法務委員会 第7号
- 発言数
- 154 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/18
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 法務行政に関する件及び検察行政に関する件の調査のため、本日プロフェッショナルベースボールコミッショナー委員会委員長である宮沢俊義君に参考人として御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○高橋委員長 裁判所の司法行政に伴する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 法務大臣に伺いたいのであります。昨日の予算委員会の第一分科会でもこの問題で法務大臣に伺ったのでありますが、出版妨害問題に関する検察行政、人機擁護行政のあり方について、この委員会でもお聞きしたいと思います。 この問題につきましては、公明党の竹入委員長は、事実無根だということを言われ、その後、矢野書記長の談話でも、妨害はしていないということを言っておられる。そして疑惑を抱かせて御心配をかけたことはまことに遺憾に思うということは言っておられるけれども、公明党の立場では、いままでやったことが悪かったということは一言も言っていないわけであります。したがって、出版妨害の事実が悪いことであるということを明確にいたしませんと、これが二度と繰り返されないという保障は私どもはないというふうに考えておる。当事者でいままでやったことは悪いと言っている人は一人もいないわけです。そういう状態でこのまま過ごすわけにはいかないというふうに考えております。この問題を取り上げますのは、出版妨害問題、そういうものが二度とこの日本で起こらないように、言論の自由が確実に保障されるようにということを願うからでありますので、法務大臣もその趣旨で明確にお答えいただきたいと思いますし、法務省の当局者も、そういう日本の人権の擁護、それから言論の自由を擁護をするという立場から、それぞれの立場でどういう努力をしなければならないかという観点からお答えいただきたいというふうに思うわけであります。 昨日の出版妨害真相究明議員集会におきましても、いろいろな事実が出てまいりました。その中で出たことを若干申し上げてお聞きしたいのでありますが、藤原弘達氏の場合には、黒ワクつきのはがきが来たり、いやがらせの電話があったりということが起こっております。黒ワクつきのはがきは元日に年賀状と一緒に配達されて、その中には、まさしく三流評論家でなくして何であろう、大仏の法則に照らしてその罪免れないであろう、必ず生活に現象が出るだろう、もう君の先は見えているということが書かれておる。それから電話では非常にいろんなことが言われてきているそうであります。たとえば「交通事故に気をつけろ」それから「家から火が出るかもしれぬ」それから奥さんが電話に出ると、「おまえのおやじは創価学会を批判した、学会を批判する者は早く死ぬだろう」というような電話、それから八王子にある創価学会の霊園が荒らされた事件が起こってからは、その質が変わってきたということであります。それは「殺すぞ」「抹殺するぞ」「家を爆砕する」こういうすさまじいものに変わり、警察が録音をするようになったそうであります。まだ警察庁来ておりませんね。——警察が藤原弘達さんのお宅に録音装置をつけるということになりましたあとは、電話をかけては何も言わずにがちゃんと切る、こういう電話が再三かかってくる、こういうことであります。昨日、藤原さんが議員集会に来られる朝にいたしましても、四時と五時の二回にわたって電話がかかってくる。奥さんが受話器をとると、相手はがちゃんと切る。藤原さんのことばによりますと、「きょう議員集会に出るから睡眠不足にしてやろう、こういう戦術ではないかと思う」こういう電話での妨害がずっとやられているということであります。 それから藤原氏が藤原行正都会議員に脅迫電話の話をしたときに、藤原行正都会議員は、公明党の圧力をこんな甘っちょろいものだと思ってたら大間違いだというふうに言われたということであります。それから藤原都会議員、秋谷栄之助創価学会副会長の話の随所に、「もし言うことを聞かないのなら」ということばがよく出たという話であります。 それから日新報道の綿秡氏、これは藤原さんの本を出した書店の社長でありますが、この人が藤原行正都議、秋谷栄之助理事からは、交通事故に気をつけろ、幹部はわかっていても学会員は言うことを聞かない、なだめるのがたいへんだということを言う。それから皆川編集長、これも日新報道の編集長ですが、交通事故に気をつけろということを言われた。 それから「これが創価学会だ」の著者の植村左内氏は、「月夜の晩ばかりではない」「家族全部を奴隷市場に売り飛ばすぞ」「おまえは将来苦しみから抜け切れないほどのばちを受けるぞ」こういう電話もあった。それからある学会の婦人幹部に会ったときに、あなたはまだ生きていたのと言われた。びっくりして聞いてみると、植村氏はまっ黒焦げになって死ぬんだと聞かされていた、こういう話を聞いたというような話もあります。 それから福島泰照氏、これは昨日の分科会でもお話しいたしましたように、西日本新聞の東京支社論説委員で隈部大蔵という人でありますが、この人については最初の「日蓮正宗・創価学会・公明党の破滅」という本を出そうとしていたときに、出版社に正体不明の者から、暴力団を向けるぞという話があった。実際に身辺につきまとうようになって、そこの社長は恐怖症になってしまったということであります。 こういうようなことはもちろんそのときの状況でありますとか、それから相手がわかっていれば相手からも事情を聞かなければ正確にはわかりませんけれども、被害者の訴えだけをとって考えてみましても、これは容易ならないことではないかと思うわけであります。こういうことは一般的にいいますならば、脅迫ということになろうかと思いますけれども、このことについて刑事局長の見解を聞きたいというふうに思います。
○辻政府委員 ただいまお話しの事実関係をもって直ちに脅迫になるかという御質問でございますけれども、私ども仮定といいますか、そのことを全く事実と仮定いたしまして、これは脅迫になるかと言われましても、やはりその事実をよく調べてみないと、この段階で直ちに脅迫になるとかならないとかいうことはお答えしにくいんじゃないかと思うわけでございます。全く法律論として御質問になっておるのかどうか、その点わからないのでございますが……。
○松本(善)委員 それは、もちろん脅迫罪として起訴をするとかいうことになりますれば、ここでの私の話だけでどうこうというわけにいかないと思います。これが捜査の端緒になるとかそういうことであれば、これは重大な問題である。しかし、検察行政の対象になる、少なくも脅迫の疑いがある、そういうようなことは当然にこういう場所でも言うことのできる性質ではないか。もしそれすらも言わないということになりますならば、国会におきまして検察行政を論議をすることはできないと私は思います。そういう程度の、疑いがある、それとも検察行政の対象になる、そういうような観点からのお答えでけっこうであります。
○辻政府委員 御承知のように、検察官も捜査機関の一つでございます。ただ警察と若干性格が違います点は、検察官は犯罪があると思量いたしましても、検察官としては、必要があるというときに検事としての捜査を開始するというように検察庁法の規定になっております。この点は、司法警察職員が犯罪ありと思量するならば捜査を開始しなければならないということになっておるのとは、多少性格が違うわけでございます。したがいまして、検察官の場合には、いろいろな資料から犯罪の嫌疑があり、かつまた相当の資料あり、こう見ました場合に検察官としては、検察官が自分の立場で捜査をする必要があるかどうかということをもう一度判断することになろうかと思うわけでございます。 ただいま松本委員からこの席で、こういう事実があるというお話がございましたが、このお話は、かりに速記録なら速記録をあとで検察庁に送付して、こういうお話があったということを連絡することは、もちろんこれはいたすべきことかとも思いますけれども、検察官はその上で検察官の立場において捜査を開始するかどうかを判断すべきものと考えておるわけでございます。
○松本(善)委員 検察庁のお立場というのはわかりましたが、私がいま申しましたようなことは、法律論といたしまして脅迫罪に該当するおそれがあるかどうか、この点についての御見解を聞きたいと思います。
○辻政府委員 この点は、先ほども申し上げましたように、ただうるさく電話で言ってこられるとか、あるいは電話の中に、月夜の晩ばかりではないぞというお話もあったわけでありますが、これが刑法二百二十二条の脅迫罪になるかどうかは、やはり背後の具体的事情その他も勘案しないと、一がいになるとかならぬとかいうことは論断できないのじゃないかと思うわけでございます。
○松本(善)委員 刑事局長、殺すぞとか家を爆砕するぞとかいう電話をかけてもいいんですかね。そういうことが国会で論議になっても、それが脅迫になるかどうかということも答え切れない。そんなことで一体法務省はいいんだろうか。私、ここの議論を聞いていたら、なるほどそんな程度のことを電話をかけてもそれはかまわぬもんだ、場合によっては脅迫にならぬもんだ、こういうふうに思う人も出ると思いますよ、あなたの答弁によりましては。ここは公式の場ですから、あなたの答弁のいかんによっては、国民はそれを見て、なるほどそうか、その程度のことならよろしいかということになるのです。そういうことになってもかまわぬという性質の電話だろうか、このことについてお答えいただきたい。
○小林国務大臣 いまのようなものは一般的に考えてこれは脅迫ととって差しつかえありません。しかし、これについてはいろいろ証明とか証拠とかあります。しかもだいぶ過去の問題をいまあなたがここで御披露なさっている。われわれはそういうことを何も知っておらない、また通告も受けておらない。だから、そういうことがあったら当然警察にも申し出になるべきであるし、いまごろ御披露されているのも少し私はおかしいと思う。そういうものがあったら直後に当然警察にも調べてもらいあるいは保護を頼むということは、一つの常識としてあたりまえじゃないですか。だから、いまのようなことは現実にあればこれはやはり脅迫だといわざるを得ないと思うのであるが、しかし、脅迫の疑いがあるということになり、それじゃそれを捜査するということになれば、もうだいぶ過去の問題になる。そうしてこれらについてはいろいろな話を総合しなければ判断できない。 ことに、私は申し上げておきたいことは、何か検察がもっと出るべきだと言うが、検察が予断や見込みでもって捜査したら、なおあなた方は大問題になさるのじゃないか、こういうふうに思いまして、私どもとしては、やはり確かな端緒がなければそういうところへ介入すべきでない。それがやはり検察の態度でなければならぬ。まずもって、そういう場合には警察に保護を求めるなり通報されるなりするのが筋じゃないか、かように考えます。 私は重ねて申しますが、検察の行動というものはふだんでもいろいろの批判を受けるのであるから、できるだけ慎重にしなければならぬ。したがって、ただ、こういうことがあるから、あるいはありそうな見込みだなんということで検察が発動ずるということは厳に慎むべきことである、かように考えます。
○松本(善)委員 検察庁がどういうふうに動くかということは、それぞれまた個別のケースによってそれぞれの判断が起こるであろうということは当然のことであろうと思います。 同時に、いま法務大臣、昔のことだと言われましたけれども、昔のことではないのです。その創価学会の霊園が荒らされたというのは一月であります。一月以降、その殺すぞとか爆砕するぞとか、そういうような直接的な言い方に変わってきたということを藤原さんは言われておる。ごく近いことであります。きのうでも、電話がかかってきて、一言も言わないのに、出たらがちゃんと切ってしまうという電話が二回もかかってくるということなんです。決して過去のことではない。現在のごく近いことであるということを法務大臣は認識しておいていただきたいというふうに思うわけであります。 さらに、日新報道のほうをもうちょっとやっておきます。藤原弘達さんの本を出しました日新報道の皆川編集長のことばによりますと、昨年の十一月四日に、藤原弘達氏の著書を印刷していた印刷所に皆川編集長と名乗る男があらわれ、「創価学会を斬る」の九八ページの刷りが悪いということで刷り直しを命ずるという事件が起こりました。九八ページにどういうことが書いてあったかと申しますと、池田会長のことが書いてあったわけです。 ここのところをちょっと読みますと、「この池田大作のカリスマ的性格——カリスマについては、マックス・ウェーバーの、支配の正当性の三類型のなかで、もっとも人間的要素の強いものとしてとりあげられており、宗教の教祖とか、予言者とか、大衆的トップ・リーダーとか、扇動政治家とか、こういうものの持つ非日常的魔術的魅力というものがカリスマという表現で現わされていることは周知の通りてあるが——とでもいえるものを、それなりによく現わしているものとして、一九六七年の総選挙直後の幹部会の模様をみると、一人の出席者は次のように語ってくれている。」こういうことで池田会長への批判がずっと続いている場所であります。 こういうふうに、編集長の名をかたって刷り直しを命ずる、こういうことは偽計を用いて業務を妨害するということになるのではないかと思いますが、刑事局長の見解をお聞きしたいと思います。
○辻政府委員 ただいまの御質問も一つの仮定の事実のようなことになりますので、すべて犯罪が成立するかどうかという点につきましては、やはり具体的な事実関係というものを権限ある捜査機関において調べまして、具体的な証拠との関係でこの成否の問題をお答えすべきが筋じゃないかと思うのでございます。
○松本(善)委員 刑事局長、新任で非常に慎重に失言をしないようにということで答弁をしておるのはわかりますけれども、もしあなたの言うとおりでいきますならば、その捜査当局が一つ一つの事実を調べる、そういう段階に入ったら、大臣の答弁はみな、捜査中であるからこれはお答えできません、こういう答弁が出てくる。いま、かかる前に話をすれば、これは全部事情を知らなければ答弁ができない、こういうことになりますと、法務委員会では法務委員が、各国会議員が、これは犯罪になるのじゃないだろうか、検察なり捜査当局は動き出すべきではないだろうか、こういう問題について論議ができないということになります。それでは、捜査当局としては何の価値もないとこういうふうに私は思う。それのみではなくて、そういう編集長の名をかたって印刷所に出かけていくというようなことも、法務省の刑事局長はいいとも悪いとも言えないのだ、こういう先ほどの議論と同じことになるのですよ。これでは、そういうことであっても悪いとも言えないものか。私は、法務省の検察行政に対する信頼はもう一挙になくなると思います。なるほど公明党をかばっているということはわかる。創価学会をかばっているのじゃないか、こう思う人は出るだろうと思います。しかし厳正に、だれがやろうとも、公明党の議員であろうとそれから創価学会であろうと、だれであろうとも、これは法のもとに平等であります。そして偽計を用いて業務が妨害をされるとか、威力を用いて業務が妨害されるとか、そういう場合には厳正な態度をとるということの態度がここで表明をされなければ、国民は絶対に納得しないと思います。その点につきまして、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 この検察というものは不偏不党ですね。厳正公平でなければならぬということはわかり切ったことでありまして、これがどういう方が関係されようが、われわれのほうにおいては区別はいたしません。したがって、いまここで問題になっているのは創価学会というもの、こういうものをこれについて答弁すればこれをかばっている、こういうことをあなた方言われるかもしれませんが、ほかの問題が出てくればまたほかの関係者についてもかばっていると言われるかもしれません。要するに、私どもはそういうふうな区別の観念は何もなしで、全く不偏不党で、ただ事実をもとにして考えておる、こういう態度であります。
○畑委員 関連。いま松本君とお二人との間の問答を聞いておったのですが、非常に警戒心旺盛過ぎて、それじゃ答弁にならぬですよ。もっと松本君が言われた設例を、証拠その他が整いますれば、設例のとおりといたしますならば、それは脅迫罪になります、あるいは何々の罪になります、こういう答えでいいのじゃないですか。それをばかにいろいろなことを配慮し過ぎて答弁が変なものになる。そうでなくて、設例のとおりでありますならば、そうであります、こう答えたらいいのじゃないか。証拠があるかないか別なんだから、それでいいと思う。そうでないから、もたもた同じことを繰り返している。ひとつはっきりやってください。
○小林国務大臣 たとえば、殺すぞ、家へ火をつけるぞ、こういうふうなことが事実とすれば脅迫の疑いがある。はっきり申し上げておきます。
○辻政府委員 私はどうも、一つの抽象的な刑法なら刑法の議論としての問題ならば、それは刑法上、法学上こういう説がある、あるいは判例がこういうことになっているということをお答えするのは少しもやぶさかではないと思うのでございます。ただ、いまの御指摘の問題は、やはりそこに具体的事実というものがその背景になっておりまして、これについてこれはどうかということになってまいりますと、これは本来捜査のルートに乗せていただいて、被害者であられると思われる方が警察に親告して、その場でその犯罪の成否を決定づけていただくということが筋だろうと思います。その意味におきまして、私はやはりこれは単なる刑法上の議論がここで行なわれておるとは理解しないものでございますから、かような答弁になっておるわけでございます。 それともう一つは、先ほど申しましたように、この場における御論議の模様は、これこそ参考として速記録を検察庁なら検察庁のほうに連絡するということは、これは当然すべきことだろうと思っておるわけでございます。
