外務委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/06/11
会議録
○委員長(長谷川仁君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 昨十日野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。 —————————————
○委員長(長谷川仁君) 次に、理事の辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。 本日森元治郎君から文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕
○委員長(長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 引き続いて理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕
○委員長(長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。 それでは、理事に小野明君を指名いたします。 —————————————
○委員長(長谷川仁君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 政府は安保の固定期限の到来を前にして、自動延長をするために何らかの声明を行なうようでありますが、なお、きょうその相談、協議があるようにも聞いておりますけれども、われわれとしては、申し上げるまでもなく、安保廃棄論でありますが、きょうはそういう原則論はとにかくとして、その声明次第では、かえって極東の緊張を高めたり、近隣諸国を刺激することになるのではないかと思いますが、どういう声明を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 今月の二十二日に安保条約の十年の期限が到来いたしますから、最終的にきめておるわけではございませんが、その時期に、安保条約の今後の扱い方等について、政府声明あるいはそれにかわるような意思表示と申しますか、政府の見解を表明することが妥当ではないかと私どもなどは考えておるわけでございまして、そういう点についてこれから相談をしようということになっておることは事実でございますが、そういう次第でございますから、まだその内容等については固まっておりません。私といたしましては、ただいまの御意見もございますし、十分諸般の状況を考えて配慮をいたしたいと考えております。
○羽生三七君 その声明は日本側だけなのか、アメリカでも何かそういうものを出すのか、そういうことは何ら関係はないのか、その辺はどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私の考えでは、これは日本側が自主的に考えるべきものであって、かりに声明を出すにしても出さないにしても、米側との間では、御承知のように、自動継続と申しましょうか、こういうことについて意見の一致を見ておりまするし、声明の発表等について、あらかじめ打ち合わせるとかどうとかという必要はない。したがって、アメリカ側が出すか出さないかは、これはアメリカのほうの判断にまかせてしかるべきではないかと、かように考えております。
○羽生三七君 この安保については、私どもは、われわれの選択のほうがより安全であるという立場をとっておりますが、しかし、政府・自民党の立場からいっても、安保を無制限に継続するというわけではないと思うのです。政府の言うように、日本は自国の安全のために通常兵器で防衛をして、攻撃的兵器は憲法上の制約で持てないということになる、その足りないところは日米安保で補完するというわけですが、そうなると、論理的には、日米安保からは半永久的に脱却できないということになると思うのですね。これはまあ理論上の問題です。しかし一方では、さきに総理は、安保は両三年は必要だと。あとでマイヤー駐日大使との会談の際に訂正をされたというそういう場面もあったわけですが、真意はとにかく、両三年堅持というなら、じゃ四、五年先にはどうなるかという設問をしてもちっともおかしいことにはならないと思うのですね。いずれにしても、政府はその間に国際情勢の変化を期待しているのではないかと思います。これは、安保条約を脱却する時期との関連で国際情勢の変化を考えておるのじゃないかと思うのですが、もしそうだとすれば、国際情勢の変化、すなわち緊張緩和の実現のために具体的な役割りを果たさぬ限り、いつまでたっても安保から脱却できない、こういうことになると思うのですね。それから、もし現状のような状態が望ましくないとするならば、政府・自民党の立場からいっても、安保を必要としないような国際条件をどうしてつくるかということを明確にすべきだと思います。それで私は、ここでこの原則論——われわれは廃棄論ですが——そういう原則論を言うつもりはない。政府・自民党の立場からいっても無制限に続けるのでないと言うなら、それなら、安保から脱却できる条件——一体どういう条件が整えばそれが可能なのか、それを具体的にその道を追求しなければこれから脱却できることはないのではないか、こう考えられるわけですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私も原則論についてとやかく申し上げることを省きますけれども、まあ、安保条約自身が第十条で、国際連合において世界の平和ということが維持できるような体制になるまでという、大きな意味では期限ができているわけでございます。これがやはり終局の目標であろうと思います。それが終局の目標であると同時に、現実の政府としての外交政策も、国際緊張の緩和ということを基本にした政策をとりつつあるわけでございますから、終局において安保条約第十条のねらっているようなことができるだけ早く実現できるようなそういう環境をつくり上げて、国民が安心できるようなこういうふうな方向を考えていくことが適当であると思いますけれども、同時に、しかし、私どもの認識から言えば、現実はまだまだそれにほど遠い状況ではないか、かように考えるわけでございまして、まあ、そういうふうな考え方、あるいは先ほど御注意をいただきましたような点も十分配慮して、ここ十日ばかりまだあるわけでございますから、十分政府としての考え方も練りまして、まあ、いわば統一見解を明らかにいたしたい、こう考えておるわけでございます。
○羽生三七君 ただ安保の条約の中に、これが解消されるときは——まあ固定期限のことは別ですけれども——国連において十分な措置がとられたときとなっておりますが、それがとられるときはいつのことか、なかなか私予見できないと思うのです。それより前に、日本みずからがこの周辺諸国との関係を調整して、どうしてこれから脱却できるかの道を選ばなければ、積極的にその道を選ばなければならぬと思いますが、それはとにかくとして、政府自身としては、そうすると、これはまああとで中曽根長官がお見えになればお尋ねするつもりですが、一応、総理が三、四年と言われてそれを訂正したり、中曽根長官がさきに長官就任前に日米民間人会議、私もそれに出ておりましたが、その際には、一九七五年ごろと、まあ、いろいろな議論が出ておりますですね。それで、そういうことも考えて、政府自身だって永久にこれを続けるとは思えませんし、それから、いま外相の言われたように、国連によって十分な措置がとられるまでというような、これはまあ気の長い話のようなことになるのですが、日本の政府としても一応のめどというようなものは持たないのですか。ただ、国際情勢まかせで無制限、こういうことなのでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、自分の考えを申し上げますと、こういうことには、期限を物理的に設定してそこでやめてしまうのだというような考え方をするのは間違いであると思います。実体が大切である。国際環境あるいはそのほかのいろいろの状況がこれを決定する条件である。いたずらに時間的にだけ目標を設定するというようなことは、何しろ国の安全の問題でございますから、間違いだろうと思う、私は、自分の意見としてはさように考えておりますけれども、なお、それらの点については政府部内においても十分意見を戦わせ、結論をはっきりさしていきたいと思います。
○羽生三七君 これは私がいつも申し上げることですが、分裂国家といいますか、分断国家ということが今日の緊張の根源にあると思うのです。ところで、わが国はその一方とだけ特別の関係を結んで、他の一方とは、敵対関係とは言わないまでも、疎外関係にあることはこれは間違いのない事実であります。これはベトナム、中国、朝鮮、みなしかりであります。こういう状態が緊張の要因であるとするならば、この緊張を解消するための具体的な政策がなければ問題の解決にはならないし、また、みずから緊張を解消する努力をしない限り、安保の自動継続とともに、アジアの緊張の要因そのものが自動継続することになる、そう言えると思うのです。そういう意味で、このベトナム戦争——いまではインドシナ全域に及んでおりますが——の早期終結、あるいは日中の国交回復、あるいは北朝鮮との親善の強化というような問題を具体的な日程にのせて、それを実現するための現実的努力が伴わなければならないのではないかと思う。国連で何か安全な措置がとられたときにはと、そういうことでは私たちは納得できないわけですね。そういう、いま申し上げたようなことについての積極的な努力が行なわれて、その結果として緊張が漸次緩和していく、そういうことになると思う。腕をこまねいていてどこかで見ておって、緊張が緩和したら日本がそれに乗ろう、そういうことじゃないと思う。そういう意味の積極的努力がなければ、国際情勢の変化もあるし、単に安保自動延長ということだけでは私たちは理解できない。御見解を承ります。
○国務大臣(愛知揆一君) 前国会の末期においても私は申し上げたつもりでございますけれども、たとえばカンボジア問題を取り上げてみましても、私どもとしては誠意を尽くしてすみやかな平和的な処理ができることを望み、かつ、それなりの努力は具体的にもいたしておるつもりでございます。まあ、それらについていろいろの御批判もあるかと思いますけれども、御質問によりましてお答えしたいと思います。
○羽生三七君 いまの問題との関連で沖繩問題についてちょっとお聞きしたいのですが、中曽根長官がお見えにならないのでこれはあとにして、先にアジア会議の関係の問題に少し触れてお尋ねいたします。 さきのアジア会議、まあ、だいぶ外相御苦労されたようですが、このアジア会議は、結局一方の側が全然参加しなかったのみか、この会議そのものを全然頭から否定しておるのですから、日本ほか三カ国が世話役国となってこれからその役割りを果たすことになるわけですが、まあ、率直に言って、ほとんど成功は望めないのではないか、そう思うわけです。特に、きょうの新聞を見まするというと、ソ連はアジア会議については会談をする意思がないということを——日本の外務省にはまだ来ていないようですが——インドネシアのマリク外相に伝えているようです。そういうことから、これは非常な日本の意欲にもかかわらず、実際には私はその成果は全く望めないと思うのですが、その見通し等についてひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) アジア会議については共同声明が出ておりますが、この共同声明の内容については、私は、北側——と申しますか——についても、あるいは一方の南側、あるいは米側においても、私は、考え方としては異存のあるべきはずのものではないと思うのであります。つまり、バンドン宣言の精神に基づいて、具体的には一九五五年にあれだけの合意ができているのでありますから、ほかのいろいろの手を考えることよりも、もっと実際的にこの精神にみんなが立ち戻って、そうして、できている機構を休眠状態から呼び起こして、そうしてお互いに責任を感じてやってもらいたい。そうして、カンボジアの中立、独立、これを堅持し、内政干渉を排除し、まずもって、そういう状態をつくり上げるためには、外国軍隊の撤退を求める。私はこの趣旨においては、参加国の色合いがどうであるかという色目鏡をかけないで、その考えに御注目を願いたいと思うのであります。これは羽生さんに御注目願いたいという意味ではございませんで、国際的に御注目を願いたいと思います。そうして、とにかく各国が集まりました中で、こういうコンセンサスをつくり上げるためには、まあ、私もずいぶん努力をいたしたつもりでございます。こんなことをやったって何にもなるものじゃないじゃないかとおっしゃられればそれまでですけれども、私は、何もせぬで傍観して批評しているよりも、こういう考え方を少しでも多くの国々の同意を得てこれが軌道に乗ることに対して、誠心誠意、あるいは謙虚な努力をするということが、日本外交の現にとるべき段階ではないかと思います。何しろ、長年の間複雑な環境の中で対立ができてきているこの現状ですから、きょうきめたらすぐそれが成果があがるとは私も考えませんけれども、これに対して忍耐強く誠意を尽くしての努力を傾倒していくということについては、私は世界的に御理解をいただきたいものだと思っております。まあ、ソ連については、申し上げるまでもなく、イギリスと並んでジュネーブ協定の共同議長国でありますから、イギリスと並んで議長国であるこの立場にもう一度思いをいたしてもらいたい。なるほど、会議それ自体には反対であったわけでありましょうけれども、しかし、こうした考え方について聞く耳を持たないというものではなくて、ひとつ耳を向けてもらいたいというところから私は入っていくべきであると考えまして、現に努力を続けている次第でございます。
