法務委員会 第8号
- 発言数
- 260 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/20
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 裁判所職員の定員の増加について、部内でもいろいろ論議があったことと思いますけれども、まずこの人員増加については、労働組合のほうからはどれだけの要求がされたかということについて、お答えいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 全司法労組から増員について要求がございましたのは、いまから三年ばかり前、四十二年の八月二十四日付で出ておるわけでございます。その要求数は、三千百三十七名でございます。
○松本(善)委員 最高裁は、この人員については、原案では幾ら要求されたのでありますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 原案と申しますか、当初八月末で内閣のほうへ出しました案では、約八百でございます。
○松本(善)委員 七百九十八人ではありませんか。
○寺田最高裁判所長官代理者 御説のとおりでございます。
○松本(善)委員 それが百八十名増員ということになったわけであり、そのうち百名が法廷警備員ということになりますと、実質は八十名ということになろうかと思いますが、これは裁判所の要望したものからするならば、約一割、こういうことになるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○寺田最高裁判所長官代理者 松本委員の御指摘のとおり、数だけから見ますと、そういうことになるわけでございます。ただ、これにはそれぞれの職種に応じまして、いろいろその要求を縮減いたしております理由があるわけでございます。それを一つ一つ申し上げることもいかがかと思いますから、また追ってのお尋ねに対してお答え申し上げますけれども、たとえて申し上げますれば、先般もお話に出ました法廷警備員にいたしましても、これは当初二百ということでございましたのを百にいたしました。しかし、これは機動的な運用によって処理できるというような考え方で、総合的に考えたわけでございます。その他それぞれの職種につきましては、またお尋ねがございますれば、お答えいたしたいと思います。
○松本(善)委員 政府のほうから最高裁に対して、定員削減の要請はあったのかどうか、その内容をお聞かせいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 この点につきましても、先般畑委員の御質問に対しまして、御説明申し上げた記憶もございますが、繰り返して簡単に申し上げますれば、内閣のほうからは、昭和四十三年の八月三十日、閣百八十五号という書面をもちまして、各省庁別の人員削減目標という資料を送付してまいりまして、これは内閣の各省庁の人員削減目標でございますが、裁判所に対しましても、政府の方針に協力するようにという趣旨の通知があったことは事実でございます。
○松本(善)委員 それに関係して、前回の同僚委員の質問に答えた中で、裁判部門については、政府に協力するわけにはいかないけれども、司法行政部門について協力するという趣旨のことをお答えになったと思います。司法行政というのは、本来、そのときの委員会でも総務局長お答えになったわけだけれども、当該裁判をする裁判官、裁判長の訴訟指揮に応ずるような、その法廷が容易に進むようにしたいという、それに奉仕をするというのが司法行政のあり方であるということをその委員会でもお答えになったわけでありますが、この本来の司法行政というのは、裁判に従属するものなんで、したがって、裁判部門と司法行政部門というような形で分けるというのは、まことに私どもから申せば奇怪な考え方だ。これは、裁判部門については協力できない、司法行政部門については協力できるというような考えは合わないのではないか。これはことばはそういう形になっているけれども、実際は裁判所の職員、書記官以下の職員の増員については、政府の要請どおりにしていくというような結果になるのではないか。もっと言いかえるならば、労働組合の、手が足りないところ、あるいは職業病になっておる、これでは労働強化だ、こういう要求に対しては応じないで、政府の要求に応ずるという結果になっておるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 この点はちょうどいい機会でございますので、はっきり御説明申し上げて、御理解をいただきたいと思うわけでございます。 私どもが裁判部門、司法行政部門と申しておりますのは、決して裁判官と一般職とを区別するという考えでは全然ないわけでございます。たとえば裁判所書記官あるいは家庭裁判所調査官、そういうものは、もう私どもは一〇〇%裁判部門と考えておるわけでございまして、これについては一切協力と申しますか、削減をする考えはないわけでございます。のみならず、いわゆる事務官につきましても、裁判部門で直接書記官その他を補佐しております事務官につきましても、これもまた削減をする気持ちは全然ないわけでございます。私どもが司法行政部門と申しておりますのは、確かに松本委員のお話のように、非常に広い意味で申し上げますれば、これは裁判官を補佐する者が、ある程度司法行政的な部門を持つと思いますけれども、もう少し狭い意味でございまして、純粋に裁判と直接の関係はない。むろん司法行政でございますから、裁判と全然関係のないものはございませんけれども、非常に間接的な関係のものということでございまして、先般も一つの例として申し上げました下級裁判所から最高裁判所にいろいろな関係の報告等を徴しておる、その報告等を簡素化するということは、これは必ずしも直接裁判に影響を及ぼすものではないわけでありまして、そういういわば簡素化なり能率化の方策を講ずる。これによって事務量を減らして、削減をするわけでございますので、一般の職員にしわ寄せをするというような考えは少しもないわけでございます。
○松本(善)委員 そういたしますと、約八百名の要求をされて、それが実際上は八十名、書記官やそれから事務官についての要求も十分通っていない。いまの御説明——事務官以外のものについて減らしていいということを了承するわけではありませんで、あなたの御説明によれば、少なくとも書記官、事務官までの部分については政府に協力するわけにいかない、こういうことになるはずなのにかかわらず、大幅に要求とは違っておる。こういう結果になっておるのはどういうことですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 増員要求を縮減いたします問題と、それから削減の問題とは、私どもとしては、全然別個の問題として考えておるわけでございます。五十名の削減という問題は、八百名の要求の中にもいわば内在しておるわけで、これは全然別個の問題でございまして、八百名が百八十名になった、確かにそれは約四分の一である、こういうふうに御理解いただきたいわけでございます。 そこで、先ほど、そのうちの一例として法廷警備員を申し上げましたけれども、だんだんのお尋ねでございますから、裁判官についてちょっと申し上げますれば、裁判官を当初要求いたしました。しかし、その中で判事につきましては、本年度のところは給源がございません。これは、幸いにして国会のほうの御支援によりまして、判事の増員がここ数年間比較的多く認められてまいりましたので、これは増員いたしますれば当然その次の年に引き継ぐわけでございますから、そういう関係で本年判事補から判事になります者の数との関連で、最近の約五年間に五、六十名の判事の増員がありましたものをさらに上回って判事の給源がない。当初は弁護士から来られる場合、学者から来られる場合もあり得るということを想定して、給源の問題を一応おきまして判事を要求いたしましたけれども、判事についてはいわば要求を撤回して、判事補に重点を置いたということで、判事が減りますと、それに伴いまして書記官の増員要求も減っておる、こういうふうな面があるのでございます。
○松本(善)委員 あとでまたその問題を論じたいと思いますが、この定員の内容の問題であります。全司法新聞によりますと、今回の定員を職種別に見ますと、次席書記官については十四、主任書記官が六十ふえて、一般の書記官が四十九減っている。事務局について言うならば、主任が百四十二ふえて、一般職員が二百三十六減っている。こういうことが報告されていますけれども、これは事実でありましょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 書記官が増員になりましたのは二十五名でございます。
○松本(善)委員 私の聞きますのは、その書記官の中で——総量として二十五名ふえていることは事実であるけれども、その内訳を見た場合に、私がいま申しましたように、主任書記官、次席書記官がずっとふえて、一般の書記官、一般の職員という場合で見ればむしろ大幅に減っているという、こういう事実があるかということをお聞きしているわけです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その組合新聞はどの組合新聞でございましょうか。
○松本(善)委員 これは全司法新聞の予算関係を扱ったものですね。一九七〇年三月八日付です。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その新聞を私はまだ読んでおりませんけれども、六十人の主任書記官が組みかえによってふえたことは、そのとおりでございます。
○松本(善)委員 そうすると、一般の書記官が減っている。これも結果において総量は二十五しかふえてないんで、主任書記官が六十ふえたということが事実であるならば、計算上は一般の書記官が減っているということも事実のようですね。
○矢崎最高裁判所長官代理者 組みかえによりますからそういうことになりますけれども、主任書記官は漫然としているわけではございませんので、やはり法廷にも立ち会うわけでございます。
○松本(善)委員 それはもちろん知っておりますけれども、この主任書記官の果たす役割りについてもこれから聞きたいと思うので言っておるわけでありますが、裁判所の管理職というのは全部で職員の何%くらいになっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 この前、総務局長から畑委員に御説明申し上げたと存じますけれども、現在のところはほぼ一四%ということに相なっております。
○松本(善)委員 人数は何人ですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 約二千九百人台だと思います。
○松本(善)委員 いま一四%と答えられましたね。それは裁判官を含めた場合ですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 含んでおりません。
○松本(善)委員 前回一四%と言われましたか。一二%と言われたのではありませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは、四十一年の規則制定当時のパーセンテージでございます。管理職等に関する裁判所の規則でございますね。最高裁判所の規則で管理職の範囲が定まるわけでございます。その規則が制定された当時には一二%、このように申し上げました。
○松本(善)委員 現在は一四%……。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そうでございます。
○松本(善)委員 それから、裁判官を含めると何%ぐらいになりましょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官は管理職の範囲に含まれておりませんので、計算をいたしておりませんけれども、裁判官の定員は三千五百名でございます。
○松本(善)委員 そうすると、裁判官を管理職というふうに考えないというにしても、実際上書記官、裁判所に働いておる一般職員の場合には、二千九百名台の管理職と三千五百名の裁判官、これが頭の上にしっかり乗っている。大体概算すれば三〇%以上の、あなたのことばでは管理職とはいわないかもしれないけれども、上司がいるという中で働いているということになりますと、これは普通の公務員と比べますと、管理職というか、職場の上役といいますか、非常に不正確になるかもしれませんが、私から言うならばやはり管理職だというふうに思いますけれども、その比率が非常に高いということだ。たとえば国会の場合は六・一%、内閣の場合一〇・七%、行政庁の中で一番高いもので自治省の一八・四%、大体一〇%以下ぐらいになっている。裁判所の場合にそういうことになっていると、そこで働いている人たちの、働いている気持ちの上での重圧感といいますか、そういうものは非常に強いものじゃないかと思いますけれども、そういうことについて裁判所は考えたことがありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま裁判官の定員についてちょっと言い違えました。三千五百ではなく、二千五百名でございますが、しかし、裁判官につきましては、これは御承知のように裁判事務に全く専念いたしておりまして、最高裁判所の規則によりましても管理職には指定されていないわけでございます。重圧感と仰せられましたけれども、さようなものは全くないと確信いたしております。
○松本(善)委員 私は、主任書記官の問題について、前にも委員会で論議をされておりますけれども、主任書記官をふやしておるということは労務対策ではないかというふうに疑惑を持つわけであります。そういう点でお聞きするわけですけれども、主任書記官と一般書記官の比率はどのくらいになっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは、パーセンテージはつまびらかにいたしませんけれども、しかしながら、労務対策で主任書記官を多くするというようなことはごうも考えておりません。
○松本(善)委員 主任書記官と一般書記官の比率は、大体パーセントとしてははっきりしないと言われたけれども、三人ないし五人くらいのところで、多くて五人くらいのところに一人の主任書記官ということになっているのではありませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 大まかに申しますと、大体五人以上というようなことがいえるのではないかと思います。
○松本(善)委員 主任書記官について特別な研修をやっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは、年度を分けましていろいろな研修はやっておるようでございます。
○松本(善)委員 その研修の中に人事管理、組織管理の研修がありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それを専属にやっていることはないと思います。
○松本(善)委員 専属にというか、それだけやるというのじゃなくて、その中にあるというお話でしたね。あることはあるが、専属にやっているわけじゃない、こういう趣旨ですね。
○矢崎最高裁判所長官代理者 多くの教科の中にそういう一教科は当然入っていると思います。
○松本(善)委員 これは全体の研修から見てどのくらいの比率になっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 おそらく何十分の一だと思います。
○松本(善)委員 主任書記官の人事管理、組織管理の研修の中で、労働組合をどういうふうに考えるかという研修がありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それももっぱらそれを対策にしたものはないと思います。
○松本(善)委員 もっぱらそうではなくて、労働組合の問題を論議する研修はないかという……。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは、裁判所の中に全司法労働組合がある以上は、当然それが関連事項として出てくることはあると存じます。
○松本(善)委員 その労働組合に対してどういう立場で臨むかということについて研修をしておるというわけですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは、その場合におけるいろいろな論議の結果どういうことになりますか、こちらのほうで労働組合に対してどういう態度で臨めとか、そういうことはごうも指導しておらないつもりでございます。
○松本(善)委員 じゃ主任書記官は、労使と分けた場合、一体どちらになるのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 労使と分けるのは、裁判所のそういうようないろいろな職員について言い得ることかどうかという問題はあると思います。しかしながら、管理の面は主任書記官はもちろん担当しておるわけでございます。
