予算委員会第一分科会 第6号
- 発言数
- 29 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/03/18
会議録
○笹山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計予算中、裁判所所管予算を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
○中谷分科員 最初に、少年法改正問題についてお尋ねをいたします。 少年法改正問題については、数年来、少年のしあわせ、青少年対策、少年の処遇、それらの観点から裁判所もたいへん御努力をいただいているわけであります。昨日法務省に対して質問いたしましたが、本日は裁判所に、少年法改正について、特に、何と申しましても、家庭裁判所の中において少年の問題について実務をおやりいただいている方に、少年法改正という問題についての御見解を承っておくことは必要だと思います。私のほうから少年法改正に関する法務省の考え方等については申し上げる必要はないと思いますが、裁判所と法務省との間で少年法改正についての考え方、見解についての食い違いがあることは、すでに伝えられているとおりであります。裁判所のひとつ率直な御意見を承りたいと思います。特に、昨日法務大臣の答弁によりますると、次期国会を目途として少年法の改正を国会に提出をいたしたい、こういうふうな御答弁がありましたが、それらのことにつきましても、ひとつ裁判所と法務省あるいは労働省その他と十分な話し合いあるいは打ち合わせ、検討がなされねばならないと思いますが、それらの問題も含めましてひとつ裁判所の御見解を最初に承りたい、これが質問の第一点であります。
○外山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 昨日こちらに参ります連絡が届きませんでしたものですから、お伺いして意見を申し上げる機会を失しまして、たいへん恐縮でございます。 ただいま御質問の件でございますが、少年法改正についての私どもの意見、昭和四十一年五月に法務省が改正構想を発表いたしました。その際私どもが発表いたしました少年法改正に関する意見におきまして明らかにいたしましたとおりの見解を現在も持っておりまして、基本的な考え方につきましては現在も同様に考えております。 すなわち、最高裁判所、私どもといたしましては、現行少年法の審判制度につきましては、全然問題がないと考えておるわけではございません。家庭裁判所のこの関係の充実強化でありますとか、特にさらに少年審判をしたあとの執行面の充実の問題でありますとか、保護処分を多様化いたしますこと、さらには保護処分の取り消し、変更、さらに少年審判手続における適正手続の保障というような問題につきましては、改善すべき点があると思いますけれども、少年審判の手続構造における基本的な問題点につきましては、現在の手続構造が維持されるべきである、こう考えております。この点でたとえば少年法適用の年齢の引き下げでございますとか、保護手続によるか刑事手続によるかを検察官が選別するというような構想につきましては、賛成することはできないわけでございます。 最近、少年、特に年長少年につきまして非行が増加しているとか、あるいは非行が凶悪化しているというような報道もなされておりますけれども、最近の統計によりますと、決して少年の非行が激増したりあるいは凶悪化しているというような事実はございません。昭和四十四年におきます十八、九歳の少年すなわち年長少年の非行の状況を見ましても、凶悪犯がふえているという事実はございませんし、また、それらの少年の千人に対する凶悪犯の比率すなわち人口比を見ましても、むしろ近年のうちの最低でございます。したがいまして、たまたま昨年、少年特に年長少年の特殊な事件がございましたというようなことから、この際少年法を改正すべきだ、しかもその基本的な構造を改めるべきだというような考え方をとりますことはまことに早計である、こう考えております。 以上のような点から見ますと、この際最も必要なことは、家庭裁判所で行なわれます保護処分をもっとバラエティーに富むような法改正をして、少年のそれぞれの個別性に応じた処遇がもっと多様にできるようにすることではないか、しかもその執行を充実すべきだ、こう考えております。 以上でございます。
○中谷分科員 第三点にお述べになりました保護処分の多様化、執行の充実、こういう点についてさらに具体的な御見解、構想をお述べいただきたいと思います。 なお、実は昨日家庭局長の御出席をいただきませんでしたのは、私のほうが通告をうっかりいたしておりまして、これはむしろ私のほうが恐縮をいたしておるわけですが、家庭局長のほうから明確な御答弁がございました、要するに、非行が増加しているじゃないか、少年犯罪が凶悪化しているじゃないかという実態についての認識が、必ずしもそういうことが——その認識においてまず問題があるという点が一点。かりに、だからといって、そういうふうなことがあるからといって、少年法の手続構造、年齢の引き下げ等に直ちに結びつくということは、はなはだ早計である。実はこの機会に、少年法の問題が日程にのぼってくるような動きでありますので、私自身もかなりこの問題については、前家庭局長時代から検討させていただきましたが、やはり私は最高裁の御見解のほうが合理性があるのではないかと考えているわけなんです。しかし、いま局長がお述べになりました第一、第二の点、要するに主要な改正点の三点のうち第一、第二の点について、さらにそのほかの現行少年法改正の必要なしという御見解、これはもうすでにレポート等たくさんのものが出ておりまして、最高裁の見解はすでに明確になっているのでありますが、分科会のこの席で、あらためて、法務省がお考えになっているような改正の必要がないという御見解をひとつさらに簡潔に問題点ごとにお出しをいただければ幸いである、こういうことでございます。
