文教委員会 第14号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/15
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 日本私学振興財団法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。新井彬之君。
○新井委員 今回提出されました日本私学振興財団法案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。 現在までに各委員の方からいろいろ質問も出ておるわけでございますが、この私学振興財団を設立するにあたりまして、今後の日本の教育行政、その全般的な中でどういう役割りになってくるのか、そういうようなことが解明されていかないと、健全なる運営と今後の教育行政の健全な発展というものが期せないのではないか、私はこのように思うわけであります。教育の重要性というものは、社会に貢献している度合い、こういうものが非常にいろいろな角度から論じられておるわけでありますけれども、有形、無形、何らかの形で社会に還元をされている。教育のよしあし、その教育の充実、高度化というものが、また社会の発展に非常に寄与をしている、これもいなめない事実であると思うのでありますけれども、その貢献している度合い、そういうことについて、文部大臣はどのような理解をされているか、まず初めにお伺いいたしたいと思います。
○坂田国務大臣 教育が社会、経済、文化、あらゆる面におきまして非常な影響を及ぼすということは、これはまぎれもないことでございまして、従来はとかくばく然とそういうことがいわれておったわけでございますけれども、最近におきましては、経済成長を一つ取り上げても、その根底には教育の普及というものが非常に大きい意味を持つということもいわれておりますし、また一面においては、その社会を形成していく人間というものが、精神の面におきましてもバランスのとれた、個人としても非常にりっぱな人であり、そしてそれが社会の形成者としての意味を持ち、その個人の人格完成を目ざすということ、それが同時にまた社会の形成者としてその社会を発展させ、あるいはその民族を発展させるというような基本的な考え方があると思うのであります。最近におきましては、教育競争の時代であるとすらいわれておるわけでございまして、そういう意味から教育の持つ意義というものは、非常に大きいというふうに思います。日本が百年間非常な発展を遂げてまいりまして、特にアジアの中におきましてりっぱな近代社会をつくり得たのも、明治以後におきまして、国民のすべてに対して教育を施すという、そういう基盤があったからだと、私も思いますし、また世界の人々もそれを認めておるところではないかというふうに思うわけでございますが、日本の教育の発達というものを考えてみますると、国立、私立というものがともどもその役割りを分担しながら、また両方が相互的な刺激をし合いながら発展してまいったのではないかというふうにも思いますし、またこれからも、やはり大学について申し上げますと、国立大学、公立大学あるいは私立大学というものがそれぞれ個性のある、特徴のある大学を発展させつつ日本の社会に寄与していくということが考えられなければならないのじゃないか。ところが、国立、公立につきましては、かなり国あるいは県の公の費用というものが多く支出をされて、そうして充実したところの教育、研究というものができておったわけでございますけれども、最近の学生数の増加等から考えまして、私立大学におきましては、自分たちだけの資金や、あるいは寄付金や、あるいは授業料、納付金等だけではとうていまかないきれないようになってきた。で、私立大学の学生の教育、研究というものを充実をし、それを質的向上をはかるならば、どうしても公の国のお金を導入しなければもうどうにもこうにもならないという事態まできたのではないかということで、今度の私学に対しまして人件費を含む経常費支出を決心をいたしたわけでございまして、これはあくまでも、今日百六十万といわれまする学生総数の中におきましてその三分の二を占めております私立大学に対しましても、教育、研究の質的向上ということをはかりますと同時に、私立大学の経営にも寄与をするというたてまえでこの日本私学振興財団というものを設立することにいたしたわけでございます。
○新井委員 いま、るる説明をお聞きしたわけでございますけれども、教育が現在まで社会に貢献してきたということは、これはもう先ほども申しましたようにいなめない事実でありまして、それには多額な教育投資というものがかかっております。そして教育の充実がそのまま社会の繁栄というものに、また国家の繁栄というものに一面から見れば正比例をしているのではないか、こういうような議論があるわけでありますけれども、教育投資というのは、どのくらいしたからいいとかというものではなくて、これは切りがない、教育投資にし過ぎということばがないということがよくいわれておるようでありますけれども、そういう意味において、これは防衛庁あたりが、防衛費の問題において、世界各国において国民総生産、GNPの大体何%ぐらい持ってくることが妥当である、こういうようなことをよく論議をしておるようでありますけれども、教育の行政において、やはり私学振興財団に対する一つの援助にいたしましても、最終的には二分の一ということで目標が立っておるようでありますけれども、その程度でできるかどうか。現在の大学の修学率というものが二〇%にあっても非常にいろいろな問題を呈しておるわけでありますから、それが近い将来また三〇%になるんじゃないかと当然予想されている、そういうようなことにかんがみまして、この国民総生産の中からどの程度の教育費というものを投資していかなければいけないのか、そうしてみんなに自由な研究と教育をさせなければいけないのか、そういう基本的な問題について文部大臣がお考えになっているかどうか、お考えになっていらっしゃるなら、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○坂田国務大臣 これから先、教育費に対しまする財政措置というものは、相当多額になるということは御指摘のとおりでございまして、極端なものの言い方をするならば、教育の投資の上昇というものと国民総生産の上昇というものとがパラレルにいくんだ、そういう考え方から、教育競争ということも言われてきた。また、そのことが同時に、先ほど申しましたような人材の確保にもつながっていくし、またよりよい個人の人格完成あるいは文化の豊かな形成というものにもつながっていくということでございまして、思い切った投資というものがなされねばならないということが、当然要請されると思うわけでございます。 最近のデータを調べてみますると、日本におきましては、国民総生産に占める公教育費の比率、これは全部含めてでございますけれども、昭和三十八年が四・一%、三十九年が四・一%、四十年が四・二%ということでございますが、四十年を境といたしまして四十一年が四・一%、それから四十二年が四・〇%、四十三年、四十四年がまだ出ておりません。しかし、おそらく私は、この比率というものは大体同じようか、あるいは少しぐらいは下がってくるんじゃなかろうかと思うわけでございます。四十年までの十年間を考えますと、かなり日本は高い水準にあったと思うのでございますが、四十年以降多少この点が下がりつつある。ここでやはり思い切ってこれをふやしていくという努力がなされなければならないというふうに思うわけでございます。 試みに、ほかの国を考えてみますると、アメリカにおきましては、昭和三十八年が四・五%、三十九年が四・六%、四十年が四・九%、四十一年が四・八%というふうになっております。イギリスが四・七%、これは昭和三十八年でございます。それが四十年で五・〇%、フランスが、昭和三十八年が三・二%でございましたけれども、四十一年が三・五%。西ドイツが、昭和三十八年に三・一%でございましたが、四十一年に三・六%。ヨーロッパ諸国におきましてはかなりおくれておったと思うのでございますが、やはり教育費の総生産に占める比率というものが社会の発展に非常に寄与するということが新たに認識をされまして、最近はイギリス、フランス、ドイツは非常な意欲を持ちまして、また計画的にこれを進めておるということでございます。特にフランスなんかは、いま四十一年までのデータを申し上げましたけれども、その後の傾向から申しますと、かなりのスピードアップをしておるように思うわけでございます。 そういうようなことを考えますと、やはり日本におきましても、今後長期教育計画というものを立てまして、それに財政支出の裏づけをしていくという試みがなされなければならないというふうに思います。ところが、残念ながらまだ詳しい、こまかいデータというものをわれわれは持ち合わせておらないわけでございまして、中教審が五月の末に中間報告をいたしますけれども、さらに一年かけまして、来年の五月ごろまでに長期教育計画、そしていま御指摘のようなGNPに対しまして何%くらいは今後考えていかなければならないのかということを、財政の裏づけ等をもあわせまして、数量的な計算をいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
○新井委員 今回のこの私学振興財団を設立するにあたりまして、文部大臣は、これは私学については私学救済であるか、もしくは私学振興であるか、こういうことがよく論じられておるわけでありますけれども、たぶん私学振興である、このようにおっしゃると思いますけれども、この金額によれば、救済でしかあり得なかった、要するに、自分の意思としては振興のつもりであったけれども、その金額の高によって、実際には救済でしかあり得なかった、このようになるのではないかと思うのでありますけれども、そういうことについてお聞かせ願いたいと思います。
○坂田国務大臣 今日まで、私学に対しまして人件費をも含む助成というものが、全然なされておらないわけでございます。したがいまして、ものの考え方として、やはり私学に対しても助成をしなければ、結局学生たちの授業料や納付金があまりにも高くなって、大学教育を受けようと思ってもとうてい受けられないというような状況に追い込まれてしまっておるわけでございまして、明治以来の、私学は私学、そして私学の独立採算と申しますか、そういう形でやっていけばいいのだというようなものの考え方が、そうではなくて、やはり私学の果たしております社会的な貢献ということを考えれば、もう国立も私立も変わらないのだというような考え方に変わっておるわけでございまして、どうしても私学に学ぼうとしております学生の教育と研究というものを向上させるということを考えます以上は、この際思い切って明治以来のものの考え方というものを改めて、そして私学に対しても相当思い切った助成をしなければならないということで、本年度予算からこれを実行しようということで踏み切ったわけでございます。したがいまして、それはまさにまだ百三十二億数千万円でございまして、医学、歯学につきましては本務職員の三分の一、あるいは理工系につきましては五分の一、そしてその他の文科、人文社会につきましては十分の一ということでございますが、しかし、これは一つの私学振興の芽でございまして、これから一応のめどとしましては、本務教員の半分くらいまではどうしても国費をつぎ込まなければならない、あるいはさらに研究施設や設備等につきましても考えていかなければならないということが要請されてくる。これでもってすべてであるというふうに申すならば、まさに救済的なということばに当てはまると思いますけれども、これは私学振興の一つの芽である、こうお考えいただいて、ひとつ御了承賜わりたい。これをともどもにわれわれが努力することによって、充実した経営がやれるように、また同時に私学における教育、研究というものが質的発展ができるようにという願いが込められておるというふうに、御理解賜わりたいと考えておるわけでございます。
○新井委員 過去の私学の歴史というものを振り返りました場合に、明治以来、私学というのは官学の補足である、わき役だという考え方が非常に持たれていたように文献等に残っておりますけれども、昭和二十年まで二十四の私大に対して合計四百五十二万円の補助金しか出されていない。また、それから設立された大学に対して一大学当たり二十五万円の補助を十年間にわたって均等割りで交付してきたというような、いままでは非常に申しわけ程度の援助しかされておらなかったわけであります。現在においても、国立の学生一人当たり平均約八十万円、それに対して私学の学生一人当たり一万円足らず、こういうような約八十分の一でしかないというようなことでありますけれども、それが現在の私大のマンモス化、または質の低下であるとか、そういうような現状というものを招いてきた。そのことは、大正七年から現在まで五十一年間にわたって、日本に大学政策といいますか、そういうものが基本的にやはり欠除していたんじゃないか。それは認められた上で、こういう財団を一歩前進のために出されているのか。いままではいままでとしてあれはあれでよかったのだけれども、今後は状況も変わってきたということで、そういう対応能力が非常に問題になるので、今度から救済しなければいけないと見ておられるのか、その点はどういうようにお考えでしょう。
○坂田国務大臣 その点は、やはり戦前と戦後というのは、非常に違うんじゃないかと思います。戦前におきましては、大学に入る人というものは、限られた人であるわけです。しかし、戦後はそうではなくて、大学に入る量というものが非常に拡大をしてきたということでございまして、戦前でございますと、ちょうど中学校に在籍しておる数と今日の大学に入っておる数、またそのパーセンテージが大体匹敵をするということであったかと思うわけであります。しかし、戦前におきましては、国立の果たします役割りというものを補うために私立大学があったというふうにいまちょっとお話がございましたけれども、私は、そうではなくて、私立は私立として、むしろ国立にはできないような特徴ある大学をつくったというのが、やはり設立の趣旨ではなかったかと思いますし、戦前における私立大学というものは、そういうような意気込みとそれからやはり建学の精神というものを貫いてきておる、そしてそれがまた日本の社会の発展のために大きく貢献をしてきた、私はかように思うわけでございます。ところが、戦後の学制改革におきまして、新制大学というものができまして、それから大学設置基準というものができた。そういたしますと、学生の量的拡大とともに、もうなかなか私学の基金や寄付金だけで、しかも国立、公立と同じような授業料や納付金ではまかない切れないというような状況に変わってきた。変わってきた原因は何かというならば、一つには量的拡大、一つには一人当たりの学生を教育、研究させるについての費用が非常に大きくなってきたという変化がある。つまり大学の変貌という、一口に申しますとそういうことが言えると思うのでございまして、やはり戦前と戦後を比べた場合は、そういうような違いがある。それからまた、新制大学が発足いたしましてから、大学設置基準という形でかなりこれが画一的にやられた。国立大学の場合だと、東京大学と京都大学とを地方大学が全部まねをする、右へならえするというような形において行なわれ、また私立大学におきましても、何か国立と肩を並べるというような形に実際の結果としてはなってしまった。したがって、私立大学の特徴がだんだん薄くなってきたのではないかということが、今日心配をされている、こういうことが思われるのでありまして、私は、逆に今度私学に対する経常費助成をやることによって、その質的充実を高めますと同時に、私立大学の建学の精神に基づいた非常に個性ある、特徴ある大学、国立大学ではやれないような特徴ある大学をつくってもらうことが非常に大事なことではないか、また、私立大学の社会に対する貢献の意味が、そこにあるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。
○新井委員 文部大臣の一言われることはよく了解するわけでありますけれども、この私立学校関係資料の中にいろいろとデータが出ておりまして、現在に至って、たとえて言いますと、学校数が、国立が七十五校、私立が二百七十校、公立が三十四校、在学者数におきまして、いつも言われていることでありますけれども、国立大学三十万、私立が百万、公立が五万、こういうように、ほとんど大学行政というものが私立におんぶをされているような状態になっている。それからそのおんぶされている上に、なおかつ私立の場合、教員の数が非常に少ない。また、教育・研究条件におきましても、教員一人当たり、私立の場合は三〇・三人、国立の場合は八・三人、公立が九・五人、こういうようなデータが出ております。それから大学の設置年度別表というのがございますけれども、これにおいても、国立は昭和二十三年から二十五年に新制大学が七十校できた。そのあと五校しかふえていない。ところが、私立の場合は、初めは百四校であったわけでありますけれども、二百七十四校、こういうわけで、この大学行政は、ほとんどがそれこそ私立によっていままで補われてきた。こういうような状態があるわけであります。そこで、私は、先ほど大学行政がなかったのではないか、要するに私学にまかせて、これだけの修学率が出るということがいままでつかめなかった、そのために文部大臣としても、そういう未来を見渡して、ほんとうに学問を受ける機会均等という立場から、多くの方々を安心して受け入れてあげることができなかった、こういうことが言われるのではないかと思うわけです。読売新聞にも一つのデータとして出ておりますけれども、これは高等学校だと思うのですけれども、文部省で大体この程度高等学校に行くだろうという推計が、三十八年が六〇%、四十四年が七〇%といったことで、ずっと推計を文部省でされたようでありますけれども、現実には六六・八%、これが三十八年です。そこで六・八%まず初年度から違いが出ている。四十四年度に至っては、この七年間の推測でありますけれども、七九・四%、九・四%の違いが出ているわけです。したがいまして、先ほど文部大臣から、今後五カ年計画をもってがっちりした試案が出てくるのだというようなお話があったわけでありますけれども、よほどこれは文部大臣としても腹をくくって、私学に対して、全面的に私学振興のために助成を惜しまない、こういうような抜本的な考え方に立たないと、これはまた中途はんぱになってしまうのではないか、このように感ずるわけであります。基本的に文部大臣は、この大学教育というものが大体国家で行なうべきものか、それとも私学で行なうべきものか。まあこれはいろいろとり方がありますので、国家で行なうといっても、全部を国立大学並みにしてやるのかということから、要するに金は出すけれども口は出さないということで、財政的には国家が援助をしてあげて、授業料の格差であるとかまた教員のアンバランスであるとか、そういうようなものを補っていく、こういうことがあると思うのですけれども、そういうことについては、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○坂田国務大臣 一国の教育制度というものは、その国の歴史あるいは沿革、伝統というものによってきまるものだと思うのでございます。たとえば大学について申し上げますと、イギリスは、ほとんど国立はございません、私立大学だけでございます。したがいまして、UGCを通じて八〇%に及ぶ国のお金が注ぎ込まれておる。またドイツとかあるいはフランスとかいうところは、これも沿革的に申しまして、国立でございます。それからアメリカは、日本でいう国立ではございませんけれども、それにかわるべきものとして州立大学というものが最近非常に大きい比率を占めておるし、それから私立大学というものが大きい比率を占めておるということかと思うわけでございます。日本は、先ほど申しますように、明治以来、国立大学と私立大学と両方相まって社会に貢献をしてきたということかと思うのでございますが、これから先どうするかということについて、私はやはりこの日本の沿革というものは尊重さるべきことである、やはり国立は国立としての、あるいは公立は公立としての役割りを持ち、また私立は私立としての役割りを持つ、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、教育条件におきましては、いま御指摘になりましたとおりに、国立におきましては大体一教官当たり学生数が八人、しかし、私立大学においては一教官当たり三十人、こういうような状況。あるいはまた施設設備等におきましても、国立、公立のほうがはるかに高い。しかし、実際国立及び私立の社会に対する貢献度というものを考えた場合、ことにその量的な面におきましては、片方は国立は三十万、私立は百万ということを考えました場合には、どうしてもやはり教育条件の向上といいますか、整備といいますか、そういうことが考えられなければならない。しかし、今日の段階では、もはや授業料あるいは納付金の限界点に達しておるわけでございまして、これはどうしても国として相当な費用を思い切ってこれに注ぎ込まなければ、この百万の私立大学の学生たちの教育、研究というものを充実する、つまり質的向上をはかることはできない、こう私は考えるわけであります。アメリカのような富める国におきましても、今日では、もはや一財閥、カーネギーとかロックフェラーとかあるいはフォードとかいうような基金だけでは、もうとてもそのお金をまかなうことはできないということでございまして、連邦政府それ自身が四十数%もお金を注ぎ込んでおる。こういう実態を考えましたときに、先ほど先生がおっしゃいますように、現在、三十万の国立大学の学生一人当たりに対しましては、八十万も使っておる。ところが、百万の私立大学の学生一人には、一万円以下である、財政投融資を含めましても二万七、八千円であるということは、いかにもこれはおかしいということでございまして、どうしてもこれは思い切った私学援助の道を開かなければならないというのが、私の考えでございます。いま、その意味合いにおきまして、昭和四十五年度から私学助成の道を開いたわけでございます。
