科学技術振興対策特別委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 38 件
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- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/11/10
会議録
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○矢追秀彦君 宇宙開発計画がこのたび全面改正をされましたので、今回の宇宙開発計画の内容を、まず説明をしていただきたいと思います。
○説明員(石川晃夫君) お答えいたします。 宇宙開発委員会におきましては、去る十月の二十一日に宇宙開発計画を策定したわけでございますが、これは、昨年度、四十四年度に宇宙開発計画をつくりましたときに、その計画の中に、わが国の宇宙開発はまだ初期の段階にあるので、今後毎年見直しを行ないながらこの計画を定めていくということが述べられております。したがいまして、去る十月の二十一日に、宇宙開発計画を四十五年度決定として決定したわけでございます。 で、今回策定されました計画の骨子を申し上げますと、 まず、現在東京大学で開発しております科学衛星計画につきましては、この計画を一年ないし三年おくらせるということになっております。したがいまして、昨年の計画におきましては、昭和四十八年度までに打ち上げる予定でございました第六号までの科学衛星につきましては、昭和五十一年度までに打ち上げるということになったのが第一点でございます。 次に、従来宇宙開発事業団において進めてまいりました固体燃料を中心といたしますQロケットの開発を中止いたしまして、そうして、将来の改良発展性の高い液体ロケットエンジンを第一段目に用いるというNロケットの開発に直ちに着手するということにいたしました。 第三点といたしましては、このロケットの計画の変更に伴いまして、電離層観測衛星、実験用静止通信衛星等の開発スケジュールを約三年おくらせることといたしました。この結果、従来Qロケットで打ち上げる予定でございました電離層観測衛星につきましては、新しい計画によりますNロケットによりまして昭和五十年度に打ち上げる。また、従来のNロケットで打ち上げる予定でございました実験用の静止通信衛星につきましては、新しい計画によるNロケットによりまして昭和五十二年度に、それぞれ打ち上げるということになったわけでございます。 次に、電離層観測衛星、実験用静止通信衛星以外の人工衛星でございますが、気象衛星、航行衛星、測地衛星等の実用衛星につきましては、できるだけ早く打ち上げる、早期に打ち上げることといたしますが、当面は、その利用のシステム並びに搭載機器について研究を進めるということになったわけでございます。 以上が今回の宇宙開発計画の骨子でございます。
○矢追秀彦君 最初に、東大でつくられている科学衛星がおくれるようになったおもな理由は何ですか。
○説明員(石川晃夫君) 科学衛星につきましては、従来、その打ち上げ用のロケットといたしまして、ラムダロケット、それに引き続きましてミューロケットということで計画を進めておりました。もちろん、ラムダロケットにつきましては、これはミューロケットを完成するための中間的なロケットということで開発していたわけでございます。このラムダロケットにつきましても従来から開発を進めておりましたが、十分衛星を軌道に乗せることができませんでしたが、去る二月の十一日に「おおすみ」を軌道に乗せることができたわけでございます。したがいまして、今回、ラムダロケットよりも大型でございますMロケットによりまして科学衛星の第一号を軌道に打ち上げるべく、この九月に実験を行なったわけでございますが、不幸にして、この衛星は軌道に乗らなかったわけでございます。したがいまして、今後の計画を立てるにあたりまして、このミューロケットの失敗をさらに評価いたしまして、そうして衛星計画を立てたわけでございますが、計画といたしましては、この第一号衛星を二つに分けまして、それをF−1衛星、F−2衛星というふうに分けたのでございますが、先般打ち上げましたのはF−1衛星でございます。次に、来年の一月にF−2の衛星を打ち上げる予定でございましたが、この九月失敗いたしましたので、その中間に、試験用の衛星を打ち上げるということになったわけでございます。このようなことで計画がおくれることになりましたので、当初は一年おくれですが、やはりミューロケットの開発を十分念を入れて行ないたいということで、三年おくれることになったわけでございます。
