法務委員会 第5号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/03/11
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
○畑委員 私は、きょうはまず第一に、いまスポーツの問題でいろいろ注目を浴びておりまする帝京商工高等学校の野球部の春の選抜野球大会へ出場できなかった問題について、二つの裁判事件が起きておりますが、この事件について最初に質問し、それから続いてそのあと、華僑総会の人々の広州交易会への参加の問題について、これまた大臣以下の御所見を承っておきたいと思います。 順序といたしまして、いま申しましたような順序で、最初に帝京商工高等学校の問題について質問をしたいと思うのです。 この問題については、新聞紙上等でも報ぜられ、特にスポーツ新聞などは相当関心を持って、その動きのたびごとに詳細な記事を載せておりまして、大体もう御承知だと思うのでありますけれども、この問題は、たまたま軌を一にしてやはり問題となりました職業野球の関係のいろいろな不明朗なできごととあわせて、学生野球のあり方、特に最も純心な高校野球のあり方、それからそれを統轄しておりまする高野連——高等学校野球連盟、このあり方がいままでのようなあり方でよろしいのかどうかという問題が大きく問われておると思うのであります。 この問題については、大体甲子園の大会は春と夏と二回ある。春の大会は選抜野球大会であり、夏の場合には、もう勝ったものがそのまま自動的に各地の代表として大会に出場して覇を争うということになっておりますから、この夏の大会の場合には問題はないわけです。ところが、選抜の春の大会ということになると、必ずしも地域の優勝者あるいは次点者というものがそのままずばりで中央の大会に出られるとは限らぬ。こういう問題がありまして、その選考をめぐっていろいろいままでとやかく問題もあったようであります。 ところが、今度帝京商工高等学校の出場の問題について、はしなくもそれが暴露をして、そうしてとうとう最後にはいわゆる裁判ざた、仮処分の問題にまで発展をした。しかもその仮処分の挙に出たということが、また、高等学校野球始まって以来の不祥事であるというようなことから、都の高等学校野球連盟が各加盟校に対して、帝京商工高校と対外試合をしてはならない——仮の処置だそうでありますが、そういった臨時措置をとったということが、これまた大きく発展をして問題になったわけでありまして、結局仮処分が二つ存在している。ところが、あとのほうの仮処分の問題については、新聞、世論、そういったような批判もあったためか、きのうの新聞によりますると、都の高野連がこの臨時措置の禁止措置を解除したということを報じておりますから、まあ解決への一つの糸口はできた。結局そのほうの仮処分のほうは、訴訟の利益がなくなるというようなことで、おそらく仮処分の申し立ての取り下げをするようなことになると思います。同時にまた、この問題については帝京商工側といたしましても、法務省の人権擁護局、東京の法務局の人権擁護部ですか、ここにあてて人権侵害の排除の勧告の申し立てをいたしておるわけです。これまた、おそらくそういうことになりましたからには、このほうの勧告のほうも取り下げになると思いますが、それがなっているかどうかはわかりませんけれども、その辺のことをまず最初に聞いて、それからずっと問題の本質に移りたい、かように考えております。 つきましては、この裁判のほうはともかくといたしまして、法務省関係の人権擁護の訴えが出ておる。その訴えの大体のあらましをほんとうにかいつまんでどんなふうになっているか。それがまだ取り下げになっていないかどうか。それからまた、そういう訴えが出た上で当局としては事情の調査を開始したかどうか。開始したとすれば、その結果どういう見解に到達したか。もっともまだいろいろこまかい調査までしていない段階であるから、結論的なことは申せないかもわかりませんけれども、調査し得た範囲についてひとつ申し述べていただきたい。この申し立ての内容はごく簡単にひとづかいつまんでいただきたい。 以上、最初の質問をいたします。
○井手説明員 お尋ねの点につきましては、三月三日に東京法務局は帝京商工高校の代理人を介しまして、人権侵害排除申請を受けましたが、その申請の内容は二つございまして、一つは、対外試合を禁止いたしました東京都高等学校の野球連盟、これの決議通達の撤回、もう一つは、今後裁判を起こしたことを理由として、帝京商工あるいはその姉妹校に対して不利益な取り扱いをしないということの勧告を求めるということでございました。 本件につきましては、同じ日に申請人のほうから東京地裁の民事九部に対しまして、同趣旨の仮処分の申請をしておりますので、法務局といたしましては、裁判の推移を静観するとともに、もっぱら情報の収集につとめておる次第でございます。 九日に、東京都高等学校野球連盟のほうから、その決議通達、これを取り消すということになっておりますが、その詳細につきましては、代理人のほうから法務局のほうに書類を持ってくるということになっております。現在のところはまだ取り消し等は行なわれておりません。