○外山最高裁判所長官代理者 ただいま少年法の改正問題につきましてたいへん御理解のあるおことばをいただきました。先ほど申し上げましたように、少年の非行というものがいかにも最近激増しておるかのごとく、あるいは凶悪化をしているかのごとくとかく言い伝えられまして、それを前提として、何かこの際少年法を改正することによって少年犯罪の増加を防ごうという考え方があるように見受けますけれども、少年非行の実態につきましては、先ほど申し上げたような状況でございます。 それからまた、少年法を改正することによって非行の増加を防ぐということ自身、基本的に問題があるのではないかと思います。少年犯罪の発生する原因というものが、少年法の欠陥によって生ずるというように考えるのは早計なのではないか。非行の発生というのは、もろもろの社会原因が積み重なり、あるいはおとなの社会の現象の反映がそのまま少年の非行となってあらわれている、こういうように見られるのではないか、こう考えるわけでございます。そういう点からいいまして、先ほど申し上げましたように、少年法の適用年齢を引き下げる、あるいは青少年というような中間層を設けるという考え方も、はたして適当な考え方であるかどうか、いまの少年法のたてまえで一体どこが悪いのであるかという点にまず疑問を持つわけでございます。 それから、十八歳の少年がもうおとなに近い、あるいはおとなであるという考え方から年齢引き下げでありますとか、あるいは青年というような特殊な扱いをするという考え方がございますけれども、やはり十八、九歳の少年、特に十八歳の少年はまだ高校生でございます。心身の発達の上でも決しておとなのほうへ合わせて考えるべきものではないように私どもは考えます。最近、特に身体的な発達は確かに年長少年には顕著に見られるわけでございますが、その反面、意志でありますとか情緒でありますとか、そういう精神面におきます発達はむしろおくれておるというような見方が、その方面の専門家からも指摘されておるわけでございまして、まだ教育可能性があり、かつ身体面、精神面でアンバランスの顕著な十八、九歳の少年を成人並みに、あるいは成人に近く扱うことは大きな問題があるのではないか、こう考えます。 それから、保護処分にするか刑事処分にするかをまず検察官のところでより分けるという考え方でございますけれども、これも少年を保護処分にするか刑事処分にするかというのは、これは司法処分としてきわめて重要なことで、少年の人権に重大なかかわりを持つことでございます。かつ、その決定は、少年の犯罪の性質ばかりでなく、少年の心身の発達状況、環境等十分調べまして、その上で決定すべきことであり、そういう調査はまた少年のプライバシーに深く触れるところがございます。まず裁判所で少年の非行の有無を認定したその上でそのような調査をすべきものである、このように考えますので、検察官の段階でまず最初に保護処分にするか刑事処分にするかをえり分けてしまうということははなはだ問題である、こう考えるわけでございます。 それから、それに伴いまして、検察官が先議するということに伴ってどうしても調査機構が必要だというような問題が出てくるのかと思いますけれども、そのような構想のために調査機構というものを検察官のほうに全部吸収するというような考え方もきわめて不適当な考え方であろう、こう考える次第でございます。十分なお答えになりましたかどうか……。
○中谷分科員 では、総長に一言御答弁をいただきたいと思いますが、結局、次期国会にはぜひ少年法の改正を出したい、改正の内容については、主たる改正点は三点ある、これは法務省の見解のようですけれども、最高裁判所としては、現に少年についての審判等を実際におやりになっておられる。実務を御担当になっておられる。そういう観点からいいますと、いま家庭局長が明確にお述べになりましたような最高裁判所のそういう御見解は、私はまさに最高裁判所の長い間の積み重ねの結果の見解だというふうに理解をいたしておりますが、そういうふうなものを無視をしてといいますか、最高裁の意に反して法務省的な改正案が提案をされるというふうなことは、最高裁としてはこれは期待しないし、あり得ないし、そういうふうなことは考えられないというふうに私思いますけれども、この点についての最高裁の御見解はいかがでございましょうか。
○岸最高裁判所長官代理者 少年法の改正問題につきまして、ただいま家庭局長から御説明申し上げましたが、裁判所といえども、絶対に少年法に手を加えるということに対して反対するわけではございません。ただ、前回法務省の案に対して発表しました最高裁の考え方というものは、これは単なる事務当局だけの考えではなくて、裁判官会議の了承を得て発表したものであります。そういう点で法務省のほうは、現在、あの当時の考えをそのまま実現されるのかどうか、その点については私どもまだ承知しておりませんが、両者の話し合いは十分にしなければならぬと思います。 しかし、先ほど家庭局長が申しましたとおり、少年全体の主要刑法犯、つまり業務上の過失致死傷を除く刑法犯は、検挙人員、人口比、ともに近年減少しつつあるということ、それから年長少年の主要刑法犯の検挙人員も減少しておりまして、歴年中でも低い水準にあるというこの事実、これは正確に認識しなければならないことは先ほど仰せのとおりであります。その人口比も同様であって、昭和四十四年には主要刑法犯と凶悪犯のいずれについても昭和二十二年以来の最低となっております。かような少年犯罪の減少から申しまして、この基本構造をこの際変えなければならぬかどうかということについて、私どもは非常な疑問を持っております。 また、家裁の処分についてでありますが、少年の年齢、非行の内容に応じて、これに適した処分がなされておるわけで、年長少年の凶悪犯については、その八〇%について刑罪または保護処分がなされております。この保護処分ということばは、法律が使っておりますが、いわゆる少年を甘やかすというのではなくて、強制的教育を施す、そして社会に復帰させる、そういう意味を持つものであります。 