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63回国会衆議院1970/03/20

文教委員会 第8号

発言数
36
登壇者
5
会派数
2
開催日
1970/03/20

会議録

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 これより会議を開きます。  著作権法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村委員 私は、ほんの一言お聞きをしておきたいと思います。  前回の委員会で各委員から御質問が出ておったのを聞いておりましたら、今回提出された著作権法案は、第六十一回、つまり昨年の委員会に提出された法案と全く内容は同じである。ただ違うところは、施行する日付、それから整理法案を附則として置いた、こういうことであるという御意見がありました。そこで、私ちょっと気になるのは、昨年の六十一回国会で、この委員会で著作権についていろいろと質疑応答がなされた。また参考人の皆さん方に来ていただいて、いろいろと御意見を聞いた。それらの参考人等の貴重な意見は全然生かされないで前回と同じ法案になったということは、一体それでいいのだろうか。せっかくこうして新しくお出しになるのだったら、もしも参考人の意見等で聞くべきものがあったら、やはり再度提出されるときには、それを盛り込んでみる、考えてみるということも大事ではないか。いや、参考人の意見はもうどうも適当なものじゃなかった、それは取り上げるに値しないということになったのか。いや、それよりも、やはり文化庁の提案者のこの原案、ものの考え方というものがりっぱなものだ、こういうような見解で今回は前回と同じものをお出しになったのか。法案提案されましたそれらの問題について、ちょっと御見解をひとついただきたいと思います。これは長官からでも政務次官からでもよろしゅうございます。

今日出海文化庁長官

○今政府委員 いろいろな利害の相反する団体がございまして、昨年のまま何の努力もなくほうっておいてこのたび同じものを提出したというのではございませんで、昨年廃案になりましてからも、なおいろいろと参考人の属する団体等とも折衝いたしましたが、これはやはり利害が相反するので、たとえば監督の権利というようなもの、あるいは著作者の中の優位性というようなものは、監督協会が唱えてやまない主張でございます。しかし、監督の中でも、多くの人が理解をしてくださっている方もあるし、会社側の考えも十分話し合いをして、今日のこのような結論に同意しているのが大多数でございまして、ただ、主張としては一方的にどうしても主張し続ける、急に改変するというわけにはいかないので、これはまあ著作権法案を認めざるを得ないというような現在は状態でありますが、たとえば写真の問題なども、ある程度写真家の意見あるいはこれの利用者の意見とがいまだになかなか歩み寄っていない。そこで両方を合わして、あるいは両者を突き合わして相談しまして、ある程度の結論が出ているかと思います。しかし、この法案では、発表後五十年というようなことに去年のままにしておきましたが、これはこの委員会なり本会議なり、どこかで訂正する余地を残しておりまして、決してこのままをあくまで押し通すというようなことは考えておりませんです。ですから、去年のままであったというような間に努力をし、なお今日もしているということをお話しして、結論としては大体これでいきたいが、あるいはそこで修正の余地を残しておいたつもりでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 長官のいまお答えいただきましたお気持ちは、よくわかります。しかし、あれだけ前国会でいろいろ議論されたのであるから、皆さん方の提案よりも一歩進んだ、前進的な、よりよい考え方が、やはり委員各位から、あるいは参考人から示されたということになると、提案者としては、専門家でございますから、またいろいろいま長官がお話しのように非常に御検討いただいたので、結論は前回と同じになったということでございましょうが、やはりそういう意見はくみ取って、実は今回は前回の審議にかんがみて、このところはこう訂正をして再度提出いたしましたという、そういう姿勢はあってしかるべきじゃないかと実は私は考えているわけです。  しかし、いま長官のお気持ちはよくわかりましたが、それではこれは次長にお聞きしたほうがいいかと思いますが、いま長官のことばの中に、ことばはちょっと違うかもしれませんが、決してこれに固執をしているのではない、ちゃんとこれから検討していく余地は残しておるというおことばがありましたが、その長官のことばからして、次長のほうからお答えいただきますが、いま長官のことばを受けたときに、どういうところがまだこれから検討していくべき問題が存するのか。全部じゃなくていいのですから、一カ所でも二カ所でもこの際お話しいただきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 政府といたしましては、私どもの現段階におきましては最善と思われるものを提出をいたしておる、こういうことでございます。しかしながら、もちろん私どもの考えも完全ではございませんから、十分御審議いただいた上で、正すべきは正していただく、こういうことだろうと思います。

川村継義日本社会党

○川村委員 現在問題としては、具体的にこういうものがやはり将来検討されるべきである、これを私は話していただけませんかといま尋ねたのですが、それはいまのところ、おれたちが出しているのが最上だから、ここに話はできない、こういうことでしょうか。あるいは率直に、具体的にこういうところが実は将来検討しなければならぬ問題が残されているという、あったら一つでも二つでも示してもらいたい、こういうことなんですがね。

