法務委員会 第10号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/03/25
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。林孝矩君。
○林(孝)委員 公害罪についてお伺いいたします。 最初にお伺いしたいことは、現在公害罪として係争されている事件は大体何件くらいありますか。
○辻政府委員 御承知のとおり、現在まだ公害罪という罪はございませんので、いわゆる公害に関する犯罪ということになろうかと思うのでございますけれども、私ども、何が公害に関する罪かという点でいろいろ問題がございますので、それ自体として何件犯罪があるかということはちょっとわかりかねるわけでございます。
○林(孝)委員 公害訴訟として起こっている件がございますね。それ、わかりますでしょうか。
○辻政府委員 民事でございますか。
○林(孝)委員 ええ。
○辻政府委員 民事につきましては、ちょっと私どもわからないのでございますが……。
○林(孝)委員 それではこの件は次の機会に回します。 じゃ、人権擁護局長にお願いします。これはきょうの朝日新聞ですけれども、カネミ油症事件が新しい段階に入った。一年五カ月目に刑事責任の追及が始まるということですけれども、この件に関して私思うことは、事件以来一年五カ月という長い間、さらに患者の多い長崎県はじめ、ほかの地区ではまだ患者が放置された状態にある。そういうことも事実として判明しているわけです。また、中にはその油症のために働けない、生活保護を受けている家庭もあるということです。こういう問題は何もこのカネミ油症事件だけではなしに、四日市裁判にしても、富山のイタイイタイ病訴訟にしても、水銀中毒訴訟にしても、水俣病訴訟にしてもいえることであって、その被害者が非常に長期にわたって生活を奪われているような、また生きる希望を見つけ出せない、そういう状況に置かれているわけです。そういう問題に対して、当局として今日までどういう具体的な処置をとってこられたか、その点まずお伺いしたいと思います。
○川島(一)政府委員 お答えいたします。 すでに御指摘のように、公害問題は大きな社会問題となっておりまして、そのために非常に悲惨な状態に置かれている人がたくさんありますことは、新聞報道等によって明らかなところでございます。こういう事態に対しましてどういう対策を考えるべきかということは、非常に大きな問題であろうと思います。 私ども人権擁護局といたしましては、人権擁護の見地からこういう問題を考えるということになるわけでございますけれども、結局公害の被害者を救済するためには、何と申しましても公害の原因というものを明らかにして、そうしてその責任のある者が被害を受けた者に対して十分な賠償を行なうということがいまのルールであろうと思います。ただ社会的に非常に大きな事件になってまいりますと、そういうことで当事者の問題としてまかして放置しておくわけにはいかないということで、いろいろな対策がとられておるわけでございまして、大きく申しますれば、政府といたしましても、あるいは地方公共団体その他各種の公共的な立場にあるものが協力してその解決に当たらなければならないということになるわけでございます。たとえばお示しのカネミ倉庫の事件につきましても、厚生省のほうの関係機関において治療方法の解明などに努力しておるのでございますし、また、責任の追及という点では訴訟も起こっているようでございます。 私ども人権擁護機関といたしましては、この事件には直接タッチしておりませんけれども、もっと小規模な事件で法務局に対して救済を求めてきたというような事例に対しましては、できる限度でのいろいろな努力をいたしまして救済の措置を講じておる、こういう状態でございます。
○林(孝)委員 この件についてはやっていないということですけれども、それでは具体的に人権擁護局に訴えてこられたそういう件数、いまはっきりわかっておりますでしょうか。
○川島(一)政府委員 公害による人権侵害事件、これは私のほうでは国民の日常生活における生活権の侵害という意味で取り扱っておるわけでございますが、法務局に対してそういった救済を求めてまいります事件は最近徐々にふえてきておりまして、それに従って処理する件数もふえております。昭和四十四年、昨年中に人権擁護機関が処理いたしました公害事件は全国で百五十三件でございます。
○林(孝)委員 そのような件数を聞きまして非常にあらわれてきている件数と、まだあらわれない問題も底辺にあると思うのです。そのように最近特にこうした——きょうは裁判所関係の方はいらっしゃいませんけれども、裁判が長引いている、そういう問題が根本となって人権問題として真剣に考えていかなければならないのじゃないか、そういう声がちまたに起こっております。 それと関連して、そうした意味からも最近公害罪の新設という問題が具体的に進んでいるようでありますけれども、これは刑事局長にお伺いしたいのですが、現在の公害罪の進展状況、経過等についてわかりましたらお伺いしたいと思います。
○辻政府委員 公害対策につきましては、行政上の指導や行政上の規制にまつ面が多いことは申すまでもないわけでございまして、多種多様の公害をすべて刑罰の対象にするということは、もとより適当でない面が多いわけでございます。しかしながら、国民大衆の安全、健康を著しく脅かすような性質の公害につきましては、これは犯罪という面からも取り締まる必要が出てきておるというふうに考えておるわけでございまして、ただいま御指摘のとおり、こういう状況のもとにおきまして、法制審議会の刑事法特別部会におきまして、刑法全面改正の一環といたしまして、毒物その他の有害物を放出して大気や公共の水域を汚染し、公衆の生命、身体に危険を生ぜしめる罪及びその過失犯を処罰しよう、こういう方針で一応の草案といいますか素案ができ上がっております。 これはただいま申しましたように、刑法の全面改正の一環でございますので、現在刑事法特別部会におきまして、こういう罪をひとつ新設しようというところまでは一応の決定があるわけでございますけれども、この処罰の範囲をどうするか。これはただいま話しましたように、現在のところは大気の汚染と水の汚染という二つに一応限っておるわけでございますが、この範囲がこれでいいのかどうか、それからどういう形でこれを犯罪の構成要件を定めていくかというような問題、これはなかなか問題がございまして、なお十分検討しなければならない段階でございます。現在法制審議会及び法制審議会の事務局をいたしております私のほうの所管課におきましてそういう点を事務的に詰めている、こういう段階でございます。
○林(孝)委員 いま刑法改正の一環として検討されているということでございますけれども、先日の第一分科会の法務大臣の答弁の中に、そういうこととは別にこの公害罪というものを考えていかなければならない、そういうときが来ているとはっきり答弁されているわけであります。そういう法務大臣の考え方がどこまで反映されていくかという問題でありますけれども、その点はいかがでしょう。
○辻政府委員 ただいま御指摘のとおり、衆議院予算委員会の分科会におきまして、法務大臣が刑法改正の一環としてやっていくことについてはなお相当の時間がかかるから、現段階におきましては、何とか早く公害罪の新設を検討したいという御答弁であったわけでございます。私どもも現在その線に沿いまして検討いたしておるわけでございますけれども、刑法改正の一環でなくやるということになりますと、どういう形、単行法でいくのかあるいは刑法のその部分だけを刑法という形で先に改正するのか、そういう技術的な問題もございまして、それを含めまして現在検討中でございます。
○林(孝)委員 先ほどの適用範囲等の答弁を聞いておりますと、大体昭和四十四年六月五日に公表された法案の範囲を越えていないと私は解釈するのですけれども、四十四年六月五日以降の問題として、その後どういうふうな進展があったか、その点をお伺いしたかったわけであります。
○辻政府委員 ただいま申し上げましたように、現在までは刑法の全面改正の一環として検討いたしておるわけでございます。したがいまして、現在にまきましても鋭意検討はいたしておりますけれども、ただいま申しましたように、現在は大気と水質、水域と申しますか、この二つを対象にいたしておるわけでございますが、そのほかに御案内のとおり、公害対策基本法なんかにあげております騒音であるとか、振動であるとか、地盤の降下であるとか悪臭、そういうものがどういうふうに規制されるか、また規制すべきであるか。問題は現在は刑法の一部改正と申しますかあるいは全面改正の一環としてやるか、一部としてやるか、こういう形で考えておるわけでございまして、この範囲も含めて考えておりますが、なかなかこの結論が出ていないという状況でございます。
