法務委員会 第19号
- 発言数
- 272 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/15
会議録
○瀬戸山委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が所用のため、指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 北朝鮮帰還問題の調査のため、本日、日本赤十字社の方に参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬戸山委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○瀬戸山委員長代理 次に、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について、調査を進めます。 本日は、参考人として、プロフェッショナル・ベースボール・コミッショナー事務局長井原宏君に御出席いただいております。 参考人の方には、本日は御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。 参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きいたすことにしたいと存じますので、さよう御了承願います。 それでは、質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
○畑委員 きょうは、プロ野球の問題や言論・出版の自由妨害等の問題について、いろいろ質疑応答がなされるわけでありますが、その前に私、どうしてもそれとは別なことで大臣の御答弁が願いたいと思います。大臣が法制審議会のほうに御出席の用件があるようでございますから、その時間的な関係で私が先に、ごく短い時間でありますが拝借させていただきまして、質問いたしたいと思います。 その問題というのは、われわれ社会党のほうで、この前の六十一国会におきまして、俗にいう死刑囚再審特例法でありますが、正確に申しますと死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時特例に関する法律案、全文十三条からなっております法案を提出いたしました。この法案の意味するものは、進駐軍がおりました当時の裁判の結果、死刑を宣告されて、それが確定をして、しかもその死刑の執行をされないで今日までおります七名ほどの人たちのことについて、特にいままでの再審の法規と違って、若干特例を設けて、その人たちに関する限り再審の門を広くしよう、こういうことで提案をいたしました。すなわち、従来の再審の法規によりますと、いままでの判決の結果をくつがえすに足りる新たな、「明らかな証拠」がなければならぬということでありますけれども、それを「相当な証拠」というふうに変えて、そして相当の証拠がありさえすれば再審が開始できるということにして入り口を広げてやって、進駐軍がおりました当時、そうした進駐軍の干渉等があったような状況等において行なわれた、しかも死刑、この判決をもう一度再検討してもらいたい、こういうための法案であったのであります。これは、この間の総選挙の際には引退されました、わが党の先輩であります神近さんあるいはまた猪俣浩三先生、こういった方が提案者になっておられまして、非常に人道主義に基づく、しかも当時の占領状態であった裁判等のことを考えて、新しくそれを再検討し直してもらうための方途として考えられた法案でございました。 この法案について、六十一国会で一、二回は質疑応答がなされたのでありますが、その後与野党の理事の問でいろいろ話をいたしました。特に与党の理事諸君の中にも、われわれの説に耳を傾ける方が相当多うございました。非常に熱心なわれわれの先輩の主張するところでもございますし、きわめて人道主義に基づく処置であるということで、何とかしなければならぬというような御気分であられたのでありますけれども、一方また裁判所あるいは法務省等の、いわゆる法の安定というかそういった観点から、そうかりそめに再審の門戸を広げることもどうかといったような意見等もあったようでありまして、その辺与党の理事の方方も、その処置をどうするかでいろいろ考えあぐんでおられた模様でありました。その結果、御承知でもあろうと思いますけれども、去年の七月八日の法務委員会におきまして、大臣の答弁という形でこれに終止符を打つことになりました、こういう御相談がございましたので、われわれも大きな立場からその点を了承いたしまして、われわれの案を引っ込めて、そのかわり大臣の答弁によって別の道を選ぶということになったとわれわれは記憶いたしておるわけです。 ところで、その当時の大臣は西郷国務大臣でございました。その後いまの小林大臣におかわりになったわけでありますけれども、私は、新しくかわられた大臣に対しましてその点をさらに再確認をしておきたいという意味で、きょうの質問をいたしたような次第でございます。 このときの法務委員会の質疑応答をひとつ議事録によって読んでみます。 ○高橋委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件について、調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大村襄治君。 ○大村委員 死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時特例に関する法律案の対象者のような死刑確定者については、恩謝の運用につき検討する余地があると思いますが、法務大臣はどうお考えになりますか。 ○西郷国務大臣 およそ刑の確定者につきましては、刑政の本義にのっとり、寛厳よろしきを得た執行がなさるべきことは言をまたないところでございます。また、犯情、行状並びに犯罪後の状況等にかんがみまして、特に恩赦を行なうことが相当であると認められるものにつきましては、これを行なうべきこともまた当然でございます。 今般この再審特例法案が提案されましたことを契機といたしまして、この法案の対象となるもののような死刑確定者に対しましては、この際、さらに右の観点から十分の検討を遂げ、恩赦の積極的運用について努力いたしたいと考えておる次第でございます。 ○大村委員 再審特例法案の対象者は、全国で何人おりますか。その氏名はお尋ねいたしませんが、地方別にその人数を明らかにしていただきたい。法務大臣に重ねてお尋ねいたします。 ○西郷国務大臣 再審特例法案の対象者は、全国で七名でございます。その現在地を地方別に申し上げますと、大阪府二名、福岡県三人、宮城県二名と相なっております。 議事録を見ますとこういうことになっておりまして、私もその際に立ち会い、そうした措置をすることについて当時の理事の一員として参加をいたした次第でございますけれども、こういういきさつで大臣の答弁がなされたということについては、大臣は前西郷大臣から申し送りを受けておられるかどうか、この点についてまずお伺いいたしたい。
○小林国務大臣 私は大臣になる前、当時からこの委員会の論議も承知しておりますし、また、ああいう御意見も私個人としては非常に共鳴するものがあったのでございます。したがいまして、大臣に就任しましてから西郷さんからのお話があったことはもちろん、私も実は大臣に就任してから多少そういうふうなことも調べてもおりまするし、いろいろ減刑等の投書もございます。したがいまして、保護局長を通じ、私は更生審査会におきましてもひとつ続いてぜひこのことに真剣に取り組んでほしい、こういうことを申し上げておりまするし、また、当時一名の恩赦の減刑があったということも御承知のとおりでありますが、このことは今後も続いて更生審査会においてほんとうに真剣にやっていただく、私はこういうことを強く希望しておるものでございます。
○畑委員 先ほどの経過によっても明らかでありますように、そういう事態に際しての、与野党あげての合意に達した結果に基づく政治的な措置だったと思うのでありまして、この点大臣も、前からもその事情を聞いており、さらにまた、大臣に就任せられてからもこの件については十分考えて、中央更生保護審査会のほうとも連絡をとって、この線に沿ってやっていただくように指導というか慫慂というか、そういうことをやっておられるということでございますか。
○小林国務大臣 さようでございます。
○畑委員 ところで、その後の模様はどうかということについてお伺いいたしたいのです。 実は、この前この決定がなされてからあとも、その次の六十一国会の次に臨時国会があったと思いますが、そのときの席上かでも猪俣委員あたりから質問があって、当時、その後はあまりやられていないというような質問があったかに記憶をいたしておるのでありますけれども、私もその点について、これは去年の七月八日でありまするが、相当日時がたっておるわけであります。その問においてこれに該当する者は七名と聞いております。平沢はじめあるいは福岡事件等の関係者が全部で七名だそうでありますが、この点について、いかなる程度までこの恩赦についての審査がなされておるかということについてひとつ承りたい。こまかいことは大臣でなくても保護局長かと思いますが、その辺の進行状況についていかなる報告を受けておるか、中央更生保護審査会との関係はその後どう保っておるか、促進についてどうやっておるかということについて御答弁を願いたい。
○鹽野政府委員 死刑関係の恩赦事件についての進行状況についての御質問でございますが、先ほど前の国会の西郷大臣の御答弁の内容をお読み上げいただきました。その中に対象者が七名ということでございました。そのうちの一名につきましては、その後審査が順調に進捗いたしまして、昨年の秋、恩赦相当ということで結論が出まして、恩赦が実施されたのでございます。これは新聞等ですでに御承知かと存じますが、その後のものにつきましては、引き続いて審査会で検討中でございます。 これは御承知のとおり、普通の恩赦の出願の場合には犯罪後の情状と申しますか、判決確定後の情状が中心になりまして、刑の執行を受けております者が非常に成績がよろしい、あるいは仮釈放になってからの情状が非常にいいというようなことを理由にして恩赦の出願をするというケースが非常に多いわけでございます。ところが、ただいま御指摘のような事件は、大部分が裁判における事実の認定に問題があるということが、恩赦出願の理由になっているものが大部分なのでございます。したがいまして、普通に行なわれます恩赦の審査と、それからこの種の事件の審査とは若干審査のしかたが違うわけでございまして、普通の事件でございますと、判決を見れば事案の内容というものは大体わかるわけでございます。ところが、今回問題になりましたような事件では証拠関係が問題になりますので、判決だけを審査会で検討したということでは結論が出ないわけでございます。裁判の際に取り上げられ、あるいは再審の手続の際に取り上げられた各種の資料というものを取り出して検討する必要があるのでございます。そのために普通のケースよりは相当審査に時間がかかるということは、御了解いただけるだろうと存じます。 残る事件が六件でございますので、私ども事務当局並びに審査会自体といたしましても、できるだけ並行してこれを進めていきたいというふうに考えております。現在再審等の係属中のために記録が私どものほうの手に入らないという事件が若干ございます。それ以外の法務省で記録を入手することのできました事件につきましては、できるだけ並行して記録の検討を進めていくという段取りをいたしております。いずれにしろ、どの事件も膨大な記録でございまして、これをすべて審査会の委員さん方に一人一人お読みいただくということはとうてい時間的に不可能でございますので、まず事務当局で記録を検討いたしまして、できるだけ要旨、要約というようなものをつくりまして、そのつど適当な段階に審査会に御報告する、審査会のほうでさらにそれは記録自体について見たいという御要求のあった場合には、原記録を提出してお読みいただくというような手続で進めているわけでございます。さような関係で現在のところまだすべての事件が係属審査中ということでございます。 先ほど来のお話で、いろいろ再審特例法との関連でああいう答弁があったというふうな御趣旨も若干うかがわれたのでございますけれども、私ども審査会といたしましては、そういうふうな関係ではございません。重要な問題でございますので、引き続いて慎重に審査を続けているという状況にあるわけでございます。
○畑委員 いまの保護局長の答弁によると、こうした事案は普通の事案と違って、ただ犯罪後の状況、改悛の情があるかどうかというような問題だけではなく、それ以上に事実関係のほうにも、いわゆる犯情と申しますか、そういう関係についての関係だと思いますが、そういう問題についてやはり調べる必要がある。そうするとやはり記録をよく精査しなければならぬ、こういうようなお話、私、それはごもっともだと思う。こういう事案の関係上、どうしてもただ犯罪後の状況とかということだけではいけないので、やはりそうした事実関係にまで、それは判決をくつがえすという意味ではありませんけれども、事実関係として実態に即した審査をしなければならぬということから、やはり事実関係を見る必要があるのだろうと思う。これは私は正しいと思うのでありますが、そうすると非常に時間もかかる、これはよくわかります。しかし、非常に長くそういう状態に置かれておる被告たちであります。また、大臣の答弁がありました後、答弁をそのまますぐさま実現できるというようなつもりか、大臣言明の恩赦を実現する会なんというのができておりまして、そういうふうに一般的にもう解釈をされておるわけであります。したがって、そういった一般の声にもひとつ応ずるためにも、真剣に早く、こうした七名の被告についての恩赦に対する審査をやっていただきたいと思います。 同時にまた、ちょっと先ほどあなたも言われましたけれども、あくまで恩赦は恩赦ということだと思うのです。したがって、恩赦は恩赦のやり方に従ってやらなければならぬということだと思うのだけれども、先ほど来私が申し上げましたように、たまたま占領中の裁判であり、そういう条件下に置かれた裁判である。そのためにわれわれはああした再審特例法を出したのであって、その再審特例法の処置になかなかお困りになって、結局与党の議員からの話もあり、法務省関係との話し合いもあったと思うのであります。そうしてこういう答弁がなされたわけであります。そうしていわゆる政治的にというか一応決着がつけられたということでもありまするから、その辺のことも十分にひとつ頭に置いてやっていただきたい。四角四面に考えずにやってもらいたいと私は思うのです。平沢などもずいぶんもう年をとって八十四、五になりますか、私のところにも何回も手紙をよこして、実は私も困っておるのでございます。それからさらに福岡事件等についても、いろいろそうした恩赦を実現させようということで、いままでのを切りかえてみな運動を進めておるような状況であります。そういう点も十分に考えていただいて、大臣答弁を実際に中央更生保護審査会に移してやってもらうようにお願いいたしたい。 と同時に、もう一つ伺いたいのですけれども、おのおの恩赦のお願いとして、こういうことになってからみな全部出しておるに違いないと思います。そうしてそれはみんな個別の恩赦で、要するにもう全部パアになる、いわゆる恩赦というか、それを願っておるんだと思うのですがね。ところが、なかなかそうは必ずしもいかない。これはむしろ減刑として死刑から無期くらいが適当だということになった場合に、死刑から無期というようなことに——願いは要するに放免、恩赦全部そのまま出られるというふうにお願いしてあっても、その実情をいろいろ審査した結果、減刑とするというようなことはやれるようなことになっているのか、また事実そういう場合も予想しておられるのかどうか、その点をちょっと伺いたい。
○鹽野政府委員 御質問の点でございますが、審査会といたしましては事案に即した審査をし、結論を出すということでございまして、ただいまの御質問でございますと、特赦の出願をした、ところが、審査の結果どうも特赦の理由まではない、減刑程度なら考え得るというようなケースがかりにありました場合に、出願が特赦だからこれは却下だというふうな取り扱いはいたしません。審査会としては、十分そこらあたりは考慮いたしまして、適切な処置をとるように努力をいたしておるわけでございます。
○畑委員 私は、平沢その他があくまで事実はないんだといって争っておりますから、確定してもいろんな手だてでやっておりまするから、そういう点でそういう願いが出た、ついては、それは当たらぬということで減刑くらいが相当だと思っても、それは願いがこうであるからそうしないということであってはいかぬと思いまして、実はその辺のことがわからなかったものですから、質問したわけです。そういう場合には、それでもしかたがないと思うのです。できるだけ今度のこの処置に合うように、ひとつぜひピッチを進めてやっていただきたい。そして同時に、やはり全部のものを並行してやるようにしたほうがよろしかろうと私も考えておるわけです。 重ねて大臣にお伺いしますが、いま保護局長からもこまかい話がございました。私はこの前の西郷大臣の言明を引き継がれて、小林大臣がこの方針で指導するというような御意見で満足いたしておりますが、さらにこれを推進するようにひとつぜひ御努力を願いたい。所見を最後に承りたい。
○小林国務大臣 これはお考えを十分にしんしゃくをいたしまして、何といたしましても、更生審査会は独立機関でありますが、その事務的の準備は保護局で下調べその他をやる、こういうことにならざるを得ないと思いますが、そのほうに関しては私も十分督励をいたしまして、推進をしてまいりたい、かように考えております。
○瀬戸山委員長代理 赤松勇君。
○赤松委員 いま大臣から御答弁がありました件につきまして、実は現在再審制度はございますけれども、事実上これは活用されていない。そこで、いまから八年ほど前でしたか、この法務委員会におきまして再審制度調査委員会というものを設けまして、再審制度の改正等につきまして議論をしてまいりました。その間、例の岩窟王吉田一松の問題等を本委員会で取り上げていただきまして、おかげさまで、五十年間無実を叫んでまいりました彼は無罪の判決を受けました。裁判の威信を高めたことは御承知のとおりであります。その後神近君たちから出しました、いわゆる占領中における事犯につきまして特例法を出すということで、本委員会で問題になりました。ただいま畑さんがその経過を申し上げましたが、西郷法務大臣から答弁があり、実は私どもすみやかに措置をされるというように考えておったわけであります。 それで、事犯の内容につきましては、残念ながら死刑確定の判決に対しまして私どもは無罪を主張してまいりました。これを罰する何らの証拠はありません。しかも当時警視庁の藤田刑事部長は、これは白である、こう判断を下しておりましたが、一警部補が若い検事と話し合いまして、ついにこの事件をでっち上げたわけであります。彼はもう仙台の刑務所でまさに死期に瀕している、こういう状態です。いま大臣のお手元に差し上げましたのは、平沢を救う会という会からの陳情書であります。彼は最近病気にかかりまして、もう手は凍傷のために傷つくというような状態でありまして、これがどういう結果になりましてもほとんど、かりに無期になりましても、おそらくしゃばの風に当たることはできないと思います。そういたしますと、彼は無実を叫びながらむなしく仙台の刑務所で死んでいく。世間ではこの判決につきましては非常な疑惑を持っておるわけです。私は、きょうここでこの問題につきましての黒白を争うなんという気持ちはありません。これは、私は数回、ここ数年間この問題を法務委員会で訴えてまいりました。そこで、お手元に請願書が参っておりますから、どうかひとつ請願書を一読していただきまして、ただいま審査会のほうで審査中でございますが、すみやかに結論を出していただきたい。平沢につきましてはもう公判記録もちゃんとできておりまして、ほとんど新しい事実関係を調べるという必要はなくなっておると思います。 そこで、保護局長にお尋ねしますが、大体いつごろこの結論が出ますか。
○鹽野政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、多くの事件を並行して審査を進めておりますので、いつごろ結論が出るかということは、ただいまのところでは申し上げかねるのでございます。これは審査のやり方を見ておりますと、審査がある程度進みましても新しい問題が起こりまして補充調査をするというような必要の起こる場合もございますし、それからもう一回記録のある部分を再検討するというような必要のある場合も出てまいりますので、現段階でいつこの審査が完了するかということは、事務当局としても見通しがつかないわけでございます。
○赤松委員 もちろん、いろいろな事件を並行審査されておりますから、時間のかかることはわかるのです。ただ本人は非常な老齢でありまして、おそらくここ一、二年の間に不幸な結果に終わるのではないかというように思うわけであります。したがいまして、そういう特殊な事情を十分考えていただきまして、すみやかにひとつ結論を出していただきたい。 重ねて申し上げますけれども、何らの物的証拠はありません。ただ本人の自白だけで旧刑法によってこれが死刑の判決を受けておるわけです。こういう点を十分ひとつ考えていただきまして、すみやかに結論を出していただきたい。 大臣も、きょうは国連の事務総長ともお会いになるそうでありますから、また法制審議会にも出る時間などございまして、私もこれ以上質問しません。またあらためてこの問題につきましてはお伺いしたいと思います。 以上をもって終わります。
○小林国務大臣 私から申し上げておきますが、私も前々からこういう問題に非常な関心を持っておりまして、きょうのこの委員会の御論議の次第もございますから、私は、あらためてひとつ法務部内でも真剣に協議をしてみたい、かように考えておりますことを申し上げておきます。
○瀬戸山委員長代理 鍛冶良作君。
○鍛冶委員 私は、きょう参考人として出てこられましたいわゆるプロ野球コミッショナー事務局の井原宏さんに質問したいと思います。 〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕 近ごろ職業野球におけるいわゆる八百長問題と申しますか、しいてわれわれの法律的に言うと、詐欺賭博と言うていいのじゃないかと思われるのですが、さようなことが行なわれた。そうしてそれを行なったという者がそのことをみずから述べておる。しかも私一人でやったんじゃないのだ、西鉄球団のうちにまだ六、七人の仲間があるのだ、こういうことまでも言っておると新聞に載っておることを見まして、これが事実であるとするならば、職業野球のために惜しむだけでなく、スポーツ界のためにゆゆしき問題でありまするし、あなた方コミッショナーというものがありまする以上は、こういう問題は国会などに出るべきものではなくて、コミッショナーにおいてしかるべく処置される、またここへ出る前に、こういうことがほんとうにあったものならばこれを取り締まるべき警察というものがあるのですから、これは警察でやられるべきものだと思うのです。しかるに、あなた方のほうでどうせられたということもわれわれは聞いておりません。警察のほうでもこれに対して具体的にどのようなことをされたということも残念ながら聞いておらないのです。そしてどうもこういうことが国会の問題に出てくるということは、いかにも順序が違っておるようにも思うし、これはもっとなすべきことがあるのじゃないか、こう思いまするので、私は、まずあなたにその順序から聞いていきたい、こう思うのです。 そこで、第一番に聞きたいのですが、永易という選手が確かに八百長をやることを認諾した、そしてやったんだ、こう言うておりますが、このことは事実ですか。おそらくあなた方お調べになったでしょうね。そしてこれはひとり私だけでないのだ。また一回だけじゃないのでしょうね、何回もやったんでしょうね、やったとすれば。西鉄球団のうちに六、七人のやった者がおるのだ、こう言っておる。そうなるとますますどうも事重大でありますが、こうなればあなた方のほうでわれわれ以上に十分関心を持ってお調べになられたと思うのですが、まず永易がこういうことをやったのか、こういう事実があったのかどうか、西鉄球団にそういうことがあったのか、永易以外の者もそういうものに関係しておったかどうか、その点からひとつ承りたい。どこまでお調べになったか、お聞きをしたいと思います。
○井原参考人 いま鍛冶先生からおっしゃいました、この最悪の事態に直面いたしまして、議員連盟の先生方からも非常な御協力をいただいたということを感謝いたしますとともに、私どもとしてまことにざんきにたえない次第でございます。 永易は、去年十月にそういう行動がありまして以来、みずからは姿を消してしまったわけであります。コミッショナーといたしましては、ゆゆしい事態と考えまして、永易に対して徹底的に調査をしたわけであります。もちろん協約に従いまして一定の手続がありまして、そういうような場合には、所属するリーグの会長が調査をいたしまして、そうしまして会長がその事実を認めたならば、コミッショナーに対してこれこれの調査をした、よってこれを永久失格にしてくれという要求を出すわけであります。ところが、コミッショナー委員会とされましても——私はコミッショナー事務局長でございますから、またあとでいろいろと立場上歯切れの悪い言い方をするかもしれませんが、ごかんべん願います。事務局長でございますが、コミッショナーといたしましても、リーグの会長が調査をして、それでその調査の報告を待ってそれをすぐ採択するということではありません。リーグの会長の調査が不十分だと思いましたら再調査を命ずることもございますし、コミッショナーのほう自体で調査することもあるわけであります。永易の場合はそういうふうな経路を経まして、最後にはコミッショナーのほうで調査いたしましたところ、これは永易自身の弁明なり釈明なりというものは、八方手を尽くしてさがしましたけれども、所在が不明でありまして、とうとう弁明を聞く機会がなかったのでございますが、ともかくいろいろと調査の結果から総合いたしまして、はっきりと野球協約に規定しております有害行為という条章に当てはまることをしたという結論に達したわけでございます。そこで永易は永久失格にしたわけでございます。 その後も報道によりますと、永易以外の選手に対してもいろいろとうわさが次々に出てくる。特に、いまからどのくらいになりましょうか、某新聞を通じまして永易の会見記が出ておる。永易とある報道者の会見記が出まして、それから永易がしゃべったということが報道されまして、それからのプロ野球全体の緊張、特にコミッショナー関係、所属リーグの関係、そういうようなところは実に緊張いたしまして、その報道をすぐ取り上げるわけにいきませんが、何とかして永易に会いたいということを考えておったわけであります。ところが、いろいろと手段を尽くしますが、永易に会うということが非常にむずかしい。ごく最近になりまして、議員連盟の方からまた警察にその協力を依頼していただいたり、その前から私ども警察にもいろいろと協力をお願いしているわけでありますけれども、具体的に議員の先生方から警察のほうに、ぜひもっと協力をするようにというふうな呼びかけがございましたそうで、それに応じまして、さらに警察と密接な連絡をとりまして、それで会おうとしたわけであります。ところが、これもコミッショナーの調査となりますと、永易が全く自由な立場で話せるという状態においてやらなければいけない。いままでの調査でコミッショナーが必要以外の人を入れて本人を調べたことはいまだかつてございません。コミッショナーの調査の基本態度と申しましょうか、そういうような条件をぜひのんでもらった上で永易に会いたいということで、いろいろと努力いたしましたところが、まだまだもう一息くらいのところでございましたでしょうか、もう一息で会えるというときだったと思いますが、先日十日、塩谷議員先生のお骨折りによりまして、全く突然に、コミッショナー事務局に塩谷先生が同道して永易とコミッショナー委員の三人と会うことのお手配をしてくださったわけであります。 そこで、永易の口からコミッショナー委員は、いままでいろいろと新聞や雑誌やそれからテレビ、テレビは録音でございますが、そういうようなところで報道されていることがほんとうに永易自身の口から出たものであるかどうか、それを確かめたわけであります。永易は、全面的にその報道に対しては私が責任を持ちます、そういうふうに答えております。これはコミッショナーの今後の調査の非常に大きなきっかけになるところであります。ただ、永易がそう言ったからといって、永易が言っていることがすべて事実だ、これはもちろん断定するわけにはいきません。いままでの報道が、いままでずっと——昔は知りませんが、先ほど申し上げましたような某新聞にぱっと出ましたのは比較的最近のことでありますが、それから以後の報道について、多少の食い違いはございますけれども、大体自分は責任は持てるというようなことを言ったというようなことが、コミッショナーの今後の調査の非常に大きな手がかりになるということで、まず一歩前進という段階でございます。 それに基づきまして、パ・リーグの会長が協約に従いまして現地の福岡におもむきまして、調査を三日間でございますかいたしまして帰ってまいりました。きょうはパ・リーグの会長に私は会えぬと思いますが、これは非常に重大事でございますから、明日コミッショナー委員三人が集まりました席で、岡野パ・リーグ会長から逐一報告があるはずでございます。それに基づきましてコミッショナーが今後の具体的対策を立てるという段階でございます。 たいへんどうも世間をお騒がせして申しわけございませんが、これからコミッショナー委員は全力を尽くして真実の発見につとめるという考えであるようでございます。私が事務局長でございますが、委員長の固い決心も聞いております。 以上でございます。
