決算委員会 第4号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/03/25
会議録
○委員長(松本賢一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 二十三日、渡辺武君が辞任され、その補欠として岩間正男君が、本日、二宮文造君が辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。 —————————————
○委員長(松本賢一君) 昭和四十二年度決算外二件を議題といたします。 本日は、厚生省及び労働省の決算につきまして審査を行ないます。まず両省の概要説明を順次聴取いたします。橋本厚生政務次官。
○政府委員(橋本龍太郎君) 昭和四十二年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算について御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算額については、当初予算額六千七百十三億七千二百余万円でありましたが、その後国民健康保険費、児童保護費、国民年金国庫負担金等の不足に伴う補正予算額二百四十三億六千百余万円、総理府所管及び大蔵省所管からの移しかえ増加額八億三千八百余万円、前年度繰り越し額十八億一千六百余万円、予備費使用額三十三億六百余万円、計三百三億二千三百余万円を増加し予算現額は七千十六億九千六百余万円となりました。これに対して支出済み歳出額は六千九百六十億三千二百余万円、翌年度繰り越し額は三十四億五百余万円、不用額は二十二億五千八百余万円で決算を結了いたしました。 以上が一般会計決算の大要であります。 次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費関係に要した経費であります。生活保護法による保護の基準等については、一般国民消費水準の向上に対応し、その内容改善をはかるため生活扶助基準について一三・五パーセントの引き上げを行なったほか、教育扶助、住宅扶助及び生業扶助等についてもそれぞれ改善を行なっております。 このほか、保護施設職員の待遇改善を行ない生活保護費としては、補正予算を加え、総額一千四百五十一億六千六百余万円を支出しております。 第二は、社会福祉関係に要した経費であります。 まず、児童保護費でありますが、収容施設等の飲食物費、日常諸費等を増額したほか、保育所及び収容施設職員の待遇改善をはかるとともに職員の増員を行ない、また、民間施設経営調整費を増額し、保育所について地域差の是正をはかり、また、母子の栄養対策を強化するため低所得層の妊産婦及び乳幼児に対しては一人一日一本当ての牛乳を無償で支給するほか、身体障害児、結核児童及び重症心身障害児の援護対策に必要な経費をそれぞれ増額し、特に重症心身障害児施設二千八百八十九床に拡充するなど、児童保護費として、補正予算を加え、四百億六千九百余万円の支出を行なっております。 このほか、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の支給に要した経費として三十四億七千四百余万円の支出を行ない、母子福祉対策の一環としては、母子福祉貸し付け金として七万一千余人に対し二十一億六千八百余万円の貸し付けを行ないました。 次に、保護施設、児童福祉施設等各種社会福祉施設の整備に対して四十四億六千七百余万円の補助を行なったのであります。 また、老人福祉費については、収容施設の飲食費、日常諸費を増額したほか、収容施設職員の処遇改善をはかり、さらに老人健康診断の受診人員の増加をはかる等により補正予算を加え、総額九十八億八千余万円の支出を行なっております。 なお、このほか、身体障害者及び精神薄弱者の保護更生につきましても前年度に引き続き増額を行なったほか、低所得階層対策の一環としてその自立更生をはかるため、世帯更生資金として三万六千余人に対し三十九億一千余万円の貸し付けを行ないました。 第三は、社会保険費関係に要した経費であります。 国民健康保険については、昭和三十九年度以降四カ年計画をもって進められてきた家族に対する七割給付の最終年度分として四百八十四市町村、三十七国民健康保険組合が実施し、昭和四十三年一月一日をもって、全被保険者の七割給付を達成いたしました。この給付改善の実施につき、国は医療費に対する国庫負担を市町村について二割五分から四割に引き上げるなど所要の措置を講じております。 これらの経費を含め、国民健康保険の助成に要した経費として、補正予算を加え、一千九百三十二億七千四百余万円の支出を行ないました。 第四は、保健衛生対策費関係に要した経費であります。 まず、精神衛生対策でありますが、精神衛生法に基づく入院措置をさらに強力に推進したほか、通院医療の公費負担に要する費用に対する国庫補助を進め、さらに在宅精神障害者対策の強化をはかるなど、精神衛生費として二百十八億五百余万円の支出を行なっております。 次に、原爆障害対策費でありますが、原爆被爆者に対する健康管理の強化をはかるとともに、さらに原爆障害に対する医療手当についても所得制限を緩和するなど原爆障害対策費として、補正予算を加え、三十一億八千百余万円の支出を行なっております。 このほか、結核医療費として補正予算を加え三百四十億七千百余万円、保健所運営費、法定伝染病予防費等の保健衛生諸費として八十九億一千九百余万円、らい予防対策費として一億九千七百余万円をそれぞれ支出しております。 第五は、恩給関係費のうちの遺族及び留守家族等援護関係に要した経費であります。 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護費のうち、障害年金、遺族年金及び遺族給与金については、増額改定を行ない百六十八億九千六百余万円の支出を行なったのであります。 次に、留守家族等援護費については、留守家族手当、葬祭料等一千二百余万円、未帰還者特別措置費として一千二百余万円、戦傷病者特別援護費として療養費補装具給付費等九億五千五百余万円などの支出を行なうなど遺族及び留守家族等援護費として総額百七十九億九千五百余万円の支出を行なっております。 第六は、公共事業費関係のうち、環境衛生対策費に要した経費であります。 明るい生活環境を実現するため、特に環境衛生施設の整備をさらに強力に推進することとし、昭和三十八年度を初年度とする緊急整備五カ年計画を樹立し、これに基づいて清掃施設三百十七カ所、簡易水道施設三百五十九カ所に対してそれぞれ補助いたしました。 これらの経費に公害防止事業の推進をはかるための対策費及び公害防止事業団の運営費並びに環境衛生施設災害復旧費を加え、総額五十四億余万円の支出を行なっております。 以上、厚生省所管に属する昭和四十二年度一般会計の決算の概要を御説明申し上げましたが、次に特別会計の決算の大要について申し上げます。 まず第一は、厚生保険特別会計の決算であります。 厚生保険特例会計につきましては、一般会計より五百二十三億七千余万円を繰り入れました。まず、健康勘定の決算額について申し上げますと、収納済み歳入額四千六百三十六億八千九百余万円、支出済み歳出額四千六百四十八億九千九百余万円でありまして、差し引き十二億一千余万円の不足を生じましたので、これをこの会計の積み立て金から補足することとして、決算を結了いたしました。 昭和四十三年三月末の事業所数は五十九万余カ所、年度平均被保険者数は、一千二百五十二万余人に達しております。 次に日雇い健康勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額六百十一億五千七百余万円、支出済み歳出額六百十二億三千二百余万円でありまして、差し引き七千五百余万円の不足を生じましたので、これをこの会計の積み立て金から補足することとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均被保険者数は、百一万四千余人であります。 次に、年金勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額五千四百六十六億二千百余万円、支出済み歳出額六百九十一億三千四百余万円でありまして、差し引き四千七百七十四億八千六百余万円の剰余を生じ、これをこの会計の積み立て金に積み立て、決算を結了いたしました。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額百五十五億二千三百余万円、支出済み歳出額百五十三億百余万円、翌年度繰り越し額二億四千二百余万円でありまして、差し引き二千余万円の不足を生じましたので、これをこの会計の積み立て金から補足することとして、決算を結了いたしました。 第二は、国民年金会計の決算であります。 国民年金特別会計については、一般会計から九百二十億九千余万円を繰り入れました。 まず、国民年金勘定の決算額について申し上げますと、収納済み歳入額八百九十四億五千二百余万円、支出済み歳出額七十億五千二百余万円でありまして、差し引き八百二十四億余万円の剰余を生じ、これをこの会計の積み立て金に積み立て、決算を結了いたしました。 昭和四十三年三月末の被保険者数は二千百七十二万六千余人で、そのうち、保険料の免除該当者は百九十二万二千余人であります。 次に福祉年金勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額五百八十四億二千六百余万円、支出済み歳出額五百五十三億四千六百余万円、翌年度繰り越し額二十四億円でありまして、差し引き剰余額は六億七千九百余万円であります。 昭和四十二年度において、延べ九百十七万九千余人に対し福祉年金給付費の支払いを行なっております。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済み歳入額五百九十億六千百余万円、支出済み歳出額五百七十三億一千八百余万円、翌年度繰り越し額八百余万円でありまして、差し引き剰余額は十七億三千四百余万円であります。 第三は、船員保険特別会計の決算であります。 船員保険特別会計につきましては、一般会計から十七億二千二百余万円を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額三百十四億四千余万円、支出済み歳出額百九十七億七千六百余万円、翌年度繰り越し額二億三千三百余万円でありまして、差し引き百十四億三千余万円の剰余を生じ、これをこの会計の積み立て金に積み立て、決算を結了いたしました。 本年度の事業概況を申し上げますと、年度平均の被保険者数は、普通保険で二十五万九千余人、保険給付については、疾病保険給付費百三十七億四千五百余万円 失業保険給付費十一億四千三百余万円、年金保険給付費三十八億百余万円の支払いを行なっております。 第四は、国立病院特別会計の決算であります。 国立病院特別会計については、一般会計から四十五億六千五百余万円を繰り入れました。その決算額は、収納済み歳入額四百二十二億二千九百余万円、支出済み歳出額三百九十五億一千七百余万円、翌年度繰り越し額二十四億三千百余万円でありまして、差し引き二億八千百余万円の剰余を生じ、これをこの会計の積み立て金に積み立て、決算を結了いたしました。 本年度の事業概況を申し上げますと、入院患者数は一日平均二万七千余人、外来患者数は一日平均三万一千余人であります。 第五は、あへん特別会計の決算であります。 あへん特別会計の決算額は、収納済み歳入額九億九千八百余万円、支出済み歳出額二億七千百余万円でありまして、差し引き七億二千七百余万円の剰余を生じ、剰余金は、この会計の翌年度の歳入に繰り入れました。 本年度における業務実績は、アヘン購入五八・八トン、売却五四・六トンであります。 以上が、厚生省所管に属する昭和四十二年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の概要であります。 最後に本決算につきまして、会計検査院から指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。 今回指摘を受けましたのは、一般会計においては国民健康保険調整交付金の交付が適正を欠いているもの一件、特別会計においては、健康保険、厚生年金保険及び船員保険の保険料の徴収に関するものであります。 交付金については、交付の目的に沿うよう必要な措置を行ない、返還すべきものについては、すでに手続中でありますが、今後指導監督の徹底をはかり、交付の適正を期する所存であります。 次に、保険料の徴収不足については、かねてから鋭意その解消につとめてきたところでありますが、重ねて指摘を受けましたことは、まことに遺憾とするところであります。 今後は、さらに適用事業主または船舶所有者に対して報酬に関する届け出を適正に行なうよう指導、啓蒙を積極的に行なうとともに、調査の徹底をはかり、保険料の徴収不足の解消に努力いたす所存であります。 以上をもって厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の御説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(松本賢一君) 大野労働政務次官。
○政府委員(大野明君) 労働省所管の昭和四十二年度決算について、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額は、九百九十二億四千六十三万円余で、その内訳は、歳出予算額九百九十二億三百六十三万円余、前年度繰り越し額五百万円、予備費使用額三千二百万円となっています。 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額九百五十三億五千四百九十三万円余、不用額三十八億八千五百六十九万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものについて申し上げますと、失業保険費負担金及び失業対策事業費等であります。 これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業等に要したものでありますが、このうち、失業対策事業のおもな実績は、事業主体数一千百十四カ所、事業数三千六百二十一件、失業者の吸収人員一日平均十五万六千十八人となっています。 なお、不用額のおもなものは、職業転換対策事業費であります。 次に、特別会計の決算の大要について申し上げます。 まず、労働者災害補償保険特別会計について申し上げます。 歳入予算額一千三百十五億六千六百七十三万円余に対し、収納済み歳入額は一千三百十億七千四百五十二万円余で、差し引き四億九千二百二十万円余の減収となっております。これは、支払い備金に引き当てるべき前年度剰余金の額が少なかったこと等によるものであります。 歳出予算税額は、歳出予算額一千三百十五億六千六百七十三万円余であって、このうち、予備費使用額は十五億六千八百万円で、これは保険金に要した経費であります。 この歳出予算税額に対し、支出済み歳出額八百三十一億一千六百十五万円余、翌年度繰り越し額三億五千五百十一万円余、不用額四百八十億九千五百四十六万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。この事業の実績の概要は、適用事業場数九十六万三千件、適用労働者数二千二百十二万一千人で、保険給付の支払い件数は四百三十四万一千件、支払い金額は七百三億一千七百六十九万円余となっています。 なお、不用額のおもなものは予備費であります。 次に、失業保険特別会計について申し上げます。 歳入予算額一千九百五十億三千七百三万余円に対し、収納済み歳入額は一千九百三十六億四千二百九十三万円余であって、差し引き十三億九千四百十万円余の減収となっております。これは、失業保険給付費が予定を下回ったため、一般会計よりの受け入れが少なかったこと等によるものであります。 歳出予算現額は、歳出予算額一千九百五十億三千七百三万円余であって、このうち、予備費使用額は一億七万円余で、これは業務取り扱い費に要した経費であります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額一千五百八十二億二千二百四十一万円余、翌年度繰り越し額五千五百三十九万円余、不用額三百六十七億五千九百二十三万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。この事業の実績の概要は、適用事業所数六十二万件、一般失業保険被保険者数一千九百二十七万六千人、日雇い失業保険被保険者数三十四万八千人となっております。また、保険給付の平均受給者実人員は、一般失業保険五十四万九千人、日雇い失業保険二十万一千人で、支給金額は一般失業保険一千二百四十五億七千六百六十四万円余、日雇い失業保険四十八億八千八百八十五万円余となっております。 なお、不用額のおもなものは、保険給付費等であります。 最後に、石炭対策特別会計のうち、労働省所管の炭鉱離職者援護対策費について申し上げます。 歳出予算税額は、歳出予算額五十億二千九百九十万円余であって、この歳出予算税額に対し、支出済み歳出額四十億四千九百三十五万円余、翌年度繰り越し額七億四百万円余、不用額二億七千六百五十五万円余で決算を結了いたしました。 炭鉱離職者援護事業のおもな実績は、移住資金の支給五千六百五十三件、再就職奨励金の支給五千二百八十四件であり、炭鉱離職者緊急就労対策事業の実績は、事業主体数五十八カ所、事業数五百八十七件、吸収人員一日平均五千九十六人となっています。 以上が、労働省所管に属する昭和四十二年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。 なお、昭和四十二年度の決算検査報告において掲記されております事項については、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じます。 これらの指摘事項については、鋭意改善につとめ、また、このような御指摘を受けることのないよう一そうの努力をいたしたいと思います。
○委員長(松本賢一君) 次に、厚生省及び労働省の決算検査の概要説明を聴取いたします。藤田第三局長。
○説明員(藤田勇君) 昭和四十二年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件でございます。 一四一号及び一四二号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険の保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬の把握が適確に行なわれなかったため保険料の徴収が不足していたものでございます。 一四三号は、国民健康保険調整交付金の交付につきまして調整対象収入額の算定等が誤っていて、その交付が適正を欠いているというものでございます。 以上、簡単でございますが、厚生省関係の説明を終わります。 次に昭和四十二年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件でございます。 二二四号及び二二五号の二件は、労働者災害補償保険及び失業保険の保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となります賃金総額が事実と相違していたため保険料の徴収が不足していたものでございます。 二二六号は、失業保険事業における保険給付に関するもので、保険金受給者が再就職しているのに、引続き失業保険金を支給していたなど、給付の適正を欠いているというものでございます。 以上簡単でございますが、労働省関係の説明を終わります。
○委員長(松本賢一君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 まず、冒頭に厚生大臣に総括的なことをお聞きをしておきたいと思います。 昭和四十二年の三月に、経済社会発展計画が経済企画庁から発表されました。そしてその中で、従来のわが国社会保障には総合的な観点が必ずしも十分でなかったことにかんがみ、わが国の経済社会の実態とその将来の進路に即した適切な社会保障長期計画を策定し、これに基づく体系的整備を行なうことが不可欠であるという文言があります。そして、現在この経済社会発展計画は改定の作業に入っておりますし、その検討資料として、さきに経済審議会の生活分科会社会保障小委員会が「社会保障の充実とその体系的整備について」という、そういう題をつけた報告書にまとめたのを手にいたしました。この中で、「制度の形式的な整備のみに走ることは避け、予想される経済社会の条件変化や社会保障に対する社会的ニードの動向に即応する総合的な視点から、伸ばすべきものは伸ばすという内容面・質面に充分留意しつつ、わが国がめざすべき社会保障の姿を明らかにし、その方向にそって政策課題の優先度を設定するとともに、計画的・重点的な政策展開をはかっていくことが強くのぞまれる。この点からみて現在の経済社会発展計画の中で強く求められている社会保障長期計画の策定が今なお行なわれていない現状はまことに遺憾であると言わなければならない。」こう述べているのであります。この点、私もたいへん遺憾なことであると思います。そこで厚生大臣は、この社会保障長期計画を一体策定するつもりがあるのかどうか。あるとするならば、なぜいままで策定をされなかったのか、あるいはあるとすれば、今後はいつごろまでにつくるつもりなのか、明らかにしてもらいたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 厚生大臣が参議院予算委員会の総括質問に答弁中でありまして、政務次官から御答弁申し上げます。ただいま御指摘の点に関しましては、私どももその御指摘に対し返すことばがございません。そういう意味で、いままで、それこそ毎日のそのときどき起こる問題にある程度追われて社会保障自体が進んでまいりましたと思います。長期計画をつくれという御意見、もっともであります。しかも、今日いわゆる内政の充実が叫ばれておる時点におきまして、今後の相当長期にわたるこの国の社会保障のあり方、そして国民総生産の中において、社会保障全体に一体どの程度までの力を入れていくべきであるか、そうした点についての基本的な考え方を示す時期も参ったと私どもも考えております。いままで他の機会に厚生大臣からも長期計画を検討してまいりたい、つくりたいという前提で考えたいということを申し上げてまいったと思います。厚生省として社会保障の長期計画をつくる考え方を持っておりますけれども、その内容についていかなるものを盛り込み、大体いつごろの時期までにこれを完成させるかというような点まで、なお議論が煮詰まっておりません。今後できるだけ早い機会に、こうした点についての基本的な考え方を国会におきましても御検討願える情勢にまでもってまいりたい、かように考えております。
○和田静夫君 できるだけ早い機会にと言われるんですが、あなたの政務次官在任中に私の目の前に出てくる、それまでの約束はできますか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 私どもが個人で云々すべき問題ではありませんし、一体それはいつの時期に私どもは交代するかもわからぬことでありますから、したがって、その時期について、在任中云々と言われても、その時期については、はっきりお答え申し上げかねます。しかし、人がかわりましても、厚生省という行政をあずかる責任ある官庁の考え方というものは、これは継続していくわけであります。いずれの場合にいたしましても、できるだけ早い機会にこうしたものをつくりあげて御検討願い、長期の路線を引いていかなければならないという必要性はあるわけでありまして、あくまでもできるだけ早い機会につくりあげてまいりたい。それ以上、この際申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○和田静夫君 新しい世代をになう政治家ですからね。できるだけ早くという、いわゆるいままで言い古されてきたような答弁はお互いやめたほうがいいんです、われわれの世代は。そういう意味で申し上げたので、何もいじめるつもりで申し上げたわけではないんですが、きょう私が指摘したこのことについて、大臣に、そうして閣議を通して十分な努力をされて、その努力のあとがわれわれの前に提示される、そういう保証をひとつ与えてもらいたいと思いますが、よろしいですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 御指摘のとおりにいたします。大臣にも本日ただいまの御趣旨を報告し、閣議あるいはその他の機会にあくまで省としての体制をできるだけ早い機会に固め、時期等についても明言のできる体制をつくるように努力いたすつもりであります。
○和田静夫君 もう一つ。いままで基本的な問題で懸案の児童手当制度についてちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、児童手当の創設が社会保障整備上のいわゆる課題とされてから、御存じのとおり、すでに久しいものがあります。昭和三十五年ごろからほとんど毎年社会保障制度審議会、中央児童福祉審議会、経済審議会、臨時行政調査会、社会開発懇談会、人口問題審議会、雇用審議会、国民生活審議会、全国知事会、全国社会福祉会議、全国児童福祉会議などなどからその創設が要請をされております。しばしば国会においても論議をされ、早期実現に関する決議も数多く行なわれました。また、政府の側からも総理みずからが、あるいはそれを受けて過去の厚生大臣が何年度から実施をいたしますと、何度公約をされたかわかりません。しかるに、今年度もまた児童手当は見送られることになりました。その辺の事情は一体どういうことなのか。また、その政治責任を政府は一体どのような形でとるおつもりなのか、お聞かせいただきたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 過去、衆参両院の本会議あるいは委員会の場におきまして、総理あるいは歴代の厚生大臣から児童手当の早期実現について種々答弁をいたしてまいりました経緯は先生も御存じのとおりでありまして、それが今日に至りましてもコンクリートされたものにならない、予算化されていないということについての責任、おしかりについては、私どももこれを甘んじて受ける以外にございません。ただ、御承知のとおりに、いわゆる児童手当懇談会というもので煮詰めてまいりまして、この結論を得て児童手当制度の創設に踏み切りたいというのが、前斎藤厚生大臣時代の考え方でありました。児童手当懇談会自体がむしろ審議会をつくり、もっと問題点を煮詰めていくべきであるという御意見をちょうだいいたしまして、正式に政府の中に児童手当審議会を二カ年間の時限の審議会としてこれを設立いたしました。そして今日なお、児童手当審議会はきわめて熱心な御検討を続けておられます。先般厚生大臣から予算委員会等におきましても御質問に対し答弁をされました中で、厚生大臣として審議会会長に対し八月中に何とかして答申をもらいたいということを日を限って依頼を申し上げ、審議会としても最善の努力を尽くして、その時期までに間に合わせるようつとめていきますという答えをちょうだいいたし、今日なおその方向に向けて実は御議論願っておるわけでございます。 なお、補足して申し上げますと、その御質疑の際、八月中に答申をもらいたいということは、八月中に答申が間に合えば来年度の概算要求に厚生省としては児童手当の予算を盛り込むつもりかという、きわめて強い御質問もございました。それに対しましても、厚生大臣としては、御答申をいただき次第、できるだけ早い機会に立法化に着手すると同時に、予算の中身も概算要求の中に盛り込んでいきたいという御意思も表明されております。私どもとしては、できるだけ早い機会にこうした制度が創設されることに対し、きわめて強い期待をいだいておるのでありまして、厚生省当局として児童手当の実現に対する熱意というものは、なお強まりこそすれ、決して弱まっておらぬということを申し添えておきたいと思います。