○新井委員 ただいまお話がありましたけれども、国が教育をするのか、それとも国家が責任を持つのか、それとも私学にまかせるのか、こういう問題についていろいろの考えがあるということは先ほど申したとおりでありますけれども、今後の教育というものは、先ほど申しましたように、二〇%から三〇%になってくる。それに対して、私学のほうがまたいろいろ少なからず苦労されて、それを受け入れていかなければならない。もちろん国立のほうとしてもいろいろの努力はされると思いますけれども、やはりそのときに、先ほどもお話がありましたように、教員の数であるとか、授業料の差であるとか、そういう格差があまりにもあり過ぎるということは、今後はあってはならないのじゃないか。したがって、この私学振興財団をつくるにあたって、そういうものは基本的になくしていくんだ、現在のところ二分の一ということがどこら辺を意味するのか、私どもちょっとわからないのですけれども、まずそういうものをなくすという基本方針、それがあって初めて具体的ないろいろの内容の検討というものが行なわれるのではないか、このように思うわけであります。そういうわけでいまは、さっきも基本的にお聞きしたのですけれども、私学振興か救済かといいますと、どうも話のニュアンスとして、救済的な、ここで補わなければこれ以上はどうしようもないのだというような一つのとり方が、どうしても私にあるわけでありますけれども、その点についてもう一度、簡単でけっこうですから、明快なる答弁をひとつお願いしたいと思います。
○坂田国務大臣 出発点といたしましては、もうどうにもならないような状況に追い込まれてきたということは言えると思うのでございますけれども、私たちが目ざしますことは、やはり一学生当たりの費用のうちで、半分は国が見ていく、半分はその私立大学が持つ、私立大学の基金や、寄付金や、あるいは授業料や、あるいはまた納付金によってまかなっていくということが、一応のめどだというふうに考えておるわけであります。それで、国立大学の役割りというものと私立大学の役割りというものとあるわけでございまして、やはり国立大学にはないような個性ある大学をひとつぜひともつくっていただきたい。また、そのことに私立大学の意味があるのではなかろうか、まあかように考える次第であります。
○新井委員 今回のこの財団の設立にあたりまして、人件費補助ということが非常に問題になっておりますが、放漫経営といいますか、私立大学というものがあまりにも規模が大きくなり過ぎたために、やはりその経常手腕によっていい先生も集まるし、なかなかみごとな経営をやっている、その経営の結果がまたりっぱな教育を生むというようなことも、比較的重要な部門としてあるようでありますけれども、こういう事務職員に対する補助、これは直接には教育には関係ないようでありますけれども、やはり私学の場合には、経営ということから考えまして、その経営がまた大きく教育の成果というものをあらわしてまいるわけでありますけれども、今後こういう職員に対しても人件費の助成をするというようなことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○岩間政府委員 先生の御指摘になりますように、確かに私学の事務職員の陣容というものは、非常に貧弱でございます。それがひいては経営に影響があるという点も、御指摘のとおりだと思います。しかし、先ほど来大臣が申し上げておりますように、このたびの助成は、私学の教育、研究の内容の充実ということをまず主眼に置きまして考えたものでございますから、人件費のとっかかりとしては、やはり教員、特に本務教員の充実というものを第一に考えましてこれに着手したわけでございます。御指摘のとおり、私学の側からも、そういうものについての補助というものも非常に強い期待がございますので、今後十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
○新井委員 このたびの私学財団法を適用するにあたりまして、私学側に求める条件の中に、紛争校の除外であるとか、そういうようないろいろな除外をするべきことがいわれておるわけでありますけれども、この紛争校の除外ということは私たちよくわかるわけでありますけれども、紛争の起こっておる原因が、基本的には、非常に経営が苦しいために授業料の値上げをする、したがって、その値上げ反対のために紛争を起こしているとか、それからもう一つは、ごく一部の者たちでもってその紛争が行なわれていて、それには左右されておっても、ほとんど教員並びに学生はがっちり勉強していこうというように非常に健全である、そういうような場合もいろいろ出てくると思うのですけれども、そういうようなこまかい一つの問題ですね、そういうことに対してもやはり考慮をされていくのかどうか。そういう点をちょっとお答えしていただきたいと思います。
○岩間政府委員 紛争校の定義でございますけれども、これは先般の大学立法等においても明らかになっておりますように、実質的に教育とか研究が阻害されている、そういう状態を私ども一応考えておるわけでございます。今度の補助金につきましても、やはり教育、研究の内容の充実という点が主眼でございますので、実際に紛争によって教育が行なわれておらない、あるいは研究が阻害されておる、あるいは紛争によってせっかく補助金の対象となりました器物が破壊されるおそれがあるというふうな場合に、国費を投じて援助をするということは、まあ事実問題としてこれはいかがかということが主体でございまして、紛争をやっているからけしからぬので、それに対する報復措置として補助金をやらないというふうなことではございません。
○新井委員 私学法改正をこの附則の中でうたっておるわけでありますけれども、この財団法案の附則で私学法改正をうたったという理由は、どういうことなんでしょう。
○岩間政府委員 このたび財団法の提出をいたしました理由といたしましては、今度新しく人件費を含めます経常費の大幅な助成を行なうということでございまして、その実際の交付をこれは財団におまかせするということでございます。またそのほか、寄付金を集めまして、あるいは管理し、これを交付するというふうな、非常に質的に新しい業務が加わったわけでございます。そこで、従来の振興会法を改めまして、新しく法律を提出したわけでございますけれども、そういうふうな新しい非常に画期的な経常費の補助を行なうというのにあたりまして、それに伴って必要最小限度の私学法の改正をするということで、従来からも法律を制定いたしました場合には、その法律の内容に応じまして、必要な限度においてほかの法律を改正するということはあり得るわけでございます。今度の経常費の補助金を財団が交付するにあたりまして、交付の基準はいろいろあると思いますけれども、その中で最小限度確保していただきたいと思っておりますのは、経理の公正な運営ということ、それから教育条件や研究条件を著しく落とす場合には、これは補助金の対象とならないということを明らかにする必要があると考えまして、私学法の一部改正を盛り込んだわけでございます。
○新井委員 これは私がしろうと考えかもわかりませんけれども、少なくとも私学法改正という問題は、これは大きな問題である、このように思うわけです。附則の定義ということが問題になるわけでありますけれども、確かに法律の改正をうたってもいいことになっておりますけれども、その場合に、私学法の一部を改正する、こういうぐあいに附則にうたって、やはり私学法の改正そのものについては、これは大きな影響を及ぼすわけでありますから、別の法案として討議されるべきではないのか。確かにこの私学振興財団法による私学における利益と申しますか、恩恵と申しますか、そういうものは非常なものであると思うわけでありますから、それに伴っての私学法の改正というのは、その陰に隠れてしまうのじゃないか。したがって、金は出すけれども口は出さない、こう言いながら、そういうところはやはり明らかにしていったほうが、よりはっきりしていくのじゃないか、そういう問題が。このように考えるわけでありますけれども、そういう点についてはいかがでしょうか。
○岩間政府委員 仰せのようなお気持ちは、私はごもっともだと思うわけでございます。私学法の改正は、非常に重要な問題でございますから、これは特別に扱うべきだというふうなことは、気持ちはわかるわけでございますけれども、このたびの改正は、私学法の考え方を根本的に改正しようということではございません。私学法のたてまえは、あくまでもノーコントロールということでございまして、そのたてまえをくずさない範囲でこのたびの人件費を含む経常費の補助、それに関連しまして私学法の必要な部分を最小限度改正したいというふうなつもりでございます。私学法の改正につきましては、いろいろ御意見のあるところでございますけれども、その点につきましては、この法案の関連におきまして、いろいろ御意見を賜わっておるところでございまして、私どもも、運用につきましては格別に留意をしたいということを申し上げておるわけでございます。
○新井委員 そうしますと、これは確認のためにもう一度お伺いしておくのですけれども、この私学法の一部改正は、あくまでも財団からいろいろ補助を受けたとか、援助をされたとか、そういうような関係したところだけに適用されるということは、絶対間違いないわけでございますね。
○岩間政府委員 仰せのとおりでございます。
○新井委員 私学法五十九条には、現在助成ができるという非常に消極的な条文がうたってあるわけでありますけれども、これを今後国が積極的に助成をすべきである、こういうような時期に入ったと思うのであります。したがいまして、この私学法五十九条の助成できるというのを、国が助成をせねばならぬ、こういうように変えていったらいかがかと思うわけでありますけれども、そういう点でのお考えを聞かしていただきたいと思います。
○岩間政府委員 このたびの私学法の改正は、これは先ほど申し上げましたように、まあ経常費の補助に関連した部分に限られておるわけでございます。私学に対する助成をどういうふうに行なっていかなければいかぬかという問題につきましては、これは私学が他の学校との関連においてどういうふうな地位を占めるかというような基本的な問題と関連するわけでございまして、そういうふうな点につきましては、ただいま中央教育審議会におきましていろいろ御検討をいただいておるところでございます。私ども、そういうふうな私学の立場というものが明らかになりました場合には、できましたら私学法の全面的な検討というふうなものも行なわれてしかるべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○新井委員 私は、なぜそのようなことを申しますかというと、金は出すけれども口も出すというような必配があるというようなこともありますし、また当然今後強力なる助成というものをしていかなければならない、こういうことであるわけでありますけれども、こういう私学助成ということをそこに義務づけるということによって、かえって私学の自主性であるとかまたは独自性を侵すという心配がなくなってくるのではないか。すなわちノー・コントロールで、そして自由に私学のいいところを取り上げて、どんどんその教育の振興をはかっていただける、こういうことになるのではないか。私学に金を出すというのは、現在においては当然である、私はこういうような考えの上に立っての話でありますけれども、そういうことが必要でないか、こういうことをお伺いしたわけであります。 もう一つ、さっきのお話に戻るかもわかりませんが、国が私学に補助をする、その限界というものがどこまでを限界とするのか、これも少し論議がされておったようでありますけれども、もう一度この点をお聞かせ願いたいと思います。
○岩間政府委員 その問題につきましても、やはりこれは中央教育審議会で基本的には御検討願わなければならないことでございますけれども、私どもが当面今度の助成を始めるにあたりまして考えました点は、いまのところ、大学に学ぶ者と申しますのは全国民の二割でございます。これは多いとも言えますし、また国民の中ではわずかな人数とも言えると思います。そういう人たちが大学に参ります場合に、これは父兄から考えますと、一つには子弟を大学にやりたいというふうな個人的な理由がやはり半分ぐらいあるのじゃないか。それからもう一つは、そういう子弟を大学に学ばせるに際しましては、これは社会のためになってほしいという願望が半分あるのじゃないか。事実大学を卒業しました者は、社会に対しまして非常に貢献をしておるという点は認めてよろしいのじゃないかと考えておるわけでございます。そういうふうなことを前提に置きますと、私学に行きます場合には、半分は、個人のためというふうに考えまして父兄がその経費を負担していただくのが一つの考えじゃないか。しかし、少なくとも残りの半分につきましては、これは社会に還元されるものだというふうな考え方をしてよろしいのじゃないかというふうなことで、教育費につきましては二分の一、それから研究費につきましては、これは大部分が社会に還元されているという意味から申しまして、教育にはね返る分を考えまして、三分の二までは国のほうで助成してよろしいのじゃないか、つまり国民の税金を使っても、やはり社会に還元するという意味で御納得いただけるのじゃないかということを一応前提に置いてあるわけでございます。そういう意味から申しまして、一応の目標を二分の一あるいは三分の二に置いたということでございまして、この点につきましては、私どもの一応の考え方でございまして、いろいろと御批判をいただき、それにつきまして今後考え方をまとめていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○新井委員 補助をどこまでするか、二分の一また三分の二というお話もありましたけれども、それについては議論はあとにするといたしまして、国が私学に補助をする限界というものが、どういう立場で聞いているかと申しますと、たとえて申しますと、国の費用で一〇〇%私学を補った場合に、これは私学の独自性がなくなってくるのか。要するに、私学への介入という問題ですね、金は出すけれども口は出さないということが守られていく、こういうことが、私学に対する補助率と私学への介入という相関関係というものが、何かあるのじゃないかと思われるわけですけれども、極端に言えば、今後私学に対する助成が一〇〇%もしなされるようになった場合においても、私学の独立性、それこそ自由にいままでどおりやっていけるのだ、こういうような考え方でよろしいでしょうか。
○坂田国務大臣 先ほど私からお答えを申し上げましたように、たとえばイギリスのごときは、大学はほとんど私立大学でございますけれども、これがユニバーシティー・グラント・コミッティの権威ある配分と申しますか、そういう形で、私学の自主性はそこなわないでちゃんとやっておるという例も実はあるわけであります。したがいまして、これはやりようによってはできることだというふうに思います。しかし、私といたしましては、日本ではやはり国立は国立なりの意味を持ってきたし、また私立は私立なりの意味を持っておるから、やはり両建てでいったほうがいいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、私立大学に対してどの程度援助していくのがいいかということは、今後の重要な課題であるし、これは中教審も検討します、私たちもこれに対して十分いろいろな面から検討してまいりたい、かように考えておる次第であります。
○新井委員 その点はよく検討していただくことにいたしまして、改正案の中でその変更、中止を勧告できるという条文がございまして、現在定員の二倍ないし三倍、何か特別なところでそういうような例もあったようでありますが、また入学時の点数によって寄付金もふえる、それからまた脱税がある、そういった私大のいろいろな問題があるわけでありますけれども、そういうところに補助することは不合理である、こういうことで、これはもう納税者の、素朴な国民の声であると思いますけれども、一面文部省はある程度の水増しというものを現在においては認めてきた、黙殺をしてきたというぐあいに私は思うのでありますが、その場合にこの変更、中止も勧告できる、それだけの補助をあげるから水増しがあってはいけない、そういうことになると思うのですけれども、そのために授業料もいままでよりは非常に高くなってくる、それからまた寄付金等も上がってくる、こういうことで逆に苦しくなってくるような場合もあると思うわけです。そういう矛盾といいますか、そういうものについて、どのようにお考え、対処されていくのか、それをお伺いしたいと思います。
○坂田国務大臣 一面におきまして、私学助成というものがやられる場合は、あくまでも血税でございますから、この経理につきましてこれを国民の前に明らかにするということは、当然だと私は思うわけでございます。イギリスのUGCの場合におきましても、最近、これは一九六八年でございますけれども、会計検査院が検査するということに改正されたのでございます。いま御指摘の点につきましては、いままでの日本における私学の実情から考えまして、非常に厳格に解釈すれば、いろいろこれは問題があろうかと思います。しかし、経過的な意味合いにおきまして、十分柔軟な対処のしかたをしていかなければいかぬのじゃないか。しかしながら、常識を逸するような、だれが見てもそれはむちゃくちゃだと言われるようなことに対して何らの規制の措置がないということは、これまた私立大学としての社会的責任を果たすことにもなりませんし、監督庁としての文部大臣といたしまして、国民に対して責任を負っておる者としてはよろしくないのではなかろうかということでございまして、この条項があるわけでございますが、しばらくの間は、やはりこの点につきましては実情に即した運用をはかってまいらなければならないというふうに考えるわけでございます。また、こういうような助成の道を開いたからといって、直ちに教育の内容とか、あるいは大学の自主性をおかすような、人事権にまで一々われわれがくちばしを入れるというようなことは、慎まなければならないことだというふうに考えるわけでございまして、むしろ私学自身がほんとうに建学の精神にのっとった特徴ある大学、国立大学に見られないような創意くふうをこらした大学としてよみがえるということを、私は期待をいたしておる次第でございます。
