法務委員会 第27号
- 発言数
- 272 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/06/10
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についておはかりいたします。 理事沖本泰幸君から理事を辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。 理事瀬戸山三男君が去る五月十五日委員を辞任し、また、ただいまの理事辞任によりまして、理事が二名欠員となっております。理事の補欠選任につきましては、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は理事に福永健司君及び林孝矩君を指名いたします。 ————◇—————
○高橋委員長 次に、裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件、人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。赤松勇君。
○赤松委員 長官、御案内のように、沖繩におきまして米軍の暴行事件がしばしば発生しておりまして、特にいま沖繩で最大の問題になっておりますのは、去る五月三十日、下校途中の女子高校生が白昼米兵に通学路で襲われ、そして暴行を受けようといたしましたが、被害者は抵抗しました。ところが、米兵はその被害者の腹部を三カ所ナイフで刺しまして、そうして米軍基地へ逃げこんでしまった。しかもその女子高校生は腹部から腸が露出をしまして危篤の状態にあるということがいわれております。犯人は直ちにその夜釈放されました。もちろん裁判権が日本にないということを理由といたしまして、これは逮捕もしくは日本側に犯人を渡そうとはしておりません。この点につきまして、その後ひんぴんと、たとえば海岸で十八歳の青年男女に乱暴を働くとか、非常に大きな問題になっておるわけであります。 山中総務長官は沖繩に関する担当大臣でありまして、私はあなたが当選されまして以来、非常にあなたの積極的な活動につきまして敬意を表しておる一人であります。なかんずく大臣就任以来、沖繩現地に行かれまして、そうして沖繩県民とひざを交えてさまざまな諸問題について懇談を重ね、かつ現地の意見をアメリカ軍当局にも十分反映させるというような働きをされたことを評価しております。 これは安保条約との関係及び一九七二年に沖繩の本土並み返還を実現するという佐藤・ニクソン会談の問題その他とも関連しますので、ぜひこの際政府の態度を明らかにしておいていただきたいと思うのです。ことに、一九七二年と申しますと再来年のことであります。もうぼつぼつ裁判権の日本への移譲あるいは捜査、逮捕権の日本側への移譲、こういったことが具体的に問題になっておると思うのです。もしなっていなければ、七二年の本土並み返還は不可能であります。しかもすでに事実上その統治権を日本に返還をさせる——基地につきましてはどの程度の返還が行なわれるかわかりませんが、とにかくその統治権を全面的に日本に返還をさせるという前提条件のもとに、日米共同声明が発せられた。そういう中における犯罪の発生でありますから、当然日本側としては——この日本人、しかも未成年の女子高校生に対しまして黒人米兵が暴行を働いた、その上ナイフをもって三カ所腹部を刺した、そうして腸を露出させるというような重傷を負わした。これに対しまして、一方におきましては、沖繩県民は屋良主席を先頭としまして、裁判の公開を要求する、あるいは裁判権の即時移譲を要求しております。他方におきましては、米軍当局に対する政府みずからの抗議を行なえということを強く要求しております。しばしば抗議集会が持たれておることは長官御存じのとおりであると思います。 この点につきまして、政府はどのような方針をとっておられるか、その経過とさらに今後の対策についてお聞かせを願いたいと思います。
○山中国務大臣 私、法務委員会は初めての出席でありますから、まずこの問題の底流として私たちが考えておかなければならないことを前提に話すことをお許し願いたいと思います。 私たちは、沖繩の心と本土の心という問題をまず考えなければなりませんし、そうして日本人である沖繩の人たちとアメリカの立場というものについての心の問題をやはりまずくみ上げなければならないと思います。私たちは八月十五日を敗戦の日として強く印象を受けておりますが、沖繩においては、敗戦の日もさることながら、サンフランシスコ講和条約において、日本の立場でどうにもならなかった環境の中であったとはいえ、沖繩の人々の意思を無視して本土から切り離された、その後の十数年の苦しみというものに対して、沖繩の人々の心をまず復帰がきまりました現時点において、祖国の全部が自分たちの心として受けとめなければならないと考えるわけであります。 そういうことから考えますと、アメリカとの間には、施政権者としてあたかも一つの独立国の形態をとらされておるような、全く祖国とは潜在主権のみの、全くのことばのみに終わるつながりであって、独立国のような形に形成を余儀なくされておるような環境、さらに人間としての問題として、アメリカ人も人間であればわれわれも人間である。毒ガスを知らぬ間に持ち込まれて、ワシントン、オレゴンが通過地として騒げばそれがアラスカに変更になり、アラスカの上院議員や知事が騒げばまたこれが振り出しに戻って太平洋のどっかの島をさがすというようなことは、沖繩から撤去することにおいては変わりはないと繰り返し言われましても、沖繩の人々にとっては、アメリカ人は人間であるけれども沖繩県民は人間ではないのかという憤りに立たざるを得ないと思います。そのような底流のある上に立っての今回の事件でございます。 私どもは、この問題に対処しまして、沖繩の人々が本土に抱いている気持、その沖繩の心をまず本土の気持ちとした行動を対外的に、ことに施政権者であるアメリカ側に対してとらなければならない責任があります。そういう意味においては、私に外交権はございませんが、少なくとも接触を得た範囲においては、この問題はその後のことでありますけれども、それまでの毒ガス問題を含む問題について、ランパート高等弁務官、フィアリー民政官その他の首脳スタッフにも明確に、しかも強く主張をいたしまして、両者、まことに遺憾なことであって、すみやかに自分たちもその御希望に沿いたい、しかし、その問題も大統領、上院、あるいは政治の高い場に置かれているので、弁務官自身も板ばさみの立場にある心境を漏らされました。その後に起きました今回の女子高校生下校途中における不祥事件は、まさに人道上の問題であり、許されないことにおいて、これはアメリカも日本もこれに対して一言も弁解の余地のないところであろうと私は考えるわけであります。ことにアメリカにとってきわめて遺憾なできごとである。しかも沖繩の人々にとっては追い打ちをかけられて——ベトナムの戦場に、わずか二十や二十二歳くらいでありますから、どういう環境に育った黒人の青年か知りませんけれども、徴兵されてベトナムに行って、またどのような戦場、環境で二年間の生活を送ったのかも知りませんが、沖繩に帰ってきて、そして沖繩とベトナムとは違うのだということがわからなかった青年の悲劇であるともあるいは想像できるのである。しかし、それらのことが施政権者たるアメリカあるいはアメリカ軍の秩序の中において、ベトナムと沖繩とは違うのであるということを明確に一兵士に至るまで全部徹底しなければならない責任は、何といってもアメリカにあると私は思うわけであります。 したがって、アメリカ側に対して、この不祥事件に対する今後の、琉球政府並びに県民一体となっての、保守、革新の立法院の決議ないし世論というものを受けての明確なる回答をされることを、日本の外交ルートを通じても愛知外相にお願いをして、すでに一回の折衝も持たれたわけでありますが、しかしながら、基本的にはそのような環境に沖繩がなお今後七二年までは置かれ続けていくであろう、この問題を私たちは重視しなければならないと考えるわけであります。もちろん、よって来るところは占領であり、施政権の行使であり、その施政権の裏ともいうべき裁判管轄権あるいは捜査権等の問題に進んでいくわけでありましょうが、私たちも独立いたしました後二十八年の総選挙のテーマの中には、われわれにも属地主義の裁判をかちとろうではないか、独立した日本において属人主義の裁判が行なわれているということを反対である旨の与野党の論戦等も確かに一つのテーマであったことは記憶いたしております。私たちは、独立の当時にはこの裁判権の問題をかちとることができなかった記憶を持っております。しかし、沖繩においては、復帰と同時に本土並みになるのでありますから、裁判権も、その他のそれに付随して行使される逮捕、捜査権等も本土並みになることは当然でありますが、それまでの間においてそれを放置できるかというと、放置できる問題ではない。しかしながら、現実にいって、おそらく施政権の裏ともいうべき、一体ともいうべき裁判管轄権を、復帰がきまったから予算でさばさばと削減をするような態度で手放すとは思われません、これは率直に言ってです。 したがって、私たちとしては、今回のこの種の事件を二度と起こすことのないように、米軍の当然人間としてみずから守らなければならないモラル、そして軍隊としての軍規というものを強く今後も要請したいと思っております。私自身の行動においても、また日本政府のアメリカ側との接触の機会を持ちまするごとに、あるいは事務当局のふだんの連絡の間においても、この感触を誤りなく伝えまして、このことがアメリカをも救うものであるということを私は十分知ってもらわなければならぬと考えるわけであります。 赤松委員の御発言の考え方の根底は、私と、また日本人として全く同じ立場に立って考えておられるわけでありますから、私も全く異存のないところであります。したがって私たちは、沖繩の人々が残りの二年間を耐えられない毎日の二年間にしないように全力をあげてやるつもりであります。私自身の閣僚としての権限の中には、私自身が外交折衝を行ない、あるいはアメリカに飛んで交渉するという資格を与えられておらない立場にあることをはなはだ遺憾に思うのでありまするけれども、しかし、閣議という立場において、あるいは政府という立場において構成員たる私が、常時その意思が外交の手段の上に反映するように努力していきますることは私のでき得る範囲である、しなければならない分野であると思っているわけであります。 今後沖繩の人々がこのような全島をあげて憤りに包まれるような事件の起こらないように、しかも起こったあとの処置については、裁判の公開はもちろん、通訳その他の問題もあるらしいんですけれども、すべてが県民側の納得のいく、しかも純真な高校生の諸君が、つくられた集会の場でなくして、自分たちで三々五々として集まって、そして基地に押しかけていく姿を見るときに、私どもは一滴の涙なくしてこの行動を見ることはできません。したがって、われわれ祖国の姿勢として、沖繩の心は日本の心である、祖国の心であるということを行動をもって示していきたいと考えます。 あまりにもことばのみで美しいことを並べ過ぎたかもしれません。しかし、私の心の根底にはこのような気持ちを持っての行動であることを御理解願うために、あえて時間をさいていだだいた次第でございます。
○赤松委員 山中長官の、日本人として当然そうあるべき御意見に対しまして、私も非常に共感を覚えるわけであります。おそらく沖繩の県民諸君は、きょうの法務委員会に全眼を集中しておると思います。したがって、さらに具体的に政府の対策を聞かしていただきたいと思うのでありますが、ただいま高等弁務官が、現地の住民あるいは現地の占領軍並びに大統領あるいはアメリカの国会、そういうものの中にあってきわめて苦しい立場にあるという御説明がありました。おそらくそうでございましょう。そこで、外務省を通じてアメリカに対して要求されておりますその要求の内容は、単に、これから気をつけてくれという程度のものか、それとも裁判の公開を要求するものか、あるいは再来年沖繩返還が行なわれるというのでありますから、したがって、安保条約が返還後は当然適用されると思うのでありますけれども、その安保条約に伴うところの行政協定の中におきましては、公務執行中以外、つまり今度の黒人米兵に当てはまるわけでありますが、あの種の事件に関しましては、その裁判権並びに捜査権を全面的に日本に移譲する、こういうことになっております。したがって、どういう内容で外務省を通じてアメリカ当局に対して要求を出されておるのか、その内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○山中国務大臣 外務大臣がおられるとたいへん都合がいいのですけれども、私としては、このようなことの蓄積というものは、沖繩を起点とした日米不信の発火点になる、このようなことを強硬に申し入れてほしい。しかもすでに裁判の公開その他については、現地においても施政権者たる米側の代表者の立場においてランパート高等弁務官が明らかにいたしておりますから、このようなことがその過程において明らかになったわけでありますけれども、東郷局長と米大使館の担当官との間、あるいは愛知外務大臣がマイヤー大使と会われる際において、議題外でありましたけれども、私の、閣議の前の時間における要請を受けていただいて、この毒ガスを沖繩からすみやかに撤去してほしい、その後はどこでしょうとそれはアメリカ側の問題であって、沖繩側にはすみやかに撤去の時期を示して、しかも安全なる搬送手段等についても明確にしてほしいという申し入れをしていただくようにお願いをし、さらにまたこの女高生の問題については、一事件としてこれを見ないで、日米間の根底をゆさぶる大問題であるという感覚から、このようなことの起こらないように、起こったあとについて十分に県民側が、不祥事件は不祥事件として一応きちんと処理されたということの納得を得られるような処置を、アメリカ側においてはぜひとってもらいたいということをお願いいたしております。 私自身の立場からは、裁判管轄権を復帰以前にも日本に返してもらいたいということを要求をしてもらうという相談はまだいたしておりません。これは十分にそのようなことが可能であるかどうかということを見きわめて、やるならば根回しの要る切り出し方でなければならぬと思います。不用意に切り出しまして、それはノーであるという答えを明確に打ち出すことが外交であるかどうか。引き出してしまったらまたそこに大きな問題が出るわけでありますから、同じ切り出し方においても十分の慎重さを要する問題と考えまして、私からはお願いをいたしておりません。
○赤松委員 裁判の公開についてはどうですか。これは別に日米間に重大な波紋を呼ぶようなことはないでしょう。この点はいかがですか。
○山中国務大臣 これはアメリカ側が受け入れておりますので、日米両国間においては、裁判は少なくとも沖繩県民に対して公開されるものであるということでは双方了解し合っておりますので、格別やりとりをするような問題とは、もうすでにいまではなっていないということであります。
○赤松委員 犯人はただいま拘禁されておりますか、いかがですか。
○山中国務大臣 そこらのところになりますと私よくわからないのでありまして、やはり外務省に聞いていただく以外にないと思うのでありますが、しかし、琉球警察も、今回のアメリカの捜査のしかたについては不満があるということを明確に言っております。このことは琉球警察が占領下において発足して以来、おそらく初めての琉警の公的な発言であろうと私は思います。それらの点はたいへん遺憾なことである。今回だけがそうであったのか、いままではそうであったけれども、復帰の明確にならない時点において、施政権がいつまで続くかわからない環境の中において沈黙を余儀なくされていたのか、それらのところは私は今後知りたいと思っている一つの点でありますけれども、少なくとも琉球警察自体において公式に不満を表明しておるということは、アメリカ側がこの事件一つについても、なおかつ反省し、そして努力してもらわなければならない点が多く存在していることを物語っているものと考えます。 したがって、現在逮捕、抑留、拘禁されているかどうかについて、その具体的な点は私はつまびらかにいたしておりませんが、少なくとも勤務がえをやって、いつの間にかよその外国の基地に転入されていたというような事態は、今回に限ってはそういうことはあり得ないことであろう、そういうことについては確信を持って言えると思います。
○高橋委員長 外務省から大河原参事官がいまかけつけておりますから、来ましたらどうぞ……。
○赤松委員 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、その地位協定の第十七条に裁判権が規定をされております。この裁判権の中に「もっぱら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもっぱら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪」あるいは「公務執行中の行為又は不作為から生ずる罪」こういうものはもちろんアメリカにその裁判権があるわけでありますけれども、その次に「その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。」「第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。」つまりこれは、沖繩が日本の本土並みに返還をされました後には、当然安保条約が適用されると思うのです。安保条約が適用されますと、その他のただいま申しました以外の罪については、「日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。」こういうことに地位協定では協定され、安保条約はこの権利を保障しているわけであります。 ニクソン・佐藤会談で一九七二年に沖繩の本土並み返還が行なわれる。したがって、一九七二年の返還時に突如として裁判権が返るのではなくて、このあたりの外交折衝なり政治折衝なりは、すでに行なわれておってしかるべきものであると思うのです。これはあなたにお伺いしましても、おそらく外務省でないからおわかりにならぬと思うのでありますが、もし外務省がそういう手続を怠っておるとすれば、一九七二年の沖繩返還はきわめてあやしいものだということになってくるわけであります。私は、この際アメリカに対しまして、ニクソン・佐藤会談によって沖繩返還が約束がなされたのでありますから、一九七二年前におきましても、この安保条約、地位協定の精神を生かして、日本においてこの犯人の裁判をする、その裁判権を要求する、あるいは捜査、逮捕権を要求するということは当然やっていいのではないか、こう考えるのであります。私の質問の中で最大の収獲は、現地沖繩県民が大衆集会を開きまして、強く要求しておりました裁判の公開、これがいまの答弁によれば確約をされたということであります。たいへん私はけっこうだと思うのです。従来おそらくそういう裁判が公開された例はないと思います。 そこで、これは総理府のほうにお尋ねしていいのか、山野沖繩・北方対策庁長官か外務省かわかりませんが、アメリカのベトナム出兵が行なわれて以来、沖繩におけるこの種の暴行事件は、一体その件数はどれぐらいあるかということをお尋ねしたいと思うのであります。私は昭和三十七年に、当法務委員会におきまして、沖繩に発生いたしました各種の米軍の犯罪について発言をしました。当時私は、日本社会党の第三次沖繩使節団の団長として沖繩を訪問しました。そして沖繩におけるベトナム帰りの米兵の暴行事件について幾つか耳にしたわけであります。悲惨な幾つかの事件がありました。それから当時新しく発生しました事件の一つは、小学生が秩序整然と登校しておりました。教師の教育どおり、青信号になれば通ってよろしい、赤信号ならば通っちゃいけませんよ、その教えをきちんと守って、青信号になったので集団でそれを横切ろうとした。ところが、米兵の乗ったトラックがやってまいりまして、そして赤信号にもかかわらずこれを突破しました。そのために最後部におりました児童が轢死したのであります。トラックにひき殺されたのであります。この問題につきましても、アメリカは当時、裁判権が日本にないということをもって、事件をうやむやにして、犯人を直ちに本国に送ってしまった。こういう事件を私は昭和三十七年の当時、法務委員会で追及した経験があるのであります。当時政府は、この種の事件が発生しないように厳重にアメリカに対して申し入れをいたしますと言いながら、なおかつ今日沖繩返還を再来年に控えながら、こういうような暴行事件が発生した。これが内地で発生したらどういうことになりますか。世論が許しますか。罪なき高等学校の女学生、女子高校生が、たまたま通学の途中に、突如として黒人米兵に襲われ、そうして草むらの中へ連れていかれて暴行を受けようとした。それに抵抗したら、三カ所をナイフで突き刺され、腸が露出をした。犯人は基地の中に逃げ込んだ。米軍はそれをその晩に釈放してしまった。問題が発生して初めてアメリカに厳重に申し入れをした。私は、山中長官のようなど根性のある人だから、相当しっかり交渉してくれまして、まあ、公開裁判というところまでこぎつけてくれたと思うのです。しかし、いままでは、沖繩の問題をどんなに質問しましても、その所管の省がはっきりしない。みんな大臣連中が逃げている。そうして責任を回避している。そのために、沖繩においてはますます民族感情が激化しております。屋良主席が当選したのも私は無理からぬと思う。これは、何も革新派が強いとか弱いという問題ではない。つまり、知らず知らずに反米感情というものが醸成されている。ほんとうに日米間の正常な関係を保とうとするならば、この種事件に対してはもりときびしい態度——アメリカも長期の友好関係というものを展望して、そうしてこういう問題については、よしんば形式的には裁判権が日本にはないといたしましても、もはやあと二年で返還でありますから、したがって、返還の際には安保条約が適用され、裁判権が日本に返ってくるのでありますから、この事件そのものを、日本に裁判権を直ちに移譲することができないにしても、少なくとも、裁判権の早期移譲の誠意だけは見せるというようなことをしてしかるべきだと思うのであります。 外務省、参りましたか。
○高橋委員長 まだらしいです。
○山中国務大臣 赤松君、件数はわかりましたから、事務当局で……。
○加藤説明員 殺人、強盗、放火、強姦といういわゆる凶悪犯と、粗暴犯、暴行、傷害、傷害致死、脅迫、恐喝というようなものを合計いたしまして、六二年ごろから調べてみますと、発生件数は、六二年に三百十二件、それから六三年が三百八件、六四年が二百六十五件、六五年が二百七十五件、六六年にふえまして四百四十六件、六七年に三百五十一件、六八年が三百一件、六九年が二百八十七件。一応六六年にピークになりまして、それから去年まで減少の傾向にはございます。
○赤松委員 それでは、外務省が来ませんと——いま山中長官のお話では、外務省を通じてアメリカに対して申し入れをしている、こういうことでございますので、山中長官に対する私の質問はこの程度で終わりたいと思います。 なお、長官に希望しておきますが、どうかひとつ日本人の精神を忘れないように、断固たる態度でこの種の問題に取り組んでいただきたい。それから、やはりこういう問題については、あなた自身一つの考えを持って閣議に持ち出して、所管が違っても、内閣総理大臣とともに相談をするというような姿勢で閣議に臨んでいただきたい、こう思います。
○山中国務大臣 私はそのつもりで、総理に対しましてもまた閣議の席でも、国務大臣であり、沖繩を所管する立場において発言をいたしておるつもりでございます。 私は、米側と接触する機会を非常に制限されておりまして、たびたび持てませんが、持った機会においては、私でありますから、考えていることを全部腹蔵なく、相手側の意見とともに開陳をいたしますので、私としては、アメリカ側に言っております。それは、安保条約の賛否の問題は別であります。アメリカと日本とが友好的な関係を保ちたいと念願をしておるならば、残りの沖繩の二年間を、友好をさらに固める二年間の価値ある時代にしたいのか、それとも、沖繩を拠点として日米友好に亀裂を生じさせる二年にする気があるのか、いずれもあなた方の御自由であるが、どちらのほうを希望するか。もちろんわれわれは前者であり、友好を固める二年間にしたいということでありますから、それならば結論は一致している。結論が一致しているならば、その過程におけるこまかな問題は、お互いがやろうと思えばやれることばかりであるということで、いま、私の基本的な姿勢として、アメリカ側も、日米友好の基礎のために阻害にならない二年間にしたいということを認めておりますので、そういう態度で今後とも終始いたしてまいりたいと考えます。
○高橋委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 赤松委員からいろいろ聞かれましたので、ごく簡単に幾つかの点についてお聞きしたいと思います。 この沖繩の女子高校生の刺傷事件につきましては、屋良主席も、裁判の公開とか裁判権の移譲について動いておられますが、琉球政府立法院が、御存じのとおりと思いますが、全会一致でこの問題について抗議の決議をしております。「一、軍事裁判を公開し、犯人の氏名を公表し、厳重に処罰すること。二、沖繩県民に対する米軍人、軍属による犯罪の裁判および捜査の管轄権を琉球政府に委譲すること。三、沖繩県民に対するいっさいの米軍人、軍属の犯罪について、裁判の結果および執行状況を県民に明らかにすること。四、米軍の責任の所在を明らかにし、かかる事件がふたたび起らないよう軍紀を厳重に粛正すること。五、被害者に対する公正な損害賠償を行うこと。」ということを要求事項とする抗議決議をしておるわけです。総務長官はこれを支持されるかどうか、この点について一言お聞きしたいと思います。
○山中国務大臣 与野党、保守・革新を通じての全会一致の決議でありますから、私は所管大臣としてそれを尊重し、その気持ちをくんでいきたいと思いますが、形の上では、現在、施政権者たる米側のもとにおいて独立の琉球政府の形を認められているという、われわれから言うならば施政権の壁を通してのみの潜在主権であるという形において、直ちに琉球政府側に裁判権を移譲するということは非常に困難なことであろう、そういう考えを持っておりますが、その他のことについては、当然米側が、それに対して、県民一致の要望であることをすなおにくむべきものと考えております。
○松本(善)委員 もう一つお伺いしておきますが、この沖繩における裁判権の問題につきましては、昨年の十月末に日本弁護士連合会が沖繩調査報告書をつくりました。その調査報告書によりますと、「かりに施政権返還後沖繩に米軍地位協定の規定が適用されたとしても、現在本土で種々論議を呼んでいる諸制約、そこからくる幾多の弊害が拡大増幅されて、住民の実生活にとってこれまでとあまり変わらないものとなる可能性がある。」という点の指摘をしております。これは、言うまでもありませんが、米軍地位協定で完全に、本土におきましても、米軍人に対して日本に裁判権がないことは明らかでありますが、その日本の裁判権の問題について指摘をしたものというふうに考えるわけであります。総務長官は、米軍地位協定で、本土も含めて裁判権が完全に日本側にないという問題についてどのようにお考えになっておるか、お聞きしておきたいと思います。
○山中国務大臣 私は、法律の問題は、皆さんよりかずっとしろうとでありますから、間違っていたらおわびいたしますが、裁判の外国人に対する属地主義、属人主義の問題から完全に、事犯、ケースによっては、日本におるアメリカの軍人はいかなる事犯でも日本は全部さばけるんだということでないという意味においては、そういう御指摘の点もあろうかと考えます。私が受け取っておりまする弁護士会の調査の考え方の違いは、沖繩においては、本土における米軍基地並びに軍人の数、そういうものの現在の本土全体に占める比重というものと、沖繩における、ただでさえ狭隘な島の中で占める軍事基地の比重、並びに軍人並びに関係者の占めている人口に対する比重というものは容易ならないものがありまして、本土とは全然違う。基地の外側に住民がぶら下がって生活をしておるというような極端な嘉手納等の例もありますような事象も見られるわけでありますから、これらの問題が、やはり基地の密度の問題とよくいわれておりますが、それらの問題も含めて、ことに沖繩本島の問題といたしましては、今後一番大きな問題であろう。この問題は単に裁判の問題としてのみとらえられないで、今後沖繩を新しい日本における経済立地の脚光を浴びる地域として想定をいたしまして、今後住民福祉の向上、沖繩県の経済開発のためのいろいろの施策をいたしますときに、この軍事基地の目ぼしい場所の膨大な地域の、しかもいつまでこれが続くかわからないという形において、非常な阻害を受けると考えます。 そこで、私といたしましては、私の触れ得る範囲内において直接もしくは間接に、そろそろアメリカ側においても、私自身を窓口としてくれなくてもこれはできるわけでありますけれども、アメリカ側としても不急不要の基地もしくは戦争中日本軍の手によって徴発されてそれがいつの間にか米軍の民政府の管理するところとなっている地域、あるいは米側における軍事戦略上においてこの基地の所在を必要としないもの等々については向こう側も洗ってもらう。そしてやはりすみやかに経済立地の策定の上からも、基本的には沖繩県民の間に占めている米軍人関係者の比重、そして狭い、文字どおり猫額大である島の中のさらに貴重な土地が、完全に沖繩人の手によって触れられない場所になっておる。このことについての指摘をしつつ今後やはり行政協定、地位協定そのものは本土並みに復帰の日その時点からなるにいたしましても、沖繩においてはただ形式がそうなったからといってすべてが解決するというふうには私自身も考えておりません。それに対する布石は今後復帰までの間にも十分の努力を進めていくつもりであります。