○羽生三七君 アメリカの上院外交委員会の現地調査報告書では、米軍のカンボジア進攻がむしろベトナム戦争を長引かせた結果となったと報告をしております。それからまた、同じ外交委の発表によりますと、アメリカ・タイ秘密協定でアメリカがタイのベトナム派兵の費用を分担をしたことについて、上院でこれはきびしく批判されているわけですね。これらはほんの一例で、アメリカのインドシナへの軍事介入そのものがまず私はきびしく批判されなければならぬと思うのです。ソ連の立場についてはいまお話があり、先ほどの質問に対していまお答えがありましたが、しかし、ソ連の立場を苦しくしておるものは、やはり何といいましても、北ベトナムやあるいはシアヌーク殿下と共産側と中国とのこの関連だと思います。この関連を考えれば、私はなおさらソ連が非常に動きにくく、三カ国の特使とは会うが、それはさきのアジア会議を抜きにしてなら会うというのです。これはソビエトの立場を考えれば、中国との関連が北ベトナムあるいは解放戦線やあるいはカンボジア等を貫いて存在しておるというこの事実から、ソビエトがストレートに簡単に動けないという苦しい状態のもとに置かれておると思うのです。ですから、私もそう簡単にいかないと思う。むしろ問題は、いま何もしないよりも何らかの打開を求めて動くという外相の御見解、これは私も賛成である。それなら、まっ先にアメリカにそういうことを言ったらいいじゃないかと思う。ですから、アメリカにはそのままにしておいて、関係国に何とか言っても、問題の発端が、アメリカが最も責任を負わなければならぬ立場にあるのですから、私はそういう意味で、三カ国の特使が日本を中心に動かれること自体に異議はありませんが、そういうことでわれわれが何を言うかが問題であって、そういう場合に、いま申し上げたような、言うことがあるなら、むしろ国連やソ連やあるいはイギリス等に言うよりも前に、まずアメリカに率直にものを言ったほうが効果的ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) それももちろんそれなりに努力はいたしておるつもりでございます。同時に、これは前国会のときにも申し上げましたけれども、たとえばこの会議に臨む日本の姿勢としては、こういうふうな現実に事態が起こっている場合に、だれが一体悪いのだと、お互いに非難対決をするようなアプローチのしかたをすれば、できるものもこわれてしまいますし、第一、アプローチする姿勢として私は正しくないと思います。争いが起こっているのですから、一方を誹謗すれば一方が必ず他を誹謗することは当然でございます。ですから、そういった過去に触れるより、現実の事態を平和的に処理ができるようにする。その共同コミュニケにはウェイズ・アンド・ミーンズということばが使われておりますけれども、あらゆる方法を探求し、かつ、これを実行の線に乗せるようなあらゆる努力をしようじゃないか。で、これは何ぴとをも誹謗しておりません。三カ国の中には、当初の見解からすれば、たとえば、一方のほうがそれよりももっと悪いのだ、この状態をつくり出したのはこうこういうところではないかというような意見を持っている人が相当あったように思われますけれども、それは言うべきではないということでなければ、ほんとうに平和主義に進む姿勢では私はないと思うのです。したがいまして、少なくとも、このできたコンセンサスのほうでは、そういう点には触れておりません。これが私たちの行くべき道ではないかと思っております。
○羽生三七君 コンセンサスというのは、片方だけの合意ができてもだめなんですよ。両方の合意ができることがコンセンサスであって、そういう意味で私は、今度の会議は、外相等の努力にもかかわらず、必ずしも効果的な将来を期待できない、もし期待しようと思うなら、もっと他の一方も参加できるような情勢をどうしてつくり出すかということに考えを置かなければならぬと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) それはおことばを返すようですけれども、コンセンサスはみんなのコンセンサスでなければなりませんけれども、少なくとも手近に集まったところだけでも、相手方にも異議がないはずのようなコンセンサスをつくるということがアプローチの方法ではございますまいか。私は、少なくともこの上に表現されている考え方については、先ほど申し上げましたように、北側においても南側においても、この考え方に異議を差しはさむべきものではないと確信いたしますが、いかがでございましょうか。
○羽生三七君 理屈は、述べておる意見そのものは、かりに合理的に見えても、集まっておる集団そのものが片方の特定の集団を中心にしておるのですから、他の一方の集団は不信感を持ってこれに参加することを期待できないのは、これは当然だと思います。ですから、現実の問題としては、理屈ではないのです。現実の問題としては、他の一方も参加できるような条件をどうしてつくるか、これが根本的な問題だと思いますが、それと関連して、これはちょっとこまかいことになりますが、カナダのトリュドー首相は、国際監視委員会の設置は時期尚早だと言っておりますね。これは日本としてはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これもいろいろ各国それぞれの立場や意見があると思います。しかし、私は、一番実際的でしかも双方から異議のないはずであるようなものをつくり上げていって、これに賛同する人をできるだけ多くしていくということが必要だと思いますが、そういう意味からいって、監視委員会というのはいま休眠状態ですから、それを休眠でなくやってほしいということを、一番実際的であると思ってカナダに期待をしているわけでありますが、そういう考え方は、さらに時間をかけて、忍耐強くカナダにもイギリスにもポーランドにも訴えていくことによって、時期尚早ということが、時期がなるほどいい時期だなというように考えてくれるように持っていくことが、私は一番いいのじゃないかと思っております。
○羽生三七君 このアジア会議の問題については、まだお伺いしたいことがたくさんありますが、これは他の委員があとからお触れになるようでありますので、この程度にして、この問題に関連してもう一つお伺いしたいことは、十七日からまたASPACが開かれるようで、外務大臣も明日からお出かけになるようでありますが、この会議が、もしいわゆる反共的な色彩を濃くして、またそういう意味での共同声明というものを出されるようなことになると、単に世話役の三国が動きにくくなるというだけではなしに、アジアの緊張緩和にも一向役立たぬことになると思います。これは例年この委員会で私ども同僚議員とともに御注文申して、そういう意味では、かなり委員会の考え方も取り入れて動かれたとは思いますが、今回の会議に臨む基本的な考え方をこの機会に承っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 第一に、ASPACの性格という問題については、昨年川奈で日本が主催国としてやりましたまでの状況において、私は、もうほんとうに完全に性格というものは定着したように思います。つまり、反共ブロックの結成などと世の中でよくいわれますけれども、そういうことではないのだということの性格というものが私は非常にはっきりしたと思いますから、この定着した性格というものを堅持していく。これには異議はあるまい。また、あるとすれば、その異議は押えていくようにしなければならない。これが私の第一の考え方でございます。 それからもう一つ、国際緊張緩和の問題、具体的には、インドシナあるいはカンボジアの問題につきましては、先ほどもいろいろ御批判をいただきましたけれども、私はアジア会議のできた考え方というものが正しいと思っておりますから、そして、これが一つの政治姿勢、それに基づいて、現に行動が開始されつつあるのでありますから、今度のASPACの会議の参加国とアジア会議の参加国とは多少の出入りもありますけれども、このアジア会議の考え方というものを、何と申しましょうか、支持する、これを再確認する、こういう方向が正しい、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 これは以前に椎名外相のとき、三木外相のとき等にもこの種の問題が出て、当委員会でわれわれがいろいろな注文をつけて、それがアジアの緊張を激化してかえって緊張緩和に役立たないようなものになるならば、むしろ会議から日本は抜けるか、あるいはその声明に参加すべきではないんではないかという注文をつけたときに、そのとおりだと、ほぼそれに近い見解を述べておられたと思いますが、今回においても、先ほど私が希望申し上げたような線で貫くことを希望をいたします。 続いて、沖繩関係について触れさせていただきますが、この沖繩返還は一応七二年の七月を目標とすることで日米間で合意したと伝えられておりますが、この返還協定が日本の国会にかかる時期はいつになるのか。この辺はどういうことになりましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 一部の報道で七二年七月が確定したように伝えられておりますが、それは事実でございません。政府といたしましては、七二年のなるべくすみやかなる時期に返還が実行できるようにというかねがねの態度で進んでおります。この点は、先般のアメリカの大使と私との間の話し合いでも完全に合意されております。いまわれわれのなすべきことは、これからもいろいろ御質問が出るかと思いますけれども、返還協定作成につきましては問題が非常に多いわけです。しかし、これをできるだけスピーディにやって、一九七二年になれば返還が実現できるということを目標にして、どんどんひたむきにこの準備を進めていくことになると思います。そして、できるだけすみやかに国会の御承認が求め得るような体制につくり上げるということに合意をしておるのでありまして、何月というようなことは双方の間で出ておりません。七二年のなるべくすみやかな機会に間に合うように双方努力を結集して一生懸命やりましょうということで合意をいたしておるわけでございます。
○羽生三七君 アメリカ民政府は那覇市の軍用地の返還を拒否したと、こう報ぜられております。また、シリトー・アメリカ国防次官補は下院の歳出委員会で、沖繩や本土の軍事基地は半永久的に保持する必要があると強調したそうであります。さらに八日には、この下院の歳出委員会でアメリカ政府が、横田、三沢基地は拡充強化、長期使用の方針であることを明らかにしたと伝えられております。また、現在ハワイにあるアメリカ太平洋陸軍の中央財政管理局をハワイから沖繩に移すとも報ぜられております。これらの動きを見ると、沖繩の施政権がかりに七二年に返還されるとしても、基地の態様に期待されるような変化が起こるどころか、逆にむしろ強化され、しかも恒久化される懸念のほうが強くなったと、こう見て差しつかえないと思います。それで、施政権返還後の沖繩の基地の態様は一体どういうことになるのか。施政権がただ返還されるだけというのか。この場合、日本側の意思というものは入らないのかどうか。日本側はどういう一体意向で折衝しておるのか。この点はひとつ中曽根長官からお答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞紙上に伝えられるように、アメリカ側の政府高官がそう言っていることは私も承知しております。大体の傾向として、兵たん補給関係は沖繩に集中して、東北アジア及び東南アジアの一部等についてあそこで集中統制管理する方向に持っていく傾向にあるように私も見ております。 それから、内地の基地につきましては、できるだけ整理統合する方向にいくんではないか。まあ、われわれのほうもアメリカの内地における米軍基地はできるだけ日本の管理権のもとに服するように事態を改良したい、そう考えて、強くそういう意向は向こうに言うてあります。そういうこちらの意向もくんで、できるだけ整理統合して、そうして、重点的な基地についてはある意味においてはこれを集中的に使用するという形が出ますけれども、そうでない基地については、順次、日本の自衛隊と共同使用する、あるいは場合によっては民間に返還する、そういう形に持っていきたいと思い、そういう意味の交渉を始めたところでございます。 結局は、アメリカの予算との関係もありまして、一部の機能については沖繩に集中されるが、内地の問題については、基地が整理統合され、そして少数の基地に機能的に集中されていく、そういう傾向に行くんではないかと見ております。
○羽生三七君 私はさきに佐藤総理にこう言ったことがあるんです。 たとえば、ベトナム戦争が片づいても次には朝鮮、次には台湾というように、アメリカが新しい問題を緊張要因として持ち出すことはないか、こういう質問をしたことがあります。それで、返還後の沖繩や本土基地の態様を想定する場合、ベトナム戦争終結後は、この基地の縮小はもとより、あるいは兵員、兵器などについても縮小をされると考えていたのがこれは一般的常識であります。それで、現状ではベトナム戦争は近い将来片づく見通しはなくて、むしろインドシナ全域に及んでおりますが、それはとにかくとして、伝えられるアメリカの沖繩や本土基地の拡充強化や恒久化という考え方、これはベトナム戦争の推移に関係があるのかどうか。つまり、ベトナムからインドシナ全域に及んだことに関係があるのかどうか。私は、実はそうではなくて、ベトナム戦争の推移いかんにかかわらず、アメリカがこの極東戦略の拠点として沖繩や本土の基地を長期にわたって保持、支配しようという、そういう考え方のあらわれと見るべきではないかと思いますが、その辺はどう判断されておるのか。また、そういうこととアメリカのベトナム戦後の極東戦略、そういうものを一体防衛庁としてはどういうふうに判断をされておるのか。そうでなければ、佐藤総理が繰り返し国会でいつも言われたように、この沖繩返還というものは、ベトナム戦争の終結でアジアにおける緊張が緩和した、つまり、ベトナム戦争終結というものがアジアの緊張緩和ということになり、それが沖繩返還に非常な役割りを果たすという意味の答弁をずっと一貫してやられてきたわけですね。それなのに、まあ、インドシナ全域にベトナム戦争が及んでおるにしても、かりにこのベトナム戦争が片づいてインドシナ戦争全体が片づいて、それで基地も縮小されるとか、あるいはアメリカの兵員なり兵器なりいずれも縮小の方向に向かうかと考えておるのがこれは一般的常識だと思うのですね。それが逆にむしろ強化される、しかも、永久化されよう、半永久化しよう、これでは、いままでの国会答弁やわれわれ国民大衆が想像したことと全く逆だ。こんな情勢を黙って見過ごして、ただアメリカはこういう方針だからということで、それに合わせて日本が協議をするだけなのか。日本としては積極的に、そんなばかなことはないということで、何らかの日本側の意思というものを相手側に伝えておるのか。一体、その辺はどうなのか、お聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま羽生委員のおことばにありました、ベトナム戦が終わったらアメリカは朝鮮とか台湾とか、そういうところにまた問題を起こすのではないかという危惧がございましたが、私はそういうことはないと思う。むしろ、アメリカはアジアで問題が起きるのをおそれておる。ヨーロッパだけでも相当な負担であるので、アジアのようなこういう未知の要素の多いところでは、なるたけトラブルを起こさない。そして、アメリカ国内にそれを波及させないような政策に現に移行しているのではないか。だから、現状凍結という形が目下のところのアメリカの考え方ではないか、私はそういうふうに判断をしております。 それから第二に、日本の防衛との関係の問題でありますけれども、日本は、日本の要求と日本の本来独自の必要に基づいてアメリカと提携しておるのでありまして、アメリカに利用されっぱなしで、それのみで安保条約があるということはないのです。