文教委員会 第6号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/03/13
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。木島喜兵衞君。
○木島委員 簡単に一つ一つのことについて承りたいのでありますけれども、最初に、厚生省の方に承りたいと思います。 先般の御答弁で、将来の医師の必要数を昭和五十年に人口十万当たり一四〇を目標にするとお答えになったかと思うのでありますが、このことは、将来の医師の必要数というのは、学問的にはいろいろな方法がありましょう。だが、その一四 ○ということは、およそこの必要数は実際にはなかなか困難でありましょうから、多分に国際比較も含めた経験的なもの、だからこそ、たとえばアメリカでは一四八・三、西ドイツは一五四・六というような、そういうものに比較して一四〇を目標にしているというように理解してよろしゅうございますか。
○竹内説明員 お答え申し上げます。先般、人口十万対一四〇というのが一つのめどとして考えられると申し上げましたのは、趣旨はいま先生の御発言のとおりでございます。ただ、私ども、これは厚生科学研究におきまして医師の需給という問題についての研究を行ないました結果、研究結果において、昭和五十年には人口十万対一四〇という医師数が必要であるという一つの研究の結論が出ております。その結論というものを、私どもはいま先生おっしゃいましたように、西ドイツであるとかアメリカであるとかいうような先進諸国との相関関係において、およそその程度というのが望ましい姿ではなかろうかということを、私どもとしては理解しておるという趣旨でございます。
○木島委員 ですから、厚生省とすれば、研究からの結論として、望ましい姿だからそうしたいという意思をお持ちだということになりますね。
○竹内説明員 お答え申し上げます。私どもとして医師というものの需給状況と申しますのは、問題は国民が十分な医療を受けられる体制というものを前提にして、それが望ましいかどうかという最終的なと申しますか、政策上のめどを立てることになります。その意味から申しますと、先生も御承知のように、医師の需給で十分なラインというのは、非常に多角的な要素というものを考えなければならぬわけであります。ですから、その人口十万対の医師数という面だけでなく、今度は別の面から考えてまいりますと、たとえばコンサルテーション・レートというものがございますが、これは国民一人当たりの一年間に医者にかかる回数を考えたものでございます。これは昭和三十八年度の数字をもとにしてはじき出された数がございますが、これによりますと日本は一二・三という数字が出ております。しかし、西ドイツやオーストリアあたりでは一〇、スペイン、イスラエルでは七、ベルギー、スイスでは五、フランス、スウェーデンでは二、アメリカでは大体四・六というような数が出ております。各国の平均値といいますと、おおむね五。そういった点から考えますと、コンサルテーション・レートというものの高い日本の場合、医師数というものを今後どういうふうに考えていったらいいのかということになってまいります。先ほど申しましたように、医師の数がどの程度であればよいかという望ましい目標として厚生省が設定すべき線というのは、実は人口対の医師数だけでも私どもははっきりめどをつけるわけにはまいらないのであります。しかも最近のように、医学の専門分化なり、あるいは学問的な発展などを考え、それと同時に、道路事情や、あるいはそういった地域の開発等ともからみ合わせてみますと、はたしてどれだけの数が、というようなきめ手というものが見出せるかどうか、この点はわれわれ疑問に思います。したがいまして、先ほどのように、人口十万対一四〇というのが厚生省として実現をしたいというふうに理解をしている数字かというふうな、非常にきめつけた形で返事を求められますと、私どもとしては、かりに人口十万対一四〇でもはたして十分であるかどうかについて、なおかつ疑問があるわけです。場合によってはそれ以下でも満たし得るような状態、客観情勢、諸条件というものは起こり得ると思いますが、その点についてはなお総合的な検討が必要じゃなかろうかということで、厚生省としては最終的な政策目標として、わが国においてどの年代において、どの程度の医師数が、そしてどの程度の医療機関数が、ということを決定するにはまだ至っておりません。
○木島委員 いまおっしゃいますように、また私もさっき言いましたように、将来の医師の必要数は、いろいろな観点がありましょう。そして同時に、世界的にはふえる傾向にあるようでありますけれども、しかし、たとえば自動診察機とコンピューターを結びつけることによって、ということもあり得るわけです。ですから、これはいま直ちにわれわれが想定するわけにはいかないわけであります。しかし、先ほどのお話のごとく、厚生省の研究として、一四〇というものを一応の目標に置いている、それは厚生省全体の絶対そうするというものではないかもしれませんけれども、一応のめどというか、望ましい姿というか、そういうものをお持ちだというふうに考えてよろしゅうございますか。
