予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 243 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/12
会議録
○田中主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中厚生省所管を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に協力をお願いいたします。 なお、政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡潔、明瞭にお願いをいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原分科員 最初に医療保険の問題ですが、総医療費の問題です。保険料や公費や自己負担で国民が支出をしている総医療費についてまず最初にお尋ねしますが、昭和四十三年、それから四十四年は推定、実績見通しが出れば実績見通し、あるいは四十五年の推定、これがわかる範囲でひとつお答えいただきたい。
○梅本政府委員 総医療費の推計の計算におきましては、厚生省統計調査部で、先生おっしゃいましたあらゆる要素を勘案しまして、計算を出しておりまして、現在のところ四十二年までしか確定推計が出ておりません。 四十二年を申し上げます。一兆五千六百四十三億という推計でございます。四十三年以降は厚生省といたしまして確定推計を出しておりませんので、私の推定で申し上げますと、四十三年一兆八千億程度、四十四年約二兆前後、四十五年二兆五千億前後、こういうふうに推計いたしております。
○大原分科員 それで四十五年のこれは医療費値上げの問題ですから、医療費の値上げを含めての推定だと思いますが、これは二兆五千億円ですね。そうしますと、政府管掌の健康保険の赤字は幾らになりますか、そういうふうに伸びた場合こ……。
○梅本政府委員 政府管掌の健康保険につきまして、四十五年度の予定でございますが、赤字が三百七十八億でございます。これはもちろん二百二十五億の国庫負担を含んでおります。そして支払い利子が九十六億、実質赤字といたしまして四百七十四億でございます。 ついででございますが、四十五年までの累積赤字は千八百五十四億でございます。
○大原分科員 それで医療費の値上げの問題について、二段階で九・七%の値上げですけれども、これは中医協で非常に議論になりましていつももめるわけですね。これはやはり医療費の体系や医療制度全体、抜本改正の問題にかかわりがあるのですが、そういうことがきちっと交通整理をされてない、ルールが確立されてない、こういうことに大きな原因があると思うわけですね。それはともかくといたしまして、そういう医療費の問題や、あるいはこのように、昭和四十五年には二兆五千億円に膨張するわけです。一年間に五千億円も膨張するわけでありますが、これは異常なことであります。もちろん病院や診療所で使う物件費や人件費の問題等で下がるものも考慮いたしましても上昇傾向にあることは当然でありますが、しかしそれにいたしましても国民所得、GNPの上昇率やあるいは一人一人の世帯の収入に比較をいたしまして、これが問題であるというところに財政的な医療保険のピンチの側面があるわけでありますが、それらの問題点でいままで問題となりました医業経営の実態調査をすることが国民の立場に立って絶対に必要である。そのことにつきましてわれわれも議論をしてきたところであります。 これは当面の措置といたしましてもあるいは長期的な抜本改正の問題といたしましても、医業経営の実態調査をきちっとしなければ、これは国民的な合意を求めることはできないわけです。これは一昨年七千万円の予算を計上いたしましてやられておるはずですが、その調査の結果と現在の調査の結果の処理の段階、どこまでこの整理が進んでおるか、全部実態調査はでき上がってこれを整理しているかどうか、こういう問題についてまずお尋ねいたします。
○梅本政府委員 大原先生よく御承知のとおり、過去におきまして、おっしゃるとおり医業経営実態調査につきましては、診療報酬問題につきましての一つの大問題でございまして、御承知かと思いますが、昭和二十七年に施設面の調査をやりまして以来、関係団体の協力が得られませんで、十数年間にわたりましてこの調査というものが実施不可能でございました。したがいまして、診療報酬の問題につきましてはデータがなしにいろいろ議論をせざるを得ないという状態が続いたわけでございます。しかし中央医療協議会におかれましては、二年有余の時期をいろいろ審議に費やされまして、昭和四十二年九月十日に中央医療協議会から建議が出たわけでございます。しかし医業経営実態調査につきましては、従来厚生省が調査をしようということでなかなか実施できませんでしたが、この時点におきまして経営調査を中医協自身がやる、中央医療協議会は御承知のように支払い側、医療側、公益委員三者構成でございますが、利害の対立した関係の委員会でございますけれども、この合意によりまして中央医療協議会自体が調査を実施する。昨年、四十二年の十一月を調査月といたしまして、各医療機関の状況、収支、資産、負債、資金需要、給与、そういうような点につきまして、その他いろいろの問題につきまして調査をしたわけでございます。しかも中央医療協議会におきましては、調査の方法もはっきりと合意ができまして、全国の病院及び診療所を対象とし、これを経営主体別、規模別等に層化の上無作意抽出法によって調査客体を選定する、抽出率ば病院約五分の一、千二百ばかりになります。一般診療所約三十分の一、二千三百。歯科診療所約百分の一、二百八十というのを調査客体にしまして調査をしたわけでございます。この四十二年十一月の調査につきましては、昨年の春に一応事務当局としての集計の結果が出てきております。その後におきまして、一番総括的な、いわゆるトータルを出しました件につきまして、中央医療協議会におきまして事務当局から提出をしたわけでございます。ところが、それの発表の問題につきまして、相当の期間につきまして支払い側と診療側との争いがございました。主として、中央医療協議会自体が調査した問題であるから、それを外部に出す場合におきましては、やはり中央医療協議会として十分に議論をした上で発表すべきである、いや調査の結果が出たのだからすぐに発表すべきであるというふうな争いが中心でございました。そしていろいろ問題がございましたけれども、結論を得ないまま、御承知のように緊急是正と申しますか、診療報酬の体系の懇談に入ったわけでございます。ただし、最後の総会におきまして、中央医療協議会の会長もその調査の結果については近く発表するというふうに宣言をされておりますので、近く発表になるものというふうに考えております。
○大原分科員 いままでの医療保険の改正といえば、保険料を値上げする、患者負担をふやすという、そういう保険財政、皆保険の、言うならば需要面だけで議論をしているから矛盾はますます拡大をする。供給面や制度全体にわたって議論するためには、医業経営の実態調査が必要である、こういう議論をしばしばなされまして、こういうことがなされたわけです。 そこで私は、中医協がどのような方針で実態調査をするかということの方針をきめる、そういうことは現状においては一応筋が通っていると思うわけです。しかしながら、調査をいたしました結果というものは、客観的な事実でございますから、これをひん曲げるというようなことはないわけであります。そういう、ひん曲げるというようなことがあってはならぬわけであります。だから、これは事務的に技術的に処理をいたしまして、実態についてはすみやかに国民的な論議ができるようにすることが、医療費の問題や抜本改正の上からいいましても重要なことである。そういうことから考えまして、支払い側と診療側に議論があったということが言われましたけれども、国民の税金を七千万円も使いまして今日まで発表していないということは、私はきわめて遺憾であると思う。したがって、中医協では、そういう暫定的な医療費の値上げの問題の処理のあとで、それと並行して近く発表するというふうに東畑会長が言明したということですが、その意見を聞くことはともかくといたしまして、厚生省といたしましては、実態調査の性質上当然に発表すべきものである。したがってこの発表はいつやるのか、やるやると言いながらいつやるのか、こういう点についてお答えいただきたい。
○梅本政府委員 先ほど申し上げましたように、この調査につきましては十数年来の経過がございまして、中央医療協議会自体で調査された問題でございます。しかし、先生おっしゃるように、確かに中央医療協議会の調査といいながら、相当の国費を使っておりますので、そういう点から見まして、調査いたしました結果につきましてはやはり発表するというのはもう御承知のとおりでございます。できるだけ早い時期に発表していただくようにいたしたいと思います。
○大原分科員 それは中医協に発表していただくというのでなしに、調査の方法については中医協の意見をいれてやることですが、実際やったのは厚生省でしょう。事務をやるのは、厚生省が都道府県を通じてやったわけです。したがって、この発表は原則的に、中医協のほうはむちゃくちゃに押し切れというようなことは言わないが、議論したあとにおいては、これは厚生大臣が責任をもって処理すべき問題です。しかも、東畑会長がそういうことを言っておるわけですから、これはやはり、抜本改正についても来年八月までにはやるということを先般も予算委員会で私の質問に答えておるわけですけれども、国民的な論議やその上に立った合意を得るためには絶対必要だと思うわけです。だから、いつやるのかということを私は聞いておるわけです。いかがです。
○梅本政府委員 再三申しわけございませんけれども、中医協との関係がございますので、私からいつ発表するというのはちょっと申しかねますけれども、できるだけ近い時期に発表するようにいたしたいというふうに考えております。
○大原分科員 厚生大臣、この国会中に発表できますか。
○梅本政府委員 この国会は五月十三日まででございますので、そんな遠くでございませんで、できるだけ近日中に発表するようにお話を会長に申し上げて、いたしたいと思っております。
○大原分科員 厚生大臣、これは非常に経過がある問題です。しかし、実態を客観的に把握をして、そしてそれを分析して政策を立てるということは、国民的な合意を得るということは当然ですから、そのことは何も厚生大臣はふらふらすることはないのであって、ぴしっと私はこれらのことについては、きょうの議論を踏まえながら、東畑会長にそのことを伝えてもらいたい。厚生大臣、ぴしっとやって、その点は、民主的にやる点は民主的にやる。しかし、処理すべき点は、やはり七千万円も税金を使ったのですから、しかも二年間、ほうってあるとは言わぬけれども、調査の時間が要るわけですが、そのことについてはやっておるわけですから、経過があるのだから、そのことは私はきちっと発表してもらいたい。診療側であろうが、医師会側であろうが、そのことについて説得して、当然中医協がやっておるわけですから、そういうことについて、大臣のほうから東畑会長にそのことを伝えてもらいたい。近日中にと言っておりますが、すみやかに処理するように要望しておきます。
○内田国務大臣 政府委員から答弁いたしましたとおりの方向で私も督励をいたしております。
○大原分科員 それから医療保険の抜本改正については、来年の八月までに案をつくる、予算の関係、法律との関係のことがあると思うのですが、その大体の段取りと中身、これは簡潔でいいですから、よくわかっておりますから、段取りと中身、そのことについてお答え願いたい。
○梅本政府委員 昨年八月に社会保険審議会と制度審議会に対する諮問を出しておりまして、その諮問の内容には、将来の構想と、それから当面実施すべき事項というふうに分けまして、具体的構想を示して諮問をいたしております。われわれのほうは審議会に意思表示をいたしまして、当面実施すべき事項は二年以内に着手いたしたいので、それに間に合うように審議会の答申をいただきたいというふうに二つに分けてあるわけでございます。二年以内に実施いたしたいと申しますためには、具体的には来年の通常国会に法律を出さなければ着手できません。法律を出すためには、ことしの終わりの、再来年の予算の編成に予算を組まなければ実施できませんので、そういう方向で、審議会に対しましてはやはり二年以内に実施いたしたいので、ことしの六、七月ごろあるいは七、八月ごろ、いわゆる正常の形で財政法に基づいて概算要求ができる、概算要求をしなければならない時期までに、何とか当面実施すべき事項については答申をいただきたい、こういうふうに意思表示を審議会にいたしておるわけでございます。
○大原分科員 その内容は、これはおもな柱だけ、内容的なおもな項目だけをひとつお答えいただきたい。
○梅本政府委員 当面実施すべき事項につきましていろいろございますけれども、主要な点は、被保険者の家旅が現在五割でございます。国民健康保険は、もう世帯主、世帯員とも七割になりましたので、この点につきまして家族の五割を七割に引き上げるという、給付面においてはそういうことでございます。それにします場合に相当の財政負担が要りますので、ここで保険料面におきましては財政調整をやりたいということで、財政調整方式を採用したいという点が大きな点でございます。それからこれは相当な議論を要すると思いますけれども、将来構想のほうにおいても議論していただきますけれども、当面実施すべき事項におきましても早急に意見をいただきたい。その意味で老齢に関する医療を一応保険制度でやるとすれは――こういう構想は私とも考えております。そういう老齢保険制度というものにつきまして、また国民健康保険につきましては標準保険料というふうなものをどういうふうにするかという点につきまして、審議会の意見をいただきたいというのが主要な項目でございます。
○大原分科員 時間の関係であれですが、財政調整というのは赤字になったら保険料を自由にふやせる、こういう制度ですか。
○梅本政府委員 財政調整そのものは、保険の分野で申しますと再保険のような感覚を取り入れたものでございまして、健康保険組合につきまして保険料に非常に格差がございますので、一定の線――二分の一を示しておりますけれども、二分の一は財政プールをして、弱小健康保険組合それから裕福な健康保険組合の間に財政調整をやろうというのが根本の趣旨でございます。
○大原分科員 保険料率変更その他で弾力性を持たすというようなことが抜本改正の中にあったわけですが、つまり政府がかってに保険料を引き上げるような案があったわけですが、昨年もこの問題については議論をしたことがございます。財政法の関係で議論をしたことがあるわけですね。そんなことは皆保険下におきましては許されぬわけです。この点については法律でワクを設けるという方針については、これはきちっと事務当局は了承していますね。
○梅本政府委員 おっしゃる点はこの前の御議論でございましたが、私たちの答弁が非常にあいまいであったかと思いますけれども、最高限度料率というものをきめました場合におきましては、法律の形式によりまして保険料をきめ得る算式といいますか、数式を法定していただいてその答えを告示するということにつきましては問題がないというふうに考えております。
○大原分科員 そのワクをきちっとすること、つまり保険財政が多くなってまいります場合、つまりふくらんでくる場合に、これはたとえば名目賃金は上昇するわけですから、料率は一定でありましても保険料収入が多くなってくるのですから、それをこえてさらに料率を何回も何回も上げたから今回のような問題が起きているわけです。べース改定で保険収入がふえているのに保険料率までどんどん上げていくから税金のような形でどんどんふえてくる、一方では患者負担をふやした、こういうことに大きな問題があるわけです。これは制度面についての改正が必要だということを言っているわけでありますが、そういう場合にそれをこえてさらに保険料率と料金の構造が変わった、支出がふえた、あるいは診療が進歩した、それに応じてこれがふえていくというような場合にはその中身が被保険者国民の納得できるような形でやらなければいけない。いまのような、実態調査もしないで、つかみ銭で、しかも、供給面についての医療機関や診療報酬体系や制度面についてのことをほったらかしておいて、矛盾が一ぱいある中で、そのしわ寄せを保険料の負担と患者負担に転嫁をしたというところが、保険の大きな問題になったわけです。だから、供給面についてもやはりぴしっと整理をしていく、こういう点については、これはちゃんと腹ができてますね。
○梅本政府委員 先生おっしゃいましたけれども、一応先生の御議論の社会保険方式がいいか悪いかという、根底につながる問題だと思います。医療保険という形式をとっておりますので、やはり収支相当の原則というものを一応頭に置いてやる。やはり医学、医術の進歩で医療費がふえた場合に、それをまかなう財源は保険料によるべきか、国庫負担によるべきか、あるいは患者の一部負担をふやすべきかという問題につきましては、やはり抜本の問題といたしまして、先ほど言いましたように今後の検討の項目になろうと思います。 それからもう一つの供給面の問題でございますが、これは私、保険局長のワクをこえる問題でございまして、分野といたしましては診療報酬の適正化の問題という問題が中心でございますが、ほかにやはり医療制度全般のことをおっしゃっておるんだと思います。診療報酬の適正化の問題につきましては、先ほど申しました四十二年の答申のときにも、今後根本的に適正化を進めていく、それがために調査も実施をするということでございますし、今回一月の時点におきましても、今後引き続き抜本的な検討を行なうというふうに、中医協自身もそういう意思表示をしておられますし、われわれのほうといたしましても中医協のほうの審議状況を見て、必要があればこちらで診療報酬の抜本改正について意思表示をしたいというふうに考えております。
○大原分科員 それでは、私の時間がもう四分ぐらいしかないから、――私は一時間持ち時間があるからあと半分は川俣さんのほうに譲ります。 それで、法制局に一つだけ私は質問しますよ。この間の私の議論を聞いていますか。総括質問の食品衛生法の第六条、聞いていますか。議事録を読んでいただきましたか。私が一つだけ集約すると、日本の食品衛生法第六条に言っているように、この法律が示しているように、化学合成物質を食品添加物として使う場合に、原則的には禁止いたしまして、そして三百五十六品目について登載して、これは大っぴらによろしい、こういうことになっておるわけですね。これはアメリカにならった、アメリカにならったということで、よく前の斎藤厚生大臣か――参考人として呼べばいいんだ、二人おられれば一番いいんだけれども、アメリカにならった、アメリカにならったというけれども、アメリカのFDAの法律は、つまり動物実験、ゼラニー条項という、動物実験の結果人体にも悪い影響があるだろうということがわかったならば禁止しなければならないようにできている。日本はそういうふうに禁止をする法律をつくるべきなんだ。疑わしきは使用せずというような法律体系にすべきなんだ。しかしながら日本の法律はそういう制約、ワクがかかっておらぬものだから、疑わしきは使用せずという観点でアメリカにならった。これは実際は日本から、日本の岩手大学の先生その他が言ったものが向こうに回っているんだけれども、アメリカがよかったら右にならえするのが日本政府の習性だから、それでいい。しかし、いいことをならうのは賛成だから私は言っているんだが、アメリカの進んだ法律体系と日本のは違うんだから、法律を改正をしなければならぬ。疑わしい場合にチクロの製造、使用を禁止する、廃止する、そういう方針を出した場合においては、大っぴらに許した業者に対しても、やはりその財政的な何らかの裏打ちをするような政府の責任が伴うのは、日本の法律の構成から当然じゃないか。だから私ども社会党は、五年ごとに洗い直す。そういうような方針でやると、業者もそういう心がまえになる。消費者も意見が言える。そうしないと、化学合成物質の副作用というものはいま非常に複雑になっておるから、いまの段階においてはおそろしいということはわからなくても、近い将来におそろしいということが出てくるから、常にそういう心がまえが必要だ。疑わしきは使用させずというふうなゼラニー条項、動物実験の結果というもので禁止をする、そういう法律改正と一緒に、五年ごとの、そういう洗うような制度をつくるべきだと思う。そうしないと、今回のような措置をとると、非常に不公平な措置をとっておる、一貫性がない措置をとっておる、あるいは選挙をやる前とあとと違っている、その中に政治献金が動いているかもしれぬ、業界ではみんな動いていると言っている、そういうことであるとすれば、これは全部政治不信につながるからだめだ。だからそういう点で、私が言ったようにゼラニー条項を入れるなり、五年間に総洗いするなり、そういうものは法律改正をやらないと、いまの時代の要請には法律的にも法制的にも――いまの政府のような措置をとると、これは違法の疑い、裁判をやったら負ける。これは私の質疑応答をもとにして裁判をやっても、政府は不利な立場に立つことは当然だと私は思う。したがって、法制上の私が指摘した欠陥があるということを法制局が認めるかどうかということだけを私はあなたに質問する。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 私も先日の予算委員会の総括質問における大原委員の御質疑の趣旨、拝聴しておりましたし、またその後に議事録も全部目を通して読ませていただきました。大体おっしゃる趣旨は私理解できたつもりでございますが、一、二点理解しがたい点もございました。 その一つが、まさしくいま先生のおっしゃる六条の指定の取り消しの問題でございます。その際にも先生の御発言の中に、アメリカの法制では化学的合成品たる食品添加物の指定の取り消しは、おそれがある、疑わしきは使用させずという原則が確立されておって、それによって取り消しが行なわれているが、日本の食品衛生法ではそれと違って、もっとはっきりした証拠といいますか、はっきり人体に害があるのだということの確証がつかめなければ取り消しはできないはずであるというふうに受け取れる御発言がございましたが、どうもその点は私理解しがたいわけでございます。といいますのは、第六条で御存じのとおりに厚生大臣が指定をする場合には化学的合成品たる食品添加物が使用できるのでありますけれども、それはもともとが「人の健康を害う虞のない場合として」指定をする、こうなっておりますので、かくして指定された厚生省の省令なり告示、これは一般処分でございますけれども、それが有効に指定として存続し得るためには、やはりおそれがないという状態が続いているということが前提になるわけでございまして、もしそれがその後の科学的技術の進歩なりデータの結果なりで、おそれがあるという程度に事態が明らかになれば、もうその段階で実は指定は取り消しできるのだ、また、むしろ指定を取り消さなければならないのだというふうに私たちも実は解釈するわけでございます。ですから、その点だけを取り上げてみますると、実は私はアメリカの法制を確認しておりませんけれども、日本の現行の食品衛生法でもやはり、おそれがあるということがわかれば、それより進んで害があるのだということの確認はなくても、おそれがあるというその段階で実は六条の指定は取り消すべきであるというふうに考えます。
○大原分科員 それで、時間が三、四分過ぎておりますが、その解釈で消費者にも業界にも徹底させるのならいいんですよ。そうであるのに一月九日には、一たん回収に決定したものをまた一部を延ばしたんだ。そうすると、政府の解釈というものは一貫性がないじゃないかという議論になる、不公平じゃないかという議論が出てくるのだ。 それ以外に、私が指摘したように、たとえば薬事法その他でもそうです。全部そうです。あのサリドマイドの場合だってそうだ。アンプル入りのかぜ薬だってそうだ。自主回収をしたり、関係がないといったり。サリドマイドだってそうでしょう。ちゃんとサリドマイド睡眠薬を禁止したならば奇形児は出なくなった、アザラシっ子は出なくなったのだ。そういう点について業界の圧力に押されたり政治の圧力に押されたり、そういうことをやるわけだ。日本の政府はだから信用がない。その点はゼラニー条項のような疑わしきは使用させず、動物実験の結果が出たならばこれは自動的にやるのだ、こういうことを、あなたが言ったようなことを明確にすべきだ。措置として一貫性がある措置をすべきだ。そういう解釈でこれからもいくのだということになれば。ああいうあいまいな措置をだっとやっておいてまた方向、方針を変えるというような、そういうことをやってはいけない。だからそういう点においては、あなたの解釈であるならば、逆に政府がやっていることは誤ったことをやっている、そういうふうな逆の議論にもなるわけだから、この議論は、あなたの答弁を一つの基礎にしてもよろしいから、それを明確にするという立法論と法の運営についての政府の誤りを指摘し、将来これは問題になるだろう、こういう点だけを申し上げて私の質問を終わります。
○田中主査 以上をもちまして大原君の質問を終わります。 次に、川俣健二郎君の質問を許します。
○川俣分科員 質問の機会をいただきましてありがとうございました。 私は日本社会党、そしてあえて申し上げますが、東北出身議員の一人といたしまして、いまの政治から置き去りにされ、すっかり忘れられてしまった地域、いわゆる辺地、僻地そして過疎地帯、こういうところの問題について、医療問題を例にとりながら大臣の御所見をただして、私もともに考えてまいりたいと思うのでございます。 まず具体的に入る前に、僻地ということばでございますが、概念について大臣はどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 これはとり方でいろいろあるようでございますが、私ども厚生省の立場からこの僻地医療などの問題を論じます場合には、おおむね地域を三つぐらいに分けまして、なかなか医者が行けないところ、それから何らかの方法によって、交通もそれほど悪くはないので医者が行けるところ、こういうふうに区域を分けますが、にもかかわらず医者の配置の状況がはなはだ手薄であって現地の住民が医療に困難をしておる地域と考えまして、それぞれの対策を分けて立てております。
○川俣分科員 過疎地帯ということばがございますが、これとの違いをことばの語義でけっこうでございますからひとつ。
