沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/09/12
会議録
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨十一日、黒柳明君及び松下正寿君が委員を辞任され、その補欠として三木忠雄君及び向井長年君がそれぞれ選任されました。
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○小林武君 長官にお尋ねいたしますが、沖繩全軍労のストはどういうことにいまなっておるわけですか。
○国務大臣(山中貞則君) これは私も現地で見ておるわけでありませんで、外務省経由、また、私のところの沖繩事務局経由の情報によってお話をすることをお許し願いたいと思うのですが、解雇の完全撤去というか、撤回ということをスローガンとして、中には、実質賃金ダウンの就業時間の減少とか、いろいろとあったようでありますが、基本をそういう線に置いて二日間のストというものを計画したようであります。これに対しまして米側のほうは、先般の五日間ストのやはり向こう側かう見ても好ましくない教訓をいろいろと得ておりますので、あまり刺激をしないような行動に出ようとした形跡は明瞭でございます。したがって、二日の間において起こりましたトラブルらしきものは、双方ともにそう取り立てて大きな問題は起こしてないように思いますが、しかし、投石によって米軍の自動車のガラスが割られて婦人と子供一名が負傷した、あるいは逆に、学生が米軍のほうにつかまえられてけがをして、それを琉球政府のほうに引き渡した事例があります。好ましくない事例が一、二ありましたけれども、一番心配いたしておりました激突という様相は、双方ともに避けることに努力をされたあとが明瞭でありますし、なかんずく、われわれが先般心を痛めました県民同士の争いである、Aサイン業者を中心とする、軍に直接依存して営業しておる人々と軍労の諸君との対立というものが、表立って何の動きもなかった。二日間だけなうば自分たちもしんぼうしょうというつもりになってもらったようでありますし、軍労のほうも、戦う用意ではありませんけれども、そういう不測の事態の起こうないような事前の人員の配置等もしていたようでありますので、ストが続行されたことは遺憾であるとしても、幸いにして、その経過並びに終息はたいした問題を起こさず済んだような気がいたします。しかし、その事前に行なわれた各段階における主席を含む米側との交渉の過程においてもまたストの続行中においても、軍労側が掲げた解雇者の完全撤去——もとどおりにせいという意見には全く回答なしに、ただ、アメリカ政府の財政的な理由によるものであって、いかんともなし難いという、平行線のままで終わったようであります。その結果、四十八時間ストの中盤以降において、軍労側における闘争委員会の幹部会等が開かれたようでありますが、今後の闘争方針等を、やはりいままで自分たちは基地があっての労働者であるという立場から基地撤去ということをスローガンに掲げることを実はちゅうちょしていたきらいがある、これからは、基地撤去ということを前面に置いて、基地撤去によって生ずる当然の解雇者なり退職者についてはこれを受けとめることにし、それに伴う解雇条件あるいはその後の再就職あっせん、職業訓練等について重点を置いていこうというようなふうに方針を転換されたような情報を得ておりますが、これは今後の軍労の、組合としての方針決定の際にさらに明確にされてくるでありましょうし、そうなっているとここで断言はできかねる時間的な立場にいま置かれていると思います。しかし、ストを終わっての上原委員長の会見の中で、本土政府が間接雇用制についていまだに解決しないのは不誠意とわれわれは認めるということがありましたことは、私自身は努力中でありますけれども、幾つかのスト終息にあたっての委員長の声明を本土政府の責任者としてその点はさらに一そうの努力を続けていかなければならぬと考えて受けとめておる次第であります。はたしてお答えになったかどうかわかりませんが、以上、一応の私の現時点における情報をもとにしたお話を申し上げました。
○小林武君 長官の考え方は、両方に激突が起こうなかったこと、あるいは県民同士の対立というような事態が起こうなかったことについて評価されて、あとのほうにちょっとこれからの問題点を述べられたのですけれども、それよりも私がいまお聞きしたいのは、解雇というのは、これはいま始まったことではないですね。最近しきりに解雇の問題が起こっている。聞くところによれば、解雇はしているけれども、解雇したあとにまたその解雇を撤回するというようなこともアメリカ軍のほうで行なっているようですね。あるいはその間に。パートタイムの募集を盛んにやっているという側面もある。こういう中でどうして一体解雇が行なわれるのか。しかも突然やられる。そのことについて沖繩におけるアメリカ軍の責任が明確でないと、こう考えるのですが、これは万事、いわゆるアメリカにおけるところの中央からの指示であって、責任のとれる態度なり、たとえばお話しになったように撤回するものなのかどうか、あるいは将来の見通しについてどうだという、労働者と使用者との間の当然行なわれなければならぬ交渉というものがないということが、私はストライキの中のきわめて残念なところだと思うのです。労働者の側から言えば、これはたいへん不幸なふしあわせなストライキだということ、いわば抵抗のための抵抗をせざるを得ないというようなところにまで追い込まれている。そういう点について総務長官がどういう考えをお持ちなのか、それが聞きたいわけです。長い答弁をされるというと、私に与えられた時間が短いもんですかう、なるべくそこのところをぴたっとおっしゃっていただきたいのです。
○国務大臣(山中貞則君) それらの点は私も同感するところが多うございます。現実において、沖繩では四軍というものが、それぞれに本国あるいは太平洋艦隊司令部の意向を受けながら——ハワイの指令等を受けながら独自の人員削減等をやっておりますから、同じ財政上の理由でも、先般の五百十六名、これに対して本土並みの九千五百万円の一応の退職手当の差額分を直ちに支給することをきめましたものの、その後撤回する人間の数が出てきたり、あるいは逆に、空軍がさらに解雇を新しく発表したりなどいたしまして出入りがございますが、これらの点は現地の高等弁務官自体もやはり苦悩しておるところのようでありまして、四軍統合の雇用関係に対する一応の機関はつくっておるようでありますが、指令はやはり直接本国の指令下にあるようであります。そこらの点は、私どもとしては、アメリカ側の仕組みでありますかう、それを直させることができるかどうかは別でありますけれども、その点が、おっしゃったように、同じ解雇をやるにしても非常に混乱を生んでいるもとになっておる。その点は私もたいへん困ったことであると考えて、何とかそこらのところを、今後の見通し等も含めて、是正してもらうような交渉と申しますか、話し合いはしておるわけであります。
○小林武君 昨年末に六百名の解雇をやった。ところが、ことしの初めにもう四百名の解雇撤回、七月の末には五百名以上も解雇した。ところが、今度はその半数に近い解雇を撤回したという、そういうやり方をやっておるようですね。正しい労働者と使用者との間の、何といいますか、ルールというものが全然この間にはないわけです。そういうことに対して、私のほうとしては何しろアメリカ側のやることでございますかう、というようなことをこの段階で言うのは、ちょっと私聞こえませんよ、有能な長官がおられるのだからね。しかも、二年後——七二年には返される。その間における手続上のいろいろな話し合いが行なわれているということになりますというと、こういう状態の中では、私は、やはり利益のない闘争ではあるけれどもやらざるを得ないというところに追い込まれた沖繩の全軍労の皆さんに、もっと政府としての働きかけ方がないものなのかどうか。これは全然だめですか、あなたのお力をもってしても。
○国務大臣(山中貞則君) ランパート高等弁務官も率直に、自分の置かれた立場は、直接は陸軍というものに対して自分の固有のある程度のその解雇問題等に対する権限の幅があるけれども、その他の三軍については、全体の施政権者としての責任者ではあっても、軍の系統としては、なかなか自分としては問題があって——そういうことをほのめかしておりまするし、もちろん、これは対アメリカ折衝で簡単にできる、やればいいじゃないかということでしょうが、アメリカ側もまた軍というものが直接日本側との話し合いの対象に出てきませんし、どうして毛外務大臣マイヤー駐日大使というルートでしか話ができないわけでありますから、そこらのところは私にしても隔靴掻痒の感を持っておりますけれども、問題点としては確かにそこらのところに、同じ解雇通知を受け、あるいはそれを不満とする、あるいは要求を掲げるについても、いろいろとそれらの四軍に分かれておる従事者の諸君の軍労の方々の感触にそのつど違いが出る、したがって、正常な労使の状態でないということだけは困ったものである。しかし、私がいまここで、それを何月何日までにどうしますということを言うには、現在の仕組みがたいへんむずかしい軍政の仕組みになっておるので、解決を一挙にやるのはむずかしい問題であるということを言わざるを得ないわけです。
○小林武君 私はあなたに申し上げたいのは、きょうこの委員会が開かれたのも、理事会においてもジョンソン証言その他についてのことでただしたいということが主たる目的であったと聞いておるのでありますけれども、その中で議論さるべきことでしょうけれども、沖繩基地の将来というようなものは、あなたが先ほどちょっとおことばに出されました、やがて基地はなくなる、基地が撤去される。そういう場合になったならば、これはストライキということはなかなかこれできないわけだから、将来新たな方向というものも運動の中に、闘争の中に考えなければならないというような意味のことを労働者側の気持ちとして述べられた。あなたがそれをそういうふうに聞いているとお話しになったんですけれども、いろいろな情勢の中において、沖繩の基地がこのままなくなるというような政治状況にはない、私はこれは望んでおるんですけれども。その証拠に、先ほど言ったように、基地というものが変貌してきた。変わってきた。変化を起こしている。解雇はするけれども、また新たな一つの目的を持って基地というものは存続する。ばかりではない。ある意味においては強化されるという一面も持ってきているということになると、これは私は、あなたはとにかく閣僚の一人としてそういうことについては相当のことは知っていらっしゃると、こう思っている。外務大臣に聞くまでもないことだと思っております。そういうこと等を考え合わせまするというと、今度のこの闘争というようなものに対するいまの長官のこれは直接の責任か、あるいはアメリカとの交渉は外務大臣によってやらなきやならぬというようなことも、それはわかりますけれども、政府として一体これをやむを得ないというような——アメリカ側も、とにかく責任の主体を明らかにしない。しかも、沖繩にいる者は当事者能力を持っていない。これだけで済まされるということになったら、日本の政府として無責任だと私は断言してもいいと思うんです。ですから、あなたにお尋ねしたいのは、基地の将来というものを考えて、私のような見解が成り立つのかどうか。また、相手方として当事者能力を持たない者を相手にして、そうして、どうにもならない形でストライキをやっている者に対して、政府というものが手をこまねいているということが許されるのかどうか。しかも、沖繩という特殊な——「特殊な」というのは日本の本土とはまた違った——形の中に置かれている労働者に対してそれはどうなのか。こういうことについて御意見を承りたい。
○国務大臣(山中貞則君) 私が、基地がなくなると申し上げたのではなくて、おわかりのようではありますが、誤解があるといけませんので、全軍労の闘争方針と申しますか、そういう組合運動の方針を、「解雇者の完全撤回」というようなことのスローガンから「基地の撤去へ」というスローガンへ切りかえていかれるような情報を聞いておるということを申したわけであります。 私はいま、基地の完全撤去に対しては私自身が沖繩担当大臣としてそういう方向をとっているんだというふうに話したつもりはございません。なお、そのことを前提にしても、なおかつ、現状というものが非常に困った問題であるということについては、私も同じような認識を持っておりますし、これがもし本土に返ったあとでありますならば、このような現在起こっておるような解雇の状況——あるいは解雇を発表したり、取り消したり、また追加したりするような一貫性のないことは行なわれないであろう。ここらに、やはり雇用制度の問題にどうしても日本政府あるいは琉球政府というものが中に入っていかなければならないし、そして、それらの権威ある立場をもって軍従事者の諸君の立場の表明を受け止めてあげるという機関の設置がどうしても必要であるということを考えておる次第であります。
○小林武君 もう時間が来ましたかうこれでやめますけれども、一つ、このことはどうお考えですか。きょうの新聞に出ているあれですがね。これ、読売新聞だと思いますけれども、その記事の中に、これは記者の署名の入った記事ですかうね。その記事の中にこういうことが書いてあるんですね。「本土政府はストのきっかけとなったさる七月末の五百余人の解雇発表のその日に、いち早く離職者の退職金上積み分を払う意向を明らかにしたあとは、ストが終わるまで一切ノーコメント。ひたすら「静観」の態度を守り続けた」、これは、先ほど来私が言っているように、当事者能力がないと言を左右にしている相手方を持っている労働者に対して、沖繩返還を目の前にして、このくらいのことを一体日本政府で黙っていなきゃならぬというようなことが理解できない。だからこのことはこの記事の中にも、あうかじめ日本政府が解雇を承認している、日米両政府の共同の首切りであるとさえ感じている。まさに私はそのとおりだと思う。今度のストライキというものに非常に暗い面があるというのはその点だと思う。どうにもなりませんというようなことであるならば、もし外務大臣並びに長官がそういうことをおっしゃるのであれば、私は、今後沖繩返還に伴うさまざまな問題で、やがてそういうことを再び政府自体の口から聞くということになると、これはたいへんな事態が起こると思う。こう考えるのですが、どうしてそんなに沈黙を守り、一切収拾の道なし、沈黙を守ってこれを見詰めるのみという、そういう態度をとるということは、私は非常に間違っていると思う。だから、私はもう一つ注文したい。今後そういう問題について政府はどういう態度をとったういいのか。いわゆる日本政府並びに沖繩の琉球の政府がその中に入り込んでいってどういう手だてをとるかということについて、長官は意欲的にこれに取り組むという御決意があるのかどうか。その点をつけ加えてひとつ御答弁を願いたい。
○国務大臣(山中貞則君) あなたがそこまできめつけられるなら私もはっきり申し上げます。それは、事前にわかっていたのは私だけじゃありません。全軍労の上原委員長も屋良主席も、何名を、何月何日何時、解雇発表をするということは、公表しないという約束でもって通知は受けているはずです。したがって、私だけが知っていたわけでもなく、日本政府だけが知っていたわけでもないのです。しかし、それはどうにもならない。これは現実のことであって——のことがいい、悪いは御批判にまかせますが——したがって、前回は主席も上京され、上原君も上京されて、そして私の部屋へも、その他あらゆるところを陳情して回られて、やっと、特例の措置であったけれども、従来の本土並みとの差額を支出することにたいへん苦労して実現することができた。しかし、今度は主席も上原君も上京してこられませんし、事前にそのことは知ってもおられるわけだし、そして本土政府が差額については見てくれるであろう、残るものは雇用制度の原則の前進の問題だということでおられたことは私もわかっております。でありますから、直ちにその発表と同時に私はその財源上の措置をしたということで、早くやったかうけしからぬということなら、私もそのことはしかたありませんから、じゃ今後もっとおそくしますという答弁をしてもよろしゅうございますが、しかし、今回の処置にしても、私の得た情報では、ストに突入するにあたって、全軍労は、おそらくわれわれはこのストにおいてかちうるものは何もないであろう、しかし、われわれは戦う姿勢を続けなければ今後がなお不安なんだということをはっきりと鮮明にして闘争に入っておられると私は受け取っております。