○松本(善)委員 もう一点だけ限定的にお聞きしておきたいと思いますが、いま長官も沖繩の基地の密度が非常に高いために、本土といろいろ違う点が起こっておるというふうに言われました。私どもは地位協定そのものに問題を感じておるわけでありますが、日本弁護士連合会の指摘は、この地位協定が適用されるということになっても、沖繩の場合には基地の密度が非常に大きいのでいままでと変わりないようなものになる可能性があるということを指摘しておるわけであります。この点についての総務長官の御認識をこの点に限ってひとつお聞きしたいと思います。
○山中国務大臣 沖繩において異質のものは適用されないと思いますが、本土と同じものが適用されても、現地の人たちの、先ほど答弁いたしましたような基地に対する県民のあり方あるいは県内における基地のあり方というような表現でよろしいのか知りませんが、そういう問題から考えて、よほどそこに、その運用の面においてはさらに細心の注意を沖繩については払っていかなければならないということを示唆しておるものと私は思いまするし、それは確かにそのとおりでありますから、その点については復帰前にもそういう問題の存在点は明確に日米双方、少しぐらい痛みを伴っても、えぐり出して討論していくべき問題であろうと考えております。
○松本(善)委員 終わります。
○高橋委員長 不満足だろうけれども、法務大臣が十一時五十分までしかおられない、検察官会同をせられておる、だからもう……。
○赤松委員 きょうは検察官の会同と、それからお昼は総理とめしを食われるそうです。私は国会生活二十三年やっておりますが、月に一回、国政調査のために開かれる休会中の委員会へ所管大臣が出席しない委員会を、かつてまだ見たことがございません。国権の最高機関です。でありますから、いやしくも法務委員会には所管の大臣であります小林法務大臣が万障繰り合わせて出席をされまして、そうしてそれぞれの委員の質疑にお答えになる義務があると私は思うのです。総理大臣とめしを食わなくちゃならぬ。検察官会同につきましては、すでにきのう訓示をされたじゃありませんか。でありますから、いま来て十一時五十分まで、これから畑委員の質問もあるわけであります。私の公害等に関する質問もあるわけであります。私の質問はどうなるのですか。そうすると畑委員の質問も中断されて終わってしまう……。
○高橋委員長 そう言っている間に時間がたっちゃうから……。
○赤松委員 だめですよ、そういう態度じゃ。委員長みずからが法務大臣にそういう要求をしなくちゃならぬ。委員を押えるということがあるか。法務大臣の姿勢を一ぺん答弁してください。
○高橋委員長 なるべくやってもらうから……。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○高橋委員長 速記を始めて。
○赤松委員 それならば、私は厳重に小林法務大臣にいまのように警告を発しておく。 そこで、きょうは理事会の了承事項であるから、畑委員の法務大臣に対する質問をやってもらう。私はさらに質問を継続します。
○高橋委員長 畑君。 理事会では、あなたが二十分、松本君が十分、岡沢君が五分ということになって、そして法務大臣が見えたら赤松君は中止してもらって、法務大臣に対する三人の委員の質問になるというふうなことにきめておったのだけれども、理事会の約束はひとつ守ってください。いまの赤松君の警告は、大臣十分御了解になったと思うから……。
○畑委員 先ほども赤松委員のほうから言われたことを大臣お聞きのことと思います。月に一回しか開かれない閉会中の審査でありますから、万難を排して、ひとつ法務委員会優先でやってもらいたい、このことを私あらかじめ大臣に申し上げておきます。 最近問題になりました「司法修習制度を改革、法相構想、首相了承」「弁護士切り離す、判・検事不足解消ねらう」これは読売の五月二十八日の記事でございますが、この記事は国民の間に非常に反響を呼んでおります。特に法曹の人たちには非常にショッキングなニュースでありまして、これに対して実は非常な注目をいたしておるのであります。私も国会議員であると同時に法曹の一員でもございますし、法曹のこれに対する非常な反対の意向を承知した上で、大臣に質問をいたしたいと思います。 この司法修習生の制度というのは、憲法を出発点として裁判所法できめられた新しい戦後の制度であることは、御承知のとおりでございます。いままで、判事、検事いずれも司法官試補という制度を経ましてそれから判検事になる、こういう形であります。また弁護士については弁護士試補の制度がございまして、それが新しい憲法の精神にのっとって裁判所法に司法修習生という一章が設けられた。そして判事、検事、弁護士、いずれを志すとを問わず一本で、司法修習生という制度で採用し、教育をするという制度になったことは御承知のとおりでありますが、今回法務大臣があえて弁護士の修習を切り離して、判検事志望者と別に教育をする、こういうような構想を立てられておるようでありまして、しかもそれが総理の了解を得た、こういうふうに新聞に報道されておるわけでありますけれども、これは非常に大きな問題であります。せっかく憲法の思想に基づいて新しくできたこの制度を根本からゆるがすことになると思うのでありまして、この点について、一体どういうお考えのもとにこうした構想を立てられて部内に研究を命じておられるのか。それをさらに総理にまで了承を得るということでありますと、どの程度の了承か知らぬけれども、あらかじめそういう方向で制度改正を考えておられるということになりますと、私は非常に事重大だと思うのです。司法制度の根幹に触れる問題だと思いますがゆえにお尋ねいたしますが、こうした構想を考えられた根拠は一体何であるかということをまず伺いたいと思います。
○小林国務大臣 いまの問題は、むろん司法制度の根幹にも関する重大な問題であります。したがって、非常に大きな論議を招くことは当然であります。しかし、いまの修習制度がもう二十数年経まして、このままでよいか、そういうことについて再検討をする。ものはきまったから動かせないというのではないので、必要があれば検討するのは当然のことで、私はあれを再検討してみたい、こういうことを総理にも言うたのでありまして、再検討するということについて総理にお断わりをした、こういうことであります。再検討の内容のいわゆる方法論、手段等につきましては別段申し上げておりません。これはこれからみんなで考えたい。しかし、いまの司法修習制度が非常にいい姿と私は思わない。これができたのは、要するに法曹一元化、弁護士、判検事がお互いに交流する、こういう趣旨のもとにあの制度は発足したと思いますが、二十数年の経験の結果、さような一元化というようなことが理想ではあってもきわめて実現性が乏しい、こういうことになりはせぬかということで、あれが出発した当時のような運営のしかたであればこれまた一つの考え方であろう、こういうふうに思うのであります。 どうも法曹一元化ということはまことにりっぱな理想ではあるが、そういうことが二十数年の経過において一体どういうふうに動いてきておるかということは御承知のとおりでありまして、現に実際問題として五百人もとにかく司法試験を通って修習しておるが、判検事になる者はもう百人に満たない。御承知のように、皆さんは定員をふやせふやせと言うておるが、裁判官でも七十何名もまだ欠員があるじゃないか、また検事においても百人も欠員があって補充ができない。ことしの予算においてもわれわれは検事の増員を要求したかったが、実際補充がきわめて困難なためにやむを得ずといえばやむを得ず副検事などの定員を要求した、こういう事実もあるのでありまして、要するに考え方と運営とがうまく合っているかどうかということに大きな疑問を持っておる。こういうところから私はこれを再検討いたしたいということを考えたのでありまして、これらの方法論についてはいま検討してもらっておるということで、ここでもってまだ御披露する結論に至っておらぬ。なお、いまお話しのように、弁護士と判検事とを分けよう、こういうことを構想としてお話ししたのではありません、そういう意見もあるということを言うておるにすぎないのであります。 いずれにしても、法務省としては最高裁とよく御相談の上で、適当な考えがあるならまとめたい、こういうふうに思っておるのであります。
○畑委員 いまのお話を聞いておりますと、とにかく修習生制度が発足してから二十余年たっておる、まあできたもの必ずしもずっと動かさないという必要は別にないのだ、こうおっしゃる。それはそのときによっていい制度はそのまま残し、制度として欠陥が生ずればそれを解消するということは、もう世の中にざらにあることでありまして、これはそのとおりであります。しかし、いまお聞きいたしたところによりますと、結局司法修習生が五百人も一回に卒業をする、ところがそのうち判事、検事合わせて約百名ぐらいしか志望者がないというようなこと、これを何とかしなければならぬ、こういったことだけのようにいま御答弁なさったわけだ。ところが、新聞の報ずるところによりますと、「判・検事が不足している折りでもあり、弁護士と分離した方が志望者がふえる。修習効果のない現在の制度に国費をつぎ込むわけにはいかない」こういったようなこともあなたは制度改革の動機として強調せられておる、こういうように報ぜられており、いまの話とは少し違っておるようでございます。それで新聞にも解説記事として、「青法協封じの一環?」こういうような項目の解説が出ておるわけでありまして、最近の青法協問題あるいは国が例の長沼訴訟事件について判事の忌避をした、それを担当されたのはあなたでありますが、そういった問題等がいろいろ動機になってこの制度の改正を考えておる。したがって、これは弁護士のほうの修習と判検事のほうの修習とを区分けをして、そうすることによって、国費でやる教育というものについて判検事がいままでよりも多く志望するようになるであろうというようなことだと私は考えておる。ただ簡単に判検事の数をふやそうというだけではなくて、さらにそのもとにさかのぼってのあなたの動機があるに違いない、こういうふうに私は思っておるわけでありまして、こういうことになりますと非常に問題であります。 あなたは法務大臣でございますから、こういったことの担当ではあっていいわけではありますけれども、しかし、そう言ってはなんだけれども、あなたはしろうとであります。直観というものはかえってしろうとの大臣のほうがよろしいというような人もございます。かえって法曹出身の法務大臣でないほうがよろしいというような考え方もあるようです。最近めったに法曹出身の法務大臣が出られないということになっておりますが、しかし、やはり法曹は法曹でなければなかなかわかりにくいところがあるんでありまして、法曹外の大臣はよほどその点については慎重を期す必要があるのではないか。そのときそのときの時流に押されて近視眼的になってはいけない。また気負い込んではいけない。そういう点では非常に重要な制度の改廃でございますから、いたずらに世論を刺激したりするようなことがあってはならぬのではないか。その前に大臣がこうした構想をいやしくも、ちょっぴりでも発表されますれば影響するところはきわめて大きいわけであります。それでこの点についてはむしろ最高裁のほうの考えを基本として、弁護士会等の意見も聞いてから、それからあなたがこうした構想を考えて総理等に了解を得るということでもおそくはない。私はどうも功をあせり過ぎているのではないかというふうに考えておるわけです。その点はどうお考えですか。
○小林国務大臣 これはもう慎重にやらなければならぬということは当然でございます。いま申したように、私どもは何らかの改革をする必要もないか、基本的にそういう考え方を持ってこれらの方法論については最高裁とも十分ひとつ打ち合わせて結論的なものを出したい、こういうことで、いま申すようにわれわれがその構想等についていままで世間に出したものもありませんし、これからひとつ検討をして結果が出るなら出したい、こういうことを申しておるのでございます。
○畑委員 大臣は、合同教育——いまの修習制度で裁判官、検事それから弁護士の三つの志望をいずれにするとを問わず一緒に教育をし、区別なしに教育をして一番最後に志望を決定するという、そして任官なりあるいは弁護士になる、こういったいまの制度をどう思っていらっしゃいますか。その制度がよろしいと思っていらっしゃるのか、それとも弁護士に官費を使うのはけしからぬというのか、その辺はどっちなんでしょうか。ただ問題は判検事になり手が少ない、これをふやそうとするためにはどうすればいいかということなのか、その辺はいかがですか。これは基本の問題ですから聞いておきたい。
○小林国務大臣 これは私がある程度片寄った考えとしてあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、いま修習制度が国の経費で直接国がこれに関与をし、修習させておるということは、やはり法曹一元化と申して、たとえば弁護士の経験者が十年経て判事になる、多くの人が公務員になるかもしれぬ、こういうふうなことはやはりこれを国で直接担当することの大きな理由になっているんじゃないか。すなわち、法曹、元化とは法曹の間の交流が相当活発に行なわれる、こういうことで、したがって、弁護士でも公務員になるかもしれぬ、あるいは判検事でも逆の場合もあり得る、こういうことになればいまの修習そのものが——弁護士しかやれない、またほかに見通しもない、こういう方も相当たくさんあるのであります。昔から医者と弁護士は自由業だ、こういうふうにいわれておるが、公務員になる見込みが場合によってある、こういうことから国が直接関与しているんじゃないか、これは私の解釈です。 医者は自由業で、弁護士はほんとうに全く自由業です。お医者さんは、これは御存じのように強制保険等に携わるからしてそう簡単に自由業とも申せないようないまの違い、昔のお医者さんと弁護士というものは全く同じ自由業であったのではないかと思いますが、いま職務の関係からも強制保険を扱っておる、こういうことである程度違ってくる。私は、いまの修習制度を逆にいえば、医者もある程度国家養成したらいいじゃないか、すべきじゃないか。いま御存じのように、地方には無医村というものがあって、全く弱り切っておる。せっかく強制保険というものがあっても保険が実施されておらない。こういうことについて医者などもある程度国、家養成したらいいじゃないか、こういうふうに思うが、医者の国家養成はない。ところが、弁護士だけは全然いま公務員になる見通しのない方までみな直接の国家の助成、こういうことになっておるのは、その辺も私はどうかと思うのでありまして、要するに法曹一元化というものが円満に行なわれるならば私はそうたいした問題はないじゃないか、こういうふうに思うのです。この点についてはおまえの考えは間違っておるというふうにあるいはおしかりになるかもしれませんが、そういうことも私はひとつ考えておるということを申し上げておきます。
○畑委員 どうもいまのお考えというものは、やはり大体本来は裁判官なり検察官なりというものを中心にして、それを養成する機関である。そして弁護士も法曹一元という理想で判検事もかわり得る可能性を持っておる、それだから国家でお金を出してやっておるんだ、こういうような理解のしかただと思う。これは私は相当改めてもらわなければならぬ。それも確かに一部ではありますよ。しかしながら、法曹に関しては私はそういう考えを持ってもらっちゃ困ると思う。これは弁護士もやはり国家の機関である、こういう考えになってもらわなければならぬ。またなったからこそこういう制度ができた。要するに法曹の民主主義という観点に立って憲法の精神を受けてできたものであります。民事につきましては、御承知のように原告、被告おのおのの代理の弁護士がおりまして、それでお互いに主張し、また証拠を出し合い、判事はそれを訴訟指揮をして、どうすれば一体具体的真実を求められるかというようなことでの訴訟制度であります。その一方の担当者が弁護士である。また刑事につきましては、検事もまた弁護士もおのおのそれぞれの立場に立ってやはり主張し、かつ、それに対して立証をして、そして裁判官が適当に訴訟指揮をして判決を下すということにおいては、ほかの職業と弁護士の職業を同じように見てもらっては困るのでありまして、私はそういう点で本来法曹は一元であって初めて国家目的を達成することができるんだというふうな考え方から、新憲法にのっとってこの制度が生まれたと思う。 これは御承知でもありますが、ほかの国には例がない、確かに日本独特の制度である。それだけに非常にユニークな制度だと私は思いまして、これを推進することによってこそ法曹一元化というものが達成できるんだ。ところが、どうも大臣の考えは、法曹一元というのは理想であって、これはほとんど可能性がないのだというお考えじゃなかろうかと思うのです。なかなか実現がむずかしいのはむずかしいです。むずかしいのはむずかしいけれども、それに近づけるための努力をほかでしなければならぬ。と同時に、基本である法曹の養成ということについては、やはりそういう立場で合同教育、一緒の教育をして、最後になって志望に従って分かれるというようなやり方は非常にいい制度だと思います。絶対にこれだけはくずしてはならぬと思う。そのためには判検事と弁護士を別の教育をするということはもってのほかだというふうに考えております。それでそれを終わったあと、弁護士は弁護士、あるいは検事は検事、判事は判事として独特の専門教育をする。この二年間の司法修習の教育というのは、これは普通教育だ、いわば一般教育。どの職業になろうともこれはどうしてもやらなければならぬ、こういうことだと思います。そうすることによって法曹の一体化ということが成就されるのでありまして、歴史として二十二年ばかりたっておりますが、もう二十年間、これを卒業した人たちがいま判検事なり弁護士としてほとんど重きをなしております。一番上のほうの人たちはまだ古い制度でありますけれども、ここにおられる松本君にしろ岡沢君にしろ修習生の出身でありまして、非常に一体感というものが強い。お互いに日本の司法を伸ばしていこうじゃないかということでありまして、古い人たちとは隔絶、断絶も若干あることはあると思うのですが、法曹が全部修習生で占められるという時代になれば、私はすばらしいものだと思う。 そういう点で法務大臣も、あまり近視眼になったり、あるいはそのときそのときの事情によって動かされ、思いつきでやるようなこと、これについてだけは絶対やめてもらいたい。裁判所の意見も聞き、そして弁護士会の意見も聞いた上で、それらの機関がいずれもこれがよろしいということになったら別だと思いますけれども、あなたのほうで先走ってやられることは非常に迷惑だと私は思う。少しきつい表現でまことに恐縮でありますけれども、私はそう思います。 かつて司法研修所の所長をしたことのある松田さんが、研修所長の当時にこう言っておることを私調べました。「法律時報」の二十九巻の四号、「専門的法曹教育について」という表題でこう言っております。 「私は終戦後の混乱期にあって早くも司法研修所という新しい制度を構想し、これを実現せしめた先覚者の卓見を偉とするものである。ちなみに司法研修所は、わが国独特の制度であって、欧州にもアメリカにもその例を見ないものである。ただ現在においては人の知る通り、司法研修所は二つの目的を持ち、司法修習生の修習指導のほかに、裁判官の研修も担当しているのであって、或いは将来この二つの機能を分離して別個の機関に担当せしめることの必要を生ずることもあるであろう。そして私の夢想するところを述べるならば、わが国の裁判官、検察官、弁護士更に法学部の教授をも含めた人々の間に一つの法曹たる共同の意識が生じ、それに基いて全法曹を含む団体ができ、その団体が自己の負担において国家の厄介にならず、後進育成のため司法研修所を運営するに至れば、それが恐らく理想的の形態であろう。」こういうことも述べておられるわけであります。また、さらにこういうことも言っておられます。
○高橋委員長 畑君、ちょっと。後刻また相談に乗ってもいいというから、あともうわずかだから……。
○畑委員 「この意味で司法研修所の教育は、法曹のための「普通教育」である。もっとも、かつては、ある裁判官は私に対して司法研修所は裁判官の養成に主力を置くべしと主張し、また、ある弁護士は司法研修所は在野法曹の養成機関たるべしと主張し、司法研修所が一般法曹養成のための「普通教育」を行うことに対して不満の意を表したことがある。しかし、かかる考えを貫くときは、司法研修所を廃止して裁判官、検察官及び弁護士養成の三機関を設けることとなり、法曹の三部門の者は異った教育を受けて鼎立するに至ろう。これは法曹は、一体たるべしとの理念に逆行するものである。私の予測するところによれば、司法研修所の出身者、いわば司法研修所という同一母校よりの卒業生が在朝在野法曹の大半を占めるに至ったとき、法曹の一体化は自ら実現されるのである。」こういうふうに大きな立場から松田さんは言っておられる。 ですから、最近の裁判官になり手が少ない、あるいは検察官になり手が少ないということは、これは給与とか転任とか——しかし転任はどこの役人になったってあるのですからたいして問題はないと思うのだが、まあなかなかなり手が少ないということは、やはりその原因がほかにあるんだと私は思う。その辺の探求をすべきであって、ただたまたまなり手が少ない、これは自由な空気を望み、弁護士等に志望者が相当多くてそれが支配的で、それで青法協等に相当加盟をしておるというようなことによって、それに牽制をされて役人になる人が少ないんだといったようなこと、それを切り離す必要がある、そうすれば自然と判検事になる人が多くなるであろうといったような発想はきわめて近視眼的であって、法曹一元化の理想に著しく反しておる、かように私は考えるのです。その辺どうでしょうか、ひとつ考え方を変えてもらって、そういう基本的な考えに立って、功をあせらず、じっくりほかの意見を聞いた上でひとつ構想を立てられる。むだな構想をやったってしようがありません。思いつきは思いつきでいいとしても、それを法務大臣がいろいろやられると影響するところ大きいから、だから私は言うのでして、かりそめにちょっと思いつき等でやってもらっては困る、こういうことなんです。どうお考えなんですか。どう処置したらいいと思いますか。
○小林国務大臣 これは畑先生の御意見、そのまま承っておきますが、あの制度をあわせて考えなければならぬという人も非常にたくさんおりますし、反対の人もあれば賛成の人もある、こういうことでございまして、これはそのまま伏せておけば何も問題にならぬでしょう。問題を提起したからしてここでもこういう問題になりますし、新聞もお書きになる。しかし、問題を見直すということはどんな制度でもやはり必要じゃありませんかか。そういう意味で問題を提起しなければいつまでたったってこのまま、このままで、みんな満足すればいいが満足していない人もある、こういうことでありますからして、私はいま問題を提起しておる。しかして、いま私は何もここで結論を持ってかように申し上げておるわけじゃない。ああいう意見、こういう意見があるということを言うておるだけでございまして、再検討いたしたい、こういうことでいろいろいま考えてもらっておる、そういうことでございます。
○畑委員 弁護士会のほうでもこの間、御承知のようにちょうどたまたま大臣が……
○高橋委員長 後刻機会があるからゆっくり……。
○畑委員 大臣が発言された直後、たまたま弁護士会の総会がありました。ちょうどその後でありましたので、弁護士会のほうでも会長の名前でそれに反対の声明も出しておる。これからあとゆっくり今度は最高裁のほうの意見もお聞きしたい。あなたがおられればちょうどいいのだが、出かけられるそうだからあとになりますけれども、最高裁の意見も聞きたいと思う。そういうことでありますから、せっかくこういうことを構想をされ、乗り出した船だということもありましょうけれども、ひとつ慎重にこれをやってもらいたい。そのことだけを申し上げておきます。それは、制度というものはいつまで永久不変のものではないと言われればそれまでですが、検討する問題もいろいろ問題によってそれぞれに違いますから、この問題などはそうかりそめに簡単に、ちょっとした思いつき等で、特にこういう裁判官が不足だなどというようなことで処理すべき問題ではない。そうすると大きな抵抗にあうだろうということをあらかじめ法務大臣に警告をしておきます。どうかひとつ慎重にやっていただきたいということを申し述べます。それでこの問題は終わります。 続いてもう一つだけ問題がございます。
○高橋委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○高橋委員長 速記を始めて……。 赤松勇君。
○赤松委員 私、きのう検察官会同で公害の問題に触れられておりますから、それに触れたいと思ったのですが、きょうは時間の関係で、あと同僚諸君の質問もありましょうから、明日産業公害委員会でこれをやります。だから法務省のほう、来てください。 そこで、一言だけ、産業公害の問題に関連して御意見を申し上げておきますが、五月三十日付の毎日新聞にこんなに大きく取り上げているわけだ。これは何かというと、各省ともハイオクガソリンの追放に協力しておるのに、法務省だけは「実験の結果、ハイオクとレギュラーを一対一の比率でまぜて使うと効率がよい。今後も切替えるつもりはない。」こう言っておるそうです。これは実にけしからぬ話で、ひとつ十分にこの点は反省していただきたいと思うのです。
○安原説明員 赤松先生御指摘のことは、御承知のように新聞でも報道されましたが、先日会計課長名をもちまして、全国の法務省関係の自動車全部レギュラーガソリンを使うように指示いたしましたので、そういうことは解消いたしております。
○赤松委員 たいへんけっこうです。 そこで、いま申し上げましたように、公害の問題は明日産業公害対策委員会で質問するとしまして、御承知のように、最近総武線一帯にわたりまして、朝鮮人高校生と日本人高校生との間にしばしば紛争が生じておるわけであります。私は、日朝間の友好を促進するためには、いま希望されておる帰国をさらに促進をし、また在日朝鮮人との友好関係については、従来の歴史的な経緯にかんがみて、これを促進すべきである、こういうように考えております。 この際、委員長にお尋ねしておきたいと思うのでありますが、在日朝鮮公民の帰還の問題につきまして、当委員会で決議をするということになっておるのでありますけれども、この点につきましては、委員長どのようにお考えになっておりますか。
○高橋委員長 これはそういう内議になっておったのですが、その前提となった事実について多少誤解があるから、いま一度事実関係を精細に検討した上で結論を出したほうがいいのではないかという議が持ち上がりましたし、自民党のほうのそれぞれの機関でなお検討するのに資料不足だから、ちょっと待ってくれということでストップがかかっておりますが、この次の委員会までに結論を出したいと思います。御了承願います。
○赤松委員 国交未回復の国でありますから、もちろん外交上いろいろな問題があると思うのであります。しかし、日本の歴史を考えてみますと、戦争中徴用にあるいは軍事要員にたくさんこちらへ連れてきまして、そうして定着さして、今度は自分の国へ墓参なりあるいは親戚、親子などと対面しようとしてもそれが許されないということは、全く非人道的であることは言うまでもないことです。こんな例はほとんどありません。いま西独と東独との間にもこういう問題については次第に解決のきざしが見えつつあります。私は、この際ぜひ早く当委員会におきまして、その決議をされると同時に、政府においてはこの点についてぜひ思い切った措置を講じていただきたいということを希望し、なお理事会でこの問題を扱いたいと思います。委員長、努力してください。いかがですか。
○高橋委員長 承知しました。
○赤松委員 いまの総武線の沿線における朝鮮人高校生と日本人高校生の紛争の問題でありますが、いろいろ調べてみますと、これは警視庁が未確認情報をとりまして、その未確認情報に基づいて各高等学校に連絡などをしておるようであります。したがって、各高等学校におきましては、必要以上に刺激を受けまして、そうしてその防衛対策をとる。ところが、実際にはそういう事実は若干の一部の不心得者を除いてはそういう集団的なそれは発生していないということが明らかになっておるのであります。もちろん日本の高校生の中にも若干の不心得な者がおるでしょう。あるいは朝鮮人高校生の中にも若干の人がおるでしょう。しかし、それは全体としてやはり日朝友好という見地から考えまして、何か警察がそれを挑発するようなことはこの際ひとつやめていただきたい。朝鮮総連のほうでもそう申しておるのでありますが、もしもそういうことがあれば事前に朝鮮人の各級学校に連絡してもらえば責任をもってそういう紛争の発生しないようにするからということを言っておるわけであります。直接の所轄警察であります警視庁に来てもらおうと思いましたら、参考人として呼ばなければなりませんので、きょうは警察庁の渡辺少年調査官に来ていただきましたが、その間の事情を御説明願いたいと思うのです。
