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63回国会衆議院1970/04/22

文教委員会 第16号

発言数
166
登壇者
9
会派数
3
開催日
1970/04/22

会議録

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 これより会議を開きます。  日本私学振興財団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。塩崎潤君。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 私学振興財団法につきまして、御質疑を申し上げたいと思います。この法案につきましては、もうすでに何回か審議が繰り返されまして、いろいろと文部当局の御意向あるいは立法理由等明らかになりつつあるところでありますが、まだまだ附則の十三条関係を中心といたしまして、私学その他に不安、疑念、いろいろ問題があるわけでございます。私も附則第十三条を中心といたしまして、三点ばかり大臣をはじめ文部当局、さらには内閣の法制局の方々に御質問を申し上げたいと思います。  まず、附則十三条関係でございますが、もうこの問題、この条項につきましては、まず第一に附則でこのような規定を置いていいのかどうかという問題、第二は監督権の強化と補助金との関係をどういうように考えるかというような点を中心といたしまして、議論があったところでございます。そこで、私はこの二点に関連いたしまして、同じような角度から御質問を申し上げたいのでございます。  まず第一に、いろいろと各方面からこの日本私学財団法につきましては文書が配られております。その中に、見ますと、附則で直すのはこそくな方法だというような非難があるわけでございますが、私はこそくとは思わないのでございます。附則も法律でございますし、この国会におきまして十分な審議が重ねられる点におきまして、法律であることには変わりはない。ただ問題は、附則という法律用語の意味するようなことからおわかりのとおり、一つの限界、土俵というものがあるかと思います。このような点をまず最初に御質問を申し上げたいのでございます。そこで、私は法律は弱いのでございまするけれども、私どもの先輩の林修三前内閣法制局長官が出されております「例解立法技術」という本を取り出しまして、附則の定義を調べ、そしてまた附則の限界というものを調べてみましたら、こんなことが書いてございます。途中は省略いたしますが、私は附則で他の法令を直し得る限界ということについて、林長官がどのようなことを申されているのか、ちょっと読んでみたいと思います。「同様に」——前に暫定措置のことが書いてございますが、関係がないので省略いたします。「同様に、附則で他の法令を改廃する場合にも、その改廃は、新法の施行に伴い必要とされる調整の範囲に限られるべきものであって、本則と関係のないような改正措置を一緒に行うことは、法令の題名にあわない内容を包含させることになるし、一種の邪道として行うべきものではない。」こういうふうに書いてございますが、荒井部長も来ておられますので、ひとつ附則をこのように考え、また他の法令を直す場合には、このような限界の中で行なわるべきものである、このように考えてよろしいかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 法令の附則で規定し得る事項はどういうものであるかということにつきましては、その法令の施行期日に関する規定でありますとか、あるいはその適用に関する規定、あるいはその新しい法令で定められる法律関係の施行に伴って必要な経過措置を定める、あるいはその新しい法令が施行されるのに伴って既存の法令との間の結びつきについて所要の調整措置を講ずるというようなことが通常附則で書かれるわけでございまして、ただいま御指摘のありました点は、まことにそのとおりだと存じております。  この法律案の場合におきましては、国が新たに日本私学振興財団というものをつくりまして、その振興財団を通じていわば間接補助をするというような関係に立つわけでございます。その国が教育の事業を行なう私人に対して助成をする場合には、もちろん御承知のとおり憲法八十九条の規定がありまして、それにつきましては公の支配のもとに立っていることが必要であるということにされておりますので、それについて私立学校法の五十九条に現在も規定がある点は御承知のとおりでございますけれども、今回の助成は、その日本私学振興財団を通じて行なうということ、そういう間接補助の形態をとるということと、その助成の対象は経常費補助ということでございまして——それは補助金の種類を一般的に大きく分類しまして、特定費目に対する補助、特定費補助というものに対して一般費補助というようなものがいわれますが、本件の場合には、その特定の理科教育施設に対する補助というようなものではなくて、給与費を含む経常費全般について補助をして、その助成の対象となる資金がどういうふうに振り向けられるかという点は私学の自主性にゆだねる点が非常に大きい性格のものであるという二点、あるいは融資方式ではない、補助金そのものをストレートに私学に対して交付をするという関係になるというような点からいって、従来の私立学校法五十九条の規定では不十分であるということで、まさにそういう財団法を通じて特別の間接補助の大きいルートをつくるというのに伴って必要な限度で調整の措置を講ずるという措置をとろうということでございまして、その新しい法令の附則で書く限度という中には十分入り得るものだというふうに存じておるわけであります。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 荒井部長には釈迦に説法というよりも、お釈迦さまに教えていただかなければならぬと思うのですが、ここで私がこの附則を見ておりまして、十三条、十四条を見ると、まさしくおっしゃったような気持ちもわからぬでもないのですけれども、附則一般としては、その次の十五条を見てみますと、附則というものは大体こんなものではなかろうか。地方税法の一部を私学財団法の附則で直しまして、「「私立学校振興会」を「日本私学振興財団」に改める。」こんな単純な改正、これが附則の典型みたいな気がするわけでございます。つまり附則について、林長官の御解釈もまだまだ私は十分明確でないと思うのですが、直し得る限界というものは、ほっておけば他の法律がどうにもならない、動き得ない、それに限定されるものではなかろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 その「例解立法技術」の中でも、「本則に規定されている事項と全然関係のないような事項を附則に定めることは、もちろん望ましくない。」というようなことから書き出されておりまして、もちろん本則と関連のある事項、関連する限度で必要な経過的な新しい法律関係との結びつきについての規定を設けるというのが、附則の趣旨でございます。先生おっしゃいましたような例は、まことにそれは附則として当然調整しなければどうにもならない。振興会と書いてあるものが、振興会がなくなる、新しい法人として日本私学振興財団というものができるということでございますから、そういうものはもちろんでございますけれども、必ずしもそういうことではなくて、制度的に見てその必要な結びつきといいますか、調整をせざるを得ないという実質的な点に着目した経過的な措置もありますし、そういう他法令の関連する改正というものもあるわけでございます。先生のおっしゃろうとすることは、従来この委員会の質問の中にもあったかと存じますけれども、振興財団法というもので私立学校についての基本法である私立学校法の一部改正をすることは一体どうなのかという御趣旨ではないかと思うわけでありますが、それに類するような立法例もいろいろあるわけでございまして、それは関連する限度において必要なものが基本的な法制であるという場合には、直さざるを得ないということもあるわけでございます。その例としては、たとえば昭和四十一年に執行官法という新しい法律をつくりました。従来の法律である執達吏規則というものを全面的に改めたわけでございますけれども、その附則で民事訴訟法の一部を改正している。それは単に執達吏を執行吏に改めただけではなくて、新しい執行官法の理念に基づいて所要の新しい規定を民事訴訟法の中に設けるというような改正もしております。あるいは同じ年の地方公営企業法の一部改正というものの中で、地方財政法の公営企業に関する基本的な規定がございますけれども、それを附則で改正しているというようなこともございます。そのたまたま関連する法令が地方財政法であるとか、民事訴訟法であるとか、基本法として考えられるものでも、必要な限度において附則で直すということは、例としてはいろいろあるわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いま荒井部長、前例をあげられました。確かに国会議員でも役人でも、前例には弱いものでございます。それだけに私はこの機会に大いに議論して、附則で他の法律を直し得る限界とは何かということをほんとうにこの国会で確定しなければ、法律の目的がそこなわれやしないかと思うのでございます。おそらくそのような先例はあったかもしれませんけれども、その先例について国会でどの程度審議され、どの程度の議論をされたか、たいへんな議論があったかどうか、そんな点についてひとつ御理解があればお知らせをいただきたいと思います。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 附則で規定し得る他法令の改正というものは、本則で新たに設ける法律関係に伴って、それとの結びつきにおいて必要な限度のものである、必要な範囲内のものであるというのは、これは関係者として、また国会が立法される場合にも十分御認識をされた上で規定をされておりまして、従来、申し上げましたような立法例の場合にも、たとえば地方公営企業の合理化あるいは財政再建というものをやる場合に、地方財政法の関連規定を直すというのは当然であるというようなことで国会は御議決になっておられるものというふうに存じております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 私は、附則というものを、附則というのはこういうふうに書くべきだというふうな法律があれば別でございますが、附則の概念が、長官の御説明を見てもまだまだ不明確な点があるといたしますると、いままでの慣行も大事でございますが、これからの慣行だと思うのでございます。国会における審議あるいは国会における約束、これが大事だと思うのでございます。  そこで、いま部長は、附則十三条を追加する根拠といたしまして、財団ができて間接補助の形に移る、それから第二に経常費の補助まで始まる、こんなようなお話がございましたが、財団法全体を読んでみまして、どうもその点が法文の上では必ずしも明確ではない。間接補助というような名称もございませんし、ただ文部省から財団に補助金の交付についての権限が移るようにも見えますが、これだけで単に私学法の一部の改正ができるかどうか。ちょっと二階から目薬みたいな気が私はするわけでございます。それから経常費の補助、これは一つもこの法案には書いてない。私はあとで文部省にも、いろいろ私学の心配をされておる方々の御心配を解除する意味におきまして、たとえば「補助金で政令で定めるもの」、この「政令」とは何ぞやということを伺いたいのです。このような政令案を一ぺん出していただいてひとつ安心させていただきたいのですが、この経常費の補助というようなことは、私学財団法には全く書いてない。それでもこの附則の十三条が規定されるものかどうか、この点をもう一ぺんお伺いしたい。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 従来、私学振興会を通じて私学に対して助成しておりましたのは、貸し付け金という方式であったわけでございます。今度の場合には、やりきりの補助金になる。従来やりきりの補助金というものは、国または地方公共団体が、出す場合にはストレートに出す、この振興会を通じては単に融資をするだけだという体制であったのに対して、今回、予算に計上されあるいは地方財政計画で見られているような経常費補助と考えられるものについてこの財団を通ずる助成ということをやるのは、非常に大幅な方針の転換といいますか、大きな方向の決定であろうと思いますけれども、そういうような場合に関連して制度の整備をはかるというのはこの機会をおいてはないというふうに考えられますので、附則の限界の点は、従来の先例なり、あるいはともかく一体として成立しないとどうしても望ましい状態ができないというようなもの、すなわちそれはお互いに密接な関連のあるものということでございますけれども、密接な関連のあるものが附則で規定されるというのは、一般的な通念と申しますか、法律関係については当然の前提とされていることであるということで、経常費補助ということが法律の中でまともに出ていないで政令に委任するような形になっているではないかという点は、御指摘のようでございますけれども、それは政令案要綱等も文部省のほうからお出しをして御審議を願っていることではないであろうかというふうに存じます。  それから間接補助であると申し上げましたのは、私、実質的に見まして、国は財団に対して交付する、財団が補助金の交付決定をするという形になっている点を、実質に着目しまして間接補助であるというふうに考えたわけでございまして、条文の上にその点間接補助という文言がないではないかという点は御指摘のとおりでございますが、私は実質に着目して御説明申し上げたつもりでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 実質となりますと、多分に主観的判断が伴いますので、私はその限界は非常に危険になってくると思うのです。私は、私学振興財団というのは、ともかくも補助金を分けるパイプ、ルートみたいな気がするわけでございますが、補助金がふえた、あるいは人件費の補助をするというなら、別途の法律で出れば、私はこのような附則が監督権の強化ということに関する問題は多いと思うのですが、まだまだわかるかもしれないような気がするのです。それも問題だと思うのです。  そこで、ひとつ大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、このような画期的な人件費の補助が始まるような時代でございます。大臣のお力が非常に大きかったと思うのでございますが、私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律という法律がございます。私は、このような法律があるにかかわらず、なぜ人件費補助に関する法律をこの際制定されなかったか、ひとつ大臣のお気持ちを伺いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ただいま御指摘になりました補助金は、これは大学の研究ということに特に着目いたしまして、いわば科学研究費というような考え方で、その配分につきましても、特別の考え方を、特別な配慮をしながら配分するというふうな考え方で設けられた補助金でございます。したがいまして、一般的に私どもが設備とか施設とか、そういうものをとらえましてやるものとはちょっと違うわけでございます。いわば研究に対する価値判断と申しますか、そういうふうな要素を入れながら配分するというふうな補助金でございます。したがいまして、これにつきましては所要の法律を制定したというのが、実情でございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 研究設備に対する国の補助に関する法律の趣旨はわかりましたが、私のお尋ねしたのは、なぜ人件費に対する国の補助に関する法律をつくらないかという質問でございます。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 このたびの人件費を含む経常費につきましては、これは私学振興財団というものを新しく設けまして、公正な第三者によってその配分を行なうということ、いわば先ほど御指摘になりました補助金と同じふうな考え方で申しますと、そういうふうな観点からごらんいただければ、このたびの法律を出したということが御理解いただけるのではないかと思います。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 そうすると、大臣がいつも人件費の二分の一まで補助をするというようなことを言っておられますが、それは一つ文部省の考え方であって、今後の人件費の補助は、私学振興財団に全部移って、人件費の二分の一ということにもならない、別途の基準で配分されることもあるというふうに理解していいんでしょうか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 配分の基準につきましては、もちろん大筋につきまして、これは予算をきめますときにいろいろ折衝いたしまして、基本的な考え方というものはきめたいと考えております。しかし、具体的な配分につきましては、その大ワクの基準の中で実際にその補助金が教育研究のために効果的に使われるようにするということで、財団におまかせしたいということでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 そういたしますと、財団をつくるんだからそういう法律をつくる必要はないということになるかならないか、もう一ぺんひとつお願いいたします。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 必ずしも法律が要らないということではございませんけれども、先ほど御指摘になりました研究設備に対する補助金の関係の法律は、これは御承知と思いますが、議員立法でございます。一般的に、補助金の配分につきましては法律をつくるということが比較的少ないわけでございますが、そういうふうな特別な場合もあるというふうな、むしろ例外的なものではないかというように考えられるわけでございます。しかし、御指摘がございましたように、このたびの人件費を含む経常費補助というのは、画期的なことでございますから、その配分につきましては特に振興財団をつくりまして、そこに補助金の配分につきましては、たとえばイギリスのUGCというふうな方式もあわせて考えまして、公正な第三者による補助金の配分ということを考えたわけでございます。これは補助金の内容にもよりますが、また同時に私学に対する自主性の尊重という点をあわせて考えているわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 そうすると、人件費補助の点はしばらく予算補助でいこう、こういうことでございますか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 一般的な規定は私学法の五十九条にもございますけれども、御指摘のように、これは予算補助ということになるわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 そういたしますと、私はこういった疑問が出てくるわけでございます。予算というのは単年度の問題でございます。四十五年度だけは確かに百三十二億という金額が計上されておるけれども、四十六年度は、大臣の雄大なる構想はよくわかっておりますけれども、まだ保証されていない。しかし、この附則十三条は、これは法律でございますから、恒久的、永久的なものでございます。その点十分御検討はいただいたと思うのですけれども、単年度の予算をつけただけで、この十三条のような私学に対する監督というような、むずかしい、よほど議論しなければならぬ規定、これを入れることがいいかどうか、このあたりの御検討の経過をひとつぜひとも承りたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘のように、ただいまの予算のたてまえはこれは単年度主義になっておりますから、たとえば、法律に規定がございましてもあるいは予算が打ち切られるということも、間々あることはあるわけでございます。しかし私どもは、予算のたてまえは単年度主義でございますけれども、今後私学の実態等から考えまして、これはもう恒久的に続くものであり、しかも今後ますます拡充されるべきものということを前提にして法案をつくっているわけでございますし、またその点は大蔵省も同意をしているわけでございまして、決して大蔵省がこれを切るというふうなことは私ども考えてないわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 大蔵省が同意している点は、十分予算に計上されておりますし、おそらくこれが単に財政上の理由だけですぐなくなるとは思いませんけれども、法律論として、予算補助で、いつ財政上の理由で、かりにいまの大蔵省の方々が保証されても、予算のことでございますからどうなるかわからない。それでもこの監督規定をどうしてもつくらなければならぬという、その真意をぜひとも伺いたいと思うのです。ことに附則でやろうという、その理由をぜひとも伺いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 附則におきましては、予算が交付されるということを前提にいたしましていろいろワクを設けているわけでございまして、そういう意味から申しますと、これは予算がなくなれば効力を発揮しない規定でございます。そういう意味からいたしますと、決して矛盾があるということではないのじゃないかと思います。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 国の予算において私学助成、経常費補助というものが計上されているけれども、それについて恒久的に行なうという法律上の保証が必ずしもないではないかという御指摘で、まさに法律論にわたるところが大いにあるわけでございます。その点につきまして、憲法上の要請からいいますと、国が国費を支出する場合には国会の議決に基づかなければならないということで、補助金の交付をするということにつきましては、法律という形で国会の議決を経るというケースと、場合によっては、予算に計上することによって国会の議決が行なわれ、それによって国費の支出が行なわれる、二つの形態がありますけれども、それについて法律で定める場合に、では具体的にどういうような形態のものが一般的であるかといいますと、「予算の定めるところにより補助することができる」というのが補助金交付の立法の大部分の典型で、それは「予算の定めるところにより」でございますから、予算で計上しなかった、あるいはほんの零細の額だけを計上したという場合でも、それは「予算の定めるところにより」とか「予算の定める範囲内で」ということになるわけでございます。基本的には、国費の支出をするとか国が債務の負担をするということについては国会の議決が必要で、その国会の議決は予算でも足りるのだということで、それにつきましては、昭和三十七年九月に、当時池田内閣のころでございますけれども、内閣提出法律案の取り扱いの方針の閣議決定をしております。その中で、補助金の交付をするということは、基本的にはそのときの財政事情を見て予算でやるべきだ。その意味では必ずしも法律によることを要しないので、補助金交付に関する規定を法律に設けることは一般的にはしないということをきめております。しかし、今回この財団法を提案したということは、ある年度しか支出をしないで、次年度以降はやらないというような場合に、こういうりっぱな堂々たる法案を国会に出してその議決を受けることの必要性は乏しいので、財団法二十条の業務に、そういう補助金の交付をするんだ、それが財団の一番大事な業務であるとしてトップに書いてきている、そういうような法律の御審議をお願いしているということは、少なくもこの財団法がある限り恒常的にやるたてまえで、そういう姿勢であるということを示しているのだと思います。その点は、ほかの各種の政府関係機関、事業団法でございますとか、公団法でございますとか、振興会法でございますとか、いろいろなものがございますが、そういうものにおいて、特殊法人の業務としてそういうことをやるんだということでわざわざ法律案にして国会の御審議を願い、成立しているということは、そういう業務を本来的なものとし、恒常的なものとして、その財団法であるとか事業団法がある限りにおいてその業務をずっと続けていくのだということを前提として、国会がお通し願っているというふうに政府側としては当然受け取りますし、国会のほうもそのようなたてまえで予算審議をされるものだというふうに考えられるわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いま荒井部長のおっしゃる点、これはまた釈迦に説法みたいなものでありますけれども、財団が恒常的に補助金を交付するということは確かに法律に書いてあるわけでございますが、それだけで監督官庁、所轄庁の監督権が強化されるかどうか、その点でございます。私はいま言ったように、人件費の補助をするという新しい事態が起こったとか、あるいはどっかの法律の中で補助金がふえたとか、そういった契機がない限り、附則でこのような強い監督規定というものは簡単に書けないのではないかという疑問を持つわけでございます。そういった意味で、私はいま人件費補助に関する法律でも出せば、その附則で書ける気もするわけでございます。財団法は、もうおっしゃるようにパイプでございますから、いままで文部省がやっておった補助金業務を単に財団が肩がわりするようにしか法律の上で見てない、そういう形しかとっていない、法律論として見ればそういうふうに考えるべきじゃないでしょうか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 法律が期待しておりますことは、補助金の配分は、パイプとおっしゃいますところの公正な独立の機関が行なうのが適当であろう。しかし、その特殊法人がいわばその所轄庁にかわって、教育施設の内容でありますとかあるいはその執行状況について、いわば補助金適正化法的な意味の監督権を行使するというよりも、それが教育行政であるという意味で、それはやはり本来所轄庁がそういう意味の監督権限を行使されるのが適切だ。ですから、パイプとしてはこの財団が公正な配分をするという行き方をしまして、しかし、それが私学に対する所轄庁の権限というものまで財団が行なうというのは不適切である。これが両者まさに結びついて行なわれるべきだという点が、この法律案における関連の非常にポイントのところであるというふうに存じます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 だんだん時間がなくなりましたので、次に質問を移りたいと思います。相変わらず十三条の条項でございますが、そのうちの八項、九項、バランスシートを文部省あるいは地方庁に出さすという規定でございます。これも私は多分に問題をはらんでおるものと思うのでございますが、幼稚園あたりには施行期日をずらすというようなことを言っておられて、いろいろと実情に沿うようなことの御答弁があったことは存じております。しかし、このバランスシートをなぜ所轄庁、文部省、地方庁へ出すのか、この理由をひとつ伺いたいのでございます。つまり補助金は財団が配分するはずでございます。財団が交付する補助金に伴って、その申請内容から見て補助金を交付するか交付しないか、その付属書類としてバランスシートをつけるというならば、私は財団でいいような気もいたします。参考人の方々でそのようだ御意見を言われた方もあったかと記憶しておりますが、これはどういう御趣旨であるか。時間がなくなりますので、私の質問の趣旨を申し上げておきますが、これは一般公開にかえて文部省がとるという考えであるのかどうか。バランスシートというのは、債権者あるいは投資家を保護するために株式会社について始まった制度だと思いますが、どういう趣旨で文部省ないし地方庁がとるか、この点について、ことに附則で書いておりますだけに、私はお聞きしたいのでございます。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 この関係の条文も、ただいま荒井部長からお答えしましたように、行政権の態様の一つとして、ここに文部大臣がこれを行使するということにしたわけでございますが、実際上は私どもにいただく書類は当然財団のほうにも渡りまして、実際の予算の配分その他につきましても、これが役に立つということは当然であろうと思います。しかし、一応文部大臣に正式な書類を出していただくということは、これは先ほど申しましたように、やはり行政権の一態様として当然のことじゃないかというふうに考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いま管理局長の御答弁、行政権の態様というむずかしい御表現でございましたので、私も十分理解できないのでございますが、何かこのあたりでやはり敵は本能寺というふうな印象を与えたら、私は損だと思うのです。やはりバランスシートをとる目的に合致したとり方、提出先、これをきめなければならないと思うのでございますが、文部省へ出しましたときに、たとえば学生から見せてくれ、あるいはPTAの方々が見せてくれと言ったときに見せられるかどうか、この点をぜひひとつ伺いたいと思うのであります。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 これは、このたびの人件費を含む経常費の補助金につきましては、たびたび申し上げておりますように、非常に使いやすくしているわけでございますので、経理の適正化ということが一つの大前提になっておるわけでございます。そういう意味から申しまして、そういう経理の適正化を確保するという意味で文部大臣が責任を持つということでございまして、これは国民にかわって文部大臣が責任を持つわけでございますから、一々これを関係人に見せるとか、そういうことは必要ないんじゃないかと思います。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 経理の適正を期するということはもう十分わかりますけれども、どういった方法で適正を期するかということが問題でございます。私は、文部省に出すことによって適正を期せられるかどうか。この用途ですね。おそらく机の上に何百という私学からバランスシートが出てきて、ほこりの中にまみれてしまうような気がしていけない。どういうふうにして使われるつもりか。役人だけがバランスシートを見たら適正を期せられるものではないと思いますが、そのあたりについて、御検討の結果があったら承りたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 このたびの規定の趣旨は、文部省で定める基準に従って会計経理が適切に行なわれるということが一つの主眼でございます。貸借対照表につきましてお話しでございますが、そういうふうな会計基準に従ってそういうものをつくるということ自体に、相当大きな意味があるんじゃないかと思います。御承知と思いますけれども、私学というのは営利事業じゃございませんから、そういう利益をあげるというふうなことを目的にしていろいろ努力するということはございません。またほとんどが免税になっておりますので、税務署に対する書類にいろいろ苦労するというふうなこともございません。私学関係の経理の内容が、そういうふうな外からの刺激がございませんので、どちらかと申しますと安易に流れる傾向がございます。