○矢追秀彦君 いま言われた、この前の失敗を反省して、新しい体制でF−2の科学衛星を打ち上げる、これはやってみないとわかりませんけれども、来年度上げた場合の成功率ですが、現在どの程度に見ておられますか。
○説明員(石川晃夫君) 先般のミューロケットの失敗につきましては、現在、宇宙開発委員会の中の技術部会の第一分科会におきまして、この当時の資料を全部検討いたしているわけでございます。その結果、現在までにわかっておりますのは、第三段目を次り離したあとのスピンの問題でございます。このスピンが、計算以上にスピンがかかりましたために失敗したということまでは、状態はわかっておりますが、その原因につきましては現在検討中でございます。しかし、大体のデータがとれておりますので、これにつきましては、来年の一月に上げます試験衛星におきましては、東京大学のほうでは十分確信を持っているというふうに聞いております。なお、詳細につきましては現在検討を進めている段階でございます。
○矢追秀彦君 まあ、このように、昨年十月一日に出されたものを、この一年で変更されたわけですが、その変更に伴う予算面での、むだといいますか、損失というのは、あるほうでは百億円くらいといわれておりますけれども、その辺はどうでしょう。
○説明員(石川晃夫君) 現在までに開発いたしました経費につきましては、昨年に決定いたしましたQロケット、さらにそのあとに続きますNロケットというもの——QN計画と称しておりますが、それについての経費を支出したわけでございます。しかし、まだ昨年の時点におきましては、Q計画並びにN計画につきましては、ほんの計画の最初の段階でございますので、それにつきましてはあまり——いままで支出いたしました経費の全部をそれに投入したというわけではございませんでして、基礎的な内容に相当使われているわけでございます。一部Qロケットに支出された経費もございますが、これにつきましては、現在、それが今度の新しい計画にどの程度使用し得るかということを検討中でございまして、いままで使いました経費が全部不要になるというようなことはないわけでございます。
○矢追秀彦君 その点の説明を、やはり国民に対して納得できるようにしてもらわないと、いわゆる相当の金額でありますので、まずいと思いますので、その点を開発委員会もしっかりと説明していただきたいと思うのです。 結局、こういうふうに非常に基本的な変更というのが今回の大きな問題だと思うわけですが、それがどうして一年を経た今日に基本路線まで変えなくちゃならないかということは、もちろん、毎年手直しをするということは言われておりましたけれども、昨年つくられた計画にやはりかなりの欠陥があったと、こう見なければならぬと思うのですが、その点はどう考えておりますか。
○説明員(石川晃夫君) 宇宙開発計画の変更の理由でございますが、これは、まず、従来開発を進めておりましたQロケットでございますが、これは、Nロケットの中間的なロケットというふうに考えまして開発を進めていたわけでございます。これを、昨年から本年にかけまして、いろいろそのシステムデザインについて検討を進めてまいりましたところが、いろいろ予期しなかった技術的問題というものが明確になってきたわけでございます。技術的に非常に困難な問題があるということが明らかになってまいりました。したがいまして、従来どおりの計画をそのまま進めてまいりますと開発が相当おくれてくるということ、それから、さらにこの計画を進めまして、それに、従来から計画しておりましたNロケットの開発を進めてまいりますと、さらにそのあとに相当開発期間がおくれるということ、また、その後Nロケットよりもさらに大型のロケットを開発いたしますと、それもさらにおくれる。このように、すべてロケット開発計画というものが、現在のQ計画というものを進めてまいりますと、いろいろ技術的問題でその困難な点に遭遇いたしまして、開発がおくれるということが判明したわけでございます。 それから、ことしになりましてから、静止気象衛星、あるいは航行衛星、国内通信衛星、このようないろいろな実用衛星の開発というものの要望が関係の利用機関から出てきたわけでございますが、これはいずれも、従来から予想されておりました重量に比べまして、数百キログラムというような大型の衛星になっております。したがいまして、わが国のロケット開発の方向といたしましても、この将来の大型衛星の打ち上げということを十分考慮に入れて、そして開発を進めなければいけないであろうというふうに考えられたわけでございます。 