○渡辺説明員 朝鮮中高級学校の生徒に対しまする日本高校生の暴行事件が本年に入りましてから相当発生しておるわけでございます。私どもが認知しておりますところでは、四月八日の新学期から五月二十五日までに十三件ほど認知して、そのうち十件ほど検挙いたしておりますが、この十三件と申しますのは、朝鮮人学校側の申しておりますその期間の二十九件というのと相当の差があるわけでございます。二十九件あったということでありますが、私ども認知しておりますのが十三件ということでございます。 そのことにつきましては、大体この種の事件は、暴行を受けた本人からの被害の届け出であるとか、あるいはそういう現場に居合わせた人からの一一〇番による通報、こういうものが多いわけでございますけれども、二十九件見せていただいた中で、いろいろ警視庁が現地について調べてみますと、被害届けもございませんし、通報もありませんで、現地へ行って関係者にいろいろ聞いてみても、目撃者もなかったというようなことで認知できておらないわけでございますが、その点につきましては朝総連の方、それから朝鮮高校の学校の方、こういう方が私のところへお見えになったときにそういうことを申し上げまして、届け出をぜひしていただきたいということをお願いしましたし、関係者の方も届け出をしてないのがあるかもしれない、こういう話でございました。届け出ればすぐに措置をとってくれるかという、こういう話もございましたが、駅のホームで瞬間的に暴行して散ってしまう、こういう事件でございますので、届け出があったからすぐ検挙ということにはならないかもしれないけれども、いろいろ捜査の過程において後に検挙する場合もあるので、届け出ていただかないと事件の解決にならないので、ぜひ届け出をしていただきたい、こういうふうにお願いもし、また届けるということもお答えをいただいておるわけでございます。 この種の事件をいろいろ検討してまいりますと、どうも普通の一般の眼をつけたとか、あるいは相手がなまいきだとかいうふうなことに端を発して、前に暴行を受けたから仕返しをしてやるのだ、この前やられたから今度やるのだ、相互に繰り返しのようになってきておる面が見受けられるわけでございます。最近では朝鮮高校生のほうに対しては、日本側の高校生はその制服等を見ますと、朝高だ、こう言って、いろいろ言いがかりをつけていく。それから朝鮮高校のほうは、日本側のほうの国士館高校などを見ますと、士館坊だ、士館坊だといって、そこでいろいろいざこざが始まる、こういう形が繰り返されてきておるように見受けます。 そこで、三月の中旬ごろから若干事件が出てまいりましたので、警察といたしましては、そういう不幸な事件をなるべく未然に防止したいということで、その通学路線にあたります主要な駅にそれぞれ各署から人が出て、その未然防止と、あった場合の検挙というようなことに努力を続けてきておったわけでございます。しかし、五月の中下旬から相次いで出てきたようなかっこうになりましたので、不祥事態が起きても困りますので、五月の二十九日から警視庁では一千名の警察官——本部防犯部の九十五名を含めまして、一千名の警察官を出して、通学路線にあたります、従来からそういう事件の起きたような主要な駅、盛り場等に登校時、下校時出して事前警戒に当たるという措置をとっておりまして、この事件につきましては、私のところに見えました朝鮮高校の学校側、それから朝総連の方々、最近非常に出て警戒しておるということは認めていただいておりますけれども、一方そういう問題は、警察が主要な駅に張って警戒をするというだけでは根本的な解決にもなりませんので、特に問題が起きたつど、それぞれの警察署からそれぞれの関係の学校のほうに事件の内容などを申し上げて、事前指導、生徒指導などについて十分お願いをしておるわけでございます。 先ほど申しましたように、五月の中旬以降にそういうことがやや多くなってまいりましたので、東京都の学事部が仲介に入りまして、五月二十八日に両方の学校が集まっていろいろ話し合いをされたようでございますけれども、日本側も朝鮮高校側も、どちら側も自分のほうが被害者だ、自分のほうが被害者だというふうなことで、なかなか話がつかなかったように聞いております。さらに六月二日に警視庁のほうに両方の学校に集まっていただいて、いろいろお話し合いをしてもらって、この問題について父兄を含めて学校側において生徒指導あるいは生徒管理というふうなことについて十分配慮してもらいたいということを申し上げております。そういうことが両々相まってだと思いますけれども、六月三日以降この事件がないのはたいへん幸いだと思っております。 先ほどお話のございました総武線で朝鮮高校生が二百名ぐらい集まるという不確認の情報を流したということでございますけれども、一連のそういう動きがございましたものですから、警察といたしましては、かりにそれがほんとうに起きてきた場合に非常に不祥事態になりますので、両方の学校に連絡して——その前の三日ごろにはたぶん十条駅あたりで、これは日本の高校生が集まるという話がありまして、警察官も出て警戒し、朝鮮高校側のほうにも、こういうことがありますので気をつけていただきたいということで連絡をしております。ひとえにそういう不祥事態をなくしたいということで相互に連絡をしておりますので、御了承をいただきたいと思います。
○赤松委員 少年諸君でありますから、若い連中ですから、ときにはいざこざも起きると思うのです。私はそれがありきたりのいざこざで——私ども若いころはそうでありました。それならばそれで理解できるし、それは単なる青春への成長の過程における現象だというように軽く受け取ることができるわけなのです。ところが、この間あの新聞を見ますると、池袋でしたか、あいつだあいつだというので、ホームに二十名ぐらい日本の高校生が待っておりまして、電車の中におりました朝鮮の高校生を一人引きずりおろして、そして人影のないところへ連れていって、ぶんなぐったり、集団的に暴行を働いた。それもまあまあいろいろないきさつがあるでしょう。しかし、非常に注目すべき点は、最近右翼の新聞が盛んにキャンペーンを張っています。民族的な偏見といいますか、そういったものの上に立って朝鮮人をやっつけろというようなキャンペーンを張っている。私はそういう民族べっ視の思想あるいは民族偏見の思想というものがやがて関東大震災のようなああいう結果を生むと思うのです。いまは一九七〇年代です。私どもはアジアの平和のためには特に日朝間が早く国交が回復され、その友好が促進されなければならぬということは事実であります。でありますから、一部の右翼が意識的に民族対立を激化させる、あるいはそれが戦争政策に結びつき、日米共同声明に結びついて、そうして意図的にそういうことをやっておるとすれば事はきわめて重大だと思う。警察のほうもたいへんだと思うけれども、そういう右翼の連中が未確認情報で一一〇番に電話する、あるいは手紙を警視庁に投書するということから、警視庁があたかもそれが真実であるかのごとく各学校に警戒体制を要請したりするようなことは、これはいたずらに民族感情を激化さして、そして集団的な紛争を拡大するだけだと思う。 でありますから、警視庁に注意していただきたいことは、そういうような未確認情報が入れば——その情報を抹殺しろとは言いません。朝鮮側の学校と十分に事前に打ち合わせをして、そういうことのないようにしていただきたいと思うのです。御承知のように、朝鮮側の学校というのは非常に規律がきびしい。規律正しい。したがって、よく当局との間に話し合いができればその間の統制はきちんととると思うのですね。とにかく未確認情報ですぐに警察側に電話をして、あぶないから警戒体制をとるというようなことをやりますと、いたずらに人心が混乱しますから、その辺のところはひとつ十分注意して、朝鮮学校と、そういうデマやあるいはそういうような未確認情報が入った場合には、必ず事前に打ち合わせをするということをやっていただきたい。その点はどうですか。
○渡辺説明員 時間的に余裕がございましたら、十分そういうことはすべきだと思いますし、していきたいと思います。ただ、いますぐに集まるという時間的な余裕がない場合には、そういうことができない場合があろうかと思いますが、しかし、それは情報の出所などについて、どういう点から情報が出ているかということを十分吟味して当たるべきだと思いますし、そういうふうに警視庁には連絡したいと思います。なお、従来こういう問題について、所轄警察署長が朝鮮学校側に参りますと、なかなか朝鮮学校側に会っていただけなかった事情があったようでございまして、その点については、会って話をしていただかないと問題解決にならないので、ひとつぜひ会っていただきたいということをお願いもしておりますが、そういういまのお話のございましたような情報がありました場合に、事前に時間的な余裕がある場合には、その問題を確かめ合って善処してまいりたいと思います。
○赤松委員 それでは、事態の推移を見て、また再び質問を申し上げたいと思います。 本日、私の質問はこれで打ち切ります。
○高橋委員長 畑君。
○畑委員 最高裁にお尋ねをいたしたい。 最初にお尋ねをいたしたいのは、いわゆる「飯守発言また波紋」こういうくだりの新聞記事、また新聞によっては、「飯守論文また波乱」こういうような見出しで、またしても飯守鹿児島地方裁判所長が裁判官としてはまことに変わった発言を新聞記事に載せておるのが問題になっておるわけで、この問題について最高裁の御所見を承りたいのであります。 この飯守所長は、御承知のようにソ連から抑留されて帰ってきて、ソ連におる間は、ソ連のほうの思想教育なんかを受けて、それでそれに見合うような意見を申したのが、たまたま録音に出て問題になったことがありますが、その方がまた急に日本に帰ってこられてからえらい右寄りになって、そのつどいろいろな注目を引いた発言をしておるのです。この前、記憶に新しいいわゆる平賀書簡の問題、これに対して最高裁は平賀札幌所長に対して厳重注意を与えて、東京高裁に転勤というような処置をとりましたが、それに対して飯守鹿児島裁判所所長は、その平賀書簡をはっきりと弁護をする、そしてそうした問題はすべて青法協がそういうようなことの原因であるといったようなことで、青法協攻撃をやって注目を引いた。ところで、最高裁が処分した平賀を弁護をしたということで、この法務委員会でもかつて問題になりました。その結果が、最高裁ではまた飯守所長のその発言に対しましてやはり厳重注意というような処分をされたことは御承知のとおりでございます。自民党の資金団体である国民協会の機関紙あるいは自民党の新聞、機関誌等に自分の所説を載せたりなどしたことが問題になったのであります。ところが、またしても注目を引く発言をいたしておるわけであります。 その飯守論文の要旨なるものは、新聞紙等の報ずるところによりますと、体制と反体制というふうに区別され、要するに体制とは憲法体制である。この憲法体制には民族史的天皇制度というのと階級協調路線上の議会制民主主義制度と修正資本主義制度の三つの制度を憲法体制として指摘をしておる。反体制というのは、この三つの制度を否認する革命勢力を指すんだ。こういったことで、この革命政党の勢力に対しては中立なんてあり得ない、反体制であるからはっきりとした態度をとるべきである。反体制は違憲である。反体制というのは、総評だとかあるいは共産党だとかあるいは日教組、全司法、社会党、こういったものがその反体制である。こういったような考え方をはっきりと述べておるようでございます。 この飯守発言というのは私はきわめて危険な、裁判官として、しかも地方裁判所長として非常に問題のある発言だと思っております。かつて平賀書簡の問題について意見を発表したというかどによりまして、最高裁からは厳重注意を受けておるにもかかわらず、また再びこういった発言をあえていたしておるのであります。おそらく最高裁としても始末に困っておるというのが本音だろうと私は思うのです。まさかこういった発言を奨励するようなつもりはさらさらないとは思っておるのでありますけれども、しかし、これは私は裁判官としては非常に問題の発言だと思うのであります。しかも新聞記事なんかを見ますと、飯守所長の談として、「昨年十月、福岡高裁から注意処分を受けたが、聞いておくだけにとどめた。今後とも、私の主張の正しさを新聞や雑誌に書く」こういうようなことを公然として述べられておるわけであります。最高裁あるいはその命を受けての福岡高裁からの厳重注意などはただ聞いておくだけだ、こういった無視をした態度であります。これが一体裁判所長としての正しい態度であるかというふうに私はきわめて憤慨にたえない。一体またしてもやった飯守発言に対して最高裁はどういう措置をとろうとされておるか、どういう考えでおられるか、この点を承りたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 御趣旨は十分了解いたしました。前の平賀書簡問題のときに飯守所長が発言された件に対しては、昨年の十月十四日に福岡高等裁判所の裁判官会議が厳重な注意をいたしておるわけであります。最高裁といたしましては、福岡高裁のその処置を妥当としてそのままそれを是認して、格別のことは言っておりません。今回また新聞に自分なりの憲法解釈に基づく意見を発表されております。おそらく裁判官にも言論の自由がある、そういう考えからそういう態度に出られたとは思いますが、何ぶんにも飯守所長に対しましては、御承知のように、この一連の問題につきまして目下訴追委員会へ係属して審査中であります。訴追委員会は、御承知のように、独立してその職務を行なうということになっておりまして、裁判官としての適否の問題は、訴追委員会で取り上げた以上は、こういう公の席でそれについて意見なりあるいは評価を含むようなことは差し控えさしていただきたい、かように存ずる次第であります。
○畑委員 前の平賀発言の問題で訴追委員会にかかっておる。したがって、訴追委員会にかかっておる以上は、今度の飯守発言についても意見を差し控えたい、こう言われるのですが、今度の問題はまだ訴追委員会に出ておりません。これは新聞の報ずるところによると、鹿児島総評でありましょうが、一つには国会の訴追委員会への申し立てをやろう、二つには鹿児島地裁に対して名誉棄損の訴えをやろう、それから鹿児島地裁前で追放集会などを組織的、継続的にやろう、あるいは飯守所長に対して、どういうわけでこういう発言をされたか、その理由を問いたいということでの公開質問状というものを出そうということになっておるようでありまして、広く署名等を集めてこれをやるというので、おそらくきょうから始まるのではないかと思います。 こういった大きな問題になっておるわけでありますが、この事件もそういうことであるとすれば、いずれおそらく追加として総評から国会の訴追委員会に訴追請求の申し立てがなされるでありましょう。前の訴追の審判が下ってないから今度の分も含めて控えたい、こういうことでありますけれども、私はやはり訴追委員会にかけられようがかけられまいが、最高裁としては、こうしてたびたび異常な発言をされておる飯守所長に対して、何らかの処置をやるべきではないかと思うのであります。前に厳重注意をしてあるのに、それはただ聞いておくだけにとどめたという不遜な態度は、最高裁あるいは福岡高裁を侮辱しておることだと思う。これをこのままほうっておいていいのでしょうか。訴追にかけられておるからその模様を見よう、訴追の結果はおそらくなかなか出ません。この間開会中に相当何回も議論した。この問題も含めていろんな、平賀訴追その他の訴追がございました。それにお互いからんでおりますけれども、結局結論を出さずに先へ送ったというようなことになっております。しかし、それを構成する訴追委員の構成の率というものからもおのずから判断される。結論はどういうことになるであろうかということはいますぐはわからないが、大体私らには予想ができるような感じがする。そういったときに、もし訴追をせずということになった場合など、そのときになってどうするのか。そのときでは私はもうおそいと思う。やはり独自に裁判所としてこれに対して処置をしなければいかぬのではないかと思うのでありますが、それについて重ねてひとつ承りたい。
○岸最高裁判所長官代理者 今回の新聞記事に書かれてありますことは、これは唐突に出たことではなくて、前々からの持論であるというふうに思われます。そしてそういうような事柄につきまして先般訴追を受けまして、係属中の現在の審理において、当然そういう点についてもいろいろ調査の対象になっておるというふうに思われるのであります。そういう意味合いからいたしましても、この際、目下訴追手続が進行中のこの段階において、ここで公式の意見を述べることは差し控えさしていただきたい、このように存じます。
○畑委員 えらい慎重ですが、それでは、一体この発言を妥当と思っていますか。事務総長個人の意見としてでもけっこうですよ。新聞に載った、これで妥当だと思っていますか。ただ控えたいということは、意見の表明にはならないので、公式な意見は……。
○岸最高裁判所長官代理者 言いたくても言えないということです。意見を申し述べたくても申し述べるわけにはまいらない、そういう意味です。
○畑委員 述べたくても意見を申し述べるわけにはいかぬ、こういうわけですか。それは、われわれはおかしいと思うのですね。それでは話にならぬ。これではやりたいほうだいでしょう。言いたいほうだいだ。それでも裁判官は発言は自由だから、思想の自由があるのだからということで野放しにしておいてはいかぬと思うのですよ。これは、高裁をばかにしておりますよ。これは新聞の報ずるところに間違いないでしょう。意見を聞いておくだけにとどめた、福岡高裁から注意処分を受けたが、聞いておくだけにとどめた、こういうことを言っているのでしょう。こういうことを言っているとすれば、おこらないのはどうかしていますよ。よく平気ですね。福岡高裁も平気だし、最高裁も平気ですね。何か感じをお持ちでしょう。その感じを率直に言ってください。私は何も公式にどうのこうのというのではないのです。どうも訴追があるから、裁判があるからというので答弁を逃げられることが多いけれども、それじゃ、だめです。もう少しはっきり感じを言ってください。これでいいのかどうか。
○岸最高裁判所長官代理者 いや、決して答弁を逃げるというわけではございません。今回新聞に載せられたようなことは、表現のニュアンスは違う点はありますけれども、前にも書いておられる。そういう一切のことをひっくるめて現在訴追委員会に係属中でありますので、やはり訴追委員会の調査の結果を待つほかはない。現段階においてはここで公式的な意見を申し述べることは慎まなければならない、かように考えます。
○畑委員 では、壁は厚いと見て、次のほうに移ります。 先ほど法務大臣にお尋ねした件ですが、その前に、少年法の問題を先に、それから先ほどの修習生の問題になったほうが次の委員の質問とも関連するのでよろしいかと思いますので、簡単に質問をいたします。 少年法の問題というのは、ずいぶん長くから議論をされておりました。法務省のほうの意見と最高裁のほうの意見がだいぶ隔たりがある。裁判所のほうでは、おもに児童福祉というような点、少年の将来を考えて、いまの制度がいいのである、さらにそれを発展をさせるべきであるというようなお考えだと思うのです。また、法務省のほうの考えは、おもに社会防衛という点から、少年といえども犯罪は犯罪である、いまの少年法のたてまえは少年を過保護しているんじゃないか、一体、被害を受ける社会のことはどうするんだ、しかも、最近非常に少年犯罪がふえておる、それからまた、凶悪犯罪も非常に少年に多い、こういうことが法務省のほうの論拠になっておるようであります。しかも、本来少年の問題等は政府のやるべき仕事であるというようなことであります。ところが、裁判所のほうとしては、やはりその辺の調和を保つのには、特に少年に関しては裁判所でやって初めて効果をあげ得るんだ、大体、こういったような対立だと思うのです。 ところで、歴代の法務大臣は、いつも一回は少なくもこの問題でのろしを上げることになっておる。そうしちゃ、いつも立ち消えなんだ。今度の小林法務大臣もまたのろしを上げた。だが、今度の法務大臣はなかなか、先ほど言ったような人柄でありますから、何をやるかわからない、こういったような心配を実はいたしております。そうして午前中にも、ほかの問題についても厳重に注意を与えておいた。おそらく、それをやろうとすれば、全法曹あげて総反撃をいたすであろう、覚悟したまえということで注意をいたしたんであります。そういった危険性も多分にあるのでありまして、この点について最高裁のほうの考え方を承りたいんです。まあ、いろいろ研究をして、五月の末までに成案を得るというようなことであったようで、おそらく法務省のほうでは大体成案を得ているんだろうと思うのでありますが、この問題は、法務大臣から先に聞きたかったのですけれども、いないので、あとで聞くことになるわけです。したがって、先に裁判所のほうに聞くわけであります。 最近、話を聞きますと、また裁判所のほうからもらいました資料によりますと、少年犯罪が非常に低減しておるような傾向にある、こういうような話も聞いております。それから法務省でとっておる統計のとり方とあなたのほうの側でやっている統計のとり方、これが食い違っておるというような話も聞いておるんでありますが、それでそういった数字が違ってきているのかもしらぬけれども、少年犯罪、特に十八歳から二十歳までの間の犯罪が、刑法犯もそうでありまするし、凶悪犯も低減しておるというような話を聞くに及んでは、なおさらわれわれは、いまの制度をむしろいいものにする、発展をさせる、こういうことが必要だとすら感じておるわけであります。その点で、最高裁のお考えを承りたいのであります。あとで法務大臣がおいでになりましたら法務省のお考えを聞きたいのでありますが、最高裁の意見をひとつ承りたい。
○外山最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘がありましたように、最近、法務省では少年法の改正を急いで、積極的に検討中であると聞いております。まだ法務省案というべきものを私どもは示されておりませんので、裁判所側との意見がどのように食い違った案になっておるかということを具体的に申し上げる段階ではございません。しかし、その基本的な方向といたしましては、昭和四十一年に法務省が発表いたしました少年法の改正に関する構想とたいした違いはないように思われます。このような改正の作業が、少年法の運用に当たっております裁判所をはじめとして、関係機関等の意見を反映することなく推進されるとしますならば、はなはだ遺憾なことだと思っております。 先ほど少年非行の趨勢について御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございまして、法務省との統計の食い違いがあるのではないかというお話でございましたが、私どもがつくっております資料に出てまいります数字は、裁判所独自の数字ではございませんで、警察庁の統計を使っておりますので、その点では本来食い違いがあるはずのないものであると考えております。 先ほどお話がありましたように、近年少年の非行は一般に減少しておりまして、その絶対数でも人口比におきましても、ここ数年来の最低になっております。特に問題になります十八、九歳の年長少年について見ましても、また同様の傾向でございまして、これらの年長少年の凶悪犯罪につきましても減少の傾向を示しておりまして、その人口比について見ますと、昭和二十二年以来の最低の数字を示しております。 これらの少年の扱いでございますけれども、家庭裁判所におきましては、御承知のように、少年の非行の性質でありますとか、その態様あるいは少年の年齢等、もろもろの事情を十分に考慮いたしまして、その処遇を決定しておるのでございます。きびしかるべき事案につきましては、きびしい矯正教育の処遇をきめておるのでございまして、彼らの責任を自覚させ、反省させるような措置をとっておるわけでございます。場合によりましては、御承知のように、これらの少年が検察官に逆送され、刑事処分を受けることもあるわけでございます。特に年長少年につきましては、成人と比較いたしましてもその処遇が寛大に過ぎているということは決してございません。これらの少年が刑事処分に付されます場合が決して少なくないことは、統計の数字の示すところでございます。したがいまして、特に年長少年につきまして、青年層という特別の層を設けて、刑罰中心の処遇に改めましたり、あるいは捜査機関が処分の要否のふるい分けをする、いわゆる先議権を持つというような、すなわち、現行少年法の基本的な構造をこの際改めるということには合理的な理由を欠くと考えますし、反対せざるを得ないと考えております。 少年法の改正に関します裁判所の基本的な態度は、すでに昭和四十一年に発表されておりまして、今日これを改める必要性は認められません。その際、最高裁判所の提案した事項はいろいろございますけれども、たとえば最も必要である執行面の充実であるとか、保護処分を多様化いたしますとか、あるいは少年の保護手続におきましても、少年の人権の保障を強化するというような事項につきましては、おおむね各方面の意見が一致しているところでございまして、まずこれらの点についてこそ、少年審判制度の充実のために早急に方策が講ぜられるべきものと考えるわけでございます。 これらの緊急を要する事項につきましてまず改正を試みることなく、裁判所のみならず各界にも異論のはなはだ多い少年審判制度の基本的な構造の改革ということを急いでおるように見受けられますことは、はなはだ問題だと考えるわけでございます。 以上でございます。
○畑委員 いま家庭局長からるるお話がございました。私も大体同感の意見でありまして、これがいずれまた脚光を浴びることになるかどうかまだわかりませんけれども、四十一年のときの法務省の考え方、それを反駁するような意味の最高裁の考え方、いずれも私承知いたしておるわけでありまして、私のささやかな弁護士経験、少年を扱ったいままでの経験からいたしましても、最高裁の考え方を基本としてむしろ少年法を発展的に改正をすべきである、処遇のやり方ももっといろいろの種類別に、その少年に適応したような処遇の道をもっと数多く考えるというようなことなどはきわめて必要だと私は思うのです。それからまた、精神障害者に対しての医療施設送り等の処置をもっとよく考えてみたい。その他いろいろ前進をする意味で改正すべき問題があろうと思うのです。ところが、両方の意見が基本的な点で対立をしているために、むしろその点についてはたいした異論はないような点がなおざりにされておるということは残念に私は思うのです。検察官に立ち会い権を認めるとか、あるいは弁護士のほうも国選の附添人をつけるような制度にするとか、検事に抗告権を認めるとか、こういった程度のことは裁判所としても異論がないのだ、それと先ほど申し上げました処遇のいろいろな適応したやり方をやってもらいたい、こういう一致をする点だけでも改正をして前進をさせるということが必要だ。基本的な点は裁判所としても譲れないと思うのです。またそうであっていい。私はその点では裁判所のほうの立場を支持いたしておるわけであります。したがって、その意見の一致をする面についての改正、これは大いにやるべきだと思うのです。その点についてはどうお考えですか。先ほど言われたような感じがするが、もう一度……。
○外山最高裁判所長官代理者 全く御指摘のとおりでございます。前回の論議を通じまして大かたの意見の一致しております中には、少年審判制度を充実し前進させる重要な事項を含んでおります。先ほど申し上げたとおりでございますが、これらの点こそまず制度の改善のために法を改正すべきだ、こう存じております。 ただいま御指摘のありました点、御意見まことに御理解の深いところで、ありがたく存じております。せっかく高い理想を掲げてつくられました、現在の少年審判制度は、二十年の実績を積んでまいりましたので、さらにこれをその実績の上に立って改善していくという点では、私どもも積極的な態度をとっておるつもりでございます。