○畑委員 何せまだ申し立てがあってから間もないというような関係もあり、また一方、同じような内容の仮処分が裁判所のほうに出ているから、その裁判の推移を見守るというようなことでいままでまいったようでありますけれども、新聞紙の報ずるところによると、結局出場停止というか、対外試合の停止というか、その臨時措置は東京都の高野連のほうで解除をしたといわれるので、おそらく近く申し立ての取り下げということになると思うから、したがって法務省のほうの人権擁護部としての仕事は解放になるとは思うんだが、今後のこともあるけれども、法務省のほうでは、裁判などあると裁判の推移を見守るということでなかなかやらないというような傾向がある。例の博多駅の事件などのごときも、裁判がずっといままで続いている関係もあるかもしらぬけれども、人権擁護の申し立てをしてもそれがさっぱり進んでおらぬというようなことがございます。この点は将来の問題もあるから、こうした短期間に片づくというようなことはまれであろうと思いますから、この際にひとつそういった申し立てがあれば、積極的にやはり法務省としては人権擁護の立場から独自の調査を早く進めてもらいたい、かように思う。 ちょうど大臣がおいでになりましたから、また大臣はよそへ行かなくちゃならぬかもしれぬので、ちょっとその点についてだけお聞きをし、それからまた帰ってもらって、今度はまた例の出入国の関係についていずれお聞きしたいと思うので、大臣がおいでになったので、席をはずされないうちにと思ってお聞きをいたします。 大体いま私が申しましたことは、大臣はお聞きになっておらぬと思うけれども、事件の経過として、仮処分が二つ出ているけれども、一つのほうは、東京都の高野連のほうで取り下げというか解除をしたから、したがって、仮処分を受ける利益がなくなったということで、おそらく帝京商工のほうから取り下げということになるであろう、そう見通しを立てておりますが、しかし問題は、そういう形で第二の仮処分のほうは解決するような形に在ると思いまするけれども、しかし一たんこうした仮処分が出るような騒ぎになったということ自体は消えないわけであります。したがって、こういう問題について人権擁護を任務としておられる法務省、その法務省の責任者である大臣は、こうした東京都の高野連が、帝京商工が全国の高野連に対して仮処分、出場させろという仮処分の申し立てをしたこと自体が、高等学校野球始まって以来の不祥事であるという考えのもとに、その制裁処置というか、それをやめさせる一つの威力としてか、ともかく対外試合を一切やっちゃならぬ、こういった人権に関するような問題を通達を出してやった、こういうことですね。明らかに、裁判を受ける権利、これはあるはずです。憲法三十二条に明記をしておる。何人といえども裁判を受けるという権利を奪われない、こういう意味の憲法の規定があるわけでありますが、この東京都の高野連のとった処置というものは明らかに憲法に違反する。裁判を受ける権利を奪われないということを、奪うような結果を招来する、そういう手段として用いられておる、こういうふうに考えられてならないのでありますが、この点についての法務大臣のひとつ見解を承りたいと思います。
○小林国務大臣 スポーツの問題、特に高等学校の野球等の問題は、これは明朗に扱わなければならぬのでありまして、結果のいかんにかかわらず、私どもが第三者として見ておって、これが訴訟問題等にいくということは私は非常に遺憾な事態だ、こういうふうに思うのでありまして、訴訟を出したほうもよくよく事情があったろうと思いまするが、私は、非常に好ましくない現象である、こういうふうに思うのでありまして、しかもだれから見ても高校野球等のことで訴訟問題を提起するなんということは、これはもう非常に遺憾に思われておる。したがって、出したほうでもそれだけにいまお話しのようなよくよくの事情もあったろう、こういうふうに思われますので、さような申し出もあるようでございますから、いずれにいたしましてもその向きのことは一度調査をしてみてもらったらどうか、われわれの出先当局に、そういうふうに思っております。 しかし、いずれにしましても、こういうことが高校野球などで起きるということは、どの点から見ても非常に遺憾なことではないか、かようなことのないようにわれわれ第三者として心から希望しておるということを申し上げておきます。
○畑委員 大臣のお答えは、結局最も明朗であるべきスポーツの中での、また花である高校野球、こうした問題について裁判ざたになるようなことは好ましくない、なるべくそういう形でなく解決してもらいたいものだということだと思うのでありますが、私もその点については同感なんです。ただ問題は、帝京商工が全日本の高等学校野球連盟を相手にして訴訟をしたということは好ましくないかもしらんけれども、それを理由としてその問題が円満に解決するまで対外野球をやることを一切認めない、こういう東京都の野球連盟のやり方、これが一体、裁判はだれでも受ける権利があるのだから、それを裁判に出したから、しかも高等学校野球であって、最も明朗であるべきもので、裁判などとんでもない、こういう形でやったのが東京都高野連の対外野球練習試合禁止の措置だと思うのです。私はこのことがいかぬと思うのです。それに限ってどうでしょうか、大臣はそれについてどう思いますか。憲法に保障されている、裁判を受ける権利を奪われないというのですから、それを出したからけしからぬというので次の措置をとるということは私は許されないと思うのですが、その点についてはどうでしょう。
○小林国務大臣 東京都の高野連がそのことのみを理由にしていまのような措置をとるということは、私はお話しのように適当なことではなかろう、こういうふうに思います。また一方から申せば、訴訟を起こすというようなことはよくよくの事情もあったろう、こういうふうに思いますし、いまお話しのようなことは私も適当と思いません。したがって、そういうような事情にいろいろ申し立てがあれば、またあるそうでありますから、また一方におきましては、いまのお話しのように、高野連のほうはその制限を取り除いた、こういうことでございますが、しかし、制限をしたことはもう事実でございますから、いまのお話のような訴訟云々のみを理由としたものであれば私は適当であるまい、こういうふうに思います。