○鍛冶委員 永易君の不当な行為ということはございましたが、いまどのようなことをお聞きになったか、まだあなた方これからだと言われるならあとにしますが、永易のやった悪い、不当な行為というか、不法な行為というか、これは俗にいうておるいわゆる八百長でございましょうな。
○井原参考人 はい。
○鍛冶委員 八百長ということになると、私はよくわからぬが、野球の勝負に金をかけて、かけ勝負をやる、そうして勝負なんでどうなるかわからぬのだが、八百長をやって、自分のほうに金のもうかるように勝負を導かせる、これが八百長だろう、こう思うが、そういうことですね。そういうことの疑いがあったので、あなた方は永易に不当なものだと注意されたんだ、こう思うが、それで間違いございませんね。
○井原参考人 野球協約上、八百長という文字は使っておりません。と申しますのは、八百長というのはいろいろと言われますことに複雑なケースがございまして、たとえば相手に、手っとり早く言いますと——ほかのことはやめましょう。たとえば相手に顔を立ててやろうというようなことで、自分の意思で打たなかったり、いいたまをほうらなかったりというようなことがあるかもしれません。これだってプロ野球では厳禁しておるわけであります。ですから、これを八百長ということを申しますかわりに敗退行為、自分の意思で負ける行為であります。ちょっとこのところ重要でございますから読ましていただきます。「この協約に参加する倶楽部の役職員または選手及びコーチを含む監督が当該ティームの試合に於て意識的に敗れまた敗れることを試み或は勝つための最善の努力を怠たりまたかかることを通謀するものは」云云とあります。そういうような表現を使っております。
○鍛冶委員 いま問題になっておるのはそれだけでない。金銭をかけて不当な利益を得んがために、いま言われたような行為をしたので一般世間が騒いでおると私は思っていますがね。それで永易が不当であると認められたのも、金銭をかけてそういうことをしたという疑いがあったから、あなた方もそう言われたと思うが、そうじゃありませんか。金銭が伴うからやかましくなったんだと思うが、そうでないのですか。
○井原参考人 もとより金銭がからんでいればなおさら不明朗でございますが、永易の場合には金銭を幾らだれから受け取ったというような証拠は、その当時としましてはありません。それはあとでいろいろと永易自身が話している中にありますけれども、当時としては、金銭が伴わないにしても、いま私が読みましたあの条項にはっきりと抵触するということであります。
○鍛冶委員 それは金銭が伴うから私は悪いんだと思うが、いずれにしても、八百長をやるにしても、そう簡単にやれるものだとは思わないのです。ピッチャーなら悪いたまを一つ投げれば、それは負けるからなんだが、野球の勝負は九人の者がおってやるのですから、そう簡単にいかぬと思う。よほど私は複雑なものであろうと思われます。思われますが、それが頼むのも仲間に入っておる、こう言うんですからね。それは私はよほど大きいと思うんだが、私は言ったことには責任を持ちます、間違いありません、こう言えば——この問の新聞では六人やら七人、みなおりますと言っておる。それじゃそれも間違いないのですか。それはどうですか。
○井原参考人 現段階におきましては、永易自身がそう申しましたからといって、永易君自身の言を全部信用するわけにはいきません。
○鍛冶委員 信用するわけにもいかぬけれども、いまのところは私は責任を持ちます、私だけじゃない、球団の六、七人も一緒に八百長をやったんだ、こういうことを言ったことは間違いないわけですね。それが本物であるかどうかはこれから調べてもらわなければならぬが、そういうことになりますね。 そこで、私は警察の責任の方々に承りたいのですが、この間から、まず本物であるかどうかということを調べなければならぬというので、永易を警察が調べられることをいろいろの方面から要求しておったはずです。永易の捜査願いまでも出すとか言っておったが、永易の被害者であるとか親族でない者の捜査願いとはおかしいと思うから、そういうものは警察でどう取り扱っておられたか知らぬが、いま私が聞いたように、金銭の伴う八百長をやるとすれば、われわれが法律的にいえば詐欺賭博だと思います。明らかなる犯罪行為です。そういう疑いがあるとすれば、人が言わぬでも警察のほうで永易の行くえをさがして、逮捕してしかるべきものだとわれわれは思っておるのに、どうもそれをやっておられないように思われるのですが、やっておられるのですか、おられないのですか。またやったんだがわからなかったのか。それからいま私の言うように、そういう犯罪の疑いがないからあなたのほうで手をつけられなかったのか、これをひとつ聞きたいと思う。
○高松政府委員 永易元選手の問題につきまして、三月十九日に塩谷、中谷、川崎三代議士の連名で捜査願いが私どものほうに出されました。警察といたしましては、この問題につきまして前から申しておりましたのは、りっぱな成人である永易選手が所在不明である、所在不明であるからこれをさがしてほしいということにつきましては、外部のいろいろなそういう御要望もありましたけれども、私ども一番重視すべきものは、本人はわかりませんからその親族なり家族なりの意向だろう、親族なり家族なりの意向というものを確かめましたところが、連絡は一応とれておるのだ、だからそういうふうに警察に心配してもらわなくてもいい、むしろあの子はそっとしておいてほしいというのが両親の御希望でございました。したがって、そういう意味の所在不明の捜査というものは私どもはやっておりません。 ただ同時に、捜査願いにおいてあらわれておりましたことは、永易が不法監禁されておる容疑がある、非常に生命、身体が危険だという情報もいろいろあるので、その点についてひとつ安全をはかってほしい、こういうことがあるわけでございます。この点につきましては、犯罪の被害者になっておるかもしれない、まして生命、身体、財産に危険があるということがいろいろ言われるならば、その点はやはりはっきりして、もし監禁されておるというふうな事情があるならば、それに応じた措置をとらなければいけないということで、これはその前から少しずつやっておりましたけれども、二十数名、二十六名くらいだと思いますが、その人たちにいろいろ当たりました。そういうことの事実があるかどうかということを調べてまいりました。その結果、大体これは事実がない、しかし、永易氏本人に会ってなお確かめたほうがよかろうというふうなことで、最後は本人にまで会いまして、そういう生命、身体に危険があるという状態ではない、自分は監禁されたこともないし脅迫されたこともない、こういうことをはっきり聞きまして、警察の措置としてはその段階において一段落する、こういうことに考えたわけであります。 それから犯罪の問題でございますが、法律的にはいろいろ問題がございまして、八百長イコール詐欺賭博というわけにはちょっとまいらない。御承知のように、プロ野球につきまして選手が八百長をやる、動機は別にいろいろあるにせよ、八百長をやること自身は、道徳的には非常に責められるべき行為であるかもしれませんが、法律的には犯罪を構成しない。たとえ金をもらって八百長をやったということでも犯罪を構成しない。犯罪になりますのは、あるグループが賭博をやっている、その賭博について八百長を仕組んでいる、そういう場合に一つは賭博の共犯になるかという問題、賭博の共犯としては八百長は私はむずかしいと思います。それから、これが先ほど先生がおっしゃいましたように詐欺賭博、一つの詐欺罪であるということになった場合に、八百長をやったという者があるいは詐欺罪の共犯なり幇助なりになり得る場合があると思います。しかし、詐欺罪ということになってまいりますと、先ほど御指摘になりましたように、野球は何と申しましても九人の選手あるいは監督その他も含めまして多数の人間がやるプレーでございます。そういう場合に一人のあるいは数人の選手の行為自身が勝敗を左右すると申しますか、そういうところに非常にむずかしさもあって、そういう点の立証は困難なものがあると思いますけれども、その点では一応詐欺罪の共犯ということは成り立ち得ると思います。ただ、いまの段階で永易選手がいろいろいままで申しております新聞あるいは週刊誌等に書かれておりますことの内容をもって、直ちにこれが詐欺罪の共犯である、あるいは詐欺罪の共犯になるべき本件の詐欺の本件は具体的にどの事件であるかというふうなことになってまいりますと、これは直ちにそういうふうに詐欺罪をもって問擬できるかどうかは問題でございます。 そういう意味で、警察は何をしておるかというおしかりでございますけれども、明らかな犯罪行為というわけにちょっと現在のところまいらない、こういうのが実情でございます。
○鍛冶委員 法律的の見解が違うことでいま争ってみてもしようがございませんが、これはこれだけ世間で注目した問題でありまするから、この点はわれわれは犯罪になると思うのに、あなた方のほうで犯罪にならぬと言うならば、これは何としても、やはり調べてみたがこういうことで犯罪にならなかった、こういって明らかにしてもらわなければならぬと私は思います。また犯罪になるならば、どこまでも徹底してやられなくては国民の疑惑を解けないから、よほど重大なる関心を持ってこれに当たってもらわなければならぬと心得ます。 私の考えでは、金をかけて野球の勝負をした、金をかける、これは俗にかけですな。かけておりながら八百長で片一方に負けさせる、そして自分が金をもうける、それならばかけじゃないのですから、かけさせておった自分がもうかるにきまっているのですから、りっぱな私は詐欺だと思うのです。詐欺賭博だと思うのですが、それが問題になっているのです。金をかけおいて普通のかけだといってやりながら八百長をやらして金を取る、それが詐欺になるのだと私はこう思いますよ。これ以上はあなた方の法律の見解だが、いずれにしてもそれらの点は十分明らかにしてもらわなくては国民は承知せないと思う。この間からいまおっしゃったとおり、何の関係もない者が、永易という者が世間の問題になっておるからさがしてくれという捜査願いを出したからといって、あなた方のほうでそれをそれに基づいてそこらをさがして歩くわけにもいくものでもなかろうと思います。やはり親戚の者が願いを出すか、もしくは犯罪がこれに伴うか、それでなかったらできなかったものだと思う。問題は犯罪が伴っておるのかおらぬのか、おるならばどこまでもやらなければならぬもの、やられぬところを見れば犯罪があるという確信がないのだろうと、このことをひとつここでよく聞いてみなければならぬ、こう思っていま聞いたわけです。それでこれだけのことを申し上げておきます。 そこで、私の考えから井原さんに意見を申し述べておきたいが、いまいよいよパシフィックの会長とこれからお会いになって、お会いになれば大体真相がわかるわけでございますね。そこで問題は、永易の行為が単なる八百長であってもいかぬならいかぬで、今後こういうことをやってはいかぬということを明瞭にせられること、これが第一だ。それから、それらのことがひとり永易だけでなくて、永易のことばによれば西鉄球団のうちに六、七人の仲間がある、こう言っておった。これを第二として、それはあったのかないのか、これを明瞭にせられなければならぬと思う。私も職業野球に昔から関係しておる一人として、どうあってもこれは明瞭にしてもらわなければならぬ。その次は、永易の行為が私は犯罪行為であると思うが、これはあなた方は法律の専門家でないから、ひとつ私がいま言うことを参考にせられて、この点は犯罪になるかならぬかをひとつ専門家に一々相談して、これをどこまでも究明して天下の疑いを晴らすようにしてもらわなくてはならぬ。そしてさらに、球団のうちにもこれに関連する者があるならば、どこまでもこの点は明瞭にして天下にこれを明らかにされることが何より大事だ。この点を申し上げておく。 それから警察にお願いするのですが、これだけやかましくなっておるのですから、ひとついま申し上げました点を十分根拠に置かれまして、いやしくも犯罪の疑いがあるものであるならば、断固として処分してもらいたい。かりに犯罪にならぬとしても、その点に留意をせられて厳格に調べられたる結果を、ひとつ天下に明瞭にしてもらうことを、特にこの問題のために私は希望いたします。これはそうでないと一般の疑いは晴れません。ですから、その点を十分留意せられた結果、明瞭にせられんことをお願いします。 こんなことは国会などでやるべき問題じゃありませんよ。あなた方のほうでできるものは早く処理してもらえば、こんなところに出てこぬでいい問題だ。だからひとつそのつもりで、もっと言えば、あなた方のお世話になりません、われわれがおるのですから明瞭にいたしますと、これくらいにひとつみえを切って早く明瞭にされることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 赤松勇君。
○赤松委員 井原さんにお会するのはちょうど十五年ぶりです。かつて高野連の佐伯会長、それからいまは死なれました中沢パシフィック会長、それから鈴木セントラルリーグ会長とお会いしました。当時社会人野球と大学野球の問題で御質問したのです。その際私は、野球、ことにプロ野球に関してはこれは少年の大きな夢であるから、どうか球界つまり野球界だけは一般の競馬、競輪その他の競技と違って少年のアイドルであるから、ひとつ健全な野球を確立するようにしてもらいたいということを、当時私は強く要望したわけです。 この問題が起きまして、いま鍛冶君から御質問がありましたが、私はこの際文部省の体育局長に聞いておきたいんだが、この問巨人と中日ドラゴンズの試合のときに、土井がトンネルした。ところが、これを八百長とはだれも見ない。なぜならば、巨人は八百長をしないだろうという前提観念があるからだ。ところが同じ開幕日に——いや開幕日は雨で、ただし九州は晴れで西鉄球場で東映とやったわけです。その際にどんなに少年が騒いだか、約五十人の少年、これが西鉄に向かって非常な怒りを発しておりますね。どういうことを言っておるかというと、これは新聞の報道ですが「エース池永が打たれ始めると「もっとまじめにやれ、八百長選手」というきびしいヤジ、九回に広野、船田が野選、与田が暴投すると西鉄ファンの怒りは頂点に達し、座ブトンが乱れとび、試合が一時中断する。永易元西鉄選手の八百長事件で“黒い霧”に包まれたまま開幕した平和台球場の西鉄×東映のナイターは苦悩する球界そのままの姿でもあった。」この球場の中にあきびんやあるいは座ぶとんが投げ込まれ、そして八百長だ、八百長だという声が球場の中に渦巻いたんですね。私は、これはたいへんな問題だと思う。私はマージャンも競輪も競馬も知りませんが、野球は大好きです。私はプロ野球のファンなんだ。野球を愛するがゆえに、この事態を解決しないでペナントレースに入ったということは、私はけしからぬと思う。これはパシフィックの岡野会長の非常な大きな責任だ。いま何をやっているかといえば、西鉄球団みずからが調査の結果シロであります、だれがそんなばかなことを信用しますか。 私はあとで刑事局長に質問しますが、あなたは有名な金嬉老事件を解決した人だ。あの解決のしかたを見ると、初は息をのんでおいて、そうして最後の瞬間に脱兎のように飛び出してうまくこれを逮捕した。私は、今度も息をのんでおいて、最後のほうはバッチリいくと実は期待しておったんです。ところが、八百長は別に違反ではない、刑事事件にはならぬ、こういうばかな感覚には私はならぬと思うのです。あなたは警察官の前で、まずいまの健全なこうしたレジャーを育てていくという考え方を持たなくちゃいかぬ。あなたは専門家だから説明する必要はないが、八百長について法律のないのはこのプロ野球だけだ。たとえば自転車競技法によると、二十三条では「競輪の選手が、その競走に関して賄ろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。因つて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。」これほどきびしい規定がある。小型自動車競走法ではどういうことになっているかといえば、二十八条に「小型自動車競走の選手が、その競走に関して賄ろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。因って不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。」モーターボートの場合も同じである。競馬法でもそうだ。ひとりプロ野球だけがこういう八百長に対する規制がないということは、一体どういうことか。 まず私は、最初に文部省の体育局長に聞きたいが、この問題について文部省はどう考えていますか。
○木田政府委員 いま御指摘になりました自動車、自転車、競馬等の関係は、そのこと自体が一つの公営ギャンブルとして国民にある程度保障されるという見地から、法律がつくられておるものと思います。プロ野球のことにつきましては、現在私ども考えております点では、やはりこれは公営のギャンブルとしては私ども考えておりません。スポーツそのものを真剣に競い合うことによって国民に喜んでもらう、こういうのがプロ野球でありまして、プロといわれましても、スポーツに立つ野球の基本的な姿勢だと心得ております。そういうスポーツの基本精神に関する点について、スポーツそのものの純粋さというものを打ち出していく、これは私は、そのスポーツ関係者の努力を期待するということから、現在特別の法律その他は設けられてないものだ、このように考えております。
○赤松委員 それで、設ける必要があるのかないのか。
○木田政府委員 現在の段階におきましては、プロ野球がいまの日本野球機構によってつくられましたこまかい協定を着実に実行されます限りは、スポーツそのものとしての純粋さをみずから守る努力をしていくということを期待していきたいというふうに考えます。
○赤松委員 期待に反しているんだよ。現に八百長問題が起きているんだ。これに対して立法の必要があるかないか、時間がないから簡単に答えてください。イエスかノーか、これはあとで高松さんも答えるから。
○木田政府委員 現在の段階ではまだ立法によってスポーツについての規制を考えるという時期ではないと思っております。(赤松委員「プロ野球についてだ」と呼ぶ)プロ野球についてもそのとおりに考えております。(赤松委員「高松さん、答えてください」と呼ぶ)
○高橋委員長 赤松君にちょっと申し上げますが、模範的な委員会であるこの委員会ですから、秩序正しく発言してください。
○赤松委員 高松さん、お答えください。
○高松政府委員 私ども、取り締まりの立場にございまして、こういう問題についての立法の問題については意見を申し上げる立場にはないと思うのであります。ただ、先ほどちょっと御説明がありましたように、片方で競馬あるいは自転車競技というものは、車券なり馬券なりというものが一般に買われておる、そういうものに対する保護として、そういう八百長の禁止というふうなものが行なわれておる。この点はプロ野球なり大相撲というものは性質が異なっておると思います。その場合にどう考えるかというのは、そこでいろいろな考え方が出るのだと思いますけれども、スポーツという、法律よりももっと道徳的な、スポーツマンシップあるいはフェアプレーの世界というものについて、そういう罰則を設けることが適当であるかどうか、あるいはそういうことを犯罪行為にすることが適当であるかどうかというのは、やはり問題であろうかというふうに考えております。
○赤松委員 答弁、非常に不満です。なおあなたにはあとでもう一ぺん質問します。 そこで委員長、委員長自身はこの種の立法について必要があるかどうか、どうお考えですか。
○高橋委員長 委員長個人としましては、(「法律家として答えろ」と呼ぶ者あり)法律家といたしまして、高橋英吉弁護士個人といたしましては、必要があると思いますね。
○赤松委員 全く私と同感でありまして、それならば私ども、もし文部当局が……(発言する者あり)委員長、議場内の秩序を、不規則発言を禁じてください。
○高橋委員長 御静粛に願います。
○赤松委員 委員長がそういう考えならば、これは政府のほうがつくらない場合は、議員立法でやる必要があると思います。 そこで、次に人権擁護局長にお聞きしたいのですが、例の創価学会、公明党の言論妨害事件のときもそうであったが、人権擁護局長はこの問題について何らかの調査をされておりますか。
○川島(一)政府委員 プロ野球の問題でございますか。——現在のところ調査はいたしておりません。ただ、いろいろ新聞などに出ておりますそういうものは、資料として収集いたしております。
○赤松委員 なぜ調査しないのですか。
○川島(一)政府委員 率直に申し上げまして、このプロ野球の問題に関する限り、人権擁護機関が人権侵犯事件として取り上げる必要が、現在のところ認められないというふうに考えております。
○赤松委員 その答弁はたいへん重要ですよ。ちょうど言論妨害問題のときに、あなたは塚本三郎君に同じような答弁を予算委員会でした。私は非常にけしからぬと思う。第一に、これほど世間を騒がしておる問題について、人権擁護局はなぜ動かないのですか。たとえば永易という元選手がいまいろいろ新聞を通じてやっております。国会ではきょう初めて正式に取り上げた。いままでは議員懇談会。永易は共犯が五人なり六人なりおると言っておるのです。いいですか、その疑惑がファンの中にあるのです。だから西鉄が開幕試合であれほど騒がれたのです。いま疑いを持たれておる船田とか池永だとか、この選手もけしからぬと思う。謹慎しなければならぬ身を、例の飲酒運転をやっておる、そうして逃走する。不謹慎きわまると思うのですが、それはともかくとして、この連中が白であった場合どうしますか。永易の言っておることがうそで、疑いをかけられた五、六人の選手が全然そういう事実がなかったという場合どうなりますか。人権侵害じゃありませんか。大きな人権じゅうりんじゃございませんか。調査をする必要はないというのはどういうわけですか。人権侵犯事件処理規程の中には、ちゃんと調査をしなければならぬことになっておるじゃありませんか。どうです。
○川島(一)政府委員 人権擁護機関が事件を調査いたしますのは、人権侵犯によって被害を受けた者を救済するということが主たる目的でございます。ただいまのプロ野球の問題について申し上げますと、ただいま御指摘になりました六人の選手の名誉が問題になる、野球賭博に関係しているかどうかということは、これらの選手の名誉に関する問題であるということは私も十分理解できるわけでございますが、ただ、この名誉の毀損ということは、刑法では名誉毀損罪というものがございまして、これは親告罪になっております。これは被害者の告訴がなければ、その罪を論ずることができない、こういうことになっております。人権侵犯事件におきましてもやはり事情は同じであろう。この刑法の精神を尊重して、個人の名誉に関する問題はその個人の意思を尊重して取り扱うべき問題であろうというふうに考えておるわけであります。したがいまして、現在新聞に載っているだけで、御本人、被害を受けているという方から申告も何もございませんので、人権擁護機関としては現段階でこの事件の調査を行なうということは適当でないと考えておるわけであります。
○赤松委員 新聞に載っておるだけだから、したがって調査の対象にならぬというようなばかな答弁は承服できません。人権侵犯事件処理規程によると、これは昭和三十六年三月十日、法務省訓令第一号、よう聞いておきなさいよ。第二条「事件の調査は、書面若しくは口頭による申告、人権擁護委員若しくは関係官公署の通報又は新聞等の出版物の記事」、新聞に載っただけである、ちゃんとここに規定がある。「新聞等の出版物の記事若しくは放送その他の情報によつて開始するものとする。」こうなっておるじゃないですか。申告しなくたってやる義務がある。第三条には「事件は、人権侵犯の事実の発生地又は人権を侵犯されたとされる者若しくは人権を侵犯したとされる者の住所地若しくは居住地を管轄する法務局又は地方法務局において取り扱う。」となっている。そうすると、西鉄関係ですから福岡法務局がこの事件について直ちに調査を開始しなければならない。調査をやりなさいよ。どうですか。
○川島(一)政府委員 人権侵犯事件の調査を新聞の報道その他の情報によって開始する場合もあることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、ある具体的な事件を人権侵犯事件として調査する必要があるかどうかということは人権擁護機関において判断すべき事柄でございます。現在までのところ、福岡法務局からこういう事件について調査をしているという報告はございませんし、私のほうでも先ほど申し上げましたような考えを持っておるわけでございます。
○赤松委員 あなたの認識は根本的に誤っている。この規定のいうところは、福岡の法務局からあなたのほうへ申告をして、そして調査を開始するというのじゃないのだ。「新聞等の出版物の記事若しくは放送その他の情報によって開始するものとする。」、世間がこれくらい騒いで、ファンがこれくらい騒いで、法務委員会は井原さんまで来てもらう、あるいは議員懇談会はあのようにたくさんの二百名の議員が集まって、問題にしている。これをあなた小さい事件だと思いますか。なぜおやりにならぬのですか。何かやってならぬようなことがあるのですか。いかがです。