○松尾政府委員 過疎地帯という定義は、さきの第六十一国会で審議未了になりましたいわゆる過疎地域対策特別措置法案というのがございまして、あの中で定義されましたのは、第一には、三十五年の国勢調査人口と昭和四十年の人口とを比較いたしましてこの減少率が一〇%以上であるというところ、それから地方交付税の規定によりました市町村の基準財政収入額というのが一般の基準の〇・四以下であるところ、そういうところを一応過疎地区、過疎市町村というふうに定義づけるというふうに考えることにいたしております。 ただいま大臣からお話がございましたいわゆる無医地区との関係でございますけれども、いま申し上げました過疎市町村というのが全国の市町村三千二百八十四の中で七百七十六、四十五年一月現在大体あることになっております。その中で大臣の申されたようないわゆる無医地区という地区を有する市町村が三百五十七、七百のうちの約半分足らずでございます。それから逆に無医地区を有します市町村ということから申しますと、全国で千二の市町村がございますが、その中でただいまの過疎の定義に当たるものが三百五十七というような形になります。必ずしもお互いに完全に重なるものではございません。
○川俣分科員 具体的に入る前に大臣にあえて伺いたいのですが、過疎ということばなんです。これは百科辞典にはまだ載る段階じゃないと思うのですが、なぜ過疎ということばが出てきたのか、どういう原因であるのか。大臣個人の御意見でけっこうでございます。
○内田国務大臣 これは過密ということばに対しましてあとからできたことばと私は理解をしております。いま政府委員からも申し述べましたように、人口が急激に減ってしまった、また財政指数等がはなはだ低下して、その地域における住民の公の生活がささえられないような状態になっているところを過疎と考えております。
○川俣分科員 どうやら過疎というのはどこかの政党がつくった政治の所産のことばのような気がしていたし方ありません。 こういうことばの概念についてはそれぐらいにいたしまして、先ほど担当官のお話の中に具体的な数字が入ってまいりましたので、さっそく伺います。 無医地区の趨勢と申しますか、だんだんにふえているのか減っているのか、この辺の動きをお知らせ願いたいと思います。
○松尾政府委員 無医地区につきましては年々の傾向をつかまえるというような調査をいたしておりません。私どもは、大臣が先ほど申されました無医地区対策というものを考える上においての基本になる調査というものをいろいろ行なっておる。それは四十一年に行なったものでございます。その後の経過におきまして、それが急速にふえているという傾向はないのじゃなかろうか。こういう調査を基礎にして都道府県、市町村等と相談をしながら対策を進めておりますが、この調査に基づく地区が非常に変動rるということであれば、この調査自体を基礎にしてものを考えることが不当であるという意見も出てくるはずでございますが、ただいまのところそういう意見を地方から聞いておらないところを見ますと、まずそう変わりはないというふうに考えていいのではないかと推定をいたしております。
○川俣分科員 地方の自治体からの直接の報告がないというお話ですが、これは地方自治体が遠慮されているのか、あるいは東北地方なんかを担当官が行脚されて自信のあるお話か知りませんが、その問題はこのくらいにしておきます。 そこで、僻地の医療対策について何か具体的な問題、そして予算の裏づけ等がございましたらお願いします。
○松尾政府委員 僻地対策といいますか、いわゆる無医地区対策でございますが、これにつきましては、現実の問題としてこのことさえやればすべてが解決するというきめ手になるようなものがなかなかできませんので、土地の事情に応じながらいろいろな対策を適用していく、こういう態度でございます。 まず第一番目には、やはり何といっても診療所を設置する、医療機関を設置するということが必要でございます。しかし、この診療所の設置も、御承知のように医者がなかなか得られないというような問題があり、あるいはまた、きわめて人口の少ないようなところではそのものを維特することが困難であるというような事情もございます。したがいまして、そういうところは、一定の人口規模を持ち、かつ医者の確保ができるような、後ほど申し上げるようなつながりを特ったところに計画的につくっていくというのが第一の問題でございます。 第二の問題は、これは医療だけではございませんけれども、交通の事情の改善あるいは通信の発達というようなものを考慮いたしますと、単に診療所を置くという昔の方式だけでなくて、そういう通信あるいは交通の発達というものに着目いたしまして、機動力を十分に活用するということがむしろ医療を確保する上で非常に役に立つというのが出てまいりました。したがって、最近におきましては患者輸送車を配備する。輸送車は患者を特定の町なり、市なり、もよりの医療機関のあるところへ運んでいくというものでございまして、これを整備することを続けております。それから、その中でも人口規模によりましてはマイクロバス的なものとライトバン的なもので対応していくということが必要であろう。またそれが孤島のような場合でございますと、それを船にかえるということをいたしております。なお四十五年度からでございますけれども、四十五年度の予算案におきましては積雪地帯――先生のほうの御事情もよく存じませんが、積雪地帯ではなかなか車も動かないという問題がありますので、医者が運転できるような雪上車というものを配備する。そのほかに巡回診療車というものを配備いたしまして、巡回診療によりましてそのカバーをしていくという方策をとっております。 なお、この僻地診療所に医者を確保するということはかなり困難な問題もございますので、それに結びつく親元病院というものを設定いたしまして、親元病院から一定の期間必ず医者が行って診療に当たる、こういうことをやってまいりましたが、四十五年度からはさらにその親元病院が医師を派遣するために必要な経費を補助金として援助する、こういう新しい方策を出したわけでございます。なお巡回診療につきましても、従来なかった運営費について助成をするということを四十五年度にお願い申し上げておる次第でございます。
○川俣分科員 いまるるお話しの中で医者が得られない、これは政治と結びつく意味で非常に重大だと思うのです。これを私は追及するという意味ではなくて、ともに考えていきたいという意味で伺いますが、その前に、日本の国における医者の数でございますが、七大都市とか、私があえて言うのは町、村にどのくらいの人口対比でいるだろうかといったところを伺いためにお伺いするわけであります。
○松尾政府委員 医者の総数は四十三年末で十一万三千六百でございます。いまの分布でございますが、七大都市に約三万人、全体の約二六%がおります。それからその他の市に約六万五千人、全体の医者の五七%、そのほかのところに二万人、一七%となります。人口対比でいきますと、六大都市が十万対一四八、その他の都市が一二三、市以外のところが六六というふうに相当の差を見せ ておるわけでございます。
○川俣分科員 さっきの僻地の医療地帯、これはいまは過疎と僻地と重なり合っちゃって、東北の寒村の場合はもうどうにもいたし方ない状態になっておりますから、私はあえてそういう観点でお話を進めていきます。 いろいろと担当官から機動力の整備のお話がありましたが、どうやら医者を運ぶのじゃなくて患者を運ぶというような医療政策ということに理解してよろしいですか。
○松尾政府委員 医者がいない場合に、道路等の事情がよければ患者さんをその近くの町へ毎日運ぶということでございます。この問題は非常に消極的な感じもいたすわけでございますけれども、実は過去におけるいろいろな例も検討した結果でございまして、たとえば診療所をつくっておった、その前にいい道路ができて町のほうへ行く交通が便利になったというような事情が起こりますと、診療所の前を通り過ぎるという現象が起こってきたところもございます。それからもう一つは、医者がいるということは私どもも基本的には一番安定する問題だと思いますが、同時に、一人の医者がやれる範囲というものがだんだんに狭くなってまいります。そういうことからいいますと、町へ行っていろいろな医療機関で診療を受けるということも、ある面ではプラスになる場合もあるというふうに考えておりまして、決してこれだけで唯一万全だとは存じませんけれども、現状から見て医療を確保するということでそういうこともフルに活用すべきではないかという考えに立っておるわけでございます。
○川俣分科員 医者を運ぶがいいか患者を運んだほうがいいか、この論議は別といたしまして、最近のわが国の死亡原因の順位を見ますと、これは厚生白書にも紹介されておりますが、不慮の事故が非常に高い位を占めております。これには交通事故とかあるいは早目のお産でたいへんなことになったとかいうようなものも入っておると思いますが、すなわち救急医療の問題に入るわけです。僻地の医療対策、これは何か具体的に予算的なものがありましたらお示し願いたいと思います。
○松尾政府委員 僻地の救急問題というのは非常に困難なところがございますが、先ほど申し上げました患者輸送車のようなものは、定時に運ぶということじゃなくて、いま御指摘のように、何か救急な患者が出た場合、その場合にも、その患者輸送車をひとつ使って医者のところへ運ぶという場合、それからまた逆に、先ほどお答え申し上げませんでしたが、医者を運ぶというためにその患者輸送車が医者を連れてくるというふうな場合もあり得ると考えておりまして、多面的にそういうふうな機動力を使うということで検討しておるところでございます。
○川俣分科員 僻地と不慮の事故、これはたいへんに政治的な力をいただかないと解決しない問題だと思います。現在、消防法の体系によって管理され実施されておるのだろうと思います、離島の場合は。陸続きの場合は車、いわゆる救急車、ソリなんかも考えられます。ところが僻地というのは往々にして道路状況が悪いというのが通例だと思います。道路があっても冬は、先ほどお話があったように積雪多量、思うようにならない。男手がほしくても遠く出かせぎに行っておる。そこで大臣にお伺いしますが、いみじくも先般の予算委員会において、総理がヘリコプター云々というお話をされましたが、所管大臣として、ヘリコプターを僻地の医療、特に救急医療対策に何か具体的に活用することをどの程度考えておるか、あえて大臣にお聞きします。
○内田国務大臣 私は、たいへん望ましい、いいことだと考えるものでございますが、ただ、いまの患者輸送車とかあるいは医者の巡回診療車と違いまして、まず維持管理、それから乗員の養成、訓練というものが一緒に伴わないとなかなか簡単に解決できないという問題がありますので、それを乗り越えるような状況まで至らないと、特定の、いわば私どもの言う親元病院でありますとか市町村に置いておくというところまではまだ進んでおりません。現状におきましては、緊急必要のある場合に他の方法が得られない場合には、自衛隊に要請して自衛隊のヘリコプターのごやっかいになるというような状態でありますが、私は、将来、何か医療の関係でもヘリコプターを持つということは非常に望ましいことであると考えます。
○川俣分科員 非常に期待していいのか希望を持っていいのかわかりませんが、乗員の訓練等でそう簡単にいかないということであれば、これはあまり御心配ないと思います。私たちの年代ではわりかたそういうものに関心を持っておるし、厚生省が本腰を入れて予算化その他これと取り組むという姿勢があれば、いまの世代の若い者はこれを受けて立つ用意は十分にあると思います。いま秋田のほうでそれを真剣に考えておるところがあるわけです。僻地をかかえておる自治体としては、無理もないと思います。これは雪道をかくのにブルドーザーを町がかかえるにしても、一日に何十万とかかるわけです。一冬に何千万とかかるわけです。そこで、どうです、大臣。総理用のヘリコプターが新予算に計上されております。それを、私、新議員ですからあまりわかりませんが、その辺をもし新予算に計上されているような事情があればお聞かせを願いたいと思います。
○内田国務大臣 いま述べましたように、私も希望を決して持たないものではございませんが、ただいま述べましたような諸条件もありますので、いまの人員の養成、訓練、維持管理等、可能性の問題ともあわせて私は検討してまいりたいと思います。
○川俣分科員 総理用の新予算はいかがですか。あるとかというお話を伺っておりますが……。
○内田国務大臣 これはどうも私の守備範囲の外でございますが、総理用のヘリコプターを買われたという話をまだ私は正式には聞いておりません。 なお、いま私は、私のうしろに会計課長がおりますので、一体ヘリコプターというものは小型で一台幾らするかということをひそかに聞きましたところが、小型で一台七千万円から大きいものになると五億円ということで、金額には必ずしも驚きませんけれども、こういうことも私は頭に置いて進めてまいりたいと思います。
○川俣分科員 過日、佐藤総理が日米交渉の御足労の際に官邸から羽田へお飛びになったというのは、国民に非常にニュースとしてよく記憶のあるところです。 そこで、私は、総理大臣のヘリコプターよりも救急患者のほうが先じゃないかという、そういうやぼなことを言うのではございません。秋田あたりで、僻地、辺地、過疎地帯としてはとっておきのモデルがたくさんございますから、そういったところでもう少し積極的に愛情の通った厚生行政と取り組むという意味で、ヘリコプター一機を考えていくということをある程度約束できないもんでしょうか。
○内田国務大臣 お約束はできませんけれども、私は、それを厚生省としてまことに望ましいこととして検討を続ける、こう申し述べるものでございます。
○川俣分科員 どうも私は新議員で興奮と緊張の質問でございますが、伺ってまいりましたことは、僻地対策を何とかせよ、過疎にされた地帯をもとどおりに戻してくれという叫びで医療問題を例にとって申し上げました。この点については、私は社会労働委員会の専属でございますから、さらに大臣の御意見を伺って深めてまいりたいと思います。 問題は、いまの政治のやり方というか、基本的な政治姿勢を直さなければ、幾ら厚生大臣が僻地の問題、そうして担当官は医者の足を僻地に向ける、過疎地帯に医者を確保するということを考えても、私は無理だと思うのです。人口が減っていく政治を片方でとっておいて、医者よ、僻地、過疎地帯に行ってくれと言うことは、これは政治じゃないと思うのです。これはやはり、先ほどお示し願ったように、決して日本の国の医者の数というのは、人口当たり、他国に比べてそう絶対数が少ないわけじゃない。ただ、もうかるであろうから大都市に集中して町村には集まらない。まして山間僻地、過疎地帯には行きたがらない。ここに政治というか、厚生行政というものが差しはさまなければならないことだろうと思うのです。これは別に私のような若輩の新議員が言うまでもなく、政治の大ベテランである厚生大臣は十分御存じだと思うのですが、その政治というのが何となくなくて、日の当たる場所に振り回されておる厚生行政だから、せっかく厚生大臣が大臣の席にお着きになられてもなかなか思うようになられないと思うのですけれども、やはり厚生行政なんというのはどだいこれはもうかるもんじゃない。厚生という仕事は、もうかる相談なんというものは大臣のやはり耳には一回も入らないと思うのです。私は医者が自然と過疎地帯のほうに行く。そうしたらその奥にある僻地の医療対策もだいぶ楽になると思うのです。町部にも医者がいなくなるような政治をとっておいて、どうして僻地に医者の手が届くかということです。話が少しそれますけれども、看護婦の問題だって私はそう思うのですよ。看護婦が足りないという世の騒ぎにこれは事務的にこたえたのか、こたえようとしたのか知らぬけれども、即席の看護婦をつくって厚生行政だなんてことを考える、これは政治じゃないと思う。いまの看護婦と同じくらいの数の看護婦資格を持って経験を持っておる看護婦が家庭にもぐってしまった、ほかの仕事に転職してしまった。そうではなくて、もとの看護婦という仕事に復帰させる、自然と復帰してくるんだというこれが政治だと思うのです。幾ら即席の看護婦をこれからつくっていっても、今度は条件が悪ければせっかくつくった看護婦がだんだんにドライにもとの別の仕事に転職する、こういうふうになると思うのです。 そこで私は時間もあれでございますから、人間尊重の七〇年代とか総理がおっしゃる。それから厚生白書にも国民の健康と福祉を高めることを任務としておる。厚生省、こういうように堂々とこの厚生白書にうたっております。今回の予算を見ても計画を見ても、うたい文句で何ら具体的な裏づけというか、国民があげていま厚生行政というものを内田厚生大臣に期待しておるわけですから、特に東北辺地、僻地、過疎地帯においての厚生行政というのは、これは残念ながら自民党政策の一環であろうけれども、ある程度これとけんかをするという意気ごみがなければ厚生行政というのは全うされないだろうということを痛感しながら、私は今回の予算案に対して遺憾の意を表して私の質問を終わりたいと思います。
○田中主査 以上で川俣君の質問を終わりました。 次は大久保直彦君。
○大久保(直)分科員 最近新聞のキャンペーン等で精神病その他のことが取り上げられておりますけれども、私は本日、わが国の社会福祉対策の中で一番立ちおくれが目立っておりました心身障害者、障害児の問題について大臣に二、三御所見をお伺いいたしたいと思いますので、忌憚のない前向きな御答弁を何とぞお願いをいたしたいと思うわけでございます。 一口に心身障害者といいましても、その精神、身体の障害はその程度に応じてさまざまでございますし、これに対する治療及び指導、それから社会復帰への施設と、方策等も多様をきわめているわけでございますが、身体障害福祉法第三条によりますと、「国及び地方公共団体は、身体障害者に対する更生の援助と更生のために必要な保護の実施に努めなければならない。」このようにうたってあるわけでございますが、この一節があまねく身障者、並びに身障児に対する基本的な姿勢であると同時に、身障者が一人も漏れることなく政府の責任のもとに手厚い処遇を待っておる、このように聞いているわけでございますが、初めに大臣にお伺いいたしたいことは、現在全国で約四百万身障者の数が推計されておりますが、その中で政府が早急に手を差しのべて収容または処理しなければならない身障者が何名くらいおるのか、この辺をどのようにつかんでおられるのか、直近数字をお伺いたしたいと思います。
○坂元政府委員 私から数字的なことをお答えいたします。 現在の心身障害者の実態というものが、いま先生のお述べになりましたように非常に複雑になっております。したがいまして私ども厚生省としましては、昭和四十年あるいは四十一年の実態調査というものをもとにして、全国的な実態を一応把握しておる、こういうことになっておるわけでございます。そこで身体障害者のほうから申しますと、四十年の調査によりますと大体百五十万人くらい全国にいるということに相なっております。一方精神薄弱者のほうは全国に五十万人がいる。もちろんその中にはいろいろな症状の重さ軽さの問題等がございますので、一がいには申し上げませんが、全国的な数は以上申したとおりの実情になっておるわけでございます。
○大久保(直)分科員 ただいま推定の総括的な数字をお伺いしたわけでございますけれども、その中で政府がすみやかに指導並びに治療、教育の施設に収容しなければならない方がどの程度おるのか、それをどの程度つかんでいらっしゃるか、その点をお願いしたいと思います。
○坂元政府委員 身体障害者関係なり精神薄弱者関係の施設というものは、まだまだ非常に不十分でございますので、いわゆる家庭にあってそのような施設に入りたいという希望の方が相当あることは事実でございますが、ただどの程度現に入所を希望しているかということについての詳細な調査は、これはなかなかできにくいわけでございます。したがいまして、現在のところ施設に入所している方が、先ほど申しました全国的な数字のうち、たとえば身体障害者の関係の施設につきましては二万五千人くらい、それから重症心身障害児につきましては約六千人、精神薄弱者の施設につきましては三万七千人くらい、このくらい現に入所をしておられるわけでございますが、その残りの方々が全部入所希望かどうかということにつきましては、必ずしもこれは正確な調査ができにくい面もございますので、一がいには申しにくいわけでございますけれども、まあ相当数の方がまだ施設に入りたいという希望を現に持っておられますので、私どもはそういう実態を踏まえて、今後施設整備に重点的に努力をしていく、こういう方向でいくべきだ、かように思っているわけでございます。
○大久保(直)分科員 ただいま御答弁がありました数字でありますけれども、いまの数字は四十一年でありますか。たとえば重症心身障害児の関係につきましては、ただいま六千名というお話がありましたけれども、私が手元に持っております保険福祉広報協会の調査によりますと、約一万三千人という数字があがってきているわけでございます。確かにいまお話がございましたようにいろいろと調査しにくい面、それはいろいろ範囲が複雑になっておりますので、無理もないところだと思いますが、大臣もすでに御存じだと思いますが、この施設並びに重症心身障害児の施設の不足ということが現在大きな社会問題にまでなろうとしておる。私たちはこういった問題について政府がより前向きに、特に低所得者層の中にあるこういった患者の方々の存在というものが大きく家計を圧迫しているし、またその家族に及ぼす影響、また家族が経済的にも心理的にも払う犠牲、こういったものが現在非常に深刻な事実になっているわけでございますが、この心身障害者、障害児の訓練、指導並びに治療、こういった収容福祉施設の設置計画が、現在厚生省にございましたならば、その具体的な内容についてお伺いいたしたい、このように思うわけでございます。
○伊部政府委員 社会福祉施設の整備につきましては、ただいま先生御指摘のように非常に不足をいたしておりまして、急速に整備するのでございます。そのため施設整備の長期計画を立てるため、ただいま事務当局といたしましてもいろいろ調査もし検討もいたしておる段階でございます。社会福祉審議会の施設分科会の御審議を経まして、すみやかに厚生省としての長期的な計画をまとめたい、かように考えておる次第でございます。
○大久保(直)分科員 調査もし研究もしておられるということでございますけれども、具体的に大体どこにどういうものを建てるのか、またその新設の施設が現状の不足をどの程度補えるものなのかというところまで伺いたいわけですけれども、大体三カ年もしくは五カ年計画でこういったことをやる予定である、そういった具体的なことはまだお伺いできないのでございますか。ただ調査、研究といいましても、じゃ具体的に何を調査し、何を研究しておられるのか、こういうことになるわけでありますけれども、もっと抜本的に三カ年なり五カ年なりの中、長期計画によってこの問題を逐次前向きに処理をしていくんだ、こういう基本的な姿勢がどうなっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○伊部政府委員 まだ三年、五年といったような具体的な線は出てまいりませんけれども、いずれにいたしましても、一つの目標を定めまして一定の期間内に整備をはかるということになろうかと思うのでございますが、ただいま、たとえば身障者につきましても本年度調査を実施する予定でございますし、老人につきましても調査を実施する予定でございますが、そういった調査も勘案しつつ長期計画をまとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○大久保(直)分科員 現状が非常に緩慢といいますか、先ほどの第三条を見ましても、政府が責任を持ってこれらの人々に対処しなければならない、その措置を講じなければならないということでございますけれども、現状は非常に立ちおくれている。先ほど申し上げましたとおり、はなはだ遺憾であるわけでございますけれども、このことにつきまして、その点あまりこまかく言っても具体的な答弁がございませんので、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、いわゆる社会復帰、家庭復帰の問題でございます。これらの患者の方々が一日も早く社会に復帰したい、また家庭に復帰をしたい、こういった要望が全国的にあるわけでございますが、こういった傾向について、もちろん大臣としてはその方向に善処されるというお答えがあると思うのですが、具体的に何かいま腹案なりお考えなりございますかどうか、その点をお願いしたいと思います。
○内田国務大臣 私が一番関心を示しております福祉施設に、老人に関する福祉施設と、それから身体障害者に対する福祉施設、それから児童に関する福祉施設でございますが、厚生省でこれらの福祉施設の数が二万をこえているわけでありますけれども、明年度における重点の施策といたしましては、いま申し上げました三つの対象にかかわる施策をぜひ充実をしていきたいと思います。これは前からそういうことでやってまいってきておりまして、御承知のように重症心身障害児等につきましては、国立の療養所等に新しい施設をつくりまして、そして毎年毎年何百床かのベッドをふやしておりますし、またかねて三年計画ぐらいでやってまいりました国立の心身障害児コロニーというものも、明年早々にはこれがいよいよ運営を開始するというようなところにも至っておりますので、それらの一環といたしまして、保護対策ばかりでなしに、治療してそしてリハビリテーションができる、家庭復帰ができるようなことにまで一貫しての施策を講ずるように、私は当局にも実は要望をいたしておるのでございます。また身体障害者福祉法についてのお話がございましたが、これも先生御承知と思いますけれども、その法律ばかりでなしに、身体障害者のことについては、子供につきましては児童福祉法の関係でも施策を講ずることになっておりますし、また精神薄弱者福祉法のほうからもその施策を講じておりまして、いわば現在三本立ての法律で施策を講じております。また私は最近国会におきまして、この身体障害者につきまして総合的な立法もなさって政府を激励されるというようなことも承っておりますので、それらのことを踏まえまして、でき得る限り、私はそういう不幸な方々の社会復帰に貢献するように督励をいたしてまいる所存でございます。
○大久保(直)分科員 いまの立法問題ではあとでまたお伺いしますが、いま大臣お話ございましたように、リハビリテーションの問題にしましても、現在東京と茨城でホームヘルパー制度というのを実施いたしておりますが、これは現実には社会復帰、家庭復帰というのは非常に困難でございますけれども、こういった制度を全国的に拡大をして、むしろ社会復帰、家庭復帰がより円滑に、スムーズに行なわれるようになされるべきではないか、このように思うわけでございますが、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
○内田国務大臣 身体障害者のホームヘルパー、家庭奉仕員の制度につきましては、私も全く賛成でございまして、四十五年度の予算におきましても、その家庭奉仕員に関する予算の新設ですか増額ですかをも組み入れておりますので、単に一地方だけに片寄ることなしに、そういう制度が全般的に行なわれることを助成をしてまいりたいと思います。