一例を申しますと、成人の殺人の起訴率は六七%でありますが、十九歳の少年の殺人は七〇%が検察庁に送致され、公訴が提起されておる。御承知のように、少年でありながら死刑の宣告を受けた例もあるわけでありまして、決して裁判所が少年を甘やかしているわけではないのであります。むしろ、先ほど家庭局長が申しましたとおり、今日一番大事なことは執行面の充実で、少年法改正について、現行法の体系の基本を変更するような、あるいは年齢引き下げ、あるいは検察官先議ということについては、裁判所は了承いたしかねる次第であります。しかし反面、多くの点、たとえば保護処分の多様化とか、国選付添人制度の新設とか、いわゆるデュープロセス、正当手続の保障の強化とか、それから少年審判について検察官の意向を反映させる検察官の抗告権等、これらの点については法務省とも意見が一致しておるので、まずこれらの点から早急に改正すべきであると考えます。
○中谷分科員 次に、裁判について常に問題になりますし、国民も期待をいたしております裁判の公正と迅速、訴訟の促進ということについて、繰り返し繰り返し法務委員会あるいは分科会等において問題が提起をされ、裁判所にこの問題についての御努力をお願いをしているわけでありますけれども、これらの問題に関連をいたしまして一、二点お尋ねをいたしたいと思います。 まず、何と申しましても世間の注目を浴びましたのは、メーデー事件などの騒乱事件について裁判が非常に長期化したという一つの非常に苦いといいますか貴重な教訓をわれわれは得たわけでありますけれども、全体としての裁判の迅速化、ことにこれらの集団犯罪に伴うところの多数被告人の裁判の迅速化の問題について、どのようにお考えになっていられるか、この点が一点であります。 いま一つは、公害関係につきましては、特に担当裁判官会同を去る十二日お持ちいただきました。そういうふうな公害関係訴訟についての問題点、今後多発するであろうところの公害関係訴訟についてどのように対処されるか。まず事実関係としては、一体どの程度公害関係訴訟というのが係属しているのだろうか、調停を含めてどの程度なんだろうか。特に公害関係については、非常に世間の注目を浴びている訴訟が数件係属をいたしております。これらの迅速な審理という問題についてどのようにお考えになっておられるだろうか。 それから、単に公害訴訟のみならず、裁判官に科学的な知識が非常に要求をされる。単に裁判官のみならず、検察官、弁護士にもそのような知識が要求をされる。こういうようなことに対して裁判所は今後どのように対応していかれるのか、という問題についてお答えをいただきたいと思うのです。 なお、総理府と厚生省に御出席をいただきましたが、総理府の参事官のほうからは、紛争処理に関する法案が現在審議されることになっておりますけれども、こういうふうな法案は、公害紛争について、ひとつ紛争をすみやかに解決しようという意図のもとにつくられた法案であることは言うまでもありませんが、そういう法案をおつくりになった前提として、一体この法が動き出した場合に、どの程度で紛争処理の見込みがつくのか。まとまる場合もあるし、まとまらない場合もあるでしょうけれども、こういうような点についてはどのようにお考えになっているか、なおどの程度のものがこの法の適用を受けることになるだろうか、こういう見込みについてもひとつ総理府の御見解を承りたい。 厚生省のほうからは、現に全国的に起こっているところの公害紛争、公害紛争というものがはなはだあいまいなことばでありますけれども、厚生省のほうで、私のほうではこの程度のものを公害紛争として理解をしているということで御答弁いただいてけっこうでございますから、どの程度のものが公害紛争としてあるのだろうか、この点についてお答えをいただければ幸いであります。 なお質問を続けますが、裁判の迅速、同時に裁判の公正ということで、私は、いわゆる世間でいわれている東大裁判というのは、われわれ法曹について多くの教訓と反省を残したと思うのであります。統一裁判の要求があって、そして退廷、欠席判決というふうなことが繰り返された、こういう東大裁判について、弁護人を非難する、被告人を非難する、それらのことは、ある意味では容易でありますし、被告人などについて非難さるべき点はあると私は思いますが、裁判所として、東大裁判の審理を通じて、どのようなことを将来の教訓として、今後の裁判所に対する国民の信頼というものは私は非常に高いものがあると思いますけれども、そういう東大裁判から受けたところの教訓、現に進行いたしておりますけれども、裁判所の教訓と申しますか反省というか、そういうようなものについても率直な御答弁をいただければ幸いであります。
○佐藤最高裁判所長官代理者 最初にメーデーのお話がございましたので、メーデー事件についての反省と申しますか、そういうものから申し上げさせていただきます。 御承知のとおり、非常に長くかかったということをわれわれは今後の教訓にしなければならないということが一点あるわけでございますが、この種のいわゆる騒擾事件におきましては、実体法上の問題と手続法上の問題とあるわけであります。何と申しましても被告人の数が非常に多いということが、事件の長期化の大きな原因であったと思うのでございます。このわれわれの苦い経験というものがいかに生かされるかという問題でございますが、現にその後の実務においてこういう点があらわれていると思うのでございます。たとえば新宿の学生の騒擾事件がございました。これは起訴人員を二十一名というふうにしぼっているという点が第一点、それから罪名そのものが、その他の学生事件におきましても、構成要件の主観的な面を必要とするようなものよりも、むしろ外形的な事実そのもので事実を認定して、すみやかに裁判できるというたぐいの訴因をもって起訴しているというようなあらわれがあるように思われます。