○松本(善)委員 主任書記官は労働組合に入りますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 入りません。
○松本(善)委員 主任書記官をふやすということは労働組合員の数は減っていく。それから労働組合に対して管理ということをやる人が非常にふえてくる。あなたのことばでは五人に一人くらい、ほんとうはもっと、三人に一人くらいのところもあるようですけれども、そういうことになっていくというのはやはり労務対策といわれてもやむを得ない結果になるのじゃないかと思いますが、どうですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それではこの点について少しく説明させていただきたいと存じます。 書記官の系統につきましては、首席書記官、そしてその下に次席、主任書記官というようにあるわけでございまして、一般の書記官は非常に多数の数があるわけでございます。すべて書記官の最後に行き着くところは首席書記官でございまして、首席書記官は書記官全体の指導監督をいたしておるわけでございます。したがいまして、これらの方々はある程度たたれますと後進に道を譲って退かれるわけでございまして、一般の書記官は主任書記官になり、それからまた首席書記官になるというように上がってくるわけでございます。私は、共産圏の裁判所のことはよく存じませんけれども、欧州、アメリカ、世界各国の裁判所においては、やはり一つの書記官の最後に行き着くと申しますか、トップクラスがあるわけでございまして、一般の書記官は主任書記官になりあるいは首席書記官になりたいという気持ちは十分に持っているわけでございます。こういう主任書記官、それから首席書記官の数がふえるということにつきまして、一般の書記官が反対しているというようなことは絶対にないわけでございまして、これはむしろ歓迎こそすれ、反対するというようなことは、私の耳には全然入っていないわけでございます。労務対策として主任書記官の数をふやすというようなことは、全く私としては心外に思っているわけでございます。
○松本(善)委員 主任書記官をふやすことが労働組合に入っている普通の書記官との矛盾を激化させるというようなことがないならば、あるいは書記官は何とも思わないかもしれぬが、実際はそうでないようです。主任書記官をふやすかどうかということについては、この委員会でも議論がされている。そう単純に主任書記官になりたい気持ちの人がたくさんあるのだ、だからいいではないかということではないと私は思います。 しかし、ここではもうちょっと突っ込んでお聞きしたいのですが、問題は、主任書記官がどういう役割りをになっているかということからくるわけだと思うのです。主任書記官の研修のことを先ほどお聞きいたしましたけれども、主任書記官がそういう組合の問題などを討議をする場合に、最高裁の事務総局でだれが参加するのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 主任書記官の研修ということは、各高等裁判所で行なう場合もございましょうし、東京で行なう場合もございましょうし、いろいろばらばらに行なわれているわけでございます。したがいまして、それに最高裁判所から課長が出席するというようなこともまれにはあるかもしれませんけれども、そういうものに一々列席するというほどの陣容は私のほうにはないわけでございます。
○松本(善)委員 行くときにはだれが行きますか、まれにはということを言われましたけれども。
○矢崎最高裁判所長官代理者 課長補佐とかあるいは課長とかそういう方がまれには行く場合があると思います。
○松本(善)委員 矢崎さんのお答えによれば、主任書記官はそういう労務対策と考えられることはたいへん心外だというお話であったし、研修のときには労働組合対策というようなことはやっていないのだという趣旨のお話でありましたが、もしそれならば、私は疑惑を晴らすために主任書記官の研修内容を知らせてほしいと思うのです。それを資料として御提出いただけましょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 主任書記官の研修と申しますのは、ほんとうに全国津々浦々たくさんありまするところの裁判所の主任書記官が何年ごとに交代で行なわれている研修でございまして、それについて詳細な教科内容を提出せよということは少し御無理な御注文ではないかと存ずるわけでございますけれども、しかし、御承知のように、主任書記官は一般の書記官に対して指導監督の責任を持っておるわけでございます。したがいまして、一般執務について指導監督するということは、裁判事務の内容、すなわち書記官事務の内容についていろいろと指導をするということのほかに、当然その職員の能力評価なり管理面というものも入るわけでございまして、したがいまして、この点についての研修というものは当然あるわけでございます。
○松本(善)委員 だから、不可能なことを別に要求するのではありません。可能な範囲で労働組合との関係のところだけでけっこうです。それを時期を限り、あるいは場所を限ってもけっこうです。そうして御提出いただけませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 検討いたしまして、もしそういうものがまとまるようでございましたならば、また御連絡申し上げてみたいと思います。
○松本(善)委員 いつごろまでにお返事いただけますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それはただいま申し上げましたような趣旨でございますので、いつごろまでというように時期を限られてははなはだ困るわけでございます。したがいまして、できる限り検討した上で適当なものがあれば提出いたしたいと思います。
○松本(善)委員 それをお出しになりませんと、幾らここでそういう組合対策でないというふうに言われましても、やはり疑惑は晴れないのじゃないか。主任書記官との間の矛盾が起こっていることを幾らも聞いておりますから、それは事実なんです。 ではお聞きいたしますが、主任書記官は労働組合や民主団体がやっておる署名運動に参加するというようなことは禁ぜられているかどうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 法律なり規則で禁ぜられているように私は聞いておりません。
○松本(善)委員 主任書記官が組合の新聞だとか政党の新聞を購読することは禁止されていますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 自分の費用で買う分には一向禁止されているようなことはないと思います。
○松本(善)委員 四十一年の七月十九日の法務委員会で矢崎さんは、管理職をふやすときは組合の意見を十分聞いて行なうという趣旨の答弁をしていますけれども、覚えておられますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 よく覚えております。
○松本(善)委員 それはやっておりますか、現在。
○矢崎最高裁判所長官代理者 管理職をふやすということは、管理職の職をふやすという場合について十分意見を聞いて行なうということでございまして、これには規則改正を必要とするわけでございます。しかしながら、現在、規則改正はいたしておりませんので、したがいまして組合の意見はまだ聞いておらないわけでございます。
○松本(善)委員 人事局長のほうからすれば、これは組合対策ではないというふうに言うけれども、実際に起こっていることは、そうでない事実が起こっておるわけです。だから、この主任書記官をふやすとか主任書記官をどうするかというようなことは、やはり組合の意見を聞いてやったほうがいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 規則の改正をいたす場合には、組合の意見は十分聞くつもりでおるわけであります。
○松本(善)委員 いや、規則の改正をする場合のいかんにかかわらず、一般的に聞いてやったほうがいいのじゃないかということです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 たとえば首席書記官というものは、すべて書記官のおるところにはなければならない制度でございますけれども、これは四十一年の規則制定当時にはきわめて限られた家庭裁判所にしかなかったというのが現実でございます。それが最近だんだん予算上認められまして、あるべき姿に立ち直ってきつつあるというのが現状でございまして、こういう当然規則で定まっている首席書記官がふえるというような場合については、組合の意見は何も聞く必要はない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○松本(善)委員 労働組合とのできるだけ意見を交換をしてやるのが穏当なやり方ではないかと思いますけれども、この点についてはさらにいろいろ人事局長のほうでもお考えいただきたいというふうに思います。 それから、裁判官が一人も配置されていないという庁は現在何庁ありましょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これも先般来申し上げてまいっておるわけでございますが、裁判官の……(松本(善)委員「論議は知っておりますから、数字だけで」と呼ぶ)ただ、ちょっと、それは少し申し上げませんと御理解いただけないと思うわけでございます。 と申しますのは、乙号支部に定員のない庁が何庁かとおっしゃいますと、つまり総合配置でございますが、二庁で一人という配置をいたしております庁は約七十庁と先般来申し上げておるわけでございます。ただ、この乙号支部と、御承知のとおり建物も同じくし、すべて同じ中に簡易裁判所がございまして、その簡易裁判所には必ず判事がおりますから、そういう意味では、それは裁判官のいない庁ということにはならない。それをどういうふうに計算して報告するのかというところが私は必ずしもはっきりいたさないわけでございます。
○松本(善)委員 いわゆる二人庁、職員が二名しかいないという庁、これは現在一体どのくらいありますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これも先般来申し上げておりますとおり、最高裁判所としては、職員三人は必ず確保するという方針でございます。
○松本(善)委員 三人庁はどのくらいですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 三人庁は独立簡裁、約九十庁でございます。
○松本(善)委員 裁判所における職業病の状況を伺いたいと思います。これはいままでもいろいろお聞きいたしました人員不足の問題とも関係をして起こってきておるのではないかと私は思いますが、職業病は裁判所の中でもふえてきておると思います。その原因について裁判所はどう考えておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 職業病とおっしゃいますと、どういう範囲をおさしになるわけでございましょうか。
○松本(善)委員 裁判所の考えている職業病……。
○矢崎最高裁判所長官代理者 私どもの考えております職業に関係のある病気というと、松本委員のお考えになっていらっしゃるいわゆる職業病とはあるいは食い違いがあるかも存じませんけれども、私どもといたしましては、何しろ書記官、それから速記官、タイピストをたくさんかかえておりますので、手指関係の疾病が比較的裁判所においては職業と関係があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○松本(善)委員 その職業病がふえております原因について、どう考えておるかということです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それがふえておると仰せられますけれども、どの程度をもってふえているというか、これは相対的な問題だろうと存じますが、そういうような意味における職業病が裁判所において特有の現象として非常にふえてきているというほどにもわれわれは考えていないわけでございます。
○松本(善)委員 それでは具体的にお聞きいたします。公務災害の認定申請が出されて誇る者は何名でありますか。またその病名と認定の見通し、進行状況等、お話し願いたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 四十年から四十四年までの五年間におきまして、全体まぜまして公務災害の申し立て件数としては二百二十五件ございまして、二百十八件が処理されているわけでございます。そして二百十八件処理されておりますうちで、百七十六件が公務上の災害というふうに認定を受けておるわけでございます。
○松本(善)委員 これはそう多くないという御判断でありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 公務上の認定が百七十六件でございますが、これはいろいろなものを含んでおりまして、たとえば足をけがしたとかいろいろなものを含んでおるわけで、しかも調停委員等をも含めました疾病についての公務災害でございますから、必ずしも多いというようには考えておるわけではございません。
○松本(善)委員 そうすると、その内訳を少し簡単に話してくれませんか。病名と、それからいわゆる調停委員も含めているというお話であれば、普通の裁判所の職員の場合に限ってお話しいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 たとえて申し上げますと、昭和四十三年を例にとりますと、五十二件の申し立てがございまして、その年度中における処理件数は五十二件でございますが、公務上の認定を受けたものが五十二件中四十七件ございます。四十七件のうち、負傷が四十五件でございます。そして書痙が一件、頸肩腕症候群によるものが一件ということに相なっております。
○松本(善)委員 審査請求が出されているものがありますか。それはどのくらいで、どういう病名で出されていますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 現在七件ございます。 〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕
○松本(善)委員 それはどういう病名の場合でしょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 審査請求の出されております七件のうちでの内訳は、脳溢血が一件、それから手指に関するものが六件、こういう内訳に相なっております。
○松本(善)委員 ついでに、民事訴訟になっているものがどのくらいありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 民事訴訟は現在のところ一件ございます。
○松本(善)委員 この職業病が多いということは、まだお認めにならぬようであります。職業病が書痙でありますとか、頸腕症候群でありますとか、あるいはそれの認定をされなくても、そういう認定をしてほしいという人がたくさんいることは事実であろうと思います。そういうことをなくす必要があることは明らかであります。これをなくす対策はどういうように立てておられますか。 〔小澤(太)委員長代理退席、委員長着席〕
○矢崎最高裁判所長官代理者 職業病ということが先ほど来言われておりますが、手指関係の問題はなかなかむずかしい問題があるわけでございます。しかしながら、私どものほうといたしましては特別、定期健康診断ということを行だいまして、できるだけ早期に、何らかの苦情がないかということについて審査しておるわけでございまして、たとえて申しますと、本年は一月に大体東京地裁の二百名の人員につきまして、これはおもに速記官、タイピストでございますが、実施いたしました。非常にむずかしい検査がたくさんございまして、たとえて申し上げますと、自覚症状の調査、それから全血比重、血圧測定、視力検査、皮膚温検査、タッピング検査、毛細管顕微鏡検査、オーディオメトリー等のいろいろむずかしい検査がございまして、こういう検査を行なうことによりまして、何らかの苦情が出ないかどうか、苦情があった場合に、どういうような措置をとったらいいかということについて十分に手配するように心がけているわけでございます。
○松本(善)委員 この公務災害の認定について、最高裁の場合には、認定するのはまず事務総長が行なう。それから不服のある者は最高裁の公務災害補償審査会でやることになっているようですが、そのとおりですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
