沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第6号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/11/17
会議録
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○小林武君 長官にお尋ねいたしますが、沖縄の選挙が終わったわけでありますが、その結果から見て、佐藤・ニクソン共同声明にきめられた、返還後の沖縄が極東の防衛の軍事拠点になるという、そういうことについて県民が拒否をした、何よりも平和を求めるという意思表示であると見るべきであると思うのでありますが、この点については大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(山中貞則君) 私は、いまいろいろの解釈を下すことでなく、沖縄の県民が二十八年ぶりで行使されました、しかも、婦人参政権は初めての国政参加選挙の意義を高く評価するとともに、そのまますなおに私たちは受け取るべきであろうと考えております。それを、佐藤・ニクソン声明の線を否定するものであるとか、あるいは結果であるとかいうような判断に対して私たちがそれを反駁するということをここでやってみても益のないことではないかと思います。でありますので、沖縄の方々のあらわされました意思をすなおに受け取って、そして、次の臨時国会から登院される沖縄選出代表の衆参両院七名の方々の御意向を、私たちはこの際、復帰作業の過程においても、さらに復帰後の青写真の検討においても、県民の代表の方々の貴重な声として、与野党を問わず、真剣に耳を傾けていく姿勢をとる必要があるということだけは申し上げておきたいと思います。
○小林武君 何か「すなお」というと、すなおになれば、この選挙結果というものについてどういう判断をするかということを拒否することになるようでありますが、私はそうは思わないですね。われわれも政党であって、選挙というものは、どんな立場があっても、政党というものは、数が減らされればこれは国民の批判を受けているということをすなおに考えるのが、これは政治家の道だと私は思うのです。今度の選挙は、これはあなたにこんなことを申し上げる必要もないと思いますけれども、沖縄が七二年には返還される、その返還のしかたというのはどういうしかたであるか。これについては政府並びに与党の一つの考え方、これは日米共同声明に盛られた内容によって返ることが最上であるという考え方、これに対する日本社会党の場合においては、そうは考えない。少なくとも、極東のこれからの軍事的な拠点としての沖縄の性格はさらに別な意味を持っていくのではないかということに対して批判を持っている。そのことがまた沖縄の、本土から隔離されておって、そのため経済的にも文化的にも一つの格差をつけられてしまった、そういう一つの生活上の不満というようなものも解消する、それにはどっちの道がいいのか。平和がいいのか、いわゆる軍事基地としての性格を持った沖縄がいいのかということは、これは選挙の中に当然出てくることなんです。私は選挙の中で議論されたのを現地では聞いておりませんが、テレビだとか何かでは、沖縄でどういう点が争点になって選挙がやられておって、しかも、それを沖縄の人たちはどう受けとめながらやっておるか。ある人はそういう日米共同声明というようなものの争点を認めながらも、また一方には、生活ということを非常に重く考えた方々もいると思うのです。そういう選挙の経過を通して出てきた結果ですよ。佐藤さんは少なくとも選挙にあたって、自民党が過半数を確保するという意気込みで選挙戦に臨まれたと私は新聞その他で見ているわけです。私はね、長官、やっぱり、これからほんとうに沖縄の人たちのためにあなたが直接いろいろな面で——経済の面でもあるいは沖縄の人たちの心配するこれからの平和の問題についても、責任ある立場でおやりになるなら、そういう立場からいったら、いまのようなことではなくて、この批判というものにあなたは——あなたばかりじゃないのですよ——政府全体がやはり謙虚になるということ、すなおになるということは、逆に私は必要だと思うのです。その結果というようなことをかれこれ言わず、というのは、これはどこの政党でもそういう場合には逃げ口上にしかならないと思うのですが、そうはお思いになりませんか。
○国務大臣(山中貞則君) 私は、逃げ口上なんて思っておりませんし、逃げようとも思わなければ——むだな議論になると思うのですが、NHKの調査等で、やはり国政参加の意義はみんな高く評価している。パーセンテージも出ておりますし、また選挙の結果も、革新陣営を全部合わせても過半数の支持は得られなかった。自民党も過半数の支持は得られていない。保守系の無所属を入れればあるいは自民党のほうの支持がやや上回るというようなことも、反論しようと思えばできぬことはありませんが、そういうことを言ってみても、これは益なきことであって、選挙というものは限られた定員だけしか当選者が出ないのですから、一名立てて全員当選したという党もあろうし、三名立てて二名しか当選できなかったじゃないかと言われる党もあって、しかたのないことだと私は思います。しかしながら、その選挙を通じてあらわれた県民のいろいろの角度からの議論、基地問題に対する見解あるいは一番の不安は物価問題というのが非常に高い地位を占めて——調査の結果が——これはNHK調査でありますが——出ておるとか、いろいろ考えさせられる問題が一ぱいございます。今後の沖縄の地位については外務大臣の返還交渉、あるいは内政問題の中でも資産引き継ぎに関する大蔵、財務の関係の折衝、あるいは防衛庁の立場からする返還後の沖縄の基地のあり方等についての自衛隊継承等の問題等いろいろありますので、私一人だけで、「謙虚に受けとめろ」とは申しますが、お前たちのやっていることは全部間違いであると審判が下ったと思わないかと言われますと、参議院では革新統一候補が最高点でも、衆議院では自民党単独候補が最高点であったということもまた言えるわけですから、そういう牽強附会の辞を弄することは、この委員会では、ことに沖縄の委員会ですから、そういうことはあまり議論しないほうがいいと思って申し上げたわけですが、決して逃げておるつもりはございません。
○小林武君 まあ、ことばじりでけんかするつもりはないですけれども、「牽強附会」というのは、あなたどういうふうに理解されておりますか。あなたどういうことの場合に「牽強附会」ということばをお使いになりますか。しかし、いまあなたと「牽強附会」の解釈論をやってもしようがないですけれどもね。やっぱりもう少しあなたのほうも政権をあずかる政党としてのおおらかさが必要ですよ。われわれは敗北したら敗北したということを認める。どこの選挙でもそうじゃないですか。大体何の選挙でも、選挙が終わると敗北を認めるというのをやりますわな。イギリスの場合にも、政権を担当しておる政党が負けたら、敗北したということを言う。私は、敗北を認めろなんということをいまあなたに質問はしてない。しかし、正直言って、見方によってはこれは敗北ですよ。過半数を獲得して三百議席を誇る自民党にしたならば、沖縄返還については輝やかしい一つのりっぱな業績を持って選挙に臨んだということなんだから、これは当然過半数獲得ということはできなければならぬことだと思うんです。これは最高点の者があったとかないとかいうことは議論の余地はない。この際に言われることは、やはり少なくとも自民党と考えの異なるところの方々が一人でも数多く占めたという事実ですよ。それが一党でなくて、幾つの党であった、幾つかの党の合計であるということとは別でしょう。それはそれぞれの争点というのは幾つかの党がみんな一致してやっているわけです。「一致して」というのは同じ見解のもとに立ってやったわけですからね。私は、このことに、自民党の皆さんばかりでない、政府がある程度の反省なり見解なりを持っていないということは、やはりこれからの沖縄のほんとうの本土復帰、それに伴う県民の期待にこたえるということはできないように思うんですがね。「牽強附会」ということの理由は、ちょっと私のほうの「牽強附会」とあなたのほうの「牽強附会」と違えば別ですけれども、もう一ぺんどうですか、「牽強附会」をひとつ……。
○国務大臣(山中貞則君) 牽強附会の弁を弄しようと思わないということでございます。やはりNHK調査では、「本土の人を信用するか」という質問に対して、「信用しない」というのが五五%ございました。これはやはり私たちは与野党を越えて、沖縄に私たち本土が長いこと背負わしてきた重荷というものに対して、最も深刻な痛烈なる反省を余儀なくされているものだとして受け取ったわけであります。 さらに同じ調査の中で、「本土政府は沖縄のために一生懸命やっていると思うか」というのは、「まあまあやっていると思う」というようなものまで含めて四四%しかいない。五〇%に達しなかったということも非常な私としてはショックでございますし、これは率直に私認めます。一方また、「一生懸命やっていない」と認めるのは三八%あるということも反面にはございます。これはまあ調査する対象が無作為でございますから、ほかの社がどこかおやりになればまた違った結果も出たかと思いますが、いずれにしても、その傾向というものは、私たちは本土が信用されていない、あるいは政府の私たちのやることが五〇%の支持を得ていないということについての反省はいたしたいと存じます。
○小林武君 本土に対する一つの信頼感の欠除、信頼感が欠けているというような問題は、これは全体の受けとめなければならないことだと思うのです。それは沖縄の少なくともここ二十五年くらいの歴史の問題ではなくて、沖縄のもっと長い歴史の中から見ても、あるいは幕藩時代といえども、そこにさかのぼっても、それ以上にさかのぼっても、沖縄と本土との関係の中においては幾多のやはり問題があるでしょう。そういう長い一つの連続の中でとらえることもあるし、また、戦後の二十五年間というものの中において、またさらにそれが新たな意味づけをして出てきたということも言われると思う。これは私は一政党というような問題ではなくて、全体が考えなければならぬことだと思う。だから、それをたてにとるというようなことはどうかというのが一つです。 それからもう一つ、NHK、NHKと先ほどからおっしゃっていますが、この点については私はこの前の、前回の質問であったかと思いますけれども、ある幾つかの新聞の世論調査というようなものを例に引いて、沖縄の世論というようなものがどういうところに大体向かっているというようなことは申し上げて質問したはずです。私も知らぬことではございません。しかし、その中から、あなたにも申し上げましたけれども、こういう質問を私したと思うのです。「核は撤去されるだろうか」——これは核抜きですから——そういうものに対して、「されないだろう」という考え方が半分以上調査にあらわれた。半数以上を越える五〇・三%の数であるということも申し上げた。基地は強化されるかどうか。基地というものがだんだん縮小されていって本土並みというのは、沖縄にとっていままでの不安を解消される程度のものなのかどうかという、そういう意味の私は問いだと思いますが、これは四四・八%というものが「基地機能は強化される」というあれを持っているとすれば、これも半数に近いものが不安感を持っている。そういうことを考えますと、私はやはり沖縄の人たちが何に不安を感ずるかといえば、日米共同声明というようなこういう一つの路線の上に沖縄が返還されるということに不安を感じていたということ、これは事実なんでしょう。感じない人もあったでしょう。しかし、そのことが一つの争点として今度の選挙が行なわれたということは歴然たる事実であるということです。その歴然たる事実の上に立って選挙が行なわれたということから見れば、それは政府としてその結果に対して、この結果の上に立ってどうこうするというようなあれがなくては私はならないと思うのです。それがいわば政治をする者の私は反省と言うべきだと思うのです。しかし、もちろん、そのことによって野党が攻撃だけで終わっていいとは考えておりません。われわれは沖縄の人たちに対して、どうして一体いままでの不信感とか、将来に対する不安感とか、経済的にできた格差というようなものを解消するような手だてを講ずるかということは、われわれがその中からこそ一つの使命感なり義務感なんかが出るのじゃないかと思うのでありますが、そのことはどうしても私の質問とあなたの考えとは食い違うようですがね。
○国務大臣(山中貞則君) 私だけで答弁すべきことかどうかわかりませんが、政府としては、つくらず、持たず、持ち込まずという非核三原則を復帰のあとは沖縄にも当然適用するのであって、したがって、沖縄に核は復帰の時点において残らないし、持ち込まないし、持ち込ませないんだということを言っておるわけであります。それがうそだということであればしかたがないことでありますが、政府としては、決してうそで、そういうことを承知の上で言っておるわけではないので、政府の姿勢であり、それに対してはアメリカが、日本がそう言ってもそうはまいらぬぞということを言ってきたということは私は知りませんし、そういう事実はないと思うのです。 さらに基地の問題は、これはまた私一人の答弁するところでない範囲かと思いますが、中曽根君も渡米いたしました際は、基地は縮小し、なるべく沖縄における基地の密度、あるいはその地域の過密人口と併存している状態等から考えて、逐次具体的な個所をあげつつ返還をするようにという申し入れをいたしておりますし、また、その方向で検討もそう大きな食い違いなく進められているというふうに聞いておりますので、それを沖縄の方々は現実化されていないために信用できないと言われる以上、そういうことを主張される人に対して事実をもってお答えするしか私たちにはない。口で言っても、おまえたちの言うことは信用しないのだと言われれば、それ以上の説得力は事実をもって答えるしかないんだと私は思っております。
