決算委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/07/09
会議録
○委員長(森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 昭和四十三年度決算外二件を議題とし、前回に引き続き総括質疑を行ないます。 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 きょうは総括でありますので、各省にわたって大体基本的な問題だけを尋ねて、残された問題については各省別の日に続けたいと思うのですが、まず第一は、防衛庁長官にお尋ねをしますが、今東光さんのあちらこちらでの発言が物議をかもしていますが、私はここで今さんの思想を問題にするつもりはありません。私が問題にしたいのは、今さんが五月十六日、陸上自衛隊新発田駐屯部隊の隊員が集まっているところで話をしているという、そのことであります。警察官には警察教養ということが言われると同じように、自衛官には自衛官の心がまえ――私はここに、昭和三十六年六月に防衛庁が出している「自衛官の心がまえ」という冊子の写しを持っていますが、そうした自衛官の心がまえといいますか、精神訓練といいますか、教育といいますか、そういったものが施されてきたと思うのですが、自衛官も公務員である以上、その場合、まず強調されなくてはならないことは、憲法第九十九条でいうところの憲法順守の義務だと思うのですが、長官いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まことに同感でございます。
○和田静夫君 隊外から人を招いて隊員に話を聞かせるといったこともまあ間々あると思うのでありますが、その場合、その人たちにおのずから一定の基準というものがいまの憲法九十九条との関係で出てくると思うのであります。憲法を常日ごろ平気で罵倒するなどというような方々は、その講師として外から招く場合には本来的にはふさわしくないと思われますが、その点についてはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点も同感に存じます。
○和田静夫君 そういう観点に立ちますと、新発田というところは私の地元の一つでもあるのでありますが、今度の場合、どういう経緯で隊員の前にお立ちになったかはいまここでは問いませんが、以上二点の観点に立ってはあまりふさわしくなかった。こういうふうに私は考えますので、十分その辺の趣旨というものは防衛庁長官として今後十分に考慮の中に入れていくべきだろうという私の意見を述べておきたいと思うのです。 去る六月八日の米国の下院の歳出委員会では、沖繩の返還、日本の防衛力増強との関係で、三沢、横田の両基地の使用の長期的見通しが質問の中心になったと報ぜられています。「これに対して国防総省の当局者は、「沖繩返還によって七〇年代に向かう日米協力関係の基盤ができた」という佐藤総理の発言を引用して、在日米軍基地が予想される限り確固不動のものであり、日本が自衛力を増強しても、三沢、横田両基地は主要基地として米軍が使用することは変わらない。」という見解を示しています。また、そういうふうに伝えられています。その委員会は三沢、横田基地の拡充費として三百四十八万ドルを承認しています。先般、三沢の基地の中に核災害に注意というしるし、白十字のしるしが見つかって、三沢には核が装備されているのではないかということが話題になりました。これはまあ内閣委員会でしたか、予算委員会でも問題になりましたし、あるいは幾つかの週刊誌も特集記事を載せておりましたが、在日米軍基地が縮小、整理される中で、三沢、横田などの主要な基地は明らかに性能アップされていると判断されます。その結果、在日米軍基地は全体として米軍極東戦略の中で強化されていっているのではないか、そういう意味で沖繩返還に伴う本土の沖繩化の危険というものが増しているのではないかと考えられるのですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三沢、横田の両米軍基地の建設工事予算につきましては現在アメリカ議会で審議中のようでございますが、公表された限りでは、現在の基地の設備上の不備を是正することが主でありまして、この両基地を特別に強化拡充するというようなものではないと思われます。すなわち、変電施設の改修、航空貨物施設の拡張等の費用が計上されております。私は、長期的に見ますと、もし平和がこの程度で持続するならば、アメリカの極東における軍事予算というものは次第に削減の方向に行くのではないかと、私自体は予測しております。そういう予測がもし正しいとするならば、三沢、横田基地が強化されるということは必ずしも想定されないのではないか、全般的に見たら、勢力は少しずつ削減と申しますか、整理縮小と申しますか、それはまあ客観情勢にもよるでしょうけれども、大局的全般的に見たらそういう方向に行く傾向にあるのではないか、つまり、アメリカの内部におきましても非常に内政重視の傾向が出てきまして、現在の七百億ドル台の軍事予算をさらにもう少し切ろうというような動きが国会内部にかなり強くあるやに聞いております。そういう点、全般を考察してみますと、この平和が現在程度に持続されていくならばそういう傾向にあるのではないかと、私は長期的観測として観測しているわけであります。
○和田静夫君 そうしますと、いま申し述べたような形での三沢、横田の主要基地の性能アップということは現実には起こっていない、そういうことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そうであります。大体この設備上の不備を是正する、そういう程度でございます。ただいま申し上げましたように、貨物関係施設の建設費補強とか、あるいは変電所の問題とか、そういうようなものが主でございまして、軍事力強化というような意味における直接的なものではないようであります。
○和田静夫君 この六月八日の米国の同委員会は、三億六千五百万ドルという弾道弾要撃ミサイル綱――ABMの建設関係費を承認しています。そうすると、そのABM関係施設が在日米軍基地に配置されているということになると思うのですが、これは事実ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカのABMは、アメリカ国内に基地を建設するということでああいう騒ぎが起きておるのでありまして、初め都市付近にというのを軍事施設付近にというふうに改め、アメリカ国内の軍事施設を防護するという形でいま議論が展開されておるのでありまして、海外、特に日本とは関係ございません。
○和田静夫君 ところが、私、先日北海道の北の果て、稚内に行って帰ってきたばかりでありますが、稚内の住民はいま申し上げた関係施設が稚内にあるのではないかという明確な疑いを持っています。その疑いはいろいろ調査をいたしました。したがって、その疑いについて解明への意味での答弁をいただきたいわけですが、根拠の第一は、みさきの北面に巨大な三次元レーダーと七組のアンテナ群が見られることであります。これは海上に船を出して見ましたし、裏山に登っても見ましたが、中心的な部分が外からは見えないようになっているのがなお微妙ですし、本来あった灯台が何のためか知らないが灯台にふさわしくない低地に移されている。こういう状態も実はたいへん疑問を呼ぶ原因の一つでありますが、その巨大な三次元レーダーは、アメリカ空軍の人工衛星追跡用の三次元レーダーと同種のものでありまして、超高速で飛ぶといった物体を探知する御存じのようなレーダーである。それとともにある七基のピンポン球のようなものは、おそらく白いプラスチックの内に翼を横に広げたような複雑な反射装置と輻射装置、数百メガサイクルの超短波ビームのアンテナを秘めていると推定され、同じ数の黒い矢の形の超短波ビームアンテナもそれと連動するものと思われる。この推定が正しければ、この七基のアンテナは、七基のミサイル発射機の存在が裏づけられるというように説明されるのでありますが、これが第一のポイントです。時間がありませんから続けますが、第二の根拠は、稚内の地理的条件であります。アメリカ本土に向かって飛ぶICBM――大陸間弾道弾は、北極寄りの大圏コースをとるその弾道ミサイルは、時間とともに加重されていくので、理論上探知できるのは命中の十二分と十六分といわれています。とするとICBMを要撃するのには、アラスカでは近過ぎる。相手にミサイルを直撃することは不可能でありますから、爆発圏内でそれをとらえて撃破する。そうすると核爆発による強い中性子によって相手の弾道を無力化することができる。いずれにしろ、みずからの核弾頭でなくてはならない。ABM自体の弾頭が水爆でありますから、自国領空での核爆発は避けられない。そうすると稚内は、ソ連、アメリカ間の大圏コースを結ぶ逆三角形の頂点に当たり、オホーツク海の内ふところ深く突きささっており、アメリカが自由に使える地点は稚内の北西の場所――ほかにないという点で、かっこうな場所であると私も現地を視察して考えます。これらの論点で考えてみますと、稚内の基地には航空自衛隊の直属の警務隊が配置されていますが、条約の中に、日本または極東の安全はうたってありますけれども、日本側がアメリカ本国の防衛の責任を負わなければならないということはどこにも書いてない、そういうことが思い当たるのですね。これら三つの問題について、稚内の住民はたいへんな疑いを持っておりますし、私自身もいろいろ調査をした結果、これは全く根拠のないものではないと思う。長官、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 稚内に核兵器あるいはABMが存在するということはないと思います。このことは明確にしておきたいと思います。第一は、日米間の約束におきまして、核兵器の導入ということは事前協議の対象であり、かつ日本側としては、とにかく非核三原則を堅持しておる。アメリカはこれを了承しておるのであります。第二は、これは技術的な問題に当たりますけれども、いまのABMというものは、アメリカ国内の予算等を見ましても、アメリカの国内において建設するということで進んでおるのでありまして、外国にそういう基地を設けるということは、アメリカ国内の議会の証言、あるいはそのほかのあらゆるデータ等を見ましても、われわれは発見することはできません。第三は、稚内のような露呈されておる、しかも非常にソ連と近いという場所にそういうものをつくるということは戦略的に見ても考えられないことではないか。大体ああいうものはサイロに入れて秘匿しておくべきものでありまして、外国に、しかも一番近い場所にそういうようなものを置くというようなことは、軍事常識的に見てもちょっと考えられない。まあそういういろんな点を考えてみまして、私はABMないしは核が存在することはないと確信しております。技術的な問題は局長から答弁させます。
○説明員(宍戸基男君) アメリカのABM計画は、先ほど大臣からもお答えのように、具体的に申し上げますと昨年十二月に米議会で承認されておりますが、それはグランドフォークスという基地とマームストロームという基地でございまして、そこで建設が進められ始めたというところでございまして、それ以外の基地につくるという報道、情報は全くございません。 それからABM組織といいますのは、ミサイルとレーダーで組み立てられておりますけれども、核がありますのはスパルタン及びスプリントというミサイルでございますが、こういうものはもともと目的がICBMの核抑止力を保護しようというところにあるわけですが、そういうスパルタンなりスプリントを現在米本土にありますICBMを守るために、海外の、日本の稚内方面にそういうミサイル基地をつくり、ICBMを守るためにスパルタンなりスプリントの基地をつくるということは、技術的にも全く考えられない。現在米本土にありますICBMの付近にそのスパルタンなりスプリントというミサイル基地を今後建設しまして、そしてそれを他の核攻撃から守るというための計画でございますから、稚内に置くということは全く技術的にも考えられない、かように考えます。
○和田静夫君 昭和四十年の七月、相模原市のキャンプ渕野辺に、翌年の十二月までの間に四回に分けて、北は稚内の通信施設から九州の佐世保海軍施設に至る全国十二基地に対して、米軍から電波障害制限地域として政府に要求がありましたね。その後の経緯と、この補償問題はどうなりましたか。
○説明員(山上信重君) 十二施設の周辺に電波障害の防止のための区域を設置してほしいという要求が米側から出ておることは、今日でも変わりございません。これらの問題を討議するために特別の委員会を合同委員会のもとにつくりまして検討いたしておるのでございますが、今日までのところこれについて具体的な決定を見るに至っておりません。十二施設の電波障害制限区域を設定するということは、国民に対する影響もきわめて大きうございまするし、いろいろな点からわれわれといたしましては米軍自体の通信機能の能率をもっといい性質のものに上げるというようなことも合わせ考えて検討いたしていくべきではないかというような趣旨から、検討を求めておるのでございまして、今日まで具体的な結論は得ておりません。したがいまして周辺に対して設定をいたすとか、あるいはまた、それのための補償をするという事態は起きておらないわけでございます。ただ御承知のように上瀬谷の通信施設には従来から制限区域がございましたが、これにつきましては昨年並びに本年と二回にわたりまして、この制限を大幅に緩和いたしております。そういうような経過になっておりまして、この周辺につきましては今日なお制限区域が存在しておるという実情でございます。
○和田静夫君 そこで、いま言われた趣旨の前段ですね。全国十二カ所の部分についての折衝がずっと続いている。米側に高性能のいわゆる電波機能というものを求める。言ってみれば米側のいまの要求というものを、わが国としては受けるつもりはないと、そういうふうに理解をしてよろし いですか。
○説明員(山上信重君) そういったような検討の結果、どうしても必要やむを得ないという事態が起きた場合には、これはさらにあらためて検討せにゃならぬかと思います。いまはそういった意味合いにおいて、双方でそういうことができるかどうかを検討しておる段階でございます。
○和田静夫君 一部に制限地域がある。こういう前提のもとに立って、他のところに――言ってみればあなた方の譲歩の上に立って、制限地域ができないという保証はないということですね。
○説明員(山上信重君) まだいたさないと決定したわけではございませんが、いろいろな周辺の実情等を勘案して検討いたしておるという段階でございます。
○和田静夫君 その検討というのは、特別委員会での検討ですね。そうすると、その特別委員会での検討の結論を出されるのは、いつごろですか。
○説明員(山上信重君) 目下のところ、いつごろ結論を出すかということは、まだ予測いたしかねる実情でございます。
○和田静夫君 その結論を出すのがいつごろであるかということが予測ができないというのは、言ってみれば技術的に予測ができないということではなくて、米側の要求の強弱の度合いとの関係で予測ができない、そういうことですか。
○説明員(山上信重君) それは総合的に言いまして、米側の強弱の問題もございまするし、技術的な問題もございます。いろいろな面でまだ具体的にしからばどういうふうにしたらいいんだというような、まあ何といいますか、具体的な措置についての解明ができておりませんので、したがいまして今日まだ結論を得るに至っておらないというのが実情でございます。
○和田静夫君 この問題については、まあ防衛庁のときにもう一ぺん続けますが、ともあれ、米側の要求が、言ってみれば無条件とまでは言いませんが、非常にかれらの要求が取り入れられた形でもって、この問題が解決をするというようなことのないように十分注意をしてもらいたいと思います。 防衛庁への最後にいたしますが、防衛施設庁の関係で、米軍のキャンプ王子ですか、あるいはグランドハイツあるいは調布飛行場、その返還に伴って、米軍が三沢に一戸一千万円で計千戸ですか、そういう住宅要求をいたしましたね。これは結果はどうなりましたか。
○説明員(山上信重君) グランドハイツ並びに武蔵野住宅を含めたグランドハイツの移転等につきましては、これは現在そこに武蔵野を含めまして、二千百戸くらいであったと思いますが、住宅がございます。これらの移転を条件にグランドハイツを返還せしめるということが、かねて日米間で協議せられておりまして、その方針のもとにわれわれといたしましては、約四カ年の計画でこの住宅を他の米軍施設内に移転させるという前提で、本年度につきましては三百戸分の予算を計上いたしておるのでございます。三百戸分を他の施設内に移設させるということで、この移転先につきまして、現在米側と話し合っておるのでございますが、それらの中には三沢というのもまだ一部入っておるのでございまするが、ただこれは具体的に、じゃどういう数字にするかということは決定いたしておりません。その他につきまして、要するに三百戸の一部について三沢を米側が希望しておるということはございまするが、それ以上のことにつきましては、われわれといたしましては全然承知いたしておりません。したがいまして一千戸というような数字についてはわれわれ承知いたしておらない実情でございます。
○和田静夫君 ともあれ、数は報道の問題ですからあれですけれども、アメリカ側が、いってみればその返還のたびに、そのときどきにほしがるものを要求する。それを前提的な条件としてあなたのほうは受けて立つ、いまの答弁を聞いていますと、数の問題は別にしても、大小は別にしても、そういう形のものを受けて立って日本側の負担でつくっていくなどというようなことが、今後たとえば七二年沖繩返還に伴って各所で起こる、そういうことが考えられます。したがって、あなた方もそういう不当な要求に対してはもっと強い態度で臨むということが求められなければならないと思うのですが、そういう点についてはいかがでしょう。
○説明員(山上信重君) 現在住宅施設でありまするグランドハイツにつきましては、これを返還という場合において、他にこれに相当する住宅をつくらないということもむずかしいかと思うのでございます。と申しますのは、それに住んでおる者は米軍の軍人、軍属、家族等であるわけでございまするから、それらのそういったような要求は必ずしも不当とも申せないのではないかと思っております。ただそういったものと関係のない要求、さきにも一般的な住宅建設の要望ということが米側から出ておりましたが、これらにつきましては、われわれといたしましても、国民感情なりあるいは日本の財政等も十分に考えて慎重な処置をいたしてまいりたい、かように考えておるのでございます。 なお、施設の返還に伴いまして、これらは無条件で返還するという場合もございますが、米側として現在そこにある施設の身がわりの施設、あるいはこれと同等の施設等を要求する場合もあります。これらにつきましてはケース・バイ・ケースで、われわれとしても必要なものであるかどうかを十分検討の上で、これに対して処置してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○和田静夫君 最後に防衛庁長官にお尋ねしますが、いまの問題ですが、こういうような形のものをケース・バイ・ケースで処置をされると言うけれども、いってみれば、それらに対応性を持つということになると――受け入れるということになってくると、私は今後譲歩は限りないものになる。そういう危険性、いってみれば米軍のペースでもってこういうような家屋の移転などというようなものまでが押しつけられるなどという悪例を残すおそれが十分にあると思うのです。したがってそういう不当な要求はやはり強い態度ではねる、そういう態度こそが望ましいと思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民感情というものは政治の非常に重要な要素でございますから、国民感情をよく考慮いたしまして、米軍と適当に調整するように努力してまいりたいと思います。
○和田静夫君 それじゃ法務大臣に。防衛庁、けっこうです。 法務大臣の司法修習制度の改革案に対して、若干のお尋ねをこの機会にしておきたいと思います。小林法務大臣は、昭和三十九年八月の臨時司法制度調査会の意見書の意見に対するどのような判断の上に立ってあの案を出されましたか、基本的な問題をまずお聞きします。
○国務大臣(小林武治君) 司法修習制度に関する臨時司法制度調査会の意見というものは、要するに法曹一元化ということは、趣旨としてはこれが円滑に実施されるならばけっこうな一つの考え方である、ただこれを実施するに必要な基盤である条件が整っておらないと、こういうことを言われておりまするし、なお、これらの条件は、それでは今後整うかというと、その見通しもはっきり持てない、こういう事態であるが、こういうことを頭に置いて今後の運用にも当たるように、こういうふうにとっております。で私は、いままでの状態、過去二十年の経験から見れば、要するにこの報告にあるように、これらのことが実現されるための条件は整っておらないし、将来においてもなかなか整う見通しはないと、それで、いまの司法修習制度がこのままで私はよいとは思わない。したがって、この問題を再検討する時期であると、こういうことを申したのでありまして、またこれからお尋ねがあるかもわかりませんが、それじゃその方法等についてはまだきまった意見が出ておらぬからこれを検討をしておると、その当時新聞にも、再検討をしたいということは私は総理大臣に申し出たのでありますが、その方法をどうするかというようなことについては申しておりません。いまこれらは広く皆の考えを聞いてまとめたい、どれがいいかということをこれからひとつきめていきたいというのがいまの状態でございます。
○和田静夫君 臨時司法制度調査会の意見書の第一編の第一章は、いま言われた法曹一元化の沿革になっております。そこで冒頭、法曹一元といわれることの意義についてこれも四つに大別をしておるわけです。その2に、「裁判官、検察官及び弁護士が司法制度のにない手としての共同の使命を自覚し、相互に他の職務を理解し、尊重し合うとともに、これらの三者が親密感、一体感をもち、三者一体となって司法制度の適正な運営に協力すること。」ということをあげておることは指摘するまでもありません。この法曹一元ということの四つの意義については、いま言われたとおりずっと検討をしていくわけですけれども、この二番目の意義で使われる法曹一元化については、こういうふうにいっていますね。「2の意義における法曹一元は、主として精神面ないしは理念の面に関するものであって、その意味するところ自体の妥当性については疑問の余地がなく、従来からこれが繰り返し主張されていることは、けだし当然のことであろう。」、大臣は、このことについては異議がありますか。ありませんか。
○国務大臣(小林武治君) 異議がありません。それはけっこうな考え方だと思います。
○和田静夫君 そうしますと、司法試験合格後の研修期間を、いま大臣はまだ固まったものがないのだと、こう言われますが、大臣のいろいろの話をされていることなどからの類推を前提にして、たとえばアメリカのように、裁判官というのは社会的な経験が豊富であるほうがよろしい、したがって、弁護士を一定期間経験をしながら、その中からなどというような形で裁判官を選び出すということならばまだしも、いま一部伝えられているように、初めから検察官と裁判官との志望者、弁護士の志望者などというような形のものをとって、そして裁判官や検察官は司法修習制度、いまのような形かどうかは別として、国家の費用で、弁護士は弁護士会でなどというような形に分割するという、伝えられる小林法務大臣の案といいますか、あるいは固まったものでないにしても一部にあるその指向、そういうものは、いま言われたようにだれもが異論がない法曹一元に私は逆行すると思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(小林武治君) 法曹一元化というものはどこに重点があるかというと、むろん精神的な一体感、こういうものを持つことが必要でありますが、私は一番の重点は、具体的に申せば修習を受けた弁護士が裁判官になることではないか。現にアメリカの一元化というのは、すべて弁護士として相当経験を積んだ者のみが裁判官になる、こういうことであって、こういうことが頭にあってああいうふうなことばも主として出てき、それからして修習の方法もそういうところに私は重点があってできたのではないかと思うのでありまして、弁護士になられた方もやがて経験を積んでりっぱな裁判官に相当の人がなってくれる、こういうことが非常に大きな期待であり、あれの出た一つのそういうふうな理由になっているのではないかと思いまするが、弁護士から裁判官になることは私は非常にけっこうなことだと思うし、アメリカでもイギリスでもそういうことをやっておるから、そういう方向に向かうことはきわめて私は必要なことだと思いますし、法曹一元化というのは具体的に言えばそういうところに一つの重点があったのではないかと思うのであります。ところが、戦後の二十年間の経験によっても、日本のいまの裁判官の制度等においては、弁護士の優秀なと申すか、とにかく新進気鋭な人が裁判官にかわるということはほとんどありません。これは、私はこれを始めたときの趣旨に大いにもとっておるのではないか、こういうふうに思うのであります。で、これが私どもが言い出した原因は、いま日本でも裁判官も検察官も非常に欠員に悩んでおるのでありまして、なぜこういうふうに欠員が多いか、しかも法曹一元化と称していまのような修習制度を一体的にやっておるのにこれらの志願者が非常にない。そして現に私どもの検察官でも、とにかく百人もの欠員があって埋められない。手がずいぶん足りないから予算の要求をしたいが、とにかく欠員さえ埋められない。こういうことで、ことしの予算等においても検事の予算定員の増加ということは遠慮を申し上げておる。裁判官においても、裁判官が足りなくて困る、こういっておりながら裁判官が得られない。そして最高裁等においても非常な苦労をして裁判官を何とか獲得したいとやっておるが、これは要するに、いまの日本の弁護士と日本のいまの判検事との待遇あるいはその他の状態においては交流はできない。現に私ども検察官を調べると、一年に一人もなりません。弁護士から検察官になる人はせいぜい一人か二人あるかどうか、こういうことであって、いまでは検察官がやめて弁護士になる、裁判官がやめて弁護士になる、こういう事例が多くて、これのねらった逆の流れ方をしておる。裁判官も検察官も定年になればみんな弁護士になる。ですから弁護士の給源は幾らでもあるが、裁判官と検察官の給源がきわめて乏しい。こういうことを考えれば、私は修習制度にも何らかの欠陥がありはせぬか、こういうことを考えざるを得ません。いま私どもの大事なことは、やっぱりいい裁判官を得、いい検察官を得るということが私は国家活動の上において非常に大事なことだと思うが、いまの修習制度でその目的が達せられるかどうかということについて私は強い疑問を持っている。こういうことからも、これを何とか検討しなければなるまいというふうなことを言うておるのでございます。