○畑委員 法務省のほうでは、ある意味じゃ失地回復だくらいの気持で、大いに各大臣がそのつどそのつど下僚に励まされてアドバルーンをあげるのであろうけれども、それが国民はそうでない、現在の行き方を支持しておるということで、なかなかその壁が破れないで、またしても小林大臣がアドバルーンをあげておる。そこでひとつわれわれもあなたの立場を支持しますから、これで大いにその使命感に燃えてやってもらいたいと思います。 それでは次に、先ほど問題になりました修習生の制度の問題であります。いずれまたほかのお二人の委員からも質問があると思いますからあまり詳しくは申しません。先ほど法務大臣に私、質問をいたしておりましたことをお聞きになったかと思います。またお聞きになっておらぬでも、あまり詳しく言わぬでも大体わかると思うのでありますけれども、法務大臣が、この間の新聞の報道によると、修習生制度をこの際改正したい、手直しをしたい、こういうような構想を考えて、それでほかのことの報告とあわせて総理に申し上げて了解を得た、こういうような新聞記事が出ました。法務大臣の答弁によりますと、そんな具体的なことではないのだ、裁判官や検事になり手が少ないからこの辺でひとつ修習制度を検討してみようと思うのであります、こういった程度の了解だというお話でありましたが、さもあらんと思うのです。総理がそうした根本的な問題をそう簡単に了解するはずが私はなかろうと思って、若干法務大臣の勇み足というような感じがなきにしもあらずでありまして、先ほども厳重に警告を与えておいたところでありますけれども、一体司法修習制度についてその担当なさっておられる最高裁——裁判所法に規定するところによれば、あれだけの条文でありまして、それをさらに修習あるいは試験というものについての規則をきめるのは最高裁であります。したがって、法務大臣がどういうふうな制度改正を考えられておるのか、そうだとすれば一体どういうふうな改正になるのか、なかなか問題があろうと思うのです。いま裁判所法に基づいて最高裁がその規則をつくってやっておられるわけでございます。先ほど私が申し上げましたような三位一体というか、法曹一元というか、法曹の共同意識というようなものの上に立った制度でありまして、世界にも非常にユニークな制度である。法曹一体感というものを養成するには絶好の制度だと私は思っております。しかし、こういう制度はお医者のほうの関係などでもいろいろいま問題になっておる。政府が金を出さぬで安あがりの医療制度でやろうとしておるものだからいろいろ問題があるけれども、司法のほうについては、幸いにして弁護士になる者もひとしく司法修習の訓練を受けるという制度でありまして、これこそは三者が一体となって裁判の公正、具体的真実を求めるというような点では、弁護士といえども明らかに国家の機関の一部である、こういう考え方からこの制度が生まれたと思いまして、私はこの点はむしろ非常に日本の誇りだとすら思っておる。それを先ほどもお聞きのように、法務大臣が変えようといたしておるわけでありますが、この点について最高裁はどうお考えになられるか、肝心な最高裁の意見を聞いておかなければいかぬと思うのです。弁護士会では、在野法曹でもございまするし、たまたま総会を開かれる直前の大臣の構想発表でもありましたりするから、いち早く絶対反対の意向を表明いたしておるわけでありますが、最高裁、法務省との関係で若干微妙な点もあろうと思います。同時にまた、青法協の問題等について例の一連の事件等もあり、この間最高裁長官の談話等にも若干のつながりを持っているというようなこと、そういうことがむしろ法務大臣をしてこういった構想に踏み切るというような一つの言質を与えたというか、そういったものになってはせぬかとすら私らは思っておるわけであります。そうだからといって、まさか最高裁があの新聞に報ぜられるような意味の分離教育をするつもりであるまい。しかし、若干の心配なきにしもあらず。この前のあの東大騒ぎの際の分離教育といった企図等もあった関係もありますので、私は若干その心配をしておりますが、大筋においては最高裁の意見はわれわれの意見と同じであるというふうに推測はいたしております。しかし、公式の意見を聞いたことはありませんから、ひとつここでお聞きをいたしたいと思います。いかがですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 法務大臣のお考えがどういうお考えであるか、私どものほうにもまだ何の連絡ももとよりないわけでございます。法務大臣の御発言は、われわれも新聞によって初めて知りましたわけで、われわれとしてこれについてどういう意見を述べるかということも、まだ内部的にも何ら検討はいたしてない段階でございます。 ただ、最高裁判所には司法修習運営諮問委員会というものがございます。この司法修習運営諮問委員会に対しまして昭和四十一年九月に最高裁判所が、「司法修習の方針およびその実施に関し当面考慮すべき重要事項について」という諮問をいたしたわけでございます。この司法修習運営諮問委員会は法曹三者、法務省、検察庁、弁護士会、それから裁判所、そのほかに学者を加えました二十人近い委員によって構成される委員会であるわけでございます。 ところで、どうしてそういうような諮問事項が出されたかと申しますと、司法研修所が発足以来相当の年月もたちまして、そこにいろいろむずかしい問題点が出てきたので、どういうところに問題があって、どういうようにしたらいいのだろうかというような項目について諮問があったわけでございます。 この委員会は、四十一年十月四日から四十三年九月二十四日まで、ほぼまる二年かかりまして十七回の会議を開き、十二項目の事項を答申したわけでございます。しかし、これは非常にむずかしい問題が山積しているわけでございまして、この項目についてどうしろということについては、多数決だとかというような方向で結論が出たわけではございません。要するに、問題点を列記してあげるという答申の方向が出たわけでございまして、この十二項目はいろいろむずかしい問題を含んでいるわけでございます。ただ、この十二項目の実施をどうするかという具体的なことになった場合には、これは法曹各分野、関係各界の意見を十分に聞いた上で実施するかどうかを検討してほしいという答申の内容にもなっておりまして、非常に問題があるけれども、これを実施するについては十分慎重でなければならない。 したがいまして、現在、法務大臣の御発言を新聞で読んだだけでございますが、これにつきましてはまだ裁判所の中で特に論議もされていないというのが実情であるわけでございます。
○畑委員 いまの局長のお話だと、そうした委員会があってそれにいろいろ諮問をされ、十二項目かの項目についての答申が出されたそうでありますが、この諮問あるいは答申の中にこうした分離教育といったようなことも、いろいろ可否の意見があると思うのですが、入っておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その中には、志望分野別修習という項目もあるわけではございます。読み上げますと、「現在の司法研修所の修習に法曹三者それぞれの志望分野を重んじた修習を加味することを検討することの可否。」というような項目もございます。また、司法研修所の複数化という問題も取り上げてはおるわけでございます。また、司法修習を実務修習だけにしてはどうかというような意見も取り上げてはいるわけでございますが、しかしながら、これについてはただいま御説明申し上げましたように、重要項目の並列ということで、まとまった意見というものは出ておるわけではございません。
○畑委員 まあいろいろの立場の方が委員として出ておるわけでありますから、いろいろな立場を主張されると思う。また裁判所のほうとしても、いろいろ項目別にいま当面している問題等について諮問をされた。問題の設定というか提案というか、それは最高裁がされて、それに対していろいろ議論をして、それで答申が出た、しかし必ずしもそれが一致した意見ではない、こういうことだろうと思う。 そこで、いまの法務大臣の考えていることは、さっきの答弁などによりますと、五百人も毎年教育して卒業させておるけれども、その中から判検事になる人が約百名程度というようなことでは、せっかく国費を投じておるのに役人になる人が少な過ぎる、これを何とか制度を改正することによってこの問題を解決したいというようなことが表面の理由のようであります。でありますけれども、いまの裁判所法の予定しておるものは、現在のようなどの職業を志望するとしても一緒の教育をする、それで卒業させて、最後に志望をきめるということになっておるわけですね。私はその制度が非常にいいと思うのです。裁判官なら裁判官になった者は裁判官としての特別な教育をする、これは必要だと思う。けれども、いわゆる普通教育として、一般教育として——前の研修所長の松田さんもそういった意見を書いておりますけれども、そういうことがいまの司法修習制度の非常にいいところだというふうに言っておられるのでありまして、それからあと、きまってから後に、法務省なり裁判所なり弁護士会なりでおのおの別の教育をすればよろしいのだと私は思う。その点はいかがですか。私はそう基本的に思うのですが、最高裁のほうはその意見と違いましょうか。ただ教育コースを二つに分けて、最初は普通教育、次は分けてからおのおの専門的教育、こういったようなことが望ましい、こう言われるのでしょうか、その点をお伺いしたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その点につきましても、この委員会でいろいろ論議があったところではございます。したがいまして、この委員会における論議の御紹介の程度にとどめなければならないのではないかと思うわけでございますが、この委員会におきましての議論の大多数は、いまの御意見のような意見でございました。しかし、それにつきましてやはりいろんな問題があるということで、たとえて申しますと、なるほど裁判官の志望者は最初は非常に多いけれども、それが実際には半分になってしまうというようなところを一体どういうように考えたらいいのだろうかというような意見も出まして、いろいろと論議はございました。しかし、大勢はいま畑委員の述べられたような意見でございました。
○畑委員 まだほかのこれに関連した質問をされる方がおりますので、私は以上でこの問題についての質問を終わることにいたします。つきましては、いろいろ法務大臣が構想されておりまして、いずれは最高裁のほうに意見を求められたり——むしろ最高裁がこれは中心となってやるべき問題だと思う。でありますけれども、法曹の一元化、法曹の一体化という点は、これはもう私は制度の基本だと思います。これを絶対くずしてもらっては困ると考えているわけでありまして、その基本をくずさないでやってもらいたい。私はいまの制度はこれでよろしい、こう基本的に考えております。これを改正することは、われわれ弁護士の立場としても絶対反対せざるを得ないというようなことであります。ひとつこの点も十分弁護士会等の意見も聞いてもらいたい。法務省のほうに抜けがけをされないようにしっかりお願いいたします。
○高橋委員長 岡沢完治君。
○岡沢委員 時間がおそくなりましたし、この問題で松本委員の質問もあるようでございますから、簡単に二、三の点、最高裁の御見解をただしたいと思います。 法務大臣の発言につきましては、新聞等でしか承知していないという人事局長の御答弁がございました。法務大臣はけさの御発言で、現在の法曹養成制度がいい姿とは思われないという御発言がありました。法曹一元は理想ではあっても、実現性に乏しいという発言もありました。最高裁の事務総長として、また司法試験管理委員会のメンバーでもあられますし、またこの法曹制度については御見識の深い事務総長自身、この法曹一元の制度についてどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
○岸最高裁判所長官代理者 御承知の臨時司法制度調査会の意見書にもありますように、法曹一元の制度は、これは一つの考えに値する長所を持っておると書かれております。決してこれをまっこうから否定する考えは持っておりません。ただあの意見書にもありますとおり、現在早急にそれを実現するについては、わが国にはまだその基盤ができていない、そういうことが書かれておりますが、その点はそのとおりであると思います。
○岡沢委員 現在の日本の法曹一元の根幹は——もちろん何が根幹かということはいろいろ問題があると思いますけれども、一応司法試験に始まって修習一本制度、そしてまた最後は判検事の方も弁護士になられるというのが一つの法曹一元の大原則と申し上げていいかと思います。私は、最後に弁護士というところに一つの問題があろうと思います。最高裁の判事をおやめになった方が弁護士になられて、下級裁判所で一般の弁護に当たられる、あるいは検察庁に行っていろいろな事件の処理に当たられる。そういう点でも法曹一元の一面ではありますけれども、非常に奇異な感じと、国民の司法に対する信頼という点から見て、問題があろうかと思います。 けさ法務大臣は、あの発言の背景に、修習生出身者に裁判官、検察官志望者が少ないということをおあげになりました。それは事実でありますけれども、私は別の角度から、どうして裁判官、検察官の志望者が少ないか、処遇の問題、年齢制限の問題、いろいろあろうと思いますが、別の角度からその問題は考えられるべきであって、いま申し上げましたような、たとえば最高裁の長官をなさった方が弁護士をなさっておられるという——実際は知りませんけれども、現に最高裁の判事で一弁護士として、法律的に悪いというわけではございませんが、先ほど申し上げましたような一般事件処理、しかも下級裁判所あるいは地検、区検で事件処理に当たられるということについては、やはり問題点があろうと思うのでございまして、こういう最高裁判事だけの問題ではございませんけれども、しかし、それはやはり裁判官全体の職務上の地位、処遇とも結びつくと思います。現在の最高裁判事の年齢制限あるいは退官後の処遇等について、私は検討を要する問題があろうと思います。この辺について事務総長としての御見解、私から指摘するまでもなしに、最高裁の判事、簡易裁判所の判事は七十歳で法律上退官せざるを得ない。あるいは地裁、家裁、高裁の判事も六十五歳で退官せざるを得ない。現実に日本人の平均年齢あるいは活躍年齢というのは、かなり時代とともに伸びてきていると思います。その辺にも問題があろうかと思います。裁判所法の規定する定年の問題とも結びつけて、もし御見解がありましたら披露していただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の最高の裁判官を経た後に弁護士をしている方もいる。そういうことから見ると、そこに退官後の生活等について相当の問題もあるのではないだろうかというお話でございます。なるほど最高裁判所の長官をなさった方、それから一部の裁判官は弁護士を登録なさっておられませんですけれども、多くのお方がやはり弁護士を御登録なさっておられるというのもまた事実でございます。これがイギリスあるいはインド、それからドイツ等の各国におきましても、そのような方は弁護士になられる例が非常に乏しいわけでございます。しかし、どうも生活にお困りだから、弁護士をおやりになるというのでもなさそうでございまして、やはり何か仕事をしないと健康に悪いというようなところに大多数の方が弁護士を登録なさる理由もあるのではないかというように私どもは見ているわけでございます。 ところで、定年延長の問題が出てくるわけでございますが、われわれ内部におきまして、これに二つの考え方がございまして、やはり定年を延長して、そして元気な者にはつとめてもらったほうがいいじゃないかという考え方と、もうとにかくいまの定年だけでも十分なんで、あとはのんびりした余生を送りたいんで、これ以上もう定年で縛られちゃとてもかなわないという考え方、二つがあるわけでございます。そうして、その二つの考え方が現在のところはまだ完全に一致した一つの線が出ていないというのが実情でございまして、定年延長については現在のところまだそれを踏み切るところまではいっていないというようにお答え申し上げていいかと存じます。
○岡沢委員 いまの、最高裁判事をおやめになった方が弁護士に登録されて仕事をされる問題、健康上の理由等があることもわかりますけれども、社会的に見ました場合、市民から見ました場合、国民から見ました場合、裁判所の権威、信頼という点、あるいは御本人の意図はどうあれ、他の同僚弁護士が最高裁判事出身の弁護士を利用する、あるいはまた本人にその意思がなくても、下級裁判所の裁判官あるいは検察官等に与える心理的な影響等を考えた場合、決して好ましい姿ではないというふうに感ずるわけであります。また法曹一元の理想としては、先ほど私は、最終が弁護士であるところに問題があると申したが、むしろ最終は弁護士をやった者、検事をやった者が裁判官になる、裁判官は、年齢的にも経験的にも、裁判所の職務からいっても、判断力その他から申しましても、法曹一元の終着点であるという見方というのも、大きく根強い意見としてあるわけでございます。また一方では、もう逆にといいますか、検察官に対しても弁護士経験数年を経た者を有資格者にするという考え方もあります。私はそれも理由があるような気がいたします。それだけに、むしろ弁護士から裁判官希望あるいは検察官希望が多く出るような処遇、あるいは検察官、裁判官に対する国民の信頼と申しますか尊敬と申しますか、そういう実体をつくることのほうが先ではないかという感じがするわけでございまして、その辺で任地の問題、住宅の問題、そういうこまかい問題もありますけれども、やはり裁判官、検察官の処遇について、まあ法の支配、司法の権威を民主主義の基本的な原則とするならば、もう少しわれわれとしては考えるべきではないか。 裁判官はことあげせずということばがございまして、法務大臣がおられないところでこういう論議をすることも無意味かと思いますけれども、事務総長はじめ人事局長も個人の裁判官という立場を離れて、司法の権威を高めるという見地から、法曹一元のあり方につきましても、やはりこれは個々の裁判官としての御発言でないわけでございますから、ぜひ——法務大臣もけさの御発言で、最高裁とも相談をするというお話がございました。見識のある御発言、御見解を示していただきたいとお願いいたしまして、時間の関係もあって質問を終わります。
○高橋委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 司法修習制度の問題について先に伺いますが、かつて去年の六月二十七日に当委員会で東京大学出身者の司法修習生の問題について論議をしましたそのときに、矢崎人事局長は「志望別分離修習の点につきまして、最高裁判所がそういうように考えているというようなことは、いままで何もない」「そういう方針を決定しているというようなことは、全くない」という答弁をされましたけれども、先ほどのお話で変わりはないと思いますが、念のためにこのことはそのとおりかどうか伺っておきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 先ほど畑委員の御質問にお答えしたとおりでございまして、最高裁判所としてそのような見解をとっているというような事実はございません。
○松本(善)委員 それから事務総長に、臨司制度調査会の意見書に触れていま答弁をされたわけでありますが、この意見書は相当批判が多かったわけでありますけれども、それはともかくとして、この意見書によれば、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら、その基盤の培養について十分の考慮を払うべきであるというようになっておる。先ほどの事務総長の御意見は、法曹一元を否定する考えはないという程度にとどまり、それから基盤が現在ないということを言われておったわけですが、この基盤を培養するということの方向がここでもいわれておるわけであります。先ほどの事務総長の御意見は、この基盤の培養ということについて否定的な御意見を言ったとも思われませんけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○岸最高裁判所長官代理者 この基盤の培養をどういう方法でやるかということが問題であります。一番手っとり早いのはやはり、現在の制度を動かすかどうか、そういうことは一応抜きにしまして、その意見書でうたっておりますように、法曹三者の司法協議会というものを構成して、そこでお互いに忌憚なく意見を交換して制度の改正とか運用を考えていく、そういうことが一番手っとり早い方法だと思います。ところが、それすらまだ今日までいろいろな事情で実現されていない、そういう意味合いから申しまして基盤の培養はいまだ遠しと申したわけであります。
○松本(善)委員 じゃ端的に伺いますが、志望別分離修習というような方向は、この基盤の培養というのにはマイナスの方向になるのではないかと思いますが、その点についての事務総長の御意見を伺っておきたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 まっこうからすっかり分離してしまうということについてはあるいは問題があるかもしれませんが、先ほどの答申の六項で「志望分野別修習の加味」ということを申しておりますので、これは現在の制度を前提として、そうして最後の段階にいったらそれぞれの志望分野を重んじた修習を加味することはどうか、そういう意味であります。現在の制度のままでなければ法曹一体化あるいは法曹一体感というものが養われないということはいえないと思います。
○松本(善)委員 そうすると、事務総長は志望別分離修習という方向を進めることが必要だという御意見がおありでございますか。
○岸最高裁判所長官代理者 どういう意味での志望分野別分離のお尋ねなんでございましょうか。
○松本(善)委員 それは当然のことながら、裁判官、検察官、弁護士という志望別分離修習という方向が必要なんだというお考えなのかということです。
○岸最高裁判所長官代理者 これはやはり各界の意見を十分徴して、そうしてお互いに協議してきめる問題だと思います。
○松本(善)委員 そうすると、事務総長としても個人としても、まだそういうような意見は全く白紙だ、こういうふうに伺ってよろしいですか。
○岸最高裁判所長官代理者 この修習制度をどうするかということについては、いまだ裁判官会議にもはかったこともございませんので、そういうことをいまここで申し上げるわけにいかないと思います。
○松本(善)委員 それからこの裁判官になる人が少ないという問題について、制度の問題はありますけれども、やはり志望をする人が少ないということになりますれば、この裁判官に対する魅力がないといいますか、裁判所のいままでの姿勢といいますか、あり方といいますか、そういう問題についての検討も必要ではなかろうかというふうに思うわけであります。戦後の裁判の中で最も大きな社会の耳目を集めたものは、私は松川事件ではないかと思います。松川事件をはじめとして青梅事件でありますとかあるいは三鷹事件でありますとかあるいは芦別事件でありますとか、列車転覆事件でも無罪になった、四大事件が全部無罪になっております。こういう事件について、たとえば松川事件についていいますれば、前にもここで論議したことがございますけれども、死刑の判決をしたそういう裁判が上級審へいってくつがえっておる。裁判官といたしましては、死刑の判決をしたというような場合に、それが上級審でくつがえったというような場合には、私は裁判官として相当の責任を感じてもいいものではないか。裁判官というものがほんとうに正義を実現をしておる役職なんだというふうに修習生から見られていないのではないか。特に、裁判官修習の過程において、最初裁判官を希望していた人が裁判官の希望をやめていくことがあるということを聞いております。それは裁判所の姿勢について相当大きな問題があるのではないかと思いますけれども、この問題について裁判所としては何らかの反省があるのかどうか、こういう問題は一切無関係だというふうにお考えなのか、その点について御意見を伺いたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 松本委員の御意見としては伺っておきますが、見解の相違というほかないと思います。
○松本(善)委員 この点がきわめて重要な問題であろうと私は思います。裁判所がそういう態度であれば、かなり今後にいろいろな解決の方向においては問題が出てくるということを指摘をして、次の問題に移りたいと思います。 先ほど飯守裁判官の問題が問題になりましたけれども、この飯守裁判官の問題について、先ほどは訴追委員会において問題になっておるから言わないのだというお話でありますけれども、裁判官の身分ということに関していいますならば、それは訴追委員会が判断するべき問題でありましょう。しかし、司法行政上——飯守裁判官は鹿児島地裁の所長であります。先ほど来同僚委員が指摘しましたような、この発言について何の司法行政上の措置もない、注意もない、発言もないということになれば、これは最高裁がこの飯守裁判官の行動については是認しているんだというふうに社会的には受け取られるのは当然のことであります。最高裁としては、飯守裁判官の行動については非難すべきものがない、是認をしておるのだ、こういうふうに伺ってよろしいでしょうか。
○岸最高裁判所長官代理者 その点につきましては、先ほど畑委員にお答えしたとおりでございます。
○松本(善)委員 そうすると、是認をしておるというのでもないという意味ですか。
○岸最高裁判所長官代理者 是認をしているとか、あるいはそれを否定しているとか、そういうような意見をこの際は差し控えたいというのが、先ほどの畑委員に対する私の答えだったわけです。
○松本(善)委員 裁判官について訴追の事由があると考える場合には、最高裁は訴追の申し立てをしなければなりませんね。その申し立てをしないということになれば、それには当たらないというふうに最高裁は考えていると見なければならない。その点についてはいかがでしょうか。
○岸最高裁判所長官代理者 飯守所長に対しては、先ほども申しましたように、これまでの事柄につきましてすでに訴追請求がありまして、調査中でございます。しかも、その問題は最近におきます新聞記事、これも決して飯守所長としては唐突な新しいことを申したのではなくて、従来からああいうことを言っておられた。そういうことを一切ひっくるめて訴追の調査の対象となっております。そういう状態のもとではここで最高裁が訴追請求をするという必要はなかろうかと思います。
○松本(善)委員 私は、そういう態度は飯守裁判官の態度を最高裁が是認をしているというふうにしか社会的には受け取られないものだ、それはまことに遺憾なことであるということを申し上げておきましょう。そしてこのことが、そういう態度をとっているからこそ、飯守裁判官は石田長官の発言については全面的にこれは支持をする、また石田長官の発言を見ても自分の意見が正しかったのだということがわかるだろう、こういう態度をとっておるのです。これは石田長官は飯守裁判官の発言が——飯守裁判官もそう言っておるわけてすけれども、このような発言について最高裁としてはどう考えておりますか。
○岸最高裁判所長官代理者 新聞の報ずるところによりますと、ただいま御指摘のような談話が飯守所長によってなされたことは事実のようであります。しかしながら、石田長官の真意というものは飯守所長とは全く異なっておる、本質的に異なるものであるということを申し上げたいと思います。
○松本(善)委員 私は、当委員会におきましても石田長官の発言というのは非常に誤解されやすい、裁判官の思想に干渉しておるだけに非常に危険なものであるということを指摘をいたしました。その実例が出てきておるわけです。石田長官の発言は私の考えと同じなんだ、こういうふうに飯守裁判官が言っておる。こういうことも起り得るわけです。人によってはその内容の理解のしかたによって変わって出てくるわけです。私はこの問題については、石田長官がいろいろな疑惑を受けているわけですから、直接明確にすべきであるというふうに考えております。そういう意味で、先日私と青柳盛雄代議士とが最高裁長官に面会を求めて、この問題について真意を聞きたいということを申しました。これはもし長官が、あれは誤解を招く発言であるからということで撤回されれば別でありますけれども、発言をされた以上は、その真意がいかなるものであるかということが明確になるまでそれを説明され、本来ならば、代理をこの委員会におよこしになるのではなくて、長官みずからが国会にお見えになって、そうして疑惑を晴らされるというのが至当ではないかというふうに私は考えるわけです。にもかかわらず、長官は、私どもにこの問題について弁解されることを拒絶されました。私はこういうことは望ましいことではない。先般来公明党や創価学会の出版妨害問題が問題になりましたけれども、この中で一番問題になったのは、やはり公開の場で対決をしないで、姿勢を明確にしないということが大きな非難の対象になったわけであります。私は、最高裁長官の態度というものはそういう国民の疑惑に答えないという態度であろうかと田口います。この点について、最高裁としては、事態を明確にするという考えがないのかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 石田長官の発言問題につきましては、私がじかに長官からその真意を十分に承って、そうして前回の国会で衆参両院の法務委員会で説明申し上げたとおりであります。国会で長官からじかにその真意を伺って私が申し上げたこと、これが世間に対する一つの真意の表明である、かように考えます。
○松本(善)委員 そういうことであるならば、飯守発言のようなものは出てこない。もし明確になっているならば、飯守発言のようなものは出てこないと私は考えます。 その問題に戻りますが、前回も私は指摘をいたしましたけれども、そうして最高裁のほうも答弁をいたしましたが、最高裁の裁判官が、裁判官の思想について、あなたの思想は間違っておるとかあるいはこういうふうにしなさいというふうに命令する権限があるかという質問をいたしましたところが、事務総長は、そういう権限もないし、それからそういうこともしていないということを答えられました。この点を確かめておきますが、もしそうであるとするならば、一切権限がないとするならば、石田発言というのは裁判官全体の思想に対する干渉ではないか。ある意味においては平賀裁判官がしたことよりも、もっと影響の大きな干渉ではないかというふうに考えますが、その点についてはどうお考えになりますか。
○岸最高裁判所長官代理者 長官としてそのような権限がないということはもとよりであります。しかし、先輩裁判官として、若い人たちに裁判官としてのモラルを説くということは、これは自由に許されてよろしいことじゃなかろうかと思います。
○松本(善)委員 しかも前回長官の言うような、憲法を否定するような裁判官はいないと考えるということをここで答弁をされました。そうするならば、そのようなモラルを説教するような対象の裁判官はいないということです。にもかかわらず、この段階で石田長官が発言をされたというのは、何らかの意図があるというふうにしか考えられない。裁判官全体に対する干渉、こういうふうにしか考えられないと思いますけれども、一体何の意図をもって発言をされたと思いますか。
○岸最高裁判所長官代理者 その発言は決して何らかの意図をもってなされたものではないということは、長官ははっきり申しておられます。ときあたかも憲法週間で、国民全般に向かって裁判官としての心がまえを含めての発言である、かようにお考えいただきたいと思います。
○松本(善)委員 その説明は前回も伺いましたが、全く理解のできないものであります。そういうことでありますので、多くの新聞からも非難をされ、軽率であるということがいわれておるのだというふうに私は思います。 ところで、裁判官の結社の自由の問題についてでありますが、裁判所法五十二条の成立過程におきまして、昭和二十二年二月十二日の枢密院において、当時の木村司法大臣は、裁判官が政党に加入することができるのは日本国憲法に保障する権利であるというふうに答えられました。それから最高裁事務総局の作成いたしました裁判所法の逐条解説によりましても、裁判所法五十二条の解釈として、裁判官の特定政党加入を認めていることが出ておりますが、この見解に変わりはありませんか。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所法制定当時の政府委員としての木村司法大臣の答弁、それから最高裁の資料に書かれていること、それはそれ自体としては、法律論としてはそのとおり現在でも変わっておらないと思います。その問題と裁判官のモラルの問題とは、これは切り離して考えていただきたいと思います。
○松本(善)委員 そうすると、法律論としては何ら変わりはない、こういうふうに伺っていいですね、あらためて。
○岸最高裁判所長官代理者 そのとおりであります。
○松本(善)委員 そういたしますと、政党加入も自由である。それが個々の裁判官の権利であるとするならば、青年法律家協会に加入すること自身も、当然各裁判官の自由な権利ということではありませんか。
