したがって、こういう特殊法人的なものは、やはり臨調なら臨調の答申あるいは行管が指摘をして、それらに基づいてやはり整理をされていってしかるべきだと、こう思う。たとえば、ちょっと考えてみても、製造者が自主的な組合をつくって検定をする、そうして違法な機器の販売については国や地方公共団体が随時検査して、そうして摘発をする、そういうような措置で十分じゃないか。そのほうがむしろ私は実情にふさわしいのじゃないかと思うのです。そういう意味において、この検定協会は、私は整理をされるべきだと思いますが、長官いかがです。

松島五郎消防庁長官

○政府委員(松島五郎君) 非常に数が多いということは御指摘のとおりでございますが、この数の多い中でも現在でもかなり不合格のものが指摘されておる状況でございます。しかも、先ほども申し上げましたように、一般の商品と異なりまして、ふだん使ってみるということのほとんどないものが多いわけでございます。したがいまして、いざという場合のみ使われて、しかもそのときに十分機能を発揮しないということであれば、これはたいへんな問題でございますので、そういう意味では一般の商品の検査検定というものとは違った性格を持っているというふうに考えられますので、やはりできるだけこういった品物の安全性、確実性を期待いたしますためには、常日ごろ研究を続けていく、こういう仕組みが必要であるというふうに考えます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それはやっぱり責任の度合いその他から言っても、国や地方公共団体がもっといわゆる責任を持って検査検定をし得る、そういうような措置をとるのが至当であって、何々協会などというようなものにやらせる、そうしてたいへん膨大な数をたいへん少ない数でやらせるのだというようなことは、将来に禍根を残しませんか。そういう意味では消防庁長官はいろいろ遠慮して言えない部面があるでしょうから、行政管理庁長官はどういうふうに考えられますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 検討をさせていただきます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 十分、私の意見に基づいて検討していただくというふうにしていただきたいと思います。検討していただくのですから、どういうふうに——たとえば、高圧ガス保安協会あるいは日本電気計器検定所についても、これも細部のことはいま言いませんが、同様のことが言えると思います。その業務実績と業務内容の詳細を実は知りたいと思います。通産省、これは資料要求をしておきますけれども、よろしいですね。

高橋淑郎通商産業大臣官房長

○政府委員(高橋淑郎君) いま手元に持っておりませんので、後刻調査してお手元に差し出すようにいたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは、四十三年度の決算審議に間に合うように出してください。