○竹内説明員 人口対比の医師数という意味において、一つの目標として考えているという意味では、おっしゃるとおりでございます。ただ、それが最終的に医師としてそのとおりの数を確保すること以外に、それがなければ医師の需給というもの、あるいは医療というものが十分行なわれ得ないという判断に立っているという意味ではございません。
○木島委員 そこで、いまおっしゃいますように、確定的なことではないかもしれないけれども、一応の目標にしておる。だからこそ、いままでの御答弁でも、一応それを目標にしているとおっしゃったと思うのであります。そうすると、昭和五十年、人口十万当たり医師の必要数が一四〇にするとすると、五十年の人口から逆算いたしまして、私の計算ではおよそ十五万四千くらいじゃないか。大ざっぱな言い方です。そして現在の医師数十一万程度。もしも五十年に一四〇にするという前提に立つならば、四万四千前後の医師が必要になるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでございましょう。
○竹内説明員 お答えいたします。人口十万対一四〇ということ自体の計算上の資料という面から申し上げますと、私どものほうで研究結果としていただいております数でまいりますと、医師数としては、総数で昭和五十年に十三万二千八百十二名というのが計算上出てまいっております。したがいまして、現段階で約十二万でございますので——十二万をちょっと割っておりますが、約一万四千くらいの実増が、この人口十万対一四〇の基礎数字になるのではないか。研究の内容としてはそのようになっております。
○木島委員 私の計算と少し違うようでありますけれども、そうしますと、先般の御答弁で、昭和四十四年の国公私立の医学部の入学定員が四千四十人、このうち国立が二千二百八十人、五五・四%になりますね。この四千四十人を入学させていきますと、人口十万当たり一四〇名になるには、一体何年かかるのか。あるいは五十年には一体何人となるだろうか。その点をお聞きしたいと思います。
○竹内説明員 これは研究上の数字でありますが、人口十万対一四〇という数の計算基礎数という形になりますと、四十四年入学定員は四千四十ということでございますが、私どもの承知しております数によりますと、入学定員だけの変化を考えていきまして、四十五年で四千百四十、これがさらに四十六、四十七、四十八年あたりまでは逐年大体三百人程度の定員増を期待をしなければならないのではなかろうか。四十九年、五十年に大体二百人ずつ程度ということで、昭和五十年の入学定員を、この計算では五千五百四十という数を一応めどにおいて計算がなされておるわけであります。
○木島委員 そうすると、いまの定数からすると、約千五百ほど国公私立でもって増加しなければ、人口十万当たり一四〇にはならないということになりますね。けれどもどうなんですか。俗に内科十年、外科七年ということばがございますね。すると、もしも俗にいう内科十年外科七年だとすれば、五十年というものの目標は、すでにいまの入学者でもってしても実は充足率にはならないわけですね。とすれば、いまこれからふやそう、あるいは五十年までに五千五百四十名を入れたとしたところで、それは五十年に一四〇になるのではないと思うのです。したがって、いまのままでいくならば、しょせん百十八人、百二十人くらいの線が五十年の大体落ちつくところじゃないかという気がいたしますが、その辺の見通しいかがでしょう。
○竹内説明員 お答えいたします。その点はおっしゃるとおりでございますけれども、現段階で人口十万対一一二・一という数自体も、現在医師の免許を得たばかりの人も含めて、あるいは医療機関におられる方も、あるいは端的な例でございますが、行政官になっている人も含めての数でございます。したがいまして、その限りにおきましては、一応入学定員という線からお話がありましたのでお答えをしたわけでありますけれども、医師数、その総体として現在おりまする約十二万という医師数の中にも、まだ免許を得たばかりで七年なり十年なりという過程を終えていない方も当然含めての約十二万という数でございます。したがいまして、それが一四〇というこの数のときには、やはりそのようなものも含めて医師の総数という立場で考えております。したがいまして、先ほどもコンサルテーション・レートというような問題でも申し上げましたように、医師数ということだけが需給というものにとってのきめ手であるというふうに私ども考えていないという意味で申し上げたわけであります。
