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63回国会衆議院1970/03/17

予算委員会第三分科会 第5号

発言数
287
登壇者
29
会派数
4
開催日
1970/03/17

会議録

田中龍夫自由民主党

○田中主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力を願いたいと存じます。  なお、政府当局におかれましても、答弁は簡単明瞭にお願いをいたします。  速記をとめて。     〔速記中止〕

田中龍夫自由民主党

○田中主査 速記をお願いします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。都合により、渡部通子君の質問を許します。渡部君。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 きょうは排気ガス汚染の公害問題について伺いたいと思っております。  これは何も柳町に限ったことではございませんけれども、自動車の激増によって最近たいへん排気ガスの問題が、排気汚染のこととして、人命問題にまでかかわる問題として、大きく取り上げられていると思います。昨年の六月の調査、あるいはことし二月の東京都の公害規制部の発表によりましても、やはりいま全国一の汚染地域が柳町として、大原交差点を上回る地域として取り上げられておりまして、大原ぜんそくにかわって今度は柳町ぜんそくとか、あるいは薬王寺ぜんそくとか、こういう名前まで出てくるような現状でございまして、この排気ガスによる排気汚染の問題について関係各省の御見解を承りたい、こういうつもりでおります。  昨年の二月に硫黄化合物の環境基準か制定をされまして、ことしの二月に入ってさらに一硫化炭素の環境基準が制定された。これはたいへん政府の前向きな姿勢として私どもうれしいことでございますけれども、環境基準が制定されました以上は、この環境基準達成のために具体的に何をしなければならないか、これについてまず伺いたいと思います。具体的に一歩前進の対策をどうおとりになっていらっしゃるか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 ただいま御指摘ございましたような東京都柳町の汚染の問題につきましては、私のほうも東京都からいろいろ事情を確かめたわけでございますが、柳町につきましては昨年の六月と今年二月、三月、この三回の調査を東京都でやっております。昨年六月の調査もことし二月、三月の調査も、いずれも十一時間ないし五時間の非常に短時間の昼間だけの調査でございます。したがって、それからにわかに環境基準にこの地域が合致しているかどうかということをきめることはまだできないようでございまして、私どもとしましては、この地域を含めまして東京都全体に常時測定点が設けられまして、自動車の排気ガスからの影響がどういうぐあいにあらわれているかという環境状況の調査がすみやかに始められますよう期待しているわけでございます。ただ、いま御指摘の中に大原町を上回るというようなこともございましたが、実はそういうことで昼間の時間だけの調査でございますので、特に大原町で一番汚染のひどい午後七時をまん中にしました三時間の時間帯からはずれておるわけでございまして、これだけから柳町の場合が大原町を上回っておるということは言えないのじゃないかと思うわけでございます。  それから、いまの御指摘にありました、何をやるかということでございますが、これは昨年の硫黄酸化物の環境基準ができましたあとで、私どもとしましては特に排出規制を強化するということに相当重点を置きまして、昨年七月には新増設にかかります特別排出基準を設定いたしますとともに、十二月に、一般排出基準につきましての排出規制の強化をやるということを確認いたしたわけでございます。関係の厚生省、通産省当局の協議も行なわれまして、ことしの二月一日から適用になっているわけでございます。  それから一酸化炭素の関係につきましては、これは閣議決定されました環境基準の中にこまかく今後の対策等書いてあるわけでございますが、大きく申し上げまして、一つは自動車自体に関するたとえば自動車の構造だとか整備状況だとか、こういう諸条件に対する対策、それから道路の構造あるいは整備状況等道路に関する諸条件の対策、それから交通量、交通規制、こういう運行に関する諸条件の対策、及び気象に関します諸条件の調査及びこれに対する対応策、こういうものを中心に総合的に対策を進めてまいることにいたしたいと思っております。そのための監視測定体制をすみやかに整備する、あるいはまた調査研究を進めてまいるということを考えておるわけでございます。もちろんその中には一番大事な自動車自身の排出規制の問題が当然含まれているわけでございまして、この点につきましては、さきに運輸省から発表になりました各般にわたりましての規制措置の強化をはかる、こういう予定になっているわけでございます。またこの具体的な実施の段階になりましたら、厚生大臣も当然意見を求められた上で実施される、こういうことになるわけでございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 いま調査の時間が非常に短いということで、まだこの環境基準に対する決定的な柳町の御見解がお出にならないようでございましたけれども、いずれにしてもこれだけ新聞でも取り上げられるし、あるいはたとえ短時間の間であっても東京都としての調査結果が出ている以上は、やはり柳町の交差点付近を重点地区としてひとつ力を入れていただきたい。環境基準を上回る、下回るとどうこう言ってみたところで、この環境基準それ自体が、これを上回った場合は人命にかかわるという、最低線ぎりぎりの命を守るための基準だと思うわけです。ですから、大原交差点との対比を私出したわけでございますけれども、それが上であろうと下であろうと、柳町付近の大気汚染の問題ということについてはどうか鋭意取り組んでいただきたい、それをお願いするわけでございます。  ただいま常時測定点の設置という問題が出ましたが、これは柳町はそうなっておりますでしょうか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 柳町には現在のところ常時測定点はございません。この間東京都が二十八カ所調査いたしておりますが、この中の東京都の関係でございますのを申し上げますと、国の関係で国立の衛生試験所で持っておりますのは大原町と霞が関、板橋、この三カ所でございます。それからもう一カ所大久保に国設の大気汚染測定所がございます。それから東京都としましては、都庁前と糀谷保健所、城東保健所、この三カ所に東京都の常時測定網を持っているわけでございます。それから柳町には現在のところそういう常時測定網は置かれていないような状況でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 これはぜひ常時測定点を置いていただきたいと思いますが、その点いかがでございましょう。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 これは都庁の問題でございますが、私どもとしましては今年度は十一カ所、四十四年度に三分の一の補助でこういう常時測定網の整備のために補助をいたしておりますが、来年度もまたこういう常時測定網をできるだけ問題点に設置していくように努力いたしたいと思っております。東京都がどういうような考えを持っておられるか知りませんが、この柳町につきましては、ただいま申し上げました二十八カ所の中では測定時間に関する限り一番高い汚染値を示しておりますので、私ども当然設けられるのが至当だろうと考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 今度は健康の問題になりますが、私も現地でいろいろな方の意見も伺ってまいりましたけれども、現にあそこにいる病院長が、ここ四、五年の傾向として非常に小児ぜんそくが多いということも言っておりました。それからあそこの新宿区の保健所は、柳町に限ってお子さんの健康診断をさらにしている、こういうことでも非常にそういう傾向があるということを思います。あるいは大阪等の資料も私きのう調べてみましたら、やはり一酸化炭素の人命に及ぼす影響というものはたいへん大きなことである、こういう意味で、硫黄酸化物のときなどは企業にその責任を求められるわけですが、車の排気ガスでこういう健康がそこなわれたというような場合、責任は一体どこがとるのであろうか、あるいはこういう人命に関する問題になった場合の処置について、厚生大臣等はどういうお考えをお持ちであろうか、これを伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私は専門家じゃございませんけれども、国民感情を吸収いたしたようなつもりでお答えを申し上げたいと思います。  厚生省といたしましては、お話がございましたように、硫黄酸化物並びに今回一酸化炭素についての環境基準というものを設けましたが、環境基準というものは、それ以上になっては承知できないという基準でありますから、すべての地域、地点がそれ以下であるように保たなければならない、こういう具体的な施策を講じていかなければ、環境基準だけつくっても何の役にも立たないと私は思います。幸い今回自動車の排気ガス等を主たる原因とする一酸化炭素についての環境基準もできたわけでございますし、それを守るための手段も閣議に運輸省等から報告がございました。それを守るための手段といたしましては、従来は自動車から排気される一酸化炭素の濃度が三%くらいであったのを、今回環境基準の設定に相伴って二・五%くらいにこれを制約するような、そういう自動車の構造上の制約もする、さらに進んで新しい車にはそれ以下に排気ガスが少なくなるような設計並びにその運営上の装置もさせる、こういうようなことを運輸省も協力して申し出ております。これは新車についてはもちろんでありますけれども、中古車につきましても、最も早い時期に自動車の燃焼装置について改造を施させるような指導を運輸省が行なう、こういうことを申し出ておりますし、また、さらに状況がひどい場合には、道路交通法等によって、自動車をその地域を通さないで時間的に遠くを回すというようなことも警察庁がやらせる、こういうようなことも申し出をいたしております。いま渡部さんからお話しのように、あの地域にでき得る限りすみやかに測定装置などをつけまして、現実にそこの濃度が環境基準を越えるような状態がありますならば、いま言うように自動車を時間を限って遠くを通すようなこともやってもらうように、私どものほうから警察庁なり、あるいはまたさきに申しましたような自動車そのものに対する施策がおくれているようなことが万一ありましたならば、運輸省にも厳重に申し入れをするようなこともいたしまして、柳町に限らず測定地点等の付近において一酸化炭素の環境基準を守らせるように、それよりもはるかに低い状態であるように、そして地域の方々にも御安心をいただくような、そういう措置を具体的に講じてまいりたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 いまの厚生大臣の御答弁、よくわかるのですが、私が伺いたかった一点は、人命に影響がある、明らかにこれは排気ガスの影響であるということが出てきた場合に、相手が企業等ではございませんので、責任の所在がどこにあるか、これを政府なり都なりとして、医療処置等の行政指導なりはしていただけるか。その一点が伺いたかったのでございます。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 私どもは、いろいろ大気汚染の関係、水質汚濁の関係でございますが、疾病が地域的にいろいろ発生いたしました場合に、第一義的にはその当該地方公共団体が住民の健康を保持する責任があるということにかんがみまして実情調査を行なう、そしてまた必要な処置を講じていく、これが一番実際の方法であろうと考えておるわけでございまして、それに関連をしまして、保健所が公衆衛生の保持の見地から、保健サービスの提供その他の協力を当然すべきものだと考えておるわけでございます。さらにこの疾病が非常に問題になりまして、大気汚染とか水質汚濁等との関係で非常に問題があるというような場合には、現にこれまでも何度も医療研究補助金等を出してやってまいっておるわけでございまして、その結果特に原因、結果の関係が、相当はっきりした結びつきがあります場合には、いわゆる健康被害救済特別措置法による措置を講じておるわけでございます。現在のところ、ただ一酸化炭素に関しましては、その被害はたとえば時間の識別機能の低下だとか、あるいは精神神経機能の低下だとか、一般に人の疲労の場合にあらわれます生理的な反応とほとんど同じようなものでございまして、いわゆる医療の対象としてそのような段階までは至っておりません。これは一酸化炭素自体の本来的な性質上そういうような範囲に限られてくるわけでございまして、したがっていま申し上げましたような健康被害救済特別措置法などの対象とするということをこの段階では考えていないわけでございます。そのほかの、当然自動車に排気ガスがございますから、そういうものについてどういうような健康上の被害があるかというような点でございますが、これはいずれもまだ研究の段階でございまして、今後その研究の成果をまって環境基準を設定してまいるというような段階でございまして、現在の段階ではそういうような健康被害については具体的な事例もございませんし、またその対策としての特別措置法の適用ということは現在はまだ考えていないような段階でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 排気ガスの次の問題として、やはり酸化窒素、炭化水素ですね。この問題がまた大きく現在浮かび上がってきていると思うのですが、これらの環境基準あるいは個別規制、こういった問題について今後のお考えをひとつお願いしたいと思います。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 いま御指摘ございました窒素酸化物でございますが、これにつきましては、私どもとしましては、昭和三十八年からまず問題の取っかかりとしまして、その測定の計器を開発するということに努力いたしてきておりまして、これを使いまして国設の大気汚染測定網や、さっき申しました国立衛生試験所の大気汚染測定所で測定をいたしておるわけでございます。さらに二年前、四十三年度から動物実験を始めまして、この成果ができるだけ早く出てくるのを現在待っておるような状況でございます。それから、四十五年度から新しく私どもとしましては、人体に対する窒素酸化物の影響の調査のための疫学的な調査をいたすために、現在五カ年計画をもってやろうというような計画を持っておるわけでございます。いま御指摘のような環境基準でございますが、そのような状況で、これは世界的に見ましてまだ動物実験の段階だけでございまして、人間の健康という問題に対しても十分なる医学的あるいは疫学的なデータがございませんので、私どもとしてはとりあえず公害防止の判定目標を早くきめて、そのあとで環境基準をつくるというような形にでもしたらいかがだろうかというようなことで、いま検討をいたしておるような状況でございます。ただ前提としまして、測定方法が確立するということがございませんと不可能でございますので、それとあわせて現在できるだけ推進していこうと考えているわけでございます。  それから御指摘ありました炭化水素につきましては、これは単一のものでございませんので、数十種類の炭化水素の化合物から成り立っているわけでございます。私どもが測定をいたしておりますのは、それを特定の炭化水素として換算したものでございます。したがってその方法による測定値だけから基準値をつくりましても無意味であります。その中にどういう物質が含まれているかということによりまして衛生上の影響も違ってまいるわけでございます。したがって直ちに炭化水素についての環境基準をつくるということは、そういう意味での困難がございます。ただ炭化水素には、それ自身が呼吸とか粘膜等を刺激するというようなこと、あるいは悪臭が放つとかいうことがございますほかに、特におそれられておりますのは窒素酸化物と一緒になりまして大気中のいわゆる太陽エネルギーを受けまして光化学的物質、オキシダントを生じて、光化学的いわゆるスモッグの現象を起こしている、これを一番おそれているわけでございます。それによりまして視程障害、肺機能等に重大な影響を及ぼすわけでございまして、私どもとしましても、むしろそういう意味ではオキシダントの環境基準をつくるのも一法ではなかろうかということで、オキシダント、窒素酸化物、炭化水素、この三つを含めまして、すみやかに研究成果を得まして、環境基準が設定できますように努力いたしておるわけでございます。実は炭化水素につきましては数年前からアメリカとも提携しまして、技術的に検討を進めておるような状況でございますので、これらの環境基準もそうおそくない機会に何とかつくり上げてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  もう一つ申し添えますと、こういうことで環境基準ができるのは時間がかかるではないか、そうすると衛生上非常に問題があるのじゃないかということであろうと思いますが、たとえば排出の規制と環境基準の問題は、必ずしも環境基準が先行して排出基準があとだということではございませんので、人体に対する悪い影響があるということがある程度はっきりしている場合には、当然排出規制のほうに踏み切ってまいらなければいかぬわけでございます。現にこの自動車の排気ガスにつきましてもブローバイガスの還元装置をつけまして、炭化水素ができるだけ少なくなりますように、この九月から運輸省では踏み切りたいというような考えを持っておるような状況でございます。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 たいへん学者の御答弁を聞いているようですが、いまお話しの中に、環境基準がたとえできなくても規制はやっていくということでございますので、調査が長引いて対策がおくれるというのがいままでの実情だと思いますので、その点をどうか推進していただきたい。  時間がございませんのでこれでやめさしていただきます。いま大臣の御答弁の中にもありましたけれども、警察庁のほうにもよく言って、交通規制等も、あるいは道を回す等の処置もとってくださるというお話がございました。私も現場へ行って見まして、それしかないような気もいたします。そういった意味で、あそこはたいへんな交通混雑でございます。くぼ地であるところにもつてきて道路幅が狭い。私もあそこを十五年間ぐらい行き来しておりますけれども、タクシーの運転手自体があそこを拒否するような——最近は待ちメーターが上がりますからどうかわかりませんけれども、そういう実情でございまして、何とかここに一方通行なりあるいは時間規制なり、そういった交通規制を設けていただけないだろうか。これは地元の大きな声でもございますし、その点について警察庁の御見解を承りたいと思います。

井口孝文警察庁交通局交通規制課長

○井口説明員 ただいまお話にございます牛込の柳町の交差点でございます。これは外苑の東通りと大久保通りとの交差ということで、私も現場をよく知っておりますが、大久保通りが特に谷底に沿ってあるようなかっこうになっております。たいへん交通渋滞がひどいときに、特に風でもございませんと、しろうとでございますから、歩いてみて私ども胸がむかむかするような気がいたしております。現在交通規制といたしまして、あの外苑東通りのほうは上下とも八時から二十時右折禁止でございます。大久保通りのほうは上下とも七時から九時、十六時から十九時、いわば朝夕のラッシュ時の交通規制をしておるわけでございます。もちろん駐車禁止は両方の路線をやっておるわけでございます。これを少しでも渋滞緩和に尽くしたいということで、現在大久保通りのほう、電車通りのほうを八時から二十時まで全面右折禁止にすることを検討しておるわけでございます。また大久保通りのほうは、都電がこの三月に廃止になりますので、幾ぶんかこれは両方の通りに渋滞の緩和が期待できるのではなかろうかと考えております。ただ問題は、あの場所だけ渋滞を緩和するということもなかなかむずかしゅうございまして、もう少し広い範囲で規制を考えませんと、あの場所だけ通すということを考えましても、ほかの場所がつかえておるということでは、そのことが柳町に影響してくるわけでございます。そういったことで、もう少し広い意味で何とかスムーズに通れるように交通規制を考えていきたいと考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 同じ趣旨でございますが、やはり道路問題についてあそこの環状三号線と放射二十五号線の交差している場所に立体交差が考えられないか、あるいは道路の拡張ですね、そういった点のお考えがおありかどうか。やるやると言われながら、もう待ちくたびれてしまって、家の増築等も始めた家も出始めておるような状況でございますが、その点についてのビジョンあるいは長期計画でもけっこうでございます、予定はどうなっているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

今野博建設省都市局街路課長

○今野説明員 お答えいたします。  ただいまお話しの放射二十五号、環状三号の上を通す立体交差の話でありますが、実は三十九年に都市計画できめまして、現在放射二十五号、これは幅員が十五メートルございまして、そこに都電が通っています。三十九年にきめました計画によりますと、あの部分につきましては幅員を三十五メートルにしよう、そして十六メートルの高架道路を通すということで計画がきめてございます。先生御承知だと思いますが、いま環状三号のほうを合羽橋のほうから、ずっと改良を進めてきております。幅員二十七メートルでずっと広げてまいっております。自衛隊の付近をやっております。これを柳町のほうまで推し進めまして、いわゆる予定どおりですが、そのときに環状三号の改良と並行しまして、同時に放射二十五号の立体交差に着手したいという計画でございます。できるだけ早い機会にそういうことをしたいと思っておりますが、何せ現在の十五メートルを三十五メートルに広げるものですから、両側に二十メートル広がる形で、相当な移転もございますし、相当時間がかかります。できるだけ早い機会にそういう高架道路をつくりまして、ちょうど地形的に柳町が下がっておりますので、おそらくあのレベルの形で高架道路ができるのじゃないかというふうに考えております。できるだけ早い機会に着手するように指導してまいりたいと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 たいへん前向きの御答弁なんですが、できるだけ早い時期にという点を、もう少し具体的にお聞かせいただきたい。来年は一体どうなるか。

今野博建設省都市局街路課長

○今野説明員 お答えいたします。  東京都のほうでは、現在中期計画と申しまして計画を立てておりますが、中期計画の中に入っておるそうでございます。ですから、環状三号のほうの改良に並行しまして、そういう立体交差の要求が出てまいりますならば、建設省としてはそれに応じてまいりたいというように考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 いまのお話でも、やっぱり実権は東京都にあるというような御意見でございますけれども、東京都といたしましても、たいへんに調査はやるけれども、改善策には乗り出さないというようなお話でございまして、地方自治体に権限があるのかないのか、どうなっているんだ、これは私不審に思います。手がつけられないのだというふうに東京都のほうでは申しておりますけれども、それならその点は権限をもう少し東京都に委譲してはいかがか、改善策に乗り出すまでの権限委譲はできないか、こういった点で自治省の御意見を伺いたいと思います。

宮澤弘自治省行政局長

○宮澤政府委員 いまのお尋ねは、公害の防止についての権限委譲でございますか。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 そうです。

宮澤弘自治省行政局長

○宮澤政府委員 公害防止につきましては、御承知のように、ただいま大気汚染防止法と都の公害条例、おそらくこの関係についての御質問ではないかと思います。大気汚染防止法自身は、実際の施行の権限を知事にかなり委譲をいたしております。したがいまして、その点の問題ではなくて、むしろ東京都が条例で規制できる範囲をもっと広げることはできないかというような御趣旨のお尋ねではないかと私は思います。そういうことで御答弁申し上げますけれども、御承知のように、地方自治法で地方公共団体が住民の権利義務を規制できる条例を制定することができるという趣旨は、各地方の実態に応じた各種の規制ができる、こういうことから出ているわけでございます。そういう意味で、地方公共団体が各地の実情に応じた規制ができる範囲はなるべく広いほうがいい、私どもはこういうふうに考えております。ただこの条例は国の法律に違反するわけにはまいりません。大気汚染防止法と東京都が定めております公害の防止に関する条例、これは結局大気汚染防止法が規制していないものについて条例で規制し得る、こういうことでございます。したがいまして、ものによりまして、条例で規制できるもの、できないもの、こういうものがあろうかと思います。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 ちょっと戻って申しわけありませんが、先ほどの建設省のお方のは、東京都の中期計画が上がってくればさらにできる、そういう御答弁と承ってよろしいですか。

今野博建設省都市局街路課長

○今野説明員 中期計画に入っておると申し上げましたが、当然に近い将来に上がってくるはずでございます。あの場所も、交通量自体、交差点で大体いま六万台くらいでございますが、そう多くございませんけれども、実は大気汚染の関係もございますし、少なくともあの交差点自体非常に狭い形になっておりますので、できるだけ早い機会に改良すべきであるというふうに建設省は考えておりまして、建設省では、東京都のほうから出てまいりました際には、重点的に取り上げてまいりたいというふうに考えております。

渡部通子公明党

○渡部(通)分科員 時間がありませんので、はしょって、これで終わりますけれども、いろいろ困難な問題もあるように伺いますが、生活の実感の問題として、柳町は四十年来非常に言われておりますけれども、そのくらい住民の方々が困難をしておりますし、そういった点で、どうかいま御答弁のあったいろいろな問題を鋭意実行に移していただきたい、それを最後に要望させていただきます。  以上で終わります。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもちまして渡部君の質問は終わります。  この際、三分間休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後零時三十九分開議