○小林武君 なかなか挑戦的な御答弁ですがね。
○国務大臣(山中貞則君) いえいえ、はっきり申し上げます。
○小林武君 あなた、やっぱり労働者の気持ちというものをほんとうに知らないようですね。上原委員長がこれは知っておったということ——それは知ってるでしょう。われわれとしても、もしそういう場合に立ち至ったら、あらゆる情報を収拾して、どんな事態が起こるかということを知ろうとするのは当然です。知り得ないのはやっぱり能力ないということになるでしょう。しかし、これは、全軍労の諸君が知っていたかう、そういう状態を承認したということではないのです。そういう状況を知るということは、いかにしてこれを一体食いとめるかということ、将来においてこういうことが続けざまに起こるということのないようにするにはどうしたらいいか、こういうことが一体労働者側の考え方ですわね。確かにいろんな困難な状況がある。上原委員長が言ったというような記事を見るというと、いわゆる取るもののない闘争である、戦うことだけで得るもののない闘争であるということを言ったとかいうことが新聞記事に書いてある。しかし、それだけに悲壮なんだ。そういう事態に、私の言いたいのは、それらのいろいろ事情があるのかどうか知らぬけれども、退職金の問題だけで、私は政府が何らかの努力をそこに示さないということについて問題があると、こう言うのですよ。しかも、私の考えならば、基地という問題は今後もとにかく存続するだろう、むしろ強化されていく、ある面で。その中でこの種の労働者との問題というのは絶えないのでず。そういうことであるならば、少なくとも日本政府は積極的にこれに対して——聞く聞かれないは別として——発言するあれがあるんじゃないか、また、それだけの要求をしてもいいような日本政府には義理合いがあるんじゃないか、私はそう思っている。とにかく私はあなたに、これからは退職金を早くやればぐあい悪いからおそくやれというようなことを言ってもらうために言ったのじゃないですかうね。そんなことだというと、私は承服できぬ。これで、あまりひどいことを言わなければ、やめるつもりです。
○国務大臣(山中貞則君) まあ、挑戦的といったってお互い国会議員ですから、そういうつもりで言ったんじゃないので、本来はそういうことは伏せておくべきことだと私は思っていたのですが、しかし、日米共同謀議による首切りだというようなふうに言われますとそれは困るので、上原君が全軍労の指導者として当然の努力で大体予知していたということでなくて、米側かう上原君が呼ばれて、具体的に、こういう時期にこういう人数をやるつもりであるという通知を受けておるということを申し上げたわけです。しかし、私はそんなささいな問題を議論してもしようがないと思うのです。公にしたことも私に責任があるかもしれません。そのことはあえて責任はとりますが、しかし、そういうあげ足とりを言い合うのではなくて、やはり沖繩において、私たちが直接日本政府としてめんどうを見てあげられない地域で、同じ日本民族が、いくさに負けたからといって、施政権を軍政という形で取られておる中で、しかも、直接それの労働に従事しておる、その人々の置かれた苦境であるということは、これは党派、立場を越えて私は心痛しておりますし、いつでも上原君が来られたときはほんとうに打ち割って話をしておりますし、私自身も、公式に発表できない会合においても、このようなことのないような円満な運営こそ基地機能の本来の維持である、周辺の住民の協力、理解も得られず基地の機能が半減するならば、その基地で働いてくれておる現地の人たちの理解がなくて反発があるならば、その基地はもうゼロにひとしい、こういうことまで言っておるくらいであります。私も気持ちにおいては変わるところはありませんので、私のことばが過ぎておりましたら、今後はそんな、ああ言えばこう言うといろあげ足とりの話は一切やめることにいたします。
○小林武君 終わります。
○三木忠雄君 時間も制約されておりますので、何点か総務長官に伺いまして私の質問を終わりたいと思いますが、沖繩の復帰対策の大きな問題は私は土地問題ではないかと思うのです。この問題については、本日は時間の制約の関係で大筋だけを総務長官に伺って、次回の委員会で私は細部にわたっていろいろ詰めてまいりたいと思っております。特にきょうは、沖繩の旧国有地あるいは県有地の問題がどのような形で日本側に引き継がれてくるか、その過程について伺いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これは最終的な期限からいいますと、日米が復帰協定を調印したというときに最終的にはっきりすると思いますが、その方向は、旧国有地は国、旧県有地は沖繩県に帰属することは明確であります。
○三木忠雄君 そこで、七二年の返還は明確でありますが、現在、琉球政府あるいは那覇市等においては非常に困っておる問題が数多くあるわけです。たとえば一例をあげますと、那覇市に教育施設あるいは公共施設を建てようと思っても、本土並みから比べてみれば、三分の一、四分の一で、非常に不足を来たしているわけです。ところが、本土からいろいろ対策費をもらいます、あるいは援助資金をもらっても、こういう教育施設一つ買おうとしても、土地購入をしようと思っても、現在那覇市には土地がないわけです。しかしながら、いいところはどこにあるかといえば、米の軍用地がある、あるいは米民政府が指揮権を持っておる、管理をしておる、こういうふうな事情で、実際に金はあるけれども土地購入まで及ばない。こうして公共施設の建設が非常におくれているという問題が数多くあるわけです。したがって、七十二年の返還前までに、こういう問題についての、せめて県有地あるいは国有地の使用権は認められるだけのその意欲を持って日本政府は当たるべきではないか、こう私は考えるわけでありますが、どうでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) それは同感であります。私も、単に那覇市のみならず、たとえば渡嘉敷にミサイル基地がございまして、四十万坪のりっぱな兵舎、給水、発電等が完備したまま撤去されたあとがあき家になっております。わずかに米軍管理者一名と現地雇用者三名をもって、ただ管理しているというだけの施設がありますので、これをぜひ来年度予算で「国立青年の家」にして、沖繩の青年諸君並びに将来は日本じゅうの青年諸君が——そのすぐそばは集団自決の谷でもございますし、そのような民族の悲劇の行なわれた場所をしっかりと意識の根底に踏まえた「青年の家」というものができて——そこで研修できればどんなにいいだろうということで、その問題は米側と、復帰の財産引き継ぎ、そういう資産引き継ぎ等と別なケースとして、来年度予算として私のほうはそこを「国立青年の家」の敷地に使いたいからということを、これは一例でございますが、いま公にしていいかどうかこれも問題があるかもしれませんが、そういう交渉もいたしております。 他面、那覇市は、戦場の荒廃の中に、みんながばらばらに、かってに住みついたままで都市が形成されていきましたので、都市計画らしきものは何も存在していない。いまやろうとすれば、膨大な買収費を払いながら、民家をつぶしながら、道路一本でも非常にレイアウトに苦労しなければならない、まことに気の毒な超密集状態にあります。市長も、軍用地の問題は別にして、自分ででき得る範囲の努力をしようとして、沖繩は御承知のように門中意識その他がありまして、墓を移転するとかこわすとかということは大問題なんですけれども、しかし、それでも市長は勇敢にその問題と取り組んで、墓地等の移転について都市計画、児童公園費等をつけてくれ、それによって自分は勇敢にやるから、というようなことを言っておりますし、来年度予算でぜひこれを助けてあげて、緑地公園、児童公園等ができるようにしてあげたい。候補地も一、二カ所あるようであります。 そのほかに、皆さんも私たちも感ずる、あの密集地域の中の、広大な緑の芝生が展開をされた米軍の宿舎というようなものは、やはり感情的にも、もう那覇市の中枢部にいつまでもおっていいかどうかということは、だれでも考えることであります。これはアメリカもまた考えてほしいことの一つだと思いますから、これらは今後外交交渉を通じて、そしてこれらの代替施設の提供等もやはり必要でありましょうから、防衛施設庁等も防衛庁の立場でその話し合いに入りながら、復帰の全面的な基地の態様の取り扱いとは別個のケースで、次々と必要なものは私たちのほうで要求して米側にそれを認めてもらっていくという態度をとっております。しかも、それはなるべく、県民の所有者があって入り組んだ権利関係になっていない旧国有地——たとえば渡嘉敷島は旧国有地でありますから簡単でありますから、そういうやりやすいところから片づけていきたいという気持ちを持っております。その交渉はすでに続行中でございます。
○三木忠雄君 それで、具体的な問題として、たとえば那覇市に松山町というのがありますが、その土地が二十年契約で米業者に又貸しをされているわけです。国有地でこういう問題が何カ所かある。これはきょうは時間がありませんので申せませんけれども、米軍が沖繩の県有地を又貸しをし、二十年間の長期契約を結んでいるわけです。そこは何に使っているかといえば、しょうしゃな幹部の住宅。非常に広い土地を使って、だれが見ても非常に不快の念を抱くような、そういうような問題がこの那覇市に一つの現実の問題としてあらわれているわけです。したがって、今後、七二年の復帰まで、その以前において、米民政府が管理しているところのこの土地をまた米業者に又貸しをするのではないか、こういう例が私は数多くこの二年の間に出てくる傾向があるのではないか、こう考えるわけです。こういう問題について、この二年間はもう又貸しはしない、こういうようなものを米民政府に強力に申し入れる必要があるのではないか、こう考えるわけでありますが、どうですか。
○国務大臣(山中貞則君) ただいまお話しになりました個所についても、私も現場に行ってよく承知をしておりますが、これは米民政府としては、民政府の管理の権限は、日本もしくは琉球政府に移転された場合には、その効力は消失するということになっているようであります。しかし、それがなるべく継続されるようにアメリカとしては努力をするというただし書きはついているようですけれども、原則は、自分たちが管理をしている間だけの権利であるというふうに明確になっておりますので、いまはそうでありましても、これから与えられるものというのは、そういうことは前提としてあり得ないと思いますし、かりにあったとしても、その権利は昨年十一月の佐藤・ニクソン会談以降のものとして明確に本土の法律のみで処理していく、その既得権は認めないという方針で進むつもりであります。
○三木忠雄君 そうしますと、たとえば米業者と米民政府との間に契約がかわされている、この契約を解除した場合のその相手業者に対する損害補償金とか、そういう問題で非常にこじれてくる問題が数限りなく出てくると思うのです。こういう問題については米側に責任をとってもらうか、あるいは日本政府はこの問題に対してどう処理していくか、この点、ひとつ伺いたい。
○国務大臣(山中貞則君) アメリカ側も、米資産並びに米関係の各種権益の擁護について配慮してくれということを申し入れておることは、報道その他によっても、あるいはいままでの質疑応答によっても御承知のところでありますが、しかし、それらのものは、本来の所有権者たる日本国政府並びに沖繩県というものの意思によって貸与したものではありませんから私は、原則としては、そのようなものの権利消滅に伴う補償というようなものは起こってこない、かりに起こったとしても、それは本来は補償すべからざるものとしての取り扱いで議論すべきであろうと考えております。 おかしな現象で、たとえば宮古の旧日本軍が強制収用した飛行場あとを民政府が管理をしておる。これは負けたのだからやむを得ないと言えばそうでありますが、それに対して黙認耕作をさせて小作料を取っておる。一体、その小作料を取る権利まで向こうにあるのかどうか。これは返るときには、取り立てた小作料は返してもらうということはアメリカに言って言えないことではないと思いますし、そこらの辺はやはりきちんとした姿勢で臨むつもりでおりますが、しかし、そこらの問題になりますと、私の意見は意見として、アメリカの財務省並びに日本の大蔵省という立場の本来のルートがございますし、外交交渉等もありますが、たてまえはその主義でいくべきだと思っております。
○三木忠雄君 土地の問題と関連して林業ですね、国有林の問題等については、先般米民政府から復帰前にこの林業管理を本土政府に譲渡する、こういうふうな話が通達で出ざれた、こういうような話を伺っておりますが、この点について伺いたい。
○国務大臣(山中貞則君) 明確に「復帰前」とは言っておりませんが、復帰までの間の作業過程の一段階、二段階という中にそういう時期があり得ることを示しております。私どもはなるべく早いほうがよいと思っておりますが、その場合においても大体もう旧国有地の九〇%以上はこれは旧国有林でございますから、ほとんどその問題が解決されるであろう、その際において方針はやはり変わりはないということです。
○三木忠雄君 時間があまりありませんので、沖繩の民生施設あるいは医療施設というものは本土と非常に格差があることは、もう総務長官からもこの間のいろいろ答弁で伺っておりますが、特に私はここで伺っておきたいことは、復帰後の具体的な問題として、この沖繩の三大病といわれているハンセン氏病あるいは結核、あるいは精神病の病院等は、復帰後は間違いなく国立の病院として移管になるのかどうか、この点についてまず伺いたい。
○国務大臣(山中貞則君) 全部と言われますとあれですが、たとえばハンセン氏病のらい療養所等は全部国立にしたいと思っておりますし、あるいは、新那覇病院等はこれは琉球大学の附属病院になりますからもちろん国立の施設になります。しかし、中部病院は県立病院がよいのではないか。いろいろの種分けがあろうかと思いますが、精神病院等についても、国立でしかるべきものと、そうでない、民間の施設か協会等が運用するものであって、それが正常な姿で、今後もそうあってしかるべきもの——とに分ける必要があると思います。原則はしかし、やはりそういうものは国立の療養所、病院として、国が責任を持って、本土のハンセン氏病あるいは精神病あるいは結核等に比べて非常に多い。その事実を私たちは二十五年間見て上げられなかったという事実のもとにとらえるときに、一義的には本土においてめんどうを見るということが原則であろうと思っております。
○三木忠雄君 先般私もハンセン氏病の病院に伺いまして、いろいろ要望を受けたことがございます。その中でいろいろ厚生省あるいは各役所関係からも数多くこういう施設を訪問されるわけでありますけれども、特に強い要望があったのは、この時点においてやはり役所の方たちも数多く来ていただくのはけっこうでありますけれども、やはり医者を現実に一カ月でも半月でも、その一行の中に、実際にハンセン氏病関係の医者とかあるいはそういう関係の医者を現地に派遣をしてもらえないか、こういう要望が非常に強かったわけであります。こういう意味において、総務長官もこの点については十分御存じだと思いますけれども、実際に医師のいままでの派遣の問題でも、定員が二十五名中十名しか行っていない、あるいは歯科医師でも三人のうち二名しか行っていない、こういうふうな現実でありますので、やはりこの問題について、もう一歩総務長官として、この沖繩問題について力を入れていただいて、そうしてこの復帰までの間にこういう問題について医者を積極的に派遣をし、その復帰後の不安に備えてこの問題に対処していただきたいと、こう強く要望を受けてまいったわけでありますけれども、この点について御答弁を願って私の質問を終わります。