西岡武夫自由民主党文部政務次官

○西岡政府委員 具体的に申し上げますと、写真についての著作権については、なお検討しなければならない点があると思っております。

川村継義日本社会党

○川村委員 それでは、その問題はそれくらいにしておきまして、私はそこでいま政務次官あるいは次長、先ほどの長官のおことばからして、どうしてもこの際そういう意味でお考えを聞いておきたいことがあります。それは、大臣の提案理由を読んでみましたら、これは前回と大体同じでありますが、初めのほうに、全部読む必要はありませんが、「著作権の国際的保護条約であるベルヌ条約は、第二次大戦後昭和二十三年にブラッセルで」云々とずっと書かれまして、「このような国際的事情を背景に、欧州諸国においては戦後次々に国内法の全面改正を行ない、近代的な著作権制度が整備されるに至っております。しかるに、わが国の現行制度は、昭和三年にローマで改正されたベルヌ条約の基準にとどまり、国際的にも立ち遅れたものといわざるを得ないのであります。」「このような事情にかんがみ」云々と大臣は説明をしております。そこで私は、なるほど非常に大きな全面改正でありますから、今度の改正によって、わが国もローマ条約から一応抜け出て、ブラッセル改定条約に参加するのか、ストックホルム改正条約に参加するのかと実は期待をしたのであります。ところがどうも相変わらずそれらの条約に参加するという用意がないではないか、こう実は考えられまして、この点がどうも私の頭にひっかかっておる一つの問題です。そこでお聞きをいたしますけれども、政府のほうは、ブラッセル改正条約またはストックホルムの改正条約に加入するという考えがあるのか、いや加入はしないんだともうなっておるのか、加入するという考え方で今度のこの著作権法は改正が考えられておるのかどうなのか、その辺のことをひとつお聞かせいただきたい。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 大臣の提案理由で申し上げました点は、「ローマで改正されたベルヌ条約の基準にとどまり、国際的にも立ちおくれたものといわざるを得ないのであります。」ということでございますので、まず一つはその内容の問題になるわけでございます。このたびの改正案によりまして、著作権の保護期間が死後五十年を原則とするということになりますし、またレコードによる音楽の演奏につきまして、原則的に公の演奏を認めるというようなことになりますれば、言うならば、ベルヌ条約の基準というものの内容といたしましては、ブラッセル改正条約の内容にほぼ近いものになっておるということが言い得るかと思うのでございます。ただ、そのブラッセル改正条約の内容そのものまで至ってないところがある。附則の十四条というようなもののためにブラッセル改正条約そのものに加入することは困難な情勢にあるというようなわけでございますので、したがいまして、基準という中身からいたしますれば国際的基準に達しておるということは言い得るのでございますけれども、ブラッセル改正条約の内容そのものにぴたりまではいかないところがあるがゆえに、ブラッセル改正条約には入れない、入ることが困難な状況になっておる、こういうことでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 そうしますと、ブラッセル改正条約には入らない、入るのは困難だということは、われわれは、いま次長が言われたように、内容的にはいろいろのいまお示しのようにブラッセル改正条約にまで非常に高まってきている、国際水準に出てきている。しかし、どうもブラッセル条約には入れない、いまおあげになったところの附則の十四条等の問題で入れない、だから加入しないということになります。そうすると、なぜ一体それなのに、加入しないというような条項をわざわざ設けたのか、加入するということでやるべきではなかったか、こういう疑問を私たちは持つ。  そこで、いまの問題はあとでちょっとお聞きすることにいたしまして、このブラッセル条約に加入しないということになると、おそらくストックホルム改正条約にも加入できないでしょう。そうなると、わが国の著作者あるいは日本の著作権というものは、諸外国との間においてこれは一体どうなるのか。非常に差別的な取り扱いを受けるのではなかろうか。これは専門でないからその辺の実際のことはよくわかりませんが、まずわれわれとしてはそれが心配される。その辺のところをひとつ説明をしていただきたい。

今日出海文化庁長官

○今政府委員 これは昨日もお話ししたかと思いますが、こまかいことはいま次長がその次に話しますが、これは国情の相違ということも重大な問題で、日本がこの一点で国際世界から立ちおくれているとは、私は夢にも考えておりません。ただ国情が、ベルヌ条約加盟国、ことにヨーロッパにおきまして、何といいますか、レコード、蓄音機というようなものが日本では非常にどこにでもあるにかかわらず、ヨーロッパで蓄音機を持っている家庭も非常に少ないし、またカフェーあたりでレコードをかけるということは、私の経験ではほとんどまれでございます。そういうような事情が違いまして、ヨーロッパではレコードをカフェーで用いるということは、実演者をカフェーから追放する。非常に実演者が多い。実際にバイオリンだのオーケストラをやっているところでレコードにかえられたら、それこそ彼らは失業だというので、非常にレコードの普及に対して著作権をきびしくその点で取り締まっております。しかし、日本のいわゆる喫茶店というようなものは、大学の付近などに群がっておるようなものは、ヨーロッパにはない。こういうようなもので、学生がそこでコーヒーなり紅茶なりを飲んで、レコードでも聞いて時間のあきをふさぐというようなところがない。これが非常に無数にございまして、こういう事情の相違というものが大きな問題で、われわれはそこからも一々著作権をきびしく取り立てるということは、実際上不可能に近い。また、そういうことが業者を非常に苦しめることになるというような事情もございます。そうしてヨーロッパ人は日本のそういう実情をよく知らないのでありますから、これは私は大いに日本のこの喫茶店のあり方というようなものの説明も、外務省を通じたり、あるいは著作権のあちらの当局にも話したりして、いろいろこれは折衝を要する問題であろうかと思うのです。必ずしも私は立ちおくれたとは考えておりません。そういう一つのあり方でございます。それで、そういうことだけでブラッセル条約に入れないということは私はまことに残念でございますが、これは日本の喫茶店がどういうように変わっていくか、あるいはそういうものの見方を向こうが認めるかということで解決するんではないか。私は、非常なそれほどの大問題とは、この附則では考えておりません。したがって、「当分の間」と書きましたのは、それほど難問題ではないのじゃないかということから、そういうように当分の間、解決までの間、これは何年とは申し上げられませんが、これは何とか解決したいものだ、また解決の努力をすべきだと私は考えております。

