決算委員会 閉会後第10号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/11/04
会議録
○委員長(森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 この際、参考人の出席についておはかりいたします。昭和四十三年度決算外二件の審査のため、富士銀行頭取岩佐凱實君及び同常務取締役冨田修平君を参考人として本日御出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(森元治郎君) 昭和四十三年度決算外二件を議題といたします。 本日は、まず大蔵省の決算の審査を行ない、引き続き外務省の決算につきまして審査を行ないます。 この際、参考人にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席いただきまして厚くお礼を申し上げます。本日は委員の質疑にお答えいただく形で御意見をお述べ願います。 それでは御質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 ついに大蔵の側からは、私の再三の要求にもかかわりませず富士銀行から大蔵省へ提出された報告書の現物については資料として御提出いただけませんでした。その趣旨は、報告書の中には銀行として当然業務上秘密にしておくことが許される事項が含まれているからということのようでありましたが、同時に、虚偽記載の有無については、あなたのところの係官が私のところにお見えになった、その説明によれば、銀行局の調査を信頼してもらいたい、一口に言えばそういうことであります。そこで私は、信頼をするという立場で、その調査のやり方、内容でありますが、口頭やあるいは文書で報告を受けただけなのか、それとも物件審査を行なわれたのか、その辺をまず伺いたい。
○説明員(近藤道生君) 主として口頭、及び特に大蔵省まで来てもらっていろいろと報告を受けるという形でございますが、その際に、物件を持ってくるということも当然含まれておるわけでございます。
○和田静夫君 そうしますと、銀行局が、この十九億四百万円のうちで単なる外国為替貸し付け一億八千六百万円を除く十七億一千八百万円を形成せしめたと言われる買い入れ外国為替の支払い伝票明細表のすべてについて、その現物を見て納得をされているのかどうか。
○説明員(近藤道生君) 担当官はそのすべてについて目を通しております。
○和田静夫君 それでは、それが菅沼の筆跡であるという確認はされましたか。
○説明員(近藤道生君) 菅沼の筆跡であるという銀行側の説明を聞いております。
○和田静夫君 じゃ警察庁にお尋ねいたしますが、すでに警察庁の側でも御承知でもありますが、私が直接トムソンの関係者から聞いたところによりますと、彼らは単名の普通手形を実は何度も何度も割り引いておりますというか、割り引いてもらっております。それが結果として七十数枚の普通手形になっているようであります。そして金を引き出しているわけです。現に、その単名の普通手形五億六千万円分がそのまま——ここが重要なところで、そのままですよ、ゼネラル・ベンディングに債権譲渡という形で引き渡されています。したがって、一説によれば、銀行側がこの事件を菅沼の個人犯罪に仕立て上げるために——つまり十九億もの金が菅沼個人の独断で融資できるはずがないという、一般のきわめて正当な疑問、これは冒頭の決算委員会でも大蔵大臣も認められているところですが、私たちのそういう一般的な正当な疑問、それに煙幕を張る目的で買い入れ外為支払い伝票明細表を偽造したともいわれるわけです。少なくともこの事件の争点は、いまや銀行幹部が菅沼のこの融資を知っていたかいなかということになりますから、この辺は私はたいへん重要だと思うのですが、しかるに菅沼は、みずからの手記に銀行幹部も知っていたと書いているわけです。そうして警察の取り調べでは、精神状態がおかしかったので、ああ書いてしまったと言っているのですね。これは新聞報道です。そうした菅沼の供述内容である以上、幹部が知っていたかどうかを判定する上で、その供述のみをたよりにすることは、私は大へん危険だ、たよりにすることはできないと思うのです。そうすれば、それを判定する上で、どうしても外国為替支払い伝票の現物の鑑定が必要だと考えるのですが、それはすでになされましたか。
○説明員(高松敬治君) 事件は、御承知のように菅沼が逮捕されまして、その間、被疑事実の一部について起訴になっております。しかし片方の金東善については、身柄の引き渡しも現在受けていない状況であります。そういう意味では、事件の中身につきましては現在捜査を続行しておるところでございます。そういう点から申しまして、事件の詳細、あるいはその逮捕の方法なり、そういうものにつきましての御説明は、この際私は差し控えさしていただきたい、かように思います。
○和田静夫君 そうすると、鑑定はされますか。
○説明員(高松敬治君) その点は私もよく承知いたしておりません。必要があれば当然警視庁がやってまいると思います。
○和田静夫君 金東善の身柄の引き渡しはいつごろですか。
○説明員(高松敬治君) 御承知のように十月二十六日にパリ控訴院の弾劾部で、日本政府の請求につきまして、金の身柄の引き渡しをすることが是である、こういう判決がございまして、現在これがフランスの法務省、あるいは外務省の両方の協議に回っているそうでございます。はっきりその日にちの予定は立ちませんが、案外手続にいろいろ時間がかかるようでございまして、今月末くらいになるんではなかろうか、こういうような説もいわれております。そういうような状況でございます。
○和田静夫君 引き渡しの方法ですが、どういう形で行なわれますか、たとえば日本国政府との関係では。
○説明員(高松敬治君) 日本政府としては、すでにフランス政府に対して正式に引き渡しを要求いたしております。それに対して、今度フランスの法務省と外務省とで協議をして、フランス政府の態度を正式にきめる。フランスの司法部の意見はすでに出ております。行政部としてそれを受け取って、日本政府の引き渡し要求に応ずるかどうか、そういうところを協議してきめる、こういう段階でございます。
○和田静夫君 それはわかりましたが、身柄を引き渡すということになった場合に、たとえば警視庁から出向いて行って、フランスで出されたところの金東善そのものを同行して、フランス国内を通りながら日本へ連れてくる、こういうような形になりますか、なりませんか。
○説明員(高松敬治君) 大体そういう形になると思います。フランスから大体飛行機で連れて帰る、こういう形になると思います。
○和田静夫君 ちょっとくどいようですが、たとえば刑務所なら刑務所から出て、金東善がフランスの国内で自由であるということは、予想できますか。
○説明員(高松敬治君) 現在フランスの法律によって拘禁されているわけでございます。その手続をいつ向こうが解くかという問題でございます。まあ私どもとしては、自由に彼が行動できる余地はなかろうというふうに思っております。
○和田静夫君 簡単にもう一言だけ聞きますが、たとえば菅沼の場合も、香港でもって執行するということにならないで九州の上空に来て執行をする、こういう形になりましたね。そうすると、金東善の場合に考えられることは、フランスの場合に、たとえば警視庁から付き添っているにしても、かなり自由な状態に置かれていることは間違いありませんね。それがそのままスムーズな形で飛行機に乗り込み、日本に来るという形になるという万々の保証がありますか。
○説明員(高松敬治君) 菅沼の場合には、香港の警察は飛行機のそばまでこれを持ってまいりました。フランスの場合にも大体そういう形で、まあ拘禁されている人間でありますから、大体そういう形になるのではないかというふうに私ども考えております。 それから逮捕状の執行につきましては、香港の場合にはこちらの鹿児島のほうに近寄ってから執行いたしましたが、理論的には当該国の領空を離れればできるというふうに考えます。それから日本の飛行機の場合、特にそれが可能であろうというふうに考えております。
○和田静夫君 岩佐頭取にお尋ねいたしますが、九月の本委員会で近藤銀行局長が私の質問に答えられて、「その伝票は菅沼自身、または係員に命じて記入させた場合もございますが、検印、印のほうは菅沼限りということで、特にあやしまれなかったようでございます。」と述べられたわけでございます。で、おたくでは伝票に係員が記入した場合、その係員は印を必ず押されますか、押されなくてもよろしいのですか。
○参考人(岩佐凱實君) 係員が判を押すことになっております。
○和田静夫君 普通、市中銀行が輸出手形を割り引く際には、相手方の輸入商社の取引銀行が発行した信用状に加えて、商品を船積みしたことを証明する証券、契約書などの提出が求められますね。そして、これらの関係書類に基づいて各支店の外為窓口の係員が、買い入れ外為伝票をつくり、自分の印鑑を押して副長の検印を求めるという、まあ外為係長のシステムになっているようでありますが、ずっと前からの決算委員会の説明を要約いたしますと、輸出手形の現物、ましてや、それに当然伴うべきはずの書類を見ないで係員が記入をしたり、印を押したりしていることに、結果的に富士銀行の場合はなるようですね、この事件については。そこで、そういうことを信じろということがずっと言われてきているのです。これはまあずいぶんしろうとだましのような話であると思うのですが、いかがですか。
○参考人(岩佐凱實君) その点につきましては、先生のいまの御指摘まことにごもっともな点もあるのでございますが、菅沼個人が外国為替の非常な経験の深い者であるということでございまして、菅沼をいわば過信を通り越して盲信をいたしておったというような関係もございまして、菅沼がみずから伝票をつくり、そしてみずから印鑑を盗用し、あるいは印鑑を偽造した点もあるのかとも思いますが、この点、私必ずしもはっきりわかっておりませんけれども、そういうことで同時にみずからも検印をしたというようなことをやりました関係上、そこに、本来ならば当然担当の部下である者がその点については疑問があるのではないか、おかしいのではないかという疑問を持って、支店長あるいは次長にそれを疑問として伝えるべきであったかと思うのでございますけれども、その点が、いまも繰り返して申しますように、本人のそういう経験、ベテランであるということをあまりにも盲信いたしておりましたし、また菅沼が部下をいろいろそこのところはじょうずなことを申しまして、そしてそういう菅沼独断ですべての処置をとっていたというようなことであるようでございまして、その点の事務のやり方につきましては、私どもとしてもこれは深く反省をいたしておるところでございまして、まあいわば支店の中において横のコミュニケーションあるいは上下のコミュニケーションというものが十分そこに行なわれておりますれば、いま先生から御指摘のございましたような点に疑問を持って、早期に発見できる、あるいはそういうことが行なわれないで済んだのではないかというふうに、いま悔まれておるのでございます。
○和田静夫君 四十四年の二月からこの買い入れ外国為替を仮装しての不正融資が行なわれたそうでありますが、それ以前に、単なる外国為替貸し付けによる一億八千万があります。これは一般の手形貸し付けと実体はまあ同じでしょう。この一億八千万円が気づかれなかった仕組みですね、これもどうも合点がいかないのですが、御説明願いたい。
○参考人(岩佐凱實君) そのこまかい仕組みにつきましては、委員長いかがでございましょうか、まことに申しわけないのでございますけれども、担当の者に詳しく説明さすことをお許しいただけませんでしょうか。
○委員長(森元治郎君) よろしゅうございます。
○参考人(冨田修平君) 私、富士銀行の常務の冨田でございます。ただいまの先生の御質問でございますが、やはり外国為替の輸出の手形貸し付けということでございまして、本人が非常にベテランだったということから、本人みずからが記帳、起票、そういったことをやり、また係もそれに盲従しておったということから、結果といたしまして気がつかずに済んでしまったということが実情でございます。まことにこの点につきましては返す返すも残念でございますが、そういったことが事実でございますことを御了承いただきたいと存じます。
○和田静夫君 私は全くしろうとなんですが、この一億八千万円の部分は、菅沼が外為の専門家であったがゆえに、ほかが気がつかなかったという論法が、どうしてもやっぱり合点がいかないんですけれども、一般の手形貸し付けと実体が同じようなものを、たとえば支店長にしたって銀行経歴が非常に長い方でしょうから、それらの方が気がつかなかったということにはどうもならないような気がするのですが、気がつかなかった、残念である、しかたがない、改めると言われてしまえば、それまでですが、そんなに一般の手形貸し付けと実体が同じような外国為替の貸し付けによる一億八千万の部分について、気がつかないものですか。
○参考人(冨田修平君) では重ねてお答えさせていただきます。 実は、株式会社トムソン以外のほかの取引先の名義を使いまして、そこに許容するという形で店内の支店長あたりを偽わりまして、そこに出した金をトムソンの当座に振り込む、こういうやり方をとったわけでございます。
○和田静夫君 警察庁にお尋ねをいたしますが、香港で菅沼の世話をしていたといわれるスクラップ商に、菅沼は、商品相場に手を出したことはないと言ったというような話もありますが、これは事実ですか。
○説明員(高松敬治君) 私のほうでは承知いたしておりません。
○和田静夫君 そうしますと、いつごろから何という商品相場会社を通じて、彼はいわゆる商品相場に手を出したのですか。
○説明員(高松敬治君) 先ほども申し上げましたように、菅沼につきましては、まだ犯行の一部が起訴になっておるという段階でございます。それで、動機なりその他の問題につきましていろいろ調べておりますけれども、その内容につきまして申し上げることは、私どもの立場からいたしましては、ひとつ差し控えさしていただきたい、かように思うので、御了承いただきたいと思います。
○和田静夫君 頭取にお尋ねをいたしますが、八月二十日の朝日新聞によりますと、「菅沼は成績もいいし、事務的にも有能なので信用していたが、見そこなった。」と述べられておることになっておりますが、富士銀行では岩佐頭取など——私はきょう初めてお会いするんですが——非常に地位の高い頭取自身が、副長程度の性格までこまかくお知りになっておるわけですか。そういうシステムになっているわけですか。
○参考人(岩佐凱實君) 今回の事件につきまして、一言この機会におわびをさしていただきたいと存ずるのでございますが、こういうような不祥事件を起こしまして——これは全く私の監督の不行き届き、人事の選定の誤り、こういうようなことから世間をお騒がせし、各方面にいろいろな御迷惑をかけたということは、まことに申しわけない次第でございまして、この点についてはこの機会に深くおわびをさせていただきたいと存じます。私といたしましては今回の事件を深く反省いたしまして、内部の管理体制のいろいろな改善、それから人事行政につきましてもいろいろなやり方、それから行員の訓練、モラルの向上、そういうようなものについて改むべきことは——すぐできますことは改めつつございますし、今後においてもさらに改めてまいりたいと思って、いろいろその点についての検討を続けさせております。そういうようなことでございますが、いま先生の御指摘のございました点、率直に私申しまして、支店が二百以上もございます。支店長、次長、副長、役職者はそういう順序でございますが、それに一般行員が多数おるわけでございます。少なくとも支店長については、私はその人物、経験、能力等、相当程度承知しておるつもりでございます。しかしこれにつきましても、雷門前支店長の人選に私は誤りがあったということを深く反省しておるものでございますが、副長のことにつきましては、副長の学歴それから入行以来の勤務ぶり、それから菅沼の場合は外国為替でございますが、外国為替についての能力、そういう点は、こういうことを犯しますまでは、むしろ優秀な部類——そういう点だけ考えますと優秀な部類に属しておりました人物でございます。それでありますがゆえに副長に任命いたしまして外国為替係長として雷門で外国為替についての責任者として職務の遂行をしておったわけでございまして、それがこういう悪事、犯行を犯しましたということにつきましては、人物を見そこなっていたじゃないかというおしかりをいただけば、まことにそのとおりでございまして、これは深くおわびするほかない、こういうふうに存ずるわけでございます。
○和田静夫君 頭取は、雷門支店のこの前の事件といいますか、この前の決算委員会で申した三千三百万円、この使い込み事件の処理の一端を菅沼に担当させていらっしゃるのではありませんか。そのときに菅沼にお会いになってお話をされている、この辺はどうなんですかね。私は実は、あの三千三百万円の、あのときの事件の係員はすでにおやめになっていますが、三千三百万円の使い込みに対してとにかく五百万払わせただけで処理していらっしゃる銀行の実態というところまで知っているんですが、これはいかがですか。菅沼自身があのときに、菅沼と親戚関係のあるたいへん有力な産業人を動かして、このことの解決に一役をになっていることは、これは間違いありません。この過程を通じての話です。
○参考人(岩佐凱實君) いま御指摘の、前の点でございますが、そういう事件があったという報告は私もちろん受けておったのでございますけれども、この事件の処理に関しまして、まことにこれは先生の御指摘でお恥ずかしい話なんでございますけれども、菅沼自身に会いまして私が問いただし、あるいは今後を戒めるといったようなことをやっておりませんでございました。これは申しわけなく存じております。そしてあの事件の処理につきましては、いまになって反省いたしてみますと、あのときに、あるいは事柄をはっきりいたしまして、それで御当局の処分を仰ぐというような手順をとりましておりますれば、今回のようなことがあるいは未然に防げたのではないかということを、いま私としては深く反省もし、悔やんでおるわけでございます。
○和田静夫君 頭取は菅沼の手記を当然お読みになったと思いますが、あそこに書いてあることはすべてうそですか。
○参考人(岩佐凱實君) そのお尋ねも、これも先生のおことばに対して私まことにお恥ずかしい話でございますが、全然手記を読んでおりません次第でございまして、これはひとつお許しいただきたいと思うのでございます。
○和田静夫君 これは、冨田常務のほうはお読みになっていますか。
○参考人(冨田修平君) 一応目だけさっと通したという程度で見ております。
○和田静夫君 真偽のほどは……。
○参考人(冨田修平君) 私どもそれを拝見いたしまして、ある部分は菅沼でなければ書けないものであろうという点もわかりますけれども、私どもの考えておりましたこととはだいぶ違った点もあるというふうなことで、はたしてそれが真実のものであるかどうかという点については、全くわからないという感じを持ちました。
○和田静夫君 この前の決算委員会で、私はこういうふうに述べたのですが、この事件で銀行のとった態度はどうだったかということを考えてみた場合に、事件が外に漏れたと知るや、佐々木副頭取みずからが幾つかの週刊誌の記事をつぶすために動いておる。担当重役や部長、次長、副長、課長、課長補佐に至るまで、お家の一大事とばかりに、手づるという手づるをすべてたどって、各級の人を総動員しながらつぶされようとした。外に漏れないようにされた。ところが結局つぶしがきかなくて、事件が外に出てしまったので、しかたなしにいろいろな談話を発表され始めて、しかもその談話の内容も、刑事捜査その他によって事件の真相がだんだん一部明らかになっていくに従って、変化してきた。たとえば富士銀行の最高幹部の中には、有馬とかトムソンとかいう名前は聞いたこともないと言明する人さえ当初はいた。ところが事態がだんだん明らかになると、コカコーラの仲介で最高幹部が有馬への融資を一たんは検討した事実をずっとあとになって認められた。また、例の雷門支店の三千三百万円の事件についても、春山管理課長などは当初は全く知らないと言っていらっしゃった。それがこの前の質問で明らかになって、これを認めざるを得なくなった。こうして見てきますと、富士銀行幹部の発言よりは、菅沼の手記のほうがはるかに真実味が実はあるのです。読んでごらんになるとおわかりになりますが、はるかに菅沼の手記のほうが私たちしろうとの疑問に答えております。しかしともあれ、あなた方はトムソンへの融資を幹部も知っていたという書き方には反発をされ続けているのです。それでお聞きしたいのですが、あの手記の中に数寄屋橋、堂島、雷門等の一連の不正事件とありますが、雷門は例の三千三百万の事件——これもお隠しになっていたのですが——その事件であるとして、堂島事件というのはどんな事件ですか。
○参考人(岩佐凱實君) 堂島に事件があったということは私承知しておるのでございますけれども、この内容につきましては冨田常務に説明させてよろしゅうございましょうか。
○参考人(冨田修平君) お答えいたします。堂島並びに数寄屋橋におきましても事件がございましたことにつきましては、あったことを思い出しまして、私ども調査いたしまして、それを持っておったわけでございますが、いまここに手持ちがございませんので、これは間違って報告いたしてもあれでございますので、この時間中にわかりましたらばお答え申し上げまするし、もしできませんでしたら、書類で報告させていただきたいと思いますが。
○和田静夫君 これはすでに銀行局に報告が出ておりますから、大蔵省の側からでもけっこうです。
○説明員(近藤道生君) 検査の際に説明を受けました堂島支店の事故の概要でございますが、発覚をいたしましたのは昭和四十一年の九月二十日でございます。当時の副長でありました人物が事故を起こしております。事故金額は六十万円というふうに聞いております。そしてその事故を起こした本人は免職になったというふうに報告されております。
○和田静夫君 数寄屋橋の事件は。
○説明員(近藤道生君) 数寄屋橋支店につきましても報告されたものによりまして申し上げますと、発覚日が昭和三十五年五月二十四日でございます。事故者は支店長代理でございます。金額は四百五万三千七百七十六円ということになっております。事故を起こしました本人は免職になっております。
○和田静夫君 数寄屋橋支店では、その前にも事件があった……。
○説明員(近藤道生君) 昭和三十五年五月のこの事件の、さらに前に事故があったということは実は聞いておりませんが、なお調査いたします。
○和田静夫君 これは頭取さんでも常務さんでもけっこうですが、いまの前の事件ですね。十三年前の事件で、当時の金額で二千万円。当時の金額で二千万円ですから、これはたいへんな金額なんです。いま言われたのは、その三年後で数寄屋橋支店で支店長代理が使い込んだのです。私の問題にしたいのは、その前の、その当時の金で二千万円という大きな金です。
○参考人(岩佐凱實君) 私、不明にして十三年前の事件につきまして記憶がございませんので、後刻よく調査いたしまして御報告させていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。
○和田静夫君 これは、この一連の事件を通して、この前三千三百万円の事件の処理をめぐって大蔵大臣から御答弁をいただいておりますが、頭取からも御答弁いただきたいのですが、内部的に処理をされている。そして処理されている関係というものを、当時雷門で係長をしていた菅沼も見ている。そういう処理の結果、先ほど頭取もその非を認められましたけれども、菅沼の事件へという関連性ですね。こういう点については、たいへんそういうやり方というのは、よいやり方ではないということはお認めになりますね、処理のしかた。
○参考人(岩佐凱實君) そのいま先生のお尋ねの点につきましては、まことに先生の御指摘はごもっともでございまして、とかく従来銀行の内部で起こりましたそういう不正な事件につきまして、銀行の内部だけで処理してしまおうというようなことになりがちでございますということは、私率直に、これこそほんとうに、今回のこの事件を契機にいたしまして、深く反省をいたしておるところでございます。
○和田静夫君 おたくの銀行がユーロダラーの引き入れ時にやみ金利をお払いになっているということは、ほんとうですか。
○参考人(岩佐凱實君) いまの先生の御質問でございますけれども、やみ金利を払っているということは、私そういうことはないというふうに考えております。
○和田静夫君 これは冨田常務、ありませんか。
○参考人(冨田修平君) 私は外国為替につきましてはあまりよく存じておりませんけれども、私の聞きます範囲におきましては、市場金利というものをこえた金利の支払いというものが、過去数年ぐらい前におきましてはそういう話も聞いたことがございますが、具体的に当行にそういうことがあったのかどうかということにつきまして、私ども承知をいたしておらないわけでございます。
○和田静夫君 いまおやめになっているということですから、この辺はあまり深追いしませんが、銀座、渋谷、雷門等の裏預金貸し金庫のいわゆる内情というものが手記にあらわれますね。あの辺のことは一体どういうことでしょうか。
○参考人(冨田修平君) これも前に私、手記で見ましたところで、いま十分覚えておりませんけれども、菅沼個人がはたしてそれは具体的に何をさして言おうとしておったのかということにつきまして、手記だけではよく判明いたしません。一般論としまして、そういったケースがあったのではないかというふうなことを本人が耳にしたり、取引先からいろいろ聞いたりしたということが頭にあったということ、もし手記に書いたとすれば、そういうことを根拠にして書いたのではないかというふうに想像されるわけでございます。
○和田静夫君 警察庁にお尋ねをいたしますが、いままでの質疑を通じて明らかになっていますように、菅沼の例の手記は、まるっきりうそばかりではないのです。それにもかかわらず、どうも、うそばかりであるような印象を——そういう印象を受けるほうが悪いと言われればそれまででありますが——あえて世間に与えられるような形での発表が多いような気がするのです。菅沼が香港から帰る飛行機の中で、まず少し頭にきて、あの手記を書いたというふうな供述を始めるようになったのは、そういう供述をさせる環境がだんだんとつくられて、その零囲気にならされてこの菅沼の供述が変化してきたように、しろうとなりに私は思うのですが、そういうことはありませんか。
○説明員(高松敬治君) 新聞紙その他においていろいろ報道がありましたことは、私も承知をいたしております。それから手記について菅沼が申したという点についても若干承知をいたしておりますが、ただ、こういう一つの捜査の過程において、ある特定の時点においてどういう言い方をしたというふうなことは、最終的に、決定的にこれについてどうかという問題に比べますと、その間に浮動性が非常に多いというのが通常でございます。ただ、いまおっしゃいますように、たとえば一つの方向に引っ張っていくような空気がつくられつつあるということは、私は万あるまいと思います。それは警察として非常に公正な立場において、菅沼自身の言い分にしろ、あるいは被害者の言い分にしろ、そういうものを公正に突き合わせて、そこに真実を見つけ出す、こういう立場であることを私は信じております。