そして、安保条約締結以来、客観情勢の変化、彼我の比重の変化、国力の変化、あるいは国民意識の変化というものに応じて、安保条約は条約自体も変えられてきましたし、また、運用においても非常に変わってきて、日本の発言権が非常にふえてきているわけです。たとえば、いまから十年前の新安保改定のときには、内乱条項を削除すること、あるいは事前協議条項をつくること、あるいは地位協定に改正してNATO並みに行政協定を持っていったとか、あるいは期限十年間のレビューの期間をつくったとか、こういうことはみんな日本側がつくったブレーキであって、かつ、それが日本の発言権の強化を意味しておるわけです。それで、今回自動継続になりまして、一年の予告で安保はいつでも両方からやめられるということになりましたが、これは日本側としては一歩前進であると思います。いつまでも便便と日本の本土防衛等についてアメリカに依存する無原則の依存とか、あるいは一般的な期待とかというものほど国の自立を害するものはないと私は思っております。そういう意味において、一年の予告でいつでもやめられるという、そういう潜在的いわば危機状態といいますか、いままでと違った状態をみずからつくり出していくということは、日本の自立精神の上からも私は好ましいと思い、私はむしろこれを推進したほうであります。で、したがいまして、自動継続後は、安保条約を弾力的に運用していく、そして情勢変化に常に即応するように持っていく、そうして両国国民のコンセンサスの合う方向にアジャストしていくのが政治家の責任であると思います。私は、ですから、着任以来、ややもすれば日本の自衛隊というものはアメリカの極東戦略の道具に使われているんではないかという誤解が一部からありますけれども、はたしてそうであるかどうかということを自分で点検してみようと、そう思って、いままで詳細にわたって点検をいたしました。そういう形勢は、いまのところ、私、認められません。それで、それ以上に日本固有の戦略体系、日本固有の防衛体系というものをもう少し強化して、そして、それとアメリカの政策とを調整吻合させていこう、そういう形で次の防衛計画等もいま一生懸命つくらしておる最中なのであります。それは、やはり日本がいま憲法のもとにあって憲法的制約もありますから、核兵器は持たない、また攻撃的兵器は持たない、そういうことになると、日本の防衛をある程度責任を持った形でやるためには、そういう部分はアメリカに期待せざるを得ない。現に核が戦争抑止力になっていることは事実でもありますし、あるいは、ほかの国が攻撃的な長距離兵器を持っておる場合に、日本が全然そういうものなくして国民が不安なくしておれるかといえば、現実においては、そうではない。外交的手段で大いに努力しても、外交的手段にも限度がある。軍事的手段はもっと限度があります。しかし、どっちにしても完全なものはあり得ない。相互補完をしていくというで形でありますれば、やはり、われわれとしては外交的手段に期待しつつも、最小限度の安全保障、安全感を国民に与えておかなければならぬ。そういう日本側の必要からアメリカに基地の使用を許すということは当然あり得ることでありまして、それを何もヘジテートする必要はないと思うのです。日本のために、日本の必要からアメリカを使っていると思えばいいことであります。ただその使い方、基地の使用が、いろいろ公害とかそのほかの問題について国民の反感を起こすような形でやることは望ましくない。それは調整していかなければならない。そういう意味で、私はアメリカの基地をできるだけ整理統合させて、そうして、大都会で国民に迷惑を及ぼすようなところはなるたけ僻地に持っていってもらって、また、一部使っておるところも縮小してもらう。そうして自衛隊の管理のもとに持っていく。場合によっては共同管理もありますし、また場合によっては、アメリカに専管させておくことも必要な場合にはやむを得ない。そういうような基地、基地の態様によって、日本の固有の立場を考えつつ、調整していく。あくまで日本の防衛のために日本本位の立場に立ってそういう考えを持っていくのでありまして、これが長期化するとか、永久化するとかいうようなことを、われわれはそれは客観的情勢においてそれは調節していくべきもので、いまからそう断定するわけにはまいりません。が、しかし、ある程度それが長引いたとしても、それは日本の要求や必要からそういうことも起こさせておるのであって、何もアメリカの要求をうのみにしてやっているのではありません。そういう基本的観念に立ってやっていきたいと思います。
○羽生三七君 アメリカの要求に日本が屈したのではなくて、日本みずからの自主性においてそういう政策をとるのが何が悪いかと、一口で言えば、こう開き直られた形ですが、それでは次に伺いますが、六月一日に公表されたアメリカの下院歳出委員会の聴聞会の議事録、これによりますと、グリーン米国国務次官補はシュライバー議員の質問に答えて、佐藤・ニクソン会談で日本側は、韓国、台湾の安全を日本の安全にとってきわめて重要と見ること、また、たとえば韓国との関連で米国が沖繩基地使用の強化を日本に要請するとき日本が適用する基準は米国と同じであることをはっきりさせた。したがって米国は韓国、台湾海峡及び東南アジアでさえ新たな紛争が勃発した場合には、沖繩基地使用について日本がいかなる異議も差しはさまないものと確信を持っていると、こう証言しているわけですね。このことは、アメリカの要請があれば日本は必ずイエスと言うことを述べたにひとしい。ある意味では、これは予約したとも言えましょう。少なくとも米国は、事前協議で日本がノーと言うこと自体は全然予想していないと受け取れるわけです。このような考え方は、さきの日米首脳会談の際に、ジョンソン国務次官が米人記者に対して、当時、背景説明をやりまして、その際に述べて問題になったことがあります。しかし、今回のように日米交渉の直接責任を有するアメリカの高官が、しかも、公式の席上でこのように政府の見解を説明したことは、全くこれは異例のことであります。したがって、核抜き・本土並みといわれても、返還の持つあいまい性を示す非常なこれは証拠になると私は思う。したがって、このことは事前協議の問題に触れますが、実は残った時間があと十五分ぐらいしかないので、私はお聞き申し上げるいとまがないのがはなはだ遺憾でありますが、これは事前協議と重要な関係を持つと思います。しかし、このような、佐藤・ニクソン会談で日本側が説明しておることと全く異なった解釈を、アメリカの、しかも高官が公式の席上で言っておるわけですね。「おそらく日本はいかなる異議も差しはさまないのではないか」と、これはどういうふうにお考えになるか。これは、外務大臣か防衛庁長官か、どちらか……。
○国務大臣(愛知揆一君) グリーン次官補が申しましたことについての御質疑でございますが、これはジョンソン次官のブリーフィングと同じような性質のものだと思いますが、私は、日本の立場におきまして、まず第一に、日米共同声明というものが両国の首脳者で合意され、そうして私は、ワシントンにおきまして、その直後において日本政府としての見解を内外に公表いたしました。それがきわめて友好的なものでございまして、それに何らの差しさわりを及ぼすものではないと思います。 それから、いまのグリーンの証言云々のことは、そのときに一部の報道の——日本の報道にも触れられた点でありますけれども、これは原文を御入手かと思いますけれども、きわめて簡単なものでもあるし、それから、いまお触れになりましたことは、そのあとの、さきに簡単に言ったことに対する質疑に対しての答弁のかっこうで行なわれておるものであります。その前段の、簡単なものではございますけれども、最初の証言の中に言っておりますことは、日米双方の合意によってこの話し合いといいますか共同声明というものが行なわれて、両方の合意によってこれが運用されるものである——ということもきわめて明確に言っておるわけであります。で、質疑に答えた、いまおあげになった後段は、いわばアメリカ側から見れば、グリーン次官補から見れば、アメリカが願望をする場合において日本としては同意をしてくれるであろうというような、願望を含めての答弁でございまして、これは彼の立場から言えば、そのときの環境でそう言ったことと私は理解いたしております。私は、本質論に何ら関係のないもので、核抜き・本土並みの沖繩返還ということについては何らの疑念も差しはさまないでけっこうである、かように考えております。
○羽生三七君 この沖繩問題に関連して毒ガスの撤去問題等もありますが、これはちょっとあとにして、ちょうどいまの質問に関連することですので次にお伺いしたいことは、安保の極東条項とベトナムとの関連です。これは安保条約との関連では、これはベトナムが極東の範囲に入らない、それは周辺諸国だという説明が従来の政府の説明でありますが、その解釈はとにかく、ベトナムが日本の安全とどういうかかわり合いがあるのかお聞きしたいわけです。これは、現にベトナム戦争では沖繩が米軍基地として重要な役割りを果たしている、それが沖繩の施政権が現にアメリカにあるという現実からしてやむを得ないという、そういうことなのか、それとも、施政権の問題とは関係なく、ベトナムが日本の安全にとって重要なかかわりがあると考えられるのか、それをひとつ明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これもまあ再々政府の態度をお答えしているとおりで、まず極東条項についての……。
○羽生三七君 範囲はいいんですよ。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府見解はもう何べんも統一見解で申し上げておりますが、この統一見解には何らの変更もございません。沖繩返還問題とは何らの関係もございません。沖繩が返還されればそのとおり適用される、かようにお考えいただいてけっこうでございます。 それから沖繩の現状は、これはまだ返還になっておりませんから、沖繩に所在するところの米軍は、まあ、たとえはいかがかと思いますが、米本土にある米軍と何ら変わりがないわけですから、どこへ米軍自体として作戦行動を展開をしても、これは現在のところアメリカの自由であると言わざるを得ないと思います。しかし、これが本土に返還されて本土並みになりました場合には、日米安保条約がそのまま適用されるわけでございますから、日本の本土と同様に考えるべきである。かりに事前協議の問題になりました場合には、日本の安全に関連する問題として、そのときの日本の国益の点からいってイエスと言うべきであるかノーと言うべきであるかということによって判定すべきものである、かように考えております。
○羽生三七君 私がなぜこういうお尋ねをしたかというと、いま外相の終わりのほうの答弁である程度説明されておるわけですが、この一億日本国民のだれ一人として、ベトナムが日本に危害を加えると思っておる人はないと思うのです。そうだとすれば、これは軍事的脅威ではないですね。軍事的脅威でないとすれば、これはイデオロギー上、体制上の問題である。イデオロギー上、体制上の問題だとすれば、これは時間がなくてきょうやれないのは残念ですが、日本政府の国連への今度の報告書の中にある、武力不行使、紛争の平和的解決という趣旨に反するし、また、事実、ここにイエスが出てくれば、ここに安保の本質があるわけですね。イデオロギー上、体制上の問題について、基地提供ということになれば。ですから、ここには事前協議があっても、イエスもあればノーもあるわけじゃないですよ。ノーだけがあるのですね。これでイエスがあるなんということになったら、私はおかしな話になると思うのです。もうこの点はこれはぜひ明確にしていただきたいと思うのです。そうでないと、どんなに国連に対する報告書——私はあの報告書に触れる時間がないのははなはだ遺憾ですが、少なくとも武力不行使、内政不干渉、紛争の平和的解決、これは全面的に賛成です。これは、ぜひ貫いてもらいたいと思うが、そういうりっぱな見解を述べておるにもかかわらず、いま申し上げたような、ベトナム問題が七二年までに片づかなかった場合、これは軍事的脅威なんて考える人はだれ一人ない。これは体制上、イデオロギー上、なっている。それにもし米軍の出撃にイエスを与えるならば、全くこれは、われわれとして、それだからそこに安保の本質があるのじゃないかということを言いたくなるわけです。これはノー以外にないと思うのですね。あり得ないはずです、イエスなんという問題は。この点は、ぜひ明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、現に本土ではさようなことは考えられないので、沖繩の場合も本土並みで考えるのが至当でございます。
○羽生三七君 そのことは、イエスはないと理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(愛知揆一君) 当然、そういうことを含んでお答えをしたわけでございます。
○羽生三七君 時間がありませんから、最後に、沖繩にある毒ガスの撤去の問題ですが、移管先生言われたワシントン州、オレゴン州、アラスカ州、これはみな反対。で、米国民が断固として反対しておるものをどうして沖繩にいつまでもしょい込んでおらなければならぬのか。これはもう国民感情からいっても断じて理解できないし、承認できない。これはすみやかに撤去を要求すべきであるし、また、現に政府もやっておると思いますが、私はこんな手ぬるいことじゃだめだと思うのです。ひとつ強力にやっていただきたいと思いますが、どういうことになっておるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう全くごもっともでございます。実に遺憾千万でございまして、これはもう経緯を詳しく申し上げなくとも御承知のとおりでございますが、昨年の七月にアメリカ政府としては日本政府に対してすみやかなる撤去を公約をいたしました。で、これがアメリカの国内の事情によっておくれているこのことに対しては、先月の終わりから累次日本政府としては厳重な申し入れをいたしております。連日と言ってもいいくらい接触をしておりますが、昨日衆議院の外務委員会でも申し上げたのですが、たとえば昨日の朝の状況におきましても、アメリカ政府といたしましても非常に困惑しておるわけです、日本政府に対して公約したことが実行できないでいるわけですから。そこで、あらゆる手を尽くして積極的に工作をしておりますから、昨日の朝の時点では、いつの日のどのくらいの時点で撤去をするというタイミングを申し上げるまでにまだ行っておりませんけれども、その点は遺憾でございますが、全力をあげて工作をしつつありますというのがただいまの状況でございます。そうして、なお、そのときに先方が言及しておりますのは、いろいろの情報が流れておるけれども、その中の一つに、ある地点に対する移転というものは絶望的になったんだというふうに報道されているものもあるけれども、それは絶望的とは考えていないのであって、それをも含んで可能と思われるあらゆる措置について積極的に工作をいたしておりますと、これが先方の現在までの態度でございます。そこに至りますまで、事務当局間の接触はもちろん、また、私から米大使への接触はもちろん、あるいは駐米大使からの本国政府に対する申し入れ、あらゆる政府として可能なる方法は講じて、すみやかなる撤去は厳重に督促をいたしておる、かような状況でございますけれども、なお今後とも、まことにごもっともなお尋ねというよりは御意見であり、われわれも全く同様の見解でございますから、政府といたしましても一段の努力を傾倒いたしたいと考えております。
