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63回国会衆議院1970/02/20

予算委員会 第1号

発言数
117
登壇者
16
会派数
1
開催日
1970/02/20

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る一月二十日の本会議におきまして、不肖私が予算委員長に選任されました。昨年暮れに行なわれました第三十二回総選挙後の七〇年代初頭におけるその職責は、非常に重かつ大なるものを痛感しておる次第であります。幸いにいたしまして、練達たんのうなる委員各位の御協力を賜わり、本委員会の公正にして円滑なる運営をはかり、もって予算の慎重なる審議を通じ、国政の上に遺憾なきを期すべく最善を尽くす所存でございます。  何とぞよろしく各位の御協力をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより理事の互選を行ないます。  理事の員数及び互選の方法についておはかりをいたします。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 この際、動議を提出いたします。  理事の数は九人とし、委員長において指名されんことを望みます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 ただいまの田中正巳君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。  それでは、     小平 久雄君   田中 正巳君     坪川 信三君   藤枝 泉介君     細田 吉藏君   大原  亨君     田中 武夫君   大野  潔君     今澄  勇君 以上の諸君を理事に指名いたします。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算並びに昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)、以上各案を一括して議題とし、審査に入ります。     —————————————  昭和四十五年度一般会計予算  昭和四十五年度特別会計予算  昭和四十五年度政府関係機関予算  昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)  〔本号(その二)に掲載〕     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 まず、各案の趣旨について、政府の説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。

福田一自由民主党

○福田国務大臣 昭和四十五年度の予算につきましては、すでに本会議で基本方針、またその大綱につきまして御説明をいたしましたが、あらためてその詳細につきまして御説明をいたします。  四十五年度の予算の編成にあたりましては、わが国の経済の持続的成長の確保及び物価の安定を眼目といたしておるのでありますが、その特色とする点は次の三点であります。  第一は、財政面から景気を過度に刺激することのないように財政の規模をできる限り抑制した、このため公債及び政府保証債の発行額を縮減することといたしたとともに、また法人税の増徴を行なったということであります。  第二の点は、国民の税負担を軽減するために所得税の大幅な減税を行なうとともに、地方税につきましても、住民税を中心とする減税を行なうことといたしたことであります。  第三点は、一般会計及び財政投融資計画ともに限られた財源ではありまするけれども、その適正かつ効率的な配分につとめまして、国民の福祉向上のための諸施策を着実に推進することといたしたことであります。  以上により編成されました昭和四十五年度一般会計予算の総額は、歳入歳出ともに七兆九千四百九十七億円でありまして、四十四年度当初予算に対しまして一兆二千百二億円、伸び率にいたしまして一七・九%の増加と相なるのであります。  また財政投融資計画の総額は、三兆五千七百九十九億円でありまして、四十四年度当初計画に対しまして五千二十九億円、伸び率にいたしまして二八・三%の増加と相なります。  まず一般会計を中心にその概要を御説明申し上げます。  歳入予算の内訳は、租税及び印紙収入で六兆九千三百八十四億円、税外収入で五千五百八十三億円、公債金で四千三百億円及び前年度剰余金の受け入れが二百三十億円となっております。  歳入予算のうち、租税及び印紙収入について申し上げます。  昭和四十五年度税制改正におきましては、最近における国民負担の状況にかんがみまして、所得税の負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の拡充及び税率の緩和等によりまして、平年度約三千五十億円の所得税の減税を行なうことといたしますとともに、現下の経済財政事情にかんがみまして、法人の税負担を引き上げ、また利子・配当課税についてその合理化をはかるなど、租税特別措置等について所要の整備合理化をはかることといたしております。  この税制改正による昭和四十五年度の減収額は、差し引き千七百六十八億円となる見込みでありまして、これを改正前における収入見込み額七兆千百五十二億円から差し引きいたしました六兆九千三百八十四億円を昭和四十五年度の租税及び印紙収入予算額とした次第であり、これは昭和四十四年度当初予算に対し一兆二千三億円の増加と相なる次第でございます。  次に、公債金につきましては、四十五年度の一般会計における公債の発行額を、前年度当初予算より六百億円減額いたしまして、四千三百億円といたしました。これにより、一般会計における公債依存度は、前年度は七・二%でありましたが、今度は五・四%に低下することになります。  次に、歳出のおもな経費につきまして、順次御説明を申し上げます。  まず、社会保障関係でありますが、社会保障関係費といたしましては、総額一兆千三百七十一億円を計上し、施策の充実をはかっております。  すなわち、生活扶助基準を一四%引き上げるほか、福祉年金につき改善をはかるなど、低所得者層に対する施策の充実を行なっております。さらに、児童保護、母子保健対策についてその拡充をはかるほか、老人福祉対策、身体障害者対策を充実するなど、きめこまかい配慮を行なっておるのであります。なお、看護婦の養成確保のための施策を推進しております。  次は、文教及び科学振興関係。文教及び科学振興費といたしましては、総額九千二百五十六億円を計上いたしております。  文教につきましては、文教施設の整備、特殊教育及び僻地教育の充実、情報教育の拡充等、各般の施策を引き続き推進することといたしておりますほか、特に私立大学等に対する補助助成につきまして、私学の国家社会に対する役割り及び経営の現状にかんがみ、新たに経常費補助を創設することといたすとともに、私学振興財団を設立し、私学振興に関する体制の整備をはかることといたしておるのであります。  科学技術の振興につきましては、時代の要請にこたえて、動力炉の開発を中心とする原子力平和利用の促進をはじめとして、宇宙開発、海洋開発、大型工業技術の開発等を推進することといたしております。  次は、国債費。国債費につきましては、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計に繰り入れるため、二千九百九億円を計上いたしております。  次は、恩給関係費。恩給関係費につきましては、恩給金額の改定等の措置を講ずることとし、二千九百九十一億円を計上いたしております。  次に、地方財政について申し述べます。  まず、地方交付税交付金につきましては、その増加状況等を勘案しつつ、四十五年度においては、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ額を三百億円減額する等の措置を講ずることとし、四十四年度当初予算に対し、三千二百九十五億円増の一兆六千六百二十九億円を計上いたしております。また、法人税負担の引き上げに伴う地方交付税交付金の増加等を勘案し、市町村民税臨時減税補てん債及び特別事業債の元利償還に要する経費につきましては、四十五年度及び四十六年度に限り地方交付税交付金をもって措置することといたしております。  なお、地方財政におきましては、地方税等の歳入の大幅な増加が見込まれるのでありますが、現下の経済情勢に対応する財政運営のあり方にかんがみ、国と同一の基調により、重点主義に徹し、節度ある運営を行ない、その健全合理化を一そう推進することを期待するものであります。  次は、防衛関係ですが、五千六百九十五億円を計上し、国力に応じた防衛力の充実につとめるとともに、基地対策の充実をはかっております。  次は、公共事業関係。公共事業関係費につきましては、国民生活の環境を整備し、国力発展の基盤を培養して、わが国経済の均衡ある発展を確保するために特段の配慮を加えており、総額一兆四千九十九億円を計上いたしております。  まず、治山治水事業につきましては、引き続きその着実な推進をはかるほか、海岸事業について、昭和四十五年度を初年度ととする海岸事業五カ年計画を策定することといたしました。  次に、道路整備事業につきましては、国道、街路の整備、都道府県道の舗装について、重点的に予算の配分を行なっております。また、有料道路事業として、日本道路公団等三公団の事業の拡充をはかるほか、新たに本州四国連絡橋公団を設立することといたしております。このほか、現行道路整備五カ年計画を改定することといたしておるのであります。  港湾、漁港、空港の整備につきましても、その推進を期しておりますが、空港につきましては、空港の整備の促進及び運営の円滑化を期するため、空港整備特別会計を新設することといたしております。  なお、四十五年度におきましては、道路、港湾につき、従来公共事業として実施されてきた分野におきましても、国、地方公共団体以外の新しい事業主体による事業実施の道を開くことといたしております。  このほか、河川、道路、港湾の高率特例補助の一部について、調整合理化をはかることといたしました。  また、住宅、生活環境施設の整備には、特に重点的な配分を行なっておるのであります。  なお、日本国有鉄道におきましては、山陽新幹線の建設を進めるとともに、通勤通学輸送の混雑緩和と幹線輸送力の増強等につとめることといたしております。また、日本電信電話公社におきましても、引き続き施設の整備を推進することといたしております。  貿易の振興及び経済協力の推進の面におきましても、施策の充実をはかっております。  すなわち、日本輸出入銀行、海外経済協力基金に所要の財政資金を投入することにより、その事業規模を拡大するとともに、各種の技術協力等の援助の拡充をはかっております。  次は、中小企業対策でありますが、中小企業対策につきましては、その高度化、近代化等を引き続き推進することとし、各般の施策を充実しておるのであります。  すなわち、中小企業振興事業団の事業規模を拡大いたしますほか、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の貸し付け規模を前年度当初計画に対しおおむね一八%増額いたすことにいたしております。  次は、農林漁業関係であります。昭和四十五年度の農林漁業関係予算におきましては、農林漁業の生産性向上と農林漁業者の所得の安定向上をはかるため、各般の施策を推進しておりますが、特に米の需給改善のための諸施策を大幅に拡充するなど、農政の新たな展開をはかることといたしております。  まず、米につきましては、両米価の水準を据え置く方針をとることといたしますとともに、四十五年度産米について、百五十万トン以上を目標に、米の生産調整を実施することといたしました。このため農地の転用を推進いたしますが、そのほか八百十億円の米生産調整奨励補助金を計上して、米の減産をはかることといたしております。  また、食糧管理特別会計につきましては、米生産調整対策による生産量の減少及び自主流通米を勘案いたしまして、国内米の買い入れ数量を六百五十万トンと見込み、一般会計から同会計の調整勘定に三千十六億円を繰り入れることといたしております。  また、開田、干拓は、これを厳に抑制することといたしますが、他面、農道の整備、畜産・園芸の振興、農産物の流通改善等の施策の拡充をはかっておるのであります。  さらに、農業の経営規模拡大と農業者の老後の生活安定に資するため、昭和四十五年度から農業者年金制度を創設することといたしております。  産業投資特別会計におきましては、日本輸出入銀行に対する出資をはじめとして、総額千三十五億円の出資を行なうこととし、これに要する財源として九百三十六億円を一般会計から同特別会計へ繰り入れることにいたしておるのであります。  沖繩援助の増強でありますが、沖繩住民の安寧と福祉の向上及び沖繩における経済開発の増進に資するため、沖繩に対する援助を大幅に増強することといたしておりますほか、沖繩・北方対策庁を設けることとして、復帰準備の推進に資することといたしております。  次は、給与改善。公務員給与の改善に備えて、公務員給与を五月から五%引き上げるのに必要な金額を、当該各項の給与費に計上いたしております。  次は、予備費でありますが、予見しがたい予算の不足に充てるため、千百億円を計上いたしております。  以上、主として一般会計について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的配分と経費の効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  次は、財政投融資であります。以上、それぞれの項目において説明いたしましたところでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計出資千三十五億円、融資原資として資金運用部資金二兆五千四百四十億円及び簡保資金三千九百三十億円を見込みますほか、公募債借り入れ金等五千三百九十四億円を予定しております。  その運用の内容につきましては、住宅、道路、鉄道等の社会資本関連ないしは生活環境整備並びに中小企業金融の充実に重点を置いております。  終わりに、今回提出いたしました昭和四十四年度補正予算について申し述べます。  この補正予算は、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費につきまして補正の措置を講ずるほか、公債金の減額を行なうことといたしておるのであります。  一般会計補正予算の規模は千九百十三億円でありまして、歳出に追加されるものとしては、(1)六十二回国会において成立した給与関係法に基づく国家公務員の給与改善等の経費、(2)国民健康保険助成費等義務的経費等の追加、(3)診療報酬の改定に伴う増加経費、(4)食糧管理特別会計調整勘定への繰り入れ、(5)米生産調整特別対策事業費、(6)土地需要緊急調査費、(7)琉球政府への米穀売渡しに必要な経費、(8)所得税収入等の追加計上等に伴う地方交付税交付金の増加であります。このうち、給与改善に要する経費につきましては、既定経費の節減及び予備費の減額を行なって、これに充てることといたしております。  一方、歳入につきましては、租税及び印紙収入において千九百六十九億円、税外収入において三百四十四億円を追加計上しておりますが、公債金を四百億円減額しておりますので、差し引き増加額は千九百十三億円と相なっております。  この結果、四十四年度の一般会計予算は、歳入歳出とも六兆九千三百八億円と相なります。  また、特別会計におきましても、国立学校特別会計等七特別会計において、公務員の給与改善等のため必要な補正を行なうことといたしております。  以上、昭和四十五年度予算及び昭和四十四年度補正予算につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明をいたさせます。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。よろしく願います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。  大蔵大臣、経済企画庁長官以外の閣僚各位は、御退席を願ってけっこうでございます。  引き続き、政府の補足説明を順次許します。鳩山主計局長。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○鳩山政府委員 昭和四十五年度の予算並びに昭和四十四年度の補正予算につきまして、ただいま大臣から御説明がございましたが、なお細部にわたりまして、補足さしていただきます。  お手元に、「昭和四十五年度予算の説明」という冊子をお届けしてございますが、これを参照いたしながら、補足さしていただきます。  最初に、財政の規模につきましてでございます。  この説明の一ページの右方に書いてありますが、一般会計予算の国民総生産に対します比率でございますが、四十五年度予算では一一%でございます。ちなみに、四十四年度につきましては、今回提出いたしました補正予算を加えまして比率をとりますと、一一・一%でございます。  また、一般会計のほかに、特別会計、政府関係機関、財政投融資及び地方財政を含めました国民所得計算上のいわゆる政府財貨サービス購入の増加率でございますが、四十四年度に対しまして一四・八%でございます。これは経済成長率の一五・八%を下回るものとなっておるのでございます。  次に、歳入につきましては、税収につきましてはただいま大臣からお話がございましたとおりでありますが、税外収入につきましては、四七ページに掲げてございます。  税外収入は五千五百八十三億円でございまして、昭和四十四年度の当初予算に対しまして七百四十三億円の増加でございます。その内訳は、専売納付金が二千六百九億円、官業益金及び官業収入が二十七億円、政府資産整理収入百六十億円、雑収入二千七百八十七億円と相なっております。  次に、公債発行の対象経費でございます。これは四八ページ以下に掲げてございますが、財政法の第四条第一項ただし書き及び同条第三項の規定によります公債発行の対象となる経費の金額でございますが、これは一兆二千百三十九億円となっております。これと公債発行額四千三百億円との差は七千八百三十九億円でございまして、四十四年度当初予算に比べまして二千三百五十一億円の増加となっております。まあ、これは財政体質がこれだけ健全化されたということになるわけであります。  それから、前年度の剰余金は二百三十億円、これは、四十三年度の決算の結果、新たに生じました剰余金でございます。このうち、七十七億円が道路整備費の財源に充てられまして、これを差し引きました残額の二分の一相当額七十七億円は、財政法第六条の規定により、国債償還の財源として国債整理基金特別会計に繰り入れることとしておる次第であります。  次に、歳出について御説明申し上げます。  社会保障関係費は一兆千三百七十一億円でございます。四十四年度当初予算に対しまして千九百一億円、比率で二〇・一%の増加となっております。  生活保護のうちにあります生活扶助基準の改定は一四%でございまして、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、生活扶助のための支給額は、月額二万九千九百四十五円から三万四千百三十七円に増額されることになります。  次に、福祉年金につきましては、老齢福祉年金が月額千八百円から二千円に、障害福祉年金を月額二千九百円から三千百円に、母子福祉年金を月額二千四百円から二千六百円に、それぞれ二百円引き上げることといたしております。  次に、文教及び科学振興費九千二百五十六億円は、四十四年度当初予算に対しまして千百九十九億円、一四・九%の増加でございます。  このうち、私立大学等の経常費補助でございますが、私立学校に対します既存の各種の助成を吸収いたしまして、新たに経常費補助を設けたのでございまして、四十四年度予算に対しまして七十五億円ふやしまして、百三十二億円を計上いたしております。  また、私立学校振興会を吸収して私学振興財団を設けることとしておりますが、一般会計の出資十億円を計上いたしますとともに、財政投融資百六十億円を予定いたしております。  科学技術の振興につきましては、特に重点を置いておりますが、動力炉の開発につきましては、四十四年度の百三十四億円から二百六億円に、宇宙開発につきましては、六十一億円から百十九億円に、それぞれ大幅に増額計上いたしております。また、海洋開発につきましては、科学技術振興費及びその他の経費を含めまして、四十四年度の三十二億円から四十九億円に増額をいたしております。  次に、国債費につきましては、二千九百九億円海外経済協力基金につきましては、その投融資規模を前年度予算の五百七十億円から七百三十億の内訳でございますが、国債の償還費が千七十九億円、国債利子等千七百九十八億円、国債事務取扱費三十二億円でありまして、前年度当初予算に対しまして百二十一億円の増加となっております。  次に、公共事業関係費一兆四千九十九億円は、四十四年度当初予算に対しまして一六・九%の増加でありますが、災害復旧等を除きます一般公共事業費では一八%の増加でございます。特に、住宅、生活環境施設の整備について重点的な配分をいたしておりまして、下水道につきましては二七・二%の大幅な増加をはかるほか、住宅につきましても、一般会計で二〇・一%増、日本住宅公団、住宅金融公庫に対します財政投融資で二九・九%増を予定をいたして、政府施策住宅六十一万九千五百戸の建設をいたすことといたしております。  なお、従来公共事業として実施されてきました分野にも、国、地方公共団体以外の新しい事業主体による事業実施の道を開くことといたしまして、名古屋地方道路公社及び伊勢湾地区におきます外貿埠頭株式会社等をつくることとしておりますが、それぞれ道路整備特別会計及び港湾整備特別会計から無利子の貸し付けを行なうことといたしますとともに、財政投融資計画においても所要の措置を講じております。  次に、貿易振興及び経済協力費九百十九億円は、前年度当初予算に対しまして八十四億円、一〇%の増加でございますが、これに産業投資特別会計からの日本輸出入銀行に対します出資を含めますと、前年度当初予算に対しまして二百九億円、一四・二%増の千六百七十九億円となるのでございます。  日本輸出入銀行につきましては、産業投資特別会計からの出資を前年度の六百三十五億円から七百六十億円へと増額いたしますことによりまして、その貸し付け規模を三千七百四十億円から四千三百億円に拡大をいたしております。円へと大幅に拡大をいたし、これに必要な財源として一般会計出資二百九十億円を計上いたしますほか、資金運用部資金融資三百十億円を予定いたしております。  中小企業関係でございますが、中小企業振興事業団につきましては、一般高度化資金の融資規模を前年度予算に対しまして三〇%ふやし、繊維対策資金の融資規模を四〇・七%の増加というふうに大幅に充実をすることといたしておりまして、一般会計からの出資金を、四十四年度の二百六億円から二百五十七億円へと増額をいたしております。  次に、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の政府関係中小企業金融三機関に対します財政投融資計画額は四千七百四十九億円でありますが、その内訳は、国民金融公庫が二千三百六十四億円、中小企業金融公庫が二千二百六十三億円、商工組合中央金庫が百二十二億円となっております。  中小企業信用保険公庫への出資金は百十五億円を計上いたしておりますが、その内訳は、保険準備基金が四十億円、融資基金七十五億円でございます。  農林漁業関係につきましては、各般の施策を拡充する等、農政の新しい展開をはかっていることは、ただいま大臣から御説明申し上げましたところでありますが、なお補足いたしますと、次のとおりでございます。  米生産調整対策費は、稲作から他作物への作付転換を行ない、または稲の作付を休止する等の方法によりまして、米の生産を減少させた者に対しまして、当該減産にかかる稲の作付地の農作物共済基準収穫量がきめてありますが、その基準収穫量の一キログラムにつきまして八十一円の米生産調整奨励補助金を交付することといたしておるのでございます。  それから、農業者年金でありますが、その給付額は、二十五年間保険料を納付した者の場合に、月額二万円になるようにいたしております。一方、農業者年金の適用対象とならない老齢または零細な農業経営主の離農を円滑化いたすために、三十五万円または十五万円の農業者離農給付金を支給することといたしております。このため、農業者年金等実施費といたしまして、三十七億円を計上いたしております。  農業基盤整備につきましては、開田、干拓を厳に抑制するとともに、農道整備、圃場整備、畑作振興、草地開発等の各事業を拡充いたすことといたしまして、千八百九十億円を計上いたしております。  農林漁業金融につきましては、農林漁業金融公庫の融資ワクを、四十四年度の二千二十億円から二千三百億円に拡大するとともに、農業近代化資金の融資ワクの限度三千億円を確保いたしております。また、漁業近代化資金の融資ワクの限度を、四十四年度の百億円から二百五十億円に拡大をいたしております。  特別会計及び政府関係機関につきましては、一般会計の関連する項目におきましてそれぞれ御説明をいたしましたので、省略をさせていただきます。  次に、四十四年度補正予算につきまして、補足させていただきます。  まず、一般会計につきまして、御説明申し上げます。  歳入は、租税及び印紙収入の追加が千九百六十九億円でありますが、所得税が九百四十三億円、法人税千百七十億円等の増収によるものでございます。税外収入三百四十四億円の内訳は、日本専売公社納付金が九十八億円、日本銀行納付金が百二十八億円、日本中央競馬会納付金が四十三億円等でございます。また、公債金を四百億円減額いたしまして、四十四年度の発行予定額は四千五百億円となるのでございます。  次に、歳出でございますが、給与改善のための所要額は千八十八億円でありますけれども、公務員給与の改善に備えて、当初予算に計上いたしました四百四十三億円と、それから当初予算に計上した人件費のうち、不用になる見込みが七十八億円ありますので、これを差し引きまして、五百六十七億円を今回給与改善費として追加いたしたのでございます。  それから義務的経費等の追加二百七十一億円の内訳でありますが、児童保護費が六億円、国民健康保険助成費が百八十四億円、国民年金国庫負担金が十七億円、農業共済再保険特別会計への繰り入れが十七億円、畜産振興事業団交付金が二十五億円、畜産振興事業団出資金が二十一億円、並びに漁船再保険及漁業共済保険特別会計への繰り入れが一億円でございます。  診療報酬の改定に伴います増加の経費が六十億円ございますが、四十五年二月一日から診療報酬の改定が実施されました結果、必要となります国民健康保険助成費等の経費でございます。  次に、食糧管理特別会計におきましては、国内米の買い入れ数量が当初の予定を上回ると見込まれることによりまして、同会計の食糧管理勘定の損失額が当初予算において予定しました二千九百七十四億円から三千五百四十二億円に増加する見込みとなりましたので、この会計の経理運営の改善をはかるため、一般会計から食糧管理特別会計調整勘定に五百六十億円の繰り入れをいたすこととしております。  米の生産調整特別対策事業費二十億円を計上いたしておりますが、四十五年度において実施されます米の生産調整対策の円滑な遂行を期するために、都道府県等で四十四年度におきまして、あらかじめ実施をしなければならない米生産調整特別対策事業に対しまして助成を行なうのに必要な経費を計上いたしました。  それから次に、土地需要の緊急調査費であります。これは一億円を計上しておりますが、米の生産調整対策と関連して、農地の他用途への転用需要の内容につきまして緊急に具体的な調査を行なう必要がありますので、その経費を計上いたしました。  次に、琉球政府への米の売り渡しの経費でありますが、沖繩における産業の振興開発に資するための琉球政府に対する米穀の売り渡しについての特別措置に関する法律が昨年末に成立をいたしまして、琉球政府に対する本土産米の売り渡しを行なう必要が生ずることとなりましたので、これに伴います損失を補てんいたすために、一般会計から食糧管理特別会計の国内米管理勘定へ六億円を繰り入れることといたしました。  次に、地方交付税交付金九百九十五億円でありますが、所得税、法人税の増収及び酒税の減収、これを歳入に計上いたしましたことに伴いまして、六百十五億円が増加をいたしますのと、四十四年度の特例措置として地方交付税交付金の減額をいたすこととしておりますが、その減額を修正いたしまして追加交付すべき額が三百八十億円となりまして、この合計額を計上いたしたのでございます。  次に、給与改善費の財源に充てるために、既定経費の節約と不用額の減額を行なっておりまして、三百八十三億円の修正減少を行なっておるのでございます。  次に、予備費につきましては、当初予算に九百億円を計上いたしましたが、本日現在において残額が二百六十四億円となっております。今回の給与改善費の財源に充てるために百八十四億円を修正減少いたしたのでございます。  次に、特別会計につきましては、交付税及び譲与税配付金、国立学校、厚生保険、船員保険、国立病院、国民年金、食糧管理の七特別会計につきまして、公務員給与の改善その他一般会計等の補正に関連をいたしまして必要となりました補正を行なっておる次第でございます。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に、細見主税局長。

