予算委員会 第15号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/03/18
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の補欠選任についておはかりをいたします。 委員の異動により、現在理事が二名欠員となっておりますので、これより補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、大野潔君、今澄勇君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○中野委員長 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 去る十一日から審査を行なってまいりました分科会の審査は、本日をもちまして全部終了いたしました。 この際、各分科会主査よりそれぞれ分科会における審査の報告を求めます。まず第一分科会主査笹山茂太郎君。
○笹山委員 第一分科会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。 本分科会の審査の対象は、昭和四十五年度総予算のうち、皇室費、国会、裁判所、内閣、総理府のうち防衛庁、経済企画庁を除く分、法務省、文部省、及び他の分科会の所管以外の事項であります。 審査は、三月十一日、各省庁当局より予算の説明を聴取し、自来本日まで各省庁ごとに質疑を行ないましたが、その間、質疑者延べ四十四名、質疑時間約二十二時間、また質疑の項目は宗教団体の政治活動、過密・過疎地域における教育問題、恩給問題、同和対策、人権侵害問題など四十数項目にわたりましたが、その詳細は、会議録をごらん願うことといたしまして、ここでは質疑の四項目について、その概要を申し上げます。 第一は、大学問題であります。 質疑の要旨は、一昨年来の紛争による国立大学の被害額及び加害者に対する損害賠償請求の状況などはどうなっているか。政府が打ち出している新構想大学の構想及び設立準備はどのように進められているか。また放送大学はこれに含まれているのか、いないのか。放送大学では何を教えるのか。使用する電波は用意してあるのか等でありました。 これに対し、政府は、大学紛争による国立大学の建物の被害額は約十三億円で、復旧については、授業の再開、入試の実施、建物の維持に必要なものは、当該大学の予算の範囲内で措置することとしており、本年度末までに約七億五千万円相当の復旧が行なわれることとなっている。また、東京大学など二十三大学において、財産的損害を与えた学生等に対し、その刑事責任を追及するための告訴を行なっている。 新構想大学は、既設の大学にとらわれることなく、現在から未来社会に向かっての人類発展のために必要なものであるとの考えを基礎としている。 大学のあり方について、中央教育審議会の答申が、明年四月ごろ行なわれる予定であるので、これを踏まえて、新構想大学も考えていかねばならないし、また、筑波山ろくに移転が続けられている教育大学の一環としても考えていくべきものとの観点に立って、同大学とも協議している。 放送大学は、新構想大学の一つである。その設立について、昨年郵政省と文部省とで協議し、放送大学問題懇談会を設け、目下検討している。また文部省においては、準備調査会を設け、現在まで十一回会合し、大学の性格、設立主体、教育方法、設置学科、大学組織、放送の実施機関など、具体的検討を行なっている。 電波については、テレビ関係では、現在二十チャンネル分留保してあるが、これはVHF帯からUHF帯へ移行する問題と、放送大学に使用する問題を念頭に置いたものである。しかし、放送大学は、全国あまねく放送局をつくらなければならないので、主要都市では留保されているチャンネルを使えばよいが、それ以外の中継局では、現在使用しているチャンネルを使うことも考えられるので、電波については心配はない。ラジオについては、外国との混信の問題があって、中波の使用はきわめて困難であるので、超短波を使うか何らかを早急に計画を策定したいとの趣旨の答弁がありました。 第二は、沖繩問題についてでありますが、沖繩については、国政参加の問題、本土への就職者の雇用条件、財政援助、金融機関の一体化問題など多面にわたって質疑が行なわれましたが、ここでは、沖繩振興の基本方策等について申し上げます。 すなわち、沖繩振興の青写真はどのようなものか、新全国総合開発計画では、きわめて簡単に触れているが、どのような産業を基軸として振興をはかるのか。石油業などについて、外資のかけ込み投資が行なわれているようであるし、外資導入について、琉球政府と本土政府との間に意見の不一致が見られるが、政府の考え方はどうか等であります。 これに対し政府は、沖繩が現在まで本土の一県であったならば、人口流出の過疎県となったであろうと考えられるが、現に人口が増加したということは、島内に、特殊な事情に基づく産業と雇用があったからである。復帰に際し、これら特殊事情を認めないならば、大量の人口流出による過疎県へ転落することは明らかである。ゆえに振興策の樹立にあたっては、これら特殊事情を十分に配慮することを基本としなければならない。このため、特別措置を講ずることが必要であるし、また、予算についても特別会計を設けることも必要である。沖繩の振興計画については、現在の新全国総合開発計画のごとくものさしで当てはめる計画では必ずしも適当でないと思うので、国際的視野に立って計画をつくり、新全総に盛り込むようにしたい。 また、産業としては、たとえば先島地方については、キビとパインに新しく畜産を組み合わせ、漁業について大型化などについて資金上配意していけば、おおむね本土の離島並み、もしくはそれ以上となるであろうし、本島の北部地帯もほぼ同様のことが考えられる。那覇市、コザ市等、軍への依存度が高く、第三次産業の比重が極端に高い地域では、従来のショッピングの魅力を維持していく必要がある。本土からの企業進出については、沖繩の特殊環境で育成された産業を圧迫しない範囲内で、沖繩の人たちのためになるものについては、これを歓迎し、税制、金融等の面で十分に配慮していく考えである。 石油資本などの外資等については、沖繩の立場を考えないで、単に本土が困るからよせという感じを与えることは、よろしくない。同時に沖繩側でも本土の既存市場を撹乱しないという良識が必要である。双方十分に相談し合っていかなければならない問題であると考えるとの趣旨の答弁がありました。 第三は、公害問題であります。 公害問題の国際シンポジウムでも公害なき環境の享受は基本的人権であるとの宣言を採択している。刑法犯としての公害罪の制定は必要であると考えるが、政府は、法制審議会に諮問している公害罪制定についての結論をいつごろ出すのか。また、処罰を直接行為者のみにとどめることは片手落ちであり、弱い者いじめともなるから、法人処罰を取り入れる必要があると考えるが、政府の所見いかんとの趣旨の質疑が行なわれました。 これに対し、政府は、公害罪制定の必要は十分に認められるが、一面めんどうな問題も含んでいる、法制審議会において一般論として、公害罪を新設すべきであるとの合意もできているから、その具体化をできる限り早く進めたい。また、罰則については、必要に応じ企業の責任者にまで罪が及んでいくといういわゆる両罰規定を設けるということは、十分検討すべき問題であるとの趣旨の答弁がありました。 第四は、少年法改正の問題であります。 質疑の要旨は、非行少年の増大とその対策は大きな課題である。少年法の改正についての政府の考え方はどうか。また、法務省の考え方と裁判所の考え方に意見の相違があるといわれるが、相違点はどこにあるのか。 これに対し、政府は、問題の焦点は年齢を引き下げることであり、しこうして少年と成人の間の年齢層をつくり、これに応じた刑事もしくは保護処分を設けることである。したがって、年齢十八、九歳が問題であるが、この問題について合意を取りつけることは現在のところ困難である。しかし、ある程度は世論が決定すべき問題でもある。議論を繰り返していてもこれ以上前進しないので、ある程度話し合いを進めたあとで、なるべく早い機会に法制審議会で論議してもらいたいと考えておる。政府としては来年の通常国会に改正案の提出をみたい。 また、法務省と裁判所との間の意見の相違については、第一点は、少年と成人との間に、さらに一つの年齢層を新しく設けて、対象の区分をはかるかどうか。第二点は、保護処分、刑事処分を決定する問題。第三点は、法改正にあたって、社会環境その他非行の生ずる原因について、重点をいずこに置くかという点について、意見の調整を要するものであるとの趣旨の答弁がありました。 かくて、本日質疑を終了し、分科会の討論、採決は本委員会に譲ることに決定した次第であります。 以上簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
○中野委員長 次に、第二分科会主査大野市郎君。
○大野(市)委員 第二分科会の審査の経過及び結果を御報告いたします。 第二分科会の審査の対象は、昭和四十五年度総予算中、会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管のものでありまして、去る三月十一日より本十八日まで慎重に審査いたしました。 まず各省庁ごとに予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。質疑者は延べ三十二名、質疑時間は十九時間に及び、終始熱心かつ活発に行なわれたのでありますが、その詳細は会議録でごらんを願うこととし、ここでは二、三の点を報告するにとどめます。 まず外務省の関係では、事前協議の問題について、一たんイエスを与えるならば、日本側に発議権がない以上、あとでいかなる事態になってもノーとは言えないのではないか。また、B52の沖繩駐留自体は事前協議の対象になるのか。もしならないとすれば、返還後の沖繩にも自由に出入りができることになるのではないかとの質疑がありました。 これに対する政府の答弁は、事前協議の制度は、元来、協議をしなければ日本の施設区域を使えない、あるいは使うためには協議をする義務があるという制度なのだから、使う必要のあるほう、あるいは協議する義務のあるほうに発議権があるというのが条約論としては通説である。しかし、いろいろな場合を想定すれば、こちらからも発議というか、意見を申し入れるということも運用上あり得ることだと思う。なお、それでも足りない場合は、随時協議でカバーすることができる。