○和田静夫君 まあ、アメリカなどのように、弁護士の中から裁判官になっていくというのはちょっと別にして、いま伝えられているところの形のことを前提にして申し上げておるのですが、そしてその危険性を考えるから私は申し上げておるのですが、弁護士の養成だけを別の機関でやるということにたとえばなるとします。そうすると、やっぱりそれは戦前的な制度のなごりとしてまだある、言ってみれば在朝在野の対立感を助長することになる。そういうふうにたいへん心配をされるわけです。 そこで、臨時司法制度調査会の意見書は、確かに法曹一元の制度の長所あるいは短所を並列的にあげております。しかし、その制度への移行を一応好ましい方向であるという前提に立って、第七章で「法曹一元の制度が実現されるための前提条件」として十二項あげているわけですね。この前提条件を整えるために、政府はそれじゃいままで 一体――いまの答弁とのうらはらの関係ですが、どのような努力をされてきたのですか。
○国務大臣(小林武治君) いま実は私、弁護士を別にするとか、国家の経費がどうこうということじゃありません。アメリカでも弁護士は民間で養成しておる。英国でもそうなんです。国でもってやっておるということではありません。ただ、いま特に日本が国でやったのは、出発そのものについてはいろいろと議論がありますが、私はやっぱり法曹一元化というものは民間と――いわゆる弁護士と公務員との交流、こういうことをある程度頭に置いて、全体をひとつひっくるめて国で養成する、こういうことに私はなったのではないかというふうに想像をしておりますが、この点についてはどなたもはっきりしたことを申しません。 そういうわけで、国でもって養成しているということは、必ずしもこれはよその国ではやっておらぬというのは御承知のとおりでありまして、弁護士を万一別にしましても、国から経費は出さぬでもいいとか、弁護士会単独でやればいい、こういうようなことをいま別に言うておるわけじゃありません。ただ、これらをいかにしたら要するに日本が判検事の確保ができるか、こういうことに大きな重点を置いて考えておるのでございます。 さようなわけで、イギリスなりアメリカなりの裁判官の採用制度が非常にうまくいっておるというのは、要するに弁護士がなるからだ、こういうことであるから、政府当局においても、弁護士会には、もう始終何とかひとつ優秀な人を判事のほうに推薦をしていただけないか、こういう努力は相当強くいたしておるのでございます。それで、最近も、私は、たとえば日弁連の会長にも、とにかく判事は弁護士からこなくて困る、何とかあなた方は努力をしていただきたいと、こういうことを申しておりますが、何といたしましても、御承知のように、弁護士というものはこれは自由業でありますから、どこからも束縛を受ける筋はない。したがって、御本人がその気にならなければ弁護士会がどういう努力をしてもどなたもおいでにならぬ。いまのような状態においては要するに幾らお願いをしても、なっていただけない。こういう事情でありまして、そのほかにおきまして、われわれのほうとして努力というのは、何とかひとつ弁護士会でもって弁護士から裁判官を推薦していただきたい、こういう努力をする以外にありません。あるいは一人一人に向かって、あなたはどうですかと、こういうこともあるかもしれませんが……。それから修習制度においては、とにかくこれは一体でもってやっておって、どなたも御希望どおりに、おれは裁判官になる、おれは弁護士になる、これも御自由な選択でありまして、これまた何かの特別な圧力と申しては何でありますが、そういう道はないことは御承知のとおりであります。努力と申すのは、やっぱり弁護士会というりっぱな会がある。その会からひとつ何とか御推薦願えないかという努力を政府も始終いたしておる、こういうことでございます。
○和田静夫君 どうもいま質問に答弁されなかったのでありますが、時間の関係もありますから――いままでの関係で。 しかし、たとえば裁判官や検察官になり手が少なくなってきている、それは事実ですね。これらの職務を魅力あるものとするために政府が臨時司法制度調査会の意見にある検察官や裁判官の職務内容についての改革やあるいは裁判官の待遇等の改善を十分やってこなかったために、こういうような事態が起こっておること、そういうことはもう当然考えられるわけですね。それらについては一体どのように、まず前提的には対処をされようとしているか。
○国務大臣(小林武治君) これはもうお考えくださってもおわかりになるように、裁判官も検察官もやっぱり日本の公務員でありますから、他の一般公務員との権衡を著しく失する、こういうようなことは非常な困難のあることは御承知のとおりでありまして、現在でも、こう申しちゃどうかと思いますが、裁判官も検察官も一般公務員よりかある程度優遇されているということは御承知のとおりであります。それから、この問題で一番の問題は、要するに待遇の問題でありますが、あとはまあ転任、こういう問題もあります。弁護士は自由業だから、転任などいやだと思えばしない。ところが、裁判官、検察官、これはもう公務員の当然の職責として転任もあり得る。こういうことを非常にいまの方々はおきらいになる、と言ってはどうも語弊がありますが、これは事実であります。待遇等もある程度一般公務員の上にあるということと同時に、公務員である以上は、よそとの均衡を著しく失する、こういうふうなことは、やっぱりこれもなかなか困難なことである。実は、私最近いまの日弁連の会長にも、あなた方が推薦をしてくださらぬから――弁護士からなってくださらぬからして、こういう問題はなかなか困っておることは御承知のとおりでございます、こういうことを申し上げたところが、日弁連の会長は、まあ月給五十万円も出したらやってやろうと、こういうことを言われておる。そういう一体できないことを持ちかけて、そうしたら弁護士を出してやろうと、こういうことじゃ議論にならない。実は最近私は、衆議院の委員会でも、五十万円は弁護士会からきた人へだけ五十万円出せと、こういうことを言われたんじゃないかと申したら、いやまわりの者にもやるべきだと、そういうことを言われて努力が足りないと言われても、これはできないことを言われても困る。五十万円やれなどということは、いま私どもは公務員としてはやっぱりこれはできないことでありまして・それだけくれればおれも弁護士の推薦をすると、こういうことではやっぱり御相談には乗りにくい問題だと、こういうふうに思います。 で、待遇等についてはやっぱりできるだけ私どもは、その職責からもよくしなければならぬということは考えておりますが、いまの転任などという問題になると、これは一切転任させないなんていうことは、一体できることではない。どうも一番いま弁護士から入るのをきらわれるのは転任の問題であるように私どもは伺っておりますが、争ういうような困難性のあることをひとつ御了承願いたいと思います。
○和田静夫君 五十万円という単位は別にして、平均的なことをいえば、一般的な公務員の賃金よりも高い。したがってそこを上げていけば問題は解決することであって――それから小林法務大臣は自治問題の権威でもありますけれども、最近はやはり過密過疎の問題で、地方都市の魅力ということがいわれている。もう自治省の内政の中心的な官僚が「過密都市に挑戦する」という著述を出されるくらいですから、したがって地方都市の魅力などということを考えた場合、転勤問題などというのは、私は政治全体の中でいわゆる自治体政策の問題でも、あるいは地域政策の問題でも解決できない問題ではない。あるいは金額の問題なんかは、厚生大臣におとといいろいろ論議をしましたが、辺地へ行けばもっとひどいのは医者です。これはもういま百万ぐらいでなければ行かないからね。そうだから、それに対して裁判官の五十万なんていうのは安いものです。そういう観点に立ったひとつ論議のしかたというのがあると思う。それが初めから、高いものだ、できないものだという観点に立った論議というのは、どうもうなずけない。ともあれ、私の言いたいのは、臨時司法制度調査会の意見書というのは、だれの諮問に対する意見書であるかといえば、これは言わずもがな政府です。そうしてその意見を政府は十分に尊重して実行に移したけれども、なお不合理が出てきたので、司法修習制度について改革をしたいというなら話は別ですが、先ほど第七章の十二項目の部分についてお答えにならなかったですが、そういうことは実行に移されてこない、そうして制度の改変だけを先に出されるというところに、私はたいへん問題を、いってみれば制度論的にも考える。そういう意味で納得ができないのであります。まして巷間伝えられているように、これは青法協対策などという形で出てきているとすれば、それは司法府への行政府の介入として断じて許すことができない。そういう立場に立っていることであります。これは意見として申し上げておきたいと思います。何かもしあれがあればお聞きしますが……。
○国務大臣(小林武治君) これらのことは相当重大な問題だから、各般の御意見を承って、そうして慎重に検討すべき問題で、ただいま和田委員のおっしゃったこともわれわれは参考にして十分考えたいと、かように思います。
○和田静夫君 科学技術庁の関係でやりますが、主として新潟県柏崎に予定をされる原子力発電所問題であります。 七十年代の幕あけのことし、わが国でも本格的に原子力発電所が発電を始めます。しかるに先般アメリカの原子力委員である二人の学者が、その研究の結果として、現在の連邦政府の放射線審議会の法定許容量の関係について、いろいろ報告をした中で、宇宙線を生まれたときから人体に照射するとすれば、三十歳になるまでに死亡率は五%増加する、こういうふうにアメリカの原子力委員が発表をしましたね。そうしてたいへんなセンセーションを巻き起こしています。そこで原子力発電所のまず安全性であります。その安全性についてあらためて問いたいのでありますが、どのような事態に対しても安全であるとお考えですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 現在の原子力につきましては、いまの先生の御質問の点でありますが、実際に現在技術的に、あるいは頭の中で考えられる範囲においての安全性の評価をいたしまして、安全性の確認をいたします。そうして安全審査会を通しまして、それに基づきまして設置が始まるわけでございますが、もちろん原子力につきましては、まだ未知の分野もございます。したがってそういう分野も頭に入れまして、いわゆる損害賠償法等はございますが、現在われわれがやっています安全審査基準につきましては、考えられる範囲内におきまして安全性というものを考えて審査いたしております。したがいましてだいじょうぶだという考えを持っております。しかし未知の分野というものは、もちろん技術の発展がございますから、その点について十分常々考慮していかなければならない点がある、そういうふうに考えます。
○和田静夫君 新潟県の柏崎市に東京電力が百万キロワットクラスの出力の原子力発電所を建設すると発表して以来、住民の不安は非常につのっております。私も先週の土曜日から日曜日に調査に行ってまいりましたが、百万キロワットクラスの大型原子炉は、原子力発電を大々的に進めているアメリカでもまだ実用化されておらないと聞きます。したがってその安全性についてももちろん実証はされておりません。しかも柏崎原子力発電所には百万キロワットの原子炉を大体八基並べてつくる。八百万キロワットというのですから、立地的にも非常に問題があります。アメリカの原子力委員会の立地基準によると、百万キロワットの原子炉を設置する、そういう場合には、半径十六・五キロメートル以内は低人口地帯――言ってみれば人口二、三千の町でなければならないことになっていますが、柏崎原子力発電所の場合は半径五キロメートル以内にすでに人口七万の柏崎の中心部があります。ですからアメリカの立地基準によれば、柏崎の原子力発電所は建設することができないわけです。それとの関係について、この点についてはいかがですか。
○説明員(梅澤邦臣君) ただいま先生のおっしゃいました柏崎に何キロかということは会社の考え方等に確かにあると思います。したがいまして私たちのほうは、まだどういうワットのもの、能力のもの、どういう形のものを置くかという申請はこれから出てまいるわけであります。それにつきまして、それから初めて安全審査にわけるわけであります。安全審査のやります基準につきましては、従来どおりの安全審査の考え方の基準で持ってまいります。現在でも安全審査は技術的な問題が常にいろいろございます。したがいまして、先般もアメリカと日本とでやはり一緒になって安全審査の連絡等を非常に密にしておりますが、そういう考え方で安全審査はシビアにやっていくという考え方でやっております。また、アメリカにおきましては、実際的に規制しております基準と申しますか、それにつきましては、大体ICRPの基準があって日本と同じでございますが、日本の場合は管理規定等で、それよりもずっと下回るところでしている。たとえば放射能の管理規定の場合は非常にシビアな考え方をとっております。したがってこの考え方に基づいて、これから先申請が出てまいりましたときには、十分まわりの住民に影響のないような安全審査ということをすることになっております。
○和田静夫君 そうしますと、いま私が述べたこれは、もちろんアメリカの基準でありますが、そのことを基本的には尊重して、東京電力からの申請に対しては、あなた方はそれを基準としながら対応される、そういうふうに理解してよろしいですか。
○説明員(梅澤邦臣君) もちろん低人口地帯という――著しい放射線災害を与えないために適切な処置を講ずる環境にある地帯ということを当然頭に含めて安全審査をいたすつもりでございます。
○和田静夫君 そうしますと、いま報じられているように八百万キロワットというような形のものを柏崎につくることは不可能になりますね。
○説明員(梅澤邦臣君) 柏崎に八百万キロワットという能力を持っておるということは、御返答はしかねると思います。実際にそこを基準といたしまして一般民衆に影響を与えない基準に――その辺にたくさんセンター式に炉が出てまいりましても、全体として安全であるという考え方で安全審査を進めるというふうに考えております。したがいまして、先生のおっしゃったように、八百万になったらだめだ、六百万になったらだめだというよりも、まわりに対する汚染度を常に考えながら許可するという考え方でございます。
○和田静夫君 それじゃこういうふうに訂正します。先ほど私が述べたのは百万キロワットに対するアメリカの基準でありますから、その基準に基づいて言えば、いま柏崎で想定されている、そうして近い将来東電から申請されるであろう百万キロワットの原子力発電は、アメリカの基準を前提として、それを尊重する立場に立つあなた方の考え方からいったならば、この設置許可はいわゆる不能、こういうことになろうと思いますが、いかがですか。
○説明員(梅澤邦臣君) これは安全審査会に十分お願いをしてやっていただくことでございますが、実際的にはアメリカは非常に広い場所でございます。そういう場合と日本の場合と、ただし日本の場合は、したがいまして、先ほど申し上げましたように、ICRPの基準よりも保安管理規定は少ない排出量を定めてシビアな線をとっております。そういうかね合いにおきまして、ああいう基準はもちろん尊重いたしますが、日本の安全審査会としては安全審査会として十分な審査のしかたで進めさしていただきたい、こう思っております。
○和田静夫君 申請が出なければ、なかなか答弁されぬだろうけれども、安全問題についてそれじゃもう一つだけ伺っておきます。 原子炉の設置の際には、いま言ったとおり安全審査が行なわれる。しかし、この安全審査の基準は現在世界的には決して確立されたものではない。まだ模索の段階にあることはもう周知のとおりであります。たとえば、一九六一年のSL1というんですかの事故で、三名なくなって二十二名被爆をしたのでも、その安全報告書には、この炉は本質的には安全な性質を持った動力炉であったと書かれております。日本においても、日本原子力研究所の動力試験炉JPDRは、安全審査を受けて認可されたはずであるのに、圧力容器に原因不明のひび割れが生じた、たびたび運転を中止をしている、このように、安全審査委員会が安全だと言うから安全だろうと考えるのは非常に危険なことだと思われるのですけれども、これらについてはどう考えられますか。
○説明員(梅澤邦臣君) JPDRのヘアクラックが入ったという問題は確かにございます。これは初めの材質その他からいって、ああいうことはあり得るかどうかということで、安全審査会で、ああいうことがもし起こってもだいじょうぶということであれは進められております。しかし、研究の立場としてあの炉ができておりますし、発電炉としては日本で初めてでございます。しかも、そういうヘアクラックということはやはり問題点として、なお安全審査会をこの間もう一度やり直したわけでございますが、安全審査いたしましても、その後変更したりあるいはああいう問題が起こったりしたときに、安全審査をもう一度やり直すということで、十分安全を保っていくという考え方で進めております。
○和田静夫君 私、前提を二、三並べて提案をいたしますのはそのためですが、無過失責任主義をとる原子力損害の賠償に関する法律というのがあるのは私も知っておりますが、それでも問題はいろいろ考えても実は残ると思います。というのは、放射線障害が、同じ量の放射線を浴びたからといってすべての人に同じ程度の障害が生ずるわけではない。かなりの放射線を浴びても運がよければ何ら障害があらわれない人もあります。逆に運が悪ければわずかの放射線でも障害を起こすことがある。そういうふうな確率的な現象でありますし、さらに、放射線以外の原因によっても放射線障害と同じ症状を呈する病気もある。これも周知のとおりであります。そのように放射線障害は確率的な現象であって、広島の原爆症の例からもわかりますように、原因と結果が、時間的にも空間的にも非常に離れたところで起こり得るものだと・いうことが指摘されておりますね。そういう点はどのようにお考えになっていますか。
○説明員(梅澤邦臣君) いまの先生のお話は、いわば事実認定の問題であると思います。確かにいまの点は、事実認定が出れば当然無過失責任賠償の責任をとりまして、これを払うという形になっております。いま先生の御質問は事実認定が非常におくれるとか、あるいは事実認定にまだ研究段階において疑問点があるじゃないかということかと思います。もちろん未知のところはございます。しかし、いま放射線医学研究所等で、日本におきましても、非常にそういう点の研究を進めております。したがいまして、事実認定ができるだけ早くできるように努力はさせていただきたいと、こう思っております。事実認定を明らかにさせるという方向についての当然の研究課題でございます。これはできるだけすみやかにやるということでわれわれのほうの放射線医学研究所等においても研究を進めさせていただいております。そういうデータをできるだけとって、事実認定が早く出たら当然賠償いたしますという形で進めていくということでございます。
○和田静夫君 放射能の人体への影響は、それが平常時にあらわれるものであれ、突発的な事故時のものであれ、空間的にも時間的にもはかり知れないものである以上、住民の不安の高まりというのは当然だと思うのです。これは柏崎の荒浜へ行ってごらんなさい、たいへんなことですよ。しかも安全性の評価については学者によっても差があります。そこで、あなたのいま言われたように、われわれの研究所と言われた、われわれの研究所というのが実は問題なんですよ。そこで、私は提案をしたいのですが、住民のこういう不安に少しでもこたえるためには住民や住民の立場に立った地元学者などを加えた、そういう公平な、言ってみれば監視体制ですね。そういう監視体制が必要だと思うのですが、いかがですか。
○説明員(梅澤邦臣君) たしかに、そのそばにいらっしゃいます住民の方々が不安感をお持ちになる点等がございますが、それで、現在のところでは、たとえば福井県で申し上げますと、やはり第三者機構が必要ではないか、そして第三者といたしまして県知事等――あそこでは県知事がもとになりまして、第三者の皆さん方がお集まりになって、それで私たちは法律に基づきました設置者の観測データ等がございまして、それを全部そこに公開いたしまして、そこで、常に検討していただいていくという第三者機構をつくることにつきましては、私たちもできるだけいいことであるということで御援助するという立場を常にとっております。したがいまして、柏崎のほうでいよいよ始まりまして、そういう問題が出たときには当然私たちのほうも、そういうことにはできるだけの御援助をしていきたい。しかし、これは第三者機構でございますから、私たちが自分でつくるわけにまいりませんので、その点は援助のほうで進めていくという形でいきたいと思っております。
○和田静夫君 これは長官、いまのことですね。私はぜひいわゆる監視委員会、いま申しましたように、住民の立場に立つところの地元学者を含んだ監視委員会、そういう形のものの設立、運営について十分な配慮を願いたいと思いますが、私はやはりいま言われた福井県や福島県の方式はだめだと、やはり地元の代表を入れた形のものをやらなきゃだめだ、そういう主張なんです。そして、いまの答弁の中にもありましたが、どういう形であれ監視制度の公開運営を考えなければならぬと思います。そういう意味でいま私の提案したことについて、長官いかがですか。
○国務大臣(西田信一君) 放射能監視の第三者機構についての御提案と伺いましたが、現在も御趣旨のようなものは福井においてあるいは福島においてございまするけれども、これが十分機能を発揮するように、私どもとしては援助あるいは協力することを約束しておきます。
○和田静夫君 ちょっと理解しにくかったんですが、いま私が申し上げた形の委員会制度にいわゆる協力すると、よろしいですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 第三者機構でございますので、学者を入れるか、あるいはどういう方を入れるか、これはつくるほうの場の自主的態度でございます。そこでおつくりになりましたものについての御指導と御援助、これについてできるだけのことをやる、こういうことでございます。
○和田静夫君 それはそれで確認をしていただいて、無過失責任主義をとる原子力損害の賠償に関する法律と過失責任主義をとる公害対策基本法の関係は、どういうふうにお考えですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 公害対策基本法の第八条に「放射性物質による大気の汚染及び水質の汚濁の防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」ということで、原子力基本法以下の関係法規を受けているわけでございます。それに基づきまして、原子力事業につきましては、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律で規制いたしまして、それで進めていくというそれと関連いたしまして、賠償法がここにつながって賠償法で見ていくという形で、これは原子力損害賠償法のほうで無過失責任からすべてを含めて進めていくという形になっていると思います。
○和田静夫君 いま行なわれている水俣裁判において三十四年当時チッソの工場廃液が原因である、すでにそのことをチッソ自体は知っていたということが明らかになっております。それは細川証言で大胆にそう言っております。まあ重病棟から叫んでいらっしゃるわけですね。政府としてはあまりにも企業側の立場に立ったと、そういう反省があってしかるべきだと思うんですが、一昨日の本委員会において公害対策基本法を無過失責任主義の方向で改正してもよいという厚生大臣の個人的見解をここで示してもらったんです。そこで通産大臣はお見えになっていないんですが、通産省よろしいですか。
○説明員(馬場一也君) 私、公益事業局長でございますが、ただいまの和田先生の御質問は、単に電気あるいは原子力だけということでなくて、公害基本法一般の無過失責任主義の見解でございますので、公害課長から答弁するのが適当かと思います。
○説明員(児玉清隆君) ただいま御指摘いただきました公害対策基本法の体系の中で無過失賠償責任論を導入するということでございますが、先般厚生大臣から個人的な見解が示されたようでございますが、政府部内といたしましては、総理府のほうで現在、この問題も基本的な問題の一つといたしまして、各省担当課長会議を持ちまして検討に入っている段階でございます。したがいまして現在統一見解といたしまして、あるいは通産省の公式見解といたしまして、ここではっきりした方向をお示しできない状況でございます。
○和田静夫君 ここでできなかったら、いつごろまでに検討されますか。
○説明員(児玉清隆君) まだ最終的にいつまでに出すというスケジュールはきめておりませんが、きわめて早急に結論を出すように現在研究を進めております。
○和田静夫君 厚生大臣は明確にこの委員会で答弁されたんですが、それとの対応において早急にきめていただきたい。これはこの次に通産省を決算委員会でやる場合に、ここで明確に答弁を願います。 そこで、さっきの原子力発電所にちょっと戻りますが、原子力発電所が柏崎にきまるまで紆余曲折があったわけですね、この東電の。この経緯ですが、どのような経緯で柏崎にきまったんですか。
○説明員(馬場一也君) 現在東京電力が柏崎の地点に原子力発電所を計画しておるという話は、そういう情報としてわれわれも承知をいたしております。ただ正式に東京電力がいろいろ調査をし、あるいは地元とも必要な話をいたしまして、ここに何年から着工しようというコンクリートな計画に固まった段階ではございませんし、またそういうような正式の話として、おそらく科学技術庁のほうもそうかと思いますが、われわれのほうにもここにこれだけの発電設備を計画をいたしますという話がある段階ではございません。現在まだその前段階で、東京電力がいろいろ地元との話その他を進めておる段階である、かように承知をいたしております。
○和田静夫君 日本最大の原子力発電所をつくるためにいろいろ計画が進んでいるのに、あなた方は全然一つの東電という企業にまかせっきりで、おっぽり出しているんですか、いまの答弁では。何も関与してない、そういう答弁ですか、いまの答弁は。
○説明員(馬場一也君) 東電が――これは東電でなくても各電力会社もそうでございますが、原子力あるいは火力、水力等の電源開発の計画を各社はそれぞれ立てております。それがいよいよこの地点にこれだけのものを持とうということがその会社として意思決定をいたしますと、国のほうにそれぞれ所要の申請をいたすわけでございます。その場合、それが原子力でございますれば、まず電気事業法上それを認めるか認めないかという前に、ただいま技術庁のほうからお話がございましたような、そこにどういう設計で原子力発電所を持つことが安全上いかがであろうかという審査が具体的になされるわけでございまして、一方通産省といたしましては、その安全性の問題のほかに、そこにこれは原子力でも火力でも同じでございますが、その時点でそれだけの電気設備、発電施設を持つことが、電気の公益事業としての任務を果たす上で必要かつ十分であるかどうかという見地からそれを見まして、そこに置くことについて許可する、しないということを判断をいたすわけでございます。
