予算委員会 第13号
- 発言数
- 350 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/03/09
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、一般質議を続行いたします。和田春生君。
○和田(春)委員 私は、最近発生をいたしております大型船の海難は、四面海に囲まれている日本にとりまして、きわめて重要な問題であると考えておりますので、この問題を中心にいたしまして、それぞれ所管大臣に所信と対策をお伺いいたしたいと思います。 なお、この問題を取り上げるにあたりまして、政府、与党、野党というような考え方ではなく、国会の舞台を通じ、国民とともにこの重要な問題を明らかにいたしまして、二度と再び不幸な事件が起こらないようにしたいという熱意を持っておりますので、関係大臣におかれましても、真剣に質疑にお答えをお願いいたしたいと思います。 まず最初に、昨年の一月、「ぼりばあ丸」の海難事故が起こりまして、引き続き、本年に至りまして「かりふおるにあ丸」の海難が起こったわけでございますが、沈む心配がないといわれておったこの種の大型航洋船の異常な海難について、どういう受け取り方をされたか、その点についてまず運輸大臣にお伺いいたしたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいま和田さんからもお話がありましたように、最近過去一カ年間に大型船四隻が遭難にあいましたことは、まことに心から遺憾にたえない次第であります。ことに、御承知のように日本の造船技術は世界でも優秀であり、のみならずその造船額は世界第一位を占めておるわけであります。したがって、日本の造船界の名誉のためにも、かつまた日本の経済発展の上からも、かつ重要なことは人命尊重というたてまえからも、この問題はお話しのごとくに非常に重大問題であり、これに対して政府をあげて全力を尽してこれの原因の究明並びに対策を講じておるような次第であります。
○和田(春)委員 ただいまの運輸大臣のお答えによりますと、日本の造船技術、造船界の名誉のために、また、日本の経済の発展のために、あるいは人命尊重、こういう観点からこの問題について重要に考えておられるというお話でございます。そういう見方もそれなりにもちろん間違っているとは思いませんが、大臣は三月四日の朝日新聞の「かたえくぼ」というごく短い欄ですが、お読みになりましたでしょうか。——こういう記事が出ているわけであります。「『栄転』」という見出しで、「タグボートの船長にされた−大型船船長」という記事が出ておるわけであります。私はこれは非常にずばり事の真相を言い当てていると思います。私はかつて船乗りをいたしておりまして、また想像を絶する大しけに何回かあったこともございます。少なくとも海洋を航行する大型船は断じて沈む心配がない。操船の誤りであるとか、衝突をするとか、座礁をするとか、そういうようなことであるならば別でございますけれども、船に対する絶対的な信頼感というものが船舶を運航する上の前提になっておりまして、昔から大船に乗った気持ちということばがあるように、大きな船は沈まないのである。ところが、「ぼりばあ丸」の事件に引き続いて「かりふおるにあ丸」事件で大船のほうがあぶないという観念、これが船乗りの間においても非常に大きな不安を巻き起こしておりますし、このような状態をほっておきますと、四面海に囲まれている日本の将来にとって非常に重大な問題に発展していくと思います。幾ら造船技術が進歩をし、あるいは日本の経済発展計画に対応して船をつくりましても、そういう船に対する不信感が助長される。若い人たちが船乗りにならないという形になれば、一体だれが船を動かすのか、こういう問題が出てくるわけでございます。そこで、こういう点を考えますと、大型船に対する不信感というものがこれらの事件を通じて非常に増長をされてきているわけでございますけれども、その点を除去するために、「ぼりばあ丸」事件以来一年有余たつわけでございますが、政府は具体的にどういうような施策をおとりになったか、要点を簡潔にお答え願いたいと思います。
○橋本国務大臣 「ぼりばあ丸」の事故の原因につきましては、現在横浜地方海難審判庁において慎重に審判を開始してまだ結論を得ておらないことはまことに残念でありまするが、真剣にこの問題は関係審判員によって、かつまた十分なる資料を集めつつやっておるわけであります。ただ、「ぼりばあ丸」の事故直後に造船技術審議会、これは運輸省にあるわけでありまするが、同船に類似の船舶の建造に関して意見を徴したのでありましたが、その事項につきまして建議がありましたが、その建議は、現存船、残っております現存船については安全上特に問題となる点はないというような建議がありましたけれども、当時、この種の「ぼりばあ丸」類似の船に対しましては、直ちに総点検を行なって、それらについて補強の必要のあるものは処置をさせる、かような方法を別途において講じておることは、御承知のとおりであります。
○和田(春)委員 ただいま大臣からもお答えがございましたが、鉱石運搬船の建造に関する建議というのが昨年の九月十九日付で出されております。御承知と思いますが、この建議は、「ぼりばあ丸」の事故に関しまして調査の結果でございますが、ただいま大臣もお話しになりましたように、「特別部会で論ぜられた主な事項」として、まず「イ 運輸省から提出された「船長からの状況調査報告」により、現存船の安全性は概ね在来船並であって特に心配する点はないと認めた。」それから「ロ 強度の検討に力点を置き、強度計算の結果を詳細に検討したが、在来船にくらべ安全上特に指摘すべき点はないとの結論に達した。」「ハ 運輸省報告の中で、若干の破損・修理の実例が提示されたが、この点については、従来の日本の造船技術水準からすれば、この種の破損の発生は遺憾であるとの結論に達した。」こういうふうに指摘されておりますけれども、結論的に特に問題となるものはないというのが報告の要旨になっておるわけでございます。この報告、勧告が出された後に、海員関係団体等においては、これらは全くまじめに問題の調査をしておらない、こういうことでは不安は一切除去されないということを直ちに抗議の声明をしているわけでございますが、にもかかわらず一本年の二月にあの事件が起きたわけでございます。この九月十九日の特別部会報告について、「かりふおるにあ丸」の事件が起きた今日、政府としてはなおかつ妥当であるとお考えになっているか。また、この点について再検討されたかをお伺いいたしたい。
○橋本国務大臣 ただいま和田さんのおっしゃるように、この建議は昨年の九月の十九日であります。ただいまこの「ぼりばあ丸」と「かりふおるにあ丸」の関係の御質問もありましたが、和田さんは専門家でありますから御承知でありまするが、「ぼりばあ丸」の船体構造というのは、御承知のように五つに仕切ってあるやり方であります。「かりふおるにあ丸」のほうは、両舷にいわゆる調整といいましょうか、船倉をとっておる。ある意味において、なるほど鉱石を積むという意味では、一方では「かりふおるにあ丸」は専用船であり、一方は共用船である、かような違いがありますために、構造上の違いがあります。根本的とは申しませんが、相当に構造上の違いがある、こういう点から、この建議をされましたのは、いわゆる「ぽりばあ丸」の同型の、あるいはそれに類似の船体構造についての建議があったのでありまして、いわゆる専門家の答申でありますので、運輸省としては一応これに対し信を置いて処置をしておる。しかし、それにもかかわらず、今後のことをも考慮して、当時特別調査委員会を設けまして、その他先ほど申しましたようなこまかい点につきましては、これが善後措置を講じて、修正すべきものは補強する、かような方針をとった次第であります。
○和田(春)委員 この鉱石運搬船の建造に関する建議の中で、「現存船一覧表及主要寸法等」、それから現存船に対していろいろ調べた資料が載っております。船名が全部省略をされておりまして、ナンバー一から十六までの番号をふって、十六隻について調べたことになっておりますが、この中に「かりふおるにあ丸」は含まれておりましたか、おりませんでしたか、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 政府委員をして答えさせます。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 「ぼりばあ丸」につきましては、海難審判庁がその原因を探求するということになっております。なお造船技術審議会も、運輸大臣の正式の機関でございますので、造船技術審議会において原因探求をするということはその当時できかねたということでございまして、結局、船員の不安の除去、それからもちろん船体構造その他の問題点、この点を調べるために類似船十六隻を調べた。したがって、「ぼりばあ丸」は含まれていない、かようになっております。
○和田(春)委員 もう一度お尋ねいたしますが、そうすると、この「運輸省調査資料」の中の十六隻の鉱石専用船の中に、「かりふおるにあ丸」は含まれていないということでございますね。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 この前の船は、先ほど大臣から申し上げましたように、一般の貨物船タイプのいわゆるばら積み船でございます。今度の「かりふおるにあ丸」はいわゆる専用船でございまして、きわめて似てはおりますけれども、実際は構造上違いがございまして、先般の十六隻には含まれていない、かようになっております。
○和田(春)委員 そうすると、前の「ぼりばあ型」は、御承知のように横の隔壁で仕切られておりまして、鉱石等の重量物を運ぶときにはジャンピングロードまたはオルタニーティングロードといわれておりますように、船倉一つおきに積んでいる。その点に特に問題を見つけていたけれども、今度の「かりふおるにあ丸」は、鉱石専用船として特殊の構造になっているから、安全であると政府は考えて調査を除外した、このように考えてよろしゅうございますか。
○佐藤(美)政府委員 先生も御存じのように、外航船につきましては国際的な基準で船をつくっております。しかし、この前の「ぽりばあ丸」につきまして不幸にして事件が起きましたので、一応十六隻、その同類の船をやった、かようになっております。
○和田(春)委員 質問にまともに答えていただきたいと思うのです。船舶局長、今度事故を起こした「かりふおるにあ丸」は、構造上特殊であるから安全であるという考えのもとに、この前の点検から除外をしたのかどうか、そのことを確かめているのですから、一言でいいから、そうであるかないか、答えてください。
○佐藤(美)政府委員 安全であると感じて除外いたしました。
○和田(春)委員 政府は安全であると答えて、調査を除外をした。ところがあのような悲惨な事故が起きたわけでございます。そういうことになると、政府の検査体制あるいは造船に対する監督指導というような根本的な考え方に、重大な欠陥があったというふうに思われますが、その点についてどう考えているか、お伺いをしたい。
○橋本国務大臣 「かりふおるにあ丸」の遭難の原因がまだ明確でありません。構造上の欠陥からきたのか、あるいは特殊の気象あるいは海象等が総合して特殊の原因を生んで遭難したのか、その点が明確でないのでございますからして、したがって、「かりふおるにあ型」の船体構造が、「ぼりばあ丸」の遭難当時にこれを除外したことがよかったか悪かったかという問題は、その原因が明らかになりませんというといたしませんが、ただ運輸省として、監督官庁として最善の措置を従来も講じてまいったのでありますが、不幸にして「かりふおるにあ丸」事件が起きたことは、まことに遺憾にたえないと考えております。
○和田(春)委員 運輸大臣のお答えによりますと、原因が明らかでないのでまだ何とも言えない、こういうことでございますけれども、すでに政府は、政府のイニシアチブのもとに、これらの専用船類似船を含めまして、六十九隻の総点検と部分的な補修、補強をすることを通達をし、船主あるいは造船所、日本海事協会等においてこれらを実施するように示しているわけでございますが、原因がわからないのに、大きな船を何日もとめて点検をして、金をかけて直せということはどういうことでございましょうか。
○橋本国務大臣 前段に申し上げましたように、ともあれ大型船には相当の乗り組み員もおりますし、かつまたこの種の類似の船が相当多数ありますので、もちろん海難審判庁の最終的な結論を待ってやるということも一つの方法ではありますけれども、しかしながら、同一海域において最近一カ年間に四隻の大型船が遭難にあったという事実、こういう事実からして、いわゆる船体構造の問題だけでなく、その当時の気象状況及び海象状況等をあわせて、そうして未然にいわゆる大型船の海難防止を考えることは、当然運輸行政を持っておるものの責任である。したがって、原因の究明を待たずして、できるだけこのようなことがないように、予防措置としてとったことは私は妥当である、かように考えておる次第であります。
○和田(春)委員 大臣のただいまの御説明でございますが、運輸事務次官堀武夫の名前で各関係者に通達をした公文書が出ております。その公文書によりますと、「全長二百メートル以上の鉱石専用船及び鉱石・油兼用船に対し、次の要領により、船体の点検を行ない、必要に応じ、すみやかに補強の措置を講ずること。」こうなっているわけでございます。次の点検要領というのはかなり専門的になっておりますので一々朗読をするのは省略をいたしますけれども、すなわち船首のほうに主点を置きまして、船の船首部における主要構造部材あるいは内部構造、そういうところに重点を置いて点検をいたしまして、すみやかに補強あるいは補修をしなさい、こういうことを指摘しているわけでございます。あらかじめ安全を期して予防の措置をとったというにしては、きわめて具体的な点検要領が指示されているという点は、その船首部分について何らかの重大な欠陥あり、こういう想定ないしは予想に立ったのでなければ、政府が権力をもってこのようなことを強く要求をするということと矛盾をしてくるわけでございます。船首部に対する欠陥を何らかの形で認めたのではないかというのがわれわれの通念でありますから、その点について具体的にお答えをお願いしたいと思います。
○橋本国務大臣 専門的なことでありますからいずれ船舶局長からあとで説明をいたさせますが、ただ一つ和田さんに御理解を願いたいのは、もちろんきのうできた船をすぐそこでもって再点検をするという意味じゃありません。一年なり二年なりその船が航海をして、そうしてその間にいわゆる海象あるいは気象等の影響を受けることは必至であります。したがって、六十九隻に対してその後の運航によってどういうような状態が出ているか、こういうことを予防的に総点検をするということは、私は運輸行政として親切なかつまた当然にやるべき義務であり、これは点検の時期ということも普通はあるわけでありますけれども、この時期において特にこのようなことが起きたのでありますから、将来を予防してこのような措置をとったということは適切であった、かように御理解を願いたいし、かつまたそのように御了解を願いたいのであります。 船倉等の問題につきましては、技術的問題でありますからして、船舶局長から答えさせます。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 「ぼりばあ丸」につきましても「かりふおるにあ丸」につきましても、ともに船首部に亀裂が起こり、あるいは折損したということになっております。したがいまして船首部につきまして一応われわれ技術的に着目いたしまして、船首部の船首水槽と、それからそのあとの部分と一底にストレングスの断層がないかということから、少しでも強くしようということに意見が一致いたしまして、あのような指導要領をつくったわけでございます。
○和田(春)委員 船舶局長は先ほど、「ぼりぱあ丸」の場合には問題があると考えて事後調査で調査したけれども、「かりふおるにあ丸」の場合には安全であると考えたから調査から除いたということを明言されたわけです。私は先ほど、それならば現実に「かりふおるにあ丸」がああいう悲惨な事故を起こした、いまの時点に立って考えた場合に、問題がないと考えたことは間違いであったのではないかということを追及しているわけです。したがって、そこのところは正直に、あのときには安全だと思ったが、結果を見てやはり安全ではなかったと考えたなら考えたということをはっきりお答え願いたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 当時確かに安全であったと判断いたしまして「かりふおるにあ型」を除外いたしました。しかし実際には海難の原因がつかめませんので、ただいまここではっきりこういう結論であるということはちょっと申しかねると思います。
○和田(春)委員 どうも政府の答弁ははっきりしないと思うんですね。私は何もあなた方の責任を追及して、ここでやめろとかなんとか言っているわけじゃない。二度と再びこういう事故を起こしたくない。とかく造船とか船の問題については、特殊の社会だと見られて一般の中から忘れられているというか、平素あまり関心を呼んでいない。ところが、ああいう悲惨な事故が立て続けに起きている。したがって、この場合、今後二度と再びそういうことをしないように、国会の場を通じて、討議を通じ明らかにしたい、こういう気持ちでお尋ねをしているわけであります。したがって、いまおっしゃるように、海難の事故の原因が明らかでないのならば、数十隻の船舶に対して、特に船首の部分に、具体的な場所と検査の方法をつけ加えて点検をしなさい、補修、補強をしなさいということをいわば強制しているわけです。政府は強制しているのではない、こう言うかもわからないけれども、運輸次官通達でそれを出している。このことによって船主はそれなりの損害も受けている、船員も非常に大きな不安を持っているわけなんです。原因が明らかでないのに、全体について調べろではなくて、特殊の部分を指摘して、そこを直しなさい、点検しなさい——現実に欠陥が次から次に出てきて、補修をし、補強をした船もあるわけなんです。それは原因が明らかなのではなくて、すべての原因は明らかになっていないかもしれないけれども、政府は少なくともそのうちの重要な部分について原因を考えた。そこに欠陥ありということを政府が認識したからこそそういう措置をとったのではないかと思う。そうでなければこれは大きな矛盾であります。はっきり答えてもらいたいと思う。
○橋本国務大臣 和田さんが大型船の安全性の問題について御心配なさるお気持ちに対しては、心から感謝にたえません。われわれも同様に感じております。ただ、御承知のように、われわれ健康でありましても人間ドックに入って、どっか故障があるかないかということを調べるのが近代予防医学の原則であります。その意味においては、将来の運輸行政として、それが直ちに破損とか沈没とかいう原因が。あるなしにかかわらず、適当な時期に、あるいは随時、運輸省がやるべきか、あるいは船主がやるべきかは別でありますけれども、何らかの形で、人間が健康であっても人間ドックに入るような意味で、人命尊重及び経済的の損失も大きいのでありますから、そのような行政的な将来措置を考えていくという必要は十分にあるのではないだろうか、事故が起きてからでは間に合わないということも言い得るのであります。したがって、和田さんの精神、お考え方、これは将来ともに運輸省としてはとっていきたい、かように考えております。
○和田(春)委員 いまの運輸大臣のお答えで、人間ドックに入ってどこか悪いところがないだろうかというふうに点検して調べる、これは予防の上にたいへんけっこうな話でございます。この点は人間社会よりも制度的には船のほうが進んでいるわけでございまして、御承知のように製造のときの検査、それから四年に一回は定期検査を行なっております。定期検査の間においては中間検査というものが行なわれていることは御存じのとおりでございます。そして定期検査に合格をしたということは少なくともこれは健康体であって、四年間はこの船は働いてよろしい、こういうことを国家がオーソライズしたことを意味しているわけです。またその期間においてもちょいちょい中間検査で部分的に調べているわけでございます。にもかかわらず、この事故が起きているわけです。そして、その事故が起きたときに、全体についてもう一ぺん総点検しろというのではなくて、船首の部分について点検をし、補強をしろという具体的な指示を大臣の部下である運輸次官がお出しになっているわけであります。したがって、そのことは予防のために人間ドックに入るというふうなことではなくて、政府としては「ぼりばあ丸」の海難に引き続く「かりふおるにあ丸」の海難において、この種大型船において船首部に欠陥あり、問題ありということをお認めになったから、こういう措置をとったのであろうと考えるのが常識でございまして、それを考えていないのに、単なる予防のために特に船首の部分を指摘して検査をやらせるということでは、つじつまが合わなくなってくると思うのです。ですから、そういう点についてもう少し大胆に、はっきり問題を明らかにするところから議論は前進をし、事故を二度と起こさないようにすることができると思いますので、もう一度その点をお尋ねしたいと思います。
○橋本国務大臣 遭難の原因、いわゆるわれわれが知っておる範囲内での原因が、船首から破壊されたということは御承知のとおりであります。一つは、四年間に一回の検査をやるわけでありまするが、実際問題として、その間において相当仕様の問題もあるのみならず、いわゆる運航上の問題、スピードも出ておりますから。実際からいうなれば、随時必要に応じて船主なり関係者、これがいわゆる診断を加えることのほうがより適切なわけでありまするが、今回の場合は「かりふおるにあ丸」の例をとりましても、船首がこわれて水が入ったということからして、何か船首の方面のストレスがやはりその間において起きておるのではないだろうか。万が一さような場合には直ちに補強しなければ危険でもありますので、定期検査を待たずに今回のような総点検を行なうということは、全く予防措置を一日も早くやりたいというような気持ちから行なったわけでありまして、構造上の問題は現在原因を探求中でありますからして、それを待って措置をいたしたい、かように考えております。
○和田(春)委員 この質問についてはなかなからちがあきませんので、それでは角度を変えまして、具体的な問題からいま論議していることの内容を明らかにしていきたいというふうに考えます。政府のほうは責任をおそれていらっしゃるのかもわかりませんけれども、もう事故が起きているわけでございますから、ひとつ大胆、率直にお答えをお願いいたしておきたいと思います。 そもそも船舶安全法で船舶に対する政府の検査責任をきめていることには、それなりの理由があると思います。どうしても企業というものは利益を追求することが第一義的な目的になりがちであります。したがって、船主の立場とすれば、幾ら社会的責任を強調されましても、できるだけコストの安い船で大量に荷物を運んで利益をあげたい、こういうふうに海運企業が考えるのは、それなりの企業としての特質から来る問題だと思うのです。そうすると、その注文に応じて造船所は船をつくる。やはり船主が注文主でございますから、船主の希望に合うようにいろいろ船をつくろうとする。しかもその船主がつくる場合には、御承知のように現在は計画造船システムである。長期にわたって積み荷の保障をやり、その運賃の保障のもとに船をつくるという形が一般的に行なわれているわけであります。そうなると、どうしても今度は荷主に弱い船主のほうは、できるだけ荷主のほうも輸送コストを安くしようと思いますから、船価のほうを押えなくてはいけない、こういうところに問題が波及をしていく、そういう循環はあると思うのです。最近のように急速に経済成長を遂げていくという中で、経済的な拡大と効率のみを追っかけていきますと、とかく重要な安全の点がおろそかにされる。そういう意味で、伝統的に船舶検査ということについては国家の責任を問うているわけでございますけれども、今日の経済情勢のもとでは、なお政府の安全に対する責任というものは重大でなければいけない。ほうっておくと、どうしても経済優先、安全が第二、こういう傾向になりがちであろうと思うのです。いいとか悪いとかいって非難しても、それがならないのであるならば、政府の検査の必要はない。政府は安全法に基づく責任をとらなくてもいいわけでありますけれども、それをチェックすることが政府の責任であろう、私はこう考えます。 そういう観点で船舶安全法がきめられているわけでございますけれども、その船舶安全法によりまして、いま問題になっている船体の部分につきましては、公認をされている船級協会、すなわち日本では日本海事協会、NKと略称いたしますが、ここにゆだねられておりまして、NKの船級を持っているものについては、その期間航海に対してこれが十分耐えるということについて政府がそのことを認める、こういうたてまえに立っているわけでございます。この点について、私はこれは一つの便宜的な手段であろうと思うのですけれども、これは大臣にお伺いいたしたいと思います。大臣が御存じなければ事務当局でもけっこうでありますけれども、船級協会というのはどういう性質で発足し、どういう性格を持っているものであるか、その点端的にお答えを願いたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 船の歴史は非常に長いわけでございまして、船級協会というのは、イギリスのロイド協会から発しまして、実は海上保険との関連において船舶の構造を検査するというふうになって発展してまいりました。現在たくさんの船級協会がございますが、イギリスのロイド協会、アメリカのAB協会、日本の船級協会を含めて七つが世界の七大船級協会といわれておるわけでございます。ただいま、もちろん保険も関係ございますけれども、国の安全検査に準じて検査を行なっております。それで、法律によって、船級協会が行なったものは国の検査を行なったものとみなすということでございます。 なお、船級協会は、船体とかエンジンあるいは満載喫水線の指定、そういうものを行なっております。
○和田(春)委員 ただいまの船舶局長のお答えで、船級協会というのは保険をかけるという関係でこの組織ができてきたということでございますが、そのとおりであります。政府による安全法に基づく検査とかいうこと以前に、むしろこれは自然発生的に、保険会社にある程度のリスクが伴うのは当然でございますけれども、保険会社がそのリスクを最小限度に食いとめる、また安心して保険をかける、そういう点の担保をするために船級協会を設けて、船級協会に登録をした船舶については保険をつける、こういうシステムで来たわけでございますから、もともと船級協会の性格というものは、船主が保険をかけるということのための手段として来たわけでございまして、安全性というものを第一義的に置いてきたということとは違うと思うわけであります。安全を第一義に置くという形になれば、一つのミスがあってもならない。特に陸地から遠く離れた海洋をいろいろな海象、気象の中で運航する船舶の場合には、船を船員が乗って動かしておるわけでございますから、絶対的に安全でなければならないということが一つのものさしになると思うのです。ところが、保険をかけるという場合には、ある程度のリスクはあるかもわからないが、リスクはできるだけ最小限にとめたいのだ、そういう観点でいきますから、どうしてもその目的というもの、あるいは性格というものについて突き詰めていくと違った点があるように私は考えます。ただ、国際的にも認められた権威ある船級協会の場合にはそれなりに研究もし、勉強しているわけでありますから、ある程度国家がこれを信頼していく、そういうような習慣ないしは形が法律の上に出てくることを私は根本的に否定しようとは考えておりません。しかし問題は、従来の伝統的な海運界の場合であればそれでよろしいわけでありますけれども、昭和四十年代を中心にいたしまして、かつて経験のなかったような急速な大型化、専用船化というものが進んできているわけであります。しかも、造船工学は経験工学といわれておりますように、陸上のようにあらゆる実験を経てだいじょうぶだという保証はできない。実際に船をつくって走らしてみなければわからない。そういう状況の中で、かつて経験がないような事態が、急激な、猛烈なスピードで発展しているというときに、政府は船級協会の検査に一番重要な船体構造に関する部分を委任しておるという体制のままで、政府の責任が一体のがれられるものかどうか。その点に関してどういう責任を、政府は今回の事件を通じて感じておられるかという点をお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 先ほどの経済優先主義ではないだろうかというお話について、お答え申し上げます。 御承知のように、船舶安全法あるいは船級協会等の措置は、あくまで船舶の安全性というものを第一に置いて、そして人命の尊重のみならず、間違いのないようにということが第一主義であることは、これは御理解願えると思います。最近、大型化が急速に進んできた。もちろんこれに対して、造船工学というものは経験工学でありますから、個々におけるところのいろいろの経験をもとにして、一流の専門家が船体構造等のいわゆる設計を行なうわけでありますが、私は、お話しのように、このような大型化が進んできた、それにはたして経験工学が追いついているかどうかということになりますと、私は専門家でありませんのでいかんとも答えようがありませんけれども、しかしながら、保険から始まったということは、それ自体が安全でなければならぬという前提——われわれが保険に入るにいたしましても、どこかに病気があれば保険にはいれません。そういう意味において、私は保険を基礎として発達したことが船舶に対する軽視の観念になったとは必ずしも考えません。のみならず、安全で沈まない船をつくってもらうことが、保険会社としては利益になるわけでありますからして、これはある意味においては、問題のうらはらとも考えられる。そういう意味において、今日そのような発達をしてまいり、しかも国際的な基準もあわせて行なわれておるという意味において、私は一応、これら海事協会等のその検査に対しては、信頼を置かざるを得ない。しかしながら、将来の発展に対してどう考えていくべきかということは、別個の問題として検討を加える必要をわれわれも考えざるを得ないと思っております。
○和田(春)委員 昭和四十二年の八月の造船技術審議会船舶安全部会検査制度小委員会の議事録が私の手元にございます。これは新しい急速な大型化、専用船化等がどんどん進んでいくという状況の中で、古い状態の安全ないしは検査の体制では間尺に合わないのではないかというところから、政府の諮問に応じて造船技術審議会の船舶安全部会が進めたわけでございますが、この議事録の中にこういうことばが入っているわけであります。これは政府側が、責任者が答弁をしているのですが、「本来検査は国の行政作用としての権力の行使である。したがって最終的には国が責任を負うわけであるから、単に能力の問題として捉えるべきでない。」こう書いてあるわけです。御存じですね、この議事録。このことはNKの検査と政府の検査に関連しての討議の過程で、政府側から答弁している内容でございます。そして船舶局長が——このときの船舶局長はおそらく現在の船舶局長であったですかどうですか、私ちょっと正確に記憶しておりませんが、「船舶安全法は、古い法律で新しい法律からみれば一つ一つが問題であるが、全面改正ということになれば大仕事となるので、当面の処置としては新しい海運事情に即した一部の改正でのぞみたい思う。」と、こういうふうに船舶局長は述べているわけでございます。これが四十二年のことでありまして、二年後の四十四年に「ぼりばあ丸」の事故が起こりました。ことしは「かりふおるにあ丸」の事故が起こりました。 結局、こういうふうに見てくると、一方において、これは能力の問題というのは、日本海事協会の、NKの検査能力をいっているわけではないと思う。国が最終的に責任を負うべきものであるということを言い切っている。そうして、しかも、全面改正は大仕事であるから、一部の改正で臨みたい、こういうふうに問題を逃げている。つまり最近の急激な変化に対応して、いかに安全に確実に貨物を輸送するかということに対する政府の根本的な姿勢にゆるみがあったのではないかということを、この議事録の中からくみ取るわけでございますが、その点についてひとつ所見をお伺いしたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 船舶安全法は、昭和八年制定でございまして、かたかな書の法律ということで古いわけでございますが、実は法律自体は、権利義務を課した非常に簡単な法律になっております。最近の法律の形態と多少その点では違うということでございます。しかし、国際満載喫水線条約とかあるいは海上人命安全条約のような技術上の問題点は、すべて付属の規則にこれを盛っておりますので、一部改正によって、国際情勢に対応する技術の向上その他の技術の改善につきまして全部盛り込むことができる、かように考えておりります。