次に、宇宙開発に関する日米政府間の協定ができたわけでございます。これは昨年の七月の三十一日でございますが、その後、その技術導入の問題について具体的に交渉いたしました結果、ソー・デルタクラスまでの——アメリカで現在使っておりますソー・デルタというロケットがございますが、このソー・デルタクラスまでの技術なら相当技術導入の見通しが明るいということがはっきりしたわけでございます。 また、従来のロケットの開発計画によりますと、重量が数百キログラムの衛星を打ち上げるためのロケットの開発は、QNロケット、まあ古い従来からのNロケットでございますが、これを開発したあとで着手するということになっております。したがいまして、前に申しましたこの大型衛星を従来の計画で打ち上げるということになりますと、昭和六十年代になるというふうに考えられるわけでございます。で、今回改定された計画によりますと、この大型衛星の打ち上げは——当面の電離層衛星、あるいは実験用の静止通信衛星というものについては三年ほどおくれることになるわけでございますが、そのあとの大型衛星の打ち上げということになりますと、新しいそのNロケットの性能を向上させることによりまして、打ち上げ時期がかえって従来の計画に比べますと早められるというふうに考えております。 このような情勢の変化に伴いまして、このロケット開発計画を再検討しました結果、性能向上のための改良あるいは発展の可能性というものが比較的固体エンジンに比べて高い液体エンジンの開発にわが国としては一刻も早く着手すべきであろうというふうに考えられますし、また、当面、これを米国から技術導入することによりまして先進諸国との技術格差を縮めまして、将来のわが国の宇宙開発技術のポテンシャルを上げるためには最も効率的であるというふうな結論に達しましたので、今回の新しい計画の改定に踏み切ったわけございます。
○矢追秀彦君 結局、こういう基本路線の変更の原因の一つに、日本のロケット、衛星の打ち上げの基本的な考え方、この辺の検討がまだまだ足りなかったんじゃないか。要するに、はたして衛星を打ち上げるのがその一番の目的なのか、あるいは波及効果をねらうのか、また、その今回の変更の中には、各省からいろいろ言われた気象衛星とか、通信衛星とか、そういう需要ですね、需要に対して早く打ち上げなきゃならないとか、そういうふうなことになってきて、いま言われたようにきまったんじゃないかと思うのですけれども、そういう点で、計画を策定する場合の一番大事な、わが国が今後どういうふうにこの衛星の打ち上げの方向を持っていくのか、その辺にまだ大きな問題がある。特に、まあ委員会の所掌の中に抜けておりますが、利用という問題ですね。このことは条文には出てないわけですが、利用という問題をどうしていくのか、そういう点の検討がまだ足りないと私は考えております。その点について、今回の変更については相当検討をされておると思いますけれども、はたしてそれがどういうふうに出てきておるのか、また、今後どのように考えていかれるのか、その点、お聞かせ願いたい。
○説明員(石川晃夫君) 宇宙開発につきましては、まあ、この宇宙開発の効用と申しますか、そのようなものにつきましては、いろいろ従来から検討されているわけでございますが、ただいま御指摘のように、宇宙開発による衛星を利用するという効果、さらに、その宇宙開発に必要な技術によります波及効果、こういうようなものもあるわけでございます。で、わが国といたしまして考えなければならないことは、その二点についてはやはり相当重視しなければならないと思っております。 まず、利用についてでございますが、この利用につきましては、従来から、利用につきまして、関係各省庁から、それぞれの利用分野につきましての意見が出されまして、それを宇宙開発委員会において調整を行なっているわけでございますが、この利用そのものの問題につきましては、それぞれ各省庁の業務によりまして、利用形態というものについて委員会のほうに意見が出されているわけでございます。で、今回出されました利用につきましても、それぞれ気象衛星航行衛星、通信衛星等々ございまして、これにつきましては従来からの計画にも盛られているわけでございます。この利用の問題につきましては、現在宇宙開発委員会の所掌にはございませんが、当然、委員会において計画を決定するにあたりましては、この利用の問題も十分検討されて、このような計画がつくられているわけでございます。わが国としましても、この各種衛星というものがわが国に利益を与えるということは当然でございまして、さらに国際協力等も加味いたしまして、この利用形態をつくっていきたいというふうに考えております。