したがいまして、自分の学校の経営状態がどうなっているのかということを知るということ、これは一つの非常に大事なことじゃないかと思います。そういう意味で、文部省が基準をきめまして、その基準に従って会計経理が適切に行なわれるということは、これは非常に重要な意味があるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  なお、いただきました書類につきましては、先ほど申し上げましたように、写しを財団に差し上げまして、そうしてその利用に供するというふうなことで、非常にそれもまた意味があるんじゃないかというふうに考える次第でございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 私はいまの御答弁、なかなかむずかしくて十分理解できませんけれども、文部大臣が基準を定めるところに意義があるように伺ったのでございますが、私はバランスシートのようなものは、まあ学校によって、大学でも高等学校でも幼稚園でもいろいろな態様があり、必ずしも文部大臣がきめなくても、おそらく私学協会あたりでもきめられる。たとえば、私鉄などは私鉄協会が定めたような経理規定で自主的に適正なる経理をやっている。こんなところで十分ではないか。こんなことを管理局長申されますと、やはりよろいがちらちら見えるような感じがしまして、このバランスシートなどは、自主的に、自然発生的に、それを若干の調整を加えるくらいでいいんじゃないかと思います。  それから、私学財団に渡すというようなことは、これは事実上の話でありまして、私は、私学財団法の中に、貸し付けの際にはバランスシートをとれるんだというふうなことを入れたほうが、より効果的なような気がいたします。あるいは債権者として当然とれるのかもしれません。そんなような気がいたしますので、これはひとつぜひともそういった点を御検討願いまして、時間がなくなりましたので、次の質問に移りたいと思います。  一番問題の十項でございます。私はいろいろ同僚議員あるいは先輩議員のお話を承っておりまして気がつくのでありますが、いまの監督規定、役員の解任の勧告まである規定、それから補助金の適正化法の規定の適用がある現在で、なぜ足りないのか、御説明がまだまだ不十分な気がいたします。  そこで、まず第一に、この私学財団法の規定を見ますと、補助金の適正化法の適用があって、加算金までつけて取り戻すことができるようになっております。それはしかしこれまででもそうでございますが、いままで文部省でそのような取り戻し規定を発動した事例があるかどうか、これを一ぺん伺いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 四十四年度だと思いますが、四十三年度かもしれませんけれども、ちょっとその点はあいまいでございますが、最近におきまして会計検査院の指摘によりまして補助金の返還を求めた事例が、三件ございます。毎年会計検査院の検査が行なわれましたときには、大体私学におきましてそういう事例がございますのが、一件ないし数件出てきております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 それからもう一点は、役員解職の勧告、これをした事例があるかどうか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 これは一件だけございまして、御承知と思いますが、名城大学の紛争がございました際に、この規定を発動しまして役員の解任勧告をいたしましたが、実際にはこれは聞き入れられておりません。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 私は、補助金の取り戻しにしましても、それから役員の解職にいたしましても、非常に強い規定だと思うのです。そういった文部省の監督規定が発動されれば、おそらくその私学の信用というものは相当落ちる、それ自体で大きなペナルティーだと思うのですが、それだけで足りない、なお十項の一、二、三号を追加しなければならない真意というものは、どこにあるのでしょうか、これを一ぺんお願いいたします。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 このたびの補助金は、使途を制限しないという点が非常に新しい点でございます。いままでの補助金でございますと、たとえばピアノを買うならピアノを買うということで補助金を出すわけでございますから、実際にピアノを買ってなかった事例がございますが、二、三年前に買ったピアノをその当該年度に買ったというふうなことで補助をもらうというふうな例がございますけれども、そういうようなことで非常にわかりやすいわけでございますが、今度の場合には経常費一般に使えるわけでございますので、一体会計検査をやるにしてもどういう点を検査するのかということを考えますと、おそらくこれは本務教員一人当たりで配分するというような場合には、その本務教員の数がかりに五十名といたしました場合に、それが実際には四十九名であるか四十八名であるか、本務教員でない者がまぎれ込んでおるかどうかというふうなことくらいしか検査のしょうがないのではないかというふうな気がするわけでございます。そういうふうな非常に使いやすい補助金を出すに際しまして、私どもが最小限度の要求として持っておりますのは、会計経理が公正に行なわれるということが一点、それからもう一つはこれが教育、研究の内容の向上に資するという点が一点でございます。この御指摘になりました十項の規定の中身は、その際に、少なくともその法令またはそれに基づく規定に違反した場合には、これは実際上その補助金というものは出せないのではないかということを法律上明らかにし、国民あるいはその私学の方々にこれをお知らせするという意味でこういう規定を設けたわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 なかなかまだ私も十分理解できない点が多いわけでございますが、時間がなくなりましたので、大臣にこの附則十三条について御意見を承りたいと思うわけでございます。  確かに附則でこういった監督規定を強化すること自体について、はたして土俵を割っているかどうか、これは私も自信はないが、三部長のるるたる御説明もございましたけれども、まだまだ釈然としない点がございます。私立学校の憲法といわれる私立学校法の一部改正法律を出して、そして私立学校法の目的に照らして審議されるような提出のしかたがどうしてされなかったか、この点をぜひとも大臣から承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 今回、経常費に人件費を含む私学助成の道を開いたわけでございます。私どもといたしましては、これに対しまして非常な意欲と展望とを実は持っておるわけでございます。ところが、本年度の予算は百三十二億何がしでございます。そう考えますと、やはり理想と現実というものとのギャップがあるわけでございますが、将来にわたっては、また将来の問題としてあるいは私学法全体について考える時期が来るんじゃないかというのは、たとえば中央教育審議会におきましても、今後国立、公立、私立というような設置者の形態等につきましても検討をいたしておるわけでございます。でございますが、本年度画期的なこのような経常費支出をするからには、やはり国民の血税を使うわけでございますから、それに応じてその経理というものについては明らかにする必要があるという要請。そしてまた、そのお金というものが、いまだかつてないものとして教育、研究の質的向上をはかるという目的を持っておる。しかしながら、従来でございますと、設備補助等におきまして具体的に物としてはっきりわかるわけでございます。しかし、今度は内容については明定をしてないというような点もあるわけで、一そう経理の点については、やはり教育、研究の向上というものに使われておるということは明らかにする必要があるんじゃないか。そのために、どうしても必要最小限度のものは改正をしなければならない。基本的な私学法の精神というものはそのまま残し、かつ新たなる画期的なる要請にこたえて必要最小限度の規定を設けるという意味合いにおいて附則でやった、こういうふうにひとつ御了承をいただきたいというふうに思うわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 大臣の御答弁で、御誠意は十分わかりますが、何といっても砂糖と塩と一緒に一枚のオブラートで飲めという法案で、非常に審議がしにくくなると思うのでございます。やはり私学法自体の一部改正で——暫定法律でもいいですから、私学法の一部改正でも出して議論をいたしますれば、塩は塩、砂糖は砂糖で私は食べられると思いますから、このような点は前例になりますので、ぜひともひとつこれから御検討を願いたいと思います。  そこで、附則の議論が多過ぎてもう一点ばかり伺いたいのでございますが、犬がしっぽを振るということばがございます。しっぽが犬を振っておるような附則ばかりの議論で、肝心かなめの私学関係の方々が期待される財団について一点だけお伺いいたしたいと思いますが、私はいろいろ配付される文書等を見ますと、私学振興財団についてまだ理解が十分ではない。しかし、十分でない点は、大臣が雄大なるこれからの私学に対する援助計画を示されれば、相当違ってくると思うのです。そこで、時間がなくなりましたが、財団法を見ますと、補助金と貸し付け金と助成金と寄付金、この四つの態様で助成されるようでございます。そしてその資金源としては、補助金と借り入れ金と寄付金、この三つでまかなわれるようでございますが、これが五年間くらい後にどのようになるか。大臣は二分の一の補助をできるもの——当初は二割くらいであるけれども、二分の一にするんだというふうに言われますが、こういうふうに考えますと、当然算術でいう二分の一に到達するか大体見当がつくかと思いますが、補助金についてひとつ出していただきたいと思います。貸し付け金だけについては四十五年度の予算が配付の資料にございますけれども、いま申しました補助金、貸し付け金、助成金、寄付金を含めての雄大なる計画をひとつ出していただいて、私学関係の方々を安心させていただきたいと思うのでございます。  そこで、まだまだ私の伺いたい点は、こういう点でございます。補助金でも、いま申しましたように政令にまかされておる。二十条一項の一号ですか「政令で定めるもの」、これはどんなふうなものをきめられるか。この点は相当広範な委任規定だと思いますが、ひとつ安心させる意味で出していただきたいと思いますし、人件費の半分と申しましても、定員定額という、予算用語のようでございますけれども、それでいくのか、あるいは実際の給与の金額に対して半分でいくのか、いろいろ問題があろうと思います。私はいろいろと文教関係の方々に伺っておりますと、教員の給与というものは、非常に安い方々が多いわけでございます。高度成長のもとで民間給与が上がった現在において、この先生方の給与が低いことが教育に対するたいへんな問題になりやしないかと私は思うのでございますが、このような補助のしかたも、たとえば定員定額で、少々あの学校は給与が低くても、普通の国家公務員あるいは民間給与のこれくらいのものは補助してやるのだというようなお気持ちを持っておられるかどうか、こんな点もぜひとも伺っておきたいと思うのでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点は、御質問がそのようなことになるのは当然なことだと思います。私自身も、実を申しますと、そういうような長期計画のもとに、第一次年度はこのように組むのだ、あるいは積算はこうなんだ、そして第二年度はこうだということをちゃんといたしまして予算要求をし、そしてまたそれを大蔵当局にものんでいただいて、そしてこの私学財団法を提出し、皆さま方にこれを御説明できれば非常によかったというふうに思います。これは率直な私の気持ちでございますが、しかしながら、御承知のような状況で、本年度初めてこのような人件費を含む経常費というものが実はできたわけでございます。もちろんそれに対しましては、われわれとしての積算基礎もはっきりいたしておるわけでございますけれども、それと先ほど申しますように、一体高等教育機関というものに対して、GNPに対して何%くらいを今後五年間あるいは十年間でとらなければならないかというまた社会的要請というものもあるわけでございまして、そういう長期教育計画の中において、国立大学はどうなんだ、あるいは私立大学はどうなんだ、あるいは研究設備や施設あるいは給与というところまで、実はそうきちんとしたものはなくとも、ある程度国民の方々が御理解になる程度の長期教育計画というものは、当然出てこなければならないと思っております。これは、中教審が最終答申をいたします来年の五月までに、一応その肉づけ、あるいは長期教育計画に要しますところの財政計画というものを国公私立を合わせまして考えていただくということになっておるわけでございます。その意味合いにおきまして、本年度は百三十二億何がしという形に出たわけでございまして、私といたしましては、今後の計画といたしましては、これは紋切り型ではございますけれども、私立大学等の教育の充実向上に資し、あわせて私立大学等の経営の安定にも寄与するために、私立大学等経常費補助金の拡充に努力し、経常的経費の半額補助を目標にしたいというふうに考えております。  また、貸し付け計画につきましては、従来私学におきまして施設整備の将来計画が策定されなかった等の事情もございまして、私学の教育条件改善のために必要な施設整備の資金需要というものが十分把握されないうらみがございましたので、当面私立学校振興会に対する借り入れ申し込み額の実績を参考にいたしますとともに、今後調査機構を整備して私学の資金需要に応じ得る年次計画の設定につとめる一方、私学経営を圧迫し、あるいは学校経費増高の要因となっております債務負担の軽減をはかるために、既往債務の弁済費貸し付け金や貸し付け条件の改善をはかるようにしたい考えでございます。  また、このため資金源泉としましては、政府出資金及び財政投融資資金をおもに、私学教職員共済組合からの借り入れ金、貸し付け回収金等の自己調達金をも加えて、所要額の確保につとめてまいりたいと思っております。  また、寄付金につきましては、さしあたり昭和四十五年度におきましては、募金の目標額といたしまして約七億円を予定しておりますが、今後各界の協力によって実績を高めるよう努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いまの御答弁を伺いまして安心いたしましたが、この配布されました文書などを見ますと、まだまだ誤解があるようでございます。たとえば二十九条の私学振興債券について、誤解があるようでございます。こんなことが書いてございます。「また債券の発行もおこなえる。寄付金の大手が財界であり、また債券を発行した場合の買い手が財界であることを考えると、「財団」の運営がどういうものになるか火をみるよりも明らかである。財団が発行した債券を学生に割当てるという事態も予想されないことではない。」と、こんなことが書いてございますが、私は誤解だと思うのです。民間の経済界の方々のうちから役員を選ばれるということは、寄付金とかあるいは借り入れ金についていろいろと私学振興について御配慮をされておる結果だと思うのでございますが、この二十九条の私学振興債券、これらについてこのような誤解があることは非常に残念でございますが、いまでも私学振興会でも債券を発行できるようになっている。これを発行した事例があるかどうか、ひとつぜひとも承りたいと思うのです。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 政府資金を借り入れます資格の条件といたしまして、こういうふうな金融債を発行する能力があるかどうかということが、一つの資格の要件になっております。したがいまして、政府資金を借り入れますには、こういうふうな能力が必要なわけでございますので、現在私学振興会につきましても同様の規定がございますが、実際にこれを発行したという事例はございません。また、新しい財団におきましてこういう私学振興債券を発行するという予定は、いまのところございません。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 発行した事例もないし、これからも発行する気持ちはない、こう言われるわけでございますが、せっかくの私は法律だと思うのでございます。法律ができておる以上は、民間資金の活用という形で、たとえば私学振興債券を運用するようなことを、私は学生に割り当てなくても、考えてもいいんじゃないか、かように思うのでございます。特に私は、今度の四十五年度の貸し付け計画を見ますと、前年よりも減っておるような残念な状況から見ますと、どんな金でもひとつ借りて、民間資金で十分だと思うのでございますが、私学の要望にこたえるようなことが考えられないか。しかも、今度私学振興財団ができまして、補助金の交付を受ける、それを財源とするという表現がございますが、その金はおそらく市中預託するかもしれない。そこはよくわかりません。さらにまた、寄付金がいま七億円とおっしゃいましたが、大きな金額の金が集まるわけでございますが、これはひとつ預金の形になるようなことを考えますれば、金融機関との接触もできる。ただ利子率が問題でございますが、これは政府から一部の補助でももらって、利子補給でもしてもらってでも集めるような意図があるかどうか。そんなところが私は私学振興財団の新しい形としての方向だと思いますが、このような点についてどう考えられますか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ただいまちょっとことばが足りませんでしたが、私は予定がないと申し上げたわけで、気持ちがないということではございませんですが、確かにおっしゃるような点がございます。また、利率も七分三厘というふうな高いものが一応予定されるわけでございますので、先生の御指摘になりましたように、いろいろな問題点を含めまして、今後の課題としたいというふうに考えております。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点については、むしろ先生御指摘になったとおりに、私は大いに今後民間資金の活用をはかりたいというふうに思っております。ただ、世界の傾向といたしまして、アメリカみたいな富裕な国においてすらも、いままではフォード財団とかカーネギーとかロックフェラーというようなところが寄付金を出すことによって、私立大学の三分の一をまかなったりなんかしておったわけでございます。それが基金となって動いておったわけでございますけれども、今日のような学生数の増高、それから一学生当たりの経費というものが高くなってまいりますと、もう一財閥の力をもってしてもこれはまかない切れないということで、アメリカにおいてすらも、連邦政府はその四割方のお金を出さなければ私学経営はやっていけない、つまり私学の果たしておる社会的な貢献をなし得ないというような形に、世界の傾向はなってきておる。その意味においては、やはり思い切った私学援助の道を開かなければなるまいというのが、今度予算に計上し、また私学財団法を皆さま方に御審議をわずらわせておる気持ちでございます。もちろん、そういうふうな政府のお金を注ぎ込むということに対して非常な意欲をもってやらなければなりませんが、同時に民間の資金というものもあわせてこれを考えていくということでなければ、私はなかなか私学の財政の建て直し等も考えられないのではないかというふうに思いますし、むしろそういう民間資金を活用するというところが、これから先非常に大事なことだ。これは私は単に私学とかあるいは教育というようなものに対する教育投資だけに限らず、政府全体のいろいろな投資計画においても、もう少し民間資金というものを活用することにあらずんばやっていけない時代を迎えておるのではなかろうかというふうに思うわけでございまして、先生のおっしゃるとおりだと考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 高利の旧債返還に悩んでおる私学が非常に多い。それがまたたとえばいなかあたりの大学に多いわけでございますが、その点についていまの御配慮がほんとうに当然だと思いますので、ぜひともお願いいたしたいわけでございます。  それからもう一つ、また誤解があるようでございます。寄付金についてでございますが、「この寄付は指定寄付であり、特定の大学学科に集中する可能性をもつ。」、こういうふうな表現が、これは今度の財団の寄付について十分な理解がないと私は思うのでございますが、あります。それで、私は指定寄付という意味がよくわかりませんけれども、今度の財団ができますれば、振興会以上に寄付金は集められる御意図であろうと思います。  そこで二点ばかりお聞きしたいのでございますが、第一点は、いままでは設備の補助のような感じでございましたが、今度せっかく税金でまるまる人件費の補助をするというようなこと——いまの指定寄付のような、つまり学校の改修とか新設というようなときだけの寄付でなくて、経常費まで含めて広範な寄付金が集められるかどうか、それが免税の対象になるかどうか、これが第一点でございます。これをまずお伺いいたしたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 税につきましては非常にお詳しい塩崎先生からたいへんありがたいおことばを賜わりまして、私ども非常に心強く感じておるわけでございます。この点につきましては、いままでの実績としましては、振興会を通じて行なう寄付金は、これは指定寄付の扱いを受けておるということで、特定大学に対する寄付が主であったことは確かでございますけれども、扱いとして指定寄付の扱いを受けておるということでございまして、私どもは、たとえばドイツの補助金協会が果たしておりますのと同じように、広く寄付を集めまして、これが特定の大学だけではなくて、広くその恩恵が及ぼされるようになることを期待しておるわけでございます。また、御指摘のございましたように、現在施設、設備関係に限られているというふうな事情もありますので、その緩和につきましては、大蔵省にもこれは現在要望をいたしておりますが、大蔵省からは前向きの返事がきております。こういう私学振興財団を通じて的確にその規制、管理が行なわれ、その使途が有効に使われるならば、その範囲を広げてもいいのじゃないかというような前向きな考えがあるようでございます。先生御指摘になりましたように、これを何とか私学の経営の一助にしたいということで、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 もう一点、いま管理局長一緒に御答弁されたようでありますが、特定の大学、学科に集中するという問題ですが、私はいまの寄付者の心理状態から申しますと、確かに特定の大学ならば寄付する、私学振興会をトンネルと考えられておるようでございます。おそらく過去の寄付金の募金の状況ではそういった傾向があったかもわかりませんが、今後は私はほんとうにたくさんの苦しんでおる私学にやるような寄付金の募集をしていただきたいと思いますが、それは何かいい方法があるかどうか、このような点についてどう考えるか、ぜひともいま一点だけ伺いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 いままでは、どちらかと申しますとお客さん商売みたいなもので、寄付が来るのを待っておるような姿勢ではなかったかと思いますけれども、ドイツの寄付金協会の場合を見ておりますと、これはむしろ財界に積極的に働きかけまして、こういうような免税の恩典があるのだということを周知し、それからこれがこういうふうに有効に使われるのだということを周知して寄付金を集めるというようなことをやっているようでございます。むしろ各会社その他におきましても、各大学からそれぞれこういう目的のために寄付をしてほしいという人がたくさん来て、非常に繁雑にたえないという面も、ドイツの場合にはあるようでございます。そういう点を考え合わせますと、私学振興財団が一括して私学に対する寄付金をむしろ財界から受け取るということが可能であり、しかもそれの使途につきましても、余裕のある使途が考えられるというふうなこともあり得るのじゃないかと思いますが、とにかく向こうから寄付していただくのを待っておるというような姿勢ではなくて、むしろこちから寄付をお願いする、その寄付がどういうふうに有効に使われるかということを積極的に周知徹底させるということが必要じゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういうために、今度の私学振興財団につきましても、そういうことができるような機構の整備も考えたいというふうに考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 文部省から出していただきました資料を見ますと、各大学が個別的に集めた寄付金が、何十倍か何百倍か多い。私学振興会だけが集める寄付金というものは、きわめて微々たるものである。この原因につきましてはどこにあると考えられますか、ひとつぜひとも管理局長から御意見を承りたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 昭和四十二年度の決算を見ますと、寄付金が総体で、大学に関しましては百六十四億というふうな数字が出ておるわけでございますけれども、その大部分が後援会それから個人の寄付金等でございまして、先ほど御指摘になりましたような指定寄付というのは、非常に割合が少ないわけでございます。これはやはりその特定の大学が積極的にむしろ働きかけておるということ、それから特定の大学の具体的なものに対しましては寄付がしやすいというふうな点もあろうかと思いますが、現在の私立大学は、非常に卒業生なんかとの関係が密接でございまして、そういう同窓生が学校を維持しておるという面が多少あるわけでございまして、そういう点から申しまして、現在までの寄付金は特定の学校との関連が非常に深かったのではないかと思うわけでございます。しかし、私学に対する全般の認識というものが高まり、それから現実の問題といたしまして、この前大蔵省からも答弁がございましたけれども、寄付をしようとすればまだだいぶ免税のワクが残っておるというふうな話もございましたので、積極的に開拓することによりまして、ある程度全体的な寄付の増額ということも可能ではないかというふうに考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 同窓生とか卒業生の心理状態を考えますと、やはり単純な方法では私学振興財団に寄付金を集めるのは容易ではない。これはよほどの恩恵と申しますか、メリットを与えないと、私はいまの管理局長のお気持ちのようなことにはならぬと思うのでございますが、それにはどうしたらいいか。役員の中に経済人を入れるのも一つの方法でございましょうが、そのほかにいろいろな方法を考えていただいて、ぜひとも寄付金を大規模に集めるということを考えていただきたいと思います。  そこで、その次は助成金でございます。補助金と助成金という概念の定義、私もなかなかわかりにくかったのですが、法案を読んでいっておぼろげながら気がついたわけでありますが、今後助成金についてどういうふうに考えていくか、ぜひとも御意見を承りたいと思います。私はこの助成金の規定を見ますと、どんなことにでも大体助成できるようなていさいをとりながら、特定の二団体に対する助成ですか、これしかいっていない。これを将来どういうふうに考えるか、この点について御意見を承りたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 助成金につきましては、これは利益金の処分というふうな形になるわけでございますけれども、御指摘のとおり、現在私学共済及び私学研修福祉会、この二団体に対する補助しか行なわれていないわけでありますけれども、利益金と申しますのは、政府からの出資金がふえてまいりますと利益金がふえるというような関係になるわけでございます。そこで、政府からの出資金をふやしていかなければならないというふうなことはございますけれども、これがふえました暁におきましては、御指摘になりましたように二団体だけではなくて、そこにございますように、幅広い範囲で助成ができますように考えたいということで、この規定自体についてもいろいろ問題があったわけでございますが、このたびは前よりも多少感じとしましては幅を広げたような感じの書き方にいたしております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 助成金は、確かに私学振興会の時代には、その財源というものは例の貸し付け金から生ずる利子、それから事務費を引いた残り——これも一種の隠れたる補助金のような気がするわけでございますが、それはそれとしまして、これが唯一の財源であった。ただ、利益という表現は剰余金というふうな表現のほうがいいかと思いますが、とにかく営利会社上の利益という概念を使っておられるので、私学振興会そのまま引き継がれておるようでございますが、いま申されましたように、寄付金を大幅に集める、特にひもつきではない寄付金を集められるという御趣旨だとしますと、それは単に寄付金として学校にやるのか。これは助成金みたいなかっこうになってこやしないか。だから、私は補助金と寄付金と貸し付け金とが、三つが区分経理されて、おのおの文部省の監督を受けながら調和のとれた補助の金になると思うのです。しかし、寄付金がどこの大学ともきまらない形で出た場合には、助成金というのでしょうか、補助金というのでしょうか、どっちというのでしょうか。このあたり、今後の私学助成について大いに関係があると思いますので、この点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 寄付金それから助成金その他につきましては、これは先生が御指摘になりましたように、比較的厳密に経理区分をしなければいけないというふうな感じがいたします。したがいまして、寄付金は寄付金として別に扱ったほうがよろしいのではないかと思うわけでございますけれども、たとえば寄付金の中でこれは融資に回せるものがあるとしますと、その際には、それは当然利子がつくわけでございますから、その利益金がふえるというふうな関係も出てくるかと思います。その場合には助成金のほうに回るわけでございますが、しかし、原則といたしましては、寄付金は寄付金、それから助成金は助成金というふうにはっきり経理は区分して処理したほうがよろしいのではないかというふうに、ただいま考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いろいろ私もまだ十分理解してない点もございますけれども、時間も参りましたので、質問は終わりたいと思います。多分に法律論が多くて、大臣の御答弁が少なくて非常に残念でございましたが、私は、十三条を中心といたしまして、附則で監督権を強化する点に多大の問題があり、これからの大きな先例になるかと思いますので、議論したのでございます。先例に弱い国会議員であり、役人でございますので、これははたして先例になるかどうか、もう少し御検討の、あるいはまた質問の機会もひとつ与えていただきまして、私の質問は、きょうはこれで終わらせていただきます。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時二十六分開議

