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63回国会衆議院1970/06/09

物価問題等に関する特別委員会 第15号

発言数
105
登壇者
16
会派数
5
開催日
1970/06/09

会議録

松平忠久日本社会党

○松平委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、行政介入と物価について、本委員会に参考人として、元東京外国語大学教授伊東光晴君から御意見を承ることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

松平忠久日本社会党

○松平委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  伊東参考人には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。  さきに、政府に対し物価安定政策会議から「行政介入と物価について」の提言がなされておりますが、本日は、広い識見を有せられる伊東参考人から忌憚のない御意見を承りまして、本委員会の今後の調査の参考に供したいと存ずる次第であります。何とぞ、よろしくお願いいたします。  なお、議事の整理上、初めに伊東参考人の御意見を、約十五分程度に要約してお述べいただきます。その後、行政監理委員会委員犬丸實君から、物価行政の改革に関する意見について説明を求めることといたします。  それでは、これより伊東参考人から御意見を承ることといたします。伊東参考人。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 行政介入が物価にどういう影響を与えているかということを、四十三年の九月から一年数カ月にわたりまして調査いたしました。その調査をずっと続けてまいりまして私たちがつくづく感じましたのは、従来までの行政というものが、戦後の貧しい時代の、物資不足時代の行政として定着している。その結果、生産をふやすこと、質を向上させること、こういうことに力点が置かれておりました。そして、高度成長過程を通じまして、そうした役割りはますます強められ、ある意味で、これは十分な成果をあげたと考えております。そして、その成果があがりましたために、現在のように豊かな時代になりますと、その行政は転換を必要とするのではないか。そして、転換を必要とし、消費者のために、あるいは価格の安定化のためにという新しい、生産優位の視点からもう一つ別の視点へと、ウエートを徐々に移す段階にきたのではないか、これが、私たちの調査の大きな一つの結論であります。特に高度成長以後、社会構造、経済構造の変化は非常に大きいのでありまして、その変化に適応すること、その経済政策のむずかしさを、調査過程においてしみじみと感じました。  ところで、どういう点に私たちのねらいが集中したかと申しますと、それはおよそ五点であると思います。  第一は、各産業におきまするところの参入条件をできるだけゆるめる。そして、参入障壁を高めているような要因を徐々に取り除き、その産業に競争条件を導入していくということが、一つのポイントであります。競争が激化する、あるいは競争が価格引き下げに向かってくるというようなことの一番大きなところは、この参入条件をゆるめるというところにあるかと思います。これが第一点。  第二点は、ともすれば限界企業、一番能率の悪い企業温存が各産業によってはかられてい過ぎる。この限界企業温存を取り除く、これが第二のポイントであります。  それから、第三点には、競争条件を強化いたすために、一つの武器として輸入を使うということはしばしば行なわれておりますけれども、この輸入によるところの、外からの刺激が迅速に行なわれねばならない。時期を失する、そういうようなものがかなりあるのではないか。迅速にこれを行なうメカニズムは、どうしたらこれが樹立できるであろうか、これが第三点であります。  第四点は、安定帯価格政策、最低価格政策、こういうようなものに経済法則を導入し、その水準の適正化をはかる。豊かな社会になるとともに、こうした安定水準というのは動いていくのでありまして、その安定帯価格水準というものを、そのとき、そのときに合わせて移していくというようなことをしていかなければならない。これが第四点。  第五点は、ともすればおちいりがちな惰性的な行政というものにケリをつける。  この五点であります。  行政介入と物価という提言自体は短いものでありますけれども、そのもとにかなり膨大な調査がありますが、それを全部申し上げることはできませんので、一つずつ例をあげながら御説明したいと思います。  惰性行政をやめるということの最も典型的な例は、それは事実上のカルテルであります。適用除外カルテルと現在いわれておりますところの、中小企業団体法に基づきますところのカルテル、これが実に九百を数えておりまして、そして、その中におきましては、緊急避難的に、一時このカルテルというものを結ぶというような緊急避難的な性格を持つものもありますけれども、それが何と十年にわたってずっと続いているものもある。そこで、こうした緊急避難的なものはもちろん、適用除外カルテルの場合におきましても、ある程度たちまして効果が出なかったならば、それはもう時限的にこれをはずすというようなこと、そして冷たい風を外から当ててみるということも、必要があるのではないか。あるいは、適用除外カルテルの場合も同じでありますが、こうした場合においては、産業構造を近代化し、質を高める、そういう本来の目的があるならば、当然、そこに時限的なものを与えることによってみずから業界が努力する、こういうようなことを強くやるべきではないであろうか。こうして、惰性的にそれが五年も十年も続くというようなことについては、ピリオドを打ちたい。  次に、価格水準、安定帯価格水準というようなものにつきましては、農産物、豚肉であるとかそのほかでありますけれども、こうしたものは、下限については、生産者保護的機能はほぼ働いてきた。しかし、上限でありますところの消費者保護的な機能というのは働いていない。これは安定帯のとり方に問題があるのではないだろうか。ここを動かしていくということ、こういうことが必要であろうと思います。  輸入によって外からの競争を入れる、これは迅速にしなければならないというものの最もいい例はノリのようなものでありまして、そのノリの輸入、この放出というようなことが、国内産の価格決定が行なわれた以後において行なわれるというような事態では、本来の機能を発揮しないのでありまして、それ以前において、政策的に見ながら、いち早くこれを行なうというようなことをすべきではないかというぐあいに思います。  四番目に限界企業温存。これは非常な産業において存在しております。巨大な企業が一つありまして、あとの同業者がかなり小さい。こういう場合におきましては、過去においてだったならば、これは競争によりまして限界企業が淘汰される。その過程の中において価格が下がるべきものが、これがそうならない。こういうことは、たとえば損保事業のような場合においては、もう少し競争条件を入れ、同一な料金によって競争するのではなしに、お互いに料金格差をつける。企業格差もあるのですから、そうしたことをやる必要があるのではないか。かなりつらいでしょうけれども、しかし、そういうようなことをして合理的なものを残していかない限り、合理的なものを育成していかない限り、価格問題というのは十分いかないのでありまして、限界企業を温存させますと、限界企業の労使は、ともにその自分たちの企業というようなものを存立させるために利益集団的になりまして、価格に問題を転嫁していくという傾向が非常に濃厚であります。産業を見てまいりますと、通説的には、労使というぐあいに見方を分けておるのでありますけれども、価格問題に対する限り、日本におきましては、小さいところは小さいところなりに、大きいところは大きいところなりに、企業あるいは産業一体化の利益集団化傾向というものがかなり進行しておりまして、そして、問題をその需要者に転じていく。こういうようなことを防ぐためには、どうしてもかなりきびしい競争の条件を導入しなければならないのでありまして、その場合、少なくとも限界企業というものが安易にならないように、ここに徐々に競争の冷たい風を送るというようなことも必要なのではないか。過去におきますように、生産あるいは成長ということの視点が強くて、そして企業温存、企業育成というものが、ともすれば、こういう限界企業という非合理的なものを安易にしている。こういう点については、ややきびしい行政態度というものに転じていく必要がある、こう思います。  五番目に、参入条件をゆるめるというようなことについては、意外に小さい企業、あるいはもっと極端に申しますと、たとえばふろ屋さんであるとかあるいはお酒を売る店、こういうようなものについて、従来の行政の視点から、許可制というようなものがお酒については行なわれ、それから、おふろ屋さんにつきましては距離制限、こういうようなものが行なわれ、そして、その結果参入条件がゆがめられてきた。お酒の場合などがその例でありまして、スーパーという大型能率小売り店、これが進出するのに対して、ともすれば、そうした許可がスムーズに行なわれない。税収確保という目的はもう十分達したのではないか。あるいは、おふろ屋さんについて言いましても、距離制限というのは衛生的見地から行なわれますけれども、衛生的見地という、過去の貧しい時代における目的は十分達しているのでありまして、いまでは、経済政策としてこうした問題を考えなければならないのではないか。あるいはタクシー業というようなものも、いままでとは違いまして——一体タクシー業というのは、産業組織論の見地から、どういうような組織が一番合理的なのであるか。本来的に、化学工業のように、生産過程が大量生産の合理性というものを基軸にして展開するような、そういうものではありません。もしそういうような、大量生産の合理的なものを基礎にしていくのであるならば、それは、本来的に大企業が生まれるのが必然でありましょう。しかし、タクシー業のように必ずしもそうでない場合には、一体産業組織論の見地からどうしたものが適当なのか。おそらく、この免許を自由にするならば、個人タクシーというようなものはかなり拡大するであろうというぐあいに思います。そして、こうした業界に最も適するような経営組織、そういうものを育成するというような視点、こういう点に、ともすれば、従来の参入条件を行政的に阻止していたものがありはしないか、等々であります。  以上、五つの問題について例を申し上げましたけれども、消費者行政の場合におきまして、どういう点に手を加えたならば一番価格が安くなるかというポイント点があるのでありまして、そのポイント点を、行政介入の場合にも力点を置いて変えていくということが、いま一番大切であろうかと思います。  たとえて申しますと、生鮮食料品という非常に上昇傾向を持っているものにおきましても、小売り店マージンというものは意外に大きいのでありまして、小売り店マージンは、仕入れの五割ないし十割をかける。卸値が非常に高いときには、マージン率は非常に少なくなりまして、安いときに多くなるのですが、こういうような場合に、たとえば卸売り機構の合理化というようなところに行政介入で手をかけまして、中央卸売り市場の機構を改良いたしまして、一%程度の合理化をやりましても、それはほとんど価格には影響を持たず、小売り段階において吸収されてしまうということであります。それに対しまして、小売り段階の合理化というものは、売り上げ利潤率が非常に大きいために、ここではかなり価格に響いてまいります。こうしたところに行政介入の転換をすることが必要である。そして、それは、現にかなりの程度でもって進行しておりますところの大型小売り店、こういうようなものを見守っていく、こういう態度が必要ではないか。いままでの中小商店保護という、そういう視点は実に重要なのでありますけれども、しかし、その結果が、ともすれば非合理的な商店温存策にならないだろうか。それに対しまして、非常に経営効率をあげ、販売効率をあげていくところの大型小売り店、こういうようなものを見守っていくというようなことが、小売り価格というものを安定化するためにプラスになる度合いは強くなるのではないか。そのためには、すでに物価問題懇談会において強調いたしましたけれども、再販売価格維持制度、こういうものについてはかなりきつい態度をとっていただきたいと思います。  再販売価格維持制度につきまして、イギリスが戦後、小売り段階における経営構造の変化が非常に激しくなるとともに、再販売価格維持制度につきましては、原則禁止をうたいまして、そして、認めるものについてはコスト公表の義務を課し、そして、小売り店におけるところの合理化という点から問題を進めていく、こういう態度は、われわれ見習うべきであろうと思います。現行法のもとにおきましても、再販売価格維持制度というものは、もう少しきつく適用することが可能であり、そうするならば、この大型小売り店というものによるところの、既存小売り店を含めての合理化というようなものは、それを刺激の中心として進むのではないか、こう考えております。  以上、幾つかの例を申し上げましたけれども、私たちが提案を申し上げてから以後、徐々に実現しつつあるものもございます。たとえば、たばこにつきましては、たばこの在庫がきわめて多い。これにつきましては、その後の資料を見てみますと、在庫は次第に減りつつあります。さらに、塩の場合でありますけれども、塩の場合につきましても、基本的に、従来の国内塩を育成し、ここで食料塩を確保するという政策を、次第次第に輸入塩に転ずる、あるいは新しい技術導入というのを行ないながら、それと輸入塩との競争状態というものを勘案していく。そして、従来の塩業地域というものは、工業立地として非常に恵まれている地帯が多いので、そこへの転用を次第にはかっていく。こういうような点をはじめまして、提案しましたものの中で、現実に進行しつつあるというものはかなり進んでいるように思います。  しかし、厚生行政、運輸行政、従来、産業別にかなりのしきたりがあります。場合によりましては、従来厚生行政であったものが、あるいは通産行政に移してしまうほうがいいかもしれない。私は学校関係者なので、非常に極論を申し上げるのでありますけれども、いままで衛生的見地というので厚生行政でしていたものが、あるいはそれで十分であったものが、いまやそういう段階ではなくなりまして、たとえば薬屋さんであるとか、おふろ屋さんであるとか、あるいは床屋さんであるとか、こういうものは中小企業の産業政策として、あるいは別の官庁に移したほうが、従来の事実からいって非常にいいのではないか。そういう提案は実はしておりませんけれども、そういうようなことを考えさせる内容もあった。あるいは、現在のように交通問題というのが非常に問題になっているときにおいては、道路の上を走る自動車と、それから鉄道、電車、こういうものを一元的に、交通行政という点でもって考えていく必要があるのではないか。道路のほうは、つくるのは建設省、しかし、それを使うのは運輸省、そして、そのつくったあとでトラックと鉄道とがお互いに競争する。いかなる合理的な運輸体系をつくったらいいかというときには、もう少しつくる前に両省が十分話し合う、そして十分検討し合う。そういう点では、あるいは一元的にこういうのを見るという体制が必要ではないかというような議論まで出ましたということを申し上げて、あとは御質問に譲らしていただきます。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 以上で、伊東参考人の御意見の陳述は終わりました。  次に、行政監理委員会委員犬丸貴君から説明を求めることといたします。犬丸實君。

犬丸實行政管理庁行政監理委員会委員

○犬丸説明員 行政管理委員会は、ご承知のように行政機構の改革あるいは行政運営の改善につきまして審議をし、答申をし、また建議をするのが職務でございます。そういう意味におきまして、この行政機構改革がなかなかはかばかしく推進いたしませんので、何回か、これを推進する意味で意見書を出しておるのでございますが、昨年のちょうど八月に行政改革第二次の三カ年計画が出ましたときに、現在の緊急課題に関する意見といたしまして、幾つかの項目の意見書を出しましたが、その中で、当時の一大行政の問題として重要な問題である物価問題についても、意見書を出したのでございます。  その後、依然として物価問題は重要な国民的課題、国家的課題でございましたが、最近物価安定政策会議ですか、先ほど伊東先生からお話のございましたような提言が出まして、この内容と申しますか、主たる主張が、過剰な行政介入によって物価の引き下げが阻害されているということが主題でございました。そういうことで、われわれも、行政改革のといいますか、行政運営の現在の一番大きな課題は、行政需要の内容が変わっているのに、行政運営のやり方なり機構がそれにマッチしていない、行政内容を転換して、現在の必要に応ずるような方向に持っていくべきだということが、われわれがふだん主張しております要旨でございますので、安定政策会議の御提言も、われわれの意見と全く同感のところが多いので、重ねて、この提言を支持する意味において、また、われわれが行政改革といいますか、行政運営改善の見地からいたしまして、この物価安定問題についての意見、これを重ねて政府に要望したいという意味で、この意見書を提出したわけでございます。  したがいまして、内容につきましては、安定会議で御提言になりました内容を、われわれが行政運営の部面からいたしまして、あるいはわれわれが持っている資料あるいは意見、そういったものを土台にいたしまして、これをわれわれの目でもって見て、この安定政策会議の意見を支持する意見にいたしたわけでございます。したがいまして、内容は非常にダブっておる点もあると思いますので、内容につきましては、ごく簡単に申し上げたいと思います。  その一つは、先ほどもお話がありました許認可の問題でございます。許認可の整理ということは、従来も行政運営改善の一つの大きなテーマでございまして、臨時行政調査会におきましても、これが幾多の例をあげましてこの改善を指示しております。その後政府におきましても、この問題を取り上げましていろいろ実行に移されておりまして、数の上では相当の分野が整理されたと思うのでありますけれども、内容的に見ますと、重要な問題といいますか、ことに現在問題になっております物価の安定あるいは抑制ということに実効のありそうな許認可というものが、あまり整理されていない。ごく最近も、自治省でもって府県、市町村その他にアンケートをとりました行政運営改善の意見の中にも、この許認可の問題を相当取り上げられておるわけでございますが、この問題につきましても、各省とも、それぞれあまり実行していないというようなことがございまして、重要な問題についてはなかなか手がつかないようであります。したがいまして、この物価の問題に関連いたしまして、許認可の問題は、数だけではなくて、実質的な重要な問題をぜひこの際取り上げて、整理あるいは統合、廃止その他の措置をとってほしいということが第一点でございます。  第二点につきましては、われわれは特殊法人の問題、行政機構の膨張の点から考えまして、特殊法人の整理の点を常に主張しておったのでございますが、この前申し上げました、昨年の緊急課題におきましての物価行政の中におきましても、特殊法人のうちのこの機能を果たしてない、ことに、先ほどもお話がありましたような、下限のささえになるような作用はあるけれども、上限を引き下げるというような、そういう働きをなしてない、ある意味においては、現在においてはもうその必要はないと思われるような特殊法人についての整理を、さらに推進するようにすすめているわけでございます。それと同時に、機構にいたしましても、たとえば、農林関係の統計調査事務所でありますとか食糧事務所、こういったものについての配置転換、あるいは内容の転換による縮小整理というようなことも、この際考えるべきであるということも申しておるわけでございます。  それから、第三点は、これも先ほどもお話がございましたけれども、国内産業保護のために輸入を制限しておる、こういうようなものについては、現在の一番の問題が物価問題である以上、消費者の保護ということをまず念頭に置いて、輸入の制限を緩和すべきである。そうして、国内産業の保護という点は別個の見地に立ってやるべきであって、消費者の負担においてこういった保護をはかるというようなことは考え直す必要があるのではないかということが第三点でございます。  それから、物価の問題に関連いたしましては、行政管理庁でいろいろ行政監察をやりまして、その結果、いろいろの勧告をいたしております。その中で、一部分については実施されたものもあると思いますけれども、実施されてない部分が相当ある。しかも、その勧告の実施によりまして物価の安定に効果がありと思われるものがありますので、それらを実例をあげまして、こういう問題について、早急に各省庁とも勧告の結果を実施するように要望いたしておるわけでございます。  その他、これも昨年の提言のうちにも述べたのでありますが、物価行政につきまして、国の一番——公害行政でもそうでありますが、一番問題でありますところの、この現在の縦割り行政をどういうふうにして直していくか、あるいは、その欠陥を補正していくかという問題でございますが、さしあたっての対症的な療法の一つとして、経済企画庁にもう少し総合調整機能を強化したらどうか。これは元来、国の全体の行政についての問題でありますけれども、特に物価行政について、緊急の課題といたしまして、経済企画庁にもう少し総合調整機能を付与したらどうかということを述べておるわけでございます。  その他、各種の競争阻害行為であるとか、あるいは、各種の中間経費がどういうふうにかかって、どういうふうに影響を及ぼしているか。それに関連いたしまして、どういう点を突いたら物価抑制の実効があるか。いま、伊東先生からお話もございましたが、いろいろな問題があると思いますが、こういうことについての実際の資料をとるためには、幸いといいますか、行政管理庁で全国に支分部局を持っておりますので、そういうところで情報をもっと集中的にとって、しかも、これを政府全体が使うような、活用するような方法を講じて、物価行政の実効をあげてもらいたいということが、最後の点でございます。  いろいろ、こういうことを申し上げておりますが、要するに、物価行政というのは非常に間口の広い問題でもあるし、いろいろな行政が関連している問題でありまして、一つだけ取り上げてどうこうということでないので、全体の問題といたしまして、物価安定政策会議の提言やわれわれの意見だけにとどまらず、広くできるだけ各省協調して、この物価問題を取り上げてやっていただきたいというのが、われわれの意見の趣旨でございます。     —————————————