細見卓大蔵省主税局長

○細見政府委員 ただいまの予算の歳入面につきまして、補足して御説明いたしたいと思います。  まず、租税及び印紙収入予算額でありますが、昭和四十五年度の一般会計歳入予算額は七兆九千四百九十七億六千四百万円となっております。そのうち、租税及び印紙収入予算額は六兆九千三百八十四億一千七百万円となっております。これは、昭和四十四年度の予算額五兆七千三百八十一億二千四百万円に対しまして一兆二千二億九千三百万円、伸び率にして二〇・九%の増加となっております。また、一般会計歳入予算額全体に占める租税及び印紙収入予算額の割合は、昭和四十四年度予算における八五・一%に対しまして、昭和四十五年度予算におきましては八七・三%と、引き続き上昇いたしておりますが、これは、それだけ、本年度予算におきましても、公債依存度の引き下げに寄与するところとなっているわけでございます。  この租税及び印紙収入予算額は、昭和四十四年度予算額に、昭和四十五年度の自然増収見込み額一兆三千七百七十億五千九百万円を加えました収入見込み額七兆一千百五十一億八千三百万円を基礎といたしております。この収入見込み額から、昭和四十五年度の税制改正におきまして、所得税減税、租税特別措置の拡充等が行なわれることによる減収額二千五百四億四千四百万円を差し引きまして、一方、法人税負担の調整合理化、利子・配当課税の合理化及び租税特別措置の整理合理化等による増収見込み額七百三十六億七千八百万円を加えたものを、昭和四十五年度の一般会計租税及び印紙収入予算額としているわけでございます。  なお、この一般会計における予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計及び石炭対策特別会計の歳入となる諸税の予算額一千九百五十億六千八百万円を加えまして、昭和四十五年度の国の租税及び印紙収入予算額の総額は七兆一千三百三十四億八千五百万円となっております。  以上、昭和四十五年度の租税及び印紙収入予算額の概略を申し上げましたが、次に、その内容につきまして、若干の御説明を申し上げたいと思います。  まず自然増収の規模でありますが、昭和四十五年度の収入見込み額の基礎となっておりますところのへ自然増収額の見積もりについて申し上げます。この見積もり額は、昭和四十五年度の政府経済見通しを基礎といたしまして、最近までの課税あるいは収入状況等を考慮して見込んだものでございます。  わが国経済は、昭和四十五年度におきましても、四十四年度に引き続き、かなり強い拡大傾向を示すものと予想されているところでありまして、個人消費支出、民間企業設備投資、民間住宅建設等が依然として根強い増勢を示しておりますが、それにささえられて、国民総生産の成長率は、名目一五・八%程度、鉱工業生産の伸びで見ましても一五%程度と見込まれているところであります。  このような経済の拡大基調のもとにおきましては、租税収入も、所得税・法人税などを中心といたしまして、相当の増収額が見込まれるところでありますが、これを各税日ごとに積算いたしまして、合計一兆三千七百七十億五千九百万円の自然増収額を見込んだ次第であります。この自然増収額は、かつてない程度の大きなものとなっておりますが、これは、年々の経済規模の拡大に伴いまして、税収額も拡大を続けているのに加えまして、昭和四十五年度の経済の伸び率が、一五・八%という、当初見通しとしてはかなり高い伸びと見込まれていることによるものであります。この結果、昭和四十四年度予算額に対する伸びも、二四%とかなりの増加率を示すこととなっております。  この自然増収額の内訳を見てみますと、所得税が六千四百八十億三千六百万円で、全体の四七・一%と、ほぼ半ばを占めており、また、法人税も五千十一億九千六百万円で、三六・四%となっており、この両者を合わせますと、全体の自然増収額の八三・五%を占めることになっております。  税制改正の概要につきまして次に申し上げますが、昭和四十四年度予算額に対して以上の増収見込み額を加算いたしました七兆一千百五十一億八千三百万円がいわゆる現行法による昭和四十五年度税収見込み額でございまして、これを前提として昭和四十五年度の税制改正が行なわれるわけであります。  今回の税制改正におきましては、最近における国民の税負担の状況に顧みまして、平年度約三千五十億円にのぼる大きな規模の所得税減税を行なう一方、現下の経済財政事情にかんがみ、法人の税負担を引き上げるとともに、当面の経済社会情勢に即応して、所要の特別措置を講じ、あわせて利子・配当課税の特例をはじめとする既存の租税特別措置等について所要の整理合理化をはかるほか、納税者の権利救済制度の改善を行なうことといたしております。  なお、昭和四十五年度におきましては、地方税におきましても、住民税を中心に負担の軽減が行なわれることになっておりまして、昭和四十五年度の税制改正による国、地方を通じての減税額は、平年度で約三千八百億円にのぼる見込みでございます。  以下、国税につきまして税制改正の大要を申し述べてみたいと思います。  第一は、所得税の減税であります。  所得税につきましては、まず、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるため、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円、扶養控除を二万円引き上げることにいたしております。これによりまして、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限は、年収百三万円に引き上げられることになります。  次に、中堅給与所得者層におきまする所得税負担の累増を緩和するため、給与所得控除の控除率を引き上げるとともに、その適用範囲を四百十万円まで拡大することといたしております。  さらに、今回の改正におきましては、以上のような課税最低限の引き上げ及び給与所得控除の拡充と関連いたしまして、税率構造につきまして、昭和四十四年度に引き続き、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかるため、大幅な緩和措置を講ずることといたしております。  なお、このほか、障害者控除、寡婦控除等の引き上げにも配慮いたしております一方、医療費控除の控除可能範囲の拡大をはじめとする各種の負担軽減措置を講ずることといたしております。  これらの措置によりまして、税制調査会のさきの長期答申の内容は、完全にその実施を見ることとなった次第であります。したがいまして、これによる所得税の減税額も、平年度三千四十九億四千九百万円、初年度二千四百六十一億一千八百万円という、かつてない大規模のものとなっているわけでございます。  第二は、法人税負担の引き上げをはかったことであります。  法人税につきましては、現下の経済財政事情にかんがみ、二年間の臨時措置として、普通法人の所得のうち、留保分についての法人税の負担を現行の五%増に引き上げることといたしております。ただし、中小法人につきましては、所得のうち三百万円以下の部分の税負担を特に現状のまま据え置くことといたしておりまして、後に出てまいります同族会社課税の軽減合理化や中小企業に対する租税特別措置の拡充等と相まちまして、今回の改正は、中小企業に対して格段の配意を行なっているところでございます。  このほか、法人税法の改正といたしましては、同族会社の留保所得課税の軽減、同族会社の使用人兼務役員の賞与の損金算入範囲の拡大などによりまして、同族会社課税の軽減合理化をはかる一方、引き当て金制度の拡充合理化を行なう等、所要の諸措置を講ずることといたしております。  こうした法人税関係の増減収額は、以上の諸改正の結果、差し引き、平年度で七百六十六億六千九百万円、初年度で六百十億三千百万円の増収となる見込みでございます。  第三は、利子・配当課税につきまして、漸進的な改善をはかることといたしたことであります。  まず、利子課税につきまして、定期預金等の資産性の強い貯蓄の利子について、昭和四十六年分以降五年にわたり源泉選択制度を設けて、総合課税と源泉分離課税とを選択できることとする等の措置を講ずることといたしております。  配当課税につきましては、特別措置としての軽減を利子とのバランスのとれたものに改めましたほか、特に配当控除率についてその引き下げを行なうことといたしております。  以上の利子・配当課税につきましての改正は、課税の公平の面からの要請と国民の貯蓄態度に及ぼす心理的影響に対する配慮とを総合的に判断いたしまして、その漸進的な改善を行なおうとするものであります。  さらに、その他の租税特別措置につきましては、当面の経済社会情勢に即応し、企業体質の改善、中小企業対策、公害の防止・過密過疎対策、住宅対策、基礎資源の開発、情報化の促進等を中心といたしまして、所要の措置を講ずる一方、既存の特別措置のうちで、すでに政策目的を果たし、あるいは期待される効果が発揮されなかったと認められるものは廃止することとして、租税特別措置の弾力的な改廃につとめたところであります。なお、物品税の暫定的軽減措置についても、その期限が到来するものについて所要の調整措置を講ずることといたしております。  また、これは昨年来の懸案でございますが、納税者の権利救済制度の一そうの改善を進めるため、納税者の不服申し立て制度を中心として、所要の改正を行なうことといたしております。  以上のような税制改正の結果、さきに申し上げましたとおり、昭和四十五年度におきましては、所得税につきまして二千四百六十一億一千八百万円の規模の減税を行なう一方、法人税負担の調整合理化措置により六百十億三千百万円、利子・配当課税の合理化により三十億一千三百万円、租税特別措置の整備合理化等により五十三億八百万円とそれぞれ増収が生ずることになり、差し引きいたしまして、一般会計租税及び印紙収入では一千七百六十七億六千六百万円の減収となるものと見込まれるわけであります。これを、さきに申し上げました昭和四十五年度についての税制改正前の収入見込み額七兆一千百五十一億八千三百万円から控除いたしました六兆九千三百八十四億一千七百万円が、昭和四十五年度の租税及び印紙収入予算額となっておるのであります。  そこで、このような税がどのような構成になっておるかでありますが、昭和四十五年度の租税及び印紙収入予算額の中で、法人税が二兆四千二百二億五千九百万円を占め、所得税の二兆三千五十五億三百万円を上回って、最大の税目となっております。昭和四十四年度予算におきましては、所得税がわずかながら法人税を上回っておったのでありますが、四十五年度におきましては、所得税につきまして、さきに申し上げましたように、大きな規模の減税が行なわれる一方、法人税については、その臨時増徴を含む調整合理化措置がとられましたため、税制改正後における所得税の対四十四年度予算に対する伸び率が二一・三%であるのに対し、法人税のそれは三〇・三%でありまして、法人税収が所得税収を上回ることになったわけであります。  このような結果といたしまして、昭和四十五年度におきましては、国税収入全体に占める直接税と間接税の割合、いわゆる直間比率と呼ばれるものは、直接税の割合が引き続き上昇いたしまして、六五・七%に達することになると見込まれます。  国民所得に対しまする負担割合でこれを見てまいりますと、以上、申し述べました昭和四十五年度の租税及び印紙収入予算額を基礎として、国民所得に対する租税負担率を推計してみますと、国税につきましては一二・八%程度になるものと見込まれます。地方税の収入見込み額は、いまだ必ずしも確定いたしておらないのでありますが、一応の概算をいたしますと、六%程度と見込まれますので、国税、地方税全体では一八・八%の負担率となり、昭和四十四年度実績見込みにおける負担率一八・七%を〇・一%上回ることになるものと予測されます。なお、この租税負担率は、国税、地方税ともに、昭和四十五年度に予定されておる減税を行なうこととして算出される負担率でありまして、このような負担の軽減がかりに行なわれない場合には、一九・三%程度の負担率になるものと見込まれる次第でございます。  次に、昭和四十四年度の補正予算の歳入面について申し上げます。  最後に、昭和四十四年度補正予算について一言御説明いたしますと、今回の補正予算に計上いたしました租税及び印紙収入の追加一千九百六十八億六千六百万円は、最近の経済情勢及び現在までの収入状況等を勘案いたしまして、所得税、法人税等を中心に増収を見込むとともに、酒税等につきまして減収を見込んで計上いたしたものであります。  以上をもちまして、租税及び印紙収入予算につきましての補足説明を終わらせていただきます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に、岩尾理財局長。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 昭和四十五年度財政投融資計画及び財政資金の対民間収支見込みについて、補足説明を申し上げます。  お手元にございます「予算の説明」の七四ページ以下を御参照いただきたいと思います。  昭和四十五年度の財政投融資計画は総額三兆五千七百九十九億円でありまして、これを四十四年度当初計画額三兆七百七十億円と比較いたしますと、五千二十九億円の増加となっており、その伸び率は一六・三%であります。  この計画の策定にあたりましては、わが国経済の状況に照らし、その規模を適度なものにとどめるとともに、限られた資金の効率的配分に留意いたしました。  最初に原資、財源について御説明申し上げます。  お手元の「予算の説明」の七四ページ右上のほうの「原資見込」の表をごらんいただきたいと思います。  まず、産業投資特別会計の出資でございますが、千三十五億円を計上し、四十四年度当初計画額八百八十五億円に対し、百五十億円、一六・九%の増加となっております。  次に、資金運用部資金は、四十四年度当初計画額二兆九百三十九億円に対し、四千五百一億円、二一・五%増の二兆五千四百四十億円を見込んでおります。このうち、郵便貯金につきましては、四十四年度当初計画額に対し、千五百億円増の一兆一千三百億円、厚生年金につきましては、千五百六十七億円増の七千七百三十一億円、国民年金につきましては、三百五十九億円増の千四百九十六億円をそれぞれ見込んでおります。  次に、簡保資金につきましては、四十四年度当初計画額三千二百億円に対し、七百三十億円、二二・八%増の三千九百三十億円を予定いたしております。  また、公募債借入金等につきましては、四十四年度当初計画額五千七百四十六億円に対し、三百五十二億円、六・一%減の五千三百九十四億円となっております。このうち、政府保証債につきましては、四十四年度当初計画額に対し、六百億円減の三千億円、公募地方債につきましては、四十四年度当初計画額と同額の六百二十億円を計上いたしております。なお、借入金等といたしまして、千七百七十四億円を予定いたしております。  以上の原資を合計いたしますと、三兆五千七百九十九億円となります。  以上の原資をもちまして、四十五年度の財政投融資の運用を行なうのでありますが、先ほど大蔵大臣からも御説明のありましたように、四十五年度におきましては、特に住宅、道路、鉄道等の社会資本関連ないしは生活環境整備、並びに中小企業金融の充実に重点を置いております。このほか、社会開発及び流通対策の促進にも十分配慮いたしております。  なお、これら各機関に対する運用につきましては、資金計画に掲げてございますが、ここでは使途別分類表によって御説明申し上げます。  お手元の七六ページIIIにございます「使途別分類表」を参照いただきたいと思います。  使途別分類表のうち、(1)住宅、(2)生活環境整備、(3)厚生福祉施設、(4)文教施設、(5)中小企業、(6)農林漁業につきましては、国民生活に最も密接な関係を有する部門でございますが、これらに対する財政投融資は、総額の五六・三%を占めており、また、その対前年度伸び率は二〇・三%にのぼっておりまして、これを財政投融資総額の伸び率二八・三%と比べますと、ここに重点を置いていることが明らかであると存じます。  次に、社会資本の形成に関連する部門であります(7)国土保全・災害復旧、(8)道路、(9)運輸通信及び社会資本とも考えられます(1)住宅を合計いたしますと、総額の四二・七%に当たり、その対前年度伸び率は二二・五%と、総額の伸び率一六・三%に比べて特に大きな増加となっております。  また、(10)地域開発につきましては千四百三十一億円、(11)基幹産業につきましては二千二十八億円、(12)輸出振興につきましては、海外経済協力も含めて三千八百億円をそれぞれ計上いたしており、これらの構成比は、四十四年度に比べて若干低下いたしております。  以上で昭和四十五年度の財政投融資計画の補足説明を終わります。  次に、財政資金の対民間収支見込みについて御説明いたします。  お手元にこういう印刷物がございますが、ごらんいただきたいと思います。  昭和四十五年度の財政資金対民間収支見込みでありますが、予算及び政府の経済見通しを前提として推計いたしますと、二千五百三十億円の散布超過と見込まれます。  まず、一般会計におきまして、前年度剰余金を使用することにより、過去の蓄積資金の散布が行なわれますので、二百三十億円の散布超過が見込まれます。また、食管会計におきまして、食糧証券の発行増加によりまして、七百五十億円の散布超過が見込まれ、資金運用部におきましても、繰り越し資金による国債の引き受けにより、三百億円の散布超過が見込まれます。以上合計して散布超過要因が千二百八十億円になります。  他方、国庫と日銀との間の納付金、法人税、利子、割引料等の受け払い、その他特別会計等の収支との関係で千七百五十億円の引き揚げ超過要因が見込まれますので、これらの要因を差し引きいたしますと、外為資金以外の財政資金対民間収支では、四百七十億円の引き揚げ超過が見込まれる次第であります。  最後に、外為資金につきましては、四十五年度の国際収支の動向等から見て三千億円の散布超過が見込まれますので、これを差し引きいたしまして、四十五年度の財政資金対民間収支全体といたしましては二千五百三十億円の散布超過を見込んだ次第であります。  以上で昭和四十五年度の財政資金対民間収支の見込みについての補足説明を終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 以上をもって大蔵省関係の説明は終わりました。  大蔵大臣は御退席願ってけっこうでございます。  次に、新田経済企画庁調整局長。

新田庚一経済企画庁調整局長

○新田政府委員 予算案の参考として、お手元にお配りしてあります「昭和四十五年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」につきまして、その概要を御説明申し上げます。  初めに、四十五年度の出発点となっております四十四年度の経済債勢について申し上げますと、年度当初以来、活発な生産活動、旺盛な設備投資、金融機関貸し出しの著増等、実体経済、金融の両面におきまして急速な拡大が見られ、景気の動向に懸念すべき現象があらわれましたので、昨年九月、日本銀行は公定歩合の引き上げ等の金融調整措置を実施いたしました。その後、この調整の影響は金融面にはあらわれていますが、実体経済の基調にはさほどの変化が見られず、物価の騰勢も依然根強いものがあります。  このような拡大基調を反映しまして、四十四年度の国民総生産は、ほぼ六十二兆五千五百億円程度の規模となり、経済成長率は実質一三・二%程度になるものと見込まれます。他方、国際収支は、総合収支で二十億二千万ドル程度と前年度を上回る黒字となる見込みであります。  物価についてみますと、卸売り物価は、旺盛な内外の需要と海外市況の高騰の影響を受けまして、前年度比三・二%程度と高い上昇が見込まれ、消費者物価は、季節性商品が高騰したこともあって、五・七%程度の高い上昇になる見込みであります。  以上のように、経済はなおかなり強い拡大傾向を示しており、消費者物価の騰勢に加えて、卸売り物価の動向も引き続き懸念される情勢にあります。  他方、米国景気の沈静等により世界貿易の伸びが低下し、これに伴い、わが国の輸出も鈍化するものと予想されますが、四十五年度の国際収支はなおかなりの黒字を続けるものと見込まれますので、国際的視点に立った経済運営の必要性が一段と高まるものと思われます。  四十五年度の経済運営に当たりましては、以上のような経済情勢を考慮し、経済政策の適切かつ機動的な運用により、総需要を適正に保ち、わが国経済の持続的成長を確保するとともに、物価の安定、経済の国際化、効率化の一そうの推進、社会開発の積極的な展開をはかることといたしております。  このような経済運営の基本的態度のもとで、四十五年度におけるわが国経済の姿を想定いたしますと、国民総生産は七十二兆四千四百億円程度の規模となり、その成長率は、実質一一・一%程度になる見込みであります。  この場合における経済の主要項目につきまして、簡単に御説明申し上げます。  まず、国内需要について見ますと、個人消費支出は、引き続き堅調に推移し、前年度比一五・九%程度の伸びが見込まれます。民間企業設備投資につきましては、金融調整措置の効果の浸透等により増勢は鈍化し、前年度比一七・二%増の十四兆六千五百億円程度になるものと思われます。民間在庫投資は微増にとどまるものと見込まれますが、民間住宅投資は前年度比二四・四%程度の高い伸びを続けることが予想されます。次に、政府の財貨サービスの購入は、前年度に比べ一四・八%増の十二兆一千三百億円程度となる見込みであります。  このような需要の動向を反映しまして、鉱工業生産は前年度比一五%程度の伸びが見込まれます。  次に、国際収支につきましては、輸出は、世界貿易の伸びの低下から、その増加率は前年度よりかなり鈍化し、前年度比一四・六%増の百八十八億ドル程度になるものと思われます。一方、輸入は、前年度比一七・五%増の百四十八億ドル程度と見込まれます。この結果、貿易外収支と移転収支の赤字幅の増大を勘案いたしましても、経常収支では、二十億二千万ドル程度と、前年度に続いて大幅な黒字が予想されます。他方、経済協力の進展、外国資本流入の落ちつきなどのため、長期資本収支の赤字幅は前年度より増大するものと見込まれますので、総合収支では、十億七千万ドル程度の黒字となる見通しであります。  最後に、物価につきましては、卸売り物価は、海外市況の沈静化、金融調整措置の効果の浸透などにより次第に落ちつきを見せ、前年度比一・九%程度の上昇になることが期待されます。また、消費者物価は、依然根強い上昇基調にありますが、公共料金を極力抑制するなど各般の物価対策を強力に推進することにより、前年度比四・八%程度の上昇にとどめるようつとめることといたしております。  以上、昭和四十五年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、御説明申し上げた次第でございます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 以上をもちまして、補足説明は終わりました。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 この際、公聴会の件につきましておはかりをいたします。  総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、昭和四十五年度総予算について、議長に対して公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時から再開し、昭和四十五年度総予算に対する総括質疑に入ることとし、暫時休憩いたします。    午前十一時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議