田中龍夫自由民主党

○田中主査 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  質疑を続行いたしますが、この際申し上げておきます。  質問者の各委員は、たくさんの御質問を希望しておられますので、政府関係各位におかれましては、もっと簡潔に御答弁のほどをお願いいたします。  それでは古川雅司君の質問を許します。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 限られた短い時間に、およそ三点にわたってお伺いをしたいと思います。  最初は小児病、いわゆる幼いお子さん方の病気の問題でございますが、これが対策については非常なおくれがあるというふうに私は思いますので、前向きの姿勢で御答弁を賜わりたいと思います。ことに私が今回取り上げさせていただきたいのは、小児ガンの問題でございまして、三年ほど前に大きな社会問題になったことも私、記憶いたしております。その後政府におきましても、幾つかの対策はお立てになったと思いますが、実際問題として、医療の技術的な問題も現在行き詰まっているようでありますし、むしろこの問題は、こうしたお子さんをかかえた御父兄の方々、親御さんに対する強力な生活の保障、生活の援助といったような方向で対策をお考えいただきたいというふうに私は考えるものでございます。御承知のとおり、この小児ガンでなくなるお子さん方は、年々二千人に近いというふうに伺っております。これは子供さん方の死亡率の中では、交通事故に次ぎ、病気では第一位を占める原因になっているということを聞いておりますが、政府のいわゆるガン対策の中で、この小児ガンに対する予算の措置、また医療対策、この現状はどうなっているか、最初にお伺いしておきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 小児ガンの問題につきましては、御指摘のように子供の死亡率の中で、特に五歳以上になりますと第二位を占めるような状態でございます。その中で一番多いのがやはり白血病系統でございます。まず本体が十分つかまえられていないというところに、ガンの共通の問題がございますので、私どもといたしましては、まず小児ガンについての研究を促進したい、こういうことを基本に考えておるわけでございます。すでにガン研究所の経費の中で、たとえば四十四年度におきましては、小児ガン並びにそれに関連いたします白血病関係で約千六百五十二万円の研究費を支出いたしております。今後もこの問題をさらに引き続きやりまして、より治療その他についての研究を進めていきたいというのが第一でございます。  第二の問題としましては、やはりガン全体の共通の問題ではございますけれども、こういう専門家を早く養成するということが大事な問題であろうかと存じまして、国立がんセンター等におきましても、そういう専門家の養成をやっておりますけれども、その中に特に小児腫瘍課程というものを四十三年度からは設けまして、小児ガン関係の訓練というものに特別に意を注いでいるわけでございます。  なお一般にガン対策としまして、御承知のように、地方のがんセンター及び都道府県のガン診療施設というものの整備について、引き続き計画的に補助をいたしてやっておりますが、小児ガンにつきましては、各都道府県のガン診療施設並びに地方がんセンターにはすでに小児科を標榜いたしております。そういうところで、やはり一体となりまして小児の治療問題をあわせて解決をしたい、こういう診療に直接従事するように極力いたしておるわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 しかし実情といたしまして、年間二千名からのこうしたお子さんがなくなっているにもかかわらず、たとえば病床一つを取り上げましても、国立がんセンターの中における小児用のベッドは、わずかに十六しかない。全国の病院の中の小児科においても、こうした小児ガンに対するベッドを確保しているということは、あまり聞いておりません。こうした子供さんをかかえた親御さんが、入院もさせられない、また長引いていくこの病気に対して、なおらないということがわかっているにもかかわらず、あと入院を待機しているお子さんのために退院していかなければならないというのが実情であります。これは何としても緊急な措置をとっていただいて、大幅にベッドの確保だけでもしていただかなければならぬ、このように思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のとおりの実態は、まだあろうかと存じますが、やはり何よりもガンの専門的な施設の能力並びにそれのベッドの増ということを、基本的に進めていくのが第一かと存じております。特にガンのベッド等につきましては、たとえば公的医療機関等がガンのセンターとして活躍しておりますが、御指摘のようなそういうガンベッドについては、かりにそこが病床が過剰でありましても、それは特例として認められるような措置も講じております。御指摘のような線に沿いまして、さらに私どもとしても増床をさせるよう措置いたしたいと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 私、この小児ガンについて、年間どのくらい病気にかかるお子さんがいるのですか、このようにお伺いしましたら、大体二千人だということです。それでおなくなりになるお子さんはどのくらいですかと伺ったところが、やはり二千人だ、ということは、小児ガンにかかると、もうほとんどのお子さんが死を待つだけだというような実情のようであります。そうしますと、親御さんは、これは何とか助けたいという気持ちがある反面、何とかこの短い命、余生を十分に治療を尽くしてあげたい、できれば、もう楽園のようなところで好きなことをさせてあげて、そしてゆっくりした治療をさせてあげたいというのが親御さんの願いでございます。そうした施設も十分に与えられていないこの現状については、もう少し深刻に考えて、早急に手を打っていただきたいと思うのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 古川さんも御承知のとおり、私どもは、ガンの医療対策ということについては、もう一番重点を置いてまいってきております。総体的に小児ガンに対するベッド数の不足等の状況も、お話のとおりあろうかと存じますけれども、これは、もう基本的には制度的にも、またでき得る限り予算的にもこれに集中してまいっておりますので、どうぞ私どもの熱意を認めていただきたいと存じます。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 小児ガンと診断されたお子さんを持つ親御さんでございますが、これは、その事実だけでもたいへんな衝撃でございます。その上に、これはたいへんな医療費がかかる。特にきめ手になる薬もございませんが、この薬が、ほとんど現在輸入にたよっておるわけでございます。親としては、もう手を尽くしたいということで、あらゆる薬を使ってもらいたい、健康保険を使いましても、月に七、八万円はかかるというのが現状であると聞いております。しかも、こうした幼いお子さんを持っている両親は、ほとんどが三十代なり、もっと極端に言えば二十代の親御さんであります。当然所得も低い。これは、たいへんな負担になってまいります。家を持っている人は家を売り払い、もう借金するだけし抜いて、そしてすべてを投げ尽くして、なおかつ子供の死を待つしかない。こういうことに対する国の救済措置はほとんどありません。現在こうしたガンの子供さんを持つ親御さんの会ができております。そういったところで、篤志家の方たちの一部の基金によって、かろうじて五万円程度の貸し付け金制度ができているだけであります。これをこのまま見過ごしていくということは、これは、あまりにもむごいことではないか。何とかこの負担を公費で軽くしてあげることはできないか、そうした措置を検討していただくことはできないのかというのが悲痛な親御さんの願いでございます。この点、局長いかがでございますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 小児ガンのお子さん方の医療の問題につきましては、私どものほうでは、現在児童福祉法によりまして、たとえば先天性の心臓疾患とかあるいは未熟児というような、いわば早期発見によって早期に治療するということが可能なもの、そういうことによって障害の除去なり、あるいは軽減が期待できる、そういうような特殊な疾病につきまして、いわば公費で負担する、こういう制度を設けております。したがいまして、小児ガンの場合は、いまお尋ねのように、これはなかなかなおりにくいということになっておりますので、どうもたてまえの上からいいましても、私どものほうでやっておりますいわゆる公費負担制度では、なかなか現状において乗っかることが非常にむずかしい、こういう現状にあるわけでございます。したがいまして、この医療費問題につきまして、どのようにするかということについては、やはりこれはガンの対策全般の問題を総合的に検討して結論を出していくべき問題だ、私どもはこういうふうに思っておるわけであります。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 私、この冒頭に申し上げましたとおり、この小児ガンの問題が社会的な問題になったのは三年前でございます。それ以前からございましたけれども、特に大きく取り上げられたのは三年前です。その間、いま御答弁をお聞きしてまいりましたような実態が続けられている、現状が続けられているということは、非常に遺憾に思います。ことに医療費の問題、いま私がお願いを申し上げたとおりでございますし、また特効薬等につきましては、前々厚生大臣の園田厚生大臣が、緊急ないろいろな処置をおとりになったというような事例もございますが、こういった点、ひとつこういう問題について、大臣も敏感に察知されまして、何とか前向きの、こうしたお子さんを助けてあげる、父兄の方を助けてあげる措置をぜひとっていただきたい。そしてできることならば国の機関の中に、がんセンターの中に、特に小児ガンに対する対策の専門的な研究機関も設けていただく。また先ほど御説明がありました専門医の不足等については、強力な措置をとって、早く充足できるように進めていただくということを御要望申し上げたいと思うのであります。大臣、ひとつよろしくお願いいたします。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 古川さんの御熱意のあります御意見を十分傾聴してまいりたいと存じます。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 次に移らしていただきますが、原爆被爆者の救済についてであります。御承知のとおり、四十三年九月に特別措置法が通りまして、以来施設等の予算が計上されました。被爆者の一部の福祉が達成されつつありますが、まだこの法による措置についても、いろいろ問題点が残っておりますし、また未解決の問題がたくさんございます。私、要望をあわせまして二、三お伺いしたいのでありますが、特に本年度の予算を拝見いたしますと、総額としては多少ふやしていただいておりますが、その内容におきましては、ほとんど医療費の増額というふうにさかれておりまして、被爆者の皆さんに対する諸手当、措置につきましては、現状維持というふうに私、拝見をいたしました。したがいまして、被爆者の健康管理あるいは医療制度の充実強化につきましては、まだまだ被爆者については要望があるわけでございまして、健康診断の内容のさらに充実、あるいは認定疾病の拡大、あるいは特別被爆者の範囲の拡大、またこの措置法によります諸手当の支給の範囲でございますが、疾病の範囲あるいは年齢の範囲、所得の制限等、今後大幅に緩和をしていただきたい、このような要望が非常に強いわけでございます。原爆の被爆者の生活の実態につきましては、私、ここでいまさらくどくど申し上げるつもりはございませんが、こういった要望について、御当局は一体どのような方針で今後当たっていただけるか。生活の援護についてもさらに保障していただきたいというのが地元の切実な声でございまして、少なくとも本年度のように、わずかの予算的な措置の前進といいましても、医療費の増額だけにさかれている。諸手当等においては所得制限においても、また内容においてもほとんど変わらない、現状維持だというような点については、非常に不満を感ずるわけでございます。この点、今後いかがでございましょう。お伺いいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 原爆被爆者の取り扱いの問題について、第一点のお尋ねでございますが、御承知のとおり、いまございます一般被爆者それから特別被爆者、この振り分けのしかたにつきましては、法制定以来十数回にわたってたびたび改定を重ねて、今日に至っておるのであります。したがいまして、私どもの判断で、特別被爆者の範囲をさらに拡大するというふうな問題につきましては、特別、地理的条件とか、あるいは何か被爆当時の状態が、客観的にそこの地域だけが特に放射能で汚染が濃厚にあったというふうな実態があるという段階におきましては別といたしまして、およそいままでの十数回にわたるいろいろな改定の中で、特別被爆の範囲というものはこの辺が大体いいところじゃないかというふうな判断をしているわけでございます。  それから第二点の認定患者の取り扱いと申しますか、ワクの範囲の拡大という点についてのお尋ねでございますが、これも古川委員、先刻御承知のとおり、現在の認定患者の取り扱いにつきましては、主治医からの申請があった者につきまして、法に基づいた審議会で判定をいたしまして、その上で認定の取り扱いをいたして、この内容につきましては、全く学問的な配慮によって措置をされておりまして、今後放射能の学問が進歩発達してまいります過程においては、当然新しい技術を導入しながら、あるいは新しい知見を入れながら改善ということが考えられるわけでございますが、たてまえは、ただいま申し上げましたとおり、学問的な配慮で措置をいたしておるという点で処理をいたしましたので、この点は御了解をいただきたいと思います。  それから、特別手当をはじめ各手当についての内容の充実という点についてのお尋ねでございますが、これは今回も、たとえば介護手当の若干の改善、あるいは先ほど所得制限の問題が出ましたが、所得制限につきましても、所得税の税額をアップいたしまして、対象を広げたという改善は新年度においてはいたしておるわけでございます。こういう内容の充実につきましては、今後ともいろいろ御意見を伺いながら十分措置をしてまいりたい、こう思っております。  それから最後の、被爆者に対する生活援護的な措置がとれないかという趣旨のお尋ねでございますが、これも古川委員御承知のとおり、多少いまの御意見の気持ちをいれたと申しますか、そういう配慮のされたものには、昭和四十三年度の特別措置法があるわけでございまして、この措置法の法の立て方は、前の医療法が健康という面に力を注いだ対策とすれば、あとの措置法については、被爆者の福祉という面に力を用いた対策であるというふうな振り分けを私どもいたしております。そういう点では、援護ということばの表現は別といたしまして、実態としては、十分被爆者の生活状態あるいは精神的な安定状態、あるいは健康状態を配慮しながら対策を進めてまいっておるわけでございまして、こういう面につきましても、今後いろいろ大所高所から検討しながら内容の充実につきましては努力をいたしたい、こう考えております。吉川(雅)分科員 全体的には失望を禁じ得ない御答弁でございましたが、今後また機会を得まして具体的にいろいろ御要望を申し上げ、検討をさしていただきたいと思います。  あわせまして、これは多少所管は違いますが、被爆者の実態につきましては、まだまだわからない点がたくさんございます。戦後二十五年を迎えるわけでございますが、特に被爆者の医療問題については、これはもっと詳細な研究が行なわれてもいいのではないか。特に最近被爆二世の問題がそろそろ出てまいりまして、こういった点に対する徹底した研究を進めていただかなくてはならない。こうした被爆二世のお子さんを持った親御さんの不安もたいへんなものではないかと思います。  そこで放射能医学の研究機関の拡充という問題でございますが、これは所管が違いますけれども、特にこういった点も厚生省のほうから大蔵省にプッシュしていただいて、十分な予算をさき、第一線の学者が十分な研究ができるようにひとつ措置をしていただきたいというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 被爆者の障害の研究についてでございますが、大きく分けまして、第一点は、広く放射能に対していろいろな研究をやっている学者に対して、グループあるいは個人に研究費の助成をしてその促進をするというのが一点と、ただいま御指摘になりましたいろいろな研究施設の中で、特に放射能の研究をしているところがあるわけでございます。そういうところの施設に対する配慮と、二つの問題があろうかと存じますが、後者の施設、現在私どもが関係しております施設といたしましては、広島及び長崎の両大学の付属研究所がございます。そのほかに国立予防衛生研究所あるいは科学技術庁が持っております放医研というふうなものが大きな施設でございまして、このほかに、性格が若干違いますけれども、ABCCというようなものがあるわけでございます。これらの施設については、それぞれ施設の設立者と申しますか、責任当局が、従来も施設の整備あるいは人員の強化というふうな面についての措置をしてまいったわけでございますが、私どもといたしましても、たとえば広島の大学の付属機関というふうなところにつきましては特に関係が深うございまして、直接間接いろいろお話を伺いながら、われわれの力の及ぶ範囲内での御協力は従来もいたしておりますが、今後も十分考えていきたいと思います。特に、これは文部省系統になりますけれども、必要な御要望があればその筋のほうにもお伝えするというふうな面についての御協力を申し上げたい、こう存じております。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 次に移らしていただきます。  国立病院のベッドの増床の問題についてでございますが、ここで一例をあげまして御要望を申し上げ、あわせて見解をお伺いいたしたいと思います。  私申し上げたいのは、国立福山病院についてでございますが、この広島県の福山市の立地条件、御承知のとおり非常に大規模な製鉄工場が最近稼働を始めまして、非常な工業の発展、都市の人口集中が行なわれております。こうした経済活動が急激に膨張し、活発になるに従いまして、当然医療需要の増大も顕著になっているわけでございます。特にこの福山市における交通事情、そしてまた人口の老齢化、こういった点から、救急医療センターとしての救急病床あるいはガンの病床等の確保が非常に強く望まれているところでございます。  この国立福山病院は、こうした地域的な実情を勘案いたしまして、この備後地区一帯ではやはり中心的な役割りを果たす基幹病院としての役割りを持っているのではないかというふうに思う次第でございます。御承知かと存じますが、現在約三百床のベッドを持っておりまして、医療需要からさらに百ないし二百増床したいという要望が出ております。人員の問題、あるいは先般私社労委員会でお伺いをいたしました看護婦の不足問題等、いろいろな条件、実情はあると思いますが、この国立福山病院におきまして出されておりますベッドの増床の要望に対し、どのような御援助をいただけるか、措置をしていただけるか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のとおり、備後臨海工業地帯を控えまして、大製鉄所も参りまして、たいへんな需要が増加いたしております。病院自体の実態から見ましても、現在常に五、六十人の待機患者、入院患者を持っておるという実態でございます。というようなものでございますので、四十一年七月に完成いたしました計画では、特別整備計画に入れて一応の完成を見たわけでございます。しかし、現在なお人口増加も著しく、かつそういう需要も強いものでございますので、私どもいろいろ、他の施設と関連はございますが、そういう実態はよく承知いたしておりますから、積極的に何らかの意味で増床ができますように努力をしたいと考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)分科員 それから、あわせてお伺いをしたいのでありますが、いわゆる過疎問題、山間部の農山村の過疎問題と関連をいたすわけでございますけれども、御承知のとおりこの広島県、備後地区の山間部におきましては、最近著しい過疎化現象が起こっております。これに伴って起こってくる問題は、いわゆる僻地医療の問題でございまして、たいへんな医師不足という深刻な事態が起こってまいっております。最近の傾向といたしましては、こうした山間部において病人が発生した場合、福山、尾道あるいは三原といったような、こういう都市部の病院に患者を運びたい、そこで十分な医療を尽くしてもらいたいという声が多いようでございます。  今年度の予算におきましても、いわゆる患者の輸送車あるいは巡回診療車等の予算が措置されておりますが、全国的には非常に数も少のうございます。しかし広島のこうした顕著な過疎化現象等の実情を見ていただきまして、こういった措置をひとつ十分に考えていただきたい。  あわせて、これは建設省の所管になるわけでございますが、こうした輸送車あるいは巡回診療車を実際に動かすにいたしましても、問題は道路の問題がございます。道路の問題と医療問題、ちょっとかけ離れたようには感じますけれども、僻地医療の推進という意味から、こうした山間部の道路問題についても、ひとつ厚生省のほうから御助言をいただきたい、そうして十分な医療対策ができるように御推進をいただきたいということを、御要望とあわせましてお伺いする次第でございます。これは最後の質問でございますが、ひとつ御答弁、よろしくお願いいたします。できれば大臣からもひとつお願いいたします。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のように、僻地問題としても、機動力の発揮ということは私たちも重点にしている問題でございます。特に僻地医療ということに限定をしていろいろと対策も考えておりますけれども、本来はやはり僻地性というものがなくなってほしいというのが基本的な私たちの願望でございます。したがいまして、ただいま御指摘がありましたような、道路がりっぱになるということは、あるいは医療の面から見ましても非常に助かる問題でございます。御指摘の点につきましては、県並びに建設省ともよく相談をいたしまして、そういう僻地性が早く解消できますように協力いただくようにしたいと存じます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 医務局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、大臣の私といたしましても十分協力をいたしてまいる所存でございます。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもちまして古川君の質問を終わります。  次は和田一郎君に質問を許します。和田一郎君。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 非常に時間がありませんので、三点ばかりお伺いいたしたいのですけれども、私の質問のほうも簡単にいたしますので、簡単明瞭にお答えのほうもお願いしたいと思います。  まず第一に、新聞には出ておりましたけれども、砂利を掘った穴に農薬を百トンほど捨てたという問題、農林省の方、来ておりますね。——これは栃木県の鬼怒川の支流にあるのですけれども、そこに砂利を掘った穴がある、そこへ農薬を捨てたという問題でございます。これはまず農林省の方から、現在どうなっているか、ひとつ簡単に説明をしていただきたいと存じます。

遠藤寛二農林省農政局参事官

○遠藤説明員 御報告申し上げます。  結論から先に申し上げますと、現在会社のほうが県の衛生部からの指示を受けまして撤収にあたって、すでに十日の夜のうちに全部回収を終わったという状況でございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 それは農薬でも劇薬だというんですね。ですから、どういう劇薬があったのかおっしゃっていただきたい。

遠藤寛二農林省農政局参事官

○遠藤説明員 あそこへ捨てたといわれます農薬の大部分はブラスチンでございまして、これは普通の、劇物でも毒物でもございませんけれども、その中に一部有機燐剤のEPNあるいは有機砒素剤等の混合剤があったそうでございます。それがいずれも毒物及び劇物に当たるわけでございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 調べによりますと、製造工場がいままでつくっておった農薬が、非常に影響が悪いということで五千トン回収したというんですね。五千トン回収して、そのうち百トンを砂利穴に埋めた。あとの四千九百トンはどうなっているのでしょうか。

遠藤寛二農林省農政局参事官

○遠藤説明員 残りのほうは私はっきりつかんでおりませんが、捨てたのがそれだけでございまして、あとは大体五千トン前後のものを宇都宮化成工業の工場の倉庫の中に持っておるわけでございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 それは間違いありませんか。

遠藤寛二農林省農政局参事官

○遠藤説明員 まだその点確かめておりませんのでちょっと間違いがあるかもしれませんが、大体私どもが聞いております範囲では、その捨てたもの以外は持っているというふうに聞いております。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 こういう農薬を使う業者は、ともかくこれは製造業者ですから、農薬の取り扱いについては本職中の本職ですね。そういう本職中の本職の方が、わずか六十メートルぐらい離れたところにずっと家があるんですが、ほとんど鬼怒川の伏流水を井戸でくみ上げて飲んでいるわけですね。そういうところにゆうゆうと捨てているんですから、これは皆さん方の指導が相当に行き届いていないのじゃないかと思うんですが、その点どうなんですか。しかも残りの五千トンについてはまだ確めておられないとおっしゃるのだったら、これは大きな問題じゃないかと思うんですけれどもね。

遠藤寛二農林省農政局参事官

○遠藤説明員 確かめておりませんと申し上げましたのは、数量的に何トン何トンという正確な数字は確かめておりませんが、残りは大体全部持っておるわけでございます。  それからただいま御指摘の点につきましては、農薬メーカーでございまして、農薬取締法なり毒物及び劇物取締法なりというものは十分承知しているはずの工場でございまして、そういうものがこういうことをいたすということはおよそ非常識なことでございまして、私ども夢想もしていなかったわけでございます。まことに御指摘のとおりでございまして、毒物及び劇物につきましては厚生省の御所管でもあるわけでございますが、私のほうといたしましても指導の至らなかった点があるのではないか。今後その点に関しましては厚生省とも十分御相談をいたしまして、県の農林部、衛生部ともよく相談をいたしまして指導をしてもらうように措置をいたしたいと存じております。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 ぜひひとつお願いいたします。  それでは今度は厚生省のほうの方にお聞きいたしますけれども、さっそく近所の井戸水の検査をしたということですが、その検査の結果についてどうであるか、そのことをひとつ伺います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 衛生部のほうで検査いたしました結果は、異常はないということでございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 人畜に異常はないということですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 人畜に異常はないということでございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 わかりました。そうすると、これは劇薬中の劇薬でありますし、一年間捨ててあったのですね。きのう捨ててきょう回収したのではありません。ですから、まあ異常はないと簡単におっしゃるようでございますけれども、付近の住民は相当に動揺しておりますので、ひとつ農林省のほうとよく御相談の上、さっそく厚生省からも善処していただきたい。これは要望しておきます。よろしくお願いしたいと思います。  時間がありませんから次に参ります。労働省の方おいでになっておりますが、労働省の方からの発表で、私初めて知ってびっくりしたのです。これは皆さん方のほうから出ている報告書でありますけれども、ちょっと読ませていただきますと、「最近、栃木、秋田、東京等の各局管内において、米杉等の製材、加工の作業に従事する労働者の中から気管支ぜん息又は気管支炎の患者が発生している。しかも、気管支ぜん息等の発生原因となりうる米杉等の輸入は、近年著しく増加し、かつ、陸揚げ港も多数にわたっているため今後発生数の増加が予想される。」これを読んでみますと、ラワンであるとかそれからリョウブ、ネズコ、これは各家庭が使っている家具の材料なんですね。ずっと読んでまいりますと、製材工場であるとかまたは木工場でかんなのくずが出る、そういうじんあいを吸ったらたしか気管支ぜんそくになる。もう一つは倉庫の中に入っている材木、それに触れた空気を吸っただけでもぜんそくになると出ているのですね。これはすごい問題なんです、ラワンなどというのはほとんどの家庭に使っておりますから。現在労働省の方がお調べになっている現状だと思いますけれども、ひとつ簡単でけっこうですから現状をちょっとお知らせ願いたいと思います。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○山本説明員 てまえどもはすでに予防通達を発しましたのですが、われわれがこれまでに把握いたした労働者の中のぜんそく患者の数は、昨年度は七十一名というふうに把握しております。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 それだけですか。簡単明瞭過ぎますが……。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○山本説明員 なおそのほかに、ここに先生がお持ちの資料以外に、やはり疑いのある材木がどうもあるようでございます。これにつきましては、専門家による研究会がございますので、その専門家の方々に御研究をいただいておるわけであります。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 この報告書を見ますと、たとえば米国から輸入してくる材木を消毒するという、そういう消毒の薬品のためのぜんそくではない、明らかにラワン材等からのぜんそくであるとはっきり断定されて書いてありますね。しかも死亡された方も載っておるのですね。この死亡された方のいわゆる臨床例にしましても、確かに気管支ぜんそくによる死亡であると書いてあるのですね。そういった面で、これは大きな社会問題ではないか。ただ一つ労働省の皆さん方だけの問題ではないとぼくは思うのですけれども、そのことについて厚生省の方御存じでいらっしゃいますか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 私どものほうでは、直接そういうことは聞いておりません。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 そうしますと、いまのところ労働省のほうだけの検討事項である、こういうことですね。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○山本説明員 てまえどものほうで、一応労働者を対象にいたしまして調査研究につとめておるわけであります。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 まあ発生したはかりの——発生したばかりじゃありません、よく見ますと、十年ぐらい前からの経過が出ておりますから。これは現在は労働者の中だけを対象にしております。栃木県の鹿沼というところで調べた例を見ますと、三千名の方にアンケートを出して、回収したのが千二十八名でありますけれども、そのうち六十四名が症状を訴えているという、これは大きな問題なんです。しかもその人たち一人一人が住んでいる、生活しているわけじゃなくて、みんな家族を持っている。しかもそのラワンですか、そういったものが各家庭の中にちゃんと家具として入っているということですから、ひとつ厚生大臣のほうも、今後大きな問題として注目していただきたい、そのことをひとつ要望しておきます。この点はよろしくお願いします。  時間がありません。次に進みます。今度は、先ほど渡部委員からも質問がございましたけれども、大気汚染の問題であります。まず、大気汚染の中で粉じんはどうなっているか、このことをちょっと簡単に教えていただきたいと思うのです。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 粉じんについてでございますが、先生御承知のとおりに、粉じんの中には二種類ございまして、一つは降下ばいじんといわれる比較的粒形の大きいものでございます。もう一つは浮遊粉じんでありまして、粒状の小さいもので、スモッグ等の原因となるものでございます。この二つに大別されるわけでございます。降下ばいじんの場合には、建物をよごしたりあるいは洗たくものをよごすというようなこと、あるいは腐食の原因となるというようないわゆる生活環境の被害というのが中心でございますが、浮遊粉じんになりますと、現在ではそれほどでもございませんけれども、将来は人の健康という点に非常に大きな影響を与えるであろう、こういうぐあいに考えられておるわけでございます。  まず、降下ばいじんについて申し上げますが、降下ばいじんは、従来主たる燃料が石炭でございました時代は、その発生量が非常に多かったわけでございまして、三十五、六年ごろをピークとしまして、その後、特に三十七年のばい煙等規制法ができまして、集じん装置が非常に普及したということもございまして、最近は非常に減ってまいっているわけでございます。ただ、ごく最近になりましてまた増加しているところも一部ございますので、大気汚染防止法によりますすすその他の粉じんについての排出規制をこの夏までにはぜひ強化したいということで、現在作業を進めているような状況でございます。  それから浮遊粉じんのほうにつきましては、特に人の健康という点に影響がございますので、これに対します環境基準をできるだけ早く予防的観点に立ちましてつくっていきたいということで、現在生活環境審議会の中に、環境基準の専門委員会を浮遊粉じんについてつくりまして、一月二十日から審議を進めているような状況でございまして、できるだけ早く浮遊粉じんにつきましての環境基準及び対策という点に入ってまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 いまの御答弁の中で、浮遊粉じんは量が多くなれば人の健康に関係があるとおっしゃる、これは大きな問題でございまして、大体どのくらいの量から健康に害があると考えていらっしゃるのか。質問も簡単にしておりますから、御答弁もなるべく簡単にしてください。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 これはいま申し上げましたように、環境基準をつくります場合に、どのくらいから影響があるということできめてまいるわけでございますので、現在のところはっきりした数値はございませんが、一応現在まで公害防止計画の基本方針を示しました中では、年間を通じましての二十四時間値の平均が、立方メートル当たり〇・一五ミリグラム以下である日数が総測定日数の五〇%以上ということ、及び〇・三ミリグラム以下である時間数が全体の九五%以上である、この二つの条件を目標値として示しております。なお、これは環境基準ができますれば、自動的に改定されるものと考えております。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 これは通産省関係になると思いますけれども、鉱山保安法ですか、それを見ますと、浮遊粉じんは一平方キロメートル当たり一カ月十トンまでは何とか、それ以上はあぶないというようなことが書いてあったのですが、いまおっしゃったのと単位が違いますので、一平方キロメートル当たり何トンであるか、ひとつ教えていただきたい。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 いま私申し上げましたのは、先ほど分類しました中の浮遊粉じんについての基準でございまして、先生がいま言われましたのは、降下ばいじんについての数値でございます。降下ばいじんにつきましては、さっきお話ししましたように、人の健康にかかる被害というのは、直接的な事例は現在まで出ておりませんで、むしろまわりの生活環境にかかる被害ということで、どのくらいのものが耐え得る限界であるか、かような数字が出てくるのではないかと思うのでございまして、そういう点から見ますと、人によりまして若干の数値の開きがあろうかと思うわけであります。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 浮遊粉じんと降下ばいじんの差ですけれども、ばいじんのほうは区別をして降ってくれないのです。たとえばダンプカーが通ると、わっと砂ぼこりが上がる。それからダンプカーに積載の荷物の中から砂がこぼれて散る。これはどっちになるのですか。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 いまおっしゃいましたように、確かに粉じんは粒形の大きな降下ばいじんも小さいものも区別しては出てまいりません。ただ、大きなものは自然にすみやかに沈降していく。小さいものは空気中に舞い上がりまして、相当期間浮遊して人の肺の奥なんかに到達する、かような違いがあるわけでございますが、ただいま御指摘のダンプカー等からのものは、大部分は降下ばいじんのたぐいではないかと思います。ただ、浮遊粉じんといい、降下ばいじんといい、どの粒形のものを浮遊粉じん、降下ばいじんというかという定義がまだ十分なされておりません。これはいろいろな御議論もあろうかと思いますが、比較的粒形の大きいものがそういうところから出てくるものの主たるものだと思います。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 一つ具体的な例で、ぜひ厚生省の方に出向いていただきたいのですけれども、栃木県に葛生というところがあります。これは採石の町でございます。しかも大きなセメント工場があります。そこで、たとえば一時間、車を戸外に置いておきますと、もう元の色が出ているところは全然ございません。ものすごい。これは降下ばいじんであるか、浮遊粉じんであるか、それはぼくは知りませんけれども、先ほど申しましたように、通産省関係の一応の基準というものは、一平方キロメートル当たり一カ月十トン、そこまでは何とかがまんできるという基準があるそうでございます。ところが、その葛生町はどのくらいおりているかと申しますと、一年間平均して三十トン、多いときには約四十八トンもおりている。それで、そのことについて厚生省の方に私はいろいろお聞きしたのですけれども、あそこは人口密度がないから指定されないというのですね。だから、そういう規制も何もできない、降るにまかせる以外にない、このようなおことばがあった。人口密度というのは一体どういうことかといろいろお尋ねしたのでありますけれども、とにかく人口が少ない、小さなところだ。これは何も葛生だけではありません。一ぱいあるのです。この間埼玉県議会でも問題になりましたけれども、秩父の両神村、ああいうところは、やはり採石現場があって、ハッパがぼんぼん鳴っている。どんどん降下ばんじん、浮遊粉じんがあるということであります。いずれにいたしましても、何かで規制していかなければ、人畜に影響があるのじゃないか。現在、役場または県のほうではかることはできるのですけれども、人体に対する公害はどのくらいか、または植物に対する害はどのくらいか、これははかるすべがない。ところが、人口密度が少ないからということで、なかなか厚生省の方も来ていただけない。これは私が見たわけじゃございませんけれども、某セメント工場から猛烈な量の粉じんが吐き出される。これは、私がある人からまた聞きしたわけでありますけれども、ああいう大きな工場があるから、なかなか手がつけられないのじゃないか、こういうこともささやかれている。ですから、人口密度とかどうとかいうことではなくて、ひとつそういう特殊部分は特殊部分として、大気汚染防止法等で大いに規制していただきたい。それよりも先に、人体または植物にどういう影響があるかということも、政府のほうで調べていただきたい。もう何十年となくそうなっているのです。何百年かもわかりません。とにかく向こうに行きますと、屋根の上に雪が積もっているようにあるのです。そういうことでひとつお願いいたします。