○国務大臣(山中貞則君) 方向は全く同感でありますし、派遣医につきましても、これまでは本土派遣医ということにいたしておりましたものも、実質的な予算はこちらからつけて琉球政府が招請をするというふうに切りかえておりますが、実質は御指摘のように、医師の充足がなされていない。予算で認められた人員すらも充足されていないという状態でありますので、医介輔、歯科医介輔等の人々に先般現地でお願いをしまして、私たちのほうから、診療所があってお医者さんがいないところ——西表島の東部地区とか、特殊な離島とかあるいは僻地とか、そういうところにぜひ医介輔の人々に快く聞き入れてもらった背景もございます。しかし、たとえばハンセン氏病についても特別に今後何かをするかという問題でありますが、厚生省のほうで御報告することがあるそうでありますので、私としては全面的に賛成であるということで、厚生省に補足の説明をさせていただきたいと思います。
○説明員(竹内嘉巳君) 若干補足させていただきますが、いま御指摘のように、専門医の派遣が定員としては予算上二十五名おりますが、御指摘のように、十分にいっていない。また、現にらいの場合におきましては、宮古の南静園に現在一人行っておりますけれども、本土におけるらい療養所の医師数もどちらかというと不足ぎみの状態の中で、なかなか適任者も得にくい状態でございますので、厚生省といたしましても、できるだけこの医師が切れるということは絶対に避けるように、ただ、御指摘のように、十分という段階に達していないということにつきましては、私どもたいへん残念に思っておりますけれども、できるだけいわば給与面等につきましても、ただいま総務長官からお話がありましたように、財政的な面につきましても、琉球政府当局のほうからもさらにつけ加えていただくと申しますか、そういう形で給与等の措置をさらに向上することによって、医師の充足を積極的に今後もはかってまいりたい、かように考えております。
○向井長年君 外務大臣も見えたようですし、総務長官への質問時間もありませんので、三、四点、簡単に質問いたしますので、御答弁願いたいと存じます。 琉球政府がさきに立てた長期経済開発計画、この問題について、特に本年度の計画では、年平均千億円の本土からの援助額を必要としておると思います。そういう中で本年度はこの予算をどう立てられるのかということがまず第一と、それから、こうした復興計画を推進する上では特別措置法というものが必要ではないかと思うのです。そうであれば、次の通常国会で——あるいは臨時国会になるかもしれませんが——特別措置法を提案される意思があるのかないのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府が相当、昨年八月から長時間をかけて作成いたしました長期経済計画、これは問題点もいろいろ含んでおります。たとえば、復帰の前の年を初年度として計画されておる。したがって、本来の内地の一県並みの取り扱いができない。制約を受けた時点が第一年度である。この点がたいへん私としては困っておるわけですが、その点とか、あるいは本土の新全総に伴う計画との平氏が合っていない。年限において、時点において合っていないという問題等もございます。しかしながら、直接努力をされました企画局の企画部長以下の十名余りの若い第一線の熱心な諸君と時間をかけて議論しておりますうちに、その懸命な努力というものに私は胸を打たれまして、何も修正をしないでそのまま受け取ろう、諸君の誠意を受け取ろうということで、私、受け取りました。それに従って、今後なるべくその内容に沿うようにしていきたいと思いますが、ことしの予算——すなわち来年度の要求の姿勢だということであります。まあ、一千億ということでいかなきゃいかぬということですけれども、制約された出発が初年度に当たっておる、環境がどうも思うようにいかないということもありまして、金額の点はいまここでちょっと、琉球政府の長期経済計画、初年度の計画による裏づけの本土の予算措置というものと、おそらく今回四十六年度予算としてわれわれがセットしなければならないであろう予算と完全に一致することは困難である、こういうふうに考えております。さらに、おそらく通常国会に作業が間に合わないと思います、これは外務省の返還協定の問題とやはり一緒に並べて御検討いただいたほうがいいと思いますから。とすれば、場合によっては臨時国会というものを開かなければならないかもしれませんが、沖繩復興開発特別措置法というものに全般的な特例措置等まで織り込んだ、構想のすべてを織り込んだ法律を提案するつもりでおります。
○向井長年君 時間がないからほかの問題をやりますが、八月十五日の朝刊で報ずるところによると、在沖繩米人の商工会議所の会頭はこういうことを言っておるのですね。米人の経営者は全員、復帰後でも沖繩でそのまま企業を行なっていく、こういうことを言っておるのですが、本土の既存の外資法については適用されない、こうなっております。これらの法的根拠ですね、これは日米共同声明の第九項で述べられているが、これについてどう考えておられるのか。その点、お伺いしたい。
○国務大臣(山中貞則君) これも先ほどの米軍資産の貸し付けの問題、旧国有地の貸し付けの問題と同じで、佐藤・ニクソン会談の日以前のものは、これはある意味の既得権があると思いますが、それ以後のものは、たとえばガルフ等が本土のどこかの石油資本と提携しないままで復帰を迎えたといたしますれば、営業を禁止はいたしませんが、かねがね私が申しておりますフリーゾーン操業しか認められない。原材料を無関税輸入して加工して、そして製品を日本国内を除く他の外国に販売していく以外にないということで対処していきますので、いまの既得権の中で、本土の外資法も自由化のほうに進んでおりますし、残存輸入制限品目も来年度西ドイツ並みの四十品目まで減らそうという努力を各省一致して作業をしておりますので、受け入れる私たちの現在の条件もどんどん変わるわけです。それでもなおかつ、受け入れの時点で、本土の外資法なりあるいは残存輸入制限品目に明瞭に抵触するものは、やはり本土法を前提に置いて、それに対して既得権の扱いをどうするかという順序で議論していきたいと思います。
○向井長年君 沖繩返還までに相当いろいろな作業がなされなければならないと思いますし、現在もしておられると思いますが、大体、一番大きな課題、問題点ですね。ただいま作業している中でどういうものがあるのですか。
○国務大臣(山中貞則君) 一番大きな問題はやはり沖繩復興開発特別措置法であると思います。——ばく然とし過ぎますか。
○向井長年君 いや、それが私たちが言いたいところなんですが。
○国務大臣(山中貞則君) それが一番大きな問題だろうと思います。それだけに、それに一番情熱を注いでおります。
○向井長年君 それだけに、具体的にその問題についていま検討されておると思いますが、先ほどそれに基づいて長官は述べられたと思いますが、こういう問題については、積極的に沖繩の復興のために予算化、法文化する、すべてこれはそろえてやらなければいけないと思いますが、この点はどうですか。
○国務大臣(山中貞則君) たとえば一例をあげますれば、本土において考えられない。たとえば考えられるとしても北海道東北開発公庫くらいしか地域の金融機関はありませんが、沖繩については現在は民政府が持っているガリオア資金を主体とした開発金融公庫、これを復帰後はその沖繩復興対策特別措置法の中にしますか、単独法にしますか、沖繩復興開発金融公庫というもので沖繩県のみに融資するという政府金融機関をつくるということについて大蔵省とほぼ内々の打ち合わせを終わっております。こういうようなことを中心にして、本来ならば考えられない各種のケースについて、少なくとも沖繩県経済の、あるいは国民一人一人の生活が復帰という喜びの裏に与えられた逆の打撃があることを最大限排除するために、法律にしても千何百という法律を全部洗っているというところであります。
○向井長年君 まだ残っているけれども、外務大臣が来ているから、外務大臣への質問が長くなりますから、これはまたの機会にします。
○春日正一君 簡単に長官に一つだけ。 例の渡航の問題ですけれども、この問題、私は沖繩の祖国復帰一体化の一番大きなかなめの問題だということで、この委員会ができてからも、初めから繰り返しそのことを質問し、問題にしてきたわけです。特に国政参加の選挙が迫っているということで、七月のこの委員会でしたか、このときもこの問題は質問して、長官も、努力するということを言われたのですけれども、その後どういう努力をされてどういう結果になっているか、簡単にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 日本本土側といたしましては、沖繩に対する渡航のあらゆる面について半自動的に承認されるように何のチェックもいたしておりませんし、書類の形式に至るまで最大限の簡略な形式を整え、しかも、往復旅券、数次旅券等においても最大限の適用拡大の努力をいたしておるところでございます。しかし、一方、入域許可の米軍側現地側、なかんずく公安局が直接持っております入域許可に関するチェック、この点は、先ほど小林委員からおしかりを受けましたが、例の軍の労務者に対するアメリカ側の姿勢と似たようなものがある。むしろそれよりか強い姿勢をアメリカ側が示しているようであります。一体いかなる根拠で、そういうようなチェックを公安局の主導性によってそれが自動的に日本に通告されるだけだということで、こちら側が自動的に全部チェックしていない出国者が入国そのものをチェックされるという事態であるのか。これらの点は、春日先生のほうの関係の御要望もございましたので、私のほうで再度具体的なそういうようなことについての返答——私たちは全員を受け入れてほしいと思っているのですが、それをなおチェックを続けられる理由、そういうようなものについて回答をもらうようにいまいたしておるところであります。いまのところ回答が参っておりません。
○春日正一君 そういう努力をされても、まあ無視しているというか、非常にがんこな態度をとっている。特に国政参加の選挙もあと一カ月もすれば告示になるというような時期に来ておりますから、そうして選挙の関係では、この前も言いましたように、公平に全部受け入れるということにならなければ選挙そのものが不公正なものになるという意味で、この法律を通すときにも衆議の本会議で渡航の自由についての附帯決議もつけておるというような問題ですが、ところが、実際には、私どものほうの「赤旗」でもって「国政参加選挙の取材」ということをはっきり書いて玉名の記者を九月の二十日から十一月二十日まで沖繩に行かせたいということを申請しておるわけです。申請したのは八月二十八日ですから、もう二週間経過しております。まだ何とも言ってこない。これはあまりひどいじゃないか。アメリカ・デモクラシーというものはそういうものなのか。選挙の取材ですね。もろ始まっておると言われておる。告示は一カ月だ。そのときに取材にやろうという者さえ入れないというようなことが許されるのか。そういう意味では、取材の記者の問題もそうだし、それから、応援に行くという人たちの問題もそうだし、国会の附帯決議もあるわけですから、政府としてその点は厳重にアメリカに談判して、どうしてもこの道はこじあける。こじあけなければ国会の決議が貫徹させられないようになるし、選挙が不公正なものだという汚点を残すということになる。だから、その点はこれは長官にもぜひ強硬に押していただきたいし、それから外務大臣もおいでですから、これは私、御答弁要りませんけれども、この問題ではぜひ選挙が公正に行なわれるように、厳重に申し入れをして、打開するようにしていただきたいと思います。 これで終わります。
○国務大臣(山中貞則君) 私としては、いままでもずっとそうしてきたんですが、これは許されるであろうかという問題よりも、現実に向こうが許さないという事実があるわけですね。ただ、選挙の公正ということは、選挙の立候補者と運動員とそして選ぶ者との間の関係が公正に行なわれておれば、それは選挙が不公正であるとは言えないので、問題は、その離れておる沖繩で行なわれる選挙に際して、本土からの応援が一方の党は、無条件と申しますか、大ぜいが行ける、ある党はあまり大ぜい行けないというようなことで問題があるとおっしゃっているのだろうと思うんです。私も確かに問題があると思います。思いますから、そういうことのないように、こちらのほうでほ何の条件もつけてないんですが、施政権の裏であるという考え方もある程度向こうは持っておるようでありまして、非常に壁が厚いということで私も苦しんでおりますが、しかし、それが直ちに向こうの選挙民を拘束したりというものになっていないということだけは、これはもう御承知の上のことなんで、私が言うのはやぼなことですけれども、そういうことではないのだ。しかし、われわれとしては、やはりもう復帰を目前にして最初の国政参加選挙に何らの制限なく、外からも内からも対等の扱いをしてしかるべきだと思っておるわけであります。しかし、そこらのところが、選挙の応援のためにとか、あるいは選挙の取材のためにとかいうことを書いたことで、かえってチェックしているのじゃないかと思う節もあったり、なかなかわからぬのですね。なぜやっているのか、この点、私もたいへん弱っております。
○小林武君 外務大臣にお尋ねいたしますが、八月二十七日の参議院の外務委員会の際に、森元治郎委員の質問の中で、外務大臣から、「三七〇ページぐらいの質疑応答の議事録」、これはジョンソン証言に関しての質疑応答の議事録、あるいは添付書類があるわけであるがこれはいま手元にはないと、しかし、一両日中には全部入手できる見込みであるというお話がございましたが、これはもう入手したのでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) その答弁をいたしましてから、数日後に全文入手いたしました。
○小林武君 入手して、かなりまあその際に、十分検討した上で答弁をしたい、いまの段階一はそう詳細にわからぬというような意味の御発言があったと思いますが、そういたしますと、それを十分熟読されても、やっぱりいままでの外務大臣の御答弁のように、あるいは外務省の見解のように、変化ございませんでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) このサイミントン小委員会の議事録は、入手いたしまして、それから印刷をいたしまして、御参考に配付いたしておりますから、お手元に行っておると思いますけれども、これを詳細に検討いたしましたが、大体、二十七日でございましたか、参議院外務委員会で私から御答弁をいたしたり御説明をいたしたことと変わりございません。
○小林武君 削除個所というのが、何か、前の日本でいろいろ新聞等で報道された中にはあるわけでありますが、この削除個所というのは、今度の場合は明らかになったわけですね。どういう点が削除個所ということになっているか、その削除個所の内容について、ひとつ。ほかのことは大体日本文のを読んでいますが。
○国務大臣(愛知揆一君) 議事録はそのままお届けをいたしておるわけでありますが、その中にも削除個所がある程度あるようでございます。しかし、その削除の内容は、秘密委員会のアメリカの上院における取り扱いでございますから、削除個所の中身は、私どもとしても知る由はございません。
○小林武君 そうしますというと、大臣が全文入手ということをお話しになったのは、必ずしも、削除個所がない文章という意味ではなかったわけですね。そういうことですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これはアメリカの上院で発表されましたその全文といろ意味でございますから、削除分については、私どもも入手するに由なきわけでございますから、いまお届けいたしましたものがそのまま、私の当時言っておりました、入手できましたら云々と申しましたその全部でございます。