ただいまあげられております各種衛星以外につきましても、たとえば資源衛星等も、今後の宇宙開発の衛星といたしまして相当利用的な面があるということで、この面についても検討を進めている次第でございます。 次に、波及効果でございますが、この波及効果につきましても、これは宇宙開発の非常に大きなメリットとして考えられているものでございまして、従来からの宇宙開発におきましても、ロケットの開発、衛星の開発におきますいろいろな技術的諸問題というものが直接われわれの生活の中にも入り込んできているわけでございます。今回計画を改定いたしましたその中に、Nロケットを、固体エンジンから液体エンジンに切りかえるということにつきましても、各国の状況を見ましても、液体エンジンに使う技術というものが非常に波及効果が大きいということは、従来からよく知られていたことではございますが、ただ、液体ロケットを使いますには非常にむずかしい技術が必要であるということで、わが国としては、なかなかこれに着手することができなかったわけでございます。今回、先ほど申しましたように、日米協定によりまして、液体ロケットの技術というものが相当大幅に入るということもわかりましたので、わが国といたしましても、この波及効果等をにらみあわせまして、そうしてこの液体エンジンを使うということに踏み切ったわけでございます。これによりまして、従来宇宙開発により期待されておりました波及効果も、さらに進むことになると思いますが、先ほど申しましたように、非常にむずかしい技術でございますので、わが国としても、なるべく早くこれをこなすということに今後努力を集中すべきだというふうに存じております。
○矢追秀彦君 いま言われたロケット燃料の問題ですけれども、これを固体から液体に変えられた。まあ、いまお話しのとおりですけれども、この固体ロケットの開発は今後どういうふうになっていくのか。というのは、かなり日本の固体ロケットに対しては東大あたりでは自信を持っていたわけです。しかも、アメリカのロケットメーカーと提携をしてこれから力を入れようとしたやさき変更された、こういうようなことがあるわけでして、それに対する影響というものも少しは考えられると思うのですが、この固体ロケットの今後の開発には、どれくらいの力を入れていかれるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(石川晃夫君) 固体ロケットの開発につきましては、従来から東京大学が中心になりまして開発を進めておりました。それから、当時の科学技術庁の宇宙開発推進本部におきましても、固体ロケットについての開発を進めていたわけでございます。したがいまして、わが国におきます固体ロケット技術というものも相当進んでまいりまして、ミューロケット等によります実用の段階にまで達しているわけでございますが、今回の宇宙開発計画によりまして、実用衛星を打ち上げるロケットは液体ロケットを使うということになりましたが、固体ロケットにつきましては従前どおり東京大学においてこの技術は開発を進めていくわけでございます。 なお、この液体ロケットにいたしましても、液体ロケットが大型化いたしてまいりますと、やはり補助ブースターといたしまして、この固体ロケットを使わなければならないと思っております。その場合には、現在進めておりますこの固体ロケットの技術というものが十分活用され得るということは明らかでございまして、決して現在の固体ロケットの技術というものが、このまま、これ以上伸びないということはないわけでございます。また、事業団といたしましても、将来補助ブースターとして使うということを考えておりますので、その意味におきまして、この固体ロケットの技術というものを研究開発の段階で進めていくということを考えているようでございます。
○矢追秀彦君 そのアメリカからの技術導入の問題ですけれども、先ほど少しおっしゃいましたけれども、もう少し、その技術導入はどの辺の部分までするのか、その辺を詳しく御説明願いたい。