川村継義日本社会党

○川村委員 いま長官からお話がありましたが、ことばを返してはどうかと思うのですけれども、附則の十四条のことはあとでちょっとまたお聞きをするかと思いますが、いま「当分の間」だからそう心配は要らぬというようなおことばでしたけれども、実はこの「当分の間」というのを、私は非常に気にしているのですよ。日本国内でいままでつくられてきた法律の中に、よく「当分の間」というのを使うのですよ。この「当分の間」というのは、何年なのかわからない。十年も十五年もやはり「当分の間」できている法律もたくさんあります。これはことばが少しぞんざいかもしれませんけれども、それと長官がいみじくもおっしゃった喫茶店云々というような、日本のそういう実情からすると、この「当分の間」というのは、一年や二年でそうなくなるとは思われないしということを憶測してまいるならば、これはとてもブラッセル条約に入れないのではないか。ブラッセル条約は何年か後には停止されるというようなことも私聞いておりますが、これはこれであとでまたお聞きしますが、そういうことになると、わが国は国際条約に、ただベルヌ条約同盟のローマ条約に加盟をしたという、四十年以上もその条約に参加したまま日本はいかねばならぬ、とうとうこういうことになるのじゃないか。そこでブラッセル条約に加盟をするという手続を、この大改正のときにやるべきではなかったか、私はこういうことを考えているから、実はお尋ねをしているわけです。いま長官のおことばが、何も反論的に、けしからぬという意思はございませんけれども、そのままでは事はおさまらぬのじゃないか。  そこで、次長にお答えいただきたいのは、こういうようなフラッセル条約——ストックホルム条約はまだ発効していないと思うのですけれども、ブラッセル条約等に加入しない場合に、日本人の著作物が、あるいは著作権と考えたその権利が、外国において差別的な待遇を受けないのか受けるのか、その辺のところをちょっと話をしてください。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 たいへんごもっともな御心配と思うわけでございます。まず最初に、法律的な問題から申し上げたいと思いますが、先ほど川村先生もおっしゃいましたように、ベルヌ条約というのはおおむね二十年ごとに改正して、それぞれの新しい条約に加盟していく、こういうような関係になっておるわけでございますが、日本がローマ改正条約にとどまっている場合に、ローマ改正条約に加入することなくブラッセル改正条約に入ることも可能なことでございますので、ローマ改正条約に入らないでブラッセル改正条約に入っている国が、すでに現在あるわけでございます。たとえばアルゼンチンとかメキシコのような国がございます。そうした場合には、日本とアルゼンチン、メキシコとの間には条約関係があるのかないのかという疑問を生ずるわけでございます。これにつきましては、先般ストックホルムで改正条約がありましたときに種々議論がございましたけれども、その際の解釈といたしましては、同一の同盟国、すなわちベルヌ同盟に入っている同盟国の間においては——日本とメキシコとの間では共通に入っている条約はないけれども、しかしながら、ベルヌ同盟国である限りは相互に保護し合うのだという解釈が、確立されておるわけでございます。したがいまして、アルゼンチン、メキシコとの間にはやはり条約の関係があるということになるかと思いますので、それらの点については、実際上の支障は生じないということが一つ言えると思うのでございます。  それから第二番目の問題といたしましては、イギリスやドイツ、フランス、イタリア等はすでにブラッセル改正条約に加入しているわけでございますが、それらの国との間は一体どの条約が適用されるのか。たとえば日本はローマ条約でしか保護の義務がないわけでございますが、ローマ条約にも入り、ブラッセル改正条約にも入っているイギリスとの間の関係では、どの条約が適用されるかという問題があるわけでございます。これについては二つの説がございまして、両方が共通に入っておる条約だけが効力がある。すなわち、たとえばフランスでございますと、フランスと日本との間にはローマ改正条約の関係しかないのだという解釈と、それからイギリスの解釈では、そうではない、それぞれが入っている最も新しい条約、イギリスでいえばブラッセル改正条約によって保護する。日本の場合は一番新しい条約がローマ改正条約であるとするならば、ローマ改正条約で保護すればよろしい、こういう解釈と二つあるわけでございます。  それで、イギリスのような解釈をとっている国との関係におきましては、イギリスはブラッセル改正条約で日本の著作物の著作者を保護してくれますから、これは問題がない。フランスのように両方が入っている共通の条約、ローマ改正条約でしか保護の義務がないという場合に、フランスでは日本の著作物について差別待遇をするかという問題があるわけでございます。ところが実際上、理論的にはそういうことをいいますけれども、従来から日本の著作物について、日本の著作者について差別待遇をして悪く保護をするということは、現在までやっていないわけでございます。そういうような観点からいたしますると、理論的な点はともかくといたしまして、実際上からいたしましては、わが国がブラッセル改正条約に加入しない場合でも、わが国の著作者が他の同盟国において不利益をこうむるということはないというのが、現在の解釈並びに実情でございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 わかりました。とにかく最初おっしゃったアルゼンチンなどのごときは、ローマ条約には参加をしていない。しかし、ブラッセル条約に入っている。そういう国としては、結局日本もアルゼンチンも同じベルヌ条約同盟国であるから、これはひとつ同等にやればいいではないかという解釈。フランスのごときはいまお話しのように、これはローマ改正条約で待遇していけばいい、取り扱えばいい、こういう解釈がある。イギリスのごときは、それはブラッセル改正条約でやったらいいじゃないか、端的に言うと、そういう解釈がある。結論は、日本の著作物は、そういう各国においてはいまのところ差別的な待遇を受けることはないだろう、こういうことですね。それはそれで、そう無理に入らなくてもいいという根拠となる解釈ではありましょうが、日本がこういう国でありますから、この第一条でいう——まあ第一条にいろいろ議論はあったようでありますが、第二条でいう著作権者の権利を保護するということが第一義的であるならば、音楽の場合、レコードの場合、喫茶店等々のお話がよく出てくるのですが、現実にはなかなか実情にそぐわないものがあるけれども、それを飛び越えて附則十四条などというものを置かないで、ブラッセル条約に参加するという道を選ぶということは、これは国として考えねばならないことではなかったか。いま次長からお話しのような解釈、そういう各国との関係の問題はあるけれども、ただ日本の、言うならば喫茶店——喫茶店と言っていいかどうかあれですけれども、そういうものの実情にウエートを置いて、このブラッセル条約に入らぬ。今度入らなければ、おそらくいつこういう国際条約に参加できるかわからない。一体それでいいものか。いや、附則十四条をとればいいという結論を言われるかもしれませんが、ここに附則十四条が設定された以上は、長官は当分の間ですからと先ほどおっしゃったのですけれども、そう簡単にやれるものではない、特に今日までいろいろと利害者が動いてきたところの実情からしても。そうなると、やはり文化庁として、政府としてはそういうものを飛び越えて、国際水準であるところの、著作権の基本条約ともいわれるブラッセル条約に入る、そして国内のいろいろな問題は国内の力でやられて、これを整理し、調整をとっていくという行き方をとるべきではなかったか、こう思うのです。それはおまえが現実を知らないことじゃ、こうおしかりでしょうか。長官、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。