○小林武君 いまのような考え方でいいと私は思います。あなたは何とおっしゃっても、とにかく持ったという事実と、とにかく不安感の由来するものがあるということ、これは野党がそう思っているし、それは沖縄の人たちはもっとはだでもって感じていると思うのですよ。それは何といっても本土のものについては、頭の中でとか、いままでの経験を通してやることでしょうけれども、沖縄の場合ならば、もうほんとうにはだそのものをもって感ずる問題ですから、そこから出ているということを考えますと、これはもうそれに答えるという考え方が出てこなきゃいかぬと思うのですよ。こっちはそんなこと絶対ないと言うのにおまえのほうでかってに心配しているというような考え方はおかしいというようなことでは私はならないと思う。だから、政府は、核兵器とか、毒ガスあるいはB52とかいうような問題がいままでたくさんあるわけでありますから、これを完全に撤去するということで、まず事実をもって示すことができれば、それで沖縄の人たちは初めて安心することだと思います。ただ安心はできませんという意思表示だけは認めなければいけないということになると思います。答える道は実施だということになる。 それから、基地の問題についても同様だと思うのですが、私は基地という問題を平和の問題と同時にこの前から大体そういう趣旨で質問しているのでありますけれども、これは、基地という問題と沖縄のこれからの県民のみなさんの生活ということについて非常にやはり多くの問題点、問題意識を持っています。これは世論調査の中にあらわれた大きな問題は、先ほど言った問題と、それから今度は生活面の問題だと思います。私はあなたにそういうことも質問したと思うのですが、基地というものがどうなるのか、こういうことが無関係ではないということを考えるのですが、先ほど来あるいは中曽根防衛庁長官は何か縮小されるというようなことを言っているそうでありますが、それは、どういう縮小のしかたをするという具体的な案があっての話でしょうか。あったら説明願いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 私は直接交渉したわけではありませんが、例としてあげるならば、那覇市の過密街のまっただ中にある、緑の芝生に包まれた広大な米軍宿舎というようなもの等についてはこれは一例であります——その他にも言っているようでありますが、なるべく早く那覇市というものが都市計画その他で活用できるようにしてあげたいということに対して、向こう側もそれに対して、検討に応ずるというような話をしたということでありまして、詳しくは当人からお聞きくださるのが一番よろしいと思うのですが、私自身も、やはり沖縄の、ことに本島中南部における基地のあり方というものから考えまして、沖縄基地というものは、なるべく今後の経済計画の設計の上においても、また住民の生活心理、あるいはまた、基礎になる都市計画その他の設定の上においても、軍事基地というものが不必要に広大に沖縄の狭い土地において占領されていることを、なるべく日米の合意を得ながら、すみやかにあるべき姿に戻していくという努力を私たちは進めなければならないと考えておる次第であります。
○小林武君 直接聞いたほうがというお話でございますけれども、私も直接聞くにはそういう委員会に出ておりませんのですけれども、私は、まあ参議院におけるあるいは衆議院におけるこの沖縄及び北方問題に関する特別委員会の速記録を見ましても、中曽根国務大臣のお話の中に、基地は縮小されますというようなあれはあまりないですね。現在米軍が使っている施設、区域等を使用して——まあこれは自衛隊がその基地を求めようというようなことはないのだということを言っているのでありますが、これ以上広げることをしないように努力したいと思っております。——まあ、これは長く言えば、順を追うていろいろな例がありますけれども、この議論の進展を見るというと、特に具体的にとにかく減るということは考えられないと思うのです。 具体的に、それでは、いまの基地はどのくらいあって、しかも、その基地の中におけるところの労働者その他基地による収入というようなものがどのくらいあって、それらはもうかくかく基地が減るからこうなりますというような具体的の例の例示はないわけです。中曽根国務大臣の答弁によりますというと、現在より広げるというようなことは、アメリカと自衛隊の中で、この二つが広げるようなことはいたしませんと、こう言っているその裏づけになるようなことになるのじゃないかと思いますけれども、これはあなたに質問してもいいかと思うのですが、琉球政府の屋良主席が那覇市で開いた日米琉の第七回復帰準備委員会で軍用地処理について琉球政府の提案をしたということでありますが、この琉球政府の提案というのは、一体、軍事基地というものが具体的に縮小されるとか縮小されないとかいうようなことの一応のワクがちゃんときまっておって、そしてその上に出されたものですか。それとも、現状がこういう状態にあるという上に立って提案なすったものですか。その点、最初に御説明願いたいのです。
○国務大臣(山中貞則君) これはやはりいまの後段の、現状というものを、琉球政府側の希望はこのようなものであるから、なるべくすみやかに善処されたいという立場に立ってのものだと思います。さらに、私自身は外交折衝というものを直接軍事基地について持ち得ませんけれども、渡嘉敷島の、ミサイルの撤去あとの四十万坪の広大なる土地、建物等を「国立青年の家」に使わしてほしい、これはそういう軍事基地の返還交渉以前の問題として切り離してほしいということを、私自身の接触する機会においては、直接米側にも話をし、また来年度の予算要求においては、それを予定をして予算要求等もいたしておりますが、これはあと外交折衝でぜひとも実現さしてほしいというように、内政上も私必要なものはものを申し上げていくという立場を閣内においてとっておるわけでございます。
○小林武君 対策庁の長官にお伺いしたい。現在までの基地の広さというものは正確に言えばどのくらいあるのですか。
○説明員(山野幸吉君) 平方メートルで申し上げます。米軍用地面積の全体は、民有地、国県有地、干拓地、これを合わせまして三億六百四十八万平方メートル、坪に直しますと、九千二百七十万九千七百三十一坪、こういうふうになっております。
○小林武君 それは旧国有地というのはどのくらいあるのですか。
○説明員(山野幸吉君) 国県有地でこの表は出ておりますから。
○小林武君 国と県とまぜてあるのですね。
○説明員(山野幸吉君) 国県有地で言うと二千九百六十二万四千四百七十五坪。
○小林武君 平方メートルでいくとどういうことになりますか。
○説明員(山野幸吉君) 九千七百九十三万二千九百三十一平方メートル。
○小林武君 私の年になると坪数のほうがはっきりするが、九千二百七十万九千七百三十一坪というとかなり広大な数ですね。もう一ぺんあなたに質問しますけれども、このある場所というのは、私が聞いている限りにおいては、何といいますか、あまり利用価値のないような土地ということではなくて、これからの沖縄の産業というようなものにきわめて密接な関係のある場所というふうなものが多いと聞いているのですが、その点はいかがですか。
○説明員(山野幸吉君) 私は戦前の沖縄の形状もよく存じませんし、また、戦争で相当地形は変わっておるわけでございます。したがいまして、将来沖縄の開発、発展等を考える場合に、一体どういう地位を占める地区であるということを的確に申し上げかねますが、しかし、北部にある少なくとも演習地等は、これは山林地帯でございます。これは相当面積がありますけれども、しかし、中心は、御承知のように中部、南部が中心でありますから、したがって、非常に常識的なお答えで恐縮ですが、相当利用価値——的確にどういう意味かと言われると困りますが、沖縄にとって重要な中心的地位を占めておることは事実だろうと思います。
○小林武君 ちょっと心もとないですね。というのは、いま別に皮肉言ったりするつもりはないですよ。あなたは沖縄・北方対策庁の責任者、行政の責任者ということです。しかも、当面七二年には沖縄は返るということです。その際に私どものほうが一番やはり問題にしているのは、本土経済の格差という問題です。この対策ということを考えたら、その対策の中の一つとして、沖縄の総合開発をどうするかということは非常に重大なことではないかと思うのです。その場合、総合開発というようなものを、あまり遠い将来のことにまでわたらなくても、少なくとも沖縄の格差というものをきわめて短い時間に縮めようということであるならば、私はそういう調査というものは、「まだ行ってみたことはございませんけれども」とか、「戦前は知りません」とかいうような、あなたはそうかもしらぬ。しかし、準備委員会もあれば、各省のそれぞれの係官も横の連絡をとりながらやっておられるわけですから、相当精密な考え方が出てしかるべき時期じゃないか。その中における基地というものが、産業のこれからの総合開発的見地から見て、九千二百七十万坪という坪数を持っている。その土地の利用のいかんによるのだということは考えられないですかね。私は、その点については、こういうことを聞くと、大体沖縄の人たちは、一体われわれの生活はどうなるのかという問題が出てくると思うのです。それはどういうことですか。いまでもほんとうにおわかりにならないわけですか。
○説明員(山野幸吉君) 本土復帰後沖縄の基地がどうなるかという問題につきましては、これは日米外交の問題、返還をめぐる諸般の取りきめから出てくる問題でございまして、私どもが当面沖縄の経済振興計画等を検討する場合には、一応現在の時点を押えまして、その上に立って当面の計画をするしか、現在の時点では、ない。さきに琉球政府が長期経済計画をお立てになったわけでございますが、これも基地を撤去したあとを構想して具体的にその地域を利用する計画を定めたものではないように私は承知しておるわけでございます。
○小林武君 そこなんですよ、ぼくが知りたいのは。あなたがいまおっしゃったけれども、琉球政府といえども、なかなかそこまでは、本土を差しおいた形で、沖縄のいわゆる総合開発というようなものを考える場合には、これが最上の方策だということを打ち出せない。それはなぜかというと、基地という広大なものがらち外に置かれておる。そういう一つの条件を持っている。これは琉球政府ではどうにもならない。沖縄県になったところでこれはどうにもならない。そこが、これは長官は何と思うか知らぬけれども、私は、そこはもう事務的段階の問題ではなくて、これは政府のやらなきゃならぬことだと思うんですよ。私はこういう考えを持っているんですが、これは当たっておりませんか。いまのように、基地というものに一指も触れられない。一指なんと言うとまたことばじりをとらえられると困るけれども、何か「青年の家」とかなんとかをつくるくらいのことはあったとしても、基地というものをとにかく産業というたてまえから自由に利用するということを考えてやらないで、とにかく長い歴史的な観点から見ても、本土とのいわゆる経済格差というようなものがもうどうしようもないぐらいに開いている現状から見まして、いまの北方対策庁のあなたのおっしゃるようなことで、沖縄の人たちに心配するな、経済格差はなくする、とにかくとりあえず本土並みのところまでは皆さんの生活も近いうちに持っていきますと、そういうことを一体断言できるのかどうかです。私は何だか、本土のほうにもどうにもならぬような過疎県というものが相当あるわけですけれども、そういうような二の舞いをいまのままならば踏むことになるのではないかという心配があるんですけれども、私の心配は無用なものであるのかどうか。その点をやはりあなたのほうでひとつはっきりしてもらいたいと思うんですね。
○国務大臣(山中貞則君) その点は、私もかねがね申しておりますように、沖縄がもし戦後同じ内地の一県であったならば、はたして現在のような、戦前の五十数万の人口から九十八万までふえていたであろうか。その他の、たとえば一番近い九州の福岡を除く各県の例を見ましても、大体人口流出県である。そのために全国的には過疎地域対策緊急措置法までつくらなければならない状態が背景にあるときに、沖縄ははたしてそれだけの人口増加を示したであろうか。しかし、結果としてはそれだけの人口増加を示し、しかも、その増加を示したにもかかわらず、県民所得等については本島と先島、その他の離島とは格差があるにしても、それをならしてみても、本土の最低県よりも低く、それを上に持っていこうという県民の特殊な経済の中における努力、あるいはその生活の実情というものを私たちはこれを正確にとらえなければならない。そして、復帰したらせきを切ったようにこれが本土のほうへ沖縄を過疎県たらしめる原因としての人口流出が続くというような沖縄にしてはならないんだということで、私はかねがね申しておりますが、ただいまの長官が答弁いたしましたとおり、琉球政府も、現在の軍事基地を琉球政府自体のたとえ内輪の計画であっても取り入れた新しい長期計画というものにまでは持っていっていないようですし、もしかりにこれを見通しなくして軍事基地を取り入れたレイアウトとしての未来の沖縄図というものをかくといたしますと、これは逆に、いつ、では返ってくるのか、返ってくるのがわかりもしないところを、あらかじめ設計図の中に入れて架空のそういう繁栄の姿を描くことはナンセンスだというおしかりを受けることになるかと思います。このことは決して基地の態様をいまのままにしておくとか、縮小する努力をしないとかということじゃないのでありまして、これらの努力は続けるにしても、現時点においては、基地というものについては外交折衝によって縮小を求めていく以外にないわけでありますから、これらの問題は、それらの過程を踏まえながら、祖国政府の努力によって沖縄の人々のわずかな狭隘な島でありますから、本土よりもなお貴重な面積のウエートというものがあるべき姿で沖縄の人たちのために利用されるような努力を私たちが続けるということと相まって具体的な計画の中に取り入れていく必要のある事柄であると考えるわけであります。
○小林武君 苦心なさっているということと、それから意欲的に取り組んでおられるということについては、私は大臣に敬意を表しておきます、これは。決してやじ気分やなんかで言っているのじゃない。そのことはもうわかっている。それだけに、しかし、何ぼ誠意があっても、それは誠意というような形のないものでは沖縄の人たちを納得させることができないということですね。これはさっきの基地の問題にしろ何にしろそうです。特に沖縄の人たちが、何べんも先ほど来言いますけれども、これはこのごろ一時期にそうなったということではなくて、長い間のそういう一種の差別の立場に置かれているという感じは、今度だまされるというと、私は抜きがたいものになるのではないか。こうなりますから、私はその実態、実際にそのものの実現しないような計画というものは、どんなに誠意が込められておってもだめだ、効力が伴わないと、こう見ている。そういうあれからすれば、きわめて根拠が薄弱だと思う。たとえば、いまの大臣のお話を聞いていても誠意はわかる。先ほどの対策庁の長官の答弁を聞いても、正直言って、私は専門的知識はないのですけれども、あなたのおっしゃることも大体私並みの考えぐらいしか持ってないというようなことを感ずるわけです。これは事務的な段階にあるだけになおさら私はこれは問題だと思うのです。結局、そうならば現状の維持もできない。就業人口の約——どうなんですか——何%——二五%ぐらいは基地関係のいまのところは労働者ということになりますか。これは大体間違っていないですか。就業人口のうちの二五%ぐらい。そんなになりませんか。この数字はどうです、対策庁長官。直接、間接ですよ——でけっこうです。