中野四郎自由民主党

○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより、昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、右三案を一括議題として総括質疑に入ります。  この際、委員長より一言申し上げますが、政府におかれては、理事会の強い要望もありますので、委員の質疑に対する答弁は質疑の範囲内において簡潔明瞭にお願いをいたします。  小坂善太郎君。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私は、自民党を代表いたしまして、昭和四十五年度予算に関連いたしまして、政府の施策万般にわたりまして御質問をしたいと思うわけであります。  質問に入るに先立って一言申し上げておきたいと思いまするが、本来政府、与党というものは一体でございます。したがって、一体である政府に対して与党の代表が質問するということは、それ自体自問自答のような形になりまするし、また、悪くいえば八百長ということになりがちであるわけです。しかし、政党というものは非常に幅の広い、またゆるやかな弾力的な考え方を持ち得るものであって、そうした弾力性というものが政党のバイタリティーになる、活力になる、こう思うのであります。一方、政府はやはり非常な責任の立場にあって、その時点において解決し得る最善の策を講ずるわけでございますから、政府の立場はおのずからあるわけでありまするが、ことに一九七〇年代という非常に重要な時点を見通しての政府の施策ということになりますると、やはり国民全般の立場から私どもは質問せざるを得ないと思うのであります。自民党に対しまして過般の総選挙で圧倒的な勝利を与えた国民でありまするけれども、その国民の中に、自民党を支持する者は必ずしも一から十まで佐藤内閣のやられることをいいと思っておる者もないかもしれず、あるいは非常にもの足りなさを感じておる者もあるかもしれない。あるいはまた、自民党はどうももの足りないけれども、他の党に比べてはまだましだから、自民党に入れるという人もあると思うのです。そういういろいろな国民の声、しかも新聞を通してあるいはテレビを通して知る佐藤内閣の施策というものに対して、こうは言われるが、一体その奥には何があるのだろう、どういうことを受けとめてどう考えておられるのであろうかということをいろいろ考えている向きもあると思います。ですから、そういう国民のいろんな疑問あるいは希望、そういうものに対して政府は話しかけるという形で御答弁を願いたいと思うのです。小坂に対する答弁でありますけれども、私を越えて、私の質問を通して国民大衆に政府のお考えを言うという気持ちで、ただいま委員長の御注意で、簡潔、明瞭というお話がありまして、まことにごもっとも、けっこうでございますけれども、どうぞ味のある、ひとつコクのある答弁をお願いいたしたい。私は決してあげ足などとりませんから、どうぞ、ゆるやかな、豊かな気持ちでお答えを願っておきたいと思うのでございます。  最初に、総理は、一九七〇年を迎えて、今後十年の基本的な考え方を施政演説で述べられたわけであります。すなわち、一九七〇年代を、国際的にも国内的にも、新しい安定秩序と均衡を達成する年である、そういう期間であるというとらえ方をしておられるわけでございまするが、私は、国の内外の問題について、この点から入ってまいりたいと思うのです。  最初に、国際問題から入らしていただきたいと思いまするが、何といってもこの一九七〇年代の大きな国際問題である中国問題から御質問をさしていただきたい、かように思うのであります。  まず最初に、中国問題について国民のコンセンサスを得る道は何かということから御質問したいと思うのでありまするが、日中関係は、言うまでもなく、いま私が申し上げたように、非常な重要問題でございまして、たゆまざる精力的な解決への努力が必要だと思うのであります。ことに世界人口の四分の一を占める大国が日本の隣にあって、国際社会に無縁の状態でいるということは、アジアの平和と安定の見地から見まして、はなはだ心にかかる問題であります。しかも、この大問題を解決するにあたりまして、わが国民の間にコンセンサスがないということが非常に困った問題でありますけれども、その理由といたしまして、私は二つあると思うのです。  まず第一の理由は、中国との関係は歴史的に緊密でありまして、人それぞれにかつての中国における個人的な経験に差があるということであります。したがって、そこに好悪の感情があるということであります。第二は、中国自身が北京政府と国民政府に分かれておる。北京政府といったら、台湾政府といいますか、台北政府というのですか、そのほうがいいかもしれませんが、要するに、中共政権と国民政府政権と、二つに分かれておる。そこで台湾海峡をさしはさんできびしく対立していることであります。しかも両政府とも、二つの中国には絶対反対であると言っておるのでありまして、この態度は変わらないものと思われるのであります。したがって、この二つの政権と両方一度に仲よくするということは、これは現状においてできない。そこにむずかしさがあるのでありまして、国民の中にそれぞれの利害関係を持つ者もまた二つある。そこでこの二つの問題が国民のコンセンサスを妨げておると思うのでございまするが、総理は、この点どうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 一九七〇年代の大きな課題としては、隣国中国大陸との友好関係をいかにとり進めるかと、こういうことだと思いますが、私は、いま小坂君からあげられた二つの理由、それもあるでしょうが、もう一つ大事なことがあるのじゃないか。一番大事なことは、中国の事情を知らないということだ、かように思います。  これは、小坂君自身がお出かけになってごらんになりましたが、もうすでに日に新たな中国でございますから、その後の変化は非常に変わっておるだろう。そうして大きな中国、人口七億五千万あるいはもう八億にも達しておるんじゃないかとまでいわれておるこの中国、その実態が十分わからない。これを双方が理解し合おうということ、私どもは、比較的日本のような状態ならわかりいいだろうと思います。あらゆる場合にオープンですから、どうぞ御遠慮なしに見てくださいというようなかっこうで見させておりますから、知っておるならばいいように思いますが、どうも知らない。その点がどうも、歴史的に深い、また地理的に近接な関係があるにかかわらず、両国の関係をいまのようにしているその原因がある、そのもとがあるのじゃないだろうか。私どもも、もう少し中国についての理解を深めなければならない、かように思います。しばしば私は、口を開けば、両国はお互いにそれぞれの成り立ちがあるのだから、内政には干渉しないで、そしてお互いにその立場を理解し合い、国際的な立場を理解し合い、そうしてつき合おうじゃないかという話をしますが、どうもしかし、根本に両者の間に知らないものが多過ぎるのじゃないか、大き過ぎるのじゃないか、かように思います。私どもも、いろいろつとめてこの中国問題を研究しておりますけれども、わからない点が非常に多い。膨大な国土、またあれだけの人口を擁しているだけに、さように思います。  それからもう一つは、ただいま御指摘になりましたように、台湾にある中華民国、北京にある北京政府、この二つがあるということ、私どもも、もちろん二つの中国論、これは中国内部の問題ですから、そういう問題に触れたくありません。また私どもも、そういう点はよけて通るのが当然だと思う。しかし、サンフランシスコ条約で、わが国が中華民国を中国の代表権を持つ政府として相手にし、そこで国際条約を結んだ。だから、やはり国際的な権利義務が生じておることは、これも当然です。でありますから、私ども、この機会になりまして、この中国の代表権を云々するというそういう段階じゃないと思う。しかし、このわれわれが認めておる、また国際条約を締結しておる条約上の権利義務のある中華民国自身が、大陸にまでその施政が及んでおらないという現実、これは認めざるを得ない。ただいま北京にある政府と十分何らかの方法で窓口を開いて、そうして話し合う機会はないか、これを模索しているというのが、いまの状況であります。過去の関係から、中国に対して、人それぞれ好悪の感情を持つということを言われましたが、私は、その点にあまりこだわることはないのだ、好悪の感情は——むしろもっと大きな立場からお互いに隣人としての考え方で問題を解決すべきじゃないか、かように私は思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私が、人それぞれ好悪の感情を持つと申しましたのは、それが正しいという意味で言っているのじゃなくて、客観的にそういう問題があるという意味で申したわけであります。まさに総理のおっしゃるように、政策でありますから、そうした好悪の感情というものは、当然抜きにして考えていかなければならぬと思うのであります。  おっしゃるとおり、国際関係というものは非常に変転するものでございまして、一九五〇年代の東西関係と六〇年代の東西関係、また七〇年代に予想される国際関係というものは、ものによってはある日突然に起こるというようなものもあるわけでございまして、われわれは、おっしゃるとおり、できるだけ中国の情勢を研究し、そして前向きにこれとの関係改善をはかっていかなければならぬと思うのであります。  そこで、少し分析的に申しますると、いまお話しにもございましたが、われわれはサンフランシスコで講和条約をいたしましたあとに、この中国との和平を考えて、そこで一九五二年に日華条約を結んで、台湾にある国民政府との間に戦後処理をしたわけでございます。しかし、そのとき私は、非常に苦心の策だったと思いまするが、附属交換公文がございまして、この日華条約の及ぶ範囲というものは、中華民国政府が現に支配する。また将来支配することある地域に限るということになっているわけなんでございます。ところが、いまおっしゃいましたように、大陸には中華人民共和国ができて、今日に至るまで有効な支配を継続しておるし、この中華民国政権が大陸に及ばぬということは、これはだれしも認めておるところなんであります。そこで、北京政府のほうは、この日華条約を否認しておる。そうして、まだ戦争状態は終わっていないということをいっておる。また、新たに平和条約を結ぶべしといっておる。その際の賠償の権利は留保すると言っておるのです。これがいい悪いは、私どもの判断はまたありますけれども、これは現実に、先方はそう言っておるのであります。  それで、この不自然な形のままでよいかという疑念が、やはり日本国民の中にあるわけなんであります。もともと考えてみますと、この原因というものは私どもにあるわけではないのですね。やはり中国自身の内乱の結果、こういう状態ができた。日本はサンフランシスコで敗戦後の講和に調印をしたわけであります。  そこで、いま申したように、二政権のうち、そのいずれかを選ぶということになったわけでございまするが、この現状に立って、われわれはこの日中問題を解決するという場合に、やはりこれは外交政策の一環である。したがって、他の友好国との関係、なかんずくアメリカとの関係、そうしたものを否認して、それに反するような行動はとれない。これは日本の国益に反する、こう思うのでありますが、これに関連して、ひとつ総理から、佐藤内閣の考えておられる中国政策の基本方針というものを承っておきたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま御意見の中にも出てまいりましたように、一国同士、二国間だけでものごとが解決するような時代ではない。これは広範に、各国それぞれがそれぞれつき合いながらも、全体として友好関係を進めていく、こういうことであろうと思います。したがって、ただいまも他の友好国、ことにアメリカとの関係はよく考えてやるんでしょうね、こういうように念を押されましたが、そのとおりだと申し上げます。  しかし、私が申し上げたいのは、私どもはどこの国とも仲よくするという、平和に徹した国柄でありますし、昔のような憲法のもとではございません。新しい憲法のもとで平和に徹する。そうして、あらゆる国と仲よくしていく、こういう関係で進んでまいりますので、十分、右や左も考えながらも、独自のその姿勢だけはくずさないで、そうしてまいりたい、かように考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 そこで、現在の北京政権が、いろいろ国内体制を整備しておるわけであります。私どもいろいろな問題を研究しなければならぬと思っておりますが、ひとつ、ここで伺っておきたいのは、北京政権の核兵器能力でございます。  すなわち、近距離ミサイル、中距離ミサイル、この開発状況はどうであるか、あるいはICBMに関しましてどの程度開発が進んでおるか、われわれはそれを知りたいと思います。  なお、わが国の脅威にならないような、すなわち、そういうおそろしい兵器がある、ないということが、問題にならないような緊張のない環境、こういうものをつくっていかなければならぬと思うのでありますが、これについての御方針等も承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 足らない点は外務大臣からお答えいたさせますが、先ほど私は、あまりにも中国を知らなさ過ぎると、こういうことを実は申しました。確かに知らなさ過ぎるのです。  一体、わが国の自衛力というものは、これは憲法で定め、自分たちがきめ、そうしてこれは外にも出しておりますから、おそらく各国とも日本の自衛隊というものはどんなものだということをよく知っておるだろうと思います。しかし、中国が一体核兵器をどこまで開発しているか、あるいは大陸弾道弾はどういうようになっておるか、あるいはまたICBMはどうなっているか、そういうことをお尋ねがありましても、いわゆるある雑誌その他に書かれておる程度の文献ではたしてそれを信憑していいのかどうか、私はそこにも疑問があると思います。必ずしも非常な戦闘的な国だとかいうような表現で事柄が済むのじゃない。私はやっぱり基本的にお互いに仲よくしていくためには、お互いの実態を理解し合うということ、これが何よりも大事だ、かように思います。軍備のことについてもそうですが、その他経済全般についても、私どもはあまりにも知らなさ過ぎる。かように思います。非常によく知っておるといわれる者も、どうもその一部をつかまえておられるのじゃないだろうか、どうも群盲象を評するのたぐいじゃないかというような気がしてならないのです。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次に米中ソ——外務大臣、時間があまりないので、またあとでいまの点で御質問に答えていただくことがあるかもしれません。  米中ソの関係というものは、これはわれわれにとって非常に今後の七〇年代の外交に重要だと思うのですね。そこで、私どもは、総理の言われる自由を愛し、平和に徹するという考え方から、このいずれもが——もちろん日本はそうですが、いずれの間もが仲よくなってもらわにゃ困る、こういう立場をとっておるわけであります。  ところで、この北京政府は米帝国主義反対、ソ連修正主義反対、また民族解放闘争支援、これが三つの柱になっておるわけでありまして、アジアにおける各所の緊張に、これと何らかの形で顔を突っ込んでおるアメリカと相対するという形になっておったわけなんです。ところが、非常にわれわれの喜ばしく思っておることには、百三十五回目のワルシャワでの米中会談が開かれて、非常にいままでと違う空気であるように思われる。これは御承知のように、台湾の問題が非常にいままでその障害になっておったわけでありますが、その点はどうなっておるかわかりませんが、にもかかわらず、次の会談がまた開かれようとしておる情報をわれわれ耳にするわけなんであります。この見通し等についてもお聞かせ願えればありがたいと思います。  もう一つは、中ソの会談でございますが、これはそのほうの通といわれるクズネツォフ外務次官が主になって行っておるわけですが、昨年帰ったといわれている、また最近北京に戻っておるといわれている。この会談がうまくいくこともわれわれの非常に望むところだと思っておるのでありますが、政府もそういうような考えでおられるのかどうか、また会談の見通し等についてもお聞かせ願えればはなはだありがたいと思うわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘になりましたように、三大強国、米中ソ、その関係で世界がたいへんだだいまの交渉を見守っておる、かように私は思っております。  米ソ間の関係は、比較的早く共存関係が成立したと思いますし、ただいま兵器——核兵器にしても使用制限等について話し合い、これがだんだん具体化しつつあるように伺っております。したがって、米ソ間の関係は共存の方向だ、かように思います。  また、米中間の関係、これはただいま御指摘になりましたように、久しぶりにこの一月から米中間の直接の話し合いが始まった。これには多大の期待がかけられる、かように思っております。私は、ただいま、どういうような話をしておるという、その中身のことは知りませんけれども、しかし、とにかく話し合いが始まったということだけで世界はほっとしておるんじゃないか、かように私は思っております。  もう一つは、中ソの関係。昨年は中ソ国境紛争の話が次々に出て、非常な緊迫した情勢にあったと思いますが、これもまた北京において次官級——しかし、次官級というからそれは程度は低いというように考えないで、ただいまも御指摘になったように、それぞれの通が、ソ連通あるいは中国通が話し合っているという、そういうところに私は期待が持てるんじゃないだろうかと思っております。  したがって、いずれにいたしましても、ただいま直ちにこれが危険な方向へ行くというのではなしに、ただいま建設的な方向で話し合いを進めようといわれる。このことは、私どもも、アジアにいる日本といたしまして、心から歓迎する次第であります。おそらく各国とも、この世界の三大強国、米中ソ、この間に話し合いが進む、そうして平和なうちに話が続けられるということは、何よりも望ましいことではないか、かように思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 台湾の問題でございますが、われわれは講和条約を結びまする際に、台湾における権利、権原、請求権の一切を放棄しているわけなんです。したがって、放棄している台湾がどこに帰属しようと、今後どういう形になろうと、われわれのほうからはこれに対して条件を出す筋合いにないわけなんです。ところが、この日本と国民政府との関係は、非常に緊密の度を年ごとに加えておりまして、いま貿易では往復八億ドルになんなんとしておるといわれておる。わがほうの投資も五千万ドルをこえておるといわれておるんですね。ですから、これはいいことではあると私思いますけれども、ただ、どういうふうになるかわからないものに、ただ無原則、無方針と言うとことばが過ぎるかもしれませんですが、ただ外国に対してそういう投資をする。——日本人は行っておるわけでありますが、そういうものは何ぼでもふえていっていい、その身体、生命、財産を保護すべき立場にある日本政府は、これをそのままどんどん続けていくということがどんなものであろうかという議論があるわけなんです。それに対して総理はどうお考えになりますか。  なお、私どもは、非常によく一部でいわれる、台湾問題は中国の内政問題だということですね。これもただ、なかなかそうばかりも言えないと思うのです。この問題が平和的に解決すればこれはまさに内政問題でございまするが、これをめぐって戦火が起きるということになれば、これは国際問題でございます。どうもそういう点は、軍事的解決というのだけはこれは困る、かように私どもも強く考えておるのでありますが、これについてもお答えを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 小坂君は外務大臣もされたから、これらのことは基本的にはよく御存じだと思います。むしろ小坂君にお答えするというよりも、この問題を提起されたことによって、国民の皆さん方にこの機会を通じて話してみたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、サンフランシスコ条約締結の際に、日本が台湾にある中華民国、これを条約の相手として選んだこと、当時としてはこれは一応皆さんから納得され、そうしてこれは評価された、私はかように考えております。そうして、この中華民国との講和条約によって中国との戦争には終止符が打たれた、かように私どもは理解しておるわけであります。したがって、いまさらその戦争が依然として続いておるとかあるいは賠償問題が未解決だとか、かようには実は考えておりません。しかしながら、先ほど来御指摘になりましたように、この中華民国とは別に、また中華民国の施政の及んでいる範囲が非常に狭いという、そういう状態にあることだけはこれは現実の問題、厳たる事実でありますから、そのとおり認めなきゃならないと思います。  そこで、ただいまも中華民国との関係はますます親交を深めておりますので、貿易の総額も八億ドルをこす、こういうことになる。もっと人口の多い、またあの膨大な大陸との関係にいたしましても、ただいま六億二千五百万ドルの往復の貿易があるようになっております。台湾にある中華民国との貿易額と比較すると、いかにも少ないように思うから、ここらにもまだもっと、日中間で発展すべき余地はあるんだと私は思っております。したがって、そういう意味で、北京政府もまた日本政府も、中国大陸との間の連係といいますか、行き来はもっと密接にすべきだ、かように考えます。  また、ただいまも言われますように、これは中国の問題——私どもは二つの中国を認めておるものじゃございません。これは一つになるべきものだ、かように考えております。したがって、いつの日か必ず、中華民国で主張し、北京政府が主張しておるように、一つの中国が実現するものだ、かように私は考えておりますし、またその間に、その経過的な過程において取り結ばれたそれぞれの権益は、一つになりました場合に否定はされないだろう、必ず承認されるものだ、かように思っておりますので、いま台湾に対していろいろ投資が行なわれておりましても、それは非常な危険な状態だ、かようには私は思いません。国際条約上からこれはおそらく引き継がれるものではないか、どういうことになるのか、また中国大陸に投資が行なわれておるものも、中華民国自身がもし一つにまとまった場合に否定するようなことは絶対にない、かように私は考えておりますので、その点は心配することはないと思います。  ただ残念なのは、ただいま中国自身に、中華民国政府と同時に北京政府と、二つの実力がある政権ができておるわけで、そういう形、そうしてその間において、これは中国の問題だから外国のわれわれがとやかく言う筋ではございませんが、もしも戦火によってそういうことが平定されるとか、あるいは統一されるとか、こういうことになると、やはり関心を持たざるを得ない。しかしながら、私は両国の間、これが同一民族であり、同一国家をなすべきだという、こういう立場に立たれて、戦火によってどうこうということでなしに、おそらく話し合いでつく問題ではないか、かように思いますから、そういう事態をいまから想像して、戦いが起きたらどうなるかというような、戦火が交えられないうちから、それをいろいろ考えることは、どうも先走り過ぎて、用意周到なところか知りませんが、誤解を招きやすいのではないだろうか。むしろわれわれが望んでおる点を率直に披露して、そうしてこれからも隣国中国がますます栄えることをむしろわれわれとしては心から願う、そういう態度が望ましいのではないか、かように私、考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 いまお話しの点は、アメリカのナショナル・プレス・クラブにおきます総理の演説にもあるわけでございまして、ちょっと前を省略してその点だけ言いますと、「アメリカによる台湾防衛義務の履行というようなこととなれば、われわれとしては、わが国益上、さきに述べたような認識をふまえて対処して行くべきものと考えますが、幸いにしてそのような事態は予見されないのであります。」こう言っておられるわけです。ところが、このニクソン大統領との共同コミュニケで、この点が実は一番中国の関心事となっておるというふうにいわれておるわけでございます。したがって、この機会を活用いたしまして、総理の真意を伺っておきたいと思うのでありますが、ちょっとこれは簡単ですから読んでみますと、「総理大臣と大統領は、中共がその対外関係においてより協調的かつ建設的な態度をとるよう期待する点において双方一致していることを認めた。大統領は、米国の中華民国に対する条約上の義務に言及し、米国はこれを遵守するものであると述べた。総理大臣は、台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素であると述べた。」これは安保条約の積極的な事前協議の活用と関連して、この項目が非常に刺激しておるといわれておるのであります。現にわが外交界において大使をつとめられた、また議員でおった経歴のある方も、この点について朝日新聞紙上で言及しておられまするので、この点、いい機会だと思いまして、ひとつ総理の真意を伺っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまのコミュニケに書いてある以上の何ものもございません。これを私人、個人の場合に当てはめて考えますと、私ども隣のうちに干渉はいたしません、隣のうちでどういうことが起ころうと。しかしながら、隣のうちでたいへんなけんかが始まって、そして廊下にまで飛び出して、そしてわめき立てるようになると、私どもその隣にいる者としては、たいへん関心を持たざるを得ないと、ただそれだけのことを申し上げておる。それより以上は、私ども何も申し上げておりません。だから、もうそれより以上のことはありませんから、そこに書いてあるとおりにお考えをいただいて、それよりあまり拡大なさらないようにお願いしておきます。  ことに、私どもは憲法のもとで行動するのでありますから、いまの憲法のもとにわれわれの行動を規律しているのだということを前提にしてお考えになると、まさしくそこに書いてあるとおり、とにかく隣で大げんかが始まらないように、それは心から望んでおるのだ。それはもう平和のためにも必要でございます。それを率直に申しただけです。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 そうしますと、まあ隣でお静かにと願っておるというわけでございますね。ところが、お静かにならなくてけんかが始まった場合にはどうするか。出ていってまあまあとこう言うのか、あるいは中へ入ってこんちきしょうと言って一発やって引き分けるのか。そこのところが、そこまで入るとなかなかこれはやっかいではないか。本来自分はもうけんかは一切いたしませんと言っておるのに、興奮して飛び出す危険があるのではないか、こういう心配があるのではないかと思うのでございますが、その点いかかでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 日本国民は憲法を守っておりますから、そう簡単に興奮して飛び出すようなことはございません。飛び出すようなことはございませんから、それだけは御安心を願います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私はあとからまただんだん述べたいと思うのですが、総理の言われるその意図を私はそのとおりだと思うのですが、それは非常に拡大され、誤解されているという面があるのですね。ことにわれわれが中国に対していわゆる善隣友好の関係を二十五年前は持っていたとは必ずしもいえない。むしろはなはだ不心得なる隣人であったと反省させられておるわけでございますね。そこでわれわれが考えると全く違った予想ないし危惧があるのですね。これに対して何か総理、議場を通してはっきりおっしゃっていただいたほうがいいんじゃないか。私が毎日新聞の座談会で申しましたら、非常に大きくこのことが取り上げられたわけですが、私どもは全く中国と戦火を交えるつもりはないのですから、先方らしいことばを使えば、日中間は子々孫々に至るまで干支を交えず、こういう気持ちをはっきり申したほうがいいのではないか、こう思っているのですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまのことは私は平和憲法ではっきりしておるのじゃないか、どうして憲法であれだけはっきりしている、戦争、戦火——国際紛争も兵力は用いない、戦争を放棄した日本国民だ、だから中国と子々孫々に至るまでこちらから兵火を交えるようなことはないという、これはもうはっきりしておるのです。なぜこのことが、憲法擁護論者でもいざとなると憲法を忘れて戦うのじゃないのかと、こういうような疑問を持たれる。私はまことに残念に思うのです。小坂君がいまのような疑問を持たれるというのは、おそらく一部の諸君の疑問を代表してのお尋ねだと思います。  私はこのごろいつも申し上げますのは、自由をもとに平和に徹する、こういうことを申しますが、これは口だけではありません。また私どもの定めた、国民とともに定めた憲法、この憲法がそのことを命じておるのです。だから私どもの持つこの自衛力というものは、外国にまで出かけて戦うようなものじゃない。これはもう防御一本やりだ。ただ日本自身が侵されれば自衛権の発動、これは当然じゃないのか、かように私思っております。したがって、いまさらあらためて、子々孫々まで戦火を交えないということを約束したらどうかとまでおっしゃる必要もないような、非常にはっきりしている憲法。憲法を無視するのか無視しないのかというその一言で尽きると思います。ただいま佐藤内閣は憲法改正の意見はございません。したがって、この憲法を忠実に守る考えでございます。  社会党の方も、これらの点についてはどうも国民から誤解されやすいような言動をなさる。何か沖繩が返ってきたけれど、いざとなると日本は戦争に巻き込まれる、積極的に戦争を展開するのじゃないのか、こういうような言い方をされますが、この点はたいへん誤解を招く。だからこれはもうどこまでもわれわれは平和憲法のもとにおいてわれわれの行動は律していくのだ。したがって、その心配はございません。こういうことをはっきり申し上げます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 非常に明確におっしゃっていただいて、私はいい影響があると思うのでありますが、とにかく大東亜戦争というものは、対支関係に始まって対支関係に終わったと言ってもいいような、非常に悲惨な経験をわれわれなめているわけです。しかし先方もまたさらに悲惨な体験をなめているわけです。したがって、そこにどうしても猜疑の心が出るのはやむを得ないかと思うのです。それをましてや、当方からかき立てるようなことになっては、なおいかぬということは、言うまでもないと思うのです。  そこで、いままでに総理からいろいろ伺いましたことで思いますることは、先方は対日三原則ということを言っておるわけですね。これは中国を敵視せず、二つの中国をつくる陰謀に加わらない、もう一つは日中関係の正常化を妨げない、こういうことを三原則として言っておるわけです。この原則はいまの総理のおっしゃったこととそう違わぬのじゃないか、こういうふうな感じがいたしますが、いかがでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私どもは、いずれの国に対しましても、先ほど来申しますように、戦争をするような考えはございませんし、またいずれの国とも仲よくする、どこまでも自由を守り、平和に徹する、そういう考え方ですし、さらに自由を守り、平和に徹すると申しますと誤解を受けるようですが、これはどこまでもその国々がみずからの国民の定めるその政治体制のもと、われわれは干渉しない、内政には干渉しない、こういう考え方でございます。だから、そういう点で、ただいま言われましたいわゆる三原則というものも別に私、変わりはないんじゃないか。私どものやっている事柄が何か中国を敵視政策をしている、かように言われること自身がどこから出てきているのか、私自身はどういうように理解していいのかわからないように思っております