○畑委員 この問題は、そういうことで東京都の高野連のほうでその非を認めたことだろうと私も思う。裁判を受ける権利を奪われないということであるのにそういう形で押えたということは、制裁的な態度に出たということは、これはどうも何としても憲法を無視する態度だと思うのです。そういった世論等があって、この第一段階が解決した、するだろう、かように田ふう。 問題は結局、いま高野連のあり方自体が私は大きく問われておると思う。いままでずっと何回となく続いておる長い間の歴史を持っておる高校野球でありまして、われわれもその伝統を育てたい。非常に明朗な高等学校の生徒の純真な競技を通じての争い、これは私は非常にけっこうだと思うのです。これを育てたいと思うのだけれども、やはり長いことになるといろいろ弊害も出てくる。私は、高野連そのものの組織あるいは運営というような問題、姿勢そういうものに相当問題が含まれておるのではないか、かように思っておるわけであります。 つきましては、こういうことにならないように、帝京商工側から実は私、訴訟記録の写しを一つちょうだいしたのです。取り寄せたのでありますが、それをずっと見てみましても、どう見ても高野連のほうがどうも分が悪いというふうに思える。これま裁判をやっていますから、いずれ十二日か何かにどちらかの決定が出るようでありますから、この問題については触れたくありませんけれども、どうも選考の基準というものがはっきりしていない。これは文部省のほうにそういうことをお聞きしますが、あらかじめ用意しておいてください。 この選考の基準というものがどうもはっきりしていない。夏の大会のような場合ならずばりそのまま自動的に代表になるのだけれども、それ以外にやはり酌量というか自由裁量というか、そういう余地が相当残っておる。そこでいろいろ不明朗なことを邪推されることもあろうし、事実また不明朗なこともあろうし、そういう問題があると私は思うのです。これが夏と同じようなら問題はないと思う。この辺もやはり考えてみる必要があるのじゃないか。不明朗さをかえって残す。いろいろの校風だとか、あるいはこの場合については対外試合の記録を全部報告してない。もう公式試合というものは全部わかっているはずだ。それから各学校同士のいわゆる練習試合、これもだいぶ数の多い中でわずかに三つかが、結局火事で記録が焼けちゃって、相手方のほうに照会したり何かしても相手方のものははっきりしないという一応理由があるらしい。それをつまびらかにせずして、理由としては、ともかく添付書類が不備だということだけで、第二位で準優勝である帝京商工を除いて、そして帝京商工に二対ゼロで負けている堀越高等学校ですか、それを出場さしている。しかも帝京商工は補欠にも何にも推薦されていない。しかも東京都のほうの高野連はちゃんと一位、二位で帝京を二位に推薦している。三位は堀越ともう一つ何とかと三位というふうに推薦しておるのに、それをそうでなくやっている。その理由としてはいま言った書類が不備だという。なぜその前にそういった不備のところを補修さしたり事情を聞くなりしなかったのかということ。話によると、火災で燃えたという問題が、その学校の生徒の精神異常の生徒が火をつけた放火事件、何回かあったそうですが、結局それによって燃えたんだそうだが、そういった放火事件があるような学校ではということのあれもあるようです。公式にはあまり言われないが、いろいろ詰めるとそんなことが出てくるらしい。そういったようなことが非常に不明朗さを増しておると思うのです。選考基準がはっきりしていないということがひとつ大きな原因がある。 同時にまた、高等学校野球連盟の会長は佐伯さんという人らしいが、この人はどういう人か私はわからぬ。何年間かやっておってどういう経歴の人であるかという、そういう問題もよくわからぬけれども、そういった問題も関係してくるのではないか。要するに一つの権力を持っておる。オールマイティだ。ある意味でそれに対するささやかな抵抗であったのじゃなかろうか。いろいろ説明を求めてもさっぱり熱意を示してくれぬ。それでしかたがなくて帝京商工ではこういう訴訟手段に出た。そうすると、ちゃんと二位に推薦をしてくれた地元の東京都の高野連が最高の本部の言うことを聞かないとはけしからぬということで対外野球を一切やってはならぬ、こういうことをやる。むしろ東京都の高野連が率先して、おかしいじゃないかということでやるべきであるのに、逆にそういった態度でぴしゃりと上から一方的にやる。このことは官僚的な、形式的な、一種のボス的な、こうしたあり方が問われているんじゃないか。したがって、この問題が出てから相当拍手かっさいをしている加盟校もあるようだ。そういうことが結局この際に高野連の官僚的な独裁的なやり方に対する批判を相当の学校が持っておる、一般のファンも持っているんじゃないか、かように思うのであります。私はいい薬だと思うのであります。 こういう点について、これを指導助言というかそういう立場に立っておられる文部省、きょうは局長もおられぬようでありますが、むしろ課長のほうが実際に詳しいかもしれない。その辺についてひとつ文部省の見解を、私の見解もあわせて参考にしてどう考えておるか、その辺をどう直していったらいいかというような問題について、文部省側の意見を承りたいと思います。
○西村説明員 お尋ねの点につきまして、選抜高校野球の選考方法でございますが、お話しのとおり、ことしの要綱によりますと、その選抜につきましては、大会運営委員会で選出された選考委員会において各都道府県高校野球連盟から推薦された加盟校の中から試合の成績報告書及び校風、品位などを重視し、地域的に片寄らないような配慮を加えて出場校を厳選するようなことになっているわけでございます。 そこで、その中に客観的な記録と同時に、いまのように校風ないしは品位などを参酌するというようなことでございまして、その点が判断の問題といたしましていろいろ問題になり得る要素がある点であろうかと思います。しかしながら、この選考につきましては、選考委員が各都道府県その他の代表四十六人で構成しておりまして、いろいろ議論が尽くされるようでございます。われわれもこの二月の二十七日に高野連の会長、それから都の高野連の副会長の島岡さんにお越しをいただきまして、そういった事情をよく伺いました。かなりいろいろな議論が尽くされたようでございますが、資料が三試合だけ欠落をしている。