○説明員(石川晃夫君) アメリカから導入いたします技術につきまして、まだ、詳細な点につきましては、現在事業団のほうでこれを検討している段階でございます。しかし、わが国といたしましても、このNロケットにつきましては——新しいタイプのNロケットにつきましては、一段目を液体燃料を使ったエンジンといたしまして、二段目は、従来からQの三段目に使っております小型の液体エンジン、三段目は固体エンジンというような計画で現在進めているわけでございます。 で、一段目の液体ロケットでございますが、これはいわゆるブースターでございまして、相当大型なものでございます。これにつきましては、先ほど申しましたように、非常にむずかしい技術がございますので、相当な部分アメリカから技術導入をしなければならないというふうに考えております。 第二段目の液体エンジンにつきましては、これは従来、LS−Cロケット等につきまして、基礎的なものにつきましては宇宙開発事業団におきまして開発を進めていたわけでございますが、しかし、現在でのこの液体ロケットの技術というのでは、まだまだ不十分でございますので、これは部分的に技術導入をいたしまして、そうして二段目の液体エンジンをつくり上げたいというふうに考えております。 三段目におきましては、これは固体エンジンでございまして、これにつきましても現在検討を進めているという段階でございますが、やはりこれにつきましてもアメリカから技術導入が必要ではなかろうかというふうに存じております。
○矢追秀彦君 そのアメリカからの技術導入をしなければならなくなった理由は、もちろん、技術も問題があると思いますけれども、アメリカの場合は、宇宙開発が予算の関係で大きな変更をするようになっておりますけれども、いままでアメリカが開発したものを日本へ持ってくる。結局悪く言えば、アメリカが開発をして、それをいろいろ利用しなければならぬ、外へ出さなければ、向こうのほうも予算の関係等があるので、結局、それを日本が何か請け負っているような見方も成り立つわけであります。その点については、別に、アメリカ側の圧力といいますか、さようなものは全然ないと考えていいものか、その辺をお伺いしておきます。
○説明員(石川晃夫君) わが国の宇宙開発につきましては、当面、自主技術と、それから外国からの技術との調和をはかりながら効率的に進めていくということが、この宇宙開発の基調になっておりますが、今回の計画改定においても、同じようなことを重要な要素と考えたわけでございます。 アメリカからの圧力がなかったかというような御質問でございましたが、これにつきましては、いま申しましたように、わが国としても自主開発ということをたてまえにしておりますので、そのような事実は一切ございません。ただ、現在アメリカからの技術導入をいたしまして、どの程度までわが国の技術のポテンシャルが上がった時点において完全に自主技術に踏み切るかということにつきましては、現在事業団のほうで検討中でございますが、当面は、アメリカからの技術というものを調和させながら開発を進めていくということを考えております。
○矢追秀彦君 それから人材養成の問題でありますけれども、いま日本の科学技術で一番大きな問題は、宇宙開発に限らず、すべての人材の育成の問題があると思いますが、この問題については第五章に人材養成というような項目がありますけれども、これが非常に、何といいますか、抽象的で終わっておるわけです。この点について具体的にどのように考えておられるのか、その点をお伺いしておきます。
○説明員(石川晃夫君) 今回の宇宙開発計画におきまして、この人材養成につきましてもあまり詳細に述べられておりませんが、確かに、先生御指摘のように、わが国におきます宇宙関係についての技術者というものは、あまり十分ではございません。しかしながら、現在、事業団におきましてもこの技術者の養成を行なっておりますし、また、この人材につきましても、現在東京大学といろいろ打ち合わせながら、この人材を急速に充実していきたいということで検討中でございますが、これにつきましても、委員会としては相当関心を持って今後具体的な計画を進めるべく検討中でございます。
○矢追秀彦君 それでは、宇宙のほうはこれくらいにしておきまして、次に、原電の査察について、ちょっとお伺いしたいと思います。 今回問題になっております敦賀発電所におけるIAEAの査察の実情について御説明を願います。