また、沖繩駐留のB52は十五機編成の一飛行隊だが、事前協議の対象となる兵力配置は、航空の場合は一個師団以上となっておるから、装備面は別とすればたてまえとしては事前協議の対象にはならない。返還後の沖繩に、どういう基地が残り、どういう部隊が残るのかということは、返還協定の取りきめと並行して行なわれる自主的な話し合いの中で取り上げられていくのだが、沖繩をほんとうに本土並みにしたいという政府の願望、さらに施政権のない現在でもB52の撤去を政府は要望をしておるという点を考えてほしいとの答弁でありました。 以上のほか、未承認国への渡航緩和。広州交易会に参加希望の在日華僑の出入国許可。ラオスの紛争解決に対する日本政府の態度。北方海域における漁業の安全操業等に関する質疑が行なわれました。 次に、会計検査院の関係では、不法不当事項の事後処理、検査院の機能強化等に関して質疑が行なわれました。 次に、大蔵省の関係では、予算審議の参考資料の整備の問題が取り上げられ、特に政府出資の法人について、財政法二十八条により国会提出を必要とする予算添付書類の中の「主要な出資法人」の基準は何かとの質疑が行なわれましたが、大蔵当局の答弁は、政府出資の額が百億円以上の法人、またはそれ以下でも、たとえば日本銀行のように非常に重要な業務を行なっている法人を参考書類の中にあげている。また、予算審議のための資料はでき得る限り提出するが、事務能力の限界ということもあるので、要望にどの程度こたえられるかを検討したいとの答弁でありました。 しかし、これに対し田中武夫分科員から、主要であるかどうかを大蔵当局の判断だけできめるのは妥当でない。予算委員会なり、議院運営委員会なり、国会の適当な機関と協議の上きめるべきだとの発言がありました。 次に、専売公社の塩業整理交付金五十億円の内容について質疑が行なわれ、特にその交付の基準がきまっていないのに、ほとんどつかみ金のような形で計上されているのは財政法規に照らしても問題があるとの指摘がありましたが、これに対しては、塩業の合理化はどうしても必要なので既存業者の整理交付金を計上した。交付の基準は塩業審議会の答申を得て早急にきめたい、こういう予算計上のしかたは往々にしてあるとの答弁でありました。 ほかに、同和対策、国有財産の払い下げ、中小企業金融、金及び外貨準備、円の切り上げ等の問題について質疑が行われました。 次に、防衛庁の関係では、四次防の構想について質疑がありましたが、政府の答弁は、専守防御という憲法の範囲内で、国民生活を考え、国力、国情にバランスをさせて自衛力を増強する。シビリアンコントロールを徹底させ、平和外交政策中心の立場をとる。こうした基礎の上に機械化された精鋭部隊をつくる。十年ぐらいの将来を見通しつつ、五カ年計画というスケールでつくっていきたい。本土防衛のためには、自分の力で周辺の制空権及び制海権を持つ必要があり、そのためには戦闘機によるパトロールも考えられ、進入艦船に対する攻撃力の増強が必要と思うが、四次防の段階でどの程度の整備をするかは現在作業中であるとの答弁でありました。 その他、米軍基地の返還と自衛隊の共同使用。ナイキ基地の建設。定員の充足と隊員の募集。秘密文書の取り扱い等に関する質疑がありました。 質疑終了後、分科員の討論、採決は本委員会に譲ることに決定をいたしました。 以上、御報告いたします。(拍手)
○中野委員長 次に、第三分科会主査田中龍夫君。
○田中(龍)委員 第三分科会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。 本分科会における審査の対象は、昭和四十五年度総予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に関するものでありまして、この間、各所管にかかる行政各般の問題について、政府と分科員との間にきわめて熱心な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることとし、若干の質疑について御紹介するにとどめたいと存じます。 まず、厚生省所管から申し上げますと、一、児童手当審議会の答申は、政府が期待する八月に間に合わないのではないか。二、さきの審議会において、斎藤厚生大臣試案、有澤構想などあり、政府はいかにしてこれを行なわんとするかとの質疑に対し、政府より、一、政府が審議会の八月答申を期待するわけは、四十六年度から児童手当制度を発足させるための段取りを考慮しているからであり、答申は八月に得られるものと強く期待している。二、審議会がさきに行き詰まった経緯にかんがみて、審議会はいままでの試案にこだわることなく、審議会自体の考えで審議を進めてほしいので、政府が新たな試案をもって審議会の審議を拘束する考えは全くない、要は、審議会が一つにまとまった答申が出されることであり、この制度発足の社会的説得力を期待したい。以上の答弁がありました。 また、一、老人医療の全額公費負担は、いまや実施すべき段階に来ているのではないか。二、老人ホームなど社会福祉施設を緊急に整備するために、長期計画を立てる必要があるのではないか。以上の質疑に対し、政府より、一、老人医療問題は全額公費負担の問題を含め、医療の抜本改正における当面実施すべき課題の一つとして社会保険審議会に諮問し、審議を願っている。二、社会福祉施設の整備については、長期計画を社会福祉審議会に諮問し、実態調査が行なわれており、老人、身体障害者など、緊要度の高いものに重点を置いて整備充実をはかりたいとの答弁があり、このほか、身体障害者対策、救急病院の整備、医師、看護婦の確保と養成、食品衛生、なかんずく発ガン性物質の問題、精神病院、公害防止等々の質疑が取り上げられました。 次に、労働省所管について申し上げます。 技術者養成問題の中心は、技能検定の地位を高めることにあるが、最近労働省が行なっている技能検定のほかに、文部省においても同様なことが行なわれようとしている、これは国家試験の権威を傷つけるものであるが、政府は統一見解を出すべきだとの質疑に対し、労働省としては、文部省が昭和四十二年、技能審査に関する規則の告示を発表し、さらに昨年二月には、この告示による財団法人洋裁検定協会が認可され、すでに労働省が行なっている洋裁の技能検定と同じことをこの協会に行なわせようとしており、労働省としては、かかる重複する検定は望ましくないと申し入れているところであるとの答弁がありました。 一、四十四年度炭鉱離職者の再就職状況はどうなっているか。二、鉱山保安は通産省のみでなく労働省も積極的な監督を行なうべきではないかとの質疑に対し、政府より、一、四十四年度炭鉱離職者は当初一万一千人を見込んだが、大企業の閉山が相次ぎ、二万二千人に達する見込みであるが、再就職は八〇%と順調である、しかし、就職困難な中高年層に対する就職あっせんは特別な配慮を加えている。二、鉱山の保安につきまして、労働省はいままでは災害が起きた後、安全基準に関する勧告を行なってきたが、今後は事前にも勧告ができるよう、安全行政を進めたいとの答弁がありました。 このほか、労働行政といたしましては、総合農政下の離農者対策、農民の出かせぎ問題、人手不足と人買いや青田刈りの問題、労働基準法改正、労災補償の改正、ILO条約批准の促進、労働安全衛生、失対労働者に対する賃金不正支払い問題などの問題が取り上げられました。 最後に、自治省所管について申し上げます。 一、過密地帯における土地の先行取得を積極的に進めるために縁故債は積極的に認める必要はないか。二、過疎対策事業費は議員立法を前提に予算を組んでいるが、きわめて異例な措置ではないかとの質疑に対し、政府より、一、土地の先行取得の起債は、最近、地方債計画を上回っており、用地取得につとめている、今後かかる縁故債については機を逸することなく認めたい、ただし自治体が過密に責任を負うべきではなく、起債に対しては政府資金の裏づけをするよう努力したい。二、過疎対策事業に議員立法を予定しているのは、昨年の議員立法の内容が、政府の過疎対策と共通する点が多くあり、政府としては、これに積極的に応ずることによって事業の発展が期待されるからであり、地方債もそのために準備をした、なお、立法後の状況に徴し、なお、措置が必要であれば当然応じたいとの答弁がありました。 このほか、交通安全対策、広域市町村圏振興事業、政令都市の指定、過疎対策の問題等が取り上げられました。 かくて、本日、質疑はすべて終了し、質疑終了後、直ちに本分科会における討論、採決は本委員会において行なうことを決した次第であります。 以上をもって第三分科会における報告を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、第四分科会主査大坪保雄君。
○大坪委員 第四分科会における、審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。 本分科会の審査の対象は、昭和四十五年度総予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管でありまして、去る三月十一日より本日まで慎重に審査を行ないました。 審査は、農林省、通商産業省及び経済企画庁の順に、それぞれ所管予算の説明を聴取した後、質疑を行なったのでありますが、その間、質疑者数延べ五十二人、質疑時間約三十二時間に及びましたが、各分科員の御協力により、終始円滑に審査が行なわれました。 質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、ここでは簡単に御報告申し上げます。 まず、経済企画庁所管につきましては、水質保全の環境基準の設定について、その指定、予算措置、公害産業に対する罰則の適用等について質疑がありました。これに対し、政府より、水質保全の環境基準の設定については、国民生活を中心として考える。対象水域は全部公共水域であるが、関係各省が広範にわたっているので、各省と緊密な連絡をとり早急に設定をし、実施したい。設定にあたっての予算は、それほど必要でないが、実施にあたっての予算措置については、万全を期するよう努力したい。罰則については、工場排水等規制法で一年以下の懲役の規定もあるが、今後は公害が出ぬようきびしく監視していきたいとの趣旨の答弁がありました。 以上のほか、財政と金融政策、東北開発、特に北海道東北開発公庫の融資及び役員問題、物価抑制対策、消費者物価の見通し、宮古市ラサ工業のカドミウム排水、新全国総合開発計画と北方地域の開発、特に北海道の苫小牧地区の公害事前防止対策及び交通体系の確立等の諸問題について質疑がありました。 