それらはメーデー事件等の教訓が後の実務に反映している一つの点ではないかと思うのでございます。 それからもう一つの点は、メーデーは御承知のとおり二百六十一名というものを統一して審理したわけでございますが、その後の東大事件におきましてやはり同様の問題があった。御承知のとおりであります。そういたしまして、これはいわゆるグループ分けという審理方式で進んでまいった。それについてはいろいろな問題があったわけでございまするが、これはメーデーの苦い経験を繰り返したくないという裁判所の強い気持ちから、あのような審理方式がとられたということであると考えるのでございます。 そして次に学生事件、東大事件に触れましたけれども、東大事件におきましては、いわゆる統一要求に対しては、先ほど申し上げましたような適正な数のグループ分けで審理を進めていくということであるわけでございまするけれども、そのグループ分けということについては、弁護人のほうから、あるいは被告人のほうから非常に強い反発があった。しかしながら、つい最近でございますが、審理に応ずるというようなグループも出てきたというような状況もあらわれているわけでございます。 最後に仰せになりました、いわゆる東大事件の処理のしかたにおいて裁判所として反省すべき点はないかという点の問題でございますが、まだ具体的な、係属中の事件でございまするので、その点は考慮いたしまして申し上げますけれども、問題は、訴訟の進行につきまして当事者の協力を得るという点だろうと思います。この点につきましては、裁判所は、東大事件について申しますと、起訴以来非常に時間をかけて説得に努力したと思うのでございます。ようやく五月に入りまして第一回の公判が開かれた。それまでは説得に時間を費やしておるということでございますけれども、なお、退いて考えますると、この種の事件におきましては、被告人も若く、弁護人も若い方が多かったという点、当時一つの興奮状態というものが強かったと思われます。そういう状況を考えますると、訴訟のあり方ということにつきまして、さらに説得と理解を得るという点について、なお裁判所として反省すべき点はなかったであろうかということが一つの問題かと思うのでございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 現在係属いたしております公害関係の訴訟及び調停事件でございますが、訴訟事件が百八十六件、調停事件が四十七件、合計二百三十三件、これが厳格な意味での公害関係の訴訟でございます。そのほかに日照権の問題でございますとか、鉱業法上の鉱害の問題でございますとか、井戸水が枯渇したというような問題、それから薬品の問題等でございます。こういった広い意味のいわゆる特殊損害賠償事件、公害に準ずる特殊損害賠償事件を加えますと、訴訟事件は全国で八百十二件、調停事件が五十四件、合計八百六十六件が現在係属しておるわけでございます。 公害事件につきましては、いずれも被害者が非常に多数でございますし、また無資力な方が多うございます。一方、訴訟をやるためにはばく大な費用が要るわけでございます。なお裁判所の側といたしましても、新たに生起するもろもろの事件でございますので、非常に科学的な知識が要求されるわけでございます。また、それと関連いたしますが、どの原因によってその結果が生じたかという、いわゆる原因結果の関係をつかむことが非常に困難になっておるわけでございます。したがいまして、証拠調べも多数行なわなければいけないという状況でございます。こういった状況に対処いたしますために、全力をあげて専門的な知識を注入するための研究会あるいは関係資料の整備ということを、ただいま実施いたしております。先ほど御指摘ございました会同等も、そういったことと関連いたします私どもの第一歩の施策であったわけでございます。 なお、事件関係の問題は、先ほども申し上げましたように、非常に費用がかかりますので、訴訟救助を活用する、あるいは訴訟手続におきまして、事実の認定等において推定の原則というものを用いまして、できるだけ原告の立証を事実上緩和し、大きな組織を持っておりますのが通例でございます被告側の事実上の立証責任を加味していくという方法によって訴訟の迅速処理を期していきたいというのが、私どもの基本的な考え方でございます。
○野村説明員 まず初めに、公害紛争処理法案によります公害紛争の処理のめどはどのくらいの期間かかるかという御質問でございます。それにつきましては、この制度を実際に運用してみませんとまだよくわかりませんことは御承知のとおりでございますが、一般的に考えますと、当該紛争の態様でございます、一つは因果関係等事実関係の複雑さ、それから請求の内容、当事者の数等によりまして、また和解の仲介かあるいは調停か仲裁か、紛争処理の方式によりまして、当然そういう態様になってくると思います。私ども一応無理に推定しますと、因果関係の究明困難な大気汚染とか水質汚濁につきましては、早くて数ヵ月、非常にむずかしいケースになりますと一年以上かかるのじゃないか。それから、わりあい簡単な騒音とか振動とか、そういうものにつきましては早くて二、三ヵ月、おそくなりますと六ヵ月程度かかるのじゃないか。これは推定でございますので、まだわかりませんけれども、そういうことでいろいろ考えております。 次に、紛争処理法案の適用を受けるケースがどの程度あるかというお尋ねでございます。これも実際に運用しないとわかりませんけれども、この間、総理府が各府県にアンケートしまして、一体どのくらいかかるかということで府県の考えを聞きましたら、府県としますと、四十二府県から回答がございまして、そのうちの二十三県は年間ゼロから五件程度ございます。それから四県が六件から十件程度ございます。それから十件以上というのは十県ございました。あと不明が五県ございまして、多いところで二十件前後あるのじゃないかというふうに考えております。