○川島(一)政府委員 人権侵犯事件というものは非常に幅が広いわけでございます。たとえば人を殺したというような事件、これは最大の人権侵犯の事件でございます。しかしながら、そういう事件につきましては、別に警察なり検察庁というものがありましてそちらで処理をされることになっております。したがって、人権擁護機関としては人権侵犯事件として扱わないのが通例でございます。
○赤松委員 全くあなたと私は認識が月と地球くらい違っている。これ以上あなたと議論しても——あなた自身、人権擁護局長として資格がないと私は思う。そういう認識では質問してもしかたがないと思うが、最後に聞きます。だれが申告したら、これを取り上げますか。
○川島(一)政府委員 人権侵犯された人と称する者が申告をした場合でございます。
○赤松委員 井原さん、時間がありませんから答弁は簡単に一口でいいです。いま人権擁護局長は、人権を犯されたという人が申告をすればこれは取り上げるというのです。あなたのほうもコミッショナーとしてもちろん調査されておる。そこで西鉄のほうからこの問題についてみずからの白を立証する意味で福岡の法務局にこの調査を申請される考えはありませんか。
○井原参考人 西鉄の球団並びに選手、いま報道されまして非常に悪い立場にある人たちの考えはよくわかりません。しかし、岡野会長がごく最近に行って調べてまいりましたから、その結果、そういう人たちの一そう新しい考えがわかるんじゃないかと思います。
○赤松委員 それで岡野さんが行かれまして、いろいろ調査なさった。その過程で、ぜひ人権擁護局の力をかりる必要があるというお考えになった場合には、福岡の法務局へその調査を申請されるお考えはありますか。どうですか。イエスかノーか、それだけでいいです。
○井原参考人 事務局長としてそれをここではっきりと、そういう方針を申し述べるわけにはいきません、よく帰って相談いたします。
○赤松委員 ぜひ西鉄球団のためにも、岡野会長と御相談くだすって、そして真剣にこの問題、検討していただきたい。そうでありませんと——私は西鉄球団というのは好きなんです。好きであるから、早くそういう疑惑を晴らして、そして球界の黒い霧を一掃するということが必要だと思いますから、これはぜひ真剣に御検討を願いたいと思います。それで、パシフィックリーグで幾ら岡野さんや井原さんが調査したって、もう世間は信用しません。これだけ申し上げておく。ですから、ぜひ人権擁護局の力をかりてこの黒白を明らかにしてもらいたい。 次に、高松さんにお尋ねしますが、「八百長を頼まれたのは、昨年四月二十三日、東京球場での対ロッテ戦で、与田投手からだった。」「八百長が成功したのは、同七月二十九日大阪球場での対南海戦で、与田投手から“バッターも押えてくれ”といわれ、私が船田内野手を仲間に誘った。与田は村上捕手、基内野手を誘った。」「買収金を持ってきたのは神戸のフジタという人物で、益田、与田、私はあと払いだったが、こちらから頼んだ選手には前払いでそれぞれ二十万——三十万円を渡した。」「藤本部長と会ったのは夕方五時半ごろ。福岡市内の西公園の階段を降りたところの鳥居の下で、藤本さんは“会うときは、いつもここにしよう”といった。」「三度目は十二月初め、春吉タクシー近くにある料亭で、フジタ、オオシロ両氏とともに、楠根オーナーに会った。席上、同席していると話しにくいといわれ、一時間ぐらい席をはずした。戻ってから書類にサインさせられた。博多駅前のフジタ氏のアパートに引き揚げてから三百万円を受け取り、うち二十万円をオオシロ氏に謝礼として渡した。」「このあとで百万円をオオシロ氏のところへ送ってくるという話だったが、フジタ氏がその金は世話をやいた人たちみんなに、礼金として分けたらいいというので従った。」 明らかに金銭は動いている。永易発言によれば、明らかに金銭は動いている。何百万円という金が、賭博行為なしにやりとりすると思われますか。八百長には必ず賭博行為が関連しているのです。しかも永易はこの大城と藤繩、この二人にあやつられた。その背後には暴力団がおることは、これはもう明瞭なんです。あなたは八百長だけでは事件にならぬということを盛んに言っている。福岡県警はすでに動き始めてます。この大城、藤繩が西鉄を恐喝したという疑いで、いま捜査を始めている。恐喝問題も重要であるけれども、それ以上にこの何百万円という金が大城それから藤繩、この男から渡されたというところに問題がある。簡単なんだ、この事件を解決するには。この藤繩というのは、私は傷害の前科がありますと、警察に逮捕されたことがありますと、ばくちは好きですと言っているのです。その背後に暴力団がおることはいまや明瞭なんです。この二人を調べられれば全貌が明らかになる。この点高松さんどうですか。金嬉老をやっつけたようなわけにいかぬか。
○高松政府委員 いまお話しのありました数百万円の金というのは、私の承知しておる、新聞報道等で見ましたところでは、永易元選手が西鉄球団を退団するに際して球団の側からもらったんだ、こういうことでございます。そのほかに……(赤松委員「違う、違う」と呼ぶ)そういうことでございます。そのほかに、先に出ておりますのは、フジタという人から八百長をやったときに二十万円もらったというふうなのが一、二出ておるということであります。 それで、福岡県警で恐喝——恐喝というのは私どもにもよくわかりませんけれども、恐喝容疑で捜査をしているという報道が新聞に記載されておりましたけれども、そういう面での捜査は福岡県敬百はやっておりません。
○赤松委員 もちろん彼の退職金も入っているでしょう。ただ楠根オーナーが、おまえの一生の生活はめんどうを見てやるからこれを口外するなということを言っている。あなたは全然この事件を追及しようとされる熱意はないですね。
○高松政府委員 私どもは前々から申しておりますとおりに、犯罪行為があればこれは当然やります。それから現在の段階も、先ほど鍛冶委員に対して申し上げましたように、若干犯罪行為につながるようなところもあります。ただ、こういう問題についてどういうふうに捜査をやっていくか、どういう時点においてどういうことをやっていくかというのは、これは捜査のやり方の一つの問題でありまして、私どもは、そういう点から現在は事態をもう少し見守っていくというのが私どもの態度でございます。われわれが、犯罪の容疑が確かにある、野球賭博というふうなものにつながるものは確かにある、こういうようなことになれば当然、これは捜査をいたします。その辺の確証が、あるいは心証がとれていくか、とれていかないかというところが問題であろうかと思います。単に、本犯は何だかちっとも具体的に特定できない、だれがどういうふうにやっているのか一つもわからないという状態で、従犯だけというのも妙な話でございますし、その辺の捜査のテクニックあるいはやり方というものも考えながら現在事態を見ているということがわれわれの態度でございます。
○赤松委員 藤繩それから大城というのは西鉄と永易の、それが退職金であれ何であれですよ、そのやりとりの中で、明らかに永易は彼に金を払っているのですよ。そうしてすべてこの二人の指導に従って動いているのですよ。この二人を調べればもう事態は明瞭になるということを先ほどから申し上げておる。ずっとしばらく見ておって、見ておるうちにペナントレースはどんどん進んできて、西鉄に対する疑いはますます濃くなって、そしてファンはどんどん減っていきますよ。他の球場はきのうなんかは何万というファンが入っているのに、あそこなんかはまるでかんこ鳥が鳴くような状態じゃありませんか。これは私はパシフィックリーグのためにも、球界全体のためにも、この際思い切ってこの二人の男を調査したらどうですか。あなたたちは別件逮捕だとかなんとかいっていつもやるじゃないですか。私は別件逮捕でやれとは言わない、言わないけれども、ほんとうにやる気になったらできる。二人を調べればこれは完全に黒い霧は晴れますよ。これはおやりになるか、どうですか。
○高松政府委員 私ども、藤繩、大城という人について具体的には深くは存じておりません。それから一人は所在もわからない、もう一人もどういう人かわからないというふうなように聞いております。この二人につきましても直接に犯罪の容疑があるというわけではございません。おことばを返すようですけれども、調べればわかるとおっしゃいますけれども、あるいは調べてもなおわからぬところが出るかもしれません。それはやっぱり調べるなり何なりのやり方の問題というふうなものも私どもは考えていかなければならぬ、こういうふうに思っているわけであります。
○赤松委員 世界に冠たる日本の警察が、しかもそのいまや警察界のホープであるといわれておるあなたが、そういうばかげた答弁をしたら世間で笑われますから気をつけなさい。 そこで委員長、これをやっておってもなかなか問題が明らかになっていきませんから、そこで岡野パシフィック会長、西鉄の楠根オーナー、それからいま問題になっている藤繩という男、これを本委員会にひとつ参考人として喚問してください。右を要求して、私の質問を終わります。
○高橋委員長 いまの問題は理事会で相談をいたしましょう。 それでは次に中谷君。
○中谷委員 文部省の体育局長と警察庁の刑事局長にお尋ねをいたしますが、その前に、井原参考人に事務局長として次のような点についてお答えをいただきたいと思います。時間がございませんので、一問一答でひとつお願いいたします。 コミッショナー委員会あるいは事務局の調査体制の不備ということは従来指摘されてまいりました。そこで、調査というものについて私は次のように考えます。調査が確実なものでなければならない、これがまず調査というものの第一点でございますね。新聞の報道によりますと、巨人軍の藤田コーチが謹慎の処分を受けたのは、有害行為に全く関係がない、いわゆる暴力団との若干のかかわり合いがあったことについてみずから球団自体としても責任をとったのだ、こういうことでございました。 そこで、上田栄吉という人物が右翼暴力団の幹部であった、しかも競馬、野球等の賭博の常習者であった、この事実はコミッショナー事務局はいつ確認をしておられますか。
○井原参考人 いまの藤田さんという方、その人につきましても……。
○中谷委員 いや違う。井原さんきょうは落ちついてひとつフランクに、委員会ですけれども、落ちついて答えてください。巨人の藤田コーチのことを聞いているのですよ。 巨人の藤田コーチが暴力団と若干のかかわり合いがあったということで巨人軍は謹慎を命じた、こういうことですね。ところが、その発表には野球の有害行為をしたものではないのだ、こういうふうに言っておられる。ところが、有害行為をしたかどうかの前提には、単に暴力団ではなしに、その上田栄吉がいわゆる賭博常習者であったかどうかという点が問題になるのです。そこで常習賭博の犯人、いわゆる犯罪者であったかどうかということ、そのことはコミッショナー事務局はいつ確認をしておられますか。単に暴力団としての確認だけしかお持ちになっていないのじゃないかという点についてまずお答えいただきたい。
○井原参考人 いま名前の言い間違いをいたしました。 その上田という人のことにつきましては、所轄警察署のほうでも大体いろいろと伺っております。ただ、野球賭博常習者であったということは全然教えられておりません。
○高橋委員長 ちょっと中谷君に。あなた一問一答と言っていますし、井原参考人もなれていらっしゃらないようだから、一々委員長が仲介せずに、直接一問一答でお二人の方でやってください。
○中谷委員 そこで、刑事局長にお尋ねをいたしたいと思います。 予算委員会において国家公安委員長は、できるだけプロ野球健全化のためには協力をいたしましょう、こういうお話がございました。そうして暴力団等のリスト等についても必要がある場合には、見せてほしいとコミッショナー事務局が言うならば見せてやってもいい、こういう趣旨の答弁があったと私は理解をいたしております。速記録を持ってきておりますけれども……。そうすると、コミッショナー事務局のほうから警察庁に対して上田栄吉の前科、そうしてそれが賭博常習者であるということについての資料の要求は、知らないとおっしゃるのだから間違いないと思いますけれども、そういう資料の要求は全然なかったというふうにお聞きしてよろしいですね。
○高橋委員長 ちょっと私も取り消しますけれども、いまの発言は、委員長の許可が要るということになっているそうですから、それは省略すると憲法違反になるそうですから、やはり一々許可を得るようにしてください。
○高松政府委員 予算委員会で国家公安委員長がお答えいたしましたのは、私の記憶によりますと、警察としても野球賭博の取り締まりその他を通じまして、こういうプロ野球界の明朗化といいますかあるいは浄化といいますか、そういうことに積極的に協力してまいるということを申されたということを申しておられました。 暴力団その他の前科を聞かれれば教えるかという問題でございますが……(中谷委員「私の聞いているのは教えたかどうかだけです」と呼ぶ)この点については現に上野署でどういたしましたか、私よく承知しておりません。
○中谷委員 そこで、私はプロ野球が現在非常な危機にあると思うのです。そうすると井原さん、あなた確実な調査はするということをおっしゃっておられる。そうして三百五十八条の賭博常習者の問題が一番論議の対象になったわけですね。そういうことになってまいりますと、賭博常習者と同行したのですから賭博常習者ということが問題になっているのです。そういうような状態の中で、あなた方は調査をされた、また巨人軍は処分をしたというけれども、暴力団ということは認識をしておったが、要するにその後の第三者の調査によってその上田という人物が賭博常習者というようなことがわかってきたということになってまいりますと、藤田コーチの問題は新しい調査の対象になり得るのですか、なり得ないのですか。この点を簡単にお答えください。
○井原参考人 一口に賭博常習者ということになりますと、野球協約の三百五十八条ですか、これに抵触はしないと思います。野球賭博常習者でございますから、見出しは略して賭博常習者と書いてありますが、野球賭博常習者……。
○中谷委員 上田栄吉というのは野球賭博常習者なんだということがはっきりしているのです。その点がその後の調査ではっきりしたのです。上野署の捜査等によると三十八年に検挙されているのです。パチンコの景品買いをやっておったけれども、それは取り締まりがきついので、その後競馬や野球の常習賭博をやって検挙をせられたという前歴の持ち主なんです。そういうことだとするならば、とすればと聞いているのですよ、さらに再調査されるのかどうか。調査の確実性ということとの関係において、暴力団とのかかわり合いだということで謹慎の処分を受けた人がある。ところが、それは単に暴力団ではなかった、野球賭博の常習者だということが判明した場合には、認定の方法が変わってくる。再調査の必要があるのかどうか、あり得るのかどうかだけイエスかノーかで答えてください。
○井原参考人 野球賭博常習者であった場合、それがこの条項に触れるような行為をしたかどうかということでございますね。そういうことがあればやりますが、私のほうの調査では、かりに上田という人が野球賭博常習者でありましょうとも、藤田はそういうふうな三百五十八条に触れる行為をしたことはないと認定されております。
○中谷委員 論理の前提が違いますね。野球賭博常習者ということをあなた知らないとおっしゃるのでしょう。だからその点について、野球賭博常習者じゃないのだから最初から三百五十八条の問題は生じませんね。生じないから三百五十八条の調査をされた事実はないはずです。暴力団の上田とのかかわり合いを調査したにすぎないわけなんです。そうですね。もっと正確に言うと、きょうここで私から野球賭博常習者ですよと教えられた。そうなると再調査の必要性が生まれてくるのかどうか。三百五十八条に触れるとか触れないとか別として、触れるか触れないかについて再調査の必要性が生じてくると思うが、その点はどうかというきわめて簡単な質問を、調査というのは確実にやってもらわなければ困りますよという観点からしている。私の質問の第一点は、調査の確実性という点から一つの例として藤田君の例を出した。そういう場合は再調査の必要性があると思うけれどもということでお伺いしているのですが、いかがですか。
○井原参考人 先ほども申し上げましたように、藤田コーチは三百五十八条に触れるような行為を現段階でしておりませんけれども、かりにいままでの調査にあらわれてないそういうふうな、藤田コーチの行動にそういう疑いが持たれた場合には再調査いたします。
○中谷委員 調査していないと言って調査したとかおっしゃいますけれども、一番の基本は、野球賭博常習者であったかどうかという点が一番大事な点ですよ。そういうことについて調査してなくて——そもそも三百五十八条はあなた方の関心の対象にはならなかったはずです、上田栄吉を野球賭博常習者と思っていないのだから。私は野球賭博常習者だと言っておるのです。あなたはいま聞いたと言うのでしょう。そうだとすると、当然三百五十八条の問題が起こってくるのじゃないですか。 問題をもう一度整理します。上田栄吉は野球賭博常習者として昭和三十八年、上野署で検挙された前科三犯の前歴があるという点についてはいかがでしょうか。
○井原参考人 私のほうでは三月二十四日に上野署で調査をしております。その際、その人が野球賭博常習者であるということは全然申されておりません。
○中谷委員 もう一度お尋ねしますが、上田栄吉というのは愛国青年連盟の上田栄吉ですね。この人が三十八年の七月ごろ検挙されておりますね。これは競馬の賭博と野球賭博の両方で検挙の対象になっています。そのことは知っていますか。井原さん、どうですか。
○井原参考人 私は警察当局からそのような知らされ方をしておりません。
○中谷委員 この問題ばかりやっておってもおかしいですけれども、調査の確実性という点から——私はプロ野球をやはり健全化してもらいたいと思っているのですよ。だからやはりそういう点についての確実な調査ですね。二回も三回も調査されては、私は藤田君だって迷惑だと思うのですよ。そういう点で、調査の確実性という点についてまずコミッショナー事務局にお尋ねをし、その見解を求めたのです。 次に私がお尋ねしたいのは、事務局はすみやかに調査をすべきだという点についてです。先ほど事務局長にある新聞の記事を見せましたね。高松局長にもいま見ていただいたと思います。要するに、勝てば命がないぞというふうなことで、X対Yというチームの三連戦の二日目、そういうようなことで注文どおり派手なプレーで自滅をした。これは四十二年の試合。監督も危害をおそれた、こういう事実がございますね。こういうふうな穏やかならぬことが報道されている。私はまず迅速な調査という点で井原さんにお尋ねします。XとYというのはどことどこのチームか想像つきますか。しろうとの私でも想像つきますよ。
○井原参考人 実は私は非常に忙しいことをやっておるものですから、ときどき新聞を見そこなうことがあります。これもその一つなんです。いま突然で私は想像はつきません。
○中谷委員 この新聞記事というのは、かなり取材が長くかかって、そして四月十四日にこういう記事が出ただろうと私は思うのです。協約の中に、有害行為についての事実を知った場合については、選手その他それを知った関係者には申告義務が課せられているはずです。こういうふうなものについて協約の中に報告義務が課せられておりますね。これは御存じですね。——専門家に御存じかと言うのは、失礼しました。そういう規定がございますね。そこで局長、この四十二年の試合等についての申告、報告が事務局へまいった事実 はありますか。
○井原参考人 ございません。これは賭博、いわゆる八百長ですが、敗退行為のような勧誘を受けた者が申告を怠ったときには処罰されます。ですが、知っているというだけでは、申告することはできますが、処罰の対象ということにはなりませ ん。
○中谷委員 三百五十七条です。その条文の解釈を承っているわけではないのです。これは不正な事実ですね。不正義な事実です。許すことのできない穏やかでない事実なんです。だから、三百五十七条にまともに該当するかどうかは別として、申告するのが当然なんです。それがプロ野球の健全化だと私は思います。コミッショナー事務局もこういうものについて迅速に調査をする義務があると思うのです。あなたのお話を聞いておると、三百五十七条に該当しなければこんなことがあっても申告する必要はないのだ、それは私の知ったことじゃないのだ、選手も知ったことじゃない、そういうふうに聞こえますよ。要するに三百五十七条に似たような事実があったという報告を受けたことがありますか。そのことだけ聞いているのです。
○井原参考人 ございません。
○中谷委員 井原さん、そのことについて申告がないということについては、好ましいことと思われますか思われませんか。
○井原参考人 相当証拠があるとか、非常にそういうふうな疑い濃厚だというような場合には申告してくれたほうがいいと思いますが、なお三百六十一条にそのことは規定してあります。
○中谷委員 三百六十一条は有害行為の告発ですね。そうじゃないのです。疑いが濃いとか濃くないというのは今後調べていく問題なんです。私が聞いているのは、そういうことについて選手が取材の対象になって、その結果四十五年にこういう記事が出た。そうすれば、そういう被害を受けたとされている者が監督から選手からたくさんいるのですから、こういうような問題について申告があるのが当然じゃないですか。それが好ましいのではないのですかということを聞いているのです。そういうことは当然申告すべきだというのは、これは常識だと思うのです。 それからもう一つお聞きしますが、このXとYがどこのチームかあなたは見当つきませんか。
○井原参考人 いますぐ見当はつきません。
○中谷委員 調査されますか。
○井原参考人 そういうようなうわさなり報道、いろいろな問題がたくさんありますから、順序を追うて調査いたします。
○中谷委員 シーズンが終わってからということもあり得るわけですね、皮肉な言い方をさしていただくならば。とにかくき然とした態度をおとりください。プロ野球を愛しているファンはとにかく何百万といるんですよ。だからコミッショナー事務局がき然とした態度をとって、時としては泣いて馬謖を切るという態度を示すことがプロ野球の信頼を回復する道なんだということを繰り返し繰り返し言っているんです。お仕事が忙しいとかそんなことはわかっていますよ。調査しますという一言でいいのです。お答えとしてはそうだと思います。お答えを強要するわけではありませんけれども。 そこで、刑事局長にお聞きしますけれども、穏やかならぬ記事が出ていますが、こういう事実があるとすれば、これは当然何らかの犯罪を構成すると思われますが、いかがですか。
○高松政府委員 この記事のとおりであれば、当然脅迫なりそういう犯罪は構成すると思います。
○中谷委員 そこで次に、この機会に刑事局長にお尋ねをしておきたいと思いますが、永易発言というものの信憑性は、その確度をどう見るかで人によって、ずいぶん違ってくると思うのです。ことに西鉄のほかの選手も関係があったという発言は、人によって信用度、信頼度、信憑性がかなり違ってくると思うのです。ただ永易発言の中に名ざしをされた選手の中の一人がかけ金をしておった、客になっておったという発言がございますね。こういうのは当然捜査の対象になり得るのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○高松政府委員 永易選手の発言どおり、ほかの選手でみずからその賭博に参加しておる者がいるということになれば、これは当然犯罪になると思います。
○中谷委員 それから刑事局長に質問を整理いたしますが、自分の知っていることを何もかも言いたいといって、暗に金銭を要求する目的で、相手の困惑することを知りながらそういうふうに申し入れて相手から金銭を受け取ったということになれば、そういうふうな設例であるならば、これは恐喝罪を構成するのではないでしょうか。刑事局長さんにお尋ねいたします。
○高松政府委員 構成する場合が非常に多いと思います。
○中谷委員 永易発言というのを詳細に分析をいたしましたけれども、知っていることを何もかも言いたい、そう言ったら、楠根オーナーが待ってくれ、一生めんどう見るといって若干のお金が渡っている、そういうふうにとれるわけです。そうするとこの問題については、そういうふうなことが新聞に報道され、永易君の口から言われる。そのままそのことが、被害者のほうは金を渡さないといって——普通なら、被害者であるはずの人が金を渡さないといって徹底的にがんばっているというのは世にも奇怪なできごとなんですけれども、そういうふうに自分は知っていることを言いたいと言った。そうしたらとにかく金をくれた。何か第三者的に考えてみますと、そこに暗に金銭を要求したというふうな疑いがきわめて濃厚だということになり得る。そういうふうなことについて、こういうふうな永易君の金銭の授受が捜査の対象にならないで済むのかどうか、警察としては捜査される意思がないのか、この点はいずれにしても黒白をはっきりしなければいかぬと思うのです。その点は警察としてはいかがでしょうか。
○高松政府委員 片方はもらったと言い、片方はやらないと言う。どちらがほんとうか、この点はよくわかりません。それから金銭の授受がかりにあったといたしまして、そういう恐喝めいたことで授受があったのか、あるいは金をやるほうが進んでやったのか、この点も現在ではたいへん不明確であると思います。
○中谷委員 お調べにならないから不明確なわけでして、捜査の端緒ではあるわけじゃないのですか。
○高松政府委員 もう少し様子を見たいと思います。
○中谷委員 様子を見られると言う、その様子というのは、具体的な状況としてはどういう状況変化があった場合に捜査に着手されることになるのですか。
○高松政府委員 具体的にどういうふうな状況になってまいるか、ちょっと想像はできませんけれども、これからもちろんいろいろな変化が出てまいるだろうと私は思います。それらを見て犯罪になるものかならないものか考えて措置してまいりたい、こういうことだと思います。
○中谷委員 調査というものは迅速、確実でなければならないということについて、私、二点をコミッショナー事務局に要望をかねて指摘をしたわけなんです。一つは、確実という点では、藤田コーチの問題について、野球賭博常習者であるということの御認識はきょう委員会においでになるまでお持ちになってなかった。いま一歩突っ込んでお調べになっていればそういう点は出たはずです。私は非常に残念だということが一点。いま一点は、迅速という点からいうと、きのうの夕刊にX、Yというチームの名前が出ている。これなんかについては、コミッショナー事務局がき然とした態度をおとりになっているのだったら、きょうこの委員会でこれが質問の対象になるぞということで、そういうこともかねてお調べになるのが当然だと思う。迅速という点においても私ははなはだ遺憾だと思うのです。 次に私は、調査というものが科学的でないことについて、やはりファンは疑問というか、非常に不満を持っていると思うのです。そこで西鉄、それからパの会長の岡野さんなどが、西鉄の疑惑、名指しされた六選手についての調査をされたといいますね。そこでこういう具体的な八百長についての調査の一般的な基準というかルールというか、そういうものについてコミッショナー事務局としては、最低こういう調査をすべきだという点についてはどういうふうな調査の方法をお持ちになっているのかどうか。たとえばこのゲームで八百長があったということがいわれておるわけですね。そうすると、私、当然第三者として考えるのですけれども、問題のそのゲームの当時のフィルムなどを野球専門家等が見て、そうして問題になりそうなプレーの点はチェックをして、調査のときに選手にそのフィルムを見せて、それについて合理的な弁解をさせるというふうなことは、私はもうきわめて初歩的な調査のやり方だと思うのです。どうも西鉄なんかのやり方を聞いてみますと、六人六時間、十項目のアンケート、もう白にしたくて白にしたくてしかたがない。まあ言うてみれば、家庭裁判所でよく経験することでありますけれども、うちの子に限ってこんな悪いことをするはずがない、子供かわいくてしかたがないという母親のような態度、こんな態度で調査というものはできやせぬですよ。大体球団のオーナーがこの場合疑われているのですからね。要するに、自分の手がとにかく白か灰色か黒かという点を問題にされているときに、自分の手が白だということをはっきり立証できてない段階で、球団の社長に命じて調査させるなんということは、私は調査の主体においての信頼性もないと思うのですが、調査の科学性ということについて、コミッショナー事務局長のファンの納得のいく調査の科学性、それはどんなことをお考えになっていますか。調査としてはこの点だけは落としてはいかぬということについて、ひとつ答えていただきたい。