○和田静夫君 まだ捜査の過程だからという先ほどの答弁に返ると思いますから、意見としてお聞き願えればいいのですが、あの手記のどの部分と、どの部分が正しくて、どの部分がうそであるかということをはっきりさせることが必要だと思います。全部がうそだという印象を世間に与えているのは、どうしても納得できないのです。現に正しいと、いまのやりとりによって明確になった点があるのですから、そのどの部分がうそであり、どの部分が正しいということを明らかにしてもらいたいと思います。これはよろしいですか。
○説明員(高松敬治君) 公正な立場に立って、その問題も煮詰めていきたい、こう思います。
○和田静夫君 トムソン産業株式会社の登記関係の書類を昨日ひっくり返していて気がついたのですが、四十四年の二月、三月段階からこの会社の役員に非常に異動が目立つのですね。すなわち守屋義弘氏が二月二十八日に、佐久間義彦氏が三月七日に取締役を辞任しております。そうしてそのかわりに例の空手の極真会の大山倍達氏の紹介で荒木常浩氏、松原栄蔵氏といった人が入ってきているわけです。そうして五月には有馬、荒木、松原といった韓国人グループが辞任しています。七月十五日に有馬が再び代表取締役に就任し、七月三十日に今度は退任するといった、そういう奇妙なことになっております。これはすでに将来性を喪失してしまったトムソン会社への富士銀行の融資金をめぐる動きであると解することができます。私はこの時期に——近藤局長はさきの委員会で日本コカコーラからのアクションという私の発言を、コカコーラ・エクスポート社というふうに訂正されました。ところがこれは調べてみますと、日本コカコーラは昭和三十四年六月二十五日にこのコカコーラ・エクスポート社の全額出資でできた会社ですから、この違いはあまりこの場合本質的なものではないのです。ともあれコカコーラ・エクスポート社のアクションによって富士銀行が本格的な融資を開始する。その後間もなく何かの都合で——私は、この何かの都合が非常に重要であると思っておりますが、何かの都合でその焦げつきを覚悟する、こういう筋書きになります。で、銀行側が菅沼の不正融資に気がついたのは本年三月末であると言い張られています。それがうそであることは、これはもう明確であると思うのですね。これは富士銀行の関係者の話によりますと、昨年はおたくの銀行の九十周年にあたって、記念行事が全国的に展開をされまして、特に十一月一日の創立記念日にそれを盛り上げようとしていたことから、何とかそれを過ぎるまではこの事件が外部に漏れることを押えておきたいということであった。そうではありませんか。この話は、雷門支店の買い入れ外為勘定残高が異常に高いことから雷門支店の外為損益が不当に赤字になっているということに外国部の業務係担当者が気づき、それが事件発覚の端緒となったという。しかるに外為勘定残高が昨年十二月ですでに六億七千万円もあります。三月末発覚というのはおそ過ぎるのではないかという、さきの委員会における私の指摘に、実はぴったりと符合するのが、いま前段で述べた部分なんですが、いかがです。
○参考人(岩佐凱實君) 先生のただいまのお尋ねでございますけれども、日本コカコーラとの預金の関係は、四十三年の八月に預金の取引の開始をしてくれるという先方との間の話し合いはできておりました。そしてその後におきまして、四十四年の三月に預金の取引が開始されたのでございます。そしてコカコーラの預金は、先生もこの点は十分御承知のことと存じますが、季節性がございまして、夏にコカコーラの売れ行きが非常に伸びるわけでございますが、その伸びますに伴いまして預金がふえてまいりまして、それからシーズンがはずれてまいりますと預金は減少してまいる。そういう形を繰り返して今日に至っておる次第でございまして、今回のこの菅沼の不正融資の問題とは一切関係がないというふうに私は確信を持って申し上げる次第でございます。 それから、先生が次に御指摘になったのでございますけれども、九十周年は昨年というように伺ったんでございますけれども、九十周年はことしでございます。それで九十周年の問題と今回のこの事件とは一切関係はないわけでございまして、それだからこれを公表と申しますか、これをはっきり外部に出ることを故意におくらせたのではないかというようなお尋ねのようにも伺いましたのでございますけれども、そういうことではございません。この発表がおくれたということについては、私どもとしてはいろいろにその点は反省しておるところでございます。 それからもう一つ、先生のお尋ねにあったと思うのでございますが、この事件を本部の者がはっきり知りましたのは四月の二日でございます。これははっきり申し上げておきたいと存ずるのでございますが、三月二十五日の時点におきまして、本部の外国部の担当の者が雷門支店の勘定がおかしいということに気づいて、それで菅沼自身にそのことを問いただしておったと、その辺からこの事件の発覚の端緒を得ておったわけでございますけれども、四月二日に本部の者ははっきりそういう不正があったということを初めて承知したわけでございまして、同時に支店長——当時の雷門支店長、次長も知らなかったわけでございまして、この点は先ほどからいろいろ先生から御指摘がございますように、内部管理体制のはなはだ不備、あるいは本人をあまりにも過信を通り越して盲信しておったというような、いろいろな内部管理の点について遺憾な点が多々あったわけでございまして、その点につきまして、私としては徹底的に原因を究明して、深く反省して、今後再びこういうようなことが絶対に起こらないように、ただいまいろいろ努力をいたしておる次第でございます。
○和田静夫君 三月末以前にお知りにならなければたいへん不自然です。後ほどコンピューターの問題で少しお聞きをしますが、夢の殿堂といわれるいまの本社ができたときに、本社自身がコンピューターを入れたことを内外にたいへん自信をもって説明されたわけですからね。そしてコンピューターの数字をずっと推していきますと、たとえば十二月ですでに六億七千万円もあるんですからね、外為勘定残高が。したがって三月末以前にこの数字を見ていらっしゃればおわかりにならぬはずはありません。そうすると、それは全然見ていなかったということになりますか。見てもふしぎに思われなかったということになりますか。
○参考人(岩佐凱實君) まことに、先生の御指摘の御疑問にはごもっともな点があると思うのでございますが、実はコンピューターの問題というのは——はなはだ不明なことを申し上げるようでございますけれども、コンピューターというものは実は私どもの年配になりますとなかなかわかりにくい点がございまして、私も確信を持って申し上げにくい点があることをひとつお許しいただきたいと思うのでございますけれども、一応今回のことをあらまし申し上げますと、買い入れ外国為替につきまして昭和四十三年の十一月以降にコンピューター処理を導入いたしたわけでございます。そしてかりに架空の輸出手形の買い取りをコンピューターに載せた場合がもしあるといたしますれば、営業店舗と本部の集中部門の必要データが突き合わない。突き合わないということのために記帳処理がし得ないで、個別かつ自動的に不正分を吐き出す機能をコンピューターとしては持っておるのでございます。この点、先生にさらに御質問をいただきますと、私いま申し上げたようにコンピューターに非常に弱いものでございますから、これはお許しいただきたいと思うのでございます。それで、今回の事件は、センターあての外貨買い入れ外国為替支払い伝票明細表を故意に送らないということを菅沼がやったわけでございます。それから支店の計算係等において——そうすれば異例な事務処理がそこにあったわけでございますから、その事務処理に本来ならば気づいていなければならなかったと思うのでございますが、この異例な事務処理に気づかなかったということでございまして、正規の取り扱い方法を厳守して、そのとおりやるという基本に徹底しておりますれば、事件発覚の機会は確かに先生の御指摘のようにあったと思うのでございます。これは私も非常に悔やまれる点でございますのですが、要するに今回の事件は、コンピューターの導入がその原因となったということではないのでございまして、コンピューターそのものによるチェックシステムはむしろ完備しておるわけでございますけれども、問題は、正規の取り扱い方法を守るという事務の基本に徹底しておりますれば、事件の発覚の機会は多かったはずであるということでございまして、この点については私としてもまことに悔やんでおる次第でございます。
○和田静夫君 どうしても四月にしか知らなかったと固執されますから、つかぬことをあげざるを得ないわけですが、たとえば鹿児島支店長をやっておられた木原、この方は八月からゼネラル・ベンディングに移っておられますが、この方の家族はそのことを前提として三月末以前にすでに東京に移転をされておられますね。この辺は一体、関係がありませんか。
○参考人(岩佐凱實君) そういうことは全然ございません。本人は家族を東京に置きまして鹿児島に赴任をいたしておったのでございます。
○和田静夫君 それじゃもうあれですけれども、これは某と言っておきますが、某興信所がこの事件を調べて、その調査報告書ができているのは御存じですか。
○参考人(岩佐凱實君) いまの先生の御指摘の点でございますけれども、私は全然それは存じませんのでございますが……。
○和田静夫君 実は、この興信所の調査報告書を読んでみますと、富士銀行のコメントがついているのですから、まあ頭取、常務がお知りにならなければ、どなたかお知りになっていると思うんです。この報告書は二月二日付になっています。そこには、一月時点で十五億の焦げつきがあることをトムソンが認めて、銀行側の、目下不況だが盛り返すという趣旨のコメントが載っておるんです。これだけ明らかにしても、まだ心当たりはありませんか。
○参考人(岩佐凱實君) いや私は、全然そういうことは記憶も——そういうものは、まことに何でございますけれども、全然存じないものでございますから、全くわかりませんのでございます。
○参考人(冨田修平君) お答えいたします。私も、その興信所の報告というようなものにつきましては、まだ存じておりませんでした。また、先生からその報告書に出ておるというお話がございました残高でございますが、トムソンに対する残高につきましては、ことしの一月で八億七千六百万、二月は十億六千万という金額でございますので、ただいまの数字とちょっと違うのではなかろうかという気がいたします。
○和田静夫君 いや、それはわかっているんですよ。十五億と出ておるけれども——十九億四百万の不正融資分については、いま御説明があった金額でしょう。そこで十五億あるということは、まだほかにないかということでございます、一月段階で。これはいま否定されますならば、別の問題にします。 それで、頭取にお尋ねをいたしますが、菅沼が失踪をして、十九億四百万の焦げつきが明らかになったのが四月二日と、いま何べんも明確に答弁されました。富士銀行が菅沼を告訴されたのはいつですか。
○参考人(岩佐凱實君) 正式に告訴いたしましたのは、九月の十四日と記憶いたしております。
○和田静夫君 九月十九日に告訴された。十九日でしょう、警察庁。
○説明員(高松敬治君) 警視庁が受理いたしましたのは九月の十四日でございます。
○和田静夫君 九月十四日。そこで、四月二日から九月十四日まで、約半年間も告訴をされなかった理由というのは何でありますか。
○参考人(岩佐凱實君) それは、四月二日にわかりまして以後、とにかくトムソン株式会社は当時営業を続けておりました次第でございます。そうして、この仕事は、経営者の問題はしばらく別といたしまして、事業そのものは自動販売機による清涼飲料水を販売していくという仕事でございますので、これは経営者のよろしきを得れば、十分に将来性のある仕事であろうということもございました。そうして銀行といたしましては、債権の確認、それから債権の保全、担保を獲得していくこと、それから回収につとめることというような点に重点を置きまして、いろいろトムソン株式会社の代表者と折衝をいたしておったわけでございます。そういうことでございまして、まあその点につきましては、もっと早く告訴すべきであったのではないかという御批判があろうかと思うのでございますが、その点につきましては、私も今回の事件を振り返ってみまして深く反省をしておるところでございますが、そういうことに努力をいたしつつ、それから御当局のほうへ、こういう事件の内容であるということを御報告いたして以来、告訴の点については、もちろん私ども考えておったのでございますけれども、正式な告訴をいたしますには、いろいろなやはり書類が要るわけでございまして、そういうような書類をいろいろつくるというような点に、ある程度の時間がかかるということもございまして、正式な告訴の日がおくれたということもございます。そういうことでございますが、先生の御指摘の点、私も深く反省しておる点でございます。
○和田静夫君 この点、しろうとなりに一番先に疑問に思ったものですから、正直な話、責任ある頭取にここに来てもらうような原因になったのも、一つはこの告訴問題の最初のやりとりで、どうも来てもらわなければわからぬものがある。したがって、ここでお聞きしたいのですが、九月二日、最初にこの委員会で富士銀行問題を扱ったときに、外務省は私に対して、富士銀行が直ちに告訴をし、警察から連絡さえあれば、菅沼に旅券をおろさなかったと言っている。それは旅券法でそうなるわけですね。菅沼を告訴もせずにいたということで、私は当時、富士銀行が故意に海外逃亡を助けたのではないか、こうまで言ったわけです。それは旅券法から類推して結果的にはそうなりますよ。そういうようなことが端緒となって——どうしても頭取に来てもらわなければわからないといったのはここですが、いま言われたことで反省をされていますから、それ以上のことは申し上げませんけれども、確かに有馬との関係においては、いまの言い分は成り立つわけですけれども、しかし、行内における菅沼の不正融資ということについては、もっと早く適切な措置というものが当然あり得た、そういうふうに思います。 それからもう一つは、富士銀行が押えられたという担保ですね。これもこの前の決算委員会で問題にしているんですが、有馬が地区トムソンからだまし取った担保物件と言っていいと思いますが、地区トムソン側に言わせると、われわれは銀行に提供したのではない、自動販売機購入のために津上文化機器に渡したものである、返してくれと言っているんだがと、こういう主張があります。こういうように、将来は法廷で争うと言っているんですが、争われてどうなるかわからないようなものまで担保として押えたということに、結果的になっているんですが、これは言ってみれば公衆をたいへん欺くものだというふうに私は思いますが、そうはお思いになりませんか。
○参考人(岩佐凱實君) 先生のいまの御指摘の点でございますけれども、取りました不動産担保の中には、先生の御指摘のございましたとおりに、第三者名義のものがあるのでございますけれども、これらの物件はいずれも登記に必要な当行制定の抵当権設定書、印鑑証明書、委任状、権利書等を添えて当行に提供されておりますわけでございまして、名義人の方々は、当行に担保として差し入れを御承知のことと存じておる次第でございます。 なお、登記は成規の手続によって行なっておりますので、法律的にも全く問題がないものであろうというふうに存じておるのでございます。
○和田静夫君 コンピューター問題については先ほど言われましたし、われわれの年代だってそうコンピューターがわかるわけじゃないので、あれですが、コンピューターというのは七〇年代政治との関係でたいへん重要な問題ですが、私は、予算委員会その他各所でコンピューターと行政という問題を一応突っ込んでいきたいし、いままでもきている。そういう意味では、富士銀行を端緒にして一つの事例が生まれたと思うんですが、ただ、先ほど来の説明でコンピューター問題の説明と理解のしかたというのがわからないわけではありません。あの答弁の限りではわかったと言っていいと思うんですが、ただ一つ、富士銀行の本店ができたとき、ともあれ頭取は、コンピューターを導入して、大衆の金の安全性をさらに高めるというあいさつをされております。ところが、そのコンピューターが今回の事件の発覚を逆の意味ではおくらせたとも言える。そういう意味で、あなたの道義的責任は、言ってみればおおうべくもないという感じがいたしますが、福田大蔵大臣は九月二日の本委員会で、銀行法違反があれば頭取を罷免すると、こう私に答弁をされている。そして十月八日の委員会で銀行局長は私の質問に答えられて、「これは虚偽、いわゆる官庁を欺罔するという銀行法上の欺罔には当たりませんが、結果においては虚偽ということはおっしゃるとおりであります。」と、こう答弁をされているんです。銀行法三十四条は、言うまでもなくこういうふうになっているわけですね、「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」、で、意識して官庁を欺いてらっしゃるというふうに私は決して思いませんが、この事件ばかりではなく、いままでの三千三百万円の事件もしかりですけれども、内部的に処理されるというようなやり方を通して、事件をともあれ隠し続ける姿勢であった。その辺は、公衆を欺いたということに私は結果的にはなると思うんです。あなたは、そういう意味で銀行法違反に問われる前に、頭取としての責任について、おやめになる等のやり方を含んで、何かお考えになっていることがありますか。
○参考人(岩佐凱實君) 私といたしましては、いろいろ今回の事件についても世間をお騒がせし、銀行の信用を傷つけたということについては、まことに申しわけなく、深くおわびを申し上げている次第でございますけれども、今回のみならず、いままでのいろいろなやり方につきましては徹底的に改善をいたしまして、そして今後の経営につきましても、私自身十分自粛自戒し、そして深く反省をいたしまして、行内の綱紀を一そう厳粛にいたしまして、再びこういうようなことが起こらないように万全の対策を尽くしてまいりたいという覚悟でございまして、私は、もとよりまことに微力なものでございますけれども、この信用の回復のために、私といたしましては、粉骨砕心してあらん限りの努力を払ってつとめてまいりたいというのが、私の現在の決意でございますので、何とぞその点は御了承いただきたいと存ずるのでございます。
○和田静夫君 銀行の不祥事件というのは富士銀行に限らず相次いでいるわけです。銀行の不祥事件はおたくの銀行に限らず相次いでいます。銀行協会の会長であられる頭取とされては、各銀行の不祥事件について、いまどういう見解をお持ちになるのか、どのような措置をとられましたか。
○参考人(岩佐凱實君) いまの先生の御指摘のように、富士銀行に起こりましたことは、まことにこれは金額も巨額でございますが、まあ金額の大小にかかわらず、不祥事件が若干ございますことは、先生の御指摘のとおりでございます。そういうことでもございますので、ここでやはり社会的公器としての銀行の信用を回復し、そして銀行のいわゆるイメージダウンというようなことがないようにやってまいらなければならないということでございますので、九月早々の銀行協会の頭取の集まりであります理事会におきまして、業務管理等改善委員会というものを設けまして、そしていままでの銀行の根本的な姿勢と申しますか、そういうような点についても深く反省を加えていく。それから業務活動につきましても、これは過当競争といったような御比判も世間からちょうだいしておりますので、こういうような過当競争の自粛というようなこと、それから業務の活動に行き過ぎた点もあるやに考えられます。そういうような業務活動も正常化をしていく。それから業務の運営についての健全化をはかっていく。ことに内部管理体制、それぞれの銀行の内部管理体制についても、いろいろな点においてお互いに持ち寄りまして、そしてそういう点についての改善を徹底的にはかっていくということで、十月の初めの理事会におきましては、とりあえずできることを、いろいろ専門の担当の者たちが集まりましてきめてもらったことを理事会において決定いたしまして、それを実行に移していくということで現在努力中でございます。それで、いろいろすぐにできますことと、必ずしもすぐにはできないことと、いままでの惰性と申しますか、そういうものもございますので、できないこともございますが、逐次そういうことで改善をはかっていく、こういうことで取り組んでおります。御了承いただきたいと思います。
○和田静夫君 しかし、銀行史上最大の不祥事件を起こされた富士銀行の頭取のあなたが会長では、他の銀行に対しても迫力がないし、あなた自身としてもたいへんおやりにくい状態ではないかといま思うのですね。銀行協会の会長としての立場というのはおやめになるつもりはないわけですか。
○参考人(岩佐凱實君) それにつきましては、いろいろの御意見もあろうかと思いますが、これはいわば銀行協会内部できめる問題でもございますが、私といたしましては、先ほどから申し上げているように、今回の事件を深く反省いたしまして、そして銀行界ともどもに、いまのお話し申し上げているようないろいろな世間からの御比判に対しまして、銀行界としてこれにこたえていく。そしていろいろな点について自粛自戒し、改善をはかっていくということに努力いたしております次第でございますので、その点は何とぞ御了承いただきたいと思います。
○和田静夫君 日銀にお尋ねをいたしますが、日銀は外国為替管理令第二十八条に基づいて大蔵大臣、通産大臣から外為管理の委任を受けているはずであります。しかるに、今度の事件で実際に外為でないものが虚偽に外為として取り扱われて、その結果、わが国の外為管理に何がしかの影響なしとは言えないと思うのですが、その点についてはどうお考えでありますか。
○参考人(藤本厳三君) ただいまのお尋ねの点でございますが、私どもは各外国為替銀行から外国為替の勘定につきまして報告をいただいておるわけでございます。それは毎日の分と、それから旬末ごとの分、それから月末の分と、多少精粗の差があるわけでございますが、買い為替勘定につきまして報告をいただいておるわけでございますが、私どもがいただいております報告は、いま先生の御指摘のように、確かに買い為替勘定を起こしたものが全部上がってくるわけでございますけれども、これは一本でございまして、トータルの金額として、中身はわからないわけでございますが、私どもが富士銀行から伺っております話では、この件につきましては私どもへの報告の計数の中には入っていないというふうに伺っております。したがいまして、私どもが作成をいたしております国際収支表、それから銀行部門の対外債権債務につきましての計数の上には関係がないものと考えております。
○和田静夫君 三和銀行の虎ノ門支店の件で大蔵省にお尋ねをいたしますが、この件は三和銀行虎ノ門支店から岩井経済研究所に、四十三年暮れから四十四年五月ごろまで、三千万円ずつ何回かにわたって無担保で貸し出された、この岩井という人は報告によればどういう人ですか。
○説明員(近藤道生君) 経済旋風社の社長であるという報告を受けております。
○和田静夫君 そういう人が三和銀行と取引を始めるに至った契機は一体何ですか。
○説明員(近藤道生君) 昭和二十八年に岩井氏の発行する業界誌の購入、それから広告の掲載、それを三和銀行が扱った、そのときから関係ができまして、経済旋風社がその後東京に進出いたしまして、昭和四十二年十二月虎ノ門支店で当座預金の取引を開始したというふうに報告を受けております。
○和田静夫君 あっせん者はどなたですか。
○説明員(近藤道生君) あっせん者については特に報告を受けておりません。
○和田静夫君 大蔵省にお伺いしますが、大蔵大臣は打ち続く銀行の不祥事件を前に、銀行の中堅職員のモラルを高揚する談話を発表されました。問題は職員のモラルのみに帰せられるであろうかということであります。金融再編成の波の中で、各銀行は相当な無理をしていらっしゃいます。裏金利のために資金の安全性がおろそかにされておる。表に出た事件は依然として氷山の一角にすぎません。大蔵省はこれらの事件を洗いざらい調査して、その中から、あのかたかなで書かれた古き銀行法を改正するつもりはありませんか。次官、いかがですか。
○説明員(藤田正明君) おっしゃるとおりでありまして、競争原理の導入そのほか金融の再編成で、従来の銀行のあり方と多少変わってまいりました。そこでまた、いろいろな無理が生じてきているであろうという御質問かと思います。それに伴いまして銀行法の改正というふうなことがあり得るかということでありますが、私はあり得ると思います。現状に即したものにまた考え直していかなければならぬと思いますが、いま現在はまだ手がけておりません。
○和田静夫君 そのあり得る銀行法の改正のときに、もう一つ、たとえば十九億もの焦げつきを出して、なお頭取がそのままおれるという銀行法、やっぱりそういう側面はどう考えても私としてはおかしいのではないか、こういうふうに思います。やっぱりそういう点の改正も考えられるべきではなかろうか。これは、決算委員会であるか、あるいは大蔵委員会であるかは別として、言ってみればいま銀行の不祥事件で、うわさされているものはかなりあるんです。私自身の調べているものもありますが、たとえば本委員会で小委員会などをつくって、うわさの事件すべてをこの機会に一ぺん明らかにしてしまうというようなことが必要と思います。これは委員会の独自の意思だと言われれば、委員会ではかってもらうということになりますが、大蔵省側はこの機会に、どうですか、そういう形のことをやはり求められる意思はありませんか。
○説明員(藤田正明君) 大蔵省側といたしましては、大蔵省独自におきましていろいろと銀行当局と連携をとりまして、そのような不正事件がないように現在もつとめておりますし、今後ともやります。委員会としておやりになることは、委員会の独自の判断でございます。それについては何とも申し上げようがございません。
○黒柳明君 岩佐頭取以下、参考人の方に非常に長時間御出席いただきまして恐縮に思います。私、なるたけ質問を簡単にさせていただきたいと思います。具体的に、三、四点についてお伺いしたいと思います。 ただいままで頭取には前向きな姿勢をいろいろお述べいただきました。当然銀行のほうの手落ちもあったと思いますが、それとともに、大蔵省関係、政府当局のやはり取り締まりあるいは監督、指導の姿勢、これについても当然いろいろな問題点があったことは間違いない、こう思います。それをあわせてお伺いいたしたいと思います。 具体的問題ですけれども、頭取に対してはちょっとこまかい問題かと思いますが、大畑鎮男というトムソンの三代目の社長さんですか、もとの湘南ベンディングの役員、こういう方と富士銀行の幹部の方と数度お会いしていると、こういうようなことを頭取、なんか御報告か何か受けたことがございますでしょうか。
○参考人(岩佐凱實君) これは率直に申し上げさせていただきますと、銀行局長からこういう電話があったというのを副頭取から聞いております。トムソンに対する他の債権者の中で、富士銀行の債権確保のやり方について不安を感じている者が一部にあるという陳情を大蔵省のほうで受けているが、そういう債権者の人々が富士銀行に話を聞きにいったならば、できるだけ上層部で直接に会って、できるだけその言い分を聞いてあげてほしいといったような御趣旨の電話が副頭取にあったという報告は受けておりますが、だれかれというような特定の人を名ざしまして、何かそういうことがあったということは私一切聞いておりませんでございます。