さらに、いろいろな事情があったわけでございますが、従来の選考の中において、たった一つだけ落とした例もあるというようなことが問題になったようでございます。選考の事情は、いろいろ当事者の判断があろうと思いますので、それ以上詳しいことはわれわれも把握しかねるわけでございます。 そういった中で、ひとつ客観的な妥当な結論が出し得るような体制、これはどうしても必要だと思います。そういう意味におきまして、佐伯会長にも、およそスポーツのことはスポーツ団体の自主的な処理でもって自主的に解決し得るような方途を講ずべきである、そこがスポーツ精神のよさを生かすことではなかろうか、その点では当然のことであるというふうに話しておるわけでございますが、今後の問題といたしまして、ひとつ内部の問題でございますので、いまのような選考のしかたにつきまして改善すべき点、改むるべき点がよく事情が説明できるように改めるというようなことで、改むるべきは改めるというようなことを佐伯会長もおっしゃっているわけでございます。でございますので、われわれのそういったスポーツ精神のよさを生かすということをくんでいただきまして、しかるべくこの点の改善が行なわれるように考えておられるのではなかろうか。また、われわれもそういったような形でもってそういう紛争が起こらないような体制に持っていきたい、そういうふうなことを念願しておるわけであります。
○畑委員 文部省のほうとしても、直接的には別に下部機関でも何でもないから、いろいろ干渉がましいことはやれないかもしらぬ。また、それをやってはならぬかもしらぬけれども、しかし、善意の指導助言、こういうことは大いにしてよろしい。しかもこうした問題になったときにはいい機会であるから、やはり熱いうちに鉄は打たなければならぬというたとえもあるし、ひとつこの際高野連に大いに選考方法も考えてもらい、最も客観的に民主的に運営ができるように、そういう方途を講ずるようにひとつ指導してもらいたいと思います。 大体高野連は、先ほども言うたけれども、どうも硬直をしておる。姿勢的に硬直をしていると私は思う。もう長いこと同じようなことをやっていると、一つの権力ができてしまう。たまった水は腐るというが、それと同じようなことが高野連にあるのではないか。したがって、この問題が起きると、やはり賛否両論ではあるけれども、なるほど裁判ざたにするのはけしからぬというような古い頭の人もおるが、新しい考えの人は、そういったことを打破するために、やはり帝京商工のやった訴訟行為というものに拍手を送っている向きも相当ある。その点を十分考えてもらいたい。ともかく長くいると独裁的になる可能性がある。そういう点についてもよほど考えて運営を民主的にスポーツマンシップでやってもらいたいと思う。 そこで、この取り下げ、解除——対外試合解除の措置をした東京都の高野連、これがなぜ取り下げやら解除をしたかという理由について、今度全国の高野連のほうからこの問題についての報告書を学生野球協会——これはおそらく学生野球協会に高野連も入っておる、しかも上部団体だということだろうと思うのですが、その上部団体の学生野球協会に対して報告書を出し、その学生野球協会の審査室というところの審査室会議というものがあるらしい、そのほうの議に付するようなことになったので、もうこの措置は要らなくなったと思うから、それのほうにまかせるという意味でこの臨時措置を解除した、こう言っておる。一つの言いのがれだとも思うが、そういうところの機関に付されることになったそうでありますけれども、この機関、野球協会の審査室というのはどういう機関であってどういう権能を持っておるのか。裁判のほうも近いうちに出るし、その結果をあわせて、その野球協会の審査室の会議で最後の措置をきめるということになるようでありますが、この点どういうことに在るのか承りたい。
○西村説明員 学生野球協会に審査室というのがございます。これは審査室規程というのに基づいて設けられているわけでございます。 簡単に要約申し上げますと、一条に、「審査室は、審査員をもってこれを組織し、日本学生野球憲章に特に定める事項を除くほか、財団法人日本学生野球協会寄附行為第二十四条に定める事項を審議し、又は同条の定めるところにより、その意見を答申し、若しくは建議する。」ということでございまして、いま起こりましたような諸問題につきましていろいろ意見を具申したり、もしくは建議する、そうして問題の解決をはかるというような機能を付されております。簡単にいえばそういうことでございます。
○畑委員 そうすると、こういう問題の最終の権限か何かあるんですか、そういう問題でもないですね。何とか解決をはかるための一つの機関ですか、それを承りたい。
○西村説明員 これは法律上そういった権能を与えられているというようなそういう機関ではないと思います。スポーツ団体内部のいろいろ審議をする機関でございますので、実質的にそのような機能を果たす役目を付与されている、このように解釈しております。
○畑委員 結局この問題は、前にも触れましたけれども、こういう選抜校として選に入るか入らないかということを選考する際に、いま言った事由として練習試合の三つの学校との間のデータが欠落をしておったということだけが理由のようですね、表向きの理由は。そういう際には、これはどういうわけで落ちているのか、どうだこうだということがわかっているはずだと思うんだが、それをやはり聞いて、公平な納得いくような措置をすべきだ。それをしなかったということ、それからまたさらに、どういうわけかということで、いろいろ文書によって質問しても回答をしなかったということ、こういった態度が、結局最後に帝京商工は、もうすがるところがない、したがって最後の、とにかく裁判を受ける権利はあるのだから、その裁判所で是非をきめてもらいたい、それで最後の裁判の判決を受けるには間に合わないから、したがってその前にとりあえずかりの処分として、出場をとりあえずかりにさせろ、こういうことを求めているわけです。 そういう事情があるから、したがって、やむを得ず裁判になったと私も思うのでありますけれども、裁判にならないようにもっと相互に民主的に話し合って対話をしてやれば、こういうことはなかったと思う。いまとなってはおそいけれども、いままでにおいて、いままで私の言うたようなことをやっておけば裁判にならずに済んだ。したがって、第二の裁判なんでまことに民主主義国家としてあほらしいような問題を引き起こした、こういうことだと思う。そういったことがあれば、第一の裁判自体がなかったろう、かように思うのですが、その点について文部省のほうとしても、今後ともそういう態度でひとつ民主的な運営をするように指導してもらいたい、これを要望しておきます。どういうふうにやりますか。