○岸最高裁判所長官代理者 それはそれぞれの裁判官の自主的な判断にまつべきものであると思います。先ほど青法協加入の問題がございましたが、これは四月八日の事務総長談話の形式で発表しました公式見解にもつながることでありまして、これは法律論としてではなくて、たとえ法律上は結社の自由はあっても、ある政治的な活動を活発にやっている団体に裁判官が加入すると、裁判の中立性、公正というものを世間から疑われるおそれがある。そういう意味合いからいって、そういう団体への加入は慎むべきである。そういう点をモラルとして説いておるわけであります。
○松本(善)委員 モラルとしてということについては再々伺いましたので、いま私は法律論として伺っておるわけであります。青年法律家協会に加入をするのは各裁判官の権利であり、自由ではありませんか。
○岸最高裁判所長官代理者 それはそのとおりでありますけれども、それによって裁判の公平性、中立性に対し国民から疑惑を招く、そういうようなことは、裁判官の職責からして十分に考えなければならぬことである、そういう趣旨であります。
○松本(善)委員 青年法律家協会に加入しておる裁判官が、これは政治的色彩のある団体ではない、憲法を守るという団体である、憲法七十六条も含めて守るという団体である、こういうふうに考えておる裁判官はもちろんいると思います。また、そうだからこそ入っておられると思います。いま最高裁事務総長のお答えになりましたように、これが裁判官の自由な権利であるとしますならば、最高裁事務総局が青法協に加入すべきではないということを言いますならば、これは裁判官の権利に対する侵害ではありませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 青年法律家協会というのは、客観的に存在しておる団体でございます。いま松本委員のお話では、それは政治的な色彩を持った団体ではないというお考えに立ってのおことばだと思うわけでございますが……(松本(善)委員「そう判断する人もいるでしょうということです」と呼ぶ)ですから、それならば、そうでないということを申し上げたいと思うわけでございます。 御承知と思いますが、青年法律家協会で、毎年こういう「司法修習生歓迎特集号」というものを出しておるわけでございます。それを見ますと、たとえば「二十四期司法修習生歓迎特集号」でございますけれども、「一九六〇年の安保改訂阻止闘争において協会は他の多くの団体にさきがけ五八年から組織的に取組み、パンフレット数万部を作成して「何故安保改訂を阻止しなければならないか」の理論上の正しさを国民大衆に知らせる啓蒙活動」を行なっておる。それからまた「政府が「日本国憲法に検討を加え、関係諸問題を調査審議し、その結果を内閣及び内閣を通じて国会に報告する」という名の下に憲法調査会を作り、」云々として、憲法調査会の報告書を批判し、さらに日韓条約に関する意見書を発表し、日韓条約批准阻止運動を繰り広げた、それから小選挙区制反対の運動を繰り広げた、またベトナム侵略に対しても反対してきた、それから沖繩問題についてもさらに取り組む必要を力説した。そしてまた具体的ないろいろな公害訴訟等についてこれを支援するという活動を展開してきたというようなことをここに明らかにしているわけでございまして、このような団体に加入しているということにつきましては、特にこの具体的な訴訟等の支援にも関係しておるということになりますと、国民から、あの裁判官はおかしいではないか、同じ裁判が出ましても、結果的に正しい裁判が出ましても、そう思われる可能性がある、これは好ましくないということでございます。
○松本(善)委員 私は、いまのお話を聞いておりますと、先ほどの飯守裁判官は、共産党、社会党、総評、全司法、日教組、こういうものは違憲団体だ、これについては一言も非難をされない。そして得々と私の聞きもしないことをいまここで言われるということになると、矢崎人事局長は一体政治的中立性があるのかどうかということをきわめて疑わざるを得ません。 ただ私がお聞きしたいのは——ここで私のお聞きしたいことにお答えをいただきたい。矢崎さん自身が、この委員会において、青年法律家協会がどういう団体であるか、政治的色彩があるかどうかということについては、結局においてその裁判官自身が判断されることなんだということを言われたでしょう。だから、私はここで議論しないわけです。青年法律家協会については、裁判官部会の問題であるとか、いろんな問題があるでしょうけれども、それはとうていここで議論をする時間がありませんからしませんけれども、私がお聞きしたいことは、裁判官が政党にも加入することができる。それは法律上の権利であるとするならば、それを脱会しろということを言うのは、この権利の侵害ではないかという法律論を伺っておるのです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 脱会を勧告して、それに対して何らかの不利益を加えるということになれば、そういう問題の起こる余地もあるかと思いますが、ただ先ほど総長からお話がありましたように、先輩、後輩との関係でどうだと、こういうようないわゆる総長談話の趣旨において話をするという点においては、何ら権利侵害とかそういう問題は起きる余地がない、こう考えます。
○高橋委員長 松本委員、法務大臣の時間もあるから、また機会もあるし、幾ら言っても平行線だからもういいでしょう。
○松本(善)委員 もう少しお聞きしますが、矢崎さんは三月二十日の当委員会で、青法協脱会勧告をさせたことがあるかどうかということを私がお聞きしましたら、そういうことは全くないというお答えでありました。ところが、今月の六月十二日号の週刊朝日によりますと、大量の脱会勧告がやられているような報道がされております。人事局長は、確かに勧告が行なわれているかどうかについて調査をした上でこの間は答弁をされたのですか、その点伺いたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 具体的にそのような調査というものは何もいたしておるわけではございません。
○松本(善)委員 そうすると、国会でかなりいいかげんな答弁をされたというふうに私は受け取らざるを得ない。その点については調査をしてみますとかいう答弁をされるなら別ですが、そういうことは全くありません。そういうことでよろしいのでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 一々そういうことについて完全な調査をした上でなければお答えできないということになりますれば、松本委員の御質問に対しては、これからは完全に調査をした上でお答えするというふうにせざるを得ないと思います。しかし、あの段階においては、まさに私がお答えしたとおり、そのような事実はない、このように思います。
○松本(善)委員 五月八日の委員会におきまして、裁判官の良心の問題について論議をしたわけであります。これは時間の関係で不明確な点も残り、誤解を招くこともあると思いますので、その点をちょっと質問をして終わりにしたいと思います。 裁判官が憲法と法律と良心に従う、この良心に従うということが、裁判が恣意に流れていいということでない、これは言うまでもないというふうに思います。このことは当然でありますけれども、裁判官が憲法と法律に従うということによって、裁判の客観性が保障される、私はそういうふうに思うわけです。そうすれば、裁判官の良心に客観性ということを要求する。この間岸事務総長とこの問題について論議をしたわけでありますが、客観的な良心ということばを使われた。この客観性ということを要求するということになると、客観性の名のもとに、良心に特定のワクをはめるということになりはしないか。これは私は正しいことではないのではないかというふうに考えますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 良心というものにワクをはめようとしてもはめられるものではございません。裁判官は憲法と法律と良心に従ってその職務を行なうというのは、やはり自分のした判決がすべての裁判官に妥当するような判断をせよ、自分の一人よがりの判断ではいけない、そういう意味で客観的ということばを使ったわけであります。
○松本(善)委員 終わります。
○高橋委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————◇————— 午後二時四十分開議
○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡沢完治君。
○岡沢委員 郵政大臣、お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございました。FM東京に関係した問題を質問させていただきたいと思います。こまかい問題につきましては、大臣御退席後、電波局長に残っていただいて質問させていただきます。 このFM東京の問題につきましては、ことしの五月六日の逓信委員会で、中野明委員が質問をされております。なるべく重複を避けたいと思いますけれども、事件の概要を明らかにする意味で、最初にちょっと関連質問をさせていただきたいと思いますが、四十三年の七月九日、もちろん大臣の御在職の当時ではございませんが、郵政省が電波法四条違反で東京地検に東海大学を告発した事件がございます。この告発事件はその後どうなっているのか。簡単でけっこうでございますが、これは大臣からでなくてもけっこうです、それから法務省のほうの扱い、東京地検のほうの扱い、お尋ねいたします。
○井出国務大臣 郵政省側の告発はまだあのままの形でおるわけでございます。と申しますことは、東海大学側は非を認めて、その後は郵政省の行政指導に従ってずっとやってきておるものですから。それはそれでいいとしましても、こちらのほうもどうケリをつけるか、これは検察当局におまかせしたというかっこうでございます。本来ならばもうちょっと早く結末が出るのでありますが、私の聞いておるところでは、担当検事さんがちょっと御病気というふうなこともおありになってそのままだ、かように聞いております。
○岡沢委員 いま郵政大臣から、告発はそのままであって、担当検事等の都合で事件はそのままになっているということですが、法務省、東京地検のこの告発事件の処理状況をお尋ねします。——おられませんか。それではけっこうです。 ちょうどいま法務大臣が御出席になりましたが、法務大臣が郵政大臣当時の告発事件であります。大臣も耳を傾けて聞いていただきたいと思います。 この告発事件は、おそらく刑事訴訟法二百三十九条の官吏または公吏の告発義務に基づいて、犯罪ありと思料して私は告発をされたと思われますが、そのとおり間違いありませんか、郵政大臣——当時の郵政大臣でもけっこうです。——では時間が十五分ですから、中心じゃございませんので……。おそらく、郵政省が学校法人である東海大学を告発される、それだけの理由がなければ絶対にそういう軽率なことはなさらないと思うのです。当然いわゆる電波法四条違反の容疑が明確であるという御自信があってこその告発だろうと思います。もちろんこれに対しては東海大学からは名誉棄損並びに誣告ということで逆の告訴等もあったようであります。あわせまして民事の行政訴訟もあったようでありますが——裁判所おられますか。この東海大学に関連した民事訴訟はどういうふうな結末になったか、簡単でけっこうですが、お尋ねいたします。
○三好最高裁判所長官代理者 この訴訟は、昭和四十三年行第一三一号、郵政大臣の免許拒否処分取り消し等請求事件と申すものでございまして、昭和四十三年七月十五日に訴えの提起がございました。十月二十五日に第一回口頭弁論記述を開きましたが、翌十一月二十日訴えの取り下げがありまして終了いたしております。
○岡沢委員 訴えの取り下げの理由等が、裁判所でわかっている範囲でけっこうでございますが、もしわかっておりましたらお尋ねいたします。
○三好最高裁判所長官代理者 訴えの取り下げ書によれば、当事者間において善後措置に関し了解を遂げましたということが書いてございます。
○岡沢委員 郵政大臣に、FM東京が免許になりましたいきさつ、特にFM東京の代表取締役の中にいま私が指摘いたしました東海大学の理事長の方もおられます。当時の理事の方が二名も代表取締役の中に入っておられるわけなのです。また、電波法五条によりまして電波関係の免許の欠格事由というのがございます。その五条の第三項の一号でございますけれども「この法律又は放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」というのがございます。もちろんこれは裁判によって確定したものをさしていることは言うまでもございませんけれども、この電波法違反の容疑できわめて珍しいケースだと思いますけれども、郵政省が告発になられた被疑者の学校法人を代表される理事長の立場の方が、新しく免許されるFM東京の代表取締役の一人になられ、しかもほかにまだ二人も同じ告発の対象の学校法人の理事の方が名を連らねられる。FM東京免許に至るまでの申請の経過等につきましては、詳しくはあとで局長以下にお聞きいたしますけれども、簡単に、私の承知しております範囲で申し上げますと、最初六十六社からの申請があり、それが三十一社にしぼられ、さらに三十一社から最後はFM東京一社にしぼられたわけですが、そのしぼりにしぼられた最後に残った一社の代表取締役の五名の中の三名までが免許の欠格事由に少なくとも該当する容疑者であるということについてはきわめて不明朗なものをわれわれとしては感ぜざるを得ない。電波が国民のものであり、きわめて公共性の強いものであるということも、私がここで指摘する必要もないと思います。また放送局の開設の根本的基準というのが省令としてあるようでございますが、それによりましても「第三条から前条までの各条項に適合する放送局に割り当てることのできる周波数が不足する場合には、各条項に適合する度合から見て最も公共の福祉に寄与するものが優先するものとする。」公共の福祉ということが要件としても前面にうたわれておるわけであります。また放送といたしましても、結局は運営するのは人であります。その人の選択に、よりもよってきわめて異例な、電波法違反を犯したと疑われる対象に——客観的な条件もそろって告発に踏み切られたと思いますが、その対象の方を選ばれたということにつきましては、国民の立場からして全く納得できないという感じがするわけでございます。この点につきましては郵政大臣も五月六日の逓信委員会における質問にお答えになりまして、自分としても電波行政全体を洗い直して十分に慎重に検討したいという趣旨の御答弁がございます。それから一月以上経過しているわけでございます。御検討いただいたと思いますので、FM東京免許にからむ疑惑について、国民の前に、さらにまた私の質問に対して納得のいく御説明がいただけたらと思います。
○井出国務大臣 御質問は若干技術的なあるいは専門的な面がございますから、その面を最初に電波監理局長からお答え申し上げまして、あと私が御説明をいたします。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 東京地区におきます超短波放送の特質を生かした放送を行なうという申請を行なっていたものは三十一社でございまして——初め先生がおっしゃいました六十六社のうちに、いわゆる超短波放送の特質を生かした放送ということでチャンネルプランに適合いたしております申請人は三十一社でございます。残りの三十五社というものはそのままあるわけでございまして、これは一本化したというものではございません。したがいまして、三十一社というものが免許の対象になったわけでございますが、それにつきましては、いま先生がおっしゃいましたような根本基準その他の条項を照らし合わせてみたわけでございますけれども、公共性がより高いという点につきましては、私どもとしましては判定が非常にむずかしいということでございまして、この一本化をお願いしたということでございます。したがいまして、一本にしぼったといいましても、三十一社をまとめて一つのものにしたという形でございます。たまたまこの中に御指摘の学校法人の東海大学の役員が三名加わっていたということでございます。 郵政省といたしましては、一本化の経緯、それから東京地区の多数の住民の超短波放送局開設の熱望といったものを勘案いたしまして、しかもこの東海大学といったものが当時電波法令に対する理解が不十分なために不法運用を行なったことはございますけれども、その後私どもの行政指導といったものにもよりまして違法運用といったものはすでに停止をしている。しかも停止をしてから一年以上もたっているということでございまして、その間、特に違法な事実もないというわけでございますし、また役所の方針というものにも協力していくことを表明されていることも合わせ考えまして、この一本化した申請というものに予備免許を付与するということに相なったわけでございます。 もちろん、先ほど先生の御指摘にありました電波法は、「この法律又は放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」及び「熱線局の免許の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者」が役員である法人または団体には放送局の免許を与えないことにはなっておるわけでございますが、御質問の方々はこれには抵触していない、そういうふうに解釈したわけでございます。
○井出国務大臣 大体いまお聞き及びのとおりでございまして、少なくとも申請の書類その他、これを検討いたしました結果は抵触をしておらないという判断に基づいた次第でございます。
○岡沢委員 まっ正面から電波法五条の欠格事由に該当するということを私は指摘しているわけじゃないわけです。ただし、公共性が要求され、また最も公共の福祉に寄与するようにという設置の根本基準に照らしましても、ことに情報化時代の最先端を行く放送局の認可ということについては、国民の疑惑の存しないように、最も明朗な形で免許があってしかるべきだと思う。どの方に免許を与えるのが公共性が高いか、非常に大きなむずかしい問題であることは十分承知いたしますけれども、少なくとも電波法違反で告発の対象になったという方を、よりによって、しかも五名中三名まで、さらにはその代表取締役のほかの中には、いわゆる電波の複数局支配の排除というのに若干触れると思われる方もおられるわけなんで、不明朗あるいは国民から見て疑惑きわまる、あるいは違法ではないかもしれませんが不適当としか思えない、不適確であるとしか思えない方に東京におけるただ一つのFM放送の免許を与えられる、どうしても私は納得できないし、これがほんとうの国民のための電波行政のあり方かということについて疑問を感ずるわけです。単に違法でないから、法律に触れないからというのであれば、これはもうだれにまかそうとかってじゃないか、ほんとうの意味の行政も政治もないわけで、私は電波法の精神、設置の根本基準は何のためにあるかといわざるを得ないわけでありまして、重ねて大臣の見解を承ります。
○井出国務大臣 先般衆議院の逓信委員会において中野委員にお答えいたしましたことは、岡沢さん御承知のとおりであります。そのときも申し上げましたとおりに、確かに御指摘になるような点は十分注意をしなければならぬ、こういうことは私も申し上げましたし、さらに今後にわたってこういう問題を総ざらいをいたしまして、そして適切なる措置を講じたい、こういう答弁をいたしたわけでございます。 先ほど、それから一月もたって、もう何らかの結論を示すべきだとおっしゃいますが、十分念を入れてただいまそういう点を検討しておる、かように申し上げまして御了承を得たいと存じます。
○岡沢委員 約束の時間でございますので大臣は御退席をいただきたいと思いますけれども、あやまちを改むるにはばかることなかれということばがございます。大臣の直接の御就任の時期に仮免許があったわけではありませんが、免許は大臣が御就任になってからでございます。また幸か不幸か、お隣の法務大臣が郵政大臣当時の告発の対象者がFM東京の代表取締役の中に三名おられるということも含め、これは三名であるか二名であるか一名であるかということについては問題があると思いますが、数だけの問題じゃない。大臣もそうおっしゃった。ぜひこれは、国民が納得するあるいはまた関係者が納得する形、そうしてまた法の精神あるいは電波のあり方が、もっと公共的に活用されるという方向で、勇断をもって善処していただくべきではないか。電波法にもいろいろ取り消しの規定もございます。こういう条文の活用等も考えていただいてしかるべきだし、あとで、大臣御退席後、時間をいただきまして、局長その他にこのFM東京免許に至る手続的な問題点につきましてもただしたいと思いますけれども、一本化された申請が十二月十七日に出されて、これは選挙の最中でございまして、所管大臣も選挙運動におそらく走り回っておられた時期に、十九日には結論が出て仮免許が与えられている、時期的に見ましても非常に問題をはらんでおる、手続上の問題等もあるわけであります。その他の点につきましては、こまかくは大臣御退席後に関係者に詳しくただしたいと思いますが、大臣もぜひあとで速記録等を御検討いただきまして、私の質問の趣旨を生かしていただいて、電波行政について国民が納得する処断をいただきたいとお願いして、この問題についての郵政大臣に対する質問を終わります。
○高橋委員長 それでは、法務大臣が時間の制限があるから、法務大臣に対する質問に入って、畑和君。
○畑委員 それでは午前中の残りの問題、法務大臣に対する質問、少年法の改正の問題についてお伺いいたしたい。 実は大臣がおられませんでしたので、最高裁のほうでは午後差しつかえがあるということでございましたから、あのあと引き続き最高裁のほうにも少年法の問題についてお尋ねをいたしたのであります。その少年法の改正の問題はずいぶん前から法務省と裁判所の間において見解の相違があって、対立のまま今日まで参っておる。法務大臣が新たに就任されるたびにこの問題が提起されて、結局両者の意見が合わないでそのままになって今日まで参ったのでありまして、特にその中では、昭和四十一年の法務省の構想、それに対する最高裁のほうの見解、こういったものが、大体最近の両方の立場の総合した考え方の相違として一番クローズアップされていることだと思う。そこで、一たん消えかけたこの少年法の改正の問題がまた、小林法務大臣が御就任になってから、この問題についての改正をしたいということで動き出したようでありまして、また法律の名前も、小林法務大臣の構想によると青少年法にしたい、例の少年の年齢の繰り下げ、十八歳未満にするというようなこと、さらにまた十九歳、二十歳の者を青年と呼んで、あわせて青少年法と、こういうふうにしたい。それで基本になる点は、大体いままでの構想と似たり寄ったりでありましょうが、ただ、その十九歳、二十歳の者、いわゆる年長少年、これの扱いを新たに青年という形で持ってきて、そして、ただ年齢を十八歳まで引き下げるということでなくてそこに新しい考え方が入っておるというのが、今度の法務大臣の考え方ではなかろうかと思うのであります。 ところで、最初、そもそも少年法の改正、特に年齢点の引き下げというものと、それから検察官先議の問題という問題が非常に基本的に根底になっておるわけでございますけれども、その最初の議論が非常に沸騰したころには、少年犯罪が非常に多い、しかも特に年長少年において非常に多いというような状態でございまして、主要な刑事犯罪あるいは刑法犯罪、あるいはまたさらに凶暴犯、こういった凶悪犯というものが少年に非常に多いということで、いままでのようにただ少年の保護を優先させるということでは、社会から犯罪というものを除くという観点、社会を防衛するというような観点からは、いままでの少年法では不十分である、少年であろうが何であろうが、犯罪たるには変わりはない、社会防衛の点から考えると、いままでの少年法というのは少年の保護を優先させ過ぎてはいないかということが、法務省側の所論であったと思うのであります。ところが最近になりまして、少年犯罪が前よりも比較的割合が少なくなってきておるような状況である、さらにまたいわゆる年長少年の犯罪も、これまたずっと下降線をたどっておる、こういうようなことでありまして、この点は裁判所の意見も、やはりそういう点からも考えて基本的な点はどうしても譲れない、こういうような御意見でございました。ただ、お互いに両方とも意見が一致する点、検察官の立ち会い権とか、あるいはまた国選付添人の問題だとか、あるいは検察官の抗告権の問題、それからさらにまたいろいろな保護のやり方の態様をもっともっとその事態に応じて、その少年の状況に応じて、もっといろいろな種類にすべきである、いわゆる犯罪少年の処遇の問題をもっと適切にいろいろな種類に応じてやるべきだといったようなこと、こういう点についてはお互いに一致する、だからこういう点だけは改正をするのも賛成であるけれども、検察官の先議とか年齢引き下げというようなことについては同意しがたい、こういうような御意見でありました。 そこで、先ほど申し上げましたような少年犯罪の減少の傾向、こういうものとにらみ合わせてまいりますと、法務省の考え方は、一時はそういう点が大いに世論的にも強調されてまいりましたけれども、最近のようなそういった統計から推してまいりますと、現在の少年法でいいのではないか、かように私は考える。しかし法務大臣もこの点について新たに、いままでの法務大臣の提案、それからさらにそれに加えて、青少年法と銘を打って新しく構想されたわけでありますけれども、どうしてもこれをやりたいというようなことであるとすると、その辺はどういうことからでありましょうか、その点を承りたいと思います。
○小林国務大臣 この問題は前にも論議されたことがありますが、相当長い間いろいろな御相談をしておる、こういうことでありまして、私自身は、年齢引き下げということに非常に重要な関心を持っております。いまの少年の絶対犯罪数が減っているとかあるいは横ばいだとか、こういうことはありますが、やはり犯罪の比率というものは成年に比べて非常に多い、こういうことはいまでもそのとおりでございます。それで、これは最高裁と法務省との意見の相違があるということは、前からも御承知のとおりでありますが、ただ相対でどうだどうだ、こう言っているよりは、もっと公の場でひとつ十分に論議を尽くしてみたらどうか、こういうことでありまして、私も世間の方々、一般の方々にもお聞きしておりますが、年齢を引き下げて青年層というようなものをつくることに対しては、非常なたくさんの賛成者があるのでありまして、——これは全部が反対ならば問題になりません。相当多数の方が賛成しておるというのを、私もいまそういうことを認識しておるのでありますから、とにかく一定の場で十分ひとつ論議を尽くしてみたい。いままでのようなやり方で、最高裁と内輪話をしておったって、これは一向らちもあかない。こういうことだから、私は、実は、この十五日には一応の法務省の案を法制審議会に諮問する、こういうことをきめて、その用意をいたさしております。そこで十分に、それぞれ弁護士も裁判関係もみんな出ておるから、論議を尽くしたらどうか。要するに、公の場でひとつ論議をやってもらいたい、そうして、その様子を私は見たい、こういうことでありまして、いまのように、お話し合い、同意のできたものをまずやるか、こういうことも一つの考え方でありますから、何でもよいことをやったほうがよいので、話がついて、これがよいというなら、その部分を実施することも適当であるし、私は、年齢というものに非常に大きな関心を持っておりますが、とにかくこれについてひとつ論議をしてみたい、こういう趣旨でございます。いま申すように、話がつくいいことがあれば、それは早く立法化することもあり得るということでありますが、現段階においては、私が申し上げたいのは、こそこそということばは語弊がありますが、公の場でもってひとつ十分論議を尽くしてもらいたい、こういう趣旨で、法制審議会で協議してもらう、こういう考え方をいたしております。
○畑委員 まあいろいろ制度いじりも、必ずしも悪いとは申しません。悪いところは改めるということでけっこうではございますけれども、しかし、いまの法制上担当いたしておりまする裁判所、これが基本的な点で反対をしておるというのであるのに、その間の話し合いをつけずに、また、弁護士会も大いに関係があると思いますが、こういうところ——要するに、法曹三者の意見を十分聞いて、それからでも私はおそくないと思うのです。法制審議会というものは、私は、これは一種の政府の隠れみののような感じがいたしておる。ここにかけたら、とにかく政府の意に沿うような答申をするのが普通になっておるような感じがするのでありまして、これにかける前に、一体どうなのかということで、この問題こそ裁判所は扱っておるんでありますから、裁判所と十分に協議をして、その上で法制審議会にかけるべきだというふうに思います。なるほど、法制審議会の中にはいろんな人たちがおります。弁護士出身の方もおりますれば、裁判官出身の方もおりましょうし、検事出身の方もおりましょうし、学者もおりましょう。いろいろたくさんの方がおられまするけれども、私は、ともすれば政府の隠れみのになるような傾向がいままでは強かったと思うのでありまして、ここへかけたが最後、やはり政府の意に沿うような答申になりがちだということが私は心配されるのであります。この点は、最高裁等では相当基本的に反対をしておるようでありまして、十分その辺を考慮してもらって、慎重な措置が望ましいというふうに考えるものでございます。その点はいかがお考えでありましょう。
○小林国務大臣 これはもうお話しのとおり、慎重に扱わにゃならぬ。したがって、私はほかのことではえらい歯切れよく、この法律を次の国会に出しますということをいろんな機会において言うておりますが、この問題についてはまだ次の国会に出すということを言うておりません。十分にひとつ審議をしていただいて、その結果を見たい、かように思っております。