○大久保(直)分科員 いま組み入れておられるというお話がございましたのですが、介護手当、いわゆる介護負担、これは現在では非常に低額になって、負担が非常にかかってくるわけでございますが、せめてこれを五千円くらいのところまで引き上げることはできないものだろうか、こういった声が多々ございますので、こういった点もあわせて御検討願いたいと思うわけでございます。 私はここでひとつお伺いしたいのは、先ほど大臣のお話の中にもございましたように、いままでの心身障害者対策というものが政府のいろいろな積極的な努力にもかかわらず、現在必ずしも所期の目的に達しておらない、非常に立ちおくれておる、このようにいろいろな批判なり、または不満の声がちまたに満ちているわけでございますけれども、この最も大きな原因が、心身障害者に対する責任分野が非常に不明確ではないか、このように思うわけでございます。さっき大臣のお話の中にもございましたように、ある場合には児童福祉法、ある場合には精薄者福祉法ですか、それから身障者福祉法、こういった三本の法律でいろいろと適用されている。一応この話だけですと、非常に何か三つがうまく織りなして、うまくいっているようなんですけれども、現実問題は、この三つの児童福祉法から身障者福祉法に至るまでの法律のからみ合いといいますか、この責任分野が非常に不明確になっておるわけでございます。この点は大臣も十分御承知だと思いますが、私が申し上げたいのは、こういった身障者対策に対する発生の予防から医療、そして処置、教育、保護さらには家庭援護、研究共同開発等の問題にしましても、これは分散して行なわるべきものではない。いわんや児童福祉法の適用――十八歳未満までは児童福祉法で、十八歳をこえるとすぐその児童福祉法からはずされてしまう。その二年間の期間はあるわけでございますけれども、対人間にしましても、総合的な問題にしましても、これはすみやかにこういった身障者対策が一元化されるべきではないか、またその財政措置等も総合的に行なわれるべきではないか、こういう考えを特つわけでございますが、大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
○伊部政府委員 ただいま先生御指摘のように、身障者十八歳までは児童福祉法でございますし、それ以降は身障者福祉法によるのでございます。この場合、行政の一元化ということも一つの御意見でございますが、しかしまた十八歳未満の児童の場合におきましては、たとえば教育等児童特有の問題をやはり持っておるのでございまして、そういう児童福祉行政としてとらえていく必要もまた大きいのでございまして、そういったいろいろな、何と申しますかニードをどう調整していくかということだと思うのでございますが、いずれにいたしましても、関係諸機関が緊密な連絡をとりまして、先生御指摘のような目的を達するよう努力をいたしたいと考える次第でございます。
○大久保(直)分科員 よくわかったようなわからないようないまのお話なんですけれども、一元化のために前々から問題になっております障害者対策基本法、これは議員立法の形になっておりますけれども、そういったものをすみやかに次善の対策としてまずあげて、そしてそういう一元化していこうという御意思がおありになるのかどうか。それとも現行法で足りておる、このようにおっしゃるのか、その辺はいかがなんでしょう。
○伊部政府委員 対策基本法につきましては、各党がただいまいろいろ御検討いただいておる段階でございまして、厚生省側といたしましても、御意見によりまして十分勉強さしていただきたいと思っておるのでございますが、まだ小委員会で御検討の段階でございますので、その内容につきましてはまだ申し上げる時期ではないと思うのでございます。いずれにいたしましても行政の相互の緊密化ということは非常に重要なことでございます。その場合、身障者というサイドに重点を置くか、あるいは児童というサイドに重点を置くか、たとえば雇用という問題について、一般の雇用問題の一環として考えるか、身障者の雇用として考えるか、いろいろとらえ方の問題でございますが、いずれにいたしましても、緊密な連絡をとり、行政が一つの体系として動くようにするということはきわめて肝要なことでございまして、そういう意味におきまして、関係局あるいは関係省一体となりまして目的を達するよう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○大久保(直)分科員 ただいまのお話は、現行法のさっきの三本の法をより生かしながら各関係当局が連携を密にしていけば、現在の身障者対策がさらに進められ、またこの現在の問題が解決される、このようにお考えになっておられるのか、それとも、こういう行政所管等も各局に分散いたしておりますし、また執行体制等も、さっきおっしゃったように非常に一貫性が乏しい、こういった点から、現在のこの三つの法律を適用していくだけでなくして、より総合的にまとめた形でこの身障者対策というものを進めていくべきなのか、それとも現行法で足りておるのか、この辺の御見解をお願いいたしたいと思います。
○伊部政府委員 現在国会の御審議を経ました三つの関係法律があるわけでございます。まあ雇用関係を入れますれば四つになるわけでございますけれども、現在の立場といたしましては、これらの法律の機能を十二分に発揮をし、相互の連絡を密にしていくということで目的を達成するということが現段階でのお答えになろうと思うわけでございます。 なお、身障者行政を進めます上におきまして、いろいろ御意見のような点も十分慎重に検討させていただきたいと思います。
○大久保(直)分科員 私のお伺いしたいのは、厚生省、政府当局の、身障者の方々また家族の方々に対する誠意といいますか、その姿勢の問題であると思うのですが、現行ではいろいろな面でかなり支障を来たしておることは事実なんでございます。こうしたことを何とか改善をしていただきたい。何とか身障者また身障児がすみやかに社会復帰なり家庭復帰できるような対策を講じてもらいたいという声は前々からあるわけでありまして、先ほど発表がございましたように、その施設等についても現在全く立ちおくれておりまして、私どもが国会の場でこんなことをいまさら取り上げるまでもなく、すでにいろんな問題が解決されてなければならないと思うのでございますけれども、現行法では、分散した責任体制の不明確な点から、せっかくの政府の御熱意また御努力も実っていないんではないか、こういった点を、くどいようでございますけれども、あらためて伺うわけなんですが、何とか前向きに、この現在の不足を補うためにも、こういった総合的な対策促進の面から障害者対策基本法の早期成立を大臣は望んでおられるかどうか、その点を忌憚のないところをお願いしたいと思います。
○内田国務大臣 政府委員からお答え申しておるような次第でございますが、私は正直に申しまして、いま身体障害者基本法の問題が取り上げられておるということは、それが必要な事態が方々に認識されているがゆえに私は取り上げてこられている問題だと思うのでございまして、せっかく議員の皆さま方が検討せられております法律案に、いま私がここであれこれ言うことは申し上げるべきではないと思いますが、そういう事態を踏まえまして身体障害者あるいは身体障害児対策の前進を私ははかってまいる所存でございます。
○大久保(直)分科員 大臣のお立場からその議員立法を早く提出するように督励されるまでの大臣に強い御意思がおありかどうか、その辺はいかがでございましょうか。現在あまり積極的でないわけなんです。一時橋本先生が音頭をとっていらっしゃったころには積極的だったのですけれども……。
○内田国務大臣 衆議院の社会労働委員会にそのための小委員会がこのたびまた設けられまして、小委員長も御指名になられたわけでございますので、この処置につきましては小委員会の皆さま方と十分私もお打ち合わせをして、お互いに意見を交換をいたしまして、事態の改善のために私は進めてまいりたい、こういう気持ちでございます。
○大久保(直)分科員 この身障者対策ということは、身障者自体が非常に日の目を見ないといいますか、非常にお気の毒な立場にあるわけでございますし、大臣のそういった方に対するあたたかい御配慮等も十分にいろいろないままでの御答弁からもうかがえるわけなんですけれども、ただ、いろいろな実行の面で予算措置の問題に常にぶち当たるわけなんですが、大蔵大臣のほうもかなり難色を示されておるようでございますし、なかなか予算がうまくついてこないといういろいろな御懸念もあるのではないかと思うのですが、このいろいろな福祉施設やまたそういう医療施設等の設立の実現のためにも、大蔵省当局と厚生大臣とのお話し合いはどんなふうになっておるのか、簡単にお願いいたしたい。
○内田国務大臣 実はこの社会福祉の施設につきましては、一本で大蔵省と折衝をいたしまして、総額で全体としてきめてまいりました。あとのそれらの目的別の配分につきましては、厚生省が案を立てまして、そうして大蔵省と折衝することになっておるわけでありますけれども、昭和四十五年度の予算におきましては、四十四年に比べますと、これらの施設の整備費につきましてはかなりの予算の増額を見ることができましたので、それを基礎といたしまして、これらの施設につきましては、全部が国費ばかりではなしに、地方公共団体等とのお金の出し合いの問題、あるいはまた社会福祉法人等に対する融資等々の問題もございますので、それらの全体の縦横の関係を見ながら、実は私どものほうにあります設備の助成費の総額は五十三億円でございますが、それの配分につきましては、私が冒頭に申しましたような老人施設、身体障害者施設、それから児童施設という三本を特に重点にしてこれを配分いたしまして、先生の御心配になるような事態をできる限り改善していく方向に努力をいたしております。
○大久保(直)分科員 時間も参りましたのでこれで終わりますけれども、より積極的に前向きな大臣のいろいろなお考えをすみやかに実現をしていただくことを心より要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○田中主査 以上をもちまして大久保君の質問を終わります。 次に、大橋敏雄君に質問を許します。
○大橋(敏)分科員 私は、児童手当に関しましていまから数点お尋ねしたいと思いますが、実はきのうわが党の小川分科員がすでに質問したと思いますけれども、それをさらに掘り下げまして、確認の意味も含めましてお尋ねするわけでございますので、明確なる答弁をお願いいたします。 私がここで申し上げるまでもなく、国民の児童手当の実現に対する期待というのはこれは言うまでもない。また児童手当が必要であるかないかとかいう問題は、もう論議され尽くされております。当然必要であるという結論に達しているわけです。というわけで、まず国民のいま児童手当に対する関心といいますか、期待というものは何かといえば、国がいつ実施をするのか、この一点に私は焦点が移されていると思います。ところが、もう何回も論議されておりますように、今回政府が児童手当に対するそういう予算を見ますと、二千万円という調査費が組まれただけ。そういうことでとにかくわれわれは、政府の政治性に対して不信を抱き、公約違反ではないかということを国民の意思を代弁して、今国会でも矢野書記長が、たしか二月の二十一日だったと思いますが、総括質問で政治性をただしております。また、私もさらに矢野書記長の質問を確認する意味におきまして、二月の二十五日の総括質問でもお尋ねしたわけでございますが、そのときは、総理大臣をはじめ大蔵大臣もそして直接の担当大臣である厚生大臣も、きわめて前向きな答弁をなさったわけであります。その御記憶がまだ明らかであろうと思いますが、とにかくそのときの答弁を要約いたしますと、四十五年度実施できなかったことは残念であった、申しわけなかった、しかし、四十六年には何とか実現したい、こういう結論であったように私は記憶いたしております。ところが、そのようないわゆる再度の公約をなさって、いま二十日くらいしかたっておりませんけれども、実はきのうの一般新聞にいろいろと児童手当のことについて報道されております。中でもサンケイ新聞には第一面に凸版見出しで、「児童手当て八月答申はムリ 試案をタナ上げ財界代表の尚早論で」また「企業負担に反対四十六年度実施も伸びそう」このようなサンケイ新聞の大きな記事が出ているわけでございます。私はこれを見て少なからず深刻なショックを受けました。これがほんとうならばたいへんなことだ。このようなショックは私一人のみならず、先ほど申し上げましたように、国民がいつ国が実施するんだろうか、四十六年度には今度は必ずや実現をするであろうと再び期待を寄せていたのが、この新聞記事を見られた方々は大きな不安とまた不信を抱かれているのではないか、私はこのように思うのであります。一体、大臣が総括質問のときに答えられたことがほんとうなのか、また審議会でこうこう言われているということを報じておりますサンケイの報道が真実なのか。私は一流新聞のサンケイさんの報道ですので、まさかこれが誤って伝えられているとも考えられませんし、そういう点で非常に疑問を持っておりますので、この点まずはっきりとお答え願いたいと思います。
○内田国務大臣 児童手当の問題を進めます段取りにつきましては、去る本会議あるいは予算委員会におきまして総理大臣並びに私が申し述べましたことと、その後の事態は何ら変化はございません。一部の新聞に取り上げられましたただいま御指摘の記事を私も拝見をいたしましたが、見出しはいささかショッキングにお受け取りになられたかもしれませんが、中をごらんくださると、ごくあたりまえのことが書かれているだけでございまして、児童手当審議会が一昨日開かれたはずでございますけれども、その審議会における問題の取り上げ方の筋道としては、おおむねその新聞の記事のようなことで進んでおると私は思います。また私は前にも申し述べましたように、審議会に対しまして八月ぐらいまでに何らかの基本的なまとまった形の構想を政府に御答申いただけるように強く要望申し上げていることにつきましても、審議会のほうからそれがむずかしくなったというようなお話はただいまのところ全く聞いておらないのでございます。
○大橋(敏)分科員 いま大臣の答弁を伺っておりますと、全然内容が変わっていないのだということではございます。それじゃ新聞の見出しが極端にオーバーなんだ、こういうことになるわけでございますが、私は新聞記者の方でもそう自分かってに自分の考えを表現なさるはずがないと思うのです。やはり何かどこかにこれだけの表現をされるだけの根拠をお持ちだからこそ書かれているのだろうと思うのです。たとえばその記事の中に、審議会が「ふり出しに戻して審議し直すことを決めた」こうあるのですね。私たちはこういう表現を見ますと、これは重大な問題だ、いままで児童手当懇談会、さらには審議会が続きましてもう十数回、相当の数にのぼる審議が尽くされてきたのが、また振り出しに戻る。これはいつのことになるのだろうかというような思いもいたします。いま大臣が、八月には答申をいただいて何とかする気持ちは少しも変わっていないのだと言いますけれども、この「ふり出しに戻して審議し直す」ことがきめられたという、これは非常にまた疑問です。こういうところをもう少し納得いくようにお答え願いたいと思います。
○内田国務大臣 先般も申し上げましたように、この国会一ぱいの間に、審議のその時点における経過、問題点につきまして何らかの形において国会に御報告を申し上げることになっておりますので、私はやはりそういう気持ちも変わっておりません。 いまお読みになりました、振り出しに戻ってという意味は、私が就任いたしまして児童手当審議会の会長以下の方々とお目にかかりましたときに、すでにこれまで私どもが聞いております斎藤試案というようなものではにっちもさっちもいかないで行き詰まって答申が出せない、あるいは案の内容に立ち入りませんけれども、大橋先生御承知のとおり一本の姿にした形でございまして、でありますのであれにとらわれないでもよろしいか、審議会として審議会構想を別に自由に討議してよろしいか、こういう実はお尋ねが初め第一回のときに私にございましたので、それは一つの試案なんでしょうし、したがって、審議会としてこういうことでやるべきだ、こういうことならやり得る、また関係方面も説得できるという、ひとつ自由な案をつくっていただきたい、こういうことで申し上げておりますので、おととい会合がありましたときに振り出しに戻ったというのは、もう新しい人が来て初めからやり直すということではないので、いままでさんざん尽くしてきた議論もありますので、これらの議論は有効に生かしながら児童手当というものの編成のしかたについて、斎藤試案にとらわれない、こういう意味だろうと私は解しております。実は私が国会を終えまして厚生省に帰りましたときに、ちょうど有澤会長とも出会いましたが、有澤会長から私に対して、きょうの会合でこういうことになったから厚生大臣そのつもりで心得ておけというような変わったお話は何もございませんで、私は所期の期待どおりに審議会が自由に議論をなさっておるものと考えております。
○大橋(敏)分科員 審議会のいわゆる児童手当のたたき台としては、前の厚生大臣の斎藤構想というものと有澤会長の有澤試案という二つの案が出されて、それがたたき台として今日まで審議が尽くされてきたと思いますが、いまの大臣のお話によりますと、要するにこういう今日までのたたき台になってきた案というものは、もうこれ以上どのように審議を尽くしてもだめだ、また新しい立場で考えを進めていかない限りは結論は出ないと、こういう意味での振り出しだ、こういうように感じていいということでしょうか。
○内田国務大臣 私はそのとおり解しております。
○大橋(敏)分科員 それじゃもう一度、くどいようでございますが確認いたしますけれども、総括質問のときにお答えになりました、八月一ぱいまでに審議会の答申を受けて、四十六年度に児童手当の概算要求をするという御意思、これは大臣としてはいささかもまだ変わっていないということですね。
○内田国務大臣 私は予算委員会におきましても、あとの段取りがあるので――段取りというのは、それは砕いて言えば概算要求の時期ということもございましょうし、あるいは予算編成の時期というものもございましょうが、そういう表現は私はいたしません。あとの段取りがあるので、その段取りの中にはさらに、これは何もかにも申しますと、与党の政調会との打ち合わせとかいうようなものもあるわけでございますが、あとの段取りがあるのでできる限り八月一ぱいに答申をほしい、こういうことで私は態度を表明いたしておりますと、こういうことを申し上げておることは変わっておりません。
○大橋(敏)分科員 それじゃ四十六年度の予算に児童手当を盛り込むためには、どうしても八月までには答申を仰がなければ間に合わない、そういう意味から八月までには何としても答申を受けたいということを言って、それは変わっていない、こういうことですね。それならばこの新聞の報道からいけば、八月の答申は無理じゃないかとこうあるのですね。無理じゃないかということになれば、かりに八月に間に合わないということになれば、もう四十六年度も確かにこれは見送りになるということに通ずると私は思うのですけれども、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○内田国務大臣 私は八月からおくれた場合にはということはいまのところ考えておりません。あとの段取りがあるから八月一ぱいにぜひお願いをしたい。しかしそれは一つの案で、別に少数意見がついているというようなことでは困るので、これは審議会には御承知のとおり各方面を代表せられておる方々が入っておりますので、その背後関係とのつながりというものもあるわけでございましょう。でありますので、そういうところのコンセンサスをも得られるような形の案にすることと、しかも時期はひとつ八月一ぱいぐらいまでに、あとの段取りがありますので、ということを申し上げておるわけであります。それから私は、むずかしい場合にはどうこうということは目下のところ何も考えておりません。
○大橋(敏)分科員 それじゃあくまでも大臣は八月までに答申を何としても出していただきたいという気持ちはもういささかも変わっていないのだ、こういうふうに理解していいわけですね。
○内田国務大臣 現在のところそのとおりでございます。
○大橋(敏)分科員 それではもう一つ確認いたしますが、答申が出れば直ちに立法化に着手するということは、これはもう変わりませんね。
○内田国務大臣 当時大橋さんからもお尋ねがあったかもしれませんし、矢野書記長からも立法のことについてもお話がございました。私はそれは児童手当というものは巨額のお金を支出したり、またその財源の負担の問題もからむ問題なので、法律がなければやれない制度であります。したがって答申を得た後の段取りの中には、予算措置のみならず法制化の段取りも入っておると、こういうことを申し上げてあります。
○大橋(敏)分科員 それではもう一つの確認事項ですが、さらに書記長が、今国会中に答申を仰いだらどうだ、そのように要請したらどうか、こういう質問をしましたら、大臣は、まあ議員さんの要望ですのでお伝えばしますけれども無理だと思う、もし無理だということがはっきりするならば、今国会中に審議の過程を報告してもらってその骨子を提示いたします、今国会中に提示いたします、こういうことでございましたが、この意思もお変わりないものと私は考えますが、いかがでしょうか。
○内田国務大臣 審議の経過並びに問題点を御報告を申しますと言っております。
○大橋(敏)分科員 それではいまこうして一般新聞に報道されている内容から見ますと、相当の不安を感ずるわけです。一般国民の方は児童手当がまた四十六年もだめになるのじゃないかという心配を大きく持っておりますので、いまの審議会の経過、その骨子を提示するとおっしゃったことを、できるだけ早く、一日も早くやっていただきたい、私はこう思うのですけれども、大臣としては大体いつごろその経過を出すお考えがあるか、お伺いいたします。
○内田国務大臣 今国会の会期中に経過並びに問題点を御報告を申し上げる。おそらくその骨子というものはこの国会の間じゅうにはまとまり得ないだろう、骨子ができるのは私はやはり八月一ぱいというようなことになるだろうと思いますので、ことばづかいも問題点とこういうことにして御理解をいただきたいと思います。
○大橋(敏)分科員 それではいまも言いましたように、一般新聞には振り出しに戻るというような表現もありますし、こういうことからいきますと、おそらく八月には間に合わないのじゃないかというようなことなどとか、それぞれに心配はあるわけですので、そういう点、国民の不信、不安をぬぐう意味において、審議会の今日までの経過はこうこうこうであった、そして問題点がこう出ているんだぞということで、一日も早く国会ないしは委員会にそういうことを明らかにされることが、国民に対する義務ではないか、また国民の不信や不安を取り除く最大の要件ではないか、私はそう思いまして、だから早くそれを行ないなさい、こういま要望しているわけです。いつごろやられるのかとこう聞くわけです。
○内田国務大臣 早くまとめていただくことがきわめて大切でございますが、国会に御報告することをあまり早めますと、各委員の意見が不統一の状況を報告するというようなことになりまして、ますます不安、心配の種をつくるようなことになってはということを私はおそれるものでありますので、なるべく向こうへ持っていって、少しでもまとまりの可能性のあるような状態のもとにおいて御報告できれば、ということを実は考えておる次第でございます。
○大橋(敏)分科員 私は決して中間答申をとれと言うのではないですよ。いまの経過でいいから早くその内容をとって国会に出すべきである、あるいは委員会に提示すべきである、こう言っているわけですから、私の言わんとする気持ちを、意をくんでもらって、それこそ一日も早く出すという方向で今後進めていただきたい。 それからもう一つお尋ねするのですけれども、くどいようですけれども、振り出しに戻るというような表現があることについて、審議会は何十回も審議しながら一体いままで何をやっていたんだという感じを率直に言って受けるわけです。かりに何かの考え方、先ほどの大臣の答弁では一切がっさいが白紙になるのではない、方向転換するだけであって、続くんだ、いままでの審議の上積みになっていくんだ、こういうお話があったわけですけれども、それにしてみても、ただ、いまの試案では行き詰まってしまう、これだけでは私はどうも納得いかぬわけです。そこにはもっと何か的確なあるいは根拠になるべきものがあるのではないか、そういうふうに新聞記者の方に感じさせた何ものかが、奥深いものがあるのではないか、私はこのように感ずるのです。ただ、いままでの試案とかあるいは構想、それだけではだめだからもうやりかえるんだということでは説得力がないといいますか、納得いかないわけです。そういう点、もう少し具体的に答弁願いたいと思います。
○内田国務大臣 新聞社がお使いになった振り出しに戻るという表現は、いわゆる斎藤試案というものにとらわれない、こういう意味に解していいのではないかと私は思うのでございます。
○大橋(敏)分科員 実はおとといですか、児童手当審議会にILOの児童手当に対する意見が提示されたやに私は聞いているわけでございます。その内容も私は一応見たわけでございますが、それは確かに各国の児童手当制度の目的という問題で、これは目的論になっておりますが、それ自体から入っていったということになれば、確かにこれはまた問題だ。しかしILOがすでに児童手当の必要性をはっきりうたっておりますし、あれやこれやを総合して見ていきますと、一日も早く実現しなければならぬことはもう明らかでありますし、こういう点私何となくもやもやするものがあるわけです。ただ斎藤構想だけではだめだ、あるいは有澤試案だけではだめだ、こういうことだけで振り出しに戻ったという表現が出たようには考えられない。そういうところでもう一歩深い大臣の考えを聞かしていただきたいわけです。
○内田国務大臣 たびたびのお尋ねでございますが、これは実は斎藤構想というものがあるんだから、最初に私もひとつ何か構想を出しましょうかと言いましたところが、いや、それは困る、そういうことをしたらまた暗礁に乗り上げるから、われわれがつくるものを見てください、実はこういうお話でございました。私は別にここで内田構想というものを持っていたわけではございませんが、お手伝いをいたしましょうかという意味で申し上げましたところが、審議会にまかした以上は審議会にまかせろ、こういうお話でございますので、私はその目的なり、あるいは第二子から出すべきか第三子から出すべきかとか、あるいは負担は国、地方団体、財界がどういうふうに負担すべきであるとか、あるいは年金でいえば厚生年金と国民年金が二つあるように、二つに分けて、そして被用者に関する児童手当は第一種被用者児童手当のような形にし、中小企業や農民など一般国民に属するものは第二種児童手当というようなものをつくるというような、そのどちらがいいかというようなこと、いろいろあるでしょうけれども、私はそれについて口出しをしないことになっておりますので、どうぞそのように御承知をいただきたいと思います。
