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63回国会衆議院1970/03/05

物価問題等に関する特別委員会 第5号

発言数
111
登壇者
8
会派数
5
開催日
1970/03/05

会議録

松平忠久日本社会党

○松平委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  昭和四十五年度物価対策関連予算及び消費者行政関係予算の概要について、矢野国民生活局長から説明を聴取することといたします。矢野国民生活局長。

矢野智雄経済企画庁国民生活局長

○矢野政府委員 最初に物価対策関連予算について御説明いたします。  御承知のように物価対策はきわめて総合的なものでありまして、ある特定の事業と違いますので、これに関連する予算の範囲が必ずしも明確ではありません。広くいえば、予算全体が関連あるともいえますし、しぼりますと、またどこまでしぼっていいかということが必ずしもはっきりしておりません。しかし、昨年度の例にもならいまして、予算のうち比較的物価に関連が深いと思われますものを並べますと、こういうお手元に差し上げました資料になります。合計金額にいたしますと、三ページ目の一番下にございますが、一般会計で四十五年度八千四百五十三億余り、前年度に対しまして一三%の増加であります。また特別会計も含めました全体の総計は、四ページ目の一番下にございますが、四十五年度で九千百五十四億、対前年度一五%の増加になります。もっとも、この中で食管会計を除きますと、四十五年度の一般会計、特別会計の総計の項目で四十五年度六千百三十八億円余りで、対前年度二三%の増加になります。食管は物価関連予算としての位置づけ、これはいろいろな解釈もあり得ると思いますので、かりにそれを除いてみますと、以上のようなことになります。しかし、いずれにしましても物価関連予算は、総額は先ほど申し上げましたような理由で、必ずしも大きな意味は持たないかと思います。それよりもむしろ内容のほうが重要かと思います。  次におもな項目につきまして、時間の関係もありますから、重点を拾って簡単に御説明いたします。  まず、物価対策に関連いたしまして一つの大きな項目は、低生産性部門の生産性の向上ということであります。現在、物価のうちでも特に低生産性部門、農業、中小企業あるいはサービス部門、こうしたところでの価格の上昇が大きいものでありまして、やはりここの生産性向上ということが、物価対策の上に重要な意味を持ってまいります。  それに関連いたしまして、まず農業でありますが、ここに農林漁業対策という項目がございます。たとえば、このうち最初の農林金融費、これは農林漁業経営の近代化を金融面から推進しようとするものでありまして、たとえば農林中金に対する利子補給あるいは農林漁業金融公庫の収支均衡のための補給金というものがおもなものになります。  それから次に、構造対策と申しますか、たとえば圃場整備などの土地基盤整備事業あるいは共同施設など経営近代化施設事業あるいはトラクターの購入などのような農業機械化促進事業、あるいは農業生産の選択的拡大をはかるための農地開発事業、こういうものに対する補助金といたしまして、ここに掲げてあります項目では、たとえば農業振興費あるいは農業構造改善対策費あるいは農業改良普及事業費補助、また農業基盤整備費などがこういうものに当たるわけであります。  それから畜産につきましては、ここに畜産振興費がございますが、これは畜産経営あるいは生産の安定とか生産性の向上に資するために、家畜の改良増殖事業、農家に導入する家畜の購入費、こうしたものに対する補助金がおもなものであります。  また、近年野菜の価格がかなり上がっておりますが、こうしたものに対する対策としましては、蚕糸園芸振興費、この中に野菜指定産地制度の拡充などに対する必要な経費の補助が入っております。  また水産業振興費、これも水産物の価格がだいぶ上がっておりますので、これに対しまして沿岸漁場の生産基盤を整備するための漁場改良事業とかあるいは養殖施設設備、こうしたものに対するいわば経営近代化対策事業に対する補助、こういうものがおもな内容であります。  以上、農業関係あるいは畜産、水産、こうしたものの生産力の拡充あるいは生産性の向上に対する補助金を中心にした経費が掲げてあります。  次は中小企業関係でありますが、中小企業につきましては、一つは、何といいましても共同化あるいは協業化あるいは設備の近代化、こうしたことを推進するために、中小企業振興事業団に対する出資金等をおもなものにいたしまして、ここに中小企業指導事業という項目がございます。  それからまた、最近中小企業が非常に人手不足に悩んでおりますが、これに対しまして、中小企業における労働力の確保あるいは労働条件の改善のような労働改善事業を推進するための助成、これが中小企業労働対策費の中に含まれております。  それから、その次は流通対策でありますが、これにつきましては、一つは、生鮮食品の流通の拠点としての卸売り市場の開設整備を促進するための卸売市場施設整備費、あるいは肉用牛の生産の安定あるいは畜産物の流通の合理化を促進するために肉用牛価格安定対策費が計上されております。  また、野菜生産出荷安定資金協会に対するいろいろ補助などを中心にいたしまして、青果物流通改善の経費、また日本自動車ターミナルへの出資、これによりまして、流通全体の近代化の一環になる経費がここに計上されております。  次に、労働力の流動化対策であります。物価が上がります一つは、やはり労働需給の逼迫が背景にありまして、この場合に、一方では足りない、一方では若干余裕のあるところもありますので、そこを流動化していくというための対策。その一つは職業転換対策事業費、これは中高年齢の失業者に対して都道府県が実施します職業訓練に対する一部補助であります。それからもう一つは職業訓練費、これは都道府県に設置する専修の職業訓練校の運営費に対する補助であります。  四番目は、競争条件の整備でありますが、これは公正取引委員会の人員増等に要する経費であります。  次に、生活必需物資等の安定供給のための経費でありまして、食糧管理費、これは御承知のとおりでありますが、そのほか水道資源、これの拡充をするためのいろいろの補助、これが環境衛生施設整備費の中に計上されております。  そのほか、地方公営企業に対する再建債利子補給、あるいは公営企業金融公庫に対する補給金、こうしたものもこの一環に入っております。  次に、家賃及び地価の安定でございますが、この一つは、何といいましても住宅対策費でありまして、家賃の安定をはかるために、なるべく低家賃の住宅を大量に供給していくための経費でありまして、四十五年度におきましては、公的資金による住宅建設戸数約六十二万戸、四十四年度は五十七万戸でありますが、これで五カ年計画二百七十万戸に対しまして、これは四十五年度で九六%の進捗率になる見込みであります。  最後に、交通施設の整備でありますが、この一つは、国鉄財政の現状にかんがみまして、四十年から四十四年度の工事資金にかかる利子支払いの一部を補助するとともに、国鉄財政再建債の支払い利子を補給するために、日本国有鉄道財政再建助成費を計上してあります。  それから地下鉄関係でありますが、一つは地方鉄道軌道整備助成費、このうちの特にここで重要なのは地下高速鉄道建設費補助でありますが、これはこの地下鉄の事業者に対して、その建設費相当額の一部を補助するものであります。また、これと並行いたしまして、公営地下高速鉄道事業助成費、これは四十三年度末におきます政府資金引き受けの公営地下鉄事業債の支払い利子に相当するものとして発行を認めます企業債の利子に対して助成するものであります。  大体以上、おもなものを申し上げましたが、そのほか特別会計等を含めまして、先ほど申し上げましたような総額になっております。これをあわせまして、生産性の向上あるいは労働力の流動化あるいは公共料金の安定のために、地下鉄、水道、こうしたものに対する助成を行なっていくということが主要な内容であります。  それから次に、消費者行政関係の予算を御説明いたします。  お手元に「四十五年度消費者行政関係予算額」という資料を配付してございますが、それの一ページ、目次の次に総括表が載せてあります。合計額は四十五年度予算で十四億一千二百万円余りであります。四十四年度に対しまして九二%の増加、ほぼ倍増ということであります。  おもな内容は、危害の防止とか、あるいは九番目の試験検査施設整備、あるいは十番目にあります苦情処理体制整備、あるいは最後、その他という項目に入っております若干重要なものがございます。  ごくおもなものだけ申し上げます。  まず、三ページの危害の防止であります。ここに三ページからずっと以下載せてありますが、たとえば四ページの第四のところに食品残留農薬対策費。最近こうした問題が非常にやかましくなってきておりますが、この予算千七百万ばかり計上してあります。前年度より減っておりますのは、この中に入っております大きなものがほかへ移されているためでもあります。その一つが、六ページの六番目に食品衛生調査研究費。これは食品にいろいろ添加物とかそういうものが、一つ一つはともかく、それがたくさん人の口に入りますと相乗毒性が生ずるおそれもありますので、こうしたものについて十分研究していくつこれは国立衛生試験所だけでは不十分でありますので——国立衛生試験所に対するいろいろ強化策も後にその経費が載っておりますが、それだけでも不十分で、大学等への委託をするというようなことが内容になっております。  それからまた、八番目に乳肉食品衛生検査強化対策費、こうしたものも、特にこのごろ抗生物質が添加された飼料によって成長した家畜家禽から生産された乳肉、卵の抗生物質残存量についての基準を設定していくということで、これは府県へ厚生省から委託していくものであります。  そのほか、危害防止につきまして、いろいろ各県各省でそれぞれ予算を計上し、それを強化していく予定になっております。  それからあと主要なものといたしましては、少し飛ばさせていただきますが、十番目、四五ページ、うしろから三枚目でございますが、苦情処理体制の整備であります。この点につきましては、四十九番目農林省、五十番目通産省、それぞれいろいろ業界を指導して、それぞれの関係商品についての消費者の苦情を処理していくための助成費を計上しております。  また、その次のページ、五十一番目の苦情処理体制の整備、これは企画庁から地方公共団体に対しまして、不交付団体を除きます全県四十二県に対しまして、そこで苦情相談員を置いて苦情処理に当たっていく。そういう人件費に対する補助事業費として一県二百万円余りでありまして、二分の一補助で一県百万円余り、四十二県分をここに計上してございます。  それから最後に、その他といたしまして四九ページの終わりに、国民生活センターの設置、これは現在所要の法案の準備をしておりまして、近く閣議で決定した上国会へ提出する予定にしておりますが、これは国民との対話の場をつくっていくというものでありまして、先ほど苦情処理体制の整備の御説明をいたしましたが、国民生活センターもいわばそれの中核体になっていく、こういう意味も一つ含んでおるわけであります。この点の詳しい説明は、また追って法案を提出いたしまして御審議いただく際に御説明申し上げたいと思います。  大体以上でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 以上で説明は終わりました。  これより経済企画庁長官に対する質疑に入るのでありますが、質疑の時間等は先ほどの理事会の申し合わせに従いまして、大体一人四十分ぐらいにしていただき、議事を進めることにいたしますので、御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂徳三郎君。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 長官のこの前の本会議の経済演説及びこの委員会におきましての所信表明等を伺いましたのですが、物価問題について、非常になみなみならぬ決意でこの難局に当たろうというお考え、まことに同感です。しかし、あなたの非常な熱意はよくわかるのですが、今年度の予算案の性格とこの物価問題との位置づけがどうなるのかということについて、政府内にも若干意見の相違があるように私は思うのです。その点について四点ばかりお尋ねしたいと思います。時間が非常に限られておりますので、簡明直截にひとつお答えをいただきたい。  まず第一は、今年度の予算の総額が名目の成長率を大幅に上回っておる。これはあなたが物価の安定を大いにやろうとするお気持ちとどのように調整されるのか、この点を一つ伺いたいと思います。  それから第二点は、前回の本会議における財政演説においても、大蔵大臣の主張は総需要を押えるということが重点であったように私は伺ったのですが、企画庁長官としてのあなたは、構造改善政策というものも非常に必要だとして、このところいろいろと案を出していらっしゃいますが、この総需要政策と構造改善政策は矛盾する概念を含んでおると私は思うのです。つまり構造改善政策を重視する場合には、合理化やあるいは流動化のための投資を促進しなければならぬでしょうし、総需要政策を強調すると、総需要調整のために金融引き締め等によって投資の抑制をやらなければならぬ。正反対の結論になるというこの二つの政策の調整をどのようにやろうとしていらっしゃるのか。まずこの二点について、長官の意見を聞きたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 お答え申し上げます。  いま小坂さんからお話のありました第一点の、今回の予算の伸び率というものが名目成長率を上回っておるじゃないか、この一点でございます。これは率直に申し上げまして、今回の予算というものは景気について警戒中立型であるというふうによくいわれておりましたが、大体その程度のところにはいっているものと私は思っております。現在の段階にまいりまして、物価対策上総需要の抑制ということが大きな課題としてますます重要性を増してきておることは御存じのとおりであります。そしてそのためには、一面において金融が重要な役割りを持ち、また一面において財政が役割りを持つということでございますけれども、これは実は財政と金融の受け持つ役割りというものは、その国あるいはまたそのときの情勢によってそれぞれ相対的にきわめて流動的なものであると私は考えております。アメリカのように歳出がGNPの二割をこす、こういうような国におきましては、現在唱えられておるアメリカのインフレというものが相当財政に負うところが大きい。これは衆目の一致しておるところでございます。それだけにニクソン大統領も、財政に相当比重をかけておることは御存じのとおりであります。わが日本の場合におきまして高度な成長というものが続きましたが、一体これの主たる要因は何であるか。いろいろと意見もありましょうけれども、まず何といいましても、民間の設備投資を中心とするところの高度成長ということになっております。財政の比重は、そういう意味におきましては日本においては必ずしも決して高いものではございません。そういう基本的なことを頭に置いて考えました際におきましては、今回の財政の伸びというものが、われわれの物価安定対策を推進してまいる上において非常に矛盾するものである、非常な障害になるものであるというふうには私は感じておりません。むしろ一面におきまして、私どもは物価対策との関係におき、あるいはまたその個別対策としての構造改善というような見地からいいますと、その方面の投資はなお十分に、着実に実行していかなければならない。あるいはまた一面において、物価によりまして影響をこうむるところの階層に対する社会保障の水準は、相当配慮をしてまいらなければならない。