○黒柳明君 新聞報道でも若干同趣旨のことを伝えておりますが、七月から九月にわたって三回、大畑さんと銀行の幹部の方とお会いした。そのうちの一回、そのような銀行局長からの電話が銀行のほうにあった。こういうようなことですが、銀行局長のほうですね、いまの頭取がおっしゃった内容に何かつけ加えるような点がございましたら……。
○説明員(近藤道生君) 実は、けさの新聞、たいへん迷惑しておるわけでございますが、私この際申し上げさせていただきますと、四月十七日でございますか、参議院の大蔵委員会におきまして、ある委員からこういう御質問がございました。 〔委員長退席、理事若林正武君着席〕 最近、どうも金融機関が社会的に強いというような立場から、とかく競合するほかの債権者の立場を十分考えずに債権確保をはかる、そういうことについて何か立法措置を講じてもらえないかという趣旨の御質問がございました。そこで私、それにお答え申し上げまして、法律的に違法であるという場合は、もちろんいろいろ救済の手段がありましょうし、まずその点はしばらくおくといたしまして、銀行が社会的に強いということから、他の競合する債権者を債権確保の段階で圧迫するということがもしあれば、まことにこれは申しわけない次第である。大蔵省といたしましても検査あるいは行政指導を通じまして極力そのようなことのないようにつとめます。まあ本来銀行行政というのは預金者保護ということが主たる眼目になりますので、その預金を預かって貸しておられる、そういう機能を持つ銀行の債権確保ということは、これは大いにやってもらわなければならないことでありますが、ただ最近の情勢のように、そういう別の面で、いわば債権確保の段階であこぎなことがあったということであれば、これはやはり社会性、公共性という観点から見て、大蔵省として当然行政上あるいは検査においてチェックをしなければならないという御答弁を申し上げたわけでございますが、それが四月十七日でございます。それから七月上旬に至りまして、一部で富士銀行のトムソンに対する債権確保のあり方について、ほかの債権者が不安を持っているという陳情がございました。そこで、それに対しまして、私といたしましては当然富士銀行に対して、そういうトムソンに対する他の債権者からいろいろ言い分がある場合、もしくは富士銀行の今後の債権確保の方針を聞いてきた場合、これはできるだけ親切に十分に上層部でじかに会って話を聞いてあげてほしいという、いわば参議院の大蔵委員会でお約束を申し上げましたことを行政指導の実際として行なったわけでございます。そしてその日に、あとで伺いますと、その富士銀行に行かれた人物が、当時地区トムソン——つまりトムソンに対する競合する債権者であった地区トムソンの重役であった大畑氏が行かれたということを、これは最近になって聞いたわけでございます。しかし、どなたが行かれるにしても、その段階においてはあくまで競合する債権者の一員であったわけでございます。これは、そういう人が行ったならばぜひ富士銀行の上層部においてじかにお会いになって、十分に言い分を聞いていただきたいということは、私の職務上のつとめとして当然申したわけでございます。
○黒柳明君 他の債権者がいろいろ不安を持っているというようなこと、これと富士銀行の債権確保が非常に強引であるというようなことが、その中には当然含まれておるんでしょうか。
○説明員(近藤道生君) そういう不安と申しますか、不満と申しますか、それを一部の人々が持っておるということが私の耳に入ってきたわけでございます。そしてそれに対して直接十分に言い分を聞くべきだということを申したわけでございます。
○黒柳明君 そうすると、けさの新聞報道の「強引に債権を確保しているという苦情が続いた。」ということについては、十分局長としてはこういう陳情を聞いた、こういう点をちゃんと指摘した、こういうことに了解してよろしいわけですね。
○説明員(近藤道生君) そのときの表現は「強引に」という表現ではございませんで、一部に不安を持っておる向きがある。したがって富士銀行側がどういう債権確保に出るか、そこを十分銀行自身から聞きたい。こういう表現でございます。
○黒柳明君 「代議士など相当数の人から。」ということについては、いかがなんでしょうか。
○説明員(近藤道生君) 国会議員の方が一人お入りになっておったことは事実でございます。
○黒柳明君 これだけの問題ですから、ここでその方のお名前をおあかし願えればと思うのですけれども——その方は別にどうこうということがないかもしれませんが、どういう関係の人であったか。また将来ともこういう問題について、いろいろの観点から深く究明していかれる場合もあるでしょうし、まだまだこれは解明されたということじゃございませんし、もしどういう国会議員の方からそういう御要望なり陳情があったのか、あるいはそれが場合によりましては、いわゆる政治的な圧力がかかったんじゃないかという誤解も招く。そうすると、当人もさらに迷惑をこうむるというケースもあり得ますものですから、もしよろしければ、どなたであったかを……。 〔理事若林正武君退席、委員長着席〕
○説明員(近藤道生君) その国会議員は、実は電話をかけておいでになったとき、私初めて存じ上げた方でありますが、ただ、その方がどういう方でございましても、あるいは国会議員でなくても、私といたしましては当然富士銀行に、先ほど申し上げましたようなことを取り次いだはずでございますので、本件の本筋と関係のない問題と考えますので、この場所でその名前を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○黒柳明君 そこで私は、いまのことを踏まえて、さらに話を発展させていきたいと思うんですが、局長としては当然なすべきことをやったと、二回にわたって国会議員からの発言ないしは要望とも言えるものがあったと。で、その紹介したのは、結果的にはそれは一人であったわけですね、大畑鎮男さん、富士銀行に行ったのは。この富士銀行に行った大畑さんなる者の人物ですね、これは結果的にこうなったといえば、そうだと思うんですが、この人物については、けさの新聞でも報道されておりますように、また前々から言われていますように、香港に行って、真偽のほどはわからない菅沼メモなるものを持って銀行側に行ったと。それはどういう魂胆で行ったかわからない、そういうことですね。さらに、この人は前科があるんですよ。これは前科者を紹介したという結果になっちゃったんですね。さらにいろいろ発言をしますけれども、これがまず第一です。これは、たとえ私が百歩譲って、局長さんが債権者の苦情を聞いてもらいたい、そういう善意から発した問題としても、その結果行った人が大畑さんであった、それについて局長はもう知らないと。だけれども、結果的に見ると単数ですね、一人です。しかもこの方は、百歩譲って善意の上からの発想であったとしても、非常にやはり何か腹に一物、二物ありそうな人。しかもこの人は前科を持っている。こういう方を結果的に局長さんが紹介するはめになっちゃった。しかも、代議士の名前は出されない。これは、私は別にこの場で論議するわけじゃございません。その人にも当然悪意があったかどうかもわかりませんですし。しかしながら、世間でこれを判断する場合に、そうじゃなくても従来から——この前も政務次官が一番最後におっしゃった、私はちょっとそれに反発しようと思ったけれども、そう時間もなかったですしね——これについて政府は絶対関与していませんよと、こういうふうにはっきりおっしゃったですね。私もそのとおりだと思いますよ。しかしながら、こういう結果を招いたということは、これは重大なことです。まだまだ問題があります。いまは一番初めの第一です。前科者を、しかも、こういういかがわしいメモを持って富士銀行に乗り込んで、何らかの魂胆があった。だから、二回も、三回も行っているのですよ。それを紹介しちゃったということは、これはもう重大な手落ちですよ、こうなりますと。結果論から見てこれでもしようがない——まだまだ問題がありますが、まず第一点についてどうでしょう。
○説明員(近藤道生君) 私は、この大畑という方は存じません。それから富士銀行に大畑氏を紹介したという事実もございません。
○黒柳明君 結果的にと、これは何回も念を押したと思うんですよ。善意と、こういう発想であることはしようがなかった。私は百歩譲る。そういう発想の上からとしても、これだけ幾多の銀行の不正問題、不祥事件が発生している、それを取り締まるかなめですよ、銀行局長というのは。監督指導するそのかなめにある人が——いろいろこれから問題が発展していきます。まず第一、結果論から見れば——債権者が行ったら話を聞いてもらいたい、これは実際介入したのかどうか私知りませんけれども、銀行問題に介入しているわけです。善意の発想とはいうものの、結果論から見て、こういう前科を持っているらしい人を、しかもそういう何か魂胆があるらしい人を、ただ単数で紹介をしたことになっちゃったわけですよ。これについて、善意の発想からでも、いま現在どういうふうな反省をなさっておられるのか。これでも私はそういうことは知らないと、こういうふうにお考えかどうか。いま反省されていらっしゃるんでしょうか。あるいは反省するとすれば、どうこれについて反省をされているでしょうか。
○説明員(近藤道生君) 競合する債権者の中にどういう人物がおりますか、そのうちには、あるいはいろいろ問題を起こすような人物がおるかもしれません。しかし、だからといって銀行当局で一々その身元を調べて、これはいかぬ、あれはいいというような判断をすべきではなくて、やはり銀行が現在社会的に強い立場にあるということから、債権確保について競合する債権者からいろいろと話があったという場合には、それを謙虚に聞いて、十分その言い分を聞いた上で措置するということが、先ほども申し上げましたように、銀行行政の一つの眼目でございますので、たまたまその競合する債権者の一人という立場に大畑氏がいたということを最近聞いたわけでございます。それからまた、富士銀行に行ったのが大畑氏一人であったということも最近聞いたわけでございますが、しかし、その段階において、やはり競合する債権者の言い分は十分に聞くというのが銀行として当然の責務であるというふうに私は考えております。
○黒柳明君 国会議員を含めて、要するに不安がある、銀行の債権の確保について問題がある、こういうことは、それでは銀行局長としての判断だったのですか。それとも、国会議員を含めてそういう方々の話があったから、だからストレートに電話をかけて、会ってくれと言ったのか、銀行局長としては、そこでしっかりした判断をされたのか、されなかったのか。
○説明員(近藤道生君) 銀行局長としての判断として、当然そのような注意をすべきであると考えたわけでございます。
○黒柳明君 当然、銀行側としてはこれについての資料は全部お持ちのわけですね。私それでは、これから具体的に入っていきますけれども、これはゼネラル・ベンディングの問題です。これもこの前、私、これについてはいろいろ話をしたわけです、非常に不安な会社だということで。それでこれは、ゼネラル・ベンディング株式会社は昭和四十五年八月十七日、当行がトムソンに有する債権のうち五億円を譲り受けた。その支払いのため当行より五億円の借入をした。なお、その借入の返済期限は七年間になっている。こういうことでございます。これは銀行側の資料ですから、このとおりだと思います。それで、まず聞きたいのですが、要するにゼネラル・ベンディングがトムソンの債権を譲り受けた。それで五億の借入をした。これは結局富士銀行側のほうで五億を貸して、それでそれが返ってくると、こういう形であって、この担保はどうなっているのでしょうか。
○参考人(岩佐凱實君) いまの先生のお話でございますが、ベンディングの問題についてはやや詳しくお話をさせていただきたいと存ずるのでございますけれども、トムソンは、先ほどもちょっと申し上げましたように、経営者は別問題といたしまして、事業そのものは自動販売機による清涼飲料水の販売ということで、これは将来性のある成長産業であるということは一応言えると思うのでございますが、そこでトムソンがいよいよ倒産というようなことになってまいりましたのでございますが、そういうことに相なりますと、当行といたしましては、このトムソンに対する債権の保全ということもございますが、同時にトムソンが倒産した場合に生じます業界の混乱を防止するということも必要であり、そして、もしも業界が混乱いたしますと、この自動販売機のオペレートが混乱いたしまして、そしてそのために消費者にいろいろな迷惑をかけてまいるというような点もございますので、その点も配慮いたしたわけでございます。そこで、コカコーラの側といたしましても、そういうようなことが起こりますというと、コカコーラに対する一般のイメージというものの低下を来たすというようなこともございまして、コカコーラとしても営業を一日も断絶することなしに、ほんとうに信用のできる経営者にこの仕事をやってもらいたいというような希望をコカコーラとしても持ったわけでございます。そこで、銀行といたしましても債権をより以上いいものにしていくというような観点から、そしてまた、いま申しましたコカコーラの流通面の混乱、それからコカコーラのイメージダウンを食いとめるといったような点も考慮いたしまして、そこでコカコーラと相談いたしまして新しい会社を設立いたしまして、そのコカコーラの自動販売機によるオペレートの仕事をその新会社が引き受けるという目的をもって新会社を設立したわけでございます。それで、かねがね丸紅飯田が、自動販売機による清涼飲料水というものは将来成長産業であるがゆえに、こういう仕事を手がけたいという希望を持って相当な研究を進めておった次第でございます。そういうようなことで丸紅飯田とも相談いたしまして資本金一億円で——そのうち丸紅飯田は四千万円を出資いたしまして新会社を設立いたしまして、コカコーラからいわゆるフランチャイズを受けて新会社が成立したわけでございます。そして、この新会社の営業の将来でございますけれども、これはいろいろ研究いたしましたところでは、五億円の営業権をもってスタートして、それは大体五年間でもって十分償却できるだけの収益があがっていくであろうという見通しも数字上は立っておりましたが、設立の当初はどうしても赤字になりがちでございますので、安全をみまして、それに二年を加えまして、七年間でその利益によって営業権を償却していくということにいたしまして、その営業権としてトムソンに対して銀行が持っております債権を新会社のほうへ譲渡したわけでございます。それで、いま先生の御指摘がございましたように、そういう新設の会社員それじゃ銀行が無担保で五億円をその営業権を買い取るための資金として貸すことがいいのかどうかという御質問の御趣旨であろうかと存じますけれども、まことに仰せのように、普通の場合において新設の会社に担保なしに五億円というような多額の金を貸すことはございません。しかし、これは、いまも申し上げているような次第でございまして、あくまでも私は異例の貸し金であると考えております。しかし、いまもお話し申し上げているように、これは営業を今後において続けていってみなければ、それははたして五年ないし七年で収益によって営業権を消しても、そうして銀行としてはその債権を——五億円のゼネラル・ベンディングに対する貸し金を回収できるかどうかは、それは率直に申しまして、やってみなければわからないと言わざるを得ないと思うのでございますけれども、現在におきましての一応のめどといたしましては、七年かければ十分にそれは回収可能であるということでゼネラル・ベンディングに五億円の貸し付けをやっておる次第でございまして、銀行の立場から申しますれば、トムソンであればこれはいわば回収不可能なものでございますけれども、ゼネラル・ベンディングにそういうことでやることによりまして——これは一応回収可能というめどもついておりますし、また場合によればこの自動販売機による清涼飲料水——コカコーラのみじゃございません、清涼飲料水の販売の仕事というものがあるいは成長産業としてより以上発展いたしまして、もっと収益がよけい出まして、あるいはもっとすみやかな時期に回収できるかもしれないと——これは楽観的な見方ということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、そういう見方もいたしておるわけでございます。それでよろしゅうございましょうか。
○黒柳明君 局長さん、聞いてくださいよ。まず第一点ですね。要するにベンディングにトムソンから五億の債権を譲渡した。この五億というのは、いわばのれん代ですね。トムソンの自動販売機に対してののれん代。五億というものを無担保で貸したということになるわけですね。十九億の不正融資がありながら、しかも五億をまた無担保で貸すとは非常に銀行側としては寛大な処置ですよ。いま頭取がおっしゃっているように、これは例外であると、こういうことで、しかもこれはやってみなければわからない。まあ成長産業であるかもわからないけれども、やってみた場合にはたして返せるかどうかもわからない。だから七年間という期間で、まあ当初の二年間は赤字、あとの五年で一億ずつ返せればという御計算になるのかもしれませんけれども、そういうようなこと、これがまず第一点です。非常に銀行側としてはトムソン、要するにベンディングに対して寛大な処置をとっていますね。例外中の例外、異例な処置です。 次に、もう一点は——十九億のうちの六億は抵当、担保を取った、あとの八億ですね。五億と六億と八億。十九億の残額約八億円を回収不能見込み額として当九月期決算において有税償却する予定である。要するに八億はもう回収不可能である、こういうふうにあきらめていらっしゃるわけです。非常に銀行側としては思い切った処置ではなかろうか。株主のほうからみますれば、このベンディングのほうがもし業績が順調にいって七年で返却できれば五億円を、さらに十二年なり十四年たって、この八億も回収できないものかしらと、当然こういう要望も出てくるわけです。にもかかわらず、この八億は回収不能なんだと、こうしているわけです。これもまた頭取のほうにお伺いしたいと思いますけれども、お昼の御飯時が過ぎまして、またこまかい問題もどうかと思いますけれども、これもやはり株主のほうからみますれば、あるいは業績のいかんによっては回収不能ときめないで、当然回収してもらいたいというものに入ってくるのではないか、八億のほうも。ところがこれは回収不能として処置すると、こういうふうに銀行は出しているわけですね。
○参考人(岩佐凱實君) それは先生、一言私に言わしてください。先生の御指摘になった点でございますけれども、おことばを返すようで恐縮でございますけれども、決して八億は——今度九月末の決算におきまして貸し倒れ準備金に有税で一応積んで償却の形をとっております。しかし、これはあくまでも一応でございます。債権を放棄してあるのではございませんので、私といたしましては現在、先生も御指摘のように、六億何千万の担保も取ってございますし、それから五億の点は、いま先生の御指摘のように若干疑問の点はございます。しかし、それ以外にもできるだけ今後いろいろな手段を尽くしまして、そして回収し得るものはできるだけ回収してまいるという姿勢で、いろんな手をいまも打ちつつあるわけでございまして、決して七億八千何百万というものはもうあきらめてしまったんだ、そういうことで債権を放棄したとか、あきらめてしまったんだということでは決してないわけでございますから、この点は御了承いただきたいと存じます。
○黒柳明君 わかりました。業績のいかんによっては一応と、こういうことだと思います。一応八億のほうは業績を見てからと、こういうことだと思いますが、もう一つ、トムソンの担保物件、この六億ですが、この六億の評価、これは八点ばかり出ておりますけれども、たとえば名古屋市の元塩町の事務所兼宿舎、これについては、昭和四十二年六月十三日に担保権が設定されまして、そのときは二百万。それが四十五年の五月二十三日、富士銀行と債務者トムソン、これで千五百万にたっているわけですね。それから宇部市の笹山町、これはたんぼですね、四十三年の四月三十日、そのときは極度額が百万。四十五年の四月二十七日にそれが富士と債務者トムソンで二千万。その他数点ありますけれども、この極度額は何か非常に評価が大きいような気がいたしますが、その点はいかがなものでしょうか。登記を取りますと、一、二年ぐらいで極度額が十倍になったり二十倍になったりというようなものが数点ございますんで、何かこの担保物件の評価が銀行はちょっとオーバーじゃないのかなと、こういう気がいたしますんですが。
○参考人(岩佐凱實君) 先生のいまの御指摘の点でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、担保不動産の評価につきましては、トムソン側から提出されました評価額は全然無視いたしまして、当行独自の立場で行なうことにいたしまして、経験の深い当行の嘱託をそれぞれ現地に派遣いたしまして、地元の不動産業者等の意見を参考にして決定した次第でございます。したがいまして、トムソン側の評価額十一億九千四百万円、これは横浜のマンションを除いてでございますけれども、それに対しまして当行側の評価は一億九千万円ということになっております次第でございます。先生のいま御指摘のこまかい一つ一つのことにつきましては、もし御必要でございましたら、いま担当の者からお答えをさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。
○黒柳明君 はい、不動産の二億六千万円の点だけでけっこうです。合計六億ですけれども不動産の二億六千万。そのうちの名古屋の元塩町、それから宇部の笹山町あたりのこの極度額、これはどのようにして十倍とか二十倍とか、こういうように……前に抵当権が設定されておりますですね。
○参考人(岩佐凱實君) 先生、担当の専門家に答えさしてよろしゅうございましょうか。
○委員長(森元治郎君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(森元治郎君) 速記をつけて。
○参考人(冨田修平君) どうも申しわけございません。お答え申し上げます。 先ほどの名古屋の物件でございますが、ここは坪大体十万円程度いたしておるというふうに判断いたします。それで十万といたしますと五百八十一万四千円というふうな数字になります。それから借地権が四十五坪ございまして、坪二十五万円と見まして、その七掛けというふうに考えますと七百八十七万五千円、これは居宅でございまして、軽量鉄骨づくりの陸屋根の二階建てでございます。 それからもう一つ物件がございまして、木造亜鉛メッキの鋼板ぶき平屋建てでございますが、これは極度額三百万円つけてございますが、坪当たり五万円、それが百四十九万九千円、これは借地権という権利もそこについておるというふうに判断いたしまして、坪当たり二十五万円、その七掛けというふうに見まして七百八十七万五千円、それらの合計額の中から先順位の八百万円がございまして、それを引きましても大体千五百万の極度額はカバーされるというふうに判断いたしておるわけでございます。
○黒柳明君 すみません、こまかいことを聞きまして。私のほうは、前の抵当権が設定されたのと見比べまして、百万だったのが二千万になり、二百万だったのが千五百万になり、三百万が二千万になるというようなことで、いま坪十万だとか何とかおっしゃいましたけれども、私なりの判断をすれば、担保物件に対する評価が相当オーバーじゃなかろうか。これは銀行側も専門家を派遣してお調べになったということであれば、これは意見が相違する、こういうことになって、まあ何ともいたしかたありませんけれども、何かこの担保の六億というのも、その点、私どもはちょっとオーバーじゃなかろうかと、こういうふうに感じております。 それからベンディングのほうの構成も、これはもう質問するまでもなく、代表取締役・社長それから常務、この二人だけが一応専任、あとの方はもう兼務、しかもみんな丸紅ないしは富士銀行からの出向または子会社の方ということで、定款できめられた最小限度、しかも専任は二人。こういうベンディングが、はたして先ほど頭取がおっしゃったように事業実績がうまくいくかどうかということも、私非常に不安に思う者です。 そこで局長さん、いまあげたような資料は当然、銀行当局でも大蔵省でも持っていて、お調べになったと思うんですけれども、こういうふうに銀行側としては、いまの評価の問題なんかはさておき、非常に寛大ですね。債権確保に不安——まあどういうふうに不安であるという陳情がきたのか、苦情がきたのか、具体的に。あるいはそれが不安だからというので、すぐ銀行当局に対して銀行局長としての判断で会ってくれと、こう言ったのか。これだけの資料をお持ちになって当然検討されているわけで、むしろ第三者の意見になんか惑わされる立場でもありませんから、陳情のあるものは受けて、しかるべき手を打つ、これは当然必要だとは思いますけれども、私はこういう点から見ましても、どこにこれは不安があるのか。先ほどから言うように、銀行側としては何とかして一銭でも多く回収しよう、こういうようなことで非常に寛大な処置もとりつつある。結果的にはトムソンのほうの債権者までいっているということでしょう。トムソンはそんな不安なんかないでしょう、どうですかね、この点の判断は。
○説明員(近藤道生君) 先ほども申し上げましたように、四月十七日の大蔵委員会において私御答弁申し上げましたとおり、やはりいささかでも銀行以外の債権者が不安を持つという場合におきましては、これは現在銀行が社会的に強い立場にあるということから、とかく銀行があこぎなことをするのではなかろうかというようなおそれを、ほかの債権者は持ちやすいわけでございます。そこで、そういう債権者の言い分は十分に聞く、聞いたあげく、そこで十分配慮をしておるのだということであれば、もうそれでいいわけでございますが、とにかくそういう債権者の言うことには一切耳を傾けないという態度は非常に困るわけでございます。そういう他の債権者の不満、不安等がいささかでもあれば、これは進んで積極的に耳を傾けるということが銀行行政としても望ましいことでございますし、銀行として当然いまの社会情勢からいってやるべきことであるというふうに考えた次第でございます。
○黒柳明君 過去に、こういう事例がありますか。
○説明員(近藤道生君) 四月十七日のその御質問がありましたときに、過去においてそういう事例があったかなということを考えてみたのでございますが、確か毎年二、三件ずつそういう種類の陳情がございます。二、三件よりももう少し多いかもしれませんが、そうしてそれらに対しては、銀行当局に十分話を聞くようにということを、そのつど指示しておったように記憶いたしております。
○黒柳明君 たとえば、どういう事件で、どの銀行に対して、だれからどういう依頼を受けてですか。