高橋淑郎通商産業大臣官房長

○政府委員(高橋淑郎君) そういたします。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 速記を起こして。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 私は、きょうは厚生大臣に薬の問題についてお尋ねしたいと思います。特に薬の問題につきましては、医療用の医薬品またはそれ以外の大衆用の医薬品と、この二つに分かれると思いますが、厚生省から出しておりますこの資料によりましても、現在製造を承認されているところの医薬品の数は十万種類を突破しているそうであります。その十万種類以上の医薬品の中で、いわゆる大衆用医薬品ですね、大衆用の薬と言われているものが七五%以上あるわけです。非常に相当な数でありますが、その中で、私は、きょうは特に種々問題にしたいと思うのでありますが、これらの薬は何としても、私たち国民がその薬を飲んだ場合にその薬が安全であること、それからもう一つは、その薬がよくきくということでなければ私はいけないと思うんです。もう一つは、値段の問題、流通機構の問題がございますが、きょうは特に、この初めの二つの問題について、種々質問をしたいと思います。初めに、厚生大臣は、この製造を承認された医薬品につきまして——薬につきまして、その薬が、まず初めに安全であるかどうかという点について、大臣どういうぐあいに御認識されていらっしゃるか、伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 申すまでもなく、薬の製造につきましては薬事法がございまして、その薬事法で薬を製造する工場を許可制度にいたしておるとともに、その工場でつくられる薬につきまして、まあ承認の仕組みをとっておるわけでありまして、その承認の際にあたりましては、これは、その薬が有効であるかどうかということと同時に、いまお尋ねの安全性ということにつきましても、十分重点を置いて承認をいたしておるわけでございますので、まあ厚生大臣といたしましては、現在十万件ある薬につきましては、いずれもこれは有効であるとともに、安全の見地から見ても支障はないというものが許可されておる、こういうお答えを申し上げるほかございません。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 当然、薬は安全であると同時に、きかなければ何にもならないのでありまして、私は、きょうはこれから具体的に例をあげて申し上げますが、要するに、一番の問題点はどこにあるかということを、私もずいぶん先日この決算委員会で、本来ならば大臣に来ていただいて薬の問題をやるつもりだったんですけれども、あのときは次官がお見えになりまして、その問題をきょうに持ちこしたわけでありますけれども、これはいろいろと調べてみまして、種々問題があるということがわかってまいりました。そこで、きょうは二、三質問をしたいのでありますが、初めにこの承認、いわゆる医薬品の製造承認の基準ですね。厚生省は、私の手元にもありますけれども、昭和四十二年の九月に、「医薬品の製造承認等に関する基本方針」というのを厚生省はつくっておりますけれども、これをつくるに至った経過ですね、これについて初めに伺いたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 先生御指摘のとおり、昭和四十二年に「医薬品の製造承認等に関する基本方針」というのを、厚生省で策定いたしたわけでございますが、これをつくりましたのは、それより以前、数年にわたりまして、いろいろ薬について事故が発生したわけでございます。サリドマイドの問題とか、あるいはアンプル入りのかぜ薬問題、こういう問題で薬の事故というものが社会的にも非常に問題になったわけでございます。そういうことで厚生省といたしましても、それまでも薬の承認につきましては厳重にやっておったわけでございまするけれども、さらに一段とこういう事実が発生したということを前提といたしまして、薬の製造承認にあたっては、さらに慎重を期すべきであるということで医薬品の製造承認に関する基本方針というものを定めまして、そして、いわゆる大衆薬と、それから医療用の医薬品——お医者さんの使う医療用の医薬品というものを一応区別いたしまして、それぞれの審査方針を確立したということでございます。それで、この基本方針の一番のねらいは、やはり安全な薬をつくる。薬を承認する場合には安全性ということに最大限の注意を払うということで、その薬の安全性に関するいろんなデータというものを厳重に要求すると、こういうことで、もちろん効能、効果についての資料も要求します。効能、効果と同時に安全性というものについて、十分な動物試験、あるいはそれから臨床上のデータというものを要求して、そういうものをよく審査の上、承認すると、こういうことにいたしたわけでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 それじゃもう一点、初めにお伺いしますが、この四十二年の医薬品の製造承認等に関する基本方針ですが、これをつくるに当たっての方針はわかりましたけれども、その方針は現在でも何ら変更するところはないか、または一部に修正しなければならないところが出てきているか、この点どうですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 私どもといたしましては、この製造承認に関する基本的な方針につきましては、何ら変わるところなく、今後も実施いたしていく方針でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 それでは伺いますが、まず第一点としまして、この基本方針をつくるに当たりまして、いわゆるお医者さん用の薬と、それから国民大衆用の薬に分けるということを一つの大きな柱にしているようでありますが、この点については、現在、どういうぐあいにしているか、伺いたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 先ほども申し上げましたように、薬につきましては、主としてお医者さんが使う医療用の医薬品と、それから国民一般が薬局等で自由に買うところの一般用医薬品、大衆薬と申しておりますが、そういう薬とに大別できるわけでございます。で、もちろんその薬をせつ然と二つに分類できかねるものもあります。医療用としてお医者さんも使うし、あるいはいわゆる大衆薬的にも使われるという、そのボーダーラインで、ダブっている薬もございますけれども、大体この二つに分けられるということで、私どもはこの申請にあたりまして、新しく薬を承認する場合に、メーカーから申請が出てまいりますが、その場合に、これはお医者さんが使う医療用の薬であるか、あるいはそうじゃない一般大衆の使う大衆薬であるかということを、はっきり書いてもらうということで、区分けをしていっておるわけでございます。ただ、四十二年以前の薬につきましては、それが製造承認のときにそういうはっきり申請にあたりまして区分けをしてございませんので、若干そこはダブるという薬はございますが、新しく承認いたします薬につきましては、全部そのように申請にあたってメーカーのほうで分けていただく。それで、それに基づいてこちらで区分けをしている。こういうことでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 先ほどの答弁の中にもありましたけれども、四十二年にこの基本方針をつくるにあたって最重点を置いたのは、安全な薬をつくるということ、それに最重点を置いたという答弁がありました。それから先ほど大臣のほうからも、薬としては当然安全な薬をつくる、こういう答弁がございました。そこで私は、この基本方針の——これは薬務局で出している「薬務行政」という本ですけれども、これによりますと、私は、この四十二年にこの基本方針をつくったということは、なぜつくったかというと、先ほどお話がありましたように、アンプル入りかぜ薬とか、サリドマイドとか、いろいろな事件が起きている。だから要するに、いままでの基準はどうも甘過ぎる。したがって安全な薬をつくるために基本方針をつくらなければいけない。ということは、裏返して言えば、四十二年のこの基本方針ができるまでに承認されたところの薬というのは、基準が甘かったんじゃないかということが具体的に言えるのです。たとえば、ここにもありますように、この臨床実験の例にいたしましても、従前は最低二カ所、六十例程度以上とする内規であったのを、最近は最低五カ所百五十例以上に改めるというぐあいに出ております。ですから、四十二年以前と、いまとは、根本的に変わっているわけですね。そういう点からすると、私は、きょうこれから具体的に突っ込んでいきますけれども、基本的にそれまでの薬についても、当然私は、安全性についても突っ込んでこれは検討すべきじゃないか。当然私は、医者が使ういわゆる医療用の医薬品と、また大衆用の医薬品とは違う、新しく承認する場合は、必ずメーカーに明記してもらっていると言いますけれども、私は要するに、大衆が薬局で買える薬というのは、これは医者も使うけれども大衆も使うというので、これは当然大衆が使うというほうに入れるべきでありまして、両方ともにダブっているから分けにくいというんじゃなくて、私は当然大衆のほうに入れるべきだ、大衆はいつでも使うわけですから。医者は専門家ですから、その点についていろいろな知識もあるわけで、これは安全という点も考えます。しかしながら大衆という面について考えると、そうはいかない。この点について、どういうぐあいに考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに四十二年の製造承認に関する基本方針というもので、それ以前にやっておりましたよりは、さらにきびしくと申しますか、さらに適正を期するということで方針を確立したわけでございますが、それ以前の製造承認が非常にルーズであったということではないというぐあいに考えておりますが、いま御指摘のように、たとえば臨床試験の実験例等も、従来は六十例であったものがこの四十二年ごろからは、施設として五カ所以上で、百五十例以上の実験データでなければいかんというぐあいに、きびしくはいたしましたけれども、しかし六十例でやったのが、全部それが不十分であったということも言えないと思うのでございます。より完ぺきを期するということで、そういう症例をふやしたということでございます。しかしながら、やはり薬につきましては用心をし過ぎてもし過ぎることはないわけでございますので、その後におきましても、私どもといたしましても医薬品についてのモニター制というものをしきまして、主要な病院その他の、医薬品を使用した結果についての副作用報告というものをとる。ちょっとしたような副作用でも、全部詳細に報告してもらう、それに基づいて対策を立てよう。こういうことで、既存の医薬品等につきましては、そういうモニター制の確立というようなことによりまして、その安全性の完ぺきを期してまいりたい。既存の承認の医薬品を全部総点検するというわけにもとてもまいりませんので、少しでも副作用その他について疑問のあるものについては、積極的にそれをチェックしていく。こういう方向で今後は進んでまいりたいというふうに考えております。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 私は、四十二年以前のいわゆる承認基準はルーズでなかった、いいかげんにやったのじゃないといいますけれども、具体的にかぜ薬のアンプルにつきましては承認を与えているわけですよ。それが事故を起こしているわけですよ。ですから、もうちょっと初めからちゃんと考えておれば事故が起きなかったということもいえるわけです。そういう点からいくと、ルーズであったといわれてもしかたがない。現実の面でそういう事故が起きているわけですから。ですから、そういう点については全般的に当然洗い直すという考え方が私は必要じゃないか、こう思うのですが、いかがですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かにアンプル入りかぜ薬事件というようなものがございましたので、私どもも四十二年以前の承認が完ぺきであったとは思いません。また、四十二年以後のことでも、あるいは将来絶対に事故が起こらぬということは保証できないわけでございます。そういう意味で、完ぺきな承認基準というものはなかなかむずかしいと思いますけれども、なるべくよいものにしていく、確実なものにしていくという努力は今後とも続けてまいりたいと思います。  そういう意味におきまして、四十二年以前のものは、確かにそういう事故があったということからいえば、完ぺきなものでなかったということは事実だと思います。そういうことで、私どもも今後とも、ただいま申し上げましたようなモニター制その他の制度をフルに活用いたしまして、そういう事故の起こらないように努力をしてまいりたいと思います。既承認の薬というのはすでに十万種類以上ございますので、それを全部再点検するということは事実上不可能でございますので、何か問題のありそうな、モニター制にひっかかったようなものについては、すぐ積極的に再試験するということで、事故の発生を防いでまいりたいというふうに考えております。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 それでは、四十二年以前に承認された薬の数というものは、大体どのくらいありますか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 四十二年末で大体九万——ごく概数でございますが、九万ぐらいございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 ということは、この四十二年の基準ができる前にできた薬がずっと多いわけですね。特にビタミン剤とか、かぜ薬とか、胃腸薬とか、国民が特によく飲んだりする薬が一番多いわけですね。そういうような薬については、特に私はいろいろな問題があるのじゃないか。きょう、これから具体的に突っ込んでいきますけれども、こういうふうに思うのです。ですから特にこの点については、これからチェックしていただきたいと、こういうぐあいに考えております。  それから、いわゆる大衆薬、ほんとうは私は大衆保健薬といいたいのですけれども、大衆薬のいわゆる製造承認につきまして、各都道府県知事に委任したということに現在なっておりますが、昭和四十四年の七月三日の官報に掲載されまして、薬事法の十五条ですかが改正になっておりますが、このいきさつについては、どういうようになっているか、伺いたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) いま御指摘のかぜ薬の問題でございますが、これは実は昨年、厚生省の薬務局で不祥事件が発生したりいたしまして、それで一体どういうところに問題があるのかということを再検討いたしましたのでございますが、その一つは、薬の申請件数が非常に——新しい薬を次から次へと開発していくということで、新しい薬の申請が非常に多いわけでございます。しかし、それを審査する技官その他の数は制約されておりますので、なかなかそれに追いつかない。それで、大体七、八千件から一万件くらい件数がたまってしまう、そういう事態が事実上あるわけでございます。そのためにメーカーといたしましては、少しでも早くその承認をしてもらいたいということで、いろいろ役所のほうに働きかける、そういうようなことから非常な不祥な事件等も発生する。こういうことでありましたので、何とかひとつ役所に承認の申請がたまるのを防がにゃいかぬ。そのためには、人事のやりくり等によりまして審査する技官の数をふやすというようなこともいたしましたけれども、なかなかそれでは追いつかないということで、その一つの方法といたしまして、先ほど申し上げましたように大衆薬と医療用の医薬品とございますが、その大衆薬というものは、大体全く新しい成分で大衆薬をつくるというのは非常にレアケースでございまして、大体よく成分のわかったもの、そういうものを使いまして大衆薬というものがつくられるのが例でございますので、ひとつ大衆薬について薬効ごとに、たとえばかぜ薬とか、あるいは下熱鎮痛剤とか、あるいは胃腸薬というぐあいに、薬効ごとに製造承認の基準をつくろう。その基準のできたものは、その基準に合っていればどんどんパスするということにして、しかもその権限は都道府県に委譲するということにいたしますれば、まあ都道府県の承認のアンバランスも防げますし、大衆薬の相当部分が厚生省まで上がってこないで、都道府県段階で承認されるということになりますれば、厚生省にたまっております承認件数もぐっと減るじゃないか、こういうことで、大衆薬につきまして、逐次承認の基準をつくって、そしてその基準のできたものについて都道府県知事に権限を委譲しよう。その第一発目といたしましてかぜ薬を選びまして、ただいまその製造基準をつくりつつあるということでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 まあ都道府県知事にまかせたいきさつはわかりましたけれども、それじゃこの官報に載せられた政令は薬事法の改正で四十四年の十月一日から実施なんですね。そうでしょう。四十四年の十月一日から実施することになっている。もうすでに実施することになっておりながら、基準がまだできないなんていうのはおかしいんじゃないですか。基準ができなかったら、都道府県知事にまかせるものの、都道府県知事はどういうぐあいにしてそれを承認したものかわからない。ということは、基準がまだできてないということは、いま厚生省にすらそういう基準がないんじゃないかという疑いを持たれてもしかたがない。こうなるんですが、どうなんですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) いまやっておりますのは、かぜ薬の承認基準でございますが、これについて、それじゃいま基準をつくっているなら、いままで基準がないじゃないかという御指摘、ごもっともでございますが、しかし、現在も全然基準がないわけではないんで、現在つくりつつあります基準というのは、中央薬事審議会に正式に諮問をいたしまして、その答申を得て基準をつくりたい、こういう正式の基準でございます。いままでは、これは正式のそういう諮問じゃございませんで、薬事審議会のうちの内科のお医者さんとか、あるいは薬学の専門家というような方々に個々にお願いして非公式な基準というものをつくっております。その基準によって、まあ内規的なものでございますが、かぜ薬の承認をやっていたわけでございますが、今後は全部そういうものを薬事審議会に正式に諮問をいたしまして、そしてちゃんとした基準をつくって、それで都道府県知事に委任しよう、こういうことになっておるわけでございます。その答申がまだ中間段階でございましていろいろ問題がございます。メーカーのほうにもいろいろ意見もある、あるいは薬剤師のほう、あるいは薬局のほう、いろいろな意見がございますが、そういう意見を十分承って、また薬事審議会の先生方も、一応の基準、試案をつくりましたものを、それをさらに関係の人たちに一応示して、その意見を聞いて、そしてなるべく円満な形でこの実施をしていこうという御意図もあるようでございます。