○松本(善)委員 あなたが、お答えしやすいようにお聞きいたしましょう。 編集長の名をかたって印刷所に行って本の刷り直しを命ずるというようなことは、偽計を用いて威力をもって業務を妨害するということにならないだろうか。一般的なお答えでけっこうです。
○辻政府委員 これは具体的な事実関係と全く関係ないということで……。
○松本(善)委員 そういう前提でけっこうです。
○辻政府委員 そういう場合ならば、私は偽計による威力妨害になる場合が多いだろうと思います。
○松本(善)委員 それから東京堂という書店がありますが、小売り書店の場合を少しお聞きしたいのですが、ここの労働組合の佐藤委員長という人が言っておられることによりますと、内藤国夫さんの「公明党の素顔」を昨年五月に発売をされたときに、東京堂でも店頭の新刊台に並べた。ところが、六月の下旬に聖教新聞社の出版局の書籍部の肩書きを持つ山室豊と名のる人が店に来て、この本を返品してほしいということを言ったということであります。そして、近くの三省堂さんにも返品するということについて話がついている、だから東京堂さんも返品をしてほしい、こう執拗に食い下がったということであります。そして、返品をすればそれに見合った補償をする、返品しないんならうちにも覚悟があるということを言ったということであります。そしてこの間三十分ほど続いて、居合わせた店の職員だとかお客さんも足をとめてこれを見ていたほどだ、そういうようなこともあったということであります。 こういう設例は——私は、この速記録をそれぞれ必要な部門にお回しいただきたいと思いますけれども、あなたに対しては、要するにこういう小売り店に行って、この本を売るな、あるいは返品をしてくれ、返品をしてくれるならばそれに見合った利益を与えよう、返品をしなければそれなりの覚悟がある、こういう返品あるいは売るなということの関係で利益を与えるあるいは不利益を与える、こういうことを言って本を売らせないようにするということは業務妨害ということになる。出版社の本を売らせないという業務妨害ということになるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○辻政府委員 これまた全くの抽象的な一般論として申し上げるわけでございますが、これはやはり場合によりましてむしろ刑法二百三十四条の威力業務妨害の威力に当たるかどうかという点の問題であろうと思います。
○松本(善)委員 小売り書店での妨害事実は、昨日の議員集会で日新報道の皆川編集長——藤原弘達さんの本を出したところでありますが、この皆川編集長の発言によりますと、日新報道の編集部員が全国の書店を千五百軒ないし二千軒回ったということであります。出版物小売業組合全国連合会というのが約八千五百を組織しているということでありますが、そうすると千五百ないし二千は相当の部分であります。その千五百ないし二千を回った。八割は何らかの形の妨害を受けている。売るなということを言われた。これがもし事実としますならば、非常に明らかな組織的な妨害ではないか。これまた設例としてあなたにお聞きするのは抽象的な例としてお話しするわけですが、こういう大がかりに全国的に小売り店に働きかけて一つの本を売るなということで動いた場合、これは総体としてやはりその本に対して威力業務妨害ということになるのではないかと思いますが、その点の見解を伺いたいというふうに思います。
○辻政府委員 これも全く抽象論でございますけれども、松本委員御案内のとおり、業務妨害罪は刑法の二百三十三条と二百三十四条でございますが、要件といたしまして、虚偽の風説を流布するという行為か、あるいは偽計を用いるという行為か、威力を用いる、この三つの行為の類型がございます。このうちどれに当たるかという問題になろうかと思うのでございますが、いまお話しのように、多数のところへ行ったということだけではたして威力といえるかどうか、私はむしろこれは疑問の余地が多いのじゃないかというふうに感じるわけでございます。
○松本(善)委員 もちろん、一つ一つの行為については検討しなければならないのでありますが、全国的に、とにかく一つの本を売るなということで動かれた場合、これは著者やその出版社としてはたいへんな苦労をしなければならない。これはもう明らかなんです。その一つ一つの例が非常に穏やかに話をしたとか、あるいはあるところでは非常に強い話であったといういろいろな違いはあるかもしれませんけれども、これは全体として見なければ、著書を全国的に販売をするという出版社とかあるいは著者とかそういう立場の保護をするということはできないのじゃないか、私はそういうふうに思うので、そういう観点からその一人一人の行為とか、あるいはどこで犯罪が成立するとか、あるいはそれを総括して握っている人がいるとかいないとか、そういう事実関係はもちろん調べた上でないと的確に言うことはできないということは明らかだと思いますけれども、それを全体で一つに握ってやったとすれば、全国的に握って指令をして組織的にやったとすれば、これは総体として威力業務妨害もしくは偽計、虚偽の風説を流布した妨害ということに当たる場合も出てくるのじゃないか、こう思うわけです。その点についての御見解を聞きたいわけであります。
○辻政府委員 ただいまの多数の人が組織的に動いたという場合には、威力という場合の威力を認定し得る一つの資料になろうかと存じます。
○松本(善)委員 全国小売書店の大部分を占めております日本出版物小売組合全国連合会は、次のような声明書を出しております。 すでに朝日新聞その他の新聞雑誌が報道しているところであるが、このたび、藤原弘達著『創価学会を斬る』に加えられた創価学会(公明党)の圧力は、われわれ業界人として黙視することのできない重大問題である この事件は、われわれが憲法によって保障されている言論・出版・表現の自由にたいする圧迫というだけでなく、出版物の流通過程にまで干渉することによって出版文化の一翼をになうわれわれ販売業者の自由をまで阻害せんとしたものである。 言論出版のうえに加えられた迫害事件は、過去において一再でないが流通面に加えられた干渉は出版史上はじめてのケースである。 小売全連制定の「出版販売倫理綱領」は、その第三条において、「われわれ書店人は、言論出版の自由を尊重するが故に、販売面を通じて行われる制圧・干渉に対してはあくまで反対する」と謳っている。 今般、創価学会によって取次および書店に加えられた圧力は、まさしくこの第三条に該当するものであって、われわれはあくまでその真相を糾明し、弾圧に反対するとともに、出版販売ならびに営業の自由を擁護するという書店人としての態度を闡明しなければならない。」 こういう声明を発表をしておるわけであります。これは全国の小売り店の実情、全国的に組織をしておる団体の声明であるだけに、非常に重視をして、この小売り書店でどういうことが行なわれたかということを見る上において非常に重要なことであるというふうに考えますが、これは捜査に当たる人たちも考えなければならない重大な事実ではないかと思う。その点についての刑事局長の見解をお聞きしたいと思います。
○辻政府委員 先ほど来申し上げておりますように、捜査を開始いたしますのは、この種事件の場合にはおおむね警察がまず第一次的におやりになることだろうと思います。警察がみずからの御判断で、資料もあり犯罪の嫌疑があるというふうに御認定になれば、捜査が開始されると思いますが、その場合にいまの御指摘のような事実、これはやはり一つの資料として活用されるべきものだろう。これは抽象論として申し上げるわけでございます。
○松本(善)委員 それから、先ほど業務妨害についての威力についてお話がありましたが、これは法律論としてお聞きしたいわけでありますが、威力というのは、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることをいう、暴行、脅迫はもちろん地位、権勢を利用する場合も含む、こういう趣旨の判例が幾つも出ておりますが、暴行、脅迫に至らない場合のような、脅迫というところまで至らないけれども、人の意思を制圧するに足りるような勢力を使った場合に、これは威力業務妨害になるというふうに私は考えますが、刑事局長の見解を聞きたいと思います。
○辻政府委員 ただいま御指摘のように、この刑法二百三十四条にいっております威力でございますが、これは人の自由意思を制圧する勢力だ、こういうようにいわれております。したがって、ただいま御指摘のように、暴行、脅迫までには至らないが威力には当たるという場合も、場合によってはあり得ると思います。
○松本(善)委員 脅迫罪について伺いますが、脅迫というのは、第三者の行為によるところの害悪の告知であってもよいが、行為者が左右することのできる、第三者によって害悪が実現されることを告知する場合に脅迫になる、これは判例があります。この点についても御異論はないかと思いますが、一応念のために伺っておきたいと思います。
○辻政府委員 御指摘のとおり、判例があろうかと思います。
○松本(善)委員 これは一般論としてお聞きするわけでありますが、一つの団体の力を組織として使って出版を妨害するというようなことを著者や出版社に告知をする、これはそういうことが理解されるような形で告知をする、これは脅迫罪あるいは強要罪等に当たるいわゆる脅迫ということになり得る可能性を持っておるというふうに考えますが、それについて刑事局長の見解を聞きたいと思います。
○辻政府委員 その点は、やはり具体的な事実関係によることが多いと思います。要は、先ほど来申し上げておりますように、威力に当たるか、虚偽の風説を流布したか、偽計を用いたか、このいずれかに当たるという認定がされなければならないと思います。
○松本(善)委員 昨日、私は予算委員会の第一分科会で、西日本新聞東京支社の論説委員の隈部大蔵氏の場合をあげて御質問をしたわけでありますが、このときに、「現代のさまよえる魂」という原稿を隈部氏が書いて、それが印刷にならないで断念せざるを得なくなったその経過におきまして、公明党の参議院議員であります北条浩氏と面会をせざるを得ないということが起こったことを昨日申し上げました。私、昨日も申し上げましたけれども、同僚議員の名前を出しますのはたいへん遺憾でありますけれども、しかし、この点につきましてもやはり法のもとにおいて平等であります。国会議員であるからといって、そういうことをしてもいいとか、あるいはそういうことをやった場合にそれが論じられなくてもいいという性質の問題ではないと私どもは確信いたしますのでお聞きをするわけであります。 このときに強調されたものは、一つは、私が問題だと思いますのは、創価学会青年部の確信と情熱ということを繰り返されたということであります。青年部といいますのは、これは御存じと思いますが、聖教新聞などでも大きく報道されましたタヌキ祭り事件という日蓮正宗大石寺の坊さんに対する事件があります。そういうようなことも知られておりますが、青年部の確信と情熱を繰り返し主張されるというのは一つの意味を持っておると思います。それからその次に、象はアリを全力をもって踏みつぶすというふうに言われたということであります。象という創価学会はアリでも見のがさないという趣旨のことを言われた。そして隈部氏は、そのあとこの出版を続けるためには身辺や家族への危害、会社での地位の変化が起こるかもしれぬということを心配をし、そしてそういう対策ができなかったこと、それから出版社との契約が最終的にできなかったということで断念をせざるを得なくなったということでありました。 こういうことになると、現実に隈部氏はこのことを北条氏の発言だけと——総合的な全体の動きということも含まっておると思いますけれども、現実に畏怖をして出版を断念をしておるわけであります。この結果のほうを見ました場合に、明らかに著者というのはもちろん自分の書を世に問うて自分の意見を発表したいわけです。それを断念せざるを得ないということは、これは何らかの威力業務妨害による威力といいますかあるいは強要罪による脅迫というか、それはどれに当たるかはともかくとして、そしてどこの部分に当たるかはともかくとして、そういう犯罪になるかもしれない可能性を持っておるというふうに思うわけであります。 これについても抽象的にお聞きするわけでありますが、そういうことばの内容によりまして、直接、おまえは要求を受け入れなければどうするぞというようなことを言わなくても、相手に畏怖を与えるようなことばを使いますならば、脅迫あるいは威力ということになるのではないか。この点についての刑事局長の見解を聞きたいと思います。
○辻政府委員 刑法二百三十四条にいいます威力、あるいは先ほど来御指摘の刑法二百二十三条の強要罪の場合の脅迫というようなことの内容でございますが、この内容につきましては、いろいろ先ほど来お話が出ておるような判例その他ございます。いまの場合に具体的にこれはなるんじゃないかという御質問になりますと、やはり抽象論として、これらの条文に掲げております内容のことをもってお答えせざるを得ないと思うのでございます。 ただ一点、先ほど来御指摘のことにつきまして、業務妨害であるとかあるいは理由なきことを行なったというようなことは、これは脅迫であるとか威力であるとか、これとの因果関係を必要とすることは申すまでもないことでございますので、こういう結果があったから威力に当たるとかあるいは脅迫に当たるとかいうふうには直ちに言いがたいのではないかと思うわけでございます。
○松本(善)委員 もちろんそのとおりでございますが、そういう結果があったということは、どこかで何か問題が起こったのではないかということを推測させる事実ではないか。現実に著者が畏怖をし、出版を断念をしているという事実があるわけです。これは何にもしなければ普通に出版をするわけです。おそれもしないわけです。もちろん、あなたの言うように刑法上からいうならば、あるいは捜査上からいうならば、一つの行為、どの行為が当たるかということを考えるわけですから、現実に畏怖が生じているかどうかということは、直接犯罪行為であるかどうかということを判断する資料にはなりませんけれども、現実に結果が起こっているということは、やはりこれは異常な事態がないかどうかということを考えるきっかけにならざるを得ないのではないか、こういう点であります。いかがでしょうか。
○辻政府委員 その点は、異常な事態があったともいえると思いますが、全くの話し合いで事が運んだという場合も間々あり得る。これは具体的事実関係によってでないと何ともお答えいたしかねるのではないかと思うわけであります。
○松本(善)委員 刑事局長にその点をはっきり言っておきたいのですけれども、著者というのはその本を世に出したいわけです。これを断念するということはたいへんなことなんです。きのうの議員集会で藤原さんは、話がついた場合に一体どうなんだと言ったら、それはもう一生、公明党、創価学会の奴隷になることなんだ、とんでもない自殺行為なんだ、そういうことだということをわかってもらいたいということを言っていました。著者はどんなに金を積まれても、自分の本が焼かれたり、やみに葬られたりするということはいやなことなんです。だから言論買収ということがありましても、ほんとうの意味の話がつくということはないのです。もし話がつかなければどうなるぞということが背景にあって、初めてその話が進むわけです。そうでなければ店頭で買えばいいのです。あなたの本が世の目に触れないようにするために買おうという話が出るわけですから、だからその背景を知ってもらわなければならないのではないか、この点については私の意見に御異論がございますか。
○辻政府委員 一般論として、著者は本を出すという意欲に燃えてものをお書きになるのだろうと思いますし、それが何らかの事情でおやめになる、書物をお書きになることをおやめになるということは、やはり異常なことであろうと思います。
○松本(善)委員 それでは、次に人権擁護局長に伺いたいのでありますが、私は昨日の予算委員会の第一分科会でたいへん異なことを承った。時間がありませんのできょうに延ばしたわけでありますが、これは同僚の法務委員の諸君にもお聞きいただきたいと思いますが、人権侵犯事件処理規程第二条によりますと、「事件の調査は、書面若しくは口頭による申告、人権擁護委員若しくは関係官公署の通報又は新聞等の出版物の記事若しくは放送その他の情報によって開始するものとする。」こういうふうに書かれてあります。これは新聞等の出版物の記事やその他に情報があれば、人権擁護をするために動かなければならないという趣旨ではないかということをお聞をしたところが、これは申告なしに調査を開始するのはよほどのときである、これが慣例になっている、こういう話を伺ったのであります。私は、もしそれが事実であるならば、このような人権侵犯事件処理規程はやめればよろしい。何のためにあるのか、わざわざ有名無実のものを何のために置いてあるのか、本来そういう趣旨であってはならないのではないか。 法務大臣も就任のたびごとに、人権擁護には力を尽くすと言われる。言わなければやらないというようなことを就任のあいさつに言われる法務大臣は一人もない。人権の擁護というのはきわめて重要なことである、こうあいさつをされるのです。 一体、人権擁護行政というものがそういう消極的なものであって、そして申告をしない限りは動かないのだ——いまでも人権擁護局というのは役に立たぬところだ、持ち込んでもあまりやってくれぬところだという評判が一ぱい立っております。それであそこへ持っていこうかという相談があっても、いや、あそこへ持っていっても話にならぬぞ、やめておいたほうがいい、弁護士会の人権擁護委員会にでも行ったほうがいいぞ、こういう話が幾らでも出ております。そういう事態について、人権擁護局長として遺憾だと思いませんか。その点を伺いたいと思います。