○林(孝)委員 一つ確認しておきたいのですけれども、適用の範囲、いま大気、水質等に関するとおっしゃいました。広く健康を害するという考え方ではないということでありますか。
○辻政府委員 公害の規制につきましては、先ほど申しましたように、いろいろな多種多様の公害というものを、国民の一般的な、基本的な法律である刑法という面でどういうふうに把握できるかという問題でございますが、いろいろな公害は、本来またそれぞれの行政上の規制という形で規制されるべき面が多々あろうと思うのでございます。法務省の所管いたしております刑法または刑事法——刑事法は全面的に出てくる法律の規制ということになりますと、これはやはり国民全体に一般的なものでなければならないという一つの大きい柱が出てくるわけでございます。そういう観点から、先ほど来申し上げておりますように、現在のところはやはり大気それから水域、こういうものはいいだろうと思うのでございますけれども、その他のものにつきましてはいろいろむずかしい面があろうかと考えておるわけでございます。
○林(孝)委員 これは刑事局長の範囲になるかどうか知りませんが、大気ということで見ました場合、先ほど申しました四日市のコンビナートに起こったぜんそく、これは大気の中に含まれると思うのです。この問題一つ例にとって考えても、加害者といわれる方のどこの工場から出た大気汚染であるか、そういう問題が非常に大きく残されているわけであります。その断定が非常にむずかしい。そういう意味で、裁判が非常に長引いているわけでありますけれども、ここでいま一つの問題として取り上げられることは、いまの立証責任、これが被害者においてなされなければならない、そういう考え方と、それから加害者も加害者でないという立証責任をしなければならないという考え方、それから因果関係はどうであろうと毛、結果と原因とがはっきりすれば犯罪として成立するのではないか等々、そういう考え方があるようでありますけれども、今後の問題としてそういう立証責任というのは当局はどのように判断されるのか、その点お伺いしたいと思います。
○辻政府委員 ただいまの御指摘の点は、刑事に限っていない面も仰せのように思うわけでございますけれども、私は刑事に関してだけお答えをいたしたいと思うわけでございます。 現在検討中の公害罪という犯罪がかりにできました場合に、その公害罪に該当するかどうかということは、これはもちろん原告、刑事の原告側である検察官側で立証すべきことは申すまでもないところでございます。これは刑事の一般原則によるわけでございます。そこで、先ほども御指摘のように、私どもいろいろ検討いたしておりますところを御指摘になったわけでございまして、かりにたくさんの工場からばい煙が出るという場合に、どの工場のばい煙が原因をなしたかとか、あるいは全部の工場のばい煙で原因をなしたかというような問題は、現在検討いたしております公害罪の一つの重要なむずかしい問題点であろうかと思うのであります。
○林(孝)委員 持ち時間が二十分ということで、時間が来てしまったわけでありますけれども、この公害罪の裁判上の問題、また公害罪新設の問題、その他公害に関する問題に関して、引き続き次の機会に私も質問をさしていただきたい。この点一応保留をさしていただきたいと思います。
○高橋委員長 承知いたしました。
○林(孝)委員 以上で終わりたいと思います。
○高橋委員長 岡沢完治君。
○岡沢委員 最初に、いま林委員のお尋ねでありました公害罪の問題、関連がございますのでお尋ねをいたします。 先ほど刑事局長の御答弁では、公害罪は刑法の全面改正と結びつけて検討しているというお話がございました。それではその刑法の全面改正、いつごろ法案として御提出になる予定か、見通しについてお尋ねいたします。
○辻政府委員 刑法の全面改正につきましては、現在法制審議会の刑事法特別部会におきまして、法務大臣の諮問を受け、鋭意検討作業中でございます。刑事法特別部会の検討作業が一応終わるのは、早くて来年の暮れというように私どもは予想いたしておるわけでございまして、来年の暮れには早ければ法制審議会の答申がなされるという段階でございます。
○岡沢委員 いまの局長の御答弁ですと、早くても来年の暮れ。そうすると、提案は一番早い場合でも四十七年度ということになろうかと思います。もちろん法制審議会刑事法特別部会、いろいろな問題を検討しておることはわかりますけれども、それでは、この刑法の全面改正、法制審議会で検討されましてからいままでどれくらい経過しておるのでございますか、どれくらいの成果をあげておられるのでございますか、お尋ねいたします。
○辻政府委員 現在の作業を開始いたしましたのが昭和三十八年でございます。
○岡沢委員 この問題が中心でございませんから詳しいことは避けますけれども、昭和三十八年から検討されて、いま昭和四十五年でございます。七年間、まだこれから二年かかるとおっしゃるわけでございますね。現在の社会情勢、経済情勢の変化というものがはなはだしいことは、私がここで指摘するまでもないと思うのです。特に人の生命、身体、財産にかかわる部門を担当される刑事法あるいは裁判、検察の立場が慎重であることの必要性はよくわかります。しかし、また時代の要請に応ずることも検察あるいは裁判の使命だと思うのです。いまのスローテンポでは、私は全く、国民の検察に対する信頼あるいは裁判に対する信頼を根底からくつがえすといえば少しオーバーになりますけれども、その心配なしとしない。現に公害は、きのうのカネミ事件、あとからお聞きさしていただきます毒ジャガイモの事件、これはほんの氷山の一角で、食品公害、都市公害、産業公害、現在の現実の日本の社会における最大の国内的な政治課題の一つだと考えてもいいと思いますけれども、この問題についてそうスローテンポでは、慎重な上にこそ立つべしという考え方だけでは決して通用しないのではないかと思います。 それではお尋ねしますが、法制審議会あるいは刑事法特別部会、特にこの公害罪を検討されているといわれる第四小委員会はどれくらいのテンポで委員会が開かれておるのでございますか。
○辻政府委員 当該小委員会はおおむね月に二回でございます。
○岡沢委員 月に二回は少ないともいえないかもしれませんが、きのう起訴のありましたカネミの事件、これだけでも九百人をこえる被害者がその解決を待ちあぐんでおるわけでございますし、事件が発生してから起訴まで約二年間かかっておるわけでございます。新聞やテレビ等で詳しく報道されましたから、ちょうちょうすることは避けますけれども、この刑事の起訴はそのままやはり民事にも響くと思いますし、本人たちにとっては一日一日が千秋の思いで解決をあるいは治癒を待っておると思うのでございます。その面から見ますと、これから二年かかってこの公害罪の問題等を検討される、月に二回開かれる。私は、委員の方々の御多忙もわかりますけれども、いまの社会情勢から見て、ちょっともの足りない、あるいは国民の期待にこたえない姿勢だといわれてもしようがないのではないか。私は、それを主宰される法務省のほうで、もう少し委員の方にも御努力を願い、御配慮を願って、やはりこの三十八年から審議会が引き続き継続しながら、いまだにあと二年もかかるというこの長期的な慎重さは、どう考えても納得できないのでして、特にこの公害罪のような社会の急激な変化に対応した法改正が要請される、あるいは法の新設が要請される部門については、やはり積極的な姿勢がとられるべきではないかと思いますけれども、刑事局長の御見解を聞きたいと思います。
○辻政府委員 先ほども申し上げましたように、刑法の全面改正の一環として現在はやってきたわけでございますが、ただいまもお話しのように、早期の法制化ということの御要望が各方面から強く出ておることは重々承知いたしておるわけでございまして、法務大臣も、この前の予算分科会におきまして、そういう意味もあり、この早期検討というものを御答弁なさったと理解をいたしておるわけでございます。要するに、私どもは法制審議会の審議状況を勘案しながら、この公害罪だけを別にやるのか、あるいは刑法のやはり全面改正の面で急いでやっていくのか、そういうものもひっくるめまして、いわゆる公害罪の立法化の時期、それからその方法、これを検討いたしておる段階でございます。 なお、ふえんいたしますと、もとより刑法で公害罪というようなものを規定する必要性はあるわけでございますけれども、公害そのものが多種多様でございますから、刑法あるいは刑事法を主とした公害罪ということだけで、公害の規制がうまくいくかどうかは、これはまた別問題であろうかと思うわけでございます。
○高橋委員長 刑事局長、これは政治的に急を要するというふうな空気が強いわけで、場合によったら議員立法でやろうかという、そういうふうな空気も出ておるから、ひとつその点お含みの上で善処してもらいたいと思います。