まあいろいろございまして、そういう面からする配慮を財政に期待する面も一面多いと思います。かれこれ総合いたしまして、今回の財政の伸びというものが名目成長を少し上回っておりますけれども、まずまずのところではないかというふうに感じております。  それからもう一つの、総需要対策と構造改善対策というものは一面矛盾するのではなかろうか、こういう点でございます。これはまさしく御指摘がありましたように、いたずらにただ投資を抑制する、ただ量を押えればいいんだ、こういうことになりますとお話のとおりになろうかと存ずるのであります。われわれはもちろん投資の増勢、現在のような激しい勢いを少しスローダウンしようということでありまして、この投資の重要性、そうしてそれがもたらすところの日本の経済成長というこの路線というものを変える感じはいたさないのでございます。そういう意味におきまして、抑制とは申しますけれども、そこのところを十分頭に入れてやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。御存じのように、一面矛盾するような形でございますが、この両者が同時に結びつかなければならない点も多いのでございます。私たちが物価の問題を取り扱う際に、この問題の複雑さ、深さということを考えますと、着実な長期的な視野に立った構造改善、これが一番物価対策の本筋であろうと思いますが、この改革を進めていく際に、いわゆる通貨の増発等を通じてあまり総需要というものが膨張いたしますと、どうしても構造改革を推し進めていくのにかえって障害になる点があろうと思うのであります。そういう意味におきましては、一面において総需要の膨張というものを抑制し、そうしてそこにおいて初めて個々の構造改善という事業も進んでいく経過が出てくる、こういうふうに私は感じております。そういう意味で私たちはこれら両者を矛盾することのないように、できるだけひとつ両者を組み合わせて、そうして物価の対策を推進していきたい、こういう感じを持っておるわけであります。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 私のもう一つ伺いたい点は、本年度の予算だけに関してはいまのような解釈も成り立つと思うのです。日本のこれからの進路を考えた場合に、いま長官の言われたような調整が可能である、そうした路線が今後何年ぐらい続けていけるというふうに考えておられるのか。要するに長期的な計画の中での本年度のあなたのお考えなのか、あるいは今年度だけの問題なのか。それによって私はたいへんこれからの政策が違ってくると思うし——今日までの政府の景気調節はあげて金融引き締めにすべてをやってきた。これは今回特に予算が大きくなったということだけで、私は必ずしも金融引き締めだけによる調節というものがなくなるとは思わない。こうしたことがこれからの日本にとって、やはりいまあなたの言われたような方向を進めていくことがいいことだと思うので、その点に触れてお答え願いたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いま申し上げましたが、実は小坂さんも御指摘になりますように、一面において私たちも金融引き締めだけでいいんだ、こういう感じは持っておりません。御存じのように、現在私たちも、はたして金融引き締めというものがどの程度今後の投資的な意欲に対して影響をもたらすであろうかと、いまいろいろと模索をいたしております。もう少したっていろいろとデータがそろいましたときに、われわれはまた検討しなければならぬ段階がくると思うのでありますが、もし引き締めをやりました結果それでも一向にきき目がない、こうした景気の加速化がどんどん続いていくというようなことがずっと見込まれるというようなことになりました際は、もちろん政府もすでに申し上げておりますように財政の実行面においても十分弾力的にこれを考えなければならない段階もあるわけでございます。私どもいまはそこまではまずなかろうと考えておりますけれども、当然そういう問題も頭に入れなければならないと思います。そして、いまお話しの財政と金融、いわゆるポリシーミックスというものをどういうふうにやっていくかということは、私は先ほど申し上げましたように、その国によりその時点によって非常にむずかしいと思います。金融引き締めが中心といいましても、何といいましてもいわゆる世の中のコンセンサス、これをやはり獲得しなければ政策の実行はできない。何だ、財政がゆるんでいるじゃないかというような感じが強くなりますと、どうしても金融引き締め自体というものについてのコンセンサスが得られなくなるわけでございます。そういう意味において最低限の両者の結びつき、両者のバランス、これはいかなる場合にもわれわれが配慮しなければならない問題であろうと思います。最近におきましてもアメリカやドイツにおいて例が見られますように、金融引き締め一本やりでやりまして失敗した例も間近にあるわけでございます。私たちもそういう点は十分に考えなければならない。  また同時に、この一方において、構造改善の前提であるところの社会資本の充実その他の財政需要を実現していくということも、われわれの課題でございます。私たちいま新経済社会発展計画をつくっておりますが、その際におきまして、いかにして社会資本を充実するかということについても相当配慮をいたすように考えております。もちろん、従来とかく言われておりましたように、政府の固定資本投資と民間の設備投資とをただ形式的、機械的に結びつけまして、その比率でもって議論するというのは形式に過ぎると思いますけれども、しかし、十分な配慮をいたしていく必要があろう、こういうふうに考えております。  いずれにしましても、現状におきましてはわれわれはよほどそのバランスを十分に考えながら、しかも現在の状況下においてこの引き締めをしばらく継続いたしまして、そして総需要の抑制の経過というものを十分に見守りたい、こういうふうに考えている次第であります。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いまのお話だと、結局総需要は引き締めの方向をいまとらざるを得ない。これはつまり金融引き締めでいくのだということだと思うのですが、やはりあなたが物価問題と非常に真剣に取り組まれるというならば、この際に財政のほうのいわゆる不要不急なものだとか、あるいは経常経費の問題だとか、そうしたものにも政府みずからが積極的にそれを縮減していくというような方向をとるのが、私は、先ほどもお話がありましたけれども、国民との対話の中で物価問題をやろうという姿勢ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 もちろん基本的には、おっしゃることに私は全く同感でございます。ですから、手順としていま金融をやっております。しかし、財政という問題を十分に頭に置いておるわけでございまして、これはやはり現在の状況というものをなお見守ってまいりたい。  なお、お話にありました財政問題は、御指摘のようにわれわれももちろん、ただほうっておいていいというのではないのでありまして、むしろ私は財政の場合には規模も大事でありますが、その内部の構成、そこに硬直化の現象がどの程度生じておるか、そうしてそれを十分にひとつ剔抉いたしまして、そしてそれをいかに解決していくか、こういう姿勢がやはり大事であろうというふうに考えております。今後まさしくお説のように、財政の問題についてももっとそうした面でわれわれ大いに推進をしなければならぬ、こういうふうに考えております。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 次に、長官は所信表明の中で、四十五年度においては消費者物価の上昇率を四%台にとどめるという強い決意の表明をなされたわけですが、昨年よりも低い四%台というこの数値は政治的な配慮による数値なのか、それとも経済運営を律する目標値であると考えていられるのか、いずれでしょうか。  それと同時に、特にあなたが先般の本会議でなすった経済演説の中でインフレとの戦いということを強調しておられる。あなたのお考えの中に現時点がすでにインフレであるというようなお考えがあるとするならば、去年よりも低い上昇率で四%台にとどめようということは、これはまことにありがたいと思いますが、はたしてそれがどのような手段でやられるのか、またどのように考えておられるのか、こまかいこと要りませんが、御説明をいただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私もいま日本の現状がそのままインフレであると申し上げたつもりでは実はなかったのであります。しかし御存じのように、消費者物価が相当高い水準で上昇してまいったところへ卸売り物価も上がりかけた、こういうようなことで大いにわれわれとしても警戒的態度を深めなければならぬ。そういう意味で特にいままでお話ししなかったのでありますが、インフレということばを出したようなわけでありますが、いまお話がございました四・八%の問題は私はこう考えております。本年御存じのように非常な上昇を消費者物価は続けております。私どもは五・七と見込んで改訂見込みをいたしましたが、どうもこれを突破してへたをすると六%をこえそうな勢いであることは御存じのとおりでありますが、何ぶんにも季節的商品、特に野菜でございますけれども、これが長雨、寒波、干ばつと打ち続きました。それからまた、昨年非常に豊作であって価格が下落したものですから、作付面積の減少をもたらしました。そういういろんな事情が重なりまして、特に野菜を中心とする季節商品の異常高、こういうことになったようなわけであります。季節性商品を除きますと、四十四年度の物価の上昇というものもそう特に高くなっておるということではないのでございます。そういうことを私たち踏まえまして、そして今後における構造政策あるいは米麦価の据え置き、公共料金の据え置き、こういうことを頭に置き、そしてまた、ここでもって総需要の抑制についてのある程度の効果が出るもの、こういうようなことをいろいろと考えまして、そうして四・八%ぐらいのところに何とか持っていけるだろう、こういうふうに考えておるようなわけであります。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 次に、やや具体的な問題に入りたいと思いますが、御承知ように、もう春闘になるわけです。物価と賃金の問題について長官の所見をただしてみたいのですが、確かに四十四年度におきましての賃金の上昇率は一五・八%くらい、これはこの上昇率でいきますと、五年で二倍の賃金になるというわけでありますけれども、それと同時に消費者物価指数の上昇率も、昨年は、政府の予測と実績を比べてみますと一四%の食い違いが出てきておる。本年一月の、いまあなたのおっしゃったような野菜や何かの値上がりというものを入れた一月の分を入れますと、実に二四%の食い違いが出てきておる。これも私は相当なものだと思います、物価の値上がりは。私の問題にしたいことは、労使とも非常なエネルギーを春闘の団交にぶち込むわけです。こうして妥結した賃金が、一方においては物価高、いま申し上げたように、政府の予測に対して二四%も上回るような物価の実際の上昇とか、さらにまた税金が——今度は多少修正があったと思いますけれども、実際働いている人たちにとってはそんなにありがたい修正ではないと私は思う。私も長い間大ぜいの諸君と一緒に働いた体験の中からいえば、つまり、物価高と税金で追いまくられて、結局ベースアップをしても、半分ぐらい、よくて六割ぐらいしか手元に残らない、こういうような現実であるわけです。したがって、だれでももっといい生活をしたいということはわかり切ったことなのでありますが、ことしの春闘は特に物価高であろう。長官は盛んに四・八%台ということを主張されておりました。しかし、これをあまりみんなは本気に信用していない。したがって、今年度の春闘は非常に過熱状態になるだろうということを私は心配しておるわけです。団体交渉というようなものは労使の関係にまかせるのは当然だと思いますけれども、もう少しこの際、労使間の交渉のやりやすいような環境整備を、政治と申しますか、政府は考えなければいかぬ。私はやはり、いま長官のおっしゃったような物価の安定ということが何より大切な問題だと思いますが、この四%の公約をぜひ守ってもらいたい。私は、もしこれが守れなければサラリーマンの累進税率を改正するくらいのことをひとつここであなたからはっきり言ってもらったらどうかというふうに思うわけです。  もう一つ私は伺いたいのですが、企画庁も当然賃上げの率を計算して経済成長その他やっていらっしゃると思いますが、何%くらいの賃上げ率を今年度は予測されていますか。それをお答え願いたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いまの賃金と物価の関係でございますが、御存じのように日本の場合におきましては、特に賃金と物価の問題は複雑でございますし、卸売り物価が安定しているわりに消費者物価がどうして高くなってきたか、こういうような日本の特異な価格現象もひとえにこの両者の関係が非常にむずかしい点にあろうと思います。御存じのように、賃金と物価との関係の間には生産性という問題が横たわっております。そのためにいわゆる高生産性部門におきましては生産性の上昇によりましていわゆる賃金の上昇というものを少なくとも今日までは吸収してまいった。ただ残念なことに、低生産性部門においてはその生産性の上昇というものがそこまで実現することが不可能でありますから、どうしてもいわゆる労働力の需給の逼迫しておる今日、労賃の平準化という現象を通じまして終局的には消費者物価を引き上げてまいることをずっと続けてまいった、こういうことであろうと思います。そうしたことを頭に置き、日本における生産性の格差、こういうようなことを、問題をよく考えてみますると、この問題はそう簡単に割り切りにくい問題を日本においては持っておるように思うのであります。私たちも賃金の上昇がこれより以上進んでまいりますということは、今後のいわゆる経済の過熱ということを十分に予測する材料になるわけでありまして、私たちとしてもこれは無視し得ない現象であると思っておることはもちろんでございます。物価が賃金を上げるか、賃金が物価を上げるかというような議論の段階ではもうないのでございまして、私たちといたしましても、賃金があまり上がるということについてはやはり非常な注意を払っておるのでありますが、しかし御存じのように今日の体制のもとにおきまして、私たちがまだまだほかに方策としてとらなければならない方法が幾らもある。いまの議論にも出てきた総需要の抑制にしましてもあるいは構造の改革の問題にしましても、その他いろいろとわれわれが価格対策として推し進めていく問題がなおたくさんございます。同時に賃金の上昇については深い関心を持ってこの動向を見守ってまいる。これがいま私たちが置かれている立場ではなかろうか、こういうふうに感じております。  小坂さんももうすでに十分御存じのように熊谷委員会その他において、われわれもこの問題についてはいろいろ検討を委嘱してまいったのであります。その結論も必ずしも明らかではございません。私は、今後の賃金の上昇率がますます高くなり、そうしてそれがずっと継続するということになってきますと、これはやはり非常に大きな問題であろうと思います。その際に、やはり一つのコンセンサスを得るような方向においてわれわれが考えなければならない、そういうような段階がまた来るかもしれません。しかしいずれにしましても今日私たちとしましては、やはりそれの基礎的な条件の整備というか、ムードづくりといいますか、やはり両者が納得のいくようなそうした基礎条件がまだまだ十分に成熟しておらない、欠けておるのじゃないか、こういうふうに実は私は感じております。