○説明員(近藤道生君) その一々を記憶いたしておりませんが、要するに、たとえば担保の徴求につきまして、銀行がややそのほかの債権者を圧迫し過ぎておるのじゃないかといったような問題に対して、ほかの債権者から不満が出てくる。それに対して銀行当局に十分に言い分を聞いてから処置するように、そういう指示をいたしたことがございます。もちろん片方において預金者保護ということからいたしますと、先ほど申し上げましたように、預金者の金を預かってそれを貸しておるわけでございますから、その貸し出しに対して債権の確保をはかるということは、これはもう銀行行政の一番本来の要請でございます。その債権確保は十分にやってほしいという要請が片方にありながら、同時にまた片方において銀行の社会性、公共性、特に最近における社会的な銀行の強さといったようなものを考慮いたしまして、その点については一々補正をいたしておるという事例がございます。
○黒柳明君 大体いつごろ、どこの銀行にそういう指導なりをしたか、覚えている点だけでいいですけれども、過去に毎年三、四件あったということですから、それじゃことしならことし、去年なら去年、何月ごろ、どこの銀行にだれからきた——そこまでわからなくても、わかっている範囲でけっこうです。
○説明員(近藤道生君) その具体的な記憶はただいま残念ながら持っておりませんけれども、そういう趣旨で行政指導をしたということはございます。
○黒柳明君 過去に銀行に対して具体的な人からの取り次ぎをしてやったと、こういう事例があるわけですね。いま覚えてないというわけですが、だって、年に三、四件あったというじゃないですか、いま頭にあるのだけでもけっこうです、いつの事件でもけっこうです。銀行局長になられたときから——いつの事件、銀行の名前だけでもけっこうです、どこの銀行にそういうことをやったか。
○説明員(近藤道生君) 私、銀行局長に就任いたしましたのはこの三月でございます。年に二、三回と申し上げておりますのは、たとえば私、銀行局の総務課長をいたしておりましたそのときに、やはり二、三件そういう事例があったというふうに記憶いたしております。何ぶんにも古いことでございまして、ただいま具体的な名前については記憶いたしておりません。
○黒柳明君 まあ、おなかがすくとだんだん腹が立ってくるわけです、人間というのは。だから私も、ここら辺で、あまりうまくないですけれども——こう、いろいろと諸事情がありますから具体的な名前を覚えてない、覚えてないと言ったって、そんな長い間そういうことをやってきて、年に二回も三回もあったならば、それがどこの銀行かぐらいのことが言えないですか。名前を忘れるほど、そんな回数やったわけじゃありませんし、たとえばこの銀行にはあったと。いつとは言いませんよ、どういうこととは言いませんよ。それでなければ話が進みませんよ。たとえば、どこの銀行にそういう例があった。これは、銀行局長が御自分の判断で先ほどやったというのでしょう。それで、こういう資料を見て少しでも不安があれば——こういうことをおっしゃったのですけれども、第三者のそういう言い分に対してすぐ動くような銀行局長じゃ困りますよ。もっともっと——全銀行に対して最高の心棒ですから——取り締まりのかなめですから、その人が、何かわからないような第三者から、こう、話聞いてくれなんと言われたら、はあそうですかなんて、こういう軽いものですか、銀行局長の位地というものは。たとえ当人がこういう不安があると、それだってよほど吟味しなければならない立場じゃないですか。電話かけて、行ったら話してくれ——どういう関係の人から話があったのか、どういう圧力かもわからないじゃないですか。どういう意図があるかもわからないじゃないですか。それが、だれかわからない人が——債権者が行ったらとにかく聞いてくれ。そんな簡単なものなんですか。また、そんなことをいままでやってきたのですか。もしそんなことを過去にやっていたらたいへんなことですよ。銀行に介入していることになるじゃないですか、政府が取り締まり、監督指導するよりも。だから私は、そういう過去の事例があれば聞かしてほしいというのですよ。これはそうじゃないのじゃないですか。この事例はあくまでもそういう国会議員の話があったから紹介してやったと、こういうことになっちゃったわけなんですよ。ですからその点は、こういうことを私は善意でやったのですけれども、申しわけない、今後改めますと、こういうふうにはっきり言っちゃったほうがいい事例じゃないですかということを——私は押しつけてもいかがかと思うのですけれども。過去に、こういうふうに銀行局長が、あるいは課長さんのときに、こういう事例でちょこまかちょこまか動いたですか。政府は、債務者当人が来てもよほど吟味しなければ紹介なんかしないのじゃないですか、どうですかね政務次官。そういうことはき然たる態度をとってきたし、とってくるべきだと思いますよ。これはおかしいと思いますよ、どうですか。これはまた言いますよ、政務次官の答弁いかんでは。
○説明員(藤田正明君) 私も、けさほどの新聞を見て銀行局長から話を聞いたわけであります。銀行局長が答弁を申し上げましたように、全部善意から出たことは間違いありません。そしてまた、ある国会議員の紹介があったことも間違いがないのでございます。その国会議員の紹介もこれあり、そしてまた、競合する債権に対して一部に不安を持たれておるという事実もこれありまして、銀行局長がそれを紹介申し上げた。ただし、それが大畑なる人物であることは銀行局長は知らなかったということでございまして、結果的に大畑氏が何らかの行為をその後行なったということについては残念である、かように思います。
○黒柳明君 そこじゃなくて、私言いたいのは、銀行局長がそういう結果を招くような仲介をやっちゃった、それについて過去にもあるというのですよ。それじゃどこなのか。——忘れました、忘れました。私は、そんなおしりの軽い銀行当局じゃない、もしそんなことがあったら指導監督するよりも、こういうところに介入するような政府の姿勢になっちゃう、そんなことは私はないと思うのです。それに対して銀行局長は盛んにそんなことがあった、あったなんて言いますし、反省しているのか、いないのかわかりません。結果的にこうなったことは何も反省しなくていいのか。将来またこういうことを招きますよ。第三者からどういう具体的な話があったのですか。電話一本で、あるいは債権者が行ったら聞いてくれなんて、そんなことを電話でさっとストレートにかけるんですか、銀行局長は。そんな姿勢でいいのですか。将来もこういうことをやるんですか、銀行局長は。どうですか、その点は。
○説明員(藤田正明君) 銀行局並びに大蔵省といたしまして、預金者保護ということは行政指導の原則であります。特に弱い立場にありますところの預金者をいかようにして保護するかということでございまして、過去にそういうふうなこともあったように聞いておりますし、また将来ともそういう立場におきましては銀行側に行政指導をしていきたいと——決してこれは介入ではないと思います。
○黒柳明君 それならば具体的にどういう陳情があったか、申し入れがあったか。
○説明員(近藤道生君) 先ほども申し上げましたように、富士銀行の債権を確保いたしますにつきまして、競合する債権者の間で、どういうしかたで富士銀行が債権を確保しようとするか、その点について若干の不安があるようである。それらの人々の言うことを十分に銀行当局に聞いてもらうようにしてもらえないかというのが陳情の趣旨でございます。
○黒柳明君 それは当然第三者ですね。そういうことがあるから話し合ってくれという、そういう第三者の不安が若干あるからということで、すぐ銀行局長というのはそういう仲立ちをする。——いままでしてきたし、いまはそうした。これからもそうするんですか、必ず。
○説明員(近藤道生君) まさに四月十七日の参議院大蔵委員会で御答弁申し上げましたように、もしその銀行が社会的に強いという立場に基づいてみずからの債権確保の過程においてほかの債権者に迷惑を及ぼすというおそれが少しでもあると判断をいたしましたならば、ほかの債権者の言うことを十分聞いてほしいということを個別に注意するということは、これは銀行行政として当然のつとめでございまして、今後ともそういう方針でまいりたいと思っております。
○黒柳明君 そうすると、いまのこの富士のトムソンに対する姿勢は強いと判断されておりますか。
○説明員(近藤道生君) その時点においてトムソンに対する債権確保を富士銀行がどういう方法でやるかということがまだはっきりいたしておらなかったわけでございます。それに対して不安を持つという人々がいれば、これは会って話を聞くなり、あるいは富士銀行としての考え方を述べるということは当然のことでございまして、その時点においてはきわめて抽象的な話し合いに終わったということを最近になって聞いておりますが、そういうことでございます。
○黒柳明君 その時点において強いも弱いも、まだわかってなかったんじゃないですか。
○説明員(近藤道生君) したがって、不安を持っておったようでございます。
○黒柳明君 具体的にどんな不安なんですか。強いも弱いもわかってないのに、いま言ったように強いとか弱いとかいう不安の持ちようがないじゃないですか。
○説明員(近藤道生君) 具体的な方針がわからないので、いろいろと不安があったというふうに聞いております。
○黒柳明君 具体的な方針がわからないから不安を持ったと、こういうことでみんな紹介するのですか。債権の確保について不安を持っているんじゃないですか、ほかの債権者も。そうすると結果的にはトムソンですよ。トムソンはそんな不安なんか持つ性格のものじゃないじゃないですか、十二分に保護されているじゃないですか。大畑さんはトムソンの関係者ですよ、そして橋場さんから四千数百万を五十万で債権譲渡されたと、こういわれている人ですよ。その人がどうして不安を持つわけがあるのですか。その人が結果的に行っちゃったのですよ。
○説明員(近藤道生君) トムソン自体の役員ではなくて、当時大畑氏はその債権者の一人である地区トムソンの役員であったということを報告で聞いております。したがって当時においては、やはりトムソンに対する富士銀行と競合する債権者の一人であったということは間違いないと存じます。
○黒柳明君 そうすると、いま幾多の不祥事件が起こっていますね。そして先ほど来言っている、そういう競合する債権者から銀行局長のところに、不安があるからとか、あるいはそれに関連する第三者から電話があれば、全部そういうことを各銀行に言って、債権者が行ったら話を聞け、話を聞け、話を聞けと、これからもやるということですか。その真偽も確かめず、だれであるかも確かめないで、来た債権者に対して銀行はどんどん応待しなければならないですか。そういう仲立ちをするんですか、銀行局長は。銀行はたいへんでしょう、債権者がどんどんどんどん押しかけてきても話を聞けと。銀行局長、どうなんですか、その点は。
○説明員(近藤道生君) その点は、先ごろの大蔵委員会でも、特に最近そういう事例もあるので、できるだけ気をつけて、もしできれば立法措置というようなことでも講じてほしいというようなお話もあったわけでございますが、法律をつくるというよりも、やはり検査なり行政指導なりを通じてそういうことをやりましょうということをお答え申し上げたわけでございますが、富士銀行事件のように世の中に与える影響が非常に大きいというような事件におきまして、他の競合する債権者に迷惑をかけるということは、これはできるだけ避けなければならない。したがって少なくとも、その言い分を聞くということは必要なことでございまして、それをやれという趣旨のことは、これは銀行行政としてただいまの時点において当然やるべきことでありまして、ただこれをすべてにわたって御指摘のようにやるかどうか、それはそのときの判断によるべきであると存じております。
○黒柳明君 あまり堂々めぐりしても申しわけございませんが、じゃまたもう一回前に戻るようですけれども、こういう人物を結果的に紹介しちゃったということについては、何ら反省していませんか。
○説明員(近藤道生君) 実は、その人物を紹介はいたしておりませんので……。
○黒柳明君 なっちゃったということについては、何ら反省していませんか。
○説明員(近藤道生君) ただ結果においてどういう人物でありましょうとも、その当時においてトムソンの競合する債権者でありました以上は、やはりその言い分を富士銀行が聞いたということは、その時点においては適切なことであったと存じますが、ただその人物があとでいろいろなことがあったという先ほど来の御指摘は、そのとおりのようでありますが、そのことはまことに遺憾なことであるというふうに考えておるわけでございます。
○黒柳明君 「そのことはまことに」ということですけれども、もうちょっとその点はっきり奥歯にもののはさまったような言い方じゃなくしていただきたいと思うのです。というのは、この人物はどういう人物かというと、またあとになって出てくるかわかりませんよ。いまのところはっきり善意の上でやった。結果的にこうなった。このことについてはどういうふうに反省しているのか、反省していないのか。こういうことがはっきりしませんと、将来もこういうことが起こって、そのたびに、いや私は善意の上でやった、そういう債権に対しての不安を聞けばすぐやる責任があるのだ。こうなりますと、これがいろいろな意味で悪用される可能性もありますよ。そういうことを防止する必要がある。だから銀行法改正云々、それは結論的に聞きました。そうじゃなくて、それ以前の問題——改正するかどうかわかりませんからね。それだって可能性はあるが、それ以前の問題として、結果的にこうなったことについて今後どうしたらとか、この問題についてはこう反省しているとか、こういう前向きの姿勢を私はここで聞きたいわけですよ。
○説明員(藤田正明君) 黒柳委員のおっしゃることはごもっともでございまして、善意でやったにしろ、そういうふうな結果があらわれたことについては遺憾であります。今後は、そういう時点におきましては行政指導の一環としてやはりやらざるを得ないとは思いますが、慎重にこれをやりたい、より以上慎重にこれをやりたいと存じます。
○黒柳明君 より以上慎重にやりたいということで了解したいと思うんですけれど、いま言ったように一般的な銀行局長通達、こういうのが例じゃないですか。特定の銀行にそういうものをかけるとか、あっせんの労をとるとか、こういうことは、いままでも例があったあったと言いますけれども、具体的に出てこないということは、あったかどうかも私は非常に疑問視したいと思うんです。と同時に、すべての場合やっぱり銀行局長通達で一般的に出るんじゃないですか。今度の不祥事件についても、決して富士銀行にあって通達が出たんじゃないでしょう。最近頻発するこういう不祥事件について各銀行とも注意してもらいたい、富士の名前は一つも出ていませんよ、事件発生時においても。だからそういう問題についても、特定銀行というものについては絶えず何らかの考慮を払ってきたんじゃないですか。それを今回の場合だけ特定銀行に対して電話をかける。いままではそうじゃない。——政府の姿勢というものは当然そういうことだったんじゃないですか。これからもそうあるべきじゃないですか、一般通達としてやる。特定銀行に対してそういう指示をする、こういうことについてはどうですか、局長さん。政務次官は前向きですけれども、どうも局長の答弁は何かはっきりしない。一般的通達じゃないですか。
○説明員(近藤道生君) そのようなことにつきまして債権確保の方法についてできるだけ考慮しろというようなことは、たびたび前から申してきております、いろんなつどに。ただ物的にやはり迷惑をこうむるとか、圧迫をされるというような事例があるというのが、この前の参議院の大蔵委員会における御質問の趣旨でございました。それに対しましては検査のつど行政指導等を通じて改善させるようにつとめますということを、私は申し上げたわけでございますが、ただいま黒柳先生がおっしゃいましたように、今後全般的な取り扱いとして、そういう方向でなるたけ全般の問題として、個別の問題はなるたけ避けて通れというお話でございます。その点は十分に謹聴いたします。個別の問題につきましては、よほど心配な場合を除きまして、なるたけ一般的な問題として処理をしてまいりたいというふうに考えております。
○黒柳明君 だんだん話はこうずっとしぼられてきたですよ。いま言いましたように、そういうケースは過去にもあったし、これからもそういうケースがあり得るんだということから、だんだんやっぱり特殊なケースは避けていきたい、こうなってきたでしょう。当然これはあたりまえじゃないですか。そういう個々の場合に政府が関与する——関与したんじゃないと政務次官はおっしゃったんですが、こんなことに関与すべきじゃないし、そんなところに電話をかけて紹介するという例はありませんよ。あったらたいへんですよ。だから通達で絶えずそういうふうに姿勢を正してきたし、各省どこだってみんなそれがあたりまえでしょう。ですから、いまおっしゃったように個々のケースというものは、これはなきにしもあらずでしょうけれども、当然一般的な通達として処理してきたし、これからも処理するんだ。もしそういう個々の例があった場合にも、これは慎重にやるべきだ。そうでなければ、そういう圧力に負けて政府がそういう銀行問題に関与した。だから、そういうのを告発するのがおそくなったんじゃないか、あるいは旅券問題で菅沼を海外逃亡させたんじゃなかろうか。みんなのそういう疑惑が出てきたんじゃないですか。この前も、これを問題にしたんじゃないですか。そうでしょう、政務次官。 最後に、政府はそんなことにタッチしていません——私もこれにタッチしたとは言いたくないです。国会議員の依頼を受ければ、これは政治的圧力ですよ。言うならば、ほんとうにその真意というものがわからなければ、だれが聞いたって政治的圧力がかかった、もろにこれは迷惑をこうむりますよ。この点だってはっきりしませんよ。これを銀行局長が特定のところにすぐ仲介した、こうなってくれば、それはいままでの一般的な通達と、そういう個別のことと——富士だけはこれはもう別個なのか。なぜそんな圧力に負けて、労をとらなきゃならないのか。それこそ疑惑だ、おかしい。第三者的に聞けば当然そうならざるを得ないケースですよ。しかも先ほどから何回も言うように、銀行局長といったら全銀行の取締役であって、そんなおいそれとしたことで動いちゃいけない人です。そんな、どこからかわからない人を、だれの紹介で行ったから会ってくれ。へい、そうですか。そんな腰の軽い局長じゃないはずですよ。それこそ全銀行のかなめです。ですから、そんなケースは異例なケースであって、このケースは非常にうまくないケースだ、私はこう思うんです。一般通達でやるべきだ、こう思うのです。大体結論は出そうになっています——出たと思いますけれども、最後にもう一回、政務次官に。いま局長さんは、こう答弁が変わってきていますよ。今後こういう事件があった場合に、どう処理していくのか。あくまでも、そういう個々の仲介の労をとるのか。あるいは、いままでやっているように一般通達でこれをやるのが当然の常識だ、こうなのか。個々にやる場合は非常にいろいろな意味で疑惑を招く可能性があります。しかも銀行局長が何か圧力に負けたんじゃなかろうかということもありますよ。ですからそういうケースを今後どうするか、いま銀行局長がとったケースについて、大臣なり政務次官の立場としては、これは当然大いに反省しなければならないこれだけの社会問題——もしかすると疑惑を招く一番の中心でもあるかと思う。そういう問題について、どういうふうにしなきゃならないか。反省しているかということを含めまして、すみません、しつこいようですけれども、最後に結論をお願いしたいと思います。
○説明員(藤田正明君) 今回のケースにつきましては、まことに特異な点がございまして、まず第一に参議院の大蔵委員会におきまして、債権者の競合の場合ということに対する非常にきびしい質疑があったのであります。それを受け取りまして銀行局といたしましては、そのような場合には各銀行に対する指導を強化いたしますというふうな答弁をしたいきさつもございます。そうしてまた、この富士銀行の十九億事件は、非常にこれまた特異な事件でございます。このようなことが重なりまして、銀行局といたしまして、そのような行政指導の形を善意のもとにとったと思います。しかし黒柳先生がおっしゃいましたように、このようなことは特定の一銀行に対してすることじゃなくて、通達でするべきだ、これも謹聴に値する御意見だと思います。この件につきましては、今後通達にすべきであろうと思いますけれども、しかしいろいろとまだ、このケース、ケースで今後一切このようなことはいたしませんということは言えないかと思います。通達にすべきことは通達にいたします。また特定の銀行に注意すべきことは、行政指導として注意いたしていきたい、かように思います。
○黒柳明君 どうも長い間ありがとうございました。
○委員長(森元治郎君) では、他に御発言もないようですから、大蔵省の決算につきましては、この程度にいたします。 参考人各位には長時間にわたり御意見をお述べいただき、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 午後一時再開することとし、休憩いたします。 午後零時四十八分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(森元治郎君) 委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和四十三年度決算外二件を議題とし、外務省の決算について審査を行ないます。 この際、おはかりいたします。議事の都合により、外務省の決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それではこれより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 外務大臣にお尋ねをいたしますが、外務大臣は、倉石農林大臣が去る十月二十三日沖縄の那覇空港で行なった、沖縄の基地はアメリカが無理じいにつくったのではなく、講和条約で日本が国家意思としてアメリカに持たせたものだ。こういう発言についてどのような御見解をお持ちですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私から倉石農林大臣の発言につきましてコメントすることもいかがかと思いますけれども、すでに沖縄の返還交渉は御承知のように非常に具体的に進捗いたしておりますので、従来沖縄には施政権がサンフランシスコ平和条約によりまして認められておったものでございますから、そのサンフランシスコ平和条約を適切な条約であるとし、これに調印をし、そして国会にも批准を願っておりました当時からのわが党の内閣としての考え方を倉石農林大臣としては説明したものである、かように存じております。
○和田静夫君 ちょうど私は、沖縄に倉石さんが行っているときに行っていましたから、たいへん身につまされているし、沖縄の民衆の感情というものを非常によく知っているものであります。そのことは別にしても、倉石さんの論旨からすれば、沖縄の基地に限らず、沖縄の施政権をアメリカに渡してしまったことも、日本の国家意思ということになります。そうしますと、日本の国家意思としては沖縄を手放したくなかったけれども、敗戦という事態を背景にした外交交渉上の結果としてそういうことになってしまったという、いままでの政府の説明と倉石発言は若干異なることになると思います。この点についていかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、敗戦後日本が占領下にあった状態からすみやかに独立を回復したいということで、当時いろいろの経緯やいろいろの議論があったことは申し上げるまでもないところでありますけれども、吉田内閣当時におきまして、サンフランシスコ平和条約締結によって日本が独立を回復したいということで、当時の大多数の支持を得た、国民のあるいは国家の意思としてこれを締結した。その中の第三条におきまして沖縄の施政権というものは米国にまかせられる、その条文を含んでこのサンフランシスコ平和条約を締結したわけでございますから、その結果において従来沖縄における施政権が米国にゆだねられていたということは、その中の一つとして現在まで承認していたものである、これは申すまでもないことである、かように考えるが、しかし沖縄県民百万人の切なる願望並びに日本国民の民族的な要望にこたえまして、できるだけすみやかにこの返還を企図して交渉に当たって今日のような状態になっておる、これはその経過が示すとおりのものである、こういうふうに私は考えております。
○和田静夫君 残念ながら倉石国務大臣はお見えになりませんからあれでありますが、倉石さんは一昨年の二月に日本国憲法問題との関係における発言がありまして、それが憲法改正はしないと言ってきた内閣の意思とは若干異なるゆえをもって、公人としての身をあのとき引かれた。まさか国会対策上あのとき身を引かれたのではないと思います。とすれば、今度の発言も、いままで佐藤内閣が公けにしてきた意見とは若干異なるものである以上、やはり国務大臣として、佐藤内閣の一員として前の形同様に公人として私は倉石さんがおやめになるのが当然であろうと、こう思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、私としては、サンフランシスコ平和条約締結の当時の考え方並びにその後における現内閣の考え方については、倉石君も全面的な賛意を表しておるわけでございますから、この発言等によりまして進退を云々するというような問題ではないと、私はかように考えておるわけであります。
○和田静夫君 それでは大臣に対しての質問はこれて一応譲りまして、あとは、大臣の時間の関係がありますから、後ほど質問いたします。
○西村関一君 愛知外務大臣がこのたび国連の第二十五回総会に出席せられまして、一般討議の演説におきまして国連憲章改正の問題について議論をせられた、そのことに対して、私はその労を多とするものでございます。二十四回総回のときにもこの問題が出まして、ただ言っぱなしじゃなくて何らかの具体的なめどをつけたい、具体的なスケジュールを組むべきであるということを外務大臣は提唱せられたのでありますが、今回の二十五回総会におきましてどのような成果を得られましたか。また、場合によれば日本国としても国連憲章改正の具体的な草案を用意してもいいというようなことを言われたようでございますが、そういうものができておりますかどうか、その間の事情をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 第二十五回国連総会の一般演説におきまして、二十四回総会に抽象的に触れました憲章改正の問題について一歩進めて、演説の中で特にこの点に言及いたしました次第でございます。 まず第一は、国連における平和維持機能の強化のために再検討を要する点があるということを指摘いたしまして、国連平和維持活動の強化、それから国連の事実調査機能の強化、それから安全保障理事会の構成、主としてこの三点を取り上げたわけでございます。そして国連憲章中に、これらの活動を紛争の平和処理の一環として明文化することが、平和維持活動の円滑かつ実効的な遂行のための有力な一案であるということを指摘いたした次第でございます。 それから、国連が行ないます事実調査機能の重要性ということについて言及いたしたわけでございまして、その中では、安保理事会、国連事務総長及び国連総会の調査機能の強化策が具体策として検討されるべき問題であり、これらの事実調査機能を助ける意味で、専門家グループ方式及び調査パネルの一そうの活用、権能の拡大ということにも触れたわけでございます。そして安保理事会の構成に及んだわけでございまして、安保常任理事国の大部分は核兵器国でありますけれども、常任理事国の資格を考慮する際には、たとえば、わが国のごときはその潜在的核保有能力にもかかわらず非核政策を維持している、こういう点が常任理事国の構成に際してあらためて考えるべき一つの積極的要素ではないかということに言及をいたしたわけでございます。 それから次には、具体的な問題といたしまして、二十五年前の第二次大戦の残滓を払拭したものにすべきである、そういう意味からいいましても、五十三条一項及び百七条のいわゆる旧敵国条項は今日全くその存在の意味を失ったと考えられますので、この憲章からの削除を強く主張した次第でございます。 ごく概略申し上げますと以上のようなことでございますが、こうした経過を経まして、今二十五国連総会におきましては、第六委員会において憲章改正問題を議題として取り上げることに相なりましたことは御承知のとおりでございます。何ぶんにも非常に大きな問題でございますから、この会期において結論づけられるというようなことはなかなかむずかしく、また望めないことであるかもしれませんけれども、常に忍耐強く、また、できるだけ同じような考え方をお持ちであろうところの各国にも働きかけまして、ぜひこの問題は取り上げられるように努力を続けてまいりたいと、かように考えております。 また、具体的にどういう草案を持っているかというお尋ねでございますが、これはただいま申しましたように第六委員会等の関係もございまするので、研究案はもちろん持っておりますけれども、今後各国との相談、協議等を経て、だんだんに具体的にコンセンサスをつくり上げたいと思いまするので、わが政府だけの素案を発表するのにはまだ時期が熟していないかと、かように考えるわけでございます。