○和田静夫君 一言でいいんです。いままで相談にあずかってきましたか。
○説明員(馬場一也君) この柏崎の地点は、東電が調べます前に、これは国が毎年日本全国の各地域につきまして、どの電力会社ということでなくて、いろいろ原子力発電所として将来候補になるべき地点のいろんな概括的な調査を数カ地点いたしておりまして、この新潟の柏崎の地点は、昭和四十二年だったかと思いますけれども、全国で数地域の中で、国としてこれは府県に委託をして、地質、地形等の調査をいたした地点でございます。これは東電のただいまの計画とは直接関連はございませんが、むろんその調査の結果は国として公表いたしておりますので、東電はそれらをも参考にし、あるいは東電自身としてそこに発電所をつくることがどうであろうかという調査を目下いたしておる段階でございます。その段階で、むろんわれわれのほうにいろいろな話なり連絡等は実際上あろうかと思いますけれども、それはいわゆる電気事業法上これをやりますから認めてくださいとか、どうですというような正式の話としてではないわけでございます。
○和田静夫君 もちろん法律上の正式な話の論議をしているんじゃないのです。実態的に、言ってみればここに四十七年からつくられていくということは、大体そういうことは内定しているわけですか。
○説明員(馬場一也君) 四十七年度から着工するというような話はまだ聞いておりません。
○和田静夫君 そうすると、何年ということは別にして、ここに着工するという話は……。
○説明員(馬場一也君) 手続的に申し上げますと、東電が柏崎の東電としての調査なりあるいは地元との話を終わりまして、ここに発電所をつくろうという態度を東電として正式にきめますと、その段階でむろんそこにつくりますについてはいわゆる原子炉規制法による安全審査あるいは電気事業法上の許可ということが必要になるわけでございますが、同時にその前に、これは電気事業法に基づきまして原子力、火力、水力とも毎年大体向こう二カ年ぐらいに各電力会社がどの地点にどういう出力の発電を計画しておるかというのを、いわゆる施設計画と称しまして、毎年通産大臣に前広に向こう二カ年ぐらいの計画を届け出をいたしまして、われわれとディスカッションすることに電気事業法上なっております。その電気事業法上の施設計画の話というのがいわば正式の第一歩でございますが、まだ柏崎につきましては、そういう段階に来ておりません。これは東電がまだ地元その他と話をしており、かつ東電としての調査もまだ進んでおりませんので、まだ東電として正式に何年から柏崎にどのくらいのものを計画しようかと いう意思決定がまだない段階ではなかろうか、かように存じておるわけでございます。
○和田静夫君 それじゃ柏崎につくらないということもあり得ますね。
○説明員(馬場一也君) 東電として、まだ会社として、つまりつくるつくらないの意思決定をいたしておりませんから、むろん両様の可能性があるわけでございます。
○和田静夫君 それじゃあなたがそういう答弁を繰り返されるなら言っておきますが、申請があったならば、これは断わってください。それは、いままで申し上げた安全性の問題が一つありますが、この土地所有の問題で、いまから二、三の問題を申し上げておきます。 ここに「柏崎刈羽地点原子力発電所建設について土地所有者みなさまへのお願い――東京電力株式会社柏崎刈羽地点原子力準備事務所」という文書があるんです。この文書を持っていますが、それには用地の範囲が実は地図で示してあります。この中に、もと北越製紙株式会社の所有で四十一年八月に当時刈羽の村長、現自民党の県会議員木村博保氏の所有となっている土地があります。その土地が含まれている。この土地は、ここに登記簿がありますが、この登記簿の謄本によりますと、四十一年九月九日に室町産業株式会社に所有権が移転しております。そして四十二年一月十三日に原因錯誤ということでこの所有権が抹消をされて、また木村氏の所有に戻っているのであります。そこで、室町産業株式会社というのは、私が言うまでもありません、四十一年の衆議院の決算、予算委員会で問題になっていますように、信濃川の河川敷買収問題で問題になっている、そしてそのあくる日に自民党の幹事長の田中角榮氏がいろいろ証言をされた、あの問題の会社であります。読み上げておきましょう、田中角榮さんの発言を。「私の関係していた日本電建の関係者を中心とする室町産業という会社を新しく作り、一億四、五千万円で土地を買った。」という信濃川の河川敷問題。そこでですね、この状態を考えると、私はたいへんなことが実はあると思うんですよね。一定の地位にある方々が一定の建設計画を先取りすることができる。その先取りとの関係において関係会社にその土地を所有させる、そしてそれによって一定の利益をあげるなどという形のことがここに見える。したがってそういう不幸な状態をなくするためには、一番いい方法は、柏崎で計画をされているこの原子力発電所をこの土地につくらないということ、そのことが少なくともいま申し上げた登記簿からくる一連の問題で黒い結果を生まないということに私はなると思う。そういう配慮をこの問題についてはする必要があろうと思うのであります。きょうは法務局を呼んでありません。呼んでありませんのは、登記手続上錯誤による抹消というのは、これは不動産登記法第百四十六条一項によれば登記上の利害関係者の承諾書さえあれば、登記所側は全く手続人の当事者の意思に従って事務的にそれを行なうわけですから、それは呼んでないのです。そしてその抹消が昭和四十二年の一月という時期、これは原子力発電所として買収される場所が東電によって大体明らかになった時期なんですよ。そしてそれが市会で論議をした議事録も私ここにあるのであります。私は、言ってみればそういう不幸な状態が起こらないために、善意で言っているのでありまして、田中角榮さん自体が室町産業との関係というものも明らかに信濃川事件のときにされているわけでありますから、そういま深追いをしようとは思いません。したがって、以上の観点に立っても、東京電力のこの計画というものはやっぱり問題を含んでいますから、やめさせる、そういうのが一番いまの常道としてはいいと思うんです。通産省いかがですか。ちょっと残念ながら、大臣、次官、お出かけになっておりますから、あなたにはたいへん気の毒ですが……。
○説明員(馬場一也君) 繰り返して申し上げますが、電気事業法を所管しております通産省といたしまして、東電の柏崎の計画が、東電としていわば正式にそこにやろうということがきまり、施設計画の届け出をし、かつ電気事業法上いろんな許認可の申請をしてまいりましたときに、初めてそれが電力の事情その他から見て、その計画が適正であるかどうかという見地から判断をいたすわけでございまして、それ以外の判断は法律上いたさないと申しますか、そういう筋合いでございます。むろん原子力発電所でございますから、電気事業法以外に、先ほど科学技術庁から御答弁になりましたような原子炉規制法に基づく安全性のチェックはもちろん別個にあるわけであります。
○和田静夫君 そう言われるけれども、そういうことにはならないんだ。いやしくもこの用地の買収というのは、考えてみれば昭和三十七年の六月十九日に閣議決定をされた公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づいて昭和三十八年十一月二十五日、あなたのほうから通商産業大臣から電気事業者に示達をされた電源開発等に伴う損失補償基準をもとにして行なわれるわけでしょう、これはね。そういうことになっているわけですから、そういう公共的用地の取得なんですから、将来性のある原子力発電所にけちがついても困るわけです。さらに、この東電が出した文書の中にも「発電所の用地として、お譲りいただく土地の範囲は次のとおりでありますが、」、それで地図がついているわけであります。この中に私がさっき指摘した、言ってみればその土地が入っているわけでありますが、そこで「これは図上における概略のもので、今後の現地調査等によって多少変更する場合があります。」となっているんですよ。したがって、疑惑に満ちた土地というものは避けて用地取得をすべきだし、その指導をすべきだ。そしてもし建設計画の中でその疑惑に満ちた土地を避けることができないという地理的条件ならば、当然ここにあなたのほうで不適だとしてやっぱり政治的に考えることも必要じゃありませんか。これはまあ局長に求める答弁ではありませんが、私がそういうふうに述べている。したがって、次官、大臣にこの旨を十分に伝えておいてもらいたい。その結果については、どっちみち九月にこの委員会がありますから、お聞きをしましよう。よろしいですね。
○説明員(馬場一也君) ただいま先生から伺いましたお話、了承しました。
○和田静夫君 科学技術庁にお尋ねしますが、原子力発電所の稼働に伴い予想される公害とでもいいましょうか、たとえば核燃料廃棄物などの処理等については、先ほど来言われているところの安全審査会を通じて対処されるのでありますか。
○説明員(梅澤邦臣君) 当然、廃棄物の処理等につきましても安全審査会でやっております。それで現在までの発電所から出ます廃棄物は、液体、固体、それからもちろん燃料等の燃えたもの、これが出てまいります。それで気体、液体につきましては、液体はイオン交換樹脂等でこれを処理いたしまして、基準以下のところで捨てる形にして排出しております。それから気体につきましては、もちろんこれもまた、きれいにいたしまして基準以下のところで捨てるという形で、これは規則あるいは保安管理規程等で規定したところで捨てておるわけでございます。
○和田静夫君 最後にいたしますが、公害対策との関連で、さきの産業構造審議会の公害部会費用負担小委員会、あの中間報告に基づいた事業者の費用負担法の立法化の見通しですが、これはどうなっておりますか。
○説明員(児玉清隆君) 公害対策基本法第二十二条に基づきます費用負担に関する法律、これは現在定められておりませんで、別に法律で定めるところによるということになっておりまして、昨年の秋以来、いまお話のございました産業構造審議会の中の産業公害部会、この中にさらに費用負担問題小委員会というものをつくりまして、東大の金沢先生に小委員長をお願いいたしまして、約半年にわたりまして審議をしていただきました。で、その結論が中間的に一応出されましたので、六月の二十九日に産業公害部会としての答申案の決定を見ております。で、これが通産大臣に答申されておりまして、あとの運びといたしまして、御存じのように公害防止事業というのは一般の公共事業と非常に関係がございまして、これと一緒に実施される場合が普通でございますので、各事業官庁と十分制度上の問題、あるいは今後の負相率の問題等について検討を一緒にする必要がございますので、その辺を総理府の場に審議を移しまして、そうしてそこで関係各省問の意見統一をいたしまして、あわせて、中央公害対策審議会というものがございます。この審議会が公害対策基本法に基づきます基本的な全体問題を御審議いただくことになっておりますので、その議を経まして、できれば次の通常国会に正式の政府提案の法案としてお出しするような運びになっております。
○和田静夫君 万博のあと地の利用との関係で、公害防止大学構想というのが出ています。この公害防止大学構想というものについてちょっと説明願いたい。
○説明員(児玉清隆君) 本件につきましても、先ほど申しました産業構造審議会のほうの産業公害部会で七月の下旬から正式の検討に入っていただくことになっておりますが、きっかけといたしましては二つございます。一つは現在の公害対策上一番ネックになっております基本的な問題は、人材の不足ということと技術のおくれということでございます。それからもう一つは、現在短期速成コースということで産業公害を対象といたしまして通産省で実施しております研修会、講習会というのがございます。研修会と申しますのは、都道府県の取り締まり担当官等を対象にいたしておりますが、講習会のほうは民間の第一線技術者を対象にいたしまして、大体研修期間が十日ないし二週間ということで、きわめて短期にやっております。その修了者連中が異口同音に申しておりますのは、もう少し長い、みっちり充実した研修を長期的にやってもらいたいということを申しております。そういった情勢を背景といたしまして、長期的な公害対策の体制を十分整備するという意味におきまして、事業者側の責任体制をまず確立しようという考え方を、現在この産業公害部会で審議をしてもらう段階になっておりますが、その一環といたしまして、第一線の技術者、こういった人たちに総合的な公害防止技術、座学と実地研修というものを含めまして、できれば産業公害防止大学というものを設立いたしまして、そこで長期研修をやらしていただきたいという構想でございます。
○和田静夫君 建設省関係に移りますが、根本建設大臣はその就任以来、住宅問題へのなみなみならない決意、熱意を各所で披瀝されております。そこで具体的に、在任中といいますか、たいへん早い機会にどういうことをおやりになるつもりなのか、お聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(根本龍太郎君) 在任中と申しますが、いつまでということがはっきりしませんので明確にできませんが、現在のところ建設委員会その他各委員会で御質問に対してお答えしたとおりでございまするが、現在の状況ではたいへん住宅が不足しております。これは御承知のように、過疎・過密現象がこれに非常に拍車をかけております。農村地方では廃屋になり使えない住宅があることは事実であります。しかし都市周辺になりますというと、人口の移動に伴うところの住宅不足のほか、戦後建てられた住宅も非常に老朽、狭隘化したために、どうしてもこれを改造しなければならないというような要請、それから核家族化ということと、戦後のベビーブームの時代に生まれた方々が結婚適齢期になっておる。こういうようなことから主として大都市を中心とする住宅の不足が顕著になってきている。そういう意味で焦点を主としてそういうところに当てなければならないと思っております。ところがこれをやる場合にも、いま最大の難点は地価問題でございます。地価が非常に値上がりしたために政府政策住宅――これは公団並びに公庫、さらには地方自治体で実施しておりまする住宅供給公社等で住宅を建てるにあたりましても、一応の計画は持っておるけれども土地の手当てがどうしても手おくれになる。また土地を手当てした後において大きく問題が出ておるのは、御承知のように、地方自治体との関連における公共施設が、地方自治体でこれをフォローする財的な裏づけがないというために、せっかくの政府政策住宅が計画されても拒絶されるという事件が相当出てきております。これが一つ大きな問題点でございます。したがいまして、まず土地問題とそうした地方自治体との関連における円滑なる住宅政策遂行のための基盤をつくるということを、まず一つ大きく取り上げなければならないと思っております。それからもう一つは、何と申しましても政府政策住宅を全面的に進めるためには相当の財源が必要でございまするが、財投のワクが非常に少ないのです。税金でこれを全部まかなうというわけにはとてもいきません。そこで高度成長下におきまして、でき得るだけ民間の企業がこれに参画して一般のサラリーマン並びに勤労者の方々も持ち家ができるところの一つの制度並びに助成政策を考えるべきではないかと考えております。これにはいろいろの手法がございまするが、一々申し上げると時間がなくなりますから、賢明なる和田さんはもうすでに御承知でありまするから詳細には触れません。これにはまず金融面の措置、それから税制上の優遇措置、それから土地入手のために政府が重点的に大規模の宅地開発をいたしまして、これによって比較的安い土地が地方自治体なりあるいは民間デベロッパー等も土地を入手できる状況をつくってやるということが一つと、それから先ほど申したように、民間の企業体に企業体として従業員に対する持ち家政策をやっていただき、それに対する税制上あるいは金融上の優遇措置を講ずる、こういうことが一応考えられております。こういう考え方が国会の議員の皆さんからも相当程度支持を受けておりまするので、でき得れば次の、明年までには必要なる立法措置あるいは行政上の指導措置も考えていきたいと思っております。
○和田静夫君 私は、何といっても公的機関による賃貸住宅に対する一般国民の依存度は、これはもう意識調査などでも相当高いのです。客観的にはまあ数字にあらわれている以上に私は高いのだと思うのです。自分の家を持ちたいという気持ちはあるでしょうが、子供二人になって二DKでは狭過ぎるし、二万、三万の家賃なんというものは払えない、そういうことで、頭金をつくって自分の家というようなことになるのでしょうが、そういう問題さえ改善されるならば、昔の人のように庭がなければいやだとか、あるいは団地生活はいやだというわけでもないのでありますから、私は公営住宅、公社、公団の賃貸住宅への依存度はますます高まっていくと思うのです。ここのところの改善ですね、あるいは充実政策を集中的にやったほうが政策的に効果があがるのではなかろうか。それが私の意見です。さきの住宅宅地審議会も主として家賃の問題で幾つか具体的な提案を行なっています。そのうち抽せん制度の改善あるいは廃止の問題、それから収入上限を設ける問題、それから第一種、第二種区分の廃止の問題、それからいわゆる傾斜家賃制度の採用の問題、この四つの問題について答申を尊重するおつもりがあるかどうか。尊重されるとするならばいつからされるつもりか、伺わせていただきたい。
○国務大臣(根本龍太郎君) 宅地住宅審議会の皆さんがたいへん熱心に研究の上答申されたことでありまするから、この答申をいただいたときも私はこれは尊重してまいるということを明言いたしました。現在御承知のように、住宅五カ年計画が本年度で一応終わることになっておりまするが、引き続いて昭和四十六年から新しい住宅五カ年計画を策定したいと思っております。現在事務当局が関係省とも連絡の上、その策定の準備をしております。この新しい五カ年計画にはこれを極力織り込むということでまいりたいと思っております。したがいまして、答申の相当部分を新住宅五カ年計画に織り込む、そしてこの新五カ年計画の間で大部分は実行に移したい、こう思っておる次第でございます。
○和田静夫君 先ほども述べられたとおり、住宅問題のもとに土地問題がある。その地価公示制度ですがね、四十五年の四月一日の告示九百七十ポイントと、こう言われたわけですね。ところが、四十六年の四月一日の予定が千三百五十ポイント、で、この公示法案審議の際の計画局長の説明を読んでみますと、一平方キロについて一ポイントとなっておる。そうすると当時の市街化区域というのは八千平方キロですから、八千ポイント。四十五年一月一日の市街化区域は実は一万一千四百平方キロです。そうすると一万一千四百ポイント。今後さらにこの市街化区域というのはふえる見込みですから、このポイントもふえるのですね。そうすると四十五年四月一日の九百七十ポイントの告示と、四十六年四月一日予定の千三百五十ポイント、こういう進みぐあいではとっても具体的に追っつかぬことになるのです。これはいかがですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のとおり、現在のテンポは非常におくれております。もともと地価公示制度をようやく本年から実施したということ、それからこれを実施するためには、御承知のように土地評価をする専門家の鑑定士が充実されていなければならないのでありますが、これがまた非常に人材が少なかったのであります。で、いまこれについては極力新たなる養成の方法等も考え、厳密に言えばかなり問題がありまするけれども、地方自治体等で都市計画とか、こういう鑑定に近い仕事をした人たちを、講習を開いたり、指導をしたりして、まずそうした人材を養成いたしませんと、気はあせりますけれども、いいかげんな不動産鑑定士にこれをやらせるということは、たいへんこれは国民に迷惑を及ぼすので、そこでいま和田さん御指摘のように、市街化区域はどうしてもふえるととは事実です。それをフォローしていくためには昭和四十六年千三百五十点というのはあまりにも少な過ぎるのでありますが、これは過渡期でありますので、まあできるだけ充実して拠点をふやしてまいりたいと思いますけれども、これはやはり鑑定士の養成との関連において漸次充実する以外の方法はないのじゃないかと考えておるわけでございます。
○和田静夫君 最後にしますが、地価公示制度それ自体はそうたいした意味がない、問題は活用のしかたでありますから。総理は地価公示制度の活用として公示価格以上の取引には一〇〇%課税ということも考えているということも、ここでも私の質問に対して答えられたのですが、そこで建設大臣はどういう活用のしかたをお考えになっていますか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 総理も言われたことでございまするが、これは論理的に言えば公示価格と、それからそれ以上に売買したものとの差額はある意味においては、これは不労所得である。これに課税をすることによって不当なる土地占有者だけの利益によって一般土地を欲する人たちが不利益をこうむることを抑制するというのは政治のあるべき姿と思います。しかしながら、ただいま和田さんから御指摘になりましたように、非常に密度のあらいところで地価公示をしているのでありますので、たいへんにこの適用がむずかしいのです。そこで当面は、現在われわれのほうといたしましては、でき得るだけこれが一つの目安になりまして、民間の土地取引にあたりましてこれが一つの目標として活用してもらうということ、そのために大いにこれをPRし誘導するつもりです。 それからその次が、少なくとも公共事業のために土地を買収もしくは収用する場合に、この公示価格を一つの有力な目標として考えていく。そうした場合において、現実に売買された値段との間に非常に差が出て、公共事業をやったために非常に地価が高くなったということがなされないようにするためには、これは付加価値に対する完全課税はできないまでも、これは大蔵当局と十分連携をとりまして、一般所得税の弾力的な適用によって相当程度目的は達成できるではないか、そういうような意味においてこれを活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
○和田静夫君 建設大臣、時間ですから最後にちょっと。これからあと、実はペルーの大地震が日本に起きたらということで論議をするのですが、そこでそのこととの関係で大臣にちょっとお聞きしておきたいのですが、この防災都市計画の重要性というものは、御存じのとおり、防災会議の答申その他いろいろあるのです。強調されているわけですけれども、建設省では特に江東デルタ地区ですね、あの災害時に危険の多い地区をどのように防災都市化を進めたらよいかということについて、昭和四十年来それぞれ専門の大学やあるいは研究機関に研究を委託をして、そうして災害時の住民の避難とその後の救護活動の拠点づくりを中心としたいわゆる防災拠点方式の都市再開発について研究を進めておると言われた。この考え方に基づいて昨年の十一月に東京都は江東地区に防災地区をつくる構想を発表しております。しかるに、これに要する事業費は、土地建物使用の権利返還に伴う諸問題は別として、土木工事費だけで五千億円と言われております。建設省はこの構想をどのような形でバックアップされて、何年ぐらいで実現したいとお考えですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、東京に関東震災のようなものが出た場合における非常にむずかしい問題が潜在していることは事実でございます。その際に特に問題になるのが、例の御指摘のデルタ地区でございます。これは一面においては、地震に対して非常に脆弱な地盤を持っている。しかも、あそこは非常に木造家屋が密集している。火災が起きるということは、これは当然考えられます。一方において、防潮堤は相当充実しておりまするが、内部から、満潮時に裏回りで水が入ってきた場合に、火と水と両方から攻められてしまって、避難の道もなければ、避難するところの施設もないというところに非常にむずかしい、しかも深刻な問題がございます。このために、御指摘のように、昭和四十年来東京都並びに建設省が建築学会あるいは学者の先生の皆さんに深刻にこの問題について取り組むようにお願いしまして、そこで一応の構想が出てきたのが、防潮堤を整備するということのほか、いま御指摘のように、全体としてのあそこの都市再開発をしなければならない。で、一応都市再開発した場合において、周辺に、中高層というよりも高層に近い防災建築をつくりまして、その中に緑地その他適当な施設をつくることによって、そこにいざという場合には避難しますれば、火災からも水害からも防げるという、そういう幾つかの拠点をつくっていかなければならない。それから、うちから入るところの堤防について十分に配慮していかなければいけない。それから市街街路の整備をいたしまして、街路が同時に避難の道路になるというような計画を立てておることは和田先生から言われたとおりです。ところが、それに対して何しろ五千億以上も金がかかる。これはとうてい東京都だけではできないだろう。そこで年次をもちまして、少し息の長いことでありまするが、十年くらいは最小限度かかるであろうが、政府としてもできるだけ土地再開発のための年次計画によってこれを助成してまいりたいということと、これは私一人の構想で、いま党並びに関係方面からのいろいろの賛同と同時に激励を受けているのですが、実はこういう都市再開発をやる場合において、税金による援助だけではなかなかむずかしいわけです。そこで私は、現在の日本開発銀行、これに大きくこうした都市再開発に協力してもらわなければならない。そこで百尺竿頭一歩を進めて、私は社会開発銀行をつくるべきである。そうして、この都市再開発なりあるいはまた地域開発、それから公害を伴う中小企業の産業の安全性、こういうものをひとつバックアップするところの国家的な特別な金融機関を設けるべきではないかという意見を私は出しているのでございます。現在高度成長下で相当収益がある大企業はかなり自己資本でやりますけれども、中小企業とか地域開発になりますというと、とうてい一般金融機関ではこれはめんどうを見るわけにいかないし、またいまの中小企業金融公庫とかあるいは国民金融公庫等の現在ありまするものでは、とうてい資金源も足らないし、また条件に合わない。してみれば、日本開発銀行の今日までやってきた仕事が大きく日本経済に稗益しているのはけっこうでありますが、いまや、日本開発銀行が社会開発銀行的な使命を持っていっていいではないか。私は、あの地区に中小企業はたくさんございまするから、自己資金のほかに、そうしたものと政府の助成と、こういうふうなことをしていきますれば、都市改造と同時に、防災的な一つの施策ができるじゃないか、こういうふうに考えまして、いま政府部内においても、またその他委員会等を通じて、国会の皆さん方の御支持を得て、そうしたものを裏づけたいと考えて努力している次第でございます。