そういう点を今後どうやっていくか、これはわれわれとしても非常に関心の深い問題でございます。一面労働行政の分野でもあるわけでございますが、今後の動向を十分見守りながら、またそうした問題についてそうしたムードをつくるというような点につきましても、今後十分に検討してまいる必要が生じてくるんではないか、こういうふうに感じております。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いまの長官の御答弁をもう少しわれわれとしては補足したいと思うのは、せっかく今度の予算の中でも構造改善の投資というものを大きくとろうという意欲を持ってきておるし、つまり社会開発にも相当力を入れよう、こういうことなんですから、歴代内閣はこの問題をみんな逃げて歩いておったのですけれども、今度はどうでしょうか、こうした構造改善や社会開発というものを含めた形の中で三年くらいの見通しを思い切ってひとつ企画庁で立案して、それを出してみたらどうでしょう。やはり何かそういうめどがないと、われわれは、と申しますか、経営者もまた労働組合の諸君も、自分の会社と自分の生活というようなものに精一ぱいなんですから、全国的な、日本じゅうがどうなるかという問題については、関心はもちろん持つけれども、やはりそれを一つのラインを引いてもらう。これは私は、言うなれば一つのガイドポストみたいなものじゃないか、三年後にはこうなるというような、そうした計画を発表して、ひとつ前向きにこの問題に対しての意欲を見せてもらいたいというふうに希望したいと思います。  時間がないので、次の公共料金の問題に入りたいと思います。  いまのガイドポストという考え方について、もしも長官に意見があれば、後ほどの公共料金と一緒に答えていただきたいのですが、公共料金くらい政府がいままで国民にいやだと思わせたことはない。いつも上げないと言いながら、必ず上げていく。私は基本的に、公共料金というものは、今日のような都市化現象の起こっているとき、また都市化現象の、特にドーナツ現象というので、非常に広い範囲に人々が住むようになってしまう、こういうような現状の中で、公共料金を据え置くということがはたして可能なのかどうか。やはりこの問題について、先般の長官の経済演説の中には相当はっきりと、そうではないんだということを表示していると思うのです。しかし、それは直ちに値上げというふうにとられて迷惑していると思います。しかし問題は値上げではなしに公共料金を据え置くような考え方、つまり安くてしかるべきだという考え方はいまや変えてもらう、国民に納得のいくような形で変えてもらうということが第一点であります。  同時に、公共事業というものをもっと能率的に運営する方法を考えて、その能率的に運営するということは、公共事業といえども利益を出すような運営をさせるべきだと私は思う。そのための新しい経営方策というものを公共事業にはどんどんと導入して、そうして値上がりする部分を利益で消していくというようなやり方をしないと、一年据え置くあるいは二年据え置く、三年目にはこれが倍ほどになって国民の負担にはね返ってくる。私はこれがやはり物価に対する国民の非常な不信感、同時に政治に対する非常な不信感を呼び起こしていると思うのですが、そうしたことを、いま物価問題をきれいにしていくためにも、やはり公共料金というものに、その運営について利益を出すような経営をさせるという方向をとったらどうか。  同時に、身軽な経営をさせるためにも一番問題なのは金利です。この金利の負担を、私はむしろ財政投融資かあるいは社会投資というような形の中で、資本費の増大をこれ以上大きくしないような金利を、逆に税金がしょってあげる、そういうような形で金利を減らすということにぜひ努力をしなくてはいけないと思うのです。  同時に、政府が公共事業であるがゆえに出資をします。そうして監督をするという考え方、私はこれはまことに旧式な考え方だと思うのです。今後この体質改善をぜひ進めていって、そうして公共料金のあるべき姿というものに据え置くとか安くしなければならぬという観念から、国民大衆のもっと理解を得るような方向に切りかえることをしてほしいと思うのですが、長官の意見を聞きたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 先ほどの例のガイドラインの問題、これは私たちもずいぶん熊谷委員会等の検討も聞きましたが、いわゆるコンセンサスを得るところの目標値、こういうものがなかなかそう簡単には得られないというのが今日の実情である。先ほど申し上げましたように、こうした方向での政策だけでなく、もっとほかにいろいろと他の政策を全部斉合的に実行していく、こういうことでなければこの話は実りのあるものになってまいらない、こういう感じが少なくとも現状においては深いのであります。そういう意味からして、いま私どもがすぐガイドラインを設定する用意があるかと御質問を受けましても、目下のところそこまでは考えておらないというのが実情であります。また、これはなかなか科学的にも指数を求めるということにいろいろと問題があるのが現状であります。この方面の研究はなお委員会でも行なって継続をいたしておりますけれども、それが今日の実情であると申し上げるほかないと思っております。  それから公共料金でありますが、この公共料金につきましては私は実は先ほど小坂さんの御指摘になったように受け取られていると初めて知ったのでありますが、私は押えるという方向で申し上げたつもりなんであります。なぜ公共料金を押えるかと申しますと、いま小坂委員が御指摘になりましたように、率直に申しまして、この公共事業というものは、とかくやはり親方日の丸的な傾向に走りやすい体質を持っておることは私はいなめないと思うのであります。そういうことで政府としましてもずいぶん能率の向上、こういうようなことについては毎々そういう心がけでおるつもりなのでありますが、率直に申し上げましてなかなか実現しにくい問題がたくさんございます。結局その意味において公共料金をあまり安易に上げるということがやはりその方面の能率化を阻害する結果をもたらしてくる、これは明らかにいえると思います。私たちは一面において物価対策の上から見て安易な公共料金の引き上げは許されない、同時にまた、そういうきびしい態度でもって臨むことによって、やはり一面公共企業の能率化というものをある程度しいていくことができるのじゃないか、こういうふうに感じております。決して安易なつもりではございません。しかしまた、御指摘のようにあくまでこれは経済性の問題でございますから、一年、二年そういうことができても三年、四年と続くことが困難な場合が多いことも、これまた明らかでございます。どうしてもできないことをしいるというようなことは私たちとしてはとるべき方策ではない。真にやむを得ないというふうに調査の結果が出ました場合において、われわれとしては公共料金の引き上げも場合によってはやむを得ない、こういうふうな方策を今日までとってまいりましたが、やはりこの方式を続けてまいりたい、こういうふうに感じております。  金利の問題については、御指摘のように最近はそうした方式をずいぶんとるようになりました。地下鉄問題等もそうした形でもって今度も解決をしてまいろうということになったわけでありますが、何せ非常な超高度成長そうしてそれに伴うところの超高度集中、そうしてこの高度集中の結果といたしまして急速なる投資の拡大が要請される。そしてこの急速なる投資の拡大のための必要な財源の調達、こういうことを迫られるということで、とても普通の従来のノーマルな考え方に立ったのでは処理できないような多くの問題が出てまいっておる。これが今日の公共事業の一面でもあろうかと思います。そういう意味におきまして、特に交通関係等におきましてはそうした問題が非常に大きくなっておりますので、私たちとしましても、御指摘のような金利の助成、こういうようなことも十分に考えてまいりたい、こういうふうに思っております。率直にいいまして、今度は逆に財政の見地からいいますと、金利の助成方式というのはとかく安易に流れやすいのであります。むしろ、無理をして出資をする、そうして、そのことがかえって安易に流れるのを防いでいく、こういう要素もあるものですから、金利の助成がいいか、出資の方式がいいか、これについてはいろいろ議論のあるところでございますが、いずれにしましても、私たちも十分、一面においてやはり公共料金の抑制という見地は考えて、そうしてそのために必要な財政的な助成、これも財政の硬直化をもたらさないような方式でもってこれを行なってまいる、そして究極するところ、公共事業体の能率が向上してまいる、そうした方向でもって何とかやってまいりたい、こういうふうに思っておるようなわけでございます。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 時間がもう非常になくなったので、結論的なことを少しお聞きしたいと思いますが、やはりいまから二年くらい前の四十三年ころ、いまに比べれば消費物価もそんなに高くなかった。そのときでさえ、全国的な世論調査をすると、悩みの一番大きなのは物価高という答えが非常に多かった、圧倒的に物価高を訴えていた。やはり国民は、物価というもの、生活というものに関心がある。私は、この自民党の政府が、こうした非常に深い国民の関心を持つ物価というもの——むしろそれを経済運営だとか、あるいはまた計画の運営のためだけに物価というものを使っておって、生活というものに取り組んだ形でこの物価を掘り下げようという態度がなかったことが、いわゆる自民党に対する、大ぜいの人々の非常な失望を買っていたものだと私は思う。したがって、今度の新しい内閣においては、特に生活というものに基点を置いて、物価というものに真一文字に取っ組むということが、私は佐藤内閣の、むしろ逆にいうならば歴史的な使命ではないかと思うわけです。そうした意味でひとつ長官に物価という問題を、いま四%台ということを言明されたんだから、四%台にしていくというためには、こんな計画をこのような形でやっていくんだという手順を、国民にわかるように話をしていただきたい、また、われわれにもよく説明してほしい。それが、つまり、あなたが考えている対話の第一歩じゃないかと思う。そしてまた、半年くらいたったときに、おそらく事、志と違うことがたくさん出ると思う、いろいろな問題が始終出るわけですから。そうしたでこぼこが生じたときには、それをひとつ国民に率直に、実はまずかったんだ、ここはうまくいったけれども、これがまずかったんだということを、率直に表明してもらいたい。私は政治というものが、常に百点満点はとれっこないと思う。やはり、いい場合と悪い場合があるんだから、そうしたときには率直に国民に語りかける態度こそ、物価問題をほんとうに国民の世論の中で解決する唯一の姿勢ではないかと思います。  それと同時に、そうした対話をやろうとして、今度国民生活センターをやられるそうですけれども、やはりこれには、いわゆる官僚的な発想でなしに、もっと民間の、民間人の発想というものや、実際に毎日働いて、そして高いものをお店で買っている、そうした人々の気分が色濃く盛られるような運営とプログラムをぜひつくっていただきたいと思うのです。そうした体制の中で、物価をあなたの言われたように四%台に押えるということに、われわれも協力してまいりたいと思いますが、大いにそうした新しい形の新しい物価対策というものを、ぜひ確立していただきたいと思います。それについて、一言あなたからお考えを述べていただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 非常にお話、私も同感でございます。あなたのいまおっしゃいましたような物価問題についてのむずかしさと、またその上に立って率直に政策を運営していけ、これは非常に私自身としても、そうありたいとまさしく願っているところなのであります。  この四十五年度の四%台という目標の問題でありますけれども、先ほども申し上げましたように、私たち一番手をやいているのは食料問題であります。ここずっと物価を今日まで見渡しまして、やはり食料の問題とそれからサービスの問題が、一番今日までの上がりぐあいが高いのであります。国際的な水準からいえば、まだサービスのほうはそれほどでもないといえばいえるのですが、いずれにしても上がり方は非常にともに激しい。この食料を中心とするところの物価高というものが、物価水準全体を非常に押し上げておるばかりでなく、感覚としても非常に物価を高く感じさせている一つの大きな原因であろうと思います。そういうことで、私たちもこの食料関係の物価を何とか引き下げてまいる、これを実は一番心がけたい、こう思っているのです。まことに微力、残念なんですが、生鮮食料品の野菜のような、こういう問題、雪が降ると心配をする、そういうようなのが遺憾ながら現状であります。何とかしてこの流通問題を中心にしましてこうした問題についてめどをつけていかなければならぬ。今度もそういう方面において相当農林省とも打ち合わせをして今後やっていかなければならぬと思っております。どうも、単に予算を、金をつけただけでもって済む問題ではございません。全般を通じて流通関係の改善というのがやはり一番おくれておる。そうしてあらゆる物資の流通に全部関連する問題でありますから、ここにおけるところの人件費の上昇その他いろいろな要素というものが、結局何らかずつでもすべての物価高に影響する。こういうことで、食料品の問題、あるいは流通の問題というのが一番今日私たちにとっても頭痛の種でありますから、こうしたところに集中して何とかやってまいりたい。  お説のように、実は私たちの四%台というのは、率直に申し上げまして、野菜等の季節商品というものが今度のように上がらないという前提になっております。ですから、また大雪が降ったり、寒波が来るというようなことになると、非常にこれは困る。ただ、この季節商品を除いたところの物価の水準というものは、徐々にではありますけれども、ずいぶん、少しずつ下がってきています。昭和三十年代の後半が、大体物価の水準が六%台でありましたが、これが大体五%台に四十年に入ってからなってまいりました。そうして、この季節商品を除いた場合におけるところの指数というものは、比較的に安定してまいってきています。ですから、やはりこの努力は努力なりに私は実を結んでまいるもの、こういうふうに考えております。この季節商品をどうしたら一体何とか押えられるか、この問題が頭痛の種ではありますけれども、御存じのようにこうした問題もいろいろなサイクルが一方にありますし、そうしたことも頭に置きまして、今度、相当作付を今後ふやしていくとか、そうした問題をやはり十分に考慮に入れて、そうした上でもってあまりべらぼうな値上げはない、こういう前提に立ちますと、その他の物価については、全体としてこれの合理化を進めてまいってきておるこの従来の路線をさらに進めてまいる。それによって四%台になれるのじゃないか、こういうふうに私たちはある程度確信を持って実はこういうふうな結論を出したわけなんです。おっしゃるとおり、一方において賃金の問題も出てきておるわけでありますから、決して安閑として四%台になるというふうには感じていませんけれども、これは私たちとしてはまだいわゆる悪循環を来たすというような段階ではない、こういうふうに感じておりますだけに、四%台の実現については議論がおありでしょうが、何とかやってまいりたいと思います。  これがいつごろにはっきりわかるか、いまのところ予測はできませんけれども、小坂さんのお話ではありませんけれども、途中でもって万一シャッポを脱がなければならぬかもしれぬぞ、そのときにはすなおに脱げよ、こういう御好意のある御忠告でありました。私たちは少なくとも、今日、四%台を何とか実現できそうだ、こういう感じを持っております。