松平忠久日本社会党

○松平委員長 これより政府並びに参考人に対し質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。砂田重民君。

砂田重民自由民主党

○砂田委員 私は、伊東先生に主として伺っておきたいと思うのです。  一年もの間、たいへん慎重に御検討いただきまして、今回、政府に建言をいただいたわけでございますけれども、その内容については、まことに敬服すべき御意見を私どもも伺うことができた、かように考えまして、まず心から敬意を表する次第でございます。  どうも参考人の方に一問一答でお伺いするのは、たいへん失礼でございますけれども、先生のお話が、たいへん具体的な例をあげてお話をいただきましたので、一問一答的になります失礼をお許しをいただきたいと思います。  今回の物価安定政策会議の御提言について、実は私どもも、従来から考えていた一つの面でございます。ただ、やはり同様に、物価の問題とあわせて、私ども、中小企業対策というよりは零細企業対策という、そういう角度からもものを考えなければならない。どうもこの矛盾にぶつかって踏み切れなかった問題も、たくさんあるわけでございます。  そこで、先生のお話も、ややきびしい競争条件とか、そういうことばを使って御説明をいただいたわけでございますけれども、先生が具体的に例をあげてお話をいただきましたことの中にも、たとえば酒屋の認許可の問題に関連しての酒屋のこととか、薬屋、ふろ屋、散髪屋、タクシーというふうな業種が出てきたのでありますけれども、酒の小売り屋さんというものは、決してそう大きな利潤をあげている業種ではない。たとえば特級酒にいたしましても、特級酒で一五%ぐらいの利潤しかないのではないかと思います。これの距離制限を、やや競争条件を緩和するんではなくて、思い切った競争条件の緩和をした場合には、これはおそらくもう値引き競争といいますか、酒の小売り屋さんというのは成り立たなくなってしまうのではないか。それと、いまの距離制限のままいけば、それが消費者に、酒を買うのに非常に不便を与えているかどうか。ただいまの距離制限そのものが、そういう価格の競争ではなくて、価格を定着化してしまって、それが消費者に大きな不利益を与えているのかどうだろうか。片や、スーパーに酒の小売りをどんどん許してまいりました場合には、スーパーとか大型小売り店とかいろいろな名前で呼ばれておりますけれども、これは基本的にディスカウントストアでございますから、酒の小売りのディスカウントの販売ということが考えられるのじゃないだろうか。千円ちょっと上回る、千百六十円ですか、その程度の特級酒、スーパーがこれを扱うとするならば、千円で特級酒を売りますというような、目玉商品的なものに使っていくんじゃないだろうか。それがやはり、私どもが一つの角度から考えなければならない零細の小売り商業対策というもの、そういうものの考え方から、この小売り屋さんにどういう影響を与えるだろうか、こういうことの悩みを、いままで持ってきたわけなんですね。そういうことから、先生方のお考えとしては、やはり酒の小売り屋さんというふうな、いわば非近代的な流通機構の中の一つの典型的なものとして、やはりある程度の、いままでより以上のきびしい競争条件というものの緩和、これを、そこへ風を吹き込ましていく、こういうふうにお考えになっておられるのかどうか。  もう一つ、端的に申し上げれば、酒の価格を安くして、消費者がありがたいと思うような気持ちを持ってもらいたい。とするならば、酒の税金を下げるのが、一番早く酒の小売り価格というものが下がるのではないか。酒の小売り屋さんにそういう、いままでよりもややゆるやかな競争条件というものを、——競争条件を緩和をして、酒の小売り屋さんにそういう風を吹き込ませた場合には、これは醸造元まで波及をしていって、新しい競争がそこに生まれてくる、そういう読みをされておるのかどうか。そこら辺のところを、ひとつ先生の御見解を伺っていきたいと思います。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 酒について申しますと、流通段階が非常に強固に、縦に割れております。そうしまして、新規のビール会社がここに三社参入いたしまして、一社が脱落いたしまして、一社が残っておりますけれども、この残った一社も、残り得たのは何かといいますと、既存の流通に屈服したためであります。既存のあるメーカーの流通というものに全部乗せてもらいました。ここで初めて残り得た。つまり、その品質であるとか価格であるとかいうより前に、卸売り店というものが特定メーカー卸売り店に専業いたしまして、これが許認可的なものと結び合いまして、しっかりした形になっている。こういうことのために、新規企業参入が非常にむずかしい。ここをもう少しゆるめる必要があるのではないか、これがまず第一ポイントになります。  第二ポイントは、私たちが物懇のときに、専門委員が推計したのでありますけれども、その推計がもし間違いでなければ、ビール業界の中においては、かなり格差がございます。そして、他の企業に比べて超過利益があると思われているものがあるわけです。しかし、その超過利益というものは、一本当たりについてはほとんど問題にならない。つまり、もし一本一円の超過利益であったといたしますと、最大メーカーというのは年間二十億の利益を、総額としては得るわけです。しかしながら、それは一本当たりにしてはほとんど問題にならない。実は、ほんのわずか一本当たりの超過利益というものが総額としてかなりの額になるというのが、いまの大量に生産しているところの業界の実情であります。  こうした場合は、通常における競争というものを行なわせましても、どうしても限界企業というものを温存させて、競争を行なわないで自分たちが利益を受けるというような傾向に、ともすれば移りがちなんです。  ここをゆするのにはどうすればいいかといいますと、ハーバード大学のガルブレイスが言っていますように、流通末端に、大きなメーカーに対抗するカウンターべーリングパワーをつくりまして、そして、ここからやっていくようになった。それで、大型小売り店で能率のいいものが出てきますと、たとえ一本半銭の超過利益であっても、そこに介入してくる。より安くおろさないか。消費者にかわりまして介入いたしまして、それを自分のところに出す。しかし、こうした場合においても、一本一円程度で、ビールの重いものによって人が買いに来るわけではありませんので、こういうものについては差額価格というものを使わずに、特定な品物に集中して集めて消費者を呼ぶというようなことをいたします。こういう形で、消費者にメーカーの格差における超過利益が還元するメカニズムというものは、大型小売り店の育成というようなことによって、初めてアメリカにおきましてもできたわけです。こういうようなメカニズムがありましても、それは集中的に集めまして、特定の季節的なものでもってやるというようなのが普通であって、お酒のように、売り上げ利益率がかなり少なくてというようなものには、一般には行なわれなかった。むしろ、こういうもので値引きが大きく行なわれている現実は、大型な飲食店におろす値段は、非常な値引きが行なわれている。ところが、消費者については行なわれない。大型な銀座のお店というようなところにおいては行なわれるというのが現実なんであります。  私は、一挙に競争をやって中小企業、というのではないのでありますけれども、ただ、一番問題になると思われるところのふろ屋さんについて、実態の調査をいたしました。東京都のふろ屋さん全体につきまして、これは委員会ではなしに、個人で調査いたしました。東京都の地図、一区だけでこんな大きなものですけれども、全部の地図にふろ屋さんを全部写しまして、距離制限というものがどの程度営業成績に関係を持つのかという、ふろ銭の価格決定のときに出てきますところのふろ屋さんの営業報告というものを調べたわけであります。距離制限が収益に影響を持っているという相関関係はほとんどない。むしろ、その地域に何軒かふろ屋さんがあることが逆に人を集めまして、離れているところが非常に経営が悪い。こういうぐあいに衰退産業であり、むしろ地域、地偏性がかなり強いと思われるふろ屋さんにおきまして、事実、距離制限はいわれているほどの効果がないというのが、私たち数人でやりましたところの調査の結果なんであります。ある意味で、そこに同じような店屋さんがあるほうが人が集まるというような、そして売り上げの量が非常にふえまして、ともに効率がよくなる。東京、大阪、こういう地区でもって物価の安い地区というようなものを、いまから五年ほど前に私は調べてみたのです。そうしますと、たとえば横浜のどんどん横丁などというようなところにおいては、同じような商店がたくさんあるわけです。そうすると、かえって人が来まして非常に売れる。そういうような地区も存在するわけなんです。  もう一点、いま流通過程がどういう形でもって変化しつつあるかといいますと、これはお酒屋さんよりも、もっと具体的に申しますと電化製品、こういうところで一番顕著に進んでおりますけれども、それはメーカーが小売り値を指定いたしまして、たとえば、この量以上売ったならば三割引きでおろす、これ以上売ったならば四割引きでおろす、こういうようなことをやりますと、いろいろなメーカーの品物を売るよりも、一つのメーカーの品物を売るとうんと割引になる。そこで、小売り店がみんな特定メーカーに集中してくる。薬なども、私のところは、かぜ薬はこれを売るというようなぐあいにきめておるわけです。こういうような形が非常に濃厚になりまして、メーカーから、卸売りから小売り段階まで、一つのメーカーの縦のパイプ、これがずっと縦に割れてくる。そうして、このメーカーが中間業者を、流通経路が非常にはっきりいたしますと中間を飛ばしてもいいという形で、これを飛ばしてくる。こういう形で、パイプが太く短くという形で進行する。私は、これをメーカー主導型の流通革命の進展というぐあいに呼んでよいかと思っておりますが、これの進行が一方において、日本は諸外国よりも非常に強い。こうなりますとどうなるかといいますと、メーカー間における競争が非常に激化しながら、その競争というのが、その中間段階におけるところのリベート競争であるとか、あるいは旅行あっせん競争であるとか、景品競争という形になりまして、肝心の消費者に還元する度合いというものが非常に少ない。こういうような段階がある程度まで進行いたしますと、うんと売るならば割引が多いという形で、うんと売るということを武器にして、流通末端に大型小売り店が出てくる。実は、かつてのアメリカがこういう状態でありました。  このメーカー主導型流通革命に対しまして、小売り末端におけるところの大型小売り店、アメリカの場合には卸売り店が大きくなるという形で出てきたものもございますけれども、こうしてこれらが、自分たちが存続するためには大量に売らねばならぬ。それだけ大量に仕入れねば安くならない。こういう形において低価格、高販売効率というものを持つところのものが小売り店に出てくる。こうして下からの、消費者の利益を代弁するような合理的な流通革命が逆に起こってくる。  この二つの中で、下からの流通革命がメーカーの寡占的行動に対するカウンターべーリングパワーに非常に有効であった、というのがガルブレイスでありまして、ガルブレイスは、独禁法をはじめとするところのあらゆる独占政策というものは、実効を完全には持たず、ほとんど失敗であった、しかし、このカウンターべーリングパワーは成功したというぐあいに言っておりますけれども、実はそういうようなものが進行いたしまして、いまは過渡期でありまして、相当既存の小売り店との間の問題が出てまいりますけれども、やがてこれが落ちつきますとどうなるかといいますと、それぞれ分業体制が敷けまして、小売り店は、大型小売り店では扱えないような——大型小売り店は、年間四十回転以上しなければならないというような特殊商品に特化いたしまして、そうでないものは小売り店にいくという分業体制が進行いたします。  現在はそこまでいっていないので、そのあつれきがかなりあるということと、もう一つは、社会的に上からの流通革命で、流通末端の小さな小売り店を持っておりますと、メーカーが主導型でそういう小売り店を握っておりましても、長い期間になりますと、非合理的な、したがって流通経費を多額に食うものを持っていれば、メーカーが競争過程に勝ち得ないという形で転換をするという段階になりまして、そうして、合理的なものがやはり最後に残る。資本主義経済というのはたいへんうまくできているメカニズムでありまして、それに立って流通過程が次第次第に変わる。私も、やがてアメリカ的に、百貨店、それから大型小売り店、それから専門店化しつつあるところの、また、サービスの内容の違う小売り店との分業体制が出るだろうと思うのです。しかし、それは一挙にできませんで、その間にあつれきがある。そのあつれきをいかに切り抜けるかがやはり行政と政治のむずかしさだと思うのです。  私たち学校の者は、その合理的なものを一挙にぱっと言いますけれども、それでいいのかと思いますけれども、やはり現実は、なかなかそこにいかない。ただ、そういうことをやる場合に、ぜひとも現在のような高度の成長過程においてやっていただけるならば、非常にマイナス面が少ない。というのは、現にそういうスーパーマーケットの大型が進出した地区を調べましたところが、実はそういうのが進出しますと、いままでと違う都市構造になってまいります。というのは、いままでは小商店群出のメカニズムが非常に強かった町が——つまり、ちょっと売り上げがふえますと、新しく小売り店が出てくる。これがとまってくるわけなのです。とまってきまして、一軒一軒の売り上げ高がふえて、店がふえないという形になっております。昭和三十年代の終わりには、全国的統計でもそういうような状態が見られ出したのは、物価が上がり出して価格に転じてしまうと、実は非合理的な小商店がふえるという傾向が、統計的にも逆転してまいりました。この統計数値をどう見るかというので、通産と私たちとかなり意見が対立いたしまして、これは決してその非合理的なものではなしに、大きなメーカーの出張所のようなものがかなり入っているというので、さらに詳しく調査することにいたしましたけれども、しかし、どうも私の実感では、価格が上がると、流通過程におきましても、そういう大型化というような、既存商店大型化というものより少し劣るのじゃないか。ここのところで少し、大型小売り店というものを構造変化を推進していくキーにしながら、日本の流通構造というものを少しずつよくしていくのが、いまの成長過程においてとるべき道ではないかということを考えますので、ややきびしくという表現を、先ほどとらしていただいたわけであります。

砂田重民自由民主党

○砂田委員 たいへん広範囲に、いい御意見を承らしていただきました。そのあつれきに、まさに私たちは悩んでおりますが、学校のわれわれはという先生のお話のところへ、われわれも悩みながら、できるだけ早い時期に到達していきたい、こう考えます。  いまの先生のお話の中に薬の問題が出てまいりましたので、再販のことをちょっと伺っておきたいと思うのですが、独禁法二十四条の二の再販という制度そのものは、それなりにメーカーの側にも、あるいは流通の企業にも、また消費者にも、双方に何らかの法益のある制度だと、私は、制度そのものをそう認識している。ただ、いま先生がおっしゃったようなメーカー主導型の販売方法、これがどうも再販の上によけいに乗ってしまって、消費者を対象にしてのメーカーの競争ではなくて、メーカー主導型の中に入るところの流通段階の企業に対してのみのメーカーの競争、こういう状態になって出てきているので、再販そのものがいろいろ批判が強いのだろうと思うのです。  再販という制度によって、小売り屋さんも二〇%ないし三〇%の妥当なマージンを受ける。メーカーも妥当な利益をあげている。品質の安定その他、消費者にもそれが利益をもたらしている。そういう商品もあれば、一〇〇対一五というようなべらぼうな現品添付をやって、流通段階の企業だけを喜ばしている。消費者には、一向そういう利益がもたらされない。自分で小売り価格をきめておきながら、自分は流通段階の企業には安売りをしていく。そういうメーカーがあるところに問題があるのであって、再販の問題をもっときびしく取り扱っていくべきだという先生の御意見は、やはりそこらのところをお考えになっておっしゃっていることでございましょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 薬の業界は非常に特殊でありまして、おっしゃいました意味は、実情はよくわかります。非常におっしゃった意見に賛成でありますけれども、ただ、独禁法の解釈上で、もう少しきびしくできるではないかと私が申し上げましたのは、再販売の例の制度を認めるための条件といたしまして、競争が一般的であるというのに加えまして、日常消費者が消費する品物という形になっておるわけです。日常消費者が消費する品物について、ある保護的意味を再販売価格維持制度は持っております。ところが、薬の場合には、日常消費者が消費する生活必需品とはどうも言いがたいのではないか。これに私は、かなり法の拡張解釈があり過ぎるのではないかということが第一点でございます。  第二点は、おっしゃったことと同じなのですけれども、そのときどきの経済情勢を見て、この適用というものにかなり弾力性を与えることが必要であろうかと思います。  それから、問題をちょっとはずしまして、先ほどのことに戻りますけれども、非常に重要だと思うので申し上げるのですけれども、たとえば、かなり中小的なものを保護する理由はありますが、実は保護しているということが、長期的には中小企業を保護していないということになっている。  たとえて申しますと、床屋さんの例です。床屋さんの場合には、実は私から御説明するまでもなく、床屋さんの料金は、この種価格の中で、消費者物価構成品目のうち戦前比が一番高いわけです。なぜ一番高くなっているか。それで、一番高くなることによって床屋さんは楽になったかというと、そうではない。と申しますのは、日本人の男の頭の数はそんなにふえていないのですけれども、床屋さんの数は非常にふえている。つまり同業組合における価格決定が、参入障壁より越えて価格をきめているわけです。  そうしますと、資本主義というのは非常にダイナミックな動きを示しまして、新規企業が参入する。実はいま、自家ぶろが非常にふえているような現状で、おふろ屋さんの需要が少なくなっているにもかかわらず、おふろ屋さんに対する需要が少なくなるのが当然なのにもかかわらず、おふろ屋さんの数がふえているのです、統計によりますと。それが実は、業界で業界の首を締め、価格を上げる。それがさらに高くなる。実は日本の小売り店業の問題は、限界企業温存のためにかえって——立地条件によって、非常にいいところはもうかりますために、参入を引き起こして、数をふやして自分で締めていく。  ここで私たちは、決して小売り店にきついのではなしに、長期的に見れば非常に小売り店のことを思っている。実は座長であり第二部会長でありました有沢先生にいたしましても、全体の座長でありましたところの中山伊知郎先生にいたしましても、中小企業に対して非常にあたたかいと、私は思っております。あたたかいのですが、ほんとうにあたたかくするのは目先の利益なのか、それともどうなのかという点が問題だということを補足いたしまして、お答えにかえます。