○和田静夫君 最後ですが、耐震構造関係者の手で進められてきました、十勝沖地震の際の鉄筋コンクリートづくりの建物の被害についての調査結果が、この間、明らかにされました。現在の建築基準法や建築学会の設計基準に盲点があったという声も上がっているわけです。それに対して建設省関係者は、これは建設専門官、指導課の水越さんの話ですが、十勝沖地震の場合は材料や施工のしかたが悪かったからで、設計法や基準法の弱点のせいとは思わない。被害も一割強しかなかったし――一割強しかなかったしという言い方はたいへん問題だと思うのですけれども、私たちは関東大震災くらいな大地震でも絶対にビルの被害が出ないとは初めから考えていない。出ないとは初めから考えていない。こういう見解を発表されているのですがね。大臣、これは私はたいへんおかしいと思うのですよ。関東大震災のような大地震が来ても絶対にビル被害があってはならないということでなければならないのではないでしょうか。そのように、言ってみれば建築基準法も改定をすべきだと私は思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(根本龍太郎君) 私もこれは非常に重大な関心を持っています。そのために実は先般も建築研究所に参りまして、所長以下ほとんど幹部の諸君全部といろいろ懇談してみました。そこで、いま問題になりまするのは――高層建築はだいじょうぶですね、国際的なレベルでいっているのです。それから低層も大体いいようです。ただ問題は、中高層の研究がどうもおくれているような気がしました。実は地震の実験をやっておるところに私現場に行きましたが、高層建築のモデルは、十分に、十勝沖地震それからいまのチリ地震等のデータを入れてもだいじょうぶなようです。ところが、十階から六、七階のところのあれがどうもあぶないような感じがしました。それで、この点の研究はどうかと言ったら、その点は実は各国に比べておくれているような感じだ。しかし実は、よその国は地震がないからもうわりあいにのんびりしてやっているけれども、これからの研究はこの中高層の建築の問題である、こういうことでした。そういう観点から、これはまあ私、建設大臣でありまするけれども、工学的にはしろうとでございまするので、いますぐに明快な答弁はできませんけれども、和田さんの御指摘のように、建築基準法を、どこかそこに弱さがあれば、これは建築研究所の研究ができてから後決断をしなければならぬ。特に中高層の建築基準に若干でもウイークポイントがあるようならば、これは改正してやらなければいかぬ。超高層はおそらく大都市の非常に大きなものについてのみあるものであって、大部分は中高層になる。そこにもし弱点があるとするならば、これは考え直すべきだ、こう思いまして、実は建築研究所に対して、中高層の弱点はどこにあるか、現在の基準法に欠点があるならば十分にこれを分析し、解析して、どう改めるかということも純粋に技術的に、科学的に研究してほしい、こういうふうに実は数日前に指示してまいった次第でありまして、この研究成果を見て、必要とあれば私は建築基準法の一部改正もあえていたしたいと考えている次第でございます。
○和田静夫君 大蔵関係ですが一お待たせいたしました。長者番付にいわゆる土地成金が名を連ねたことから、昨年度の税制改正の効果がいま問われています。地価対策の関係で土地税制全般を、実はきょうはほんとうは大蔵省の日だったものですから論議をしてみたいと思っておったのですが、総括が延びましたので後日に譲りますが、細見大蔵省主税局長が「億万長者続出ははじめから予想していたし、むしろ隠れた億万長者に早く出てもらうため法改正をしたようなものだ」、こういう談話を発表しておられる。私は、昨年四月四日の参議院大蔵委員会の会議録を護んだのです。ところが、法改正の趣旨はそう言っていませんよ、それは。これは一体どういうことなんですか。
○説明員(吉國二郎君) 私、細見主税局長の発言というものを正確に存じませんが、いま承りましたようなことを申したといたしますと、たぶんこういう意味ではないかと思うんです。御指摘のように、昨年私が法案の趣旨を申し上げましたのは、この改正法案の第一の眼目というのは、できるだけ土地を売りやすくするということ、そのために長期保有土地に対しては税率を思い切って軽減をする。しかし、短期売買をしてもうけるというものに対しては加重をする。したがって、需要を押え、供給をふやすということが一つ。第二は、非常に大きな土地を持っている者は、現在の制度でございますと累進課税でございますので、一度に売れば非常に税金が高くなる。したがって、切り売りをいたします。さらに、切り売りをした上にいわゆる事業用資産の買いかえとか、あるいは居住用資産の買いかえという手段をとりますために、実際上は課税にならない。しかも、土地を供給しながら同時に新たに需要を起こしておるという結果になっておるので、これを是正するというのが第二の目的であるということを申しました。で、細見が申しましたのは、おそらくそういう意味では、まとまった土地を相当放出をするであろうという前提をとっていたので、その場合には、相当な所得が形成されるであろう。それが一つの眼目にあったということを申したのではないかと思います。そういう意味で、確かに億万長者が出たということは、それだけ大規模の固まった土地が供給された、従来のように切り売りをしないで、思い切って土地を供給したという点では、法律の趣旨が一部実現されたとも言えるということが申せるかと思いますが、そういう意味で私、細見がややラフにそういうことを申したのではないかと思います。
○和田静夫君 昨年の四月の参議院大蔵委員会で、長官は、たとえば土地の供給をふやすという大目的のために、ある程度の不公正はしのぼうというふうに答弁されています。これとの関係で私、類推するんですが、答弁のとおりを前提とした場合には、第二段の税制改革がなければ、言ってみれば不公正は不公正のままということになりますね。それは何か考えておられるんですか。
○説明員(吉國二郎君) この土地税制を実施いたしました際に、土地税制部会というもので言っておりましたことは、この一つだけを実施したのでは不十分である。この土地の譲渡による税率を軽減するということは、土地を売りやすくすることであるけれども、それに対する圧力が必ずしもかかっていない。したがって、土地保有課税を相当加重する必要がある。その第一段として、固定資産税の評価を適正なものにするということ。第二段としては、開発税であるとか、あるいは空閑地税といった性質のものをつくるべきであろう。ただ、空閑地税等をつくるためには、土地の使用計画というものを明らかに国として策定をしなければ、空閑地の規定というものが不可能になる。そういう意味で、将来土地制度が早急に確立されることを前提として、保有課税を強化するという二段のかまえによって土地税制というものは完全になるということを言っております。そういう意味では、私どもは、土地保有課税についての今後の前提となる諸制度の整備を待ちまして、その方向をとっていくのが必要ではないか、かように考えているわけでございます。
○和田静夫君 例の狭山団地の一件でお尋ねするのですが、大蔵大臣のツルの一声で云々というような記事があったのでありますが、けさほど大蔵大臣の趣旨を大蔵次官からお聞きをしましたから、そのことを念頭に置きながらちょっとお尋ねをしますが、短期譲渡と判断、まず川越税務署が税額決定の際に云々とあります。四十年夏、同税務署が税額修正の請求に対して、棄却という形で同じ判断を下された。さらに四十四年の五月に、関東信越国税局長が「法律通り解釈すれば明らかに短期譲渡」ということで審査請求を棄却した。この経過から明らかなように、大蔵大臣のツルの一声があったかないかということは別問題として、法律上の解釈に誤りがあって税額変更があったとはとても思われないのですね。税額変更の理由は何ですか。森本長官官房参事官は「いや、あれはまったく政策的配慮などありません。事務的手続きに従って処理しました。いまは内妻だって権利を認められている世の中。短期譲渡とみるのは杓子(しゃくし)定規の正妻しか認めない扱いだとわかったのです。」、こう談話を発表しております。――などといったような森本参事官の弁明など、全く私は官僚らしからぬ弁明だと思うのですがね。弁明になっていないと思う。いかがですか。
○説明員(吉國二郎君) 一つ申し上げておきたいと思いますのは、新聞の記事に間違っております点がございまして、関東信越国税局で審査請求を棄却したということは、これはございません。審査請求が出まして、それに関連をして、現地から実は指導に従って申告をした連中からも、これは再三の陳情が実はあったわけでございます。その過程を御説明申し上げますと、この狭山団地の買収に着手いたしましたのは三十六年から三十八年にかけてでございます。その際に、完全買収に応じた地主とどうしても応じない地主とができて、買収計画が進まなくなりましたために、住宅公団のほうは一部計画を変更いたしました。完全買収を承諾しない地主に対しては、いわゆる区画整理方式の買収に切りかえました。区画整理方式で二割程度の土地をいわば還元するという制度をとったわけでございます。そうなりますと、完全買収に応じようという地主に対しては非常に不均衡になりますので、今度は完全買収に応じた地主が問題を起こした。したがって、一部の土地の還元をやってくれという請求を始めたわけでございます。それも確かに公平な要求であろうかということで、住宅公団としてはいろいろ折衝を重ねまして、三十九年に一応の提案をして、その完全買収に応じた地主で構成をしております組合との間で協定をつくったわけでございます。そのときに、還元すべき土地の場所、広さ並びに価額というものを確定をしたわけでございますけれども、全体の組合員が大ぜいおりますので、組合との間の話を決定して、実際の契約書をつくるのは、全体の整地ができて分譲計画が成立いたしましたときにいたしましょうという約束をしたわけでございます。それが四十二年になってできた。税務署としては、四十二年に契約書ができておる、したがって、短期譲渡にならざるを得ないではないかという見解であったわけであります。一応形式としてはやむを得ない形式論であったかと思います。しかし実態を考えてみますと、普通の個々の相対売買でございますと、契約書の作成されたとき、それと土地の所有権の移転という問題がほぼ相接触して行なわれるわけでございますけれども、こういう何百人という対象人員がおります場合に、それが組合の代表者を通して話をしたというときには、実際の契約をした場合と、さらにそれを個々の地主に割り振るというのは、組合の内部事情としてかなり時間がかかりますので、決定したところで個々の契約書はつくろうと約束したとしても無理はないと思われたわけであります。いわば三十九年に、譲渡の条件がすべて確定したときに、総体の組合員に対する部分というものは譲渡契約ができたと考えるのがしかるべきではないか。しかも、その不完全買収を主張した地主に対しましてはいわゆる区画整理方式が適用になっておりますので、還元されました土地は税法上引き続き所有していたものとみなすということになりますので、同じ時期に契約書をつくり、同じときに売っておりながら長期譲渡になるわけであります。その不権衡から考えますと、三年間という法律の期間を曲げることはできませんけれども、契約の実態の解釈は事実上三十九年に契約があったと見るほうがより妥当であろうということで、審査請求の結論を出そうといたしておりまして、そういう趣旨から、その場合にはすでに申告をしてしまったものとの不権衡が生じますので、その場合には更正決定をいたす、いわゆる更正減でございます、これは非常に多数の人に対してやることになりますので、現場の税務署としては非常に困難な問題が起こります。私どもとしては、できれば避けたいのでありますが、法律の制度から考え、また全体の権衡から考えますと、あとで精密な調べをいたし、住宅公団から当時の経緯を聞きとったところによりますと、短期譲渡は実際趣旨に合わないということからいたしまして、関東信越国税局の上申どおり審査請求をすることにいたしました。同時にそれに沿って、審査請求を出していない納税者に対しては減額更正の措置をとるのが妥当であろうという結論になったわけであります。そういう意味で新聞に出ましたところでは、川越税務署が何か納得していないようなことを言っておるようでございますけれども、それは最初そう考えたけれども、あとで局長に上申をした結果、こういうふうなことが妥当であると思って直したのでありますということをいっておるわけでありますが、最後の部分がちょん切られて出ておるというふうな事情がございまして、やや新聞紙上でごらんいただきますと、政治的解決をはかったように見えますけれども、これは森本参事官も申しておりますように、契約の実質解釈というものをやった場合には、短期譲渡よりも長期譲渡が妥当であるという結論が出てくるということを申したものでございます。
○和田静夫君 そうすると、その譲渡は法律用語で言えばどういう譲渡ですか、その三十九年時点ですね。
○説明員(吉國二郎君) これはおそらく、組合との総体としての共有的な譲渡であろうかと思います。その個々の部分に分かれるものについては組合員の中で話をつけて、その上で契約書はつくろう、こういうことでございますので、総体として土地についての譲渡ができたと考えるべきであろうと考えます。
○和田静夫君 総体的にいわゆる形式的にはそこに譲渡ができた、言ってみれば形式的譲渡ですか。
○説明員(吉國二郎君) むしろ実質的譲渡でございまして、形式的な契約書は個々にはあとでできた、こういう解釈をいたしております。
○和田静夫君 そうしますと、住宅公団に問い合わせてみたのですが、さっき言われたいわゆる還元譲渡方式、これによる土地の買収方法というのは鹿島臨海工業地帯など、ほかにも幾つかあるそうですね。そうすると、ほかのところについても同じような措置をとられたわけですか。
○説明員(吉國二郎君) この還元譲渡方式は、こういうような問題でむずかしいものですから、現在は住宅公団としては、先ほど申し上げました区画整理方式による買収をやっているようでございます。鹿島では住宅公団ではございませんで、県がつくりました公社が実行いたしております。ここではこれよりもっと徹底しておりまして、地券を発行いたしまして、その地券によって買収をしておる。つまり地券を渡しまして代替地四割をその地券に基づいて将来交付するという契約でございます。ところがこの地券が次々に譲渡をされまして、そのために非常に複雑な法律関係ができております。これにつきましては一応解釈としては、地券の譲渡を土地の譲渡と同様にみなすということで取り扱わないと、課税上の実行ができませんので、土地は特定はいたしておりませんけれども、その土地を所有する権利の譲渡として譲渡所得の課税を行なうというたてまえをとっております。今後、複雑な土地の譲渡形式がいろいろと出てくると思います。それに相応じて実態に即した解釈をせざるを得ないと思いますけれども、この狭山団地のやり方は、住宅公団としては今後この形は出てこないということを言っておるようでございます。
○和田静夫君 今後よりも問題は――今後のこともありますけれども、たとえば過去でも、狭山と同じような実態のものが掘り起こされた場合には、いってみれば行政の公平の原則からいって、同じ措置をとられると、そういうことですか。
○説明員(吉國二郎君) 実際に現在問題になっておりますのはございませんけれども、事実同じ状況のものがあれば同じ措置をとりたいと思います。ただ御承知のように、短期譲渡の規定が入りましたのは昭和三十九年からでございますので、それ以前にかなりあったかと思いますが、これはすべて譲渡所得で解決をしております。
○和田静夫君 けっこうです。 それでは、時間が約七、八分過ぎましたのでちょっと急ぎますが、消防庁、先般ペルーに大地震がありました。それによる被害の大きさを知るにつれて、もし東京であれだけの大地震があったらという感慨を持ったのは私一人だけではないだろうと思うのです。そこでペルー大地震相当の地震について、日本においては防災は完全でありますか。そして人命の保全に責任が持てますか。まず率直に聞きます。
○説明員(皆川迪夫君) ペルーの地震はマグニチュードにしまして七・八、関東大震災よりちょっと低い程度の地震であったわけでございます。そのような地震がかりにこの東京を中心にして発生した場合には、どういうような被害状況になるかということは、実は前提条件が非常にありましてなかなかむずかしいと思います。起こった場合の時間とか……。
○和田静夫君 ちょっと失礼ですけれども、いまの私の質問に端的に答えてくれませんか。防災が完全か、人命の保全ができるか。あとの具体的なことはいま聞きますから……。
○説明員(皆川迪夫君) そういう前提条件がありますので、なかなか端的なお答えはまことにできにくいわけでございます。もし非常に多くの火災が発生し、家屋の倒壊が起こるということになりますと、防災上非常にむずかしい事態が起こるということを心配しておるわけでございます。
○和田静夫君 防災上非常にむずかしい事態が起こると。そこで昭和四十二年以来、東京都防災会議の地震部会は専門家による科学的分析に基づいて地震の被害想定を行なってきたわけですが、それを読みました。それによれば、二十三区内では百六十六万棟のうち約二万棟の倒壊が見込まれています。もし火災の発生がなければ、被害は倒壊家屋による圧死などについて二千人程度にとどまるだろうということであります。この二千人の圧死だって人命尊重の立場からいえばたいへんなことであります。そうして、さらに問題は火災です。東京都防災会議は、この火災件数の推定をして、その結論として「全延焼火災の四五パーセントにあたる一四八件の延焼防止ができない火災が発生し、この火災はとくに江東、墨田、荒川区などの地盤の軟かい地域に集中し、しかも消防隊の活動にもかかわらず、消防車が足りないために全く手のつけられないものや、ポンプの数が少なくて放水しても消火できない火災が、特別区は千代田、中央、港、中野区を除いたほとんどの区に散在し、大火流となって延焼拡大することが予想される」、東京消防庁発行の「あなたの地震対策」でこう述べております。これは四十三年の十勝沖地震の石油ストーブによる出火のデータ、これも見てみました。大体四〇%、これを加味すると従来の防災会議の推定よりも二けた多い出火が予想されます。実際上、消火についてはお手上げの状態になるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○説明員(皆川迪夫君) 火災の発生状況の推定は、時期等によりまして非常に区々でございますから、非常に心配をして、激しい場合を考えるのと、通常の事態を考えるのでいろいろな数字が出てくると思います。確かにお話にありましたように、集中的に多方面で発生をした場合に、現在の消防力でそれを完全に消火できるということは非常に困難な事情にあるわけでございます。それは単に消防ポンプの台数をふやせばいいということではないわけで、たとえば水が出ないとか、あるいは道路が通れないというような事態も加味してまいりますと、非常にむずかしい問題が出てくるわけでございます。
○和田静夫君 そういうことですよ、非常に深刻な状態です。もう笑い話じゃないので、たいへんな状態だと思うのですよ。そこで消防庁は新しい消防力の基準をまとめたそうですね、私どもまだもらっていないのですが、大都市における地震火災をどういうふうに予測をして、それをつくられたのですか。
○説明員(皆川迪夫君) 大都市の特に震災に基づく消防力の基準というのは、実は通常の立場から見た場合に非常につくりがたいのであります。かりにポンプを何十倍にふやしましても、現在の道路状況あるいは地震のために電気がとまれば水道が出ない、したがって水が出ないということになってまいりまして、したがって、水の確保の問題であるとか、あるいは道路の確保の問題というようなことが加味してまいりますので、単純に消防だけの見地からそれを予定した消防力の基準というものは非常につくりがたい、こういう状況にあるわけであります。
○和田静夫君 時間がありませんから、この問題は別の機会に大臣とやらなければ、あなたをいじめても――別にいじめるつもりはないのですが、まじめに答弁しても、政治的にどういうところに重点を置くかというのは日本の政治全体の中で占める問題ですから、私は、問題は防災にしても地震にしてももう救いがたい。そうなると、いわゆるサイクル説がある。昭和六十九年を前後する二十年間という学説ですが、いまその範疇に入っている。これらと――いわゆる東京都民なら東京都民、大阪市民なら大阪市民に不安感を与えずに、これらに対する防災だとか地震対策だとかいうようなものを、いわゆる政治レベルにおける教育というものを自治大臣なりを通じて閣議にどういう形で反映されていますか。
○説明員(皆川迪夫君) この問題は自治省だけでなかなか解決のできない問題でございますけれども、消防を所管する立場から消防審議会に諮問をいたしまして、ことしの三月に大震火災対策に関する答申をいただいたわけでございます。その答申では、消防の観点だけでなくて、都市の防災づくりという広い立場から各般の問題点の指摘をいただいたわけでございます。これを閣議にもちろん報告をいたしました。中央防災会議で取り上げて、この中央防災会議では八つの部会に分けまして、それぞれの部会でそれぞれの立場からこまかに長期的あるいは短期的な検討をする、こういう段取りにいたしているわけでございます。したがいまして、この地震周期説というような問題から出て、いま盛んに言われているときでもございますので、この問題をかなり高度の行政なり政治の課題に取り上げていただきたい、私たちはこう思っているわけでございます。これから先、防災会議を通じまして根本的な、短期的あるいは長期的な対策を講じていきたいと、かように思っているわけでございます。
○和田静夫君 消防審議会の答申は三月二十三日に出まして、それを読んでみましたが、いま言われた中央防災会議の強化、これはしかし皆川さん、どうお考えになるかわかりませんですが、非常に不満だろうと思うのです。たとえば単なる連絡会議ですよ。専従者を置くとかいろいろございますけれども、ぼくは佐藤政府というのは、そういう意味ではたいへんこういう時期にポイントをあれしているのじゃないかと――あなたにその答弁を求めようとは思いませんが――思うくらいです。これは別の機会にこの問題につきましては、もっと詰めますが、そこで最終的にひとつ結論的に言っておきますが、答申は、たとえば災害対策基本法による各機関の業務計画は第一に火災対符について具体性が少ないと指摘しておりますね。また、大震災の場合、その避難対策が膨大であるために、事前に各省庁の責任区分、処理要綱が定まらなければ、有効な対策は実施し得ないのじゃないかと指摘している。これらのことを、この答申を受けた消防庁長官は、どのような形で実施に移すことができると、いまお考えになっているのですか。
○説明員(皆川迪夫君) その点は、先ほど申し上げましたように、自治省だけで解決できませんので、中央防災会議の場に持ち出していただいて、ここに八つの部会を設けまして、たとえば自治省・消防庁は避難部会の主管的役割りをする。それから救助の点については厚生省が中心になっていく。それから道路交通の確保の問題になれば運輸省がやるというように、それぞれの中心の責任者をきめまして、ここで、もちろんそれ以外の関係の役所も入りまして、綿密に検討をする。こういうことにいたしましたので、まあ答申の趣旨に沿った取り扱いがなされるのじゃないか、かように思っております。
○和田静夫君 ともあれ、ペルーと同じような地震、関東大震災と同じような規模のものが再び来た場合には、いまのところお手上げで処置できない、こういう状態であります、先ほどの答弁では。その辺のことを考えまして、お互いが対策について真剣に本委員会を通じてやりますため資料をつくっていただきたい。そこで、いまの私の申し述べた趣旨だけは消防庁長官なり大臣なりに伝えておいてもらって、そういう意味での論議に参加できる、そういう準備もしていただきたいと思います。ありがとうございました。 時間がなくなりましたので、最後に総理府に簡単に一つだけ財団法人全日本交通被災者協会の問題について。これはたいへんな問題を含みますから、たくさんの問題についてやらなければならないのですが、時間がなくなりましたからこの次にやりますが、前提だけ申し上げて、二つ、三つの問題について私が言っていることに間違いがないかどうかということについてお答え願いたい。認可までの期間が、四十四年十二月十八日に出て四十五年一月五日に認可になっている。衆議院選挙などが戦われている期間にたいへんなスピードで審査され認可されている。こういう形になっているのですが、この事実は間違いはないだろうか。それから認可した協会の監督権は総理府のあなた方にある。このことは間違いはないだろうか。それから役員でありますが、この役員は――会長が米田正文さん、それから副会長が衆議院議員であった臼井莊一さん。参議院の江藤智さん、川上為治さん。瀬戸山三男さん、西村英一さん、丹羽喬四郎さん、安井謙さんを含むところの役員の名簿があるのですが、これは間違いはないかどうか、まず簡単に以上のことについてお答えを願いたい。
○説明員(平川幸藏君) 順序はちょっと逆になりますけれども、第二点の監督権限につきましては総理府にございます。総理府に認可権限があることでございます。第三点の役員のメンバーにつきましては、現在十九名の理事がおられて、その中でちょっと私、聞き漏らしましたが、瀬戸山先生は監事のほうに回っておられます。それから第一点の認可申請から認可の時期につきましては十二月……ちょっと聞こえなかったのですが。
○和田静夫君 十八日から一月五日までの間で……。
○説明員(平川幸藏君) 一月五日に認可していることは間違いございません。
○和田静夫君 財団法人の寄付行為によるところの収支決算書というのは出ていますか。
○説明員(平川幸藏君) この財団法人は、御承知のように寄付行為によって成立するわけでございますが、基本財産といたしまして一千万円の内容になっております。で、現在一千万円の定期預金を持っております。そのほかに運用財産がございまして、運用財産が約二百万ございます。
○和田静夫君 これは今度つぶれるのでしょう。これはつぶすのですか。そういうことはありませんか。
○説明員(平川幸藏君) つぶすというより、これは御承知のように民法七十一条によりまして、この法人が公益に明らかに違反するような場合は取り消すことができるわけでありますけれども、そういう意味におきまして、現在私どもでつぶす意思があるかどうか、取り消す意思があるかどうかという御質問に対しましては、その意思はありません。現在の状態を簡単に申し上げますと、問題となる点は例の相談の問題だと思いますけれども、その相談の問題につきまして直ちにこの法人が自分みずから解散する意思を持っているというようには考えられません。