○大橋(敏)分科員 とにかく今度の審議会の中で大きな問題になっているのは、やはり財源問題だろうと思いますが、今度、また新聞の内容ですけれども、財源負担で財界が反対したためにだめになった、このような印象も受けるわけです。単にそういう一つの問題だけではないことは、いままでの御説明で十分わかってはきましたけれども、最終的に私の感ずるところは、政府のいわゆる児童手当に対する姿勢ですね。ほんとうにやる気があるのかないのか、政府の一念心で私はきまるんじゃないかと思うのです。金がかかることは当初からわかっていることでございます。いまあらためて出てきたわけではないのですから、何としても実施するのだ、実現するのだということになれば、私は、偉大なる自民党政府ですので、これはどうにでもなる、極端な言い方かもしれませんけれども、そう感ずるわけです。たとえば防衛費などは、これは特にばく大な予算が優先的に確保されていっておるように感じられます。そういう点になれば、要は自民党政府、中でも厚生大臣がその強い一念心を披瀝されるならば、それに財源はついてくるのだろうと思います。その点、厚生大臣の熱意いかんをここではっきり示してもらいたいのです。
○内田国務大臣 大橋先生の熱意をとくと承った次第でございます。
○大橋(敏)分科員 まず児童手当を実施するために政策目的をはっきりしなければならぬと思うのですよ。人口問題あるいは人口政策なのかとか、社会保障一般の立場に立ってやるのかとか議論されておりますけれども、そういう点も大臣自身審議会に試案を出すとか出さぬとかいうことじゃなくて、しっかりした考えを持たなければならないということでございます。 何か次の委員会がまたあるということで、お急ぎのようでございますから、結論として、最後に私は児童手当をどのように国民が期待しているか、待っているかということを、実例を引いてちょっとお話をしておきます。これは群馬県太田市新井町に住まわれている岡崎さんの一家でございます。この方は八人の子持ちです。上の方が長女でありまして、九つ、八つ、六つ、四つ、三つ、二つ、一つ、それに零歳の八人いらっしゃる。この方は現在群馬ですけれども、昭和四十二年一月以前までは東京の品川区で生活していらっしゃった。東京都はいま実施されておりまして、三千円支給だというのですよ。第三子から見ても東京にいれば一万八千円は入ってくることになるわけです。実際四十五年度から国が実現するということになれば、この人も非常に嬉しかったことであろうと思いますが、そのつらさは子供の作文にまで出ております。ちょっと作文を読みますからよく聞いておいてください。「児童手当が楽しみです」「太田市立九合小学校三年岡崎香」「私は去年の秋、お父ちゃんから「一人三千円ずつ児童手当がもらえるようになるよ」と聞いて、毎日楽しみに待っていました。東京のお友だちはもう児童手当をもらっているんだって。どうして群馬はまだ出ないのかなあ。私はお父さんに「東京へもどろうよ」などと冗談をいうと「いつかはどこでも出るのよ」とお母さんはいった。ほんとうに三千円ももらえたら、そのときの使いみちは、もう私は決めてあるの。千円は毎月の給食費に、千円は貯金に、あとの千円はお母さんにあげるんだ。私は兄弟が八人もいるので、お母さんがみんなのために何を食べさせようかなと考えているのを見たり、山ほどのお洗たくを毎日しているのを見ると、どんなことでもお手伝いをしてあげようと思う。もし児童手当がもらえたら、お母さん喜ぶだろうなあ。」これがこの作文でございます。八人いるのですね。東京にいればもうすでにもらえたのです。少なくとも四十六年度には実現するであろうと期待していらっしゃる。そういう現実の多子家族の要望もございます。それを踏まえた上で一そうの努力を望む次第でございます。 最後に一言所信を伺ってやめたいと思います。
○内田国務大臣 ただいまの作文もとくと承りましたので、承知をいたしました。
○田中主査 以上をもちまして、大橋君の質問を終わります。 この際、本会議散会後直らに再開することといたし、暫時休憩をいたします。 午後零時十二分休憩 ――――◇――――― 午後三時二十一分開議
○田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。 政府から説明を求めます。野原労働大臣。
○野原国務大臣 昭和四十五年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計の歳出予算額は一千百八十一億一千五百二十五万三千円で、これを前年度予算額一千百四十三億二千八百六十二万三千円に比較いたしますと三十七億八千六百六十三万円の増加となっております。 労働者災害補償保険特別会計予算は、歳入歳出予算額ともに二千三百四十三億五千五十一万八千円で、これを前年度予算額一千八百七十一億六千七百四十三万四千円に比較いたしますと四百七十一億八千三百八万四千円の増加となっております。 失業保険特別会計予算は、歳入歳出予算額ともに二千七百三十五億七千三百二十八万五千円で、これを前年度予算額二千三百八億八千六百五十万一千円に比較いたしますと四百二十六億八千六百七十八万四千円の増加となっております。 最後に、石炭対策特別会計中、当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として八十五億五千二百八十七万四千円を計上しておりますが、この額は前年度予算額七十六億三千六百五十七万円に比較いたしますと九億一千六百三十万四千円の増加となっております。 次に、そのおもな内容について、概略を御説明申し上げます。 その一は、労働力不足下における積極的雇用政策の推進に必要な経費であります。 現在、大きな問題となっております労働力不足は、引き続く経済の拡大と、新規学卒者の減少等により、今後ますます本格化する情勢にあります。 このような情勢に対処するためには、産業界自身の努力による労働生産性の向上や労働力のむだづかいの是正等と相まって、国民の一人一人の能力が真に有効に発揮される体制をつくり上げることが、今後の雇用政策の基本的な方向であると考えます。 このため、まず第一に雇用に関する情報サービスセンターの新設、職業紹介の即時処理化の拡大等、雇用情報の積極的提供と職業紹介体制の刷新強化をはかり、職業安定行政機能の向上をはかることとしております。 次に、新規学校卒業者につきましては、職業適性検査の実施、年少就職者相談員の増員を行なうほか、勤労青少年センター、勤労青少年体育施設等を設置して、勤労青少年の職場に対する適応、職業生活の充実をはかることとし、また、中高年齢者の雇用を促進するため、職業紹介の強化、就職のための各種給付金の引き上げ、高齢者の雇用奨励についての特別措置の実施等を行なうこととしております。 失業対策事業につきましては、就労者の賃金を二二%引き上げることといたしましたが、特別失対事業につきましては、紹介対象者の高齢化等により本来の趣旨を実現することが困難となったことなどのため廃止することにいたしました。従来の就労者につきましては、公共事業及び一般失業対策事業等において就労を確保することといたしております。 炭鉱離職者の雇用対策につきましては、前年度に引き続き、緊急就労対策事業及び産炭地域開発就労事業を実施するほか、炭鉱離職者就職促進手当の引き上げ等を行ない、離職者援護事業の充実をはかることとしております。 最後に、総合農政推進のための労働力対策につきましては、農業従事者の転職等の円滑化をはかるため、相談員の新設等による職業紹介体制の確立、農業者転職訓練の実施等総合的な体制の整備をはかることとしております。 これらに必要な経費として八百十七億二千七百四十三万四千円を計上しております。 その二は、新職業訓練体系の整備と計画的拡充に必要な経費であります。 産業の発展、技術革新の進展に伴い、労働者の職業能力を積極的に開発向上し、職業人として必要な知識及び技能の高度化、多様化をはかる必要があります。このため、昨年、職業訓練法の全面改正をはかったところでありますが、新制度の展開にあたっては、西欧並みの水準にまでわが国の職業訓練を引き上げていきたいと思います。 このため当面、訓練生倍増をはかることとし、まず事業内職業訓練について、運営費補助単価の引き上げ、機械設備補助制度の創設等によってその飛躍的な強化をはかるとともに、公共職業訓練施設につきましても新設拡充、職業訓練実習経費の増額等をはかってまいります。 技能検定につきましては、二百職種実施を目標に、技能検定職種の拡大、技能検定協会の充実等をはかることとしております。 また、本年十一月わが国で開催される国際職業訓練競技大会について助成を行なうとともに、卓越した技能者の表彰、青年技能労働者の国際交流を推進して、社会一般の技能尊重の機運を一段と盛り上げたいと考えております。 これらに必要な経費として百五十五億七千六百三十一万二千円を計上しております。 その三は、総合的労働基準行政の新展開に必要な経費であります。 経済の発展、技術革新の進展等によって労働条件、労働環境等は著しく変化しつつあり、また、これに伴って新たな労働災害、職業性疾病が発生する等各種の問題が生じております。 このような新たな事態に対処して、労働条件の向上をはかり、労働者の安全と健康を確保することは、豊かな勤労者生活を実現するための基本的な条件であると考えます。 まず、快適な職場づくりを行ない労働者の健康を守るためには、職業性疾病の予防、治療、リハビリテーション等を通ずる一貫した科学的研究体制を確立する必要があるので、あらたに産業医学の総合的研究機関の調査を行なうことにいたしております。 また、労働者の安全を守るためには、労働災害の多い業種等に対する監督指導の強化、労働災害の科学的分析究明、民間企業の自主的な災害防止活動の促進等により労働災害防止対策の積極的な展開をはかってまいりたいと存じます。 さらに、中小企業等における法定労働条件の確保の徹底、最低賃金制の普及推進等、近代化のおくれた分野等に働く労働者の労働条件向上施策を推進するとともに、家内労働者についてはその法的保護を進めるため、前通常国会に引き続き今国会に家内労働法案を提出いたしております。 労働災害による災害補償の充実については、経済成長に相応した補償が行なえるよう労災保険制度を改善することとし、所要の法案を今国会に提出いたしております。これらに必要な経費として四十億二千四百五十三万三千円を計上いたしております。 その四は、身体障害者に対する総合的労働対策の推進に必要な経費であります。 身体障害者に対する労働対策といたしましては、その能力に適合した就職を促進することが基本的な方向であると考えますが、このためには、医療、リハビリテーション、職業訓練、職業紹介、就職後のアフターケア等を通ずる一貫した連携体制を確立する必要があります。このため、身体障害者に対する機能回復訓練、職業訓練の充実強化をはかるとともに、社会復帰指導員制度を創設するほか、身体障害者の職業指導、職場適応指導等を専門に行なう身体障害者職業センターを新たに設置することといたしております。これらに必要な経費として十一億七千六十七万円を計上いたしております。 その五は、総合的婦人労働対策の積極的展開に必要な経費であります。 経済の高度成長に伴ない、婦人の社会的、経済的役割りはますます高まってきておりますので、婦人の能力の開発、向上をはかり、その有効発揮を促進する必要があります。このため婦人の職業能力の有効発揮についての啓発活動の実施、パートタイム雇用制度の整備、職業講習の実施等、中高年齢婦人の雇用の円滑化を推進するとともに、働く婦人の家、内職公共職業補導所の増設、勤労者家庭ホームヘルプ制度の拡充などの施策を行ないます。これらに必要な経費として三億六千四百三十六万円を計上いたしております。 その六は、勤労青少年の職業人としての成長のための対策の推進に必要な経費であります。 次代をになう勤労青少年のすこやかな成長をはかることの重要性は言うまでもありませんが、最近、勤労青少年に関しては安易な離転職、職業生活への不適応等の憂慮すべき問題が生じております。このような事態に対処して、勤労青少年が職場の内外を通じ、その活力を健全に発揮できるよう積極的な援助を行なうための総合的施策を展開いたしたいと思います。このため、勤労青少年に対する職業指導、職業訓練を拡充するとともに、勤労青少年のグループ活動の積極的奨励、勤労青少年ホーム等の福祉施設の拡充、特別協助員制度の新設による指導援助の強化等を行なうことといたしておりますが、これらの総合的施策の体系を確立し、勤労青少年の福祉の充実をはかるため、勤労青少年福祉法案を今国会に提出いたしたいと思います。これらに必要な経費として二十億七千四百七十七万一千円を計上いたしております。 その七は、新局面を迎える労政の積極的展開に必要な経費であります。 一九七〇年代においては、経済社会の諸情勢は大きく変貌することが予想され、労使関係も新たな局面を迎えようとしております。このような情勢にかんがみ、長期的展望のもとに時代の動きに即応した望ましい労使関係を形成し、労使の社会的責任の自覚により労使間の諸問題を合理的に解決する機運の醸成をはかるため、産業労働懇話会を開催する等の諸施策を講じてまいりたいと思います。 また、中小企業につきましては、労務管理の改善に必要な助成を強化するとともに、中小企業退職金共済制度について、給付に対する国庫補助の増額、掛け金月額の引き上げ等の改善をはかるため、中小企業退職金共済法の一部改正案を今国会に提出いたしております。これらに必要な経費として十三億五千三百三十七万六千円を計上いたしております。 以上のほか、労働外交の積極的推進、労働保険の徴収一元化、その他一般行政事務費等に必要な経費を計上してあります。 以上、昭和四十五年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。 何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。
○田中主査 これにて説明を終わりました。 ―――――――――――――
○田中主査 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原分科員 いま労働大臣から本年度予算についての御説明があったのですが、私質問に入ります前に一つお尋ねしたいのです。 これは世間でもいわれているのですが、例年のことですけれども、本年度の労働省の予算は、一般会計で三十七億円しかふえておらぬわけですね。伸び率からいいまして、非常に少ないわけですよ。労働大臣は、この原因についてどうお考えになりますか。たとえば圧力団体がないとか、大蔵省が反労働者的であるとか、自民党が労働問題に理解がないとか、または労働省自体が熱意がないとか、これはどこが原因だとお思いになりますか。
○野原国務大臣 労働省へ参りまして感じましたことは、確かに圧力団体がないということは事実でございます。予算等につきましてほかの面ではかなり活発な動きもあるわけでございますが、その点はまことにきれいな役所である、このことを痛感いたしました。しかし、さらばといって労働省の予算が非常に軽視されておるかということになりますと、必ずしもそうではないと思います。労働省の予算は、最近の雇用関係等々の好転を反映いたしまして、特別失対事業の廃止等の事情で御指摘のような伸び方を見なかったわけでございますが、必要なものにつきましてはかなり前向きの予算が今度の予算に出ておるという点で、必要最小限のものは十分に確保されておるわけであります。ただ、全体的に見れば、確かにこの経済の大きな成長のもとになっておる労働行政といたしまして、伸び率がわずかに三%余りというようなことでは、見方によりますと必ずしも十分ではない。このことは、やはり基準局関係の人員の拡充等につきましても七十五名ほどの増員を認められたわけでございますけれども、これは相当の要求もあったやに伺っております。あるいは職業安定の業務等につきましても、必ずしも十分ではない。特に婦人労働の重要性がますます加わってまいる際におきまして、各地におきます婦人少年室等の陣容等は、はなはだ遺憾ながら十分とは申せないわけでございます。そういう面で、今後日本経済の大きな発展の基礎でございます労働行政を預かるものといたしましては、この点を考えますると、どうもはなはだ遺憾な予算だといわざるを得ない面もあるわけでございますが、これは少なくとも明年の予算の要求においては思い切った労働省の予算の拡充強化をはかりたいと考えておりますので、いまからその準備をして、皆さま方の格別の御協力をいただきたいと考えておるわけでございます。
○大原分科員 労働基準関係とか、労働災害、職業安定とか、いまお話しのようなたくさんの重要課題があるわけですが、あなたのほうから先おっしゃったので、私申し上げません。それから大臣、答弁をできるだけ簡単にお願いします、時間がありませんから。国際労働外交に非常に力を入れているのだ、ここに、終わりのほうに書いてありますね。予算はどのくらいふえましたか。「労働外交の積極的推進」と、こう書いてあるのですが。だれでもいいですから……。
○岡部(實)政府委員 予算額といたしましては、いろいろな経費を全体合わせまして四億六千百三十八万。対前年が、三億五千七百万でございますので、約一億一千万円ふえたということでございます。
○大原分科員 それできょうは大臣、ILOの条約批准促進の問題を中心に質問をしようと思うわけですが、まあ経済の国際化ということがよくいわれますし、自由化ということはこれは大きな流れでありますが、その中でやはり労働者の国際的な権利水準を維持し発展させるということは、これは労働者の生活水準を上げることと不可欠の関係にあると思うわけです。ですからILOが国連の専門機構といたしまして重要な位置を占めておるわけであります。大体日本の外務省は――外務省の方が見えておりますが、きょうは愛知さんが見えておればいいのだが、大体ILOなんということにはあまり熱意も理解もないのじゃないか、こう思うわけです。国連外交ということをよく言うわけですが、国連外交、そういう中におけるILOに対して、外務省は全体として大体どういうふうに考えてやっておるのか。せっかく見えておりますから、こういうことをお聞きいたします。
○西堀政府委員 わが国は国連協力ということを外交の三大柱の一つとして推進しているわけでございます。その中でいま先生御指摘のILO、これについて外務省は熱意がないじゃないかというようなことでございますが、おことばを返すようでたいへん恐縮でございますが、たいへんとんでもないことでございまして、わが国はILOの発祥以来、ILO憲章を受諾し、その加盟国として、またILOの中におきましても非常に活発なかつ積極的な役割りをいたしておるわけでございまして、戦前は事務局にもすでに有名な方が、ちょっと名前は失念いたしましたけれども、入っておられますし、戦後におきましても相当人数入っております。それからわが国からの代表も、みなそうそうたる方々がおいでになりまして、これは数多くある専門機関のうちでも、まあ歴史が古いということもございますけれども、最もわが国として熱を入れている専門機関の一つであるということは、これは声を高らかにして申し上げることができると存じます。
○大原分科員 それなら国連局長、お尋ねしますが、ILOで採択されている条約は百三十、それから採択されておる勧告数は百三十四件でありますね。採択された条約の中で日本は、条約だけについて質問するわけですが、何件批准をいたしておりますか。
○西堀政府委員 おっしゃいましたとおり採択されたものは百三十件でございますが、このうち日本が批准いたしましたものは二十六にのぼっております。
○大原分科員 これは条約の中身にもよりますけれども、百三十件ほど採択されておって二十六件というのは、何もあなたが言われたように、ILO外交については熱意を持っておりますというふうに言えた義理じゃないでしょう。批准率からいいましたら大体何番目ですか。
○西堀政府委員 確かに百三十件に対する二十六件というのは一見あまり多くないではないか、おっしゃるとおりでございますけれども、全世界につきましてここに表がございますが、何番目というのはたいへんでございますから、そのおもだった国、十大産業国について申し上げたいと存じます。国の順番は、ちなみに一九七〇年度のILOの分担率の順位で申し上げます。アメリカが七つ、ソ連が二十七、英国が六十五、フランスが七十九、西独が四十、カナダが二十四、中国が三十五、日本が二十六、インドが三十、イタリアが六十七ということでございます。
○大原分科員 これは基本的な議論はしませんが、アメリカが七つというのは例外でしょうね、いろいろ国内問題その他がありますから。それを除きまして、批准率からいいましたら日本は何番目ですか。――答弁できぬらしいが、できぬならむりしてやらぬでもいい。時間がたつから……。大体三十六、七位じゃないですか、批准率からいいましたら。
○岡部(實)政府委員 正確にはちょっとわかりませんが、先生御指摘のように、大体四十番をちょっと欠けるところかどうか。最近少し批准がふえた国がございますから……。
○大原分科員 批准率からいいまして、これは非常に低いですよ。日本は先進工業国の仲間に入って、高度成長でGNPは世界資本主義国で第二位であるというのですが、ILOの権利やあるいは最低基準に関する各種の条約からいいますと、あなたの言われたILO憲章にあるように、やはり平和というものは生活の安定向上に裏づけられるのだ、人間尊重や労働尊重の精神で貫かれるのだというILO精神があるわけですね。あなたは念仏のように、そのことを尊重しておると言うけれども、実際は批准をされてないということになると――よくGNPで比較するけれども、たとえは一人当たりの国民所得で比較をいたしましてもこれは十九位、二十位ということをよく言いますね。これはやはり不可欠なんですよ。一人当たりの国民所得ですから、法人所得も入っていて、格差なんということは含まっていないわけですからね。問題は、国民の権利あるいは労働者の権利あるいは最低の保障、そういうものがどのように維持されているかということが、具体的には一般的な勤労者の生活水準を規定するわけです。権利と生活との関係なんです。ILO八十七号条約で議論いたしましたときにもそうでしたが、権利は生活水準と直接関係があるということでILOは運営をされておるわけですね。そうすると、一人当たりの国民所得が十九位、二十位というのは、これも私どもよく引例に出して政府を攻撃しますが、正確な数字ではない。そうすると、具体的に一つ言うならば、ILOの権利や生活水準に関する条約の批准の度合いというものは、具体的に国民の生活水準を裏づける資料になると私は思うのです。あるいは国際交流や――いま繊維の問題等が出て低賃金が問題になっておるが、そういう国際的な批判のバロメーターになるわけです。そういう面においては非常に低いわけであります。これは、外務省もそういう点について労働省や国内に対して注意を喚起する、啓蒙するという熱意が足りないのじゃないかと思うわけです。あなたの最初の答弁はうそであったということになる。あなたの議論からいたしましても、うその答弁をされたということになる。なぜおくれておるのかということについて、ついでですからあなたに質問します。
○西堀政府委員 先ほど申し上げましたとおり、政府といたしましてはILO憲章を受諾しておりますし、加盟国となっておるのでありますから、可能な限り多くの条約を批准するということが望ましいことは先生おっしゃったとおりでございます。また、それがわが政府の基本方針でございます。ただ、ILO条約の中には、解釈が必ずしも明確でないもの、それから趣旨は非常にけっこうでありますけれども、また妥当でありますけれども、内容の一部につきましてわが国の現状に必ずしも適合しないものがあります。したがいまして、それぞれの条約について国内法制、慣行などとの関連におきまして十分検討して、批准が可能かつ有意義と認められるものについて、国内体制の整備など必要な措置をとりながら、できるだけ多くの条約を批准していきたいということでまいっております。 それで、ただいままで数が二十六しかないじゃないかということでございますが、これは私考えますのに、いま申し上げたことが根本のあれでございますけれども、もう一つ突き進んで考えますと、日本が批准いたします際には、何と申しますかちょっと適切なことばが出ないのでございますが、しさい、綿密な、メティキュラス・ケア、非常に緻密な注意をもってやっているということが批准の数の少ない理由だと痛感するわけでございまして、きわめてささいなことのために、全体についての妥当な条約も日本は批准できないというような事態が間々あるわけでございます。これはわが国と申しますか、われわれ国家公務員が法科出が多いものでございますから、非常に緻密な議論をいたしまして、これはどうもやはり国内法制を変えてかからなければいかぬじゃないかというような議論が非常に多い。なるべく多くの条約を批准したいというわれわれの立場から申しますと、そういう緻密な議論が、ときには障害になるというようなこともあろうかと存じます。
○大原分科員 あなたの議論は、ますますおかしいことになるのです。緻密な議論をすると、日本は国際基準に達成しない。そういう事実と、法律の整備がなされていない、そういう緻密な議論をすることが悪いようなことをあなたは言っている。そういうことじゃいかぬじゃないですか。それで、だんだんと先進国になれば、労働組合も出てくるわけですね。労働組合も発言するチャンスが多いわけです。だから、いいかげんなことができなくなるということでしょう、一面は。しかし、条約は、多数国間の条約ですが、どこの国でもそうですが、国内の法律と条約の関係は、条約が優位するわけです。ですから、条約を批准いたしますと、これはILOの条約でございましても、これに抵触する国内法は無効でしょう。無効になるわけです。だから、国内法を整備する熱意というものがなければ、これはだめなわけですよ。ILO条約の批准促進はできないわけですよ。それを国際的な感覚とか事情が違うというようなことを言うけれども、国際的な感覚とか権利とか生活の水準を上げるという、政府全体の熱意がないと私は思うのです。これは政府の政治姿勢の問題だと思うのです。外務省の政治姿勢の問題です。あなたばかりに質問しても、それで時間が終わってしまうから……。 そこで、いま批准をするのに懸案となっている条約、しばらくすれば批准されるだろうというような条約は幾つありますか。