○小林武君 その文章まだ見ておりませんし、見ても、どうもその、翻訳された文章でないというと、とても詳細にわかるようなことはないと思います。これはあれですか、外務省としては翻訳をして配付するというようなことはやらないつもりですか、やるつもりですか。これは局長にちょっと伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) ごらんのように、なかなか長文のものでございますし、こうした種類のものを一々翻訳いたしましますことも必ずしも慣例にございませんので、とりあえずそのままお届けいたしたわけでございまして、内容的には、先ほど申しましたように、大体伝えられておることと同じ趣旨でありまして、まあ、特に翻訳をしてどうというほどのこともないかと、ただいまのところは考えております。
○小林武君 このジョンソン証言について、受け取り方というのは、やはり外務省と、一般国民——と言っていいと思うのですが、この間の受け取り方については雲泥の相違とまで言いたいくらい変わりがあるわけですね。これは日本語で読んでいるわけですかう、日本語で読んでいるのと、もう一つは国会の中で議論された速記録、その際にあらわれた政府の答弁、そういうものを見ました場合に、外務大臣のいままでの御答弁で全く変わりがないというようなことは、これは了承できないわけです。ちょっと変わりがあるだろうというようなことが、この間わが党の羽生三七さんとそれから自民党の山田さんが対談をなすったのが新聞に出ておりますが、その中で山田さんが言ったことの中に、若干違うというようなことを言ったのは、沖繩返還反対、安保条約上の義務に対する不満というのがアメリカの世論の中に——そこらあたりは表現どおりじゃありませんけれども——ある。そのアメリカ世論を唱える人たちに対して、ジョンソンは、上院においてこれを納得させるための証言をした。日本には日本のそれぞれのお家の、家庭の事情がある、アメリカにはアメリカの家庭の事情があると、こう言われた。これはまあ政治家は無責任な発言をするというわけではありませんけれども、政治家というのはわりに乱暴な表現を使う。しかし、山田さんは元の外務事務次官だと、そんなふうに書いてあります。いわば職業的外交官であります。その人の発言だから、私はやはり多少そこにはちょっと開きがあるということを事実認めなければならない。ただし、そこにお家の事情があるとか家庭の事情があるというなら、日本にもあれば、向こうにもあるということで、これは公表されたことですから、こういうことになると、やはり私は必ずしも、「全く同じでございます」というようなことを言われないのじゃないか。後ほど多少それに触れますけれども、どうなんでしょう。これは外務大臣は、あれでしょうか、この支章、証言の内容をごらんになって、全くいままでの国会の中における議論、そういうもので述べられた答弁と一致しておると、こうお考えになりますか。私はどうしてもそれが納得いかぬのですが。
○国務大臣(愛知揆一君) いまさら申し上げるまでもございませんが、日米間の合意は共同声明でございまして、これ以外には何にもございませんことは、この共同声明ができましたときから御説明しているとおりでございまして、これは日米両方ともその点については国民をあげて信頼を寄せられていると私は確信いたしているわけであります。事実、そのとおりでございます。したがって、合意された文書について、当時から私は私として申し上げておりますが、共同声明ができてからさっそくに「外務大臣説明」というものをつくりまして、そしてこれをワシントンにおいて内外に私としては公表いたしたわけでございます。したがいまして、この私の「説明」として文書として配りましたもの、これが有権的な解釈である、私はかように思いますし、同時に、このサイミントン委員会におきまする証言あるいは質疑応答の中をずっとしさいに見てみまして、この共同声明の本旨とするところについての食い違いはないということを私は確認いたしておるわけでございます。たとえば、ただいまおあげになりました自民党の山田久就君からも、衆議院におきましては、外務委員会においても沖繩特別委員会におきましても質疑がございまして、これに対しても私から十分説明をいたしまして納得をいただいた、かように私は確信いたしております。
○小林武君 どうも、ジョンソン証言というものを見て、これは総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明と全く同じである——もっとも共同声明その毛のについて議論されましたときには、それについて、同じ文章についてもかなりのそれぞれ異なった見解に立って政府と議論されたことも、これは御記憶にあると思いますが、これとそれからジョンソン証言とを全く同じに外務大臣は読まれますか、どうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 共同声明についてアメリカが、ニクソン大統領によって合意されたものであるということについて、それを前提にして、これについていろいろの質疑がありあるいは証言があったというのがサイミントン委員会の議事録でございますから、この共同声明というものについて日本側と合意ができているということは大前提でございます。ですから、共同声明に掲げられてあることと違ったことが説明されるはずはないわけでございますね。その点はまず第一に明確にしておかなければならないことだ、かように存じます。
○小林武君 まあ、ここまで来ますというと、これはもう議論にならぬような議論になりますけれども、私の見た限りにおいては、このジョンソン証言というものは、少なくとも、何といいますか、共同声明の隠された部分というものがずいぶんここに出てきたと、こう見ているのでありますが、そうでないと言い張るということになると、これはなかなか水かげ論でございまして、しょうがありませんから、一つ具体的なことをお尋ねするわけです。 ジョンソン国務次官の冒頭証言の中に、ずっと前のほうは読みませんが、「アメリカが公海上で困難に遭遇している米艦艇ないし飛行機の救援あるいは護衛に、日本にいる米艦艇ないし航空機を使用する必要があると感じた場合、日本は事前協議を必要としないものと考えると確信している」、これは一致した見解の共同声明と全く一致した見解でございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) そのくだりは、EC121の問題に関連したくだりかと思いますけれども、この点については、当時−昨年の四月の二十何日だったかと思いますが、衆参両院の本会議における佐藤総理大臣の答弁も、その中で引用されておりますように、かねがね合意されております。安保条約第六条交換公文に基づく了解に基づいて、日本の提供した基地から戦闘作戦行動として出撃する場合には事前協議の対象になるが、いまおあげになりましたものは事前協議の対象にならないということは、日本の総理大臣からも本会議場で明白にお答えしているとおりでありまして、これは運用上の問題でございますけれども、一致していることが、そのサイミントン委員会におきましてもはっきりしている、かように考えております。
○小林武君 もう一ぺんいまのことを確かめますけれども、この場合は、ジョンソン証言というのは、ずっと日本の見解とは一致している、こういうことですね。
○国務大臣(愛知揆一君) 一致しております。
○小林武君 それから、この冒頭証言の中にございます「軍事的脅威」ということについてひとつお尋ねしておきますが、「米政府は日本当局との間で日本の安全保障に対する最大の脅威が朝鮮半島に続いている緊張にあることで一致している。北朝鮮は直接日本を脅かさないが、同半島を共産主義者が支配することは、日本の安全保障上の利益をそこない、大国介入の恐れのある朝鮮紛争は明らかに日本自身の安全に響く」。もう一つ、「アジアにおける日本の役割」、「日本は隣国の安全保障に対する約束をなにもしていないが、日本は共産主義ではない韓国と国府を維持することによる安全保障上の利益を認識している。日本の世論はこの点に関する佐藤首相の見解を一致して支持してはいないかもしれないが、大半の日本人はほとんど疑いなく、韓国と国府が共産主義に支配されることを心配するだろう」と言われております。この点も一致しているわけですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これは国際情勢の認識を相互に見解を披瀝し合ってそして合意した点は、共同声明の上に明確にされているわけでございます。ですから、共同声明の上にあらわれた点については明確に合意をいたしておるわけでございます。ただ、いまおあげになりました点は、いろいろこの「背景」に対する一人の見解として聞いておけばよろしい点と、それから共同声明の意図しておる点、ことに安保条約の運用面の問題ということになりますると、先ほど来言及されておりますが、たとえば事前協議の運営その他につきましては、日本としての考え方というものが従前から明確になっておるわけで、その考え方というものは、たとえば従来から政府として御説明しておりますのは、「日本の安全」ということは安保条約の前文にもはっきりしておりますし、また第六条においても明確にされておる点でありまして、周辺の極東地域の安全ということと関連なくしては考えられない。これが安保条約第五条と第六条が明瞭に書き分けられている点でありまして、この安保条約が一九六〇年に改定せられましたそのとき以来の双方の条約上における認識というものはそこではっきり合意されておるわけです。そうして、さらに共同声明におきましても、その点が両方で合意されている。こういうふうに読み取っていただければいいと思います。そうして、日本といたしましては、たとえば事前協議などの問題につきましては、その脅威の実体というものがいかなる態様で——たとえば朝鮮半島の場合で申しますと、これもしばしば御説明しておりますように、そういうことはあり得ようとは思いませんし、ないことを期待いたしますけれども、たとえば組織的、計画的に攻撃が北からかかってきたという場合で、しかも、これが日本の安全に直接に関連をしてくるというような場合においても、日本は国益の立場に立って日本としての態度をきめなければなるまい、この考え方はよくわかりますけれども、やはり共同声明発出の直後に佐藤総理がプレス・クラブで演説された中にも、日本の総理大臣としての見識が明らかにされておるわけでございます。こういうことを、ずっとあとを追って一九六〇年にさかのぼって見ていただければ、日本政府のこの問題についての見解、態度というものは一貫しておる、こういうことがはっきり申し上げ得ると思うのであります。しかし、見る人によっては、ああ、国の考え方がこういうふうな変遷をたどっているんだなという批評的な見解というものは別にあり得ると思います。そういう点では、表現や言い方も違う点もあるかと思いますけれども、現にこの共同声明ではっきり合意している、あるいは十年前に合意したときの日本政府の態度、見解というものと今日の見解というものにおいては変わりはないということにおいては一貫している。こういうことを、このサイミントン報告が発表されましてからも、私としては終始そういうことを御説明しておりますし、この点について確信を持って申し上げておるわけであります。
○小林武君 どうでしょうか。アメリカの戦略体制といいますか、そういうものの変化といいますか、新しい体制ができたということは、ニクソン・ドクトリン、そういうものに示された戦略というものは、この共同声明とかかわり合いを持つように考えるわけです。特に韓国の在韓米軍の削減というようなことがもうすでに出ている。それといまの考え方、いまの御説明の内容と、さらに先ほど来私が申し上げたジョンソン証言の中の内容とをあわせ考えましたときに、日本の基地というものに質的な変化が起こってくる。そのことをこのジョンソン証言は明らかにしていると言ってよろしゅうございますか。そしてまた、それが日本においてはすでに共同声明の中で合意に達した事実であって、何らの変化が認められない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、別の角度から御説明をいたしますと、この共同声明は、沖繩返還ということが中心の課題になっておることは御承知のとおりでありますが、この沖繩返還問題に対する政府の態度というものは、安保条約並びにその関連する取りきめというようなものが何らの変更なしに沖繩に適用される、こういうことが眼目になっていることでも明らかなように、その安保条約というものが一九六〇年に改定せられましたそのままの姿、そのままの発想、そのままの性格で自動延長されるということも、この共同声明の中に盛られているわけでございますが、これがそのまま継続していくということにまず大きな意味があるわけです。そういう意味から申しましてもアメリカの戦略が変わったかどうかということについては、また別のいろいろの角度から御論議ありましょうけれども、この共同声明に関し、また安保条約それ自体に関しましては、日本政府としての考え方には何らの変更はありません。
○小林武君 そこのところが大臣、ちょっと理解がいかないわけです。共同声明の際にも議論されましたように、後々の変化ということはやはりそのときに議論されたわけです。たとえばベトナム戦争というものが終結しなかった場合はとかいうようなことは、これもその一つだと思うわけです。で、私はこのジョンソン証言の場合には共同声明の内容をもっとあらわに出すべきところを出してきたと、こう見るべきところが非常に多いわけです。したがって、外務大臣が御説明なさるように、全く同じ証言であるとは私は受け取っていないわけです。非常に大きな変化があったというか、変化と言うよりかも、隠された部分がここに明らかにされた。われわれが予測したような一つの心配というものが具体的にここに姿をあらわしたと、こう見ておるわけです。そういうものを証明しているものはとにかくやはり状況の変化である。それは私は、一つの国が、日本の国、アメリカの国、両方とも、自分の国の安危というようなものを念頭に置いて、その間において安保条約を結んだとするならばその時点に固定してものを考えるというようなことは、これは政治家のとるべき態度ではない。十年、二十年、もっと長期の展望を持って私は安保条約を結び、さらにはその具体化の段階にはどうするかという手だてを講ずるのはあたりまえだと私は思うのです。そういうことから言えば、このニクソン・ドクトリンというようなものは、非常に大きなアメリカの戦略上の変化である。それに対応させるということが少なくとも今度のジョンソン証言の中にはきわめて端的に具体的に出ていると見るわけですけれども、私はいまの外務大臣の御説明で納得がいかないのは、その当時のそのままの、というようなことは変化に対応しない。ただし、その時のそのままの、ということは、現在変化が起こっていることに対して、すでに予想があって、その予想どおり進行していることですと、こう説明されれば私は納得します。——納得というのは、あなたの御説明に納得しますけれども、しかし、その時のそのままのあれで何の変化もないということになると、理解ができないのですが、私の言うこと、わかりませんか。説明が悪かったら、またやります。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は小林さんのおっしゃることを私なりに理解はできると思います。おっしゃることごもっともだと思います。しかし同時に、そもそものことを申し上げるまでもございませんけれども、安保体制というものは、万一にも日本の安全というものがあぶなくならないようにという抑止力というものを考え、抑止の効果をねらったものであるということにやはり御注目をいただきたいと思います。それからその次には、いろいろの見方はございましょうが、しかし、少なくともこの十年間、たとえば朝鮮戦争というものが起こったときから見ればもっと長い期間でございますけれども、日本の安全ということを最高の国策の目標にしなければならない政府の立場といたしましては、非常なよき、安心のできるような環境が不幸にして目ざましく変わってきているとは思えないわけでございます。したがいまして、十年一日のごとき考え方でいるのは政治家のとるべき態度でないとおっしゃることもよくわかりますけれども、やはり、いま申しましたような点から申しまして、この体制を続けることが最も適切であると、そしてそのワクの中で本土と全く同じ条件下に沖繩の方々が返ってくることが望ましいことである、こういう政府の期待の上にこの返還の話がきまったということを私は喜んでおる、これが現在の政府の立場でございます。