○新井委員 その点も実行するにあたりましてはよく検討いただきたいと思うのでありますけれども、決してそういうことにおいてマイナス面がふえてくるようであってはならない、このように思うわけであります。 先ほどからいろいろお伺いしてまいったのですけれども、救済か振興かという考え方については、振興である。振興せねばならぬということを判断されたのは、やはり国公立に対しまして私学のそれだけのおくれがあるし、現状では今後やっていけないというような限界に来ている。そういうような格差もある。こういうことであったと思うわけです。そこで、今後私立と国立公立のレベルを上昇させる、そういう格差をなくす、それどころか、私立においては特にいいところを生かして、ますます教育の振興をはかっていただく、こういうことにいままでお答えいただいたと思うわけでありますが、国公私立の格差を是正する、そしてまた、すべての高等教育を充実、強化、振興するということについて、ただ単に人件費を半額まで補助をしたということだけでは解消できない問題が多々あると思うのですけれども、そういう具体案といいますか、全体的にそういう一つの目標に向かってこういう具体的な方策をしていくのだというようなことについて、何かございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○坂田国務大臣 詳しいことは管理局長からお答え申し上げたいと思いますけれども、今度の人件費、経常費助成の中におきましても、やはり学生の経費と申しますか、教育を受けるための費用、あるいはまた教官が研究するところの費用というものをも考えておるわけでございまして、ちょうど国立大学で申しますと、教官研究費あるいは学生経費というものにももちろん助成をする。それから、さらに理科設備、研究設備等に対しましても、やはり充実をしていかなければならぬ。また、それに対して助成していかなければならないというふうに考えております。ただいまのところは、従前のそのような項目に対しまして八%増であるとか、あるいは一〇%増であるとかいうような形で機械的に増額をして私学の援助をしてまいったわけでございますけれども、これから先はもう少しやはり計画的に、また私学側の要請にこたえるような形において、そういった面についても充実していかなければならないというふうに考えます。あるいはまた、育英資金等につきましても、これは国公私立を問わず、一定の基準によってこれがなされておるわけでございます。したがいまして、実際の結果といたしましては、国立が非常に多うございます。私立大学のほうは百万の学生、国立は三十万の学生でございますけれども、国立に対する育英会の資金と、それから私立に対する育英会の資金のパーセンテージから申しますと、はるかに国立のほうが多いわけでございますから、こういうような面も今後考えていかなければならない点ではないか。あるいはまた、同時に貸し付け金制度と申しますか、相当な中流以上の家庭におきましても、もし私立大学に学生を出しておる家庭というものは、かなり負担が重いわけでございまして、そういう意味から申しますと、アメリカあたりで行なわれておる貸し付け制度、これは公明党さんも非常にお考えになっておる一つの考え方でございますが、われわれもすでに検討をしておる問題でございます。したがいまして、これに対する調査費も今度の予算の中に織り込まれておるわけでございまして、来年度からはぜひともこの制度も実は実行をいたしたい、実現をはかりたい、かように考えておるわけでございます。
○新井委員 私学助成の原理というものは、教育を受ける権利の平等を保障する、こういうことをよくいわれておるわけでありますけれども、現在の私学というのは、平等な権利を受けられていない。そういうことで、その格差の是正についてはあらゆる方法においてそれを直していかなければならないと思うのですけれども、結局、今後そういう教育をどのような方向に持っていくべきかという一つの議論の中に、国公私立を廃止して高等教育は全部特殊法人にすべきである、こういうような理論があるわけでありますけれども、確かにこれもいろいろのことから調べていきますと、一つの理論として非常になるほどと思うところがあるわけでありますけれども、こういう問題について文部大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
○坂田国務大臣 この点につきましては、今度の大学改革の試案の中におきましても、特殊法人という考え方が出てまいっておるわけでございます。国立大学、あるいは私立大学、あるいは公立大学とあるけれども、その設置自体というものはこのままでいいかという議論があります。しかしながら、この試案にあらわれておりますものは、国立大学はすべて特殊法人にならなければならないというような考え方ではなくて、国立大学のうちでそういうような考え方をとるということも、一つの考え方ではないのか。国立大学として残るところについては、大学のことは大学だけにまかせろというような考え方ではなくて、第三者機関というようなものを設けることによって納税者である国民の意思を反映させるような学問の自由、大学の自治というようなものを考えられないか、どうなんだというような試案でございます。このことはまだまだ検討の余地があることでございますが、私といたしましては、まだまだそこまで――実はどれがいいというようなことに立ち至ってまで考え及んでおりません。しかしながら、基本的に考えますと、やはり日本の教育的土壌におきましては、国立と公立と私立というものがそれぞれあったほうがいいのではないだろうかというふうに思うわけでございます。
○新井委員 大蔵省の方に来ていただいておりますので、その問題を先にひとつお聞かせ願いたいと思います。 この財団法の中に「寄付金を募集し」ということがございますけれども、この「寄付金を募集し」というのが、非常に消極的にやられるのか、積極的にやられるのか、もしくはまたその寄付金自体が、目標が幾らかということがあってやられるのか、そういうようなことについては、どのようなお考えをされておるか、まずお聞かせを願いたいと思います。
○岩間政府委員 私学の財政を考えます場合に、いまのところまだ寄付命というものがかなりのウエートを占めておるということは言えると思います。そこで、従来から寄付金につきましてはいろいろな措置がされてきたわけでございますけれども、ともかくあまり集まりがよろしくないというふうなことでございまして、昭和四十二年度の決算を見ましても、全体としまして大学では百六十四億というふうな金額でございますが、これは全体の七・四%くらいに当たっておると思います。しかし、従来から私学の経営につきましては、学生の納付金と、それから寄付金と、それから国からの補助金、三つの内容で経営の内容を構成していったらどうかというふうな意見もございます。それからいままで過去を見ましても、寄付金の集め方がどうもあまり力が入らなかったというような面もございます。そういう点を考えまして、今度財団をつくりますにあたりまして、ドイツでも寄付金協会のようなものがございまして、そこで財界から寄付金を集めておるというふうな実態を考えまして、ひとつ財団で私学の経営の向上につきまして総合的にいろいろ手を打ってもらったらどうかということで、寄付金も今度の財団の仕事の一つの重要な仕事として取り上げた次第でございます。従来の計画と申しますと、私学振興会におきまして毎年二億五千万程度の目標を立てましてやっておりますが、四十三年度は五億七千万程度、かなり多額の寄付金が集まったのでございますけれども、四十四年度は一億数千万というふうな調子でございまして、計画まで達しなかったというのが実情でございます。しかし、財団がある程度親身になって力を入れまして、また大蔵省のほうでもそれに対する免税措置というものを考慮していただきますならば、私はある程度期待できるのじゃないかというふうに考えている次第であります。
○新井委員 いま免税措置ということにつきましてお話がございましたけれども、やはり寄付金を集める場合において、免税措置というものが非常に問題になる。そこで、文部省としては、これは国に対する寄付金については全部免税措置になっていると思いますけれども、こういう私学に対する免税措置において、どのような要望を大蔵省当局にされているのか、そのことをまずお聞かせ願いたいと思います。
○岩間政府委員 昭和四十五年度の税制改正にあたりまして、私どもはまず、個人の学校法人に対する特定寄付金につきましては、控除の限度を、いま一五%が頭打ちになっていますけれども、それを三〇%に引き上げていただきたい。それから足切りと申しますけれども、下のほうの限度が現在三%あるいは十万円ということになっておりますけれども、これを一%あるいは五万円に引き下げていただきたい。それから法人税につきましては、私学振興財団に対してなされております寄付金につきましては、指定の要件を緩和していただきたい。これは使途の制限、それから期間の制限、それから公募の要件等につきまして制限がございますが、そういうものを緩和していただきたい。それから最後には、学校法人の収益事業につきまして、現在五〇%までは非課税ということになっていますが、これを全額非課税にしてもらえないだろうか、というふうな点を中心にしてお願いをいたしておるものでございます。
○新井委員 そこで、大蔵省の方にお聞かせ願いたいと思うのですけれども、いま文部省のほうから大蔵省のほうに対してこういうような要望が出ておると思いますけれども、この要望に対してどのような検討をされて、そして現在どのようになったかということをお聞かせ願いたいと思います。
○安井説明員 ただいま文部省のほうからお話がございました問題点につきましては、本年度の税制改正に際しましていろいろ検討をしたわけでございます。 その前にちょっと申し上げておきたいのでございますけれども、現在寄付金が税の上で損金扱いをされております態様というのは、法人の場合と個人の場合とで異なっております。 法人の場合には、カテゴリーが四つございまして、第一のカテゴリーが一般の寄付金でございますが、これは法人の規模あるいは所得の規模等に応じまして、一定の限度までは損金扱いがされているわけでございます。これが一般の寄付金と申しているものでございます。 それから法人の第二のカテゴリーが、先ほどちょっとお話がございました国または地方公共団体に対する指定寄付金であります。これも国または地方公共団体のたとえば国立学校等に寄付されるものも、これは制限なしに損金算入が認められているわけでございます。 それから三番目が、いわゆる指定寄付金と称されているものでありまして、教育または科学の振興、あるいは文化の向上、社会福祉への貢献、また公益の増進に寄与するための支出で、緊急を要するものに充てられることが確実であるようなもの、これにつきましては、大蔵大臣が個別に指定をいたしまして、損金経理を認めるという形に いたしております。 第四番目が、俗に私ども試験研究法人と申しておりますけれども、学校法人あるいは試験、研究を行なうことを主たる目的とする法人につきましては、第一番目に申し上げました一般の寄付金のワクの範囲内、ワクの範囲と同じ別ワクになるわけでございますが、一般の寄付金に対しまして損金が認められておりますワクの別ワク相当額までは損金経理を認めるというのが、法人に対しますところの寄付金の取り扱いでございます。具体的な数字は、先ほど文部省のほうから、四十二年度全部で百六十四億というお話があったようでございますが、これはおそらく国立学校も含めてだろうと思います。 いま申し上げました四つのカテゴリーにつきまして法人の寄付金の状況を申し上げてみますと、まず寄付金の損金算入が認められる限度、つまり第一のカテゴリーの一般の寄付金の限度でございますが、四十三年度で、法人全体を通じて七百二十三億のワクがあるわけでありますが、これに対しまして寄付をされた法人で損金が認められておりますのが二百億でございまして、実は法人のほうは決してワクが足りないという議論ではないというのが第一の問題であります。 第二番目の、国または公共団体に対する寄付金でありますけれども、これが四十三年度で、法人で百二十一億の寄付をしておられます。これは学校法人も含めておりますし、その他のものも含んでおるわけでございます。この百二十一億というのは、国、地方公共団体に対する寄付金といまの指定寄付金と合わせまして、合計が百二十一億でございます。内訳につきましては後ほど申し上げます。 第三番目の試験研究法人の寄付金、この中には学校法人に対する寄付金、これは経常費でもよろしいという寄付金になっておるわけでございますけれども、ワクが先ほど申し上げました七百二十三億あるわけでございますけれども、現実に寄付をされておりますのは三十七億でございます。七百二十三億に対して三十七億の寄付が行なわれているというような状況でございます。その中で、先生問題にされております第三の指定寄付金でございますが、四十三年度あるいは四十四年度は多少指定寄付金の御要請がありましたものも少なくなっておりまして、私どもが指定いたしました金額が少のうございますが、四十二年度の数字を申し上げますと、指定をいたしました指定寄付金の合計額が百三十七億でございます。百三十七億に対しまして、私立学校の振興というものに対しましての指定をいたしましたのが六十九億でございまして、全体の指定寄付金の半分は私立学校の振興に対しますところの寄付の指定になっております。ところが、六十九億を指定をいたしまして、現在まで三年経過をいたしておるわけでありますけれども、集められた資金は十九億でありまして、達成率は三五%と、四割にも満たないというのが現状でございます。これが法人関係でございます。 二番目の個人の問題でございますが、先ほど文部省の方のほうからもお話がございましたが、いま申し上げました法人関係の寄付金のうちの第一番目に申し上げました一般の寄付金を除きまして、第二から第四までのカテゴリーに属するものは、個人の場合に特定寄付金として寄付金の対象になるわけでございます。具体的には国または地方公共団体に対する寄付金、これは国立学校のものを含むわけでございますが、第二番目は、いわゆる指定寄付金、いまの私立学校関係、これは私立学校振興会のものも含みます。第三番目が試験研究法人、これも中には学校法人も入りますし、私立学校振興会も入れてあるわけでございます。この三つのカテゴリーに属するものにつきましては、特定寄付といたしまして、個人の所得税の申告上控除が認められるという形になっております。これがワクがございまして、野方図に寄付金を認めるのもバランス上いかがかということで、最高限が個人の所得の一五%が頭打ちになっております。それから足切りと申しまして、一番低い、つまりあまり小さな寄付金まで一々寄付の対象にするのはどうかということで、足切りいたしておりますのが所得の三%、その三%が十万円をこえるときは十万円でよろしいということにいたしているわけでございまして、具体的に申しますと、五百万円の所得のある人が七十五万円の寄付をした。七十五万円といいますと、ちょうど一五%になるわけです。七十五万円の寄付をしますと、それから十万円を引きました六十五万円が、この寄付金控除の対象になるという形になっているわけでございます。 ところが、個人のこういう制度があるわけでございますけれども、これは学校法人等に御寄付をいただければ控除されるわけでありますけれども、四十三年度の実績は、申告なされた納税者の方が三百九十万人おられるわけでありますけれども、寄付金控除の申告をされた方は三千九百人でありまして、比率にいたしますと一%にも満たない方だという状況でございます。この三千九百人は、多少給与所得だけ持っておられる方が税金を返してくれという申告をなさった分が別にありはしないかと思いますけれども、大体三千九百人程度で間違いはなかろうと思います。 いま長々と申し上げて恐縮だったわけでありますけれども、このような状況で、文部省のほうから御要請がございましていろいろ検討したわけでございます。たとえば、個人の寄付金につきまして、足切りの限度額を下げるとか上げるとかという話の前に、わずか三千九百人しか行なわれていないというところにむしろ問題があるわけで、税制がシビアなんではなくて、個人なり法人のさいふのほうがどうもシビアであるという感じを私ども受けるわけでありまして、もう少しそちらのほうが進みましたときに、私ども、いま申し上げましたように、学校関係、教育関係に対する寄付は、最も優遇といいますか、税制の上でも国民の最も納得を得られるものだと考えております、この寄付の対象を広げるということに異存はないのでございますけれども、どうも現実に行なわれていないところにやっておるのではないかということで、この法人関係についてはもう少し様子を見よう。と申しますのは、四十二年度にこの足切りを二十万円だったものを十万円に下げるという改正をいたしておりますので、その辺の様子を見たいというのが一つでございます。 それからもう一つは、いまお話がございました私立学校振興財団でございますが、それに関連いたしまして、私立学校振興会の場合には、一般の学校法人に対します寄付金と違いまして、一般の学校法人に対する寄付金の場合は、一々個別に大蔵大臣が指定をいたしまして、金額が幾らで、何に使って、いつまでの期間だけはよろしいという寄付を指定いたしますわけでございますけれども、私立学校振興会だけは、ここを通じて寄付をしていただければよろしいということから、包括的に私立学校振興会を通じられる寄付であればよろしいという告示も出してあるわけでございます。それが四十二年度で五千万円、四十三年度が五億七千五百万円、四十四年度が一億四千五百万円であります。ところが、これらはいずれも私立学校振興会にお渡しをして、私立学校振興のために一般にお使いくださいという金ではないのでございまして、個々の大学、個々の学校について、その寄付の窓口に私立学校振興会がなってほしいという寄付でございますので、私どもといたしまして、こういうものであれば、まあ学校の中にはいろいろな学校もあるわけでありますし、この指定寄付金というものが、先ほど申し上げました教育または科学の振興等、公益の増進に役立つということのほかに、一般に広く募集されるという要件が要るわけでございまして、個人的に自分がつくりました学校に寄付をしてしまうということだけでは、どうも寄付金というのは、御承知のようにその分だけ税が減るわけでありますから、一種の補助金であります、それを指定寄付金という形でするにはやはり公のコントロールがなければいかぬということで、いまの広く一般に募集されるという要件をつけているわけでありますが、それの適用を私立学校振興会についてもやっていただいているわけでございます。 今回のこの財団ができるにつきまして、だいぶ御議論がございまして、実は一月の自民党の税制調査会の改正大綱の中に、共同募金会を通じてする社会福祉のための寄付金とあわせまして、私学振興財団――このときはまだ仮称だったわけでありますが 私学振興財団に対する寄付金については、公正な配分審査機関を設けることを条件といたしまして指定寄付金の指定要件を緩和するということが、その税制改正大綱できめられたわけでございます。私どもも、この公正な配分審査機関というものが設けられれば、指定要件というものは緩和していいのではないか、かように考えておるわけでございまして、現在文部省のほうともお打ち合わせをしているのが現状でございます。