○説明員(山野幸吉君) まあ、軍関係の直接労務者が四万から四万五千とこの間に押えまして、家族が四人というぐあいになにしますと、十六万から十八万程度でございます。したがいまして、ウエートは二五%よりももっと高いというぐらいに考えるわけでございます。
○小林武君 就業者数です。家族は就業者とは言わない。
○説明員(山野幸吉君) 直接の就業者数……。
○小林武君 だから間接的なもの、それは関連するものがあるでしょう。たくさんあるのですよ、それは一般のあれでも。
○説明員(山野幸吉君) 稼働の労働人口は四十一万ぐらいでございます。
○小林武君 そのうち十万ぐらいは直接間接の。
○説明員(山野幸吉君) 大体、間違いはなかろうと思います。
○小林武君 そのくらいでしょうね。そうすると四分の一ですね。二五%近い、あるいは二五%を上回わるかもしれぬ、そういう数である。これが一体将来どうなるのかということを考えないと重大な問題です。この間、大臣にぼくは質問したのだけれども、労働者の問題をちょっと質問しました。その後現地の労働者の皆さんと一時間ばかりお話をしました。二、三の方です。そうすると、もしとにかく沖縄に働き口がないという場合に本土に一体あなたたちが移れるのかどうかということ、労働力不足の本土に移動できるのかどうかということをちょっとぼくは聞いてみた。そうしたら、やはり、全然できないことはないだろうけれども、まあ、六〇%ないし七〇%近いものは沖縄にいて働かなきゃならぬというような条件のもとにあるということを聞きました。そればかりでなく、いわゆる一切の働き口がなくなるということになるというと、それは他にも波及いたしますから、そういうことになると重大だ。だから、労働者の首切りというようなものを、単に一人の労働者の生活という問題からだけではなくて、沖縄全体の産業とかその他経済というものにまで関連して考えました場合、私はなかなか容易なことではないと思うのですよ。そういう意味でどうも何だかぴんとくるようなものがない。それには一つには、沖縄の基地の問題、軍用地の問題を解決しないでそれをやるということは、木によって魚を求むるがごときことであると考えるのですがね。そうでないというなら、こうだというひとつ議論を展開してもらいたい。不安感を一掃するような、われわれもなるほどと大いに政府に協力して、それじゃそれを実現しなきゃならぬというような意欲を持たせるような説明をしてもらいたい。説明がないということなんですがね。
○国務大臣(山中貞則君) うっかりと聞いておりまして失礼いたしました。それはいまどこの基地を何年に撤去できる見通しがついたというようなことがありますれば、それに伴う問題等として具体的な御返答ができるのでしょうけれども、やはり現在ではそういうような、たとえば軍労務者の解雇等があるという場合には、直接そのような本土並みの措置をどうするかという問題に波及をして、関連をして、それらの人々の再就職、雇用の機会というものはどういうところがあるだろう。たとえば沖縄木島に限りますならば、本島の北部循環道路等も、肉体労働をすぐホワイトカラーの人にやれということを言っているつもりはありませんが、そういう方向に行ける人もおるだろうし、あるいは復帰記念の特別国体等が開かれるようなことになりますと、これに対するまた集中的な公共投資等が行なわれますし、直接間接の国の立場における雇用喚起というようなものも転換の場として求め得るものがあろうと思いますが、全体的にはそういう短期間で受け入れ先が変わるというものであってはならないので、沖縄の繁栄につながりつつ、そして沖縄に永久的に雇用増大、所得向上というようなものが産業形態として定着するということがやはり必要だと思います。琉球政府の現在の計画等では中城湾から金武(きん)湾の平安座(へあんざ)島を含むあたりのところの埋め立て等の計画を前提として、ここらのところに中核圏の外郭として企業誘致、しかも雇用に貢献する、あるいは付加価値の高い、沖縄現地に金の落ちるようなもの等を念頭に置いておられるようでありますが、さらに私どもとしては、やはり水等の関係から考えて北部の大浦湾一帯等もぜひ共同作業で新しい対象に考えていこうではありませんか、あるいは現在の安謝(あじゃ)港といわれております新那覇港の浦添村の地先については何らこれが新那覇港の後背地としての設計がなされておりませんので、ここらの具体的な計画ができまするならば、やはりフリーゾーン的なものをそこに設定をして、外資あるいは本土資本たるとを問わず、沖縄現地において雇用の増大、そして関連産業の需要喚起、そして付加価値並びにそこにおける雇用労務者等のいろいろの面の収入が沖縄に落ちていくというようなことを考えておりますし、さらに沖縄が将来日本列島の一番南の列島であることに着目したいわゆる観光というようなもの等も通産省のほうから調査費等を要求いたしておりますが、国除条約の関係で外国のオーケーが取れるかどうか。いずれにいたしましても、海洋博覧会等、半恒久的な施設等が残るための催し等を行ないつつ、それがやがて沖縄の人たちに対して、沖縄にいてそうしてなお外国人もしくは内地の人たちの観光収入というようなものが落ちていくというようなこと等について考えをいま進めておるところであります。さらに、現在の観光税制という特殊な五%物品税の対象品目等についてもなおこれを残すこととし、外人等は今後ふえるというようなことを、観光客等を念頭に置きながらドルの受け取り制度等についても残していきたい。もろもろの配慮はいたしておりますけれども、これらの問題を全部組み合わせてみて、そうして沖縄の基地というものが望ましい方向に縮小されていきつつも、なおその基地の縮小に伴って当然やむを得ない失業等の事態がそこにすなおに受け入れられるような入れものというようなものを私たちは準備する必要があるということを当然念頭に置きながら作業をいたしておるつもりでございます。
○小林武君 まあ、この問題はそろそろやめますけれども、私は、やはり何といっても、先ほど来の基地の縮小というようなこと、将来基地がどうなるかという問題、これはやっぱり沖縄の総合開発の上に欠くことのできない大きな条件だと思う。ところが、私がそういうことをしつこく聞きましたのはね、まあ直接それは中曽根国務大臣に聞けばいいことだけれども、委員会の速記録を通して中曽根さんのあれをとにかくずいぶん調べてみましたけれども、具体的にね、整理統合とかなんとかというようなことばは出ましたけれども、具体的に一体基地がどうなるかというようなことになると、それは先ほど来から言っておりますけれども、一つも縮小のあれがない。逆に、先ほどちょっと例にあげました、現在よりかも広くするようなことはないというような答弁をとにかくちょっとしている個所を見るとですね、これは当分そういうことはあり得ないのではないか。さらには、これはまあ日本の防衛計画に対する一つの方策、あるいはこのアメリカのとにかく戦略的、戦術的な変化というようなものはそれにつきまとっていると、こう考えることが一つです。それと、先ほどちょっと話しましたけれども、この屋良主席が提案した軍用地に対する提案というのは、これは新聞を見る限りにおいては、ただその契約上の問題なんですね。で、これについて対策庁の長官から少し具体的に話を聞きたいのですよ。どんな提案がなされておるか。何を問題としているのか。私の見た限りにおいては、新聞においては、地主との個別契約だとかなんとかというようなことが出ていることであってね、これを見るというと、屋良さんもとにかく基地というものはずっと存続されていくという一つの見通しに立って契約上の問題、またいままで契約した上におけるところの不利の問題をどう有利に持っていこうかというようなことに尽きているような気がするのですけれども、これをちょっと説明していただけませんか、この内容を。
○説明員(山野幸吉君) 準備委員会のほうへ屋良主席から提案されましたこの軍用地関係の諸問題につきましては、私どもとしては正式に通知を受けておりません。したがいまして、新聞等に出ました内容、あるいはまた、一部電話等で現地に照会した内容しかわかりません。 まあ、その考え方は、ただいま大臣から答弁されましたような考え方によって出されたものと思いますが、項目から申し上げますと、「軍用地の地位協定の適用について」、これがいまお話がありました、従来の軍用地の米軍との関係の契約関係を、本土へ返ってきた場合に、どういう形で引き継いでいくかということについてのいろいろ要望が出されておるようであります。 それから、二番目は、非細分土地の問題——これは軍用地の実測面積と台帳記載面積と差のある土地のことをさすわけでございます。その取り扱い。 それから、土地裁判所訴願事案の処理——これは軍用地関係の紛争問題で土地裁判所に提起されておるいろいろ裁判事案の係争中のものの引き継ぎ関係。 それから、よく当委員会でも御議論がございますような復元補償の問題。 それから、軍用地の取得に伴ういわゆる本土でやっております通損補償の問題。 それから六番目には、財産及び人身損害の賠償の問題。 この六項目について屋良主席から提案されておるように間接的に聞いておるわけでございます。
○小林武君 施政権が返還されるということになりますれば、沖縄というのは、返還された場合には、自動的に安保条約というのが適用されるわけでしょう。そうすると、基地は条約に基づく地位協定の適用を受ける。こういうことになれば、いままでのうちにそういう問題はあなたのほうでは部分的に知るということくらいしかタッチしないものですか。ぼくはたとえば沖縄・北方対策庁というようなところは、それは防衛庁との関連の非常に責任のある立場もわかりますけれども、そういうものに対する総合的な一つの目を配っていく役所ではないのですか。私はそういうふうに理解しておるのですがね。そうでなかったら対策庁なんというものを一体つくるあれがあるのかどうか。それはみんな防衛庁まかせとか外務省まかせということなんでしょうかね。
○説明員(山野幸吉君) ただいま私お答え申し上げましたのは、屋良主席が最近準備委員会に提案された内容のことについて御説明したわけでございまして、政府といたしましては、これは主管は当然施設庁が中心になる問題でございますが、私のほうの各省連絡会議の地位協定部会というのがございまして、そこを中心にしまして、施設庁、外務省、法務省、私のところ、この関係省庁でその取り扱い等については真剣に検討中でございます。もちろん、その結論あるいはその方向等については、外務省、施設庁に参加してもらっていますから、今後の地位協定適用の際に十分生かされていくと、かように考えております。
○小林武君 地代というのは、民有地が二億三千六十四万平方メートルあって、それが年間に九百五十七万二千五百九十六ドル支払われておると新聞に書いてありますけれども、これによると、一平方メートルはどのくらいのあれになるのですか。ならしてでしょうけれども、日本円で言ったらどのくらいですか。ドルで言えば〇・〇四一五ドルくらいですか。どのくらいのあれになりますか。そういう記録はありませんか。ぼくがここでちょっとやったので、このごろあまりこういうのをいじっていないから計算が違っているかもしれませんけれども。そうすると、ずいぶんこれについても、何といいますか、地主の人たちは不満らしいですわね。利用すれば幾らでもできるような土地が、これはもう強制的に取得されて、そしてその地代がちょっと一平方メートル幾らか計算してみても、これは幾らでもないですわね。一平方メートル何ぼくらいになるかね。非常に安いですね。十五、六円かな。もっともこれは計算違っておったら困るから速記されても困るけれども、十五、六円の——五十円足らずの金じゃないかと思うのですがね、坪にして。それはいろいろなところもあるでしょう。いろいろな山林とかなんとかという地目のところもあるでしょうけれども、これはそういうところばかりでないわけですから、ちょっとこれは無理なわけです。 それから、政府がどうしてこれを、屋良主席提案の個別契約——軍用地地主と個別契約をしたいというのですか、これは。それを一括契約にしなければならぬという理由はどこにあるのでしょうかね。それで政府が非常に問題視している。これはどういうことですか。
○説明員(山野幸吉君) 私のほうとしましては、政府としましては、まだその個別契約でいくとか包括契約でいくとかという方向をはっきり出したわけでございませんで、沖縄の軍用地のそういう実態を十分把握して、各省とその取り扱いについて検討中でございまして、どうするというような結論は出ておりません。
○小林武君 新聞のあれを見て言うわけですから、そう新聞がどこから、政府の意図としてこうだということを報道したのかよくわかりませんけれども、少なくとも理屈でいえば、政府の心配するようなところを考えると、なぜ政府がそういうことをやるのかなと思うのですが、土地提供を拒否するケースも予測されるということに政府は苦慮しているということなんですが、私はこれについてそういうことでやられるのはどうかと思うのです、アメリカとの間にも個別的にやっておったのですからね。それから、こんな地代というものがいままで一体そのままにしておかれたというところにも問題があると思います。そういう点、この軍用地の問題等から軍用地、基地の問題について私は不安を一つ持っているわけです。 それからもう一つここでお伺いしたいのは、これはどういうことですか、金武(きん)湾というのですか、これを、「米民政府が金武湾一部水域の管理権をガルフ社に与えた」、「同社の石油根拠地平安座島(金武湾)と対岸の与勝半島とを結ぶ「海中道路」と石油パイプ建設を同社が新たに計画中であることがこのほどわかり、これらの道路や石油パイプによる「公害」を恐れる地元民約五百人が工事中止を求めて九日、琉球政府に押しかけた」、その押しかけた問題と、管理権をそのガルフ社に与えたという、これは一体どういうことなんでしょう。これはもういまや事実としてあるのですがね。あるとすれば、すでに七二年に返還になるというこの時点で、しかも、この日米の間に返還に関するいろいろな打ち合わせの段階でやられたということはふに落ちないわけですね。この事実は大臣、どういうことになっているのですか。