そういうことで、薬事審議会のほうの最終的な結論がまだ出ておりませんので、それを待っているという状況でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 大臣にお伺いしますけれども、要するに私は、このいまのかぜの薬の承認基準につきましては後に詳細にお伺いしますけれども、これは要するに大臣、四十四年に薬事法の改正が行なわれて、都道府県でやるということになっているわけですよ。ところがいま、かぜ薬をやっているだけで、この改正の中に載っている薬だけでも「かぜ薬、健胃消化薬、駆虫薬その他厚生大臣の指定するもの」とあるわけです。そのほかのものは何もやっていないわけです。かぜ薬すらいつできるかわからない。これはどうですか。こういうふうな厚生省の事務手続と言いますか、その内容がこういうぐあいに非常におくれている、そういうところにも、仕事が忙しくてほんとうに都道府県にまかせないといけないと、片方では言いながら、片方ではいろんなところから圧力がかかったのか何か私知りませんけれども、実際はいろいろあるらしいのですが、これはあとでやりますけれども、こういうぐあいにおくれているということについて、どう思いますか、大臣。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いま薬務局長から申し述べましたように、この薬の製造承認を全部本省で握っているということになるものですから、今日でも私どものところに、厚生省は何千も未承認の薬を審査手続の過程において握っているというような苦情が、実は殺到をいたしてまいっている状況でありますので、そういう経緯にもかんがみますとき、私は、一つの基準にのせ得るような明瞭な事案につきましては、都道府県知事にその承認の仕事を委譲するということは一つの方向だと思います。そういう見地から昨年の十月から都道府県知事に承認をまかせる政令の改正を実施したわけだと思いますが、しかしそれは、そういう道は開きましたけれども、その開かれた道を実際に運用し得るような基準が、まだ完成しておらない。こういうところに私はまだ矛盾が残っていることを認めざるを得ません。昨年の十月から都道府県に委任するたてまえをとった以上は、それを運用するための基準というものもできる限り早くこれを完成して、その基準にのっとって承認をすべきである、こういう通牒を早く私は出したいと思います。ところがこれは、官僚的につくった基準だけでは、これまた将来に大きな禍根を残してはいけない、こういうことで、薬事審議会にはかったり、またその御意向を入れて関係の業界とか学界とか、その他の団体にたいへん丁寧に第一次諮問、第二次諮問のようなものをやっているような状況でございまして、すでに素案はできて、その第一次の諮問に対して意見書も寄せられている。そこで私は、これは峯山さんの御質問には関係なしに、所管の大臣として一体基準はいつごろでき上がる見込みかと、こういうことを当局にただしましたところが、おおむね六月の下旬ぐらいまでには薬事審議会の——これは何か総合部会というのでしょうか、そういう部会に最終的に持ち込んで、そしてその基準が完成するという、そういう段取りになる見込みですと、こういう回答を薬務局当局のほうから私が報告を受けております。でありますから、これもまあぜひ延び延びになってしまって、いま峯山さんからおしかりを受けているような状態が——また誤解を受けたりするような状態が残らないように、なるべくいまの、薬務局長が私に報告している期限くらいまでには一応基準を完成させて、都道府県知事の承認の業務が現実に動くようにいたさせたいと私は考えるものでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 いまの大臣の答弁で二点疑問があるのです。まず第一点は官僚的な原案ではそれぞれ迷惑がかかるだろう、こういう話でございました。ということは、私はこのかぜ薬の原案というものは薬事審議会の一般薬品特別部会の人たちと専門家が集まって原案をつくったのだ、こういうぐあいに聞いているわけですが、いまの答弁では厚生省当局でつくっているということになります。この点どうか、事実を伺いたい。  それからもう一つは、六月下旬にできるというのは、これはかぜ薬だと私は思うのですが、そのほかの、胃腸薬もあるわけですね、騒虫薬その他、厚生大臣が知事に委任する薬というものがあると思うのですね。これはいつごろできるのか。その二点について伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私が承知をしております点から申しますと、これはあとの第二点のほうから申し上げますと、まずかぜ薬をやっておって、逐次引き続いて胃腸薬であるとか、あるいは騒虫剤とかいうような一般用医薬品の基準に及ぶと、こういうふうに——これは間違っておったならば、この場で薬務局長から、大臣の誤解であるというふうに言わせることにいたしますが、私は、そういうふうに受け取っております。したがって、第一段ができますと、続いて第二段、第三段というようなぐあいに一般薬についての新しい基準がつくられることと、私は正直のところ了解をいたしております。  それから、第一番目のお尋ねでございますが、これはあるいは私のことばが不適当であったかもしれませんが、薬事審議会で——これは各方面の学者や実際家も集まっておるところでございますので、そこで初めからつくったものならば、六月下旬にもうそこにかける必要がないので、おそらくそれは、厚生大臣はどうも薬学のほうの専門家ではございませんけれども、省内、薬務局にはたくさんのその方面の専門家がおりますので、そういう諸君が原案をつくり、また薬事審議会の総合部会、全体部会とかいうものではなしに、いろんなブランチのようなものと私は心得ておりますが、その一部のブランチの方々と協力しながら原案はおそらくつくっておる。しかし、それだけでは全体部会の了承も得ておらないし、あるいは医師会ですか、学会ですか、製薬業界ですか、それらの方面の意向も反映していないので、やはりこれは、薬をつくる人、またこれはいろんな資料なんかの関係もございますので、つくったはいいけれども、すぐまたこれをぶっこわしにするというようなこともいけませんので、そういう慎重な手続でやっていることと私は考えております。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 大臣のお話、非常によくわかりました。局長、いまの大臣の話は全部間違いないですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 大臣の申し上げたとおりでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 ということは、まずかぜ薬ですが、かぜ薬の基本原案は厚生省当局の事務局でつくったということになります。これは確認しておきます。  それで、質問を続けますけれども、先ほどの大臣の答弁によると、そういうことになります。そこで要するに、私は、当然政令ができたときに、当然かぜ薬の基準もできて当然だ。今度政令できまったからと言って、すぐそのあと各都道府県に配るようにしなければいけないというのが私は原則だと思うのです、どうしても。そうでないと、政令の意味がありませんし、薬事法を改正した意味がないのです。そうすると、私は当然その場ですぐ配るべきだと思うのですね。そういう点から、先般も新聞に出ておりましたけれども、四十四年の秋までにその基準をつくる約束だったと、その約束がほごにされている。こういうぐあいに報道されたわけです。それで私は、その点を厚生省当局に確認をしたら、そういう約束はしていないというのですよ。これは、だれが言ったか知りませんけれども、そういう約束をしていない、新聞の記事が間違っているという。それで、私は、それじゃ約束はしていなかったにしても、この政令が実施されるのは四十四年の十月一日なんだから、四十四年の秋までにできるであろうととることは当然じゃないか。私は、そう言いたいのです。それが、現在まだそのかぜ薬の基準ができないという理由は、一体何か。この点について、大臣並びに事務当局にお伺いしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) お尋ねの点、これもまた、薬務局長から詳細は補足させますが、確かに、政令の改正は昨年の十月から施行すると、こう書いてありますから、施行するときには政令が動くように基準も当然できておるのが普通の状態であると私は思います。しかし、これは、知事に委任するのだということを宣明するためには委任に関する政令の改正が公布されておることも府県の準備のために必要だと思いますが、そういう場合には、この施行を、基準の完成時期に合わせるように、改正政令の施行の時は別に厚生省令をもって定めると、こう書くのがこれは法学者からいけば普通の行き方なんですが、残念ながら私はそのとき厚生省におりませんでしたが、まあおそらくそれは、私がいま申しましたように、府県の体制を十月から整えさしておいて、準備だけはさせるので、いずれ追っかけて基準がいつからと、こういう意味で、これはまあ薬務当局は法学者はほとんどおりませんでみな薬の専門家ばかりですから、そういうふうなつもりでやったのではないか。しかしそれは私は、全く峯山さんのお尋ねのとおり、十月からできておるべきだと思いますので、それができておらなかった事情につきましては、薬務局長から答弁いたさせます。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに、先生御指摘のとおり、政令では四十四年十月一日から施行するということになっておりますので、本来ならばこの政令と平仄を合わせて、少なくともその時期までには、かぜ薬の承認基準ができておってしかるべきだという御指摘でございますが、その点はまことにごもっともだと思います。  これが今日までおくれました理由でございますが、これは実は私ども思いもかけないようないろいろな障害が出てまいったのでございます。その一つは、これは非常に誤解に基づくと申し上げていいと思いまするけれども、私どもがこういうぐあいに大衆薬の基準をつくりまして、それを都道府県知事に委譲すると、承認権限を委譲すると、こういうことをやりました理由は、先ほどるる申し上げましたとおりでございますが、それがいろいろと誤解をされまして、結局厚生省というものは将来大衆薬というものをできるだけ縮めていくのじゃないか、弾圧して、制限していくのだろう、それで医療用の医薬品だけを将来なるべく育てて、大衆薬というもの、これを弾圧していくのじゃないかという、こういう誤解がいろいろ——たとえば薬局関係、それから大衆薬のメーカーもございますが、薬局の方々、あるいは配置販売業の方々や薬種商の方々とか、そういう零細な薬の、主としては販売関係の方々、大衆薬を売っておられる方々の間に非常な不安が出てまいったのでございます。厚生省というのは大衆薬というものをどんどん縮めて、制限して、基準をきびしくつくって、そうして大衆薬というものを弾圧していくのじゃないか、こういう誤解が非常に生じまして、それでいろいろな反対運動が出てまいったのでございます。その反対をされた方は、そういう零細な薬局の薬剤師であるとか、あるいは薬種商の方々とか、あるいは配置販売業、非常に零細な、しかも多数おられる方々、そういう方々がいろいろな立場で運動を起こされまして反対運動を起こされたのでございます。で私どもはやはり、そういう問題はもう少し時間をかけて説得して、そういう方々の納得を得た上でこういうことは実施すべきである。こういう見地に立ちまして、強引にこの事務を進めるということを若干避けたというのが最大の理由でございます。そういうことで、心ならずもだいぶ日数がおくれたのでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、だんだん案も固まってまいりますし、またそういう誤解もだんだん薄れてまいっておるというぐあいに解釈いたしておりますので、六月下旬ごろまでには、少なくともかぜ薬の基準はつくりたいというぐあいに考えておるわけでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 もっと具体的に伺いますけれどもね、その思いもかけない障害、それから誤解というのがずいぶん出てまいりましたけれども、これは具体的にどういうことですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) これは地方のそういう薬局の薬剤師さん方の団体とか、あるいは薬種商の団体とか、配置販売業の団体というような地方の組織がございます。そういう方々が大挙して上京して、われわれのところに陳情に上がるとか、あるいは国会の先生方のほうにもお話をされた向きもあるようでございますが、まあそういう意味でいろいろ誤解が生じて、そういう大衆薬の基準をつくり、地方に移譲するということについて反対があったということでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 どうも誤解とか、思いがけない障害というのを具体的におっしゃいませんので、私がそれじゃ具体的に言います。私の手元に、これは二月の四日に都道府県のそれぞれの団体または薬剤師会等に示された基準がここにあります。この基準は厚生省当局でつくられたんだそうですが、そのあとに、ここに二番目の原案があります。この初めの原案と、あとの原案と比較してみますと、私は非常にその思いもかけない障害とか誤解とかというのがよくわかる。たとえば具体的に内容を言いますと、初めの原案というのは、これは私は非常に大事な問題ですからお伺いしたいと思うんですが、いわゆるかぜ薬に使ってもいいという薬が、この表の中に出ております。出ておりますが、この薬の中で特にそれまで、いままでかぜ薬に使っていなかったものがあるやに聞いていますけれども、これはどうですか、局長。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) この二月四日に各都道府県に連絡をいたしました案でございますが、これは薬事審議会の第一次の案でございます。で、これは先ほど申し上げましたように、それまでに基準が全然なかったわけでなくて、若干の学者の方々の御意見を伺った上で、厚生省で独自につくっておった基準があるわけでございます。それでいままでかぜ薬の製造承認をやっておったわけでございます。その古い基準でございますが、それに対して、それを今度は手直しをする、こういうかっこうで新しい基準をいまつくっておるわけでございます。そこで、この新しい基準にはその前の基準になかった十二品目ばかりの品目を——成分としてかぜ薬に使っていい成分を十二品目加えております。それから従来使っておった成分のうちで、これは今後使うのはやめてもらいたいという品目が七品目ある。十二品目を新たに加えて七品目削除した。その他こまかい点はございますが、そういう点が大筋の改正でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 私は、いずれにしましても厚生省のおっしゃっていることは非常に——初めの原案は、いまの局長の答弁ですと初めの二月四日の分は、先ほど大臣から聞いたとき事務当局でつくったということですが、いまの答弁ですと薬事審議会の第一次案であると、これがですね。それであとの三月二十三日の分は、これは二次案ですか、そういうことになると、ちょっとまた少し話がさっきの大臣とまた違っているということになるんですね。これは前提としまして、この第一次案がたとえば事務当局でつくったものとすれば、またこれ非常に問題があります。どういう問題があるかといえば、いままでかぜ薬に使ってなかった薬を使うということ、これを事務当局できめているということ。そして、それを今度は二月四日にそれぞれの都道府県に配った。そして、都道府県からの突き上げで、その使ってなかった薬をふやしているわけですね。ふやしている薬が何種類かあります。そういう点などにも、要するにこれは事務当局が何を基準にしてそういう薬を入れたのか、そういう問題も出てきます。また、これが中央薬事審議会で妥当であると、一番初めの——いまのあとの答弁のほうの二月四日の分が薬事審議会で第一次案としてきめたものであるならば、専門のお医者さんが集まってきめた案を、特定の医薬品について地方からのいろんな圧力によって、いままで使ってなかった薬等の用量がふえている。たとえば、もっとわかりやすく言いますと、こういうこともあるわけですね。初めのこの原案では、一歳未満の者を対象とする用量は認めない、こういうのがあったわけですね、初めのほうは。ところがあとのほうには、今度は三カ月以上一歳未満を加える、こういうふうに変更になっているわけです。ということは、その薬のほんとうにきくかどうか、またその薬のいろんな問題から考えてみても、ずいぶんいわゆる圧力というか、いろいろ都道府県からの陳情なんかによって薬の用量等も全部変わってきているわけですね。これ自体も私は、どっちにしても問題だと思う。たとえば中央薬事審議会が第一次案をつくったものであったにしても、中央薬事審議会のつくったそれをいろんなメーカーとかメーカーサイドでいろいろ変更されているということがあるわけですね。またこれを事務当局でつくったんであれば、事務当局としましては、何を基準にしてこういうことをきめたのか。それぞれどちらにしても問題があるわけです。私がいろいろ事務当局からお伺いしたところによると、そのかぜ薬の基準ができない理由の一つは、要するに厚生省では、これまでも広くかぜ薬に使われていた薬でも、安全性を守るあまりに用量をうんと少なくした。だから地方の薬局ではそんな薬、こんな少ないのじゃきかないということですね。そこに厚生省はいわゆる安全性だけを考えておる、メーカーのほうは、きかなければこれは問題になってくるということで、厚生省とメーカーのサイドとずいぶん食い違っているように私は感じるのですがね。そこら辺のところはどうですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) いろいろお尋ねでございますが、一つは、最初、厚生省がこの改正の前にかぜ薬について持っております基準、これは専門の学者方の御意見は伺いましたけれども、厚生省でつくったという意味では役人がつくったと、こういうことになると思います。先ほど大臣が言われましたのも、そういう意味だと私は思うのでございますが、しかし学者の御意見を伺いながらつくったわけでございます。ところが現在やっておりますのは、全部これは役人の手を離れまして、審議会の先生方がやっておられる、現在のたたき台は、それは厚生省のつくった古い基準でございますが、それをもとにして審議会の先生方——これは、少なくとも医学、薬学のわが国におけるハイエストレベルの方々にお願いしておるわけでございます。そういう方々に検討していただいて、先ほど御指摘のありましたような点、たとえば新しい成分をかぜ薬の成分として十二品目加えられた。これは医学、薬学の進歩に応じましていろいろな新しい薬の成分が開発されておりますので、そういう新しいものをかぜ薬の成分として取り入れる。これは、その審議会の先生方がみずからのお考えで新しく加えられたのでございます。