○和田静夫君 四十四年の六月に、いま言われた厚生省設置法が改正されて、審議会が設置された。そしていまの答弁にあるように、この審議会の答申を待ってということで、ことしの八月中にということでありますが、これはその期限切れの四十六年三月三十一日までかかるんじゃないか。ことしの八月までという注文をつけたということについては、それはまさに前向きの形ということで理解をしておきますが、そうすると、若干審議会の内容についてお聞きをしておきたいのですが、国民年金法に基づく母子福祉年金、あるいは児童扶養手当法に基づく児童扶養手当、あるいは給与法上のいわゆる扶養手当ですね。これら既成の法律との関係で生ずる問題について、どのような方向に整理をされていくことになるのか。これは事務当局でもけっこうですから、その辺についての論議内容というものを厚生省の側で御存じならば、この機会に知らせてもらいたいことが一つと、もう一つは、すでに児童手当制度を実施をしておる自治体がたくさんあるわけですね。所得制限の問題などで、それらをどのように整理をしていこうと、これは厚生省の側は考えていらっしゃるか、明らかにしていただきたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 審議会の議論の内容について、これはこの際、私ども諮問をいたしております厚生省のほうからお答えをいたすことは控えさせていただきたいと考えます。すでに一部新聞等にも報じられておりますように、児童手当審議会の中できわめて広範な角度から議論がされてまいりました。そうして、あるいは斎藤私案でありますとか、あるいは委員長私案でありますとかいうような形も、一時期には出されたわけであります。現実問題、ただいまむしろ御指摘になりましたわが国の給与体系の中における家族給付でありますとか、あるいは母子福祉年金の中、あるいは児童扶養手当制度、現在行なわれております諸制度とのからみ、あるいはわが国の将来の人口政策の上での論点等、非常に具体的な問題がからんでしまいましたために、むしろ一時期、審議会の議論というものは並行状態になりました。先般の——日にちはちょっと忘れましたが、先般の児童手当審議会におきまして、むしろ過去のそういう意見にとらわれて、あるいは過去の実例等にとらわれて議論をしておったのでは八月中に答申をと言われても、全然進まない。むしろ、いままでの議論は捨てて基本的な考え方をもう一度整とんした上で、行きがかりを捨てた議論をしようではないかということで、一たん、いままで非常に複雑になっておりましたからみの問題を、実は切り捨てたわけであります。ことに、たとえば優生保護法の改正問題等とからんで議論をされた点等につきまして、これは児童手当そのものよりも、他のほうに問題が波及する点もありまして、むしろ、論点の整理をはかりつつ、いま次回の開会を待っておる段階でありまして、諮問をいたしました厚生当局として、その審議会の内容について云々することは、この際差し控えさしていただきたいと思います。 なお、第二点の御指摘になりました点につきまして、事務当局は事務当局的に検討は進めておりますが、文章として権威ある決算委員会の場で御報告をし得るまでに中身が固まっておりません。これも審議会の議論とある程度並行する部分が多分にございますわけで、今日の時点でこの場に資料として、あるいは口頭で御説明を申し上げるまでにコンクリートされた形にはなっておらないという状況であります。
○和田静夫君 いまの御答弁の中に新聞記事の話がたくさん出ましたが、私もここにずっと切り抜いたものを持っておりますけれども、いずれにしても財界側が、特に日経連なんかが四割負担はできぬという発言なんかを非常に大きくわれわれの前に出されているわけですね。そういう圧力で児童手当制度の実施がいたずらにおくれることがないように十分な努力をしていただきたい、そういうふうに思います。 次に、清掃の問題についてお尋ねをいたしますが、清掃事業というのは、御存じのとおりたいへん目まぐるしい技術革新と都市化の波の中で全く新しい段階を迎えていると言って、私は過言でないと思うのです。単なるちりあくたを目の届かない庭のすみに掃き捨てたり、それを焼却をしたりなどという程度のものであったものが、昨年の六月におけるウ・タント国連事務総長の発言にもあったように、今日では産業がはき出す廃棄物が人類の存亡そのものにかかわる問題になってきた。私もそう言えると思うのです。そういう意味では、自然の一部であると同時に対立物である人間社会が、その自然との関係で、はき出す廃棄物をどのように一体技術的に自然に戻していくかという問題が一つ重要なポイントである。また同時に人間社会内部の問題として、なかんずくそれを処理していく行政体制の問題としてもう一つ重要なポイントが存在をしておる、そういうように私は思うのです。それで私は、この両者の区別性と同一性をはっきり整理をした上で問題を考えませんといけないと思うのです。と言うのは、昨年三月、日本都市センターが行なった清掃事業近代化に関する調査報告というのがあるのですがね。これについても、この清掃事業が現在直面している全く新しい局面をたいへん鋭く指摘はしていますが、その一方、そこから直線的にたとえば清掃事業団構想といった新しい行政体制を結論されている。私はそこに、もうみごとなすりかえがある、そういうふうに思うのです。たとえば都市センターの報告書は、明らかに清掃法の改正を内包しています。そして確かに現在の清掃法では処理しきれなくなった事態は部分的にありますが、現行清掃が指向をする行政体制の今日の社会生活上の意義を十分確認した上で、その限界を設定をしようとしているのか、あるいは現行清掃法はそもそも全く古くなって根本的にというか、根本的につくり直さなければ、どうにもならぬのか、その辺がぼかされている感じがするのです。と言うよりも、都市センターのこの報告書には清掃法の存在意義を何とか薄めたいという意図がうかがわれます。 たとえば都市センターのこの報告書には、清掃法に関連して、六ページですが、次のような指摘があります。「処理と処分との区別がなされていない。処理によってあたかも処分が完成したかのような錯覚を生じやすい。この考え方が今日の処分行きづまりの一つの重要な原因と考えられる。」、しかしですね、この指摘は、処理ということばと処分ということばを区別しなければならなくなった清掃事業の技術的な段階の指摘としては私は正しいと思います。しかしながら清掃法が、そのことによって古くさくなったとは私は言えないと思うのです。この段階に立って清掃法上の処理といういわゆることばは、この処理と処分と両方の意味を同時に持つことに私は言語的になっていると思うのですね。ここには明らかに語学上の問題はあったとしても、法律上の問題は私はない、そう思います。清掃法上の処理ということばには、従来からここで言われている処理と処分との両方の意味が含まれていたと私は理解をいたしますが、いかがですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま非常に幅の広い御質問でありますが、最初に端的に一点申し述べておきたいと思いますのは、都市廃棄物あるいは産業廃棄物の増大に伴って現行の清掃法が完全にその実態に合わなくなった、用をなさなくなった、だから改正をしたほうがいいんじゃないかというような意見も確かに世間の一部にはございますけれども、私どもとしては現在清掃法をそれによって改正をいたす意思はございません。で、御指摘になりました都市センターの報告書自体、私ども検討はさせていただきました。そしてその中にはいろいろとるべき御意見もあると私どもは考えております。それであるからといって、現行の清掃法が完全に実態に合わなくなったとは私どもは決して考えておらぬわけであります。御承知のとおり、産業廃棄物であれ、都市廃棄物であれ、いずれも清掃法に規定する汚物に該当するものでありますし、現在その処理処分は市町村の責任において実施をいたしておりますけれども、同時に清掃法の第七条あるいは第八条等におきましては、ことに多量である、あるいは現実に処分が非常に困難だ、施設において処理の困難な特殊なもの、これについてはその運搬あるいはその処分自体、その関係者の責任において行なうこともできるし、命令することもできるようになっておりますし、現行の清掃法が、私どもはいまの実態に決して合わなくなったとは考えておらぬ。これは最初に申し上げておきたいと思います。 ただ現実問題として、きわめて高度成長を続けておりますわが国経済を反映し、都市廃棄物にいたしましても、あるいは産業廃棄物にいたしましても、量的にも非常に増大し、質的にもきわめて多様化をしてまいりました。必ずしも現在の市町村の清掃体制で完全に対処し得るということも、また申し上げられない。場合によっては、それが地域社会において新たな公害発生の原因というか、追及を受ける場合も出てきておるわけです。ただいま御指摘になりました都市センターの報告というのは、いわゆる清掃事業近代化委員会で昨年発表された報告書だと思いますが、この報告書の提起しておる基本的な問題点については、私たちも同意するところが多くあるわけであります。これに沿って、むしろ現行清掃法の範囲内でどうやっていったらよいかということを、私どもはいま検討をしようとしておるわけであります。また同時に、昨年の七月の十四日に生活環境審議会に対して都市廃棄物あるいは産業廃棄物にかかる処理、処分の体系及び方法の確立について厚生省は諮問をいたしました。審議会において清掃部会の中に都市産業廃棄物分科会を設けて、現在まで五回審議を繰り返していただいております。こうした場所から出される御意見等もあわせ、なお将来においては、あるいは清掃法の再検討を必要とする時期もまいるかもしれません。現在において私どもは、現行の清掃法の運用において十分対処していくべきであり、また対処していけると考えておるということを申し上げたいと思います。 なお、事務当局に補足させます。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまのお話の中に特に処理、処分ということのことばの問題がございました。これは実は清掃法の体系なり、清掃法の施行令を含めまして処理、処分ということが必ずしも厳密な意味では分けて使っていないわけでございまして、たとえば清掃法の施行令のほうでも処理、処分という中身を持ちながら、標題のほうでは「処理の基準」ということになっておるわけであります。それで私どものほうとしましては、そういうことで便宜、いまたまたま産業廃棄物を問題としておりますので、処理と処分とをある程度区分しまして、処分といいます場合にはより自然への還元というニュアンスを持たせて使っているようでございまして、都市センターの報告書でもそういう意味で処理処分ということをニュアンスを分けて言っている。また処理しただけではいかぬので、ちゃんと自然に還元するようにやるべきだ。先生さっき御指摘のようなことのニュアンスを含めまして、処理と処分を区別していると、かように承知しておるわけであります。
○和田静夫君 いま処理、処分問題の一例をあげたのでありますが、都市センターのこの報告書は、現行清掃法の限界を指摘したいあまりに、その意義については必要以上に希薄にしていこうという意図が全体として流れている、何べんか読んでそう思うのです。その結果、この報告書が、言ってみれば人間社会が直面している今日の事態をたいへん鋭く指摘しているがゆえに、この報告書には、たらいの水とともに赤子まで捨ててしまうというたとえがあてはまるのではないかという、そういう危険性を実は感ずるのです。したがって、私は清掃事業をめぐる今日的事態とでもいいますか、それを十分に踏まえた上で、現行清掃法の意義と見解を設定するという観点から、さっきの政務次官の答弁がありましたから全体としては意向はわかりましたが、若干の質問をしてみたいと思うんです。 まず、清掃法の第二条の第一項の条項でありますが、これは清掃事業は市町村の固有事務であるということをいっている条項であると私は考えますが、そういう意味ではこの条項は清掃事業のような住民生活に密着をした行政は、住民と最も密着をした市町村がこれを行なうという地方自治法の条項、精神に照応したものであると言えると思います。そういうふうに私は解釈をしておりますが、よろしいですか。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまお話のございました点でございますが、地方自治法の体系でまいりますと、地方自治法では、いわゆる公共事務でございますね、先生の言われる固有事務にあたるものとして清掃事業をあてておるわけでございます。それで原則としてその場合二条四項の規定では、基礎的地方公共団体でございます市町村が処理するということでございますが、第六項の規定がございまして、一般の市町村で処理することが不適当と認められる場合、都道府県もまた処理すべき権能と責務を有するというのが、自治法で書いてある限りの立て方でございます。ただ、特別法としましての清掃法では、市町村がやるのか、都道府県がやるのか、はっきりしないということでは、統一的な処理ができませんので、たてまえとしまして基礎的な地方公共団体でございます。また、ただいま御指摘のような住民の生活に最も密接な関係にある市町村の事務として行なうというたてまえをはっきりしておる。これがいま御指摘の二条なりあるいは六条なりに、市町村ということで書いてある意味かと思うわけでございます。
○和田静夫君 それで、こういうように清掃法が地方自治法との関連において存在するものである以上、つまり地方自治法の精神が生きている以上、少なくとも生活系の廃棄物については市町村の責任においてこれを処理すべきものであるという原則は貫かれなければなりません。それはよろしいですね。
○政府委員(城戸謙次君) 御指摘のとおりでございまして、私ども現在の生活環境審議会の審議機構の中にも、家庭廃棄物というのは全然入れておりません。
○和田静夫君 これは、先ほど政務次官の答弁の中にすでにあったんですが、ちょっと確認をしておきたいんですが、昨年四月二日の衆議院の産業公害対策特別委員会の速記録をずっと読ましてもらいましたが、社会党の河上民雄議員の第三条の定義の中に、産業廃棄物が入るのかという趣旨の質問をしたのに対して、厚生省の武藤政府委員は「御指摘の問題につきましては、清掃法の七条、八条で処理される仕組みになっております。」と、いま次官の言われたような答弁をしております。その上で、「実態上は、この法律上の問題とは別のいろいろな問題を生じていることが実情でございます。」と述べられておられますが、「法律上の問題とは別のいろいろな問題」とは、どういう問題ですか。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、産業廃棄物ということばを固形廃棄物に限って私どもは委員会で使っておりますが、世間ではいわゆる液状のもの等も含めて使っている場合もございます。かような場合には産業廃棄物ということばの中に、清掃法の対象にならないものもだいぶ入ってまいるわけでございますが、固形廃棄物に限定しました場合には、廃棄されています限り、つまり、企業の側で所有権を放棄して、これを処理処分してくれ、こういうようなかっこうになっております限りにおきましては、これは清掃法の対象になるものだと、私どもはかように考えておるわけでございます。 それからあと、おっしゃいました点につきましては、清掃法のたてまえはともかくとして、実態上必ずしも十分に清掃法で対応できてないというような意味合いのことかと思うわけでございまして、私ども、清掃法のほかで全然別個に、事実上いろいろやるべきであるという主張は現在まで聞いたことはないわけでございまして、やはり清掃法の体系に乗っけてやっていこう。こういうような考え方を基本的には持っているわけでございます。
○和田静夫君 私はここで、法律上の問題とは別のいろいろな問題というのではなくて、まさに法律上の問題をお聞きをしておこうと思うんですが、というのは、昨年の八月の十九日に開かれた生活環境審議会清掃部会都市産業廃棄物分科会で、安田委員がこういう発言をされているんですね。——先ほど廃棄物の行くえ調査のお話があったが、廃棄物は言うならば業界の恥部であり、公表をはばかりたい気持ちはわかるが、このために正確に実態をつかみにくいうらみがある。——そこで、廃棄物、排水以外のいわゆる産業廃棄物が、曲がりなりにも、清掃法第三条にいう「汚物」に含まれると、次官はそうお答えになったのであります。であれば、清掃法第六条によって、収集、処分の責任が、第一次的には、先ほども確認したとおり、市町村にはある。そのうちの一部を、第七条、第八条によって、土地または建物の占有者または管理者によって処理せしめる命令を発することができるというのが法の趣旨だと思うんです。とするならば、この第七条、第八条に基づいて、企業がみずからの力で、みずからの廃棄物を処理していったとしても、それを統轄する責任はあくまでも市町村にあるわけですから、その企業がどのような廃棄物をどのぐらいの量、排出しているかを市町村長が知らない、あるいはそれを援助する立場にある県知事が知らない。全く企業がいわゆる秘密にしているというのは、おかしいと思うんですね。そこには何か法律上の穴があるのですかね。
○政府委員(橋本龍太郎君) 先ほどの公害部長の答弁、また、いまの御質問に合わせながらお答えを申し上げたいと思いますが、いわゆる産業廃棄物と一がいに申しますと、確かにこれは、産業廃棄物であれ、都市廃棄物であれ、いわゆる汚物である限り一切清掃法の対象になると、これは当然のことで、先ほどお答えしたとおりです。しかし、実態の問題としては、いわゆる清掃法で処理、処分の対象にすることのほうが適切であると同時に、それとは別に、いわゆる公害防止という観点で考えなければならない種類のものもあるわけであります。で、現在、そういう行き方をするならば、確かに産業廃棄物一切にこの清掃法の規定はかぶされておると考えても、私は誤りではないと思いますが、実際上の問題として、いま公害部長が申し上げましたように、清掃法でカバーし得るものは、いわゆる固形状のもの、どうしてもそこに限界があるわけであります。現在、いわゆる公害防止というものが叫ばれるようになりましてから、公害関係の各種の法律が定められて、公害防止自体も推進されておるわけであります。あるいは、液状のもの、その他現行清掃法の中で必ずしも処分の対象にしにくい性格のもの、これは、むしろ公害防止計画の中で考えるべきものも、その中には多分にあると私どもは考えております。 先刻御指摘になりました——昨年の衆議院公害特別委員会におきます河上委員の御指摘になりました御質問も、そうした点を踏まえての御議論だったように、私は記憶をいたしておりますが、今日、いわゆる産業廃棄物の範疇の中で、液状のものは、多分にいわゆる水質汚濁その他の問題を起こす原因となっておりまして、そうした意味ではむしろ公害防止の観点から対処することが適当なものが、その中には多くあるわけであります。実態の問題としては、こうした点も踏まえて、私どもはこの問題には対処していかなければならないし、対処していくべきものであると考えて、今日行政をいたしておる点でありまして、和田委員の御指摘は、確かにそのとおりでありますけれども、現実の問題としては、清掃法で処理すべき性格のもの、また、いわゆる公害防止の一環として考えていくべきもの、両方の要因がその中には含まれると考えております。
○政府委員(城戸謙次君) ただいま政務次官から御答弁申し上げました点を、ちょっと補って御説明申し上げますと、たとえば、番先発いたしました千葉県千葉市、市原市にかかります公害防止計画の基本方針、これは昨年の五月、内閣総理大臣から関係知事に示されたものでございますが、これと同時に、ほかの二地区につきましても関係知事に示されたわけでございますが、たとえば千葉の例を見ますと、都市廃棄物の処理云々という条項がございまして、「清掃施設、家庭、工場等から発生する廃棄物が激増し、既存の清掃施設だけではその適切な処理が困難となり、水質汚濁、悪臭等を発生させるおそれがあるので、これらの被害を生じさせないよう廃棄物を処理するための措置を講ずるものとする。」、こういったことでございまして、この基本方針に基づきまして、関係三県では現在公害防止計画の内容をいろいろ検討いたしているわけでございます。したがって、それらの関係の経費につきましても、見積もりを現在やっている段階でございまして、そういうものと、それからいまの清掃法の体系でやるものと両方あると。ただ、いま申し上げました公害防止計画の中でやります場合には、ただ公共投資で処理していくということだけでなしに、むしろ企業自身が相当の自家処理をしたり、あるいはこういう施設に頼むにしましても前処理をやっていく。そういう前段階のものを含めまして、法律的に、体系的にこういうようなものが——廃棄物が公害の発生源とならないようにしていく。かような趣旨で現在防止計画の策定をいたしている段階でございます。
○和田静夫君 具体的にお尋ねしますが、たとえば特別清掃地域としてのA市というのがある。そのA市のある工場が、多量の廃棄物を排出するとしますね。そうしてその多量の廃棄物を、A市の中で処理をすることが第六条に基づくA市の計画にどうしても合致しない場合、しかたなくA市以外に持って行かなきゃならぬ。そしてその企業が、特別清掃地域でないBという村の、たとえばCという個人と契約をしたその私有地に、この廃棄物を捨てることにしたと、まあ仮定をした場合に、その場合、それは当然その村の住民に公害などの影響を与えます。そこで、その村の村長は住民に害を与えないように、この自治法上の行政事務条例を制定したいと考えた場合、B村は特別清掃区域でありませんから、清掃法第六条というのは適用されません。それでもこの行政事務条例を制定することは可能でしょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) いまの御指摘の例、特別清掃地域であるかないか、それが公害に関する部分に関しては私どもは何らかかわりのないものと考えます。御承知のとおりの清掃法の規定でありますから、特に大量であって特殊なものについて、その発生原因者、その関係者に対して処分を命ずることは当然できるわけでありまして、そのA市と仮定をされました地域にその処理施設ができない場合、その発生原因者たる工場がその処理、処分の責任を負わなければならぬ、これは当然のことであります。そして、その場所がたまたま特別清掃地域を離れたB町であれ、B村であれ、そこに私的な所有権がある土地に、そうしたものを処理する施設をつくり、それが何ら公害発生の原因にならない場合には、問題はないわけでありますし、もし公害の発生の原因になる——大気汚染であれ、悪臭であれ、公害の発生原因になれば、これは清掃法というよりも、むしろ公害防止の観点からの考え方をとらなければならぬ問題であるわけでありまして、その意味では特別清掃地域であれ、なかれ、その点に私は関係はないことと考えます。当然、その村長として、あるいは町長として、その自治体の首長が自分の義務を有する関係地域内住民に、その処理に伴う公害による悪影響を及ぼすと判断し、それらの条例を整備することも、いまこれは公害防止という点から考えれば当然のことではないかと考えます。むしろ特別清掃地域である、ないという点は、ただいま仮定のケースとして御質問いただいた中では、必ずしもかかわりがないように私は思います。
○和田静夫君 そうすると、少し疑問なのは、その場合にたとえば、いま例としてあげたように、その一定の企業とB村のCという個人とは一定の契約で結ばれています。当然その企業はCという人の私有地の使用料を払うわけです。この条例によってその私有地の使用制限が生じた場合に、Cという人が持っている憲法上の私権制限が生ずると考えるんですよ。その問題は、どのように処理をされるおつもりですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は、そういう意味ではしろうとでありますから、多少間違うかもしれませんが、いま御指摘のケースを想定しました場合に、私は憲法上の私有権の制約には、これはつながらないのではないかと思います。というのは、そのCという所有者がみずからつくった施設を企業が利用した場合に、あるいはいろいろのケースもこれには想定されるわけでありまして、その条例そのものの中身にも、私はこれはよると思います。ですから、そのCという人の所有地に対してそのA市にある工場が産業廃棄物の処理のための施設をつくること自体を禁止するようなものであれば、これはあるいは私権の制限になるかもしれません。しかし、Cという方の所有地をその工場が契約の上で借りて、それがCという方の費用であるか、企業の負担でできるかはともかくとして、そうした施設をつくり、その産業廃棄物の処理にあたる限り、おそらくその場合に想定される条例は、その産業廃棄物の処理にあたる施設から出る公害の処理、大気汚染あるいは悪臭、あるいは場合によっては騒音等も考えられるかもしれません。そうしたことに対する制約であり、施設をつくること自体に対しての禁止をその条例でうたうというケースは、まずないのではないかと私は考えます。その場合には当然、関係市町村長は付近の住民に迷惑を及ぼさないよう、その施設に対して、こういうふうにしてもらいたいという注文をつけることはあり得るわけでありまして、これが私は憲法上の私権の制限にはつながらないのではないか。むしろ、そういう施設をつくることを禁止するならば——これが契約後において禁止を行なうというようなケースであれば、これはまた問題は別になりますが、そうでない限りは憲法上の私的権利の制約にはならないと、しろうとではありますけれども、私はそのように判断をいたします。