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本私学振興財団法案について、質疑を続行いたします。川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村委員 先日お尋ねいたしましたことでありましたが、もう少しお聞きをしておきたいと思って二、三お尋ねをいたします。  今日の私立学校の現状と申しますか、経理の問題につきましても、経営上についても、いろいと問題が発生をしておる。幾つかの学校で、国民のひんしゅくを買っておるような事件が起こっております。これはおそらくその学校の理事会等のいろいろの心得違い、あやまち等に基因するものが相当多いのではないかと思われます。それはそれとして、大部分の私学がそれぞれの使命に向かって一生懸命努力をしていることは、認めなければならぬと思います。また、今日私学がたいへんマンモス化しておる、これにもいろいろ困難が経営上伴うことだと思います。これも時代の要請であろうかと思いますが、そういう意味で、私学経営の財政的な危機といいますか、あるいは限界というものが存在するということは、認めざるを得ないわけであります。そこで、それらの状態を踏まえて今回文部省が人件費を含めた経常費を補助するというような措置をとられたことは、高く評価していいと思います。ただ、今度財団法が成立いたしますならば、おそらくこれは七〇年代あるいは八〇年代、それ以上長期にわたってわが国の私学経営、私立学校そのものに大きな影響を与えるものであろうと思います。私立学校のあり方というのにずいぶん大きなかかわりを持ってくるのが、この財団法であります。私はそう見ておるわけです。ということを考えてまいりますと、私たちは、この財団法をつくるにあたっても、いま一度私学の存在しておる、あるいはよくいわれるように、わが国の教育、文化あるいは産業、それらの振興に果たしてきた大きな役割りというもの、私学が持っておるその位置というものをやはり忘れるようなことがあってはならない、そういう意味で、財団法というものも考えていく必要があろうかと私は思っておるわけであります。この大事な法律をつくろうとするときに、角をためて牛を殺すというような事態を起こさないように取り組んでいく必要があると思います。私学に対するいろいろな問題につきましては、もう私が申し上げるまでもなく大臣よく御承知のとおりに、昭和二十四年に私学法ができたときに、私立学校の憲法八十九条によるところの問題の解明、論議等が重ねられて私学法ができているわけでありまして、私学も公の支配に服するものであるというこの考え方は、もう統一された見解だといっていいわけです。そうなれば、私学も何も、すべてが国からのあらゆる財政援助を受けながら、全くその規制を受けないで、自由そのままであることは許されないということは、これは当然かと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、やはりそこには私学というものの立場をわれわれは十分配慮をして、これを殺さないような、私学の使命というものをゆがめないような方向で取り組んでまいる必要があろうかと思っておるわけであります。そういう観点からきょうは、この前お尋ねしたものに引き続いて、二、三お尋ねをしておきます。  その第一は、この前もちょっと私は触れたのでありますけれども、この財団を運営をしていくについて、あまりにも理事長の権限が強大ではないか。理事長が財団を代表する職能、権限を持たれるということは、これは当然であります。ところが「理事は、理事長の定めるところにより、財団を代表し」、云々と、理事もその職能、権限は理事長の定めによって動いていくという仕組みになっておる。あるいは理事長が理事を任命をする。もちろんこれは大臣の認可を受けることになっておるけれども、理事長が理事を任命をする。こういうような権限から見てもたいへん大きい。さらには、この法案で運営審議会というものが設けられるけれども、今後の場合には、この運営審議会はそこに決議的機関としての要素は全くない。理事長の諮問に応ずる、あるいは意見を述べることができるというような規定でしかないわけであって、極端な言い方をすると、理事長は全く独裁者的な位置を占めておる。これは私は、財団の長い、これから十年、二十年という先を見通して考える場合に、しかも財団が扱うところの補助金額が増大をする、あるいは貸し付けの金額が増大をするというようなことを考えるときには、あまりにもそこに民主的な運営というものを阻害している要素があるのではないか、こう考えてたいへん実は心配をいたすものであります。これについては大臣は、その運営についてそのような形におちいらないようにもっていくという御決意はあろうかと思いますけれども、こういうところをやはりもう少し、たとえば運営審議会にもう少し大きな権能を与えて、理事長の独断専行ができないような法文にしておくということが重要ではないかと思うのですが、まず初めに大臣からひとつ御所見をいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この財団の中におきまして、私学の振興あるいは経常費につきましての配分という非常に大事な基本的な問題につきまして、運営審議会を設けまして審議をして、そして適切な配分あるいは私学の振興につとめていただくというのが、今回の運営審議会の考え方でございます。振興会の場合におきましては、評議員がたしか二十人だったと思いますが、これは両方の考え方が確かにあると思います。十人では少し足りないではないか、もう少し私学側あるいは一般有識者、学者、言論界あるいは経済界というようなものの意思を反映させるためには、十人を二十人にしたほうがいいんじゃないかというような議論も、私は承知をいたしております。しかしまた、実際の運営にあたりまして、二十人あるいは三十人というふうにして、その委員が多いだけがはたして実際上の運営としてどうなのかというと、必ずしもそうではないのだということも言えるのでありまして、私の気持ちといたしましては、運営審議会の委員というものにつきましては少数精鋭、そしてそれは確かに理事長の発意によって、そして文部大臣の承認を得て決定をするということで、かなり権限は理事長に集中をしておると思いますけれども、一面においてこういうような審議会等を運営していく場合におきまして、単に民主的ということだけが能でなくて、同時にその審議会自身がある程度リーダーシップをとって運営をされるということも、また一つの要請かと思うわけでございます。そういうようなことを考えまして、むしろこの際は少数精鋭の人たちによってリーダーシップをもってやっていく。そのかわり、理事長というものは非常な責任があるわけでございますから、その責任の所在というものをはっきりさせて、そしてその責任を負うてやっていく。その理事長の任命につきましては、私が責任をもって任命をするという形をとったわけでございます。そういうような考え方で、これには確かに私は両論があると思います。しかし、今度の場合は、むしろそういう意味から少数精鋭、そして責任を持つ、そのかわりリーダーシップも持つという形で、このような構成のしかたをしたということでございます。また、いままで評議員という形でございましたけれども、私はこの十人の審議委員という人には、むしろ理事長を助けるということじゃなくて、あるいは理事長の考え及ばないような広い視野、あるいは識見、あるいは国民各階各層の意見というものが、相当この審議会において議論をされて、そして理事長を助けていく、こういう仕組みにいたしたいと思っておるわけであります。したがって、まさにこれは運営の問題でございまして、この理事長に人を得るか、そしてまた四人の理事、あるいは監事、あるいは非常勤の理事に人を得るか、また十人の審議委員にりっぱな方を選び出すかというところにかかっておりますし、その方々が理事長を中心として今日の社会的要請にこたえて、私学振興のため、また国民の血税でありますお金を十分に慎重に、適正に各大学の教育、研究の向上のために使うという責任を果たしていただくということでございます。しかし、この間からの御質問にありますように、法律というものは実に冷ややかなものであって、一度制定された以上はそれが生き続けるわけである。したがって、大臣の気持ちはそうかもしれないけれども、そうでない場合が起こり得るのではないかという御心配があろうかと思います。これは私は、御心配も一面においてはあると思います。しかしながら、今日の私学に対して社会の期待することと、それから一部私学におきまして、直接国のお金ではございません、ことに授業料その他多額の納付金等を納めた学生諸君たちのお金が、どういうような形において使われておるのかということがわからない、あるいはそれが不正な状況において使用されておるというようなところにも、実は正義感を持った学生たちが大学に問いかけておるというところもあろうかと思うのでありまして、その限りにおいて、私は経理につきましてこういうふうに教育、研究の上に使われておるんだということがはっきりするような形を、この運営に当たられる方々に期待をいたすわけでございます。それらの適正な配分あるいは私学振興上のいろいろの問題につきまして、十分の知識と深い見識を持った方によって運営をしていただくというふうに私は思うわけでございまして、そういう気持ちから、実はただいまのような理事長、あるいは理事、あるいは運営審議会というものの構成を考えたわけでございます。  私どもが先般もお話を申し上げましたように、こういうような機関というものは、単に法律でできたからといってすぐさまうまくいくとは私も思っておりません。やはり長い間の努力、精進によってこれが国民の間に定着をし、そうして世間の信用をかもし出すことができるというふうに思うのでございまして、私たちの頭の中にありますのは、イギリスにおきましてUGCというものが今日非常に信頼できるものとして定着をしておるという、ああいう実態、ああいうようなものにこの財団もなってほしいということを常々考えておるような次第でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 大臣のいま申されました一番最初の答弁で、審議会の委員の人数に触れられましたが、これはあとでお聞きすることにします。また一番最後に触れられました私学の不正事件等云々の問題も、あとで考えなければならぬと思いますが、私がお尋ねしたのは、先ほど申し上げましたように、理事長の権限があまりにも大き過ぎるのではないか、これでは財団の民主的な運営という立場から見ると問題が残る、そこで大臣としてはこれに対して一体どうお考えになっておるかということであります。いま、その中で大臣のことばをかりると、運営の上でこれは十分ひとつ配慮していくというようなおことばがあった。あるいは理事長にその人を得れば間違いはない。それはそうだと思います。しかし、ただそれだけで、現時点において皆さま方が考えておられるような、そういう善意なものの見方で長い長い法律というものを考えていっていいかどうかということであります。そこで、最近こういう立法例といいますか、私全部は知りませんけれども、今度の財団法の立法技術的な面からいうと、これはごく最近、二、三年前でしたか、三、四年前でしたか、日本学術振興会というのが財団法人から特殊法人に移ったことがある。そのときできたところの法案によく似ている。これをいつかの時点で局長が、最近の立法例によればというようなことばで弁解なさったことがあるのだけれども、私、最近こういうような形の立法にしてくるということに、実は一つの大きな疑問を持っておるわけです。御承知のとおり、日本学校給食会法というのがある。この中でやはりこういう評議員という規定がありますが、学校給食会法でいうならば、「評議員会の職務」として、「次の各号に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。」と規定して、定款の変更、業務方法書の変更等々のいわゆる基本的な問題について列記をして、理事長は評議員会の意見を聞けと書いてある。またいま一つの例は、学校安全会の法律におきましても、これは名前は運営審議会であるけれども、「次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、運営審議会の意見を聞かなければならない。」と書いてある。そして定款の変更、業務方法書の変更等々が並べてある。つまり、十人なりあるいは十五人なり、そういうたくさんの有識者、見識の高い方々がお集まりになっておる運営審議会あるいは評議員会、こういう方々の衆知のもとに、それを理事長が受けて業務運営をやるという仕組みになっておる。これは文部省、政府全般に言えますけれども、文部省がずっと以前、昭和二十年代から三十年代当初につくったものにおいては、こういうような仕組みになってすべて運営をされて、誤りなきを期しておるのですよ。ところが、最近の一つ、二つの立法例でいうと、この法案に出てくるように、その運営審議会であるとか評議員会であるとかいうところの権能というものは、ただ単なる諮問機関にして、聞いてもいい、聞かぬでもいい——これは悪口ですから、聞いてもいい、聞かぬでもいいというような仕組みになって、理事長が絶対権限を握るというような形になっている。どうもこれではいけないのではないか。理事長にりっぱな人を得るということは、当然であります。また理事長が大きな権能を持つということも、当然であります。当然であるけれども、独裁的な権能がふるわれるような仕組みに法案というものはあってはならないのではないか。そういうことを考えていくと、今度の財団法でも、やはり運営審議会の権能というものを、あるいは学校給食会、学校安全会というようなものの考え方で理事長の権能、職務が遂行できるように仕組むことが重要なことではないか。坂田さんがおられるとき、あるいは岩間局長がおられるときには、すばらしい人選がなされると思いますよ。運営審議会もりっぱな方が入ってこられると思います。あなたがおっしゃるような形で、運営の誤りはおそらくないと思います。しかし、これは十年、二十年あるいは三十年先のことを考えると、やはりそういうような法規定にしておくことが大事ではないかと私は考えているわけです。大臣のお考えを伺いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ただいま御指摘のように、文部省関係の特殊法人におきましては、評議員会を置くというふうな、ほかの特殊法人に見られません特色がございます。これは専門的な知識を反映するという意味であろうと思いますけれども、最近のほかの立法によりますと、そういうことはほとんどないわけでございますが、文部省関係の特殊法人には、これは比較的多いわけでございます。  それから、先生があわせて御指摘になりましたように、この評議員会の諮問事項と申しますか、これは具体的に列記をいたしておりますけれども、これはある意味におきましては、そういう権限が制限されるという意味もあるわけでございまして、私どもがこのたび運営審議会を考えました場合には、これは財団の一つのかなめになってもらいたい、単なる従来の評議員会のように専門的な意見を反映する、特殊な事項について専門的な意見を反映するというばかりではなくて、財団のかなめになっていただきたいというふうな気持ちが強かったわけでございます。そこで、このたびの法文は、別に制限列記をいたしませんで、基本的な事項につきましては、これはすべてその運営審議会の御意見を承るということ、意見が反映できるようにするということ、これが大事じゃないかということで、むしろ制限的に列記をするということを避けたわけでございます。大臣もおっしゃいましたように、これは運営のいかんによりましてその能力を発揮するかどうかというふうな問題もあるわけでございますけれども、私どもの考えといたしましては、今後とも引き続いてこの運営審議会が財団のかなめになるように、ひとつ格別の留意をしてまいりたいというふうに考えます。

川村継義日本社会党

○川村委員 「基本的事項」とは一体何だということになりますが、これはお答えいただかなくてもいいと思います。業務の、貸し出しの基準であるとか、いろいろなこの法案に盛ってこらるべきものを引き出してくれば、おそらく私も推測ができますから、これは聞きませんけれども。  そこで、私が言っておりますのは法文解釈に入っちまううわけですけれども、理事長の諮問に応じ、基本的事項について審議するということ、これは当然おやりになると思うのですよ。こんなのを簡単に理事長がやろうとは、私は思っておりません。しかし、法文から見ると、諮問に応じ、審議するのですから、諮問がなかったら、審議しなくてもいいじゃないかという解釈は成り立つわけですね。そこで私が申し上げたいのは、やはり理事長さんというものは、相当大きな権限は持ってもいいけれども、何らかの形で審議会の意見を聞いてやる、意見をくみ上げてやる、そういう態度がやはり法文の中に明記されることが必要じゃないか。それで私はこういうことを実は申し上げたわけです。これは打ち合わせ会、懇談会の中でしたけれども、第十条の二項に「理事は、理事長の定めるところにより、財団を代表し、」云々「その職務を行なう。」と結んである。そこで「理事長の定めるところにより、」ということばの前に、「運営審議会の意見に基づいて」というような——これは適当な、実はりっぱな法文じゃありませんよ。何かそういうようなことばでやれば、そこに私が言っているような趣旨があらわれてくるのじゃないか。それがだめだ、それはおかしいということになると、第十七条に、私が申し上げているような趣旨をやはり規定することが必要じゃないか、こういうことを私は言っているわけです。これは皆さん方の御意見と平行線をたどっておるようだけれども、私が将来の財団の運営ということを考えると、そこにはやはり民主的な運営というものがあくまでも規定されておることがいい。少なくとも学校安全会法や給食会法みたいな制限列記は必要でなくても、何かそういうような運営審議会にもう少し権能を持たせて、その意見を理事長が受けて、あるいは理事が受けて交渉するというような規定が必要ではないか。私は、何とおっしゃろうと、そういうような形を進めるべきである、つぶしちゃいかぬ、そういうように実は思っておるわけです。これについてまたお考えを聞きますけれども、もう一つつけ加えておきますと、この財団法を見て、職能権限を見た一部の方の中には、これは実に文部大臣が思うように動かせる仕組みになっているじゃないか。理事長も理事も文部大臣が結局は任命をする。そうなると、この私学の大事な問題を扱うところの、補助金の交付、貸し付け金等々扱うところの絶対権限を持っておる理事長を文部大臣が、言うならば思うように運営できるようなところの法制になっている。これは、言うならば文部省の外局じゃないか、こういうように勘ぐったものの見方さえ出てくるわけであります。そういうことにあらしめてはならない。また、文部大臣に将来どういう方が出てこられるかわからぬ。その人の考え方によっては、いま坂田さんがおっしゃっているようなすなおな、善意な考え方が必ずしも通っていくとは思われないわけです。そこで私は、理事長の権限というのを決して抹殺するとかいうのでなくて、チェックするものを運営審議会に与えるべきである、こういう考え方を持っておるということであります。もう一つ何かお考えありましたら……。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 川村先生ただいま平行線というふうなおことばをお使いになりましたけれども、私は決して平行線でなくて、川村先生のおことばと私どもの考えとは全く一致しているのじゃないかと思うわけであります。法文は分かれておりますけれども、十条と十七条とは一緒に読むべきものでございまして、一緒に読んでまいりますと、どうしても川村先生の結論と同じふうになるのじゃないか。書き方につきましてはいろいろあると思いますけれども、私どもはこういうことで、川村先生のおっしゃることがそのまま実現されておる、また今後こういうふうに運営していかなければならないというふうに考えておるわけであります。  それから文部大臣の権限が非常に大きいという御意見が他方にあるという御指摘がございましたけれども、これは現在の政治なり行政なりの仕組みが議院内閣制というふうなことをやっておりますから、これは必ずしも現在のような大臣が来られるかどうかということは別でございますが、そういう仕組みの中で大臣が全面的に責任を負う、そういう体制でございますから、こういうふうな特殊法人というものにつきましては、やはり文部大臣が責任を持ってこれを監督し、国民のかわりになってその運営を見守るということであろうと思います。