○羽生三七君 これで最後にしますが、その場合、国際的にCB兵器の禁止が日程にのぼっているような際に、むしろ私は、すみやかなる撤去とともに、もう廃棄を提唱したらどうかと、こう思います。 それからもう一つは、この実態を、沖繩にあるこの毒ガスの量はどの程度で、それから、どういう種類のものが保管、貯蔵されておるのか、日本政府がその実態を知っておられるかどうか、もし知っておられないとしたら、撤去したかどうかをどうして把握するのか検証の方法がないわけです。そういう点はどういうことになるのか、この点をお伺いして質問をやめますが、このほかに、実は、国連に臨む日本政府の態度を少しお伺いしたがったんですが、時間の関係で省略をします。最後にいまの問題について御答弁をいただいて、質問を終わります。
○説明員(東郷文彦君) 現在沖繩にあるガスとして国防省が発表いたしましたものは、マスタード剤、それから、神経性化学剤のGB、VX、この三種類ということでございます。撤去の確認等についても言及されましたけれども、それは大臣も申されましたように、現在米国は撤去の方針でその具体化に苦心しておる。いずれこの搬出先もきまって撤去したということになれば、アメリカの発表をわれわれは信用して受け取るということになると思います。
○西村関一君 私は質問の初めに、一つ政府の見解を伺っておきたいと思うことがございます。それは、去る日本時間の六月一日に突如ペルー国を襲いました大震災につきまして、日本政府としては、外務省としてとりあえず二万ドルの金を贈るということでございますが、そのくらいの金ではもちろんどうすることもできない。経済大国といわれておる日本として、それで済まされるものだとは考えられません。ペルー国の日本駐在の二世の商務官の話によるというと、いま必要なものは食糧であり、薬剤であり、その他であるということでございますが、日本には食糧があり余っているし、どういう方法でこれを送るかということについては問題があると思いますけれども、とにかく外務省から二万ドルの金が贈られたということだけでは、少なくとも五万人以上の死者が出ている、その他の被災を考えますならば、甚大な災害をこうむっておるわけでございます。こういうことに対しまして、かつて大正十二年わが国を襲いました関東大震災のときに世界各国から受けました深い同情と援助にかんがみまして、このペルーからも、日系ペルー人からも、いまの日本の金に直して一億円以上が贈られておるということでございます。そういうことに対しまして、日本国が、また日本国民全体が、いろいろな機関を通じいろいろな方法を用いまして、ペルー国民に対して深甚な同情の意を表して、援助の手を差し伸べるということは、大事なことだと思うのでございますが、その点について政府はどうお考えになっておるか。二万ドルそこらの金では、これはもう経済大国の日本としては恥ずかしいと思うのでありますが、その点に対して政府の御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ペルーの震災は、詳報が来るにしたがって、非常に大きな地震で、関東大震災の震度よりもさらにその震度も強かったわけでございまして、死傷者の数も非常に多いし、それから、在留邦人も世話になっておる国でございますから、政府としては、とりあえず、外務省の報償費から二万ドルを見舞いとして提供したわけですが、同時に、民間からも、日本の国民各位が非常な同情を示されて、募金等が集まっておりますものも、すでに二万ドルを相当超過しておるような状況でございます。政府といたしましては、ただいまの御質問もごもっともで、特に食糧関係で非常に困窮しておるようでございますから、米を援助することに方針をきめまして、実は明日の閣議で、とりあえずのお米の救援ということもきめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。なお、状況の推移を見てまいりたいと思っております。 なお、これは弁解がましくなりますけれども、戦後におきまして、こうした災害に対してとりあえずとっております措置としては、日本としては、これでもう最大の措置でございます。
○西村関一君 この問題につきましては、私は野党側の委員でございますけれども、与野党ともこの問題に対して重大な関心を持っており、与党の皆さんもおそらく御異存がないところだと思うのでございまして、政府がいままでとった最大の措置だと言われますけれども、被災の現実もまた最大のものだと思うのでございますが、それだけに、ぜひさらに十分な努力を払っていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。 次に、私は国連大学の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。国連大学の問題は、本委員会におきましても私は質問をしたことがございますが、先日国連ウ・タント事務総長が来日されましたときに、万博で佐藤総理とお会いになりまして、総理はウ・タント事務総長に向かって、国連大学誘致の問題に対して積極的な態度を示されたと聞いております。これに対して政府は受け入れる用意があるのか、ないのか。受け入れる場合にはどういう形態で受け入れようとしておられるのか。聞くところによりますと、ウ・タントの特別補佐官でありますインドのラル博士が中心となってその具体的な計画を練っておるし、その報告書が七月には国連に出されるというふうにも聞いております。そういう際に佐藤総理が国連大学を日本に受け入れる用意があるということを言われたことも、重大なウエートを持っておると思うのでございます。そういう時期にあたりまして、政府としてはどういう考え方に立っておられますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 国連側では「国際大学」と言っておりますが、日本側では「国連大学」と通称されて定着してまいりましたが、この国連大学の問題については、昨年の二十四国連総会でウ・タン事務総長がこれに言及してからこのことが話が始まったわけです。当初から日本としてはきわめて積極的な態度を示しておりますことは御承知のとおりであります。前国会中にも、しばしば総理からも、文部大臣からも、また外務大臣からも、さらには大蔵大臣からも積極的な意図のあることを国会を通して表明をいたしておりますことも御承知のとおりであります。そういう環境の中で、ウ・タン事務総長来日の際は、私どもからも積極的な意思表示をいたし、さらに、彼の大体考えておるような構想も掌握することにつとめたわけです。ただいま言及されましたように、ラル教授そのほかの人がユネスコを中心の母体にして構想を練りつつあって、来月の国連社会経済理事会に大体の考え方を提案するということになっておりますので、その前に日本政府としては積極的な意思表示を国連に対しても通じたわけでございます。現在得ております情報といたしましては、ラル教授等を中心にするユネスコから社会経済理事会に提案される構想なるものは、いまだ抽象的なものにとどまるようでございますけれども、日本側としては、できるだけ具体的な考え方として、日本国内ユネスコ委員会が中心になりまして、できるだけのアプローチといいますか、あるいは啓発宣伝をいたしたいと考えております。 なお、現状におきまして積極的な国として意思表示をしておりますのは、インド、オーストリア、並びに、国連加盟国でありませんが、スイスというようなところが、いわば競争相手として相当有力な国でなかろうかと観測されておるわけですが、一方、国連側におきましては、必ずしも単一の組織を考えておりません。場合によりましては複数の組織ということも考えているようでございます。それらも勘考いたしまして、日本としては、ただいま申しましたように、積極的になお一そうの努力をいたしたいと考えております。これは将来相当長きにわたっての財政負担を覚悟していかなければならない問題であるというふうに考えております。
○森元治郎君 仙台はどうですか、仙台は。
○国務大臣(愛知揆一君) それは御質問ですか。 それでは申し上げますが、国内的に非常な意欲を持って手をあげておりますのが、たとえば万博のあと地利用を中心にする考え方、それから岐阜県と愛知県とが共同しての提案、それから宮城県と山形県が共同しての提案というようなところが現に構想としてつくられつつあるところのようでございます。
○西村関一君 私の質問以外のことをお答えになりましたが……
○国務大臣(愛知揆一君) いや、だから、質問ですかとお尋ねしたら、そうだということですので。
○西村関一君 大体の構想を持っておられるということでけっこうだと思いますが、ただ、私が伺っておりまするのは、どういう手はずでこれを受け入れるか、たとえば主管官庁がどこになるのか、文部省なのか外務省なのかあるいは総理府なのか、どういうところでどういう受け入れ体制をつくられるのか。総理があれだけのことを言っておられるし、国会の答弁でも積極的な姿勢を示しておられる際でありますから、ラル報告がまさに出ようとしている際でもございますから、政府としてのそういう点の受け入れ体制をどういうふうに組んでおられるかということを伺っておきたいと思うのです。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、国連のほうの考え方が、ユネスコをまず中心に構想を練ろうとしておりますから、日本国内ユネスコ委員会がこれに対応するのが自然の姿ではないかと思います。日本の国内ユネスコ委員会ということになりますれば、文部省が所管庁としては第一義的な責任官庁でございますから、現在の制度あるいは現在のところでは、政府としてはユネスコ国内委員会を中心にして作案をすると、そして、外交的と申しますか、誘致工作その他につきましては、外務省といたしましても応分の努力をいたすつもりでおります。なお、しかし、本件の発展に応じましては、あるいは特殊の組織をつくる必要が出てくるかもしれないと思っております。
○委員長(長谷川仁君) ちょっと速記をとめて。
○委員長(長谷川仁君) 速記を起こして。
○西村関一君 いま委員長が言われますように、事務総長が見えておりますが、その答弁を願いたいと思いますが、その前に、私は日本ユネスコ国内委員会というのが事業をする団体ではないということは承知しておりますし、計画書を出しておるということも承知している。その内容についても私は検討いたしました。ただ、それだけの大事業——いま外務大臣の言われますように、長期にわたって予算を伴うところの事業であるということでございますから、それだけに政府としての受け入れ体制をはっきりしておくことが大事じゃないか。日本ユネスコ国内委員会のほうで計画をされておりますが、しかし、政府としてはどういう形で受け入れるか。外務省じゃなくて文部省だといま外務大臣は言われましたが、坂田文部大臣はかなり積極的な姿勢をとっておられますけれども、私が聞いてみまするというと、文部省もどの局でどういうふうにやるのかということは全然何もしてない、ユネスコ国内委員会だけがやっているという状態でございますが、そういうことではとうていこの大事業を受け入れるところの体制ができているとは私は思わぬわけであります。それですから、関係各省の合議によってまた別の機関をつくるということもあり得るという外務大臣の御答弁でございますから、それで一応私も了承したいと思います。すみやかにこの問題に対して具体的な施策を講じていただきたいということを外務大臣——いま中曽根長官もお見えになっておりますから、閣僚会議等において話を進めていただきたい。 それで、時間もございませんから、私は日本ユネスコ国内委員会事務総長から簡単にこの問題に対する国内委員会としての御見解を承っておきたいと思います。私は、出しておられます独自のその計画書、それはよく読んでおりますから、その点については触れていただく必要はないと思います。
○説明員(伊藤良二君) ただいま愛知外務大臣のおっしゃいましたような線で私のほうも今後も進めていくべきだというふうに考えておりまして、国内委員会といたしましては、ユネスコに関連する事項につきましての調査研究、それから助言と、こういうことが法律で明記されておりますので、この範囲におきまして現在この問題に一生懸命に委員の諸先生と一緒にやっておるわけでございます。これは、案をつくるという段階につきましては私どものほうが中心といいますか、事務の中心になりまして、文部省、外務省その他の関係官庁の方のお知恵をいただいて、先般——先月の十五日に構想案というものをつくりまして、そして、国連大使を通じまして国連事務局に提出いたしましたのでございます。その後につきましても、この目的、どういうことを教えるかという内容、組織、経費、そういった諸問題につきまして、常にこれを研究調査を続けておりまして、そのつど関係官庁との連絡を密にし、あるいは、外部といいますか、官庁間の意見も十分取り入れつつさらに研究を進めていきたい。おそらく想像されますのは、いずれこういう問題が具体化してまいりますと、それについてのスタディー・グループのような委員会というものが設けられるということが常とされております。国連にそういった機関が設けられまして、今度は具体的な検討がなされる。その段階にやはりこまかい点につきましての意見を述べる必要がございますので、常にそういった内容上の問題についてはフォローさせていただきたいというふうに考えておりまして、誘致等の問題につきましては、これは外交マターでございますので、外務省のほうが中心になっていただくというのがこれは当然のことかと思います。誘致等の問題がはっきりいたします際には、新しい機構なり、あるいはどういったところがこの実施上の問題についての責任を持つかということは、ぜひ新しい問題として検討すべきかというふうに私も考えておるわけでございます。 簡単ではございますが、大要以上でございます。