○井原参考人 先ほど申し上げましたように、現在、リーグの会長が調査をして、どういう調査をしたかということをコミッショナー委員会でよく検討いたしました上で具体的対策を練るということであると思います。私はまだ具体的な調査方法について指示は受けておりません。
○中谷委員 そうじゃないのです。具体的な調査方法について指示を受けてないと言うが、あなた指示を受ける立場にあるのですか。指示を受けて——だれからの指示です。ぼくの言っているのはそうじゃないのです。要するに球団がまず調査をした。球団が調査したことがいいかどうかは別として、まず球団が調査した。その次にパの会長が調査をした。コミッショナー委員会あるいは事務局長としては、当然パの会長に対して、調査の方法としてはこんな調査だけは間違いなしにしなさいよということの助言、指導は私はしてしかるべきだったと思うのです。何か調べてきまして、とにかく調べるまでは全然ノータッチ、そうして調べてきたものを見て、必要ならば再調査するという、その理屈の話を聞いているのじゃないのです。再調査をすればそれは時間が要るのですから、一日も早く黒白をつけてもらいたいというプロ野球愛好家の期待にこたえるためには、調査が迅速で、確実で、しかも科学的であって、それが信頼を受けるものでなければならない。とすれば、コミッショナー事務局長の名前で、あるいは委員会の名前で、調査としてはこれだけのことはやってくださいということを言ったってそれは少しも問題にならないでしょう。当然そういうことをすべきじゃなかったのですか。ともかくそういうことをやっておられないようだけれども、いまあなたの考えておられる調査として、再調査を命ずるとか命じないとかは別として、最低これだけのことはしておかなければいかぬ、たとえば私は、ゲームそのものが八百長だと問われているときには録画を見るなんということは当然のことだと思うけれども、その点についてはどうか、科学的な調査ということについてはどう考えているか、こんな点をお尋ねしているのです。
○井原参考人 いまおっしゃいましたその科学的調査、たとえばフィルムを調べてみるとか、その他物的なものでやるということについては、いろいろと考えてはおります。しかし、コミッショナー委員長ほか委員の人たちの頭の中にもいろいろと対策が練られておると思いますが、まだどういう方法でやるかということは私は聞かされていないという段階でございます。
○中谷委員 宮澤先生は憲法の日本で一番有名な先生だということですけれども、コミッショナー委員会の委員の先生方でそういうふうな調査がはたして可能なのかどうか、いま言ったようなことが。また事務局長のお話を聞いていると、何か人ごとの話を聞いているような感じがするのです。そういう中で、一体調査をどうするのかという中で、やはり私は率直にいって、これだけとにかくプロ野球が危機に瀕している。とにかく有名な監督の中には、プロ野球の前途に危機感を持っていますよ。非常な危機感を持っている。しかし私は、開幕の第一日は雨だったけれども、この雨に耐えれば、そしてうまくいけばすばらしい日本晴れが来るかもしれない、こういうふうに思っている。そういうようなことはやはり徹底的な黒白をつける調査なんだ。そういうふうな中でいまのようなお話でいいのかどうか。調査を徹底的にやる、科学的な迅速な確実な調査をやるという点で、いまは何べんもこの話を私申し上げましたけれども、事務局の構成員が八人とか九人とかいう中で、しかもとにかく事務局長さん非常に御熱心だけれども、そういうことの調査の御専門というわけにはいかないと思う。そういう中で調査委託をするというふうなことを、たとえば弁護士だとかあるいは野球の専門家というふうな人たちに調査を委託をして、とにかく黒白をつけるということは当然必要だと思う。自分もとにかく疑われている。教育ママが自分の子供に、なぐったのはよその子供が悪いんだ、おまえはよかったんだろうと言うようなふうにもとれるような調査のしかたなんというものは、ファンは納得しませんよ。だから第三者が、しかも調査能力のある人なりによる調査という体制を早急にとるべきじゃないでしょうか。局長、いかがですか。
○井原参考人 たとえば現在おりますスタッフ以外に新たに弁護士その他の人たちを入れてやらせるというようなことは、一応御趣旨としてわかりますが、いろいろむずかしい点がありますことは、先月の十八日の法務委員会で宮澤コミッショナーがちょっと述べられたような理由もあるわけでございます。
○中谷委員 どういうこと。
○井原参考人 人選とかいろいろな点でむずかしいということをちょっと述べておられますが、何でしたらここに議事録がございますが……。
○中谷委員 いいです。
○井原参考人 それにもかかわらず、そういう御趣旨というものはよく伝えまして、検討していただくつもりでおります。
○中谷委員 西鉄の楠根というオーナーが疑われているのは、これは結局恐喝の被害者なのか、あるいは任意にお金を出したのか、あるいは積極的に逃走資金を出したのか、あるいは全然お金を出していないのかという点です。こういう楠根オーナーなんというのは、一体だれがどんな権限で調べるのですか。
○井原参考人 楠根さんはプロ野球のオーナーでありますが、現在のプロ野球のオーナーという人たちは、それぞれ別に本職である事業を持っておるわけでございます。そうなりますと、オーナーは両方の仕事をしているわけでありますが、少なくともプロ野球のオーナーとしての職務もあるわけでございますから、プロ野球の内部の関係においてはコミッショナーの指揮下にあると思います。協約上コミッショナーができる範囲のいろいろな統制をすると思います。
○中谷委員 だから私が聞いているのは、選手に対して国民の模範になるようなプレーをしなさい、読めもしないような小さな字で書いた統一契約書に判を押さして、言ってみればとにかくそういうことを強要している。そしてオーナーのほうは、たとえば輸出映画の関係で永田だとか大川なんという人もこれは関係しているのでしょう。水増し請求をして詐欺になりかねないようなことをするというふうなことで、とにかくそういうことが大手を振って通るというようなことでは、選手がかわいそうだし、選手が承知しませんよ。こういうようなことについて、できると思いますというようなことじゃなしに、私が言いたいのは次の点です。オーナーであろうが、球団の社長であろうが、選手であろうが——選手はきびしく取り調べを受ける、また制裁を受ける、規律の対象になるなら、オーナーや球団の社長はそれ以上の企業者として、また選手を監督する立場にあるんだから調査の対象にもなるだろうし、みずからのえりを正してもらわなければいかぬ。こういう点についてあなたがさっきから発言しておられることは、率直に申しまして——きょうは何とかしてあなたの発言を通じてプロ野球の健全化というものを国民の前に印象づけたい、またこれを通じてプロ野球は立ち直ったということを国民の前に印象づけたいということで質問しておりましたけれども、一問一答をやるたびに、どんどんプロ野球の信頼関係というものが低下しているような御答弁が多いのです。たとえばこのオーナーの問題なんかでも、ひとつ勇気を持って発言してください。
○高橋委員長 中谷君、中谷君の有益なお話で十分啓蒙を受けられたと思います。それであなたの質問は、警察庁のほうも事務局のほうも明らかにしにくい点もあるだろうし、時間も来たからこの程度で……。
○中谷委員 私の持ち時間があと十分ありますから、十分か二十分で……。
○井原参考人 少なくともプロ野球の秩序を維持する、そして先ほどからいろいろとお教えを願っておるわけでありますが、全国のファン諸氏のために信用回復のために勇気を持ってやります。
○中谷委員 そこで次に体育局長に、長い間お待たせをいたしましたが、こういうふうになっているのです。前回の坂田文部大臣の私の質問に対する答弁は、こうなっています。「コミッショナーの組織が非常に貧弱であるということも承知をいたしおりますが、よく協議をいたしまして、」要するに黒いプレーなどがなくなるようなという意味でしょうが、相談したい、これが一点です。いま一点は、コミッショナー等の調査機能あるいはいろいろの機能等については私たちも相談してこのようなことが再び起こらないようにしたい、こう言っているわけですね。だから調査機能の拡充ということ、それからいま一つは、その前提としてよく相談するということ、これは予算委員会で大臣が一般的にお答えになった。いま、調査は迅速でなければいけませんよ、調査は確実でなければいけない、調査は科学的でなければいかぬということをいま聞いたけれども、どうもその点について、なるほどファンはそれで納得するだろうというようなお答えがなかった。これは率直にいってやむを得ないと思う。事務局長御自身が中心になってやっておられるけれども、人数等が少ない。これについて、社団法人日本野球機構というのは、文部省の認可を受けたところの社団法人である、そういう点からどんな指導助言をされるか、この機会にひとつ特に適切な指導助言についての御答弁をいただきたい。
○木田政府委員 先般来から予算委員会その他当法務委員会におきましても、このプロ野球の健全化の問題について御指摘をいただいております。私ども、大臣もその際お答え申し上げたわけでございますが、第一にはいろいろとプロ野球のおもしろくない事情が明らかになりまして、この不名誉を挽回するためには、何よりもやはりプレーをもってファンの期待にこたえるということを今後各球団もやってもらわなければならない。ですから、ことばで幾ら言いわけをいたしましても、先ほど赤松委員からも御指摘がありましたように、プレーそのものが疑惑を招いているようなプレーがまた今後とも起こるということでありましたならば、どんなに弁解がましいことを答弁してみても始まらないのでございますから、これは各球団、各選手一体になって、プレーでもって従来の疑惑をはらすということを考えていただきたい。その点から、先般の三月に国会で御指摘がありましたあと、三月の下旬でございましたが、井原事務局長にも私ども文部省の担当課長のほうから、まず球団並びに選手の自覚を新しいシーズンの始まる前に十分に促していただきたい、そして注がれた疑惑をプレーによって振り払うということがまず第一ではあるまいかという御相談を申し上げました。 それから第二点といたしましては、先ほど来お話もありましたが、結局この問題がプロ野球界全体の存立にかかわる、これは中谷委員御指摘のとおりでございまして、この問題の回復をしますためには、球団関係者が一丸となってこの立て直しを考えなければいかぬ。コミッショナーの権限強化にいたしましても、結局は球団の関係者がコミッショナーに信頼を寄せ、責任を与えて処置をとるという、コミッショナーと球団のオーナーとの信頼関係をもう少し強めて、そしてコミッショナーが適切な措置をとれるようにもっていく、こういう努力が必要ではなかろうか。そのための努力の一端といたしましては、先ほど来諸先生からも御指摘が出ておりますけれども、この際やはり球界あるいはコミッショナーの処置として、第三者的な、双方の意見を平静に聞いてもらって判断してもらえるような、役所でいえば一種の諮問委員会のようなものになりますけれども、そういう相談ができるような体制を考えられて事態を判断してもらうということは一つの方法でなかろうかということを私どものほうからもお伝えを申し上げてあります。しかし、そのことは先ほど井原事務局長が答弁せられましたように、実際の人選その他についていろいろ難があろうかと思いますけれども、中谷委員御指摘になりました調査の信頼性を得るという点から、やはり一つの方法ではなかろうかというふうに私自身も考えまして、そういうような意見を申し上げたところでございます。 ただ、調査の確実、迅速という問題につきましては、やはりこれはプロ野球界の関係者がその気になって調査に協力をするということでございませんと、これだけたくさんの人が心配をし、いろいろなことをやりましても、何だかもやもやしているというほどむずかしいことだと思います。ですから、脅迫だとかあるいはそれを何か賭博のために使うとか、野球界に対しましての外からのいろいろな圧力、圧迫というものは、それはそれとして治安の問題として防いでいただくほかございませんが、立て直しのためにも、迅速的確な調査をやるためにも球界の協力と関係者の支持というものが必要だ。こういう点で、本日のような機会にさらに注意を喚起していただきますことは、私どもとしてもありがたいことだというふうに思っております。
○中谷委員 ではこれで私、質問を終わりますが、最後にまとめてお尋ねをいたします。 野球の八百長を通じての詐欺賭博という点について、鍛冶委員、それから赤松委員、それぞれ関心を示されました。そこで、警察庁の御見解については具体的なケースに即して御答弁があったわけですが、法務省の刑事課長さんおいでいただいておりますので、法務省の刑事課長のほうから、野球の詐欺賭博、要するに八百長が犯罪を構成する場合はどんな場合があり得るだろうか、類型的に、設例的にこれについての御答弁を法律見解としてしておいていただきたい。これが一点です。 それから、いま一つ井原さんにお聞きしておきます。これは私もそう思うのですが、文部省からも答弁がありましたように、くさいものにふたをする、とにかくこういううみを出すことが球界の害になるのだというふうな考え方は間違いで、健全化というのは、うみがあった場合はそれを摘出をすることが大事だ。くさいものにふたをするという考え方は誤りだと思うのです。そういう点で念のためにお聞きしておきますが、三百六十一条についての有害行為の告発の件数というのはいままで何件ありましたか。あなたの御在任中にありましたか、そんな記憶がありますか。それが一点です。 いま一点、私お聞きしておきたいのは、私は特別の調査機関についての提案をしたのですけれども、モニター制というものを設けて——三百六十一条については球団関係者が告発するのですが、これはまた人選を誤ってはいけないと思うのです。各球場ごとに学識経験者、良識ある人たち、野球の好きな人たち、そういう人たちのモニター制度を設けて、とにかく野球についてのいろいろな前向きの意見を求める、そしてもちろん有害行為があったような場合については申告を受ける、そういうモニター制度をこの機会に提案をしておきたいと思うのですが、この点についての見解を承りたい。 それからなお、きょうの質疑応答を通じて非常に気にかかりますので——気にかかるというのは、何か私自身も、あなたのほうのコミッショナー委員会、それからオーナー、球団、まして選手諸君の、プロ野球健全化のためのほんとうにき然とした態度の表明をいただきたいと思って、きょうはわざわざ委員長にお願いして、委員会に参考人として招致をしていただいた、そういうことなんですから、いま一度あなたの口からそういう点についての決意をお述べいただきたい。 これで私の質問を終わりたいと思いますので、刑事課長さんのほうから御答弁をいただき、最後に井原さんの御答弁をいただきたいと思います。
○前田説明員 お尋ねの点につきましては、いろいろな場合があろうかと思いますので、なかなか一がいにはお答えいたしかねるのでございますが、考えられますことは、たとえば選手の個人的なプレーがかけの対象になっておるような場合でございますと、そういう場合にはもう当該選手がいわば賭博の勝敗を左右できるということになろうかと思いますので、詐欺賭博ということになる場合がある。そしてまたそういう場合には、当該選手が詐欺賭博の共犯になる場合もあろうかと思います。ただ、最近問題になっておりますような、いわゆるゲームの勝敗自体がかけの対象になっておるというような場合について考えますと、ある特定の選手について何らかの行為がありましても、そのことによって勝敗が直ちに左右できるということにはなかなかならないのではないかというふうに考えるわけでございます。
○井原参考人 私に対する第一問でございますが、三百六十一条の告発ということにつきましては、私の経験上一度もございません。 二番目のモニター制度、これは私個人としては御趣旨はよくわかります。これは全球団に御意見のほどをよく伝達しておきます。 最後に、プロ野球コミッショナー、両リーグ選手の全員が今回の事件については非常に強い反省をしておりますから、ここでいっときも早く世間の信用を回復することに全力をあげるということをお誓いいたします。
○中谷委員 終わります。
○高橋委員長 それでは畑和君に発言の許可をいたします。畑和君。
○畑委員 もういわゆる有名選手が登板をして降板をいたしましたので、私は締めくくりというようなことで若干触れて、簡単に質問を終わりたいと思います。 いままでの質疑応答をずっと聞いておったのでありますけれども、いままでプロ野球の中にうっせきしておった黒い霧が一度に吹き出してきたというような感じ。プロ野球に非常に興味を持っておる方々、いわゆるプロ野球ファンがたくさん全国にはおられるわけです。ところが、はしなくも永易問題をめぐって相当奥の深いものがあるというように国民は、またファンは感じとっております。 ところで、スポーツ議員連盟などのいろいろな助言その他の活動もあって、ようやく国会の問題にまで発展をしたということになったわけで、永易もとうとう出てまいる。ここでやはり一つのめどがついたんじゃなかろうかと思うのです。永易がいなくなったことが、これは自分で任意に姿を隠しておるのかどうか、暴力団等におどされてかくまわれておるんじゃなかろうか、こういったような疑問があったのでありますけれども、ようやくにして永易が出てまいって、議員の人たちとも懇談をし、さらにコミッショナー委員長とも会われたようであります。そのことが、いろいろ一問一答等が、その両方の場合についてのことがこの間の各新聞にも出ておりました。それによると、先ほど来言われておりますように、七、八名の同じ球団の方が永易のいわゆる詐欺賭博というか、それに関連をして、やはり金をもらったりなどやっておるというような証言がありました。さらにまた、球団以外にもそういう人がいるということを言うておりましたけれども、これによって相当やはり根が深いということが一応わかりました。もちろん、永易の発言がどれほど信憑性があるかどうかということは問題がありますけれども、しかし、私はある程度真実に近いのじゃなかろうかと思っております。 はしなくもきのう、先ほども例に出ておりましたけれども、朝日新聞の夕刊で私も見ました。昭和四十二年当時の大阪方面の試合のことのようでありますが、XとYという球団の——匿名で朝日新聞の記者が相当たんねんに追った結果について相当自信を持って書かれた記事だと私は見ました。それを見ますると、四十二年のできごととは申しながら、ともかくその当時から相当こういったものがあったというふうに思われて、非常に私ショッキングだったんでありますが、これが永易の、この問の議員さんたちの前で言いました証言を相当裏づけているものだと思うのです。したがって、相当やはりこういったことが実際に行なわれておったと思わざるを得ない。そうなると、多数のファンの期待を裏切ることもはなはだしいと思う。 そこで、やはり永易が出てまいったということを端緒として、コミッショナー委員会においても、さらにまた警察庁関係においても、これを端緒としてやはり捜査を進め、あるいは調査を進めることが必要だと思うのです。たまたまシーズンが始まりましたけれども、この機会を逸せず、やはりひとつメスを入れていただきたいと思うのです。 ついては、お伺いいたしますが、先ほど来いろいろ話がございました。実はこの前に私、コミッショナー委員長の宮澤さんにお聞きしたのですけれども、一体あなたのところの事務局は何名おるのですかと聞いたところが、わずか八名です。お茶くみの女の子を入れて八名だ、こういう話だった。ところで、今度こうして全国のファンからこの問題に対する不満が巻き起こっておるわけであります。何が何だかわからない、頭が混乱しちまうというような状態である。私は正直のところコミッショナー委員会はそういう立場にあると思う。すべての責任はあなたのところへ来ていると思うのでありまして、非常に立場がつらいと思うのですが、いままで非常に安易に過ごしてきた。そのことがすなわち人員等にもあらわれてきておるわけです。そうしたお茶くみを入れて八名などという人員では、とうてい調査などができようはずがない。したがって、各球団まかせにならざるを得ない。球団とするとまた球団に所属する選手等の立場を考えてこれをかばおうとする。この間永易が発言しておった中に、御承知のように永易に相当金を出しておる、それがまたいわゆる黒幕と称せられる人々を通じて出しておるようでありますが、こういった問題もあって、各球団としてもこれを何とか隠したがる、こういうことはどうしても避けられない問題だと思うのだが、そういう点につきましても、先ほど来言われたように、事務局をもっともっと強化をして、独自の調査ができるように、各球団あるいはパ、セ両方のリーグにもたよらずに独自の調査ができるように体制を整えることがこれからの問題といたしましても非常に重要だと思う。これなしにあなたのほうに幾ら調査しろ、調査しろといって、検事みたいに言ってみたところで、私はなかなか問題の解決にならぬと思う。そういう点で私はその点を痛感したのですが、その点事務局長としてどうお考えになりますか、現在の心境をお伺いしたい。
○井原参考人 平素コミッショナー事務局の与えられております仕事、そこにたまたまトラブルが数件あらわれるというような場合には、この陣容でたくさんだと思いますが、現時点では少々、実際問題として朝早くから夜おそくまで仕事に追われ通しでございます。しかし、がんばらなければいけないということを言っております。 いまコミッショナーの事務局の強化ということをおっしゃいました。これは先ほども申し上げましたように、いろいろと技術的にむずかしい面もございますが、どの程度の権限付与、人選の問題、予算の問題、いろいろとひっかかる点がありますけれども、御趣旨はよくわかりますので、検討するようにいたします。
○畑委員 あなたの言われるとおり、いま一度に問題が山積をしてきて処置なしということじゃなかろうかと思う。せっかく努力するとおっしゃるけれども、なかなかこれはむずかしい問題だと思う。しかし、将来の問題としても緊急にその点を、先ほど言われたいろいろな審議委員会というような形で強化する、あるいはモニターというようなものでそういった端緒を握る、こういうこともまた必要だと思う。いろいろの面でひとつコミッショナー委員会自体の陣容の強化、機能の強化というものは至急にはからなければならぬと私は考えます。 それから次に高松局長にお聞きいたします。先ほど来ずっと聞いておりました。これは競輪とか競馬とか、こういったいわゆる公営のギャンブル、このものに金をかけること自体が、公認で許されておるもので、それにはよく八百長がございます。選手と組んで、選手をそそのかして、選手がそれとぐるになって、そうしてわざと負ける、それでそういうふうなことを期待して投票をする、そうして大きな金をもうける、こういうことがいわゆる公営ギャンブルにつきまとう八百長であります。ところがプロ野球の場合には、ただ入場して見物するだけでありまして、どちらが勝つかということについてかけるわけではございません。したがって、先ほど赤松委員も言われたのでありますけれども、これを取り締まる法規というものを設けなければいかぬ、こういうことを言われましたけれども、私は法律家でもありますけれども、若干考えを異にして、なかなかそういう法規をつくることはむずかしかろう、また実際には私はできないと思う。むしろやはり現行法を活用してやるほかはないのじゃないか、こう私個人は思っておりますけれども、いずれにいたしましても、こうしたまじめなしかもスポーツをほんとうに全チームが全力を尽くして、秘術を尽くしてとにかく戦う。そこにまたファンが興味を持つのでありますから、それが裏切られるようなことを——詐欺賭博団、そういったものに関係なしに、球場の中でどっちが勝つかというのでかけるのならこれは罪がないと言っては語弊があるけれども、これ自体はやはり賭博にはなるけれども、いわゆる詐欺賭博でもないし、八百長でもない。ところが、わざと負けさせることによって自分がもうけよう、そういう点においてはやはり競輪や競馬の場合と同じだ。しかし、公営ギャンブルそのものじゃないのだからこっそりやります。こっそりやることだけならいいけれども、それに選手を供応したりなどして共謀してやること、いわゆる詐欺賭博、これがいけない。これは厳重に取り締まらなければならぬと思うのだが、それがはしなくも永易問題となり、それが発展し、現実の問題としてきのうの朝日新聞の夕刊のショッキングな記事、私は相当信用していいものだと思う。ニュースソースは言えないだろうからX、Yでやっておりますが、これは信用ある新聞の記者が追ったことですから、相当私は信憑性があると思う。 こういうことがあると思うから、やはりこれはどうしても警察の手でやるほかなかなかやれないと思うのですね。いまのような弱体なコミッショナー委員会ではとてもやれっこない。同時に、球団自身が自分のところの球団をかばおうという気持ちがあるからなかなかやれない。ついては警察がこの機会にやって真相をえぐらなければならぬと私は思う。そういう点でなかなか捜査のやり方もむずかしいのだと思います。これは短兵急にやれやれ言ってみたところがなかなかやれるものじゃない。いままでだいぶ被告のような立場でお気の毒でしたが、私も法律家だけに、人権の問題もこれあり、別件捜査という非難もこれあり、なかなかそう簡単にやれないと思うけれども、しかし、これを機会にこれはえぐらなければならぬ、こういう点でひとつやってもらいたい。いままではどうもあまりやってなかったというふうにおしかりを受けております。そういう面もあるかと思いますが、まずこの問題については、永易がああいう発言をしているのですから、あなたのほうは、行くえ不明でどうだこうだ、監禁されているのかどうかということについてこの前だいぶ追及があって、それによっていろいろ捜査をされて永易のあれを突きとめたというようなことなどは、あるいは家族に会われたとかという話は聞いております。この間出てきましたから、さらに永易についてあなたのほうで聞かれる、そしてまたその名前が出てくる人にも聞くということ、それは話が食い違うということにもなるし、そのほかに藤繩さんとかいう人とかあるいは大城とかいうような人が介在して、それが暴力団とつながってどうも球団をおどかしているらしい。これはどうも間違いないらしいのだ。なかなか捜査の端緒をつかむのがむずかしいでしょうけれども、まず永易を調べてもらう、そうするとその二人の関係が出てくるだろう。また名前の出た一人一人に聞いても、すぐにはそれに符合するような証言は出てこないで、みんな逆だろうと思うのです。その辺のむずかしさはあろうけれども、相当な心証が得られると私は思うのです。そうしてその背後の関係者なども聞くことができる。そうして同時に、強制力を用いて自白が明瞭になるようにやらなければ、これはいつになってもだめだと思う。どうかひとつその期待に沿ってやってもらいたいが、その点についてどういう考えでおられますか。