その用量等を若干確かに手直しされたようでございますが、これは関係の業界その他の意見を審議会でお聞きになって——業界のほうへ審議会の先生方がごもっともだと思われるような資料を要求して、その資料に基づいて、ちゃんとした資料のあるものについては、これは先生方も、こういう資料があるなら少しくらい用量をふやしてもいいじゃないかというので五品目ばかり用量をふやしたということを私は聞いているわけでございます。それから一歳未満の赤ん坊には原則としてかぜ薬は飲ましてはいかぬという方針でございまして、そういう方針を新たに加えられたのでございます。それについては、またこの薬を、薬局その他のほうからは——しかし、そのねらいといたしまして、なぜ一歳未満の者にこういうかぜ薬を飲ましていかぬかといえば、それはやはり抵抗力が弱いので、一歳未満の赤ん坊は、これは大衆薬じゃなくて、まず医者に連れていかなければならぬ、医者にみてもらうのが先だ、大衆薬でなおそうというのはまずいということで、一歳未満を削ったわけでございます。しかし、それに対しては、まだ日本は無医地区その他がたくさんあるじゃないか、そういうところじゃどうするんだという反論も出て、それじゃ三カ月未満というのは、これは飲ましちゃいかぬけれども、三ヵ月以上ならば、そういうお医者さんのいないところ、非常に不便なところではかぜ薬を飲ます場合もあるんじゃないかということで、これを一歳未満から三カ月未満というぐあいに変えたというふうに聞いているわけでございます。そういう意味で、単なる圧力じゃなくて、みんな最高級の学者の先生方でございますので、そういう先生方が納得のいかれた場合には、手直しをされている、こういうのが現状でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 いずれにしましても、こういうふうな処置は——私は、やっぱりかぜ薬を一歳未満の人に飲ませるということが非常に危険であるということは、一応はっきりしているわけです、これはどっちにしても。ですから、ここら辺のところはやはり私、しろうとですからわかりませんけれども、たとえば一歳未満の人に対してこういう薬はよろしいとか、そういう基準をつくればいいが、そうじゃないですね。この間、私が厚生省にお伺いしたときにも非常にいいかげんなんですね。医者がいないから、無医村なんかが非常に困るからという答弁だったですけれども——いまの局長の話にもありましたけれども、それだけではどうも得心がいかないわけです。それだけではあくまでも危険があります。そこで安全な薬を供給する、そういう方向にいかなければいけないんじゃないか、こういうぐあいに思うんです。それから私は、きょうはこの問題はあまり時間もありませんのであとにしまして、次の問題に入りますけれども、先日、私はこの決算委員会で、特に大衆薬の中でも大衆保健薬というものについて、種々お伺いしたわけでありますけれども、この問題につきましては、前の厚生大臣のとき、四十四年二月——去年の六十一国会で、やはり予算の分科会でこの問題が大きく取り上げられております。そこで大衆保健薬、これがきくのか、きかないかということで、ずいぶん問題になりました。それに引っかけまして、先日の決算委員会で、私は東大の高橋先生から出ている公開質問状について、厚生省はどういうふうな態度でいるかということをいろいろと質問をいたしました。そのときに、近いうちに返事を出したいと、こういうふうな、当時政務次官のお話でありましたけれども、大臣、これは返事を出しましたのですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 私は、他の機会に国会内でもそのことについて申し上げたことがございますが、私は、高橋それがしなる方に御返事を差し上げる意思はございません。と申しますのは、ああいう卒然とした私に対する質問状ということですが、何かマル・バツ式のようなご質問でございまして、ちょっと一国の厚生大臣、これは、私は医学については何も素養がございませんけれども——薬学については素養がございませんけれども、あれをまともに取り上げて回答するような形式の文書ではございません。そこで、それはそれといたしまして、とにかくそういう御批判なりお尋ねがございますので、何らかの機会において厚生省の製薬の承認基準に関する一般的な態度というものを、別の形式で明らかにする機会があれば、そういう際に高橋先生のほうにもそれで御了解を得るようなことになるでありましょうと、こういうようなことを申し上げておりました。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 ということは、先日の政務次官は前向きで答弁をいたしますということだったわけですけれども、いまの大臣の答弁とはまるきし逆なわけです。しかしながら、私は私なりに、きょうはそれぞれ、薬務局長もいらっしゃいますので質問をしたいと思うんですが、確かに私は、この薬がきくかどうかということは非常に私たち心配な問題でありますし、非常に大事な問題です。特にこの問題につきましては、先日も私はいろいろと調べてみました。その調べたいろんなデータもここに持ってきておりますけれども、きょうはあまり時間がございませんので、くわしくやっている時間がないのでありますけれども、ほんとうにみんなが知りたいわけですね。ほんとうにきくだろうかと、あれだけ疑問を投げかけられているわけです。ほんとうにきくんだろうかということで、そう言われると、やはり高橋先生の質問のようになってくるわけですよ。ですから、私はきょうここで高橋先生のかわりといったらおかしいですけれども、ちょっと質問していきます。要するに、こういうことをおっしゃっているわけですね。この大衆保健薬が許可された時点において、その許可の基準はどうなっているか。これは要するに、先日私は議事録を調べてみたら、大衆保健薬というと非常に定義がややこしい。はっきりどれとどれときまっていない。いろんな答弁をされておりますけれども、現在いままでのいろんな議事録等、また答弁等から見て、いわゆる大衆保健薬といわれるものは、私は総合ビタミン剤とかホルモン剤とか、そういうようないわゆる大衆薬、いつでも飲める、また買える、そういうようなものであろうと思うんですが、まず大衆保健薬ということについて、大体どういう範囲のものを言うのか、これを初めにお伺いしたいと思うんです。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 大衆保健薬ということばの定義は、なかなかはっきりした定義はいたしかねるのでございますが、まあごく大ざっぱに申しますとビタミン剤とか、あるいは対症性の薬品というようなものを使いまして、しかもその作用が比較的緩和で疲労回復その他そういう単に疾病の治療ということばかりでなくて、健康の保持、増進というようなことに使われるのを目的とした医薬品というふうに、私どもは考えているわけであります。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 ということは、そういうふうないわゆる大衆保健薬というものは、これは四十二年以前にほとんど製造承認をされているのだろうと私は思うのですが、先ほどの基準からいっても——いわゆる厚生省のデータによりましても、四十二年以前ですから臨床実験の例にいたしましても二カ床、六十例以上。いわゆる四十二年の基本方針ができる前の基準によっていると思うのでありまして、これは害がなければいいとかそういうふうなことじゃなくて、当然私は、この保健薬は有効であると、こういうぐあいに思って承認されたのだろうと思うのでありますが、この点いかがでありますか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに現在一般に売られております大衆保健薬の、その一番最初に売り出されました時期というのは、大体昭和四十二年以前のものが大半でございます。それにつきましては、その大衆保健薬個々によりまして、ある大衆保健薬については臨床例もちゃんと出していただいて、そうして、それによって承認しているというのもございます。それも六十例というのは一応基準の最低で、六十以下じゃ困るということでありまして、たとえばアリナミンにつきましては百例以上の例証を出しております。それからチオクタンというのは百七十例。ですから薬によって違います。それからまた、全然こういう臨床例を出していないのもございます。それは、使っている成分が日本薬局方という場合は効能効果がはっきりしている薬であります。そういうもとのはっきりわかった成分だけを使って薬をつくっている、これは新しく試験をする必要はないのでありまして、そういうものについては臨床例をとらない。そういうことでそれぞれの薬によって違いますが、何か少し新しいものが入る場合には、やはり臨床例のデータを出してきていただくということで、それに基づいて、その臨床例というのは日本では東大とか京大とか、それぞれのりっぱな施設のお医者さん方が一応これは有効であるという判定をして、それで出してこられておりますので、私どもはそれを見て承認しているということでございますから、厚生省としては一応有効であると判断して承認をいたしたということでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 厚生省は要するに、そういうような保健薬を当然有効でなくて承認したわけではありませんし、有効であるということで承認した。それがいかに有効であるかということは、いま局長がおっしゃいましたように、薬の承認のときには当然中央薬事審議会の答申というものがあるわけですね。この中央薬事審議会の答申をそのまま採用ということじゃなくて、いまのメーカーから出された臨床実験等のそちらのほうが重点的であったのか、いわゆるビタミン剤——先ほど局長もおっしゃいましたアリナミン、こういうふうなもの、そのほかハイシーとかユベロンとか、いろいろありますけれども、大体そういうふうなものは、これは従来から日本薬局方の、そちらのほうでも有効であると認められておったから、当然、中央薬事審議会の議を経ないで承認をしたのか。そこら辺のところを、もう少し具体的に教えてもらいたいんですがね。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 大衆薬によりましては、中央薬事審議会の意見を聞いて承認したものと、そうでないものとがございます。それは大体半々ぐらいでございます。で、薬事審議会の意見を聞いてないのは、先ほど私がちょっと申し上げましたように、もうわかり切っているといいますか、日本薬局方にちゃんと載っておる、そういう薬で、わかり切っておる薬を使ってつくっておる、そういう場合には、これは無害であり有効であるということがわかっておりますので、こういうものは新たに薬事審議会にはかる必要はない。それから、少しでも何か変わった成分を使っているというものについては、薬事審議会の御意見を聞いてやっております。その場合に、薬事審議会ではやはりそのメーカーの出してきました臨床例、そういうものをよく検討された結果、これは有効であるという判断をなされて承認の回答をされたというぐあいに考えております。私どもは、それを受けて承認をした、こういうことでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 一つは、メーカーから出されたそういうふうな臨床実験というふうなものが公正なものであるかどうかということが一つ。  それからもう一つは、これはこういうふうな薬につきましては、国民は、少なくとも薬局に行って買える薬というものは、厚生省が許可しているからには、これは科学的根拠に基づいて審議し、その有効性を保証しているに違いないと、全くそのとおりだと思うんです。私も実際、薬を買うときには、この薬は厚生省が認可しているから、必ずきくであろうという考えで買うわけです。この考え方は正しいと思うんですが、どうですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) これは、先ほどからるる申し上げておりますように、そういう業者の、メーカーの出してきます臨床例でございますけれども、しかし、それは設備の整った大学とか大学の付属病院というようなところで、ちゃんとした先生方がつくられたデータでございます。で、これがおかしいとか、おかしくないということになりますと、これは、私どもは学会のほうで議論していただきたい問題ということで、われわれ行政官のタッチする問題ではなくなってくるという感じがするんです。そこで非常に不正でもあるということならば別でございますが、それが学問的に有効であるかどうかという議論になってきますと、これはむしろ役所ではなくて、学会で議論していただきたい問題だと思います。私どもといたしましては、薬事審議会でもそういう資料をごらんになった上で、これは有効であるということを判定されまして、これは承認すべきであるという意見を出されたのでございまするから、これは薬として有効であるというぐあいに考えていいと思うのでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 この前の委員会のときにも総理大臣にも質問されておるんです。総理大臣は、この問題については非常に重大な問題だと、いわゆる大衆保健薬がきくかきかないかということについては、薬としての価値があるものかないものかということについて、これは非常に重大な問題であるから検討すると、こうあるわけです。そのときに、同じように当時の厚生大臣も、きかなければその承認を取り消すと、こういうぐあいに言っていらっしゃるわけですが、これはやはり当然取り消すということができるのかどうか。薬事審議会の——薬事法のどこにきまっておるのか、その点、一ぺん伺いたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 薬事法では承認についての、あるいは許可についての規定はございますけれども、取り消しといいますか、要するにきき目がなくなったからとか、あるいはその新しい副作用が発見されたから取り消すことができるという明文の規定はないわけでございます。しかし、私ども法制局ともいろいろ連絡をとりまして、たとえば承認したときにはその副作用等を考えていなかったけれども、その後副作用が出てきて、国民の健康に非常に害があるということがはっきりいたしました場合には、これは事情変更ということで、当然そういう法文の規定はないけれども、もしその薬が副作用があって有害であるということがはっきりした場合には、これは当然取り消し得るものだというぐあいに解釈いたしております。ただ、法文上にはそういう明文の規定はございません。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 もうあまり時間がございませんので、ちょっと詰めて話をしたいのですが、一番、大衆保健薬の中でビタミンB1やビタミンCというのがあるわけですが、このビタミンB1やCの、いわゆる一日の摂取量というのは、これは厚生省でも一覧表をつくっております。これは当然、病気の人じゃなくて、日本人の一般の栄養の所要量でありますが、ビタミンB1につきましては、一般の一番多い量で、一日一・三ミリ、妊産婦が一・五ミリ、重労働者が一・六ミリとなっております。それで、実は先ほど局長のおっしゃいましたアリナミンAですが、アリナミンAというのは、厚生省で許可しました一日の摂取量というのは二十五ミリから百五十ミリなんで、要するに百五十ミリなんです。ということは、この標準の量よりも百倍です。ですから、非常に多量のビタミンをとるということになるのですね。私は、もう一つビタミンCの場合は、一般の人が一番多い場合六十ミリ、妊産婦が九十ミリ、重労働者が六十ミリ、ハイシーAというのがありますが、これの場合は、いわゆる一日の許可された最大量を計算しますと——最低から最大へ行きますと、最低五百ミリ、最高四千ミリにもなるわけです。ということは、これは必要量の四百倍になるわけです。私の聞くところによりますと、ビタミンは幾ら多くとっても体に悪い影響を与えないと。ほんとうに全部影響を与えないのかと、こう思っておりましたら、ビタミンB1とかCはいいかもしれないけれども、そのほかのビタミンAとかDとか、そのほかのものは、体にずいぶんいろいろな影響を与えるということを実は私聞きました。そういう観点から言っても、非常に多量のビタミンをこういうぐあいに飲んでいいのかどうか。私は、値段のことはこの次の機会にやりたいと思っているのですけれども、これは非常に重大な問題ですね。栄養としてどれだけ摂取されるのか、これはいろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) 確かに栄養の所要量という点からいいますと、ビタミンB1等では、一日成人で一ミリ前後で十分であるというデータが出ているようでございます。一例としてアリナミン二十五ミリとか五十ミリというのがあるわけでございますが、これはビタミンの補給ということばかりじゃなくて、要するに治療用に使うという、そういう効能、効果があるわけでございます。それで単にビタミンの補給という場合には、これは多過ぎるわけでございますが、同時に、こういう薬は特定の治療に使われて、それなりの効果もあるということもございますので、そういうことで、そういう場合を予想して、相当多量のビタミンを含んでいる大衆保健薬があるということでございます。やっぱり薬はそれぞれの使いようでございまして、アリナミンでも五ミリ程度の、ビタミンの含有量の少ないものもございますが、そういうものと、それから二十五ミリ、五十ミリというのとは、それぞれやはり使う方法、その用途がそれぞれ異なっているというぐあいに私どもは解釈しておるわけでございます。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 峯山君、時間がだいぶ超過しましたから御協力願います。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 これで終わります。  確かに治療用の場合は多量に飲むとおっしゃいますけれども、私のきょうの話は、治療用じゃなくて、新聞広告等を見ますと、要するに治療用じゃなくて、元気な人でも毎日飲む、具体的に新聞の広告縮冊版を持ってきましたけれども、要するに毎日飲むというのが原則なんです。具体的に言うてみましても、「毎日のもう」と、いろいろあるわけです。全部、毎日飲むということが原則です。全部、どの新聞を見ましても、「続けてお飲みください」とか、「毎日お続け下さい」とか、全部そうですよ。病気の人だけ飲めというのじゃないのです。元気な人も毎日飲めということになっている。ということは、これは非常にただ単に、何といいますか、病気の場合は多くてもいいんだとか、そういうことでは私は済まされないと思うのです。この点につきましては、当然もう一回また私は、この問題は値段の問題と関係がありますので、四十三年の決算のときにやりたいと思っております。いずれにしましても、このようにしまして、大衆保健薬ということは、ほんとうに保健薬並びに大衆薬はきくかきかないかということは非常に私は重大な問題だと思うのです。そういうふうな観点からどうか、まだ先ほど答弁いただいておりませんけれども、かぜ薬は六月までにできる、しかしながら、そのほか胃腸薬とか駆虫薬とかまだ一ぱいいろいろあるわけですね、そういうふうなものは一体いつまでにつくる予定なのか、この答弁をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