○石原慎太郎君 ただいま西村委員の御質問がございましたが、日本の対外援助を見ますと、非常に消極性が感じられる気がいたします。今回のペルーの災害援助だけでなしに、いままで日本が方方にやってきました対外援助を見ましても、非常に量も少ないと同時に、何といいますか、効率が非常に悪い印象、効果もあがっていないという気がいたします。たとえばカンボジアに対する援助、あるいはベトナムの戦後復興に対する援助、当然考えられる問題であると思いますけれども、ここらでひとつ、いままでの日本の対外援助というものをいろいろな点で検討、反省されて、たとえば一つのモデル・ビルディング——非常に印象もよく効果も実質的にあがるというフォーミュラというものを反省した上でつくっていただきたいと思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともなお尋ねであると思うんですが、率直に申しまして、従来私どもも、海外経済協力につきましては、御承知のように、賠償関係もほぼ終了に近づきつつある状況でもあり、一方、よくいわれることですが、日本のGNPが異常な伸び方を示しているというようなことから、国際的な場におきましても、日本の積極的な態度はしばしば望まれていることでありますが、同時に、国内的には、海外経済援助ということについては、ともすると消極的な、つまり、日本の国内にはまだいろいろの国内問題があるのであって、対外的に援助するぐらいの余裕があるならば、日本の国内におけるいろいろの方面に金を出すべきである、こういう意見もだいぶ強かったために、なかなか、いわばコンセンサスがつくり上げられなかったわけであります。もちろん、その消極的な御意見の中には、海外援助といったって効率が悪い、あるいは変な使い方をされているんじゃないかとか、あるいは、ひもつきではないかとか、あるいはイデオロギー的にやっているんじゃないかとか、いろんな御批判もその中に含まれておるわけですが、この環境の中にあって、私どもとしてはこの一九七〇年代が国連でも「新しい開発のデケード——十年」だということが叫ばれております。各方面で世界的な世論にもなっておりますので、政府としても、あらためて一つの基本的な指針というようなものをつくり上げるということが必要であるということを痛切に感じておるわけであります。外務省といたしましては、特にかねがねそういう主張を持ち、関係各省その他の方面にも大いに働きかけてまいっておるわけでございます。しかし、それにしても、まず一体どの程度のことができるか、ワクを設定することが絶対に必要であるということで、先般、たまたまOECDの理事会、それから、東南アジア開発閣僚会議、時を同じうしてパリやジョクジャカルタで会議がございます。そこに臨む場合において、ひとつ一九七五年を目標にしてGNPの一%を拠出するということを政府の方針として明確にしようということで、いわば大ワクの一つの構想を内外に政府として展開いたしたわけでございます。そうして、そういう大ワクを一方に持ちながら、これをどうやって効率的に平和的な目的に使い得るかということについては、受けるほうの側に対しましても呼びかけをいたしまして、いわゆる地域協力の実をあげる、援助を受ける国の自助努力を期待する、いろいろの点で受けるほうの国々にも呼びかけるし、また、日本がそこまで踏み切る以上は、与えるほうの国々に対しても、なお一そうの協力を求めるというような行動を展開し始めたところでございます。できるだけすみやかにその肉づけをして、そうして、各年次ごとに具体的な計画が進捗していくようにやりたいと、こういうふうに思っております。そうして、考え方としては、いわゆる二国間の経済協力ということももちろん必要でございましょうけれども、一番いいのは、地域協力を基礎にした考え方の上に立って、マルティの考え方でいくことが、これは政治的にも中立的な考え方でいけますし、また、合理的に効果をあげるゆえんでもあろうかと、こういうふうに考えておるわけでありまして、一例をあげれば、幸いにアジア開銀というようなものが、まあ、私の見るところでは、非常な各国の信頼を寄せられている業績が非常にあがっております。こういうところをひとつ大きな柱にして、さらに補強していくということもたいへんけっこうなことではないかと、こういう考え方でおるわけでございます。
○石原慎太郎君 いわゆるワクを設けざるを得ないというお考え方は私は了承できますが、そのワクの中でもう少し知恵を働かせてできることがあると思う。たとえばベトナム援助の形でも、西ドイツがあのサイゴン川の河岸に非常に美しい病院船をつけて、そこで一つの西ドイツというもののイメージ・キャンペーンというものもしている。日本がやっているピスコということもけっこうだと思いますけれども、そういうものを見比べてみますと、われわれのその援助というものは、何といいますか、やぼといいますか、日本に対する信頼感、期待感をあまり育てるのも困るのかもしれませんけれども、そういうものを育てていくのに非常にへたなような感じがいたします。 この問題は、まあこれで終わりまして、カンボジアの戦火について、私、非常に心痛する問題が一つあるのですが、それは、アンコールワットに共産軍が立てこもったという報道がされておりますけれども、ベトナムの戦争においても、あのバオダイの古都であるユエに、解放軍が閉じこもって、アメリカ軍がこれを非常に果敢に攻めたことで、私、実はユエをたずねた直後に戦争があすこで展開されまして、あの美しい都が非常に破壊された。今度も解放軍が立てこもれば、それを攻めざるを得ないかもしれませんが、日本が第二次大戦さなかに、アメリカの歴史学者、考古学者たちの提言によって、京都という非常に由緒のある文化都市を彼らの好意で守り得たという事例に照らしても、ひとつアンコールワットという非常に世界でもまれなああいう首都というものをそれこそ聖域化するような提言というものを、まあ日本のような国が、ある意味で恩返しとして強く提唱されるということをお考えになっていただきたいと思いますけれども、これは質問といいますか、提言という形でお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう全く御同感でございます。日本としてできる限りの努力をするのに全くふさわしい問題であると私もかねがね考えております。善処いたしたいと思います。
○石原慎太郎君 次に、防衛庁長官にお伺いしますが、安保を含んで日本の防衛というものが新しい時代に差しかかったということはだれにもいなめないと思います。しかし、総理は国会の中で、安保条約について一言一句変えないということをおっしゃっておりますが、それは私は安保というものに表象された防衛のたてまえといいますか、日本の防衛をめぐる条件の判断のたてまえというものが不変であるということであって、やはり安保の内容あるいはそれを規制する外容というものの変化は十分あり得ると思います。長官はさきに下田日米民間会議で、七五年ごろ日米安保条約は再検討する必要があるのではないかということをおっしゃっておりますが、その再検討を七五年ごろにしいる内的、外的の条件というものを具体的にどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 将来のことは正確に予測できませんけれども、いまとりあえず想定され得る条件としては、中ソ関係がどういうふうに移行していくだろうか、それから、米ソを中心にするSALT——戦略兵器制限交渉がどういうふうに進展していくであろうか、あるいは、台湾海峡の問題がいろいろなファクターによってどういう変化をもたらしていくであろうか、あるいは、アメリカ及び日本の国内情勢が、世論としてあるいは議会勢力として、どういうふうに変化していくであろうか、それから、日本の経済的成長というものが、国民意識やあるいは対外関係にどういう影響を及ぼしていくであろうか、そういうようなさまざまなファクターを考えながら、この情勢に即応するように両国民の大多数のコンセンサスを持って検討を加うべき情勢が生まれるかもしれない、そう思っておるわけであります。
○石原慎太郎君 しかし、それらの問題は、現になおも——現在でもすでに流動的でありまして、特にそれを七五年という、五年先に想定されると発言された一つの論拠というものはどういうことなんでありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一つは沖繩の返還が七二年に行なわれますが、沖繩の返還というものは、必ずしも日本の防衛領域が量的に拡大するということだけではないと思うのです。精神的にサンフランシスコ平和条約第三条の実質的修正という意味も含まれてまいりますし、そういう意味においては、民族がここで一体になって、百万の同胞を再びわれわれの本土の同胞と同じステータスに迎え入れて運命をともにしていこうという、そういう一体感を回復するときでもありますし、国というものに対する考えをもう一回みんなで考え直してみるというチャンスでもあると思います。そういうような心理的な問題もありますし、七五年ぐらいになると、日本のGNPが大体四千億ドルぐらいになるだろう。戦争その他異常なことがない限り、そういう方向に進む可能性がある。四千億ドルともなると、スーパー・ネーションの中に入ってきて、これがアジア・太平洋に非常に大きな変化を与えます。四千億ドルいくかどうかは日本の要素もあります。日本側だけの数字計算でそういうものをはじいても、それと関係を持つ周辺諸国がはたしてそういうものに応じられる力や客観情勢を持つかどうかという、相手側から見た予測というものは日本に少ないので、そういう点では少し自己意識の強過ぎる予測であるとは思いますけれども、しかし、そういうふうに一応いわれております。そういう問題であるとか、あるいは一九七五年ぐらいには、アメリカからの情報によると、中国がICBMを実戦配置につける可能性が出てくる。十基ないし十五基くらいはやるかもしれぬ。そういうこともアメリカの議会の証言の中に出てきております。そういうようなファクターは大体七五年見当に出てくると思われますので、一応七五年——必ずしも七五年と私は言ったのではなくて、七〇年代の半ばごろと、そういう意味で言ったのでありますが、一つのメルクマールになるのではないかと思っております。
○石原慎太郎君 羽生委員が先ほど、安保を不必要とする国際情勢をつくる努力ということをおっしゃいましたけれども、われわれがそのためにする仕事は確かにあると思いますけれども、これは他与的な条件というものが非常に多いと思います。その一つとして、いま長官がおっしゃいました中共というもののICBMのポテンシャルというものは、中共があの衛星を打ち上げたということで七五年ICBMに対する可能性がにわかに出てまいりましたが、総理は、中共というものは平和国家であるという発言をされておりますけれども、私は、やはり中共の現在軍備というものに費やしている情熱、あるいは、それの持っている非常に大きな可能性、潜在性というものから見て、その点、非常に疑問を感じますけれども、長官は、中国というものは現在あるいはその七〇年代の将来においてやはり平和国家という性格を強く持った国家であり得るとお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、現在の中国の諸般の対外政策等見ますと、外国との関係はなるたけ切らない。それで、切らないで、ものによってはペンディングにしておく。そういう半身にかまえた段階で推移しているように思うのです。たとえばワルシャワの米中会談も、お互いにけんかをして、ののしっているけれども、切ってない。パリのベトナム和平会談もしかりで、あれは中共は直接は関係しておりませんけれども、間接には関係していると思います。あるいは、中ソの領土問題に関する会談も、これは切ってはいない。それから、一番大きな問題は中ソ友好同盟条約、これ自体を両方とも切ってはいない。あるいは、日本と中国との貿易交渉についても、いろいろすったもんだあったけれども、切ってはいないし、やめてはいない。そういう情勢を見ると、やはり、そういう半身にかまえて情勢を見て進むという形であり、全体的には防御的姿勢にあると私は見ております。ICBMをつくることがいかなる意味を持っているか。いまの一般の学者の予想では、やはり中共はアメリカやソ連に対して核クラブ入りをしたという対外宣伝、つまり、そういう軍事力や軍事開発というものを政治の道具に使う——共産圏の国はよくやっていることでありますけれども、負けないぞと、そういうような意味の姿勢として利用される可能性が一番強いのではないか。また、それが国内的にも士気を鼓舞するというような、そういうような要素が強いのではないかと私は思います。したがって、現在予想される範囲内においては、そういう軍事的には防御的姿勢で推移している、そのように考えております。
○石原慎太郎君 そうすると、核兵器を持っても、それが防御的なものであれば、つまり平和国家と言い得るというお考え方と判断してよろしいのですか、半身にかまえていようと。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは平和国家という名前の定義によるのでありまして、戦後ぐらい平和ということばがいろいろな意味に利用されている時代はない。そういう意味で、これは解釈の問題でありますから、石原先生の御解釈のままにまかせるよりほかにないと思います。
○石原慎太郎君 あとでもう少し詳しく質問したいと思いますけれども、それならば、つまり、現在のABM以上に非常に純防御的な核兵器——ABMというのはそういう性格のものですけれども、防御的な核兵器をかりに——仮定論というのはたいがい皆さん避けてお通りになりますけれども、大体防衛論というのは仮定論で成り立っているわけでありますが、かりに日本が持ったとしても、日本の平和国家性というものは失なわれないと解釈してよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本は憲法によって核兵器は保持しない、製造しない、そういうような解釈がなされておるので、防御的なものにせよ、そういうABMというクラスの核兵器を持っていいかどうか、これは法制的にも検討を要する部分であると思います。それで、今日の時点においてそういうことは適当でないと私は解釈しております。日本的意味において、今日の解釈において普遍性を持った解釈からすれば、それは平和国家という名前に値しない方向に国民の相当数が受け取るんじゃないか。また、対外的にそういうような印象を与えていくんではないか、そのように政治的に私は判断いたします。