○高松政府委員 たびたび申し上げておりますとおりに、現在のような事態に対して、私どももこれは非常に重要な問題だと思いますし、それから何とか明るいプロスポーツというものができ上がっていくということは、私どもも心から願っているところでございます。ただ警察の立場といたしまして、その点では私どもの言い方はたいへん歯切れが悪いというようにお感じになるかもしれませんけれども、私どもは警察の立場においてこれを側面的に協力していくという立場にあると思います。それは、やはり警察の立場というものは、犯罪というものを通してこれを剔抉していくことによって側面的に協力してまいる。で、プロ野球界固有の問題あるいは内部の規律の問題につきましては、しかるべく監督官庁なりあるいは野球機構なりにおいて当然これはお考えになっていることだ。その辺は、私どもの仕事は何と申しましても、先ほども御指摘がありましたように、基本的人権を尊重しながら事案の真相を解明して、刑罰法令の迅速的確な適用をはかるというのがあくまでも警察の立場でございますので、その辺、関係者の人権その他もよく考えて事を処してまいるというふうに持ってまいらなければいかぬと思います。 私どもは、決してこれを逃げておるわけじゃございません。いろいろそれらも考慮し、それから事態の進みぐあいも考え、あるいは将来の成り行きといいますか見通しというものもある程度考えながらこれに対処していく。犯罪が必ず成立するあるいは成立しないとかということはいまの段階では断言できないような微妙なところがある。先ほどのプロ野球について罰則がないというようなこともその一つの問題でございます。いろいろそういう点は微妙でございますけれども、そういう考えで私どもとしてはできるだけのことをこれについてやってまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
○畑委員 そのとおりだと思う。捜査に急のあまり人権を侵害してはこれはならぬのでありまして、われわれは人権侵害してもやれという意味ではない。その点は十分ひとつ心して、しかも効果をあげてもらいたい。先ほど局長は、その内部関係等にあまり立ち入るようなことはしない、むしろ御協力申し上げるということを言われましたが、私、基本的にはそれでよろしいと思う。ただ、いまの状態でコミッショナー委員会にしろ球団にしろ、なかなか実際にそれをやる能力がないと私は見た。したがって、これを粛正するためには、あなたのほうがやはり積極的に乗り出して、いろいろな端緒をつかまえて刑事問題としてえぐり始めるということをするのでなければ、とてもコミッショナー委員会あるいはその他の機関ではできないと思う。そういう点で私はあなたのほうに特に期待を申し上げる。ひとつ、そういう範囲で大いにやっていただきたい。 コミッショナー委員会のほうでもひとつ、これだけの声があるのですから、われわれの声は国民の代表をしていると思うのであります。中谷君や何かはもう相当渦中の人になっているからどうか知らぬけれども、私はまことに冷静だ。したがって、全部の話を聞いた上で締めくくりをしたわけですから、これが国民の声だというふうにお考えいただいて、決して検事のような立場じゃございません、ひとつよろしくお願いいたします。(拍手)
○高橋委員長 それでは、井原参考人には御多用中、長時間にわたり、御迷惑千万であったでありましょうにもかかわらず、貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。 委員会は、午後二時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時三十九分休憩 ————◇————— 午後二時三十八分開議
○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を続行いたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。赤松勇君。
○赤松委員 御承知のように、予算委員会におきまして言論・出版妨害の事件が問題になりまして、その後参考人の出席を要求いたしました。その結果、各委員会におきまして、それぞれこれを相談し合う、こういうことになっておるわけであります。私に与えられました時間がきわめて少ないので、はなはだ残念でございますけれども、人権侵害に関する諸事件が実はたくさんあるわけであります。私の手元に全国からたくさんの投書が寄せられまして、その中に特に重要だと思われまする点、あるいはその後私自身が調査をいたしました事件がございます。しかし、時間の関係で、私は主として選挙に関する違反行為の問題、さらに宗教法人法の問題、それからもう一点は国税庁に対しまして、かつてこの委員会で問題になりました宗教団体に対する課税の問題等にしぼって質問をしたいと思うのであります。 私に寄せられました手紙の中には、選挙区でないのに、他の選挙区に出かけまして投票しておるという事実もございます。さらに前回の参議院選挙の際におきまして、幾人かの創価学会員が検挙されております。その例をあげてみますると、「東京都内の各投票所で相次いで起こった替玉投票事件を捜査中の警視庁参院選違反取締本部は、新宿区選管の不在者投票でも二枚の投票券が身代わり投票されていた事実をつかみ、十五日夕、新宿区戸塚町二の五三、会社員、山本ます子(二三)、同町一の四一七、運転手、大崎光彦(二八)、同町二の一五六、会社員、佐藤トキ(二六)の三人を公選法違反(詐欺投票)の疑いで逮捕した」また「警視庁の発表によれば、逮捕された山本ます子、大崎光彦、佐藤トキの三人は、レッキとした創価学会員である。そして、彼らは創価学会とはまったく関係のない会社員渡辺茂さん(三二)とその妻トヨさん(二九)の投票入場券を盗み出し、渡辺さん夫妻になりすまして、投票当日(七月七日)直前の五日と六日に不在者投票を済ませていた。したがって、いうところの“替玉投票”などではない。なぜならば、渡辺さん夫妻と三人の創価学会員の間には、なんらの意思疎通もなく、まして、渡辺さん夫妻は、彼らに“替玉”として投票を依頼したこともなかったのだから。要するに彼らは、渡辺さん夫妻の投票入場券を“ドロボウ”し、新宿区選挙管理委員会の目をかすめて全国区・三木忠雄候補と東京地方区・阿部憲一候補にそれぞれ投票したのである。いわば、彼ら、創価学会の“ドロボウ・サギ会員”たちなのだ。しかも、かかる創価学会員は、この三人だけにとどまらない。これまた警視庁の発表によれば、現在(七月二十二日)までに逮捕された創価学会員、もしくは公明党支持者は、なんと十八件で二十一人にものぼるらしい。」こういう事実が警視庁の調べで明らかになっております。まだたくさんありますけれども、時間がありませんから、先ほど申し上げましたように、私は宗教法人の問題につきまして、これからお尋ねしたいと思います。 まず、宗教法人を規制する条項というものは一体何であるか。認証の意味というものは一体なんであるか。それから宗教法人の解散の要件は一体何であるか、それから認証の取り消しの要件及び手続はどうあるべきか、これらの点につきまして、文部省の責任者に答弁を願いたいと思います。
○吉里説明員 お答えいたします。 御存じのように、現在の宗教法人法のたてまえは、憲法の信教の自由、いわゆる政教分離の原則を受けまして、国と宗教団体あるいは宗教法人との関係におきまして、できるだけ国の関与を排除するというたてまえで組み立てられております。したがいまして、宗教法人法におきましても、国の規制というのは相当制限をされております。しかし、宗教団体のうち、一定の要件を備えるものにつきましては、宗教法人としての資格を与えるわけでございますから、若干規制をいたしております。 一、二、例を申し上げますと、一つは、宗教法人の規則、それから規則の変更、合併または任意解散の認証並びに規則または新設合併の認証の取り消し処分が一つございます。それから第二番目に宗教法人の登記、礼拝用建物及び敷地の登記に関する届け出がございます。三つ目に、宗教法人の目的に反する公益事業以外の事業に対する停止命令、あるいは停止を命ずる場合には、宗教法人審議会の議を経なくてはいかぬ、意見を聞かなくてはいかぬという条項。四つ目に、宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を行なった場合等における裁判所での解散命令の請求、これらが一応いわゆる宗教法人と国との関係におきます行政的な配慮から出た規定でございます。 それから御質問の中にございました、いわゆる認証という意味でございますが、これは先ほど冒頭申し上げましたように、通常の財団法人等の公益法人でございますと、いわゆる認可の制度をとっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、できるだけ国からの関与は少なくというたてまえからいいまして、認証という制度を置いております。これは当該団体が、宗教法人法の第二条に定義がございますが、この二条に定義をいたしております宗教法人となり得る必須の最低要件を備えているかどうか、要するに宗教団体であるかどうか、それから規則または手続が法令に適合していることなどの、法の定める一定の要件を備えていることを国として、公の権威をもって確認する行為でございます。 以上のようなことでございまして、私どもとしましても、現在文部省の設置法におきまして与えられております宗教法人法の国の責務という意味で、最低限度の行政を施行しておるわけでございます。あるいはお答えで落ちている点がありましたならば、補足させていただきます。
○赤松委員 宗教法人の中に包括法人と、もう一つの法人組織と二つあると思うのですが、現在創価学会はどちらになっておるのですか。
○吉里説明員 創価学会は東京都が所轄庁でございます、いわゆる単立法人であります。
○赤松委員 単立法人である理由は一体なんですか、なぜ包括法人にしないのですか。
○吉里説明員 包括法人というのは、それぞれの単位法人を包括しておる、まとめておる法人を包括法人といっておりますが、創価学会の場合には各県でいろいろな事業をやっておりますけれども、主たる事務所が東京にございますし、いわゆる単立法人としての認証申請をやって、認証されているということでございます。
○赤松委員 今日創価学会は、各宗教団体の中でも最大のものであると思います。それを東京都が監督しているといいますか、きわめて不自然であると思うのでありますが、全国的な組織でありますから、なぜこれを包括法人にしないのですか。
○吉里説明員 先ほどお答えいたしましたように、包括法人と、いわゆる単位法人との区分けを宗教法人法でいたしておりますが、現在の創価学会の考え方、活動のしかた等からいいまして、やはり宗教法人法のたてまえからいいますと、単立法人、いわゆる包括関係を持っていないという関係が出ておりますので、私どもとしましては、単立法人で、東京都の所轄庁ということでさしつかえない、こう思っております。
○赤松委員 法律によれば、財産目録、これを備えつけておかなければならぬわけですが、これは信者である場合には、自由に閲覧できるのですか。
○吉里説明員 財産目録等は備えつけることをしておりますが、これは、私のほうの宗教法人の考え方からいきますと、所轄庁として提出を義務づけるとかいうことではなくて、備えつけの義務を負わせているということでございますが、その意味は、やはり信者、信徒といいますか、その関係者が見られるという形にしておるはずでございます。
○赤松委員 よくわかりました。信者、信徒ならば閲覧する権利がある、こういうことでございますね。 それから解散命令を請求する場合には、その要件は何でございますか。
○吉里説明員 宗教法人法の四十三条によりまして、任意の解散、それから左に掲げる事由による解散と分けておりまして、さらに八十一条の規定がございます。八十一条の規定をちょっと読み上げますと、「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、」「職権で、その解散を命ずることができる。」と書きまして、一つは「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」二つに「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。」あるいは必要な礼拝施設がなくなったというような場合の確認ができれば、裁判所が職権をもって解散することができるわけでございます。
○赤松委員 この八十一条によるところの宗教法人が、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を行なった場合等においては、裁判所への解散命令の請求ができる、これはだれが請求できますか。
○吉里説明員 宗教法人法の第八十一条によりまして、所轄庁、利害関係人もしくは検察官の請求により、または職権でと、こういうことになっておるわけでございます。
○赤松委員 そういたしますと、三者でございますね。一つは国民自身、それから一つは文部大臣、もう一つは何でございますか。
○吉里説明員 裁判所の……。
○赤松委員 わかりました。検察庁ですね。検察庁は裁判所に請求することができるのですね。国民、それから検察庁、文部大臣、こういうことになっておりますね。 公共の福祉を害するというのは、どういうふうに御理解になっておりますか。
○吉里説明員 いまの御質問にお答えする前に、所轄庁、文部大臣とおっしゃいましたが、創価学会の場合は、所轄庁は東京都知事でございます。「公共の福祉を害すると明らかに認められる」この八十一条の第一号は、非常に厳格な規定の置き方をいたしております。お読みいただきますとわかりますように「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」先ほど申し上げましたように、いわゆる国と宗教団体との関係におきまして、相当注意を払った規定の置き方をいたしておりますので、何が公共の福祉を害し、何が法令に違反したということにつきましては、この一号の書き方からいいまして、それぞれ法令に違反して、明らかに著しく公共の福祉を害する、こういう二つがかかっておりますので、私ども宗教法人法をいろいろ運用する立場といたしましては、それぞれの事実関係等がいろいろなところで確証があり、また私どもも確認ができるという以外には発動しないという気持ちを持っております。
○赤松委員 憲法二十条の政教分離、すなわぬ宗教と政治の分離の問題につきましては、場所をあらためて、日にちをあらためまして質問をいたします。 そこでお尋ねいたしたいのは、憲法二十一条に規定されている表現の自由、すなわち言論、出版、集会、結社の自由と、それから十二条に規定されている公共の福祉との関係はどういう関係になりますか。——わかりませんか。それではもう一度申し上げます。憲法二十一条では言論、出版、集会、結社などの自由が保障されており、十二条では公共の福祉がこれまた尊重されておりますが、これの相関関係というものは、どういうようになりますか。
○吉里説明員 憲法のいわゆる表現の自由とか結社の自由とかいうものにつきましては、宗教団体でございましても、何らの制限もない以上、当然保障されていると思います。 なお、先ほど先生のおっしゃいました公共の福祉との関係でございますが、これは憲法の精神を受けた宗教法人法のたてまえから考えまして、その宗教法人として認められた団体につきましても、政治的な行為であるとか結社の自由であるとか活動の自由であるとかいうものはあると思いますが、宗教法人法のたてまえからいって、たとえばいま言った八十一条に触れるようなことは、およそ許されないであろうと考えております。
○赤松委員 わかりました。そうしますと、憲法二十一条は優先するものである、憲法十二条でいうところの公共の福祉を著しく阻害する行為、たとえばある宗教団体が強制加入をさせる、あるいは脱退の自由を許さない、ときには選挙を強要して、そして暴力問題が起きる。現に私は、ここに選挙を強要した事実、これをテープに取ってあります。実は、ここでやることは、委員長の許可を得なければなりませんし、また時間が許しませんから、必要ならば委員長にも提示しますから……。とにかく法八十一条では、著しく公共の福祉を害するという場合、そうすると、憲法二十一条の出版の自由を妨害する、言論の自由を妨害する、これは著しく公共の利益に反する行為とお考えにな りませんか。
○吉里説明員 その点は事実の認定あるいはその前後のいろいろな関係をもって判断をしなくては いかぬと思います。私、ただ考えますに、宗教法人が何をやってもいいということではないのでございますけれども、当然保障されておる活動の自由等は保障しなくてはいけませんし、出版の自由あるいは表現の自由あるいはその他の自由も、これは国との関係において特権行使という立場での規制でございます。ただ私人問におきましても、これは常識論でございますが、いわれのないいろいろな関係で、別な私人に対しましてその関係のことがあったといたしますれば、そういう仮定を置きますと、それは、よほど用心しなくてはいかぬだろうと思っております。ただ今回のことにつきましては、私、そのような事実を聞いておりませんので、お答えをいたしかねます。
○赤松委員 この際、社会党の態度を明らかにいたしますと、私どもは、憲法が保障する宗教団体の布教の自由、宗教団体の独立の自由、そういうものは尊重しなければならぬと思います。御承知のように、旧憲法はいわゆる神道主義でありまして、新憲法におきましては、いずれの宗教といえどもこれを保護し、その自由を保障するということになっております。でありますから、この言論・出版妨害問題が起きまして、創価学会が問題になっている。しかし創価学会は、私は宗教団体であって本来純粋なものであるべきであると思います。ただ、この宗教団体が、いま御指摘のように、著しく公共の福祉に反する行為をやったり、あるいは憲法二十一条に反するような行為をやるという場合におきましては問題になる。われわれは本来の宗教団体に返ってほしいということを希望し、かつ憲法が規定するところの、公明党という政党が創価学会と縁を切って、独立の政党として堂々と国民の前にその姿勢を明らかにしていただきたい、これが私どもの願いであるわけであります。私は立正佼成会の会員でも何でもございません。だから何が何でも創価学会が憎いんだ、これをやっつけなければならぬというえ考はみじんもないわけです。問題は、創価学会というのが本来の宗教団体の純粋の姿に立ち返ってもらいたい、それから公明党もやはり近代政党として堂々、独立独歩して歩んでもらいたい、私は心からそれを希望しているわけです。たまたま憲法違反と思われる行為が行なわれた、たまたま公共の福祉に反すると思われるような行為が行なわれたということで、実は問題にしておるわけであります。 昭和三十一年の四月の十一日、本委員会におきまして、この宗教法人の問題が問題になったわけであります。その際、本委員会は満場一致決議をしております。これは私は先ほど申し上げましたように、邪教を排し、本来の宗教団体として正しく発展してもらうことを願う、邪教に対しましては、仮借なくこれをを排除し、かつ暴力行為などが伴えば、これも本委員会としては排除していくというところの決議をし、参議院の法務委員会におきましても、同様の決議をしておるわけです。そこで、当時宗教法人法が不備なものであるということから、これが改正について、文部省の調査局長がこれを当委員会に約束をいたしました。その後宗教法人法の改正については何らこの委員会の要請にこたえていないわけです。参議院の法務委員会の要請にもこたえておりません。これは宗教法人法の不備を訂正するために法の改正をおやりになるお考えはありませんか。
○吉里説明員 昭和三十一年のときの経緯は、いま先生のおっしゃったようなことでございまして、三十一年の六月三日に衆議院法務委員会の決議を受けて、あるいは私のほうは、そのあと調査局長の通達を出しましたり、それから同年の十月になりまして、宗教法人審議会に、「宗教法人法における認証、認証の取消等の制度の改善方策について」という諮問をいたしました。その諮問を受けまして、法人審議会のほうで審議をいたしまして、昭和三十三年の四月の末に至りまして、一応の答申を得ております。その答申を受けて、文部省としましては、法人法の改正の作業に着手をいたしました。一応の案を得たのでございますが、その当時その審議会自身も一応の答申をいたしましたけれども、その中で法人法の改正につきましては、国の宗教に対する姿勢の根本にもかかわる問題であるから慎重にやれということ等がついておりました。と同時に、その方針をめぐりまして、宗教法人あるいは宗教界等におきまして、その法人法の改正につきまして、どちらかといいますと、非常に消極的慎重論が支配をいたしました。と同時に、それを契機といたしまして、いろいろな宗教法人で自粛自戒の機運も高まってまいりました。 そういうこともありまして、結論から申し上げますと、宗教法人法の改正の案を国会に提出いたしまして、その成立をはかるという作業を一応中止をいたしました。と同時に、しかし文部省といたしましては、先ほど申し上げましたように、両三度ぐらいにわたる通達、通知を出しまして、指導の徹底を期すると同時に、昭和四十二年以降宗教法人の幹部の職員の方々を集めまして、宗教法人の運営等につきますいろいろな研修会を通じまして指導助言をいたしておるわけでございます。
○赤松委員 宗教法人法を改正しようという本委員会の要請に対しまして、いまだこたえておりません。これは公明党の皆さんも含めて、私は、今度の言論・出版妨害事件に関連いたしまして、再びかかることの起こらないようにぜひ法の改正のために御協力をいただくような提案もしたいと考えております。当時、昭和三十一年でありますけれども、立正佼成会の庭野という会長が当委員会に参考人として呼ばれました。その際に猪俣委員が質問をしておりますが、ある病人を蒸しぶろの中に入れて、そしてこのふろに入ればなおるのだというようなことをやって、その人を殺してしまったという事実もあります。創価学会の中には、盲腸の病人に南無妙法蓮華経を唱えればなおるというようなことで手当てがおくれて死んだ事実がある。現にこの妹さんは現存しておりまして、いつでも証人として出席するということを言っております。したがって、こういうような行為に対しましては、これを規制しようじゃないかということになったわけでありまして、お聞きすれば、宗教法人審議会でこれらの諸点についてもいろいろ議論になったようでありますが、現在の委員の顔ぶれはどういう顔ぶれか。私は時間がありませんから、その顔ぶれの中に宗教団体の代表が入っておるかどうか。なぜこれを聞くかといえば、当時この法務委員会で問題になったのは、庭野という立正佼成会の会長は、実は宗教法人審議会の委員であったわけです。これはおかしいので、この審議会の委員になることはいかぬということでもってこれは改められたはずですが、現在この委員の顔ぶれの中に宗教団体の代表は入っていらっしゃるか。
○吉里説明員 宗教法人審議会の構成につきましては、法制定当時からできるだけ宗教界の意見も反映するということになっておりまして、各団体等を通じまして、事実上の関係で推薦を受けて、委員を入れておるわけでざいます。
○赤松委員 宗教団体の代表は入っていらっしゃいますか。
○吉里説明員 いま申し上げましたようなことで、私どものほうではそういう推薦を受けまして、宗教団体の代表というか、ともかく推薦を受けた方々の中から宗教界の人を入れておるということでございます。
○赤松委員 その宗教界の代表というのはだれとだれですか。
○吉里説明員 いま名簿を持ってきておりませんので、個々のお名前はちょっと記憶いたしておりませんが、十二、三人宗教団体の方々が入っておられます。
○赤松委員 それでは立正佼成会から、あるいは創価学会からも参加されておりますか。
○吉里説明員 立正佼成会の庭野さんが入っています。
○赤松委員 どういうことですか、委員長、これは当時立正佼成会のことが問題になって、庭野会長をこの委員会に参考人に呼んだ。それで立正佼成会は体質改善をやる、こういうことを当委員会で約束したんですよ。しかも委員会は満場一致決議をして、そういう邪教的なことをやるな、この審議会の委員からもやめさせるべきだ。当時文部省の答弁によれば、ごもっともな御意見です、さよう取り計らいますと昭和三十一年に言っておいて、十四年もたってなおかつ庭野会長をそこに入れておるというのは何ごとですか、委員会軽視じゃありませんか。
○吉里説明員 これは先ほど申し上げましたように、宗教法人法の運営を、できるだけ宗教界の意見も入れ、学識経験者の意見も公正に入れながら運営していくというたてまえの構成をとっているわけでございますので、勢い、たとえば神道系であるとか仏教系であるとかあるいは諸派であるとかいうことで推薦を受けて入ってきているわけでございます。先ほど庭野先生のことが出ておりますが、これは新宗連というかっこうで推薦を受けまして、その当時からこれは継続してということではなくして、途中断絶がございまして、現在は入っている、こういうことでございます。
○赤松委員 いずれにしても私は、監督を受けるべき宗教団体が、監督すべき審議会の委員になるということは本末転倒だと思います。したがって、委員長、この法務委員会における十数年前の決議がなお今日まで実行されないままになっているんです。このことについては政府に十分注意を喚起していただきたい。私は文部大臣に対しまして、即時こういうやり方はやめて、第三者をもって審議会を構成すべきである、こう考えております。文部大臣はきょう出ておりませんが、あなたが一ぺん文部大臣とよく相談をして、政府の方針をこの委員会で明らかにしてください。この点は私は質問を保留しておきます。 次に、人権擁護局長おりますね。さっきのような答弁じゃ困るよ、もっと誠意をもってやってもらわないと。 当時の議事録を読みますと、これは私が言っているんじゃないですよ、当時の人権擁護局長が答弁したんですよ。「人権擁護局におきましても、今回はこれらの点について、入会の強制あるいは布教の行き過ぎによる人権侵害等について十分な調査をしなければならぬ、かように考えておりまして、ただいま東京の人権擁護協議会にも特別委員会を作りまして、またこの事件が千葉、山梨、神奈川、もちろん東京が大部分でありますが、こういう県にも関係いたしておりますので、各関係法務局にも調査を指示いたしまして、ただいま調査をいたしている次第であります。」これを委員会に後日報告いたします、こう言っている。どんな調査を当時やられましたか。
○川島(一)政府委員 だいぶ前のことでございますので、私詳しく承知しておりませんけれども、聞くところによりますと、その当時立正佼成会関係の事件を調査いたしまして、説示処分を行なったということでございます。
○赤松委員 当時は立正佼成会が問題になりまして、こういう答弁を人権擁護局長がしているわけです。現在創価学会が問題になっておりまして、この種の問題が発生しております。したがって、これに関する調査をぜひ行なってもらいたい、こう思いますが、いかがでございますか。