○和田静夫君 さっき安田発言を読み上げましたあれに見られますように、各企業がその産業廃棄物を処分する場合、市町村長はそれがどこで、どのように処分されているかわからないといった問題がたくさんあるように思いますがね。そこからはもちろん公害の問題も出てくるのでありますが、それを規制する法律の条項ですね。これはいまのところ、清掃法第十一条第一号しかないように思われますが、他の法律関係はどうなっていますか。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、企業が自由に処分するということについての制約につきましては、清掃法のいまの十一条の規定がございますし、それから企業の大部分が直接やらないで人に委託するというような形をとっているものが多いわけでございますが、その場合には当然、汚物処理業者としての許可を得た業者に委託すると、こういう形になるということが最小限の清掃法上の要求でございます。その他関係法規では、港則法だとか、いろいろな法律がございますが、私ども清掃法の関係では直接的にはそういうふうな条文がひっかかってくるだろうと思います。
○和田静夫君 たとえば公共用水域の水質の保全に関する法律がございます。あるいは工場排水等の規制に関する法律、あるいはばい煙の排出の規制等に関する法律などなど、関係するような法律がずっとこう並べて見ればあると思うのです。ところが、どれを読んでみましても規制能力がないのですね。言ってみれば紛争は和解に重点が置かれた法律ということになると思うんです。要するに、そういう意味ではたいへん不十分な感を免れませんね。そこで排水やばい煙に限らずに、環境保全という観点から産業廃棄物そのものをまっこうから取り上げて規制する法律を、私はどうもつくる必要があるように痛感するものですが、生活環境審議会清掃部会の審議状況——まあ審議会のことですから、先ほどの次官の答弁で、内容的には触れたくないということならば、それに対して諮問をしている立場にある厚生省としては、どういうふうにお考えになりましょうか。
○政府委員(城戸謙次君) 私どもとしましては、先ほどお話しましたように、基本的には清掃法の体系でいけるのではなかろうかという考え方で、この審議会で御審議をいただいているわけでございます。もちろん、環境全体の保全という見地から立法するということも、この産業廃棄物の問題のみならず、いろいろな問題の解決のために必要な面もあろうかと思いますが、とりあえず私どもとしましてはそういう考え方を持っております。 なおまた、基本的な、そういうような立法をするということになりますれば、さっきの公害関係の、固有の水質保全の二法、その他特に申し上げませんでしたが、こういう公害関係の法規、あるいは先ほど申しました港則法、漁業法、港湾法、水産資源保護法等々、いろいろな法律がございまして、私どもとしまして、これらを調整しながら考えていかないと、うまくいかぬわけでございまして、現在の段階では私は、そういうような形ではなしに、清掃法の現行法で対応できればそれでやっていく。それからなお、問題点があれば、これを改正すべきものは改正する。このような考え方でやっていけるんじゃなかろうかと思っているわけであります。
○和田静夫君 そうしますと、たとえば大阪なんかで、すでに始まっているあの産業廃棄物処理公社などという方式ですね。これはどういうふうに理解したらいいですか。
○政府委員(城戸謙次君) この大阪の問題でございますが、大阪の問題は、もう今年度からさっそく着手するということでございまして、特別地方債の清掃事業の中に八億円ほど事業費を見込んでおるわけでございます。したがって、これは当然法律改正ということでなしに、現行法上対処してまいる、現行法のワク内で対処してまいる、こういうような考え方でございまして、事務的には次のような考え方をとっておるわけでございます。この自治法で申します、ちょっとさっき申し上げましたように地方自治法上は、清掃の事務は市町村の事務であると同時に、都道府県のいわば潜在的な固有事務であると、ただ、清掃法のたてまえからそれを市町村を中心にやっていく方式を打ち立てておるのだと、こういうことでございます。したがって、私どもとしましては、本来潜在的な権能を持っております都道府県に対して関係の市町村から事務の委託をする。これは地方自治法二百五十二条の十四の規定がございまして、事務委託は固有事務だろうと機関事務だろうと、できることになっておりますので、こういう清掃の事務につきまして市町村が、上部団体であります都道府県に統一する権利があるということから、事務を委託するということは当然可能であるわけでございます。そういうような委託を受けまして、大阪府がこれに対しまして、具体的な、たとえば七条とか八条とかいうような市町村長の権限というものを引き継ぎまして、その産業廃棄物の限られた分野に限りまして、具体的な処理処分までを一貫してやっていく。こういう考え方に立つのが一番適当ではなかろうかと思うわけでございます。 なおまた、いまお話のありました公社という問題でございますが、これは特殊法人ということでなしに、たとえば民法の財団法人という形で名前は公社という、こういう意味合いでよろしかろうと思うのですが、そういうものでありましても、その具体的な処理施設の運営等につきまして、事実上の委託をするということは、これは別個の問題としてあり得るわけでございます。まだ現在の段階では、こまかな大阪の計画内容、そういう事務処理の方法等につきましては、詳細なことは聞いておりません。
○和田静夫君 もちろん、われわれもいろいろ前向きに検討していく立場で考えてみて、この産業廃棄物処理のための行政体制について、ここで混乱が起こってしまったらいかんと思うのです。そういう意味で、このたとえば、まだ審議会が審議中であるのに、この大阪の産業廃棄物処理公社については、四十五年度財投から八億円もすでにつけられておる。こうなってくると、たいへん考えさせられるわけですね。でたとえば、ニクソンの環境汚染防止に関する教書をずっと読んでみたけれども、徹底していますよね。やっぱり市町村ということについては——そこに基点を置くということについては。で、そういう意味で産業廃棄物を処理する、その技術開発の状況を含めて、新しい行政体制が慎重に検討されなければならないのに、こういう既成事実化をはかる。私は、審議会の軽視ではないかというふうにさえ思うのです。なぜそう思うかというと、たとえば一方科学技術庁、ここのあれを読んでみますと、広域行政としての自治体連合組織にやっぱり処理の基本を置く、こうなってきています。そうすると、一体佐藤内閣というのは、それぞれのところに好きなことを言わして、そのままにしておくのかという感じさえ受けるのであります。その辺はどうですか。
○政府委員(城戸謙次君) 確かにただいま先生御指摘のように、一方で審議会に諮問しながら、他方で大阪のように既成事実をつくったじゃないかという御指摘があろうかと思うのでありますが、この点につきましては昨年夏の予算要求の段階で、いろいろ審議会の諸先生とも御相談したわけでございますが、まだとても審議会のほうがすぐに結論を出せるような段階でないということでございます。また大阪府のほうでは、ともかく府の方針として、四十五年度から何としても着工しないと手おくれになるというようなお話もございまして、とりあえず、そういう方針を昨年夏の段階でとったわけでございます。その後いろいろ検討いたしましたが、審議会の議論も、あと——速記録等をお読みになっているようでございますからおわかりいただけると思いますが、大体の考え方としては、やはりモデルケースとしてやってみる必要があるのではないか。一方で調査を十分にやっていくということと同時に、他方でモデルケースとしてやっていくということによりまして、調査等で不備なところがわかってくる。そしてその上に立って、今後の方向をはっきり定めていくということも必要じゃないかということも、お話がしばしば出てまいったわけでございます。それはもちろん、モデルケースを実際見なければ審議会は結論を出せないということではありませんが、基本的な方針としては、まだ調査をしなければならぬ。その地方地方の実情に応じてモデルケースとしてある程度大都市的なところ、あるいは中都市的なところというようなことでやってみる必要があるのじゃないかというようなお話がございましたので、私どもとしては、そのような現行法のワク内でできる大阪の場合を取り上げまして、来年度財政投融資のほうの計画に一部組み入れたわけでございます。
○和田静夫君 時間があれですからお伺いしませんが、どうしても審議会軽視という感じで、そういうモデルのつくり方というのは、私はけしからぬと思うのですよ。いわゆる市町村固有の事務の関係において非常に問題を残すと思うのですが、これは別な機会に出させてもらって、もう一ぺん掘り下げてみたいと思います。 関連して通産省にお尋ねをしますが、昨年の十一月二十八日に出されたこの科学技術庁資源調査会の「廃棄物の処理体系に関する報告」、これはその十四ページで次のように述べております。「廃棄物の処理に関する研究は従来一部の研究者や民間のプラントメーカー、廃棄物を多量に抱えた企業で断片的になされているに過ぎず、国や企業のこの面への研究投資は、きわめて少い。このような事情に対処するため、廃棄物、環境・公害問題を関連させて物質の自然循環系、人工循環系に関する調査・研究を基礎においた廃棄物の処理工学、処理技術等の研究開発を、国はもちろんのこと、自治体、産業界などの相互理解にもとずいて……推進することが必要である。」、通産省としては、この産業廃棄物の処理をめぐる技術的な研究開発に、どのような展望をお持ちですか。研究体制の整備と開発の促進のために、どのような予算措置をとられようとしておられますか。
○説明員(児玉清隆君) 産業廃棄物につきましては、私どもの役所の工業技術院傘下に十五の試験研究機関が国立で設置されておりまして、その中で公害問題を扱っておりますのは、大なり小なり全部含めますと十一の試験所でございます。最近、御指摘のように、産業廃棄物の問題が処理、処分を通じまして特に技術的側面で非常に問題がございますので、政策効果を効率的にあげてまいりますためには、早急に技術を開発する必要がある。もちろん民間もいろいろ処理メーカーというのがございまして、そういった方面で開発研究に努力はいたしておりますけれども、この問題は相当国が先導的に技術開発をはかっていく必要がございます。したがいまして、四十五年度予算におきましては、特に最近問題になっております合成高分子関係のいわゆるプラスチック関係でございますが、これにつきまして予算措置を財政当局にお願いをいたしまして、国の特別研究として手がけることにいたしております。プラスチックの例で申しますと、まず出てきました廃棄物についてその破砕についての技術的問題がございます。それからあと焼却、それから第二次公害等を考えますと、燃焼しましたときに有毒ガスが発生するというような問題がございます。そういった発生ガスの分析、それから乾溜という方法によりましてさらに有効成分の回収といった問題も同時に解決したい。で、先生御指摘になりました資源調査会のレポート等によりましても、言っておりますように、産業廃棄物の処理、処分の問題は、特に産業系におきましては、そのサーキュレーションということを科学的に把握する必要がある。したがって、単に処理、処分して、最終的にどう還元するかの問題でなくて、その以前にできるだけ効率的な回収プロセスというものを織り込んでいきたい、というような指摘になっております。したがいまして、そういう線も私ども加味いたしまして、国立の工業関係の試験所におきまして四十五年度から特にこういった問題を手がけてまいりたい、このように考えております。
○和田静夫君 科学技術庁のこの報告で、たとえば十五ページに、「生活系の廃棄物の質が年々変化しているとはいっても、資源化可能なものや、有毒ガスの発生するものなどを含んでいる産業系の廃棄物を一緒に処理することは不経済である。当面は別個の系列で処理をすることによって、それぞれ有効な資源化が可能となる。」、十六ページに、「なお、産業系の廃棄物処理に関しては、処理費については有料制の原則を採用し、種類別に集約処理し得る施設の建設に対する援助、あるいは回収業、処理業等の企業の整備強化育成をはかり公共的な処理体制との連けいを図るなどの措置はより実効的である」。で、ここで言われている別個の系列あるいは種類別というのは、どのような系列、種類に分けられますか。
○説明員(児玉清隆君) 現在まで出ております実績の中で例をあげますと、たとえば液状のものの中の排酸というのが、廃棄物ではございますけれども、産業公害と非常に関係がございますので、この排酸処理につきまして、昨年の七月大阪で完成いたしました排酸処理センターというのがございます。これは、五つの協同組合と八つの企業が連合いたしまして、各業種から出てまいります排酸を集めまして、そしてそれを効率的に処理をいたしまして、有効成分を回収すると同時に、残渣物の排出について第二次公害を発生しないような公害処理施設を設置する。で、これは民間ベースで行なわれますので、これに対して国の事業団等が応援をいたした事例がございます。モデルとして申し上げますとそういった民間企業の共同体によりまして一つの種類の排出物、それが公害につながるものにつきましてこれを共同で処理するというような方法が考えられるかと思います。で、これは最終的には別に公共施設そのものにつながらない場合もございますけれども、ある物質につきましては公共処理施設にこれをつなぎまして最終処分を行なうということも、もちろん考えられるわけでございます。
○和田静夫君 そうすると、技術的な問題だけではないわけですね。技術とかみ合って、何か技術的ないわゆる処理も必要になってくる——答弁聞いてるとそういう感じがするんですが、つまり、法律的にもその系列別といいますか、そういう系列別に、あるいは種類を分けて、その処理方法を別々に規定していく、そういうやり方がとられる必要が出てまいりますね。——これはまあ通産省でも厚生省でもいいんですが、そういうふうになりませんか。
○政府委員(橋本龍太郎君) おことばではございますが、ただいまの通産省の答弁を伺っておりましても、法律上別々の体系をつくらなければならないものとは私は考えておりません。むしろこれは運用の問題だろうと思います。
○和田静夫君 ちょっと、運用というだけじゃ済まないような気もしますけれども、それでは通産省は例の公害防止事業団、これと産業廃棄物の処理との関連はどのようにお考えですか。
○説明員(児玉清隆君) 産業廃棄物の処理につきましては、それが単に有効成分だけを回収することが目的であり、それにしぼられる場合は公害防止事業団の事業対象ということにはできないと思います。有効成分を回収するとともに、廃棄物により引き起こされますところの第二次公害、これを防止するという効果を持つものであれば対象になるものと考えております。
○和田静夫君 最後にお尋ねしますが、最近クローズアップされてきている問題で、公害防止産業と清掃業者といわれるものの概念区別ですね、これはどういうことになりますかね。たとえば、一昨年でしたか、宇都宮の市長に対して屎尿専門の民間業者が、おれたちに市のやっているごみの清掃事業をやらしてくれと要求を出して、そのかわりにまあ宇都宮の市長選挙にお金を寄付したり、あるいは手伝ってもいいという取引をした。えらいさわぎになったのですが、これは小は小なりの例でして、大は大なりの、国の段階でも絶対にこのようなことがないとはいえないと思うのですね。現に環境整備審議会などに対する清掃業者の圧力は、かなり激しいものがあるというふうに仄聞をいたします。私は、現状では民間の技術開発に期待する面があることを認めないわけではありませんが、それにかみ合った行政体制については、これらの清掃業者の利権から独立して、純粋に追求されなければならないことは当然であります。たいへんむずかしいことでしょうが、そのことを非常に期待しているのですが、冒頭の質問に答えてもらいたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) その冒頭の質問のお答えになるかどうかわかりませんけれども、いま和田委員御指摘になりましたような点、たとえば清掃業者の圧力によって行政の方向を変える、あるいは審議会の方向を変える、そういった事態は断じて引き起こさないということを明確に申し上げます。
○和田静夫君 技術的に区別の問題は。
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、私どもあくまで汚物の——汚物と申しますのは、所有権を放棄されましたものでございまして、そうでなしに、いわゆる廃品回収業なんかが扱っております廃物ということで、まだ有価物として転々としている間はいわゆる汚物ということには入ってこないわけでございます。したがって、廃品回収業はいわゆる私どものほうの汚物取り扱い業ではないという、こういうふうな従来は解釈をとっているのであります。ただ、産業廃棄物となりますと、両者の境にあるようなものがいろいろ具体的には出てくると思いますので、今後通産省とも相談しながら、十分検討してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 たとえば、南極観測船ふじが氷に埋まって動きがとれなくなった。われわれ政治は予見でありますから、いってみればその船自身の廃棄物、これらによってあるときは動けなくなったという現象が起こらないとは限らない。最近海難事故が非常に多い。一体スクリューなり、かじなりにこういう廃棄物が与えている影響はないだろうかなどということも、たとえば寝ながら幻想的に考える。もう私は漫画の時代ではないと思います。したがって、これらに対する対策というのはたいへん急がなければならない。お互いが建設的に意見を出し合いながら急がなければならない問題だと思うのであります。 最後に、精神障害者の問題で二、三の質問をしておきたいと思うんですが、去る三月十七日の新聞で報ぜられました三鷹市の大沢の医療法人碧水荘をめぐる問題なんですが、精神障害者の問題を取り扱うにあたって何よりもまず冒頭に考えておかなきゃならないことは、精神障害者の人権をいかに守るかという観点でなければならないことは、これは一般的な医療としての特殊性からしても私は当然なことだと思う。しかるに現行精神衛生法がこの人権保護の面で問題があることは、すでに立法当時から指摘をされているところであります。人権擁護局で扱った障害者に対する人権侵犯事件も毎年毎年増加をしている。昭和三十六年の七十二件に対して、四十三年は百九件だそうでありますが、私は、この数字はまさに氷山の一角にすぎないと思う。精神医学を専攻しているといわれる明治学院大学の元吉功さんというんですか、教授は、朝日新聞の紙上で、「人権保護の面で最も欠陥の多いのは、同意入院に関する条項と、精神病院長に与えられた権限にかかわる部分であろう。」というふうに述べています。そこで私は、精神衛生法全体を読んでみて感じたのでありますが、それの条項——もちろんそこにも幾つかの問題はあるし、それはそれなりに改善されなければならないと思いますが、そうした個々の条項以前の問題として、法体系上の基本的な問題があるのではないかと、ぼくは思うのです。そこでお尋ねをいたしますが、精神衛生法第二十九条の六の第二項ですね、「前項に規定する診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないとき」とは、どのような場合をさしていましょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 法律事項、解釈を間違えるといけませんので、事務当局からお答えさせます。
○説明員(佐分利輝彦君) お答え申し上げます。 この条項がかつて発動されたことはないのでございますが、この条項が制定されましたときの趣旨は、現在の診療報酬の体系が出来高払いになっておりますけれども、特定の医療機関についてはそれを件数払いにするとか、そういうふうな特別な支払い方法もあり得るのではないかということを想定して、このような条項が設けられたと聞いております。
○和田静夫君 たとえば精神病の場合、私、専門家でありませんが、他の病気と違って薬を多量に使えば、それだけよくなるというものではない。そこでは手厚い精神的な、言ってみれば看護こそが他の病気に比してはるかに必要だと思うのでありますが、診療報酬体系は一般医療とほとんど区別されないでいるわけでしょう。そこで、まあお医者さんといえども人間でありますから、背に腹はかえられない状態がないとは言えない。患者をふやさなければ収入はふえないなどというようなことで、それが福祉事務所職員との間に実は患者獲得のための贈収賄といったゆゆしい事件を生んだりする遠因になっておるのが現状であります。確かに、この施設の面では国庫補助制度もあるし、あるいは精神病院建築基準などといったもの、あるいは医療法施行細則で特別扱いがされています。しかし、この基準看護の面ではどのような特別扱いがなされているのかということがどうもわからないわけですが、なされていますか、どうなんですか。
○説明員(佐分利輝彦君) これは、保険の患者につきましても、それから生活保護法の患者につきましても、また精神衛生法の措置入院の患者につきましても、知事が基準看護の一類あるいは二類、三類というふうに認めた場合には、特別な料金をお払いするということになっております。
○和田静夫君 そう言われたところで、結果的には一般の病院でほとんど守られていない現状にかんがみまして、精神病院の場合は推して知るべしという感じがするのです。要するに、診療報酬体系上基本的に精神病院が特別扱いをされていない。ここのところに、あの三鷹の碧水荘のような事例を生む非常に大きな要因があるのではないかと、私は思いますが、いかがですか。
○説明員(佐分利輝彦君) そのような御意見も一部においてございますけれども、諸外国の診療報酬の支払いを見ましても、特に精神病院について特別な料金の支払い方式をきめておるところはないように存じております。
○和田静夫君 そうすると、あの碧水荘の問題のような事例を生む最大原因は何ですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 最初におわびを申し上げたいと思いますが、御指摘のありました碧水荘ばかりでなく、一部の精神病院で不祥事件が相次いで起こりましたことは、これはたとえ一部であるとはいいながらも、先ほど御指摘のとおり、入院患者の人権を守るべき、そしてその人権に基づいて医療あるいは保護の責任に当たるべき当事者が、逆にその権限を侵した、非常な不祥事でありまして、こうした事態を起こしましたことにつきまして最初におわびを申し上げたいと思います。ただ、ただいま御指摘になっております精神衛生法自体の問題につきましては、私どもは、法律的には精神衛生法また医療法というものの二本のカバー、この運用において十分に精神病院というものの実態というものをカバーしていくだけの法体系になっておると、率直に申して考えております。ただ問題の発生しました大きな原因として、各都道府県の指導において精神衛生法に基づいて精神病院に対しての権限を有する部局、また医療法に基づいて精神病院に対しての権限を行使すべき部局、これらの担当部局の間において必ずしも緊密な連絡が行なわれておった、十分な連絡体制が行なわれておったとは言いがたい面もあるようでありまして、むしろこうした不祥事を起こしました原因は、その法自体にあるのではなく、その法を運用していくべき主管官庁たる厚生省、また現実に実際の事務をいたしております各都道府県の関係部局の間の連絡の不十分、意思の疎通の不十分というようなところに基づいておるのではないかと考えております。それについて、私ども自体も反省をし、今後これらの担当部局の中においても、法の精神、そうして精神衛生法とか医療法とかいうような個々の法体系の上にある人間としての固有の権限、こうしたものを十分に考ええ患者の医療保護等の責務に応ずるように、十分な指導監督をいたしていくつもりであります。
○和田静夫君 私、精神病院を特別扱いしている点として最も特徴的な点というのは、先ほどあげた元吉教授も指摘しておりますが、精神病院の院長、管理者の権限が他の病院に比して非常に大きいという点が一つあるような気がするのです。ここから院長個人のさじかげんで患者がどうにでも左右されるという問題が出てきているように感じられます。したがって、あの一連の朝日新聞のルポが報じましたようなタコ部屋的な様相というものは、そういう中から出てきているのではないか。その点は改善の余地はないものだろうか、いかがですか。
○政府委員(村中俊明君) 精神病院の管理の問題、患者の取り扱いの問題についての御指摘でございますが、私ども精神衛生法に規定された中で考えます場合に、他の一般病院と特に区別して考えられる事項としては医療保護という——保護という事項があることだと考えます。そういう点では、ただいま和田委員の御指摘のように、病院長が管理する範囲というのは他の一般患者とは趣が異なる要素があるわけです。特にこの保護という面につきましては、和田委員も御承知のとおり精神衛生法の中に措置患者の取り扱いの問題、あるいは識、弁別のできにくい対象患者については同意入院というふうな措置を講じまして、これらの患者の取り扱いについては特に知事の権限でそれぞれ必要な指導監督ができるような体制になっておる。ややもすれば、そういう保護という面が裏目に出まして、巷間伝えられる、あるいは残念な事項を引き起こすような遠因になるような感じもいたすわけでございますが、しかし、これは総じまして管理者たる病院長の責任の中で区処された医療担当者あるいは医療従事者、これらが十分管理された体制の中では、そういう患者についての不当な取り扱いということはあってはならないし、あり得ないと考えております。