○説明員(梅澤邦臣君) 今般のIAEAの敦賀発電所の査察につきましては、これは日米、それからIAEA、三者の協定で行なわれているわけでございます。 ちょうど敦賀発電所は、本年の十月に、軽水炉の発電所としては初めての定期検査の時期を迎えました。したがいまして、約四十五日間この定期検査をするわけでございます。その検査が行なわれる場合に、IAEAでは、やはり燃料棒が移動するという状況があり得るという考え方で、炉のふたをあけますので、そういう関係から、査察に来るぞということがあったわけでございます。IAEAでは、移管協定に基づきまして、原子力発電所に対しては常時査察する権利を一応持っております。しかし、従来から、その施設に入りますときには、事前に予告がなされてきております。今般も、その初めに打ち合わせがございまして、最初IAEAからは、毎日一、二時間ごとに——原子炉の建屋の中に、作業いたします原子炉のリアクター・フロアがございます。そこに立ち入るという方式で言ってまいりました。これに対しまして、われわれは、IAEAに直接、それでは産業活動を阻害するおそれがあるので、それでは困るということを言ったわけでございます。そしてわれわれとしては、一番最初に炉のふたをあけるときと、それから炉のふたを締めるときと、それからその中間に一度と、そのくらいの査察でもって燃料の移動のことについては査察できるはずである、そういう点でやってくれということを主張したわけであります。これで相当行き来をいたしましたが、向こうは、自分たちの査察のやり方というものがあるということで、実際的には、それでは作業に影響があるので、原子炉の上床床面までは入らない、しかし——コントロールルームというのがございます、そこにテレビがついておりまして、作業の状況がそこに映ることになっております。そこで十時間に一度くらいずつ、ちょっとずつ見る、そういうことにしてくれ、その中には入らないと、それから一、二回途中でその中に入ることはあると、そういう形でやらせてくれというのが参りまして、だいぶ行き来しましたんですが、結局そういう形になったわけでございます。そして、実際的には、一日に五分間程度、多いときば四回、少ないときは一回ということで、そのテレビの前に入りました。それから材料の入れかえの場所がございますが、その前を見て帰るという形の査察が行なわれました。それから一度その炉のビルディングの中に入ったというのが現状でございます。
○矢追秀彦君 各国の原電に対する査察と今回の敦賀の査察と比較した場合、やはり各国とも、そういうふうなきびしい、あるいは抜き打ち、また連日行なわれる、そういうふうな状況が見られるのかどうか、その点、お伺いしておきます。
○説明員(梅澤邦臣君) 日本の原子炉の設備は早うございますので、今般の査察はIAEAとしては初めての経験でございます。そして、このような定期検査で、炉のふたをあけた場合で近く行なわれますと私たちが聞いておりますのは、スペインとインドで間もなく行なわれるはずでございますが、日本の今度やりましたのがIAEAとしては最初でございます。したがいまして、私たちは、今度の方法でやりましたことについては今回限りにしてくれと、したがって、これから先われわれのほうはどんどんこういうことがあるので、それについては事前の打ち合わせをもっと合理的に簡素化するたてまえで交渉さしてくれということで、今度のやり方については前例にしないという約束をとったわけでございます。
○矢追秀彦君 その約束は、どういうふうな形でとられて、何か文書か何かになっておるんですか。その点はいかがですか。
○説明員(梅澤邦臣君) これは、一応、向こうからの電報その他がございますが、実際的にこちらに、もう派遣して来ている人間がいるわけでございますが、その人間を相手にせずに、本部にロメチという、この担当の部長がおりますが、そこのところと運用面の打ち合わせで約束をとったわけでございます。したがいまして、これから、われわれのほうは、いままでの経験を生かしまして、どういう合理的なやり方をやるべきかという交渉をするつもりでございます。
○矢追秀彦君 それからいまのは前例にならないというので、今後ならないと私たちは思いたいのですが、また、そうしてはならないと思いますが、こういうふうなことが行なわれると、業務に対する影響、及びその以上の問題として、やはり技術情報の筒抜けという問題が出てまいりますが、これに対しての科学技術庁としての姿勢、その辺、お伺いしたい。 もう一つ、ついでに最後にお伺いしておきますけれども、査察を簡素化する技術ですね。これの開発がやはり必要ではないか、このように考えますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておるか、その辺をお伺いしたい。