○小林武君 抑止の効果をねらったと、それが最も適切なやり方であるということは、これは政府のいままで主張した点でございますから、政府が何をどうして安保条約を堅持したかということは、これは賛成、反対は別として、理解しています。しかし、その反対の予測をわれわれはしておるわけです。安保条約というようなものによってさらにいわゆる平和というようなものを日本が維持できるかというと、そうじゃない。そういう理由があるから、先ほど来の質問をしているわけです。アメリカの情勢の変化によって、「アジアのことはアジア人の手で」ということにだんだんなっている。アメリカの証言も、日本の政府の考え方も、単に「日本のことを日本で」という場合ではなくなってしまって、朝鮮のことを、さらには台湾のことを、と拡大されてきて、さらにはこのアジア全体のことに対して日本が責任を負うということがこの証言の中に明らかになってきた、私はそう判断するのです。同時に、このことは戦略体制の変化によって、そして日本が今度は安保条約の安保体制の中で、日本の基地は日本の国を守るというワクの中からもっと外へ飛び出して、アジア全体のために沖繩の基地も日本の基地も利用されるというそのことが今度の場合に明らかになったと、こう思うわけです。このことがまず間違いであるかどうか。間違いでないとすれば、これは何といってもジョンソン証言というものは、いままで外務大臣並びに総理大臣が国会の中で御答弁になったようなことは変化が起こっておる、証書によって実体が明らかになったと、こう判断するのは誤りでないように思うのです。だから、私の意見は、いまや日本の基地というようなものは、沖繩の基地も日本の基地も、今度はアジア全体の——朝鮮とか台湾とかいうものの危機は直ちに日本の危機として受けとめて対応しなければならない。経済力の面においても、さらには軍事力の面においても飛躍的な拡大を続けている現状からいって、日本は、もう片棒どころでない、大事なものを全部しょい込むというところに変化しているのじゃないか、こう言っておるわけです。これについての御答弁をいただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) それらの点につきましては詳しく申し上げたいところですけれども、この安保条約が十年前に改定されましたときの当時の政府の説明、あるいは、その後ここ十年の間の歴代の内閣あるいは外務大臣等が説明いたしましたことを議事録によりましてもずっと振り返ってごらんいただけば非常によくわかっていただけると思いますけれども、安保体制というものについての政府の考え方というものは、一貫して変わっておりません。つまり、先ほども申しましたように、日本の安全ということを絶対的に守っていくという立場からいえば、これはやっぱり近隣の状況との関連なくしては絶対的な安全は期し得ない。これが特に安保条約の前文にも明らかであるし、ことに第六条でこの性格が非常にはっきりしている。この点の説明は一貫して変わっておらないわけでございます。そして、その中で沖繩返還をやっていく。つまりことばをかえて言えば、韓国の安全に対して日本が責任を持つことになったとか、あるいは台湾の防衛はわが事のごとくしなければならないように性格が変わったとかいうふうにもしお考えになるとすれば、これは少し思い過ぎではないかと思うわけでございまして、安保条約の中にも、たとえば、「憲法上の規定」ということが明確に持ち込まれてもございますし、また、日本が徴兵もしない国であるし、海外派兵もやらない国であるし、核というものも、御承知のような核政策を持っている国でございます。 〔委員長退席、理事渋谷邦彦君着席〕 そういうふうな点からいって、かりに議論の上の議論とすればそういう御発想もあり得ようかと思いますけれども、実際の政治の課題、政策の問題として、日本が韓国の防衛に絶対的な責任を持つように安保条約の性格が変わったなどというようなことは、こういう面からお考えになりましても、さようなことはあり得ざることである。そらしてまた、それが政府の見解であり、一貫しているということははっきり申し上げておきたいと思います。
○小林武君 私は、いまの議論でも、逆に私の意見というようなものから考えて、私の推察というもの、私の一つの議論のしかたというものが正しいというふうに判断するわけです。もちろん、もうお話を承るまでもなく、われわれが日本の国の安全ということを主張する場合には、近隣の問題を重視したからこそ安全ということを考えるわけです。日本が単独で、全く世界の中で、塀の中に入って、何にも関係がないということであるならばこれは問題がないことであります。非常に深刻な国際的な対立の中で、特に問題の多いアジアの中で、日本が一体どうすることが平和で安全であるか、こう考えるときに見解が二つに分かれて、安保条約を結ぼうという政府の見解と、そうあってはならないという見解とが日本の場合に国論として分かれている。だから、私の議論は単に議論のための議論でないわけであります。むしろ、私はもっとも具体的な問題であると思う。むしろ外務大臣のほうがどうも抽象的で、非常に外交専門家の立場から見た議論のように思うのです。そのことはとにかく、いろいろ言うてもしようがないのですけれども、何ら変わらないとおっしゃれば、このことはお認めになるのでしょうね。沖繩と日本の安全保障についてジョンソン次官は一月二十六日に次のような証言をしている。「日本政府はこれまでアメリカとの安全保障取り決めを日本自身の安全保障に限って認めてきたが、」——ここです——「日本政府はこれまでアメリカとの安全保障取り決めを日本自身の安全保障に限って認めてきたが、いま日本は初めて日本の安全保障が韓国、台湾およびこれら地域でアメリカが負っている義務と切り離せないことを認め、在日基地を日本自体よりも地域全体の安全保障との関連で見ることを認めている」、この証言は、いままでの外務大臣の御答弁でございますというと、「全く共同声明の中でも一致した見解であり、何ら変わっておらない」ということになりますというと、私はこれはたいへんな大きな変化ではないか。国会で討論された中で、少なくとも野党各派が手を変え品を変えて質問した場合に出てきた答弁とはこれは一致しないと思うのです。この点——そのことは答弁と食い違うとかなんとかいうこと——は別として、いまの私の読み上げたジョンソン証言というものが一ただし、これは英文でないから、英文ではそんなことを言っておらぬぞと言われても私も困りますけれども、もし英文と日本文とが同じであるとするならば、これはジョンソン証言というのはもっともだ、全く同意しているとおっしゃるのならば、ひとつそういう御答弁をいただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) ジョンソン君がさようなことばづかいをしておることは御指摘のとおりでございます。同時に、先ほども申し上げましたように、日本政府としては、一貫して極東の安全と日本の安全とを関連させて見ておるわけでございますし、そういう考え方であるからこそ、安保条約の第六条というものが条約としてりっぱに厳存しておるわけでございます。ですから、そのコメントについては、これはむしろ共同声明の合意点についてのコメントというよりは、日本の国内の議論等についての私はコメントだと思うのでございます。共同声明自体についての見解については全く私は狂いはない、かように存じております。で、過去の変遷等についての、何と申しますか、批評といいますか、評論的な見方は、そういう見方をジョンソン君がしておるから、そういう発言をしておるのだろうと思いますけれども、実は日本側としては従来からそういう考え方を持っておることは、先ほど申し上げましたように、一九六〇年の安保改定当時からの政府の公式見解、あるいは質疑応答にあらわれた政府の見解を、恐縮でありますが、繰り返してごらんいただきますれば、そのことははっきり立証できると思うのであります。つまり、ジョンソン君が今回の場合言っている過去についての彼としての評論というものは別にして、今日の共同声明についての見解においては日米完全に合意ができておる。そうして日本側としては、従来からそういう見解であったということを申し添えれば、この間の経緯について御疑念がなかろうかと、かように私は存ずる次第でございます。
○小林武君 どうもしっくりしないのだな。しっくりしないのだ。まるっきり話が違って困るんですが、それじゃもう一つ言いますと、それに対してサイミントン議員は、「アメリカはいま一方的に日本を保護する条約を新しくしたいと望み、そして沖繩を日本に返すというように自分は理解している。沖繩返還に同意する取り引きの一部だろうか」、そこでジョンソン次官は、「ある意味でそうである。私は日本に対し、このように話をしてきた。「われわれは沖繩の行政権をあなた方に返す。これまでと同じように米軍の存在を考えていくのか。もっと広い範囲で考えていくことになるのか。もし沖繩が返されたら、あなた方は極東でアメリカが公約を実行する問題を自分たちと無関係だ、とする立場をとることになるのか。あるいは極東全体の安全保障との関連で考えるようになるのか」と。現在、日本の考えは非常に進んでいる」、こう言っているのですね。 〔理事渋谷邦彦君退席、委員長着席〕 私はやはり先ほど来、国内向けというのがあるんですね、国内向けというのが。これはある週刊誌に書いてあったのですが、外務省の高官というのが、「日米共同声明以外にいかなる形の約束、合意も日本政府はしていない、証言の中に政府のこれまでの説明と食い違う点があるとすれば、これは米国側の希望的観測、一方的な願望の表明に過ぎない」と、こう言っているのです。これは外交上の重大な問題だと思うのですよ。相手方が真剣に答弁して、自分たちの戦略体制に即応した希望を日本に持っている。もしも一つの取引としてやった沖繩の返還、それを望むために、心にもないことを言って、アメリカにもしわが国の政府が約束をして、そうして、帰ってきて国民向けにはほんとうの腹を述べて、アメリカに腹は隠しておったということになると、これは外交上の重大問題じゃないですか。また、これの反対に、アメリカには真意をあかしておいて、日本国民に対しては腹とは違ったこと、事実とは違うことを述べたとするならば、これはどんな人間といえども、主権在民の日本国においては許すべからざることだと、こう私は判断するのですが、外務大臣はこれに対してどうお考えになりますか。そこらですよ。こんなことでいいですか。私は、どこの国とも、安全ということを考えた場合には、信義を破るということはたいへんなことだと思います。何日か前の新聞に、アメリカと日本の関係はいまや一九三〇年代のあれと同じ状況にあるということが新聞に出たわけです。おもにこれは繊維問題中心から経済問題の側で言っているけれども、沖繩に波及ずるということを書いておる。一九三〇年という時期から十年間の間の年表を繰ってみたら、これこそ日本が第二次世界大戦に突入する時期の最も険悪なる外交状況にあったときであります。この記事が全くそのとおりであるかどうかということは私は判断つきません。皆さんのお話を聞いている限りにおいては、日本とアメリカというのは全く調子よくいっているというふうに聞こえるわけです。しかしながら、繊維問題等から見ても——あるいは繊維問題は経済界の話だとおっしゃるかもしれないけれども——国際的ないままでの諸関係はそういうものではないということはわれわれも知っているつもりであります。こう考えますと、国内向けなんていう外務省の考え方というもの、あるいはいまの大臣の御答弁というものは私は納得いかないのであります。ひとつ、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 御質疑の中に、何か、心にもない約束を秘密にしているかというような御趣旨のことがございましたが、これはもう冒頭に申し上げておりますように、この共同声明以外に何ものもないということは、このサイミントン小委員会の議事録をお読みいただきましても、その点はきわめて明瞭であると思うのでございます。 それから、御懸念の点を、ジョンソン証言あるいは答弁の中から御指摘がございましたが、同時に、沖繩の問題について申しますれば、沖繩においての軍事的の地位というものはいままで非常に大事であった。その点もわれわれ言っていることと同じことでございまして、これは共同声明でもその価値は認めております。同時に、アメリカ側としても、軍事的な活動というものがこれから基地の使用については事前協議の対象になるのだ、その限りにおいて減殺されるのであるということもその中に明らかになっております。こういう点、一々例をあげませんけれども、事前協議のやり方その他等については、この間参議院の外務委員会でも申し上げたのでありますが、質疑応答の中にいろいろの表現が用いられておりますけれども、これを通じてしさいに御点検いただきますれば、私のかねがね申し上げておりますことと狂いはございません。このことは、くどいようでございますけれども、共同声明についての私の説明というものをその直後にいたしましたことにつきまして、何らの意味でも疑念を差しはさんでもおりませんし、また、一ぺんの照会も質疑もないということをもちましても、裏からまたこれが立証できるのではないかと思うわけでございます。また、日本の国会は秘密会も何もない、まことに、何と申しますか、これほど秘密のない公の論議の場はないわけであります。同時に、国権の最高機関でございます。ここで政府といたしまして国民の代表に対して誠意を持って青天井のもとでお答えを申し上げておりますことに対して、かりそめにも、「心にもない約束」などということが一体外国に対してできるであろうかどうか。そこもひとつお考えいただきたいと思いますし、また、お互いに日本の国会の公開の場における国権の最高の機関としての権威のもとに十分ひとつ自由な御意見の御交換を願い、また、この席を通して政府の見解というものも国民にもなお一そう御理解を仰ぎたい、こういうふうに考えるわけであります。