○和田静夫君 時間がありませんから進みますが、これはどうも私は精神障害者というものを病人ということで一緒くたにすることに、そもそも問題がある、そういうふうに思うのです。ここに厚生省の事務官である樋上貞男さんが書かれた「精神衛生法事務提要」がありますが、その中で第三条で精神障害者の定義を解説して、二十ページで述べております。時間がありませんから述べませんが、つまりこの中でも認めていらっしゃるように精神障害者といわれる人の中には、医療を施せばなおる人と絶対になおらない人とがいると思うのです。前者については病人として扱い、精神病院でめんどうを見るとしても、後者については私は冒頭にも申しましたとおり、精神的な保護と言いますか、そういう点に非常な重点を置かなければならぬのですから、むしろ社会福祉的な観点でこの人々を見ていくということがどうしても必要なのではないだろうかということを、あの当時新聞を読みながら思ったのです。精神病院の対象となるべきものと、いま言った社会福祉施設の対象となるべきものとでもいいますか、そういうものとの区別をはっきりさせた上で、この点を考えるとき、よくいわれる精神障害者の入院、退院あるいは退院後のさまざまな問題も相当程度解消されるのではないかと、こう考えますが、いかがですか。
○政府委員(村中俊明君) かつて精神病患者の取り扱いにつきまして、御承知の通り閉鎖的な、一つの施設の中で患者の医療を施していた時期があったのであります。しかし人間の本性と申しますか、特性と申しますか、社会的な生活を営みながら身体的な、あるいは精神的な欠陥を回復していくというふうな要素が次第に強調されてまいりまして、現在の精神医学の中では医療にプラスの形で社会訓練をしながら一人前の回復をはかるという方向に、最近精神医療自身が向いてきておるわけであります。そういう中で、しかもまた自傷他害というふうな医療だけじゃなくて、保護を必要とするというふうな、そういう要素のある対象があるとすれば、これは私は、いま御指摘のように画然と、こういう対象、こういう対象というふうな区別の非常に困難な境目の患者がどうしても残ると考えます。そこに最終的には精神病院の一つの特徴と申しますか、精神医療の特質があるのではないかと考えます。ただし、医療を要するという範囲をこえた場合、あるいは医療を必要としないけれども症状が固定してしまったというふうな対象につきましては、たとえば精神薄弱者というふうなカテゴリーの中で、御指摘のような福祉の施設で処理をしていくというケースもあるわけでございますが、しかしそういう施設にいく前段階といたしましては、どうしても区別のできないものは、これはやはり医療が抜けないということで、精神病院、精神医療機関の中で処理することが適当だと、こう考えております。
○和田静夫君 それと同時に、もう一つ考えなければならぬのは、看護婦なんかが一般病院でもたいへん少なくなってたいへん苦労されているわけですが、精神病院におけるところのいわゆる看護婦、看護人、これはまあたいへん困難な状態になってきておる。そしてそこに、きょうは労働省は見えてないのですが、たいへん看護人たちの過重労働、同時に過重労働は逆の意味では精神障害者のいわゆる治療教育、そういうものを含む面になおざりな形で反映をする、そういう現象をひんぱんに見ることができます。これらについてもやはり十分抜本的な対策を私は必要とすると思っております。いかがですか。
○政府委員(村中俊明君) 現在、精神病院の看護従事者の基準は御承知のとおり医療法の中で規定されておりまして、医療法の改定そのものの問題ともからんでまいると思いますが、医学がだんだん進歩してまいりますと、やはり相当の看護力を必要とする。そういうケースも出てくることは、これはあり得るわけでございまして、そういう範囲の中では今後精神病院のそういう看護従事者の基準の再検討ということも出てくる可能性はあると思います。ただ、これも非常に残念なことでございますが、医師と同じように看護力についても、他の一般病院と同じように、精神病院につきましても非常に数の不足が目立っておりまして、この点については私どもも、できるだけ善処するような努力をしてまいるつもりでございますが、御指摘の点はまことに残念なことだと考えております。
○和田静夫君 そのために、たとえば看護人なら看護人の養成のために特別に措置をしながら国が養成機関をつくっていくなどというような具体的なプランというものは、お持ちじゃないですか。
○政府委員(村中俊明君) 現在、看護者の人も含めまして、看護婦の養成につきましては、厚生省の医務局がまとめてやっておりまして、私どもといたしましては、でき上がった看護職員を特に精神衛生方面に従事する——専任する職員の研修というふうな点については最近非常に力を入れて進めておりますが、現在そういった状況でございます。
○和田静夫君 言ってみれば、七〇年代は都市問題の時代と、こう言われるくらい、過疎過密の問題は御承知のとおりたいへんな勢になってきたんですが、それで過疎地帯におけるところの状態を考えてみると、そこに教育機関が——いまのような養成機関が新設をされる。そして、そこに一つの療養施設なり、あるいはこの精神病に関する新しい医療施設なりが考えられていくというような形の政治の表と裏という言い方は悪いですが、いま過疎過密の問題をそういうふうに表現をしてみれば、追及ができる余地というものが、私は十分にあるんじゃないかと思うんですね。そういう点についてはいかがですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) ただいま和田委員から御指摘がありましたような点も、当然考えていくべきものと考えております。現に、公衆衛生局長から御答弁を申し上げる範囲を越えますので、先ほどの御質問もあわせてお答えを申し上げたいと思います。必ずしも精神病院に限らず、いわゆる看護職員、これは看護婦その他全部一切を含めての問題であります。現実に非常に不足をし、いろいろな点で支障を来たしていることは御承知のとおりであります。政府自体としても今国会にいわゆる保助看法の改正法案というものを提出し、御審議を願うように衆参両院にもお願いいたしているわけであります。この法律の成立により相当その需給のバランスというものは回復をしてまいる見通しが出ております。その中におきましてただいま御指摘のありましたような、むしろ過疎過密の問題にもからんで、そうした教育施設並びに療養所その他の施設、そうしたものの設置を考えてまいりたい。現行のいわゆる保助看法の範囲内で考えます場合には、必ずしもそうした点について配慮できるだけの実はゆとりを持っておりません。むしろ現実の不足に対応するだけで手一ぱいであります。むしろ今後、保助看法を国会に提出し、御審議を願うわけでありますが、これがすみやかな成立をはかっていきますことにより、この需給のバランスを回復していく。その過程の中で、ただいま御指摘の点についても考えていきたい、かように思います。
○委員長(松本賢一君) それでは、午後一時半まで休憩することにいたします。 午後零時二十二分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
○委員長(松本賢一君) 委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和四十二年度決算外二件を議題とし、厚生省及び労働省の決算につきましての質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
○安永英雄君 生活保護の問題について厚生省のほうに具体的に質問をいたしますので、お答えを願いたいと思います。 まず最初に昭和四十二年度から今日に至る間の生活保護基準がどう変わったかという問題について説明を願いたいと思います。
○説明員(宮嶋剛君) 生活保護基準額につきまして、先生御承知のとおり一級地から四級地までそれぞれ基準がございますが、便宜一級地の基準額につきましてその推移を御説明いたしたいと思います。標準四人世帯でございますが、これは、三十五歳の男子に三十歳の女子の夫婦、それから九歳の子供及び五歳の子供という家庭の標準世帯でございますが、一級地におきまして扶助基準額四十二年度が二万三千四百五十一円ございます。それから四十三年度が二万六千五百円でございます。四十四年度が二万九千九百四十五円、四十五年度——いま審議をいただいておりますが、これが三万四千百三十七円でございます。
○安永英雄君 ことしの予算書を見ると、四十四年から四十五年の変化は一四%というふうに一応承知しておりますが……。
○説明員(宮嶋剛君) さようでございます。
○安永英雄君 この保護基準の今日までの額の変化というものは確かに上昇しておるわけで、パーセントからいけば昨年とことしは一四%という、率にしては現在の物価高、一般の生活水準、こういったものを持っていった場合には、あたかもそれによく似たような形を感ずるわけです。ただ、この各年ごとのそういった上積みの率だけではこの保護基準の問題は私は解決しないのではないか。こんなふうに考えておりますから、それを前提にしてお聞きするわけですが、例として四十四年と四十五年、この間に一四%という上積みをされたという、その根拠について、この年度だけでけっこうですから説明を願いたい。
○説明員(宮嶋剛君) 保護基準の決定につきましては、最終的に厚生大臣と大蔵大臣との話し合いの結果、四十五年度につきまして一四%アップということがきまったわけでございますけれども、これにつきましてはもちろん明年度の経済見通しも参考にいたしますが、これまでの一般的な勤労層あるいは一般国民の生活水準の向上の状況も勘案いたしまして、最終的にそう決定したわけでございます。実は、一般勤労層のこの四十年代に入りましてからの一般的な生活レベル、私ども生活保護で見ます場合には消費支出のほうで見るわけで、インカム——収入で見るわけではございませんが、その消費支出の上昇の状況を見ますと、ノミナルで大体一一%程度で推移しております。歴年度の数字も出ておりますが、四十三年度で一二%の伸びというふうなかっこうでございます。そこら付近のことを勘案いたしまして、この一四%ときめたわけでございます。なお蛇足になりますが、実は四十年度に入りましてから生活保護基準のアップが一三%台でございまして、一四%というのはきわめて大幅なアップになっております。そういうことでございます。
○安永英雄君 大幅なアップということで、過去のその上積みの率についての比較の上から、大幅ということが言えると思うのです。それは言えると思うけれども、本質的に私が問題にしなければならぬのは、たとえば四十四年の二万九千九百四十五円、あるいはことしの三万四千百三十七円、この金額そのものが、実際にこの憲法で保障されておる健康で文化的な生活の最低限度をとった金額かという問題に取り組まなければ、これは、ただいま言った指数だけでは済まされない問題ではないかと私は考えるから、この点何か、いまの答弁でも、例年になく大きくパーセンテージを増した、一四%というのは厚生省としては非常にほめてもらわなければならぬ、自慢のところだというふうな雰囲気も見えるわけですが、私はそういった考え方でいまの生活扶助の問題は解決しないと思う。そこで問題は、健康で文化的と言えば、これはなかなか限度もきまりにくいし、またこれは過去に、大体最低限度の額というのはどれだけかということはずいぶん長い間論議されて、しかも今日まで結論の出ていないところなんです。だから参考に聞きたいと思うのですよ。たとえば四十四年の二万九千九百四十五円という、これを四十四年度に実施したときの、この金額の食料費あるいはその他文化的な経費に使ったという、これは厚生省はどういう計算をなさるか知りませんが、一般にはエンゲル係数等でそういった問題を明示しておるわけですが、この点私から言えば、わずかな金額、これで先ほど言われた三十五歳の男子、三十歳の女子、九歳の男児、四歳の女児、この四人家族の文化的で健康な、しかも最低限度のところを押さえた金額としては非常に低い、こんなふうに思うわけです。そういった関係から、たとえば四十四年度の扶助基準額は、実際にどう指導してこれ使わしておるのか。使わしておるということばはおかしいけれども、これをもらって、はたして文化的な健康的な生活というものが——この中にいろいろ基準はあると思うし、算定の基準もあると思いますけれども、それをひとつ明示してもらいたい。
○説明員(宮嶋剛君) ただいま生活扶助基準額二万九千九百四十五円——四十四年の基準額をもとにしていろいろお話があったわけでございけれども、実は私どもの保障いたします範囲は、単に生活扶助だけではございませんで、そのほか住宅扶助とかあるいはまた子供が教育を受けていれば教育扶助とか、そういうものを込めて、全体として私ども保障しております標準額を上げる必要があろうかと思います。四十四年度におきまして、生活扶助基準額二万九千九百四十五円でございましたけれども、このほか住宅扶助あるいはまた教育扶助というふうなものを、いまの標準四人世帯に当てはめますと、おおむね三万八、九千円になるわけでございまして、もちろん平均的な勤労者層の消費レベルから申しますと、なお低いということはあると思いますけれども、しかし私どもといたしましては、これによって何と申しますか、昔の相当きびしかった基準に比べまして相当よくなっておると考えます。
○安永英雄君 これは、いまから論議しましても、相当よくなった、相当悪いということで、なかなか結論が出ないと思うのですよ。しかしこれは、扶助の種類が教育扶助あるいは出産扶助、そのほかあるから、合算をして考えた場合、文化的な経費としてこうなんだという、そういう言い方ですけれども、私は、何といってもやっぱり実態はこの基準になる生活扶助基準——この額、これはあくまでも基準であって、この中にやはり健康的な、文化的なある程度の生活ができるという金額は、この中で明示されなければならぬと思うのです。出産にしたって、あるいは教育の問題にしたって、確かにありますけれども、これはあげた趣旨は、これを聞くとまた長くなるから聞きませんけれども、あなたの論法から言えば一緒に入れていたっていいんですよ。分けてある趣旨としては——これは基準になるから金額が示してあると思うのです。それはともかくとして、まあ以前に比べればいいんですということでは私は納得できない。エンゲル系数の問題も質問しましたけれども、これは普通の社会通念として、あなたのおっしゃるような文化的な生活というものは、およそこの金額からはじき出せない。だから、いまさっきのような答弁になったのだろうと思う。そこで、これはむずかしいことですけれども、憲法二十五条の理念に基づいて生活困窮着すべてに健康で文化的な生活の最低限度を保障すると、この最低限度の決定は、これは大臣がされるということですが、この点について次官にお尋ねしますが、次官のこの問題についての基本的な考え方と、それからずるずる、ずるずる物価指数等を立てまして、毎年々々前年度を基礎にして、そうして上積みしていくというふうな、この従前どおりの行き方でなしに相当やっぱり科学的に、現在の健康で文化的なという最低限度をあらゆる方面から検討して、そうして納得のいく標準の金額というものをきめていく私は時期がきているというふうに考えますが、その点についての次官の考え方をお聞きしたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに御指摘のとおりに、憲法上で定めるいわゆる最低限度の文化的な生活ということばの定義はきわめてとりにくいものである、これは事実であります。そうしてまた、社会情勢の変化、ことに非常に経済成長の著しい、また労働市場自体においても大きな変革の起きつつある今日の状態で、そうした点に検討を加えるべきだという御意見の出る理由もわかります。ただしかし、現実の問題として、これは先ほど一四%上げたことによって厚生省は誇り顔をしているのじゃないかというようなお話もありましたが、むしろ私どもは自分たちのできる範囲内で最善の努力をしてきたという、当然の仕事を果たしてきたわけであります。別に誇るわけではございません。この四十五年度の、なるほど一級地における標準世帯の場合、生活扶助三万四千百三十七円という金額についてはそのとおりであります。あと、勤労控除でありますとか、標準世帯をとりました場合の教育扶助でありますとかを加えますと約四万円、そうして住宅のない場合の住宅手当等を加えまして四万三千円——金額が現状において私は最低の文化的生活を保障しないものであるとは考えていません。ことに昭和三十六年度以降、生活扶助基準自体、これは数字を私ども申し上げておしかりを受けるかもしれませんが、逐年一四・二%ずつアップをいたしておりますのに比べて、一般勤労世帯の場合には、それが一〇%であります。そういう部面からいきましても、行政当局として、できる限りの努力は今日までしてまいったつもりでありますし、東京都を中心としたいわゆる一般勤労者世帯と被保護世帯との消費水準の格差を調べてみまして、昭和三十五年度の資料で見ますと、東京都が一般勤労世帯一〇〇に対しまして三八・〇%、著しく確かに均衡を失していることは事実であります。これを逐年是正してまいりました結果、四十三年度の数字を見てみますと、東京都の一般勤労世帯一〇〇に対して、被保護世帯は五二・七%にまで向上してきているわけであります。ですから、これはなるほど御議論のとおり、いろいろな考え方もあるとは存じますが、しかし、現実においては、私どもは、現在の生活保護基準というものを大きく変動させる考え方はとっておりませんし、なお、この方針のもとにおいて、より生活に困窮を感じておられる方に対して差し延べられる手を差し延べていきたいと、このように考えております。
○安永英雄君 一般勤労世帯と、この保護世帯との消費水準の格差を縮小すると、こういった命題があるわけですけれども、いま次官がおっしゃったように、東京都の場合の例をとられたけれども、これでは五二・七%になるかもしれませんが、しかしまだまだ全国的な水準からいけば、五〇%をこすような保護世帯、こういうことには私はならないと思うので、いま決意のほども伺いましたから、これ以上追及する必要もないと思いますが、さらにそれらの点については御努力を願いたい。そうして先ほど注文をつけましたが、こういう比較の問題も確かに一つの算出の方法かもしれませんけれども、私は何といっても、やっぱり健康で文化的な最低限度、しかも意欲を燃やして——また生活に浮かび上がっていくような意欲をあげさせるというためには、どれだけの金額が大体この標準として要るかというふうな、こういった積み立て方で出てきた、結果を出すことに努力をする必要があるような気がします。毎年毎年上げてくれ上げてくれと、上げ幅だけをとっていきましても、いつの日にか——いまみたいな一般勤労世帯とひっつくのだというふうなことを言っても、いまみたいな変転きわまりない社会の進歩という関係からいくならば、この問題はやはり上げ幅のパーセンテージだけでは解決できないような気がしますから、これはすぐにというわけにはまいりませんけれども、そういったやっぱり比較的な積み立て方の理論に立った標準というものを出すように、御努力をあわせてお願いをいたしておきたいと思うわけであります。 次に、お聞きいたしますが、保護世帯並びに人員のごく最近の動きですね。できれば、四十二年からほしいのですけれども、今日までの保護世帯数、それからその人員、この動向についてお知らせ願いたいと思います。
○説明員(宮嶋剛君) 四十二年度から申し上げます。まず、人員から申し上げますが、被保護人員を年度順に申し上げますと、四十二年度が百五十二万人でございます——百五十二万七百三十三人。四十三年度が百四十四万九千九百七十人でございます。被保護世帯数でございますが、四十二年度が六十六万一千六百四十七世帯でございまして、四十三年度が六十五万九千九十六世帯でございます。
○安永英雄君 そうすると、大体傾向というものは、横ばいないしは多少減少の方向をたどっているというふうに見てよろしいのですか。
○説明員(宮嶋剛君) 人員につきましては、実は三十八年度以降、大体平均しまして毎年度五万ないし六万人ぐらいずつ減っております。まあ年度平均でございますが、世帯数につきましては、実は保護世帯がだんだん零細化してまいりました関係もございまして、そう減りませんで、実は四十二年度までふえてまいりましたが、四十三年度から横ばいに転じまして、本年度の状況を見ますと逆に微減傾向が見られるというような状況になっております。
○安永英雄君 一緒に聞いておけばよかったのですけれども、そういった変化はどこからくるのか、この分析がありましたらお知らせ願いたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) これは率直に申し上げまして、こまかい分析データは手元には持ち合わせておりませんが、一つには、わが国の経済情勢の変化に伴って、労働市場の逼迫ということから相当に賃金上昇率も高まりまして、むしろ勤労意欲をかき立てて、生活保護世帯から——みずからの腕をもって収入をかち得て、みずからの腕で生活を築いていこうという方向に転じられた方も相当あると思います。しかしそれと同時に、もう一つの問題は、これはいまの人員及び保護世帯数を御比較いただけば直ちに出てくるわけでありますけれども、その被保護世帯自体が非常に変化をしてきておる。言いかえれば、質的に老人が非常にふえておる、あるいは心身障害その他のハンディによりまして、みずから働く意欲があっても現実に就労の機会を得ずらい方々というものもある。世帯構成自体が非常に変化をしてまいりましたその現状が、そのまま如実に数字にあらわれておるものと、そのように理解いたしております。
○安永英雄君 現在の経済成長あるいは景気の回復、あるいは経済規模が拡大していったという、こういった方向でこの保護世帯あるいは保護の人員が減少の方向にいくということは、これは非常に好ましいことだし、けっこうなことだと思いますが、ここでやはり私は、厚生省の指導として考えてもらわなければならぬ点を申し上げてみたいと思うのです。数が減っていくということについては、これは先ほど言ったようにけっこうなことですけれども、景気がよくなった、あるいは求人が非常に多くなった、あるいは経済規模の拡大、こういったことに籍口して保護打ち切りと、こういったものが具体的に出てきていることは御存じでしょうか。私は、あげろと言われれば幾らでもあげるあれはあるのですけれども、単にこの数が減っていくことは好ましいことだというふうにだけは言えない面が非常に現実にはあるような気がするのです。とにかく、厚生省の指導かどうか知りませんけれども、求人の窓口もたくさんある、それから経済もよくなってきておる。こういったことで、それの実情をよく調べないで、実際にそういう窓口があるけれども就職できない状態にある、こういったものも一緒にして、そして保護を打ち切りますと、こういった関係で保護数の大勢としては先ほど次官がおっしゃったとおりのことであると思いますけれども、しかし大事なことは、それに籍口しながら人員を減す、世帯数を減すということに熱中して、事情等もあまり勘案しないで——実情を勘案しないで保護を打ち切っていく。こういう悲劇も出ておるし、トラブルも起こっておる。こういった点についての今日までの指導はどうなさっておるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま御質問になりましたような事態が現実に起きておるとすれば、これは非常な問題でありまして、国として当然そうした方々に対して生活保護をもってその生活の支えをしなければならぬ責務を、社会情勢等に籍口してなすべき義務を怠ったとすれば、これは非常な問題でありますが、こうした事態は今日までも起こさないように努力もしてまいったつもりでありますし、また今後ともそうした考え方には変わりございません。ただ、一つこの機会に逆にこの答弁につけ加えさせていただきたいと思いますのは、むしろ逆のケースとして、実は先般本院の社会労働委員会等でも具体例をあげて御質問が出たわけでありますが、むしろ生活保護の内容が改善されてきたために、就職あっせんをし、そして完全に適職と思われるものをあっせんいたしましても、生活保護家庭のその当事者に当たられる方が勤労意欲自体がなくて、生活保護で生計を維持するほうが、みずからの勤労によって生計を維持するより楽であるというようなお考えから、どうしても就労をなさらないケースが実は今日ふえてまいりました。むしろ私どもとしては、このほうが頭の痛い問題であります。ですから、当然働く意欲を持ち、そしてまた不幸にしてその機会に恵まれないために、生活保護を受けなければならないような方々に対し、これを経済情勢その他に籍口して保護を切り捨てるようなことは、今後させるつもりはございませんけれども、むしろ今日は逆のケースが問題になりつつあるという実態を御勘案を願いたいと思います。
○安永英雄君 いま次官がおっしゃった点も、私はこれはあると思う。ただ問題は、次官がおっしゃった点については、私は対策はわりとしいいと思う、その問題は。ただ問題は、逆の私が申し上げた点のことは、表に出ないので、これでとにかく打ち切られていった人の救済という問題は、これはなかなか表に出てこない。だから問題としては、こちらのほうが深刻だというふうに私は考えたから申し上げたのであって、次官のおっしゃった点も確かに、勤労意欲がなくて、そしてあらゆる条件を整えてやっても就職をしない、こういった点については、これはそのための指導は十分やってもらわなければならぬし、また折り目を立ててやればできることなんです。こわいのは、やはり谷間の中にいて、しかもだれにも相談することもできない、その中でこういった社会情勢に籍口しながら切って捨てられるという、この人たちは表に出てこないから私はあえて申し上げたのであります。 そこで、全般的には減少の方向にあるとはいいましても、私は全国的には地域差があると思う。地域的に差があると思う。これの大体大別でいいからお教え願いたい。
○説明員(宮嶋剛君) ごく概括でございますが、先ほど申しますように全国的に保護人員は減っております。大部分の県あるいは市において減りつつあります。しかし一部ふえておるところもございますが、まとめて言えば、それは大都市、すなわち指定都市ないしはそれを包んでいる府県というところでございまして、具体的には関西の大阪市、大阪府、あるいはまた東京の近所では横浜市というふうなところが若干ふえております。
○安永英雄君 この保護率を一応出してありますね。おたくのほうの保護率をとらえてあると思うのですけれども、現在の情勢で、まあ東京その他例をあげられましたけれども、ごく最近のこの率の上がっているのは北九州方面ではないか、いわゆる産炭地域における保護世帯並びに人員の増加というものは非常に著しいのじゃないか、またそういうふうに報告も出ているようですが、どうですか。