○和田(春)委員 船舶局長のお答えによりますと、一部改正によりまして、新しい事態に対応することが全部できると考えた。それでは、このときの一部改正は、何を改正したのか、お伺いしたい。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 資料を持ってまいりませんので、実ははっきりしませんが、確かに千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約が発効になりまして、それを安全法に入れるということ、それから当時、無線の問題が小型船に問題になっておりまして、これは条約関係ではございませんけれども、それを含めまして、法律の改正を行なったと記憶しております。
○和田(春)委員 いまあなたは、一部の改正で新しい事態に対応することは全部できると考えて一部改正にとどめた、こういうふうにお答えになって、何をやったかよく記憶がないからわからない、こういう話ですけれども、おっしゃったように、満載喫水線の改定が非常に大きな主題の一つであったわけです。どういうふうに改正したか、ひとつお答えください。
○佐藤(美)政府委員 それまでの満載喫水線は、一九三〇年の条約によってつくられておりまして、まあ最近の大型化その他に対して非常に古くなったわけでございます。したがいまして、内容を大型船にも適用できるように改善したこと、御存じのように、満載喫水線は船の形による喫水、それから強力による喫水、そういうものから調べておりますが、その長さが非常に長くなってきたということが、一番問題であったと思います。
○和田(春)委員 私に与えられた時間が非常に少ないので、私のほうから具体的に申し上げましょう。 このときの安全法の改正は、船の長さが百メートル以下の船舶については強化をする方向をとっておりますけれども、百メートル以上の船舶については満載喫水線を緩和をしているわけであります。その緩和の結果、今度遭難をいたしました「かりふおるにあ丸」の場合には、建造されまして進水をしたときよりも、この改正を受けて訂正をした積載重量トン数が相当ふえているわけであります。船は全然補強をしない、形も変えない、従来のままの船で、この船舶安全法の改正によって積載重量トンが帳面づらの上でふえると、具体的にそれだけたくさん積んでもいいという形になったわけであります。「かりふおるにあ丸」について何トンふえたか、御存じならば、お知らせを願いたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 デッドウエート約五万七千トンから約六万二千トンにふえたと思っております。
○和田(春)委員 正確に言いますと、五千六百七十トンふえているわけです。つまり積載重量トンは、できたときに五万六千四百七十四トンでございますから、船の構造を強化せず、形も変えず、そのままで、満載喫水線に関する規則が変わったというだけで、一〇%荷物がたくさん積めることになったわけであります。これを予想して「かりふおるにあ丸」の強度設計その他が行なわれておったのかどうか。そういう点についてNKの検査と政府の監督責任ということについてお伺いをしたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。 満載喫水は、船の形状からくるものと、それからストレングスからくるものと両方から検討するわけでございますが、大体は形状からくるもののほうがより強力でございますが、余分にございます。したがいまして、ストレングスを増せば、大体満載喫水線をもう少し深くすることができるということになっております。したがいまして、「かりふおるにあ丸」の場合にも、構造を十分検討いたしまして、補強いたしまして、このトン数をふやしている、かようになっております。
○和田(春)委員 この「かりふおるにあ丸」の場合には、総トン数三万四千トン、積載重量トン五万六千四百七十トン、小さい数字は省きますが、そういう形でできたわけでございます。これは船主がぜひたくさん積めるようにしてほしいといって要求したわけではない。できたときの経緯からいけば、造船所はあらかじめ一割も積み荷の重量がふえるということを予定したわけでもない。政府間海事会議のIMCOの決定を受けまして、日本の安全法に基づく満載喫水線の規則を政府のイニシアチブによって改正をした。その結果、これだけたくさん積めることになったというのは、間違いない事実であると思います。そうなりますと、当然そのことに関して政府は、船体の強度、構造、安全性等につきまして、政府の責任において適切な措置をとらなければならないはずでありますが、どういう措置をとったか、お伺いをしたい。
○佐藤(美)政府委員 縦の強度は十分にございましたので、横強度を、肋骨とか外板とか、そういう総体的な横強度でございますが、それを補強した、かようになっております。
○和田(春)委員 縦強度は十分あるので、横強度等について補強をするように措置をしたということでございますが、国会の審議でございまして、あまり専門的にわたることは避けたいと思いますけれども、小さな船の場合は別といたしまして、あのように大きな船が非常にうねりや波のある海上を走るわけでございます。船舶には非常なストレスがかかるということは当然想定されるわけです。そこにそれだけ多くの荷物が積められるようになった、問題が生じる。そういうことが今回の事件等につながっているというような点につきまして、当時は別として、最近政府として反省し、あるいは検討したという事実はありますか。
○佐藤(美)政府委員 単独にこれを検討するということでございませんで、NKには常時いろんな委員会がございまして、いろんな問題を取り上げております。それで海難事故、たとえば小さなクラックが入るとか、あるいは座屈が起こるとか、そういう問題につきましても、いろいろ検査の結果から、船の構造その他について検討を常時している状態でございます。
○和田(春)委員 どうも自信なさそうな御答弁ですが、事は非常に重大だと思うのです。この船舶安全法の改正は政府がおやりになったのです。いまの船舶局長の答弁によると、NKにまかせたようなことを言っている。私が聞いているのは、安全法、船舶満載喫水線の規則の改定によって船がかなり大型船の場合荷物がたくさん積めるようになった。それは当然従来の経験にないような新しい大型船が急速に発展しているというときに、外部から加わる力、それに対する応力あるいは船体のねじ曲がり、いろんな面において新しい要素が加わるということについて、非常に慎重でなければならぬはずではないか。そういう点について検査のあり方なり補強について、政府は具体的にどういう措置をとったのかということを聞いている。とらなかったのなら、とらなかったでよろしいのです。はっきりしてもらいたいのです。
○佐藤(美)政府委員 政府としましては具体的には「ぼりばあ丸」事件の審判結果を待ってほんとうの問題を解決したと考えておりますが、実は海事協会につきましては、国際的には先ほど申し上げました七大船級協会会議がございまして、いろいろな問題点を取り上げてやっております。それから政府間につきましてはIMCOがございまして、やはりいろんな問題を取り上げてやっておりますので、そういう問題を総合的にやっている、かように考えております。
○和田(春)委員 国際的にはIMCOという政府間海事会議の機構があるということをおっしゃいました。ところが、わが国は世界第一流の海運国といたしまして、IMCOの中で非常に大きな発言力を持っております。私が海外の船員団体等から入手した情報によりますと、このIMCOにおいて大型の満載喫水線を緩和をするということに対し、日本政府が積極的な役割りを演じたというふうに聞いておりますが、そうであるかないか、これは大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○佐藤(美)政府委員 実はこの「かりふおるにあ丸」と同じ例をとりますと、日本で総トン三万トン以上あるいは二百メートル以上の船をすでにその当時十ぱい以上も、二十ぱいぐらい輸出をしております。したがいまして、日本としましては、実は大型船の先べんをつけていたというかっこうになっております。御承知のように、一年間保証期間がありまして、その間のいろいろな技術的問題点はフィードバックされるわけでございます。したがいまして、日本造船所としましても、また船主としましても、その船がそういう問題があるということは全然考えてなかった状態にございます。
○和田(春)委員 先ほど議事録を読み上げましたが、最終責任は政府にあるということを事務当局は言っておられる。IMCOという国際機関できまってきたから従ったという言いのがれはできないと思うのです。それはIMCOの決定自体に日本が役割りを果たしているわけです。いまの船舶局長の答弁でもそのとおりであります。そうすると、それだけ船の経済性を増すために積載重量トンをふやすということを決定する。これは非常に重要な問題でございますが、その際安全の確保という点について政府は、きわめて消極的というよりも、責任を果たしていなかったというふうに、いまの船舶局長の答弁で確認してよろしゅうございますか。
○橋本国務大臣 船舶局長は、いわゆるこの国際会議において十分なる意見の交換が行なわれた結果、技術的見地からその可能性を認めた、しかし、これが実施にあたっては、先ほどの答弁を聞いておりましても、やはり一応その船の構造等について検討を加えた上で、これを許可しておる、行なっておる、こういうことであります。ただ、われわれは技術的には何といっても専門家ではありませんし、やはり海事協会等の専門的知識を一応信頼して行なうというような方針をとらざるを得ないのでありまするが、いま申しましたような、最近における大型船の急増等にかんがみて、十分慎重に行なう必要があることを痛感いたしております。
○和田(春)委員 どうも私の質問のポイントにはっきりお答えがないわけでございますが、先ほど議事録も読み上げましたけれども、能力の問題としてとらえるべきではない、行政権力として最終責任は政府が負うべきであるということをはっきり言い切っておられるわけであります。その際、こういう重要な改定事項があるというときに、政府の責任は、安全という問題に対してもっと熱意を持って、もっと積極的に、むしろ業界を引きずるだけの態勢がなければならぬと私は考えます。それは同じ船で少し手直しをすれば、荷物が一割もたくさん積めるという形になれば、船主は喜びますよ。それだけ経済効率がよくなるわけですから、たいへんありがたいことだと思うのです。私が先ほどの中で、むしろ政府は、そういう点についてチェックをする責任があるにかかわらず、怠っているのではないかという意味合いを込めて質問を続けているのは、こういう具体的な事実を通して政府の姿勢に重大な不安を感じているからでございます。いままでについて、ここでこのたび就任された運輸大臣に責任があるということを言わせようと思ってもむずかしいと思いますけれども、少なくとも今後のことについては絶対そういうことはない、安全については政府が先頭に立って責任を持ってやるということを御明言願いたいと思います。
○橋本国務大臣 お話しのように、運輸行政の責任者は運輸大臣でありますから、その点に関しましては最善の措置を講じたいというために、今回大型船の遭難の特別委員会を設置し、先ほどの御質問があったように、あるいは少し具体的過ぎるのではないかと言われるぐらいにやりましたゆえんのものは、何といっても安全第一である、安全なくしては経済行為自身も成長しないのであります。したがって、将来の運輸行政、大型船の問題につきましては、あらゆる方法を講じて、技術的にもあるいは構造上においても最善の措置を講ずる。今回の特別調査委員会の設置につきましても、ある意味においては、経済行為の方面からは一部不満があったようでありますけれども、私は、船主にある程度の御迷惑をかけても、この際は安全性を第一にすべきであると、強い指示を与えて、このような措置をとってまいりましたので、和田さんと全く同じような考え方のもとにやってまいりたいと思っております。
○和田(春)委員 それでは、ただいまの大臣の御答弁の中にも、大型専用船海難特別調査委員会をつくって検討しているということでございますが、この調査委員会の名簿が私の手元にも入っておりますけれども、どういう基準と考え方でこの委員の人選をしたかをお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 この委員の選考につきましては、何といっても技術者及び経験者のトップクラスを並べる、かつまた、私個人からいえば、なるべく多くの人を委員にお願いをいたしたいと考えたのでありまするが、このような技術の問題でありますので、委員の数をそう多くすることも困難であるというので、厳正中立にして最高の経験レベルを持っておる者をもって構成をして、なお必要に応じては小委員会なりあるいは部会なり、こういうものによって足らざるところを補うという方針で、現状のような委員の選定を行なったわけであります。
○和田(春)委員 能力の問題として考えるというのであるならば、私は、運輸大臣がこの調査委員会の委員長を兼ねても差しつかえないと思うのです。役割りがあると思うのです。そこで、いまおっしゃったことは、政府が最終に責任を負う、そういう立場においてこの問題の政府責任を明らかにし、徹底的に調査をしていこうという場合に、この人員の構成に非常に大きな疑問があるわけであります。 その一点は、この中のある人は、日本の造船工学の中でもたいへん権威のある人でございまして、私はその人の能力を疑っているわけではございません。しかし、この人は政府の造船技術審議会の委員であると同時に、先船の「ぼりばあ丸」の海難事故の調査委員の中で、別に問題となる点はないという答申を出した委員会の中で責任のある地位についた人が再び入っていることであります。もう一点は、海難防止協会の会長という肩書きで入っておりますが、現在代表権を持つ取締役会長として有力な船会社の経営者の人が一人入っております。ところが、船を運航していつの場合にでも犠牲になる者、また現におって一番よく実情を知っているのは、船舶の乗り組みの運航技術者でございますが、このほうを代表する委員は入っていないということであります。 こういう点について、どういう考え方で委員の人選をされたか、あらためて重ねてお伺いをしたいと思います。
○橋本国務大臣 お話のように、最初の方は、やはり日本の造船工学界の最高峰であります。「ぼりばあ丸」についてのお話がありましたが、今度の場合は「かりふおるにあ丸」という船体構造の違ったものの問題でありますので、その点が必ずしも不便といいましょうか、不合理でもないと考えまして、何といってもこれは専門家、最高権威を集めるという意味で、その方にお願いをいたしておる。 もう一人の方は、これは御承知のように、長年にわたって船長の経験者であります。したがって、一方の利害代表者という意味ではなく、長い間の船長経験者としての能力を活用したい。こういう意味で、この人選をいたしたのであります。利害関係者という意味ではないことを御了承願います。
○和田(春)委員 造船工学の権威であり、また「ぼりばあ丸」の場合と「かりふおるにあ丸」の場合には船体構造が違うといいますけれども、「かりふおるにあ丸」のほうがむしろ新しい型をとっているわけであります。従来の型を大きく引き延ばしたような、もちろん若干の改善は行なわれておりますけれども、「ぼりばあ丸」の海難事故についてさえも——これはその人個人の責任を問うているわけではございません。この委員会は構造上別段の問題となる点はないという答申と勧告を出しているわけです。そのことについて、そういう考え方はおかしいということを、船舶の運航技術者を組織している海員組合等は、先頭に立って追及をしておったわけです。そのメンバーの中で有力な役割りを果たした人が今度「かりふおるにあ丸」の調査のためにまた入ってくるということ。しかも大臣のお答えは、少し私の質問と違っております。私が指摘いたしました現に代表権を持つ取締役会長は、船舶の運航、船長経験者ではございません。現実に船の経営者としてきた人でございます。その辺のことをはっきりしていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 内容の点について間違えましたのは、訂正いたします。 第三のお話があろうと思っておる点でありますが、内容の人の関係の問題については、審議官から答弁させます。
○内村説明員 お答え申し上げます。 先ほどある船会社の現役の会長が今度委員になっているのはおかしいではないかというお話がございました。これはおっしゃるとおりに、その方は現在ある船会社の会長でいらっしゃいます。しかし、同時にこの方は海難防止協会という、いま民間におきまして日本の海難防止のために最もよく働いている団体、そこの会長をしておられます。したがいまして、今度こういうふうな新たな特別調査委員会というものをつくります際にも、そういった海難防止協会の意見というものは十分吸い上げていかなければならぬというふうな見地から、特に海難防止協会の代表としてお願い申し上げた、こういう次第でございます。
○和田(春)委員 その点については形式論的にはそのとおりだと思います。利害関係者を入れないという点においては重大な矛盾を来たしているということは、はっきり指摘をしておきたいと思います。 ただここで問題なのは、日本に海員組合という労働組合があります。しかし、世界各国でもそうでございますけれども、海上で船舶を運航する要員を主体として組織されている組合の場合には、労働組合であると同時に、職業団体として公認をされておりまして、西欧等では政府間会議等においてもオブザーバーないしはアドバイザーとしてどんどんこれらの諸君が入ってきている。ある場合には正式の代表として加わってきている。何といっても船を走らせるということについては、船に乗って動かしている者が実践上の問題としては一番よく知っているわけであります。その海員団体から、この委員にわれわれの推薦する者を入れろという申し出があったはずでございますけれども、入っていないのはどういう理由によりますか。
○内村説明員 ただいまの御質問は、いわゆる船乗りの経験のある者の団体である海員組合から入ってないのはなぜか、こういうふうな御質問かと思います。この点に関しましては先ほどもお話がございまして、こういうふうな調査委員会をつくる場合には船乗りの経験者がいないのはおかしいじゃないかというふうな御質問ともからむものかと存じます。そこで、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、今回の目的はほんとうに客観的なものを出すのである。したがいまして、真実の事実関係あるいは因果関係というものを出すために、利害関係者のない客観的なものに構成したいというふうな趣旨でございます。そこで船主団体もそれから組合も一応このメンバーに入っていただかない。しかし、そういった方々の御意見というものは十分参考にしなければいかぬということで、今後におきましても本委員会の中で、そういった利害関係団体の御意見というものは十分に拝聴する機会を得てまいりたい、こう思っているわけでございます。 それからもう一つ追加さしていただきますけれども、船乗りの経験ということは非常に大事なことでございまして、その意味ではやはり船の運航について最高の責任を持つのは船長さんであろうというふうなことから、船長協会の方々にも入っていただき、さらに今後、その専門委員の中には、実際に船長の経験者、鉱石専用船の運航経験者という方に入っていただいて、十分慎重に審議を進める、こう思っているわけでございます。
○和田(春)委員 ちょっとおかしいですね。利害関係者を除くというのなら——私は能力の問題とか見識の問題で問うているわけじゃない。代表権を持つ取締役会長ということは完全な船主の経営者の代表なんです。それを他の肩書きで入れているわけだ。そうして実際に運航している船員の団体の推薦する者を排除して、必要があれば意見を聞こうというのははなはだアンバランスじゃないですか。同時にまた船長の代表を入れていると言いますけれども、この船長について船乗りは、船長は船主の利益代表ではない、船舶運航の技術者の最高責任者であるという立場を過去一貫してとってきた。ところが船主団体と運輸省は、船長は船主の利益代表であるという態度を一貫してとって、今日に来ているではないですか。その船長と船会社の中の主要な地位についている人々、その人たちの経験は非常に重要であります。大いに尊重していただきたいと思います。しかし、それが入っているのに、現に船舶を運航し——利害関係者じゃない。常に害害関係者なんです。事故が起こればいつも被害をこうむるのは船員である。その船員の推薦する委員をのけたというのは一体どういう了見ですか。
○内村説明員 先ほども御答弁申したことの繰り返しになるかと思いますけれども、かりに組合というものに入っていただきますと、船主団体も必要ではないか、あるいは造船会社も必要ではないか、あるいは造船の組合も必要ではないか、いろいろな議論を巻き起こしてまいります。したがいまして、この際は、ほんとうに中立的なものをつくるためには、そういうものは除いていただきまして、そこで中立的なもので構成するということがあくまでも今度の委員会の趣旨でございます。
○和田(春)委員 これは中立ですか。
○内村説明員 中立と存じております。
○和田(春)委員 間違いないですか。
○内村説明員 はい。
○橋本国務大臣 ただ、御承知のように、この委員会は法規及び省の規則によってつくったものではありません。臨時措置として、大型船の海難予防措置として、言うなれば一種の懇談会といいましょうか、そのような性格は持っております。法的にいえば、海難審判庁の結論を待ってそれから措置することが必要なんでありますけれども、その前にでも何らかの措置を講じようということで、形式は私の私的な懇談会、そういう形式になります。そういう意味でありますから、いま和田さんのおっしゃったような意味を含めてもかまわないわけでありましたけれども、ただそのような十分なる実務者の意見を聞く機会は十分にある、部会をつくるなり、あるいは小委員会をつくるなり、あるいは委員会に臨時委員として出てもらうなり、そういう方法もあろうということで、できるだけ少数にしぼるということも一つの理由であります。 ただ先ほどお話のありました方は、海難防止協会という日本でただ一つの団体でありますから、その団体の代表者を入れるのは当然であろうということで入れたばかりでありまして、いわゆる利害関係者ということは全く考えておらないということを御理解願いたいのであります。
○和田(春)委員 だんだん私の持ち時間も少なくなってきましたので、この問題については、政府側が善処を約束されない限り、引き続いて運輸委員会等でまた追及をすることに具体的な問題として問題を預かっておきたいと思います。 そこで、他にも予定しておるほうに移りたいと思うわけですが、先ほど来大臣をはじめ政府側の答弁の中に、NKによる検査のほかに、一つの政府機関としまして海難審判庁の問題がしばしば出てまいりました。私の知る範囲において、日本の法律体系のもとでは、船舶の海難を明らかにするという責任を持っている機関としては、海難審判法に基づく海難審判庁以外にないと考えておりますけれども、それで間違いございませんか。
○橋本国務大臣 法的にはそのとおりであります。
○和田(春)委員 それでは、この法律に基づきますと、海難審判庁は、海難が起きた場合に海難の原因を探究する事項として、第三条第三号に「船体若しくは機関の構造、材質若しくは工作又は船舶のぎ装若しくは性能に係る事由に因って発生したものであるかどうか。」ということを探究しなければならぬ、こういうふうに規定をされているわけでございます。 現在の海難審判庁におきましてこの問題を担当する専門家の陣容はどれほどのものであるか、お伺いしたいと思います。
○藤原政府委員 お答え申し上げます。 海難審判の目的は、審判によりまして海難の原因を明らかにいたします。その結果によりまして、海難防止に従事いたしておるわけございます。現在審判官五十名、理事官四十名くらいでもって審判の仕事をやっておるわけでございます。
○和田(春)委員 質問のポイントは、船体とか機関の構造とか材質、施工、これによって生じたものかどうかということを探究しろと命令している。そういうことを担当するための専門的な知識と学識を持った委員の方はどの程度構成の中に任命をされておるかということをお伺いしているわけです。
○藤原政府委員 海難の原因が困難な場合には参審員を構成員に加えまして、そうして原因の究明に当たっております。各審判庁には十二名の参審員を置きます。
○和田(春)委員 それでは、時間もありませんので具体的にお伺いをいたします。 審判官、理事官の任命資格につきまして幾つかの条件があがっているわけです。その大かたは船舶運航技術者、つまり船長、機関長としての経歴を持った人あるいは甲種一等航海士、甲種一等機関士として副理事官等の経験を持った人の中から任命をするようになっているわけです。それはそれで、船員の操船上のミスであるとか、船員を懲戒するとか、適切な運航であったかどうかということを調べるにおいては、そういう船員の大先輩というものは役割りを持つでありましょう。また、その海難の事故原因を調査する上に大きな役割りをすることは否定できません。しかし、今日のように急速に大型化をしている、非常に技術上の問題が出ている、そういうようなものを材質や構造の細部にわたってまで探求するというときには、海難審判庁にそれだけの機能がなければならぬわけであります。それに該当する審判官、理事官の任命資格としてはたった一項だけ、それは、職務の等級が四等級以上の船舶検査官または海技試験官という項があるだけでございますけれども、この号に基づいて任命された審判官、理事官は何名おりますか。
○藤原政府委員 お答えします。 現在、審判官、理事官はすべて階級に裏づけされました専門的知識を持った者が当たっておるわけでございます。そうして海難が、特に原因が困難な場合には学識経験者であられます参審員を構成員といたしまして、審判官と同様の権限をもって原因の解明に当たっているわけでございます。
○和田(春)委員 一つもはっきりしないわけですが、これは運輸大臣にお伺いしたいと思います。 先ほど設けられた機関は、問題がありますが、運輸大臣の責任において諮問機関としてつくられたそれなりの努力は評価いたしたいと思いますが、法律に基づく海難の事故探究の機関としては、海難審判庁が権威ある機関として確立されておる。ところが従来の実績を見ておりますと、海難審判庁は、船員の過失を責めるに急であって、船員を懲戒するということに対してはたいへん熱心にやっておられるけれども、それ以外の原因に基づく海難の探求についていろいろな調査をし、勧告をし、具体的に実績を残したという事例はほとんど聞かないわけであります。現に「ぼりぱあ丸」「かりふおるにあ丸」こういう事故がどんどん起きているときに、もし今日の法体系を変えないとすれば、海難審判庁を恒常的な機関としてそういう点の探求にたえる構成にする、またそのために費用もつける、予算もさく、そういうことについて大臣の所信のほどをお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 おっしゃるとおり、海難審判庁の目的は、われわれは十分に活用しなければなりませんので、したがって、船体構造——いわゆるお話しのような船長の責任追及ということにもちろん主眼を置くべき問題ではありません。当然に船体の問題その他の本格的な問題を中心にし、ただ航行上の責任においては、もちろんこれは船長なり何らの責任は出てくるわけでありますけれども、従来私は船長の責任追及だけに中心が置かれたとは考えておりませんが、今後ともにこの問題につきましては、十分なる監督行政としての措置は講じてまいりたい、かように考えております。
○和田(春)委員 この種のあまり専門機関に入っておりますと、残り時間も少ないわけでありますから、この点についてはあらためて具体的に政府委員の方々に運輸委員会でお伺いいたしたいと思います。 次に移りたいと思いますが、いまはもっぱら船舶の安全という見地から政府の見解をただしたわけでございますけれども、やはり人間は神ではございません。いまのようにいいかげんなことをやっておれば、また第三、第四の事件が起こる危険を私は強く感じるわけでございますが、ともかく万全を尽くしても万一ということがあり得るわけであります。そういう海難救助に対する政府の姿勢とそれから海上保安庁の装備等についてお伺いいたしたいと思います。 現在、海難救助については海上保安庁がまず一切の責任を負うというたてまえに立っておるわけであります。そして海上保安庁から要請があった場合に自衛隊等が協力をするという仕組みになっているわけですが、今日の海難は、最近の「かりふおるにあ丸」によってもわかりますように、米軍のHC130が出動することによって、初動捜査という面で不幸な中にも二十何人という船員が助かっているわけでございます。時間が勝負である海難の場合には、航空機の性能と整備というものが決定的な役割りを果たしていると思います。この点について、海上保安庁はそれに応ずる準備体制があるのかないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○河毛政府委員 お答え申し上げます。 ただいまお話のございました特に海難救助の初動体制につきまして、航空機の関係が非常に重要な問題でございますが、現在海上保安庁の航空機体制は二十四時間体制というものをとり得ない状況でございます。そこで、当面の問題といたしましては、ただいま先生からお話がございましたように、防衛庁その他の派遣要請その他協力体制を緊密にはかりまして、具体的な事態に対処いたしまして遺憾なきよう努力をいたしますと同時に、私ども自身の航空機体制につきましてもさらに検討を加えていきたいと思います。ただ根本的には、やはり特に遠距離関係の海上保安庁自身の航空体制を今後早急に検討する必要があろうかと存じ、目下鋭意検討を急いでおる次第でございます。
○和田(春)委員 保安庁の長官自身が二十四時間体制にないということをはっきり認められたわけでございますから、これはもう何とも言いようのないことでございまして、海上保安庁は海難救助については、特に空の面でお手あげ状態であるということをはっきりさしたと思うのです。この点について先般航空自衛隊ですか、出動につきまして問題がありということで中曽根長官は処分を発表されました。その英断については大いに敬意を表するものでございますけれども、いま海上保安庁は初動捜査について二十四時間体制にない。飛行機はどうにか荒天でも飛べるものが一機あってもクルーが三交代ない、たった一組しかない。まことにお寒い状態でございまして、これでは船員は安心して航海ができないわけでございます。こういう点について海上保安庁が事実上そういう能力がないというときに、海難について自衛隊のほうは空からの第一次的な役割りをするという決意ないしは政府の方針についてはっきりした考え方がおありかどうか、これは防衛庁長官にお伺いいたしますか、それとも運輸大臣にお伺いいたしますか。
○中曽根国務大臣 自衛隊といたしましては、事、人命に関する問題につきましては非常に重要なことでございますから、即時待機の状態におりまして、海上保安庁並びに県知事等の要請がある場合はもちろん、要請がない場合でも、即時待機で、必要と認めた場合には出動できる権限もあり、その体制にあります。現在飛行機並びにヘリコプターで五十七機が二時間待機の状態にございます。そのほか海上自衛隊のもとに高速救命艇が十三隻、それから艦船は約十隻の艦船が同じく二時間待機の状態に常時おることにしております。
○和田(春)委員 今回の「かりふおるにあ丸」の場合には非常に不幸な事件でございましたけれども、幾つかの幸運が重なりまして、犠牲者は出しましたが、かなりの人が助かったわけでございます。その場合、決定的な役割りをしたのは、御承知のように米軍機の誘導によって「オーテ・アロア号」がいち早く現場に到着をした。SOSを傍受いたしまして、日本船も現場に急行いたしました。しかし「えくあどる丸」の場合には、本船が沈没をした後に現場に到着をしているわけであります。こういう点を考えると、時間というものが決定的な要素を持つ。したがって、海上保安庁からの要請がなくても、SOSを傍受をして、これは出るべきであると判断したときには率先して空からの救難対策に当たる御用意があるかどうか、その点を重ねてお伺いをしたいと思います。
○中曽根国務大臣 緊急必要があると認める場合には全力を尽くして救難態勢にあり、また実行いたします。