城戸謙次厚生省環境衛生局公害部長

○城戸政府委員 ただいま葛生の問題でございますが、この点については、私どもは県から聞いておるわけでございますが、先生御指摘のように、降下ばいじんの量が非常に多いということは、十分承知しておるわけでございます。なお、降下ばいじんのほうは、昨年の七月から調査を始めておりますが、浮遊粉じんにつきましても、本年四月から調査をしようというようなことを県では言っております。これに基づいてどういう規制をするかということでございますが、この葛生の近くは工場が六十ぐらいございますが、その中で鉱山保安法の対象施設が半数ぐらいございますので、子の残りについていかにするかということが中心になるわけでございます。私どもとしましては、先生御指摘のように、大気汚染防止法でいくことができるかできないかということについて、決して非常に消極的であるということではございませんが、他の県の実情等からしますと、地域が狭いような場合、通常、県の公害防止条例で規制をしていくというのがいき方でございますし、現に栃木県下におきましても、葛生につきましては、県条例を改正しまして、これまで水質、騒音中心の規制であったのを、大気汚染の規制も中に取り込むようにしていきたい、こういうような意見を言っておるわけでございますから、そういう線に沿ってやってもらいたいと思っております。  なお、現地に実情を調べるために係官を派遣してもらいたいという御指摘でございますが、この点につきましては、具体的な調査はあくまで県を通じてやるというたてまえでございますが、実情を私どもでも直接見せていただくと同時に、県がやります調査につきましての指導をいたしますために、係官を派遣することにつきましては異論はございません。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 時間がありませんから、ちょっとこの資料を見ますと、一番多いところで六十三トン降っているんですね。六十三トン。通産省のほうでは十トンぐらいということを言っているわけですけれども、六十三トンも降られたんじゃどうしようもないというのです。そういうことですから、県を通じてという問題もそれはあるでしょうけれども、ひとつこういう特殊なところは、大気汚染防止法を見ますと、ちゃんと指定されているのですね、何々の何々というふうに。やはり実情に合ったそういう政策のほうを、ぜひひとつ大臣、この点については、私何も葛生の代表じゃございませんけれども、前向きな姿勢でやっていただきたいと思っております。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 了承いたしました。

和田一郎公明党

○和田(一)分科員 終わります。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもちまして和田一郎君の質問は終わります。  次は、松本忠助君に質問を許します。松本君。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 降られた時間でございますので、六問だけにしぼりまして、主として大臣にお答えを願いたいと思うわけでございます。  サイクラミン酸、いわゆるチクロのことでございます。この点につきましては、去る九日の予算委員会の一般質問におきましてお尋ねをいたしました。当日、時間の関係上若干の問題点を後日に譲っておりますので、きょうは厚生省の関係についてのみお尋ねをいたしたいわけでございます。ほんとうならば、一般質問のように各省大臣に御列席いただいておれば、チクロを動物のえさにする、動物のえさの中にまぜて使用する、こういう場合になれば農林省の畜産局流通飼料課、この管理でございますので、農林大臣に出ていただかなければならぬし、また製造の問題については通産大臣、このように承知しております。しかし、きょうは、厚生省として食品添加物並びに医薬品として使用される場合についてのみ厚生省の範囲と承っておりますので、これに関連して伺うわけでございます。  チクロが食品添加物としてやみで流れているという話を聞いております。そのようなことはないかということでございます。まず第一。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 チクロがやみに流れておるということは、承知いたしておりません。都道府県から報告がございません。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 ちょっとさっきも話に出ました動物のえさとして飼料に配合して使用する、これが許されておりますので、この方面からのやみで横流しされているということはないか、その点を伺うわけです。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 チクロを動物の飼料にするということにつきましては、業界のほうでそういう計画を持って、動物の飼料に使用したいという考え方は聞いております。そういうことでございますから、食品の製造加工にはチクロは横流しはないと考えておりますけれども、動物の飼料には一部使っておる、かように考えております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 そこで、その動物の飼料に使われている分が、いわゆる食品加工の方面に流れている。これは量はわずかなものでしょう、おそらく。年間に百トンくらいしか使わないということも聞いておりますので、そのうちのごく一部分と思いますけれども、そういう話を聞くわけでございます。そこで、これに対して、その後、要するに指導取り締まりのための立ち入り検査、これをやられたかどうか、またそれが完全であるかどうか、こういう点をお伺いしたいわけであります。  先般もお伺いしたわけでございますが、チクロ入りのかん詰めが、三月から九月までは販売許可が延期されました。販売にあたりましては、その旨を表示するところのラベルを張る。ところが、実際問題として一向に徹底されていない。このように、表にあらわれてくる部分にも張らなければいけないといわれているにもかかわらず、これも張られていないということは、この間九日の日に大臣と私と質問を通じましてお話し合いをした、それでまあおわかりなんだ。そういう点から大臣、チクロの横流しがあるのではなかろうか、こう心配をするものでございますから、その徹底が期されているかどうか、立ち入り検査は万全であるかどうか、この点を重ねて伺うわけであります。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 チクロの横流しというようなことに関連いたしまして立ち人り検査をどの程度やっておるかということにつきましては、いま手元に資料を持っていないのでございますが、この点につきましては、都道府県にも十分指導をいたしまして遺憾のないようにいたしたいと思います。  それから、かん詰めのラベルの問題でございますが、これにつきまして一部ラベルが張ってなかったというようなことも報道されておるわけでございますが、この点につきましては、昨日全国の環境衛生課長会議がございまして、その席で十分都道府県におきまして指導するように指示いたしました。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 大臣に伺いたいわけでありますが、国民の保健衛生を担当する大臣といたしまして、食品衛生監視員制度についてどのようなお考えであるか、承っておきたいわけでございます。まず、各海港や空港におきましては、国が直接タッチしておられます。しかし、広範囲にわたるところの陸上の監視につきましては、各都道府県に一任している。いまのお答えの中にもございました。そこで、このほうの定員が充足されているかどうか。直接国が関係しているところの海のほうの港、あるいは空港につきましての体制は万全かどうか。量、質ともに完全に行なわれているかどうかについて伺いたいわけでございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 厚生大臣として監視が不徹底、不完全だとは言えませんけれども、しかし、私が聞いておりますところによると、地方の食品衛生監視員というのは五千数百名おるが、専任者というのは千名足らずである、こうも聞かされておりますので、もっと充足する必要があるのではないかと思います。さらに、私が問いただしましたところが、今日食品衛生マインドというものが行政官庁にも国民とともに行き渡っておって、地方官庁でも、四十四年度にも二、三百名専任者をふやされておられるということもまた聞いたわけであります。また、これは私どもが国費で全額この食品衛生監視員の人件費をまかなうことができますならば、十全のこともいたし得るわけでありますが、これは御承知のように、地方交付税の対象として取り入れられているというような状況のもとにおきましては、また一方技術職員でもありますので、これを一挙にふやすこともできませんので、でき得る限り私はこの充足を期してもらうように、財政面におきましてもまた指導面におきましても努力をいたしてまいるつもりでございます。国のほうにつきましても同様でございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 さらに各都道府県の体制につきましては、その待遇が技術吏員、こういうふうな待遇になっておる。仕事の量に対しまして待遇が悪い。これは民間に比べますと、非常に仕事がたくさんあってお給料も安い、そこで人が集まらない、こういうことを聞いているわけでございます。そういうことでございますと、国民の保健衛生に対する取り組み方、非常になまぬるいのではなかろうか。いま、まあ充足はされたという話もありましたけれども、これらの点について、各都道府県知事に対し大臣から直接頼み込む、そういう熱意のある姿勢がとられたことがあるか、また、今後とろうとしているかどうか、これらの点について伺っておきたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 この食品衛生に関する仕事は、仕事としては都道府県知事の権限になっておりますが、しかし、厚生省がそれを総括する立場にありますので、頼み込むばかりじゃなしに、都道府県知事に、この食品衛生監視員の充足につきまして、今後機会あるごとに要望をいたしてまいりたいと思います。また、これまでも、関係都道府県の担当部長会合その他を通じまして、これの充実につきましては強くしばしば申し入れているものでございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 その地方食品衛生監視員の定員が、政令できめられていないわけです。各都道府県の熱意の有無によりまして体制が組まれているという点は、ちょっとどうも残念のように思うわけでございます。比較する筋合いでないといわれるかもしれませんけれども、麻薬の取り締まり員、これは県の職員でございますけれども、政令でその定員が定められております。食品衛生監視員も、麻薬を取り締まると同じく大事なことであろうと思うわけでございます。なぜそうできないのか、この点を伺っておきたいわけであります。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 ただいま松本さんからもお話がございましたように、法の体系が違うということ、これは形式でございますけれども、麻薬監視員につきましては、政令でその配置を定めますとともに、人件費の全額、おそらく出張旅費までも国費をもってこれの交付をいたしております。しかるに、食品監視員のほうは、人数も、いま申しますように、兼務職を合わせますと数千人というようなことにもなりますので、旅費等を含めて、地方交付税の基準には入れてございますけれども、直接人件費交付になっていないというところに、政令で配置等をきめられない問題があるわけでございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 また、食品の製造、販売一切にわたる監視は、人手が足らないという点から、十分な監視ができないということも考えられるわけでございます。そこで、その対策として、余っている食糧庁の検査官を、身分を厚生省に移管してこれを活用するようなことはできないか。これはもうしばしば、この食糧庁の検査官の問題につきましては、行管でも指摘されております。そこで、食品の取り締まりについては、資格が定められております。それも承知しております。その資格を持っていないからできない、こういわれればそれまででございますけれども、資格やなわ張りというものに固執していては、何もできないだろうと思う。そこで、その検査官についてはたびたび、先ほども申し上げましたように行管でも問題になっておりますので、大局的な見地から閣僚間で大きな視野からの話し合いができないか。国費のむだを排除して有効に使用するようにしてはどうか、こう思うわけでございますが、この提案に対して大臣はどのようにお考えになるか、伺っておきたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 これは食管制度の今後の成り行きとも関連する問題で、私の口から一がいに、食糧事務所の検査官が過剰であるとも言いがたい問題であります。また、食糧事務所の検査官は国家公務員のはずでございますし、また食品衛生監視員は、松本さんもおっしゃるように地方公務員でございますので、その間の身分の問題等、やや複雑な問題もありますが、私は一つの有益な御提案だと考えます。さらにまた食品行政の一環というような問題が別の側面にあるわけでありまして、私は、そういうこととあわせ検討するならば、松本さんの御提案は非常に有意義であると思いますので、今後研究をさしていただきたいと思います。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 その地方の食品衛生監視員の定員、この基準を私はきめるべきじゃないかと思うわけです。各都道府県知事に一任していたのでは、知事やあるいは地方議会の取り組み方で熱意の上がらないところも出てくるから、そこで、たとえば人口二万人に対して一人この地方食品衛生監視員を置く、なお製造業の多いところではそれなりに増員するようにして、基準を定めてはどうか。これは法を改正してもきめるべきだと思うわけでございますが、大臣の御決意を聞いておきたいわけであります。それとともに、待遇に関しまして一考を要したい。恵まれない立場で真剣に国民の保健衛生に取り組んでいる人たちに対して、それなりにこれを償うことは当然のことではないか、こう思うので、お伺いするわけでございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私は、全く自分に先入主なく考えれば、松本さんの御提案、ごもっとものことであると考えます。今日では、地方交付税の歳出基準としてあるいはある数字が掲げられているかもしれませんけれども、それは私はいま松本さんの御提案のような方法を検討して、地方交付税の歳出基準はそれについてくるというようなことであるべきように思いますので、これもひとつ真剣に研究をさせていただいて、そして可能の場合には政令、省令等できめてまいるということを考究してまいりたいと思います。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 非常に前向きの答えで、私も了承するわけでございますが、次に、国立の衛生試験所の問題について伺いたいわけでございます。  現在国立の衛生試験所は、東京と大阪に各一カ所ございます。質的には相当高度の試験をしているようでございますけれども、量的にそれに対しまして長時間携わることを許さない、こういう実情だと伺っております。もう一段と突っ込んだところの試験がしたい、レベルアップがしたい、こう思いましても、限られた人員でやっているために、それが不可能だ。そこで、国立衛生試験所の人員増は考えられないか、今年度の予算ではこの点について考えなかったかどうか、これを伺っておきたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 国立衛生試験所の機能の問題でございますが、これにつきましては、現在の人員をもって必ずしもこれで十分とは言えないと思います。しかしながら、国立衛生試験所は、薬の関係と食品の関係とを主体にいろいろ検査をいたしておるわけでございまして、人の面におきましては両方に重なってくるわけでございます。そういうふうなことでございますが、事業の面におきましては、やはり重点的な仕事に力を入れいくというようなことで現在はやっておるわけでございまして、今後事業もだんだんと量がふえてくるに伴いまして、いろいろとやはり質的に、また量的にも考えていく面が出てくるかと思いますが、それは今後の問題として研究したい、かように考えます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 最後に、提案でありますけれども、食品専門の衛生試験所を創設する考えはないか、お伺いしたいわけでございます。現在の衛生試験所は、御承知のように、医薬品の試験を主としてやっている、このように伺っております。そこで、現在の衛生試験所から食品部門を独立させ、組織を拡充して、国民の保健衛生に、食品衛生に、がっちりと取り組んでもらいたい、こう思うわけでございます。アメリカからチクロの問題が伝わってまいります、有害だ、こういうことになりますと、それをストップする。当然のことであります。禁止処置をとる、あたりまえのことでございます。それはいいとしましても、アメリカから禁止処置が幾ぶんゆるんだというと、またそれに追随するわけです。ということは、一貫した姿勢がないと私は思うのです。それというのも、自分でそれを言い切れるところの裏づけを持たないからだと思うわけです。そこで、大臣の勇気ある英断を期待して、直接食品専門にやるところの衛生試験所、これの創設をはかってはどうか、こう提案するわけでございますが、いかがでございましょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 この食品についての研究と薬についての研究は、チクロの場合についても同じでありますが、重複している面がございますので、そこに問題もあるようでございますが、せっかくの御提案でございますので、検討させていただくことにいたします。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 以上で終わります。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもちまして松本忠助君の質問を終わります。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十分休憩      ————◇—————     午後五時三十八分開議

田中龍夫自由民主党

○田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管に関する質疑を続行いたします。細谷治嘉君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 たいへん幼稚な質問でありますけれども、悪臭問題というものについて、公害基本法の中に悪臭ということを書いてあります。いろいろな問題についても立ちおくれはいなめないのでありますけれども、特に悪臭については非常にひどい立ちおくれがあるのではないかと思うのですが、大臣いかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 御承知のように公害にはいろいろの分野があるわけでございますが、何にいたしましても公害基本法ができました後、大気汚染とか、あるいは水質汚濁でありますとか、あるいは騒音とか、処理しなければならない問題がたくさんあります上に、いまの悪臭は大気汚染や水質汚濁とはいささか趣を異にしている面もございまして、環境基準をつくるというような場合にも必ずしも当てはまらない面がございまして、むしろ個々の原因に密着するような事態も多いので、今日の段階におきましては、そういう個々の事態の原因を除くということで処理するというような状況にございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 「公害の状況に関する年次報告」昭和四十三年度のを見ますと、「悪臭は、人間に容易に感知されるので、市民生活を不断に脅かす公害である。」非常に重視した言い方をしておるわけです。ところがこの悪臭問題について、この白書の取り上げを拝見いたしますと、たとえば科学技術庁における公害防止のための調査研究費、こういうものを見てみますと、悪臭については、昭和四十二年度まではゼロですね。そして四十三年度にようやく千四百七十二万六千円という予算がつけられております。予算はつけられておりますけれども、他と比べますと、やはり貧弱である。大臣の所管であります厚生省における公害防止のための調査研究費の推移というものを見てみますと、悪臭関係というものについては、わずかに二百四十万円なんですね。全体として一億百八十五万円という研究費があるのに、悪臭についてはわずかに二百四十万円しか配分されておらない。さらに農林省なり通産省なり運輸省等が、この公害問題についてやっておりますけれども、ほとんどこれを取り上げていない、こういう状況でありまして、白書もこの悪臭問題についての取り組みというのは非常におくれておる、こう申さなければならぬのでありますが、その点お認めになりますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 率直に認めざるを得ません。が、その原因はいま申し上げましたように、臭害というものが大気汚染とか水質汚濁のように普遍的、一般的ではないので、まず普遍的、一般的な課題を処理する。また現に水質汚濁とか大気汚染の原因物資を除去することによって、悪臭が除去されるというような面もあるというような関係から、手のつけ方がおそい、こういう状況にあるものと私は考えます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 悪臭は普遍的じゃないと言いますけれども、コンビナート地区における工場群から出される悪臭、たとえば石油化学コンビナート等から出る硫化水素の問題とか、あるいは農村地帯に行きますと、豚、養鶏等の家畜公害、こういうものも多いわけですが、きょうは私は、ひとつその中でも、最近問題になっております鳥の羽を蒸しまして飼料をつくっておる工場が全国にございますが、そこの悪臭というのは、これはたいへんなものなんです。私の住んでおります大牟田市にも千倉化製という工場がございまして、この悪臭ということで、周辺の人は頭が痛いわ、むかむかするわ、食欲はないわ、こういう状況なんで、市民のたいへんな脅威になっておるわけですけれども、これについて今日まで厚生省としてはどういうような措置をおとりになってまいったか、それをひとつ御説明いただきたいと思うのです。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 千倉化製場に対しまして、行政当局としまして現在までとってまいりました経過につきまして御説明申し上げます。  千倉化製工業所は、昭和三十三年八月に獣骨を処理する化製場としまして、へい獣処理場法に基づきまして、福岡県知事の許可を受けて営業しておったものでございます。それが昭和三十六年に獣骨の処理をやめ、羽毛処理の製造に業を変更したわけでございます。羽毛処理にこの業を変更いたしました場合には、へい獣処理場法の第八条によりまして新たに許可を必要とするわけでございますが、その後許可申請がおくれたという経緯があるわけでございます。また一方、住民からこの施設に対しまして、非常にこの施設がにおいがするというので、県の公害防止条例に抵触するということで公害審査請求が提出されたのでございます。それで県は調査いたしました結果、大牟田市長に対しまして、当該施設は、へい獣処理場等に関する法律第八条による無許可営業であるということと、それからにおいもするということで、立地条件のいい場所に移転をするようにということを大牟田市長に対しまして指導方を要請したわけでございます。そこで、大牟田市長の立場で作業の中止を勧告いたしまして、その処理を行なうということで進んでおったわけでございます。その間、先ほど申し上げましたように、羽毛処理場としましての許可を受けていなかったのでございますが、千倉化製工業所から四十二年の十二月に許可申請が提出されたわけでございます。  そういう経緯をとったのでございますが、県は実地調査の結果、へい獣処理場等に関する法律の第四条によりまして諸般の情勢を勘案いたしまして、不許可処分といたしたわけでございます。そうして操業の停止の警告書を交付したという経緯でございます。そうして工業所のほうではこの処分を不服といたしまして、昭和四十四年一月に行政不服審査法に基づきまして厚生大臣に審査請求を提出したのでございます。また、四十四年の十一月二十一日に、福岡県は、千倉工業所を無許可営業として大牟田警察署へ告発したという経緯でございます。それで厚生省が審査請求書を受理いたしましたのは、昭和四十四年一月十日でございます。そこで厚生省といたしましては、行政不服審査法第二十二条によりまして、福岡県知事に対しましてその弁明書の提出を求めたのでありますが、四月の十七日に弁明書の提出がございました。そこで厚生省は、また五月二十九日に千倉工業所に対しまして、これに対する弁明書の副本を送付いたしまして、これに対しまして工業所から反論が六月三十日に提出されたという経緯でございます。  そういうことでございまして、厚生省としましていろいろ検討いたしました結果、本年一月の十日に審査請求を棄却いたしまして、福岡県知事より千倉工業所に対しまして裁決書を送付したということでございます。  大体行政的な措置としましては、以上の経過でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 時間があまりありませんので……。あなた、このにおいをかいだことがございますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 まことに申しわけないのでございますが、この羽毛処理のにおいをかいだことはないのでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 このにおいというのは、火葬場の煙突から出るにおいよりももっとひどいですね。そして市の保健所が調べた結果というのがここに、中間報告でありますけれども、ありますが、それを中心といたしまして半径二キロのところで臭度——臭気の程度ということで、くさくないのが臭度ゼロ、わずかにくさいというのが臭度一、くさいというのが臭度二、ひどくくさいというのが臭度三、くさくてたまらないというのが臭度四、こういう形で住民からアンケートをとっておりますが、これを調査した結果によりますと、とにかく風下のほうは、二キロぐらいのところはめしも入らぬ、むかむかして頭が痛くなる、とてもめしを食うどころじゃない、こういう状況なんですね。残念なことにあなたはしゃべるだけで、においを知らないでやっているわけですから、ひどさはわからぬわけですね。大臣、そのにおいをかいだことありますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 また私がよけいなことを言うといってしかられることになるかもしれませんが、私の郷里の山梨県の塩山市に全く同じことがあります。また現地住民の間でちょうど同じような形で問題になっておりますので、この件は私もよく存じておって、何とかして処理をしなければならぬ案件だと考えておるわけであります。でありますから、あの状況は私はよく承知でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大臣も山梨県で、山梨県もたいへんなにおいがあることは、私どものほうの小林信一議員もこの問題を取り上げておるわけですけれども、大臣はにおいをかいでおっても、これは郷土出身の代議士として経験があるのですけれども、行政当局者が、このにおいをかいでないのです。いま私は千倉化製のことを申し上げましたけれども、千倉化製というのは比較的住宅に囲まれておりますので周囲の住民が騒ぎ出しておりますけれども、この大牟田市から隣の隣、離れました山門郡大和町というのがあります。ここに国道二〇八号線というのが通っております。その国道二〇八号線のすぐ横にまたこの処理場があるわけです。それで日中でも自動車が、国道でありますから相当たくさん自動車が通りますけれども、そのにおいをかいだら運転できなくなるというのです。それはほんとうです。これは大和町の徳益という、国道のすぐ横にございます。ところがここでは市民運動というものが起こっておりませんから、なかなか県も取り上げない。そして二、三人で文句を言っていきますと、そこの御主人が一升びんを持ってきて、くさかろうけれどもこれを飲んでくれと言って全部なでちゃう、こういうことなんですね。ですからこの悪臭問題の取り組みということについては、これは市民運動という形が起こったところでは千倉化製のような問題になりますけれども、同じようなところが多々あるのです。そこで市民運動が起こらないと、そのまま住民は泣き寝入りという状況になっております。そこで私はいま経過をお聞きしまして、四十四年の一月に行政不服審査の請求が千倉化製工業所の千倉という所長からあったわけですけれども、それを県のあれに基づいて申し立てを棄却したということなんですけれども、あの行政当局の悪臭問題に対する取り組みというのは、いまおっしゃったように昭和三十八年ぐらいから内容が変わっておるわけですね。獣骨を処理してにかわをつくる、そういう営業許可を得ておったのを、そのままで内容を変えて、鶏の羽毛、羽を蒸してそして飼料をつくる、こういうことになったわけですが、そのまま知らぬふりしてずっとやってきたわけですね。そして悪臭問題が起こったわけです。行政当局の取り組みというのがきわめて足らなかったと申さなければならぬと思うのですけれども、これはいかがですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 行政当局といたしましては、当初からいろいろと指導はいたしておったのでございますが、先ほど来お話に出ておりますように、悪臭の処理という施設の問題につきまして、業者のほうは何とかできるというふうにかりに言いましても、実際上なかなかそれがむずかしいという客観的な判断に立つわけでございまして、そういった面で何とかこれをよくしたいということで、そういうようなことでだんだんと延ばしてきたということでございまして、努力としては引き続きやっておった、かように考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そして現状では不服審査の申し立てを棄却したわけで、県と工業所に四十四年一月十六日に通知をしたはずでありますけれども、いま工場は依然として変わらずに操業をしているということは御存じですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 まことに遺憾なことでございますが、現在まだ操業をいたしておると聞いております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そのとおりなんですね。厚生省が何と言おうが県が何と言おうが、相変わらず操業を同じぺ−スでしておるわけです。そして新聞等に書いてあります千倉という所長の談話は、悪臭についての規制基準がないのに、単に市民から苦情が出たからといってあらためて不許可措置にするのはおかしい、こういう言い分で、腹の中では、へい獣処理場等に関する法律第十条「左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」三万円くらいの罰金を取られるのならばやっておったほうが得だ、こういうことで、何べん罰金をやられたっていい、とにかく作業をしておったほうがもうけがいいのだという形、そして表面上はいま申し上げたようなことを言って作業しているわけですよ。どうにも手がつかぬでしょう、どうなさいますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 これにつきましては現在告発もいたしておるわけでございますけれども、結論的にはやはり強力なる指導とそれから防臭設備につきまして、実際に防臭できる設備というものを考えて設備させる、これよりほかに方法がないのじゃないか、かように考えます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 防臭できるというのですけれども、何か会社の言い分ですと、防臭設備をやるために二千万円くらいの金を使った、ところがそれはうまくいかなかった、ですからこれから技術を開発してもらう以外にない、こう言って、三万円くらいの罰金を取られるのならばもう作業したほうが得だ、こういうことでやっておるわけなんですけれども、どうにもならないでしょう。どうなさるのですか、大臣。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 これはもうひとり大牟田の問題だけでなしに、私のほうのことにつきましても、いろいろ対案を知事と相談をいたしております。これはちょっと速記をとめていただいたほうがいいのかもしれませんが……。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 速記をとめて。     〔速記中止〕