○松本(善)委員 その公務災害補償審査会のメンバーはどういう人でありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 事務総局の局長、課長、それから労働省の課長、それから国立病院の部長医師というような方々が委員会を構成しておるわけでございます。
○松本(善)委員 労働省、国立病院関係はともかくとして、裁判所から入っておるこの審査会のメンバーというのは、事務総長のもとに、司法行政のもとにある人たちですね。この点について裁判所としては、この公務災害補償審査会のメンバーについて、あるいはこの機構について矛盾をお感じになりませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ここにきょうおられる局長等は全部裁判官でございます。裁判官はいかなるものにつきましても、独立して職務を行なう習慣と申しますか、そういう信念を持っておるわけでございまして、現にこの審査委員会でさきになされた認定がくつがえって、公務災害というように認められた案件もあるわけであります。これは何らそういう点については御心配に及ばない事柄だというように考えておるわけでございます。
○松本(善)委員 もちろん局長などが裁判官であることは知っておりますが、最初の認定のときに関係をしないのですか。認定基準であるとか、その他いろいろ事務総長が認定をする際に、それらの人の意見は一切入らないですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 全く無関係でございます。
○松本(善)委員 それはどういう仕組みでなされておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ここに関係しておられまする局長等は、これらの公務災害の認定等については全く関係のないような手続に相なっておるわけでございます。その手続の範囲外に置かれておりまして、現在どういう公務災害の申し立てがあるかどうか、あるいは公務災害の結果がどうかということについても、何ら知られないような仕組みになっておるわけでございます。
○松本(善)委員 私がこの問題について特にそういうことを申しますのは、民間にしろ、他の公務員にいたしましても、たとえば民間の場合には、労働基準監督署長が審査をし、それからあと審査官が再審査するとか、それから公務員の場合には、省庁の長がやってから人事院でやるとか、そういうことをやり、最後は裁判所に持ってくるという関係になるわけであります。裁判所がこの問題についての、裁判所の職業病問題についての考え方というものは、そういう意味でいうならば、単に裁判所で働いておる職員だけの問題ではなくて、すべての労働者に関係をする問題になってくる。そういう意味で非常に重要な——これは法律上の拘束はないわけですけれども、しかし、事実上非常に大きな影響を持つ。労働者の災害、公務災害ということに関しては、非常に重要なことになるのではないかと思います。この公務災害補償審査会の役割りは非常に重要なのではないか、この点をそういう認識でやっておられるかどうかということをお聞きしたわけですが、どうでしょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 松本委員の御意見、まことにごもっともでございますけれども、この委員会の運営につきましては全くの独立で、何ら御心配は要らないことを確言いたしておきた いと思います。
○松本(善)委員 別な問題をちょっとお聞きしようと思います。 東京地方裁判所の事務局分会でやりました賃金アンケートというのを手に入れて見たわけであります。この人たちが申しますのは、六割の人たちが、給料だけではなくて、ほかの収入でやりくりをしているということであります。アンケートをよこした人が例外なく一万円以上賃上げをしてほしいということをいっておる。これは東京地方裁判所の一分会のアンケートでありますけれども、しかし私は、裁判所全体について大なり小なり、そういう生活上の不満、給料だけでは食っていけない、こういう事態が起こっているというふうに思いますけれども、最高裁当局としては、この点をどういうふうに認識をしておられますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 一般の職員の給与が必ずしも十分でないということは、よくわかっているつもりでございますけれども、全司法との団体交渉の席上で、いま松本委員が御発言になったと同じような発言がよくございまして、調査してほしいという希望もあるわけでございます。しかしながら、全司法が調べたこのアンケートについて具体的に材料を出してくれないかということを申し上げましても、全司法のほうから出してまいらないわけでございます。これはなぜかと申しますと、その家庭の状況あるいは収入等について、いろいろと聞きますことは、やはり個人個人のプライバシーに関係ある事柄でございまして、私どものほうから積極的に特定の職員をつかまえまして、そういうことについて調査をするということは避けたいと存じておりますが、一面において組合のほうでも、その個々的な人を私どものほうに言ってまいるわけではなく、全体としてこういうことになったということを団体交渉の席上で申すだけでございます。私どものほうでも実際の確実な資料をつかむということについては、組合にどうか出してもらいたいというように話しているのが現状でございます。
○松本(善)委員 裁判所は労働者と使用者の争いについては最終的に判断する場所であります。言うまでもなく、そういうことであります。裁判所で働く労働者の権利でありますとか生活についての裁判所の配慮のしかたというものは、そういう意味では、先ほど申しましたように、全国的な影響を持ってくる。裁判所に働いておる労働者からも信頼されないようでは、全国的に労働者が裁判所に公正な判断を求める、そういう大きな意味での信頼はなくなっていく、そういう重要な問題であると思いますので、私はこの点についていろいろお聞きをするわけです。 いま人事局長は十分でないということは知っておるというお話でありましたけれども、全司法の労働者、裁判所で働く労働者の諸君が物価の値上がりの中で、賃金を上げてほしいということで活動するのは、全く当然のことじゃないかと思いますが、どう思いますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 一般の職員から信頼されていないというのは少し心外とする御発言でございますけれども、私どもは信頼されていないというほどまでには考えていないわけでございまして、一般の職員の給与の向上には、われわれ人事当局者としては当然一生懸命努力しなければならない、こういうように考えているわけでございます。そして裁判所職員の給与につきましては、一般公務員と別個に裁判所職員だけが十分ないい給与をもらうというのもなかなかむずかしい事柄でございまして、たくさんおります全国の一般公務員とのつり合いというようなこともいろいろと検討された上で給与体系ができているわけでございます。しかしながら、もちろん給与が少しでも裁判所職員についてよくなるということについては、当然人事担当の者としては考えておるわけでございます。
○松本(善)委員 私が言いますのは、裁判所が、政府の意向というよりは、やはりそういう全国の労働者からも信頼をされなければならないところだということを考えて、そして裁判所に働く労働者の労働条件についても真剣に配慮をしなければならない。もしそれが低い場合には、強く政府に対してもいろいろなことを言わなければならないのじゃないか、そういう立場のことを言っておるわけなんです。その立場で貫徹をされませんと、労働事件を扱う場合であっても決してうまくいかないと思うから言っておるわけです。 具体的に申しますが、いま人事院勧告の完全実施ということも行なわれていないという意味で、たとえば私などはよく要請を受けるのですけれども、小学校の校長先生、中学校の校長先生、こういう方々も私のところへおいでになって、人事院勧告を完全実施してほしい、いろいろみんな言っておられます。裁判所で働く全司法の諸君もいろいろ要求を持っておると思います。胸にリボンをつけるとか、あるいはネームプレートをつけるとかいうことで要望する意思を表明していく。これについては前に議論はされたこともありますけれども、これは自分たちの表現の自由として当然に保障されておる権利だというふうに思うわけです。いまの物価の値上がり、生活がいまの状況ではやれない、六割の人が給料以外でやっておる、こういう実情を考えて、裁判所としてはこの点についてはどう考えますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 リボンの件については、松本委員とは見解を異にするわけでございます。しかしながら、裁判所職員の給与をよくしてやらなければならないというような抽象的な御意見については、御説ごもっともでございます。
○松本(善)委員 本来ならば、リボンをつけなくても要望が通るように、なるほど裁判所では労働者の権利は守られておる、闘争しなくてもちゃんと生活は保障されておる、こういう状態であって初めて全国の労働者が、自分のところで権利が侵害されたという場合に、じゃ裁判所へ持っていってきめてもらおうじゃないかという気持ちになるのです。ところが、裁判所の労働者も生活はできない、六割は給料以外の収入でやりくりをしなければいかぬ。それでリボンをつければそれはいかぬといって弾圧をされる。その裁判所を、賃上げ闘争をやっている労働者が信頼することができるだろうか。 それで、いままでの経過を抜きにして、人事局長あるいは事務総長、裁判所はそういう労働者からも信頼をされなければならないという立場にあるはずなんであります。そういう立場の裁判所の労働条件の問題として、あるいは労働者の組合活動の問題としてどう考えられるか、もう一回、いま人事局長に聞きましたから、事務総長にお聞きしたいと思うのです。そういう立場に裁判所がある、それでも考えは変わらないだろうか。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所の裁判官以外の職員、これをかりに一般職員——これは特別職員ですけれども、ここでは便宜上そういうことばを使いますが、その職員の健康云々の問題、それから待遇改善の問題等につきましては、私どもとしても重大な関心を持ってその向上に力を尽くしておるわけであります。しかし、やはり裁判所の職員も公務員でありまして、他の官庁の公務員とかけ離れた特別の待遇を与えるということは、これは不可能なことだと思います。しかし、決して現状をもって十分と考えておるわけではありません。今後ともそういう面についてはできる限りの努力を尽くしていきたい、かように考えております。
○松本(善)委員 本来、裁判所の職員がリボンをつけなくても要望がいれられる、こういう状態になっておるということが望ましいことではありませんか、この点をちょっと伺いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 待遇改善の問題とリボンの問題とは、これは切り離して私は考えております。裁判所の職員が執務時間中にいろいろな闘争の目標を掲げて仕事をやるということは、裁判所の性格からいいまして、それはとうてい認めるわけにはいきません。
○松本(善)委員 その点について意見が違うことは、先刻来承知の上です。しかし、そういう要望が通らないから、六割の人たちが給料以外でやらなくちゃならぬという状態だから、それがわかってもらえないということでリボンをつけたいというのですけれども、本来、リボンをつけなくても済む状態にする必要があるのではないか、そういうリボン論争が起こらないようにするのが裁判所としては一番望ましいことではないかということをお聞きしておるわけです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 六割の者が内職をしなければ食っていけないということを前提にしての御発言のようでございますが、どうも六割の者が内職をしなければ食っていけないということがはたして事実なりやいなやという点について、私どもは非常に疑問を持っておるわけでございまして、組合のほうはそういうように申しておるかもしれませんが、どういう具体的な根拠に基づいてそういうことを申しておるのか、その点について十分伺ってみたいと思います。
○松本(善)委員 私の言うのは、先ほどの資料ですけれども、六割という点について意見が違ってもけっこうです。それは六割が五割、四割でもけっこうです。とにかく一部の者であろうと、給料だけで食えない、そういう待遇改善の要求が切実だからこそリボンをつけたいということが起こってくるわけです。私の聞きたい点は、リボン論争なんかを裁判所の職員が問題にしなくても済むようにするのが本来の姿じゃないか、それが一番望ましいことじゃないか、きわめてあたりまえのことを聞いているのですが、事務総長に伺いたい。
○岸最高裁判所長官代理者 この問題は、団体交渉の席上で、組合の幹部と十分話し合っておる問題でありまして、先ほど来人事局長からも御説明申し上げたようなことも、十分団体交渉あるいはその前の段階の各局の交渉における組合幹部との話し合いでやっておることであります。
○松本(善)委員 団体交渉でおやりになるのは大いにけっこうだと思うのです。思うのですけれども、私のお聞きしておるのは、本来リボン論争というようなものが裁判所の職員の問題で、裁判所との間で論争しなくちゃならぬということは望ましくないのじゃないか、そういろことが起こらないように労働条件の改善をされることが必要なんじゃないかということを、一般論をお聞きしているのです。いまそれがすぐできるかできないかはまた別の問題です。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所の職員のリボン闘争の問題と待遇問題とは、私どもは別問題として考えております。ああいうことをやりましても何ら効果がないと私は思います。
○松本(善)委員 それは裁判所の職員が、要望が通らないからリボン闘争をやりたいということなんですよ。それは事務総長とここで押し問答しても始まらないと思いますからやめますけれども、しかし、その認識では私はぐあいが悪いと思います。なぜ裁判所の職員がそういうふうにしたいというのか、その切実な生活の根本にさかのぼらないで、それをつけるのは裁判所としていい悪いというような議論だけをしておったのでは決して根本的には解決しない、司法行政も円滑にいかないということです。 そこで、私が申し上げたいのは、いままでずっとお話をしてきたのは、裁判所はそういう特別の任務を持っているわけです。全国の労働者からも信頼されなければならない。本来労働組合との間で問題は起こらないというぐらいの状態が望ましいのです。そういうことのために二重予算の権利もあると私は思います。先ほど来の事務総長や人事局長の御答弁によれば、裁判所はほかの公務員と比べて特によくなるわけにはいかぬのだ。なるほどそれも一理屈のように見えますけれども、しかし、裁判所の本来のあり方から見て、裁判所についてはこれだけの人員が要るんだ、裁判所に働いている職員についてはいまこれだけの待遇をしなければならぬのだということを最高裁が独自に判断をし、そしてそれに基づいて予算を編成し、それから人員を要求する、それが貫徹をされる。それができない場合にはほんとうに司法の権威ということを守ることはできないという立場をはっきりさせてやっていくことが必要なのじゃないか。 これは毎年毎年この問題が論議をされるときに言っているわけですけれども、この二重予算の権利、裁判所が内閣やほかの行政庁と違うという立場から考えて、いま私が申し上げた点についてもう一度お答えをいただきたいというふうに思うわけです。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所の二重予算の権利については、たびたびこの委員会でも御質問を受けております。私どもは予算の概算要求をいたしますについては、常にこの二重予算の権限というものを念頭に置いて折衝に当たっております。しかし、だからといって裁判所だけについて独自の待遇を、ほかの一般の公務員とかけ離れた待遇を要求するということは、二重予算権をもってしても無理なことじゃなかろうかと思います。そこで申し上げておきたいことは、なるほど先ほど人事局長も申しましたように、十分とは申せませんけれども、現在の裁判所の職員の待遇は、他の行政官庁のそれに比べて決してまさるとも劣るものではないということは申し上げられます。