○木島委員 文部省にお聞きしますが、いまの御答弁でも、大体五十年に十万あたり一四〇というものを目標にしていらっしゃる。そうすると、五十年までにいまの国公私立を含めて千五百を増さねばならない、それでなければ国際水準に合わないということになる。そこでお伺いしたいのでありますけれども、先般の御答弁で、ことしの予算編成にあたって既設学部の分離、改組を含めて二十二大学から三十七学部の創設要求があったといわれております。その中に、医学部の関係が秋田大学以外にもあったのかどうか、ちょっと承りたいと思います。
○村山(松)政府委員 医学部につきましては、秋田大学以外に明確な概算要求というのはございませんでしたけれども、愛媛大学につきましては、こういった希望を一応予算の要求という形をとって意向の表明をしたいという旨の御連絡がございました。それ以外につきましては、前回の委員会で、地元関係から若干濃淡の異なる御陳情は承っておりますけれども、まだ大学あるいは学部の設置という形でのお話は承っておりません。
○木島委員 そうすると、要求があったのは、希望という意味で愛媛がありますが、要求がなくても、要求に至らなくとも希望をしておるというところは、いまおっしゃった愛媛という意味に理解していいのですか。またそれともその以外に、要求には出てこないけれども、各大学では希望を持っておるというところはありますか。
○村山(松)政府委員 地元の要望を所在の大学でも取り上げて、文部省にできれば学部をつくりたいという形で意思表示があったのが愛媛大学だけということでございます。
○木島委員 いまの局長のお話によりますと、何か大学を創設するのは地元の要求だけでもって創設するように感ずるのですよ。 じゃ逆に聞きます。先ほどのお話のごとく、もしも一四〇というものを前提にしなければ国際的な水準に至らない数ならば、五十年までに千五百の定員を増さねばならない。とすると、地元の希望があるか大学の希望があるかは別として、厚生省なり文部省なり、かくすることによって千五百なら千五百というものを増加したいという意思がなければならないと思うのです。かりに一四〇というものを確定的なものにしなくても、その前後にしたいとするならば、地元の要望だけでもってそれにまかすということであるならば、一四〇いかない。ないということは、政府が国民の生命と健康に責任を持たないということにもなりかねない。だから、要望があるかどうかは別として、文部省なら文部省としてどこにどういうものをつくりたいという意思があってしかるべきではないかという気がするのです。いま地元の要望ということを中心におっしゃったものですから、そういう意味で、地元の要望なり大学の要求は別として、文部省なり厚生省としてどこにどういうものをつくりたいかという御意思がおありでしたならば伺いたいと思うのです。
○村山(松)政府委員 大学の創設は、現行法上、国、地方公共団体並びに学校法人がなし得ることになっております。地方公共団体と学校法人の場合は、もちろん当該設置者側の希望というのが基礎になるわけであります。国立大学の場合には、これを設置するかどうかはやはり政府の意思にかかわるわけでありますけれども、政府が意思決定をする基礎といたしましては、社会的要請、あるいは学問研究上の自発的な要請、あるいは地元の要請、それらを勘案いたしまして、財政的な負担能力なども加味いたしまして計画を立てるわけであります。そういう意味合いにおきまして、医学部につきましては、医師の需要が将来増加が見込まれるということは先般来御説明申し上げましたけれども、実は具体的な数字について承ったおは前回の委員会が初めてでございます。厚生省から医師は現在では足らないからふやしてほしいというお話は、実は再々承っておったわけでありますけれども、数字的な見通しについては現在まで立たないままで今日に至ったわけでございます。国立の医学部につきましても、将来どこにどういうものをつくるという具体的な計画は現在まだ持っておりませんが、一般的に医師の需要が増大するということは間違いございませんので、そういう必要、あるいは地元の希望なども一つの判断の要素として、目下検討しておるというのが実情でございます。
○木島委員 たとえばことしの予算でも、小学校の教員が不足する。だから養成をすると文部省はお考えになっていらっしゃいます。だったら、医師が不足をしておる、世界的な傾向としてふえなければならない。だのに、厚生省と相談もなしに、将来の計画もなしに、将来の医療体系を考えることなしに、ただ秋田だけを今回は地元が希望しておるから、いろいろな問題がないから出したというふうに行き当たりばったりというのですか、出たとこ勝負というのですか、そういう御提案なんですか。ちっとも、日本の将来の医療体系というもの、そういうものと無関係な提案なんですか。