川村継義日本社会党

○川村委員 いま局長の最後のことばは、私もよく理解はできるんです。ただ、文部大臣のその人、理事長となり得るその人、いろいろのことを考えると、やはり必ずしもその問題はいまあなたがお話しのようなことにいかないというような場合がある。それを心配して、私はもっと運営審議会にその権能を高めてやる、その運営審議会の意見に基づいて理事長あたりが動いていく、こういう仕組みに法文上明らかにしていくことがいいではないか、こういうことを言っているわけであります。そういう意味で、その理事長の職能と権限の問題、運営審議会の権限の問題を私は一つの問題として注視をしなければならぬ、このように思うわけです。  そこで、その次にもう一つお尋ねをいたします。それは第三章業務の第二十条の五号でありますが、まことに小さいことをおまえは聞くとあるいはけげんなことにお考えになるかもしれませんが、ちょっと御意見を聞いて確かめておきたいことは、「私立学校の経営に関し、情報の収集、調査及び研究を行ない、」云々と規定をしてある。「経営に関し、情報の収集、」ということばがあるんだが、私が余分な心配をするのかもしれないですけれども、経営に関して情報の収集といわれるのは、どういう情報をとろうとしておられるのか、どういう情報を一体財団にとらせようとしているのか——これはとらせると言ってもいいと思う。とらせようとしているのか、ちょっとお聞きしたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ここで考えておりますのは、具体的に申し上げますと、予算とか決算その他の財政的な資料、それから学校の運営状況と申しますか、教育条件等につきましての情報という意味でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 というのは、私がこれを聞いておりますのは——私の考えを初めに申し上げておいたほうがいいと思うのだけれども、私立学校の経営に関する情報の収集となると、非常にたくさんのものがあるわけですね。そうなると、つまらない誤解を受けるのじゃないか。つまらない疑心暗鬼を与えるのではないか。そういうことがあってはならぬと私は実は思っている。そこで、いまあなたがいろいろの資料とおっしゃった。実をいうと「資料の収集」ということばを使ってあれば、こういうお尋ねはいたしません。情報収集と書いてありますから、これは何か意図されておるのではないかと、こういうように勘ぐりたくなる。つまり、私が申し上げましたように、とんでもない誤解を与えるのじゃないか、あるいは疑心暗鬼を与えるのじゃないか、こう言っておるのも、そこにあるわけです。いろいろ極端なことを申し上げますと、私なりに頭に浮かんでくることを申し上げると、ある学校で学生の動きがどうも不穏だ、そういうものに対してどういう経理、金の使い方を一体しておるのか。ああいうようないわゆる大学紛争のときに非常に心配されたような問題、そういうものをやはり一つの情報として集めて、それが今度の貸し付けとか補助とか、そういうものに大きな影響を与えるのではないか。そこで、この情報を集めるのはもちろん財団でありますけれども、そのことと、情報を提供するものは一体だれなのかということであります。私のような心配しておる角度から、決して世間で私立学校の諸君に誤解を与えるようなことはならぬと心配をしておる角度からいうと、いまのようなお尋ねをしておかなければならぬと思います。これは局長からお答えください。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 この場合に規定はしてございませんけれども、当然学校法人あるいは準学校法人等、そういうところから情報の提供を受けるということでございます。なお、これは「経営に関し」と書いてございますので、一応経営と教育と二つに私学の全般を分けてみますと、そのうちの経営の部分というふうな意味でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 それは局長、たいへん良心的なことだけれども、なるほど経営という文字をすなおに解釈すれば、おっしゃるとおりだ。しかし、私立学校の経営というのは、広く考えると、そこには経理上のことも入ってくるだろうし、あるいは会計上の問題もあろうし、教育問題も含まれるわけですね。経営といえば、普通われわれのような頭のものは、学校経営というのはすべてのものを含んでいる。あなたはそこに非常に正直にお答えになっておりますけれども。だから、私は念のために聞いているわけであって、「私立学校の経営に関し、情報の収集」という場合に、これはもちろん私学の連合会等を通して何か必要なものを、情報を集めるわけではないでしょう。これは一つ一つの学校に対してそれを集めるわけでしょう。そうすると、学校のだれかが、学長なら学長が提供せねばならないということになりますね。その辺はどうでしょうか。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ここでは別に制限はしておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、学校法人、準学校法人が主体になっているのは、おっしゃるとおりだと思います。あるいは文部省から情報の提供を受けてもいいわけであります。そういう意味から申しますと、ともかく財団におきましては、私学に関するいろいろな情報を集めて、それに基づいて適確な指導を行なうという意味でございまして、それ以外のものではないというふうに御了承願います。

川村継義日本社会党

○川村委員 ある人がたいへん心配して言ったことばに、これこれの情報を出せといわれた場合に、私が先ほど心配しているような情報を集めて、それを何か規制の材料にするという意図はないか。あったら私はたいへんだと思うのです。それはとにかく、ないならないと明らかに言っていただかなければならない。そういうものがないと、あるいはそういう心配があるということになると、情報を提供する者が学校内のだれかである。事務局長か学長か知りませんが、そこでだれかがいみじくも言ったのに、思い過ごしかもしれません、疑心暗鬼なところが出てきたのかもしれないけれども、私立学校のだれかに、財団に対して文部省に対してスパイ行為をしろというのか、とんでもないこういう心配があるわけです。そこで、その辺のところをひとつこの際明確にしておいていただきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ただいまのような疑心暗鬼あるいは情報が乱れ飛んでおると思いますけれども、そういうことはもう絶対ありませんから、そのようにすなおにお受け取りをいただきたいというふうに申し上げておきます。

川村継義日本社会党

○川村委員 また私立学校の立場で言うと、これは公明正大、まことにきれいな経営でなければなりません。ガラス張りでなければならない。しかし、経理の上ではおそらくきちんとガラス張りにこれから運営されるとしても、教授会の決定事項であるとかあるいは評議員会、理事会の相談事項であるとか、なかなかそれを外部に発表できない、漏らすことのできないものも、それぞれの学校にはあると思うのですね。へたをすると、そういうものまで財団が情報として集めるというようなことになったらたいへんだ、こういう心配があるから、いま大臣の答弁をいただいたわけであります。これはひとつこの後注意していただかなければなりません。  そこで、私はこの情報の収集ということばは、経営に関し情報の収集を行なうというようなことは、非常に誤解を大きくする、疑心暗鬼を生むところの表現だ、文句である。そこでせめて資料の収集という形にしておくべきではないか。ところでこう私が言うと、おそらくいや最近情報の収集ということばはよく法律で便いますとおっしゃるかもしれません。そこで私は、そういう収集が必要であれば、誤解を生む情報というものをなくして、「資料の収集」としなさい。あるいは文部省設置法によく好んで使っておる「情報資料の収集」、少なくともそういうことばにすべきである。言いっぱなし、「情報」というこのことばは適当でない、こう私は思うのです。変えるお考えはありませんか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 御心配は御心配でございますけれども、情報ということばは、たとえば文部省設置法の第九条におきまして「学術に関する情報資料を収集し」と規定しております。また日本学術振興会法の第二十条におきまして「学術に関する情報資料について調査を行ない」というふうに規定しているように、法令上も一般に用いられるようになってまいっております。最近におきましては、また情報化会社あるいは情報処理、そういうことばがむしろだんだん定着してきておるということでございまして、私どもといたしましては、この「情報」というものをことさらにスパイ的な意味においての情報だという意味には、今度のこのことばとしては考えておりませんので、いまこれを変えなくともおわかりいただけるのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 大臣あっさりお答えになりましたが、私はいろいろそれらを使っておる法律をお聞きしなければならぬと思いますが、文部省の設置法の五条、九条、十条に使っておることばは「情報資料」の収集と書いてある。「情報」の収集と使ったことばは一つもないはずです。これは局長、どうですか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘のとおりでございますが、具体的な例を申し上げますと、中小企業振興事業団でございますか、同じ特殊法人でございますが、そこには「情報の収集、調査及び研究」というふうな、同じような字句を使っておるわけでございます。資料ということばは確かに従来から使ってきたわけでございますけれども、資料と申しますと、形のあるもの、形のある情報というふうなことではないかと思うのでございますが、情報といいますと、形でなくても、最近では非常にいろいろな情報があるわけでございます。そういうものも含めまして、広い意味で情報ということばを使ったわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 形のある資料を集めるということならば、私は心配しないのです。形のないものを集めようと考えるから、私は心配をして、先ほどからいろいろ言っておるわけです。「情報」の収集と使った場合と、「情報資料」の収集、こう使った場合には、これはずいぶん内容的に変わるはずです。違うはずですよ。なるほどあなたがいまおっしゃったように、最近の法律の中にそういうのが出てくる。国民生活研究所法、この中にも「国民生活に関する情報及び資料を収集すること。」と書いてある。国民生活に関する情報あるいは資料を集める、何のそこに疑心暗鬼を生むような、危険視されるような、頭をひねるような問題が出てきますか、出てこないでしょう。国民生活センター法案の中にも、「国民生活に関する情報を収集すること。」と書いてある。国民生活センター法案の中に出てくるのは、これは別に頭をかしげたり、心配するようなことはないですね。また日本科学技術情報センター法、その中には「科学技術情報を収集する」と書いてある。ところが、あなた方が出しておられますこの法案には、「私立学校の経営に関し、」点が打ってある、「情報の収集、」と書いてある。だから、私が、先ほどからしつこいようですけれども、心配をしておる。これはやはり私立学校やこれを考える人には、誤解を与えるのではないか。疑心暗鬼を生むぞ。形にならないものをどんどん情報として財団にとらせて、それがものをいう原因になるのではないかということになるわけでしょう。そうなると、あっさり「資料の収集」、こう書いていいはずですね。あるいは次の「経営に関し、」飛んで「調査及び研究を行ない、」こうなっております。調査、研究するには、ある程度資料を集めなければ調査、研究できませんし、そうすると「情報の収集」なんということばはとっていいのだ。経営に関し、調査及び研究を行なわせる、これはりっぱじゃありませんか。「情報」なんて、誤解を生むようなことばを置かなくても、調査、研究をやるには、どうしても私立学校の経営に関するいろいろな資料を財団はもらわなければ調査、研究できないのですから。置きたいならば、「資料の収集」と規定をすべきである。「情報の収集」というのは、この「私立学校の経営に関し、」という限りにおいては、先ほど申し上げるような心配を与えるから、この財団の運営を考えるときには、よほど注意をしてやるべきではないかと私は言っているわけです。不賛成ですかね。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 お気持ちには全く賛成でございますけれども、ただ資料といいますと、いままで使っておりましたように有形のものに限るわけでございますが、いま電話もございますことでございまして、また非常にスピード化してまいっておりますので、そういう有形の情報だけでなく、無形の情報に基づいていろいろ調査、研究するという場合もあるわけでございます。そういう意味も含めまして、最近の用語でございます「情報」ということばを使ったわけでございます。先生の御心配はごもっともでございますから、その点につきましては、十分注意をしてまいりたいというふうに考えております。

川村継義日本社会党

○川村委員 大臣、もう一つ最後にあなたのほうからひとつ明らかにしていただきたいと思います。この「情報の収集」、というのが、私立学校関係者に誤解を与えたりあるいは疑心暗鬼を生じさせたり、情報の収集によって財団の手を通していろいろと貸し付けあるいは補助金の交付、助成等々について規制をする材料にする、そういう意図ではなく、あくまでも言うならば調査、研究のために、財団の運営を高めていく、りっぱにするための材料、資料を集める、そういう意味に解釈をしてよろしいかということであります。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 そのとおりだと考えております。

川村継義日本社会党

○川村委員 とにかくこういう新しい法案を作成いただくときには、皆さん方には皆さん方のいろいろお考えがあろうかと思いますけれども、審議をする者がこういう頭をかしげるようなこともたくさん出てまいりますから、十分ひとつ注意をしていただきたいということであります。  次に附則十三条、これは先ほど塩崎委員がいろいろと重大な御質問をなさっておりますから、私もいろいろ聞きたいことがありましたけれども、塩崎委員の御質問を聞いておりましたので、いろいろお聞きすることをいたしません。ただ一つ二つ確かめておきます。これは局長からお答えいただいたほうがいいかと思いますけれども、改正条文の附則十三条、いわゆる私立学校法改正の五十九条の八項、九項でありますが、確かめておきます。八項に「補助金で政令で定めるものの交付を受ける学校法人は、文部大臣の定める基準に従い、会計処理を行ない、」云々と書いてある。この会計基準は作成してありますか、作成中ですか。作成中であれば、大体いつごろまでにできるという見通しなのか。その会計基準の作成に携わっておる者は、あなたのほうの管理局の職員がやっておるのかどうなのか。局長からひとつ……。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 会計基準につきましてはただいま審議中ということでございますけれども、今週一ぱいくらいに結論を得まして私のところに御報告をいただくというふうな段取りになっております。それが基本的なものではございますけれども、実際に実施するということになりますと、いろいろ経過的な措置が必要でございまして、これを今年度一ぱいくらいで作成すると同時に、また、御答申をいただきました会計基準につきまして、具体的な研修会等を行ないまして周知徹底をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕  なお、作成をいただきました委員は、主査が一橋大学の古川名誉教授、現在青山学院大学に行っておられますけれども、その方を主体にいたしまして、主として大学の会計に関する専門の先生、それから私学側からも参加していただきまして、また公認会計士協会からも専門家に参加していただいております。人数は十一名でございますが、文部省の者はオブザーバーとして入っておりますけれども、実際にはそういう先生方によりまして基準の作成をお願いしておるわけでございます。  なお、これと並行いたしまして、私学側でも同じような研究を進めておりまして、その意見は常にこの委員会に反映するようにいたしております。したがいまして、私学と並行しながらこの問題を研究しているというのが実情でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 その会計基準は一応できて、それを周知徹底させるのには相当の期間が必要である、これは言えると思います。それから会計基準は、私立の大学、それから高等学校、短大、各種の学校があるわけですが、それらはどういうような考え方で会計基準の作成を進められておりますか。まさか一本の会計基準ではないだろうと推測するわけです。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘のとおりでございまして、大学、それから短大あたりで使います会計基準と、高等学校以下、特に幼稚園になりますとずいぶん規模が小さいわけでございまして、そういうものにつきましては、別にこれをもう少し簡易な方法でやれるようなことをあわせて研究していただいております。したがいまして、大学、短期大学あたりを一番初めに対象にいたしまして、逐次高等学校以下につきましてもこれを及ぼしていきたいということが、現在の私どもの気持ちでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 それからもう一つ、法文について確かめておきたいと思います。それは、同じ私学法改正の十三条の第十項第二号でございますが、「当該学校法人の設置する当該補助金に係る私立学校の学科若しくは大学院の研究科の増設又は収容人員の増加に係る計画が、法令の規定又はその実施に関し所轄庁が定めた規程に違反することとなると認める場合において、当該計画の変更又は中止を勧告すること。」この「大学院の研究科の増設又は収容定員の増加に係る計画」これは現在行なわれておる私学の定員の増加あるいは収容定員の数、そういうものと一体どのようなかかわりが考えられてこの法文が生まれておるのか、これをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先生も御承知のとおり、現在大学につきましては、学部をつくろうといたします場合には文部大臣の認可を受けるということになっておりますが、学科をつくります場合には、これは文部省令によりまして、文部大臣へ届け出ればそれで十分だというふうな、法文上はそういう規定になっております。また大学院の研究科、それから定員の増加につきましても、同様でございます。そこで、その文部大臣への届け出というのは省令で規定してございますので、法律上は、そういう計画があるという時点をとらえまして、その計画が当然文部省令によりまして文部大臣に届け出されるということになりますので、その届け出ましたことにつきまして文部大臣がいろいろ判断をするというふうな規定になっているわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 それでは、それはそのままにしておきましょう。あんまりあれすると、また差しさわりが出てくるようでありますから……。わかりました。  そこで、この十三条の規定のものは、先ほど塩崎委員が言われたような、非常に基本的に考えてみなければならぬ問題が実はあるわけですね。それは私はきょうは触れないということを申し上げました。そこで、もう一つなんですが、三号、これをやはりひとつ解明しておいていただきたい。というのは、三号は、私立学校法ができたときに、昭和二十四年十一月ですか、ここにおられます小林信一先生あたりが賛成で通された、そのときの委員会の修正によってできた法文、つまりこの学校教育法の十四条は適用しないという、私立学校の使命とするもの、精神とするもの等々を考慮されて修正されてできた。それがまたここに息を吹き返してきておるということは、一体どう考えたらいいのか。これは必要なのかどうなのか。この三号がここに生き返ってこなければ、どうにも補助金というものはやれぬということなのか、補助金をやるわけにいかぬということなのか。それをちょっとお聞きしておきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 いわゆる変更命令の規定でございますけれども、これを私学に対しては適用しないというふうなことになりましたのは、閉鎖命令という規定があるからいいではないかというのが、一番大きな理由ではないかと思います。そのほかにも、私学につきましてはノー・サポート・ノー・コントロールという原則が働いていることは事実でございますが、直接の理由といたしましては、閉鎖命令があるからいいではないかということであったと思います。しかし、私学はある程度継続的に教育をしなければならない、特に在学生をかかえているという現状からいたしまして、いままでの経過から見ますと、大学に閉鎖命令をかけるということは、至難なことでございます。それよりは、むしろ間違っておるところがあればそれを正して、継続的に教育を行ない、さらにその内容を充実していくということが望ましいのではないかというふうな考えをしたほうが、むしろ現状に合うのではないかというふうに考えるわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 その点はお聞きしておきましょう。  では急ぎます。最後にいまの法文のことについてですが、現行私立学校法五十九条の四項、皆さん方からいただいた資料の冊子は、現行法の四項というのは途中から切れておりまして読めないのです。四項によりますと、読みませんが、ずっと条文がありまして、「その後の助成はやめるものとする。」と書いてある。この条文と今度改正される十項とは一体どういうかかわり合いを持っているのか。ある人の意見によると、五十九条四項があるから、十項は必ずしも置かぬでもやれるではないかというのですね。そのかかわり合いをちょっと説明しておいてください。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘をいただきました現行の私立学校法第五十九条第四項には、国または地方公共団体は学校法人に対して助成をした場合において、当該学校法人の設置する私立学校が助成決定の際備えていた条件を欠き、助成の継続を不適当とするに至った旨の所轄庁の認定があったときは、その後の助成をやめるものとする、こういうふうな読み方ができるわけでございますけれども、この「学校法人の設置する私立学校が助成決定の際備えていた条件を欠き」というところで読めるか読めぬかという御意見であろうと考えるわけでございます。これは広くも狭くも解釈できるわけでございますけれども、私どもといたしましては、こういう助成をやめるという措置をとります場合に、特にこのたびの新しい人件費を含む経常費の補助というのは、私学にある程度必須なものであるという考えをとります場合に、行政庁の判断によりましてそれをやめるやめないということをきめるよりは、むしろ法難でその旨を明らかにして、国民あるいは私学の側に十分その意味を明らかにした上でそういう助成をやめるかやめないかという判断を下すべきではないかという考えによりまして、新しくこの十項の二号、三号という規定を設けて御審議を願っているような状態でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 そこで、今度の財団法ができると、百三十数億の人件費を含んだ経常費が私学に援助をされる。しかし、財団法ができた場合に、いまの私立学校法の改正規定がなくても、金の配分はできる、または現行法の四項で処置できるではないかという意見も相当ある。あるのに、このような規定がなされたということについて、午前中塩崎委員からいろいろな角度から御質疑があったような問題点が出てくると思うのです。これらは非常に気をつけなければならぬ。私がきょうの質問の冒頭に申し上げましたような考え方に立っても、これはよほど注意をしなければならぬ。私は、この前の委員会でしたか、これはしばらくもう少し検討するという時期を与えて、ちょっと保留しておいて、私立学校法の改正で考えられたほうが順序がよくはないかということを言ったのですが、そういう考えは、私まだいまも頭の中にあるわけですね。そういう点をひとつ十分考えてもらいたいということであります。  それからもう一つ、法文のことですけれども、附則第六条に、私立学校振興会の解散、「その一切の権利及び義務は、その時において財団が承継する。」とあります。これは私当然のことだと思います。そこで、この際ひとつ大臣からお答えいただいて確かめておきたいのですけれども、私学振興会に働いておる職員——理事さんや理事長あたりは交代なさるかもしれませんが、職員は一体その身分はどうなるのか。それから現在理事者側と私学振興会の職員は、働く条件についていろいろ協定が結ばれていると思うのです。そういう労働条件であるとか、あるいはこれまで使用者側との間に打ち立てた各種の勤務慣行というもの、それから現在の給与、そういうものは一切の権利、義務がこの新しい財団に引き継がれると解釈して私は差しつかえないと思っているのですが、その辺のところ、大臣明らかにしていただきましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私立学校振興会の職員は財団の職員として引き継がれることは、御指摘のとおりでございます。その財団内におきます配置等につきましては、私立学校振興会が廃止され、財団が新しい組織機構をもって設立されますので、必ずしも従来と全く同じであるというわけにはまいりますまいと思いますが、給与につきましては、従来どおり不利にはならぬように配慮いたしたいと考えております。また、労働協約等はすべて新しい財団においてきめられるべきことではございますけれども、いまお話しになりましたように、おそらくよき慣行が樹立されておると思いますので、その点につきましては、そのまま引き継がれることが当然であると考えている次第でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 よくわかりました。一つお願いなんですが、配置転換等がある場合には——私は、新しい財団が生まれると、必要やむを得ないことになると思いますが、その場合に、働いておる職員との間に財団がトラブルを起こさないように、よく話し合いの上で、それぞれ適当な人材がそれぞれの部署について、財団の振興に力をいたす、そういうことはぜひ皆さんのほうから御注意をいただきたい、こう思うわけであります。  そこで、最後に一言申し上げますけれども、私きょうはほんの一点、二点、三点ぐらいお尋ねをしてまいりました。お尋ねをした基本的な考え方というのは、当初申し上げたとおり、これから財団は二十年、三十年、もっと続いていくかもしれない。財団の業務というものは私立学校振興に重大な影響を持つわけであるから、この財団が誤りのないように業務の遂行をはからなければならぬのではないか。そういう意味からすると、財団法の中にもやはり考えなければならぬ問題点が存在をする、こういうことであります。午前中塩崎さんが言っておられたように、経理の公表の問題にしましても、私もそう思うのです。大臣に報告されたからといって、大臣が国民の名において責任を持たれることは当然でありますけれども、それが経理の公開だ、こういうように単純に割り切ってはいかぬ。今日の私立学校のいろんな問題を考えると、経理公開は大臣に報告も必要でありますけれども、あるいは早稲田大学なら早稲田大学の学校が発行しておるところの機関紙等についても、ちゃんと経理の決算報告をする。学生の前に、父兄の前にあるいは学校に寄付してくれた諸君の前に、目がつくようにさせるという方法もあると思う。そういうような形をとっていかなければ、ただ経理が大臣に報告されたからといって、すぐそれが公開である、大臣が責任を持ちました、こういうことでは、なかなかうまくいかぬのではないか。経理の公開の問題につきましても、私が申し上げましたようないろんな方法がある。そういうようにして大学ということを考えて、ああいういろいろな日大みたいな状況、あんなぶざまなことをして、学生が騒いだからといって、それを押えつけていくようなことがあったら、これは決して好ましい方向じゃないわけです。この点についてのお考えを聞いて、私の質問を終わります。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その点につきましても、もちろん私に対して報告がなされるわけでございますけれども、大学みずからが自分たちの社会的責任を感ぜられまして、そのような経理等について明らかにするということは、自主的におやりになるということを私たちは期待をいたしておりますし、またそのことにつきましても、十分話し合いを進めて、円滑な法の運用をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 新井彬之君。