次に、農林省所管につきましては、米の生産調整問題に関連して、作付転換及び休耕した場合に土地改良事業の負担金及び固定資産税を課税するのか、また、土地改良事業の通年施行の希望が多いが、その対策いかんとの質疑がありました。これに対し、政府より、土地改良事業の負担金は、生産調整を行なっても、その受益の度合いによってかかってくるし、また、固定資産税については、地目の転換があれば、それに応じて徴収するのが筋であるが、いずれにしろ、これらの水利費、公租公課は、生産調整奨励金の中にある程度見込んで計算している。土地改良事業の通年施行を実施するため、約三百十億円の予算措置を講じて、生産調整地域に優先的に配分するが、その目的達成のため、締め切り後の新規申し込みについても十分調査し、できるだけ採択するよう努力したいとの趣旨の答弁がありました。 また、古米の処理について、飼料用として売却するよりも輸出の拡大をはかるべきであるとの質疑に対しまして、政府より膨大な過剰米が出ており、財政的な見地等からしても適切な用途を選ぶよう種々検討しているが、新年度早々に学識経験者等の意見を聞き用途をきめたい。ただ、一部について、飼料用、加工用原料として試験的に販売する予定であるが、これが他用途に使用されないよう十分監督していく。輸出については、現在まで八十万トンくらいの実績であるが、今国会に延べ払い輸出法案を提出中であり、今後も一そうの増大をはかっていく考えであるとの趣旨の答弁がありました。 以上のほか、生乳の長距離輸送、日ソ漁業交渉の経過、野菜の生産及び価格安定、酪農農家の経営規模の拡大と所得の増加、集団養豚による公害、北方海域における拿捕漁民の救済対策、沿岸漁業の振興、林業労働者の白ろう病対策、イモでん粉対策、食糧の備蓄、グレープフルーツの自由化対策、干拓事業に対する姿勢、造林事業の総合的樹立、農協法改正と都市計画法による線引き、水産物の災害対策等の諸問題について質疑応答がありました。 最後に、通商産業省所管につきましては、日米間の繊維規制問題につきまして、米側が日本側の覚え書きを公表したり、一部に輸入規制法提出の動きがあるが、これは、日本に対する牽制と思われる。また、韓国が繊維規制を受けた場合に、日本に肩がわりしてもらうと聞いているが事実かとの質疑がありました。これに対し、政府より、さきの日本側の覚え書きは、日米両国政府が合意しなければ発表すべきものではない。米側が公表したというのは、関係方面に渡したのが何らかの方法で漏れたものと聞いている。また、米側と日米間の主張が著しく離れているので、その規制について、直接立法府に訴えたほうがよいとの繊維業界等の動きがあるが、確定的なものではない。いずれにしろ、いまのところ、米側の公式反応がないし、日本はこれにより牽制を受けることはない。また、韓国に対する米国の繊維規制を日本が肩がわりすることは考えていないとの趣旨の答弁がありました。 以上のほか、家庭用電気ガス器具製品の欠陥対策、骨材の確保と自然保護、資本の自由化、公害対策、東ニューギニアの開発、中小企業に対する金融と信用保証、産炭地の再開発と鉱害復旧、公害対策、ウランの海外探鉱開発、中小企業の構造改善対策、防衛庁の研究開発と防衛産業、過疎地域の地下及び海中資源開発、ゴルフ企業に対する指導監督、鉄鋼の需給見通しと設備調整、日中貿易の拡大等の諸問題について質疑がありました。 かくて、本日、質疑を全部終了し、質疑終了後、本分科会の討論、採決は先例により本委員会に譲ることに決定した次第であります。 以上、御報告いたします。(拍手)
○中野委員長 次に、第五分科会主査藤田義光君。
○藤田(義)委員 第五分科会について御報告申し上げます。 審査は、運輸省、郵政省、建設省の所管につき行なわれ、各省ごとに所管予算の説明を聞いた後、質疑に入り、質疑者は延べ五十三名、質疑時間は二十七時間四十五分に及びました。 まず、運輸省関係につき、現在の交通関係の長期計画は、ばらばらで均衡を失している点があると思う。この際、交通総合体系を確立し、その体系の中で各計画を再検討すべきではないか。特にローカル線の空港整備がおくれているのではないか。国鉄新幹線九千キロを昭和六十年までに完成させる計画であるというが、国鉄再建のため既設線廃止などが叫ばれている今日、一年一兆円もかかる資金をかけて、これを施行する必要があるのか。むしろ在来線の整備をはかるべきではないか。その財源をどこに求めるのかという趣旨の質疑に対して、交通関係各長期計画は、経済社会発展計画の一環として計画されているものであって、一応均衡のとれているものと思うが、過去の実績にとらわれ過ぎているきらいがある。むしろマクロ的に所用度を計算して、総合的に計画すべきものと思うので、運輸省が主導して関係各省と協議して、交通総合体系をつくりたい。なお、空港整備五カ年計画についても、来年度からでも考えたいと思っている。 国鉄新幹線計画に含まれている山陽新幹線は、現在最も輸送の隘路となっている個所であるから早く完成したい。東北、上越線等もその必要度が多い。新全国総合開発計画の進展によって、太平洋ベルト地帯集中の状況が改められ、各地域が開発されれば、将来全線区が相当活用されるものと思う。しかし、これを全部昭和六十年度までに完成するというわけではない。その財源については計画の決定を待って検討したいという趣旨の答弁かあり、このほかに、運輸省の予算及び人員の充足、私鉄運賃の値上げ、過疎地帯バス対策、日中間の航空機乗入れ、計画造船の再検討等の諸問題をはじめ、東京周辺の地下鉄の増強、各地の国鉄の電化・複線化・立体化または建設の促進、国鉄再建計画による赤字線の廃止、駅の無人化、貨物駅の集約化に関する各地の問題点、大阪国際空港の騒音防止及び消防対策、仙台空港整備の担当機関、名古屋外貿埠頭事業を公団運営によらず会社運営とした理由、小名浜港の構造の安全性等の地域問題について質疑応答がありました。 次に、郵政省関係。 郵政公社化の作業はどうなっているか。市中金利の引き上げに関連して郵便貯金の利子をどうするか、郵便貯金利子を日割り計算とすべきではないか、また、郵便貯金を国民生活に役立つよう還元すべきではないか。電話の一加入区域を経済圏、生活圏に適合するよう拡大すべきではないかという趣旨の質疑に対し、郵政公社化については、昨年十月郵政審議会から採用に値するとの答申を得て、十一月に省内に事務次官を中心とする公社化対策委員会を設け六部会に分けて検討しているが、予算要求時期ごろまでに検討の結果が得られるようつとめたい。しかし、この問題は事務的だけで処理し切れない問題があると思う。 定期郵便貯金の利子については、民間預金に比べ不利とならぬよう引き上げの方向で検討している。利子の日割り計算は、コンピューター化により実施することができるよう作業している。郵便貯金の還元については貯金証書担保の貸し付けを検討している。 電話の加入区域については、同一市町村内、局間距離六キロ以内一加入区域を十二キロ以内に拡大しつつあり、また近郊市外通話については、昨年十月の改定により料金軽減をはかっているが、現在の加入区域が経済圏の実情に即していない点があるので、昭和四十七年度からの七カ年計画においては、加入区域の拡大と料金体系の合理化をあわせて根本的に検討したい。 こういう趣旨の答弁があり、このほかに、郵政事業特別会計の赤字克服対策、郵便局の機械化、中国との間の郵便及び電気通信の現状、放送大学の構想、テレビ選挙放送会社指定のあり方、昭和六十年の電電公社のビジョン、米軍専用電気通信施設の料金の処理、地域集団電話の拡張及び改良等につき質疑応答がありました。 次に、建設省関係につきましては、住宅建設五カ年計画において、公的資金住宅が目標に達しなかった原因及び対策についてどう考えるか。次の住宅建設計画にはどういう構想を持っているか。砂利トラックが道路を損傷したり沿道住民に被害を与えている現状にかんがみ、砂利採取法を改正して、砂利運送の経路指定、運送業者からの補償費または待避所施設負担金の徴収等を義務づけてはどうかという趣旨の質疑に対し、住宅建設計画で公的資金部分が目標に達しなかったのは、改良住宅について住民の納得が得られなかったことと、公団、公社賃貸住宅について関連公共施設の経費の地元市町村負担の了解が得られなかったことが大きな原因であり、今後は、市町村の財源措置については関係省と協議して適当な方法を考えたい。将来の住宅建設の方向としては、低所得者に対する公的資金住宅を増すことはもちろんであるが、地方公共団体、公団等の土地造成に力を入れ、一方、企業または勤労者の住宅政策または住宅融資保険の推進等民間資金の活用をはかっていきたい。 砂利トラックについては、道路運送法との関係もあって、砂利採取法の改正では困難と思うが、行政指導によって、その目的を果たすようつとめたい。 こういう趣旨の答弁があり、その他、都市計画調整区域の大規模土地買い占め規制、米軍基地返還後の住宅用地への活用、長期利水計画の策定及び水源地域開発法の制定、公団住宅共益費の運営の適正化、東京都の防災計画、筑波学園都市の汚水処理計画、万博関連道路の終夜照明、本四連絡架橋の着工のめど及び経費負担区分、各地道路の建設、改良または立体化の促進及び道路建設に伴う諸問題、シラス地帯対策、利根川水系の水資源開発、琵琶湖総合開発に関する諸問題、霞ケ浦自然公園特別区域の砂利採取の規制等の地域問題に対して質疑応答がありました。 かくて、本日、質疑を終了しましたが、本分科会の討論、採決は先例により本委員会に譲ることに決定した次第であります。詳細は会議録に譲りました。 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○中野委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。 ————◇—————
○中野委員長 これより、去る二月二十六日の楢崎弥之助君の総括質疑の際に留保されておりました問題につきまして、理事会の決定に基づき、順次政府より説明を聴取することといたします。 まずGBサリンに関する問題及びインフルエンザ・アジュバントワクチンの自衛隊員に対する実験問題につきまして、防衛庁当局より説明を聴取することといたします。中曽根防衛庁長官。