○藤森説明員 御質問の件に関しましては、自治省で四十三年度の実績について御調査になったものがございますが、それらによりましてお答えを申し上げます。 まず、公害に関する住民側のクレームは、一般的には苦情、陳情というような形で地方公共団体にあがってまいります。その件数は、四十三年度におきまして受理されたもの二万八千九百七十件、そのうち処理されたものが二万一千三百三十二件ということで、七四%処理されておるということになっております。内容といたしまして最も多いものは騒音でありまして、これが全体の大体三分の一以上を占めております。このほか大気、悪臭等がこれに次ぐわけでございます。 それから苦情、陳情と違いまして、多少とも当事者間の紛争というような形をとるものがございまして、これにつきましては和解の仲介のようなものが現在行なわれておるわけでございます。和解の仲介には二種類ございまして、大気汚染防止法及び水質保全法というふうな行政法上に設けられました和解仲介によって取り扱われておるものが、四十三年度において三件ございます。 それから、そういった法律以外に、一般的な民事上の和解契約の成立を目ざして実施されます一般的な和解仲介、これが四十三年度におきまして一千七十六件ございまして、解決したものが七百七十八件ということに相なっております。これらの一般的な和解仲介は、市町村長であるとか、あるいは農業委員会であるとか、あるいはそれぞれの議会の議員さんであるとかいうふうな方々が仲介の労をとられて処理されているということでございます。
○笹山主査 沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は、きょうは主として執行官の問題につきまして御質問したいと思います。 いろいろ執行官についての記録を拾ってみますと、毎回のようにこの執行官の問題が取り上げられて、論議を呼んでいるという点を見受けるわけでございます。ということは、依然として執行官の業務の中に明朗なものがない、すっきりしたものがないために、執行官問題が絶えず紛争を起こしている。こういうことで、一番問題は裁判とその執行、こういう関係にあるわけですから、どうしてもこの問題ははずせないわけですけれども、裁判はあくまでも公正に行なわれて、厳粛なものとして国民からは受け取られておるわけですけれども、それが一歩、法の執行、執行官の問題になってまいりますと、がらりとその模様を変えて、不明朗なものあるいは陰惨なもの、問題がそうであるわけですけれども、そういうものが張り出してくるわけです。しばしば不明朗な汚職事件であるとか不法事件であるとか、いろいろな問題がやはりそのあとを断っていない。こういうことがしばしば行なわれるわけですけれども、たとえて言うなれば、執行に関しましては、財産をなくして、裁判の結果強制執行を受ける、こういうふうな結果になった人たちのものが執行され、競売されていく、こういう時点に立ったときには、あくまでもその問題自体は、競売そのものによってある程度その人の転落を救うというようなものが、その中の精神の一つにあるんではないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、そういうものの法的な基準、精神、考え方、こういう点はどういうことでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 ただいま御指摘ございましたように、裁判はあくまで厳正なものでございます。しかし、その結果といたしまして、それがたとえば原告の勝訴に終わって当然に執行を伴うということになりました場合、私どもは、その執行もまた厳正に行なわれるべきものであると考えております。もちろん、ここで申し上げます厳正とは、決して過酷を意味するものではございません。国民の間には、場合によって、その負担いたしました債務をその後の経済事情の変化によって、これを十分に履行し得ない場合もあるわけでございます。また今日、多数に散見いたしますところの交通事故等を考えてみましても、その不法行為による責任というものは、一人の人に負担せしめるべくあまりに重い場合もあるかと存ぜられます。しかし、裁判はあくまで裁判でございますので、その裁判を適正に迅速に執行する、しかも、被害者の更生を妨げない範囲内において適正に執行するということは、私ども司法に課せられました最終の、また最大の目標であるわけでございます。 御指摘の執行官がこの裁判の執行という面を受け持っておりまして、その職責たるや重かつ大なるものがあるわけでございます。ただ、執行は御承知のように、これを単独の責任者として、外部においていろいろの債務者を相手にして行なうものでございますし、現実の問題といたしましては、債権の執行を求める者と執行を受ける者との間にはきわめて大きな利害の対立、また、そこに至りますまでのきわめてもろもろの感情的な対立がございますので、具体的な執行の場としては、摩擦、衝突を避け得ない場合もあるわけでございます。私ども、執行官を指導いたしますにつきましては、あくまで厳正な法の執行、しかし、その執行には、あくまでもその現状に即して適正に、涙ある執行をするように、このように日夜指導いたしてきておるのが実情でございます。 ただ、御指摘のように執行官の中には、十分の私どもの期待をも裏切って、御迷惑をおかけしておる者がございますけれども、幸いに、執行官法が制定されまして、その新しい制度に基づいて新しい任命資格のもとに任命された執行官からは、御指摘のような不正事件等は皆無でございますので、私ども、この立場をなお今後も堅持いたしまして御期待に沿いたい、このように考えておるわけでございます。