新井彬之公明党

○新井委員 きょうは朝から、私が聞きたい役員の問題、それから附則第十三条の問題、こういうことにつきましていろいろとお話があったわけでありますけれども、私は前回の委員会におきまして、やはり基本的な計画のもとに今後の大学教育というものをどのような形でもっていかなければいけないか、これはあるいは財政的な問題、あるいはまたその形態において、やはりきちっとした一本の形を出して、その上でこの財団法が審議されなければ、今後に非常にいろいろと問題があるのではないか、こういうようなことをお話ししたわけでありますけれども、前にも大臣が答弁をされていましたように、現在イギリスあたりでは、私学を全面的に信頼いたしまして、お金を出すときにも問題がないわけでありますけれども、このイギリスのUGCのように、私学を全面的に信頼をしてお金を出していく、助成をしていくというところに欠けているのではないか、このように私は思うわけでありますけれども、もしも信頼をされておるというなら問題はないわけでありますけれども、やはり一部このような法律をつくって規制をしていかなければいけない、そういうようなことをお考えであるならば、どこに一体その基本的なものがあるのかということを初めにお伺いをいたしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 イギリスの場合におきましても、やはりこれは長い間の私学側及びUGCにおける不断の努力というものの積み重ねが、今日におきましてこのUGCというものが定着をし、UGCの配分に対しまして私学側が応じておるということかと思います。そして、その間におきましても、ヴィジティング・システムと申しますか、ちゃんとそのUGCと大学側の間を調整する、あるいは取り持つ人というものがありまして、これは全般的な、基本的な問題についても、そしてまた幾つかの設けられました専門委員会においても、そのようなヴィジティングというものをやる人がいて、そしてその当該大学といろいろ話をする、あるいは学生たちとも話をするというようなことを現在も続けておる、そういう関係にあるかと思うわけでございまして、ことし初めてこの私学助成、人件費を含む経常費助成というものに踏み切りました私たちといたしましては、でき得べくんば一日も早く私学財団というものを発足し、そうしてそのよき慣行というものができまして、私学とこの財団、そしてまた文部省というものが、有無相通じながら立場立場においてその職責が果たされるような形に持っていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。UGCにおきましても、従来は生徒数も非常に少のうございますし、大学の数も少のうございましたし、その取り扱います金額というものも少なかったわけでございますから、かなりノー・サポート・ノー・コントロールというような形で行なわれておったようでございますけれども、最近ニューユニバーシティーというものが、エセックスとかサセックスとか六つか七つかできました今日におきまして、やはり多数の大学生を擁し、そしてその管理、運営あるいは経理等におきましても複雑多岐にわたってくるからには、やはり国として国民の税金を使うわけでございますから、それに対して一九六八年からは会計検査院がこれにタッチをして、そして経理を明らかにするということが行なわれるようになったと聞いておるわけでございます。わが国におきましても、いままではやはりノー・サポート・ノー・コントロールという形において、私学のことについては一切われわれは関与しないという形であったわけでございますけれども、今日の社会的な私立大学に求めるものというものは、非常に大きい。また、私学側といたしましても、社会に果たします責任というものは非常に大きい。こういうふうに世の中は変わってまいりましたし、同時にまた、現在の納付金や授業料をもってしてはいかんとしてもその教育、研究の内容を向上するということは不可能である、こういうようなことになった以上は、やはり国として相当の経常費の助成を行なわなければ、私学の教育、研究というものを進めるということにはならないのだ、こういうような新たなる要請が出てまいりまして、その血税をもって教育、研究を向上させるという大目的を遂行していただくためには、同時に今度はまた血税を納めておりまする納税者の国民に対しまして、その経理を明らかにしてあげるということは、当然なことだと思います。しかし、従来は、ともいたしますとノー・サポート・ノー・コントロールであるからこそ、実を言いますといろいろの問題も指摘されたわけでございまして、しかし、いままでのような状況ではいけませんよ、いかに自主的に——また、私学というものは、教育の内容あるいはまた人事権というような基本的な問題についてはこれは私学自身が持つべきものでありますし、それに対しまして私たちはいたずらに干渉をしようという気持ちはございませんが、少なくとも教育、研究に対しましてこれほどのお金が投ぜられ、将来にわたっては相当な額が投ぜられるという、こういう段階になっては、私学の方においても、血税をもってまかなわれる経理については、やはりしっかりした経理内容を国に対しあるいは文部大臣に対して報告をしていただく。そのことが国民全体に対して責任を果たすということになる。この一点は、非常に変わってきた。その意味合いにおいて、やはり私学財団を設けました以上は、そういうような点につきましては、教育、研究を向上させるために適正にこれが配分されておるかどうか、あるいは振興上どうかというようなことについて、私たちがやはりいろいろのことを御注意を申し上げるというようなことは、あってしかるべきではなかろうかという考え方でこの法案というものがまとめられておるというふうに、御了承を賜わりたいと思います。

新井彬之公明党

○新井委員 いまの大臣の答弁、よくわかるわけですけれども、結局イギリスのUGCが非常に信頼をされて、ノー・コントロールであるということでありますけれども、それには長い間かかって、そしていろいろそういう中間的な役割りを持つ方もいらして、その成果が現在に至ってノー・コントロールになってきたんだというようなお話でありますけれども、じゃあ、この私学振興財団の場合、文部大臣は、要するに国民の血税を使うわけですから、国民の納得するようにやることは当然でありますけれども、そのやる場合において、私学側を信頼するか、それとも一応疑ってかかってそういうことをするのかという段階とは、ちょっと考え方というか、論議が別になると思うわけです。したがって、信頼するかしないかという一つの問題ですね、これは国民に対して血税を堂々とまともに私学振興財団は使っているんだというのとちょっと違うと思うのですけれども、今後どういうところを努力していけば、ノー・コントロールでみんなに信頼されてやっていけるようになるのか、そういうことについて、どのような努力なり、お考えなりお持ちなのかということをお聞きしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いま直ちに具体的な問題については申し上げられませんけれども、私は全体的に考えますと、私学というもののその独自性、あるいは特徴ある大学をつくっていただくということに対しまして、またそのことを期待する意味合いにおきまして、全面的に私学というものを信頼してまいるというつもりでおります。

新井彬之公明党

○新井委員 いま文部大臣が、全面的に信頼をされるということであります。非常にけっこうでございますけれども、私はこの問題が、たとえていいますと、一つの学校が何か問題を起こした、それはやはり大きな問題にもなるとは思いますけれども、それがまた全体的に波及をして、またそういうことであってはいけないからということで法律の強化をはかっていく、そういうふうな方向に向くよりも、当然そういうことはあってはなりませんけれども、やはりノー・コントロールの方向に今後努力をして、そうして私学が自由に研究または教育の向上ができるようになってまいらなければならない、このように考えるので初めにお伺いをしておったわけですけれども、今回の私学振興財団について、先日参考人の方がいろいろと意見を述べられたわけでありますけれども、やはり今後お金を出すけれども口も出す、そういうことについては、きびしく指摘をされた方もいらっしゃったわけであります。多少なりともそういうことを危惧していらっしゃる文部大臣とか管理局長がそのままずっといてくだされば問題はないんですけれども、この立法精神というものは、代々かわってまいりますと、その意図がくめなくて、ほかの方向にいくんではないか、こういうような危惧を抱いて意見を申し述べていらっしゃる方があったわけでありますけれども、今後この附則十三条なり、またそれから役員、理事長の権限の問題等について、そういうようなことは現在でも危惧されないのかどうか、そういうことについてはどのようにお考えになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点につきましては、私学財団の構成というような問題については、いままで私どもが御説明を申し上げた気持ちによって構成をされておるわけでございますけれども、しかし、これを運営するのは人でございますし、その人というものも完全無欠な人ではございませんから、いかなるような状況になるかということは、絶対に間違いはございませんとは申し切れないというふうに思います。しかし、これこそが、私学側自身としましても、その大学の使命及び社会的責任というものを感ぜられ、不断の努力を積み重ねていただく。また、私たちがこの財団を運用するにあたりましても、私学振興に対し、あるいはまた教育、研究を向上させるために適当に配分が行なわれておるかどうか、そして国民の皆さま方に対してちゃんと責任が果たせるかどうかということを自省しつつ、お互いの努力によっていま申されましたような精神を維持していかなければ、防ぎようがないのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。

新井彬之公明党

○新井委員 そこで、一つの例をとりますと、理事長の職務権限が非常に強過ぎる、こういうわけで先ほど来いろいろ論議があったわけでありますけれども、その場合に、この理事長の権限がやはり今後の私学振興財団というものを左右する大きな力になるわけでありますし、またその理事長の力によっては大いに発展に寄与するということは明らかなことだと思うわけでありますけれども、この任命について、たとえていいますと、文部大臣の任命というのではなくて、やはり国会承認とする。そうしますれば、この理事長の任命をするにしても、幅広い人がチェックをして、そしてその権限の公正さというものが保たれるのではないか、こういうような考え方もするわけでありますけれども、そういうことについてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 この点につきましては、いろいろ御意見がございましたので実情を調べてみたわけでございますけれども、公庫、公団等におきまして、いわゆる総裁、会長、理事長の任命につきましては、国会の同意を要するということにしております例は、現在のところございません。現在、特殊法人の中で国会の同意を要するとされておりますのは、実際の業務の運営に関しまして重要事項を決定する権限を有する日本銀行の政策委員会の委員でございますとか、あるいは日本電信電話公社あるいは日本放送協会の経営委員会の委員、こういうようなものがあるわけでございます。これは総裁、会長、理事長等につきましては、所管の大臣が任命をする。しかし、そういうものを国民的立場と申しますか、そういう立場から実際に実施の状態を見ていく人たちにつきましては、これは国会の同意を得て任命をするというふうな形になっておるようでございます。  このたびの財団の場合には、理事長の任命につきましては、やはりそういう例から見ますと、これは所管大臣でございます文部大臣が任命するということが適当ではないかというように考えております。

新井彬之公明党

○新井委員 現在の私学の状態が、少なくとも高等教育においては七五%を占めている。今後またその修学人口がどんどんふえてくる、そういうことで、非常に大事な、それこそ今後大きく問題になってくる私学振興財団になってまいると思います。現在の補助金程度でいけばそういう問題はないと思いますけれども、いままで論議されたいろいろな状態からまいりますと、今後当然この助成が大幅にアップをされて、そうしてまた私学全体にいろいろな問題を及ぼしていく。そういうところから、もしも理事長の人選というものを誤った場合においては、やはり教育全般に及ぶような問題にもなってくるのではないか、私はこのように思うわけであります。今後そういう問題についてはいろいろと論議をされてまいると思いますけれども、少なくとも理事長の任命等については、非常に大事である、このように思うわけであります。このままですと、文部大臣が任命するわけでありますけれども、その場合、役員の任命についての大臣の基本理念と申しますか、そういうものをお聞きしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 理事長や理事あるいは監事、また運営審議会のメンバーというものの任命というのが非常にうまくいくか、あるいはそうでないかということに、私学財団が非常にうまく受け入れられ、あるいは定着をするかどうかがかかっておるというふうに思います。先生の御指摘のとおりだと私は思います。したがいまして、理事長等の任命につきましては、十分配慮をしなければいけないということは申すまでもないことでございます。私の考えといたしましては、まず第一に、私学というものについて全体的によくおわかりになっておるというような人、また私学の人たちからもこの人ならばという信頼関係を保ち得るような人、そしてまた広い識見を持っておる方ということでございまして、抽象的にしか申し上げられませんけれども、このような気持ちで任命をいたしたい。そうしてやはりこういうものが発足いたしました最初の段階が非常に大切でございまして、そのときに人を得ますと、その精神といいますか、やり方というものが、ずっと踏襲をされるわけでございまして、そのとき間違いますと、結局それがまたずっと間違ったままでいくということになりかねないと思いますから、理事長の選任につきましては、ひとつ十分いろいろな方々の意見も聞きながら、ただいま申し上げましたようなりっぱな、公正な、そして私学の事情もわかり、また高い広い視野を持った方を選びたい、かように考えておる次第でございます。

新井彬之公明党

○新井委員 いままで国立劇場であるとか、学校給食会であるとか、日本学校安全会、オリンピック記念青少年総合センター、国立競技場、私立学校振興会、それから共済組合、こういういろいろな会があるわけでありますけれども、その中で、共済組合だけが理事長がほかから来ている。あとの方は大体もとお役人の方がなっていらっしゃるということを私は聞いておるのですけれども、これはそのようで間違いないでしょうか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 文部省関係の特殊法人におきましては、ほかの省と比べると文部省関係のものが比較的少ないわけでございますけれども、御指摘のように、責任者には文部省からいっている場合が多いわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 どういう理由でいま言ったようなところの理事長がそういうぐあいになったのか、その個々のケースはあると思いますけれども、こういう場合に、やはりその人を得るといいますか、たとえていいますと、国立劇場にいたしましても、国立競技場にいたしましても、何も昔文部省にいた人がやらないほうが、かえってあらゆる面のいろいろなことがはっきり考えられるし、振興にもなっていくのではないかと思うわけでありますけれども、そういう点についてはどのようになっているか、お聞かせを願いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先ほども御指摘ございましたが、文部省関係の特殊法人におきましては、たとえば会長制とかあるいは評議員会制とかいうふうな、ほかの省の所管に属します特殊法人とは違ったような組織がございます。たとえばいま御指摘になりましたような国立劇場につきましても、これは会長制がございまして、この会長には高橋誠一郎先生でございますか、その方面に関しまして特に識見の高い方にお願いしているわけでございます。理事長はその下の実務を行なうということが主体でございまして、そういう意味から申しますと、文部省におりまして、しかも国立劇場の関係につきましても広い知識を持っております者、しかも実務的には非常にすぐれておるという方が理事長になっておられるわけでございまして、こういうふうな形で運営されます場合には、実際上の国立劇場のイメージと申しますか、それも明らかになりますし、しかも実務につきましても支障がないというふうなかっこうではないかと思います。

新井彬之公明党

○新井委員 先ほども大臣がお話しになりましたように、やはりその立場、立場によって広い識見を持った人、そういう方を得ていかなければいけない。これは私学振興財団だけではなくて、ほかのほうにもそういう適応をされるということでいろいろ論議をされてきたと思うのですけれども、やはりそういうところの立場に立つ方がお役人の方が非常に多い。こういうことで、今後そういう人事の面におきましては、先ほど大臣が答弁になりましたように、だれが見ても納得ができるりっぱな方を持ってまいらなければ、この財団法の運用が、今後の発展が非常に危ぶまれてくる、このように思うわけであります。そういう点については、今後ひとつしっかり検討していただきまして、どうかりっぱな理事長を選んでいただきたい、このように思うわけです。  それから十条の二項については先ほどお話がありましたので、これは飛ばすことにいたしまして、十七条の運営審議会であります。この運営審議会については、先ほど大臣から答弁がございまして、そのことはよくわかるわけでありますけれども、私はこれは逆ではないかと思うわけです。現在はいろいろなところでいろいろな意見を言われている方がたくさんいらっしゃるわけでありますけれども、運営に関して、運営審議会のメンバーが十名に減らされている。振興会のときはこれは二十名であったわけでありますし、それからその内容においても、私学関係の方が比較的たくさんお入りになっていらっしゃって、そのためにその内情、実情等がよくわかって、非常にスムーズに運営されておったのではないか、このように思うわけであります。今回の場合は、少数精鋭主義ということで十名に減らした、こういうことでありますけれども、やはり今後の財団の発展を考えましたときに、少数精鋭主義ということは非常にいいことではあるかもわかりませんけれども、あまりに少数に過ぎるではないか。少なくとも今後これだけのたくさんの大学の運用をしていくわけでありますから、その中にあって、最低やはり二十名程度はその審議会のメンバーとして入っていないと、やはり片手落ちになってくるのではないか。その人の意見が非常にいい場合もあるでしょうけれども、やはり全面的な意見というものが網羅されてこないのではないか、このように思うわけであります。先ほど大臣から答弁があって、その点はよくわかるわけでありますけれども、そこのところをもう一度お聞かせを願いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点は、やはり両論分かれると思います。でございますから、最初私たちが考えましたときも、二十名程度ということも考えたことがございます。しかし、いろいろ私考えまして、特にこれは私自身がそういう最終的な判断を下したわけでございますけれども、少数精鋭でいったほうがよろしい。そして理事長がリーダーシップをとる。そのかわり責任を持つ。そしてその十人の人たちは、高い識見とそれからまた広い視野に立った方で、そうして専門的なことについて、あるいは私学の内情ということにも熟知をしておる人を選び出すということによって運営をしたほうがよろしいというふうに、私は考えたわけでございます。これは考えようによれば、いろいろの見方がございますし、やりようがあろうかと思いますけれども、私といたしましては、そのほうがいいのではないかというふうにただいまは思っておるわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 いま意見が分かれるということのお話がございましたが、今後この運営審議会がいろいろのことを審議するにあたりまして、どうしてもやっぱりメンバーが足らないかどうか、そういうようなところをよく見定めて、そうしてそういうことに支障があるようであれば、やはりそのメンバーをふやしていくというようなことは考えられていらっしゃいますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その点については、もうこの法律がきまりました以上はそういうふうには考えないわけで、その十人以内ということになっております。ただ、理事が四名、監事が二名、そして非常勤の理事を四名置くことができるということになっておるわけでございまして、この中におきましても、私学関係の方々に対しましても、あるいは私学のことによく熟知をされた方を選んでまいりたい、こういう考え方でおるわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 この前の参考人の意見の中で、朝日新聞の論説委員の永井さんからいろいろ意見がございましたけれども、外国の一つの例を見ますと、イギリスならイギリスの例を見ますと、この審議会のメンバー、そういうメンバーが常勤になっている。そうしてその答申においても、いろいろと研究をして、非常に分厚い答申書というものを出している。ところが日本の場合は、答申があっても二〇ページか三〇ページである。そういうことで、まあイギリスのクラウザー・レポートというのが非常に有名だそうでありますけれども、そういう今後のその審議会の一つ一つの役割りと申しますものが非常に大事になってくると思うわけでありますけれども、そういうような点についてどういうようにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 クラウザー報告とかあるいはロビンス・レポートとかいうものは、またそれぞれの一つの目的、あるいは調査、研究というものについての一つの目的を持って設立されたものでございまして、相当多額の、そしてまた相当の人員をもって、その目的を達成するために運営をいたします。ただUGCにおきましては、私の記憶ではたしか二十二人だったというふうに思いますが、二十二人で運営をしている。もちろん専門委員会等におきましては相当の士がまたおられるようでございますけれども、大体の実際の運営及び執行というものをつかさどるのは、たしか二十二人だったと記憶をいたしておるわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 時間がないですから次に進めますけれども、私学振興財団法の第二十五条の中に「毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し」ということが載っておるわけでありますけれども、その助成基準というものがこの法案の中にはどこにも載っておらないわけです。これは、助成基準は毎年毎年アップをして変更していくというようなことで載せていないのか。いろいろ理由があると思いますけれども、その助成基準というものがどのようになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 助成の基準は、先ほどもお答えいたしましたように、これは予算との関連もございますので、基本的には文部省でつくりまして、あとその実施をお願いするわけでございますけれども、その実施につきましても、また財団のほうで一応基準をつくるというふうな作業が必要じゃないかと思います。その基準につきましては、二十一条に業務方法書の作成につきまして規定がございますけれども、業務方法書の中では、たとえば補助金につきましては、補助の対象でございますとか、あるいは補助の基準でございますとか、あるいは貸し付け金につきましては、貸し付けの条件、それから貸し付けの基準、それから寄付金につきましては、管理の方法、配付の基準、そういうものをきめていただく予定でございまして、そういうものによりまして大体の基準が明らかになるということにいたしたいと考えます。

新井彬之公明党

○新井委員 これもこの前の参考人の方の御意見でございますけれども、その助成基準について今後きめられていくわけでありますけれども、大体私学において国の助成が三分の一である、それから自力でやるのが三分の一である、それから財界からの大幅な寄付金と申しますか、そういう援助が三分の一、こういう形が理想的なものであるというようなことを、これはまあ意見として申し述べられておったようでありますが、三分の一、三分の一、三分の一、この私学における割合でありますけれども、こういう件については、今後財団を持っていく場合においてどのようにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 ただいま申されましたのは、これは私学の関係者も前から言っておったことでございますが、これはあくまでも一つのパターンと申しますか、そういうものでございまして、現実にその中で特に問題がございますのは、寄付金でございます。これはアメリカの場合、それからイギリスの場合でも、御承知のとおり、寄付金の大学の予算に占める割合というものは、激減いたしております。たとえばアメリカでは、二〇%から現在四%程度まで下がっております。そういう点から考えますと、非常に寄付金に期待するということは、危険じゃないかというふうな考え方を私ども持っておりますが、事実わが国におきましても、寄付金がたとえば大学の財政の中で占めております割合は、一〇%台から最近では七%台まで落ちております。そういう意味から申しまして、やはり私学の経費は、学生納付金と、それから国からの助成と申しますか、国民の税金と申しますか、公費と申しますか、そういうものが主体を占めていく。大体教育につきましては、大学教育を受けた者の国家、社会に対しての貢献度というものを考えますれば、あるいは大臣が申されておりますように、半分は税金で持ってよろしいのじゃないかというふうな考え方も出てくるわけでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いまの公述人のお話は、アメリカにおいてもよき時代のことであって、変貌しましたアメリカの実態から申しますと、ただいま局長から御説明を申し上げましたようなことになって、連邦政府の金がだんだん多くなり、そしてまたあるいは州立でございますと州の予算が非常に多くなり、そしてだんだん寄付金というものが少なくなってきておる。卒業生等におきましていろいろ募金をやっておりますけれども、それはわずかに四%程度に落ち込んでしまっておる。私も十一年前にアメリカの各大学、私立大学を見て回りましたけれども、そのときは、いま公述人がおっしゃいましたような形において、三分の一、三分の一、三分の一という形でございましたけれども、その後は非常に変貌をしてきておる。いわんや日本においては、これからはやはり相当の経常費助成なくしては私学はやっていけない。やっていけないのみならず、日本の大学政策の中において質的低下というものがどこからきておるかというならば、その三分の二を占めておりまする私立大学に対する経常費支出等がなされておらないところに、むしろ質的低下がきでおる。そして、学生の授業料や納付金というものは、もはや限界にきておるということであろうかと思うわけでございます。その意味合いにおいて、どうしてもこの予算額というものは相当に今後ふやしていかなければならないというふうに思いますし、そういうようにお金がだんだんふえるからには、その経理の面につきまして、それを国のために適正に配分をされておるということが明らかにされるような仕組みは、当然考えられなければならない。また私学側におかれましても、そういうような御要望もありますし、そういうような決心でこの私学助成というものを受けたい、こういうふうに考えておられると私は思っておる次第でございます。