○岡沢委員 いま法務委員長から、あまり多くおっしゃらない法務委員長が、もちろん法務委員長も弁護士の御出身ではございますが、あえて議員立法ということを口にされるほど——いまの御答弁、局長のお立場から慎重さはわかりますが、あるいは刑法全面改正の一環として、これなら早くて四十七年、一部の法務大臣の答弁等では、特別法あるいは刑法のこの部分だけの改正ということも御検討になっておられるようでございますけれども、私はどう考えても、刑法の全面改正と結びつけて、あと二年間も慎重検討ということは、時代の要請に全く沿わないと言い切っていいのではないか。だから、やはり特別立法で出されるなり、あるいはこの部分だけの改正の一部改正——私は、法務省がいかにあの古いれんが建てに入っておられるとはいえ、時代の進歩に合ったあり方を示してもらいたいと思う。その辺について、いままでの林委員なり私に対する当たりさわりのない答弁ではなしに、刑事局長の個人的な見解でもけっこうですから、どういう取り組み方をなさるか、重ねてお聞きいたします。
○辻政府委員 ただいまのいろいろな御意見につきまして、私ども十分拝聴いたしまして、御趣旨に沿うように努力すべきであると考えております。
○岡沢委員 この公害の立法について、わが国の刑法の中にも、水の関係の規定等がございます。外国の立法例、簡単でけっこうでございますから、公害罪の傾向についてお尋ねします。
○辻政府委員 これは公害に関する外国の立法例でございますが、公害罪といえるような内容の規定もある立法例が少なくないわけでございますけれども、その立法形式その他につきましては、各一国きわめてまちまちで、単行法である一つの騒音一なら騒音、水の関係なら水の関係だけを規定して一いくというような形もございますし、それから刑法のほうに過失まではっきり罰しておるかどうか一やや疑問の点がございますが、刑法典の規定の中にそういう趣旨のような規定も見受けられるとい一うような立法例もございまして、種々雑多な状況になっておると思うわけでございます。
○岡沢委員 刑事局長は最近まで官房長でおられて詳しい御答弁のできないお立場もわかりますけれども、これは公害というのは、いま日本における、先ほど申しましたように、最大の課題の一つだし、総理も内政を重視と、その中で私はやはり経済の発展に伴うひずみの極端な一面であるこの公害問題というのは、最大の政治的な課題として取り上げてもいいと思います。また一九七〇年代の刑法の中に、公害の規定がないのはおかしいという意見すらあるわけであります。そういう点からもう少し外国の立法例、かなり進歩的な法令を採用している国もあるようでございますので、ぜひ私は御検討いただきたい、御研究いただきたい。 いま局長がお触れになりましたいわゆる無過失責任主義との関係、刑法の原則は疑わしきを罰せずという大原則ではございますけれども、事公害罪に該当するようなものについては、この疑わしきは罰するという方向の見解といいますか、それを強調される学者も相当多いわけでございますが、これは刑事の立場でけっこうでございます。民事のお立場につきましては、先日最高裁の民事局長から挙証責任の転換的な御発言がございました。刑事面において、この公害罪相当のケースについて、この無過失責任との結びつきについてどういうふうにお考えになっておるか、これは私見でもけっこうですから、お尋ねいたします。
○辻政府委員 これは私見とさしていただきたいのでございますけれども、やはり刑事面におきましては、公害罪というものが将来できました場合には、現在のこの法制審議会の草案のように、やはり過失犯ということで規定すべきものであろうと思うのでございます。それと刑法関係のこの刑法典とは関係なしに、行政規制の面で一定の行政規制をやり、それに対して、その違反に対して罰則をかけていく、これはもちろん故意犯になるわけでございますが、こういう形と、それから刑法典のようなものでいくときには、やはり過失犯で押えるべきであろうというふうに考えております。
○岡沢委員 先ほど林委員に対する御答弁で、公害罪のいわゆる中身についてはいろいろ慎重に検討しているというお答えがございました。伝えられるところによりますと、刑法の中に国民の健康に関する罪あるいは公衆の健康に関する罪という一つの条なり章を設けて規定しようという方向があるように聞いておりますが、法制審議会でそうい5動きがあるわけでございますか。
○辻政府委員 現在法制審議会で考えておりますのは、一番典型的な規定といたしましては、過失により毒物その他健康の害のあるものを放出させ、流出させ、または散布させて、大気または河川その他の公共の水域を汚染し、多数人の生命または身体に対する危険を生ぜしめたもの、こういうような把握のしかたをいたしております。こういたしますと、これは過失犯であり、かつ、一つの具体的な危険犯という形でとらえておるわけでございます。
○岡沢委員 公害に関する質問はこれで終わりまして、公害、特に食品公害と大いに関係のあります米ぬか油の問題について、これは法務省だけじゃございませんが、お尋ねいたしたいと思います。 警察の方、どなたか御出席でございますか。——最初に警察にお尋ねいたしますが、例のカネミの米ぬか油の事件に関連して、警察としてはどういう罪名で立件され、それは何名であったか、お尋ねいたします。
○長谷川説明員 お答え申し上げます。 罪名といたしましては、業務上過失傷害、それから不正競争防止法違反、それから軽犯罪法違反、この三点でございます。 それから立件いたしましたのは、四名でございます。
○岡沢委員 北九州市から食品衛生法違反で告発があったはずでございますが、この件は、それでは警察としてはお取り上げにならなかったのですか。
○長谷川説明員 先ほどの答弁、一部訂正をいたしますが、警察としては一応その違反の容疑ありということで送致はいたしました。
○岡沢委員 これだけの注目の事件で、肝心の食品衛生法違反が、お取り上げになりながら、いま御答弁漏れになりましたのは、ちょっと遺憾だと思います。 それは別にいたしまして、ところが昨日は、福岡地検の小倉支部では福岡地裁の小倉支部のほうへ、業務上過失致傷だけで社長と森本前工場長だけを送致されておりますが、いま四名立件されたと言われたが、他の二名について、罪名についてはどういう御処分になり、それはどういう理由によるか、お尋ねいたします。
○辻政府委員 ただいま御指摘のとおり、福岡地検小倉支部は、昨日二名につきまして、業務上過失傷害罪で起訴いたしたわけでございます。 御指摘の食品衛生法につきましては、これは有毒物混入食品の販売という食品衛生法四条違反の罪名で送致を受けたわけでございますが、この点については、故意が認められないということで、不起訴でございます。 それから不正競争防止法一条一項五号、それから軽犯罪法一条三十四項、これはいずれも社長のみでございます。これは虚偽の広告といいますか、そういう容疑であるわけでございますが、虚偽と認めるに足る証拠がないということで不起訴にいたしております。
○岡沢委員 直接の担当者の樋口という脱臭係長が不起訴になっておるようでございますが、その理由と、それからこの事件、被害者九百名をこえるわけでございますが、八名がその後死亡しているわけですね。起訴では致傷——死が抜けて、業務上過失傷害で起訴されておりますが、その辺のところ、お尋ねいたします。
○辻政府委員 昨日起訴いたしましたのは、社長の加藤三之輔氏と前工場長の森本義人氏、この二名でございまして、ただいま御指摘の係長につきましては、本件犯罪の関与の程度が薄いという理由で不起訴にいたしております。 それから、業務上過失傷害罪だけで起訴いたしまして、致死の点を起訴しておりません。この点につきましては、やはり死亡との間の因果関について、証拠上若干の問題があるということで、このなくなった人も傷害のほうでは起訴に含めてあるわけでございますが、あえて死亡について取り上げなかったわけでございます。
○岡沢委員 厚生省にお尋ねいたしますけれども、この件で患者の数が千名をこえるといわれたり、九百五十三人といわれたり、きのうの起訴では八百九十一人と、若干食い違いがあるわけでございますが、その辺の正確な数字と、それから現に入院している人——先ほど私が死亡者八名と言いましたが、これは正しいかどうか。その辺のところをお尋ねいたします。
○鴛淵説明員 ただいまの患者数でございますが、各県の大学を中心といたします治療機関でこの患者の症状の認定をいたしまして、検査をいたしておりまして、確かにおっしゃいますように、時点によりまして患者の数が当時よりも若干ふえておりまして、昨年の九月現在では九百十三名でございました。ところが、その後検討会をいたしまして、検診を始めましたところ、ことしの三月当初現在で千四十一名でございます。これは症状的に油症の確症患者と称している患者のことでございますが、私どものほうでは一応報告をもらっておりますが、千四十一名ということになっております。
○岡沢委員 入院患者、死亡者は。