○西村説明員 選考の経過ないしいままでの事件の経過につきまして、いろいろな問題を生じたことは事実でございまして、そのこと自体が適当であったかどうか、これは当事者としてお互いにいろいろ反省をしてみなければならない問題があろうかと思います。対話が必要でなかろうかということでございますが、そのやり方につきましては、国のほうでいろいろ判断をするというよりも、やはりお互いに納得するということが非常に大事なことだと思いますので、かりに起訴があったかどうか、私どもその事情をよく存じませんけれども、そういうことがあったとすれば、これは改めるように助言をするというような態度で臨んでいきたいというふうに思います。
○高橋委員長 ちょっと私から……。 朝日の大会でも毎日の大会でも目的は同じだと思うんだが、要するに最強者を集めて、日本じゅうで一番強いのを定めようというふうなことで、朝日は朝日のやり方でやるが、毎日はまた異なったやり方でやる。毎日の場合は選抜だから、校風とか品位とかいうふうなことがつけ加えられておるようではあるけれども、しかし、それはそれで一つのアクセサリーみたいなもので、実際は一番強いものを大会へ出して、そして日本一強いものを定めるというのが目的だと思うのだがどうですか。そのやり方は違っても、要するに強いのを集めるということ、強いのに試合をさすということが目的だと思うのだけれども、文部省、どう考えますか。
○西村説明員 日本最強のいいチームを選ぶということは事実でございます。しかし、高校野球自体は、これによって高等学校生徒の士気を高め、スポーツ精神によって若いときの感激を味わうというようなことが非常に大きな意義として買われているわけでございます。また、それぞれ朝日、毎日両方ともやり方が違うわけでございますが、それぞれ伝統があるわけでございますので、にわかにそれを同じようなやり方がいいというようなことも言えないかと思いますけれども、おっしゃるとおり、すぐれたりっぱなチームを選び出して、みごとな模範になるような試合をしていただき、教育的成果を高めるということについては共通であるというふうに考えております。
○畑委員 以上で帝京商工問題は質問を終わります。 その次に、いま問題になっておりまする広州交易会の華僑総会の人たち、華商の人たちの参加の問題、この問題についてひとつ法務省のほうにお尋ねをいたしたいと思います。 いままで広州交易会は何回あって、それでどれだけの人がおのおのそのつど日本人として行っておるか。華商は今度初めてだと思います。いままで行っていないと思うのです。ほとんど全部日本人だと思うけれども、その数字をひとつ大体のところでよろしいから申してもらいたい。
○吉田(健)政府委員 華商に関しましては、従来四回申請がありまして、許可になったのが今度初めてでございます。昭和三十二年ごろからたしか広州交易会が始まっておったのではないかと思いますが、日本人のほうは、昨年は春秋二回ございまして、秋のほうに約六百人ぐらい行っておるかと思いますが、これは旅行途次で立ち寄っておる者もおりますので、必ずしも正確な数字は私どもつかんでおりません。
○畑委員 広州で春秋二回、中国の輸出向けの商品の陳列展示、それと商談、こういうものがある。そういう機会に中国の日本におられる華僑の方々が、商売をされている方々がこれに参加したい、これは当然のことだと思う。大体いままで一回も許していなかったということ自体が非常に私は不自然であったと思うのでありまして、今度あらためて初めて許可をしようということになったことは、一つの前進ではあると思います。たまたま佐藤総理も、対中姿勢の転換ということで、少しでも新しいものをという前向きの姿勢を示そう示そうとはいたしておるけれども、選挙前とそのあととはまただいぶ姿勢も変わって、選挙向けの放送はだいぶやっておった、大使級会談なども大いにやろう、こう言っておったけれども、さっぱりそれもやるつもりもないようです。諸外国に出ている大使のほうで非公式の接触等は認めているようであるけれども、そういった触手を伸ばすことは認めておるようだけれども、まだそういった段階にも踏み切っておらぬ、こういう状況です。対中国との問題、人事交流それから経済交流その他をどんどん発展をさせなければならぬということが、大体もう国民の声だと思う。それをいままでやらなかったこと自体が不自然であると思うのでありますが、この点については一つの前進とも評価をするけれども、ただ問題は、この間の申請を出した華僑の人は何名ですか。その点から聞いておきたい。
○吉田(健)政府委員 三十四名でございます。
○畑委員 そのうち、何名に対して参加の許可を与えたか。すなわち、再入国の許可を与えたか。
○吉田(健)政府委員 二十一名でございます。
○畑委員 二十一名というと、その差は十三名ですか。この十三名に許可を与えないということはどういうわけか、その根拠を承りたい。