○岡部(實)政府委員 いろいろ常時検討いたしておりますが、たとえば労災保険の関係等は、国会で法案が成立いたしますと、その関連上条約とは抵触しないということになりますので、そういう面からは批准可能な状態になるのじゃないかということであります。あとは、先ほど国連局長も言っておられましたように、全般的にはほぼ条約の線に達しておりますが、たとえばその例外規定に関する解釈の問題等で若干でも食い違いがあるようなものにつきましては、引き続きその点をどう処理していくかの検討をしなければなりませんので、いま直ちにここでどの条約が可能だということを申し上げるわけにはいきません。ただ、いまの労災の条約あるいは社会保障関係の条約、そういったものは、法律改正の結果矛盾なくやってまいれますので、そういう意味では批准可能であろうと思っております。
○大原分科員 それをやりましても、一、二じゃ、とてもじゃないわけです。全体の姿勢だと私は思うのです。日本の労働条件を国際水準に近づけていこう、これをオーバーさせていこう、こういうことが、日本が国際間において正々堂々と貿易政策を進めていく基礎なんだ。繊維の自主規制にいたしましても、それに対抗して堂々とわれわれが太刀打ちできるように、そのためには労働条件を国際水準以上に上げていくことが必要だと思うのです。 私が一括して例をあげてみますから、その条約について、近くあるいは何らかの具体的な展望を持って条約批准の見通しが立っておるかどうかという点を、それぞれの関係者から答弁願いたい。労働時間関係では、たとえば交通安全で非常に問題になっておりますが、第六十七号の路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する条約、それから最低賃金決定制度の創設に関する条約、これは私も大体予測いたしておりますから、簡潔に見通しだけを言ってください。それから安全衛生関係で、建築業における安全規定に関する条約、これは労働基準法に関係するでしょうね。婦人関係では、ILO百三号条約で、母性保護に関する条約、これに関係いたしましては、第三号の産前産後における婦人使用に関する条約。社会保障関係では、有名な百二号条約で、社会保障の最低基準に関する条約、それから百二十一号の業務災害の場合における給付に関する条約、これは国際水準に達していないわけですね。それからこれは八十七号、九十八号条約との関連で議論をいたしましたが、政府はいまだにこの数年来同じようなことを言っているわけですけれども、百五号条約の強制労働の廃止に関する条約。こういうような条約について、国内法を整備する上において問題点を――長くしゃべってもらう必要はないけれども、概略の問題点と、批准についてどういう見通しを持っておるのか、五年も十年もかかってもほうっておくのか。今日高度成長下でいろいろ議論になっておる問題ばかりですから申し上げたのですが、あるいは国会で議論しておる問題ばかりでありますけれども、いかに日本の労働条件あるいは社会保障等に問題があるかということを示すものです。これは時間がないので、短時間に簡潔に関係者からそれぞれ御答弁してもらいたい。
○田中主査 簡潔に願います。
○和田政府委員 御指摘のありましたもののうち、私の関係したものをお答え申し上げます。 まず第一に、六十七号条約の路面運送に関します問題でございますが、これは大ワクについては基準法は合っておりますが、運転時間の継続五時間というような規定がございます。そういうのが基準法にございませんので、今後の検討問題に私どもとしてもいたしておるところでございます。 その次は、最低賃金決定制度の創設に関するものでございます。これは中央最低賃金審議会でいま最低賃金の基本的なあり方について御討議をいただいておりますから、その結果をまって考えたいと思いますが、現在の法制はこの条約と適合する体制にございます。 その次は「建築業における安全規定に関する条約」、これも大筋においてはほとんど適合しております。高さが二メーターとか五メーターとかいうこまかい問題に対しましては必ずしも合っておりませんが、今後の検討にまちたいと思っております。 それからその次は、社会保障の最低基準に関する百二号条約、これは実は労働省関係のものはそれぞれ基準に該当しておりますが、全体としての部門の問題で厚生省関係に多少の問題があるように聞いております。 その次の百二十一号条約、「業務災害の場合における給付の条約」のことは、先ほど官房長からお答えを申し上げておりますが、現在国会に提案をしております労災保険法の改正が成立をいたしますれば、給付の基準についてはこの条約に適合することになります。私どもの関係は以上でございます。
○高橋(展)政府委員 百三号条約関係について申し上げます。百三号条約は、母性保護に関するものでございますが、これは労働省関係と厚生省関係に内容がまたがっております。労働省関係について申し上げますと、出産休暇といたしまして、出産の前後十二週間の休業を条約では求めているわけでございますが、国内法も同様でございまして、条約の趣旨と原則的には一致しているのでございますが、産後の休業につきましては、基準法におきましては五週間の後は本人の請求があれば就業させることでできる。その点が多少異なっているのでございまして、今後の検討の課題でございます。
○松永政府委員 百五号関係について申し上げます。百五号条約は「強制労働の廃止に関する条約」でございます。五本の柱を立てまして、そういう理由の強制労働廃止ということでございますが、問題点といたしましては、非常に大ざっぱな規定でございますので、その解釈で明確でない点が相当ございます。現にドイツ等の国におきましては、批准はしたけれども国内法と抵触する――ドイツは抵触しないとがんばっておりまして、問題が起きておるというような点がございますので、解釈が明確になるということと同時に、私どものほうもなお検討を要するという内容でございます。
○江間説明員 厚生省関係について申し上げます。 ILOの百二号条約、これは「社会保障の最低基準に関する条約」でございます。これにつきましては、最近の給付改善措置などによりまして、わが国の社会保障給付水準は大体この条約を批准するための最低の条件はどうやら備えたようであるというふうにわれわれは考えております。しかしながら、最近ILOの動きを見ますと、昭和四十二年第五十一回の総会において採択されました百二十八号条約、これは「障害、老齢及び遺族給付に関する条約」でございます。これをはじめとしまして、個別部門に関して新しい基準を設ける条約を採択する動きを示しております。百二号条約の批准につきましては、これらの動向を見定めつつ慎重に対処してまいりたいと思っております。 百三号条約は「母性保護に関する条約」でございますが、被用者である女性の出産に関する保護につきまして定められたものでございますが、厚生省所管の制度では、医療保険における医療給付、出産給付等が関係してまいります。現行の健康保険制度におきましては、分べんに関する給付は分べん費の支給という形で行なわれておりまして、二万円の最低保障がございます。したがいまして、平均的には条約の内容を満たしておると考えられますけれども、ただ現実の出産に要する経費との関連で、個々のケースを考えてまいりますと、まだ若干問題があるのではないかと考えております。また出産手当て金につきましても、条約に定められております要件は、従前所得の三分の二ということになっておるわけでございます。わが国では標準報酬の六割となっておる関係もございまして、問題があるのじゃないかと思われます。
○大原分科員 時間が来たのですが、そういうふうなことで、いまの御答弁によりましても、国際的にも関心が非常に高いし、重要な条約について、意識的にこういう点が足りないから、こういう国内法を整備して努力するのだ。こういう努力をするならば、これはかなり前進させることができるようなものもあるわけです。 〔主査退席、古内主査代理着席〕 このほかにもたくさん例があるわけです。そういう点では怠慢のそしりを免れないと思うわけであります。これは国際経済外交とか国連外交とかいうことを口先だけで言いましても、その裏づけがないということになるのではないか。こういう点で、きょうは運輸省の自動車局からも出席をしてもらっておりますが、関係者がそれぞれ協議をいただいて、そしてILO条約の、日本側は先進国であるというならば、労使、政府代表三者交渉でILOもつくっておるわけですから、むちゃなことをいっていないわけです。国情が違うといいましても、やはりいまの国際化の時代の中においてはそういうことは通らないわけですから、それなら条約をつくるときに客観性のある議論を大いにすればいいということになる。そのときにサボっておいて、あるいは能力がなくて、それで実情に合わないなどということは、これは国際条約の精神からいってもおかしいわけであります。したがって、そういう点で労働大臣、ひとつこのILO条約の批准については、外務省の国連局長お話しになりましたが、日本はいいなどというものではないわけです。全くなっておらぬわけであります。努力のあとがないというわけではありませんけれども、積極的に努力をするという面においては欠けるところがある。外務大臣が御答弁いただくことですが、しかし、その中身は労働省、労働大臣に関係しておることが多いわけですから、その推進力は労働大臣、国際舞台においては外務大臣、こういうことになると思うのでございまして、労働大臣のほうから、そういうILO条約批准の促進について積極的な発言をし、意識的な努力をする、こういう点についての熱意のある見解の表明を私は要求をいたしたいと思います。いかがですか。
○野原国務大臣 ただいままでいろいろ承っておったのでございますが、なかなかむずかしい問題のようでありますが、しかし、一日も早くできるだけ多くの批准を終わすことが当然のことと思います。したがいまして、条件等整い次第、すみやかに批准の数をふやすということに最善の努力を払いたいと考えております。
○大原分科員 終わります。
○古内主査代理 これにて大原君の質疑は終わりました。 次に、川俣健二郎君。
○川俣分科員 質問の機会をいただきましてありがとうございました。私は、日本社会党、そしてまたあえて東北出身議員の一人といたしまして、過疎地帯の労働力とその対策、この点について、私も生きた資料を持っておりますから、大臣の御所見をただしておきたいと思います。よろしく。 まず、具体的に入る前に、大臣いまは大臣の目から見て就職難か求人難か、人をさがしておる時世だろうか、仕事をさがしておる時世だろうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○野原国務大臣 まあ見方によりますけれども、一面においては非常な求人難である。しかし、また一方から見れば、たとえば高齢者にとっては必ずしも適当な職がないということもございます。こういう点から見れば、求職難の時代とも言える。両方、まことに矛盾したようですけれども、どうも二つの条件が存在するように見受けておるわけです。そこにむずかしさがあるわけでございます。
○川俣分科員 人の天候のあいさつを応接間でやる会話としては、いやそれは就職難であり求人難だというごあいさつでけっこうだと思うんだけれども、少なくとも日本の国の労働問題をしょって立つ大臣の答弁としては、やはりちょっとおぼつかない返答だと思います。 それでは、こういう面からちょっと掘り下げていってみたいのですが、いまちまたに叫ばれている首切り反対闘争の旗、これは大臣の目にも入ると思います。大臣は先ほど労働不足という面もある、こうおっしゃった。ところが、いま秋の収穫を終えて東北、北陸、北海道、冬になるとやってくる例の出かせぎ労務者、ほとんど、農民、漁民が多いことだと思うのですが、この出かせぎ労務者が首都圏建設その他で、いまの自民党の政策にこの労働力がお役に立っていると思いますか。
○野原国務大臣 大きな役割りを果たしておると思います。
○川俣分科員 大きな役割りを果たしておるということばが、これはわりあいにひっかかりやすいことばだと思うのですが、片方では身分が保障され、曲がりなりにも生活が安定しておる組織労働者は、毎日のように首切り反対だと騒ぐ。片や何十万という出かせぎ労務者というのは、これは身分は全然保障されていない日雇いです。これは非常に重宝がられておるということばのほうが、私は妥当だと思うのです。大事にはされてはいないのだが、非常に重宝がられておる。これはどうしてだろうかということを私どもは――特に私のように新議員であるし、いままで国民の一人でございましたから、大臣に聞きたいと思います。次の三つを設定して聞きたいと思うのですが、労働の質が違うから、いわば政府や会社が必要とする労働者が少なくて、必要としない労働力が多い、こういう意味なのか。それとも会社員とかそういう組織労働者というのはいろいろ高くつくから、いまの労働行政には合わないんだ、こうおっしゃるのか。それとも、三つ目として、出かせぎ労務者というのは、たいした旗も振ることなく、騒ぐこともなく、盆暮れの手当を要求するすべも知らないし、ただ黙々と働く労働者だから都合がいいんだということなのか。その辺、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○野原国務大臣 出かせぎの方々は、いわゆる熟練した技能者が少ない。したがって、まあ腕っぷしは強いけれども、比較的仕事には習熟していないというような面で、体力を買われるというか、必ずしも技能は十分に買われていないと思います。そういう面で、少なくとも技能訓練、職業訓練等をその方々にも十分与えて、労働の質を高めるという必要がある。やっぱり雇用者にとっては、質のいい方々ができるだけ待遇がいい。ただ農閑期だけに一時的に出てくるというようないままでの姿では、安定した雇用がなかなかむずかしいという点もありまして、おそらくそういう面で十分な待遇が与えられていなかったというふうに考えておるわけでございます。さればといって、安く使えるからいいというようなことではなくて、とにかく人手が足らない、何としても労働力をそれぞれの人たちによって補ってもらわなければならぬ。特に建設業等におきましては、たいへん大きな役割りを期待しておるようでございます。そういうような点をこれからはつとめてひとつもっと組織的に、計画的に訓練等もやりまして、安定した雇用に持っていく。しかもできるだけ通年雇用のような方向に高めてまいるということが、必要であろうかと考えております。
○川俣分科員 技術を要求するよりも、腕っぷし、肉体労働というものをある程度期待しておるというふうに一貫してお話しされたような感じなんですが、大臣のおっしゃる秋来て春帰るという労働力だから労働として安定しないのだ、こう言うのですが、いまのような出かせぎ労務者、いわゆる非常に役に立っておる、自民党政策、いまのやり方に役立っておるというこの出かせぎ労務者の肉体労働というのが、秋来て春帰るというのじゃなくて、年を通してずっといることを望んでおられますか。
○野原国務大臣 そういう状態で年間にわたってできるだけ働いてもらう、しかもその人たちがほんとうに適切と思われるような職場に働く、りっぱな技術を持ってするならば、なおさらのことその待遇等もだんだんよくなっていくと思うのでありますが、これからの農村の労働力は、漸次そういう方向に向けていかなければならぬものと考えておるわけでございます。
○川俣分科員 この辺に米をつくるのをやめてという総合農政のほうに入ってしまいますから、この点はまた別の機会に、いまの言質を取り上げるわけではないのですが、承っていきたいと思います。 ただ、観点を変えますと、いまの政治に非常に重宝がられておる出かせぎ労務者の現場あるいは宿舎、こういったものを一度でも大臣がお回りになったことございますか。
○野原国務大臣 大臣に就任後はまだ見ておりませんが、私も前々からそうした職場等はかなり数多く見ております。しかもその環境等は必ずしもよろしくない、けしからぬというような気持ちを持ったところも、たくさんにあったわけでございます。労働省に入ってみまして、だんだん改善されておるといいますけれども、おそらくまだ完全にはよくなっていないのではないかというふうに考えております。
○川俣分科員 ここ数年間、出かせぎ労務者が急激にふえていっておると思います。これは数字をお示し願わぬでけっこうですけれども、秋田の場合でも、一昨年までは五万人くらいなのが、ことしもう七万人も東京、大阪に散らばっている。ところが、この現場を、宿舎を、保安的に、衛生的にというか、労働基準的に監督する業務の者が、手不足だと思うのですよ。こういったものを手不足のために怠ってはいないだろうか、そしてまた、監督員をある程度こういった出かせぎ労務者の急激な増加に比例してふやしておるだろうかということをお尋ねしたいと思います。
○和田政府委員 建設業の監督につきましては、従来からいろいろと問題がございますので、私どもとしては非常に重点的に監督を実施いたしておりまして、一般的に申しますと、監督は大体全事業所に対する比率が一二%前後でございますが、建設業につきましては四〇%をこえる監督を実施をしておるということで、重点を置いておるということは、数的にはそういうことでもおわかりいただける。ただ、監督全体の問題としますると、現在は定員圧縮というような時期でもございまして、なかなか監督官の増員というのは不本意でございますが、四十四年には二十五人の増員、四十五年には、現在のところ振りかえを加えまして七十五人増員というようなことで、全体的な定員圧縮の中でも、監督官の定員につきましては、そういうようなことで、少しではございますが、少しずつ増加をさしていただいておるようなわけでございまして、私どもとしては、全体として二千七百五十三人、四十五年の定員になると存じますが、これは機動力の強化と内部事業の整理、いろいろのことを勘案しながら、できるだけ現場に立って監督できるような体制に仕組んでまいりたい、かように考えております。
○川俣分科員 私は、こういうような質問をするのは、何も本を読んだり人の言うことを聞いたりして言っているのではなくて、やはり自分の目で確かめ、足で確認してきたわけです。東京労働基準局の局長さんをわずらわしながら、私の地元の秋田の人もたいへんお世話になっているものです から、そういった意味でいろいろとめんどうを見てもらっております。それで相当の大きな会社――これは会社の名前はあえて一々あげません。秘さしてもらいますが、やはりこちらから行って、ある程度注意を促したり、お願いをすれば、即座に宿舎の問題などは更新されるということなんです。これは基準局に対してお礼の意味で申し上げる。やはり手不足が原因じゃないかということを痛感しながら質問しておるわけです。 したがって、私はこういうのは不なれでございますけれども、この際、委員長を通して提案したいのですが、ひとつ議院の立場から、日雇い労務者、特に大臣が非常に役立っておると言う腕っ節の強い肉体労働者、こういった者の労働条件の総点検をする委員会みたいなものを提案したいわけです。組織とか機構等については理事その他におまかせしますけれども、そういったものはいかがなものでしょう。
○古内主査代理 ただいまの川俣君の御提案に対しては、その旨予算委員長のほうにお伝えいたしまして善処することにいたします。
○川俣分科員 ありがとうございました。 出かせぎ労働が、いまの政治に役に立っている、首都建設ばかりではなくて、万博建設、山陽新幹線、そうしてやがてくるであろう四国のかけ橋等々。せっかく大臣もおられますから、私のお伺いしたいのは、この出かせぎ労務者の陰で泣く留守宅、留守家族という問題があるわけです。それは三カ月も半年もとうちゃんと別れて暮らす留守家族、いろいろな社会問題がもうすでに東北、北陸一帯に起きつつある。これは大臣のように偉い政治家にはお耳に入らないかもしれませんが、同じ東北でございますから、あるいはちまたの声が入っている場合もあると思います。したがって、労働行政としてこういう出かせぎ労務者の形を労働大臣の立場から見て、どのように感じられておられるかということです。
○野原国務大臣 私も、その問題には心を痛めているわけでございますが、こういったいろいろな出かせぎにまつわる悲劇が発現いたしております。中には、出かせぎのまま蒸発をしてなかなか郷里に帰らない、あるいは金もみんな使ったというような者もございます。また、留守宅を守っている方がいろいろな問題を起こしているということも、事実でございます。そうしたことを考えるにつけても、やはり思いやりのある政策を考えなければならぬという点で、私どもは、できるだけ出かせぎの方々にも、やはり家族たちの間に交流を持てるような方法を講じたい。言うならば、東京あるいは大都市に家族の人を呼んで、たまにはいろいろな打ち合わせもする、話し合いもできるような条件を整えてあげることも必要でございましょうし、あるいはまた二月に一度なり、三月に一度なり郷里に帰って家事の打ち合わせに当たるというようなことについても、必要でございましょう。こういったことについての思いやりのある政策が、いままでとかく十分に行なわれてなかったという点をいま強く感じているわけでございます。今後の政策の面にはぜひこうした問題を真剣に考え、そういった悲劇をなくするような対策も講じたい。同時にまた、総合農政を展開する 一環としての今後の問題としましては、農村から相当多くの人たちが出かせぎに出るという形もありましょうし、また中には都会に職を求める方も出てまいる。その場合においても、やはりそうした問題を積極的に考えていくことが、今後の必要な最も重大な問題として考えられているわけでございます。
○川俣分科員 私の手元のところに、地元の秋田の湯沢、これは酒どころか、美人どころか、その程度しか知られていませんが、秋田の湯沢とか、そのまわりの雄勝郡の青少年、特に義務教育の小、中学校の出かせぎの子供らを対象にして集めたアンケートをちょっと披露申し上げますと、中から感じたものだけを一つ二つ拾ってみますと、「あなたの家から出かせぎに行ったあとお金はどうですか。」「らくになったと思う」という答えがわずか九%です。「しんぼうしている」というのが二二%、「あまり変らない」というのが七八%。これはやはり物価はどんどん上がるし、年一回の収入になる秋の収穫における米、それも今度は据え置きになり、さらに来年は減産からくる減収、借金は返済しなければならぬ、こうなれば、子供の目からもそういうふうに映っただろうという感じがします。それからさらに、これはちょっと話があれですが、「あなたの家から出かせぎに行ったあと、家の中はどうですか。」「お話や笑い声が多くなった」というのは、 まずほとんどゼロです。前と変わらない。一番多いのは、笑いやお話が少なくなった、こういうのが子供の目に映っておるということ。そこで、これは労働問題ですから、ぼくは一番生きた資料で勉強したのは、このことです。あなたの家の人がなぜ出かせぎに行くのか、こういう質問に対して子供の答弁は、生活に困るとかあるいは農機具を買うとか、お金をためるとかいうのを私は期待して読んだのですが、そうじゃないのです。これはほとんど一五%以下です。一番多いのは、これは労働大臣にぜひ御披露したいのですが、住んでいるところに仕事がないから、これだと思うんですよ。これは非常に単純ですけれども、政治的には非常に意味のある子供の回答だと思います。マルクスは産業予備軍とかいうけれども、そうじゃなくて、ケインズのことばを借りると、非自発的な失業者というのですか、働きたくてもそこに仕事がない、どこかに行けば仕事があるというやつなんです。 そこでお尋ねしたいと思いますが、過疎地帯の労働力問題というのは、これは何も私からいまるる言わぬでも、政府も各党もいままで論議されてきたのですが、何ら実現もしてないし、やはり三カ月、半年妻子と別れて東京に働きに来にやならぬ、こういう問題から、ひとつ大臣にお尋ねしたいのは、真新しい画期的なアドバルーンでいいと思うのですけれども、そういう予算の裏づけというのは無理だと思うのですが、何かこういう問題を解消するという画期的なものがないでしょうか、お尋ねしたいのです。
○野原国務大臣 過疎地帯に対する対策、いま大きなアドバルーンということで御指摘がありましたが、実はきわめて困難な問題でございます。しかし私どもは、困難だからといってこのままほっておいていいとは考えておりません。したがって、たとえば農村地域に工場の分散をはかるとか、通勤可能な地帯で就職の場を得るといったような条件を満たすためにも、やはりその環境を整備して、道路の問題あるいは交通の問題等、工場を存立せしめ得るような条件がなければ、工場もなかなか誘致できないと思います。そういった点で、過疎地帯に対する政策はまだまだおくれておると思います。しかし、そういった面でこれからの農村地帯、山村地帯等につきましては思い切った政策を総合的に推進するという以外にはないわけでございます。個々のケースにつきましてはいろいろな問題があると思いますけれども、さしあたり、これならばという大きなアドバルーンを上げるということはなかなかむずかしいわけでございます。私どもは、過疎地帯の対策はこれからも慎重にかつ英断をもって事に当たるという気持ちでこの問題の解決を考えていくということ以外にはないと考えております。
○川俣分科員 英断をもって事に当たるということば、これくらいだと思います。昔といいますか終戦まで、農地解放までの農民というのは、冬の間は米を入れる俵を編んだ。はくわらじをつくった。そしてなわをなった。ところがいまは全部それが工業製品になって、東京のほうから来るものを買う。そうすると、冬の間というものは労働力のはけ口が全然ない。おやじが東京に働きに行く。かあちゃんはやはり子供を見なければならぬから留守宅を守る。ところが若妻会がいま手をあけて、働く仕事がないだろうかということで待っておるわけです。こういった面はやはり早急にある程度やらなければならぬと思うのです。というのは、結論に煮詰めていくような、私は私なりに考えてきたことですが、自由化にゆらぐ農村とか、米の調整、減反をせいとかいう旗は振るのですけれども、私は思うのですが、米づくりをやめてあとどうやって暮らしていくのか、何の仕事につくのか、つかせるのかというのが政治だと思うのです。こういうものがなければ、ただ減反せいというたところで、いまの農業問題、総合農政というのは労働問題が非常に大きく食い込んでおるということを、やはり労働大臣はしかと胸に秘めていただきたいと思うのです。 そこで、さっきILOのお話も出ましたので私ちょっと出させてもらいたいのですが、すでに一九六四年のILO総会で、雇用政策に関する条約と勧告というものを採択しておるわけです。やはりこういったものを日本の政治の中に入れていく。先ほど外務省の局長さんが、おことばを返すようですがと、声高らかに、ILOには理解とあれを持っておるというお話がありましたのですが、これをちょっと読んでみますと、こういうことをうたっておるのです。「農村部門における不完全就業を生産的雇用へ転換するために、現地の労働力を十分活用できるような地方的条件に適した広範な計画を樹立すること、この計画には(イ)灌漑、排水、道路などの地方的設備投資事業、(ロ)土地の開発と入植、(ハ)労働集約的耕作方法の採用と農業生産の多角化、(二)教育、住宅、保健施設の拡充、(ホ)農産物の加工および農民の消費物資を製造する小規模工業および手工業の開発等が含まれる。」これは何と農業問題ではなくて、労働問題の雇用政策としてILOの総会で採択されておるのです。やはりこういった問題を日本の労働問題にしかと入れるべきではないかということを感ずるわけです。時間もあれですけれども、ひがみじゃございませんが、日本の代々の労働大臣というのは、労働行政というのは、総評の争議対策大臣というか単産の幹部対策というか、そういったことじゃ私はだめだと思います。このように全国にでこぼこの労働力――話を結論にしながら前に戻しますけれども、いま人を求めておる時代か仕事を求めておる時代かということの解決、これが私は労働大臣の姿勢だろうという考えで、そういう意味では、予算委員会の分科会でございますが、どうも予算の裏づけを見ましてもあまりないような気がして、遺憾の意を表しながら私の質問を終わります。ありがとうございました。