今日出海文化庁長官

○今政府委員 ブラッセル条約に入れなかったということはまことに残念なことでありますが、しかし、この中で明らかに、音楽喫茶であるとか、キャバレーであるとか、あるいはダンスホールであるとかというようなところから、一々業者から聞いて、環境衛生の業界の限度というものを示されましたが、その限度内で出そうじゃないかというような趨勢ができ上がっております。ですから、それほどのこともないし、また向こうもそういう日本の実情を無視して、喫茶店でレコードをやった場合には必ず著作権料を取るというような考え方、これは、日本では何万軒あるかわからないのだ、そしてどんなに小さいところでも必ず音楽をやるのだという実情を理解させるということは、私はそれほど——これはまあやむを得ない、日本の現在の処置でけっこうだということになりはしないか、またならせなければならないのじゃないかというようにも考えたのです。やはりこれは理解をし合わなければ、一片の法文だけでは、実際になかなか両方の理解には達し得ないのではないか。そこで、この問題を当分の間というのは、まことに妙な言い方かもしれませんが、私は、そんなに何十年もかかるほどの問題ではないのじゃないかということも考えて、「当分の間」といたしたのであります。

川村継義日本社会党

○川村委員 次長、先ほどのお答えで、いわゆる日本がローマ条約にとどまっている以上、フランスのごときは、ローマ条約のそれによって取り扱えばいい、こういう見解を持っている。しかし、それは実際問題としては影響はそうない、心配は要らないという御意見でしたが、ついででありますから、この際ちょっとお聞きしておきます。  ローマ条約とブラッセル改正条約のおもなる相違点。特に十三条の改正点、録音権になっていますね。あなたは、そう心配は要らぬ、フランスは別に差別待遇はしないと言うのだが、十三条の録音権をローマ条約とブラッセル条約を対比してみたときに、実際問題として心配は要らぬのかどうなのか。ローマ条約とブラッセル条約の改正点の、全部は時間がありませんから必要はありませんが、おもなるものを話していただくと同時に、十三条について、その解釈のとり方によって、フランスがいうように録音権の場合には心配は要らぬと考えておいていいのかどうなのか、もう一ぺん念のために話をしてください。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 お尋ねのローマ改正条約の第十三条とブラッセル改正条約の第十三条の違いのところでございます。ローマ改正条約におきましては、レコードを用いて著作物を公に演奏することの許諾権を認めておりますけれども、第二項において「本条ノ適用ニ関スル留保及条件ハ各国ニ関スル限り其ノ国ノ国内法ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得ベシ」ということで、国内法によって制限することができることになっておるわけでございますが、ブラッセル改正条約によりますると、その二項が、そのような条件をつけることはできるけれども「ただし、このような留保及び条件は、これらを定める国においてのみ効力を有し、」——これは同じですが、「また、いかなる場合にも、協議が成立しないときに権限のある当局が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害してはならない。」ということで、報酬請求権だけは認めなければならないということになっているわけでございます。その点がいまの問題になっている違いでございますけれども、フランスは、現在におきましても、特にこの点の区別をすることなく、内国民待遇としてそういう権利を認め、またその金を送ってきているわけでございますので、特に日本を差別待遇して——できぬことはないわけですけれども、それをしないで、現に金も送ってきておるということでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 結局、ローマ条約の十三条は、わが国においては著作権の現行法に生きているわけですね。ブラッセル条約においては、それが生かされていない。つまり十三条二項のこの改正条項が、実は押えられておるということですね。——そこで、これは附則十四条に大きくかかわってくる問題だと思いますが、この前、昭和四十二年でしたか、ストックホルムへ皆さん方は行かれたはずです。著作権法改正の問題が出たときに、われわれのほうで特例特例でいかぬでひとつ抜本的に出したらどうかと言ったら、いまストックホルムのほうに行っているからしばらく待ってくれというような答えもわれわれは聞いておった。そこで、行って帰ってこられたら、おそらくブラッセル条約に加入できる方法をとられるだろうと思っておったら、結果はそうじゃなかった。そこで、ストックホルム条約は発効したかどうか知りませんが、まだ発効していないのじゃないかと思っておりますが、今度のストックホルムの会議では、ローマ条約の十三条、ブラッセル改正条約の十三条、これは削除されたと聞いているのですが、その辺のいきさつをちょっと話していただけますか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 現在ストックホルム改正条約に加入している国は三国でございまして、まだ発効いたしておりません。それからストックホルム改正条約でこの十三条の点についての改正がございまして、この改正の中身といたしましては、一つは、いわゆる録音権ということは、一般の複製権の中の問題である。つまりブラッセル改正条約では、複製権に関する一般的な規定がなかったわけであります。それは各国とも実際に認めているから条約上の権利にはしていなかったわけでございますが、ストックホルム改正条約の改正の際に、条約上も著作者がその著作物を複製する権利を有するという規定を置きましたので、録音権はそちらのほうにいく。