小坂徳三郎自由民主党

○小坂(徳)委員 いまの長官のお話だと、なかなかこの四%台というものはむずかしいと思うのですが、この四%ということばを聞いて、一般の消費者は、自分の生活の実態から見ると、四%なんてとんでもない話だ、一割も一割五分も上がっているじゃないかとだれでも言うわけですから、私は、そういうところに一つの不信感があらわれるので、この際、もう少し幅広い——生活様式の変化もいろいろあるし、また、消費者物価の中には、土地の値段なんてものは入っていないし、また、私立学校の教育費の値段だって入っていないし、さらに、家賃なんかにおいては、べらぼうな家賃が出ているが、公団住宅の家賃ぐらいしか入っていないんじゃないか。そういうところから、非常にこの消費者物価の物価指数そのものについて、私は、国民の実生活とは遊離している点が多々あると思うので、これをやはり国民に全部参加してもらって物価問題をやろうじゃないかという呼びかけのためには、この際、新しく生活指数といいますか、へ理屈だけじゃなしに、実際の生活して物を買っている、生きているという感覚の中で、みんなのわかるような一つの指数をつくって、それをみんなでにらみながら、悪いところは直そうじゃないかという呼びかけをするのが私はいいんじゃないかと思うので、この生活指数を新たに考えるかどうか、ひとつ長官の意見を聞きたいと思います。  これで私の質問を終わります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いろいろとそういう実感というものとこの数字の差というもの、私たちもよくわかるような気がいたします。  率直に申し上げまして、五年ごとに統計局でもってこの指数の改定を行ないます。四十五年がちょうどその改定期に当たってきておるわけでございます。すでに四十年につくったものでありますし、そして、相当急速に消費構造等も変化を来たしておりますし、それから、各商品の持つウエートもずいぶん変更がきております。そういうようなことで、この四十五年の新しいデータに基づいてつくるところの物価指数というものは、ある程度、そうした不備というものを補う、補正することができる点も私はあろうと思います。これは統計局のほうで、いま考えておる問題でありますが、しかし、従来のそうした方式以外に、たとえば、いま御指摘の土地とか住宅、そうした問題も取り上べるべきではないか、これは私も賛成でございます。いま、統計局とも相談しまして、住宅について、どうした指数の取り入れ方をするか、相談をいたしております。ただ、土地については、これは世界じゅう、土地を指数に入れてないんです。これは、土地というものの資産としての性格から、そういうふうなことになっておりますのと、土地は環境の条件というものが変わることによって、たちまちその土地の価格も変わってまいる、急速な変化をするというふうなことで、まあいわば、ある時期には供給者の一方的な価格決定的な要素が濃い、いろいろな要素があるんだろうと思います。いずれにしても、土地は含めておりませんが、われわれも土地は、今回まだ含めるという方針は立てていませんが、少なくとも、住宅については、従来、家賃だけでありましたものを、いわゆる持ち家の経費というものもこれへ含めて、どういうふうにしてあらわすか、こういうことを目下考えようといたしております。  しかし、いずれにいたしましても、土地、家賃に限らず、全体として、非常に物価指数というものと、それから、生活上の実感というものがとかく隔たりがございます。これにはいろいろな理由があると思います。いま、お話し申し上げたように、時間的なズレということも一つありましょう。あるいはまた、個別価格と、それから、全体の水準ということは、どうしても問題が違ってくるわけでございます。数字にあらわすと、そうして全体として上がるものもあるけれども、実は下がるものもある、そうしたものを全体をあらわすところの物価水準を数字にとって具体的にながめてみると、それほど上がった感じがない。特に、生鮮食料品を中心として、購買をする頻度の高いもの、小さくしょっちゅう買っておるもの、こういうものについての物価値上がりは、非常に感覚として鋭く映ずるのでありますけれども、しかし、一方において、実は下がるときもあり、下がるものもある。サンマは上がっているけれども、サバは下がっている、こういうふうなことはあるのでありますけれども、しかし、それはどうも、下がっているほうはあたりまえであるというふうな感じが強い。そうした下がったもの、上がったものをすっかり合わせてみますと、物価水準として出た数字が、どうも自分の買ったときの感覚と離れている、こういうことなんだろうと思います。ある意味においては、いまの物価指数の立て方からいえば、やむを得ない点もあろうかと思います。  そこで、生活指数ということなんですが、これは率直に言って、技術的にはなかなか困難なんです。小坂さんの提唱されているのがどういう意味かわかりませんが、いわゆる生活指数的なものということになると、現在の消費者物価とたいして違わないものが出てくるおそれがある。あるいはまた、消費水準というようなことをお考えであれば、現在のこの消費水準を発表しておりますけれども、そうしたものになってまいります。もっとさらに生活環境というふうなことを含めた、われわれの周囲全体のものを指数化するということになりますと、実はこれは国民生活白書でもって二、三出したことがありますが、技術的にまだ確立しておらない。いろいろと問題がありまして、御要望もはっきりはいたしませんけれども、私たちとしては、いま生活指数をすぐ出すという自信は目下ありませんが、なお、先ほど申し上げたような消費者の物価指数、これについて改善を加えてまいる、そうした方向でもってできるだけのことをやってまいりたい、そこいらがいまのところ精一ぱいのところであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 次は武部文君。  この際、政府側に申し上げますが、時間の関係もありますから、答弁はなるべく簡単明瞭にしていただきたいと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 総理の物価問題に対する演説なり、あるいは長官の演説なり、物価問題に対して非常に真剣に取り組むというような、まことに名演説を聞いたわけですが、これがそのまま実行されればまことにけっこうなことなんですが、私は先ほど聞いておって——あなたの演説の中に「いまや、インフレとの戦いに安易な態度は許されない」こういう、佐藤内閣にとって、インフレというタブーをあなたは演説の中ではっきりと言われた。そういう非常に前向きな態度でこの物価問題を解決される、私は、そういう期待を持っておったのですが、先ほどの質問にお答えになって、あなたは、いま現状がインフレと言ったのではないというような、非常に何かわからぬようなことをおっしゃって、むしろ私はちょっと失望をいたしたのであります。  少なくとも、今日までの異常な消費者物価の値上がり、加えて、卸売り物価の非常に長い期間の騰貴、これはまさに数字的にはインフレ現象だ、インフレ的な症状だと言って私は差しつかえないと思う。そういうことをあなたは演説でお述べになった、このように思っているわけですが、ただいまの答弁では、いささか内容が変わってきたように思うのですが、どうお考えでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 現状も変わっておりませんし、われわれの考えも特別に変わっているわけじゃないのです。インフレになってはたいへんだ、実はこういうことを申し上げておるわけであります。インフレということばの使い方もいろいろ国によっても違うでしょうが、少なくとも私たちが考えているような意味のインフレということは、これからまごまごしているとなるおそれがあるぞ、こういうふうな意味で実は申し上げてあります。その点はひとつ御了解を願いたいと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 少なくとも私はあなたの本会議における演説の内容から見て、なみなみならぬ決意を持って今回佐藤内閣は、特に長官としては物価問題に対処するという姿勢を感じ取っておったのですが、先ほどの小坂委員とのいろいろなやりとりを聞いておって、どうもふに落ちない。  そこで、これから具体的にお伺いをいたしますが、四%台という話でございましたが、企画庁の「昭和四十五年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」という資料によりますと、それが四・八%、こういう数字になっておるようであります。御案内のように五%の予定であった消費者物価が五・七%に改定された。それがどうやらこのまま横ばいになれば、四十四年度は六・二%程度の消費者物価の数字になるのではないかと実はうわさをされておる。これはおそらくそうだろうと思う。  ところが、いまのお話を聞いておると、やれ雪が降った、やれ季節商品がどうだとか、野菜がどうだとか、こういうふうで五%が五・七になり、五・七が六・二になる、そういう責任を自然現象に転嫁するような考え方があるように思われてしかたがない。少なくとも今日まで私どもは当委員会で非常に長い間この問題を論議いたしたのでありますが、宮澤長官の際もそうでしたが、具体的にその数字が誤った場合には、これこれの理由でこうなったんだということの説明があったわけです。ところが、いまの政府の態度を見ておると、その後簡単に消費者物価の予想が変わっていく。それについて何らの責任ある答弁もなされない、原因の究明もなされない。そして先ほど言ったように、自然現象の責任だというような転嫁をされる。私は、こういうことでは困ると思う。特にここ数年来の一月、二月の野菜の動きというものは、ずっと調べてみれば、ほとんど同じ経過をたどっておるのです。ある一時期にはそうでない時期があったにしても、ほとんど同じである。こういうことを考えると、あなたがおっしゃっておる四・八%という数字が一体何の根拠に基づいて言われておるのか、私は非常に疑問に思うのです。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、私はここに三つの資料を持っておるわけです。その二つは経済企画庁からいただいたものであります。一つはその以前に、ある新聞だけがこれを発表した数字であります。四十五年度から五十年度の経済成長を、五つのパターンを想定をして出した数字だという資料であります。これはある一社だけですが、これを九月に出しております。これは五つ。その次に出たのが、このパターンを七つのケースまで広げてやっておる。一番最後に出てきたのが三つのケースに分けて、このパターンで出しておる。  この一番最後の中に、消費者物価の上昇率を四・八と見た場合、経済成長率は実質一一・三%となっておるわけです。一一・三%の実質経済成長で四・八の消費者物価の上昇がくるだろう、こういう想定のようです。それからこれは四十五年から五十年にかけての六年間の平均を出したという資料であるということはいうまでもありません。ただ、ここで想定できることは、一番最初に出たこの五つのパターン、これはあなた方のほうは新聞に発表されなかったけれども、経済審議会の総合部会懇談会にこれを提案されておる。その後何回か変更されて、最後にいま長官が言われた四%台、究極的には実質一一・一%の経済成長、そうして四・八の物価上昇、こういう数字になっておるようです。四十四年度の実質成長率は一三・二%、これがもうすでに皆さんのほうから発表された数字でございます。この場合に消費者物価は、いま想定されるのは大体六・二%。それとこれとはほぼ合っておるのです。この中の一ケースの中に、実質経済成長が一二・六%の場合に、多くの具体的な条件はあるにしても、消費者物価の上昇率は五・九%であると企画庁は見ておるのです。だといたしますと、一三・二の実質成長率が大体六・一、二%の消費者物価の上昇を来たすということは、数字の上から見れば私はほぼ肯定できる数字だと思うのです。そうすると一一・一%という実質経済成長の率が、昭和四十五年度にはたして可能な数字であるか、もしかりにこれが狂って、去年、おととしと同じように一三%台の、あるいはそれ以上の実質成長になったときには、とても四・八などという数字はこの三つのケースの中からは出てこない。そうすると、四・八というのは先ほどもお話があったかと思うのですけれども、政治的配慮で佐藤総理が五%という数字を言ったら、とんでもないといって総すかんを食った、そこで五を下る数字、ここが政治的配慮で、四・八、四%台、こういう四十五年度の消費者物価のパーセンテージをはじき出して、それに向けて最大限努力をするのだ、こういう全くの政治的配慮で四・八が出たのではないかと私は思うのですが、この点についてどうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いろいろと経済審議会の審議過程における数字が途中で新聞等に出ておるようでありますけれども、目下のところ最後にいまお示しになった数字が、比較的最近審議の対象になっておる数字でございます。でありますから、今後は最後に示されたところの数字を中心にして、まだこれはもちろん最終決定しているわけではありませんけれども、審議が進んでいくのでありますから、その前の経過のものはもう取り上げる必要はないんじゃないかと私は思います。いまお話がありました、政治的に数字を変えた、こういうことではございません。この物価上昇の見込み率をどうするかということは、率直に申しまして非常にいろいろな角度から議論がございます。結局、過去のトレンドというものを織り込んであるところのモデル方式というものから推計されるところの限界というようなことも、各委員も十分わかっておるわけであります。でありますから、むしろあの大ぜいおる委員の諸公も、物価が五%以上になるなんていうのは、それは見通しとしても適当でない、こういう意見が率直に言って非常に多うございます。ですから、これは必ずしも人為的、政策的に無理をしたということではなくして、これは政府として当然、いろいろとこれからも政策的な努力を続けてまいるわけでございます。そうしたことも頭に置いて四%台の数字が出ておるわけでございまして、それを政治的に非常に曲げて出した、こういうふうにもしも誤解をされると、われわれとしても不本意でございます。そういうことは一切ないということをここに申し上げられると思います。