○古内主査代理 これにて川俣健二郎君の質疑は終わりました。 次に桑名義治君。
○桑名分科員 最初にお尋ねしたいことは、石炭の第四次の炭鉱合理化によりまして、多数の炭鉱がなだれ現象を起こして閉山をしたわけでございます。それに伴いまして大量の炭鉱の離職者を輩出したことは、もう皆さま方御存じのとおりでございますか、その人数を北海道、九州――九州は特に筑豊、佐賀、長崎に分けて御報告を願いたいと思います。また、失業対策としてこういった一連の離職者に対してどのような施策を講じてきたか、その点についてもお伺いをしておきたいと思います。
○住政府委員 まず合理化離職者の状況を申し上げたいと思いますが、昨年の十二月までの数字が判明いたしておりますので、それに基づいて申し上げますと、昨年の四月から十二月末までの新しく出てきました離職者の数は一万五千人でございます。さらにこれからの、本年度の見込みでございますが、閉山の状況等を考えてみますと、年度間で約二万二千三百人ぐらいになるのじゃないだろうか、この数は、離職者が当該年度において大体どのくらい出てくるか、それに基づいて対策を立てておるわけでございますが、当初見込みが一万一千三百人を予想しておったのでございますが、最近の山ぐるみ閉山等もございまして、予想を大幅に上回った数になっております。 それからその地域別にそれではどうか、これも十二月末で申し上げますと、北海道が全体のほぼ二五%、福岡が三五%、佐賀が二三%、長崎が六%、これがおもなものでございまして、その他の、たとえば山口とか福島の産炭県においては若干出ておるわけでございます。 そこで対策でございますが、こういうような離職者に対しまして、御承知のように炭鉱離職者臨時措置法という法律に基づきまして、私ども手帳を出して就職指導官による念入りな職業指導、職業相談ということを行ないまして、再就職の促進をはかっておるのでございますが、幸い現在までのところ、十二月末で見ますと八〇%の者が再就職をしておる、こういうような状況でございます。 ただ、最近石炭離職者の年齢が逐次高くなってきている、そういう高齢者の問題、あるいは炭鉱で災害にあわれて坑外労働をやっている身体障害者の方とか未亡人の方々の再就職の問題について、非常に苦労をしておるのでございますが、これも私ども、地域を離れていただきますならば適当な求人も多いというように考えておりますが、そういうような面で、さらにそういう方に対しては念入りな援護措置を講じて再就職をはかっている、こういう状況でございます。
○桑名分科員 失業対策については大体わかりましたが、その中で最も特色といわれるものは、いわゆる緊急就労対策事業あるいは開発就労事業、こういった二つの事業が行なわれているわけでございます。この二つの事業というものは、普通一般の人からみれば同一の事業形態のように思われているわけです。特に開発就労事業につきましては、これは昨年より第四次の炭鉱の合理化によって、その対応策として行なわれた事業と私たちは理解をしておるわけでございますが、この二つのいわゆる事業形態の差異あるいはまたそれぞれの予算の総額並びに単価、あるいは年間の稼働延べ人員こういった計画をお知らせ願いたいと思います。
○住政府委員 まず緊就事業でございますが、これは先生御承知のように、三十四年炭鉱離職者臨時措置法ができましたときに、非常にたくさんの離職者に対しまして再就職、民間の常用雇用につける、しかし、当時はまだ雇用状態が必ずしもいまほどよくなかった状況にございましたので、そういう民間の常用就職まで、一時的に就労の機会を与えるということでつくられた事業でございます。昭和三十八年の改正によりまして、そういう事業吸収方式をやめまして、新たに離職者手帳を発給するという制度に法律、制度が変わりまして、法律上は緊急就労対策事業は従来の制度の継続ということで、予算措置として現在も実施してきておるような経過になっております。したがいまして直接の目的は、炭鉱離職者を再就職させるまでの間、一時就労の場をつくり出す、こういう趣旨であったわけでございます。 それから一方、産炭地域の開発就労事業は、これは御指摘のように本年度から始まったわけでございますが、この趣旨は産炭地域のうち、長年にわたる石炭産業の状況から失業者が滞留しておる、あるいは今後閉山等が行なわれて、石炭関係の離職者がさらに出てくるというようなことと、それから開発の可能性のある産炭地域を大いに開発して、別の産業をつくり出して、開発地域としてりっぱなものをつくり上げていこう、こういう趣旨で、これも先生御承知のように、産炭地域の開発のための計画をつくるような法律になっておりますが、そういう法律の趣旨とあわせまして、公共事業等との関連におきまして産炭地域の開発に資していく、あわせて失業者の就労の確保をはかる、こういうようなことを目的といたしておりまして、緊就事業とはかなり性格の違いがあるというように思っております。
○桑名分科員 では緊就事業、開発就労事業、この順を追って質問を続けていきたいと思います。 まず緊就事業の件でございますが、これは話によりますと昭和四十五年度で打ち切り、こういう論議が続いているわけでございます。ところが、この緊就事業が打ち切りになった場合どのようになるのか。これはもう皆さまも御存じのように、産炭地は非常に疲弊をしております。山田市の例をとってみますと、人口五万のところが現在は一万九千、人口も激減をしております。しかも山田市あるいは糸田町あたりになりますと、生活保護者が全世帯の約半分を占めております。非常に苦しい財政の事情になっておりますし、あるいはそういった面から考えますと、一般の住民の生活がどの程度疲弊をしているかということは明瞭になってくると思うのです。こういったいわゆる緊就で働いている就労者につきましては、これは当然石炭の合理化の直接の犠牲者といっても過言ではないのじゃないか、私はこのように思うわけであります。 しかもまたここで考えていかなければならない問題は、いまの答弁の中にもございましたように、中高年者、こういった人々は現在の職場事情から他の職場へ転職がなかなか容易ではない、そういう事情にあるわけでございまして、こういった制度が打ち切られた場合には、そういった人々は職を求めることもできずに、必然的に生活保護に落ちていかなければならない。こうなってきますと、本人にとっても不幸でもございますし、あるいはまた、大きなことを言うようでもございますが、国家的な損失にもなる、このように私は思うわけでございます。今後この緊就事業についても延長をしていく意思があるかどうか、この点について伺っておきたいと思います。 第二点といたしましては、緊就事業の事業形態は大体道路の新設、補修、あるいは団地の造成、あるいはまた一部には陥落地の補修、改修、こういった土木事業におもに従事しておるわけでございますが、現在の単価の中では非常に地方財政を圧迫しておるのが実情でございます。先ほど申し上げましたように、炭鉱の税収入というものがその都市の一番中心の収入でございましたが、その税収ももちろん見込むべくもなく、それに付随した関連産業も当然壊滅状態でございます。そういった意味において税収の面も期待ができませんし、あるいは住民の半分の生活保護をかかえておるとするならば、当然そういった住民税からのはね上がりもありません。そういった意味で、いわゆる財政の需要額がふえる一方、財政の収入額というものが非常に限定されておる。こういった意味から考えますと、地方財政を保護育成していくという意味においても、この補助額の単価を上げる用意はないかどうか。 次の点でございますが、日雇い労働者雇用奨励金制度の問題でございます。 労働者の中で今後自立をしていこうというものに対して奨励金制度ができておることはもう御存じのとおりでございますが、これは筑豊方面におきましては、大体国と県において昭和四十四年度は十一万円の奨励金を支出しております。ところがこの十一万円も年間を通して受け付け期間がわずか三カ月であった、こういうふうになっておりますが、昭和四十五年度もそういった人々の自立を容易にするためにこういった制度をさらに続行するとともに、昨年度の三カ月における受け付け期間をもう少し延長して、そういった自立の機会を与えてやる、そういう配慮ができ得るものかどうか、この点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
○住政府委員 第一番目の緊急就労対策事業の今後の取り扱いの問題でございます。御承知のように、先ほども申し上げましたが、三十八年以降は予算上の制度といたしまして続けてきておるわけでございますが、明年度の予算におきましては大体四千三百人の規模で実施をする、こういうことでございます。御指摘のように、それは再就職の機会があるまでの一時的な就労の場、こういう趣旨で事業を実施しておるわけでございますが、来年度一年間に多数の就労者を再就職させるということもなかなか困難である、全部が全部再就職できないと思います。そういうような事情も十分予想されますので、引き続き私ども、規模は別でございますが、就労事業は実施していかなければならないじゃないかというふうに考えております。 第二の点は単価の問題でございます。これは本年度は二千五百円であります。四十五年度からこれを三百円上げまして二千八百円ということで予算をお願いしております。これはいろいろ問題があると思うのでございますが、従来の単価引き上げの幅というのは百円とか二百円とかいうのが大体のところでございました。今回は特に三百円単価を上げまして実施していきたい、こういうように考えておるわけでございます。なお、補助率は五分の四であることは御承知のとおりでございますが、残りの五分の一につきましては特別交付税なり起債で措置をいたしまして、できるだけ地方財政に負担をかけないような方向で運営をいたしておるわけでございます。 それから次の失業対策事業就労者に対する雇用奨励金の問題でございます。これは三カ月の期間を限りまして臨時的に措置をいたしたのでございます。私どもいろいろ関係方面とも連絡いたしまして、特に就労者の再出発、再就職あるいは再自立ということを、刺激と申してはおかしいのでありますが、そういう意味で、一時的な制度として実施したのでございまして、これを継続的な制度として実施するような考え方は持っていないのでございますが、いろいろ今回の措置の実績等をも考えまして検討するにはやぶさかでない、こういうように考えております。
○桑名分科員 いま答弁がございましたが、日雇い労働者の雇用奨励金の問題でございます。昨年北九州におきまして同じような制度で行なったわけですが、これは二十一万円を支給しましたところが昨年九百人の人が自立をしたという、そういう事実もあがっておりますので、今後ともこの問題については前向きの姿勢で検討していただきたい、このように思うわけであります。 次に産炭地の開発就労事業の問題でございますが、字を見ますと、いわゆる開発と就労との二点を踏まえてこの事業が出発をした、こういうふうに一応考えられるわけでございます。昨年、四十四年六月に発足をした当時、産炭地の再開発におけるいわゆるニューディール政策だ、こういうふうにいわれてきたわけでございます。ところが、過疎地帯でも同じようなことが言えるわけでございまして、いわゆる大企業の誘致ばかりに奔走をしまして、その土地利用という面には非常におろそかになっている点があるのじゃないかとも思います。こういった産炭地というものも、たとえば筑豊の例をとってみますと、飯塚、田川、直方の大きな都市、三つの大きな核がございます。この核を中心にしましてそれぞれの農村地帯を包含しているという、そういう地形を示しているわけですが、ボタ山を草地改良やりまして平たんな土地にして、そこで放牧をやるとか、そういったいわゆる指導的な方法を労働省としてもとっていくのかどうか、あるいはまた現在の開発に対するビジョンというものをお願いしておきたい、このように思うわけでございます。 次の問題でございますが、現在開発就労事業の補助率がいわゆる三分の二の補助率になっております。三分の一の地元負担というものは、先ほどるる申し上げましたように、非常に疲弊した地方自治体としては大きな負担になっております。そこで、少なくとも緊急就労事業と同じように五分の四の補助率に引き上げることはできないかどうか、この点についてまず質問をしておきたいと思います。 次に、この現行の三分の一に対して、就労事業につきましては特交もしくは起債という方法がとられておりますが、地元の各市町村におきましてはこの点が非常に不安である、こういうふうに不安がっておりますので、その点も明快に御答弁を願っておきたい、このように思うわけであります。 次に、緊急就労事業やあるいは失対関係につきましては、いわゆる夏季や年末には見舞い金制度というものもございます。あるいはまた稼働日数も大体二十三日が確保をされておりますが、その点について、この開発就労事業も、開発と同時にいわゆる労働対策の一環としての就労、こういう解釈をしてみますと、同じような取り扱いをやるべきではないか、このように思うわけですが、その点についても所見を伺っておきたいと思います。
○住政府委員 開発就労事業につきましては、御指摘のように、一つは疲弊した地域を開発して産業基盤をつくっていく、そして企業等が来て雇用機会がふえていく、こういうようなねらいと、それと同時に失業者の吸収もはかる、こういう二つの目的を特って出発しておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、産炭地域振興基本計画なり実施計画、あるいは福岡県の場合等におきましては特に県で筑豊地域の再開発計画、こういうようなビジョンのもとに実施をいたしておるわけでございます。 そこで補助率の問題でございますが、現在、御承知のようにこれは基本的には公共事業ということでスタートをいたしております。そういった公共事業の補助率等をも考えまして、三分の二の補助率ということでございまして、緊就とは先ほど申し上げておりますようにやや性格が違いますので、緊就のような五分の四の補助率にはなかなか問題があろうかと思っております。しかし、御指摘のように産炭地域の財政状況等も非常に問題がございますので、私どものほうでは自治省と相談いたしまして、開発就労事業の県営分につきましては三〇%を特別交付税、残りの七〇%を起債、それから市町村営事業につきましては五〇%を特別交付税、残りの五〇%を起債という考え方で、できるだけ地元、県なり市町村の財政負担の軽減をはかっているところでございます。 それから次に、盆、暮れのいろんな特別措置の御質問がございましたが、これはいま申し上げましたように公共事業と同じ性格であるという観点から、緊急就労事業とか失業対策事業と違いますので、そういうようなことは考えておりません。 それから就労日数というかその施行日数の問題でございますが、これはいろんな産炭地の開発計画の中において行なわれます公共事業との組み合わせ等によって考えていっておりますので、できるだけ就労する者の立場から考えて、二十二日なり二十三日の就労がはかれるように、開就事業あるいは公共事業との組み合わせにおいて考えていきたいと思っております。
○桑名分科員 いろいろと申し上げましたが、産炭地の問題は皆さま方がここで想像なさる以上に疲弊した実情でございますので、そういった事柄も大いに勘案をされまして、いわゆる明るい建設的なビジョンのもとに行政を進めていただきたい、このように要望しておきたいと思います。 次に、もう時間もございませんので、簡単にもう一点だけ、観点を変えましてほかの問題を質問をしておきたいと思います。 最近ある新聞によりますと、毎日キャンペーンを張っております。これはいわゆる上野の人狩り族の問題でございます。その新聞によりますと、その実態がいろいろと報道されまして世間の注目を浴びていることはもうすでに御存じのことと思います。こういった問題はいま始まった問題ではなくて、いままで時によりあるいは事によって注意を集めてきた問題でございます。また論議をかもしてきた問題でございますが、こうやって新聞がキャンペーンを張ってきますと、いよいよ社会の表に出て一つの社会問題になりつつあることは当然のことでございますが、この人狩り族の実態についていままで掌握しておるその程度でけっこうでございますので、まずお答えをしていただきたいと思います。 さらに、時間がございませんのでずっと申し上げますが、今日までこのような状態が明確化されていなかったということは、非常にこれは問題があるのではないかと思います。もちろんこの種の問題につきましては実態の把握というものは非常に困難を伴うものでありますし、非常に流動的なところから把握ができないとは思いますけれども、いままでとってきたいわゆる方策、どのような方策、方法をとってきたか、その問題についても質問をしておきたいと思います。 また、この種の問題は、もちろん安定法違反は当然のことだと思いますが、強制労働に従事させられ暴力によって束縛をされるという、いわゆる人権問題にも波及をするものでありますので、この種の問題は非常な重要問題であると思います。人権を守るという立場からも積極的に取り組んでいかなければならない事例だ、このように思うわけであります。 現在の世情というものは、一方においては非常に人手不足で悩んでいる。一方においてはこのような不当な事柄が首都東京でしかも白昼堂々と行なわれている。これは非常にわれわれも真剣に考えていかなければならない問題じゃないかと思います。新聞によりますと、こういう問題を解決するために安定所を、職業の紹介をするために上野の駅に出張所を設置しておるという記事も載っておりました。しかし、こういった方策というものはいわゆる対症療法的なものであって、一時のがれにすぎない、根本的な、抜本的な方策にはならない、このように思うわけであります。先ほどから出かせぎの問題がいろいろとお話があっておりましたが、今回の農政上の問題から考えましても、この種の問題はなお一そう激化の一途をたどっていくのではなかろうか、こういう憂慮もするわけでございます。そう考えますと、そういった可能性のある過疎地帯や農村地帯に対しまして、そこの現地の安定所がどのような職業の安定の、いわゆる職業の紹介をやっているか、職業安定所に職を求めるようにというPRなりあるいはそういった面に多少欠けているところもあるのじゃないか、あるいは職業安定所には行きにくいというようなそういった意識のもとに、東京に出てくれば何とかなるということから、このような不祥事件が起こっているのではないか、このようにも憂慮されますので、そういった地元のほうでどのような方策をとっておられるか、また今後この問題に対してどういう方法で絶滅をねらって、しかも安定した職につけるように、あるいはまた楽しい働き場を与えていくように方法を考えておられるか、その点について明確にお答えを願いたいと思います。
○住政府委員 やみ手配師のばっこ状況でございますが、最近御承知のような人手不足が深刻化するにつれましてこういう傾向が出てきておることは、新聞等にも報ぜられておるとおり、むしろ逐年これはふえてきておるのではなかろうかと思っております。それで、そういうようなことに対する対策でございますが、現在の職業安定法の立場におきましては、たとえば直接募集をする場合には安定所の許可を必要とする、こういうことになっております。許可をするにあたりましては募集地域なり募集人員、募集期間を定めまして許可を与えておるのでございます。そうしてできるだけ、募集人による直接募集の場合であっても、当然その許された範囲の中において募集するようにいたしておりまして、それから文書募集、広告等による募集の場合、これも安定所に届け出る、こういうことになっておりますが、そういう場合におきましても、募集の内容がどうかと思われるものについては注意、勧告を与えるというようなことで制度上はチェックをいたしておるのでございますが、申し上げましたように、人手不足が深刻化するにつれて、なかなかそれだけではやみ手配師の横行というものを取り締まれないという点に不備を持っておる個所もあろうかと思っております。 そこで、そういう出かせぎ労働者の方々の対策でございますが、私どものほうでは、できるだけ正しいルートで就職していただくように皆さんに呼びかけておるわけでございます。それで、安定所ばかりでなくてもけっこうだ、市町村なり農協等も通して働くようにしてくださいということで、そういうような意味で安定所、市町村、農協等の連絡体制をきちっといたしておりますとともに、出かせぎに行く方々には手帳を出すようにしたり、あるいは安定所において出かせぎ労働者名簿をつくりまして、できるだけそういう正常ルートによる就労という対策をとっておるわけでございます。それから就労地におきましても、これも努力中のことでございますけれども、出かせぎ労働者を使う求人者の台帳を安定所につくらせております。そして求人をする場合にはできるだけ安定所を通じてやってもらう。そしてそういう求人者の把握ができますれば、就労の条件、環境等についてのいろいろな指導監督等もできるわけでございますので、そういう意味で、安定所を通ずる求人を呼びかけておる、こういうことでございますが、まだまだ不備な点があろうかと思います。総合農政の推進等とも関連いたしまして、出かせぎ対策については今後さらに検討して万全の対策をとるようにいたしてまいりたいと思っておりますが、来年度予算においては調査費等もお願いしておりますので、すみやかな調査をいたしまして適切な対策を樹立して、御指摘のようなことのないようにつとめてまいりたいと考えております。
○桑名分科員 時間が参ってまことに申しわけないわけでございますが、まだ一度も大臣に答弁を要求しておりませんので、先ほどからのいわゆる産炭地の問題並びにいま申し上げましたようないわゆる人狩り族の絶滅の問題あるいは出かせぎの問題、この問題についての御所見を伺っておきたいと思います。
○野原国務大臣 御指摘のいろいろな問題につきましては、今後の労働行政に積極的に組み入れまして対策を講じてまいりたいと考えております。 特に、農村の労働力の問題は今後の重大な問題でございます。これに対する対策は一応方針をきめまして、目下その方向に向かって進めるべく準備を整えておるわけでございます。予算が通りますれば、直ちに新しい総合農政の一環としての大きな労働行政を展開したいと考えております。 同時にまた、産炭地の問題につきましては非常にむずかしい問題であるわけでございますが、この問題につきましてもひとつ積極的に取り組んで、今後の対策を講じたいと考えております。
○桑名分科員 終わります。
○古内主査代理 これにて桑名義治君の質疑は終わりました。 次に門司亮君。 〔古内主査代理退席、主査着席〕
○門司分科員 私は、きょうはきわめて簡単に率直にお尋ねしますので、そのつもりで率直に御答弁願いたいと思います。 最初にお聞きをしておきたいと思いますことは職業訓練に関してですが、いずれ七二年までに沖繩が返ってまいります。沖繩の今日の現状というものは本土と多少変わっておりまして、これらの問題について、やはり本土の労働省としては至急何か対策を立てる必要があると私は思うのであります。どういうことをおやりになっておりますか、いままで。
○石黒政府委員 沖繩の青少年労働者に対する職業訓練が非常に重要でありますことは御指摘のとおりでございます。従来から本土における訓練校の募集の際には、係員を沖繩に出張させまして本土の訓練校に入所できるような措置を講じております。毎年若干名が本土の訓練校に入っております。沖繩の訓練校自体は、琉球政府のつくっております訓練校が二カ所ございますが、これは率直に申しまして非常に貧弱でございます。本年度予算におきましては、これを増強する若干の経費を琉球政府に対する援助として支出いたすように組んでおります。そのほかに、全額本土政府の負担によります雇用促進事業団の総合職業訓練所を沖繩に建設すべく四十四年度予算で一部認められておりまして、本年度もその追加で、約四億円の規模で目下建設中でございます。それはコザ市に本年の十月ごろ開所の運びになるという予定でございます。
○門司分科員 沖繩の実態は、やっていないというとおこられるかもしれませんが、非常に貧弱でありまして、ほとんどその効果をあげていないと私は思う。いまお話を聞きましたので、何かやっているという話でありますから、この際これ以上私はあまり追及いたしませんが、特に本土との間に労働者の給与その他の面で格差のあるようなことがあってはならないと思いますから、私は十分気をつけていただきたいと思います。 それから、その次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、過疎地帯に対する問題で、いま人狩りの問題等もお話がございましたが、これについては何か労働省考えておりますか。ただ出かせぎだとかあるいは離農する青年がこららに来てそれをどこかにとって、それからというようなことでなしに、何か過疎地帯に対するこういう問題をお考えになったことがありますか、また現におやりになっておりますか。
○石黒政府委員 過疎地帯対策については労働省としては非常に扱いにくいのでございますが、職業訓練といたしましては、全国で都道府県立の訓練校が約三百二十ございます。これの配置におきましては、各都道府県庁において過疎地帯にも適当に配置しておるように承知しておりますが、その配置自体につきましては、これは本省があれこれ指示する筋合いではございません。労働省といたしましては、雇用促進事業団に総合職業訓練校を経営させております。これが全国で約八十ございます。近年におきましては過疎地帯と申しますか、たとえば鹿児島県であるとか高知県であるとかあるいは青森県というような、従来からいえば比較的工場の少なかった地帯にも総合職業訓練校を設置することによりまして、良質の労働力の訓練ができるようにという配慮をいたしております。
○門司分科員 それから、従来開発法はたくさんありますが、その中でも地域開発に対する総合開発、たとえば水島のようなところをやっていますが、それらにどういう配慮をされていますか。特に地方の安い労働力を吸収しようとする意図が企業にはあると思いますが、そういうものについては特殊な訓練所か何か持っておりますか。