○国務大臣(山中貞則君) これも外務省経由その他のルートによる情報でありますが、確かに八月一日付で、「六十年」というのは確認されておりませんが、新聞にはそういうふうに書いてありますけれども、ガルフという民間の石油企業というものに対して公的な港湾管理権を与えたということは知っております。しかし、その後の過程において、これは何も復帰後日本政府が行なう行政行為としての港湾法その他による日本国の法律に対しても既得権を主張するものではない、復帰までの問題であって、初めは琉球政府のほうにそういう琉球政府の港湾管理権というものをガルフ社としては要請したけれども、琉球政府としては、それを、ちょっとできかねるという断わり等があったということをガルフ社は言っているようです。そういうことが断わられたので、やむなく民政府のほうに頼んで、私企業であってもそこに港湾管理者としての責任を自分たちに持たせてほしいということを言ったのだというふうに主張しておるようであります。しかし、いずれにしても、この結果というものは好ましいことでないことは私ども同感でありますので、相談の上、対策庁より外務省に対し、そして外務省は米側に対し、このようなことの真相を問いただすとともに、好ましくないもの、できれば、そういうことは琉球政府の管理機構ということにしたいということが、できるならばそういうふうにしてもらいたいという申し入れをいたしておる事実もございます。なお、その海中道路の問題等は、初めからガルフ社が進出いたしますときも、地元の村との間で、そういう道路をつくってくれという陳情等を、ガルフ社がそれを条件でのんだというような経緯等もあるようでありまして、したがって、それを初めから条件にしたくらいですから、賛成する人たちと、漁業者を中心にしてそこを道路でふさがれた場合においては金武湾一帯の漁業の問題、海流の問題、場合によっては汚濁されるかもしれない石油等の流出の場合等における金武湾一帯の汚染の問題等に関連をしていろいろと心配、反対があることも聞いておりますが、そういうニュアンスの違ったものも背景としてあることを一応情報として知っておる次第でございます。
○小林武君 まだこれは、撤回を申し入れたのだけれども、撤回はされていないわけですか。
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりでございます。
○小林武君 これは撤回されていないとすると、独占的にこの金武湾を管理運営する権利があってどのような租税、関税、手数料なども払わなくてもいいということ。それから六十年間という保証は、それは違うということでしたが、沖縄が本土に復帰してからも日本政府を拘束することにならないのかどうかという不安があるのですがね。六十年間ということはともかくとして、そういう点はこれは事実ですか。関税その他を払わなくてもいいということ。 それから、本土側に復帰してからでもこれはどういうことになるのか。六十年は別としてです。ある期間は管理運営に対する保証が与えられておるのか。このことが一つですね。 このことは佐藤・ニクソン共同声明第九項の「(沖縄における米国企業の利益に関する問題も含む)」と書いているものとかかわり合いがあるものかどうか、全く無関係の問題なのかどうか。これはどういうことになりますか。この三つの点について。
○国務大臣(山中貞則君) 第一点のいかなる公租公課も受けないということは、これはおかしいことでありますから、それらの問題も抗議の中にはもちろん含めて、そのような権利設定もおかしいということを言っているわけです。 第二点の、「六十年」に関係あるなしにかかわらず、復帰後もそういう既得権というものは残るのかということでありますが、これは米側も確認しておりますとおり、他意のないものであって、ほかに設定者がなかったのでガルフ社に港湾管理者を命じただけであるということを言っておりまして、復帰の時点においてその権利は消滅する。したがって、日本国法に従うということも一点の疑いもありません。さらに、そういうことをまた認めるつもりもありません。 第三点になりますが、佐藤・ニクソン声明の中の外資の取り扱いの中に含まれるのかという御質問に対しては、佐藤・ニクソン会談の、昨年十一月以前の時点における外資については既得権について配慮さるべきことあるかもしれない、配慮すべき点もあるが、その後のものはかけ込みとして、復帰が具体化したあとの問題でありますから、それは既得権として認めないということをたびたび私も言っておりますし、政府の姿勢としても示しておりますから、その後において、ガルフ社が新たに取得した権利その他については、これは佐藤・ニクソン声明に関係なく、いわゆるかけ込みとも言えませんが、その後において起こったできごととして、既得権とは認めないという姿勢ははっきりいたしております。
○小林武君 これがはっきりするのはいつごろか。それから、これに当たっているのは、外務省が折衝に当たって結論を出すことになりますか。
○国務大臣(山中貞則君) 窓口は外務省でございますが、はっきりしておることは現在でもはっきりしておるわけで、米側も民政府が、それが復帰した時点において日本国法を措置される、適用されることについて反対とか、あるいは一定の期間延ばしてくれということは言っておりません。
○小林武君 それは回答しているわけですね。それについては。
○国務大臣(山中貞則君) 正式に文書による回答ではありませんが、そのようなことであるということを民政官が述べているということであります。
○小林武君 世の中の契約の問題ですがね、これはしかし、企業のガルフ社という社にとっても、そういう一つの管理権が与えられたということになりますと、企業のやはり重要な問題にでありますから、ただ、いまのやりとりのようなことで、簡単に、民政府の談話があったとか、民政府が意見を述べたとかいうようなことでそれは安心できるものなんですか。そういうことのあれはよく知りませんけれども、少なくともそういうことについての文書交換とかなんとかというものは、日本とアメリカとの間、それからガルフ社との間において取りかわさるべき性質のものではないですか。これは日本の法律ならそういうことになるような気がするのですがね。
○国務大臣(山中貞則君) これは琉球政府も話し合っているようでありますし、それがひどく難航しておるとも聞いておりません。それでガルフ社もあるいは民政府も、そう他意があってやったものではないということを言っておるようでありますから、港湾を使い始めたら管理者を指定しなければならないということで指定しただけなんだと言っておりますし、それを文書でどうこうというほどの権威のあるものとは私ども受け取っておりませんし、また、復帰いたしましたその瞬間において日本国法を適用するということは、私がここでこれほど明確に言ってもいけないならば——なおだめだというなら、あとは総理大臣に答弁をしてもらうよりほかにないと思いますが、総理は沖縄の問題については私にまかしておりますから、私がここで言っていることは政府の姿勢であるというようにお受け取り願ってけっこうだと思いますが、いけませんでしょうか。
○小林武君 いや、個人的にはあなたを信頼してけっこうだと思うのですがね。たとえば、われわれよく判を押して、あとでしまったということがだいぶありますですがね。それと同じようなことで、私、個人的な問題でもそうでしょう。国と国との関係の問題、しかもそれに今度はガルフ社という一つのものがかんでいるわけでしょう。その間にぼくは契約だとかなんとかというものはそんな簡単なものではないと思うんですよ。口約束ぐらいで一体契約というものが成立することは私はないと思うんですがね。そうだとすると、やっぱり長官が何かしかるべきものを見てだいじょうぶだという、こうなっているからだいじょうぶだということであれば私は信用するけれども、何かいまの話だけ聞くと、誠意を持って向こうでやると言ったよぐらいの話ならば、これは大体あんまり当てにならぬということだと思うんですね。私人間でもこれはあるんですからね。そういうことを言っているんですよ、私は。あなたを疑うとかなんとかということじゃありません。
○国務大臣(山中貞則君) これは硫球政府もいま話し合いをしておりまして、これが非常なやっかいなことだという感触でなくて、話し合いによって話がつくものだという感触でやっておるようです。しかし、日本政府はどうするんだということであるならば、あらためてガルフ社の例に認められるような、昨年十一月以降のいかなる権利も復帰の時点において消滅させますということをはっきり申し上げておきます。
○小林武君 最後に要望が一つございますが、先ほど来質問いたしましたことは、これはまあ政府もさることながら、およそ国会における共同の責任という場合もあります。沖縄の人たちにいかに安心してもらえるかという問題ですね。そういうこともございますから、そういう意味でひとつ十分に、あんまりかたくななことをおっしゃらないで、私は沖縄の選挙というものの結果を政治家というものが受けとめてどう対処するかということについては、ひとつ謙虚にやってもらいたいと、こう思います。 もう一つ要望申し上げることは、先ほど来、やっぱり海上博覧会ですか、その他沖縄に対して観光的な面でのことをお話しございましたが、何かいろいろなことを聞きますというと、沖縄の自然も、いわゆる公害によって美しい沖縄から変貌しつつある。しかし、これは沖縄が将来いわゆる経済的格差を克服するという過程の中では、これはもうよほどの注意をしなきゃならぬ。それをおそれて何もやらぬということになると、私はそれは沖縄の人たちの期待にこたえることもできないわけですから、いかにそれを克服する手だてを、日本の本土が置かれたような無計画な中で汚染されていく、公害のために荒廃するというようなことのないように、これは大臣も非常に日ごろ力を入れておられるところだから、特段それらに対する御配慮をいただきたい。二つの要望をつけまして質問を終わります。 〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
○渋谷邦彦君 初めに、いまも議論されましたガルフ社の問題でありますけれども、いま長官の答弁で一応整理された感があるわけです。ただ、やはり今日までのそういう経過を考えてみた場合に、アメリカの企業というものがまず沖縄に橋頭堡をつくって、そして日本の経済界に切り込むと——大ぎょうな見方になるかもしれませんけれども——そういうような不安というものは、もちろん返還のときにはいままでの約束というものは解消されるという前提に立てば当然心配はないと思うんですが、しかし、そういう足がかりというものを何らかの形でつくって、日本の企業あるいは地場産業というものを——何も石油会社に限らず——侵すという、そういう不安感というものがないかどうか。この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) いまのガルフ社の問題でも、そういうことがあってはなりませんので、たびたび申し上げておりますが、たとえば、もしガルフ社が復帰の時点において本土石油業法——これは生産の面その他、あるいは資本自由化の復帰時点における石油業法が置かれた外資率等に、本土資本等との系列化等で入ってこれなかった場合には、これはもうフリーゾーンとしてその工場地帯のみを操業は認めるけれども、製品は日本内地、沖縄を含む日本の領土内において販売行為をすることは認めないという封じ込めと申しますか、フリーゾーンとしては認めよう。これは沖縄の人たちが従事者として勤労所得その他やはり関連需要には相当大きく貢献をいたしますから、そういう意味で、営業停止とかなんとかいうことは考えておりませんで、むしろ、それらは封じ込めてその中でやってもらう。もしそれがいやならば、本土の、日本の国内法の条件に従ってやってもらわなければならぬと考えておるわけであります。 その他、最近はヨーグルト製造等について、どうもちっちゃな企業の、しかもヨーグルトみたいなものを、許可条件の中で「珍品」というものに該当するとかいうような、まさに珍なるこじつけをやって、何か民政府まで乗り出しているやの報道等もございますが、これらもどうも、幾ら経営者が米人の琉球における商工会議所の会頭という有力者であるからといって、そういうことがなされているということははなはだ好ましいことじゃありませんし、こういうのはやはり琉球政府のほうで、許可条件どおり、そういうものは地場産業と競合するので認めないという線で強硬に主張しておるようでありますから、場合によっては私たちが口をきいてもいいことでありますけれども、あまりこちらのほうでもおとなげない問題であるし、初めに許可条件どおりの操業を琉球政府もやらせるような決意を持っているようでありますから、そういうことをきちんと守っていけば、そう外資が昨年十一月以降において露骨に沖縄の地場産業等に脅威を与え、かってな行為をすることは許されない環境下に置かれていると私は信じていただいてよろしいと思うのでございます。
○渋谷邦彦君 最近本土のほうでも企業の乗っ取りという、まことにおだやかでない、そういうような傾向があらわれ始めているということを背景として考えてみた場合に、われわれの心配することがほんとうに当たらないのだろうかという一まつの疑惑がやはり残るのじゃないか。それで、その際に、いま御答弁にもございましたように、石油業法等の法律をもって規制をすると、理想どおり、いま長官がおっしゃったとおりにはたしていくものかどうなのか。これが一点。 それから、第二の管理権それ自体の問題をもう少しく掘り下げて、民政府と琉球政府、あるいはせっかく日米琉諮問委員会というものがあるわけですから、そういう席で十分根回しをされた上でそういう結論が出たものなのかどうなのか。何か突如として出てきて、その辺の権威ある機関というものが無視されてそうして許可されたんじゃないだろうか。そういうような思惑から考えてみると、やっぱり心配な面が何となく心のすみに残るような感じがしてならない。その辺、いかがでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) 確かにこの港湾管理権の問題、水面の占用使用の問題等は、明らかに事前の根回しも相談もない、抜き打ち的な民政府の米資に対する特権の付与であると私も思います。しかし、これは本土に復帰いたしましたならば、日本の国内法が午前零時きっかりに適用されるわけでありますから、本土政府のほうがはっきりした意思表示、その準備をしておれば何ら心配するに当たらないことだと私は達観いたしておりますし、これは通産省だって、そういうことでなぐり込みを受けた場合に、石油業法はあってなきがごとしという状態では、これはとても既存の民族資本も含めた国内の、究極的には消費者も含む市場の大混乱を招くわけですから、通産省は、自分たちのなわ張り意識から見てもこれは絶対反対でございますし、この点においては、本土政府の間で意思の違う省は一省もございませんので、これは確たる本土政府の方針であるというふうにお受け取り願ってだいじょうぶでございます。