○川島(一)政府委員 昨日、私がお答え申し上げた趣旨が十分徹底しなかったかと存じますが、私は、全体的にこういうことを申し上げたつもりでございます。人権侵犯事件を人権擁護局が取り扱うのは、これは被害者の救済をはかることに主眼がある。したがって、人権擁護機関から見まして、この事件は被害者の救済のために放置することができないというような場合には、これは当然その職務として人権侵犯事件としての調査を行なうべきである。ただ、この人権侵犯事件処理規程の第二条というのは、どういう場合に人権侵犯事件としての調査を行なうかというその開始原因を定めたものであって、現実に人権侵犯事件としての調査を行なうかどうかはその事件ごとによりまして、その被害者の救済をはかる必要があるかどうか、そういった観点から必要性があると認める場合にこの規程によって調査をする、こういうふうに申し上げたつもりでございます。
○松本(善)委員 まあきのうよりは一歩前進をした答弁になったようでありますが、そうとするならば、いま新聞でほとんど毎日のようにこの出版妨害事件というものが報道されておる。週刊誌でもこのごろこれが扱われた週刊誌は飛ぶように売れるということであります。いかに国民がこの問題について関心を持っておるかということについての何よりの証拠だと思うわけであります。一体これほど問題になっており、これは単に著者や出版社の権利の問題にとどまらず、国民の知る権利に関する問題なのですね。だから、民主主義の基礎だというふうにいわれておる、国民全体の人権に関する問題なんです。 一体、この問題について人権擁護局は何にも動かなくていいんですかね。それで人権擁護局としての責務を果たすことができるのだろうか。この点について局長の見解を聞きたいと思います。
○川島(一)政府委員 人権擁護局といたしましては、今回の事件は人権に関係のある事件である、そういう意味でもちろん深い関心を持って注視しておるわけでございます。その意味で新聞、雑誌などにあらわれました資料は収集いたしております。 しかしながら、積極的にこの事件を調査するかどうかという点につきましては、現在までの成り行きから見まして、はたして人権擁護機関が被害者救済の見地からこの事件を扱うことが適当であるかどうかという点について確信を得ませんものですから、現在のところは先ほど申し上げた情報収集の段階にとどめておる、こういうことでございます。
○畑委員 この問題につきましては、私のほうもちょっと聞きたいことがある。 それは、この問題が出始めたころに、今国会になってからだけれども、社会党では正式に法務省のほうに申し入れをしたはずです。法務省の人権擁護という立場から申し入れをしました。そしていま言いました人権擁護規程、その第二条に照らして、申告等がなくてもいろんな情報、雑誌、新聞その他のそういう端緒をつかまえて、職権で調査を開始するというふうな規定になっておるから、その規定に基づいて、積極的に法務省では人権擁護の立場から調査を進めて、人権の侵害がないようにすることが本来のつとめであろう。したがって、そのとおりやるべきであるということを、創価学会の例の選挙のときの大衆移籍等のうわさもあるから、それとあわしてその問題を二つわれわれ社会党では法務省に申し入れた。ところが、その返事が来ない。しかもその申し入れをして幾ばくもなくして、私は朝のテレビで見ました。法務省の統一見解として、この問題は政党間の問題であるから調査は開始をしない。社会党からそういう申し入れがあったけれども、調査はしないというふうな統一見解をまとめたという意味のテレビニュースを、私は偶然朝の七時のニュースだったかに見ました。よく覚えています。 それで、いずれ機会がありましたら法務省の見解を問いたいと思っておったのでありますが、たまたま松本君が問題を提起をされ、しかも分科会でもこの質問もした。そういう点で、われわれも非常に大きな重大関心を持っておるのでありますが、先ほども実はいろいろ話が出ましたけれども、きのうのいわゆる議員集会で私もいろいろ聞きました。被害者の藤原弘達、それから植村左内、福島泰照、これはペンネームですが、その三人の著者の話、それから出版社の話等、非常によく実態が出ておりましたけれども、それを聞きまして、ますますもってこれは人権問題でもあり、かつまた刑事問題としても大きな組織的なものではないか。したがって、公明党の問題だ、政党間の問題だというふうに捨てておくべきものではない。これは避けて通るわけにはいかない問題になっておる、かように私ども考えております。 いまの松本君と人権擁護局長とのやりとりをもってみましても、きのうよりもちょっと前進だという話がありましたけれども、まだまだ私はそれでは承知はできないのでありまして、これだけ世論がやかましくなり、しかもとうとう、いままでの段階におきましては証人喚問というものは正式に国会で行なわれない。やむを得ないので有志議員の主催できのうの催しがございました。そのいろいろ証言からいたしましても、事実とあまり違いはないんじゃないかというような印象を私は深刻に受けたのでありまして、したがって、そういう点からも、人権擁護の点からもぜひ前向きにひとつ調査をしてもらいたい。ただ資料を集めている、印刷物を集めている程度じゃなくて、もう少し突っ込んだ積極的な人権擁護の立場での法務省の職権の発動を願いたい、かように要望いたします。 同時にまた、もう一つ刑事問題の関係といたしましても、先ほど松本君からいろいろ昨日の質疑応答等の結果からいたしましての質問だと思いますが、私も聞いておりましたけれども、問題が刑事問題としてもいろんな場合が非常にたくさんあるようでありまして、これをこのまま放置しておくということはまかりならぬと思う。したがって、積極的に法務省や検察庁のほうでも、警察がやるだろうというようなことではなくて、こういう問題は検察庁が乗り出さなければ、こういう組織的な大がかりなものは、しかも先ほど言うたようにことば自体は非常にやわらかくても、非常にドスのきいたおどかし方もあるのでありまして、えてして暴力団の親分などは、自身は手荒な発言はしない、やんわり穏やかなことばでおどかす、こういうようなこともあるのでありまして、そういう点でむしろ非常に組織的大がかりなものじゃないか、私はかように思う。したがって、警察にまかせるという態度ではなくて、やはり検察庁自身が動き出すべきだ、かように思うのであります。この点、人権擁護のほうとそれから刑事部のほうからひとつ御答弁を願いたい。
○川島(一)政府委員 私から先にお答え申し上げます。 先生御指摘になりました社会党からの申し入れ書、これは私も当時拝見しております。それを見た当時におきましても、この事件の処理をどうしようかということは多少考えもいたしましたし、相談もしたわけでございます。しかしながら、非常に大きな問題でありますのと、それから関係者が多数おる、そして被害者の救済をはかる見地からの介入ということが、この事件が非常に大きな問題となりましただけにどういうふうに考えていいかというようなこともございまして、いましばらく成り行きを見るべきであろうということで、先ほど申しましたように、とりあえずは情報収集の程度にとどめるということにいたしたわけでございます。 それから、その後先生のおっしゃいました統一見解でございますが、これは私、全然存じませんので、法務省といたしましてそういう点についての統一見解というものはきめたことがなかったのではないかというふうに考えております。 もう少し積極的にやったらどうかというお話でございますが、同じことを繰り返すことになりますが、人権擁護機関としての立場ということもありますので、現在のところはその程度でやむを得ないというふうに考えております。
○辻政府委員 ただいまの畑委員の検察庁に対する御要望、御要望は御要望といたしまして、御承知のとおり、検察庁はみずから必要と認めるときはみずから犯罪の捜査をすることができるという規定になっておりますから、これは検察庁が検察庁の自主的な態度で事を処理することだろうと思います。
○畑委員 一言だけ。いまの人権擁護局長の御返事ですけれども、確かに私、テレビで見たので印象によくあるのですが、これはあなたのほうで、別にそういった公式な態度をきめてない——ではないかと思いますと、ちょっと語尾がおかしかったけれどもね。ともかくNHKがニュースをキャッチしたので全然無根のことは書かぬと思う。そういう法務省当局の態度をキャッチして書かれたんだと思うけれども、ともかくそういうふうにはっきり、そういうような調査は開始をしないということにした、政党間の問題でもあり調査を開始しないことにしたとニュースで出ている。私、見たのですから間違いない。ただ、そういうことをきめたことはないということですけれども、結局それだけ法務省のほうの人権擁護のほうが消極的であったということだと思う。しかし、ここまで問題が大きく拡大してまいりますと、そう言ってはいられないということだと思う。ともかく積極的な調査をひとつやってもらいたいということをお願いしておきます。 同時に、刑事部のほう、確かにあなたのおっしゃるとおり、法務省のほうでどうしろこうしろと言うわけにはまいらぬことにはなっておりますが、私が言うておりますことは、単に警察などではちょっと処理しにくい問題ではないか、むしろ検察庁でやるべき問題ではないかというふうにすら思っておりますので、そのことを申し上げておきます。ひとつ要望しておきます。
○小林国務大臣 何か法務省が統一的な意見をきめた、そういうようなこと、もしNHKでそういう放送があったとすれば全くこれは誤報でございます。いやしくも私が責任を持っておる、私は何も知りません。だから、そういうものがあれば誤報と、こう私は断言いたします。 もう一つ、私は、この問題についてこの委員会における答弁等についても何も指示いたしておりません。それから人権擁護関係についても何らの指示をいたしておりません。全くそれぞれの責任においておやりになるように私からは指示も何もいたしておらぬ。このことだけは特にはっきり申し上げておきます。したがって、われわれの省において何らかのこれについての態度をきめたというような事実は全くございません。
○松本(善)委員 人権擁護局長、人権事件ということで資料を収集しているということでありますが、先ほど来申し上げましたように、小売り店の全国の組合でも決議をしている。これは全国的な調査というようなことになると私人では非常にむずかしい。また日本の歴史でも、始まって以来という事件なわけです。私は人権侵犯事件として人権擁護局が動き出すというのは、捜査当局が動くよりもはるかに容易な、その疑いがあるだけで動き出すという点では非常に容易な立場にあるのではないか、こういうときにこそ人権擁護局は動かなければ動くときがないのじゃないかと思います。そういう点で人権擁護局長、人権侵犯事件の疑いがあるということで考えてはいるということであるけれども、いまだに動いていないということではいまの事態にはもう適さないんじゃないか。この時点でもう一歩積極的に人権擁護行政ということについて真剣に考えて動き出すべきではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○川島(一)政府委員 人権擁護局があまり仕事をしないのではないかというお話でございますが、毎年一万件程度の人権侵犯事件というものを処分いたしております。本件のような大きな事件というのは従来もほとんど扱ったことございませんけれども、非常に貧しくて困っている、そういう人が人権侵害を受けたというような事件はかなり数多く手がけております。 それから、こういう問題について人権擁護局が率先してやるべきではないかということでございますが、これは人権侵犯事件というからには、だれのどういう人権が侵犯されたかということを中心に考えるべきであろうと思います。したがいまして、本件の場合、いろいろ複雑な関係があるわけでございますので、その点を明らかにして、なおかつ、その被害者を人権擁護局として救済するために何らかの手を打たなければならない、こういう場合に初めて調査を開始すべきものであるというふうに思います。
○松本(善)委員 そうすると、局長にちょっと確かめておきますが、これは出版社とそれから著者の権利が害されるという性質の事件である、これは確かめるまでもない。私があなたに確かめておきたいのは、これは単にそれにとどまらないで、国民全体の知る権利ですね。これは基本的人権の一つです。だから、出版・言論の自由というのは非常に重要なものとして、政治的事件と同じように出版販売の問題は公開ということを憲法できめているというようなぐあいでしょう。それは国民全体の知る権利という基本的人権にかかわる問題だということを認識しておるかどうか、それをまず聞きたいと思います。
○川島(一)政府委員 その点は重々認識しております。
○松本(善)委員 それでは具体的にお聞きしますが、村八分事件が起こったというような報道がある場合に、一体人権擁護局は動きますか。
○川島(一)政府委員 新聞の記事で非常に断定的に人権侵犯の事実が起こって、その結果として悲惨な状況にいる者がいるということがはっきりしております場合には積極的に動き出す、こういう場合もございます。
○松本(善)委員 通産省から来ていますね。それで伺いたいのですけれども、新刊書が取り次ぎ店で新刊委託扱いにならないという場合、これは一体どのくらいの比率であるかということについて通産省は知っておられるかどうか。
○小山説明員 特に私どもは存じておりません。
○松本(善)委員 それは通産省といたしましても、これだけ問題になっておるのに、非常に不勉強なことではないかと思うのです。当然取り次ぎを通じての出版妨害というものが問題になっておるならば、一体この実情はどうなんだろうかということを調べておかなければならない。国会に出てくる場合には、その程度のことは——通産省に聞かれるのはどういう問題であろうかということを考えて出てこなければならないと私は思う。私が調べました範囲で申しますならば、これは特に取り次ぎ店の名前を言うことをやめますが、ある大きな取り次ぎ店では、新刊委託扱いにならないのは百のうち二%ということであります。それからある取り次ぎ店の場合には、三千のうちに十二、三冊ということです。こうなると、あとのほうの場合二%以下、〇・何%である。ほんとにわずかなんです。新刊委託扱いにならないということは村八分どころの騒ぎではない。通産省は知らないと言うから私もお聞きしませんけれども、人権擁護局長、こういうことになっておるということがもし事実とすれば、この問題について、通産省はもちろん別の観点から動かなければならないかもしれないけれども、人権擁護局も考えなければならないと思いませんか。
○川島(一)政府委員 場合によれば考えなければならない事態もあろうと思います。ただ本件の場合、いろいろ申し上げましたけれども、藤原弘達氏のたとえば表現の自由、出版の権利というものを中心に考えました場合に、一応いろいろな曲折はあったようでございますけれども、著書がもうすでに発刊されておるという事実があるわけでございます。こういう場合に人権擁護局としてしいてその問題に関与しなければならないかどうかということは、一つ問題になってくるのではなかろうかというふうに思うわけです。 それからもう一つは、被害者が救済を欲しているかどうか、現在いろいろな立場で人権擁護局にどういうことをしてもらいたいかということが、われわれとしては必ずしもはっきりしないわけであります。被害者が申告をしてくる事件もありますけれども、本件については別にそういったこともございません。 そういうことで、われわれといたしましては、情報収集の程度で成り行きを見ておるということでございます。
○松本(善)委員 いま売れているじゃないかということは、理屈にならないのです。二度とこういうことが起こらないようにという保障を求めて、いまみんな問題にしておるわけでしょう。昨日の話によれば、藤原さんの本は七十万部ということであります。たいへんなベストセラーでしょう。その問題はもう論じなくていいのか、そういう性質のものではない。日本にもう言論の自由を侵す、出版妨害をするということはあり得てはならぬのだということを、この際はっきりさせなければならぬということで、みんなが問題にしておるのです。人権擁護局長がいまこの時点でそんなことを言っているようでは、私は期待をほんとうに裏切ることになるだろうと思う。国民が、人権擁護局というのはそういうところかということになるんじゃないかというふうに思うのです。私はあなたをここでとっちめようとかいうつもりではありません。むしろやはり人権擁護という行政がどんなに重要なものであるかということを、この論議を通じてあらためて認識をしていただき、国会議員やその他の意見も聞いてやっていただきたいと思うわけです。あらためて決意を聞きたいのですけれども、いかがでしょうか。
○川島(一)政府委員 おっしゃる趣旨は十分わかります。私といたしましても、人権擁護のためには全力を尽くさなければならないと思っております。ただ、人権擁護局あるいは人権擁護機関の立場といたしまして、救済活動、それから啓発活動というのが主眼になっております。現在、人権擁護行政の仕事に従事している職員というのは、人権擁護委員を除きますと、法務局の職員わずか二百数十名という勢力でございます。したがいまして、われわれといたしましては、非常に広い範囲に起こっております人権侵犯事件に対して、一々調査して、そしてその解決をはかっていくという困難な仕事をしておりますので、その辺の事情も十分御了解いただきたい、このように存じます。
○松本(善)委員 実はそこが該心であろうかというふうに私は思うわけでありますが、法務大臣、伺いたいのですけれども、いまの人権擁護局長の答弁でもわかりますように、人権擁護をする立場の者が少ないということなんですね。法務大臣も人権擁護の仕事はどうでもいいものだ、つけたりのものだというふうには少なくとも思っておられなかろうと思うのですけれども、いまのような実情で全国的に人権侵犯事件についてそう簡単に手が回らないという実情についてのお話がここであった。法務大臣としてはどうお考えになりますか。