田中龍夫自由民主党

○田中主査 速記を始めてください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 そういうわけで、へい獣処理場等に関する法律の無許可でやっておることでありますから、県が中心になって厚生省とこれに対するいろいろな対応策を協議していただいて、厚生省のほうでもあらゆる御協力を申し上げるということで処理してまいるほかないと考えるわけであります。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大臣は山梨県でありまして、私は山梨県の事情はよく存じませんけれども、山梨県のいまの工場は、言ってみればモノポリーだそうですね。独占的なものであって、それを強制的に押えてしまうと、小さな公害が散在して、それはとても締まりがつかぬ。ですから、あらためて県なら県が適当なところに、人里離れたところにまとめてそういう工場をつくっていく、こういうことを山梨県の場合は考えなければならぬと思うのでありますけれども、私どもがいま問題を提起しているのは、この工場をストップしたからといってどうにもならぬ。あっちこっち小さな鶏を飼っているところごとに羽の蒸し焼きをやるなんということが起こらないという山梨県の事情と違うのですよ。そういう事情が違っているのですから、厚生省が何と言おうと、言うことを聞かぬ。おれのほうはおれのほうでやる、罰金を取るなら取りなさい、こういうことになったら、しめしがつかぬじゃないですか。県知事がどうにもならぬ。厚生大臣のほうに持ってきて、厚生大臣も棄却したけれども万歳している。こういうことではどうにもならぬじゃないかと私は思うのですよ。ですから、山梨県のことは、いま速記をとめておりましたけれども、そういうことなんですね。それを福岡県にそのまま適用するということではなしに、それも長期的な一つの問題点としては言えますけれども、この問題はこの問題として、厚生省のメンツにかけても解決すべき問題だと私は思うのですよ。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 先ほど一言言い落としたのでございまするが、この解決の方法としましては、県ともいろいろと協議しているわけでございます。一つには、やはり先ほど大臣からもそれに触れておいでになりましたが、場所を変えるという問題、これは当初からの問題になっておるわけでございます。それが一つの問題。それから食鳥肉の組合におきましても、組合全般としてこういった問題についてどう対処するかということを検討し始めておりますので、要は、国と県とそういう関係業界と、またその工業所自体と、相ともに十分協議いたしまして何とか解決しなければならぬ、さように国の立場では考えておるわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 福岡県の場合は、この工場は町のまん中にあるわけですから、棄却したのですから、ストップさせるというくらいの強硬な手を打たなければならぬと私は思うのですよ。いまのお話では、組合のほうとやるというが、その間でも依然として操業が続くわけですね。これはたいへんなことです。ですから、何とか思い切った手を打ってもらわなければならぬのじゃないか。もう県も万歳しておる。市の保健所も万歳しておる。どうにもならぬというのが現地の実情なんですよ。やがて厚生省の信用も失墜しますよ。大臣、どうです。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 先ほどちょっと速記をとめていただいたときにも申し上げたわけでございますが、法律的にはこれは民事訴訟による仮処分の請求をして、その決定によって工場閉鎖を行なわせるということか、あるいは、私は法律の専門家ではありませんが、行政執行法のようなもので直接強制的な閉鎖をしながら、一方においては羽毛処理は現実の社会的需要もあることでしょうから、臭害を出さないで、かつまたへい獣処理法の規定に違反しないで処理できるような実際的方法を、局長から申し上げたような方法も講じていくという、両方でやる以外にしかたがないと思いますので、さらによく県当局とも打ち合わせまして法規的措置を検討してまいるほかはないと考えます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 私は、断固としてこれをやらないと悪臭問題というものは片づかないと思うのです。それを強く要望しておきたい。  そこで局長さん、大臣は何かというと法律の専門家じゃないと言うのだけれども、その千倉という所長は、うちの工場はへい獣処理場等に関する法律は適用されないのだ、こう言っているそうですよ。第八条に「鳥類の肉、皮、骨、臓器等を原料とする」云々と書いてあるのですね。この羽というのは、何に当たるのですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 「鳥類の肉、皮、骨、臓器等」の「等」でやるのであります。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 「等」というのは、鶏の羽と皮というのですから、羽と皮は別なんですから、「等」で言っているのでしょうが……。そう言っているそうです。これは間違いなく「等」で処理するということは法律的に確定しているのですね。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 間違いございません。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そうしますと、へい獣処理場等に関する法律は間違いなく適用される。  ところで大臣、この十条の「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」こういうことでありますが、全般的に言って、いまの八条あたりは三十一年の改正で加わったものなんですね。この法律はもともと昭和二十五年にできたものです。その二十五年のときは、へい獣とは獣畜の死んだやつをいうというわけですね。ですから、鳥類なんて当てにならなかったのですが、この八条で初めて出てきたわけであって、大体、この法律が不備なんですね。へい獣処理場等に関する法律というのは不備なんです。公害基本法にも書いてある悪臭という問題がこれからも大きな問題になるわけでありますから、私は、このへい獣処理場等に関する法律は現状に即するように全面的に改正すべきではないか、こう思うのでありますけれども、斃獣処理ではもうだめなんですよ。罰金があるけれども、そんなものはへっちゃらです。それよりもうけが多いのだ、こう言っているのですが、大臣、これはいかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 各地にそういう問題が起こってまいってきておりますとすると、お説のとおり、その法律の再検討をいたしまして、従来の法律は主として衛生関係の見地からできた法律があったかもしれません。しかし、今後は公害の対応措置を講ずる法律としても十全な用意ができるような検討をすべきであると私は考えますので、検討させていただきたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 ぜひひとつ検討していただきたい。  そこで大臣、悪臭の場合というのは、この白書にも書いてありますように、悪臭公害というのは、亜硫酸ガスとか一酸化炭素の測定とか、あるいはBODとか、あるいは青酸が幾らあるとか、そういうものはわりあいに測定できますけれども、この臭気というのは人間の感覚ですから、ちょっと技術の開発といっても私はむずかしいと思うのですよ。ですから、長期的には脱臭技術の開発ということが必要でありましょうけれども、そしてそれに基づいて悪臭の規制基準というのが必要だということが一口にいわれますけれども、悪臭を科学的につかむというのは、これはなかなかたいへんですよ。たとえば、あまりきれいなことばではありませんけれども、へをひった、これをどのくらいの濃度だということを測定するのはたいへんなことですよ。そうなりますと、私は規制基準というならば、悪臭の場合はこれに書いてありますように、たとえばそれを中心とした半径五百メートル以内とか一キロメートル以内の住民の人が、もうこれでは日常生活に困るという世論が出たら、これはもうそこで悪臭公害が起こっているということで規制をしていかなければならぬのではないか、こう思うのです。この辺、どうですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 この悪臭の測定とそれから防臭設備の問題でございますが、悪臭の測定につきましては、御説明のように非常に学問的にむずかしい面があるのでございますが、現在研究班でいろいろ研究していただいておりますが、だいぶ悪臭そのものの成分というものがわかってまいりまして、ある程度測定方法もわかってきつつあるという現状でございまして、決して悲観的なことはないと私は考えるわけでございます。それから、そういう意味でございますので、そういうものがわかった上におきまして排出の規制をかけると申しますか、排出基準を設けるということが必要になってくると思うのであります。そこで、先ほどお話しのように、そういったものは間に合わぬじゃないか、それで何らかの規制を講ずべきじゃないかというお考えも一つの考え方だと思うのでございます。そういった点につきましては、なお今後研究させていただきたいと思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大体、においというのは一体何から起こるかということについてはなかなかむずかしいと私は思うのですよ。ですから、このものはいいにおいがする、このものは悪いにおいがすると言うのですが、臭覚というものは、イヌほどの臭覚は人間はないにしても、相当鋭敏なものだと思うのです。それを測定するなどということは、私はそういとやすいことではないと思っております。そうなってまいりますと、悪臭公害を防ぐ今日的な課題というのは、それを中心として半径一キロメートル以内において、どうしても耐えがたいという臭気がした場合には、もうすでに公害が起こっているのだ、こういう形で対策を講ずる以外にないのではないか、こう私は思っております。ですから、科学的に何か測定するなどといっても、これは百年河清を待つにひとしいに近いのじゃないか、こう私は思っております。そこで、先ほどこの問題について工場の移転とか——この山梨県の場合は移転ということがどうも必要なようでありますけれども、まずストップさせなければならぬのでありますが、工場の移転ということも、山奥のほうならけっこうなのですから、考えられるでしょう。その場合に、私はいろいろ問題点があると思うのでありますけれども、発生源に対する融資措置、そういうものも必要であろうと思うのであります。そういうような体制、たとえば公害防止事業団の貸し付け対象にしてやるとか、あるいは中小企業近代化資金がそれに活用できるとか、そういうことが必要であろうと思うのです。同時にこれは、私はそういう結論を得ておらぬのでございますけれども、新聞等では、せっかく公害基本法等できておるのであるから、そうして悪臭も公害ということで基本法の第一条にうたってあるのだから、この際悪臭の問題というものは公害課で一括して取り組んだほうがよろしいのではないか、こういう新聞等の主張もあります。こういう点について大臣どうお考えですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 おっしゃるとおり、これは資金上の問題についても私どもは考えなければならぬ点が出てまいると思います。その際、一定の条件を満たす場合には、公害防止事業団あるいはまた他の方法によりまして中小企業金融公庫でありますとかあるいは中小企業振興事業団等のそういう資金の活用につきましても、あっせんにつきましても考えてまいりたいと存じます。  それから、どこで所管するかということにつきましては、これは私は十分のまだ研究はいたしておりませんけれども、いまのへい獣処理法などに関しましては、やはり環境衛生、公衆衛生という衛生面から従来は取り組んでおったに相違ない。今日のいわゆる公害対策の一つとしての取り組み方では、なかった点もあるのではないかと思いますので、先ほども申しましたが、そういう新しい発想を入れまして、しかるべき最も適当なところで所掌させて、いい結果を生むようにいたしたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 この問題、あまりやっていてもしようがないのですが、最後に大臣、公害問題についてせんだってある雑誌にこういう文章が書いてあったのです。これは私は公害問題についての姿勢として非常にいい考えだ、こう思っております。このお考えに大臣賛成かどうか、ちょっと読みますから、お答えいただきたい。「公害をかりに一種の自然現象と考えて、その自然現象を追いかけていく立場から、いくらかでも被害を少なくするために公害防止費を出していくならば、経費は少しずつ無限に積重なっていくのだが、恐らく公害のなくなることはないだろう。だが他方、公害は人間の不誠実・無知・不注意・軽率などの産物と考えて、不誠実などのため何が生れているかを率直に追求していく態度がとられるならば、公害防止には一見したところ大金がいるけれども、他面において必ずそれを償うものが現れるにちがいないのである。」こういうことをある人がある雑誌に書いたのです。この姿勢は正しいと思いますか。いかがですか、

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 全く正しいと存じます。いま私ども政府においての公害の取り組み方も、公害は自然現象ではないという立場から、公害が発生したあとを追いかけてこれを除去するということでなしに、公害というものは産業活動、人の行動から発生して環境を破壊するものである、そういう立場から、またおそらく公害対策基本法にもいま私が述べましたような文言を取り入れまして、この公害の処理に当たっているわけでございまして、ただいまの御意見、私は全く正しい意見だと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そこで、公害問題については、特に悪臭問題について、今後全力投球をやっていただきたいという要望をいたしまして、次にお尋ねしたいのでありますけれども、最近私は、厚生省のいろいろな問題に対する、たとえば食品公害等に対する態度を見ておりまして、気にかかる点が一つあります。それは、アメリカのほうでチクロがいかぬということになるとチクロだ、業界の圧力がくると、いやチクロではないけれども、サイクロヘキシルアミンだということならいい。これはごまかしです。そういう形でまたふらふらっとする。そうかと思うと、味の素はどうも子供には害があるらしいぞ、こういうことで味の素もひとつ子供には規制したらどうだろうか、こういうことを厚生省が言ったとか言わぬとか新聞に出ておる。ところが、大体人間は脳を活動させるのですけれども、味の素のグルタミン酸ソーダに構造が非常に似ておるのが脳細胞の活動のホルモンだと言われて、なくなった慶応大学の林誤教授あたりは、味の素は大いに食え食えと言ったこともあるのですね。そうかと思いますと、最近は、たとえばサッカリンもやり玉にあげて、サッカリンもいまのところは無害だけれども、これもひとつやめちゃったらどうか、こういうのが新聞の記事に多く出ております。この辺見てみますと、どうも厚生省というのは自主性がなくて、悪いもの、疑いのあるものについては積極的にこれを排除しなければならぬけれども、どうもアメリカがやると、何んでもかんでも科学的である、何でもかんでも合理的である、それについていけばいい、こういう態度があるのではないか、こう思うのでありますけれども、この点はいかがですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 細谷先生がおっしゃるようなことになりたくないと私は考えております。ただ食品添加物等につきましては、日本だけの問題でなしに、おそらく細谷先生も御承知だと思いますが、従来からWHOとかFAOなどにおきまして、一定の許容量をきめまして、その許容量の範囲においては差しつかえないというような取り扱いをして、参加各国に通知をいたしてまいっておりますので、いま先生がおあげになりました幾つかの化学合成品なども、これにつきましては、FAOなりWHOの許容量というものが前提になっておるわけであります。つまり私の申し上げることは、そういうわけで、国際的な規模を持って、その有害性、無害性というものが論ぜられる場合が多うございます。したがって、日本ではその毒性が十分究明されなくても、他の外国においてその毒性が発表されたという場合には、勢い私どももそれを十分尊重しなければならない立場にあります。また反対に、外国においては問題はなくても、わが国独自の検討によってこれを禁止したほうがいいという場合もこれまで幾つかあるようでございますので、少なくとも自主性を持ちながら、また国際的関連をも十分検討しながら、国民の健康のために善処してまいって、厚生省はたよりにならないということがないようにいたしたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 たとえばアメリカでサッカリンが云々ということに情報が流れますと、すぐ砂糖が値上がる。どうも砂糖業界の圧力でこの甘味剤の問題が扱われてはいかぬし、あくまでも厚生省としては科学的なものに基づいて、そしてその科学的な検討の済んでおらない、あるいは中間において疑わしいもの、はっきりしたものは別として、そういうものはやはりずばり押えていく。しかし、無害であるもの、そういうものにまでやるということはやはり非科学的ではないか、こう私は思うので、独自の立場、追随主義ではない、あるいはいろんなものに左右されない、そういう立場でやっていく必要があるのではないか、こう私は思うのですよ。そういう点私は、たとえば人工肉の問題とかいろいろな問題点が出てきてまいっておりますけれども、あくまでも科学性というものに基づいて判断を下していただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。  そこで、あまり時間がありませんから、ズルチン等はガンの心配がある、こういうことで禁止になりました。これは毒性の問題もあるし、どうも発ガン剤という懸念もあって禁止になったわけですね。たばこもアメリカではガンの原因だ、これはベンツピレンというのができてきて、これがどうも発ガン性を持っておりますから、そういうことだ、こういうことがいわれております。たばこのことについてはあまり日本では騒がれておりませんけれども。そこで、労働省いらっしゃっていますか。  最近の新聞で——私も染料工場に二十二年つとめておって、二十二年間染め粉をつくるのでめしを食ってきたわけです。それで最近の新聞に出ておりますのは、ベンチジンあるいはべ−ターナフチルアミン、こういうものがあげられておるわけですけれども、これについて労働省は早くから知っておったですか。

東村金之助労働省労働基準局安全衛生部長

○東村説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、私どもは早くからといいますか、戦後、昭和三十年ころから具体的な対策を打っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そしてこのベンチジンなりべーターナフチルアミンなりについては、最近はっきり発ガン性だと言っている。それからできた染め粉も、扱った友禅染めなんかやった人もガン症状ができておるということなんですね。そういう点について三十年ごろから言っているのですが、依然として製造はなされている。そしてそれに対する防御の工場安全の措置は講ぜられておらぬように思うのですよ。この辺は工場の秘密とかなんとかいうこと、あるいは労働省は調べたけれども外部に発表してはならぬとかなんとかいう形で、うやむやに金庫の中に眠っておった、その間にどんどんこういう事態が進んできたのではないか、こう思うのですが、この辺は監督官庁としては責任があるのじゃないですか。