加藤威二厚生省薬務局長

○政府委員(加藤威二君) かぜ薬につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、ことしの六月の末までには、下旬までにはつくりたい。その後駆虫薬その他胃腸薬等につきましては、そのかぜ薬が終わってから逐次審議会の先生方と御相談して、その日程等はまだ私のほうではっきりした見通しは立っておりませんので、ちょっとこの場では申し上げかねますけれども、かぜ薬が終わりましたら、すぐその次には、駆虫薬になりますか、あるいは胃腸薬になりますかわかりませんけれども、そういうぐあいに逐次取り上げて、なるべく早い機会に基準をつくっていく、こういうことでございまして、いついつまでということはまだ確定いたしてないというのが現状でございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 先ほど峯山さんからのお尋ねに対する私の答弁の中で、かぜ薬等一般用医療薬の新基準の最初の素案については、厚生省の事務当局だけでつくって、関係方面にそれについての意見を求めているというふうにおとりになられるような表現がありましたが、それはこういうふうにひとつ訂正をいたしますので、御了解いただきとうございます。厚生省の当局が薬事審議会の専門家と協議——御意見を聞きながら、協議しながらその素案をつくって関係方面の意見を求めている、こういう趣旨でございますので、そのように御了解いただきとうございます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 文部大臣に伺いますが、教職にある教職員の方並びに国家公務員の方の不正不当は依然として改善されないで、今日までむしろ逆にふえている傾向があると言っても過言じゃないと思います。特に小岩小学校の教諭の竹田タヘですか、暴力団と手を結んで、そうして架空の会社を設立して、しかも百万円という詐欺行為をやった、これはゆゆしき問題だと思うのです。一方、食糧庁では、東京の食糧事務所で農林省の技官が汚職をやった。これらの問題を考えますときに、みな計画的であると同時に、最近はむしろひんぱんにこういう汚職が出ておる。こういう面に対して文部大臣なり総理府長官はどうお考えになっておるか、ひとつ所見をまずお聞きしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) いやしくも教職の身にある人、そしてまたあるいは教職員を監督しなければならぬ教育委員会等におきまして不正な事件がまだあとを断っておらないということにつきましては、まことに遺憾千万に考えておるわけでございます。さきに福岡教育大学の附属小学校における入学者選考、あるいはまた和歌山大学附属小学校の入学者選考に対しまして収賄の事件が四十三年に起こっておりますし、同様に四十三年に北九州市におきまして、教員人事に関連して同様の収賄事件が起きていますが、また四十四年には大阪市におきまして、これまた教員人事に関しまして指導部長ほか二名がやはり収賄を行なっております。そのために大阪市の教育長は自殺をするという事件もあり、愛媛県におきましても教科書採択の問題あるいはまた人事に関しましての収賄ということでございまして、四十三年、四十四年、そうしていま御指摘になりましたような東京都江戸川区立の小岩小学校教諭竹田タヘの不正事件ということで、そういう事件が絶えないということは、ほんとうにこれは申しわけないことだと思っておるわけでございます。私どもといたしましては、この四十三年の事件の際におきまして、当時の文部次官斎藤正から、教育関係者の服務の厳正につきまして通達を出し、福岡県及び和歌山県のこのような事態がないようにということで通達を出し、指導をいたしてまいっております。また昨年には、四月二十二日に文部省初中局長宮地茂から各都道府県あるいは指定都市の教育委員会教育長あてに通達を出しており、教職員人事行政の適正化ということにつきまして、これは特に愛媛県及び大阪市等々の不正事件に対しまして通達を出し、また特に、四十四年四月十四日に開催しました都道府県指定都市教育委員会委員長・教育長会議におきましては、教育関係職員の服務の厳正につきまして、私自身が直接説示をいたしたような次第でございます。  そういうことでございますし、毎年開かれます都道府県の教育委員会あるいは人事主管課長会議の席におきましても、その点につきましては、繰り返し、その発生の防止あるいは具体的な指導を行なってきておるわけでございますけれども、冒頭に申し上げまするように、まだこのようなことが根絶できないということにつきましては責任を感じておるわけでございまして、十分今後とも努力を積み重ねてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 農林省来ておりませんので、食糧事務所の問題私よくわかりませんが、責任持ってつまびらかなお答えはできかねると思いますけれども、国家公務員の給与担当大臣といたしましては、公務員の待遇という問題からそのようなことが発生することがあってはならないということが原則だろうと考えます。今日までの政府の、人事院の給与勧告の実施のあり方につきましては、率直に遺憾な点があったと考えますが、財源上いろいろの問題がありましても、来年は必ず勧告を完全に実施をするということを官房長官談話で昨年表明いたしておりまするし、私も担当大臣といたしまして政府全体の責任において完全に実施したいという決意でございますから、そのような面からの乏しきがために心ならずもというような形の犯罪が起こらないよう配慮をしていくつもりでございます。  なお、人の心の問題は制度や給与体系、そのようなものでは解決できない問題ではありましょうが、一つのポストに長いこと主と言われるように公務員がことに許認可権限等の場所におりますと、いろいろな問題が起こるという事例が幾多もあるわけでございますから、これは行政監理委員会の問題でもありますので、内閣全体として担当大臣も含めまして、そのようなことにもマンネリズム化しておるような状態は逐次人的な更新なり硬直状態を解きほぐしていく努力は必要であろうかと考えます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 長官は忙しいようで時間が何か制限されておるようですから、長官にまずまとめて質問申し上げたいのですが、来年度の賃金については大体五月実施ということについてはもう言明されておりますから、みんなもよくわかっておりますが、総理府として、公務員の採用に対する応募者が一八・二%も減じておる、この実態を考えて根本的な賃金体系をやる必要があるのじゃないかと、こう思うんです。いわゆる年功序列型ではなくて、もっと優秀な者は希望を持たせる、将来に対して青年にも希望を持たすという意味から根本的に変える時代が来ておるのではないか。特に私が指摘したいことは、総理府は、賃金は人事院にまかせてある、人事院の権限だといわれますけれども、大体公務員制度によりますと、これはやっぱり「人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、」と、これは政令で定めておりますが、その範囲内においての「この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。この場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関」でこれをやることができるということになっておるわけです。したがって、私は、少なくとも長官のほうでこういう問題の改善をしたいという意思があれば、もっと早くできたのじゃないか、どうしてこれをやらなかったのか、また今後やる意思があるのか、この点をお聞きしたいんです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 国家公務員の希望者と申しますか、その応募者がだんだん数が少なくなっていくというのはたいへん頭の痛い問題でございますし、政府としてもちょっと恥ずかしい話だと思うんです。ここらが給与だけの問題でありますか、あるいは国家公務員という国民から見て確かにエリートの存在ではありましても、本人たちが魅力ある自分たちの生涯のよりどころとして考えるのに少し価値観が変わってきたのか、あるいは民間のいろんな、日本の急速な科学技術の発展とか経済の進行等によります魅力ある分野というものが多くなってきた、海外移民なんかでも、まあ移民といえば大体農業移民でございましたけれども、最近はもう頭脳的な移民というものが相当ふえてきたこと等を考えますと、相当多様的な原因でもってそういう傾向になっておるのではなかろうか。しかも、これはせっかくことし新しい高級職の職員等も胸ふくらまして——けさも私のところのプロパーの職員採用者に対して面談をしたのでありますが、誇りを持って入ってきておりますのに、どうかと思いますが、採用の質の問題もやはり相当配慮しませんとなかなか確保しがたい合格者ですね、というようなこと等がございます。これらのことは国家として一番好ましくない現象だと思いまするし、やがて二十年か三十年後の日本の行政の責任者の質が低下していくということを考える場合には、これは政治の問題でもあろうかと考えます。そこで、いまの仕組みでは確かに人事院というものが独立して給与勧告等をいたしますが、しかしながら、それらの調査のしかたその他等につきまして、先般別な委員会で、法定外福利費の問題について質問がございました。そのときに、あまりこまかい問題でございますから、事務当局に答弁を一応かわりにやってもらったのですけれども、私の聞いた感じでは、国家公務員の法定外福利と思われるものと民間の法定外福利というものとは実態が違うので、なかなか比べられないという答弁であったようでございます。そこで、やはり比べられないものであっても、置きかえてみるという作業はあり得るのではないかと考えまして、私はそのような答弁をいたしました。直ちにその日の夕刻、局長以下集めまして、国家公務員として法定外福利費に含まれておるような問題を民間に置きかえてみた場合の比較はできるじゃないかということ等の作業をすぐに命じて、いまやっておるわけでございます。決して不可能じゃないと思いまするし、また普遍化しておりまする住宅手当等について、どのような考え方を国家公務員というものは給与制度の中で取り入れられていけるのか、その範囲に属するかどうかについても大きな検討課題があるわけでございます。これらの問題、やはり人事院の給与勧告も民間の上がりぐあいを見て勧告するという、あとから追っかけていくという形でありますので、いまの形態が私は万全であるとは思っておりません。そこで、やはり給与担当の役所といたしまして、ただいま法規の根拠等もあげられましたけれども、それでなくても、やはり国家公務員に対する責任は政府全体にあるわけでございますから、それらの点は積極的な検討をいたしまして、人事院等とは、いいことであるならばよく相談をして、それが前進すればけっこうだと思いますので、そういう作業はこれからも私続けてみて、そしていいものは取り入れるように努力してみたいと考えます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 それはもういまの答弁聞いていますと、長官は見てない証拠なんですよ。長官はその後になられたのですから、長官の責任とは私言いませんけれども、全体の総理府の考え方から、長官の考え方から見て、見てないと思うのですね。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 何をですか。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 昨年の四月の、総理府から出しておられます東京都を中心とする五人世帯の標準費用ですね、その基礎をとっておるのが総理府の統計局から出ておるのですよ。それを見ますと、実収入は八万三千六百三十三円、さらに——つとめ先の収入、したがってそれ以外の収入があると見てもいいでしょう、それが七万五千七百一円です。ところが、これは人事院が発表しておるわけなんです。これも東京都です。その四人標準家族の生計費をとっておりますのが六万七千二十円です。一万円からの差があるわけですね。一万円近くの差があるわけです、実収としてもですね。あるいはまた人事院がやっておる計数からいって比較してみると、とんでもない格差があるわけです。いかに人事院にそれだけの賃金問題は権限があるといっても、総理府が人を使ってみえるでしょう、採用されるのでしょう。そういう実態をどうして総理府がもっと検討して——そうしてこういう基礎で賃金を定めたのでは、今日の若い青少年の応募にはなかなか困難であろう、将来性の問題もお触れになりましたけれども、一体今日の大学卒業の率から見て、いわゆる国家公務員に志願してくる人が全部課長になるわけでもないでしょう、部長になるわけでもないでしょう、引退したら希望は一体何を求めようとするのですか。むろん生活の安定以外ないじゃないですか。そういう基本的な考え方がそういう不安なところに私は問題があると思う。この点はどうお考えになりますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) いまの統計局の数字と人事院の数字とが食い違っておるという事実は、私知りませんでした。その点は、だから見ていないとおっしゃること、肯定します。そのことについて、ちょっと統計局もここに来ておりませんので、ちょっと答弁いたしかねます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 おられませんでしたらいいですよ。統計局の出している資料で私は申し上げておるのですから。これは人事院から出している資料です。それは間違いないと私は信じますが、こういう事態をどうして総理府は、長官あたりは見ていないのか、そこに大きな問題がある。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) ただいま申しましたように見ておりませんでした、その点は私の手落ちでございますが、統計に同じ対象を調べて二通り出るはずはないのでありますから、そこらのところの統計のとり方、基準等について政府の統計局と東京都でございますね、連絡があってなされているのかどうか、対象なり統計のとり方いかんによってはやはり違いがあるかもしれないと思いますので、統計はやはり正確になされるべきものでありますから、そういうことは連絡その他十分あるべきであると考えますので、後ほど統計局と相談をいたしまして、どういうことでそういうことになったのか、今後どうするか等については、そういうことのないように措置したいと考えております。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 それはおっしゃるとおり、私もとりようによってはいろいろ相違があると思うのです。しかし総理府の統計局が出しておる資料を、一体資料にしなければならないということは長官はお考えになるでしょう。これが間違っているとはお考えにならないでしょう。たとえば、人事院が調査しました東京都等を中心にしました金と大体一万円近くの相違があるというこの疑点ですね。いずれがいいのか悪いのかは別にしまして、多少の相違はございましょう、しかし一万円という格差は、それが基礎になって賃金が割り出される、標準家族の生計費というものが割り出されるということになれば、これは大きな間違いですね。こういうところに今日のこの賃金の立ちおくれがある。  これを民間に比較して見ますと、これ全くまたお話にならないほど安いわけです。民間企業の二十五歳から二十九歳までの、中小企業を対象にいたしましょう、約五百人以下です。三万一千二百円の大体初任給といっていいでしょう。ところが、これを学校の教員にしてみますと二万八千三百四十一円です。それが今度、子供を育てて最も苦しい立場にある中年の男性ですね、三十五歳から三十九歳まで、民間では五万八千四百円、これは多少資料が古いですけれども、学校の先生は四万四千八百九十円、一万三千五百余円の差があるわけです。これが五十歳から五十九歳になりますと八万二千三百円です、民間企業は。しかも、千人以上を擁する会社になりますと十万三千六百円です。それを小中学校の教職員に比較しますと、大体七万一千三百十二円、したがって三万二千二百八十八円です。これだけの格差が出て、一体青年に対して、これから応募しようという希望者が、現実に優秀な採用ができると思っておられますか。ここらは総理府の大きな欠陥ではないですか。人事院だけにまかせて、法律は人事院が優先するのだと、人事院勧告も。しかも、いままで五月からの実施を一ぺんもやったことがない。いま閣議できめてやろうとおっしゃっていますけれども、そんな問題じゃないのです。もっと根本的な賃金問題を改定する意思はありませんかどうか。そこは少なくとも私は総理府の長官が閣議でやはり主張すべきだ。一体、国家公務員の組合の意見でもお聞きになったことあるのですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは国家公務員の団体は、一つばかりでない団体、複数でございますので、それらの人々とはそれぞれ二回以上お会いいたしまして、そのときそのときの問題と基本的な問題というような問題について時間を十分とりまして話し合っております。掬すべき意見もあり、また一方的な意見も中にはございますが、しかし、話し合うことによってやはり相互に理解が生まれておると私は思っております。ことに、いまおっしゃいましたような初任給の問題は、国家公務員の下級職の志望者がだんだん減り方が強いわけです。この点やはり下級職といいましても国家公務員のこれが中堅になる人々でございますから、これらのところには何か問題があるのだということで考えなければならぬ点があると思いますので、ただいまの御意見はこれから十分参考にいたしまして努力をしていきたいと考えます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 文部大臣にちょっとお尋ねいたします。  先ほど申し上げましたように、不正不当が一向に是正されない。これはもう何年かの課題でありますが、特に最近は教育界にそういう危険性が出ておる、こういうふうに私は思いたいのです。またそうだと思うのです。四十二年度の検査院の指摘によっても、これは午前中も総理にお聞きしたのですけれども、わずかな金ですが、十万円から二十万円見当です、児童に対する給食補助金というのがございましょう、これらの問題点ですね。しかも価格を過大評価してそうしてごまかしておるという不正があるわけです、不当があるわけです。こういう問題を考えてみますと、これは給食でわずかの金ですけれども、もしその学校の管理上こういうことが学生にまで、こういう間違いを起こしておるのだということがかりに暴露した場合は、これはゆゆしき問題だと思うのです。こういう点に対して文部大臣はどういう処置をされようとするのか。金額は少額であっても、教育上から見れば重大な将来の問題だと思うのですが、どうお考えになりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) いま御指摘になりましたのは、おそらく札幌の定時制高校の学校給食費補助事業についてのお尋ねだと思うのでございますけれども、昭和四十二年度予算単価が十三円三十一銭であったものを、その四十二年度の実額単価で十六円三十八銭に計算をしてこれを出したということであろうかと思うのでございます。その差額約五十一万七千円ということが不当事業費として支出をされておったということで、これはまことに遺憾に存じておりまして、さっそく返還を命じたような次第でございます。こういうようなことはまさに不正な使用でございまして、あってはならないことでございますが、同時にまた、教育委員会等におきましてこういうような執行をすることについて、われわれのほうにも十分の指導というものが行なわれておらなかったのではないかというふうに思います。そういうようなことでございまして、今後ともこの点については十分そういうことがないようにひとつ指導を徹底したいと考えておる次第でございます。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 それだけではないのです。決算報告によりますと、四百二十五件の事業を調査した結果、約九件の不正不当があるわけです。それは十万円から二十万円までです。わずかな金ではございますけれども、その指摘されておる問題の中で、先ほど申しますような不当事項として扱われて報告をされておるわけです。私はそれをとらえておるわけですが、そのほかにもそうした問題が三千数百事業に対して四百二十五しか検査院は検査してないんでありますが、その中でそれだけ出ているわけですから、これはゆゆしき問題だと思って実は質問をいたしておるわけであります。それ以外にもあるということをお考え願いたいと思います。  そこで私は、文部大臣にお聞きしたいのですが、一体こういう問題が、単に文部省の勧告あるいはまたそういうものに対する処罰あるいは返金、そういうことをやっただけで払拭できるとお考えになっておるのか。特に最近の大学の受験者、希望者は教育学部が非常に悪い、いわゆるCクラスだと、こういう問題を考えてみますと、教育家こそ優秀な人が志望してこなければならないものが、教育学部にそうしたCクラスの人しか入学してこないという現実は何かというと、むろんいろんな問題がございましょう。これを一体どう大臣は是正していこうとお考えになっておるのか。将来の問題として教育上全くゆゆしき問題だと私は思うんです。大臣の考え方をひとつ。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 確かに国立の教員養成大学の学部につきましては、入学定員約一万七千人に対しまして約四倍という志願者でございます。確かに他の国立大学学部に比しまして競争率は低くなっておりますが、しかしまた、必ずしも教員養成大学にいるのが非常にはなはだしく成績が悪いということだけには言えない面もあるのじゃなかろうかと思います。しかし、私はやはり第一には、教員を志望される人たちが安心して、生活ということにつきましても相当の待遇があって、そして専心教育それ自体に打ち込む、教職員としての使命を果たすと、こういう自覚に立たれるような何といいますか、待遇というものがまず第一に確保されなきゃならないというふうに思いますし、戦前におきましてもやはり小学校、中学校の先生方に対しては、特別のそのような配慮があったと思います。また、その当時の制度といたしまして、旧地主の——小地主ではございましょうけれども、とにかく家に残らなければならない相当の人たちが教職になるという使命感に燃えてやったというところにも、やはり相当の人材が教育界に集まった、あるいは徴兵その他の問題についても猶予期間等を設けたというようなこともございましょう。そういうようなことで、教育界に人材を集めるということを国としてやはり相当はっきり示したということが一つあろうかと思います。その意味合いにおきまして、戦後、六・三・三・四制度において大学から先生になるという道を開いたわけでございますけれども、それがやはりその他のいろいろな原因とともに教育者としての使命感というものがまだ定着をしてないということ、その原因としましては、ただいま申しましたように、このように経済成長が非常に急激に発展をいたしますと、やはり産業界に人材が流れていくと、そうして国としてそれを、教育界に人材をとどめるというような政策というものが遺憾ながら十分ではなかったと、もちろん初任給その他におきまして多少の配慮はいたしておりますけれども、何年かたちますとその差がだんだん縮まってくる、こういうことでございまして、私どもといたしましては、まず給与体系につきましても十分ひとつ考えていかなきゃならぬということで、実は一昨年度から、教職員の待遇改善に対しまして根本的にひとつ考え直すという意味において調査費を計上していただきまして、二年間にわたりまして検討いたしました。本年度も御審議をわずらわしました予算の中におきまして調査費を組んでおりますが、これはただいま二年間に行ないましたそれを分析しようという予算でございます。私はやはりこの際、抜本的に給与改定の問題について考え直すべき時期にきているということを一つ考えております。  それからもう一つは、中央教育審議会におきまして、教員養成機関のあり方あるいは大学の中における教員養成機関の大学としての位置づけというものを検討していただいておるわけでございます。そういうようなことで、とにかくもう少し待遇というものは考えていかなきゃならないというようなことははっきり言えるというふうに思います。