○中曽根国務大臣 BC兵器の研究開発についての御質問にお答えいたします。 自衛隊は、BC兵器に対する防護器材については研究開発を行なっておりますが、BC兵器そのものの研究開発をしたことはありませんし、今後とも研究開発をする意図はありません。 次に、GBについての御質問にお答えいたします。 先般お答えしましたように、GBにより汚染された水の浄化試験研究のため、当該浄化試験に必要な性能の範囲でGB類似の化合物を少量製造したことはありますが、その化合物はGBそのものではありません。 なお今後とも、BC兵器の防護に関する研究に際して使用する化学剤については、慎重を期してまいりたいと考えます。 次に、少年工科学校生徒に対する油性アジュバントワクチンの研究についての御質問にお答えいたします。 アジュバントワクチンの研究については、かねてから国立予防衛生研究所の福見秀雄博士を長とするインフルエンザ研究協議会により実施されて今日に至っておりますが、同協議会は、まず市販のインフルエンザワクチンと同じ基準によってその人体に対する安全性を確認した後、臨床試験を実施したものでありまして、人体実験を実施しているわけではありません。 この臨床試験は、幼年者から老齢者に及ぶ広範な年齢層を対象としており、東大外九個研究班に分かれて実施しておりますが、自衛隊の園口班はその一部として陸上自衛隊少年工科学校の生徒を担当しているものであります。その実施にあたっては、学校生徒などの場合の一般的な慣行にならい、武山駐とん地衛生科長(医官)を通じて、生徒の健康管理について責任を有する同校教育隊長と十分協議調整しておりますので、手続上特段の不備があるものとは考えておりません。 同試験の実施場所として少年工科学校を選定した理由は、年齢及び勤務状況等から、研究成果の比較検討が容易であるのと同時に、比較的長期間にわたる観察が可能であることによるものであります。 しかし、少年工科学校生徒の健康管理については、人間尊重の立場から、今後慎重に配慮いたしたいと考えます。
○中野委員長 次に、自衛権発動の時期等に関する政府の統一見解について説明を聴取いたします。愛知外務大臣。
○愛知国務大臣 御質問は、国連憲章第五十一条及び日米安保条約第五条の「武力攻撃が発生した場合」及び「武力攻撃」の意味についての統一解釈を左の事例で示してもらいたいということでございました。 一、「ニイタカヤマノボレ」の無電が発せられた時点、すなわち攻撃の意思をもって日本艦隊がハワイ群島に向け退転した時点。二、攻撃隊が母艦を発進し、いまだ公海、公空上にある時点。三、来襲機が領域に入った時点。 お答え申し上げます。 安保条約第五条は、国連憲章第五十一条のワク内において発動するものでありますが、国連憲章においても、自衛権は武力攻撃が発生した場合にのみ発動し得るものであり、そのおそれや脅威がある場合には発動することはできず、したがって、いわゆる予防戦争などが排除せられていることは、従来より政府の一貫して説明しているところであります。しこうして、安保条約第五条の意義は、わが国に対する武力攻撃に対しては、わが国自身の自衛措置のみならず、米国の強大な軍事力による抵抗によって対処せられるものなることをあらかじめ明らかにし、もってわが国に対する侵略の発生を未然に防止する抑止機能にあります。さらに、現実の事態において、どの時点で武力攻撃が発生したかは、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等々によるのでありまして、抽象的に、または限られた与件のみ仮設して論ずべきものではございません。したがって、政府としては、御質問に述べられた三つの場合について、武力攻撃発生、したがって自衛権発動の時点を論ずることは、適当とは考えない次第でございます。
○中野委員長 次に、CX用エンジンのプライムメーカー決定に関する問題について、通産省当局より説明を求めます。赤澤重工業局長。
○赤澤政府委員 先般御指摘のございました三菱重工業におきますところのCX用エンジンの生産工場についてお答えをいたします。 CXの生産計画は、昭和四十六年度以降において決定される予定でありますために、CX用エンジンの生産計画も現在のところ未定でございますが、CX用エンジンの国産化が決定をいたしました場合、これを生産することになりますのは、三菱重工業の大幸工場の予定でございます。 現在大幸工場ではヘリコプター用エンジンの生産、輸送機用エンジンのオーバーホール等が行なわれておりますが、現在の工場施設の状況から見ますると、CX用エンジンを生産する余力があるものと考えております。すなわち、現在大幸工場におきましては、航空用エンジンの製造は月産二台、オーバーホールは十五台程度の実績を示しておりますが、能力的にはそれぞれ製造十五台、オーバーホール二十五台程度の施設及び人員を有しております。またエンジンの部品生産につきましては、J79等の大型ジェットエンジンの部品生産も行なっておりますが、これを含めて既存設備の七〇%程度の稼働率にとどまっております。したがって、新たにCX用エンジンを国産化するといたしましても、工場施設等に特段の問題はないものと思われます。 ただしCX用エンジンは、これまで大幸工場で生産をいたしておりますエンジンに比べまして排気音が大きく、名古屋市内にある大幸工場で運転試験を行なうことは公害上問題がありますので、小牧市の味岡に運転場を設置する予定であると聞いております。
○中野委員長 これより理事会の決定により、これらの問題について約三十分楢崎君の質疑を許すことといたします。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 順序を、まず自衛力の限界の点から入ってまいりたいと思います。 昨日の予算第二分科会におきましても、四次防の構想は、これまでの領域内の防衛から広域防衛と申しますか、海洋防衛、外洋防衛へと拡大される傾向にあります。しかも一方防衛予算は、GNPとの関係でどこまでふくれ上がるのか、われわれを含めて国民の皆さんも、この限界については非常に案じておるところであろうと思います。そこで私は、この際この自衛権の限界なり自主防衛の限界について、できれば具体的に明らかにする責任があろうと思いますから、この点から入っていきたいと思います。 そこで、いまの外務大臣の御報告の中にありました点と関連するわけですが、まず安保条約第六条の実施に関する交換公文による例の事前協議の問題です。重要な配置の変更、重要な装備の変更、そして直接出撃、その下にカッコして第五条の場合を除くとなっておりますが、このカッコの五条を除くというただし書きは、前段の直接出撃だけにかかるのですか、それとも重要な装備の変更、重要な配置の変更までもかかるのですか。
○愛知国務大臣 条約文の説明は、条約局長からいたさせます。
○井川政府委員 最後の直接戦闘作戦行動だけにかかります。
○楢崎委員 そうしますと、第五条の場合でも、装備あるいは配置の重要な変更の場合には、事前協議にかかりますね、第五条の場合でも。
○井川政府委員 仰せのとおりでございます。
○楢崎委員 次に、中曽根長官にお伺いをしておきます。 追跡権はどの範囲まであると解されておりますか。
○中曽根国務大臣 それも国際法上の問題でございますので、法制局長官から答弁させていただきます。
○高辻政府委員 おそらくお尋ねの趣旨は、外国の侵害がありまして、そしてわが国がそれに対して防衛をする、その場合に例の自衛権の三要件というのがあることは御承知のとおりでありますが、わが国の防衛を全うするに、わが国への侵害を防衛するに必要な部分、したがってもっと端的なことを言えば、外国の領域に入ってそれをやっつけるというようなところまではまいらないということを申し上げます。
○楢崎委員 そうすると、少なくとも外国の領域手前までということになりますね。 簡単にひとつ。あなたの答弁は長いからどうも……。
○高辻政府委員 簡単に申し上げます。 要するに、事態によっていろいろ異なります。
○楢崎委員 だから最大限は領域の手前まで、こういうことですね。
○高辻政府委員 最大限はそのとおりであります。
○楢崎委員 最大限は領域の外まで。そうすると中曽根長官にお伺いしますが、現在の自衛力ではどの程度まで追跡する能力がありますか。
○中曽根国務大臣 それは相手の装備力がどの程度であるかということにもかかわってまいりますが、現在の日本の客観情勢から見ますと、日本のほうにはあまりそういう力がないように思います。
○楢崎委員 実際問題としてスクランブル等も行なっておるわけですが、実際の指示はどこまでという指示を与えられておりますか。
○中曽根国務大臣 スクランブルは、日本の周辺を大体ある程度の線を引きまして、その線から・入ってきた場合にはスクランブルがかかり、そして触接していく、そういう体系をとっております。その線というのは、外国に隣接したところではない。私のいままで勉強した範囲では、公海のまん中ぐらいの線であった、そういうように記憶しております。
○楢崎委員 それはひとつ正確にお答えをいただきたいわけですが、正確でございましょうか。
○中曽根国務大臣 防衛局長をして答弁させます。
○宍戸(基)政府委員 いわゆるADIZというのをつくっておりまして、防空識別圏でございます。距離でいいますと、大体百五十海里から二百海里程度、場所によって違いますけれども、ほぼそういったところに識別圏をつくっておりまして、その範囲内でスクランブルをやる、こういう体制にいたしております。