武部文日本社会党

○武部委員 四十二年の実質成長が一三%、四十三年が一三・八、四十四年が一三・二と想定されますね。実質成長はあなたのほうは一一・一という数字をここでお述べになっておる。こういう数字を並べ立てておられるわけですが、現実に四・八というような数字が——一一・一といういわゆる経済成長率のこの数字が変わった場合、これが四十四年度と同じような数字になった場合に、巷間いろいろ論議されておりますように、経済が成長する場合には物価が上がるのは当然だ、こういう論議がありますが、現実にはそういうことになっておるのです。そうすると、一一・一というものが狂って——あなた方の目標は一一・一だけれども、現実に四十四年なり四十三年、四十二年と同じ程度の実質成長率になったときに、四・八などという数字は全く違った数字になる、このようにいままでの経過から見ると想定できるのですが、そういうふうに思いませんか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 まあ、私たち過去の数字を見ますと、たとえば一三%から一四%の成長を、御指摘のように四十一年から四十三年までございます。この三年間はいずれも四%台なんですね。そういうことでありますからして、私は四%台ということが非常に困難であるというふうには実は考えておりません。一一%の成長ということに押えることには確かにこれから相当の努力が要ると思います。目下金融引き締めを続行中でございますし、この効果がどの程度出てくるか、私たちも十分見守らなければなりません。しかし、何にしましても、一三%台の経済成長が三年も四年も続くというのは、とにかくいささか行き過ぎであるということで、何とかこれをスローダウンしたいということで金融引き締めもやっておるわけでありますからして、これらの効果を十分見た上でまたどういう方策をとるか、先ほど御指摘のあった財政需要の問題にも触れるか、そこいらのところも今後弾力的に対処していくつもりではありますけれども、一一%の実質成長率で四%台の物価高、これはそんなに実現困難な話ではない、こういうふうに考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 先日、予算委員会の公聴会の初日に、自民党推薦のある銀行の調査部長が、お聞きになったかどうか知りませんが、公述人として、消費者物価は五%以上に上がることは間違いない、こういうことを自民党推薦の公述人さえ述べておるのです。  そこで、それなら今度は、時間の関係で具体的にお伺いしたいと思うのですが、いま異常な六%というような数字になっておる、この物価上昇の原因は一体何なのか、長官としては、一体何がこの消費者物価をこんなに引き上げておるのか、その原因は一体何なのか、どのようにお考えになりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 先ほど申し上げましたように、少なくとも今回のこの異常な消費者物価の上がりというものは、今回における野菜を中心とする季節商品の値上がりであることには間違いございません。指数の計算上はっきりそういうふうに出てまいるわけであります。その他のものは、やはり中小企業関係等の労賃の値上がり等の影響で、強含みではございます。しかし、こんな異常な物価上昇という数字を示しておるものではなくして、従来の傾向でもって大体続いておるわけでありますから、今回のような六%をこすということは、もしなるとしたらこれは今回の野菜の値上がりが中心であろうと思います。まあ天候のせいにしてはいかぬとおっしゃいましたが、まさしく、私たちとしてもそういうふうなことに別に籍口するつもりはございません。今後このむずかしい商品をどういうふうにして押え込むようにしていくか、これについてわれわれとしてもいろいろと検討したい、こういうふうに思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 なるほど、六・二というような数字になるその原因は、生鮮食料品、季節商品、これがあったということは私もわかります。しかしそれは、五・七という改定された数字、それにプラスされるこれは数字なんです。あなた方は最初五%と見込んでおったのですね。何べんもここでやりとりした。それが途中で五・七になった。五・七になったところが、それが六・二になりそうだ、その六・二になるのが野菜なんですよ。ですから、五・七にすでになってしまっておるわけですよ。ここが問題なんです。ですから、いまのあなたの御答弁は、野菜のことばかり言っておられるが、そうではなしに、それでは五・七というような数字になっておるその原因は一体何だ。たとえば、いろいろなことがあるでしょう。土地の値上がり問題もあるでしょう。あるいは管理価格の問題もあるでしょう。私どもここでやりとりしたわけですが、あなたは一体いまの日本の消費者物価をこんなに上げておるところの主たる原因は何だというふうにお考えなのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 実は五・七というのは、昨年の十二月までの傾向を大体織り込んであるのであります。それで昨年の十二月までのこの季節商品というものが、これがやはり、すでに非常に上がっておったのです。ことしは夏に上がり、そうしてまた、十一月、十二月にまた上がったのでございます。そういうようなことで、見込みの五%と、五・七%という改定見込みのこの差の大部分が、まことに遺憾ですけれども、季節商品なんです。もともと季節商品の値上がりがあまり激しいものですから、私たちも実は五・七というふうに見込まざるを得なくなりました。ところが季節商品というのは、従来の傾向でありますと、上がるときは上がりますけれども、また下がるときはさっと下がるのです。ところが今回は、それに引き続いて干ばつからまた寒波と、いろいろと条件が続いてまいりました。そこでさらにわれわれが見込んだ五・七を、現在御承知のような状況でこえておる、これが実は実相でございます。ですから季節商品を除きました指数で申しますと、目下のところ大体五・一%、ですから当初の見込んでおりました五%とあまり変わらないところにずっとおさまっておるのであります。それが実情でございます。

武部文日本社会党

○武部委員 私の考え方と少し違うようですが、これはまたあらためて論争することにいたしますが、いまのお話を聞いておりますと、十二月までの間にも季節商品の値上がりはあった。一年じゅう季節商品の値上がりがあったということになるのです、そういうことになれば。いままでのをずっと見ておると、そういう季節商品のことばかりおっしゃって、不可抗力だというような、そういうことばかりどうも言われるのです。十二月までもあった、八月の夏もあった、春もあるかもしれぬ、一年じゅう同じことなんです。そういうことではなしに、今日たとえば年率二〇%も上がっておる地価、あるいは年率一八・二%もふえておるところのいわゆる貨幣数量説、そういうようなもの、あるいは管理価格で実際に自由な競争が行なわれない問題、再販の問題、そういうような個々の具体的なものが蓄積をして、今日日本の消費者物価はこんなに上がっておるのだ、われわれはそういうことを、個別物価の問題を、ここでずいぶん論議してきたのです。あなたはそういう点に一つもお触れにならない。そうして、ただ季節商品、季節商品とおっしゃっておる。これではどうも私どもとして、かみ合いませんね。ですから、日本の消費者物価の上昇の原因は一体貨幣の数量説にあるのか、これも一つの理屈ですね。あるいは土地の値上がりの問題、管理価格の問題、再販価格の問題、こうしたことについて、具体的にあなた方が御検討になって、そうしてそういう抜本的な政策を変えない限り、あなたがおっしゃっておるように四%台なんということはとてもできっこない、私はそう思うのですが、どうでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私は、今日の物価高に満足しているわけじゃありません。それで五%が高いじゃないかというお話であれば、それはまた、いま御指摘になりましたように、通貨の問題もあり、いろいろな問題を議論したいと思います。ただ五%が五・七になり、あるいはそれが六・二になった問題に限って実は御質問があったものですから、そこで、それはまことに遺憾でありますけれども季節商品というものが影響しているんだ、こういう御説明をしているのでございます。でありますから、私も今日の日本の物価高全体、物価問題全体を対象にして御議論になるというのであれば、まさしく御指摘のようにいろいろの問題がございます。根の深い問題も非常に多いと思います。それらはまた御質問に対してわれわれも十分お答えをしなければならぬ、こういうふうに思っております。

武部文日本社会党

○武部委員 それでは端的にひとつお伺いいたしますが、日本の消費者物価が近年非常に上昇を続けておるその原因は、先ほどは所得政策の問題も出ておったようですね。賃金と物価の問題が出ておったようですが、端的に羅列をして、長官としては、どこに原因があるか、項目だけでけっこうです、あなたはどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これはやはり、何と申しましても、非常に急角度のピッチでもって高度の成長がもたらされた、そうして同時に都市への集中がもたらされた、そうして結局、そうした急激な需要の増大に供給が追いつけない、供給が追いつけないその状態が、ものによって差があるわけですが、今日までのを見ますと、やはりその代表的なものは食料品の価格であろうと思います。これだけ急激な需要であります。御存じのように、食料品を中心とするところの産業というものは、どっちかといいますと、わりあいに近代化のおくれておる部門でありまして、急激な需要の増大になかなか供給力が追いつかない、こうしたことが食料品価格の上昇になってまいり、そうしてそれがやはり一つ大きな原因になっておると思います。あるいはまたサービス料金、これも非常に上昇率の上がりの激しいものでございます。御存じのように、これについてはなかなか合理化の余地の少ないものが多いのでございます。外国においてもこれは全く同じでありまして、人件費が上がればそのまま料金にはね返る、こういうような性質のものが非常に多いのでございます。食料品とか、サービス料金とか、そうしたものを中心にして、一方において、いわゆる近代化のおくれている、生産性の低い部門といわれておる部門の商品というものが非常に上がってまいった。これは、先ほど申し上げましたけれども、高い生産性部門におきましては、高い生産性の上昇によって吸収することが可能でありましたが、そうしたことができない。でありますから、今後、一方において高い生産性部門における商品というものがその生産性の上昇部分を何ほどか消費者に還元できるかどうか、こういうことによってある程度引き下げる、こういうようなことがあれば、多少の打ち消しになりますけれども、しかし全体としては、いわゆる低生産性部門の上がり方が激しゅうございますから、なかなかそれが吸収し切れない。そうしたことが全体として重なりまして、そうして今日の物価高になっておるというのが実情だろうと思います。