それから録音物による公の演奏権は、これは一般の公の演奏と同じであるから特に特記することはしないというふうに改正をいたしたのでございますが、実質的な内容といたしましては、特に大きな違いがあるというわけではないということでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 ストックホルム改正会議というか、そこで十三条がとられたということは、どういうことを意味していると解釈しておられますか、くどいようですけれども。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 さらに申しますと、ブラッセル改正条約では、先ほど申しましたように、協議が成立しないときには、権限のある当局が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害してはならないというふうに、報酬請求権、つまり著作者の許諾権ではないけれども、使ってもよろしいけれども金だけはあとで払わなければならないというふうになったものを、本来の公の演奏権と同様に許諾権にしたというのが、その違いでございまして、あとは、言うなれば条文整理で、いわば録音権は複製権の一種であるから、複製権の規定が設けられたならば、録音権に関する規定は要らない。それからレコードによる公の演奏権は、音楽の演奏であるから、特に録音物による演奏権というものは規定しない。その結果として、レコードによる公の演奏権が著作者の許諾権になった。したがって、報酬請求権に関するものがなくなった、こういうことでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 わかりました。そこで、先ほどのお話で、ストックホルム条約がまだ発効していない。一つお答えいただきたいのは、なぜ、四十二年から二、三年ですからちょっと無理かもしれないけれども、発効が非常に遅々たるものであるか。というのは、私の聞いているところでは、ストックホルム条約が発効するのには七カ国か何カ国かが批准加入しなければ発効しないのですね。それが先ほどあなたは三カ国かと、こうおっしゃったかと思うのです。七カ国が非常におくれている感じがするのですが、なかなかそれが進まない感じがするのですが、その理由は何だろうか。これが一つですね。私が聞いているところでは、何かこれは関係国の間のいわゆる日本のような先進国——日本は著作権に関する限り先進国といえるかどうかわかりませんけれども、先進国といわれる国と未開発の、後進国との間の、別のことばで言うならば南北問題というか、そういうような一つの対立というものがあって、言うなれば日本もアメリカもどこもかしこも、りっぱな先進国といわれるものがストックホルム条約に加盟をしない、そういうようなことがいわれておるということを聞いているのですが、とにかくその理由が一つと、それともう一つは、ストックホルム条約が発効するならば、ブラッセル条約には加盟できないということになっておると聞いているのですが、その点についてひとつお話しいただきたい。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 ストックホルム改正条約は、大きく分けまして三つの部分になっておるわけでございまして、一つは、いわゆる実体規定に関するもの、それから新しく世界知的所有権機構というもめができることに関連いたしました条約の管理規定に関するもの、それから開発途上にある国の関係の議定書という、大ざっぱに分けて三つの部分があるわけでございます。  この実体的規定につきましては、五カ国の批准によって発効する。管理規定については、七カ国ということになっておるわけでございますが、このうち五ケ国のほうの要件は満たさなくて、管理規定に関するものは七カ国の批准がございましたから、管理規定に関する部分だけは発効いたしております。そして実体規定に関するものはまだ発効していないという状況でございます。なぜその発効がおくれているかということでございますが、それはお示しのように、このストックホルム改正条約には、先ほど申しました開発途上国のための議定書が条約と一体をなすものとして規定されておるわけでございます。そこで開発途上国のためには、保護期間とか権利の制限とかいうように、先進国の著作物を容易に使えるようにするための特別規定がございます。そのために、イギリスその他の大国は、これに批准いたしますと非常に不利益になるということで、国内の権利者等から強い反対がございまして、開発途上国のための議定書があるために、ストックホルム改正条約には入れないということになっておるわけでございます。そこで、この開発途上国のための議定書を条約から切り離す。切り離しますと、今度は先進国は容易に入れるようになるわけでございまして、その改正会議を来年あたりにやるというようなことになっておるわけでございます。  それからもう一つ、ストックホルム条約の実体規定が発効いたした場合、ブラッセル改正条約は閉鎖をされるということになるわけでございます。閉鎖をされますと、閉鎖された後はブラッセル改正条約には入れなくなるということでございますが、実体的内容は大体においてブラッセル改正条約とストックホルム改正条約とはほぼ同じでありますから、ブラッセル改正条約にはかりに入れなくても、今度新しいストックホルム改正条約に入るという手がまだあるわけでございまして、そういう意味におきまして、ブラッセル改正条約に入れないということは残念なことではございますが、それがために今後の条約関係について特に大きな不利益が起こるということはないのじゃないだろうかと思います。  それから、日本は国際的に見て著作権法上どういう地位だというお話がございましたが、言うなれば中進国でございます。今度の法案ができれば、先進国になるわけでございます。それまではまだ中進国であるという状況が、正直なところだと思います。