○楢崎委員 二年前に論争になったところですが、あらためてその線を書き込んだ地図をひとつ資料としていただきたい。 そこで、先ほどの外務大臣の御答弁でありますが、この自衛権の発動、武力攻撃の着手の時期、これは非常に重要であろうと思います。なぜならば、事前協議のうち直接出撃は第五条の場合を除くということになっておりますから、この解釈いかんによっては、事前協議の必要なく米軍は出撃し得る、非常に重要なところです。 そこで先ほどの内容に入るわけですが、総理大臣にもよくお聞きをいただきたいのですけれども、プエブロ号事件のようなときには、たいしたことはないというようなお答えを聞いたことがあります。直接出撃という問題は起こらないであろうというようなことを聞いたことがあるわけであります。——なければ、聞きますけれども。そこで米軍の強大な抑止力にたよっておるということばが、いまあったようですが、私は、これは非常に重要な点ですから、ちょっと時間をかけてこの点を資料によって明確にしたいと思うわけです。 そこで、あのプエブロ号事件のときに第五空軍司令部の広報部が公式に発表しておる文書があります。一九六八年三月十八日発表ですが、この中で大事なところだけ抜き出して読んでみます。「韓国における事件発生により日本の第五空軍の前線指揮所がマッキー中将指揮下の米空軍作戦司令部として烏山空軍基地に設置されておる。プエブロ号捕獲後何時間かを経て」——ウイジン・アワーズと書いてあります、だからたいした時間かかってないと思いますが、「第五空軍は緊張状態の間における予想される戦術空軍の出撃に備えるため、沖繩、日本に駐留する戦術戦闘機、要撃機及び偵察機の一部を韓国の作戦基地に移動した。」この移動したものの中に、日本に関する分だけ読んでみます。「日本駐留の横田空軍基地第三百四十七戦術戦闘航空団及び三沢空軍基地第四百七十五戦術戦闘航空団からのF4Cファントム二型戦術戦闘機が移動した。」「マッキー中将は第五空軍前線司令部司令官であると同時に、日本の司令部から在日米軍と第五空軍を指揮する。第五空軍前線司令部は、今回の危機により動き始めた米空軍の戦術、補給、配員活動の神経中枢である一方、全第五空軍幕僚の即応体制は強められ、作戦幕僚は二十四時間勤務を行ない、日本防衛における司令部の任務は続いておる。」こういう発表が——つまり日本から在日空軍戦闘機が飛んでいっておるのですね。 そしてこれがどういう状態になっておったかというと、これはアメリカの昨年の第九十一議会第一会期、一九六九年七月二十八日、米国下院軍事委員会プエブロ号特別小委員会報告の議事録であります。ここで、統合参謀本部議長のウエーラー大将が証言をしているのです。この中にどういう証言が行なわれておるかと申しますと、これも膨大なやつですから関係する部分だけ読んでみます。 空軍はその当時韓国に七機、これは在韓米空軍のことです。日本に十六機、沖繩に十八機おったということ。そして米国の海空軍に対する待機命令——待機命令が出されたのです。どういう待機命令が出されたかというと、非武装地帯の東方線上の北側、北朝鮮の海岸八十海里の区域の外側にとどまるように。だから、十七度線から八十海里離れたところの北へずっと延びた線に待機をしておった。つまり、日本から飛んでいったその在日空軍戦闘機に前進司令部はそういう待機命令を出しておるのですね。 そして、その後どういうことになっておるかというと——これはアメリカの考え方です。「北朝鮮の艦艇によって攻撃を受けた際には、米国は、国連憲章第五十一条で国際的にも条文化されているように、攻撃の程度に見合い、自国艦船を保護するに必要ないかなる自衛行動もとり得る歴史的な権利を有しておる。」そしてどういうことになるかというと、「米国は自国艦船プエブロ号の拿捕を阻止するために海空からどのような軍事行動をとろうともそれは完全に正当なものである。その間プエブロ号の救援に向かうことを制限するいかなる束縛の規制も存在していない。」そして今度は、すぐどういう対応をしたかというと、韓国の七機——これはファントムであります——は「特別の任務のために模様がえされていた。沖繩の十八戦術航空団は二機、F105が発進した。そして元山港の現場に向かい、プエブロ号に敵対する軍事力に対して支援の攻撃を行なうように命令した。」攻撃命令を出しているのですね。ところが、烏山に一応着いて給油してそれから元山に向かえば日没になる。それで攻撃命令を出したけれども、一応元山で給油したまま待機をしろということに、また変更になったのです。 今度は、日本の関係を言います。「在日米海軍司令官が第五空軍司令官から緊急警戒戦力をほしいと要請しなかったミステーク」——ミステークですよ、「ミステークのために空軍はプエブロ号の緊急事態を予測することができなかった。さらに在日米海軍司令官と第五空軍司令官が緊急体制に航空機を動員するためにとらるべき規定の手続を厳守し実行しなかった、ミステークのために、重大にも不確かな状況がつくり出され、それが結局は在日米海軍司令官の救援の要請となって出てこなかった。ウエーラー大将は、在日の十六機の攻撃機は使用可能であったと証明している。それは三沢のF4十一機、横田のF105五機であった。しかしこれらの航空機の搭乗員は他の基地から移転しててきて訓練中であった。それで実際には使えなかった。」そして一番最後にどういうことが証言されたかというと、「小委員会は、日本ではわずかに十六機の空軍機と八機の海兵隊航空機だけが使用可能であったというウエーラー大将の発言について、それと論争をし、もしくは疑問に思う何らの証拠も持っていない。しかし小委員会は米国が日本に少なくとも六つの完全に機能する空軍基地及び空港(海軍の厚木、海兵隊の岩国、空軍の板付、三沢、立川、横田)を持ち、同時に、それをささえる何千という米軍人、軍属が作業している以上、空軍戦闘力のこの明らかな低下に照らしてみて、空軍基地をささえている人員並びに基地機能全体の有効性について疑問を持たざるを得ない」。 これが証言であります。つまり、ここには幾つかの問題点がある。 一つは、日本から発進して、待機命令を受け、攻撃の待機をしておるというこの状態、しかも攻撃命令は出ておる、いつ出すかわからないという状態、これが事前協議にかからないのであろうかという問題点が一つあります。 二番目には、その巨大な米軍の抑止力と書いてあるが、実際の在日空軍の状態はこういう状態であった。非常に有効性に疑問が持たれるというような状態であったということですね。それで、プエブロ号あるいは昨年のEC121撃墜事件、この種のことは、起こり得るいろいろな事件ですね、一番想定し得る。このときに、こういう対応の措置があった。だから、事前協議という問題は、よほどシビアに考えないと何にもならない、歯どめにならないことになるのです。 この在日米軍のプエブロ号事件のときの状態、それといまの事前協議の問題について、やや時間が長くなりましたけれども、重要な点ですから、総理の見解を聞いておきたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほども答弁申し上げましたことと関連をいたしますから、私からまず答弁をいたしたいと思います。 この事前協議の問題については、何回も繰り返して申し上げておりますように、事前協議に該当する了解事項にきめられておる事項については事前協議を受けるわけですけれども、いまおあげになったような事態においては、私は事前協議の対象になるようなものはなかった、かように考えます。 それから、抑止機能が十分ではないではないかというような、アメリカのほうのいろいろの証言を御引用で、御説明というか御質疑がございましたけれども、これは見方がいろいろございましょうけれども、日本の政府としては、先ほども申しましたように、安保条約の体制のもとにおいて、アメリカの軍事力の強大なものがささえになっているということが、協議が起こってこない、抑止機能を十分に発揮しているものである、こういう考え方に立っておりますことは申すまでもないことであります。 それから第三には、起こり得る状態がいろいろ予想される、非常な脅威も予想されるようなお話も私は含んでいるかと思いますが、そういう事態であればこそ、安保条約の備えを従来の統一解釈のとおり守り、また前々から総理大臣はじめわれわれが申しておるような態度で、朝鮮半島の状況についてはこうこういう考え方でいくのだという姿勢を示しておることが、私は大事なことではないかと思います。考え方は楢崎さんと逆かもしれませんけれども、私どもはそういう態度をとっております。
○楢崎委員 そこで、先ほど私がお伺いした点について、いままでの自衛力の限界についての政府の答弁は、憲法の範囲内で国力、国情に応じ、他国に脅威を与えない。大体そういうところへ統一されておったと思う。しかし、それではあまりにも抽象的で、具体的な歯どめにはならない、限界にはならないわけです。だから、私はなるだけ具体的なものをここに出して考え方を明らかにしたい。そこで先ほどの、私は三つの例をあげたのは、せんだっても申し上げましたとおり、一九五二年一月十日、第六回国連総会の第六委員会の議事録を見ればわかるわけですが、ここで少なくともアメリカのマクトス委員がこの例を出して論議しているのです。 それで、再度お伺いをしますが、いまの御答弁であれば、いわゆる武力攻撃の着手の時期は、この三つの例でいけばどこになるのです。それは答えられないのですか。従来の政府の考え方からいけば、当てはめると、どれになるのですか。
○愛知国務大臣 お答えはさっきのお答えを繰り返すだけでありまして、相手方の意図の明示のしかたあるいは攻撃の手段、態様等々によるわけでございますから、抽象的にどうこうということも言えませんし、また限定された与件だけをここに設問としてお出しになっても、それに対してとやかく論ずべきものではない。しかし、基本的には、さっき申しましたように、予防戦争というようなものを考えているわけではないという大きな一つのワクがあるわけですから、その点を御留意をいただきたいと思います。
○楢崎委員 いまの御答弁でいきますと、相手方の出方いかんによれば現実に侵害を受けない場合でも自衛権は発動し得る、こうなりますね、態様いかんによっては。
○愛知国務大臣 ですから私はいま念のため申し上げましたように、予防戦争というようなものは考えておりません。この範囲というものは、そういう点でも限定的に考えるべきものである。しかし、自衛権の発動ということは、相手方——どこが相手かわかりませんけれども、観念的な仮定の問題ですけれども、どこかがやってこなければ自衛権の発動ということは考えられないわけですから、その相手方の発動のそのときの条件、あるいはその意図というものが明らかになることが必要でありますから、これはいま申しましたお答えでもう十二分であると私は考えるわけでございます。
○楢崎委員 さっぱりわからないのです。具体的にはわからないです。相手の出方による、そんな答弁が、あなた、通用しますか、こういう重要な問題について。 あなたは、仮定とか仮説とか言うけれども、武力攻撃というのを使っておるのは政府なんですよ。日米共同声明の中の、総理のプレス・クラブにおける発言の武力攻撃も、あなたの背景説明の中にも武力攻撃は出てきておる。そしてこれは国連憲章にいう武力攻撃と同じですねと言ったら、そうだとおっしゃった。国連憲章にも出てきておる。安保条約にも、五条に出てきておる。自衛隊法にも出てきておるのです。出してきておるのは政府のほうなんです。だから私はこれを詰めておるのです、非常に重要な点ですから。いまの答弁では納得いきませんです、わかりませんですよ。だから、私は、わざわざここで、わかりやすいように——非常にわかりやすいと思うのです。総理、どうでしょうか。 総理大臣、六〇年安保のときには岸総理がずっと答弁されているのですよ。
○愛知国務大臣 私は先ほどから政府の統一の解釈を念を入れて読み上げてお答えいたしております。これがわからないとおっしゃれば、それ以上申し上げることはございません。