武部文日本社会党

○武部委員 時間の関係で先に移りますが、実はいままで、昭和三十八年の第一次物懇の提案、それから昭和四十一年の第二次、四十二年の物価安定推進会議、この三つの政府に対する提言は、二十をこしておるのです。  これを具体的に、項目をずっと調べてみると、きょうあなたがずっと御答弁になっておったような、管理価格の問題から、あるいは流通機構の問題から、小さくは牛乳の問題から、非常に詳しく、これは見ても実にりっぱな提言がなされてきました。  この実行を見ますと、ほんの二、三程度しか実現しておりません。したがって、あなたは、もう議論の段階から実行の段階だということをおっしゃった。少なくとも、この昭和三十八年からなされておるところのりっぱな二十幾つの提言を再検討して、実行に移せるものからどんどん実行に移していく、そういう決意がおありでしょうか。  それといま一つは、この物価安定推進会議が提言をした中に、「とくに消費者物価の上昇率が政府見通しを上回るような事態が予想される場合には、政府は、年度中においても、直ちに経済政策全般にわたり再検討を加え、強い政治的決意をもって物価安定に積極的に取り組むべきである。」こういう最終提言が昭和四十四年五月になされておるのです。これは、いままで三回にわたるいろいろな経過をたどって、こういう最終提言がなされておるのですが、私は、先ほどから申し上げるように、四・八ということに非常に大きな不安を持っております。先ほどの小坂委員もそういう発言をされておった。その場合に、政府としては、年度途中においても、こういう物価安定推進会議の最終の提言を入れて、これに沿うような、そういう方針がおありかどうか、これをお伺いしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 従来の物価安定推進会議あるいは懇談会等々で多くの提案がなされております。これがどの程度の歩どまりになっておるか、これはいま正確でありませんが、しかし御指摘のように、十分に行なわれてないものがまだ相当あると思います。それらにつきましても、また御存じのように現在物価安定会議でもっていろいろと議論をいたしておる問題がたくさんございます。逐次またそれが提言になってあらわれてくると思いますが、そうしたものはひとつできるだけ取り上げて、御存じのようにこれはそれぞれ各省の所管がございますが、これは私、機会あるごとに各省の大臣にも大いに言っておるところなんでありますが、ぜひひとつこの提言の方向に向かって進むように、できるだけの努力をしてまいりたい、こういうつもりでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 いま一つ、これは私どもの委員会に中山伊知郎さんを参考人としてお呼びをしていろいろ意見を聞いたときに、実は先ほど小坂委員から発言があったと同じ趣旨の発言がありました。それは、たとえば政府の消費者物価の見通し、当時は四・五%でしたが、四・五%以上上がった場合、政府の見通しをはるかに越した、その場合には、これは責任をとる意味からいって、たとえば減税というような形で国民にこたえるべきではないか、そういう意見が述べられました。先ほどは小坂委員のほうからは、もし四%台が守れなかった場合には、累進税率を下げるぐらいのことを言ったらどうだというような話が出ておりましたが、大体これは同じような意見だと思うのです。ですから、あなた方は、四%台ということを国民に約束をされる、それが守れない、こうした場合に、その責任を、いま申し上げたような形で、いわゆる減税というような形で、国民にこたえるべきではないかという御意見について、どういうお考えでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 さっきの御質問で一つ私がお答えを抜かしたのがありましたが、結局ただいまの御質問と同じことになりますが、年度途中の問題でございます。これはもちろんもう少し情勢を見た上でなければわかりませんけれども、先ほども申し上げましたように、総需要の抑制という面においては、場合によっては財政需要の再抑制をしなくてはならぬかもしれません。これはやはりよく情勢を見た上で考えなければならぬと思っています。  減税の問題は、率直に申し上げますと、技術的にも年度途中にやるということは私は困難だろうと思います。政府といたしましては、今回相当な所得税の減税を行ないましたけれども、なおそれでもって十分とは思っておりません。したがいまして、また今後も引き続いて所得税の減税を中心にした減税を考えてまいるという方針を持っております。それがたまたま、いまお話しありましたような問題に対して対応するような結果になることも十分予想されるところであろうと思います。ただこれは、物価だけの観点ではなくして、もっと広い観点から減税の問題は取り扱ってまいることになろう、こういうふうに考えています。

武部文日本社会党

○武部委員 そういたしますと、大体の長官の考え方もわかりましたから、これから具体的に個別に委員会で物価問題についていろいろ議論を戦わしていきたいと思うのです。  私はこの機会に、最後に一つだけ消費者保護基本法に関連をして長官の考え方をひとつお伺いしておきたいのです。私どもが四党で共同提案をして消費者保護基本法を成立さしたわけですが、この問題はアフターケアをめぐって当委員会でこれから十分論議をするところであります。問題は、この論議の際にも明らかになったのですが、特に食品公害についてこれを今後どのように、どこの官庁で受け持つかというような点について、前国会の幕切れの際にいろいろ論議をいたしました。食品公害については厚生省、農林省あるいは公取、企画庁が音頭をとるとか、いろいろなことが出たわけです。食品添加物については再検討するという答弁が総理から予算委員会でもあったようであります。  私どもは、今日消費者が食品公害で非常に悩まされておる、そのためにいまあるような法律ではとてもこれは取り締まることはできない。そこで、附帯決議の中に統一的な食品法ともいうべきものを制定すべきではないか、こういうことを実は附帯決議で申し合わせをいたしました。ところが、前厚生大臣とここでやりとりいたしたときに、これは非常にむずかしい、むずかしいので経済企画庁に中に立ってもらって各省との調整をひとつはかって——食品法というのは外国にも例のあることですから必要だと思う、こういう話でした。  ところが現実にこれはなかなかできません。もちろん今国会にも提案をされておりません。われわれは議員立法として用意をいたしておりますが、この食品公害は一日としてゆるがせにすることはできない問題なんです。こういう問題について企画庁が率先して食品のあり方について、農林省なり——農林省は今度はJASの改正をまた出そうとしております。これは法律の名前を変えて出そうとするのです。表示を入れて出そうとする。これは私どもとしては食品法の制定のたてまえからいって間違いだと思っている。ところがこのJASの問題が出てくる。食品法は出ないから議員立法として私どもが用意をする、こういうことではらちがあきません。したがって、前国会から継続のこの問題について、食品公害を取り締まるための食品法、仮称ですが、こうしたことについて企画庁が音頭をとって食品公害から国民を守る、健康と生命を守る、そういう一つの役割りをお果たしになるところの御意向があるか、これをひとつ私は最後にお伺いしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 ただいまの問題、私もその経過をつまびらかにしておりませんので、まず国民生活局長から経過を申し上げさしたいと思います。

矢野智雄経済企画庁国民生活局長

○矢野政府委員 いまの食品の問題につきましては、主としていまお話しになりました食品の危害の問題と品質の表示の問題が中心になるかと思いますが、この点につきましては、いま関係各省、具体的にはいま御指摘になりましたが、食品衛生法を所管する厚生省、農林物資規格法を所管する農林省、それから景表法を所管している公取、この間にいろいろ運営上にも、あるいは法律上にもちぐはぐな点があるのじゃないかということがひとつ中心課題になりますので、現在その三省及び若干それに部分的に関連いたします通産省をオブザーバーに加えまして検討しております。いままでの段階ではその実情の把握に重点を置いておりましたが、これからはどういうふうにしたらそれが目的の達成になるか、その点の詰めに入っております。現在のところ、すでに現行法の運用によってどこまで行き得るか、ばらばらであるとか重複するとかいろいろ問題がありますが、現行法によってどこまで行き得るかをまず詰めております。それで、もしいけないとなれば、また考えなければならないじゃないかという方針でやっております。おっしゃるように、いろいろ重複したりばらばらになりますので、その面を統一することは必要ですが、ただある観点から統一しますと、ほかのほうがまたばらばらになっちゃうという問題等も詰めておきませんと、にわかに結論が出ませんので、いませっかく検討しております。

武部文日本社会党

○武部委員 それじゃ終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 有島重武君。

有島重武公明党

○有島委員 先般当委員会におきまして佐藤経済企画庁長官のあいさつといたしまして、政府の物価対策の基本的な考えを拝聴させていただいたのでございますが、物価安定は国民の切なる願いであるにもかかわらず、年々の物価上昇はおそるべきもので、国民は政府のいま示されておりますいいお話を毎度毎度聞くだけでございますけれども、これは聞きあきている。だけれども、やはり強大な権力を集中している政府に期待せざるを得ない。特にごたんのうなる佐藤長官に対する期待は非常に大きいものであると思います。そこで本日は、たいへん短い時間でございますけれども、御真意のほどを確認させていただきたいと思うわけなんです。  ごあいさつの中に「物価安定を経済運営の最重点課題とし、一切の安易な態度を捨てて、その実行に取り組んでまいる」と申されておりますけれども、その安易な態度を捨てると申しますと、捨てるべき安易な態度と申しますか、従来政府の物価政策の中で安易な態度として反省さるべきもの、これは一体何と何をさしていらっしゃるのか、そのことを伺っておきたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 安易な態度と申し上げましたのは、もちろん一般的な意味でもって安易な態度ということを申し上げたわけでありますからして、政府がいままで安易であったという前提ばかりで申し上げているわけではありません。もちろん政府の物価政策が、今日まで万全であったと申し上げるわけにはまいりません。できるだけそうした点も今後努力して手直しをやらなければならないと思いますが、いずれにしましても、物価問題は御存じのように非常にむずかしい問題であります。でありますから、私は、思いつきや何かでもって、ちょっとやって手はつけたけれどもほっておく、ほったらかしてしまうというような意味のものの考え方では物価対策というものは片づかない。しんぼう強くやっていくことが物価対策の上でもって心がまえとして一番大事なのじゃないか、実は私は前々からそういうふうに申しておるようなわけであります。  流通機構の問題一つとりましても、それから先ほどからいろいろと御議論がありました季節商品の問題一つとりましても、これは率直に申し上げまして、たとえば日本においては魚の冷凍化は進んできましたけれども、野菜はなかなか、備蓄性のあるものにまで高まるというのには時間が相当かかると思います。生活の方式も相当変わってまいるということでないといかない。そういうようなことで、そう簡単に季節商品の問題は一方的に押え込むというようなわけにはいきません。しかし一方において、やはり集団的な生産を増進するとか、そういうようなことと相まって、流通機構についてもなお改革すべきものはたくさんあります。そうしたものを少しずつやってまいる、すべてそうした気持ちで、こまかいことであってもしんぼう強く一つ一つ片づけていく以外にない、こういう気持ちを私は申し上げております。  それからまた、各省にわたる問題が多いのでありまして、これらにつきましても、その各省との総合調整についてのむずかしさというものを十分承知しております。こうした問題を、むずかしいからといってあきらめることなく、ひとつできるだけその問題に取り組んでいきたい、こういう気持ちを実はあらわしたわけでありまして、今日非常に安易であるとか、そういうような気持ちで申し上げたわけではないのであります。