○説明員(宮嶋剛君) 実は、そういうのと結果は逆でございまして、北九州市それから福岡県を見ますと、福岡県の場合には高いときには千分の六十ぐらい実は保護率はまいりましたけれども、ごく最近の数字によりますと、保護率は約千分の五十でございます。北九州市は一時数年前でございますが、千分の六十八という保護率でございましたけれども、今日千分の四十九ということになっております。しかし実は、これは貧困階層が減ったという、そういうことではございませんで、実はそこにはいろいろな問題がございまして、かつてどうも不適正受給が多いというようなことがございまして、いわゆる生活の適正化に真剣に福岡市当局あるいは北九州市当局が取り組まれた結果、こうなったという要素も入っておりますから、その地方において貧困者がふえたか減ったか、その実態はわかりませんが、保護率の面ではそういう人為的要素が入っております。
○安永英雄君 後段の説明がありましたが、私の聞き方が悪かったので——保護率を聞いたから、そういうことになったのかと思いますが、問題は、全国的に見て保護世帯が、あるいは人員が急にふえたのは、産炭地域が最近では顕著なものだと思う、非常に多い。現在でも続々出ている。そこで、課長のことばの足をとるわけではありませんけれども、何か厚生省のほうのお考えは——それは産炭地域における保護者、東北なり過疎地域における保護家庭というのは、これは同じことなので、これについてのいろいろな厚生省の行政というものに差があるはずはないし、あってはならない。ならないにしても、私は次官に申し上げてみたいと思いますけれども、大体石炭産業、こういったものが非常にいまは凋落をしていっている。そして失業者はちまたにあふれている。いまでもそのつめあとが非常に残っているわけです。それで現在の政府のほうも、石炭産業についての方針というものもさだかでないのですよ。とにかく石炭産業を切って捨てるのか、残していくのか。あるいはもうこれではっきり政策の方向を切りかえるのか。そういうことの明示がほとんどない。たとえばカナダから鉄鉱が急に入ってきた。そうすると原料炭がまた急にこれだけ掘ってもいいのだと臨時にやってくる。一つの例ですけれども。とにかくなま殺しにこの地域はされている。山に残るべきか、出るべきか。ここらあたりがこの生活保護の問題と非常に関係ができてくるわけで、すでに五年前、十年前に閉山になって、しかしときどき発注が来ると臨時に雇われる。まだ山におったほうがいい。——そのうちに退職金はなくなってしまった。こういうところで非常に石炭産業に対する政府の方針、こういったものがさだかでない。こういうところから依然としていまでも混乱が起こっておるわけです。国会とかあるいは政府とか、こういった筋では産炭地対策というものが終わったような感じを私は受けるのです。終わったような感じを受ける。たとえば参議院のほうでも、石炭対策特別委員会は消えてしまった。確かに機能は残っていますけれども、なくなっている。これは企業の実態を、その終末を見ているというだけであって、産炭地自体に起こっておる問題というものは現在でもたくさんあるわけです。私は、参議院で石特がなくなったことには非常に不満を持っておる。持っておりますけれども、私は、全国的に見て産炭地問題は大体終わったのじゃないか。なるほど炭鉱に行けば炭鉱は全部つぶれてしまっておりますから、この問題は終わったかのように見えますけれども、決してそうではない。特に、この産炭地の問題についていま逢着している問題は、確かに、通産省あるいは労働省あたりは、あの山をつぶすかつぶさぬかというときには、非常にはなやかに動かれたような気もする。実績はあまり出なかったんです。しかし私は、産炭地問題についていまから大きな役割りを果たしてもらわなければならぬのは厚生省、いまから厚生省の仕事が始まるんだという私は認識を持っているし、期待もしているわけです。したがって、今日まで厚生省が産炭地域に厚生行政として特に力を入れた実績というものは、どんなものであったかということについて、お答え願いたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 本院の構成につきましての問題は、私のお答えする筋のものではございませんし、また、通産省あるいは労働省等に関連の深い部分について、他省の所管を侵すつもりはございません。政府としていわゆる炭鉱問題というものを、あるいは逃げたかのような感じの御発言もありました。この点については一言触れさしていただきたいと思います。 先生はよく私どもよりも御承知のとおりでございまして、現にスクラップ・アンド・ビルドというものが進行しておるわけです。そうして結果的に閉山のうき目にあった、あるいは縮小の方向に向かったそれぞれの炭鉱、石炭鉱業について、今日までのいわゆる炭鉱離職者に対するさまざまな措置というものが労務政策の上でなされてまいりました。これは現在もなお一そう行なわれておるはずである、このように承知をいたしております。厚生省自体として、今日まで、あるいは特定の法律、特定の制度を炭鉱のみに対して運営をしてまいったということはございませんけれども、先ほど御指摘を受けました生活保護が、炭鉱地帯——北九州方面のパーセンテージが非常に高かった一つの原因は、不適正受給等もありましょうが、石炭産業が次第に斜陽化してくる中で一時的に生活の困窮状態を来たした方々に対して、生活保護の面に重点を置いてお手伝いをいたしてきた部分もあります。あるいは生活更生資金等の貸し出し等でお手伝いをいたしてきた部面もあります。今後もそういう形でのお手伝いはでき得る限りいたしてまいるつもりであります。むしろ、ただいま御指摘の点自体に労働省その他において御検討を願うべき筋の問題が非常に多いかと思います。
○安永英雄君 通産省あるいは労働省、これに大きく立ち上がってもらわなければならぬし、これで終わったという立場をとってもらいたくないのですけれども、しかし、いま次官もおっしゃったように、いままでも、これこれしたとおっしゃるけれども、私は不安なんです。それからまた、石炭産業のいまの転換期にあって、あれだけの大あらしが去ったあとで必ず残ってくるのは——五年から十年ぐらいあとをついて解決しなければならぬ問題がずっと尾を引いているのは、社会保障の問題と教育の問題だと私は思っている。現にそうだ。これは参考に申し上げますけれども、たとえば炭鉱を離職していく。離職をしていく場合には、企業側としては現在住んでいる住宅、これを出てもらわなければならないという立場があるわけです。あと整理をしなければならぬ。そういった場合には必ず次の転勤先まではっきりしないと退職金を支払わない。こういうことになるんですが、これは必ず一応架空のところを書いて退職金を受け取る。その結果、移動しなければなりませんから、たとえば子供の学籍という問題についても、はっきりどこそこの町村の何という学校に転校するんだということで、その地元の学校の籍は必ず抜いてしまうわけです。そうして、現にやはり便利なものですから、家賃も要らないし、そのまま炭住街に入っている。こうなりますと、そういうところにおります子供というものは、同級生とお別れをしまして、どこそこへ行きますというあいさつまでしてきているから、現にその地域に住んでいるけれども学校には行けない。籍もない。これで結局不良化の方向に走ったり、いろいろする。で現に、これらの地域については家が貧しいという形ですから、結局学校の給食をねらって、やはり学校に給食のときには来る。給食を受けて、それからまたどこともなく散っていくという、こういう実態が非常に多い。これはただ単に教育の問題じゃない、町村に給食費を請求する。何とか補助できないかということになりますというと、厚生省関係ではこれはなかなかできない。それはそうでしょう。幽霊人口が生徒数に入っているのですからできない。しかし現実の問題としては現に幾らでも給食を食べに来る。その金はだれが出しているか。教師が出してみたり、PTAが出してみたり、いろいろお互いに援助しながらそういった多数の給食費を出している。お役所に言ったってとてもできない。こういった問題は現にたくさんあるわけです。一つの例をあげましたけれども、私は、厚生省として産炭地においてきめのこまかい行政を切に望みます。これは実際に見ていただきたいと思うのです。こういった産炭地の惨たんたる情勢のあとの収拾という問題について、私は、厚生省がいよいよ本番になったんだという認識のもとにやってもらいたい。したがって、ここで申しておきますが、大臣なり、次官、お若いんですけれども、岡山とお聞きしておりますが、産炭地にいらっしゃったことがありますか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は北九州市方面の産炭地域は存じません。しかし、北海道あるいは常磐方面は何回か拝見したことがございます。いま一つの例として御指摘になりました学校給食関係も、実は私も見に参りました。これは生活保護家庭と貧困家庭の児童に対して給食を支給することは、確かに私ども仕事でありますから、やはり学籍を抜かれておりますと、これはやはり現状では対象にでき得ないのでありまして、むしろ生活保護法あるいは世帯更生資金等を駆使して、産炭地における生活困窮者に対する生活援助の手を差し伸べると同時に、むしろこれは私どもから申しますよりも、安永委員は非常に専門に御調査をやっておられるわけであります。文教委員会等においては文部省に対し、あるいはむしろ積極的に炭鉱離職者に対する再就職の促進というような観点からも御議論等をお願いいたしまして、生活保護あるいは世帯更生資金という形でなければ救えないという家庭を減らすことについて御協力を願いたいと思います。生活保護という形で、働く意欲がありながら働く場を持てないがために、国の補助で生活をささえていく、これ自体が実に悲惨な話であります。むしろ他に転ずる場があれば、他に転じて自分の能力を発揮できる立場があれば、十分にお働きになりたい方々が、今日はその場を与えられないでいるケースも多々あるわけでありまして、むしろ本質的にはそうした点が、この問題の将来にかかっているような気がいたします。私の所管としてやらなければならぬことに関しては、全責任を持って遂行いたしますが、そうした根本的な問題について十分に御検討願いたいと思います。
○安永英雄君 現在の産炭地の生活保護という問題で産炭地問題が片づこうとは、私は考えていない。しかし、先ほど私が申し上げましたように、たとえばいまの例であげましたように、学校を休むという問題の基本に当面なるのは生活保護なんです。私はそこを申し上げておるわけです。生活保護で産炭地の問題が片づくなんという考え方は毛頭持っていない。それからまた、働ける条件、意欲というものを持ちながら、そちらのほうに行かないというのは私はあまり見当たらない。いまみたいな悲惨な状態が起こっているところは、やはり働こうとしても働けないという、そういった家庭の中で生まれてきている問題なんです。そういったことにやっぱりまともにひとつ取り組んでもらいたいのです。何かこう産炭地のほうで働く条件がありながら働かずにいると、それをまずあなたは考えろという、そういうのじゃなくて、まともにひとつ厚生省としての分野でやれる分野をひとつ考えてもらいたいと、こう言っているのです。
○政府委員(橋本龍太郎君) 私の日本語がまずかったせいか、逆に申し上げたようにとられたようでありますが、私は決して、いま理解をされて御発言をいただいたような形で申し上げたつもりはございません。むしろ働く意欲を持ちながら生活保護に甘んじなければならない方々はお気の毒であるということで、むしろそれを救うことが先決ではないだろうかということで申し上げたつもりでございます。誤解があるといけませんから、その点だけは訂正させていただきます。
○安永英雄君 以上で産炭地の問題は、いま次官のほうでおっしゃったから、ひとつ今後十分一段の御努力をひとつ願いたい。特にまあ北海道はいまから、ちょうど五年、十年前の筑豊の状態が起きつつありますから、ここはもう見てこられたらしいですけれども、ぜひひとつ筑豊のあの悲惨なところも見ていただきたい。私ども案内いたしますからぜひひとつお願いいたします。 次に、基準生活費の標準世帯のきめ方ですね。この問題について私は、先ほどお聞きをいたしましたが、生活保護の基準生活費は世帯単位として算定して、そうして個人別の額と合算をする。こういう形式ではじき出されてくるわけでありますが、現在標準世帯ということで、三十五歳の男子、それから三十歳の女子、それから九歳の男子、四歳の女子と、これを標準にとっておられますが、いまの実態として、この状態は全国的にはどういうふうになっていますか。これが標準に私はなっていないような気がするのです。
○説明員(宮嶋剛君) まさに先生の御疑問のごとく実態は変わっております。で、結論から申し上げますと、いまから十年ほど前は生活保護世帯も一世帯三人程度でございましたが、今日、いまの場面で申しますと、一世帯二・三人というふうな状態になっております。なお、先ほど生活保護法の対象になっている方々の構造が変わったということを政務次官が申し上げましたけれども、今日たとえば老人世帯が二七%でありますとか、母子世帯が一五%であるというふうに、いわゆる障害を持った方が多うございます。しかもこの方々の世帯はわりと零細世帯が多いわけでございます。そういう意味合いにおきまして最近の時勢の中で、ここらが大いに実態が変わってきていると私ども認識しております。
○安永英雄君 これは公務員の場合にしましても、この暫定手当、調整手当あたりを考える場合でも、やはり世帯全人員の密度の一番高いところをいわゆる対象として考えなきゃならぬ。人員が一番多いというふうなところを標準にとるというのが普通でありまして、いまの世の中で三十五歳の——これは身体的にどうかは別として、三十五歳の男子と三十歳の女子の夫婦そうして九歳、四歳ですか、これくらいの家庭を持っていれば大体しっかりした家庭と見込まれておるのだけれども、実際のこの生活保護を受けようというふうな家庭は、そういった家庭は非常に少ないのです。先ほどもおっしゃったような状態なんで、むしろ一人家族、二人家族、これあたりが大多数と、こうなればですね、よく予算の上とかそういう会議でのあれでは、あたかもこれが全国の標準みたいになっている。しかも一級地を特に説明をするものですからね、非常に文化的な生活もできそうな気もするし、三万なんぼももらっておればいいじゃないかという気にもなるが、実際の状態はそういうわけではないわけです。そこで、先ほどの基本的なこの基準を科学的にもう少し検討したらどうかということで、そういう考え方もあるけれどもという答弁がありましたけれども、私はやっぱり、現在の実態の中でどれくらいの世帯数、どれくらいの年齢層というものがこの生活に苦しんでいるかという、これに焦点を当てて、そこを基準にして、そこを引き上げていくと、こういった基準のとり方でないと、何か計数を見ておると、一級地の場合、そしていまの家庭の基準というものを説明されると、実態がなかなか出てこないような気もするし、ここらあたりで抜本的にやはり基準生活費というものについて標準を改める。こういう時期が来たような気もするのですが、改める気はありませんか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに先ほどから種々御議論がありましたように、被保護世帯の質的な変化というものは、最近特に目立っております。特に、老人世帯あるいは母子世帯等が七〇%をこえる状況になりました今日で、いまの標準世帯の設定が必ずしも的確なものであるとは私どもも考えておりません。昨年十一月に、厚生大臣から中央社会福祉審議会に対しまして、被保護世帯の質的変化に対応した処遇の充実、改善について諮問をいたしております。その中におきまして保護世帯と保護基準を表示するにあたってのモデル世帯は一体どういう形が一番適当なものであるか、現在御検討を願うことにしておる次第であります。
○安永英雄君 よくわかりました。ぜひひとつ、これは基準のとり方が今後のやはり社会保障の基本になるんじゃないかと思うのです。抽象的な考え方はたくさんありますけれども、具体的にはそこの標準のとり方、これが端的に出てくるわけですから、ぜひひとつ御検討を願いたいと思います。 次に、保護基準の級地指定の問題について伺いたいと思います。現在、地域別の生活実態に基づいて、全国を一級地から四級地に分けて、基準額に差をつけていっておるという実態でありますが、現在の級地別保護世帯人員、これはどうなっているか、説明願いたいと思います。
○説明員(宮嶋剛君) 現在におきましては、一級地から四級地まで、一級地は大都市で消費の高いところ、それから四級地はいなかで、一番消費の低いところと、四段階に分けております。大ざっぱに申しまして、一級地に約二五%程度、二級地に一五%程度それから三級地に二五%、四級地に二五%、大体大まかに申しましてそういうかっこうになっております。
○安永英雄君 これは何と言いますか、差別があってはならぬし、不均衡であってはならぬわけです。これは私どもが考える以上に、級地の設定について、零細な生活費をもらってそれで生活をしていますから、一般の生活者から見れば五百円、千円の差がついたくらい、そう大した問題ではないかもしれませんけれども、こういった保護世帯は非常にこれについては敏感だし、また他とすぐに比較をしていくものなんです。したがって、これに不均衡ができていたりすると、非常にこれは問題が起こるし、またそれであってはならないわけです。そこで今日まで、この級地が適正に級地指定が行なわれているかどうかという問題について御検討になったと思います。過去どんなふうな検討をされたか、ひとつ説明願います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 細部にわたりましては保護課長から補足説明をさせますが、いま御指摘のとおり、これが均衡を失するようなことがあっては、たいへんな問題であることは私どもも承知いたしております。御承知のとおりに、その地域ごとの市町村の生活水準、これが非常に異なりますために、やはりそれとのバランスを考えて級地指定はしておるわけでありますし、しかし現実に国民の生活水準の平準化も目立ってきておるおりでもありますし、こうした点についても、なお検討の余地があるかとも思います。現実には地域の生活水準を示す指標を採用しての逐年ごとの調整をはかりつつ、今日実態に即したものとして行ないつつあります。級地の指定自体につきましては、一応大学の研究機関等に委託しまして、不公平にならないような算定方式をつくる、この算定方式の中に各市町村ごとの生活水準というものを評価しながら当てはめまして、きめていくわけでありまして、この級地の指定自体について私どもは十分適正に行なわれておると考えております。なお細部にわたりましては、事務当局から補足いたさせます。
○説明員(宮嶋剛君) 補足説明をいたします前に、一応先ほど説明申し上げました中にちょっとミスがございましたので訂正いたします。 一級地が二五%、二級地一五%、三級地が三五%、四級地が二五%でございます。 ただいまの級地指定の関係でございますが、実は私ども、全国の約三千三百の市町村につきまして級地指定をする、個々に状況を承ってやりましても、なかなか公平を期することは困難でございまして、そういう意味合いもございまして三十九年度厚生科学研究費、スタックの予算を使いまして、多額の金を使い理科大学の津村教授を中心とした学者にお願いをいたしまして、各地域における消費水準を端的に数字にあらわしてくれる一つの算式をつくってもらったわけであります。具体的な回帰方程式でございますが、それに客観的な数値を代入すれば、おのずからそこで消費水準のレベルが点数で出てくるという、こういう方式をつくってもらったわけでございます。これを使いまして四十四年度あるいは四十二年度、級地の変更をいたしました。しかし四十年度に入りまして都市化の勢いもなかなか強く、しかもまた全国的な消費量の平準化傾向も急激に進んでまいりましたので、どうもこの方程式が陳腐化したというようなことがございまして、四十三年度におきまして、同じくスタックの金を使いまして学者を動員して実は一年がかりでこの新しい回帰方程式をつくってもらったわけであります。この回帰方程式は具体的に七つの指標というものをとらまえまして、具体的には人口とか、あるいは人口の増加率とか、あるいは事務職の充足率とか、あるいは就業率とか、あるいは第二次産業の構成比とか、いろいろなものを使うわけでございますが、そういう客観的な数値を代入すれば、これで一〇〇%まではいかなくても、統計数字的に見れば九〇何%まで確率があると言われておりますけれども、各地域の地域差というものを十分反映した結果が出てくるというふうに言われておるわけでございまして、その線を使いまして四十四年の十月に実は新しいこの方式に基づく級地の変更をいたしたわけでございます。そういう状況なのでございます。
○安永英雄君 それでは、現在全国的な級地の指定を行なっているわけですが、これは完全に指定が不均衡がないような状態に現在あるというふうにお考えか、不均衡がまだあるのだというお考えか。
○説明員(宮嶋剛君) 私ども、この回帰方程式によって結果がうまくいっているかどうかにつきましては、まあ一つの経験的な判断でございますけれども、実は前の三十九年度の回帰方程式につきまして、四十二年度の級地改定のときはどうも実態に合わないような気がするという批判が各方面からございまして——各地方団体からございましたけれども、このたびの、先ほど四十四年に実施しました級地改定——百八市町村やったわけでございます。これにつきましては非常に例外なしに、すべての府県からとても実情に合った級地改定ができたという、実は批評をいただいております。おおむね、これによってうまくいっているんじゃないかと、このように私どもは思っております。
○安永英雄君 各県からおほめのことばがあるから、不均衡はないだろうというふうな答弁ですけれども、これは大いにある。第一、この指定の単位が、たとえば行政区画になっている。行政区画の接界地で同じ生活をしている、片一方は二級地、片一方は三級地。この接界地の者は確かに不満がある。基本的に級地をきめること自体が、私はこれはもう矛盾があるんですよ。だから、ほめられたからいまの級地の決定についてはいきさかも変える必要はないような考え方というのは間違ってはいませんか。私は、そうであれば幾らでも実例がありますから、この点についてお聞きします。
○政府委員(橋本龍太郎君) どういうふうに申し上げれば一番御了解を得やすいか、よくわかりませんけれども、現実に隣接地域等で級地の食い違いがあると、低い算定を受けた場所については、それはあるいは異議があるというケースも多々あるであろうと思います。現在の時点でこれにかわるべき数式その他が、私どもには考案ができません。現状これにかわるべき何か新しい方法がありましたならば、むしろお教えを願い、検討さしていただきたいと考えます。必ずしも私は、いまの算定方式が誤りであるとは考えておりません。ただむしろ、その数式の問題ではなくて、特にここ数年間各地域における生活水準の変動というものは相当大きなものがございます。それだけにこの変動に即応した具体的な算式について考え直すべき点はあると思いますし、むしろそういう問題を含めて、大学研究機関等第三者機関においてこうした場合の検討を願いまして、それに基づいてむしろ具体的な資料の収集等の作業に着手し、将来についての方向は考えてまいりたいと思います。今日ただいまの時点では、現状の数式において私は不公平があるとは別に考えておりません。
○安永英雄君 私は、基本的にはこの全国各地域における近来の家計、こういったものは全般的に変わり、落差がほとんどないというふうな立場を私はとるわけです。したがって私は、一級地から四級地と、こういったものを作為的にいろいろなデータを持ってきて、そして無理に分けるということじゃなくて、私はもう当然東京のどまん中だろうと、高知の足摺岬の突端だろうと、私はそう昔のように差はない。確かに幾らかの差はあるだろうが、一挙にこれを同じだと見るのは無理だと思いますけれども、私はこの無理な四級地に分けるというのを、段階的に将来は一つのものにする。いまの流通機構の発達した状態の中で、東京のテレビだって四国の足摺岬のテレビだって、同じ値段なんですよ。そういった点で私は、公務員の調整手当、かつては地域給、暫定手当と言っておったその調整手当、これあたりは段階的に四級地をこれは廃止して、三級地が一番最後、底上げをどんどんしていくという底上げの方針を、これは人事院も、総理府も、文部省も、自治省もやっております。性格が多少違うとは思いますけれども、根本的には同じことなんです。そこで私は、この問題の解決、地域的指定の解決というのは最終的にはそういった方向で、段階的にいまある四級地を切って捨てる。そして四級地を上に上げる、三級地を上に上げる、こういったことで私は、大まかにこの区域の区割りというものをしていって、最終的には級地というものは全廃すべきである、こういった方向で努力していかなければならぬのじゃないかというふうな考え方を持っておりますが、次官どうですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 最終的な理想像を示せば、国民の生活水準すべてがいずれの地にあっても平準化し、しかも上昇気運の中で平準化し、それに伴って生活保護の実態もまた全国一律になることが望ましいわけでございますけれども、現実にはこれは見方によって差があるかないか、その差が大きいかどうかという違いは出ますけれども、遺憾ながら平準化の傾向にあるとはいいながら、わが国の場合にはまだそこまでの状況に至っておりません。先ほど御答弁申し上げましたように、級地間の格差については逐年是正をはかってきておるわけでありまして、それはやはり国民の生活水準の平準化に向かう方向に、その足並みを合わせて是正をいたしておるわけであります。むしろ一挙に四級地を切り捨てて三級地に格上げをする。そうしてそのかわり一級地から三級地までの格差は幅の開きっぱなしであるといった形よりは、むしろいまの級地の中で、その級地間の格差を是正していくほうが、より実態にふさわしいのではないか、むしろ各地の生活水準の変動に即応した態勢がとれるのではないか。最終的な理想像としては、国民全体が一律の形に国民生活の水準も平準化し、それに伴って生活保護の実態もまた平準化していくことが望ましい姿であることは事実であります。現状においてはそのように考えます。