○渋谷邦彦君 なお、今後米国の資本がどういう形で入ってくるか、これは注目すべきだろうと思いますが、いずれにしても、いまお話しのように、日本の企業が混乱を起こすようなことは絶対に避けていただきたい。これはもう長官がだれよりもよく知っておられる内容でありますし、とにかく二十五年、異常な事態に置かれた沖縄が、これからどういうような形でそういう経済的な復興が行なわれていくであろうか。その一環としてこうした外国企業の進出というものが考えられているというようなことがありますので、この点は十分にひとつ配慮していただきたいと同時に、もうすでに、大臣、「留任するまではちょっと発表の段階ではない」とおっしゃられた前回の委員会における今後の沖縄の復帰という問題にどう取り組もうかというビジョン、これはいつごろお出しいただけるでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) いま最終的に各省の——もちろん大蔵省を含む——了解を取りつけつつございまして、順調にまいりますれば、沖縄関係閣僚協議会を開きまして、閣議に持ち込むのが今月の二十日の予定でございます。
○渋谷邦彦君 次に、今回の選挙を通して、いろんなこまかい町村部あたりに参りまして、いまさらのように民生安定というものが復帰前後においてどれほど緊急欠くべからざる条件になっておるかということをはだで感じてきたわけでございますけれども、それで特に民主主義を標榜するアメリカが、依然として二十五年間いろんな施設からいわゆる沖縄の県民をボイコットしておる。一例をあげれば、海水浴場なんかはその中に入るであろう。いい場所はほとんど取られておる。こんな人権を無視したやり方なんというものは、もう復帰という既定の事実がはっきしているんですから、こういう問題、特に民生安定というものにつながる要素として、こういうものからまず手がけていかなければ、要するに、復帰してほんとうによかったという県民の方々の喜びが出てこないだろう、そういう問題の処理がなくしては。まず、基地それ自体はともかくとして、あるいはそういうような、われわれから見れば民間施設、そういうような感じを受けるものについても、その辺の見通しは明るいものなのか。依然として占領行政というものが続いて、基地の一環としてこれが残されていくものかどうなのか。この辺、いかがでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) いわゆる実質軍政という権力を行使する施政権というものの中において許された範囲というものは、本土に復帰いたしますと、本土政府の意向の一致しないものについては、本土政府の発言力というものが相当の影響をもたらすわけでありますから、たとえば、前にお話ししたことがあるかもしれませんが、アメリカの上院においても、沖縄における米軍がゴルフ場を四つも持っておることは不必要ではないかとの指摘等がアメリカの国会においてすら議論されたところでありますから、当然米側にも考えるところがありましょうし、あるいはまた、復帰いたしましたならば、その交渉等の過程においては、そのような不必要なもの、あるいは余剰なもの、あるいは一般の民衆がともに共有のものとして享受すべき施設等について不必要な権力が行使されておるもの等については、これは正常なる独立国家の主権の立場においての主張を繰り返してこれを貫徹していく決意を持っていなければならぬ。また、その姿勢を貫くつもりでございます。
○渋谷邦彦君 次に、やはり基地間額と同様に重きをなすものが民生安定の問題であることはしばしば言われたとおりでありますけれども、所得の格差、それから物価の違い、それからこれは税金ですね、税金の関係というものに非常にやはり沖縄県民の方々が強い関心を示している。まあ、しばしばそうした摩擦を起こさないという視点に立って、今後ともに段階的に民生安定につながる問題については進めていく。ただ、その段階的に、いつ、どういうところにめどを置いて一つ一つの解決をしていくか。特に物価については私も驚いたんですけれども、東京を基準として見た場合に、米と豚あるいは牛を除いたほかは軒並みた高い。中でも医療費については約二・七倍、所得が低いところへ持ってきて医者にかかれない。病気をしても医者にかかれない。健康保険組合に入っておる者も非常にわずかでありますし、ほとんどの人はかかっただけのものは支払わなければならない。全くもう深刻なそういう問題をかかえておる。で、物価についても私は言えると思うんですね。たとえばいま米の問題を出しましたけれども、いままで腐るほど日本にはあるわけです。古米、古古米あるいは古古古米まで出てくるんじゃないか、本年も豊作だといわれておりますので。そういう異常な事態には対応するために、やはり現在日本において仕組まれておる食管制度というもの、これをどんな形で現地に適用するものかどうなのか。そこらあたりがやはり直ちに生活につながる問題として、一つ一つこまかい問題を全部聞くわけにとてもまいりませんので、直接生活につながるそういう日常必需品についてはどういった考えを持っておるのか。いまその点を一番やはり現地の人たちは望んである。早く青写真を出してもらいたい。これが一つございます。それから一つずつ聞いてまいります。
○国務大臣(山中貞則君) これは私もたびたび現地でも委員会でも申しておるのですが、まだ閣議決定等しておりませんので、やはりそういうテレビ等の街頭録音等を通じましても、あるいは世論調査等を通じましても、物価に対する不安というものは非常に強いわけですね。これは私たちの説得力が具体的に足りなかったという反省をしておりますが、しかし、一番の主食である米についての現在の消費者物価としての購入価格は現在のまま据え置くということはずいぶん前から申しておるわけでありますけれども、これもやはり閣議決定において最終的にははっきりすることでございますので、その点は御安心を願えると思いますが、もちろん、食管制度上は特例でございますので、そのような特例を沖縄に適用する法律は立法措置の一連の中の一つになるかと思います。さらにその他の付随する生鮮食料品、生活用品等については、現在はみそ、しょうゆ、魚等においても物品税がかかっておることは渋谷委員御承知のとおりでございますから、これはもう食べものに税金をかけることは日本としてはやっていない制度でございますので、返ったら直ちにそういうものは物品税がなくなるわけでございますから、その分だけ低くなるはずでございます。しかし反面においては、みそ、しょうゆ等については、島内需要の九〇%ぐらいまでの自給率は現地の既存資本が引き受けておりますが、残りの一〇%が不足しておるために、内地のほうから巨大資本がなぐり込みをかけるおそれがある。現にそのきざしがあるということでたいへん心配しておられますので、先般の閣議で、本土のほうもみそ、しょうゆ製造業については近代化促進法の指定業種にいたしまして、これを受けて今年度予算から直ちにこれをどのように実行するかについて財投原資等のやりくり等が要りますので、ただいま対策庁に命じて大蔵省と折衝するように言ってありますが、沖縄において復帰までに残りの一〇%のシェアを完全に沖縄のみそ、しょうゆ業界が自分たちのシェアにしていただく、すなわち、復帰の時点において一〇〇%そういうものの自給率を持っておる沖縄県であれば、これは幸か不幸かたいへん遠く離れた離島でございますから、本土資本が自給率一〇〇%のそういう食べものを撹乱するために乗り込むのには相当なダンピングでもしない限りは乗り込めない。現在のみそ、しょうゆ業界の実情から見て、現地で一〇%足りないからこそ問題があるので、一〇〇%の自給率を沖縄の既存資本において達成することが可能であれば、私はこの問題は解消すると確信しております。いまその方向で進めておるわけでございます。 一方、魚については、内地の船籍の漁船が水揚げする場合を考えて、島内の漁業者の方々が守られるように物品税というものがかけられておるわけでありますけれども、これもまた、いままで申し上げましたように、既存の特別会計の漁船建造資金の活用あるいは援助米の三万トン二十億円の積み立てを活用することにより、漁船の近代化、大型化、こういうものを急速に進めてまいりますから、沖縄周辺が全部漁場であって、漁場の中に島があるといういい環境から考えますと、操業をするやり方いかん、あるいは漁船の近代化、高度化、大型化することだけでもって、直ちに需給はもちろんのこと、これはむしろ本土の巨大消費地である東京、大阪等を中心とする魚の消費地帯に有利な条件で高級生鮮魚介類というものが売り込める体制をむしろつくってあげるべきだ、そういうことも可能であると考えまして、ことしの二十億円の融資から二十年据え置きでございますから、たいへん有利でございますので、活用するように琉球政府と相談をいたしまして、その道をあけておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 特にもう一つ確かめておきたいことは、生鮮食料品の中でも野菜、これの占める倍率というものは、もう東京の約三倍近いもので、いま話がはりましたように、そのほとんどが鹿児島とかあるいは熊本あたりから輸入されている。そういうことでコストが非常に高くなっているということは、これはいなめない実情だと私思いますけれども、ところが、現地の野菜生産者、それから消費者というものが、やはりどっちも板ばさみになっておる。所得が安いわけでありますから、たまにはと思ってもなかなか手が出ない。したがって、今後すみやかにこうしたものについてはいろんな問題点が残されているだろうとは思いますけれども、特別の立法をやりまして、野菜については野菜価格安定法というようなものを政府自体が考えて、沖縄県民の多少でも生活向上の上に役立たせる目標はないのかどうなのか。これがいま一番大きな問題だと私は思うのです。この点はどうでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) これは内地においても最近の物価高の大きな重圧は、主として野菜の季節変動等が大きな要素を占めておることでもよくおわかりのとおりであって、野菜というのは日常生活必需品の米に次ぐものでありましょう。そこで、沖縄においては、本島の北部の農作地帯あるいは宮古島等について野菜を計画的につくってもらうよう、あるいは現在模範農場等においても検討もいたしておりますが、私現地に行きましたおりに、宮古島が水のない島であったのが一応飲み水は確保できる島になっておるという事実を、地下水その他の調査からつぶさにその後検討させまして、宮古島のキビ作の恐怖は、台風よりもむしろ根から根こそぎ枯らしていく干ばつにあるということで、キビ作の反当たり収量にしても、歩どまりの増加にしても、水を畑に引くことができればこれは一番大きな所得の増加につながるということで、いまその計画を立てまして、すでに調査も終わり、来年度予算には具体的な個所の要求もモデル地区としていたしておるところでありますが、これらにかみ合わせまして、その裏作として野菜生産地帯ということを宮古島に設計することは決して不可能ではない。そういたしますと、野菜にはやはり暴騰暴落が伴いますから、内地においても作物を指定して価格の暴落に対処するための保護措置がございますので、沖縄においても、たとえば宮古島がいま全琉の野菜の主たる供給の島になり得るということになりました場合には、それらの地域に栽培される野菜の品目等が指定される措置はとり得る態勢にあるということで、そういうようなことも念頭に置きながら、沖縄におけるキビ、パイン、畜産というものの農業の柱のさらにいま一つ島内需要が自給されるべきであるという観点の中で、野菜生産地の育成ということから、いま基礎条件を調査しているところでございます。
○渋谷邦彦君 基礎条件、もっともだと思うのですけれども、しかし、もう二十五年間も痛いほど味わってきた沖縄県民の率直な生活不安というのは、これは全く否定できない厳粛な事実ではないかと思う。ならば、その基礎をどこに置くかということを検討することも必要である反面、やはり政治は、一刻も早くそういう民生の安定につながる解決のしかたというものを示してあげることが大事ではないだろうか。事実、サトウキビなんかについては、はっきり申し上げて、食えないのです。トン当たり十七ドル前後で、一軒の農家は平均すると五、六十トンしか得られない。ほとんど人件費だとか、そういうものに取られてしまって、手元に残るのは五ドル前後。五ドルあればいいほうだと言う人もおりました。かりに六十トンとして五ドルかけ合わせて三百ドル、これでは、だれが見たって一年間生活はできない。 〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕 そこで、やむなく一部の人は本土に就職する。しかし、そのほとんどは日雇い稼ぎに出かける。それでもなおかつ食えない。特に南部地域というのは老人と子供が非常に多いのでございます。それだけに世帯構成というのは日本で想像できないような状況でございますので、もう筆舌に尽くしがたいそういう深刻な問題をいまなおかかえている。今日までいろいろ発表があったそうでありますが、近い将来現在の十七ドルを二十四ドルにしようと、それでも食えないと私は思う。そういう差し迫った問題をやはり復帰前に建て直しをはかることが緊要でありますし、今度は政府が琉球政府に対して予算の執行あるいはその他運営についてのアドバイスができる、そういうような事態になったわけでございますので、こうしたものもからめて、今後琉球政府がそういうキビ問題——やはり何といっても基幹産業を安定させませんことには、いろいろな物価にはね返っていくということが言えるわけであります。 時間がありませんから、もう一つ言っておきますけれども、それから畜産業についても同様なことが言えるのですね。消費量が、あすこは非常に特殊な地域で、なかんずく豚を飼養する家庭が非常に多い。それほど需要量が多いにかかわらず、その生産がなかなか伴わない。逆に生産コストは安くなっている。そういう、まことにこれまでの経済理念から逸脱したようなことが平然と行なわれている。そこで、とにかく畜産業者も食えない状態である。しかも、県内のそういう畜産業者をいろいろな形で立ち行くように配慮がなされていればいいのですけれども、逆にオーストラリアあたりから十何万頭という豚を輸入して、結局生産者自体を苦しめているという、こういうような問題も事実としてあるわけでありますし、ですから、このような問題は何回か議論されてきた問題でありますけれども、しかし、国際経済というものはそのつど変化もいたしましょうし、そしてまた、民生につながるいろいろな要素というものもそれによっていろいろな変化を遂げていく。したがって、現在の新しい時点に立ってそうした問題に一体どう取り組んでいくのか。むしろいま切実な問題として、くどいようでありますけれども、そうした点を明確にお示しいただけるならばどれほど安心できるであろうか。こういうふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(山中貞則君) キビの問題は、現在のままですと、復帰と同時に内地と同じ扱いを受けますから、糖価安定法による指定地域の指定を沖縄が受ける。沖縄産糖買い入れに関する法律は不要になりますから、したがって、糖価安定法による事業団買い入れの対象になるということで、現在よりも悪くなる条件はございません。