○新井委員 いろいろといま御説明をいただきましてよくわかったわけでありますけれども、この教育関係に対する寄付金と申しますのは、いまもお話のありましたように、いろいろケースがあると思います。大蔵委員会あたりでもこういう免税措置についてはいろいろと論議があるようでありますけれども、やはり私学の現状、そしてまた教育の重要性、そういういろいろな観点から、現在においては、確かにそういうワクがあってもワクだけきていないとか、いろいろなことがあるようでありますが、そういうことはワクを大きく取り過ぎて当然なことであって、よしんばそういうことにワクがあって、社会、公益事業に貢献もしていこう、お金を出そうというのに、ワクがあって、あなたの場合はワクにはずれたから幾ら幾ら税金が取られますというようなことがあったのでは、かえって問題であって、それは当然そうあっていただきたいと思うわけであります。いまも文部省のほうから、最後のほうの十万円を五万円に、一%にしていただきたいというようなあれがありますけれども、今後は、確かに多額な寄付金を出す方もいらっしゃるでしょうが、やはり多くの方々が教育に非常に熱意を持っていらっしゃる、そういう方々に参加をしていただけば、健全な教育行政というものが生まれてくるのではないか。したがって、その税制の考え方についても、そういう幅広いものをもっていかなければならないのではないかと私は考えるわけであります。この件について議論するつもりはございませんけれども、ひとつそういう点に立ってよく検討していただきたい、このようにお願いをいたしておきます。 最後に、もう一点だけ聞いておきたいのですが、今度の人件費補助にあたって、医科歯科系は三〇%、理科系は二〇%、それから人文社会は一〇%という傾斜がついております。こういう傾斜をつけたのは、一体どういうことでつけたのか、この辺がちょっとわからないのでお伺いしたいと思います。
○岩間政府委員 このたびの補助金は、毎度申し上げておりますように、教育、研究の向上という点が主体でございます。そういう意味から申しまして、教育、研究の面で一番弊害が出ていると申しますか、そういう弊害の著しいところは、財政的にも一番困っております医科系が一番弊害が出ておるのではないか。その次は理工系ではないか。そういうふうな経費の内容の分析を多少いたしまして、一番そこに力を入れなければ今後大きな弊害が出てくると思われるようなところを重点的に今度金額をふやしたということでございまして、将来はそれを同じように二分の一に持っていくというふうなことは、目標としては一応掲げてございますが、その間に多少傾斜をつけたというのが、理由でございます。
○新井委員 具体的な問題でお伺いするのですけれども、たとえていいますと、私が医科の教授であって、給料を十万円もらっている。その十万円の中で、三〇%の補助をするわけですから、三万円は国のほうから出る、あとの七万円は私学のほうから払う、こういうことになるわけですね。また人文系の教授であれば、十万円もらっていれば、一万円は国のほうから出るけれども、九万円は私学のほうが払う。こういう見方からすれば、別に給料がその分余分にいくというなら、たとえていいますと、研究費が非常にかかる、それからまた教授数が少ないために非常に過労におちいっている、そのために、あなたの場合は、本来ならば十万円の給料のところを十二万円上げましょう、したがって二〇%は余分に国からきているんだ、こういうなら話はわかるのでありますけれども、自分の給料のきまっている分について、国から出すときにそういう傾斜をつけて出すというその理由ですね。これは、いただく先生にすれば、おれはどうせ人文系なんだ、おれは一〇%の価値しかないんだ、たくさん余っているんだ。また医科歯科系は、おれは貴重品である、三〇%もくるんだ。実際に給料で、何にもないのにもかかわらず、そういうことで傾斜をつけるというのはどういうことなのかということを、もう一度ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○岩間政府委員 教育、研究に関しまして、たとえば教育、研究の向上ということを主眼にいたします場合には、教育、研究関係の設備費なりそれに関する費用というものを、本来ならばめんどうを見ればよろしいのか、これが一つの考えだろうと思いますけれども、実際問題として見ますと、人件費が毎年一割あるいはそれ以上上がっておるというふうな実態におきまして、教育研究費に幾ら国の補助金つぎ込みましても、教育、研究の充実には実際上は使われなくて、本来ならば教育、研究に使われるものが人件費のほうに流れてしまう。学生の納付金に限度があるとしますと、人件費が上がれば教育研究費のほうが減少をするというふうな事実があるわけでございます。そこで幾ら教育研究費に金をつぎ込んでも、教育、研究の向上にならない。むしろ人件費のほうの上がりをストップするということが必要ではないかということで、このたび人件費の上がり分につきまして一応国のほうで助成をしょう。つまり人件費のほうは心配しなくても教育、研究のほうに金がつぎ込めるというふうな状態にしたいということで、私どもは一応人件費のベースアップ分に相当するような一割というものを見れば、少なくとも文科系につきましては教育、研究に支障が起きないであろう。それから理工系につきましては、現在の経営の状態を見ますと、文科系に比べまして赤字の幅が非常に大きいわけでございます。そこで、そういうふうなものにつきましては傾斜をつけて、さらに人件費の二割までめんどうを見なければ、教育、研究のほうの費用が十分つぎ込めないだろう。あるいは医歯系については、三割までめんどうを見れば教育、研究のほうに金がつぎ込めるのじゃないか。そういうふうな考え方でございまして、文科系が事実上比較的楽な経営ができる。しかし、理工系、医歯系になりますと、非常に経営の面が苦しいということを考えて、そちらの面のめんどうを見なければ、教育、研究に幾ら補助金をつぎ込みましても、実際上効果はないんじゃないかということでございます。
○新井委員 そうしますと、この人件費のベースアップというのは、医科歯科系は非常に三〇%ぐらいベースアップがあるんだ、人文関係は一〇%ぐらいのベースアップしかないんだというような考え方なんですか。
○岩間政府委員 そうではございませんで、人文系のほうは、来年度のベースアップ分程度を見れば、教育、研究の向上がある程度はかれるんじゃないか。それから理工系につきましては、人件費の重圧というものはかなり大きいわけでございますから、かりに人件費の伸びが一割であるとしても、過去の人件費の負担というものをある程度考えてやらなければ、教育、研究のほうが伸びないんじゃないか。医歯系につきましても同様でございまして、過去の人件費の赤字と申しますか、超過負担の分を見てやらなければ、教育、研究のほうに十分力を注げないんじゃないか、そういうふうな考え方でございます。
○新井委員 私の考え方がちょっとおかしいのかもわかりませんけれども、要するに人件費を国のほうから一割補助するというわけですね。それに傾斜がいろいろついておるわけですけれども、その計算のしかたが傾斜がついてちょっと違うわけですけれども、基本的には人件費を補助する。その場合に、さっきも言ったように、何かその教授自体が非常に研究費が足らないからその分を余分に上げようとか、何かほかのことでお金が要るから余分に上げようといって余分に上げるなら、別にどうということはないわけですね。だけれども、自分の給与は変わらない。ところが、その中で国から出ておるものはあなたのほうは三〇%だというやり方よりも、やはりお金というのは私大が全部自分のところで受け取って、それを給料として払うと思うのですけれども、その場合に、私大としての台所は一切変わりはない。もらうほうも何も一切関係がない。そうして教育研究費とかそれから設備費については、当然やはりよそで補助したりいろいろしなければそれはできない。ところが、国のほうがそういう差別をして――それは一面わかるわけでありますけれども、出すときにやはり公平さというものがなければ、これは少しおかしいのじゃないか、こういうぐあいに思うわけです。その点について、もう一ぺんお伺いしたい。
○坂田国務大臣 実を申し上げますと、今度の三十二億何千万円というものを出すにつきましては、一応積算しまして、大蔵省とのやりとりの間におきまして一応そういうことでやったということでございまして、これから先どういうふうにやったほうがいいか、合理的にまた積算したほうがいいのか、そうしてそれを傾斜さしていったほうがいいのかということは、まさに私学振興財団をつくっていただきまして、そうしてそれから経営審議会で検討をしていただいてやっていこうという考え方でございまして、これからの課題であるというふうに御理解を賜わりたいと思います。
○新井委員 最後に。いまの件について、そういうぐあいにすれば非常にプラスになる、もらうほうも非常に自分を自覚してプラスになるというふうなことがあればけっこうでございますけれども、私の見た目においては、いまも言いましたように、私学に入るお金も別に変わりませんし、それから払われる給料も変わりはありません。ただ弊害が残るというだけで、いま文部大臣からお話がありましたけれども、そういう点についてもやはり公平さを保って、そうしてみんながそのために非常に私学振興のために力を出すというほうに向かっていただきたいと思います。 時間も参りましたので、また次の機会でも質問させていただくことにいたしまして、これで終わらしていただきます。
○八木委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十分開議
○八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 日本私学振興財団法案の質疑を続行いたします。川村継義君。
○川村委員 いままで各委員からいろいろ御質問がありましたので、できるだけ重複を避けねばならぬと思っておりますが、問題が問題でございますから、同じような問題に触れることもあるかもしれませんが、御答弁いただきたいと思うのです。私学のあり方の問題であるとか、あるいは私学が果たしてきたその役割りとか、私学の学問研究に大きな功績があったとか、あるいは現在の私学のいろいろかかえておる問題、こういう問題がたくさんありますから、実はそれらをこの際解明しておくこともまた大事だと思います。しかし、そういう問題、ずいぶん各委員から話も出ましたので、私は端的にこの法案に直接する問題を取り上げながらお尋ねをしてまいりたいと思います。 第一に、四十五年度の文部省のほうからいただいたこの私立学校関係資料の一五ページを見ますと、四十五年度私学振興関係予算一覧があります。この私学関係予算で、四十五年度新規に新しく立てられたものはどれどれなのか、これをまず局長からちょっとお聞かせいただきたい。
○岩間政府委員 従来ございました理科教育の設備に対する補助金、それからこれも従来ございました教育研究費に対する補助金、この二つを主としてまとめまして、このたび新しく人件費を含む経常費の補助金を創設いたしました。これが新しい補助金でございます。
○川村委員 大臣お聞きのとおり、四十五年度私学振興関係予算は、大学の経常費の中に人件費を含めるようにしたということだけが、いうならば新しいやり方であります。そこで、実はこの法案を見てみてそういう手だてをしておるのに私が第一に疑問を持っているのは、なぜ私学振興会、現在ある私学振興会ではいけないのか、なぜこの財団法に変えねばならないのか、これが実は疑問として頭の中にこびりついているわけです。そういう観点から二、三お尋ねいたしますが、この四十五年度のここへ並べられてある予算を見ると、私学振興財団の出資金、それから財投資金、これは私学財団の貸し付け金財源として渡される。ほかのこれだけの関係予算は、これら補助金なりは、全部私学財団に渡されて配分されるのですか、あるいは、でなくて、文部省がそれぞれ直接に大学やら高等学校に渡していくのですか、その辺の予算の流れ方を一つ説明いただきたい。
○岩間政府委員 このたび私学振興財団にお願いする補助金は、私学に対する人件費を含めた経常費の補助金でございまして、その他のものにつきましては、これは臨時的あるいは非常に特殊な補助金でございますので、これは文部省が従来どおり行なうというたてまえをとっております。このたびの新しい経常費の補助金は、これは私学におきましてその自主性を尊重してできるだけ使いやすくしていこうということもございますし、それからまた先ほど来申し上げておりますように、教育、研究の質的な向上というものを期待するという意味から申しまして、配分につきましては格段のくふう、あるいはその以前に十分な実態の調査等を行なう必要があるわけでございます。そういう仕事は、これは文部省でやるのにはいささか手に余る点もございますし、また公正な第三者的な機関で行なうほうが適当ではないか。これは大臣も申されておりましたように、イギリスの大学補助金委員会というふうなものも参考にしながら考えたやり方でございます。
○川村委員 そうすると、十億の出資金と財投の百六十億、これは財団の貸し付け財源として出ていく、財団に渡される。それから私立大学経常費補助百三十二億二千万、これも財団に渡される。それからその次の私立大学等の理科教育設備費補助の六億、これはどうなんですか、これも財団に渡されて各学校に配分をされるということになるのですか。
○岩間政府委員 従来理科教育の設備に対する補助金は、約三十億ございました。そのうちで新設の理工系の学部に対する補助金が六億程度ございまして、これは非常に特殊なものでございますし、従来どおり文部省のほうで配分をするということにいたしたわけでございます。
○川村委員 従来ともに、私立大学の経常費補助は、人件費を除いて行なわれておった。今度人件費がそこに入ってくる。理科教育の設備費も、これは大体文部省が握って配分をする。そうなりますと、わずかの人件費を配られるようになったから、それを財団の手を通して配分をしょう。しかもそれは経常費の中に含まっておる。それなのに、どうして従来の振興会の手でそれがやれないのか。皆さん方いままでいろいろ御答弁になっております。なぜ振興会でやれないのかということであります。皆さん方の答弁を聞いていると、いろいろこれから正しく運用するために、これから新しく組織改変をやる等の御意見はわかるのでありますけれども、どうもその辺のところをもう少し解明をしていただきたい。私は、私学振興会法、この法律を幾分か手直しすることによってでもこういう措置はやれたのではないか、どうして無理をして私学振興会をなくして財団に改組しなければならぬのか、その辺は私は非常に疑問に思っておるわけであります。そこで、まず振興会と財団の法人としての性格はどう違うのか、その辺をひとつ大臣から説明していただきたいと思います。
○岩間政府委員 非常に極端な言い方をして恐縮でございますけれども、従来の私学振興会と申しますのは、私学に対する貸し付け業務が主体でございます。そういう意味から申しますと一種の金融機関でございまして、私学に対する場合にも、はたして学校法人が返済能力があるかどうかというふうな点が非常に大きな問題として判定の一つの基準になるわけでございますけれども、このたびの補助金の配付、それから寄付金の募集、管理、交付というふうな点につきまして、従来と違いましたいろいろな業務を行なう。したがって、私立学校に対する財団自体の考え方も、従来の振興会とは根本的に、と申しますとちょっと語弊があるかもしれませんが、かなり大きな相違があるのではないか。私学と財団の関係が、私学に対して親身になって世話をし、相談に応ずるというふうな点が強調されてよろしいのではないかというふうな感じがするわけであります。
○坂田国務大臣 ちょっと補足して申し上げたいと思いますけれども、ただいま管理局長から申し上げましたとおりに、一応戦後私立大学に学ぼうとする学生数というものが非常に増加をいたしまして、これに対して新たなる施設、設備を急増しなければならぬというようなことがございまして、そのために貸し付けを行なう業務として私学振興会というものが出発をしたわけでございます。今回私どもが考えておりますことは、単にそうではなくて、いままで大学というならば、あたかも国立大学、公立大学だけが大学であって、そして私立大学は設置者たる私立大学がやっておるのだ、こういうようなものの考え方ということは、今日の大学の使命から考えてもう改められなければならない、こういうことで、私立であろうと公立であろうと国立であろうと、大学というふうに考えた場合は、ともにその社会的要請にこたえていかなければならないのだ。そのためには、やはり私立大学の教育条件と国立大学の教育条件というものにあまりにも格差があってはよろしくないし、授業料等についてもあまりにも格差がはなはだしく、私立大学においては能力的にも限度が来ておるというようなことを考えた場合には、もう国公私立を問わず、国としてその経費の一部を分担をしていかなければいけないのだ、こういう姿勢が初めて出てきたと申しますか、そういうようなことを考えたわけでございまして、その意味合いにおきまして、私学振興会という形ではこれはとらえられないのではないか。たとえば、実際上あるいはその道は開かれておるとは思いますけれども、従来の振興会におきましては、新たに増設する施設に対して貸し付けば行なわれますけれども、しかし、既設の大学においてそれを充実するというようなことについては、お金を貸すというようなことがなかなかできがたかったというようなこともございますが、教育の研究というものを充実していくということから考えるならば、そういうようなことに対しても道を開くべきではないかというふうに思いますし、また、新たにいま申し上げますような人件費の補助というものを明治以来初めて画期的にやるという、この姿勢が変わったということが、私学振興会から私学振興財団というふうに切りかえました大きな意味であるというふうに、私は考えておるわけでございます。
○川村委員 お気持ちはよくわかります。ただ、私が聞いておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、人件費を補助する。そうしていまお話のようないろいろな手だてをしていかなければならぬ。だから、振興会ではまずい、財団法をつくる、一口に言うならば、そういうことであります。しかし、私が言っておるのは、新しい施策が盛り込まれるならばそれに見合うように、ことばをかえて言うならば、財団法に規定をしたいような考え方で私学振興会の法律を手直ししてでも、振興会というもとでそういう仕事はやれるではないか。目的を見てもそこには「補助金の交付」というのが新しく入ってきておる。振興会の法律の目的にそういうものを入れる。そうしてあといろいろと規定されるようなものを振興会法に規定をして、その考えておられるような仕事を進めていくということもやれたのではないか。そこで、そういうような財団法に切りかえられていったということは、文部省がこれから私学を見ていく場合に、そこに相当ひもをつけて、権力的に介入をする意図が財団法に移り変わっていったのだ、こういうように勘ぐられる、これは非常に残念なことだと思うのです。そこで、私が言っておるのは、そういうことだから、振興会法の手直し等をやれたのではないか。法人というのだけれども、一体どこが違うのか。ことばをかえて言うならば、振興会がかりに民法上の財団であった――実際そうでないのですけれども、財団であった。それでは困るから、今度は特殊法人にする。その必要があればわかる。あるいは振興会が特殊法人であった。それでは困るから、今度は民法上の財団にする。そうしなければならぬというような理屈がつくならば、いまの私のような疑問は解消されると思うのです。ところが、これはいずれにしても財団として名がついても、民法上の財団ではないでしょう。特殊法人として扱うわけです。そこで、その辺の考え方から、文部省が私学をこれから先、いままで以上に人件費を渡すというそのことで縛っていこう、そういう手を伸ばしていくことになるのではないか、こういう疑惑を与えておる、そういう結果にもなったのではないか、こう思うわけです。先ほど局長のお話でしたけれども、どうもそういう点からすると、何かすっきりしない御答弁だと思いますよ。いま大臣が言われたように、私学に対する非常に熱心なる手だてをしなければならぬ、私立学校あるいは国立等々の差別をしてはいかぬとか、そういう思想的な背景はよくわかります。わかりますけれども、いま私が言っておるようなことから考えると、どうもその辺のところは、やはり財団に移して新しい法律で私学をぐっと握っていかせるように仕組んでおるのじゃないかと、ある方面から非常な疑惑を持って見られる結果になった、こういうことがいえるのじゃないか、こう思うのですね。大臣、もう一つ何かお考えがありましたら……。