東村金之助労働省労働基準局安全衛生部長

○東村説明員 ただいま申し上げましたように、私どもは昭和三十年ごろに、この物質を取り扱う労働者の中から中毒患者が発生していることがわかりましたので、そのことを契機といたしまして昭和三十一年、昭和三十二年、昭和三十三年、それから三十六年と、六回にわたって通達を出しております。それから私どものほうで労働災害防止基本計画というものを作成して労働災害の絶滅に当たっておりますが、それを昭和四十三年につくっております。それ以降、毎年これらの物質による膀胱ガンを明記いたしまして、その絶滅に当たっております。  それから、ただいまの御指摘がございました問題に関係して申し上げますと、三十年ごろからわれわれこの問題を重視してまいったわけでございますが、特に昭和三十九年には、一定の設備基準のもとに工場の環境改善、施設の高度密閉化ということを関係業界に要請いたしまして、その結果、メーカーもぐっと減ってまいったことは事実でございます。そのようにいたしまして逐次手を打ってまいったわけでございますが、実は近く従来のいろいろの対策をここで集約してもう一度総点検をやろう、こういう対策を考えておったところでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 厚生省にお聞きしますが、大体日本の工場等でつくられておるもので、発ガン性物質というのでわかっているものはいまどのくらいあるのですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 いま担当の者がおりませんので、あとで調べて御報告いたします。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 発ガン性の物質というのは、私はかなりあるんではないかと思いますね。たくあんの色を染めている黄色のもの、昔はオーラミンというのが使われておったのだ。これも発ガン性物質だというらく印を押されているわけですね。そうなってまいりますと、発ガン性のものというのはずいぶん多いんじゃないか、こう私は思っておりますね。しかし、化学工場の特性として、中間体としては発ガン性を持っておりますけれども、製品になった場合にはもう発ガン性がなくなるというものもあるだろうと思う。そういう場合には、それは工場の労働者のからだを守るという十分な措置が必要であろうと思うのですけれども、大体べ−ターナフチルアミンとベンチジンというのは発ガン性の物質だというけれども、工場にはもっとたくさんありますよ。その辺の一覧表をつくる、そしてこれは疑わしいんだというものをやはり明らかにしていかなければだめじゃないかと思うんだ。これによりますと、二十年か三十年ぐらいの潜伏期間とあるんだよ、蓄積していって。ちょうど定年になるころに病気になるわけだね、不治の病に。定年になるともう御承知のように健康保険もないわけですから、たいへんなことです。国民健康保険か何かにかからなければいかぬ。こういうことですから、これはもう文字どおりたいへんなことであります。厚生省の方々にもお医者さんが多いわけですから、むしろそういう発ガン性の物質というものは早く労働省へ示してやらなければいかぬ。こういうものがつくられているけれども、どうも発ガン性の心配があるよ、これはもうはっきりマウス実験でも発ガン性というものがあったら、労働省に行って、こういうものはすぐこういう対策を講じなければならぬぞ、こういうあれをしてやらなければいかぬと思うんですが、それがほんとうのところ、わかってないのじゃないですか。わかっているんですか。わかっているんならば、あとでその一覧表を出していただきたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 私としましては、まことに不勉強で十分承知いたしておりませんので、あとで担当の者に資料を提出させるようにいたします。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 染料工場といいますと、石炭を焼いてコールタールまでいった。コールタールがそもそも皮膚ガン等を起こした、こういうことから、発ガン性物質というのが大きく問題になってまいったいきさつからいって、私はたくさんあろうと思うんですね。そういうものに警告なしに、ただ無防備で作業させるところに問題があるわけであって、この辺は労働省の責任ばかりじゃなしに、やはりその専門のほうの厚生省が、もっと真剣にこの問題に取り組んでいただかなければならぬ。そのためには外国の文献をあさるなりあるいは国内の試験研究の結果等をやって、現状においてはこうだ、そしてそういうものがはっきりしたらばどんどん追加していく、私はこういうことが早急にとられなければならぬと思うのでありますけれども、資料は後ほどいただくとして、大臣、これは労働省に研究しろといったって無理なんですから、労働省はそういうものに基づいて工場安全をはかっていくという立場だろうと思うのですから、その科学的なヒンターランドというものは厚生省がやってやらなければならぬ、その辺について大臣はどうお考えですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私はおおむね細谷先生の御意見に賛成であります。もしかしたら厚生省の従来の考え方は、食品衛生とかあるいは薬品については厚生省の守備範囲だけれども、化成品、ことにその中間物質等については、これは通産省なり、あるいはそれを製造する労働省の守備範囲である、したがって、役所のそれぞれの守備範囲もあるので、厚生省のほうから通産省や労働省に干渉しては相済まないというような立場をとっていたのではないかとも思うわけでありますが、しかし私は厚生大臣として細谷さんとおおむね同じ見地から、処理はそれは通産省でやるなりあるいは労働省でやるにしても、こういう物質は、これは薬品、食品でなくても、取り扱い上特に注意を要するものであるから、その旨申し入れる、お知らせするというようなことをわがほうの研究に基づいてやっていいのではないかと思うものでございます。  今回の問題につきましては、これはもう厚生省から言うまでもなく、ILO等から日本の政府に連絡があったことでありまして、いわば公知の事実のようなことであると私は考えますので、厚生省からしりをたたかぬでも、労働基準法に基づく衛生基準規則というような政令か省令があるわけでありますので、それはそれといたしまして、その他の問題につきましても、私はいま細谷さんが申し述べられたような、また私が述べたようなそういう立場をとっていくべきだと考えます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 終わります。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもちまして、細谷治嘉君の質問を終わります。  次は吉田之久君に質問を許します。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 私は、いま全国であん摩マッサージ指圧、はり、きゅう師などの業界の人たちが非常に深刻な、かつ、切実な政治への要求を繰り広げられておられますので、こうした問題につきまして、二、三具体的に大臣並びに局長さんらに御質問をいたしたいと思う次第でございます。  特にこの人たちの多くはからだの不自由な人たち、目の見えない人たちがたくさん従事しておられる業界でありまして、われわれは特に他の業界とは違った最大の配慮をしていかなければならないと思う次第でございます。  ところで、大臣は、たいへん御多忙でございますけれども、たとえばここに「日本鍼灸マッサージ新聞」というふうな新聞がございます。この種の新聞をごらんになったことがございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 申しわけありませんが、まだ読んだことありません。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 それはこの人たちに対して非常に気の毒なことだと思うのです。この新聞のあちこちに——私も最近出されている新聞をこの間お借りしてきたわけなんです。「内田常雄先生厚生大臣に」と至るところに書いてございます。「今回の内閣改造で厚生大臣に就任した内田常雄先生は山梨県の鍼灸マッサージ師会の推薦していた先生で」云々、「なお、鍼灸マッサージについても山梨県の努力により理解ある代議士です。」と至るところに大臣のことを推奨し、また期待をしておられるわけなんです。実は私はこの質問をしようと思いまして、私のほうの奈良県のこうした盲人協会の幹部の家をたずねました。ごらんのとおりこの新聞、もうよれよれになっております。しかも薄暗い部屋の中で、半ば目の見えないそういう不自由な人たちが、虫めがねを通して一生懸命にこれを熟読玩味しているわけです。あるいはまた点字に翻訳し合って仲間で回覧をしておられるわけです。まことに切実な風景であり、私も非常に胸を強く打たれました。したがって、大臣これからお忙しいと思いますけれども、またいろいろな刷りものがいっぱいでございますけれども、特にこういう気の毒な人たちが、政治への切なる願いを込めて書き上げている新聞など、至るところそういう不自由な人たちですから誤字、脱字もあります、校正もできないのだと嘆いておられます。それだけにひとつ心して読んでやってほしいということを私はまず初めにお願いしておきたいと思うのです。  お読みになっていないようでございますから、ちょっと私その中で特に感銘を深くいたしました声明書なるものを順次御披露していきたいと思います。  この声明書は昭和四十四年の十一月に出されております。その責任者は全日本鍼灸按マッサージ師会連盟、そして日本盲人会連合業権擁護共闘会議、こういう二つの肩書きの代表者である関野光雄さんという人が出しておられる声明書であります。その声明書には「無免許あん摩マッサージ指圧業者の掃滅を期す」という見出しで、まず初めに次のようなことが書かれています。「我々は、昨年二月」したがって昭和四十三年二月だと思います。「「全銀連・日盲連業権擁護共闘会議」を結成、以来、行政主管当局である厚生省に対しては勿論、あらゆる関係方面に対し、つぶさに、無免許無資格あん摩マッサージ指圧業者の実態を訴え、その掃滅を陳情し、要望してきたのである。然るに、現実は日と共に悪化し、これ等非合法、悪徳無資格無免許業者は、激増の一途を辿る実情にある事は、遺憾の極みである。法治国日本において、斯くの如き実情を見るのは、行政当局の怠慢か、然らざれば法の不備欠陥と言うか、我々は最早手を拭いて行政当局の優柔不断に耐えることの限界を越えるに至った。」こういうことばを述べておられるのであります。たいへん胸を打つものがございます。こうした声明に対して、いまお聞きいただきました大臣は、どのように決意をなさろうとしているか、まずお聞きいたしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私はまことにもっともな声明だと思います。と申しますのは、あんま、はり、きゅう、マッサージの仕事に従事せられておる方々、これは他に職業を求めることができない目の悪い方々が多い。もちろん晴眼の方々といえども法律の規定に従ってその資格を得ることは差しつかえないのでありましょうけれども、しかし、それらの人々は他に幾らでも仕事を求める場所も盲人の方々に比べればあるわけであります。したがって、私は厚生大臣になる以前から、できる限り身体障害を持っておられるこれらの方々に対しまして、その職域を広くして守ってやろうというような気持ちを持っておるものでございます。ただ一面、これはやはり治療行為でもございますし、また往診といいますか、外に出て診療行為をやられる場合も多いようでございまして、私どもが社会の実情を見ておりましても、診療される旅館等におきましては、人手も不足のために、実際問題としては晴眼者のあんま師を旅館の経営者や女中さんが歓迎するような状況も現実でございますので、その辺のかね合いをも考えながら、私は、目の悪い方々の職域を守ってやるようにしたい、こういう考えを持ってまいったものでございます。今後厚生大臣といたしましても、担当の方面の意見を聞きながら、私は同じような立場でやってまいりたいと考えるものでございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 いま大臣のこの人たちに対する気持ちという点は、お聞きしてよくわかります。しかしながら、この種の問題は気持ちだけでは何ら事態は進展しないはずであります。もう少し問題の焦点を大臣御自身よく把握していただく意味で、さらにこの声明書に触れてみたいと思うわけであります。  この人たちは「行政当局は我等の合法要求に対し、常に「あん摩等中央審議会の答申待ち」と、その責を中央審議会に置換え、」云々ということを言っておるわけなんです。さらに「特に近時、東京都を始め大都会に、雨後の筍の如く」「サウナ或いはトルコ等、特殊浴場に併置される、あん摩マッサージ指圧の行為は、今さら中央審議会において、研究討議の余地皆無の確然たる、あん摩マッサージ指圧の業務と断ずべきである」こう述べておられるわけなんです。私どもも常識から推して当然そうあるべきだと思います。  そこで、大臣は、いまあなたみずからが答申を求めておられるこの種の問題に対して、中央審議会のその後の審議の内容について、どの程度進んでいるということを把握しておられるか、あるいはいま特に緊急な課題になっておりますサウナ、トルコ等が、この盲人を主体とする既存の業界に対してあらゆる圧迫を与え、また圧迫感を現に与えておりますこの問題に対してどう対処なさっておられるか、まずお聞きしたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私は実は就任後あまり時間もたっておりませんので、その中央審議会の審議の模様あるいはまたお話がございますサウナ、トルコ等におけるその付属マッサージなどの実情や対応策についても十分把握いたしておりませんので、関係の局長から答弁をいたさせます。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 いまお話がございました御指摘の中で、トルコぶろとかサウナ等におきますいわゆる無免許の問題につきましては、これは私どもも中央審議会の問題とは考えておりませんで、当然これはそういう違反者を取り締るという立場でいかなければならない。すでにこの問題につきましては、数回にわたりましていろいろと詳しい通達も出ておるところでございまして、そういう方向でそういう無免許の者は取り締まらなければならない。中央審議会におきましての問題は、今後の免許の資格というものをどういうふうにしたらいいであろうか、それに関連いたしまして、当然あんま、マッサージ、指圧等の業務内容というものが関連をしてまいります。それらを含めまして議論をしていくという過程でございます。この中には、すでにその資格をより高い高等学校卒業程度にしてほしいという要望もございまして、そういうものも含めて広く議論されておるところでございます。まだなかなか問題が煮詰まってまいりませんので、審議を継続しておるという段階でございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 いま局長ははっきりと、サウナ、トルコ等において無免許でこの種の事業が営まれていることは、もはや審議会の答申を待たずとも、それは違法であることは明らかである、中央審議会の問題とはもはや考えていない、こうおっしゃったことから推して、私はそういうふうに判断をいたします。非常に明快でございますし、また当然そうなければならないと思います。ならば、今日、特殊浴場で、現に無資格者のあんま、マッサージ行為が行なわれている、この現状をどういうふうに取り締まっておられるか、取り締まられていないとするならば、現行法で取り締まれない理由はどこにあるのかということをお伺いいたします。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 すでに三十二年以来、この取り締まりについては各都道府県に指示が出ておるわけでございます。初回の通知の場合には、警察当局と衛生部局とが、調査をいたした結果をよく連絡をして摘発をしていく、こういうような基本的な姿勢が述べられております。その後さらにこの問題について、各県からもいろいろな照会もございました。その中でもいろいろな解釈を示しているわけでございますが、いま御指摘がございましたように、そういう行為をどの程度から業とする者とみなすのかというところに、率直に申し上げて、実はむずかしい問題がございます。たとえば、肩をたたいたりいたすとしましても、それがきわめて短時間、たとえば、こういう例が正しいかどうかわかりませんが、理髪に参りましたときに肩をたたいたりという程度のものであれば、これは通例社会常識的にあんまの業として考えられないであろう、しかし、やはり病的な状態をある程度除去するというような問題でありますとか、あるいは疲労を回復するというような、そういう生理的な効果を実現することを目的といたしまして反復して行なわれるということであれば、そういう実態としてはこれはあんまの業に属するであろう、こういうふうに考えております。したがって、実際の取り締まりにあたりましては、そういう実態を十分に把握をしておる、こういうことが基礎になっておるわけでございます。  なお、これに関連いたしまして、たとえば養成所の生徒さんたちを実習として使うというような場合でありましても、往々にいたしますと脱線するきらいもございます。きちんとした指導者がおり、その指導者の指示のもとにその場で訓練をしていくという場合であれば別でございますけれども、まさにそういうことと関連いたしまして、全く個室で単独でやっているというふうなことになれば、これはそういうカテゴリーからは完全にはずれるであろう、こういう種類のいろいろこまかい解釈を示しまして、そうしてそういう事実をしっかり認識をした上でそれぞれ摘発をしていく、こういう方針で臨んでいるわけでございます。その実態について、一つ残らずみな一つ一つ摘発するということは、なかなか私どもの手が及んでいないところもあるかと思いますけれども、いま申しましたような方向で摘発すべく指示をしておるわけでございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 このあん摩マッサージ指圧師、はり、きゅう師等の法律——法律二百十七号と呼んでおりますけれども、この法律の第一条には、はっきりと、医師以外の者で、あん摩、マッサージもしくは指圧、はり、きゅう——柔道のほうは除いて、はり、きゅうを業としようとする者は、それぞれその免許を受けなければならないと書いてある。しかしながら、いま局長みずから御説明のとおり、無免許の人たちがトルコ風呂やサウナ風呂で大量に働いているということは社会的事実です。しかも都道府県は、既存の業者の人たちからいろいろ反駁あるいは質問、抗議があるものですから、お話のとおりそれぞれそのつど厚生省のほうに問い合わせをしておるはずです。われわれの聞いておりますところでは、昭和四十三年五月ごろだと思うのですけれども、神戸市に対して局長通達で通達を出しておられる。その内容は、刺激の程度とか、時間の長短等を参酌して善処するようにというふうな、非常にあいまいもこたる、答えにならない答えで通達を出しておられるというふうに聞いております。いまの御説明によりましてもまあ常識的に、床屋さんがちょっと肩をたたいてくれる、これはサービスでありますから、こんなものは業とはなりません。しかしながら明らかにあんまやマッサージを行なうことによって料金を取り、そのことによって事業を運営している場合には、これを業と呼ばずして何と呼ぶのか。そういうものに対して局長通達などは今日まで、非常に規制の点であいまいさが一ばいであるという考え方を持たざるを得ないわけであります。その点もう少し明快に、この辺までとかいう何かの基準というものをそろそろ出さなければならない段階に来ておるのではないかというふうに考えますが、いかがでございますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 神戸の衛生局に対する回答は、おっしゃるように比較的短いものでございます。その中に、三十八年のときに出しました比較的詳しい解釈の通牒を引用いたしまして、それを行政当局が十分見れば回答になる部分に相当するであろう、こういう配慮から、当時短い文章でございますけれども出されておると思います。三十八年一月九日に出されましたものの中に、私が先ほど申し上げましたような一応の定義と考えられる解釈、それからまた同じように、指導者がいて補助者として働く場合というようなこと等の関係においての考え方を示しております。ただいまのところは、こういうことを基準にして実態を十分把握をしていくということで処置をする以外にないのではなかろうかと存じております。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 大臣、お聞きのような現状でございますが、これで取り締まれると思うかどうか、取り締まりが進んでいるとお考えになりますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 何か正直に申して、歯にはさまったところがあるような取り締まり状況のようにも私は思います。これをひとつ究明をしてまいりたいと思います。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 次に、この法律では、いま局長もお話しになりましたけれども、しからば「あん摩」とは何か、「マッサージ」とは何か、「はり」とは何かという辺の定義がはっきり書かれていないというところにも問題があるように思います。今後法改正の場合に、その辺の定義を明らかにすべきであるとお考えになるか、あるいはむしろそうすることがかえっていろいろと混乱を招くので、しばらくはこういうかっこうのままで進んでいかざるを得ないとお考えになりますかどうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 先ほど申し上げました審議会におきまして、免許に関連した業務の範囲というものが種々議論されております。そういう段階で免許をきめる、あるいはそれに伴ってこういう業務であるということが明らかに定義づけられるようになるといたしましたならば、そうであったとすれば、それを法律に書くということは検討できることであろうと考えますが、しかしながらそういう法律に書いてきちんと定義づけができ、しかも他を排除できるような定義がはたしてこれで意見の統一ある見解として出し得るかどうか、その点につきましてはもう少し議論を待ってみたいと考えておるわけでございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 この辺で資格を持っている人たちをより明確にしていくためには、中卒、経験二年とか、そういう形でいくのか、高校卒業プラス二年という形でいくのか、その辺のところを一本化しなければならないのではないかという問題が非常に強く高まってきておるようであります。やはり衛生上相当強い影響力を持つ業界であります。また相当確かな資格制度にしておかないと、この種のまぎらわしい無資格の人たちの現に行なっている事業というものがますます広がってくるおそれもございます。この点で審議会の作業はどの辺まで進んでいるのか、あるいは厚生省としてはどういう考え方で指導しようとしておられるのか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 養成のための養成所に入る入学資格等を高等学校卒業程度に上げてほしい、そういう希望のあることはわれわれもよく承知いたしております。しかし、先ほど大臣も盲人の方々のことについてお話がございましたけれども、私どもはやはりこの際、この盲人の進学ということについて最も大きな考慮を払っておくべきではなかろうか。と申しますのは、盲人の方々が多く高等学校卒業の資格を得るようであれば、それは一つの進歩であろうかと存じますけれども、それがむしろ非常に窮屈な思いをする、進学する人が非常に少なくて、したがってそういうあんまになっていくための道が狭くなっているということであれば、これはやはり社会全体の問題としてもう少し考えなければならぬ問題である、こういうふうに考えております。いま議論は出ておりますけれども、まだどちらともきまっていない段階でございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 おっしゃるとおり、全体としてのレベルアップを一方で考えなければならないし、同時に盲人の人たらを多く救済し、また安定した仕事についてもらうためには、その辺の救済と申しますか、学歴のない人たち、あるいはついていけない人たちをどのように保護していくかという、いわば非常にむずかしいジレンマを含んでいる問題だと思います。したがって、たとえば中途失明者などの場合、中高年齢になってから失明したというふうな場合、いまさら中学にも高校にも行けないという場合も十分想定されるのでございますが、そういう人たちの場合に社会歴等も考慮して、何らかの救済の道を残しておいてやるべきだということも、きわめて社会的に重大な課題の一つだと考えます。私はそういう点で、こういうほんとうに身体障害者や盲人の人たちで、無資格者で日陰者にされているこの人たちは、やはり何とかして軌道に乗せる努力をしなければならない。そこで必要なことは、昔ならば徒弟制度でそれがカバーできたと思います。しかしその道は否定されております。今後は通信教育とかあるいは施設を訪問する、あるいは家庭にいる人たちを訪問して教育していくというようなこまやかな配慮というものが、この道で展開されなければならないのではないか。ただ画一的にレベルアップするだけで問題は解決するわけではないというふうに考えます。その点、局長などもいろいろ心を砕いておられると思いますけれども、いかがですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 先ほど来申し上げましたように、特に盲人関係の方々に十分な配慮をしておくことがやはり必要だと存じます。いま通信教育のようなお話がございましたけれども、私どもも、どの程度そういう方々の実態があるか、ここでは確かにいたし得ませんけれども、そういうようなやはり一つはニードがどの程度あるかということも把握した上で、関係者の十分な話し合いがつくならば、そういうことも一つの方法として考えていってもいいのではないか、こういうふうに考えております。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 次に、保険の取り扱いについてでございますけれども、私の聞いてまいりましたところでは、十年前に一局所の——マッサージだと思うのですけれども、一局所について三十円という料金がきめられておりました。それがそのまま今日も据え置かれているようでございます。しかも人間のからだを五つの局所に分けて、両手の場合にはこれで二局所、両足の場合が二局所、それから頭と胴体が一局所という分類のようであります。全身ならば四局所とみなす。四局所であるとすれば、三、四、十二で百二十円であります。医師の同意書や診断書をもらってこなければでぎないことでございますけれども、診断書をもらうのに二、三百円はかかるということのようであります。これではとても採算がとれませんので、実際にこの一局所三十円という低料金では全くどうにもならぬではないかという声が現に出ております。この点のところを御説明をいただきたい。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本政府委員 ただいまのお話でございますが、その料金の点につきましては、先生おっしゃるとおりの現状でございます。これは御承知のように、償還制という形をとっておりまして、被保険者が保険者に対して払いました金額のうちから償還する一つの基準という形で動いておる制度でございます。     〔主査退席、細谷主査代理着席〕 保険のほうで対象といたしておりますのは、医療上必要ないわゆるマッサージというふうなものを対象にいたしておるわけでございまして、したがって、先ほど先生がおっしゃいました医師の同意書なり診断書という形をとっているわけでございます。現在の点数表につきまして、いろいろまた別の御批判があることは一つの問題といたしまして、やはりそういう体系になっておりますので、病院、診療所の中で行なわれますマッサージ、そういうものについて、前々から点数がきまっております。特にこれは乙表の点数表で、先ほどおっしゃいました、いわゆる三点、こういう形になっておるようでございますので、それが医師の同意によりまして病院、診療所の外で医療上必要だということでおやりになった場合には、やはりこの点数表をそのまま準用する、こういう形をとらざるを得ません。ただ先ほども申しましたように、診療報酬の改定の問題につきましては、今回の緊急是正におきましても一年半ばかりかかりまして、非常に混乱を続けたわけでございます。この点、今回の緊急是正につきまして、この部面の改正は行なわれませんでした。したがって、今後の問題といたしまして、これの引き上げにつきましては御趣旨に沿うように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 大臣、お聞きのとおりでございまして、またこの新聞を出して恐縮ですが、今度医療費緊急是正の答申がなされたけれども、そして全体で九・七四%アップしたけれども、「またも無視されたマッサージ」ということで、非常に憤慨をしておられます。私は、いま申しましたように、全く実情にそぐわない空文化した単価表であるということは明らかでありまして、この点は、緊急に手直しをされなければならない、こういうところにもこの盲人を主体とする業界に対する行政の目立ったおくれというものを痛感せざるを得ませんので、どうかその点即刻指導していただきたいと思う次第でございます。  次に、最後にいたします。理学療法士の特例試験というものがあるはずでございますけれども、聞くところによると、この猶予期間が四十五年度中で切れてしまうことになるということで、非常に心配をしているようであります。もしそうであるとするならば、今日の時点で、あるいはその期限切れになる時点で、一体業界でこれにパスしている者は何%程度、あるいは何割程度あるのか。またその後さらに受験しようとする人たちに対しては何らかの考慮——持続、延長しなければならないのではないかという感じがするわけでございますけれども、その点はいかがでございますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 理学療法士あるいは作業療法士の特例試験は、御指摘のとおり来年の三月をもって期限が切れることになっております。いままで合格いたしました者がPT、いわゆる理学療法士で七百九十七人、それから作業療法士のほうで百五十九人という状態でございます。残りは、PTで講習会を受け終わった人が約三千九百五十人ほどおりますが、ただいまの約八百人近くを引きますと、PT関係で三千人が講習を終わった人であります。受験の希望とは関係がございませんが、一応受験のために必要な講習を過去に終わった、こういう状態でございます。そこで、来年の三月になりまして期限が切れるという問題になるわけでございますけれども、これも、いま二つの意見がございます。一つは、やはり延期すべきであるという問題、もう一つは、これは先生も御承知だと存じますが、このPT、OT関係につきましては、日本の制度を始めるにあたりましてもかなり国際的な教育レベル、資格というようなものが非常に重視されたいきさつがございまして、そういう関係でOT、PT関係の国際的なつながりという面から見ましたときに、そのレベルをむしろいまよりも上げるべきであって下げるべきではないのだ。そういう意味で、そういう方面からこういう特例を延ばすということになれば、極端に申しますと、そういう日本の理学療法士の業界というものが国際的な加盟をするときに、向こう側もそれを快しとしない。これは国際間の問題でございますけれども、実はそういうような背景がございます。したがって二つの説があるわけでございます。しかし私どもは、新しい年度に入りましたら早々にもこの問題について理学療法士、作業療法士の委員会にはかりまして方針を早くきめていきたい、こう考えておる次第でございます。

吉田之久民社党

○吉田(之)分科員 時間が参りましたので質問を終わりますが、これも非常にむずかしい問題であります。国際的なレベルについていくための努力をしなければならないと同時に、やはりいろいろなハンディキャップを乗り越えて、ひとつ身体障害者の人たちがみずからの生きていく道を社会的に見出そうとしている、この苦労に対しても、十分政治は報いなければならないと思いますので、特にひとつ慎重な配慮をお願いしたいのであります。  最後に、日本サウナ党というのがあるようであります。しかもその総裁が川崎秀二さんであります。しかもこれらが五百名のマッサージ師の養成学校をつくりたいというふうなことを計画しておられるとかどうとか、あるいは現に大阪のニュージャパン等のトルコぶろでもそういう計画があるやに聞いております。また私どものいなかの奈良のほうでも、あんま師三十名募集というふうなのがどんどん出ております。こういうことがますますはんらんしてまいりますと、盲人の人たちに与える精神的な脅威あるいは経済的な圧迫というものは想像以上のものが出てくると思います。先ほど来申し上げましたいろいろな点につきまして、ひとつ厚生大臣はさらに積極的な対策を急がれますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷主査代理 次に武部文君。

武部文日本社会党

○武部分科員 私は、きょうは時間が非常に短いので、いま問題になっております食品公害監視体制、さらにはこの被害を防止するための行政のあり方、こうしたことについて基本的な厚生省の考え方をお伺いいたしたいと思います。具体的な問題はいずれあらためて消費者保護基本法に基づいて物価問題特別委員会で具体的に御質問をいたします。  いま新聞や週刊誌を見ますと、ほとんど毎日のように食品公害の記事が出ております。たとえばチクロに端を発しました問題から、DDTからBHC等に至るまで、非常にこれは国民関心の的でございまして、毎日の生活に欠くことのできない食品の中に害があるということは、これは異常なことでありまして、こうしたことで私どもは食品公害についていろいろ当局の取り締まり等についての強力な措置を要求しておったわけであります。先般、予算委員会でわが党の大原委員から添加物の問題について質問が出ました際に、佐藤総理は、早急に食品添加物について再検討する、こういう約束をされました。現在三百五十六の添加物があるわけであります。総理大臣は非常に強い態度で再検討を約束されたわけですが、厚生省としてはこの食品添加物三百五十六品目について、これからどういう考え方で、どういうスケジュールで検討しようとしているのか、この点をまず最初に大臣からお伺いしたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 食品添加物の再検討につきましては、昭和三十七年のころから慢性毒性について国連のFAO、WHOの食品添加物専門委員会の勧告にあります基準に従って私どもはやってまいってきておりますけれども、その結果、現在までに御承知のように人工着色料すなわちタール系色素などを中心といたしまして十品目、またズルチン、今回のチクロ等三品目の指定を削除いたしまして、現在では欧米諸国と比較しても遜色のないような状態にはきているものであります。しかしながら、これもいま問題になっているサリチル酸等特殊の事情で残っているものもありますので、今後ともさらに念入りにその慢性毒性面での再検討を全面的に実施をいたしてまいる所存でおります。また毒性の方面では問題がなくても、必ずしもそれがなくてもいいじゃないかというような、必要性の少ない添加物についてはその使用を排除する、こういう方針とすべきであると考えておりまして、たとえば、昨年におきまして生鮮野菜等に対する漂白剤とか色素等の使用も、さような見地から規制したものも幾つかございます。今後もこういう方針で規制を強化するために、四十五年度におきましてはとりあえず色素と漂白剤について広範な調査を予定をいたしております。それは、たとえばノリとかお茶などのようなものにつきましてもその色素について再検討をしてまいるつもりでおります。なお厚生省には各方面の専門家からなる食品衛生調査会もございますので、これをやってまいるにあたりましては、この方面の専門家の意見も十分に参考にしてまいって、総洗いを続ける、こういうつもりでおります。