○小林国務大臣 人権を擁護しなければならぬということは、関係者はその熱意に燃えてやっております。しかし、事実上なかなか手が回りかねるというのもそのとおりでございまして、私は、きょうのこういう議論も大蔵省によく聞いておいてもらいたいというふうに思うのでございますが、何ぶんにも人員の増加というものが非常に困難な事情にいまあることは御承知のとおりでございます。しかし、手が回りかねるでは済みませんので、われわれとしてはやはり手の回るように、増員等についても考えなければならぬというふうに思っております。 それから、いままでいろいろお話がありましたが、今度の問題等は、これだけ国会であらゆる面から論議をされておるわけで、これはこれでもっていわゆる世論に聞く、世評に訴える、こういうふうなことに私は非常な何かがあったと思うのでありまして、実は私どもの人権擁護というのは、そう申してはどうかと思いますが、非常に小乗的と申しますか、各個人が人権を侵犯されて、これを救済する、こういうふうな点に非常に大きな重点が置かれておる、このこともひとつお考え置きを願いたいのであります。 しかも、御承知のように、こういうことについては侵犯されたと称する人はもうあらゆる機会に陳述をされておるのでありますが、したといわれる方については、われわれには、松本委員も御承知のように、強制調査権がありません。あるいは面会を謝絶されたりあるいは発言を拒否されたりすればわれわれは手が出ない、こういうこともひとつお考え願いたいのであります。 したがって、私どもは国会等でこれくらい言われたことが——われわれいまのような強制調査権がない者の限界というものはもう知れておる。たとえばいろいろの方に聞いたって会ってくださらぬ、あるいは全然回答もしてくださらぬ、それでも私どもの人権擁護の人たちはどうすることもできない、こういうふうないまの制度、このこともひとつよくお考えくださいまして、かような事件における人権擁護当局の効果というものもひとつ御勘考を願っておきたい。それで、言い方を変えれば、われわれの小さい手で調べる、しかも強制権がないこの手で調べるということと、それから国会で、あるいはいろいろな機会、あらゆる方がいまこの問題について、事実だか、とにかくいろいろな報道をされておる。こういうことを比べてごらんになって、どうも人権擁護局はこれをやらないのはどうかというふうな御批判もあるが、私はそういう効果とかそういうこともやはりお考えを願いたい、こういうふうに思います。やはり個個の役人が行ってこういうことを小さくやったって、なかなか動きのとれない問題である。 したがって、私は、ここでこういうふうにあらゆる機会におやりになっていることは、世間がいろいろの判断をされるんじゃないか、われわれ自身としては、もう人権擁護というものはどうしてもこれを貫徹しなければならぬ、こういう決意に燃えておるのでございます。その点は、もう誤りのないように、ひとつ御理解を願いたいと思います。
○松本(善)委員 はからずも、法務大臣のいまのお話によって——やはり私どもは、国会で、被害者それから加害者というふうにいわれている人も、両方証人として呼んで、弁明をするところは弁明をしてもらう、こういうことは国会にこそその権限があるわけなんです。これはどうしても実現をしなければならないものであるということは、法務大臣のただいまの答弁でも裏づけられたものであろうというふうに思うわけでありますが、この点についてはまたあらためてということにいたします。 せっかく警察庁が見えておりますので、ちょっと聞いておきたいのですが、法務省の刑事局長とのやりとりは聞いてましたか。——先ほどの刑事局長の答弁でおわかりと思いますが、この出版妨害事件の経過では業務妨害に当たる場合もある、あるいは強要、あるいは脅迫というようなことに当たる場合もある、もちろん、こういう抽象的な答弁でありますが、警察といたしましては、犯罪ありと思量するならば動かなければならない立場にあるわけであります。それについての警察庁の立場、考え方といままでの態度、これについて伺いたいと思います。
○高松政府委員 先ほど途中から御意見を伺っておりましたが、執筆者あるいは出版社、取り次ぎ店、書店、こういうものに対する行為が、業務妨害罪なりあるいは脅迫罪なり、いろいろな御議論がございました。私ども、この点につきましては直ちに判断しがたいものがあるということ、これが一点であります。 それからもう一つは、事柄が何と申しましても言論・出版の自由ということに関する問題で、そういう事柄の性質上から考えまして、しばらく慎重に事態の推移を見守って、その上で判断してまいりたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。
○松本(善)委員 一番典型的な例は、あなたがいたときかどうかわかりませんが、法務大臣がお答えになったけれども、殺すぞとか、家を爆砕するぞとかいう電話がかかってくる、これは明らかに脅迫だと言われたわけなんです。そういうことが起こっているのに、慎重にやっていくということですか。その論議は聞いてませんでしたか。
○高松政府委員 その論議はちょっと私、伺っておりませんでした。ただ、たとえば一月の十何日でしたか、爆破するとか、あるいはもうおまえの命もあとしばらくだとかいうような電話がかかったということは届け出がありまして、私どももその点については警戒をし、犯人を何とかつかまえるというふうな手だてを講じたこともございます。そういう個々の問題については一応やっております。ただ、その後、いわゆる被害者からの御連絡もございませんので、その後はさほど強い脅迫の電話はなかったのではなかろうかというふうに考えております。
○松本(善)委員 あなたのためにもう一度、先ほど来の刑事局長あるいは法務大臣とのやりとりを繰り返すこともできませんから……。少なくもきょうの議論を聞いておるならば、私はあなたのような答弁は出なかろうと思うのです。きょうの法務委員会の議事録をあとで詳細に調べまして、警察として、犯罪があると思うならばすぐに動かなければならないと思います。そういう態度で処してもらいたいということを言っておくにとどめて、法務大臣に最後にお聞きしたいのであります。 総理大臣が、今後とも言論・出版が不当に抑圧されることのないように配慮するということを国会で答弁されたのであります。この点について、もし総理大臣の言ったことがほんとうであり、これを実行していくということでありますならば、これをほんとうに守っていく、不当に抑圧されることを排除していく立場の政府のほうの所轄省というのは、法務省あるいは国家公安委員長、こういう立場ではないかと思いますが、いかがでしょう。
○小林国務大臣 言論・出版が妨害されてはいかぬということは自明の理でございまして、今後いろいろ論議されたことも、世間にはいろいろの反響を与えておるだろう、こういうふうに思いますし、一体これを役所はどうしたらいいだろう、こういうふうに私はいま思案をしておるところであります。そういうことはもうわかり切ったことでありますが、そんな声明を出すのもおかしいし、個々の人に、だれに言うていいかわからない。これは日本じゅうの人がみんな対象になる。だれもじゃましちゃいけませんよ、こういうふうな問題でありますから、どうやったらわれわれ法務省としてそういうことが周知あるいは啓発できるか。われわれ、むろん、講演会だとかパンフレットだとか、いろいろなものを出しておりますから、そういうものには当然のこととして、言論・出版などの自由を侵してはならぬ、こういうことも入れるつもりでありますし、その方法を、むしろおわかりなら教えていただきたいとさえ私は考えております。
○松本(善)委員 きょう議論を聞いておりますと、人権擁護局長にいたしましてもかなり慎重であります。警察はもっと慎重であります。私は、法務大臣が法務省の中で、言論・出版妨害事件について、いやしくも人権侵犯事件があるとか、あるいは犯罪があるというふうに考えられる場合には、これは断固としてやるべきだということを訓示をされますだけでもずいぶん変わると思う。これは間違っているならばとことんまでやるんだ、この決意を法務大臣が明らかにされるだけでも、私はたいへんな変わりがあると思う。そういうことをおやりになるお考えはないでしょうか。法務大臣が、ひとつその方法があれば教えてほしいと言われたものですから申し上げたわけですが、いかがですか。
○小林国務大臣 そういうことは、ひとつきつく訓示をいたしましょう。
○畑委員 最後に一言。私、きのう、その三人のいわゆる執筆者の話をよく聞いておったのです。藤原弘達さんはああいう人だから、これは一般にいままでも、彼の関係のことは新聞その他雑誌等でだいぶ明らかになっておる。ところが、一番最後に聞きました福島さんは、本名、隈部大蔵さんという方で、西日本新聞の東京支社の論説委員をしている。この人はペンネームを三つ持っている。なぜ三つも持っているかというと、あくまでああしなければならぬのは、それほどいままでいろいろな迫害があったということです。それをいろいろ聞きました。たとえば出版するにも、創価学会員のいる工場ではすぐその秘密がばれちゃう。すぐゲラ刷りなんかわかっちゃう。それで、出版社を選ぶにも、福岡のほうの非常に辺陬の地の小さい出版社を選んだり、いろいろ調査をしている。そうして苦心をして、最初に隅田洋という名前で書いた「日蓮正宗・創価学会・公明党の破滅」という本なども、とうとう第一版出版と同時に絶版になった。その次の書物も、一応出たのは出たのですが、それも同じような運命です。最後に、彼は原稿を持っていた。まだこれは世に出ていない。その原稿すらも——原稿用紙に不動文字で書いてありますね、その原稿用紙に書いてある字まで相手のほうではわかっておるということで、聞けば聞くほど、私はこれじゃいかぬという感じがひしひしとしたのです。その福島さんという人は非常にじみな人ですから、特に印象が深かったのでありますけれども、その人なども財政的にはえらい負担であったようです。植村さんの場合もそうだったそうですが、藤原さんの場合は、たかが五万部くらい出ればいいと思ったら、七十万部も出て、ベストセラーになりそうだということだが、福島さんの場合などは実害を受けて、財政的にも非常に苦しい。植村さんも同様だというような話を聞きました。 そういう点から申しましても、いま人権擁護局長も、藤原さんの場合は相当売れているからということだけれども、そういうように売れない人もいる。同時にまた、そういった文筆に携わる人たちというのは、人権擁護でも申し出ればいいんだろうけれども、文筆を業としているだけに、なかなかそういうことはしたくないというような心理もあるわけです。そういうこともあるんだから、やはりそういう点で、人権擁護は国のほうでそれをやる必要があると思うのです。 話がそれるけれども、人権擁護という仕事は、大体法務省で、国でやるのも少しおかしいので、あれは、私は最初の創設当時考えたんですけれども、むしろああいった予算を日弁連のほうに回して、日弁連に人権擁護をやらせるというのが本来の姿ではないかと思うのであります。そういう制度になっているからしかたがないけれども、一方では人権を侵害するおそれのあるところである国、それがまた人権を守るという立場でありますから、どうしても非常に消極的たらざるを得ないんじゃないかというような感じもするのです。これは余談でありますけれども、いずれにいたしましても、先ほど言いましたように、非常に組織的な出版妨害にあって非常に苦しんでおられる姿を私きのうの証言で聞きまして、これはもうやはり明らかにする必要があるというふうに感じたのであります。そういう際に、日大の古田会頭などは、やはり植村さんの場合にも出てくるし、また福島さんの場合にもその名前が出てくる、こういうようなことでありまして、やはりこういうことははっきりさせる必要があろうと思います。 したがって、予算委員会のほうでまだその問題についてはどうするかということについて話がついておらぬようでありますけれども、当法務委員会におきましては、やはり人権に関する問題ではあるし、法務行政に関することでもあるから、したがって、この問題はひとつじっくり真相を明らかにするというような態度で進んでもらいたいということを、この際、委員長にも要望いたしておきます。そういう点でひとつ法務省のほうでも、この点、積極的に活動を開始してもらうよう要望いたしておきます。 以上です。
○小林国務大臣 これは国会のほうでおきめになることで、われわれはこれに関知いたしません。それで私が申し上げたいことは、そういうことがあったら——どうも主張が弱過ぎるのですね。いまのどなたかのお話もだいぶ前の話で、黙っておってこのごろ急にそんなことをおっしゃるのは、たとえば脅迫電話を受けたら、すぐ警察に訴えられたらいいのです。保護を求められたらいいのです。それをしないでおいて——われわれはどこかに人権侵犯がないかなんてさがして歩いているわけじゃありません。したがって、われわれがそういうことを感知できるようにしてもらわなければやりようがありませんから、その点も私はお断わりを申し上げておきます。
○畑委員 よろしい。それはこういうふうになったからには、これだけ世間でいろいろやかましい問題になったからには、法務大臣もそのつもりで今度はやってくれると思う。いままで出なかったから、したがって、どうも人権擁護の問題がないかとさがして歩くわけにはいかない、こういう話だけれども、こう明らかになってきた以上これをもっとはっきりさせるということが必要だと思う。ひとつそれでやってもらいたい。
○松本(善)委員 終わります。
○高橋委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後一時十分開議
○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件の調査を続行いたします。 この際、宮澤参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。本日は、最近におけるプロ野球の不祥事件について御意見を拝聴し、もって調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞ忌憚のない御意見の御開陳をお願いいたします。 なお、参考人の意見の御開陳は、質疑に対する応答の形式でお願いしたいと存じますので、さよう御了承願います。 それでは、質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 コミッショナー委員会の委員長をおっとめいただいております宮澤先生に参考人として御出席をいただきまして、非常にありがとうございます。 去る九日に、予算委員会でこの問題が論議をされました。さらにその後、分科会、昨日はスポーツ議員連盟の公聴会等を開催をいたしまして、国会の中においてプロ野球の健全化という問題について鋭意論議がかわされているわけであります。 そこで最初に、先生に次のような点についての御意見を承りたいと思うのであります。いわゆるプロ野球の黒い霧というふうなことが報ぜられているわけであります。それが八百長試合であるとかあるいは暴力団のプロ野球を対象としたところの野球賭博の横行であるとか、これらの問題についてプロ野球の健全化という観点から、先生は現在のそのような問題についてどのように御認識になっておられるか。そうして、かりにプロ野球は健全ではない、いろいろな黒い霧があるんだということであるならば、そういうふうに至ったところの原因は一体何だろうか。そうして、すでに国民的なスポーツとなったこのプロ野球を健全化するための対策について、コミッショナー委員会の委員長としての御見解は一体どのようなものであろうか、こういうような点について最初お話をいただきたいと考えます。
○宮澤参考人 プロ野球の黒い霧というようなことが盛んにいわれておりますけれども、私は前に長年コミッショナーの顧問をやり、引き続いてこの数年間コミッショナー委員会の委員長をやっていますが、その間、昔どこかで多少八百長くさい選手がいたので首にしたとかいう話がありましたけれども、その後は全然そういう話は聞きませんでした。私自身は、自分がぼやぼやしていたせいかもしれないが、昨年の永易事件の新聞を見て、読売新聞、報知新聞ですか、あれで実はがく然としたわけで、そういうことがあってはこれはたいへんだというので、この際、直ちに適切な処置をとらなければならぬと思って、あのとき非常にびっくりしまして、それからさっそく調査をいたしました。その経過は特にお尋ねなければ略しますが、それで御承知のような結論を得まして、そのときに永易選手は失格という、われわれの協約のほうでは一番重い処分にしたわけです。 そうして、これは一体どういう原因からそういうことが起こり、またほかにもそういうことがあるといううわさが出るかという原因になりますとなかなかむずかしい問題で、これはいまちょっとすぐ——世間に賭博ということが非常に横行する、それからそれに暴力団が関係している、そういうようなこと全体からやはりそれが何らかの関係でプロ野球の中にも働きかけてきたということは事実でしょうが、どういうふうに説明しますか、まあそういう点でなかなかこれは対策がむずかしい問題だと思います。 ただ、プロ野球としてどうするかということにつきましては、とりあえずその規則に基づいて最も厳重な処分をすると同時に、再びそういうことがないように、内部としては単なる警告とか申し合わせとかということを何回もオーナー会議そのほかでやっておりますけれども、これだけでは不十分ですから、さらに各球団に要請して、平生から規律を正すということにして、一たんこうやって多少でもプロ野球の信用が失われたとすれば——失われたとすればという言い方は悪いかもしれません。失われた信用を回復するのには、単なるわれわれの決意とか警告とかということでは十分でないので、要するに今後少し長い目で見て、試合をやるとどの試合もみんな非常に一生懸命やるのだ、どこまでも堂々と戦うということをやることによってファンを引きつける、それによってやがて今度は、プロ野球はよくなったというふうに名誉を回復するよりほかない。これが一番正当な道だろうと思いまして、そういう方向に努力していくつもりであります。 いまそれだけお答えして、なお具体的にお尋ねがあればお答えします。