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 先ほど総理が言われましたように、中国の内部のいろいろな関係をわれわれもっと知らねばならぬということ、全くさように思うのでございます。それと同時に、中国自身においても、今日の国際情勢の中における各国の状況というものをできるだけ知ってもらいたいと思うわけでございます。そこに平和が出てくると思うのでありますが——いま平和がないとは言いませんが、とにかく平和というものはそういうものだと思うのです。  そこで、そういうことをしますために、中国を国際社会に出すということが非常に必要だと思うわけでございます。そこで、国際社会に出す一番いい方法は国連だ、こういうことを言う人があるわけです。国連の中国問題というのは代表権問題という形で目下出てきておりますから、代表権をどうするかといえば、これは憲章十八条にいうところの重要問題である、サブスタンシャルな問題であるということで、三分の二の議決を要することにしておるわけなんでございます。またその提案国になっておるわけでございます。これをやめろという議論が非常に強いことは御承知のとおりでございます。なかなか日本も国際社会の一員として非常な信用を受けてきておって、いままでやってきたことを変えるには変えるだけの相応の理由がなければならぬ、今日いままでやってきたのは、こういう理由でやってきたが、今後こういう理由になったのでやめるという理由づけが必要だと私は思うのです。それからもう一つの国際連合というものは、国際間の関係を新たにつくる、創造する機関ではないと思うのです。むしろできた国際関係をアプループする、それを認める、あるいは非難する、そういう場であると思うのですね。一種の登記所論ということを私は言っておるのですが、そういうものが国際連合であると思う。そういう性格である国際連合に無理やりに多数決でこの問題を処理しようとかかること自体無理があるのではないかというのが、これは私見を申し上げて恐縮ですが、私の持論なんです。  そこで、しかし、中国を国際社会に出すということを考えますと、また別の方法があるのじゃないか、これはやはり非常な無理もあり、困難もありますが、いままでやってきたことと違う方向でこの問題のアプローチを考えたらどうかというふうに思うのです。それは国連の下部機関であるFAOとかWHOとか、あるいはユネスコとか、できれば軍縮委員会とか、そういうものに中国北京政府の参加を求める方法はないだろうかということでございます。そこで、やはり総会ないし安保理事会にかけるものと同じような困難が出てくると思うのです。しかし、かつ違いは片っ方はいきさつがある、片っ方はいきさつがないのです、私のいま言うのは。その点でひとつ探究してみる考えはないか、これまた中国北京政府が何と言うか、これは先方の判断でございまして、これはわかりません。しかし、私はやはり七億五千万という大きな人口を持った、世界の中のアメリカとソ連と日本とみんな寄せてもまだ足りぬような大きな領土が空白になっている、これはどうもはなはだいびつな形であって、ことにFAOというもの、あるいはWHO、健康とか農業とか、こういうものに関してそれだけの地域の問題が表面に出てこない、これは確かに問題だと思うのでありまして、そういう純理的な関係からこうした技術的な機関に加入を求める、こういう方向を探究するお考えはないであろうか。佐藤総理のことですから、いろいろな面で御研究になっておると思いまするが、ひとつお答えを願っておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いろいろ問題がございますが、基本的な問題に、二つの中国論にならないで、そうして話がうまくつくこと、それが一番私どもの頭にあるわけです。したがって、二つの中国論に進まないでそこで話がつくような方法があるかないか、こういうことだろうと思うんです。したがって、ただいま小坂君も言われまするように、この関係を七〇年代の課題とはいたしますが、直ちに一両年の間にその結論を出せといわれることはなかなかむずかしい問題だろうと思います。しかし、これは何といっても七億五千万、八億に近い人口を擁し、あれだけの国土、そこを不毛の土地にしてはいかぬと思いますから、何らかのくふうはしなければならないと思います。私どもが苦労し、一番苦心しておるのは、その二つの中国にならないこと。国連においても同じようにこの点を非常に苦労しておるんだと思います。だから、それらの点も御理解いただいて、なかなか簡単にすぐの結論を出すということはむずかしい、しかしながら、われわれはいまの状態でいいというのじゃないんですから、ぜひとも善隣友好、それは続けたい、それを確立したい、こういう気持ちでございますので、前向きに検討すべき問題だと、かように思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 そこで、政経分離ということ、これは最近非常に問題になっているわけでございます。総理は、場所によっては外交官を両方から出しているところもあるから、そういうところで接触さしたいということも言っていらっしゃいますが、こうなると政、政治のほうになるわけだと思います。私も実はこれに最初にかかわり合いを持ちました一人なんでございますけれども、池田内閣のときでありましたが、とにかく当時は友好商社というのだけであった。何かもう少し考え方はないものかということで、まあ貿易からでも少し入ってみたらどうだということで、吉田元総理のおっしゃいました商売は商売で、とにかく政治のことはいずれということでやるかというようなことで入っていったわけでございます。それでLT貿易ができ、現在メモランダムトレード、MTになっているわけなのでありますが、私も実は四十一年に中国本土に行きまして、周恩来首相と話したこともございますが、——人の名前は差し控えますが、先方の有力者の言うには、何かこう政経分離というと、商売だけやっておれば政治のことはどうでもいいんだ、こういうふうな受け取り方があるやに私には理解されるんですね。いずれは日中友好なんだ、しかし、いろいろな関係があるからまず貿易、商売からと、経済からということなら、これはまた別な考え方です。しかし、どうも佐藤内閣の話は、ちょっと商売だけやって、あとはもうどうでもいい、こういうふうにとれる、というふうなニュアンスを私非常に感じたわけなんでございますね。これはひとつ総理どうですか、この辺で、いろいろおっしゃったことはこれで終止符を打ちまして、今後は政経分離という——これは原則じゃないので、方針なんですから、そういうものにはこだわらぬ、こういうことをおっしゃることはいかがでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まさしくこの節はあまり政経分離ということを言わないはずですが、最近も聞こえますか。——私はそういうことばをあまり使わないようにしております。ことに、双方で納得がいけば、大使級会談までしたいということを申しておりますが、明らかに非常に限られた交渉だ、こういう意味でないことを御理解いただきたい。私どもやはり両国の間の交流は非常に限られたものにしたくない、こういうことでございますので、その辺は誤解のないようにお願いしておきます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 そこで、経のほうですが、吉田書簡、また輸銀の使用というものが常に問題になっておるわけですが、わがほうは、吉田書簡は個人の文書である、こう言っておるわけです。だから、それを見たければ、蒋介石のところまで行けとまで言った大臣もあるわけですね。出せない、政府は知らぬ、こう言っているわけですね。ところが国民政府のほうはそうじゃないと、こう言っている。あれは日華条約の付属文書であると、こう言っているわけです。まあ私は、そこをいろいろ言うつもりは実はないのです。でございまするが、そういう吉田書簡を、総理は何か超越していると言われている。それから中曽根さんは、野べの送り、これはまああまり私感心しないのだけれども、野べの送りになっておるし、とにかく政府の方はあまりかかずらわぬと言うけれども、これは向こうはかかずらっているわけです。ですから、吉田書簡を撤廃するということになると、おそらく経済断交と言ってくると思うのですね。これはさっき申したのは、この伏線があるのですが、八億ドルも貿易をやっておると、非常に日本人の経済活動に大きな支障ができるというようなことで、なかなか私は、政府はこれに手をつけられないというふうになってきていると思うのです。  この間も本会議で、ケース・バイ・ケースで輸銀を使用させると言うけれども、一体どういうケースがいいんだという質問にはお答えにならなかった。これはなかなか答えられないと思う。そのケースを見なけりゃならぬし、そのケースが、お気に入るようなケースはおそらくないのじゃないかと思うから、これは私は深追いするつもりはないのです。ケース・バイ・ケースはわかっているのだけれども、なかなかそのケースの具体的な箱がないのですね。サイズが合わぬのです。  そこでこれは少し議論めくのですけれども、経済協力基金というものは、吉田書簡に書いてないのです。しかし、政府の息がかかっていることは変わりないのでありますが、これはいかがですか。輸銀にかわるに経済協力基金をもってすというわけにはいきませんか。吉田書簡には関係ないんですよ、これは。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 御承知のように、経済協力基金と輸銀とは、最近におきましても、性格が相当さい然と分けられて、経済協力基金は長期的な建設関係の需要に対するファイナンスとでも申しましょうか、常識的に申せば、そういうことを性格とする金融ということになっておりますから、先ほど来総理からいろいろとお話がありましたように、将来中国大陸において適切なプロジェクトというようなものがありますような場合に、将来の問題として検討に値する問題ではございましょうけれども、ただいまのところはそういうものはない。またなし得る状況に現在のところ遺憾ながらない、こういう状況であると思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 そこで、中国があの大きな大陸で——私どもはまあ、東南アジアでグリーンレボリューションということばがあるわけですが、非常な農業の革命的な進歩があるわけです。これはおそらく日本が直接やっているか、日本を通してほかの国がやっているかであるわけで、中国大陸の農業技術開発にわれわれが協力する、これは輸銀資金も要らぬと思うのですね。あるいは大きなダム、昔は三門峡のダムをどうという話があったわけですけれども、そういうような各地に大きなダムをつくるというプロジェクトはあると思うのですね。そういう問題、こうなると、輸銀が多少関係するかもしれませんが、少なくとも前者、農業技術開発に協力する、これは輸銀に関係ないことでありますが、総理はこういう点はいかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、中国の農業について日本が非常な貢献をしておると、かように思っております。私自身が実はずいぶん敵視しているといって恨まれておる当の本人ですが、日本の肥料を中国に出した一番最初の大臣だ、かように私自負しております。私は、その事実だけ知っていただいておるのでも、敵視政策をしていないということがはっきりわかるだろうと思います。ただいま日本から行っておる肥料、これは日本の生産の大部分が——大部分とは申しませんが、六割近いもの、あるいは六割以上のもの、これが中国に送られている。こういう事実を考えると、私は、農業の面では非常に努力されておるとも思います。しかしいま、さらに積極的に土木工事を始める、こういうような点については、これはやはり何といいましても、基本的に双方が理解し合わないと、そういうようなプロジェクトとはなかなか取り組めないのじゃないかと思います。  私は、ただ単に資金がどうこうという問題じゃなしに、やはりそういうような基本的な大きなプロジェクトに取り組むというのは、その国の国情についてもいろいろ関係するところが深いですから、広いですから、なかなかそう簡単にはいかないのじゃないだろうかと思います。したがって、そういうような事柄が可能なような状態ができてくるなら、たいへんしあわせですけれども、ただいまのところ、ちょっとむずかしいのじゃないだろうかと私は思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 食肉の輸入という問題があるわけですが、これは偶蹄類の持つ口蹄疫、これは中共政府に言わせれば、そういう問題はないというのですが、しかし、農林省では万一そういう問題になったら責任を持てぬ、こういうことを言うのでありまして、非常にむずかしい問題になっておるわけです。先年はこれを洗浄加工ではどうかという問題が出ておったわけですけれども、われわれのほしいのは、これはなま肉であるわけです。洗浄加工では、実は意味もないし、先方もいやだ、どういうことで話が流れたわけです。私は、これはひとつ新たに考え直して、一つの地区を囲って、そこへ牛を入れて、それである期間置いて、その汚染のおそれがなくなったときに輸入する、こういうことを考えられないかと思うのですね。これはやはりさっきおっしゃるような友好関係が前提になると思うのですけれども、先方がよければこっちは異議がないということも一つの意味がある。これをお考えになれないかということです。  それからもう一つは、同じ偶蹄類で豚とかラムとかいう、これもカン詰めにすればいい。これは日本ではソーセージとかカン詰め類はほしいのでありますから、こういうものもやはり先方にカン詰め工場をつくって、そして加工して日本に入れる、こういうことを考える。これも先方がいいか悪いかはまた別の問題として、当方としてはどうかという一方的な御判断でいいですが、お答えを願っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 食肉の輸入の問題は、これは御承知のように、長い間日本側としても検討しておる問題でございますが、公衆衛生上と申しますか、そういう見地から申しまして問題がないということが日本側の各方面で検討が十分できますれば、もちろん私は問題ないことだと思いますが、ただ最近の状況では、香港方面でもまた口蹄疫がだいぶはやりだしておるというような情報も得ておるわけでございまして、よほど慎重に、真剣に検討しなければならない問題であると思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私の言うのは、そういうものをいきなり持ってこいということを言っておるのじゃないのです。先方に土地を確保して、何カ月か置いておいて、その心配がなくなったら入れるというのは、これは一つのアイデアではないか、それはどう思うかということです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 いまのようなお話がございまして、いろいろ研究しておるのでありますけれども、中共で、はたしていま牛の輸出ができるかどうかということも非常に疑問でございます。そういうことも調査をするためにこちらからいろいろ先方にも当たっておるわけでありますけれども、なかなかこちらの要望しておるような資料が向こうから参りませんで、困っておるわけです。  それで、いま豚のお話がございましたけれども、豚は実はわが国で本年はかなり増産される見込みでありまして、いまの見込みでは畜産振興事業団がかえって貯蔵のために買わなければならないようなことになるのではないかと思っておるわけでありまして、ただ口蹄疫につきましては、こちらのほうで、先方に口蹄疫のおそれがないというお話でございますので、国際的に認められております検疫についての四つほどの技術的な問い合わせを前々からいたしておるのでありますけれども、それについて正確なる返答が来ないので困っておるわけであります。したがって、この問題が解決いたしませんと、私どものほうでは、これは農林省としては政治上の問題は少しも考えておりませんで、技術的にたいへん困難だ、こういうことでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次は、航空機の乗り入れの問題を伺っておきたいと思うのですが、これはきのうの新聞、夕刊でありますが、「中国への乗入れ検討、パンアメリカン航空、社長語る」こうなっておりますね。これは朝日新聞。各紙がみな書いております。私は、この航空協定というものは、主権の問題があって、なかなかむずかしい問題があることはわかるわけでございますけれども、臨時の乗り入れという形で、まずこういうことは考えられないかと思うのです。これは、今度はちょうど古井議員たちも行かれるし、松村謙三先輩も行かれるということで、八十五歳の高齢を推して国のためにおもむこう、こういうのでありますから、こういう機会にひとつ臨時便を出して北京の空港へ届ける、こういうことを考えてみられたらどうかと思うのです。実は、アメリカの乗り入れがかりに実現すると、日航の当局者も語っておるし、外務省筋も語っておるのでありますが、わが国としては非常に大きな影響を受けるということを心配して語っておるわけなんであります。事実、これはそう急な問題じゃないというような前提もありますし、そういう点はむろんあると思うけれども、やはり日本のほうは非常に近いのですから、東京ビヨンド便が先へ入るということは、非常なシェームだと思うのです。こういう点はひとつこの機会を善用される考えはないか、これを伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 米国の航空会社のある社長が中共への飛行機の乗り入れということを考えているという趣旨の情報は、外務省としても入手いたしております。これはただいまお話がございましたように、なかなか急な決着のできる問題ではないと思いますけれども、そういうような情報も十分ひとつ頭に入れておく必要があると思います。  それから、いわゆる臨時便の乗り入れということですが、ただいまお話しのような場合でも、こちらから行きます場合は、当然向こうからもそれに対応する場合をあわせて考慮しておかなければならない性格の問題であると思いますので、十分ひとつ検討をしなければならない、これはテクニカルないろいろな問題もあるようでございますから、関係省のそれぞれの当局にも十分の検討をしてもらいたいと思っておる次第でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 あんまり歯切れがよくないですな、外務大臣。これは、あなたが選挙後に、これはという話をされたことを非常に期待している向きも多いのでありますから、ぜひ前向きに御検討願いたいと思います。   〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 むしろいまおっしゃった、先方からも入れなければならぬ、これもむしろこの機会を使っていいんじゃないかと、私は積極的に考えたいのです。従来、いろいろ運動の選手とか日本へ来ますけれども、こういう諸君は日本の中を実は知らないのですね。ホテルへ行って、競技場との間を往復するだけで、三越、高島屋デパート一つ行くチャンスがないわけです。そういうことに関係のないもっと大ものを呼びなさいということを私は申し上げたい。橋本さんがそこにすわっておられるけれども、劉寧一という要人が、失脚したけれども、あれが来たいというときに、劉寧一を入れろとあなたは官房長官のときに言われて、非常にずばりとした判断に敬意を表しておった。しかしどうも、あなたはうしろのほうにすわるようになってから、あまり意気が上がらぬようでありますが、総理側近として、ぜひひとつこの点は進言をしていただきたいと思うし、やはり私は外交部長ぐらい一度呼んで、佐藤総理がさっきの平和に徹する考え方でもお話しになったらいい。とにかく日本は資本家が横暴で労働者は塗炭の苦しみにあえいでおるように思っておるのだから、私は口で言うだけでないと思う、そういうふうに伝わっているし、向こうでは、そういうふうに理解されるような環境の中にいればそう思うのでありますから、やはりそういうことをして初めて総理のおっしゃる接触というものはできてくると思うのですよ。これは、ある場合には外務大臣、ひとつあなたもずっといい道を歩いてこられたから、この辺で一つぐらい失敗してもいいから、将来愛知外務大臣はたいしたものだと言われるような思い切った考え方をやっていただきたいと思うのです。これはお願いですから、御答弁は要りません。  それから、人の往来で、ビザの関係を香港で出しておるわけですが、御承知のように、北京から広州、昔の広東を回って香港へ出て、それでビザをもらってここへ入ってくるわけで、これはこちらから上海なり天津なりに行けばわけはないわけですね。そこで私は、昭和四十一年だったと思うのですが、法務大臣が赤間氏のときでしたが、お願いして、直接ビザをもらう例外ケースを幾つかつくってもらった。日本に来たことがあって、しかも問題を起こしたことがないという人については、そういう道を開いてもらったわけなんですが、何かもう少し、北京にもMTの事務所があるのですから、これに情報がちゃんとわかった者については、向こうでビザが与えられて、そうして直接来れるような、そういうことを考えられないかということが一つと、それから現在ココムの制限があるわけでございますが、このココムの制限というものも、非常にアウト・オブ・デートになっているという考え方が非常にあるわけです。これは日本だけでやる問題じゃありませんから、関係国と相談をされて、これも撤廃に向かってひとつ御研究を願いたいと思うのですが、この点ひとつ御答弁を願っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 旅券のビザの問題は、御指摘のように、ただいまの状況でありますと、みんな香港へ行かなければ手続がとれない、香港の総領事館でこれを行なっているわけでございます。そこでMT貿易の事務所の諸君などの場合におきましては便宜の措置を現にとっておると思いますけれども、これをいま少し広げてはどうかという点につきましては、具体的に検討をすべき問題であると考えております。  それから、ココムの問題でございますが、これは御承知のようにパリでしょっちゅう会議が行なわれているわけでございますけれども、日本といたしましては、ことに中国本土向けの問題につきましては、いま御意見がございましたような線に沿うて緩和の努力をいたしておるわけでございます。ただこれは御承知のように友好国が相当多くこれに参加している関係もございまして、率直に申しまして、なかなか日本の主張だけは通らないという場合もありますので、そういう点で歯切れが悪かった点もあろうかと思いますけれども、今後ともそういう線で努力をいたしたいと思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 結果は別として、とにかく日本としては非常に積極的にココムの撤廃に努力する、こういう御答弁と承っておきたいと思うのです。  次に、中国問題をいろいろ伺ってまいりましたが、最終的にひとつ、この基本的な態度というものを総ざらいさしていただきたいと思うのです。  私は総理が非常に深くお考えになっている点、敬意を表しますけれども、やはりこの問題は非常に複雑な問題でありまして、早急に一ぺんに解決するということはなかなかできぬと思うのです。しかし、よい関係を積み重ねていくということは大事である、少なくとも悪くならないようにしていくという努力は、これはどうしてもしなければならぬというふうに思うわけでございます。この点について総理のお考えを伺っておきたいと思いますと同時に、私の感想を申し上げさしていただきますと、いまの政府の中国問題の解決策というのは、こちらから仲よくしましょうよ、こういうベルを鳴らしておくということだと思うんですね。じゃどうするかというと、具体的にはなかなか困難でございますというのが多いわけですが、ベルだけじゃやっぱりリップサービスになる。一つでも二つでもいいからこれをやります——さっきは幸いに政経分離はもう言わぬ、こういうお話がありました。これは一つの事実でございますけれども、ほかにもいろいろな問題を幾つか私申し上げましたが、具体的にひとつ、この問題を解決する、あるいはしたということを積み重ねていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、冒頭に言った国民のコンセンサスの問題でありますが、私はいまの御答弁の中から五つの問題を集約してみたのです。  まず第一は、中国大陸に北京政権があって有効な支配を行なっている、これを認めるということですね。これはもう国民、異議はないと思うのです。それから第二は、日本は中国との間に子々孫孫にわたって干戈を交えない。第三は、日中間に善隣友好の関係を持つということ。それから第四は、日中間に対話を進めるということ。それから第五は、北京政府と台湾政府とは相互に武力を行使しないことを希望する、これは、する、しないは先方の問題ですが、こちらはそういう希望をする。コンセンサスというのは非常にばく然たるものから始めていかなきゃならぬという考え方で、そんなことはわかりきっているじゃないかと言われれば、それは一つのまた収穫であるわけでございまして、何かこちらでやはり、政経分離ということを言わないということになった以上、こちらは政治的にはこういう原則を持っていますということを言ってよい段階ではないかと考えるのでございますが、総理のお考えを聞いておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 とにかくいい関係を積み重ねていくという、そうして中国との改善をはかっていく、これは長い努力をこれから必要とする、かように私は思います。その点は小坂君の御指摘になったとおりであります。ただ、先ほどからの話から、五つにまとめてというお話がございますが、その第一の表現が非常にむずかしい。北京政府を認めるという、これこそ二つの中国を認めることじゃないのか、こういうことにもなるのじゃないか、かように私は思いますので、この表現——北京に北京政府があることは、私どもこれはもう厳然たる事実ですから、認めるも認めないもないわけです。ただ、認めるということばになりますと、いままでの中華民国、これを承認し、これと外交上の権利義務をつくっておる日本としては、それ以外に別のものを承認するような言い方で、ここに誤解があると思います。私は、小坂君の言われたのはそういう意味じゃないだろう、そういう厳としたもののあることを現実の問題として認めるのだろう、こう言われたんだろうと思いますが、ただその点を誤解のないように願っておきます。あとの四つばかりの問題は、御指摘のとおりでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 第一点の、認めるということは、おっしゃるとおりでございまして、法律上の承認というふうになりますと問題だと思いますから、むしろこれは北京政権があることは事実であるということのほうが正確だと思いますから、さように訂正をさしていただきます。  以上で私の中国に関しまする質問を一応終わりにいたしておきたいと思いますが、次に今後のアジアの問題を承っておきたいと思うのです。  日本のGNPというのは非常に高くなってまいりまして、両超大国に次いでおるということになったわけですが、これは今後まだまだ伸びを続けていくといわれておるのでありまして、日本経済研究センターの調査等ですと、何か私は九千億という数字を見てびっくりしたのです。これはちょっとおかしいのじゃないかと思うのです。私の見違いで、数千億ではないかというふうに思うのですが、五千億ドルぐらいになるというふうにいわれているわけですね。そうしますと、現在すでに——これは外務大臣からもお答えいただければたいへんありがたいのですが、現在のGNPは、すでに近隣の韓国、台湾あるいはフィリピン、マレーシア、インドネシア、そういうものを入れました東南アジア全体よりも多いわけなんですが、これがまたどんどん開いていく。そうすると、日本という国はアジアにありながら何か異質のものじゃないか、髪の毛は黒いし、皮膚は黄色いし、似ていると思うといやに金持ちで、けちで、どうも自分のことばかり考えておる、こういうふうになってまいりますと非常に問題が出てくると思うのです。私は、一九七〇年代の問題で、中国問題にまさるとも劣らぬ比重を占めるのはこれじゃないかと思う。現に、すでにイエローアメリカンとかエコノミックアニマル、最近はエロティックアニマルだなどというのも出てくる。非常に独身の日本人が経済的に活躍して、タイのバーで撃たれるなんていうような醜態を、いい年をしたのがさらしておる。こういう訓練のない者がどんどん出ていって、しかも経済的にどんどん繁栄していく、これは非常な問題になると思うのでございます。こういう点に関する考え方を伺わしていただきたい。  それからもう一つ、ピアソン報告というのが出ているわけです。これはたいへんなものでございまして、何か十年後にはGNPの一%の中で、政府援助というものを〇・七出す。しかもロングタームで二十五年から四十年金を貸せ、しかもその金利は二分以下、こういうのですね。二分以下というと、いまの三分五厘融資でも、六分五厘の政府資金に、さらに政府の無利子の金を半分出しても三分五厘になかなかならぬのですから、それを二分以下にしろ、こういうことになると、これはたいへんなことになると思うのです。しかも日本の経済協力の実績を見ますと、賠償無償援助というのが非常に多いわけです。賠償は無償にきまっているわけですが、これは終戦後の特殊事態から生じたものです。ところがだんだん賠償が終わってくる、そうなると全く頭を切りかえて、無償の援助をしていかなければならない、こういうことになってくると思うのであります。ですから、そういう問題を踏まえて、どう考えておられるかということを承りたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まことにごもっともな御意見で、私もお考えのラインには全然賛成を申し上げるところでございます。  ところで、これは御承知のところでございますけれども、一九六八年にはわが国の援助量が十億ドルの大台をこえたわけでございます。その結果、DACの諸国の中では、額には相当の開きがあるとは申せ、第四位になったわけでございます。今後のわが国の努力としては、この額をふやすことはもちろん必要でございますけれども、もう一つ大きいのは援助の条件の緩和である、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、ピアソン報告は、いろいろ私は問題があると思いますけれども、考え方の方向としては非常にわが国としても示唆を受けるところが多いわけでございます。具体的にはただいま御指摘のような政府援助のパーセンテージをうんとふやさなければならないということが、一番わが国としてもそのままうのみにはできない点でございますけれども、その他の点については非常に示唆の多い考え方だと思いますし、それから今後七〇年代の、たとえば国連においてもこういうピアソン報告というものがやはり一つの基礎になって、関係国の間でも相当の権威を持ったものとして取り上げられていくことになると思いますので、ピアソン報告についても十分詳細に検討いたしまして、同時にわが国として行くべき道を間違いのないようにしたい。  その他援助を現にやっております国々その他における日本側のビヘービアについていろいろの批判等がありますこともよくわきまえておるつもりでございますが、そういう点につきましても、十分改善を及ぼしてまいりたいと思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次に、総理は、アジアは一つということばは非常に好きだという話をどこかでされたように聞いておりますが、私もこの岡倉天心が言ったことばは非常に好きなことばであります。しかし、彼が言った当時は、アジアの独立国というものは、日本のほかには中国大陸とタイしかなかったわけですね。そこで、何かこのことばには一種の悲壮感がある。欧米に先んじられて、欧米にしいたげられたもののレジスタンス、心を一にして当たれというような悲壮な語感があるわけであります。ところが、今日のアジアというものはそうではないので、非常に多くの国が独立しているわけなのでありますが、そのGNPは非常に低い。国民の一人当たりの所得も非常に低いのであります。百ドル前後の国もあるわけであります。日本はその中で、いま千四百ドルというような高い国民一人当たりの所得を持っているわけです。こういう段階なのです。ところが、これはどこでも当然そういうことでしょうと思うのですが、独立した直後のアジアの政治指導者というものは、あくまで政治優先というか、政治にばかり興味を持って、非常なスタンドプレーを国際舞台でやるということにのみ興味を持ったわけであります。日本の、いわゆる静かなる外交ということで、できるだけビヘーブしていくという外交の立場は、外交がないとか軟弱であるとかさんざん非難されたわけでありますけれども、だんだん世の中が落ちついてまいって、日本のこのやり方というものが再評価されてまいると同時に、政治にのみ狂奔した指導者は失脚した。中立主義というようなものも消えていってしまった。むしろアジアには新しい連帯の風が吹いてきて、アジア開銀とかASPACとか、あるいは東南アジア経済閣僚会議とか、そういうものが出てきたわけでございますね。と同時に、さっき私も質問し、外務大臣もお答え願ったような、日本の責務というものが非常に大きく登場してきたわけであります。われわれとして、これをせねばならぬ問題がふえてきたわけであります。こういう問題に関連して、総理の一九七〇年代におけるアジア外交の哲学というものをひとつ聞かせていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 岡倉天心先生がアジアは一つだと言われた。私ども若い時分、そのことばにたいへん共感を覚えたものです。しかし、もう七〇年になるし、ただいまの日本の国力をもってすると、アジアに位置する日本ではあるが、むしろ世界的な立場において活躍すべき日本だと、かように実は考えますし、また月旅行のできるいまの時代になると、アジアが一つというよりも、世界は一つだ、こういうように、もっと構想は大になるだろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、日本がアジアにあり、そうしてアジアの先進工業国だ、こういう意味で日本の責務を果たしていくということ、これは大事なことだと思います。アジアは一つだろうが、世界は一つだろうが、日本はまずアジアの諸国に対して自分たちの責務を果たしていく、これがこの間の施政方針演説で私が明らかにしたところであります。それらの問題は、いずれさらに他の機会におきましても、その考え方で進むんだ、それをさらに掘り下げられる機会があろうかと思いますが、私は一言申し上げておきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 日本の経済援助につきましては、DACからもいろいろな批判があるわけでありますが、これは言ってみれば、政府援助が少ないという言い方ですね。要するに、条件がきびしいということですから、ソフトな条件を出し得る政府の資金が少ないということになるわけです。現在の政府援助というのは何か〇・二%ぐらいである、しかもこれは賠償を入れてである、こういうことでございますから、なかなか〇・七まで持っていくのはたいへんなことだと思うのです。ところが予算の仕組みを見ますと、これはひとつ総理に伺っておきたいのですが、これは佐藤総理になってからのことじゃないんですが、予算要求というものは前年度予算の何%、こうなっているんですね。ことしは何か二五%というふうに聞いておったのですが、そうしますとベースの大きなものはふくらむし、外務省なんていうベースの小さなものはなかなかふくらまないんです。そこでどうもことしの予算も、むしろGNPとの比率にしてみると減っているということになってしまっているわけなんです。なかなか外国のことまで心配しきれぬよと言われればそれまでだけれども、そうなると、いま総理のおっしゃったお考えとちょっと違ってくるわけなんでございます。  そこでひとつ、外務省のような、これからの経済協力というようなものについては、何か継続費というような通年予算というもの、そういう考え方がないとなかなかできぬように思うのでございますが、これはいかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 予算編成上の問題もございますが、私は必ずしもいまの小坂君の言われたとおりだとは思いません。先ほども大蔵大臣と話をしていたのですが、統計のしかたにもいろいろございますけれども、いま採用している海外援助に対する統計の比率、そのしかたから見ますると、日本は絶対値でアメリカに次ぐ第二の国になっているんじゃないかと思います。したがって、それらの点についてはもう少し大蔵大臣から説明さすことにいたします。