○小林武君 これで最後になりますから申し上げておきますが、いま御答弁のように、何の疑念も示されなかった、また照会もなかった、こうおっしゃる。そういう御答弁をなさっておったから、われわれはこのジョンソン証言が出たときにびっくりしたんです。びっくりしたのはひとり社会党ばかりがびっくりしたわけではないでしょう。野党がこぞってこれに対して声明を出した。あるいは言論界においてもこのことについてはずいぶん言及された。庶民大象を相手にするところの書きものの中にも、これはずいぶん論議の中心になるように提示された。私は、いまの食い違いはそこにあると思うのです。それからまた、私の聞くところでは、アメリカの外交委員会は青天井でない、アメリカの国会は非常に秘密が守られるというような趣旨の話かと思いますけれども、しかしながら、外交委員会におけるところの証言に立った人たちは、少なくともわれわれに名の聞こえた人たちばかりですね。フルブライト外交委員長、サイミントン議員、こういう人たちはいわばアメリカのハト派としてニクソン政策に対して批判的な態度をとっていることは、これはもう周知の事実である。こういう人たちが多年の経験を生かして述べたことについて、いわばいままで隠していたことを隠しおおせぬということになったかどうか知りませんけれども、洗いざらいのことを言わざるを得ないところに追い込まれたとも見れるわけです。幸いに日本の国会は公開の席上でやる。しかし、公開の席上で国の重大事件について議論することが権威に関係する問題ではない。権威を保つためにこそ、言論を自由にしてこの問題を徹底的に議論すべきだと思います。何かスキャンダルを取り上げてどろ仕合いをやるような議論ではないはずです、この問題は。そう考えているんです。 しかし、この点は何べんやってもケリがつきませんから、最後に一つ御質問しておきたいことは、サイミントン議員の、「佐藤首相がワシントンのナショナル・プレス・クラブでの演説で「返還前に協議する」といっているのはどのような意味か」ということに対するジョンソン次官の、「沖繩返還が実施を予定される時点で、アメリカが沖繩から行ないたいと望むことがあれば、アメリカが沖繩から望むことを実行する能力を禁じないよう、双方の間で協定または取り決めを作成するという意味である」。またジョンソンは、「これまでの日本政府は、日本の安全が南朝鮮防衛に関連しており、在日米軍基地を南朝鮮防衛に使用することを理解するというはっきりした立場をとる用意がなかった。それを公に言ったのは今度が初めてである」。サイミントン議員は、「韓国防衛のためなら日本はアメリカに権利(基地使用権など)を与えることを真剣に考慮するが、そうするとははっきりいっていない、ということか」。ジョンソンは、「日本はそうする(基地使用承認)と明言するのに、非常に近いところまできている」。その次は削除なんですね。「(以下削除)」というのはどういう削除かよくわかりませんけれども、これが削除事項かどうか。「しかしなお日本と協議することを約束している」。「理論的には沖繩に関する限り、アメリカの行動は(沖繩返還で)縮小されるかもしれないが、同じく論理的には、在日基地についてわれわれの行動は拡大する」。いわゆる「本土の沖繩化」——本土が沖繩化されるというようなことを取りざたされている。これはションソンの発言だと思う——「韓国、台湾防衛に関する米軍基地使用について共同声明や佐藤首相演説がいっていることは、沖繩基地のみならず日本本土基地にも適用される」。まああとまたやると長くなりますから、以上のことについて御答弁を願って私の質問を終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御質疑の第一点は、ベトナム戦争との関係の点でございますが、この点につきましては、途中は省略いたしますけれども、私どもが従来御説明していたことは、アメリカのベトナム戦争に対する努力に対して、沖繩のその時点における返還が具体的にいかなる影響を及ぼすものか、影響がある場合にいかなる選択があり得るかは、現在の時点では判定し得るわけにはいかないので、これを将来の万一の場合の協議にゆだねたのでありますと、こういう御説明をいたしております。そのとおりなのでございます。そしてジョンソン答弁の中にもございますが、私どものここに言う「協議」とは、安保条約に基づく事前協議ではありませんと、私どもはこう言っておりますが、ジョンソン証言の中にも、ここにいわゆる協議は安保条約の協議ではございませんと、こういうくだりがありますことは御承知のとおりかと思います。そうしてなお一言つけ加えますと、沖繩返還については前にも申し上げましたように、七二年・核抜き・本土並みという、共同声明でいえば第六項ないし第八項が基本原則でございまして、これに抵触しない範囲内において、沖繩の返還が具体的に実現される場合に、どういうことがアメリカとしてベトナム戦争の関係において協議を必要とするかということについては、こちら側としても、あるいはアメリカ側としても、これはまだ将来の問題でございますからわからない。これがほんとうの実情なんでございます。ですから、この点について大事なことは、安保条約・関連取りきめが変更なしに沖繩に適用される、この原則の範囲内において返還が実現されるというのが基本原則であって、そのワク内でいかなる協議の対象が選択されるかということは、その時期にならなければわかりませんと申し上げておるのであって、核抜き・本土並みのこの基本原則に抵触することはないという考え方でございます。 それから、沖繩の本土並みというのはまさに御指摘のとおりで、この点はこのジョンソンの答弁の中にもございますとおりで……。
○小林武君 本土の沖繩化。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもちょっとこの点に触れましたけれども、そうすると返還後には沖繩の軍事的な活動力が減殺されるのだが、そうなっては困るではないかという趣旨の質疑に対しまして、返還後にはこれこれのことは事前協議の対象になります、その意味において沖繩が本土化するのでありますと、こういうくだりもあるわけでございまして、先ほども、どうも率直にお答えいたして恐縮でありましたけれども、この御懸念のありますようなところのお気持ちで、あるくだりだけをピックアップいたしますと、ただいま御質疑のような御疑念があるわけなんでありますけれども、全体を通じて申しまして、私は、何といいますか、ギャップはございませんということを、たんねんに検討いたしまして私は確信を持って申し上げている次第でございます。
○小林武君 ちょっと一言だけ。 先ほど、本土の沖繩化ということで、表現が悪かったようでありますが、これはひとつ速記も、そういう意味で申したことですかう、委員長、誤解のないように直してください。 それから、いろいろございますけれども、いずれまた機会もあることですかう、これで終わります。
○渋谷邦彦君 再びジョンソン証言についてお尋ねするわけでありますが、すでに衆参外務委員会においての外務大臣の答弁も一応承知しておるつもりでありますし、ただいままでの御答弁を伺いつつ、あるいは蒸し返しの御質疑を申し上げるかもしれませんけれども、再確認という意味を含めてお尋ねをしてまいりたいと思います。 話の中身については一々申し上げる余裕はございませんけれども、今回の発言の内容で、何といっても、いままで指摘されておりますように、二つ、著しい変化といいますか、われわれとしてはどうにも納得がいかない。冒頭に申し上げましたように、外務大臣は一貫して日米共同声明の取りきめに従って今日に至るも何らの変更はありませんと、こういうふうに私どもは理解しております。にもかかわうず、その背景というものをいろいろ考えてみた場合に、「はたして」という、やはり一抹の不安、疑問というものがぬぐい切れない、そういうものが残るわけであります。先ほども質問の中にございましたが、一国を代表する政府高官あるいは議員の発言というものが、わが国の場合とあるいは同等視するわけにはいかないにいたしましても、国内におきましてもまた国外におきましても重大な影響力があることは、これはもう世界各国の共通した姿ではないだろうか、こう思うわけであります。ならば、当然、あのサイミントン小委員会で発言された内容というものは相当に権威づけられたものと判断してよかろう、こう思います。まあ、そうした観点から、繰り返しになるかもしれませんけれども一お尋ねするわけでありますが、一つは、返還にあたってはたして一いままでアメリカが沖繩をキー・ストーンとしての役割りを重視してまいりました。なるほど、ニクソン・ドクトリンの発表以後、あるいは若干そのアジア政策というものの変更というものが考えられるかもしれませんけれども、しかし、いまなお、アジア情勢というものを考えた場合に、はたしてアメリカが従来の基本的な方針というものを一挙に変更して、そうしてアジアから全面的に手を引くとは、これは時間的な問題があるかもしれないにいたしましても、そう急には考えられない。ということになれば、キー・ストーンとしての役割りというものは今後も継続的にアメリカとしても考えてまいりますでしょうし、まあ、日本に対してはどういうような要求をしてくるかわからないにいたしましても、長年つちかってきた重要な拠点であるだけに、どうしてもこの問題についてはジョンソン証言のほうがむしろ正当な発言の意義を持ってくるのではないだろうか。私は、外務大臣の答弁を伺っておりまして、ここに微妙な食い違いがあるのではないか。なるほど、ことばの表現のニュアンスの違いはさまざまでございましょう。あるいはまた、拡大解釈してみれば、いろんなふうにとれる場合があるかもしれませんけれども、一応われわれはすなおにその中身というものを受け取ってみた場合に、どうしてもその矛盾というものはぬぐい切れない。これが第一点でございます。それから第二点は、まあ、中曽根長官が現在アメリカにおもむきまして、今後の返還後における自衛隊の防衛的な役割りというものをどうするかということもおそらく話し合っているだろうと思うのでありますけれども、まあ、そうしたことを踏まえて、はたしてアメリカは日本に何を要求してくるであろうか。こうした点が考えられるわけであります。 で、第一点の問題をさらに詰めて考えてみた場合に、先ほど来かうも御答弁がありましたけれども、どういうふうに考えてみても、現在沖繩に存在しております核、それからB52、この問題については一体どうなるのだろうか。当然事前協議の対象になることは明白でありましょう。ベトナム戦争が今後まだ引き続き行なわれるでしょうし、当分おさまりそうもないということが判断されるわけでありますかう、そうなりますと、どうしてもやはり事前協議の対象とならざるを得ない。一体こういう調整はどうするのだろうという疑問がまだしこりとなって残るわけであります。この辺、その解釈というものはやはり明確に大臣の御答弁の中から伺いたい、こういうふうに思うわけでございます。 それから第二点として申し上げたことにつきましても、これもまた何回か議論を尽くされたかもしれませんけれども、韓国あるいは台湾の防衛というものを肩がわりしろ、そういうような要求等も当然日本に対して迫られてくるのではないだろうか。いま大臣の答弁を伺っておりますと、あるいは将来においてどういうことが要求されてくるかということはまだ判断される段階ではない、という趣旨のこともいま伺ったような気がするわけであります。——私の受け取り方が悪いのかどうかわかりませんけれども。ならば、やはり外交折衝上いろんなことを想定して、こうなった場合どうするかという日本の基本的な外交方針というものは、常にそのつど、いろんな世界情勢の変化とともに樹立しておかなければならないのじゃないかというふうにも感ずるわけです。そうした点を含めて、いま私、二点のジョンソン証言についての一番著しいと思う点をお伺いしてみたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(愛知揆一君) 第一点は、核の問題、B52の問題、これが沖繩返還後沖繩でどうなるか、主としてここにしぼられた御質疑と思いますけれども、これは返還と同時に安保条約・関連取りきめがそのまま適用されるわけでございますかう、戦闘作戦行動あるいは核の問題というものは、これは当然に何らの条件なしに事前協議の対象にならざるを得ないわけでございます。これに対しまして、核につきましては、共同声明の第八項がございまして、日本政府の核に対する政策というものは、日本全国民の強い願望の上に立って表明せられているものであって、これに対して大統領が理解を持って処理をするということでありまして、いわゆる核抜きの原則というものがここに確立されている。これは実証的にも、すでにメースBは直ちに撤去されましたし、また、返還後におきまして事前協議の対象になることは当然でございますが、法律的な議論からいえば、核の持ち込みが条約上禁止ということになっておるわけではございませんから事前協議の対象になり得るのだという、この安保条約一連の体系の上から、そのことがジョンソンの証言にもございますように、注意深くその点において触れているのだと、それはそのとおりだと思います。これは日本側の政策というものがはっきり認識されておりますから、事前協議が仮定の問題として引っかかりましても、ノーと申しますことは当然のことである。それでなお、サイミントン小委員会の質疑応答の中で、私も特にこの点は先方も非常にはっきりした態度を明らかにしているなと思います一つは、一九六〇年一月十九日の岸・アイク共同声明というものが前提になっているわけでございまして、この岸・アイク共同声明の趣旨は、御承知のように、日本政府側が欲しない、あるいは好まざることはやらないといろ趣旨が一九六〇年当時から出ておるわけでありますから、これがこの証言あるいは審議におきましても明白にされている。こういう点とあわせてお考えいただければたいへんけっこうかと思います。 それから、第二点は肩がわりという問題でございますけれども、これは先ほど小林委員にもお答え申し上げましたように、この共同声明をごらんいただけば明らかなように、日本が韓国あるいは台湾の防衛について、防衛それ自身について日本が義務を持っているようになったんだというようなことは全然ございません。このことは当然過ぎるくらい当然でございますけれども、第一、先ほども申しましたように、日本には徴兵もなければ海外派兵もない国柄でございますから、こういう亡とが問題になろうはずもない。このことは米側としてもはっきり認識している点でございます。これに関連してもう一つの問題は、ベトナム戦争に関連する将来の要求というお話がございましたが、これは先ほどやはり小林委員にお答え申し上げましたとおりに、ベトナム戦争に関連する米国の努力に対して、沖繩の返還が具体的に実現された場合にどういうふうなことをアメリカ側として必要と考えることが起こるかどうか、起こった場合にどういう協議の内容になるかということについては、これは三原則が沖繩返還に適用されるというその範囲内において処理されるべき協議の問題であって、これはジョンソンの答弁の中にもありますように、事前協議の協議とか何とかそういうものではございませんと言っていることは、その趣旨に触れていることだと思います。この点につきましては今後の問題であります。また同時に、現在あるいは今後の情勢の見通しからいたしますれば、かねがね、施政権下にない沖繩においてすらB52の発進ということについては日本政府としてはきわめて一時的なものとして認識し、すみやかにこれをやめるようにということは、やはり国民的願望の上に立って再々申し入れをし、日本側の希望も十分に伝えてあるこの態勢から申しまして、返還後の沖繩について御心配の起こるようなことはないようにいたすべきが政府の責務である、かように考えております。
○渋谷邦彦君 今後事前協議の対象になるであろうと——まあ、いまの御答弁を通しまして——考えられる点は、もちろんB52の問題、核の問題もさることながら、相当のミサイル基地が現存しているわけです。こうしたものも、国民の願望という立場から考えた場合に、一刻も早く撤去を迫る、これは当然だろうと思います。そのほかにも、いままで問題になってきました毒ガスの問題についても、いまだにどこへ持っていくかということが明白になっていない。まあ、あとでこれもどういうふうに進むのだろうかお聞きしようと思っていたわけなんです。こうしたものを含めて当然事前協議の対象になるであろう。まあ、外務省の、四十三年ですか、四月に出された見解の中に、事前協議の対象になるものを分類していらっしゃいます。この分類の中から見ましても、いま申し上げたようなものは早急に対象になるであろう。しかし、一方から考えてみた場合、そういうふうに沖繩から全面撤去というようなことになった場合におそらく米側として一番危惧することは、はたして極東の防衛というものは可能であろうかと。いまのお話のように、なるほど日本国憲法においては徴兵制度も何もございません。そうすると、自衛隊というものはアジア防衛というものの一翼をになうだけのものもないでしょうし、当然、海外派兵なんてことはできるわけもありません。そうなってみた場合に、はたしてこれはどうしてもいままでのような、兵力についても装備についても現状を維持しなければならないのかということが考えられはしまいか。そういう事態が起こった場合に一体どういうふうにされるのか。むしろ返還時においてこうしたものを一つ一つ整理しながら、あるいはアメリカ政府の意向というものをただしつつ、今後の返還時における外交折衝というものに、日本の基本的な立場というものは、いままで以上に、そういう国民がとかく疑惑に感じている点を一つ一つ解決をしながら臨むということが、最もいまこれから当面する問題として大事な点ではなかろうか、こう思うのでありますけれども、この点も確認の意味で再度お尋ねをしておきたい、こう思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともなお尋ねだと思います。実は私もこう考えるんでありますけれども、この共同声明が出ました直後の当委員会におきましても申し上げた記憶がございますけれども、一九七二年返還ということは、実は、私から言えば、即時返還ということとほとんど同じである。実に多くの仕事をそれまでに片づけておかなければならない。特に日本としては沖繩百万の県民の要望されることを適確に実現して、そうして、共同声明について天下に公に説明しておりますような線がかくのごとく具体的に実現いたしましたということを具体的に成果をあげておこたえをしなければならない。そのためには、もうほんとうにねじりはち巻きでやらなければ、一九七二年ということはなかなかむずかしいという趣旨のことを申し上げた記憶がございますが、この一月に行なわれたジョンソンの証言とか答弁の中に、やはり立場が私と似ておりますが、非常にこれはたいへんだという趣旨のことがございます。ところが、私はこれは両方ともに喜びとするところでありますが、幸いに国会の非常な御尽力によって、もうすでに国政参加が現実の問題としてきわめて近い機会に行なわれる。そうして、私とマイヤー大使との間でやっております返還協定の作業も、沖繩・北方対策庁を中心とする各省庁あるいは琉球政府の非常な努力によりまして着々と仕事が進んできております。この分ならば、一九七二年の早い機会に、それまでに国会の御審議を終了して実現ができるようになるであろうという確信を強あてまいってきておるような次第でございます。これを要するに、率直なことを言ってお許しいただきたいのですが、いまや具体的な仕事の成果、進みぐあいによって、口で申し上げるのではなくて、具体的な事実によって国民的な御納得のいくような答弁にしなければならない、こういう気持ちで私どもいま一ぱいになっておるのでございます。