○中谷委員 先生のほうからもう少し具体的にと申しますか、要するに私はこういうふうに考えるのです。永易問題というのは確かにプロ野球の信用を失墜したということは、これはいなめない事実だと思います。そうして巷間伝えられているところは、これは氷山の一角なんだ、こういうようにいわれています。たとえば、これはもう先生すでに御承知であろうかと思いますけれども、例の永易問題が出てまいりましたときに、こういうふうな談話を発表することが率直だ——と言っていいのかどうかは別といたしまして、ほかにも二名ばかり疑惑を持たれる選手がいるのだけれども、これは改俊の情があるからこの問題については一応伏せたんだというふうな球団社長の談話があった。こういうようなことになってまいりますと、その対策をどうするか。先ほど先生、その対策についてお話があったんですけれども、国民としては、ファンとしては、こういう対策、これは特効薬なんだ、もうこれでとにかく今後はこういう問題のくされ縁は断つんだというふうな対策について期待をしているのではないでしょうか。また、期待をするのは当然であろうかと思います。そういうような点についてコミッショナー事務局を御督励になって、いろいろな対策について御検討、そうして具体的な案をおつくりになっておられると思う。そういうような点についてひとつお話しをいただきたい、こういう趣旨でございます。
○宮澤参考人 いまの、永易は氷山の一角であるということを皆さんおっしゃる。それからただいま御引用の話も、私も新聞で読んだように——あまり確かな根拠はあれですけれども、新聞で読んだような話は聞いております。もちろん、ですからそういう点はさっそく調査してもらい、厳重にやってもらったのですが、そのときの結論としては、どうも永易以外については十分なそれだけの事実の確認ができない、認定ができない。その事実の認定ができないことについてちょっと申しますが、これはなかなかむずかしい問題でして、私ども処分するはうとなりますと、もちろん厳重に処分しなければならないということと同時に、万一それが間違っていたら、何もしない善良な選手に多少疑いをかける、誤診というようなことがあればこれはたいへんなことだ。もちろん裁判とは違いますから程度は違いますが、しかし、誤診のようなことがあればこれは人間の一生の問題、それこそ人権に関する問題だから、それはどこまでも慎重にしなければいかぬ。少なくとも私どもとしましては、この選手は協約のどういう条項に該当するというふうに認定できるだけの証拠がなければ、私はそういう認定はできないという態度でやりました。それでやりましたところが、永易君につきましては、処分の裁決文にありますような意味で、協約上最高の処分に値すると考えてああいう処分をしましたが、それ以外の選手については、いろいろ調べましたけれども、それだけの確証を得ることはできなかったというのが事実です。もし私がそれと同じような確証を得て、私自身がこれはそれだけの事実がある、納得できるということになれば、もちろんそれに準じた処分をするはずで、それをしなかったのは、それだけの事実がなかったからだということを申し上げることができます。 それについて、いま対策につきまして何か非常にこれをやればだいじょうぶだというようなはっきりした具体的な対策を考えたかというお尋ねでありますが、それはどうも非常にむずかしい問題で、そういうこれをやればだいじょうぶだというような対策ということはちょっとなかなか困難ではないか。たとえば刑法に触れる賭博とか、これはもちろん別問題です。われわれのほうでは、そうではなくて、協約にありますとおり、野球の選手として全力をあげて戦うという努力を怠るというところに、そういう者は処分するということでやっておりまして、たとえば永易君にしろ、はたして彼の行為が八百長に値するか、八百長といえるかどうかということは、私はそこまでは認定していないのです。つまり、そこまでいかないのです。しかし、もう協約上失格ということでやっておりまして、その行為がはたして八百長なのか、だれが暴力団と関係しているのかどうかということは私にはわかりません。また、それは認定する必要はないというので永易の処分を行なったのです。それからあとの選手はそれだけの事実はないというふうに認めてやったので、その対策の点は、一般問題としていろいろ検討しておりますけれども、これをやればいい対策というのは、むしろ、あれば私はどしどし皆さんに教えていただいて、それがよければ幾らでも実行したいと思っているくらいであります。
○中谷委員 法律家の先生に野球協約条文をあえてお尋ねするのは、非常に恐縮でございますが、協約の三百五十八条というのは、第二十豆早「有害行為」の条文でございます。別に条文の解釈をお伺いするわけではございませんが、その三百五十八条は、賭博常習者と同行してはならない。そういうふうな同行した者については、「一年間その職務を停止せられる」こういう規定であります。そこで、これはどういうことなのかまずお聞きいたしたいのですが、この「職務を停止せられる」というのは、たとえは情状によっては——これは賭博常習者と同行した場合には職務はもう必ず停止をしなければいかぬということに相なっておるのか、情状によってはそういうことがあっても許す場合があるのか。実はきのうの公聴会の中では、われわれ、いろいろな野球評論家その他の方々においでいただいてお話を伺ったのですけれども、なるほど先生おっしゃるように、選手の人権という問題がありますけれども、プロ野球というものがとにかくまじめにやれということを言っておるのだ。そういうふうなことがなければファンの信頼を得られない、長い目で見てプロ野球の発展はないだろう。こういう者についてはどしどし処分すべきだろうというふうな意見も評論家の中から出ました。かなり同感を得ておったようでありますが、解釈といたしまして、同行した者について、同行はしておったけれども、情状によっては停止しない場合もあるのだというふうに三百五十八条は解釈していい条文なんでございましょうか。
○宮澤参考人 協約の条文は非常にできの悪い条文でして、あれを読んでなかなかわからないところがたくさんある。それで、御指摘の条文などもその例で、それは御承知だろうと思いますが、アメリカの例があるものですから、大体それを参考にしてつくったというようなわけで、したがって、さて施行するとなるとなかなかわかりにくい。御指摘の条文は、実は賭博常習者というようなことははっきり認定できるものかどうかというのは問題なんでして、私どもそれをどうして——別に賭博常習という名刺を出している人はいないのですから、実際こちらで認定するということになれば、これは非常にむずかしいことになる。少なくともわれわれの力で賭博常習者という認定はむずかしいのではないかと私は思っておりました。 そこで、いま御指摘の規定は、いままでのところは適用したことがございません。それはつまり適用困難なんで、いまの御指摘のような問題もありますが、その前に、賭博常習者というのはなかなか私どもでは認定困難ではないかということで、いままではやっておりませんでした。今後そういうケースが起こったとしても、これはちょっとむずかしいと思いますね。それを認定した上でどうなるかということは、私まだその点でその規定を全然適用していないものですから、よく考えていないのですが、やはりそれが認定できるならば、そういう行為があったならば相当な処分をすべきではないかという意味じゃないかと思います。
○中谷委員 こういうことが従来からわれわれ先生にお聞きしてみようということなんです。要するに、賭博常習者のリストといいますか、組、名前というようなものをずっと書いたもの、コミッショナー事務局はそういうリストはお持ちなのかどうか。警察からそういうリストの提供をお求めになったという事実があるかどうか。ちょっと先生のお話ですけれども、適用したことはないということは、私はけっこうですが、まさに賭博常習者と同行する、つき合いをする、交際をする、そういうようなことの中に野球賭博が行なわれることは厳然たる事実なんです。そして選手をねらい撃ちしているということは前々からいわれております。その点をとにかく断ち切らなければ、選手も暴力団の中にまぎれ込んでいくだろう、誘惑されていくだろう、あるいは暴力団に転落していくだろうというふうなことを非常にわれわれはおそれるわけなんです。統一契約書の第十条によれば、国民の模範でなければならないと書いてある。選手にとっても非常に気の毒だと思う。 ですから、私はまず前提としてお尋ねしたいのは、コミツショナー事務局に賭博常習者のリストなどを警察から提供をお求めになって、お持ちになっておるという事実があるかどうか。その点についてお答えいただきたいのですが、ぜひともこういうことは警察との協力体制をつくっていただいて、そういうリストをとにかく準備される。そして各球団にそれを配る。また同時に、球団からもコミッショナー事務局にこういうふうな暴力団が出入りしているという報告を求めさせるというふうなことは、八条等を御発動になって当然、この永易問題を契機にしておやりいただきたいのです。この点いかがでございましょうか。
○宮澤参考人 賭博常習犯のリストというものは非常にふしぎなもので、私、存じませんが、そういう犯罪常習者のリストが警察にありますか。
○中谷委員 ございます。
○宮澤参考人 それならそれをわれわれのほうに見せてもらって、それとつき合ったらいかぬというケースですね、それはいままでやったことありません。もし、将来警察に対してそういうリストを求めるか、提供を求めるかと言われても、ちょっと私いますぐお返事できないので、そういう犯罪常習者のリストというものが正直あるのでございますかね。そういうものを警察からくれと言ってもらって、それによって犯罪賭博常習者とつき合ったかどうかチェックする、そういうことになるかと思いますが、そこは全然私、考えておりません。少なくともいままでリストなるものを、そういう存在を私は知りませんし、ましてもらったこともない、くれと言ったこともない。将来くれと言うかとおっしゃられても、ちょっと私いますぐにそうするつもりだということは申し上げられないし、お返事できません。
○中谷委員 これはどうしてもとにかく勇断をふるって、暴力団とプロ野球関係者、ことに選手、コーチ、監督との結びつきを断ってもらわなければ、ファンは私は納得しないと思うのです。 そこで、昨日も川崎先生が主催された公聴会の中で提案したのですけれども、三百五十八条の賭博常習者というこの規定は、なるほど先生おっしゃるように、だれが賭博常習者と名刺をつけているわけじゃないということですが、大体暴力団ということになってくれば、かなり俗なことばを使いますけれども、メッコを入れやすいわけです。いずれにしても、先生のお話の御前提になっているのは、そういう者とつき合うということは選手として好ましくない。しかも、それは八百長野球と賭博を生むケースになっている、これははっきりしているのです。ですから、三百五十八条を、「賭博常習者と同行」というふうなことに相なっておりますけれども、これはひとつ暴力団組員といいますか、暴力団関係者ととにかく選手はつき合ってはならぬ。そういう者とつき合っている選手については、これはひとつこの三百五十八条の一年間その職務は停止されるということがあってもやむを得ないんだという程度の野球協約を改正されるということであってほしいと私は思うのです。そういうことでなければ、今後ともわれわれの認識は、選手に対して暴力団がねらい撃ちしているという私たちは深刻な認識を持っているのです。そういうことについて、コミッショナー事務局として委員長の御答弁をいただきたいのですけれども、そういうことはぜひしてもらいたい、この点はいかがでしょうか。
○宮澤参考人 賭博常習者というのが非常にあいまいだと申し上げたのですが、暴力団というのはいかがでしょうか、暴力団とつき合う者は云々というようなことにするとよほど明確になるのではないか。私はやはり、いまの賭博常習者と似たようなことではないか。つまり、そういう暴力団というのは、警察で次の者は暴力団であるといって公に記録か何かできているものならは——ともかくそうでないと、ちょっとそういうふうに立法技術上暴力団とつき合う者は云々とすることがそれだけ効果があるかどうか、ちょっと私、疑問なんですがね。
○中谷委員 先生、憲法の御専門でございますが、われわれは地方都市で弁護士をやっていた、そういう人間なんですけれども、暴力団なんていうのは顔を見たら大体わかりますよね。一見暴力団風というのがありますね。しかし、一見暴力団風であっても暴力団じゃないのもいますよ。いますけれども、一見暴力団風だから暴力団というわけにはいきませんけれども、そんなのが実態としてはとにかくもう球場へぞろぞろ入ってくる。それから最初は後援会のファンのようなことを装って、そうしてつき合ってみたら暴力団だった、組関係だった。それは最初にぱっと会ったときに暴力団かどうかわからないということはありますけれども、そういうようなことは継続したつき合いの中ではすぐわかってくることなんです。そういう者とつき合ってはならないということであれば、そしてまた球団の中で、こういうものは大体暴力団くさいぞという監視体制というものがあれば、これは選手に対して指導監督もできる。そういうふうなことのいわゆる体制というものをとらなければ、選手はねらい撃ちにされるばかりだ。この点について、何か先生のお話を聞いておりますと、三百五十八条というのは空文規定ということになりかねないわけなんです。もちろん、私は一応法律家のはしっこのほうにおる人間ですから、賭博常習者という認識がなしに同行したという場合には、これはもちろん処分の対象にならないだろうと思いますけれども、とにかくやはり予防的にこれは暴力団なんだよというリストをどんどん選手に教えていく。そうして、とにかくそれとつき合ってはいけませんよというふうなことをどんどん言ってやらなければ、やはり暴力団とのつき合いというようなものが行なわれるだろうし、また、そういうふうなことはどんどん選手に知らしてやる、そのくらいのことをやってやらなければ、私は非常に誘惑にも乗りやすいと思うのです。 だから、そういうふうなことについてコミッショナー事務局、委員長のほうから、それでは暴力団についてのこの三百五十八条を具体的にする、空文化しないための措置はいかんというようなことについての御努力を、これはひとつ私はどうしてもやっていただきたい。どうでございましょうか。
○高橋委員長 中谷君、警察庁から高松刑事局長が見えておりますから、暴力団のリストがあるかどうか、前提として聞いてみたらどうですか。
○宮澤参考人 協約規定の改定をすることは、いま言ったとおり、いまの規定があいまいで、それを今度は暴力団云々にするということは、どうも私いま伺っただけでは、ちょっと立法技術的に非常にむずかしいと思いますけれども、御意見承っておきまして、なお検討いたします。 それから、規定よりも、暴力団とのつき合いをいかに断つかという問題ですね。これはむずかしい問題ですが、私はやはりそういう立法的といいますかそういう措置では十分でないんではないか。それよりもやはり各球団に——暴力団との交際、接触、これは事実問題でなかなか認定が困難ですから、それは各球団に十分厳重に良識的に措置するようにということを、今後一そう徹底させる。現にいままででも各球団でそういう例はありましたね。つまり、暴力団と接近したという理由で球団が相当な処分をしたというようなことは、あれはいいことだと思います。
○中谷委員 それから私、協約を詳しく読んでないのかもしれませんけれども、要するに規制の対象になっているのは選手、コーチ、監督または公式審判員でございますね。ところが、こんなことはあり得ないことだと言ってしまえばそれまでですけれども、やはりコミツショナー事務局あるいは委員長としては、球団の幹部ですね、球団の職員特にその幹部、こういうふうな人が万が一にも暴力団とつき合いがあるというようなことであれば、これはたいへんなことでございますね。要するに高等学校を出たばかりの選手がとにかくプロ野球に入る。ああいう社会はある意味では一つの閉鎖社会的なものが私はあると思うのです。そういうようないろいろな、ある意味でのはなやかな生活の中でかえって転落をしていく。きのう公聴会で非常に問題になりましたのは、球団の幹部なんというのは選手を商品として扱っておるのじゃないか、とにかくもっと教育的な立場からそれを見るべきじゃないか、そして非常に選手に対して愛情のある指導監督をすべきじゃないかということが盛んに論議されました。そういうような点からいいますと、この野球協約を私は読み足らないのかもしれませんけれども、あるいは野球協約にきめるまでもないということなのかもしれませんけれども、少なくとも球団幹部が——幹部ということばはあいまいなことばでありますが、暴力団とつき合いがあるというのはもってのほか、いま協約の中にそういうものはないのですよ。こういう点についてはむしろそこまで根が深くなっているといううわさを聞いている。その点についてはこの協約の中に、選手ばかり取り締まるのじゃなしに、疑いのある球団幹部だって、暴力団とつき合うべきじゃないということを、三百五十八条に一項つけ加えていただきたいという私は気持ちなんですが、その点について、つけ加えるかどうかは別として、先生の御見解を承りたいと思うわけです。
○宮澤参考人 これは御指摘のとおり、協約以前の問題でして、協約をつくってみんなで一緒にプロ野球をやっていくという幹部がそもそもそういうことをするというようなことになれば、これはある意味でプロ野球の存在自体に関する大問題だと思うのです。それはもちろん私もちょっと考えられないことですが、それを特に協約に入れてそこまで取り締まるというようなことははたして必要かどうか、必要かどうかというより、そういうことをやるようになればもうプロ野球自身を自縛するようなことになるのじゃないかというふうに考えております。御趣旨はもちろん大賛成でございます。
○中谷委員 協約の八条の(1)に「指令」という条文がございますけれども、「指令」によれば、とにかく「構成倶楽部或はそれぞれに属する個人に指令を発し」そして「野球最高の利益を侵害すると認めたときはかかる行為の予防または中止並にその行為に依って生じた事態の除去につき指令を発しなければならない」こういうことなんですから、もしそういうように巷間伝えられておるような球団幹部の中に暴力団くさい者あるいはまた暴力団とつき合っているというような者、そういう者があるときにはむしろこの八条の指令権を発動していただくということを私はぜひお願いいたしたいが、いかがでございましょう。