○石黒政府委員 水島地区には、これは何年でありましたかちょっと失念いたしましたが、数年前に総合職業訓練校を設置しております。また訓練所ではありませんけれども、ああいった新興工業都市に対する中小企業労働者用の福祉施設というようなものも設置をするように準備いたしております。
○門司分科員 労働省は非常にやりにくいだろうと思いますけれども、たとえば上野のいまの人狩りのような問題にしても、本来から言えばあなたのほうの仕事なんですね。それを何か刑事問題のような形で片づけようとするところにやはり問題がありはしないかと思う。非常にやりにくいではありましょうけれども、全体の労働力をどういうふうに理想的に配分するかということ等については、国がもう少し計画性がなければならぬかと思うのです。外国の例を見てみましても、かなりその辺は行き届いたことをやっているように私は記憶しているのですけれども、きょう時間もございませんので、そんなに長くこれ以上これを追及するわけにもまいらぬかと思います。 それから、これは特に事務当局だけの問題でなくて、大臣にもひとつお考えを願っておきたいと思いますことは、文部省の関係であります。文部省がここ二、三年執拗に、例の技能検定試験を、労働省がやっておるのと類似したような形の行為を行なおうとすることがございます。ここに文部省から出ておりますものも私は持っております。文部省の昭和四十二年十月九日に出した「技能審査の認定に関しては、この規則の定めるところによる。」と書いて、「技能審査の認定に関する規則」「文部大臣」、これは剱木さんのときらしいんですが、剱木さんの名前が書いてある。これをずっと読んでみますと、いろいろなことが書いてありますが、大体、本来技能に対しましては御承知のように職業訓練法という親法があって、その親法に基づいてこういう行為が行なわれているのであります。親法のないところにこれに似たようなものをこしらえるということは、検定を受けるほうも実際は私は迷惑だと思うのです。資格を云々されると迷惑だと思うのです。これは一体文部省の関係はどうなります。どうするつもりなんですか。
○石黒政府委員 御指摘のごとく昭和四十二年以来文部省では技能審査ということをいたしております。これはこういう席で申し上げますのは恐縮でございますが、非常に率直に申し上げまして、この技能審査制度を文部省が始められるに際しましても、私どものほうには十分な御相談がございませんでした。どうも形としては少し妙な形で発足してしまったように思っております。したがいまして、できちゃった以上はしかたがございませんので、運用上技能検定にまぎらわしいようなことをほかのところで二重行政としてやることのないように、文部省には厳重に申し入れをいたしておる次第でございます。
○門司分科員 申し入れをしているといったって、それでやめていますか、やっていますか。どうなんですか。申し入れだけしていたって何にもならぬ。
○石黒政府委員 現実に技能審査として文部省がやっておりますのは、いままでのところは英会話の審査みたいなものであって、これは別にうちの技能検定とは関係がございませんから、そういう分はよろしいわけでございますが、最近に至りまして洋裁の技能審査をいたしたいということを文部省がお考えのようでございます。これはすでに私どもの技能検定で洋裁をやっておりますので、そういうことはおかしいじゃないかということを申し入れまして、現在までのところ、文部省では洋裁の技能審査はいたしておりません。
○門司分科員 この問題ですが、私は質問の機会があれば一応文部省のほうにもたださなければならぬと思いますけれども、文部省のほうが従でありましてこちらが主ですから、きょうはこちらのほうでお聞きするわけです。御承知のように、文部省が委託をいたしておりますいわゆる検査をするといいますか、認定をする団体の名前は、財団法人日本洋裁技術検定協会と、こうなっている。検定という字が使ってある。あなたのほうも検定、文部省も検定なんです。これには認定と書いておりますが、審査をする団体は明らかに検定協会なんですね。これは非常にまぎらわしいというよりも、むしろこれはやっかいなものだと思っているのです。労働省としてはどうしてこういう問題を取り消すことができないのか。あなたのほうはさっき言ったように職業訓練法という親法によって仕事をされておる。文部省には別にこういう訓練をしなければならぬというようなものはございませんし、これの対象になるのは大体訓練所というよりも各種学校だと思います。洋裁学校を出た人に何らかの認定をしていきたい、こういう考え方ではないかと考える。しかしこれは財団法人ですからね。国は国費を使って、技能に対するきわめて峻烈というとことばは行き過ぎでありますけれども、やはり公平な認定をしていこう、労働の価値を高めていこうとするだけの仕事をされておる。これと全く同じことばの使われた財団法人として行なう。財団法人でありまする限りにおいては、お金をもうけないというわけにはまいらぬと私は思うんですね。そしてもしこういうものが必要だとするなら、公益法人であれば幾らか国の制度に似たような形でやれると思いますけれども、ことに財団法人であって、そうして全く同じ名前を使っている。こういうものを労働省がほっておくということはないと思うんですよ。文部省へ小言を言うのは何でもないことですよ。やはり親のほうはあなたのほうですよ。これは大臣はどう考えられますか。文部大臣とけんかされるわけには――閣内の不統一に火をつけるわけではございませんけれども、何とかこの辺はきまりをつけてもらわぬとほんとうに困ると私は思うんですよ。しかも一方においては――時間がございませんから、立つたついでにみんな言っておきますけれども、あなたのほうの検定の規定から言いますと、たとえば洋裁については七年の経験を要する、そうして初めて受験資格ができる。しかもその中には、洋裁学校その他各種学校を出てきた人は、その学校で修業した年限はこれを縮めるということで、学校で三年やった人は実務を四年やればよろしい、こういうことになって、ちゃんと中に含まれているんですね、そうやかましいことを言わなくたって。にもかかわらず、同じような名称を使って同じような仕事をこうした財団法人にやらせるということ自身が私はおかしいと思うのですけれども、大臣どうお考えになりますか。これはひとつもう少しきっちりきまりをつけてもらわぬと、こういうものがそこらじゅうにできたから困りますよ。労働省の仕事を文部省が、これはおれのほうの仕事だ、農林省が、これはおれのほうの仕事だとみんなとられてしまった日には、職業訓練法なんというものはどっかへ行ってしまうんですよ。大臣、ひとつこの点について特にきょうはあなたのお考えを承っておきたいと思います。
○野原国務大臣 文部省が職業教育に対しては必ずしも十分でないと私はかねがね感じております。今後の日本の経済の成長発展の過程におきまして労働力が非常に不足してくる。したがってそれがそれぞれみな職業に対して熱意を持って、できるだけ学校教育課程において職業教育なり訓練を続けることができるならばたいへん望ましいと考えております。ところが頭脳の教育はするが職業教育などはどうも軽視しておるのではないかと考えておったやさきにただいまの質問でございます。各種学校等についてのいろいろな検定等もやりたいという。しかしこれは労働省でも職業訓練法に基づきまして技能検定をやっておるわけでございまして、やがては二百種目にもふやそう、現在もう七十何種目やっておるわけでございます。これはやはり労働省の専門分野でございますから、この検定業務については、まぎらわしいことをやることについては文部省にも御遠慮をいただきたいと思っております。しかし、文部省があげて職業教育をほんとうに真剣に考えていただくということはむしろたいへん好ましいわけで、いまの学校教育全体から見れば、必ずしも職業教育に対してそれほど熱意があると思ってないのです。どうも話がおかしくなりましたが、そういう意味で、文部省はもっと職業教育を重視してもらって、たとえば中学校の課程、あるいは高等学校の課程におきましてもできるだけ職業教育に理解を持って、熱意を持ってやっていただきたいということを望むわけでございます。ただ、それが検定業務をやりたいというようなことになりますと、これはどうも問題だと思うのです。そういう意味では、やはりもちはもち屋でございますから、労働省が担当して、りっぱな検定は行なう、しかし教育は文部省も一役買うということでいいんじゃないんでしょうか。かように考えております。
○門司分科員 大臣の言われることは、法律を読めばそのとおり書いてあるのです。学校で修了した年限はその中に組み入れて、見ていこうということで、学校教育のほうはめんどうを見ないわけじゃないのであります。私はなぜそういうことを言うかといいますと、いま大学だとかそれから各種学校は非常に多いんですね。実際いま大学の数、生徒の数なんというのは、旧制中学程度の人員と学校はあろうかと私は思います。その中で、私は日本で最も憂慮するのは、学問というのでありませんで、今後科学技術が非常に発達していきまするときに、人間の持っている技術というのがそれに追いついていかなければ、私は国の産業というものは非常に困るときにぶつかりゃしないかということであります。頭脳はどんなに働いて一応の進歩は見てみましても、それをこしらえ上げていこうとする技術が劣っておったのでは何にもなりません。私どもから率直に言わしていただければ、いま日本の技術労働力の中で最も関心を持たなければならないのは、この種のいわゆる技能検定であります。私は、あらゆる職業について一応国家試験というようなものが完全に行なわれて、そうして技能を進めていくということが科学の進歩と相並行していくときに初めてほんとうの科学の進展、あるいは産業の発展はあり得ると思う。そう考えてまいりますと、技能検定というのは非常に大きな仕事でありまして、それがこういう形で何かなわ張り争いをして、そうして名前も同じような名前をくっつけているというようなことは、時代錯誤というか、何といっていいかわからぬほど現実を無視した行き方だと私は思うのです。これは大臣だけを責めるわけじゃありません。ほんとうは佐藤さんに来てもらって話のけじめをつけてもらわなければならぬと思うのですけれども、一体閣議でこういうものが――私は文部省のこういうものも大臣名で出ておりますので、おそらく少なくとも次官会議くらいにはかけられておると思います。閣議にはかけられなかったかもしれませんが、次官会議くらいにはかけられたと思います。そうしたことで、この点については大臣は一体これを将来どうするつもりです。必ず文部省にこういうまぎらわしいことはやらせないということをここで御答弁願えればけっこうですが、もしそういう御答弁が願えなければ、これからまた文部省のほうに行って少し話をしないとけじめがつかぬようになってまいりますが、どういうことになりますかね。
○石黒政府委員 御指摘の点は、官庁間の連絡不十分の点でございまして、私どもとしてもまことにお恥ずかしい点であると思いますが、技能審査を開始いたしますときも連絡不十分でございましたし、また、ただいまの御指摘の洋裁検定協会でございますか、それの認可につきましても、私どものほうに文部省からの御相談は十分ございませんでした。おそらくその協会は文部省に認可されましたので、財団法人になっちゃっているわけでございますが、何をしていいのか宙に迷って困っておられるだろうと思うのでございます。私どもといたしましては、たとえば商工会議所がたま算の検定をやっております。そういうような私的な性格で特定のものになさることはこれは御自由でございますが、国として技能検定というようなものあるいはこれにまぎらわしい二重行政をするということは、税金を納めておられる国民に対しましても許さるべからざることであると存じておりますので、文部省が国家検定の一種として技能検定を洋裁に対してやるということは、労働省としては絶対に認めるわけにはまいらない。その趣旨をきつく文部省に申し入れているわけでございます。
○門司分科員 大体労働省の意向はわかりました。先ほどから申し上げておりますように、このことは単に洋裁だけじゃございませんで、こういう道が開けてまいりますと、日本のせっかくの技術を伸ばしていこうとする考え方――職業訓練法に基づいたということで、職業訓練というものが失業救済のような形で、失業した人あるいは農民層から職業のない人が出てきて、それに特殊の訓練をするというような筋合いではないと私は思うのです。こういうことばを使うから何だかおかしいようなことになるのですけれども、実際はこれは国家試験でありまして、国家が行なう技術試験であって、非常に大事なものであります。したがって職業訓練法というような法律の名前も実はほんとうは変えてもらいたいのです。職業訓練でなくて、実際やはり国家試験としてのたてまえをここに大きく、文字はどういう文字を使うかわかりませんが、出してもらうことが必要じゃないかとすら考えているのです。こういう点につきまして、いまのお話では何かはっきりしないようでございますから、文部省との間のけじめをひとつここでつけておいてもらいたいと思うのです。さっき申し上げましたように、このことがもしずるずるべったりになって、文部省でもこういう検定を行なう。しかしそれは国家試験ではないから、検定協会の認定を受ければ、実際洋裁だといたしますと、お嫁さんに行くときの一つの肩書きくらいにはなるかもしれません。しかし、その効果は私はあろうかと思いますけれども、それならそれで、やはり学校を卒業されるときの免状があるのでありまするから、別にこういう特定の検査をしなくてもよろしいのじゃないか。だから、ほんとうに日本の労働者の技術を伸ばしていこうとすることになれば、こういう問題はもうとっくに解決していなければならぬと私は思うのですけれども、何か長い間くすぶっていて一向解決しないで弱っておいでになるようでありますから、私の時間はまだ五、六分ありますけれども、私はこれ以上申し上げませんが、労働大臣のほうでひとつ気をとめていただきまして、閣内で文部大臣との間に話をつけていただいて、こういうまぎらわしいことのないように、そうして将来の日本の労働者の技術が高く評価されるようなことにしていただきませんと、みそもくそも一緒だと言うとことばが悪くて会議録にはあまりいいことばにならぬかもしれませんが、玉石混合されるような技能検定が行なわれるということになりますと、技能検定自身に傷がついておかしなものになりはしないかということを実は危惧するわけであります。その点をひとつ特に大臣に考慮していただきますことを、条件というと悪いのでございますけれども、私の要望として、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。
○田中主査 以上をもちまして門司君の質問を終わります。 次は古寺宏君。質問を許します。
○古寺分科員 政府は今回の総合農政の一環といたしまして、転作あるいは休耕奨励金を支給して米の作付を制限しようとしておりますが、これは東北、北陸等の米作地帯の農家に多大の経済的影響を与えるものでございます。この措置によりまして零細農家の中には離農、転職を余儀なくされる者が相当出ると思われますが、これに対して労働省はどのような対策をお考えになっているか。また離農あるいは転職の人員はどのくらいを考えておられるか承りたいと思います。
○野原国務大臣 米の生産過剰という問題に端を発しまして、いまや総合農政が強力に展開される段階になりました。作付の転換あるいは休耕というふうな問題が余儀なくされるわけでございますが、それに伴いまして農村の方々が非常な不安を覚えている、あるいは他に職を求めるといったような現象が出てくると予想されます。そういったことに対しまして労働省は、緊急に農村対策としての対策を講ずることにいたしまして、とりあえず職業転換のための相談員制度を創設する。五百二十名ほどの指導員を置く、同時に農村地帯における巡回相談所を開設するということを考えております。 そしてまた、市町村あるいは農協、農業委員会等の方々にお願いしまして、職業転換等に対する協議会をつくる等のことをいたしまして、そうして同時にまた、農業者の中には、必ずしもほかの職業に十分な経験を持っていないわけでございますから、そういう方たちのために実は思い切った職業訓練を行なう。これも実は正規の訓練校に収容するというだけでは困難でございますから、できるだけ短い期間に効果のある訓練を行なうと同時に、ときには簡易訓練校、訓練所を設けたりあるいは職場内の訓練を行なうといったようなことによりまして、できるだけいい労働条件で就職ができますように、適材適所にその人たちを振り向けていくというような政策もとるわけでございます。 また同時に、訓練中の手当の問題あるいはその方の移転の費用あるいは旅費といったようなものを支給いたしまして、できるだけ多くの、農村から農業以外の仕事に従事しようという人たちに対しては、きめこまかな対策を講じていこうということで出発するわけでございますが、とりあえず四十五年度の予算に四億一千万ほどの予算を計上しておるわけでございます。もとよりこれは必ずしも十分であるとは考えておりません。ただ、従来からやってまいりました出かせぎの対策といったようなものにとどまらず、思い切って農村労働力を大きく活用する、日本の産業経済の発展に役立つような姿でやってまいる、そういうことを考えておるわけでございます。 同時に、実は農村地帯は、他に職を求めて農村から出ていくということは必ずしも好ましくないわけでございます。したがいまして、農村地帯に実は工場の分散をはかり、工場を設置いたしまして、こういう工場等をつくる場合には農村地帯にふさわしいような工場をできるだけ誘致をする。それに対する土地の問題あるいは資金の融通の問題等については、企業者に対しましてできるだけの協力をしようということによって、通勤可能な地帯で、できるだけ多くの人たちが安心して従事できるようにいたしたいというふうなことも目下検討しておるわけでございます。そうしたことによって過疎地帯の方々も必ずしも過疎状態にならず、家族と離れずにその地帯で、かたわら兼業で農業のこともある程度営める。同時にまた新しい職業に転換できて、きわめて安定した形でほかの職業にも従事できるという状態をつくっていこうという試みが今日検討されておるわけでございます。そういう方向で今後意欲的にひとつやっていこうという段階でございます。
○古寺分科員 ただいまの大臣の御答弁を承りますと、非常に前向きの姿勢で今後この農業者の問題については当たられる、まことにけっこうな御答弁でございますが、大臣のお隣に八戸市というのがございます。ここは新産都市になりまして、三十七社の企業が進出をいたしておりますけれども、県内の労働者を吸収した数はわずかに千名でございます。今度の総合農政による休耕あるいは転作によって出てくるところの農民の方々は、ほとんどが中高年齢の方々であるように考えられるわけでございますが、こういう中高年齢者に対しては一体どのような対策を考えておられるか。またせっかく企業を誘致いたしましても、三十五歳以上は就職ができないような事情が各地で起こっているわけでございます。こういう点につきましてもどのように今後考えておられるか、承りたいと思います。
○住政府委員 今後総合農政等の進展に伴いまして、農村の実情からして御指摘のように中高年齢者の再就職が非常に問題になると思うのでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、農業従事者の実態に即応した訓練というものを組織的に考えまして、求人に見合った技能を身につけていただき、そうして再就職を容易にしていこうというようなことで、たとえば訓練手当を支給しながら職業訓練をするとか、さらには職場に直接入っていただいて、職場になれながら職場適応訓練という制度もございます。これは訓練所という施設に入らなくて、職場において実地に即して訓練をしていく、こういう制度。あるいは就職促進の措置といたしましていまこまかい職業指導とか職業相談を行なうというようなことによって、できるだけ転換が容易になるように私どもとして努力してまいりたいと考えております。
○古寺分科員 先ほどの御答弁になかったのでございますが、休耕あるいは転作による離農者あるいは出かせぎの人員、これについては労働省では何人ぐらいを考えておられるか。
○住政府委員 まず出かせぎ労働者の数字でございますけれども、私どもの失業保険におきまして短期受給者、要するに三カ月間の受給資格のある失業保険受給者の数は約六十万人、こういうようになっております。また一方、農林省の農家就業動向調査によりますと、一カ月から六カ月間家を離れて働いている方々の数は二十二、三万、こういうような数字になっております。 それから今後総合農政の進展に伴いまして、どれくらい私どものほうで他産業への再就職のお世話をできる人が出るか、こういう見通しの問題でございますが、実は農林省のほうでは農業従事者が進んで他の産業に就業する者について援助する、それは農政審議会の答申等にもそういう方針が出されておるわけでございますが、そういうような考え方をとっておりますし、さらに農林省のほうでも、私ども承知しておるところでは明年度から相当の調査を実施されるというようにも伺っておるわけでございます。今後総合農政の進展に伴って、どのようにそういう農業従事者が出てくるかということについては、はっきりした数字を申し上げることはできないような状況でございます。
○古寺分科員 先ほど訓練のお話がございましたけれども、こういう離農者あるいは転職者というものはすべて一家の柱と思われますが、訓練手当は一体どのくらいを考えておられるか。
○石黒政府委員 訓練手当は地域等によりまして異なりますが、全国での平均で二万二、三千円程度を考えております。さらに職種によりまして、特定の職種につきましては二千円の特別手当がございますから、それがございます人は二万五千円になるということでございます。
○古寺分科員 いま一家の親子四人の生活費は大体六万円くらいと考えられますけれども、こういう少ない手当をいただいて訓練を受けるということは、生活上非常に支障を来たすと思いますけれども、この点については今後ふやしていくお考えがあるかどうか。 また先ほど総合農政によって考えられる、いわゆる対象人員の見通しはまだ推定ができない、こういうお話がございましたけれども、今年度のこの予算の中には四億九百四十万円という農業者の転職訓練を対象にした予算が計上されておりますけれども、これは一体何人ぐらいを推定してこういう予算を計上したのか、その訓練費とあわせて御答弁を願いたいと思います。
○石黒政府委員 農業従事者の、あるいは離農者の訓練手当は、一般の訓練手当と平衡をとって考えております。一般の訓練手当が昨年二万一千円から四十五年度で二万三千円と上がったわけでございます。今後も賃金水準並びに物価の動向に応じまして、訓練手当の改善には努力いたしたいと考えております。 それから訓練対象人員でございますが、これは訓練施設の整備等に若干の日子を必要といたしますので、本年の下半期から訓練を開始するという見込みで、その人員はトータルで大体三千七百人というものを対象人員に考えております。
○古寺分科員 こういうような非常に乏しい予算で、しかもわずか三千七百人くらいの方々の訓練しかできない。しかもその訓練を受けるためには非常に少ない訓練手当で生活をしなければならない。その結果が、結局は出かせぎを余儀なくするわけでございますが、今後こういう労働省あるいは国の施策によって出かせぎ者が相当にふえるということが想像できるわけでございますが、労働省は今後この出かせぎ対策についてどういうことをお考えになっておられるか承りたいと思います。
○住政府委員 先ほど申し上げましたように、相当多数の方々が出かせぎ労働に従事しておられるわけでございますが、私ども職業安定行政の立場から申し上げますと、まず出かせぎ労働者が正しい経路によって就労していただく、こういうための対策を第一に考えております。そのためには、いろいろいかがわしい手配師等による就労をできるだけ排除していくというたてまえで、安定所といたしましては、市町村なり農協等と連絡をとりまして、そういう正しい経路で就労していく。そのために出かせぎ労働者には手帳をお渡ししたり、あるいは安定所では出かせぎ労働者の台帳を整備いたしております。そうして就労にあたりまして私どものほうでは、たとえばいろんな就労にあたっての法律知識だとか、あるいは安全の観点からどういうことを心がけたらいいかというような意味での、出かせぎ地におきます就労前の一日ないし三日の講習等をも考えて、心がまえをきちっととっていただくような配慮もいたしております。 それから就労先におきましても、できるだけ安定所としてはよい求人を集めて供給地の安定所に連絡をする。そのためには出かせぎ労働者を使っている事業所等の台帳等もつくりまして、需要地、供給地の連絡を密にしていく、さらには就労先における指導、監督の便宜もはかっていこう、こういうような体制が基本的な仕組みでございますが、さらにたとえば出かせぎ労働者がよく集まりますところには出かせぎ労働者の相談所を設けております。札幌なり東京、愛知、大阪等に援護相談所を設ける、さらに明年度には横浜に相談所をつくりたい、できるだけ気軽に出かせぎ労働者の方々がその相談所に来ていただいて、いろんな苦情なりそういうような相談に応ずるという体制をつくっておりますし、出かせぎ相談所には簡易な宿泊施設等をも設けておりまして、出かせぎ労働者の便宜をはかっております。要するにくにを出てからくにに帰るまで一貫しためんどうが見れるような体制の充実をはかってきておりますし、今後ますますそういう体制の強化につとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
○古寺分科員 出かせぎ者の中で職安を通して就職をしている数は大体どのくらいございますか。
○住政府委員 いろいろの統計があると思いますが、私どものほうでは大体三〇%程度職安を通して就労しております。
○古寺分科員 職安の紹介を通さないというのは、やみ手配師の横行によるというふうにいわれておりますけれども、今後この問題については十分に取り締まるべきであると思いますが、この対策はどのようになっているか、また聞くところによりますと、失業保険を掛けてやるからというので、不正受給を承知の上でやみ手配師の紹介によって就職しておる人が非常に多い、そういうことを承っておりますが、この点については、どのようになっているか承りたいと思います。