砂田重民自由民主党

○砂田委員 もう私、そう時間がとれませんが、最後に、まとめて伺っておきたいと思うのです。  行政介入が価格に及ぼしておる影響、この問題をお取り上げになりましたのは、物価安定政策会議御自身の御発意でお取り上げになったと伺っているのです。そうであるとするならば、行政介入という角度からそれを御検討になりましたので、主として中小企業、零細企業を対象にしたものが重点でございます。ただ、私ども、価格の問題、物価の問題を検討いたしますときに、たとえば電力料金でありますとか鉄鋼の価格でありますとか、あるいは、大手不動産業者の土地の買い占めによる土地価格の高騰であるとか、重要な問題でございますけれども、こういうことについても、やはり物価安定政策会議は、これから御検討いただけるものであるのかどうか、それをちょっと伺っておきたいと思います。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 実は物懇の時代に、いまから四年ほど前になりましょうか、そのときに、第三部会に、いまの問題は土地問題である——これから申し上げるのも、少し極端な表現でありますけれども、この高度成長によりますところの所得上昇というのは、かなり成功をおさめておる。中産階級対策としては成功をおさめておる。しかし、その中の一つの例外は土地である。住宅問題だ。これを何とかしなければいかぬというので、土地問題につきまして、第二次物懇の第三部会において取り上げまして、提言をいたしました。専門員及び委員として私が関係いたしました。それから、電力と鉄につきましては、第二部会におきまして、大企業問題というところで、この行政介入と物価と同じく有澤部会長のもとにおいていたしまして、実は電力についての超過利潤の推計はどのくらいであるかということをやりましたし、鉄についても行ないました。  こういう問題は、実はその企業だけでない、非常に大きな問題を持ち得ていると思います。たとえてみますと、鉄におきまして、当時日本の鉄は、外国に比べまして一割も安い値段だったわけです。なぜ一割安いかということ、それでもなお値段を下げねばならないのか、そこの問題には、どういたしましても為替率というような問題が非常に大きく響いてまいります。こういうぐあいに生産性上昇率の非常に高いものは、ともあれ、昭和二十四年におきますところの非常に日本経済が弱体であったとき、日本とアメリカとをつなぎましたところのハンディキャップレート、一ドル三百六十円というのはいままだ続いておるのでありまして、そういたしますと、そうした生産性上昇率が非常に強いのが有利に働いてくるという必然のメカニズムがあるわけでありまして、こういうものにつきましては、非常に複雑なる経済政策を必要とする。物価問題懇談会は、こうした大企業の問題というものは十分考慮しておりますし、さらに研究をしたいと思っております。  ただ、今回のものは、これが物価を上げている元凶であるなどというぐあいに申しているのではありませんで、こういう問題も、いままで触れられないけれども、考慮していただきたい。そこには、いままでの各行政官庁の慣習とは違うものが必要だ。そこでこういうものをやっていただく。  実は私、こうしたものを各官庁が受け入れてくださるという新しい段階になったことを、委員の皆さんが非常に喜んでいるということをつけ加えさしていただきたいと思います。

砂田重民自由民主党

○砂田委員 伊東先生の御意見を一つ伺いたいと思うことがあるのです。それから、でき得れば、物価安定政策会議でもお取り上げいただいて検討いただきたいと思うのです。  たとえば練り歯みがきのチューブの中に、練り歯みがきは一ぱい入っておりませんね。たしか六五%から七〇%しか入っておらない。そうすると、二五%ないし三〇%というものはむだなチューブを、消費者は買わされている。それが入っている箱も、むだなスペースをとっている。いろいろな商品について、私は、これは一つの社会的な浪費だと思う。消費は美徳という時代になったと思いますけれども、浪費は美徳ではない。それが価格に及ぼしている影響も相当大きなものがあるのではないかと思っております。  私は練り歯みがきだけを申しましたが、あらゆる商品でこういうことを考えていきますと、輸送料というものが減ってもくるだろう。百貨店の売り場も、あんなにたくさん広げていかなくてもいいのじゃないか。練り歯みがきだけを考えても、あの箱が小さくなるだけでずいぶん変わってくるだろうと思う。そういう社会的浪費を物価安定政策会議でもひとつ洗い直していただきたいという気がするのですけれども、こういう社会的な浪費が価格に及ぼしている影響ということを、先生方どうお考えになっておられるのでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 いまのお話、実は私、非常に驚きました。と申しますのは、最近アメリカの物価政策上における一つの問題点が、広告よりもパッケージの問題のほうが価格に与える影響が大きいということが、非常に問題になりまして、先日私、委員の先生に、アメリカでこういうような問題が出ているから、われわれもパッケージ問題というものをやらねばならないかもしれないということを申し上げたところなんです。アメリカの計測というのがもし間違いないとするならば、実は広告費よりももっと、この問題が価格に与えている影響は大きいということが報告されております。  実はこうした問題になりますと、通常いわれている金融政策とか財政政策と違いまして、非常に小さい個々のことの積み上げで、価格政策は非常にたいへんなわけですけれども、しかし、いまの段階は、そういうものを一つ一つくずしていくじみな仕事の中にあるのかもしれないと思いまして、われわれも、アメリカのあとを追いながら、そういうことをできたらやっていきたい、そう考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 武部文君。

武部文日本社会党

○武部委員 今回の「行政介入と物価について」という提言を拝見いたしまして、先般の委員会で、この提言について政府の見解を求めたのでありますが、きょうは、提言をされた伊東先生においでをいただきまして、二、三の点についてお伺いをいたし、同時に政府の関係の皆さんから、このことについてお答えをいただきたい、このように思います。  最初にお伺いいたしたいのは、いま砂田委員からもお話がありましたが、この提言が、主として中小企業なりあるいは農業部門にメスを当てられておって、管理価格、公共料金、こういうものに触れておられない。ただ、この提言の中にございますように、このことは、すでに推進会議なりあるいは物懇の提言があったので触れない、こういうことがここに記載をされておりますが、過去の物懇なりあるいは推進会議なりの提言を見ましても、公共料金なりあるいは管理価格の問題についての提言は、きわめて抽象的でございます。その意味からいいますと、今回の提言は十五項目でありますが、これは具体的にどういうことをやるべきか、こういう点が非常に詳細に述べてありまして、それを受けて、政府もこの提言を実行するための努力をしておるようでありまして、私どもは、その提言がどのように生かされるか、このような点について注目をいたしておるところであります。  本日の午前中、物価対策閣僚協議会が行なわれまして、ただいま、その決定が私どもの手元に配付されました。この内容と、先生方が御提言になった十五の提言とを比べてみました。ただいま配付されましたので、詳細にこれを知ることはできませんが、すでに一日、二日前の新聞に、物価対策二十六項目の内容というのが出ておりまして、これといま比べてみたわけでありますが、大体合っておるようであります。大体合っておるようでありますが、大事な点が実は抜けておるのであります。ここが私は問題だと思うので、その点にしぼってお伺いをいたしたい。  その前に一点お伺いをいたしたいのは、この提言に具体的に十五項目ございますが、今日の物価上昇のおりに、この提言が生かされるならば、一体物価はどの程度下がるか、どういう傾向を示すだろうか、こういう点についてどのようにお考えだろうか、最初にそれをお伺いしておきたい。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 どのくらい下がるかということは、これはなかなか申し上げることはむずかしい。というのは、計量経済学的にこれは計測できるというわけではありませんですね。辻村委員というのが計量経済学者でありまして、非常に努力されたわけでありますけれども、これは計量経済学的計測を持つ質のものでありませんので、それはなかなか申し上げられないということが、正直なわけであります。

武部文日本社会党

○武部委員 一般の国民から見れば、これだけ物価が上がっているのだから、こういう具体的な提言がされて、もし政府がこれを実現をするならば相当物価は下がるだろう、こういう気持ちを持つと思うのです。そういう意味で、当面いま政府が何をなすべきか。また、具体的な提言の中に書いてありますように、これはやろうと思ったらできることなんだ、こういう具体的な指摘がございます。そうだとすると、この提言に政府が真剣に取り組んだならば、あるいは二%なり三%物価は下がるかもしらぬ、こういう気持ちを、私は国民としては持つと思うのです。マスコミのほうも非常にこれを取り上げておりますから、そういう意味では、私どもとしては、この提言が物価に一体どういう影響を与えるだろうかということを考える者の一人であります。いまおっしゃるように、なかなかそれをパーセントであらわすということは困難かと思います。この点はわかりましたので、それでは、具体的にお伺いをいたしたいのであります。  先ほども話がございました、この薬局等の適正配置規制について、詳細にお述べになっております。これはおそらく相当な調査をなされた上で、この提言がなされたと思うのですが、このことについて政府の見解を、私は先般お聞きをいたしました。ところが、全く違うのであります。また、きょうのこの閣僚協議会の決定の中にも、具体的な対策についての中に、薬局のことが載っております。薬局については、「適正配置条例の特例条項を活用し、開設制限の弾力的な運用を行なうよう指導する。」こういうふうに書いてあります。それから、あとで触れますが、「公衆浴場の規制のあり方についても同様とする。」ということですから、大体この提言に見合ったような方向を、閣僚協議会はきょうきめたようであります。  先日、私ここで、厚生省に来ていただきまして、そのことを言いましたところが、全然違うのであります。きょう薬務局長、おいでになっていると思いますが、いらっしゃいますか。——私は、議事録をきょう、ここに持ってきましたが、設置基準については、いやしくも人命にかかわることで、この基準について軽々にやわらげることはできません、こういう答弁であります。また、大衆薬のことについて、認可制を届け出制にしろということがございました。このことについても、どうだということを、この提言の趣旨から申し上げましたところが、「かぜ薬の場合、この成分中には麻薬に類する成分もあるわけでありまして、こういう成分を有しているものについてまで、私どもは、ただ単なる届け出だけでこれを認めるわけにはまいりません。」「いわゆる大衆薬というものの許可基準、これをただ単なる届け出制で終われという御意見については、私どもとしては、これは同意をいたすことはできない」、また「公衆浴場というものの距離制限を云々する考え方は持っておりません。」、こういう答弁が、厚生省からあったのであります。提言の趣旨を受けて、閣僚協議会もそのような趣旨をおとりになっておる。ところが、肝心かなめの厚生省のほうは、全然それを実行する意思はない、こうなっておるのであります。  先ほどちょっとお話がございましたが、提言をなさった方から見れば——いま私が申し上げたことは厚生省の態度でありますが、私は、非常にふしぎだと思うのです。お述べになっておるこの適配の問題というものは、いま私が読み上げました厚生省の見解と全く逆なのでありますが、厚生省の見解について、一体どのようにお考えでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 たとえばかぜ薬ですね、そういうようなものについては、国民の保健上におけるものは、薬価基準そのほかにおいて十分配慮されているというぐあいに、委員は考えました。また、薬につきまして、大衆薬を売ります場合には番号がふられておりまして、その番号によりまして、いつ、どこで、どういうぐあいに生産されたかというようなこともわかりまして、従来の日本の状態におきましては、保健上の問題というものは、十分それだけで、距離制限をゆるめても実現できる、こう考えまして、こうした答申というものを書いたわけであります。

武部文日本社会党

○武部委員 厚生省、どうお考えですか。

加藤威二厚生省薬務局長

○加藤説明員 いま伊東参考人のほうから、薬の値段につきましては薬価基準がきめられているという御指摘がありましたけれども、これは、あるいは参考人の誤解じゃないかと思います。  薬価基準につきましては、医療用の医薬品について薬価基準というものがきまっておるわけでございまして、この場合のたとえば再販の問題とかそういうような問題、ことに薬局で売られております医薬品、これは大衆薬でございまして、こういうものについては、薬価基準というものはつくられていないわけでございます。その点、一応お断わりいたしておきます。  それから、武部先生の御指摘の距離制限の問題でございますが、確かに、答弁のニュアンスはいろいろあったと思います。ただ、最終的には、本日の閣議決定の案について、私ども厚生省としても、それに同意をいたしておるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、適正配置というものを、この提言にありますように撤廃するということは困難でございますけれども、その運用につきましては、これを弾力的に運用いたしまして、場合によっては、若干適正配置について、その規制をゆるめるということも具体的に考えてまいりたい。それにつきましては、懇談会も早急に設置して前向きの姿勢でやろうということについては、紆余曲折はありましたけれども、最終的に厚生省といたしましては、本日閣議で提案されましたこの案でやってまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 それならばけっこうですが、前回は、答弁が全然違ったのですね。私の話には、全然問題外だというような話がありまして、私はわざわざ議事録を持ってきて——みんな読んでもいいのですが……。  それで、私も調べてみましたが、東京では、三十七年に薬屋さんが三千七百三十九店あって、四十三年には三千五百九十一店。薬屋さんが減っていますね。そういう結果があるのです。それから地域的に、東京では直線距離が二百四十メートル、愛媛県では歩行最短距離百五十メートル、あるいは、ある県では、薬局のワクを頭からきめてしまって、自分の県はこれだけだ、こういうふうにきめておるというような、ばらばらな行政になっておるようですね。そういう面では、厚生省のほうでは今回の提言を生かして、その提言にありましたような方法でおやりになる、そうして、この閣僚協議会の趣旨に沿って適正配置の問題は処理される、このように理解してよろしゅうございますか。

加藤威二厚生省薬務局長

○加藤説明員 御指摘のとおりでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 それならばもう一つ。きょうは経済企画庁長官がおいでになりませんので、ちょっとぐあいが悪いのですが、きょういただいた中に、せっかく提言の中で具体的にあって、これはいいことだと思うのだけが抜けておるのです。それはどういうことかというと、砂糖の問題がまず抜けておりますね。それから、あとで申し上げますが、再販の問題に全然触れておらない。こういう点について、この機会にちょっと御質問をしておかなければならぬと思うのです。  たとえば砂糖の価格は、前回も私が申し上げましたように、一キロ三十一円五十三銭で入った砂糖が、百三十四円五十三銭で国民の前に出ておる。この内容を調査をした。私どもも調査をしてみました。そのことが、この提言の中にも具体的に書かれておる。一体この砂糖の値段はどうしたらいいかということが、この中に具体的に出ておるわけですね。たとえば、二百億円という金額まで書いてあります。国内産砂糖の生産業者の保護だ、ということも書いてある。それを救う道は別途あるじゃないか。砂糖の値段というものが、チクロの禁止から上がってきたということも、これはもう巷間伝わっておりますね。そうして、各種の製品に砂糖を使ったからというので、どんどん物価が上がっておることも事実なんです。今回の、この物価閣僚協議会の決定の中では、全然そのことには触れていない。  そこで、お伺いをいたすわけですが、この提言の趣旨について、先般この委員会で答弁がございました。私もこの議事録を持っておりますが、一体、砂糖の価格について、農林省はこの提言をどのように生かそうとしておるのか。二百億円というものは一体何に使われておるのか。あるいは、砂糖消費税なりその賦課金というものを、これからどうしようとしているのか。この点について、ひとつお伺いをいたしたい。

小島和義農林省蚕糸園芸局砂糖類課長

○小島説明員 ただいまお尋ねの問題でございますが、現在、砂糖につきましては糖価安定制度がございまして、国内の砂糖と海外の砂糖との価格調整及び海外の糖価の異常な変動による国内市場の混乱を防止する、こういうねらいをもって運営いたしておるわけでございまして、物価安定政策会議の提言もございますし、今後とも適正な制度運営を期してまいりたいと思います。  ただ、その中に具体的に触れられております問題、たとえば関税の問題のごときにつきましては、国内産甘味資源全般につきましての保護、また、国内産以外に、当然沖縄産糖という問題も含まれるわけでございます。そういう問題がございますし、また、消費税につきましては、これは国内産糖も負担をいたしておるわけでございますが、砂糖以外の国内産甘味資源、たとえば国内産のイモでん粉あるいは黒糖というふうな問題につきましての保護という機能を現に果たしておりますので、かりにこれを手直しするというふうなことになりますれば、財政上の問題ももちろんでございますけれども、甘味資源全般に与える影響というものを、別途考えてまいらなければいかぬわけでございます。そのために、物価安定政策会議でも——どういうお考えかは、私は詳しくは存じませんけれども、やはり何らかの保護措置ということは必要であるようにお認めいただいておるようでありまして、そのために、相当また多額な財政負担という問題もあるわけでございます。  そういうことがございますので、ただいま、すぐそれをどうするというふうな結論は出ておらないわけでございますけれども、今後慎重に検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから、お尋ねのございました、二百億、糖価安定事業に安定資金がたまっておるではないかという問題につきましては、現在の糖価安定制度の仕組みの上におきまして、輸入されましたところの砂糖の値段が、海外の糖価変動は著しいものがございますので、現在きめております安定上下限価格、その中の下限価格を下回りまして異常に安かった場合に、下限価格に達するまでの差額を、安定資金として徴収いたしましたものでございます。現在は、国外の糖価は平常に復しておりますので、安定資金を徴収いたしておりませんが、過去二、三年にわたりまして徴収いたしましたものが、約二百億、たまっております。  この資金は、逆に海外の糖価が高騰いたしまして安定上位価格を上回りました場合に、輸入糖の売買という形を通じましてこれを吐き出すという形で、今度は、砂糖の値段の上押えをするという機能を持つものでございます。従来の経験に徴しますれば、海外の糖価というのは、過去二十年でながめてみましても、三べんぐらい大きな変動をいたしております。現在粗糖の輸入価格は、大体ポンド当たり三セント六十ぐらいでございますけれども、はなはだしいときになりますと、それが十セントあるいは八セントというように値上がりする事態が、過去においてもあったわけでございます。そういう事態に、いわば値を安くするための財源としてとってある、かようにお考えいただきたいと存じます。