○和田静夫君 解散する意思があるとは考えられない、そのことを確認しておきます。 で、事業計画がありまして、その前提に立ってNHK等の放送を通じて、相談は無料でいたしますという呼びかけが行なわれましたね。ところは、無料でやりますという呼びかけがNHKを通じて NHKをきょう呼んでいないのですが――行なわれたにもかかわらず、実際問題としては千円の相談料をとってみたり、あるいは三%から七%の、相談に来た人にも寄付を強要してみたりなどというような形のことが現実に起こっています。こういう事態については、いま混乱をしていますからよくおわかりになっておらぬかとも思うのですが、認めますか。
○説明員(平川幸藏君) 実は、先生の御指摘になりました相談の件でありますが、二月末だったと思いますが、相談は無料でやるということをNHKを通じまして放送したわけです。その結果、かなり多数の被害者が参ったということでございます。で、その条件といたしましては無料ということになっておりましたにもかかわらず、これをやりました事務局の職員が賛助会員としての、何と申しますか、経費として千円取ったという事実がございました。早速、私どもといたしましては、これは特に交通被災者につきましては、そういった間違ったことをやるということは適当でないということで、責任者を呼びまして厳重に注意すると同時に、適当な措置をとるように、こういうことを勧告したわけでございます。その結果、徴収いたしました千円はすべて御本人に内容証明で返しました。同時に、こういう事件を起こしました事務局長――高橋という人でございますが、この人につきまして理事会ではかりました結果、本人は辞任した次第でございます。したがいまして現在の状態といたしましては、実は先ほど申し上げましたように、多数の人が来られました中でまだ相談を受けていない人がございますから、その人だけは続けていかなければ御迷惑をかけるということで、現在無料でやっておりますが、その人たちが相談が終わりましたならば、その段階において、こういうことについてのやり方、その他等につきまして、理事会でよく検討するように、このようには申し入れてございます。
○和田静夫君 千円を返したと、高橋事務局長はやめさしたと。そこで私はもう一つ。いま本来の趣旨に従ってその協会はだれが役員であろうが、そんなことは問題ないのですが、純粋な本来の趣旨に基づいて、この協会が続いていくことに対して何も反対をしようとは思っていないのですが、その運営について、あなた方の監督というものをもっと強化しないと、いま言ったような形で幾つかの問題を含んでおります。最後にもう一つ問題があるのは、いろんなことがありましたが、ゆえに、言ってみればそこに相談に行った方が委任状をつけて、自分の事故に伴うところの書類を預けておる。ところがその相談が完了していない。時効になりそうな人の部分を含んで、何か交通事故関係書類をお返しにならない。その返さない理由は、やめたところの高橋事務局長が紛失してしまったかどうかということが問題になっているようだが、そういう事実があるかないか。もしそういう事実があったとするならば、事故書類は希望者に早急に返してやる、そのことの措置はいかがですか。
○説明員(平川幸藏君) この問題につきましては、実は先ほどの高橋事務局長と、ほかに相談員が二人おったわけでございます。その一人のほうと高橋事務局長との間に意見の食い違いがございまして――実は岡田という方なんでございますが、その方もやめられたわけでございます。したがいまして、カード等につきまして実は紛失と申しますより、その方が所持されておるというように私は聞いております。したがいまして協会のほうといたしましては、やはり被害者のカードでございますから、できるだけ早く返すようにその御当人に対して請求しておる、このように現在の段階では聞いております。
○和田静夫君 もうやめますが、そこで問題は時効になる人ですね、このことによって関係書類がなくて時効になった場合の責任はどうなりますか。したがって、これは作業としてはたいへんスピーディにやってもらわなければなりませんが、その約束はできますか。
○説明員(平川幸藏君) この相談業務はあくまで協会の責任において施行されている、このように考えます。なお、この際ちょっと御了解願いたいのは、県におきましても、あるいは交通安全協会におきましても、あるいは警察等におきましても、交通事故相談というものをやっております。これは御承知のように法律的な調停権限というものは持っておりません。単なる何と申しますか、手続と申しますか、過去の例とか、そういうことを申し上げまして参考にするということでございます。したがいまして、法律的にどうの、こうのということはございません。権限もないわけですが、いわばサービスということになると思います。そういう意味におきまして、基本的には協会の責任だと思いますけれども、私どものほうでやはり監督権限を持っておりますから、できるだけ被害者に迷惑がかからないように今後強力に指導はしていきたいと思います。
○委員長(森元治郎君) 午前はこの程度とし、午後は一時三十分に再会いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時五十九分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十八分開会
○委員長(森元治郎君) 委員会を再会いたします。 午前に引き続き昭和四十三年度決算外二件を議題とし、質疑を続行いたします。 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○高山恒雄君 私は、盛岡市の岡部岩雄氏が、昭和三十六年に初めて国と土地の所有権の問題で係争となったのでありますが――昭和三十七年に訴訟を起こしたのでありますが、昭和四十四年の六月十九日に敗訴の判決を受けたのであります。直ちに控訴をして現在仙台高裁で審理中であります。ところがその過程において境界査定処分の重要書類である境界査定立ち会い通知書及び領収証について公文書偽造の疑いが現在あるのではないか、秋田の地検及び仙台地検に告訴されている問題であります。この問題について私は質問したいと思うのであります。 この問題は非常に歴史的に古い問題でありまして、明治三十二年の旧国有林法による境界査定処分について重要書類である境界査定立ち会い通知書――乙の七号証でありますが――及び領収証――乙の八号証に非常に疑わしい点が多々あると思われるので、この書類について質問したいのであります。立ち会い通知書の原簿の写しが出ておると思いますが、政府のほうではお持ちでしょうか、どうでしょうか、この点お聞きしておきたいと思います。
○説明員(松本守雄君) 林野庁にはその書類はございません。営林局にあるわけであります。
○高山恒雄君 それでは、私のほうに写しがありますので――私は原簿の写しを持っておりますが、そのまた写しですが、これをひとつ見ていただくといいと思いますね。 まず第一に、この通知を見ますと立ち会いの場所が書いてあるのであります。広大な地域であることは皆さんも御承知だと思いますが、この問題について、いずれの地域にお互いの立ち会いの場所を指定するかという点についてでありますが、それが明らかになってないのであります。およそこの問題は、立ち会い日時を八月二日の午前八時と、こういう出し方をしておるのであります。ところが、この受け取り人は、これを受け取ってから午前八時という時間ではなかなか不可能ではないかという感じがするわけです。特に、時間的に考えてもそう考えられますし、また立ち会いをする場所にしましても明らかになってないわけであります。一体、その山の東西南北のいずれの地域に集まるのか、そうして立ち会いをするのか、こういう点も明らかになっていないわけであります。特に時間的にみて、そういうことは不可能ではないかと、われわれしろうと考えに考えましても、そう思うのであります。特に、この国有林野法の施行規則の第三条には「境界査定ヲ施行スルトキハ期日ヲ定メ、少クトモ其期間ヨリ五日前二査定ノ日時及ヒ場所ヲ隣接地所有者二通知スヘシ」とあるのでありますが、明治四十年八月二日に境界査定通知書を受け取って、その日の、しかも午前八時というようなことは、現場のどこで立ち会いをするのかわからないのに――立ち会いする場所が全くわからないままでは、不可能かと思うのであります。書類自体がもう不法ではないか、こういう感じが私はするわけですが、この点について、長官なりあるいは訟務部長はどうお考えになるか、御答弁願いたいと思います。
○説明員(松本守雄君) いまの御質問の中の一点でございますが、立ち会いの場所が明確でないということで、確かにこの通知書によりますと、立ち会い場所は現場としてございます。が一方、この隣接地籍という欄がございまして、そこには隣接の所有者の地番が書いてあります。しかも、これは十六ヘクタールの面積しかございません。そう広い地域ではございません。大きな声で呼べば届くくらいの広さであろうかと思います。まあそういう点でこの通知書の立ち会いの場所は、何千 ヘクタールというような、きわめて広大な場所でどこへ行ったらいいのかという見当がつかないということではないように思います。 それから午前八時に、この立ち会いの時間がきめてございます。で、その時間にその現場まで行くのは、当時のことを想像しますと、なかなかそういう時間に行けるのかどうかという疑問はございます。これははっきりはいたしませんが、だいぶ以前のことでございますので、証人もあるわけではございません。はっきりは申し上げませんが、こういった境界査定の際に営林局からある場所の査定を行なうというときに、その隣接者に通知をいたします。その通知の行為の書類としてこの通知書を出すわけでありますが、その前に現地の近くに勤務をしておる現場の主任なり営林署というものがございまして、おそらくそういうところから事前にいついつどこどこでというような連絡をしながら、あわせて国有林野法に規定をされております通知を出したのではないか、このように推定をするのでございますが、そういった点、いずれにしましても古い時点でございますので、はっきりはわからないのでございます。ただ、こういうこともいま裁判で係属中でございまして、いずれはその裁判の結果、明らかにしていただける、このように考えます。
○高山恒雄君 法務省はどうですか。
○説明員(香川保一君) お示しの通告書と領収証は証拠書類としまして裁判所に提出したわけでございますが、先ほどお話しのありましたこの書証が内容的にいいかどうかということにつきましては、何分古いことでございますので、しかと申しかねますが、いずれにいたしましても、明治四十年に作成された原本が営林署にございまして、それが古い書類でございますし、たくさんの書類が一つにまとめてつづられておるものでございますから、そのままコピーにとらないで、その原本のとおりに筆写いたしまして、それをコピーして裁判所に提出したということなんでございます。 で、その点につきまして原本は活字でできておりまして、裁判所に提出しました書証は手で書いた写しでございます。その点をとらえて偽造ではないかというふうな疑いを持たれたのではないかと思うのでありますけれども、これはよくあることでございまして、原本を裁判所に同時に示しまして、その写しを書証として提出するということはよくあることでございます。したがいまして、提出しました書証の内容は原本と全く同一記載内容でございまして、しかもこれは原本に基づいて清写したものだということの奥書き証印をいたしまして提出しておるわけでございます。同時に、原本も裁判所に示しまして書証として受理されておる。かような経緯になるわけでございまして、しかもその一審の訴訟手続におきましては、原告のほうもこの書証の成立を認めておられるわけであります。したがいまして、私どもの考えとしましてはどの点が偽造ということになるのだろうか、若干理解いたしかねておる点でございます。ただ、いま申されましたこの内容の当否につきましては、私どもとしてさような原本が明治四十年に作成されて残っておるということから見て、境界査定が行なわれたんだということの立証として裁判所に提出しまして、裁判所が、その書証によって境界査定が明治四十年に行なわれた、かような認定をいたしておるわけでございます。したがって、その原本自身が正しいものかどうか、あるいはこの立ち会い通告の手続としていいかどうかということは、現在仙台高裁に係属中でございますので、そこでいろいろまた審議されることだろうと、かように考えております。
○高山恒雄君 長官は、この問題について場所の指定はないけれども、隣接地ということで大体わかるのではないかということを言われますけれども、地図を見ておられるとそれがわかると思いますが、一体隣接ならどこかと、こういうことになると思いますよ。したがって、その隣は国有林です、国有林に近い隣接なのか、あるいは秋田ですか、秋田のほうに近い隣接なのか。これは隣接といってもそういうことではわからないと思うのですね。しかも、先ほど私が申しましたように、五日前に査定の日時及び場所を隣接の所有者にこれを通知しなくちゃならぬ、五日間の余裕があるわけです。その余裕を見ないで直ちにその立ち会いをやるということは、私は法律的に見ても不法ではないかということを申し上げておるのです。どうですか、その点。五日前とちゃんと法律にあるんですよ、それだけの期間もおかないで直ちにやるということ自体が不法ではないかと、このことを私は申し上げておる。長官どうですか、その点。
○説明員(松本守雄君) 場所を明示してないではないかという一点、それから五日間の余裕が不十分ではないかという二点、お答えをいたします。 まず一点の、場所につきまして先ほど申し上げたのでございますが、この通知書には、隣接地籍としまして、陸中岩手郡西山村大字西根三十四地割字金堀沢一番の一、山林、そのほかあと同様なのが二筆書いてございます。この隣接地籍は役場の公図によりましてもそう広い面積ではございません。台帳にあります地積は十六町歩余りでございます。十六町歩といいますと、まあちょっと見ればすぐ届くという狭い区域でございます。そういうことでありますので、まあ呼べば聞こえるような範囲にあろうかと一もしかりに、そういう地籍が明確でない場合には、実際の営林局、営林署でやっておりますやり方は、あらかじめその地元の担当主任とか営林署の係員が本人のところに連絡に行きまして、あしたの何時にどこどこに集合して一緒に行こうということがおそらく行なわれておるのではないか。まあこれは私青森営林局に戦前も、また戦後も勤務した経験がございますので、そういったことがしばしば行なわれておると、おそらくこの当時もそういう方法でやったんではないかということでありまして、場所が明示されてないということは、実態的にはそういうことはなかったんではないかと、十分に連絡はとれたであろうと想像いたします。 それから第二点の、五日間の余裕がないではないかということでございますが、旧国有林野法の規定によりますと、その通告は原則として査定期日の五日前までに行なうこととなっているが、隣接地所有者がいつでも立ち会うことを承諾したときはこの限りではないという意味のことを、林野法の規則の第三条でうたっております。そういうことで、この五日ということは相手さえ承諾してくれれば、それ以内でもいいんだというぐあいになっておるわけでございます。
○高山恒雄君 それじゃ次に移りますが、青森でこのなにを作成した人と、雫石で受けとった人が同じ筆跡であるということは、まあ同一人が書いたことになるだろうと思うのです。で、これでは領収証の役目が成り立ってないではないかと、私はまあそう思うわけです。特に大久保千代松氏は当時多額納税議員であって、字は書ける人であると思わざるを得ません。現に盛岡銀行に担保に入れたことがあって、書類等を見ますとまさに毛筆できれいな字を書いておるのが事実であります。ところが、ペン書きですかで同一人間が書いておる領収証としてはおかしいではないかという疑問がここにわいてくるわけです。それをどうお考えになるかですね。しかもこの問題について、受け取った方の領収証の中に、同じ筆跡と思われる点があるのと同時に、どうしてこうした受け取り人と発行した者とが同様の字を書かなきゃならぬのか、字が書けない人なら別ですよ。先ほど申しましたように、多額納税者です、当然字も書ける人です。これでも疑義がわきませんか。
○説明員(松本守雄君) いまの点でございますが、これは営林局に林野庁からただしましたところでは、役場の――役場ではない、原本ですね、原本を――当時コピーのない時代です。したがって原本を写しとったというのがこの写しでございます。同時に同じ人が領収証の原本を写しとったと。原本とこの写しを添えて、先ほど訟務部長からも話がありましたように、原本と写しを照らし合わせて裁判官の認定を受けて、これは原本の写しに間違いないということで、この写しだけが裁判所に置いてあるという関係で、当然コピーのない時代ですから、写しとった人が同一人であれば、その筆跡も似るのは当然であろうかと思います。また、これはいなかのお役所でときどきやる――これがいいか悪いかは別にいたしまして、役所のほうで領収証まで用意をいたしまして、それに判こだけついていただきたいというやり方も、これはたまにはなきにしもあらず。まあ、そういうことでありまして、当時いずれにしましても古い時代のことでございますので、その真偽のほどは裁判の結果で明らかにしていただく、そういう以外に方法はないと存じます。
○高山恒雄君 古いことだからといって、妥当性があるかないかの点について聞いておるのですから、想像で言わないようにしてくださいよ。あなた、字の書ける者が相手におるのですよ。そういうことがあり得るということは、一般の人で字の書けない人にはあるでしょう。字が書ける人ではないかと私は言っておるのですよ。しかも多額納税者ですよ。議員までしておった人ですよ。これだけの山の売買をやって、実地検証しようというのに、そんなたよりない人だと、あなたは常識的に思いますか、一ぺん考えてみてください。そういうごまかしみたいなことを言わないで、妥当性があるかないかのことを検討してくださいよ。
○説明員(松本守雄君) 多額納税者だということでございまして、字が書けないとか、そういう方では決してないと思います。ただ、この領収証が本人の筆跡であるかどうかということは、これは別の方法で十分調べてみないとわからぬかもしれませんが、一応形式的には領収証として記名捺印されておりますものが提出されておる。その後、境界査定が終わったという終了通告も数カ月後に出しております。そのときにも異議の申し立て、不服の申し立てば出ておりません。したがって営林局としては本人が受け取って立ち会いもしたであろう、また営林局がやった境界査定については誤りがなかったであろうというふうに営林局としては考えておるわけでございます。
○高山恒雄君 それではもう一つ聞きますが、大久保千代松氏は明治四十年の三月十四日に登記を済ましていますが、本人が署名する場合、大久保鶴松死亡後の相続人大久保千代松と書くはずはないではありませんか。いいですか、二人の名前が書いてありますよ、受け取り人に。大久保鶴松という人は、明治四十年の三月十四日に登記を済ませたときは、この人はもう死んでしまっておるから、跡目相続をしておるわけです。それの受け取り人が、前の大久保鶴松氏をどうして受け取り人の中に書かなければならぬ必要があるのか。もう一つ、死亡後の相続人大久保千代松と書かざるを得ないのか。一人でいいじゃないですか。その点はどうですか。
○説明員(松本守雄君) これは営林局で調べたものを林野庁がただしましたところでは、大久保鶴松さんはすでになくなっておる。しかし登記の名義はまだ鶴松さんの名義になっておるということで、当然跡目相続人の千代松さんの領収証をいただいたということのようであります。登記の名義人はなくなった鶴松さんであるということのようでございます。
○高山恒雄君 役場の登記書を私は持っておりますがね、写しを。これでもうそと思いますか。おかしいですよ、そんなことは。一人で書けばいいものを二人で書かなくちゃいかぬというのは、どういうわけですか。
○説明員(松本守雄君) 林野庁でいま調べております現段階では、いま申し上げましたように、登記面ではその時点――明治四十年八月時点でございます、その時点では、なくなった鶴松さんの名義になっていたというふうに聞いております。
○高山恒雄君 これは四十年の三月十四日に登記が終わっています。そういうごまかしで答弁をされては困るね。まあいいです。それはそうしておきましょう。 それから、大久保千代松氏は、先ほど申しましたとおり、盛岡銀行に大正十四年この物件を担保にして借り入れているのですが、当時の筆跡を見ると、全部毛筆を使用しております。それにもかかわらずペンが使用されているということは、特に明治四十年代に日本には至るところにペンがあったと思いますか。明治四十年、いまから六十三年前です。日本にはペンもたいしてなかったと思いますが。
○説明員(松本守雄君) ただいまもお答えいたしましたことと同じように、原本の写しは最近になって写し取ったものでありまして、筆で書かれたものであっても、ペン書きで写しを取ったという点もあろうかと思います。
○高山恒雄君 それじゃこれが原簿の写しをそのまま写したというやつですね。この前の原簿があるわけでしょう。それは見ましたか、見てないんですか。
○説明員(松本守雄君) その原本は営林署にあるそうでありまして、私は見ておりません。
○高山恒雄君 資料が出せますか――その原簿の資料が出せますか、営林署にあれば出してください。
○説明員(松本守雄君) 原本は外へ出しきりにするわけにはまいりませんので、コピーであれば出せる……。
○高山恒雄君 それは毛筆で書いてありますか、ペンで書いてありますか。
○説明員(松本守雄君) 原本もペン書きだそうであります。
○高山恒雄君 そうなると、写したからペン書きだと言えませんね。あなたは写しだからペン書きであるのじゃないかと、こう言いますけれども、原籍がペンであれば、すでに写しをここに出しておっても――これを裁判所に出しておっても、写しだらペン書きじゃない、原本がペン書きだということが言えるわけですね。その点はそれでいいでしょう。いままで述べましたように、疑わしい点が非常に多いのです。控訴人側は昭和四十五年 一月二十八日、立ち会い通知書の取り寄せ申請を行なって、四月二十二日乙七号証は原本のじきじきの写しであることを確認したのであります。その確認しました人は、控訴側は岡崎源一弁護士、榊原孝弁護士、大久保安久、この三氏です。被控訴側は法務省の高橋満夫君、営林署の兎原誉、同じく営林署側では辻山隆。双方から三人ずつの人が出て、この原本じきじきの写しであるということを確認しておるんです。原本じきじきですから間違いないでしょう。だから原本もペンであるということを言わざるを得ないと思うんですよ。したがってこの点からいきますと、何といっても乙の十七号証の第五十五地割山林原野帳というのを出しております、その筆跡と全く同じであります。ところが原本確認から、ここが問題なんですがね。四十数日もたたない昭和四十五年の六月三日の法廷に、この確認した乙七号証を隠滅して別の書類を持ってきたと言われておるのですが、これが事実とすれば、原本はいつしかないのであって、偽造が発見されるから、それをおそれてまた他の書類を出したと言わざるを得ない危険性をはらんでおるのですが、その点はどうですか。原本が一つしかないものを、そんなに何部も次から次と出すはずはないじゃありませんか、常識で考えてみて。全く考えられないことではないかと私は思うんです。
○説明員(松本守雄君) 先ほどお答えしましたときは、第一審のときの原本の写しであると、当時はコピーというものがなかったということをお答えいたしました。最近になって、四十五年になりまして提出をいたしましたものはコピーでとったものでございまして、原本に相違はございません。裁判官の確認も受けた上で、その筆写したものを――その写しを提出したものでございます。
○高山恒雄君 その二回目に出した書類ですが、しからばそれをひとつとっていただけませんか。次の問題として私も参考の資料にしたいと考えております。
○説明員(松本守雄君) 原本そのものでございますか、写しでございますか。
○高山恒雄君 二回目に出したやつですね。六月三日に裁判所に出したやつです。
○説明員(松本守雄君) 原本そのものでございますか。
○高山恒雄君 あんた、いまそうおっしゃったんじゃないですか。
○説明員(松本守雄君) 原本は出しておりませんが、写しを出しております。
○高山恒雄君 私が申し上げましたのは、先ほど申し上げますように、この立ち会い通告書の原簿を裁判所に出しておるが、これに間違いがないかということを六人立ち会いのもとに間違いないという確認をしておるんですよ。弁護士も法務省の方も営林署の方も、六人入ってですね。これなら間違いないとおっしゃっていただけば、それでいいんです。これを確認しておるんです、立ち会いの上で。そして六月三日の裁判で再びその原本とは違った書類をまた出したということです。そう何回も出せるんですか、そんな原本が。同じものなら何もこの問題について出す必要はないんでしょう、確認しておるんですから。
○説明員(松本守雄君) どうも失礼しました。四十五年の六月には、原本を裁判所に持っていって、それをお見せして、それをまた持って帰ったそうでございます。
○高山恒雄君 持って帰ったことも私は聞いておるんですがね。これを裁判所に原本として出して確認しておるんでしょう。私が聞きたいのは、これを確認しておるのでありますから、原本を持ってこなくても、この確認した書類を――でこの原本を写したのだと言っておるんですから、だからこれを確認してもらえばいいわけなんだが、ところが新しくまたこれ以前の写しを原本を持ってきたと、あんたはおっしゃるんですか、そうですが、原本を持ってきた。ところでそれなら、弁護人が「ひとつ見せてください」、こう言ったら、見せないで、三人とも隠すようにぱっと逃げて帰ったというんですがね。その話を私は聞いておるんです。一体、行政官である地方のそうした署員役人が、国と民間と争う場合に、何もそれを見せないというようなことをしなくても、公然とそこで見せてやって、納得さして裁判をやるべきじゃありませんか。私は、そういう話を聞いておるのですよ。私は、そこに立ち会ったわけじゃないから確言はできませんけれども、そういう話を聞いております。全くそれは官庁としてはおかしいと、こういうことを申し上げざるを得ないのですね。まあ原本とあなたさっき回答されたんですから、これを写す前の原本を持ってきたんだということですね。それはお聞きしておきましょう。そこで五十五地割山林原野野帳というのがあるのですが、これは、右正写しましたと引地高という人が写したやつを出しておるわけです。この筆跡とこれは同一の筆跡だと私は思うのです。われわれしろうとが見てもそう思います。しかしこれは、裁判で鑑定ずる以外にないと私は思いますけれども、その点がしたがって立ち合いの上でこれを確認した限りにおいては、それならこの確認したものに対してあとから出したものがこれの原本であるなら、原文ですと、当然見せてもいいわけですね。そういう態度がないところに、おかしいではないかという疑義が生まれてくるわけですよ。これは政府が被告であって非常に私はゆゆしき問題だ、行政上あるべきことじゃない、法治国家の日本が、国と一個人との係争問題をやる場合にあるまじきことである、堂々と私は戦うべきだと思うのですが、こういう点に疑義をはさまざるを得ない点が多数あるのであります。こういう点をどう長官は――これはひとつ次官にもお聞きしたいのですが、こういう行為に対してどうお考えになるか、所見を承りたい。