○鴛淵説明員 死亡者は、この油症によりまして死亡したかどうかというのは、学問的にまだ証明されておりませんが、一応患者であられた方でなくなった方は八名と報告をいただいております。 それから入院患者でございますが、原則といたしましては、油症によって入院をなさる方はございません。ただ、温泉治療が非常にきくということで、御希望の方は別府の温泉研究所というのがございますが、そこで治療をなさっていただいておる方もございます。それから精密検診のため一時入院というような形をとっていただいておる方もございます。大体は通院で治療をしていただいておるという状況でございます。
○岡沢委員 いまの御答弁で、現に入院しておられる人——私、きのうテレビなんかで聞いておりまして、その辺のところは疑問でございますが、合わせまして、いま厚生省の御答弁では、専門的なお立場からこの事件の被害者といいますか患者が千四十一名、起訴では八百九十一名、これはなくなられた方もこの被害者の中には含めているということでございました。まあ事件の被疑者でしたら、被疑者死亡で消えますけれども、そこら辺で私は、この刑事起訴ということは、これはやはり民事にも大きな影響を持つということを考えました場合、厚生省では被害者と見られながら刑事のほうでは被害者からはずされたという場合、今後予想される民事裁判その他にはずされた方々のお立場を考えた場合、私は、納得できないものがあろうかと思います。その辺の数字の食い違いについて、どういう理由によるのか、お尋ねをいたします。
○辻政府委員 昨日、検察庁が起訴いたしましたものでは八百九十一名でございますが、この八百九十一名は、本件を捜査いたしました結果、昭和四十三年一月三十一日にこのカネミ倉庫株式会社で機械の修理をしたわけでございますが、この修理の際に脱臭装置に穴があいたというふうに認められるのでございます。したがって、少なくとも昭和四十三年一月三十一日につくったもの、これについてはこの脱臭装置から有毒物が混入したということがはっきりいたしますので、この一月三十一日製造分、これは同年の二月五日に市販されておるわけでございまして、この二月五日に市販されたものについて、捜査を確実な証拠で進めていったわけでございます。かような関係で、この八百九十一名といいますのは、二月五日販売、一月三十一日製造のものに限定した結果でございます。
○岡沢委員 そういう意味ならわからぬこともありませんが、もう一度厚生省のほうに確認しておきたいと思います。私は漏れた百名近い被害者の方々にとりましては、今後の民事訴訟あるいはその人たちに与える心理的な影響も無視できないと思いますのでお尋ねいたします。 先ほど専門のお立場から、いわゆるカネミ倉庫の米ぬかオイルによる被害患者として千四十一名という報告がございましたけれども、これはやはり一人一人専門的なお立場から御検討の上での数字でございますか。
○鴛淵説明員 私、先ほど、あるいは間違ったかもしれませんが、千十四名と申し上げたはずであります。 おっしゃいますように、医者が診断をいたしまして、油症患者として届け出た者、私のほうに報告をもらっておるものが現在千十四名でございます。
○岡沢委員 そうしますと、患者のほうから申し出たのではなくて、申し出に従って医者が診断をして、間違いなしに米ぬか油による中毒患者と見られた数と解釈してよろしゅうございますか。
○鴛淵説明員 そのとおりでございます。
○岡沢委員 刑事局長にもう一点、会社の刑事責任、これは県警からの送検では、会社も不正競争防止法違反あるいは軽犯罪法違反等で立件されたように伝えた報道もあるわけでありますが、会社の刑事責任はどうなるのでございますか。
○辻政府委員 先ほど来申し上げておりますように、業務上過失傷害罪で起訴いたしておりますので、会社の刑事責任は問うておりません。
○岡沢委員 時間の関係で詳しく聞くことができないのは残念でございますが、厚生省も今度のカネミ事件を契機にして、何か食品衛生法上の不備とか、あるいは取り締まり法上の着眼点とか、まあ起こった事件はしかたがないとして、その被害者の救済と、今後こういう同種の事犯をどうして防ぐかということが、われわれあるいは監督官庁に与えられた大きな責任だろうと思うのです。そういう点から、このカネミ事件は厚生省のお立場で何を教え、あるいは何を考えさせたか、その辺のことをお伺いいたします。
○鴛淵説明員 ただいま御指摘のように、油による中毒はカネミのこの事件が初めてでございます。大体四十年くらい無事故だったわけでございます。それで、私どものほうは非常に安全な食品製造業であるという認識を持っておったわけでございますが、このような事件が発生しまして反省をしております。 昨年の七月に政令を改正いたしまして、油脂製造業を許可業種にいたしまして、許可の時点で製造工程、それから施設の状況等を確認の上で許可をいたすような体制にいたしますと同時に、操業中の事故発生防止のために衛生管理者を置くような規定を設けまして、そしてその講習もいたしまして、本年の四月一日からそういう体制で発足するというようなことにいたしております。 それから、このカネミの油のほうで現在一番困っておりますのは、塩化ジフェニル中毒に対する治療法が、初めてのケースでございまして、有機塩素による中毒というのが非常に治療困難である、治療法の開発がまず優先であるということで、四十三年、四十四年、引き続きまして、治療法の開発の研究費も、厚生省及び科学技術庁にもお願いをいたしまして、大体二千万円程度を毎年つぎ込んで、現在研究をしていただいている最中でございます。今後も引き続きその治療法の開発並びに予後の研究を進めます。 それから、今後の体制につきましては、今後かかることのないような食品の安全に関する技術的な、監視員の研修等もあわせて行なうようにいたしたい、そのように考えております。
○岡沢委員 これは法務省といまの厚生省に重ねてお尋ねいたすのですが、この事件の捜査に当たられた捜査官の意見として、食品衛生法はできた食品の衛生関係については条文等に規定があるが、その食品を製造する設備について、業者の点検義務その他の規定がないために、非常に捜査に苦労もし、時間もかかったという発言が報ぜられておりますけれども、この辺について法務省のお立場からの法の面と、厚生省のお立場からの見解をお尋ねいたします。
○辻政府委員 ただいま御指摘のとおり、この食品製造設備についての点検義務とかそういう規定があれば、この捜査はもっと容易にできたのではないかと考えておる次第でございます。
○鴛淵説明員 御指摘のように、ただいまは製造工程については規定がないわけでございますが、今後製造基準、施設基準等についても十分検討いたしてまいりたい、このように考えております。
○岡沢委員 これは公害と見るべきか私害と見るべきか、大きな問題だと思いますが、しかし、千名前後の方々が西日本一帯にわたってあれだけの被害を受けられ、現に精神的に、肉体的に、あるいは生活上非常な苦しみを見ておられるという問題は、やはりこれは社会問題、あるいは場合によったら政治の問題でもあろうかと思いますが、これについて、政務次官お見えでございますから、法務省のお立場なのでむずかしいかと思いますけれども、国としてこういう事件に対して何をしたか、あるいはこれからこの患者の救済等について何ができるか。いま法改正等につきましては御意見の披露がございました。それからまた、治療法の開発研究等についての御答弁はございましたが、患者の苦しみ、あるいは刑事事件が有罪になりましても民事の問題が残りますし、民事上かりに被害者側が勝訴いたしましても、カネミに資力がなければ、ないものからは取れないので、救済はされないわけでございますが、この辺について、国としてこの種の事件に対して何ができるか、何をすべきか、その辺の見解を聞きたいと思います。
○大竹政府委員 刑事事件は現在係属中でありますから、その結論は別といたしまして、これはやはり民事的な補償の道が考えられなければならないと思いますけれども、現在の法制上、国がこれに対してどう補償するかということは、御承知のように考えられておらないわけでありまして、これが公害ということになるか、利害ということになるか、それらの見解も大いに関係があると思いますが、大いに考えさせていただきたいというふうに御答弁するより、現在としては法制上は補償の道は民事訴訟によって争っていただくより手がないんじゃないかというふうに考えております。