武部文日本社会党

○武部委員 今回の物価対策閣僚協議会からの「当面の物価安定対策について」という項目には、砂糖の件は入っておりませんけれども、提言の中にもございますし、また、行政監理委員会のこの中にも、砂糖の項目はちゃんと書いてあります。同様にこの二つは、砂糖の問題に触れておるわけですね。このことについて、農林省としては、この二つの提言を生かして検討される意思があるかどうか。それは二百億の問題、あるいは砂糖消費税の問題、それから、国内産砂糖の所得補償のために別途の方法を講ずべきだ、こういう提言を考慮して検討する意思があるかどうか。その点はどうでしょうか。

小島和義農林省蚕糸園芸局砂糖類課長

○小島説明員 ただいま私が申し上げましたのは、物価政策というふうな観点から見まして、砂糖の原価の中に占めておりますところの公租公課が非常に大きいということについての御指摘であろうかと思って申し上げたのでありますが、ただ、砂糖の価格自体をながめてまいりますと、長期的にも比較的安定しておる物質でございますし、物価上昇に対する寄与というものも比較的少ない物質でございます。海外の砂糖の価格、これはキューバあるいはオーストラリアというふうな砂糖輸出国に比べますれば、もちろん高いわけでございますが、他のいわば先進諸国と申しますか、そういうところに比べましても、日本と同じように国内産糖をかかえております諸国の国内糖価に比べまして、著しく高きに失するというふうなものでもございません。そういうこともございますけれども、物価政策の側から見れば別個の価格対策というものがあってもいいのじゃないか、こういう御指摘であろうかと思いますので、その辺は十分念頭に置きまして、今後検討はいたす所存でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。  それから、酒の問題も先ほどお話がございまして、これは当委員会で何回か論議をしたことでございますが、この提言の内容を、詳細に私も検討してみました。きょうの午前中の会議でも、この酒の問題が出ておりますが、これはちょっと内容が抽象的になっておりまして、「酒類小売業については、人口急増地域等において大型小売店等も含め新規参入を容易にするため、人的要件、距離要件、需給要件について、弾力規定を積極的に活用する。」こういう文章になっております。これは、私はちょっと消極的だと思っておるのですが、これは意見がおそらく食い違うところだと思うので、これを少し論争してみなければならぬと思うのです。  先ほど砂田委員のほうから、小売り店のマージンの点についてお話がございました。確かに、一本の酒のマージンというものの高はそうたいしたものではないことは、私も承知をいたしております。ただ、先生がおっしゃるように、こればメーカー、卸、小売りと、縦の線でずっと一本線が通っておるところが問題だというふうに、私も考えております。それから、小売りの店数が、十年間に一割しかふえていない。生産は四倍も五倍もふえておる。こういう具体的な実例は、国税庁から、昨年の国会で説明があったとおりであります。この提言によりますと、小売り免許制度の上にあぐらをかいておるようなやり方だから、これについては検討しろ、こういうことであります。前回間税部長においでをいただいたわけでありまして、これは抽象的になっておりますが、きょうのこの決定ですね、「弾力規定を積極的に活用する。」ということについて、すでに新聞あたりでは、たとえばスーパーあるいは生協、そうしたものに免許を与えるんだ、こういうふうなことが出ておりました。  私が端的にお伺いいたしたいのは、国税庁長官通達というのが出ておりますね。それによって、距離制限とか、あるいは五年以上の経験がなければ酒屋になってはいかぬとか、そういうようなことがございますね。あの国税庁長官通達というものによって、いま、たとえば生協あたりの免許というものは非常に制限を受けておる。この長官通達というものを抜本的に改正する意思がおありなのか。この本日の会議の決定によって、どういう具体的な構想をお持ちでしょうか。

中橋敬次郎国税庁間税部長

○中橋説明員 ただいま武部委員から御質問の点に対しましては、前回の当委員会においてもお答えしましたとおりの考え方を、現在も持っております。きょう閣僚協議会で決定になりましたこの線も、実は私どもとしましては、その線が具体的に規定をせられたものだろうというふうに考えております。  結果を端的に申しますと、現在の小売り販売業の免許についての国税庁長官の通達というのは、改正する気持ちはございません。しかし、現在の、すでに施行になっておりますところの免許基準というものをしさいに検討いたしますと、実はかなり弾力規定というのが存在いたしておるわけでございます。過去におきましても、もちろんこれをかなり活用してはおりましたけれども、私どもといたしましても、必ずしも十分にその弾力規定というものを使っておったとは言いがたいと思います。これは、前回私が武部委員に対してお答えしましたように、販売免許制度というのは堅持をいたしたいと思っておりますけれども、その運用については弾力的にやってまいりたいと思ってお答えしましたことは、まさにそのことなんでございます。  きょう、ここに書いてございますような「人的要件、距離要件、需給要件について、弾力規定を積極的に活用する。」というのは、すでにある規定でございます。たとえば距離要件でございますけれども、これは一応原則的な、たとえば百メートルとかいうような規定はございますけれども、そこに弾力規定がございまして、たとえば団地、高層住宅の造成その他著しい世帯数の増加等のあった場合には、その地域の実情によりまして、この距離基準を適用しなくてもいいという規定がございます。これを現に適用いたしまして、たとえば団地等で、商店街というのが一角に集められるというような場合に、百メートルというのはとてもよりがたいものでございますから、その場合には適用しなかったということをやっておりましたけれども、今後は、こういう規定を十分末端の実施税務署まで徹底いたしまして、その必要な部面におきましては、こういう弾力規定を積極的に活用したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  人的要件につきましても、先ほど御指摘のように、たとえば三年とか五年とかいう経験年数が書いてございますけれども、これによらなかった場合がございます。よらなかったというのは、実は、これは例示でありますということを通達にも言っておるのですけれども、とかく、その例示であるということを忘れまして、三年、五年という線を厳格に守ったという例もあったと思います。これを本来の例示という趣旨、経営するに十分な知識、能力を持っておる者であればいいという本則を十分徹底をいたしまして、ここに書いてありますように、人口急増地帯でもって、小売り一店当たりの対象とします世帯数とか需給状況のかなり変調なところとか、そういう部面に対処いたしたいというふうに考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 この提言とは若干、いまの御答弁なり、あるいはきょうの閣僚協議会の内容は違っております。違っておりますが、これは提言の趣旨をどの程度政府が生かすかということになっておるわけですから、提言の趣旨を全部読んでみますと、そうは実はなっていないですね。なっていないが、あなた方のほうとしては、そういう措置を当面とりたいということのようであります。これには、私もたくさんの意見を持っておりますが、きょうは、あなた方の、この協議会の対策について一体どういうお考えなのかということをお聞きしたかったわけであります。  先生にちょっとお伺いいたしますが、先ほど砂田委員から話があった再販の問題であります。  このことは、非常に長い間、私どもはこの委員会で論議をしてきたところであります。すでにいま、約五千商品、金額にして三千億をこえる再販の商品がございます。この提言を読んで見ますと、再販を全部取っ払えというような意思はないようであります。そのようには、もちろん書いてございませんが、「独占禁止法上の指定要件に該当しているか否かを早急に検討し、問題がある商品については、速やかに指定告示改正を行ない、これを削除すべきである。」私は、ここが問題だと思うのです。  そうすると、指定要件に該当しているかどうかを早急に検討する、これは公正取引委員会の任務になろうかと思いますが、去年の暮れに、ある消費者団体が、現実に再販の商品を店先に行って買って、その金額を調べてみたわけです。これはすでに新聞紙上にも発表されておったので、あるいはごらんになったかもしれませんが、大手のメーカーの商品というもの、大手の系列のものは、価格が大体守られておる。小さいメーカーのものについては相当値くずれがある。したがって、その小さなメーカーのものについては、競争が行なわれておって、非常に値くずれがあったりしておるのに、大手のものだけは、その価格がずっと再販で守られておるという結果が出ておる。したがって、その消費者団体は、この再販制度というものは大手の利潤の隠れみのだ、そういうことになっておるのだということを指摘しておったようであります。特に医薬品、化粧品が、この再販の中で大多数を占めるわけでありますが、私どもがその内容を調べてみますと、まさに消費者団体が指摘をしたとおりになっておると私は思うのです。  ただ、先ほどもちょっと論議がございましたが、再販商品、これを撤廃した場合にどういう結果が起きるか、こういう点でいろいろ論争があります。私の手元に、業界から再販価格維持契約に関する要望書というのが来ておりまして、それを見ますと、やはり、おとり販売、こういうものが起きる可能性が強い、それを防止するためには再販しかないのだということが、詳細にわたって書いてございます。なかなかりっぱにつくってありますが、再販がなければいかぬように、これはなっておるのです。しかし、現実には、私はそうでないように思うのです。そういう意味で再販問題にお触れになったと思うのです。  ところが、きょうの閣僚協議会のには、再販のさの字も実はないのです。それはいろいろ事情がおありになって、この問題が取り上げられなかったと思うのですが、先生のほうでは、この再販について——ちょっと先ほどもお触れになったようですけれども、いまの、たとえば薬です。私は端的に薬と言います。医家向け薬品がありますね。大体薬の製造は年間九千億円ぐらいといわれておりますが、そのうち再販商品に回るものは一千億ちょっとですね。一千億ちょっとこえておるようであります。あとは全部医家向け薬品です。私どもが考えると、この再販で、一千億程度のものが価格が保たれておる。そのことが医家向け薬品の約八千億の価格を固定させて、そこで医家向け薬品で大量の利益が、この再販の陰に隠れて大メーカーの手に入っておるのではないか、悪いことばですが、そのように考えておるのです。  ですから、この再販について、非常に抽象的に御表明になっておりますが、具体的にお調べになった上で、どういう点に問題点があるというふうにお考えになったか、それをお伺いいたしたい。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 再販につきましては、二つありまして、一つは、やみ再販です。これは事実かなり進行しているといわれております。摘発されたものもございます。やみ再販については、この際非常にはっきりと、これを取り締まる態度というものを持たなければいけないだろう、これが第一ポイントです。  第二点については、合法的に認められているときについても、法律に規定されているように、競争が一般的に行なわれているということ、日常消費者が使う品物であるということ、この二つの条項をきびしく守るということ、そうするならば、いま問題になっている商品についてはかなり是正されるであろうという考えなんです。  そして、先ほどお話しありましたときお答えしたのですけれども、日常消費者が使うという点をどこまで拡張解釈するか、あるいは縮小解釈するか、ここが薬が入るかいなかということのポイントになるわけです。ここで、薬によっては、日常使うと思われるような広告をしているのもありますけれども、一般的には、そんな日常使うものでないのがかなり多いであろうという考えでありまして、そういう品物について厳格にしていただきたいということがポイントなんです。ただ、業界の方がおっしゃるように、非常におとり販売で企業の命にかかわるというようなことが出る場合もあり得るわけですが、ただ、いまのような競争条件の場合においては、そういうのは例外的であって、ほとんど起きないであろうということも、経験的に私たちは考えているわけです。

武部文日本社会党

○武部委員 端的にお伺いいたしますが、先ほど御答弁の中に、薬はもうすでに生活必需品ではないではないかというお話がございましたね。そうすると、生活必需品ではないということならば、薬の大半というものは、もう再販の品目からはずすべきではないか、そういうお考えでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 私個人は、薬の大部分ははずれるというぐあいに考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。  そこで、公取の委員長にお伺いいたしますが、前回、当委員会、いつでしたか、五月の七日か八日にやりましたときに、私も再販のことにちょっと触れましたが、考えてみるというようなお話でございました。ところが、十三日の日に、公取の委員長は記者会見をおやりになっておりますね。私、新聞で拝見をいたしました。そのときにあなたがお述べになっておることが、新聞しかわかりませんので、これをちょっと持ってきたわけですが、そのときにお述べになっておる記者会見の内容から見ますと、相当きびしく再販について検討する——先ほど伊東先生がお述べになったような、商標品であって一般消費者が日常消費すること、自由な競争が行なわれていること、一般消費者の利益を不当に害さないこと、これについて、はっきりしていなかった運用基準を設けたいというようなことを、新聞記者会見でお述べになったように、この新聞、これもそうですが、書いてあります。運用基準を設けるということばをお述べになったようですが、これは間違いございませんか。そうすると、どういう作業で、どういう運用基準を設けようとするのか、それをちょっとお聞きしたい。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村説明員 私は、ここの委員会で答弁をいたしましたときに、考えてみようという程度の、何と申しますか、別に消極的なあれではなくて、もっと真剣にこの問題には取り組みます、そういう、何と申しますか、ある意味では意欲的な気持ちであることを、まずお答え申し上げます。(武部委員「訂正いたします」と呼ぶ)  それから、第二段でございますが、記者会見の際に、私は、運用基準ということばは使っておりません。これは、新聞記者との話というのは、よく御存じのように、いわば雑談的であり、かつ、一方的に私が話すのじゃなくて、やりとりでございまして、そういうところでいろいろな書き方が出ているかと思いますが、しかし、私の申しましたことは、運用基準というふうなことばは使わなかったのでありますが、再販という問題が持っている法益に対して、現状というものが、はたしてそれに妥当しているのかいないのか、何が問題であるのか、そして、もしこれを適正に国民の、消費者のために役に立つように使うとすれば、どういうふうな点にどういうやり方をやっていったらいいのか、それをひとつほんとうに勉強しなければならないのだ、こういうようなことを申して、そうして、では、問題になる点は何であるかというようなことについて、たとえば、いま伊東先生も触れられましたいろいろな要件について一体どう考えるか。あるいはまた、ここでも問題になりましたような、消費者の利益を不当に阻害するようなもの、たとえば現品添付であるとか、あるいはリベートといったようなもの、さらにはマージンといったようなこともございましょう。そういった問題について、これは武部委員からも、調べるだけじゃなくてそこにどういうふうに線を引くか、むずかしいだろうけれども勉強せよというお話でございましたが、まさに、その問題も取り組まなければならない。また、たとえば再販の中にも、ある程度値幅を持って、最低限はここまでならいい、定価はこうだけれども、二割までなら下げてもいいというふうなのもあれば、ぴしっと定価をきめて、これで必ずやれといっておるようなものもある。それから、同じ指定品目の中でも、御指摘のように、強いところ、弱いところ、そこにいろいろな類別がある。こういったような場合に、一体これらのやり方について、どういうやり方が妥当であるか、これも勉強しなければならない。勉強しなければならないと言っておるだけじゃ、おまえ、だめじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、現に、一週間に二回くらいのスピードでもって、内部で、いわば総ざらえと言ってもいいのですが、勉強を実はいま、しているようなところでございます。  たまたま、いま伊東先生、かたわらにおいでになりまして、日常消費者の使用しているものという要件をおっしゃったわけでありますけれども、日常消費あるいは使用しているものでないから再販をはずすという、これも一つの考え方でございます。あるいは、むしろ日常消費されているものだから、たとえば再販というものに乗せたならば、それをしっかり、再販の目的に合うように規制していかなければならない、こういう問題も出てまいります。日常消費しているということ自体について、それを再販制度をめぐってどう考えるか、これも、もうずいぶん議論されているかと思いますが、私は、特にいま事務局に命じて、そこらの問題を整理させておるところでございます。  御承知のように、確かに、私も知らなかったような化粧品なら化粧品、薬なら薬のいろんな類別がたくさん出ておりまして、これは一体何に使うものだといって聞くようなものも、ずいぶんございますが、それが、いまは法律を受けて指定されておる。私どもは法律の執行をやっておりますものですから、それについて、具体的にどうこれを考えていくかという場合には、やはり法律の執行として、よくみんなも納得がいく、わかる、理解ができる、なるほどという、それだけの勉強もしてからでないと、なかなかできません。  そういうような意味におきまして、私どもはいま——基準をつくるということばは、私は使いませんでしたが、やはり再販を適正に運用していくための考え方というものを一生懸命勉強している、こういう段階でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 適正に運用していく考え方というのが、基準というふうにならなければならないと私は思うのです。あなたは、基準ということを言うとちょっとぐあいが悪いと思って、あまり言われませんが、新聞を見ますと、ある新聞には「運用基準」、ある新聞には「指定基準」となっております。そのようなことをあなたがお話しになったのが、記事になって載っておると思うのです。ですから、この適正に運用する考え方をきめたいということは、それはある基準をきめなければならぬわけですから、何回かやりとりするように、リベート、マージン、現品添付がどのくらいでもって、再販の指定品目になるか、あるいは落ちるかという線がございますね。それは、端的なことばでいえば基準ということになるでしょう。それを一体どの方向できめようとしておるのか、それはいつごろなのかということは、何回かやりとりをいたしまして、これはなかなかむずかしいことで、そう簡単にはできないということの御答弁がございました。  しかし、さっき伊東先生もおっしゃいましたように、また、この提言も、具体的にその問題に触れておるわけですね。そして、いまの薬なりあるいは化粧品なり、あるいはその他の約五千の再販指定の商品の物価に与える影響というものも、端的に指摘されたとおりだと私は思います。したがいまして、これ以上のことは公取委員長に申し上げませんが、提言の趣旨を生かして、早急にこの再販問題についての態度をおきめいただきたい。これは、前々委員長のころからずっと当委員会で、何べんも論争したことでありまして、リベート、マージン、現品添付という具体的な調査がだんだん明らかになってきたわけですから、資料がそろっておるわけですから、早急にひとつ態度をおきめになるのが至当ではないか、私はこう思いますから、ぜひ公正取引委員会でそのように、提言の趣旨を生かしていただきたいと思います。  時間がたいへん経過をいたしましたので、これ一つで終わりますが、この提言の中に盛られたことが、きょうの午前中の閣僚協議会でも案となってあらわれておるわけですが、この中に、生活協同組合のことが相当強く出ております。それから、農業協同組合のことが出ております。この生活協同組合ということがたいへんクローズアップされてきましたが、きょうの中では、具体的には地域制限のことが出ております。それから、流通機構の問題が出ております。産地直売のことが出ております。一体厚生省としては、生活協同組合にどういう点で、これから——法改正なりあるいは省令、政令の改正その他のことで、財政的にも、あるいは法律的にも、この提言を生かして改正しようとしておるのか、これをひとつ。