しかしながら、現在の反当収量あるいは歩どまり——ブリックスは南に行くほど高うございますから、十八度以上でございますけれども、反当収量が七トンを切ったり、あるいは歩どまりが十二度以下であったりということでは、私はちょっと、どういうわけでそういうことになっているのか、あまりにも植え付けをしない、新植をしないで、永年株出しをやりまして、四年以上、五年以上というような株出しでほったらかし栽培をやっているというのも一つの顕著な大きな条件でございますが、やはりある意味では努力しませんと、キビもほったらかしておきますと、反当収量は毎年減るわけでありますから、それらの問題や、品種改良、病害虫防除とか、そういう原原種の農場を沖縄につくって、そして沖縄におけるキビの栽培を地についたものとして、熱帯植物でありますから、南に行くほど有利なはずですが、いまでは沖縄では皮肉なことに本島北部が一番よくて、それから中・南部、そして石垣、宮古というふうに、南に行くほどどうも条件が悪くなっております。さらにまた、群小離島というものにおいては、精製糖、分みつ糖すらできないで、含みつ糖のままで、必要な数量の範囲内でありますから、値はたいへん現在はよろしいんですけれども、これがほうっておきますと、含みつ糖の一定の需要をこえた生産が行なわれれば直ちに暴落につながることは、もう供給の範囲がきまっているわけですから、ここらのところに、やはり沖縄が返ってまいりますについては、現在の糖価安定法というものの仕組みというものが、これはもういかなる条件においても統一価格、一本価格でもって買い入れることになっておりますので、これらのところは農林省とこれから相談をいたしながら、はたして現在の糖価安定法そのものだけで足りるかどうか、やはりきめこまかな配慮をしなければならないのではないかという点等について、いま打ち合わせ中でございます。なお、現地側では、沖縄の県内、島内等の直消分——直接消費する部分——についても、全量買え、奄美大島並みにしろと言うのはそこにあるわけでありますけれども、一方消費に対して輸入をしておられるわけです。それで輸入をして、そして生産したものは全部買えと言われてもなかなか困りますので、そこらのところはやはり内地並みに、輸入もしないかわりに現地で生産されたものの中から現地で消費する分はもちろん事業団が買い入れの対象に全量するかわりに、それを使って島内需要をまかなってもらおうということをどうしても琉球政府のほうで決意してもらいませんと、輸入はして、そして全量買えと言われても、なかなかむずかしい問題が一方にはあるわけでございます。 さらに畜産の問題で、豚の問題を言われたのでありますが、豚は、現在は沖縄における畜産事業団はございませんので、沖縄政府が輸出奨励金みたいなものをつけながら需要の調整をはかっておるようでございますが、現在は生産過剰でダブついておるという状態にあるようでございます。一方において牛のほうは、二万四千頭しか底辺がございませんので、これをキビ作、パイン作と、いわゆる梢頭部やバガスを利用したり、あるいはパインのしぼりかす等を利用して、畜産において最も有利な条件を備えているわけですが、ただ消費地に遠いという条件がありますので、どうしても産地処理工場をつくってあげなければいけない。そして海上コールド・チェーンの輸送をしなければいけない。そのためには、工場というものは相当な底辺の頭数がありませんと、操業が一年のうち半分は休むのではとても現地処理工場は成立できませんので、やはりもう少し沖縄のほうに肉用牛というものを普及するというようなことで、頭数増加等について来年度予算あたりでもいろいろとくふうをこらしているわけでありますが、まず底辺をしっかりと定めて、島内需要の豚を中心とする肉資源確保と同時に、その価格の安定、これは返ってまいりますと、畜産事業団が頭数のいかんにかかわらず無限にこれを買いささえるわけでありますから、これは豚生産農家にとっては本土に復帰すると非常に安心できる仕組みの中に入ってくるわけでございます。他方、肉用牛については、先ほど申しましたそれらの施設をして、現地で畜産農家が肉で勝負できるという産地処理工場をつくるための前提としての飼育頭数の厚みというものを、底辺を確保しなければならぬということでいま考えておるところでございます。
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられた中で気になることがあるんですが、ほったらかし栽培——これはほったらかさなければならないという事情があると思うのですね。だれも生産がきちんと上がって十分に生計がまかなえるということであれば別に好きこのんでほったらかしをしない。むしろ耕地を整理するなり、そして、いままでよりも反別収入というものがもっと増加するというようなことが考えられるんですけれども、実際それはできないわけです、金がないから。したがって、一つの考え方といたしまして、南部なら南部のある地域を指定し、そこに協同組合みたいな組織体をつくって、そこに琉球政府のほうから補助金なりあるいは復興資金というような形で貸与して、そうしてサトウキビ栽培というものが合理的に営まれていくというふうなことは考えられないのかどうかということが一つと、それから、確かに日本では砂糖は決してあり余っているわけじゃないわけです。高い関税と砂糖消費税をふっかけられて、そのしわ寄せは国民が全部かぶっているわけです。私は、そういう一部の企業を擁護するために現在のような糖価安定法をそのまま適用するということははたして効果的であるかどうかという問題があるわけです。 もう一つは、先ほど倉石農林大臣が向こうに行かれましてたいへん失礼な暴言を吐かれているわけですよ。したがって、はたして本土政府がわれわれの期待した方向に持っていってくれるのだろうかという非常に根深い、一面においては不信感というものが漂っている。やはりそういう点も今後払拭しながら、復帰してほんとうによかったという印象だけではない、実際生活においてそういう具体的な効果があがったというふうにするためには、少なくとも、いま申し上げたようなことを直ちにやっていただかなければならないのではないだろうか、こんな気がしてなりませんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) これはやり方はいろいろあると思いますが、圃場整備あるいは大型機械の貸与制度とか、いろいろ考えられると思います。そういうことは考えておりますが、しかし、永年株出しみたいに、四年、五年連作でほったらかしておいて芽を出させるということは、やはりキビをつくる以上は、沖縄においては少なくとも八トン以上九トンぐらいの平均の反当収量がなければおかしいと私は思うのです。事実おかしいのであります。また、歩どまりについても、これは沖縄の温度あるいは日照時間その他考えたときに、これが一二%に達しないということもおかしいのでありまして、内地のほうの現在の南西諸島では反当収量はやはり八トン、九トン行っておりますし、条件が沖縄より悪いところでは三年以上の株出しはやらないように指導しておりますから、やはり歩どまりも一二・五とかあるいは一二・三というところまで行っております。やはりこれは農家の方々も、土地に愛着を持つのが農業の出発点であるならば、植えたものもやはりかわいがってやらなければ、これはやっぱり三年以上の連作というのは、反当収量その他ががたっと落ちることはもうわかっているわけですから、そこらのところはよくみんなが理解をしていただいて、そうして、それができない理由があるならば、協同組合等の組織なり何なりというもので一体になって打開するために政府も力を貸さなければならぬというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 いまの問題については、これ以上きょうは申し上げませんが、次に、これも確かめておきたい問題でございます。最近糸満を中心にして赤痢が大流行した。それからまた、一方においては宜野湾一帯で精神病患者がいわゆる傷害事件を多発させた。そういう社会問題が起こっている。糸満について調べてみますと、簡易水道が全体の八割くらいを占めている。この状況では、もう向こうの厚生局の発表によれば、この汚染源は簡易水道にある。しかも、その水道を使わないことには生活ができない。こういう、ほんとうに目の前にころがっているような問題が放置されているというととは、非常にまずい状況でないか。それから精神病患者の収容施設につきましても、御存じのとおりに、日本とは比較にならない現状でございます。保育所に例をとってみても、いま沖縄は本島だけで五十六だと記憶しております。ところが、類似県を例にとりますと、二百六ですか、こういうふうに数字的にも明確に福祉施設なりまた水道や何かにいたしましても完備されてない。こうした問題は、やっぱりいまの物価の問題と同じように、これは一刻を争う状況でありますので、この問題の解決についてはどう一体これから対応されていらっしゃるのか。もういま大問題です、ふえる一方ですから、糸満は。
○説明員(山野幸吉君) 糸満地区の上水道の問題でありますが、やっぱり簡易水道はそういう問題が起こりがちでございますので、なるべく都市部を手始めに完全な浄化施設の施される上水道にすみやかにかえていくという努力は、もう那覇市を中心に進んでいるわけでございますので、糸満は中部圏の中の一角でございますから、琉球政府の構想によるそういうものの一つとして、なるべくすみやかにそういうことの簡易水道であるがために起こるような問題等がないように努力をすることは当然のことであると考えますし、そういう方向でまいりたいと思います。 さらに、沖縄において内地に比べて著しく高い患者というものの比率を示すものに精神病あるいはハンセン氏病、さらに結核等がございます。これらの問題は、もちろん返りましたときには、現在の二ヵ所のハンセン氏病収容施設は直ちに国立に引き取ってめんどうを見るほか、精神病等についても、内地の施設に対するそのような社会医療施設の制度を有効に活用して、措置費等もございますから、やはり経営上成り立つような条件のもとに、精神病患者というものは、なるべく個人の責任で社会の中で放置されているような感じでないような、内地のような状態にすみやかに到達しないといけないと思っております。また、結核等の治療を現在保健所が内地と違って医療行為としてやっておりますけれども、これらは内地では保健所としては認められないところでありますが、やはり特例法の中で保健所における医療行為というものが結核においてはことに大きなウエートを持って貢献しておりますので、これらの問題は、復帰後、保健所においてそういう医療行為を行なうことを認める旨の決定もしたいと考えております。
○渋谷邦彦君 現在この赤痢患者が七百名と、昨日の結果では、そういうふうに出ておるわけでございます。で、応急措置といたしまして、おそらく医者が足りないわけですから、かねてから問題になっております医師団の派遣あるいは看護婦の派遣等々、あるいは医薬品の急送というようなことは現在対策庁は手を打たれていらっしゃるのかどうなのか。打たれていらっしゃらないとするならば、これからやるおつもりなのかどうなのか。
○説明員(山野幸吉君) 現在、私どもの聞いておるところによりますと、厚生局はあげてこの対策に全力をあげておるようでございます。したがいまして、基本的には、いま大臣がおっしゃいましたように、この統合上水道に関連している、いわゆる水道公社の系列に入っておる市町村はそういう問題が起こらないわけですが、それが及ばない僻地の町村、あるいはまた僻地でないところでも簡易水道をやっておるところにつきましてはそういう危険がありますので、十分ひとつこれらの対策を考えてまいりたいと考えております。
○渋谷邦彦君 いや、私がお尋ねしたことは、緊急対策の一環として、医者が足りないんですから、看護婦も足りないんですから、あんなちっぽけな糸満の町でもって七百人といったらたいへんな事件だと思うんですが、それから、医薬品の急送というのをいま手を打たれているのか。もし打たれていないとするならば、ここ数日中にきちんと手を打って、とにかく赤痢患者の対策に対応できるような手が打たれているのかどうなのか。それを聞いているんです。
○説明員(山野幸吉君) 琉球政府の厚生局でいま対策をとっておりまして、もしその対策において琉球政府の力でどうにもならないという事態がありますと、今度のような赤痢問題に限らず、私のほうへ沖縄厚生局を通じてすぐ連絡があるわけでございます。で、そういうことについてのまだ要請はいまございません。したがいまして、本土政府のほうとしては、本土政府から直接看護婦とか薬剤とか医師とかを派遣する計画はいまのところは持っておりません。しかし、厚生局のほうでどうにも手に余って対策がもうとれない、あるいは医薬品が不足しておるという事態であれば直ちに私のほうへ要請がある。そういうことになっております。したがいまして、おそらく米民政府その他の援助もあると思いますが、いまのところ本土政府としてはそういう対策はとっておりません。
○渋谷邦彦君 ですからね、まあ要請を待つ、それも一つの方法でございましょうけれども、いま現にどんどん患者がふえているわけですね。必ずそんなことは目に見えているんでございますし、もうしばしば医者の問題はここで議論されているとおり、むしろあたたかい配慮を、本土政府が琉球政府の厚生局なりと絶えず連絡をとって、現状でもって十分対応できるかどうかということも、もちろん積極的にこちらが聞く場合があってもいいでしょうし、ただ要請がないからといってそのまま放置しておいていいものかどうなのか。私はやっぱりここに疑問が残りますね。ただ、これから千名をこえた、あるいは二千名というようなことになるかもしれませんけれども、非常に非衛生的な地域にだけじゃなくて蔓延するおそれは十分に考えられる。ならば、やはりここで根本的に、一刻も早く火事を防ぎとめるようにやることのほうが大事じゃないか。その意味において、本土政府がどういう前向きの援助をいま計画されているか、言われてからやるのじゃまたそこに時間的なズレが出てくると思います。これでは私はいけないんじゃないかと思いますが、どうですか。
○説明員(山野幸吉君) 琉球政府厚生局でございますが、いま赤痢患者がたとえば八百名出たらその対応措置が琉球政府厚生局の力でとれないという事態ではないと私は考えます。しかし、御指摘もございまするし、私どもも万が一その手が足りないというようなことがあってもたいへんでございますから、なおよく対策庁としまして現地と連絡をとって遺憾のないような配慮をしたいと思っております。