○坂田国務大臣 その点は、全くそういう考えはございません。むしろこの私学財団をつくることによって、大業の自主性、それから私立学校の個性ある大学をつくっていただくことを実は念願いたしておるわけでございます。形式的に申し上げますならば、あるいは振興会を少し手を入れましてできないこともないと思いますけれども、簡単に人件費補助をやる、これに対して国の補助金を出すとおっしゃいますけれども、これは明治以来画期的なことでございまして、やはりこの際面目を一新するといいますか、私学に対する国としての姿勢を正すということ、むしろそれは、ともすれば文部省が一々何かコントロールするのじゃないかということを払拭する意味において、こういうようなきちんとした、やるべき仕事はちゃんとやる。しかし、もちろんお金を出すわけでございます、血税を払うわけでございますから、その辺については経理を明らかにして、国民に対して責任を果たせるようにしていただきたい、こういうことでございます。しかし、繰り返し申し上げますように、人事であるとかあるいはまた教育内容であるとかいうようなことに対して、われわれがことさらに介入をしようというような気持ちはさらさらないということを申し上げたいのであります。同時にしかし、このようなお金が注ぎ込まれるわけでございますから、私学自身におかれましても、その使命の大きさ、社会的責任の大きさというものに留意されまして、みずからもこの私学振興のためにまたその使命を果たしていただきたい、こういう気持ちはあるわけでございますけれども、そのわれわれの意図いたしますところは、私学振興財団によって私学をコントロールするとかなんとかいうことは、毛頭考えておりません、むしろ私学の自主性、名実ともに自主的な教育、研究の活動が行なわれることを期待して私学振興財団というものを新たにつくるということでございまして、むしろこれは全国民に対する政府の姿勢というものをあらわす意味においては、従来の振興会という形ではなくて、日本私学振興財団という形ではっきりしたほうがよろしいという私の気持ちでございます。
○川村委員 それでは、同じような疑問をひとつ解明する意味でもう少し具体的にお聞きをしたいと思います。 局長にお聞きしますけれども、全国で、都道府県が私立学校に助成をしておる。これは各県によってずいぶん違うと思うのです、ずいぶんアンバランスがあると思うのだけれども、大体どういうものに条例で助成対象としておるか。こまかにというようになると時間がかかりますから、おもなる項目だけひとつお聞かせいただきたい。そうしてそれらの総額は一体どれくらいになっておるか。
○岩間政府委員 四十四年度で申しますと、私立学校に対する補助といたしましては、まず人件費が二十一億九千四百万、その他が四十七億六千九百万、合計いたしまして、経常費に対します補助が六十九億六千三百万、それから施設設備に対します補助が十一億八千万、その他分類不可能なものが三億九千六百万、合計いたしまして、私立学校に対しましては八十五億三千九百万の補助が行なわれております。それから私学の団体等に対する補助でございますが、私学の共済に対する補助が六億九千三百万、退職金社団あるいは退職金の財団に対します補助が八億九千七百万、その他が一億三千九百万、合計いたしましまして十七億二千九百万の補助が行なわれています。この補助を合計いたしますと、百二億六千八百万でございまして、約百億の補助が行なわれておるということでございます。これに対する財源措置は、先生も御承知のように、地方交付税でやっておりますけれども、約四十億であります。それから貸し付け金といたしましては、合計三十一億九千三百万の貸し付け金が行なわれておりまして、その貸し付け金も合わせて考えますと、都道府県の私学に対する援助としては百三十四億六千百万ということになっております。
○川村委員 わかりました。そうしますと、いま都道府県が私学に総合計で百二億程度の助成をしておる。今度の文部省の財団法で考えておるのは、私立大学の経常費、その中に人件費補助を考えるということでありますから、いままで各府県が出しておる高等学校とかあるいはそのほかの私学に対しては、従来どおりという考え方ができますね。いまこれらの財源措置としては、これは四十四年度四十億、交付税で見てやる。今度はそれをまた四十億程度増加しよう、八十億を見てやろうということですね。そこで、一体地方の交付税の見方は、これは自治省はきょうは来ておりませんけれども、これは皆さん方のほうが相談をされておりますからよくわかっておられると思いますが、交付税で見るというのだが、交付税のどこでそれを算入、算定をして配るように仕組んであるのか、わかっておりましたら、ちょっとそれを聞かせていただきたい。――少しことばが足りなかったようですが、おそらくその交付税は、府県の分として配ると思うのです。府県分として配る場合に、別途私学振興費という費目を起こしておるのか、あるいは府県の分の中にその他の教育費というのがある、そのその他の教育費の中で見ているのか。測定単位、あるいはそういうやり方は、今度はどうしようとしておるのか、その辺のところをちょっと、文部省も知っておられると思いますから……。
○岩間政府委員 これは先生の御指摘のとおり、府県に対する財源措置でございますけれども、従来は行政費の中のその他の諸費というものの中に算入されておったわけでございますけれども、四十五年度からは、教育関係費のその他の教育費というところに算入することになったわけでございます。 それから金額は、先ほど先生御指摘ございましたように、約八十億を見込まれることになっておりますけれども、人口百七十万の標準団体あたりで考えますと、昨年は五千百八十万が積算されておりましたが、四十五年度には八千五百万が積算されておりまして、このほか都道府県の私立学校の生徒、児童、幼児数に応じた密度補正を行なうというふうなことにいたしております。なお、自治省の説明によりますと、高等学校、小中学校では生徒一人当たり四千円程度、幼稚園におきましては千五百円程度というふうな積算のようでございます。
○川村委員 次いで、関係して。そうしますと、従来都道府県が、私立学校の助成を条例できめて、いろいろ助成してまいりましたが、これは各県によって相当アンバランスがある。今度交付税でそういうような出し方をするということになると、一体私学に対する助成がプラスされるのか、あるいはそこに制限を受ける口実を与えるのではないか、こういう心配を私ちょっとするのです。交付税ではこれだけ見てありますよ、だからこれ以上私学のほうに私のほうは出すわけにいきません、そういうかっこうになってくるのではないかということが心配されるのであります。この辺のところはどう見ておられるか。
○岩間政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、四十四年度は、約四十億の財源措置に対しまして、実際上は百工億の補助を出しておるわけでございます。それから、その中で特に十九県にわたりまして、私学の人件費を含みます経常費の補助を行なうというふうな、約三分の一の府県がすでにそういう新しい方針をとっておるわけでございまして、私どもは、そういうふうな過去の実績から考えますと、このたび新しく財源措置をしました事項につきましては、各都道府県に対しまして十分指導を行なっていきたいと考えておりますので、従来以上に都道府県のほうでめんどうを見ていただけるということを確信しているわけでございます。
○川村委員 その点は、文部省としてもよほど注意をしていただかなければならぬと思いますよ。一般の義務教育関係におきましても、市町村なんかでよく問題になるのは、学校がそんなに予算をくれくれといっても、交付税にはこれだけしか見ていないのだ。もちろん交付税はひもがついているわけではないけれども、大体交付税の算定を大幅に上回るような学校予算を計上するのは困るというようなことで、非常に押える。だから反面、PTAなんかに学校がおぶさってしまって、とんでもない負担をかけるような結果にもなってくる。交付税で各都道府県のそういう財源を見てくれることはいいことですけれども、よほど指導を誤らないようにしないと、交付税でこれだけ見てやるのだ、八十億も見てやるのだ、だから大体その程度の範囲で私学に出せばいいじゃないかというような考え方になると、いままでよりもそういう面ではずっと後退する危険がある。最近の府県の財政等からすると、そういう心配をするわけです。 そこで、いま府県は十九県ほど人件費のめんどうを見ておるというお話でしたけれども、この法案が成立するということになると、これは小学校から中学校から高等学校から大学に至るまで、全部附則十三条は働くわけですね。
○岩間政府委員 各都道府県におきまして人件費を含む経常費の補助を行なうということになりました場合には、当然そういうことになります。
○川村委員 では、いまのことばの中で……。A県が人件費補助をやっておる。そうすると、言うならば附則十三条が働く。B県はやっていないということになると、B県の私立学校については、附則十三条は働かぬのですか。
○岩間政府委員 そのとおりでございます。
○川村委員 附則士二条は、これは私立学校法の五十九条を改正をしているわけですね。人件費をもらう、もらわぬによって区別されるのは、十三条の何項で読めばいいですか。
○岩間政府委員 従来からの補助を行なっております場合には、私立学校法の第五十九条の規定が働くということは、これは当然でございますけれども、新しく人件費を含む経常費につきまして各都道府県が国と同じような水準で補助をいたします場合には、新しい私立学校法の第五十九条の第八項、第九項、第十項、第十一項、これらの規定が働くわけでございます。
○川村委員 いまの問題について、またあとでちょっとお聞きします。 そこで、人件費を出すということによって今度の財団法はできている。それが一つのねらいであることは、これはお話のとおりですね。そこで、先ほど申し上げましたように、どうも文部省の力が強まり過ぎるのではないかというような指摘がよく行なわれる。大臣は決してそういうことはないというような御答弁でありますけれども、法律をひとつ見てみると、必ずしもお話しのようにならぬのではないか。やはり人件費を出すのだから、ある程度文部省がくくっていくということが必要ではないか、そういうことになる。そこで、まずそのことを念頭におきながら、ちょっと二、三カ所、法案を見てみたいと思うのです。これは全部一々やっておりますと時間がありませんから、大急ぎでいきます。四条に、振興会の場合には「振興会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」とあるが、今度の場合には「大臣の認可を受けて」という字句が入ってきておる。財団は従たる事務所を置く場合には、大臣の認可を受けねばならぬ。振興会のときには、振興会が自主的に事務所を置けたのだが、これは一体、ここまで文部省が、文部大臣がいわなきゃならぬのかどうなのか、これをひとつ大臣からでも局長からでもいいですから、解明をしてください。それが一つ。
○岩間政府委員 このたび私学振興財団につきまして規定を設けます場合に、従来の私学振興会以後にいろいろ特殊法人ができておりまして、それにつきまして規定が多少変更になった点がございます。その例にならいまして、新しい特殊法人に関する規定の整備を行なったというふうなことでございますが、文部大臣の認可を受けるということも、やはり最近の特殊法人につきましては、主務大臣の認可を受けるというような規定がございますので、それにならったものでございます。 なお、従来は定款に事務所の規定がございまして、それはやはり文部大臣の認可を受けるということになっておりますので、実質的には文部大臣の認可というふうな文字が入りましても、従来と変わりないというふうに考えています。
○川村委員 そこで振興会には、第六条に定款の規定がある。ところが、財団法ではこういう規定はとっておる。これは理事長の権限が非常に強いということをどなたかも指摘しておられた。これは財団法を見ると、振興会に比べてみても、理事長の権限が実に強まっておるということはいえるわけです。なぜ一体理事長にこういう権限を与えねばならぬのか。振興会の会長の権限、そういう方式で運営されるのがいいではないか、こういう考え方を私は持っているのですけれども、財団法ではなぜ定款というやつを抜いたのか。こんなものがあると理事長が権限をうまく行使できない、それで定款の規定はとってしまえ、こういうことになったのか、ひとつお聞かせいただきたい。
○岩間政府委員 これも最近の特殊法人に関する立法例にならったものでございますけれども、いままで定款につきまして、目的、名称、事務所の所在地、資本金、資産に関する事項、その他内部組織、業務等について規定するということになっておりますけれども、こういう事項につきましては、大体その法律でもって規定がございます。したがいまして、新しい立法例としましては、大体法律でもって規定がございまするために、この規定を抜いておるというのが実情でございます。
○川村委員 ちょっと不満足ですね。とにかく私たちの考え方が悪いなら悪いと言ってくださいよ。振興会の会長、理事長――会長の下に理事長がおるわけですから、「理事長は、定款で定めるところにより、」云々と一つの定款というやつがあって、しかもこの定款は評議員会等によってきめられるわけです。それによって理事長は動いておるんですね。ところが財団法によると、この理事長は一番上の人ですが、そういうような規定はない。しかも財団法による理事は、理事長の定めるところによってごうごうと書いてある。だからして、民意をくむとか、あるいは合議制でいくとか、もっとことばをかえていうならば、民主的な運営というのはできないじゃないか。全く理事長、理事の独断といっては語弊があるけれども、そういう権限で運営されるのじゃないか。運営審議会の権限を見てもそのとおり。ところが振興会の評議員会の権限というのは、新しい財団法の運営審議会よりもうんときちっとしておる。どうも文部省のほうが理事長並びに理事に権限を持たせておいて、その裏で文部省が思うとおり動かしていくという仕組みがうまくできておる、こういうように勘ぐられてもやむを得ないような条章ではないか。やはり定款なら定款というものをちゃんとつくらせておいて、定款に基づいて理事長あるいは理事は動けよ、そして仕事をしろよ、こういったほうが民主的であるし、合議制といえる、こういうふうに私は考えるから聞いているわけです。ただ新しい法律にならったとかいうようなことでは、ちょっと私納得しかねるのですが、もう一回……。
○岩間政府委員 現在、私学振興会には、御指摘のとおり、会長、それから評議員会というふうなものがあるわけでございますが、このたび私どもが財団を考えます場合に、財団が公正な第三者機関であってほしいという意味合いをもっていろいろ規定を書いたわけでございますけれども、しかし、従来から特殊法人につきましては特殊法人特有の規定のしかたがございまして、そういうものにならってやっているわけでございます。したがいまして、真意としましては、決して文部大臣が自由にこれをあやつろうというふうなことではございませんで、理事長を中心にいたしまして、それから新しく評議員会にかわる運営審議会が、個々の権限を制限されないような書き方でもって基本的な事項につきましてはすべて運営審議会が中心になって運営されていく、それに従って理事長が実際の指揮をとって、各理事がそれぞれまた責任を負いまして財団が運営されるというふうなぐあいに考えておるわけでございます。規定のしかたとしましてはほかの特殊法人にならっておりますので、あるいは御指摘のような点があると思いますけれども、私どもの真意はただいま申し上げましたようなとおりでございます。
○川村委員 真意はそのとおりかもしれませんが、局長やら大臣やらが何年かしておかわりになったあと、この法律がひとり歩きをすることになると、なかなかあなたの真意そのものが末代まで伝わらない。運営審議会がある、それが中心だ、それはいまの一つの答弁であって、第十七条を見ますと、とてもそういうかっこうになっていかないですよ。「審議会は、理事長の諮問に応じ」こういうものをひとつやってくれい、こういうことになるのでしょう。そこで私は当初の問題にまたちょっと触れますけれども、やはり理事長や理事にこういう絶対的な権限を持たせることのないように、あるいは独断的な業務運営等が行なわれないように、やはり振興会法でいうところの定款、そういうものをいろいろつくっておいて、それらに基づいてこの業務運営ができるというのがいいではないか。当初申しましたように、なぜ振興会というものを毛ぎらいして財団法に乗りかえたかというところの一つの疑問も、そこから出てきているわけです。これがその法人の性格がまるっきり違うというならばいざ知らず、振興会も財団も同じ性格の法人ですよね。何も民法でいう財団法人でもないわけだ。そういう意味で私はお尋ねをしているわけです。そこで、たびたびお話のように、いまその理事長が独断的に運営するなどということはありませんでしょうがね、また言えないわけですけれども、法文の上からは、運営審議会の条項を見ても、理事及び理事長の権限から見ても、どうもそういうような動き方をやろうと思えばできる条項になっておるから問題ではないか、こう言っているわけです。
○坂田国務大臣 川村先生の御指摘は、なるほどと思われる点も多いわけでございます。しかし、この点は、私どもこれをつくるにあたりましてかなり議論もし、そして特に私も意見を申してきめたところでございます。と申しますのは、従来のこういうような特殊法人等におきましても、とかく民主的だ、あるいは合議制だということによって、その責任の所在がはっきりしないといううらみもございました。したがいまして、やはりはっきりした責任を一面においてとるという以上は、それ相応のリーダーシップというものがとれるというようなことを考えてあげたほうがいいんじゃないかということが一つでございます。それからもう一つは、その評議員会の場合、たしか二十人の委員ということになっておったと思いますが、今度は少数精鋭で、やはり相当識見のある人、幅の広い意見が述べられ、あるいは私学の実情にも詳しく、そして単に狭い視野ではなくて、広い視野の識見を有する人をこの中に少数精鋭の方を吸収するというたてまえをとりまして、今度もその十人以内で組織するということをいたしたわけでございます。しかしながら、これまた理事長がかってにこの任命をされるというようなことでは困りまするので、われわれといたしましては、ちゃんとその点については「文部大臣の承認を受けて任命する。」という形をとった。簡単に申しますると、責任をとれるためのリーダーシップを理事長に持たせる。しかし、基本的な事項については、やはりこの運営審議会ということにおいていろいろ検討をわずらわせる。そしてこの運営審議会のメンバーには、相当識見の高い、あるいは幅広い視野を持った方を吸収する。そしてそれは少数精鋭でいく。こういうような形でひとつ運用をしたい。しかし、まあ先生御心配のとおりに、これはやはり法律が通りましたあげくは、法律自体の命ずるままにひとり歩きをするわけでございますから、もしその人を得なかった場合においては、やはりいろいろの心配があるわけでございます。しかし、この点につきましては、もう今日国会も非常にこういうような問題について国民の意思を正当に反映していろいろ監視をされるという道もございますし、また本委員会におきまして討議をされました事柄なり私が申し述べましたことというものは、やはり法律は法律といたしましても、その解釈上、運営上かなりの力を持って働いてくるというふうにお考えをいただきたい、かように思うわけでございまして、まあ極論をすれば確かにいろいろの御疑問の点はわこうかと思いますけれども、私どもといたしましては、また別な意味におきまして、責任を持ち、リーダーシップをとり、かつ少数精鋭で、私学側の意見も十分反映をさせ、あるいは広い視野に立ってものごとを考え処理をしていくという体制のために、このようなきめ方をしたわけでございます。