川村継義日本社会党

○川村委員 いま国際条約関係のあれが明らかになりましたが、ただ一つ明らかになったのは、ブラッセル改正条約にはもう日本はおそらく入れない。ストックホルム改正条約もそう先まで——いまあなたがお話しのように、管理規定が発効しただけである。これはおそらく今日の世界の動きをずっと見ていると、これは七カ国ぐらいの加入はそう困難じゃないのではないかと、私はしろうとでございますけれども、そういう情勢を実は考えてみるわけです。そうなると、ブラッセル改正条約に入れない。あなたのことばのように、それはいいのだ、ストックホルム改正条約に入れる道は残っておる。それはそのとおりかもしれません。  そこで、これは間違いないでしょうが、あったらひとつ教えてください。ベルヌ同盟に五十九カ国入っておる。ローマ条約に入っているのは日本を含めて十四カ国である。その中で、先進国、なんということばを使うのは語弊がありますけれども、ローマ条約に入っている十四カ国の中には、日本、カナダ、オランダというのが先進国といえばいえる国であって、あとはみな後進国か共産国、わずかに十四カ国。ブラセッル条約は四十三カ国入っておる。しかもそれは大部分が——皆さんからいただいた資料、一覧表もちゃんとありますが、四十三カ国で、ほとんど先進国が入っている。私は少し気に病むのかもしれませんが、こういうことを見ても、いまあなたは中進国と言われたけれども、中進国の中の下くらいいきますか、そういうことではないか。それはそれとして、とにかく日本がブラッセル条約に入られない、あるいは附則十四条が——長官はわりあい気持ちよくお答えになりましたけれども、どうも私の見るところ、これはずいぶん生きるな、こう思って考えると、ちょっとやそっとでストックホルム条約にも加盟できないということになると、日本という立場からして、しかも日本の著作権の大改正をやろうとしているときに——諸外国には、非常に急いで全面改正をしてブラッセル条約に入ろう、早く入らぬとなくなるぞというようなことで、南米あたりの国では盛んに努力をしている。日本がいまここにこの大改正をやろうとするときに、それなのにどうも少しぞんざいにしておられるということも、何か私の胸の中にひっかかるものがあるのですよ。なぜこういう大改正を足がかりにしてブラッセル条約に入って、そして国際的に日本が大手を振って歩けるようにしてやらぬのか。そういうことで実は気になるわけで、ひとつこれから小委員会等でも——お聞きすると小委員会を設置されるそうでありますから、やはりこの附則十四条等についてはもう少しひとつ忌憚のない議論をしていただいて、私さっきちょっと申し上げたのだけれども、日本の国内の実情、実態、そこにだいぶ心配みたいにしてウエートを置くのでなくして、このブラッセル条約等によって著作権をほんとうに保護する、これが第一義なのだから、そこに立って、それには喫茶店か何か知らぬけれども、そういうところに音楽やレコードなんかの問題がひっかかってくるときには、何か行政的な調整をするとか、あるいはそういうところの諸君のおくれた頭をぱっと切りかえさせてやる、それが大事なことではないかと私は思うわけです。大体お考えはよくわかりましたが、どうもくどいようでありますけれども、この点は私残念でならないわけです。  そこで、一番初めの私のことばに帰ってお尋ねするわけですけれども、私、初めにこう申しましたね、六十一回国会で委員の皆さん方や参考人の皆さん方からいろいろと意見が出された、それをひとつくみ取って、少し新しく提案が挿入されたであろうか。それはないということで申し上げたわけですけれども、ちょっと申し上げましたね。お聞きのとおりに、わざわざこの委員会に参考人として著作権制度審議会の野村さんという方がおいでになった。その人がここで意見を述べられた中に、実はそのことが大きく触れられておったわけです。いま私は、その速記録を実は頭にありましたので読み返してみたのですけれども、私は、その速記録を見ながら、ほんとうにやはりそうなければならないのではないか、こう考えているわけです。私はいまこの速記録に基づいて、野村さんが意見を述べられたことについて、繰り返してお尋ねする必要はございませんけれども、野村さんは、要約すると、この著作権法の改正にあたっては、審議会の答申をおおむね受け入れられているから、たいへん賛成だ。しかし、いま私のお尋ねいたしましたように、この附則十四条によるところの経過措置、録音物によるところの演奏についての経過措置、この規定が設けられていることは、先進国のすべてが加入しておるブラッセル条約にわが国が加入できないということで、実に残念だ、こういうことを実はお話があったわけであります。ここに著作権制度審議会の答申をいただいておりますが、審議会としてもそうするだろうと思ってちゃんと考えながらこの答申を出しておる、こういうことを野村さんは言っておるのですね。それらがあるのに、くどいようですけれども、おやりにならなかったということは、実に残念でならない、こういうわけでありますが、これどうかなりませんかね、政務次官、お答えいただきましょうか。