○村山(松)政府委員 現段階で医師をふやさなければならないということは、明瞭な前提でございます。ただ、どのくらいふやさなければならないか、どういう地域で養成機関をつくらなければならないかという点につきましては、前提自体に、いま厚生省から御説明がありましたように、まだ検討すべき課題がありまして、それに対応する詳しい計画は立たないのが実情でありますけれども、一般的に医師が不足であるという前提が明確である以上は、強い希望のある大学につきましてその創設に踏み切ることは、決して無計画でも無方針でもないのではなかろうかと思います。
○木島委員 先ほどから私が言っておるのは、いまかりに十万当たり一四〇という確定的なものでないにしても、その前後はおよそ想定できますね。一四〇とするならば、五十年までに各大学の定員を千五百ふやさねばならないわけです。とすれば、いま秋田だけ出た。来年、再来年はどうするか。さっきのお話では、もし一四〇というものを前提にするならば、来年、再来年三百くらいよけいにしたいとおっしゃるのでしょう。だけれども、そういう希望がない——希望ならいろいろあるかもしれません。だが、今回秋田だけ出たけれども、他の大学ではつくろうという考え方がない。地元が要求しなかったら、いつまでたってもできないじゃありませんか。そういうものは足らないけれども、どこまでが確定的かということをあなた課題だとおっしゃったけれども、課題は、確定的なものでないにしても、ずいぶん差があるのだから、その間に高めていかなければならぬでしょう。私は、きっと厚生省も、確定的なことはどうだということは断定的には言えないと思うのです。常に不確定要素というものが、こういう場合には含んでおると思う。だったら、確定的なものにならない幾つかの不確定的な要素を含めながら、大体このくらいの基準というものを持っていく。それが五十年に一四〇程度を目標にするとおっしゃったと、私は理解するのです。だから、こういうものは確定的なものは出ない。だけれども、ずいぶん差がある。差があるなら、もっと政府がつくらしていかなければならぬじゃないですか。そういう計画がないならば、出たとこ勝負と言われてもしかたがないんじゃないかと私は先ほど申し上げたのです。もう一度御答弁願いたい。
○村山(松)政府委員 繰り返しになりますけれども、医師が不足である、養成の増加が必要であるというお話はずいぶん承っておりますけれども、確定的な数字は、もちろん大体にいたしましても、このくらいの数字ということを承りましたのは、実は前回の本委員会が初めてでございます。そういう時間的な関係もありまして、文部省といたしましては数字を基礎とした計画は立てておらないのが実情でありますけれども、全体的に相当な不足があるという前提に立っておりますので、国立につきましても一つ現在設置を計画しておりますし、私立につきましても設置認可の申請が参っておりますけれども、その審査にあたりましても、そういうことを考慮に置いて審査に当たっておる次第でございます。
○木島委員 これは、ちょっと厚生省に伺いますが、大学ではもう少しとりたいと思っても、あるいはつくりたいと思ってもつくれないのには、一つこういうことがありゃしないかという気がするものですからお伺いするのですが、医療法の第七条で、公的医療機関の場合は、一定の基準以外にベッド数をふやすときには医療機関整備審議会にかけることになっておりますね。民間はそういうことはない。公的医療機関はそういう制約がある。ですから、私の知っている狭い範囲では、ほとんど整備審議会にかけると許可にならない。これは、たとえば医学部をつくれば、大学病院は絶対の条件になりますね。すると、他の民間のお医者さん方の取り扱い件数が減るわけですね。そういう反対があることが、一つの地元の要求というものになってこない、地元から起こってこない原因になりはしないか、なっているんじゃないかという気がするのですが、この点はどうでしょうか。
○竹内説明員 お答え申し上げます。公的医療機関については、医療法第七条の二、医療機関整備審議会で、いわば地域ごとのベッドの規制がございます。おっしゃるような点はあるわけでございますけれども、国の開設する病院の場合、この公的医療機関の規制にはかかっていないわけでございます。この点は、いわば国立大学病院というような場合に、医療法の七条の二の規制はもろにかかるというふうには考えておりません。ただ、一般的に公的医療機関の規制をしている趣旨に対しまして、その辺についての配慮というものは当然行なわれることは私も承知はしておりますけれども、従前、大学の医学部が設置されるのに伴って、あるいはこれは国立、公立、私立を通してでございますけれども、大学病院ということで公的医療機関の規制に準じた形で何らかの制約があったということは、私ども承っておりません。