武部文日本社会党

○武部分科員 いまのお話でございますと、わが国の食品添加物は外国に比べてそう見劣っていない、こういうようなお話でございます。たしか食品衛生法が制定されましたのは昭和二十二年、その翌年の二十三年に添加物が約六十品目指定をされました。三十二年に八十四品目、自来ずっと追加に追加を重ねてきたわけですが、この二十年間に削除をされた品物はわずかに二十八品目くらいしかない。そして現在三百五十六品目あります。確かにこの三百五十六品目の食品添加物がすべてこれが悪い、これがすべて害があるというのではございません。この中には栄養剤が五十種類あるいは香料が八十種類、これはあくまで安全です。危険がない。そういうものは確かに入っておるわけです。問題は、全部がそういう危険があるものとは思いませんが、現実に先ほどお述べになったタール系色素は十四品目残っておりますね。これは外国に比べて少ない数ではないのです。そういう点を考えると、私どもはまだ日本の食品添加物については非常に力を入れて検討を加えなければならぬじゃないか、こう思うのです。特にいま大臣がお述べになった慢性毒性ということは非常に重要な食品添加物の要素になるのです。ところが国立の衛生試験所のいまの予算なり人員の能力でわが国における慢性毒性を研究し試験をする能力があるかどうかということを調査すると、はっきり言ってこれはないのです。一年間にわずか三品目くらいしか検討することができない予算と人員の構成になっておるのです。そこへもってきて、これだけたくさんのわけのわからぬような害がどんどん指摘をされるということになれば、これはもう衛生試験所そのものを機構的にも予算の上においても抜本的に改正をしていかなければ、慢性毒性の効果というものはほとんど期待ができないのです。急性毒性ならころりといくわけですから、すぐわかりましょう。慢性毒性なり相乗毒性なりというものが人間の健康と生命に一体どういう影響を与えるかということに全力を上げなければならぬ、私はそう思うのです。たまたま昨年の十月三十日にホワイトハウスの発表したニクソン大統領の消費者保護特別教書というのがあります。これを見ますと、佐藤総理と同じことを言っておる。アメリカでも食品添加物が非常に問題になって、食品添加物については厳正に検討し直さなければならぬ、その結果早急に結論を出すべきだというニクソン大統領の特別教書が議会に提出されております。アメリカもこの問題に非常に力を入れておるわけです。いま大臣のおっしゃったようなことがほんとうにできるならば、私どもとしては非常に安心なんです。ところが予算がない。国立あるいは公立の大学でもそういう研究をする専門の方がいらっしゃる。ところがそういうところでも予算がないから、民間企業の研究費の補助を受けてやっておる。民間企業の補助を受けてやればどういう結論が出るか、これはおのずとわかるのです。国立でない民間の企業から受けるのですから、どうしてもほんとうのものが出ないと私どもとしては考えざるを得ないのです。そういう意味から、せっかく大臣がそこまでおっしゃるならば、もっと国立衛生試験所の機構を整備して、予算も加えて、そして早く慢性毒性についてのほんとうの研究ができるように、そしてその結果が国民の前に明らかになって、国民が安心してものを食べたり飲んだりできるような、そういうやり方をぜひやっていただきたい、こう思うのですが、これからの予算面なり機構の面においてそういうことをおやりいただけるでしょうか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 ただいまの御質問のうち、外国との比較でございますが、大臣から御説明ございましたように、現在の日本の添加物の状態はアメリカに比べましても決して質が悪いというようなことではないのでございまして、遜色はないと考えております。御承知のように、アメリカにおきましても添加物は約五百種類くらいあるわけでございます。  それから国立衛生試験所の能力の問題でございますが、国立衛生試験所におきましても、毒性試験等に関連して動物舎等の増築もいたしておりますし、また能力におきましては非常に優秀な方がおられるわけでございます。     〔細谷主査代理退席、主査着席〕  予算につきましては、昭和四十五年度においては、添加物を含めまして、食品の安全を守るためには研究調査が必要であるということで、新規の予算として三千五百万円の食品関係の研究費を計上いたしておるというようなことでございます。なお、これ以外に衛試に対しましても、約一千万円の食品関係の設備等の整備費を計上いたしておるというようなことでございまして、予算面においても四十五年度においてはかなり努力いたしておるわけでございます。そういうことでございまして、慢性毒性試験その他につきまして今後積極的に調査研究を進めてまいりたいと考えております。なお、添加物の毒性試験等につきましては、国際的にも検討されておりまして、その結果に基づいて各国に勧告するという形がとられておるわけでございますので、こういった方面とも連携をとりながら研究を積極的に進めてまいりたい、かように考えております。

武部文日本社会党

○武部分科員 慢性毒性なり相乗毒性について積極的にこれから検討し研究するということはけっこうなことですが、いま話を聞いておりますと、三千五百万だ一千万だという金額を言われますが、こんなことで慢性毒性が検査できるものだと私は思いません。いろいろ専門家の皆さんからお聞きいたしますと、それは相当な期間かかるのです。あなたも専門家のようですが、相当な期間かかって相当な実験をやらなければ慢性毒性というのは結果が出ない。相乗毒性もそうだそうですが、いまのような国立衛生試験所の機構ではとてもだめだ。特に物価対策特別委員会の諸君が国立衛生試験所に視察に行ったときに現実にあの姿を見て、これはたまったものではない、こんなことでは、とてもじゃないがわれわれとしては安心してまかせられぬということを帰ってきて私どもに話をしておりました。そういうような状態ですから、国立衛生試験所、特に都衛研あるいは地方のそうした試験所等にもっと力を入れて、そうした実験その他が早急に行なわれて実のある成果が出るように最大の努力をしていただきたい。  そこでこの機会に、せっかく総理も厚生大臣もこの食品添加物について再検討するということをおっしゃっておるわけですが、こういうことはできませんか。たとえば食品添加物の使用の許可を希望するものについては、急性毒性あるいは慢性毒性を問わず、一切の安全性についてこれを実証するところの詳細な実験ダータを添えて申請しなければ、それを認めない。そしてそれが出た場合に、行政官庁としてはこれを追試する。一たん許可したものであっても、いささかでも安全性について疑義が出た場合には即刻これを使用禁止するというような緊急措置をとる。こういうことをやって、いわゆる疑わしきは許可しない。そういう食品添加物についての許可基準をつくる意思があるかどうか。そうしなければ、一たん許可してしまって、その結果が、やれからだに悪かったとか、それじゃひとつ検討してみましょうというようなことでは——これは少なくとも人間の生命と健康に影響する問題ですから、初めから厳重な規制をして、疑わしきものについてはこれを許可しないというような厳然たる態度をあなた方はおとりになる意思はないか。これです。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 健康に障害のおそれのあるものにつきましてはこれを添加物として指定しないということにつきましては、現在の食品衛生法においてもそのとおりの趣旨でございまして、その趣旨を受けまして、食品衛生調査会で添加物等の毒性等について検討する場合の基準は、御趣旨のような基準をつくってあるわけでございます。その基準におきましては、添加物というものはどういう性格のものであったらいいかということ、それから動物試験というものはどういう試験を行なうか、急性毒の試験並びに慢性毒試験を行なうということについて規定を設けて検討いたしておるような次第でございます。

武部文日本社会党

○武部分科員 いま私が述べたようなことが現実に法律の上にあるとすれば、今日のようなことは起こらないはずなんですよ。あなた方が認めた三百五十六の中で、次から次へといろいろなことが起きているじゃないですか。ここが問題なんですよ。三百五十六品目の許可をされた。ずっと日にちを見てみますと、たとえば昭和二十三年にさっき私が言った六十品目が許可になっております。あれから二十年以上たっているのですよ。その間にどういうことになったかということは、全然あなた方は検討もしていない。再検討も何もしていないのですね。二十何年間、そのままほったらかしてきたのだから、その後におけるこの問題についての検討をした上で、あなた方が、これはどうもおかしいということで即刻取り消されたのなら話はわかるのです。タール系色素の問題にしても、たとえばズルチンの問題にしても、アメリカで問題になってわれわれがこの国会で問題にしてから二年もたったじゃないですか。それでようやく禁止になった。そういうことがあるから、いま私が述べたような厳重なやり方をとられなければ、食品添加物については問題が起こるのじゃないか。起きてしまってから、やれそれはどうしたということを言っても、それは追っつかぬのですよ、ほかのことと違うのですから。そういうことについて、いま私が申し上げたようなことがあなたのほうとして厳重に措置されますか。間違いありませんか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 添加物の許可につきましての考え方でございますが、慢性毒試験につきましては、御承知のように、こういった慢性毒試験を強化したという考え方は昭和三十七年ころからの問題でございまして、それ以前におきましては、長期間の慢性毒試験というものは必ずしも十分調べてないというものもあり得るわけでございます。そういうことで、今後添加物の再検討を行なう上におきましても、そういったことも考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  もう一つは、発ガン性等につきましては、これは学問上もなかなかむずかしい問題でございますので、繰り返し繰り返しやってみなければならぬ。そのうちにまた発ガン性があるというようなこともあり得るということでございまして、これはそういった考え方で繰り返しやっていかなければならぬということでございます。  それから初め指定しましたものが、害があるということで指定解除になるということにつきましては、一つの原因としましては、やはり最近学問が非常に進歩してきておるというようなことによりましてそういう問題が提起されてきた、かように考えておるわけでございます。

武部文日本社会党

○武部分科員 ですから、結局いままでわからなかったことが学問の進歩によってわかってきたわけでしょう。そうすると、いままで食品添加物としていいと思っておったものでも悪いということがわかってくるのですから、そういうことについては、あなたのほうで認めておった三百五十六については厳重に追試を行なって、そうして悪いものはどんどん取り消しをしていくという点についての趣旨は間違いありませんね。そうすると、あなたと私とやりとりいたしました例の燐酸にしたってカフェインにしたって、これはまだあなたと決着がついておりませんが、コーラ飲料の内容の成分をあなたのほうから私に資料として提出をいただきました。きょうはここで論議はできませんが、昭和三十二年に添加物として燐酸が認められましたね。あれから十三年たっておりますよ。それではこの燐酸がコーラの飲料の中に入っているということをあなた方はいつお認めになったのですか。ようやくこれが今度の国会でわれわれの追及で初めてわかったのでしょう。コーラ飲料の中に燐酸もカフェインも入っておった、こういうことをあなた方はお認めになった。燐酸がどういうものでカフェインがどういうものであるということをいま論争しておるところですね。そういうような点について、少なくともいまあなた方がおっしゃったことが事実とすれば、三百五十六のうち、さっき私は栄養剤と香料の百三十種類は安全圏だから、こういうことを言いました。その他の問題については、慢性毒性、相乗磁性等について具体的に早急に再検討して、取り消すべきものは決断をもって取り消す、そういう点についての趣旨は間違いございませんな。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 添加物につきましては、先ほど申し上げましたような趣旨に基づきまして積極的に検討してまいりまして、健康に障害を起こすおそれのあるものにつきましては削除していく、こういう方向で処理したいと思います。

武部文日本社会党

○武部分科員 時間がございませんので先を急ぎますが、次に私は監視体制について厚生省の見解をひとつお伺いしたいのです。  この食品公害を食いとめるためには、やはり監視体制というものが必要だと思うのです。私どもが消費者保護基本法を超党派で制定をいたしましたときにもこれが問題になったのです。当時輸入食品については、年に十二万件以上の輸入食品が入ってくる、これに一体どれだけの監視体制がとられているのかといっていろいろやりとりいたしましたところが、十一の港にたった二十人の監視員しかいない。一体二十人の監視員が一年に十二万件以上も入ってくる食品をどの程度チェックできるのかと言ったら、七千件程度やっておるんだという話でありました。横浜の港に至ってはわずかに二%。そうしてその二%をチェックしたところが、九百十七件中四分の一の二百二十三件は有毒食品であったという事実があるのです。ところが年間十二万件のうち七千件ほどしか調べていない、あとは全部書類審査でフリーパスです。いっかも話が出たように、南米のエクアドルから入ってきたバナナのへたに有毒農薬がついておった。一千トンのバナナは全部海中に放棄した。それはたまたま監視員がそれをちょっと見たからわかったということで、これは非常によかったと思うのですが、この監視体制というものが非常に不備なんです。いまの監視体制では輸入食品の年平均六%ぐらいしかチェックできない。なぜもっとこれをふやすことを考えないか。一年たって十九名が二十名になった。たった一名ふえたのですよ。そういうような監視体制で一体安心してこの輸入食品を食べることができるだろうか、こういうことを思うのです。  それから、時間の関係でいま一つ申し上げますが、全国の保健所に一体何名の食品衛生監視員が専門でおるのか、こう言ったところが、八百四十七名だという答えが出た。八百四十七名で、全国に二百五十万カ所も食品を扱うところの事業場がある、それを一体どのくらいな率で監視できるのか、兼務もおるから、それはだいぶおるでしょう。しかし現実に専任というのは八百四十七名しかいなかった。これが一体何名ふえましたか、ほとんどふえてない。  先ほどの外国の食品について、六%ぐらいしか検査できない、せめて三〇%ぐらいは検査をしたいという厚生省の意向でした。それならば何名人間が要るのかと言ったら、百名は要るというのです。せめて百名もあれば、輸入食品のうちで三割はこれをチェックすることができるのだ、こういう話でした。百名どころか、わずかに二十名しかいないのです。こういう始末です。これが外国食品です。  それから、いま申し上げた内地における食品衛生監視員は八百四十七名です。このことについて、二百五十万カ所の事業場に対して、政令で定めたところの基準回数を調査するには一体どのくらい人間が必要なのか、こう言ったところが、厚生省は、四千名から五千名の監視員がなければ政令で定めた基準回数の検査はできないという答弁だったのです。ことしの厚生省の予算等を見ても、全然これは問題にならぬのです。そういうような食品衛生監視員の状態なんです。これでは実際問題として保健所が何ぼ一生懸命やろうとしたところで、食品に対する監視はできないと思うのです。大臣が言われるように今後食品公害をほんとうに阻止するためには、そうしたものにもつと人員や予算を加えなければ、もう国民としては安心してものを食べたり買ったりすることができないと思うのです。今後どういうような措置をおとりになるでしょうか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 輸入食品の監視につきましては、御指摘のように食品監視員——これは技術者でございますが、食品監視員として二十名、そのほか事務職員として十名、三十名で扱っておるわけでございます。御指摘のように決して人員は十分ではないのでございますが、検査の能率化また職員の適正配置等によりまして円滑な運営をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。  全国の食品衛生監視員の問題でございますが、昭和四十三年度末で専任が九百十二名でございます。それから兼務を入れますと五千四百九名ということになるわけでございますが、この人員につきましても決してまだ十分でないということでございまして、最近県におきましても人員の増をはかっております。国といたしましても、この全国の食品衛生監視員は御承知のように交付税の対象になっておるわけでございますが、交付税の積算人員を四十四年度におきまして二人増員した、また四十五年度におきまして五人増員したということで、百七十万の標準団体におきまして四十四名という交付税の積算人員になっておるわけでございます。さようなことで、国におきましても、若干でございますが人員の増をはかっておるということで、地方におきましても人員の増が行なわれておるというような状態でございます。昭和四十四年度におきましては約二百名ぐらい増員になっております。四十五年度におきましてもこの程度の人員の増は大体見込まれるというふうに考えておるような次第でございます。そういうことでございまして、逐次人員の増は行なわれております。そういうことで、現在法定の監視回数に対しましてはまだ十分な監視が行なわれてないということでございますけれども、やはりこれも集団指導その他の方法によりまして、合理的な運営によってその監視体制の強化をはかっておる、かような実情でございます。

武部文日本社会党

○武部分科員 時間がきましたので、いま一つこの機会に質問をいたしますが、BHCの問題ですね。これは高知で牛乳から百倍のBHCが出たといって非常に問題になったわけですね。きのうの新聞を見ますと、新潟でBHCの許容量〇・〇〇八PPMを大幅に上回る〇・四PPMのBHCを検出した。これはたいへんなことなんで、高知よりもはるかに高いものが新潟で検出された。これについて新潟県から厚生省に調査結果を報告したところ、「「このまま発表すれば、社会不安が大きくなる」として公表をストップするよう指示、同県では現在何も対策を講じていない。」、こう書いてあります。これは一体何のことだろうと思ったのです。御承知のように、アメリカでもBHCは使用禁止、ソ連でも今年中には全面禁止にするということになっておるようですが、なぜ厚生省は、この新潟の報告をこのまま発表すれば社会不安が大きくなるとして公表をストップしたのか。このあとのほうに書いてある神林さんの話だと、「農林省と話合って、すでに飼料にする農作物にはBHCの使用を禁止している」ということですが、全面的な禁止ということにならないのですか。一体どうしてこういうことになったのですか。これをちょっとお伺いしたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 牛乳あるいは乳製品の中のBHCの残留量の問題につきましては、御承知のように、昨年の夏からこういった残留量につきまして、国において調査研究班を設けまして研究を進めてまいっておるところでありますので、それが中途段階におきまして新聞の報道になったわけでございます。そういうことでございますが、国としましては、これについて研究してまいっておるわけでございます。それで新潟の新聞報道の問題でございますが、社会不安を起こすから国がとめたという記事が載っておったかと思いますが、決してさようなことではないのでございまして、牛乳あるいは乳製品の中におきますBHCの残留量の検査というものは、技術的にもなかなかむずかしい問題もあるわけでございます。したがいまして、検査の誤差等も出てくるということでございます。そういうことで、近く各県の検査がまとまりましたならば、その上で検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それで、従来の措置としましては、とりあえず自主的に農薬のBHCの製造を停止をいたしております。それから農林省から全国に通知をいたしまして、農薬の散布につきましての制限をいたしております。かようなことでまいっておりますので、いままで以上にBHCがふえてくるということはまずないのでございます。しかしながらBHCはかような乳製品の中に残留することは望ましくないことでございますので、近く各研究班の結果が出ましたならば十分検討し、食品衛生調査会等にもはかりまして適切な措置をはかってまいりたい、かように考えております。

武部文日本社会党

○武部分科員 時間がきましたので、私はこれで終わりますが、きょう私が申し上げたかったのは、消費者保護基本法の附帯決議の中に、統一した食品法ともいうべきものをつくる必要があるのじゃないかという決議を超党派でやった。そのあと斎藤厚生大臣とこの問題でやりとりしたときに、積極的に協力するという話でした。農林省、公取、厚生省、こうしたいわゆるなわ張り争いのようなことのないように、食品衛生法の抜本的改正と同時に、われわれは統一食品法の必要性を主張してきたわけです。そのことを大臣からお聞きしたかったわけですが、いずれあらためてこの問題は物価特別委員会でやることになりますが、私どもとしては、きょう申し上げたような食品公害の現状、監視体制のあり方、きょう申し上げませんでしたが不当表示、インチキ食品、こうした問題をもろもろ検討した結果、統一食品法以外に解決の方法はないという見解を持っておるわけです。これは与党の諸君も大体同じような見解です。  あらためて別な機会に食品法の制定について大臣に要望いたしたいと思いますから、きょうは食品公害の問題だけにとどめて、私の質問を終わりたいと思います。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもって武部君の質問は終わりました。  次に久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 限られた短い時間でございますから、簡単に二、三お伺い申します。  まず第一に、先ほど細谷委員からもお尋ねがあったと思うのでありますが、最近、染料の中間原料としてベンジジンなどが使われ、そのためにガンになる、そういう事例が新聞等に出ておりました。この中身について、これだけの問題で私はお尋ねするのではなくて、まず、労働省が来ておりますから、労働省からお答えをいただきたいのですが、最近、私は専門的じゃないのでよくわかりませんけれども、化学製品というか化学薬品というか、いまも食品公害の問題が出ましたが、いろんなものが出てまいりました。しかも工場、事業所で使うものもたくさんな種類になっている。たとえば有機溶剤であります。こういうものの中毒予防規則も逐次出ているようでありますが、はたして別表に掲げている薬品というか溶剤だけに限られていいものか、最近たいへん疑問に思ってまいりました。  そこで、これはこの間も労働省のほうに注文をつけたのでありますが、はっきりしませんので、あらためてお答えいただきたいのは、一ぺん、こういう時代でありますから一しかも労働省は労働力の確保という問題がやはり一番大事なつとめだと思うのです。そういう観点からも、工場や事業所で使うそういう薬品というか化学製品というか知りませんが、一ぺんすべてを洗ってみる必要がありはしないか、こういうように思うんだが、どうですか。

東村金之助労働省労働基準局安全衛生部長

○東村説明員 ただいま先生御指摘のございましたように、最近、新技術、新工法といいますか、そういうものが非常に発達してまいりまして、御指摘のように、新しい有害物質というか原材料がどんどん出てまいっております。私どものほうも末端に労働基準監督署がございまして、いろいろ監督をしておりますので、ただいま御指摘のように、とにかく危険、有害なものがあったら中央に連絡しろという体制でやっておりまして、問題が出てからこれをフォローするのではなくて、できるだけ早く事前にこれをつかみたい、こういう体制で万全を期しております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 万全を期しておられるのは当然だと思うのですが、その上に私があなたにお尋ねしているのは、一ぺんすべてを洗ってもらう必要がありはしないかということなんです。いろんなものを使っているあなたのほうの立場として、一ぺん総点検してみたらどうか、そういうお考えはございませんか、こう聞いている。いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局安全衛生部長

○東村説明員 私どもはそういう趣旨におきまして、ただ単なる監督ではなくて、有害物質の発見ということに重点を置いて監督をやっておりますので、先生の御指摘のような御趣旨のことはやっておるつもりでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 あなたもなかなかがんこだね。がんこは、いいときもあるが、私はもう一ぺん念には念を入れてやってみなさいと言っているのです。できませんならできません、やりたくないならやりたくない、こう答弁してください。時間がないのですから。

東村金之助労働省労働基準局安全衛生部長

○東村説明員 御趣旨のようにやります。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 そういうことなら、私はそういうふうにお願いしたいと思う。基準監督官なんかも少ないのですよ。労働省の予算を見ても、御案内のとおり、あなたのほうの分野の予算なんというのは、実際ほとんどふえていない。今度は機構改革なんていっているのでしょう。少しは目に見えて、いなきゃ困るような仕事をしてほしいと思います。新聞に出ているが、これは誤解か誤報か知りませんが、これは省内でも秘密だなんて書かれているのでしょう。事実と違うそうだから訂正されたそうでありますからけっこうでありますが、そういうことでお願いしたいと思います。  それで大臣、いまもお話があったし、いま私から申し上げたようなこと、それからたとえばシンナーみたいなものがございますね。シンナーは最近ではだんだん広がってきているのです。小さい子供まで、これはいうなら一般に販売されておる。これは塗料を溶く溶剤といいますか、そういうために現在ではなくちゃならないようなかっこうになっておるわけですね。その塗料を使うときは、いわゆる安全衛生規則というか、そういうもので、窓は密閉したところで使ってはいかぬとか、何かすればいいことになっておるのです。その監督はというと、監督官は御案内のようにあまりいないのです。いまは一人で事業所を千以上くらい持っているのです。とてもじゃないが回り切れないのです。そういうのが一つの実情です。それから、いまもここで質問がありましたように、食品公害だ。ところがこういうものをつくるほうを監督するというのは通産省ですね。お使いになるほうはどこかというと労働省で、あなたのほうは食品のほうの使うときですね。そうすると、何というかてんでんばらばらと言ったら語弊がありますが、ばらばらなんですね。人間の命を守る中心的な役所というのは大臣のところだと私は思うのですよ。  私はもう時間がありませんから結論を急ぎますが、私はいままでよく存じ上げなかったのですが、あなたは厚生行政全体に対して非常に専門家でいらっしゃると思うのです。そう思って私はこの間から答弁を聞いているのです。専門家でなきゃたいへん頭のいい大臣だと思っている。そういうわけで、いま問題の、しかも総理の施政方針演説も、それから皆さんのお答えも、人間の命は大事にするんだ、これが七〇年代のいわゆる責任だと、こういうふうにも言っていらっしゃる。そうだとするならば、少なくともいま出ているこういう問題を、一ぺん政府としては統一的な行政を打ち出すべきだと思うですね。そのためには、やはりどこかが中心になってやらなければならぬ。これは厚生省だと思うのだ。厚生大臣としては近い将来において、政府としてきちんとそういう対策をつけてほしいと思うのです。いかがでしょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 このことは先ほど細谷委員からのお尋ねの際にも、私はこう考えるということを申し上げたわけでありますが、いま久保先生が言われましたとおり、厚生省というのは、それは従来は食品であるとか薬であるとかいうことだけにとらわれておりまして、化学合成品、特にその中間物等につきましては、製造を管理監督する通産省とか、あるいはまたそれが人によって製造される、その人を守る意味で労働省というようなことで、その領分まで侵すべきでないというような行政もしてきたように思われますけれども、しかし今日の時代においては、これが空気であれ水であれ、あるいはその他の公害の問題が取り上げられたと全く同じ意味におきまして、私のほうで手が届く限りは、毒性物質というものにつきまして、関係方面に連絡、警告をする。そしてそれぞれの分野の行政の中において、人の命と健康を守ってもらうような、そういう行き方を厚生省としてはすべきだと思います。ただし、先ほどもお尋ねがございましたが、国立衛生試験所におきましても、それらの要員や仕組みというものが、食品衛生なりあるいは薬事——薬の分析とか検査というようなことを主としてやってまいりまして、化学合成目一般については取り扱っていないような形になっておるかもしれませんので、にわかにできない面もあるかもしれませんが、私はそういう面は、改めるべきものはさらに充実をいたしながら、健康を守る柱に厚生省がなってまいりたいと考えるものでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 労働省、けっこうです。いまのような厚生大臣のお話でありますから、労働省にお帰りになったら、あなたのほうも関係筋でありますから、ぜひ積極的にひとつやっていただきたい。監督官も、もう少しそういうことがわかるような監督官をたくさんとれるように大臣にもお伝えください。私も機会があれば申し上げます。  次に、時間もありませんから、これはやはり大臣にお尋ねしたほうがいいのかもしれませんが、現在の日本の医療制度というのは、医薬分業という制度なんですかね。私しろうとなんでよくわかりませんから、簡単に、これは分業であるかどうかお答えいただきたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 たてまえは医薬分業のたてまえになっておるはずでございます。ただし医療法等につきまして、選択的な余地が非常に大きく認められておりますために、実際の運営は医師が調剤する場合が非常に多い、こういう実際になっておる、こういうことだと私は理解しております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 制度上は分業ですか。私が法律を二つばかり読んだ範囲では、制度的にもまことに不徹底な分業だと思うのです。分業だというが、ほんの一部だけ。ほんの一部というか、分業なのかなという感じがする程度の分業だと思うのですが、どうでしょう。これはきちっとした分業ではないようですね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 いま申しますように、たてまえは分業で、ただし次の場合においては医師がそのまま調剤ができるという事項をたくさん設けておりますので、実際の運営は分業でないような形になっていると私は理解いたしておりますが、せっかく課長もおりますから、課長からひとつ明瞭な答弁をしていただきとうございます。