○渋谷邦彦君 その点は善処していただきたいと思います。 最後に、これもまだまだ突っ込んでお尋ねをしなければならないのですけれども、確かめておきたいことは、税金の問題であります。所得税、法人税等々、これから新しい本土並みの体制というものに仕組まれてくるわけでございますが、これがやっぱり現状を据え置く。そして、一切の生活水準というものが本土並みになったと、いろいろな統計の上から考えてみても十分それを裏づける証拠があるという段階までは、やっぱり現状を維持するおつもりなのか。それで将来地方交付税の問題等も起こってくるわけでございますけれども、そうしたものをこれからどう扱っていくのか。その問題一点だけをお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これは、直接税、間接税あるいは所得税、法人税それぞれを区分けいたしまして議論をいたしましても、本土並みにいたしました場合には、所得税のほうは安くなるであろう。しかし一方、県民税がございませんので、これはやはり交付税算定の場合に、沖縄は県民税を取らぬでもいいというのには、地方自治体としては地域の住民の居住者の立場からの均等割り等がやはり入っているわけでございますから、これを球琉政府だけに取らぬでもいいと言うわけにいきませんし、琉球政府もその準備はいたしておりますので、それやこれや差し引き計算などいたしましてみませんと、いま端的に本土並みの税法が適用されました場合には、たとえばさっきの魚やあるいはみそ、しょうゆの物品税等がなくなりませんと安くなりませんと申し上げましたが、そのような一例のように、端的にははっきり申し上げられない。計算が成り立たないとなりませんので、住民税のない沖縄あるいは県税と地方税、町村税とが本土のように区別されていない沖縄においては、現状というものをそのまますぐには比較はできないかと考えます。
○春日正一君 私は、この前の委員会で、沖縄に進出している外資、とりわけ、その代表的なものとしてのガルフの進出の問題についてお尋ねしたわけですけれども、そのときに長官から、ガルフが復帰までに本土資本との提携もしないというような場合には、まあ、フリーゾーンみたいにして島に封じ込めて、その製品は全部日本の国外に向けさせるというような御答弁があったと思います。そこのところで私、質問を切っといたんですけれども、きょうその続きを質問しようということにしておったら、この前の委員会の翌日ですね、十月二十二日に琉球政府の発表によってアメリカの民政府が金武湾の約十平方キロメートルにわたる海域の運営管理権をガルフ社に与えるという指令を出したということが明らかになって、先ほど来質問出ているわけですね。そこで、私この問題を、前の続きもありますから、質問したいと思うんですけれども、その前にひとつ、この問題、非常に大事ですから、資料をやはり提出していただきたいと思うんです、この委員会に。一つは、この指令がどういう内容のものであるか。正式に政府ももうこの指令を受け取っておられるんだろうし、これは出していただきたい。アメリカの琉球列島米国民政府高等弁務官の民政府指令第一号「金武湾港の設定」についてという指令が出ているわけですね。これの本文をやはり正式に政府から委員会に出してほしいと思うんですよ。これがなけりゃ議論が浮いたものになってしまう。その点、どうですか。外務省、来ておいでですか。
○説明員(千葉一夫君) お答えいたします。 指令第三号は入手いたしております。まだしかし英語だけでございますので、英語だけではお役に立たないかと思いますので、翻訳を入手いたしましてから差し上げたいと思います。
○春日正一君 翻訳はいつごろということになりますか。あんまりおそくなったのでは困るんで、この前のアメリカの上院の外交小委員会の聴聞会記録、あれなんか原文のままでもらいましたよ。私なんか骨を折って訳してもらって使っておりますけれども。だから、えらい時間かかるようならやはり英文のままでもいいから、そう長いものでもないし、おそらく各党、そのくらいのスタッフはお持ちですからそれを利用できるだろう。これは早いとこ出していただきたいと思いますが、どうですか。
○説明員(千葉一夫君) おっしゃるとおりいたしたいと思います。
○春日正一君 それから、これに関連しましてですね、この指令の中に出てくる、引用されている布令が二本、それから琉球政府の立法六本、それから一九六六年九月六日付の第二兵たん部規則第五六の一号、それから六九年十一月十日のガルフに付与された金武湾の水域使用許可、こういうようなものがずっとこの指上の中に引用されているわけですね。いろいろな布令や立法院の法律やいままで出された許可証という、これが、これだけあります。——これは指令の4の中で一九五四年布令一三一号。同じく五四年の布令一二五号。それから一九五四年琉球立法院の立法五六号。一九六二年琉球政府立法四六号。一九六五年の琉球立法九号。それから一九六六年九月六日付第二兵たん司令部規則第五六の一号。それから一九五四年琉球政府立法第五九号、同じく六四号、同じく一五六号。それから最後に、一九六九年十一月十日米民政府の水域使用許可ですね。この中に「六十年」という期限が入っているんです。だから、こういう関係の布令なり、いま私のあげたものを資料として委員会に提出していただきたいと思いますが、どうですか。
○説明員(山野幸吉君) いま御指摘いただきました非常に広範な資料でございますが、よく外務省と相談いたしまして、できるだけ御希望に沿うような方向で検討してみたいと思います。
○春日正一君 「検討してみたい」では困るのですよ。いまここの議論を聞きましても、たとえば長官は、六十年というような期限はないと言っておいでになる。外務大臣も、衆議院のほうではそう言っておいでになるのですね。ところが、報道によれば、六九年のこの中にあると言うし、私どももそういうふうに聞いておる。これを読んでみますと、第10項の中にこういうのがありますよ。「一九六九年十一月十日にガルフ・エイジャン・ターミナル社に付与された第一項に規定する境界内の海床下層土及び水域の使用の許可が有効である限りこの指令により当該ガルフ」云々と、そうして、「同許可の有効期間が満了して無効になったときは、この指令による権限並びに権利及び特権も終了満了し」、こうなっているのですね。ところが、この許可の中に、六十年間許可するというものが入っている。そうなると、六十年という期限は含まれているわけです。その期限が大臣のほうはないと言われるし、先ほどの質問者はあると言われるということになると、こういうものが出てこなければ、ここでの論議が進まないことになる。だから、そういう意味で、「できるだけ善処します」ではなくて、こういうものは当然非合法のものではないし、公布されたものですから、入手し得るはずだし、出せるはずのものですよ。だから、そういうあいまいな答弁じゃなく、「必ず出します」と、しかも、できるだけ早く出してほしいということなんですね。
○国務大臣(山中貞則君) これはどうも私に対する山野長官の補佐が足りないようでありまして、港湾管理権については六十年というのはない。私はそう信じておりまして、そのとおりでございますが、ただ水域使用の許可については「六十年」が入っているそうでございます。これは小林さんにおわびを申し上げます。私自身がその正確な情報を入手していなかったものでございますから、取り消しをいたします。しかし、その方針は、どのような許可条件でありましても、日本政府の、復帰の時点において本土法によって処理いたしますから、そのような権利は、一方的に占領下に近い施政権下において与えられた権限の中において公布されたものとして、それは消滅させることを明言いたしておきます。
○春日正一君 それで、いまのこの資料ですね、それを、いま私の読み上げただけのものを全部出していただけるかどうか。これははっきりさして、約束しておいていただきたいと思います。
○説明員(山野幸吉君) 御提出したいと思いますが、ただ時間は、若干必要な時間をちょうだいすることになると思いますが、できるだけ早く、可能な限り早く整備しまして提出したいと思います。
○春日正一君 できればこの次の委員会、そのころまでには間に合うようにしていただきたいと思います。 そこで、この布令の内容のこまかいことは略すとしまして、この中身について見ますと、およそ港湾の管理運営上あり得る一切の権限、権能を、まあ、私どもでは六十年にわたってというふうに理解するわけですが、これは議論のあるところですが、六十年にわたって、ガルフという私企業に排他的に与えている。港湾といっても海床から下層土まで含めた全水域、その上ガルフは一切の公租公課、認許可というようなものは免除されて、逆に港湾使用料の賦課徴収権まで持っておる。しかも、こうした全能的な権能を持ちながら、それによって港湾使用者に損害を与えた場合でも合衆国以外の者に対しては責任をとらない。あるいは合衆国以外の人、または法人からの港湾使用をめぐる一切の請求、損害、負債要求、訴訟事件について合衆国とその機関、職員は自由、安全、無害が保障されるというのだから、免除されるということでしょう。そうして、たとえば雇用されるけい船係はガルフの単独裁量による雇用条件によって雇われ、ガルフの監督のみに服するということは、こちらの判断で言えば、労働法規や港湾関係法規というもののらち外に置かれてるんじゃないかというような疑いも出てくるし、この港を軍用に供することもできるというような性格のものになっているんです。これは私ども調べたものは一々全部読み上げませんけれども、しかも、別にガルフが所在する平安座(へあんざ)島と沖縄本島を結ぶ海中道路を建設するという計画まで進められておる。こういうことから現地で一番問題になっているのは、金武湾という地理的条件から見て、長期の経済計画の推進にとって非常に大きな障害をここにつくり出すのじゃないか、このことが一つ。 それから、この水域に設定されている漁業権の侵害が出てくるということ、あるいは連絡船その他の船舶の運航の障害になること、港湾の中での事故の処理や公害問題が私企業にゆだねられるということになれば、当然問題がいろいいろ起こってくるということ、あるいは、港湾法を無視するということになるのじゃないだろうかというような問題、さらに、海中道路をつくれば潮の流れをせきとめて地震の際の津波を招くというようないろいろな点をあげて、これは困るという反対が出されております。それはもう長官も御存じだと思いますけれども、しかし、一番大きな問題は、この前の委員会で私が危惧を表明したように、日本の領土の一部がアメリカの租界みたいにされてしまうということですわ。それが単なるもう危惧の問題でなくて現実の問題として提起されて、現地だけでなく本土でも最近新聞で大きく報道され問題にされているというようになっておるわけですね。 そこで御質問するんですけれども、政府は七二年返還の確実性ということは繰り返し主張しておいでになるし、私もそれは疑いませんけれども、その七二年を目の前にしてアメリカ当局がこういう許可をことしのいまごろに出してきたということは一体何を意図しているのか、長官としてはこれをどういうふうにお考えになるか、そこからお聞きしたいと思います。どういうふうにお考えになって、どうしようとしておいでになるのかということですね。
○国務大臣(山中貞則君) これは不穏当である旨抗議したことは申し上げましたが、どうもつまびらかにいたしませんけれども、ガルフ社としては港湾を使用開始するにあたって管理権の設定が必要であるということで琉球政府に相談をしたやに言っております。しかし、その際はどうも琉球政府の港湾管理者としての設定がはっきりしないために、民政府に訴えて、とりあえず自分たちの管理権というものを設定してもらいたいということでそういう経過をたどったようなことも一応聞いておりますが、これは正確ではございませんが、いずれにしても、運輸省も交えて、これは港湾管理の責任省でございますが、その立場においても、復帰の時点において本土法どおりこれが行なわれているものであって、たとえ何十年のそういう約束があろうと、それは復帰の時点において消滅するということにおいて、本省としては問題はないということを言っておるわけであります。
○春日正一君 復帰の時点において消滅するという点の保証があるのか。たとえば、共同声明の第九項でしたか、あの経済条項では、沖縄で操業しておるアメリカの企業の既得権益というようなものは尊重するというようなことが約束されております。だから、既得の権益がずっとあるものが、復帰したから自然消滅ということには私はならないし、当然、その権益を残すようなそういうことが協定の問題にも出てくるだろうし、また、日本政府としても総理みずから尊重すると約束をしておいでになるわけですね。だから、消滅するというふうには言えない。 それからもう一つの問題としては、こういうふうにいま許可されてきているといったところで、私どもからいえば、ここでもしばしば問題にされるように、かけ込みだというふうに言うけれども、それじゃ共同声明の文面自体の中に、あの共同声明以後のものは無効であるというようなはっきりした了解があるのか。この点外務省のほうはどうですか。はっきりしたそういう了解ありますか。
○説明員(千葉一夫君) この点につきましては、共同声明の第九項に書いてございます「総理大臣と大統領は、沖縄の施政権の日本への移転に関連して両国間において解決されるべき諸般の財政及び経済上の問題(沖縄における米国企業の利益に関する問題も含む)があることに留意して、その解決についての具体的な話合いをすみやかに開始することに意見の一致をみた」と、こうありまして、別にアメリカの企業の——春日先生おっしゃいましたように——既得権は必ず当方は尊重して認めるのだという約束はいたしておらない次第でございます。
○春日正一君 そうすると、自然に消滅するという法的な根拠というのはどういうものですか。アメリカの許可したものは全部なくなる、新たに許可を得るということになるわけですか。
○国務大臣(山中貞則君) いまのガルフの問題に限って言えば、布令でそういうことをやっているわけですから、復帰の日の午前零時に布令は消滅をいたします。したがって、本土政府が、昨年十一月以降に新しく設けられた権利等、設定された条件について、そういうものは認めないんだという姿勢をはっきりしておれば、それは根拠を失うわけでありますから、したがって、本土の法律に従う以外にないということで、私は、政府としては別段それが復帰の時点においてなおかつ権利として残るんだというふうには考えておりません。
○春日正一君 本土の法律に従うんだ——この点ではガルフのほうも十一月十二日付の沖縄タイムスによりますと、こういう見解を出しております。「指令でガルフ社が港の運営を認められる期間は六十年であるが、指令と建設許可証にあげた諸条件を守ることを条件とする。六十年の期間はガルフが平安座島の広範囲な恒久的建設を考慮し、この場合の一般的な法律上の前例に基づいて定めたものである」、こう言って自分たちの主張をずっと出しながら、「沖縄が日本に復帰した場合、ガルフは港の運営については、全面的に日本の法律、方針に従う。ガルフは復帰後も港の運営は認められると信ずる」、こういうふうに言っておるんですね。そうして、私もいろいろ調べてみたんですけれども、こういうものを持ち出して、日本の港湾法とか港則法とかそういうものには、このガルフのこれを禁ずるという条項はないんですね。その点、どうですか、運輸省のほうは。