○吉田(健)政府委員 この件につきましては、当初から、個別的に審査をして、必要性があるという方に対して再入国の許可を出そうということでありまして、申請者が三十四名、団体としてこれを許可するしないということは、当初から考慮されていなかった次第でございます。 そこで、この三十四名の内容につきまして、実際広州交易会に出て国益に資するということで、戦前から日本に長くおられた華商の人、実際商取引に参加される人、また、これらに深い関連を持った企業に参画しておられる華商の人、そういった実務の面で広州交易会というものと密接なかかわり合いを持つ人たちに対して、その申請を慎重に審査しました結果、二十一名の方に対して許可が出された、こういう次第でございます。
○畑委員 一体必要性というのはどういうことなの。必要性に応じて個別的にと言うが、必要性といったって、あなた方の恣意的な判断では困る。結局、実際に交易をしている人じゃないというのですか、そのはずれた人は。どういうことなんでしょうか。
○吉田(健)政府委員 明白に広州交易会をめぐっての仕事に関係のある人、それから、先ほどの説明で言い落としましたが、政治的な問題を排除しようという考えが当然要請されておりまして、在留管理という面から必ずしも適当でないと思われる方には許可が出されなかった、こういう事情でございます。
○畑委員 あなたは、最初必要性と言われたけれども、いろいろ私が突っ込んでいくと、今度は政治性ということになった。政治的な、要するに中国人の管理という点から危険であるということなんですか。とにかくそういう配慮からもやった、こういうことなんですか。それもあるというのか、それとも一人一人によって別なんですか。この十三人のうち、必要性がないということと、政治的な配慮によってそういった政治的な管理のためにやったということ、これはおのおの重なっておるのですか、別々なんですか。その十三人のはずれた人の許可の問題、どうなんです。
○吉田(健)政府委員 最初に申し上げましたのは、広州交易会というものの性格上、これに直接かかわりのある、必要性のある人たちをということで申し上げたわけでございます。同時に、その審査にあたりましては、たとえば、直接自分で商売をやっておられない役員とか世話役とか、いろいろな名目のもとに商人でない方が一緒にくっついて行かれるということは、必ずしも広州交易会としての必要性ということからは適当ではないのではないか、こういう意味で必要性ということを申し上げたわけでございます。同時に、補足的に、在留管理の面で、十分御存じのように、いろいろな政治的な性格の問題が微妙にからんでおる次第でございますので、政治的な介入の問題にならないように、そういう性格の強いと思惟されるような方には、再入国の許可がこのたびは与えられなかった、こういうことでございます。
○畑委員 どうもちょっとわからぬな。その政治的な在留管理の関係でそういった微妙な云々に支障のないようにというのは、どういうことなんですか。 問題は、要するに広州交易会を成功させよう、そのために日本側のほうでも、いままでかつてない前向きの姿勢でともかくこれに華商も参加をさせよう、こういうことである以上は、そうした政治的な配慮云々というようなこと、あるいは微妙な云々というようなことは、あんまりあなた方のほうでいろいろなことを考え過ぎるからこういうことになる。 大体これは、外務省の考えですか、法務省の考えですか。もっとも入管局長は、どうも外務省出身で、そういう点で代々外務省の方が来ているわけだから、どうも外務省のこうした問題に対する態度というものがうしろ向きだ、私はそう思う。せっかく総理もああいった姿勢を示そうとしておるのだから、思い切ってそういった配慮も——日本は独立国じゃないですか。そういったことには、経済問題に限ってのこと、この広州交易会に限ってのことだから、そうした変な配慮をすることが同時にまた変なことになる、そうは考えませんか。
○吉田(健)政府委員 高度の政治的な判断の問題は、一入管局長の、いまここで議論すべきことではないと思いますから、差し控えさせていただきたいと思いますが、従来、よく御存じのように、人道的ケースに限って、里帰り、中国大陸の場合は親をさがすという字で探親という意味で使っておりますが、そういうケースに限って従来許可になってきておったわけでございます。このたび初めて、これのワク外として弾力的に運用するために、中共交易会あるいは中共との関係という考慮を加味しながら、ここに新しい許可が初めて出されたわけでございます。 先生がおっしゃいます趣旨も、われわれの従来の人道ケースというものが、一挙に政治的なものまですべてこれを排除して広げていくということまでには、まだ日本の国内の情勢あるいは国際情勢日本の置かれております立場というものが複雑にからみ合っておりますので、一挙にそこまでいく——いつの日かそうなることをわれわれもこいねがいますけれども、現段階におきましては、広州交易会というものに、しかもこれに直接かかわり合いのある華商の人に行っていただいて、だんだん道を広げていくという可能性ができるかどうか、これは今後にかかってくる問題であろう。したがいまして、私たちといたしましては、十分いろんな条件、要素を加味して検討いたしまして、このたび初めてこういう措置がとられた、こういうふうに考えておるわけでございます。
○畑委員 いま里帰りの話が出たけれども、探親ですね。それはどういう数字になっていますか。いままで対中国関係の探親、里帰りの許可の模様は、申請がどれくらいあって、どれくらい許可になったか、年度別に近いところを三年ばかりひとつ報告してもらいたい。
○吉田(健)政府委員 いま正確な数字をさがしておりますが、私の承知しておりますところでは、毎年約百数十名出ております。それから許可になっております比率といいますか、なかなか高いのでございまして、六、七割は許可になっておるということだと思います。 ここにいま数字が参りましたので申し上げますが、昭和四十一年が、希望者が二百十四名で、許可になったのが百十八名。それから昭和四十二年が百六十九名で六十三名。四十三年が二百七十三名に対して六十二名。昨年が百三十四名の希望に対しまして百三十九名。大体過去十年間の平均をとってみますと、一年、百名をちょっとオーバーしておる。これだけの数が探親、人道ケースとして従来許可になっておる次第でございます。