○西村関一君 私は、この八月の下旬にオタワで開かれました世界連邦世界協議会の総会に出席したのであります。たまたま国連のウ・タント事務総長がこれに出席をせられまして、三日間この会議に滞在をいたしました。ウ・タント事務総長ともひざを交えていろいろ話し合ったのでございまするが、特に国連加盟のユニバーサリティ——普遍性の問題について話し合ったのでございますが、この点につきましてやはり国連憲章改正の問題がからんでくると思うのですが、そういう点につきましてまだ未加盟国の中には、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、ベトナム民主共和国、ベトナム共和国、ドイツ連邦共和国、ドイツ民主共和国、それにスイスがまだ加盟をしておりません。中華人民共和国も同様でございます。これらの国々を含めて全部の国が国連に加盟をするということについての話し合いをしたわけでございますが、この点につきまして、中国問題だけを取り上げて私は質問しているのではございませんのですが、国連加盟の普遍性という立場からどのように大臣はお考えになっていらっしゃるのか、それらの点についてお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 普遍性の問題、それから、あるいは分裂国家の問題と申したらよろしいかと思いますが、それらの問題の国連としての扱い方等についても、事務総長等ともいろいろ意見の交換を私もやっておりますけれども、事務総長という立場から申しまして明白に個人的な意見を、われわれから御披露するのもいかがかと思いますが、いろいろ慎重に、真剣に考えておることは事実そのとおりに受け取れると思います。 それから御承知のように、この第二十五国連総会は記念総会ということでもあり、日本国としても初めて総理大臣が出席して演説をいたしたことも御承知のとおりでございますが、この中で分裂国家の問題にも触れまして、これらの国々の間において平和的な話し合いで問題を処理するようなことが望ましい、かりにも武力行使というようなことは避けなければならないというような趣旨がその演説にも出ていることも、御承知のとおりと思います。これは事務総長のことばを引いてきてもよろしいかと思いますが、あまり早急に一つの意見だけで他をリードしていくということもいかがであろうか、相当の時間をかけて、だんだんに意見をまとめていくということが望ましいであろうということは、事務総長としては当然の態度だと思いますが、そういったような問題の取り上げ方の姿勢については、私も、さようにあってしかるべきことではないか。かような印象を受けた次第でございます。
○西村関一君 第二の問題についてお伺いをいたしますが、わが国の海外技術協力のあり方の問題でございます。経済援助の総額はかなり伸びていっているのでございますが、その中におきましても、海外技術協力に関する措置が非常におくれておるということは、国際機関からも指摘されているところでございまして、これらの海外技術協力の問題に対して、政府はどのような今後の見通しを持っておられるかということをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、まことにごもっともな御意見でございまして、政府といたしましても特に四十四年度あるいは四十五年度におきましては、予算の上でも若干の新味を出しつつあるつもりでございますけれども、技術協力ということが経済協力の中に、あるいは中にではなくて進んで一つの別項目としても、取り上げなければならない種類の問題である。かように考えるわけでございまして、海外協力については技術協力ということをぜひひとつ強力に推進してまいりたい。で、これは、いわゆる経済協力をバイラテラルにやっていく面におきましても特にその点が必要であると思います。あるいはマルチプルに行ないます場合におきましてもこの観点が非常に必要である。あるいはまた別の観点で、いわゆる移植民政策というものは全く新しい構想でなければならないと思うのでありますけれども、それらの点に関連してもやはり技術協力というものを非常に大きな要素として新しく考えなければならない。まあこういうふうな姿勢で今後強力に取り組んでまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
○西村関一君 技術協力の問題につきましては、いま大臣も触れられましたように、多国間の協力ということが望ましい。二国間の協力の形をとりますと、ややもすると経済侵略というような疑惑の念を持たれる場合もないではございません。そういう方面に進んで今後の方針を持っていかれるということにつきましては、私も当然だと思います。ひもつき援助でない、真にそれぞれの開発途上国のニードに応じた経済援助をしていく、同時に技術協力をしていくということが必要であることは申すまでもございません。そういう見地から私は、この技術協力の中における人間の問題——これを行なっていくところの人間の養成の問題が必要だと思うんでございますが、こういう点につきまして大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。やはり日本からそれぞれの国のニードに応じて技術協力をやっていく有為な人材を開発途上国に送り出していく、後顧の憂いのないようにして送り出していくことが必要であると思いますが、と同時に、それぞれの国々の人材を日本に受け入れまして、これを教育してそれぞれの国に送り返していく、ともどもに協力し合いながら開発をやっていくということが願わしいと思いますが、そういうことに対してわが国の施策はまだ弱いと私は思うんですが、今日、南北の問題がやかましく取り上げられておりまする情勢の中において、人の問題、人間の問題が非常に重要な要素を占めておると思うんです。そういう見地から国立の開発大学というようなものをおつくりになるような考えはないでしょうか。沖縄が日本に返ってくる。亜熱帯地帯である沖縄において熱帯医学の研究をするとか、熱帯農業の研究をするとか、福祉の面、あるいは東南アジアの諸国のことばの学習といったようなことを内容とした開発大学というようなものをつくって、そこが一つのセンター的な役割りを果たしていくというようなことは、私は非常に時宜を得た企画ではないかと思うんでございますが、そういうことにつきまして政府はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いをいたしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) これも全くごもっともで、私も同じような考え方を持っておりますが、御承知のように、すでに発足いたしておりますものには、これは通産省所管ですが、貿易大学校がございますが、これは、いまお触れになりましたような点も一つの人材養成の具体的問題として取り上げているわけでございます。 それから外務省といたしましては、これは実は四十六年度の概算要求に新しく提起しておりますが、国際経済協力センターというものに対して外務省を通じて政府が補助することを考えておりますが、これはまさに、ただいまお述べになりましたところにずばりと触れておる考え方と思います。構想から申しますと、まだとても足りないというようなおしかりもあらかじめ受けるかと思いますけれども、私どもの考え方をこういったところへ具体的にあらわしてまいりたいと、かように存じております。
○黒柳明君 繊維問題も大詰めにきたということで、外務大臣も総理のお供をせられて佐藤・ニクソン会談の様子は——会談には立ち会っておられなかったのじゃないかと思うのですが、克明にやはり御承知かと思いますし、ロジャーズ国務長官との会談でも相当繊維問題も出た、こういうようなことで、外務大臣として繊維問題の見通しといいますか——現地では牛場さんもこの任に当たられる、こういうことですから、いまの時点において外務大臣としてはこの繊維問題についてどのような見通しをお持ちでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお触れになりましたように、今回の、大統領と佐藤総理大臣との間の先般の会談におきまして繊維問題についての話が出まして、両国政府としては交渉を再開しようではないかということに合意ができたわけでございます。そうして、合意ができましたのはそういうことなんでありますけれども、中身については、まだ実はこれからでございまして、日米双方ともに六月——どうもまことに申しわけございませんでしたが、私自身も交渉に参加して話ができなかったわけでございますが、そのとき以降、双方ともそれぞれ具体的な提案というものはまだいたしておりませんですから、これからの問題、しかし気持ちといたしましては、できるだけすみやかに何とかこれは話をつけたいものである、かように存じておる段階でございます。 なお、御質問以外にわたりまして恐縮でございますが、たまたまわが国の経済界の間でも、いつまでもこれをほうっておくことは双方のために得策ではないのではないかというような議が起こってまいりまして、その結果、経済界の、あるいはまた経団連の会長植村氏のいわば自発的といいますか、自発的な発意による対米打診とでも申しましょうか、そういうことも行なわれたようなこともございますので、こういう環境の中で何とか相互互譲の精神でできるだけすみやかに話し合いがまとまるようになれば、これは外交を担当いたします私の立場といたしましても、まことに望ましいことである、かように存じておる次第でございます。
○黒柳明君 政府間交渉でこの問題を解決していく、こういう方向にきまった段階であって、まだ内容についても触れてない、こういうことですが、非常にやはりこれはデットラインを身近に置いているみたいで急いでいるようですね。業界も、六日の日には集まって検討をするというような報道もされております。ですから、早急にこの内容について当然通産省当局といろいろ打ち合わせをしてきめていく必要があるかと思います。いまも申しましたように、現地では牛場大使も相当やはり折衝の任に当たっている、このような報道もされておりますけれども、はたしてそういう政府内部の具体的な話し合いというものについては、どのようなんでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 率直に申しまして、私ども政府としても、アメリカ側に対して日本の従来からの考え方は機会あるごとに十分説明をしておるつもりですが、今回植村経団連会長も行かれまして、日本側の立場や考え方というものを十分に説明をされると同時に、先方の考え方というものもかなり掌握できつつあるわけでございます。その間に処して、日本側といたしましては向こうの考え方も頭に置きながら、しかし日本側としての立場、国益ということを踏まえて、どこの点で接点をぎりぎりのところ見出すことができるであろうかということについては、率直に申しましてただいま通産省が——これは主として国内の問題でございますが、もちろん外務省も緊密な連絡をいたしておりますけれども、ただいまの時点におきましては、通産省が中心になりまして、鋭意、その接点はいかなるところにあるかということについて検討いたしておりまして、まだそれが、どういう線がよかろうかというところまでは出ておりません。それが実情でございます。
○黒柳明君 総理大臣みずからがこの問題でニクソン大統領と交渉されて、いわゆるトップレベルの話し合いが進められたものですから、当然外務大臣もその席にいらっしゃるということで、業界の方を集められて総理大臣みずからがいろんな話し合いをした。その席上、まあ業界側が相当大幅にやっぱり譲歩せざるを得ないんじゃないか、政府としては救済法も考えていると、こういうようなこともいろいろ報道されておりますけれども、総理大臣みずからがこれをすべて最後まで引き受けるというわけにいかないと思いますし、当然、通産大臣、そして日米間の外交折衝の窓口である外務大臣がこの任に当たるべきだとは思いますけれども、何かいまのところでは、これから政府でどういう交渉内容のあるものを持っていくか検討中というのですけれども、何か業界側が泣き寝入りするか、あるいは大幅な譲歩を迫られるか、こういうようなことをされる方向にいくんじゃないかという懸念があるのですけれども、外務大臣としてそういう問題についてどうお考えになっているか。また、先ほど申しましたデッドライン、十一月十六日にはたして向こうの議会が再会されるという見通しはどんなものか。そこらあたりを一つデッドラインにして、通商法案が通過するその前に何とかまとめなければという、こういう意味でのタイムリミットがあるやに想定されるのですけれども、その議会が再会されるという外務省側の認知のしかた、これはどんなものなんでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) アメリカのほうの日程だけを見ますると、中間選挙もきょうこちらの時間の夜あたりには大体見当がつくだろうと思いますが、それを踏まえて十六日再開するということは、通常いわれている向こうの国会としての日程のようでございます。これも一つの、頭に置かなければならない要素ではあろうと思いますけれども、しかし、やはり日本側としては日本側の事情やあるいは日本側としての扱う姿勢、内容の問題もございますから、とにかく日本側としては、まあ総理、大統領の話し合いにも出たことであり、交渉を再開しようということもきまったことでございますから、それはそれとして、できるだけ早く、何とか日本側としての態度、あるいはさらに進んで先方との話し合いのまとまりをなるべく早くつけたいと、主体的に。かように考えてまいっております。
○黒柳明君 大臣の持ち時間ですけれども、通産大臣がいらっしゃらないので繊維局長にちょっと伺いたいのですが、いまのデッドラインですね、十一月十六日にそれを想定して、何か短兵急みたいな方向に話が進んでいるのか。それとも、開会すると通常いわれていると、こういう程度であるのか、外務大臣がおっしゃったように。はたして、その点いかがなんでしょうか。
○説明員(楠岡豪君) ただいまデッドラインにつきましては、外務大臣から御答弁のございましたように、これをひとつ頭に置いてやろうということかと存じます。私どもとしては、いま外務大臣からお話しのように、交渉を再開しようというふうに話がきまったことでございますので、まあ、できるだけ何とか打開の方法を見出したいということでいろいろ検討中でございます。
○黒柳明君 アメリカのほうから三十日ですか、新妥協案が出たというような報道、これはどうなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはアメリカとの関係ですから私からお答えいたしますが、それは先ほど申しましたように出ておりませんのです。
○黒柳明君 出てないのですね。政府のほうは、もし業界が抵抗すれば輸出貿易管理令の強権発動をするなんというようなことを打ち出していますけれどもね。それから救済法ですね、先ほど言いましたように、業界はこれに対して、そんなところまで追い込まれるのはいやだなんていう発言もしておりますが、そのあたりはどのような検討がされておりますでしょうか。
○説明員(楠岡豪君) 私どもとしては、そういうような事態のないように極力努力いたしたいと思います。救済策につきましても、これはどういう形になりますか、その最終的な姿がわかりませんと、なかなか対策も立ちがたいわけでございまして、また技術的にもいろいろ問題がございます。いろいろ検討中でございます。
○黒柳明君 産業援助法ですけれども、これが十一月上旬に出るというようなことを伝えられておりますが、その検討はどうなんでしょうか。これが出た場合には繊維業界だけなのか、あるいは広く各産業に対して適用するものなのか、それの御検討はいかがでしょうか。
○説明員(原田明君) 産業調整援助法という考え方につきましては、必ずしも繊維の問題とは関係なく、これからの日本の特恵供与、自由化の一そうの進展その他に関連をいたしまして、日本においても調整援助というような考え方をとるべき段階に入ったのではないかというようなことから検討をいたしております。したがいまして、繊維についての先ほど先生御質問のような救済策については、先ほど繊維局長からお答え申し上げたような段階にあるわけでございます。
○黒柳明君 最後ですけれども、時間がありませんので。アメリカと対立している総ワクでの規制なのか、一品ごとの規制なのか、こういう問題について現在のお考えはどのようなお考えを持っておりますでしょうか。
○説明員(原田明君) 当初アメリカのほうは、包括規制といわれます規制方式をやってもらえないかということを日本に要求いたしておりました。これに対しまして、わがほうは、個別的に被害のおそれを立証されたものについてならば考える余地があるという選択規制といわれる方向で考えていたことは御存じのとおりでございます。いま巷間、個別ワク規制でやるかどうかというような話が出ておりますが、これはまだ、アメリカがどういう形でそういうことを言い出してくるかということによるわけでございまして、向こうが個別的に規制を要求する品目について向こうとしては被害があると思っているので、やってくれといってくるかもわかりませんし、そこらのところは、向こうの考え方がより具体化しました上で判断をすべきことになるのではないかと考えております。
○黒柳明君 けっこうです。
○高山恒雄君 外務大臣にお聞きしたいのですが、いま黒柳さんから御質問がございました繊維の問題について二、三質問したいと思います。 総理は、日米の繊維交渉については互譲の精神をもってその解決をつけるべきだ、こういう発言をアメリカにおいてやっておられるわけです。互譲の精神ということは、双方が譲るということだろうと思いますが、一体アメリカとして譲るという見通しがついておるのかどうか。きょうの新聞にも出ておりますように、日本に譲歩を迫るというようなことが報道されておりますが、むしろこの時期に日本が交渉再開をしたという点は、逆に日本が譲るということになったのではないかと、こういう心配をするわけですが、外務大臣、どうお考えでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 結論から言えば、まさしく文字どおり相互が歩み寄ることができればということで、先方からの歩み寄りも大いに期待いたしておるわけでございまして、先ほども申しましたが、植村さんが渡米されまして、政府とはまた違った角度から、日本側の本件に対するいろいろの見方や、希望などを相当精力的に多方面にわたって具体的にキャンペーンしていただいたことは、私は相当の期待の根拠になり得るのではないかということも考えておるわけであります。私は、決して日本側だけが一方的に譲歩するということであっては相互の歩み寄りによる円満な妥結ということは言えない。こういうことを基本にしてやるべきであると、かように存じております。
○高山恒雄君 六十三国会で、これは本会議の決議にもなったと思いますが、この種の問題の解決について外交機関を中心に解決をつけていきたい、こういうふうに返答されておるのでありますけれども、実際問題として、六十三国会で答弁されたように、業界の意見を無視して妥結はあり得ないのだという考え方には変わりございませんかどうか。国会ではそういう答弁を何回もしておられます。各関係大臣がほとんどそういう答弁をしておられるのですが、その決議に基づいて、今回も政府は業界の納得なしにやるということはあり得ないのだ、こういう考えでいいかどうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、その当時も繰り返して申し上げましたように、輸出の規制ということを自主規制でやるということになっておるわけでございまして、したがって、それは業界の協力なくしてはできないことでございます。そういう関係からも、数日前に総理大臣がみずから繊維業界の代表の方々とお目にかかっておりますことも、そういうことを裏づけておるわけでございまして、いまお尋ねの点については、変わりはございませんと申し上げたいと思います。
○高山恒雄君 この問題について、特に政府は業界に補償をしても妥結を見出したいというような報道がなされておるのですが、私は、この種の問題は金で解決がつく問題と違うと思うのであります。実際問題として外交の姿勢をどうするかということが主体とならなければいかぬと思うのです。したがって、業界に補償をするから——きょうの新聞にも出ておりましたが、業界に対してそういう国民の税金をその裏づけの補償としてやるということは政府はけしからぬではないかという批評も出ておりますが、私もそのとおりだと思うのです。したがって、金で解決のつく問題と違うのではないかと思いますが、大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私も原則論として同じように考えるわけでございますけれども、先ほどもお話がありましたように、その規制の具体的なやり方によって、たとえば相当に伸びる可能性のある、あるいはそれを前提にしていろいろと計画をされておったことが、その伸び率がある程度期待したようにはいかないというようなことがかりに想定されるような場合がありました場合には、政府としてもそれに対しては一般的な中小企業対策というような面から見ましても、必要な面があるのではなかろうかと思っているわけでございます。ただ、ただいまの時点で、米国の案にしても、あるいは日本の案にいたしましても、こういうことで妥結したいということで、ぎりぎりテーブルの上にあれば、またそれを前提にして意見も申し上げられるのでございますけれども、その基本がまだできていないわけでございますので、いまのところはこれは仮定の議論ということに相なりますことを御了承いただきたいと思います。
○高山恒雄君 大臣も時間がないようですから最後にしたいと思うのですが、先ほども黒柳氏の御質問に対して、十六日までにこの解決をつけたいということが、これも報道されておるわけです。ところが、七〇年代の通商法案に対しては、アメリカ業界としてもかなり強い決議をして政府に迫っておると思う。それは別問題だと、したがって、日米交渉がいかになろうとも、その問題は別として法案の成立を見るべきだ。こういう強い主張をしておるわけですが、一体十六日までに解決がつくとするならば廃案になるというような見通しを持って、政府はあせり気味の交渉をされようとしておるのか。そういう点の考え方はどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 何ぶんにも通商法のほうはアメリカの国会での問題でございますので、これが通るか通らないかということが、いわば取引の対象になるというふうな性質のものではなかろうと考えられるわけでございます。要するに日本側としては、こういうところならばまあまあ互譲の精神で落ちつき得るかというところを発見し、かつ、そこにおさめるように最大の努力をするということを自主的に考えていくべきではなかろうかと思うのでありまして、通商法については、同時に、逆にこの法案というものに対しては成立させるべきではないという意見も、また相当に国内にもあるようでございますから、日本としての自主的な態度で、そして日米間がまず繊維問題について円満な決着がついたということになれば、私は決して悪いようには動かないのじゃないかというふうなことが言えると思いますけれども、これをこの程度にやれば通商法案は廃案になるのだという、そういう見通しを私から申し上げる立場にはないということも御了察いただけるかと思う次第でございます。
○高山恒雄君 そうしますと、あわててやる必要はないのじゃないかという結論も出るわけですが、アメリカ国内においてもいろいろな意見があるということも、私たちもいろいろ聞くわけですが、私が大臣に申し上げたいことは、これを外交ルートで解決をつけるということになりますと、実態を外務省にも十分知ってもらいたいと思うのです。私は、もしこの自主規制が行なわれた場合、犠牲をこうむるのは多数の労働者だと思うんですよ。日本の中小企業はそんなに完全なものになっておりません。この犠牲者のことを考えますと、単にアメリカが主張してきたから、日本は自主規制をしなくちゃならぬということにしては、日本の産業の将来が案じられるわけですね。いま一番問題の焦点は、一ぺん閉鎖をするような傾向にかりになったといたしますと、これはもう再起は不可能です。これだけ労働力が不足している場合に、労働者を一ぺんに失い、そうして景気がいいからまた再建してやろうというようなことは、労働力の面からこれをカバーすることは不可能であります。私は、こういう実態をほんとうに外務省にも考えていただかなくちゃならない、この自主規制の問題だと思うんです。ただ単に政治的な解決で、大乗的な見地に立って、相互の理解の上で解決をつけるというのには、あまりに問題が大き過ぎる。この点を外務省としては十分ひとつお考え願いたい。これは希望意見ですけれども、私は最後に申し上げて終わりたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところは従来も心してまいったつもりでございますが、十分ひとつ心して当たりたいと思います。