○川村委員 大臣のお考え、お気持ちはよくわかりますけれども、私は、いま振興会法のあれと新しくできようとしている財団法とのそういう問題を比べながら、疑問に思っているところを聞いているわけですが、たとえば理事長、監事の任命にしても、新しい法律は、いきなり理事長は「文部大臣が任命する。」、こう出てくるわけでしょう。私学振興会のほうは、それには一つことばが入るわけですよ。振興会のほうは、会長はこれももちろん大臣の任命にはなっておりますけれども、役員を任命するためには「振興会の目的を達成するために必要な学識経験を有する者のうちから、」と、文部大臣が任命なさる立場を明確にしておる。ところが、新しい法律は、そんなことはもう抜いておる。いま大臣は少数精鋭と言われましたけれども、今度の審議会ができて、十人以内ですから、最高十人になるわけですよ。一体何人出てこられるか。これは私は欠席なしに出てこられるとは思わぬですよ。文部省が幾つかの審議会を持っている、いろいろな諮問機関みたいなものがある。ところが、欠席する人がずいぶん多いでしょう。今度の場合には、いやそういう人は任命しないんだとおっしゃるかもしれぬ、けれども、これは十人以内の少数精鋭の、また少数精鋭になってしまう。しかもこの条項からいくと、せっかく大臣の親切な御答弁ですけれども、やはり私のこの疑問、いわゆる理事長、理事の非常に強い権能、権限の発揮というのは、これはぬぐい去れないのじゃないか。あまりにもそういう業務運営について強過ぎるのではないか。ということは、またたいへんことばは悪いかもしれぬけれども、文部省としては御都合のよろしい、こういうように勘ぐられる、そういう観測をしておるものは、私だけではないわけですよ。そういう意味で言っているわけです。 そこで、同じようなことを続けて言いますけれども、(民法の準用)という規定が八条にありますけれども、振興会の場合には、五十四条の規定も準用すると書いてある。これは理事の代表権の制限規定ですね。ところが、新しい法律はそれを抜いてある。民法の準用は四十四条と五十条で、振興会のところにある五十四条、理事の代表権の制限の準用は抜いてある。これも先ほど申し上げたような一つの例ではないかと思うのですが、なぜこれを抜いたのか、説明しておいてください。
○岩間政府委員 この点は私もよくわかりませんけれども、最近の立法例でこういうふうになっているわけでございまして、この点は特殊法人の最近の立法例を統一的に法制局で審査をいたしておりますけれども、そういう場合にこの規定は最近は抜いておるということでございます。
○川村委員 最近の立法例とか言われても、こっちも専門でないからよくわからぬのだけれども、それはもっと丁寧に説明していただかぬと……。そこで、そういうことをやっておるから、またさきのことばに返るけれども、どうも理事、理事長の権限をフルに行使できるような体制をつくってやっておるのではないか、こういうように勘ぐられるわけです。 ついでにあと二、三法案関係についてちょっと申し上げますけれども、業務のところで、私学振興会には第二十二条三号に「私立学校の職員の研修、福利厚生その他私立学校教育の振興上必要と認められる事業を行う者に対し、その施設、事業等について、必要な資金を貸し付け、又は助成を行うこと。」という業務があったのですね。どうしてこの財団法ではこの非常に重要と思われる業務を抜いたのですか。
○岩間政府委員 先ほどの答弁をちょっと補足させていただきますが、代表権を制限いたしましても第三者への対抗要件にはならないということで、書いても書かなくても同じだというふうなことで書かなかったということのようでございます。 それから、ただいまの業務につきましては第二号、第三号に分けて書いておりますけれども、従来と内容につきましては変わりがないというふうに解しております。
○川村委員 いまの振興会法にある二十二条三号の「私立学校の職員の研修」云々という、こういういままでやってきた業務は、財団でもやれる、これは確認できますね。
○岩間政府委員 仰せのとおりでございます。
○川村委員 そうであれば、やはりこれくらいのことは新しい法律の中でもきちっと明記しておくべきだと私は思うのですよ。この新しい財団法の業務では、そういうものを読み出すことがなかなか困難ですね。二号、三号に入っているなんておっしゃったけれども、非常に困難だ。こういう条項は、きちっとやはり入れておくべきではなかったかということを私は考えるわけです。 そこで、法案をずっとやっていきましたら時間がたちますから、私がいまお尋ねしたのは、実は一番初めに、私は振興会法をある点手入れをしていけば、振興会を見捨てないでやっていけば、新しい財団法という形でやらなくてもいけたのではないか。しかも今度の財団法は、どうもこれは見てみると、振興会を準禁治産者的な扱いにしてしまって、新しい財団法に乗りかえていこう。いまのような二、三点問題にしましても、私の先ほど申し上げたような疑問点が残る。 そこで急ぎますが、もう一つお尋ねしておかなければならぬのは、私は先ほど附則十三条のことをちょっと申しまして、あとでまたお聞きすると言ったのですが、どうも読んでみても、この附則十三条、これは人件費をもらわない私立学校には働かぬ、こういうことでありますけれども、ちょっと何か法律そのものは私は――たとえは学校からいろいろ提出しなければならぬ業務がありますね。会計士を入れて調べたのを出せ、こういうものを人件費をもらわぬ学校はやる必要はないのですか。
○岩間政府委員 それは当然私学全般につきまして、やはり経理を明らかにして、最近世間の疑惑を招くような事例がございましたけれども、そういうことがないということが、私学の信用を高める上には必要なことであろうと思います。したがいまして、私どものほうは、ただいま臨時私学振興方策調査会の勧告によりまして、会計基準をきめようとしておりますが、これはもちろん私学側のほうでも研究をいたしておりまして、その合意の上に立ってそういうものをきめていこう。そういうようなものができました上は、やはり補助金を受けておりますと受けておらないにかかわらず、そういうような書類は作成していただいたほうがよろしい、それから私どものほうはできるだけそういうものを提出していただいたほうがよろしいということは言えると思いますが、また現在行なおうとしておりますが、人件費を含む経常費というものは、今後私学にとってはあるいは不可欠のものではないかというふうな感じもするわけでございます。そういう意味から申しますと、私どもは、すべての私学が国からの補助金を将来は受けるようになるだろう、それに対して、できるだけその自主性を尊重しながら、しかも世間の疑惑を招かないような私学になっていただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。
○川村委員 法律改正になれば、いまおっしゃったとおりで、これはなかなか大きな問題を含んでおると思いますが、大臣は三時半にお出かけだそうで、その前にまだあと質問者が少しあるようですから、途中ではしょることになるかもしれませんが、あとわずかで一応保留さしていただきたいと思います。 そこで、大臣からでも局長からでもいいですけれども、ここで私立学校の自主性とかあるいは独自性とか、こういう問題にひとつ触れざるを得ないと思いますが、昭和二十四年ですか、私立学校法ができるまでにずいぶんと曲折があったということを聞いております。そこで、私の隣におります小林理事あたりが実はその法案審議に参加されたようでありますが、小林さんから聞けばよくわかると思うのです。政府が法案を提出をした。ところが、連合国の勧告もあったようだけれども、あなたたちのほうで出した法案が閣議で修正をされておる。そして法案審議が行なわれ、また委員会で修正されておる。そういう経過がありますね。そこで、閣議で修正されたのは一体どういう点であったか、いまの私学法が生まれるについて、あなたたちの原案が閣議で修正されておるというのはどういう点であったか、ちょっと御説明いただきたい。
○岩間政府委員 まず第一は、法案の中で「監督庁」というのを「所轄庁」と改めるという点でございます。それから二番目は、これは前回も御指摘がございましたような変更命令でございますけれども、これを私学には適用しないということにした点でございます。三番目には、私学審議会の委員の構成でございますけれども、私学側以外から選出される学識経験者につきましては、原案では二分の一となっておりましたものが三分の一というふうに改められたという点でございます。それから第四点は、予算、決算の報告義務につきましての規定を削除いたしております。それからその次は、検査のための私学への立ち入り調査につきましての規定を削除しております。あとこまかい点が若干あるようでございますが、以上が大体内容でございます。
○川村委員 いまお話しのように、閣議で相当重要な部分の修正が行なわれておる。そうしていまお話しになかったようだけれども、委員会で二項にわたる修正が行なわれておる。その中の一つ大事なのは、学校教育法第十四条は、私立学校に適用しないというような修正もあったかと聞いておるわけであります。 そこで、いま私学法ができ、原案を閣議で八項目ばかり修正が行なわれておる。この修正が行なわれたときの私学に対する考え方、――これは私、くどくど申し上げませんよ、考え方、それから、私学法が成立したときの委員長の報告、これは速記録に載っているわけであります。こういうものを見ると――ほんとうはこれ、時間があったら一々指摘をして御意見を聞かなければなりませんが、こういうものを見ると、もうこういう時代ではないんだ、こういうお考えになってくるのですか。ということは、今度の法案を見ると、そのようなときの考え方が、この新しい法案の中に生まれ出ておる、よみがえってきておる、これは幾つかあるわけですよ。その中で、附則十三条の、その五十九条のたとえば三項のごときもそのとおり。時間がありませんから一々言いませんけれどもね。そういうような考え方が、二十年余りでよみがえってきておる。それで一体いいなのかどうなのか。いま盛んに大臣はじめ皆さん方は、私学の自主性だとか独自性だとか、いろいろおことばにおっしゃっておるのだけれども、私学がいろいろな問題を起こしていますね、それはこっちに一応置かなければいかぬですよ、こういう法案を見るときは。それをおいといて、私立学校の役割り、使命、あるいは私立学校法ができたときのその国会の意思あるいは内閣の考え方、そういうものを照らし合わせてみると、問題ではないか。変なことばですけれども、当時消された幽霊がまたのこのこいま生き返ってきた。こういう考え方で私学を見ることは、一体いいなのかどうなのか。国の責任で人件費も見ていこう、これは非常に前進ですね。しかし、それにしても、どうも問題が大きいのではないかと実は考えているわけです。その辺のちょっとひとつお考えを……。
○坂田国務大臣 それは、やはり事情が非常に変更したと思うんです。終戦直後の状況で、今日のように学生数が拡大をし、そして一人当たりの学生の経費というものがこれほど大きくかかることは、とうてい――それは、私学のいままでの授業料、あるいは納付金、あるいは基金、寄付金というようなものでまかなえた時代は、すでに去ってしまった。こういう大学の変貌と申しますか、社会の変化とかいうこと、そしてそれに対して、やはりもう私学だけの寄付金やあるいは納付金だけではまかない切れない時期に到達した。したがって、大幅な国の助成なくしては、むしろ私学の教育、研究というものを完全にやれないんだ、あるいは質的向上は望めないんだ、こういうことが出発点であって、そのときの事情と今日とでは大きく変化している。したがって、相当の大幅な私学援助というものをこれからやらなければならないということを前提として考えた場合においては、やはりある程度のその経理に対しまして公開し、国民の不信を招くことは絶対にやってはならないという要請が、一つあろうかと思います。同時に、それほどのお金というものを、私学に助成をするからには、私学自身、やはりその教育の水準向上のためにこれが使われるということでなければならないのであって、その最小限度の規定というものは、これは守っていただくという前提に立って、そのことは決して私学の自主性というものを守ることではあれ、これをそこなうものではないというふうに思います。しかしながら、また一面におきまして、こういうようなことは、その運用というものが非常に大事でございますから、いままでそういうようなことには何らの文句も言わないくせに、今度ちょっぴりお金を出すからといってと普通の常識でも考えられるような点については、十分われわれはこれを考えていく。経過的にこれを漸次私学側が努力をされて是正していくということについて、私は認めていくという運用をすべきだというふうに思います。しかしながら、われわれのだれが見てもこれはあまりにもひど過ぎる、法令違反だとかあるいは基準を越しておるというようなことが客観的にも明らかに見え、それは同時に国民の不信を買う、あるいは教育の質的向上ということを願うというこの法案の趣旨から著しく逸脱をしておるということがだれにでもわかるというようなときに、何らのそれに対する規制の措置というものがとられないということは、これまた国民全体に対する責任としておかしいのではないか。その必要最小限度のものは、やはりこの法案に盛り込んでおくべきではないか、かように私は思うわけでございます。
○川村委員 当時といまとはずいぶん変わった。金もたくさん出すようになった。ちょっといま大臣の説明は、なるほど国民という、一個の国民の立場からものを考えると、大臣おっしゃったことが一つの筋だと思うのですよ。しかし、私立学校が今日まで果たしてきた役割りであるとか、その功績であるとか、また私立学校のあり方というようなことを考えあわせてみると、あのとき、昭和二十四年に私立学校法ができたときに、いろいろえらい人たちが論議をしたときに、私立学校の将来を考えて、あの私立学校法ができたのですね。しかも、文部省が出された案が閣議で修正され、委員会においても修正されて、いまのような私立学校法ができた。その私立学校の法律に織り込まれた精神というものを考えると、私は、お金を多くやるからとか少なくやるからとかどうこう、そういうようなことでものを考えてはいけない大事なものが私立学校にはある、こう思うわけですね。大臣おっしゃったことは、私は、頭から否定をしているわけじゃないのですよ。しかし、どうも私が気になるのは、その二十何年前の私立学校法ができたときの精神を踏みにじるような規定が、今度の財団法の中に幾カ所か出てきておる、こういうことです。これは一体これでいいじゃろうか、こういうようにやはり疑問を持たざるを得ないわけです。しかも、この十三条の働くときには、国というものの中には財団も含まれるわけですから、財団もいろいろと私立学校に手をつけられますよ。文部省、所轄庁もつけられるわけですよ。そこで、もしも、ことばを変えて言うならば、財団でこれこれのことをやりなさい、報告あるいは立入り検査というものも財団でやりなさいというんなら、この財団の立場というのは私はわかるような気がする。ところが、両方でそういう手が伸びていくことになっておる。一つの疑問は、財団に全部責任を持ってやれ、間違いを起こさせるな、こういう趣旨ならば、私はわかるような気がする。財団にもやらせる、文部省もやる、所轄庁もやるというようなことでこれが動いていったら、先々一体どうなるだろうか。おそらく私立学校のいろいろなものを大臣がぎゅっと握ってやるというようなお考えはないと思います。ないと思いますけれども、そうならざるを得ない。そう動いていく危険性がある。 そこで、私はこの次またいろいろ質問させていただくことにして、十三条を一応この際取って、そしてこの法案を成立をさせておく。そして十三条については、いわゆる五十九条の取り扱いについては別途次の国会で私学法の問題として考える、こういうようにやるべきではないか。あまりにもこれは問題が大きい、こう私は実は提案したいところですけれども、その提案とかなんとかいうことばは使いませんけれども、そういう考え方を私はいま持っておるわけです。そこで、またこの次いつか時間をいただきまして、足らぬところをお聞きしたいと思います。
○坂田国務大臣 それに関連して局長から御答弁申し上げたいことがあります。
○岩間政府委員 ちょっと申し上げておきますが、財団は行政機関ではございませんので、行政権に関することは、これは国または地方公共団体の所轄庁がやることになっております。したがいまして、五十九条関係のことにつきましては、これは国あるいは地方公共団体だけが行政権の主体といたしまして責任を持つ、権限を持つというふうなことになっております。
○川村委員 いや、五項を見てください。「国又は」とあるだろう。「国」の下にカッコしてあるでしょう。(日本私学振興財団を含む。次項及び第八項において同じ。)ということでしょう。だから、こまかに一々言ってないけれども、この「国」というのには、これは六項を見る場合も八項を見る場合も、私学財団は働いておる、こういわねばならぬでしょう。
○岩間政府委員 この文句は「助成」にかかるわけでございまして、国が直接助成をする場合、それから私学振興財団が助成をする場合というふうに御理解いただきたいと思います。
○川村委員 それでは委員長、時間がありませんから、ちょっとかわりまして、いろいろそういう点につきましてあとまたいずれ質問をさせていただきたいと思います。保留をさせていただきます。
○八木委員長 山原健二郎君。
○山原委員 順序を変えまして、大臣に最初にお伺いをいたしたいと思います。 本法は、喧伝されるところによりますと、七〇年度私学関係の予算が画期的に増額をされる、こういうふうな印象を与えておったわけですけれども、金額はたいしたことはないですけれども、その反面、私学への国家統制がこれまでになく強化される内容を持っておるという感じを私は非常に強烈に抱いておるわけでございます。そこで最初に大臣にお伺いしたいのですが、「私学時報」の本年二月一日号によりますと、文部大臣は、人件費補助を打ち出すことにより国の私学に対する基本姿勢が変わる、こういうことを述べておりまして、さらにこの特別国会に私学振興財団法を提出をし、あわせて国の監督権の強化など私学関係法を整備する方針である、こういうふうに述べておるのですが、これにつきまして、基本的な考え方はこの「私学時報」に書かれておるとおりなのかどうか、お伺いしておきたいのです。