○松本(善)委員 私はかなり根本的に問題を提起をしておるわけなんです。確かに裁判所職員臨時措置法によって、給与その他は一般公務員の法律が準用されておりますから、それは一面現状でいうならば、事務総長の言われるとおりです。しかし、本来の裁判所のあり方という観点でいくならば、裁判所の中でも、人事局長は否定をされるけれども、アンケートによれば六割の人が給料以外の収入でやりくりしなければならぬということをいっておるという現状です。そういう現状で一体労働事件の裁判というのができるだろうか。そういう観点から裁判所は抜本的に考えなくちゃいかぬのだ。もし必要であるならば、この裁判所職員臨時措置法というものが一体これでいいかどうかということの問題を提起をしてもいいはずであります。裁判所というのはそういう特別の、全国の労働者からも信頼をされるという状態をつくって裁判をしなければならぬところなんだから、裁判所の職員については特別で私は差しつかえないと思う。そういうようなことについて根本的に、これが裁判の公正ということ、裁判が国民から信頼をされるということとの関係で考えられたことがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判の公正と国民から信頼されるという問題、これは大事な問題であります。その国民という中には一般労働者を含めての国民全体から信頼を受け得るようなものでなければならない、かように考えます。そういう意味からいいますと、予算の問題、待遇の問題につきましても、先ほど来繰り返しておりますように、裁判所だけが独善におちいって、そうして特別の扱いをすべきであるということには私はちょっと疑問を持ちます。
○松本(善)委員 それは根本的にいえば、裁判所だけがよくて、いまのほかの省庁はどうでもいいということではもちろんない。それはほかの省庁全体の労働者の給与条件が悪いから、それが裁判所へ出てきた場合には、そういう結果が生じてくるんだということについて裁判所は真剣に考えなくちゃならぬのじゃないか。そういう点からも、定員の問題やそれから職員の待遇というものを考えなくちゃならぬのじゃないかということを言っておるわけです。 少し問題を進めたいというふうに思います。 それから聞いておきます。この二重予算の問題で最高裁の裁判官会議で論議をされておりましょうか。
○岸最高裁判所長官代理者 もちろん、予算の要求につきましては裁判官会議におはかりしてやっております。しかし、予算の折衝が進むにつれまして非常に緊急を要する場合があります。一々裁判官会議を開くいとまがない場合が多いのでありまして、そういう場合には裁判官会議から最高裁長官にすべてを委任されております。われわれ事務当局も最高裁の長官といろいろ御相談申し上げて、どういう態度に出るべきか、そういうことを常に最高裁の長官、つまり裁判官会議から委任を受けておられる長官の御意見を伺いながら折衝に当たっております。
○松本(善)委員 裁判官の定員もふえているわけですが、裁判官の給源について毎年問題になるわけですけれども、ことしの修習生のうちどのくらいが裁判官を希望していますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 便宜私から申し上げますが、裁判官希望者は七十名程度と考えております。
○松本(善)委員 修習生全体のうちの何割になるわけですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 大体修習終了予定者が五百二十名足らず、その程度、こういうことでございます。
○松本(善)委員 これは裁判所としては少ないということになりましょうか。それとも、大体このくらいあればけっこうだということになりますか、現状では。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは見方によるかと思いますけれども、一ころかなり少なかったころよりはやや多い数でございます。しかし、また多かったときに比べますとやや少ない数になっております。
○高橋委員長 速記をやめて。 〔速記中止〕 〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕
○小澤(太)委員長代理 速記を始めて。
○松本(善)委員 二月の二十六日に各新聞の報道したところによりますと、修習生の一人が青年法律家協会に関係したということを理由に、担当教官から裁判官として採用はむずかしいと言われたのがきっかけで、修習生五百人が質問状を出したという記事が出ております。そういう事実があったのでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 司法研修所の教官が修習生に対して、いろいろ進む道について意見を言い、相談にも応じるということは従来やっておる事柄でございます。
○松本(善)委員 青法協に加入を——青年法律家協会に関係したことを理由に、裁判官として採用はむずかしいということを言ったことはあるのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 現在の司法修習生二十二期でございますが、いま試験が一応済んだものの及落はまだきまらず、志望もまだはっきりしないという現状にあるわけでございまして、非常にみなデリケートな状況にございますので、こういう問題についてできるだけ突っ込んだことは申し上げたくないと存ずるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○松本(善)委員 事実の有無ですよ。そういうことがあったのかということです。それだけのことです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 何かそれに類したことはあったように聞いております。
○松本(善)委員 最高裁は任官志望者の思想、行動について調査したことがありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そのようなことはございません。
○松本(善)委員 最高裁は任官の希望者の思想、信条を採否の一基準としていることはありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そのようなことはございません。
○松本(善)委員 それから、最高裁の方針として、青年法律家協会の会員であることをもって任官採用を拒否をするという基準にしておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 今日のところ、青年法律家協会に属するということだけを理由に、採用しないとかどうとか、そういうようなことは方針として何らいたしていないというように考えております。
○松本(善)委員 今日のところというのは、将来は別だという、何か意味はあるのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 すべて団体等いろんなものは、将来の発展はどういうふうに発展していくか、これは私ども全く存じませんところで、また私どもの知らないいろいろなものがあるかもしれませんが、しかしながら、少なくとも今日においてそのようなことはないということを申し上げておきます。
○松本(善)委員 先ほど教官のことを、大体それに近いことがあったということを言われたのですが、最高裁判所として研修所の教官を通じて青年法律家協会の会員に任官を断念させるというような働きかけは、いまの御答弁ではあり得べきはずもないと思いますが、そういうことはありましたでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ございません。
○松本(善)委員 最高裁判所は任官者の思想、信条によって任地その他について不利益な取り扱いをするということがありましょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ございません。
○松本(善)委員 女性、年長者であるということが任官の妨げとなっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 年齢につきましては、判事補の任官ということについては考慮の対象の中に入っておるわけでございます。 女性につきましては、これは私どものほうで取り扱いを特に異にすることはございませんが、しかしながら、第一線の所長さん方からはまああまり喜ばれないというようなこともあるものでございますから、そういうような一つの空気はあるわけでございますけれども、しかしながら、女性であることのゆえをもって採用を拒むとか、そういうことは全然ございません。
○松本(善)委員 私がいまお聞きいたしましたのは、司法修習生の諸君が質問書としてまとめたものの中にある質問要綱であるということはおわかりになりましたか。私がいま数間についてお聞きいたしました。それは、司法修習生の諸君が最高裁に聞きたいということでまとめた質問の内容であります。それは弁護士の私の法律事務所などにも送ってきておりますので知ったわけであります。こういうような質問について、私が聞くところによりますと、最高裁は司法修習生にお答えにならなかったというふうにお聞きしているのですが、いかがでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 司法修習生は、御承知のように司法研修所長の監督下にあります。その司法修習生が司法研修所長等を介さないで直接に最高裁のほうへ申し出があったり、弁護士会に申し出があったり、あるいは特定の、たとえば松本委員のところに申し出があったりしても、そういうような事柄については最高裁判所としては一切お答えしないということを原則としております。
○松本(善)委員 それは、最高裁の考えを研修所長かを通じて答えるとか何らかの方法で、との質問に対して最高裁はこう考えているということを、最高裁なりに筋道を立てて回答するということは、幾らでも可能なことじゃありませんか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 司法研修所長から、これについてはもっともな質問だからということでこちらのほうにお話があった場合には、司法研修所長にはお話し申し上げることにしているわけでございます。現に司法研修所長は、先ほど松本委員から御質問のあったような、青年法律家協会に属することだけのゆえをもって任官等について不利益な扱いをしないかどうかという点については、全くそういう心配がないというように、修習生に答えているはずであります。
○松本(善)委員 この修習生の代表が最高裁に行ったときに、最高裁では事務総局の方はお会いにならないということであったようですが、そういうことがありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 三十二、三名の方が来られまして、そして私なり事務総長に会いたいという申し出があったわけでありますけれども、およそ面会を求める場合には、氏名を明らかにして、このくらい会いたいということの申し出があるのは当然でございますけれども、ただ一人だけが氏名を述べたのでございましょうか、あとは全部氏名は言わない。ただ会えということで二時間半ほどすわり込みに似たような状況を続けたようでございますが、司法修習生がそういうようなことをやるということについては、私どもは会えないのはもちろんでございまして、またかりに、先ほど申しましたように、司法修習生は司法研修所長の監督下にあるわけでございますから、何かこちらのほうに質問なり申し出があるならば、司法研修所長を通じて私どものほうで答える、こういうようなたてまえになっておるわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、代表をきめて氏名が明らかになっていれば会うはずだったけれども、そうでなかったので会えなかった、こういうことですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そういうようには申し上げていないわけでございまして、そのときの状況はどうかというようなことが御質問の趣旨にもあったと思いますので、そういうようにお答えしたわけでございますけれども、従来慣行といたしまして、司法研修所長から直接私どものほうに、司法修習生の意向が、こういうことがあるけれどもどうだろうかというように聞いてまいった場合には司法研修所長にお答えすることはあっても、司法研修所長の監督下に属する司法修習生に対して、直接こちらのほうで答えるというようなことはいままでやったことはないたてまえになっております。
○松本(善)委員 私はたいへん最高裁もぎこちないと思うのです。私がさっき質問したようなことにすらすらとお答えになりましたけれども、それがもしすぐに質問に対して答えられるというようなことが起これば、おそらく最高裁に修習生が行くこともなかったでありましょう。あるいはそのときに何人かの代表がすぐ行けば、司法研修所長を通じて答えようとかいうことで、いろいろそういうような問題が起こらなかったと思います。私は、この経過自身が、これはどちらがいいとか悪いとかいうことをこの場ですぐにきめようというふうなつもりで聞いておるわけではありませんが、経過からしてまことにおとなげないやり方じゃないか。内容について、司法修習生がこういうことについて聞きたいということがあればちゃんと答えればいいじゃないか、それをすぐに答えれば問題にもならないはずじゃないか。私はそういう点について、やはり最高裁の裁判官にもなろうという人でしょう、皆さん方からすれば後輩に当たるわけでしょう。もう少し血の通った指導というものがなされてしかるべきではないかと思いますが、そういう点については最高裁は少しも御反省にならないのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その際、三十数名の者に対して、そういう事柄については司法研修所長を通じてお申し出なさい、所長さんからこちらのほうにお話があれば、これは必要があれば十分お答えもする事柄ですからということを繰り返し繰り返し説得したそうでございますけれども、全然それについては耳をかさない。どうしても人事局長なり事務総長に会わせろという一点ばりであったそうでありまして、何とも私どものほうといたしましてはそれに応ずることはできないというような状況であったわけでございます。
○松本(善)委員 私の聞いているのとどうも多少違うし、かりにそうであっても、会って事の筋をお話しになれば事が済むのではないか、そういう程度の信頼もなければ、私は修習生の指導というのはできないじゃないかというふうに思うのですけれども、これは押し問答になろうかと思いますのでこの程度でやめますけれども、やはりそういうことが起こらないように、起こって、いや修習生のほうが悪かったというのは決して最高裁としてみっともいい話ではないと思うのですよ。そういうことのないように反省をしていく、それがおとなのやり方じゃないかと私は思いますけれども、これは要望して、その程度にしたいと思います。 それから、昨年の十一月ごろには、最高裁の局付判事補の青法協の会員が最高裁から強く退会を勧告されたということがいわれておりますけれども、これは事実でございましょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 勧告したというようなことは全くございません。
○松本(善)委員 そうすると、先ほど来からの御答弁によれば、当然のことであろうと思いますが、青年法律家協会の会員であるということと裁判官であるということが矛盾をするという考えで最高裁がやっておるということはないと、こういうふうに伺っていいのですね。
○矢崎最高裁判所長官代理者 先ほどお話がありました、最高裁におります裁判官が脱会したということについては、裁判官同士で十分に論議を尽くした上で、そこにいるのが妥当でないというように考えて脱会したように私は聞いておるわけでございます。
○松本(善)委員 私がお聞きしておるのは、最高裁の方針として、青年法律家協会の会員であることとそれから裁判官であるということとは矛盾するんだという立場で司法行政上やっておるということではないというふうに伺っていいかということです。端的にお答え願いたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これはそのケース・バイ・ケースによるものではなかろうかというように考えるわけでございます。
○松本(善)委員 それは裁判官の自由ということではないのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官であっても、政治的に活動をするということになればこれはやはり好ましくない、これは当然のことであろうと存ずるわけでございます。したがいまして、それはそういう事柄についてのケース・バイ・ケースという問題だろうと存じます。
○松本(善)委員 それは裁判官としてふさわしくない行動とかいうものがケースによってあり得る、これは一般的に、青法協とは無関係に、そういう場合がいろいろ論議されたことは当然のことです。しかし、私が聞いておるのは、青年法律家協会という団体に入るということ、それが現状では任官の対象にはならぬということを先ほど言われたから、当然のこととしてお聞きしたいのです。その団体に入るということと出るということは、それは全く裁判官の自由意思の問題である、こう伺っていいのかということです。それとは違うということでありますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは裁判官によって、これは非常に困ったことだと思って脱会する者もございましょうし、そうでない者もあるかもしれませんが、この問題につきましてはいろいろ朝日新聞、毎日新聞等が論ぜられているところでございますので、この席上ではこの程度にいたしたいと思います。