○西村関一君 先ほどお伺いいたしましたわが国の技術協力の問題でございますが、先ほども触れたとおりでございますけれども、政府はこの技術協力についての量と質をどのように高めていこうというお考えであるか、この点はかなり各国が注目しているところだと思うのでございます。GNPの一%までを経済援助に向こう五カ年間振り向けていこうということは、再三政府が内外に公約しておられるところであります。その中の技術協力につきまして、どの程度までこれはしていこうというお考えなのか、その点をお伺いしておきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと数字的にはっきり申し上げるのに自信がございませんのですけれども、大体一九七五年のところを一応押えてみまして、無償を合わせまして三億ドル前後というところが、いまのところは見通しとして考えられておりますが、しかし、これは、ただいま申しましたように、自信を持って申し上げるだけの根拠はまだ十分ではございません。
○西村関一君 その額の問題もさることながら、質の問題でございます。御承知のとおり国連のピアソン報告やアメリカのピーターソン報告は、ともにその中において、いわゆるひもつきの二国間援助の廃止と多国間援助の強化を訴えておるのでございます。この間、東京で開かれましたDAC上級会議のコミュニケにおきましても、ひもつき援助の全廃については大多数の国が賛成しているので、今後実施上も技術的な問題を煮詰めるということが合意されておるのであります。これらの点を勘案いたしまして、わが国の技術援助のあり方、その質の問題については各国が重大な関心を持っていると思うのでございます。その質の問題につきまして、大臣の見解を最後に伺っておきたいと思うのです。
○国務大臣(愛知揆一君) これは私さっき自信のないことをみずから申し上げたのですが、技術協力、技術援助については必ずしも額で表示することが適切であるかどうかということを含めて申し上げたわけでございますから、ただいまのようなお尋ねをいただきますと、気持ちにおいて私は通ずるところがあるかと思うのであります。問題はまさに、人的な資源と申しますか、人の問題に相なります。それから機構の問題にもなると思いますので、これはただ単にお金で表示することはできないわけでございますが、DACの上級会議の意見その他も十分に参酌し、また、先ほども申し上げましたように、徐々にではございますが、政府としての機構あるいは民間の各種のセンターに対する補助金というようなことで、人的資源の充実をはかりたいと思います。それから同時に、与えられる国がそれぞれの国柄からいいまして、いろいろの希望や、その国々によっての計画もございます。できるだけそれにミートするような計画をつくり上げて、それに適するような人と構成をもって臨まなければならない。あるいは、こちらの受け入れるほうにも、向こうの派遣するほうにもいろいろの希望もございますから、それにやはりミートするような十分なくふうが必要ではないかと思っております。要するに、先ほど来お話がございますような点について、できるだけ積極的に大いに伸ばしていくということで推進いたしたいと思います。
○西村関一君 もう一点だけ。技術援助のあり方の問題について、期限の問題とともに行政の統一問題があると思うのです。これは事業団が一応窓口になっていることは私も承知いたしております。これの運営につきまして統一的な計画が欠けているというような印象を受けるのでございます。外務省が監督官庁でございますけれども、外務、通産、農林各省との間に総合的な調査や立案計画が実施されてないというように見受けられるのでございます。この点に対して今後これを改めていくというお考えであるかどうか、何か適切な措置を外務省としてお考えになっているかどうかという点を大臣から伺って、あとはまた事務当局に伺うことにいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 事業団については、まことに私も申しわけないことに思っておりますが、御案内のようにストライキが起こりましたりして、相当期間にわたりまして関係各方面に非常な御迷惑や御心配をおかけいたしました。また、こういう重要な事業を国際的に担当しております機関が、こういうふうな状況を示しましたことは、私としてもほんとうに申しわけないことと存じております。幸いにして罷業も解決ができましたし、また、特に個人の名前をあげてはいかがかと思いますけれども、中山素平君が会長として非常な努力を払ってくれるようになりましてから、この事業団の運営につきましては相当筋が入ってきたように思います。何しろ、御指摘のように、いわば寄り合い世帯であったというようなことからいろいろの問題が起こりましたが、これを統括して、そして一つの指導精神のもとに、きっちりした運営をして世の期待にこたえるようにしなければならないということについて、従来ともすれば主管庁である外務省の努力の足りないところがあったようでございますから、この点についてはあらためて十二分の意を用いてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○和田静夫君 先ほどの外務大臣の答弁に引き続いて質問いたしますが、倉石農林大臣は、問題の那覇空港の発言で、B52が発つとか発たないとか、基地がどうとかという小さなことよりも、いまの世界情勢の中で日本全体の方向をどうするか考えてもらうのが国政参加の意義だ、こう述べているんです。そこで、沖縄担当大臣としての総務長官、B52の問題や基地の問題は倉石農林大臣が言うようにちっぽけな問題ですか。
○説明員(湊徹郎君) ただいまのお話でございますが、御承知のように、沖縄復帰を二年後に控えて、私ども、主として返還協定と外交に関する問題は外務省、同時に、沖縄県づくりを中心にしたその他の諸般の内政上の問題については私どもということで分担しながら、全面的に、いま返還をめどに精力的な作業をやっている最中でございます。ただいまお話しの倉石農林大臣の現地における発言等に関しましては、公的にも私的にも実は私、承知しておりません。新聞記事等を通じて知っておる程度でございますが、私どもとしましては、当然基地の問題、それに関連するB52ないしは毒ガス撤去の問題等、従来からも事沖縄に関する重大な問題であるという認識のもとに、主として外交ルートを通ずる交渉については外務省等にもしばしば申し上げ、同時に、現地のアメリカの機関等につきましては、山中長官ないしは私も現地を訪れておりますが、そのつど善処方を要請してまいったわけでございまして、決して小さな問題であるというふうには考えておりません。
○和田静夫君 立法院の選挙と国会議員の選挙とを対比して倉石さんはいろいろ言われているんですが、そういう形式論理はその場合成り立ちません。沖縄の施政権はいまわが国にないわけですから、だからこそ国政参加特別措置法という特別な立法を行なって特別な選挙を行なっているわけですね。これは後ほどどっちみち倉石発言が問題になってきますので、もう一回確かめておきたいのですが、国政参加特別措置法の目的は何ですか。
○説明員(湊徹郎君) これは過般の経過から申しまして、実は各党、国会全体一致の意思という形で、議員立法の形でつくられた法律でございますし、私どもも国会全体の意思ということで、この特別措置法の一条にございますように、返還時点までに現地沖縄の住民の皆さんの気持ちが端的に国政の上に、あるいはそれに関連する各種の施策の上に反映されるように、まあ一刻も早くこの国政参加を実現したいと、こういう気持ちで私どもも、政府としても、国会の意思を最大限に尊重してまいりたいというふうに考えております。
○和田静夫君 言われるとおり、沖縄住民の意思を国政に反映させる、第一条、こういうことであります。いま行なわれておる沖縄の国政参加選挙に、佐藤内閣の有力な閣僚が一般の公職選挙法のみを前提に考え、国会議員選挙と同等に考え、国会議員と県会議員とを対比的に、倉石さんが、ぼくでも長野県の農業問題だけを取り上げるわけにはいかないなどと言うのは、これは筋論としては成り立たぬわけです。いかがです。
○説明員(湊徹郎君) まあ、発言の内容に触れたことについて私のほうからとやかく申すことはいかがかと思いますが、私ども沖縄担当の総理府といたしましては、先ほど申し上げましたように、復帰時点もわずかで、実は過般閣議において復帰対策の基本方針をおきめ願い、もはやその具体的な対策に取り組む時期であるというふうに考えております。そういう観点から、とにかく二十五年の空白を、そうしてその間沖縄の皆さんにおかけしたさまざまな御迷惑、不安、そういう気持ちのないように、とにかく全力をあげて復帰対策を完全な形で実現したいと、こういう気持ちでひたすらにいま仕事をやっているところでございます。
○和田静夫君 たいへんいい答弁だと思うのです。で、私は現地にいた関係があって特に煮えくり返る思いなんです。ちょうど時期を、幸か不幸か一緒にいたわけですが、この倉石発言というのは——それをまあ追っかけてきょう官房長官を呼んだんですが、官房長官はお見えにならぬのですが、保利官房長官は、倉石君は憂国の士だなどという記者会見の発言と相まって、実は現地では、佐藤内閣の本音、いま副長官が言われたこととは違った——まさに倉石さんや保利さんのほうが本音を吐いているのじゃないかという理解をされています。沖縄現地で多くの県民の皆さんからそういうたいへんな怒りを耳にしてきました。考えてみますと、あの戦後の講和条約に伴う処分、ずっと以前に琉球処分として、いわゆる日本人として特殊な歴史的体験を持っている沖縄の九十六万県民大衆は、倉石発言に第三次の琉球処分の到来という忌まわしい影を見ているのであります。そうしてあの講和条約締結の際に、沖縄の帰属は、私たちは憲法九十五条に基づく住民投票によって決すべきであると主張したのですが、その声に十分耳を傾けていないと言っても過言ではないと思うのですね。そこで内閣に、きょうのこの委員会の倉石発言をめぐるやりとりの内容を持ち帰り願いまして、いままでの政府説明と倉石発言の相違というものはとにかく明らかなんですから、倉石さんの公人としての進退を含むその問題について、とにかく明らかにしてもらう、そういうことを求めておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○説明員(湊徹郎君) まあ、山中長官は余儀ない事情で出席できませんでしたので、よく帰りまして相談したいと思います。
○和田静夫君 それから、これはまあすでに衆議院の内閣委員会で問題になっておることでありますから副長官は御承知だと思うのですが、ここで答弁できなければお持ち帰りになって相談をしていただきたいと思うのです。去る九月二十二日付で、自民党田中幹事長名で、「初秋を迎えいよいよ御健勝のこととお慶び申し上げます。さてサンケイ新聞は、わが自由民主党の政策を理解されわが党の政策遂行にたいへん御協力をいただいております。つきましては地方支部等で、いまだにサンケイ新聞を購読されていない方々に同紙の愛読をお願いいたしたいと存じます。同紙の拡張はわが党広報活動の拡大にもつながるものでありますので、事情御了承のうえ御高配を願い上げます。」というような通達が自由民主党の支部連合会長、支部長あてに出されているのですね。そして去る十月二十八日の衆議院の内閣委員会の理事会で、社会党の理事がこの件を問題にした際に、自由民主党の理事の方々は、もし通達が出ているとすれば非常に問題である、常識では考えられないことだ、通達の内容は行き過ぎだ、こういうふうに発言をされていることが伝えられています。このように政府の与党が新聞の中立公正という日本新聞協会の新聞倫理綱領を破る行為を行なっている。そういうことについて、政府としてこれをどのようにお考えになりますか。
○説明員(湊徹郎君) ただいまの問題は、政府としてとおっしゃられますと、ちょっと率直な話返事に困るのでありますが、やはり国会の内部の議運その他、やはり党の関係の問題として、党の幹事長という立場で御発言なすったことのようでございますから、そういう形でひとつ御処理をいただくのが筋道じゃなかろうかと思っております。しかし、おまえらもやはり同じような与党という立場、政府与党と、こういうことになりますと、ちょっと話が飛びますけれども、さっきの沖縄の問題につきましても、あえて山中さんも私も、党人でありながら、沖縄の今回の国政選挙にはいささかもタッチすまいという、そして公平な立場で全力をあげてひとつ返還努力を傾けよう、こういう姿勢でやっておりますので、いまのような問題等については、ちょっと政府としてはタッチすべきことではないのじゃないかと私個人は考えておる次第でございますが、せっかくのお話でありますから、ただいまのような問題点があったことも含めてよく山中長官とも話し合ってみたいと思います。
○和田静夫君 まあ御答弁の趣旨もわからぬわけじゃありませんから最後にいたしますが、このたとえばサンケイ新聞が所属をしている新聞協会は、新聞の中立公正を理由に、言ってみれば、政党機関紙というのは排除しているわけですね。私は、たとえばイギリスのように、新聞が一つの政党との関係を深く持つ、そのことを必ずしも違った意味では否定をいたしませんけれども、ともあれ、新聞協会から政党機関紙が排除されているこの国の実情——この協会加盟の一つの有力紙を政府と関係がないとは言われてはおりませんが、言ってみれば、与党が推薦したということは、他の新聞は結果的には悪いということにも私はなると思うのですね。これはいいんだ、あれは悪いのだ、——悪いとは言っておりません。考えてみれば、たとえばニクソンがニューヨーク・タイムズのみがよいと言った場合、この影響は国際的だと思うのです。したがって、今度の行為というのは、たいへんうがってよく考えてみますと、言論統制にもつながる危険性を持っている、そういうように私は考えますので、まあ総務長官のおいでを願う機会に付随的に意見を述べる機会を持たせてもらったのですが、そういう意味で、十分総務長官にもお伝え願うと同時に、それを通じて、佐藤総理にも私の質問の趣旨を十分伝えてもらって、その結果についての措置をお願いしだい、こういうように思います。
○説明員(湊徹郎君) 本日の先ほどからの二、三の問題点も含め、よく部内で相談したいと思います。
○西村関一君 先ほど大臣の御答弁の中にも、海外技術協力事業団について、いろいろ紛争があったけれども——ストライキがあったけれども、解決がついたということばがございました。私は、さらにこの問題に触れまして、事業団の問題についてお伺いしてみたいと思うのでございます。 私の手元に昭和四十一年度から二年度、三年度にわたるところの海外技術協力事業団の貸借対照表がございます。これを見ますというと、三カ年とも黒字であることがわかるのでございますが、四十四年度のストライキのときの、問題の時期の収支決算は一体どうなっているのか、そういうこともこの際ひとつ最初に伺っておきたい。事業団の理事の方からお答えを願いたいと思います。
○参考人(田付景一君) 私、海外技術協力事業団の理事長の田付でございます。ただいま御質問になりました黒字というのは、つまり予算が繰り越しになったということだと思いますが、これは私のほうの仕事が、実は単年度ではなかなかできないという面がたくさんございます。つまり仕事そのものが一年ではできにくいので、さらに二年目になる、三年目になるという場合があるわけでございまして、その場合、予算では一応計上しておりますが、その一部の仕事を翌年度に繰り越すということがございまして、その点が予算の面に出て、いわゆる黒字というかっこうになって出ておると思いますが、これは予算上繰り越しになりまして、その次の年に使用するということになっておるわけでございます。 それからもう一つの御質問でございました、ストライキによって決算がどうなっているかというお話でございますが、四十四年度の決算は、少し私のほうの決算が若干おくれておりまして、会計検査をいまちょうどやっておる、そういうわけで、これが終了いたしましたらはっきりすると思います。
○西村関一君 まだ決算ができてないということは了承いたしますけれども、四十四年度においてあれだけのストライキをやったのですが、その結果どういう状態になっているかということを、本委員会といたしましてもかなり大きな関心を抱かざるを得ないのでございます。幸い、大臣の御答弁もありましたように、関係者の方々の御努力によりましてストライキがおさまったということで、まことにけっこうでございますが、立ち直ってさらに前進をしていかれる、堅実に事業を前向きに進めていかれるということについての——理事長さんの側からの状態についての御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
○参考人(田付景一君) まことに仰せのとおり、ストライキがあり、ロックアウトがあり、非常に異常な状態が続きまして、皆さんに非常な御迷惑をかけたばかりではなく、国際的にもいろいろな問題を起こしたということについては、われわれとしても非常に遺憾なことだと思っております。幸いなことに、その後ストライキもロックアウトも解除になりまして、職員の人々にも最近は非常に熱を入れて仕事をしていただいております。ただ、こういうような事故が起きましたことについては、やはりわれわれの従来の仕事の面についても不十分なところが多かったということも反省しておるわけでございまして、そういう意味から、そういう仕事の面での問題点、こういうものを徐々に解決していきたい。この事業団ができまして、ちょうど八年になりますが、実は仕事のほうがどんどん先に走ってしまいまして、業務そのものをやる組織といいますか、基礎というものが非常に弱かったという感じがいたします。その意味からも、これからわれわれは、そういう基礎を固めていくということが大切だと、こう思いますので、来年度の予算につきましては、そういう意味から外務省の御協力も得まして、単に量ばかりふやすということでなく、質的な改良、改善というものもやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これからいろいろ御質問がありますと思いますが、私としましては、専門家の派遣にいたしましても、研修員の受け入れにいたしましても、あるいは機材供与にいたしましても、いろいろいままでの欠点がございますので、これらの点について急に直すというわけにいきませんですが、徐々に直していきたい、こう考えております。
○西村関一君 今度のストライキについて申しますれば、普通の賃上げ闘争とか、合理化反対闘争というようなことでなしに、やはり人事の問題が中心になっています。それは天下り人事、各省からの天下り人事というものが根本の原因になっているようでございます。そういう点につきまして、外務省のほうではどういうふうに見ておられるかということを伺いたいと思います。
○説明員(沢木正男君) 事業団が発足いたしましてすでに八年余りたっておりまして、その間次第に有能な職員も育ってきております。しかしながら、いまだこれらの人材は三十歳前後の若い人が多いわけでございまして、したがいまして、事業団のほうの人事方針としましてもできるだけ内部の有能な職員を育成しまして、その中から幹部職員を登用して組織を固めていくという点は、基本方針として会長名でも職員に明示しておるわけでございますが、一部にはいまだ関係各省との事務の連絡その他の点からも、関係各省から人を迎え入れる必要は依然として残っておるというふうにわれわれ考えておる次第でございます。
○西村関一君 そのような必要性ということも全然ないとは言えませんし、またそれも大事なことだと思うのでございますが、しかし同時に、何かそれが関係各省の既得権、なわ張りと申しますか、そういうものにつながっているように労働組合側もとっておるし、世間一般からもとられておるという点に対して問題性を感ぜずにはおれないわけです。これは功罪半ばするというか、いい面もあれば非常に困った面もある。今度のストライキの原因はその点にもあったということは、労働組合側の言い分を見ましても、かつ、マスコミの報道からしましてもうかがえる点でございます。そういうことを避けていくためにも、せっかくできまして成果をあげつつあるところの技術協力事業団の今後のあり方について、主管官庁としての外務省としては前向きに対処される必要があるんじゃないか。いま局長の言われましたのは、天下り人事ということばは私もあまり使いたくないのですけれども、そういう有能な各省の人材もこれに入っていくという必要性は認めます、また、それに対する不満も出てきておる、不平も出てきておるということから考えまして、今後この仕事に打ち込んでいるところの人たちのポストの問題、同時に、責任ある仕事に当たってもらうということの見通し等についても、十分外務省としては配慮していただく必要があるんじゃないか。これはもちろん事業団自体の自主性の問題ではございますけれども、やはりこれに指導をし、監督をし、また経済的な補助的措置をしておる、国費を使っておるところの外務省としてもやっぱり責任があると思う。この点についていかがでございましょうか。
○説明員(沢木正男君) まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、すでに内部で育った者を一部幹部にも登用も開始いたしましたし、関係各省から人を採る場合にも、単数でただ指名されて出された者を採るというようなことはいたしませんで、必ず事業団のほうが自主性を持っていい人を選べるような方式で、関係各省からも人を採ることを考慮いたしております。 それから、関係各省から採りました人も、必ずしも腰かけ的にその省の問題だけに携わる態度ではなくて、海外協力事業一本に打ち込むという熱意のある人物も出ておりまして、中には、もう二度ともとの省には帰らないで、一生事業団で働いていきたいというふうに、事業団に本式に転向した人物も出てくるというような状況でございまして、これは技術協力事業団職員全般の士気にもかかわる問題でございますし、われわれとしても一番重要なこととして理事長とも緊密な連絡のもとに努力していく所存でございます。
○西村関一君 そういうお考えに立っておられることはまことにけっこうでございますが、どうしてもまた各省のエゴイズムというものが出る、そういうことに対して事業団それ自体の自主性、会長の人事権、そういうものをもっと強めていく、当然のことですけれども、そういうことが失われていて、各省のなわ張り根性から会長が人事を思うようにやれないというようなことがあっては、これは公正な運営ができないと私は思うんです。その点に対して外務省としてはどういうように規制をしていこうとしておられるのか。現状、そういうことがあるということをお認めになりますか。そういうことがやっぱり紛争の原因となっておることは御承知のとおりですけれども、この大事な仕事をやっていただく上においても、そういうことが紛争の、ストライキの原因になっているというならば、どういうふうにしてこれを整えていくかということを考えていくことが必要じゃないかと思いますが、その点、くどいようですけれども、もう一度見解を伺っておきたいと思います。
○説明員(沢木正男君) ただいま申し上げましたように、確かに関係各省のなわ張り根性が現在存在しておることも事実でございます。かつまた、これと正面切ってもの別れになりましても、協力事業のほうでうまくいかないことも事実でございます。したがいまして、一般的には、先ほど申しましたように職員の内部登用というものを重視してまいり、かつ、会長の人事権というものを確立する意味におきまして、関係各省との交渉におきましても、すでに、ただいま申し上げましたように複数の人員からこちら側が好んだ者を採るというふうに切りかえておりますし、その世襲財産的な各省の人事に関するなわ張り的な考え方というものを、この際改正していただくように、関係各省にも呼びかけておりますし、そういうふうにして徐々に、将来は内部から登用した職員が中心になって組織を固めていくという方向で努力いたしたいというふうに考えております。
○西村関一君 技術協力事業団の問題につきましてはこの程度にとどめておきたいと思いますが、先ほど大臣に対してお尋ねをいたしました中にも触れたのでございますが、技術協力に対しては人の問題、人物の問題が中心であるということは大臣もお認めになって強調しておられるところでございますが、その場合に、有能な人材を関係各開発途上国へ送り出すという点について後顧の憂いのないようにして行ってもらうということについて、はたして万全の策が講ぜられておるかどうかということについては、私も疑問を持つのであります。そういうことを私もときどき聞いたことがございます。たとえば、外地へ派遣される、出張する場合における身分の問題、それから帰って来た場合のポストの問題それから待遇の問題、そういうような点について、どういうふうに処置しておられるか、そういうことがきちんとできておれば、使命を感じた有能な方々が喜んで開発途上国へ行って、その地域の人たちと協力して技術開発のために努力をせられるということになると思うのでございます。そういう点がまだ十分なされていない。また同時に、国際機関から日本に要求があった場合でもなかなか要求に応じられないというのが現状である。国連その他国連関係の国際機関からこういう人物を送ってもらいたいという要請があっても、なかなかこれに応じ切れないというのが現状ではなかろうかと思うのでございます。そういうことに対して、技術協力の大事な柱である有能な人材が喜んで開発途上国のために協力できる、喜んで奉仕できるというような体制を立てることが大事だと思うんですが、その点、外務次官はどういうふうにお考えになっておられますか。
○説明員(竹内黎一君) 現在の技術協力におきまして、先生御指摘のような問題があるということは私どもも十分に承知をしております。特に、現在現地において御苦労願っておる方の待遇の問題が、先進諸国の同種の仕事をしている人たちに対しても著しく低いということを私どもも承知をしておりまして、明年度予算におきましても、まずその待遇の引き上げということをぜひお願いしたい、こう思っておる次第でございまして、いろいろと先生方のお知恵を拝借して、ほんとうに喜んで現地に赴任し、現地のためになる仕事ができるような体制を着々と固めていきたいと思います。
○西村関一君 いまの問題に対して、大局的な御答弁が政務次官からございましたが、担当局長さん、その点についてはいかがですか。