○木島委員 さっき局長のおっしゃいました、たとえば愛媛なら愛媛には希望的な要求ということですね、なぜ正式な要求に出てこないんだろうか。あるいは表面に出てこなくても、地域の要望ともおっしゃいましたけれども、地域の要望の中には、ほしいけれども出せないだけの理由があるんじゃないだろうか。ここには、医師のあるいは医師会の働き、影響というものがあるんじゃないかという懸念を持つのですけれども、そういう点はいかがでございましょう。
○村山(松)政府委員 医学部を創設いたしますと、御指摘のように、相当大きな病院が付属病院の形で必然的に伴います。その場合、地域の医師会との間に若干の摩擦があるという例は耳にいたしておりますけれども、話し合いをしまして、調整はすべて可能であると思っておりますし、また医療機関の新設に対する規制につきましては、ただいま厚生省のほうから御説明のとおり、そういう法的な制約というものは、実際問題として従来ございませんでしたし、これからもないと思います。
○木島委員 この問題につきましては、厚生省と文部省の話し合いが全くいままでなかったということなのでありますから、そういう意味では、基本的に医師の問題をどうするか、そのためにはどこにつくれない原因があるのか、そういうものは、いまおっしゃった、あるいは私が申しましたことも含めた配慮をしなければならないだろうと思います。そういう点は要望申し上げます。 先ほど局長は、私立のほうの要請もあるとおっしゃいましたね。先般もお話がありましたように、今日、私学の医学部に対する寄付金なり入学金というものは、きわめて常識はずれの高いものであるということがもう常識になっております。ですから、極端なことを言いますと、ずいぶん競争率が高いのだけれども、金を払える者が入学するとすれば、質の低下がおのずからおそれられることになるだろうと思います。そういう意味では、安心して命をまかせられぬじゃないかということに実はなるのかもしれませんけれども、元来、医者になるにはずいぶん金がかかるのですよ。何年かの無給医局員というようなことを考えれば、それだけでも金がかかる。だからこそ国立に入れなければならない。それを私学にあまり依存していいのか。また、お医者さんはたいへん投資をする。そういう膨大な入学金なり寄付金を出すから、その投資を回収しようとすることから、医師に対するいろいろな疑惑を国民が持っていることも事実でしょう。だから、患者が医者を信頼しないという医療関係というものは、これは決して望ましくありません。とすれば、これはやはり国の責任が一番大きいだろうと思う。国立が定員をよけいにしなければならない責任があると思う。そういう意味で、長く申しません、十分御検討いただいた計画をおつくりいただきたいと思うのでありますが、この点は大臣に承ります。
○坂田国務大臣 ただいま厚生省のほうからも、また学術局長からもお答え申し上げましたとおりに、全体としてどれくらいの医師を養成したらいいかということが、まだ実は確定をいたしておりません。しかしながら、やはり足りないという現状はこれまた明らかでございますから、それにしましても、単に地元が要望するからやるんだということではなくて、それはそれなりに一定の計画のもとに進めていくということは、当然だと私は思います。まず第一には、厚生省の段階におきまして、単に人口十万当たりどれだけということも一つのめどではございますが、同時に、先ほどからお話しになりましたようなコンサルティング・レートその他のいろいろな要素を総合的に判断して、われわれ五十年度までは大体これくらいの医師はぜひとも養成をしてもらいたいんだということをまず厚生省自体としてお考えをいただいて、われわれのほうにお示しをいただきたいと私は思います。しかし、その間若干の時間のズレがございますが、その間におきましても、私たちといたしましては、やはりまず国といたしまして、国立の大学の医学部においてできるだけこれをまかなっていくということは、当然だと思います。でございますから、本年度戦後初めて医学部の創設ということに踏み切った次第でございます。したがいまして、その具体的な設置場所として秋田を選んだということになるかと思うわけでございますが、これは全体的な需給関係を考えてみましても、日本全体で人口の十万当たりに対しまして平均がたしか一一二くらいかと思いますけれども、東北方面、ことに秋田におきましては一〇〇を割っておるというような事情もございますし、東北全体で考えましても、先般の委員会で御指摘がございましたように、弘前、それから福島、それから今度できます秋田ということで、岩手には私立の岩手大学がございますけれども、まあそういうような考え方から、秋田に創設をすることがはなはだしくいまの日本列島全体を考えて問題があるというようにはいわれないのじゃないかというふうに、私は判断をいたしたわけであります。