岡田達雄厚生省社会局生活課長

○岡田説明員 お答え申し上げます。  生活協同組合に対します物価対策上の観点からいたします育成、活用の問題でございますが、きょうの物価対策閣僚協議会でも決定されました、まず一つ、地域制限の問題でございます。  この消費生活協同組合につきましては、物価対策上考えます際には、地域におきまして供給事業を行なっております生協が特に問題になるわけでございますが、そういう観点から見ました場合に、現行法でもって、この地域生協について、都道府県の区域に限るというふうにしておる点につきましては、問題があろうというふうに考えておるわけでございます。私ども事務的には、この組合の住所、これは組合の主たる事務所の所在地でございますけれども、これの都道府県の隣接府県まで組合の区域を拡大するということが適当ではなかろうか。これは、昨今におきます交通事情あるいは生活態様から考えまして、そのような区域にするのが適当ではなかろうかというふうに考えまして、現在、法的に各方面の問題点を煮詰めておるという段階でございます。  それから、産地直結方式の推進の問題でございます。これにつきましても、本日の物価対策閣僚協議会でもって取り上げられ、決定されておるところでございますが、これは当然資金を伴うわけでございます。店舗なり、あるいはコールドチェーン経路と申しますか、集配センター、あるいはその輸送管理、そういったものに対します資金的な手当てというものが、問題になってくるわけでございます。もちろん、この生活協同組合は、その本旨からいたしまして、必要な経費と申しますのは組合員が持ち寄る、出資金として出し合うというのが本来の姿でございます。そういう意味合いからおきまして、出資の増強ということも当然考えなければならないのでございますけれども、これに対応いたしまして、私どものほうにおきましても、これらの施設を整備する資金をあっせんする必要があろうというふうに考えておる次第でございます。昨今私ども、たとえば農中金あるいは中小企業金融公庫、そういうものに対しましてもお願いにあがっておるわけでございますけれども、さらに開発銀行等々、そういった金融機関をフルに活用いたしまして、できるだけ低利、長期な融資というものをあっせんいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  先般の本委員会におきまして武部先生が問題にされました税制上の問題が、これに関連するわけでございます。先ほど私、組合員の出資を増強しなければならないということを申し上げたわけでございますけれども、現在、生協の内部留保に対します法人税課税の問題につきまして、出資金一千万円をこえるものにつきましては、この恩典にあずかれないといったような制約があるわけでございます。出資金を増強しようとする場合には、これは適当ではないんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、この点につきましても、関係各省に対しまして、これまでいろいろとお願いしてまいったのでございますけれども、今後とも、この制限の緩和と申しますか、こういうものにつきまして、強く関係各省に対しまして要請をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。  伊東先生、ありがとうございました。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 有島重武君。

有島重武公明党

○有島委員 伊東先生にきょうは来ていただいて、いろいろと行政の過剰介入の排除ということについてじかに伺いまして、われわれも、この行政の過剰介入の排除ということについては、その趣旨は非常に賛同しているものでございます。  それで、先ほど武部委員のほうからお話がございましたけれども、行政介入を排除していくことによってどのような効果があがっていくのかというのが、実は私どもも、国民にとっても最大の関心事になると思います。先ほど、計量的にはこれは確答できないというようなことがございましたけれども、計量的とまではいかなくても、これがはたして物価のダウンにつながっていくものなのか、安定のほうにきちんとつながっていくものか、あるいは、逆にアップにつながる可能性もあるのではないか、そういうような点を、基本的に伺っておきたいというふうに思うのです。  と申しますのは、私ども、この物特委員会でもって流通機構の問題であるとか、あるいは公共料金の問題であるとか、そういったようなことを数々やってまいりましたけれども、たとえば流通機構のこまかい問題でございますけれども、産地からの連絡を密にしたらいいであろう、あるいは、魚のためには冷凍庫をつくったらいいであろう、あるいは鮮度を保つような機構、包装のようなものですね、そういうようなことをいろいろ考えて、それが実施される段階においてどうなったかと申しますと、それが必ずしも値下げの方向には結びつかないで、かえって高いところでもって安定してしまったと申しますか、そういったことも数々経験してまいりました。  それで、価格の下方硬直しておるベースとなっているのが一体どの辺にあるのか。この行政の過剰介入ということも、その一つであろうと思うのです。それが大体、価格の下方硬直のベースの中にどのような位置を占めるのか、ウェートを占めているのかというようなことについて、伊東先生のお考えを伺っておきたいと思うのでございます。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 いま物価が上がっている要因は、非常にたくさんな要因でありまして、最近非常にはやっておりますところの、通貨政策が物価のきめ手だというようなものは、私はとても支持できない。私と一緒にこの問題をやりました辻村委員が、最近日経新聞に、墓場の中の理論が出てきたというぐあいに書いておりますように、決して一つの要因ではない。非常に幾つもの要因がありまして、そのうちの一つの要因がこれなわけなんです。そして、これがある適当に運営されたからといって、価格が下がるというようなものではない。ただ、安定化の方向にある分野について一歩踏み出す。たとえば塩というものは、輸入にゆだねるならば、これはもはや上がるということはないであろう。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 塩が安定化いたしましても、消費者物価指数の中に占める割合というのは、ほとんど問題にならないくらいわずかな量なんです。しかしながら、それよりもっと重要なことは、その塩の安定化ということが、基本的には行政の態度の質を変えるものに関係があるということであります。  そして、さらにこの中に書かれているのは、たとえば、急にある地域において新しい団地ができた。その団地が、各種許認可制度のために、団地の中に、あるいは付近に、すぐ買えるような便利な商店がなかなかできにくい。そういうようなことを改善いたしまして、生活が非常にしやすくなる。そうしてまた、団地というのが非常に巨大な購買力を持っているために、そこへかなり安定的な小売り店が成立する条件があるにもかかわらず、そうでないものができてしまうということを未然に防ぐ、こういうようなプラスの面が出てくるだろうというぐあいに思うのです。  また安定帯価格政策、先ほどお砂糖の問題が出ましたけれども、安定帯価格制度というのはわれわれはいい制度だと思うのです。ただ、いい制度なんですが、その価格水準のどことどこに上限を置くかというところに問題がありまして、これが変動除去に効果を持つであろうというところなんです。  さらに、いまの御質問の中に、流通の問題でもって、コールドチェーンだろうと思いますけれども、お話がちょっとありましたけれども、コールドチェーン問題につきましても、物懇においてはかなり議論いたしまして、中間にこのコールドチェーンを持ってきても、実は安定には役立たないであろう。問題は、流通末端にそれが存在いたしまして、生産地点と流通末端に変動除去のメカニズムをつくらない限り、これは実は効果がない。野菜が、あるいはなまものが、五割も十割も掛けられているというのは、仕入れた品物が全部売り切れないで残ってしまって、それが全部価格に掛かるというところに非常な大きな問題があるのでありまして、きのう仕入れたものがきょう新鮮な形で出るというような、流通末端に対する新しい対策というのが導入できれば別でありますけれども、そこをそのままにしておいて、その中間にコールドチェーンを入れても、実は効果はないであろうというぐあいにわれわれも考えていたわけなんです。そこで、そのあるポイントをはずした点において行政介入をやりましても、あるいは行政介入を変えても、そこだけでは実は効果がないというのが実情であります。

有島重武公明党

○有島委員 私が最初にお尋ねいたしましたことは、行政介入の排除ということは、確かにこれは効果があるであろうと思われるのですけれども、それによって安定できる、何といいますか大ざっぱなウエート、もう一つ、物価の引き下げよりも、むしろ物価を引き上げたほうが、平らにいってしまえば得になるというような、そういう大きな勢力が一つのプレッシャーとしてある。たとえば日本の大きい企業は、返済金が非常に大きい状態にあるわけでございますから、あるいは政府自身も、これもざっぱくな言い方だけれども、税金の前借りをして大きな事業をしておるというような、そういうような大きいワクがあると思うんですね。そういう、むしろ物価が上がったほうが有利であるというような大きい力の中でもって、こうした、ここにあげられております参入条件ですか、競争条件をもっとばらしていくとか、それから、その他のいろいろな措置がとられたときに、一時的にはよくなったけれども、長期的に見たら、それがかえって生活を圧迫していくような結果になるのではないか。そういうことではないのだ。この措置がもっとほかの物価値上げの要因にも、そのセーブする力として響いていくという可能性があるのか。それとも、それとはちょっと別に、ある一部分だけ、この部分だけは前よりかはよくなるはずだ、そういうことなのであるか。これはたいへんな問題だと思うのですね。部分的にはよくなったけれども、結果としては、かえって大きいプレッシャーの中でよくなってしまったということになると、国民生活としては非常に困ると思うんですよ。その辺のことについては、どのようにお考えになっていらっしゃるか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それはやはり、私は改善されると思いますね。このことは、大きな物価を上げる幾つかの要因、たとえば需要が非常に過大であるとか、生産性上昇率あるいは変化率格差インフレーションが進行しているとか、そういう問題は、ここでは取り上げていないわけです。しかし、その結果として賃金が上がっていく。労働力不足になってくる。  ここで、床屋さんの場合を例にとりますと、料金を上げざるを得ない。しかし、その料金を上げるときが、あまりにも参入障壁よりも高く上げ過ぎるために、同業者がふえてしまってかえって困るというのが、ここずっと進行しているわけです。東京におきましては、一人当たり一日に刈る量は、五・六人程度まで落ちてしまっている。そういうことのために、より以上上げねばならない。そして、お客がもっと来ればもっと一日に刈れますから、そこで店舗改善競争というのに入れまして、料金の上がったものは改良店舗の建築資金に流れるとか、そして、そこに集中すればほかはさらに減るとかいう形で、組合の力によって参入障壁よりよけい上げ過ぎたために、かえって自分たちが困る。ここを防ぐ。そして、料金はそれほど上がらない。もちろん、いまのように根本が上がっていますから、賃金が上がりますから上がりますけれども、その上がり方が弱まると同時に、その業界自体がプラスになった。  たとえば再販を例にとりましても、薬がたいへん問題になりましたけれども、薬の小売り店が——私が、NHKで薬の小売り店の人たちと対談したとき驚いたことは、三十人の人たちが、再販というのはぜひともなくしてほしいということを言うわけです。これは、メーカーも予想外の問題である。なぜかといいますと、いまのように労働力不足で賃金が上がっていくとき、この賃金上昇に対処するためには余裕をとって、そして、販売効率を上、げて賃金を上げなければならない。それを押えられてしまうと、かえってもう一軒できてしまって、そして一軒一軒の売り上げが少なくなる。そこで、再販をやめさしていただいて、そして、私たちのところは効率的な回転にしたいのだという声が、非常に多かったのですね。これにはメーカーも非常に驚きました。それが実は小売り店のためであると同時に、また消費者のためである。そういう政策的接点を切っていきたい。こういう形なんです。  ただ、こういうことによって全体に非常に大きな影響を与えるというようなものではないのです。むしろ有効需要政策であるとか、あるいは、大企業の生産性上昇の成果をどう配分するかとか、そういう問題のほうが大きいということは、これはもうはっきりしているだろうと思います。それにつきましては、物懇以来、そうした問題について何度かの提案をしてきているわけでありまして、これはいままで提案をしなかった一包みで、それは物価政策としてはわずかな影響しかないかもしれないけれども、しかし、これは国民の生活や行政の姿勢にとって非常に重要であろうとわれわれは考えている、というぐあいに申したい。

有島重武公明党

○有島委員 いままで視点か当てられてなかった点に光が当てられて、この点については、私どもも敬意を表しているわけでございます。  そこで、この検討の視点というお話でございます。まあ戦中、戦後の統制経済以来の介入が、そのまま惰性となって残っていたのだ、それを従来の行き方——とにかく生産をふやせ、質を上げろということであったと思うのですね。ここで転換を必要とする。その転換が、先ほどガルブレイスの話が出てまいりましたけれども、生産性をどんどん上げていく。それで物ができてくるのはあたりまえ。それが流通していく。それと同時に、今度は消費意識というものをつくっていかなければならないというようなことになるわけですね。そういったようなことについては、生産性を今後ともどんどん向上さしていくのだという大きい流れ、このことについては、これをそのまま肯定して出発しておられるのか。それとも、その点にも一つの視点のチェンジをしなければならないという認識の上にいらっしゃるのか。その辺はいかがでございますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それにつきましては、生産性の上昇が需要者に還元されるような形、こういう形に市場構造を持っていかなければならないということがポイントなわけです。再販の問題も、そういうところに関係しているわけです。生産性の上昇が需要者に還元されないような形の市場構造であると、これは物価にはね返ってくる。それは、その部門が上がらなくてもほかの部門が上がるという形、これが生産性上昇率格差インフレーションというやつでありまして、これが現在、アメリカでも日本でも、かなり力を持っております。そういう点では、生産性の上昇というようなものについてわれわれは反対しているわけではなしに、その成果をどういうぐあいに吸収していくかというところにポイントがある。そういうのが大きな考え方の筋であるということについては、間違いないと思います。

有島重武公明党

○有島委員 先ほど砂田委員のほうからも、パッケージの話が出ました。それから、いま先生からも床屋の話が出ましたけれども、床屋さんがふえた、それで五・六人ぐらいである。そうなると、床屋さん、何をするかといいますと、いろいろな細工をするわけですね。それで、五百円だけれども、実際には七百円だ、八百円だということにならざるを得なくなってくるような、消費意欲を高める方向にぐんぐん進めていくわけなんです。そういうことは肯定しての上のこういう行政介入の排除であるのかどうか。経済全体の流れ、世の中の流れがこうなんだと、ガルブレイス流のものの考え方というのを肯定した上でもってやっていらっしゃるのだというふうに受け取ってよろしいわけですか。その辺のところをはっきりしたい。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それは逆でありまして、非価格競争が進行しているのを、価格競争を顕在化するように持っていきたいというのが基本的考え方であります。  具体的に申しますと、ここで再販というようなものに手を加えるというのは、まさに、それは価格競争にいきなさいという考えなんです。再販制度というのが確立しておりますと、末端の小売り価格がきまりまして、あとの競争はどうなるかというと、非価格競争でいく。非常に激烈な競争でありながら、それが消費者に還元しないというのは、これはもう非価格競争の特徴でありまして、その一つの武器が再販制度だ、合法であるかいなかということは別といたしまして。また、消費者のほうも、豊かになればなるほど、価格が下がりましても、需要が大きく動かない。貧しい時代のほうが、価格が下がりますと大きく動く。これを需要の弾力性逓減の法則と申しますが、そういう傾向で、価格競争が生まれにくいような消費者の態度になるというのも、また事実であります。  だからこそ、豊かな社会になると、この価格競争を強めていくような行政的態度への転換が必要なわけです。貧しい時代においては、価格競争は、ほっておいてもできるのです。というのは、消費者の態度が安いもののほうへさっさっと動くという、需要の弾力性が非常に大きいわけです。ところが、その貧しい時代においては、価格がばっと下がりまして、需要者が移るがゆえに、価格を下げることによって質を悪化させるというような動きが強いもので、従来の行政介入は、薬にしましても何にしましても、質の保全という形で、行政がそちらにいっていた。そして、それが実は価格競争を激化させないようなものにだんだん転化していく。いまや豊かになりまして、ほっておいても、この質の問題はもう十分満たされておりまして、おふろ屋さんも、昔のようにほっておくと質がものすごく悪くなって、衛生基準で問題になるなどというおふろ屋さんはなくなってしまいました。しかし、こうなると、逆に価格競争というのは、消費者の態度からして生まれた。そこで、ここに対して、価格競争を導入する新しい行政的措置が必要なわけです。従来の行政介入というものを取り除き、また、この新しい競争を激化するようなものに変えていかなければならない、そういうポイントであるわけです。  ですから、御質問の価格競争ということについては、むしろそれを促進し、非価格競争や、ガルブレイスの言うような依存効果みたいなものに対しては反対なために、こういうような考え方になってきたのです。

有島重武公明党

○有島委員 大体わかりました。  時間の点もあるので、この辺でとどめますけれども、今後また、こうしたお仕事にますますタッチしていくと思うのでございますけれども、結局価格の安定といっても、これは生活の安定のための価格安定であると思うので、こうしたお仕事の外ワクとの関係、それから、外ワクからの圧力をやはり十分配慮していただいて、それで、この部分とこの部分とこの部分をこう押えていけば動くのだろうということを、かなりワイドなスケールでもって運んでいかなければならないんじゃないかと思うのですけれども、私もなかなか、そういったことを見当をつけにくいわけなんですけれども、そういった点についても、今後いろいろと御研究になり、また推進していっていただきたい、そのようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕

松平忠久日本社会党

○松平委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 伊東先生に、三点ほどお伺いしたいと思います。  実は私、ぜひ物価の委員会で、この物価安定政策会議の行政介入と物価という問題を立案された方々にお伺いしたいので、ぜひともお呼び願いたいということを申し上げた一人でございますけれども、時間もありませんので端的にお伺い申し上げますので、お許しいただきたいと思います。  第一点は、私、いままで政府にいろいろ質問してまいりましたけれども、行政介入をやめろ、あるいは自由競争条件を強化しろという物懇以来の提案に対して、何か表面上非常にすなおに聞くような顔をしてやっているけれども、実際は行政責任を回避しているのじゃないかという論点から、いろいろと質問をしてまいったわけなんです。それは、いままでいろいろ申し上げた例の中で、一昨年の牛乳の問題について物懇のときに御提案がありまして、そして、農林省はいい機会だというので、農林省の行政指導を撤廃いたしました。ところが、この牛乳の価格は、あれを起点にして、二段階にわたって引き上げられた。あの問題が私、非常に印象に残るのですけれども、いまの条件のままで政府の行政介入を撤廃して価格が安定する条件というのは、ないことはないのですけれども、非常に少ないのじゃないか。むしろ、これを機会に業界に事実上の寡占構造といいますか、あるいはプライスリーダーといいますか、上げたいわけですから、一般のそういう状態のもとで、自由に上げるような理由を与えるという悪い面が出るのじゃないか。この例として牛乳の問題を取り上げたことがあったのですけれども、こういう問題を先生、どういうようにお考えになっているでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 牛乳につきましては、おっしゃるように、あの行政介入をやめまして上がりましたですね。ここには相当な問題があると思います。実は私は、第二部会、第三部会に物懇のとき属しておりまして、第一部会は直接の担当ではなかったのですけれども、しかし、これは諸外国におきましても例がありまして、相当な問題があると思うのです。  と申しますのは、牛乳の一番の問題点は、生産段階を取り除きますとやはり小売り段階でして、そして、一たん都市構造がきまりますと、牛乳販売店のテリトリーがきまってしまうわけです。そうしますと、そこでもって小売り店は、賃金が上がってくる現状のもとにおいては、手数料を上げることなしには賃金上昇に適応できないわけです。ところが、いま拡大しているところの新しい団地であるとかなんとかいうときになると、これは別にテリトリーがきまっておりませんで、どんどん人が来るために伸びますから、賃金上昇でも十分適応できるわけです。したがって、テリトリーがきまっていない新規参入業者、かつての名糖、そして現在のグリコにおきましては、かなりの競争的拡大をやりまして、価格安定化効果というものを持っているのですけれども、しからざるものにおきましては、小売り店とメーカーとの縦の連結というのがはっきりするためにも、テリトリー確保に移る以外にないのです。このことが業界一致いたしまして、小売り段階からの非常な突き上げでもって、上げろというようなことになってくるという力があるわけです。  そこで、諸外国におきましても、テリトリー回転問題という問題が大きくなって、テリトリーを拡大し、お互いに交換し、表へ出す。ところが、このテリトリーは小売り店の私の財産問題ですから、これが非常にむずかしい問題になってきまして、都市構造がきまると今度は価格へ転嫁されていく、こういう問題が一つ大きな問題としてあるというのが第一であります。特に日本は、小売りメカニズムの特殊性から、この傾向が強いのですね。あの行政介入をとりましたときに相当問題になった。  第二点は、日本の賃金の水準というのが、この牛乳の流通段階を激変させるほど、まだ高くない。もっと高ければ、これは新しい牛乳、たとえば、一カ月も二カ月も三カ月も常温においてもつような牛乳というのは、現在つくることが可能でありまして、そして、それをお米屋さんのように、十日分なら十日分ぱっと運ぶ。こういう形で、流通コスト削減というようなことは十分できるわけです。しかし、それのパッケージ問題が、いまの牛乳のびんを回収するというのといずれが安いか。テリトリーを拡大してうんと運ぶことによって、労働力削減をするものとパッケージの料金とのかね合いというのは、私は、もう少したちますと、労働力削減でもっていったほうがいいだろう。そういう段階に来ると、実は一つの大きな動きが出るのですけれども、いま日本では、その途中なわけなんです。この二つがありまして、市場の競争状態が縦に割れているときで行政介入を解きますと上がる、ということになるわけです。  しかしながら、これはこの間の行政介入と物価のときに、消費者代表からの意見として出ましたけれども、現在の時点まで見ますと、大型小売り店の販売しているところにおきましては、やはり格段に安い牛乳が提供されているのでありまして、そして、そのことが、たとえば神戸地区でありますと、灘神戸生活協同組合とダイエーとのお互いの競争によってお互いが合理化するという形で、生活協同組合強化というものにも響いてくる。こういう形で、そうした競争条件を他方において導入しているところにおいては、非常にプラスの条件が出て、そうでないところと格差が非常に大きい。こうして、ある意味で競争条件を抜いたということがプラスになってあらわれてくる面と、それから、もろに縦割り市場構造によって押し流されてしまっている面と、二つの面が出ている。そして、長期的には、やはり合理的なものがだんだん勝利していくだろうと私は思います。現に、牛乳びんではなしに、紙の入れもので、私が申しましたように何カ月ももちませんけれども、しかし、ある程度保存のきくところの四角い五合入りのパックというものが、かなり安く売られているという状況になっているかと思います。  ただ、私たちも、牛乳の例を見ながら、へたな行政介入をただ閉じて自由に放任するというのは、ここぞというぐあいに値段が上がってしまって、インタレストグループに利益をもろに取られるということがあるというのは、十分警戒しなければいかぬというぐあいに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いまの問題、私は、行政介入自体が悪い、これはむろん、戦時統制のなごりのようなものは、明らかに撤廃しなければなりません。御提言にある半分以上のものは、私は非常に賛成でございます。たとえば輸入の問題だとか、あるいは惰性的な行政の問題だとか、これは即時撤廃すべきだと思うのですけれども、いまのような、たとえば牛乳の例のような問題、これはお酒の問題でもあると思うのですね。お酒の問題について、現在小売りを自由にする——抜本的な改革をすべきだという意味なんですけれども、撤廃ということばを使ってないのですけれども、自由にするということは、現在の小売り業者、これはたくさんありますけれども、たくさんあっても、やはり全体として値段を上げたい、上げてほしい、上げようじゃないかというような考え方がびまんしているときに、必ずプライスリーダー的なものが、あるいはやみカルテル的なものが現に存在しておるし、これがまた強化されてくるという条件がある限りは、政府の行政介入を撤廃するということだけでは、なかなか解決できない問題がある。これは、各業界に対してあるという感じがするのですね。その問題についてもっと、撤廃と同時に、こういうことをやるべきだという問題についての御提案がないと、ただ自由競争、自由な参入をふやせばいいのだという、これを基本にした考え方では、なかなか問題は解決できない。むしろ、実際あるやみカルテル的な、あるいはプライスリーダーの活動を刺激するような状態になりかねない。政府は、何だ、お酒が上がった、牛乳が上がった、おれたちはそう責任がないのだという意味の、責任のがれをする意味が大きいのじゃないか。むしろ行政介入のやり方がまずいのであって、介入自体を否定するような言い方というものは問題じゃないか、という感じを持つのです。  また、いまの問題と関連しまして、たとえば先ほどの理髪業界の問題、価格を高くきめたので新しい参入者がどんどんふえてきたという問題ですね。これなんかも一つのいい例だと思うのです。たとえば価格を高くきめるというのは、はっきりしたカルテルあるいはそれの類似行為があって価格がきめられる。それで新しい参入が入ってくる。参入自体が価格を安定さす、あるいは引き下げるというよりも、内部に事実上あるカルテルあるいはやみカルテル、あるいはプライスリーダーの構造システムが価格を上げるようなことになっておるので、参入自体にあまり大きなウエートをかけることだけではなかなか解決しないのじゃないか、こういうような感じが強いのですけれども、どうなんでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 おっしゃるとおりでありまして、参入が行なわれるがゆえに物価が上がるという分野と、参入が行なわれないために物価が上がるという分野とあるのですね。それはやはり、中の市場構造の特質に関係があるわけです。通常ですと、参入の危険性があれば、価格は安定化傾向を持つのが傾向なんですけれども、しかし、現におふろ屋さんのような場合には、価格決定というものが物価統制令によってきまっておりまして、劣悪な条件のものを含めまして実態調査をしまして、価格をある平均値——これは単純平均でありますけれども、とるということのために、立地条件の非常にいいところにある既存のおふろ屋さんは、立地条件の悪いところにおふろ屋さんをつくったほうが得なわけなんです。それで、距離制限というものがこれに非常に大きく響いてきまして、そして、練馬区の土地を売った人などがおふろ屋さんをつくる場合には、もう積極的に賛成の意思を表しまして、そういうのがふえるとかえってこちらが上がるというような形が進行するわけなんです。これは実は、業界の体質に問題があると思うのです。ですから、そういう体質を取り除きまして、抽象的に参入がいいか悪いかというぐあいに、私たちは議論はしなかったつもりなわけなんです。  それから、いま申し上げておかなければならない一つのポイントは、有澤先生も中山先生も、やはり新しい時代における行政介入の転換という視点は、非常に強くお持ちなわけなんです。新しい行政介入は、かなりほっておいても自動的に出てくる。しかし、古いものというのは、われわれが言わなければなかなか取り除けないのではないだろうかというような形になりまして、そして、それは言いにくい事情というのが各行政官庁には存在する。この際物価政策会議は、少し悪役になりまして、思い切って言おうではないか、それによりまして少しでも事態が改善されるならば、それはそれにこしたことはないという形で、取り除くというところにウエートがありましたけれども、新しい、豊かな時代に対する転換ということは、十分ございます。そして、もしとっただけでこれが不十分である場合には、新しい介入方法、たとえばイギリス・フランス・イタリア型の介入方法というようなものも十分考えられるのでありまして、ただ、日本はまだそこまで一挙にいく段階でないために、少なくとも古いものを、特にひどいものだけについて、これを指摘しようという形になったわけです。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま伊東先生の、あえて悪役を買うというそのおことばは、非常によくわかります。実際、政治家としていろいろなこういう問題を扱う場合に、卸、小売りの段階、メーカーとこう三つ並んで、あるいは消費者と並んだ場合に、ポイントがどこにあるか、どこを改善しなければならないかということはよくわかっておりますけれども、なかなかそれができない事情もあるわけであって、あえて悪役を買うという、これは非常に重要な要素だと思います。その点で私どもは、先ほど申し上げたように、行政介入を撤廃しろということは、そういう有力な働きをするところがありますけれども、現在政府はもっと責任を持って、物価の上昇に対しては自分の責任だというぐらいに思って、正しい介入をもっと積極的にやらなければならないという面が消えてしまって、そして、自由にしろという声のもとで責任をのがれてしまうという面があらわれてくることを、私はおそれるわけなんです。そういう点でいままでの問題を申し上げたわけですけれども……。  もう一つは再販の問題ですけれども、先ほど先生の御説明の中で、イギリスの例を引かれて、再販品目についてはコストを公開をするというお話がありましたけれども、現在の段階ではまさにそこにポイントがあるのであって、再販制度で、たとえば薬局あるいは化粧品屋というものに直接手を入れるよりももっと前に、再販という組織、あれに乗る品目については、そのコストについての公開の原則のようなものを適用するということがもっと先じゃないか、こういうふうな感じがしてならないのですね。こういう点どうでしょうか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 その点につきましては、第二次物懇のときに再販を取り上げましたときに、イギリスの事態を参考にして、コスト公表の義務——全部洗い直しまして、そして、新たに許可するものについては、コスト公表の義務ということを考える段階にきたのかもしれぬというような議論は非常に出まして、そのときに前々公取委員長にも御出席を願いまして、その議論の途中におきましても、ずっと御出席くださいました。こういう問題について、委員の非常に強い意のあるところを聞いていただきまして、前々委員長は、この問題について非常に私たちに御理解を示されて、前向きにこれを解決するという方向に、一歩踏み出されたわけなんです。イギリスの事態というのは、非常に重要だろうと思います。しかし、これも、ある現実が非常に合理的に動くというある一瞬、そういうときが重要でありまして、常にそれが必要であるというわけではありませんけれども、日本はいま、そういう段階にきつつあると私は思います。  ただ、この問題については、特許条項とかいろいろな問題に、ものによってはかかりますので、なかなか一がいにはむずかしい。しかし、日本の行政指導というのはかなり強いものでありまして、法律条項になくとも、かなり行政指導ができる部面がありますから、そういうように基本の姿勢が動きますと、そういう方向に徐々に徐々にいくのではないかと私たちは期待しております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その点について、公取委員長の御所見をお聞きしたいと思うのですが……。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村説明員 先ほど来申し上げましたとおり、ただいま公取の内部で、そういう問題も含めて勉強いたしておりますが、これはいま伊東先生もおっしゃいましたように、かつて公正取引委員会の内部でも、そういったことが一つの立法措置としてできないかということで、かなり案をやった経過も私承知いたしております。  基本的な考え方としましては、やはり本来自由な競争条件のもとにおいて価格形成が行なわれる場合には、それはそういうものにゆだねておいていいであろうけれども、かりにその自由な競争条件というものが、ある程度いわば例外的な姿をとるような形になっておる場合には、そのかわりに、やはりある程度政府なり何なりが、あるいは行政当局が、そういった価格形成に対して、消費者にかわって責任を持たなければならないというような気持ちが、私のまだこれは個人的な気持ちでありますが、そこに実はあるわけであります。そういう点は、たとえば別途不況カルテルでありますとか、いろいろな形であります、いわば独禁法の適用除外になっておりますような競争条件が整備されていないようなそういう事業につきましては、やはりそれぞれ行政当局が、消費者にかわってある程度責任を持つ。——それは非常にむずかしいことでございます。考えようによっては、いまの資本主義的な経済体制に対する一つのまた、いわば反対と言うとことばが悪いのですが、いわばそれを修正する一つの行き方であろうかとも思います。  そういったような問題まで含めまして、これは管理価格の問題もそういうものに関連するかと思いますが、いま、いろいろな考え方が実は去来しているという段階でございますので、まだ私として、公正取引委員長の立場として、何か一つの方向なり何なりをお答え申し上げるという段階には、実は立ち至っていないということを御了承いただきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 こういう問題を議論しておりますときに、すぐ私も感ずるのですけれども、たとえば公共的な権力、公共的な一つの役割りの行使という場合に、役人に対する国民の非常に根強い不信感と申しますか、こういうものが、いつでもその議論の途中で入りまして、正しい方向であっても、これはもうだめだということになることが多いのですね。いまの問題でも、正しい行政指導が必要なわけなんですね。特殊な例を除いて、自由競争の結果いろいろな欠陥が出てくる。これに対するいろいろな政府の介入が、いろいろなものとまじり合って出てきたという問題なんですから、基本的にはやはり政府の正しい行政指導というものは必要であるというときに、役人に対する不信感が非常に強いものだから、これが問題の焦点を曲げてしまうというような問題も出てくるかと思いますけれども、役人に対する不信感が強いからといって、政府の当然介入すべき問題を介入しないというようなことは、これはおかしなことであって、いけないことじゃないかと私は思うのです。  もう一つの問題は、たとえば先ほどの薬局の問題なんですけれども、伊東先生、確かに、薬局の問題についての自由な参入という要素は、大きな刺激剤になると思いますけれども、他の一つの行政目的というものがあるわけですね。それで、私どもは、現在の日本の医療制度を改革するためには、医薬分業というものがぜひとも必要である、これを絶対に早く、そして確実に実行しなければならぬ、こう考えておるわけなんです。医薬分業ということになりますと、いまの薬局で売られるもののほとんど三倍くらいはお医者さんが直接使っているというこの状態がなくなるわけですね。同時に、薬局の社会的な責任というものも大きくなってくるという要素があるわけですね。そういう場合に、薬局に対しての厚生行政的な干渉というものを撤廃していいのかどうかという問題が、医薬分業という違った行政的な目から出てくるわけですね。こういう問題について御検討されたかどうかということを、ひとつお伺いしたいと思うのですが……。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 医薬分業については、検討はしませんでした。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 同じような問題なんですけれども、たとえば、タクシーの運転手の問題がございます。これを自由にして、そして、どんどんと新規の参入者を入れて刺激するようなことをしなさいということですけれども、この問題も、そのこと自体はよくわかります。わかりますけれども、やはりこの許可制度の背後には、おかしな運転手がたくさんふえちゃ困る、事人命にかかわる問題だというようなことがあるわけですね。ある程度までその危険をおかしても、数をふやしたほうがタクシーの料金を安定さすのに有益であるというような御判断かと思いますけれども、しかし、タクシーの料金の問題については、私は、現在ほとんど機能ストップの状態にあるバスを自由に働かすような条件がもっと大事なことであって、たとえば、大きな道路にはバスの専用道路を指定するとか、バスが普通十五分で行けるところが一時間もかかるという状態をなくすれば、もっとタクシーの料金の問題は、自由な競争のもとで低下していく効果があるのではないか。つまり、そういうふうに問題を広範に考えてみる必要がある。いまのバスの営業許可ですか、あれを自由にするということは、確かに価格の面からは自由競争のあれはあっても、あまりにもマイナスのほうが多過ぎるというような予想が成り立つわけであって、そういう点が検討さるべきではないのかというふうにも思うのです。  それから、おふろの問題ですね。先ほど先生から、非常に興味のあるお話を聞いたんですけれども、地域制限というものが収益とあまり連なっていないという問題なんですね。この問題も一つの参考になると思いますけれども、地域制限を撤廃するということがそのまま行なわれますと、もうかるところへふろ屋が集まっていく。あるいは薬局でも、もうかるところへ集まっていく。必要なところにはなかなか薬局ができない、ふろ屋ができないというような問題も出てくるのであって、そういう問題からもこの問題を検討してみる必要があるんではないだろうかというふうに思うわけなんですけれども、当然、こういうような問題は御検討になったと思いますが、そういう問題、つまり物価問題とはちょっと離れた行政目的との関連を考えるべき問題をどのように御検討になったかということを、ひとつお伺いしたいと思います。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 タクシーにつきましては、われわれ、完全に認可を、出せば全部認めるというのではなしに、今後は、「明確な基準の下に一定の欠格条項に該当する者以外は、」ということで、非常にここにアクセントを置きまして、そして、そういう者以外は認めるというような形で、実は先ほど申しましたように、産業組織論の適用で、この事業は個人タクシーで、自分で自分の車というのを大切にする、そういう人が一番重要なんだ。大企業でもって労働者を管理する場合に、どこへ行くか、工場と違ってわからぬから、これはノルマで縛るのだというようなことは、産業組織上における問題がある。で、個人タクシーの場合の資格については厳格にいたしなさい、こういう形になっています。  それから、バスにつきましては、私は、おっしゃることに全面的に賛成でありまして、運輸関係の別の委員会に私は属しておりますけれども、全体的に、公的交通機関が崩壊的状態にある。そういうものをどうするかということについて、別個の行政介入が必要だと思います。特に公的な交通機関としからざるものとが、競争条件が同じ条件のもとになくて競争しているというのが多い。少なくとも競争というのは、イコールフッティングの原則の上に立ってなければならないのでありまして、それをするならばこんなに伸びないような需要というのが、交通の中にずいぶんあるんです。この間、運輸経済懇談会が出しましたところの、昭和六十年に東京の国内航空が十三倍になるというような予測は、あれはイコールフッティングの原則にのっとらない料金価格体系の上であるからこそ、かくも伸びるのであります。おそらく予想されるような需要予測は、われわれがやりましたけれども、三十二倍になります。そういうのには、実は新しい行政介入が必要になるのだ。特に公的交通機関についてはそういうことを御考慮願いたい、というぐあいに思います。  第三番目の距離制限問題につきましては、これは確かに、おふろ屋さんが利益のあるところだけに集まりまして、しからざるところからは離れていくというようなことが、十分考えられるわけです。特に、現に問題になっておりますのは、東京の中心街のところにおいてはおふろ屋さんがなくなりつつある。これはあたりまえでありまして、東京全体を一律料金で、かくも地代が違うところにおいて一律料金をつくるというところに問題がある。赤坂と練馬のはずれと同じ料金でというのは、そもそも無理なわけです。そこで、われわれは単に撤廃するというのではなしに、差別料金体制の導入というのが必須であるということを申し上、げているのです。  しかし、差別料金体制というのは、地域ごとの支部はたいへん賛成なんですけれども、しかし、全体としては反対だという形になっている。これは何なのか。赤坂地区のおふろ屋さんは、地区としては全員賛成なんです。しかし、全体としては大反対という形になってきて、これが現にある行政の中に反映される、ここに非常な問題と転換とがありまして、先ほど産業構造、社会構造の変化に適応するのはむずかしいというぐあいに申し上げましたのは、そういうことでありまして、そして、この差別料金体制によるところの配置というものを、いまの物的な距離制限による配置にかわるものとして導入しながら、電車に乗らなければおふろ屋さんに行けないとか、そういうような条項を取り除こうというぐあいに考えたわけです。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私、いまの物懇以来の行政介入の問題についての、推進会議から政策会議に至るこの御提案の趣旨は、非常によくわかるし、そして、現在の物価問題に対する一つのポイントに一貫してメスを入れておられるということは、よくわかるわけでございますけれども、いま申し上げたように、願わくは、必要な行政介入はこういうことだという線をもっと具体的に明らかにしながら、このような提案をなすっていただきますと、もっと効果的だという感じがするわけなんです。そうしないと、政府が、かなり物価は考えても、やろうと思っても何ともならないという感じに満ち満ちておりますから、いいところ、のがれ道にする可能性が非常にあると思うのです。そういう点、ひとつ矢野さん、どうでしょうかね。