福田一自由民主党

○福田国務大臣 予算を編成するにあたりまして、ことしは前の年に比べて何%ふえましたということをよく言いますし、言われます。しかし、これは通常の支出に関する問題で、新しい時代の要求に応じまして何かやらなければならぬ、それはおのずからそういう角度で考えなければならぬ問題だと思います。  いま対外経済協力の問題でございますが、これは私も財政演説で力説をしておるわけでございますが、これだけの経済力になったわが日本として、どうしてもこれはやっていかなければならぬ。ただこれは一つはかなり国民の間に抵抗のある問題でもあると思うのです。つまり国内で道路が整わぬ、水道がどうもうまくいかぬじゃないか、農村がさびれているじゃないか、そういうときに、海外にわれわれの所得をさくのはどんなもんだろう、こういうような考え方を言う人もあります。しかし、ここまでわが国の経済が来ますと、わが日本はもうわが日本だけで繁栄するわけにはいかぬというところまで来ておる、その認識を持たなければならぬだろう、こういうふうに思うので、これは小坂さんと私は全く同感です。  いまわが国は、昭和四十五年度の対外経済協力を考えてみますと、大体十四億ドルをかなりこえます。これは国民総生産に対して〇・七五%に当たるわけでありまして、協力国であるドイツ、フランス、これがどんな出方をするか、まあ出方によりましてはわが国がアメリカに次いで第二位になる、こういう展望でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 非常に力強いお話を伺いましたのですが、いまお話しの中にあった点が私は一番問題だと思うのですね。日本の中には、米の問題をめぐって農村の非常な不安がある。過疎地帯はどうなるかという問題がある。あるいは中小企業は貧乏だ、ほんとうにこれは何とかしなければならぬという問題がたくさんあるわけなんですね。そこで問題は、外国は日本を金持ちだと思い始めているわけです。日本はまるまると太っておる、こういっておるわけです。ところが日本人自身は、経済二重構造で貧乏だ、こういっている。自分が貧乏だ貧乏だといったって、それじゃGNPを比較してごらん、おまえ金あるじゃないか、こういう問題が私は必ず今後のアジアに大きく出てくる問題だと思いますので、お話を伺って、その点非常に十分な御配意があるようですから、これ以上申し上げませんが、どうぞその点、非常なポイントであるというふうにお考えになっていただきたいと思うのです。これは一つは総理のリーダーシップで——ほっておいちゃこういうものに金は参りません。総理はぜひひとつこの点を、まあ来年もと言いますと、今度は、来年の予算は、総理、四選なすってやられることになるわけですけれども、それまで私はいろいろ質問するつもりもないのですけれども、とにかくそういうことでお考えになっていただかなければならぬというふうに思っております。  次に、ソ連がアジア安保構想ということを言っておるわけですね。昨年の世界共産党会議でブレジネフ書記長がそういうことを言い出したわけです。ところが、これは何を考えておるのだろうか、これがよく国民にはわからないわけです。外務大臣としては、これはどういうふうに受けとめていらっしゃるか。まあ、われわれは、第二の中共封じ込めでは非常に困る、こういう考え方に非常に共鳴を覚えるわけです。もしそういうことであったら私は困ると思いますが、どういう問題とお考えになっておるか、また具体的に何かこれだというものがつかめておられるかどうか、その点を伺っておきたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 ソ連のアジア安保構想というものがブレジネフ書記長の党大会の演説の中に出ましたことについて、世界的な反響を大きく呼んだわけでございますが、なかなかその具体的な構想というものはよくわからないわけでございます。私自身も、昨年の九日ソ連へ参りましたときに、コスイギン総理はじめ、これはという人たちにこの問題について意見をただし、あるいは質問も試みてみましたけれども、要するに国際緊張を緩和するために何か雄大なことを考えたいのだ、それから具体的にそれではどういうことかと申しますと、アジアのある一国に対して侵略の脅威が起こったというような場合に、他の国々が相協力してその脅威を排除するというような組織ができることが望ましいと考えておるのだけれども、これからいろいろと各国からも反響や希望が出てくるであろうから、その間においてだんだんに具体的な想を練りたいのだ、これ以上のことは私としても納得のできるような答弁や説明は受けることができませんでした。その後しかし、本日の質疑応答にも最初に出ておりますが、米ソ、中ソ、いろいろの動きがあるわけでございますが、これを要するに、その後出てきた動きとしましては、一口に言えば、話し合いで緊張を緩和する、基本においての力の均衡関係というものは維持しながら、まあいわば実務的にとでも申しましょうか、話し合いを各国との間に持つということにソ連外交の路線というものが出てきているのが現状ではなかろうかと思います。ただいまの状況におきまして、あらためてソ連のアジア安保構想なるものがその後骨格ができ、あるいは具体的な肉づけがこれについて出てきているようには現在のところあまり見受けられない、こういうふうに私は観察いたしております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 ニクソンの教書にもありまするが、彼はニクソン・ドクトリンということばを使っているわけです。アメリカのグアム・ドクトリン、やはりアジア人の手によってアジアのことを考えてもらって、アメリカは助言者、助力者として立つという、あるいはイギリス軍隊がスエズの以東から撤兵をする、こういうようなことになりますると、まさにアジアの一九七〇年代というものは、その点でいまと大きく違ってくるわけなんでありますが、これに対しまして日本はどういう態度をもって臨めばいいと考えられるかという点を伺っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 グアム・ドクトリンあるいはイギリスがスエズ以東の兵力を引き揚げる、その空白は一体どうなるのかと、こういうことで御心配のようですが、先ほども申しましたように、私どもは平和憲法を持って、その憲法のもとにおいて行動するのでございますから、軍事的にとやかくするという、そういう問題ではございません。しかし、先ほど来お話がありましたように、経済的に各国が安定するようにわれわれも応分の責務を果たしていく、これが私どもの態度であります。また友邦関係とも十分提携して、そして事態、紛糾が起こらないようにすることが最も望ましいのではないだろうか、かように思っております。マレーシアとフィリピンとの間の話し合いにも日本が一口乗ったようなことも、そういうような関係で、武力を用いないでやはり平和を維持していく、そしてお互いが繁栄しようじゃないか、こういう態度であるのであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 具体的にどうということじゃなくて、総理のおっしゃる自由を愛し、平和に徹するという基本で、経済的な繁栄を日本としてもできるだけ協力しつつやっていこう、他は自助の努力に待つ、こういうことでございますね。わかりました。  それでは問題をまた変えてまいります。時間があまりもうなくなってきましたから変えますが、安保条約について、これは中曽根長官にお伺いしておきたいと思うのです。これは昨年の九月七日の新聞でございますが、下田会議であなたがおっしゃったということなんですが、日米安保で爆弾提案、中曽根氏、七五年ごろ一時廃棄、文化、経済協力織り込み、新たに友好条約をという記事があるわけです。最近の新聞で見ますと、これを見たアメリカ大使はびっくりして夜寝られなかったということが書いてあるわけなんですが、このとおりかどうか、まあひとつ伺わなければならぬと思うのでございますが、私の考えを申しますと、まず非常に変転していく国際情勢の中に固定的なことというのはなかなかないであろう、その一つ一つの現象、形態が変わるにつれてその解釈が変わっていくというのが常識であるわけでありますけれども、条約というようなものになりますと、運営のしかたというものでいろいろニュアンスがあるわけであります。たとえば日米安保条約は、一九五一年に講和と同時にできましたときは、日本が占領下にあって交渉能力がなかったわけですね。ですからアメリカに駐留をこちらから求めて、しかもあの前文にあるように、無責任なる軍国主義がこのまま世界に支配力を持っている間はという前文までつけているくらいで、非常に危険だからアメリカにいてくれ、こういうことで基地を無制限に使わせ、その基地からどこへでも飛び立ってもらってもかまわないという形でつくったわけですが、これはどうもいつまでもでは困るというので、六〇年安保改定では、やはり歯どめをしたわけですね。六条の交換公文で、直接発進する場合とか、装備の重要な変更とか、配置の重大な変更とか、そういう場合は日本政府がノーと言ったらやらぬという歯どめをしたわけです。ですから、安保条約を使って日本にいる米軍が、日本の基地を使っていわゆる共産圏へ飛んでいくわけにいかなくなっているわけですね。何か人によっては、日本の米軍はソ連を攻撃できる、中共を攻撃できる、あるいは北鮮を攻撃できる、それはすぐそれで報復があって日本は戦争に巻き込まれるのではないかというようなことを心配する向きもありますが、これは条約上できぬようにしたわけでございます。ところが、まあそういう経緯がございますけれども、日本には非常にたくさんその当時基地があって、二千八百もある。これは日本の国内にあまりたくさん外国の基地があることはまずいというので、いま百二十八かになっているのですか、非常に整理をしたわけですね。しかしやはりいやだと、こういう気分もあるわけでございまして、ことに極東条項が気に入らぬ、これをやめてしまえという議論もあるのですけれども、そうすると、条約の双務性ということに非常に問題が出てくる。こちらは基地を提供するのだからこっちを守れという考え方がある。基地も提供しないでただ友好でやれと言っても、それじゃアメリカのほうは何も対価を得ないで日本の防衛だけやるということはなかなか承知しないんじゃないかというように私は考えるのです。そこで、できるだけ日米の間に安保条約というものが桎梏になって相克が起こらないというふうにすることは大事でありますけれども、さりとてそういうことの言い分にあまりにこだわって、今度は安全保障そのものの面がなくなってしまうというようなことでもなお困るというふうに思われるわけでございます。そこで再改定問題のあなたの真意ですね、それをこの際伺っておきたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○中曽根国務大臣 一九七〇年代は可能性の探求とかあるいは選択の拡大であるとか、非常に試練に耐える時代である、こう言われておりますが、私も党員の一人としてそういう七〇年代における理論的な可能性について問題提起をやったというのが真相であります。しかし、あの見出しに出たことばは、私のことばを正しく伝えておらないのです。私は、日米親善、日米相互保障という問題は日本の基本国策である、そしておそらく半永久的にそういう基本国策を堅持することが日本において必要である、こう言っております。ただしかし、その提携の態様はそのときの情勢に応じて弾力的に変わっていってしかるべきである。それが客観情勢に適応していく方法であるし、かつまた両国の人心をうましめない非常に大事なポイントである。やはり条約といっても両国の人心がしっかり結合するということが基本でなければならぬ、そういう考えに立っておるわけであります。したがって、私の考えは、日米間に相互安全保障をずっと維持していくという点については変わりはございません。ただ、いま小坂議員がおっしゃいましたように、安保条約も非常に変化し発展しているわけです。できました当座は、アメリカの力が非常に、ほとんど過剰と今日から考えれば思われるくらいにあふれておったわけです。それが昭和三十五年の改定によって、あるいは事前協議をつくるとか、期限を設定するとか、地位協定に改革するとか非常な前進をして日本の発言がかなり表に出てきたわけです。ことしは六月におそらく自動延長ということになると思いますが、自動延長になれば、両国が一年の予告でいつでもやめられるという体制に入る。私はそういう延長線において日米両国がお互いに自分の努力を重ねながら、しかも相互提携をしていくという、そういう健全な国家間の自然の状態、自然態と申しますか、そういう形にしていくべきだと考えておるのです。したがって、自動延長後は安保条約を弾力的に適用していく、随時協議を活用しつつ情勢の変化に常に対応して人心をうましめないような努力を政治家はしていかなければならぬ、そう思います。しかし、現在の安保条約は相当長期にわたってその間でも維持していく必要はあると思うのです。弾力的に運用を改めていくということは幾らでも考えられる。  そこで、たとえば基地につきましても、両方で話し合いまして、そしてでき得る限り、アメリカに提供している施設等は日本の自衛隊の管理に移して、そしてその上に立って、アメリカと協議の上、これを一時使用にするか、継続使用にするか、共同使用にするか、あるいは常時不使用にするか、あるいは解除して民間に返還するか、あらゆる態様について弾力的に話し合って事態を改善していくということが両国のためになるだろうと思うので、そういう余裕をもって改善に努力していきたい、そう考えておるわけでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 条約自体の問題ではなくて運用を研究したいという御趣旨のように承りました。  そこで、これは二月九日の読売新聞なんですけれども、「日本の軍備拡張非難」ということでプラウダの社説が載っているのです。これはモスクワ発で、ソ連の共産党機関紙のプラウダのマエフスキー政治評論員が、日本へ来て帰った結果書いたものです。これは、われわれから言わせれば、非常にとんでもない話で、さっき総理のおっしゃった平和に徹するという話とは大違いで、日本は軍備拡張を一生懸命やっている、こういうことであります。これはアメリカ占領軍が「日本に軍隊を復活させたいきさつから説き起こし、日本が相次ぐ防衛費増額でいまやアジアの自由諸国の中で最大の軍事力を持つに至ったと、その実情を紹介している。次いで財界に核武装しない限り日本は国際的な役割を果たせないと主張するものが多いと述べ「中曽根防衛庁長官が最近、数年内に日本も核兵器を持ちたいとの意向を述べたが、これは危険な兆候である」として重視している。」いろいろございますが、「最後に貿易ルートを守ると称して、東南アジア、インド洋までその海、空軍力の支配下に置こうとする動きが日本で活発化しつつあることを指摘、これは昔の大東亜共栄圏の焼き直しだときびしく批判した。」、こういうのです。  認識不足もはなはだしいのでありますが、いま中曽根防衛庁長官は非常に善意で言われた、安保条約の米軍依存の度合いを少なくしていこうという考え方を、相対的に、日本が非常に軍備を増強しようと考えているのではないか、こういうふうにとられておるというふうな感じがするわけですね。  そこで、これは非常にとんでもない非難でございますが、やはり日本としては日本の防衛力の限界というものは考えてみなければいかぬ。あなたが、防衛力の再点検ということを言われたのは、非常にいいアイデアだと思う。いまにして私はそれをやらなければならぬと思うのだ。思うのだけれども、これはできるだけ早く公開の場でその限界というものについて論議していくことも意味があると思うのです。それは、こっちが考えてもいないことをいろいろ言われることは、それ自体意味がないことであるのだけれども、やはり影響はあるわけですね。  そこでまた、国内的に見ても、できもせぬことをできるように錯覚して、たとえば、いま後段にあったインド洋まで日本の海上自衛隊が防衛するというような、こんなことは私はできないことだと思うのです。いわゆるマラッカ海峡防衛論。こういうふうなものは一体どこまでできるのかということも考えておく必要があると思うのです。  そこで、自主防衛の限界ということであります。われわれは、GNPの〇・八七%で非常に防衛費が少ない、こういうことをいっておるのでありますが、一部の論者からいうと、日本のGNPはどんどん上がっていくのだ、五年間で倍になる、そうすれば防衛費もまた倍になるではないか、だからこれはとめどがないのだ、しかも〇・八七を一%にしようという議論もあるし、二%にしようという議論もある。これはどうもあなたを引き合いに出して悪いけれども、新聞に出ている防衛庁長官談話によると、社会保障費あるいは教費育との見合いを考えなければならぬ。パーセンテージは言っておられないけれども、かりに社会保障費と同額ということにすると、これは倍ですね。現在の防衛費の倍、社会保障費があるわけです。それから教育費にすると〇・七倍、七割増ですね。そういうことになって、GNPそのものが上がっていくということになると、一体どこまで上がるのだということになると思うのです。  そこで、われわれは防衛を考える場合に、防衛によって何をなすべきかということと、何ができるかということを考えていかなければならぬと思うのであります。この点で、まず人間の点ですね、防衛力を考える場合、現在の自衛隊、陸上十七万九千人、海上それから航空、ひっくるめて二十五万人、この自衛隊員というものが一体何人まで充足できるのかということをやはり考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思うのです。幾ら金をふやしても、人員が集まらなければだめなんですね。しかもGNPがどんどん上がるということは、それだけ産業が活発化するということ、いまでも陸上自衛隊は十七万九千人の定員に対して十五万六千人と聞いておる。二万人定員が足りないのです。定員に満たないのです。なぜ足りないかといえば、途中でみんなやめていくから足りない。途中でやめていくのはなぜかといえば、ほかの産業の従業員になるほうが、自衛隊員でいるよりも実入りがいいし、いいと思うから、二年の期間のうち一年でやめてしまうのですね。そういう状況を長官はどういうふうに把握し、どういうふうに直し、あるいはどういう点を将来の目標ときめていきたいと考えておられるか、この点を伺っておきたいと思う。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○中曽根国務大臣 まず先ほどのプラウダの論説はだれが書いたか知りませんが、そういう荒唐無稽な論説は論評の限りでありません。日本が核を持とうなんと言ったことは一回もございませんし、私もございません。  それから第二に、防衛力の限界という考え方でありますが、私は、憲法の命ずるところに従って日本は専守防衛の国である、まあ比喩的に申し上げれば、ウサギのように音に鋭敏で長い耳を持つ、そしてからだは、何と申しますか外敵があるいは異物が来た場合にははね返すような、そういうハリネズミみたいなものにしておいて、そしてアメリカとの安全保障のルート、パイプを持っておる、そういう形じゃないかと思うのです。安全保障のパイプは古くなったら新しいものに、改良型に取りかえてもいい、そう思うわけです。しかしそのパイプは必要である、そう思います。そういうような考え方に立って日本の本土防衛を見ておりますと、まだ日本の自衛隊の力では遺憾ながら足りません。特に海、空においてわれわれはかなり——かなりと申しますか、早期にこの力をもう少し拡充していく必要があると思っております。  それで、よくGNPの何%といわれますが、日本のように驚くべきGNPの急速に成長している国にあっては、必ずしもそのパリティが国の全般から見て正当とはいえませんので、ある程度絶対額の推移を考える必要があると思います。私は、一つの例としていま社会保障費が一兆一千億、教育費が九千二百億、それから防衛費がことし五千六百億円でありますが、大体そういうパリティを守っていく必要があるであろうと、実は大まかな見当としてそういう見当を申し上げたのでございます。  それから人員の充足につきましては、平均して自衛隊は九〇%の充足率でございます。陸が悪くて八八%、海が九四%、空が九六%程度であります。これは景気その他に非常に影響もされておりますが、やはり待遇をよくして、自衛官が喜んで勤務できるような環境をつくるということが非常に大事であるだろうと思います。一例を申し上げると、警察予備隊ができたときには、二年間つとめれば六万円の退職金をもらえるということでした。あの当座は六万円だというと目黒の辺で百坪の土地が買えたそうです。いまは自衛隊員二年つとめて七万円です。これでは目黒の辺で一坪も買えない。そういうような待遇上の大きな劣悪な条件もあるのでございまして、そういう点はわれわれができるだけ回復してやらなければならぬ、そう考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 日本の防衛力というものは抑止力であるというふうに考えることがありますと、非常に問題だと思うのです。私はアメリカの軍事力というものは戦争抑止力になると思うのですが、日本のは四つの島の防衛である、これにやはりはっきり限界を置いたらいいと思うのです。またそれ以上のことは望んでも無理だ。また平和に徹するということからいうと、それ以上考えるべきでない。ただ、それには、安保条約によってこの足らざるを補完して、日本の周辺に静穏を保ってもらう必要がある、こう考えておるのでありますが、そんなことでやってみてはどうかというふうにお願いしたいと思っておるわけであります。   〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕  それから、いろいろアイデアをお出しになりまして、中に基地の共同使用という問題がございます。これもアメリカが軍事予算を削減されて、これに乗っていくというには、向こうは喜ぶであろうと思うのです。しかし、こっちがそれによって防衛力が非常に弱まるということでは、これはこっちの問題として困る点があると思います。私の乏しい知識でございますが、私、心配しておりますのは、共同管理にする場合に、日本は基地を日本で管理して米側に使わせる、こういう場合には、たとえば佐世保あるいは横須賀というような大きな軍港、これはなかなか私どもそう簡単に考えるようにいかぬ法律の定めがあるわけであります。旧軍港市転換法というのがございまして、日本は再びそういう軍事力を持たぬということで、軍港を返す場合は、民間の委員会をつくって、これは民間に返せということになっておるわけです。ですから、これは将来やはり問題になると思いますから、こういう点は、今後このアイデアの出た機会に、検討していただきたいと思います。  それからもう一つは、地位協定の第二条四項というのがありまして、これは一定の期間を限って貸すことができる、こうなっておるのですね。アメリカは一定の期間じゃ困るのでしょう。これは日本の防衛を引き受けているんだから、やはり常時必要なときに使わせてもらわねば困るということになると思うのです。一定の期間を限って貸してもらうのはいいけれども、今度は期間を限って使おうと思うと、やあ地元が反対でぐあいが悪い、こういうようなことになっては何も使えなくなってしまうわけでございますから、こういう点はやはりよく十分に支障のないような検討をあわせてお願いしておきたいと思います。御答弁があれば承っておきます。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○中曽根国務大臣 御意見はよく尊重して、消化して実行したいと思いますが、われわれの考えておる自主防衛は、自分の国は自分で守る、足らぬものは友好国と協力し合う、やはり日本のために日本本位の立場に立って独自の安全保障体系を自分でつくり、その上に補完作用として外国と提携し合うという基本的観念に立つべきだと思っておるのです。ですから、われわれは米軍に肩がわりしようなどとは毛頭思っていません。それは独立国としてあり得べき姿に返ろうというだけで、あたりまえの自然態になろうというだけの話であります。基地の問題についても、向こうが帰るだとか、向こうがどうするからこっちが追いついてどうするというような考えでやるべきものではない、日本独自の安全保障体系から検討してみて、こうすべきものはこうすべきものである、そこでアメリカとその上に立って相談をして協調していく、そういう考えに立って処理していきたいと思います。御意見はよく尊重してやっていきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 いまのお考え、非常にけっこうでございまするが、やはり自主防衛ということの語義から、ことさらに曲解をされる面がありまして、たとえば昨年の、これは十月二十日、見出しだけいいますと、読売新聞「将来は戦爆機、原潜も」、こういう見出しなんです。それから「通常兵器、最大限に」、そういうふうな見出しで、これと大同小異のことがほかの新聞にも出ているわけなんでございますが、これを一々あげますと時間もあれですから……。こういう誤解を生ずる。これは国内の防衛庁筋言明として出ますと、日本は原子力潜水艦を持つのか、自主防衛だからそれも必要だといっているのじゃないかというようなことになってきて、先ほどのプラウダなんか全く荒唐無稽だと思いますが、そういうことがあることはこれまた事実なんですから、そういうことがないようにするほうがよろしい、こういう意味で申し上げるわけでございます。  それから、第四次防がそろそろ日程にのぼってくるわけでございましょうけれども、これはいままでのは古いものを取りかえるというのが三次防までの形でございましたが、これからはむしろどういうものを持っていくかということで、非常に新しい構想が必要だと思うのです。そこで、先ごろ新聞で見ましたが、三相会議ですか、外務、防衛、官房長官会議というのが出ておりましたが、こういうものが四次防の基礎になっていくということを心配している向きもある。何といっても大蔵大臣が入らなければおかしいじゃないか、あるいは国内治安の関係があるから、警察関係の国家公安委員長も入る必要があるんじゃないかというようなことになってくる。そうすると、総理、これは国防会議というのがあるんですね。これをやはり活用していただいて、四次防に向かっていろんな構想をいまから練っていく必要があるんじゃないか、こういうことでありますが、この点、お答えを願っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まだ四次防を本格的に取り上げる段階になっておりません。いま言われましたとおり、大蔵大臣もまた私自身も、そういう問題にまだ入っておりません。これを本格的に取り上げるような段階になれば、当然大蔵大臣が入ったり、また私自身が直接聞いたりする、こういうことです。  そこで、いまは三次防の遂行中であります。しかし、三次防のでき上がり等から見ましても、いろいろと欠陥が指摘されつつあること、これだけは事実であります。私は、攻撃的な兵力を整備するというような考え方は毛頭持っておらぬですが、しかしながら、防衛については十分力のあるものにしたいと思います。そういう意味で、もっとわれわれもくふうしていかなければならぬ、かように思っておりますが、そういうもとの話し合いが、それじゃ、どこかでやられるのかというと、まだそこにまではいっておりません。いま言われた三人が会合を持ったのは、今日の日常の業務につきましてもやはり連携を緊密にする要があるからやっておるのです。  そこで、四次防というようなことになれば、三次防もあとわずかですから、もうそろそろ考えていかなければならない。そうすると、それぞれの機関を通じましてこれらのものを掘り下げて検討していく、こういうことであります。  先ほども一言中曽根君が触れましたように、陸上の兵力というよりも、やはり航空だとかあるいは海上だとか、そういう自衛隊等についてはいかにもまだ見劣りのするものじゃないか、かように思いますので、それらの点にやはりくふうがされるだろう、かように私は思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次に、沖繩の問題に入ります。  総理とニクソン大統領との共同声明の第四項にございますが、ちょっと簡単ですから読んでみますと、「万一ヴィエトナムにおける平和が沖繩返還予定時に至るも実現していない場合には、両国政府は、南ヴィエトナム人民が外部からの干渉を受けずにその政治的将来を決定する機会を確保するための米国の努力に影響を及ぼすことなく沖繩の返還が実現されるように、そのときの情勢に照らして十分協議することに意見の一致をみた。」云々とある。この点で、どうもパリ会談はなかなか進んでおらぬ。それから北側はなかなか活発で、ラオスなんという問題がある。例の要衝といわれておるジャール平原も、パテトラオ地区にやっている。こういうような情勢を踏まえて、なかなか講和に乗らぬのではないかということで、非常に不幸な事態を予測する者もあるわけでございますね。こういうことに万一なりました場合には、一九七二年の沖繩返還が、せっかくの総理の御努力にもかかわらず、どうも不確定ではないかという説をなす者がある、この点、ひとつ明確に御答弁を願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま読まれた点について、さらにそれを拡張して、こういうことがあるから一九七二年に本土並み、核抜きで返ってくるというが、そうはいかないんだ、こう言う人がございます。これは、よく読んでいただくと、さような点は、結論は出てこないはずであります。  一九七二年に本土並み、核抜きでこれが返還されること、これは間違いはないことなんです。