そして将来、たとえば厚生省のほうから全体的な需要数、そういう養成の要求があり、かつ日本列島全体を踏まえてどうすべきかという厚生省自体の考え方から考えましても、その基本線にはずれるとは私たちは思っておらないわけでございまして、そう考えてみますると、そういう国家的、一般社会的要請と同時に、やはり地元がそれだけやる熱意があるかどうかということ、それから当該大学がそういうようなことをやる能力や、あるいはそういうような医学部を創設した場合に先生を得られるかどうかというようなことも考えまして決定をいたしたということでございますし、また同時に、単に国立大学の医学部というものは、地域とは無関係に一面においては存在してもけっこうだと思います。けれども、事実上私は今日の国立大学の果たしております役割りというものは、そういうものではなくて、やはり東北全体における地域的要請であるとか、あるいは地元の医者不足、あるいはそういう最終的な医師の養成機関、最終的な医学の研究の一つのセンターとして、むしろそれが設立されることによって地元の各診療の個人病院等に将来長きにわたって人的にもまた研究の成果におきましても与える効果、影響というものは非常に大きいわけであって、お話がございましたように、やはり私は、その地域社会における医師会その他の医療に従事しておられる方々、あるいはそういう諸団体と密接な関係を持ってやっていくということがまた望ましいのではないかというふうに考えまして、今度の秋田の医学部の設置に踏み切ったという次第でございます。
○木島委員 そうすると、実現可能な目標年次、あるいは人口当たりの指数、それに伴う毎年次の国立大学の定員の増加を考えていくということでございますね。
○坂田国務大臣 非常にきちんとした計画というものはまだ持ち合わせておりませんけれども、方向といたしましては、そういうような計画性というものを持たなければいかぬということは、お説のとおりに実は考えております。したがいまして、従来の、この二十数年の、医学部は今度初めて創設をしたわけでございますけれども、大学設置につきましても、かねてわれわれ文部省としまして、国公私立を合わせまして日本列島全体を考えてそのような長期的な教育計画があったかというと、実を申しますと、あまりはっきりしたものは持ち合わせておりません。しかし、このことはやはり今日問題があるのじゃなかろうか。あまりにも都市集中になりまして、そしてそこに国公私立が乱立をしておる。したがいまして、学生総数の約六〇%以上と記憶をいたしておりますが、東海道メガロポリスの中にあるということ、これはやはり問題ではないのかということでございまして、私たち中央教育審議会におきまして、新しい大学のあり方を検討してまいっております。そしてこの前一月の十二日に大学のあり方についての基本的構想という試案が発表されておりますが、今後、私たち来年の春ごろまでに中教審にお願いをいたしまして、今度はそれを裏づけるところの長期的な教育計画、あるいはそれに対していまから十年後には一体どれほどの学生が高等教育機関に学ぶ数が必要なんだというようなことも、これも非常にかっちりとは出ないかもしれませんけれども、およそのことはやはり考えなければならない、また現在の自然の勢いとしてはどの程度にいくんだということと、自然の流れとあるべき姿とをどうかみ合わせるかという一つの長期的計画を立て、そうして一体それは日本列島全体にはどういうふうに考えたらいいんだ、あるいは大学設置というものを今後私学を含めまして許可する場合にも、やはり何らかのチェックが必要ではないか、あるいは国家的な教育計画の意思というものが反映しなければいかぬのじゃないかということも考えますし、そうなった場合に大学がどれだけ必要かということが出てくれば、当然その大学設置につきまする費用が一体どれくらいかかるのだという量的な裏づけということも、中教審の現在のやり得る範囲内におきましての大まかな見通しというものも、来年の春くらいまでには御検討願いたい、こう考えておる次第でございまして、先生おっしゃいますような、やはり医学に学ぶ者の数量を、今後十年間どうするかということも、この中からおのずと出てくる、また私は出てこなければならぬ問題だというふうに考えておる次第であります。
○木島委員 次は、厚生省の方に伺いたいのでありますけれども、医師の地域分布の問題でございます。いま御質問いたしましたように、たとえば人口当たりと、こういっても、保険では国民全体が均一化しましたけれども、国民全体が医療を受けるという機会からいえば、均一化されないわけであります。昭和四十年で、七大都市にはお医者さんが二七%、その他の市に五五%、すなわち市に八二%のお医者さんがおると厚生省の資料から私は見ました。この傾向というものは、これは四十年ですから、さらに増しているだろうと思うのです。この傾向をどう除去するか、これはなかなかむずかしい問題でありますけれども、何か対策お考えでありますか。