○宮澤参考人 協約にある指令権というのは非常に強大なものでして、もちろんそれをどういうふうにでも、かってに自由に、アービトラリーに使っていいということではございませんけれども、しかし、合理的な理由があるときはそこまでやっていいというそれだけの権限を与えられているわけです。もちろん、そういう事情になれば指令を発するだけの用意はあります。
○中谷委員 ちょっと参考人の先生に対する御質問を中断いたしまして、警察庁の刑事局長にお尋ねいたしたいと思います。 四十一年の九月七日、暴力団の打越会の会長打越信夫は賭博常習者ということで検挙をされたという事実はございますね。
○高松政府委員 ちょっとよく記憶いたしておりません。
○中谷委員 打越会という暴力団があるのを御存じですか。
○高松政府委員 ございます。
○中谷委員 どんな暴力団か、ちょっと言ってください。
○高松政府委員 広島を中心にした組織でございます。
○中谷委員 私の資料によれば、四十一年九月七日、広島で打越会系河井組組長ほか五名主催の野球賭博事件というのがありまして、河井組、大岡組その他九十一件、三億七千万円というふうな賭博で検挙された事実があります。これは間違いない事実です。そこでひとつ人権問題という立場からもありますし、そしてこれは疑惑を晴らしていただくという立場もありまして、私、コミッショナー事務局にこの点は調査をしていただきたいという点が一つあります。 と申しますのは、この前々回の選挙のときに、藤田君と柴田君が打越会の会長と同行して選挙の応援に行ったということが伝えられている。ところが、きょうのある新聞によりますと、選挙の応援に行ったことはあるけれども、打越会の幹部と、会長と同行した事実はないとなっている。これは世間ではそういうふうなことを言われているんですね、同行したと。そういうふうな話があるのです。片一方ではそういう新聞に、わざわざ同行した事実はないと言っている。これは一つは人権問題ですね、同行したことがないのに同行したなどと言われておったら。しかし、同行したとなれば、三百五十八条の違反になりますね。そういういろいろのファクターがあると思います。暴力団という認識があったかどうかというファクターがあると思いますけれども、打越会というのは、先ほど私が申し上げましたように、四十一年の九月七日に三億七千万円の賭博で検挙されたところの暴力団で、これは有名な暴力団でございます。西日本では打越会を知らない者はおらないくらい有名です。このような者と同行したといううわさが片一方にあり、同行しないと言っている。これはコミッショナー事務局としては調査さるべきだと私は思います。こうして名前が出た以上は私は調査の対象にさるべきだと思いますが、委員長、いかがでしょう。
○宮澤参考人 この話は打越会という暴力団と一緒に行ったということですね。(中谷委員「賭博常習者と」と呼ぶ)賭博常習者と——もしそういう事実というか疑いがあれば、それはほんとうかどうかということはもちろん調べます。その人は巨人ですか、じゃ巨人にもそう言います。すぐ調べるようにしますが、しかしあれですか、私が聞く必要はないけれども、それは選挙の応援に行ったということでしょう。
○中谷委員 そうでr。
○宮澤参考人 かりにもしそれが、その人間が知っている人の選挙の応援に行ったという場合、それが暴力団というか何とか常習者だという認識がないという場合ならば、これは問題はないわけでしょうね。そういう点から調べろというお話がありますが、それは私いま初めて伺ったことですが、調べることは調べることにいたします。
○中谷委員 調べていただいたらいいのです。私は頭からそういう事実を断定的に申し上げているわけじゃない。しかしこれは、行ってないと言っているが、片一方では行ったといううわさがずいぶんわれわれの耳に入ってくる。しかし、とにかくそういうことをばく然としておいちゃいかぬ、その点ぜひお調べいただきたい、こういう趣旨で申し上げている。もちろん、私はそういう事実がなかったということであったことを希望いたします。しかし、これはあいまいにしておいちゃいかぬ、調べていただきたいということでございます。 そこで次に、この点について昨日の公聴会で問題になりました。刑事局長、ひとつぜひお願いをいたしたいのです。というのは、元南海の長谷川君が、和歌山市の田野、天狗の鼻付近で乗用車ごととにかく転落をして死亡した。四十一年六月の二十四日のことでございますね。そこでこの問題については、どうも長谷川君、これは運転上の過失ではなしに殺されたんじゃないかというふうな、そんなおそろしい話も出てきた。そこでこれは、私の地元なんです。田野の天狗の鼻付近というのはよく知っている。そうして捜査した和歌山西署もよく知っている。当時のできごとも、私はよく覚えている。しかし、このことについては、こんなことがかなり根強くいわれているのは、やはり背景がある。そこで、それは事件として、なくなった人の背景を洗い直すということはないんですけれども、そういうふうなことで、完全に私は疑惑を晴らしてもらいたい。これはさっそく昨日そういうことが和歌山のほうにはね返りまして、また西署のほうで、和歌山県警本部のほうでこのことについての当時の記録等で確認をされたそうですけれども、いま一度この問題について調査をしてやっていただきたい。これはなくなられた長谷川君の家族の人は、そういうふうに思い込んでいる。これはやっぱり警察としてはそういう点についての御調査をしてやっていただきたい。これが私の希望なんです。刑事局長の御答弁をお願いします。
○高松政府委員 四十一年六月のその事故につきまして、当時交通事故として処理をいたしております。それから私、出てくる直前に報告を持ってまいりましたのですが、長谷川選手の奥さんはそういうふうに殺されたんだというふうなことは全然いままで言ったことがない、警察にもその旨を訴えておりません、こういうことを警察官に漏らしておられるようでございます。それから死体の引き取りの問題につきましても、これは友人の人が引き取った。ただ、当時自分が乳飲み子をかかえておった、それで友人に頼んで引き取ってもらったんだというふうな説明をしておられる。なおさらに、和歌山のほうでもう少し調査はさせてみたいと思います。
○中谷委員 そういうことがあれば、これはたいへんなことでございますからね。そういうふうなことについては、私自身も、和歌山西署というのは私の地元の警察で、だれが調べたということまでわかっているわけで、その点については実は昨日の公聴会でそういう話も若干出ておりますので、これは疑惑を晴らす。これは遺族のためにもひとつしてやっていただきたい、こういうことの希望を私はしておきます。 それで、次に委員長にお尋ねをいたしたいのですけれども、永易君が昨年の十月からずっと行くえ不明になっています。私、非常にこれは冷たいと思いましたのは、とにかく西鉄の球団の社長は、もう自分のところとは関係ないんだから、こんなのはどこに行っても私は知らぬというふうにとれるような、そんな談話を私、見たことがあるんです。そこで私、何べんも繰り返し繰り返し先ほどから言っているのは、どうも選手というものは商品として取り扱われている、ほんとうに球団の幹部が選手、特に若い選手に対する教育的な観点が欠けているんじゃないかということだと思うんです。 〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕 永久追放になったからといって、彼が行くえ不明だということになれば、もっとこれは——契約が雇用契約であるのか請負契約であるのか、球団との契約関係が法律上どうなるか私はわかりませんけれども、いずれにしてもそういう関係があったところの者をさがすということが必要じゃないか、こういうふうに思うのです。 そこで、きのう問題になったのは、一体いつまでこういうふうな永易君の行くえ不明状態をほうっておくのだという話があったら、これは事務局長、非常に御心配になってああいう話をされたんだと私は思うのですけれども、あまり永易君の行くえを洗うと、周辺に生命の危険があるとかなんとかいうふうな、どうも私、その点の真意がよくわからない話があって、生命の危険というのは一体何だというような話があった、そういうふうなことなんです。 そこでひとつ、これはここまでとにかくめんどうを見切れないよというお話もあるかもしれませんし、また、そういうことはコミッショナー事務局としてすべきことでないという考え方もあるかもしれませんが、いずれにしてもその十月から今日、三月のもう十八日まで本人の行くえが知れない。これはときどき電話があるとかないとか、北海道だとか福岡だとかあるいは伊東というふうな、いろんな情報はございますけれども、行くえが知れない。これは非常に問題だし、そのことがかえって、永易君が行くえ不明になっていることが、これは軟禁をされているというふうな事実が一つ、その点についての問題点が一つ。永易君が行くえ不明になっていることが、一日一日出てこないことが、プロ野球のとにかくイメージダウンになっている面があると思うのです。そういう点からもひとつきょう私がお聞きするのは、委員会のほうで永易君の捜索願いというものをお出しになることが一体——捜索願いを出す場合はこんな場合に出すのであって、委員会というものが出すのはおかしいのだという説があるかもしれませんけれども、ひとつ捜索願いをお出しになることについて、事務局長に実は昨日、おたくのほうでお出しになりますかどうかおきめいただきたい、こういうようなことがお話の中で出たのです。委員長、一体この点についてはどういうようにお考えになるかを御答弁いただきたいと思います。
○宮澤参考人 その話はきのう事務局長からあとで報告を受けました。永易君がどこにいるか、出てきてもらいたいということは、もう私ども、前に選手時代においても非常に要望したことですけれども、これは残念ながらできませんでした。そこで処分をしたわけで、それで一応プロ野球とは関係がなくなったわけです。しかし、なくなったから相手にしないとか、どうなってもかまわぬとかいうようなそういう考え方は全然ないので、その点は誤解のないように願いたい。もしそういう冷たい感じを持っているというふうにお感じならば、それはそうではない。 そこで、それじゃいま具体的な問題で、捜索願いというものを出さぬかというようなお話でしたが、これは、その捜索願いというのは、私どもちょっと考えてみますのは、まだ正式にコミッショナー委員会で相談してありません。これは私個人の意見としてお聞き願いたいのですが、いずれ相談してみたいと思いますが、永易君があらわれないということが、どこか監禁とかなんとかいうことに関係があるということがはっきりすれば、そういう疑いが濃厚ならば、当然これは警察でおやりになることだろうと思うし、また、当然近親から第一に捜索願いが出るべきではないか。私が新聞で見ましたところでは、前にも数回ちょくちょく見ましたが、近親は何か連絡があるけれども捜索願いは出さぬというようなことを言っておられる。そうなるとこれはちょっと問題で、近親が捜索願いを出さぬとおっしゃるのに、もしそれが監禁といったような犯罪の容疑が非常に明白ならそれは別ですけれども、そうでないとすれば、かえってそれをわれわれがやることが少しよけいなことになりゃしないかという心配もある。私はその点を非常に心配している。それで、どうなったってかまわぬとはいえませんから、その人の生活に関する問題です。もし永易君が自分が理由があって身を隠している、家族とは連絡しているけれども表に出ないというようなことであるならば、それを無理に洗い立てるというようなことははたして適切かどうかという疑問を私は持っているのです。ですから、もし何か犯罪、監禁されているということが非常に疑わしいというようなお考えの方から捜索願いを出される、これはたいへんけっこうなことで、私は結論として永易君が出てくることは非常に歓迎しているわけです。しかし、私のほうとしてすぐ捜索願いを出したほうがいいかどうかということは、いま申し上げたような事情で、ちょっと私ちゅうちょする点があるのです。
○中谷委員 あまりそういうことを、永易君のことを洗うと、生命の危険があるかもしれませんよと言ったのは、先生のところの事務局長が言われたので、われわれがく然としたのですよ。
○宮澤参考人 その点、弁明したいと思いますが、けさ新聞を読みまして私もたいへん驚いた。あれは何かの間違いです。事務局長は永易の身体に生命の危険があるということは言ってないのです。
○中谷委員 聞きましたよ。
○宮澤参考人 私の聞いたのでは、事務局長は、何かほかの人の調べのときにあるいはそういうことがあるかもしれないというようなことを言われたそうであります。永易に生命の危険があるということは、私ども全然聞いたことはない。それはどうも聞き違いじゃないかと思うのです。
○中谷委員 聞き違いじゃないのです。言い違いなんです。事務局長の言い違いなんです。それはとにかくわれわれが何べんも何べんもその場面は繰り返し繰り返し事務局長に聞いたのです。だから、それは先生に対して事務局長が、ああたいへんなことを言ってしまったというかっこうで御報告があったのであって、われわれ議員は何十人もおって、何ということを事務局長は言うのだ、それでとにかく永易と周辺の者があぶないということになったらたいへんじゃないかということで話があったので、これは先生、おことばを返すようですけれども、聞き違いなんということは、これは会長の川崎先生もおられますし、それから皆さんおられるのですから、まさに言い違いで、それも言い違いならすぐ言い違いを訂正してもらわなければいかぬので、その点をたいへんだたいへんだというので、そのことで三十分もやったのですからね。だから、それは事務局長にしっかりしてもらわなければいけません。しかし、そのことはけっこうです。
○宮澤参考人 永易君にそういう危険があるということは、私自身全然聞いてないのですね。だから、ほかのほうでいろいろやっているときにあまり調べると、冗談にうっかり何か関係人の調べを聞いている最中に言うとあぶないからというようなことを、言ったやつがいるとかいないとかということを小耳にはさんでいますから、あるいはそういうことを事務局長が言ったのかもしれない。しかし、いまさがすと永易自身の生命に危険があるということは全然聞いてないので、皆さんの聞き違いだろうと申したのは、私はそうだろうと思ったのですが、もしそうでなければ、言い違いということもありましょうから、事務局長の言い違いで、それは言い違いでけっこうです。
○塩谷委員 関連。ただいまの問題でありますが、井原事務局長のきのうの発言が言い違いというなら、私どもは、さらにまたそう言われますと疑惑を深くいたします。ということは、永易をどうしてさがさないのだということが第一の質問だったのです。その質問に対して、永易の問題は非常に慎重に考えております、しかし、永易を捜査すること、捜索願いを出すこと、そうしたことの是否論というものは非常に慎重に扱っております。ついてはその慎重というのはどういうことか、出てきたのではまずいのか、球団側に不利があるのかと言ったら、そうではない、言うならば永易の身辺及び周辺にもへたをすると生命の危険まで感ずるようなことがあるのだということから、これはたいへんだということになりまして、それならなおさらひとつ一刻も早く捜索願いをだれか責任をもって出すべきだということになったのですから、言い違いだということをいまおっしゃられても、またさらにこれはおかしいという問題になるわけであります。したがって、私どもは言い違いだということはすなおに受け取れない。よしんば言い違いであったとしても、問題は周辺に及ぼす影響なんだということになりますと、これとても捜索願いを必要とする重大問題だと思うのです。したがって、委員長のところへの御報告と差異があるとは思いません叩けれども、あの公聴会のきのうの大ぜいの前で正式におっしゃったことは、そう言い違いということでのがれられるようなことではない。ニュアンスの違いがあるかもしれませんが、もしニュアンスの違いがあっても、周囲にもし危険性を及ぼすというようなことになれば、さらにこれは拡大して考えなければならぬことですよ。 永易がどこかにいることはわかっているのだ。そして家庭のほうは何らかの形で話し合いをしておるのだから、そっとしておいたほうがいいということかもしれませんが、また第三者の、きのうの公述人の中の評論家の方が、その間にいろいろの問題が起こっている事実を発表されました。それとつじつまを合わせますと、やはりこれは危険性があるということで、暴力団関係の者と同行している姿を見たとか、あるいは電話が数通あちこちかかっているとか、その内容はまさしくスリラーものだという判定のもとに立って、これは急いで捜索願いを出すべきだという結論に達したわけです。
○宮澤参考人 補足さしてください。いまの聞き違いか言い違いかどっちかごたごたしておりますから、あらためて私の意見をお尋ねありましたから、私がお答えしましたことを、私が申し上げたとおりにひとつ御了解願いたい。それと違う発言がなされたとすれば、事務局長が間違えたか言い違えたか、私が皆さん方聞き違いじゃないかと申し上げたのは、それはたいへん失礼であったかもしれません。それはそれとして、私が申し上げましたのは、いま申し上げたとおり御了解願いたい。 特にお断わりしたいのは、永易が出てくると、いろいろあとから何か事件が出てきて困るのじゃないか、困るから出てこないほうを歓迎しているのじゃないかというお尋ねがあったそうですが、もしそういうお尋ねがあったら絶対間違いで、私はぜひ出てきて真相を明らかにすることを希望する者で、もし第二、第三の者があればどしどし出していただきたい。私ども規則に従って厳重に処分をする用意はあるのでして、その点くさいものにふたなんてことは絶対にない。 ただ、いまの捜索願いの点で私が、本人の家族が捜索願いを出さないと言っておる、そうしてどっかで平穏かどうか知りませんが、生活をしておるとすれば、捜索願いは本人の近親が出すのが筋で、それを出さないでやるというのは少し問題じゃないかと言いましたのは、決して出てこないことを歓迎して言っているわけではないのです。ほんとうに本人の私生活の安全ということを考えれば当然だろうと私は思うのです。それを考えないで、あまりよけいなことをやるのは考えものじゃないか。もしも犯罪の監禁のあれがあれば、これは別問題だということになりますから、どうぞさよう御承知を願いたいと思います。