新井彬之公明党

○新井委員 それからこれもこの前の参考人のいろいろお話でありますが、現在の教育にあって、教授が非常に足らない。そしてまたその教授が一般の民間会社であるとか、海外への流出頭脳であるとかということで、今後この教授の充実をはかるにはどのようにしたらいいかというようなことで、現在の先生の給料が非常に安い、統計的に見ても低所得者層であるというようなことでお話があったわけでありますけれども、今後その人件費補助を含む場合において、やはりりっぱな先生方が大学に残って教育なり研究なりに携わっていただくには、それ相応の所得がなければできないと思うわけであります。そういう教授の位置づけと申しますか、今後、そういう教授の方が現在足らないのに対して補充をしていくといいますか、そういようなことについて、どのようなやり方で補っていくかということについてお伺いをいたしたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 大学の教員の充実につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。一番隘路になっておりますのが、やはり待遇の問題であろうと思いますが、同時に、その養成の問題につきましても、適当な整備が行なわれるということが必要でございますけれども、この問題は大学院の整備、充実の問題でございますので……。待遇の問題につきましては、現在文部省におきましても、教職員全般の待遇改善につきましていろいろ研究をいたしております。現在、資料をとって、集めた段階じゃないかと思いますが、これからそういうものを基礎にいたしまして、教職員の根本的な待遇改善というものを考えたいということで現在研究中でございますので、そういうふうなじみちな努力を重ねまして待遇改善を進めたいということでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 せっかくの機会でございますから、ちょっと申し上げておきたいと思います。これは昭和四十四年の調べでございますが、私立大学の教員の構成を見ますと、年齢的に申しまして、国公立に比べまして教授は平均五歳程度高く、また、六十代、七十代と高年齢層の占める割合が、国公立の場合に比べて多いということが出ております。また、教員全体の中で兼務者が四三%を占めており、国立の二二%、公立の二八%よりかなり高いことが特徴でございます。この点も、私は問題かと思うわけでございます。  また、お尋ねの私立大学の教員の平均給与額について見ますと、昭和四十年度の全体の平均では、国立の教員に比べまして三・三%低くなっております。年齢別に見ますと、四十歳以下の若い教員については、逆に私立のほうが高くなっておる。これはやはりひとつ注目すべきことだというふうに思います。一面においてはプラスの面があるというふうにも考えるわけでございます。昭和四十四年の人事院の調査によりますと、国立大学八万六千九百二十七円に対しまして、私立大学が八万二千九百三十七円、九五・四%というふうになっておるわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 いまの教員の所得の問題につきましては、これは今後いろいろな角度から検討していただきまして解決をしていただかないと、その充実発展ということが望めないのではないか、このように思います。そういうことでひとつよろしくお願いしたいと思います。  これも先日の参考人の方のお話でありますが、大きな大学と小さな大学との、援助をされるその費用の問題です。これは、大きな大学というのは学部が全部そろっていて、小さなところは一学部で成り立っている。その場合に、その費用のかかり方が非常に違うのだ。要するに全部ある総合大学なんかにおいては、援助金が一学部ごとに全部来るわけですから、非常に多額になるし、非常に経営がしやすい。ところが、一学部の場合は非常にやりにくいもので、そこら辺の援助のしかたを考えていただきたいというお話がありましたが、そういう件については、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 これは先般も塩崎先生から再質問がございました際に参考人の方が申されておりましたが、決して配分につきましては不公平なことは行なわれてないと私どもは考えています。しかし、この前申されたのは、やはり世帯が大きくて資金が豊富にあれば、それだけやりくりもしやすいというふうなお考えじゃなかったかと思うのでございますけれども、小さな大学は、確かに資金が十分じゃございませんから、その意味での経営のやり方というのは非常にくふうが要るのではないかというような点は考えられるわけでございますけれども、しかし、この点は、また一つには経営の規模の問題というふうにも考えられるわけでございまして、適正な経営規模と申しますか、学校の規模が備われば、ある程度一番効率的な経営ができるという点はあるわけでございます。規模が非常に大きくなりますと、また逆に単位当たりの費用というのが非常に高くなるという点があるわけでございまして、これは会社その他の事業等と多少似ているわけでございますが、そういう意味から申しまして、学校というものが適正規模にあることは望ましいわけでございますし、また、そういう小さな規模の学校が適正規模まで拡充したいという場合には、相当の考慮を払ってもよろしいのではないかというふうな感じがいたします。

新井彬之公明党

○新井委員 時間もあれですから最後に、先ほども出たのでありますけれども、附則第十三条の第十項の問題であります。この十項の問題については、参考人の方々がやはり非常に気にされておりまして、当然この第八項、第九項の会計報告を行なうということについては問題はないと思うのですけれども、この十項については、前からいろいろ議論がありましたように、昭和二十四年の私学法ができましたときも、この「授業その他の事項につき法令又は所轄庁の規程に違反した場合において、その変更を命ずること。」というような問題については、削除をされておるわけです。それから、先ほどもお話がありましたように、五十九条の四項において、補助を打ち切ることができる、こういうふうになっておるわけでありますけれども、やはりこの第十項の問題は、少し干渉し過ぎではないか、私もこのように思うわけでありますが、その点についてもう一度お伺いをしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 やはり昭和二十三年、二十四年の状況は、全くこれは国は私学に対しては関与しない、ノー・サポート・ノー・コントロール、こういうことが前提になっておったと思うわけでございますが、先ほど来私がしばしば申し上げておりまするように、最近のこの十年間の様子から考えると、もはや私学につきましては、経常費補助なくしては私学は自立できない、そしてまた質的な学生の教育、研究というものを向上させることができない事態にもうなったんだ、こういうことを考えるならば、今後相当の経常費助成というものが行なわれなければならない。そうだといたしますると、私学側がみずから、もちろん自主的に判断されまして、そうしてその教育の内容の充実あるいは質的向上のために努力をなさることは当然でございますけれども、また、この経常費助成が目ざしておりまする目的、つまり教育、研究の質的向上ということを考えました場合におきまして、それに反するようなこと、あるいはまた著しく、ただ反するだけじゃない、それがだれが見ましてもこれはあまりにもひど過ぎるんじゃなかろうかというようなことが客観的に認められる段階においても、なおかつ何らの措置ができないということではいけないんじゃないか、それでは税金を出しておる国民を説得する力を持たないのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございまして、その意味合いにおきまして、やはりこの程度の条文というものは必要であるというふうに私は思いますし、また同時に、この実際の運用にあたりましては、ただいま私が申し上げましたように、法令違反等が著しく、もうだれが見ましてもこれはむちゃくちゃであるというような場合においてのみ発動すべきものであるということであって、現在の段階において、たとえば定員のオーバー等のことについて、あろうかと思います。そういうようなことにつきましては、従来これはそのままになっておるわけでございますが、それはやはり急激に変えられるものではございませんので、時間をかけつつ、あるいはわれわれの助成金が相当に大きくなるというようなことをも考え合わせながら判断していかなければならない課題ではなかろうかというふうに思います。また、たとえば授業等の問題について、所定の百二十四単位というような設置基準に基づきました単位というようなものを、もう著しく逸脱して、そういうことの満たない者でも卒業しているというようなことは、万々ないわけでございますけれども、しかし、全然皆無とは申せない。起こり得ないかといったら、起こり得ることでもあろうかと思うわけでございまして、あってはならないことでございますけれども、そういうようなことに対しまして、やはりこれがあったほうがいいのではないかということでございます。このことは、決して私は現在の私学全体について不信な気持ちを持っておるということではございませんけれども、しかし、人間がやることでございますから、幾ら制度がりっぱにできましても、やはりそういうようなときには、何らかの国民に対する責任が果たせるようなことは最小限度必要ではなかろうか。また、この条項があったからといって、私学の自主性というものを著しく損傷するというようなことにはならないのではないかというのが、私どもの考えであるわけでございます。

新井彬之公明党

○新井委員 これ以上質問はいたしませんけれども、この附則十三条の第十項、この問題についてはい左までいろいろと意見がありましたし、文部大臣もこれに対しては非常に丁寧な答弁をされておりますけれども、文部大臣のようなお考えでこれを運用してくれるかどうかということは今後非常に問題でもありますし、今後この解釈が、やはりこまかい問題にわたって、ではそれが行なわれないかという保証もないわけであります。そういうようなことで非常に危惧をするわけでありますけれども、時間もありませんのでこれで終わります。けれども、この運用にあたっては、やはり私学を信頼する、そしてまたほんとに私学の独自性を認めてそこにお金を出していくところに、この私学振興財団法の根本的な意義がある、このように私は思いますので、そういう点についてはひとつよろしくお願いしたいと思います。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 辻原弘市君。     〔委員長退席、久保田委員長代理着席〕

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 かなり細部の議論が行なわれておりますから、なるべく重複を避けて、今後の私学、また私学教育のあり方、そういう基本的な問題に触れて、ひとつ大臣の所見を伺いたいと思います。  最初に、厚生省に来ていただいておりますが、これはひとつ厚生省もよくお聞き取りを願いたいと思いますが、去る三月二十五日の朝日新聞に非常にセンセーショナルな表題で記事が出ております。それは「医者が欲しけりゃ一億円」という見出しで、本年文部省が新しく認可をした三つの医学部の創設の中に含まれておる北里大学についての記事であります。中身を読みますと、それぞれ善意の立場で、何とかひとつ最近の無医村を解消したい、あるいは僻地における医療問題解決の一助にしたいというので、この設置認可をされました北里大学に対して、まことに苦しいであろうと思われる地方団体が一億円という金を寄付金として応じておるという、そういう記事であります。現在、医者が足りない、あるいは無医村でその診療にも困っておるというこの事態について、われわれも多くの僻地を持っておる地方におりますから、より一そう切実な感じがするわけであります。この記事を読みましたときにまさにその実感が迫ってきたのでありますが、ここで私が特にこの問題を冒頭に文部大臣、また厚生省にお尋ねをするゆえんは、このことのもちろん是非に関する問題も含むわけでありますけれども、ただ、こういう形で解決をすることが、少なくても医学を含め、重要な国民の医療を担当するお医者さんの養成という医学教育のあり方であろうか、この一点であります。同時に、特に厚生省にお出ましを願ったのは、いまあなた方は、ここ数年来の議論の中で、将来の社会保障の中核である医療保障については、あくまでもこれは皆保険、また国家的見地、そういう意味に立つ医療制度を確立するということを主張されてきておる。それを前提に置いて私は、この現在あらわれておるいわゆる医学教育の姿というものを合わしたときに、何かかみ合わないものを感ずるのであります。考えてもごらんなさい。これは地方団体がなけなしのさいふをはたいて一億円の金を拠出する。それだけではない。何とかひとつ大学に入れてもらって、月々何がしかのそれに対する育英資金も貸与か補助をしていこう。しかし、それだけして、はたしてそれじゃ無医村あるいは僻地勤務という保証があるのであろうか。だから、こういうふうな形において医学教育というものをゆだねておいていいのであろうか。そこに何がしの方向がなければならぬ。これではまるで、これは医学教育だけじゃありませんけれども、まことにちぐはぐ、まことに何というか、かって気ままな一つの教育制度というものが、ことばは語弊がありますけれども、現存しておるという感じが深い。まず一つ、文部大臣は、いま私が申し上げましたこと、ここにございますから、このことについてどうお考えになるか、文部大臣としてのひとつ所感をこの際お聞かせ願いたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 今日、お医者さんが足りないということもあり、かつまた無医村がある、あるいは医者が足りないということで、非常に地域住民が困っておるというようなこと、そういうことから、いまお示しになりました北里大学のようなことが出てきたと思いますが、これは私は、制度の上から、また医学養成という立場からは、本筋ではないというふうに思うわけでございます。それだけに私は、今回私学に対しまして経常費助成というものをどうしてもやらなければならないというふうに決心をいたし、そしてまたその予算を獲得し、そしてまた私学財団法というものの御審議をわずらわしておるということでございます。でき得べくんばこういうような形でなく、国立、私立、公立の医学部あるいは医科大学等において養成がすなおになされるということが望ましいというふうに考えるわけでございます。でございますけれども、ただいまの現実の問題としましてこれをどう考えるかということでございますが、やはり私立大学がその都道府県等の地方公共団体から寄付を受けるということは、従来から行なわれておることでございますし、医科大学の新設にあたりまして、医師不足の点から何がしかの寄付金を受け入れること自体には、私は問題はなかろうかと思います。ただしかし、その寄付を行ないました県から学生を受け入れることにつきましては、やはり公正な選抜の手続を経まして、医学教育を受けるにふさわしい資質と能力を持った学生を受け入れるということが前提にならなければならない、かように考えるものでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 いま大臣が後段で言われましたが、私も一つの心配点はそこにあります。今度の私学法におきましても、あとでこれはお尋ねをいたしますけれども、いわゆる善意の寄付金というものを諸外国の例にならって新しく私学援助の一方途として中に加えられておる。私は非常にけっこうだと思います。ところが、こういう寄付のあり方というものは、私は発想を否定するものじゃない。それぞれの地方公共団体が寄付をしてまで医師不足を解消しなければならぬという熱意、全く何とかしなければならぬというそれぞれの行政責任者のお考え、これには私はある意味においては敬意を表する。決してそれを否定するものではありません。     〔久保田委員長代理退席、委員長着席〕 ただしかし、もしこれが大臣がいまおっしゃられたように、あなたがいま答弁されたことがそのままそっくり実行されたとすれば、逆論をいうならば、この種の寄付は行なわれないと思う。これはあとで、私はそれぞれ私学に対する特別寄付の問題にも触れたいと思うのでございますけれども、何ゆえに寄付をするか。そうでしょう。単なる善意の寄付金であるならば、それは先般もここで大蔵省の税法関係の人が説明されておりましたけれども、指定寄付の範囲に満たないような寄付金にとどまっておるということは、私学関係に対する善意の寄付金が乏しいことを物語っておる。ところが、一方において特定の目的を持つ寄付金は、天下に横行しておるわけです。その使途を混同するわけではありませんよ。一事例としてあげておる。しかし、教育という立場になったならば、これは同じことでしょう。一億円の金を出します。出すかわりにお医者さんを養成してください。もちろんそれにふさわしい人を送るかもしれない。送らないかもしれない。問題はそこにある。そういうような医学教育のあり方が、私は厚生省の言う、これは将来いわゆる公的立場を踏まえた医療皆保険につながるかどうかということをお尋ねしておる。厚生省のお答えを願いたい。