山高章夫厚生省薬務局薬事課長

○山高説明員 医薬分業につきましては、現行の法律の上におきましては、医師または歯科医師に対して患者が「処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合」……。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 時間がないのでたいへん失礼だが、そういうのは一応私も読んできているのです。だからいま大臣は、何というか、たてまえは分業だが現実には分業でない、こう言うのです。本音とたてまえは別だなんていうのがはやりでありますが、これは本音もたてまえも全部分業でないように思うのであります。そこで課長、せっかくですから聞きますが、分業というたてまえなのかどうか。分業といっても、よその国から比べれば不完全な分業の体制ではないかと思うのですがどうですか。そうであるとか、そうでないとか、それだけお答えください。

山高章夫厚生省薬務局薬事課長

○山高説明員 昭和二十四年にアメリカから使節団が参りまして、勧告して、それに応じて審議会を設けて検討した結果やったものでございまして、一応制度としては分業という形をとっているかと思います。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 なるほどそうですか。それでは、これは大臣がおっしゃるように現実は分業にはなってはいない、こういうことだとするなら、これからどういうふうにお進めになりますか。現状のままこれでまいりますか。いかがですか、それだけ……。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 今日の日本の医療というものは、言うまでもなく医療保険の体制で大部分カバーされております。その医療保険につきましては、御承知のように抜本改正が課題になっておりまして、関係の審議会で審議中でありますが、それとの関連において医薬分業を関係者の協力のもとに進めていくことのそのあり方について、あわせて審議会の課題にしていただいておりますので、その結論を得て、もっとはっきりしたものに進みたいと思います。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 もっとはっきりしたものに、答申というかそういうものがあってからやりたいというのですが、それはいつのころ出る予定ですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 答申は抜本改正でありますが、これはなかなか抵抗の多い課題でございますので、私は明年中に全部ができるとは思いませんが、少なくともその基礎になるといいますか、軌道になるような事項につきましては昭和四十六年中に実施ができるような手配で進んでおります。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 私はあまりこの方面でも専門じゃないし、よく存じないのですが、たとえば薬局へ参りましてある薬を買うと、医師の指示に従って服用してくださいとか使用してくださいというのを売ってくれますよ、これは。そういうのがやはり薬のほうにも問題があるのですね。  それからもう一つは、保険の総医療費の中で占める薬代ですね、いわゆる薬剤費というものの割合を計算してみましたら、昭和四十二年度で総医療費の大体四二%なんですね。外来というか、通院のほうは入院とは別で、これは半分以上が薬代なんですね。それで昭和四十二年度の保険の中で占める薬剤費の金高は大体どのくらいあるだろうかと推算しましたら、六千五百七十億ですね。六千五百七十億あるのですよ。これはたいへんな金だろうと思うのです。  そこで、いま医者に参りますと、医者の人も不満がたくさんあるのですね。というのは、たとえば盲腸切っても、たいした金にはならない。そういう表現はいいか悪いかは別にして、そういう技術は買ってもらえない。買ってもらえないというか、そのほうの点数というのですか、これはわりあいに低いのですね。それで結局薬のほうだけ、結果から見るとうんととられているかっこう、これはやはりそういう意味からいえば、医薬分業がきちっと分業していったほうが、これは正しく運営せられるのだろうと私は思う。そういうことは全部おわかりだろうと思うのですね、だれもが。できない原因は大臣何でしょう、どういう理由でしょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私必ずしもそう突き詰めてはおりませんけれども、結局診療報酬の緊急是正は行なわれてきておりますけれども、これは抜本是正といいますか、診療報酬の抜本的検討、改正というものに関連がある問題だろうと私は考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 しかも最近、この医療費の問題にからんで、医薬分業というか、薬でだいぶ医者はもうける、そういう評をするものも多いのであります。事実そうだと思うのですね。技術料は安いからそっちのほうで何とかしているんだと、こう言う。結局、そういう批評もあるけれども、そういう観点からだけ医療制度というのを探っていくと間違うと思うのですね。私はさっき薬の話を一つしましたが、医薬分業すれば安くなるという観点からやっていくから問題は解決しないと思うのです。極端なことをいえば、いまの医療費でいいですよ。私はいいですから、ほんとうに医者は医者らしく薬屋は薬屋らしく、要らない薬なんか飲ませないで、きく薬を的確に飲ませてほしいし、手術も完全にやってほしい、こういうことなんです。そうだとすれば、やはり医薬分業は正しくやるべきだ、安い高いは二の次だと私は思うのですが、どうでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私も同じような気持ちがいたしますが、しかし医薬分業をやってまいりますためには、これはいまの薬剤師の物的、人的整備ということもさらにこれを充実していくことも必要でございますし、またこれはいずれも医療の関係者でございまして、相互に協調的な、そういう協力関係を打ち立てられる基盤にならないと、単に私どもが制度や法律だけを整備をしてみてもなかなかできがたいところに問題がございますので、私どもも医薬分業のほうを向きながら、明年度におきましても薬剤師の方々の施設等におきますいろいろな物的その他能力の調査も一定の費用を持ってやることにいたしておりますし、また薬剤師の方々の講習、研修等も行なうようなたてまえをとって進んでおるところであります。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 薬剤師のほうの陣容もということでありますから、私もこれは専門じゃなくてよくわかりませんが、ただ、われわれは医者にかかったら、薬を飲む側から話をしておりますが、その必要があればそういうふうになさることが当然だと思うのでありますが、ただ問題は、せっかく薬学のほうの調剤というか、そういうものの技術を身につけた人が化粧品売りや、ドリンクと称するようなものを売ることに専念しなければならぬというのは、どこから見ても、国民経済的にいっても、国民の保健衛生からいってもそれは不都合だと思う。また片方、ほんとうに人間のからだを見て適切な診療方針を立てて、適切な処置をする医者が薬のほうの調剤や何かに気を使っていたんじゃ、しかも貴重な労働力をそっちにさくとしたならば、これはやはりもったいない話だと私は思うのです。どうして簡単なことができないだろう。もう少しこれは前向きで、単純に割り切って進むことが私はいいと思う。  時間がありませんから先に進みますが、あなたは、私はまれに見る厚生大臣だと思っていますよ。おせじじゃない。ほんとうですよ。いままで厚生大臣といったって半ばよくわからぬで、この間も私質問して失敗しましたが、なりたての大臣には負けますね、よけいな答弁をしますから。あなたはそうでないし、よく知っておるのだろうと思う。ぜひお願いします。  次に精神病の話であります。だんだんおかしくなってきておりますが、精神病のほうは御案内のとおりであります。そこでお尋ねしたいのは、まず最初に、簡単に答えてください。  措置入院した場合には、措置入院は医療補助が八割いきますね。措置入院以外はどのくらいの補助が出るのですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 保険の対象で処理されるのが一つと、その中で生活困窮者については生活保護法によって医療の給付がされる、こういうことであります。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 そこで問題なんですよ。この精神病というのはどういう階層かというと、一番開けないところで、農業とか漁村とか、そういうところ、そうして今度は低所得層が一番多い。これはあなたのほうで出しておる書物というか、資料で全部出ていますが、一番下積みのところに大半精神病というのがあるのです。それから医療保護ですね。それは精神病が大半なんです。これも厚生省の管轄でありますから、こまかい数字は私から申し上げる必要はありません。そこでいま局長からお話があったように措置入院というものは、いわゆるあばれて危険だというのを引っぱってきます、入れます。ところがそうでなくて入る者には、言うなら健康保険、これはあたりまえの話。あとは生活に困る場合には医療扶助ということでやる、こういうことです。  そこで、いまどのくらいあるか、この資料にやっぱりありますが、精神病というのはどんな状態になっているかといったら、厚生省もお金がなくて人がないのか知りませんけれども、これは統計が昭和三十八年です。あともう少したったら十年になるような統計を使っているのでありますが、これ以上多くなっていると思ったらいいと思うのです。これは三十八年の統計でありますが、結局どういうことかというと、当時の調査で百二十四万人いるというのです。それで医療を受けている者が三割ですね。それから指導を受けている者、いわゆる保健所か何かの指導を受けている者が五・二%、五分です。そのほかが家庭にいて何にもしてない者が六四・七%、約八十万人がそのままでいるのです。ようござんすか。これにそう書いてあるから間違いないでしょう。最近、三十八年からだいぶ進んできましたから、病院もベッドも多くなってきたから、これはだいぶ減ってきたということも言うかもしれません。しかしその答弁は要りません。だけれども問題は、生活保護にかかる者は医療扶助で救済されています。医療扶助でできます。やっていますから。ところがボーダーラインというのが全然何にもしてもらえない対象です。先ほど言ったように、この書物にも書いてあるように、精神病の家庭というのは貧困家庭が多いのです。あんまり裕福なところには出ないのですね。金持ちは精神病にならないらしいですね。そういうことだから生活保護も受けられない。いわゆる一般の保険の手当てだけでいくものがあるのです。これはなかなか入院できませんよ。ところが通院の場合には半額補助する。通院の場合半額助成してやるのに、どうして入院した者にやってあげられないのだろうか、こういうことです。簡単な理由ですよ。しかも役所は同じで、精神病は医療補助が大半だとするなら、そういうものも含めて精神衛生法を改正すべきではないか。これが一つ。  もう一つは、ベッドがふえて大体医療施設は完全になったから、もうベッド数は要らない、中の施設を完全にしたらいいのだとここに書いてあります。ところがこの間じゅう、この精神病棟のルポというのが朝日新聞か何かにずっと続きもので出ている。これはお話しするまでもありません。これは昔のいわゆる精神病の扱いとちっとも変わっていないということです。精神衛生法は、こういうことがあっては困るので大改正したのです。ところがそうなっています。だからここで私があなたに提言し、ぜひ善処してほしいのは、いま言ったように精神衛生法を改正して、入院がもっとたやすくできるような方法をとる。たしか結核予防法はそういう方法ではなかろうかと思うのでありますが、生活困窮の者は医療扶助でやるから心配ありませんでも、医療扶助に引っかからぬ者が一番困っているのでありますから、通院の者に半額補助するならば、入院する者にも手当てをすべきではないのかということと、もうこれはおわかりですか、病院の中身は。ところが厚生省でこのほうをやっている人のいままでの考えは、中身のことはちっとも書いてない。よくなったと書いてある。そんなものじゃないと思う。この改善を早急にやってほしいということでありますが、精神衛生法を改正しますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 精神衛生法の改正をして公費負担という点についてのお尋ねでございますが、最初に申し上げましたように、精神障害者の経済状態というのは非常に悪うございます。実際に年間一千億をこえる総医療費を精神病対策に使っておりますけれども、そのほとんど大部分が、ただいま御指摘の措置患者とそれから生活保護の医療費の医療給付と、この対象でほとんどがまかなわれているという実態があるわけでございます。現在のところ私どもといたしましては、これらの法的扶助に合わせまして社会保険の適用を行なうことによって医療の処置をしていきたい。当面精神衛生法の公費負担という面についての改正は考えておりません。  それから、なおこの関連で結核医療についてのお尋ねがございましたけれども、結核の公費負担につきましても、御承知のとおり社会防衛というふうなたてまえから、他に感染する危険のある者に対して全額公費で負担する。それから適正な医療を受けられるという前提で、通院医療に相当するものについては二分の一の公費を負担をしている、こういうことでございます。  それから新聞その他で報道されております精神病院の管理問題でございますが、私もこれは非常に残念なことだと考えております。今年の一月、二月、三月と、それぞれ県の部長会議、課長会議、担当者の会議が引き続き行なわれておりますが、この際強い指示をいたすと同時に、三月上旬には次官通達をもって全国の府県知事に対して、精神病院の管理運営についてあらためて指示をいたしたわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 もう時間でありますから何ですが、局長、あなたのおっしゃることはわからぬわけじゃありません。だけれども、他人に迷惑をかけるのは結核ばかりじゃないのです。結核だって、開放性と開放性じゃないのがある。専門家だからおわかりでしょう。それにはどうとかこうとか言っておりますが、精神病はいまみんな一番困っているのです。まわりに変なのがいてごらん。一番困るのだ。結核より困るよ。結核はだんだんおかげさまでなくなってきている。だから精神病撲滅ぐらいの気がまえでやらなければできませんよ。大臣いかがですか。いまのところ補助するつもりじゃないなんて言って——もっとも予算に組んでないのは補助できませんね、局長。法律も改正しなければならない。だからこれは前向きで検討するのが筋だろうと私は思うのです。金というのは、そんなところに使うのが、一番目に見えていいんじゃないですかね。これはそういうふうに私は思うのです。いかがでしょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 久保先生の御発言は、私は貴重な御意見として承ってまいりたいと思います。精神衛生法は、私の記憶に誤りなければ、議員立法であったと思いますが、後にさらに一ぺん改めましたときに、いまの通院の場合の公費負担ということをきめた歴史もございます。したがって精神医療対策に関する限りは、そういう前進の歴史を持っておるものでありますから、私はそういう意味からして、久保先生の御意見を貴重な御意見として参照してまいりたいと思います。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上をもって久保君の質問を終わります。  次は西宮弘君、質問を許します。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 私は、実は社会福祉の仕事は、私にとりましてはいわゆる昔とったきねづかなんであります。そういう意味で、私自身かなりの郷愁を感じておるのであります。ただ、しかし私のきねづかは、まことに昔々でありまして、ほんとうに大昔になってしまいました。したがって、まず、ほんとうに基本的な問題をお尋ねしたいと思うのであります。  昔から、救貧から防貧へというようなことをいわれてきたのでありまするが、いわゆる救貧から防貧へということは、実は古くして新しい問題だと考えるわけでございます。そういう意味で、いわゆる防貧対策、そういう立場で現在何がなされておるか、あるいは何をしようとしておられるか、まずお尋ねをしたいと思います。大臣にひとつお尋ねします。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 御指摘のように、防貧対策はきわめて重要な事項であるわけでありますが、そのため、社会保障は防貧を目的としてその充実推進に極力努力をしてきているところでございます。生活に困窮した人々に対しましては、最低限度の健康で文化的な生活を保障するために、生活保護の基準につきましては内容の引き上げをはかっておりますし、また防貧対策という観点からは、より積極的に国民が疾病、老齢等によって生活不安を来たすことを防ぐため、健康保険、年金等の改善、充実をはかりますとともに、老人、心身障害者、母子家庭等、身体的、社会的にハンディキャップを有する人々に対する社会福祉施策につきましても、近年の国民生活の動向等を配慮いたしまして、その改善に格段の努力を払っているところでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 教科書を朗読されたのでは、さっぱりどこが重点なんだかわからないのでありますが、私は、実際にやっておる仕事として、たとえば世帯更生資金の貸し付けであるとか、そういう金の貸し付けというようなことが、実際具体的な問題としてはほとんど唯一の対策ではないかというふうに思っておるのですが、どうですか、もっと何か具体的な対策として、現実に非常に活発にやられているという仕事がありますか。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、貧困の一番大きい原因といたしまして疾病があげられておるわけでございますが、そこで医療費に対しましては健康保険あるいは国民皆保険という制度があるわけでございますし、また稼得能力を喪失するということに対しましては各種の年金制度があるわけでございます。そこで各種の年金制度につきましては、昨年の暮れの国会におきまして厚生年金法、国民年金法の改善が行なわれたのでございますが、その他社会福祉の分野におきましては、ただいま先生御指摘の世帯更生資金もございますし、あるいは身体にハンディキャップのある方々に対しましてはいろいろな相談事業あるいはハンディキャップを直すための更生医療、そういったいろいろな施策が行なわれておりますし、全体的には、最近の経済成長によりまして非常に雇用が好転してまいっておりますので、貧困階層は減少しつつある。一方、減少しつつあるとはいえ、残された方々につきましては、むしろ身体的、社会的にハンディキャップの多い方々が多いのでございまして、これらの方々に対しましてはさらにきめこまかい施策を行なわなければならないというふうに考えている次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 大臣に御答弁を求めたのでありますが、特に局長が立ち上がって答弁をされたのだけれども、たとえば年金だの保険だのという問題ならば、これはむしろ大臣の所管する事項だし、社会局長の所管ではないと思う。あるいはまたいまの雇用関係なんというなら、むしろこれは労働省の所管、労働政策だと思うのですね。そういう意味で非常に広い範囲で、あるいは学校教育でも何でも防貧に役立つ面がたくさんあると思う。しかし、わざわざ局長がみずから買って答弁をされるくらいならば、やはり社会局長所管の中で具体的にはこれをやっているのだということをもっと的確に答えてもらいたいと思うのですね。ただそういうほんとうに抽象的な教科書に書いてあることだけを答弁するというならば、聞く必要がないと思う。  そこで私は、それでは最近特に問題になっております生協の問題こういう問題について何か対策はないのか、考えがないのかということを具体的にお聞きしましょう。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 消費生活協同組合は、消費者が生活物資の供給事業、共同施設の利用等、共済事業を行なうことによりまして国民生活の安定に資しているものでありますが、最近における消費生活、流通機構の変革等によりましてその役割りが再び見直されまして、その存在が再認識されている現状でございます。昭和四十三年度末現在におきまして、活動組合数は千百七十二組合、組合員数は約一千万人でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 何だかまるで私の聞いていることと見当が違うのですな。そういう教科書を教えてもらいたいと言っているわけではありませんよ。何をやっているか、あるいは何をやろうとしているかということを聞いているんで、私は何も全国に幾つあって、生活協同組合というものは何をねらいとしているんだというようなことは全然聞いてないんだ。せっかくあなたの局に生活課というのがあるのでしょう。生活課としてはそういう問題をどう取り上げているんだということを聞いているのですよ。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 生協に対しましては、一千三百万円の貸し付け金を用意いたしまして、これが当面生協に対する予算の強化策でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 私は、いま長官が言われたように非常に市大な役割りを果たしている、こういうことであるならば、単に貸し付け金ということだけでなしに、助成をする、こういうようなことを当然なさるべきだと思うのだけれども、そういう点については何の配慮もないわけですか。たとえば予算は要求をしたけれども大蔵省が通らぬとか、あるいは全然要求してないとか、そういう点については対策はないのですか。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 生協に対しましては、現在のところ、ただいま申し上げましたように千三百万円の貸し付金だけでございますが、かねて生協側からは金融の問題が提起されておりまして、いろいろ金融の問題につきまして生協側と相談をしておる段階であります。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 それでは授産事業についてはどうですか。教科書にないですか。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 授産事業につきましては、現在、保護授産、社会事業授産それぞれ三百十ございまして、これに対ましては、いろいろ都道府県等を通じまして行政指導にあたっておるという状況でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 その指導に当たっているというだけですか。少なくとも経済的に助成をする、援助をするということはどうですか。助成の面でもあるいは融資の面でも、そういう点の配慮はないのですか。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 生活保護法による保護授産施設につきましては、事務費の補助金があるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 大臣にお尋ねをいたしますが、ことしの昭和四十五年度の予算で厚生省としては一番何を重点にされましたか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私は実は厚生省にやってまいって、正直申しまして驚いたのであります。ことばは悪いかもしれませんが、ちょうど名店街を預かったような気持ちが実はいたしました。年金の充実も考えたいし、また医療保険につきまして国の助成も充実したいし、ことにまた公費医療の範囲というものも広げたいと思いましたが、狭い意味の社会福祉の施設、たとえば老人対策からあるいはまた心身障害者、乳幼児に至る課題等々広い問題をかかえまして、結局何か目玉商品のようなものを掲げて私が予算を獲得するよりも、やはりこまかい配慮をすることが私の役目だと実は当面考えました。そのほかに、実は環境衛生などの問題につきましても、ごみ処理あるいは簡易水道等の問題もありまして、かなりおくれているようでございますので、そういう面にも配慮をいたしましたし、さらに私が一番むずかしい課題として与えられましたのが生活保護基準の引き上げでございました。これにつきましても、微力でございましたが、ここ数年間の引き上げ率よりもやや上回る率を獲得をいたしまして、もちろん不十分ではございますけれども、一応ほっとしたというのが私のほんとうの心境でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 それでは、これから先厚生行政としては何に最も力を入れるというお考えですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 私は、やはり老人対策が非常に重要な課題になってまいるものと考えております。それは人口構造がここ十年、二十年の間に、はなはだ老齢層に片寄ってまいるということと、それからいままで家庭の中で見られた老人の福祉というものが、家庭の範囲を出て社会保障の対象になっていく場合が非常に多いことを考えますときに、いまのままの老人対策ではとうていまかない切れないと考えておるものでございまして、もちろんそのほかに、多年の懸案であります児童手当の問題、それから同じく懸案の医療保険の抜本改正にもぜひめどをつけてまいりたいと、少なくともこの三つを大きな課題と考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 これから先ずいぶんいろいろな問題が起こってくる、ひとつそういう点に積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、老人対策、児童手当あるいは医療制度の抜本的な改革、こういうことが大臣としての重点項目だ、こういうお話でありまして、私はそれなりに理解できるわけです。ぜひひとつがんばってもらいたいと思います。  そこで私は次にお尋ねをしたいのは、社会福祉事業のいわゆる公立の施設とそれから私立の関係、これはどういうふうに位置づけをしていくのか。傾向としては、私立に対して公立がだんだんにふえていっている、公立の比率が高まっている、こういう状況にあるのではないかと私は思いますけれども、これはどういうふうにその間を調整していくのが最も妥当なのか、その辺のあるべき姿というか、そういう位置づけをどう考えておられるか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、純民間でやる母体といたしましては社会福祉法人あるいは場合によっては宗教法人等もあるわけでありますが、その分野が必ずしも私は充実しておるとは思いません。また、これらに対する資金供給をいたしておりますところの社会福祉事業振興会などの資金的な力も十分でありません。また、ことにそこで働く従業員などの身分あるいは給与等を考えます場合に、どうしても公務員の地位を持つ公立の施設の職員と比べますと、民間の施設のほうが引き比べておくれているように思います。でありますから、これらのことを考えますときに、国でやり得るものは国でやりますし、また地方公共団体等がたとえば年金等の還元融資を受けたり、また私ども厚生省の助成を受けたりしながら、かつまたその職員の充実も一定の身分と給与のもとに公立でやり得るものも多いと思いますので、私は公立でできますものは公立の施設の充実というようなことも取り上げて考えるべきだと思いますが、しかし、もともとこの社会福祉ということは、国民みんなが社会福祉マインドになってやるべきであって、それを政府なり公共団体に押しつけて済むというものでもありませんので、私は、両々相まって施設の充実をはかっていくようにつとめたいと考えます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 そうしますと、できるならば、できるだけ公立で吸収していきたい、こういうことが基本ですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 これは、局長から答えさせるのが正確だと思います。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 社会福祉事業の公私の責任分野という問題は、先生御承知のとおり昔から問題でございまして、実はなかなか妥当な結論が関係者の間でも煮詰まっていない段階でございますが、現状におきましては、先生御指摘のように、最近では民間のほうが相対的に低くなってきておる状況でございます。しかしながら社会福祉事業と申しますものは、なかなか公立施設では先駆的分野が開拓がむずかしいわけでございますし、また役人ではやれないきめのこまかい仕事もまた民間の分野に多く期待をしなければならないわけでございますので、民間の社会福祉事業の果たす役割りはなおきわめて大きいものがあると考えられますので、今後ともいろいろな方法により民間社会福祉事業の助長と近代化をはかってまいりたいと考えるものでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 私は、一定の比率を保って民間事業を育成していく、しかもこれはいま局長のお話もあったように、できるだけきめのこまかい、かゆいところに手の届くというような仕事は、民間経営のほうがよりそういう点が充実をしているんじゃないかと思うのですよ。ですから私は、そういう点では、できるだけ民間の拡充をはかっていくということが望ましいと思うのですが、ただ、いまの話にもありましたように、いろいろ施設の内容あるいはまた職員の待遇、そういうところにいろいろな格差があるという点があるので、それを十分に格差を埋めることができれば、民間業事を拡充するということがいいのではないかと私は思うわけですが、おそらくその点については大臣も局長も格別異論がなかろうと思います。  これは行政管理庁で出した報告でありますが、それよりますと、養護老人ホームあるいは精薄者の更生施設、重症心身障害施設、そういうのに対して、いずれも必要な収用対象者に対して三〇%しか収容できてない、こういうことが指摘をされておるのでありますが、この点はどうして解決をしていくのか、あるいはどういう方向でこの問題に取り組んでいくのか、これは大臣にお聞きしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 社会福祉施設には、乳児院から始まりまして、いまお話しの特別養護老人ホームに至るまであるわけで、たくさんありまして、現在でもその施設の数は二万内外に及んでおると思います。しかし、全部が先生お話しのようにその収容率が三〇%というわけではございませんで、一番数の多い保育所のごときは、これも十分ではありませんけれども、かなりのパーセンテージまで及んでおります。しかし特別養護老人ホームなどは、先生のおっしゃったパーセンテージよりももっと少ないと思いますので、何としても施設を十分つくってまいることと、また施設だけではだめで、そこで働く職員の方々の充実という両面からこの方面の充実をはかってまいりたいと思います。そのために、その刺激となります国の助成費につきましても、四十五年度におきましては、前年度に比べましてある程度の金額を増額することもできましたし、また年金還元等の対象にもできるだけ広く取り入れるような努力をいたしまして、でき得るならば総合的、計画的な年次計画なども立てながら、今後充足をぜひしてまいりたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 この行政管理庁の指摘によりますと、これは公的の施設についての指摘でありますが、これについてさえいろいろ、職員の数の問題、給与の問題、施設内容の問題、そういう点について不十分であるという指摘がずいぶんあるわけですよ。まして民間の施設においてはそういう点がさらに困難な問題がたくさんあるということも、私どもは現場でたびたび見聞しておるわけです。ですから、どうしてもその解決に努力をしなければならないと思いますが、そのうち一つ、二つの点をお尋ねをいたしますが、たとえば施設運営費、その庁費、これの実際の支出は約四倍近くかかっておる。政府で見ておるものの三・八倍かかっておる、こういうことをいわれておるのですけれども、これはどうなんですかな。経営者の運営よろしきを得ないためにこういうような結果になるのか、あるいはそういう実態になるのもやむを得ないという見方なのか、厚生省としてはどういうふうに見ておりますか。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 社会福祉施設の運営費につきましても、毎年度改善に努力をいたしておるのでございまして、来年度予算におきましても、庁費は従来職員一人当たり一万五百円でございましたのを一万六千円に改善をいたしたのでございまして、その他各所修繕費の増額、重度加算費の増額等、あるいは職員の増員、職員給与の改善等、各種の改善を行なって一おるのでございます。しかしながらこれをもって十分とは考えておりませんで、引き続き社会福祉施設の運営が適切に行なわれますよう、内容の改善につとめたいと考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 ぜひ大いにがんばってください。これはいわば私学振興費に相当するそういう施設だと思うのですね。そっちのほうでもだんだん改善されておるようですから、もっと大いにがんばってもらいたいと思います。  それから福祉事業振興会の貸し付け金ですね。これは今回原資がだいぶ増額されたようですけれども、これは一体償還方法はどういうふうにして償還していくものなのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 振興会の原資は、前年度の三十五億円に対しまして、六億円増の四十一億円に増額をしたのでございます。振興会の融資につきましては、二年間据え置きまして無利子でございまして、その後五分強の利子をもちまして返済をしていただくのでございまするが、現在のところ返済の成績は非常に良好でございます。なお、現在老朽民間社会福祉施設につきましては、利子補給を行なっております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 私がお尋ねしたのは返済条件、貸し付け条件というものではないんで、それは十分私わかっています。そうじゃなしに、これはたとえば措置費その他では減価償却というようなものは見られてないわけですね。だから本来返しようのない金なんですな。何か事業をやる、商売をやる団体でもあれば、そこから利潤を生み出して返済するということが可能なわけなんだけれども、社会福祉施設の場合はそういうものはない。だから民間の寄付でも求めるということになるだろうけれども、一体何を基礎にしてこれを将来返させるという当てを持っているのか、こういう点なんです。