○川島(一)政府委員 人権侵犯事件としては、従来から事件をいろいろ取り扱っておるわけでございますが、昭和四十年以降の分を調べてみましたところ、十五、六件事件があったのでございます。これはいずれも申告によっておるものでございまして、御承知のように、人権擁護機関は、あまり人員がたくさんそろっておりませんので、申告があった場合にそれを調査するというやり方でございまして、今後もこの関係につきましては、なおさらに一そう注意をして取り扱っていきたい、かように考えております。
○赤松委員 法務大臣もお聞きになったと思いますが、その十五、六件出ておるのをぜひ御報告を願いたいということが一つ。 それから、あなたの見解は、この前の質問のときに言ったのですが、誤っております。こういう問題が国会の問題になり、あるいは国民世論の中で非常に問題になっている。したがって、ぜひこれは調査を至急していただきたい。なおわれわれは協力する意味におきまして、その申請をどんどんする用意がありますから、ぜひ調査を願いたい。この点につきまして、法務大臣いかがでございますか。
○小林国務大臣 人権擁護の問題でありますが、これはいまのところは侵犯をされた、それを調べて救済する、こういうような趣旨のものでございますから、いまのところ手不足などを別に理由にするわけじゃありませんが、これらの問題については申請とか申告があったものを調べて適当な処置をとる、こういうたてまえになっておりますから、いずれの問題につきましても、侵犯を受けた者からさような意味の調査の要請等があれば、いまのところそれを調査する、こういうことになっております。
○赤松委員 なお念を押しておきますが、宗教法人法の改正につきましては、当時政府はこういう答弁をしております。「宗教法人法は、宗教団体の信頼の前提のもとにできておるものであります。従いまして、法人法全般におきましてもそういう精神が一貫して流れておりまして、御指摘の二十二条もその関連において規定されておるわけでございます。この二十二条そのものが適当な条文かどうかということは、いろいろ問題点があるとは思いますが、これは宗教団体全般に関連する問題でございますので、慎重に検討しなければならぬと考えておるのであります。そういう点から、今回の事件を契機といたしまして、全般について、いろいろな不満な点等についてはさらに十分に各宗教団体あるいは学識経験者等の意見も伺 いまして検討すべきものであると考えております。」こういうふうになっております。 したがって、私は先ほど要望したように、ぜひ文部大臣と相談をしてその態度を決定して、当委員会に報告をしていただきたい。なお、先ほどの人権擁護局の調査の件数が明らかになりましたら、それもぜひひとつ報告をしていただきたい。 それからこれは国税庁にお尋ねします。宗教法人法の中で非課税になっておるもの及び収益事業として課税をしなければならないもの、これはどういうものでございますか。
○佐藤説明員 現在の法人税法の七条に規定がございまして、宗教法人につきましては法人税施行令がございまして、そこの第五条に規定がございます。これは第一号から第三十一号まで収益事業に該当するものを限定して列挙いたしておりますが、それに該当する収益事業を営んでおる場合におきましては、その収益事業についてだけ課税をするということになっておるわけであります。
○赤松委員 これも当時当委員会で問題になったわけでありますけれども、国税庁のほうが答弁をしておりますのを読んでみます。「課税の経過を申し上げますと、実は、この宗教法人は資本金という概念がありませんので、従って、現在、資本金一千万円以上のものは局の調査課で調べ、それから資本金一千万円未満のものは税務署で調べる所轄構成になっております。宗教法人は資本金がありませんので、原則として税務署所管になっております。ところが、宗教法人は一般には収益事業をやっていないのが普通でありまして、税務署の方も二十五年以来うっかりして見過しておったような状況」でありました。「うっかりして見過しておった」、課税すべきものも課税せずにおった。ところが、「相当世間の評判が立ちまして、これは一ぺん調査しなければいかぬというので、昭和二十八年におきまして、これをを調査課所管に局長の指定で移しまして、自後二十五年にさかのぼって調査をいたしたわけでございます。その調査の結果に基きまして、ちょうど二十九年に、そのときまでの事績に従って収益事業の所得を決定し、それに対応する税額をきめて、それぞれ納付を見ておるわけで」ございます。「たすきであるとか教典であるとかいったふうなものは物品販売業として見るべきでないではないかということで、今審査の請求中であります。そういう理由をあげるにつきましては、実は、物品販売業というものの具体的範囲につき、国税庁の法人税法の取扱い通達が出ております。その取扱い通達との関連において疑義があるからもう一ぺん調べてくれ、こういうことで、現在税金は納めておるが審査を請求しているわけです。ついでに、その物品販売業に関連する通達を申し上げますと、こういうことを言っておるわけでございます。宗教法人がお守り、お礼、おみくじ、暦等、当該宗教法人に関係のある絵はがき、絵図等を販売するときは、物品販売業として取り扱わないものとする。それで、これがかりに販売という形をとっておっても、こういうものは販売業と言うのは無理ではなかろうか。おそらく、この通達を出した意味は、一般の物品販売業は一定の代価を得るわけですが、その反対給付というようなものが考えられるものはやはり普通の販売ではなかろうか、これに関しまして、おみくじのようなものをかりに幾らかでもらいましても、その原価はほとんどゼロにひとしいから、むしろある意味で言えば、おさい銭」にひとしいと思います。「ただ、国税当局といたしましては、先ほどあげました物品をほとんど全部——お守りとかここにあげてありますもの以外は、たすきであるとか教典であるとか、あるいは線香、ろうそく、その他全部物品販売業として所得を計算しておるわけです。これに対しまして審査の請求が出ております。最近東京国税局の方から国税庁に対しまして、自分の方はこういうふうに課税をして、宗教法人からはこういう異議の申し立てがあるが、この通達の意義をいかに解釈すべきであるかということを」問うてきました。「国税庁におきましては、目下、その現品等を取り寄せまして、経理の内容も分析しまして、また通達のきめられている意味をとくと再検討いたしまして、近くこの東京国税局の課税措置が正しいかどうかを決定する段階になっております」こういう答弁をしておるわけです。 現在各宗教団体の中で収益事業と思われるものが一体幾つぐらいあるか、これをひとつ答えていただきたいと思うのです。
○佐藤説明員 詳しく全体を調べたことがないわけでありますので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、宗教法人が主として収益事業として営んでおるということになりますと、まあいまお話のありましたのは立正佼成会の審査請求事案についてのお話だろうと思います。(赤松委員「そうです」と呼ぶ)やはりそういう物品販売なりあるいは中には出版業をやっておるというようなものもあるわけでございまして、大体そんなところではないかというふうに思います。
○赤松委員 いま私がこの問題をすぐに国税庁に答えてくれと申しましても、それは確かに無理だろうと思います。 そこで、当時この問題になりましたのは立正佼成会です。そこで立正佼成会、創価学会、生長の家、この三つでよろしゅうございます。この三つにつきまして次のような回答をぜひいただきたいと思います。 まず、収益事業と思われるもの、その現品をひとつ各宗教団体から取り寄せていただきたい。 それからその原価並びに販売価格を明らかにしてもらいたい。 それから総体の売り上げ額を明らかにしてもらいたい。個々の商品に対する差益金を明らかにしてもらいたい。 わかりますか、だれか書いていらっしゃる、国税庁のほう。——わかりますね。 それからその総額を明らかにしていただきたい。 一般の物価とどれくらい違うかを明らかにしてもらいたい。 それから物品の仕入れ代金、これが一体幾らであるかということを明らかにしてもらいたい。 人件費については、どれくらいのものが支払われ、これに対する勤労所得税が適切に支払われているかどうか、これも調べていただきたい。 それから普通の経費と認められるべきものと、それから寄付控除は一体幾らになっておるか。幾ら課税をされておるか。 こういうことをひとつ調査をしていただきまして御回答を願いたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○佐藤説明員 私ども課税の面におきましていろいろ調査はいたしておるわけでありますが、この調査の、個々の法人等についての調査の内容というものを申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。個々の調査の内容でございますね、そういう内容にわたるものになりますと、非常にプライベートな問題にもなりますし、私ども一つの課税権をもとにしていろいろ調べておるわけでございますが、そういう点で、そういう個々の内容にわたりまして個別の法人につきまして申し上げることは差し控えたいというふうに思います。
○赤松委員 あなたは立正佼成会の会員じゃありませんね。——どうして委員会に報告できないんですか。何も所得の調査をやれと言っているんじゃないんですよ。一体どれくらい課税をしておるかということを調べてくれというんです。当時の議事録によれば、村山説明員はちゃんとこれを報告しておりますよ。どうしてできないんですか。おかしいじゃないですか。何かあるのですか。課税できない理由があるのですか。脱税でもさしているんですか。いかがです。
○佐藤説明員 やはり私どもこの税務関係におきまして守秘義務というものがございます。秘密を守る義務がございます。それで課税の内容等にわたる事項につきまして、私ども個々の法人につきましてもこれをお話し申し上げるということは、ちょっと御容赦を願いたいというふうに御了承願います。
○赤松委員 どうもますますおかしいですね。どうしてそういうことを秘密にしておかなければならぬのですか。そんなら個々の物品、つまり非課税の対象になっている物品はよろしい。いいですか、それで収益事業として課税しているものは報告できるでしょう。これはどうですか。
○佐藤説明員 創価学会に限定して申し上げますと、この収益事業の対象になっておりますのは、出版業としては、おもな部分としては聖教新聞でございます。それからそのほか物品販売業といたしましては、やはり仏壇でありますとかいろいろな物品を販売しておるというものが、いわゆる収益事業といたしまして課税対象になっておるわけでございます。
○赤松委員 なぜこれがこの法務委員会で問題になったかといえば、宗教団体で病院を経営したりあるいはおふろ屋を経営したりしていることがここでやはり問題になったのですよ。そこでたとえば創価学会の人でいえば、会員の皆さんがあの大石寺にお参りになりますね。すごい数ですわね。たくさんお参りになる。あそこでもって宿泊施設があるわけです。それで、旅館業は収益事業の中に入りますね。これを非課税にしておるのかどうか。そういうことも報告してもらいたいから先ほどいろいろな例をあげたわけなんですよ。これはどうですか。
○佐藤説明員 いまお話しのありました大石寺ですが、これは宗教法人がまた別の法人でございますけれども、これの課税状況は、これまた個々の問題でございまして申し上げられない面があるわけですが、ただここは旅館業といたしましてもいわゆる簡易旅館業というものに該当する簡易旅館でございます。この法人税法の施行令におきます五条で列挙しております収益事業の中で、旅館業は収益事業となるわけですけれども、簡易旅館業ははずしておるわけでございます。
○赤松委員 私よく知りませんが、何か信者の人に聞くと、千六百円ですか、間違ったらごめんなさい。あとで訂正しますが、千六百円くらいな宿泊費だということがいわれております。そうすると、年にいえば何百万人という人が行くのですが、これが簡易旅館ですか。税務署は一般にはずいぶんきびしいが、こういうところには非常に寛大ですね。
○佐藤説明員 この関係のいまお話しにありました千幾らというのは、私ども調べましたところによりますと二百五十円程度のものでございました。その差額につきましては、いわゆる喜捨金と申しますか、そういうものになるようであります。
○赤松委員 おさい銭も含まれておるのじゃないですか。とにかくいま国税庁の答弁を聞いておりますと、まるでどこかの宗教団体に属しておるような気がしてなりません。ことにいま私が申し上げました諸点の中の収益事業に対する課税、その総額、この程度のものは当然委員会で報告してしかるべきものであると私は思うのです。しかし、どうしても言えないとおっしゃるならば、私は別の方法でこれを政府から取り寄せるようにしますが、あなたはそれでよろしゅうございますか。
○佐藤説明員 創価学会のいわゆる法人所得でございますが、これの状況を申し上げますと、四十三年の四月一日から四十四年の三月三十一日までの企業年度のものでございますが、所得としては五十二億八千五百万円程度の申告になっております。
○赤松委員 それは課税の内容は何ですか。
○佐藤説明員 これがいわゆる収益事業でございますので、物品販売業並びに出版業、こういうもの全部になるわけでございます。
○赤松委員 どこかのお寺さんが何百万人かの人を泊めても簡易旅館であるということになりますと、私はこれから全国のお寺さんに、簡易旅館で非課税になるからどんどん旅館をおやりなさいとすすめてまいりますが、よろしゅうございますか。
○佐藤説明員 いわゆる簡易旅館業であるか旅館業であるかどうかということは、その実態に応じて、調査をしたところによって判断すべきものだと思います。
○赤松委員 それはどこが調査するの。たとえばいま大石寺の問題が出ましたね。どこの税務署がやるのですか。
○佐藤説明員 旅館業法の規定によりまして、それを受けまして、それで私ども収益事業であるかどうかという判断をいたしております。
○赤松委員 いやいや、どこの税務署が取り調べるのかです。
○佐藤説明員 これは富士税務署でございます。
○赤松委員 ますます驚くべきことと思うのですね。この全国的にわたる、九百万人の信者を持つといわれる大創価学会を、包括法人にしないで単位法人にして、しかも認証は東京都知事がやる。それで財産目録の閲覧を信者が要求しましても、絶対に東京都は許しません。出しません。さっき文部省の方が信者が閲覧する場合は自由だとおっしゃったが、東京都が拒否した場合はどうすればいいのですか。
○吉里説明員 財産目録は、宗教法人法の規定によりますと、法人認証の際も、必ずつけなくてはならない書類とはなっていないわけでございまして、ただ事務所に備えつけなければならない、こうなっております。そこで、先生のおっしゃる東京都がという御表現でございますが、これは所轄庁としての東京都が認証した際に、認証を受ける側からいろいろな書類が、法によって必要な書類として出てまいりますが、それは認証のために法人から出されたものでございますので、それを、東京都に出されたものを外へ出すということはしない、こういうたてまえになっているはずでございまして、備えつけるということになっておりますが、ただ、それを必ず見せなくてはならぬという宗教法人法のたてまえではございません。したがって、先ほどのお答えを若干補足いしたますと、おそらくそれぞれの創価学会の信者の方々が、事務所に備えつけておるものはごらんになれるであろうという意味で申し上げたわけでございます。
○赤松委員 すでに私の質問は理事会で決定されましたそれより七分ほど過ぎております。したがって、いまの宗教法人法の問題、それから課税の問題その他人権侵害の問題などまだたくさん残っておりますが、残念ながら次の機会に譲ります。 それで、この問題と違いますが、先ほど委員長不在のためにあれでしたが、例の平沢の恩赦の問題につきまして、その経過を委員長一番よく御存じだと思います。おそらく当時高橋さんが委員長をおやりになっておったのではないかと思います。そこで、それについて大臣の御答弁もいただきましたが、この際、委員長の所感をひとつ承っておきたいと思います。
○高橋委員長 この問題はやはり私が委員長をやっておりまして、私が中心というわけでもございませんけれども、私も相談にあずかりましていろいろ協議をしたわけでございまするが、結論的にいいますると、再審法案が議員立法として提出されておりましたが、それをを引っ込めるかわりと言うと語弊がありまするけれども、そこまでやらなくとも恩赦の精神によって、たとえば平沢氏の場合におきましては死刑ということになっておりますので、これを恩赦にでも前向きに処置をして、無期にでもして何とか考えてやったらどうかということに与野党とも一致して話がつきました。それから法務省のほうとも相談し、西郷法務大臣とも相談しました結果、その趣旨を含んで、法務大臣が非常に含みの多い、前向きの答弁をなさいましたが、内容的にいいますれば、ただいま申し上げましたように、平沢はじめいろいろ問題になっている者を何とか救ってやろうではないか、やるべく前向きに善処しようではないかということになったのですから、これは小林法務大臣のもとで前向きにいろいろ善処をしていただいておるものと私は信じておりますが、またわれわれも督促したいと思っております。
○赤松委員 最後に、私ども三党から次のような証人を呼んでいただきたいということを要求いたします。 藤原弘達君、内藤国夫君、「しなの出版」の社長、日本出版取次協会の代表者、日新報道出版部の代表者、潮出版社の代表者、田中角栄君、竹入義勝君、エール出版社の代表者、植村左内君、福島泰照君、池田大作会長、以上証人として呼んでいただきますように委員長にお取り計らいを願いたいと思うのです。いかがですか。
○高橋委員長 これは重大問題ですから、先ほどの直税部長の御答弁中の、どの程度守秘の義務とか責任とか権利というものがあるかということも理事会で検討いたしたいと思うのですが、ともに理事会ではかりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、畑和君に発言の許可をいたします。畑和君。
○畑委員 私は、言論・出版妨害問題に関連をいたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。 その前に、忘れてはいかぬと思いまして、委員長、さっき赤松さんの証人の申請がありましたが、以下私は憲法問題を論議しようと思うので、憲法と宗教との関係といったような問題についてやはり学者の意見を聞きたい、こう思っておるのです。したがって、憲法学者であり、そのほうの権威であります東京大学の小林直樹教授をひとつ参考人として当法務委員会に招致を願いたい、かように思いまして、この点、委員長にしかるべく取り計らっていただきたいとお願いするわけです。これはどうでしょうか。
○高橋委員長 その問題も理事会でお互いによく検討いたしましょう。
○畑委員 言論・出版妨害問題について、はっきり申し上げますならば創価学会あるいは公明党、この事件でございますが、これは予算委員会等においてもいろいろ議論をされまして、証人の喚問の申請等がありましたけれども、とうとうその運びに至りませんで、予算委員会のほうはもう審議が終わってしまった、こういうことでありまして、これは当然やはり法務委員会あるいは文教委員会等において、その予算委員会での審議をさらに深めるために大いに議論をする必要があろうということで、われわれはここでいろいろまた質疑応答を始めるわけでありますけれども、私はおもに憲法問題との関連あるいは宗教法人との関連について、政府の所見を問いたいと思うのです。 憲法の二十条には、御承知のように「信教の自由は、何人に對してもこれを保障する。いかなる宗教團体も、國から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」こういうことがいわれております。これによって、いままでは靖国神社その他の神社、宗教というものが国から特権を受けておったのですが、これができないというようなことになったと思います。それから第二項として「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」結局そういった宗教上の行為等に出席することを強制されないということであります。この点戦前の場合と違って、何人も宗教に対して自由であるということを規定したものと思います。第三項に「國及びその機關は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」こういうことになっております。国及びその機関は宗教教育もしていかぬし、その他の宗教活動も一切してはならぬ、こういうことで、国の政治と宗教というものが完全に別のものであるということを規定しておる。すなわち祭政分離という規定だと思っておりますが、その点はもう私が質問せぬでも答弁は明らかだと思います。 ところで、いま問題になっております創価学会あるいは公明党、この団体については私は憲法に違反するおそれが多分にあると思います。というのは、創価学会は国立戒壇というものを設けて、それのために、それを目標にして活動するのだ、国立戒壇の建立のためには国会進出がぜひとも必要だ、こういうふうなことをいっておるのでありまして、しばしば次のように池田会長などが言うておるのです。それを例をとって申しますと、「富士の山麓に国立戒壇を設け、日蓮正宗を国教にすることだ。そのためには二十年後には国会議員の過半数を占めなければならない。」こういうことを一九五五年の聖教新聞で言うておられます。さらにまた、「大聖人様の至上命令である国立戒壇建立のためには、関所ともいうべき、どうしても通らねばならないのが創価学会の選挙なのでございます」池田大作会長は一九王九年にこう言っておられる。それからその次に「われらが政治に関心を持つゆえんは、三大秘法の南無妙法蓮華経の広宣流布にある。すなわち、国立戒壇の建立だけが目的なのである」これは戸田城聖さんが言っておられることばです。こういうことでございまして、創価学会の目標というのは国立戒壇の建立にある、こういうことなのです。国立戒壇、宗教上のことばでありましょうけれども、国立ですね。だから、これは昔の靖国神社みたいなものです。こういうものを富士山ろくにつくるのが目的である、こういうふうに言っておるのです。いまはいわゆる正本堂ですか、これが富士山ろくの大石寺に建ちつつあるようですけれども、これは民衆の喜捨によって建っておるのだけれども、そもそもは、一番初めはそういうようなことで布教に当たっておられたというふうなことが記録に明らかであります。したがって、国立戒壇の建立が議会進出への目的だ、こう言うのでありますからして、したがって、創価学会を国教にするということだと思うのです。そのためにはどうしても多数を取らなければならない。そのためにどうしてもくぐり抜けなければならない関門、すなわち関所ともいうべきものが創価学会の選挙なのでございます、こう言っておるわけです。これをまさに受け、いままで何回もの選挙が行なわれました。初めは何もなしに創価学会自体での選挙であった。ところが、その次には公明政治連盟、創価学会の中にある政治部ともいうべき公明政治連盟が一応の主体でやってまいった。それからその後公明党ができて、しかも初めのうちには参議院だけで衆議院には立候補いたしません。それが前からのお教えであります、なくなった指導者の教えである、こういうことを言っておる。ところが、その後衆議院に進出をされて相当な議席を占められておるわけでございます。したがって私は、こういう点で相当問題があると思うのです。 なるほど、いま創価学会は、あるいは公明党は世間の批判にこたえるということで、公明党と創価学会との分離をするというお話で、それに努力しておられるようです。しかし、私はこれは実際には不可能だと思う。これをやったら公明党の自滅というか、むしろ創価学会の自滅になるのではないか、これはやはりそれが本来の目的である。しかも王仏冥合ということばを使っておられる、王仏冥合というのは、王というのは王道である、すなわち政治である。仏は仏法であります。この王仏が、政治と宗教が創価学会の唱えておられる宗教、これは本尊さまですか、これが結局政治と冥合して、冥々のうちに合わさる。したがって、それが政教一致だと思うのです。政教一致を目ざすのが創価学会である。先ほど私がずっと並べました池田大作会長等の言われたことから判断をいたしましても、当然そうなると思うのです。そうでなければならぬと思うのです。それで政界に進出をしてきてこれだけの成果をおさめておられるわけで、したがって、まだまだ政権を取らないうちならいいけれども、いずれは政党というものは政権を目ざさなければならぬはずであります。そしてもし、公明党が政権を取る段階になったならば、先ほどの国立戒壇の実現ということに当然なるはずです。いま調子が悪いから国立戒壇はよしにして、民衆戒壇と言っておるようでありますけれども、やはり根本的にはそういう教えがある。それに基づいて、そのスケジュールに従ってずっと積み上げている、いままでの実績がある。これを急に変えたら、ほんとうは自殺になるのだと思うのです。私は、そういう点で創価学会は祭政一致の宗教である。同時に、公明党はそのための政党であると思う。その手段である。創価学会の最終目的を遂げるための政治進出の手段の政党が公明党である、こういうふうに私は断じます。 そうすると、先ほど言ったように、憲法二十条に明らかに違反しはしないかと思う。その点はいかがですか。いまのうちはいいかもしらぬ。単なる公明党で五十議席くらいのところでありますから、いいかもしれませんけれども、ともかく国立戒壇を目ざし、そうして祭政一致を目標としておる創価学会、もし政権を取ったなら、必ず創価学会を国教とするものになると思うのであります。その点、憲法との関連においてどういうふうに考えておられるか、まず小林法務大臣にお伺いをいたしたい。
○小林国務大臣 いまのような御議論は予算委員会でもあったのでありますが、宗教法人は御案内のように、文部大臣が所管である。したがって、文部大臣からお答えになっておりましたが、いまのような御質問は、ぜひひとつ文部大臣に願いたい。私は、所管としてお答えできる立場にない、こういうふうに申し上げます。
○畑委員 小林大臣は逃げたけれども、これは少なくとも政府の統一見解があるはずだ。ついこの間も民社党の春日君が国に対して質問書を出した。それに対して、憲法違反ではない、こういうような結論のようでありますけれども、私は非常に疑問を持っておる。私も法学者の端くれでありますけれども、小林法務大臣はまた同時に国務大臣ですから、その点は、こうした政府見解の一人に当然加わっておると思いましたから、それで御質問申し上げたのでありますが、議論をしておっても長くなりますから、それではこの点について担当であられる——ほんとうは文部大臣が必要なんだけれども、文部大臣はおられませんので、その担当の文化庁の文化部長さんですか、ひとつ文部省の意向、憲法に対してどういう関係にあるんだということについて、私のいま言った考えが違うのか間違っていないのか、その点を含めてひとつ御教示を願いたい。