竹内嘉巳厚生省医務局医事課長

○竹内説明員 お答えいたします。国民皆保険というものが一応達成されましたのは、昭和三十六年といわれておるわけなんです。それと前後して考えてみますと、昭和三十年前後には、医師一人当たりの一日の取り扱い患者数というものは、大体二十八人前後でありました。それが昭和四十一年、四十二年には、一人当たり五十一人をこえるという状態になってきております。つまりこのことは、別の面から申しまして、皆保険というものが国民に医療需要といいますか、医療についてのニードを非常に高めてきたということもいえるわけであります。しかも、その内訳を見ましたときにも、大体外来患者の増加率というものが、昭和三十年当時を約一〇〇といたしますと、一九〇%をこえておる。入院患者については、一六七というような状況でございます。外来についてのニードが、非常にふえておるということがいえるわけであります。したがいまして、そのような医療需要の増加というものが、同時に限られた医師に対して非常に過重な負担というものになってあらわれてまいりまして、そのことがいわゆる医師の都市偏在ともからみ合いまして、医師の不足という絶対現象というものが現に存しております。その意味では、厚生省といたしましても、文部省と緊密な連絡をとりつつ、医師数の増加に対して今後対処しなければならないわけでありますが、言いかえれば、私どもといたしましても、国民皆保険というものと医師との相関関係というものが、はっきり申しまして、厚生省サイドである程度予測しておったものよりも非常に急激な伸びを示しておりましたために、医師の不足というものがいろいろな面から、いろいろな角度から露呈してまいりました。この点については、たいへん遺憾に存じておるわけであります。と同時に、この解消策につきましても、本年度、秋田を含めまして私立の三大学についても、医学部の定員増が三百数十名認められましたし、このような何らかの形で対応策を講じて医師の不足数の解消をはかっていくと同時に、医師の、特に過疎地域、あるいは無医地区対策というものを同時に推進をするということで、偏在度についての施策をできるだけ取り進めてまいりたい、かように考えておる次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 文部省にそれに関連してちょっと伺っておきたいのですが、学部の増設あるいは新規の大学の設置、そういうものを要請する手続としては、所要の建設の計画というものを具体的にして届け出をすることになっていると私は記憶するわけであります。その場合に、文部省あるいは大学設置審議会等で、設置をする、これはオーケーだ、これはまだ設置基準その他に適合しない、こういうことを判断される場合に、当然何年度計画でこれを建てる、その所要資金はしかじかかくかく、その資金のまかないについてはこれこれこういう確たるあれがあるということを明確にして審議され、設置の認可が行なわれるものと私は理解しております。たとえばいまここで私が例にあげました北里大学の場合、いま建設中だ。そこで新聞の報ずるところによりますると——私はこれは現地をつまびらかに調査したのじゃありません、ただ新聞の一記事を参考にして申し上げているのだが、それによりますると、この種の寄付金の要請を十六府県にされているということを聞く。まあ何ぼ出すかわかりませんけれども、かりに平均一億としたならば十六億、そういうことが、当然いま私が申し上げました所要の手続の中に含まれておったのかどうか。それを含まれておったのを知りつつ文部省はこれを認可したものかどうか、この点も私は今後のために明らかにしておいていただきたい。いい悪いをいま論ずるんじゃありません。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘のように、今後どういうふうに大学を運営していくか、どういう計画でもって建設を進めていくかという点を、資金の面から私どものほうで計画をとりまして検討をするということはいたしております。ただいま御指摘になりました点につきましては、やはり一応地方公共団体からの寄付金というものを見込んでやっているようでございますけれども、今度の三医科大学の場合には、特に寄付金の額が非常に多かったという点が一つ問題になったわけでございますけれども、先ほど来お話しになりましたような医師の不足というふうな面もございまして、これは今後の努力にまつわけでございますが、そういうふうな寄付金がある程度確保できるということを前提にして認可をいたしたような次第でございます。  なお、いまの具体的な問題でございますが、北里大学の場合には、地方公共団体からの寄付金を六年間で四億円ほど予定はいたしております。しかし、もちろん寄付金が全部集まるというふうなことを前提にいたしまして私のほうで認可をしたというわけでは必ずしもございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 四億円程度が当初の計画の中に見込まれておった、しかしそれが入っておるといないとにかかわらず、これは認可すべきものとして認可した、こういうことですね。間違いありませんか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 計画を立てます場合には、できるだけ自己財源と申しますか、自分の努力によって調達できる財源というものを、一応計画上私のほうで検討いたすということになっておるわけでございまして、その際には、寄付金が具体的にどういうふうなかっこうで集まるかということを、一応念のために個々別々の寄付の予定者までとりましてそれを検討するわけでございますけれども、しかし、具体的にそこから確実にそれだけの寄付金が入ってくるかどうかということは、一応問題にはしませんで、総体的にそれだけの見込みがあるかどうか、そういうものを判断するわけでございますから、この四億円が確実であるかどうかということよりも、現在までの社会的な信用度、あるいはその関係者等から判断いたしまして、そういう能力があるかどうかを審査するということでございます。具体的に四億円入ってくるかどうかを審査するということではございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 文部大臣に伺いますが、いまお聞きのとおりでありまして、入ってくるかこないかは今後の問題ですから、それを私はお尋ねするわけではありません。しかし、計画の中に、地方公共団体からの寄付を受け入れてその計画がなっておったということは、文部省が承知されておるわけであります。私は先ほど文部大臣がお答えになったように、その種の寄付金が善意の寄付金でありまするならば、大いにこれは奨励してよろしかろうと思います。それはやはり広く国民一般の協力を求める、法の許された範囲において、それは個人、法人を問わず受け入れることは、けっこうであろうと思う。しかし、それに一つの条件が付加されている場合においては、これは教育上の問題であります。だから現実に、いま私は常識としてそれだけのお金を出す以上、何ら条件を付さないで出すということはあり得ないであろう。必ず、私のほうから三、四名送りますからそれはひとつ——まあ無条件でやるかあるいは若干の条件がつくかは別として、少なくともそれを受け入れるということがなければ、何を好んで苦しい財政の中から多額のお金を出すかというのです。一北里大学だけならばそれでよろしい。それはそれとして苦しい条件の中でおやりなすっておられるのだなというお話でこれは終わり得ると私は思う。しかし、ここは私学教育のあり方を論ずる場でありますから、私はあえて言うのです。もし将来、あああれは非常にうまいことをやっておる、ああいうやり方をやれば私学だって何とかなるんだ、こういうことになりましたならば、一体どうなりまするか。私学教育、特にいま私がお尋ねした皆保険を背負う、医師不足を解消するそのにない手になる医師を養成するという教育が、そういう形でてんでんばらばらに行なわれるようになったならば——文部省とよく連絡をとっておるというのだが、そういうことになりますと、どうもまゆつばものですよ。一言もこれに対して厚生省が意見を述べたことは、私は寡聞にして知らぬ。だから申し上げるのであります。もう一ぺん大臣に、善意の寄付金ならば、私も大いにこれを奨励してよろしかろう。しかしながら、常識的に、何らかの条件があるというようなこの種の寄付金について、あなたはどういうふうに考えられるか、またどういう所見をこの問題について申したのか、この際明らかにしておいていただきたい。おそらくこのケースはどんどん出てくるんじゃないかと私は思うから……。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 だからこそ、先ほどの御質問に対しまして、私どもとしては医学教育という面から見るならば本筋ではないというお答えをいたしておるわけでございます。しかしながら、現実の問題としてこのようなものが出てきたわけでありますが、われわれのほうから申しますと、この学生を受け入れる場合についての公正な選抜の手続を経て、医学教育を受けるにふさわしい資質、能力を持った者を受け入れる限りにおいては、問題はないのじゃないかというふうに申しておるわけでございます。  それからもう一つは、おそらくその条件とおっしゃるのが、山形県において非常に医師不足であるから、できるならばひとつ北里の卒業生を送ってほしいということが希望として述べられるということは、これはあり得ることであるというふうに思うわけでございますが、私は、そのことそれ自体は、そう何か医学教育にもとるものだというふうにも考えないわけでございまして、その資質あるいは教育を受ける能力を持った山形の学生が、公正な選抜を受けて、そしてその人が山形に帰るということについて、山形県の地域住民がそれを欲しておるんだ。それが成規の手続を経まして、知事の考え方あるいはそれが議会で承認になって、そしてそれを受け入れるということでその学生たちがそこへ帰っていく、あるいは無医村等につきましても入っていくということであれば、問題はないんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、しかし、そういう希望やあるいは条件としておっしゃるようなことがあったからといって、それじゃその人たちが六年間以上の教育を受けてはたして山形へ行くかどうかという問題につきましては、これまたなかなかそこまで縛るわけには、現在の法規からいってできないんじゃないかというふうに思いますけれども、しかし、それほどの熱意をもって山形県がお考えになり、そして自分はそういう形において教育を受けているんだということであるとするならば、あるいはその中から多数の人たちが、山形県に奉職するというような決心もつくかもしれない。そういうことはあり得るんじゃないかというふうに、私は思うわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 大臣もちょっと苦しい点があるように思います。ここで論じていいことと悪いことがありますから、あまり深くは申し上げませんが、しかし、簡単に考えちゃだめですよ。というのは、これはやっかみじゃありませんが、かりに、とてもそれだけの金は出せない、しかし深刻にお医者さんが不足しておるというところは、やっぱりそういうことが、北里のみならず、新しく医学部が増設されるたびに、もしこれが何というか、ああこれはいい方法だ、まあそういうことも言っているわけですよね。ということならば、こういう形で今後やる大学がなしともしない。できない府県の問題が問題として一つ残りますね。  それからもう一つ考えられることは、これは厚生省の分野にも関係しますけれども、いま公立病院の存立の問題がありますね。これは大きな問題です。都道府県がかかえている、戦後かなり国立に移管をしましたが、いまなお国立に移管をしてもらわないとどうにもならぬ、こう言っておる公立病院がかなりある、公立の付属病院がかなりあるわけです。これは公立病院に金を注いでも、一億や二億や三億ではとてもものにならぬ。そういううまい方法があるならばそっちのほうにいきましょうとなったら、これは地方に無理をして維持経営をしている大学の存立にもかかわってくる問題だ。いま現実にそういう問題がたくさんあるわけです。  こういろいろ関連をして考えてくれば、教育上の問題、また医療行政、医師不足解消という問題に、これは将来大きな影響を与えてくるんです。だから、そういう意味で、いまのうちに、幸い厚生省、文部省は医学教育の問題についてはそれぞれ連絡をとりつつやっているとおっしゃるならば、今後のこういったあり方についてよく検討を加え、しかるべき指導をすべきであると私は思う。帰するところは、これは財団法提案の趣旨にも関係してくる問題でありますから、一体医学教育というものをどういうとらえ方をするか、ここは一文部省、一厚生省の問題でなくて、やはり政府全体として医学教育の問題をどう取り上げるかということを、もう少し深くタッチしていく必要があるということを私は警告するわけです。  さらにこの機会に問題をもう一つ申し上げるならば、時間もございませんし、資料を出せなんというやぼなことも言いませんけれども、まあ巷間伝わっているところによりますと、最近、私学における入学寄付金の額が非常に大幅にアップをした。もう一千万円が標準になってきた。一千万円が相場だ、ところが一千万円どころじゃない。半年前にそういう話がきまっておるという話も、ちょいちょい聞きます。そういうことと、かてて加えて、結果としてどういう問題が起こるかといえば、一千万、二千万という金を出せる階層というものは、そうざらにはないでしょう。そうしますと、これまた将来のにない手という問題になってくるわけだが、一千万、二千万を投資して、犠牲献身、医は仁術なり、そういう医者のあり方というものが確立されていくかどうか、ここに問題があるでしょう。私は、そういった意味で、医療皆保険という問題の中で、そのにない手の養成ということは、根本的な問題、保険制度をどうするか、あるいは保険料の単位をどうするか、いろいろ議論が行なわれておるが、骨はここにある。やる人はお医者さんなんだ。そのお医者さんの教育に、何となくエアポケットを感ずるんですよ。だから、せかっく財団法が提案されたおりに、私はこれらの問題について、これは文部省自体としてももう一歩深くタッチすべきではなかろうか、こういうことをあえて申し上げるわけです。  しかし、この問題をいろいろやっておりますと時間がございませんし、冒頭申し上げましたように、決して現実のこの問題を無視して私は申し上げるのじゃありません。都道府県が無理をなすっておられるその心情も、非常によく理解はできますし、また、そのことも現時点における無医村の解消、医師不足の解決の一助になることも、私は認めます。しかし、その方向を少なくとも政治をやる立場、行政を担当する立場は、世間一般が見る目と異なった目で見なければならぬということを、私は警告しておるのです。この問題は、そういう意味でひとつ十分厚生省も文部省もよく連絡をとられて対処すべきである。こういうことがただ新聞の記事になるということだけでは、私はこれは決して医療行政の姿勢を正すゆえんでもなかろうし、私学行政の姿勢を正すゆえんでもなかろうと思うから、あえてこの記事を一言問題にしたわけであります。  時間がありませんけれども、少しく本論に移りたいと思います。  この機会に、私は大臣に基本的な立場についてお答えを願っておきたいと思うのであります。それは、いままでこの委員会でもずいぶん議論をされました。大臣もお答えになっております。私もその議論は拝聴いたしました。私は、私自身の参考にも、また今後の行政のあり方からいってもぜひお尋ねをしておきたいと思うことは、私学法第一条の問題についてであります。すなわち、私学教育の目的というものは、その私学法の第一条に、公共性ということと自主性ということをうたっておられる。条文上これを見ますと、まあきわめてすらっと読めるのでありますが、私が理解をするところでは、これはとりようによっては二律背反のものである。いまあなた方も非常に苦労しておられるし、私学自体も苦悩しておるのは、この私学法第一条にいう自主性と公共性、この問題であります。なぜ私が二律背反かと言うと、自主性を強めれば公共性が減り、公共性を強めれば自主性が減るという現実でしょう。だから、この財団法についても、その問題がいろいろ議論をされておる。そこで、大臣はこの私学における自主性と公共性というものをどういうバランスにおいて考えられているか、ひとつあなたの見識を承りたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題と思いますけれども、私はこう思うのです。自主性があってかつ公共性を持つことは矛盾するとおっしゃったけれども、まあ矛盾するところも出てくるかもしれぬけれども、また矛盾せずにいくこともできるのじゃないかというふうに思っております。と申しますのは、たとえばイギリスにおきましても、御案内のとおりに、これは私立大学がおもでございますね。そして私立大学が日本の国立大学及び公立大学の果たしておる役割り、つまり公共性というものをやっておりますね。それから同時に、オックスフォード、ケンブリッジをはじめとしまして、各大学は非常な特性を持った大学として建学され、その機能を十分に果たしており、社会的責任を持ってきておる、こういうことになっております。そして国はどうかというと、これに対して、UGCを通して八〇%にわたる経常費を含む助成というものをやってきているということでございまして、その意味合いにおいて、「私立大学の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。」こういうこともできる、可能である。しかしながら、日本の土壌において、そういうようなところにおいていまおっしゃるような矛盾した面を持っておるので、その点が常に、実は私立学校と国、あるいは私立学校と文部省との間に不信感等があったということも、これは歴史的、沿革的に考えましても事実としてあった、また現在においてもまだそのような不信感というものが双方にあるということは、言えるかと思うのでございます。今日の段階におきまして、この私立学校法ができましたときと根本精神においては変わってはおらないけれども、しかしながら、学生数がもう非常にたくさんになってきて、学生一人当たりの経費も非常にかかるということになってきた。そして国からの援助なしには、もはや授業料を上げるか、あるいは納付金を多額にして、先ほど御指摘のように、場合によっては一千万円も積まなければ医学教育が受けられないというようなむちゃくちゃな状況になってきておる。したがって、日本のような国においても、経常費を含めた相当の私学助成をやらなければならぬ時代を迎えたのである。アメリカのような国では、かつてはよき時代でございまして、学生が払うお金が三分の一、寄付金が三分の一、国あるいは州から三分の一、そういうような形によって成り立っておったのだけれども、ああいうお金持ちの国ですらも、もはやロックフェラーやカーネギーやあるいはフォード財団の力をもってしても、その寄付金総額は四%程度であるというふうになってきてしまって、連邦政府の金やあるいは州のお金を出さなければ、私立大学そのものが教育、研究の質的向上をはかることはできない。それほどにたくさんの人たちも入ってきたし、その一人当たりの経費もかかるようになってきたのだ、こういうことかと思うのでございまして、その意味合いにおいて、先ほど御指摘がありましたような事態に対して、この私学財団法を一日も早く成立をさせていただいて、そしてこれを契機として、相当多額のお金を私学に注ぎ込むということによって一学生当たりの教育、研究の費用というものを充実していく。それが同時に私学の経営の安定になる。そういうことを積み重ねていくならば、おそらく北里大学で地方公共団体から一億円というようなものをもらわなくてもいいような状況になる。こういうふうな理想を私は持ち、その理想を実現するために取り組んでおるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 矛盾しない、現にイギリスではこうこういう状況ではないかとおっしゃるが、違うのですね。これは大臣十分知っておってそういうことをおっしゃられておると思うのだが、私は、イギリスの場合の自主性と公共性という一つの確立された姿と、今日、日本で自主性と公共性というものを論じておる立場とは、やや状況が違うと思うのです。それはなぜかといえば、イギリスの場合には、大臣御説明のように、私もいろいろ調べてみましたが、四十二の大学があるが、国立は一つもありませんね。そして八〇%の国庫補助金でもってやっておる。授業料は全体経費の八%にしか相当しておらない。経営安定の基礎は国家の援助である。しかしながら、常にいわれておりますようにそれはノー・コメント、口出しはしておらぬという原則が貫かれておる。そこに経営の安定と自主性、同時に、これは長い間の歴史がそうせしめたのか、私学というものの社会的あり方がそこにひとつ確立されておるのじゃないか。そういうことにおいて公共性と自主性というものが確立されておる。ところが、いまあなた方が自主性を尊重しつつ公共性を高めるというやり方は、今度の法律にもあらわれておりますように、ことばは語弊がありますが、その大半はやはり所轄庁たる文部省の権限を強化する、そして私学のあり方を規制するという形における公共性を高めようという考え方が議論されておる、ここに問題がある。だから私は、あえて私学法にいう自主性と公共性というものが、現実に非常に矛盾した形においていろいろ議論をされておるということを申し上げたわけです。そうじゃありませんか、大臣。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私は、そうじゃなくて、イギリスのような慣行を打ち立てなければならない、こういうことを申し上げたのです。そしてそういうことはわれわれの努力次第ではできるのじゃなかろうか、こういうことを申し上げたのです。したがって、この私立学校法の第一条というものは、われわれの努力次第——われわれというのは、文部省を含め、あるいは政府を含め、あるいは私立大学の人たちを含めて申し上げるのです。双方が努力をするならば、そういうような状況にいけるのじゃなかろうか、またいかさなければならない。特に経常費支出というものをやったからには、そこまでやらなければいけない。だから、この法律の目的とするところは、あくまでも私学の振興につきまして、教育、研究の質的向上を願うために、いままでのように何ら経常費の助成をやらないという形では、もはややれない状況に来ておる、むしろ私学の公共的な役割りは果たせない状況に来ておる、むしろ先ほど御指摘のような社会問題までも引き起こすような状況に来ておる。お金を持った者でなければ医学教育は受けられない、こういうようなことがあってはならないのだ。少なくとも大学教育を受けた人たちが、その分野に応じまして公共に尽くす、あるいは医学に従事することによって僻地の医療をまかなう、そういうようなことについて、私はいままでの私立大学が持っておられまする建学の精神を十分生かし、特性を高め、特徴ある大学をつくっていただいて、国立大学とは違う私立大学のよさというものを出すことによって人材を世に送る、あるいは医学生を世に送る、あるいはまた研究の成果を還元するということは、私はできないことではない。また、それをやらなければ、これだけの経常費の助成をやり、そしてまた将来はその額というものをたくさん出そうということにはつながっていかないわけなんでございまして、私は、その点は、あるべき姿という一つの理想を掲げまして、それに対して一歩一歩現実の問題を解決をしていくということは、単にこれは一片の法律だけでできることではないのであります。お互いが信頼感を回復して、そうしてその目的というものを達成しなければならない、かように思うわけでございまして、この法案のそこここに所轄庁がどうだ、文部省がどうだということをおっしゃいますけれども、少なくとも今度は血税がどのような形において私学に使われておるか、それがほんとうに教育、研究のために、あるいは教育あるいは研究の質的向上のために適正に使われておるかどうかというようなことを明らかにするということは当然のことであって、いままでイギリスにおいてはそれは慣行でやってまいりました。そして会計検査院もタッチしない形においてやっていけたと思います。しかし、これほど学生数が多くなり、そしてまた多額のお金というものが私学に注ぎ込まれるということにおきまして、一九六八年に会計検査院がこれにタッチするということがきまったわけでございまして、そのようなことをやるということは当然なことだ。まあもちろん立法それ自体については、幾つかの点におきまして、各議員から政党政派を通じまして御議論のあるところでございます。またそれにつきましてわれわれの考えを述べておるわけでございますから、完全無欠だとは私は思いませんけれども、しかしながら、この私学財団法は全く私学をコントロールするためにあるのであるというようなお説には、私はどうしても賛成ができないのでございまして、少なくとも私はそういう趣旨ではございません。何のために一体この私学振興財団というものをつくったか、何のためにわれわれはこのような人件費を含むところの経常費支出をしなければならないのかというその気持ちを、ひとつくんでいただきたいというふうに私は思うのでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私は、最後に大臣が言われたように荒っぽい議論をしているんじゃないのです。この法案ことごとくが、私学を何とかしてやろうというような、コントロールというために出すというふうにのみは理解をいたしておりません。そういうことではなくて、いかにしてわれわれが、うまくいっておる先進諸国と同じような私学のあり方、りっぱな私学教育のあり方をつくろうか、そういう方途はなるべく危険な道を通らずにやる方法はないかという趣旨から申し上げておるのであります。そこで、その自主性、公共性がりっぱにやれておるじゃないかという御説明の中にイギリスの例を出されたものだから、私はイギリスが今日やっておる行き方と、いまこの法案を核としておやりなすっていこうとする考え方とは、これは方向が違うんではないかということを申し上げたわけですね。だから、大臣が最後に言われたからそれ以上お尋ねはいたしませんが、イギリスの場合には、大臣おっしゃったように、別に監査もいたしておりません。配分については、それぞれの大学の自主性にまかしてやっておる。それがきわめてうまくやっておる。これはイギリス式の一つの、金は出すが、それについて口は出さぬという原則の確立されているいい方向なんです。だから、私はそういう方向をいま打ち出されておるのならば、これは何をか言わんやでありまするけれども、しかし、所轄庁のいわゆる権限、監督の強化ということによってのみもしその目的が達成できるというふうなラフな考え方でやっておられるならば、これは私学と所轄庁との間の不信感が高まるばかりだということを懸念するのです。だから、やはりこの私学法第一条ができる限り矛盾をなくしてそれが共存できるような形にするために何が必要かと言えば、それは私は私学自体のみずからの姿勢を正すといいますか、私学教育に徹したそういう考え方を社会的な情勢によって確立していくという長期の展望に立たなければならぬことを感ずる、そのことを私は申し上げたい。  それから大臣にもう一つそれに関連して、これはお答えになっておったようでありますが、この際明らかにしておいていただきたいことは、通俗的に自主性、公共性ということばが使われるのでありますが、一体私学における自主性とは何ぞやということを、やはりわれわれは法案審議にあたって明確にしておかなければならぬと思います。たとえば民主主義あるいは個人主義、解釈のしょうさまざまであって、そういう一つのことばのとりょうによって、いろいろ恣意にわたった行為が起きることがしばしばである。そこで自主性というこのことばの概念を、監督庁である文部省は一体どういうふうに解されておるのか。自主性を高めるというからには、何を高めようとしているのか、このことも、ひとつ大臣の所見として明らかにしておいてもらいたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私学の自主性、これはいろいろとり方はあると思いますけれども、私は基本的に申し上げますと、人事権には介入してはならぬ、あるいはまた財政権に介入すべきではない、こういうことかと思います。あるいは内容につきまして深く介入すべきではないということ、こういうふうに解しております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 大臣は具体的におっしゃったわけだが、私は大事なことが抜けていると思うのです。それは先ほど大臣が答弁されたように、私学の自主性とは私学の建学の精神にあると思う。みずからの私学をつくったその一つの理想、その私学の一つのよってきたる学風、これは言わずもがなであります。そのりっぱな社会的に貢献し得るそういう建学の精神というものをどこまでも伸ばしていく、それが私は私学における自主性ではないか。私学だからこれは他からの制肘は受けませんという自主性ではない、私はそう理解しておるのです。そうでなければ、国民の側、父兄の側に立った場合、授業料を納めます、大事な子供を預けます、寄付金もいたします、しかし一たん入ったからはそれはいかように使おうとかってだというような自主性であってはならない。そうではない。りっぱなその学風を理想として私学が創設されたものと私は理解している。それをどんどん伸ばしていくべきである。したがって、その中には、私学は単なる経営であるというふうな観念に立つ経営者があるとするならば、それは社会的に改めてもらわなければならぬ、そういうことを申すのであります。したがって、そのよい気風をチェックする、その一つの考え方、その学風をチェックするような所轄庁のあり方が、もしこのような法律ができたために育てられていくならば、たいへんであります。その意味において、大臣の言われたいわゆる人事権の介入、あるいは経営の中心になる財政権についての監督官庁としての介入、これは大臣もいまおっしゃられたが、私はしたがってこの法案の立法にあたっても、それは厳に慎むという趣旨でいま申されたのだと理解をしている。もう一度その点を明らかにしていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その点は、辻原さんおっしゃるとおりでございます。その学風あるいは建学の精神というものをそれじゃどうやって守っていくかという一つの手段としては、そのような人事権やあるいは財政権というものにいやしくも権力にあるわれわれ政府が関与すべきものではない、こういうことであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこで、私はいま大臣がおっしゃられた人事権それから財政権に介入はいたしませんという問題に関連をして、少し具体的な一、二の問題を、これはすでに各論で議論がありましたので、およそのお答えもわかっておりますが、多少私は違った角度でお尋ねをしておきたいと思いますが、非常に悪い表現ですけれども、法文を拝見したときに目ざわりになるのはいろいろございましたが、なるべく質問を重複しないようにして申し上げると、立ち入り検査の問題です。