○畑委員 なかなか大臣はやり手ですから、だから、盛りだくさんにいろんな構想を考えておられるのですけれども、この少年法の問題は相当重要だと考えてのせいか、まだこれを今度の国会に出すというようなことは言っておらぬ、それだけ慎重なんだ、こういう御説であります。ともかく、非常に大きな問題でもありまするし、その辺のことを十分に配慮をしてやっていただきたい、かように要望いたします。 そのほかの問題につきましては、前に質問いたしましたから、私は、大臣にはそれだけの質問にとどめまして、あとお二人に質問していただきます。
○高橋委員長 岡沢君。
○岡沢委員 自席から質問させていただきます。 いま、少年法の改正については、来国会に出すということは約束してないというお話がありましたが、大臣は自分で、歯切れがいいので、出すものは出すということを言っておる。すでに監獄法の改正の問題、公害罪の問題については御発言がございました。この二つは来国会、通常国会にお出しになると考えてよろしゅうございますか。
○小林国務大臣 いまの監獄法の問題は、もう相当に用意が進んでおりますから、私がかわっても、必ず提出されるだろうというふうに考えておりますし、公害罪の問題も、非常にむずかしい立法でありますが、これは前の通常国会でも私は言明をいたしております。総理大臣も、これは次の国会に出したい、こういうことを言明されております。私どもはその準備を進めておって、十分に提出できる予定でおります。
○岡沢委員 この機会に、それでは来国会の——来年のことを言ったら笑われますけれども、ことしの末から始まることでありますし、例の航空機奪取罪はさきの国会で成立いたしました。そのあとシージャックの問題が起こりまして、いわゆる人質利用犯罪について法の整備が要求されている。これは、シージャックの問題のときに、当委員会でも御答弁がございました。このシージャック関係を含めた人質利用罪の法体系の整備について、改正の案をあるいは特別立法を来国会にお出しになる御用意があるかどうか、お尋ねいたしたい。
○小林国務大臣 これは、法務省としては、前にも、船を入れたい、こういう希望をここで申し上げたこともありますが、国会方面のいろいろな御意見で、一応削除した。しかし、その後ああいう事件も起きておるし、いまお話しのような人質問題等も、特別法で措置すべきだ、こういう意見が出ておりまして、その検討はいまいたしておりますが、私自身まだ内容等も十分伺っておりません。したがって、これからきめようと思いますが、まだ私自身としては、その内容等についての報告を受けていないし、自信を持っておらぬということでございます。国会方面の御意見もあり、そういう運びにいたしたいということは考えておりますが、まだ私自身は、いま申すように十分な自信を持っておらぬ。どういう形にしたほうが一番よいかということについても、まだそういう考えはまとまっておらぬ。しかし、事務当局にはこれを検討してもらっております。
○岡沢委員 それでは、例の商法改正、監査法人等の問題と結びつけまして、大企業の監査制度との関連がございますが、すでに反対運動等も一部にございますが、商法改正についての今後の法案提出の見通し等についてお尋ねいたします。
○小林国務大臣 実は、いまの民法の根抵当の問題あるいは商法の監査制度の問題、これらについては、法制審議会を通過しておるということは御承知のとおりでありまして、普通の形においては出すような用意はいたしておる。ただ、監査制度の問題につきましては、いまいろいろ反対があります。税理士あるいは計理上等から強い反対があるが、その反対が非常に妥当なものであるかどうかということについて、私はまだそこまで考えが至っておりません。しかし、いまの会社その他財界においてどれだけこれを高く評価しておるか、また一方、反対はどれだけ正当な理由があるか、これらについてはもう少しひとつ見きわめたい、かように考えております。しかし普通の場合においてはこれは提出の用意ができておる、こういうことを申し上げておきます。
○岡沢委員 例の入管法の問題につきましては、大臣御就任前の国会ではきわめて重要な法務委員会の法案の一つでございました。新聞等では、この前に終わりました六十三国会でも小林法務大臣は御提案の意向があるというふうに伝えられたこともございました。入管法の改正について来国会の御方針を承りたいと思います。
○小林国務大臣 これは実は前通常国会にぜひ出したいと、私も相当強く閣内においても主張いたしたのでありますが、いろいろの御都合で提案に至らなかった。しかしその前の国会で、御承知のようにある程度国会側の御希望、修正意見等もあった。これは法務委員会の一致した意見にはならなかったが、ある程度了解された点もある。これらのことを参酌いたしまして、できるだけそれらの希望を入れた修正をいたしております。その上でひとつ次の国会においてはぜひ提出いたしたい、かように考えております。
○岡沢委員 最後にこれから御質問申し上げようとする、午前中畑委員が御質問になりました法曹一元化の問題に関連した法曹養成制度の改正について、来国会御提案になる御用意がございますか。新聞等では総理の了承も得られた、けさの御答弁では検討という非常にばく然とした範囲の御答弁でございましたけれども、新聞等ではやはり法務大臣の御発言の真髄と申しますか、中身の中心は法曹養成制度に関連して、判検事と弁護士の養成機関を分離するというのが中心だというふうに報じられましたが、この方向での改正を来国会に予定しておられるかどうかお尋ねいたします。
○小林国務大臣 けさ申し上げましたように、総理大臣には、いまの改正の内容あるいは手段、方法、こういうものについては何も申し上げておりません。ただこれは再検討すべきときである、したがってそのことをひとつ了承してほしい、こういうことを申し上げたのでありまして、内容等についてはこれからわれわれも、けさ申したように関係の向きと十分相談をしなければならぬ。弁護士会にも御意見がありましょうし、最高裁にも御意見があろう。こういうことでありますから、これらの方々と十分協議の上でひとつ考えをまとめたい、かように考えておりますから、これまたこの際、次の国会にはひとつぜひ出しますというふうなことを言明するような時期ではいまありません。
○岡沢委員 それでは、この最後の問題に関連した五月の下旬の法務大臣の御発言あるいは午前中の御答弁とも結びつけて、法曹一元制度についての法務大臣の見解を聞くわけでございますが、最初に、法務大臣は、けさ畑委員の質問に答えられまして、弁護士と医者とを結びつけられまして、自由業だという御定義がございました。それを否定するわけじゃございませんが、弁護士の職責ということについて法務大臣はどのように理解しておられるか、お尋ねいたします。
○小林国務大臣 弁護士も公共的な仕事をされておる、こういうふうに思います。
○岡沢委員 ここで法務大臣にあらためて御認識をいただく意味で、弁護士法の第一条に、弁護士の使命いうのがございます。「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」弁護士法の第一条のトップであります。「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」私も、午前中御質問なさった畑委員も、隣の松本委員も弁護士ではございますけれども、単にこれをいわゆる生活の手段としての職業だというふうには理解しておらないわけでありまして、法務大臣が御指摘のように、公共的な責任というものを弁護士法上も義務づけられておりますし、われわれもまた弁護士の職務を通じて基本的人権の擁護あるいは社会正義の実現ということに大きな責任を感じております。そういうことを考えました場合に、けさの法務大臣の御答弁の一つの柱でありましたせっかく司法修習生となり修習を終わった人たちの大部分が判検事にならないで弁護士に就職をしていくというところに問題点があるという御指摘は、長期的に見た場合あるいは国家的なあり方を考えた場合に、税金の浪費その他近視眼的な面からの非難は必ずしも私は当たらないと感ずるわけでございますけれども、これについてあらためて大臣の見解を聞きます。
○小林国務大臣 私はもう弁護士法に書いてあるような姿でありたいと心から願っておるわけでありますし、また弁護士各位もそのとおりおやりになっておるだろう、かように私は思います。しかし、私もけさしまいに、やはりいわゆる公務員ではない、こういうことは言われると思うのです。従前医者も弁護士も、大体自由業と同じような考え方を世間一般は持っておったのでありますが、しかしとにかく、いわゆる形式的な公務員でないということはおわかりと思うのであります。さようなわけでありまして、私も法曹一元化ということがどういうことかということは、もうお話しになったとおりでありますが、過去二十年の経験に照らしても、その趣旨が実現されておらぬ。一体将来実現されるかというと、将来もこれはなかなかむずかしい問題である。 実は最近日弁連の会長が私のところにおいでになりまして、弁護士を幾らでも判事に採用したらよかろう、こういうことを言いますが、それについてはいまの待遇じゃ困る、弁護士がなるなら三十万円、五十万円出してくれなければ困る、ほかの判事はいまの状態でいいが、弁護士から行く者はそうしてもらわねばならぬ……。こんなことを言われたって、とうてい実現性のない問題。要するに判事は弁護士からなろうが何からなろうが、やはり同じ接遇、待遇、処遇でなければならない、こういうふうに思います。実際問題として、たとえば修習を終わって弁護士を五年なり十年習熟されて判事になっていただこうと思っても、いまの制度ではこれは無理です。弁護士から行った者だけ月給を上げろ、そんなことを言われたって、それだけの話です。判事が非常に不足で困っておる、こういうことになると、六十以上の人は幾らでも出しましょう、こういうことまで会長は言われておる。それではどうも法曹一元化なんという問題と縁のないことで——縁のないというか、遠いことで、私どもは修習生を問題にしておるわけでありますから、いまの弁護士会長のおっしゃるようなことは私は納得できない。すなわちせっかくの法曹一元化もなかなかこれは定着しない、こういうふうな見通しをつけるのは早いかおそいかは別問題でありますが、私はそういう見通しをつけておる。おまえ間違いだといえばまた考えまするが、そういうことであります。
○岡沢委員 ある弁護士が、弁護士出身の判事に特別の待遇をせいとおっしゃったというようなことも信じられないことでありますけれども、私は裁判官あるいは検察官の希望者が少ないという事実につきましては、確かに問題点があろうと思う。それの解決策には当然弁護士が考えらるべき課題だと思います。特に、いま大臣のほうから処遇の問題がございました。私は当然弁護士からも喜んで裁判官になれるような処遇と、そしてまた社会的な地位、これは裁判官全体に与えられるのだというふうに考えます。あるいはまた、いつかもこの法務委員会で問題にさせていただきましたが、原告官としての刑事公判の立ち会いは弁護士でも十分まかなえるのではないか。前にも指摘いたしましたように、前検事総長の井本氏も退任をする最後のことばとして発言をされております。また、私の知っております最高裁の現在の判事の中にもこの意見に賛成の方もおられます。おそらく弁護士会も反対すまいと私は思います。検察官の不足を補う道としては、一つの検討する方向ではないか、また判検事を通じて、いま申しました処遇の問題その他で、修習生出身者に弁護士希望が多くて判検事希望が少ないという問題につきましては、私は解決策があろうと思います。法務大臣の頭のどこかに、けさのおことばにもございましたが、法曹一元は理想ではあっても実現性に乏しい、法曹一元に対する疑問というものがあるのが偽わらないお気持ちではないか。けさの畑委員の質問に対しましても、現在の制度はいい姿とは思わないという御発言もございました。もちろん一つの制度で長所ばかりを持って短所のない制度はございませんけれども、しかし法曹一元あるいは現在の司法修習制度が世界に類を見ない、むしろ長所の多い制度だということについては、法曹界だけではなしに識者の多数が支持されるところではないかと私は思うわけであります。たまたまいわゆる青法協の方々の動きその他と関連して近視眼的に、税金の使い方から、民間の職業である弁護士に国が給与を払って養成するということについての疑問点とか、素朴なあるいはきわめて小さい視野からの疑問点を代弁されたのが法務大臣の御見解ではないかというふうに感ずるわけでございますけれども、もう少し長期的あるいは大局的な立場からこの法曹一元の有利性と申しますか必要性と申しますか価値と申しますか、見直していただくべきではないか。裁判一つにいたしましても、優秀な弁護士がいなかったら、在野法曹の協力がなくして、どうして公正な裁判ができるか、特に民事裁判に限って考えてみても、それは明らかであります。 また法曹一元の一つのあり方として、これは最高裁のほうに法務大臣がおられないときに御意見として申し上げたわけでありますけれども、いまの日本の法曹一元の制度が、司法試験の一本と司法修習に始まって、最後は判検事の方々も弁護士で終わられるという姿でありますけれども、これを逆にむしろ弁護士、検事が将来は裁判官で終わる、終着点は裁判官だというのが、裁判官の職責の中身からいたしましても、あるいは年齢的な配慮あるいは裁判が社会現象についての最終的な見識を判断の基礎に必要とされるというようなことから考えましても、きわめて必要ではないか。そうすると、そういう方向に将来行くように、先ほど御指摘のありました処遇の問題あるいは社会的な地位の問題等について考えるべきではないか。 また、これも法務大臣おられないときに最高裁の方に見解を聞いたわけでございますけれども、現在の実態のように最高裁の判事をやめた方が一弁護士にかえられまして、弁護士会に登録をして、地裁や簡裁で訴訟事務に携わられる、あるいは検察庁に出入りをなさる。これは国民の法に対する、司法に対する、あるいは最高裁判所に対する信頼から見ましても、決して好ましいことではない。そういうことを考えました場合に、最高裁判事には一生、国家的ないわば相談役にふさわしい、あるいは前最高裁判事の肩書きにふさわしい処遇と地位が与えられるような方向で法改正をする。それによって、優秀な裁判官の最終のところが最高裁の判事であるということをきめつけるわけにはいきませんけれども、あるいはそれも最高裁あるいは裁判官全体の地位なり職について国民が理解をし、法曹の権威を高める一つの方法ではないか。この裁判官、検察官の不足を補うという問題に、欠陥だけを取り上げるならば、制度上あるいは運用上検討をして是正できる点があるのではないか。ここで法曹一元の基本的な制度を、非常に失礼でありますけれども、いわば単に思いつき的に発言をされる。言論の自由は法務大臣にもあることは十分わかりますけれども、しかし一国の権威ある法務大臣が軽率にこの基本的な問題について発言をなさるということについては、与える影響が大きいだけに私はいささか問題があろうと思うわけでございます。私のこれらの見解についての法務大臣の意見がありましたらお答えいただきたいと思います。
○小林国務大臣 これは裁判官で終わる、こういうような方法がとれれば私も一番いいと思います。よその国もそういうことをいたしております。裁判官というのは一番権威のあるものだから、また弁護士になってやるということは必ずしも好ましくない。ところが、いまは逆流の状態しかなくて、弁護士からそちらへいくことはできない。私もきょう調べさせたが、もう修習生も二十四期か何か出ていますが、弁護士から検事になる人は一年にせいぜい一人です。裁判官のほうは、お伺いしましたがお知らせくださいません。どうせたいした数ではないからだと思いますが、そういうようなわけで、これらがああいう修習制度ができたような趣旨に沿うように、運営が少しでもそういう方向に向かっているということになれば、私も非常にありがたいと思いますが、そういう方向に向かっていないということがとにかく現状でございます。この問題は非常に重要な問題であるから慎重に扱わなければならぬと思いますが、しかしこういうことがやはり世間でいろいろ論議されることも私は一つの行き方じゃないかというふうに思いまして、これがさっき申すようにみんなが反対なら問題になりません。やはり相当多数の賛成者があるからして、こういうことを論議してみたらよかろうということでやっておるのであります。慎重に扱うべきだという御意見、また裁判官の処遇というようなことについては私も同感である、こういうことを申し上げておきます。
○高橋委員長 岡沢君、時間が来たのと、まだ松本君の質問がありますから……。
○岡沢委員 私はいままであまり時間は破ってないつもりなんです。
○高橋委員長 五分間の約束が五十分くらいになったのです。きょう大臣に対する質問はあなたは五分の約束だったのだから。
○岡沢委員 それではあと二、三問簡単にいたします。よろしゅうございますか。 法務大臣は、けさの畑委員の御質問に対して、いわゆる分離修習といいますか、判検事と弁護士の修習を分けると新聞で報じられた御発言は、これはそういう見解もあるということで、大臣自身の見解ではないという御趣旨の御答弁がございました。そう解釈してよろしゅうございますか。
○小林国務大臣 実はこんなことを申し上げてはどうかと思いますが、いま検察長官会同にもこの問題が提起されて論議されております。いまのような分離論、こういう意見を強く述べられた方もあるということを申し上げておきます。それから私もどちらかと申せば、根本的な改革ということになれば、やはりそういうことが考えの一つになるであろうというふうに思っております。しかしけさ申し上げましたように、これらのことは最高裁その他とも十分協議を経なければ、法務省としての意見もまだできない。私は実は、何とかしてこの七月一ぱいくらいに大体のこういう意見が出ないものかということを事務当局に指示をいたしておりまするが、まだわかりません。
○岡沢委員 この改革が必要があるかないかについて、けさの畑委員に対する答弁では、最高裁とも十分話したい。けさの答弁には日弁連がなかったわけです。先ほど私の質問に対しては、弁護士会とも相談するというお話がございました。こういう司法制度の根幹に関する問題について、法曹三者の一つであり、員数からいたしましても果たす使命からいたしましても、必ずしも裁判所、検察庁と比較してその責任が狭いとは言い切れないこの弁護士会の意見を十分聞く機会を持たれるべきだと思いますけれども、法務大臣の御見解を聞きます。
○小林国務大臣 先般日弁連の会長、副会長大ぜいおいでになりまして、いろいろお話がありまして、自分らに聞くか、それは聞くこともあるが、しかしこういう問題が提起されているから、弁護士会としても進んでひとつ御意見を出されたらどうですか、こういうことを申し上げておきましたから、お出しくださると思っております。
○岡沢委員 これで終わりますが、私から指摘するまでもありませんけれども、臨司の意見書その他を通じましても、法曹全体に共通の使命を持つ、そしてまた法曹一元のメリットと申しますか、お互いに他を知り合う、職業を通じて人間的にも知り合う、あるいはよくいわれます純粋培養的な弊害が裁判官、検察官にあった場合の悲劇ということを考えました場合、この司法修習制度が日本の法曹全体のレベルアップに果たしておる大きなメリットも私は否定できないと思うのです。そういう意味からも、けさ畑委員からもやはり大局的な立場に立っての見解をぜひくみ取ってほしいという御発言がございましたが、私はそれこそ司法制度の根幹に触れる問題で、法務大臣がおっしゃるように論議をすること、批判することを拒否する気持は全くございませんけれども、きわめて慎重を要するし、しかし大臣のお立場がお立場であるだけに、私はより大局的な視野から御判断をなさるべきではないか、単に目先の青法協対策その他から結論を急がれる問題ではないという見解を申し述べまして、この問題についての私の質問を終わります。
○高橋委員長 松本君、ちょっと。 松本君の質問は、いずれまたチャンスがありますから、きょうは十分という約束だったのと、井野君が飛び入りで五分間くらい質問したいということですから、大臣は一時間だけれども、もう一時間を突破しましたから、なるべく簡単に……。あなたのあれはあと一人舞台だからまた幾らでもやれるから、きょうはひとつ簡単に頼みます。 松本君。
○松本(善)委員 法務大臣に最初に、当委員会の出席の問題が朝理事会でだいぶ問題になりましたので、あらためてお伺いしておきたいのでありますが、憲法六十三条によりますれば、国務大臣は、答弁または説明のために国会に出席を求められたときは出席しなければならない、憲法上の要請として大臣の国会への出席というのはきわめて重要な職責になっておるわけであります。大臣がこの国会への出席という問題についてどう考えておられるか、最初にお伺いしておきたいと思います。
○小林国務大臣 要請があれば出席すべきである、こういうふうに思っております。
○松本(善)委員 そういう木で鼻をくくったような御答弁であれば、もうちょっと詳しくお聞きしたいのでありますが、検察長官会同へ出席するので国会へ出席しにくいというお話が伝わりましたが、私どもはそういうことは正しくないのではないかと思う。何かの支障がありましても、国会はやはり最優先すべきだということが憲法上の要請ではないか、この点についてどうお考えになるかということでございます。
○小林国務大臣 大臣としてはまた大臣としての重要な職責があります。国会の要請を受けたら出るべきだと言われますが、出ないとは申しません。こういう都合を何とか御考慮願えないか、こういうふうにお願いしているわけであります。
○松本(善)委員 それならわかります。 それから、大臣の司法修習制度の改革についての御意見について、いろいろ同僚委員からも質問があったので、簡単にお聞きしておきたいと思いますが、まずこの法曹一元の問題につきましては、臨時司法制度調査会の意見書がある程度の結論を出しております。この臨司意見書については非常に反対意見が強かったのでありますし、私もこれをすべて支持するものではありませんけれども、この臨司意見書は、当委員会の委員であります自由民主党の小島委員や瀬戸山委員も参加されてつくられたものであります。その結論によりますと、「法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。したがって、現段階においては、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の改善を図るとともに、右の基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。」ということが結論になっております。これは法曹一元という方向を追求していくべきである、いろいろ現実を踏まえながらもそういう方向を行っておるわけであります。大臣のお考えは、先ほど午前中は、自分の発言は弁護士、判検事を分けようということの話をしたんじゃないんだということでありましたが、いまの岡沢委員に対する御答弁では、自分の意見はどうもそういうことの方向であるということのようでございます。この点はっきりいたしませんが、もしそうであるとするならば、弁護士と判検事を分けていくという考えであるとするならば、この臨司の意見書にも反することになろうかと思います。法務大臣のお考えは、この臨司の意見書の方向を否定するということであるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○小林国務大臣 臨司の意見書というのは、お話しのとおりあまり実現されておらぬことが多い。しかし法曹一元化にしても、何か前提がついておるのです。円滑にそれが運営されるならばと、こういうふうな一つの要件がついております。その要件は私は非常に強い要件だと思う。はたして円滑に運営されておるかというと、私はそうではないというふうに、これは独断かもしれませんが、思っております。
○松本(善)委員 法務大臣としては、臨司の意見書もあるけれども、弁護士と判検事を分けようという方向で考えておる。けれどもいま法務省の中でもまだまとまっていない、最高裁や弁護士会とも話をしていないという段階、これが御答弁の内容でありますか。
○小林国務大臣 さようでございます。
○松本(善)委員 そうすると相当強い反対を受けるだろうと思いますけれども、もう少し伺っておきたいと思います。 第六十三特別国会におきまして、裁判所法の改正の際に、日本弁護士連合会の意見を無視したということが非常に多くの委員から指摘をされました。その問題については、法務大臣は決して望ましいことではないということを当委員会においても述べられました。そして、参議院の法務委員会に行きましては、「今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者(裁判所、法務省、弁護士会)の意見を一致させて実施するように努めなければならない。」ということが附帯決議にもなりました。この問題については、この法曹三者の意見の一致を前提に進められるお考えであるかどうか。
○小林国務大臣 これはつとめなければならないということで、われわれもつとめる。しかしそれじゃ結論が必ず出なければならぬか、そこまで強いものとは私も思っていない。一生懸命つとめます。しかしつとめた結果どうしてもまとまらない、こういうこともあるいはあり得るのじゃないかと思います。
○松本(善)委員 それはまことに危険なお考えで、そういうことでありますと、附帯決議で何をきめましても信頼できないということになるのではないかというふうに私どもは思います。たいへん遺憾だと思います。 内容についても少しお伺いしておきますが、法務大臣は検察官、裁判官になる者が少ないという根本原因について、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○小林国務大臣 いろいろいわれておりますが、弁護士は収入が多いとか、自由に勤務できるとか、あるいは転任がない、判検事はそういうことは逆だ。あるいは世間の風潮が何となく反権力的なものがあって、そんなものになることはどうかというふうなことを言う人もあるやにも聞いておる。いろいろの原因はあるが、しかし判検事と弁護士と並べてみればおのずからわかるのじゃないか、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 おのずからわかるということでは済まないと思うのです。これは一体なぜ判検事になり手が少ないかということについての根本原因を戦後の司法のあり方として考えてみる必要があると思います。 戦後、検察の中での大きな事件の一つとして指揮権の発動があります、あの指揮権の発動後、ずっと検察官の志望者が減っておるのが統計的な数字であります。検察官になっても一体汚職事件なんかは自由にできるのか、こういうふうな疑惑を持っておる修習生もございます。こういう点について、検察の姿勢、ほんとうに検察が正義の代表者である、あるいは裁判所が正義の代表者であるということが修習生に理解をされておるならば、法務大臣がやっきにならなくとも、どんどん検察官や裁判官になっていくだろう。その根本のところを忘れて制度いじりをやろうとしても事は進まない。検察の姿勢という問題もあります。これは無関係というふうにお考えになっておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○小林国務大臣 まあそういう議論もあります。しかしそれが非常な大きな影響を与えているかどうか、私にはわかりません。
○松本(善)委員 もし法務大臣がこの発言についていろいろの批判を受けたことを前進的に解決されるとするならば、そういう戦後の検察のあり方について根本的な反省をするというところにあるんではないかというふうに思います。たとえば、これは先ほど最高裁にも申したのでありますけれども、松川事件、三鷹事件それから青梅事件あるいは芦別事件を戦後の四大列車転覆事件と申します。これは全部無罪になっています。それから破防法事件も四件ございます。これも全部無罪になっています。そういうような戦後の検察のあり方をずっと検討してみますと、検察庁が戦後二十五年の間にはたして一体国民のために正義を代表していたかどうかということについては、当然に国民や司法修習生からの批判は受けざるを得ない。この問題の検討抜きにはこの問題は解決できないんだ。それですべてというふうに私は必ずしも言いませんけれども、この問題は非常に重要な問題だ。ここが解決すればほんとうに裁判官や検察官に幾らでもなっていく。それが望ましいことではないだろうか。この点について重ねてでありますが、法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 これは松本委員がそういうふうに思っておられるということで、そういう御意見もありましょう。そういうことを承っておきます。あなたがそういう発言をされたということは、また検察官にも参考になる、かように考えます。
○松本(善)委員 私は終わります。
○高橋委員長 井野正揮君。——御承知のようないきさつだからひとつ簡単に頼みます。