伊部英男厚生省社会局長

○伊部政府委員 社会福祉事業は、先生御指摘のように利潤を得る事業ではございませんので、どこから返すのかということになりますと、なかなかむずかしい問題になるのでございますが、実情におきましては、各社会福祉施設は地域社会の寄付あるいはいろいろな競輪等の団体から補助を受ける等の措置によりまして、返済をいたしておるのが現状でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 これはたとえば造船事業なんかにはずいぶん利子補給を行なっておるので、私はそういうことを考えると、造船事業なんか一種の企業なんだけれども、これはいま局長も言われたけれども、寄付でもあてにする以外には全く道がないわけなんですよ。だからこれが原資を増額することもけっこうだけれども、やはりそういう点を配慮しておかないと、これは措置費なら措置費の中に見る、こういうことがないと返済ができない性質の金になってしまう、こういうことが問題であるということを私は指摘をしておきますから、十分研究をしてもらいたいと思います。  次に、さっき大臣は、生活保護費がふえた、こういうことを言われましたけれども、しかしこれも実は政府で見ておる今後の生計費の上昇率を下回っているわけですね。これは一つ問題だと思う。時間がないそうですから、それでは大臣に特にお聞きしたいと思うのですが、今度のいわゆる長期の発展計画ですね、こういうものの中で、社会福祉の問題はどういうふうに考えておるか、その点をお尋ねをしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 新経済発展計画をいま策定中でありまして、ぼつぼつ結論を得るはずでございますが、このほうには私どものほうが強く発言をいたしておりまして、目標年次において国民総生産、あるいは国民所得に対するいわゆる振りかえ所得、あるいは社会保障給付費の割合等は、でき得る限り今日の割合より数値が大きくなるような、そういう申し入れ並びに対案を講じておりますので、私は見るべきものが出てくることを期待をいたしております。

西宮弘日本社会党

○西宮分科員 こまかい問題で私は指摘だけをしておきますが、たとえば、いま幼児が非常にふえておるわけですね。だから幼児に対する対策、幼児がふえておるという問題の施設に対する対策が必要だと思う。あるいはまたさっきの生活保護費の問題も申し上げましたけれども、あるいは飲食費のアップの率等が非常に少ない、こういう点が問題だと思うのですが、あまりこまかい問題ですから答弁いただかなくてもけっこうです。十分お考えを願いたいと思います。  時間があればお尋ねをしたいと思って考えておりました問題の一つは、実は厚生省以外に労働省と農林省から来てもらっておったはずでありますが、これは最近農村で特に出かせぎが多くなる。さらに、とりわけ一割減反というような問題に関連をして、農村の出かせぎが非常に多くなってきておる、こういうことのために子供の問題がさらに困難になってきているわけです。そういう問題が非常に社会問題として大きくなっているということを、実はわれわれの現場でも見聞をしておるわけです。たいへん時間がなくなって恐縮でありますが、ほんとうに一言でけっこうでありますから、大臣とそれから労働省、農林省、一言だけお答え願いたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 全く私は、思いは西宮先生と同じでございます。乳児に対する乳児院また幼児に対する養護施設また保育所の施設等々につきましては、ことにまたこれは人口稠密の地域のみならず、保育所などにつきましてはかなり角度の違った見方をもって私は進んでいっていいと思いますので、社会保障、社会福祉につきましては、皆さま方の御教導と御協力を得て、でき得る限り進んでまいる所存でございます。

森山真弓労働省婦人少年局婦人課長

○森山説明員 労働省といたしましては、出かせぎの留守家族の問題に対処いたしますために、婦人少年室協助員というのがありますが、特別に専門の協助員を一千名配置いたしております。そうしてその人たちが特に出かせぎ留守家族の相談に当たりまして、問題のありました場合には出かせぎ労働者との連絡、その他関係機関との連絡に当たることにいたしております。そのほか、出稼ぎ労働者留守家族問題懇談会というものを開催いたしたりして、これの実態把握等につとめている次第でございます。

田所萌農林省農政局普及部長

○田所説明員 出かせぎ問題につきましては、農林省の四十年統計によりますと、約二十四万程度の出かせぎ農家があるという統計になっております。農林省のほうでは、大体普及事業のほうでそういう問題に対処しておりまして、特に生活改善のほうで、出かせぎ農家の留守家族の生活相談教室というようなものを開催いたしまして、農家の家庭生活の設計なり家族関係の円滑化という問題につきまして積極的に努力をしておるわけでございます。生活相談につきましては、来年度につきましては約五割の増加の要求をいたしておるわけでございます。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 以上で西宮君の質問は終わりました。  次は、戸叶里子君の質疑を許します。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 私は、最近あちこちに出てきて、そしてたいへん問題が起きておりますモーテルの問題について、二、三伺いたいと思います。  最初に警察庁の防犯少年課の方、来ていらっしゃいますね。  厚生大臣にもぜひ聞いておいていただきたいことなのですけれども、モーテルというのは犯罪がたいへん多いところだとされておりますけれども、今日までに調べられております犯罪はどのくらいあって、その内訳はどうなっているかを、まず伺いたいと思います。

田中雄一警察庁刑事局保安部防犯少年課長

○田中説明員 犯罪の発生状況について申し上げますが、四十四年の一月から八月までの状況を調べたのでございまするけれども、発生件数は六百二件、そのうら刑法犯が四百五十件、特別法犯が百五十件、こういう数字になっておりまして、検挙は四百二十一件を検挙いたしております。  犯罪の内容でございますが、窃盗が三百五十一件五一%、強姦が四十六件七・六%、それから旅館業法違反五十件八・三%、薬事法違反四十八件七・九%、その他ございますが、そのほかに、数は比較的少のうございますが、売春防止法違反、それから保護育成条例違反、こういうものがございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 まあ、いろいろな犯罪が行なわれているわけでございますけれども、それに対して取り締まりの方法というのはどんなことをされて、規制されておられますか。

田中雄一警察庁刑事局保安部防犯少年課長

○田中説明員 防犯対策につきましては、いろいろ手を考えておるわけでございまするけれども、営業者に対する防犯指導、これはまず——まあモーテルと申しますのは、最近非常に発達をして数が多くなってきたものでございますから、防犯団体等のそういう自主的な防犯組織の結成が非常におくれておりましたので、防犯団体の結成、これは二つございまして、地域の防犯組合、防犯団体に加入させたり、あるいは職域と申しますか、そういうモーテル同士の防犯協会を結成させたり、そういうことを指導をいたしております。それから利用客及び自動車のナンバーその他の確認、それから事件、事故の発生の際における警察への通報、こういったことを指導しておるわけでございますが、なお昨年秋に厚生省に、これは旅館業法によりまして直接厚生省の所管業務になっておりますので、私のほうから話を持ち込みまして、実情を申し上げまして、厚生省における行政指導の強化を要望いたしたわけでございます。その際に、健全営業ということで、営業許可申請のあった場合、教育委員会に意見を求めていただくようにということ、それから宿泊者名簿の備えつけ、記載の励行、それから善良の風俗を害する文書、図画、広告等を掲示しないということ、また違反のありましたものについての行政処分の適正迅速な適用というような問題につきまして要望をいたしましたところ、これは後ほど厚生省当局のほうからも御答弁があるかもしれませんけれども、昨年各府県の衛生、厚生関係の部長のほうに通達を出しているとのことであります。  なお、防犯措置について先ほど申し上げましたことをもう少し詳しく申し上げますと、職域防犯組合の結成は九十一組合、加入業者八百六十軒でございます。地域防犯組合に加入した業者は約二百四、五十でございまして、全部で千百十軒のものが防犯組合にいま結成あるいは加入するという状況に相なっておりまして、大体四三%程度の組合の結成率、こういうことに相なっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまいろいろ御説明がございましたけれども、さきにおっしゃいましたように、いろいろ犯罪がたいへん多くなっているわけです。それは少しも減る状態ではなくてかえってふえている状態、もうおわかりになっている数字だけでも非常に多いということが言えると思うのです。で、そういうふうな状態のままにしておかれますと、いま防犯組合に地域別に入ってもらうとかいろいろ団体別に入ってもらうとかおっしゃいますけれども、私はそれだけでは決して犯罪を防止することはできないと思う。何らかの形でもっと積極的な対策というものをお考えにならなければ、この犯罪の数というものはなくならないのじゃないかというふうに、私はたいへん憂いを持つものでございますけれども、こういうことについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、こういうことを承っておきたいと思います。

田中雄一警察庁刑事局保安部防犯少年課長

○田中説明員 先ほどもちょっと申し上げましたように、厚生省と非常に関係が深い、また社会風教上という問題から文部省とも非常に深い関係を持っておるように感じますので、実は昨年から厚生省、文部省、警察庁、三者の間にこれに対する協議会を持ちまして打ち合わせを進めておるわけでございますが、今後は旅館業法あるいはその他の法律的な問題、そういう法律そのものについての検討とかあるいは行政上の問題ということを、いま三者で打ち合わせを進めておるところでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 取り締まりのほうも十分に気をつけてやっていただきたいと思いますが、そこで、中でも宿帳といいますか、宿泊人名簿というものがほとんど書かれないで、行けばすぐに泊まれる、自分の自動車のキーを渡せばすぐに入れるようになっているというふうなことも聞いておるわけでございます。そういうふうな、宿泊人名簿なしにそこへ泊るということは旅館業法違反でございますけれども、そういうようなことに対して取り締まっていらっしゃるかどうか。それでつかまった件数はどれくらいあるかどうかも念のために伺っておきたいと思います。

田中雄一警察庁刑事局保安部防犯少年課長

○田中説明員 もちろん旅館業法等違反についてやっているわけでありまして、旅館業法等違反は五十件発生、これは主として宿帳を置かない、あるいは全然記入していないというのでございますが、先ほど申し上げました昨年の一月から八月で五十件、こういう事件が発生をいたしておりまして、これについて四十九件検挙をいたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 厚生大臣にお伺いしたいですが、私、実はモーテルというものの認識が二年ぐらい前まであまりなかったわけです。と申しますのは、アメリカを私たち旅行しますと、モ一ターカーホテルというので、モーターカーホテルを略してモーテルというふうになったのだと思っていました。お友だちなんかと自動車で旅行しまして、自動車を置いて泊まっていたものですから、そういうものが日本にもできたのかなというふうな観念でおりました。ところが、私、一度ちょっと行ってみましょうかなんて言いましたら、友人にたいへん笑われまして、いろいろ説明を聞いてびっくりしたわけなんです。これはたいへんだと思っているうちに、モーテルがどんどんあちこちにできたのでございますけれども、このモーテルの許可、これは旅館業法によるんだ、こういうことがいわれておるのですが、旅館業法を見てみますと、客室が五室以上あるとか、いろいろな規制があるわけですね。ところがモーテルというのはバンガロー風に一軒ずつ別になって、静かに泊まれる——泊まれるか何か知りませんけれども、そういうふうになっているわけですね。そういうところから、旅館業法でもって扱っていいのかどうかということが一つ。もう一つは、旅館というのは調理場がなければならないと思うのですけれども、モーテルには調理場がないわけですね。バンガロー風に一つずつできているわけですから、調理場としてはないわけです。こういうふうなところから、旅館業法の中でいいのかどうかというようなことが考えられますし、それからまた、こういうモーテルを利用する人は大体二、三時間ぐらいしかそこにはいないんだ、そういうふうな利用方法しかしていないんだ、こういうような状態にありますものですから、資金の回転というのも非常に早くて、非常にもうかる。だからどんどんできていくんだというようなことも伝えられているわけでございます。  そこで私がお伺いしたいのは、こういうふうなものでも、旅館業法というもので許可がされていいものかどうかというのが一つと、それから、たいへんに回転率が大きいので、どんどんできていくといわれておりますので、最近の増加のぐあいはどんなようになっているかということと、二点をまず伺いたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 モーテルにつきまして旅館業法の対象になるかということでございますが、これは旅館業法の対象になります。御指摘のように、建物が分散と申しますか、分かれた建物の形態になっておりますが、これは全般を一括して旅館業法の対象になるということでございます。そういうことでこれは許可の対象になる。調理場がないということでありましても、これは旅館業法の対象になるということでございます。そういうことでございまして、モーテルが最近だんだんふえつつあるということは承知いたしておりまして、しかも、いろいろと問題を提起しておるということで、先ほど警察庁のほうから御説明ございましたように、昨年十月に全国に通達を出しまして十分指導するようにいたしておるわけでございます。それからまた、昨日全国の環境衛生課長会議がございまして、その席でも適切な指導を行なうように強く指示したような次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまのお話ですけれども、この通達をお出しになったというのはどういう通達であるかということが一つと、それからきのうの環境衛生課長の会議で適当な措置をするように指示なさったとかなんとか言われましたが、その点ちょっとわからなかったんですが、どういうふうな指令をお出しになったか、適当に指導しなさいといっても、末端の人は一体どんなことができるんでしょうか、このことを伺いたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 昨年十月に環境衛生課長から全国の衛生・民政部長あてに通達を出したわけでございますが、まず第一点としましては、とかく社会的な批判を受けるような営業の形態のものに対しては、環境衛生金融公庫等の融資等は行なわないことになっておるから、都道府県でもその点は十分配慮してもらいたいということ。第二点は、旅館業法におきまして、学校等との関連につきましては、百メートル以内にはできるだけ設置しないということにいたしまして、清純な教育環境を害されないようにするということになっておるわけでございますが、こういった点を十分徹底して実施してもらいたいということでございます。それから第三には、モーテル等では、とかく宿泊者名簿を備えつけてないものがあるということであるので、この点を十分指導強化してもらいたいということ。それから第四には、旅館業法の政令の第三条におきまして「利用基準」というものがございまして、これにつきましては、善良の風俗が害されるような文書とか図画とかその他の物件を営業の施設に掲示しあるいは備えつけないこと、あるいは善良の風俗を害されるような広告物を掲示しないこと、というようなことが規定されておりまして、この点につきまして強力な指導を行なうということ。それから第五には、風俗違反等を犯した場合における行政処分等につきましては、適切かつ迅速に行なうこと。大体以上のようなことにつきまして昨年通達を出したわけでございます。これにつきまして、昨日の全国課長会議でも、さらに念のために同様の趣旨のことを指示したということでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 そのお出しになった通達が多少の効果はありましたか。と申しますのは、旅館業法の中には、学校から百メートル以内のところには建ててはいけないということが旅館業法の三条ですかに書いてありますね。それで、これはどうしてそういうものができたかと申しますと、たとえば私どもこの国会におりますときに、千駄ケ谷に温泉マークの旅館ができたとか、あるいはまたもう一つ、渋谷の鳩森小学校の付近に温泉マークの旅館ができた、だからそこの地域の父兄の人たちがこういうものをつくられては困るといって反対運動して、たしかあのときに旅館業法を改正して、学校から百メートル以内のところにはいかがわしいような旅館をつくってはいけないということがきめられたと思うのです。そのときに、私もよく知っているわけでございますけれども、それはいまの通達の中にも入っておりますけれども、これは当然旅館業法で規制されると思います。それから、もう一つの社会的批判を受けるような営業の許可というものは気をつけなさいということ、そういうふうな通達もお出しになっていらっしゃるのですけれども、お出しになっていらっしゃるにもかかわらず、営業の許可というものはどんどんおろされているのではないか、こういうところに私は非常に疑問を感じるわけです。社会的な批判を受けるような営業であるということは地域の人がみんな知っているのです。ですからその地域に住む人は困ったな、子供の教育上よくないなというふうに近くに人家のある人たちは感じているわけでございます。にもかかわらず、今日許可というものがちっともとめられないで、どんどん許可されていってしまうというような状態にあるのでございますけれども、いまお出しになった通達によってその営業の許可がされなかったというような実例がおありになるかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光政府委員 この通達は昨年の十月に出しましたので、その後の、この通達の結果がどういうふうになっておるかということにつきましては、まだ詳細わかってないような実態でございます。しかしながら、昨日環境衛生課長会議の席でも、私から、いろいろ問題になっておることがあればひとつ説明を聞かしてもらいたいということで、二、三の県の者と私ども会って話したのでございますが、県におきましてはかなり努力をいたしております。しかしながら、やはり風致地区ができまして、あとでいろいろな設備をつくるというふうなこともあったりいたしまして、やはり実態的にはむずかしい面がかなりあると思いますが、こういった点につきましては今後積極的な姿勢で指導してまいりたい、かように考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまの御答弁にもありましたし、これまでの御答弁を伺っておりましても、非常に犯罪も多いし、いろいろな問題が多いわけでございまして、厚生省としてもやはり手をこまねいていられるときではないと思います。何らかの形でモーテルというものに対して、いろいろお調べになって、そして規制をしていかなければならない面が非常にあると思いますが、基本的な姿勢として、厚生大臣はこのモーテルに対する規制措置をおとりになるお考えはあるのかどうか、まず伺っておきたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 モーテルというものの実態が、戸叶先生御指摘になるようなものが非常に多くなってきているような事態のもとにおいては、私は、構造基準とか——構造基準につきましては、一応政令できめてありますものの一番しまいをごらんになるとおわかりですが、都道府県知事がさらに必要なる基準を設けることができることになっておりますので、そういう都道府県知事の定める許可基準について指導する、また施設ができ上がった後におきまして、これは利用基準というものがあるようでございまして、施設の中におけるいろいろな物件のとりつけとか利用の方法などにつきまして、これは業者が守らなければならない基準もあるようでございますので、そういうことの順守方につきましてもさらに私は一そうの指導をして、世間の指弾を受けたり、あるいは風俗退廃を来たす原因になるようなことは厚生大臣としてはぜひ規制をしたいと私は思います。従来、営業の自由とかいうようなこともありますし、主として衛生的見地からの構造規制の面が強かったのではないかとも思いますけれども、しかし、旅館業法の基準というものはこれにとどまらないようでございますし、ことに第一条には風紀、風俗というようなことにも重きを置いた文言もございますし、また施行令等についても同様の主旨がございますので、そういう風俗的の見地から、私はできる限り都道府県知事の考え方も同調していただくようにつとめるし、また業者自身の自粛も求めてまいりたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまモーテルに対する規制といいますか、いろいろな意味で、多くの環境等においての悪影響を及ぼしていることに対して、前向きの姿勢でそういう問題の解決に当たるという大臣の基本姿勢を伺ったわけです。  そこで、私はもう一つ具体的な例としてぜひお願いしたいことがあるわけでございます。実は、埼玉県というのは日本で一番モーテルが多いところだそうでございますけれども、そこで東松山というところで、自分の資財を投げ打たれて丸木美術館というものをつくられたのでございます。その丸木美術館の丸木さんという方が十八年がかりで描かれた原爆の有名な絵がそこに保存をされているわけです。そしてそこへ学生だとか青少年だとか、ときには外人などが見に行くわけで、多い日には二百人以上も行くわけでございますし、その美術館の裏側は山があり、川があり、ハイキングに行くのにもいいし、キャンプをするのにもとてもいいところで、しかも雑木林があって、近くには禅寺があって、子供たちが夏には夏期講習に行くというような、武蔵嵐山から非常に近いというようなたいへん環境のいいところなんです。ところが、この丸木美術館に行く入り口のところへ、しかも美術館から百メートルしか離れておらないところにこのモーテルができてしまったわけなんです。ところが、非常に多くの人たちの反対運動が激しくて、署名が八千何百人も集まっているわけです。そこで申請をしますと、これは許可ができないというわけにはいかないらしいのです。それはなぜかといいますと、旅館業法で学校の百メートル以内では、ということはありますけれども、文化施設の、ということはないわけです。私は、あの旅館業法の改正のときに、やはり学校並びに文化施設とか図書館とか、そういうような文句を入れるべきだったということをいまつくづく考えているわけです。ですから、まず手っ取り早いこととしては旅館業法を改正されて、そうして文化施設とか、図書館とか、そういうようなものの百メートル以内にはそういうものをつくってはいけないというような法の改正をぜひしていただかないと、今後におきましても問題が起きるのではないか。と申しますのは、モーテルをつくるような人というのは、たいてい景色のいいところ、人の行ったり来たりすることが多いところ、青少年の行くような場所といったようなところに、ずっと見てみますと、つくっております。ハイキングコースのちょっと入ったところとか、名所旧跡のちょっと入ったところというところをねらっているようでございます。ですから、そういうような法の改正をぜひしていただきたい。これをまず大臣にお願いしたいのですけれども、これに対するお考えはいかがでございましょうか。  その前に、私ここに写真を、東京新聞に出た写真だそうですけれども、焼き増ししてもらいまして持ってまいりましたので、ごらんをいただきたいと思います。これが美術館で、これがモーテルで、百メートルしか離れておりません。それから、このモーテルのところを通らなければ美術館に行けないのです。その入り口にあるのです。ですから、そういうふうにお考えをいただきたいのですけれども、いかがでございましょう。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 戸叶先生からお話がありました丸木美術館に近接するモーテルの建設につきましては、いま私が担当の局長に尋ねましたところが、建物はできたけれども、まだ許可は保留されているというような状況でありまして、県でもこれを許可しない方向で非常に熱心であるそうでございますから、さらに県とも打ち合わせをいたしまして、できる限り何か他の方法に利用するなり、構造改善するなり、その他当事者、建設者が当初予定した形での申請は取り下げていただくような努力をさらに続けてみたいと思います。  それから法の改正の問題でございますが、これは私も一つ頭の痛い問題がございます。これは戸叶先生も御承知だと思いますが、東海自然歩道の計画を私どもはいたしているわけであります。これはおおむね国立公園に指定された地域の中につくるわけでありますけれども、しかしそうでない地域もありまして、他の一般の道路と自然歩道が交差するようなそういう地域をねらって同じようなものができることは、私どもが自然歩道をつくります趣旨とも反しますので、このことが実は私の頭にひっかかっております。そういうこととあわせまして、単に丸木美術館ということでなしに、これは何らかの検討をひとついたしてみたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 厚生大臣のたいへん積極的な取り組み姿勢をお示しいただきまして、私もたいへんありがたく思うわけでございますけれども、何しろ青少年に与える影響の多いところでございますし、ここの問題だけでなしに、いま大臣がおっしゃいましたような問題も出てくると思いますので、ぜひとも旅館業法の改正か何か、ともかく法律的に取り上げればこれは許可せざるを得ないような形になるわけでございまして、何にも許可することができないという理由はないらしいのですね。ですけれども、地域の人がたいへん反対をしているので、県でも許可をしない状態にあるわけですから、ぜひ今後において抜本的にこういう問題が起きないで済むように一つの道を考えていただきたいということと、それからもう一つは、ここの地域の問題も、いまだ許可が出ないのですから、ぜひ許可の出ないうちに、許可をしないで、何かいまおっしゃったような前向きの姿勢で、ここで営業しないで済むような方向を考えていただきたい。これを最後にお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。

田中龍夫自由民主党

○田中主査 これにて戸叶君の質問は終わりました。  以上で、昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、厚生省所管に対する質疑は一応終了いたしました。  次回は、明十八日水曜日午前十時から開会いたし、労働省所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時二十分散会

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