○石原慎太郎君 日本が完全にうしろ向きでABMを持っても、日本の場合は平和国家という印象を日本人自身が持ち得ない。しかし、半身にかまえている中共がICBMを持っても、これは平和国家と言えるという解釈の矛盾を私は非常に奇妙に感ずるのでありますが、それはさておきまして、将来情勢のいろいろな変化によりまして、われわれが終戦後考えてきました、憲法を詭弁的に解釈することによって無理やり考えてきました防衛というものの対象の変化というものもあり得ると思います。いままでの復興期における日本の防衛というものは、一応日本の領土というものを概念的に対象にしていたと考えられますが、先ほど長官がおっしゃいましたように、日本が経済国家として非常に成長してきた。しかも、これからなお膨張し、成長していくということで、日本の国民の——これは実は確認したわけではありませんけれども——大体国民の一つの願望といいますか、国家的な目的というものは、経済立国というところにしぼられているような気がいたします。その際に、われわれが日本を守るということをもう一回考えなくちゃいけない時期に来ていると思いますが、私は、それが何もすべてではないと思いますけれども、われわれが防衛の対象とするものの非常に大きな比重を、かつて以上に、日本の経済というものが占めてきているというように解釈し得ると思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 念のために申し上げますが、中共は平和国家云々という石原先生のお話でありましたが、私は「平和国家」ということばは使っていないので、防御的姿勢にあると、そういうことばを申し上げたので、この際もう一回申し上げておきます。 それから、いまのお話は、何と申しますか、感じから言うと、産業主導国家、経済主導国家というような印象の国として日本が依然としていくという感じの予測のように私受け取りましたけれども、七〇年代はもはやそういう時代ではないし、そのこと自体は国のあり方として適当でない。つまり、経済よりも政治が優越しなければならない。たとえば、一番端的に出てきているところは公害の問題がそうであるだろうと思います。教育の問題もそうであるだろうと思います。国民意識の問題もそうであると思います。特に公害の問題なんかは、私の友人のある学者が調べたところによりますと、社会生活密度というものを見ると、アメリカと日本では、日本が十五倍稠密だそうです。アリゾナの砂漠とかロッキー・マウンテンなどの住めないところを除いて、住めるところで生活密度をはかってみると、驚くなかれ、日本はアメリカの十五倍だと。だから、この公害に対する意識や問題も十五倍のスピードで出てくるだろう。初めのうちは、日照権だ、やれ亜硫酸ガスだ、やれ水だ、音だと言ったのが、近ごろは鉛になってきて、それが柳町まで押し寄せてきた。それは単に柳町ばかりじゃなくて、日本の中小都市にすぐ起こってくる。そういうことで、十五倍の速度で大きな公害問題というものが押し寄せてくると考えなくちゃならない。それを、産業主導国家にしておいたならば、こういう問題は解決できない。そういう意味で、七〇年代はむしろ政治主導国家にならなければならない。そういう意味において、防衛も、外交も、内政も、政治が優位を持って国全体の幸福を確保するということを考えるべきであると考えております。
○石原慎太郎君 ちょっと私の説明を取り違えていらっしゃいますが、私の説明が足りないような気もいたしますけれども、私の申し上げますのは、公害という問題に取り組むにしても何にしても、つまり、われわれが今日まで築いてきたこの経済、日本の社会、それはすべて経済というものを抜きにしては考えられないわけでありまして、また、ほっておいても日本の経済というものはとにかく膨張していくでしょうし、また、そういったものが、内容、実質というものを変える必要があるかもしれませんけれども、何にしても、それがないと、われわれの国内におけるしあわせというものもあり得ないわけであります。ただ私は、日本の経済というものが、外国のそれと比べると、その骨格に一つの特性を持っていて、これは非常に海外に多くものを依存している、非常に空中楼閣的な性格を持っている、やはり、これをわれわれが何かの形で保障していかなくちゃいけない、そういったものについて防衛という問題がもう少しこれから先一そう視線を向ける必要が出てくるのじゃないかということをお伺いしたわけです。そうして、これからの四次防なりあるいはこれからの防衛という問題、つまり、長官自身が内容なり一つの方向というものの転換というものを考えていく必要があるとおっしゃっていらっしゃると思いますけれども、その、これからの新しい防衛というものは、そういう防衛の対象に対する視線というものとのからみ合わせで考えられてくるべきではないでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私がいま考えておりますのは、日本の本土防衛に重点を置き、日本の防衛はその問題を重点にしておけばよろしい、そういう考えを持っておりまして、下田会議でも言ったのでありますけれども、アジア・太平洋の問題についてアメリカのやっておることを日本が引き受ける必要はない、おのおの特性に応じて分担、分担をきめればよろしい、アメリカは、ANZUSだとか、米韓、米台、そのほかいろいろな安全保障条約を結んでおるので、ニクソン大統領はコミットメントを守ると言っているんだからそれをやってもらえばいいじゃないか。日本は経済的、文化的にアジア・太平洋の繁栄に協力する。アジアにおいては政局の安定、生活水準の向上ということが軍事的努力をする以上に大事な要素であると私ら考える。その一番大事な基本になっていることについて日本が協力していく必要がある。ただ、石原議員がおっしゃいましたように、経済というものは善意でやっていても民族を傷つける要素が非常に多いのです。ですから、アグリー・アメリカンなどということばも出てくる。アグリー・ジャパニーズがもうちらほら出てくるのじゃないかという心配すらある。そういう意味において、経済が与える傷を政治の治療薬でなおしていくということは政治として当然考えなくちゃならない。そういう意味においてアジア・太平洋の繁栄のための政治的プログラムというものが日本に出てくる必要があるだろうと私は思っております。それが、日本だけでやると、大東亜共栄圏などとまた言われますから、国際機構を通じてそういう日本の努力と誠意を見せたらどうかと考える。そういうやり方の方向に日本が行くのがよろしいと私は考えます。
○石原慎太郎君 時間がありませんので、あと一問だけ質問したいと思います。いつも肝心なところに来ると時間がなくなるのですが、私は、現在軍事を含めて技術というものの進歩が、非常にいろんな問題に既成の形なり観念というものとの間のギャップを生んでいると思います。これは実はこの間も総理、あるいはその前に外務大臣にもお伺いしましたのですが、きょうは理念的な御回答よりも、純技術的、専門的にお答えを願いたいと思うのですが、たとえば現実にもうすでにある国は放射能というものが伴わない非常に軽微な核兵器というものを装備している。そういった変化がこれからどんどん出てくると思いますけれども、ことに、これは核の、核兵器に対しての概念修正をしいるような技術の変化が実際に起こりつつある、起こっている、こういった問題に対して、われわれがやはり国土を守るという非常に狭小な目的のために日本の防衛を考えるにしても、 つまり、その効率というものを上げるというときに、やはりその核兵器というものに対して概念修正というものをいろいろなところでしなくてはいけない時期に来ていると思いますし、たとえば非核三原則といった問題も、その範囲なりカテゴリー、規制というものの限度というものを考える時期に来ていると思いますが、その点、防衛庁がこれから数年先に、こういった問題、こういった原則というもの、あるいは現行のつまり憲法に対する解釈のしかたということによって純防衛の効率というものを非常に規制される可能性が必ず出てくると私は思いますけれども、長官はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石原先生の予言に従おうか従うまいか考えておったところでありますが、私はあまり従いたくない気持ちがあるのです。と申しますのは、確かに論理学から言うと石原先生のおっしゃるような論理学が成立する。それは現にヨーロッパにおいて成立している。なぜならば、ヨーロッパにおいては国際的秩序もでき、その政治的なもやもやというものが、あるいは社会的もやもやというものが非常に少ないわけです。ですから、NATOにおいても、核兵器を使うことを前提にして戦術体系が組み入れられている。ワルシャワ体系においても、戦術的核兵器を使うことは周知の事実で、公然演習をダニューヴ川を中心にやっております、彼らは。しかし、それは国境も確定し、そうして社会構造も分かれ、同じキリスト教を信奉しているという社会で、わりあいに論理学が核兵器の効率論等で通用している世界なんです。ところが、アジアにおいてはヨーロッパから見ると五十年以上おくれている状況である。アルザス・ローレンを解決するのに百年もかかっているし、まだ解決しているかどうかはわかりませんが、安定している。しかし、アジアにおいては、そういうような問題でさえも、三十七度線だとか、あるいはカンボジアとタイの国境問題であるとか、あるいはインドとパキスタンの問題であるとか、まだもやもやしている問題がたくさんあるし、社会的なそういうもやもやが非常にあるのであって、そういう論理学が必ずしもヨーロッパ並みにすぐ成立する社会ではない。つまり、そういう意味においては、政治が非常に必要である、政治学が非常に大事な世界である。つまり、社会心理であるとか、あるいは社会構造を知る、宗教的いろいろな事情が特異性を持っていることをよく認識する。そういうような要素が非常に多いわけであります。それからまた、仏教に影響を受けて、あわれみという気持ちがヨーロッパと違う。感情において別な世界で存在している。そういう世界から見ると、核兵器の効率論だけでは動かない。現に、だから、核兵器を持っておっても使えないという情勢がアジアにおいてあるわけであります。そういう複雑な様相と、これから流動する世界を見ていると、いまとっている政策が私は賢明である、そう考えるわけであります。
○黒柳明君 安保に対する政府声明はきょう検討すると、こういうことですが、外務大臣も防衛庁長官もその席に出席されそうして検討されるということで、まだ検討以前の段階ですけれども、ぜひその見解というものをお伺いしたいと思うのですが、外務大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、従来は、自民党がさきの総選挙で三百議席を取ったということは、すでに国民が安保についての自民党政府の意見というものに賛成したんだ、このようなこともいわれております。今回の安保に対する声明文、これは非常に簡潔なものでいい、こうもまたいわれておりますけれども、はたして、きょう検討されやがて出るであろう安保の自動延長に対する政府の声明、見解というものは、 〔委員長退席、理事石原慎太郎君着席〕 もうすでに安保の自動延長に対する政府・与党の見解を国民が肯定したんだ、こういう立場での声明文を出されるのか、そういう意味で簡潔にするというお考えが含まれているのか。あるいはさらに、十年という長い固定期限がここで切れる、この際自動延長に対する政府の考えを国民の皆さんにもう一回理解していただきたい、こういう考えも含めて声明文を出そうとするのか、外務大臣としてのお考えをお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題については、先ほど羽生さんの御質問にもお答えいたしましたように、これからひとつとっくり考えてみたいと、こう思っておりますから、どういうものができますか、できましてからまた御批判をいただきたいと思いますが、ただ私は、先ほど申しましたように、私の気持ちから言えば、やはりこの時期に、いま選挙の結果がどうこうということもお話にありましたけれども、私は、まあ大部分の国民の考え方はわかっているような感じもしないではありませんけれども、それはそれとしまして、この時期に、われわれが政府として安保というものに対してどういう考え方を持っているかということを国民に知っていただきたい。その中には、先ほど羽生さんにお答えしたように、私などは謙虚にわれわれの考えているところをお訴えをしたい。また、私どもとしては将来についてこう考えているんだと、そういう点を書き上げたものにしたい、こう思っているわけです。 〔理事石原慎太郎君退席、委員長着席〕 その結果が、簡単なものといってもどのくらいのものになりますか、あるいは長文といっても何をもって長文と言うかわかりませんが、これからできるわけですから、必ずしも簡単とも言えないし、あるいは必ずしも長文とも言えませんし、まあ、できましたところでもって御批判をいただきたいと考えております。
○黒柳明君 当然、まだこれから検討され、さらに作成の段階ですから、長短ということの基準もないと思いますけれども、いまの大臣のお話からですと、相当やっぱり国民の皆さんに理解していただきたいという、こういう政府の、外務大臣の意思を含めての成案になる。そうなると、やっぱり相当具体的なものが要求されるのじゃないかと、こう判断を私はしたいのですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、趣旨はいま申しましたようなことですが、これはこれから部内でも検討するわけで、ただいま申しましたのは私の考え方、私の気持ちでございますから、まだ、政府としてどういうふうになるかということについては、ちょっと申し上げられません。