○吉里説明員 申しわけないことに文部大臣が出ておりませんし、政府委員が出ておりませんので、説明員としての限界があると思いますけれども、一応お答えを申し上げます。 実は、ただいまの畑先生の御質問は、さきに質問書でいただいておりますし、また谷口先生からもいただいております。(畑委員「私からは出していない、党からです」と呼ぶ)春日一幸先生からいただいておりますが、それについて一応のお答えを申し上げましたし、それから再度の御質問についても現在検討しておりまして、案文を練っておるところであります。したがって、正式にはその質問書でお答えせざるを得ないと思いますけれども、一応私どもの現在の考え方を申し述べておきます。 また憲法解釈でございますから、これは私どもの文化庁だけで解釈をこうだと言うわけにもまいらぬと思いますので、法制局とも相談をしておりますが、私ども憲法の政教分離、あるいは信教の自由の原則、こういうものは、まず条文を読んでいただくとおわかりのように、国権行使の場における規制をいたしておるわけでございます。したがいまして、宗教団体も一般の私人と同じように、政治活動の自由というものが尊重されておる以上は、どのような宗教団体がどのような政治信条を持ったり、あるいは政党自身がどのような宗教信条で活動するということも、これは私どもとしては、憲法はそこまで制限をしておるということはないのではなかろうかと思っております。ただ、いま御質問のところは、政権を取った場合云々という御質問がございましたが、どのような場合が御質問の場合に当たるのかということも、詳細分析をした上で結論を出したいと思っておりますが、憲法で規定をいたしておりますのは、やはり国の立場で正式に宗教団体に特権を授け、あるいは宗教団体がそれを受けまして政治権力を行使するということを禁止しているわけでございますから、具体的にどのような場合がどうだということは、いま少し先生の御質問も参酌しまして検討いたしたいと思っております。
○畑委員 ともかく池田会長は国立戒壇をと言われまして、とにかくそれを成就するためにどうしても関所というべきものを通らなければならない、それが創価学会の選挙なんです、そう言っているのですから、しかも政党である以上は政権獲得が目的でなければならぬはずである。そうすると、これによって創価学会とほとんど一体不離であるところの公明党は、この池田会長の言われるとおりに従って、国立戒壇ということで宗教と政治とを一致さして、そして政治において宗教を国教とする、そういうことにならざるを得ないと思うのです。いまのところはいいかもしれぬけれども——もっとも創価学会は最近、さっきも言ったように、いろいろ変えてきておるようです。調子が悪くなると民衆立による戒壇というようなことでやっておられるようでありますけれども、そういうことになるのではないかというふうに私は思うのです。それは、あまり議論しておっても何だからもう少し御研究を願いたい。それからこれは同時に、あなたでは無理だったかもしれません、文部大臣並びに法制局長官のほうが適当だったかもしれませんから、これ以上あまり論議はいたしません。 その次に宗教法人のことについてお尋ねいたすのですが、宗教法人の定義、宗教法人はどういうものを宗教法人というかということについて、宗教法人法に規定がございます。この法律の第二条において、「この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。」ということになっておる。したがって、その目的というものが、そういう宗教の教義を広める、それから儀式行事を行なう、信者を教化育成する、これが主たる目的でなければならない。もちろん従たる目的で政治関係もということになるのでありましょうけれども、それも必ずしも悪いというわけではないのでしょうけれども、この点について私は相当の疑問を創価学会、公明党に対して持っておる。もしこれを逸脱するといたしますと、次に八十一条との関連が出てくるのではないか。「目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。」逆の場合ですね、その両方の場合に解散命令ということがあり得る、こういうことになんです。第一号のほうは先ほど赤松委員が触れられました「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」こういうことになっておる。相当やかましい条件が入っておりまして、なかなか現実にはこれに当たる例はないと思いますが、私がいま問題にしておるのは第二号の「宗教団体の目的を著しく」——これも「著しく」だからいろいろ問題があろうけれども、「逸脱した行為をした」場合には解散を命ずる場合があり得るというのが現行法にありますね。 それでまた創価学会の場合には、私は公明党とほんとうに一体不離であって、いざ選挙というときには、もう選挙活動にすべて没入するということが現在の状態だと私は思っています。折伏ということで、かっこうは折伏して歩くということでいろいろ選挙運動も兼ねて大いにそのほうを中心に行なっておるように私は聞いておりますけれども、これが私は、宗教団体としての目的から逸脱してはいやしないか、こういう疑問であります。宗教団体だからといって、必ずしも政治活動、選挙活動してはいかぬということではないかもしれません。これには主としてとなっておりますからね。ないかもしれませんけれども、少なくとも創価学会の場合にはほかの宗教団体と違って、いざ選挙となると、そうでなくても政治活動が相当大きなウエートを占ておる宗教団体は私はほかに知らないのです。十何年前に立正佼成会の問題も出ました。国会で相当論議されました。それはいわゆる布教活動等が非常に常軌を逸した布教活動であったということだったと思う。創価学会の場合には、世間的には相当非難されました。一時は折伏ということで——立正佼成会の場合にはお導きというようですが、創価学会の場合、折伏といって結局その人を説得して創価学会に入らせるという、救いなんだ、導きなんだということで、一生懸命何回も何回も繰り返し訪れて、人がかわりあるいは何度も訪れて、そしていわゆるしつこい根負けする、こういうようなことで折伏をしておるようです。その形式等についていろいろ一時問題になったことがございますが、最近は創価学会もいろいろその辺を考えてあんばいをしておるようにも見受ける。しかしながら、政治活動というものが大きなウエートを占めておる。本来の宗教団体のあり方と違うのではないかと思う。新宗連はいろいろ宗派がございますね。また古い仏教もそうです。あるいは神道もそうでしょう。ところが、この創価学会なるものは新宗連にも入っておらぬ。別なんです。新宗連はいま立正佼成会の庭野さんが会長をしておられるようです。創価学会は入っておらないようでありますけれども、ほかの宗教団体、新宗連に属しておるものも、これほど徹底したものはなかろうと思うのです。いろいろ候補者の推薦などもいたしますけれども、それ自体でやっておるところはそうあまりないのじゃないかと思っております。 そういう点に関連して、宗教法人法の第二条の目的を逸脱しておる行為ということは言えませんでしょうか。その点、宗教法人法との関連で、いかがでしょうか。
○吉里説明員 まず、先ほどから申し上げておりますように、現在の宗教法人法の立て方及び国に与えられております権限を申し上げますと、できるだけ国の関与を排除するということでこの立て方ができております。その規定の趣旨は至るところに見えますが、宗教法人法の一条の二項あるいは八十五条等から考えまして、宗教法人を認証するための必要な義務を持たしておりますが、たとえば信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形でも調停、干渉等はしてならない、こういうような書き方になっております。 そういう前提で私は国の行政をやらしていただいておるわけでございますが、この宗教法人法の二条の本文の規定の解釈でございますが、これはいまこの宗教法人法にいう「宗教団体」とはという前提を置きまして、宗教法人になり得る宗教団体の必須最低の要素を定めておるわけでございます。「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」左の団体、こういっております。したがいまして、二条に掲げる主たる目的以外の事業をどのように行なうかということは、おのずからそれぞれの宗教法人の自主性あるいは自律性によって適当な事業をおやりになるわけでございます。 そこで、いま御質問がございました問題でございますが、これも質問書でいろいろ他の方から質問があるわけでございますが、私どもある一定期間におきまして、たとえば選挙の期間とかいうことを限って考えて、その宗教法人の機関紙でその期間中、宗教行為以外の、要するに宗教活動以外の記事が載っておるというようなことだけで、たとえばこの宗教法人法の二条に違反しておる、目的を著しく逸脱しておるとにわかに判断するわけにはいかぬだろうと思っております。機関紙あるいはその他のいろいろな方法をもって主たる目的を達成しておる場合がおそらく多いだろうと思いますので、そういう一事象だけをとらえまして、私どもにわかに判断することは差し控えなくてはいかぬのじゃないかと、私は思っておるわけでございます。
○畑委員 私はますますもって、先ほど赤松委員から言われました宗教法人法の改正が必要だと思います。創価学会のような場合、ほかの宗教とは違います。根本的にだれが見ても違う。私は常軌を逸脱しておる宗教団体だというふうに思っております。これでずっと宗教と政治が一緒にされたらかなわぬ。そういうことの関係から私は言っているのでありまして、別に創価学会、公明党に恩怨があるわけではございません。そういう立場から私は申しておる。これが堂々とまかり通るならば、それこそ全く宗教王国であると思うのであります。やはり宗教といえども、相当そういう根本的な点では制限されなければならぬと私は思うのであります。特に祭政分離に反する祭政一致というような姿勢、これは分離をされると言ってはおられますけれども、実際問題として分離をされたら、公明党の存在意義がなくなると思うのだ。実際に私はできないと思う。ほとんど同じ人がなっておる、こういうことだと思います。一般の人に入ってこいと言ってもなかなか入りやせぬ、私はこう思うのでありますけれども、そういった形のものは私は日本のために好ましくない、こういうふうに考えます。 議論をしていても、もう時間が来ましたからこれだけでとどめまして、あと私の若干の質問時間が余っているといたしますならば、岡沢君、実はきょうの理事会に出ておりませんので、時間を与えてありませんでしたから……。
○高橋委員長 それでは、岡沢君。 畑君の時間がだいぶ過ぎたので、実際は割愛をしてもらったわけではないのですけれども、これは全委員の了解を得ましたから、ごく簡単によろしくお願いいたします。
○岡沢委員 御承知のとおり、私の党は昨日から定期大会を開催中でありまして、慣例によりまして、定期大会の開催中、委員会への欠席を黙認をしていただいている立場から、本日の理事会に欠席をいたしました。私の発言時間は与えられていなかったわけでございますが、同僚委員の御了解を得まして、畑委員の持ち時間をわずかいただくということで、若干の発言をさしていただきたいと思います。 言論・出版の自由なくして民主主義はないといわれます。この言論・出版の自由問題につきましては、あるいはまた妨害問題につきましては、本国会におきまして、予算委員会等でも取り上げられましたけれども、十分な論議が尽くされてはおりません。そしてまた、国民の基本的人権にかかわります法務委員会は、当然この問題を取り上げるべきでありますし、また取り上げる必要があろうかと思います。そういう立場から、わが党といたしましても、この問題は今後とも論議を尽くしてまいりたいと思いますが、私の前に発言されました赤松委員のほうから、この問題に関連して証人喚問の御要求があったようでございます。重複するかもしれませんけれども、わが党の立場からも若干の証人、参考人を御喚問いただきたいということで、その要求する方々の氏名等を読み上げますので、お聞き取りを願いたいと思います。 二月二十五日の予算委員会で麻生委員が要求をいたしました日本出版取次協会の代表者、日新報道出版部代表者、潮出版社の代表、それと藤原弘達氏、二月二十八日塚本委員が要求をいたしました池田大作氏、新しくわが党の立場から、証人として遠藤欣之助氏、この人は民主社会主義研究会議の編集部長でございます。参考人として、慶応義塾大学の講師の武藤光朗氏。この武藤氏を参考人として御要求申し上げるのは、言論・出版の自由の限界、ことに憲法二十一条の解釈等に対する御意見を拝聴するという意味も含めまして、参考人にぜひ御喚問をいただきたいと思うわけでございます。 きょうは格別に発言を許していただきましたので、これだけの御要求を申し上げて、本日の私の発言は終わりたいと思います。
○高橋委員長 これは先ほどと同様に理事会でよく協議いたしまして、結論を出したいと思います。御了承を願います。 それでは、三十分の時間のお約束に基づく松本善明君の御発言を許可いたします。松本君。
○松本(善)委員 法務大臣にお伺いしたいのでありますが、この言論・出版妨害事件問題というのは、総理大臣も国会で言われましたが、民主主義の基本をなすもの、国政の上で最大の配慮を払わなければならないものである。また実際にその仕事をどこでやるかといえば、国会でいえば法務委員会でありますし、政府でいえば法務省が一番深い関心——もちろんすべての分野でやらなければなりませんけれども、法務省が一番の中心的な課題を果たさなければならないというふうに思うわけであります。私が、前にこの委員会で、三月の十八日に法務大臣に質問をいたしました。言論・出版妨害事件についていやしくも人権侵犯事件があるとか、あるいは犯罪があるというふうに考えられる場合には、断固としてやるべきだ、そういう庁内訓示をなさる必要があるのじゃないかということも申しましたところ、法務大臣は、それは「ひとつきつく訓示をいたしましょう。」という御答弁をいただいたわけであります。これは実行されましたでございましょうか。
○小林国務大臣 お話しのような趣旨のことは、私人権擁護局長を通じて部内にあまねくさような要請をすべし、こういうことを申しております。
○松本(善)委員 どういう趣旨で、いつごろおやりになりましたでしょうか。
○川島(一)政府委員 前回に法務委員会でその話が出ました直後であったと思います。
○松本(善)委員 どういう趣旨で、どこに向けてどういうふうにやったのかということを伺いたいのです。
○川島(一)政府委員 趣旨は、松本委員が大臣に御要望なさったことと同じ趣旨でございます。
○松本(善)委員 四月十三日の東京新聞の報道によりますと、今国会で論議をされております出版妨害問題に関する世論調査の結果が新聞紙上に発表されております。重要な点を少し申し上げて大臣の御意見を伺いたいと思うのです。 「今国会で論議されたおもなテーマのうち知っているのは、どれですか。」というのに対して、七三・三%の人が言論・出版の自由妨害問題をあげております。そして、これが「言論・出版妨害問題に関して1憲法や民主政治の基本にかかわる問題と思う2一般の商売ではよくあることで、憲法や刑法にかかわる問題ではない——との二つの意見がありますが、あなたはどう考えますか。」ということについて、最初の「憲法や民主政治の基本にかかわる問題」だというふうな意見が二三・八%、「どちらかといえば1に近い」というのが二九・二%、合わせて五三%に及んでおります。それから「あなたは公明党の言論・出版妨害問題について、国会で明らかにすべきだと思いますか。それとも公明党が主張するように、裁判所で明らかにすべきだと思いますか。」という問いに対して「国会で明らかにすることが望ましい」というのが三三%、「どちらかといえば国会で明らかにすることが望ましい」というのが二〇・六%、合わせて五三・六%に及んであります。また、「この問題で国会に証人を喚問することについて、どう考えますか。」という問いに対して、「証人を喚問すべきだ」というのが二四・四%、「できるだけ証人を喚問するのが望ましい」というのが二四・九%、合わせて四九・三%の人が証人を喚問すべきだという方向の意見を述べておるわけです。ちなみに、これについては無回答が三二・七%でありますので、これに反対あるいは消極的な意見を述べたのはわずかに一八%にすぎません。 こういう状態でありまして、この言論・出版妨害問題が憲法や民主政治の基本にかかわり、国会で徹底的に論議をし、証人も喚問して、そして論議をすべきだというのが世論になっておるというふうに思います。私は、国会でのこの問題の論議は証人を喚問をして調べなければならない、そういう段階に来ておると思いますが、政治家としての、政府閣僚としての法務大臣の御見解を伺いたいわけであります。 それについては一つ一つお聞きしたいのでありますが、まず最初に、私がいま申しましたこの新聞の世論調査の結果について、法務大臣はどのようにお考えになりますか。
○小林国務大臣 それは、そういう事実として承知しておる、こういうことでございます。
○松本(善)委員 私がお聞きしますのは、国会でこの問題を取り上げ、さらに証人喚問をすべきだということが世論になってきておるということについて、法務大臣はどのようにお考えになるかということであります。
○小林国務大臣 そういう事実が新聞に載せられておるところを私も承知しておる、こういうことでございます。
○松本(善)委員 それでは、また別な形でお聞きしたいと思うのでありますが、この言論の自由といいますのは、一つの問題について批判がなされるという場合についてそれに対して反論をする、言論を通じて正否を明らかにするというのが趣旨であります。そうして、世論に問うてものごとの正しさをきめていこう、これが民主主義の根本だといわれておることであります。ところが、この問題につきましては、言論・出版妨害をしたといわれてりおます創価学会、公明党の側では、被害者として妨害されたというふうにいわれておる人たちとの対決を、たとえば新聞やテレビ等における対決を避ける、それからこの問題をテーマとする新聞やテレビ等での公党問の対決も避ける、こういう態度をいままでとっておられますし、それからまた、しかも言論・出版の妨害はしたことがないという立場をいまなおずっと続けておられます。私どもからいいますならば、こういうことが言論の自由というものと反する態度ではないか。自分のところが非難をされておるならば、堂々とこれに対して反論をする、この非難は誤っておる、事実の上ではこういうふうに違っておる、あるいは考え方ではこういうふうに違っておる、こういうふうに反論をしていく、そうして国民の前に真相を明らかにしていくというのが言論の自由の本来のあり方である、こういうふうに私は考えるわけであります。 この点につきましての法務大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 これは私も一般のものとして、あるいは第三者としての意見はおのずからあります。しかし、いまの問題、政府としてそれをどうこうと、こういうふうにお答えすべき筋ではない、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 私は、政府としてと申しますよりは、言論の自由という問題について閣僚の一人であります法務大臣がどのようにお考えになっておるか、言論の自由のあり方の問題について法務大臣の認識はどういうものであろうかということをお聞きしておるのであります。それはなぜかというならば、言論の自由の問題について人権が侵害をされておるというような場合には、これを守るという立場でやらなければならないのが法務大臣であります。法務大臣のこの問題についての認識を国民の前に明らかにしておく必要があると考えるからであります。もう一度お答えをいただきたいと思います。
○小林国務大臣 私がかような問題について断定的にどうこうと、こういう立場にございませんが、一般論とすれば、やはり総理大臣も常に言論の自由、出版の自由はあくまでも尊重されなければならぬ、こういうことを言うておりますし、われわれもそう思っておりますから、それに従って解釈していただいたらよかろう、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 私の申し上げますのは、言論・出版の妨害をしていないというならば、堂々とその事実はどういうふうにしたと非難されて、どこが間違っておる、どういうふうに違うかということを言論で対決するというのが言論の自由を保障しておる態度ではないか、その点について、そういうふうにするのが正々堂々たる言論の自由を守るという態度ではないか、その点についての法務大臣の御意見を伺いたいのであります。
○小林国務大臣 繰り返して申し上げますが、法務大臣としてこの問題をいまのようなお話につきましてお答えすべきことではない。私どももやはり国民でありますから、それぞれ意見は持っておりますが、こういう問題についてあらためて法務大臣がどうこう、こういうふうなことはお答えできないのであります。すなわち、私どもは、これらの問題も結果的には人権の侵害にもつながることであろうと思いますから、そういうふうな場合の一般の取り扱いについては、これは侵害されたという者があれば、その方から申告なり申請があって、そして動く、こういうふうなたてまえを従来ともとっておるということでございまして、私は一般論としてあなたの意見は承っておきますが、それについて私どもがそういうことを、さようでございますということを法務大臣としてお答えすべき立場ではない、こういうふうに思っております。
○松本(善)委員 私は、それは言論の自由をほんとうに守っていく態度ではないと思います。むしろそういうふうに法務大臣が積極的に言われることについて、法律上何の障害もないものと私は思います。それすら法務大臣がおやりにならないということは、この問題について政府の態度は非常に消極的であるというふうに私は考えざるを得ません。 もう一つお聞きしたいのは、この問題は私人の問題というふうに誤解をされている点がございますが、政党といいますのは、その目的を達するならば政権につくわけであります。国家権力に参与するのが政党であります。この政党がもし言論・出版の妨害をしたということになりますならば、そして現在なお公明党のほうではそういう事実はないというふうに言っておられるが、そのままの形でもし政府・与党の中に参加をしていくということになるならば、国家権力との関係において、言論の自由が侵されるという危険を非常に感ずる。だからこそ、いま世論はあげてこの問題を問題にしておるわけであります。政党が言論妨害、出版妨害をしたということになりますと、これは国家権力とのつながりになる可能性を持っている。そういう性質の問題だということを法務大臣は御認識であられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 先ほどのお話も、世論調査の結果もお話になりましたが、これらは国会で究明すべきであるかどうかということを私どもが申し上げる筋ではなくて、国会が御判断をなさるべき問題である、このように思いますし、また、いまのそういうふうなことが党としておやりになったのか、あるいは個人としておやりになったのかということも、すぐこれを党と断定して、いまおっしゃるような結論になるには、少し飛躍がありはせぬかと私は思います。
○松本(善)委員 それは全体として、公明党、創価学会が全部のことについて知っていて、一つの指揮のもとにやられたかどうかということについては、公明党、創価学会の側でのいろいろな事実調査が発表されておりませんし、公開での対決もされておりませんので、もちろんわかりません。しかしながら、世上いわれておるのは、公明党、創価学会の言論妨害としていわれておるわけであります。もしこれがそのとおり事実でありますならば、創価学会、公明党の政党としての、公党としての言論妨害問題ということになりますならば、これは国家権力との関係につながる憲法上のきわめて重大な問題である。そういう性質をはらんでおる問題ではないかということについての法務大臣の御見解を伺いたいわけであります。事実についてではなくて、そういう憲法上の問題になるのではないかという疑問を法務大臣にお聞きするわけであります。
○小林国務大臣 これはよく政府が答弁しますが、あまり仮定の問題についてはお答え申し上げないほうがいいでしょう、こういうことを政府は常に申し上げているわけでございます。いずれにいたしましても、私はいまの問題がすぐ国家権力にどうこう——これは憲法の規定は、一応どなたの解釈でも、国家権力に対してああいうものは十分守られなければならぬ。したがって、それは主としてさような向きであの憲法はできておろうが、これは同時に、市民もだれもこれは守らなければならぬ、そういうふうに解釈はされております。しかし、いまの問題がすぐに国家権力にどうこう、こういうふうにつながるとは私もいま思いません。
○松本(善)委員 私がお聞きしますのは、たとえば俳優がスキャンダルを——ねじ曲げられて報道されるのは困るからやめてほしいというのと、政党が言論妨害をするというのとは、質の違った国家権力につながり得るものだ、こういうふうに考えておるわけですけれども、この点では否定的にお考えになるということでございますか。
○小林国務大臣 政党が関係したかせぬか、これはわかりません。私もその事実を知りませんが、これがたとえば自由民主党にそういうことがあったとしても、すぐに国家権力につながる、こういうふうにはどうも私には理解できないのであります。
○松本(善)委員 これも法務大臣の認識としては、世間の人たちは決して私は納得しないと思いますけれども、さらに進んでお聞きいたします。 この出版妨害問題といいますのは、非常に広範に取り上げられております。たとえば、事件にいたしましても、藤原弘達氏の著書の問題、内藤国夫氏の著書の問題植村左内氏の著書の問題、福島泰照氏の著書の問題あるいはそのほかにももちろんございますし、それからその広がりにおきましても、出版界、それから小売り店、取り次ぎ店、その出版に関係するすべての全国的な分野に及んでおります。一冊の問題にとどまらない、非常に広範な問題であります。この問題につきまして法務大臣は、三月十八日に私がお聞しいたしましたときに、これは人権擁護局ではなかなかむずかしい、「やはり個々の役人が行ってこういうことを小さくやったって、なかなか動きのとれない問題である。」こういうふうにお答えになっておりました。また「国会であらゆる面から論議をされておるわけで、これはこれでもっていわゆる世論に聞く、世評に訴える、こういうふうなことに私は非常な何かがあったと思うのでありまして、」これは効果があったという意味でありましょうと思いますけれども、こういうふうにも言われましたし、それから、人権擁護局には「強制調査権がありません。あるいは面会を謝絶されたりあるいは発言を拒否されたりすればわれわれは手が出ない、」こういうお話もあります。私は、こういう法務大臣の御見解からするならば、この広範な全国的な規模にわたる、しかも一つの政党がその対象としていわれておるような出版妨害問題これはやはり国会という規模でこの事実の調査をしなければできないし、また、これが国民から要望されておる問題ではないかというふうに思うわけであります。もし公明党の側で、これは無実である、これはいわれのない非難であるということならば、もちろんこれに積極的に協力をされて、反対の側から証人をお出しになるとかあるいは参考人をお出しになるとか、あるいは私どもの申請した証人に対して反対尋問をされるとか、そのような形で国民の前に事態を明らかにして、そうして疑惑を晴らす、そういうふうにして国民の期待にこたえるのが筋ではないかと思います。 私が法務大臣にお聞きしたいのは、法務省としてはなかなかできない、こういうお話でありましたが、それじゃ私は国会でやる以外にないだろうと思います。この問題について法務省でできるのかどうか、人権擁護局でできるのかどうか、それじゃどこでやったらいいのか、やはり国会でやるのが筋じゃないか、こういう問題についての法務大臣の御意見を伺いたいと思うわけであります。