○岡沢委員 むずかしい問題ではありますけれども、たとえば同種の事件と見られる森永のドライミルクは、十五年かかっていまだに民事裁判が続いているわけでございますね。ところが、患者九百人あるいは千人の方々の病苦、生活苦というのは現に継続しておるわけでございますね。きのうぼくはテレビを見ておりまして、患者の方々の悲惨なあるいは苦しそうな御態度に比べて、起訴されながら加藤社長の態度の明るさに驚いたわけでございますけれども、ないものは強いというお立場が、裁判で争う、それで法的には責任はないのだというような感じが、画面上からも読み取れまして、患者あるいはその御家族にとっての心境を考えた場合、これでいいのかという実感を持ったわけであります。生活保護法その他の規定はあるといたしましても、森永の場合は十五年かかっても、勝てば相手が大きいですから取れる場合も考えられますが、カネミの場合はおそらく、せっかく裁判で勝っても実際に報いられる、現実に補償されるということはちょっと考えられないケースだと思います。伝えられるところでは、地方自治体のほうで若干の融資を考えておられるようでありますが、国としても、ほかの事件との関係もあり、きわめてむずかしい法制上の問題があることは十分承知いたしますけれども、内政の年といわれるこの一九七〇年代の政治的な課題として、やはりこの種の被害者に対する救済問題は、単に当事者にまかしたり市町村にまかすべき問題ではないというふうに考えるので、ぜひ前向きに検討すべきだと思いますけれども、ここにおられる代表的な意味で、もう一度政務次官の御見解を聞きます。
○大竹政府委員 お説ごもっともの点もございますので、十分考えさしていただきたいと思います。
○岡沢委員 もうあと時間がございませんが、この南の米ぬかオイルの問題と関連して、今度は北の北海道の毒ジャガイモの事件についてお尋ねいたします。 この毒ジャガ事件の捜査の状況、それから被害の実態、なされた措置等、大まとめに最初にお尋ねいたします。厚生省と警察関係、両方にお尋ねいたします。
○長谷川説明員 捜査の状況につきましてお答え申し上げます。 この北海道産の有毒ジャガイモの件につきましては、市場に出荷されておるという情報が二月の下旬ごろございまして、北海道警察本部、それから警視庁におきまして捜査を進めておったところでありますが、その後北海道衛生部長、川崎市衛生局長、東京都衛生局公衆衛生部長からそれぞれ告発がございまして、関係府県もいろいろございましたわけでありますが、警察といたしましては、北海道警察を中心といたしまして、関係各都道府県で必要な捜査を行ないました。現在までのところ、一部を除きまして食品衛生法第四条違反で検察庁のほうに送致をいたしております。なお、未送致の分につきましても、近日中に送致ができる段階に立ち至っております。
○小島説明員 厚生省のほうは、実はこの事件が二月の十八日に北海道衛生部で情報を入手いたしまして取り締まりを開始したわけでございます。私どもとしては、当初その流通が北海道内にとどまるのではないかと考えておったわけでございますが、その後になりまして、道より東京都あるいは京都府等へ出荷されているということがわかりましたので、二月二十三日付で全国へ取り締まりを指示いたしました。また農林省に対しまして、生産地における種イモの横流しというようなものの防止についてお願いを申し上げた次第でございます。 なお、業者の告発につきましては、警察庁のほうから御説明があったとおりでございます。
○岡沢委員 食品衛生法四条違反——六条違反で告発があったというふうに聞いているのですが、どうですか、その辺の事情。
○長谷川説明員 お答え申し上げます。 確かに告発は六条違反でございましたが、捜査いたしました結果、六条違反というよりは四条の違反、つまり六条のほうは使ってはならない添加物を使ったのがいけないという内容でございますが、それよりも四条の有毒なものが付着している食品を販売したのがいけない、この条項に、より的確に当てはまるというふうに警察としては考えまして、送検いたしたわけであります。
○岡沢委員 検察庁のほうのいまの取り調べの状況をお尋ねします。
○辻政府委員 ただいま警察のほうから御答弁がありましたうちで、検察庁が現在送付を受けましたものは一件でございます。その一件は、北海道庁が告発されました倶知安町指導信用農業組合にかかるものでございまして、これは三月七日、倶知安警察から札幌地検へ送付されまして、現在札幌地検で捜査中でございます。
○岡沢委員 いまの刑事局長の御答弁では、送検されたのは一件だけだということでございますが、警察のほうにお尋ねしますが、この事件、当然出荷業者あるいは生産者等の責任も問題になろうかと思いますが、これはもうそれで送検は終わりなのか、警察のほうとしてはまだ被疑者としてお調べ中のものがあるのか、その辺の事情をお尋ねします。
○長谷川説明員 お答え申し上げます。 倶知安農協関係につきましては、ただいま法務省のほうから御答弁がございましたように、捜査をいたしました結果、農協自体が被疑者であるというふうに考えまして送検いたしておりますが、そのほか中川郡の森商店関係その他ございますが、これらにつきましてはそれぞれ、それの仲買い人であるとかあるいは商店の主人でありますとか、そういう個人、それぞれ出荷されました場所といいますか個所によりまして、個人を被疑者に、あるいは法人を被疑者に、こういうふうに考えております。
○岡沢委員 それでは仲買い業者を含めて、まだ送検はあり得るというふうにお聞きしてよろしゅうございますね。——この毒ジャガイモ事件はカネミの事件と違いまして、実害はそれほどなかったようでございます。しかし、逆に考えれば、悪質の程度からいえば、むしろこの毒ジャガ事件のほうがきびしく非難されてしかるべきではないか。いま御答弁にもございましたように、農協が送検をされる。農協の価値とか評価についてはまちまちでございましょうけれども、一応これは国民からきわめて信頼もされ、法律上も保護されている存在でございますが、これがこういう被疑事件を起こす、しかも専門的な農作物に関連して起こす。ある意味では故意犯と見られてもしかたがない。結局この事件こそ、いわれますように、品薄あるいは万博に関連した高値等に乗じて、もうけるためには手段を選ばない、国民の生命、健康ということに対する国民全体の評価の低さとも関連いたしまして、もうけ第一主義のいわば資本主義の悪い面が極端に出た事件ではないか。私は、被害者が実害がなかったがためにそう軽々に付されるべき問題ではない、そういうふうに考えるわけでございます。その意味からもこの種の事犯をどうしたら防げるか、そのためにはなぜこういう事犯が起こったか、原因の探求も必要でしょうし、また一方でこの防止対策等についてもぜひ——被害の少なかったことに目を奪われて、うやむやにすべきではないと思うわけでありますが、この辺についての監督官庁としての御見解を聞きたいと思います。あるいはこの事件と関連して、厚生省あるいは農林省のとられた措置についてお尋ねいたします。
○長谷川説明員 お答え申し上げます。 この事件を捜査いたしまして感じたのでございますが、衛生上たいへん有害なものにつきましていろいろ基準がきめられておるのでございますが、これを扱う方々がその有害性について必ずしも十分に認識を持っておられないということを痛感いたすわけでございます。したがいまして、こういう点につきまして、関係の方々により一そう徹底をする必要があるのではないかということを感じました。 それからまた、こういう事件を防止するためには、各流通等の段階におきまして検査というものをより一そう厳重にやりましたならば、たいへん効果があるのではないかということを、調査を通じて感じた次第でございます。
○須賀説明員 農林省といたしましても、こういうバレイショが出荷されたという報告がございました時点におきまして、直ちに各地方農政局長、それから北海道知事、市場開設者等に対しまして、こういう有機水銀剤で消毒された種、バレイショを販売しないよう厳重な通達を出したところでございます。 なお、東京都また北海道におきましても、このようなバレイショの販売中止等の措置をとりまして、市場に出回りました大部分のバレイショは回収したところでございます。 今後このようなことがございませんよう、私どもといたしましても周知徹底方、十分な指導をしてまいりたいと考えております。
○小島説明員 厚生省として問題がございます点は、これは大体が種イモに使われるべきものでございまして、食品ではないものでございます。そういったものにつきましてはいろいろな薬剤を使うわけでございまして、食品衛生法ではそういうものを禁止しております。そういうものが横流れをしてくるという点でございまして、こういう点については、農林省のほうにそういう横流れ防止について十分御監督をお願いするということをお願いしたわけでございます。 ただ今後、このイモにつきましては同種の事件が起きることを未然に防止するために、現在は粉の水銀剤を使っておるわけでございますが、農林省のほうでは、近い将来にこれを液剤の形に変えていこうというようなことを御考慮いただいているようでございまして、そうなりますと、液剤の場合には、あらかじめつけておくことができないそうでございます。つまり種をまく直前につけるというような処置をとるためにこういった事件は起きないということでございまして、一つ一つそういった具体的な対策を考えていかなければならないと考えております。
○高橋委員長 だいぶ時間をオーバーしましたが……。