○説明員(梅澤邦臣君) 現在査察が行なわれております約束は、IAEAの理事会で通りました保障措置文書というのがございます。その内容でいきますと、査察の回数等のマキシマムがきめられておるわけでございます。したがいまして、運用面においてそれを合理的に、もっと最小限度にすべきだということで常にわれわれはこれにあたっておりますが、その際には、先ほど申し上げました産業活動、それから商業機密等の理由を当然使っております。また、その約束の中にも、文書の中にも、一応、趣旨としては商業機密の漏洩防止等は当然考えるというふうになっておりますので、そういう関係で努力しております。それからまた、これを合理化します場合におきましても、IAEAに技術委員会というのがございます。そこの技術委員会の場で、われわれのほうは、こういうふうな合理化したほうがいいのではないかというふうに、そのつどやっておりますし、これからもやります。 なお、いま先生おっしゃいました合理化するための研究でございますが、ちょうど核防条約のいまの問題もございます。この関係から今年は約五千万円、去年は約三千万円でございましたが、民間あるいは大学等に、査察を合理的に受けるための試験研究費を出しまして、研究を進めているわけでございます。
○矢追秀彦君 なぜこういうきびしい査察になったのかどうか。この点について、日本が核兵器をつくるのではないか、そういうおそれをアメリカが抱いておる、そういうふうなことも言われておりますけれども、その点はどのように判断をされておりますか。
○説明員(梅澤邦臣君) 私たちが一番最初に想像いたしましたのは、IAEAとしても第一回目でございます。したがいまして、査察員そのものを、教育といいますか、訓練といいますか、そういう関係が含まれておるのではないかということで、そういうことはしては困ると言ったことがございます。そういう関係で、向こうも第一回目、それから私たちのほうもこれは第一回目、そういうところで、向こうはシビアに一回目だからやりたい、われわれのほうはもっと合理的に簡素化すべきであるという主張の間で、なかなか調和がとれなかったという形でございまして、IAEA自身も、私たちが向こうと交渉しておる範囲においては、相当こちらの言い分を、相談して、先ほどのようなところのテレビの前に来ることまでになったわけでございまして、そういう点においては、向こうも相当こちらに譲歩した形は見られるわけでございます。
○矢追秀彦君 いま、初めてと言われますけれども、初めてやられたこと、あるいは教育のためと、そういう点も十分わかりますけれども、これは長官にお伺いしたいのですけれども、日本にそれだけきびしく来るという、各国の、特にアメリカの態度の裏には、やはり核兵器をつくるのではないかというので、特に最近、中国をはじめとして、東南アジアの諸国も、日本の軍国主義化ということを非常におそれております。これだけの経済成長もしたし、しかも原子力発電所は各地につくられつつある、十分原爆をつくるだけの力も持ちつつある、こういうことを考えると、やはりそういうおそれというのも出てくると思います。したがって、こういうふうなことにあらわれたということも、一つの考え方としては私は十分あり得ると思います。したがって、こういうことが今後ないためには、やはり政府があくまでもそういう……。平和利用ということは言っておられますけれども、非核三原則も言われておるし、あるいは核防条約に対する、これから批准が行なわれるわけでありますけれども、調印もされておりますけれども、やはり、各国にそういう疑惑を抱かすようないまの政府の、特に軍事に対する姿勢というものが私は影響があるのじゃないか。したがって、政府としては、今後あくまでも平和目的にのみ限るということ、さらにそういう軍国主義の復活を抱かせるような、そういう姿勢はとらない、そういうようなことをはっきりするとともに、このIAEAに対してはもっと積極的な姿勢をもって私は臨んでいっていただきたい、このように思うのです。 その点について長官から答弁をお伺いしまして質問を終わりますけれども、その前に、ついでに、恐縮ですけれども、先ほどずっと宇宙開発計画の変更についての質問をしてまいりましたけれども、これも、結局、政府がもっとこの基本計画策定のときに、日本の衛星打ち上げに対する姿勢をはっきりしておけば、こういうことにはならなかったと私は思うのです。したがいまして、今後の日本の衛星の打ち上げに対する政府としてのはっきりした方針を私は早急に早く打ち出す必要がある、どういうふうなものを主目的にするのか、アメリカのやったような、ああいう月着陸ということだけを表にしていくのか、そうじゃなくて、波及効果を考えるのか、あるいは利用の面を重点にするのか、その辺をはっきりする必要があると思う。その点に対する長官の趣旨をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(西田信一君) このたびの敦賀発電所におきまするIAEAの査察が非常にきびしいものであったということに対しまして、われわれも十分な配意をもって、IAEA当局に対して査察の方法を改めてもらうように、かなり強い姿勢で要請をいたしまして、詳細につきましては局長が御答弁申し上げたと存じますが、かなりの緩和を見たわけでございます。