西岡武夫自由民主党文部政務次官

○西岡政府委員 お答え申し上げます。ただいまの先生のお話は、私どもといたしましても、そうなれば非常に好ましいという考え方には変わりはないわけでございます。ただ、これまでの長い歴史の中で、いままで著作権に対する国民の理解のしかた、そういったものが日本独自の条件のもとにあったわけでございまして、これはやはり七十幾年もの間当然のこととして行なわれていたことをこの時点で全く革命的に頭の切りかえをしてもらうということは、非常にむずかしいのではないか、そういう考え方に基づきまして、現在提出いたしております著作権法は、こういう流れが中心になって考えられている、このように御理解いただきたいと思います。

川村継義日本社会党

○川村委員 いま次官のおことば、これは先ほど長官からもお話があったお考えと一致するものがあると思います。これはわかります。これはいま次官のことばにも出てきたように、著作権に対する国民の認識が足りないと言うが、これは実を言うと、あなたのほうの責任ですね。そこで、この前の委員会で与党の委員の方が、これができたらひとつしっかり啓蒙、宣伝せいというか、著作権について国民がよく理解をするようにやるべきだとおっしゃった。これは確かに明治三十二年にできたやつがずっと来ておる。しかも何回か特例特例で来ておるのですから、この間やはり皆さん方が——答申というものが出てからでもおそくはなかったのですよ。そういうことを考えて啓蒙されるならば、いま次官がおっしゃったことば、先ほど長官がおっしゃったことばに立ち至らぬで、真に著作権者の権利を守るということが確立され、国際的に見て気持ちよくブラッセル条約に加入できる道が開かれたのではないかと私は思うのであります。その点、非常に残念であります。  実は著作権の問題については、お尋ねする間口を広げたならばいろいろございましょうけれども、あとに御質問もありましょうから、この辺で私ただ一点、何か頭がすっとしないものがあったものですから、お聞きをしておくわけであります。これはまた先ほど申し上げましたように、小委員会が設けられますならば、みんなで十分御論議いただいて、そうして国民あるいは著作権者が納得をするところの手段を講じていただくということを、特に委員長にもお願いをしなければなりません。  最後に、小さいことでございますが、どうも皆さん方専門家のお書きになる法律文章というやつが読みづらくて、次長さんあたりは英語なんかあんまりうま過ぎるものだから、こんな日本語が出てくるんじゃないかと疑ったりしてみることですが、附則十四条の二行目のところ、「音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行なわれるものを除き」——具体的にわかっておりますけれども、こんな表現をしなければ、皆さん方の意図ははっきりしないのですかね。もう一回読みますよ。「営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行なわれるものを除き」——端的に、ひとつ具体的に言ってください。