○説明員(宮崎正雄君) ただいままでいろいろ御質疑になりました点につきまして、まあそういう問題があるかないかということのけじめは、これは結局裁判所にお願いする以外にないのではないかと、こういうふうに思いますので、われわれは裁判所の今後の判決を待つ以外には、ここでそれはいいとか悪いとかいうことはちょっと申し上げかねると思いますので、御了承願いたいと思います。
○高山恒雄君 次官、そのことはそうですよ、次官のおっしゃるとおりですよ。私は、先ほどから申しますように、この筆跡とこの筆跡が同一であると同時に、二回目に法廷へ持ってきた書類が先ほど原本だと、これを写す前の原本だとおっしゃるのだから、それはそれでよろしい。答弁はそれでよろしいと私は思うのです。けれども、それを弁護士が見せてくれというと……この書類というのは立ち会いした書類です。しかも政府の法務省関係、営林署関係の三人も立ち会いして確認したのでしょう。そういう確認したものに対して再び新しいものを出すということは、変わったものを出したんだなと、こういうふうにしかとれないじゃありませんか。しかも弁護士がそのときにその原本を見せてくれと、こう言ったところが、さっさと帰っちゃった。そういう態度は政府のあるべき姿じゃないじゃありませんか。次官は、そういう態度についてどうお考えになるか、それを私はお聞きしておるのです。むろん結論は裁判で争うことでありましょう。その点を私は申し上げておるのではありません。
○説明員(宮崎正雄君) 高山さんはそういう事実をよく御存じですが、われわれはいまお聞きしまして、私自身は少なくとも初めてそういうことがあったのかなあ、こういうことでございますので、まだ私自身がそのことを確認しなければ、いま私自身の見解を申し上げることはちょっと困難であろうと思います。訴訟経過は――法務省のほうで担当していただいておりますので、そういう流れは、われわれはちょっと現実にタッチしておりませんので、その点で御質問いただきましてもちょっと私自身には御答弁できない点は御了承いただきたいと思います。
○高山恒雄君 じゃもう一つ、境界査定通知書の乙の九号証では、明治四十年三月十四日雫石を発して、明治四十年三月十五日、しかも午前中に配達証明の返事があったとなっておりますが、現在においても数日かかるのに、こういう雫石線の汽車もまだ通っていない明治四十年の時代です、一体翌日に手紙が届くというようなことは不可能ではありませんか。それから見てもおかしいなという感じがいたしませんか。いまでも四日ないし五日かかるそうです。当時は汽車もないのです。それが書類から書類の調査をすると、先ほど申しましたように、明治四十年の三月十四日雫石を発して、四十年の三月十五日に、しかも午前中に配達証明の返事があったということになっております。それをうそだとおっしゃるなら、ここにそのときの写しのスタンプがあります。これは十四日です。一方、届いたほうは十五日です。こういうことがあり得るのですか。どう考えてみてもおかしいじゃありませんか。どう考えますか。いまでも届きますか、翌日。十四日に発送して十五日に届きますか。この点どうですか。
○説明員(松本守雄君) いまの先生御指摘の関係につきましては、何か書類によりますと、確かに一日で届いている日付印があることも営林局から聞いております。その間の事情につきましては、おかしいと申し上げるか、まあ当然着いたのだと確信を持って申し上げるか、まあいずれにしましても申し上げかねる問題でございまして、何ともその間の事情はわかりません。
○高山恒雄君 あなた、常識で答弁してくださいよ。この裁判を有利にするとかしないじゃなくて、私も常識的におかしいなと思うから質問しておるのであって、結論は裁判を待たざるを得ないでしょう。そのときには汽車もないのですよ。いまですら四日ないし五日かかるのではないかといわれておるのに、明治四十年時代に、一体汽車もないところに発送して、一日の違いで翌日届いたというこの消し印が、ちゃんとここに出ておる限りにおいては――これも写しとして出ておるのです。あなたの手元にも出したでしょう。この十五日のほうがちょっとわかりにくいですけれども、これにははっきり十五と出ております。常識で答弁してくださいよ。国会で質問しておるのですから、裁判所じゃないから、ここはそんな常識はずれの答弁をしてもらったのでは話になりません、私は裁判をやっておるわけではないのだからね。
○説明員(松本守雄君) いまも申し上げましたように、どうもその間の事情がよくわかりませんので、いずれにいたしましても、この結果は裁判を通じまして明らかにしていただきたい、このように思うわけであります。
○高山恒雄君 あなたの常識を聞きたいのだ。
○説明員(松本守雄君) 一応これは裁判に出ております関係上、常識と申しますか、感情を申し上げるのがよろしいのかどうか、ちょっとわかりませんので、これぐらいで御了承いただきたいと思います。
○高山恒雄君 話にならぬけれども、それではもう一つ。次に、三十六地番の絵図について質問したいと思いますが、これは雫石町役場の備えつけの絵図であります。この絵図にははっきりと又ノ沢、金堀沢の沢名があるにもかかわらず、国の提出書類では、乙十九号証は故意に沢の地名を落としております。三十六地割、三十五地割の境を金堀沢ということにして、裁判所にこれを提出しております。そのため、控訴側は一審の判決では一部却下されているのであります。町役場の資料と比較してみれば偽造としか見えないのでありますが、特に山林絵図は地方自治体に保管されているのであります。これと相違することは常識では全く考えられないのですが、こういう点、どうお考えになりますか。これは、政府が――官庁が出した絵図なんです。沢がないのです。これは町役場の証明を取って役場から正式に取ったものです。これには全部名が入っております。又ノ沢、金堀沢、全部沢が入っております。それが政府の出したのにはないのです、二つとも。こういうごまかしの地図を――町役場で保管している地図にはあるにもかかわらず、それと違ったものを出すということは、どういうことでしょうか。そういうことがあり得るのですか。疑問視されませんか。われわれしろうとが見て全くおかしいなと思うのです。私は、しろうとですよ、山林のことなんかわかりやしません。わかりやしませんけれども、書類に基づいて私がやってみて、いろいろ調べれば調べるほど疑問視する点があるから、私は質問申し上げているのです。こういうことがあり得るのですか、どうですか、いままでもあったのですか。
○説明員(松本守雄君) いま公図の点についてでございますが、林野庁といたしましては役場にある公図を写しを取りまして、それを裁判所へ提出して、しかもそれが公図と間違いがないという確認を受けておるのでありまして、今回の控訴審におきましてそういう点の主張をなされておるようであります。そういうことは、この二つの公図があるということはあり得ない。当方で出したのが確認をされまして間違いないということで出しておりまして、その確認も裁判所で受けておるはずでございます。
○高山恒雄君 まあ、あなたに質問しても言えないでしょうけれども、大体私が先ほどからあなたに申し上げておるのは、町役場の資料としてこれを見た場合、町役場がこれに相違ありませんという証明をつけて出しておるのですよ。あなたのほうも町役場が証明したと言う。これも町役場が証明して証明書がついていますよ。同じものが出ておれば町役場が証明したことになりましょうが……。しかももう一つの、特に第五十五地割の絵図は明治七年に作成されたものです。永久保存の書類であるが、三十六地番のごとく偽造ができなかったためか、また大久保谷地として大久保氏の所有であることを物語っているためか、故意に紛失したと思われるというようなことを控訴側は言っておるわけです。役場で聞いたところが、営林署に貸したと言っておるのですよ。営林署に行くと営林署はなくなった、借りたけれどもそれはなくなったと言って返さない。都合の悪いときは書類は故意に紛失、証拠隠滅というようなことをやって、全く常識で考えられないことですよ。これは不法行為じゃありませんか、こういうやり方は。これは町長がそのときの絵図として証明をつけて、これも送っております。むろんこういう問題は、保存すべき役場が責任を持ってやらなくちゃいけない問題でありますから全部その証明を取ってやっておるわけです。ごまかしをしておるわけじゃないのですよ。こういう問題をどうお考えになりますか。
○説明員(松本守雄君) 最初に公図のお話がございましたが、公図は、まあ重ねてお答えするようになりますが、役場にあるものを営林署で――これは営林署員か営林局員か知りませんが、写しを取りましてそれを裁判所へ提出して、その際にその裁判所が役場の公図を役場から取り寄せて、役場の公図と間違いない。それと比較してその内容につきまして誤りがないという確認を受けておるわけでありますから間違いない。国の財産を管理しております営林局長は、これは国民の財産でございますから厳重に管理をする姿勢でやっておりますが、一方、そういう係争問題につきまして不明朗な、偽造するとか何とかということは決してあり得ないと、確信をしておるわけです。まあ今後ともそういうことでやらせていただきたい。 〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
○高山恒雄君 役場で書類を証明しておるとおっしゃるけれども、これも役場が証明したのです。役場が証明した役場の写しを持ってきたのに沢が落ちておるのですよ。そして裁判所で一カ所だけは――大石沢かな、書き込んでいますよ。裁判所で書き込む必要はないんでしょう、間違いがなければ。そういう事実があるんですよ。だから、そういう答弁は私は成り立たないと思うんですがね。 じゃあ、次に移ります。時間がありませんからね。特にこの問題で重要なポイントは、先ほど私が申しましたような盛岡銀行の抵当の問題。盛岡銀行が立ち会いの実測をやったことがあるのです。元の所有者大久保千代松氏が大正十四年の七月十八日、盛岡銀行に担保差し入れの際、銀行と立ち会いの上本件係争地を実測して、当時の金で二万五千円なりを借用しておるんです。実測後の総面積は四千三百九十六町歩となっているのです。原本は非常に古く、いかにも大正十四年につくられたことを如実にものがたっている。多額納税議員である大久保千代松氏が悪いことまでして銀行から金を借りるようなはずはないと信じてもいいと私は思うんです。したがって。この実測は間違いないと私は思うんです。全部毛筆です、これは。こういう問題が、しかも銀行と立ち会いの上でやったんですね。こういうものがちゃんとあるわけですよ、こういう大きな地図が。これは役場にある原図とちょっとも変わりないんです。こういう問題をですね、あまりにも疑義が多いから、私としては皆さんにこれを知っていただきたい。むろん結論は裁判できまることでありましょうけれども、こういう疑義のある問題をはらんでいるということは、まことに行政府として、法治国家として国と個人と争う場合に、不明朗な、しかもあるべきことではないではないか。社会的にもゆゆしき問題ではないかということを私は考えるわけです。 次に申し上げますが、もう一つ申し上げますと、重要な拠点にあった国有林境界のくいですが、この写真は、これは役場にある写真と同じです。当時写真までとってあります。岡部岩雄君が写真をとっております。しかも、岡部岩雄君の標識はここに立っております。国有林はここに立っております。山という字。そして岡部氏が過去二十五年近くも管理人を雇って、ずっと管理を続けております。そうしてこの管理人の四名が――武井忠一、佐藤五七、高橋文七、高橋久三、この四名の人がそれであるということを証明を出しております。写真まであります。こういう点が、いわゆる役場のこの証明した地図と変わらない地図をここに写して、そうしてこの境界線の岡部氏の「火の用心」という境界線のくいをずっと五百本から立てて、しかも管理人が二十年以上もこれを管理しておったということですよ。ここに問題があるんじゃないかと思うんですね。こういう点を一体どうお考えになりますか。これが役場の写しですが、そしていま政府が言わんとするところはこれだけは全部岡部の領土だということで管理人を雇って管理しておった。そうして岡部の土地はいまこれだけだ、これが係争の、争いの中心になっているわけです。一体、こんなところに二十年間も「火の用心」という境界線のくいを立てたというようなことが、こういうところにあったと、だれが信じますか、地方の人にしても。熊が百五十頭ぐらいおるそうですよ。ヘビも無数におるそうですよ。入ったら出るところがわからぬほどの森林らしいです。そういうことは常識的に考えてあり得るはずがないじゃありませんか。ここに沢の違う地図を出して、そして係争しておる点について、私は非常に遺憾ではないかという点を申し上げたいのであります。こういう点、どうお考えになりますか。
○説明員(松本守雄君) 岡部原告の主張しておりますことは私承知をしております。第一審におきましては、そういう主張に対しまして国が勝訴になっておるわけであります。国としましては、明治四十二年から施業計画を編成をいたしまして、人跡未踏の土地にまで入って一応の測量までしておるわけです。その後十年ごとにその施業計画の調査にも入っておるわけです。その間、どこからもそういった苦情を受けておりません。したがって、国としましては、この地域が国有林であるという確信の上に立って従来管理経営をしてまいったということでありまして、いずれにしましても、そういった主張点の食い違いというものがございますので、これは裁判所におきましてはっきりしていただくということであろうかと思います。
○高山恒雄君 それじゃもう一つ聞きますが、山林組合の立ち会い、その確認をしなくちゃいかぬことになっていますね。これは御承知のとおりです。ところがこの山は、買った岡部氏が、昭和十三年の十月十五日に本件係争地の臨接国有林管轄の雫石署に対して、山林組合立ち会い確認願いを書留で提出しておるんですよ。当時の岡部氏の使用人の山本千里氏は雫石署でこれが書留で着いたということを確認しておるんですよ。これを今日では知らないということを言っておりますが、こういう書類でこの確認書を出しておるわけですよ。ところが政府がこの山の国有林であるという考え方を持ち出したのは昭和三十六年じゃありませんか。昭和三十六年でしょう。岡部岩雄氏がこの境界にちゃんと「火の用心」のくいを立てて管理人も置いたのに、それを二十年間も放置した、そのことからも国有林としての監督が悪かったということがどうして言えないんですか。どうですか、長官。そういう放任をしておいたことの責任はどこにあるんですか、その責任は。
○説明員(松本守雄君) 先般来御答弁申し上げたことと一、二点重複する点もあろうかと思いますが、明治四十二年からずっと関係をしてきた、特に最近におきましては、昭和三十二年に秋田県境一帯を通じます巡視歩道がつくられたということで、営林局長、主として担当区員でございますが、年間一定の巡視計画を立てて、巡視また火の用心、そういう管理の見回りをやっておるわけであります。昭和三十六年に至りまして、岡部という方が自分の山であるということで、それを売りに出そうとしておるという動きを、営林署で承知をいたしまして、営林署としましては、いままで何十年となく管理してきた山を、一方的に売りに出されるということで、それを押えにかかったというところから、この事件が発端しておるのでありまして、決して人の山に国有林が食い込んで経営をしてきたということではないという確信を持っておるのであります。また、そういうことで、第一審におきましても、国の主張が認められた、そういう経緯もございます。
○高山恒雄君 あんたのは全然逆ですよ。私が申し上げておるのは、この立ち会いの確認をしてくれという願いが出ておるんですよ、しかも昭和十三年の十月十五日ですよ。それはどこの国有林がそういうふうに「火の用心」のくいを立てて守ったり、管理しておられるかしらんけれども、いま国有林だと称されるのは、岡部岩雄君が「火の用心」のくいを立て、そうして岡部岩雄の名前を書いたくいが約四千町歩にわたって出してあるんですよ。それが二十年も続いておるんです。立ち会いをやってくれと言ったときにやらないで 売るとか売らぬという問題じゃないですよ。この二十年間、岡部自体が管理しておった事実を認めるのですか認めぬのですか。そういうことは村へ行って聞きなさいよ、常識でわかりますよ。どこを管理したとおっしゃるんですか。よそではやっておるでしょう、官有林については必ず標識が立っている、それなら私も常識的にわかります。けれども岡部の場合は、政府が 営林署がやっておるんじゃなくて、岡部氏自体が二十年間も、昭和十三年以後ずっと 管理要員は五年とか六年とかで交代して、おんなじ時期に四人ともおったんじゃありません。一人は六年、一人は七年、こういうふうにずっと交代をしておりますけれども、岡部岩雄君が管理してきておるんです。それを農林省が管理したとはどういうことですか、一ぺん聞かしてくださいよ。
○説明員(松本守雄君) その岡部さんという方がやってきておったということは、――そういう主張が出ておるということは伺っておりますが、現実に昭和十三年からそういうことをやってこられたということは、国として聞いておらなかったわけであります。国としては先ほど来も申し上げましたように、明治四十二年から管理経営をしてまいりまして、さらにこまかく申し上げますと、大正十五年以降には巡視人を雇用して巡視をさせた事実もございますし、十年、十二年、十四年、二十三年、そのつど調査員を入れて各種の測量その他をやっておるわけで、第一審におきましてはそういう事実が認められて、国の見解が承認をされておるわけであります。以上申し上げまして答弁といたします。
○高山恒雄君 あなたがいま言われておるのは、この山でない話でしょう、それは。これは岡部氏がちゃんとそのくいの立っておることも写真にも出ておりますし、それはおかしいですよ、そういう答弁は。 それじゃ次に移りますが、この森林組合のこの業務執行にあたっては、営林署は管掌しておるわけですか、指導しておるわけですか、どうですか、指導しておりますね。組合法に基づく森林組合。
○説明員(松本守雄君) 各地区に森林組合という単位組合がございますが、その森林組合に対する営林署の指導は正式にはございません。これは県がやっておるのでございます。ただ、技術的にいろいろ相談にまいる、そういう場合には営林署がその相談にのるということはございます。
○高山恒雄君 県は指導しておるわけですね。間違いありませんか、それは。
○説明員(松本守雄君) 組合の各種の活動とか補助、それから指導研修会、その他県が指導をしております。
○高山恒雄君 それでもう一つ疑わしいのは、この雫石森林組合に対して評価証明をとったんです。この人はもと雫石営林署の担当区域におられた方です。現在雫石の森林組合にやっぱり在勤しておられます。本件の係争地を岡部氏の所有として十九億七千四百万円の価値があるものだという評価を出しております。三千数百町歩、面積も評価しておるのでありますが、岡部の所有でなければかかる証明が出ないのではないか、これが証明です。これを申し上げますと、台帳面積が五町一千九百七町歩ですか、ところが、実測が書いてありますが、五百五十二町歩、こういうふうにちゃんと明細を書いて、金銭までちゃんと出しております。これから見ても、もと営林署におった人がこの評価を出すということは岡部の私有林であるということを知っておるから、これを出したんでしょう。しかもこれは営林署におった人ですよ。現在も在勤しておられる人です。そういう人が評価を書くのはごまかして書いてない、正しいですよ。これから見ても、私はその経過に対する疑義がどうしても解けないわけですが、こういう面はどうお考えになりますか。
○説明員(松本守雄君) いまの森林組合の証明――森林組合長の証明だと存じますが、調査したのは営林署員であるかどうか知りませんが、その事実は、いま先生からお伺いをしたことでありまして、全く聞いておらない事実でございます。
○高山恒雄君 もう時間がありませんから最後ですが、これは次官にもお聞きしたいんですが、この問題は次官もおっしゃるとおり、いま長官もおっしゃるとおり係争中の問題でもありますから、ほんとうならば私は国会でやらなくても裁判が結論を出すと、そう信じたいのですよ。ところが、やっぱり一般国民の声として、しかもいろいろ資料を調べてみればみるほど、全くの疑義がある。私が説明申し上げたのはまだ十分じゃございません。時間に制約がありますから十分申し上げておりませんが、これだけの疑義のあるものを政府の今日まで法廷で争っておる態度、出しておる資料、さらに六月三日の態度等について私は報告を聞いておるのですが、現場で見たわけではありませんが、裁判長もそのことを知っておるようです。しかも弁護士が、新しい資料を出したものに対して、それを見せてくれと言ったが、見せないでつっと帰っちゃった。全くそれは前の原本と違うから見せなかったというように疑われてもしかたがないじゃありませんか。こういうことは、日本の国にあるべきことじゃない、法治国家をみずから破壊するものではないか、ゆゆしき問題だと思う。地域住民はそのことをまた十分知っておるようです。これ以外にもあるんではないかということを私は聞いておるんですが、そういうことが継続してあるということになれば、国が私有財産をぶんどるとは私は申しませんけれども、国民にそういう感じを与えてはいかぬと思うのです。昭和三十六年の仙台市の古川支部でも同じ事件があったということを私は聞いております。次官も御承知のように東北六県、南九州――台帳と実測と違うのが森林の姿です。もっと政府は真剣に取り組んで、いわゆる私有財産であればそれを認めていく。それが国有林であっても不要になったならば払い下げてやるとか、そういう姿になるのが行政処置ではありませんか。一体政府が個人の私有財産を筆の先でごまかすように疑われるような余地のある裁判をやって、不安を国民に与えるということは、行政府として、なおまた法治国家として、私はあるべき姿じゃないと思うのです。次官、こういう点について、ひとつ今後の問題もありますから、きょうは私これで質問を終わりますが、所見を聞かしていただきたい。
○説明員(宮崎正雄君) 最初に申し上げましたように、いずれの主張が正しいかどうかということは、裁判で決定されると思いますが、その過程におきまして、いやしくも国民からいろいろな疑惑を持たれるような、そういうことがあることは、私は行政府といたしましては十分に反省すべきことである、こういうふうに考えております。今後そういうようなことのないように、われわれその職務の遂行にあたりましては全力を尽くすべきである、こういう感を深くしているわけでございます。さらに、私は非常にふしぎに思うのですが、少々の違いならまだいいのですけれども、登記は十六町歩、ところが実際は四千三百九十町歩、あまりにも開きが大き過ぎるので、だれが見てもこれは明瞭なことじゃないかと思うのですが、これが今日まで長い間はっきりしないでおったということについても、われわれといたしましてはこれは反省しなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。国のほうもいたずらに根拠のないのに争っているわけじゃないわけでございまして、しかし、まあ基本的な姿勢といたしましては、われわれは大事な国有財産を扱っているわけですから、その管理につきましては十分に国民の期待にこたえ、またそういう不安を与えないように、戒心すべきじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○理事(和田静夫君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○理事(和田静夫君) 速記を起こしてください。
○黒柳明君 私は刑務所の問題で、きょうは時間もおそいですから、ひとつ簡潔に、簡明に質問しますから、要領よく御答弁をお願いしたいと思います。 最近、刑務所の事件がいろいろ起こっております。金嬉老の事件、あるいは奈良、尼崎のリンチ事件、大阪拘置所の切手の横領事件、けさは千葉刑務所の贈収賄の何か汚職事件も出ていました。いろいろ黒星が続いて、当局としてもこういう点を改善しよう、そういう意欲はあるのじゃないかと私は想像したいと思います。きょうは刑務所の中のことで、違った観点で私は取り上げてみたいと思うのですが、刑務所の中で、要するに豚を飼っているわけですね。まずその養豚事業をやっている趣旨、これは私聞くところによると、所長以下刑務所の職員の方が職員会をつくって、その方が運営をしているというようなことも聞きましたが、ひとつその運営のシステムですね、これを簡明にお答え願いたいと思いますが。
○説明員(羽山忠弘君) 刑務所で養豚をやっておりますのは非常に古くからでございまして、職員会というものがその事業主体と申しますか、経営主に相なっておりましてやっておるわけでございます。今日各省で職員組合あるいは労働組合がございましていろいろ売店の経営だの何だのやっておる、職員の福利厚生を目的とする事業をやっておるようでございますが、その趣旨におきましては、刑務所の養豚事業も変わりないわけでございます。ただ豚を役所で飼うということがいかにもちょっととっぴなような感じがいたすのでございますが、ただ、これは非常に昔からやっておるということでございます。
○黒柳明君 昔からやっていること必ずしもいいと言えない場合があると思いますし、私、いい悪いは追ってこれから御質問したいと思うんですけれども、いまおっしゃった役所で職員の方が組合をやっていると、それと同趣旨だと。これは役所の場合は国家公務員が共済組合法にのっとってやっている。この刑務所の場合には、職員の方が養豚事業をやられるというのは、何か法的な根拠があるわけですか。
○説明員(羽山忠弘君) 共済組合がやっておりますのもございますし、共済組合でない、必ずしも法的な根拠と申しますか、いわゆる厚生部あるいは厚生課というような各省それぞれいろいろ状況によって異なると思うんですが、必ずしも明瞭な法的な根拠があるものばかりではないと思うのでございます。養豚もそういう意味におきましては職員会の仕事という意味でございまして、法律の根拠はございません。
○黒柳明君 いま職員が福利厚生のために養豚事業をやって――まあこれからその規模についてはお聞きしたいんですがね。その前に、いま共済組合云々と、これと同趣旨だと言うので、そっちのほうに先に入っちゃったんですけれども、要するに職員の方は、売店をやる、食堂をやる、これははっきり職員の共済組合法で国家公務員がそれで大蔵省の検査を受けるわけです、会計にしても。この刑務所内の職員の厚生というのは、これは人格なき社団法人じゃないですか。営利事業じゃないですか。それで、人格がないでしょう、この社団は。そうじゃないですか。人格なき社団である。しかもこの養豚によってばく大な収益をおさめている営利事業である。この二つはいかがでしょう。人格なき社団ですね、相当収入がある営利事業ですね。その二点だけ、イエスかノーか。
○説明員(羽山忠弘君) 人格なき社団であることは御説のとおりでございます、結果といたしまして。