○松本(善)委員 論ぜられているけれども、最高裁としてはそれは自由だというふうに考えているのか、それとも方針をもって抜けさせるという方向でやっておるのかということを聞いておるわけです。それは本来、裁判官の自由意思にまかされておるものであるのかどうかということです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そのような方針はございませんけれども、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞に出ている論説は、これはもっともなことだというように私どもは読んでいるわけでございます。
○松本(善)委員 それは人事局長としての発言ですか、それとも矢崎さん個人の意見でございますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 どちらでもけっこうでございます、私はそのように考えております、こういうことを申し上げるわけでございまして、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞というものはやはり国民の世論を反映した声であろうというように私は受けとめているわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、こういうことですか。どちらでもよろしいというのは、人事局長として最高裁の方針として、青法協の会員であるということとそれから裁判官であるということは矛盾をしているというふうに考えているのかどうかという問題になるからお聞きしているわけです。そういうふうに最高裁としては考えてやっておるのかどうかということなんです。私はなぜそれを特にお聞きするかというと、そういうことでありますならば、裁判官の給源というようなことについていろいろ論議されておるけれども、裁判官にそういう自由はないんだということにしていくことが、一体ほんとうに裁判官になろうとしている人たちの気持ちに対してどういう影響を与えるかということにも関係するから聞こうと思っているわけです。最高裁の人事局長としてはっきりいま端的に——もう新聞の論説はいいですよ、端的にお聞きしたいのだけれども、最高裁の方針として青年法律家協会の会員になるということとそれから裁判官であるということとは矛盾するというふうに考えているのかいないのか。現状考えていないならばいない、考えているならいるというふうにお答えいただきたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それはこういうようにお答えいたしたいと存じます。 朝日新聞、毎日新聞、東京新聞等の社説において取り上げられたいわゆる国民の声というものをどういうように受けとめるかはそれぞれ各裁判官の自由である、こういうようにお答えいたしておきます。
○松本(善)委員 いま私は、裁判所に働くいわゆる一般職員の労働条件の問題とそれから裁判官の思想、信条の自由、それと裁判官の給源というようなことに関して論じてお聞きしたわけですが、これの意図するところは、先ほど来の質問の中でも申しましたように、裁判所のあり方の問題、そこでの労働条件のあり方の問題、裁判官のあり方の問題を根本的にやはり考えてほしい、最高裁自身も考えなければならないというところに意があるわけであります。戦後の裁判をいろいろ見ましても、たとえば松川事件でもいろいろな誤判がありました。あるいは八海事件でもありました。青梅事件でもありました。そういうようなことも裁判官の給源との関係で問題が起こってきていると私は思います。そういう裁判所の職員の問題でありますとか裁判官の給源の問題であるとかというのは、単なる技術上の問題ではなくて、やはり裁判所のあり方の問題として深く考えていくということが、わが国司法の今後の発展のためにきわめて重要なことではないかというふうに考えるわけでありますが、事務総長の御見解を伺いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 申すまでもなく、裁判所はいかなる時世においても厳世中立の立場をとっていく、姿勢を正していく、この一語に尽きると思います。
○松本(善)委員 次官にお聞きしたいのですけれども、この問題については毎年二重予算の問題も含めて論議をされております。本来ならば大臣にもお聞きをしたいわけでありますけれども、この最高裁の予算要求の問題でありますとか職員の労働条件の問題、それから人数、人員の問題ということは、先ほども私ずっと申し上げましたように、わが国司法に対する信頼の問題に関係をするものだと思うのです。いままで毎回附帯決議をつけたり何かしていろいろ言っておりますけれども、いままでのやり方と今回少しも変わっていないと私は思います。百八十名の増員ということでありますけれども、先ほど申しましたように、百名という警備員を含めて百八十名です。実際上は八十名なんです。これはいままでの例からするならば私は非常に少ないと思う。むしろ後退をしておる。これでは、決してこの問題を真剣に考えているというふうには思えないのではないか。前法務大臣については、附帯決議があるということも御存じなかったということでこの委員会で問題にしたことがありますけれども、この問題については政府のほうでも真剣に考えなければならない問題ではないかというふうに思いますけれども、次官の御意見を伺いたいと思います。
○大竹政府委員 私もずっとこの法務委員会に出ておりまして、今度は立場が違うわけでありますけれども、毎年このことは問題になっておるわけでありまして、この点は非常に遺憾だと思います。ただ法務省、最高裁だけでなく政府全体として、要求と実施との間に非常な食い違いがあるということが予算全体としてもまた言えると思うのでありますが、やはりこういうことはもう少し何といいますか、ぎりぎりのところで要求もし決定もするということにしていかなければ、りっぱな予算というものは組めないのではないか。ことに裁判所というものは、お説のように特別な立場にあるということも十分に考えて、予算編成その他においては考慮していかなければならない、こう思っております。
○松本(善)委員 終わります。
○小澤(太)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○小澤(太)委員長代理 それじゃ速記を始めてください。 岡沢完治君。
○岡沢委員 最初に最高裁のほうに、この三月十二日、十三日、俗にいわれる公害担当裁判官会同というのがなされたことを新聞等で承知しているわけでございますが、この会同のときに出た意見の中で、特に今後の裁判上あるいは法制上参考になると思われるようなものを、簡単でけっこうですが御報告を願います。
○矢口最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの会同は、今月の十二、十三日の二日にわたって行なったわけでございます。問題になりました大きな点は二点ございます。 まず第一点は、公害の原因とその公害によって生じたもろもろの結果があるわけでございます。その結果の間のいわゆる因果関係の問題をどのように訴訟手続上認定していくかという問題であります。 それと関連いたしまして、必然的にその因果関係が認められるとしても、そういった原因から——いわゆるその原因を起こすものは一般的には企業者ということに相なるわけだと存じますが、その企業者のどのような過失によってその原因があり、その原因によってどのような結果が生じたか、いわゆる過失の問題の認定でございます。 因果関係の認定の問題と、過失の認定の問題をどのように訴訟手続の経緯においてとらえていくか。これまでの不法行為論からまいりますと、被害を受けたとして請求をいたします原告の側におきまして、厳格な過失の主張をし、厳格な過失の立証をし、かつ因果関係について厳格な主張、立証を行なわなければならないということでございますが、このようになってまいりますと、実際問題として、非常に多数ございます被害者は一般の市民でございますが、専門的な知識も乏しゅうございますし、資力もまた必ずしも十分とはいえないのが実情でございます。したがいまして、いままでの市民法的な原理に立ちます民事訴訟法のやり方をそのまま適用してまいりますと、どうしても原告と被告の間に実質上の平等ということが期し得ない。その期し得ない間隙をどのような訴訟技術をもって埋めていくかということが会同員一同の最大の関心事であったわけでございます。 その次に問題になりましたのが、現実に日々生起しております被害を目の前にいたしまして、とりあえずその原因の発生をとめていくという観点からの差しとめ請求権というものをどのような形で認めていったらいいだろうかということが第二点であったわけでございます。 このまず最初の点につきましては、訴訟の技術の問題になるかとは存じますが、事実の推定という考え方あるいは蓋然性の理論、可能性の理論と申しますか、そういったものを広範囲に取り上げていくととによりまして、一般的にこういうことからこういうふうになったと思われるような事実関係が大体わかるならば、逆におれのほうはその結果に対して原因を与えていないんだということを加害者側に立証させること。加害者側がそのような立証ができないならば、むしろ最初の蓋然性そのものによって十分の立証がある、このように考えていったらどうか。過失の点も同様でございます。そういうふうな考え方を取り入れることによって、当事者双方の実質上の対等を期していきたいということでございます。 それから差しとめの問題は、これは現在有害な煙を出しておる煙突がかりにあるといたします。その煙突から煙を出すなということは、これまでの訴訟理論によっても当然可能であるように考えております。しかし、さらにもとへさかのぼりまして、その煙突をこわしてしまえ、あるいはその煙突から煙を出しておるもとの機械を撤去してしまえ、あるいはさらに別の観点から、煙突から煙を出してもいいけれども、有害な煙を出さないような設備をそこにつけていってはどうかというような、いわゆる差しとめといいますと一般的に消極的なものでございますけれども、これを一歩進めまして、積極的に、ある行為をしろというふうな差しとめができるかどうかということが問題になりました。この点につきましては、ある程度現行法でもできるのではないだろうかというようなことと、それから終局的には、これを満足させるためには新しい立法が必要ではないだろうかという考え方と、双方とも相譲らない二つの意見が出てきたわけでございます。そういう点につきましては、今後もう少し事件を重ねてまいりませんと、いずれの問題も明確な答えを出し得ないというのが会同員一般の考え方でございまして、もしそういうふうな一つの方向が出てくるならば、それはそれで立法措置なり何なりをまたあらためて検討することにしたらどうかというふうなことで会同を終わった次第でございます。
○岡沢委員 いまの第一点の問題は、私の解釈が誤りでなければ、挙証責任の転換の問題だと思うのでございますけれども、これはそのときの意見でもけっこうですし、最高裁の御見解でもけっこうなんですが、現行法を変えなくても解釈でまかなえるという御趣旨かどうかということが一点。 それから、第二点の差しとめ請求の問題、これはいまのお答えでも、現行法でやっていけるという意見と、やはり新しい法が必要だという意見があったということはよくわかりますが、またかなり大きな法律的な課題でもございますから、慎重にお取り計らいいただくということもわかりますけれども、一方で公害は現実の問題として全国で毎日起こっており、被害者が健康あるいは生命を害されているわけでございますから、やはりかなり喫緊な解決を求められている問題だと思いますし、また現に裁判所の判断も、もう訴訟にもなっているケースも少なくございませんし、現実にもう回答を出さなければいけない問題だと思うのでございますが、その辺について重ねてお尋ねいたします。
○矢口最高裁判所長官代理者 最初の立証責任、主張責任の問題は、実際問題といたしましては、事実の認定を、どのような限度でそういう事実ありと認定するかといういわゆる事実認定の問題で相当数片がつくのではないかと考えております。その場合に、先ほど申し上げましたように、一応の推定ということで立証ありとし、あるいはそれに加えますのに、このごろよく利用されておりますいわゆる疫学的方法と申しますか、大量観察的な方法、そういったものをこれに導入することによりまして、なお事実の認定が容易になるということで、ある程度できるのではないかと思っております。差しとめ請求は先ほど申し上げたとおりでございます。 ところで、理屈、解釈の態度等はそのようでございますけれども、実際の訴訟は現に係属しておりまして、一刻も早く正当な権利を有する被害者の救済は行なわなければならない現状でございます。で、専門的知識あるいはそれに対する準備等は十分必要でございますが、現段階におきましては、私どもはできるだけ専門家の方を、個々の事件について、あるいは鑑定人なりあるいは証人なりという形でお願いすることによってそのギャップを埋めていきたい、そのように考えているわけであります。
○岡沢委員 いま最後に御答弁になられましたことをちょっとお聞きしたかったわけですが、新聞等によりますと、この会同で、裁判所内に科学のわかる調査官を置くべきだ、専門的な知識のわかる調査官が必要ではないかという御意見が出されたというふうに聞きましたので、その辺について、これは事務総長のほうからもお答えいただけたらありがたいのですけれども、今後予算措置あるいはその必要性についてお考えになっておられるかどうか。 それから、いま鑑定人や証人でまかなうという御意見もございましたが、やはり会同で出た意見の中に、科学的な専門知識を身につけるため、裁判官自身がという意味だと思いますが、試験所や企業で勉強するための費用を用意してほしいというような意見も出たと聞いているわけでございますが、その辺の事実と、それから今後の最高裁としての対処のされ方をお尋ねいたします。
○矢口最高裁判所長官代理者 まず、その会同で意見が出ました問題がございますので私から最初にお答え申し上げますが、何しろ非常に広範囲な事件が起こってまいるわけでございますので、事件が具体的に起こってまいりましたときに、まずその事件に関する専門的な総論的知識というものを裁判官は持たなければならない。そのことのためには、地元の試験所でございますとか、あるいは近くの大学の研究室でございますとか、そういったところへ行って、いわゆるその道の常識的な講義を聞きたいというような希望は非常に熱烈でございます。この点につきましては、私ども、可能な範囲内においてできるだけ今後も予算的措置を講じていくように努力いたしたいと考えておるわけでございます。専門的なそういった調査官的なものを裁判所に常置するという問題になりますと、事件数等が非常にばらばらであるにかかわらず、全体の訴訟事件の数から見ますと非常に少のうございますので、常任的な専門員を置き得るかどうかというところは、一つの問題であるかとは存じておりますが、非常勤でもかまわないから裁判所の側に立って専門知識の補充をしてくれる職員、そういったものは非常に希望したい、これは一般的な会同員の声でもございました。私どもも今後そのような方向で十分努力をしていかなければいけないんじゃないかと考えるわけでございます。
○岡沢委員 いまの専門員と申しますか、専門調査官と申しますか、これは海難事故とか航空事故なんかも往々にして、企業側の方が専門家あるいは有識者ということで参加されて、結果としては因果関係その他がうやむやにされるおそれがあるというふうに聞いておりますが、いまのお答えのように、裁判所側に立って公平な立場から、しかも専門的な科学知識を持った調査官はぜひ必要だと思うのです。いまのお話で、数が少ないという御指摘でございましたけれども、大体公害等が集中的に発生する地区というのは限定されておりますし、また公害の被害者というのは、ある意味では数が少ないかもしれませんけれども、かなり一般化してまいりましたし、国民の生命、身体、特に健康を守るという点から、きわめて大切な裁判の一つにこれからなってくるのではないか。そうしました場合に、数の問題は、結局財政上の税金の問題と結びつくと思いますけれども、こういうところで税金を使うということについては、私は、国民は希望こそすれ、めったにチェックすることはないと思うのでございます。それからまた、予算措置等につきましても、現に裁判官が係属中の事件もあり、これからもこの種の事件は激増することが予想されるだけに、一年先を待つということはできないと思いますが、事務総長か総務局長から、この辺の手当て、今度の四十五年度の予算に計上されているのかどうか、その辺のことをお尋ねします。