○安永英雄君 そういう方向でいくとなればお聞きしなければならぬのですが、先ほど申されたように基準の点検ですか、こういったものは大学にまかしたほうがいい。その中で七項目あたりの指標といいますか、指数を打ち出している。その結果出てきた点数、こういった説明がありましたが、それはどういうことですか。大学から出てきて、そうして何か知りませんけれどもね、七項目の指数。これも大学にまかせっきり、そこで出てきたものをうのみというわけにはいかないと私は思うのですが——それじゃお聞きしますが、その指数の中で、人口というものもどういうような指数でとっているのか、増減率。事務従業者比率、事務従業者をここでどうしてとっているのか。非従業者の比率をどうしてとっているのか。第二次産業従事者もどうしてとっているのか。消費者物価というものをどんなふうな率でとっているのか。私は、これはわかるんです。消費者物価指数というのは、これは大きな指数になると思いますけれども、高校進学率、そういう七つに区切って、そうしてコンピューターなんかにぶち込んでボタンを押したら出てきた点数だ。これで各県喜んでおりますから不公平はないはずですと、そんなふうに厚生省は言えるもんですか。もう少し納得のいく説明をしてくださいよ。例を言いましょうか、はっきり言いますよ。たとえばたくさんありますが、福岡県に宮田町というところがあります。ここは三級地です。これと全くひっついている直方、飯塚、これは二級地、また北九州市もひっついています。この宮田町が三級地でなしに二級地に私は該当すると思う。指数を言ってもいいと思うが、あとで指数は言いますから打ち込んでくださいよ。これがなぜならないんですか。ひとつコンピューターに打ち込む七つの項目と、その七つの項目をどんな率でやって点数かどんなふうに出てくるのか、ひとつ説明を願いたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 一番最初にお答えをした部分に——あるいは先生のお耳に入らなかったかと思いますが、むしろ地域的な生活水準の変動に即応する原則として毎年級地の変更を行なっておるのだ。ただその算定に際して不公平があってはならないので現状としては、私どもは回帰方程式をとるのが一番いいと考えて、それをとっておるのであります。それにかわる、むしろよき方程式があれば御教示を願いたいということも、実は最初に申し上げております。具体例についていまお尋ねでありますが、具体的なことについては、これは事務当局からお答えをさせますけれども、むしろ私どもは、何も現在の級地の格づけを絶対不動のものとは決して考えておりません。また先ほど、保護課長も不平不満がないと言ったこと自体も、現在指定された級地自体についてその市町村がすべてそれで満足をしているという意味ではございません。いまの算定方式というものについて、現状でこれにかわるべきものがない時点では、これにみなが従ってくれておる、その意味での不平不満はないということを申し上げたわけであります。補足の細部にわたりましては保護課長より答えさせます。
○説明員(宮嶋剛君) 二、三お尋ねなんですが、第一の七つの項目をとっておる。たとえば高校進学率なんか入っておるが、これはどういうことかとおっしゃいましたが、そこら付近は学者先生方がいろいろやったレポートを私も実は受けているわけでございまして、聞くところによりますと、三十数項目考えられる消費水準と関連があるような項目をシラミつぶしに各地域について消費水準の実態に当てはめて、そこから要するに、関連があるもの、函数関係があるものというものを数学的にずっと取り出して、そして最終的にこの七つの項目が関連あり、しかもこの関連係数というものも、また数学的に究明されるというふうな過程を通じて、結果的にはこの七つについてそれぞれ係数率もあるわけでございますが、かけていけば実態的なその地域地域の消費水準というものが出るというふうにおきめになったというふうに聞いております。 それから、第二の具体的な例といたしまして、福岡県の宮田町、それから隣に直方市がある、直方市は二級地である、宮田町は三級地である。同じような状況ではないかというお話がございました。そこら付近の話になってまいりますと、実はこういう問題があるわけでございます。産炭地域につきましては、先ほど来ここでお話がございましたように、ここ十年間のうちに全然その様相が変貌いたしました。かつて産炭地域がいんしんをきわめておりましたときには、その地域の消費水準は確かに高うございました。実は高い時期にきまって直方なんかは二級地になっておるわけでございます。現状は、直方の二級地につきまして、私どもがいまの方程式によってその結果を求めてみますと、実は二級地相当ではない、もっと下にランクしなければならぬというふうな結果が出るわけでございます。しかしそうは申しますものの、先ほど来これまたお話がございますように、産炭地域におきまして、まことに悲しいことに炭鉱が閉山になり、その地域に居つかれてずっと生活を続けておられるという方々が大部分でございます。そういう方々の実際の支給します保護金品のことを考えますと、単にここで級地を下げるということは、実際上お手元に渡ります保護金が減るということになりますので、そういうことでございますので、理論的にはたとえば、直方とは申しませんけれども、いま二級地であるけれども、実際には実力は四級地である、しかしその場合においても二級地にとどめておくという、そういう配慮をいたしておるわけであります。そういうことがございますために、実は私どものところには、特に福岡県の産炭地域におきまして、かつて産炭地域で栄えたところがいま疲弊しておる。それと比べた場合に、どうもおれのところが損だという、低いという苦情をよく承ります。しかしその点は、そういう事情がございますことをひとつお含みを願いまして、御理解願いたいと思うわけでございます。
○安永英雄君 前段に質問しました、いわゆる指数を打ち込んで七項目で——どこの大学か知りませんけれども、そこに委託をして、その結果をこちらのほうで取っているということなんですが、いま申したように、一つの例ですよ、いまの例は。福岡県の宮田町というのは。全国にずいぶんあるという指摘はたくさんできるのですよ。そこの人にそういう不均衡じゃないかと——物の値段を比べても、何を比べても、いまの七項目だけを比べても、確かにこちらのほうが指数は上がらなければならぬと、こう思っているところには——大学にこれを委託して、その結果を厚生省としてはいただいて、上がったところは喜びますよ。上がったところで何も不足を言うところはありません。なかなかいいデータが出ていますと言います。下がったところはない。上がったところばかり——しかし、そういう不均衡じゃないかと不満を持っている人たちを納得させるためには、大学のコンピューターがこういう答えを出しましたから、では済まない。いまの七項目について、こういう種類で、こういう内容なんです。——こういったことでひとつ納得のいかせられる自信がありますか。
○説明員(宮嶋剛君) いまいろいろ御意見がございました。私ども先ほど一般的にこれでいいと言われましたということを申し上げました。確かに苦情の存するところが多いわけでございます。そういう町村につきましては、私どもはできるだけ公平を期してやっておる、私どもは私どもで、できる範囲でベストを尽くして実はやり方を考えているわけでございます。いろいろ御批判があるかもわかりません。また御批判をお持ちの向きにつきましては、個々にまた話を承りまして、私どもやっておる実情もよく説明する必要があるかと思います。どうかすると、私どもの説明が足りないから、そういういろいろな御批判を受ける面もあるかと思います。今後そこら付近は注意したいと思います。御要望のある町長さんなり市長さんがお見えになったら、できるだけ——もし先生のほうの御都合があれば、先生ともよくお話しいただきまして、そこら付近のことは学問的にもできるだけわかるように御説明したいと思います。
○安永英雄君 私は、宮田町にこだわっているようですが、ここの町長さんから頼まれてやっているわけではないのです。私は、あくまでもこれは公平でなければならぬし、不均衡があってはならないということを申し上げたわけで、これは御存じでしょうが、行政管理庁の行政監察局が勧告していますね。この内容については先ほど次官がおっしゃった点とも関連するのですけれども、この、「現在、地域別の生活実態にもとづいて、全国を一級地−四級地に分けて基準額に格差を設けているが、個々の市町村についての級地指定の状況をみると必らずしも実際に適合していない地域があって、保護が実質的に不均衡となっている。」というふうに勧告では断定しているのです。また、「厚生行政基礎調査の結果によると、近年家計支出は、級地間の地域格差が縮小する傾向を示している。」、こういうふうにはっきり指摘をしているのです。これについて回答も出してあります。「生活扶助基準の級地差は、都市部と町村部との消費実態にそって定められるものであり、現在一級地一〇〇に対して四級地七三の格差を設けている。諸々の調査資料によれば、ご指摘のように各級地間における一般世帯の家計支出の格差縮小の傾向もみられるところであるが、現行基準の格差と比べれば、なお開差がある。したがって、級地差の検討は長期的視野に立って慎重に行なう必要があるものと考える。」、こんなふうにして、将来のことまで次にあるのですがね。やはり考え方としては、そういう格差がだんだんなくなっていく方向になっているから、それに沿っていきたいという方向も出ているのですよ。したがって、この問題はただ単に一地域の問題じゃなくて、全国的な視野に立ってやはり不均衡、不平がないように努力を願いたいと思うのです。 最後に、時間もまいりましたので、保健薬の許可基準の問題についてお聞きをしたいと思います。時間がありませんから、簡明にお答えを願いたいと思うのですけれども、先月の二十三日に、東京大学の医学部の高橋という講師の先生が、七項目の質問書を厚生省に出した。——保健薬についての許可基準を示せというふうな公開質問状を出した。内容を見てみますというと、これは結局私に言わせれば、ずばり厚生省としては一項目、一項目について答えられる立場にあると私は思います。私は時間がありませんから、一項目、一項目をあげて、ここで聞こうとは思いませんけれども、たとえば「大衆保健薬を許可した時点の基準は、害がなければよかったのか、それとも害がなく、かつ有効でなければならなかったのか。」、これぐらいはっきりした質問もないし、これぐらいはっきりした答弁をしなきゃならぬ点もなかろうと思う。これは一つの例です。しかも、この人の立場というのはずいぶん研究をして、そうして、大衆保険薬の効果を実際に調べたけれども、この薬の効果の確かなものはほとんどなかったという研究の結果を背景にして書かれておる。これは限定して、ビタミン剤とドリンク剤と総合ホルモン剤に限って出してありますけれども、これは結局検討したけれども、一つも効果がない。薬としての効果がないんだという研究をして、その結果としてこの質問を出しているということは重要です。特に薬好きの日本人と、こうよく言われますけれども、この三つの薬についても、国民大衆がずいぶん使っている。一カ月前にこういう質問が出て、そうして、これが報道機関にも報道されている。これは一日も早く明確な回答というものを出していただかないと、国民は、これはほんとうに自分が飲んでいる薬がきいているのか、きかぬのか。また、これについて、わしら、どこをたよりにしてこの薬を使用していくのか。厚生省というのは、そういうことについての責任を持っておる省と思っておったけれども、なかなかこれについては回答も出ないし、何か問題があるんじゃないか。そうすると、薬の効能書きを見たって、これは責任を持てないし、何といっても、これは国のほうではっきり白黒つけてもらわなきゃならぬ。こういうことで一カ月以上も注目しておるわけなんです。これについて、なぜこれくらいはっきりした質問に対してはっきり答弁ができるのにやらないのか。これだけ、ひとつ次官からお答え願いたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) 東大の物療内科の高橋講師から、いま御指摘にありましたような趣旨の質問書が厚生大臣あてに届けられ、先日公開質問状に切りかえられたその経過は、私よく存じております。厚生省の事務当局内においては、初めこの答弁書を出そうという論もございました。しかし、率直に申しまして、いやしくも医薬品を厚生省として許可する以上、ただ無害であればそれでよろしいなどという医薬品を、私ども認可した意思はございません。そうして、しかも、学会において御議論になるべき性格のものも、いまお読み上げになった部分にはございませんけれども、あとのほうの質問に触れられております。むしろ、行政当局が云々すべきでない点も、その中にも含まれているように思います。そうした性格の点もあり、正直、現在の時点では回答をお出しはいたしておりません。しかし、高橋講師御自身のいろいろなお考え方によって、また高橋講師御自身の調査によって御自分の質問状に掲載された医薬品はほとんど効果がなかったというような御議論をなされておるやに聞いておりますが、少なくとも私どもが調査をいたして、許認可の対象にいたしておりました医薬品に対して、臨床例その他は全部付記せられております。そして、いずれも有効と鑑定を下されております。むしろ、そうした一部分の点にのみ厚生省がお答えをし、学会で御議論になるべき性格の部分は省いてお答えしたのでは、かえって御質問の趣旨に沿わぬ点もおるかと考えまして、現在出すべきかどうか自体についても内部で議論をされているところでございます。
○安永英雄君 いまおっしゃった点をなぜ発表にならないのかということ、これこれこれは学会ではっきり検討すべき問題で、厚生省としては関知するところではない。少なくともわれわれは許可したこういったものについては、薬は効果があるのだ。これだけ出せばいいので、私はだれそれに回答するのじゃなくて、これは国民に答えなければならんのですよ。こういった一カ月もほうっておく筋合いものじゃないと思う。いまおっしゃった点を回答すれば、私はいいのじゃないか。この点について何をこだわっておるか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は、多少その点については安永委員と考え方を異にしております。これは東大の高橋先生が公開質問状という形に切りかえられた。それがマスコミによって世間に報道された、国民にあるいは不安を与えたということは、それは決してないとは申しません。それに対しては、私どもは、それなりの方策は講じなければならぬと考えます。しかし、それと同時に、この質問状に答えるという形式で、その国民の不安を除去することのほうがよいものであるか、あるいはその他の方法で国民の不安を解消するようにつとめるのがよいか、これはまた、おのずから考え方を異にする部分もあると考えております。
○安永英雄君 これを最後にいたしますけれども、私は別に、だれそれに回答云々ということじゃなくて、私が言っている立場は、国民が非常にこの問題を契機にして、非常に不安動揺を来たしておる。これについて厚生省として確信があるものならば、はっきりそれは方法は別でもいいんですが、どういう方法をとられて、この問題について国民に安心せいと、こうおっしゃるのか、これは一つの、きょうここの決算委員会も機会ではあろうと思います。あろうと思いますが、厚生省としてとるべき——この種の問題についてどう国民に答えられるのか、その方法なり、機会、時期をお答え願いたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 基本的には、厚生省自体が認可をいたしている医薬品について、いやしくも無害であるから、それだけでよろしいというような無責任な許認可はいたしておらないということを国民に知っていただくことであります。これが高橋講師の質問状に回答という形でなすことになるか、また、それもそのマル・バツ式の設問に対して——これは非常に私は誤解を生みやすい設問の形式であるとは思いますが、特に医薬品には、国民の健康に直接関係のある問題について、非常に誤解を生みやすい設問の体系であると思いますけれども、それにお答えをする形になるか、あるいは全部を通して文章で御回答をいたす形になるか、あるいはその他の方法で回答をいたすことになるか、これはいまのところ、まだ結論は出しておりませんが、いずれ何らかの考え方を世間に表明することによって、少なくともその国民に与えた不安を除去することは厚生省としてはいたさなきゃならぬと、そのように考えております。ですから、それについては手段等なお検討をいたしておる際であります、いまの時点で……。
○安永英雄君 近く……。
○政府委員(橋本龍太郎君) おそらく近く出すことになりましょうが、どういう形になるか、中身をどうするかについては、まだ私どもは結論を出しておりません。
○峯山昭範君 私は、きょうは初めにチクロの問題について質問したいと思います。 すでにチクロの問題につきましては、大きな社会問題となりまして、すでに相当たっております。特にこのチクロに関しましては回収延期等も発表いたされておりますし、特にかん詰め等が、昨年秋の米国の輸出禁止に伴って日本のほうも回収処置を延期した。そういうような経過があるわけでありますが、そこで伺いたいのでありますが、清涼飲料水につきましては既定方針どおり一月末、それからまた薬品につきましては六月末、そしてかん詰め等は初め二月であったのが九月ですかに、回収延期になったと聞いておりますが、これらの経過について初めに伺いたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) すでに峯山委員御承知のとおり、昭和三十一年にチクロ、いわゆるサイクラミン酸塩を甘味料として指定をいたしましてから今日まで、その安全性についていろいろな議論もなされてきたわけであります。四十二年に開催されましたFAOあるいはWHOの合同食品添加物専門委員会におきましても、一日の許容量を体重一キログラム当たり五十ミリグラムというような制約も加えて今日までまいりました。ところが昨年の十月に発ガン性について報告がアメリカFDAから発表されました結果、四十四年の十一月十日をもって使用を禁止したわけであります。ただ当時すでに製造されてしまっておったチクロ含有食品について、一応その当時は清涼飲料水一月末まで、その他の食品については二月末までを猶予期間としてとりあえず定めたわけでありますが、結果的に見ましてアメリカにおいて一部の食品の猶予期間の延長を行なっておる実績、また特に摂取量の非常に少ない種類の食品、すなわちかん詰めであるとか、びん詰めであるとか、たる詰めであるとか、こうしたものについては、わが国でもチクロ入りという表示義務を課して、国民に選択の機会を得ることができるようにすることを前提にして、実は半年間の延期をいたしたわけであります。むしろジュースその他をはずしました原因と、これはダブるわけでありますけれども、まず第一に乳幼児、特に体重の少ない、発育の最中である乳幼児等の摂取機会が少ない、また大量に摂取する、または常用する危険の少ないもの、こうしたものであれば、とりあえずの時点での延期を半年間はかり、その半年間の延期によって国民の健康に大きな害を与えるというようなおそれが非常に少ないと判断して、半年間の延期を今回は定めました。
○峯山昭範君 そうしますと、特にかん詰め業界だと思うのですが、これは半年間延期したということは、私たちはまさか業界の圧力に屈したなんていうことはないと思いますけれども、そういうふうなうわさも実際はあるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま申し上げましたとおりに、一つの限界線を設けて延期をいたしたわけであります。業界の圧力に屈したというような事態はございません。また、ほかのものについて延期せよというような声がありますけれども、そういうものについても業界の声にそういう意味での耳の傾け方をするつもりはございません。
○峯山昭範君 同じ問題でありますけれども、このチクロの問題について、特に回収延期の処置につきまして経済企画庁が、厚生省のとった処置に対してあまり妥当な処置じゃないということで、抗議の申し入れがあった。こういうぐあいに聞いておりますけれども、その辺のいきさつについて伺いたいと思います。
○政府委員(金光克己君) 抗議という意味ではなく、やはり国民の保健を十分慎重に考慮してもらいたいということ、それから具体的にはラベル等の問題につきましても、経済企画庁から御意見を伺いました。
○峯山昭範君 抗議という意味ではなく、どういう意味だったのか、もうちょっとわかりやすく。
○政府委員(金光克己君) 厚生省が延期するということについて反対するという抗議の意味ではなく、十分国民保健の点について考慮してもらいたいということ、そういう意味で厚生省に対しまして意見が申し入れられたということでございます。
○峯山昭範君 ということは、結局厚生省としてこの延期の処置をしても十分国民の健康に害はないと、こういうぐあいに判断をして私は踏み切ったのだろうと思うのですが、何かいわゆる科学的根拠というものがございますのでしょうか。
○政府委員(金光克己君) 科学的根拠につきましては、アメリカで行ないました動物実験の成績につきまして検討したわけでございますが、そういう検討をしたという経過につきましては、先ほど次官から説明があったわけでございます。その趣旨といたしましてはアメリカの動物実験におきましては、実験におきましてサイクラミン酸塩の投与量二千五百ミリグラム、それから千ミリグラム、それから五百ミリグラムというように、体重一キログラム当たりの分類で、さように分類をいたしまして実験を行なったということでございます。その結果二千五百ミリグラム投与の分におきまして発ガン性が認められたということでございます。まあ発ガン性が認められたと申しますよりは、発ガン性を促進したというような結果が認められたということでございまして、千ミリグラムとか、あるいは五百ミリグラムというものの実験につきましては、発ガン性の促進が認められなかったということでございまして、結局量的に問題があるであろうということが一つの判断の根拠でございます。それともう一つは、アメリカにおきまして当初きめました猶予期間を延期したわけでございますが、アメリカにおきましては、アメリカの食品関係の法律におきまして発ガン性につきましては従来量のいかんを問わずというような考え方でございましたが、それも再検討の必要がある。かようなアメリカの見解があるというようなことも承知いたしまして、それも合わせまして検討した結果、量の少ない範囲内においてはまず安全である、かようなことに考えたわけでございます。この点につきましては、関係の専門の先生方の御意見を十分拝聴いたしまして決定した次第でございます。
○峯山昭範君 私は、いまおっしゃっていただいたのはチクロを禁止したいわゆるアメリカの昨年暮れ発表された有害の判定理由であろうと思うのですが、それを再度延期した理由ですね。そのいわゆる根拠がなければいけないのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま環境衛生局長の御答弁でも申し上げましたとおり、実験対象のネズミに対して量的に三種類の限界を設けて実験をいたしました。少ない二つについては発ガン性のデータが出てまいりませんでしたけれども、一番大量に投与したいわゆる二千五百ミリグラム投与した中から発ガンの徴候を示したものが出てきたということでありまして、これは非常にある意味では大量に、あるいは常用した場合の人体の実験に当たるかと思います。現在なお、きびしく規制を加え、すでに禁止を行なっておりますジュース類その他は、わりあい年齢の低い人たち、すなわち乳幼児にも与えられる可能性の非常に多い食品でございますし、また量的にも、また常用の可能性もある性格のものでございます。ですからこうしたものについては、これは即座にといってもいいぐらいすぐに禁止をしなければならない。しかし現在、わが国の食生活の上から考えてみました場合に、かん詰め、あるいはびん詰め、たる詰め、こうした種類の食品は常用する性格の食品でもありませんし、また一時に大量にチクロの摂取を考えなければならない種類の食品とも考えておりません。そういう意味では多少の猶予期間を置いても危険はないと判定したわけでございます。
○峯山昭範君 まことに皮肉な質問をして申しわけないんですけれども、先ほどの局長の答弁によりますと、今回のチクロを禁止した理由は、アメリカのいわゆる動物実験の資料がはっきり出て、その結果全世界がチクロを禁止することになった。しかし日本でもすでに五年ほど前から、岩手医大ですか——岩手医大の教授がハツカネズミの実験ですね、それから妊産婦の母体による実験、それから熊本大学の教授がやっぱり同じく動物実験等で、五年も前に、日本のほうが先に、実験でいろんな結果があらわれているわけですよ。で、アメリカのほうはすぐさっと、何といいますか取り入れまして、日本のこういうふうな実験を——そういうふうないわゆる処置を重んじないというのは、私はちょっと得心がいかないのですが、ここのところ、いかがでしょう。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま御指摘になりましたチクロの特定実験自体は、いまお話しのとおりにいろいろの機関でも行なっておりますし、厚生省当局としても昭和四十三及び四十四年度に厚生科学研究補助金により、染色体に及ぼす影響であるとか、催奇形成の有無その他について実験を実は繰り返しておったわけであります。しかしわが国の実験の中でそういうデータを得るまでに、むしろアメリカの実験の中からそういうものが出てきたということでございます。発ガン性のものにつきましても、四十三年度の厚生省のガン研究助成費によりまして、実は発ガン性による予備実験を癌研究所等で行なっていたわけであります。しかし、いまのところ、わが国での実験データの中には、発ガン性のものについて結論めいたものはまだ出てこなかった。しかしそれより先に、すでに英国の実験の中に発ガン性があり、多量に常用した場合には発ガン性があるというデータが出てきたので、それを採用したわけでありまして、日本としても今日まで検討は加えられておったというふうに御理解願いたいと思います。
○峯山昭範君 そうしますと、次にチクロが昨年の十一月いわゆる禁止された当時に、日本全国でチクロの在庫はどのくらいあったのか。もしわかりましたら教えてもらいたいと思いますし、また、もう一つは、日本でこのチクロを製造しているメーカーを教えてもらいたい。それからもう一つ、それぞれのメーカーが月産どのくらいのいわゆる製造能力を持っておって、現在はどういうぐあいになっておるか。この点を教えていただきたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) チクロの製造メーカーは六社ございまして、禁止当時の在庫量は総計約一千百トン、金額で約二億四千万円と推定されております。すでに市場に出回っておりましたものについての在庫量は、いま明らかでございません。また食品についての在庫量は、かん詰め、びん詰めが金額にして約三百五十億円、清涼飲料水が約百八十億円、つけものが約百九十億、その他のものが約四百億、計一千百二十億と推定されております。