○岡沢委員 しかし、めったに質問をしない——というわけじゃありませんけれども、発言の自由はどうしても確保していただきたいし、もう一点……。 いまの毒ジャガの事件は、万博を見越したバレイショの品不足、それにつけ込んだ業者の無理といいますか、もうけ主義がこの事件を生んだ、先ほど指摘したような背景があろうかと思いますが、それとやはり万博の食品衛生の関係をぜひここでただしておきたいと思います。 私が、万博の所在地が選挙区だから申し上げるわけでは決してございませんが、いま注目の万博がすでに開かれまして、外国からも百万人近い方が来られる。ひどい日は、これは国内の観客が中心でございますけれども、五、六十万人がこの千里丘陵にまで集まる。やはり食品衛生上の問題、特に中毒等が非常に心配されるわけでございます。また、万博の評価につきましても、大体点数はいいですけれども、食べものに関する限りはまずくて高い、あるいは量が少ないという不満が非常に多いようでございます。特にまた外国のパビリオンでそれぞれお国ぶりの料理等を出す、食品衛生上の心配といいますか、いろいろ不測の事態が予想されるわけでございますが、これについてどういう対策を用意しておられるか。このジャガイモと結びつけて値上がりということも一つの問題になろうと思います。物価対策とも結びつく問題でもございますけれども、タマネギの不足あるいはバレイショの不足ということが業者の目のつけどころにされているようでございますが、その辺について特に厚生省御所管の立場からの今後の対策、万博と関連した施策についてお尋ねいたします。
○鴛淵説明員 万博の食品衛生対策につきましては、国におきましては昭和四十五年の二月四日に次官通達を出しまして、飲食店、魚介類市場等、特に必要な食品衛生関係営業について、食中毒発生防止のための効果的な監視の実施、従業員の健康管理並びに食中毒防止等の普及等、監視指導の強化をはかり、食中毒発生の防止をはかるように各都道府県知事に指示をいたしました。 また、輸入食品につきましては、国の監視員が直接実施するたてまえになっておりますので、万全を期しますために、会場内に四人の職員を常駐させまして、輸入食品の安全性の確保並びに流通の円滑化をはかっております。 また、地元の大阪府におきましては、会場内の全般にわたる食品衛生監視検査を行なうために、会場内に食品衛生監視センターを設置いたしまして、食品衛生監視員等二十三名を常駐させまして、監視指導等を行なっております。 なお、現在会場内に大阪府が許可をいたしました食品関係の飲食店等許可業種は二百七十八施設、それから販売店等届け出がありましたのが八十九店にのぼっておりますが、それと万国博の事務局のほうで会場内の従業員に対する給食センターをつくりまして、そこで約一万五千食程度の給食をやっておりますが、これらの従業員に対しましては、月に二回、検便をいたすように大阪府のほうでいたしておりまして、この従業員には健康手帳を交付いたしてまして万全を期している。このような状況で出発をいたしておりますが、飲食店関係につきましては、今後先ほど申し上げました二百八十施設が倍程度、約六百施設程度にはのぼるようなことも予想されますので、今後とも食中毒の起こらないような対策に万全を期していただくようにお願いしている次第でございます。
○岡沢委員 食べものの恨みはこわいといわれますし、これからつゆにも向かいますし、夏にも向かうわけですから、かりそめにも外国のお客さんにこの面で心配をかけたり問題を起こさないようにお願いをし、時間をオーバーしたことをおわびして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、入管関係について若干の御質問をしたいと思います。 〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕 まず、初めに委員長にお願いしたいことは、時間が限られておりますから、全部意を尽くせませんので、残った分はまた権利を留保さしていただきたい。これだけ先にお順いしておきたいと思います。 ジャンボの到着が非常にばらばらである、こういうところから、これからのジャンボに対するいろんな問題点が出てくると思うのです。そういうものに関しまして、私たちが実際に羽田に行きまして、第一便の到着を見たり、入管関係あるいは税関関係の仕事をつぶさに見さしていただきました。そういう中から、問題点を拾い出して少しお伺いしておきたいと思うのですが、時間がありませんから、考えておること、質問したいことをまとめて申し上げますので、それぞれのお立場からお答え願いたいと思います。 まず、運輸省のほうに関してでございますが、ジャンボが非常におくれて、荷物の積み残しも残ってきた、こういう問題が出ております。また万博を控えてジャンボが七月になれば本格化してくる。こういうことで、羽田はいま工事をやっておりますが、非常に狭隘な状態の中で二分間隔で発着しなければならない、こういうふうな状態の中でジャンボが忙しくなってくる、こういうことになるわけですが、気象条件によっては大阪国際空港におろす、こういうことになるわけです。大阪国際空港は、土地の関係、地理の関係から騒音問題が非常に問題になってきまして、結局百ホン以下に騒音を押える。こういうような中から、国際線級の飛行機をあまり入れないように、こういう協議ができておると思うのです。ところがこれが、ジャンボが気象条件が悪くてたびたび大阪国際空港に着くということになると、騒音の問題、いろんな問題が出てきます。この前は727の大型のほうを入れて、やはり騒音が高いことが問題にもなっておるわけですが、そういうことがだんだんだんだん活発になってきだすと、なしくずしにそういう問題がくずされてしまう、こういうことになるのではないか。こういう点が非常に心配されるわけですが、その点について運輸省のほうは……。
○鮫島説明員 お答えいたします。 まず、先日来何回かジャンボが羽田に着いたわけでございますが、まだ正式の結果は出ておりませんけれども、騒音につきましては、明らかに現在の国際線でありますDC8あるいはボーイング〇7などに比べまして、数ホン低いということが確認されたわけでございます。 それから、気象条件等が悪いときに大阪という話が出たわけでございますけれども、現在までのフライトプランでは、羽田の代替空港といたしましては、横田をとっている例がほとんどでございまして、いきなり東京を使えない場合に、すぐに大阪に行くというような形には現在のところはなっていないわけであります。
○沖本委員 これは横田というのははっきり行政協定ができているのですか。
○鮫島説明員 これは公式にそういうものを必要ではございませんで、フライトのプランとしてそういうものがあがっているのが現在の形でございます。
○沖本委員 そういうことであっても、大阪国際空港というような事態も起きると思うのですね。そういう点について、地元側との話し合いが十分にできているかできていないかということになってくるわけですが、シャンボが入るんだから一般のDC8とかそのクラスのものも着けていいじゃないか、こういう考えになってくるのも当然だということになってくるわけです。そういうふうになってくると、向こうの入管業務もたいへんなことになってくるんじゃないか。だんだんと海外からのお客さんがふえてくる、忙しくなってきたということになると、そういう事実に応じて、どうしてもなしくずしにどんどんやっていかなければ間に合わなくなってくる。こういうことが実態だと思うのですが、そういう点について、運輸省あるいは法務省の入管のほうとどういう話し合い、あるいは税関との関係、そういうものはどういう形で今後のものに対して話し合いができておるか。その点についてお伺いしたいと思います。
○鮫島説明員 最後のほうから申し上げますけれども、CIQの施設につきましては、予算要求の段階、及び予算がつきましたあとの実施計画の段階で、それぞれ関係の各省と具体的な設計を詰めさしていただいているわけでございます。大阪の場合につきましては、相当後年度の需要に対しましての施設をすでに設置をしたわけでございまして、当面ジャンボが入ることがありましても、それによってCIQの施設が著しい不足を生ずるということは考えておりません。 それから前のほうの御質問は、新しい機種を大阪のほうに入れるというような場合につきましては、少なくとも羽田におきまして十分に騒音のテストをいたしまして、その結果をもとにして地元の方とお話し合いをしましてから入れるというような考え方を運輸省はとっているわけでございます。
○沖本委員 お考えはわからないことはないのですが、すでに騒音問題については地元のほうで訴訟を起こしている、こういう事態もあるわけですね。ですから、いままでの727あたりは急角度に上昇するから九十ホン以内に音が押えられる。ところが、国際線級のものになってくるとどうしても音が押えられない、こういう問題があるわけです。そういうところが一番問題になっているわけなんですから、そういう点は地元と話し合ってというお答えですけれども、前もって十分話し合いして、じゃ、しようがない、おろしてもいい、万博のときだから、こういうふうな話し合いになっているのか、単に運輸省だけがそういう計画をお考えになっているのか、その点について伺います。