○小林国務大臣 これは前にも申し上げましたように、人権擁護と申しましても、これは終戦後の関係でございまして、日本にまだなかなか定着をしない。これは私はほかの場所でも申し上げておるのであります。そうして、それなら国会でやるほうがいいのかどうかということは国会がおきめになるので、私どもは国会に押しつけるというふうな立場にありません。現にいまの効果の問題からいいましても、人権擁護問題ほどむずかしい問題はない。しかも私が前に申し上げたように、何らの強制調査権も持たない。そして人権擁護を究明するためには、どうしてもいわゆる侵犯された者とした者との対決とか、こういうふうなことがなければ真相はわかりません。ところが、われわれのほうにおいては、侵犯されたと称する者からは十分なお話が聞けると思いまするが、人権侵害をしたといわれるほうからは事実の究明ということは、事柄によっては非常に困難であるということは、もうよくおわかりと思うのでありまして、実は国会においても、予算委員会その他においてもいろいろの論議をされておることは御承知のとおりでありまして、これに対しまして私どもは正直に申しますると、区々たる地方の出先の役人がこれをやってどれだけの効果があるか、こういうようなことも、これはやらないというわけではありませんが、そういうわけでありまして、現に、侵害されたか、じゃまされたといわれる方から何の要請も申告も出ておらない、こういう状態であることは、それらの方々もおそらく人権擁護、われわれの仕事についての効果が期待できない、こういうことをお考えになっての上ではないかと私も考えるのであります。 要するにそういうことでありまして、私どもいまこれを政府の問題として特に取り上げておらぬということになりますると、私どもは別に国会がどうこうということは言うべき筋ではなくて、これは国会がおきめになればよいのであります。私は、法務当局が人権擁護問題として扱うことは、非常に困難な問題であり、また効果の期待もなかなかむずかしい。こういうことは、皆さんが、私のこういう答弁を御参考になさればいいと思うのでありまして、それ以上のことは私は申し上げられない、こういうことでございます。
○松本(善)委員 それで大体の法務大臣の言われる趣旨はわかりましたが、ただ、これだけの国民の要望がございますので、何らかの国家機関でこの問題の真相の究明が必要ではないかと思いますが、この問題についての法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 これは、いまの世論もあるかもしれませんし、あるいは東京新聞の調査もあろう。こういうことをすべて参考にしてみんながお考えになったらよかろう、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 法務大臣に対する質問はこれで終わりますが、いま法務大臣との質疑応答でも明らかでありますように、やはり人権擁護局がこの問題を扱うことはもうちょっと手に負えない。これは法務大臣のいまの答弁からでも明らかであります。これはどうしても国会で証人を喚問をして、そして国民の期待にこたえるのが筋であると私も思うわけであります。 先ほど社会党の赤松委員が、本国会の予算委員会で名前の出ました人たちをすべて証人として喚問を要求をいたしました。私も、予算委員会で名前の出ました、先ほど赤松委員が要求しましたすべての人たちの証人としての喚問を要求いたします。同時に、さらにそれにつけ加えまして、証人といたしまして北条浩氏を申請をしたいと思います。また、参考人といたしまして、憲法学者で、名古屋大学の教授であります長谷川正安氏、この人を喚問をされたいと思います。委員長のほうでしかるべく計らっていただきたいと思います。
○高橋委員長 先ほどと同様に、理事会で協議をいたしますが、これは最初から法務委員会にかかっておりますと時間の余裕もあったわけですが、惜しいかな、これはときすでにおくれたので、だいぶ問題がむずかしくなると思いますが、お互いに誠心誠意協議してから、いい結論を出したいと思います。
○松本(善)委員 終わります。 —————————————
○高橋委員長 それでは、この際申し上げますが、北朝鮮帰還問題について、参考人として、日本赤十字社外事部長木内利三郎君がすでに御出席になっております。 参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。 参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。 それでは、沖本泰幸君。
○沖本委員 まず、参考人には、お忙しいところを来ていただきまして、たいへん恐縮でございます。先日の合同審査に御質問するはずでございましたが、ちょうど時間の都合で御質問ができなくなりましたので、御質問さしていただきたいと思います。 あわせまして、非常に話がダブるようでありますけれども、時間を許していただいて、大臣にも再度お答え願いたい、こういうふうに考えるわけでございます。 この問題は、むしろ、私が一生懸命になるよりも、社会党、共産党さんのほうが一生懸命になっていただくのが筋合いだ、こういうふうに私は考えるわけでございますが、やはり熱い間にこの問題を片づけたい、そして何とか軌道に乗せていきたい、こういう熱意で御質問するのだと御了承いただきたいと思います。 つきましては、前もって委員長にお願いをしたいわけでございますが、大体祖国往来という問題に関しましては、入管関係、法務省の関係でもございますし、また、日赤に問題が移ったといたしましても、在来からの関係がございますから、この帰国問題につきましては、当法務委員会におきましても重要な問題だ、こういうふうにお考えあげいただいて、重要問題として委員会としてお取り上げいただきたいことを、委員長にまずもってお願いしておきたいと思います。
○高橋委員長 承知いたしました。
○沖本委員 まず初めに、人権に関する世界宣言の中には、第十三条二項の中に、「人はすべて、自国を含むいずれの国をも立ち去る権利及び自国に帰る権利を有する。」と規定してあります。また、わが国の憲法の二十二条の中にも、「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」となっておるわけでございます。こういう点は十分大臣も御承知のことだと存じますけれども、ジュネーブ条約の第十九回の会議でも、故国への帰国の自由及び離散家族の再会を定めておりますし、居住地選択の自由は政治問題と離れて人道的見地からこの問題を解決すべきである、こういうふうに考えられるわけでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○小林国務大臣 基本的には、お話しのようなことは守らなければならぬ、こういうふうに思います。あと、政治的にあんまりからましちゃいかぬ、こういうこともありますが、やはりそれぞれの独立国では、国益、国の利益、こういうものも無視するわけにはまいらない。したがって、これの調和を考えながら、人道的立場をさらに尊重する、こういうことでございます。重ねて申しますが、国際人権宣言その他におきまする基本的な方針は、これは守らなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○沖本委員 さて、今回のハイジャック事件に関しましても、せんだっても申し上げましたとおり、日本の国の政府あるいは国民あげて、この問題は人道的問題であり、人道主義を貫かなければならない、こういう問題が主体になって、韓国あるいはひいては朝鮮民主主義人民共和国のたいへんな御協力もあって、この問題が解決できた。こういうところで、おそらく、われわれ国民の一人として、こんないいことはなかった、こういう結末を非常に喜んでおるわけでございますが、この問題に関しまして、この帰国問題もやはり人道上の問題である、こういうことから、先ほど国益というお話もありましたけれども、そういう問題を離れてこれは考えるべきである、こういうふうに私は考えるわけでございます。 そこで、何と申しましても、せんだっての合同審査の際に赤十字の外事部長木内さんは、これは取引というふうなものの考え方で考えたくない、こういう御発言もあったと思いますけれども、いま朝鮮民主主義人民共和国とわが国との関係というのは、この帰国問題あるいは往来問題で何がしかのつながり、また何がしかの折衝、こういうものが重ねられてきておる、こういうふうな点に問題がかかっておるわけです。したがいまして、このハイジャックの点に関する他の国から与えられた非常な好意、こういうものに対して私たちはどうしても何らかの形で感謝という気持ち以上におこたえしなければならない。またこの問題が長引いていって、解決が長引いていけばいくほど、日本という国はそんなものなのか、この一言でわれわれは誤解をされてしまう、こういうおそれも十分にあると私は考えるわけでございます。 そういう点から、閣僚の一人としての大臣が、この問題は赤十字問題として厚生省のほうに関係は移っておるというお答えもございましたけれども、さらに大臣はこの問題を今後どういうふうにお扱いになっていくか、また何かの形でお話し合いがあったとすればお話しいただきたいし、この問題を将来政府はどういうふうにお扱いになるか、これをお伺いしたいと思います。
○小林国務大臣 いまの北鮮の問題は、いわゆる帰りっきりになる帰還問題と、もう一つは再入国をするいわゆる里帰りと称するものと、これは全然別個に取り扱われておりますが、再入国の問題はやはり人道的な立場から取り扱うべきだということで、ごくわずかでありまするが、昨年もことしも六名ずつこれを許可した。もっと許可したらよかろう、こういうお話があるわけでありますが、私どももできるだけこういう人道的な立場による要望に沿いたい、こういうふうに考えておりますが、法務省だけの意見でもまいりません。これは政府全体として、各省の協議の上に政府の最終決定をする、こういうことでありまして、私はほかの席で申しましたが、私どもができるだけそういう方針に向かっていかなければならぬということをいまでも考えておりますし、そういうことを政府部内においてもこれからも述べていきたい、こういうふうに思っております。 もう一つの問題の帰還問題は、御承知のように、もう昭和四十二年までの間に約九万人近くの方がお帰りになっておるのでありまして、そしてその後四十二年に打ち切ってからまた一万八千人ばかりの人がぜひ帰りたい、こういう希望をお出しになっておる。そのことの問題をいま日赤に委託をして、そして向こうの赤十字との話し合いにまかされておる、こういうことでありまして、これにつきまして若干の問題について意見が合わない、こういうことでいまは日赤側あるいは日本側としては、日赤が出したと称する条件に対する意見あるいは対案、こういうものを待っておる時点である、こういうことを前に申し上げたのでありますが、それらのこともわれわれとしては、もう帰すことは積極的に進める、こういう意見でそういう交渉をしてもらっておるというわけでありまして、いま最後の段階がどういうふうになっておるかということは、また日赤のほうからお答えになると思いますが、私ども政府としてはその話し合いがまとまることを待っておる、こういう状態でございます。
○沖本委員 ただ、その帰国を打ち切られたあと、さらに一万数千人の方が希望をなさった帰国を待っていらっしゃるということになるわけですけれども、その方々が裕福な生活を維持されて、いつまでも待てる、こういう状態でおられるということではなく、もう数年前に職場をやめ、商売を捨てて、家を売って、もう帰れるのだ、こういうところから荷づくりをして帰国をひたすら待ってきた。それが日赤との交渉段階が非常にスムーズにいかない。お互いにいろいろな問題もあると思いますけれども、そういうことのために毎日毎日の生活が行き詰まってしまって、もうどうにもならないという現状の中でいまここまで来ておるということになりますから、そういう点から考えると、もう差し迫った人道上の大きな問題である、こういうふうなことにもなってくるわけで、どうしてもこの問題を前向きに解決して差し上げなければならない。つまり向こうに国籍をお持ちのお方が、ただ自分の国にお帰りになりたい、こういうことから純粋な立場でそういうことを希望していらっしゃる、その道を開いてあげるという点については、もう当然やって差し上げなければなりませんし、ハイジャックの問題も起きたこの際だから、この問題と前向きに取っ組んでいって、少しでも早くこの道を開いてあげる、こういうことが一番重要な課題ではないか、いま一番その時期に来ているのではないか、こう考えるわけでございます。 そういう観点から、大臣のいまのお話では、日赤の状況を待っている、こういうことでございますけれども、何らかの形で政府が前向きにこの問題にてこ入れをしていただいて、これを進めていくというようなあらゆる道を講じていただくお考えがあるかないか、この点お答え願いたいと思います。
○小林国務大臣 私どもとしてはぜひ促進をしたいというふうに思っております。このことは関係者にもおわかりいただいておると思います。
○沖本委員 そこでさらに大臣にお願いしたいことは、いろいろな条件もあると思いますし、国際上の問題もいろいろあると思いますけれども、いまちょうどこの時期をはずしたのでは、なかなか話が進んでいかないと思うわけでございます。そういう点からひとつ総理ともいろいろお話合いをしていただいて、何らかのかきねを越えながら、この話が明るい方向に向かって解決するように御努力をぜひともしていただきたいことを切にお願いしたいわけでございます。大臣にはそれだけお願いしておきたいと思います。 それじゃ、木内外事部長さんにお伺いいたしますが、一番行き詰まっている問題は一体どこにあるのでしょうか。
○木内参考人 ただいまお話に出ましたように、一万七千の帰還協定が有効であったときに申請された方々の帰国の問題、それから今後新たに帰還を希望申請される方の帰国の問題、これを朝鮮赤十字側といろいろ話し合いをいたしましたり、また種々の方法で連絡をとりまして現在に至っているわけでございますが、ほとんどもう全面的に日赤と朝鮮赤十字側の意見は一致してきておりまして、いま隘路とおっしゃいましたが、残っております問題は、この申請済みの方を帰すほうは全く問題ございません。これから申請される方々の帰国の際に、朝鮮側が従来のような船を派遣されることはよろしい、これは来ることができる、これは政府も認めておられます。それからその船に朝鮮赤十字の代表が三、四名、従来と同じような形になりますが、乗ってこられることもよろしい。ただ、その方々が日本へ来られる入国許可の問題がございます。許可の手続の問題が残っているわけでございます。これについて朝鮮側は簡素化してほしい——簡素化と申しますのは、外国人の入国の問題は政府の扱う問題でございまして、国交のない中華人民共和国でありますとかあるいは朝鮮民主主義人民共和国の方、この方々は入国の申請は、朝鮮の場合であればわれわれ日赤が代理申請をいたしますが、これによって許可が与えられて、ビザを出すのはその国のもよりの国の日本の領事館に行ってビザを受け取る、それから日本へ来られる。中国の場合は、香港の日本領事館でビザを取って来られる。それから朝鮮の場合は、もよりと申しますと、ソビエトのナホトカあるいはモスクワの日本の領事のところへ行ってビザを取ってそれから来られる。これがたてまえでありますので、そういうふうに朝鮮赤十字側にも説明をいたしましたところが、あまりに煩瑣である、あるいは遠い、いろいろ不便であるので、もっと簡単な方法で日本に入国できるようにしてほしい。 朝鮮側との話は、昭和四十二年の八月から九月にかけまして、モスクワで会談をいたしました。それから同じ四十二年の十一月末から四十三年一月末にかけまして、セイロンのコロンボで話し合いをいたしました。そのときもこの問題だけが残りまして、私どものほうは簡素化するように日本政府が妥当な考慮を払ってくださるように相談をする、そういうことでコロンボ会談はまとめたいということであったのでありますが、コロンボ会談は意見が一致しませんで、そのまま終わったわけでございます。そうしてその後いろいろ連絡をいたしまして、やはり朝鮮赤十字側はその点簡素化をはっきりしてほしいということで、その後時間を経過しております。 それから、昨年の三月に政府の出してくださいました簡素化案というのは、ジュネーブにあります赤十字国際委員会のほうへ朝鮮赤十字から日本へ来るための申請といいますか、通告をしますと、ジュネーブの国際委員会から日赤のほうにそれを送ってくる、そこで日赤が代理申請をいたしまして、許可が出ましたらば政府がこれをジュネーブの日本領事のほうに送りまして、日本領事から赤十字国際委員会に伝達し、国際委員会はこれを郵送で朝鮮赤十字代表のほうに送る、そういう案が出ました。これを日赤のほうは提案といたしまして朝鮮に連絡いたしましたのですが、朝鮮側の同意を得られませんので、さらにその後代案を政府とも御相談して検討を進めているというのが現在の段階でございます。この点さえ解決案が出ますれば、あとは朝鮮側との話もすぐにまとまるということを私ども考えております。その点が現在隘路になっておるわけでございます。
○沖本委員 今回のハイジャック問題を考えてみましても、日赤のほうはあらゆる手段を講じて「よど号」を救出しよう、こういうわけで北朝鮮のほうに向かって、ソ連を通ずるなり何なりの方法、あらゆる方法をお考えになって努力をなさったと思うのです。それで山村政務次官を乗せて国境を越えて向こうへ行ったわけですけれども、こちらの言っているようなことを向こうがおっしゃれば、何ら返す必要性というものは出てこないわけです。それを、あらゆる問題を乗り越えて即刻返していただいた。そういう問題から考えていくと、いままで渋滞している問題というものは、そんな問題じゃないということになるわけです。ですから、そういう観点から考えて、なぜそれだけの隘路というものが踏み越えられないのか、こういうことになるわけです。何かのかきねを越えればこの問題はすぐ解決できる、こういうことになるわけですけれども、その代案というものは一体どういうふうなものが代案なんですか。その代案というものはすぐできるのでしょうか。いまやってくださった北朝鮮の好意に対して、日本赤十字として十分おこたえできるだけのものになるかどうかということになるわけです。それはあなたがおっしゃったとおり、取引の条件ということではなくて、同じように人道的な立場に立って、生活に行き詰まっていらっしゃる方を何とかしてあげなければならない。これはそういうことのために政治的な配慮を入れてはならないというのが人道上の問題ということになるわけですから、そういう観点に立ちまして、日赤のほうとしては、現段階に至って、現在の問題として日赤はどういうふうにこれを処理しようとしていらっしゃるわけですか。
○木内参考人 今回のハイジャック事件につきまして、朝鮮赤十字会を含めて朝鮮側がとられた態度はまことに、いまおっしゃいましたように、人道的な計らいをしてくれたことと感じまして、われわれも感謝をいたしております。この際、従来からも進めておりました解決を促進しなければならない、これは私どももそのとおりに考えております。 そこで、代案というのはもちろんでございます。従来八年間、朝鮮赤十字代表は日赤へ電報によって事前に氏名等を通告されまして、これに基づいて日赤から法務省のほうにお願いをして許可になっていたわけでございますが、大体そのような方式でやりたい、またやり得る道がございますので、これをもとにしまして、いま法務省御当局その他と連絡いたしまして、これを実現させたいということで努力をいたしております。
○沖本委員 そのめどはどれくらいにお立てになっていらっしゃるわけですか。めどがなかったらできないと思うのです。
○木内参考人 朝鮮側との連絡その他も非常に微妙な段階でございますので、いつまでということは申し上げかねますが、できるだけ早く、近くということで御理解いただきたいと思います。
○沖本委員 大臣がお帰りになってしまったので聞き漏らしてしまったことになりますけれども、関係があるのは入管局長だと思うのですけれども、この問題に対して入国管理局長さんとしては、あるいは法務省として、どういうふうにお考えですか。
○吉田(健)政府委員 ただいまの件に関しまして、これは法務省だけではございませんので、外務省その他厚生省、関連の役所といろいろ打ち合わせまして政府としての方針があり、それに基づいて人道上の措置ということで日赤が先方の朝鮮赤十字といままで交渉してきた。この間に、場合によっては必要な部面において国際赤十字があるいは介入する、そういう問題になるかと思うわけでございます。 ただいまの状況は、一昨年の九月二十八日に、原則として一万七千人——実はその後辞退をされた人が相当ありまして、現在日赤の手元の申請はたしか一万五千人と了解しておりますが、その一万五千人の帰りたいという方が、もし緊急に帰りたいということであるならば、コロンボ会談における実質的な日赤と朝鮮赤十字との了解ができておるわけでございますから、わがほうとしましては直ちにこれを行なってよろしい。準備期間四カ月、六カ月間にこの一万五千人の方をお帰ししようという暫定措置を先方に提示したわけでございます。それに対する案が出てきておらないわけでございますが、もしこれが実施されれば、その間に、これで現在のところ一万五千人の帰りたいという方があるわけでございますから、この方々に帰ってもらえば、その後どれだけの人がどういうふうな状態でさらに帰りたいと言われるかは、現在は全く仮定の、しかもその実態は未知の状況にあるということでございますので、人道問題といたしましては、現在帰りたいと言っておられる一万五千人の人を直ちに帰れる措置をとるべきであろうかと考え、またそのことに関しまして、実質的な了解は先方ともついているわけでございますから、これを実施している段階において、もしその後にさらに希望者が出てくるならばどうするかという問題をその段階において審議していこう、お互いに相談していこうというのがわがほうの一昨年出しておる提案でございます。これは日赤から出されたわけでございますが、これに対する確答、御返事をまだ日赤はいただいておられない。 そこで問題は、先方は一万五千人で問題は済むんじゃないんだ、その後まだどれだけ出てくるかわからぬ人がおるから、その人たちをまた集団で必ず送還してくれるか。これは日本政府としては、本来ならばすでに八年間以上にわたって八万八千六百十一名の人を百五十五回の送還船で帰しておりますし、さらに今度その後積み残してさらに帰りたいと言われる方を一万五千人直ちにお帰ししょうという態度で交渉してきたわけでございまして、ほんとうにすぐ帰さなければならないということであれば、これは直ちに実施できるのではなかろうかと思うわけでございます。その後の仮定の状況についての確約ができなければすべての実施はしないということであっては、問題が少し複雑になる。 去年の三月四日か八日だったかと思いますが、日赤さんのほうからさらに先方のほうに手紙を出されて、入国手続については簡素化する。法務省といたしましては、外務省のほうも関係がありますが、本人が出頭して確認して出入国の手続を進めるというのが本来でございますけれども、それをすべて省略して代理申請。さらにその書類を、先ほど日赤のほうから説明がありましたように、ナホトカなりモスクワへ取りに行かなくてもいいように、ジュネーブの国際赤十字、これは非常に関係があるわけでございますが、そこからどうぞ来てくださいという書類を送れば、それを持ってこられればわれわれのほうは拒否しない。 たてまえといたしましては、一万五千人の人がもし送還が完了すれば、一応現段階において北鮮へ帰りたいという朝鮮人の方の大多数の送還業務は済むわけでございます。その後もちろん何名かの人の希望が出てくると思いますけれども、そういう人たちに対してはわれわれは帰っていけないと言ったことは一度もないのでありまして、現在におきましても個人個人でどうしても帰りたいという方は、十四名個々に帰っておられるわけでございます。先方は、その後何人おるか知らぬけれども、その人間に対しても集団的に船で送らなければいけないんだというふうに言われるのですが、この点につきましては、それはだれも確実にわからない、もう少し様子を見てからやったらどうかという感じは私はいたしますけれども、それも集団でどうしても引き取りたいと言われるならば集団で送還しましょうということをわがほうでは了承しているわけでございます。 そういう事態でございまして、ハイジャックの問題とは別に、すでに過去の長い経験を踏まえて、われわれとしては誠意をもってこれを実施しなければならない、実現可能な技術的な範囲内において前向きに検討しておるということでございまして、事態はなかなか複雑な関係も背後にありますので、一がいに簡単に人道問題 ハイジャックが起きたからここでひとつ一挙に北朝鮮の送還問題をやって解決したらどうかと言われましても、私たちとしてはできるだけ前向きに——いまのような事情でございますので、わがほうの提案に対して先方の回答を待って、その上で早期に合意が達成されるならば直ちにこれを実施していきたい、それが政府としての考え方でございます。
○沖本委員 この問題は、具体的な内容になっていけばまだまだ問題が出てくるわけですから、いますぐここで完全な回答をいただこうとしても、それは無理とは思います。しかし、現在の段階として考えられることは、いずれにしましても、無断で入った飛行機に乗った人をそのまま返してくれた、そういうような簡便な方法をとってくれたわけですから、そうすると、こっちから考えられることは、そういうことはできないにしても、それにこたえられる一つの十分な措置をしてあげることが、当然いまわが国としては向こうの国に対して一番早くおこたえできる方法だ、ほかに具体的なものはないわけなんですから。ですから、この問題を早急に解決の方向へ持っていっていただきたい、そういうふうにこれからの作業なり何なりを前向きに早急に明るい方向に向かって道を開いていただきたい、仕事をはかっていただきたい、こういうことをお願いして——また、日赤のほうに対しましても、ただそういう問題だけを論じないで、各省に働きかけていって、日赤としてのやり方が十分あると思うわけです。政府に頼んであるから返事待ちだということでなくて、日赤としていままで単独にハイジャック問題に対して取り組んでこられたわけですから、そのお気持ちを裏返していけば、当然この問題を解決する方向に同時に動かなければいけない、こういう結論が出てくると思うわけです。そういう観点に立って、早急にこの道が開けるように努力をしていただきたい、こういうことをお願いいたしまして、質問を終わります。 さらに、ハイジャックの問題に関しまして、入管なり運輸省にいろいろな問題があったのですが、いまの質問で時間をとってしまいましたし、先の質問者の方々が時間を十分お守りになりましたので、私も時間を守らなければなりませんので、お願いしておった政府の方には非常に申しわけございませんが、次の機会に譲らしていただくことをおわびいたしまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○高橋委員長 木内参考人には、御多用中のところ御出席くだされ、貴重な御意見をお述べいただまして、まことにありがとうございました。 次回は、来たる十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十分散会