○矢口最高裁判所長官代理者 四十五年度の予算におきましても、まず第一に、その専門知識の獲得ということが問題になりますので、いわゆる鑑定等に要する費用といたしまして、私ども千二百八十万円余りを要求いたしたのでございますが、全額これを認めるということで認められておるわけでございます。その他研究会等の費用といたしまして百万円の予算が、これは裁判官が研究をいたす費用でございます。それから専門的な図書の購入費として、一般の図書購入費のほかに同額程度の費用が認められております。
○岡沢委員 この会同では公害の話が中心でございましたが、航空機事故あるいは医療事故あるいは薬品とか食品公害の問題、こういう特殊な裁判についても議論の対象になったわけでございますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 日照権の問題等が公害の中でも比較的大きい問題として取り上げられました。 それから薬品公害の問題は、御承知のサリドマイドの被害の問題と関連いたしまして大きく取り上げられ、製造者の責任をどのように考えていくかという点について相当な議論をいたしたわけでございます。 また、航空機の問題でございますが、これはワルソー条約というのがございまして、ワルソー条約の範囲内で国際的な航空機事故につきましては、被害を六百万円に限定することができるというような条約がございますが、国内にはその条約の適用がございません。したがって、国内の航空機事故の場合に六百万円で限定するという約款をかりにつくったとして、その約款が有効か無効かといったような問題が、これも一つの大きな問題として取り上げられたわけでございます。
○岡沢委員 昼めし抜きでやっていただくので、この点もう一歩突っ込んで聞きたいのだけれども、あと中谷委員も質問をいたしますので、ちょっと急ぎますけれども、いまの公害裁判におきますように、日本の急激な社会、経済の変化に応じて国民として喜ばしい面と、むしろそれが国民の生命、身体、財産、あるいは暮らしを脅かしている面があるわけで、裁判所の機能もいままで考えられなかった新しい分野での活躍が期待されるし、また、その解決の最後のにない手としての責任も加重されてくると思うのでありますが、そういう意味から裁判所に与えられた新しい機能を完全に果たすためには、たとえば公害裁判所、あるいは特許裁判所、あるいは租税裁判所、あるいは海難専門の裁判所——これは全国にばらまいて設置するという意味ではございません。東京に、あるいは全国に二、三カ所というようなことでございますが、必要性が考えられるということも検討すべき時期に私はきているのではないかと思いますが、この辺について最高裁が、とにかく一つの時代の要請にこたえた裁判所というあり方から率直な御意見の御披露を願いたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 岡沢委員の御指摘のように、時代の進展に伴いまして、いろいろ複雑な専門的知識を要する事件が多発してまいることは、先ほど来のお話し合いにも出ているとおりでございます。それ以外にと申しますか、それ以前にすでに交通事件、あるいは商事事件というようなものも非常に専門的になってきているわけでございます。私どもといたしましても、そういうものを対象にして専門的な処理をするということについては、常に監視を怠らないつもりでございまして、御承知の臨時司法制度調査会の意見の中にも数項目それが出ておるわけでございます。 ただ、先ほど来お話のございました調査官の問題等につきましては、実は先般、裁判所の会同をしていただいたわけでございますけれども、日弁連で向こうにいろいろ御異論がございまして、そういう関係で必ずしもそれが十分に伸びていないのが現状でございます。私どもとしては、今後十分話し合って、この制度についても確立をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。 さらに進みまして、独立に裁判所をつくるという問題につきましては、これはドイツにございますような全然別のシステムの裁判所ということは、憲法上問題であろうかと思います。岡沢委員のお話も、もとより最高裁判所のいわばシステムの中にある裁判所としての独立した裁判所であろうと思います。そういたしますと、これはある意味で、現在いろいろ特殊業務としてやっておりますものも、小規模ではございますが、一つの特別裁判所であるわけでございます。その端的な例は、たとえば交通裁判所のようなものは、かなり検察庁も警察も一つの建物の中に入って運営しておる、こういうものも一つの特別裁判所的なものかと思いますが、そういうものをつくりますことは、事件の増加その他と見合いまして、今後研究してまいる課題であろうと思います。さしあたりは、専門部をふやしてまいるというようなことにして対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡沢委員 昨年は大学の封建制を問われました。あるいは国会の封建制、裁判所の封建制、これは否定できないある事実だと思います。日本の場合、経済界が非常に近代化、合理化されて、それが経済成長の大きな原因になっております。逆に政治の世界、労働の世界、あるいは裁判の世界、あるいは大学の世界が、かなり時代の進歩におくれているという感じを持つわけでございますが、その意味からも、いま寺田総務局長がお答えになりましたような、前向きな御検討をぜひいただきたい。われわれも裁判官も法律の専門家ではありましても、新しい時代の数々の科学的な、あるいは専門的な知識を全部持つというようなことは不可能でございます。それだけに、もの足らないところを制度上あるいは運営上補っていくというのは、やはり国民に対する裁判所の一つの義務ではないか、そういう点での新しい予算要求、機構の改革等については、積極的なお取り組みをいただきまして、時代の要請にこたえられないというようなことのないようにしていただきたい。先ほど予算措置について若干の御用意はあるようでございますけれども、どう考えても少な過ぎるような感じがいたしますし、専門員の配置等につきましても、ぜひ前向きに御検討いただきたいし、われわれ国会のほうにおきましても、それについてはおそらく各党異議なく協力できるのではないかと思うわけでございます。 あとで聞きます長期裁判とも結びつくわけでございますが、いまの裁判所の近代化、合理化と結びつけまして、事務の能率化等につきまして、どういうお考えを最高裁のほうでお持ちなのか、コンピューターの採用、能率給の問題、また裁判所の統廃合、将来出されるであろう事物管轄の問題なんかも、やはり一連の合理化、近代化と結びつけて考えられると思いますけれども、その辺についての新しい感覚をここでお聞きいたしたいと思うのです。
○寺田最高裁判所長官代理者 確かに裁判所が従来いろいろな面で近代的な設備を取り入れていなかったということも御指摘のとおりであろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、最高裁判所等では、たとえばエアシューターあるいはマグネットボードでありますとか、幾らか従来の、戦前の裁判所とは違った一つのシステムが出てまいっておるわけでございます。特に行政事務のほうの関係では、複写関係の施設というものが皆さん御承知のとおり、たとえばリソーファックスというような理想的なものができましたし、電子リコピーなども相当広範囲に入っておるわけでございます。そういう点で従来すべて手書きあるいはタイプでやっておりましたものが、かなり近代化されてきておるということはお認めいただけるであろうと思うわけであります。 なお、コンピューターの話が出たわけでありますが、これもたびたび申し上げておりますように、現在も小型のコンピューターが統計集計に当たっておるわけでありますが、これはきわめてまだ未熟な段階でございまして、もう少し本格的にコンピューターを導入したいということで昨年来研究費を計上していただいておるわけでございます。 同時に、これは私どもの当面の一つのテーマとして、速記の反訳ということを考えておるわけでございます。最終の目標はたとえば学説、判例の検索というようなことになろうか思いますが、これはアメリカ等でもなかなか困難のあるところのようでございますので、これは一応最終の目標といたしまして、当面反訳の問題に取り組んでおるわけでございます。これは御承知のように、裁判所の速記が国会の速記あるいはその他の一般の民間の速記のような手書き速記ではございませんで、機械速記である、この点だけ私ども裁判所が一番進んでおると自慢しておるわけであります。幸いにしてそういう機械速記を取り入れておりますので、これがコンピューターにのりやすいわけでございます。すでに若干の企業で研究が進んでおりまして、一応の反訳はできる段階までまいっております。ただ漢字まじり文とか、あるいは同音異義語の扱いとか、そういうところにまだ研究すべき問題がございますので、導入するには若干の期間を要すると思います。しかしながら、これは見通しのついておる問題でございます。 そういうことで、裁判そのものの事実認定と判断という点については、機械化ということはなかなか困難でございますけれども、それの準備段階あるいは資料の段階は、速記その他のまわりを取り巻く問題については、かなりまだ機械化、能率化という面がございまして、その方面の予算も相当に計上していただいておるというのが実情でございます。
○岡沢委員 この問題については一言……。いま速記の話がございましたが、録音テープが、藤原事件をはじめとして活躍しておるわけでございますが、裁判所の書記官が一番負担なのは調書の作成だと思うんです。速記の入る場合もありますけれども、まだだいぶ入っておりません。また記録の正確性からいいましても、録音テープを大いに活用する、そして手続なんかであとで問題になる場合でも、参考にするという問題はいろいろあるにしましても、私は、非常に合理的だし、また能率的に役立つと思うので、ぜひ御検討いただきたいと思います。 次に進みまして、家裁の調査官の増員、今度の法案で御要求になっておるわけでございますが、それに関連いたしまして、道交法の一部改正案がすでに国会に提出されまして、いま参議院で御審議になっておるようでございます。新しく少年にも交通反則金制度を採用するというような趣旨のようでございますが、少年の交通事件について、家裁は現行制度でどんな処置を講じておられるか、お尋ねいたします。
○外山最高裁判所長官代理者 家庭裁判所に道路交通法違反として送られてまいります少年の数は、このところ年々減少しておりますが、それでも昨年度は約六十二万人の少年がまいっております。これらの少年に対する処分結果でございますが、検察官に送られ刑事処分を受ける、あるいは保護処分を受ける者が約一五%ございますが、それ以外は審判不開始、不処分等で事件が終わっております。この審判不開始とか不処分という処置が非常に多いことは、あたかも家庭裁判所がこれらの少年を野放しにしているというような感じを持たれる方があるかと思いますけれども、これは決して家庭裁判所で何らの手を加えず少年を野放しにしているわけではございません。これらの不開始、不処分につきましても、その処分に付される少年の約七〇%ないし八〇%は事実上の保護的措置を家庭裁判所で加えておるわけでございます。このような措置を加えておりながら、不開始、不処分という結果になりますのは、現在の少年法におきまして、保護処分の種類がはなはだ少なく、少年院送致、教護院送致、あるいは保護観察というような種類しかございませんし、それらに当てはまらない少年は、このような事実上の措置をした上で不開始、不処分の結果になるわけでございます。 家庭裁判所としては、そのように交通違反少年に対していろいろ実際上手当てを加えておりますが、まず調査官がそれらの少年について調査をいたしますために、少年ばかりでなくて、保護者あるいは雇い主を呼び出しまして、面接をしまして問題点を明らかにし、保護者や雇い主に必要な指示をする、あるいは少年に対して訓戒を与えるというようなことを行ないます。また必要に応じまして、少年の運転技術や資質については、種々の機械を用いましてテストを行ない、そのテストの結果によって少年自身に自分の運転上の欠陥を自覚させるというような措置をも講じております。さらに少年法第二十五条の試験観察制度を活用いたしまして、必要な場合には少年に講習をいたしております。これは補導委託という形で、たとえば教習所でありますとか、あるいは交通安全協会というようなところで講習をしてもらう場合、あるいは自庁でいたす場合もあります。これはただいま申しました各種の少年の質や程度に応じましていろいろの内容がございまして、技術面で不足している、あるいは順法精神に欠けておる、あるいは法令に無知であるというような、いろいろな場合もございますので、それぞれ重点的に、あるいは全部というような、少年の個性に応じた教育的措置を家庭裁判所で加えております。 以上であります。
○岡沢委員 いまの局長の御答弁だと言うことはないのですけれども、実際は局長自身が、私が質問せぬのにお答えになりましたけれども、やはり審判不開始とか不処分というのは野放しじゃないかという批判が世間にあるのは事実でありますし、またそれだけの理由があろう。その辺がまた保護者あたりが心配されるところでもあるし、一般社会人の心配するところでもあろう。いわゆる保護ではなくて、過保護過ぎて、かえって少年の交通犯罪を累増させたり、また本人たちにも、少年の間は心配ないのだという悪い印象、あるいは感触を与えているのではないか。お答えの中にもありましたけれども、交通安全協会での講習とか、教習所に入所させるとか、ぜひ本人のためにも、社会のためにも、二度とこういう交通事件を起こさないという結果をもたらすような適切な御処分をお願いいたしたいと思うわけでございます。それには交通事件だけではなしに、一般に家庭裁判所の処分の中の審判不開始、不処分については問題があるので、ぜひこの面で制度上あるいは運営上問題点の御検討をいただけたらと思います。 それから、家裁の調査官の調査活動というのは非常にじみなわけでございます。しかし、私は非常に重要だと思うわけでありますが、審判に欠かすことのできない調査を身をもって実行している調査官の活動の実態、簡単でけっこうでございますけれども、また活動に必要な十分な待遇とかあるいはまた予算措置、たとえば交通費その他が十分に用意されているかどうか、その辺をお尋ねいたします。
○外山最高裁判所長官代理者 交通事件に関しましては、まさにただいま御指摘のありましたとおりでございまして、少年に対するこの種の事案の処置というものは、裁判所の内外を問わず、少年の再犯防止、事故の再発防止ということを重点に考えるべきだろうと思います。現在の家庭裁判所も、その目的に沿って努力しておるつもりでございます。先ほどちょっと触れましたように、そういう目的を達するためにも、保護処分の多様化ということを今後検討していく必要があると考えるわけでございます。またこの種の事案につきましても、一般少年事件につきましても、家庭裁判所の調査官が非常な重要な役割りを果たしておる、少年の再犯防止の上で非常な効果をあげていると私は信じておりますが、そのために一そう調査官の量的、質的な充実ということをはかっていきたいと考えております。 それから、少年、家事を問わず、調査官の調査活動に不十分なことはないように、予算措置等も十分考慮いたしております。