○説明員(沢木正男君) ただいま政務次官からお話がございましたように、専門家の待遇改善という点を中心に今年度の予算要求をいたしております。 それから制度的なものとしましては、この前の国会で流れました国際機関に派遣される公務員あるいは地方公務員の身分の扱いにつきまして、これは通常、国連とかあるいは国際開発銀行とかいうふうな正式な機関に派遣される政府職員の身分を規定したものでございますが、それと同時に、海外技術協力に派遣される専門家につきましても、同様な待遇を準用するということで、内閣と話し合いまして、そういう法律を国会に提出しまして、御審議いただく予定でございます。この法律がもし成立いたしますれば公務員その他が技術協力に出ましても、身分上損失をこうむることがないようになります。それから予算制度上、在勤俸の引き上げ、それから派遣されました専門家の一時帰国制度並びに休暇制度、現在までは家族ぐるみで行なっております専門家の家族の帰国旅費は認められずに、専門家だけという制度でございましたが、今年度からは一部家族の帰国に認めるように、これをさらに拡大したいというふうに考えております。 それから帰国後の身分保障でございますが、現在帰国しまして六カ月間身分保障がされることになっておりますが、これも予算上人員の制約がございまして、全部の専門家について、それを適用するということがなされておりませんので、この点も考えて予算をふやしていただきたい。 それから子弟の教育の問題がございまして、本邦に残留した子弟の在勤中の親元への旅費支給、これは外交官につきましては現在一部そういう制度が適用されておりますので、それと同じような制度をやっていただきたい。 それから僻地の問題ですが、外交官は後進国へ行きましても、その国の首府に滞在するわけでございますけれども、専門家は僻地に入ります。したがいまして、僻地手当あるいは危険手当等、各種手当を増額していただきたいという点も予算折衝の中の一番重点項目として考えております。 それから一定年限、専門家として海外に勤務した者に対する年金制度の創出を考えたいということで、これも予算要求をしております。 それから、専門家を派遣するところの派遣元でも原則として人員が国内でも不足しております。したがいまして、そこへまた海外に専門家として人手をとられてしまうということになりますと、派遣元で非常にいい人がありましても渋る傾向がありますので、これに対して、かわりの人員を雇うだけの補償金を出すというようなこと、それから専門家の現地業務費をさらに増大する。それから現地におきまして、家屋その他の手当が相手国政府で十分でない場合に、こちらのほうの費用で家屋を建ててやるというような費用、それから今年度から大きく出てきますのが専門家養成制度に関する、先ほど外務大臣から御答弁申し上げました国際経済協力センターというのが大来構想でできることになっておりまして、これはわが省のみならず、通産省あるいは運輸省、建設省というような省も関係しておられますが、それに対して補助金並びに委託金を出していくというようなことを関係各省寄ってこれの育成を考える。そして、そのセンターでは海外に派遣される専門家の養成を考えております。そのほかに通産省の貿易大学校——現在は、これは貿易マンを養成する学校として存在するわけでございますが、そこに海外に派遣する専門家を養成するコースを付設していただくというふうなことも目下通産省と話し合い中でございます。
○西村関一君 いろいろ計画があられるし、予算要求も出されておられることを伺いましたが、それは少なくともいま局長が言われたような点につきましてはまだ十分ではございませんが、一歩一歩と完ぺきを期していただきたいと思うし、いま外務省は予算を取るのはへたですから、何とかひとつ、それにはわれわれも協力いたしますが、そういう点についても、先ほどから申し上げておるようなひもつきでない、海外技術協力の進展のために喜んで中心的な役割りを果たしていただくことのできるような人材を送り出すということに努力していただきたいと思うのでございます。 それから同時に、開発途上国からわが国に研修その他で来られます方々の受け入れ体制はどうなっておりますか。
○説明員(沢木正男君) 研修員の受け入れにつきましても、研修員の受け入れ先の拡大、それからそれを研修する専門家の確保、それから養成及びその待遇の改善というような点を中心にいたしまして、特に、今年度から研修員の受け入れ基盤をさらに拡大しませんと、現在非常に研修希望が多うございますが、これが国内で受け入れるだけの余地がない状況にあります。したがいまして、受け入れを都道府県にお願いするということで、さしあたり七県ばかりの県とお話しいたしまして、地方公共団体に補助金として一億七千万円の予算要求を現在出しておりますが、それで、そういうふうな都道府県に地方センターを設置していただく、そこで研修員を受け入れるようにしたいということを考えておりまして、これも行く行くは相当県の数もふやしていきたいというふうに考えております。
○西村関一君 この点につきましては、まだお伺いしたいことがございますが、来月また本委員会におきまして外務関係の質問が予定されておりますから、その際に譲りたいと思います。 次に、海外移住問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。第二次世界大戦後におけるところのわが国の海外移住は、二十七年に再開されましたが、三十五年度千三百八十六名をピークにいたしまして、ずっと下り坂になっておる。四十二年度八百八十四名、四十三年度六百二十三名、四十四年度六百四十八名、著しく減少しているのでございますが、これは一体どういうことが原因でございましょうか。
○説明員(遠藤又男君) ただいま御指摘のように、戦後における日本の移住は、昭和三十五年をピークといたしまして、だんだん下り坂になっております。いま先生のおっしゃった数字のとおりでございまして、だんだん下降傾向をたどっているわけでございますが、この理由といたしましては、内と外と両方の理由がございます。内につきましては、日本の著しい経済成長が基本になりまして、雇用機会が増大したということと、それから一般の生活水準も向上した。したがって、戦後しばらくの間見られたような雇用機会と高い生活水準を求めて外へ出るという移住の形がだんだんと減っておる、こういうことになっておるわけでございます。さらに外のほう、つまり受け入れ国側についてみますと、やはり同じようなことで、向こう側につきましては、外国から入ってくる移住者につきましては、当初は労働力の確保というようなことから、いわば無制限に入れておったというのがだんだん選択的になってまいりました。つまり技術と資本を持った者を入れるのだという選択的な方針になってきておるということ、内と外と両々相まって、いま申し上げましたような下降現象が出てきているというふうに言えると思います。
○西村関一君 いまおっしゃった点もさることながら、その後の受け入れ側の各国の情勢を考えてみまするというと、たとえばアメリカとかカナダみたいな国はむしろ有能な技術移民を要求している。それがだんだん増加の傾向をたどっているということでございますが、近年日本農業は非常にむずかしい情勢の中に置かれておりまして、離農者も相当数出てきている。条件さえ整うならば海外に出てみようかというような向きもないではないと思いますし、また、そういう面からも、いままでの優れた技術、経験を生かして海外に出ていくということも考えられるのですが、そういう点に対して、日本の経済が上昇したから移住ということを考える者はなくなったということだけで結論づけてしまうことは早いのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
○説明員(遠藤又男君) まさに御指摘のとおりでございまして、さっき下降現象にあると申し上げましたのは、主として中南米向けの、しかも、その中の農業関係が多かったわけでございます。おっしゃるようにアメリカ、カナダについてみますと、むしろこれはだんだんと上り坂にある。まあ少なくともここ数年間はアメリカにつきましては大体において三千前後、それからカナダにつきまして六百人前後という数が毎年出ております。そして、この出ていく人の内容に立ち入ってみますと、農業よりもそれ以外の非農業の技術関係が多いということが言えるわけであります。まあアメリカについてみますと、大体四分の一が農業及び非農業の移住者でございます。四分の三は呼び寄せとか結婚のために行く人であります。職業を持って移住するという人は大体四分の一でございますけれども、その九割までが技術、一割が農業技術者で、それ以外が非農業の技術者というようなことになっております。それからカナダにつきましても大体そうでございまして、農業技術が一六%、それ以外の非農業の技術者が八四%というようなことになっておりまして、農業の比重は落ちておりますが、とにかく全般に技術を持った人については向こうでの雇用の機会が非常に増大しているということが言えるわけであります。さらにこれは中南米についても同じことが言えるわけでございまして、非農業の技術者については向こうも大歓迎ということでございまして、その点御指摘のように、いまからも努力次第によってはまだまだ日本人の海外発展の希望者は多いはずでございますし、そういう意味で、大きく考えた場合の移住というものは、今後とも発展する見込みが大きいというふうに思っておるわけでございます。
○西村関一君 海外移住につきましては、海外移住事業団が発足して成果をあげておられるのでありますが、戦争前の移住についての考え方と事業団発足以後の移住に関する理念というものはだいぶ変わってきていると思うのです。その点、事業団に対する期待は大きいと思うのですが、事業団の最近の業績につきまして事業団の関係の方からお伺いしたいと思います。
○参考人(柏村信雄君) ただいまお話しのように、戦前の移住につきましては主として人口問題であるとか、あるいは日本の国内において苦労し、困窮しているというような人を出すことが——もちろん、そうでない理想を持った人も多かったと思いますけれども、大勢としては、日本国内において生活に苦しむ人たちが出て行くことが多かった。戦後におきましても、海外移住事業団ができまする前、再開されました当初におきましては大陸から引き揚げた方々、あるいは日本の国内も非常に困窮をいたしておりましたので、そういう層の方が多く出て行ったのではないかと思うのです。三十七年に内閣総理大臣から移住審議会に対して諮問が出されまして、御承知と思いますが、今後の移住というものは、日本とは異なった海外におきまして日本人の持っている能力を生かして発揮し、そうして国際協力と申しますか、日本の成果を高める、そういうふうな移住の理念というものが打ち立てられたわけでございまして、私ども事業団といたしましては、その答申の精神にのっとっていままで仕事を進めてまいってきたわけでございます。ところが、実際ただいま移住部長からもお話のありましたように、三十五年をピークとしまして、ちょうど事業団ができました三十八年の前から——三十六、七年、すでに非常な減少を示し、事業団ができました以後は非常な何と申しますか、数の上で低調になっておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、海外移住というものの重要性というものを考えまして、もちろん、海外移住というものは国が引っ張り出して外国に植えつけるという性質のものではなくて、行く人々、個人の自由意思に基づいて移住をいたすわけでございますが、適格者についてはこれをできるだけ援護をいたしまして、また、移住の潜在希望者を目ざめさせるというような啓発にも力を入れまして努力をいたしておるわけでございます。したがいまして、数が減っておるから、今後の移住につきまして、国内労働力が不足であるからもうやめたらいいじゃないかとかというような考え方は全然とっておりませんで、やはりかりに数が少なくても、希望する人には希望するチャンスを与える、そうして出て行ってできるだけの活躍をしていただく。これが本人の幸福なり子孫の繁栄につながると同時に、また、受け入れた国の経済的、文化的発展に寄与する。さらにまた、これはひるがえって日本の国際的信用を高め、将来は貿易その他についても日本にはね返ってくる利益のあるもの、そういうような性質の移住を推進すべきものであるというふうに考えております。
○西村関一君 なかなか苦労なことだと思うのでございますが、実際数が減っている、世論の風当たりも強い、そういう中で仕事をやっていただくのですから、なかなかたいへんなことだと私も察しておるのでございます。しかし、それだけに、しっかりやっていただきたいということを思うものでございます。御承知のとおり、行政監理委員会が事業団廃止論というものを出している。こういうことがやっぱり世論の一つのあらわれではないかと思うのでございます。こういうことに対して、私は行政監理委員会の出している考え方に賛成するものじゃございません。もっともっと海外移住の問題は積極的に取り組まなくちゃならぬ問題だと考えておるのでございます。こういう廃止論が出てくる要因といいますか、そういうものに対して事業団としては検討しておられると思うのでありますけれども、これに対する事業団側の考えをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
○参考人(柏村信雄君) たいへんありがたいおことばをいただきまして感謝をいたしております。行政監理委員会の一部に廃止論がありますことは事実でございます。ただ、行政管理庁なりあるいは正規の監理委員会として結論を出されたわけではなくて、その中の委員の一部の方に、そういう意見の方があるというふうに私どもは考えております。それからこの廃止論の非常に何と申しますか、出てきた根拠と申しますか、基盤は、おそらく移住というものについて、先ほど私申し上げましたような移住の理念に基づいた高い視野に立った考え方でなしに、古い移住、いわゆる口減らし移住であるとか、困った者が何とか生きる道を求めるというような移住でありますれば、現に日本国内においても労働力不足が叫ばれておる時期でございますから、そういう人を出さないで国内で働かせたらいいじゃないかということは、非常に通俗受けがすると私は思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、今後の海外移住というものは、そういう性格のものではないのだということで、私どもは御意見は御意見として承りますけれども、そういうことには承服はいたしておりません。また機会あるごとに、ただいま申し上げましたような移住の考え方、今後のあり方というものについて御理解を深めるようにつとめておるわけでございます。
○西村関一君 やはり私はPRが足らぬと思うのですね。移住の理念について、移住のあり方について、事業団の使命及び仕事の内容についてのPRが非常に足らぬと思うのですが、そういう点、もっともっとわれわれも協力しなければいけませんが、大いにPRをしていただきたいし、そうして啓蒙していただきたいと思うのでございます。 その次の問題としましては、もう私、時間がなくなりましたから質問をやめなければならぬが、もう一つの問題といたしましては、既往の移住者と、それから新移住者に対する取り扱いの違いといいますか、既往の移住者に対しましては、事業団としてはタッチをしないということになっておるように私は聞いておりますが、そういうところにやはり、すでに早くから困難を克服して、現地で基礎を築いてこられた方々にとっては、多少不満があるのじゃないかというふうに見受けられるのです。そういう点につきましてはどういうふうに思われますか。
○参考人(柏村信雄君) ただいまお話しのように、事業団として扱いまする主体は戦後の移住者でございます。また、これは泣き言を言うようでございますけれども、人員なり予算なりというような面で制約をされておりますので、結局できるだけ手近なところ、直接効果があらわれるような、役に立つような援護をしていくという点からいいますと、どうしても戦後の移住者に限られることがやむを得ない事情でございますけれども、しかし、いままででも、たとえば医療関係の援護であるとか、そういう面につきましては、戦前移住者にも及ぼしておるわけであります。非常に割合としては微弱なものでございますけれども、戦前の移住者は全く顧みないという態度をとっておるわけじゃございませんが、力の限界からいたしまして、また、実際に実効のあがるような援護という意味からいたしまして、いままでのところはあまり幅広い層に向かって援護をしていくということでなしに、とにかく戦後の移住者ができるだけすみやかに定着安定できるような方策を講じてきておるわけでございます。しかし目下、外務省と申しますか、総理府のほうで新たに移住審議会に対して諮問を発せられて、今後の移住のあり方ということについて御審議を願っておるわけでございます。これによりまして、今後の移住のあり方、また移住者についての援護のしかた、また、その中における事業団のあり方というようなことについて御審議を願っておるところでございますので、また、何か新たな方策が考え出され、政府の方針としてこれが樹立されるような場合におきましては、それにのっとって私どもも努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
○西村関一君 なかなか広範な範囲にわたって少ない人員の陣容でもって非常に苦労しておられるということは、私も承知しております。先般、私はカナダのトロントに行きまして、トロントに駐在しておられる事業団の代表の方に会って、いろいろと御苦心談を伺いました。なかなかたいへんなことだと思いました。また、事業団のたてまえからいいましても、戦前の移住者に対しては一つの限界ができておって、戦後の新移住者に対するいろいろのお世話をしておられるということも承知いたしております。それだけに外務当局にお伺いをしておきたいんでございますけれども、そういう立場にあるところの戦前の移住者の方、これはそれぞれの国の市民権を持っておりますけれども、やはりそれぞれの国の社会保障でありますとか、いろんなものを受けておられます。ではございますけれども、やはりこれはわれわれの血のつながりのあるところの日系の方でございますから、そういう方々のために外務省としては配慮をしていかれる必要があるんじゃないかというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。
○説明員(遠藤又男君) いま御指摘の問題は非常に大きな重要な問題だと存じます。現在のところでは非常に力が限られておりまして、柏村理事長からも申しましたように、事業団としては非常に現在のところは人も金も両方の面から制約されておる、制度上もそうでございます。しかし戦前の移住者、まあすでに向こうの市民権をとった人もおりますし、それから日本籍のまま残っているという人もおりますし、いずれにせよ、こういう日系人対策というものを本気で考える必要があるんじゃないかというふうに思っております。これは海外移住議員連盟の先生方の中でも非常に強い意見になっておりまして、たとえ日本の国籍は失った人でも日系人であるならば何か応援の手を伸べるべきじゃないか、日本の経済力が非常に伸長した現在においては本気でそれを考えるべきじゃないかという声が非常に強くなっております。それで、この問題につきましては、柏村理事長から申し上げました総理府の所管である海外移住審議会において、今後の海外移住のあり方という問題のいま審議にとりかかっておるところでございますが、こういう大きな、海外にいる日系人の問題をどうするかということもあわせて審議して意見を出していただきたいものと思っております。もちろん、外務省といたしましても、できる限りのことは今後ともやっていきたいと思って研究しているところでございます。
○西村関一君 さっそく審議会の意向を聞いて方策を出すということも当然だと思いますけれども、また、研究中だということもわかりますけれども、現地を回ってみて、現地の日系の人たちの声を聞いてみると、そういう要求が非常に強いんですね。経済的な援助はしてもらわなくてもいい、もっとやはり日本国政府や関係機関との連絡を密にしてほしい、われわれは母国の事情を知りたいんだ、母国とのつながりを深めたいんだということを、どこへ行っても口を開けばそういうことを言っておられる。経済的な援助を必ずしも望んでいるとは思えないんですけれども、やはりきめのこまかい、親切心のある、配慮のあるところの取り扱いをしてあげることが必要ではないかというふうに私は感じております。ですから、これは普通、役所は役所の考え方として、すぐに何か法律をつくるとか、何かこれに対する予算をつけるということもありましょうけれども、やはりそういうことについての考え方を持ってもらいたいということを申し上げたいのですが、いかがでしょう。
○説明員(遠藤又男君) 仰せのとおりでございまして、現在ももちろん、海外にいる日本人に対する対策はいろいろ講じているわけでございます。まあたとえば日本の実情をもっと知りたいという向きに対しましては、それぞれ在外公館からの稟請に応じまして、たとえば文化関係のこととか、報道関係のこととか、いろいろできるだけの便宜ははかっております。それからあと生活困窮におちいった人とか、いろいろ現地でもって生活するのにぐあいが悪くなった方々に対する援助につきましてもいろいろとやっております。これにつきましては、どうしても関係の在外公館からの意見具申を待たなくちゃならないわけでございますが、そういうものに応じまして、在外公館からの稟請に応じてできるだけのことはやっている実情でございます。
○西村関一君 竹内政務次官に最後にお伺いをしておきたいと思うのでございますが、いまお聞き及びのとおりでございまして、わが国の海外移住の状態は停とんしておるし、問題がいろいろあるわけですし、海外移住につきましては、こういう時代になればなるほど、私はフロンティアにおいて開拓精神を発揮できるような体制に持っていくような人材の配置をしていかなければならない。行きやすいようにする、移住したいと思う人が行きやすいような行政を政府は考えてやらなければならない。 それから戦前の移住者に対しましても、いまやりとりがございましたように、政務次官もお聞き及びのとおりにいろいろ在外公館としてはやっておられますし、私は海外に参りますと、在外公館の方々に対して、こういう問題についていろいろ質問をしてまいりますが、よくやっておられます。確かにわずかな予算で、また足りない人手でずいぶんよくやっておられると、私は感心しておるのでありますけれども、しかし、なかなか行き届かないというのが現状じゃないかと思うのです。そこまで手が回りかねると——触れていきたいのだけれども、なかなか手がつけられないというのが実情じゃないかと思うのですが、外務省としては、そういう点に対しても十分にひとつ配慮をしてもらいたい。これは一世、二世の方で、定着して相当な基盤を築いておる方でありましても、そういう母国を慕うという念、また、もっと緊密に連絡してほしいという念はなかなか強いものがあると思う。そういうものに対して在外公館は手が届かない、手が回りかねるというのが実情ではないか。よくやっておられますよ。よくやっておられますけれども、なかなか手が回りかねるというのが実情ではないかと思います。図書館一つ取り上げてみましても、図書館がなかなかよく運営されていない。運用されていないところがどことは私申しませんけれども。それから文化センターにしましても同じことで、何かちゃちなものだという印象を受けるんです。そういう点に対してもう少し積極的に外務省が乗り出してもらいたいということを感ずるんでございますが、最後に、政務次官の御見解をひとつ承っておきたいと思います。
○説明員(竹内黎一君) お答え申し上げます。 ことしの何月でございましたか、海外日系人大会というのが東京にございまして私も出席しております。その際にも、大勢の方から、実は先生のお話のように、そういう御批判をちょうだいしたわけでございまして、私どもとしても十分心すべきことだと思っております。特に、先生お話しのように、物の援助だけではなくて母国とのつながりを深めたいという、そういう点でいろいろと私ども具体例も聞かされましたので今後さらに勉強してまいりたいと思います。決して私どもは、海外移住の、なるほど様子は変わってきておるけれども、事業団がもう不必要な事態になったんじゃない。むしろ、新たなる装いをもって海外移住に努力すべき時期だと、そのように認識しております。
○委員長(森元治郎君) それじゃ間もなく宮澤通産大臣が見える予定です。暫時このままでお待ちください。 速記をとめておいてください。 〔午後三時二十三分速記中止〕 〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕 〔午後三時四十五分速記開始〕
○理事(和田静夫君) 速記を起こしてください。
○高山恒雄君 大臣、お忙しい中、せっかく参加願いまして、厚くお礼を申し上げます。 繊維の問題について質問申し上げたいのですが、六月ごろ双方の意見の一致を見ないままに繊維問題としてはきておったのですが、今度の国連参加を機会にして、総理とニクソン大統領との会談によって、互譲の精神をもって双方譲り合ってできるだけ解決をつけたいと、こういうことで糸口ができた。こういうふうになっておるわけですが、先ほど外務大臣にも質問申し上げたのですけれども、この問題は非常に重要な問題でありますと同時に、外務省の見解では、少なくとも今後通産省と十分話し合いをした上でやっていく問題であって、特に、外交辞令だけで簡単に片づけようとは考えていないと、こういう御答弁があったわけです。したがって、通産省としては、この問題の考え方については十分検討もされておると思うのです。私は、この問題を互譲の精神とか大局的な見地からというものの、日本の産業を無視するわけにはいかないと思うのです。それだけ重要な問題ではないか。そういう立場から考えますと、六月に意見の一致を見ないでそのままになっておる交渉を、今度の総理の訪問によって、解決を何とかつけたいという日本側の姿勢というものは、むしろいかにきまろうとも、かえって日本としては不利ではないか。むろん植村経団連会長も参加されましたけれども——産業全般のことをお考えになったということは私も否定はいたしません。しかし、アメリカの状態を見ますと、けさの放送でもやっておりましたように、すでにテレビ等においては関税の引き上げをやる、あるいはまた繊維についても通商法を十六日以後の国会で通過さしたい。その要請も強く、製造業界の協会が政府に対して圧力をかけておる。したがって、これもむろん通過するかもしれない、こういう情勢の中で、日本がそういう問題を互譲の精神とか大局的な見地に立ってやろうとしても、むしろ日本が追い込まれるのじゃないか、不利ではないか、こういう点を考えるんですが、通産大臣としてはどうお考えになるか聞きたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先約の渉外事項がございましてお待たせ申し上げまして、まことに恐縮でございます。 すでに、先ほど外務大臣から最近の経緯の御説明はあったことと存じます。六月に本件につきましての交渉が不首尾に終わりまして以来、今日まで、ただいま御指摘のような具体的な日米間の経済上のできごとが起こっておりますし、また、そのもとにございますアメリカ側の議会等を中心としたいわゆる保護主義の動きというのは、やや異常なものというふうに私どもには思えるわけでございます。したがって、われわれ貿易のパートナーとして、長いこと親善関係を保ってまいりました日本側としては、相手がやや異常な状態にあると考えられるときには、できるだけ冷静にこれに対処することが両国の将来の関係のために必要なのではないだろうか、これは貿易に限らず、経済関係がまずくなりますと、国交全体にもおのずから響くことでありますので、そのように考えておりますし、また、この際、そのようなアメリカの保護主義が具体的な立法になって、法律としてあらわれるというようなことになりますと、世界の自由貿易全体に大きな影響を及ぼすことにもなる。そのことは結局最後にはわが国自身のまた不利益にもなる、こういう考え方のもとに、この際、総理大臣がニクソン大統領と話をされまして、すみやかに交渉を開始するという決心をされたというふうに承知をいたしております。ただ、それにいたしましても、問題が、わが国の業界に自主規制を求めるということには変わりがないのでございますから、わが国の関係業界において決して楽なことではないことはよく世間周知でございますけれども、大局的な立場に立って忍べる程度の自主規制をしてもらうことはできないであろうかというのが、ただいま私ども政府が考えておるところでございます。仰せになりましたように、外務大臣におかれても、私どもを通じて業界と十分に話をした上でと言っておられますのは、これはむしろ当然のことでございまして、事が自主規制でございますので、業界の協力を得て行なわなければ行なうことができないというふうに考えておりますことは、従来から私ども一貫したものの考え方でございます。