○竹内説明員 お答えいたします。昭和四十年に医師の総数の中で七大都市がパーセンテージで申しまして二六・九%、その他の市で五四・四%、おっしゃるように約八割というものが市部におるわけであります。これが四十三年では七大都市が二五・九%、その他の市で五七・二%ということで、市部のほうの比率がこの三年間にさらに増しておるという事実はあるわけであります。ただ、地域的な偏在度ということにつきまして、正直なところ、きめ手というものは実はなかなかないわけで、問題はその辺をどのようにカバーをしていくかということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、医師数というだけの問題でなくて、別の角度からもこの対策を講じなければならぬのじゃないか。そういう意味で、私ども先般もお答え申し上げましたように、僻地医療なり無医地区対策というものを、医師を確保するという従前の方策のほかに、機動力を増すこと、あるいは巡回診療班というものを定期的あるいは必要に応じて随時出し得るような体制を整えるというような形で、実態的なこの偏在に伴う欠陥をカバーするという方策を考えておるわけでございます。
○木島委員 なかなか困難であるということは、まあ医者も算術になります自由経済の法則からすれば、だから困難だということになるのだろうと思うのです。ですから、いまそれをこの場でもって自由経済の原則を破れといったって始まりません。ただ、いま機動力とかその他おっしゃいますが、たとえばきのうの毎日ですか、にちょっと出ておりましたが、雪の中でもって——これは私の選挙区でありますが、雪のためにかかれなくて死んだというのがありましたね。そういうように、機動力といっても、雪になるとそうはいかない。しかもあの地域は、大体半年雪に埋まる地域になっています。ですから、そういうことだけでも済まないだろうと思うのす。 そこで、どうでしょうかね。たとえば、先ほど申しましたように、医療機関整備審議会の公的なワクがあって、民間のほうは放任されておりますね、医療法七条で。これをもっと基準を拡大すれば、公的医療機関を拡大すれば、これは自由経済の原則にのっとって、それでも僻地に行く率が、お医者さんがたくさんあれば、だんだんと浸透してきますよね、うんと乱造すれば。しかし、そうもできないでしょうから、しかし、少なくとも町における公的医療機関のベッド数ならベッド数をよけいにすれば、その分だけはみ出ることになる可能性があるんじゃないか。そういうことがいま必要なんじゃないだろうか。私は、実はその僻地だけでなくても、あの一定の基準というものには多少疑問を持つのです。そういう点はいかがです。
○竹内説明員 お答えいたします。つけ加えさせて一つだけ余分なお答えになると思いますが、僻地の中でも、たとえば新潟のような豪雪地帯等の対策といたしましては、本年度いわゆる雪上車を予算化をいたしまして、僻地対策の一環として考えております。それが一つのお答えでございますが、私どものほうで公的医療機関の病床数の基本数になるものは、中央にあります医療審議会の整備部会で現在審議中でございまして、大体あと二、三カ月くらいはかかるのではなかろうかと思いますけれども、毎年その審議をした結果、地域ごとに公的医療機関のベッド数というものの基準数を改めておるわけであります。 いまの御発言の要旨につきましても、委員の間でも同様の趣旨についての意見の交換がございまして、目下検討中でございますので、私どもといたしましては、ただ公的医療機関というものではたしてそういったものをカバーするということの、カバーのしかたにもまだ少し問題は残っておると思います。ただ方向としてはおっしゃられるような点も、きめ手ではないと私ども思いますけれども、一つの方法として積極的に検討さしていただきたい、かように考えております。
○木島委員 たとえば保険の単価を僻地度なりあるいは寒冷度なり、級地、ああいうもので差をつけたらどうですか。ああいう地方自治体及び住民負担分は、国が補てんをしてやる。そうすれば、僻地でも金が入りますよね。ちょっと奇抜ですか。だが、やはり何かと思い切ったことをやらなければ、幾らおやりになったってないでしょう。なかったら、たとえば保険の単価をそういう何か基準でもって一定の、政府が使っているたとえば公務員なら公務員の場合に、僻地何級なんてありますね、あるいは寒冷地の何級というのがありますね、そういうものを加味して、そこに単価を加味していく、単価を高めていく。その地方自治体及び個人の負担分は、国がめんどうを見るという制度を思い切ってやれば、これは相当な効果になるんじゃないかという、しろうと考えですが、いかがですか。