○和田(春)委員 当面の緊急対策については、いまの中曽根長官のお答えではっきりいたしました。しかし、こういう海難とかいうような平時におけることに対しましては、これは海上保安庁の役割りであることは法律の体制からいっても当然でございます。おいおい検討するというのでは間に合わぬわけでございまして、もしこういう状況の中で第三、第四と不幸にして事故が起こるといたしまするならば非常に重大な問題になりますけれども、政府としては、海上保安庁の空からの救難対策とその能力の強化ということについて、これを早急に取り上げて、予算面においても考慮をし充実をするという考えがおありかどうかをお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 日本は四面海でありますからして、救難体制の整備強化につきましては最善の措置を講じつつあるわけでありまするが、先ほど長官から答えがありましたように、十分ではないことは御指摘のとおりであります。特に大型のいわゆる捜索機でありまするが、組合のほうからもあるいは飛行艇等の注文がありますけれども、飛行艇につきましては、これが検討を目下続けておりまして、はたして荒天時に飛行艇が十分なる役割りを果たすかどうかという問題がありますので、まだ検討中でありまするが、少なくともYS11型の大型機をもう一機備える必要がある、こういうことで、何とかして早急にこれが実現を見たい、こういうことで目下それらの方法について検討中でありまして、これは何としても近い機会に実現を見るという方針で進んでまいりたいと思っております。
○和田(春)委員 この点につきましてはあとでまとめて大蔵大臣に所見を伺いたいと思いますが、関連して、この船舶の安全からいっても、あるいは海難救助の面から、その航空機あるいは海難救助艇の性能、装備、そういうものを考える面からいきましても、海象、気象の研究ということが非常に重要であろうと思います。特に海上における波浪の研究についておくれているわけですが、この点については科学技術庁の海洋開発に関する開発計画の中の第二プロジェクトで取り上げているわけでございます。計画としては波浪研究が海洋開発の第二プロジェクトの中で取り上げられておりますけれども、予算面をさがすと全然それがついていない。当面どういう計画がおありか、お伺いをしたいと思います。
○西田国務大臣 お答えいたします。 今回の海難事故につきましては、運輸省におきまして原因の探求あるいは対策等いろいろ検討されておるわけでありますが、この対策を立てるにあたっては、いま御質問がありましたように、海洋環境、それからまた船舶の構造、材質その他各般にわたって行なわれなければならぬと存じます。そこで、ただいま申されましたように、海洋開発のための科学技術に関する実行計画をつくりまして、その中で第二プロジェクトでこの波浪の問題を取り上げております。 そこで、この波浪の研究の結果というものは、これは海洋開発だけではなくて、船の航行の安全にも十分役立つようにしなければならぬと存ずるのでございますが、予算がちょっともないではないか、こういうお尋ねでございます。御承知のように科学技術庁には特別研究促進調整費というものがございます。これにつきまして、今回の事故に関係いたしましても、運輸省のほうから特別な研究をしたいからその調整費を出してほしい、こういう御要請がございます。その調査の目的は大体三角波の波浪衝撃の調査、こういうことを中心にしてやりたいということでございますので、今回の事故にかんがみまして、緊急性ありというふうに判断をいたしますので、私のほうといたしましても前向きでこの御要請にこたえたい、このように考えまして、いま事務折衝をいたしておるところでございます。
○和田(春)委員 それではこの問題その前向きをさらに前向きにするようにお願いをいたして、問題があればさらに機会を改めてお伺いをいたしたいと思います。 最後に私がお伺いしたいのは、船舶の遭難と船長の責任についてでございます。 これはすでに新聞紙上等でも大きく取り上げられておりますけれども、遭難をした場合の船長の立場というのは非常に苦しいものがございます。私自身も何度か遭難をいたしまして、船長ではございませんでしたが、船に残ろうとする船長を説得して、船長と一緒に最後に退船をしたという経験も持っておるわけでございます。そこで、そういうような遭難をした場合に、船長の人生観としてどういう道を選ばれるかというようなことについて、死人にむちを打つような議論は断じて行なわるべきでないとは考えますけれども、この前の波島丸の遭難にあたって、船長が脱出をする機会があったにもかかわらず、船に残って、船と運命をともにした、このことについて政府が勲五等をもって勲功ありとして表彰しているわけであります。その考えの根本をお聞きしたいと思います。
○山中国務大臣 閣議の席におきまして、所管大臣たる橋本運輸大臣より、上床船長の今回の行為については世道人心、道徳退廃の傾向の見られる昨今の世情から見て、これを賞すべきであろうと思うがいかにということがありました。これに対しまして、閣議の席において何ら異存が各位にございませんので、賞勲担当の私のほうで、その行為について、生存者等が幸いにしてございましたから、事実称賛に値すべき行動であるか、またその行為そのものだけでもって勲等などの判定をいたすわけにまいりませんので、三十三年間にわたる船員生活、二十九年にわたる実質乗員生活等をよく分析をいたしまして、すべての経歴を見ました結果、上床船長は名実ともにりっぱな船員であり、船長であられたということに判定をいたすことができました。 なお、船員法第十二条に、船長は乗員を全部退船せしめてから退船しなければならぬということ、最後に退船する船員と同時に退船しなければならぬということ等も判断の資料といたしたのでございますが、生存者がございましただけに、そこらの点は確かに船長の行動としては政府が勲章を出すにふさわしい行為である、あるいは出すことによってこれが非難さるべきものではないという考えのもとに御指摘の勲五等瑞宝章を出したわけでございます。
○和田(春)委員 重要な問題ですから、なお重ねてお伺いをいたしますけれども、人生観の問題と職務上の責任は混同してはならぬと思う。そうすると、船と運命をともにしたという船長の行為も職務のうちであると政府は考えておられるのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○山中国務大臣 私はそこらの点を判断する所管大臣ではございませんので、閣議の席で所管大臣から賞勲に値するという発言がありましたことを受けまして、そのことを行なうには懈怠なかりしかと、あとで反省して間違いのないように十分に念を押した、間違いのないことを確認した上でその行為を行なったということを申し上げただけでございます。
○和田(春)委員 それではこの点につきまして運輸大臣に、船員法の改正問題が提起されておりますけれども、改正をするお考えがあるかどうかをお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 波島丸船長の叙勲の件については、長官からお答えがありましたから重ねては申し上げませんが、簡単に申し上げますれば、必ずしも死んだことを目的にして叙勲したわけではありません。御承知のように、上床船長は三十六年の経歴を持っておる。しかも最後にあっては、全部退避さして、そしてみずからその場合に船と運命をともにしたかどうかは別にいたしまして、結果的にはさようなことになった。その沈着冷静なる態度はもって亀鑑に足るということを合わせて叙勲が行なわれたものと私は拝察いたします。 なお、船長の退船義務の問題ですが、この問題につきましては、海員組合あるいはその他の方々からもいろいろの意見がわれわれのところに申し出されております。私は、現在の船員法というものが、必ずしも船長は船と運命をともにすべしという意味とは理解はいたしませんけれども、船員法第十二条に「船長は、船舶に急迫した危険があるときは、人命、船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽し、且つ旅客、海員その他船内にある者を去らせた後でなければ、自己の指揮する船舶を去ってはならない。」「自己の指揮する船舶を去ってはならない。」というところの従来の伝統的な解釈その他があろうと思います。この問題につきましては、われわれは海員精神といいますか、船乗り精神というものを尊重すると同時に、しかし、現代の時代にはたしてこういうような表現のしかたが十分であるかどうか、この点には疑問があります。したがって、慎重に検討した上で、われわれは経験がある船長が、ただみずから死を選ぶということは、決して船員法の目的ではありませんので、これらを十分に検討をし、もしその必要があるなればこの国会でも関係委員会の各位と相談の上で措置をいたしたい。あくまで現代的精神に従ってこれを処していくという考え方でおることを御了解願いたいと思います。
○和田(春)委員 ありがとうございました。
○中野委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。 次に、松本忠助君。
○松本(忠)委員 最初に、国民の健康を守る立場から食品行政の問題について、厚生大臣にお伺いをいたしたいわけでございます。 この問題につきましては、運輸大臣にも聞いていただきたいのでございますが、昨年の十月、チクロの騒ぎが起きる前に、私は列車食堂あるいは駅弁あるいは駅の構内におきまして販売されておりますおみやげ品、こういうものに対して有毒添加物がないか、国民の保健衛生を守る上からもいささか心配になりまして、国鉄の新宿、東京、上野、品川、渋谷、これらの駅の売店、食堂、調理場などに立ち入り調査をいたして、現場を見たわけでございます。 と申しますのは、列車食堂に例をとりましても、市中の食堂と違いまして、自由に選択ができるほど品数が豊富とはいえません。駅弁にいたしましても、鳥めしとかあるいはウナギめしとかいうふうに表示されてあれば内容が一目わかるわけでございますが、お好み弁当などというものは内容がさつばりかけ紙からではわからないわけでございます。最近は車内販売が非常にふえてまいりましたけれども、おおむね旅行者は列車の窓から限られた時間内に購入しなければならないという制約がございます。これらの点からいたしまして、いささか心配になって調査をしてみたわけでございます。 ところが、いろいろと問題がございました。現に駅の構内で売られておりますところの有名なお店のカステラあるいはまんじゅうの類にしましても、私が実際に買ってみましたとき、私の見ている前でぽんと日付の判こを押すわけであります。そして渡してくれます。その欄は製造年月日というところに、私の見ている前で判こを押してお金と引きかえに渡してくれる。これは製造の日付でなくて販売の日付です。お客さんの手に渡る前に何日たっているかわからぬわけでございましょう。お客さんの手に渡ってから何日か、これはわかります。そこで一般の方々はおそらくこういう問題はあまりお気づきになっていらっしゃらないのじゃないかと思うのでございますが、この問題もその後いろいろの経過がございまして、国鉄の指導で現在ではほんとうの製造年月日を押すように改められたということはたいへんけっこうなことでございますが、私が調べました当時にはこのような状態でございました。 そこで、つけものとか菓子とかの流通過程を調べてみましたところが、製造工場から倉庫、発送、仕入れのセンター、小売り店というぐあいに、製造されてからお客さんの手元に渡るまでにはかなりの日数がかかります。しかもこれらの製造工場では、ある程度の量をつくって次の製品にまたかかるというぐあいに量産体制をとっております。そうして能率をあげ製品の均一化をはかっておるわけでございます。そして注文が来ると、その注文の数だけを出庫の日をスタンプを押して発送をする。つくるのは一度であります。注文のあるごとに出庫の日付を押しまして製造月日と偽っていることは、明らかに防腐剤などの添加物が入っている証拠ではないかと私は思うのでございます。しかし、まだこれらのものなどは良心的でございまして、先ほどお話し申し上げましたように、目の前で製造年月日のところにスタンプを押して手渡しをするというよりはいいかもしれません。このような製造月日とまぎらわしい販売月日を押させているのはまことに不可解でございます。厚生大臣のお考えをお伺いしたい。 同時に、運輸大臣といたしまして、駅構内でこのようなことが行なわれていることにつきまして、どのようにお考えか、運輸大臣からはごく常識的なお答えを簡単にいただきたいと思っております。
○内田国務大臣 駅構内で販売をされております食品類につきましても、もちろん食品衛生法の適用があるわけでございますので、いま松本委員が御指摘のような行動がありますことは、これは法の規定に違反するものでありまして、まことに私どもは遺憾と申し上げるほかはございません。これにつきましては、厚生省ももちろん責任官庁でございますけれども、当面は保健所あるいは都道府県等に食品衛生監視員というものを置きまして、たてまえからは厳重に駅内の食品販売につきましても監視させることになっておるわけでございますので、今後私どもは一そう戒心をして目を光らせたいと思います。 なおまた、駅構内のものにつきましては、これは国鉄のほうで構内営業規則というのがございまして、御承知のように、食品ばかりではないでございましょうけれども、二重管理をいたすことになっておりますこともお含みおきをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 お話しのように、駅の構内は環境もよろしくありません、ほこりが立ったりなんかしますから。したがって、これらに対しては厳重に食品取り扱いに対する通達を昨年の十一月も出しておりますし、通達だけじゃいたし方ありませんから、国鉄の職員にも十分に注意するようにということで、今後もこの問題については衛生の見地から十分なるところの指導、監督をやってまいりたい、かように考えております。
○松本(忠)委員 厚生大臣にあまり悪いところばかりのお話では恐縮でございますから、いいお話も御報告しておきます。 これは現実に私、行ってみましたが、東京駅の地下にございます「レストランとうきょう」、ここでは自分のところで肉をひいてハンバーグをつくっております。これはあたりまえのような話なんでございますけれども、一般的にはどこへ参りましてもひき肉になったものを仕入れまして、それでハンバーグをつくっておる。昨年もございました混肉事件、変なものがまざっておったというような事件を聞いております。そのまざっている肉は、何が何%ということは別に表示するたてまえにはなっておりません。でございますけれども、業者は何が何%、何が何%の混肉状態を明示することを申し合わせたということを私は聞いております。しかし、法規のほうでは、それを明示しなければならないというふうにはなっておらぬようでございます。そこに問題があると私は思うのでございますが、ただいま申し上げました「レストランとうきょう」におきましては、現実に完全な肉を買って、そしてそれを自分のところでひく、こうしてハンバーグをつくっている。こういうのはほんとうに珍しいというほどでございます。しかし、なおまた調味料にいたしましても、添加物にいたしましても、製造業者から内容に関する報告をとり、さらにそれを衛生試験所に送りまして、その確認をとって使用する、こういうふうな念の入れ方をしているところもございます。しかし、これは例外中の例外でございます。 そこで、厚生大臣にお尋ねするわけでございますが、保健所の立ち入り検査を厳重にしょう、これはただいまもお話がございました。国民の保健衛生の最高責任者として地方の都道府県におまかせするのではなくて、もっともっと大臣が積極的に国民の保健衛生の面から取り組んでいただきたい。ましてや万博を目前に控えております。時期も春から夏にかけ開催されるわけでございますので、大阪等におきまして流行性の伝染病でも発生いたしましたれば、国際的な大問題であろうと思いますので、この点につきましても大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○内田国務大臣 いま特定の食肉製造販売業者につきましてたいへんいいお話も承りまして、私、どうも愁眉を開いた点でございます。御承知のように、食肉関係でも自分で製造をして販売するものについては営業許可というものまで付しておりますので、おそらくその肉屋さん、販売業者は営業許可も受けておるわけでありまして、それだけ監督が厳重でございます。一そう食品衛生監視員を充実いたしたいわけでありまして、全国に現在五千四百人ほどの食品衛生監視員がおります。国にも若干おりますが、国のほうは主として輸入食品にかかっておりますので、今度の万博等の場合におきましては、国の食品衛生監視員を都道府県の監視員と協力をさせまして、各国から持ち込んでくる各国お国自慢の料理などの衛生検査というようなことには万全の措置をとらせるようなたてまえをとっておることを御承知おきをいただきたいと思います。
○松本(忠)委員 なお、厚生大臣とそれから御関係のございます運輸大臣にも聞いていただきたいわけでございますが、私がさっきも触れました、昨年の秋、十月の七日と十四日と二回にわたりまして、国鉄の駅の構内の食品販売の状況、駅弁の製造の工場、あるいは構内食堂の調理場、こういうものを見させていただいたわけでございます。これにに対しまして、この私の立ち入り調査をさせていただきましたことがきっかけになりまして、国鉄の旅客、厚生の両局長名をもって間髪を入れずに、異例の通達が出されました。これは日付が十月の二十日になっております。ここにも持ってきておりますが、通達は内容も非常に具体的に、そして四項目にわたって詳しく書かれております。この内容を申し上げればよろしいんですが、これはまたあとで見ていただくとして、国鉄がこのような私の調査に対応したといいますか、間髪を入れずに通達を出して、私が注意を喚起しようと考えておりましたそのとおりに、詳細に各支社、全国の鉄道管理局あてに通達を出されたことに生きた行政を見ました。これはたいへんけっこうなことだと思う。 〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 いままでとかくいろいろな問題が起きても、後手後手をやっておるのが普通でございました。しかし、ほんとうに、国民の保健衛生を考える立場から、国鉄の厚生局長、旅客局長が連名をもって直ちにこれに対する対応策を考える。しかもまた、これが一片の通達行政だけでなくて、よく徹底を期された。単に通達を出してしまえばそれでいいというものでなくて、その徹底を期した。また、これを受けて立たれたほうの構内の食品販売業者の大手でありますところの弘済会あるいは日本食堂等も、全面的にこれに協力いたしまして、この実施にぴったりと呼吸を合わせて国民の食品衛生に強い強い関心を払われた。こういうことはおりからチクロの問題が出てまいりましただけに、まことにりっぱであったと、こう思うわけでございます。しかし、ちょっと残念なことに、全国の駅弁の業者で組織されております国鉄構内営業中央会、これがもう少し努力をしていただければよかったんではなかろうか、これはちょっと残念な気がするわけでございますが、いずれにいたしましても、国鉄当局は積極的に乗り出し、駅の構内業者がチクロ製品を含んでインチキ食品といいますか、いわゆる危険な食品といいますか、こういうものに対しまして業者が総点検をなさいまして、そしてその店先にも張り紙がされました。当店の販売するものにはチクロは含まれておりません、こういうふうにはっきりと言い切ることができるほど徹底してこれが行なわれた。これは国民衛生の上からもまことにりっぱでございます。 しかし、それに反しまして、厚生省のチクロに対する考え方はまことに不可解だと思うのでございます。禁止をしてみたり、またチクロが入ったかん詰めの回収延期をしたり、国民の健康が大事なのか、業者に、特にかん詰め業者などの方々に対する保護、これが大事なのか、さっぱり厚生省の考え方がわからぬわけであります。大体昨年チクロの使用禁止に踏み切った際にチクロの在庫量の確認をしなかった。ですから、やみのものが相当にある。これは砂糖のその後の消費量と比へてみてよくわかる。これは具体的な量を申し上げればいいんですけれども、時間がございませんので申し上げませんけれども、その禁止した時点におけるチクロの量というものを確認しておかなかった、ここに問題があると思うのでございます。 そこで、厚生省にいたしましてもまた農林省にいたしましても、これらのかん詰め業者、これらの方々との間にはもっともっと国民の保健衛生の点から突っ込んで意見を取りかわし、そしてチクロの問題に対しても一般御家庭の奥さま方が安心しておられるような対策を講じてもらわなければならない。この点を私は厚生大臣並びに農林大臣からお伺いをいたしたいわけであります。
○内田国務大臣 チクロの問題につきましては、先般来当委員会にもたびたびいろいろな御論議がございました。私は決して責任をのがれるつもりではございませんが、当時厚生大臣の地位にはおりませんでしたが、今日までの行政のあとを私が点検をいたしてみますると、とにかく国際的な動きに応じて、昨年十一月、チクロ製品については一応全部網をかけて販売を禁止しておいて、しかる上、チクロ製品にもいろいろ種類があって、チクロの含有量が多いもの、また乳幼児等が摂取しやすいもの、また一時に多量を国民が摂取する危険のあるものと、そうでないものとに分けまして、そうでないもののほうは、あらためて販売期限をことしの九月まで延ばしたと、こういうことのようでございます。しかし、その間、十分に消費者、国民各位の納得が得られるだけの努力に欠ける点もあったのではないかということは遺憾でございます。 ところで、松本先生にもお含みおきをいただきたいことは、九月まで延ばした一部のかん詰め等につきましても、チクロ含有の証票——これはチクロということではありません、サイクラミン酸ソーダとか、ナトリウムとかいうむずかしいことばを使用したようでございますが、そういうものを表示させて売らしておるのではなしに、表示して国民の選択ができる状態にしたものは売ってもよろしい。しかし、先般来それが張ってないものもあったということでございますが、それは違反でございます。私どものほうもその後も厳重に通達をいたしまして処理を急いでおりますので、この辺もお含みおきをいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 厚生省のいま申しましたような趣旨に沿うて、私どものほうも適切な指導をやっておるわけであります。
○松本(忠)委員 ただいま厚生大臣からもお話がありました。チクロの問題については十分に努力をされることと思いますが、いまもお話があったように、チクロというまことに国民がわかりやすい名前はどっかへやってしまって、いわゆる学名でございますからやむを得ないかもしれませんが、サイクラミン酸塩というような、こういうものが張ってあるということなんですが、現実にはまだお話がございましたように張ってございません。三十個ばかり買わせてみましたがまるっきりない。こういう状態でございます。そこで、そのことにつきましてまず最初に缶詰協会のほうに聞いてみた。ところが、こういうことを言いました。表示ラベルは問屋さんから小売り屋さんに配ってあります、小売り屋さんの責任で張ってもらいたい、こういうふうに缶詰協会のほうは言うわけです。小売り屋さんに十五軒ばかり当たってみて聞いてみましたが、そのうち三軒はラベルが来ているけれども張っておりません。あとの十二軒は、話は聞いているけれども、表示のラベルはまだ来ていない、こういうような状態でございます。それから厚生省の食品衛生課、ここへ問い合わせましたところが、こういうことを言いました。人工甘味料とか合成甘味料入りとか書いてあって、サイクラミン酸塩添加という表示ラベルのないものは、サッカリン入りであって、チクロ入りでないというのです。このことを缶詰協会に聞きますと、サッカリンは煮ると苦くなるから使いません。チクロの使用が許されていた当時につくったものだからと当然表示ラベルを小売り屋さんが張るべきだ、こういうことなんです。ところが、現実にはラベルが、十五軒のうち三軒は行っているけれども張ってない、十二軒は話は聞いているけれどもまだ現物も見てない、こういうふうな責任のなすり合いでございます。そこへ持ってきて、新聞に載っておりますが、全国缶詰問屋協会が「チクロの入ったかん詰は心配ありません」こういうふうなビラがまた配られております。 一体、厚生省にしてみても農林省にしてみても、本気に取り組んでいるのかしら。一片の通達を出せば何もかもできると思っている、まことに通達行政の欠陥をはしなくも私は見たわけでございます。先ほど一つの例に出しましたが、国鉄とその関係業者がとった態度と、いまチクロについてかん詰屋あるいは厚生省のとっている態度と、まことに雲泥の差でございます。 そこで、再度その問題につきまして厚生大臣並びに農林大臣からお伺いして、この点を終わりたいと思います。
○内田国務大臣 御指摘の問題は二つあるようでございますが、ラベルは、二月末まで販売を許しておったものを、三月から九月まで再延長を、ことしの一月したわけでございますので、ちょうど三月からラベルを張る切りかえ時期であるというようなことで、私のほうでもさっそく調査をいたさせましたが、そういうような状況で切りかえ時にあったということ。 もう一つは、私もここに持っておりますが、チクロはそんなに有害ではないというものを問屋が配ったということ、まことにけしからぬ話でありまして、法律無視もはなはだしいということで、私のほうでもこれは張ってないものは絶対に売らせないのだということで再指導をやっておりますので、今後さらに万全を期してまいる所存でございます。
○倉石国務大臣 チクロ入りかん詰め食品の表示につきましては、先ほど申し上げましたように、厚生省の方針に従って適切にこれを行なうようにしておりますが、ただいまお話しの問題のビラは、多数の小売り店にサイクラミン酸塩添加のシールを張らせる必要もありますので、小売り店にチクロ問題の内容を徹底させるために配布されたものと聞いておりますが、ただいまのようなお話、その内容を見ますというと、とかく誤解を招くおそれがないともいえませんので、その取り扱いを慎重にするように注意させております。見出しがチクロ使用品も全く安全だといったような印象を与えるおそれがあります。販売期限が九月末日までであることが明示されないで、いつまでも販売できるような印象を与える印刷物の模様でありますので、こういう点につきましては、きまっておるこちらの方針を尊重してやってもらうように指導してまいりたいと思っております。
○松本(忠)委員 十分の指導監督をお願いをいたしたいと思うわけでございます。 次に、商品取引の問題に入るわけでございますが、先般、三月五日の夕刊にでございますが、アズキ相場に失敗して自殺をしたというニュースが載っておりました。また、最近もアズキ相場などに手を出しまして、とらの子の三百万円がなくなったとか、あるいは千二百坪の土地が消えてなくなってしまったとか、たいへんいろいろ悲惨な話が出てきております。こういうことについては農林大臣も通産大臣も十分御承知のことと思いますが、いわゆる客を殺すとか死なせるとか、こういうまことに物騒な話がございます。大体一カ月に一人くらいずつ殺してしまう、これが普通だということをいわれております。 いろいろな実例がありますが、時間の関係でやめまして、私はこの問題についてお伺いしたいことは、監督官庁が現在農林、通産、このようになっておる。このなわ張りの争いからくるところの監督のなまぬるさがないか。アズキなどは農産物でございます。そしてまた生糸、砂糖等の取引の監督、こちらは農林省の商業課、そして生糸以外の繊維とゴムは通産省の商務第二課と伺っております。これはそのように間違いないと思うわけでございますが、このように両省御所管物資の違いによって、二本立ての監督になっております。戦前は証券取引も商品取引も、大蔵省で取引所法のもとに一本に監督したように記憶をいたしておりますが、これを大蔵省に一本化した監督体制にはできないか。もちろん大蔵省に移したとしましても、農林、通産両省と緊密な連絡提携をとりながら指導監督すべきではあろうと思いますが、この点はいかがでございましょうか。まずこれが第一点でございます。 それから次に、仲買い店が全国で二百九十五店ございます。この監督をする監督官がまことに少ない。通産省におきましては本省に六人、地方通産局に、検査官までを入れましてもわずかに十人。農林省のほうは本省に六名。今度本省に一名ふえ、地方の農政局に四名増員されるという話は聞いておりますけれども、このような小人数では監督が完全にできるとはいえないと思います。この監督体制についてどのようにお考えであるか。これが第二点でございます。 第三点は、年じゅう問題を起こしておりますところのいわゆる赤いダイヤといわれておりますアズキでございます。これは端境期を前にいたしまして、証拠金を一枚四十万円にして建て玉の制限を行ないまして、実質的には閉鎖状態でございます。国内の新穀が出回るまでは商いはできないように実質的にはなっているようでございますが、このアズキ相場、これはいつそのことやめにしてしまったらどうか。それくらいの勇断を私は望みたいわけでございますが、以上の三点につきまして、大蔵大臣、農林、通産の大臣に御答弁を願いたいと思います。
○福田国務大臣 商品取引につきましては、それぞれの商品を所管する官庁の商品行政、これと非常に密接な関係がありますので、これを切り離して大蔵省というのは運営がかえってむずかしくなるのじゃないか、さように存じます。これが証券のように、金融資産というか、そういうものを取引との対象としておらぬ、こういうことで困難と存じます。
○倉石国務大臣 商品取引所につきましての監督は、それぞれの上場しておる商品ごとの生産流通の状況を十分把握した上で行なうことが必要であると存じますので、こういう点から、商品取引所の運用にあたりましても、通産物資は通産大臣、農林物資は農林大臣ということになっておるわけでありますが、もちろん同じ内閣のもとにある両省でありますので、その実施にあたりましては合同検査等緊密な連携を保ちながら、指導、監督に当たっておるところであります。今後とも上場商品ごとの取引の特殊性を尊重しながら十分にやってまいりたいと思っております。 最後に監督官、これはもう御指摘の数がそのとおりであります。なお、しかし、ただいまいろいろ問題もあることでございますから、この監督官の業務をできるだけ能率を発揮いたさせることのできますように、農林省といたしましても力を入れてまいりたいと思っております。 それからアズキ、手亡を上場不適格のものにしたらどうかというお話、これは、現在商品取引所に上場されております商品の中でもアズキは花形のようになっておりますが、こういうものはその生産とそれから一応全体のマーケットの調整、価格の調整等について、必要性があって今日までこういうことになっておるわけでありますが、私は今度の問題を見まして、確かに一つにはこの取引所の仲買い人等のモラルの問題もございますが、一般にはこういうことにおなれにならない方々が、社会教育といいますか、もう少しそういう面について慎重にやってもらうようなことが一番大事じゃないかと思うのですが、しかし、そういう一般のしろうとの家庭の欠陥に乗じてあくどい外務員たちの行動がとかくあやまちを生じておるのでありますので、農林省は来年に免許制に切りかえますまでの間に、十分今日までの実績を調べまして対処してまいるつもりであります。
○宮澤国務大臣 通産省関係のものにつきましては、監督をするものが十八名、年間で百五十回ほどの検査をしておるわけでございます。ただ、私は、この問題の本質は、いま農林大臣の言われましたように、価格及び流通の安定という本来の機能と別に、全然思わないいわゆるスペキュレーションにこの三品取引が利用され、しかも大衆が巻き込まれているというところに問題があるので、そのことは実はきのうやきょう始まったことではないわけであります。ところが、そういう本来の目的を離れたことに使われておるということについて本来意図した目的でなかったために行政のほうが十分に対応できていない、そういうところに私は根本の問題があると思いますので、ただいま農林大臣の言われましたように、全体の問題について根本的に私は検討する必要がある、本来の機能を殺すという意味ではございませんけれども、現にそういうはなはだしく弊害のある社会的な悪に利用されておるということを、根本的な再検討の際に考えていかなければならない、そう思っておるわけであります。