○峯山昭範君 それでは、次にいきますけれども、次に薬品にもチクロを使っているということが明らかになっておりけれども、薬品にチクロを使うという理由ですね、これはやはり薬品は当然効果的な面、きくということで使わなければいけないと思っているんですけれども、いわゆる薬品にチクロを許可した当時のいきさつ等がわかりましたら、教えてもらいたいと思います。たとえば具体的に、どういう薬品にチクロがどういうぐあいに使われておるか、この点を教えていただきたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 現在の、たとえば糖尿病の患者を対象にした医薬品にはチクロを許可いたしております。これらの症状の方にとっては、むしろ全糖製品よりもチクロのほうがはるかに無害有益なわけでありまして、そういう点については、なお今回の禁止自体についても、そうした病気の方々に対する道というものは開いておるわけでございます。この経過その他についてのこまかい点は、局長のほうから必要があればお答えさせますけれども、むしろ現在私どもが当面しておりますのは、一部の臨床医学関係者の中から、いわゆるチクロの全面禁止という状態を迎えた場合に、糖尿病患者の問題で非常に頭が痛い、常時インシュリンをなさらなければうっかりめしも食えぬというような、はなはだ困るんだというような事態も出てきておりまして、そういう点では医薬品について、またこういう特殊な病気をお持ちの方に対しては、むしろ医療でチクロを使用することは、その病気自体を悪化させない一つの方法になるんじゃないかと、私どもはこう考えております。なお、こまかい点まで必要でございましたら局長にお答えさせます。
○峯山昭範君 当然糖尿病等、どうしても必要なものは、これはやむを得ないとしまして、一般に使われている、先ほどちょっと話がありました保健薬等にチクロが使われているということになると、やっぱり毎日常用しておるわけでありますし、何となく心配なわけであります。この点はいかがでしょう。
○政府委員(加藤威二君) 薬品にチクロを使います場合は、ただいま政務次官から申し上げましたたような糖尿病患者が砂糖のかわりに味つけに使うという場合と、それからただいま先生のほうから御指摘になりましたような大衆保健薬ばかりでございませんで、錠剤とか、その他調味料というか、若干甘みをつけて薬を飲みやすくする。そういうことのためにチクロが錠剤、散剤あるいは顆粒剤あるいは内服液剤というような薬に使われておったわけでございます。これは薬を飲みやすくするということのために使われておったんでございますが、このチクロ問題が発生いたしまして、これは糖尿病患者がどうしても必要な分は別でございますけれども、ただ味つけのために薬にチクロを使うということは絶対にやめてもらうということで、業界の全体も協力いたしまして、四十四年十月三十日以降は全部——それ以降に製造しておるものにつきましてはチクロによって味つけをするというのは、一切やめておるというのが現状でございます。
○峯山昭範君 それでは次に、このチクロの問題につきまして、チクロが有害であるということはアメリカの資料等ではっきりわかってきたわけでありますけれども、先ほど答弁の中に、日本でもどういうふうに影響があるのかということを調査研究しているというお話がございましたけれども、日本ではどういうところでどういうぐあいな人たちがこの問題に取り組んでいるか。そして日本における結論は、いつごろこの問題の結論が出るか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(金光克己君) 日本におきます研究におきましては、まず発ガン性ということにつきましては、厚生省のガン研究補助金によりまして、癌研究所で研究をいたしております。これはすでに約二年近く研究をいたしておりますが、まだ発ガン性を促進するという結果は出ていないのでございます。これは、いり証明されるかということにつきましては、今後の結果を見ないとわからないということでございます。それから、このチクロの染色体に影響を与えるというような問題が一つの問題点になっておるわけでございます。これにつきましては、先ほど次官から御説明のありましたように研究いたしおるわけでございまして、厚生科学研究班をつくりまして、東大の名誉教授の小林先生が主任になっておりますが、東京医科歯科大学において研究いたしております。また、国立衛生試験所におきましてもこれと関連をした研究を進めておるというようなことでございます。大体おもな研究といたしましては以上でござ、いますが、これ以外に国立衛生試験所におきましては、例のヘキシルアミンの問題につきましていろいろと研究をいたしております。かような次第でございます。結果につきましては、一部のものにつきましては——たとえばヘキシルアミンの問題等につきましては、この年度末でおおむね結果が出るだろう、かように推定いたしております。
○峯山昭範君 それでは次に、食品衛生法ですが、この食品衛生法というのが現在あるわけでありますけれども、どうも現在のこの法律は私もずいぶん読んでみまして、何といいましても危害の発生の防止というのがこの衛生法の中心になっているように私は思うんですけれども、私はむしろ今後、この食品行政のあり方としましても当然、食品衛生法というよりも食品法ですね、そういうふうなものを制定して、あくまでも国民に安全な食品を国が確保すると、そういうふうな制度に私は改めていくべきじゃないか、こういうぐあいに思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 率直に申し上げまして、今日、物価の特別委員会におけるうそつき食品の問題等から議論が発生しまして、食品衛生法自体についても種々の御議論が出ておることは、われわれよく存じております。その中に峯山委員が御指摘になりましたようなお考えのあることも、私どもよく承知いたしております。現在、これは経済企画庁を中心にしまして——食品衛生法そのものについて関係する官庁は非常に多いわけでありますが、企画庁を中心にして現在そういう方向の検討を進めておる最中なんです。それまでの時点において、私どもは現行食品衛生法によってでき得る限りの政策を講じ、国民の栄養、また健康の保持につとめていくつもりであります。その検討が終わります以前の段階において、厚生省において特別の考えを今日のところ持っておりません。
○峯山昭範君 それから、先ほどのチクロの問題で、もう一つ質問しておきたいと思いますが、すでに二回延長いたしまして、九月で期限切れになっているわけでありますが、その以後ですね、どういうぐあいな処置をされるつもりか、具体策があればお聞かせ願いたい。
○政府委員(橋本龍太郎君) これはもう、今後、その時期がまいりました時点からあとは、販売を禁止するという以外にその処置はございません。
○峯山昭範君 それから、食品衛生法の第六条に規定された食品添加物の中のいわゆる「人の健康を害う虞のない場合」は、食品添加物が許可されておるわけでありますが、現在日本ではどのくらい——何種類ぐらい許可をされておるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) 食品添加物全体で三百五十六種と記憶しております。
○峯山昭範君 その許可の基準でありますが、どういうふうな場合に許可をし、そしてどういうふうな場合に不許可にしておるか。要するに、いままで不許可になった事例がありましたら、その事例も含めて教えていただきたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) ちょっとお答えの順番が逆になりますが、食品衛生法の食品添加物の指定というのは、厚生大臣が必要と認めるものについて指定を行なうわけでありまして、申請を待って許可、不許可をいたすものではございません。したがって、その不許可という例は、私どもとしては、これはあげることができないわけであります。むしろ厚生大臣が認定をする性格のものであるということであります。食品添加物というもの自体は、いかなる安全なものでありましても、むしろ必要最小限度にとどめるべき性格のものであることは言うまでもないことでありまして、現在は食品衛生調査会の審議を経て指定を行なっておるわけでありますけれども、その審議の基準として示しておりますものは、安全性が実証されるか、あるいは確認されるものでなければならない。また、その使用が消費者に対し何らかの利点を与えるものでなければならないということを、その基準としておるわけであります。そこで、指定し得る添加物としては、次にあげます各項目が実証または確認されることが必要な要件とされるわけでありまして、製造加工上不可欠とされるものであり、そうしてまた、その栄養価を維持させる役割りを果たすものであり、同時にその損耗を少なくするために腐敗あるいは変質その他の化学変化等を防ぐ性格のもの。同時に、付随的な事項ではありますけれども、その食品自体に添加物を使用することにより美化し、魅力が増し、そういうことを通じて消費者に対して利点を与えるというものを対象としております。逆に粗雑な製造であるとか、加工によって食品を変装する場合に粗悪な品質の原料あるいはその食品に用いて消費者に対して不利益を与え、欺瞞するような品質、あるいは栄養価の低下を伴うようなもの。疾病の治療とか、その他医療効果を目的とする場合には、むしろ製造方法あるいは加工方法の改善、変更がその添加物の使用によらなくても比較的安価に実行され、むしろその結果添加物を使用した場合に比べても決して劣らないというようなもの。こういう場合には許可はいたしておりません。
○峯山昭範君 農林省にお伺いしますが、JASの総括的な意義について初めにちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(森整治君) 正確には農林物資規格ということで、俗称JASということでございますが、結局ただいまのお話におそらく関連すると思いますが、食品衛生法で規制が行なわれております。その規制を前提といたしまして、その中で優良な品質のものをJASマークをつけて保証をしてまいるというのが、この基本的な考え方でございまして、この優良な商品の普及をはかっていくというのが現在の法律のたてまえであるというふうに思っております。
○峯山昭範君 かん詰めにしましても、そのほかいろいろな食料品でございますが、いわゆるJASマークのついておる製品は、一応国民としては優秀な、いわゆる農林省の認定の食品と、こういうぐあいに一般的には見るわけであります。そこで、特に諸外国ですね、カナダとかアメリカ等のいわゆるマークのつけ方ですが、その点いろいろ違いがあると思うのですが、特にどういうふうな違いがあるか、具体的に御説明してもらいたいと思います。
○説明員(虎谷秀夫君) たとえば、アメリカにおきましてはUSグレードというのがございますが、考え方といたしましては、やはりアメリカにおきましては食品法で衛生面の最低基準、それから品質、規格の最低基準がきめられておりまして、それが強行法規でございまして、それのワク内で、それを前提といたしまして、その中の優良品につきましてUSグレードという制度がございます。その点では衛生面につきましては現在わが国におきましては食品衛生法がございまして、その衛生面からの規制を前提といたしまして品質の優良なものにJASマークを張りまして、消費者の利便に供しておるという関係でございまして、若干衛生面につきましては似通った制度になっております。
○峯山昭範君 いまのこの標示の問題でありますが、たとえばカナダ等ではいわゆる原料や添加物の標示を、特に日本ではできるだけちっちゃな字で標示している感じがするわけですけれども、カナダ等では、かんやびんの横や裏ですね、そういうところにすら標示することを禁止されておる。あくまでもメーンラベルのところに一定の大きさでいわゆる書体とか大きさまで規定されておる。私はこういうふうに聞いておるわけでありますが、そこでたとえば、日本から輸出される場合に、しょうゆですね、たとえばの話ですが、しょうゆ等は特に標示の基準、標示のしかたが日本国内で販売している場合とは変えられると、こういうぐあいに聞いていますが、そこら辺のところをちょっと教えてもらいたい。
○説明員(虎谷秀夫君) 輸出につきましては輸出検査法というのがございまして、従来輸出向けの基準を設け、厳格な強制検査をやっております。したがいまして、しょうゆなどの規格につきましても、国内におきます規格とは若干異なりまして、別のシステムで強制検査の対象ということになると思います。
○峯山昭範君 いわゆる消費者物資——いろいろな食品等につきましては、結局厚生省と農林省と、それから経済企画庁等も含めて、いろいろのところが管轄しているわけでありますが、今回のチクロ等一連のいわゆる食品添加物の問題が発表されて以後、特にこのJASマークとの噛み合い等、いろいろ問題が起きてきているのではないかと、私は思うのでありますが、この辺のところの処置については、どういうぐあいになっているのか、それぞれの官庁の方にお伺いしたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) JASマークの指定の時点で協議は受けておりますが、厚生省としてはJASマーク自体には直接の行政的な関係を持ってはおりません。
○説明員(森整治君) 先ほど政務次官からお答えいたしましたように、チクロの禁止以後につきましては、もちろん食品衛生法に従いましてJASマークをつけていくということでございますから、製造はいたしておらないわけでございますが、まあ九月までその販売が一応認められておるという関係から、まあ従来かん詰め等につきましてサイクラミン酸塩添加という標示をすることによって販売が認められておる、その関係からまあJASでも暫定的にその標示を業界が行なうように厚生省と協力いたしまして、まあ消費者のわかりやすいように、またいろいろな多少誤解を招くようなまあ問題がございましたけれども、業界につとめて適正に張るように、そういう指導をしておるわけであります。先生おっしゃいますような問題は、直接JASでいまの添加物につきましていいとか悪いとかいうことではなしに、食品衛生法で認められた範囲で当然JASマークをつけてまいるという考え方でございます、あくまでも。
○峯山昭範君 いずれにしましても、非常に大事な問題でありますので、前向きで検討をお願いしたいと思います。 それから当然、このチクロの問題に関連いたしまして、輸入食品についてもやはりこの問題があると私は思うのですが、特に厚生省ではその検査機構の整備拡充を昨年の夏に発表されておりますけれども、半年を経過したわけでありますが、この点について特にその検査件数、その能率、それから検査の結果等について、概略でけっこうですが、わかりましたら説明をお願いしたい。 それから、特にJASマークとも関連する問題でありますが、いずれにしましても、この食品行政をより積極的に、また国民が安心して食生活につけるような政策、施策を施していかなければならないと思うのですが、この点お伺いします。
○政府委員(金光克己君) 輸入食品の検査につきましては、全国十一カ所の検疫所に三十名の職員を配置いたしまして検査をいたしておるわけでございます。大体輸入食品の数は年間、四十三年におきまして約十三万四千件でございます。これにつきまして必要なものにつきまして抜き取り検査を行ない、また必要なものにつきましては国立衛生試験所に送りまして検査をしておる、かような実態であります。
○峯山昭範君 それでは、チクロの問題についてもう一点だけお伺いしておきたいと思います。 これは特に、中小零細企業が食品工業の中には多いわけでありますが、この中小零細企業の保護という点から、この点を考えてみますと、現在の食品工業が零細であるために、もしこのチクロに関連して使用禁止による倒産という事態が当然考えられるわけであります。これまでいろいろ調べてみますと、チクロは確かに砂糖よりもいろいろな面で仕事もやりやすいし、こげつかないとか溶けやすいとか、いろいろあるようです。そういう点で厚生省の認可によってみんな喜んで使っておるというような点もあるわけです。こういうふうな点から考えてみますと、その責任ということになりますと非常に私は重大であると思います。そういう点からこの零細企業の倒産という問題について、厚生省はどういうふうなとらえ方をしているか、その見解を伺いたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) これは、必ずしもそのチクロばかりではなく、一般論としても同じことが言、えるわけでありまするけれども、およそ、その当時の科学の水準によって、その当時は安全性を立証されたものが、その後の科学あるいはその後の医学等の進歩によって、その害毒が発見をされるケースというものは、ままあるわけであります。かつてチクロを認可いたしました当時は当時の科学水準においては、これは人の健康をそこなうものではないということで認可をしてきたわけであります。今般いろいろな実験の結果、人体に影響を及ぼすことが大であるということで禁止措置をとりましたこと、それ自体は私ども行政当局として、むしろ妥当な措置をとったと考えておりますし、その意味では国家賠償法あるいは民法上のいずれの観点から見ましても、民事訴訟法上の責任というものを国は負うものではございません。同時に、特に食品業者の場合に、人の健康をそこなうおそれのある、そうしたものの製造とか販売とかというものは、当然差し控えなければならない社会的、道義的責任というものもあるわけでございまして、チクロの使用禁止措置によって生ずる経済的な損失というより、一般論としては、これは食品工業というものの通念からいくならば、当然受認すべき性格のものであるということも言い得るわけであります。しかし、現実の問題として、特に零細弱小の業者の多い食品業界においては、これは予期せざる事態に突入をしたわけでございますし、所要の金融措置であるとか、あるいは税制上の取り扱いの面等、でき得る限りの配慮をしていくように、現在、関係各省庁の間で配慮いたしておるさなかでありまして、これは、国として直接損害賠償の責めを負うものではありません。でき得る限りの救済措置は講じてまいるつもりでございます。
○峯山昭範君 それでは次に、和歌山医大の問題について、ちょっとお尋ねいたします。これは、本来ならば労働省に伺いたいのでありますが、厚生省の中にもわかる方がいらっしゃると思いますので、初めにお伺いしたいのでありますが、一般的に、工場内におけるほこりの許容量ですね。工場におけるほこりの許容量は、すなわち、その許容濃度をいうのですかね。これは、一CC当たりどのくらいになっているか、この点わかる方ありますか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 工場内の環境衛生基準につきましては、御指摘のとおり厚生省として直接タッチする任務じゃございません。そのようなデーターを準備しておりません。
○峯山昭範君 担当の方、いらっしゃったらお伺いしたいと思ったんですが、労働省の労働基準局の昭和二十三年の通達によりますと、工場内における——いわゆる一般工場でありますが、工場内におけるほこりの許容量は、一CC当たり千個以下と、こういうふうになっております。そこで、これは先日、和歌山医大の白川教授が、同大学の第二手術室のほこりの量が、少ないときで一CC当たり三百七十五個から五百三十九個、多いときでは一CC当たり八百五十九個から千六百十五個もあったと、そして、また同手術室内の換気口の近くでは千九十二個から千百九十二個のほこりを検出した。こういうぐあいな報告を、私は聞いておりますんですが、この点について、厚生省にはどういうふうな報告がきているか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) ただいま御指摘になりました点は、和歌山県立医大の公衆衛生学教室白川教授が、昭和四十一年、四十二年の大学病院の手術室でそういう検査をしたわけであります。昨年の十月の公衆衛生学会の総会において発表された、その内容についてでありますが、いま御指摘になりましたことは、私ども承知しておる限りではそのとおりの数値であります。厚生省自体に対して、これについての正式の報告はまいっておりません。
○峯山昭範君 一般的に、病院の手術室における細菌の——細菌といいますか、ほこりの量というのは、一般的な病院ではどのくらいなのが普通なんでしょうか。
○政府委員(松尾正雄君) 標準的に手術場の細菌が幾らであるかというようなことは、まとめられたものはございませんけれども、一般に手術場は、御承知のとおり、きわめてそういう無菌に近い状態であるということが原則でございます。たとえば、落下する細菌数であれば、その後、和歌山の同じ大学で調べましたことしのデーターでも、ほこりの数が一・三個とか、あるいは二・一個というぐらいの程度でございます。よく管理されればその程度であるというふうにお考えいただいてよろしいかと存じます。
○峯山昭範君 私が調べました資料によりましても、国立大阪病院の検査部での調査によりますと、やはり最低ゼロ、多いときでも三十分間で十個以下というのがいわゆる常識であると、こういうふうに聞いているわけでありますが、この和歌山の病院というのは非常に不潔きわまりない病院であります。しかも、そこの病院で昭和四十一年の五月に手術した患者のうち、第二手術室で行なった十六人のうち五人、第三手術室で行なった五人のうち二人がいわゆる化膿をしたと、私はこういうように聞いておるわけでありますが、こういうようなことは、非常に私は患者としましては、病院を信頼しまして、病院へ行っているわけでありますし、事実私もその病院に行ってみたのですけれども、非常にきたないわけです。床等も非常に古い、たいへんな病院であります。こういうところで、こういうふうな事故が起きておるということは、私は非常に遺憾であると思います。やはり一般的な化膿率の面を見ましても、学界の常識の約三倍の化膿率だと、こういうふうに聞いております。しかもまた、二、三日前に、和歌山の県会でもいろいろこの点が問題になりまして、そのときの病院の事務長代理ですかの話では、そんなことはないと言っているわけです。これ自体、私はそういうふうな姿勢でいると、いつまでたってもよくならないと思うのです。こういう点、がっちりした指導等をお願いしたいと思うのですが、この点いかがでしょう。
○政府委員(橋本龍太郎君) これは一般的に、病院の管理は、むろん厚生省にあると考えなければならぬことでありますが、実は御指摘の和歌山医大の場合、これは公立大学の付属病院という性格から、実は所管責任は和歌山県の総務部であります。また国の行政機構の中における責任を持つべき主体は、実は文部省の大学学術局大学病院課が責任を負うべき問題でありまして、むしろ厚生省としてお答えをいたすことは必ずしも適当ではないかもしれません。ただ、御指摘でありますから、私どもの考え方を申し上げますと、このような事実というものは、想像を絶したと申し上げてもいいくらい、非衛生きわまりない管理であることは事実でありまして、こういう事態を放てきしておった直接監督責任者である和歌山県、またその報告を受けて管理の責任に当たるべき文部省大学学術局の病院課というものの責任は、当然追及をされるべきものではあると思いますけれども、その後の措置として、実はいま峯山委員は一部のみ申されましたが、実は化膿例が出ましたのは、四十年に最初の一例が発生しているようであります。その後一番多発いたしましたのが、四十一年の八例であります。四十二年にも実はもう一例。十例、化膿患者が出ております。いずれも病院の管理体制の上に原因する、手術室の衛生管理の上からの細菌化膿事故であります。これは非常に問題であることは確かであります。むしろ病院側で、その後四十一年から四十四年までの間に殺菌灯でありますとか、オートクレーブ装置を設置して、管理に注意を加え出しましてから、四十二年は幸いに一例のみにとどまり、四十三年、四十四年は手術室の非衛生なる管理に基づく化膿患者は発生を見ておりません。本年の状況を調べてみましても、手術室に隣接しておりましたギブス室の移転をされるようであります。何か和歌山県の予算の中にも三百六十万円ほどの金額を計上しておられるのであります。むしろ、御指摘のありましたような点は、これは厚生省としても間接的には当然考えなければならない問題点であります。後刻文部省担当官のほうにも御質問の趣旨、御注意の点等伝えて、自後の管理に処したいと思います。
○峯山昭範君 実は、私はきょうはほんとうは大衆保健薬の問題について、その時間のほとんどをさいて質問をするつもりでありました。その問題につきましては、すでに先ほど社会党の先生から質問がありましたので、きょうはやめます。しかし非常に——私は東大の高橋先生にも電話をいたしまして、いろいろと聞きました。いろんな面から考えて、非常にあの質問は、厚生省としましては答弁のしにくい質問書になっていると私は思います。しかし逆に考えますと、国民が一番知りたいという点も、私はあるのじゃないかと思います。たとえば具体的に申し上げますと、こういうのがあります。四番目の質問でありますが、国民はその大衆保健薬、すなわちビタミン剤、ドリンク剤、総合ホルモン剤等について厚生省が製造を認可しているからには、科学的論理に従って審議し、その有効性を保証しているに違いないと、こういうぐあいに国民は考えておりますが、この考えは正しいですか、間違いですかと、こう言っているわけです。それでどっちかにまるをつけないと、その他というのがないわけですから、非常に皮肉な質問になっているのでありますが、これはやはり何と言いましても、私たちは、保健薬は毎日テレビやラジオ等でも大々的に宣伝されておりますし、そういう点では非常に私は大事な問題だと思います。そういう点では一日も早く答弁といいますか、返事を出していただいたほうがいいのじゃないか、こういうぐあいに思っております。以上をもちまして私の質問は終わります。