○楢崎委員 そういう答弁がありますか。私はわざわざ三つの例をあげて聞いておるのですから。なぜ答えられないのですか。
○愛知国務大臣 先ほどの答弁をもう一ぺん申し上げますが、政府としては、御質問に述べられました三つの場合について、武力攻撃発生、したがって自衛権発動の時点を論ずることは適当と考えておりませんというのが政府の態度でございます。
○楢崎委員 現実に侵害があったときとは、どういう事態のときですか。
○愛知国務大臣 現実の事態において、どの時点で武力攻撃が発生したかということは、そのときの情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等々によるものでありまして、この種の問題は、抽象的にももちろん、あるいは限られた与件あるいは設問だけに限定して仮説的に論ずべきものではなかろうというのが政府の態度でございますから、したがっていま申しましたような結論的なお答えになるわけであります。
○楢崎委員 いまの答弁でいきますと、現実に侵害が起こったときというのは、たとえば領域に入られたときだとか、あるいは領土に入られたときとか、そういうことになるのじゃないでしょうか。それが相手の出方によってどうなるかわからぬということであれば、必ずしも領域に入ってこられないでも、入ってきそうなとき、それはそのとき考えるのだ、こういうことになるのでしょう。そういうことになるのですか。
○愛知国務大臣 ですから、全体を冷静にお聞き取り願いたいのです。国連憲章におきましても、先ほど申しましたように、自衛権というものは武力攻撃が現実に発生した場合にのみ発動し得るということになっております。したがって、そのおそれや脅威がある場合に発動することはできない。したがって、いわゆる予防戦争などが排除されておる。これもまた政府の従来から一貫してとってきた態度でございます。こういう考え方とあわせて御理解をいただきたいと思います。
○楢崎委員 それでは領域に入らない場合でも自衛権の発動があり得るのですか。
○愛知国務大臣 それでは条約局長から答弁いたさせます。
○井川政府委員 先ほど先生がお触れになりました国連第六総会第六委員会における討議でございますけれども、御存じのとおり、これはソ連案の侵略に関する定義の中に、武力攻撃の侵略の定義といたしまして、陸海空軍による他国の航空機、船舶に対して最初に攻撃したものというのが問題になったわけでございます。この最初の攻撃ということについて、アメリカの代表が、しからばもし真珠湾攻撃につき事前に通報を受けていた場合に、その任務を有する敵を攻撃したならば、米国が最初にやったからしたがって侵略者となるという、そのおそれがあるという議論だったと思います。そういう議論の結果といたしまして、第六委員会におきましてもあまり大きな意見の相違は出てこなかったと私は理解しております。武力攻撃が現に発生したときに限られるという意味は、いわゆる単なるおそれや脅威では足りないし、しかし損害が現実に発生する必要はないということがこの委員会における意見であったと思います。そこを、その限界内であることを、ただいま愛知大臣もまた前に法制局長官も、武力攻撃が発生したとき、こういうふうにお答えになっているものと了解しております。
○楢崎委員 いまのはおかしいでしょう。この第六委員会における論議は、現にいまもおっしゃったとおり、必ずしも現実に侵害が起こった場合に限らない。だから私は聞いておるのです。ここは非常にあいまいなんです。だから領域に入られない場合でも、自衛権の発動はあり得るのですね。それを聞いておるのです。
○高辻政府委員 大体いままで申し上げたことでもう尽きておると思うのでありますが、要するに武力攻撃が発生したときということでありますから、まず武力攻撃のおそれがあると推量される時期ではない。そういう場合に攻撃することを通常先制攻撃というと思いますが、まずそういう場合ではない。次にまた武力攻撃による現実の侵害があってから後ではない。武力攻撃が始まったときである。こういうことをいっておるわけです。始まったときがいつであるかというのは、諸般の事情による認定の問題になるわけです。認定はいろいろ場合によって、その場合がこれに当たるかどうかということでありまして、何といいますか、ごく大ざっぱな言い方でこの場合が当たるとか当たらぬとかいうことを軽々に申し上げるのはいかがかということで、政府はその点の認定を軽々しくやらないという態度でいるわけです。そういう認定のもとになる考え方の基本、これがきわめて大事なことであろうと思いますが、その基本はいままでに申し上げたとおりであります。
○楢崎委員 そうしますと、今日までの政府の答弁と非常に微妙な食い違いがあるのですね。では、いままでの政府の御答弁をここに二、三拾ってみましょうか。三十五年の二月二十日、これは衆議院の予算委員会です。わが党の島上委員「第五条は武力攻撃のおそれある場合を含むか。」赤城防衛庁長官「おそれのある場合は含んでおりません。」三月一日、同じく衆議院予算委員会、田中委員の質問「国連憲章第五十一条の集団的自衛は武力攻撃が発生した場合に行なわれるに反して、安保条約第五条に基づくそれは武力攻撃の発生の場合に限らないようである。」岸総理はこれに対して、「安保条約の発動は国連憲章五十一条の場合と同じく武力攻撃が現実に加えられたときである。」三月十五日、安保特別委員会、ここでも同じような答弁が行なわれております。それから三月二十一日、参議院予算委員会、これは辻委員の質問「第五条の武力攻撃は攻撃の準備行為を含むのか、それとも被害が生じた場合だけをさすのか。」藤山外相「準備行動を含まない。」高橋条約局長「全然権利が侵害されていない場合に自衛権発動の問題は起こらない。」——違うじゃないですか。いいですか。現実に武力攻撃が加えられたときであるという答弁です。違うでしょう。これじゃ私は納得できませんですよ。食い違いがありますよ。だめですよ、そういうあいまいな答弁では。——局長ぐらいではだめですよ、委員長。政府の責任ある答弁をいただきたいですね、重要な問題ですから。
○井川政府委員 ただいまの御質問でございまするけれども、いつ武力攻撃が発生したかということでございまするけれども、先ほど先生第六委員会のお話を引かれましたから、その点について申し上げますならば……。
○楢崎委員 いや、私のいまの政府の食い違いについて答弁してください。
○井川政府委員 それに触れてまいります。したがいまして、アメリカ代表が私が先ほど申し上げましたようなことを申しまして、ソ連の、最初に撃ったほうが侵略となるということではいけないのだ、こういうことを申しましたところベルギーの代表は、ベルギー刑法第百四十七条によれば、夜、へいによじのぼるということで、その家にいる人がそのへいによじのぼった者を殺しても、侵入者がその殺害者に対して重大な傷害を与える意図がなかったことを殺害者が知っていたことが立証された場合を除き、有罪とされないということを申しまして、アメリカ代表が申しましたこと、公海でかりに日本海軍をああいう場合に攻撃していたならば、米国は侵略者とみなされない、こういうことを申しました。これに対しましてソ連の代表は、ベルギー刑法の例における殺害者の行為は自衛行為である、こういうふうに申しております。と申しますのは、先ほど申しましたように、この第六委員会で、五十一条の解釈につきまして大きな差はなくてコンセンサスがある。このへいにのぼった行為によりましてすでにそこに、この例によりますれば、侵略の行為が起こっているということでございますので、ことばといたしましてはまさしく武力攻撃が発生した場合ということで、いままでの答弁とただいまの長官の御答弁と何ら食い違いがないわけでございます。
○楢崎委員 何もそんな長々しい答弁をする必要はないのですよ。先ほどの御答弁では、必ずしも現実に武力侵害が行なわれないでもいいという答弁があったのですよ。ところがいままでの御答弁では、武力攻撃が現実に加えられたとき、準備行動は含まないのだ、権利が全然侵害されない場合に自衛権の問題は起こらない。だから違うじゃありませんか。
○高辻政府委員 私が武力攻撃が発生したというときに、これは着手が入るんだということを前にも申し上げたことがございますが、それはさておきまして、ただいまの、武力攻撃が加えられたときと言ったではないかというお話がございましたが、武力攻撃が発生した場合でなければいけないというのは、いま言っていることでございます。すなわち武力攻撃が始まっている、武力攻撃が加えられている、そういう、とにかく始まっていなければ話になりませんが、始まっていればよろしいということを言っているのは、ちっとも変わりがないと思います。 それからもう一つ、準備が入らぬというのは、これはあたりまえのことでして、準備の場合にはまだ着手とはいえませんから、準備の段階ではまだいかぬということを申し上げたわけでありまして、決して矛盾しているものではないと思います。
○楢崎委員 それでは、こういうことでよろしゅうございますか、いまの長官のお考えは、つまり佐藤内閣のお考えは、武力攻撃の目的をもって軍事行動が現実に開始された場合、それでいいわけですね。ただ単に目的だけで、意図だけがあって、行動が起こされてない場合は、まだそれは自衛権発動の対象にならない。目的をもって軍事行動が開始されたときと……。
○高辻政府委員 それはすなわち、武力攻撃が始まったときと、それだけで十分でございます。
○楢崎委員 だから、私はいまはっきりなったと思うのですね。必ずしも領域に入ってこないでも、武力攻撃の目的がはっきりしておるということ。そして、そのための軍事行動が開始されれば、それに対して自衛権は発動し得る。そういうふうに明確に言われればわれわれもわかるのです。そうすると、必ずしも領域に入ってこられた場合とは限らない。そうすると、私の設問の例でいけば、「ニイタカヤマノボレ」のときでもいいし、それから空母から艦載機が発進したときでもいいわけですよ。そのいずれの時点を選ぶかは、相手方が効果を考えてその時と場所をきめればいいのです。そういうことになるのですね。
○高辻政府委員 これは何べんも申し上げておりますように、武力攻撃が発生した場合というのは、何もあらためて申し上げるまでもなく、国際法なり何なりに出ておることでございますから、それを言いかえているだけのことでございます。要するに、武力攻撃が発生した場合。それから、きわめて簡単に、この三つの場合について発生した場合に相当するという御認定をなさいましたが、そういうふうに軽々と認定するのはいかがかという配慮はわれわれにはあるわけでございますが、一番大事なことは、先ほども申し上げましたように、その武力攻撃が発生した場合、つまり始まった場合、これをいうので、現実の侵害が発生した後でなければならぬということもないし、武力攻撃のおそれがある場合であるというわけでもない。武力攻撃が始まったとき、これが一番大事なところでございます。