○沖本分科員 私が申し上げるのは、主として執行の中の競売というようなものに関してになるわけですが、しばしばこの競売問題については不明朗な問題が伴っております。前にも御指摘いたしましたが、裁判所の中に執行官と同じように——裁判所の地下室に事務所があったりした。そういう中に、いわゆる執行を行なうところの人夫であるとかこういうような方たちが出入りしておる。そうしてその人たちが、あたかもその執行官のようなふるまいをあえてする。そういうところに、打撃を受けた、この競売に付されるような人たちが、そのもの自体からやはり恐怖感を持って、何でも言いなりになってしまう、こういうふうな問題がしばしばあるわけです。そういうところで、やはり法の行なわれる裁判所でありますから、そういう不明朗なものはできるだけ除いていただいて、やはり裁判所が裁きを受けるところであるというようなはっきりした問題が、裁判所の中になければならない。しかし、刑事裁判を受ける被告人として組関係の人たちが出入りしておる。それ以外に、執行の面で、組関係に近いような服装をした人たちが出入りしておる、こういうところにも問題があるわけですから、そのいわゆる執行を行なう人たちの、仕事をやる人夫の人たちの服装にも一つのポイントを置いていただいて、恐怖観念を抱かしたり、そこから何か圧力とか脅迫感を抱くというような問題が除去されるような方法がとられてしかるべきである、私はそう考えるわけですけれども、しかし、いまだに裁判所の中にはそういう人たちがあちこち行き来しておる、こういう現実をどういうふうにおとらえになりますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 執行官法が制定されまして、これまで執行官が裁判所の庁舎外に役場を持ちまして事務を行なうという制度が廃止になり、執行官の公務員性がきわめて明確に浮き彫りにされました。それに伴いまして、私ども、執行官の執務場所を裁判所の庁舎内に設けるという一つの原則を立てまして、これは現在、その実行を終わったわけでございます。たとえて東京の地方裁判所で申し上げますと、これまで裁判所の構内ではございましたが、執行官は全然別の建物におったわけでございますが、昨年来、東京地方裁判所の八階建ての建物の一角に執行官の執務場所を設定したわけでございます。 なお、執行の一番問題になりますのは競売等の問題でございますが、競売等は、これを午前に行ないますと、訴訟関係者等の出入りと錯綜いたしまして人間が廊下にあふれる等のことから、われわれの監視の目が十分に行き届かないという点もございますので、執行のための競売を行なう時間を午後に繰り下げまして、訴訟事件で申しますと、一般的に人数が相当数減ってまいりますので、できるだけ私どもの目の届きやすい時間に競売等を行なうという方式を採用いたしました。なお、競売場等におきましても、いままでいすとか机の設備がございませんでしたのを、競売場に出て入札あるいはせりに参加する人たちなども、すわって十分に入札、せりに参加できるような設備を整えたわけでございます。 このようにいたします一方、執行官に対しましては、その服装等に十分留意して、いやしくも裁判所の職員として、国家公務員としての品位を傷つけることのないように、日夜指導をいたしております。 なお、随時、執行官の監督官あるいは監督補佐官が執行官室、競売場等を見回りまして、いわゆる談合的なことの行なわれることのないよう、また服装の見苦しい、ただいま御指摘のような人たちの徘徊することのないように気をつけておる次第でございまして、私どもかなりの効果をあげておるのではないかというふうに考えております。 もちろん執行官は、裁判所の庁舎内だけで執務するわけではございませんので、庁舎内の規律をいかほどに厳正にいたしましても、これが外部に出向きまして具体的の執行をいたします場合に、どれが執行官であるのか、債務者あるいは執行を受ける関係者の方々から見分けがつかないという場合もあるいはあり得るかというふうに考えられます。この点につきましては、執行官であることを示すための身分証明書を持参いたさせまして、必ずこれを呈示して、執行官であるということを明確にした上執行に着手するよう、会同等の機会を通じて常に呼びかけておるわけでございますが、場合によっては、一定の、外部から見得るようなバッジ的なものをつけるということも考えられるのではないかということで、その点についても研究をいたしておる段階でございます。
○沖本分科員 御趣旨の点は、御努力なさっていらっしゃる点もよくわかるわけですけれども、具体的なことで申し上げますと、たとえば判決が情状酌量の内容を伴った判決であって、本人に非常にあたたかい判決があったとします。しかし、その執行にあたって冷酷な執行を行なわれたために、何らその判決が生かされない、判決の精神が何も生かされていないというようなことがしょっちゅうあるわけです。これは、そのものを執行される場合に、いま言ったような事例とか、あるいははなはだしいことになりますと、競売につきましても、いわゆる内輪の中でたらい回しで競売をやっている事実がたくさんあるわけです。これは、具体的にその問題が取り上げられれば、やはり法を犯す問題として処断されるわけですけれども、それが上に出てこないでそのまま泣き寝入りという事態がたくさんあって、現実には、これを行なわれる場合はもうどうしようもない、こういうふうなのが一般に考えられておる考えでもあり風評でもある、こういうことになるわけです。ですから、身なりをよくなさって、そして身分証明書を呈示なさる。まああまり大きなしるしをつけると、またその人の人格とかあるいは社会的な立場という問題もありますから、その点は考慮していただかなければなりませんけれども、何らかの形で執行官と人夫との区別がきちっとついて、また人夫自体にも執行官の指導が十分行き届いたり、監督が行き届くような厳正な取りきめをしていただかなければ、幾ら裁判所側からおやりになっていただいても、端のほうではみなくずれてしまう。 なぜかといいますと、結局その人夫自体に問題があり、競売される者自体に問題があるわけです。競売されてしまったらもう二束三文、どうにもならない事態。だから、みずから金を出して、それをその場で買い取っていく、こういう事態が絶えずあるわけです。