○竹内説明員 お答えいたします。保険の単価の問題になってまいりますと、御承知のように、なかなか微妙な問題がかさんでおりまして、直ちにというわけにもまいらないかと思います。ただ、基本的には先生のお考えと私どもも同感でございまして、そういう趣旨から、本年度実は僻地の診療所の運営費の補助を、従前四百十七カ所行なっておりますのを、さらに十三カ所ふやして、そういった僻地診療所の補助を行なう、ないしは親元の病院についての補助を行なうというような形で、単価面でいきなり入ってくるということが一番直接的な効果はあるとは私どもも存じておりますけれども、当面医療保険の抜本改正の過程の中で、中央医療審議会でいわゆる診療報酬制度の検討については非常に多角的な複雑な要素の中でこれを検討いたしておりますので、直接こうした僻地なりあるいは無医地区に対する対策として、そのような経済的な援助というものを国庫補助、それも設備費だけでなく、運営費等についての補助をさらに強化をしていくという方向でまず第一歩を踏み出しているというのが、現状でございます。方向といたしましては、私どもも先生のお考えに全く同感でございます。ただ、今後ともそういった面での検討は、つまり診療報酬面での検討と申しますことにつきましては、直ちにここではちょっと御返答いたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
○木島委員 最後に一つだけ。秋田の場合の地元負担、寄付金は話し合い中という、この前川村先生にお話しでございましたが、これは話し合い中であることは、することもあるし、しないこともあるという二つしかないわけですな。だが、文部省とすれば——、地元はそれはしたくないにきまっておるのですが、文部省とすれば、させたいという考え方に立っていらっしゃるのですか。
○村山(松)政府委員 秋田大学の医学部創設にあたりまして、地元側からできるだけの協力をしたいという話がございまして、いろいろ話し合いをいたしておりますけれども、医学部創設はきわめて困難な問題でもありますので、法律の許す範囲におきまして、文部省としてもやはり御協力を仰ぎたいと思っております。その内容といたしましては、前回御説明申し上げましたように、現在の県立病院の移管あるいは敷地のお世話などが内容でございます。
○木島委員 地財法の四条の五は、「国は地方公共団体又はその住民に対し、」「直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。」とありますね。この「物品」の中にはいまおっしゃった県立病院なりあるいは土地——土地のあっせんはいいですが、たとえば直接住民でなくても、何かトンネルの機関のようなものをつくりますね。それから強制的でないとおっしゃるけれども強制、そして「これに相当する行為」とある。これは一体どういうことになるのかわかりませんけれども、そうでなければできませんよというような表現、これが「相当する行為」になるだろうと思うのです。しかも「強制的に徴収するようなことをしてはならない。」——するようなことをしてはならないということになると、どうなんでしょう、法律的にいうのじゃありませんけれども、私、ことに教育界でもって法律に自主的に違反するような、あるいは何かみずからが法律の趣旨を踏みにじっているようなことを、教育界においてはせめてしたくないという気持ちがあるのです。もちろん財政的な苦しみもありましょう。けれども、地方ではそれは必ずしも好んでおるわけじゃありません。ただ大学がほしいから、医学部がほしいから、しかたがないという気持ちでしょう。こういう点、大臣いかがでございましょうか。
○坂田国務大臣 この間からもお答えを申し上げておるとおりでございまして、確かに地元に負担をかけないでやることが望ましいことは、言うまでもないことだと思います。しかしながら、地元のほうからも非常に御要求が強いし、そしてまた協力もいたしたいということでございますので、私どもできるだけそれに最大限の努力を払いまして調整を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、いささかも強制にわたるようなことがあってはならないというふうに思うわけでございます。
○木島委員 そこで、この秋田大学の場合、もし文部省の希望するものを金額に直したら、どのくらいになるのですか。
○村山(松)政府委員 すでに県において敷地を確保されておるわけでありますけれども、敷地の購入価格は約五億円と聞いております。その他の問題につきましては、まだ金額の点は明確でございません。
○木島委員 いずれにしろ、相当な額だと思うのです。今日の地方自治体は、相当財政的に苦しいことは御承知のとおり。したがって、そういうことを含めて、先ほど申したとおり、教育界がみずから法律を踏みにじるようなことをしないように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○八木委員長 次回は、来たる十八日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十二分散会