○井野委員 承知しております。 初めて法務委員会に出席をさせていただいたのですが、ずいぶんしんぼうの要るところだということを知りました。ほんとうは先に自治省、農林省にお尋ねした後に大臣の御判断をいただければ、いかに今日検察行政が国民から疑惑を持たれ信頼を失っているかという事実について、明確な御見解をいただけると思ったのでありますが、私が最も大臣にお訴えをしたい検察官の会議だというのでありますから、これはまた後ほどの検察官に対する訓示について非常に御参考になろうかと思います。 まず、先ほど松本委員は、戦後の列車転覆の事件をついて、検察官になる希望を若い研修生に失わしているということをおっしゃられましたが、私はもう一つの側面があると思います。権力のあるところ、あるいは権力の介在するところ、汚職を見ても見て見ないふりをしなければならないような風潮が検事になることを、いわゆる正義の使徒としての認識を国民から阻害される、そういうところにこの職務につくことを非常にいやがる、こういう傾向が出ているんではなかろうかと思うわけであります。 私がきょうぜひ問題にしなければならないと考えました点は、今日地方公共団体の事業をめぐりまして、特に特別会計とかあるいは公団とか公社とか、こういうものをつくって地域住民の福祉に貢献する事業が行なわれております。これらの予算執行、財政の運用を通じて、公共という美名に隠れて、首長や議会が一緒になって犯罪を犯している。ところが、地方自治法では地方自治法の違反を指摘しながら罰則がございません。違反してはならない、こういうことをやってはならないと規定をしております。また自治省ではこれらについて行政監査を行なって改善の指摘をいたしております。 こういう問題をめぐりまして、たとえば北海道議会等では、議員から明らかに業務上横領があるではないか、これは明らかに職権の乱用があるではないか、こういう指摘を受けますと、当該公共団体の責任者は、これは自治法の範囲を越えた問題であり、告発をされるなり、あるいは検察庁のメスが入るなりすることが望ましいのでありまして、私どもの責任を越える問題でありますという答弁が行なわれております。私は、こういうようなことがマスコミに取り上げられて、三大新聞あるいは地方新聞等が大きく取り上げただけでも、検察はやはりその事実のあるなしについてのメスを加えなければならない責任のあるものだと思います。試みに検察庁法を読んでみますと、第四条にこのことは明らかに義務づけられております。私はそれは言うまでもないところだと思うのであります。 私がいまここで問題にしようとしております二つの問題は、皆さんも北海道で日本人が現地住民を搾取して有名な、アイヌで知られております白老町政についてであります。 一つの問題は、静岡にございます大昭和製紙工場を北海道に誘致する機会に、この工場敷地二百ヘクタールを無償で会社側に提供することを町議会は議決をしております。ところが、この敷地二百ヘクタールの中に、昭和三十九年のころに農林省が同町の開拓農協に払い下げた土地が含まれております。この土地を当時の開拓農協組合長から譲り受けたと称して六十一万円を、この開拓農協の当時の農山村振興の受益者負担金の金に窮して融資を受けたことを奇貨として、これにかってに費目、数字等を書き入れて、いわゆる町の会計支出仕訳書であります、これをもって領収書の証拠として町の予算にもない、議決にもない、正規のルートの契約書もない、にもかかわらず、これを根拠として財産の譲り渡しを要求する内容証明書を、当時の組合長及び現在の組合長に要求いたしております。これは地方自治法でいきますならば、明らかに私の行為であり、職権の乱用であり、公務員が他人に義務のないことを履行せしめることであり、刑法に明らかに該当するところであります。そして同時にこの土地は、大昭和製紙が町から無償交付を受けたものとして、ここに一億数千万円の支出をいたしておりますが、これらの返還要求に対しては町からもらったものとして、まるでこじきかゆすり、たかりに対する態度のような傲慢無礼な態度をもって接しております。このことは、一つには民事として、開拓農協から大昭和の社長斎藤氏に対する財産権の確認と施設撤去の民事訴訟を提起いたしておりますが、同時にこの問題については大昭和工場、白老町長及びあいまいな約束をしたとかしないとかいわれる当時の組合長、三人を侵奪罪でもって告発をされております。 この問題をめぐり、私がいま問題にしたいと思いますことは、北海道議会におきます道警本部長の答弁であります。詳細に調べて参考人に聞いたところが、町側にも買ったという契約書その他の証拠もなく、組合側には売ったという契約書その他の証拠もないから、黒白のほどは判定しがたい、こう述べております。これは一体どういうことでありますか。開拓農協は法人であります。したがって、財産を譲渡、売却する場合には、明らかにその内部定款により、規則によって行なわなければならない諸般の手続があります。町には当然また契約をする規定その他の条例、規則がございます。したがって、職務に従ってそれらの調書がつくられた後に初めて契約関係が成立するものでありまして、今日これを行なわずして売買が行なわれる。特に道警本部長の答弁によりますと、口頭契約をしたものでありまして、と述べておるのでありますが、一体今日の公共団体の中で口頭契約によって今日数億もするというような土地、それがわずか六十万円で買い取られる、こういうようなことが存在するかどうか。このことについても依然として、私は法務省の刑事局の刑事課長さん、参事官のお話を聞きましたが、現地では刑事事件になるかどうか疑問だとおっしゃられているようであります。この点が一点。 もう一つ、私どもとしては何としても理解できない問題がございます。同じように三十九年に同じ町内に虎杖浜漁業協同組合という組合がございます。ここから約六ヘクタールの土地を町に寄付採納いたしました。この土地を町は、どういう目的かわかりませんけれども、泉観光という会社に売却をいたしております。寄付採納をいたしました後に直ちに売却をいたしておりますが、この町議会に提案された売却の決議案には金額が入っておらないのであります。そして、口頭でもって九百十四万云々と答弁をいたしております。それから二年たちまして、どうもおかしいというので北海道議会議員の影山豊君が追及し、調査をいたしましたところが、泉観光の支出書には一千四百十四万八千三百三十三円、五百万円の差額があることが明らかになりました。そこでこの五百万円の追及をいたしましたところが、実はそれを二つに分けまして、二百五十万円は町長の個人名義で室蘭信用金庫白老支店に、百五十万円は定期で、百万円は普通領金で傾けられておることがわかりました。半分の二百五十万円は虎杖浜漁業協同組合が所有し、そのうちの二百二十九万円を当時その土地を耕作しておった人々にそれぞれに配分をして、残り二十万余円を漁業協同組合に保管をしていることがわかったのであります。私がそこで疑問だといいますのは、町の収納には当該年度には九百十四万八千幾らですね、五百万円を除いた金額、これしか収納されておりません。したがって、これが後に監査結果報告であるとか検察の調書に載った一千四百万円、五百万円プラスしたものは明らかに犯罪を糊塗するために道警の指導によってつくらせた証拠ではないかと私どもは疑うのであります。しかもこの五百万円の内訳について、この歳入欠陥というものはどのように補正をされたのか、監査委員は町民に公開を否定いたしております。この点についての答弁については、道の総務部長の中村さんは、先ほど申し上げましたように、これから先の刑事事件になるかならないかについては私どもの言うことではないというように答弁しておる。そのとおりだろうと思います。しかし、地方財政の会計単年度独立の原則からいっても、この財政運用に欠陥のあることは明らかであり、しかも三年にわたって公金を町長が私の名義で私印をもって銀行に置いたことは、明らかに領得をして業務上横領を行なっていたのであるものを、その目的が町の発展、この財産を処分することによって虎杖浜漁業協同組合の将来の漁港整備等に使う金として保管をしておったというへ理屈をつけて今日これをのがした検察当局、警察の態度というものは、私どもには了解できないわけであります。 また、聞くところによりますと、これを扱った刑事課長は、事件の途中に転勤を命ぜられまして、その後閑職につかされておるという事実もありますし、私はなお、この間これを立証する問題として、人の名前をあげては恐縮ではございますけれども、この数年の間に、当時契約をしたという組合長は組合員を使嗾してこれを失脚せしめて、そのあとになった組合長は元国家公安委員長秘書官、そして今日北海道議会議員でかつ白老開拓農協の組合長として、この土地を当該大昭和製紙に売り渡すことに努力をいたしました。しかし、このことを知った組合員はこれを了解いたしませんで、今日の組合長になり、ついに告発に及んだ問題であります。私もたくさん公務員の事件を知っております。あるものは戦後、当時の非常な困難な中で充足できない国立病院等の医師の充足のために払った給与外給与の責任をとらされて、業務上横領で処断をされております。あるいはまた町村役場等において進駐軍事務を扱って、その当時の事情からいってやむなく会計外支出をしたためにその責任を問われ、業務上横領に十数万円で問われた事例も私は知っております。しかしながら、白老町のごとく町議会がこれを了承し、全部これはぐるになっておるわけでありますから、そういう中でこういうように五百万円の金を、あるものは不当に支出をし、あるものは自分の名において領得をしても罪にならないという、刑事事件として問われないということ、これは一体どういうことなんですか。また反面同じ町長は、今度はそういう契約書なしに契約履行を要求したり、あるいは他人のものをかってに工場誘致によって贈与したり、これらの行為が刑事事件として追及されないということは一体どういうことなのか。ひとつ明快に、だれにでもわかるように御説明を願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 いまお話がありましたが、検察というのは予断とか単に見込みとか、そういうもので捜索するなんということは、これはもうどなたも了承されない。したがって専門的なことばを私が教わったことによると、捜索の端緒がなければできない。端緒というものは、あるいは警察から送られてくる、あるいは告発があった、告訴があった、こういうことでございますから、いまのような問題、場合によっては横領罪になるかもしれません。したがって警察がもし書類送検をされておるとするならば検察はこれによって捜索をする、こういうことになります。内容を私はいまよく聞いておりませんが、この問題はひとつ検察当局にわれわれのほうからも、どういうふうになっておるのか、報告を聞いてみましょう。そういうことである程度問題がはっきりするかもしれません。具体的にはいま私存じませんから、検事総長を通じてこの問題はどうなっておるか、警察から書類が来てどうなっておるか、こういうことをひとつ報告を受けることにいたしましょう。その上でまたお答えすることがあろうか、かように考えるわけであります。
○井野委員 予断をもって捜査をせいなんて私言っておりません。私ここに当時の新聞を持っておりますけれども、これは新聞でも読売、朝日、毎日等一流紙が相当のスペースをさいて詳細に述べております。私は報道というものも責任を持って行なっておると思います。それからもちろん両件については告発はなされております。予断をもってやってくれと言っておるのではありません。告発がなされておる。かつ道議会におきます影山議員の発言を見ますと、今日のわずかな少年犯罪でも署をあげて捜査動員をしてやるのに、この事件に関する限り強制捜査もやらなければ役場庁内に長い間警察官が滞在をして証拠隠滅を助長し、かつ逆証をあげるような指導までしているような疑いすら持っていると述べておりますよ。これは北海道議会でこれまたマスコミの中で公開の論議の中でこういうふうな検察不信の行ないがされておるわけです。(「警察の問題だから警察庁を呼ばなければだめだよ」と呼ぶ者あり)しかし、これは当然指揮権を持っておられるのですから……。これはそういうことでございますから、刑事局長に対する質問になるのかもしれませんが、送検になっているんですよ。送検になっているから刑事局に関係がある……。
○小林国務大臣 申し上げますが、いま捜査をしておる、こういうことでございますから、やがて様子がわかる、そういうふうに思います。
○井野委員 私はこういうことは専門家ではありませんから、こういう非常に疑問を持っている点について、特に量刑等の問題がある。ある検察官からは古い問題だからさわりたくないという話を聞いたのです。古い問題だからさわりたくないということは一体どういうことだろうかと思ってよく調べてみましたら、時効との関係があるのではないか。せっかく骨を折ってやってみたら、刑の適用にならぬ、時効になっておった、こういうことではなかろうかと思いますが、これまた国民が疑っておるじんぜん日を重ねれば罪からのがれる、こういうことにも通ずる。私は、今日社会秩序が非常に乱れて犯罪が激発していく傾向の中に、こういうふうな法全体の運用、社会秩序保持に対する責任者の姿勢に非常に問題があるのではないか、こういう点については何といっても法務省全体及び大臣のお仕事だろうと思ってお尋ねしたわけであります。捜査中の問題についてまで触れる考えは実はなかったのですが、五分か十分かでお帰りになるということになれば、概括的に申し上げないとおわかりにならないと思って実は申し上げたわけです。
○高橋委員長 井野君の明快な御説明で、よく事件がわかったから、法務省、警察庁、また考慮されて、いずれ適当な機会に回答があると思います。その機会を相談の上、ひとつつくろうと思います。
○井野委員 そうすると、せっかく自治省と農林省が来ておられますので、確かめてみたいと思います。よろしいですね。 自治省のほうへお尋ねをいたします。すでに御調査を願っておりますので——どこにおられますか。
○高橋委員長 自治省で遠藤行政課長、農林省で中野農地局長、それから法務省で佐藤参事官。
○井野委員 まず自治省にお尋ねをいたしますが、先ほど概括的に述べましたので、その他白老町の予算執行の中には北海道議会で問題になった、たとえばいわゆるポロト公園といわれる農林省からの国有林の払い下げをめぐって、その対価三千二百万円余、端数を切り捨てますが、白老興業から二千数百万円の負担金という形で納入させて、総金額を出して、五年後凍結が解けたら白老興業に渡すということをきめている。こういうことについて、これは国有林の払い下げ等に対する政府の規制を——公共団体の名前を使って払い下げを受ける手段として、北海道議会で、これは原清重という議員から追及をされた問題があります。ここに速記録の写しがございます。これも私は地方自治法違反になるのではないかと思うわけでありますが、もしこういうような方法が許されるとしますならば、私は各市町村で払い下げを要求してくる国官地等の払い下げは常にまゆつばで、行政機構すら信ずることができない問題になるのではないかと思うわけであります。こういうようなことがたくさんこの町にはあるようであります。特に先ほど申し上げました大昭和の製紙工場誘致に関する議決は、最初町議会に出した誘致の提案は、無償で二百ヘクタール提供するようになっておるわけであります。この覚え書きには北海道知事の町村金五君が立ち会ったという書類になっておるわけでありますが、実はこれも道議会で質疑をしたところが、町村金五氏は、私はそういう誘致条例の覚え書き締結に立ち会った覚えはないと答弁をしております。これは明らかに町議会に対する町長の偽証の提案だということになろうかと思います。 それから先ほど申し上げました泉観光に土地を売った場合でも、同じように決議案に金額が入っていない、そして質問されたら、それは九百何万円だというふうに答えた。一体こういうふうに、偽りの証言をもって議決を行なわせたり、あるいは契約金額のない議決、こういうものは、単に地方自治法で違法だ、何条に抵触する、こういうだけのものか、あるいはそういうことが犯罪を行なう隠れみのの原因になるのではないか、こういうふうに考えるのですが、こういう点、指導、監査をされた結果についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○遠藤説明員 白老町の問題については前にも御指摘ございまして、道を通じて調べたわけでございますが、大昭和製紙の誘致にからみまして、だいぶいろいろ複雑ないきさつがあったようで、これは先生とくと御存じのようでございますので、省略させていただきます。 特に刑事事件とか民事事件の問題とかということになりますと、私のほうではちょっとわからないのでございますが、地方団体の財務経理の問題としまして、いろいろ事務的な不手ぎわはあったようですが、基本的には予算に計上しないで、要するに公金の支出をした、あるいは受け入れたというような事実があるようでございまして、この点につきましては、地方団体の財務会計関係の規定に、地方自治法の規定に違反しております。この点は道のほうにおきましてもいち早くというか、だいぶおそかったのかもしれませんが、見つけまして、是正させるように——これははなはだ恐縮なんでございますが、やってしまったものは結局もとに戻らないので、違法の事実はあるわけでありますが、今後再びこのようなことはしないように道のほうでも指導しておりますし、私のほうでも道のほうを通じまして指導をいたしております。細部の点はいろいろございますが、その基本的な点は以上のような点でございます。
○井野委員 地方自治法を何ぼ読んでみても、これは罰則も制裁規定もないわけでありますから、いまおっしゃられるようなことだろうと思いますが、道警本部長の北海道議会における答弁によりますと、こういうことを言っておるのですね。本会計は特別会計でありまして、特別会計であるがゆえに、決算書もない、報告もないものと思われるのであります。——こういう認識になっておるわけであります。これは答弁そのままでありますが、一体特別会計というものは決算書も免責をされ、報告書も免責をされるものなのかどうか。なお警察本部長はつけ加えて、しかしながらこの会計は監査委員会の監査を経ております。——私も地方議会におきます監査委員の任務を果たしてまいりましたが、これは国の諸法令及び当該府県の条例及び当該町の条例、規則その他に準拠して監査を行なうべきものでありますから、この免責の規定が地方自治法なりあるいは当該都道府県、当該町村の条例になければ、決算は出さなくてもいいとか、あるいは報告は出さなくてもいいという性格のものは、少なくもわが国の行財政の中にはないと思うのですが、この点いかがですか。
○遠藤説明員 実は私どもの方面から見まして、この点におきます財務会計上の一番の問題は、結局公金の支出を予算に計上をしないで、受け入れたり出したりしているというところに実はあるわけでございます。どういう文書かただいま記憶ございませんが、特別会計でございましても当然これは一般会計と同じでございまして、特別会計であるから予算がなくてもいいとか決算はいいとかいうことはございません。要するに、特別会計、一般会計というのは、そもそも何といいますか、単に会計を分けるだけのことで、どちらであるからといって決算をしなくてもいいとか、予算がなくても金が出せるというようなことはございません。
○井野委員 そうしますと、裏を返して言いますと、地方自治法でしてはならないとして、私に公金を流用して私に支出してはならないという項目にはこれは該当するわけですね。きょう持ってきませんでしたが、二百何条だったと思いますよ。
○遠藤説明員 御質問の意味がわかりかねますので、おそれいりますが……。
○井野委員 地方自治法二百四十三条ですね。「私人の公金取扱いの制限」に関する規定に触れるのではないか、こういうことです。
○遠藤説明員 二百四十三条は、「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行なわせてはならない。」とございますが、これは地方団体が、要するにその住民からたとえば税金を取ったり、そういうことをする場合に、その法令に特別の規定がなければ、第三の会社とかその他に徴収委託のようなことをしてはならないという規定でございまして、本件の場合は、基本的には地方団体がやはり第三者から実際はその金をもらったり払ったりしているわけでございます。地方団体、町としてそれが法律上予算に基づいてしなければならないのに、そちらのほうの手続をしてなかったという点に違法があるということでございまして、二百四十三条とは事柄が違うかと思います。
○井野委員 そうすると、公金を収入役に扱わせないで——ここに会談の速記録の写しがありますが、収入役に扱わせないで、町長という職務で受け取り、町長という職務で支出をし、町の印によらないで町長個人の印で銀行に預ける行為は、それはどういうことになるのですか。
○遠藤説明員 ちょっと本件につきまして、現金を出納する場合に、収入役は、何といいますか、長の命令で収入、支出をするわけでございますが、この点につきまして、その点の公金の取り扱い手続について特に違法があったか、ちょっといま記憶ございませんです。
○井野委員 ここはきわめて微妙なところだと思うのであります。遠藤行政課長の認識では、監査で発見をして会計に戻入をさせたというふうに御認識のようでありますが、そうではないのです。この点は、三十九年度歳計では九百万余になっておったわけです。ところが、北海道議会議員の影山豊君が疑義を持っていろいろ調査した結果、泉観光の会計担当者から、その金は九百万円ではございません、一千四百何ぼであるということが明らかになって、五百万円の差額があることがわかった。この証拠を突きつけられて、初めて銀行に金を預けてあることが明らかになって、追及を受けて、道が検査をやった結果その金を戻入されたというのでありますから、本人の意思で戻してきたものではなく、明らかにこれが町長でなかったら業務上横領で逮捕され、処分される性格のものなんですよ。三年にわたって私のふところに入れておったわけですから。ただ救いは、その金を使っておらないので、にわかに刑事事件とは言われないと道警は言っている。実に寛大なものだと思うわけです。このようなものの考え方が、今度は開拓農協の財産をかってに白老の大昭和製紙工場に譲ってしまった。そうしてそこで設備投資だけでも一億数千万円、撤去するのにも同様の金がかかる。この撤回要求をされれば少なくとも三億数千万の被害をこうむるという事件を巻き起こしてしまった。そうして契約書も何もないのに、今度は、ここに内容証明書の写しがあります、開拓農協の組合長と元組合長に対して、これは文書でもってりっぱに契約したのだと詰め寄っている。こういう行為が行なわれているという事実が明らかになって、特にこれは遠藤行政課長の言われる、ここにはミスがあって事務体制をよくしなければならないということで、北海道庁の課長から助役に人を派遣した。その助役が今度はこれはおそらく助言をしてやらした仕事だと思いますけれども、契約もないのにその執行行為を迫っている。これを読み上げると時間がかかりますから読み上げませんが、財産を譲り渡せという要求、こういう行為が行なわれている。そこで私は、こんな官印を使ってありますから、金もなければ契約もない、にもかかわらず公の行為として、町は取得していない財産について口頭契約でもって町の財産なりとして行なう行為、これは地方自治法に触れませんか。職権乱用になりませんか。
○遠藤説明員 こういう財務経理の問題は、実は一連の問題でございまして、基本的にどうも私どもはなはだ申しわけないと思いますのは、予算に計上しないで金の取り扱いをしている。したがいましてそれに関連する一連の問題が事務的に実は関連してまいる範囲においておかしくなるわけでございますが、その問題を離れまして、ただいま御指摘の点の契約書、文書もとらずにということでございますが、これは確かに大きな契約であるならば、それは契約書をつくるのが適当だろうと思いますが、地方団体の法令上の問題としては、これは民法上の契約でございますから、契約書をつくらないで口頭で契約ができないということにはなっていないように記憶しております。
○高橋委員長 課長さん、私が聞いておっても相当間違ったようなことがあるようだから、ひとつよく調べて善処してもらうことにして、自治省はこの程度にして、農林省のほうの御質疑があれば、これも時間が……。
○井野委員 ちょっと待ってください。 行政課長、それはおかしいと思いますよ。契約書を免除されるものについては条例あるいは規則等をもって定めるように地方自治法はなっている、地方財政法になっている。それをあなたがそんなことを言うのはおかしい。 委員長が時間を心配されているから、もう一つだけお尋ねします。そういうふうに金額あるいは品物等によってそれぞれこまかく地方自治法及び地方財政法で制約しているのは、何のためにそうしているのか。公金と私の金を区分して、その取り扱いを明確にし、購入の場合、支出の場合、それぞれ規制をしているのは、何のためにそういうふうに規制しているのか。この点抽象的でいいですから、犯罪をさせるためだ、犯罪をさせないためだ、正しく財政を行使するためだ、どういうことなのか、その辺お聞かせください。
○遠藤説明員 私どもといたしましては、住民から預かりました地方団体のお金が適正に住民の福祉のために使われるというように心得ております。
○井野委員 適正でない場合というのはどういうことを言うのですか。
○遠藤説明員 法令に違反する場合と住民の福祉にならない場合だろうと思います。
○井野委員 たとえば職域を利用して私の利益をはかったり、不法に領得したり、犯罪につながるような問題の起こらないように、消極的には。積極的には住民の利益になるために、地方自治法第二百四十三条の各項の目的に沿って運用されるということでしょう。
○遠藤説明員 地方自治法の財務規定のこととしてお答え申し上げましたが、刑事事件になるようなことがないようにというのは、公務員として当然のことだろうと心得ます。
○井野委員 農林省のほうにお尋ねしますが、大昭和が取得をしました土地の中には、当時国官地であったものが用途目的の変更をして払い下げをしたものもあり、あるいはすでに開拓者個人に払い下げたものも、農業委員会の審議等を経て目的の変更をして買収をせしめたものもあるように思いますが、この白老開拓農協に払い下げをしました土地は、ただばく然と払い下げたのではなく、使用目的を明らかにし、かつこの組合が管理する管理規程等についても、これを組合の総意に基づいて定めさして、その指導を行なって申請をさせ、払い下げたものであるというふうに——私もつい最近まで開拓農協の組合長でございましたので、そういうふうに認識をしておりますが、そのとおり行なわれておったものかどうか伺います。
○中野説明員 お話しのとおり、これは昭和三十七年の十一月でございますか、共同採草放牧地として、農地法の六十一条の規定によりまして開拓農協に売り渡したものでございます。
○井野委員 これは本来であれば農政局長さんにお尋ねすべき問題であると思いますけれども、しかし農地管理というたてまえで、会計、運営等についてもお考えがあるわけでありますからお答えをいただきたいと思いますが、実はこういうような財産をもし公共の目的に沿って、あるいは準公共の目的に沿って変更しようとする場合には、その目的を付して当該市町村の添書、都道府県を経由して農林大臣に申請をされて、あるいは農林省に協議をして、これが転用に供せられるのが本来のたてまえであろうと思います。したがって、もし白老町長が白老開拓農協からこの土地を取得をして大昭和に贈与しようとするならば、当然それらの法的措置がとられなければならないし、とる義務が道義的にも行政的にもあると思いますが、その点そういうような協議がございましたか。
○中野説明員 いまの点でございますが、お話しのように売り渡しました共同採草放牧地を他の用途に転用いたします場合には、これが開拓財産でございますので、農地法七十三条によりましてお話のような手続を経まして農林大臣の許可を必要とするということになっております。
○井野委員 これは開拓者を百戸余りも受け入れた町村であり、農業委員会であったら、当然これらの事情については各般の助成を受けておるわけでありますから、よくこれは承知をしておることであるし、しかも五期、六期という長い任期を町長として就任した者であれば、当然その間の事情は知り過ぎるほど知っておると思うのであります。ましてそういうようなことでありますならば、口頭でもって組合長が譲ります、町長が買いました、こういうことで組合の財産を売買をするというようなことは常識的にも考えられないと思いますが、局長はいかがお考えになりますか。
○中野説明員 町のほうの問題につきましては、先ほどから御議論があったわけでございますが、開拓農協のほうから見ましても、当然開拓農協によりましては、総会の議決なりあるいは理事会の議決によりまして自分の組合所有の財産を処分するということになっておるはずでございますので、そういう手続を経ることが望ましいというふうに思います。