木田宏文部省体育局長

○政府委員(木田宏君) たいへん弁解がましい御答弁で恐縮でございますが、給食費の御指摘の点につきましては、給食費の補助対象経費としてどう徹底させるかということにつきましては、私どもの指導が必ずしも十分にいっていない、また担当者が年によってかわります関係上も十分に徹底を期しがたいということから、補助対象経費を付すべからざるものを補助対象に計算して加えたために、ただいま御指摘のように十万円前後の少額の不当支出が出たというケースは確かにあるわけでございますが、四十二年にこの御指摘をいただきまして以来、指導を徹底をいたしまして、四十三年度のところでは、幸いでございますけれども、こうした意味での不注意は解消をいたしておるわけでございます。今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 大臣、ここに発表されたものがあるんです。教員養成大学その他の希望者が非常に悪いということですね、これらを見ましても、まず今日の青少年が今後就職をしたいという人気、ムードですか、これを見ますると、やっぱり技術者、商工業個人経営あるいは熱練工、技術者ですね、それから会社の重役、会社員、デザイナー、その次が教員です。これはもういいも悪いも、こうして新聞にも堂々と載るくらいですから、あながちその人が教員になって私は全部がベターだとは申し上げませんよ、申し上げませんけれども、これから考えてみても、高度成長の陰にいかに青年の考え方というものが変わっているかというところが問題の焦点にならざるを得ない、こう考えるわけです。  それで、大臣にお聞きしたいのですが、長年の間、政府は、特に文部省は日教組との話し合いというものがとだえておりました。いまの大臣の前々の大臣からずっととだえておりましたが、一体日教組とのパイプを通そうというお考えがあるのか。いわゆる賃金全体に対して交渉の対象にはならないかもしれないけれども、しかし予算を組む限りにおいては、大衆の意見を聞くということはあってもいいじゃありませんか。そのパイプをどうお考えになっているかですね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私はやはり現場の先生方の意見を聞くということは好ましいことであるし、やらなきゃならぬことであるというふうに思うわけでございます。やはり日教組という。パイプを通ずるのがいいのかどうなのかということにつきましては、私たちのほうにもやはり問題がございますし、日教組のほうにも問題があろうかと思うのでございます。したがいまして、実は中村文部大臣のときに、そのような試みをなされたわけでございますけれども、結局われわれの考えておることと、それから日教組さんがお考えになっておるところで、まだ準備が整わない、もう少し時期を見ようということになっておろうかと思うんでございます。また、われわれが申し上げましたことに対しての何らの依頼も実はなかったということで、そのままになっておろうかと思うんでございます。それからまた、どうもこういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども、ともいたしますると、賃金の問題だけではなくて、非常に政治的な色彩が強い。まあイデオロギーということがあまりにも前面に押し出されてきておるというところに、実はこちらのほうでちゅうちょしたというところがあろうかと思います。しかし、その後の経過を見ますると、われわれのほうもかなり前向きと申しますか、前進してまいりましたし、それから日教組のほうにおかれましても、多少自重をされておるように思いますから、あの当時よりも少しずつお互いに歩み寄りは行なわれてきておるんではなかろうかというふうに思います。したがいまして、私は全然パイプは将来にわたっても考えないんだというようなかたくなな考え方は実は持っておりません。ひとつお互い同士でやはり条件を整え合いながら、私たちもそしてまた日教組さんのほうにおいても、そういうふうな形で何か正常な、団体交渉とかなんとかという形じゃなくて、まずその前提としての話し合いというようなことならば、将来は考えられてもいいというふうに私は考えます。それはそれなりに私は現場の先生方といろいろお話をするということはつとめてやりたいというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味から、私はやはり教職員の待遇という問題については真剣にこれから取り組みたいと実は考えておるわけです。  と申しますのは、ちょうど戦前の、たとえば小学校の先生の給与あるいは中学校の先生の給与というものと、その当時の国民所得の一人当たりの額というものと比較いたしますると、そのときの時代でございますけれども、小学校におきましては三・五倍、中学校においては六・五倍。ところが、それを引き直して現在にいたしますると、それが今日では、これは戦前の昭和九年から十一年の平均、戦後昭和四十年から四十二年ということの計算でございますけれども、わずかに一・八倍ということになりますね。きわめて低いということが言えるかと思います。諸外国の例を考えましても、アメリカはかなり、たとえば、高等教育機関ですから、これは大学でございましょうが、三・一倍とか、あるいは初等中等学校が二・二倍、日本は初等中等学校が二・七倍、これは小学校と中学校高等学校まで合わせていると思います。それから大学の場合が三倍ということになってるんですが、大学のところを考えますと、たとえばイギリスとか西ドイツとかいうところによりますと、五倍あるいは五・八倍とかいうことになっておるわけでございまして、やはりこの辺が直ちに当てはまるとは思いませんけれども、一つの参考資料にはなるかと思うんでございまして、その意味合いにおきますと、やはり私は教職員の待遇ということについては、小学校から大学まで根本的に一ぺん考え直してみる必要があるんじゃなかろうかということで、総理府の人事局、あるいはまた人事院とも接触をいたしまして、ひとつまた私たちの調査を分析いたしまして、抜本的な改革を行ない、そして優秀な使命感を持った人材というものを教育界に確保するという努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) だいぶ時間が経過いたしましたが、答弁をなさる方も、答弁を含めての時間をきめておりますので、簡潔にお願いします。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 大臣と組合とのパイプについてはまだやるという決断もないようですが、労働条件というものは政府が一方的に考えるべきものではないということは御理解できるでしょう。それならばどこで一体聞くのですか、労働者の意見をどうして聞こうとされるんですか、これはゆゆしき問題だと思うのです。相手方が、かりに大臣のさっきの答弁をお聞きしますと、一方的な政治問題が多数であって、そういう具体的な賃金問題の意見あるいは厚生福利に対する問題を聞くような機会はない、こうおっしゃるでしょうけれども、つとめて政府がやはり大衆の意見を聞くという姿勢があって初めてそれが直ってくる。いま大衆の意見を聞かないで、福利厚生なり賃金は政府が一方的に、いかに人事院の権限があるとしても——そこらの関連は、やはり先ほど指摘されるように、賃金の格差があることはもう当然であります。これはもう日本は、一人当たりの国民所得に関する国際比率からいっても、日本は大体七十八万二千六百十五円です。アメリカは二百四十六万五千円です。イギリスは百四十六万七千円、西ドイツは百六十三万三千円です。これはもう半分にもならないのですね、国民所得。そうして世界で三番目だと言っておるわけです。こういう実態から考えても、文部省は文部省の立場におけるいわゆる教員組合の意見をやはり尊重すべきところは尊重していくという姿勢があって私はしかるべきじゃないかと思うのです。  ここで私は要求書を見たのですが、これは国家公務員のほうの要求ですから、日教組も同じではないかと思うのですが、こういうことが書いてあるのです。昨年の四月です、これは二十七歳で四万二千円の要求をしておるわけです。ポイントを押えてみますと、三十五歳で十七年の経験で六万二千円、それから四十歳で二十二年の経験者というものが七万五千円、決して不当な要求じゃないですよ、これは。その当時の賃金が、先ほど私が申しましたように民間よりみな安いようです、この要求が。こういうところを見ないで、国家公務員なり学校の教職員の賃金を政府が頭の中だけで考えているということは大きな誤解ではないか。もっとその点は謙虚な気持ちになって、いわゆる一般労働者の意見を聞いてやるべきではないか、私はこう思うのですが、今後やってもらうべきじゃないかと思うが、どうお考えになるか。これは要求書ですが、要求書が実際の民間から見て安いのですよ。そういうことで教育行政できるとお考えになるのか、この点、忌憚のないところを大臣ひとつお聞かせ願いたいと思うのですよ。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私はまずもってやはり人事院がこれに対してこたえていただく、また、それに対して総理府の人事局が十分そういうことをくみ上げて、そうして教員の待遇改善ということにつとめていただくということが第一かと思います。  それからまた、そういう教職員の意見あるいは要望というものにつきましては、現在のたてまえが教育委員会というものが任命権者になっておりますから、やはりそこの段階でまずやっていただくということかと思います。それから文部省といたしまして、あるいは文部大臣といたしましては、やはり小学校の先生や中学校の先生や、あるいは現場の先生等の意見というものは十分私は聞くべきだと考えておりますが、それの聞き方はいろいろあろうかと思います。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 簡潔に願います。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 それからもう一つ大臣に、これは意見も入りますけれども、いま小中学校の教職員は、校長は特別な扱いにある。教頭もそういうふうになっておる。段階はこの二つです。あとは全部年功序列の賃金ですよ。一体それで希望を持てますか、人間。年功序列で。パーセンテージに上がってくるんでしょう。ここらも中だるみの賃金になっていて、三十五歳から四十四歳までの一番生活費の多くかさむ層が中だるみの賃金として体系上出ていますよ。これはもう今日ここまでおくれておると相当な原資がなければ私は是正できないと思うけれども、速急に、五月実施どころではなしに、賃金体系の是正、しかも年功序列を改めて少なくとも職階制の確立をやるべきじゃないかと思いますが、これはどうお考えになりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これは年功序列というような型はむしろ日教組あたりで最初主張されたんではないかというふうに思うのです。ですから、むしろ何といいますか、能率給というか、あるいは相当の権限を持っていい先生はどんどん登用していくというような道を開くべきであるという議論もあったかと思います。しかしながら、私は、教育者としてはある程度やはり抜本的な改正をして相当の給与体系というものをつくるほうがいいんじゃないか。それに対して教頭であるとか、あるいはまた校長であるとかいう者は、管理職としての賃金というものがそれに加算をされるという、あるいはまた、高等学校でございましても、教務主任とか、あるいは産業関係の課長であるとかいうような形において、それ相応の加算がされるというようなことだって考えられることではなかろうかというふうに思いますけれども、教職員の給与というものは、しかしながら、全体としてはずっとレベルアップするようなことでないと、そう会社みたいに何といいますか、能率給というような形にはなかなかいかない、こういうふうに私は思うのです。両方の議論が私はあろうと思いますけれども、基本的にはやはりそういうふうな形。しかし、悪いことをしたり、あるいはどうにもこうにもしようがない人たちには何か現給とどまりと申しますか、そういうような道が開かれておって、先生御指摘のとおりにやれるんじゃないか。しかし、なかなかそういうようなことがいまの教育委員会の状況ではやれないのじゃないか、組合の力が強うございますからね。その辺のところはなかなかそう頭で考えるのと実際的な問題とは非常にむずかしい。まだ私はどちらがいいかというふうには断定し、判断までつきかねておりますけれども、全般的には、ただいま申しますように全体としてやはり上げるということを考えるべきじゃないかというふうに思っております。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 それはおっしゃるとおり、私も、それがもう満点の方法だと考えていないのです。アメリカみたいに最低を全部きめちまう、それがないから——一挙にそんな飛躍的な、たとえば二万円ベースをぱっと原資を捻出するということは、これは原資的にも不可能でしょう。だから、私は一つの例を申し上げたのであって、それが万能だとは思っておりません。アメリカのようにまず最低を保障するというような形をとっていくのもいいと思いますが、これは非常に不可能な感じがしたから申し上げたのでのであって、しかし、これは中だるみの賃金の最低の保障でしょうね、これはぜひ政府にやってもらうことをお願いしたい。  最後に、大臣に時間がありませんからお聞きしたいのですが、最近の教育委員を中心とする汚職、収賄ですね、ことしも、もう四月の異動によっていろいろあるわけですが、実例を申し上げますと、これは北海道ですが、教頭の試験を通って十三年間も——そしてしかも最高点で教頭の試験は通った。そしてその学校は、非常に優秀な教頭がおって優秀な学校だ、文部省も奨励するくらいのいい学校だという話も聞いていますがね、そういう十三年もやった教頭が、十三年の間に一回も校長になれない。そうしてそのうちに年をとっちゃって、いろんな話をしてみると、もう年をとったからだめだということですね。ところが、今度指導主事がそこの学校の校長に来た。しかも四十何ぼの若い人だ。一体、そういう運営上、教育委員という立場と、指導部長というような立場から、こういう異動に対して多くの金が動いているのではないかといううわさが出ている。これは大阪の例がそうだと思うのです。和歌山の例もそうです。あるいはまた奈良の例もそうです。これをどう大臣はお考えになるかですね。少なくとも、うわさであってもこういうことが出てはいけないと私は思うのです。まだまだ調査すればかなりあるかもわからないという疑義すら私らも持つわけです。この点ひとつどういうふうにお考えなのか。したがって——もう何回も質問ができませんからお尋ねするのですが、教育委員の公選制を任命制にいまの自民党政府が変えたんですが、われわれ反対したのですけれども、一体、この教育委員の任命権というものが、首長がかわれば教育の方針が変わる、こういうことはあり得ないと思うのですね。しかも、大阪の実例なんかを見ますと、ずぶのしろうとが教育委員長になった。したがって、指導部長にいわゆる追われてやられたといって自殺をされたというのがその大きな原因で書いてありましたが、こういう事態を考えますときに、少なくとも教育委員は一般市民あるいは町民、県民の名によってやっぱり公選制をとるべきだと私はこう思うのですが、それも含めて御答弁願いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私は、教育委員会制度につきましては、現在の任命制はよろしいというふうに思っております。これについては民主主義的ではないじゃないかとか、あるいは民意が反映しないじゃないかというようなことでございましたけれども、私はそうではないというふうに思います。その現在起きておりまする不正事件というような問題は、それとはまた別な問題だというふうに思っております。その制度からくるものではないというふうに思っております。昔の任命制でなくて公選の場合におきましては、実は教職員組合の人たちが選挙によって——公選制でございますからそのこと自体はけっこうなことだと思います。公選制でございますから。しかしながら、いわば教職員というものが教育委員会から指導と監督を受けなければならない立場にある、ところが、その教育委員会というものが、日教組の出身によって多数が占められるということになりますと、制度それ自体の持っておりますところのいわゆるレーマンコントロール、普通の一般の地域住民によってコントロールするというそういう考え方が、一利益団体と申しますか、教職員団体というもの、一部の団体というものがなれ合いになるおそれがあって、それはむしろ行政としては間違いじゃないかというふうに思うわけでございまして、その意味におきまして、私はむしろ任命制ということのほうがいいというふうに、私はいまそういうふうに思っておるわけでございます。ただ、しかしながら、それだからといって、いま起きております、起きました大阪の事例とか、和歌山あるいはその他愛媛県等に起きました事例等につきましては、これはあってはならないことでございまして、これは十分教育委員会としても今後自重し、また反省をし、そういうような不正が二度とないようにしてまいらなければなりませんし、また、われわれといたしましても、その指導助言というものをしっかりやらなければならない。特に、教育委員会というものが先生たちを指導助言をするわけでございますから、あるいは監督するわけでございますから、その人たちが不正あるいは人事等において収賄というようなことがあっては絶対ならぬ。ただ、今度人事の問題につきましては、これはまた制度の問題そのものじゃなくて非常にまたむずかしい問題で、また制度の問題それ自体もその中にはあるかと思いますけれども、今日県内における人事異動すらむずかしい。そうして絶対的な教員数というものについては多少バランスはとれておる。しかし、あるところの教員は、その自分の意思に反して行けないということを一つの武器としてもう絶対に離れない。本人の承諾なくしては行かされないというところに、今度は教育委員会としてはどうにもしようがない、もう少し人事というものが円滑にいくべきであり、いかなければならない。そうして僻地にも行ってもらわなければならない。しかし、そういう僻地にばかり行っておっては非常に不公平になりますから、やはりそれが異動ができる。ところが、先生方から言うならば、自分の子供はやはり都市部にいさせたい、子供の教育上。しかし、それは全部がこのようにお考えになるわけでございます。それをどう調整するか、教育委員会で、という事柄とぶつかるわけでございます。県内の異動というものが非常にむずかしい。もう少しこの辺が、ほんとうに教職員として使命感に燃えて、進んである時期は僻地に行くのだ、そういうような気風というものがやはり醸成されてこなければ、いろいろの手だてをやりましても、なかなか問題は解決しないのじゃないかというふうに思います。しかしながら、一方におきまして、僻地に行く場合に、それに対する特別昇給の制度であるとか、僻地手当であるとか、あるいは教員住宅の問題であるとか、あるいは子女の教育に対する宿舎等の建築費等もわれわれとしては考えておるわけでございまして、そういうことが不十分だということについては、今後十分の手当てをしていかなければならぬというふうに考えておる次第であります。なかなかこれは基本的な、根本的な問題でございますので、あまり長くなりますので、この程度でお許しを得たいと思います。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 最後に大臣、基本的な問題でむずかしいですけれども、いま大臣の答弁ではよくならないのですよ、実際問題として。その僻地のひずみをどうするかという問題がなかなか解決つかなければ行き手がないのですよ。やはり子を持つ親として、そういう僻地の学校に子供をやっておっては困ると中年の子供を持つ人はみなそう考えると思うのです。これは大きな問題ですが、私はやっぱり根本的には教職員の給与の大幅な改定をやる、それから給与の改定についてはいわゆる労働者の意見も聞く、この寛容な大きな窓口を開かないと、私はそういういまの政府の考え方ではいつまでたっても賃金の是正をすることにならないと思うのですね。この点は根本的にひとつお考え願って、建設的な行き方でやってもらうことを要望して私の質問を終わります。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 初めに委員長にちょっと伺いたいのですが、私はきょう野原労働大臣がこの委員会に出席することを求めておりましたが、きょう労働大臣のお顔が見えないわけですが、どういう事情でお見えにならないのか、その点を伺いたいと思います。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 労働大臣に出席を求めたのですが、御都合が悪いそうで出席ができないということでございます。何かAFL・CIOの代表の方々とお会いになるというようなことで、こちらに出席ができないというようなことでございました。そういうことでございますので御了承いただきたいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 労働大臣は、新聞などには、いろいろこのたびの問題についての弁明などをされておられるようでありますけれども、やはり委員会に大臣が出てこられて正々堂々と弁明なり、答弁をされることが政治家としては私は正しい態度だと思います。したがいまして、事の公正を期するために、私は次回のこの委員会でなお汚職問題について取り上げたいと思いますので、その際は労働大臣が必ず出席するように、いまから求めておきたいと思います。  それから岩手県西根町の工藤直輝町長、この方も参考人として呼んでくださることをあらかじめお願いする次第であります。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) ちょっと渡辺君に一言申し上げておきます。理事会でいずれ相談をいたしまして、いまの二つの件について結論を出したいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 そこで質問に移りますが、まず初めに保利官房長官に伺いますが、私、十五日のこの委員会で、野原労働大臣らが森産業株式会社の名前で行なった、岩手県西根町の町有山林払い下げ詐欺問題、それから政府金融機関などからの不正融資問題などを内容とする汚職問題を取り上げました。政府は、その後この問題をどのように調査されたか、調査の内容と結果を御答弁いただきたいと思います。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) ただいまお話しの野原労働大臣に関係することでございますが、これはやはり当の労働大臣に伺ってみるよりしようがございません。当の労働大臣にしかと伺い——と申しますのは、佐藤内閣としましては、官紀の振粛ということを第一の姿勢としてとっていかなければならないというのは、総理大臣が強く持しておられる。したがいまして、組閣あるいは途中の閣僚異動におきましては、その劈頭に、国務大臣の兼職禁止については厳重な申し合わせをいたしておるわけでございます。したがって、お話しのようなことがあったやに聞きまして、労働大臣につぶさに事情を聞いてみました。そうしましたら、けさ総理大臣お呼び出しになって御質問があったようでございます。大体伺っておりますが、同様の大体お話でございまして、しかし、さらに私といたしましては、労働大臣に対して、書類をもっててんまつの御報告を願いたいということを、労働大臣に要請をいたしております。しかし、実態はそういったようなことで、まあこれはとにかく、私ども長い間議員生活しておりますが、ひとつあれはめんどう見てやってくれよというようなことを言って、その後あれはどうなったか、こうなったかというようなことを聞かないうちに忘れてしまっている、こういう場合が往々にしてあるのでありまして、私は、労働大臣の場合も大体そんなことじゃないのだろうか、しかしどっちにしても事は国務大臣の身辺に関することでございますから、そういったような書類で、てんまつ報告もいただきたいというように処置をいたしております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 これはけさ総理大臣にも申し上げたことですけれども、森産業株式会社の役員になっていることなどは知らなかったというようなことを、労働大臣言っておられるようですけれども、これはもう一回あとから取り上げますので、私いまは詳しくは申し上げませんけれども、しかし、とにかく森産業株式会社の商業登記には、野原正勝取締役ということがちゃんと登記されているんです。それからまたその商業登記に付属された書類によれば、野原労働大臣は株主総会にも取締役会にもちゃんと出席して、そうして議決に参加し、その議決事項を確認する判こまでちゃんと押しておられる。一番大きな判こを押しておられるのは野原さん。私、ここに持ってきておりますけれどもね。まあ、そういうようなことですし、またそのほかの事情もいろいろ考えてみますと、たとえば野原さんの第一秘書が取締役をやっておる。秘書が取締役をやっていて、その会社に自分が取締役になっているかどうか知らぬなんて、そんなばかな話はあるものじゃないと私は思うんですね。それからこの森虎悦なる人物は、これはけさも首相が言っておられましたけれども、野原さんの有力な支持者だという、有力な支持者。しょっちゅう、ぼくは、この野原さんとは交流のある人だと思う。その人の口からただの一回も話されなかったというようなことはないはずなんですよ。しかも聞いてみれば東京の港区の芝桜川町ですか、ここの森産業という会社の事務所の下を野原さんの事務所として使っておる。同じ建物の中に野原事務所と森産業があるという関係なんですよ、いいですか。しかも問題の起こっている岩手県西根町というのは、これは野原さんの有力な選挙地盤だ。そこで、町の議会で払い下げのときにも大問題になった。それからまた、払い下げ後も数年にわたって町の議会で、一体工場が建つかどうかというのが大問題になっている。きのうきょうこのことが問題になったわけじゃないんです。町の議員の中には自民党出身の方もおられるでしょう。野原さんのこれも、これに非常に近い人もおられると思う。そういうような事情などを勘案してみれば、知らなかったというようなことは、これは全く子供だましの弁解だという以外にないと私は思う。一国の総理大臣がけさ私に全くそれと同じようなことを御答弁なさったけれども、これは総理大臣の答弁としても、まことに奇妙なものだというふうに私思います。まあこれは、あとからこの問題について、またあとで戻りたいと思います。私、あまり持ち時間もないので、質問に移りますけれども、運輸省の自動車局長の方は見えておりますか。——局長さんにお尋ねしますが、盛岡市の豊心タクシー株式会社なる会社の設立営業許可の申請が、岩手県の陸運事務所に出されていたはずですけれども、この会社の設立発起人の名前はだれだれか。営業許可申請を出したのはいつか。この点についてお答えいただきたいと思います。