○黒柳明君 相当収入を上げている営利事業ですね。
○説明員(羽山忠弘君) 収入を上げておることは事実でございますが、営利を目的としているわけではございません。
○黒柳明君 けっこうです。ええわかります。だから百歩譲って福利厚生がいいとしても、私は、いろいろ国家公務員が、たとえばどこの省でもいいですよ、国家公務員が金もうけになる仕事、そんなことができますか、ほかの公務員が。どこの組合でもいいですよ、やってもいいんです、共済組合法にのっとれば。ところがこの刑務所の職員の場合は、これは人格なき社団、ですから法的に根拠ないんじゃないですか、何にも。どうでしょう、その点。ほかの公務員が売店をやり、あるいは食堂をやる、これは明らかに職員会の福利厚生、しかもこれは法にのっとっているわけですよ、共済組合法。この会計も明瞭に大蔵大臣の監督下にあります。これは十二条「国の職員及び施設の提供」、そして百十六条に大蔵大臣の監督、これは明瞭になっているんです。この養豚事業の場合、刑務所内の職員がやっている。これについては何か法的根拠があるか、この会計についてですね、明瞭なるチェック機関があるか、こういう法に基づいた。いかがでしょう。
○説明員(羽山忠弘君) 福利厚生を目的とする事業は共済組合でなければできないというのは、何か……
○黒柳明君 そうじゃない。私、聞いているのは、職員組合が養豚事業をやって、そこでばく大な利益を上げる、国家公務員がですよ、そういう法的根拠があるか。共済組合というのはあくまでも法的に根拠があって、会計も明瞭に大蔵大臣のチェックを受ける、そういう機関があるんです。職員組合がやっている、それが国家公務員の共済組合と類似だと一番冒頭におっしゃったでしょう、趣旨は。私はそうじゃない。人格なき社団で、公務員が、国家公務員が、どっかの官庁でもうけ仕事がある、組合員が、職員が寄り合って、そしてそこで仕事をやったらどうなります。そんなこと考えられませんよ、各官庁で国家公務員が。だからこそ、こういうための法的な規制があるんじゃないですか。刑務所内の職員、その養豚事業にはそういう法的根拠がありますか。あるかないか、イエスかノーか。
○説明員(羽山忠弘君) 法的に養豚をしてよろしいという根拠はございません。
○黒柳明君 ないでしょう。
○説明員(羽山忠弘君) しかしながら養豚をして奪いという根拠もありません。
○黒柳明君 養豚しては悪いという根拠は――これはどことこう質疑をやっているのかわからない。法に一番厳格である法務省、しかもそれをただすべき矯正局長と私は質疑をやっている。悪い根拠がないと言ったって常識で考えてごらんなさいませ。国家公務員がお互いの福利厚生のためにいろいろな売店を経営する。ここでも経営していますね。そのためにはちゃんと会計も明瞭にしようじゃないか、あたりまえですよ、国家公務員ですもの、そんなルーズなことできませんよ。そのためにはちゃんと――これで四回目です――国家公務員共済組合法というのがある。それにのっとって国家公務員は売店の経営をやる。ただし、それについてはきちっとした大蔵大臣の検査がある、会計について毛。この刑務所内の職員、これが厚生福祉、これは百歩譲って、悪いとかいいとかはまた別に論じます。百歩譲っていいと認めた――認めたくないですよ、あとで問題が出ますとしても、それじゃ国家公務員が、刑務所内の職員だけが、こういう法律があるのに、その法律にのっとってやってない。やっちゃいけないというものがない。それじゃやっていいのか、国家公務員は。国家公務員がやって悪いからこういう法律があるのじゃないですか。そういうことをやってはいけない。会計も不明瞭になる、省内もみだらになる、だからこういう法的な規制があるのじゃないですか。やってはいけないから、こういうものがあるんですよ。国家公務員として順守すべき法律があるのじゃないですか、どうでしょう。国家公務員がそんなもうけ仕事をあっちでもこっちでもやったら困っちゃうじゃないですか。
○説明員(羽山忠弘君) おことばではございますが、たとえば法務省の本省におきましても、もちろん共済組合の行なう厚生事業もございます。しかしながらそれ以外に、たとえば理髪とかあるいは食堂というようなものの経営をいたしておるのでございまして、これは別に法的に共済組合でないから悪いということにはならないかと思うのでございます。
○黒柳明君 あのね、国家公務員が寄り集まってやっていますか、そういうものを。共済組合としてあるのじゃないですか、あくまで。食堂をやっていますよ、ここだって。ここの食堂は国家公務員がやっているんじゃないのです。商売人がやっているのじゃないですか。だが、これは明らかに職員が寄り合ってやっているわけですよ。極端に言えば商売として――営利事業ですから。国家公務員が寄り合ってそんな金もうけをやっていいか――うまくない、そういうことは。だからこういう共済組合法というものがあるのじゃないかというように、私は先ほどから二回も三回もの質問なんですが、ないからやっていいのだと言う。じゃ各省庁ともそんなことをやったらどうなるかと言うのです。どこの省でももうけ仕事があるというので、職員が寄り集まって、それでもうけ仕事ばっかりやっている。あとから問題が発展しますけれども、自分の仕事をおっぽりぱなしにしてしまいますよ、それこそ。そんなことやっちゃいけないんじゃないですか、当然、国家公務員が。
○説明員(羽山忠弘君) もちろん国家公務員には職務に専従する義務というのがございますので、自分の仕事をほっぽってそういう仕事ばかりやっておるということは、これは問題だと思います。しかしその職員会という人格なき社団が、適当な方法で職務の執行を妨げない範囲内におきましてやることについては、格別問題にないんではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
○黒柳明君 そうすると、逆説的に言いますと、国家公務員が営利事業を寄り集まって自分の省庁内でやってもいいと、こういうことが言えますか、いまの矯正局長の意見ですと。やっちゃ悪くないんならやっていいということですね。そうすると、たとえば法務省の中で、どこでもいいですよ、厚生省の中で職員が寄り集まって――当然これは民間の団体ですよね、人格なき社団ですから。ただし、ここでやっているのは公的な仕事ですよ、全部。そういうことを、寄り集まって、もうけ仕事を省内でやったらどうなりますか、国家公務員が寄り集まって。それはいいという断定ですか、反対に言いますと。どこの省庁でも、国家公務員が営利事業やってもいい、自分の職場で寄り集まって。こういうことにもなりますでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) 営利事業とか、もうけ仕事とかいうおことばでございまして、確かに限度はあると思います。何でももうけるだけもうけろというようなことは、これは役所なり役所の職員で構成する職員会の性格からまいりまして、限度はあると思うのでありますが、その限度内にある限りは差しつかえないのではなかろうか、こういうふうに考えます。
○黒柳明君 その限度を示していただきたい。限度を示してください。どこでもやるように、私、奨励しますから、職員の方に。限度を示してください。これだけのもうけ仕事ならやれるから大いに――法務省の矯正局長は、限度がある、それ以外に職員が集まってもうけ仕事やってもいい、各省庁内で。これはたいへんなことだ。いいことを聞きました。これはもう総理大臣に政令で発令してもらわなきゃ。各職員、この限度ならば営利事業やってもよし。これは民間の団体でやっていることは、またあとで議論を発展しますよ。公的なことですよ、全部。どのぐらいの限度ですか、限度を示してください、この限度ならいいという限度。うまくないですよ、これは。限度を示してください、それじゃ。
○説明員(羽山忠弘君) 具体的に幾らというのが適当だということはいま申し上げにくいのでありますが、要するに、これによりまして職務を怠るとかいうことが生じますれば、はなはだこれは適当ではないということは抽象的に申し上げられると思うのでございます。
○黒柳明君 そうすると、職務を怠らない範囲であるならば営利事業をやってもよしと、国家公務員が省庁内で。こういうことが一つの条件だと、こう理解していいですか。たいへんなことですよ、そんなこと。冗談じゃないですよ。国家公務員が仕事に妨げない範囲ならば、自分の省庁内で営利事業をやってもいいなんということになったら、たいへんなことですよ。国家公務員法を改正しなきゃなりません、そんなことがいいとなったら。
○説明員(羽山忠弘君) 重ねて申しますが、たまたま利益が上がっているということと営利を目的としているということとは区別してひとつお考えいただきたいのですが……。
○黒柳明君 ずっと古くからやっているとおっしゃったでしょう。たまたま古くから利益が上がっちゃっているのですか。変なことをおっしゃらないでくださいよ。たまたまずっとやっちゃって利益が上がっちゃったから、しようがないというのですか。はっきり利益を目的にやっているのじゃないですか。はっきり厚生福祉のために、金をもうけるために、収益を取るためにやっているじゃないですか。たまたま利益が出ちゃったんだ、おかしな話ですよ、それこそ。はっきり一番冒頭に、職員の福利厚生のためにやるんだと、こうおっしゃって、たまたまやって利益が出ちゃったんだ。そんなことじゃないんじゃないですか。ずっと前からやっているのですよ、利益を出すために。
○説明員(羽山忠弘君) 営利ということばの問題でございますが、営利と申しますのは、あらためて申し上げるまでもなく、金銭をむやみに積み上げることであろうかと思います。で、もうけた、余りました利益が、たとえば一年にあがった利益が、一年内にあるいは一年半くらいのうちに大体消費されていくというのでございますれば、これは必ずしも営利ということにならないのではないか。そしてその目的が職員の福利とかいうものに使われておるというのであれば差しつかえないのじゃないか、かように考えるわけでございます。
○黒柳明君 あのね、もう一回それじゃ論点を――これは長くなりそうですね、百二十分で、まだ十分。冒頭の第一問ですよ、これは問題じゃなかったのです。まだまだ問題が出てくるわけですけれどもね。 先ほどおっしゃった、限度があるならばいいと、ばく然といま抽象的なことしか言わない、ただ限度があるからいいというのでいままでずっと長年やってきたんでしょう。やってきた。営利と言わなければ収益と言ってもいいですよ、私は。収益には一つの限度がある。どこまでが収益で、どこまでが営利だなんということは、いま私は初めてそういうことを聞きますけれどもね。じゃその限度を、ばく然とでもいいから、いままでやってきたんですから、収入があったんですから、その収入を明示して、これは営利じゃない、これは収益だ、これは許される限度だ、こうなるんじゃないですか、そうすると養豚やったことは。じゃそれを一つ示していただきたいですね、国家公務員の方にそれを提示する。法務省としては、これは、国家公務員として、収益事業として許される限界である。いままでやってきたんだ。たまたまこれだけの金が入ってきちゃったんだけれどもというので、それが一つの限度になるかと思いますけれども、その収益というものを一回教えていただきたいのですけれどもね。おもな刑務所でけっこうです。どのくらい豚がいて、それからどれくらい収入があるか。職員はどのくらいか、おもな――七十三全部ではたいへんですから、どこでもけっこうです。
○説明員(羽山忠弘君) 実は始まりは、刑務所におきましては残飯が出るのでございます。で残飯の……
○黒柳明君 私、いまの質問は、刑務所の名前をあげまして、その飼っている豚の頭数、そこの収入――資料をいただいたやつです。そこの職員の人数、これに十五、六ありますけれども、ちょっと二、三、五、六でけっこうですよ。小菅とか中野とか、府中とか千葉とか、どこでもけっこうです。収入はどのくらいあるかということを皆さんに知っていただきたい。これが限度ならこれでいいということですから、もうけ仕事をやっても。
○説明員(羽山忠弘君) 収益を上げましたのは、これから申し上げますのは昭和四十三年度でございます。それから豚の数と職員の数、これは昭和四十五年、すなわち本年の七月一日現在でございます。 一番大きく昭和四十三年度に収益を上げたと考えられますのが小菅の刑務所でございまして、これは職員数が現在百四十四人でございますが、年間の地代その他を差し引きますと、約二百万円の収益を上げております。それから一番収益を上げておりませんのが府中の刑務所でございます。これは職員が四百七十で……
○黒柳明君 収入の欄をひとつ……。小菅が九百四十七万……
○説明員(羽山忠弘君) 小菅が九百四十七万で、支出が七百九万二千、そこで借料が約三十五万でございますので、それを差し引きいたしますと、約二百万円の収益でございます。府中が七百十万の収入のところに対しまして、支出が七百七十万、借料等が約十五万でございまして、これは八十五万円の赤字となっております。その他は大体、横浜が収入が二百九十万で、支出が借料を入れまして二百六十六万で、利益が約二十万か三十万、大体がこんなような程度でございます。
○黒柳明君 前橋なんか二百万か百五、六十万の実益があるみたいですね。七十三全部といってもたいへんですからけっこうです。
○説明員(羽山忠弘君) 前橋は、前橋の刑務所のほかに利根川のほうで利根川の河原に豚舎を設けておりまして、収入が七百万支出が約五百二十万、したがいまして百七十万か八十万の収益を上げております。
○黒柳明君 大体この七十三は、私資料要求をして出てきませんけれども、こう見て、平均百頭から百五十頭くらいいるのじゃないか。たとえ百頭にしても七、八千頭。聞くところによると、いま一万八千円から二万円だから一億二、三千万から二億弱くらい、売るとすれば。そういう豚の飼育がされていると、これは子豚もいます、いろいろな状態がありますけれども、これは推測です。資料が間に合わなかったみたいです。こういう範囲ならば、これは要するに収益事業にならない、こういうことと伺ってよろしいでしょうか。この範囲なら国家公務員として、要するに収益事業をやってもいいと、これが一つの限界である、こういうことに了承してよろしいでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) 一番問題になりますのが小菅の刑務所でございます。私どもはかつて勝尾前局長がやはり黒柳先生の御質疑に対して答弁を申し上げておるのでありますが、その勝尾前局長の答弁などから考えまして、大体小菅の程度が限度ではないか、かように考えるわけであります。
○黒柳明君 要するに小菅のように二百万ですか、二百万くらいならば国家公務員として、もうけてもいいと、仕事に差しつかえない程度ならば。こういうことが収益に対して許される範囲である。国家公務員の共済組合法――これ以外にやるとすれば、こういうことで理解してよろしいでしょうか。これもはっきり確かめないとたいへんなことですから、全国家公務員に当てはまりますから。こういうことをやっちゃいけないという規制をこの国家公務員共済組合法でやっていると、私はこう理解しますよ。ですけれどもいま局長さんのほうは養豚事業をやっちゃいけない、そんなことはないからと、それはやっちゃいけないということはありませんよ、そんなことは、あれをやっちゃいけない、これをやっちゃいけない、国家公務員はこれもやっちゃいけないという規定はどこにもありませんが、それを今度は共済組合法でこうあるべきであるということ、すなわちこのほかはやっちゃいけないんだ、こういうふうに当然理解すべきじゃないですか。いまのお話ですと、小菅の限度ならば国家公務員が営利事業をそれが局長さん気に食わないなら収益事業やってもいいと、国家公務員の共済法にのっとらなくてもいいと、大蔵大臣の会計の監査を受けなくてもいいと、やっても。こういうことですね。これは重要問題ですからもう一回念を押しますよ。もしこれの答弁がおかしかったら徹底的に問題になりますよ。
○説明員(羽山忠弘君) 二百万たまたま収益がございましたので非常にぎらつくわけでございます。しかしながら近時豚というものが異常に値上がりすることがございまして、それでこういう異常な利益があがることがあるのでございますが、たとえば府中のごときはコレラなどにかかりまして、百頭からの損失がございまして、七十万円以上の損失ということに相なっております。私どももこれは職員会の行なう事業として非常にほかの省におすすめをするというほどのりっぱなものではないということは考えておるのでございますが、ただ刑務所という特殊な施設におきまして、いろいろ捨てるようなものが残るわけでございます。そういうものを豚に食わすというようなことから始まったのでございまして、これはまあいま急にやめるということにいたしますと、かなり困難な問題が起きてこやしないか、もちろん御指摘がございますので、十分に自粛いたしまして、刑務所が豚を飼って、もうけておるというようなことのないように十分指導はいたしますけれども、なかなか急にこれをどうするということはむずかしいという点をひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
○黒柳明君 すみません、ほんとうにしつつこいみたいで申しわけないのですけれども、二年前ちょっと私触れたのです。そのときは簡単に触れました。そのときも、前向きに善処しますと言って、二年間ほっぽりぱなしですよ。いままたこれをやりますと言って、またいつできるか。ともかくやる気がないからできないのじゃないですか。 まあそれはいいとして、ともかく私はもう一回答弁を求めますよ。いいですか、はっきり聞いてくださいよ。もうこれでこの議事録を持って、しかるべきところに文句を言いに行きますし、これははっきりしてもらわなければならない。国家公務員というのは、国家公務員の共済組合法にのっとって収益事業をする、食堂の経営なり売店の経営なり、しかもそれは十二条出ています、百十六条において大蔵大臣のやっぱりきちっとした監督下のもとにある。そのほかの収益事業、営利事業をやっちゃいけない、私はこういうふうに理解しています。ところが局長さんがおっしゃったのは、一定の限度ならば、まあ小菅の二百万くらいならば、あるいは法務省の養豚くらいならばよかろう、ほかの省にはすすめられないけれども、刑務所の中ならばこれは認められるだろう、こういうようなニュアンス。前の、そのイエスかノーか、まずはっきりしましよう。国家公務員はやっちゃいけない、やってもいい、そこだけイエスかノーか、はっきりしてください。私は、共済組合法にのっとったほかのことはやっちゃいけない。イエスかノーか、それをお答えください。
○説明員(羽山忠弘君) その点は、おことばではございますが、少し私は見解が違うのでございます。
○黒柳明君 ですから、やってもいいということですね。
○説明員(羽山忠弘君) さようでございます。
○黒柳明君 わかりました。 それからその限度というのは、この法務省の養豚くらいの収益なら、国家公務員は営利事業をやってもいいと、こういうことも先ほどおっしゃったけれども、これも念を押します。よろしいですか。
○説明員(羽山忠弘君) いろいろな事情を勘案いたしまして御判断をいただきたいのでありますが、ただ二百万円の限度まで営利事業をしていいということを申し上げておるわけじゃないのであります。いろいろな事情を総合して御判断をいただきまして、それで小菅のこの程度が限度であろうということを申し上げておるのでございまして、ここまでは大いにやるべしとか、そういうことを申し上げているわけではございません。 それから、ほかの省におすすめできないと申しますのは、ほかの省にはこういうようなことをやれと申し上げましても、おそらくできないであろうと思います。そういうことを申し上げたわけでございます。
○黒柳明君 まあほんとうにこれは笑い話でね。ほんとうにとんまな話になってしまいまして申しわけないのですけれども、ここの点でいましつっこくやってもこれは平行線ですから、ひとついまの議事録をもう一回しっかり踏まえて、私は国家公務員法に照らし、それでいまの答弁がこれが間違いであったとすれば、局長さん、これは何回も私念を押したのですから、これはたいへんなことになる、こういうふうなことで私は理解したいと思います。まずやっと一問終わったわけで、すみません。それからその規模については、大体そういうことですね。 厚生省、すみません、お待たせしました。この養豚をやるためには届け出といいますか、認可が必要かと思うのですが、どういう条項が、どういう法律がありましたでしょうか。
○説明員(浦田純一君) 簡単にお答え申し上げます。 豚などの家畜類を飼養する場合には、私どものほうで所管いたしておりますへい獣処理場等に関する法律という法律によりまして許可が要るということになっております。
○黒柳明君 その許可を七十三の刑務所全部やっておりますか、許可を取っておりますか、いかがでしょう。養豚をやるためには、へい獣処理法によって許可を得なければならない、保健所の、都道府県知事の。全部養豚をやっているところは許可を受けておりますでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) その点は全部前の御質問のときにも御指摘をいただいた問題でございまして……
○黒柳明君 いや、前は言わない。
○説明員(羽山忠弘君) 指導といたしましては、許可を取るようにということをやかましく言っておりますので、おそらく取っておると思うのでございますが、あるいはどこか取っておらないとすれば、これは申しわけないことでございまして、すぐこの所定の手続をとらせるようにいたしたいと思います。
○黒柳明君 たとえばこの許可を取っていないとすると、罰則規定がありますか。
○説明員(浦田純一君) ございます。これは許可にかかる問題でございますので、これはへい獣処理法で「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」ということになっております。
○黒柳明君 これはたいへんだ。そうすると所長さん全部懲役ないし罰金という、これは申しわけないことになってしまいますね、ちょっと。たとえば府中の例ですね、府中の例をちょっと言ってみてください。局長さん知っていらっしゃいますか、府中の例。こちらで言いましょう。府中はこの保健所に七月一日に届けているのですね。その前にこちらが調査に行ったわけですよ。保健所のほうで、あのへいの中に私たち入れるんですか――ちょっと全体的な話ですけれども――刑務所の中は私たちは関係ないんじゃないですかというような話で、そんなことないです、刑務所の中でもどこでも、特に刑務所の中は一番厳正であるべきところです。ああそうですか。あの中で豚を飼っているのを知って一おりますか。いや、豚なんか飼っているのですか、すぐ飛んで行って言ってきましょう。ちょっと待て、こちらが調査しているんだから、届けていないんだから、これはどうか、すぐ飛んで行ったらこちらのおもしろ味がない、待てと言って、待っていただいた。中で塩酸を使っているから劇薬物の指定で届けなければならない、それはいろいろとありました。それはさておいて、それでその後七月一日に届け出をしたのです。そのことはありましたが、あと私はあまり個々の刑務所のことを言いますと、私が悪いことをやったときにいの一番にやり玉にあげられる可能性がありますが、やらないつもりですけれども、何か局長さんの答弁がぐにゃぐにゃなので、たとえばこれは政府のかわりに公明党がいろいろなことをやるのです。調査の予算ももらわないのに。刑務所を調べてみなさい。甲府刑務所届けてない、浦和刑務所届けてない、神戸刑務所届けてない、栃木刑務所届けてない、千葉刑務所届けてない、横浜刑務所届けてない、これはたいへんです。電話代もかかりました、足代もかかりました。一々私もやはり改善すべきところは改善すべきだ、こういうふうなつもりで一生懸命調べました。ほとんど届けていない。当然届けなくていい地域があるんですよ、これは刑務所の規程に基づいて。そうですね。そういう届けるべき地域で届けていないのがものすごくある。そうなりますと、これは冒頭に局長さんのおっしゃったずっと昔からやっている――いいことをおっしゃっていただいたと思うのです。許可を受けていないで――明治以来たしかそうだと思うのですね――やっているということは、まさか向こうは法務省の人たちがそんな簡単な許可事項を知らない、わからないということはないと私は思うのです。それはお忙しいお体ですから足元のことは一番わからないということもあるのですけれども、ちょっと考えられない。となりますと、これはもう告訴があれば十条の罰則の規定に「懲役一年以下又は三万円以下の罰金」ですよ、これは。そんなことがあったらたいへんじゃないですか。こんなことは笑い話みたいなことですが、これからいろいろなことを言っていきますよ。 このことはまずどういうことかというと、あのへいの中は治外法権みたいな意識が、潜在にせよ顕在にせよあるんです。特権意識が潜在にせよ顕在にせよあるんです。そういうことが、中もそう、外もそうなんです。それがいろいろな事件の発生をつくっちゃっているんです。そういう抽象的なことは言ってもしようがないんです。釈迦に説法みたいになりますから現実面だけを私は指摘したいと思いますけれども、そろって刑務所の所長さんが、へい獣処理法だなんというような簡単な、豚一頭飼うのに、馬一頭飼うのに、牛一頭飼うのに都道府県知事の許可が要るというんですよ、それを受けない場合には罰則規定があるんですよ、それを知らなかったなんということはない。なぜこうなるかというと、いま言いましたよ。すみません、矯正局長さんの頭が変わらなければ変わらないと私は思います。このことをやることがあたりまえなんだ、厚生福祉、そうじゃないですよ。これから話が発展しますけれども、厚生福祉のためにやるんだ、やるんだと言ったって予算を余らしているんですよ。政府の予算があるのだから使いなさい。これからまだ入りますけれども、とにかくそういう考え方がおかしいから公私混淆ですよ。公私混淆。これだけでまた時間がなくなりますから、まず第一点、こういうことです。 それからあと何やりましょうかね、いろいろな問題が一ぱいあるので……。それから刑務所の中で理髪業をやっていますね。私はまず厚生省にお伺いしましよう。理髪業は届け出は必要でしょうか。
○説明員(浦田純一君) 理髪所、これは私どもの法律のことばでは理容所と申しております。理容所を開設しようとする場合には理容師法がございまして届け出を必要といたします。それから、これは都道府県知事が届け出を受けるわけでございますが、それによりまして理容所に参りまして、その構造、設備などについての検査をいたします。その結果、衛生上の問題がないということを確認いたしまして初めてその使用を認めておるという手続でございます。
○黒柳明君 それの罰則規定ありますでしょうか。
○説明員(浦田純一君) これは届け出の義務でございますので、違反した場合には五千円以下の罰金ということでございます。
○黒柳明君 ずっと安いですね。
○説明員(浦田純一君) 届け出でございますので性質が変わっております。