○黒柳明君 当然、私、冒頭に申し上げましたように、きょう検討される段階ですから、まだこれから練られると思いますので、外務大臣個人の見解としてお伺いしたいと思うわけです。 それで、報道によりますと、「長期固定」——長年にわたって維持するということばを入れるか入れないかという報道もありますけれども、まあ、そこら辺が検討の対象に当然なることと思いますけれども、まあ、検討前の段階でこういうことをお伺いするのもどうかと思いますが、外務大臣としてはまたこれが一つの大きな焦点になるかと思いますが、長期固定、長い間これを維持すると、こういう文案を入れるか入れないか、こういう点についてのあるいは示唆的なものでもお話し願えればと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 示唆的なものと申しましても、私だけの意見になりますから、どういう結果になりますか、私は私なりの意見を持っておりますけれども、あまり現在のところでは責任のある御説明になりませんが、その点をまず前提に申し上げておきたいと思います。 私は、やはりこの安保条約というものは歴史的にいろいろの変化をたどってきておるし、それから、今後におきましても、国際情勢、ただいまもいろいろの論議が展開されたわけですけれども、いろいろの点を考慮の中に入れて考えていかなければならないと思います。それから、条約自身としても、十年という期限はこれでなくなるわけですから、あとは双方一年の予告でもってやめることができる。そういうステータス、同時に、安保条約の十条には、先ほども申しましたような規定がある。どういうふうにこれを考えていったらいいか。私の私見から言えば、条約それ自体を改正、修正ということをいま考えるべき時期ではないのではないか。もちろん、条約の中にも、私は御意見があることは承知いたしております、一部の方方に。それから、もちろん廃棄論というものがありますことも承知いたしておりますが、私の私見をもってすれば、条約の条文自身について現在改定というようなことを考えるべきではない。それは不適当である。なぜならば、条約それ自身は、御案内のように、条文としても簡単でありますし、そして趣旨としておるところは、いまは何も変える必要のないものである。ただ、従来もそうでありましたように、この条約のもとにおいて、運用の面において、一面には世論のおもむくところに従っていかなければならない、あるいは国際情勢の変転に即応していかなければならない。いろいろの点から考えて、おのずから運用上においてはいろいろ改善を要する点がありはしないか。そういう気持ちで運用をしていくのがしかるべきことではなかろうか。 それから、これは先ほどもちょっと触れたところですが、私見をもってすれば、いろいろの条件が大事なのであって、その中には努力によってわれわれがつくり上げていかなければならない条件もあるし、あるいは、われわれの力ではなかなか動かし得ない条件もありましょう。そういう問題でありますから、物理的に何十何年にはこうこうするというような、あらかじめ年を限って、何年になったらどうするというふうに扱うべき問題ではなかろうと、まあ私は、きわめて抽象的になりましたけれども、私の私見はそういうふうな意見を持っております。
○黒柳明君 防衛庁長官も、検討される以前のことで、いろいろお考えあると思うのですけれども、検討段階においては、日本の安全保障というものについてもう一回考えるべきであると、あるいはこの安保の声明の中に「自主防衛」というものを当然入れるべきであるというような新聞報道が伝えられておりますけれども、きょうこれから検討され、やがては声明文として出てくるわけですけれども、長官のこの安保の政府声明に対しての一応のお考え、特にその自主防衛というものについて、やはり国民の皆さんにこの際理解を与えるべきだと、こう私は思うのですけれども、そういうような点についていかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体外務大臣の意見と同じです。
○黒柳明君 先ほど、日本固有の防衛というものについて検討したいと、こうおっしゃいました。私も当然そういうものは検討されるべきだと思うのです。しかし、日本固有の防衛といいましても、やはり土壌といいますかね、基底の概念というものがまず必要だと思います。いろいろなこれは問題点があると思いますが、まあ核に対する不安が、これは決してぬぐい去られているものじゃないと思いますし、あるいは自衛隊に対する、まあいわゆる今日の自衛隊は一応必要だという意見は定着していますけれども、必ずしも今日の自衛隊は国民の皆さんから全面的に愛される自衛隊としての存在であるかどうか、大きな疑問です。また防衛費も、GNPとの割合で対比しての防衛費、急速なこの日本の経済発展、それに伴う防衛費が将来相当に増額される、こういうような不安、こういうのは、日本の固有の防衛、こういうお考えの土壌になるものにはまだまだ不安定な要素が一ぱいある、こう思うのですけれども、私は、まず国民の皆さんに、そういう基底概念というものをはっきり定めた上で、もとの理解を与えた上で、それで固有の防衛というものに対してのお考えをはっきりしないと、土壌——根幹がまだはっきりしていませんから、何かその固定の防衛概念というものも、ただ核に対する、保有するのではないかというような不安が増大したり、あるいは防衛費のエスカレートに対する不安を増したり、こういうことになりかねないと思うのですけれども、その点、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は日本の防衛に関しましては、特に六月二十三日以降の自動継続後は、一方的に双方とも廃止を通告し得るわけです。一年の予告をもって廃止を通告し得る、そうして廃止される、そういうことにもなるのですから、日本側が将来通告することもあるかもしれませんが、アメリカ側が通告することもあるかもしれません。条約上は可能であるということであります。そういう事態が予想されておるのでありますから、日本の国民の立場からすれば、アメリカから廃止を通告された場合でも、じたばたしないで済む、アメリカに「助けてくれ」というような声を出す必要のない体制にして置くことはあたりまえなことだと思うので、しかし、核兵器とか攻撃的兵器は、これは憲法上もできませんから、それを除いては、自分で一応本土防衛についてはやれると、そういう体制をつくっていきたいと私は思うのです。ただし、それを急激にやるとショックも大きいし、また、財政負担上の問題も出てきますから、時間をかけて、国民のコンセンサスを得ながら徐々に徐々にやって、一応そういう段階にまで到達する。そういう段階まで到達したら、今度は横ばいになって、更新とか改良という点になるだろうと思うのです。私の見当では、いまの日本のGNPの伸びその他を見ておりまして、現在程度の日本の防衛比率というものを考えてみますと、十年から十五年ぐらいまだかけたほうがいい、それくらいのスロー・テンポでやって、一応じたばたしないで済むという程度のものにすることが適当ではないか、そういう考えを私の頭の中に持っておりまして、そういうことを基本にしながら、自動継続並びにそれに対応する日本側の自主防衛というものの、何といいますか、定点といいますか、基礎というものを考えておるわけであります。
○黒柳明君 自衛隊の主導権といいますか、役割りといいますか、要するに、「よど」号事件、あるいは一九六二年ですか、キューバ封鎖のときのアメリカのように、何かアメリカがスクランブルに対する主導権を持って、自衛隊がそのもとに緊急出動するとか、こういうような面についてはどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在、レーダー管制は日本の自衛隊が全部やっておりまして、日本のその場所、その場所の司令の判定に基づいて敵、味方の識別が行なわれ、また、スクランブルの命令が出されているわけでありまして、完全に自主的に行なっております。
○黒柳明君 先日も横田、三沢の拡充強化などアメリカから発表されましたし、あるいは沖繩の大浦湾あたりでは、秘密に何か核弾薬倉庫が建造中といううわさが立っておりますけれども、一方においてアメリカは、日本から、あるいは海外の基地の削減、あるいは防衛費の削減と言いながら、一方において基地の拡充強化、こういう方向に行っているわけです。こういう面も、やはり安保は補完的な役目でいいというような防衛庁長官のお考えが、そうではなくして、まだまだ長期的に日本の基地、あるいは先ほど羽生さんもおっしゃったように、沖繩の基地を長期的にやはりアメリカは保持するという、既得権というものを持ち続けていくという、こういう考え、こういうことにも思うのですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本が攻撃されてきたという場合に、日本は他国に脅威を与えるような攻撃的兵器をもって相対処し得ない憲法上の制約、その他の制約もありまして、そういうことを考えますと、その部分はアメリカに期待し、ふだんから提携しておくということは、私は悪いことではないと思うし、財政負担やその他を考えてみると、国民も了解してくれるだろうと思うのです。そういう意味において、日本の米空軍基地がそういう機能を持っているということは、必ずしも否定すべき問題ではない。基本的原則といたしまして、安保条約はそういう要請からできている部分があると思うのです。ただ、それが都会の周辺で公害を起こすとか、いろいろなそういうトラブルが起こることはできるだけこれを調整しなければならないと思っておりますが、基本原則自体は、私は、日本のためにもなることであって、国民もこれを支持してくれるだろうと思っております。
○黒柳明君 たとえば日本の米軍の基地ですけれども、百二十四ある。必ずしも基地の形をなしていないところも若干あるやに、私たちの調査によっては、出てきております。それから佐世保あたりも確かに米軍の艦艇の使用というものは最近若干少なくなっております。しかしながら、従来どおり佐世保の軍港を中心にして十一の基地がある、こういうことです。地元においては、二つの弾薬庫のうち、一つの弾薬庫は都市の内部にあって危険だから山の中に移転しろ、こういう案も出ておりますけれども、やはり在日米軍基地、これについて実態を把握して、そして先ほど、あるいはいまもおっしゃったような、公害をなくし、あるいは都心部の基地は郊外に移すとかそういう作業を推進する。まあ、日本にあるアメリカの基地をチェックされたということも伺っておりますけれども、それとともに、やはり地元の公共団体とそれぞれよく連絡しあって、それで米軍の基地のあと地の利用、こう使いたいのだ、こういう案をつくって、そして米軍に対してぜひこういう方向に使わしてもらえないか、こういうこともやはり積極的にやる必要があると思うのですけれども、そうすれば、いま言いましたように、佐世保あるいは横須賀の場合、附随基地というものは、先日は山田弾薬庫が全部弾薬庫がなくなった、こういうことも聞きますし、アメリカが従来の既得権というものを必ずしも持ち続けなければならない、こういうことではないと思うのです。要は、日本のほうの積極姿勢が欠けておるのじゃないか、こう思うのですけれども、そこらあたり、防衛庁長官の時代にぜひマスター・プランをつくって、それで後の長官までもそれを受け継いで、そして積極的にその米軍基地あと地利用といいますか、そういうものを作成して、積極的に米軍基地の撤去というものに前向きに取り組んでほしいと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は公明党の御主張に私も共鳴するところがございまして、議会でもお答えしたことでございます。しかし、撤去ということを全面的に行なうということよりも、調整ということで一部民間に返還するものもあり得る。その努力もしてみる。あるいは共同使用として残しておくこともあり得る。あるいはアメリカの全面的管轄権のもとにやることもあり得る。しかし、できるだけ統合、縮小、整理していく、そういう方向で進んでいきたいと思っております。
○黒柳明君 沖繩の米軍の基地を、この際あるいは返還までにもう一回検討する、あるいは総点検するという御意思はありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点はいま沖繩米軍基地について調査を開始しております。
○黒柳明君 在日米軍基地についても点検されたという報道がありましたが、いま長官が、沖繩米軍基地についても調査を開始したと、こうおっしゃいます。私は、調査も当然必要です。その調査を踏まえて、要するに、不要な基地の返還に、いまの長官のおことばをかりると転換ですか、こういうことも現実的にやはり推進していくことが調査の一つのメリットじゃないか。当然そういう結果を出さなければならないのじゃないか。これはまあ主導権は米軍側にありますから、やはり話し合いの中でそういう議論を煮詰めていかなければならないと思うのですけれども、沖繩の場合には、これはもう私が言うまでもなく、非常にいま種々の問題が、米軍によって犯罪事件なり暴行事件が起こっております。それから、七二年までには、先ほどの外務大臣のおことばですと、その早期において返還をさせたい、こういうことですし、やはりその間において基地というものを主体にして沖繩返還ということが相当問題になると思いますので、調査を早急にやって、その調査の結果によって具体的にやはり返還し得るところは返還してもらう。そのことによって、沖繩百万の住民は、日本政府の返還に対する前向きの姿勢というものを理解していくのではないかと思いますけれどもね。ひとつその調査の結果、いつごろになるのか、あるいは、その結果に基づいて前向きに、先ほど申しましたように、民政官あたりは軍用地の返還を拒否しているという事実もありますので、ひとつここらあたりに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨を尊重して努力していきたいと思います。返還以前に沖繩政府を援助しながらやる部分と、返還の時点に処理されるべきものと、返還されてから時間的経過の中に解決していくものと、幾つかの態様があると思います。そういうものにつきましてケース・バイ・ケースで努力していきたいと思います。
○黒柳明君 総理大臣は先日、沖繩基地返還されたあと完全に撤去されるということは誤解であって、やっぱり縮小されるであろうと、徐々にちっちゃくなるんだと、こういうふうなこと、私どももそうであると思いますけれども、今度は自衛隊の沖繩に対する役割りだと思いますけれども、四次防で沖繩に対する自衛隊の姿勢というものが出てくると思います。その場合に、アメリカの当局としては、沖繩基地というのは相当長期的に保持したいと、こういう意図もあらわしておりますし、今度は自衛隊と米軍の任務の分担といいますか、役割りの範囲といいますか、自衛隊が徐々に米軍の肩がわりをしていくのか、あるいは、なるたけ早い時期に自衛隊が沖繩の防衛力負担というものを肩がわりしていくのか。あるいは、自衛隊と米軍と折衷案というものを考えているのか、その辺はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、沖繩の防衛問題並びに施設の問題について、話し合いが防衛局長と先方との間で始まったばかりでございまして、その経過を見まして処理していきたいと思っております。