しかし、一九七二年に、望ましいことではあるが、なかなか——ベトナムに平和が来るか来ないか、ただいまそれを言明するわけにいかない。一方的にそういうことを言うわけにいかぬ。したがって、万一平和が来ないというような事態があれば、そのときにその事柄についての協議をしよう、こういうのでありまして、これは返還は返還、同時にベトナムの戦いについての協議は協議、こういうことではっきり区別して書かれておるはずであります。これは特に私ども苦心して表現をしたつもりでございますので、ただいま御指摘になったような読み違えがよもや起ころうとは私ども思っておらないのです。もしもベトナムの戦争が続いていたら沖繩は返ってこないというようなことになれば、これはたいへんでありますから、その点ははっきりさせておこう、どうあっても沖繩は返してもらう、その点ははっきりさす。しかし、片一方で、今日ベトナムに戦いがあり、そうして沖繩の基地を使っている、その現状は、返ってきたからといって、直ちにその状態を変更するわけになかなかいかないものもあるだろう。だから、あらためてそのときには協議する、そういうことであります。しかし、いま、それじゃどういうことを協議するかという内容まではっきりはいたしておりません。これはそういう事態が続いたときに初めて協議の中身が出てくるわけでありますから、これはお尋ねがございませんでしたが、私、同時に疑問を持たれると思いますので、全部についてお話をいたしたわけであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 ただいま再び協議する際の内容についてもお触れいただきましたので、非常によくお考えはわかりましたが、さらにもう一つ。核抜き、本土並みで返ってくるということがきまったわけですが、その前は、政府はなかなかそれをおっしゃらなかった。それで、結局、本土並みになると、いろいろ安全保障上の問題があるではないかというふうにいっておられたのであるから、総理のナショナル・プレス・クラブの演説、さっき引用しましたあれを引き合いに出して、結局、事前協議というものが非常に弾力的に運用されるために、安保条約の質が変わったのではないか、こういう言い方をする者もあるのです。もちろん、それは別に多数意見という意味で言っているのじゃないのですが、しかし、こういういわゆる本土の沖繩化と称する意見ですね、こういうものに対してこの際はっきりお答え願っておいたほうがいいと思うので、御質問するわけです。  それからもう一点、北京政権は何かこの項目をとらえて、やはりいろいろ心配をしておるのであります。しかし、いかに旧式であるとはいっても、メースBというものが撤去されたのですから、沖繩から撤去されたということは、客観的にこの点で中国本土に対する姿勢が非常に平和的になったということは私は言っていいことだと思うのでありますが、その点も含めてお答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 沖繩の返還交渉に出かけます前にいろいろ中身を明確にしなかったと、ただいまおしかりを受けておりますが、私は、こういう点は外交の責任者がやはりその責任において果たすべきことじゃないのか、いわゆる外交交渉の全貌を明らかにして、手のうちはこのとおりでございますと言って臨む、そういうことは、まあ、どんな国でもやることではないんじゃないかと思います。したがいまして、私、国会の審議でそういう点については明確にしなかった。しかし、私どもが外務当局と十分話し合って一つの問題はつかんでいた。そしてそれが交渉の結果明確になった、かように御理解をいただきたいと思います。したがって、ただいま本土並み、核抜き、そういうことを明確にしなかったと言われて責められましても、これが外交のまず真の姿じゃないのだろうか、かように思って御了承いただきたいと思います。  それからもう一つ、事前協議の問題、ただいまのような核抜き、本土並みにするから、事前協議の内容が変わったんじゃないのか、こういうお話でございますが、事前協議についての政府の考え方は、その前から、私どもがワシントンに出かけます前からしばしば申し上げておりますように、事前協議そのものはノーもありイエスもあるんだ、それが事前協議だ、こういうことをしばしば申しておりまして、これがノーだけだと——事前協議を受けて必ずノーだ、こういうようないわゆる歯どめ論が非常に強くなっておりましたが、私は、ノーだけなら、これは事前協議じゃないんだ、かように思っております。事前協議という限りにおいては、やはりわが国の国益に照らして、ノーも言うしイエスもあるんだというのが、本来の事前協議の姿だと思います。したがいまして、今回もその点は明らかにしたのであります。これは私は、ようやくコンセンサスもできたんじゃないだろうか、かように思っております。今回のニクソン大統領との会談で、沖繩返還ができる、そのために事前協議の扱い方を変えた、こういうものでないことを御了承いただきたいと思います。それからもう一つは、中国がこれに対していろいろ批判しておるということでありますが、私どもの平和的な態度、また私どもが核を持たないというその態度、これは今回十分アメリカも理解してくれて、そして旧式なものであろうが何であろうが、とにかくそんなにきらうなら、返還を待たずしてメースBはひとつ撤去しよう、こういうような話にまでなっておる。そしてそれを発表された、かように御理解いただきたい。私どもが交渉した際にはまだ明確ではございませんでした。しかしながら、その後になりましてこの撤去が明確になったということ、また、私は重ねて申し上げますが、わが政府は、いわゆる非核三原則、これは堅持しておりますから、その点で御心配のないように、また、先ほど来しばしば申し上げますとおり、平和憲法を守るというその観点で、自衛力も、専守防衛と申しますか、その域を出ないものだ、かように御了承をいただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 沖繩を返還させたあとに、防衛は本土で肩がわりする、わが国がやるんだ、こういうことから、実はなかなか大きく、これは昨年の十月二十日の朝日新聞ですが、見出しだけ申しますと、「沖繩の防衛肩代り」、ナッター国務次官補に防衛庁筋が明らかにした云々と出ておるのですね。沖繩のアメリカの防衛肩がわり、これはたいへんなことだと思うのでありますが、どの程度考えられておるか。  それから、七二年というのはもうすぐ来るわけですから、自衛隊のほうも何名か沖繩へ人を持っていく。すると予備的に四十五年度の予算から金が要ると思うのですが、これはどのくらい予算がついておるか。  この二点をお願いいたします。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○中曽根国務大臣 どの程度の兵力を配備するかということは、まだ固まっておりません。しかし、一般的に考えてみまして、海上並びに陸上の多少の警備力、それから防空力、それから施設部隊あるいは通信隊、そういう程度のものは要るのではないかと思います。  それから、予算につきましては、八百万円ほど取りまして、これは主として七二年に返還されるときに、施設、いわゆる基地の接収の問題があるわけです。それから人員の処理、いわゆる間接雇用への切りかえの問題があるわけです。それに備えまして、定員を二十五名ばかりもらってその準備を始め、また調査費としてその中から約半分ぐらいを使う予定でやっております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの防衛庁長官の答えで中身はいいと思いますが、私が申し上げたいのは、アメリカの防衛にかわるもかわらないもありません。沖繩が本土並みになる、日本の施政権が行なわれるのです。この沖繩を防衛すること自身は日本政府の当然の責任だと、このことを実は言っておるのです。アメリカが持っておる兵力を全部それと同じような力でこれは取りかわる、こう言うのではないので、そこは誤解のないようにお願いしておきます。本土になるんだから、当然それを本土政府が守る、このことであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 非常に明瞭でございますが、その際、軍港がないのですね。海上自衛隊を持ってきましても、沖繩に軍港がございませんから、その点ひとつお耳に達しておきます。  それから、沖繩が本土に入りますと、産業形態というものが非常に問題になります。これはわりあいにいままで議論されてないので、核抜きか核抜きでないかというようなことばかりやっておったわけです。山中長官は新進気鋭で、非常にりっぱに御奮闘されておって、敬意を表するわけですが、沖繩の問題を考えると心がうずくとおっしゃっているやに聞いておる。非常にけっこうでございますが、やはり、ムードでこの沖繩の問題をやろうという気分が非常に多いのですが、これをひとつ大きく内閣として、この沖繩返還後の経営を考えていただきたいと思うのです。  御参考までに申しますと、沖繩の一番の収入は、基地収入ですね。それから砂糖収入、観光収入、パイナップル収入と、こうなっている。これは、砂糖収入、パイナップル収入も、実は亜熱帯でございますから、ペイしないのを買っておるわけです。沖繩の収入は、国民一人当たり五百八十ドルということになっている。台湾は三百八十ドルですね。台湾のほうが、パイナップルをつくっても、砂糖をつくっても、よくできるわけです。ですから、あの亜熱帯のそうした産業をどうするか、あるいは観光収入を一体どういうふうに取り上げていくか、それには税制上のくふうやいろいろ要ると私思うのです。これも私ども真剣に心配したいと思っていることでございますので、特に政府にお願いしたいと思うのです。屋良主席という人が出てきて、沖繩の産業は自立経営だということを言っておるそうですが、それにはやはりいろいろな青写真を見せてもらわぬと、私は、そのときになって、非常に困ると思うのです。  私見を申し上げますと、いま人員整理の問題が出ていますけれども、あそこで軍隊の使ういろいろな武器その他の調達、修理工場を大きくつくるのなんかも、一つの案ではないかと思うのでございまして、今日においてこの点に十分抜かりなく配慮をしていただいて、同胞百万の繁栄のために、ひとつ御配慮を願いたいと思うのです。へたしますと、これは返還のとたんに、どっと若年労働者は本土に来ます。中高年齢層だけの過疎地帯沖繩ということになる心配が、ほうっておけばあると私は思うので、特にお願いをしておきたいと思うのです。御答弁願えれば幸いです。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私には質問しないからということで、準備も何もしておりませんが、抜き打ちの質問でございました。しかしながら、所管大臣といたしまして、防衛の問題は別といたしまして、私はもっぱらその方面について鋭意努力中でございます。  ただいま御指摘になりましたような点が、まさに、沖繩をあと二年後に祖国が二十数年ぶりに抱き取ってやろうということの一番大きな問題であるかと考えます。基本的には、きのう参議院の本会議でも質問があったのでありますが、奄美復帰のときの喜びほどの喜びが沖繩現地で感ぜられないという感じはしないかという話がありました。形は別でありますが、奄美大島が復帰いたしましたときには、党派を越えてちょうちん行列、旗行列という祝いの表現がございました。しかし、沖繩で、昨秋の佐藤・ニクソン会談が妥結いたしまして、はっきりと七二年返還のめどがついたときに、形は別として、これもまたあらためて申し上げますが、そのようなことをやろうかやるまいかという相談すらなかった。このことを私はやはりしっかりと心の底に抱きとめておくべきことであると考えます。  本土決戦の呼号の中で、県民ぐるみ巻き込まれた県は、沖繩県だけでございますから、しかも、国際緊張があったとはいえ、二十数年の長きにわたって祖国と隔絶されたわれわれの同胞の心情は、私たち祖国からこうしてやるというものでなくて、やはりその原点を償いの気持ちと、さらに現地の人々が日本に帰るにあたってどのような希望と要請をしておるのかということをすなおに受けとめて、その上に、一日も早く、ただいま御指摘のような点の青写真を設計しなければならぬと考えます。  率直にいって、現在、沖繩では、七二年を率直に待ちわびるという喜びの姿の裏に、むしろ表に出てきたと申しますか、不安、動揺、混迷というものがあることを私は認めざるを得ないと思います。それを認めるべきだと思うのです。そのためには、県の形態をなしておりませんで、やはり税も関税や内国税の問題、その他も全く本土と違う形態の上に成り立っておりますし、先島といわれる本島以外の島々は、大体サトウキビやパインやあるいは漁業等のいわゆる普通の日本本土における離島と同じ形態でありますから、問題は本島でありますが、本島の三次産業就労者というもののウエートが、コザ市においては七九%、那覇において七三%という異常な形態を示しておる。しかも、この形態の上に立って、今日沖繩の県民所得は少なくとも本土の類似県よりも高いところに一応あります。これらを考えますと、やはり復帰いたしますにあたりましては、このようなことを踏まえて、日本に帰りました後も、ほんとうにそれらの人々が順調に職業を、できればそのまま維持して、あるいはひどい変革なくして、御指摘のように若年労働者がどっと本土に逃げてくるような過疎県にしないで、やはり美しいサンゴ礁と緑の島、郷土という意味で、自分たちの郷土に安心してとどまって、そして新しい沖繩づくりに県民が励んでいくということを私は設計したいと考えます。  このためには、やはり具体的に現地の人々の声をどう設計するかという問題、非常にむずかしゅうございますから、十分心して努力をいたしてまいるつもりでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次は、北方領土を伺いたいと思います。  「万歳 沖繩が帰ってくる つぎは北方領土だ!」というのは自民党の選挙のポスターでございます。ところが、これを私はやはり自民党のものにしてはいけないというふうに思うのです。ことに北方領土の返還のごときは、全くこれはむずかしい問題だと思いますので、ぜひ超党派的な努力を願わしいと思っております。  ところで、この北方領土の問題につきまして、われわれは択捉、国後、歯舞、色丹の四つを返還要求して、これを北方領土といっている。ところが、社会党、共産党は、千島、樺太の返還まで要求する、こう言っておられるので、これは要求が一本にならないと非常に相手国に対する影響が弱いといわざるを得ないのであります。  そこで伺いたいのでございますが、われわれはポツダム宣言を受諾し、その前のカイロ宣言の趣旨を受けて、固有の領土は奪われないという見解に立っておるわけです。ところで、この北方領土の問題は、一八五五年の日魯通好条約、それから一八七五年の樺太千島交換条約、そこではっきりとクリル・アイランド、千島というものはウルップからシュムシュに至る十八の島嶼であると書いてあるのですね。それから南の択捉、国後はいわゆるクリル・アイランドに入っていないのです。だから、これをはっきりさせれば、法的根拠をはっきりさせればいいのではないかと思っておるのです。ことに、この終戦時の記録によりますと、あそこには海軍の八十九師団というのがおった。それが私ははっきりしません。これは外務大臣からあとで答えていただきたいと思うのですが、ずっと南下してきて、そしてウルップ島まで来て、そして択捉のところが引き返したところですね。そしてまた、そこにだれもいないということで、また来て占領したというふうな記録がある。とすれば、これはソビエトのほうにおいてもウルップ島までが千島であって、ソ連のいう講和条約に考えたクリル・アイランドというのはそれから北なんだ、こう考えているということになると思うのです。それからなお、宮部金吾という植物学の泰斗もはっきりと択捉島とそれからウルップ島から北の植物は違うということを証言しておられるのですね。これは日本の文化勲章までもらった非常な大家であるわけでございます。北大の名誉教授の宮部先生がそう言っておられる。そういう点をやはり向こうに言うのは当然でありますが、その前に日本の国内で、これは超党派外交で社会党や共産党の方、公明党、民社党の方全部に話を聞いていただいて、何を一体要求するかという中心をつくる必要がある、こう考えますのでありますが、いかがでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まことにごもっともな御意見と思います。北方領土の問題につきましては、これは小坂委員が最もよく御承知のとおりでございますけれども、いま御意見がありましたように、全国民のコンセンサスで、そして超党派的にどうしても取り上げていただきたいと思いますが、それにつきましては、一番わかりやすく、一番端的な根拠というものを明確にするということが絶対に必要なことである、こういうふうに私考えますが、そう考えますと、やはりただいま御指摘のとおりであると思うのでありまして、一八五五年の日魯通好条約、これが一番はっきりした根拠で、一番単純明快であると思うのです。これは、いわゆる千島というものはウルップ島以北であって、国後、択捉とこれは厳然と区別しております。そして国後、択捉以南は日本の領土である。そしてこれを受けて、その後の条約が編成されておりますし、そしてそれを受けているのが、私は終戦直前のいろいろな宣言その他のものであると思いますし、またそれを受けてサンフランシスコ会議でも、吉田全権が堂々とその点に対しての強調をされ、また実質上留保されているわけで、こういう関係で、私は日魯通好条約というものを全国民的にあらためて思い起こして、これを根拠にしてコンセンサスを盛り上げていくようにしていただきたい。これらの点については、ただいま御意見がございましたが、私も全く御同感に思いますので、その線に沿うてひとつ政府といたしましても、全国民に対しましてよく啓発をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 さらに北方漁労の問題ですね、安全操業の問題。これは御承知のように、ソ連は十二海里説をとっておりますから、大体あの辺は全部領海だということで、みんなつかまえてしまう。これは何といいますか、力関係というのですか、われわれの平和的な説得がなかなか及びませんで、非常に苦心をして、貝殻島の問題だけは民間契約でやっておるわけですね。すなわち、一そう船が出ますと、年間に一万二千円払う。そうすると、つかまえぬでもらうということでコンブをとっているわけです。この漁民の諸君は、先祖伝来、徳川時代からそこへ行ってとっているわけです、これは日本の領土なんですから。父祖伝来の地で漁業を営んでいる、これは当然のことなんです。ところが、ソ連のほうはコンブは食べないのですよ。自分のほうは食べない。私はこの点を非常に遺憾に思っておるのです。自分の食べぬものをとってけしからぬというのも実に妙な論理だと思うのでありますが、こういうことで金で解決しているわけですね。それでもつかまえられてひどい目にあうよりは、金で済むことならということで、やっているのでありますが、貝殻島の問題はそれでいいとして、ほかのいわゆる北方の安全操業の問題ですね。これについては政府はどういう解決方針を持っていられるか、この点、明らかにお願いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 安全操業につきましては、昨年九月に私もソ連に参りましたときに、わがほうの提案をいたしてまいりました。それは国後、択捉、歯舞、色丹島の三海里から十二海里までの間の水域において安全操業を認めらるべきである、これを基本の考え方にして、そしてそれを基本的に容認すれば、その後の細部の折衝に及ぶということで、提案をいたしたわけでありますが、領土問題のこちらの強い主張の関係もございますから、入漁料というようなものは絶対にこちらとしては考えておらないということのくぎも同時にさしております。この提案に対しましては、先方も関係各省の間で前向きに検討をいたしましょうということになったのでありますけれども、その後のソ連側の態度というものは、まだ具体的に細部の話し合いに乗せるまでのところには進んできておりませんので、再々督促をいたしておるようなわけであります。  それから、先ほど私、答弁をちょっと一点抜かしましたが、先ほど御指摘のとおり、北方領土についての一九四五年当時の第九十一師団の記録等によりますと、御指摘のとおりでございまして、当時、ソ連軍が千島列島を南下するにあたりまして、最初はウルップ島まで参りまして、そこで引き返しました。その後あらためて米軍が択捉島より南の諸島を占領していないことを知って、再び南に下がってこれらの諸島を一方的に占領した、こういう記録が残っているわけでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 先ほど私が申しました中で、社会党及び共産党の各位が千島及び樺太の返還ということばがあったのでありますが、樺太は御要求になっていないのでありまして、これは取り消させていただきます。  次に、いまも申しましたようなことで、政府も国民的なコンセンサスを得る点で御努力を願うということでありますが、それができました暁において、私は佐藤総理からコスイギン首相に対して、この問題について親書を送られてみてはいかがかというふうに思いますが、この点はいかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私も問題の解決に役立つことであれば、どういうことでもするつもりでございます。ただいまの御提案がございましたが、これはただいまの状況ではたして十分効果があるかどうか、もう少し検討させてみたい、かように思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 日ソ間の友好関係というものはできるだけ増進しなければならぬというふうに思います。これは領土問題はまた理論的に詰めて、感情を交えず解決でき得る問題だと私は考えるのでありますが、さらに提携をする——これはシベリアの開発の問題で、非常に最近提携の議論があるわけでございます。やはりこちらとしては石油とかLPGをとるということになると、港を開発しなければならぬ、それから木材を買うということになると、やはり林道をあけていかなければならぬ、そういうものの資金はどうする、日本から何かくふうをしてそういうものを開発してはどうかというようなことで話があるように聞いておるわけでありますが、この点で政府は、日ソの経済提携の基本方針というものをどのように考えておられるか、伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 政府といたしましては、ソ連との間も互恵平等の原則に立って、経済、貿易関係の拡大をはかってまいりたいというのを基本方針にいたしております。  そこで、現状は御承知のとおりと思いますから簡単に申し上げますが、昨年は往復七億ドルの貿易量でございましたが、ただ、特徴はここ数年間わがほうが大幅な輸入超過が続いておる。この是正というものが日ソ間の一つの課題になっておるわけでございます。  それからさらに、本年は現在の日ソ五カ年貿易協定の最終年に当たっておりますので、明年以降の長期貿易協定の締結方についてソ連側から提案が出ておりますので、目下、政府部内でこれに対応する方針を検討中でございます。  それから一方、民間ベースのほうでございますが、ただいまも御指摘がございましたシベリア開発などをめぐりまして、日ソ両国間の協力問題について、双方で構成いたしております委員会を中心に話し合いを行なっておるわけでございます。国情の相違などもございますので、いろいろ問題点はございますが、政府としては、十分商業上の採算に合い、かつ、わが国益に沿うものである限りは、積極的に支援していきたい、こういうことを基本方針にいたしております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次に、核防条約を伺いたいと思います。  去る三日の日に調印がなされたわけでありますが、これを核軍縮の第一歩として考えるわけでありまして、さらにそれが達成できるかどうか。現実にSS9とかSS11とか非常に核兵器の拡散が行なわれておる面もあるわけです。それに対するABM網であるとか、現実にそういう問題があるわけでありますが、これをひとつわれわれとしては核軍縮の第一歩として受けとめて、この条約に調印するということであります。  さらに安全保障、原子力の平和利用、いろいろ問題があるわけでありますが、時間の関係で、できるだけしぼって伺います。  一番問題は、私はやはり日米安保条約がなくなったときに日本の安全はだいじょうぶかということだと思うのです。われわれは、なくなったときというのを、なくそうと思って言っているわけではなくて、これは仮定の問題でございますが、要するに安保条約が一年の予告をもって廃棄できる、核防条約は二十五年続く、それでだいじょうぶか、こういうことなんです。  そこで、現在アメリカの核のかさがあるわけでございますが、それに対していろいろわれわれのほうも関係国に問いただして、その結果、国連安保理事会の決議というものがあるわけですね。この中で、核兵器による威迫を受けた場合は、国連の安保理事会が行動する、こういうことになっておるわけですが、問題は、安保理というものが拒否権があるわけですね。ソ連は従来わが国の問題について全部といっていいほどミスター・ニエットだったわけですね。拒否権を行使してきたわけです。そこで、この点についてソ連は拒否権を使わないという保障を受ける交渉をしておられるかどうか、そういう心証を受けておられるかどうかということを承っておきたいと思うのであります。  それからもう一つは、威迫を受けた場合というのですが、具体的には、威迫とはどういうことで、どういう程度まで威迫と感じるか。  この二点を伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 ソ連の態度あるいは安保理における、これは仮定の問題でございますけれども、そういった場合に、ソ連が拒否権を行使しないということについての保障を受けるというところまでまだ心証は受けておりません。これは他の問題とも関連いたしますけれども、これからのこの条約をめぐる大きな問題として十分努力もしなければなりませんし、また情勢の推移も見ていかなければならないと思います。  それから、安保条約との関係を御心配でございますけれども、これは安保条約はずっと続けていくということが政府の方針でございますが、それはともかくといたしまして、御案内のように、たとえばこれは条約が発効をし、かつ、日本が批准をして正式に加盟してからあとの問題ではございますけれども、日本としての至高の利益が損せられるような場合には脱退をすることができるわけでございますが、どういう場合に脱退あるいは至高の利益ということに解せられているかというと、今日まで国際的に論議されておりまする場においての例としてあげられている問題としては、たとえばNATO条約がなくなる、あるいはNATO体制がなくなるというような場合は、それぞれの国の至高の利益だということに例としてあげられているというようなことも非常な参考になるのではなかろうか、こういうふうに考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 次に、原子力の平和利用につきまして、項目別に申し上げますから、原子力委員長から簡単にお答えを願いたいと思います。  一つ、一九七〇年代の濃縮ウランをわが国が所要とする量。  その次は、条約に入らなくても、アメリカは商売であるから、濃縮ウランを売るであろうと思われる、こう言う人がありますが、どうであるか。これは外務大臣からお答え願います。  それから次は、フランスから濃縮ウランを買えばいいじゃないか、これは条約に入らぬ場合ですね。アメリカは濃縮ウランを日米原子力協定によって当方に供給しているわけでありますが、そこに入らぬで、アメリカからもらわぬでも、フランスから買えばいいじゃないか、こういう説があります。これに対してのお答え。  それからその次は、ウラン原鉱石を買って日本で濃縮ウランをつくったらいいではないか、こういう説があります。これができるのかどうかということ。  それからその次は、原子力基本法というのは公開という原則なんです。平和、民主、公開。公開という原則がある以上、査察はどんなことをされてもものが言えないわけではないか、こういう議論があります。すなわち、この原子力基本法ができましたころと今日とは相当情勢が変わっておるので、公開原則というのは、査察を平等にしろとか、あるいは査察の条件によっては商業上の機密が漏洩するから日本は批准しないとか、そういう議論をするなら、それより前に原子力基本法を改定する必要があるのではないか、こういう議論に対してどうお答え願うかということであります。  それから、アメリカ、イギリスは一九六七年のジョンソン演説に見られますように、自分のほうは査察してもいい、こう言っているわけですね。ソ連は、自分の国へ外国人が来て調査するなんということは、これはスパイ行為である、こう言って査察に反対しているわけですが、これは今後の見通しはどうであるか。やはり査察というものは平等に受けてもらうべきものではないかと思いますが、これはどうだ、こういうことです。  その次は、これも新聞でございますけれども、二月九日の読売に、日本が調印したことを非常にアメリカが喜んでおりますが、その際に、自己査察というのはこれは無理だ、しかし、西欧諸国以上にきびしい査察義務を日本に負わせてはいかぬ、こういうことをアメリカ当局者が語っておるワシントン・ポストの記事の紹介がここにあるのです。