立ち入り検査権——検査権と簡単に言えるわけでありますが、立ち入って検査をするというところまでやることが、はたして所轄庁がいま大臣のおっしゃられた人事権なりあるいは財政権というようなものに全然介入をしないんだということと何らの矛盾はないのかということに、私は疑問を感ずるのです。もちろんそれだけじゃありません。先ほどからいろいろ議論のありました学部の増設、あるいは定員の増加、その他に対する変更命令といったような問題も含みますけれども、特に私は目ざわりになるのは、立ち入って検査をするということは、いかに大臣がそういう趣旨をりっぱに申されても、やはり現実問題として私学に対する非常な制肘のやいばになる可能性があるんじゃなかろうかという心配をするわけですが、そういうことは毛頭ないと、こういうことでしょうか、どうですか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先生がただいま御指摘になりましたのは、附則の十三条の十項の第一号「助成に関し必要がある場合において、当該職員に学校法人の関係者に対し質問させ、又はその帳簿、書類その他の物件を検査させる」という条文であろうかと思いますけれども、これはいわゆる立ち入り調査ではございませんで、立ち入り調査の本物の規定と申しますか、それは本文のほうの第三十五条に「報告及び検査」ということがございまして、これは財団に対する立ち入り調査の規定でございますけれども、これは「職員に財団の事務所に立ち入り、」云々というふうな規定になっております。したがいまして、この十項の第一号は、事務所に立ち入る場台には当然学校側の同意を得て入るということになりますし、また立ち入って何も検査をする必要はないんで、書類等を持ってきていただいて調べるということもあり得るわけでございます。補助金等を出します場合におきまして、いろいろ条件もございますし、たとえば補助金の場合でございますと本務教員ということに一応なっておりますが、教員が本務であるかどうかというのは、ちょっとむずかしい点もございます。そういう場合には、いろいろ関係者に実情を聞くというふうなことはあり得ると考えていますし、またこの規定は、実際には御了解を得れば当然学校側でもそういう説明はしていただけるものと考えていますから、この規定が直接発動するというようなことはほとんどあり得ないのじゃないかと思いますが、しかし補助金の適正化法等にも規定がございますように、これは念のための規定として設けてあるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ほとんど立ち入って検査をするようなことはあるまいという管理局長のお話で、そうあってほしいと願うのですが、ただ末尾に言われた補助金等の適正化に関する法律で一般の補助を出す問題とは、いま論じておるのは多少角度が違うのですね。そういう理解を持っていただきたいと思うのです。それはいわゆる私学本来の法律上明記された、先ほど言われたような自主性を尊重するという立場を踏まえての諸般の問題ですから、そこは違うんだということをやはり御認識をいただかないと、非常に行政的な単なる事務的な扱いになる懸念があるから、私はあえてそのことの指摘を申し上げておるわけであります。  だいぶ時間がたちましたのでこまかい点は省きますが、あと一、二点お尋ねをしておきたいのですが、主として人件費に対する補助は、この間御説明がありました、医学三〇、理工二〇ですか、人文が一〇。聞くところによると、文部省ではこれを五割程度まで引き上げたいという構想を持っておられるようであります。まことにけっこうだと思うのですが、その際、まず一つはどの程度の期間でそこまで達成できる見通しがあるのか。それからもう一つは、その場合の五割というのは、いまここで医、理工、人文というような比率を現在の予算の中でランクづけをしておるわけでありますが、そういうことはやはりずっと踏襲をして将来ともその配分をやろうという考えなのか。それとも義務教育国庫負担法のごとく、全体の人件費に対して将来はそれが並ぶような、要するに全体に対しての五割というふうなやり方をやっていこうとするのであるか。ここらあたりは非常に私学の関心の深いところだと思うので、そういう検討をされて一つの方針を持っておられるならば、この際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 私どもがこの人件費を含む経常費に対する補助を考えました場合に、これはまだ私どものほうの当初の考え方を申し上げるわけでございまして、この辺につきましてはいろいろ御批判をいただきたいと思うわけでございますけれども、要するに私学における教育というものは、半分は個人のためと申しますか、父兄としては子弟に教育を受けさせたいという、あるいは社会に出てから相当の地位につかせたいというふうな父兄の願望が入っておると思いますけれども、しかしながら半分は、そこで教育を受けた者が社会に対していろいろ貢献しているじゃないか、その貢献に対しては国の税金をもってこたえてもよろしいのじゃないかという意味合いで、まあ教育につきましては少なくとも国が半分、個人が半分というふうな一応の考え方の上に、このたびの補助金の要求を初年度として行なったわけでございます。今後これを順次拡充してまいりたいというふうには考えておりますけれども、私どもの考え方はそういう考え方で始まったわけでございますが、ただいま中教審におきまして、私学を含めました大学全般の問題についていろいろ検討しております。それから特に私学の地位というものにつきましては、ぜひ御答申をいただきたいと考えております。こういう問題につきましても、ただいま申し上げましたのは、一応私どもの腰だめと申しますか、一応の考え方に基づいて予算を要求をしたということでございまして、今後につきましては、中教審の答申によりましてその拡充をはかりたいというように考えておる次第でございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いま管理局長から申しましたとおりでございますが、中教審の試案の中におきましても、大学の目的、性格に応じて合理的に積算された標準教育費というようなものを設定して、そして私立大学に援助をしなければならぬという意味のことがうたわれておるわけでございますが、やはり将来はそういうような形で、その標準教育費というものの半分なら半分というものは国で見るというような形になっていこうかと思います。この作業につきましては、中教審の最終答申が来春五月ころに行なわれると思いますが、その間約一年ございますが、長期の教育計画、あるいはそれの肉づけとしての財政投資をどれくらい考えたらいいかというようなこまかい計量的な計算をいたしまして、そしてそれがGNPに対してどの程度のものであってしかるべきか、高等教育機関全体に対しての考え方、そしてまたそれに対して国立は大体どれくらい、公立はどれくらい、あるいは私立はどれくらいというようなことも、一応の試算としてやりたいと考えておるわけでございますが、当面はいま局長が申し上げましたようなことで計算をされておるというように、御了承を賜わりたいと思うわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 法案の二十条の四項に、これは御質問もありましたけれども、新しく寄付金を募集するという業務が一項加えられております。この間どなたかの御質問の際に、これが取り上げられて答弁がありました。要するに、この寄付金というのは積極的な意味なのか、それとも従来程度の寄付金を意味するのかどうかということで、積極的な意味だというお答えがあった。そこで念のためにもう一ぺんこれはお尋ねしておかなければならぬかと思いますが、積極的な意味というのは、西ドイツでやっております寄付金財団のような性格をこれに付加することであろうと私は理解するのでありますが、おおよそ現在のあれを聞きますと、この間大蔵省の御答弁によっても、指定寄付の範囲にまで達しておらぬということです。それぞれいま私学全体に対して振興会その他が窓口を貸して募集した金額は、まことに微々たるもの。そういたしますと、いま大臣もお答えになったが、いわゆる個人が負担するもの、それからそういう寄付金によるもの、公的経費として国が負担するもの、こういう三者並立の形がおぼろげながら描かれているとするならば、かなり多くの寄付金を設定しなければならぬということになる。現在どういう想定をされておりますか。どの程度のものを——たとえは、本年はかりに準備段階としてこの程度、しかし将来はこのくらい少なくとも一般から善意の寄付を募集するもくろみがあるというようなこと、そういう点の一つの見当があるならば、お答えを願いたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先ほど、諸外国においてもその寄付金が大学の財政に占める割合というのが低下しつつあると申し上げましたけれども、しかしながら、四十二年度におきまして、大学のみでもわが国では百六十四億というような多額の寄付金が寄付されております。そういう意味を考えまして、これはまだ隠れた浄財というのがたくさんあるのじゃないかというふうな気もするわけでございますし、そういうことをおっしゃる方もございます。それで、一つは、そういうふうないろいろな制限が撤廃されていくと非常に寄付をしやすくなるということが、まず第一の条件じゃないかと思いますけれども、この点につきましては、若干余談でございますけれども、何か寄付をすると、すぐ税務署が飛んでいって、何かもうけがあるんじゃないかというふうなことがあって、そこを改善しなければいかぬのだということを言われる方もございます。まあいろいろな改善の努力というものはされてしかるべきじゃないか。その浄財がまたこれからの社会をになっていく私学に対しまして投ぜられるということは、これは一般的にも理解していただけるんじゃないかというふうな感じから、こういうふうな規定をもうけたわけでございますが、来年度は、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、一応七億の寄付金を予定しておりますけれども、将来のことにつきましては私のほうはまだ見当もつきませんので、正直なところ、どのぐらいということを申し上げられる段階ではございません。たいへん恐縮でございますが、何とかいろいろ手だてを講じまして、ドイツにおきましてそういう例があるということも承知しておりますけれども、それを何とか生かしてまいりたいということを考えているわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 念のために、この寄付金というのは、従来振興会の当時に窓口を貸してストレートに当該学校に渡るという寄付金がかなり多くの部分を占めておったのだが、そうではなくて、振興財団がかりにできると仮定すると、財団自体としてそれを募集されるということを原則になさるのですね。そこらはどうなんですか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 やはりわが国の人情といたしまして、どこそこの大学の何を建てるから寄付するということが、まあ一番寄付の早道のようなところがまだ現在ございます。したがいまして、そういうものを排除して一般のほうに重点を置くということは、これは当面なかなかむずかしいのじゃないかというふうな気もいたしますが、なるべく御指摘のように広く一般の目的のために寄付を募集いたしまして、そしてこれを各大学なり短大に配付するというふうに順次方向を向けてまいりたいというふうには考えておるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 これは私見でありますが、私はこの寄付のあり方というものは、将来相当慎重に考えてもらいたいと思うのです。それは、いま人件費の補助を出すといっただけでこれだけの議論が起きるのですから、やはり多額のお金を出すということになれば、先ほど私は善意の寄付金と、こう表現をしておるのですけれども、なかなか人間は金に結びつきますと善意とばかりは通らぬ社会。そういうことを考えたときに、金額をかなり大幅に考えられたときに、かなり大口の財界寄付ということばかり当てにされていると、これはやはり将来の私学のあり方に関係する、私はそういう気がするのです。ですから、いろいろな方法があると思うのです。社会的な立場を踏まえて寄付金を募集するということは、あながちお金だけにかかわらず、私学それ自体のあり方をもPRするいい機会だと私は思うのですよ、寄付のやり方いかんによっては。だから、できるだけそういう不特定多数の善意の寄付を大きく財団が吸収されるような方途を確立されるならば、これは一つの新しい方向でしょう。これはそういうことを十分検討されていかぬと、どこそこの大学に何をつくるからひとつ寄付してください、窓口だけは財団が貸しますといったような寄付金ばかりにこの業務の一項を加えたならば、私はそういうやり方はあえて反対だ。ですから、そうではなくて、そういったことを十分踏まえてひとつおやり願いたい。これをこの項における注文としてひとつ申し上げておきたい。  それからもう一点、十三条の各項、これは全体として非常な議論のあるところです。ですから、問題があって、全体他の部分をもどうするかということがこれからいろいろ協議、議論されるわけですが、その中で、いわゆる補助を受ける対象となるその学校法人その他は、必ずその際は法文上は公認会計士もしくは監査法人の云々というのがあります。しかし、その届け出は所轄庁が見るわけですね。私は先ほど申し上げましたように、私学みずからが姿勢を正していただくという意味においては、これは所轄庁だけ見ていただいても——はなはだ失礼な言い分でどうも恐縮でありますが、頭を下げて申し上げておるので、決して悪くはとらぬようにしてください。というのは、だんだんこういうものができて、そして時間が経過すると、何でもそうですけれども、よく草創の精神を忘れるな、草創の精神に返れとか、世の中にそういうことばがあるのと同じように、法律が立法化されたときのその法律の趣旨、精神というものは、関係した者は鮮明にそれを理解し、これを自分が身につけておるのでありますが、しかし、時代を経過して別の人が見たときには、これはやっぱり文字に書いたものをそのまま解釈するわけです。また惰性でやってきた仕事をそのまま継続するわけだから、どうしても当初のものとは違った形になるのが通例です。そこで、この間からも議論して皆さんがおっしゃっておられた、私もそれを心配する一人であるが、まあ理事長をどなたにするのか、いろいろな議論があるでしょう。文部省に近い人、いやそうではないのだ、私学関係者だ、あるいは中立の人だ、いろいろあるでしょう。大臣もそこらここらをいろいろ苦心をされて、どうやら意中の人があるようだが、その人はおそらく初代のあれとして私はふさわしいと思う。坂田大臣ほどりっぱな人が意中の人としてきめた人だから、それはりっぱな人に違いないと思うが、結局便法になるのですよ。私があえて頭を下げてというのは、だんだんこれは文部省をおやめになった人が行く、次にあんたはここへ行く、こういう時代になったときに、私はその公認会計士、監査法人の証明がはたしてそれほど客観的に有効なものになるという確信がないのです。ああそうかという一片の紙切れ化しないかということ。ですから、あなた方がいまそこで目の色を変えて、これがいい悪いを議論されているほどの効果は、私は出まいと思う。ただしかし、立場を変えて対社会的にそういうものを見た場合に、私はかなりの価値があるような気がするのです。というのは、りっぱな私学もある。ところが、ときどき問題を起こす私学もある。父兄はそれを外からながめておって、一体どうなんだろう。ときどき新聞に報道されたり週刊雑誌に報道されたその端々をとらえて議論をする。これは私は双方が当たらぬ場合があると思うのです。そこで、やはり対社会的にその私学の経理を公開するという態度、これはむしろ監督官庁がそういうことを強制するのではなくて、積極的に私学がおやりになるべき事柄ではないか。預かったお金をりっぱに子弟のためにかくかく使っておりますよという態度が、私学の姿勢を正す第一歩である、私はこういうふうに思う。あえてそれをおそれるということは、かえって将来の私学の、先ほど申し上げたりっぱな私学の立場を、建学の精神を強調して教育に尽瘁している私学の立場を誤解されるきらいがある。そこで私は、所轄庁に必要だというのではなくて、対社会的に必要だということで、何らかのそういう客観的な監査資料というものを公表する機会をつくってはどうかということを考えるわけです。そういうことについて、大臣はどうお考えですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 辻原先生のいまのお話は、私も同感です。でございますから、一方にこういうふうな規定を設けましたことと同時に、やはり私立大学側においても、進んでそのようなことをはっきり明らかにされるというようなことが慣行として樹立されるということが望ましいというふうに、私は思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 たいへん時間が経過して恐縮です。こまかい点でもう一点だけ申し上げて、最後に結論を申し上げたいと思いますが、こういう意見がわれわれのほうにもたらされております。これについて文部省は、この法律では取り扱われておりませんが、将来どうなさるか、何か考えられておるか。たしか附則七条、いわゆる貸し付け金の対象となるべき学校を規定している項があったと思いますが、それによりますと、その第七条は、「当分の間、学校教育法」云々とずっとあって、「民法第三十四条の法人を含む」。これは民法三十四条によるいわゆる営利を伴わない財団及び社団をいうのだろうと思いますが、そういうふうに規定をすると、特に幼稚園などでは、せかっく幼児教育を一生懸命長年やってきているところが対象にならぬ、かなりはずれるものがあるという意見が出ております。要するに、学校法人あるいは三十四条の営利を目的としない社団、それ以外にその他の法人があると思うのです。その他の法人立による幼稚園。私は、最近ちょっと下火だけれども、やはり幼児教育の重要性というものを昔から思う一人なんですが、特に幼児教育なんというのは、思想的教育を含まない、ほんとうの心理学的な立場を踏まえ、そういう一つの重要性を持っているだけに、私は何立であろうと、やはり幼児教育は少なくとも平等にあれを考えていくべきではなかろうか、こういう感じがするわけです。たまたま設置者の資格によってそれを規制するがごときは、いささか幼児教育に対する考えとしては不適当ではないか、こういう感じがするわけです。これを現在の法律において除外されておるようですが、将来それをどうなさるか、そこらの点をお答え願いたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 その点につきましては、いろいろ問題があることも先生は御承知と思いますけれども、考え方におきましては、私ども先生のお考えに同感するところが多いわけでございます。それで、この問題につきましては、参議院を中心にいろいろ御検討をいただいている面もございますので、私どもは、その決定がございました場合には、それに従ってよろしいのではないかというふうに考えておるわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 それでは最後にもう一ぺん大上段に振りかぶるわけですが、文部大臣に、私学教育だけではなくて、大学教育それ自体のあなたのお考え、これは先年大学問題がいろいろ議論されて、たまたま私はあなたの御意見を承る機会がなかったものですから、詳細な点はまた他日承るとして、根本的な考え方で、私も少し私見を申し上げてあなたのお考えを承りたい。  それは、ここに大学管理に関するすべての問題を集めた、国会の立法調査局がつくっただいぶ古い資料がありますが、ここにもいろいろ書かれておりますが、その中に、大正七年につくられた大学令の立法過程等についても書いてあります。私は、大学令と学校教育法による大学の目的というものを比較対照してみたのです。そうすると、あまり変わっちゃいないわけです。ただ変わっていることは、当時の大学が設置された目的、これはおそらく帝国大学令その他も大体同じであったと思いますけれども、大学とは、要するに詰めていえば学問研究の府なりということです。大学令の場合には、その学問研究をして国家目的にそれを資するという趣旨がうたわれている。学校教育法はそれはないわけです。そのことは当然です。それは、新憲法、教育基本法等を受けて学校教育法がつくられているからです。しかしながら、そこの項を除けば、ほとんど変わっちゃいないのです。ということは、私は何をいま申すかといえば、先日も管理局長が説明をなさった。それは、現在の進学率が同年齢対比二〇%ですか。戦前は、私の記憶によりますと、年次によって違いますが、三%から四%。そういう数字から今日二〇%になっている。だから、いま大学問題を論ずる場合に、はたしてそういう時代的推移を踏まえて論じられておるかということに、ちょっと私も疑問がある。ということは、三%、四%という段階においては、大学の目的というものは、まことにそれにふさわしい。専門的学門研究を教授するという目的は、まことにふさわしい。ところが、二〇%という率は、かつての旧制中等学校における進学率とほぼ同じであるということを類推して考えるならば、はたして今日の大学ことごとく学問研究の府という目的を課して、それを教授せしめ、その教授を受けしめるということが妥当なりやいなやという問題がある。このことについて、私は今日的大学という問題の目的はそれのみでいいのかという疑問を持っている一人でありますが、文部大臣の所見をひとつ承りたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 学校教育法の大学のところ、第五十二条、御存じのとおりだと思いますが、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」というふうに書いてあります。しかしながら、いま御指摘になりましたように、私も実はそのように思うのでございまして、思うという意味は、どうも大学の先生をはじめ、まだ大学というものは単に研究だけだ、学問のうんのうをきわめる研究だけであって、それはまた社会と無関係、と言っては言い過ぎかもしれませんが、象牙の塔式なものの考え方、したがってフンボルトのあの大学の理念というものが、日本における帝国大学に踏襲をされてきた。そして戦後新制大学になったにもかかわらず、その考え方というものがまだ払拭できずにいるのではなかろうか。それにつきましてのいろいろな方法論上の問題はあろうかと思いますが、しかし、同年齢対比二〇%、そして将来五年あるいは十年後においてはあるいは三〇%くらいまではいかなければいけないというようなことを考えた場合には、もはやそういうような大学を頭に置いて現実の二〇%の学生を収容する大学ということでは、とても教育、研究、管理運営というものはうまくいくはずがないんじゃないかというように、むしろ私は大学の変貌、大学の量的、質的変貌ということをとらえてでなければ、新しい大学の構想というものは出てこないのだ、こういう考え方にあるわけでございます。一部の先生方の考え方は、まだもって大学というのはそういう研究中心の大学だということでございまして、たとえば東京大学の今度の改革案は、かなりいろいろの面におきまして中教審の考え方と具体的にオーバーラップしてきておる点が非常に多いと私は思います。たとえて言うならば、カリキュラムの編成につきましても、いままでは、一般教育が二年制、さらに専門教育二年制をやるんだ、こういう考え方が従来の考え方でございましたけれども、そうでなくて、四年制を通じてそうしてこれに一般教育をやるというカリキュラムがあってしかるべきではなかろうかということが大学からも出されてきておる、こういうようなこと、そうしてまた、それに対しましては全学的に教官が協力をしてこれに当たるというようなことも出てきておるわけでございます。そういうわけでございますが、一体この大学問題ということを考えた場合に、あるいは大学政策というようなことから考えた場合には、今日、国立の三十万だけではもはや考えられない。三分の二の百万に及ぶところの私立大学あるいは公立大学を含めて、大学問題というものを考えなければならない。しかしながら、どうも東京大学で考えておりますのは、あるいはこれからの立案等に出てくるかと思いますけれども、私学に対する配慮、あるいは私学を含めた一つの大学というものを考えて、その中における国立大学の位置づけやあるいはその中における東大の位置づけというものが、まず出てきていない。それからいま御指摘になりましたように、東京大学は一応研究中心の大学というような概念にきめられるわけでございますけれども、われわれは、大学ということを考えた場合、戦後の大学ということを考える場合には、短期大学も大学である、あるいは高専も大学である、こういう把握をしなければいけないんじゃないか。したがって、大学ということばがあるいは適当じゃなくて、むしろ私は高等教育機関と考えたほうがいいと思いますけれども、そういう形の中において大学問題というものをとらえなければならない。その場合には、やはり目的、性格に応じて、研究を中心とするような大学、あるいは一般の高等職業教育を中心とするような大学、あるいはまた短大、あるいは高専というような目的、性格に応じた種類分けをいたしまして、それぞれの研究のやり方、あるいは教育のやり方、あるいはまた管理運営のやり方というものは、おのずと共通する部面もありましょうし、違っている部面も出てきていいんじゃなかろうか、こういうふうに考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。しかし、この目的、性格に応じた種別化に対しましても、東大におきましては、今度三つの段階において、一般の大学、一般課程ということを重視する大学、それからもう一つは専修課程というものを主とする大学、それからもう一つは、研究者の養成課程というものを主とする大学というふうな種別化というものも考えておられる。その限りにおいては一歩前進だと思いますけれども、さらにやはり短期大学とかあるいは高専とかいうものの位置づけも含めた考え方、あるいは公立、私立も含めた中における国立大学の意義、地位あるいは位置づけというものが、やはり考えられなければいけないんじゃないか。しかもそれを通じて言えることは、やはりいままでのただ教育、研究をしておるということだけじゃなくて、教育、研究の成果を社会に還元するという機能というものも、新しい大学の使命として考えられてきておる。そのためには、閉ざされた大学じゃなくて、国民のために開かれた大学という形において、国民全体の意思を踏まえた学問、研究あるいは大学教育というものが行なわれるような大学にしなければならないんじゃなかろうか、こういうのが、短い時間の、短いことばで表現できる、私の新しい大学に対する考え方でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 各論に入りますと、大臣と考え方が一致するかどうかは、これは疑問であります。しかし、この大正七年以来その流れをくんで目的が規定されてきてある点について、社会の進展、社会構造の変化に対応する、いわゆる教育の府としてこれでいいのかという疑問については、一致しておると思います。私は、二〇%、三〇%に進学率が高まってくる大学教育というのは、これはすでに特定人の教育ではなくて、広く、やはり国民のための高等教育を受けさせる場であるという認識が一つ。それから、これはおそらく子供を預ける父兄の側の気持ちであろうと思うし、同時にまた大学自身あるいは行政の立場、それぞれみな認識をしておらなければならぬ立場ではないか、こう思うのです。その立場に立って考えてみるときに、いろいろ今日大学問題についての幾つかの欠点というものが浮き彫りにされてくるのではなかろうか。そのことは、決して大学の自主性とかあるいは大学の学問、研究の妨げになるとかいう問題とは、矛盾しない、私はそう考えております。特に今日私学の助成問題がここに議論されておるわけでありますが、そういう立場を踏まえ、確かにいまいろいろ各方面で議論されているいろいろな各界の意見があります。私も、それらの方々の意見を詳細読んでみました。その中に強調していることは、やはり教育が公的立場ということを踏まえて動いているのが、少なくとも先進諸国の考え方ではないか。八〇%の補助をするイギリス、五〇%の国立大学、公立大学を強化していこうというアメリカの趨勢、それらは、いずれもやはり教育は公的立場においてやるんだというその前提がその制度のあり方を規定しているんじゃないか、こう思うのです。したがって、わずか幾らですか、今度は補助が百三十何ぼですか、その程度出したからといったって、それでそう欣喜雀躍というわけにはいっておりますまいが、そういうことで事足れりとするならば大間違い。やはり将来三〇%の子弟を教育する場であり、それは国公私立の区別はない。少なくとも、設置者の区別はあるが、教育というものについての区別はないというくらいの、そういう前提を踏まえられて、いわゆる公的補助をお出しになる。しかし、その方向としては、私はやはりイギリス型が望ましい。日本の場合には、これは戦後の特色として、いわゆる私立大学が全体の七五%というのですから、これはたいした特色であります。その特色を生かしつつ、将来わが国が私学に対するあり方を規定していく方向というのは、これは私はアメリカ型にはならぬと思う。したがって、どうしてもそれはイギリス型の——先ほど管理局長か御説明になったように、従来寄付金が非常に大きかったアメリカにおいても低下してきておるということになれば、西ドイツの方式を吸収するわけにもいきますまいけれども、そうなれば、勢いイギリス型の考えをひとつ前提にして行政指導をなさるし、同時に私学も、先ほど私が申し上げましたような公的立場を踏まえていただくということ、これによって社会的な信頼を得るということが、私は私学振興の道ではないか、こう思っております。大学教育の今後のいろいろな問題については、中教審その他各方面からの御意見も出るであろうと思いまするし、また他日各論については大臣の御高見も拝聴いたしたいと思いますので、きょうは、私の質問はこの程度でとどめておきたいと思います。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十分散会

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