○塩谷委員 いまの委員長のお話もきのう出たのであります。その質疑応答の中に、球団側では、出ることを希望していると言っておる。それから、疑いをかけられていることははなはだ心外であるということもはっきり言っておられた。しからば、永易君自身が、こういう騒ぎの中で出ていったときに、名誉とか、自分の気持ちの上でじっとしておいてもらいたいというだけかという質問もしたわけです。ところが、その質疑応答の中で、そうばかりじゃないということから、身辺、生命の問題もという話が出たわけですね。だから、これはたいへんだということになったことが一つと、それから井原さん御自身が、家族に正確に会って、そして家族の意向を聞いたのかと言ったら、家族とは直接にはお会いにならなかった、間接にそういう話を聞いたというわけです。これも非常に不親切ではないかという話が出た。そうして行くえ不明といわれてから今日までの間、もう少し責任を持った、愛情を持った措置をとりなさいという話をしながら出た話に、生命という話が出たわけです。生命という話はそう重く出た話ではないかもしれませんけれども、聞くほうにしてみれば、長い時間、とにかく行くえ不明ということは容易ならざる事実ですから、そこに生命というのが出て、さらに公述人の中の有力な評論家が、その間に怪電話が数回入って、そうして永易自身を銀座で見たという話もある。そのときには完全に暴力団の一人がつきそって、そうしてあらわれた。あるいは怪電話がきた場合にも、必ずその怪電話というものは永易の情婦——情婦といいますか婦人から電話があって、その応待をする場合には必ず暴力団的な男が電話に出て応答しておるということ等々を考えると、これはやはり容易なことではない。だから、ただただ永易の身辺だけを心配して、心情的なことをおもんぱかって、そうして捜索願いを出すのはやめておくという段階ではないんではないかという判断をわれわれは持ったわけです。それは井原事務局長もそうだということになって、そうして委員長とあすこの措置については相談いたしまして、お返事申しますということになったのです。
○宮澤参考人 そういういろいろな非常に疑わしい事実が永易にあるということは全然私は存じません。 私が捜索願い云々に対して多少ためらっていると申し上げたのは、先ほど申し上げた理由、それが唯一、非常に重要な理由だと私は個人として思うのです。それ以上もしお話しのような事情があって、非常に永易が不法監禁されているとか、そういう犯罪が行なわれているというようなことでしたら、ひとつ警察のほうでどしどし御調査願いたい。それを期待するところであります。
○塩谷委員 そこで警察のお話になりますが、この点は九日の委員会ですかで中谷委員の質問のときに荒木公安委員長から、捜索願いが出れば徹底的にこの捜索をします、警察としてはそういう態度で、いま現在では積極的に調査していないというお答えも得ております。われわれとしては、それでは捜索願いをだれが出すべきかということを検討したわけなんです。その結果の警察のお答えを、もしお答えがあるならば伺いたいわけです。
○高松政府委員 荒木公安委員長の御答弁は、もし不法監禁という事実があるんならば徹底的にこれを捜査しますということだったと私、記憶いたします。私のほうでも、あれから一応いろいろ調べてみました。伊東付近という御指摘がありましたので、伊東付近もだいぶ伊東を中心に静岡県警が調べました。残念ながらそういう永易氏の姿を見たとか、そういうふうな情報は得られませんでした。 それから、なお大阪でも両親に接触いたしまして、それでやはり伝えられておりますように御両親の話は、電話では連絡がある、しかし軟禁とか監禁とかいうようなことはない、無事であることはわかっておるんだから、警察はこれ以上心配しないでほしい。こういうお話がございましたほか、各県からも現在までそういうふうな裏づけの資料がございません。 先ほどからお話のございます捜索願いの問題でございますが、私どもも現在の状態で、もしもほんとうに監禁され、あるいは生命身体の危険がある、これが事実であれば当然捜査をやらなければならぬと思います。ただ、その事実がはっきりつかめない。この点について一つのうわさからうわさをたどっておりましても、なかなか具体的な事実がはっきり出てこない。私どもとして具体的な事実があるならば、ぜひこれは知りたいと思います。 それから、そういうことではなしに、ただひっそりとどこかへ身を隠して、世間からの目をはずしてどこかに住んでいるというふうな状態であれば、これは個人の自由の問題でございます。それから近親者もこういう意向が変わらない、それでとにかく無事でおるのだからよけいな心配はしないでほしい、こういうふうな状態になりますれば、私はやはり近親者の御意向というものをまず一番重視して考えるべきではないかということであります。ただ問題は、犯罪の容疑があるかどうかということ、その一点にかかっておると思います。
○中谷委員 とにかく警察というところは、別件逮捕までされるところなんだから——そう言っては悪いですけれども、とにかく近親者が無事でおると言うたから無事だというわけにはいかないでしょう。別件逮捕されるところと言ったのは、とにかくわざわざ家族までお会いになったのですね。だれにもそんなことは漏らさないのだ、じゃ永易はどこにおるのかということを家族は知っているのだったら教えてくれ、だれにも漏らさない、国会でも言いませんよということを聞いてきてくれたら私たちも安心をしますよ。何も私は、永易が無事であるというならばいいのであって、伊東説なんというのに固執するつもりはない。福岡で会っても北海道で会ってもいいのだけれども、しかし、家族が無事だと言ったからそれでとにかく捜査を打ち切る、捜索願いが出るまで待っているのだ。それはいろいろな推定を立てれば、永易から無事だという電話がかかってきても、そういう電話をかけさせられているかもわかりませんよ。十月から三月というのは何といっても長いですよ。一体どこにおるのかということは警察は知っておられるのですか。
○高松政府委員 私どもも存じておりません。ただ両親の態度、ことば、言動、そういうふうなものから見まして、そういうふうな心配は全くされてないようだ、あるいは御両親は御存じかもしれませんけれども、私どものほうは存じておりません。
○畑委員 関連して。いまずっと皆さんの質疑応答を聞いておったのですけれども、永易選手の行くえの問題等が、永易選手の親戚の方も、いまの話によると別に捜索願いを出す気はないようです。ところが、こうしてまわりでだいぶ心配をしておるということは一体何かということになると、先ほど来ずっと議論されておったプロ野球そのものの、球界自体のあり方が最近大きく問われているのじゃないかと思うのです。各球団があり、さらにパ・セ両方のグループがあるわけでありますけれども、おのおのの球団ないしそうした連盟等で、こういった問題があれば率先して処分をするということは必要であると同時に、やはりコミッショナー事務局としてもこういった問題を非常に反省をして、大いにこの際この事実をはっきりさせるべきだと思うのです。それだけ心配をまわりがしているというのは、そういう問題がやはりある、非常にうわさをされていると思うのです。しかも先ほど中谷委員からも言われたように、事実かどうか知らぬけれども、球団の幹部自体のうちにも、そうした暴力団ないし賭博団の人たちとのつき合いがある模様だというような話もしておりますが、それは事実かどうかわかりません、ないことを期待いたしておりますけれども。そういう事態までなっておるのでありますから、プロ野球界そのもののあり方が非常に大きく問われているのだと思うのです。 つきましては、そこでお尋ねしたいのですが、宮澤先生、おたくのほうのコミッショナー事務局のほうの事務局員は一体何人くらいおられるのでしょうか。事務局員の人数……。
○宮澤参考人 八人だそうです。きわめて少数です。
○畑委員 それは全部、総勢入れて八名でございますか。給仕まで入れて八名ということですか。
○宮澤参考人 おそらく、御趣旨はそれでは手薄ではないか、それでいろいろ御注文のような仕事が十分やりにくいんじゃないかということだろうと思います。この間からそういうお説もいろいろ伺いました。将来はどうかわかりませんが、いまのところは職員が八名ですけれども、しかし、全十二球団ありましてそれの関係職員、両リーグ事務局もありますけれども、そういう職員は必要に応じて全部動員することができると思います。いままでの調査そのほかでもみんなそれをやっておりまして、それで大体いくのではないかといまのところ考えております。もっともそれじゃだめだという御意見もあるかもしれません。また、事情によってはそれでは手薄だということになるかもしれませんが……(中谷委員「先生を応援しようとしているんですよ」と呼ぶ)いや、それはありがたいけれども、いまのところは……。
○畑委員 いま先生もおっしゃいましたが、非常に人数が少ない。しかし、いざというときには、各球団がそれだけ数が多いんだから、そのほうに先生のほうで指令を出して、そして応援を求めていつでも即応できる体制にあるとおっしゃるのですが、それはそのとおりだと思います。だがしかし、こういう問題もあることであるから、やはりあくまで球団は球団で別の組織であって、その上で全部を統括していらっしゃる先生をはじめとする、頂点とする中立的な立場のコミッショナー事務局、これをもう少し自体の力を充実させるために、もっと人数もふやし、しかももっと機能的にしてやる必要があるのではないかと思うのです。アメリカの場合のコミッショナー事務局というのはどのくらいおるものですか。その辺に比べてどうなんですか。その辺もちょっと参考に聞きたいのですが、大体おわかりでしょうか。日本の場合に比べて……。
○宮澤参考人 正確なことは存じませんが、だいぶスケールが違いますから、向こうは非常に大きいと思います。その配下にあるチームの数からして非常に違います。ただ、どういうふうにやっていますか、新聞によるとFBIの出身者を入れて大いにやったとか何とかいう記事がいろいろありますけれども、詳しいことは存じません。また知りたいとは思っておりますけれども……。 ただ、私がいま考えておりますことは、われわれはやはり警察とは違いまして、普通のプライベートな団体で仕事をやっておるわけですから、その中で調査なり何なりはできるだけやって、それでできないことは専門家に頼むという体制にあるわけでございます。そこで、この間うちいろいろ問題がありましたが、新聞記者諸君や何かいろいろな人が来て、いまの普通の人間ではだめじゃないか、専門家ですね、何といいますか、容疑者を見つける専門家みたいなものを置いたらどうだなんという意見もありましたけれども、これはなかなか具体的に——うまく成績かよくなる見込みがあれば考慮しますけれども、いままでのところ、私が頭の中で考えたところでは、どうも適当な人を選ぶことは技術的にむずかしいんじゃないか。また各球団の中に、よそからお目付程度ならいいのですけれども、何か変にスパイみたいなものが入り込んで、だれがどこで酒を飲んでいはしないかというようなことを調べるとなりますと、これは単にプライバシーの侵害なんという問題じゃなく、一つの球団、野球というスポーツマンのチーム、コミュニティーの平和というと少しおかしいけれども、そういうようなものを乱すようなことになるんじゃないかという心配もありまして、いろいろの点で考えておりますが、御趣旨のような意見に従ってなお考えたいと思います。
○畑委員 おそらくアメリカなどでも相当規模は違う。全体として大きいから、事務局そのものももっとはるかに人員など整備していると思う。また先ほどお聞きいたしますと、そうした機関上がりの専門家も入れておるようだというお話があるのですが、それをあまりやって陰湿になることはいかぬけれども、同時にまた、こうして全体の球界自体のあり方が問われているときでもあるから、やはりそうした考え方も導入して、人員もふやして、そうしてコミッショナー事務局自体として中立的な立場で各球団を広い意味で押えていく、こういった姿勢が必要だと私は思うのです。そういうふうにせひひとつ進めていただきたい、かように思います。
○中谷委員 それじゃそろそろ質問を終わりますが、私も畑先生と同意見なので、陰湿になっちゃいかぬけれども、逆に言うとわい雑といいますか、とにかく球場の中がそういうものであってはいかぬわけです。とにかく張り手がおる、胴元がおるというようなことで、球場の中で賭博をやりほうだいというようなかっこうは、先生もちろん御承知でございましょうね、球場に行かれて。うしろのほうで現に賭博をやっているでしょう。今度はストライクかボールかといって、ぱっぱっとかけたりして。それは一番小型です。実際は球場の外で胴元がおってという手口ですね、野球というのは。そうしたいまの暴力団にとっては命から二番目に大事な金をかけているのだから、選手をねらい撃ちして自分のほうの球団を勝たしたり負けさしたりというような、そういうような単純なばくちだけれども大がかりにやっている。 だから、私は、少なくとも一つお約束いただきたいのは、これは警察の仕事だ、おまえの仕事だと言わずに、自分のところの球場で賭博が行なわれておるということについては、言うてみれば自分の家に土足で上がってきているみたいなことだと私は思うのです。そんなことだけは、シーズン開幕を前にして、ないようにしていただきたい。これはもうとにかく球場の自衛措置を講じろという意見も評論家の中に出ました。それからまた、警察の協力ということもあると思います。そういうことだけは絶対にないようにして、ひとつシーズン開幕を迎えて明朗なゲームを、とにかく多くのファンが楽しめるような雰囲気をつくってもらう、これはぜひひとつお願いしたい。これは委員長の御答弁をいただきたいし、私どもももう打ち切りをいたしたいと思いますので、警察の刑事局長さんのほうでは、とにかくこれだけ野球賭博が問題になったのですから、この問題については、今度はもう万全の検挙体制というか、捜査というか、野球賭博は許せない、もう絶対にそういうものは放置しないんだ、こういう体制はおつくりいただきたいと思います。警察としてもにらみをきかす意味でも決意のほどをもう一度述べていただきたい。公安委員長から九日に御答弁がありましたけれども、具体的に、私どもはこういうふうに思ってこういう体制をしくのだということを言うていただきたい。 それから、法務省の刑事局長さんおいでいただいておりますけれども、要するに、そういうふうな者が検察庁に送られてくる。暴力団については従来から取り締まりが非常に厳重だということは当然ですけれども、もう次から次にごまのはいみたいなものが出てくる。こういうものについては徹底的に取り締まって、途中のいわゆる若い者、小頭ということでなしに、ほんとうにもとを押える。そうしてその関係の中において、もしふしあわせなことがあって選手の賭博幇助というようなことでもあるならば、そういうようなことについて、やむを得ないことだからこれはもう仮借なくとにかく捜査をする。これはひとつ両方の刑事局長さんから、その点についての御決意を述べていただきたい。
○宮澤参考人 いまの球場の問題、球場で御存じでしょうと言って、だれでも知っているようなお話でした。私もよくそういう話は聞きますけれども、私は野球を見ていて、あれがいま賭博をやっているんだなという話は私は知りませんです。(中谷委員「うしろのほうです」と呼ぶ)それがもしそこにあるならば現行犯でしょう。私としては、警察がなぜほうっておくのだと言いたいくらいなんです。それは警察にお願いして、それはどしどしつかまえていただきたい。賭博があることが、結局選手を誘惑するチャンスが多くなるのだというのはお話しのとおりです。ですから、根本においてそういう野球賭博が絶滅されるということは私は大賛成で、私どもでもぜひお願いしたい。それに球場としてできるだけ協力するということが問題だろうと思います。協力のしかたはいろいろあるでしょうけれども、それはもちろん各球場にできるだけ協力するように——どういう方法かは別にしまして、するようにしたいと思います。しかし、みんな協力するといっても、腕力でつかまえるという意味ではないですよ、そういうことはまた別の問題が生じますから。警察に協力する。 それから、いまのお話でしたか、球団自身にも暴力団が接触しているような疑いがあるんじゃないかというお話でした。球団の幹部にそういうことがあるというようなことは、私はもってのほかだと思う。球団の幹部自身が姿勢を正して、そういうことは極力排除する——といっても、さっきのお話のとおり、暴力団や仲間がいろいろなところから入ってくる。多少でも甘い目で見るとかつき合うということはもってのほかだと思います。そういうことがもしあれば、これは相当な大問題で、そういうことのないように、いまはないと思っていますけれども、もしあるとするならばそれはたいへんだ、ぜひそれは排除しなきゃならぬ。どうも賭博、黒い霧を除くということについて非常に関心を持っていただくことは非常にありがたいので、その点はぜひ私も一日も早く、あそこにいるなんという球場がなくなって、球場が明朗になるということを希望しております。警察にもよろしくお願いいたします。
○高松政府委員 野球賭博の取り締まりにつきましては、今後とも一そう力を入れてやってまいりたいと思いますが、いままでの野球賭博の取り締まりは、どちらかといえば暴力団の資金源の取り締まりという面から見た取り締まりを強めておったという感じは、私ども自身としてもいたします。ゲームの勝敗にかけておる野球賭博というものを大体それでやっておったわけですが、ただ、いま問題になっておりますような八百長に結びつく野球賭博、つまりことばをかえていいますと、野球賭博の事件の追及にあたって、その背後関係なりそういうものの追及を、今後はもっとそこに目を向けて、力を入れて野球賭博の取り締まりをやる、こういうことでひとつまいりたいと思っております。
○辻政府委員 いわゆる野球賭博の肝犯が検察庁に送致されました場合におきましては、検察庁におきましても、検察庁の独自の判断と独自の方針のもとに厳正な処理をするものと確信いたします。