自己査察ができぬということになると、日本の言っているのは、日本は原子力基本法というものがあるから、それでやってもらって、自己査察をさせて、それを国際原子力機関、IAEAが認証したらいいじゃないか、こういうことを言っているわけですが、こう言われると、これはちょっとまたわれわれの期待が若干ぐらつくわけでございます。この点についての政府のお考え、これを一括してひとつ御答弁を願いたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私に対してのお尋ねを最初にお答えさしていただきたいと思います。  条約に加入しない場合に、アメリカから濃縮ウランが買えるか買えないかという問題ですが、これは現在御承知のように、日米原子力協力協定というものがございまして、それで濃縮ウランの供給が保証されているわけですが、その保証されている協定以外のものについて濃縮ウランをアメリカから入れることができるかどうかということは、これは今後の問題でございますが、場合によればアメリカの政策として入れることが困難あるいは不可能になるということもあり得ることではなかろうかと考えるわけでございます。  それから、ソ連の査察の問題につきましては、これは先般の政府声明にも掲げておきましたように、ソ連もこれは核兵器保有国として、他のところが査察を受けるならば、当然これは受けるということになってもらわなければ筋が立たないので、受けるようにソ連側がなってくれることについて、政府としても努力を新たにすべきであると考えております。  それから、今後の日本の受くべき査察の内容については、これは御案内のように、条約が効力を発生いたしましてから、査察、保障の協定が二年以内にできるわけでございまして、この協定作成に対して積極的に日本としては参加をいたしまして、他国と平等の立場において査察を受けるようにしたいということで、あらためて努力をしなければならない、こういうふうに考えておりまして、この成り行きいかんと批准をお願いするかしないかということには、これは大きなかかわりがあることである、かように考えております。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 お答えいたします。  第一問は、一九七〇年代の濃縮ウランの所要量はどのくらいであるか、こういう御質問でございます。七〇年代と仰せになりましたので、十年間をさしておられると思いますので、そのことを前提に申し上げます。  わが国の発電用原子炉の数は、昭和四十五年度までに着工するものは十二基、そのうち運転開始するものは、ことし四基であります。昭和五十年度、一九七五年でありますが、それまでにさらに着工する予定は十九基であります。昭和五十五年、すなわち一九八〇年でありますが、これまでにさらに着工が予定されておりまするものが十五基、合わせますと四十六基となる見込みでございます。  これを基礎にいたしまして、一九七五年までの濃縮ウランの累積の需要量を見積もってみますと、三%濃縮ウランに換算してのことでありますが、約二千五百トン、一九八〇年、つまり十年後でありますが、これの累積は七千五百トンに達するものと見込まれます。  なお、一九七五年時点におきますところの単年度の需要量は大体五百トン、それから一九八〇年時点におきましては、単年度一千トン、こういう見込みでございます。  第二問は、フランスから濃縮ウランを買ったらいいじゃないか、こういう意見があるがどうかということでありますが、フランスは現在濃縮工場は一つございまするけれども、その能力は非常に小さいのであります。しかも、これは軍事用に限っておるわけでございまして、フランスでも研究用あるいは発電用の濃縮ウランはユーラトムを通しましてアメリカから供給を受けておる、こういう現状でございまするから、当面フランスにはわが国に濃縮ウランを供給するだけの能力はない、かように判断をいたしております。  なお、民間におきましてウラン鉱石をフランスから購入することもあり得ると存じまするけれども、その場合におきましても、その濃縮はアメリカに委託しなければならない、かような現状であると存じます。  次は、原鉱石を買って日本で濃縮して経済的に引き合うのかどうか、こういうお尋ねと存じますが、わが国は将来濃縮ウラン需要量の増大が見込まれまするので、これに備えまして、昨年の八月、原子力委員会におきましてウラン濃縮研究開発を重要な研究課題として指定をいたしまして、この技術の研究開発を進めております。しかしながら、現在はまだほんの基礎的な研究の段階でございますので、今後この研究開発の推移とその結果を見ませんと、現在でこれが引き合うかどうかという判断はいたしかねると御承知を願いたいのでございます。  次は、原子力基本法に公開の原則をとっておる。この公開の原則をとっておるからどんな査察でも受けることになるのであって、これを改正したらどうか、こういう御意見と存じますが、核防条約に基づきます査察は、核物質の軍事的転用の防止に必要なものに限って行なわれる、こういうことになっておるわけでございまして、同条約におきましても、当事国の経済的なあるいは技術的な発展を妨げないような方法で実施しなければならない、こういうふうに規定されておるわけでございます。一方、わが国の原子力基本法の公開の原則は、わが国の原子力の平和利用を担保するとともに、研究開発の成果の公開によって国民経済の発展に資しようとするものでございまして、いわば商業機密に類するようなものにつきましては、何もかにも公開をしなければならない、こういう趣旨ではないと考えております。  以上、いずれの面から見ましても、わが国が公開の原則をとっていることが、他国に比べて実質的に非常に不利な査察を受ける結果を招く、こういうふうには考えておりませんので、こういうことから、公開の原則につきましては、当面改正の必要はなかろうかと、かように考えておる次第でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 ただいまの御答弁で公開の原則はいいと思いますけれども、実情をもう少しよく御研究願いますようにお願いしておきます。  次に、内政問題に入らせていただきます。だいぶ時間が経過いたしましたが、できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。  一九七〇年代の最大の問題というものは、やはり都市化の問題と公害の問題ではないかというふうに私は思います。この長期的な見通しと、国土再開発の問題を伺っておきたいと思うのであります。未来学者というものがこのごろはやっておりますが、その説によりますると、十年間に十万人以上の都市というものが五〇%できる、百万人以上の都市というものが二〇%できる。それも大体太平洋岸であるということを言っておるのであります。ということになりますと、日本海側には三〇%の人口があるということになりまして、非常な偏在ということになるのであります。こういうことをそのままにいたしておきますと、これは非常に急激な人口の都市集中が今後も続いていく。政治というものはまさにこの問題に密着して、こういうことがないようにするということが大切なことであるというふうに思うわけでございますが、この点に関連いたしまして、総理はどういうビジョンを持たれるだろうか。日本の全体の今後の十年間の都市・農村、過密・過疎の調和の問題、そういう問題についてひとつお聞かせを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この点は、私の施政方針演説でも述べたところでありますが、御承知のように、過密・過疎現象、これは日本だけの問題ではありません。各国ともこの問題でただいま困っておると思います。私は、わが国でただいま調べておる新国土総合開発計画、これにのっとりまして、そして交通通信網を整備して、それを根幹として、いわゆる過密・過疎の問題と取り組み、総合開発をいたしまして、そうして地域的な格差のないようにしていく、これが内政の根幹ではないか、かように思っております。いずれまた詳しいことはそのときにお答えしたい。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私はやはり、そういうことを大きく考える場合、道州制というものが必要になってくるのじゃないかという意見を持っているのです。今日、現状でどうかといいますと、府県というものは非常に財政状態がよくなっておると思います。どこに行っても非常にりっぱな府県庁が建っておりますし、三税の増収がどんどんあるのです。その三二%は自動的に交付税交付金で入るのですから、現状でいいから、この制度を新しくしようとはだれも言わぬと思うのです。しかし、水田君が本会議で言いましたように、明治四年の廃藩置県でできた府県を、交通事情が革命的にともいえるほど非常に変わっておるこの段階で、このまま続けていいかということは確かに問題だと思うのです。総理の大きなリーダーシップをもってひとつこの問題を研究調査さしていただきたいと思うのです。たださしあたりは、府県合併、たとえば大阪、和歌山、奈良であるとかあるいは岐阜、愛知、三重であるとか、そういう府県合併から始めるのも一つの方法でございましょう。いずれにしても今日の状況を何とかする、こういうことをお考え願ってはと思いますが、御意見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの過密・過疎の問題と同様に、最近の一つの問題は、広域行政と申しますか、ただいまの小さい府県単位ではなかなか行政の万全を期すことができない。経済活動等においてもいろいろ不便がある。そこで採用されようとするのが道州制の御意見ではないかと思います。しかし、道州制の意見を採用するその前提として、いまの状態を大改正しなければならない。いまの状態をそのままにして道州制を導入する、これでは——小坂君の考え方もそうではないだろうと思いますが、そのいまの状態を改正するという、そこにいろいろの問題がある。ことにただいまは民選自治団体の首長でございますから、そういう意味で、この制度から申しまして、なかなか簡単にはいかない問題だ。しかしながら、これがいま言われるように、明治初年から何ら改正なし——ほとんど改正なしと申したほうが正しいのでしょうが、府県制ができておる。市町村のほうはどんどん合併して数も十分の一になっておる。こういうようなことを考えますと、やはり府県制そのものについても根本的に考えるべき筋のものだろうと思います。しかし、これはよほど調査をしない限り、容易に結論は出てこない、かように思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 小坂君にちょっと御注意を申し上げますが、お約束の時間が迫っておりますので、御留意の上、御質問を……。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 十分留意はいたしまするけれども、大切な問題だけはひとつ十分に質問をさしていただきたいと思います。お願いいたします。  次に、日本経済が高度に発展する中に、実感として生活が非常によくなったと言う者が少ないという点が問題だと思うのです。やっぱり物価が高いとか税金が高いとか空気がくさいとか水がまずいとか言うわけですね。私は、ニクソンがこのごろ盛んに言っておりますけれども、彼はアメリカの中間選挙を意識して非常に言っておるのですが、貧困との戦いなんということを言っておるが、そうじゃないのだ、ほんとの戦いというのは悪への戦いでなければならない、その悪をつくったのはだれかといえば民主党だ、民主党が高度成長政策を野方図にやったので今日の公害が出ておるのだ、こんなような演説をしているのを読んだことがあるわけです。私は、やはり安定成長ということを佐藤内閣が言っておられたのだが、いつしか高度成長になっているんじゃないかという感じがいたすのです。この辺でできるだけの歯どめをしていきませんと、三千数百億の減税をしても、実感として税は重い重いというわけなんですね。この新聞を見ましても、これができたときに、遠い物価の安定、生活と生産力格差広がる一方、これは毎日新聞、身のない増額社会保障、米の失政庶民におんぶ、暮らし置き去り、こういうことを盛んにいわれるわけなんですね。この安定と成長、国民生活の安定と経済全体の成長、このバランスの問題というのは非常にむずかしいけれども、非常に重要な問題であると思うのです。  それから、なお公害の問題でございますけれども、これは国連でも一九七二年に国連における公害に関する世界会議を持とうというふうにいっておるようでございますが、これに対しての政府の受け答え方ですね。これはどういうふうになっておるか。これも時間がないですからあわせて伺います。  それからもう一つは、万博がございますが、このあとの建物の処理というのは各方面で非常に競争をしておるわけです。大阪府知事はぜひここに国連の下部機構を持ってきたいということを熱望しているようです。公害に関する国連の調査機構を新たにつくるのだから、その下部機構として国連の公害研究機関を万博のあとの建物に使用したい、こういう考え方を強く持っておるようでありますが、この点についても意見を聞かしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 なかなか基本的な問題でございますし、これは大蔵大臣の財政演説の中にも述べておりますように、息の長い景気持続、こういうことを言っております。私ども考えるのは、いわゆる高度成長というばかりじゃない。安定成長、とにかくそのもとで息の長い景気を持続していく。だから、これは適度に成長させなければならないが、安定の方向へたどろうという非常にむずかしいことをいまやっておるわけであります。だから、一面から見まして、いろいろの批判は自由にできます。けれども、その真のねらいはどこにあるのかというと、やはり景気をよくしていかないと、それを持続していかないことには何事も解決しない。それで適度に押えていこう、こういうことでありますし、そこらに物価の問題も、また豊かさの問題も解決されるのではないかと思っております。  公害の問題についてのお尋ねもありましたが、これは最近は積極的に公害問題と取り組む姿勢でございますし、きょうの閣議あたりでも、もうすでに自動車の排気ガス等について、先ず政府自身から範を示そうじゃないか、こういうふうな申し合わせもしておりますので、これらも積極的になるだろうと思います。国民のしあわせのためになるようにすることが真の繁栄だと思います。  万博のあと地の問題については、ただいまいろいろなアイデアが生まれております。ただいま御指摘になりましたように、国連の公害研究センターにするというのも一つのアイデアでありましょう。しかし、あまりあわてて早目に結論を出し得る問題ではありませんので、ただいま、まだ万博が開催もされないうちからあと地の問題を考えるのは少し早過ぎやしないか、これはゆっくり、いろいろのアイデアが出てくると思いますので、アイデアがそろったところで、最終的には結論を得たいと思っております。ただ、ものの考え方ですが、御承知のように、あそこにいろいろのパビリオンができておりますけれども、中には、恒久建物で必ず残していかなければならないもの、また、あるものはもうその場限りのもの、こういうようなことで、百万坪の使い方は有効に使いたい、かように思っております。  重ねてもう一度申し上げておきますが、景気、これはただいま仰せになりましたように、バランスのとれたものでなければ安定成長にならない、かように思っております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 少しはしょりまして、農業問題に入ります。  倉石大臣は私と同じ選挙区でございますので、どうもあなたとやり合うような印象を与えるのははなはだ私も不本意でありまして、しかし、さりとて党の代表でありますから、触れざるを得ないわけであります。さらにこれはまだそれこそ息の長い問題でありますから、他の機会にもできるだけお伺いするようにしたいし、問題は農民のしあわせになればいいことでありますので、お互いに努力したいと思うわけであります。  私が一番申し上げたいことは、とにかくこれは会社なら破産している状況だと思います。非常に責任者が出ている問題だと思う。つくれ、つくれといってつくってみたら急に余ると言い出して、そして、あれよ、あれよといううちに、十四カ月分の貯蔵ができてしまった。一体農政通は何をしていたんだかといわれてもしようがないと私は思うのであります。一番気の毒なのは農民の各位であります。これに何か政治に対する信頼感を失わせないようにすることが大切であると思いまして、農林大臣も非常に心を痛めておられるだろうと私はお察しするのであります。  そこで、どうでございましょう。農林官僚は非常に優秀な人が多いわけだし、よくできるのでありますが、役人というのはやはり一番手続が問題なんですね。結果というより手続、法令に従うかどうかということが非常に問題、これも確かに必要でありますが、米の問題はそういう問題じゃない。問題は、どうしたら消費をふやし、生産を摩擦なく他に切りかえることができるかということ。そこで、民間の連中はそれでは済まないんですね。手続だけ言っておって、会社が破産してしまえば首をくくらなければならない。そこで、民間の人は、物をつくればいかにして流通させ、消費させるかということを真剣に考えるわけです。そういうことの考えがある人を集めて、ひとつ米の過剰対策について真剣にやってみる気はないかということをまず伺っておきます。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 見通しについてでございますが、昭和三十七年に出ております将来の見通しを読んでみますと、やはり若干余ってくるという状況の報告をしておるわけであります。ところが、その七、八年ころ需要もちょっと減りましたけれども、だんだんと天候などの影響もありまして、生産も減ってきておる。昭和四十年ごろでありますか、そういうことのために外米を百万トンも輸入いたしてまかなった。それから全国の知事さんたちは、これは米が足りなくなってくるぞということで、米づくり運動みたいなことを各県でおやりになったりいたしました。そのうちにだんだん経済もよくなってきまして、国民の食生活が変化してきまして、御承知のように、昭和四十年ごろからは毎年毎年一人当たりの消費量は減ってきている。そこへもってきて生産がふえてきた、こういうことでありますからいまのような結果になりましたので、われわれとしてはどうしても生産調整をやらざるを得ないということでありますが、いまお話しのように、過剰米の処分につきましては、お説のように、民間の方々等も加えて、この増大をはかるように努力することはたいへんけっこうなことだと思いますので、私どものほうでもそれをいまやろうとしているわけであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 私の時間は四時半までだそうですから、非常にこれは切り詰めざるを得ないのでありますが、たいへん御親切な答弁は感謝いたしますけれども、できるだけ短く簡潔にお願いしたいと思います。  そこでもう一つは、いま土地改良その他をやっているのは、公庫から金を借りてやっているわけですね。水路をつくる、その先の改善ができない、あとどうするかという問題があるわけです。しようがないから自主改善、金融機関から金を借りてやろうかというようなこともやっているわけですね。  それから山のほうで非常に困る——お互いの選挙区の山手はよく御承知のように、非常に小さいところに、田毎の月なんて言われるところに水田をつくっているわけですね。これは土地改良通年施行というのはたいへんいいことでありますけれども、二十町歩ないと土地改良事業は採択にならないわけですね。山村振興法の場合にも十ヘクタールというものがやはり単位になる。ところがそんなところはないですよ。ですからこれはどうでしょう大臣、こういうところはひとつ休耕奨励金なんて言わないで、休耕したら、ああいうところはべと土ですから、一年休んだら何にもできなくなる、またたいへんな金がかかるということですから、休耕の対象にしないということにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 そういうような過疎地帯になりそうなところで二説ございまして、そういうところは、むしろ不経済だからして、やめたほうがいいんだという御議論の方もありますし、ただいまあなたのようなお説をなされる方もございます。そこで今度は、私どものほうでは県知事を通じて市町村長にそういうことの計画を立てていただくようにしむけておりますので、それぞれ地方の事情に応じたようにやってくれることだと思っておるわけです。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 それから食管法を変えたらどうか——いや、あなたの御答弁も聞きたいと思っていたのだけれども、これはきょうは時間がないからまた別の同僚の各位にお願いすることにして、食管法の改正の問題で、私の考えているのはその問題じゃなくて、いま外国へ売れないわけですね。ですからその点で食管法を変えまして、たとえばビアフラなんかでああいうひどい問題がある、そういうところに売れるようにする。そうして例の余剰農産物処理の方式にならって、そうしてこちらから米を出して現地資金を積み立てて、そこでいろいろなことをまた向こうの政府でやってもらうというふうなことはどうしても必要だと思うのでありますが、この食管法改正についての御意見いかんという点と、それから果樹、酪農を振興しなければならぬといっておるわけですね。ところが、その果樹のほうもなかなかたいへんな状況であるし、酪農のほうも牛乳がだぶついているという状況、これはみんな流通機構が悪いという点もあるし、公式的にはいろいろな答弁があると思うのでございますが、これはいろいろやっていただくのでありますが、一つだけ私ここで伺っておきたいのは、例のグレープフルーツ、カリフォルニアオレンジ、これを自由化するという条件に、前大臣はアメリカ全州に対して日本のミカンが輸出できるようになること、もう一つは季節関税を設けること、季節的に特別高い関税ですね、これを条件として承諾したと言っておられますが、これは公式のとこでしばしば言っておられる。あなたはその引き継ぎを受けていらっしゃるかどうか。この二点をお願いいたします。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 食管法を改正いたしませんでも、外国に米の供与はできるわけでありますが、食管法でなくて、ほかの法律に支障がございますので、この国会に、いまのような場合には別途法律をつくりまして、延べ払い方式で海外の供与をできるようにしたいと、法律の準備をいたしておるところであります。  それから、前大臣の申しておられましたグレープフルーツ関係のことにつきましては、同じ考え方で押しているわけであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 通産大臣、繊維のことで伺っておきます。  この、いま対米自主規制の問題が非常に問題になっておりますが、これは発生的には、綿製品の自由規制を一九五六年からやっておったわけですね。そして、これは香港などがどんどん伸びるので、もっと国際的な協定にしようじゃないかということで、綿製品の国際協定に変えていったわけですね。当時の向こうの当局者は、香港あたりもだんだん押えるから、それには国際協定のほうがいいということでやったわけです。ところが、いまそれで非常に困っていると関係者は言っておる。私、実情はよく知りませんが、そういうふうに関係者は言っておる。  それからもう一つは、こういうことはほかに及ぼさぬという約束があった。その約束は私は聞いておるのです。ところが毛とか化合繊に及ぼしてくる。こういうふうになった過程、そのプロセス。それからもう一つは、こういう問題は多数国間でやるべきものですね。私は繊維協定も多数国間でやっているのはいいのだと思うのです。それを日米間の二国間交渉でやるというふうにスタンズ商務長官が来て言われて、そしてある大臣は、それでいい、こう言われたのだが、またこのごろになって国際協定でなければいかぬ、こう言っておるというふうな話があちこちであるということを聞くわけなんです。  それからもう一つは、国会で決議がございまして、昨年の五月九日でございます、衆議院で決議がございましたので、この決議の趣旨を生かさなければならぬということがある。一方日米関係は、私は非常に大切な関係だと思うのです。その関係に処して、あなたもいろいろ御苦心だと思いますが、どういうふうな方針をもってどういう解決を考えておられるか、この点をお願いいたします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 大切な友好国からの要請でございますから、誠意をもってできるだけすみやかに対処したいと考えております。問題は、業界の自主規制を求められておるわけでございますから、関係業界の理解がなければ円滑にはいかないことであります。また政府といたしましても、ガットのもろもろの原則にのっとってものを考えてまいらなければなりません。いわれますように、かつてのいわゆる綿製品の長期協定の轍を踏むようなことがあってもならない、こう考えております。国会の御決議もあることでございます。それらに処して、ただいま各方面といろいろな接触をいたしておるところで、正直のところ、解決には苦慮いたしておる次第であります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 この問題はいろいろ詳しく伺いたいと思って、かなり勉強してきたのですが、残念ながらどうも時間があと五分しかないということであればやむを得ません。また他の同僚からいろいろお話があると思いますから、それに譲ります。  最後に、教育問題。文部大臣、今度私学振興財団ができ、私学の人件費に予算がついたわけです。これは非常に画期的なことで、けっこうなことだと思うのですが、この振興財団の人選、これは非常に重要なことでございますから、御如才ないと思いますが、十分慎重によい人を選んで、新しい大学の出発を考えていただきたいと思う。  それからもう一つは、最近幼児教育ということが非常にいわれるわけです。人間の頭脳というものは四歳までできまるというふうにいわれておる。そうすると、いまの幼稚園、保育園というものが、これは文部省、厚生省に分かれておる、こういうことも問題ですし、これはまた義務教育の年齢を低下しなければならぬという問題も出てくると思う。こういう点をどう考えておられるか。  それからもう一つは、官学というものは、使命を終わったのじゃないか。これは法文系は全部私学に譲って、官学は理工学部だけにしたらどうか、あるいは官学は全廃したらどうか、こういう意見がありますが、これらをひっくるめて御答弁を願っておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 このたび、私学助成、特に私学の大学に対しまして助成をやることになりました。しかし、これをやるにつきましては、十分しっかりした根拠でもってほんとうに私学が教育研究のために質的な向上をはかるためにやるのでございますから、私学振興財団の人選等にもお説のような十分な配慮をしてまいりたいと考えております。  また幼児教育の問題につきましてのお話でございますが、これは三つ子の魂百までと申します。私は非常に大事な問題だと思うのであります。ただ、ともいたしますると、あまり早い時期に、学校教育、ちょうど一年、二年みたいな、たとえば字を覚えさせるとかあるいは数を覚えさせるとかいうようなことだけが幼児教育であるというような誤った考え方もあると思うのでございまして、そのようなことをあまり詰め込むことが、かえって今日人間の全人的な発達といいますか、そういうことを失ってきたことにもつながっておるという一面もある。それからもう一つは、やはり天才的な非常な才能を持った人たちに対しては、かなり早い時期からこれをやらなければいかぬという問題もあると思いますが、この点につきましては、ただいま中教審におきまして検討を重ねておるところでございます。  それから、幼稚園と保育所の関係でございますが、これは、保育所のほうは、保育にかかる乳幼児あるいは子供というものを対象といたしておりまして、目的と性格とが幼稚園とは違うわけではございますけれども、しかし、地方のこの設立の状況を見てみますると、非常に各県、何と言いますか、むらがあると申しますか、たとえばおたくの長野県においては、むしろ保育所が非常に多くて幼稚園は発達してない。ところが、徳島とか香川とか、あの瀬戸内は非常に幼稚園が発達をしておるというところがございます。これにはいろいろの経済的な問題もあろうかと思います。それから幼稚園ができないところに保育所があるというようなこともございましょうけれども、この点に関しましては、私はやはり両建てでいく、そして両省がよく相談をして、その設置について考えていくということが好ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ドイツあたりでは、むしろ幼稚園というのはちょうど日本の保育所みたいな考え方でございまして、あまりいろいろなことを教えたり何かしないんだ、けがをさせないで、あるいは健康管理を保母さんがやるというような程度で、むしろしつけや何かというのは家庭、父母がやるべきものであるというふうにはっきりドイツあたりでは割り切っておる。まあフランスでは、日本と同じように就学前教育とそれから学校教育とはっきり区別をして、そうして就学前の幼稚園教育というものに力をいたしておる。私は、日本の行き方はフランスのようなやり方のほうがいいのじゃないか、しかし、その点については文部省と厚生省とよく相談をいたしまして、その設置個所については十分考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。