○説明員(満所清吾君) 本土には港湾法という法律がございます。この港湾法によりますと、港湾管理者になり得る者は関係地方公共団体であるというふうに規定されております。関係地方公共団体といいますのは、その港湾施設を設置した地方団体、これが第一番……
○春日正一君 何条でしょう、法律見ながら聞いておりますから。
○説明員(満所清吾君) 法律は港湾法第四条の第一項に書いてございます。
○春日正一君 はい、説明してください。
○説明員(満所清吾君) 港湾管理者になり得る者は関係地方公共団体でございます。その「関係」という意味でございますが、港湾施設を設置した地方公共団体、これが第一番目であります。それからその港湾施設を維持管理するのでございますが、その費用を負担した地方公共団体、これが第二番目でございます。それからその港湾は水面が主力でございますから、その水面を地先水面とする地域を持っておる地方公共団体、これが第三番目でございます。こういう三つの関係のしかたがございますが、こういうふうに関係しておる地方公共団体は港湾管理者になり得る、こういうことでございます。
○春日正一君 そういうあれ言っちゃだめですよ。大体港湾法第四条の第一項では、「現に当該港湾において港湾の施設を管理する地方公共団体、」云々と言って、あなたの説明したようなことを言っている。しかし、第二項では、「前項の規定は、国及び地方公共団体以外の者が、水域施設及び外かく施設の全部又は大部分を維持管理している港湾においては、その者が関係地方公共団体のいずれかに港務局の設立を求めた場合を除きこれを適用しない」と、こういうことになっているのですね。それで、実際上港湾法の全部の関係を私ちょっと書き抜いてみたんですが、こういうことじゃないですか、この港湾法の第一条では、港湾管理者を設立して「港湾の開発、利用及び管理の方法を定めることを目的とする」と、この法律は港湾管理者をつくることだという目的をあれして、管理者とは、第二条では「第二章第一節の規定により設立された港務局又は第三十三条の規定による地方公共団体をいう」と。四条二項——さっき私読んだところですね——国、地方公共団体以外の者が港務局を設立することができる、申請すれば——ということがここに出ておるし、第五条では、そういうふうにしてできる港務局を「営利を目的としない公法上の法人とする」ということになっておって、国、地方公共団体以外の者が港務局をつくることができるんだ。ただ、それは営利を目的としない法人ならできるんだ、こういうことになっておるし、また、実際にそういうものを願い出ないで、自分のところで港はつくっている、たとえば三池の石炭を積み出す港ですね。あれは三池の港務局と言っているが、これはこの法律で言う「港務局」ではない。会社の港務局です。それが管理してやっておる。こういうことを見れば、ガルフがそれだけのものをすでに既得権として持っているわけでしょう。ずっとそういう布令で許可を得て、そうしてこれに基づいて海中パイプもすでに布設を終わって、最近は二十万トン、三十万トンというタンカーが入ってくるようなずっと大きなバースにやってくる。原油の貯蔵も始まっている。そうして単なる許可ではなくして、既得権として設備まで海中にでき上がっているし、そうして反対の方向には海中道路が布設されるというような計画まであるということになると——現にもうできてしまっておるのですね、そういうものが。そういうものをこれには何の法律の何条の規定によって規制するのか、その点を説明していただきたい。禁止するということを。
○説明員(満所清吾君) いま先生がお読みになりました四条の二項でございますが、これをガルフ社に当てはめて考えてみますと、この四条の二項では「国及び地方公共団体以外の者が」ということでございますので、つまり、「ガルフ社が」ということでございます。このガルフ社が「水域施設」——港の水面でございます——「水域施設及び外かく施設」——防波堤でございます——「施設の全部又は大部分」——ほとんど全部について「維持管理している港湾においては」——つまり、沖縄のガルフ社が管理しているそういう港湾におきましては——「その者が」——ガルフ社が——「地方公共団体のいずれかに港務局の設立を求めた場合」——つまり、ガルフ社が港湾管理者の設立を求めた場合——にはガルフ社が港湾管理者になるのではなくて、たとえば沖縄が復帰したときでございますが、沖縄県がかりにできたといたしましたら、沖縄県が港湾管理者になり得ると、こういう趣旨でございます。
○春日正一君 そういう趣旨にはなっていないでしょう。「以外の者が」求めた場合というふうになっていて、求めた場合にできるようになっておる。そして、ここでは、私企業が管理している港湾については港湾管理者を設けない、除外するということでしょう。第四条の現行の規定は「港務局を設立することができる」と、これは向こうから言ってこなければ除外する。だから管理者を設けなくてもいいと。だから、港湾管理者を設けない港湾は港湾法のらち外にあるということは、法律の目的、第一条にはっきり、この法律は港湾管理者の設立によって港湾の開発、管理云々ということが目的になっているから、港湾管理者を設けない港湾だったら港湾法の対象にはならぬ。つまり、三井三池があれをやっているように、ガルフが自分の島の周辺のところに道路をつくった、あるいはパイプラインをつくり、それからバースをつくってやっておるということになれば、それはガルフが自由に使えるということになるわけでしょう。
○説明員(満所清吾君) 港湾法四条二項はお説のとおり、たとえばガルフ社が設立を求めた場合に限って港湾管理者が設立されるということでございます。それでは、そのガルフ社が設立を求めなかった場合にはどういうことになるかと申しますと、これは港湾法五十六条という条項がございまして、所轄の県知事が水域を定めて公告するわけでございます。その水域を公告した場合においては、その水域内において施設を建設したり、あるいは水域の一部を占用したり、こういうことについては、たとえば沖縄県になった場合に、沖縄県知事の許可を受けなくてはいけない、こういう規定があるわけでございます。
○春日正一君 そうすると、それはそうなっているんですよ。そういう、「(港湾区域の定のない港湾)」ということで、五十六条では、「港湾区域の定のない港湾において予定する水域を地先水面とする地域を区域とする都道府県を管轄する都道府県知事が、水域を定めて公告した場合において、その水域において、水域施設、外かく施設若しくはけい留施設を建設し、その他水域の一部を占用し、又は土砂を採取しようとする者は、当該都道府県知事の許可を受けなければならない」と言って、これは「施設を建設し」でしょう、これから建設しようとする者なんで、すでに建設してある者もまた許可を得なきゃならぬという規定にはなってないでしょう。
○説明員(満所清吾君) おっしゃるように、「建設し」ということでございますので、すでにできているものについてはこの規定は及ばないのでございます。
○春日正一君 そうすると、そのまま認めるということになってしまう。すでに既成事実としてつくられたものは禁止する法的の根拠は何もない、こういうことになるわけです。そうでしょう。だから——私きょうもう時間ありませんから、約束どおり終わるつもりですから、結論申しましてあとの問題はまたこの次にやらしていただきたいと思いますけれども、だから、断固としてこれを排除しようというなら、私ども、排除しなきゃならぬ。日本の島に——もう長官には地図見せるまでもないと思いますけれども、あの港というのは非常に大事な、一番条件のいいところで、きょう通産省にも来ていただいて、私、時間あったら、通産省としてのここへの産業開発計画ですね、これとガルフの占有との関連でどうなるかという問題を究明したいと思ったんですけれども、時間ありませんから、これはこの次にやらしていただきます。通産省の方、せっかく来ていただいたけれども。そういうことですけれども、こういう場所でしょう。そこの入り口をぐうっと半分ぐらいまで取ってしまってそこへ施設をつくってしまう。しかも、それが既成事実として、いまの港湾法を見たら、運輸省も言うとおり、できてしまったものは規制できないというようなことになっておりますと、どうしてもこれを排除するためには、特別に法律つくってでも排除しなきゃならないんじゃないのか。もしそこまでそういう法的なものがないとすれば、特別の法律をつくってでもそういう日本の領土に租界的なものをつくるということをやめさせるというような考えがおありなのかどうか。まあ、そこの問題だけはっきりさしてきょうはこれで一応やめます。
○国務大臣(山中貞則君) 港湾法だけから議論されましても、そのような問題点があるいはあるかもしれませんが、一方において琉球政府も抗議を表明しておりますし、本土としても日本政府も抗議しておるわけですから、現在のようなそのような権限というものは認めない。したがって、私たちが言っているのは、逆に復帰の時点において布令というものは消える。そのような特殊な権益を与えた布令というものは消滅をする。したがって、本土並びに沖縄県の意思によって港湾管理者が設定をされる。これは実は地元の県ないし町村にも特別とん税等の収入が入るか入らないかという問題になりますから、これは断固として譲るつもりはありませんし、したがって、布令で許可したのだから、布令で許可したものの根拠が消えるのだから、布令は存在しない。したがって、日本政府の意思によって新たに琉球政府なり地元の村なりが港湾管理者に認定されるということであれば、それで私は港湾法による港湾管理者というものが、ガルフ以外の公共団体がなっておかしくないと考えておるわけであります。
○春日正一君 もうやめるつもりでいたけれども、もう一つだけ言っておきます。 確かに布令は消える。しかし、私的企業の施設は残る。しかも、これは日本の法律でも、資本主義の国ですから、やはりガルフも日本の法律に従うと言っておるのだから、従えば、それを認めざるを得ないようなこういう法律になっておる。そこを私どもは心配している。この点が一つ。 それから、抗議とかいろいろ申し入れをしたと言われますけれども、外務省としてこの問題についてどういう申し入れをしておりますか、アメリカに対して。また、どんな返事をアメリカがしておりますか。
○説明員(千葉一夫君) アメリカの大使館の当局に対しまして、紙上伝えられているがごとく——六十年とか、そういったような非常な長期間の許可を与えるということが伝えられておるけれども、ただいま山中長官も申しましたように、日本政府としては復帰の日をもってそういう布令等によって与えられた権利は消滅するものと理解すると、そういうことを申しました。
○春日正一君 アメリカは何と言いましたか。
○説明員(千葉一夫君) それに対しまして、まことにそのとおりである、実は米側としましても——私は米側を代弁いたしておりません、ただ彼らの伝えるとおりを申し上げます——米側としましても、ガルフともども、復帰の前におきましても、琉球政府と協議をいたしまして、ただいまの布令等にかわるべき措置がとれるならばぜひとりたいと思って今後協議していくつもりである、そういうことを言っております。
○春日正一君 きょうはこれくらいにしておきます。
○小林武君 いまの説明、ぼくちょっと質問を若干してあるのですけれども、運輸省のほうの解釈、それから外務省のいまのあれも、それから大臣の御答弁も、それは私が聞いていれば、ただ「そう思っている」ということだけでしょう。だから、納得させるようなひとつあらゆる資料を整備されて、何の資料というよりかも、あらゆるとにかく点からこれはだいじょうぶだという証拠をひとつ示してもらいたい。たとえばいまのアメリカの回答というようなのが一体どういう回答なのか、口頭なのか、文書をもってやったものなのか、そういう点もっと、国会の中で議論することですから、そういう信念だとかなんとかいうことでは通用しないと思います。
○説明員(千葉一夫君) 補足させていただきますが、ただいまのは口頭によるものです。
○小林武君 口頭なんというものが一体信頼できるのかどうかということなんですね。その点はひとつ納得のいくようにしてください。
○国務大臣(山中貞則君) 「信念だけでは」とおっしゃるのですが、信念ではなくて方針なのであって、布令は消滅したと認めて、そういう布令による、ことに昨年十一月の佐藤・ニクソン会談以降のものについては認めないとはっきり言っているわけですから、これは信念とかなんとかじゃなくて、そういう方針で処理するわけですから、アメリカ側はそれに対して異議があれば申し立てするかもしれませんが、その意思の行使者、決定者は日本政府でありますから、それが「そうする」と言っておるわけですから、単なる信念ではないということであります。
○小林武君 それは、そういうことを言っているのじゃないのですよ。そういう方針をとったところで、それは一体法的に効力があるかどうかという問題が一つあるわけでしょう。それは、たとえ外国であろうが企業であろうが何であろうが、それはその証拠がない限りだめでしょう。ぼくは、だからあなたのほうで、こっちのほうからそれを一方的に宣言すれば効力がなくなるのだなんというようなことを言ってみたところで、かくかくの理由で、このような法律的なあれで、あるいはこういう外交的なあれでというようなことをひとつ出してもらわなければ、これは理解できませんよ。だから、これはもう何か先ほど来の話を聞いていると、ぼくはどうなっておるのか納得いかないし、何かいいかげんな答弁をされたというような感じもしないわけでもありませんが。
○国務大臣(山中貞則君) そんなことないですよ、いいかげんな答弁していませんよ。
○小林武君 それはそういうことになるのだよ。いまだって、何もいまの質問に対しても的確な答弁があったとはぼくは——これは春日さんへの答弁について春日さんがどう感ずるかということは別ですよ、しかし、ぼくはなかなかはっきりしておりません。たとえば、あなたの先ほど言ったことについてぼくにわびると言ったけれども、そばについておってそれに対して一言も差しはさまないでおって、あとで問題が出てきたらあとでそういう答弁をやるというのは、これはあなた、失敬ですよ。しかし、いまここでそういうことを言うてもしようがない。納得させるような手だてを講じてもらいたい。これはぼくはぼくとして一つ要求しますよ。
○委員長(塚田十一郎君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時散会