○渋谷邦彦君 念のために、これも再確認でございますけれども、申し上げておきたいと思うのでございます。 米国が今後——われわれの予測でごさいますからこれは何とも言えませんけれども——事前協議の対象というものがこのジョンソン証言を通じまして非常に拡大されてきはしないか。で、日本政府としてはそれに対して弾力的にイエスを与える可能性というものが考えられるということも感じられるわけでございます。どこまで行ってもあるいは平行線かもしれませんけれども、あるいは今後の折衝の段階におきまして何らかの形で合意を求める、そういう話が出てくる。あるいは事前協議というものをできるだけ円滑に推進きせるために何らかのそこに内々の話し合いというものが行なわれはしまいか。そうしたことを通しまして、やはり現状のアジアというものを考えてみた場合に、どうしても無条件にイエスを与える、そういう可能性が出てくるような気がしてならないわけです。この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、やはり先ほど小林委員の御質問にもお答えいたしましたように、昭和三十五年当時の安保特別委員会以来、内閣がかわり外務大臣がかわりましても、終始一貫御答弁申し上げておるとおり、事前協議にあたりましては自主的な立場からイエスと承諾することもあり、ノーと拒否することもある。これはたとえば三十五年二月の岸総理の答弁、あるいは三十五年四月二十七日の藤山外務大臣の答弁——事前協議というものであるからにはイエスもノーも言える。四十三年四月二日の三木前外相の答弁——そのときにおける日本の国益擁護の立場に立って政府は同意をしたりあるいは拒否したりするわけであります。——これは象徴的に二、三の例を申し上げたわけでございますが、この点、現内閣におきましても、それと全く同じ立場でありまして、国益の上に立って事前協議に当たるということでございます。今回の共同声明によってこの体制というものを広げるというようなことは考えておりません。そうして、サイミントン委員会のこの質疑応答の中でも、たとえば事前協議の中で私は最も大切な項目であると思います戦闘作戦行動、それから核の持ち込みの問題、この二点などについては私の——私の、といいますか、政府の申しておりますことと何の狂いもない体制というものがはっきり確認されておりますことは御承知のとおりと思うのでございます。要するに、先ほど御質疑の中に、上院の中にはそうそうたるハト派もおるではないかというお話もございましたが、そうそうたるタカ派もおられるわけでございまして、そういういろいろの真剣な質疑応答の中に、やはり日本にはイエスもあるしノーもあるのだ、ノーばかりを言うことだってあるのじゃないかというようなこともございますし、この辺のところについては、双方の政府の考え方に絶対に狂いはない、かように考えておりますから、さように御了解いただきたいと思います。 それから、幅を広げるというおことばがございましたが、この点はお考えがいろいろあろうかと思いますけれども、政府といたしましては、安保条約・関連取りきめは何らの変更なしにそのままを沖繩に適用するということをこの返還問題に関連する安保条約の運用の基本と考えておりますから、事前協議の対象等に触れて、これの範囲を広げたり狭めたりということは考えておりません。
○渋谷邦彦君 いずれ今後時間の経過と相まってここで論議されている結果というものが明白になってくるだろう、こうも思いますし、また、機会あるたびごとにこの問題は継続的にお尋ねしてまいりたい、こう思うわけであります。先ほどお答えがいただけませんでした毒ガスの問題については、その後どうなっているでありましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 時間の関係もございますかう端的にお答えいたしますが、アメリカ政府としては——と申しますか、国務・国防両省といたしましては、ジョンストン島になるべくすみやかに移しかえるということを考えて——といいますか、そういう態度でございます。日本で申しますと厚生省等の関係の証言といいますか、これが終わり次第、グラベル法というようなものの関連もございますけれども、日本政府の期待といたしましては、近々の機会にこの決着がつくであろうということを期待いたしておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 最後に、まとめてお尋ねして終わりにしたいと思いますが、いまの毒ガス問題については、当初、九月頃には撤去したい、こういう米国側の話がございました。いま御答弁のございましたように、ジョンストン島についてはすでに表明されておるとおりでありまして、問題は時間の問題だと思うのです。いつ一体具体的にやるのか。「できるだけ早い時期に」と言うのですけれども、これは非常に幅の広い、これこそ幅の広い話だと思うのであります。当然外務省としてもそのつどアメリカ政府に対して申し入れを行なっていらっしゃると思うのですけれども、今年じゅうにせめて何とかならないか。これが第一点。 それから第二点は、現在進められております返還協定、これはどの辺まで作業が進んでおるのか。すでにその対象となる項目は明白になって、そのもとで作業が迅速に進められているのかどうなのかという問題。 最後にお尋ねしたいことは、アメリカ政府の高官の発言についていろいろ取りざたされたことがございますけれども、最近来日されたウエストモーランド参謀総会の発言によりますと、全く逆の意味のことを言われておる。沖繩から一切の兵力等を——一切というそのことはちょっと印象が鈍いのでありますけれども、すみやかに返還によって引き揚げるというような、こういうようなことがプレス・クラブにおいて表明されておる。これをどう受け取っておられるのか。まあ、そうした非常に脈絡のない質問になりましたけれども、この三点を合わせて御答弁いただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(愛知揆一君) ジョンストン島の問題は、実はその当時も御報告申し上げたと思いますけれども、これはアメリカとしてはまあいわば最高責任者である国務長官ロジャース氏が私に対しまして、アメリカ政府として全力をあげております、場所はジョンストン島ということで必ずお約束を果たしたいと思っておりますという確言がございましたのは、その当時報告したとおりでございますが、その後、たいへんこれは残念なことでありましたが、議会方面でグラベル修正法でございますか、こういうものが出ましたために、政府筋のアクションが若干おくれて今日に至っておる。こういう環境や、それかうその後も絶えず接触をいたしておりますけれども、私のいまの心証といたしましては、いま「年内」というお話がございましたが、少なくとも決定は相当早い機会に行なわれ、運搬の実施に入るのではないかと期待しておる次第でございます。 それから、返還協定の進みぐあいでございますが、すでに取りきめを必要としなければならないと思われておりましたような項目についてのいわば洗い出しはほとんど終わったと申し上げていいと思います。しかし、その一つ一つが非常に具体的に、特に沖繩県民の方々の直接身に触れた問題が非常に多いものでございますかう、これらの点につきましては、関係各省の非常な協力なくしてはとうていこれはわれわれだけで行なえるものではございませんが、先ほど申しましたように、沖繩・北方対策庁を中心に関係閣僚並びに当局が非常ないま努力をし、そうして、その中で米側と折衝を要するものについては外務省が担当いたしまして、まあワク組みはもうほとんど洗い出し済み、いま細部にわたって努力を集中しておる次第でございまして、先ほど申し上げましたように、一九七二年の早期に実現ということを終期に押えて逆算いたしまして、十分国会で御審議もいただける余裕の期間を置いて、それまでに返還協定というものはでき上がるようにいたさなければならぬわけでございますが、ただいまの私の見通しといたしましては、それにほぼ見通しがつきつつあるという状況であると申し上げて間違いないかと思います。 それから第三点は、アメリカの某高官あるいはウエストモーランドというような具体的な名前をあげての御質疑でございましたが、私の立場を率直に申しますと、沖繩返還問題については、もうこうやって、昨年十一月に共同声明ができて、そうして、その基本に何らの疑いなく、両国政府とも、実務者を含めましてどんどん作業が進んでいるわけでございますので、こういう際に一つ一つそれらの意見に対してコメントを申し上げるのもいかがかと思いますし、また一つ一つの意見等について私としても十分にあるいは反駁しあるいは同意をするというような点については、ここに資料の持ち合わせもいたしておりませんので、必要がございますれば、また後刻評論的なコメントはできるかと思いますけれども、現実の政策の運営に対しては私は何らの影響がないと、かように考えております。
○委員長(塚田十一郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(塚田十一郎君) 速記をつけて。
○向井長年君 外務大臣にまず私は要望したいと思うのです。ただいまも委員長から時間の制約がございました。先ほど理事会で委員長にも要望しておいたのですが、社会・公明・民社三党で、この重大な時期にもろもろの問題をひっさげて早期国会を開会しろと、こういう要求をしているわけでございますが、しかし、これに対して政府はなかなか開こうとしない。こういう中で、休会中のこの各委員会において、こういう時間を切って質問を行なうわけでございますが、いろいろ外務大臣の多忙なこともわかりますけれども、事重大な問題については、十分にやはり時間を取って質疑応答ができるような態勢を今後つくっていただきたいと思います。これを一つ強く要望いたしておきたいと思います。三時五十分になれば外務大臣は用件で出なければならぬ。いままだ質問者が二人残っている。こんな中で十分な質疑応答はできないと思うのですよ。まあ、そういうことで、本日のところは大いに協力したいと思っておりますから、その点よろしくお願いいたしたいと思います。 そこで、実は先ほどからもいろいろ論議されておりますが、また、さきの外務委員会あるいは衆参両院の各委員会でいろいろ論議がなされておるんでございますけれども、ジョンソン証言は、安保と沖繩返還についてわれわれが非常に不安あるいは疑惑を抱いてまいった点が、ジョンソン証言によって立証されたようにわれわれ考えるんですよ。そこで私は外務大臣にお聞きしたいことは、ジョンソン証言の解釈は、私なりに解釈するなら三つあると思うんですよ。一つは、先ほどからも言われておるように、タカ派、ハト派等、国内情勢について、アメリカの、まあまあ相手国のことを考えずにその場をおさめようとして、主観的にそういう発言をしたということも考えられると思います、一つには。一つには、みずからのやはり日本国に対する希望的観測と申しますか、そういう中からそういうような証言をしておる、こうも考えられる。もう一つは、実際この協定の中で、表面上あらわれていないけれども、精神は、いま言った日本国との間に、あるいは佐藤総理との間にそういうことが秘められておると、事実。こういう三通りの私は解釈ができると思う。それを、外務大臣は、この三つの解釈の中でどういうようにどれを受けとめておられるのか、それ以外に何かジョンソン証言に対する外務大臣として解釈されておる点があるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 一番最初に御要望のありましたことは、十分私も考えてまいりたいと思います。 御質問の内容でございますが、私、率直に申しまして、ジョンソン証言というか、このサイミントン小委員会の全体の議事録をずっと見まして、そしてこの問題に対して日本の国民がどういう点が疑問であるという点を申しますと、一つは、安保条約そのものの問題で、先ほども御質疑があり御答弁いたしましたが、安保の性格が変わったんではないかどうかといろ点だと思います。これは私が申し上げましたとおりに、政府といたしましては一九六〇年改定以来全然変わっておりません、考え方は。そして、その基礎の上に立って沖繩返還をやっていくということでございます。それからその次は、今度は具体的になりまして、これは主として沖繩の返還問題についてではございますが、同時に、やはりまた安保全体の問題にもなりますが、事前協議のやり方等について、あるいはその考え方について双方の意見の食い違いがあるのかどうかという点であると思います。この点は、これもいままでもだいぶ御答弁を申し上げたつもりでございますけれども、事前協議というものに対してかまえ方あるいは双方の了解ということについて重要な基本的なあるいは具体的な運営等についての考え方につきましては、双方に不一致はないと、かように存じておる次第でございます。 それからもう一つは、七二年返還ということは延びるというふうに懸念されるのではないか。この点も、これらの中からにじみ出てくる御疑念の点であると思いますが、この点についても申し上げましたとおり、何ぶん今年の一月の当時のことであり、そういう諸般の手続をして協定をつくらなければならない。これは私もジョンソン君の立場、そのときの気持ちもよくわかるような気がいたしますが、うんと急いでやらなければいかぬという気持ちがかなりあったんではないかと思いますが、その後の状況によりまして、その心配は先方においても解消してきている。これは事実の上にあらわれてきているように考えられます。 あとは、先ほど来お話がございましたように、アメリカのニクソン・ドクトリン、特にグアム・ドクトリン以降におけるアメリカの政戦両略体制とでも申しましょうか、それに対する論議でございまして、これに対しては、将来とも私どもがいろいろ考えていく上に参考になることはあると思いますけれども、当面の沖繩返還問題あるいは一九七二年中の沖繩返還問題というようなことについては、私は直接の差しさわりのある問題ではなく、むしろ大きなアメリカとしての政策論議である、かように理解をいたしておる次第でございます。
○向井長年君 そうすると、ジョンソン証言は日本政府と話し合ったそのものであると、そういうように解釈してよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これも具体的に申しますと、共同声明というものに両国首脳が合意をした、そして、その合意の内容につきましては、双方の考え方に食い違いがない、かように私どもは考えております。