黒住忠行運輸省自動車局長

○政府委員(黒住忠行君) 豊心タクシーの申請は四十四年の八月十二日でございます。  発起人の代表が山本繁美、それから発起人は藤原哲夫、野原正勝、福田嘉一郎、中沢三郎、山本勝美、沢勲、以上でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いま自動車局長の御答弁によると、四十四年八月の十二日に豊心タクシーなるタクシー会社の設立の発起人に、野原労働大臣がなっているということになっております。けさの首相の答弁によりますと、野原労働大臣は昨年の三月——四十四年三月には、すべての会社の役員から引くような手配をしたという趣旨のことを言っておられる。ところが、いまの答弁によれば、四十四年八月十二日に豊心タクシー設立の発起人になっておられる。この一事を取ってみてもです、野原さんのいまおっしゃっておられることがまっかなうそだということが、はっきり私はわかると思う。ところで、なお自動車局長にお尋ねいたしますけれども、盛岡陸運事務所に出されていたこの会社の営業許可申請、これは取り下げられたそうだけれども、それは何月何日に取り下げられたか、また取り下げの事情はどのような事情であったのか、これを伺いたいと思います。政府委員(黒住忠行君) 本件の取り下げは四十年四月十八日でございます。取り下げの願いにつきましては、内容を一部訂正いたしたいので取り下げるという理由になっておりまして、あとはつまびらかにいたしておりません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 あなたがこの取り下げの事情をつまびらかにしていないとおっしゃるのは、これはおかしいですよ。いいですか。事のいきさつは、私の口から申しますと、私は、この取り下げ申請が出たというその前の日の四月の十七日に、あなたに対して、盛岡の陸運事務所にタクシーの許可申請が出ているはずだから、その発起人の顔ぶれを知らしてほしい。その点を、私の代理人を盛岡の陸運事務所に送るから、だから発起人の名前を見せてくれるようにあなたのほうから手配をしてほしいということをお願いした。あなたは、この私の申し出に対してがんとしてこれを拒否された。とにかくタクシーの営業許可申請については公示するから、その公示したものについてはお見せすることができるけれども、しかし、発起人の顔ぶれなどについては申し上げるわけにはいかない。私は、一般の人が知ることのできるような程度のことを知らされるだけでは国政調査というのはできないのじゃないか。国会議員は国有の権限として国政調査権を持っておるはずである。国会議員が一般の人が知らされることしか調査することができないということじゃ困るじゃないか。道理を尽くしてあなたにお願いしたけれども、あなたはがんとして承知しないので、それでは明日、つまり四月十八日までにお考えいただきたいと言って別れた。そうしたらどうですか。私のところに入った情報によりますと、運輸省自動車局から仙台の陸運局、ここに連絡があった。どういう連絡があったかと言えば、一度申請されていたこのものから発起人の名前を削るのは困難だから、いいですか、したがって追加申請という形で役員を変えて出されたらどうか。こういうことをあなた方のほうから仙台の陸運局に指示している。そうしてその仙台の陸運局から盛岡の陸運事務所に連絡があって、そうして許可申請の取り下げが行なわれている。一体これはどういう事情ですか。野原正勝という名前が、これが営業許可申請の発起人の中に名前を連ねているということは、これはあなたのおっしゃったとおりです。あなた方は、野原労働大臣のもみ消し工作に手を貸しているのではないですか。私は、あなたを責めようとは思いません。もちろんこれは責めらるべきことだけれども、しかし元凶はほかにあると思う。野原労働大臣が自分のやっていることを何とかもみ消そう。それであなた方に圧力をかけて、こういうことをやられたのではないですか、どうですか、その辺の事情は。

長田裕二自由民主党

○長田裕二君 私は、ただいまの渡辺委員の御質問に立ち入るつもりはさらさらありません。その点は申し上げておきますが、ただいまの御質問の中に、国会議員は、個人として国政調査権は持っているというようなおことばがあったような気持ちがいたしますが、国会議員が国政調査をやるのは、この委員会の、それぞれの議員なりの決定というものが必要な感じがいたしますので——これは格別お答えをどなたからもちょうだいするというつもりはないですけれども、そういうように考えております。委員長、間違っておりましたら御注意願いたいのですが、格別のあれがなければ、その問題をただ提起するにとどめたいと思います。

黒住忠行運輸省自動車局長

○政府委員(黒住忠行君) 申請の内容につきまして、それの変更方を指示した覚えはございません。で、十八日に申請者のほうから、この本件の取り下げをしておるということで、その取り下げ願いが出たわけでございまして、それによりまして私は取り下げの事実を現地の報告によりまして知った次第でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 まあ、そういう答弁をされるだろうというふうに私も考えながら質問していたわけです。あなた方も弱い立場だから、現職の大臣から言われれば、そうやらざるを得ない。そういう弱い立場にあるということはよくわかっておりますが、私はこれ以上深追いはしませんけれども、しかし、私の手元に来ている情報から言えば、あなた方が仙台の陸運局にその点を指示した。いいですか。あまりこれは調子が合い過ぎているじゃないですか。私が十七日にあなたに頼んだ。私の代理人が盛岡の陸運事務所に行って、そうして見せてほしいと申し上げた。盛岡の陸運事務所は上を下への大騒ぎ、部課長の人たちが集まって、そうして見せる前に野原正勝の名前を削ることができるかどうか、大評定をしている。そうして、あなた方に相談をして、あなた方からそういう指示が来ている。これは事実です。  そこで、私、官房長官にもう一つ伺いたいんですけれども、いまの豊心タクシーの申請取り下げ問題、これは野原労働大臣が自分のやった不正事実のもみ消し工作に動いているということをはっきり示しております。そうして、それだけではないのです。それだけではない。労働大臣は、十七日以来、つまり、この問題が国会で取り上げられた二日後です。十七日以来数回にわたって、人を介して、西根町町長工藤直輝氏に上京するよう要求しております。西根町の役場へ再三電話で要求が来ている。用件は何かと言えば、国会に町長が呼ばれたときの対策だということだそうであります。ただ、労働大臣には気の毒なことながら、西根町の町長はいま公用で二十一日まで京都に出張ということで、まだ上京してはおられないようでありますけれども、しかし、一体、加害者がその被害者に対して、政治的地位を利用して呼びつけるというのは一体どういうことですか。これは脅迫行為じゃないでしょうか。一種の脅迫行為じゃないでしょうか。労働大臣が、自分の私行上のことで地方自治体の首長を何の権限があって呼びつけることができるんですか。このようなもみ消し工作は、これは、労働大臣がすねに傷持つ身だということをはっきり私は物語っていると思うのです。このような政治的地位を利用した労働大臣の不当な工作に対して官房長官はどのような処置をとられるのか、厳重な警告をすべきだと思いますが、どうでしょうか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) このことを耳にいたしまして、私は、少し出過ぎたとは思いましたけれども、労働大臣と数次お会いしました。私は掛け値のないことを申しております。あなたは不正事実を働いたと言われますけれども、どうもあなたの常識じゃちょっと違うかもしれませんけれども、私の常識では、ああ、なるほど、一緒にめんどう見てやれと言い置いてそのままにしておいた。そうしてまあ大村とかという秘書の人が大臣の名前を使って、大臣の名前を取締役に使ったり、あるいはその登記抹消をやろうとしたりしたということは、おそらく野原さんに連絡があったと、私は、野原さんと会って見て、話をして、そういうふうに受け取っていないのです。したがって、不正事実と言ってきめつけられるのは、どうも少し穏やかでないような私は感じをいたしております。しかし、いやしくもやはり国務大臣の身辺に関することでございますから、佐藤内閣の姿勢としましても、野原大臣が堂々とその処置をいかようにせられたかということについては書類をもって御報告をいただく。しかる上において警告すべきことがあれば警告するというように、私は総理に申し上げるつもりでおります。したがって、まだそういうことを、いままで労働大臣と話しました私の姿勢、態度はそういうことでございます。どうもそこらにあやまちがあるんじゃないか。これはしかしながらいやしくも第一秘書でございましょうから、その人のやっていることを道義的にも責任なしと言えないことはお互い同様で、われわれも同様に秘書を持っておりますから、秘書のやっておりますことは、秘書のやったことだからといって済まされないということは、私も心得た上で申し上げております。以上でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いままでの汚職事件では、秘書がやったのだからおれは知らないことだというような言い分がずいぶん使われました。今度もまた同じ言い分が使われようとしているわけですけれども、しかしいままでの汚職問題と今度のは若干変わったところがある。それは野原労働大臣がその不正をやった会社の取締役であったという動かすべからざる事実です。本人に聞けば、おれは知らなかったくらいのことは言うでしょう。それは言いますよ。それは内閣に対しても公然とうそをついている大臣ですからね。私がけさはっきりさせましたように、首相に対しては、昨年三月もうすべての営利会社の役職の地位からひいたんだ、野川労働大臣がそう言われておる。私どもが四月十八日に登記の謄本を取ってみますと、ほかの会社の代表取締役をやっている、あるいは取締役会長もやっているというような状態です。ですから、その上に、いま申しましたような、もみ消し工作までいま盛んにやっておられる。本人から聞いただけではだめですよ。私は、保利さんは百戦練摩の政治家だと思いますけれども、そんな甘いことで国民に対して申し開きができると考えていらっしゃるのか、どうでしょうか。——まあ、それはなんですから、次の質問に移りますけれども、法務省の方、お見えになっていらっしゃると思いますが……。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) ちょっと委員長……。渡辺さんのちょっと何が、私が了解しているところと違うようでございます、一点だけ。総理大臣がけさこちらでお答えになっておること、昨年の三月に登記抹消の手続をいたした、それは野原本人でなしに大村が登記抹消の手続をとったということ、あなたから問題を起こされて、そして大村に聞いて、どうなっていたのだ、どうしたのだ、実はこうこうこうでございました、そこで去年こういうふうにいたしましたが消えておりませんでしたということであったということを総理大臣に私はけさ——実は労働大臣と総理大臣がどういう話をされたか立ち会っていないものですからわからなかったのです。しかし事実は総理大臣の答弁もそのような答弁を——決してもう弁解とか逃げ口上を私は申し上げるわけじゃございません。どうもそこのところ少し私が了解しているところとあなたが了解されているところと違うようでございますから、私の承知しているところだけを申し上げておきます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 私けさも、総理にちゃんと、これもお見せしました。岩手精密工業株式会社、岩手酪農運送株式会社、この二つの会社の四月十六日付の謄本ですね、これには野原正勝とはっきり名前が出ておりまして、岩手精密工業株式会社の場合では代表取締役、岩手酪農運送株式会社の場合は取締役、また会長もやっておられるそうです。先ほど官房長官は、新たに組閣のときには営利会社の役職につかないようにということになっているのだと言いますけれども、もうあなた、大臣になってからもうすでに久しい、四月十六日といえば。いまだにちゃんとこうして営利会社の役職をしている。おそらく官房長官はその事実を御存じなかったろうと思います。これは野原労働大臣、これが内閣を欺いているということになろうかと思うのです。こういう方ですよ。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) いまのお話でございますが、野原さんからいただいておる書類を見ましても、大臣就任に際して、一切の会社関係は辞任したがと。それはいまの、何というのですか、岩手精密工業ですか、そのほうは十四日に、私は少し立ち入って、あなたが辞任届けをお書きになってお出しになりましたかということまで、実はどうも少し立ち入り過ぎたんですけれども、それはこれこれの会社、すなわち岩手精密工業、それから何というのですか、酪農運送会社ですか、それの一方は社長であり、一方は会長である。それをすぐ辞任届けを出してくれるようにということを、認証式の日に秘書に命じて、そして秘書は岩手精密工業については一月十四日付、酪農運送会社についてはどういうわけか一週間おくれて一月二十日付で辞任届けが出してあります。これはまあその登記の抹消が、あなたの言われるように、あなたの言われる日にはできていなかったかもしれない。これはどういうことでございますか、その辺のところも私知りたいから、書類でひとつ出してもらいたいということを申し上げておるわけです。したがって閣議申し合わせの、営利企業の兼職は閣僚としてはできないということについて直ちにその手続をとられたという、この善意は私は疑う余地はないんじゃないか、こう思っております。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) もう時間がだいぶ経過しましたから先へ願います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 すべては秘書に命じたが、どうも十分いかなかった、秘書が悪いのだというようなことに糊塗していきたいということなんでしょうけれども、いまの官房長官の御答弁を伺っておりましても、この問題の調査についてはまことに不徹底。野原労働大臣が秘書に命じて、なるほど秘書が出したかもしれませんわね。しかしその後、野原労働大臣がこのことに責任をもって、実際代表取締役の役から引いているのかどうか、取締役会長の地位から引いているのかどうか、それを確かめていないというこの事実は、歴然たるものでしょう。それから内閣自身も、認証式の日に申し渡したことが忠実に守られているかどうか、これを確かめていないということも、これまた明らかなことだと思う。まことに不徹底。これはやはりこういう汚職の問題、大臣などの政治姿勢の問題について、まことに佐藤内閣が不まじめな態度しかとっていなかったということを、はっきり物語っているじゃないですか。  まあ時間も若干過ぎたようですから、次の質問に移りますけれども、法務省からおいでいただいている方に伺いますが、いま私が明らかにしましたように、労働大臣は森産業株式会社の商業登記において取締役として正式に登記をしている。それからまた、その商業登記の付属書類を見てみますと、同社の取締役会及び株主総会に出席して、議決に参加して、議決事項を確認する捺印をちゃんとやっております。このことは野原大臣が取締役であったことを知らなかったなどということは、法的には認められないことであると思いますが、どうでしょうか。