○鮫島説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、現在のジャンボジェットにつきましては、羽田におきまして騒音測定を継続しておりますが、まだ中間的な段階でございまして、その結果では数ホン程度低いということでございます。ですから、これは正式な調査結果がまとまってきませんと、運輸省としてのはっきりした立場といいますか見解というものを出せない現状であるということであります。
○沖本委員 ですが、そういうふうなゆうちょうなことをやっておると、その場というのは目の前に来ているわけですから、どんどん着くようになってくるし、それから不定期便については厚木のほうへ入れる、こういうお話があるのですが、厚木も使う、横田も使うということになると、入管問題から税関問題、いろいろ付帯的なことが起きてくるわけですね。そういう問題は、横田へ着くようになったから、さあ入管さん、税関さん、どうしますかとかいうことでは済まないと思うのです。施設も必要であれば人員の手配も必要だ、こういうことになるのですが、その辺についていかがですか。
○鮫島説明員 ただいま厚木の問題につきまして、特に万博期間中羽田の混雑が予想されるということで、国際線の不定期もしくは国内線の定期の一部あるいは小型飛行機というようなものの使用をさせてもらいたいということで、防衛施設庁と協議をさしていただいているわけでございます。こまかい問題につきましての十分な詰めを行なってから手続を進めていくということでございまして、ただいまそのこまかい詰めを各省あるいは関係の当局のほうと詰めている段階でございます。
○沖本委員 いまの御答弁ですと、みんないま協議中である、詰めの段階に入っている、こういうことなんですが、いつごろ詰まるのですか。
○鮫島説明員 いつごろということをはっきりちょっと申し上げにくいと思いますが、これはいろいろ複雑な問題がございまして、たとえば先ほど申しましたように、国内線の一部を持っていくということにいたしましても、非常に会社側のいろいろな問題が起こるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、羽田の混雑というものが非常に問題になりますのは、南風の六月、七月、八月というような時期が一番問題になるわけでございまして、当然それまでの間には解決をしなければいけませんし、それよりも早く解決がつくだろうという予想はしているわけでございます。
○沖本委員 早く解決ができる、こういうことよりも、すでにジャンボがおくれて来ている、そういうことで大騒動しているわけですね。現地で聞いてみると、とにかく日本のようなわけにいかない。お客さんのリストでも十分でないというような点があって、わざわざ問い合わせしなければならぬ、こういうような問題も実際に業務に携わる方の中ではいろいろ問題が起きているわけですね。お客の乗降について入管の手続とかいろんなことで、人の点だってそういう問題が起きているわけです。それが不定期便が到着してきた、どんどん入ってきますというようなことで、それから話していたんじゃ間に合わないということになるんですね。ですから、そういう不測の事態なんかに十分準備するために、これとこれとこれだけのことは十分準備できています、そういうことでなければならないと思うのですが、その点がお話ではどうも不安なんですね。これとこれと協議ができてこういうことができます、ですから、事航空に関しては現在の段階では心配が要りませんということでなければならないと思うんですが、その点いかがですか。
○鮫島説明員 先生おっしゃるとおりでございます。ただ先ほどから申し上げましたように、いま鋭意やっておりまして、最悪の時期に間に合わないというような予想は全然持っていないということでございます。
○沖本委員 このことでやりとりはしたくないのですが、お答えが私としてはどうも不安なんですね。だから、地点をどこかにきめておいて、いつまでにその結論を出す、防衛施設庁のほうは防衛施設庁のほうで、いつまでにアメリカと協議してきちっとした答えを出してください、こういうことでなければ問題は進んでいかないと思うのですね。それはそれとするということはできないわけですから、早急にそういう問題を解決していただいて、それであとになってたいへんになったというような国際間の問題が起きないようなことをやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。
○鮫島説明員 おっしゃるとおりにさらに努力いたしまして、具体的に早く詰めるようにさしていただきたいと思います。
○沖本委員 そうしますと、いまのお話の点から入管の局長さんにお伺いしますが、横田になった、あるいは厚木は国内線だけというようなお話なんですが、最近になって新聞なんかで見る面では、厚木が代替地として不定期便のものに使われるのじゃないかということなんです。この間、二、三日前に聞くと、国内線に使うんだというふうになっておりますが、そういうお話し合いで横田なら横田をきちっときめました、ここで不定期便があふれた場合に入れます、入れるから入管や税関の手配十分してください、こういうことにならなければ、事は運んでいかないと思うんです。
○鮫島説明員 ちょっとおそれ入りますけれども、厚木につきまして国内線にしたということではございません。先ほど申しましたように、国際線の不定期、国内線の定期の一部あるいは小型飛行機等で使いたいということです。横田につきましては、先ほどジャンボの大阪の問題に関連してお答えいたしました代替飛行場ということであります。これはそこに一時着陸、停留するという性質のものであります。
○沖本委員 そうすると、入管局長さんあるいは税関のほうにもお伺いしますが、そういうお話し合いが入管も税関も十分できて御準備なさっていらっしゃるのかどうか。はたしてそれで人員の振りかえがきくのかきかないのか、施設はどういうふうにおやりになるのか、あるいは大阪国際空港ヘジャンボがおりて三百六十人満載しておった場合に、入管の受け入れや税関の受け入れは十分できますか、こういうことなんです。
○吉田(健)政府委員 ただいまのジャンボ機の動向に関しましては、まだ不確定な要素が多々あることは先生御承知のとおりでございます。運輸省を中心にしまして事務的に私たち詰めておりますが、できれば羽田一本に集中して入っていただくのが一番いいわけですけれども、天候その他の都合でどうしても代替地ヘジャンボ機が飛んでいかなければならないという事態はやはり発生するかと思います。あらかじめ予想できない場合があるわけでございます。羽田に入れない場合——できるだけ羽田に入ってほしいのですが、まあその近くということになりますと、やはり横田ということになるかと思います。厚木のほうに関しましては、連絡は受けて協議しておりますが、見通しがまだ全然いまはっきりいたしません。 横田に関しましては、入管といたしましては現在立川出張所、横田を含めまして十名の職員がおりますので、これで緊急にジャンボ機が入ってきたときには処置する体制を整えております。それで不足であるというような事態が予想される場合には、直ちに東京入管事務所から応援隊を派遣する、こういうことを考えております。 それから、厚木のほうに関しましては、そういう場合はほとんど少ないのではないかと思いますけれども、厚木へ入った方を羽田へ、ハスで一度送って、もう一度羽田で正式に入国手続をとってもらうか、あるいは場合によっては、横浜入管から直ちに応援隊を厚木のほうに派遣いたしまして緊急措置をとりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○松室説明員 先ほどの件でございますが、横田に参りました場合には、私のほうには立川出張所がございまして、そこに税関の職員がおりますので、それを派遣して税関の検査ができる、こういう体制でございます。 それから厚木を使用いたします場合、まあ不定期便でございますけれども、この件につきましても運輸省から連絡いただいております。ただわれわれといたしましては、はたして何便、どのぐらい着くのかということがわかりませんものですから、その数字を聞いた上で税関としてはどういう体制をとるか、先ほど入管のほうからお話しございましたように、羽田に来ていただいて検査するのか、それとも職員を派遣してそこで検査をするのか、便数とかお客さんの数によって体制が変わってくると思います。そこで運輸省のほうにはなるべく早くおきめいただいて、しかも前広に御連絡いただきたい、こういうふうにお願いしてある次第であります。