西岡武夫自由民主党文部政務次官

○西岡政府委員 このことを私自身も文部省に政務次官として就任をいたしましてから、少なくとも今後文部省から出す新しい法案については、日本語で何かわけのわからないようなことばではなくて、小学校卒業生でも読んでわかるような文章にしてもらいたい、そういうふうなことを強く私自身も省の幹部にも申しております。しかしながら、ここで問題なのは、法制局というものがございまして、法制局の立場で書いたというような感じもございます。そういうふうな意味では、私自身、今後新しい法案を提出する際には、少なくとも一度読んでわかる文章にすべきであるということを考えているわけでございます。その点は、川村先生からの御指摘のとおり、日本の法律というものが、何かしらよく読んでもわけのわからない、そういうことであってはいけない、全面的に、そういう意味では口語体で書かれた法案に改正すべきであるとすら思っておるわけでございます。御指摘のとおりです。

川村継義日本社会党

○川村委員 たいへん次官に御心配いただいて、感謝しますが、これは文化庁の著作権法だけではなくて、よく感ずることでありますが、この著作権法の中に点々そういう問題があるのですが、これはいま次官からもお話しになりましたが、なかなかむずかしいことでありましょうけれども、やっぱりこういうものをつくるときには、新しい大改正と銘打つんだから、もう少しすなおにすっきりと読めるようにできたらひとつ変えて、国民が読んだらさっとわかるようにすべきじゃないか。これはどういう手段が考えられるかわかりませんが、ひとつこれも小委員会等にお願いができたら、そういうことを考えていただきたい。これが一つであります。  もう一つ小さいことですが、これは次長にお尋ねいたしますが、小さいことですよ。第二条——まあ第一条の目的は、きょうはもう触れません。第二条に、「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。」、この「著作物」のところですね。たいへん小さいことを言って恐緒ですが、おこらぬで聞いてください。思想または感情を創作的に表現したものであって、これこれに属するものをいう。どうもここのところ、私、ちょっとひっかかっているんだ。創作的に表現したもの、次長、「創作」とは、失礼ですけれども、どういうことですか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 作者が独自につくったものということでございますが、ただし、その中身そのものがオリジナルな、いままで全くなかったものではなくて、いままであったものにしろ、あるいは全く独創的なものにしろ、それを作者が独自につくったという、まねをしたのではなくて——まねといいますか、模倣とか、剽窃をしたものではなくて、全く自分の頭で、手でつくり上げたものであるということで、「創作」ということをいっております。

川村継義日本社会党

○川村委員 たいへん失礼なことを聞いて済みませんが、「的」とは何ですか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 創作してというような意味でございましょうかな。裁判所の判例などでは、「著作物とは、精神的労作の所産たる思想、感情の独創的表白であって、客観的存在を有し、しかも文芸、学術もしくは美術の範囲に属するものである。」というような判例もございますが、そういうようなものを勘案いたしまして、創作的に表現した、つまり自分の手で、自分の頭でつくったという意味で「創作的」という……。

川村継義日本社会党

○川村委員 漢和辞典を引っぱり出しますがね。これはよく使うのですけれども、「的」というのは、申し上げるまでもなく、何々のような、何々の性格を持っている、何々の状態をしている、何何の傾向がある、というような解釈をしておりますね。そこで、いま次長のことばからいうと、「創作的に表現したもの」、こういうことばの使い方はちょっと気になるのですよ。私は、これは、それは困るとおっしゃるなら言ってくださいよ、「創作的に表現」などと言わないで、「創作」は、あなたも言われたように、これは思想、感情、そういうものを芸術的にというか、あるいは絵画、音楽などの芸術作品として独創的に表現するやり方、あるいは表現したものをいうのでありますから、「的」ということを加えなくても、思想、感情を創作表現するとか、あるいはひっくり返して思想、感情を表現する創作物というか、そういうようなやはり国字上の問題としてちょっと練る必要があるのじゃないか。「創作的に表現」というのは、私は、もう端的に言うと、創作表現でいいのじゃないかと思うのですよ。まあこんなことを実はこんな場所で言うべきじゃないかもしれませんが、こんなものを「創作的」と言われると、何かちょっと——思想、感情を創作的に表現すると言わなくても、もっと端的に「創作を表現をする」あるいは「思想、感情を表現をする創作」、何かそういって、著作物の定義は明らかになるのじゃないか。余分のことを申し上げたようですが、そういう字句の、ことばの使い方に点々ちょっと気になる——これをどうこうというわけではありませんけれども、実はそういうのもないではありません。まあそれを一つ指摘をしておきたいと思います。  たいへんどうも、いろいろお尋ねする問題がありますけれども、先ほど申しましたように、小委員会が設置されるそうですから、またそのときに教えてください。  以上で終わります。      ————◇—————

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  すなわち、著作権法案を審査するため、小委員十三名よりなる著作権法案審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  それでは小委員に       小沢 一郎君    河野 洋平君       塩崎  潤君    高見 三郎君       谷川 和穗君    松永  光君       森  喜朗君    吉田  実君       川村 継義君    小林 信一君       山中 吾郎君    正木 良明君       麻生 良方君以上十三名の方々を指名いたします。  なお、小委員長には高見三郎君を指名いたします。  なお、委員辞任に伴う小委員及び小委員長の補欠選任、小委員及び小委員長の辞任の許可及びそれに伴う補欠選任、並びに小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は参考人の出席を求めることとし、その人選、日時その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  次回は、来たる二十五日水曜日、午後零時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時一分散会

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