新谷正夫法務省民事局長

○政府委員(新谷正夫君) 商業登記がなされておりますこと、さらに株主総会なり取締役会の議事録に署名捺印があるということでございますが、これは登記のほうは普通の一般の取締役は関係がございません。代表取締役がその申請をすることになっておりますので、これがどういう事情でそのような登記がなされたかわかりませんけれども、これがあるから知っておったということには必ずしもならないと思います。  それから、議事録でございますが、これもたとえば株主総会の場合に、議事録作成の担当の取締役がきまるわけでございまして、その人の責任において議事録を作成いたします。署名捺印があるということでございますが、普通の場合であれば、それに参加しておるということが言えましょうけれども、ただいまのお話では何も知らなかったということでございますので、それを前提にして申し上げますならば、そこに何らかの事情があって名前が出、さらに捺印がなされている、こう考えざるを得ないと、このように考えます。したがいまして、このような署名捺印があるから取締役となることを承認しておるということには必ずしもすべての場合なるとは言えないだろうと、このように考えます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 私がお伺いしたことと若干違った御答弁の内容だったと思います。つまり、取締役野原正勝ということがちゃんと登記されているわけですね。第三者はその登記を見て、森産業株式会社の取締役として野原正勝氏がいるということを知るわけですよ、法的には。したがって、野原正勝氏は取締役として登記されているわけですから、第三者に対してこれは知らなかったことだというようなことを言えるかどうか。私は言えないと思う。どうでしょうか。

新谷正夫法務省民事局長

○政府委員(新谷正夫君) 登記の一般論としますならば、商法の十四条の規定がございまして、ただいまの登記が不実の登記かどうか、これはわかりませんけれども、先ほど来のお話では知らなかったということでございますので、御当人はその取締役になっておるということは言えないだろうと思います。したがって、もし登記をされておるとしますと、それは不実の登記ということになろうかと思うのでございますが、もし、そのような登記がされておりますと、商法第十四条の規定によって、善意の第三者に対しましては登記をした会社としては対抗できない、こういうことになっております。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 渡辺君、簡潔にお願いいたします。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 不実記載があるかもわからぬというようなことを言われましたけれども、不実記載があるかもわからぬというふうにあなた、いまおっしゃいましたけれども、第三者にとってどうですか、登記された事実については、これは信用せざるを得ないのじゃないでしょうか。一体、不実記載があったかどうかということは、どういう手段によってそれを知ることができるのですか。

新谷正夫法務省民事局長

○政府委員(新谷正夫君) 不実でございますから、それが事実と相違するということをもちろん、確かめなければなりません。取締役の選任の手続といたしましては、御承知のように株主総会で選任の決議をいたしますが、会社取締役の関係は、民法の委任の規定に従うことになっております。したがいまして、その選任された人の承諾がない以上は、取締役の就任の効果は発生しないわけです。でありますので、先ほどのお話のように、御当人が御存じなかったということであれば、取締役にはなっていないわけです、法律的には。そこで取締役でないにもかかわらず登記されているということの事情は、私どもにはわかりませんが、もし、そういう事実があったとすれば、これは不実の登記ではないかということを申し上げたわけでございます。その不実なりやいなやということは、その関係の人がそれぞれ適当な調査をされて、不実であるということを立証する必要があることは当然でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 そうでしょう。不実記載かどうかということは、その関係の人が取締役であることを抹消するかどうかしなければ、第三者に対しては対抗できないでしょう。第三者に対しては、登記されたことが何よりもこれは法的にりっぱな証拠になるわけですよね。知らなかったということは本人の主観で、登記されているという事実、これが第三者に対して法的な効力が発生しているということについては、これは本人が知らなかろうと知っていようと、これは関係なしじゃないですか。

新谷正夫法務省民事局長

○政府委員(新谷正夫君) 不実の登記でございますれば、登記すればそういう事実が発生するというものではございません。不実は不実であるという事実があります以上は、幾ら登記しましても、それは不実の登記でございまして、実質的に取締役の就任の効果は生じておりません。しかし、その不実の登記であるものを信頼した第三者を保護するために先ほど申し上げました商法の規定があるわけでありまして、そういう信頼をした人は保護されるというのが商法の十四条の規定の趣旨でございます。したがいまして登記されたから取締役になったということは、これは必ずしも一がいには言い切れないものがあろうかと思います。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 時間を急いでください。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 はい。登記というものはね、そんないいかげんの解釈じゃ、これは第三者は困りますよね。だって、まだこの登記は不実の登記であるということが法的には確認されていないわけでしょう。やっぱり第三者に対しては野原正勝は取締役だというこの登記の文面、これが法的効力を持っている。それでなければ、どうして第三者を保護することができますか。

新谷正夫法務省民事局長

○政府委員(新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、不実の登記であっても第三者がそれを信用するならば、善意の第三者に対してはこの不実であるということをもって対抗できない、こう申し上げておるわけであります。それでありますから、会社としてはこの登記を信頼した第三者に対しては責任を負わなければなりません。そのことを申し上げておるのでありまして、登記されたから必ずそれはそのとおりに取締役に就任しておるというものではないということをあわせて申し上げたわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 取締役として登記されて、それが第三者に対しては法的には登記のとおりに効力を及ぼしているということだと思いますね、あなたの答弁は。ですから、その点を確認した上で、まあ時間も若干過ぎたようですから、次に移りますけれども——野原労働大臣が言われているように、知らなかったということがもしかりに事実だとするならば、森虎悦という人物、あるいはこの野原さんから言いつかってこういうことをやった大村敬一という人物、こういう人たちのやったことは少なくとも私文書偽造行使、それから公文書不実記載罪などの犯罪行為を構成すると思いますけれども、その点どうですか。

辻辰三郎法務省刑事局長

○政府委員(辻辰三郎君) 具体的な事案につきまして犯罪が成立するかどうかということにつきましては、これは御承知のとおり権限のある捜査機関が権限を行使して刑事訴訟法上の証拠能力の関係とか、いろいろのことを酌量いたしまして、初めてこの事実認定ができるわけでございます。そういたしまして初めて犯罪の成否が——一応の嫌疑ができてまいり、さらに最終的には刑事裁判でその事実の存否が確定せられて初めてこの犯罪の成否が確認されるわけでございますので、ただ一応の事実関係だけで犯罪が成立するかどうかという御質問に対しまして、私の立場からこれがどうであるということは申し上げかねることであろうかと思うわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 大臣の関係したことになると、急に慎重になるということがよくわかりました、いまの御答弁を伺いまして。  しかしこれはですね、国民は、野原労働大臣の言っていることは、これは子供だましみたいなことですよ。だからまあ信用はしないでしょうけれども、もしかりに労働大臣の言っていることが真実とすれば、これはこの森虎悦その他の人物、これはとんでもない犯罪をやっていることじゃないかと当然思うと、私は思います。まあその点申し上げて、次に法務政務次官に伺いますけれども、いま新聞報道によれば、岩手県警本部捜査二課と岩手署は、昨年十一月、町有林不正払い下げ事件について内偵をしながら、一時捜査を打ち切っていましたけれども、今回私が国会で取り上げ始めてから、あらためて再び捜査に乗り出したということであります。この事件は、これは現職大臣の関係しているものであり、政治的にも重大問題であるから、検察庁は独自の調査を始めるべきだと思いますけれども、その意図がありますか、どうか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) どうも渡辺さんのお話を伺っておりますと、不正、犯罪というようにきめつけていらっしゃるようでございますけれども、まあ私は平たく——別に弁解がましく申し上げようとは思いません。労働大臣に、いまの森産業の社長からおわびの手紙、それがまいっておるようであります。その写しを私はここに持っております。それを申し上げますと、   森産業(株)設立当時先生の御芳名を拝借いたし度旨大村秘書に申入れ同氏の諒解を得ましたので取締役に選出した形をとりました   然し爾後一度も役員会及株主総会等に御出席を御願いいたした事はありません昨四十四年三月大村秘書より取締役としての先生の名前は登記上抹消せられたいとの申し入れがありましたが事務的手続きを失念し今日に至って居ります   西根町町有林の売買については先生の指導、助言を受けたことはありません   金融機関より事業資金を借用する際も紹介等一切の援助を受けて居りません。   野原正勝先生となっておりますが、これは、あなたが御信用になるかならないか、私はとにかく行政府の責任者でございます。非常な重大な責任を持つものでございまして、一応野原労働大臣がおっしゃっていることにうそ偽りがあるとは実は思いません。また、そういうことでは実際困る。しかし、いずれいきさつは書類をもって野原大臣から出していただくと思います。しかし不正、犯罪ということ——現職閣僚でございますから、私は、このことについては、この念書から見ましても、そうは思えないということを御理解いただいておきたい。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 最後に一問。  いまお聞かせいただいた森社長なる方の念書ですけれども、これは口うらを合わせれば、いままでの支持者と大臣の関係ですから、そういうようなものは私は出てくると思いますね。それは、官房長官も言われましたように、私どもはそれを信用しませんし、同時にまた、国民もやはりそういうものは信用しないと思います。いずれこの委員会の質問を通じまして、なおいろいろな事実がありますので、私手元に材料を持っております。さらにこれを明らかにしたいと思いますが、西根町の町長などにおいでいただければ、それに対する質問の過程などを通じて、もっと明らかにしていきたいと思います。  ところで、官房長官に伺いたいことは、先ほども私申し上げましたとおり、もう森産業から身を引いたのだというようなことを言っておられながら、現実はちゃんと登記の上でも消されていない。取締役になっておられる。それからまた、官房長官から内閣の認証式のときに申し渡しを受けたにもかかわらず、依然として岩手精密工業株式会社あるいは岩手酪農運送株式会社、こういうところの代表の役員になっているというような事実がここにある。そうしてそのことについて私が国会で取り上げるまで官房長官も御存じなかった。けさも首相は、まことに意外だというような顔をされて、この書類を見せてくれ、貸してくれというようなことまでおっしゃっておられた。こういう事態について、先ほども官房長官も言われましたように、営利会社の兼職をしちゃいけないんだという閣議の申し合わせがあるはずですね。それが守られていない。この点について官房長官はどういうふうにお考えになるのか。  もう一つ、それからこういう事態にかんがみて、私は現職の大臣全部について、大臣就任前の営利会社で就任していた役職名——その営利会社名と役職名、それから大臣就任後これをやめたとするならば、いつやめられたのか、その日時。それから現在なお営利会社の役職についておられる方があるとすれば、その営利会社名と役職名。この詳細を発表していただきたいとあらかじめお願いしておきましたので、それをきょう発表していただきたいと思います。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) 野原大臣のことでございますが、先ほど申し上げましたように、森産業の取締役であるということは大臣が知らなかった。で、申し上げましたように、二つの会社、岩手精密工業、それから何とか酪農運送会社、それに対しては大臣になられましてから遅滞なく辞任の手続を取っておられる。その登記がおそらく——それはもう無理だろうと思うんですよ、十四日に大臣になって、十五日に登記が消えておらなければ、あなたの言われるようなことになるわけであります。これは、私は実際無理だろうと思う。それはまあ、どういうふうな登記上の手続になるのか、スマートにいかなかった場合もあるでしょうし、手っ取り早くいく場合もあるでしょう。これはまあ、私が知るところではございませんけれども、大臣が言われるように辞任の手続をとられた。もし社長として、あるいは会長としての職務をとり、報酬を受けておったとすれば、これはもう当然閣僚にとどまる意思がなかったということになろうかと思いますが、しかし辞任届を出されて、業務に携らず、報酬ももらっておられないということであれば、これはその辞任届をされたということの善意を私は認むべきじゃなかろうか、これは野原さんの場合。私は、ほかの閣僚の方について一々関知しておりませんけれども、おそらくこういう事例が他の方にもしあったとすれば、十四日なり十五日には辞任手続を取られておる。そういう政府の最高責任者、行政府の責任者として身辺を清潔にしておくということは、これはもう当然のことでございまして、それを、あなたどうされましたか、こうされましたかと——あなたは何かやっておられましたが、どうされましたかということを、私一々聞いておりません。しかしどうしても、あなたが聞けとおっしゃるならば聞きもしましょう。私は、そういうことは閣僚の皆さんを信頼いたしておるわけでございます。しかし、しいてもう一ぺん調べて持ってこいということであれば、それにやぶさかでございません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 先ほど私が、まあ大臣に就任したあとで辞任の届けをされたと、もしかりにそうだとしてもですよ、野原さんが辞任の届けを出されたとしても、その後その届けが実現されていなかったということを知らなかった。つまり、そこまで責任を持ってそのことをやってない。また内閣としてもですよ、内閣としても、一度申し合わせしたことが実際守られているかどうかということを、これを責任を持って調べなかったということについては、やっぱり内閣として責任があるのじゃないか。不徹底だということについては責任があるんじゃないかということを申し上げたら、官房長官はうなずいておられた。そういう事態にかんがみて、私はやはり、先ほど私が要求した点について、やはり資料を要求したいと思います。これは正式に委員長に資料要求として申し上げますので、お計らいいただきたいと思います。  これで終わっておきます。

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) それでは、これをもって昭和四十二年度決算外二件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本賢一日本社会党

○委員長(松本賢一君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十六分散会

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