○政府委員(橋本龍太郎君) いずれまた日を改めて御質問があろうかと思いますが、いま一点、高橋講師からの質問状の中身を引用してお話がございました。これについてだけは、この席上明らかに申し上げておきたいと思います。 およそ、医薬品というものを厚生省が認可をいたします限り、基礎実験あるいは臨床実験その他のデータは完全にとっております。そして、それらに基づく学問的な知見に基づいて、私どもは有効かつ安全であると判定されたものを認可しておるわけでありまして、むしろ私は、今日の時点におきまして、いやしくも東京大学の講師ともあろう地位の方がこのような御質問をなさること自体が、私ははなはだ不本意であります。しかも、これは多少ことばが過ぎるかもしれません。若いことですから至らぬ点は最初におわびを申し上げて申し上げますと、高橋講師自身の恩師である東大物療内科の大島先生も、実は薬事審議会委員として医薬品の許認可の実務に当たっておられます。そして、厚生省が認可をしている医薬品が有効でないとおっしゃる——むしろ有効でないというデータを公表するとすれば、いままで厚生省として認可の時点において臨床例その他を集め、少なくとも学問的知見の上に基づいて行なってきた許認可をくつがえすだけの根拠をそろえて御議論を願いたいと思います——と私は考えております。ただ単に、実はマル・バツ式の御質問でありますために、厚生省としてお答えを御本人に送付すべきかどうかから、実は検討したいと申し上げましたのも、このような設問のしかた自体、むしろ逆に国民大衆の中に医薬品に対する不信をいたずらにかき立てるだけの効果しかないと、私どもは考えているからでありまして、先刻安永委員にもお答えをいたしましたとおり、何らかの方法において、この結果惹起された国民の医薬品に対する不安というものを除去するように、私どもはつとめてまいります。そうした点では、むしろ私は、高橋講師の御設問自体に多少御検討を願わなければならぬ点があるのではないかと考えております。
○沢田実君 だいぶ時間も経過をいたしましたので、私は二点についてだけ簡単にお尋ねをいたしたいと思います。 その一つは、生活保護の問題でございますが、この問題につきましては先ほどいろいろ議論がありました。そこで私がお尋ねをいたしたい点は——申し上げるまでもなく、これは憲法の第二十五条の精神に基づきまして、最低限度の生活を保障するためにできた法律でございますが、またもう一面、その次にありますように自立ということを考えてまいりませんと、その人は今後どう更生していくかということが非常に大事な問題ではないかと、こう思います。せんだって新聞等で問題になりましたように、不正に生活保護を受けているようなことは、これは論外でございますので、そういうことはなくしていかなくちゃなりませんけれども、この法の精神に合致した方々を保護していくということはたいへん大事なことじゃないか、こう思うわけです。そこで具体的にお尋ねをいたしたいのは、要するに生活保護を受けていらっしゃる方が、内職等で収入がございますと、その分だけ生活保護費のほうが減ります。法の精神からいって、これは保護の補足性というようなことで一定の基準に達しないだけ生活保護費をあげるのだという考えでございますけれども、実際問題としては、収入がありますとその分だけ引かれるような感じを受けます。そう申し上げますと、いろいろな事情も御答弁になろうと思いますけれども、実際問題、内職等をやっていらっしゃる方々は主人をなくして、子供をかかえながらうちで内職をやって、ようやっとその収入がありますと、その分だけ減ってしまう。こういうことではいわゆる第一条にあります自立の助長と言いましょうか、今後の更生という問題について合致しないのじゃなかろうか。こういうふうに考えますので、これは政策の問題になろうと思いますが、内職等の収入についてはその一定額まではもっと控除額を上げるとか、何かの方法で、要するに差し引かないというような政策を講ずることができないかどうか、基本的な考えをひとつ次官にお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(橋本龍太郎君) すでに沢田委員もよく御存じのとおり、現行の生活保護の上におきましてもいわゆる勤労控除というものを政府は設定しております。逆に申し上げるならば自立助長のために、また内職、あるいは内職ばかりではございません、一般的な勤労におきましても同じことであります。できる限りみずからの勤労意欲を持つ、みずからの勤労をもって、みずからの生活を安定さしていくように努力を願いたいという意思のあらわれであります。そのために勤労収入があるから、その分をまるまる実は控除をいたすわけではありませんが、それだけの勤労意欲を持ち、一般的な職業であれ、あるいは内職であれ、それだけの御努力を願う、それだけのプラスはあるようにということで、いま勤労控除という制度をとっているわけでありまして、この中身についての議論は別とし、制度的には私どもはむしろ生活保護のある方で、勤労意欲をなお失わず、御努力をなさっておられる御家庭に対しては、できるだけのお手伝いはしている。そういうつもりでいま制度を運用しているわけであります。
○沢田実君 確かにそのとおり、そういう制度にはなっているわけですが、その職種を見てまいりますと、いわゆる一、二、三の職種がございますが、たとえば一万円なら一万円の収入があった場合に、六割だけはそれならば控除してあげようというような仕事をみますと、馬車引きだとか人力車、あるいは輪タクだとか、あるいは伐採夫だとか、そういうような職種になっていまして、こんな仕事ができる人なら何にも生活保護を受けなくとも生活ができるわけです。そんなら、いま申し上げましたように、家庭で、たとえばミシンを踏んで若干の収入を得ようというような方になりますと、これは一の職種に属しますので、たとえば一万円自分で内職をいたしますと、三千四百二十五円の控除がありまして、六千六百円は結局なくなってしまう。よけい働いてもプラスにならないから、三千円働いてやめておけということにならざるを得ない実態なんです。ですから、控除についてもう少しお考えになることができないのか。いろいろな控除がずっとございまして、申し上げるまでもなく、収入と認定しないものだとか、あるいは勤労控除、基礎控除、特別控除、いろいろな控除があることはわかりますが、実際に生活保護を受けていらっしゃる内職をなさる家庭を見てみますと、これじゃはなはだ不十分じゃないか。こういうわけでお願いをしているわけです。
○政府委員(橋本龍太郎君) 沢田委員、よくお調べの上で御質問なので非常に答えずらい点なんですけれども、ことしの場合を申し上げますと、いま一万円程度、三千四百二十五円という例を引かれましたが、三千九百八十円、約四千円見当まで控除の対象に四十五年度の予算から実は行なうつもりにしておるのでございます。こういうふうに実態をできるだけ改善をしてまいることは、私ども今後とも努力してまいるつもりでございますが、制度自体をできるだけ生活保護を受けておられる方々に対して、よりあたたかい手を差し伸べられるように改善を加えていくことは当然であります。今後ともできるだけの努力はしてまいるつもりであります。
○沢田実君 その額の上昇は、物価の上昇等いろいろありますので、たいへんけっこうなことだと思うわけですが、それ以上に、もう少し抜本的に、一万円くらいのところはもうみんな控除してあげようというようなくらいの措置をしていただきませんと、いわゆる更生をするということはできないわけです。その点について、さらにまた御検討をいただきたいと思います。 もう一点でございますが、もう一点は精薄の問題について若干お尋ねをいたしたいのですが、精薄施設の徴収金の基準額をおきめになったわけですが、これはどういう根拠でこういうものをおきめになったのか、御説明をいただきたいと思います。こういうものをおきめになった根拠です。
○政府委員(坂元貞一郎君) 児童福祉法につきまして、これは先生御存じのように、児童福祉法のたてまえと申しますと、いわゆる所得にかかわらず、保護を要する児童がございましたら、法律の定めるところによりまして、都道府県知事なり市町村長が、それぞれいわゆる福祉の措置というものをとるわけでございますが、その場合、この福祉の措置をとった場合に、その費用というものは、法律のたてまえとしまして、本人または扶養義務者から徴収をする。こういうようなたてまえに相なっているわけでございます。したがいまして、そういうたてまえではありますが、本人なり扶養義務者におきまして費用の徴収に応じがたいというような場合は、国なり地方公共団体が、法律の定めるところによりましていわゆる代負担——かわって負担をする、こういう制度に相なっているわけでございます そこで、そのような制度を受けまして、児童福祉法は、法律の施行以来、この本人なり扶養義務者から徴収するいわゆるやり方等について、いろいろな仕組みをとって今日まできました。そこで、いまお尋ねの徴収基準というものにつきましては、児童福祉施設の中にいろいろ各種の施設がございますが、保育所につきましては、徴収基準としましてでき上がりましたのは三十三年でございます。それから、肢体不自由児施設につきましては三十五年でございます。それから、それ以外のすべてのいわゆる収容施設につきましては四十三年から全国的な、統一的な徴収基準というものをつくったわけであります。そこで、この徴収基準というようなものをどういうふうな根拠に基づいてつくっているのかと申しますと、いま申しましたように、法律のたてまえがそういうようなたてまえになっておりますので、私どもとしましては、児童福祉法の施行事務というものを都道府県知事なりあるいは市町村長というものにいわゆる機関委任をしているわけでございます。こういう機関委任というたてまえからいいましても、国と地方公共団体との間に、いわゆる一般的な機関委任の考え方からしまして、徴収基準というものをつくっているということが一つと、それからもう一つは、やや実際的な理由でございますが、各都道府県なり地方団体等でばらばらにこの徴収というものをやってもらいますと、非常にこれは不公平が起きます。したがいまして、国のほうである程度のめどといいますか、目安になるものをつくらなければいかぬ、またつくってほしいと、そういうような要望が非常に強かったわけでございます。したがいまして、そういう実際的な理由もございまして、先ほど申しましたような年次にそれぞれの徴収基準ができ上がっている。こういうことに相なっているわけでございます。
○沢田実君 基本になりますのは、児童憲章等が根本の精神になろうと思いますが、その児童憲章の十一条を見ますと、「すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。」と、こういうようなことが児童憲章にはうたってあります。また、それを受けて児童福祉法があるわけですが、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、こういうようなことがきめられていることは申し上げるまでもないわけでありますが、そういう精神に基づいて児童福祉法というものがあるわけですので、そのいまおっしゃった、いわゆる国及び地方公共団体が負担をした分については法の五十六条によって本人から徴収をするのだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、そうしますと、その所得によって金額は違いますが、ある程度の所得のある方は全額本人負担、こういうふうになるわけです。 で、もう一つの、精神薄弱者福祉法というのがありますが、その精神薄弱者福祉法の費用の徴収のほうを見ますと、「その負担能力に応じて、」「全部又は一部を徴収することができる。」と、こっちのほうは——児童福祉法の場合には徴収するようになっております、「徴収しなければならない。」と、こうなっておりますが、この、あとからできた法律のほうですと、「徴収することができる。」のだと、こうなっております。ですから、私は、この児童福祉法にしてもあるいは精薄者のほうにいたしましても、流れる一貫した精神というものは、全額本人が負担するというようなことではなしに、精薄の子供を持った親等は、これは、経済のいかんにかかわらず経済的あるいは精神的な負担というものが非常に大きいわけでございますので、そういう点からも、全額徴収というようなことではなしに、当然負担をしてくださるというような精神ではなかろうか、こういうふうに理解しているわけですが、実は昨年までは、各地方でも、いまおっしゃるようにばらばらな点もございました。で、実際には、昨年厚生省が基準をおきめになるような場合は、現在の三分の一ぐらいで私どもの地域では済んでおりました。厚生省がきめてくださったために三倍取られるようになりました。負担がそれだけ多くなりました。まあそういうわけで、私は非常に高いところでおきめになったのじゃないかと、もう少し低いところでおきめになってくださってもよかったのじゃないかというようなことを考えるわけですが、それにもいろいろな基準はあったろうと思いますけれども、いま申し上げた精神からいって、一定の所得の多い方は全額本人負担だ、こういう考え方は児童憲章等からいって私は違うのじゃなかろうかと思いますが、その点について次官のお考えはいかがでしょう。
○政府委員(橋本龍太郎君) 初めに実は、一つ数字を申し上げてみたいと思いますが、大体児童一人当たりの平均月額経費というものは約一万八千五百円程度かかっています。この中で、いわゆる住民税の均等割りだけを課税されている、いわゆるC1階層といわれる世帯、これは六百円を徴収し、一万七千九百円というものは公費をもって負担をいたしておるわけでありまして、これも、すべてこういうふうに使ってまいりますその金というものは、国民から納められた血税でありますし、非常に豊かな収入のおありの方まで国が全部支払わなければならぬというのも、これは私はちょっとどうかという気がいたします。ただ、いま御指摘のような問題の中にも含まれておりました、こうした心身に障害を持たれる方々を対象にした各福祉法あるいは具体法を含めまして、そのつくられた時期によってその内容にバランスのとれておらぬ点があるという御指摘も、その中にありましたわけでございます。そうしたことの解消のためでありましょうか、一昨年自民、社会、民社、公明、当時の四党の国対委員長の会談の結果、心身の障害を有する方々に対する対策というものを、一つの基準線に乗せるべきではないかという御議論から、四党が共同で、いわゆる障害者基本法というものをつくろうというような御意見も生まれ、検討が進められておるはずでありまして、こうした立法府のお考えを受け、その方向が定まりました時点で、私どもとしても、そうした点についてはあらためて考えてみたいと思います。
○沢田実君 四十八条には、児童福祉施設に入所中の児童の教育ということがございまして、「学校教育法に規定する保護者に準じて、その施設に入所中の児童を就学させなければならない。」と、こうなっております。そこで、いわゆる学校教育法に基づいて、もう一つこれよりも程度の軽いほうですが、養護学校に通っている人は学校教育法の関係になりますので、これは向こうで給食を含めまして千何百円かで済むわけです。それより若干程度の悪いのはこの精薄の施設に行くことになります。そうしますと、いま申し上げましたように、いま次官は一番安いほうを言われましたけれども、高いほうですと、通園して九千何百円、こういうふうになるわけです。それからもっとひどいのになりますと、うちに寝たっきりのがおります。それは国の施設も非常に少ないわけですから、宝くじに当たるくらいしか国の施設には入れません。そのうちの寝たっきりの人は二千円程度の手当が出ますけれども、所得の制限があって、所得の多い人には一銭もない。ですから、軽いほうの人が非常に厚くて、重いほうの人が非常に薄いという、こういうふうな関係と、それから学校教育法による養護学級に通っている人との比較、こういう点があるんですが、その点はどんなふうにお考えでしょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに御指摘のような問題点があることは、私どもよく承知をいたしております。しかし、そのケース——いわゆる養護学校に通われる児童に対する学校教育法の中身で議論される、また、児童福祉法の内容で議論をされる、これは率直に申し上げて、その両者が行政体系を異にしておりますために、こういう問題が出ておるわけでありまして、これらの私の記憶しております範囲では、障害者基本法の御議論の中で、ある程度の方向が示されておるように伺っております。こうした点も将来の調整の課題であることは間違いはございません。ただ、先ほど、安いほうだけを私は例にとったと言われましたが、沢田委員が御指摘になりましたその一番高い部分をとりましても、国は半額以上の公費負担をしておるわけであります。実際にかかる金額の半ばをやはり国は公費負担をしておるわけでありまして、ある程度やはり収入の多い方については、御自分のお子さん、あるいは御自分の身辺の方のことでありますから、でき得る方には、やはり御自分の御家族に対する愛情をもって接していただく上からも、でき得る範囲内の負担をちょうだいすることは、私どもはやむを得ないと思います。
○沢田実君 九千何ぼと私が申し上げたのは通園でして、収容施設に収容しますと一万何ぼになるわけですから、全額負担なんです、かかった全部を……。
○政府委員(橋本龍太郎君) たまたま指摘をされた数字が、その数字だものですから……。
○沢田実君 九千何ぼは通園ですから。ですから、私が申し上げたのは全額負担というのがあるのです。要するに、それは税金が十五万六千円、いわゆる六千一円以上の人——こういう人は本人の全部負担なんです。ですから、先ほど申し上げた児童憲章の精神にしても、あるいはいま問題になっておる児童福祉法の精神にしても、あるいは精神薄弱者のほうですね、その福祉法の精神にしましても、確かにいまおっしゃった収入が多いんだから、全部おまえ持っていいのだというのは、収入の多い人は多い人で税金を出しておるのだから、そういう子供を持った人に対して、厚生省としてもう少しお考えになっていただいてもいいのじゃないか。なぜかと申し上げますと、この徴収基準は厚生省がかってにきめたんですよ。そうして同じ児童福祉法という同じ法律のもとにありながら、三十五年にきめたいわゆる肢体不自由児の基準と、いま申しております精薄児の基準とは徴収の金額が違うのです。法律は同じなんです。そういう点はどうでしょうか。
○政府委員(橋本龍太郎君) いま全額負担のことを言われましたが、その分から最初にお答えいたしますと、全額負担を願っておる所得階層というものは、年収百七十三万以上の御家庭であります。その金額を考えてみます場合に、それだけ多くの所得のおありの方にまで国はできるだけの費用を助成していく、一方、所得の少ない方にも、なお幅を広げて負担を願うほうがいいのか、あるいはむしろ徴収をしない、所得の低い方々にできるだけ手厚く保護を加えていく、ある程度以上収入のあるその方々については、そのかわり御負担を願うという考え方がいいのか、これは両論がありましょう。しかし私どもは、少なくとも年収百七十三万以上の収入のおありの方々に助成をいたすよりは、その分の金額で、少しでもボーダーラインの方々の負担を軽減してあげるほうに力を入れたいと、率直に申し上げて考えております。 また、統一基準を厚生省がかってにきめたというお話でございますけれども、むしろ、なるほど形の上ではそうかもしれません。しかし現実に、非常にばらばらでありましたその基準を何とか一本化してもらいたい、一つの姿を示してもらいたいという各県の要望にこたえて、実はこの統一的な基準というものは策定をしたわけであります。これはむしろ、地方においては個々の家庭の実情に応じて弾力的な実施を厚生省としても指導している次第でありまして、その中身については、いま申し上げたような観点であります。むしろ徴収基準については、保護者の負担能力等を十分に勘案しながら、客観的に見て妥当性のあるものにしていくように、今後ともつとめてまいるつもりであります。
○沢田実君 もう一点。二つは違うのです、基準が違う、肢体不自由児と。
○政府委員(橋本龍太郎君) これは、実は先ほど申し上げたことと同じことになりますので、実は省きましたのでありますが、はっきり申し上げて、わが国の心身障害者対策の中で一番歴史的に強く推進されてきた肢体不自由児、またあとから追っかけて大きく取り上げられ、そうして推進をはかられてきた精神薄弱関係、こうした、これがバランスがとれておらないという点は、御指摘のとおりでありますということを先ほど申し上げた。むしろそうした実情を一つのレベルに乗せていくために、立法府として、現在四党が共同で基本法の策定の作業をしておられるという状況のもとであります。むしろ私どもは、そうしたバランスのとれないものの、当然是正につとめてまいりますと同時に、この基本法というものが生まれ、一つの基準を立法府として示されることに対しても、実は大きな期待をかけておるわけでありまして、そうした点の問題点を、将来ともに検討は続けてまいりたいと思っております。
○沢田実君 次官のおっしゃる先のことはわかるのですけれども、昭和三十五年に肢体不自由児の基準をきめたわけですよ。四十三年に今度精薄のほうをきめたわけですよ。せめてこれくらいできめて下さってもよかったのに、高くきめたわけでしょう。同じ法律がもとなのに片方はあげないわけでしょう。きめるならこっちにしたらいいじゃないかとぼくは言っているのですよ。いま次官のおっしゃる、先に何とかと、これはよくわかります、これは。だけれども、あらためて一本にしたというわけではないのですから、これはどういうわけですかとお尋ねしているわけです。
○政府委員(坂元貞一郎君) 肢体不自由児施設の徴収基準が、先ほどお話のありましたように、時期的には先行いたしておるわけであります。そこで肢体不自由児施設の徴収基準と、それからその他の収容施設の徴収基準は二本立てにはなっていないわけでありますけれども、四十三年度の時点におきまして肢体不自由児の徴収基準を基礎におきまして、その他のすべての収容施設の徴収基準を包含いたしたわけでございます。で、そのとき、いまお尋ねの、なぜ肢体不自由児施設の徴収基準のままにしておかなかったのかという御質問でございますが、四十三年の時点において、その当時の生計費とあるいは物価、そういう経済的な諸条件というものを考慮いたしまして、四十三年の時点において収容施設全般のいわゆる徴収基準というものを新たにつくったわけでございます。したがいまして肢体不自由児の徴収基準が四十三年以前に先行しておったわけでありますが、それをそのままの形で四十三年の時点で徴収基準に焼き直すということは、これはかえってまた不合理な点があるわけでありまして、やはり新しい時点における新しい客観的なデータに基づく徴収基準をつくるべきだというのが、われわれの考え方でございますので、したがいまして微収基準というものも、たてまえとしては年々変えていっているわけでございます。ただ、いま問題になっております収容施設の徴収基準につきましては四十三年につくりまして、以後今日まで改訂をしておりません。と申しますのは、やはり収容施設全般の徴収基準につきましては、先ほど来からお話がございますように、できるだけまあいわゆる扶養義務者なり保護者の方の負担の軽減をいたしたい、物価の変動等において自動的に改定をするということもできるだけ差し控えてゆきたいということで、四十四年度も改定を加えておりません。したがって、四十五年度はどうするかという問題が、これから起きるわけでありますが、私どもの気持ちとしましては四十五年度の収容施設の徴収基準は、できるならば変更したくない、こういう気持ちでおるわけでございます。ところが片一方、保育所等は、徴収基準につきましてはやはり毎年毎年これは改定をやってゆく、こういう現状に相なっておるわけであります。
○沢田実君 いま御説明をいただきましたように、この金額をきめるについては、要するに審議会にはかったわけでもありませんし、厚生省できめたわけですので、いまおっしゃるように、上げないでおこうとおっしゃれば、上げないこともできるのだから——いまのお話によると。ですから、私はもう少し安く、できるだけ御考慮いただきたい。去年突然三倍になったわけですよ。ということは、その父兄のいろいろな訴え等もございまして、いまおっしゃるように相当の収入がある人だったら負担してもいいのじゃないかというお話もございますけれども、実際にそういう子供を持った親は、朝何時にバスが来るところまで送っていきまして、午後一時半とか二時になったら、そこまで迎えにいかなければなりません。というようなことで、たとえば、主人が働いて、奥さんはかかりっ切りになっている。家に寝た切りの精薄、これももうたいへんなことですけれども、それに通園している場合も、内職もできないような現況であるのが——勤めもできないような現況であるのが、こういう子供を持った家庭の実情なわけですから、そういう点もひとつ考えていただいて、厚生省において全く金額をきめることができるわけですから——厚生省のお考えでどうにでもなるわけですから、そういう点で私は、御一考をいただきたいということを申し上げているわけです。肢体不自由児のほうは前にきめたのだから安くてもいいのだ、精薄のほうはあとから運動してきたのだから高くてもしようがないのだというようなお話のように聞こえますけれども、その点も、先ほど政務次官がおっしゃったように、なるべく早い時点で前向きの姿勢で検討したいということですので、これ以上は申し上げませんが、学校教育法との矛盾もありますし、そういうように百七十何万とおっしゃいましたけれども、月十万円くらい月給を取っていれば、それだけになります。ですけれども、現在の生活費から考えれば、そのくらいの収入では全額負担ということは実際問題ひどいことです。たとえば月十万ちょっともらっている人が施設に入れておきますと、一万八千何がし取られるわけです。十万の中から一万八千何がし取られるということは、たいへん生活に響くことですから、百七十万もらっているから全部負担してもいいじゃないかとおっしゃいますけれども、実際の生活ということを考えますと、そんな現状ではないことも十分ひとつお考えをいただいて、前向きの姿勢で御検討をいただきたいと思います。次官からもひとつ大臣に相談をいただいて、われわれの趣旨をよくひとつお汲み取りをいただきたい、こう思います。よろしくどうぞ。
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに御質疑の御趣旨の分に関しましては、厚生大臣にそのとおり報告をいたしますし、省もまた検討をさせていただきます。
○沢田実君 以上で終わります。
○委員長(松本賢一君) それでは他に御発言もないようですから、厚生省及び労働省の決算につきましてはこの程度にいたします。 散会いたします。 午後四時三十八分散会