○松本(忠)委員 そこでお尋ねしたい点が三点ばかりございます。 検査官が仲買い店の違法の行為を見つけまして、そして営業停止あるいは戒告処分などをする場合に、該当した商品ごとあるいは取引所ごとにそれぞれが行なわれる、こういうふうになっているように聞いております。したがいまして、Aの取引所で営業停止になりましてもBの取引所ではいままでどおり商いができる。どこかに欠陥があってその店自体が営業停止になりあるいは戒告処分になるわけでありますから、やはり取引所ごとであるとか商品ごとであるというようなことでなくて、もっと徹底してそういう仲買い店は商いをさせないように、その営業停止をきちっとさす。これは全取引所、全商品にわたってやるべきではないか、こういうふうに私は思います。 それから第二点としては、取引所ごとに紛議調停委員会というのがございます。この紛議調停委員会は、従来は仲買い店対仲買い店間の紛議が起きた場合にこの紛議調停委員会で処理されていたわけでございます。ですから、調停委員と称する方々もその取引所の理事長とかあるいは長老とか、こういう方々がその衝に当たっております。中立的な性格をもって処理してきたわけでございます。ところが、最近は様相が一変しまして、一般大衆の委託者と仲買い店の間において紛議が発生するわけでございます。で、その調停委員会にこれを持ち込む。もちろんそこに持ち込む前には、取引所に行ったりお役所に行ったり何べんも何べんも行ったり来たりしてたいへんなトラブルが起きております。そこへ持ち込まれます。ところが前と様相が一変しております。調停委員は従来どおり仲買い店が主体でございます。これでは公平な調停ができるかどうか疑問に思うわけでございます。自分で自分をさばくところの勇気があるくらいならば、お客さんとの間にもめごとなんかが起きるわけはないと思う。このような紛議調停委員会を改革すべきではなかろうか。現状に即したようにこの調停委員を任命するについてどのようにお考えになるかを聞いておきたいわけでございます。 それから、仲買い店が登録制でなくて許可制になる。これはただいまお話も伺いました。そこでこの際許可の基準を明示していただきたいと思うわけでございます。営業者の姿勢、仲買い店の構成メンバーあるいは紛議の前歴、あらゆる角度から調査をして信用のある、また事故歴のない優秀な仲買い人だけに許可を与える。いやしくも許可に当たって役所が変なうわさなど立てられないように、十分の体制を考えてやっていただきたい。 この三点につきまして所管大臣からお答えをいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 お答えいたします。 商品取引所法は、取引所への加入及び仲買い人の登録は上場商品ごとにやる、監督官庁の監督権の行使も登録商品ごとに行なうことになっておるわけでありますが、このために従来は、検査それからこれに基づく処分も、登録商品単位で行なってまいったのでありますが、仲買い人の総合化に即応して合同検査をさらに強化いたすとともに、悪質な違法行為の場合には、それが一取引所にかかるものであっても処分はすべての取引所について行なうことについて、いま実は検討いたしておる最中でございます。 紛議調停のことでございますが、取引所に関する紛争は、商品取引所の実情及び当事者の事情に通暁した会員がその調停に当たることが円満な解決に役立つ面も多いと考えておりますけれども、最近は当業者以外の委託者と仲買い人の間の紛争が増加してまいっておるわけでありますから、第三者的な立場の委員の数を増加させるなど紛議調停委員会の委員の構成についても再検討を加えてまいるつもりでございます。 それから最後のお尋ねでございますが、商品取引所員の許可の審査に当たりましては、法律上の許可基準に従いまして、第一は受託業務を健全に遂行するに足る財産的基礎及び受託業務の収支の見込み、第二は受託業務を公正かつ的確に遂行することができますような知識及び経験並びに社会的信用などについて審査を行なうこととしております。社会的信用等につきましては、経営体制それから諸法令の順守状況、改善指導に対する措置状況など、営業姿勢の全般にわたって厳格な審査を行なってきめてまいりたいと思っておるわけであります。
○宮澤国務大臣 残念なことでありますが、ただいま御指摘になりました三点はみんな肯綮に着たっていると思います。不徳義なものは所と物とを問わず不徳義になりやすいわけでありますし、また問題を起こしておる人間自身が調停をしてちゃんとした調停ができるはずもありませんし、かりに財産がしっかりしておっても、過去に故意に不徳義なことをしたという前歴が非常にあるような者は、商品取引の取引員としての信用そのものを落とすわけでありますから、ただいま御指摘の三点は全部、根本的検討の際に考えなければならないことだと思います。
○松本(忠)委員 ただいま所管両大臣からお話がございました。これらの問題につきまして、私の手元にも数々の方々から申し出もあります。実際にここにも計算書あるいは買い付けの報告書、さまざまなものを持って私のところに訴えてきている方がたくさんございます。いずれも家庭にいろいろの問題を起こして、家庭の悲劇を惹起しております。このようなことがないように、どうか所管大臣において十分の態勢をとっていただきたいことを重ねてお願いを申し上げまして、次に移ります。 交通総合政策につきましてお伺いをいたしたいわけでございます。 まず質問に入るに先立ちまして、六日の閣議におきまして荒木国家公安委員長が発言なさいました。この発言は、私自身が機会あるごとに申し上げておりましたことの解決の第一歩を踏み出したものと理解いたしまして、交通安全対策に真剣に取り組んできました私といたしまして、まことに力強く感じた次第でございます。総額十兆三千五百億円の新道路整備五カ年計画の中に、交通安全や管制のための施設費が含まれていないのはおかしい、道路整備費の三%程度は必要だと思われる、こういう御趣旨の発言を国家公安委員長がなさいました。今後もこの精神を貫き通していただきたいと思うわけでございます。とかくいままで道路をつくると道路だけで、横の連係がございません。したがいまして、道路につきものの安全装置、あるいは事故処理対策などに、いつもいつも後手に回っております。それを道路計画と並行して安全計画を立てるべきだ。これは当然過ぎるほど当然の発言でございます。これが、いままでなされなかったのが閣議で初めて論議され、そして総理の発言で交通対策本部長の手元で調整されることになった、このような新聞記事を見まして、たいへん力強く感じたわけでございます。ところでいままでの政府の施策というものはあまりにも縦割りの行政でございまして、横の連係がまことになっていなかったと思う節々がございます。その欠陥も御存じのこととは思いますけれども、今回の国家公安委員長の発言を機会に、大きく変貌を見せていただきたいと思うものでございます。 そこで交通総合政策につきまして運輸大臣にお伺いいたしたいわけでございます。 大臣は、昭和六十五年を目標とするところの総合交通体系をことしの八月ごろまでに発表されるということを新聞記事で拝見をいたしました。まことにけっこうなことでございます。そこでこの計画につきましては、各関係省庁との間に十分の意見調整が行なわれなければならない、このように私は思うわけでございます。たとえば経済企画庁から発表されておりますところの経済指標など、正確な経済の発展を予測したものを基礎にして長期プランを設定することになると思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか、まずお伺いする点でございます。 いずれにいたしましても、交通総合政策は国の施策の基本的なものでありまして、国土総合開発の根本ともなろうものと思われております。それが単なるデスクプランであったり、各省庁のなわ張り争いのばらばら行政が行なわれたり、計画が遅々として進行しない。こういうことでは何もならないと思います。そしてまた実効ある計画でなければ国費の浪費であり、税金のむだづかいになってしまうと思うのでございます。そこで今回の交通総合政策の作成に当たる運輸大臣といたしましての基本的な姿勢、関係各省庁との計画の調整、これをどのように進めていかれるのか、まずこの点をお伺いいたしたいわけでございます。
○橋本国務大臣 私の談話でありましょうが、実はまだその問題について具体的に関係閣僚と相談しておるわけではないのであります。ただ、私、運輸行政を担当いたしまして、もちろん従来ともに総合交通体系という観点に立ってまいったとは思うのであります。しかしながら一九六〇年末及び一九七〇年代に入ってまいりましてからの技術革新あるいは社会経済発展の異常なる拡大、こういう点から考えますと、一九七〇年代というものは抜本的に考え直す必要がありはしないか。そういう意味において、この前、新全総で一応の予測を出しておりますけれども、昭和六十年度末におけるところのGNPは大体百三十兆円から百五十兆円、こういう計算を四十年度を基準にして計算をしておる。しかしこの二、三年間のいわゆる日本の経済拡大は、それから相当上回っております。この三年間の実績を基準にして、たとえば四十四年度の実績を基準にいたしますと、おそらく昭和六十年度は実績でもって二百兆円以上、人によっては二百五十兆円といっております、非常な開きが出てまいっております。したがって、長期計画あるいは予測を立てる場合に、はたして昭和四十年度の実績に伴って長期計画を立てることが妥当かどうかという問題に私は一つの疑問を感じております。その意味におきまして、最近の実績に伴う新全総というものも考える必要があろう。そういうたてまえに立って、そこで最も重要な運輸行政といいますか、運輸交通の総合的なおもなるものをしょっておるわが運輸省といたしましては、そういう観点から、これは二年、三年でできる仕事ではありませんので、長期展望に立たないと抜本的な改革は行なえない、こういう見地から、実は非公式でありまするが、経済企画庁長官に対しましても、ひとつ新しい観点に立って総合体系を考える時期に入っておるのではないか、もちろん、これは一つの予測でありますから、したがって、それがそのとおりに九分九厘間違わず進むというわけではありませんけれども、その二十年なりあるいは三十年なりの長期展望に立っての五カ年計画をあらためて考えなければ、たとえばわれわれ運輸省で考えますと、いわゆる新幹線網というものと、港内海運関係とのいわゆるバランスがはたして妥当かどうか。五カ年計画の問題がはたして妥当かどうか。あるいはまた航空行政にいたしましても、御承知のように、すでにジャンボはこの十二日にパンアメリカンが入ってまいります。三百五十人以上の人を積んでまいる。あるいは一両年のうちにはSSTも入ってくる。これは五百人以上の人を運んでくる。あるいはまた、こういうものが入ってまいりますと、国内の飛行場につきましてもエアバスというものを考えなければならぬ、こういうことになりますると、旅客の輸送における新幹線なり鉄道なり自動車の役割り、飛行機の役割りというもの、貨物の上におけるところの一般軌道の役割り及び道路の役割り、並びに港内、沿岸航海の役割り、こういうものを有機的に考えて、そこで二十年なり二十五年なりの構想のもとに一歩を踏み出すということでなければ国費のむだになる危険もある。こういうことからして、私は、最近の経済拡大の状況から見まして、根本的に洗い直して、そして思い切った、一九七〇年代に新しい事態を考える、これが、私は、一九七〇年代における計画であり、同時に二十一世紀に向かう一つの進歩の第一歩を印するものでなかろうか、かように考えて、このような発想をいたしておるのでありますが、今後これらの構感に基づきまして、非公式ながら、各関係省庁の大臣と十分に連絡をとってまいりたい、かように考えておる次第であります。
○松本(忠)委員 大臣からたいへん遠大な計画についてのお心がまえをお話しをいただきました。 そこで、これに関連する大蔵大臣、建設大臣あるいは経済企画庁長官等にまだお話はないようでございますが、非公式にはあったかもしれませんが、これが将来運輸大臣からお話があった場合に、ただいま申し上げました三大臣におかれましては、どのように対処されるか、この点についてあらかじめ伺っておきたいと思うわけでございます。
○福田国務大臣 新しい交通総合体系につきましては、まだ橋本運輸大臣からはお話は承っておりませんけれども、これはもうほんとに必要な段階になつきておりまして、私ども大蔵省といたしましても、総合運輸体系というものが政府にないと、財政の割り振りもなかなかむずかしいということでありまして、もう運輸省からお話があるまでもなく、前から総合運輸体系というものをここで確立しようじゃないかというのを私のほうからも各省に御提案をいたしておる、そういうような状況でございますから、お話があれば喜んでお受けし、これに取り組みたい、かように考えております。
○根本国務大臣 運輸大臣から内々のお話がありまして、全面的にこれは協力したい。総合的な交通対策をきめるべきであると思っております。
○佐藤(一)国務大臣 運輸大臣から非公式にはお話を承っております。まだ内容の具体化はこれからのようでございます。新全総計画も、御存じのように、全国的な交通ネットワーク、これが一つの新全総の骨格になっております。そういう意味におきましては、私たちとしても、運輸大臣の御提案には非常に注目をいたしております。全体としては、新全総の構想に沿ってつくられるものと思っておりますけれども、同時に、御存じのように、新全総でお断わりしてございますように、あそこに出ていますいろいろなフレーム関係の数字は相当弾力的なものであり、新全総はどっちかというと、プロジェクトが中心でございまして、それの前提の数字でございます。でありますから、相当弾力性もあることでありまして、私たちも二十年先のことを考えておるわけでありますから、運輸大臣の御提案がありました際には、十分にひとつその点も考えまして、御協力を申し上げてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○松本(忠)委員 三大臣から、それぞれこの協力体制についてのお話がございました。われわれも、日本の将来の交通体系を確立するためにどうか一致協力してつくり上げていただきたい、このように思うわけでございます。また、経済企画庁長官が、新全総の問題につきまして、この関連について、これから私もお伺いしようと思っておりましたら、先を越されて御説明がありましたので、了解をいたします。 運輸大臣にお伺いしたいわけでございますが、今日まで数々の長期運輸政策というものが発表されております。計画されております。港湾整備の五カ年計画であるとか、空港整備の五カ年計画、あるいは建設省関係でいえば道路の五カ年計画、しかし、これらの計画がいずれも二年ないし三年で変更を余儀なくされているのでございます。長期にわたる計画は需要の伸び、経済の成長、人口の増減など、的確な見通しを踏まえた上での計画を策定すべきであろうと思います。昭和六十五年という今後二十年間にわたる長期計画である以上は、現実を正確に把握して、十分に練り上げて、空理空論に終わらないように努力すべきではなかろうかと思いますが、この点についての運輸大臣の御決意をもう一ぺん伺っておきたいわけでございます。
○橋本国務大臣 お答え申します。 五カ年計画の一つの進め方でありますが、これは道路の場合におきましても、あるいはまた港湾の関係の場合におきましても、住宅の問題の場合でも、途中で改定が行なわれるじゃないか、見通しが不十分じゃないかという御注意でありまするが、ただ、私は学者といろいろ懇談をした際に、もちろん長期計画に従って第一次五カ年計画第二次、第三次、第四次、こういう計画をする場合において、その社会の経済的な進歩、技術革新、かような、これらを変更すべき事情が生じた場合は、必ずしも五カ年にとらわれなくていいんじゃないか。住宅の場合、道路の場合も、あるいは港湾の場合でもそうでありますが、中途で修正が行なわれる場合があります。もちろん方針としては、五カ年ぐらいは必ずしも動かさないでも済むような計画を立てなければならぬことは御指摘のとおりであります。港湾の五カ年計画は、御承知のとおりに、昭和四十三年度から四十七年度までという五カ年計画が立って、いますでに実施をいたしてまいっておるわけであります。ことしはその五カ年間のちょうど三年目に入るわけでありますが、本年度の予算をちょうだいいたしますと、大体において四八%、これが仕事を進めていくことになります。この五カ年計画の全体の規模は一兆三百億円でありますから、そのうち公共事業が八千億でありますから、その四八%というものはほとんど予定どおり順調に進んでまいってきておる、こういう意味においてはまあまあ港湾の五カ年計画はその予算規模において——いまの経済拡大のものから考えて十分かどうかという問題は別です。それは別にいたしまして、当時作成しましたこの程度のものを昭和四十七年度までには完成したい、こういうたてまえからいいますと、大体四八%いっておりますからして、順調に進んでおると考えておりまするが、しかしこの港湾五カ年計画では私は非常に不十分である。これからの日本の経済拡大に伴ってはやっぱりより拡大された五カ年計画を必要とすることを私自身は感じております。しかしいま直ちにこの修正案を出すという考えではありませんが、いまの経済の物価の動き方から見て、五カ年計画はより拡大されたものを必要とするということを私自身は痛感いたしております。
○松本(忠)委員 ただいま大臣のお話があったとおりに私も思います。船舶一つをとってみましても、大型化は著しいものがございます。二十万トン級の大型船が造船が進んでおるというような状態、しかし港湾の設備はそれにマッチしない。現実に接岸できなくなる。鹿島港におきましても当初十万トンの船舶の入港予定でございましたようですが、途中で二十万トン級の船舶が接岸できるように計画変更もしなければならぬ、こういうふうになってまいりますと、いずれにいたしましても、いま大臣も言われました不十分だということは私も思います。これも計画の練り直し、立て直しということはやらなければならないと私も思ったわけでございます。 そこで一点お伺いしたい点は、この港湾整備の五カ年計画の中に調整費は千百五十億とってあったと思いますが、この調整費は現在どれぐらい残っておるか、この点をお伺いしてみたい。
○栗栖政府委員 調整費でございますが、まだ最終的に関係方面と詰まっておりませんが、約千億程度のものは四十五年度の予算がまとまりましたら、取りくずすように相なろうかというふうに考えております。
○松本(忠)委員 もうちょっとはっきり言ってください。
○栗栖政府委員 千百五十億ございます……。
○松本(忠)委員 千百五十億あって、現在幾らぐらい残っておるか。
○栗栖政府委員 残りが約百五十億程度、幅がはっきりいたしませんけれども、作業をやっている最中でございますけれども、かなりのものは取りくずしてまいってございます。
○松本(忠)委員 いまのお話でございますが、大臣、千百五十億の調整費が、これは経済規模も拡大したと思いますけれども、いま局長は百五十億というようなことを言われましたが、われわれが推算をいたしますと大体五十億ぐらいしか残っておらぬのじゃないかと思うわけです。あと三年もあるのに五十億しか残ってないということじゃ、これはどういうふうになるんだろうか、こういう点を考えるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
○橋本国務大臣 調整費の大部分は、たとえば鹿島港のように十万トンの計画で進められましたものが、おととしでありましたか二十万トンに修正を行なわれたわけであります。でその場合に、二十万トンの工事を進めるためにその調整費の中から一部分を出していく、これは鹿島港だけではありません。重要港湾に対して拡大をする必要が出てきた。いまおっしゃるように、残りが五十億もしくは百億程度でありますというと、いわゆる最近の要望に応じかねる面が多々ありますので、先ほど申しましたように、四十七年度が五カ年計画の最終年度でありますけれども、その途中においても私は修正の必要がありはしないか、こういうことを申し上げましたのは、それらを含めてと御了解願いたいのであります。
○松本(忠)委員 いろいろお伺いしたいことがございますので、少しスピードを上げまして……。 地方空港の整備計画でございますが、この空港整備計画は五カ年計画で四十二年度から発足したと私思っております。現在三年目になりますが、この進捗の状況はどのぐらいいっているか、何%ぐらいいっているか。昨年の閣議におきましても、地方空港のうちの緊急を要するものにつきましては、原則として滑走路二千メートルまたは千五百メートル級に整備するとともに、エプロン、航空保安の施設なども整備するというふうに決定されたことを伺っております。しかし四十五年三月現在、第二種空港で本年完成予定が一カ所、第三種が一カ所、離島の第三種が一カ所、整備予定の空港二十七カ所、このうちで三カ所しか本年じゅうにできない、こういうことをいわれておりますが、これでは計画どおりに完成できないと思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○橋本国務大臣 こまかい事実の問題は航空局長から答弁させますが、御承知のように、最近飛行機自身が国内航空においても大型化してまいっております。たとえばバイカウントとかビーチクラフトとかフレンドシップのような中型飛行機じゃなくして、大体大型に近い一まあYSは大型とは言えないかもしれませんが、YS級もしくはジェット級の飛行機が地方航空にも参るようになってまいりましたので、非常に整備が急がれております。そういう意味において本年度からいま御審議をいただいておりまするように、空港整備特別会計という新しい制度によって弾力的運用を期したい、こういう方針で整備を進めてまいりたい、かように考えております。
○松本(忠)委員 それから今年度に空港整備の特別会計を組む御予定のように伺っておりますが、これの財源はどのようにお考えでございましょうか。
○手塚政府委員 特定財源といたしまして着陸料、そのほかの土地その他の貸し付け使用料、こういったもの、そのほか大きなものは一般会計からの繰り入れ財源、かようでございます。
○松本(忠)委員 建設大臣に伺いたいわけでございますが、建設省は大型コンテナの陸上輸送につきまして今後どのように対処されるか、具体的にお聞きいたしたいわけでございます。
○根本国務大臣 最近コンテナが国内的のみならず国際的に非常にこれが発達してまいりましたので、これに対応する措置を講じなければならないと思っています。これは特に東京湾を中心とする地区、それから大阪等でございまするが、これにつきましては湾岸道路の整備とこの湾岸にある埠頭、これと都心等を結ぶ線がまず第一に考えられなければならぬと思って、いま鋭意その研究をしております。 しかし、今度このコンテナが日本の至るところの道路に進出してまいりますと、これはかえって道路がこわれたりなにかするので、その規制の面は関係省庁ともよく打ち合わせしていかなければならぬと思います。 なおまた、現在のコンテナが大型化しつつある現状にかんがみまして、いま検討中の道路構造令をもう一回検討いたしまして、コンテナ時代に対応してそれに耐え得る構造令をつくってまいりたいと考えておる次第であります。
○松本(忠)委員 大蔵大臣に伺いたいわけでございますが、この長期計画がしばしば途中で行き詰まりを見せます。計画そのものに見通しの甘いなどということはないと思うのでございますけれども、どうも途中で行き詰まりを見せるような傾向があるようです。この計画を途中で縮小するとかあるいは打ち切りにして次の計画をまた新規に立てる、ここでこういうことがしばしばございます。このような国土開発のための輸送機関並びに施設の整備には十分な予算を計上をしていただきたい、こう思うわけでございます。 先ほども大蔵大臣から、運輸大臣の言われるところの交通総合政策について御理解ある発言がございましたが、この運輸政策の推進のための予算措置として、大蔵省は今後どのような御方針を持っておられるのか、大臣は今国会の当初の財政演説におきましても、道路、港湾整備などの社会資本の充実は必要である。七〇年代においては、この問題の解決が必要であるといわれております。この点からも大蔵大臣の御見解を伺っておきたいわけでございます。
○福田国務大臣 長期計画につきましてはいろんなものがありますが、それが計画によりましては、五カ年あるいは十カ年と、こういうことになりますが、その計画期間中に修正をすることがしばしばあるわけであります。修正というか新計画に切りかえる、こういうことがしばしば行なわれるわけでありますが、これはその計画を設定した時点の五年なり十年先の経済の見通し、その見通しが実は狂ってくるわけなんです。十%成長と見ておったのが十三%成長になっちゃった、こういうようなことで、それではもう輸送力が需要に追いつかない、こういうことになります。まあ道路なんかずいぶん変えたわけでございますが、そういうふうに新計画を改定をするということが起こるわけでございます。しかし、新計画を策定するにせよ、あるいは従来の計画を修正するにせよ、そのときにはこれは政府の計画でありますから、当然その財源をどうするかということを十分検討いたします。財源を具しまして、五カ年なり、十カ年の新計画を立てる、かようにいたしておるわけでありまして、財源の充足につきましては、その計画の線に沿いまして最善の努力を尽くす、さような所存でございます。
○松本(忠)委員 ただいまのお話のように、計画の見通しの点について誤ると確かに——まあ物価も四%に押えようと思っても四%以上、五%以上になってしまう、こういうようなところから、どうしても人件費の値上がり、あるいは物価の値上がりによって計画の遂行が万全にできないということになるわけでございますが、十分今後このような点について財政措置もとっていただいて、当初立てた計画が完全にでき上がるように、どうか御配慮願いたいと思うわけでございます。 そこで最後に、この問題につきまして運輸大臣に。長期計画にはいろんな防災対策が必要ではないかと思うわけでございます。いずれの長期計画も、いままであまり防災対策が組み込まれた例は聞いてないように思いますが、今回大臣がお考えになっておられるところの交通総合政策の中に、防災の対策をお考えになるかどうか、これについて承っておきたい。
○橋本国務大臣 これからやはり総合体系をつくるにいたましても、大体、スピード、超スピードのものになってくるわけであります。飛行機にしてもそう、あるいは鉄道にしてもそうでありますし、船にいたしましてもそうであります。したがって、まず第一には、技術革新に伴うそうしたスピード化に追いつくような安全上の技術開発というものが必要になってまいります。そういう意味において、自動車に関する研究所等も今回の国会で御承認を願うわけでありまするが、当然予算の上におきましても、これら通信回線を含めて、いわゆる安全体制、まず技術の、科学の上からの安全体制を備えると同時に、人間の訓練ということも、飛行機の場合も、今回の予算でも学校等が増大してもらうことになっておりまするが、これらを含めて、いわゆる安全体制を人的にもあるいは機械の上でもこれが両全を進めていきたい、それらを予算の中に含めて要求したいと考えております。
○松本(忠)委員 この問題の最後でございますが、いずれにいたしましても、国土開発の基本となるべき交通総合政策は、ただいまもお話がございましたように、関係省庁との間の完全なる連携、そして多額の社会資本の投下、数多くの問題を内蔵していると思います。 そこで運輸、建設、大蔵の三大臣と行管長官にお伺いしたいわけでございますが、長期国土開発には実施面を一本化したところの独立した機関が必要ではないかと思うわけでございます。そこで、建設省を主体としたところの国土省の設置については、どのようにお考えになるか、それぞれのお立場から簡単にお答えを願いたいと思う。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 御提案の趣旨に基づいての総合的な一元的な機関をつくることも一つの考えかと思います。ですけれども、また反面、なかなか現実問題としては形は整いましても、実施面においてはたして期待どおりにいくかどうかというふうなことが、今日まで右せんか左せんかと考えられながら、今日の状態を維持しておることだと存じます。いま私、いきなり御質問に応じまして明快な具体性を持った考えを申し上げかねますけれども、縦割り行政を基本にいたしましてその横の連絡を総理大臣のリーダーシップ、見識に基づいて調整していく。そして縦割り行政の欠陥を補うという構想のほうが現実的ではなかろうか、かように存じます。
○福田国務大臣 私もただいま行管長官の述べられた御見解と全く同一であります。いろいろ利害得失はありましょうが、現在のような縦割り機構のもとにおきまして横の連絡を緊密にしていく、これが最善であるというふうに考えます。
○橋本国務大臣 御意見は傾聴すべきところがありますが、御承知のように、たとえば飛行機の技術あるいは鉄道の技術と道路の技術、あるいは港湾等たいへん違った技術を持っております。したがって、原則としては、従来のような縦割り行政のもとに行なうと同時に、行管長官、大蔵大臣が言われましたように、横の連絡をどういう形にするか、あるいは法制でもってこれを考えるか、こういうような積極的な調整を行なっていくという必要は十分にあると存じます。
○根本国務大臣 御提案の件はもう非常に長い間検討されましたが、実質なかなかそれの実現に至らないというところの状況から見まして、行政管理庁長官が申されたことが現実的であり、当面これを進めるべきであると考えておる次第であります。
○松本(忠)委員 次に、万博の問題に入りたいのですが、時間もあと二十分ほどしかございませんので、少し急ぎましてお願いをいたしたいと思います。 まず万博担当の通産大臣と運輸大臣にお尋ねをしたいわけでございますが、万博の入場予想者が三千七百万から最近では五千万、このような数字も聞いております。ピークの時点には一日あたり五十九万四千人、こうなるだろうともいわれております。これはわが国で初めて経験する人の波でございますが、これに加えまして、先ほども運輸大臣からお話がございましたように、十一日にはジャンボも入ってまいります。ことし海外から日本を訪れる外国人は昨年よりも二三%増の七十五万人、このようなことも予想されておりますし、このうち六〇%に当たる四十五万人が万博開催中に来日して、その大部分が万博を見る、こういうことになるだろうと思います。 そこで、この国内輸送の総元締めでございます運輸大臣に輸送事情、万博担当の通産大臣から会場の受け入れ体制、特に駐車場の問題等について、簡単でけっこうでございます。お伺いしておきたいと思います。
○橋本国務大臣 日本の万博が非常に前景気がよいので、予想以上の人が来るのじゃないかとわれわれは思っております。五千万人という、これが平均して参ります場合は、必ずしも現在の事情で困難はありますけれども、これが集中して来るということになりますというと、相当の混乱がある。しかし新幹線、鉄道等の点から考えますれば、われわれのほうとしては相当の者が参りましても、大体輸送上の差しつかえはない。問題は、道路等における自動車の交通がどうなるかということを心配をいたしておる次第であります。
○宮澤国務大臣 昨年早く、当時三千万と考えられておりましたものが、五千万の可能性が高いということになりましたので、場内のいろいろな設備を、それにつきまして大体新しいベースでやっておるわけでございます。売店でありますとか、あるいは出改札でありますとか、警備、消防、救急あるいは医療等、長くは申し上げませんが、そのようにやっております。宿泊についてはほぼ見当がついたようでございます。駐車場は、一部の専門家の話によりますと、場合によっては一万ほど足りないのではないかということがいわれております。できるだけバスの利用であるとか、地下鉄の利用であるとか、あるいはまた混雑する日が大体予想がつきますので、地方からマイカーで来られる人たちにその日を避けてもらうように周知徹底方をはかる、あるいは広域輸送対策をするというようなことで、実は一番その点を心配しておりますが、現在できる限りのことはいたしておるつもりでございます。
○松本(忠)委員 駐車場の問題につきましてはまた機会を見まして、私いろいろとお伺いしてみたいと思っております。いろいろ材料も持っておりますが、きょうはその問題は割愛いたします。 次に、外務大臣と公安委員長に伺いたいわけでございますが、各国の貴賓客が参ります。すでに七日にもコスタリカから商工大臣が賓客の第一号としてお見えになっておりますが、これらの方々に対する警戒体制、これをどのようにとっていかれるのか、外務大臣と公安委員長からお伺いしておきたい。
○愛知国務大臣 万国博覧会に参加する国の総数は八十になりまして、その中でもうすでに政府賓客を派遣する国が決定しましたのが五十六でございます。それから賓客を派遣しない国というのがわずか三カ国で、あとはこれからどんどんきまっていくだろうと思いますが、いままできまりました中でも、元首が十一、元首に準ずるもの及び総理大臣が十七、皇族が八、閣僚が二十、こういう状況でございますので、外務省といたしましては、この機会にこれらの賓客の方々が十分満足して使命を果たされるように万全の対策を講じておるわけでございます。が、一口で申しますと、その接遇関係の中で宿泊関係等はまず十分と思います。 それから交通関係が一番心配でございますので、大阪までの間は新幹線で旅行していただく、それから、大阪から会場までの間は、やはり賓客でございますから、また向こうさんの御希望もいろいろございますから、原則として自動車でお運びをすることになっておりますけれども、やはり警戒、混雑その他いろいろの関係を考えまして、警察の御当局の御注意や御心配もございますので、場合によりましては大阪から北大阪急行電鉄、これの利用ということも便宜あわせて考えております。 〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 外国の賓客等が多数見えますことは、いま外務大臣のお話しのとおりでございます。これに対します身辺の安全確保を第一といたしましての警護課題でございますが、結論から先に申し上げれば、万全を尽くして、遺憾なきを期したいという考え方のもとに、それ相応の準備を整えておるような次第でございます。 具体的に申し上げることもございますが、時間をセーブする意味において、以上概括的にお答え申し上げます。