有島重武公明党

○有島委員 その点がまさに問題なのでございまして、いままでは安易でなかった、これからもその点では同じようなものであるということになりますと、国民は非常に失望すると思うんですよ。やはり、いまもちょっと思いつきなんてことばも出ましたけれども、計画的には、いろんな諮問機関があって綿密な計画が立てられているにもかかわらず、おやりになることは非常にしっかり乗っていない、そういった印象を国民には与えていると思います。  それで、いままでの行き方についての御批判があって、そうした上でもって、またこれからの新しい佐藤長官の行き方というものがあるべきじゃないか、そう思ってお尋ねしているわけですけれども、もう一ぺんお尋ねいたします。  いままでの物価対策について、この点は確かに不足であった、あるいは安易であったという点はないのですか、それともあるのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私は、実はいままでのものについて安易であるともないとも申し上げなかったのでありますが、おっしゃるとおり、先ほどお断わりしましたように、いままでの政府の方針が万全であったとはもちろん思っていません。そして、先ほどからいろいろ各種の委員会等の提言がございます。これの実現というものはやはり不十分であった、これは私はっきり申し上げられると思います。でありますから、そうしたことをも踏まえて、やはりいままでのようなままで済むわけでもありません。これは一つは、物価問題に対する認識も従来よりますます深刻になってきていますし、そして国民の皆さまのお考えというものも、私はますます熟してきているというふうに感じています。それだけに政府も責任を感ずるわけでありまして、従来の物価対策、決して十分なものではなかった、これをひとつ何とか——いままでまた全然やってないと言われちゃ困るのでありまして、これはもちろん努力はしておるけれども、しかし、足らないところも多いわけでありますから、さらに一そう馬力をかけてやらなきゃならぬ、こういうふうに私は思っています。

有島重武公明党

○有島委員 この点が私は一番関心があるものですから、しつこいみたいですけれども、もう少し申し上げますけれども、いままでも努力しておった、国民の関心が熟してきた。いまのお話では、いままでは熟さなかったということになるわけですよ、物価政策を推進していく上に。これはまた、国民としては非常におこると思います。国民の関心が熟してきたからこれからはできるんだ、それからいまのお話で、いままでやや安易にと言われるとすれば、実行がなかなか伴わなかった、それも諸般の情勢があった、その情勢の中に国民の関心が熟してなかったからそれができなかったというように、いまおっしゃいましたけれども、そうですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私の言い方にやはり誤解があったかもしれません。私の申し上げるのは、物価問題のむずかしさというものは、やはり今日まで、率直に言いまして、成長と物価というものの選択の問題があったと思います。物価も上がるけれども、賃金も上がり所得も上がっているじゃないか、あるいは国民経済全体が成長しているじゃないか、であるから、むしろ所得の向上ということを中心に成長を急いだほうがいいんだという考え方も、率直に言って、まだ相当根強いところがあるのです。そういう意味において私は申し上げたわけなんで、そういう意味において、国民の大部分は消費者であると同時に生産者である。生産者の立場としてはむしろ成長を望むというような意見も、学者の間にも一部あることは確かであります。そういうような声もだんだんといまや弱ってきているんじゃないかということを私は申し上げたわけなのです。ですから、成長を選ぶべきか物価安定を選ぶべきかという、そうものごとをはっきりときわ立って対立さして考えることもどうかと思う点ありますけれども、そういう議論も事実ありましたものですから、一言申し上げましたが、もちろん消費者としての立場から、国民の各層がますます深刻の感じを持たれて、そしていよいよ世論もかまびすしくなってきている、これはもちろん、事実そのものを申し上げたわけであります。そういうことでありますから、どうかそこのところは誤解のないように……。

有島重武公明党

○有島委員 高度成長の問題とそれから物価上昇の問題について、いまは国民各層に関して申されましたけれども、私は次に伺いたいことは、たとえば昨年でございましたか、佐藤総理が、高度成長しているんだから五%程度の物価高は当然だ、そういうことを言われておりました。あるいは、この例はほかにもありますけれども、福田大蔵大臣も、私ども野党の物価対策を批判されまして、成長と物価安定と両立させるなんという野党の物価政策は幻想にすぎない、ここまで言われたこともあるわけなんです。先日の長官の演説によりますと、七〇年代は成長と物価安定との両立が求められている、そう言っておられますね。こうしたいまの政府の実権を握っておられる方々のお考えそのもののほうが問題ではないか。いまの国民各層が成長と安定、むしろ成長を選んでおったというような意識の問題に約されましたね。いまの佐藤総理大臣あるいは福田大蔵大臣のような御発言のそうした発想は、これは佐藤長官としては誤りであるとお思いになりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 どの程度のことを言われたか私つまびらかではありませんけれども、いずれにしても、いろんな角度からものを言う場合があろうと思いますが、おそらくそういう発言があったとしますと、諸外国との相対関係で何かを頭に入れて言われたのじゃないかと思うのです。日本は成長もし、そして物価も上がっておりますが、しかし、また実質所得、物価を差し引いたところの実質所得の上昇というものも、これはまた世界でもって一番伸び率が高いことも事実でございます。そういう点を踏まえて、成長経済についてある程度物価高というものが必然的に伴う風がある、こういうことを指摘されたのじゃないかと思うのです。私たちも率直に言いまして、異常な高度成長はこれは何とか押えなければいかぬ。私たちも一一・一%、あるいは五カ年計画でも一〇%か一一%との間くらいのところをいま考えたらどうかと思っていますが、これも世界的な立場でもって相対的に見ると、これは一〇%でも、ほかの国から見るとまさしくたいへんな高度成長ですね。また、そういうものと現在の一三%台とでは開きがあります。一三%も成長をするということになると、ある程度の物価高は必然的に出てくる。われわれもそれを考えて少しスローダウンしたい、こういう考えを持っているわけでありまして、諸外国との相対的な関係から見た場合に、一面において多少物価も上がっておるけれども、成長も相当伸びておるばかりでなく、実質所得もふえているんだから、そこいらのところは、多少そっちのほうも評価してほしいという願望を述べられたのじゃないかと私は理解しております。いずれにしても、しかし、今日政府としても一三%台の現在の成長は高過ぎる、こういう判断をして、これを一一%くらいにしようという方針をはっきりとっておりますから、その点は総理も大蔵大臣も、もちろんそういう考えに立っておられます。そしてなお、物価というものを何とかまず手始めに四%台にしよう、こういう気持ちもはっきり、これは閣議で相談してきまったことでございますから、その点について今日は誤解はないと思っております。

有島重武公明党

○有島委員 では、その時点で言われたことは正しいんだけれども、いまの時点では変わったんだ、そういうようなことなんでしょうか。私はそういったものの考え方の基本に非常に危険があるのだと思う。それだから、幾らいろいろな方策が発表され、この構想がいいとわかっていても実現されない。形の上では実行されているように見えているけれども、実質的な効果が上がらない。そこら辺に一番問題があるんじゃないかというふうに認識するわけなんです。いまの佐藤総理の発想についても、これはどのような状況で言われたにしましても、二つの要素が考えられると思うのですね。高度成長のもとには物価上昇はやむを得ないというこの発想、もう一つは五%程度ならがまんできる、そういうような発想ですね。これは二つながら安易な考えじゃないかと私は思いたいのですけれども、佐藤さんはいかがですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 五%の物価高をそんなにいいのだと言われたとは私は思いませんが、よくわれわれの間でも議論しているのですが、三%ぐらいになったらまずいいな、そういう議論はよくいたしますね。ですから、いろいろなアンケートなんかとりましても、三%ぐらいのところになると、大体アンケートにあらわれている結果を見ましても、あまり文句が出なくなる。しかし、いまのように五%をこえる、むしろ六%というような感じの強い段階では、物価というものは何よりも、これは何とかしてその上昇率を押えていかなければいかぬ、私はそういう感じが強く出てくると思います。総理も、五%ですべていいんだと言い切られたとは私は思いませんけれども、今度はそれをとにかく四%台にしようといっておるので、そこいらのところは、非常に思想はそこで変化したんだというほどのことでもないと思うのですけれども、どういう機会にどういう言い方で、前後の関連もあるでしょうが、非常にこの物価高を是認するというか、礼賛するとか、そういうお気持ちではなかったと思います。

有島重武公明党

○有島委員 これは佐藤総理大臣がはっきり言っておられることでございますし、国民の側としてはそういうふうに受け取らざるを得ない。それで、お考えが変わったのではないと言われると、またおかしなことなんですけれども、閣議その他のときに、おりがあったら総理に、こういうようなことは慎んでいただきたい、また変更したなら変更したとはっきり言っていただいたほうが、ぼくはむしろ国民としては本気で協力しやすくなるんじゃないか、そう思うわけであります。  それからもう一つ、やはりこれもちょっと過去のことになりますけれども、昭和四十二年の経済社会発展計画の中に、「当面重要なことは、消費者物価の上昇率が着実に低下するという実績をつくり出すことによって、物価上昇に対する消費者の危惧や生産者の思わくを打ちやぶることである。」と述べておりますけれども、この考えについては変わりございませんですね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 そのとおりであります。

有島重武公明党

○有島委員 これについては今後の努力を御信頼したいと願っているのですけれども、少なくとも過去三年間には、では着実な実績をつくったのかつくらないのか。これはつくらなかったと認めざるを得ないと私どもは認識するのですけれども、どうでしょうか。それどころじゃなくて、卸売り物価まで上がってきているわけであります。やはり動揺しているわけであります。この責任は一体だれにあるんだ、そう聞きたいわけです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これは消費者物価につきましては、実は私は、先ほど申し上げましたように、三十年代の後半と比べてみますと、だいぶよくなってきた点はあろうと思っております。この前半においては消費者米価なんかも上がりましたけれども、このところは消費者米価をとにかく押えるというような努力もしてきておりますし、全体として消費者物価は、先ほど申し上げましたように五%に近いものでありましたが、とにかく四%台を実現してずっとまいりました。これは四十年度に入ってからの一つの特徴であるというふうに言っていいと思うのです。ただ、まことに残念なんですけれども、この四十四年度にとうとう四%台が実現できなくなりまして、そうして、しかも異常に高くなってしまった。まことにわれわれとしても残念のきわみでありますけれども、ある程度の実績というものは出てきているように私は思います。  ただ、率直に言いましてまだ不安定ですね。まだまだ努力をしなければならぬものがたくさんあるわけでありますから、決していままでの程度のことで満足できる筋のものでは当然ありません。それからもう一回、私たちとしましては、いままでの各種の提言も見直し、そうしてこの際実行できるものからやってまいりたい、こういうつもりでおります。

有島重武公明党

○有島委員 いま御質問したのは、そうした着実な実績を踏むことができなかった、その責任を生産者側や消費者側におっかぶせるということは間違いだと思うのですね。ここでも言っておりますように、消費者の危惧や生産者の思惑を打ち破るためにも必要なんだということになっておりますから、その悪循環の一番の主要な責任をやはり政府が痛感なさらなくてはいけないのじゃないかと私どもは思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 今後ひとつ、あらゆる機会にも申し上げていますが、物価問題については特別の努力をもって立ち向かいたい、こういうふうに思っております。

有島重武公明党

○有島委員 その言い方なんですけれども、申しわけないけれども、今後ということはいいのです。その今後すぐはやはり同じじゃないかと思わざるを得ないようなふうなんですね。いつも今後と言われるけれども、いままでもはっきりここは主要責任は政府であった、そうお認めになりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 政府の物価努力が全然出なかったということは私は言い過ぎだと思うのです。非常に目立たないことではありますけれども、生産面についても流通面についても、少しずつの努力はしてきていることも確かだと思います。なかなかそれが目ざましい効果をあげていないのが残念でありますけれども、しかしまた、努力はするだけのことはある。しかし、それが決して十分であるとも思っていませんけれども、そういう意味でもってひとつ今後、そうした従来の政策を含めて、いろいろな提言も今後まだ出てくるのでありますが、これを実行に移してまいりたい、こういうふうに考えています。