矢野智雄経済企画庁国民生活局長

○矢野説明員 行政と物価の点につきましては、先ほど来御議論がありますように、私どもとしても、すべて行政介入から手を引くのが妥当だというようには考えておりません。  自由なメカニズムかあるいは公正な管理か、それぞれ分野によって違うと思いますが、私どもが特に問題だと思っておりますこと、あるいはまた、物価安定政策会議からの御提言がありました点は、端的に申しますと、中途はんぱな行政介入にはどうも弊害が多い場合がある。しかも、当初それぞれ、いろいろ目的を持って行なわれてきたにしましても、そのときと背後の事情が違ってくる。また、ある介入をいたしますと、それをもとにしていろいろ仕組みができてしまう。他方、労働力の不足とかいろいろ条件が変わってきた場合に、その仕組みが適用できなくなってしまうところに価格の問題が出てくる。あるいは、価格問題の基礎になりますいわば新しい条件の変化に対しく本来もっと近代化、合理化しなきゃならないところが、それができなくなる。あるいは、それをできないように温存するような動きがかなり散見される。ですから、そうしたところについては再検討を要するんじゃなかろうか。  しかし、先ほどから御議論がありますように、全部手を引けばいいということじゃありませんで、ものによってはもっと介入しなければならないものも出てくる。その場合の介入のしかたもまた、従来と違った観点で介入をしていくものも出てくる。その区別は十分しなければならないというように思っております。  たまたま今度、物価安定政策会議から御提言がありました点は、むしろ中途はんぱな行政介入をやめたらということで、こちらのほうも、まだまだ整理していくところがあると思いますが、同時に一方で、この今度の提言にも、介入をもっと強める必要性もあるんだ、今度の提言ではそれは具体的に触れてなかったということでありますが、この部分につきまして、今後物価安定政策会議でも引き続き検討していただく予定にもなっておりますので、私どもとしても十分協力して、こうした問題の方向ももっと検討し、また、行政ベースでもその点を十分考えていきたいというように考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 最後に、ぜひともお願いしておきたい点は、つまり日本の経済は、インフレを欲するというのか、そういう体質があるわけですね。たとえば会社にしても、八割も借り入れ金で運用しているなんということは、つまりインフレを欲している体質を持っている。それに主としてささえられておる自民党の政府だということになると、これは言い過ぎかもわかりませんが、つまり、物価の問題についてなかなか突き詰めて考えるということをしないわけなんです。したがって、そういう問題について、今度の政策会議でもって行政介入の問題を提起されて、きょうの閣僚会議では、地域条項を絶えずつくる、特例条項を設けるとか、いろんなことで実情に合わせていくということがあるのですけれども、全体としては政府の責任なんですね。政府の責任であって、物価のアップを安定させていこうという努力は、行政的な努力なしには、これは達成できないという問題がありますので、その面を今後はもっと声を大にして、そして合理的な統制という問題を強調なさりながら、不必要な従来の間違った介入を撤廃していくという点をぜひともお教えいただきたいと思うし、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 最初に行政管理庁長官にお伺いしておきたいと思うのですが、この物価安定政策会議の出しました「行政介入と物価について」という提言、それから、それを全面的に支持し、場合によっては拡大しているところもありますが、行政監理委員会が、物価行政の改革に対する意見というのを出しました。この内容の実行についてといいますか、この内容についての評価といいますか、そういうことについての長官としての、行政上の責任者としての御意見を、まず伺っておきたいというふうに思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 行政監理委員会の民間の委員が独自の意見を発表されたことを、指摘されておることと思いますが、正式には行政監理委員会の意見ではありませんけれども、すなわち、行政管理庁長官たる監理委員会の委員長を抜きにした意見である意味において、正式のものではありませんけれども、民間の識者が委員を構成しておられるわけで、その六人の委員が意見を述べられたことは、一つの問題提起として、それに取り組んで慎重に考慮し、尊重していくべきものと心得ております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから、もう一つ伺いたいのは、きょう物価対策閣僚協議会が開かれて、おそらく行政管理庁長官もお出になったと思うのでありますが、この「当面の物価安定対策について」は、この「行政介入と物価について」という物価安定政策会議の提言が基礎になったのでありますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 その構成された施行内容は、私も経過は知りませんけれども、おそらくはそうであろうと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そこで、伊東参考人にお伺いしたいのでありますが、本委員会では、ずっと同僚委員が、この提言が物価対策に一体いかなる意味を持つのか、あるいは、行政介入を廃止すべきだというけれども、やるべきこともあるのではないかというようなことが、いろいろいままでも言われました。その中で、参考人御自身が、これは物価問題のきめ手というわけではないのだとも言われ、それから、物価政策上これはわずかな影響しかないかもしれないけれども、あるいは、そういう物価政策ということで言うならば、大企業の生産性向上の成果をどう配分するかということのほうが大きいということも言われる。そういうことになりますと、当面の物価政策、いま物価の上昇ということについて、国民は非常に関心を持ち、政府はこれを何とかしてほしい、こういうふうに思っているわけです。おそらくこの委員会においても、この「行政介入と物価について」という問題が論議をされるが、これはまた、行政管理庁長官は、おそらくこの提言が基礎になっていると思われるというふうに言われたわけでありますけれども、物価対策閣僚会議のきめました当面の物価対策についても、かなりこの中のものが取り入れられておる。そうすると、国民は、何かこの問題が現在における中心的な物価対策であるというふうに、誤解するのではないかと思いますが、あらためて伊東参考人に、この際、この問題をこういう形で提言をされました意味をお聞きしたいのであります。  特に、この提言の最初のほうには、すでに提言が行なわれているということで米価などを除外し、「政府関係機関、地方公共団体等の自ら行なう事業に係る料金」ということで、国鉄運賃とか水道料金等の公共料金を除外し、それから「大企業製品価格の下方硬直性が指摘されている今日、いわゆる管理価格等の弊を防止するための行政介入はかえってこれを強化すべきであると思われるので、」これは検討していきたいと言いながらも、こういう公共料金とか、私たちから言いますならば独占価格、こういう物価の上昇について最も重要な影響を与えるであろうというふうに思われるものを除外をして、現在この提言をされました意味、その点について、どういう経過で、どういう意味を持ってそういうことがされたのだろうかということについて、御説明をいただきたいと思います。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 繰り返しになるかもしれませんけれども、大企業の問題につきまして、生産性向上の効果がどう配分され、それがどう問題になるか、あるいは公共料金につきましては、たとえば地方の水道、あるいは私電鉄、そのほかの公営企業、こういう問題につきましては、かなり詳しい提言を、実は物懇以来やってきたわけです。そうしまして、そこでは、いままで指摘されなかった新しい事態を、私たちは提起したと思っております。  たとえば、ここで実際には討議されましたけれども、書かれなかった問題の中に電電などの問題がございます。それは会計上の原則の問題、資本金が自己資本というのがなくて拡張する場合、どういうぐあいに価格にはね返ってくるかとか、フローとしての経営の問題、ストックの問題、込みがある。もっと具体的に申しますと、たとえば東京都の都電がそうであります。地方の水道もそうであります。資本金なしに拡張する。資本金なしに借り入れ金でもってやるという場合に——民間企業であったならば、資本設備がどんどんふえる。それに応じて資本金がふえていくというのが普通であります。資本金なしに借り入れ金でやりますから、料金でストック分をとらねばならぬ。つまり民間企業と同じような原則をとらない結果、どういうぐあいに料金が上がっていくか、こういうぐあいに、いろいろな新しい問題を、われわれは次々に提起してきたつもりです。土地につきましても、いままでの単純需給説をくつがえすものを提起いたしました。  こうして、おっしゃった問題については、みなわれわれは、米についてもいたしましたけれども、提案いたしてきたので、ここでは、いままで触れなかったものを触れる。実は、ずっといままで四年間ほどやってきまして、同じことをまた言うということは、また、あいつ、同じことを言っているということを新聞社も言われますので、それについては、前の説というものについて、われわれはやはり意味を持っているというぐあいに十分考えておりますので、ここで新しく、いままで触れなかったものを思い切って申し上げるということなのです。  それから、第二に、いまの物価の動きは、先ほども申しましたように、非常にたくさんの要因の合成でありまして、決して一つの主犯ではないのです。それで、これを一つ一つ、われわれはくずしてきている。ブドウ酒は、やはり一粒一粒のブドウからできるのであります。そのブドウを一つ一つ、われわれはつぶしていくということがいま必要なんです。量的にほんの少しのものであっても、塩のように、価格に与える影響というのはほんのわずかであっても、われわれは、それを一つ一つやっていく必要がある、こういう立場からなんです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 伊東参考人にもう一つお伺いしたいのであります。何度も前にもやってきたと言われる公共料金とかあるいは独占価格の問題、大企業製品の問題等についての提言は、いままで実行されたというふうにお考えになっておられますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それにつきましては、委員会の行なわれるときに、どの程度実現されたかというようなことを、何回かわれわれは問いただしているわけです。そうしまして、それについて、かなり行なわれた分野と行なわれない分野とある。行なわれない分野については、なぜ行なわれないのであろうかということを、われわれは委員会内部において話をしているわけです。実は、ここに矢野局長が見えておりますけれども、矢野さんも、ずいぶんそういうことについて、われわれには報告をしてくださっているわけです。  たとえば流通問題などは、いま変化がかなり進行しておりますね。しかし、変化が進行していない分野というのもある。たとえば財政金融に対する提言というものは、毎年行なっておりますけれども、これはなかなか実現がむずかしい。これは、物価政策という視点だけから切れないものがあるからかと思いますが、そういう点につきましては、必ずしも全部が実現されているわけではないのですけれども、ないからこそ、委員会はさらに努力する存在意義があるというぐあいに中山委員長は考えて、われわれを叱咤激励しているというぐあいに申し上げるのが、実情であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 行なわれてないものがかなりあるというお話でありますが、今度の提言につきましては、大企業製品のものが除かれているわけですね。そうすると、中小企業に関する、あるいは農業に関する分野で、行政介入を廃止をして競争原理を導入をするということになりますと、ここで提言をされているものについて、私ども一括して賛成とか反対とか、そういうことは申しませんけれども、一般的にいいますならば、中小企業分野への独占資本の進出、あるいは独占企業のもとに置かれている一部の中小企業を育成し、多くの中小零細企業を大幅に整理淘汰するということになる。  今度の提言は、政府のほうは抵抗なくこれをやっていく。いままでのことから比べますならば、非常にスピードが早く実行に取りかかっている。念のために申しますが、すべてのものが全部いかぬというふうに言っているわけでは、決してありません。全体としてはそういうことになるのではないか。いままで四年間おやりになってきたと言うけれども、やられてないことと、それから、今度は政府のほうで歓迎をしてやられていくということとの違いについて、伊東参考人はどうお考えになっていらっしゃいますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 具体的な例で申し上げましょう。日本には、非常に物価の高い地区と安い地区とあります。高い地区の一つに富山という町がある。この高い地区というのは、売り上げ利潤率がかなり高い町でありまして、したがって、新規企業の群出が強い町であります。このことに目をつけまして、スーパーマーケットが進出いたしました。このスーパーマーケットは、高田の薬局のむすこが出しましたものでありますけれども、富山の新聞社がその新設の状を伝えておりまして——私も、テレビの関係でそこに行きました。ところが、それを迎えたのは一体何かというと、既存の商店が、スーパーが来ちゃ困るというのでたいへんな反対がありまして、そして、それがいろんな政治行政と結びついて、一方において反対がある、これが予想されるのです。ところが、それだけではなしに、そこに革新政党のほうが、スーパーマーケーットは日本独占資本とアメリカ帝国主義の結合であるというので、のぼりをつくって反対した。これはスーパーマーケットで、しかも、それは高田の薬局のむすこが大学を出て、この高いところに目をつけて、生活協同組合運動をやろうと思ったけれどもできないので、ひとつ何とかしょうというのでもって出てきた。実はスーパーマーケットの経営者には、そういう人がかなりいるわけでありますけれども、それをアメリカ帝国主義と独占資本の結びつきと言うのを見ると、これは少し現実遊離ではないだろうか。  私は、消費者がこれをどういうぐあいに聞いているのかというようなことを、新聞社の人と一緒に歩きながら、ほんとうに消費者のための流通は一体いかにあるべきなのか——実はその経験が、イギリスにおける生活協同組合とスーパーマーケットの連合と一緒になりまして、雑誌の「世界」に、生活の中の経済学の問題のシリーズを連載するときに、流通問題として私は書いたわけでありますけれども、いまこうした問題の中において、既存の観念による見方よりも、むしろ現実において、その産業、企業、労使を一つにするところのかなりの利益集団というものが、実は消費者をかなり圧迫しているのではないか。しかも、そこにある種の行政的措置をうまくやるならば、その中小企業のためにもなるし、また消費者のためになる。自分たちの目先利益が、実は自分たちの長期的な首を絞めているのではないか。こういうことを、床屋さんであるとかふろ屋さんであるとか、そういう問題について私たちは感じまして、どうしてもここにおいては、いままでの既存の見方と違う見方によってここにメスをふるう必要があるのではないか。私たちは、これを普通の委員会の報告と違うような形で入れ、そして、ある種の決意を持って出したのは、実はそういうような見方をしようと思ったからです。  こうした問題については、日本においては、実は保守も革新もありませんで、よき政治とあしき政治しかないのではないか。そして、案外あしき政治というのは、短期的にはその業界の利益を認めるようでありながら、長期的にはかえって首を絞めてしまうということになりはしないかということを、私は危惧しているわけなんです。決して委員会は、中小企業、商店の恵まれない人たちのことを踏みにじるようなことではありませんで、むしろ、そういう人たちに対する非常にあたたかい気持ちに包まれていたというぐあいに、私は確信しているわけなんです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 時間もございませんので、伊東参考人、私の聞きました点についてお答えをいただきたいと思うのでありますが、私が聞きましたのは、いままで提言をされている公共料金でありますとかあるいは独占価格というような問題については、実行されない部分がたくさんあって、そして今度の提言については、これは喜んで政府が実行するという方向に進んでいるということについて、何か御感想がございますかということを言っておるのであります。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 その点につきましては、今度の提言を実行するのはなかなかむずかしいと、私は正直なところ思っているのです。いままでの縦割りの産業行政に非常になれておりますところのものについて、こういうような横割りの行政を含みながらやるというのは、行管の方と私たちも話しましたけれども、非常にむずかしい。やろうという姿勢はありましても、なかなかむずかしいので、よほど努力していただきたいと思っています。  従来のものにつきましては、たとえていえば地方の公営企業、水道やなんかの赤字をどうして直したらいいかということについて、資本金というものを設立すべきだというかなりな考えがあって、どんどん拡張する場合、資本金部分も料金で取るというのは公的企業上においては問題だ、少なくとも国家財政のような歳入歳出的思考法から企業会計原則のほうに移るべきだというのは、それは完全には実現されませんでしたけれども、二十三年の長期債の発行、三十年の長期債の発行という二つによって、これを事実上資本化するという方向において進んでいる。こういう点においては、従来の法律と、われわれが法律のワクを越えてやろうとしたところの経済政策的なものとの間を巧みに縫った措置をとっている。むしろ今度の提言のほうが、かなり利害関係に直接響くのでむずかしいのじゃないかというようなことを危惧しているというほうが、正直な考え方であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 荒木さんに伺いたいと思うのでありますが、いまのお話では、公共料金の問題でありますとかあるいは独占価格の問題についての提言を、いままでもしたけれども、しかし、実行もされてない部分がかなりあるということでございます。で、現在、物価問題について非常に国民の関心が高いわけですけれども、政府としては、当面の物価安定対策ということについて、いままで提言はされたが、私どもきわめて重要だと思います、そういう独占価格の問題とか公共料金の問題については、現在では何ら論議がされなかったのでありますか。これは物価対策閣僚協議会に出席されました国務大臣としてお聞きしたいのであります。いかがでございましょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 国務大臣と申しましても、行政管理庁長官の立場で出席いたしておりまして、それらの問題は私の守備範囲外のことでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういうふうに言われれば、無理に口を開いて答えろというわけにもまいりませんけれども、しかし、これだけ多くの人たちが、物価問題について非常に関心がある。それは何も、非常な専門家でなければわからないようなものではないと思う。こういう問題、こういう問題というのは、物価の問題で非常に大事だということくらいは、担当の国務大臣でなくても考えておかなければならないものではないか、あるいは、お考えになっているはずのものではないかというふうに私は思うわけなんです。そういう点では不満ではありますけれども、やむを得ないと思います。  それから、伊東参考人に伺いたいのであります。  もう一つ確かめておきたいのですが、公共料金や独占価格、そういうようなものについての提言が実行されないということについては、どうお考えになっていらっしゃいますか。これはやむを得ないことというふうにお考えになっていらっしゃいますか、いままでの提言ですね。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 これはもうたいへん遺憾であると思っております。しかし、ぜひともそれが実現できるような条件をつくっていただきたい。それは、われわれだけの力ではとても負えないのでありまして、アメリカにおきましても、議員の中で物価に対するキフォーバー委員会をつくり、みずから独自なことをやっております。ぜひとも日本の議会も、みずから独自なことをやられて、行政は行政なりに、研究者は研究者なりにやりますけれども、議会もまた議会なりに、ひとつこの問題に努力していただきたいというぐあいに思うのです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから、この問題は実行するのはなかなかむずかしいだろうというふうに言われましたが、おそらく業者やあるいは中小企業団体、あるいは政府部内においても、いろいろな意見の出てくる問題であろうかというふうに私は思います。同僚委員からも、たとえば酒屋について問題が出、あるいは浴場について問題が出、いろいろしておりますが、私も幾つかの問題について、内容をお聞きしたいと思うのです。  先ほども間接税の問題がちょっと出ましたけれども、たばこや酒についてここでも触れております。この問題で、どんな人でも一ぺんに感ずるのはやはり間接税、ピースやハイライトが約六〇%の間接税がかかっているとか、あるいはビールは五二%が税金だ、こういうような問題、だれもが注目をするわけですけれども、この問題については、議論はないわけでございますか。物価安定政策会議の中では、このたばこや酒の問題について論議をする中で、そういう問題は出てこないのでございますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それにつきましては、物懇の時代にかなり強い、深い議論が戦わされました。つまり一つの考え方は、たばこや酒というものの間接税を取り除きまして、そしてそれを安くすると、直接的にこれは物価安定効果を持つ。しかしながら、ヨーロッパの経済政策の常識として行なわれておるものは、物価が上がるようなときにおきましては、イタリアにおきましてもフランスにおきましても、こうしたものの間接税を上げることによりまして有効需要を吸収して、その面から価格安定化効果を補強するというのは、フランス、イタリアの常識であります。そこで、フランス、イタリア的に、間接税を景気過熱期において引き上げることによって有効需要を取り除いて、そうして、その物価安定政策効果というものを求めたならば、一体どうであるか。しかし、日本の場合には、そういう効果ははたしてあるのか。それよりもむしろ、直接的な効果でもってねらうべきかというような問題を、ひとつ理論的と計量的に詰める必要があるのではないかというようなことは、かなり議論をされたことがあります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、現在の段階では、この問題についてどうこうしろというようなことは、今度の会議では論議はなかったということでございますね。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 はい、ございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから、長官に伺っておきたいのでありますが、物価対策閣僚協議会では、この問題は論議をされましたでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 されません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから、もう一つ別の問題でございますが、農産物の価格政策についてであります。  伊東参考人にお聞きしたいのでありますが、この提言で言っておることは、食管制度などはやめるべきだ、こういうことになるわけでございますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 そこに食管制度という——ここに、たばこのことが具体的に出ておりますね。これについては、経済原則をもう少しゆるくというふうなことなんです。  それに、ここには十分書いてない場合でも、補足いたしますと、むしろ委員の中においては、たばこを輸出競争の力があるように持ち込んで、そうして、在庫というようなものをなくすような方向も考慮すべきであるという議論が出まして、実は日本のたばこは、国際的に非常に安いものですし、品質の面においては十分競争に太刀打ちできるだろうというぐあいに考え、たばこの在庫増大によるところの圧迫というようなものを何とか取り除いていこうという議論は出ました。現に専売公社はそういう方向に向かっているというぐあいに聞いております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 米につきましても触れておるわけですね。「その所得を補償するような価格設定を行なうならば、早晩供給過剰をもたらし、」云云、といって、これは「米の場合に明らかである」というようなことが書いてございます。これは必ずしも食管制度を廃止すべきだということではないのだということでございますか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 この問題につきましては、第一回の物懇のときに米についての提案もありますけれども、それは必ずしも廃止しろという考え方の上に沿っているのではありません。ただ、経済原則というものを考える必要があると同時に、経済論理を曲げた価格決定方式をしては困るというようなことも、あそこにおいてうたってあります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 野菜の価格につきまして、これはやや下がってきておりますけれども、野菜の価格の安定という問題は、非常に重要な問題だと思いますし、物価対策閣僚協議会でも多少触れておりますし、新聞に報道されましたものによりますと、経済企画庁からはかなり提案をしたようでありますが、この問題についての、野菜の価格が暴騰したり暴落をしないようにするための措置ということについて、経済企画庁とそれから農林省から、一言ずつお聞きしたいと思います。