○住政府委員 いま申し上げましたように、安定所を経由して就労される方々が三〇%というようなことで、それではその他どういうような経路で就職するか、まあ地元有力者等があっせんするという例もございます。それからまた、ある事業所に連続して就労するようになるということで、毎年毎年同じ場所に就労するというようなこと、それから文書募集なり、直接募集による募集等がある、こういうようなことによるものと思いますが、先ほども申し上げましたように、できるだけ安定所、それから市町村なり農協等を通じて就労するような体制をつくり上げていきたいと考えておるわけでございます。と同時にやみ手配師等の横行も、これから人手不足を反映いたしまして横行することも考えられますので、私どもといたしまして、直接募集の許可だとか文書募集の届け出等につきまして厳正な指導を行なってまいりたいというように考えておるわけでございます。それと同時に、たとえば出かせぎ労働者が需要地におりられる玄関であります東京でいえば上野のようなところでは、たとえば駅構内に相談所を設ける等の措置を講じまして国鉄なり警察等とも連絡いたしまして、できるだけそういうことのないように対策を講じてまいりたいというように考えております。
○古寺分科員 やみ手配師の問題は賃金不払い等の問題にも関連をいたしておるわけでございますが、昨日の新聞を見ますと、上野駅周辺の人狩りの問題あるいは暴力飯場の問題も新聞に報道されておりました。私どもがよく聞くのは、労働大臣の認可を受けた駐在員あるいは募集員の中にもそういういいかげんなことをやっている人がいるということを聞いておりますけれども、こういう問題については労働省はどういうチェックのしかたをしているのか承りたいと思います。
○住政府委員 募集人による募集の場合は、たとえば募集地域がどこである、募集時期はいつだ、募集の人員は何人だというチェックを行ないまして、募集人が募集に従事する場合にはその地方の安定所に出頭して、これから募集に従事する、こういうような体制になっておるわけでございまして、かりに許可いたしました募集人がいかがわしいことであればまことに申しわけないことでございます。そういうことのないように厳重な指導を加えておるのでございますが、御指摘のようなことがあれば非常に問題でもございます。従来とも気をつけておるのでございますが、その点についてはそういうことの絶滅を期するように徹底して検討をいたしたいというように考えております。
○古寺分科員 そういう労働大臣の認可をいただいている募集人やあるいは駐在員の中にもそういう問題があるのですから、やみ手配師というのはますます横行すると思います。しかも先ほどお話がございました上野の相談所につきましては、今月まだ開いてから八日くらいである、そういうふうに新聞に出ておりますけれども、こういういわゆる労働行政そのものが労働者の災害の頻発を引き起こしておる、私はそういうふうに思うわけでございます。あの大阪の尻無川の事故や、あるいは東京の荒川放水路の事故はまだわれわれの記憶に新しい事故でございますが、このような場合の補償金額は一体どの程度になっているのかお答えを願いたいと思います。
○和田政府委員 災害が出ます場合には労災保険で建設業の場合は全部見ることにいたしております。遺族補償の場合は大体年金でもって処理をいたします。ただし年金を受けられない方につきましては一時金を支給するということでございまして、年金の場合は現在給付基礎年額の四〇%の年金を差し上げる。大体これは遺族三人の場合でございます。それから一時金の場合は四百日分の一時金を差し上げる、こういうことにいたしております。
○古寺分科員 佐藤総理も非常に人間の尊重であるとかあるいは生命の尊重ということを申されますが、労災によるこの補償金額というものはあまりにも少な過ぎます。この問題につきましては、今後いろいろ法案も出るようでございますので、きょうは時間の関係上触れませんが、死んでからのお話はこれはどうしようもないことでございまして、死ぬ以前において、いわゆるそういう事故を未然に防止するような対策が必要ではないか、そういうふうに考えるわけでございますが、この点については労働省ではどのような対策を講じておられるか、お伺いいたします。
○和田政府委員 先生御説のとおり、何よりも災害が起きないのが先決問題でございます。ただ建設業は御存じのように、日々その工程が変わってきましたし、土壌、天候の支配というものが多うございますので、他産業に比較して災害率が非常に高うございます。しかし最近は業界の努力もありまして、傾向としては相当な減少を示してきているわけでございますが、なおなお不十分でございます。私どもとしましては、特に出かせぎ労働者の方はいわゆる未熟練労働が非常に多うございます。こういう方のためには、就労前にいろいろとその日の工程あるいは工事の性格、そういうものを労働者の方に徹底をして、そのつどの安全に応ずるような体制をとることが必要であるというようなことを重点にいたしまして、監督指導を強化をいたしておりますとともに、各企業者に対しましては、必ず毎日就労前にその日の日程についての安全教育を徹底をするように、こういうことを呼びかけておりまして、業界では漸次そういう方向に向かって努力をしていただいておる、かように考えております。
○古寺分科員 この問題についてはいろいろございますが、まず第一には、何といたしましても監督官の増員の問題だと思います。昭和二十五年には二千七百七名だったのが、今年は七十五名ふやして、二千六百七十八人に、増員をする、こういうことを承っておりますが、こういうことではいつまでたっても安全対策は進むべくもない、そういうふうに考えるわけでございますが、昨年の四月の衆議院の社会労働委員会におきまして原労働大臣は、労働基準監督官をふやして工事現場の監督を強化する。また出かせぎ農民のための法律をつくりたい、こういうふうに答弁をなさっております。さらにまた原労相は、労働の安全、賃金の不払い防止などを含め、安心して出かせぎできるような法律を検討したい、こういうふうに答弁をいたしております。労働大臣は出かせぎ者の一番多い東北の出身でもございますし、また農業のベテランでもございます。この法律の問題については、労働大臣は原労働大臣と同じお考えを持っておられるかどうか、今後のお考えを承りたいと思います。
○野原国務大臣 出かせぎ労働等の問題につきましては、今後の最も重大な問題として私は考えておりますが、これに対しましては至急に検討いたしまして今後の対策を講じたい。それにはいろいろ予算の問題あるいは立法化の問題等もあると思います。いずれにしましても、農村労働力が日本経済の発展に大きく役立つ。同時に日本の農村構造改善にも役立つような対策を講じたいと考えておるわけでございます。
○古寺分科員 以上で終わります。
○田中主査 以上で古寺宏君の質問を終わります。 次は島本虎三君の質問を許します。
○島本分科員 いま古寺分科員のほうからもいろいろと質問がありまして、私も拝聴しておりました。いろいろと出かせぎ対策、今後これは万全を期さなければならない大きい農政上の問題点をかかえておるのであります。またその解決も十全を期しておかなければなりません。安定所長からも、安定所経由は三〇%もある。就労前の講習等を考えて心がまえをちゃんとつけて、そしてよい求人を集めるように努力しておる。また供給地の安定所でも手帳をつくり、そして指導、監督をはかっているということ、まことに私もけっこうであります。こういうようなことから、事故がないように、うまくいくように願ってやまない次第です。それと同時に、いま基準局長のほうからも、これは業界でも改善のために大いに努力しているあとが見える、こういうようなことがあるわけであります。これもまことに同慶にたえません。 ただ、私が残念なのは、せっかくいまりっぱな答弁をもらいながら、私の手元には、一月の二十四日付で、一つの問題点が、同じような問題で出されているのです。これはそのままにしておくわけにはまいらないのです。一月二十四日の朝日ですけれども、「職安の紹介先が暴力飯場」「おどされて就労約束」「出かせぎ青年逃げ出す」「上野」こういうような見出しで、そして結局は「青森県から出かせぎに来た青年が職業安定所の紹介で、土建会社の出先の作業場に行ったら、そこは暴力団のからむ飯場だった。労働条件もはっきりしないし、恐ろしくて身の危険を感ずる、と二十二日夜、東京・上野署に保護を求めてきた。同署ではとの飯場を暴力行為の疑いで手入れし、三人を逮捕した。上野署では、暴力団が公的な機関を利用して正規の求人手続きで人集めをし、出かせぎ労務者を食いものにしているのではないか、と重視している。また職安も事前に信用調査を行なっていなかったわけだが、都労働局では「最近にない不祥事、さっそく調査する」といっている。」こういうような記事であります。そうすると、いませっかくこのような努力のあとが見られるならばいいと思っておりましたが、こういうような事件が次々と起きるのでは困るのでございまして、これについてはたしてどういうような経過になっておりますか、ひとつ警察庁のほうから高松刑事局長がおいでのようでございますから、このいきさつについてどういうような処置をとって、どういうようになったのか、はっきりさせていただきたいと思うわけです。
○高松政府委員 ことしの一月二十二日に青森から出かせぎに来ておる青年が上野署に参りまして、そして自分はこういうひどい目にあったという届け出がありました。その中身は、いま新聞でお読みになったのと大同小異でございますが、中身を聞きますと、前日の二十一日の六時ごろに上野職業安定所を通じてその飯場に就労したのだそうです。ところが、被害者が、ちっとも労働条件も明らかにしてくれないし、態度も非常に横柄であるというようなことで自分はここをやめたい、こういうことを申し出た。ところが飯場の責任者とか世話役とか称する連中が「ここをどこだと思っているんだ。一月くらいは働かなければしょうがないじゃないか。逃げ出したらただではおかぬ。」こういうことで脅迫して、えり首をつかんで振り回すというような行為をやった。とてもだめだからといって、警察署のほうへ届け出た。それで上野署では直ちに捜査をいたしまして、翌二十三日に西蒲田にありますその飯場の現場の責任者を一人、世話役二人、合計三人を暴力行為等処罰に関する法律違反ということで通常逮捕いたしております。 以上が事件の概要でございます。
○島本分科員 前から申されましたように、やみ手配師の横行、こういうような疑いさえも持たれるような、前の古寺分科員の発言もあったようでありますが、せっかく一生懸命やっておる、またやらなければならない労働省の職安自体がこういうようなことを成規の手続でやっておるのではとんでもないことじゃありませんか。私は、こういうことをやること自身がまっ先に改めなければならない一つの中心問題である、こういうように思うわけです。これはどうなんですか。職安が企業に人を紹介する場合も、事前に信用の置ける企業であるかどうか、こういうようなことを調査することがたてまえになっておるのではないかと思うのですけれども、こういうようなことに対しては、全然やらないで、何でもかんでも紹介してやるのですか。こういうことがあったらとんでもないと思うのですが、これはどういうようなことになっておるのですか。
○住政府委員 非常に遺憾な事件でございまして、非常に申しわけないと思っておるのでございますが、この求人は土建業として知事登録もしている、それから失業保険の適用事業所である、それから請負関係も、これは竹中組の下請でございまして、そういう系列も明確であったので、安定所としては求人として取り扱ったのでございます。そういう意味で、求人受理の際に、日給、労働時間等の条件確認も行なっておるのでございますが、事実は先生御指摘のような事態が起こったのでございます。安定所の調査がきわめて行き届かなかったということからそういうことが起きたわけでございまして、非常に残念に思っておる次第でございます。
○島本分科員 大臣、これは遺憾な事態であるということですから、これ以上追及いたしませんけれども、これは直さなければならないし、そういうような状態が起きがちである。おそらくは、刑事局長、これ一件ではないと思うのです。まだこれと類似の事件がたくさんあると思うのです。しかしながら、やはり一つでも出た以上、なぜこういうことが起こったのかということを十分調べて、二度とこういうことをさせないようにすべきだ、こういうように思います。残念ながら、求人側の労務担当者が成規の手続を経て求人申し込みに来たので、書類上の審査だけで求人受付をせざるを得なかった、こういうように当時の新聞にいわれておるわけです。そうすると、これは職安のほうが人手不足で、労働条件も何もかまわないで、そのまま言われたとおりに紹介してやった。どこへ行っておるのかわからない。そうしたら逃げ出してきた。こういう事件が刑事問題になってしまったということになるわけであります。こうなりますと、こういうようなやり方自身が、人手不足であるならば、いま古寺君が言ったように、大臣、これははっきり直さなければなりません。そして、これがどうしてもうまくいかないならば、またあまり手を広げてしまって天網恢恢疎にして漏らしてばかりいるようなやり方では何もならないと思います。私は、今後の農村問題を含めての一つの大きい政策ですから、この問題は粗略に扱ってはなりません。もう少しこの問題に対してはがっしりしてもらわなければならないのではないかと思うのですが、いままで遺憾であったことはわかりますが、これを今後改善し、再び繰り返さないようにするためには、大臣も、はっきりした腹がまえと、それから今後の計画を立てなければならないと思います。大臣の御意見を聞いておきたいと思います。
○野原国務大臣 まことに遺憾な問題でございますが、今後は万全を期しまして、遺憾なからしめるように努力いたしたいと考えております。
○島本分科員 同時にいろいろな飯場という飯場、こういうのはいわゆる基準法の問題にも触れるんじゃないか。これをそのままにしておくということ自身にも大いに問題があるんじゃないか。管理が改善されてきた、なかなか業界も努力をしておるというのに、先ほど基準局長も言っているのですが、どのような点が改善されてきているのでしょうか。これは飯場ですから、飯場には栄養士なり、こういうような成規の人を置いて完全にこれをやっているというのなら改善ともいえると思います。大きいところはやっていますけれども、ほとんど給食やそういうのは捨てて省みられていないのじゃないかというようにさえ思うわけですが、どういうような点が改善されているのか少し聞いておきたいと思います。
○和田政府委員 建設業におきまして、飯場につきましては、前々からいろいろ問題がございまして、初めのうちは簡易な設備でいいというかっこうにしておりましたが、いま先生御指摘のように、衛生問題その他で不十分でございましたので、四十三年の四月に建設業附属寄宿舎規程を新しくつくり、四十三年の四月からその規程を施行いたしております。これによりますと、従来の簡易な寄宿舎と違いまして、衛生関係等に特に注意をして、新しいものに切りかえておる。その飯場の監督は、東京とか大阪とか大都会におきましては相当精力的にやっておりまして、当初は相当な違反がございましたが、最近、監督をしてみますと、だいぶ改善をされてきておる。しかし、全部が全部規定どおりになっていないことも事実でございまして、その違反が指摘されましたものにつきましては、必ず厳重に監督をして是正をさしておる。そういう意味では、新しい寄宿舎規程ができましてから相当水準が上がってきておる、かように考えております。
○島本分科員 念のために、いまあがったこの事件の飯場は、これは改善された模範的な飯場になっておりましょうか。この点はひとつ刑事局長さん、御存じでしたらちょっと御発表願いたい。 それからまた基準局長も、口ではそういうように言っても、何かわかったならばそのものを改善するというのではだめじゃありませんか。そういうようなことが起きないうちに改善をさせるのでなければだめなんです。あなたも、わかってからこれを改善させておるなんというのはどうも私としては大臣の意思に沿わないのではないかと思うのですが、言い直したらどうですか。
○高松政府委員 改善された飯場かどうかということはよく存じておりません。
○和田政府委員 この飯場は元請であります竹中土木がつくりまして、プレハブで二階建てのもの二むねでございます。これを第一次下請である丸岩建設に貸し、さらにその下請である大益土建に貸したものでございますが、その中身が規定どおりなものであるかどうかについては、手元に資料がございませんので、明確には申し上げられません。
○島本分科員 でき得る限りこういうような点は一つの反省材料にして、万全を期するように今後つとめてもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。これはいわば出かせぎ労務者、こういうようなものに対しての一つの今後の私の忠告であります。 しかしもう一つはっきり聞いておかなければならないのは、青少年に対してもこういうようなことが同様に行なわれているのではないかということなんでございます。それはいわゆる青田刈りと言われている問題であります。まだ学校にいるうちに、適正な能力の発見もできないうちに、いわゆるつばをつけるというか、もう就職をきめてしまっている。三年間も勉強しなければならない中学校、高等学校、こういうようなところで、ほとんど二年半ぐらいであと学業放棄的な、こういうような事態さえもあるのだそうであります。これはたいへんな問題だと思います。当然これは離職、転職というような結果につながる、そうして非行化に進むおそれがあるのではないかということははっきりわかるわけであります。こういうようなやり方についても、労働省なり文部省なり何かはっきりした対策を立てて指導するのでなければ、次代をになう青少年ですから、これはたいへんなことになるのです。こういう事態に対してははっきりした考えを持っておられると思います。文部省のほうからも大崎職業教育課長も見えられているようですから、この青田刈りについてどのように指導し、どのようなことをしているか、これについてはっきり報告願いたいと思います。
○住政府委員 学校卒業者の選考時期の問題でございますが、御承知のように、中学卒につきましては、積雪寒冷地では十二月一日から、その他の地域では一月一日から、こういうことで、大体選考開始の時期は、中卒については私ども守られていると思っているのでございますが、問題は高校卒でございます。これは御指摘のように、来年三月高校を卒業する者に対して、普通でございますと、四月、五月ごろからいろいろ選考その他の求人側の活動が始まっているわけでございます。私どもそういうような事態は、御指摘のような観点から非常に問題であるというように考えまして、できるだけそういう体制を直したい、こういうことで従来から文部省あるいは求人側であります個々の事業主あるいは業界団体等とも連絡をとっておったのでございますが、逐次よくなってきていると思いますけれども、まだまだ相当ひどい状態であることは御指摘のとおりだと思います。そこで来年の三月に卒業して就職する高校生につきましては、時期はそれでもまだ早いのでございますけれども、少なくとも八月一日以降に選考を始めてもらいたい、それ以前の選考はやめようということで、文部省あるいは業界の方々とも相談いたしまして、そういう体制をとっております。またこの点については、全国高校長の校長会においても、十分そういう体制をとるようにという体制もでき上がっているわけでございます。具体的には安定所が紹介する場合もございますし、学校側が直接求人を受けまして生徒を紹介する、こういう場合もあるわけでございますが、学校側が直接求人を受けて生徒を紹介する場合におきましても、この求人については、安定所の求人選考開始の時期についての確認を受ける、こういう体制をとりまして、ともかく八月一日以降の選考を守りたい、そうしてそれにたがう求人に対しては生徒を紹介しない、こういうようなことで文部省とも話し合いをいたしまして、本年度はそういう体制で行こうと、現在各府県にもその趣旨の徹底をはかりまして、求人秩序の確立をはかっていきたいというように考えている次第であります。
○島本分科員 これは通達または何かの方法によってこういうようなことを全国的に徹底さしているのですか。これは個々の安定所のあるところだけでそれをやっても、ないところではそれに漏れるようなことに相なろうかと思います。これは通達でやっているならば、何らかこれに対しての原本があるはずであります。これはどういうような方法で行なっておるのか、これをひとつ発表願いたいと思います。
○住政府委員 いま申し上げましたように安定所、学校、少なくともその間の協力体制がぜひとも必要でございますので、地方に流す措置といたしまして、文部省の初等中等教育局長と職業安定局長の連名をもちまして、それぞれの下部への通達という形式で趣旨の徹底をはかっておる次第でございます。
○島本分科員 通達であるから法的な規制はないのだ、事業主に対してはPRしておっても、この結果については法的な規制も何らない、こういうようなことになればやはり依然として行なわれるということはもう手放しで認めざるを得ない。暴力事件みたいに、こういうようなことに対してこそき然とやっておいたほうがいいのじゃないかと思うのです。そうでしょう。ことに中学生の場合には義務教育ですよね。この中学生の場合にもあるということになると、これはとんでもないと思うのです。どうでしょうか。新規の学卒の需給状況についてどういうふうになっているのか、ひとつこれを発表願えませんか。
○住政府委員 まず新規学卒の需給状況でございますが、昨年四月中学校卒業者に対する求人の倍数は四・七倍、それから高校を卒業して就職しようとする者に対する求人倍率は五・八倍、こういうことになっておるかと思います。本年四月についてはさらにそれ以上の倍率になるものと私ども考えております。
○島本分科員 こういうような状態であるならばなおさらですけれども、これは文部省のほうでも、学業のいろいろな状態の中で十分に労働省と提携しながらこの問題を解決するのでなければ、これは野放しになってしまうおそれがあるのじゃないかということを心配するのです。これはどういうようなものでしょうか。倍数だけはわかるんだけれども、何人というのはわかりませんので、人数でお知らせ願えませんか。
○住政府委員 昨年四月卒業について申し上げますと、求職者の数が二十四万六千人、これに対しまして求人が百十七万九千人、先ほど申し上げましたように倍率としては四・八倍、高校につきましては求職者が七十七万五千人、これに対します求人が四百四十一万八千人、倍率にいたしまして五・七倍、こういうことになっております。
○島本分科員 これはなかなかな数でございます。やはりこういうような問題等についても十分な指導を怠ってはならない、このことだけは痛切に感ずるわけです。 そして職業の紹介の方法はどういうようにしていますか。
○住政府委員 安定所で紹介する分につきましては、まず求人を受ける安定所がございます。そういう求人を受けるにあたりまして、たとえばその求人事業所が各種社会保険に加入しているかどうか、あるいは労働基準法違反の事実があったかどうかとか、福祉施設の状況とか、そういうような求人についての把握を行ないまして、それを求職者のいる安定所に送付いたすわけでございます。安定所といたしましてはそういう求人を整理いたしまして、卒業生に対しましてそれを提示いたしまして、職業相談、職業指導を行なって、就職の意思を確定してもらう、こういう手続になっております。
○島本分科員 職業指導までしてそれを八月にやってしまったら、それ以降は遊びということになってしまうおそれがないか。以前はこれ十月以降だったのじゃないかと思うのですが、それがだんだん早くなって八月、来年あたりもうすでに三年生になったらすぐつばをつけるということになりかねないのじゃないか。これは学業上も大きな問題じゃないかと思うのですが、こういうようなやり方について文部省ではどういうように考えているのですか。
○大崎説明員 御指摘のように著しい早期の選考が教育の正常な実施を妨げておるという声が非常に現場に強うございまして、先ほど労働省からお話がございましたように、私どもと労働省と御相談申し上げましてその防止にかねてから努力をしておるわけでございます。御指摘のように昭和三十五年に労働省、文部省両次官通達を出しまして、高卒につきましては十一月一日以降という線で指導してまいったわけでございますが、その後の状況が遺憾ながら十一月一日という線を守れませんばかりか、極端な場合には四月、五月から選考が開始されるというような事例も見受けられるというような事態に立り至りました。昨年労働省の御当局と御相談を申し上げまして、この際ぜひ求人秩序というものを正していく方向で努力をしていきたい、そのためには理想といたしましては従前の十一月一日という線を堅持したいわけでございますが、当面の現実的な措置といたしまして、せめて一学期の学業を十分に終えましてその成績の評価をしました上で推薦選考がなされるということを、第一段階に最低限の線として設定したらということで、実は本年の三月の卒業生から八月一日という線を出しまして、そのかわりこれは厳守するのだということで努力をしたわけでございます。その結果、これは遺憾ながら十分順守されたという状況ではございませんが、従来年々悪化してまいりました状況が、地域によりまして非常に改善を見まして、八月一日の線を守れたという県がかなり出てきたわけでございます。この傾向をさらに明確にして、まず八月一日の線を守るということで、先ほどお話がございましたように、公共職業安定所のお力も借りまして、選考、推薦期日をチェックしていただくというような方向で、明年度につきましてはぜひ成果をあげてまいりたい。この通達も実は例年三月に出しておるわけでございますが、そういう意味もございまして十二月に早めまして、特に重視をして出した、こういう状況でございます。
○島本分科員 わかりました。まあ大臣、そういうようなことで、これはお聞きのとおりの状態でありますから、努力してありましても、これは単に、はっきりした法的な規制もできないような状態のままの努力であります。しかし現在のような求人難また若年労働者不足のおりでありますれば、これは黙っておってもこういうような状態はだんだん時期が早まっていくわけであります。早まってしまった結果、学業がおろそかになる、そういうような結果、自分の能力も十分わからぬうちにもうどこかで行ってしまう、いやになったからやめてしまう、それが非行青少年の道に通ずる、こういうふうなことになると、次代をになう人材でありますから、軽々にこういうようなことをやっちゃならないと思います。今後、文部大臣とも十分検討の上で、この実施にあたっては、万遺憾なきを期するようにしてもらいたい。 最後の決意を伺って私は終わらざるを得ません。
○野原国務大臣 御指摘の点は、十分承知したわけでございます。今後、文部大臣とも十分連絡をとりまして、この問題に関しましては、遺憾のない対策を講じてまいりたいと考えております。
○島本分科員 終わります。
○田中主査 以上をもちまして質問を終了いたしました。 次回は、明十三日金曜日午前十時から開会をいたし、労働省所管を審査することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十一分散会