○楢崎委員 これは時間を食いますから……。私は決して納得しませんし、政府の過去からの答弁と非常に食い違いがあるし、拡大解釈がなされてきたと思わざるを得ません。それで、この問題は残しておきます。 そこで、次の……(「時間ないよ」と呼ぶ者ありないですか。これでやめろと言うのですか。理事の方がおっしゃっているのですが……。CBの点に移ります。 先だっての御答弁の中でCNが六トンでCSが七トンとおっしゃいました。多いほうのCSのほうは実験用というようなことをおっしゃいましたが、おかしいんじゃないでしょうか。
○中曽根国務大臣 あれは私の記憶違いでありまして、五トンと七トンでございます。 それで、それは実験用でなくって、持っておるということでございます。
○楢崎委員 CSとCNの効果は、CSのほうが強いわけですね、同じ催涙ガスでも。
○中曽根国務大臣 それは機能が違うようでありまして、一時的なショックはCSのほうが強い、しかし消散するのはCSのほうが早い、そういうわけで、場所場所によって使い分けをやっているようであります。
○楢崎委員 三次防の技術研究開発計画の中の化学兵器の部類にT用化学剤、精神用化学剤、これを開発するようになっておりますが、これはどういう化学剤でございますか。
○中曽根国務大臣 CB兵器は日本は開発いたしません。先ほど答弁したとおりでございます。 いまの点は責任者から答弁させます。
○浜田政府委員 楢崎議員の質問にお答えしたいと思いますが、御指摘の技術開発計画に載っておりますT用ガスの問題につきましては、これはその予防治療の研究を考慮しておるという段階でございまして、まだ実際に着手してはございません。
○楢崎委員 高圧ガス取締法による事業認定を受けておる自衛隊の部隊は幾つありますか。
○蒲谷政府委員 手元に資料がございませんので、後ほど調査いたしましてお答えしたいと思います。
○楢崎委員 これはいわゆる化学兵器、生物兵器に絶対必要なものですね、このコンプレッサーというものは。放射器用コンプレッサー、これは高圧ガス取締法の規制を受けますから、当然認定を受けなくてはならない。このコンプレッサーは何に使うかということも、あわせて後ほどそれでは御答弁ください。 次に、アメリカの生物兵器のメッカであるメリーランド州のフォートデトリック、このフォートデトリックに共同研究に携わって行っておる政府の役人なりあるいは大学の教授、事実がありましたら御報告をいただきたい。
○中曽根国務大臣 自衛隊は、調べましたところ、一人も行っておりません。おそらく政府関係でも行ってないだろうと想像しています。民間のことはよくわかりません。
○楢崎委員 厚生大臣どうでありますか。いわゆる細菌学のほうの関係で……。
○内田国務大臣 そういうことが私の耳にも入りましたので、一応調査をいたしましたところが、目下のところ該当者を聞いておりません。
○楢崎委員 文部大臣どうでありますか。
○坂田国務大臣 聞いておりません。
○楢崎委員 すみません。聞こえませんでした。
○坂田国務大臣 聞いておりません。
○楢崎委員 では、わからないということですね。これは事実がありますからお調べをいただきたい。なぜ私がこういうことを言うかというと、何回も申し上げておるとおり、今度の国会の外務委員会にはいわゆるジュネーブの議定書の批准の問題があるのですよ。ジュネーブではCB兵器の禁止を提案しておるのですから、わが国自身がやはり姿勢を正す必要があろうと思いますから、これは明白にしていただきたいと思います。 次に、オイル・アジュバントの点でございますが、これは私は違法とは言いません。この前も違法とは言っていないのです。総理も御案内のとおり、この武山の少年工科学校は、二年ほど前に池の中で十二、三名の少年兵を殺したところです。こういう問題のところですから、しかも本人の承諾ということを重要な条件にしておるこの種の実験については、命令服従の関係にある自衛隊の中で行なうということは不適当ではないかということを私は言っているのが一つであります。それといま一つは、市販の基準に応じたとおっしゃいましたが、これは違うのですね。これはまだ市販のめどは立っていないのです。そして、時岡二佐の実験報告によればこのとおり書いてあるのです。「この硬結は」——アジュバントをさしたときできる硬結ですね。「この硬結は、体表面から触診できない場合でも、臓器などにあぶらが分散して病変が起こっておる可能性も考えられる。このあぶらは精製してあるので、現在のところガン原性のおそれはないだろうと考えられているが、まだ使用して期間が浅いので、将来のことは断定できなく、一部の学者間で疑われているように、ガン原性の可能性が否定できないとすれば問題であり、もしガン原性がなくても体表面に長く硬結が残るということは、ワクチンを一般に普及する上において問題であろう。」これが時岡二佐の報告なんですね。ただいまの答弁と実際に実験をやられた時岡さんの報告は違うわけです。だから、この種のことはひとつお慎みになったほうがいいのではありませんかということを私は言っておるのですよ。私は科学者が研究される態度については非常に敬意を払います。ただ問題は、手段は慎重にやらなくてはいけないから、私は少なくとも少年工科学校の生徒を使うということは不適当ではないかということを言っておるのですね。 総理、ひとつこの点についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど防衛庁長官がお答えしたように、この種の事柄については慎重にいたしますと、かように申しておりましたから、それで御了承いただきたいと思います。
○楢崎委員 時間が来たそうですから、きょう御答弁にならない点は何らかの形で御処理をいただきたいと思います。 それから、一番最初の自衛権の限界についても、従来の答弁と食い違っておりますから、これも私は問題を残しておきたいと思います。
○中野委員長 次に、去る三月十六日、第二分科会における井上普方君の塩業整理交付金に関する問題について、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 いま委員長から御指摘のように、一昨日の第二分科会におきまして、御質問に対する答弁が不十分な点があったわけであります。ここで補足説明をいたさせていただきます。 第一点は、四十五年度専売公社予算案に計上いたしております塩業整理交付金は、塩業を廃止することを希望する業者に対し、これを奨励する趣旨のものでありまして、他の予算補助の場合と同様に交付基準について法律案を提出することは考えておりません。ただし、今後の情勢の推移いかんによりましては、四十六年度以降、強制的に転廃業をさせたり、塩の専売制度について改廃を行なうこととなることがないとはいえませんので、その場合には、塩業整備について別途法的措置を講ずることもあり得ると存ずるのであります。 第二、塩業整理交付金五十億円の積算根拠につきましては、詳細は事務当局に答弁いたさせますが、すべての塩業者に交付するとした場合の交付金総額を、減価補てん費用四十四億円、退職金支払い費用三十二億円、所得補償十四億円、清算費用二億円の合計九十二億円といたしまして、四十五年度予算といたしましてはこの約二分の一の五十億円を計上いたした次第であります。 第三、この予算の実施につきましては、塩業審議会の意見を聞いた上、具体的な交付基準を定める予定でありますが、審議会の答申の内容によりまして、四十五年度予算の範囲内におきましてただいま申し上げた積算根拠とは異なった定めをすることもあり得るという点は御了承いただきたいのであります。
○中野委員長 これより、本日の理事懇談会の決定に基づき、約二十分、井上普方君の質疑を許します。井上君。
○井上委員 ただいま大蔵大臣から、一昨日の第二分科会での大蔵大臣の御説明が不十分であった、こういうことを仰せられたのでありますが、しかしあのときの御答弁は、大蔵大臣はこの塩業整理交付金五十億円については、当然交付基準というものがあるはずだとおっしゃった。専売公社はこれはございませんと、こう言う。それを今度は不十分であるからというので、ございますといういまの御説明なんです。 そこで大蔵大臣にお伺いしたいのですが、まず第一番に塩業審議会という法的根拠はございますか。法律に基づいた審議会ですか。どうです。
○北島説明員 法律に基づいているものではございません。
○井上委員 いま大蔵大臣の御説明によれば、この五十億円は審議会の答申を得て変えることもあり得るのだ、こう書いてあるのです。しかもその審議会は法的根拠がないのです。どうです、この点。法的根拠もない審議会にかけて、しかもこの国会において議決したのをその審議会の意見のとおり変えることもあり得るのだというのです。おかしいじゃないですか。
○福田国務大臣 交付金、補助金というものは補助基準なり交付基準を具して御審議を願えばそれに越したことはないのであります。しかし、そういうふうなわけにもなかなか手順上いかないケースが多いのでありまして、一応積算の根拠は明らかにいたしまして御審議を願いますが、実際の交付基準はあとで正式に決定するという段取りになることが多いのであります。今回もさような考えにのっとっているものであります。
○井上委員 まず審議会の法的性格もないのです。法律は二十四年からもうないのですよ、塩業審議会というのは。法律の表には全然出てきてない。そこで国会において予算を決定したことが内容を左右されるのですよ。そんなことがあっていいのですか。
○福田国務大臣 そういうことは多々あるのです。たとえば四十四年度の予算でも産炭地振興交付金、これは十億円ですね、予算に計上いたしたわけです。しかし、交付基準はその当時までなかなかきまらない。あとになって交付基準をきめてこれを配分しておる。こういうことは間々あるわけでありまして、この場合が異例というわけでもないのであります。
○井上委員 しかし、この専売公社の予算は、日本専売公社法第三十四条の二にのっとって出されたものだと私は思う。それには、公社は毎年予算を作成し、これに当該事業年度の事業計画、資金計画その他予算の参考となる事項に関する書類を添え、大蔵大臣に提出しなければならない、その大蔵大臣は、その書類を添付して閣議にかけなければならない、その以後に国の予算とともに国会に提出しなければならない、こう規定されているわけです。一昨日までは少なくともこの事業計画、それから予算の参考になる事項というものは明らかに付されていなかったですね。予算提出上の大きなミスなんです、これは。こういう予算が出されてくることは、はなはだ遺憾でありまして、予算編成上における法手続上における大きなミスであり、間違いであると私は考えるのですが、大蔵大臣どうです。