○坂田国務大臣 すなおに読んでいただけばと申すか、あるいは私の気持ちを申し上げたいと思いますのは、画期的に政府の姿勢が変わると申しましたのは、重点は、いままで百六十万の学生がおる。三十万の学生に対して政府は一人当たり八十万もお金を出しておる。しかし、百万の学生には一人当たり一万円以下のお金しか出さない。しかし、そのことは教育、研究というものを充実し、質的向上をはかるということから考えた場合、私学だろうが国立だろうが、一人当たりの経費というものはほとんど同じくらいかかるんだ。そうすると、もしこういう格差を続けていくならば、私立大学のこの一学生当たりに対する経費はどうやってまかなうのかというと、現在の段階で国費を出さないということになるならば、授業料を増すか、あるいは納付金をよりたくさん取るか、あるいは借金をするか以外にはない。それではとうていもう教育、研究の充実ということはできないんだ。こういう意味において、私学に対しても人件費を含めて助成をしなければならない時期にきた。それをやった。従来は、ともすると国立あって私立なきがごとき状況ではなかったかという批判が、国民の中からも私学側からも、あるいは私学の学生からもあったんだ。そのことについて、国はやはり私立大学の学生たちにもそれ相応の経費を補助していく、国立と私立の格差をなくしていく、あるいは将来にわたっては私学に学ぶ人たちの父兄負担の軽減をはかっていく、こういうことは画期的なことである。政府の姿勢というものは変わったのである、こういう意味でございます。したがいまして、大学だけではなく、このような考え方というものは私立の高等学校、中学校、小学校、幼稚園にまでも及ぼさなければならないということで、この交付にあたりまして、その基準財政需要の中に、高等学校以下の私学に対しましてもこれが及ぶように自治省とお話し合いをしまして、その一部が実現をしたということでございまして、確かに政府の姿勢というものは前と変わったということは言えるかと思うのでございます。 もう一つ監督の問題につきまして私がそこで強調いたしましたことは、血税が私学に及ぶというからには、それが教育、研究のために、またほんとうに適正に使われておるかどうかという事柄については、やはり国民のために責任を果たす以上、会計検査院なりあるいはわれわれなりがはっきりわかるように、あるいは国民の目から見て明らかにガラス張りでわかるような形にしなければ、いま一部の私学に行なわれているような事件等が繰り返される、あるいは私学の経営が乱脈をきわめる、そして大学をつぶしてしまう、そしてそのために学んでおった学生たちがとほうにくれる、そういうようなことがあってはならないんだ。そういう意味合いにおいて、経理等についてはやはり監督をしなければならない。その限りにおいて、あるいはこの財団をつくるについての最小限度の私学関係の私学法というものの改正は必要なんだ、こういうことを申し上げたわけでございます。
○山原委員 現在、非常に困難な経営をしております私学の振興について国が金を出すということは、これは私ども公教育として当然だというふうな考えを持っておるので、その点で大臣の答弁の前半については、私どもの見解と一致する点もあるわけです。しかし、私が非常に気にかかるのは、後段の部分の、同時に国の監督権の強化ということが、文部大臣の口からはっきり出てくるということ、これは私の読み方の間違いであるというふうにお考えになるかもしれませんが、その意味でもう一つ例をあげてみますと、これは毎日新聞の二月十一日の記事でありますけれども、文部省の高官が漏らしたということばで出ておるわけですね。それは「人件費を補助することで私大をコントロールできる自信がついた。だから踏切ったのだ」こういうことばが新聞に出ておるわけです。新聞の記事には名前は出ておりませんけれども、文部省の上層部におきましては、こういう考え方が一貫してあるのではないかと思うのですが、これは管理局長に対して、そういうことをあなた方の考え方として持っておるんですか、ちょっと伺ってみたいのです。
○岩間政府委員 私としては、そういうことは夢想だにもいたしておりません。また、同じく文部省に職を奉ずる者も、おそらくそういう考え方は持っていないと思います。
○山原委員 私学の問題は、私学法第一条にありますところの「自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全な発達を図る」という、こういう点で私学の自主的なかつ民主的な発展の方向というものを実に明確に出しておるわけです。これに対する侵害は、私はいささかも許されないという立場で質問をいたしておるわけでございます。さらに、今度の法案の中でもう一つ特徴となっておりますのは、これは先般来質問の中で出ております、附則という形でさりげなく私学法の基本に及ぶ問題を改正しようとしておるところに、大きな問題があるのではないかというふうに考えるわけです。この点についてはあとで質問をいたしますが、もう一度お伺いしたいんですけれども、私は、この附則の中に私学法第一条に抵触する重大な改変が行なわれようとしているんだと考えておるわけですが、この点について一言局長から伺ってみたいと思います。
○岩間政府委員 ちょっと仰せの意味がよくわからなかったわけでございますけれども、私学法の一条に抵触するような改変を行なったというつもりは毛頭ございません。 私学法につきましては、この前からも申し上げておりますように、私学法自体の精神というものがございます。これはノー・サポート、ノー・コントロールというようなことであると思います。その原則をくずしてこのたびの改正を行なっておるというようなことではございませんで、このたび、人件費を含む私学の経営補助につきまして、画期的な考え方で補助を行なうというに際しまして、必要最小限度の補助を行ないます場合の担保と申しますか、そういうものを規定しているというわけでございます。
○坂田国務大臣 私立学校法第一条の精神というのは、「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全な発達を図る」という目的でございまして、これは今日といえども変わっておらない。先ほど先生が自主性を重んじ、何か民主的云々とおっしゃったのですが……(山原委員「それは私の考え方です」と呼ぶ)それは先生のお考えですが、その民主的ということばが非常にあいまいなんですね。わからないところがわれわれにはあるわけなんで、その辺をどういう意味なのかお聞きしないと、ちょっとその辺私のほうではわからないわけであります。だから、いま申し上げました「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全なる発達を図る」、これは今日といえどもやはり大精神だというふうに考えております。
○山原委員 その問題についてはあとで……。先ほど川村委員が質問されておった昭和二十四年の国会の議決または閣議の決定等の関係において、私は、亡霊がよみがえったということばで、あとで数項目申し上げたいと思うのですけれども、大臣がおいでになる間にもう一つ承っておきたいのです。 この財団法の業務の問題ですが、これは、振興会の業務に加わりまして、一つは補助金交付の代行ですね。それから寄付金の募集、管理、配付というのがありますし、三番目に、私学経営の情報収集、調査、研究、指導、こうあるわけですが、この中の寄付金の問題であります。これは文部省としても非常に重要視しておるのではないかと思うのですが、この寄付金に対する税金の免除とか、あるいは寄付者の所得から税金を一定部分控除するというふうな問題については、現在論議をされておるわけですけれども、この点についてはどうなっておりますか。
○岩間政府委員 この点につきましては、先ほど大蔵省の税制第一課長から詳しく御答弁申し上げたことでございますけれども、現在、個人の指定寄付につきましては、三%から最高一五%までの寄付金につきましては免税の措置が講じられております。それから会社、法人等につきましては、現在、指定寄付でございますと全額損金算入というふうな措置が講じられておるわけでございますが、ただ、私学振興会に対して寄付されました場合には、これは、たとえば校舎の建築とか、そういうふうなものに制限がございますし、また、十人以上あるいは十社以上のものが寄付しなければいけない、それから一社だけで五〇%以上寄付してはならないというふうな、いろいろな制限があるわけでございます。しかし、こういうふうな制限につきましては、私どものほうでできるだけ緩和をしてほしいということを申し入れておりまして、先ほどの第一課長の答弁では、今後、私学振興財団に対する寄付金につきましては、特別な扱いをしようというふうな話があったわけであります。
○山原委員 大臣にお伺いしておきたいのですが、私はこの面についても、この寄付金の問題、さらに二十九条一項にありますところの私学振興債券の発行の問題、これとからめて、問題になっておりますところの産学協同という道を開くのではないかという危惧の念を持っているわけです。この点についての大臣の見解を伺いたい。 もう一つ、時間の関係で、ついでに尋ねておきますが、中教審との関係ですね。中教審の「高等教育の改革に関する基本構想試案」に示されたいわゆる開かれた大学というものと共通する内容を持っておるのではないかという問題、これについてもお伺いをいたしたいと思うのです。 さらに、中教審の「試案」の第十に出ておりますところの私学に対する財政援助ですね。「このような財政援助については、あくまで国の主体的な立場が保持され、その援助の効果についてつねに厳正な評価が行なわれることを条件とすべきである。」ということが「試案」の中に出ておるわけです。これと今回の私学財団法との関係、これは明らかにつながりがあるのではないかというふうに考えるわけです。むしろ中教審の答申を予想して、それに先行する形でこの私学財団法が出たのではないかということを感じるわけでございます。 同時に、もう一つ資料として申し上げますと、これは森戸中教審会長の、本年の二月「私学振興」という誌上に発表したことばでありますけれども、こういうふうに出ておるわけです。それを裏書きする意味において、ちょっと資料として申し上げます。「昭和四十五年度の私学予算」――今度の予算でありますが、「欣快にたえません。関係者の話によると、大蔵当局のこの査定には中教審の「試案」における私学助成の考え方が相当に役立ったそうですし、関連して立案される「私学振興財団」の構想にも、「試案」の示唆が反映しているように思われます。」、こういうふうに中教審会長の森戸辰男さんが述べておるのであります。そうしますと、これらの一連の関連から見ますと、今度の財団法というのは、すべて中教審の路線というものを先行して文部省が行なおうとしているのではないかという点についてお伺いしたい。
○坂田国務大臣 最初の産学協同の問題でございますけれども、これは今日の発展した社会、高度社会におきまして、単に国立であるとか私立であるとかいうことではなくて、民間の研究機関とも、ともに人事の交流もはかり、あるいは研究の成果のいわば交換をはかる、そういうような形でなければ、国立大学の研究も進まないし、私立大学の研究も進まない、こういうふうに思います。したがいまして、そういう委託研究費等につきまして、もちろん国立の場合におきましても、歳入、歳出を明らかにしてガラス張りにする、それからまた一定の企業に奉仕するためにその研究の成果が還元されるというようなことのないための一つの基準というようなものを設けらるべきことは当然だと思いますけれども、私学に対しましても同様のことがいえるわけでございまして、国民のそういったような寄付金、浄財というものが公教育のために、そしてひもつきでなくて入ってくるということは、好ましいことであり、また奨励さるべきことである。しかし、その入ってきたお金というものがどういうふうな形において適正に使われておるか、教育、研究の遂行のためにこれは使われておるのか、それとも何か乱脈な形において使われておるのかということが、国民から見てはっきりするというような形は、当然とられなければならない、こういうような考え方をまず第一に私は持っておるわけでございます。 それから、ともいたしますると、国立大学等におきましては、ひもつきになるということをおそれるのあまりに、もう全然そういうことを受け付けないのだ、受け付けることそれ自身がすでにもう大学の学問の自由と大学の自治を侵すんだというように即断をする誤った考え方があります。こういうような考え方を続けている限りにおいては、もはや大学の使命というものが果たせなくなってきている。したがって、いままで閉ざされた象牙の塔の大学の門戸を開きなさい。開くかわりに、一特定の企業のために奉仕するような大学であってはならない。したがって、企業側、一般社会においても、やはりアカデミックフリーダムであるという大学の使命はよく考えてやっていただきたいということがまた次に出てくる、こういうふうに考えるわけでございまして、そのことは国立と私立を問わず、私は今後大いに歓迎をし、しかしながらその経理等については明らかにしなければならない、かように考えておる次第でございます。 それから中教審との関係でございますが、森戸先生もおっしゃっておりまするように、私もそう思うわけでございまして、今度の私学助成への道を開きました一つの功績は、やはりこの大学改革試案の中におきまして、目的、性格に応じた種別化ということを考えておりますが、同時に目的、性格に応じたその大学における一定の合理的に算定された標準教育費というものを考えて国は私学に対して援助すべきである、こういうことを申しておるわけでございますが、将来におきましてはやはり先ほど来問題になっておりました本務教員の二分の一までは何とか助成の道を開くべきだというような議論がされておるわけでございますが、私は中教審のこれからの長期教育計画並びにそれに伴う財政措置というようなことを検討された暁においては、こういう標準教育費というものがおそらく設定され、あるいはアドバイスがあるのじゃなかろうかと思うのでございます。こういうような考え方が、私学に対する前向きの姿勢というものを示すことでございますし、また国民の側から見ましても、納得のいく私学助成のあり方ではなかろうか。その意味合いにおいて、やはり大蔵当局においても将来はそういうような形で出てくるのか、ただいままで私学助成、私学助成というと、とにかくつかみ金でお金をやるのだというような考え方がともすると見られがちでございましたけれども、そういうようなことではいけないので、やはりちゃんとした学生経費、教官研究費あるいはまた国立大学の先生方との給与のバランス等々を考えた上で私学に対する助成の道を開かなければいかぬ、その意味においてかなり今回のわれわれの要求そのものも、口幅ったいことではございますけれども、大蔵省を納得させたことにつながっておるのではなかろうか、そのときの大蔵省側の客観的に認めようという気持ちになったのも、将来にわたる中教審の試案というものも出ておることをあるいは参考にされたということで、森戸先生がそのようなことをおっしゃったのではないだろうか。だから、国の主体的な立場によって云々というようなことは、そういうような標準教育費というものを私学に与える場合においては、国民からいやしくも疑惑を招くようなことであってはいけないのであって、それが有効適切に教育、研究に使われておるかどうかというところを知る権利も国民にある。そのための制度として、何か会計検査院がタッチをするとか、あるいは公認会計士の道を開くとかいうようことに実はつながってくるというふうにお考えをいただきたいわけでございまして、いやしくもわれわれが私学をコントロールするというようなことを最大の課題と考えてないということは、先生もひとつ御了解を願いたい、かように思う次第でございます。
○山原委員 いまの大臣の御意見につきましては、意見の相違もあるところですから、そのことはおきまして、先ほどから助成をする、いわゆる国民の血税を使うから規制をするのだという話があるわけですね。それについてちょっと局長に伺っておきたいのですが、現行法の五十九条によりましても、第二項において助成の目的のための審査、三項におきまして業務、会計の報告を求めることができるという条項、あるいは三項の二におきまして予算変更勧告権、同じく三におきまして役員解職勧告権、さらに四項におきまして助成中止、取り消し、五項におきまして助成の目的の有効性の調査、こういう点があるわけでございまして、これで実際にまじめに運用するならば、適切な措置が講ぜられると私は考えておるわけです。さらに第五条一項の二におきましては、閉鎖命令権といいますか、調査権を含む閉鎖命令権というのがありますが、そういうことになりますと、なぜこれを変えなければならないのかということがやはり依然として問題になってくるわけで、これはこの条項があるにかかわらず、どうして変えなければならなかったのか、また条項は今日までまじめに運用されてきたのかということについて、簡単に説明をしていただきたい。
○岩間政府委員 このたびの新しい補助金は、人件費を含む経営費全般の補助金でございまして、これは私学にとりましては非常に使いよくしてございます。従来のたとえば設備に対する補助金でございますと、一件、一件どういうものを買うのかということを審査いたしまして補助金を出すというふうな、私学にとりましても非常に繁雑な手続を踏む必要があったわけでございますが、このたびは補助金を私学の自主性に従って運用できるように非常に使いやすくしているわけでございます。しかし、この補助金を出します場合に、先ほど先生も御指摘になりましたように、これは国民の税金でございますので、最低限度の要求としてどういうものがあるかということを考えました場合に、ただいまいろいろ世間を騒がしておりますような私学に関する国民の非難というものを十分考えなければならないのではないか。そういう意味におきまして、最低限の要求としては、少なくとも経理が公正に行なわれ、しかもこれが公の第三者が認めるようなものでなければならないという点が第一点でございます。それから、この補助金の目的は私学の教育、研究の内容を向上させるということでございますから、少なくともそれをそこなうような方向でもって学校が運営されておるというふうな場合には、補助金は差し上げられないのじゃないかということを明らかにする必要があるということでございます。従来からいろいろ規定がございますことはただいま先生が御指摘のとおりでございますけれども、実際にたとえば役員の解職請求でございますとか、そういう事件は一件しかございません。これは名城大学の場合でございます。そういうことで、その運用につきましては、私どもは実際にそういうことが起こらないことを心から願っておるものでございます。しかし、どういう場合に補助金が交付されないかということは、国民並びに私立学校の方々に対しまして、法律をもって明らかにしておくということが必要ではないかと考えましたので、こういうふうな規定を設けたわけでございます。
○山原委員 いまの御説明ですと、たとえば日大の問題なんか社会的に問題が大きくなり、そして事態が明らかになる中で、しかも文部省としては、この五十九条に載っております文部省の指導、助言といいますか、そういう権限を持ちながら、何ら行使されずに、そして社会的に問題になってくる、こういう事態があるわけですね。だから、現在の五十九条によりましても、これをほんとうにまじめに運用するとするならば、あのような問題も防ぐことができたのではないか。それを全く運用しないで、そしてこれを理由にして、こういう不正事件があるんだということで、さらに監督権の強化のような問題をここに一挙にエスカレートして持ってくるところに、この私学財団法並びに私学法の改正の非常に重要な問題があるのではないかというふうに考えているわけです。 さらに、この附則十三条の問題についてですが、補助金を受ける団体だけが適用されます。ところが、六十九億という今回出ております人件費につきまして、そういうものは要らないという法人がはたしてあるかどうかということになりますと、これは文部省の積算の基準にしましても、全私学の専任教員を対象にして積算され、給与の一三%が六十九億という数字になったと思うのです。そうしますと、文部省自体としては、全私学というものを対象にして六十九億という予算が組まれておるわけでありまして、そういう面から見ましても、文部省そのものの考え方も、助成というものを受けない法人などは実際問題としてないんだということをお考えになっておるのではないかと思うのですが、それを受けたくない、いやだというような法人が現在あるでしょうか。