○中谷委員 では最後の質問というより要望でございます。 要するに私は、選手というのはある意味では非常に弱い立場にあると思うのです。何となれば、選手の寿命というのは非常に短かい。身分保障は非常に不安定で、そういうようなところに暴力団からねらわれる一つの条件があると思うのです。そういうことで選手の身分保障というものは、やはり委員長、これはひとつ御検討いただきたいと思うのです。幸い二月一日から、死亡した人の補償金が八百万円まで上がりましたけれども、八百万円を限度としてというのは私は気に入らないのです。しかし、それはやむを得ないとしても、もっと上にしておいてあげてもいいと思います。もう一つは、災害の二百万、これも私は御検討をいただきたいというのが私の考え方。なお養老年金等についても、これは委員長も十分御承知で、私どもしろうとが申し上げるのはおかしいけれども、アメリカではテレビの収入とか、オールスターの収入でも年金に繰り入れをしている。日本では経営者がほとんどを取り込んでいる。球団の経営内容にもよるのでしょうけれども、こういうような問題もひとつ御検討いただきたい。 それからいま一つ、選手会というのがございますね。皆川君がいま会長ですね。この選手会というのがあるのだけれども、その選手会がどの程度一体選手の要望を相手方に出しているのか。ほとんど選手会の組織的なといいますか、系統的な要求というものは出されていない。私は、選手というものが、ほんとうに健全な伸び伸びした国民の期待にこたえられるような、ファンも満足できるようなプレーをするためにも、そういうようなものは、私は肩ひじを張らしてという意味ではなしに、なごやかな中にでも選手の要望が達せられるようなものであってほしいと思うのです。選手会の強化ということでございますね。そういうようなことも私はひとつお願いしておきたいと思います。 最後に、きょうはたいへんお忙しい先生に特に御出席をいただいたわけですが、会長の川崎先生はじめわれわれの気持ちというのは、あくまでもプロ野球の健全化、すでに国民生活の中に密着をしているこのプロ野球の健全化というものを一日も早く樹立をしていただきたい、こういう趣旨から出た質問であります。そういう立場からのこの問題に対する取り組みであります。質問の中で非礼なことばも出たかもしれませんが、そういう熱意に基づいての質問でありますので、ひとつその点についての一そうの御努力をお願いをしたい。特に畑委員のほうからお話がありましたけれども、私も重ねて申し上げます。事務局の八名でしたか、お茶くみの女の子を入れて、運転手を入れてというのでは、ちょっと陣容がお粗末過ぎるのではないか、これでは全く調査能力というものはなかなか発揮できない。では球団とのいわゆる密接な連係をどうとるのかというような問題についても、ひとつさらに早急に開幕までに具体的な方策を私は樹立していただきたい、こういうことを重ねてお願いし、希望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○宮澤参考人 いろいろな御要望、ありがとうございます。大体根本において、プロ野球の清潔化、健全化というところに皆さんの御趣旨があるように承りました。その点大いに意を強うするところであります。そういう趣旨で御要望をなお一そう検討していきたいと思います。 ありがとうございます。
○小澤(太)委員長代理 宮澤参考人には、長時間にわたり貴重な御意見の御開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。 どうぞ御退席いただいてけっこうでございます。 次に岡沢完治君。
○岡沢委員 私は、刑事法廷における原告官を、現在は検事が専任で担当されておりますけれども、弁護士に担当させる制度の採用に関連した質問をいたしたいと思います。 財団法人法曹会が出しております「法曹」という雑誌がございます。その二三三号、ことしの三月号に現職の検事総長であります井本臺吉さんが「検察庁を去るに当って」という一文をものにしておられます。この中で検事総長は「刑事法廷における原告官としての行動等は、在職者の法曹でなくても、在野の弁護士でも十分果し得るのである。刑事訴訟法準起訴手続の原告弁護士の実績が数々存するのである。刑事法廷における原告弁護士の制度の開設は、検事欠員の現状に鑑み目下の喫緊事ではなかろうか。」と指摘しておられます。 私は、この問題につきましては、昨年の三月七日、当委員会におきましてもやはり質問をいたしたわけでございますけれども、検事総長自身が御指摘になっておりますように、現在検察官志望者は非常に少ないし、現に欠員もございます。また、増員の予定もないようでもございます。しかし、最近の犯罪あるいは刑事法廷のあり方等を考えました場合に、検察官の不足は否定できない事実だと思います。昨年も私はこの問題の質問に関連して指摘したのでございますけれども、現在の最高裁の判事の中にもこういう御意見を、率直に私に賛成意見として披瀝された方がおられます。御承知のとおり私は弁護士でございます。今度は現職の検事総長が、しかも四十二年の長きにわたる検察官生活の最後の御意見として、ここに原告官として弁護士制度を採用するという貴重な御意見を公表されたわけでございます。法曹一元と叫ばれますけれども、実際にこの法曹一元の実態を見ました場合、司法修習制度あるいは司法官試験、あるいは裁判官、検事をやめられた方が最後には弁護士になるというような点で実施されておりますけれども、こういう刑事公判に弁護士を採用するということこそ画期的な法曹一元の一つの道ではないだろうか。 また、一般に危惧されます弁護士にそれだけの能力があるだろうかという点につきましては、日本の弁護士の水準というのはかなり高いと評価していただいてもいいのではないか。ことに検察官をやめられた方が大部分弁護士になられるという実態を見ました場合、十分にその能力はあるし、また弁護士法の規定を見ましても、「弁護士の使命」として「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」第二条に「弁護士の職責の根本基準」として「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。」ことに第三条の「弁護士の職務」の中に「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」この第三条の規定からいいましても、官公署の委嘱によって訴訟事件を担当できる。幾らか弁護士法自身の改正も必要だし、検察庁法の改正も必要だと思いますけれども、弁護士法の中にも私は必ずしも、刑事法廷の原告官に弁護士を採用するということと矛盾しない、むしろそれを前提にしたような規定もあるというように考えていいのではないかと思うのであります。 もちろん、現在の刑事訴訟法上あるいは日本の法制上の関係では、公訴官または公判担当は検事が当たることになっておりますけれども、制度としてはこの際思い切ってそういう方向に新天地を開くというのも、日本の法曹の現状、特に検察官不足の実態、ことに私はこの制度の採用による利点といたしましては、捜査が公正に行なわれるという担保になるのではないか。国民から見た場合も、また捜査官の捜査の実務の場合におきましても、自分が起訴した事件が裁判所においては他の分野の法曹人によって遂行されるということによって公正な捜査ということがより確保されると、国民の法曹に対する信頼、司法に対する信頼、あるいは捜査に対する信頼、あるいは基本的人権の擁護等とも非常に密接に結びつき、しかも効果的な方法としてのメリットが考えられるのではないかと思うのでございます。 昨年の私の質問に対しましては、最高裁のほうからは寺田総務局長がお答えになりましたが、私自身が指摘しましたように、イギリスでは現にこの制度を採用しているわけでございますが、イギリスと日本とは違うということできわめて消極的な御答弁でございました。これについて最高裁の御見解をこの機会にあらためてお聞きしたいと思います。
○佐藤最高裁判所長官代理者 お答えする前にちょっと一点質問をお許しください。 先ほどの御質問の中に、採用というふうにおっしゃったと思うのですが、弁護士の方を検事に任命するということではないのでございますか。
○岡沢委員 弁護士を検事に任用するのではなしに、こういう制度を採用するという意味でございます。弁護士は弁護士の資格のままで、いまの民事事件、行政事件でも国の代理人に弁護士が指定されます。指定弁護士の制度に類するものだと考えていただいていいと思います。公判の事件ごとに適当な弁護士を指定されて、イギリスのようにバリスター、ソリシターの区別はございませんけれども、現在の民事事件あるいは行政事件等で国が弁護士を委嘱される場合でも、やはり適当な方を大体リストをつくって御委嘱になっておられるようでありますし、先ほど申しましたように、検事出身の弁護士も多数におられるわけでありますし、役所出身の弁護士もおられる。事件ごとに適当な弁護士を委嘱される。ただ私が申し上げたのは、こういう制度を採用されたらどうかという意味なのでございます。
○佐藤最高裁判所長官代理者 刑事公判運営の立場から意見を申し上げます。 先ほど英国の話が出ましたが、そもそも英国では検察官というのがないのでございますので、一般のバリスターあるいはソリシターというものを活用するということでございますので、それとの比較におきまするとかなり基盤は違うと思います。わが国におきましては検察官がおりますので、そういう意味では英国とちょっと違うと思います。ただ公判運営ということから、先生の仰せのような制度をとった場合に支障があるかという観点から、裁判所の側からの意見を申し上げます。 その点から申しますると、私のほうとしましては支障はないというふうに思います。
○岡沢委員 いま最高裁のお立場から、おそらく実務的に支障がないという御答弁だと思いますが……。
○佐藤最高裁判所長官代理者 もう一点ちょっとよろしゅうございますか。恐縮です。 ただ、公判よりも捜査のほうが大事だというような思想に立っているとすると、これは問題だと思うのです。検察官として捜査に専従されて、あとは先生のおっしゃるような弁護士の方が公訴を維持していくということで、これは検察官の本来の仕事としてはよけいだというふうな考えがもし入っているとすると私は問題だと思いますけれども、そういうことではないということで、ローヤーとして公判に、公訴の維持に当たられるということを考えました場合には、支障はないというふうに考えるわけでございます。
○岡沢委員 いまの局長の御答弁は、たとえば準起訴手続なんかですでにそういう実績がありますね。それに照らしてというふうに解釈してよろしゅうございますか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 そうでございます。 それから、ちょっと一点、若干問題がないではないと思われますことは、いまのお話でございますと、事件ごとに検察官の仕事をなさるという弁護士さんが出てくるわけですが、その方は本来弁護士の事件をお持ちでございますね。そうなりますと、期日がうまく入るかなという心配はちょっとあるかと思うのです。本来弁護士としてのお仕事の関係で公判の期日の指定に困難を来たすことはなかろうか。準起訴手続でございますると、数が非常に少ないということでございまするのでいいのでございますが、いま仰せになった制度をとりまして、このような弁護士さんの方が多数公判においでになるということになりますると、いま申し上げたような関係で期日の入れ方に困難を増すのではないかという心配は若干ございます。
○岡沢委員 その点はまた逆に考えれば、待遇を改善することによって、ほかの一般の事件をセーブしてもらうということも可能だと思いますし、私なんかの実務上の経験から申しましても、東京や大阪のような大きな裁判所、検察庁では捜査検事と公判検事とは全く区別されております。その意味では捜査を担当した者でない検事が公判を担当されて、しかも御承知のとおり、検察庁の場合は異動が非常に多うございます。大事件の場合、三年も四年も係属されますが、その間に検事がかわられる、記録もお読みにならないで来られる、これは着任早々でやむを得ない場合が多いわけでございますけれども、かえって訴訟の遅延を来たすということもあり得るわけなんで、検察官には転勤はありますけれども、弁護士には原則として住所の移動は少のうございますから、かえって事件の訴訟の促進とか何かの面ではプラスのほうが多いのじゃないかというふうな感じがいたしますし、いま局長のお答えの事件を受けられるかどうかについては、私はやはり待遇の問題とももちろん関連してくるのではないかと思うわけでございます。これについて刑事局長の先輩でもあられる井本検事総長の現職の総長として異例の提案だと思うのでございます。法務省としてこの問題についてどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
○辻政府委員 ただいま御指摘の井本検事総長の書きものでございますが、これは検事の欠員の補充が困難な現状を打開する一つの方策といたしまして、井本検事総長が個人の資格で私見を開陳したというふうに、私どもは理解をいたしております。 その内容につきましては、要するに法律知識や経験の豊富な弁護士さんの能力を人手不足の検察運営のほうに活用してまいるという提案でございまして、それ自体としては傾聴に値する意見であると考えております。ただ、この実現には後ほどまたいろいろお答えできる機会があろうと思いますが、先ほど岡沢委員も御指摘になりましたように、いろんな法律の改正を要することはもちろんでございますが、そのほかにやはり、かりにこういう制度ができました場合に、検察運営上におきましてもいろいろな問題点も残っておるものと考えております。 要するに、非常に傾聴に値する意見ではございますけれども、法制上も運用上もなお十分検討しなければならぬ問題である、かように考えております。
○岡沢委員 内閣法制局お見えでございますので、法制局のお立場から私が提案しているこの制度を採用するについて、憲法上あるいは法律上問題があるかどうか。もちろん法改正を要するということは当然でございますけれども、何かこういう制度を採用するについて法制上の隘路あるいは技術士の隘路、法制局のお考えがあれば御指摘いただきたいと思います。
○田中政府委員 ただいま御提案になりました件につきましては、私たちも非常に貴重な御意見であるということはそう考えておるのでございますが、またそれにつきまして、これは別に憲法上どうだというような隘路があるわけではないと思うのです。ただ、ただいまの段階で法制上これをどういじらなければならないか、これは運用とも関連いたしますし、かつ検察に関する基本的制度にかかわる問題でございますので、この点につきましてはやはり法務省が内閣といたしましては担当する所掌の省でございますので、そのほうと十分連絡をとりつつ私のほうとしても検討させていただきたい、こういう考え方でございます。
○岡沢委員 いまのお答えですと、法制上は問題はない。憲法上ももちろん問題はない。最高裁のほうもむしろメリットがあるようにおっしゃっていただいたと思います。問題の刑事局長のお答えですけれども、法務大臣ではありませんが、現場の検察官の最高の地位にある検事総長が、特にこの最後の「検事欠員の現状に鑑み目下の喫緊事ではなかろうか。」喫緊事ということばを使っておられます。私はこの一文を読ましていただきまして、現職の検事総長であるだけに、ことばには十分注意されておると思うわけでありますが、その上でなお目下の喫緊事だということをおっしゃっているところに、何か示唆があるのではないか。 実は、私は弁護士でございます。そこにおられる畑さんも弁護士でございますが、弁護士の仕事の分野をふやす意味にとられるおそれなきにしもあらずでございますし、こういう私が申し上げております提案は、あるいは検察庁のなわ張りを荒らすことになるのではないかとの反発があるとすれば、検事のほうからあるのではないかと思っておりましたが、あにはからんや検事総長のほうからこういう御提案をなさる、そこに非常に大きな意味があるのではないか。 昨年もこの問題について論争いたしましたので、あえて強調はいたしませんが、単にイギリスの制度は国情も違う、それに歴史と伝統があるんだ、と簡単に捨ててしまわれないで、——国会もそうでございますがやはり裁判所、検察庁も、何といいますか、ある意味では最も時代感覚の鈍いところだ、封建的な慣習とか伝統がものを言い過ぎるところではないか。もちろん法の権威、あるいは裁判や検察は普通の行政とは全く違う性質のものではありますけれども、やはり技術化、近代化、合理化、そして国民の法に対する信頼あるいは憲法の保障する公平で迅速な裁判の実現というところに、われわれ自身、制度上あるいは法規上取り組むべき時期ではないか。やはり思い切って頭を切りかえるということも必要ではないか。そういう意味からいいますと、先ほど申し上げましたように、検事総長が最後のことばとして、しかも法曹関係者の機関誌ともいうべき「法曹」に一言申されたというこの時期は、やはりこの制度の検討に具体的に着手していただくべき時期ではないか。もちろん、御答弁にございましたように、運営上あるいは法制上いろいろな問題点があることは重々承知いたしますけれども、やはりこの機会に思い切って検討に値する制度ではないか。その具体化にぜひ取り組んでいただきたい。往々にして、法制審議会にいたしましても、この法律関係の制度改正というのは法曹三者がそれぞれの異見があるということもありますし、また拙速を避けるべきだという点もありましょうけれども、まあ法改正というものは非常にのろいテンポでしか行なわれないという弊害があるような気がいたします。この制度の採用につきましてはぜひ前向きで御検討いただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小澤(太)委員長代理 次回は、明後二十日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時散会