○黒柳明君 当然理容所を開設するには届け出義務があり、これを怠った場合には罰則規定があると、私もそう理解しております。それで、刑務所内にも養豚事業と同様理容所がありますね。まず、ここだけイエスかノーか。
○説明員(羽山忠弘君) 散髪などをやっておる場所はございます。
○黒柳明君 そのあとがやっぱり問題だと思うのですけれどもね。届け出してない――散髪などをやっているところですね――保健所に。
○説明員(羽山忠弘君) ただし届け出ているところもございます。
○黒柳明君 私は全部が全部と言わない。そうするとどうでしょうか。いまの届け出義務を怠っている、こういうことになるんでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) 養豚の場合と同様に頭の切りかえを要するという御指摘は、まさにそのとおりでございまして、反省をしなければならぬ、こういうふうに考えております。ただ私どもは、いずれ後刻厚生省とも御相談をいたしたい、こう思うのでございますが、理容師法によりますと、理容師というのは理容を業とするものということに相なっております。それから理容所と申しますのは理容が業として行なわれるために設けられた施設ということに相なっております。問題は、この業とするということの解釈でございますが、たとえば刑務所内におきましては、収容者の頭は少し器用な収容者が頭を刈っております。継続的に特定の人間が特定の頭を刈るということでございますると、これもすでに理容を業としておるということに相なるのでございます。しかしながら、これはいままでこの種のものを届けなければいかぬかどうか、これを届け出なければいかぬということに相なりますると、たとえば泊込み構外作業場とか、非常にへんぴな刑務所などにおきましては、頭が刈れなくなってくるという現象が起きる。で、この理容を業とするというのは、単に継続的にするというだけでは足りないのではないか。何らかの意味におきまして社会性と申しますか、というのが必要なのではないか。昨日でございますか、厚生省の関係の法規を調べておりますると、たとえば岩手県のほうの中学校からの質疑のようでございますが、中学校の中に理髪部というものを設けて、父兄がバリカンを寄付する。そして子供がお互いに頭を刈るということになるだろうと思いますが、中には器用なのがのべつ刈るようなことに相なるかもしれない。これははたして理容を業とすることになって、理容所ということになるのかどうかということに対しまして、厚生省のほうの御回答は、これは実態の判断が必要ではあるけれども、一応社会性に乏しいので理容所としなくてもいいのではないかという御回答があるわけでございます。で、私どもが疑問を持ちますのは、刑務所におきまする理容所というものも、どちらかといえばこれに類するものではなかろうか。ただ刑務所におきましては、御承知のように理容師の訓練をいたしております。刑務所内におきまして理容師の訓練をいたしまして、在所中に理容師の免許を取らすというような訓練をいたしております。そういうところは、これはもう理容所のとおりのことをやらざるを得ないわけでありますので、こういうところは職業訓練所といたしまして厚生省のほうにお願いいたしまして届け出をいたしておるわけでございます。問題はそうでなく、かりに、いまの私どもの法律の疑問から申しまして、あるいははずれるかもしれぬと思いましても、事実上これを届け出まして、やはり保健所の指導を受けるということは適当な場合が非常に多い。したがいまして、私どもといたしましてはこういう意味におきまして届け出ということを励行する余地が非常にあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○黒柳明君 ちょっと私頭が悪いので、中のほうわからなかった。一番初めの、この点についての頭の切りかえをしなければならないということと、一番最後の届け出をしなければならないと思うのでございますと、この点ははっきりわかったのですけれども、何かちょっと回りくどくて中はわからなかったのですけれども。私のほうが明快に言うと、昭和三十三年十一月四日、国税庁長官から名古屋の国税局長あてに、人格のない社団等の取り扱いについて――名古屋刑務所のことです――名古屋刑務所の物品販売、理容、洗濯等の事業は収益事業に該当するものとして取り扱われたい。税金を取りなさいということを国税庁長官が名古屋国税局長に指示して、名古屋刑務所内の理容所の税金を取れ。税金取れということは収益事業をやっているということです。収益事業をやるということは届け出が必要だ、こういうことです、さかさまに言いますと。ですから刑務所内の理容所というのは、若干形態が違うところがあるかもわかりません。ですけれども、大部分やはりちゃんとこの収益事業に属するものとして扱われたいと、こういうことになっているわけです。ですから先ほどの頭の切りかえが必要であるということと、一番最後の届け出るべきである、こういうことを検討される、こうおっしゃるのですから、ひとつ十二分にこの場合も検討して、届け出が必要である、こういう判断のもとに早急にやはり届け出して保健所の監察のもとに監督指導を受ける必要がある、私はこういうふうに思います。 それから先ほどの養豚事業ですね、この使い道、たとえばどんなふうに使われたか、一、二の例でけっこうですから教えていただきたいと思います。どんなことに養豚事業の収益を使っていらっしゃるか。まあたとえば全国的なものと小菅のもの、いただきましたですね。
○説明員(羽山忠弘君) 大ざっぱでございますが御説明申し上げます。 ここに今度は四十四年の職員会決算書と申しますものがございます。これは決算報告をいたしたのでございますが、で、収入が……
○黒柳明君 いや、要するに用途だけ、項目だけぽつぽつと二、三言っていただければけっこうです。
○説明員(羽山忠弘君) それは共済部とかあるいは福利部、文化部、それから収益事業、たとえば理髪事業、浴場、洗たく、それから法人税を払うというようなところに使っておるのでございます。
○黒柳明君 それじゃ私のほうから……。ここにあります全国の刑務所で、そして養豚で収益をあげたお金、これの使い道、福利、厚生経費として護送出張職員のまかない費というのがあるんですね。警備訓練、武道訓練の援助費というのがありますね。さらに、これは小菅刑務所ですよ、警備隊特別訓練栄養費というのがあります。詳しく聞きますと、要するにデモか何か来る、夜中刑務所を守らなくちゃならない、府中なんか年じゅうあるらしい。その場合におにぎりが出る。それについて豚の収入からおにぎりを出す、こういうことらしい。それから囚人を護送する、そのときに豚の収益から、護送するための食料費を出す。だけれども、これは明らかに公的な仕事じゃないですか。デモか何かで、たとえば国会周辺に機動隊の方が来られると、予備費がぐんとかさむわけですよ。同じ公的仕事じゃないですか。しかもこの柔道訓練について、二十七年一月二十二日、矯正、保護局長の通達によりますると、柔道は一般レクリエーションと違う、レクリエーションと考えてやっちゃいけないというのですよ。ところがここにはちゃんと昭和四十四年文化部レクリエーション支出の実績書、レクリエーションとして柔道やなんかやっている、こういうこともある。これはきびしい規則ありますね、刑務所内においては。公的なことと私的なことを間違えた。先ほど百歩譲ってもというのは、それにかかるんですよ。ここからかかってくるのですよ。福利厚生ということを養豚事業でやる、これはいろいろたいへんですよ、私も職員の一員になってみれば、そういうことをやってくれるのは非常に感謝すべきです。ただこれを大乗的な観点に立って、公的なことと私的なことを混同すると、刑務所内で個人的な不満、いろいろな疑惑――言う人はいいです。言えないでそうして金の使い道どうなっちゃったんだろうか、だれかうまいことやっているのじゃないか、収支決算も明瞭じゃないんじゃないかということが、看守が悪いことをやることに通じやしないかしら、そういうことが、いまの刑務所内に事件がひんぱんに起こっていることの遠因、起因になるのじゃないかしら。私は老婆心ながらそういうことを非常に憂えていたわけです。ですから公的なことは公的なことで予算でやったらどうですか。レクリエーションとして百歩譲って、養豚で福利厚生をやりたいならば、福利厚生として使う、まして柔道やなんかは、きちっとレクリエーションとしてやっちゃいけないという通達があるのですし、それからほかにもありますね、法務大臣の訓令なんかもありますね。何しろ私厚い本調べたら非常に厳格です、これはあたりまえだと思う。日本一厳重であるべきですね、えりを正すべきところの刑務所内ですから。ところが囚人の護送の出張のための食事代も養豚事業がまかなう、だからやっていいのだという考えです。やっちゃいけないのです。これは予算で出るものです、国家の費用で。柔道訓練もこれはレクリエーションじゃないという御自分の通達があるのです。これもやっちゃいけないのです、養豚事業の収益では。警備をやって夜おそく御苦労のことですよ。一番ねぎらってやるのがあたりまえだけれども、養豚事業のそういう福利厚生費でやっちゃいけない、公的な役目だから。そういう予算は足りませんですか、失礼な話ですが。刑務所の予算というのは、たとえば四十三年どうでしょうか。刑務所の予算ちょっとお教え願いたいと思います。いただいておりますが、四十三年予算、決算。
○説明員(羽山忠弘君) 刑務所の予算は、総体の金額におきましては相当の金額でございますが、われわれの努力が足りないと申さざるを得ないのでございまして、ただいま御指摘のような金がほとんどないのでございます。これは歴代の大臣並びに局長以下の幹部が相当御苦労なさったことと思うのでございますが、何ぶんにも飲んだり食ったりというようなことの説明で要求をいたします予算というものは非常に入りにくいというのが現況でございまして、それがにぎりめしでございましてもなかなか認められにくいのでございます。それで、ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございまして、私も一般的には何も申し上げることはないのでございます。
○黒柳明君 話の途中ですみません。いまの話をまた続けていただきますが、四十三年の予算、決算、たとえば刑務所の項です。四十三年の予算百七十億五千八百二十六万円ですか、それで決算が百七十七億七千九百十万円、流用は一億九千五百七十一万円ですね。それから余りの分が一億八千万もありますね。これだけ余ってこれだけ流用分があるということですよ、予算が。どうなんでしょうか。一億九千もの流用分、一億八千万もの余分。
○説明員(羽山忠弘君) 御指摘のように非常にお金が余る。それは収容者のめし代として計上されております予算でございまして、この予算を組みます場合には、万一収容者が予算以上にふえましてめしを食わす金がなくなったということになりますと一大事でございますので、財政当局におきましては、見込みがかりに五万人だといたしますると、五万五千から六万人の予算を入れてくださるわけでございます。それが大体見込みどおりあるいは見込みよりも下回るということになりますると、その見込みの金が全部余る。それは科目が被収容者食糧費となっておりますので、これをほかに使うわけにはまいらない、こういうことになっておるわけでございます。
○黒柳明君 いまおっしゃいましたように、刑務所内の予算、あるいはその収容者に対する予算、いろいろあると思いますけれども、これは四十一年も四十二年も四十三年も全部流用分がある。それから剰余分がものすごくあるわけですよ。その点は、私は当事者じゃありませんから、流用分を刑務所の中の職員に使えとか、あるいは剰余分を刑務所の職員に使ってこういう公私混同を避けろとかという権限はありませんけれども、長年こういうふうに全体的な刑務所の予算余っているのですから、刑務所の収容費だって余っているわけですよ、刑務所自体の予算、収容費の予算も余っている。流用するだけ流用してもさらに余るくらいです。ですから、これが一年や二年じゃないわけですよ、続いているわけです。当然今年がそうだったら来年はしかるべき手を打つ、来年がそうだったら再来年はしかるべき手を打つ。すべてが同じ刑務所の予算です。省庁が違うのでもなければ、あるいは法務省の中で全然関係が違うのでも何でもないのです。刑務所としての予算なんですから。それを冒頭に豚を飼うことはあたりまえなんだ、国家公務員として刑務所の中でならやってもよかろう、それは予算が足りないんだというようなこと。幾らも便宜がはかれるわけです、やり方によっては。だからあくまで養豚をやるということについての頭を、それこそ変えていただかないと、こういう面にも派生をして、おにぎりを当然国家の予算で差し上げなければならないのが、養豚事業のほうからもらう、規則や通達に全部違反しなければならない、こういうことになってくるんです。まあこういう点もひとつぜひ改めるべきは改めたほうが、私は将来のためにいいのではないだろうかと、こう思いますがね、いかがでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) 確かに国で出すのが一番いいと私も思うのでございます。先般六月二十二日、二十三日のデモの情勢に、私は深夜各地の在京の刑務所を見て回わったのでございますが、全国から参りました約二百人に及ぶ特別警備隊が、雨の中で徹夜して警備をしておりました。それを最終段階になりまして、ビール一本とするめぐらいの慰労をいたしまして帰したのでございますが、何ぶんにも私どものほうから持って参ります金と申しますのは、せいぜい一万円か二万円、予算上の制約がございまして、そういうことにしかならぬわけでございます。で、まあこれは非常に強弁と言われればもう申しわけもないわけでございますが、たとえば東京拘置所の周辺には官舎もございます。どこの刑務所も御承知のように周辺に官舎がございます。火炎びん一本ほうられましても、施設も困りますし、官舎の家族その他が非常に脅威を感じるわけでございます。そこで、いよいよ警備隊が解散して帰るというときに、職員が職員会のほうからも少し出すというようなことで、私どもが持って参ります金ではとうてい足りませんので、この職員会のほうからまた幾らか出しまして、そうしてささやかなパーティーをやったという――パーティーというほどのものではございませんで、ささやかな全く解散式をやったのでございます。これは確かにそのために豚を飼っているわけではないのでございますが、こういう運用になっておるということは実態でございまして、国が出すべきものは国が出す、それは先ほど申し上げましたように、うちはこういう警備の解散式のときにビールを出したいと、だからせめてビール一本ぐらい出したいから、少しお金をふやしていただきたいと申しましても、こういうことはなかなか通りが悪くて、なかなかうまくまいらぬというのが実情でございます。本日も実は内々話し合いまして、これから予算折衝の時期になるわけであります、私どもは何とかいたしまして、少しでも努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
○黒柳明君 時間があまりありませんが、スピーディーにやりたいと思いますがね、私も何も局長さんと対立的にものを言っているわけじゃないつもりです。こういう苦情が圧倒的に多いのです。私の会館に来ますと、すべて刑務所の職員からの不満、訴えだけでこんなに山になっていますよ。その中で、やはり私は取捨選択して、責任持って調べた範囲の中だけの発言です。無責任な発言をしようと思ったらとんでもないことができるような状態です。ですから私は、こういうデモや何かでそれこそ雨の降る中をずぶぬれになって、ビール一本でごまかされたような、そういう方、ほんとうにかわいそうだと思う。そういう立場で、当然私は局長さんがまずこれに骨を折ってもらうように、前局長のときにも言ったのですけれども、どうも改善されていない。骨を折っていただかないと、私はそういう問題よりも内部の不満なり、いろいろな事件をかもし出す原因になるのじゃないかと思う、現に出てきているのですから。これはうまくないという立場で、ひとつ厳重に公私の混同をしないことだと思います。くどいようですけれども、刑務所の中、非常に行きたくないところですけれども、そういうところといえども、やはり届け出るべきは届け出る、保健所の監督下に置くべきは監督下に置く。先ほど触れました四十三年の二月六日に府中で百四頭豚コレラで全滅でしょう。続いて二月十四日隣の久留米で豚コレラばかり続いていますよ。こういう届け出もしない。失礼な話ですが、あのへいの中だからいいだろう、何をやっても、とは思っていないと思いますけれども、そういう放任状態だから、豚コレラが次から次へと出てくる。これに対して、届け出はしていますけれども、肝心な許可事項について、知ってや知らずや、ずっと明治以来放任のままこんなことがあっちでもこっちでも起こった。起こってから届け出ればいいのだというふうなばかなことはないと思います。そんなつもりじゃないと思いますけれども、こういう事実も続々発生していた。これからも起こってくると思います。 それから、いろいろな問題ありますが、もう一点だけで終わります。収容者の労賃の問題ですが、養豚に対して囚人ですか、収容者の作業あるいはほかの作業もやっていらっしゃるわけですけれども、当然その賃金規程があるわけです。先ほどの理容等においても囚人の方が従事しているわけですが、大体基準は幾らくらいになっているでしょうか。
○説明員(羽山忠弘君) 養豚場の場合におきましては、現在が一日三百二十円に相なっております。
○黒柳明君 養豚の場合だけですけれども、私はその一番近いところの畜産組合に行きまして、雑役やってどれくらいもらえるかと言ったら、最低二千五百円から三千円、どんな安いところでも雑役で二千円はもらえる、こういうことを聞いて、養豚だけのことを言うと、刑務所作業規程、法務大臣訓令、二十八年四月一日(労務提供契約)第二二条二項「契約賃金は、その地域における同種又は類似の作業の労務賃金を基準として定めるものとする。」と、こう書いてありますね。その地域は、要するに小菅と船橋です、これは。畜産組合です。地域は近いと思うのですが「同種又は類似の作業の労務賃金を基準」としなさい。だから、雑役をやっても二千円、二千五百円、養豚の作業に従事すれば五千円やると言っていることは私は言いたくない、言うつもりはありません。外の「同種又は類似の作業の労務賃金」イコール収容所の労務賃金、こんなこと考えておりませんけれども、昭和何十年前きめて、年々やはり十円なり二十円上げておるわけですけれども、それにしてもこの法務大臣の訓令「その地域の同種又は類似の作業の労務賃金を基準として定める」ということにはあまりにも低過ぎるのじゃないか。これはいま養豚だけです。ほかのものも類似がありますけれども、この点についてはどうでしょうか。これこそ私が云々する分野じゃないと思いますが、ちょっと規程見たらこういう規程がありましたものですから、ちょっとこれは「同種又は類似の作業の労務賃金」とはあまりにも格差がある。この家畜組合に聞きましたら、要するに、豚の飼育をやるとなると、どんなに安く見積もっても四千円以下というのはないのです。雑役でも二千五百円が最低だと言う。この基準はどう定められたのか。あるいはこの同地域の同種類似の賃金を基準としろという感覚、私どもしろうとでよくわかりませんが、どういうふうに判断したらいいのか。
○説明員(羽山忠弘君) 御指摘のとおり、昭和二十八年刑務作業規程第二十二条二項には「契約賃金は、その地域における同種又は類似の作業の労務賃金を基準として定めるものとする。」という規定があるわけでございます。いま御指摘のございましたごとく、はたしてこの養豚の一日二百二十円というのが適正であるのかどうか、そういうことにつきましては再検討いたしまして、適正であると考えられる線に近づけたいと考えておりますが、ただ実情は、町で豚をお世話なさる方々と、中で働いておりまする収容者とは少し違うのでございます。それは朝から晩まで養豚ばかりやっているわけではございませんで、めしを食わすとか、掃除をするとか、一定の仕事が済みますと、また別の仕事に回るわけでございます。ただ、えさをつくる一人が相当長時間かかるような場合があるようでございますが、その他の者はそうかかり切りに豚の世話ばかりしているわけではございませんで、それやこれやを考えまして、三百二十円ということになっておろうかと思うのでございます。しかしながら、御指摘もございますので、あらためて検討をさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
○黒柳明君 当然、私申しましたように、外の作業賃金イコール収容者の作業賃金でないことは、これは明瞭であろうと思います。当然基準として定めるのですから、いろいろな基準を設けられていると思います。たとえばメッキとかプレスとか塗装とかいろいろなものがあります、めんどうくさいですから私は……。いただいた資料では一日五百円から七百円の範囲だ、そういうことになっています。これはもうこれだけの技術を持っていれば、同種の、あるいはそれに準ずる労務賃金というのは四千円から五千円です、これは調べてみますと。それが五百円から七百円。これもあまりにも低過ぎるのじゃないか。こういうことも含めまして、ひとつ、もし何らかの基準というものが改められれば改めたほうがいいんじゃないか。それからいまの理髪も三百円くらいですね。囚人の方が免許を持っていらっしゃる。当然、職員あるいは家族の方の頭を刈る、ひげをそる。お金を取るわけですが、一日やっても三百円ちょっとですが、そうすると、こそこそ考えられませんね。もうしっかりした免許を持って――それは条件が違いますよ、外と条件は違いますが、はっきり大臣の訓令があるわけですよ。それで、もう一回これを検討しませんと、やはり、こういう問題も刑務所内の、ある意味においてはあんな中だからというような意識を持つということと、それからいろいろな不備不足が出てくる可能性があるのじゃないか。 さらに私は、天下りの問題もやりたいと思うのですけれども、個人的なことは私は出したくありませんから、そこには触れないで、進みますけれども、こういう不届きなこともここで起こってぐる。要するに、外と中で労賃が違うのです。だからいろいろな事業をそこでやって、ピンはねとは言いたくないけれども、いろいろな疑惑が起こるような仕事が、しかも刑務所のもとの看守の方がおやりになられる。こういう方が刑務所の中で仕事をすれば安いですから。囚人を使えば、失礼ですけれどもただみたいに使えます。外でやるのだったら十倍払わなければならない。条件は違います。違いますけれども、ひとつこういうことがまたこういう変な疑惑を招く、そういう疑惑が実際いま現在あるわけですからね。私はもうやりません。個人の名前、個人の会社名があがってきますから。ですからこれはやりませんけれども、ひとついまのことを勘案して、十分このことも考慮していただきたい。いかがでしょうか、もう一回、すみません。
○説明員(羽山忠弘君) 何ぶんにも制度が閉鎖的なところでございますから、一度疑惑が持たれますと、これを晴らすのには容易ではございません。しかしながら、全力をあげまして直すものは直すということにいたしてまいりたいと思います。 ただいまの人工の問題につきましては、まあ釈迦に説法のようなことに相なろうかと思いますが、一言だけ、もうおわかりになっていることでございますが、申し上げておきたいのは、たとえばメッキ工とかなんとかいろいろ刑務所の中にでもあるわけでございますが、それが地方のメッキ工と刑務所のメッキ工あるいは木工の原価計算における数字はもとより、またいよいよ売りますときの計算がだいぶ違うわけでございます。しかし、これはまあ作業関係の職員からはおこられるかもしれませんが、率直に申しまして刑務所の技能は一般の社会における技能よりも低いわけでございます。これは、中に非常に飛び切り上等の技能を持った人が刑務所に入ることはもちろんございますが、そういうものはむしろ例外でございまして、何をやらせましても、たとえばかんなを一本かけさせましても、絶対にまつ平らにはかんながかけられないというようなのがかなり多いわけでございまして、そういう状況を勘案いたしまして、すべての手間賃とかなんとかいうものがきまってまいる。したがいまして刑務所の製品は安いんでございますが、あまり、たとえば国会などではお買い上げがないと。何となくごつい、こういうふうになっているわけでございます。その辺の状況を御判断をいただければ幸いだと思います。
○黒柳明君 わかりました。すみませんが委員長、一言だけで終わりにいたします。 いまおっしゃったことを十二分に私も理解しているつもりです。私は釈迦じゃないから別に説法いただくようなあれありませんけれども、しかしもう一回最後に、きょう大臣はお忙しくておいでになれないで残念だったのですが、大臣にもよく言っていただきたいと思います。要するに、刑務所の中だからということで済ますということは決してうまくないと思います。そのことが不満があるいは疑惑が渦巻いていることは、あるいは中央ではおわかりにならない点もあるのじゃないか。そういうことは、保健所に届けるべきは届ける。監督指揮下に入れるべきは入れる。そうして、当然国家公務員としての襟度は守る。そして、もらうべき予算はもらいなさいよ。おにぎりまで自分の養豚でそして食うなんというのはちょっとあまりにも現代昭和残酷史ですよ。こんなことがあっちゃならないと思います。だから福利厚生施設といいながら公的の面の費用が私的の面でカバーされちゃう、こういう公私混淆もある。また届け出ることも届け出ない、そういうふしだらも起こってくる。これで四回目ですけれども、そういうことが刑務所内のいろいろな問題を惹起させる遠因なり近因になっているということで、こういうことでひとつ私はここで取り上げたのは四点です。多く言えば五点です。こういう問題だけじゃありません。これについてひとつきちっとした前向きの姿勢をおとりになっていただいて、それでまたしかるべきときに――まだまだ問題があるんです、それについてもまたじっくり御相談もいただきたいと、こう思うのです。 失礼なことを言って申しわけなかったのですけれども、ひとつ大臣に私の真意を、また皆さん方の真意です、職員の皆さん。そしてそれに対してやはり目を向けている国民の皆さんに、誠意がある態度を示していただきたいと、こういうことを希望して質疑を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○理事(和田静夫君) それでは総括質疑は以上をもって終了いたしました。 ―――――――――――――
○理事(和田静夫君) この際、委員派遣要求につきましておはかりいたします。 昭和四十三年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査に資するため、委員派遣を行なうこととし、派遣委員、派遣地、派遣期間等並びに要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、次回の予定は九月二日大蔵省の部、三日厚生省の部、四日文部省の部の審査を行ないます。 それでは本日はこの程度にし、散会いたします。 午後四時二十四分散会