○松本(忠)委員 時間もございませんから、またゆっくりお伺いをすることにいたしますが、万博には紛争の当事国も参加するようでございます。いろいろと予想のできない問題もこれから起こるのではないかと思います。たとえば国旗の破損など、これは一国の名誉にも関する問題でございますし、またいわゆる一般の見学者の中に、悪意でなくとも、他国の国威を傷つけるような者も出るのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そこでいわゆる国家あるいは国旗、こういうものに対して敬意を表する、そういうことに対するキャンペーンを展開する必要がないか、この点についてお答えを願いたい。
○愛知国務大臣 まことにごもっともなお尋ねでございまして、われわれといたしましても、そういう点に万々遺漏ないようにいたしたいと思いまして、PRその他の点につきましても、これまでも十分つとめてまいったつもりでありますが、これからも細心の注意を払ってまいりたいと思っております。
○松本(忠)委員 それから外国のお客さんが来ました場合に、外国人だから交通事故に絶対あわない、こういうわけにはまいりません。したがいまして、外国人の方の交通事故に対する処置、長期にわたって滞在して治療して、それから帰るというようにいかない場合もあるのではなかろうかと思います。こういったものに対しましての補償、これも短期間にやらなければならないと思いますが、こうした外人客の交通事故に対する処置をどのようになされるのか、お考えがありましたら公安委員長から伺っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 一般的な交通事故に対しましては、事故処理を敏速にするという手配を——レッカー車を十七台も準備いたしまして対処する準備はいたしておりますが、御指摘の外国からの賓客に関する交通事故でも起さたときに具体的にどうするかということは、残念ながら具体的には考えておりません。むしろ絶対に事故を起こさせないという考え方で臨みたい。さらに御指摘もございますから、万一の場合を考えましての特別の処置をいかにすべきか、いまからでも間に合いますから、検討したいと思います。
○松本(忠)委員 急ぎまして……。 これらの万博に外国から来られる方が国際空港へ飛来するわけでございます。先日も夜間八時ころ羽田の空港へ行ってみました。夜間になりますと、到着便がふえてくることは御承知のとおりでございますが、ここでジャンボが到着するというようなことになりますと、たいへんな問題になってくる。 そこでまず第一が税関の問題でございますが、自主申告制を採用することはけっこうでございますが、金塊とか麻薬に対する問題はどうなるか、この点を——申告するわけがないと思います。したがいまして、申告納税をしない、そのほうの列の中にそういう人が入っておるわけだ、そういう者に対してどのようにするか、それからまた貨物量と小荷物の量、そういうものと税関の配置の人員がマッチしているかどうか、そして夜間の勤務の割り当てなど聞いてみますと、非常に過酷な勤務体制のように思われます。 それからまた、これは法務大臣の管轄でございますが、入管のほう、これも聞いてみますと、年齢が四十歳以上の方で非常に体力の限界を越えた勤務ぶりでございます。ピークのときにはお手洗いにも行けない、こういうことをこぼしておりました。休憩、仮眠の施設も不十分でございますし——ことしになってから増員が六名あるとかいうようなことも言っておりました。また検疫の問題にしてもたいへんでございます。厚生省の管轄でございますけれども、人間のほうは一応注射がしてあるということで、それを見せれば通るわけですが、そのほかにも動植物の検疫の問題もございます。こちらは農林省の管轄でございましょうが、口蹄疫などの問題もございまして、これらの税関、入管、それから検疫、こういうものの体制が横に十分マッチしていないと、入管のところでつかえてしまったり、あるいは税関のところでつかえてしまったりして、せっかくあこがれの日本へ到着しても、羽田の空港で四十分から四十五分、こういう時間を待たなければならない。非常に日本に対する第一印象が悪くなってくる、こういうことを考えるわけでございます。アメリカの雑誌であるタイムにも、羽田が世界で最も混雑のひどい空港だ、このように報道がされております。 そこで、これらの税関の問題あるいは入管、検疫等の問題について、それぞれの所管大臣から簡単にお答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 外国旅行をいたしまして、まず飛行機、船で港へ着く、その際の税関当局の応待ぶり、これがその国に対する第一印象になる、こういうような状況であることはもう同感でありまして、さようなことを考えながら、常々この税関当局の外人に対する応待ぶり、これにつきましては、気をつけてやっておるわけでありますが、最近非常に改善されてきておる。それから通関の諸手続のスピードですね、これもかなり改善をされてきておるのでありますが、今度の万博は、特に外人の来訪が多いわけでありますから、この際こそ、わが国がいい印象をこれらの外人に持っていただかなければならぬ機会である、さように考えまして、御指摘のように、人手が非常に窮屈なわけでありますが、差し繰りをいたしまして、そういう方面につきましては、ただいま申し上げたような趣旨で、万遺漏なきを期していきたい、かように考えます。 ただ、御指摘のような麻薬でありますとかあるいは金だとか、こういう密輸の容疑があるものもあるわけでありましで、それと一般の善意の旅客に対しまする応待をよくするというのをどういうふうに調整するか、これはむずかしい問題でありまするが、細心、最大の努力をいたしていきたい、かように考えます。
○内田国務大臣 検疫の問題が大きな問題の一つになりますが、これに対処いたしまして、本年度ごく少数の増員をいたします。それだけでは足りませんので、全国各地域における検疫官をチーム編成をいたしまして、そして外来客の多いところの検疫所に期間中応援出動をさせる手配をいたしております。 なお、口蹄疫の問題がございましたが、農林大臣からお答えがあるかもしれませんけれども、これは人間にうつらないということで、人のほうでは対象にいたしません。公衆衛生、環境衛生、食品衛生などにつきましても、万般の手配をいたしております。
○小林国務大臣 羽田の問題でありますが、現在百二名おりまして、夜間に重点を置いて、そのほうに多くの人をさいておる、二交代制でそういうふうにいたしております。しかし、いまのお話の、非常に入国者がふえる。こういう関係から、この四十五年度予算で、羽田には入国審査官を十一名、また警備官が三名と、こういうものを増員することになっております。また、事務処理といたしましては、羽田が非常に混雑をいたしますから、今度はあそこは入国と出国とを分けまして、入国審査課、出国審査課と分けて、その審査の場所も別にする。こういうことによって事務処理の促進をはかる、こういうことをいたしております。また、お話のように、これらの方の休養の場所等においては、非常に不完全でありますので、これらの改善等も考えておるのでありまして、いずれにいたしましても、迅速を期する、こういうことで、ひとつ努力をいたしたいと考えております。
○松本(忠)委員 いまのお話でございますが、法務大臣は、入国出国を別々にする。これは、あそこに建物ができますと、七月ないし八月になりますと、別々にできるわけで、別々にできるようになると、いまのところは上と下ですから、たいへんスムーズに回転よくできるわけですが、遠く離れてしまいますと、人員を倍にしなければ、これは不可能の問題になってくる。向こうに行ったり、こっちに来たりたいへんな苦労ができる、こういうことを担当の係の人が言っておりましたが、これらの点について、七月ないし八月ごろに新しく出入国が分離された場合に、どのようにお考えになっているか、ちょっとこの点も簡単に伺っておきたい。
○小林国務大臣 ただいまの問題は、大体万博の関係もありますが、六月ごろには実施したい、かように考えておりまして、いまお話しのような問題も起きてくるのでありますが、これはある程度やむを得ないが、これに対処するいろいろな方法をいま考えております。
○松本(忠)委員 それから農林大臣に伺いますが、二月の十三日付で全国の動物検疫所、支所、出張所あてに口蹄疫病に対する予防措置を農林省でとられております。そこで、香港経由の飛行機の乗客は、全員消毒液のマットの上を歩かせております。この厳戒体制は、万博を控えてまことにけっこうなことだと思うわけでございますが、中国からの食肉輸入を防ぐためのオーバーなゼスチュアであるというような声も聞いております。 そこで、この際ですから伺うわけでございますが、口蹄疫の発生個所はどのようなところなのか、香港関係だけの問題なのか、また、この検疫、口蹄疫に対する——特にいまのようなマットの上を歩かせているようなことは、今後もずっと続けるのかどうか、こういうことについてお伺いしておきたいん。
○倉石国務大臣 最近、香港政庁から通報がございまして、香港地域内に口蹄疫が発生したということを通報してまいっております。中共の国境の近くのようでありますが、そこで羽田では、そういう汚染地区から来る乗客に消毒用のマットの上を踏んでくつ底を消毒してもらうようにしてるわけであります。世界の各地に汚染地区として指定されておる地域がたくさんございますが、そういうような方々にも、やはり相当な消毒についての手続をやってもらいたいと思うのであります。 なお、ただいま羽田に十九人の防疫官がおりますのを五人増員いたします。それから伊丹に四人おりますのを二人増強いたしまして、この点について万遺憾なきを期するわけでありますが、その他動物の輸入につきましては、十分危険を防止することのできるように、検疫体制に万全の措置を講じたいと思っております。
○松本(忠)委員 以上で万博関係を終わりまして、あと陸運行政その他についてお伺いする予定でございましたけれども、時間もございませんし、また機会をあらためましてお伺いすることにいたします。どうもありがとうございました。
○中野委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。 午後の会議は、二時より再開することといたします。 この際、暫時休憩をいたします。 午後一時十九分休憩 ————◇————— 午後二時七分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際最高裁判所当局の出席説明の承認についておはかりをいたします。 中谷君の質疑中、最高裁判所民事局長の出席説明の承認をいたしたいと思いまするが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○中野委員長 一般質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
○中谷委員 私はきょう、憲法二十一条の問題をまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。質問要旨を提出しておきましたが、重ねて報道の自由と裁判の公正についてというのが、一番最初に私がお尋ねをしたい問題であります。 いわゆるフィルム押収事件であります。この問題については、報道の自由、すなわち取材の自由、自主的に編集をする自由、そうしてそれを報道する自由、まさにそこに国民的な関心が集まっており、報道の自由というのがきわめて大事な民主主義の基礎であることは言うまでもありません。同時に、裁判が真実を追求をする、そこに報道の自由と裁判の真実追求の間に交錯する問題がある、矛盾する問題がある、調和しがたい問題があるというのが、報道の自由と裁判の公正についてのいわゆるフィルム押収問題であります。そこで、この問題については、すでに私は博多駅事件発生以来、何回かにわたって法務委員会において発言をしておりますので、一点だけ官房長官にお尋ねをいたしたい。 報道の自由と裁判の真実追求ということを調和させるためには、報道の自由を確保したことを原則として、そうしてたとえばケース・バイ・ケースにおいて報道機関に提出等については判断をさせる、こういうふうな特別立法の措置が必要ではないか、報道機関もそのことを強く望んでいるわけであります。この点についての長官の御答弁をいただきたい。
○保利国務大臣 ただいまの御質問は、法制局長官からも本委員会かあるいは他の機会かでも詳しく申し述べておりますが、昨年の十一月二十七日の大法廷の判決要旨にも、この調和がいかに大事なことであるかということを強調しておられることは、私も拝見をいたしております。しかし、いま政府部内で、お話しのような特別立法を考えるというようなことは、私はまだ何にも伺っておりませんし、検討されておるということはないと思っております。
○中谷委員 では、長官に重ねてお尋ねをいたしたいと思いますが、最高裁判決があった、そこで法律的な問題についてはすべてピリオドが打たれたのだというわけには、この問題はいかないだろうと思うのです。要するに、報道の自由と裁判あるいは捜査における真実追求ということは、常に今後の問題として残っている。現在の法体系のもとにおいては、あるいは最高裁判決のような結果を招来することはやむを得ないかもしれない、しかし、それでは報道の自由というものが守れないではないか、これが報道機関のこの問題に対する憲法二十一条問題についての切実な希望なんです。したがって、この問題については前向きに検討すべきである。少なくとも調和をはかるための立法措置を講ずべきである。このことを私は長官に、まさに報道の自由を守る政府の政治姿勢としてお聞きしたい、こういうことでございます。
○保利国務大臣 裁判の公正を期するということ、報道の自由、したがってまた、取材の自由が確保されなければならない。そこの接点の調和をどういうふうにはかっていくかということが、あの昨年の大法廷の判決要旨にも述べられておることをよく承知いたしております。これはおそらく法律学者あるいはその専門筋等においてどういうふうに検討を進められますか、少なくともそういう立法の手段が講ぜられるということができれば、それはたいへんけっこうなことだろうと思うが、非常にむずかしい問題ではないかと、私はしろうとでございますからよくわかりませんけれども、その調和というところをどうはかって、それを立法によって示していくという、法によって示していくというむずかしい問題のようで、しかし、政府部内の法制当局者において御検討を願うということ、当然のことであろうかお思います。
○中谷委員 フィルム押収問題というものは、次のような経過をもって今後発展をしていく可能性があります。すなわち、フィルムを押収した、そのフィルムの証拠能力等についてカメラマン等が証人として証言を求められる。そういたしますると、われわれは直ちに昭和四十二年のいわゆる朝日新聞記者事件というものを想起せざるを得ない。そういたしますると、医師、弁護士等については証言拒否権がある。アメリカの例については、すでに政府においては十分御調査をいただいておると思いまするけれども、一八九六年、メリーランド州において新聞記者の証言拒否権を認めている。ほとんどアメリカの州の四分の一くらいではそのような保護、権利を与えている。こういうふうな証言拒否権の問題について、法務省としては前回、私の質問について、前向きのかっこうで検討したいということを述べられたと記憶をするが、大臣、この問題についてはどのようにお考えになりますか、法務大臣の御所見を承りたい。
○小林国務大臣 ただいまの問題につきましては、私は直接検討をしたこともございませんし、まだその向きの事務当局の意見も聞いておりませんから、事務当局から必要ならお答えいたします。
○辻政府委員 お答えいたします。 新聞記者の証言拒否権あるいは報道に関する押収、捜索の拒否権という問題につきまして、その立法化を検討すべきでないかという中谷委員の昨年の法務委員会における御質疑につきましては、重々承知いたしておるわけでございます。その後、先ほど来御議論になっておりますこの問題につきまして、最高裁の大法廷の決定が出たわけでございまして、この決定におきましては、まことに詳細にこの二つの法益の調和の問題を論じておるわけでございまして、私ども法務省の事務当局といたしまして、この線に基づきまして事柄を処していきたい、いくべきであると考えておる次第でございます。
○中谷委員 報道の自由と裁判の公正、真実発見の問題については、最高裁判決がすでに出されておりますけれども、重ねて申し上げますが、この最高裁判決については、その最高裁判決の論理を構成された努力は多といたしまするけれども、報道機関のほうから非常な不満があることは事実であります。これを救済するためには、立法的な措置を講じなければならない、こういうふうに私は考える。 しかし、この問題についてはこの程度にいたしまして、同じく憲法二十一条の問題として私が理解をいたしまするいわゆる言論・出版妨害についてお尋ねをいたしたい。 この問題について、冒頭私は、報道の自由と裁判の真実追求との調和点をどこに求めるかという問題を提起いたしましたけれども、いわゆる当委員会において問題になりましたところの言論・出版妨害事件なるものは、料亭が出てくる、金で本を買収しようという問題が出てくる、したとかしないとかという問題が出てくる。同じ報道の自由と裁判の真実追求という問題、火花を散らすような論争がされておりますけれども、言論・出版の自由妨害の問題というものは、事実関係においてもきわめて不透明であり、きわめて不明朗であります。したがいまして、そういう問題については、ひとつ事実関係に基づいて私はお尋ねをいたしたい。 最初、前回赤松委員がこの問題について発言をいたしました。これに対して福田大蔵大臣は特に発言を求められて、次のように述べておられます。「いま私のことがちょっと出ましたからお答えします。私の幹事長時代のことかと思うのですが、いまのその本は、私は初めていまここで御紹介にあずかるような次第でありまして、直接にも間接にも関係いたしておりませんですから、よく御承知おき願います。」こういう御答弁であります。さて、そういうふうな御答弁がありました。私自身はたしてそういうことなのだろうかどうかということで、問題になりました創価学会と公明党を原告とし、「株式会社しなの出版」と「信濃印刷株式会社」を被告とするところの裁判記録というものを入手をいたしまして、検討いたしました。御承知のとおり、裁判記録というものは、確定記録はだれでもこれは見れる記録であります。その中に公明党の都会議員であると私は承知いたしておりまするけれども、竜年光君という人の裁判記録の中に疎明書が出ております。疎甲第二一号という、それによりますると、当時竜君は、昭和四十二年十月一日、この図書に関して自民党幹部と話し合ったことがある。そうしてだれと話し合ったかというと、元公明党の委員長辻参議院議員と二人で自民党本部に行った。そうして自民党の組織委員長の辻寛一さんと面談をして、この問題についての話し合いをした。そうすると辻さんは「「党として、そのようなことは初耳である。福田幹事長とも相談の上自民党員のだれかがやっているのかどうか調査し回答する」と答えました。」とあるわけであります。これは裁判所に出ている報告書でございますね。そういたしますと、公党である公明党の責任者が自民党の組織委員長のところへお伺いをして、そうして当時幹事長であったところの大蔵大臣であるところの福田さんに間違いなしに話は伝えますと言っている。そうしますと、この疎明書から見る限りは、だれが考えても、直接にも間接にも関知をしないんだというお話は、どうも私としては常識的に納得いかない。しかし、これは幹事長御自身のことであります、大蔵大臣御自身のことでありますから、ひとつ関知しないのかどうか、これは私、赤松発言に対する特に大蔵大臣の御答弁があるので、この点についてお答えをいただきたい。
○福田国務大臣 前回も申し上げたとおり、間接にも関知をいたしておりません。直接はもとよりであります。私はその辻さんや竜さんに自民党本部でお目にかかったこともない。辻さんという人は一回ぐらいお目にかかったことが他の席でありますが、竜さんという人は顔も名前も全然承知しないのであります。
○中谷委員 では、次に、私は言論・出版の妨害というふうなこと、言論の自由を守るというふうなこと、こういう観点から「これが創価学会だ」という書物に対する次のような点について、法制局の長官にお尋ねをいたしたいと思います。次のような質問であります。 詳細に問題の裁判記録を検討いたしました。そうすると、その裁判記録の中には訴えの取り下げ書が出ている。その訴えの取り下げの理由の中には「今後同種の出版をしないことを誓約」した、こういうところの誓約が著者や「しなの出版」などとの間に公明党・創価学会が約束をしたことがうかがわれる記載があるわけです。そこで私はお尋ねをいたしたけれども、文筆業者に対して、文筆を業とする者に対して、将来長く筆を折らせるような、そのような契約というふうなものは、それ自体公序良俗違反に当る危険性、可能性というものを十分含んでいるのではないか、そういうふうな約束をさせること自体、言論・出版の妨害に当たるきわめておそろしいことではないか、不遜なことではないか、こういうふうに私は思いまするけれども、長官のこの点についての御見解はいかがでしょうか。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 まず最初に申し上げたいことは、一定の内容の著作物を出版するかどうかということ、これは元来その者の自由に属する問題であることは申すまでもございません。したがって、自己の自由意思によりまして第三者との間に将来一定の内容の著作物は出版しない旨を約束すること、このことは国法上必ずしも許されないことではないというのがまず第一にまいります。しかし御指摘のように、公序良俗に反する契約、法律行為の無効というのが民法の規定にございます。でありますので、いま申し上げたようなこの直接の具体的な問題について、これを私が判断するのはむずかしいと思いますが、ごく一般的にいって、いまの自由の範囲内に、普通の私的自由に属するような中身でやっている限りのものは、これを一がいに無効ということには断じがたいと思います。しかし、将来かりに一切の出版活動をしないとか、まあ具体的な場合に応じまして程度を逸脱すると思われるようなもの、これはないとは言えますまい。そういうものはまさに公序良俗の問題になりましょうが、要するに、いま申し上げたように、はなはだ抽象的なお話で申しわけございませんけれども、一がいにこれを有効とも無効とも論じ去ることはむずかしいのではないか、やはりその内容次第によるのではないか、こう思うわけでございます。
○中谷委員 念のために御出席をいただきました最高裁にひとつお尋ねをしておきたいと思いますが、本件裁判記録を通じまして、裁判所が、創価学会・公明党と被告である「しなの出版」ほか一社に対し、和解を御勧告になったというふうなところの事実は、記録の上からうかがわれない、こういうように考えますが、いかがでございましょうか、一点だけお答えをいただきたい。
○矢口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 ただいまの事件は、昭和四十二年(ヨ)第一〇三八七号図書発行禁止仮処分命令申請事件、これをおっしゃっておるものと考えておりますが、この事件は、四十二年十月三日に申請がなされまして、それに対します第一審の決定が出ましたのが十月十三日でございまして、ごくわずかでございまして、和解の勧告等は記録上は一切なされておる形跡はございません。
○中谷委員 まさにこの訴訟というのは竜頭蛇尾の訴訟であります。一回訴訟をやって、二回目には、口頭弁論記録を拝見いたしますると、公明党の委員長の竹入君と創価学会の代表役員であるところの池田大作さんが不出頭ということで、訴えの取り下げが行なわれている。裁判所は和解の勧告をしないけれども、急速に強力な和解の話が進められた、こういうふうな事案であることがうかがわれます。 そこで、その取り下げ書の理由の中に、次のような記載があるわけであります。本件について、全部「これが創価学会だ」という本は無償で廃棄したのだということが、訴えの取り下げの理由の中に記載されている。裁判記録を詳細に検討しますると、公明党・創価学会の諸君の言い分は、かりに仮処分決定が出ても、お金で済むことじゃないか、これが一つの主張点の柱だから、仮処分の決定を出してくれということ。そうすると、被告であるところの「しなの出版」のほうは、こんなものが売れなくなったならば、自分のところの会社はつぶれてしまう、こういうことが一つの争点になって、仮処分が出されるか出されないかであって、結局公明党・創価学会の申請が却下になっている。その後本訴に移ったという事案。 そこで、私は率直に申し上げまして、これははなはだ恐縮だけれども、無償で廃棄したということについて、はたしてこんなことが無償で廃棄されるものだろうか。ここには何ときわめて明確に十万五千三十八冊を廃棄したということまで書かれてある。八冊とまで書いてある。そういうふうなことがはたして許されるものだろうか。この「しなの出版」というのは、私が調べたところによりますと、資本金二百万円程度の小さい会社です。廃棄をしたところの一冊の損害が百五十円だとしても、十万冊といえば千五百万くらいになる。無償で廃棄なんということがあり得るのだろうかということの疑問が一つ。いま一つは「創価学会を斬る」という本について、どちらのほうからかは知らないけれども、買収をするとか買収をしてくれといったようなことが申し向けられたということが、本委員会で論議をされている。いま一つは、裁判所の却下決定の中に、かなり売り込みがあったのだということが書かれておる。そうすると、一体ほんとうに無償なのかどうかということがきわめて私は疑問に思う。 そこで、国税庁長官に私は御出席をいただきましたけれども、四十三年の出来事でありますが、無償で廃棄をしたならば、税法上の取り扱いは一体どうなるのであろうか。これについて損金ということで計上されるのだろうかどうか、この二つの会社についてはそのような損金として計上している、そういう事実があるのかどうか、この点についてひとつお答えをいただきたい。
○吉國(二)政府委員 ただいま御質問のございました商品を廃棄した場合、この場合には、通常その商品が販売できないとか、そういう欠陥があるためと思います。そのような理由で商品を廃棄いたしました場合には、それについて生じました原価、これは損金に算入されます。それに対応する収入が計上されませんので、最終的には欠損が生ずるということはあり得ると思います。 なお、具体的な案件につきましては、御承知のとおり、各党の御質問がございましても、個別の案件については御回答をごかんべん願っておりますので、個別の案件につきましては、ここでは御説明できないということで御了承願いたいと思います。
○中谷委員 長官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、損金として昭和四十三年度どの程度のものが計上されているのかどうか。本件との結びつきは別として、どの程度のものが計上されているのかどうか。この程度のお答えは私はいただけると思う。 それから、この機会に重ねて私は——赤松質問に対して、公明党の矢野書記長が誤解に基づく赤松発言というふうなことで談話を発表しておられる。だから、私はやはり赤松発言というものが誤解に基づくものかどうかという点について、赤松発言というものを補足しておきたい、こういうふうに考えまするが、矢野書記長の反論の一つは、植村左内の「これが創価学会だ」という本を日本大学で焼いたというふうなこと云々については、公明党は全く関知しないということを言っておられる。ところが、裁判所へ提出をされた訴えの取り下げの理由によると、重ねて申し上げまするけれども、十万五千三十八冊——三十八冊まで出ている——の廃棄処分を創価学会と公明党が原告らの確認のもとに廃棄処分を了したとある。だとすると、日大で焼いたことを関知しないということは、かなり問題について補足をしていただかなければ世間は納得しないだろうと思う。日大で焼かないならば一体どこで焼いたんだ、水づけにしたのか、裁断をしたのか、こういうような点について、ひとつ私はこの機会に公明党の諸君のほうから、その点はこうなんだということを明確にしてもらわなければ、社会党の赤松発言は一方的な誤解だということでは納得しないと思う。 国税庁長官、いまの点、私が補足をして申しましたけれども、損金というふうなものは計上されているかどうか、この点についてもお答えができませんかどうか、御答弁をいただきたい。
○吉國(二)政府委員 お答え申し上げます。 個別の会社の損益については発表しないというたてまえでございますが、損金として特別損失を計上するというような形では通常あり得ないと思います。つまり収入がなくてその期間中に生じた原価、これを計上いたしますと、自然に収入のないものにつきましては、廃棄されておればたなおろしがございませんから、それで計算上損金が出るという形になっていると想像いたします。
○中谷委員 では、この点はこの程度にいたします。 そこで次に、法務省の人権擁護局長にお尋ねをいたしたいと思います。 質問は、次の点です。要するに人権侵犯事件処理規程の第二条によると、出版、報道等によって人権侵犯の事件があったというふうなことを知った場合には、調査を開始しなければならないということになっております。ところが、法務省設置法によりますと、人権侵犯事件についての人権擁護についての調査と資料の収集というのはあくまで人権擁護局の仕事になっている。 そこでお尋ねをいたしたいのは、人権擁護局としては、法務省としては、現在これほど世論の集中的な論議を呼んでおる言論・出版妨害事件について情報の収集をしておられるかどうか、この点についてお答えいただきたい。
○川島(一)政府委員 お答えをいたします。 ただいま御指摘になりました規程、これは法務大臣の訓令でございます。その第二条に、新聞などの情報によって事件の調査を開始するものとするという規定がございますが、これは、私ども人権擁護事務を取り扱う者といたしましては、新聞などによりまして人権侵犯の事件がある、そしてその事件を人権擁護機関において取り扱う必要があると認めた場合には、それに基づいて事件の調査を行なう、こういう趣旨のものと了解いたしております。 で、本件の場合におきまして、これを端緒として人権侵犯事件の調査を行なっているかどうかという点でございますが、現在私どもといたしましては、新聞雑誌などにあらわれました情報程度のものは収集いたしております。しかしながら、積極的な調査ということはいたしておりません。
○中谷委員 ちょっと局長、待ってください。 こうなっておりますね。設置法の十一条によりますと、「人権侵犯事件の調査及び情報の収集に関する事項」こうなっておりますね。だから、当委員会において、調査についてはどうも積極的ではないようだ、情報の収集はしておられますか、この点を重ねてお尋ねいたしたいのです。
○川島(一)政府委員 新聞、雑誌などにあらわれました限度で情報の収集をいたしております。
○中谷委員 局長に重ねて……。 そういたしますと、「言論・出版の自由にかんする懇談会」が公明党に対する公開質問状というものを出しておるのは御存じでございますね。この公開質問状の中で、人権擁護局の立場から、かりにこのような事実があったならば、これは人権侵犯事件になるだろうと思われる項目は何項と何項ですか。
○川島(一)政府委員 お答えいたします。 人権侵犯があったかどうかということを具体的に判断いたしますことは、場合によっては非常にむずかしい微妙な問題でございます。ことに表現の自由、出版の自由というような問題に関しましては、裁判例などもございますが、非常にその限界がむずかしいというのが実情のようでございます。 そこでお尋ねの問題でございますが、ある一つの事実によって人権侵犯が成立するかどうかということを認定することはきわめて困難でございまして、その前後のいきさつでありますとか、あるいは周囲の事情、さらにまたその行為が行なわれた結果、どういう結果が生じたかというようなことも総合して考えなければならないと考えております。そういう意味におきまして、ただいまお尋ねのございました十九項目も、私読んでみましたけれども、そのどの部分が人権侵犯に当たるかということは、ちょっとそれだけでは判断いたしかねる次第でございます。