○岩間政府委員 たいへん予想しにくいことでございますけれども、現在のところ、私どもは全私学につきましてこういう補助金を受けなければ、来年度はともかくといたしまして、おそかれ早かれ私学というものは経営が破綻するかあるいは教育、研究の質的低下を来たさなければやっていけないというふうな事態が生ずるのではないかというふうに考えております。
○山原委員 そうしますと、全私学に及ぶ法律の改正ということになりますと、先ほどからも質問の中で出ておりますように、私学法の改正ということで国会に論議を提供すべきではないか。それを財団法の附則という形で全私学に及ぶ問題をここに出してくることは、法律技術的に見まして不当なことではないかもしれませんが、決して正当な歩み方ではないと思うので、その点についてもう一回伺っておきたい。
○岩間政府委員 ただいま実態の予測につきまして申し上げたわけでございますけれども、法律のたてまえとしましては、現在の私学法はノー・サポート・ノー・コントロールというたてまえでございます。そのたてまえをくずしてまで法律を改正しようということではございません。あくまでも人件費を含む経常費につきまして、国が画期的な補助を行なう。それに対して、それを受ける私学のほうとして、補助を受けるためには最小限度どういうことが条件であるかということを規定したまででございますから、私学法の基本に触れる改正を行なったということではございません。
○山原委員 先ほどちょっと触れました、また川村委員から申されました昭和二十四年、いまから二十一年前の第六国会におきまして、私学法の制定をされたときの問題について、少し問題を明らかにしたいと思うのです。 一つは、文部省原案として第五条三号という形で、「変更を命ずることができる。」というのが、私学総連その他の反対にあいまして削除されて提案をされております。そのときの国会の論議を振り返ってみますと、この点については、国会としては非常に明確にしておるわけであります。たとえば、名前を言って恐縮ですけれども、水谷昇さんの修正意見に対して、政府当局も久保田政府委員のほうからはっきりと同調いたしております。議事録を持っておりますけれども、さらに松本七郎さんから出されました「法令の規定に基く所轄庁の命令に違反したとき」の削除意見、これも政府としては全く同感でございます、こういうふうに言っております。さらに、当時の民主自由党の高木さんの意見として、補助、助成を条件として監督を強化する理由としてはならないという参考人の意見には私も全く同感である、こういう質問に対して、政府当局もまたこれはそのとおりでございます、こういう答弁がなされているわけです。そして松本七郎さん、稲葉修さん、そして本文教委員の小林信一さんなどが修正案に賛成をされて、二十四年の国会においては、文部省が当初考えておりました監督権の強化条項というのは削除された。しかも削除されただけでなくて、この中で第五条第二項に、私学法一条の精神に沿って、わざわざ文部省の考え方にとどめをさすように、「学校教育法第十四条は、私立学校に適用しない。」ということをはっきりと入れているわけであります。これはまさに当時の国会が、私学法の中心の柱である第一条をはっきりと守るために、五条二項に満場一致で挿入をした問題だと思うのです。私は、この精神というのは、現在変わる要素はないと思っています。こういう国会の精神というものについて、現在の文部省は一体どう考えているのか、ぜひこれはお聞きしたいのです。いろいろ先ほどからも言われておりましたが、端的にお答え願いたいのです。
○岩間政府委員 十四条の問題につきましては、先生がただいま御指摘になったとおりであると思いますけれども、なお当時の議論の様子を推測してみますと、第十四条の規定は、いわゆる閉鎖命令があるからこれは要らないのだという意見もあったように聞いております。しかし、現在の問題としまして、現実に会社その他をつぶすというようなぐあいに簡単に学校を閉鎖することは、非常に困難になってきております。学生の処理の問題一つを考えてみましても言えることでございますし、またそうすることが社会的にいいか悪いかということになりますと、私どもはそういうふうな処置を講ぜずに、できるだけ学校としては存続させながら内容を是正していくというほうが正しいのじゃないかというふうな考え方になっております。そういう意味から申しまして、むしろ閉鎖命令よりは変更命令というほうが現状に即したことではないかというふうに考えておるわけでございます。先生も御承知と思いますけれども、最近大学の必要な年数あるいは単位、そういうものを取得しない者に卒業証書を与える、あるいは必要な単位を取得しない者に免許状を交付する、いろいろな問題が起こっております。そういう場合に、一々学校を閉鎖してしまうということは、これはまた非常に問題があるわけでございまして、現在の私学を育成していく上から考えますと、むしろ私学につきましては、そういうことを是正させながらよき学校に育てていくということが必要じゃないかという感じがするわけでございます。
○山原委員 附則第十三条の第九項には、当時文部省原案の四十六条一項に予定されておりました収支予算書を届け出なければならないという問題が、はっきりと今回は先ほどもお話があったように、よみがえっております。また、四十六条二項に予定されておりました必要書類は文部省が定める、これも削除されていたが、今回十三条の九項に生まれかわっています。またさらに、原案六十三条にあって削除された補助金についての立ち入り検査についても、十三条十項の一に蘇生をしておる。こういうことですから、いまいろいろ言われまして、閉鎖の問題が出ましたけれども、しかし当時、昭和二十四年の国会における立法の精神というものは、これはそういう極端な論議ではなくして、私学の自主性を尊重するというたてまえから、このようなさまざまな形の介入を排除するということが、当時の国会並びに政府当局も了承した、一致した見解であったと思うのです。私は、この点は当然国会の議決として尊重すべきである、言いかえれば、国会の論議というものを全く愚弄した結果が出ているのじゃないかとさえ考えられるわけであります。だから、考えようによりますと、ちょうど二十一年――文部省としては当初予定しておった原案が削除せざるを得ない、しかも国会で満場一致で修正されるというふうな条件の中で、いわば遺恨十年といいますが、遺恨二十一年、虎視たんたんとして待ちかまえておったのが、今回こういう形で、国会に対するかたき討ちというような形であらわれてきたのではないかというふうな考え方があるわけです。また、事実そうではないかというふうに私は思っているのですよ。事情が変わったと言いますけれども、当時共産党の今野武雄氏がその事情の問題について質問をしておりますが、政府答弁ですね、二十年前には私学はそれほど困難ではなかった、終戦直後の状態で――いまは非常に困難になっておるのだという言い方を先般大臣もしておりましたけれども、当時の今野さんの質問は、非常に私学は困っているのだという質問をいたしております。そうすると、久保田政府委員が、御指摘のとおり非常に苦しいという事実を認めた答弁をしておるわけで、情勢としてはそう変化はないわけですね。二十一年、確かに月へロケットが行くようになりましたけれども、私学の現状からするならば、当時も苦しかった。そして一億二千四百万の助成金を出す、その際に監督権を強化するかということに対して、監督権はそのときに削除しているわけですからね。だから、当時の状況等考えまして、決して大きな変化は私学に関しては――金額の相違はあるかもしれませんが、しかし、私学そのものの実情からするならば、私は法律改正をしなければならないというふうな状態ではないのではないかというふうに考えておりますから、これは意見として申し上げておきたいと思います。 さらに、人件費を含む経常費ということで今度の財団法と私学法の改正をやるということであるならば、私はお聞きしたいのですが、現行法で人件費の補助というのは一切私学に対してはできないのかどうか。
○岩間政府委員 現在の規定でもってできないということはないと思います。
○山原委員 これも私学法五十九条によって経常費、教職員の給与等の補助ができますかという茨城県総務部長の質問に対して、これはもっと新しいのですが、昭和三十六年十月二十六日の地管五八通牒によりまして、文部省管理局長名で、人件費の補助はできますというふうな答弁をしております。そうしますと、文部省当局の自身の考え方からしましても、今回人件費の補助を行なったとしましても、何も財団法までつくる必要はないのではないか、また、私学法改正の必要はないのではないかという議論が出てくるわけでありますが、いまお答えのように、決してそれはできないことではないということならば、私の考え方について見解を伺ってみたいのです。
○岩間政府委員 最近私気がついて見てみたのでございますが、先生御承知と思いますけれども、学術会議から私学の助成につきましての勧告がございます。その中でただいまのお尋ねのような点がございますけれども、助成の方法としては、機械、設備、施設の整備に対する助成、それから施設、特に土地の取得と校舎の建設に対する融資、それから経常費に対する補助、それから私立大学に対する寄付を国立大学に対するそれと同じようにする税法上の措置。これは実現しておりませんけれども、子弟のための納付金を一定の限度で父兄の所得から控除できるような税法上の措置、その他のことがございます。大体おっしゃっておられることの大部分はこのたび実現したわけでございますけれども、そこの中で「国の助成の配分を公正に行なうために特別の配分委員会を創設することが望ましい。」その際たとえばイギリスのUGCなどが参考になろうというふうなことでございます。私どももこのたび財団をつくりましたのは、まさにそういうふうな考え方に沿っているわけでございまして、この点は問題がないのではないかと思います。 それからその中で、「助成は単なる赤字の補填ではなく、つぎの諸効果と結びつくことを条件とするものでなくてはならない。」まず第一が「私立大学自体が、その責任の重大さを自覚し、その財政を公明」にすること、それから「相当数の教員の増員」とか「適正な待遇」とございますが「教育、研究の物的諸条件の改善」、それから「定員外学生の抑制とその定員化」ということがございまして、私、これを見て法律の改正にかかったわけではもちろんないのでございますけれども、あとから読んでみますと、学術会議の御趣旨にまさに九五%以上沿っているのではないかということでございまして、そのほかにいろいろ新聞の社説等もこの法律案が提出されましてから出ておりますけれども、いずれもこのたびの助成につきましては高く評価しておりまして、やはり財団の成立、それから国の最小限度の規制というものにつきましては、これは是認をするような方向の議論が載っております。そういうことを考えまして、この前から国会ではいろいろおしかりを受け、あるいは御注意を受けて、多少自信を喪失しておったのでございますけれども、最近これを読みまして大いに自信を強めておるという実情でございます。
○山原委員 だから、最初に喧伝された中で、非常に評価を――非常にとは言いませんけれども、ある程度評価されておる。ところが、私のほうは別の評価を持っておることをいま質問しておるわけです。だから、私どもは、たとえば会計検査院のほうの法律の二十三条第三号によりましても、また先ほど言いました私学法あるいは私学振興会法の諸該当条項を適用するならば、何も財団法を変えなくともきちんと運営ができるのじゃないかという考え方を持っているわけですから、その点については、時間の関係で省略をいたしたいと思います。 次に、財団の問題ですが、これはいかにも第三者機関のような風貌を呈して宣伝をされておるわけですけれども、しかし、私は次の点から、この財団というのは第三者機関ではなくして、文部省と一体のものだというふうな見解を持つわけです。その一つは、理事長、監事が文部大臣の任命、二つは、理事は理事長が文部大臣の認可を受けて任命する。それから第十七条二項によりまして、運営審議会は理事長の単なる諮問機関になっておるという点、それから先ほど川村さんが申されました十三条十一項にあります「「国の」の下に(日本私学振興財団を含む。)ということで、国と財団とは全く一つのものであり、財団は文部省の一部局の性格を持つことは明らかではないかという見解を持っているわけですが、だから第三者機関ではなく、文部省のトンネルという形で、だから文部省が直接全私学に対する支配権をにぎっていくというかまえになるのではないか。というのは、この審議会を単なる諮問機関にしないという問題、あるいは財団に審査の権限がないわけですね、いままでは、振興会法によりますと、二十五条によりまして審査権があったわけですが、今度は財団には審査権もないということになりますと、財団というものは文部省と不離一体といいますか、全く文部省のトンネルといいますか、一部局といいますか、そういう性格を持っておるのではないかというふうに考えますが、この点に対する反論がありますか。
○岩間政府委員 私どもが第三者的な政府の機関をつくります場合に、現在は特殊法人というふうな形しかないわけです。こういう制約を受けておりますので、先生御指摘のような理事の任免等につきましては、主務大臣の認可あるいは直接の任命というふうな形になるわけでございまして、また、運営審議会につきましても、これを中心的な機関としたいというふうな私どもの念願はございますけれども、法律の形としましては、先生の御指摘のようなことがございます。先ほど大臣も申されましたように、この審議会をイギリスのUGCと同じような役割りを果たすようなものにしていきたいというふうなことだと思うのでございますけれども、私どももそういう方向を念願しながら人選その他につとめたいと考えておるわけでございまして、要は人の問題、ないしは今後の運営の問題、あるいは文部省の心がまえの問題、そういうものにかかってまいると思います。幾ら条文が整備されておりましても、ワイマール憲法のもとでナチスが出ましたように、幾らいいものができましても、それは実際の運用が間違っておればこれは悪いものになってしまうということで、先生の御注意を十分伺いまして、運営に誤りなきを期したいということでございます。
○山原委員 法の運用、どんな法をつくってもナチスが出てくるということですけれども、しかし、法をつくる場合には、やはりそういう状態が起こらない条件というものは整備しておく必要があるわけで、そういう意味で、この法に含まれておる危険な要素というものを私はいままで一つ一つ申し上げておるわけなんです。 そこで、もう時間があまりありませんけれども、この財団法あるいは附則による私学法の一部改正によって、たとえば日本大学に起こりましたような不幸な事態というものを防止することができるのか、私はできないと思います。その点についてどういうお考えか。というのは、こういう不幸な事件というものを、不正事件というものを一つのてこにしてこの問題も出てきておる要素は皆さん方の答弁の中にもあるわけですから、ああいう問題が処理できるような状態になるのかどうかですね、それを伺っておきたい。
○岩間政府委員 たいへん不幸なことでございますが、日大につきましてはいろいろ事件がございまして、どれをおさしになっておられるかわかりませんが、たとえば会計課長が入学金を持ち逃げをしたというふうなことは、これは経理の公正ということをやってまいりました場合には防げる問題ではないかと思います。あといろいろな事件があったわけでございますけれども、役員等が脱税を行なったというふうな問題がございますけれども、この問題は、ちょっと会計経理を公正にするということだけでは発見しにくいということは言えるかと思います。芸術学部等におきまして、寄付金の問題につきまして新聞紙上をにぎわしておりますけれども、こういう問題は、今後経理の公正という点を徹底してまいります場合には、当然問題になることでございまして、こういうものも関係者の注意によって十分防げることではないかと考えております。
○山原委員 大体終わりますが、私どもは、いままで質問の過程を聞きまして、あとでまた参考人のお話も聞くことになると思いますけれども、いままで聞いた限りにおきましては、確かに運用については文部省としては非常に注意をするのだという言い方をしますけれども、しかし、法案そのものの中には、私どもは、先ほど川村さんが言われましたように、当然抹消すべきであるという考えの条項もあるわけです。だから、文部大臣はいつまでも同じ坂田さんがやるわけではないという意見も出てくるわけなんで、そういう意味でこの法案そのものを見ますと、最初言いましたように、私は文部省が遺恨十年といいますか、まさに私学を抹殺するような内容を持つ条項さえあるというふうに考えるわけです。先ほど申し上げましたが、たとえばいままで会計検査院法であるとか、あるいは私学振興会法あるいは私学法、こういうものによって適切に、しかも親切に、しかもまじめにこの条項を運用するならばできることを、いままでやらないでおいて、いまになって若干の経費を出すということにおっつけてその監督権を強化していくという内容は、依然としてあるわけですね。これは二十四年の国会審議等の関係において対比するならば、非常に明確であるというふうに思うわけです。そういう意味で、私どもはこの法案に対しては一定の見解を持っておりますが、それはあとで述べることにしまして、ほんとうに私学の財政を援助するためには、大量のお金を投入しなければならないことは当然です。この点では文部省も私どもも一致すると思います。しかし、同時にそれは、たとえばここに日本教育学会の検討されたものが出ておりますけれども、私学の自主性、すなわち私学法の第一条を尊重して、私学の自主的な水準向上の努力を積極的に発展させるような助成であることが必要であるとか、あるいは助成金の配分と使途会計は公開されることとかいうふうなことが、日本教育学会の研究としては出ているわけです。そういう公開制というもの、そういうものを先ほど文部大臣は民主的ということがわからぬと言いましたけれども、そういうほんとうに多くの人々にわかるような状態の中で、初めて不正とかそういうものがなくなるわけでございまして、一がいに監督を強化することによって絶対にものごとは――より巧妙な手段というものはどんな法律でも出てくるわけで、そういう民主的な発展、そして私学の持っている自主性を徹底的に尊重することによって、私学の発展もあるでしょうし、経理の明朗化ということも生まれてくるのではないか、この点を私ははっきり申し上げまして、私どもとしましては、助成をする、私学に公費を投入するということは非常に大切なことです。だから、そういう点でも、たとえば審議会というものを、非常に片寄った審議会の構成ではなくて、非常に民主的に運営されるような構成にしていくというような中で問題を解決していくという考えが、一番大切ではないかと思っているわけです。したがって、今度の財団法並びに私学法の一部改正の条項のかなり多くの部分について、これは絶対に容認できないという見解を持っておるわけですが、またこの点につきましては参考人その他の御意見を承りまして、意見の開陳をいたしたいと思いますので、本日は質問をこれで終わります。
○八木委員長 次回は、明後十七日余曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会