○向井長年君 この共同声明なり条約、これは私は少なくとも字句が変わったとは考えられないと思う、その字句については。しかし、内容の解釈というものは非常にウエートが大きいのではないか。ということは、これは特に前の安保条約から比較しても、先ほどから論議されておるように、「日本国の安全」、こういう立場で国民は解釈しておるのですよ。しかし、特にただいまこの問題については、初めて日本政府が韓国、台湾のこの防衛という問題の義務も切り離せないということを認めたという形に変わってきておるでしょう。そういう中から見れば、これは取りきめはそのままであっても、内容的には大きなウエートが、これが幅が広くなっている、こういうふうに私たちは解釈するわけです。その点について先ほどからいろいろ質問、論議がございますけれども、私は政府がやはりそういう点は明確に認めているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) この点、政府の見解としては、岸内閣以来、あるいはそれ以前の安保条約ができましてから以来、狭い意味の「日本国の安全」ということだけを考えていたのならば、いまの条約の前文とか、あるいは第六条とかいうものは、極端な言い方かもしれませんが、なかってもよかったんではないかと思いますが、政府といたしましては、こうした第六条の規定というものが非常に重要な性格を持っているものであると、つまり、「日本国の安全」ということは極東の安全と切り離して考えることはできないという考え方に立っているわけでございますかう、この基本的考え方について日本政府の見解は変質しておりませんということを私は確言できると思いますし、それから、この十数年にわたる日本国会の議事録等をごらんいただきましても、私の申し上げておることは、すべて政府の見解として私は立証ができると思います。で、この十数年間の経過といいますか、状態を外国の人がどういうふうに見ていたか、批判をする立場に立って見ていたかということはまた別になると思いますけれども、しかしこの共同声明について考えられている、そのことについては、両者が完全に合意をしているということが、このサイミントン議事録の中から読み取れる私は大切なことである。そういう意味におきましても、安保、沖繩問題についての両方の考え方というものは共同声明のとおりである。そして、これ以外に秘密の取りきめとか、約定とか、代償というものはないということが明白になっているということで、私は、日本国民の方々に政府の態度あるいは言明に対して御信頼をいただける、かように私としては確信をいたしておるわけでございます。
○向井長年君 時間がございませんので、これで終わりますが、そうすると、なにですか、ジョンソン証言の中で言われている問題、核の問題もございますけれども、これは、政府としてはあくまでも事前協議の中でノーと言わない、イエスだ、こういう形を希望的観測としてアメリカ、ジョンソンは考えてると、こういう解釈ですね。そういう形で考えてよろしいんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 日本の立場といたしましては、前々から申しております——先ほども過去十年あまりの間の、まあ二、三の例を具体的に申し上げたわけでございますが、この態度に変更はございません。事前協議ということであるからには、これは諾否両方あるというのが、事柄の性質上、当然であると思います。そして、その諾否をいかにきめるかということは、事前協議を受ける日本側の主体的な判断によってきまる。アメリカ側としては、一九六〇年の共同声明を特に引用しているようなことで、日本の態度というものも十分理解していると信じますが、同時に、日本側としては主体的な国益の上に立って許否をきめるという、これ、当然のことであると思いますが、この点は確保されていると、私は、政府といたしましては、さように考えておるわけでございます。
○向井長年君 時間がございませんので、これで終わりますけれども、特にこの問題について、外務省の高官筋で、これは一方的な希望観測である、希望的願望の表明であるというよううことが言われております。これは外務大臣としてもやはりそういうふうに考えられますか。この点について。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、そういう見方もできるかもしれないと思いますけれども、しかし、私は、それに対して、そういう一つの見解に対してコメントいたしますよりも、今回サイミントン委員会の議事録が発表されまして以来、私として申し上げておりますことが政府の見解でありますわけで、当時何とかの見解とか、ああいうものが出ましたのは、外電等で伝えられたことに対する、一つの求められたとっさの表現ではなかったかと、かように存じております。
○向井長年君 時間がございませんから、これで質問を終わりますけれども、特にこの問題については、私、質問を保留いたしまして、次期の沖特なり、あるいは外務委員会でもう少し質問をいたしたいと思います。きょうは時間がありませんので、終わります。
○春日正一君 サイミントン委員会の議事録が公表されて、いままで共同声明について国民の間にいろいろな不安、疑惑というようなものがあって、それを国会ではっきりさせようということで、野党がいろいろ質問してきたけれども、なかなかはっきりしたものはつかめなかったけれども、このサイミントン委員会でのジョンソンの証言というようなものが、共同声明のほんとの中身をかなり具体的に示してくれたというようなふうな感じを受けます。それで、これはまずいと思いますよ。日本の国会で、総理なり外務大臣の口を通じて、国民がなるほどそうかと、よきにしろ、あしきにしろ、ほんとのことがわかったということでなくて、外国の国会での発表で、ああそんなことがあったのかということが問題になるようでは、これは非常にぐあいが悪いと思う。しかし、まあきょうの質疑をずっと聞いておりまして、なかなかそういう一般的な問題での質問では、いろいろ心配している問題がまだはっきりしないという面もありますんで、私、短い時間ですから、非常に具体的な問題についてお聞きしてみたいと思います。 最初にこの前の六十三国会で、衆議院の本会議で外務大臣はリーサーの証言、いわゆる太平洋全域にわたる補給基地に沖繩をするというような証言と関連して、「安保条約の目的あるいは範囲、そういうことを越えての、かりに計画がありといたしましても、それを越えるようなものでございますれば、これに同意する考えはございません」、こういうふうに答弁しておいでですけれども、このことはいまでも変わりませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) まず最初の御意見と御質問でございますが、私はサイミントン議事録を通じてこういう感想を持つんでありますが、申すまでもございませんが、とにかく戦争で失った領土を話し合いで返還を求める。しかも、日本側の希望する条件によってこの返還を求めるということは、ほんとうに非常な大事業であるということを痛感いたしましたし、また、これを契機に、そういう認識が国民的に取り上げられることは、むしろ私は喜びとするところではないかと思います。そして、この問題に対するアメリカの人たちのとらえ方、これはジョンソン国務次官の答弁、あるいは証言もさることでございますけれども、先ほど来お話がございましたような、きわめて見識の高い上院の議員の方々によって象徴されておる各種のアメリカの国民的な意見というものが、これを通して相当に理解できる。この問題の背景、またはアメリカ側としても、どんなに苦心をしてこの問題の処理に当たって、日本側の願望を達成しつつあるかということの重要性と、アメリカ側のとらえ方というものが理解できるということに私はむしろ喜びを感じております。そしてこの機会に、先ほど来おしかりをいただいて恐縮でございますけれども、政府といたしましても、こうした機会にできるだけいかなる角度からの御質問にも十分にお答えをして、そして日本の国民各位に認識と理解を深めていただく。日本の政府の態度に対して全面的な御支援をなお一そういただけるように、そして沖繩返還というものが、ここに公約されたとおりに実現される日の一日も早いことを期してまいりたい、かように存じておる次第でございます。 それから、いまの具体的な御質疑でございますけれども、私は考え方としては、前申しましたことと変わっておりません。
○春日正一君 それから、これも六十三国会のあれですけれども、沖繩の第三海兵師団と第一海兵航空団によって編成されておる第一海兵緊急派遣部隊、これについて、この部隊が直接発進を任務とする部隊であるということから返還後にこれを維持することがいいかどうかというようなことが問題になったのですけれども、この部隊が残ること自体は、直接発進の許諾ではないので、事前協議の対象でもないし、かまわないということで、外務大臣も「法律的、条件的にはそういうことになる」というような答弁をされております。衆議院のこれは予算委員会の第二分科会。そこで、法律的には確かに残るということになる。しかし、沖繩の海兵隊というものですね、これはいつでも一番先に出かけていって戦争をやって橋頭堡づくりをやる、そういうきわめて攻撃的な部隊ですね。だから、こういうものは、私の考えでは、毒ガス、B52、これに劣らないほど日本にとって危険なもんだと思うんですよ。こういうものを、沖繩が返還された後でも、こういう海兵隊の直接発進の基地としての機能も含めて、アメリカ軍の基地が残るというふうに考えていいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それに直接お答えすることにならないかもしれませんけれども、海兵隊であろうが、何であろうが、何といいますか、トループスが戦闘作戦行動に出撃をする、そういうような命令をもらって基地から発進するという場合は、完全に事前協議の対象になります。
○春日正一君 私は、事前協議以前に、そういうものを置くかどうかという問題を問題にしているわけですけれども、特に今度のサイミントン委員会の記録ですね、これの中にある一五〇五ページですか、に書いてあるところを見ますと、この緊急派遣部隊ですか、これは単に極東の範囲にとどまることでなくて、アメリカの太平洋軍司令部の管轄する全域にわたって出撃するというふうに説明されております。そうしますと、さっきのリーサー発言についての外務大臣の答弁のたてまえからいえば、こういうものを返還時以後沖繩に置くということは当然拒否されるということになる、そういう任務を持った部隊がとどまることを拒否されるということになると思いますけれども、その点、そういうふうに必ずするということになるかどうか、お聞きしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) それですから、先ほどもお答えいたしましたように、かりにそういう部隊が——仮定の問題でございますが——おりましても、事前協議の対象にならなければ任務を達成することができないわけでございまするし、それから、日本の国益のたてまえ、それからこれもしばしば問題になります点でございますが、極東の範囲ということにつきましても、沖繩返還後においても、従来からのたてまえ、考え方は微動もいたしません。そういうような点から考えましても、そういう場合にはノーと言うのが当然であろうと私は考えております。そういうことからいえば、はたしてそういうものを置く必要があるかどうかということにもさかのぼるわけではなかろうかと思いますが、そういう点は、返還にあたりまして十分ひとつ頭の中に入れて、これからも御懸念のないように努力をいたしたいと思います。
○委員長(塚田十一郎君) 時間でございますので、簡単に。
○春日正一君 私の言っておるのは、もちろん、事前協議にかかったときに、イエスと言うかノーと言うか、そこでチェックするという問題を言っておるのではなくて、先ほど来大臣も言われるように、アメリカの国会という、相手の側としては一番権威のあるところで権威のある人が、この部隊は太平洋全域にわたって使用されるのだとはっきり言っておる。そうして、書いたものをわれわれも持っておるし、外務省も持っておいでになるというのを、そのまま黙ってほっておいて、将来何かあったときに、事前協議がかかってきたときに問題にするのでは、私は手落ちだと思いますよ。こういうことをはっきり言って文書にして出してきている以上、そういうものは置きません、出て行ってもらいますよという態度を、日本の国会を通じてでもはっきりすべきだろう、そういう立場からお聞きしておるわけです。これについて答えていただきたいと思います。 それからもう一つ、時間がありませんからついでに全部言ってしまいますけれども、この緊急派遣部隊というのは、沖繩におる第三海兵師団、それから第一海兵航空団というのは、沖繩の普天間にもあるし、同時に山口県の岩国にもいるわけです。だから、こういう危険な発進部隊が本土と沖繩と組み合わしてもうできておって、いつでも出て行けるというようなことになっておる。そういう点を私ども非常に危険に感ずるわけでず。 それから、今度の委員会の発表によると、沖繩には第七心理作戦部隊というものがあって、いろいろ謀略活動をやっておるということが書いてあります。そうしてその活動内容を見ると、たとえば朝鮮民主主義人民共和国に対しては、毎日十九時間もの国連軍の声放送をやっておるし、あるいは朝鮮、ラオス、ベトナム民主共和国、タイなどでの大量のビラやリーフレットの頒布というような宣伝活動がやられております。そうしてこの内容について、この報告書の一三五四ページを見ますと、やはり北朝鮮政府の変更、つまり、政府をつぶせということを呼びかけておる。あるいは同じ一三五八ページでは、台湾政府が本土回復のための強力な武装というようなことを言っておるというような点から見て、はっきりと社会主義諸国の政府を転覆する活動、これをやっておる。その基地が沖繩にあるわけですね。そうすると、日米安保条約というものの中での、極東の安全を守る、そういう意味での仕事の中に、アジアの隣邦である社会主義諸国の政府を転覆する、その活動を日常不断にやるというようなことが含まれておる、それが、いまは沖繩はアメリカの施政権下だからしかたがないと言うけれども、これが復帰した場合、日本の国内から、中国の政府を転覆しろ、あるいは、朝鮮民主主義人民共和国の政府を転覆しろというような放送なり宣伝が絶えずやられるということが許されるということになれば、日本とこれらの国との親善友好関係を進めるというようなことがますます不可能になる。そういうことになるわけですけれども、日米安保条約の中には、こういうことが許される、こういう基地も置くということが含まれておるのかどうか。その点と、それから、日本政府として、返還時にこういうものを撤去させるというような考えがあるのかどうか。この点をお聞きして、きょうのところは私の質問はこれで終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一点につきましても、私、春日さんのおっしゃる意味はおよそわかるつもりでございまして、それでさっきお断わりしましたように、事前協議のことをお答えしたのではお答えにならないと前提して申し上げたのですが、おっしゃることはよくわかります。それだから、こちらが断わるようなことが明らかである、つまり、安保条約の範囲を逸脱するような活動は認められませんから、そういうことで処理をしなければならないという趣旨をお答えしたつもりでございます。 同様のことがあとの二点についても言えると思いますが、要するに、安保条約の目的の範囲外に出るような活動というのは、そもそも安保条約に照らして条約の範囲を逸脱することになりますから、これは事前協議云々の問題よりも、もっと広いと申しますか、そういう問題であると思いますから、これは、返還後の沖繩におきましてさようなことが行なわれないようにするというのが日本政府の態度でなければならない、そういう線に沿うて努力をいたしたいと思います。
○委員長(塚田十一郎君) 他に御発言もなければ、本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会