○中谷委員 法制局の長官に私はあと一点だけお尋ねをしておきたいと思いますが、赤松発言に対して、公明党の書記長の矢野君が、そういうふうな憲法違反の問題があるというならば公訴をすればいいじゃないか、こういう趣旨の談話を発表しておられます。大体公訴というのは、これは詳細に、私、誤植ではないかと思って調べてみましたけれども、いわゆる公の訴えなどというのは、これは検察官の権限に属することであって、赤松委員がそういうものについて訴訟を起こしょうもないわけですが、重ねてお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、何か公訴をすればいいじゃないかというかっこうで、赤松発言というものを一方的な発言だととらえることについては問題があると私は思っている。そこで、憲法上の問題があった、憲法違反があったとしても被保全権利がない、訴える利益がないという場合に憲法訴訟というようなものが起こせるのかどうか、この点をひとつ私はお尋ねをいたしたい。これは当然のことでありますから、簡単にお答えをいただきたいと思うのです。 それから、あらためて官房長官に私お尋ねをいたしたいと思いますが、これらの問題については、議会の問題としてはふさわしくないのだ、裁判の問題だというふうな説をなす人もおるわけです。しかし、考えてみますると、出版・言論の妨害事件というのは、一つ視点が抜けていると思う。どういう視点が抜けているかといいますると、われわれ国民の読む権利、知る権利、そういうふうなものが妨害をされた、そういうことの機会を失ったという点が、私一番大事だと思うのです。著者、出版業者が、たとえば藤原弘達さんが何とかかんとかという問題よりも、知る権利、読む権利を保護されるということが大事だと思う。そういうことから考えてみますると、読むことができなかったからといって、一々国民が訴訟を起こせるわけじゃないと思う。まさにこの言論・出版の問題というようなものは、裁判の問題ではなしに国会の中において論議すべき問題である。そうでなければ、国民の知る権利、読む権利というものは私は保障できない、こういうふうに考える。むしろ私は、だから裁判において争うべき問題だといわれておるところの人たちと全然別の、違う考え方を持っておりますが、政府の考え方はいかがでしょうか。
○高辻政府委員 御指摘のように、訴えについて利益のないもの、これは一般的には訴えをすることができません。したがって、またお触れにもなりましたが、ただ憲法違反だというだけの理由で 一般的に訴訟を提起する道もございません。簡単にそれだけ申し上げます。
○保利国務大臣 お互いに知りたいという欲望はありましょう。それが権利でございますか、それは権利なら権利でよろしゅうございましょうけれども、それは国の権力というか、行政権の運用を誤って、知りたいということを知らしめないというような事態であれば、これは国会としてもゆゆしい問題になろうかと思います。そうでない一般の、私と私の間のことで知りたいと思うことが知る機会がなかったということは、いろいろその場合、その場合、複雑な事情が出てきましょうから、一がいに私は何とも申し上げられぬのじゃないかと思います。
○中谷委員 質問を終わろうと思っても、なかなかそういうお答えでは終われない。 じゃ、官房長官にもう一つお尋ねいたしまするけれども、憲法二十一条の言論の自由、出版の自由というのは、本来国家権力対私人の問題だ、こういうふうにいわれておりますね。しかし、本来私人対私人の問題だといっても、これはとにかくサラリーマン同士の問題ではないわけです。要するに、有力な圧力を持ったところの、有力な力を持ったところの社会的な団体、これと私人との問題というのは、これはむしろ二十一条の問題になり得る。当然二十一条の問題として理解せなければいかぬ。この観点は私ひとつ明確にお答えをいただきたいと思うのです。それが一点です。 そうして、もう一点お尋ねいたしたいのは、政府、政党、そして公職の立場にある者、こういうものの名誉という問題についての政府の御見解といいますか、政治姿勢の問題として、質問者である私を含めて、これは私はやはりお尋ねをしたいと思う。と申しますのは、たとえばテレビタレントがありもしないことを書かれて名誉を棄損されたというふうな問題と違って、政府、政党あるいは公の職にある議員の名誉というものは非常に公的な内容を持っている。逆にいいますと、そういう公の職にある者については、辛らつな、不愉快な、ときとしてはきわめて耐えがたいような鋭い批判であっても、その批判にこたえていく。その中にこそ民主主義というものがある。抵抗力のない一般私人が名誉を棄損されたというふうなものではなくて、むしろ積極的な悪意に基づかないところのそういうふうな辛らつな批判というものについては、政府や政党や議員というものは耐えていかなければならないところの立場にある。これは刑法二百三十条ノ二を引くまでもないことだと思う。ここに私はやはり言論・出版自由問題の一つの観点があると思う。この点についての御見解を承りたい。
○保利国務大臣 お尋ねの点は、法制局長官から前に明快にお答え申し上げておりますけれども、さらにお尋ねでございますから、法制局長官同席でございますし、どうぞお聞き取りいただきましょう。
○高辻政府委員 あらたまって申し上げるまでもございませんが、基本的人権というものの意義、これは先ほどもお話の中にございましたように、きわめてオーソドックスな考えとしては、国政の権力に対する関係を持つ、それから国民の基本的人権を守るという考えでできておることは申すまでもございません。しかし、御指摘のように私人間で基本的人権の問題というものがどう解されるかという学説と申しますか、そういう考え方がだいぶできてまいっておりますけれども、前に引例をしたと思いますが、最高裁判所の判例を見ましても、自由権というのは国家その他の権力によって不当に侵されないことをいうのだとか、あるいは三十年、四十二年あたりの判例もございます。私法上の義務によってあれするものではないというような規定がございますが、要するにきわめてオーソドックスな考え、それが支配的な考えだと思いますが、そういうものは、国家権力からの自由、そういう点を申しておるのだということでございます。 ただ、御主張はそこが中心ではなくて、そういう公党とか、そういうものが関連した場合には、そういう批判には耐えていくべきものであるという御主張、これは、法律問題としてよりも一般的な問題としてそういうことがあり得ることは認めていいことだと思います。ただ、法律的な解釈からいえば先ほど申し上げたとおりだと思います。 それから名誉毀損罪の御指摘もございました。二百三十条ノ二、十分御承知の上でございますが、公務員であればあの条項の二項が働きますし、公務員でない場合に、一般的に申すことはできませんけれども、二百三十条ノ二の一項の要件に該当する場合もあるかと思います。
○中谷委員 じゃ、言論・出版の自由の問題について質問はこの程度にいたしまして、あと、次の質問に移りたいと思います。 プロスポーツの問題、プロ野球の問題ですが、これはあまり声を大にして質問をしなくてもいい問題かもしれません。 どういうふうな観点から質問をするかといいますと、昨年のプロ野球の総入場人口というのは、文部大臣、大体九百五十万人でございますね。そうしてテレビ、ラジオを見たり聞いたりした人の数というのは何と延べ十億人ということになっている。だからそのプロ野球というのはまさに国民的なスポーツであり、一つの大きな社会的な関心を持っていい問題だと私は思うわけです。ところが、そういうふうなプロ野球が、かりに黒いプレーが行なわれる、黒い霧がある、暴力団がこれに介入をして、球場や球界を舞台に利益をはかるというふうなことがあっては、私はこれはもう何とも許しがたい問題だと思うわけです。 それで、そういうふうな問題について、少年問題とプロ野球の健全化というふうな視点からは私お尋ねをしたいと思うのですけれども、国家公安委員長に最初にお答えをいただきたいと思いますが、プロ野球を舞台にしてのいわゆる賭博、野球賭博の検挙件数というのは、私の見るところでは大体次のようなことではないのか。昭和三十八年が一件、昭和三十九年三件——これは組のほうです。それから昭和四十年七件、昭和四十一年十一件、昭和四十三年九件、昭和四十四年六件。こういうふうな状態になっておりまして、検挙人員から申しますると、昭和四十一年三百五十六人、昭和四十二年百五十一人、昭和四十三年百六十二人ということになっている。これは私の調査であります。といたしますると、一体こういうふうなことで、警察が野球賭博を徹底的に捜査し検挙しているということがいえるのだろうか、非常に疑問であります。たとえば同種の私設競輪などについては、昭和四十一年は二千七百十二件の検挙がある。昭和四十二年には千九百六十件の検挙がある。昭和四十三年には千七百十七件の検挙があります。要するに地方公共団体にテラ銭が入る公営賭博については検挙件数が多い。同じように賭博になじみやすいところのプロ野球賭博については検挙件数が少ない。これは一体どういうわけなのだろうか。これは一体警察の捜査体制その他について問題があるのではないか、こういう点についてひとつ最初にお答えをいただきたい。
○荒木国務大臣 お答えいたします。 いわゆる野球賭博、十分の捜査をしておるかどうかということに関してのお尋ねでございますが、暴力団が野球賭博を開帳して相当の利益を得ているということは、しばしば伝えられております。そこでこの種事犯の検挙を徹底することにつとめまして、暴力団の取り締まりを一そう促進してまいりたいと思っております。 具体的な事例を御指摘になりましたが、私のほうで承知いたしております事例よりも、あなたがあげられたほうが数が多うございますが、事例、人数等のとり方によって違うようですが、そこで一応資料をもっておりますから申し上げます。昭和四十四年中に検挙しました賭博犯が全部で3千四百五十三件、人数で一万二千七百七人でございます。このうちに暴力団の賭博犯が二千三十四件、人数で四千五百四十人、全体の件数で約六〇%、人員で約三六%を占めております。 ところで、この賭博犯のうち野球賭博がどの程度であるかにつきましては、正確な統計というものは実はございません。ございませんけれども、警察庁に報告されました暴力団の野球賭博についてわかっている範囲のことを、最近のやつだけを申し上げます。昭和四十四年中に七事例、件数で二百四件、員数で百十六人でございます。なお本年、四十五年に入りましてからは二事例、五十四件、六十三人につきまして、検挙した報告を受けております。 以上お答え申し上げます。
○中谷委員 そこで公安委員長にさらにお尋ねをいたしたいと思いますけれども、私の見るところでは、次のような推定が成り立つのではないかと思うのです。暴力団の数というのは三千団体以上でございますね。その中で常習的な賭博を業としているもの、野球賭博を利益をはかる目的に、資金源としている団体の数というのは二百団体くらいあるのではないか。そういたしますと一回のかけ金について一千万円以上であるとか三千八百万円であるとかずいぶん大きなものが出てきております。これは完全に検挙したものであるから証拠で押えたもの、そうするとかりに一回のかけ金が一千万円だということにいたしましても、二百団体が動いているということになれば、シーズン中毎日試合が行なわれているときには二十億円近くの金が野球賭博に動いている、こういうことだろうと私は思うわけです。そういたしますと、先ほど委員長がお話しになりましたように、四十四年度の検挙は七件ないし八件、これはまことに氷山の一角でございますね。こういうようなものについて、これはやはり徹底的に捜査体制というものをしくべきではないか。これは捜査の壁というものがあるとすれば、一つは非現行犯については検挙できないなどという壁があるかもしれない。しかし、暴力団については、こういうようなものについては、私は勇断をもって捜査方法の改善等の中で踏み切るべきだと思う。そういう中で氷山の一角として、ごく、十件足らずのあるいは十団体程度の暴力団が検挙されるだけだということになれば、これはもう暴力団としては全くこれを資金源に利用することは当然だと思う。これらの問題について捜査の方法、捜査のやり方、専従体制のあり方、これらについてひとつ委員長の決意を私は承りたい。
○荒木国務大臣 賭博は、これは丁半賭博であれ何であれ禁じられていることでございますから、これを徹底的に捜査し検挙する努力は、いままでもル続けていることは御承知のとおりであります。さらに公営ギャンブル、これを法規に違反してかってなことをやるというやつも、むろんございます。その捜査は比較的容易であると伝え聞いております。野球賭博となりますと、一人や二人がちょっと現場で話し合いながらかけるぐらいのことから、いま御指摘のような大げさなやつまであるようですけれども、大げさであればあるほど巧妙にやっているやに承知しております。その捜査そのものは、うわさ話ないしは暴力団の別件逮捕じゃございませんけれども、何かのきっかけでそういう組織があることを探知するということに依存するほかにないという実態でございますために、うわさ話は相当大げさにいわれますが、検挙の成果はあまりあがってない、そこに苦心があるのだ。だからといって放任しているわけではございません。仰せまでもなく、一生懸命にそういう不届きしごくなことを防止するように、検挙するように努力をいたしたいと思います。
○中谷委員 プロ野球という国民的なスポーツ、本来健全であるべきスポーツ、このスポーツというのは本来全く健康で伸び伸びしたもの、そういうようなところに、調査をいたしますると病理集団というか暴力団の食い込みが私は非常に激しいと思う。私が本日こういうふうな質問をどうしてもやはりやらにゃいかぬというふうに思った動機の一つに、次のようなことがあります。 例の西鉄の永易君、これが八百長野球をやったということで永久追放になった。そのあと明治大学の鈴木武樹さんという助教授があるテレビ放送で八百長野球の問題を発言をした。暴力団の名前を申し上げましょうか。——これはあとで申し上げてもいい。そういたしますると、ある暴力団が鈴木助教授に対して、先生、そういうふうな発言をしておるとあぶないですよ、これをやられないように気をつけてくださいよというふうなことを言っている。私の質問というのは、きょうは報道の自由という一貫した質問でございますね。そういうテレビ放送の現場において、その直後においてそういうふうなことが行なわれている。これはいかにプロ野球界に対して暴力団の介入が激しいか、またプロ野球賭博を通じて彼らが資金源にしているかということをいみじくも物語ったところのものだと私は思う。これは錦政会系だといわれている。委員長、こういう問題については御存じでしょうか。私は、このくらい黒い霧というものが、暴力団が介入してきているこういう問題についての御所見をひとつ承りたい。これはぜひとも捜査の対象にされてしかるべきだと私は思う。昨年の十二月のできごとです。 いま一つは、現在開幕を前にしてオープン戦が行なわれておりまするけれども、オープン戦のいわゆる興行主というか、これはかなり組関係のものが多いですね。これは球団あるいは球界浄化のために、こういうオープン戦についても、そのような組関係のものというようなことについては、警察において、これは資金源になっているのですから、そういうことのないように私は指導すべきだと思う。この点についての委員長の御見解はどうだろうか。これはひとつお答えをいただきたい。重ねて質問をいたします。 いま一つ、賭博の手口は、球場で金のやりとりをしているようなのもこれは目につく全くいやらしい問題です。しかし、そうではなしに、ひそかに町の片すみで暴力団が大がかかりな私設賭博、私設競輪に似たところのそういうふうな賭場を開いてやっている。こういうのが現在手口としては一般的であり、大がかりでございますね。こんなものは検挙が困難だということを言っておられては、いつまでたっても百年河清を待つようなものです。これはアメリカにおいてもとにかく徹底的な捜査のメスが入れられている。これは従来のことについては私はとかく申しませんけれども、これからはひとつ徹底的にプロ野球浄化のためにメスを入れられることを重ねて御答弁をいただきたい。
○荒木国務大臣 暴力団の不法行為、特にいま御指摘の賭博行為、これは断固として取り締まることに間違いございません。ただ、さっき申し上げたように、野球賭博はつかまえにくいことだけは事実のようであります。大がかりのものが多数集まって丁半賭博を開いているような現象をそこに、表面に出しながらのものならばわけない。ところが、聞くところによると、そうじゃないそうでありまして、電話で連絡するようなメンバーがたくさんおる。そうして、当たった、当たらない、大穴だ、何だというようなことで、計算されたその賞金をこっそりと若い者が届けに行くというやり方でやっているのが典型的なものだそうであります。したがって、暴力団のメンバーらしき者が電話をかけておる、もしくはその金を届けに行く途中であるというのをつかまえるほかにはたぐる方法がないということで、うわさ話は聞いておるけれども、これが検挙の実績がなかなかあがらないと、苦心談の一くさりを聞いたことがあります。いかにむずかしくてもむろん黙っておるわけにはいきませんので、仰せまでもなく、これが取り締まりは厳重にやっていきたいと思います。
○中谷委員 じゃ刑事局長に御答弁をいただきしょうか。 公安委員長は捜査がむずかしいむずかしいとおっしゃっている。むずかしいから、じゃ検挙されにくいからということこそ賭博の温床になるのでしょう。検挙されやすければやりませんよ。検挙しにくければこそ暴力団の資金源になる。だから、これは抜本的な捜査体制というものが必要だと思います。 そこで、そういうふうな中で暴力団が有力な資金源を確保しているということになってまいりますると、八百長試合の問題といろのが出てまいりますね。そういうことになってくると、暴力団は集中的にプロ野球選手をねらう。私は永易君の、まだ年の若い青年ですから将来の彼の更生を祈りたいし、そのことを期待いたしますけれども、永易君の問題については、警察としては八百長野球の疑い、これが一体どういう刑事責任がありとしてお調べになった事実があるかどうか。 いま一つは、現在、巷間伝えるところによると、永易君は伊東付近で暴力団に軟禁をされている、こういうふうなうわさがある。こういうような問題について警察としてはそのまま放置しておくのかどうか、この点についてひとつ御答弁をいただきたい。
○高松政府委員 先ほど委員長からも御答弁がございましたが、確かに非常にむずかしい面がございます。一つの秘密的な組織というような形で野球賭博というものが現在行なわれておる。それで、私どももこういうことに対しましていろいろくふうをこらし、たいへん人手を要しますし、根気強い仕事になるわけですけれども、今後とももっともっとこれをやっていきたい、こう思っております。いろいろ考えております。 それから、御承知のように、たとえば競馬法とかあるいは自転車競技法とか、それから小型自動車競走法、こういうふうなものについてはいろいろ贈賄とか八百長とかいうものについてのそれぞれの罰則がございます。ところが、プロ野球についてはそういう規定は全くございません。それでいろいろな報道がございましたけれども、これらの事件でプロ野球選手が八百長その他の方法で事件に関与していた、あるいはそれと野球賭博との関係とか、そういうことについては現在私どものほうでは必ずしも明白になっておりません。ほかの競馬、競輪というものと違いまして、その点では非常に様相を異にしておりますので、直接の問題としては現在出ておりませんけれども、今後とも暴力団の野球賭博事犯の取り締まりを強力に推進していく、またいろいろな事犯からその背後関係の追及に一そうつとめてまいりたい、かように存じます。 それから、伊東に軟禁されているというお話でございますが、私、きょう初めてそういうお話を伺いました。軟禁の程度、あるいはそれが不法監禁に達するかどうかというふうなことが一つの問題だろうと思いますけれども、事情がわかればまた善処してまいりたいと思います。
○中谷委員 そういうふうなことが巷間伝えられておりますから、永易君については、警察としても保護的な立場から予防的な立場から調査をされますかどうか、それを一点だけお答えになってください。
○高松政府委員 関係者その他からの親告その他がございますれば、私どもとしてそういう調査その他の方法もとりたいと思います。
○中谷委員 私自身が関係者であるかどうかは別として、私自身が調査をする、することが永易君という青年の将来にとっても適当だと思うと、こういうふうに私が申し上げているのです。
○高松政府委員 もしそういう不法監禁というような容疑が非常に強ければ、調査することは当然でございます。
○中谷委員 そこで次に、私は、文部大臣にひとつお尋ねをいたしたいと思います。 野球賭博というのが、単にプロ野球だけではなしに、高校野球のほうへもずいぶんびまんをしてきております。新聞等にもずいぶん報道されているとおりであります。少年問題といいますか、青少年対策の上からきわめて遺憾。こういう点についてひとつ大臣の御見解を承りたい。実はしかし、プロ野球の健全化をはかるというふうな抽象的な御答弁を私はいただきたくないのです。こういう問題について、私は大臣に次の点についてお答えをいただきたいと思います。 要するに、コミッショナー事務局というのがございますね、このコミッショナー事務局というのは、一体事務局員何人かということを大臣、御存じでしょうか。——けっこうです。結局わずか九人なんです。運転手さんと、しかも女の事務員さんを入れて九人。ここではとにかく全然調査能力というのは私はないと思うのです。これは文部省所管の社団法人でございますね。要するに文部省としては、そういうプロ野球の健全化、なかんずく高校野球の健全化等については、——高校野球に対して暴力団がそれをとにかく食いものにするというようなことについては、これは無関心でおれないわけです。 そこで、私が提言をしたいのは、コミッショナー事務局について、十分に協議をされるということを前々から文部大臣、言っておられるようでありますけれども、ひとつ事務局体制の強化ということをおはかりになったらどうだろうか、これが一点であります。 いま一つは、先ほど刑事局長がお話しになりましたけれども、自転車競技法があり、競馬法があって、これについてはそうさはしやすいけれども、プロ野球についてはしにくいというようなお話があったけれども、これは私、全く事実に反すると思うのです。私設競輪にしろ、野球賭博にしろ、手口は同じなんです。ですから、捜査しにくいというのは事実に反すると私は思うのです。捜査しにくいとすれば、それだけ巧妙にやっているということなんです。そこで、これは国家公安委員長からお答えをいただきたいと思いますけれども、コミッショナー事務局に対していろんな問題がありますけれども、選手に対する誘惑の手を伸ばす、そういうようなものについて、コミッショナー事務局に対して、ひとつ暴力団のリストの提供を、これはぜひとも警察としてはおやりになる必要があるんじゃないか。そうでなければ、選手はねらい撃ちにされる。こういうような問題についてひとつお答えをいただきたい。 あまり時間がないようでありますから、まとめて質問するのもなにですが、この二つについてそれぞれ御担当の御答弁をいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 プロ野球が、たとえば暴力団が介入したり、あるいは賭博をやったりということは、いま荒木国家公安委員長からお述べになりましたとおりに、こういうことはあってはならないことでございます。私といたしましては、特にスポーツを愛好するわが国民、特に野球の好きなわが国民が、プロ野球でこのような忌まわしいことがあってはいけないというふうに考えるわけでございます。そしてまた、そのことが同時に高校野球にまで及ぶということになりますと、これはもうたいへんなことだと思いますけれども、現在、私は高校野球にそういうような魔の手が伸びておるというふうには承知をいたしておりませんし、昨年の、たとえばあの優勝戦におきまして井上投手と三沢の太田投手とがやりました、あのフェアプレイというものはほんとうにすばらしい教訓を国民に与えたと思うのです。でございますから、それだけに影響力があるわけなんで、プロ野球としましても、ああいうプレイをやる、あるいはりっぱな楽しみを与えるということにつとめていただかなければならないわけでございます。 私は、いまおっしゃいました社団法人の日本野球機構、また、その中のコミッショナーの組織が非常に貧弱であるということも承知をいたしておりますが、よく協議をいたしまして、今後、先生の御指摘になりましたようなことがないようなことにつきまして、よく十分に相談をいたしたい。このことは、やはり野球をやりまするプロ野球の人たちが自覚、反省、自粛をいたされますと同時に、これを見、聞き、喜ぶ国民大多数の者がやはりこういうようなことは絶対許すまじという世論をひとつ形づくっていかなければならない、かように考えておりますし、私といたしましても、その方向で指導助言を与えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○中谷委員 国家公安委員長の御答弁をいただきます前に、文部大臣に重ねてお尋ねをしておきたいと思います。 私が申し上げましたのは、本来純真な高校野球の行なわれている、そのゲームを利用して賭博が行なわれておる。高校野球の選手というのじゃないのですよ。そういう趣旨で申し上げておるのですから、これはひとつ誤解のないようにしていただきたい。それでなければ高校野球の選手はかわいそうです。ただ、大臣そこまでお話しになったので、私、では次のようなことを一点、大臣の御所見を承りたいと思うのです。 こういうことなんです。大学の野球選手、それから高校の野球選手がプロに入る、そういうふうな場合に、これは巷間伝えられるところによりますると、たとえば高等学校の場合であれば——大学の場合も同様、その学校の監督だとか先生などに、人気のある選手であればあるほど球団のほうからお礼をしなければなかなか選手をスカウトできないなんといううわさがありますね。そういうことが半ば公然といわれているけれども、そういう高校野球選手がどこかの球団に入るについて、そういうふうな球団のほうから教師、監督等にお礼をするというふうなことは、これは一体許されていいことなんだろうか。むしろ公立の学校であるならば、これは贈収賄の問題だって生じるのじゃないか。先ほど純真なプレイということをおっしゃった。人生のスタートにおいて、高校野球の、高等学校を卒業したところの純真な選手、少年に、私はそういうふしあわせな人生のスタートを切らせたくない。こういう点についてひとつ大臣の御見解はいかがでしょうか、この点をひとつお答えいただきたい。
○坂田国務大臣 これは申すまでもないことでございまして、高校野球の純真なフェアプレイ精神を指導しなければならぬ校長あるいはこれに関係する教師たちにそのようなことがもしあるとするならば、断じて許すべきことではない、また、教師としてあるべきことではないと私は確信いたしております。
○荒木国務大臣 まあ、永易君の場合の一部始終はよく存じませんけれども、もとはといえば、暴力団か何かに誘惑された永易君がそもそもなっておらぬのじゃないかと思います。 さらに関連して、暴力団が暴力をひけらかしながらやったとすれば、一種の暴行脅迫罪として、暴力団であろうとなかろうと、そのくだりにおいてむろん取り締まられるべき課題と思います。公営ギャンブルだから取り締まりやすいが、そうでないやつは取り締まりにくいと申し上げた意味は、競輪、競艇、競馬、場外馬券まで一応認められておる、それが認められない者どもがかってにやる。その現象がはっきりつかみやすいから取り締まりやすいということを、一般的な問題として申し上げたのであります。補足さしていただきます。 同時に、コミッショナー当局が、いま御指摘のようなことに関しまして、心配しているはずですから、警察当局に協力を求めるという働きかけをしていただきませんと、何もないのに、ただリストを提供するということはちょっとやりかねますので、その意味における協力の要請があります限り、徹底的に犯罪の摘発に努力したいと思います。
○中谷委員 いまの、プロ野球の選手が暴力団に誘惑をされる、これはその心がけが悪いんだという考え方は、私は、問題の一面はついているけれども、片一方の面というものを見てやっていないと思うんです。むしろ、非常なねらい撃ちにされている面が私はあると思うのです。じゃ、そういうふうなねらい撃ちをされて誘惑に応ずるそういう選手、これは、なぜじゃ、そういうふうに誘惑に応ずるような素地があるんだろうか。プロ野球の選手の寿命というのは、大体五年だといわれておりますね。これは私は、国家公安委員長の御答弁をいただく前に、人権擁護局の御答弁を一ぺんいただきたいと思いまするけれども、こういうことなんです。 たとえば、統一契約書というふうなものを私、検討いたしましたけれども、不動文字、最初から最後まで印刷で書かれているところの契約書、そうでございますね。しかも、契約の更改に応じなければ百分の二十五%というふうなところの条文がある。そういうふうな中で、きわめてプロ野球選手の身分というのは、私は不安定だと思う。そういうふうな状態の中で、私は、誘惑にかかりやすい素地というものがあると思うんです。 そこで、人権擁護局に、私法的な契約であるからということで問題をお片づけにならずに、野球協約あるいは統一契約書などに、人権擁護の観点から見て、若干妥当を欠くような点があるのではないか、こういうように私はかねがね思いますけれども、この点についてのひとつ御答弁をいただきたい。
○川島(一)政府委員 私は、先生のように野球にあまり詳しくございません。しかしながら、選手契約、それから野球協約というものは、一応見てまいりました。私が見ました範囲内で申し上げますと、まあ契約といたしましては、特にこの程度のことはやむを得ないんではなかろうか。いま仰せになりました更改の場合にいたしましても、野球協約のほうには、最後にはコミッショナーの調停に持ち出すこともできますし、場合によっては更改をしないこともできるということになっておりますので、そこに幾らかの選択の余地はあるわけでございまして、その規約自体は、実情がよくわかりませんので、はっきり断言申し上げるわけではございませんけれども、やむを得ないのではなかろうか。ただ問題は、先ほど来御指摘になっておる運用の点のほうがより注意を要する問題ではなかろうかと、かように考えます。
○中谷委員 そこで、さらに私は、文部大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、コミッショナー事務局の調査体制が不十分だという点については、先ほどから何回か指摘をいたしました。いま一つ問題になりますのは、プロ野球の選手が暴力団関係者からねらい撃ちをされているような状態にあると私は思う。こういうような状態について、野球協約によりますると、賭博常習者と同行してはならないというふうな規程があります。しかし、こういうふうな規程だけでは、だれが賭博常習者なのかというふうなことで、選手としても非常に困るだろうと思う。むしろだから、先ほど国家公安委員長のほうから御答弁がありましたけれども、文部省等においても、これはやはり暴力団のリストというふうなものは常に提供を求めるような体制をつくってあげる、そういう中で選手が暴力団などとはつき合わない、こういうふうな体制というものがやはり私はつくられなければならないと思うのです。たとえば、多くの有名選手、あるいは将来のある選手のことでありまするから、これ以上申し上げませんけれども、たとえばこの前の前の選挙のときに、賭博常習団体であるところの暴力団、そういうふうな暴力団の組長と有名選手が、ある保守党の衆議院議員候補の応援に行っているというふうな事実だってある。ところが、そんなことについてはコミッショナー事務局としては調査能力はない。結局、世論がわいたときにだけ、永易君を追放する、くさいものにはふたをするというかっこうになっている。こういうふうなことで、暴力団との結びつきを断つということについては、コミッショナー事務局の調査体制の確立と、野球協約をさらに抜本的に解決をしていく、こういうふうな問題が私は必要だと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○坂田国務大臣 これはやはり選手それ自体の自覚にまつべきものが大きいと思うのでございますが、しかしまた、第一義的に申しますと、その球団それ自体が、第一次的に責任を負うべき問題である。かといって、それじゃ、われわれに何ら施すすべはないかといえば、ただいま申しますような、コミッショナー等の調査機能、あるいは、いろいろ私たちといたしましても相談をいたしまして、このようなことが再び起こらないような体制をつくり上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