小坂善太郎自由民主党

○小坂(善)委員 家庭教育の話が出ましたが、さっきの公害の問題も、非常に公に対する批判はきびしいのですが、個人的な行為に対しての批判は非常にゆるいというのが最近の問題点ではないかと思うのです。たとえば、高速道路ができると、あそこの便所の鏡なんというのはみんな持っていってしまう。ひどいのは便器を持っていくというのですね。植木なんかみんなとってしまう。ちょっと穴があくと、非常に公団は何をしているのだということになる。これをやはり文部省とされて教育を——何か政府が悪い、社会の罪だというふうなものに持っていかないで、個人はどう行動したら社会のためになるかということを、やはり幼児からできるだけ教えるような教育方針を願いたいと思います。  私は、委員長の非常な御心配によりまして、長時間にわたって質疑をさせていただいたことと、政府の懇切なる答弁を感謝いたします。実は、もっともっとやりたいというので、まだまだこの倍はやる準備はしております。ことに農村の問題については、これは非常な問題でございますので、十分伺いたいと思ったのでありますけれども、党代表の立場もあり、ことに三百名の多数を持っておるからかってなことをしたというようなことに出足からなってははなはだ遺憾でございます。皆さまの御要望にこたえまして、時間も正確に終わりまして、これで私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これにて小坂君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十一日午前十時より開会し、江田三郎君及び矢野絢也君の総括質疑を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会

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