○井野委員 農林省のほうはよろしゅうございます。せっかく刑事局の佐藤参事官いらっしゃっていただいておるので、お尋ねをしないと申しわけないと思いますので……。 こういうふうに農林省なり自治省なりの行政的な見解をお聞きになっていただきますと、かりに当時の梅木組合長が白老町長に口頭で約束をしたにしても、一切それは公的な契約でもないし、行為でもないわけですから、むしろ開拓農協組合長がそういうことをしたとすれば背任であり、また三者——大昭和、白老町、組合長謀議で行なったものであれば、共謀による財産侵奪といわなければならないと思います。私が一番問題にしておりますのは、警察当局が——指揮をされる警察ですね。しかも警察がこの間、証拠書類がないから黒白はつけがたいと断定をして北海道議会の本会議で答弁をしておる姿勢であります。これは私は、こういうような重要な問題が出て、これだけマスコミで騒がれたら、当然その真相は、告発があるなしにかかわらず究明あってしかるべきものだと思うのであります。ところが、告発があってすでにもう半歳が過ぎておる。この間民事訴訟のほうについてはこの開拓農協の当事者能力を失わせる工作が盛んに行なわれております。しかもこれは白老町農業委員会のメンバーをもって、戸別訪問をして、あの告訴はけしからないんだから組合長を排撃せよという運動が行なわれておる事実であります。これを客観的に見ておりますと、何か警察と検察当局が、告訴した当事者能力を失わしめることによってこの事件が雲散霧消して、そうして町のあっせんによって大昭和製紙との間に妥協でもできるのを待っておるのではないだろうかという疑いが起こっても決して勘ぐりだとはいえないのじゃないだろうか、私はこういう気がするのであります。 もう一つの点は、なぜ私はそういうことを言うかといいますと、この告訴が出たときに大昭和製紙の工場長は、あの土地は抵当に入っている、抵当の流れる土地なんだから問題はないんですと発表しております。これはもう新聞記事にちゃんとなっております。その記事が出る一週間前に実は元国家公安委員長秘書官殿がこの組合長に大会で不信任をやって、だめになった。そしていまの組合長がなって一週間目にこの財産が実は白老農業協同組合から借りた百三十九万円の金の抵当に入っており、たった一週間の請求で強制執行の通知を受けたことであります。もちろん前の組合長ですから組合の財務をよく知っております。引き継がれても金は一銭もないわけでありますから、そこで百三十九万の供託金を入れてこれの競売執行を停止させようとして行ってみたら、何と五百五十万の抵当になっておった。残額については組合は金銭貸借をした証拠も何もありません。こうなりますと明らかにこれは、売買でうまく応じてこなかったから今度は、金を借りておいて組合長交代したとたんに今度は競売に出して、そういうことでこの財産を奪い去ろうとしたものだということも明らかであり、この点も告発をされております。しかしこれもその後一向不問に付されております。こういうことになりますと、当事者能力を失わせるか、金銭貸借の事由を隠しておいて、次期組合長に引き継いだとたんに競売に付して取るか、まことに悪質な、民法を巧みに活用した悪らつな手段が行なわれておるのにもかかわらず、検察当局はこれまたすべてを不問に付しておる。こういう中に私は今日ほど——きょうは合同会議をやっておられるそうでありますが、ほんとうに検察庁の設置法に基づいて検察官の任務を果されようとするならば、かかる問題こそ最も迅速に理由を明らかにする必要があると思うのであります。かくて全く、あの火山灰地にほうり込まれて、今日貧困な生活の中に苦しんでおる開拓者に与えた唯一の財産を侵奪されようとすることについても、何ら検察はこれを正しくさばこうとしない。こういう姿勢について、私はほんとうに六十三国会の中で何度か質問しようと思いましたが、いまなさるのではないだろうか、いまなさるのではないだろうかと思って待っておったのですが、参事官も御承知のとおり、あなたひとつ札幌の検察庁へいったらいいではないかということですが、それは国会議員としてなすべきことではないのできょうまで待っておったわけですが、ひとつこの点今後の決意のほどをお聞かせを願いたいと思います。
○佐藤説明員 お尋ねの点につきましては、ただいま大臣からも御答弁ありましたとおり、札幌地方検察庁の室蘭支部におきまして慎重捜査中ということで、間もなく、そう時間がかからないと思いますが、近いうちに適正妥当な処理が行なわれるというふうに考えております。 なお、具体的な案件でございますので、いろいろ御質問の趣旨もございましたけれども、明確な答弁をすることは差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、札幌地検のほうで近いうちに適正な処理をするであろうということをお答え申し上げておきたいと思う次第でございます。
○井野委員 これは先ほども申し上げましたように、告発をされておりますので、告発の当事者に対してはかくかくの理由ということは御返事あることは当然だと思いますから、じんぜん時をかすのではなくして、もう事実は明白になっております、あとは断を下すだけだと思いますので、検察当局も国民から不信を投げかけられることのないように、私は、急ぐものについては勇断をもって行なわれることを強く望みます。これは単に、白老の例を申し上げましたけれども、ひとり白老だけではなしに、冒頭に申し上げたように、最近地方公共団体の中で頻発する汚職事件は、こういうような問題に対して峻厳なメスがすみやかに入れられないところに問題があると思います。一つを罰して百を戒することができるならば、法の運用というものはまことに妙を得たものになるが、一つを見のがしたためにさらに次々と深みに入っていく、こういう地方自治法の中におきます欠陥といいますか、人格を高く信頼している制度だから、もし人格がそれに値するものであればそういうことはないだろうと思いますが、こういう結果がまだまだ多くの余罪もあるような気もいたしますので、すみやかなるメスを入れていただいて、国政の尊厳というもの、地方自治のあり方というもの——地域産業振興の中でも、あるいはそれに名をかりて私腹を肥やすような行為等についてはきびしくこれが戒められなければならぬということを実証していただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 岡沢君。
○岡沢委員 それでは、先ほど郵政大臣が御出席のときにお聞きしましたFM東京の免許に関連した事実関係を中心にお尋ねしたいと思います。 この問題につきましては、先ほど触れましたように、六十三国会でことしの五月六日に逓信委員会で中野明委員が御質問になっておられます。かなり問題が多いと思いますが、詳細な御質問がありました。しかし、この委員会での答弁で、郵政大臣自身も、真相を究明して正すべきは正したいという趣旨の御答弁がございました。やはり、いま情報化時代といわれるこの時代に、一放送局の免許ではありますけれども、国民の電波行政に対する信頼あるいは公益性の強い放送の使命ということを考えました場合、このままうやむやにすることは許されないという感じがいたしますので、さらに明らかにいたしたいと思うわけであります。 藤木電波監理局長に最初にお尋ねいたします。このFM東京を免許されるまでのいきさつにつきまして、五月六日の中野委員に対する答弁と違ってもけっこうでございますが、その後真相を究明された事実に基づいて、六十六社から三十一社にしぼられ、さらに最後にFM東京に免許をおろされた経緯を、大筋だけでけっこうでございますが、明らかにしていただき、なぜFM東京に免許がおりたか、問題はなかったかということを中心に御答弁いただきたいと思います。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、東京地区におきまして六十六社の申請がございました。郵政省といたしましては、この免許をおろす前に、放送局の置局計画、俗にチャンネルプランと申しておりますけれども、それを発表いたしまして——FM放送の特質というものに適した放送、ということは結局音楽というものが一番適していると思うわけでございますが、そういったものに対してのチャンネルプランというものを発表したわけでございます。六十六社のうち、三十五社はいわゆるFM放送の特質に適したと思われないものでございますので、それは免許を保留いたしまして、残りの三十一社について審査をしたというわけでございます。 ところが、その三十一社に対する審査というのは、先ほども先生からも御指摘ありましたように、電波法、放送法に基づきまして審査をするわけでございますけれども、結局、周波数が一波であるものに対して三十一社という申請があるわけでございますので、役所としましては、先生から御指摘ございましたいわゆる放送局開設の根本基準というのがございまして、そこに、周波数よりも申請が多いときは、公共性の高いものからしなければならないという項があるわけでございます。私どもの書類審査いたしました結果は、いずれもその基準に適合いたしておりまして、これを取捨選択するということは非常にむずかしいということで、当時の日商会頭の足立さんに郵政省がお願いしまして一本化を進めようとしたわけでございます。お願いしたということでございます。 そこで一本化というのが行なわれまして、結局この三十一社が一社になりまして申請が行なわれたというわけでございまして、先ほど申し上げましたように、三十一社のうち三十社が申請を取り下げまして、そして残りの一社に一緒になったというかっこうで、申請といいますか、届け出の変更が出てきたということで、私どもとしましては、それによりましてこの三十一社というものが事実上一本化された、そういうふうに判断いたしまして、それに対して予備免許をおろした、そういうかっこうでございます。
○岡沢委員 六十六社から、三十五社がいわゆるFM放送の特質に合致しないということでまず保留になって、三十一社は有資格者である、それがさらに一本にしぼられた。だから本来ならば非常に理想的な資格者、公共性の高い、設置基準に合致する会社に申請がおろされるはずだし、そうであると信じたいわけです。 ところが、先ほど大臣御列席のところで指摘いたしましたように、認可されたあるいは免許がおろされたFM東京に代表取締役が五名おられて、そのうちの三名までが電波法四条違反で、現に郵政省が告発中の方である。会社、それを代表するのは代表取締役、その過半数がよりによって告発の対象者、しかもほかの事犯なら別として、電波放送に最も関係の深い電波法違反の告発容疑者、この人を代表取締役とする会社が最適の条件を備えた有資格者だ、免許の対象者だということについては、私はいまだに納得できないわけです。どうしてこの代表取締役の中に電波法違反の告発対象者を三名も含むFM東京が、六十六から三十一にしぼられ、さらに一社にしぼられた最適の免許資格者だと認定されたのか、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
○藤木説明員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、告発はいたしておるわけでございますけれども、実際問題としていわゆるFM東海のほうの電波、告発の対象でございました電波はすでに一年前に停止している。しかもFM東海自体は国の方針に従って協力しようという態勢を見せておるわけでございまして、もちろん電波法違反ということ自体はいまだに残っているわけでございますけれども、対象はすでにないというわけで、私ども行政的にはこれで落着した、そういうふうに判断しておるわけでございます。先ほども申しましたように、法令的には違反はしていないということもございまして、しかも三十一社が一つにまとまって出てきたというわけで、電波が一波あるところに対しまして一つの申請が出てきたという状態でございまして、これは電波法にありますように、基準に合っておれば郵政大臣はそれに対して免許を与えなければならないということになっておるわけでございます。私どもとしましては、一本にまとまって出てきて、ほかは取り下げられて一つの申請に対して一つの電波があるということに対しまして、それを審査した結果、いずれも電波法に適合しておるという形を認識いたしましたので、電波監理審議会に諮問しましてそれの答申を得まして予備免許を与えた、そういう経緯でございます。
○岡沢委員 まあ答弁だけを聞いておりましたらごまかされそうというか、問題はなさそうな感じを受けますけれども、それではあらためて聞きたいと思いますが、電波法違反で告発された告発の内容はどういう内容でございますか。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 これは先ほど先生からも御指摘がございましたように、電波法第四条の違反というわけでございまして、具体的には、昭和四十三年六月三十日でいわゆるFM東海の実用化試験局の免許の有効期間が満了したという状態でございましたけれども、それ以降七月に入りましてもその実用化試験局の電波を出していたというかっこうでございます。したがいまして、これは明らかに免許がないのに電波を出したということで、電波法の第四条違反というわけで、私どもといたしましては東京地検に告発したということでございます。 以上のとおりでございます。
○岡沢委員 電波法違反の事実があるという確信は現在も変わらないわけでしょう。あるいは事実があったことについての認識は変わらないわけでしょう。
○藤木説明員 もちろん電波法違反であるという事実はその後変わっているわけじゃございません。
○岡沢委員 先ほど指摘いたしましたように、刑事訴訟法二百三十九条によって官吏の告発が義務づけられ、その規定によってだろうと思いますが、犯罪容疑者として告発をした対象、しかも郵政省が学校法人である大学を告発するということはきわめて異例のケースだと思います。しかも今度の免許の対象になりましたFM放送に関連した違反であります。いわば、強姦罪を犯した人を最適の保護者だとして結婚を強制するというような形の事案のように私は考えます。また、その告発の取り下げも現在行なわれていない。現に別にその事件について東京地検が、嫌疑なし、あるいは不起訴処分にしたという結論も聞いておりません。客観的な事実として、明らかに電波法四条違反の犯罪行為を犯した法人の代表者がまた今度のFM東京の代表者になり、同じ法人の理事に名を連ねた方々が代表取締役の他の二名を占める。どう考えても、国民から見て納得できないのです。これが最適の、しかも東京地区でのただ一つのFM放送の許可対象だという御解釈、法律違反ではないと思いますけれども、一方の電波法違反は明らかなんですね。今度の免許基準について犯罪が確定しているわけじゃないからこれは違反ではないという、これは言いわけなんです。公共性が要求されるということについては、先ほど局長自身がお述べになりました。FM東京につきましても、法人ですけれども、これを動かすのは人なんです。その人の中心は、やはり代表取締役といわれる人だと思います。その人が電波法違反の前歴者である。犯罪が確定していませんから前科者とはいえませんが、前歴者である。この人がただ一つの免許対象の有資格者であると御認定になる理由についてはいまだに納得できませんが、再検討あるいはこの真相を明らかにして、国民の納得できるような、明朗な公正な行政を取り戻すための努力をなさる御意思はありませんか。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 先ほど来申し上げておりますように、私どもは法律に基づきまして無線局あるいは放送局の免許ということをやっているわけでございまして、それが適法であるという限りにおきましては、現在電波法に基づきまして無線局の免許をしなければならないということになっておるわけでございます。それでやっているわけでございます。なるほどその違反の告発はいまのところ係属しているわけでございまして、そういった事実があることはあったわけで、それを取り下げるということはないと思いますけれども、先ほども申しましたように、行政的には落着しているというわけでございますので、私どもとしましては、法律に違反しているということは全然考えておりませんので、先ほど大臣はいろいろ調査されるということは申したと思いますけれども、私どもとしましてはいまのところは、免許をおろしたという以上は、これで終わった、そういうふうに考えております。
○岡沢委員 法律に違反しなければ何でもできる。それでは、設置基準に公共性をうたった理由はどこにあるのですか。ほんとうに局長自身が最適の有資格者に免許をおろしたと確信をしておられますか。私は、局長の良心からほんとうの気持ちをお答えいただきたいと思います。そうでなければ、適格性を疑わざるを得ないと思います。
○藤木説明員 先ほども申し上げましたように、電波法によりまして一つの放送局の免許をおろす場合には、もちろん先ほど先生の御指摘のような公共性といったものは当然あるわけでございまして、私どももそれは十分審査の上におきまして免許をおろしたということでございます。
○岡沢委員 まあ局長をいじめるのが目的ではありませんので、それじゃさらに真相を明らかにしたい。 このFM放送の免許申請は昭和二十九年から受け付けておるはずであります。十五年間に六十六社が申請しておる。最終的には四十四年の十二月十九日に予備免許がされておりますけれども、その予備免許をおろした対象のFM東京、これは申請したのは四十四年の十二月十七日であります。十五年前から受け付けて、六十六社あった申請について、最後の決定はあっという間に、たった二日か三日間で一社におろされている。十分な審査をされたかどうか、審査されたとすればどういう点を審査されたのか明らかにしていただきたいと思います。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 十五年前から確かにこのFMの申請がございました。しかしその当時はまだその申請に対します私どもの準備といいますか、特に法令的な準備というものができてなかったわけでございます。すなわち、放送局を免許いたします場合には、もちろん法律に基づくわけでございますけれども、法律そのものだけではこれは免許ができない。当然この中の下部段階におきます省令といったものがなければならないというわけで、その省令というものが相当長い間時間がかかりましてできたという経緯がございます。特にこのFM放送というものは、その十五年前には新しい形の放送ということで技術的な問題、法規的な問題も十分整備されないということで、まあFM東海の例をごらんになりましても、初めは実験局ということでスタートをしたわけでございます。しかも最近までこのFM東海自体は実用化試験のほかに実験局という形でも運用されていたというわけでございまして、そういった実験の結果を積み上げまして省令をつくったのがわりあい最近でございます。したがいまして、十五年間放置していたという事実はあるわけでございますけれども、省としての受け入れる態勢というものが整っていなかったというわけでございまして、それ相当な年月を要したというわけでございますが、省令その他ができましたのが——二年ほど前からこの省令というものができまして、NHKにつきましては正式の免許をおろしていた。それから民放関係につきましても、やはりチャンネルプランというものをつくりまして、いわゆる放送局の置局計画というものをつくりまして公表いたしまして、東京と大阪、名古屋、福岡ですか、その四カ所には民放のFM局をつくるということが決定しまして、それを公表し、こちらでは審査を始めたという段階でございます。したがいまして、東京以外のところは、たとえば大阪、福岡、名古屋といったところは、もう少し早い段階に免許がおりていたわけでございます。ただ東京は、先ほども申し上げましたように非常にその申請者の数が多いということで、こちらでは申請者の一つ一つにつきまして、申請はありましたけれども先ほども申し上げましたようにいずれも甲乙をつけがたいという段階でございましたので、一本化ということをお願いして、それでいま先生のおっしゃいました四十四年の十二月になりまして一本化ができたという段階で、私どもはそれを審査いたしまして、もちろん審査ということは、この法律に基づきまする——法律にはまず電波法の七条にこの審査の基準というものがございまして、この放送局の工事設計がその技術基準に適合しているという問題、それから周波数の割り当てが可能かどうかという問題、あるいは財政的基礎があるかどうか、それから放送局の開設の根本基準に合致しているかどうか、そういった四つの条件を審査しまして、さらにそのこまかい点も審査した上で予備免許に踏み切ったという段階でございます。
○岡沢委員 免許を法令的な準備、技術的な準備が整ってない十五年も前に受け付けたことも問題だろうと思います。その法令、技術上の準備ができたのは二年前とおっしゃった。十三年間は免許申請をした人は全くその許可の可能性がないわけです。そういうことも全然行政指導してない。また電波法の規定からいいましても、申請があればすみやかに処理するのがたてまえのはずであります。非常に問題がある。しかもその十五年間の最後の始末はたった三日間、二日間でされてしまっている。 それで、ここでお尋ねしますが、その三十一社に、一本化するいきさつについて、特にその株の割り当て、取り下げの手続、これは中野委員が詳しく質問しておられますが、あらためてお尋ねしますが、取り下げについて郵政省の職員が他の三十社の取り下げに回られたという事実は、その後お調べの結果ありましたか、ございませんでしたか。
○藤木説明員 当時私は在任中ではございませんで、そのこまかい内容は知らなかったので、中野先生に対しましては、そういうことはないであろうということを申し上げたわけでございますが、その後調べましたところによりますと、それは結局時間的な問題がございまして、この一本化をお願いしたほうから頼まれまして、こちらの職員がその取り下げに出向いた、こういう事実は判明いたしました。
○岡沢委員 それじゃ郵政省の職員が集めに行ったという事実はお認めになっているわけですが、その取り下げの書類が出されたのは、それが郵政省に受け付けられたのは、時期的にはいつですか。三十社もありますからまちまちだろうと思いますが、最終的に取り下げ書が郵政省で集まったのはいつですか。
○太原説明員 お答えいたします。 四十四年の三月ごろに大体取りまとめができる、一本化が可能だということになったのだろうと思いますが、取りまとめの調整者であります足立さんから依頼を受けまして、三月に私どもの職員が各申請者のところに行きまして取り下げ書を取りまとめたのが、提出していただきましたのが、二十七社でございます。それから日付がわかりませんのでいま明確でございませんが一社ございます。それから四十四年の十二月になりまして提出されたものが、これは私どもの職員でございませんが、二社でございます。それで全部で三十社でございますが、受け付けをいたしましたのは四十四年十二月十七日でございます。
○岡沢委員 取り下げの受け付けですね。
○太原説明員 はい。
○岡沢委員 すなおにお認めになったのはいいですけれども、申請書の取り下げに郵政省の職員が回る。これはどう考えても妥当な、あるいは当然の職務という考え方はとれないと思うのです。免許を申請したほうが当然自分の意思で取り下げるのならわかりますが、許可をする権限を持っておる職員が取り下げをいわば強制するというふうにとられてもしかたがない、そう見るのがすなおな見方ではないか。しかし、私はその点につきましては違法の問題は生じないと思いますが、不当であることだけは指摘をしておくべきだと思います。この一本化につきまして、当然審査の内容としていわゆる複数局支配の排除、マスコミの株の制限等もございますので、その中身等についても審査をされたと思いますが、このFM東京の株の割り当てについてはいつだれがどのような基準でなされたか、その株の中身について、いわゆる複数支配の問題等についての法の抵触はないかどうか、お尋ねいたします。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 前段の株の配分をだれがされたか、あるいはどういうふうにしてしたかということは、私どもは存じておりません。これは私どもは、この一本化された状態におきまして申請の訂正願いが出てまいりまして、それに基づきまして審査をしたという段階でございまして、私どもの審査の結果はそれが適正である、そういうふうに認めたわけでございます。
○岡沢委員 委員長が時間を非常に気にしておられますので、私も別に何も問題を暴露するのが目的ではなしに、国民から見て納得のいく公正な免許がはたしてFM東京の場合になされたかどうかということが問題だと思います。この一本化、株の割り当てにつきましては、私も当事者じゃございませんから詳しくは知りませんが、郵政省が関与して株の割り当て配分をされたというようなことを公言している人もあるようでございます。もしそれが事実であるとすれば、そこまで郵政省が関与されるということについても大きな疑問を生ぜざるを得ないと考えます。 それから、このFM東京は十七日に名称あるいは発起人等について変更届けがなされた、その日のうちに従来の中央FM音楽放送がFM東京という名前で名義書きかえその他の手続がなされておる。その点についても非常に問題が多いようでございますが、特に三十一社が一本化されるについて、三十一社の話し合いが一回もなされていないというふうなことを聞いておりますし、中野委員も五月六日の質問で指摘されております。私は、ほんとうにその免許についての審査を公正になさるとすれば、かりに十七日の受付の段階、十九日の仮免許の段階では御存じなかったとしても、電波行政を預かられる局長なり部長の立場としては、その後本免許あるいはこの五月六日の質問以後、このFM東京の中身の実態について、はたして公正にして電波を免許するに値する公共性の強い使命を達成するにふさわしい資格を具備しているかどうかという観点からも検討される必要があろうと思います。中野委員が指摘されたように、三十一社が一本になるについて、取り下げた社の会合は一回もなされておらないというふうに私は聞いておりますが、この事実は間違いありませんか。
○藤木説明員 お答え申し上げます。 私どもは、先ほども申し上げましたように、足立日商会頭に一本化をお願いしたわけでございます。その後足立会頭は御病気のために梶井剛氏に一本化を委任されまして、私どもは梶井剛氏の一本化の申請がなされましたものを審査したわけでございまして、それに至る経路というものは私どもは関与したことはございませんし、先ほどお話があったような株の配分についてとやかくのことを申し上げたことはございませんし、またその会合がなされたかどうかということは私どもの知らないところでございます。
○岡沢委員 私は局長の御答弁はきわめておざなりだといわざるを得ないわけで、このFM東京の免許に関しては国会でも論議され、またマスコミ界でも幾らか報道されまして、問題点があるということはおそらく御存じのはずであります。やはりほんとうの意味での行政についての責任をおとりになる立場であれば、私はその真相をきわめられる義務があると思うわけであります。 関連いたしまして、いまわざわざ局長のほうから名前が出ましたが、松前重義氏、梶井剛氏、大友六郎氏が、現に電波法第四条違反で告発中の被告発者である。東海大学の松前氏は代表理事、梶井、大友両氏は理事であることは間違いありませんか。
○藤木説明員 間違いございません。
○岡沢委員 FM東京の理事五名の中の三名はいま申し上げたわけでございますが、大友氏は大阪放送の監査役であるという事実は間違いありませんか。
○太原説明員 ただいまのところ承知いたしておりません。
○岡沢委員 放送関係の会社がそうたくさんあるわけじゃないでありましょうが、すでにこの問題についても大きく疑問点を持たれておるFM東京の役員の方々の、いわゆる複数局支配に該当するかどうかという観点から、局長も放送部長も承知しておられても当然じゃないか。私の質問もすでに前から予告しておったところでありますから、非常に不満といいますか、当局の責任者としては怠慢のそしりを私は免れないのではないかと思います。 あわせまして、FM東京の前田久吉氏というのは、関西テレビの代表取締役会長であるという事実は御存じでありますか。
○藤木説明員 そういう事実は存じ上げております。 それからまた、この前中野先生から国会で御質問がございましたあとにおきまして、私どもも十分その点はチェックをいたしまして、いわゆる複数局支配といったものについては問題はない、そういうふうに思っております。
○岡沢委員 先ほど局長の最初の御答弁では、六十六社のうちの三十五社が保留になって三十一社は有資格者だ、甲乙をつけがたい、だから一本にしぼった、こうおっしゃいました。そのしぼられた結果、先ほど申しました問題点の多い方々を取締役あるいは代表取締役にしておるということを指摘しておるわけであります。私は重ねて国民の立場からきわめて不明朗な——当然ガラス張りであるべきかつ公正であるべき、また国民にも関係者にも納得すべき免許がなされるのが好ましいし、また、そのなされる側としてはそういう免許の交付のなされ方をすべきであるのに、これだけ疑問の多い方々を中心にした会社に、しかもいわば同じFM放送にからんだ犯罪の前歴者を対象として、しかもまた、その中身等につきましてはいろいろ指摘されておりますように、FM東海の物的、人的な面がそのままFM東京に移されたというような疑いが持たれるような状態で、いわば先ほど申しました居直り強盗をそのまま認められたような免許のあり方ということについては、現在の情報化時代、放送の使命あるいは影響、公共性ということを考えた場合、単にFM東京の問題だけではなしに、郵政省あるいは政府の姿勢という点からも私はきわめて遺憾だと思うわけでございまして、郵政大臣に対しましても、あやまちを認められるならばこれを改めるにやぶさかであってはならない。電波法の規定からも取り消しの規定もございます。私はぜひ国民の納得のいくような行政、姿勢を示していただきたいということを指摘いたしまして、質問を終わります。
○太原説明員 私、先ほど御質問の中で、大友氏につきまして監査役であるかどうかということを現在承知しておりませんということを申し上げましたが、監査役であるかどうかというのは直ちに調査をいたしますけれども、おそらく複数局支配の問題で御質問されたと思うのでございます。私どもマスコミの集中排除という点につきましては、「一般放送事業者に対する根本基準第九条の適用の方針」に基づく審査要領に基づきまして審査をいたしておりますけれども、その場合、法人の役員の中で複数局支配かどうかというのを審査する法人の役員の点につきましては、監査機関を除くということになっておりますので、その点一言つけ加えさせていただきたいと思います。
○岡沢委員 質問を終わるということを言いましたが、いまの御答弁を含めて一違法でさえなければ何でもできるという考え方を私、改めてもらいたい。そうでなければ、根本基準とか法の精神とかいうものは意味がないわけですね。だからそれは、法律に違反してなくても、より好ましい状態でこういう前歴者を除いた方々の役員構成で幾らでも私は免許をおろす方法があったのではないか。御答弁にも、三十一社それぞれ有資格者だとおっしゃっているわけです。何を好んで同じ事犯の前歴のある方をことさらに過半数も取締役に持つような会社に免許をおろさざるを得ないか。これはもう私一人の個人的な、主観的な疑問ではなしに、少なくとも公平な立場をとる国民の大多数の方々の疑問であろう。その疑問を解明する努力をするのが私は行政当局者のあるべき姿ではないかということを指摘しているわけです。 質問を終わります。
○高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十三分散会