○中谷委員 そこで、先ほどから国家公安委員長の御答弁は、プロ野球については、自転車競技法だとかあるいは競馬法というふうなところの法律がないという問題でございますね。そこで私は、やはり何といっても、冒頭に申し上げましたように、動員数が一千万人に近い、野球を見、野球を聞く人の延べの数が十億人、こういうふうな社会的な影響力のあるプロ野球、こういうふうなものは、ひとつ統一的なプロスポーツ立法というふうなものをつくるべきではないか、これは文部大臣に対する私の提言であります。そういうふうなものをつくる中で、ひとつ野球選手の野球協約をさらに法制化していく。さらに、コミッショナーに対するところの政府の協力体制というものを確立をしていく。さらにまた、万が一にも選手が、自転車競技法あるいは競馬法にいう、競馬の騎手であるとか競輪の選手と同じようなところの行為をした場合には処罰の対象になるというふうにして、一面、プロスポーツの健全化をはかる、その中で同時に、選手の人権保障もはかっていくという、プロスポーツについての立法化が必要ではなかろうか、こういうふうに考えますが、この点について御検討になる意思はございませんか。
○坂田国務大臣 先ほど来お話がございました、たとえば自転車競技であるとかあるいは競馬であるとかというものは、そのものがギャンブルでございますけれども、プロというものそのものはギャンブルじゃないわけなんでございまして、やはりその辺は、少し性格が違うと思います。ただ、そういうような立法をやるかどうかというようなことにつきましては、与野党とも非常にスポーツに関心の深い議員さん方もおありでございますから、皆さん方でひとつよく御検討をいただきまして、私も相談にあずかりたいと考えておりますが、いま私は積極的にこれを考えておるというのではございません。
○中谷委員 プロ野球の問題については、疑惑を持たれた選手の問題であるとか、あるいは主としてプロ野球賭博を業としている暴力団の名前であるとか、いろいろな問題についてさらに別の委員会、法務委員会等で指摘することにいたしまして、この程度にいたしておきます。 持ち時間があと七分でございますので、あと一点だけ、たいへん総務長官にお待たせをいたしましたが、お尋ねをいたしたいと思うのです。 これは私、どうしてもお聞きしたがった問題どうしても私は放置してはならないと思う問題としてお聞きをしたい。と申しますのは、興信所の問題について、私はお尋ねをしたいのです。興信所というのは、たとえば東京の電話帳を調べますと、四百ばかりあるそうであります。ところが所管は法務省ではないわけなんです。ですから、結局いずれの省の所管にも属さないということで、長官の御所管になると私は思う。そうでございますね。ところが、私は興信所の問題というのが野放しにされておってはいけないと思う。同対審答申の完全実施ということは、これは国民の悲願であります。そうでございますね。国民の悲願です。そういうふうな中で興信所は差別を掘り返して、戸籍から戸籍をたどって、そうして結婚話が破談になっている。旧戸籍をあばいて調査をする、こういうことが行なわれている。そういうことは人権侵害問題であることは明らかです。法務大臣の御答弁を待つまでもなく、人権侵害であることは明らかなんです。 私がお尋ねをいたしたいのは、そんな興信所というふうなものを野放しにしておいていいのかどうか、これはもうとにかく探偵社という看板をかければ、あくる日から興信所ができる、興信というふうな仕事ができる。そういうふうなものについては登録制にする、そうして調査の方法において逸脱があったというふうなときには登録を取り消しをして——何となればこういう人権侵犯については、今後もうむしろ罰則さえ設けるということでなければ、あり得べからざる差別ということがいわれている、そんな差別がいまなお根を断たないというものについて、再生産することになる。私、最後になって非常に簡単な質問をいたしますけれども、興信所の規制をどうするか、調査の方法の規制じゃありません、興信所を登録制その他にすべきではないかという点について、ひとつ長官の御答弁をいただきたい。
○山中国務大臣 法務大臣が答弁の準備を、紙を持っているようですが、やはりいずれの省にも所属せざるといっても、私が全部引き受けるわけにもなかなかいきませんで、ただ同和問題は、私の引き受けている——総括調整役所でございますから、そのようなことをたいへん嘆かわしく思います。したがって、そのようなことはあってはならないことであり、そのようなことが行なわれるような興信所の行き過ぎた調査なり依頼者というものについて、当然反省が求められなければならぬとは思いますが、最近は結婚、離婚の自由等によって興信所はいよいよ繁盛というような逆の現象等もあるようでございます。私自身の所管事項でございませんので、法務大臣からちょっと聞かれた後の再質問をお願いしたいと思います。
○中谷委員 もう時間がありませんので一点だけ。 法務大臣の御答弁は大体想像ができます。こういうことは人権侵犯であることは明らかなんです。私が所管に属さないというのは、同和問題は明らかに長官の御所管、しかし興信所というのはどこの省の規制も受けない。だからこそ長官の御所管だと私は聞いている。興信所を規制すべきだというのが私の質問のポイントなんです。登録制にすべきだというのです。
○山中国務大臣 どこの省も所管しなければ全部私の省と言われましても、それは職業選択の自由という原則も一方にありますから、どの職業だけは私が全部あずかって規制するのだというふうに、いまここで早急に断定いたしかねます。
○中谷委員 時間がないようですから一点だけお聞きしますが、職業選択の自由は公共の福祉に反してはいけませんね。医者の資格のない者が無免許で医者ができないのと同じですね。だから興信所というふうな、そういう人権問題にかかわるような調査をするものについて、登録制を設けて規制の対象にすべきだ、こう私は申し上げている。それについて長官の御答弁をいただきたい。何も職業選択の自由という憲法論争をあなたとしようとしているのじゃないのです。
○小林国務大臣 興信所におきましてお話しのような事態がある、こういう人権侵害に当たるような事項があるということは、私どもも認めて、それぞれ具体的な処置はとっておりますが、いまのような一般的問題につきましてはひとつ検討をいたしたい、かように考えます。
○中谷委員 興信所の所管というのは、どうも長官の御答弁ははなはだ——私の所管じゃないということなんですが、これは政府にお尋ねしますが、一体どなたの御所管なんですか。
○山中国務大臣 興信所は、許可制とか認可制とか、そういうものでありますと役所の所管というものはおのずから定まると思うのですが、自由営業でやっているようなものをどこの省にも属しないから、山中、けしからぬと言われても、私は自分の責任であるべき範囲なら明快に率直に答えます。しかし、いま言われても、興信所が私の所管でなければならぬという必然性について、ちょっと納得しかねるものですから、申しわけありません。
○中谷委員 私はこれで時間が来ましたから終わりますが、いずれにいたしましてもこういうふうな問題が社会的な事実、社会的な現象として野放しになっている、職業選択の自由だ、だからそれはもう所管がはっきりしないのだというふうなことでは、私はいけないと思うのです。ですから私は、この問題について、先ほどからしつこくお尋ねをした。これは事、同和問題に関する問題です。差別というものは許せないという前提に立って、私は質問している。ですから、長官の御答弁は要りませんけれども、私は、この問題については、どうしてもきょうは聞きたかったという問題として、あらためて別の委員会で御答弁いただきたいと思います。
○山中国務大臣 いまは興信所の問題一般について言われておったと思いましたので、そのようなことを申し上げましたが、興信所において調査した問題が、同和問題の人権問題に関して、重大なる行き過ぎがあるということでありますれば、私が総合調整所管の官庁の責任者といたしまして、私の感ずるところ、法務省の調査が一番正しいと思いますから、そのような人権の侵害事件等の問題につきましては、この席で法務大臣のほうにしかるべき調査、善処をされるようにお願いをしたいと思います。
○中谷委員 これで私は質問を終わりますが、興信所がどこの所管かという私の最後の質問は、同和問題についての質問ですので、これは委員長において善処いただきたい、明確にしていただきたい、このことを私はお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○中野委員長 後刻また理事会にはかりまして、しかるべく措置いたします。 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。 次に、谷口善太郎君。
○谷口委員 ただいま中谷委員から公明党・創価学会の出版妨害事件の問題につきまして重ねて論議がございました。この問題は、いまではもう国会の内外の重大問題として国会においてぜひとも明らかにしなければならない問題になっております。ところで、この公明党・創価学会の出版妨害問題は、それ自体、言論抑圧の問題として民主主義の基幹に関する問題でございますが、この問題の底にはいま一つの重大な問題、それは憲法上の政治と宗教を分離するという、この問題が横たわっているように私どもは思います。そこできょうは私は日本共産党を代表しまして、まずこの問題について若干のことをお伺いしたいと思います。 最初に法制局長官にお尋ねいたしますが、憲法二十条では、国民の信仰の自由を保障する問題と同時に、政治と宗教の分離の原則をきびしく規定しておりますが、この原則を規定しました意味をまずお聞きしたいと思います。
○高辻政府委員 きわめて概括的なお尋ねでございますが、一々御説明申し上げるまでもないと思いますけれども、二十条の規定は、信教の自由と同時に、中でも政教分離の原則についてきわめて明確な規定を置いております。すなわち、政教分離の関係についてのお尋ねかと思いますので、その原則についてはきわめて重大な関心をそそいでおる、きわめて厳格な規定を設けておる、これだけ申し上げて、さらにお尋ねに応じてお答えしたいと思います。
○谷口委員 私は、内容について、その意味するところを聞いたのであります。なぜこういう規定を憲法につくったか、これは旧憲法になかった規定であります。そこらはどういう意味があってこれが規定されたか、これをお聞きしたのでありますから、簡単にその点を御答弁いただきたいと思います。
○高辻政府委員 信教の自由についての規定は、旧憲法にもございましたわけでありますが、旧憲法当時は、いわゆる神社の関連において政教分離の原則、いまの今日の目から見ると必ずしも明快なる分離の原則が立っていたとはいえない。そういう関係から、新憲法は、特に意をいたしてこういう規定を設けたということは言えそうであります。 意味するところ、そのほかにもいろいろあろうと思いますが、なおまた、不足がありましたら、お尋ねに従ってお答えいたします。
○谷口委員 要するに、戦前の経験から申しましても、戦前でいえば国家神道、宗教の一つとして国家神道、こういうものが政治の上に非常な実権を握りまして、国民の言論、集会、結社、基本的人権、これに対する抑圧の道具にされておる、こういう経験をわれわれは持っておるのでありますが、こういうことが再び起こってはならないという、非常に国民的な反省の上に立ってこの規定ができたもの、こうわれわれは解釈しておりますが、どうですか。
○高辻政府委員 二十条の意味についてはいろいろ申し上げることがあると思いますが、先ほど申し上げましたように、信教の自由に関しては、特に神社神道との関連等の経験に照らして、こういう規定が特に強調されたということは、そのとおりでございます。
○谷口委員 それでは第二点を伺います。 この憲法の規定から見まして、国が、神社、仏閣あるいは礼拝堂、祭壇などの宗教的な施設を設置するとすれば、これは違憲になりますか。
○高辻政府委員 これは、憲法の規定が、おそらく二十条の三項の規定と、もう一つ八十九条の規定に関連があると思います。二十条の三項では、国はいかなる宗教的活動もしてはならない。八十九条は、公金その他公の財産を、宗教団体の便益等のために利用してはならないという規定がございますから、この規定からいって触れるようなことであれば、むろん憲法上できないということになります。
○谷口委員 それでは重ねて伺いますが、もし宗教団体がそういう違憲行為を国に行なわせることを目的に政治活動をやった場合には、これはどうなります。
○高辻政府委員 宗教団体といえども他の団体と同じように、政治活動ができないという理由はございません。ひとしくやはり表現の自由等の保障もございますし、できないいわれはございません。そのことが適当かどうか、これは話が別でございます。また法律上の、通常の法律の世界の規定に違反するかどうか、これも別でございますが、憲法上これができないということにはならないと思います。
○谷口委員 私の聞いたのは、いま長官がおっしゃったように、国として宗教団体に金を出したりあるいは施設をつくったりすることは現憲法上間違いだ、できないということをおっしゃったのでありますが、そういう国の立場、国に対してそういう違憲行為をさせることを目的に、宗教団体がそれをおもな目的に政治活動をやった場合にはどうなるかということを聞いたのであります。
○高辻政府委員 その御趣旨のように伺ったのでございますが、確かに国がすることは、先ほどの二十条の三項なり八十九条の規定に違反するという場合があり得ることでありましょうから、そういう意味で問題になると思いますが、同時に、そういうことをさせること、これが適切を欠し、不適当である、はなはだしくよろしくないというようなことはむろん言えるかもしれませんが、法律の世界で憲法に違反するということに直ちになるかどうか、これがお尋ねの主眼だと思いますものですから、やはりそういう政治活動の自由はある。ないとは言えない。それが今度は国家が動かされてやるということはできない。そういう意味で、はなはだ不適当であるということは言えましょうが、憲法に違反するまで言うべきものかどうか、これに疑いを持つわけでございます。
○谷口委員 それでは次に移りますが、創価学会が政治的進出の第一歩として、昭和三十年四月に、一斉に地方選挙に出たのでありますが、このときに、東京都議会その他各地の地方議会へ全員五十四名の候補者を立てて選挙戦を行なっております。そのときの目的を創価学会の機関紙で調べてみますと、「聖教新聞」はこういうふうに社説で説明しております。これは私は持ってまいりましたから読んでみます。「広宣流布の終点は国立戒壇建立である。その為には国会での議決が必要だ、すると宗教の正邪に対して確たる信念を持ち国立戒壇建立を願う人々の代表が国会議員として多数居なければならない事は論をまたないのである。故に文化部員の政界への進出は当然でなければならぬ」こう言っております。それからもう一つの社説で、「現在の政治家に国立戒壇の必要を理解する様に要望しても到底無理な相談であって、逆に国立戒壇建立の必要を理解して居る人に政治家になってその道で生長してもらう以外に方法がないからである。だからこの志を持って居る人々に地方議会に出てもらいそこでの錬磨を経て国会へ出る迄その政治上の見識と実践カを養ってもらう事が必要になるわけである。」こういう点から地方議会に進出して当選されたことは皆さん御承知のとおりでございます。宗教団体創価学会が言う戒壇というのは、これは宗門の本尊を安置して拝ませる施設でありまして、これを国立にするというので、戸田前会長や池田現会長の著作によれば、国会の議決によって国の施設として設立するということになっております。 そこで伺いますが、こういう目的で創価学会が政界に進出をしたということを政府は知っておられたかどうか。これは文部大臣かもしれませんな。
○安達政府委員 ただいま御指摘の資料等、私ども直接見ておりませんので、具体的にそのような事実があったかどうかについては明らかにいたしませんけれども、国立戒壇ということが創価学会の大きな課題であるということについては、私どもも承知いたしております。
○谷口委員 自治省来ていらっしゃいますか。秋田さんいらっしゃいませんか。
○中野委員長 います。
○谷口委員 あなたはこの事実を御存じですか。
○秋田国務大臣 その事実は承知しておりませんでした。
○谷口委員 これはたいへんなことだと思いますが、いま法制局長官がおっしゃったように、法制局長官は一般的に政治活動をやることについては、それはいいのじゃないか。しかし事と次第によっては適当であるかどうかという問題が出てくるであろうという御答弁であったと思うのです。ここでは国立戒壇を建立することを目的に政界に出るということを堂々と機関紙でいって、出ておるわけなんです。この事実を文部省も知らないし自治省も知らぬとしますと、これは一体どうなるのです。これはどこの責任になるのですか。知らぬで済まぬですよ。
○秋田国務大臣 その政治団体の目的とするところ、その可否は国民一般によって批判されてくることであって、その届け出につきまして、公職選挙法なり、あるいは政治資金規正法の政治団体としての届け出はわれわれは受理をしておりますけれども、その内容の可否につきましては、政治行動をして悪いということは、宗教的な行動との関連においては言えないことは、ただいま法制局長官も話したとおりで、その実質は国民の判断によるものと考えております。
○谷口委員 これは一体何をおっしゃるのか知りませんけれども、私の質問に対する御答弁になっていないのですよ。知ってなかったのですか。こういう事実を政府は知らなかったのですか。知らなかったのですね。——そうですか。それじゃ法制局長官に次に聞きます。創価学会の戒壇を国が国立戒壇として建立することは憲法違反と思いますか、どうですか。
○高辻政府委員 法制局の意見と申しますのは、何といいますか、一般的に伺っただけで、その具体的問題についてすぐお答えをするということには熟さないというか、なれないと申したほうがいいかもしれません。適当だと思いませんが、しかし先ほど申し上げたように、国は宗教的活動をしてはならない、また公金その他公の財産は宗教団体の便益等に供してはならないということがございますから、それに当たれば憲法違反になるということで、十分におわかりいただけると思います。
○谷口委員 つまり憲法違反になるということです。 それじゃ重ねて聞きますが、創価学会が昭和三十年にこのように国立戒壇の建立を目的として政界に進出したことについて、政府はどうお考えになりますか、妥当だと思いますか、それともここになかなか無理があると思いますか。これは文部大臣。あなたは宗教団体に関連しますからな。
○坂田国務大臣 宗教団体でございましても、先ほど法制局長官が申されたように、一般の個人または団体と同様に、憲法によって集会、結社その他一切の表現の自由が保障され、その一環として政治活動を行なうことも保障されておるところでございます。また、宗教法人である宗教団体は、宗教法人法により、宗教活動を行なうことを主たる目的とすることを要件として法人格を取得しているのでございます。でございますから、おそらくそういう意味で法人格を取得したものであると思いますが、しかし、宗教法人としての活動を行なうことによりまして、この宗教団体の目的を著しく逸脱したり、あるいは法令に違反して著しく公共の福祉を害することが明らかに認められるような事態を招くことは許されないということになっておるわけでございまして、要は宗教団体の目的を著しく逸脱しておるのか、あるいは法令に違反して、著しく公共の福祉を害することが明らかに認められるのかどうかという具体的な問題かと思うのでございます。そこで、いまの国立戒壇というものがどういうようなものなのかということは、私、実はつまびらかにいたしておりませんので、そこの結びつきは、私よくわからないわけでございます。
○谷口委員 何にも知らぬ連中が相手だからしようがないけれどもね。私が聞いているのは、文部大臣、あなたの所管だと私は思うのですが、国立戒壇の建立を目的として昭和三十年に政界進出したことについて、あなた方のお考えを聞いているのです。どうお考えになるかを聞いているのです。私は、委員長、申し上げておきますが、時間がわずかですから、こんなにメモを持ってきてあんな答えにならぬ答えをやられては困るから、尋ねたことに答えてくださいな。これはどうですか。もし総理がいられたら総理に伺うのだけれども、総理はいらっしゃらないしね。
○安達政府委員 創価学会は宗教法人といたしまして昭和二十七年に東京都知事の認証を得たものでございます。したがって、私ども正式な宗教法人の規則等におきまして、国立戒壇というようなことは聞いておりません。目的といたしまして王仏冥合の大理想をということの規定はこの創価学会の目的に書いてあるところでございます。
○谷口委員 国立戒壇建立が唯一の目的だと言っているのですよ。そして出たのです。そのことについて尋ねたけれども、国立戒壇をどんなものだか、文部大臣が知らぬのだったら、これはあきれた政府ということになる。先ほど説明しましたとおりです。私どもは、これはまことに重大なことだと思っているのです。国に違憲行為を起こさせることを目的に政界へ出た。これは創価学会の政界進出の目的なんです。しかも創価学会がこのような目的を持って政治活動を行なっているのは、この昭和三十年のときだけではないのです。実はこの目的が創価学会の政治活動の基本目的になっている。このことを若干私明らかにしていきたいと思いますが、創価学会が最初に国会へ進出した三十一年の参議院選挙のときに、当時の会長戸田城聖氏は学会の国会進出の目的についてこう言っております。これもそれぞれこういうものの中にあるのですが、私、書いてきましたから読みます。「われらが政治に関心をもつゆえんは、三大秘法の南無妙法蓮華経の広宣流布にある。すなわち、」よく聞いてくださいよ。「すなわち、国立戒壇の建立だけが目的なのである」次の三十四年の参議院選挙の際には、当時の総務として会長の代行をしていられた池田大作氏はこう言っております。これも本にありますが、抜いてきました。「国立競技場、国立美術館、国立公園等も、すべて国民の要望であり、国民のものである。宗教にあっても、最高の宗教が、国民の幸福のために、国立戒壇として建立されることは、必然でなくてはならぬ。……それには、同志をたくさん議会に送らねばならない」「同志」と言っております。さらに池田氏は「大聖人様の至上命令である国立戒壇建立のためには、関所ともいうべき、どうしても通らねばならないのが創価学会の選挙なのでございます」こう言っております。創価学会が国立戒壇建立という違憲の目的を掲げて政界に出てきたことは、これで非常にはっきりしております。当時政府はこの事態を全く放置したのかと私どもは聞きたいのですけれども、知らなかったのですか。——これはどなたが答えてくれるのか。総理がいないのですから、やはり文部大臣、あなた、このことについて率直に答えられるのでしょうね。
○坂田国務大臣 その宗教法人を認めるか認めないかということは、私のところにあるわけなんで……。(谷口委員「そんなことではない」と呼ぶ)いや、ですけれども、そこにどういうことをおっしゃったかということと、それから一体政治活動とどう結びついてくるのかというのは、具体的に調べてみないことには、それが反するか反しないかということは出てこないと私は思うのでございます。
○谷口委員 私は、反するか反しないかを聞いているのではないので、国立戒壇をつくることが唯一の目的で政界へ出るといって政治活動を始めた。これについて政府はどう考えるか。だが、総理がいらっしゃらぬから主管大臣である文部大臣がお答えになるのが当然でしょう。知らなければ知りません、政府は何の施策もございません、考えもございませんとおっしゃってよろしいです。
○坂田国務大臣 いや、国立戒壇という意味が実はよくわからないわけでございます。
○谷口委員 国立戒壇がわからぬからとおっしゃいますけれども、わからなかったら一ぺん調べてください。あなた方は創価学会がいままで政界進出にあたってどういう言質を持ち、どういう目的を持ち、どういう活動をやったかということについても何も知らぬ、調べもしなかった。だから何も知らぬのです。非常に大事なことを調べてないのです。私どもの考えによれば、軽々には結論づけられませんけれども、これは憲法における政治と宗教との分離のあの原則について大きな違反の疑いがあるのではないかと思うほど重大なことをやっている。あなた方は何にも調べてないのです。だから私は前に進むよりしかたがありませんが、これは決して過去の問題として見過ごすことのできない重大なものだと私は考えている。 ここに池田さんの本を持ってきております。この講演集によりますと、池田さんは当時こう言っていますよ。これははっきり聞いてくださいよ。総理がいらっしゃらないのは非常に残念ですが、「国立戒壇の建立こそ、悠遠六百七十有余年の日蓮正宗の宿題であり、また創価学会の唯一の大目的であります」こう言っている。非常にはっきりしている。つまり国立戒壇の建立は創価学会の唯一の大目的とされておるのであります。そうである以上——最近、国立戒壇ということばを直接には言わないようになっておりますけれども、そうだからといって、学会のこの政治的な活動の大目的が変わったということはいえないわけですね。国民がこの点に重大な疑惑を持つのは当然です。政府の責任は非常に重大だと思わなければなりませんが、ぜひとも政府においてこの点を正確に調査して国会に報告してもらいたいと思いますが、これはどうでしょう。これはやはり所管大臣の文部大臣から伺います。
○坂田国務大臣 国立戒壇の意味やあるいはその後どういうふうになったか、もしはっきりした文書等がございましたらそれはよく調査をいたします。
○谷口委員 それでは創価学会問題の第二点に入りますが、これは直接文部大臣に関係ございますから、よく答えていただきたいと思います。 創価学会は宗教法人ですか。いつどこで認証を受けたか、所轄庁はどこですか。
○安達政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、昭和二十七年の八月二十七日に東京都知事によりましてその規則を認証され、九月八日に設立の登記を終わった、東京都知事所轄の宗教法人でございます。
○谷口委員 東京都知事が所轄庁としましても、全国的な組織を持つ団体ですから、文部大臣にも監督上の責任が大いにあると思いますが、どうですか。——いや大臣、大臣。
○安達政府委員 ちょっと先に包括の、つまり所轄庁の関係をちょっと御説明させていただきたいと思います……。(谷口委員「いや、それは知っております。」と呼ぶ)宗教法人の所轄庁につきましては、宗教法人法によりまして、「宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。」ただし二項で「他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人にあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部大臣とする。」ということでございまして、文部大臣は二都道府県以上に宗教法人がございまして、それを包括するところの宗派等のようなものを所轄するということになっておるわけでございまして、創価学会は、主たる事務所といいますが、東京都でございまして、他の都道府県に包括する宗教法人を持っていない、こういうことで東京都の所轄になっております。
○谷口委員 そういうことを聞いていないんです。そういうことはみんな知っているんです。私が聞いたのは、東京都知事が所轄庁なんですね、これはお答えになったとおりです。包括法人でないことはわかっています。しかし、そうだとしても、創価学会は全国的組織を持つ団体だから、文部大臣としてもやっぱり監督上の重大なる関心がなければならぬ、どうですかと聞いたのです。これは文部大臣にお答えを願います。
○坂田国務大臣 ただいま次長からお答え申し上げたとおりでございます。
○谷口委員 そうすると、これは文部大臣、責任ありませんか。
○坂田国務大臣 ただいま次長から申し上げましたとおりでございます。直接にはないわけです。
○谷口委員 これは国の委任事務でしょう、自治大臣。
○秋田国務大臣 国の委任事務でございます。
○谷口委員 それなら国の宗教問題の直接の責任者として文部大臣は責任があるわけです。あたりまえのことじゃないですか。わからぬからあなた方答えられない。わからないならわからないと言いなさい。創価学会の最新の規約を御提出願えますか。
○坂田国務大臣 提出いたします。
○谷口委員 それじゃ後ほどいただきます。 宗教法人法による宗教団体の政治活動のあり方についてお尋ねしたいです。宗教団体が政治団体へ政治献金することは認められますか。
○秋田国務大臣 政治団体としての献金は認められまして、制限は別段ございません。
○谷口委員 宗教団体が政治団体へ政治献金できるということですね。
○皆川説明員 宗教団体が宗教団体として許される行為の中において政治献金をすることこれ自体については、政治資金規正法なりあるいは公職選挙法で特別の制限はいたしてございません。
○谷口委員 文部大臣、宗教団体が政治団体に政治献金ができますか。選挙法の問題じゃないんだ。文部大臣、宗教法人としてです。
○安達政府委員 先ほど法制局長官からもお話ございましたように、宗教団体といえども言論の自由下におきまして、その宗教法人としての面は別といたしまして、これが政治活動することが許されるとすれば、それが政治資金規正法その他の法令の範囲内において、抵触しない限りにおいて、そういう献金をすることもこれまた許されるものと解さざるを得ないと思います。
○谷口委員 それでは質問を変えます。 宗教法人法に基づいて法人となっている宗教団体が政治団体に政治献金ができるかどうかです。これは文部大臣です。
○安達政府委員 宗教法人法によりますれば、第八十一条によって「解散命令」というのがありまして、これは裁判所が所轄庁、利害関係人または検察官の請求によって、または職権で解散を命ずることができることになっておるわけでございますけれども、その中の理由といたしまして、先ほど文部大臣からも御説明ございましたが、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」こととか、そういうようなことがあれば解散の事由でございますから、そのような状態に立ち至るような状態については、これは許されないと思うわけでございますけれども、このような一種の常識的な範囲と申しますか、そういう限りでは、憲法によって政治上の自由が許されている範囲内において、そのような行為があっても、これは認めざるを得ないものと考える次第でございます。
○谷口委員 この宗教法人法第六条には、宗教法人の活動、事業の範囲内が書いてあります。大体宗教法人というものは営利団体ではありませんから、人に献金するような、そんな金は本来ないわけです。しかしこの第六条では「宗教法人は、公益事業を行うことができる。」これは第一項です。「宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。」これは規定してあります。この基準以外の事業でもうけがあったら、利益があったら、この利益をどこへ使うかについては非常に厳格な範囲の制限があります。これは知っていますな。文部大臣。
○坂田国務大臣 ただいま次長から答弁をいたしましたとおりでございまして、宗教団体の目的を著しく逸脱したり、法令に違反して著しく公共の福祉を害することが明らかに認められる場合は、解散というようなこともあり得るわけです。
○谷口委員 解散のことをちっとも聞いたんじゃないのです。私の聞いておりますのは、この六条に宗教団体が事業をやって非常に利益があった場合、それをどこに使うかについて書いてあるわけですね。これはこう書いてありますね。「当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」と書いてある。それ以外は使っちゃならぬのです。ところで宗教団体の金というものは、おさい銭かこういう事業でもうけたこと以外にないでしょう、利益団体でないから。こういう事業でもうけた場合、おさい銭の一部を出すということなら、これは別だと思いますけれども、こういう事業でもうけた場合は、これはどこへ使わなければならぬかということはきちんと書いてある。そこへ使わなければならぬと書いてある。政治団体に献金できるような道はないのです。もしこれに反した場合には、一年以内に限ってその事業を停止するという規定もあるでしょう。やっぱりできるのですか、政治献金は。