○沖本委員 大体五月に羽田の新しい空港ビルができる、こういうふうに伺っているのですが、実際の業務につけるようになるのは六月あるいは七月になるんじゃないか、こういうふうにも聞いております。そういう点の確かな面と、そうなってきますと、新しい空港のほうで入国のほうを扱って、古いほうで出国を扱う、こういうふうな予定だと伺っておるわけですけれども、それがいまでさえ羽田の入管の人員が一ぱいだ、行ってみると残酷物語みたいな激しい入管状況にぶつかるわけですけれども、いまは上下で応援してやっておるとどうにかまかなえる。ところが、新しい空港ビルのほうへ移ってしまって、入国は向こうのほうへかわってしまいますと、明らかに二分されてしまう。それがあるいは二交代、三交代の勤務状態になってくると、おそらく不可能に近いような労働過酷が重なってくるんじゃないか。 まあ話はこまかくなりますが、入管の向こうの羽田の所長さんに伺いますと、できれば電気装置で誘導的な問題も考えてみたい。そうすれば、機械的なものをうんと活用すれば、ある程度人手というものが消えるんじゃないか。それとまた各航空会社にお願いして、日本人と外国人との区別をちゃんとつけて入管の扱いをやっている、こういうような実際業務があるわけですけれども、はたしてその新しい空港ビルに移られたときに、現在のままの人員でどうなんでしょうか、こういう点と、これはいまでさえフル運転ですからたいへんなことはわかっているわけですけれども、十分可能なのか。健康上の問題、いろいろなことも考えた勤務状況を得ると考えた場合には、どのくらいの人員増が要るのかどうか。税関と入管とに、だいぶ人員の点が違いますから伺おうと思うのですけれども、その点いかがですか。
○吉田(健)政府委員 ただいまの御質問に関しまして、私たちも御指摘のように非常に事態は苦しくなっておるということは痛感しておるわけでございます。ただいま御審議いただいております四十五年度の予算におきまして、羽田においては十四名の増員をお願いしておるわけでございます。同時に、出国事務と入国事務とが、ビルディングが二つに分かれることによって体制が複雑化してくる。そこで出国審査課と上陸審査課というふうに分けまして、新しい課を分課いたしまして、二つの体制で出国と入国をまかなっていく、こういったところが人員及び体制上の措置でございます。 しかし問題は、事務になれること、事務の合理化、それから御指摘のような機械化あるいは航空会社その他の誘導、整理等に関する協力、応援体制の要請、こういった問題を十分連絡、話し合って、できるだけの体制をつくり上げて、このジャンボの大量輸入という問題に対処していきたい、こういうふうに考えております。
○松室説明員 新しいビルができますと、税関のほうの検査、入国検査のほうは全部新しいビルに参ります。出国の検査だけが残る。したがって、従来でございますと、出国の検査の時間と入国の検査の時間が必ずしも合わないで、出国の検査に余裕がある場合には、出国検査の職員を入国検査のほうに応援に回すというようなことができたわけでございますけれども、新しいビルができまして完全に分かれてしまいますと、距離的にいってもなかなかそういう点ができないんじゃないか、こういうふうに考えております。 ただ、私のほうの税関のほうの検査を申しますと、出国検査と入国検査のウエートは、圧倒的に入国検査が多いということでございます。新しいビルができまして、現在の入国検査場よりもかなり広い検査場になりますと、旅客混雑も緩和されますし、その点では入国、出国と分かれたことによってとても大きな支障がある、こういうふうには考えておりません。 それからもう一つは、やはり年々外国から帰られる旅客がふえておりますので、税関といたしましても、税関職員の定員を配分いたしますときに空港に重点的に配置をする、こういうようなことで、この新しい事態に対処していきたいと考えております。
○沖本委員 見た面では非常にはでに見える職業みたいですね。ですから、外から見ていると非常にかっこいい仕事のように見えるわけですけれども、実際に行って見てみるとたいへんであって、入管の場合では、年齢的な問題もありまして、平均年齢は四十歳をこえており、みんな故障を訴えていらっしゃる。そういう中で無理をしてやっていられる。あるいは一ぺんに重なってきたら、二時間、三時間ずっと夜ぶつ通しで、お手洗いに行くような時間もない、こういうような入管の状況なんです。 こういうふうな行き詰まった状況の中で、これ以上仕事がふえた場合はどうなるかということで心配されるのは、事故が起きなければという点にあるわけですが、いま能力一ぱい越えて、向こうでは不可能を可能にするのだ、こういうふうなことをおっしゃった。非常時体制で仕事をしていらっしゃるような状態でございました。こういう点十分お考えになって対処していただきたいと思うのです。 きょうの週刊朝日の中にも、「百万人の海外旅行」こういうような点で出ていますけれども、添乗員の問題です。この間も国会でお話を伺ったのですけれども、添乗員が、正式に添乗員として行く方もあれば、あるいは会社の一つの慰安的な目的で添乗員になっていらっしゃる、こういうような方々もいらっしゃる。あるいは深くお伺いしてみると、どういうふうにしたらうまく税関が抜けられるか、こういうとらの巻まで旅行業者はつくって海外旅行する方に持たしている、こういう点も伺ったわけです。そういう中で、ジャンボの申告制ということを考えると、まるでうらはらのように、片方は申告で信頼する、片方はうまくごまかすのにとらの巻をもらって研究して入ってくる。両方合わせてみると、まるで全然違うわけですが、そういう点に対して、あるいは旅行業者というもの、添乗員、こういう人たちの資格とかいろいろな点——ただ売らんかなあるいは商売をやらんかな、こういうふうなことではなくて、そういう点、もっときびしいものの考え方から、日本人のマナーを十分外国で発揮していただけるような良心的な旅行業者ができていただきたい、こういうふうに考えるわけです。そういう点がずさんな中に麻薬が飛び込んで入ってくる、いろいろロスの中からそういうようなものも生まれてくる、こういうふうに考えられるわけですが、こういうふうな旅行業者あるいは添乗員に対して、税関のほうではどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのですか。
○松室説明員 いま御指摘ありましたように、税関としては、一方ではお客さんの数がふえてくるのに対して迅速な通関をしなければいけない、片方では年々税関で検挙いたします反則件数がふえている。この両方を同時に達成しなければいかぬ、非常に苦しい立場にあるわけでございます。職員一同日夜その意味で努力いたしております。 いま御指摘のありました添乗員でございますけれども、添乗員もいろいろの方があります。非常に積極的に税関のほうに協力していただいている添乗員もおります。それから、御指摘のありましたような、とらの巻的なものを持っている添乗員もございます。われわれといたしましては、現在添乗員を規制するというような権限がございませんので、その添乗員の旅行者の方に集まっていただいてできる限りのPRをする、税関の立場、税関の使命、そして税関の手続というものについてできる限りのPRをする、こういうことで国際的なマナーその他も向上するようにつとめております。
○沖本委員 時間を少しオーバーしたようでありますので、いまは一つ一つの問題を御指摘しただけのことで、もっと問題はたくさんあるわけなんですが、いまの添乗員の問題だって、これは運輸省の関係になってくるわけですから、そういう点もっと検討していただいて——あるいは農協なんかが海外で有名になっている、よそのホテルでスリッパはいて、ズボンつりだけで全くマナーを心得ない、あるいは洗たくものを、ふんどしなんかを一流のホテルの窓の外に干しているということはよく見られる情景なんです。こういう点、十分日本人として恥ずかしくないマナーをとってもらうようなことが十分指摘できるような添乗員も養成してもらわなければならないと思うわけなんです。時間がありませんからこの次いろいろ質問するとしまして、十分に御検討いただいて、そしてこの前の東京オリンピックのときも終わった段階で、東京オリンピックのピークの状態が、その年の暮れにはもう普通の出入国状態になっておったはずなんです、記録の上からいきますと。ですから万博、万博といっておりましても、日本へ出入りする外国人の数というものも万博が終わったからがたっと落ちるということは考えられない、こういう事態になると思いますので、語学の点、服装の点とか、いろいろな点に御配慮いただいて、日本の玄関を十分おつとめできるようになっていただきたいことをお願いしたいと思います。また次の機会にあらためましてこの問題は取り上げさしていただきたい。 以上で終わらしていただきます。
○小澤(太)委員長代理 次回は、明後二十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十一分散会