○岡沢委員 時間の関係で次に進ましていただきますが、いわゆる長期裁判の問題についてお尋ねしたいと思います。 メーデー事件、八海事件を取り上げるまでもなしに、長期裁判の問題が最近話題を呼びましたし、ここで指摘するまでもなしに、公平な裁判所の迅速な公開裁判というのは、憲法上の要請でもございます。また、最近の新聞報道でもございましたが、せっかく判決をもらったけれども、本人はそのとき死んでおった、個人タクシーの免許に関連した年齢制限の措置についての裁判がございました。長期裁判は憲法違反の疑いがあるだけではなしに、裁判の機能そのものを全くなくしてしまうという場合も考えられるわけでございます。もちろん、全体の数からいたしましたら、長期裁削というのはそう数は多くないということも十分承知いたしておりますし、また外国にもその例なしとしないので、単に日本だけの問題ではないと思いますが、しかし、厳然とした憲法三十七条の要請を法の番人である裁判所が守らないということにつきましては、これは司法全体に対する国民の信頼の関係からいたしましても、やはり放置できない問題ではないかと思うわけであります。 そういう点で、長期裁判の原因、対策等について、時間がございませんので、簡単に、しかし要点をぜひここで御披露いただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの岡沢委員のお話は、非常に重要な問題でございますとともに、民事、刑事に広くわたる問題でございますので、民事局長、刑事局長からお答えすべき事項を多々含んでおりますけれども、時間の関係もあるというお話でございますので、私、要点的に申し上げたいと思います。 一般的に申しまして、訴訟の遅延の問題については、やはり二つの問題を分けて考える必要があろうと考えておるわけでございます。一つは、いまの御指摘のようなメーデー事件あるいは八海事件というような、非常に長期化した裁判に対する対策という問題、もう一つは、大数的に見たいわば平均審理期間というものをもっと短縮できないか、こういう問題であろうと思います。 たとえば私どもの直接の所管というような面から申しますと、後者の平均審理期間をいかにして短くするかということでございまして、これにつきましては、臨時司法制度調査会等でも相当膨大なレポートを出しておるわけでありまして、いろいろその対策がそこに出ておるわけでございます。端的に申し上げますれば、たとえば増員ということでございますし、あるいは能率的な機構の採用ということで、そういう人的、物的な手当てということでございます。 そういうことで、少しずつそのほうにもそういう成果があらわれてまいりまして、一般的な平均審理期間としては、少しずつではございますけれども改善の方向にある、こういうふうに申し上げてよかろうと思います。今後ともこういう努力を一そう続けなければならない、かように考えておるわけでございます。 それからもう一点の、非常に長期化する特殊の事件でございますが、これはあるいはもう少し専門的に刑事局長等から申し上げたほうがいいのかと存じますけれども、たとえばメーデー事件にいたしますれば、裁判所としては専門の裁判官がその事件だけにかかり切って、そして訴訟手続を厳正にやってまいる、それであれだけの期間がかかるわけでございます。そういたしますと、これは人間をふやすとかあるいは建物を建てるとか、あるいは施設をよくするとかいう、そういういわば人的、物的の方法では対処できない問題であります。私は決して直らにその起訴がどうであるとか、あるいは訴訟手続をどうするとかいうことを申し上げるわけではございませんけれども、そういうものについてはまたこれなりにやはり法曹三者が協力して何らかの改善策を考えていくべきではないか。たとえば現在東大裁判でいろいろ研究されておりますことも一つはそのあらわれであろうと思いますが、これまたあまり専門的になりますと、私の所管でございませんのであれでございますけれども、そういういろいろな面から法曹がほんとうに協力して改善につとめていくという方向に行かなければならぬのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。
○岡沢委員 ほんとうは民事局長さん、刑事局長さんからもお聞きしたいわけですが、時間の関係でそれはもう差し控えますが、いま総務局長から法曹三者ということばが出ましたように、私は裁判所だけの責任とはもちろん思いません。また機構の問題、予算の問題、いろいろあろうと思います。特に民事の場合は、当事者の代理人である弁護士のあり方の問題、あるいは刑事の場合は、法曹三者のあり方の問題等とも十分結びつけてくるわけで、ぜひこれは法曹三者で話し合う場を、むしろ裁判所がこの場合リードしていただいて、また弁護士会や法務省当局に対しても、やはり国民の憲法上の権利を守るという立場からも、あまり遠慮なさらないで率直に問題点を披瀝し合われて、国民のために与えられた迅速な裁判を実現するために協力する方向で御勇断をお願いをしておきたい。 長期裁判の被害者というのは、一見すると当事者だけのように思います。刑事の場合も被告人だけのように思いますけれども、担当される裁判官もいまお話しされましたように、十年間も十五年間も一つの事件に取り組むのは、たいへん精神的にも肉体的にも苦労だと思いますし、ある意味では人権侵害だと見られないこともないような気もいたすわけでございます。それからまた、先ほど申しましたように、裁判が長期化すると、裁判所に対する信頼が失われるということは、国民全体が被害者であるわけでもございますし、あるいは憲法秩序が被害者であるともいえますが、そういう点、この問題は何回か取り上げましたけれども、あえてまたここで御質問を申し上げるということは、それだけまだ未解決だということにも通ずるわけなんで、ぜひ善処をお願いいたします。 最後に、最高裁判所の庁舎の新営についてお尋ねをしたいわけでございます。庁舎の新営の計画があることは承知しておるわけでございますが、その進捗状況、予算措置を最初にお尋ねいたします。
○大内最高裁判所長官代理者 最高裁判所の庁舎の新営につきましては、最高裁判所庁舎新営審議会というものが設けられまして、その決定に基づきまして設計を公開で募集する、いわゆる公開コンペで募集するという方式をとりまして、昨年の二月に、その結果最優秀作品が一点きまったわけでございます。 現在の進捗の状況でございますが、その入選者の事務所を中心といたしまして、昨年の暮れまでに基本設計を完了しまして、現在こまかい内部の実施計画などをやっております。工事は来年の春から行なう予定でございまして、来年の春から昭和四十八年、実際の完成式は四十九年三月を目標にしております。三年間の工事という目標にして、現在努力している次第でございます。したがいまして、工事に要する予算の計上は、昭和四十六年度の予算に要求をする、こういう段取りになっております。
○岡沢委員 すでに設計者もきまって、基本設計ができ上がっておるというお話でございますが、ある意味ではこういう問題は専門家にまかすべきであろうという意見もあろうと思います。しかしまた、設計の専門家であっても司法の専門家ではないわけで、私は、この最高裁の庁舎というものは、単に建物と言い切れない重要性を持っておる、わが国の司法の殿堂としての荘厳さも要求されると思いますし、一方では国民に親しまれる裁判ということを考えましても、国民の親しさといいますか、国民から見て裁判所が近寄りがたいものであってはならないという反対の要求もあろうと思います。また一方で、先ほど来問題にさせていただきましたような裁判所の機能の多様化、近代化、合理化、事務的な処理能力というようなことを考えました場合、私は最高裁の事務は量的にも質的にも非常に多様化し、また近代化が要求され、能率化が要求されているといえるわけでございます。裁判上、司法行政上の機能を最高裁が最も効果的に発揮できるような要請もあるわけでございます。数えればまだ三つ、四つあろうと思います。 しかし、たくさんの要求をのまなければならない建物、単に一つの物質的な建物と言い切れないものがあるという感じがいたします。しかもそれらにはある意味では対立的な要求、荘厳性と親しさというむずかしい要求でございますが、その辺やはり最終的には専門家にまかすとしても、司法的な感覚からの御要請があってしかるべきではないか、配慮があってしかるべきではないか。その辺の配慮をなされているかどうか、お尋ねいたします。
○大内最高裁判所長官代理者 ただいまいろいろ御指摘をいただきましたが、全く御意見のとおりでございまして、私どもといたしましても、最高裁判所の庁舎は現代における最も重要な記念建築物であると考えております。その新営はこれまた非常に大きな国家的な事業である、かように考えております。そうした観点からいたしまして、私どもといたしましてはその規模、様式、それから室内意匠、それからただいまお話にございましたそこに出入りをされる訴訟関係人、その他一般国民の方々の立場、そういった点を全部総合いたしまして、できるだけりっぱな、現代の建築水準の最高をいく建物を建築したいと実は考えておるわけでございます。 その具体的な方法でございますが、現在、先ほど申しましたように、設計をこまかく詰めている段階でございますが、建設省と設計者と最高裁判所と三者定期的に会合いたしまして、具体的な検討をいたしておるわけでございます。最高裁判所の特殊のユーザーとしての立場といった点をそうした会合を通じまして十分に強調、力説しておりまして、ただいまの御意見のように、最高裁判所として非常にりっぱであり、かつ国民からも親しまれる建物をぜひ実現いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○岡沢委員 御配慮のほどはわかりましたが、やはり司法の殿堂というのは、イギリスをはじめわが国よりも先輩の国があるわけで、各国のいい例を学ばれるということは私は必要だと思います。またもちろん、日本の特殊性に応じた日本的なものでなければいけませんが、そういう意味で外国の最高裁判所あるいはそれに類するものの庁舎等の調査をなさったかどうか、あるいはまた、なさったとすればどういう点を学んでこられたか、簡単でけっこうでございますから、もし参考になるようなことがありましたら御披露いただきたいと思います。
○大内最高裁判所長官代理者 昭和四十年並びに昭和四十一年の二回にわたりまして、最高裁判所の経理局関係者、あるいは先ほど申しました最高裁判所庁舎新営審議会の委員の方々、そうした方々が欧米に出張いたしまして、つぶさにその実情を検討してまいったわけでございます。その収集した資料等も現在いろいろ残っておりまして、それらを中心といたしまして、私どもといたしましてはたいへんに学ぶところが多いわけでございまして、そうした海外の状況等を十分にしんしゃくしつつ事柄を今後とも進めてまいりたい、かように考えております。
○岡沢委員 これで終わりますけれども、いまの最高裁の建物はなかなか味のあるもので、捨てがたいものがあるような気がするのです。これの処分というか利用方法等をお尋ねして質問を終わります。
○大内最高裁判所長官代理者 現在の最高裁判所の建物は、明治二十九年にできましたこれまた非常に歴史的な建築物でございます。私どもといたしましても、長い間、七十年余にわたりましてこれを使用してまいりましたので、この建物に対する愛惜の情は格別深いものがあるわけでございます。ただこの建物は、戦時中に一たん戦災にあいまして、中がすっかり焼けてしまったという状況であります。実は建物は構造的にもいろいろ危険な状態になっておるような現状でございますので、最高裁判所が完成しましたあとでさらにそうした事情を十分に検討いたしまして、どのようにいたすかということを最終的に決定をいたしたい、現在のところはまだ確定いたしておりません。
○岡沢委員 終わります。
○小澤(太)委員長代理 中谷鉄也君。
○中谷委員 三十分程度御質問いたしたいと思います。 岡沢委員のほうから質問がございましたと同じような趣旨の質問になりますが、公害、農薬事故、それに近代科学の発達に伴う種々の紛争、そういうようなものが今後とも傾向としては続発してくることが予想されます。そういうような中で、先ほど御答弁の中では、それに対応するために専門部等を設けるといろ点についてのお話がありましたし、また、これらの研究の体制をおつくりになるということでありますけれども、たとえば航空機事故等についての最も専門的な、私よくわかりませんけれども、電子工学であるとかあるいはエンジンに関するきわめて専門的な知識というふうなものを裁判官に要求するわけにはいかないだろうと思うのです。かりに裁判の中においてそういうふうな専門家の鑑定をお求めになったとしても、そういうふうな鑑定を理解できる基礎的な知識ということになれば、物理とか化学とか機械工学の初歩的なもの、工学部の出身の方にとってはきわめて基礎的なものだと思うのですけれども、裁判官全体がそういう知識を持っているとは思えないわけなんです。 そういうような中で、そういうふうな事故あるいは紛争が続発するということで、物理だとか化学だとか、要するに専門家の鑑定を理解できる最も初歩的な能力といいますか、とにかく裁判官がそういうようなものを身につけられるための体制といいますか、そういうことについての措置というものは一体どういうことになるのでしょうか。これは弁護士あるいはまた検察官、それぞれそういうことについて時代の要請にこたえての努力を私は要求されていると思うのですけれども、率直に申しまして、もう四十を過ぎたような法律家に、いまさら物理や化学の勉強をしろといっても少し歯が立たないのじゃないか。しかし、そういう事件があれば、裁判所はどうしてもその事件を審理しなければならない。正しい結論を出さなければならない。のがれるわけにいかないわけなんですけれども、これらの点について、はなはだ素朴な疑問を提起いたしますが、お答えをいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの中谷委員のお話しの点は、素朴とおっしゃいましたけれども、実は非常に重要でかつデリケートな問題であると考えておるわけでございます。私どもとしても常時その点非常に関心を持っておるわけでございますが、結局ある程度は裁判官も時代とともに歩くべきであるし、歩いておる。きわめて端的なことを申し上げますと、実は私どものゼネレーションでは、自動車を運転できる者は必ずしも多くない。むしろ裁判官の中においては例外的でございます。ところが、いまの判事補なり判事の若い諸君は、大部分と申しては言い過ぎかもしれませんが、相当程度に運転技術を心得ておられる。私なんかにとりましては、すでに自動車事故でも、いま中谷委員のお話しになったような面を持たないわけでもないところがあるわけでございますが、若い諸君にとっては自動車事故というようなものはむしろ非常にファミリーなものとお感じになる。そういうようなことで、世の中が進み、学校教育が進むにつれて、自然に若い諸君が科学的な知識を身につけておるという面が一方ではあると思います。しかし、そうは申しましても、いまおあげになりました航空機事故その他というときに、それについて直ちに理解できる能力を期待するということは、これは不可能であると思います。また同時に、そういう事件の発生の度合いもきわめてわずかであるわけでございます。そういうことのために、たとえば特殊な裁判官を養成しておくというわけにもなかなかまいらないと思うわけでございます。そういうところの調和をとりまして、ひとつ考えられましたのが調査官の制度であろうと思います。 ただ、これにつきましては、ともすれば調査官裁判になるという一つの批判があるわけでございます。先般来いろいろ問題にもなっておりますけれども、私どもある程度自信を持ちますのは、例の特許事件の処理でございます。特許事件につきましては、たとえば私どもなどは判決を見ただけでも非常にわかりにくいわけでございますけれども、しかしながら、先ほど来、中年以上の者というようなお話がございましたけれども、東京高等裁判所の裁判長なり民事陪席クラスは大体五十を過ぎた方でございますけれども、そういう方が特許部に行かれて、調査官のいろいろなサゼスチョンを受けながら事件に取り組まれますと、大体数カ月なり少なくとも一年くらいたちますと、かなり事件を十分にこなしておられる。決してそれは調査官に引きずられてもいないし、そうかといってそういういろいろな場合をどういうふうにしてマスターしたかと思うのですが、やはり自然にマスターしていっておられるわけでございます。そういうことからいたしますと、これと飛行機等の非常に高度のものとでは、相当にまだ幅があるわけでありますけれども、その間に若い諸君の、比較的科学的知識の豊富な方がだんだん育っていくということといろいろにらみ合わせますならば、調査官制度等もかりながら何とかして処理してまいる、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし、ある程度のことはやはり全体の裁判官としても知る必要があるということで、先ほど来問題になりました会同とかあるいは研修というようなことも逐次いたしておる、こういうのが大体現状でございます。
○中谷委員 農薬事故だとかそれからきわめて複雑な交通事故、それからその他の近代科学の発展に伴う紛争というようなもの、たとえば——そういうことは期待をいたしませんけれども、セスナ機が東京の上空から東京地方裁判所管内に落ちるなんというのは保証はないわけなんで、奈良で落ちる、和歌山で落ちる。専門部を設けるとおっしゃいますけれども、中都市の裁判所でございますね、そういうところの専門部——特許部の話はよくわかりましたし、ずいぶん御勉強いただいておることも存じておりますけれども、こういうような点については一体どういうことになるのでしょうか。 それから時間もありませんし、詳細な質問が同僚委員からもありました。私のほうでは畑委員も最初にお尋ねしておりますので、簡単にしておきますが、やはり率直な、弁護士としての感想といいますか、感じを述べさしていただきますと、非常に詳細な判決をお書きいただくのですけれども、高等裁判所で交通事故の刑事等の裁判で判決を受けた場合、弁護人の主張が通らないときの感じなのですが、はたして高裁の裁判長は自動車免許を持っているのだろうか、こういう感じはいつもするわけです。そういうような点について、私、実はその点をきょうお尋ねしようと思っていたのですが、こんなことは統計にも何にもあらわれてこないのでしょうが、念のために裁判官で運転免許をお持ちになっておる方は大体どのくらいおるのでしょうか。こんなことは統計にもあらわれていないことなんですが、これをひとつお聞きしてみようと思って、きょうの質問の中で用意してきたといいますか、お聞きしてみたいことの一つだったのです。ただ裁判官のお気持ちの中には、事故を起こして新聞ざたになったらたいへんだ、とにかく神戸でもずいぶん気の毒な裁判官がおられて、あのとき裁判官というのはずいぶんきびしいものだな、出処進退ということについては非常にりっぱだったと、私は特にそういうことも感じました。私たちと期の近い人でありましたので、そういうことを感じましたけれども、最高裁判所としても裁判官が自動車免許をおとりになって事故を起されたらたまったものじゃない、そういうことについて憶病な気持ちもかなりお持ちになっている方が多いんじゃないか。 いろいろなことをごたごたとお尋ねいたしましたけれども、もう一度お尋ねいたします。物理だとか化学だとか、要するに鑑定人裁判になるんじゃないか、調査官裁判になるんじゃないかというようなことについて、一体どこの段階でこういったことについて——要するに高等学校を卒業してすぐ大学へ入って法律の勉強を始める。研修所もそういうような科目についてはそんなに教えられるわけじゃない。だからあとは高等学校のときに習った物理と化学の知識で、まあ法律家の中にはむしろそういうことについて不得手な人が多いようなんですけれども、そういうことだけでは鑑定を理解できる程度の知識もなかなか持ちにくいのではないかと思う。ひとつそういうことについてもあらためてもう一度お答えをいただけませんか。 〔小澤(太)委員長代理退席、委員長着席〕