○鳩山政府委員 財政法に掲げてございます予算の制度といたしまして、一般には予算の目的を示しまして、それで金額を掲げてあるわけであります。専売公社の予算におきましても、五十億円の使途は、塩業の整備のための交付金であるという御説明を付しまして、この資金を他の目的に使うということは許されないわけでありますが、目的はそこに明らかに示してあるとおりでございます。これをいかに配分するかということにつきまして、これは予算をお認めいただいた上でこれの細目を決定をいたしまして、予算の範囲内におきまして、その目的に従って使うということは従来からやっておることでございまして、これは前回の整備もありましたので、その金額等も念頭に置きまして、その金額を決定をいたした次第でございます。
○井上委員 私はどう考えましても、その提出の手続において、そしてその交付金の性格においてどうも納得がいかないのであります。一昨日あなたは交付基準があるはずだと言うし、専売公社のほうはございませんとおっしゃったですね。これはもうお認めになると思う。あわてて、きのう一日かかってつくりあげたのがこれなんですよ。あなたがお読みになったこれなんです。ところが、昭和三十四年、三十五年両年にわたりまして塩業整理をやっております。その際には臨時措置法という法律をつくって基準もはっきりして、その上で国会に提出されておるのであります。今度の場合、その臨時措置法の法律がない。基準といいましても、いまおっしゃったように審議会において基準——あなたは基準とおっしゃいますが、積算根拠であるなどという読み違いをなさっておられますけれども、実際には根拠がない、積算基準がないのです。それで、どうぞ認めてくれというのはどうも私は納得がいかない。それから昭和三十四年、五年の整理と今度とどう違うのです。
○福田国務大臣 前のときはこれは強制整理であります。つまり塩の製造の免許を取り消すとか、そういう措置を含んでおる。ですから、どうしてもこれは法律によることが必要である。かたがたこの交付基準もその法律の中に入れるということになったわけでありますが、しかし、交付金、補助金、これはそういう権利義務の関係が伴わない場合におきまして、必ずしも法律によるということにいたしておりませんです。これはもう予算で御承認願ったものをあとできめる交付基準、それに従ってやっておる。これはもうずいぶんそういう例は多いわけでありまして、今回は任意に塩業整理を進行せしめたい、こういう考え方をいたしておるわけでありまして、万一任意で片づかないという際には立法をしようという、この任意段階における誘導的意味の交付金でありますので、これは法律に基づかない他の慣例と同じようなたてまえにしよう、こういうことであります。
○井上委員 大蔵大臣、あなたは昭和三十四年、五年の記録をお読みになられましたか。私は問題になりましてから読んでおります。これは専売公社から出されておるのですが、これによりますと、昭和三十四年、五年の整理というものは「企業の自主的な判断に基いて行なうことを原則として、適切な指導を行なうこととするが、必要やむを得ない場合は、強制措置も考慮すべきである。」こうなっているんです。大体それが本筋なんです。今度の場合でも同じじゃないですか。最後のところで、今後の情勢の推移によっては、四十六年以降において強制的に転廃業させたり、塩の専売制度について改廃を行なうこととなることがないとは言えないので、まことに舌かむような話ですが、この場合には塩業整備について別途法的処置を講ずることもあると、こうあるんです。同じなんですね情勢は、三十四年、五年のときと。(「全然違う」と呼ぶ者あり)違うんなら違うところを教えてください。
○福田国務大臣 前回の場合におきましては、もう当初から強制措置、免許の取り消し等の措置を予定しておるのです。今度のものはそうじゃない。法的措置によらないで、自主的整理ということでやっていきたいということなんです。そこがもう根本的に違うわけであります。当時はもうどうしても強制的手段というものを持たなければならぬ。それで現実には持ったわけです。ところが、そういう強制措置があるものですから、実際は意外に順調に行なわれまして、私の報告を受けたところでは、法的手段にはよらぬで済んだ、全部自主解決になったというふうに伺っておるわけでありますが、今度はそういう過去の事例と違いまして、法的措置はとらない、自主誘導の方法でやっていこう、こういうことです。しかし万一将来どうもこの問題が片づかぬという際には立法のお願いをしなければならぬかと、こういうことを申し上げているわけです。それはなぜかと申しますと、あなたから法律を出すのか出さないのかというお尋ねがありますので、念のため申し上げた次第でございます。
○井上委員 あなた、三十四年のときには、ここに書いてあるんですが、企業の自主的な判断に基づいて行なうことを原則としているんですね。そして必要やむを得ない場合は強制措置も考慮すべきこと、こうあるんです。あなたのおっしゃる、一番最初に読まれたことと何ら変わらないのですね。変わらないのですよ。今度強制措置はとらないとおっしゃいますけれども、それじゃ一軒だけ残るというような場合どうなります。
○福田国務大臣 一軒残ってこれが企業整備を要すると判断いたし、法的措置が必要である、強制措置が必要であるという際には、立法のお願いをいたします。
○井上委員 三十四年、五年当時の客観情勢と今日の客観情勢とは全く同じなんです。そしてまたあなたの出されておる塩業交付金についてのいまの御説明と当時の政府の態度も同じなんです。——違うと総理おっしゃいますけれども、同じなんですよ。これは違うとおっしゃるけれども、三十四年のときの答申を見ればわかる。三十四年の一月十六日に出されておる答申です。それに基づいて予算措置がなされておるのです。それと同時に、臨時措置法も出されてきているのです。交付基準もかっちりと整っているのです。今度の場合でも、五十億円つかみ取りじゃないですか。交付基準がないんでしょう。積算基準はあるとおっしゃいますけれども、交付基準がないでしょう。これは審議会の意見を聞いた上で交付基準を定める予定である、まだ交付基準はないんですよ。この場合、予算の範囲内においては云々と、こうあるわけですね。まことにどうも私にはこの手続といい、金の性格といい、どうもわかりかねるのです。
○福田国務大臣 どうも井上さんの考え方のスタートが私と違うのです。あなたは三十二、四年の整理の場合と今回と同じだというふうに言われておりますが、私どもと考え方が違うのです。前回は法的措置を必要とするという判断でございましたが、今度は法的措置は用いない、こういうことでありまして、そこに根本的な食い違いがある。そこで、それからいろいろ見解の相違も出てくる、こういうことなんでありますが、私はもう全然考え方の基本において違いがあるのだ、こういう認識でございます。
○井上委員 どうです。交付基準がないのですよ、この五十億の。塩業整理交付金五十億と出ている。それに対する交付基準が一切なしなんです。その交付基準は、法的にも何ら根拠のない塩業審議会の答申に基づいて交付基準を決定すると言われるのです。これによってやられるのだ、こう言うのですが、どうも私には、手続においても、金の性格においても、財政法並びに専売公社法の財政支出に対するやり方に対して疑問を持たざるを得ないのです。どうでございます。法的にどうでございます。財政法並びに日本専売公社法との関連において……。
○福田国務大臣 専売公社には財政法は適用ありません。ありませんが、なるべく財政法の精神は尊重してやらなければならぬ、こういうふうに考えます。そこで、この交付金の問題ですが、交付基準を設けないで御審議を願う、そしてあとで交付基準ができるというケースは間々あるのでありまして、四十四年度の予算、本年度いま実行中の予算におきましても、先ほど申し上げましたように、産炭地振興臨時交付金、これは十億円、この交付要領は昭和四十四年六月五日の大臣通達できめられておる、こういうようなことでございまして、これは積算の根拠がないという予算はないわけでございまするけれども、交付基準まできめて、そしてお願いをするということ、これは望ましいに違いありませんけれども、さようなことのできない場合が多々あるということも御承知置き願いたいと思います。
○井上委員 長い間大蔵官僚としてやってこられ、ことに主計局長までやられた大蔵大臣が、おとといですよ、きのう、おとといのことなんです。まだ四十八時間たっていないのです。その前のときには、こういう交付金を出す場合には交付基準というものがあるはずでございますと、あなた断言したじゃないですか。これが交付基準がなければならないという根本規制は、あなたは正しかったと思う。ところが、四十八時間もたたない間にくるっと一回転して、今度は交付基準がなくてもよろしいというのは、どうも、何のために長い間お役人のめしを食っておられるのかわからない。どうでございます、そこの点。私はどうも、時間がもう来ておりますので、これは予算提出の手続において、そしてまた予算の出し方において、性格において、法的にも疑問のある金だ、このように思われてならないのです。したがいまして、この問題につきましては、ひとつ委員長におきまして適当に理事会なんかで御審議願われんことをお願いいたして、質問を終わります。
○福田国務大臣 一昨日の私の答弁におきまして、交付基準というものは金を使う以上はあるべきだ。その交付金のある時期は、これは予算の編成のときということは望ましいが、しかしそれの間に合わない場合もありますので、あとできめられる事例も多々あります、こういうことを申し上げたわけであります。
○井上委員 最後に、先ほど来申しておりますように、この五十億円の予算を出すまでの手続において、しかもその内容において非常に疑問を持たざるを得ません。私は納得できません。この点申し上げまして、私質問を打ち切ります。
○中野委員長 これにて留保された問題についての楢崎君、井上君の質疑は終了いたしました。 明十九日は、午前十時より委員会を開会し、締めくくり総括質疑を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時十九分散会