ただ、これは、いま矢追先生がおっしゃいました、日本が何か軍国主義の方向に走る危険性を感じて、こういうきびしい査察をやったというふうには私どもは考えておらないのでございます。たまたま商業発電所の査察が、日本にとっても、IAEAにとっても、最初のものであったというようなことから、こういうきびしい査察になったものと考えますが、IAEAは、近く行なわれる他の諸国に対しましても大体同様な考え方を持っておったようでございます。私どもは、将来核防条約の批准の問題もございますので、あらゆる機会に主張を実現すべく努力をいたしておりまして、わが国の主張もかなり各国の認識を得るようになってきたというふうに考えております。なお今後一そう努力をいたしまして、そして少なくともこのような必要以上の査察が行なわれないように最善の努力を払っていきたいと考えておるわけでございます。 それから宇宙開発のことについて御注意をいただいたわけでございますが、何と申しましても、原子力開発もそうでございましたけれども、宇宙開発のほうは、なお一そう未知の世界と取り組むわけでございまして、計画が十分でなかったということも御指摘のとおりでございまするけれども、諸般の情勢等も十分見きわめまして、今回の改定に踏み切ったわけでございますが、衛星の利用の面と、このロケットの開発という面とは非常に密接不可分な関係がございまするので、これらにつきまして、私どものほうも、極力、政府部内におきましても十分な検討を行ないたいということから、先般閣議で宇宙開発に関しまする関係閣僚の懇談会を持とうということにもいたしまして、十分政府部内の連絡を密にいたしまして、そしてこれに対処していきたい、かように考えておるわけでございます。私、先般欧州に参りました際におきましても、欧州の宇宙開発の状態等もいろいろ見聞をしてまいりましたが、やはり日本と同じような悩みを持っておるようでございます。そこで、最近の状況は、どちらかと言えば、宇宙開発等につきましても国際協力の方向に進んでおるように思うのでございます。しかしながら、同時にまた、この自主技術開発ということも、これは重要でございますので、そこら辺を十分勘案しながら、これからの宇宙開発に臨んでまいりたい。いま先生の御注意の点、この点は十分われわれも心してまいりたい、かように考えており、閣内におきましてもそういう措置をとるということにいたしております。また、宇宙開発委員会等におきましても、十分これは対処するような姿勢で臨んでまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○矢追秀彦君 一つ落としましたので。 さっきの査察の問題ですけれども、核防条約に対する批准への悪影響について一部言われておりますけれども、その点についてはどうお考えになっておりますか。ちょっとそれを伺っておきます。
○説明員(梅澤邦臣君) 現在、核防条約の査察のあり方、保障措置のあり方というのは、いまちょうど細目のところに入って検討中でございます。それで、私たちは、この前に政府が発表しましたとおり、国内のシステムを十分配慮して、それを確認に来るのだという査察にしろということをたてまえにやっております。その関係は、いまのところ、われわれとしては順調に進んでおりますが、それを背景にいたしまして、それをつぶすためにいまの査察があるというふうな感じはございません。ただ、私たちの受け方は、日本のやり方がこれだけ十分ではないかということを、現在向こうから来ている査察員に明らかに見せたいということです。日本自身のわれわれの保障措置のあり方の徹底を見せたいというのが現状でございます。したがいまして、今般の査察は、IAEA自身として、将来の核防におきます場合の査察の前提としてシビアなことをやっているというふうには、いまの審議状況のところでいきますと、そういうふうに考えられないようでございます。
○矢追秀彦君 大臣にお伺いしますけれども、結局、今回の問題を保障措置委員会のほうで強く主張されていく方向はとられるおつもりですか。この点について……。
○国務大臣(西田信一君) あくまでも、われわれの主張が貫徹できるような方向で、保障措置委員会におきましても努力する考えでございます。
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十六分散会