○寺田最高裁判所長官代理者 まず運転免許の問題でございますが、これは調べればわかると思います。ただ手持らいたしておりません。しかし、若い判事補の諸君は相当持っておるんじゃないかと思います。ただお話しのとおり、免許を持っておりましても実際に運転することにややちゅうちょしておるという向きは、確かにあると思います。これは裁判官の職務柄、いかに慎重を期しても急に起こる事故ということは防げない。その場合にやはり裁判官としていろいろ批判を受けるんではないかという気持ちがあります。ただわれわれのほうの部内で出しております雑誌などでもかなりそういう議論が出て、大いにそういう問題を勉強してやろうという向きもあるようでございます。 それから、特許その他の問題でございますが、実は私自身特許事件をあまり担当したことがございませんので、そういう意味では自信を持って申し上げられませんが、私のきわめて親密な友人が東京高等裁判所で特許部を担当しておるわけでございます。それは相当な年配の方でございますけれども、いろいろ伺ってみますと、やはり結局は特許事件も法律問題である。むろんその前提に事実認定の問題その他があり、そこに科学知識が要るわけでありますけれども、しかし、最終的にやはり法律家の判断を示すについては、別に科学知識の不足というものはそれほど妨げにならないというふうに聞いておるわけでございます。それはやはり調査官の力をかりあるいは鑑定人の鑑定を熟読いたしますと、われわれの初歩的な科学知識でも逐次にそれが向上していく。しかもそれが現在はある程度長期に担当いたしておりますので、相当長期に担当しました裁判官のごときはむしろ逆に特許庁を指導できるぐらいの能力を備えておられる方もあるくらいであります。そういう意味でそう悲観的な面ばかりではないと考えております。 ただ、高等裁判所の交通事故の判決の批判もございましたが、これは私自身、先ほど自動車事故といえどもすでに私どもにとっては高度なものだということを申したすぐあとでそういうようにおっしゃられて、私がおしかりを受けたような感じがいたしますが、今後とも大いに努力をいたしたい、かように考えております。
○中谷委員 もう一度お尋ねしますけれども、要するに公害に関する裁判だとか、それから農薬事故に関する裁判、そういうものが係属をしたら、その担当裁判官というのは、この事件は不得手だから自分はいやだというわけにいかないわけでございますね。そういうふうに裁判はきびしいと思うのですが、たとえば農薬関係の書籍、資料、ときにはそういうものについて原書に当たらなければならない場合もあると思うのですが、こういう事件を担当してみて農薬関係の書物というようなことになってまいりますと、これは裁判官個人の負担ということになるわけなんでしょうか。たとえば、裁判官の部屋にお伺いいたしましても、最近何か図書室の充実ということで刑法とか民法、商法の関係の本はかなり並んでおりますけれども、そういうふうな公害の科学的な書物なんというものはあまり拝見いたしておりません。これはそうすると、裁判をとにかく公正かつ真実発見に努力しなければいかぬということで、職務に忠実だということになれば、十万円も二十万円も本を買わなければいけないということになって、これは裁判官個人の負担でそういうものの研修をしなければならない、裁判の準備をしなければならないということではたいへんなことだと思うのですが、こういう点については、そういう難件といいますか、そういう事件が係属したときの特別な予算措置というものは何かあるのでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 この点は、率直に申し上げて、数年前までは必ずしも十分でなかった面があったと思います。ただ御承知の、例の裁判官研究庁費というものが予算上計上されまして、これでいまお話しの民法とか刑法とかいうものが全般的に各裁判官室に非常に行き渡った。こういうことと並行いたしまして、特殊部については特殊の図書をそろえるという方向が実現しつつあるわけでございます。その点は特に東京のような大きな裁判所ではその点が非常に進んでまいっておるわけでございます。ただ中谷委員のお近くの大阪の裁判所は、いまのところ非常にまずいわけでございますが、改築いたしますれば、東京と同様の状態になると思います。それからその他の中小の裁判所につきましては、平素からそういうものを絶えず準備しておくということはきわめて困難であると思います。そこで、いまお話しのように、そういう事件が起こりましたときに、私どものほうに十分連絡をとっていただいて、予算的にもいろいろそういうものが認められておりますので、それを回しまして、そうしてその裁判所について十分な手当てをする。それからきわめて特殊な、たとえば外国の図書等につきましては、最高裁の図書館に相当備わっておるわけでございます。こういうものを、いま複写機その他がかなり進んでおりますので、そういう方法で現地に御連絡する。こういうことも逐次進めつつあるような実情でございまして、今後そういう点について一そう前向きで努力しなければならない、かように考えておるわけでございます。
○中谷委員 これは教えていただきたいと思いますが、そういう最高裁の図書室あるいは東京地方裁判所の図書室の図書のリストというようなものは、各中小の地方都市の裁判所のほうへも完全に配られているわけでございますね。
○寺田最高裁判所長官代理者 最高裁判所の図書につきましては、常時各裁判所にリストを配付いたしておるわけでございます。
○中谷委員 それから、岡沢委員の質問と重なるんですけれども、本格的にコンピューターを導入をしたいということですけれども、これのいわゆる予算的な規模ですね。それから計画、いつまでにというふうなことについては相当な予算を必要とするだろうと思いますが、そういうことについてひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。 それから、コンピューターはできたけれども、コンピューターを操作する優秀な人というのは、もう民間企業のほうではひっこ抜きの状態でございまして、これはすでに御承知だと思いますが、そういうふうなもののいわゆる給源については確保できるような見通しがあるのかどうか。たとえば、そういう人も公務員としてであれば、とにかくそういうことの給与になるのでしょうが、民間は相当高額でこれらの人たちをひっこ抜いている。需要と供給とのバランスがとれていないというふうなことでございますが、このあたりについてのめどはどうなっているか、お答えいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの件は全くお話しのとおりでございまして、実は私どもがコンピューター導入を計画いたしまして、しかも予算的措置がそう大きな金額ではないということで、いろいろ御批判を受けるわけでございますが、それはもっぱらいまのお話の技術者養成と申しますか、技術者と申しましても、純粋の科学者というよりは、むしろ科学者とわれわれ法律家との間を取り次ぐ中間の技術者でございますが、これの養成に若干のひまがかかるのじゃないかというところが一つの問題点であったわけでございます。 それからもう一つの問題点は、スペースの問題があるわけでございます。そういうことで、結局私どもといたしましては、一応最高裁判所が新営いたします時期、先ほど経理局長から御説明申し上げました、その最高裁判所の新営が完成いたします場合には、庁舎のスペースその他におきましても相当なゆとりができますので、その時期あたりを目途といたしまして、そしてその間に、実は昨年からコンピューターの導入準備会というものを設けまして、各局から裁判官なり事務官なりに参加してもらいまして、あるいは通信研修でございますとかその他の講義も受けさせまして、プログラマー、オペレーターというものの養成にかかっておるわけでございます。ちょうど導入いたします時期までには相当な要員が確保できる、かような目途でいま進めておるのが実情でございます。
○中谷委員 それで、その時期と予算規模、それは大体どういうふうな計画になっておるのかを御答弁いただけませんか。
○寺田最高裁判所長官代理者 時期の点は大体四十八年度か九年度ぐらいにということを目途としておるわけでございます。 その規模の点につきましては、これは現在の小型と違いまして、大型あるいは中型、できれば大型のものを考えておるわけでございます。
○中谷委員 どの程度の予算でしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 金額の点は、実はいまコンピューターは日進月歩でございますので、最新式のものを導入したい、こういう考えでございます。
○中谷委員 それから、これは実態についての配慮をしていただきたい点なんですけれども、家庭裁判所の調査官の方というのは、机の上だけの仕事じゃどうにもならなくて、ずいぶん少年の家庭へ出向いたりそういういろいろな努力をしておられる。ところが、裁判所に配置されておる自動車は、どうも所長だとか上席の裁判官が使うようなことであって、調査官が裁判所に配置されている自動車をどんどん使っているようには私はあまり見受けないのです。だから電車に乗ったりバスに乗ったり、そういうようなかっこうでとにかく調査をしている。非常に熱心に、暑い夏のときなんか汗みどろになって調査をしておられることに、私はとにかくそれについてははなはだ敬服をするのですけれども、反面その能率のあがらないこと、これはおびただしいわけなんです。そういう点でいえば、むしろ家庭裁判所調査官専用の自動車が裁判所にあっていいのではないか。とにかくそれも現にある、どちらかといえば中型、大型のいかめしいああいう自動車というのじゃなしに、小型でもいいと私は思うのですが、そういうようなことについてはひとつお考えになりませんか。
○寺田最高裁判所長官代理者 私ども下級裁判所に配付しております自動車が、所長専用とは毛頭考えておらないわけでございます。これはたとえば民刑の検証等には十分利用すべきであり、また利用しておると考えておるわけであります。同時に、家庭裁判所等におきまして、余裕があります限り調査官等が使用いたしますことは、これも十分必要があろうと思います。ただ大ぜいの調査官に車を配付するということは容易なことではないと思いますけれども、しかしながら、必要に応じて車が使えるようにしむけてまいる、そのための予算的措置を講ずるということは、検討に値することであると考えておりますし、従来ともそういう方面の手当てを進めるような準備と申しますか、もう少し進んで要求と申しますか、いろいろやってはおるわけでございますが、これは今後の問題である、かように考えておるわけでございます。
○中谷委員 大体三十分程度たったようですが、私なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、調査官はことに教育学だとか心理学の専門家の方が多い。少年審判の付添人で出ていった場合、むしろ裁判官の方のほうが、そういう点についてずいぶん知識については低いし、調査官の意見に非常に傾聴に値するものがある、こういう感じをしばしば受けるわけでございまして、そういう点からいって、調査官の待遇の改善、それから地位の向上というようなことについては配慮さるべきだと私は思っております。たとえば少年の補導について民間の施設に委託をする処置というものがとられる場合がありますね。こういうようなことも、労務者不足のおりから、とにかく裁判所に対してはいかにも自分のところは委託を受けます、その少年を善導しますというようなかっこうで委託を受けた、ところが実際はほんとうにただ労務者不足の対策として委託を受けたようなかっこうで、補導等についての積極的な努力をあまりしない。要するに少年にとっては決してしあわせでなかった、家庭裁判所としてもそのことについてははなはだ意外であったというようなことも聞かないではないわけなんです。 こういうような点についても、調査官の機動性のある調査手段と能力があれば、かなりそういうふうな苦情を聞かなくなる。あるいは家庭裁判所自体が非常に意外なあるいは不愉快な思いをしなくても済む場合があるのじゃないかと思います。そういうような点についての調査官の調査のしやすいような、自動車というのは全く一つの例でありますけれども、これはぜひともお願いしたいということと、それから民間の施設に少年補導についての委託をするというような場合についても、これは少年のしあわせのための万全の処置をおとりいただくような努力をしていただきたい、こういうことだけ私は申し上げておきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 だいぶ専門的なお話になってまいりましたので、あるいは家庭局長から申し上げたほうがいいかと思いますが、時間の関係もございますので、私から簡単にお答え申し上げたいと思います。 家庭裁判所の調査官を、私ども決して裁判官の単なる補助者とは考えておりません。非常に高度の専門知識を持った専門家であると考えておりますので、その待遇の改善には今後とも努力いたしたいと考えておりますし、なお、その機動的運用についても十分の配慮をいたしたいという考えでございます。
○高橋委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、質疑は終了いたしました。 —————————————
○高橋委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、この法案に反対するものであります。 この増員につきましては、質疑の中で明らかになりましたように、裁判所労働者の増員要求とは全くかけ離れており、裁判所の公正を保障し、そして国民の人権を守るというにはほど遠いものがあります。 この法律につきましては、昭和四十二年に附帯決議ができております。それによりますと、 裁判は国民の権利義務の顕現に関する重大な事柄である。したがって、その迅速適正な処理は、国民の強く要望してやまないところであるが、事実はこれに反しいまなお十分ではない。その主なる原因の一つは、予算の不足に基づく裁判官その他の裁判所職員の定員の不足と裁判所の施設の不備にあると思われる。 よって政府は、すみやかに、裁判所関係職員の増員ならびに施設について必要な予算の増額措置を講じることについて、格段の努力と工夫を行なうことを要望する。こういう附帯決議ができておる。また田中法務大臣は、この附帯決議について、 「ごもっともなことであると存じますので、最善を尽くしまして、これが実現に苦心と努力を払う決意でございます。」こう答えられたのであります。 しかしながら、この法案を見ました場合に、この当時に論議されましたときと何の変わりもない。全くこの附帯決議は空文に化しているというふうにいわなければならないと思います。そういう点につきまして、この附帯決議の趣旨にさえ沿わない実体である、そういう法務省のこの法案を提案する態度について、私どもは支持をすることができないのであります。 また同時に、この問題に対処する裁判所の態度につきましても、毎年毎年指摘をされておりますけれども、財政法できめられております二重予算の権利を行使しない、これは裁判所自身がこの問題についての真剣な取り組みの態度がないということの証明ではないかというふうに考えます。 こういう趣旨で、裁判所、法務省のこの法案を提案する態度を、私たち共産党としては支持をすることができない。増員そのものについて反対ではありませんけれども、司法行政に当たる裁判所並びにこの問題を考える法務省の態度そのものに反対でありますので、あえてこの法案に反対をするものであります。 以上であります。
○高橋委員長 これにて討論を終わりました。 これより採決いたします。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十六分散会