○高山恒雄君 まあ報道機関の内容を見ますと、十六日までに解決をつけて、一応アメリカの通商法を廃案に持ち込むのだ、こういう考え方で、至急十日か十二、三日以内の間にその決着というものを見出していきたい、こういうことが報道されているわけですが、そういう考え方でこの問題をお進めになっておるのか、この点をお聞かせ願いたいのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) ミルズ法案のようなものが成立いたさないことを私ども心から願っておりますし、また、そのためにはできるだけのことをわれわれとしても、もしなし得ることがあればいたしたいと考えておるわけでございますけれども、何分にも他国のことでございますので、その帰趨につきまして、どうなった場合、どうなるということを予想することが困難でございます。そこで、十六日という問題でございますけれども、私どもただいま考えておりますことは、米国の議会の法案審議の関係もございますと思います。ございますと思いますが、同時に総理大臣がアメリカの大統領と、この際できるだけすみやかに交渉を始めようという話をされたのでありますから、そういつまでもぐずぐずと交渉をしておるということは適当でないのではないか、すでに問題は過去一年近い間にかなり出尽しておるわけでございますので、この時期にやはり妥結ができるものなら妥結をすることがよかろう、これをじんぜん再度延ばしましても特に得ることはない。こう考えておりますので、したがって、日限としてはかなり切り詰まった日限の中で問題を考えることが必要なのではないか。また、その結果あるいは先ほど申しましたような問題にもつながってくるかもしれない、これは予測ができないことでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうタイミングというものが比較的近くに来ておるという感じを持っておるわけでございます。
○高山恒雄君 外務大臣も、先ほど質問いたしましたときに、ミルズ法案というものは外国がやることであって、日本からどうこうという判定は下しがたい。これはごもっともだと私は思うのです。しかし、経済外交をやる限りにおいては、それは外務大臣にしても、通産大臣にしましても、もし日本が結論を見出すことができるならば、それを廃案に持ち込むことができるんだ、このくらいの確信がなければ……。その規制の一つの決着は見ることができた、法案は依然としてきまっちまった、こういうことになれば、これはやっぱり日本だけじゃなくて、EEC地域においても結果的には問題になると私は思うのです。その場合に日本が不利だとお考えになるかもしれませんけれども、あながちそうとも言えないと思うのですね。これは自主規制でありますから、したがって、その見通しがないのに、何も十日か十五日の間にこの問題をあせって日本としてやる必要はないじゃないか、こういう私たちは感じがするわけですが、その自信のないとおっしゃる点で、さらにやっぱりいま盛り上がった糸口の中でひとつ解決をつけていきたい、こういう意思があるか、その点もっと明らかにしておいてもらいたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) そんたくをいたしますと、この点はおそらく佐藤、ニクソン両国首脳が一番苦労をしておられるところだろうと考えます。総理大臣の立場から申しますれば、問題は自主規制でありますので、自分が業界を代表して約束をする立場にないことは明らかでございます。しかし、放って置いては日米両国あるいは世界の自由貿易のためによくないということはよくわかっておられる。おそらくニクソン大統領は後段の点はよくわかっておる。そうしてミルズ法案——現在修正されましたような形でのいわゆるミルズ法案については、ニクソン大統領は主要閣僚を通じての証言においては、このままで全体の形が必ずしもいいものとは思えないということを表明しておるわけでございますので、おのずからそこに大統領御自身のものの考え方はあらわれておるように思いますけれども、しかし、国会との関係等いろいろございまして、それについてはっきりものを言うことがおそらくできない、こういう立場であろうと、私はそんたくをいたします。したがって、私としてはおそらく両首脳がこいねがっておられるであろうような結果に——もしわが国の業界の協力を求めることができて——なれば、まことにそれは両国にとっても、両首脳にとってもしあわせなことだ。ここまでは申し上げることができますけれども、それより先、こうなればこうなると思いますというようなことは実は申し上げ得ませんし、その点をおそらくこの関係者のだれもはっきり申し上げることができない、そのようなお互いの国内情勢ではなかろうかと思っております。
○高山恒雄君 通産大臣はもうよく御承知ですが、私は、日本の繊維産業の場合は、他の産業と違って、アメリカの規制は綿業界として受けてると思うのです。これはケネディ大統領の時代ですが、しかも、それが延々と続いておるわけですね、今日まで。さらにその上に、合繊、羊毛というような製品を今後規制するということになりますと、結果的には、日本の繊維産業というものは手も足も出ない立場に追い込まれるんではないか。したがって、その苦い経験を業界も持ち、一般労働者もその点については十分理解しておるわけです。非常に苦い経験を持っております。そういう意味から繊維産業だけが、今度の場合ですね、日本の全般の産業の立場から考えて、植村団長がおっしゃるように、全般の立場から考えて、繊維産業だけが犠牲にならなくちゃいかぬのかと、こういう点をわれわれは考えざるを得ないと思うのです。したがって、手も足も出ないようになるんだと、この点を通産省の責任ある大臣としてどうお考えになるかお聞きしておきたいのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう問題がございますので、本件はなかなか今日まで妥結ということができずにおるわけでございます。繊維産業だけに関する限り、議論をすれば、私ども幾らでも議論をすることが確かにあるというふうに考えます。考えますけれども、同時に、だんだんオーダリーマーケティングというものが必要であるということは、繊維産業連盟の責任の当事者の方々も言っておられることでございますから、その辺でわが国の繊維産業が、ことに、この場合綿業以外の合繊等々でございますけれども、縮小均衡にならないような形、いわゆるオーダリーマーケティングの形で、今後とも輸出を伸ばす、生産を拡張していくという方法はないかということが、ただいまの私どもの交渉を始めるにあたりましての最も苦心の存するところでございます。
○高山恒雄君 経験者の大臣にこういうことを言うのは、どうかと思うんですけれども、私も地方をだいぶ回っております。すでに、今日繊維界の中小企業は、全く金融の引き締めを含めて、しかも、アメリカの規制という問題の長期にわたるこの実態から見て、倒産の一歩手前に来ておるのじゃないか、さらにいよいよこれが規制ということになりますと、たとえば一つの産業で七対三の比率で生産しておった、輸出が七割国内が三割と、こういう状態で生産しておった場合、かりに三割の規制を受けた場合は、いやが応でも国内の製品はだぶつきます。したがって、ソシアルダンピングは国内において起こる、過当競争が起こる。こうなってくると、日本の繊維界の実態というものは防ぎようがないんではないかという私は観点に立つのですが、大臣はこの実態をどう考えるか伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も幾つか産地を直接に回って歩きまして、ただいま高山委員の御指摘のありましたように、一部の人たちはまことに先行き不安というようなこともありまして、商社が発注を手控えるというようなことから苦労をしておられるのであります。これは日米関係だけでなく、そのほかに一般的な景気の動向でありますとか、いろいろございますと思いますが、少なくとも輸出の見通しというものは好ましくない要素があることは間違いありません。したがって、今後どういう交渉をするにせよ、そういうことは十分考えていかなければならないことはもちろんであります。他方で、これはよほど注意をして申し上げなければならないことでございますけれども、本来、繊維製品、ことにいわゆる二次製品は流行によりまして年々の品物のスタイルがかなり変わっていくわけでございます。そういう意味での柔軟性を持っていないわけでもない。その辺は私どもよほどよく考えまして、ただいま言われました結果にならないような交渉のしかたというものを見つけていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○高山恒雄君 お考えはわかりましたが、どうですか大臣、この問題で議会で決議をしていることはもう御承知のとおりです。したがって、業界の意見を無視して政治的な解決をやるようなことはしないという答弁が関係大臣からずっと六十三国会で答弁されているわけです。したがって、業界が了解しない限りやらないという前提でお考えになっていると、そう確認してもよろしゅうございますか、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題の本質はあくまでも自主規制でございます。そこで、このような種類のことを業界が喜んでやってくれるということは、私はこれはあり得ないことだと思いますが、ともかく最小限このくらいのことであれば、まずやむを得ないと考えてくれるようなことでなければ、実際強行しようとしても、これは強行できるものではございません。私はそういうふうに考えております。
○高山恒雄君 これも新聞に発表されておりましたけれども、私もたいした問題ではないと思いますが、輸出貿易管理会というのがございますね。これを発動して、これで強行するという政治的な解決をお考えになっているということはないでしょうね、政府として。この点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは結局、私はこういうことになると考えなければならないと思います。結論から先に申し上げますと、ただいま仰せられましたのは、強権としての輸出貿易管理令を発動するつもりがあるかというお尋ねであろうと思いますが、そういうつもりはございません。現実的に考えてみますと、規制という事務は現在、輸出組合が幾つかございますが、そのおのおのの組合が相当多数の専門家を使って毎日この事務に当たっておりますからこそ可能になっているのでありまして、そのような協力がありませんときに、政府の手でそれを現実の業務として行なうことは不可能でございます。そういうこともございますので、強権としてこういうものを発動するということは、私はその目的を達することができない、こういうように考えます。
○高山恒雄君 政府は、国内における繊維産業がこの規制のために大きな打撃を受けるということに対して、何か政府補償でカバーしてやりたいという考え方がよく報道されているのです。私は金の問題ではないと思う。繊維全体の、日本の将来の貿易全体から考えてみて、やはり自由化の立場でこの際き然とした態度でやはり臨むべきではないか、こういうことをわれわれは考えるわけですが、政府はこの問題の決着を見るためには補償をしてでもやろうと、こういう基本的な考えでいま経営者の意見を聞こうとされているのか。具体的に言えば、買い上げ機関をつくるとか、あるいはまた、滞貨融資をするとかというような問題もあろうと思うのです。いろいろな道もあろうかと思いますが、しかし二年、三年の余剰製品を買い上げするなんということはおそらく私はできないと思います。したがって、一時的なものはできると思いますが、そういう金で国内の経営者を納得させようとされているのかどうか、この点ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもいわゆる金でものを片づけるのかと言われますと、ことばそのものはいやしい響きを当然持っておりますから、そういうつもりがあるわけではございません。私ども思いますことは、どっちみちこのような自主規制というものは、かりに業界が納得されたとしても、これはもう決して喜んで納得するという種類のものでないことは明らかでございます。そして、そのためには、やはり何がしかの犠牲が生じるおそれがある——そうでないことを祈りますが。事が決着いたしましたときには、当然そういう問題が出てくるということは予測しておかなければなりません。たとえば、これは仮の例でございますけれども、ある形の第二次製品を特定の国へ輸出を考えておった、それがすでに製造のプロセスにあってその輸出ができなくなったというときには、現実にそのものをどこかのよその国に振り向けるということは可能ではございません。ファッションからいっても、大きさからいっても可能ではございません。そのような荷物ができたときにどうするか、これはもう知りませんとは言えないであろうと考えます。何かのことで——次の注文は、今度は新しい注文でございますから、これはよろしゅうございましょうけれども、製造の過程にあるものについては黙っておるわけにはいかないだろうというふうに考えるわけでございます。それらは暫定的な、どっちかといいますと、うしろ向きのことでございますが、前向きに考えましても、今後さらに構造改善を進める、あるいは合理化をやるとかいうことを新しい事態にかんがみて、さらに進めていかなければならないということもございますと思います。そのようなことについて、政府の手によって業界に生ずるかもしれない潜在、顕在的な損失は、もし自主規制ということが実現をするならば、私どもとしては当然考えておかなければならぬ、そういう心がまえを持っておりますということでありまして、それによって、いわゆる事を条件闘争に持ち込もうといったような、そういうつもりで申しておるわけではございません。
○高山恒雄君 大臣、時間がないようですから次に移りたいと思いますが、総理並びに通産大臣、外務大臣等に、組合側からこの問題の解決については労働者に重大なる影響があると思う。したがって、もし自主規制といえども、経営者が納得しても、組合側の意見も——十分話し合いの場をつくってもらいたい、こういう申し入れがきておると思うんですが、通産省はこれに対して、まだ一回もそういう問題で話し合いをされたことはないということを私は聞いておりますが、私は経営者以上に労働者は犠牲になると思うんです。外務大臣にも申し上げたんですが、現状を考えてみますと、いまの第二次製品の中小企業を対象にして、かりに輸出がストップした場合、閉鎖しなくちゃいかぬ、もう再び再開はできぬと思うんです。それは労働集約的な産業であるから労働者の獲得ができません。したがって、一回これを閉鎖するということになりますと、もう再建はむずかしい。そうすると、その会社に十年ないし十数年とつとめた人が転業しなくちゃいかぬ。ところが、そういう技術的な人がそういまの日本には足らないことはない。繊維から見て、一般労働集約的な仕事をする四年とか五年とかの短期労働者がほしいのだと、こういう事態を考えて見ますと、私は労働者に対して大きな犠牲を負わすことになると思うのです。そういう申し入れに対して通産大臣はどうお考えになっておるのか、その点をちょっと明らかにしてもらいたいと思うのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 過去におきまして労働組合の方々にも私自身お会いしたことがございますし、また今回、似たような動きが再度見られますので、そういう機会を役所としても持たなければならない、こう考えております。確かに、私どもは業界の納得云々と申しますときに、その業界というのはいわゆる経営者側だけを考えておるわけではございませんので、雇用者も多いことでございますから、それに関係する人々全部というふうに考えなければならないと思いますから、それはそういう御趣旨で進めますとともに、また、これもよけいなことになるかもしれませんが、もし、先々そういうような問題が生まれるというときには、政府としてそれに対処する十分な道も考えておかなければならぬ、これはただ私の心がまえを申し上げるだけでございますが、そう思っております。
○高山恒雄君 大臣はよろしゅうございます。どうも御苦労さまでした。 経済局長、これは通商局長でもいいですが、アメリカのワシントンのポスト紙に掲載された問題ですが、確認しながら質問してみたいのです。 アメリカは衣料の輸入が十年間に十倍になったと言っておるわけです。アメリカの業界では、その輸入の数量は一九六一年度の三億四千万ポンドから、一九六八年度の八億一千三百万ポンドにふえたのは、これは事実だと。これはふえておるでしょう。約六倍半ですか、七倍かふえております。その間に米国の生産は六十五億八千百万ポンドから百五億五千九百万ポンドにふえたというのですね。アメリカもふえたのですよ、生産が。それで日本からの輸入はわずかに五億ポンドですよ。たいしたポンドじゃないですね。それにもかかわらず、国内の生産は七倍ふえて三十七億ポンド増加した、こういうことになっておるわけですが、これは御承知ですか、そういう実態をお聞きしたいんですがね。
○説明員(平原毅君) 大体大まかな数字で知っております。
○高山恒雄君 そうしますと、しかもアメリカは昨年じゅうに税引きの大体正味利益金として七・九%の利益をあげている。なおまた、衣料産業については一一・九%の利益をあげておる、これは税引きです。それにもかかわらず、日本の自主規制を強力に推し進めてきておるというところは、われわれの納得のいかないところです。一体、局長あたりはどうお考えになっておるのか。こういう基本の、明らかになっておるものを、もっと繊維局自体が私はその主張をすべきじゃないか、こう考えるのですが、どうお考えになりますか。
○説明員(平原毅君) 仰せのとおり、昨年、当時の通産省の繊維雑貨局長の高橋さんに団長になってもらいまして、いわゆる調査使節団を出したわけですが、そのときの結果によりましても、そのような、非常に数字にあらわれました点では、われわれとしては被害というものは非常に少ないのではないかという印象を持っておるわけでございます。
○高山恒雄君 いや、おっしゃるとおりに被害はないと見ても私はいいと思うんですが、さらに、輸入の問題については、アメリカ業界に対して、これはひとつの忠告とも言うべき発表かもしれませんけれども、アメリカでも輸入規制はあるではないかと、石油の割り当て制を見よ、農産物の輸入制限を見よ、砂糖もそうだ、酪農製品もそうだ、肉制限もされている、さらにガラス、カーペット、敷きもの、ピアノは免責条項が発動されておる。こういうふうにアメリカ自体があるわけですね。それで日本全体のいわゆる自由化が促進してない、こういうことをアメリカが強く日本に主張しておりますけれども、もっと通産省にしても、あるいは繊維局にしてもこのことを指摘すべきではないか、それが一つも方途に出てこないというところに、この繊維問題の規制に関する外交面のまずさがあるのじゃないかという考えを私は持つのです。そういう点をどうお考えになっているのですか。もっと新聞に発表していいじゃないか、アメリカですらこういう問題をこれだけ新聞で報道しておるのに、日本ではそういうことを一つもやらないじゃないか、どうして繊維局にしても、経済局にしてもこういう問題を取り上げてやらないのか、私はそのことを非常に残念に思うのですが、一体局長はどうお考えになっておるのか、これは両局長の意見を私は聞きたいのです。
○説明員(平原毅君) 御指摘のとおり、先方にもいわゆる輸入制限、あるいはエスケープ・クローズのような関税面の制限というものがございます。わが方にも従来ともガット条項の残存輸入制限というものが残っておることは御指摘のとおりでございます。この点に関しましては従来も日米の事務レベルの協議もございますし、そのたびに先方にはわが方の実情をよく説明すると同時に、先方のやっておりますこの種の輸入制限的な諸措置ということに関して十分な注意も喚起していっております。 PRの点につきまして、私たちとしては従来ともわが方の自由化、新たな自由化措置というようなものに、資本の自由化を含めまして、非常に努力いたしておりますけれども、遺憾ながらただいま先生の御指摘のとおり必ずしもわれわれの所期の目的を達しておらないという事実は残念ながら認めますわけで、今後ともこの点は関係省とも十分連絡をとりまして、あらゆる機会をつかまえてやっていきたい、このように考えております。
○説明員(楠岡豪君) アメリカ側に対しまして、ただいま先生の御指摘になりましたような事項を主張しておりますことは、ただいま平原局長の御答弁のとおりでございます。PRにつきましては、遺憾ながら従来必ずしも十分ではなかったように反省をしておる次第でございまして、通産省といたしましては今後やるべきことはやる、しかしその成果を広く外国の人たちにわかってもらうという目的を持ちまして海外広報も、これは外務省の御協力も得なければならないのでありますけれども、海外広報に力を入れていきたいという考えで、早ければことしじゅうからでもその方向で努力をいたしたいと思います。
○高山恒雄君 雑貨局長に聞きたいのですが、先ほど大臣も日本の中小第二次製造企業については、非常にその困難な情勢が生まれてくるだろう、そういう場合に手も打ちたいと、こういう答弁があったわけですが、一体雑貨局としていまの日本の繊維の中小企業、私はどの産業を見ても繊維ほど中小企業をかかえておる産業はないと思います。しかも歴史が古い、そういう立場から、綿が規制を受け、しかも合繊、羊毛、これも規制をされた以後の繊維というものの倒産は激増するだろうという立場に私は立って御質問申し上げるのですが、あなたのほうはどう見ておられるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
○説明員(楠岡豪君) 繊維産業は、先生のおっしゃるとおり中小企業が主でございまして、日米問題がございませんでも、後進国の追い上げが非常に最近激しくなっております。また、先進国の市場も必ずしも十分に開放されていない状況、いわばはさみ打ちの状況になったわけでございますが、さらに今回のような問題が起こりますと、いよいよ苦況に立つということは仰せのとおりだと思います。私どもといたしましては、先ほども御答弁申し上げましたように、できるだけ産業自体に影響のないような規制ということで落ちつくことが望ましいというふうに考えておりますけれども、やはり心がまえとしてはいろいろの状況に対処しなければいけないと存じます。ただ、問題はいろいろございまして、それぞれの状況によりまして手段も異なってくることと思いますし、また、これは私が申し上げるまでもないのでございますけれども、繊維製品は物によりましては、たとえばゴムとか金属とかいうような規格品ではございませんで、個々のものがそれぞれ固有の性格を有する関係にございますので、そういう事態にも対処しながらどうやっていくか、いまいろいろと苦慮しておる段階でございます。
○高山恒雄君 それならあなたのお考えを聞きたいのですが、総合化、個別化という点ではどうお考えになりますか。
○説明員(楠岡豪君) 高山先生が総合化とおっしゃる意味は、繊維全般について例外なく規制をするかという御趣旨かと思いますけれども、ただいま平原局長からも御答弁がありましたように、アメリカの繊維産業全般としては、全体とにかく苦境にあるというわけでもございませんし、やはり考え方といたしましては、もし規制をするにいたしましても、一部分ということになろうかと存じます。
○高山恒雄君 私が総合と申しますのは、一五%なら一五%ずつ自主的に、日本がかってにその制限をしていくのだと、こういう総合ですよ。アメリカは品種別、いわゆる個別規制ではないかと私は思うのですが、その点の雑貨局がお考えになっておるのは、どういうことが正しい、どういうことが日本に利益になるのか、その点をお聞かせ願いたい。
○説明員(楠岡豪君) 失礼いたしました。ある品目を規制する場合に、複数の品目を規制します場合に、総合的にやるかあるいは個別にやるかということでございますが、個別にやります場合には、いま非常にワクが窮屈になるわけでございまして、先ほど申しましたような繊維の、時期によりましていろいろな動きをします商品につきましては、やはり総合的にやるほうが、何といいますか、運用の余地が非常にあっていいのではないかというふうに考えております。
○高山恒雄君 これで済みます。これからの作業に通産省として業界との話し合いが私は進むと思うんです。したがって、雑貨局長がそれにお入りになると思うんですよ。基本的な立場としてどういうふうに、この問題の解決にあなた自身としてはお考えになっておるのか、これは非常に重要なポイントの立場におられると思うんです。妥結するのか、不可能だとお考えになるのか、この見通しをひとつあなたの立場からお聞かせ願いたい。
○説明員(楠岡豪君) 先ほど来、外務大臣、通産大臣の御答弁がございましたように、妥結しようという目的を持ちまして交渉を再開するということでございますので、その方向に努力すべきは当然でございますが、一方から申しますと、繊維産業の合理的な要求というのはあるわけでございます。それで、この二つの問題をどう合わして調和さしていくかということは、私率直に申しまして、むずかしい問題だと存じます。これにつきましては、ただいま誠心誠意やると申し上げるよりほかに申し上げようがないと存じます。
○高山恒雄君 最後にしますが、局長、大臣は先ほどの答弁で、労働組合の申し入れに対してはひとつ尊重して今後会議も行いたいと、こう言っておられるんですが、ああいう申し入れに対しての実際の運営は局長だと思うんですよ。今日までこれだけ大騒ぎになっており、しかも十五日ころまでに解決をつけようという段階に、その申し入れを尊重しないで何の話もないというようなことはちょっとおかしいじゃないですか、運営上。だから組合からも抗議が来ておるんじゃないかと思いますが、もっと局長あたりで——これは局長がおかわりなって、そう言っても知らなかったとおっしゃるならばそれまでですけれども、当然私は早急にやるべきだと、こう考えますが、ひとつ局長の御意見をお聞かせ願いたい。
○説明員(楠岡豪君) 繊維関係のいわば労働者代表の方とは、実は私、はなはだうかつでございまして、まだお会いしておりませんけれども、あしたお会いする予定でございます。それで、労働関係の方々の御意見は十分拝聴いたしたいと思っておりますし、また、ただいまの状況もこちらからも十分に御要請申し上げたい、かように考えております。
○高山恒雄君 終わります。
○理事(和田静夫君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会 —————・—————