○畑委員 人道問題でのいわゆる里帰り、探親、これについて、中国のほうについては相当配慮しているというふうにも私も思います。 そこで今度、経済関係の問題でも中国に限ってひとつ華僑に参加を認めよと、せっかくこうなった。たまたまこれはいま古井さんたちが覚書貿易の交渉に行っておる。なかなか中国の態度もきびしい。それからさらに松村さんもあとで行かれるようだが、そういったことでのやはり対中国関係を緩和しようというねらいも一つはある。大きな意味の政治的な手であると思うんだけれども、そういう点では、私は非常に前進だと思う。その点は敬意を表するんだが、問題はその十三人だ。何も十三人だけ削る必要はないだろうと思うのです。その中には事務局が四名おるような話だ。それからまた、あとの九人の中には、たまたま商売をやっていると同時に華商協会の役員をやっている、こういうようなこともあるいはあるのかもしれぬ。そういうような人が多いようだ。となると、やはりあなたの言われる政治的な配慮というようなことが大きく影響しておるんだけれども、せっかくここまできたからにはやはり全部を許可する、あるいはもっとさらに検討して、そういった配慮が望ましい。ぜひやるべきだと思うのです。その点についてどうですか。せっかくここまできたんだから、この際そうした対中国姿勢の転換ということで、思い切ってそうした変な配慮をせずに全部をもう一度再検討してやる考えはございませんか。
○小林国務大臣 この問題は、実は在留管理、やはりこれを度外視するわけにいきません。いままでたとえば人道上の見地で許可したものにつきましても、当然在留管理すなわち日本の国益とかあるいは治安とか、そういういろいろの問題についての考慮の上でこれも許しておることは事実でありまして、要するに出入国管理というものの本来の目的というものは当然あるわけでございます。 したがいまして、今度の問題は、広州交易会の用事で向こうに行かれる、こういうことになると、その在留管理の問題と同時に、交易会に特別な利害関係を持っておる、こういうふうなことを配慮するのが当然だと思うのでございまして、いまのは在留管理と同時に、いま申すようにこの交易会に特別な関係を持つ、こういう二つの考え方を前提とした、こういうことでございますので、特別の関係がある方でもあるいは場合によって在留管理と申すか、日本の治安と申すか、国益と申すか、要するに出入国管理をするというその当然なことの制限は加わる、こういうことになるのでありますから、この二つの理由によってある程度の許可を受けられない方が出た、こういうことでございます。 したがいまして、これらにつきましては相当慎重に調査、考慮をいたした結果でありますから、私どもはこれを団体として認めるとか、あるいはいま許可されなかったことについてこの際再考慮する、こういうふうな考えは持っておりません。これらの問題は今後もまたじきに秋にも同様な問題が起きるのでありますから、私どもとしてはできるだけそういうふうな前提のもとに多くの人が行かれることがやはり好ましいことだ、こういう考えは持っております。
○畑委員 在留管理、在留管理と言われるけれども、一体そういった除かれた人たちが向こうへ行くとどういうことをするというふうに思っているのですか。いろいろな日本の治安に害があるようなことでもやるであろう、こういった心配ですか。何も大したことは、やろうといったってやれないでしょう。革命を起こすわけでもない、あるいはいろいろな秘密の調査とかなんとか、そういったスパイとかそういったような懸念を持っておられるかもしれぬけれども、そういったことはかえって——やはりこうした段階まできているときに、そういった態度で政府が終始することは、せっかくの一歩前進を台なしにしてしまう。一種の中国に対する敵視政策がまだ大いに残っておる。敵視政策のあらわれじゃないか、こういうふうにすら華僑の人たちも考えておるのでございまして、この点はひとつぜひとも政府の態度を改めてもらいたい、かように思うのですが、どうですか。
○小林国務大臣 この在留管理あるいは出入国管理というものは、日本の治安とか公安とか、こういうようなことに重点を置いての問題でございますし、それからこれらの問題は、もう御承知のように、いろいろの外交関係がからむということはこれは否定のできない問題でありまして、したがいまして、私ども法務省だけの事務当局の考えだけでは必ずしも適当でない。したがって、これらは政府全体の問題としてやはり検討していくべきものである。今回の問題も政府全体の問題として考えて、経済目的のためにも渡航を認めよう、これはお話しのようにやはり私は一つの前進である、こういうふうに思います。お話しのようなことはわれわれも十分考慮していかなければならぬ、かように考えております。
○畑委員 政府の全体としての方針だ、こう言われるのだけれども、この点はせっかくの配慮がどうもそういう結果になってないというふうに思えるのです。再考慮、再検討の余地ありゃということについては、政府で最終的にそういったあれをきめておるので、政府の最高方針だというような話で、ちょっといまのところ検討の余地がないような答弁で残念でありますが、ひとつもっと前向きにやってもらいたいと思う。未承認国だ、もう一つ承認国があるというようなこと、そういうことに対する微妙な配慮をいつまでもやっていると、対中国関係はさっぱり前進をしない。最近は、総理大臣さえどうも政経分離ということばはあまり使いたくないというようなことを言っておられるくらいなんだから、もっともっと前進をして、経済交易なんだということで、どんと胸を張ってひとつやってもらいたいと思う。いろんな配慮をすること自体が日本と中国との関係改善にさっぱり役に立たない、こういうことになると思う。この点はひとつそういう考えで今後やってもらいたいということを要望するだけにとどめることにいたします。 それから、もう一つ大臣にお聞きしておきたいのは、北鮮への帰還の問題もございますが、これはあとでゆっくり御意見を伺うことにいたしまして、いわゆる北朝鮮への里帰りの問題について聞きたい。 新聞等の報ずるところによると、今度政府は、また若干の、ほんとうに若干だが、何人かの北鮮への里帰りを許す方針だ、こういうふうに聞いておるけれども、これは一体何人くらい許す方針で検討しておるのか、それを承りたい。