そのためにいわゆる手数料制度がありますけれども、手数料なんかはただ一端の取りきめのようなものであって、それ以外の収入が膨大なものとなって執行官のふところに入ったり、あるいはそれに関係する人たちのふところの中に入っていっているということは、これは事実としてあるわけです。ただ、これがはっきり不正事件として裁判所のほうに表面化されないから、そのまま泣き寝入り、あるいは埋まって現存しておるわけですけれども、この問題はちっともよくなっていない。こういうことになりますから、私が先ほど申し上げました、いわゆる涙のある、情状酌量された判決があっても、その判決は全然生かされていない結果を伴ってきている、こういう事態が多くあるわけです。この点について、どういうふうになさるお考えであるか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のような問題がこれまでも生起いたしまして、私どもとしても非常に恐縮に存じておるわけでございますが、まず第一に、執行官の金銭関係ということを非常に明確にしなければいけないということで、執行官法におきましては、執行官が金銭を保管する、予納金を保管するといったようなことは、一切これを裁判所が裁判所の事務として行なうという制度に改められたわけでございます。現在そのための予算的措置も十分に講じられまして、あと二、三年たちますと、全部の裁判所において、金銭はすべて裁判所が取り扱う、執行官は直接依頼者との間に金銭の授受をしないという制度が行なわれることになるものと、私ども期待しておるわけでございます。このようになりますと、執行官が公務上保管いたします金銭に関しまして、特段の間違いをしでかすという機会が奪われることになりますので、その面では飛躍的な向上が期待できるわけでございます。 ただ、そのこととは無関係に、執行官が事件の依頼者あるいは債務者等からいわゆる不正の金品を収受するといったような問題になりますと、これは私どもといたしましては、全力をあげて防止せざるを得ない問題ではございますけれども、いま直ちに制度の問題として絶滅を期するということはできかねるわけでございますが、現実の問題といたしましては、随時、時を予告することなく、執行官が執行に臨みますところに裁判所の監督官が臨席いたしましてこれをチェックしていくというようなことも考えております。 それから、不正の問題ということでしばしば御指摘を受けております道具屋でございますとか競売ブローカーというものが、その執行の行為の中に介在するわけでございますが、この道具屋とか競売ブローカーが、せっかくいま御指摘の涙のある判決の執行にあたって、債務者の気持ちをむざんに傷つけるということは、これまでもしばしばいわれてきたことでございますが、こういった点につきましても、私どもの職員ではございませんので、直接の規制を行なうということはなかなか困難ではございますが、道具屋等が出入りするものには、これまでこれに全然関知しないという態度をとっておりましたのを改めまして、むしろそういったものが事実上存在することを前提といたしまして、彼らが有体動産等を買い戻したりする場合に、不当に暴利をむさぼることのないよう、厳重に事実上の規制を加えていく。二、三割程度の利益はやむを得ないかと存ぜられますけれども、それ以上の利益を取るというようなことがあった場合には、直ちに債務者のほうから申告してもらうようにいたしまして、そういったものは事実問題として排除していくというような方向をとっていきたい、このように考えており、また現にそれをある程度実行に移しております。 それからまた競売ブローカー等につきましても、不動産の競売等の決定をいたしまして、これを債務者に送りますときに注意書き等を同封いたしまして、もしこの問題について不審な点があるならば、遠慮なく裁判所のほうに出てきて説明を求めてください、いろいろな金品を要求されたり、あるいは甘言を弄して近寄ってくるような場合があって、それが不審に思われるような場合には、裁判所のほうに遠慮なく申し出てくださいという注意書きを同封して送るようにいたしております。執行官のところにたずねてまいりましても、もし御指摘のような点があるといたしますれば、これは意味がございませんので、執行官を監督いたしております裁判部のほうに申し出てもらうということで、その裁判部の、たとえば東京でございますと民事第二十一部が執行を監督いたしておりますが、民事第二十一部に出てきてくださいということで、電話番号等も明示いたしまして、そういった注意書きを送るということで、できるだけ裁判にあらわれましたその結果が、その裁判官の心血を注いだとおりに実行できるように私ども考えておるわけでございます。
○沖本分科員 お話ではございますのですが、そこのところにやはり問題がありまして、これは以前の法務委員会での御答弁の中にもあるわけですが、競売の合理的な運営と関連して、手続法の強制執行法の改正を法務省のほうにお願いしている、こういう御答弁があるのですが、この点に関してはどうなんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 強制執行法の改正につきましては、引き続き法務省にございます法制審議会の強制執行部会で検討を行なっております。現在、その作業の進捗状況といたしましては、不動産の競売に関します事項の審議を終わりまして、動産の競売に関する審議に入っております。これが済みますと、その全部をひっくるめますいわゆる総則的な審議が行なわれまして、以上で大体の成案を得、なお一般的に仮処分、仮差し押え等の問題の検討をも行なって、強制執行法全般の改正問題の検討が終わる、このような順序に相なっておるわけでございます。