○黒柳明君 外務大臣にお伺いいたしますけれども、先ほどの毒ガスの問題ですけれども、毒ガスが早期に撤去されることは、これはもう沖繩も日本本土も希望しておるわけですが、アメリカのほうとしては、時期はまだはっきりさせてない。当然、どこに移転するかという場所がまだ検討されている、こういう段階だと思うのですけれどもね、先ほどは東郷局長がアメリカ政府に早期撤去を申し入れた、こういうことも聞いております。しかし、日本政府としてはもうちょっと前向きの積極姿勢でこの問題と取り組んでいく意思があるのかどうか。要するに、またこれでマスコミの話題から消えていきますと、毒ガスの沖繩からの早期撤去ということが、またうやむやになる可能性もあるのではないか、そういう心配も私はあるわけです。この際、まだ世間の記憶にあるうちに、日本政府がせめて——と言っちゃあ語弊があるかわかりませんけれども、沖繩返還を間近かに控えて、特に先ほど申しますように、きのうも衆議院の外務委員会で問題になったように、米軍犯罪というものが相次いでいるわけです。しかも、毒ガスという潜在的な危険物、ほかのものもありますけれども、せめてこれの早期撤去ないしは廃棄ということについて、日本政府が、日本本土においても、当然あるいは、アメリカ本国に乗り込んで行って、そうして日本政府のもっともっと上層部の筋から、アメリカの当局者と話し合いを煮詰め、あるいは移転ないし廃棄に対して、前向きな姿勢を示す気持ちはないかどうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申し上げましたように、全くごもっともなことであり、アメリカ政府としても日本政府に公約をした事項でありますから、アメリカ政府としても非常にこれは困窮している事態であると思いますが、日本政府としては、各種段階において申し入れ、善処を要請するということについては、現在まであらゆる手段を尽くしているわけです、詳しく日時を申し上げてもよろしゅうございますけれども。それに対してアメリカ政府としては、全く日本流に言えば恐縮をして、ほんとうに私は誠意を尽くして努力しているのが現状であろうと思います。なおこれが遷延するようでございますれば、尽くすべき手段方法等については、十分この上とも考えてまいりたいと思います。
○黒柳明君 最後に一問聞きます。カンボジア問題も、中国の義勇兵の介入も示唆されておりますし、あるいは中国からの武器援助ということも発言がありましたし、先日のアジア会議、これについて、非難の中で行なわれ、政府としては一応満足したものだということらしゅうございますが、ASPACに臨むにあたって、やはり先日のアジア会議とは相当やはり趣も異なるのじゃないかと。この内容、特に日本政府としてはソ連ないし英国に対するICCの問題、あるいは、カンボジアのアジア会議の幹事国ということでの積極的な休戦に対する姿勢をソ連あるいは英国に求めるというときですし、ASPACに臨む外務大臣の姿勢というものもおのずから変わってくるとは思うのですけれども、私はASPACに臨むその姿勢というものについて、十二分にやはりこのような問題というものを踏まえて臨む必要があると思うのですけれども、あしたから出発されるわけですか、ASPACに臨む外務大臣のお考えというものをもう一回お聞かせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど羽生さんの御質問に詳しく私もお答えしたつもりですが、率直に申しまして、先般のアジア会議には、十一カ国ではありますけれども、インドネシア、 マレーシア、シンガポールというような、一々その国の従来とっている国際政治の上に対する態度等については詳しく申し上げることを省略いたしますけれども、それらの国々と、それから、多少それとは違う考え方を従来から持っている国々、これらを日本の政府のような考え方にまとめていくということについては、非常なこれは苦労が要ったわけでございます、率直に申しますと。どうかしてこのASPACにおきましても、事、カンボジア問題その他についても、これだけ苦労してまとまったコンセンサスというものを維持するのみならず、さらに、そうした考え方、つまり、バンドン精神、ジュネーブ精神にのっとって平和的な処理をするという、何ぴとといえども、この考え方については私は賛成を表さざるを得ない。この考え方を貫いていくように、この上とも、日本だけじゃなくて、多くの国々がそういうふうな考え方に徹してくれるように努力をするのが、このアジア・太平洋に対する日本のとるべき態度であろうと、私はさように信じております。そういう考え方でASPACに対しても臨みたいと思っておるわけでございます。
○岩間正男君 時間がないので、端的にお答え願いたいと思いますが、昨夕及びけさの新聞によれば、沖繩の第三海兵師団所属の海兵連隊、航空部隊、さらには山口県岩国基地の第一海兵航空団所属の飛行隊が、米韓合同の上陸演習——「ゴールデン・ドラゴン作戦」に参加していると伝えられておる。しかも、その期間は三月下旬から六月上旬にかけて三カ月弱、演習地域は朝鮮、沖繩、台湾海峡、フィリピン沖にまたがる西太平洋全域に及ぶものといわれる。 さきにあげた諸部隊は、第一海兵出撃軍(MEF)を構成しているといわれますが、一体、このMEF——第一海兵出撃軍とはどういう部隊なのか、次の点についてお聞きしたい。 これが編成された時期。それから部隊の構成。特に部隊の作戦上持っておる任務。こういうものはどういうものかお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 岩間委員の仰せられました合同演習は、大体新聞記事のように、あったようであります。いまの部隊の性格につきましては、防衛局長から答弁させます。
○説明員(宍戸基男君) 沖繩には第一海兵派遣部隊というのがありまして、その中に第三海兵師団があります。さらにその指揮下に第一海兵航空団というのがありまして、第一海兵航空団というのが岩国にあります。編成は、さらにそれが航空群に分かれておりまして、F4ファントム、A4E、A6Aという攻撃機、さらにP3Vという哨戒機を持っております。こういったものが岩国にありまして、極東の平和と安全に寄与している、こういうことになっております。
○岩間正男君 いつごろ編成されたのですか。時期とそれから任務ですね。
○説明員(宍戸基男君) 編成の時期については、いま手元に資料がございません。調べて御報告申し上げます。
○岩間正男君 作戦上の任務は。
○説明員(宍戸基男君) 任務はその部隊に所属する海兵隊と同様でございまして、もちろん、一般の、何といいますか、哨戒等に任ずる、あるいは場合によりましては上陸作戦に任ずる、こういうことだと思います。
○岩間正男君 自衛隊はとにかく日本の防衛ということを第一にしているのです。これはどうしても日米のあり方についてもっと研究する必要があると思うのですね。この性格についてチャプマン大将は米下院の歳出委員会で、二月下旬でありますが、証言していますが、こう言っています。「太平洋に強力でバランスのとれた海兵派遣部隊を、これまで以上に保有する必要があると信じる。日本・沖繩地域に配置された海兵隊の三分の二は、西太平洋での水陸両用の攻撃力に対する要求を最少限満たしている。これら海兵隊は、韓国、タイをはじめとする太平洋のいかなる地点にも、緊張が高まるに応じ急速に展開できる。」と、こういう、これはまさにいまのニクソン・ドクトリンの新たなる体制に即応する、そして、いかにもベトナムを撤退したように見せながら、実は沖繩あるいは日本の基地にこれは保有されている、しかも、いつでも展開できる、そういう性格をはっきり持っているのです。この点をあなたたちもう少し明確に国民に明らかにする必要があるのですね。この点、なかったようでありますが、いまの証言で明確だと思います。これはどうですか。
○説明員(宍戸基男君) 先ほどちょっと資料がございませんでしたが、第一海兵派遣部隊の編成は昨年の十一月になっております。この部隊の主たる任務は、先生、いまお話しがございましたけれども、米軍の発表によりますと、太平洋地帯の偶発事件に即応する上陸隊であるというふうに考えておるようでございます。
○委員長(長谷川仁君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長谷川仁君) 速記を始めて。
○岩間正男君 次に伺いますが、このMEF——第一海兵出撃軍を構成している第三海兵師団と第一海兵航空団——これは沖繩と岩国にあるのですね——これは沖繩に来るまでは一体どこにいたのですか。
○説明員(宍戸基男君) 沖繩の前にはベトナムにおったように承知しております。
○岩間正男君 それなら、ベトナムに行く前には、どこから行ったのですか。
○説明員(宍戸基男君) 正確ではございませんが、多分、沖繩におったように思います、私の記憶では。
○岩間正男君 これも調べてほしいのですが、これは六五年ですね、ベトナム戦争が強化されたときに、師団ごと岩国からベトナムに転進したものです。これは明らかですね。これは時間の関係で詳細に質問ができませんが、明確です。結局は、岩国に出たり入ったりということですね。アメリカの戦略の必要によってもうしょっちゅう出たり入ったりやっているのだということが、これははっきりしていると思う。そして、最近の岩国は、この前も内閣委員会で私が防衛庁長官に質問しましたけれども、非常に強化されている。人員面においてもいままでの二倍——一万人近くの軍人・軍属を含めてのそういう体制になっているのですね。そういうことですよ。だから、ベトナムの撤兵と言っていても、この撤兵がどこに行っているかということを何よりも証明づけるのがこの問題。そして今度の演習が、まさにそういう形で、これはカンボジア侵入の以前におけるこういうものとつながっているのだということが明確である。結局、こういう点を明らかにいたしますと、岩国及び沖繩のこれらの部隊は、南に事があればベトナムに飛び、それから北に緊急事態があれば朝鮮に飛ぶ。こういうふうに、アジア全域に対する戦闘即応の態勢にある。しかも、昨年の日米の首脳会談での事前協議の「前向きに、速やかに」、こういう決定という立場と関連して考えるならば、事態はきわめて危険であり、われわれが指摘してきたとおり、具体的には「本土の沖繩化」ということが着々進められていることを証明するものになると思う。 こうした危険な基地の撤廃を要求したにもかかわらず、中曽根防衛庁長官は、六十三特別国会の最終日の私に対する答弁の中で、あなたもこれは認められたと思うんですね。日本の基地は撤去させるのだ、自主防衛の立場から当然そうしなければならないということをあなたは長官就任以来言われてきた。しかし結局、これはアメリカの中枢的な核戦略の中に欠くことのできない岩国とかあるいは横田とか三沢とか横須賀とか、こういうものについては全面的に返還させるのは困難であるということを現に答弁されている。また、これはあなたと愛知外務大臣の連絡会議だと思いますが、三月十六日の第二回外交・防衛の会議の際に、「横須賀、佐世保の海軍基地のほか、戦闘任務を持った三沢、横田、岩国の三基地は重要基地として自衛隊管理には問題がある」、こういうふうに述べたことも、これは報道されております。こういうことで、結局は米軍がこれを使用せざるを得ないのじゃないか。これが五月十九日の日米安保協議委員会ではどうなったのか、この経過について、これは長官からここで説明してほしいわけであります。愛知外務大臣でもどちらでもいい、どちらも協議委員会の構成員でありますから。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう基地の問題については処理の話し合いをしようという話し合いが行なわれた、で、いよいよ話し合いが始まったということであります。で、これからケース・バイ・ケース、基地ごとに相談したいということになったわけです。
○岩間正男君 だけれども、あなたが私に対する答弁をやり、また、いまの核戦略ではもう放すことのできない中枢基地については非常に困難だ、こういう立場からいいますと、米側のまた意向も非常に強硬であります。 それから、時間の関係から、これはいろいろな証言から証明することはできないわけでありますけれども、ことに最近問題になりました下院の証言によりますと、横田、三沢基地、これはもう拡充する、そうして、さらに核戦略体制を徹底的に強化する、こういうことが言われているわけですね。そうすると、こういう問題と関連しまして、今度の第一海兵出撃軍、こういうものの性格が出てきたわけで、これをあわせ考えますと、非常に私はこれは危険な問題になってくると思う。沖繩返還ということが問題になっているそういうやさきに、日本の本土の基地、沖繩を含めて日本全土の基地がこのような核戦略体制の中の重要な位置をとっている。そうすると、こういう点から考えまして、これは国民が納得するでしょうか。あなたたちがいままで宣伝してきたのは、そうじゃなかった。これはさっきの羽生委員の質問にもありましたが、沖繩の返還ということは整理統合だと、こういう基地の整理統合になるのだというふうに考えておった。こういう点から考えますというと、非常にこれは私はここにそごが出てきていると思う。 それからもう一つは、先ほどアジア会議の問題が出ました。そういう点ではジュネーブ協定を尊重するのだというようなことをこれは言っておった。しかも、外務大臣はそういうことを言いながら、実際は、このような侵略を強化するような演習に参加する日本の基地が使われている。こういう現実をそのまま了承するということじゃ話にならぬ。したがって、私は最後にこれははっきりさしていただきたいと思うのですが、こういうことであるならば、これに対して、この基地の使用ということが、ことにベトナムあるいはカンボジアの侵入に直接関係を持つようなこういう基地の使用については、当然、これは外務省としてははっきり断わるべきじゃないかというふうに思うのですが、この点に対する見解はいかがでしょうか。これは外務大臣にお聞きしたい。
○委員長(長谷川仁君) 岩間君、防衛庁長官、退席してよろしゅうございますか。
○岩間正男君 ようございます。
○国務大臣(愛知揆一君) カンボジアにつきましては、先ほども申しましたように、外国軍隊の撤退ということを、私どもとしては、日本政府だけではなくて、他の国国とともにそのことを決定し、かつ表明し、そうして、そのことが実現できるように努力を展開したい、こういうふうに努力をいたしておる、こういう状況でございますことをもって御答弁といたしたいと思います。
○岩間正男君 一問だけ最後に。 とにかくカンボジア、インドシナの戦争には介入しないのだというふうな共同声明を一方では出しておきながら、しかも、それを推進するというあなたが、自分の足もとからのこういうことは見のがしておったという形では、これは日本の外交というものの、何といいますか、矛盾した面、ごまかしの面というものは、これは国民は了承できないと思うのです。こういう点からも、明確にあなた自身が、「介入をしないのだ」ということを、これは外交上示す必要があると思うのですが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう考え方のもとに、そういう実があがるようにこの上とも努力をしていきたいというのが私の考え方であり、姿勢でございます。
○岩間正男君 やっていることと言っていることが違うわけですね。
○委員長(長谷川仁君) 岩間君、よろしゅうございますか。 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会