○小林国務大臣 これはもう毎年の問題でございますが、私どももお話しのように、これらの問題もできるだけ前進をさせたい、こういうふうな考え方を持っておりますが、これもいろいろの複雑な事情がありまして、私どももこの際何らかのことを考えたい、かように考えておりますが、いまこの段階において、いつ、何人、こういうふうなことを申し上げられるような事情になっておらぬ、こういうことをひとつ御了解願いたいと思います。
○畑委員 そうすると、いつ何人許可を与えるかということも言えない、こういうことですね。それはおそらく韓国側のほうでいち早くそういう情報をキャッチして、そして日本の大使を呼んで抗議の申し入れをするとかなんとかというのが新聞に出ておりましたけれども、そういった配慮の結果かと思います。しかし、いままでも中国のほうに対しては、先ほど入管局長から報告のあったような数字の申請に対する許可、いわゆる単身里帰りを相当認めておる。ところが、同じ里帰りであっても、北朝鮮の場合にはきわめて門戸を狭くしておる。いままで一体何人里帰りを許したのですか。申請は一体何人あって何人許したのか。それを局長のほうから数字を示してもらいたい。やはりこの三年くらいの数字で答弁してもらいたい。
○吉田(健)政府委員 許可になった数字から申し上げますと、いままで昭和四十年に二人、それから四十四年、昨年六名。実は、これよりもう少し数は多かったのですが、病気になって行けなかった人もありますから、現実に行った人は……(畑委員「病気は一人だろう」と呼ぶ)それも入っています。
○畑委員 それだけですか。
○吉田(健)政府委員 さようでございます。
○畑委員 申請の数字は。
○吉田(健)政府委員 これはちょっと大づかみのところで、ずっとたまっておりますから、毎年度新規に出てくるのを入れまして一年平均二千件くらいだと思います。不許可に在った分がまた来年に繰り越したりしまして非常に重なっておりますので、正確な数字はちょっといま年度別には申し上げにくいのであります。
○畑委員 大臣、御承知のような数字です。いままで四十年に二人、四十四年に六人ということ、今度小林さんが大臣になられたが、また六人くらいというようなうわさがある。しかも、これも韓国側の横やりを心配して、この席でも発表できないというようなことであります。先ほど中国のほうの里帰りの数字を聞いたけれども、それに対してきわめて——これも同じく人道問題ですね。それだのに、こうした何千名という申請に対してわずかに一けたの数字です。こういった数字を聞くと、私はほんとうに不公平だと思う。 同じ人間でありますから、日本人がその立場に立ってみたらよろしいんで、要するに人権のことをつかさどっておるのは法務省だ。また出入国を管理しているのも、在留管理をしているのも法務省だから、人権という立場に立って、外務省の立場からはいろいろ外交関係を配慮して反対をするだろうけれども、法務省のほうで——在留管理という点もあろうけれども、それだけの問題じゃない。てんでもうお話にならぬような数字だから、こういう点もひとつ人道的な立場から、政治を越えた処置をして大きく前進をしてもらいたいと思うのでありますが、そういったことに対する大臣の考え方を承りたい。同じようにやっていくのか、少しは何とかして前進をさしたいと考えているのか、この辺はどうでしょうかね。台湾海峡の問題と朝鮮半島の問題は、ニクソンと総理との共同声明にも差がある程度出ているけれども、そういうような態度で政府がいるから、したがって、この数字もきわめて少ない。ひとしく人道上の問題である。中国のほうは約半分くらいはもう許可になっている。ところが、この北鮮のほうの問題については、まことに微々たる数字だ。これは私は何とも解せないのですが、何とかして前進をさせる考えがないかどうか、大臣の所見を承りたい。
○小林国務大臣 畑委員のお話は私もよくわかります。ただやはり、いまの北朝鮮と中共では多少国際的な事情も変わっているんじゃないか、こういうふうに私にもわかります。したがいまして、私は、やはりお話しのようなことはある程度われわれとしては考えなければならぬと思いますが、事がやはり政府全体の問題でございますので、法務大臣だけの意見で通る、こういう問題でもありません。政府全体の調和の上でもってこれを進めなければならぬ、かように考えておりますが、私どもとしてはやはりあなたの言うこともよくわかりますと、こういうことだけ申し上げておきます。
○畑委員 まあ政府全体としての方針だ、これに従うんだということだけれども、法務大臣としては、法務省としてはもっと前進させる考えはないか。最後には全部の方針だから説が敗れるかもしらぬ、外務省と衝突して敗れるかもしらぬけれども、法務省としてはもっと前進をはかる考えはないか、こういうことをお聞きしたい。
○小林国務大臣 これは法務省だけの立場を申し上げるのもどうかと思いますが、私どもはいま畑先生のおっしゃることにも理解を持てる、こういうことを申し上げることにとどめておきたいと思います。
○畑委員 以上で質問を終わります。
○高橋委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十三日金曜日、午前十時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午前十一時五十分散会