矢野智雄経済企画庁国民生活局長

○矢野説明員 本日、物価対策閣僚協議会で決定いたしました対策の中では、野菜の価格安定に関連いたしまして幾つかの決定を見ております。  たとえば、ことしの冬、非常に干ばつの影響等を受けまして野菜が暴騰いたしましたという経験にもかんがみまして、こうした天候によってあまり左右されないような生産ないしは供給の安定をはかっていく必要があるということで、そのために、施設園芸の団地をもっと拡充する、あるいは露地野菜につきましても、畑地かんがいを計画的に進めていくというようなこと。さらにまた、野菜の暴騰、暴落を防ぎますために生産・出荷の計画的、組織的な推進をはかる。あるいは野菜の場合に、産地における状況を的確に把握する。たとえば作付の状況がどうであるとか、生育の状況がどうであるとか、そういう情報の機能を充実する、あるいはそれを活用していく、そうした生産・出荷の計画的な推進。それとあわせまして野菜生産出荷安定資金制度、これをもっと改善していく必要があるんじゃないか。御承知のように、現在安定資金制度がございますが、若干中途はんぱなところもあるやに見受けられますので、こうした面ももっと運用を強化する必要がある。これらのことについて、きょうの午前中の閣僚協議会で決定したわけであります。  この決定に基づきまして、関係省で具体策を早急に詰めることになっております。

小原聰農林省蚕糸園芸局野菜花き課長

○小原説明員 ただいま国民生活局長からお話のあったようなことで、今後実効性のある具体策を進めてまいりたいと考えておりますが、これまでも、野菜の価格の安定をはかるためには、需要に見合った安定的な供給の確保をはかることが基本であるという考えに立ちまして、野菜生産出荷安定法に基づきまして、大消費地に野菜を安定的、計画的に供給をする集団産地を育成、強化するということとか、あるいは農林省といたしましても、そういう大消費地における主要野菜の五年後の需要見通しをつくりまして、これに基づいて指定産地も拡充をしてまいる。それから、短期的な対策としましては、市場関係者、それから生産者団体の代表、それから関係県の職員等で構成されます指定産地生産出荷協議会というものを、指定野菜のそれぞれにつきまして、作付前、出荷前に開きまして、計画生産、計画出荷というものをはかるように進めてまいっておるわけでございます。  そういう需給調整の努力にかかわらず、野菜の価格が下がった場合には、野菜生産出荷安定資金協会によります価格補てん事業を実施しておりまして、価格が下がったために作付を減らして、翌年価格が暴騰するというようなことのないようにいたしておるわけでございます。  そういうことで、私ども野菜の価格の安定をはかるために、供給面、生産面でできるだけ安定をしてまいるということで施策を進めてまいっておるわけでございますが、野菜というのは、先ほども国民生活局長からお話ありましたように、気象条件の変動で非常に作柄が不安定になるということで、野菜の価格が、短期的に値上がりをしたりあるいは値下がりをしたりということがございますが、長期的に見れば、野菜生産出荷安定法ができまして以来四十四年までは、野菜の価格も安定化の方向に向かっておったというふうに考えております。国民生活局長もお話ありましたような新しい対策も今後充実をいたしまして、一そう生産と出荷の安定に努力を傾けてまいりたいと考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 農産物価格の安定のために、いろいろもっと論議すべきことがありますけれども、時間もありませんので、あらためての機会にしたいと思います。  伊東参考人に伺いたいのでありますが、入浴料金や理容料金について、いろいろ論議がありました。この問題は、配置規制のようなことでは直接料金の問題には影響が少ないのではないかということは、同僚委員も指摘をされたわけでありますが、こういう中小零細企業の料金については、中小企業に対する援助の問題ではないかと思うわけです。たとえば税金の問題、あるいは融資の問題、あるいは電気代とか燃料費とか水道料とかいうような、独占価格、公共料金、そういうようなものの引き下げをして中小企業を援助をしていくということの考え、そのことによって料金を引き下げるというような考えは、一切ないのですか。

伊東光晴元東京外国語大学教授

○伊東参考人 それにつきましては、東京都につきまして、部分的でありますけれども、優遇措置をとるというような政策がとられましたね。ただ、全面的に行なわれているわけではありません。しかし、この調査、たとえば入浴料金についての調査というものは、物価統制令でありますために、非常に詳しい調査が実はありまして、そこにおける一つの大きな問題点は、格差が非常に大きいということです。平均としてどうというのではなくて、非常にいいところと悪いところと、こんなに格差があるというところがポイントであります。そして、現行料金のままに置きましても、立地条件のいいところは非常に——私は具体的に、おふろ屋さんの名前まで知っておりますけれども、非常にいい。しかし、いまのこのもとにおいては非常に悪い。そういう格差問題というものが、実は経営上において非常に響いておるのです。この統計というものは、もちろん企業が、各経営体が出すのでもありません。実は、初めから店が終わるまで店にいまして、ストップウォッチでもって全部入浴者を調べまして、それでやるという実際のものでありまして、これは発表することができない数値でありますので——ただ、委員としてはそれを持っております。こういう非常な格差のところにおいてどうするかという問題が主でありまして、そこの問題、おっしゃったような問題までは、実はいかなかったということです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、それを否定したということではなくて、そこまでいかなかったということでございますね。  それから、公正取引委員会の委員長にお伺いしたいのでありますが、この提言では、中小企業のカルテルの問題を問題にしているわけですが、大企業のカルテルとの比較において、この比重はどの程度にお考えになりますか。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村説明員 おっしゃる意味がよくわかりませんが、大企業で、適用除外じゃなしに、何かカルテルをやっているという前提でお聞きになっていらっしゃるわけでございましょうか。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の言いますのは、物価の安定のために、大企業のカルテルこそをうんと大きく問題にしなければならないのではないだろうか。それから、中小企業のカルテルの問題、ここで指摘をされておるけれども、全体の物価安定ということの中で、委員長はどの程度にこの問題を評価をされますかということをお聞きしているわけです。

谷村裕公正取引委員会委員長

○谷村説明員 まず中小企業関係、これが、先ほど適用除外カルテルといったような形でもってやっておるのもあれば、あるいは——独禁法上のあれに乗っかってやっているのはあまりなくて、主として、そういう適用除外カルテルの形においてやっているのが多いと思いますけれども、そういったものがどの程度のウェートになっているかということは、これは先ほど伊東先生もおっしゃったような意味で、ウェートを正確にどの程度であるというふうに申すわけにはいかないと思います。  ただ、御指摘の大企業のカルテルという問題は、これは公然たるカルテルというよりは、むしろ一種の協調的な形における、あるいは大企業同士が、何と申しますか、普通の新聞等で使われておりますことばでいえば、一種の価格の面でもおのずからなる協調といいますか、あるいは管理価格的な行動をとっているという、そういう問題でおっしゃっているのかと思います。これも要するに、それが持つ意味、また、それが経済的にたとえばどういう役割りなりを持っているかということについては、いろいろの角度から考えてみなければならないと思います。  先ほど承っておりましても、伊東先生のおっしゃるとおり、物価問題というものについてのいろいろな要因というものは、決して一つ、どれがどうというわけのものではないと思います。そういう意味において、私ば中小企業における適用除外カルテルの問題も、大企業、寡占企業等において見られるいわゆる管理価格というふうな問題も、どれもこれも、私は物価問題における一つの問題ではあると思います。それをどっちがどうというふうに、私は申し上げるわけにはいかないと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いろいろ不満な点もありますが、公取の委員長とはまた議論する機会もあろうかと思いますので、この程度にして……。  なお、この提言では、再販売価格維持行為について、「化粧品、医薬品、家庭用石けん等について、独占禁止法上の指定要件に該当しているか否かを早急に検討し、問題がある商品については、速やかに指定告示改正を行ない、これを削除すべきである。」こう言っている。この点について、公正取引委員会は、合成洗剤などについて、管理価格的色彩が濃く、価格の硬直性が強い再販契約は廃止すべきだという意見が、新聞などでは報道されております。ところが、通産省はこの見解を否定をして、再販契約の廃止をしないという結論を出している。新聞で知ります範囲ではこういうことのようであります。こういう行政介入こそ廃止すべきだと私どもは思うわけでございますが、その点については、その後の経過も含めて、経企庁の意見をお伺いしたいと思います。

矢野智雄経済企画庁国民生活局長

○矢野説明員 きょうの午前中に行なわれました物価対策閣僚協議会では、お手元に配付してございますような幾つかの点について具体策を決定したわけであります。これは、その前に、四月二十二日に各省から幾つかの問題が提起されまして、それについて若干の討議が行なわれ、ある程度討議がありまして、その大筋についてほぼ了承を得、その具体策をつくることになっておりましたものにつきまして、本日その具体策を決定したわけでありますが、四月二十二日に討議しました——あるいは討議する予定でありましたが、当時時間の関係でそこまで進まなかったこともあります。そうした問題につきましては、本日の物価対策閣僚協議会では、今後検討すべき事項として幾つかの問題が提起されております。そのうちの一つに再販売価格維持制度の問題が出ておりまして、これは今後検討すべき事項として、本日閣僚協議会で受理、提出されたわけであります。したがいまして、これはこの閣僚協議会のそうした了承事項に基づきまして、これからその具体的な内容を関係方面でつくっていくという手はずになるものでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 伊東参考人に要望しておきたいと思うのでありますが、きょうの論議でもお聞きのように、この提言の中でも、すぐに実行されるものとされないものとある。それから、いままでの提言でも、四年もの間に一生懸命やられたということでありますけれども、実っていないものがたくさんある。私は物価安定政策会議としては、実行しないものは、当面必要なものは何べんでも出すべきだ。そうして、政府はこれを何べん無視をするかというところまでやるべきである。当面必要な物価政策、国民の要望に沿うものはそういうことではないか。単に学者が意見を述べたということであるならば、いままで一回言ったから、何べんも言うのはおかしいというものでは私はなかろうと思う。実現をするまで、やはりそのときに必要なものを全部言っていくということでありませんと、私は最初に申しましたように、国民は、現在の当面する物価対策というのはこれでいいのではないか、これを政府のほうはとにかくやっていくという方向である——先ほど同僚委員も指摘しましたけれども、必要な行政介入は、しなくてもいいのだ、政府は行政介入を廃止する方向でやっているのだから、責任はないのだ、こういうふうなことになりかねない。そういう政治的な意味を持っているということを考えながら、この責任を果たしていただきたいというふうに思うし、それから、国務大臣としての荒木さんに御要望したいのは、この提言の作成者自身が、これは当面する物価対策ということで、これで全部きめ手になるというようなことに考えられては困るというふうに言っておられるものであります。閣僚会議で、もうこれで済んだのだというようなことでは決してない。この問題だけでは、私はとうていいまの国民の要望に沿うことはできないと思います。国務大臣として、物価対策についてもっともっと抜本的な、ほんとうに物価が下がるような対策をやってもらいたいということを要望して、私は質問を終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 この際、委員長より参考人に一言申し上げます。  本日は、長時間貴重な御意見を承り、本委員会の今後の調査のためきわめて参考になりました。ここに委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。  どうもありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会

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