○沖本分科員 この問題は、やはり最近の社会的な環境、あるいは現在のいろいろな裁判の移行とか、件数とか、あるいは先ほど御指摘になっておった交通事故とか、すべてが関連してきますから、事件数は相当な数にのぼっていっていると思われるわけです。しかし、この強制執行そのものの問題に関しましては、ずっと以前から何ら改善されていない、こういうところに指摘される問題が多く見受けられる、こういうふうに考えられるわけです。 また、いろいろな改善の方法をおとりになっていらっしゃる点はよくうなずけるわけではありますけれども、やはりいま私が申し上げました点については、そのまま世上風評とし、あるいは慣例的な内容になって残っておる。たとえて言うならば、執行官がお越しになるときには車賃が要るということも通評になっておるわけです。裁判問題に携わる人は、特殊な人たちが関連して携わっていますから、それがもう慣習的にそういう方法で行なわれているということも事実でもあるわけです。こういう点がやはり十分改善されていかなければ、どうしてもこの問題は明朗になっていかない、こういうふうに考えられるわけです。 ですから、結論的に申し上げますれば、裁判というものと執行というものとの間に断層というものは、もうたいへんな問題である、こういうふうに考えられるわけです。そういう点に関してあらためてこの手数料制度にも御検討を加えていただく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございまして、もろもろの問題はございますが、執行官法の改正によりまして執行官の公務員制等が非常に強化され、事務的な面においては格段の改善を見たわけでございますが、最終に残ります問題が俸給制、手数料制の問題でございます。 手数料制は非常に長い歴史がございますので、しかも、現在大都会の一部分においては、相当高額の収入がある、その反面、地方の事件の少ないところでは、非常に収入が少ないといったような格差がかなり多うございまして、そのためにこれを全面的にいま直ちに俸給制に切りかえるということになりますと、手当てがなかなか困難でございますので、私ども実はこの問題につきましては非常に悩んでおるわけでございます。しかし、今後の進むべき方向といたしましては、執行官法制定の際の附帯決議にもございました点を十分尊重してやっていかなければならないわけでございまして、私どもといたしましては次のような方向で進むべきではないかということで考えておるわけでございます。 まず第一に、事件が非常に多くございます庁につきましては、いましばらく、現在の手数料制度というものを原則として認めていかざるを得ないのではないか。反面、事件が非常に少ないところでは、国庫補助金等を受けておる執行官もあるわけでございますが、どのように考えても、その生計をそれだけによって維持していくに足りない事件しかないというふうに思われるような庁につきましては、裁判所書記官に執行官の職務の代行を命ずるという方向で、そちらのほうの執行官の配置そのものをあきらめていくという方向をとるということでございます。そのようにいたしまして、残りました執行官につきまして、手数料規則等の十分の検討を行ないまして、都会と地方の格差が手数料収入によってあまりできないような方向に持っていきたい、そのような結果、ある程度レベル以上の収入が全国平均的に確保されるということになりました場合に、最終の問題といたしましての俸給制というものの採用をさらに具体的に実行に移していきたいということでございます。このように申し上げましても、申し上げることは簡単でございますけれども、実行いたすという段階になりますと非常な困難が伴うことは覚悟いたしております。しかし、現在申し上げられますことは、そのようなことにかかわらず、終局の目標としては、やはり俸給制に移行することによって、完全な執行官の公務員制というものを確立していきたいというのが私どもの念願、と申しますよりも悲願であるというわけでございます。
○沖本分科員 最後に、いまの強制執行法の改正について御努力していらっしゃるわけですけれども、事務総長のほうから、これはもうどうしても早急に改正していただいてやっていただかなければならない必要性が十分あると私は考えるわけでございますが、ひとつお考えがありましたら……。
○岸最高裁判所長官代理者 先ほど来いろいろ御指摘がありまして、民事局長からもお答えいたしましたが、この執行官の問題については、多年にわたる悪弊と申しますか、それが累積しておることは、遺憾ながら事実でございます。しかし、それに対して、先ほど来民事局長が御説明いたしましたように、運用の面でできる限りの監督の強化等に力を注いでおるということも御理解願いたいと思います。 残るところはやはり強制執行法の改正の問題、これは法務省の所管になりますが、法制審議会の審議を促進していただくように、私どもからもお願いしたいと思っております。
○沖本分科員 以上で終わります。
○笹山主査 これにて昭和四十五年度一般会計予算中、裁判所所管予算に関する質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、本分科会における質疑は全部終了いたしました。 ————◇—————
○笹山主査 この際、おはかりいたします。 昭和四十五年度一般会計予算中、皇室費、国会、裁判所、内閣、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府、法務省及び文部省並びに他の分科会の所管以外の事項、昭和四十五年度特別会計予算中、文部省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、昭和四十五年度政府関係機関予算中、他の分科会の所管以外の事項に対する討論採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
○笹山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事終了することができましたことを、ここに深く感謝いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十三分散会