○安達政府委員 お示しのとおり、第六条に「公益事業その他の事業」とございまして、「宗教法人は、公益事業を行うことができる。」また第二項に「その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」という規定があることは、お示しのとおりでございます。したがいまして、こういうような公益事業あるいは目的に反しない限りにおいて営むところの収益事業等について、これらの収益がその公益目的のために、あるいは宗教目的のために使われなければならないということはお示しのとおりでございますけれども、宗教法人といたしまして、これ以外の収益、いわゆる一般の収益——と申しますと、ちょっと語弊がありますけれども、宗教上のいろいろな関係で信者の寄与等もあるわけでございまして、こういうようなものを全体として見た場合において、その宗教団体のその目的に反しない程度において、その程度においての他のいわゆるそういう、先ほどお話のございまする政治献金等においても、さくことが違法であるということはいえないのではなかろうかと思います。
○谷口委員 事業をやって利益を得た場合、その利益をどこへ使うかということははっきり書いてある。それ以外に使っちゃならぬと書いてある。規制がある。そこで、いま局長のおっしゃったところによると、それ以外にどっか金が入ってきたという場合、これは宗教団体ですから、おさい銭その他だろうと思うのですね、この金を政治献金してもよかろうという考え方ですか。宗教団体が信仰のために信者から仏さまに供養のために上げてくれといってもらってきた金を、これを政治献金に回していいと政府はお認めなんですね。
○安達政府委員 もちろん、信者等が供えるところの献金と申しますか、宗教上の献金というものが、本来的宗教的な性格を帯びておるわけでございますから、そういう宗教上の目的に充当されるのは当然なことと思うわけでございますけれども、信者の信条に反しない範囲において、あるいはその宗教団体のその判断において、それを一切、政治的な目的に使うことが、この宗教法人法の全体の考え方に違背するということまではいえないのではないだろうか。そこは健全なる宗教団体の役員あるいはその他の関係者の納得の上において、それらの総合的な判断においておやりになること自体を宗教法人法が絶対に禁止しておるとはいえないのではなかろうかと考える次第でございます。
○谷口委員 たいへんなことをあなた方は言いたしました。これは総理がいらっしゃらないからしようがないが、しかも、あなた、大臣が出てこないで局長に答弁させているのだ。そうしてこういうことを言っているのだ。宗教団体が政治献金するために信者からおさい銭を集めるということは許されるか。そんなこと政府は認めるか。どうです。たいへんなことをあなた方は言っている。文部大臣、あなたは宗教担当大臣、あなたの御所見を伺いたい。
○坂田国務大臣 ただいま次長が申し上げたとおりだと思っております。
○谷口委員 あなたは局長の下に行きなさい。(「法制局長、法制局長」と呼ぶ者あり)法制局に聞いても、これまた法律の番人で、こういう政治問題は十分な答えをしないと思う。これは私語ですからいいです。 そうしますと、政治資金規正法の資料に基づきますと、創価学会出版局、これは創価学会の事業団体です。出版局、この出版局が、昭和三十八年一月一日から翌年六月三十日までの間に約一億六千六百七十万円の政治献金を公明政治連盟に行なっている。これはちゃんと官報に出ております。これはおさい銭でないのです。事業団体の事業の中から出た金です。つまり創価学会出版局です。創価学会出版局です。この中から一億六千万円の政治献金を公明政治連盟にしておりますが、これは宗教法人法第六条第二項の違反でないでしょうか。——文部大臣、立ちなさいよ。あなたの所管じゃないですか。——委員長、だめですよ。文部大臣、立ちなさい。
○坂田国務大臣 安達次長から答弁いたさせます。
○安達政府委員 先ほど申し上げましたように、この創価学会自体は東京都知事の所轄でございますので、私ども直接、いまのような事実があるかどうか明らかにいたしませんけれども、御指摘の点はよく東京都のほうにも一度聞きまして、さらに一そうよく調べてみたいと思う次第でございます。
○谷口委員 調べてお答えをいただくそうですから、それまでこれは保留します。 しかし、こういう事実があるわけであります。この一事を見ましても、創価学会がいかに宗教団体として逸脱した政治活動を行なっておるかは非常に明らかだと思うのです。そこで、なおこの問題を続けていきたいと思います。宗教法人法第二条によりますと、宗教団体は、宗教の教義を広め、儀式を行ない、信者を教化育成することをおもな目的とすると規定してあります。で、宗教団体が選挙に際して特定の候補者を推薦し、その当選のために活動することは、ここに規定された宗教活動の一部となりますか。どうですか、文部大臣。
○坂田国務大臣 政治活動としては、許されると思います。
○谷口委員 私はそんなことを聞いていません。宗教活動の一部となりますかどうかと聞いている。
○坂田国務大臣 宗教活動と限定はできないかもしれませんけれども、宗教団体が政治活動はできるということが許されておるわけでございますから、そういうことも許されるというわけであります。
○谷口委員 宗教活動と認めるわけにいかぬのですね。
○安達政府委員 この第二条にいうところの宗教活動、宗教団体が、ここの第二条に定義するところの「主たる目的」である活動ではない、かように考えます。
○谷口委員 つまり、特定の候補者を推薦し、その当選のために活動することが、宗教の教義を広め、儀式を行ない、信者を教化育成することになるかどうかと聞いたんですが、そうはならぬとお認めですね。
○安達政府委員 この宗教法人法によるところの宗教団体の正式の活動ではないと、そういう行為は別個な活動になると、こういうことを申し上げておるわけでございますけれども、ただそこに、やむにやまれないところの関連というものがあるかどうかということは別だと思います。
○谷口委員 あいまいな答えですけれども、苦しい答えだと思うのです。しかしこれは、法に規定しております宗教団体の目的とは違った活動、これはお認めになったことは事実です。創価学会は、その組織をあげて、選挙のたびごとに選挙活動に熱中している。この事実は世間はみんな知っている。ここに私、新聞を持ってきている。これは昨年十二月の総選挙のときの学会の新聞の一部です。この学会の機関紙聖教新聞、これは公示の十二月七日の社説ではこういうふうにいっております。これを、この新聞を出してもよろしいですが、書き抜いてきたから読みます。「王仏勝利の出陣にあたって、信心第一に不屈の戦いを」という見出しで、「仏の軍勢が魔の軍勢を打ち破っていく戦いである。王仏冥合達成へ向かって、その障魔を砕きゆく戦いである。日蓮大聖人の御遺命達成の戦いである。」まあ進軍ラッパですわ。こういう号命をかけて、選挙の全期間、社説ではすべて選挙の問題を取り上げている。さらに十八日には「王仏決戦と功徳・罰」という特集を行ないまして、これもここに書き抜いてきましたから読み上げます。「私ども妙法の軍勢に敵対した瞬間に、その人の生命の本質は無間地獄の当体に変ずる」——これはなかなか読み方があるようですが、と、学会の選挙活動に反対する人を脅迫している。それから「信心のボルトを高めて、魔の敵陣に罰の現証をあらわす戦いをしていこう」といって、創価学会に反対している勢力に罰を当てることまで呼びかけて、会員を扇動している。そうして投票日の前日には——これがその新聞ですが、これをごらんなさい。一面全面に、これは創価学会の候補者です。書いている。「衆院選、あす栄光の前途決する投票日、一票に悔いを残すな」これは大臣、報道じゃないのです。もうこうなりますと、公正な新聞の報道じゃないのです。またこれは政党の機関紙でもない。宗教団体の機関紙です。もうここまできますと、創価学会では、宗教法人法第二条に規定しております宗教団体のおもな目的を逸脱して、選挙がおもな目的になっている。これは法第二条の宗教団体の目的から見て、正常な状態と思いますかどうか。これも政府の見解を伺うのですから、文部大臣どうです。
○坂田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、やはり宗教団体としての主たる事業というわけにはまいらぬというふうに私は思います。
○谷口委員 宗教団体としては、その主たる目的の活動だと思えぬというのが政府の御答弁であります。宗教団体の目的からの逸脱は、法八十一条第一項第二号の規定によって解散命令の理由になるほど重大な問題なんです。宗教団体のおもな目的から逸脱する、こんなふうに選挙活動がおもな目的になっているような状態だと、解散命令の理由になるほどこの問題は、逸脱するかしないかという問題は、重大な問題になっているわけなんです。政府は徹底的にこの点について調査してもらいたいと思います。 実は先般本委員会で、塚本委員が報告した選挙中の悪質な選挙妨害事件や選挙違反事件は、決して単なる個人的な偶発的な事件でなくて、創価学会が組織をあげてやったこの選挙活動の中で、人に罰を与えろ、こういうように「あすの一票のために悔いを残すな」というほどの全組織をあげてやる、こういう宗教団体としては逸脱した激しい戦いの中で起こった事件でありまして、これは起こるべくして起こった事件だと私どもは考えておるわけでありますが、同様な事件を私どもは多数知っております。しかし、ここでは時間の関係で一つの問題だけを申し上げて政府の御所見を聞きたいと思います。 これは法務大臣、来ていらっしゃいますか——いらっしゃいますね。何かあなたを見ると厚生大臣だと思って……。 昨年の都議会選挙の際に、安田火災海上保険会社の本店から、「都議選に公明党後援方ご依頼の件」という文書が各支店長、営業所長に流されて、公職選挙法違反として告発されました。文書の内容がここにございますから読みます。これは名前を申し上げてよろしいですが、各支店長へ出された安田火災本社の本店営業第二部長吉田六郎さんの通達です。「都議選に公明党後援方ご依頼の件」「当部の最重要契約者たる創価学会の支持する公明党は、都政の刷新を念願に日夜都民のために健闘されてこられたことはすでにご高承のことと存じます。来たる七月十三日(日)に、都政を決定する都議選が実施されますが、公明党は現在苦戦を続けております。つきましては、何とぞ貴殿の強力なご後援を賜わりたく、お願い申し上げます。なお、同党の立候補者は下記のとおりです。」と、みな書いてある。これがいま申しましたように、各支店長、営業所長に流されたのでありますが、この件は法務大臣御承知ですな。
○小林国務大臣 私はいまの具体的のことを承知いたしておりません。
○谷口委員 あなた、知らぬのですか。これはこの事件がちゃんと裁判されて、略式命令ですけれども、罰金を科されておりますが、存じませんか。
○小林国務大臣 一々具体的事例の報告を受けておりませんから私は知りませんが、もし必要なら、事務当局からお答え申し上げます。
○谷口委員 ではひとつ事務当局からどうぞ。
○中野委員長 だれがいますか。
○小林国務大臣 いま関係者がおりませんから、至急呼び出して、お答えいたすようにします。
○谷口委員 これはまた私はおこらなければならぬ。血圧が高くなるのはいやですが、あなた、困るんですよ。これはちゃんと事前にあなた方に言ってある、こういうことをお聞きしますから、材料を集めておいてくださいと。あなたが知らぬのは、あくまで大臣だから、偉いから知らぬかもしれませけれども、事務当局も来てないとはどういうことです。全く国会軽視だと思うのですよ。委員長から厳重な警告をしていただきたい。
○中野委員長 直ちに関係者をお呼びください。——じきまた参りますから。谷口君。
○谷口委員 この間の時間は私の時間に入りませんね。
○中野委員長 参りますまで、どうぞ続行してください。
○谷口委員 いや、このことを聞かぬことにはわかりません。(発言する者あり)諸君が騒ぐからなにしますが、これはその依頼状を流したほうが、略式命令でも罰金刑に処せられている。ところが、依頼状を流してくれと言ったほう、頼むと言ったほう、安田火災に頼みに行ったほう、これはあるんですが、この安田火災へ公明党を応援してくれと依頼したもとの依頼者がおるんですね。ところが、もとの依頼者に頼まれて、安田火災の吉田さんの名前でこの書が出た、下部へ出た。ところが、略式命令食ったのは、これもけしからぬと思いますが、実際に吉田営業第二部長の命令でやりました渡辺三重郎という営業第二部第一課長が罰金を食っている。いずれにしましても、頼まれてやった、そのやったほうが罰金を食っているんです。頼んだほうは、これがどうなっているか。ここではっきり言いますと、文書を読んでみましょう。実はいま読みましたこの下部に流した依頼状には、もう一つ添え状がありまして、その添え状はこういうことです。添付文書ですね。「都議選に公明党支持依頼の件」として「当部の重要得意先たる創価学会より」——創価学会よりですよ。耳に入れておいてください。「来る七月十三日(日)におこなわれる都議選の応援をたのまれ、別紙の如く貴殿宛の依頼状を渡しましたので、近々公明党の方が訪問いたすはずでございます。つきましては御多忙中、誠に恐縮ですが、御面会下さるとともに、応対その他に関し、失礼のないようくれぐれもお願い申し上げます。」こういうことをやっているわけですね。 まだあるのです。これは昨年十二月の総選挙のことです。東京海上火災本社が電話で、全国の下部組織へ流した投票取りまとめの依頼があるのです。これはこういうことです。「十二月十六日、本店」これは名前を言いません。「〇〇部×X部長から電話で依頼。」ということで、「一、創価学会は当社の有力客先であり、三菱銀行の有力得意先である。三菱系との結びつきが強く、三菱十会社ならびに各地三菱グループに、今回の衆院選で公明党の応援を依頼してきている。一、依頼事項1、今回の選挙に関し、創価学会より当店にあいさつかたがた依頼にこられるかも知れないが、その節は丁重に応対願いたい。すでに学会側には支店の諒解も得てある旨話してある。2、当店の課長、参事以上の名簿を学会に提出してあるので、自宅に戸別訪問があるかも知れないが、後日論議の的にならないようあらかじめ各課長に含んでおいてもらいたい。(奥さんにも話しておくこと。)なお、各課長に対する伝言は一堂に集めることなく個別的に伝言願いたい。以上は××部長からの個人的依頼として文書にしないこと」と書いてある。文書にしちゃいかぬ書いてあるのに、下部では丁寧にも電話を文書にして流して回覧して、課長連中は認め印を押している。 このように、宗教団体である創価学会は、選挙違反を含む選挙活動を繰り返して、毎選挙のごとく堂々とやっている。これは学会員個人の行動であるという言いのがれはできるものじゃありません。組織としての創価学会の問題であることは歴然としている。宗教団体の監督者である文部大臣は、どうお考えになるかをここで政治的に御所見を伺いたい。
○坂田国務大臣 宗教団体は、やはり本来の宗教活動に専念しなきゃならぬことは、当然だと考えるわけでございますが、しかしまた一面におきまして、宗教団体といえども政治活動を禁止しておるわけではございませんので、その意味から、なかなかむずかしい問題があろうか一思いますけれども、しかし、やはりそれは国民のひんしゅくを買ったりなんかされないような常識の線において行なわれるべきことは当然なことだというふうに私は考える次第でございます。
○谷口委員 以上、創価学会と政治活動についていろいろ質問してまいりましたが、これまで論じてきましたことだけでも、その活動が、政治と宗教の分離を規定した憲法の条項に違反する、少くともそういう疑いがある。だから、宗教法人法の規定にも大きく逸脱しているということをいわざるを得ないと思いますが、またそれも重大な疑いを持たざるを得ませんが、このことは否定できないと思うのです。先般来本委員会で問題とされてきた創価学会・公明党の出版妨害問題も、その根源を求めますと、この宗教団体の政治活動という大きな問題が浮かび上がってくるわけです。その点からいいましても、これはきわめて重大な問題であります。ところがさらに重要なことは、今日の答弁で明らかになったように、政府は宗教団体の活動を監督する立場にありながら、実際は何もやってない、何も知らない。学会が公然と違憲の目的を掲げて活動を始めた昭和三十年以来何らの監督の機能も果たしていなかった、これがきょう非常に明らかになりました。 私はこの際、宗教団体の政治活動について、政府は徹底した調査を行なって、国会に報告することを強く要求したいと思います。これについての文部大臣のお考えはいかがでしょう。
○坂田国務大臣 やはり憲法の精神からいたしまして、宗教法人、宗教活動あるいはその布教ということにつきましては、その自由が保障されておるわけでございますから、そういう布教活動の具体的ないろいろのことまでもわれわれが調査をするということはできないと考えておりますけれども、しかし、いろいろの問題等につきまして、あるいは人権擁護委員会あるいは警察当局から具体的な事例等がございましたらば、十分それを参考にいたしまして、宗教団体がその本来の目的に沿ってすこやかな発展をされるように、私はつとめたいと考えておる次第であります。
○中野委員長 谷口君に申し上げますが、法務省の事務当局が来ておりまするが、お答えさせなくてよろしゅうございますか。
○谷口委員 この点は、私、もう言ってしまったからいいですよ。大臣知らなかったので、私のほうで言いました。 この宗教と政治の問題に関しての閣僚の方は帰ってもらってよろしいです。もう時間があと二十分ほどしかございませんので、物価対策の問題、物価抑制の方策について一点だけ伺っておきたいと思います。 公共料金の問題をここで取り上げたいと思いますが、その一つの典型として私鉄の問題をお尋ねしたいと思うのです。 私鉄の値上げの申請が出ておるようでありますが、これを一体どうなさいますか、これは運輸大臣に。
○橋本国務大臣 御質問のように、大手十四社は四十三年の十二月から四十四年の一月にかけまして、約一年ちょっと前から、定期及び定期外の両運賃の改定申請を運輸省まで出しております。運輸省当局としましては、申請がありますれば、当然これを審査すべき義務が生じますので、慎重かつ厳正、公正な審査を継続しております。すでに申請時から一年余を経過しておりますので、当省の現在までの審査の経過でも、おおむね各社の鉄道軌道部門にかなりの赤字を生じておる、今後の輸送力増強投資、運転の保安投資の遂行に支障を生ずるおそれがありますことを考えましたので、去る一月十三日に運輸審議会にこれが諮問を行なったわけであります。今後経済企画庁と協議の上、運輸審議会の審議、答申を待って、これに従って処理をする方針であります。 なお、運賃の改定申請につきましては、当省は前述のとおり厳重な審査を行なってまいっておりまするが、当然のことでありまするが、申請等について助言とか助成とか、かようなことは考えてもおりませんし、またいたしてもおりませんことを、つけ加えて申し上げます。
○谷口委員 大手十四社が値上げ申請をいってきたわけですが、その内容は、どういう理由で値上げしなければならぬといってきたか、その点はどうでしょう。
○橋本国務大臣 こまかい具体的なことは監督局長から答弁をさせますが、御承知のように、最近の大都市周辺のいわゆる通勤通学の輸送力というもの、が、人口の増加、都市集中に比例して設備が不十分であることは、これは谷口委員も御承知のとおりであります。それがために、これは国鉄も同様ですが、私鉄におきましても、五カ年計画を立てまして、現在の輸送力の増強及び運転、保安対策の五カ年計画というものを立ててまいってやっておるわけであります。この計画は、四十二年度を初年度とする五カ年計画でありまするが、私鉄十四社はこの大都市周辺の輸送力の増強、保安対策のために四千八百八十七億円という投資をせざるを得ないわけであります。この投資は四十二年以降四十四年まで過去三カ年間、投資の実績は二千五百七十三億円という膨大な投資をいたして、その進捗率は大体五三%に達しております。この過去の経過は大体順調にいっておりまするが、最近の状況から考えまして、はたしてこれからの二年間、先ほど申し上げました五三%以下の四七%の投資をする上において、現在の軌道収入でいいか悪いかということになりますと、われわれ当局で見たところでは、なかなか困難である、こういうふうに考えておりまするが、御承知のように、申請の中心は、そのような輸送力の増強及び保安対策の強化、こういう点に重点を置かれて、軌道会計としては非常な困難をきわめておるので、この際運賃改定を願いたい、かような趣旨とわれわれは承知いたしております。
○谷口委員 要するに、都市人口の集中があって、営業沿線の利用者が非常にふえてきた、そこで会社によりましては、複々線というようなことなんかも含めて、いろいろ事業の拡張、それから保安設備の更新というようなことを新しくやりたい、いわば新しい設備投資をやりたい、こういうことだと思います。私も実はあなた方のところで調べまして、各会社のあれを持っております。だから料金を上げてくれ、こういうことなんですけれども、しかし、この理屈は国民は納得しませんな。言ってみれば、客がふえたから店を広げたい、そのために金が要る、そこで品物の値段をつり上げる、こういうことになりまして、これはなかなか料金値上げの理由に国民としては納得できぬと思いますが、どうです。
○橋本国務大臣 御承知のように、会社経営の原則は、自己資本によって設備の拡張等を行ないますけれども、もちろんそれだけでは間に合いませんからして、借り入れ金等を行なうわけであります。そういう場合のいわゆる元利償還というものも考えていかなければ、膨大な投資をしました、しかし旧の料金では人件費の値上げ等を考えますと、なかなかできない。そうなりますと、これは当然会社経営としては、料金だけの収入で仕事ができるわけではありませんが、そうした投下資本に対する回収のための適正料金、こういうものは当然会社経営の原則から考えても必要であるわけでありますからして、四十二年から四十四年までは大体かろうじてやってまいられたけれども、四十五年、四十六年というこれからのものになりますと、従来の赤字が鉄道部門では私鉄十四社だけで七十億円に達しておる。こういう点から見ても、投下資本に対するいわゆる利子支払い等を考えますと、いまの料金ではやっていけないということからして、私鉄十四社が申請をしたものと考えるわけであります。
○谷口委員 私どもは、いま大臣がおっしゃったように、自己資本でやるべきだという考えを持っております。料金を上げて設備投資、資本費に入れていくというようなことになりますと、それによって得た資産は利用者に一応渡すということはないわけですから、みな株主のものになるのですから、ただ料金を上げて資本投下をやるということは、なかなか国民は納得できないと思いますが、一体大手私鉄十四社の鉄道部門の営業収益はどれくらいありますか。
○橋本国務大臣 私がいま申し上げたように、料金改定によって、いわゆる増収で仕事をしていけといっているのではないのであります。その何倍か何十倍かの資本投下がなければそれだけの設備ができないのでありますからして、これは他の会社においても同様であります。自己資金の何倍かの借り入れ金によって会社経営が行なわれておる。多いことが必ずしもいいわけじゃありませんから、適正の問題はありましょうけれども、いわゆる収入だけでやっていくわけではない。もちろんそれには資本金あるいは借り入れ金等を合わせまして資本の投下が行なわれるわけであります。 ただいま谷口委員からの御質問の内容は、事務的な問題でありますので、鉄監局長から答弁させます。
○町田政府委員 お答えいたします。 昭和四十四年度の推定を含めまして、営業収入は大手十四社全部で千七百四十七億であります。
○谷口委員 それで赤字ですか、黒字ですか。
○町田政府委員 これは四十四年度でございますから、推定を含んでおりますが、大体二百二十六億の赤字でございます。
○谷口委員 その赤字の数字には、いま運輸大臣がおっしゃった借り入れ金等の利子も含まれておりますか。
○町田政府委員 資本費といたしまして、当然含まれております。
○谷口委員 その利子を含まない状態での、鉄道部門の旅客運賃ですね、この鉄道部門の営業収入はどういうことになっていますか。
○町田政府委員 営業外損益、すなわち利子その他でございますが、それを含まないと百五十六億の黒字でございます。すなわち営業外損益が三百四億の赤字でございます。そのほかに配当所要額を入れまして二百二十六億の赤字、こういうことでございます。
○谷口委員 私の手元にあります資料は、これは残念ながら昭和四十四年がないのですが、昭和三十六年から四十三年までのあれを見ますと、私鉄十四社のもうけは非常に大きなものがあります。最近数年間のあれを見ますと、四十年が百九十億、四十一年三百八億、四十二年三百一億、四十三年二百六十二億、端数は切り捨てます。料金収入の中から得たこの収入をとってみますと、こういうもうけがあるわけです。そこへ、先ほど運輸大臣がおっしゃったように、借り入れ金等の利子をやりますと、確かに私の資料でも赤字ということになっておりますが、しかし、私は、運輸大臣がおっしゃいますけれども、やはり料金で資本投下をやるというようなやり方は正しくない。会社はばく大な資産を持っておりますし、営業収入としては、それ自体決して赤字じゃないわけなんです。だから、会社の責任で設備投資をやればいい。増資もいいし、それからまた、たくさん持っております傍系会社の株なんかも売ってもいいと私は思います。ところが、近ごろのこういう営利会社は増資なんかやらないで、借り入れ金でやっておるのがはやっているようでありますが、これは非常にずるいやり方だと私ども利用者は思う。もうけがあって、株式だと配当を出すと、これは税金がかかる。借り入れ金だと、利子を払いますと、これはもう経費として落とせる。いわば一種の脱税行為をやっているとしかわれわれは思われぬわけですが、こういうやり方でなくて、当然企業設備というような問題につきましては借金でやらないで、むしろ傍系会社その他のいろいろな投資をしております、こういうものを整理してやるということはどうかと思うのです。 そこで伺いますが、この私鉄大手十四社が傍系会社などに投資しております状況はどうですか。
○橋本国務大臣 谷口さんの御意見でありますが、やはり膨大な投資に対する投下資本の利子を収入によってまかなっていくというのが会社の原則であります。公企業体におきましては、資本金等がありませんために、料金収入の中から、大体最近の通説としては一〇%程度は支払っても差しつかえない。これは公企業体の場合であります。こういう意見もあるわけであります。しかし、私企業でありますから、したがって借金に対する利子は当然収入の中から払っていく。そうしないとこれは赤字の累積になりまして、倒産ということにもなりますから、その程度のものはまかなえる料金改正は必要ではなかろうか。 いま御質問の各会社の兼業状況の資産内容、収入等、数字の問題でありますから鉄監局長からお答えを申し上げます。
○町田政府委員 ただいまお尋ねの投資の状況を申し上げますと、四十三年度末におきまして大手十四社で投資いたしております総額が二千二百七十一億ということでございます。
○谷口委員 そうのようです。私の持っておる資料でもやはり二千億をこえるというばく大な投資額であります。また土地もどっさり持っておる。時間がありませんから、私のほうで読みますが、非常にたくさん持っておる。近鉄、西鉄、西武、東武、この四社だけでも実に八十平方キロメートル、鉄道用地を抜いても六十五・六平方キロメートル、そういう土地を持っておる。これは中央区、港区、新宿区及び台東区の四区の全面積に匹敵するのですが、この中の大部分が売るための不動産部門の土地といわれております。そればかりでありません。退職金引き当て金だとか修理費、減価償却費、物件費、賞与引き当て金、これらは各社とも必要以上に計上して、社内保留して含み財産として非常にたくさん持っておる。これらは資料がございます。これはばく大なものだ。 どんなふうにしてやるかという一例を、極端なやつを見ますが、東武など四十四年度の上半期に賞与引き当て金を二億円計上して、公認会計士から、こういう不当なことをやってはいかぬ、これはもうけの中に計上しなければならぬというふうに監査報告書で警告を発しているような状況です。こういうやり方でたくさんの含み財産を持っておるということでありますから、設備投資を料金値上げでやる根拠は全くないと私どもは考えるのです。これらの資産をはたき出して、そうしてやればいいと私どもは考えるのですけれども、これは大臣まずいですか。どう考えますか。
○橋本国務大臣 目下審議会でその内容等を調査いたしておりますので、いまここで料金の値上げを認める認めないの判断をする段階でもありませんので、かつまた御承知のように、物価抑制という問題もありまして、政府全体の責任においてこれらの問題を考えていくというたてまえでおります。ただしかし、最近の大都市交通圏の問題から考えましても、やはり輸送力の増強は絶対的に必要であるということだけは、これは皆さんも御理解願えると思います。 なお、この機会に、先ほど私、前のほうで七十億円の赤字云々は、私の他の数字の記憶違いでありますからして、鉄監局長の申したとおりに御訂正を願います。
○谷口委員 私が質問しました趣旨は、公共料金の問題につきましては、総理も、それから企画庁長官も、お二人とも佐藤さんですが、本会議で、極力抑制するということを言っておられると思うのです。これは政府の大方針だと思うのです。その点、私鉄の問題は一例として取り上げたわけですが、時間がございませんので、結論に入らなければならぬようなことになっておりますが、一体政府の大方針をどうしてするかということですね。さっきからあなたの話を聞いておりますと、私鉄の弁護ばかり、企業の弁護ばかりしていられる。私どもは、公共料金を抑制するという政府のたてまえからしましても、私鉄の運賃を上げるというようなやり方でなくて、私鉄が現在持っておりますいろんな財産、資産、これを吐き出してやれ、そういうようにしてはじめて公共料金を抑制するという政府の施策、また国民はそれを望んでいる、これができるということで、そういう点から具体的にどう抑制するか、どう抑制できるかということを具体的な手段まで示してきているわけです。その道筋をいままで明らかにしてきたわけですが、何も審議会の答申を待たなくても、あなたがここで、そうだ、やらぬと一言言えば済むことなんですが、しかし、会社の弁護ばかりされております。私どもはこういう点で政府の姿勢の問題が非常に重大だと思うのです。 時間が来ましたから、私どもはこれは大蔵大臣も聞いておいていただきたいと思いますが、公共料金を抑制するとかあるいは物価を引き下げるとかいう問題は、経済の、あるいは企業のやりたいこと、あるいは経済の法則、そういうところを前提にしておったら、これはできぬことだと思う、いまは資本主義の社会ですから。これはやはり行政的な措置で、頑強なこれに対する取り締まりとか規制とか、そういう対策なしには、実際はどうにもできない。これはいままでのここ数年間あるいは十年間の日本の状況を見ましてもわかるわけで、政府は最初何%ぐらいの物価上昇でとどめたいというふうなそれぞれの計画のもとでそういうことを言ってこられましたけれども、やってみると、これはそうではなくて逆になっていく、もっとどんどん上がっていることは、いままで委員会でもみんなで指摘しております。これを抑制するということになりますと、強力な対策——企業が頼んできたから、企業のいろいろな言っていることは当然だ多いう点から、そこにばかり目を向けて料金の引上げという問題を安易に取り扱うという態度自体、正しくない。これはいずれ他の委員会でわが党の議員が手分けして根本的にやりますが、やはり物価を抑制するとか公共料金を抑制するとかという問題は、経済法則にまかしておいたのではだめなんで、政府として抑制するという上で強力な手段をとるという態度なしにはできぬというふうに思うのです。こういう点について、大蔵大臣がいらっしゃるから、われわれのこの考えについての御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○福田国務大臣 物価問題につきましてたいへん御熱心な御意見を承りましたが、もう物価問題はほんとうにわれわれが当面している最大の問題だといっても過言ではないと思います。これにはあらゆる角度からあらゆる手を尽くす、こういうことでなければならぬと思いますが、今後といえども最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○谷口委員 気に入りませんが、これでやめます。
○中野委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○中野委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。 明十日、北側君の質疑の際、日本住宅公団総裁林敬三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。 明十日は、午前十時より委員会を開会し、田中武夫君、北側義一君及び井上普方君の一般質疑を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会