有島重武公明党

○有島委員 時間もございませんので言いませんけれども、いろいろな影響があった、十分な効果が出なかった、残念であるということですけれども、その主要責任を政府自体が痛感して、それでまた新しく出発していただきたい、そう思います。  それからまた、ごあいさつの中で、公共料金の問題でございますけれども、極力抑制をはかると言われておるのですよ。それで、ことばにちょっとこだわるみたいですけれども、佐藤総理が、一年前であったと思うのですけれども、消費者物価の問題は国民生活にとって切実な問題であり、政府が最も力を入れてきたところである、このために公共料金については、国鉄の旅客運賃以外は極力抑制することとし、政府が関与する公共料金により物価上昇を刺激することがないように配慮する、そう言われたのです。ところが、タクシー運賃はどうだ、医療費はどうだ、あるいはいまも大手私鉄運賃の値上げが続々とあるわけでございますが、こうなりますと、極力抑制というのが非常に信用できないと国民側から批判が出た場合には、一体長官としては何と言われますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 全体の物価高の際でありますから、公共料金が特にまた耳目を集めるということは、これは当然のことであろうと思います。そういう意味においても、私たちも公共料金の引き上げについてはいよいよ慎重にならざるを得ないわけでありまして、ただ、いままでの実績を見ますと、これはある意味においては当然といえば当然なんですけれども、公共料金の引き上げ率というものは、大体三%ちょっとのところであります。タクシーにしても私鉄の問題にしても、いろいろあるのでありますが、これも、たとえばいままでと違いまして、四年間はそのかわりもう上げないんだぞ、そういうような一札をとにかく取りつけて、そうしてやるようになってきた。これなんかも、永久にそれを押え切れればこれにこしたことはないのでありますけれども、そういう意味においてはやはり政府の一つの努力であろうと、私はいままでのものについて評価をしております。たまたま四年目がめぐってきてしまいまして私鉄の申請がありますけれども、しかし、できるだけそういう形で押えられるものは押えていく、こういう努力はしてきたものというふうに私は解しております。まあ当然、受益者というか消費者の立場からすれば、それでもけしからんじゃないか、なぜこんなに上げたんだという声はよくわかるのであります。でありますから、われわれとしてもできるだけそうした、いわゆる安易な引き上げというようなことは絶対ないようにやってまいりたい。これは今後もそういう方針でもっていくつもりでおります。

有島重武公明党

○有島委員 いままでも努力してきたとおっしゃるのですけれども、それがほんとうに極力やってきたというふうに、私どもは認識できないわけですね。それで、先ほどお話が出ていましたのでちょっと言いますけれども、公共料金を押えていく上には、やはりそこの利益があがるようにして、それでもって値上がりを吸収するようにしたらどうだというような話がありました。まあみんなそういうように考えると思うのです。たとえば国鉄なんかの場合も、あれと並んで、やはり輸送をつかさどっている日通というのがあるわけですね。ほかの私鉄会社や何かと、ある場合には土地会社、デパートが、みんな一緒になってどうにかこれをやっている。国鉄なんかの場合には、もうかる部分のほうは全部切り離してしまって、どうにもならない部分だけを国民の税金にたよっているというような面が強過ぎるのじゃないか。それはずいぶん乱暴な話かもしれませんけれども、極力やるというのだったら、そういったことだって考えられると思うのですよ。非常になまぬるい極力であったと思うのです。同じことばを使って佐藤長官も——お名前まで佐藤長官だが、非常に心配になるのですよ。ほんとうの馬力を出していただきたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 国鉄の問題なんかもなかなか根の深い問題でありますが、現在私鉄がやっているようにいろいろな経営を手広くやるというのは、いまの国鉄としては手に余ってできないでしょう。また、急にやってかえって赤字が出るようなことになっては、これはなお困るわけです。いずれにしても、しかし赤字の本質というか、国鉄の体質というのが非常に根深いものですから、これはよほど覚悟しないと私はできないと思います。これはどこの国でも国鉄というものは悩みの種で、ドイツなんかでも、国鉄の赤字というものが同じように非常に大きな問題になっていることは御存じのとおりであります。いまの例の路線の整理の問題にしても、あるいは人件費の削減の問題にしても、交渉はなかなか行き悩んでおるのでありますけれども、しかし、そんなこと言っておられない。これはどうしても断行しなければならぬ。多少おそまきではありますけれども、国鉄の再建ということがいま軌道に乗ろうとしているわけです。しかし、それにしても、とにかくこういうふうに投資需要が急カーブで、そうして建設資金というものがべらぼうに要る、これがいま一つの大きな問題になっていますが、急激に短期間のうちにあれだけの大きないわゆる投資を行なおうというところに、ある意味においては無理もある。結局、これはやはり成長との関係の問題だと私は思っておりますが、そういう意味においても、この成長というものをもっと押えていかなければいけない、全体の投資ベースというものももう少しモデレートなものにしなければならぬ、そういう感じを深くするのであります。まあ国鉄問題も、ある意味において私は軌道に乗りつつあると思っておりますが、なおひとつ国鉄をわれわれもバックして、そうして再建の道を早く実現するようにわれわれとしても努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。

有島重武公明党

○有島委員 国鉄の場合は非常に極端な例でございますけれども、ほかの場合にも、これから公共事業なんかでも、もうかる部分は民間にまかしてしまう。それで、だめな部分だけを残しておいて国民にしわ寄せをするというような禍根——禍根といいますか、発想ですね、それを残しておく限り、幾らその部分を——いまどこの国でも根深いと言いましたが、それを根本的に解決することにはならないと思うのです。そういったことを、これはそれこそ七〇年代の大きな構想でもって、各方面にわたって御検討なすったらどうかと思うわけであります。  それから最後に、もう時間がありませんけれども、いま食品の話が出ておりましたから、消費者保護の行政について。  私は、苦情処理の体制、今度はだいぶ予算措置なんかもできるようになったと思うのですけれども、実際問題といたしまして、一人一人の苦情受付係の方々の力というものは限度があると思うのです。それからまた消費者のほうからは、これは通産関係の話だ、これは農林関係の話だ、そういうように区別は全然つかないで、何でも困ったものは持ち込んでくると思うのですね。そうしたものを全部受けていくという能力をそこの苦情処理の窓口の人たちに期待することは、これはもう初めから無理であると思うわけです。ですから、その窓口から問い合わせ先をはっきりしておくということが大切なんじゃないか。その問い合わせ先がまた各所管にわたって緊密な連絡をとって、それでワンタッチですぐ答えが出てくるような体制をつくるということが、国民大衆との対話にとっては一番大事な問題じゃないか。それで、みんなもそれぞれ痛切な問題だけでも、忙しいわけだから、そこでいい答えが——何というか、それはよくわかりません、またいらっしゃいというようなことになりますと、また行く人もいるかもしれないけれども、もうめんどうくさいという人も出てくると思うのです。その窓口からすれば、めんどうくさいで来なければこれはいいことだ、そういうことになりましょうけれども、国民経済全般のこと、物価問題全般のことにわたっていえば、国民の声をどんどん吸い上げていくという積極的な姿勢を示すべきじゃないかと思うのです。ですから、今度こうした苦情処理の機構を進められていく上に、そういうセンターが、苦情処理の窓口の問い合わせ先としての機能を十分に発揮するように、そういう機構を考えていただきたい、そう依頼するわけです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 いい御提言をいただいたわけでありますが、私たちもこれをつくるのでありますけれども、変なものができ上がってはたいへんだ、最も国民の要望にこたえ得るようなものにしなければならぬ、それにはどうしたらいいか、非常に悩んでおるわけであります。お話しのように、今度のセンターが中心で、各県に御存じのように消費者センターがございます、これと結びつけ、それからまた国民センターのほうは各省と結んで、ネットワーク式に、その中核になってスムーズに動けるようなものにしなければ、これは何の役に立たないわけです。そしてかたわら、また職員自身の研修も相当行なわないと要望に沿えないという問題もありますし、そうした計画をいませっかく練っておるところでございます。できるだけいいものをつくって御要望に沿うようにしたい、こう考えております。

有島重武公明党

○有島委員 終わります。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 次に、和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 先ほどから小坂委員、武部委員、有島委員、いろいろと御質問なさっておられるわけですけれども、やはり一点に集中しているわけですね。四・八%という政府の見込みが守れるかどうか、それに対して非常な不安を持って質問しているわけです。ゆうべ東京新聞でしたか、夕刊を見ましても、「物価値上げ目白押し」「食品、衣類、家賃まで」というような記事があるわけです。これを読んでみましても、なるほどという感が深いのですね。単に季節商品だけではないというようなことを、これは大なり小なり、どの新聞も実態調査をしてこういうような記事を出しているわけですけれども、なかなか四・八%というものは、よほどの決意がないと守られないのではないかと私は思うのです。  先ほど長官はいろいろと決意のほどをお述べになっておりますけれども、それでもう一つわからない点は、たとえば四・八%を守るために総需要を抑制したいというようなこともおっしゃっておられるけれども、いま申された、つまり選択しなければならぬという場面が幾つか出てくると思うのです。四・八%を守るためには、つまり成長率の問題と物価安定の問題と、その選択の問題が一つわからないのです。つまり十のものがあって、五と五になるということはあり得ないわけですね。四か六か、つまり成長率を六にして安定を四にするか、あるいは安定を六にして成長率を四にするかというような選択を迫られておると思うのですけれども、長官はその問題に対して、端的にどういうふうな態度をとろうとしておられるか、そのことを最初にお聞きいたします。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 私も、現在の状態は非常な成長の行き過ぎであろうと思っています。もちろん、日本が今日までとってきました、大きくいってこの成長の路線というものを、いま急に大きな方向転換をするという気持ちはございません。そういう意味で、一〇%をこす成長率ということをまた同時に考えておる。まあいま非常に景気が過熱化しておるのでありますが、金融引き締めをいま程度にやりましただけで、すでに一方においては相当の問題がある、あるいは抵抗も強い。そして、へたをすると供給力過剰で、また四十年のような事態になりはしないか、こういう心配を言うサイドも一面あるわけです。アメリカにおいては、ニクソン大統領がそこのところの中間で非常に苦しんでおると思うのですが、われわれも同じような問題をある意味においては持っております。でありますから、そこいらのところはよほど慎重なかじのとり方が大事だということを重々頭に置きまして、それでも、この過度の成長はどうしてもやはりスローダウンさせたほうがいい。ほかの経済全体のバランスある発展ということを考えると、どうしても必要だ、こういう感じを強く持っておるわけであります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういうお答えは前からずっと伺っておるのですけれども、私ぜひここで伺っておきたいのは、つまりいま安定四・八という非常にきびしいラインを守るためには、総需要を抑制するいろいろな措置をとらなければならないという場面が必ず起こってくることは、長官も認めるとおりです。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 そういう場合に政治の基本的な態度として、物価安定のほうが現在一番重要なんだ。一番といったって、それだけではない。成長もやはり大事だけれども、現在の段階では物価の安定のほうがより重要なんだ、そういう政治態度をもって臨まれるお気持ちがあるのか。つまり四・八というラインを守れないというときには、そういうふうに判断していいのかどうかという、そのことについてお聞きしたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これは率直に言いまして、和田さんも御指摘のように、政府全般を通じてみますと、必ずしも十分ではないと思います。私は企画庁という立場を考えまして、いわばその音頭とりのつもりでおりますけれども、いまあなたの指摘されておられるような方向へ政府全体の気持ちを持っていかなければならぬ、何よりそれが一番むずかしくもあるし、また手をつけなければならぬ、そういうことでやっていきたいと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 企画庁長官としては、いま私が申し上げた、つまり選択を迫られる場合には物価安定のほうを中心にして、ウエートを置いて判断をしていくのだ、そういう御決意と承っていいのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 けっこうです。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これは私非常に重要だと思いますのは、先ほど武部委員から指摘がありましたけれども、昭和四十四年五月の物価安定推進会議の財政金融についての提言の中で、この選択に対して推進会議はきびしい判断をして、そういう場合には成長をとめろと言わんばかりの強い発言をしておるわけですね。つまりこれは、あのような日本の経済を全般的に見まして、何年も何年も研究した結果、そして現在五%ラインというものを上がり下がりするのを見て、五%をこえてはいけない。いかなる成長についての犠牲があっても、現在の段階ではこの線を守るべきであるということを判断した重要な提言であったと私は思うのです。この問題をやはり長官として——それは各省ではいろいろなことがあるでしょう。しかし、長官としては、この問題を堅持するという気持ちをしっかり持っていただきたい。これは前の宮澤長官の場合にも、菅野長官の場合にも、絶えずそういうことを申し上げたのですが、今度の場合は、特にその問題は非常な問題ではないかと思います。ぜひともひとつそういうような心がまえがあってほしいという感じがいたします。  これは長官、先ほど、たとえば季節的な問題があってたいへん困っておるのだというお話があったのですけれども、確かにそうだと思います。これはいまのところ、何ともならないような問題が多いのです。しかし、季節的な問題があるから、四・八だったけれども五・七あるいは六になることもあり得るかもわからぬというのでは困るのです。これは季節的な原因であろうと何であろうと、四・八あるいは五をこえるかこえぬかということが、経済全体の問題として問題になっておるわけです。したがって、季節的な問題についていろいろな問題が起これば、それに対する対策が当然あってしかるべきである。天然現象だから何でもしようがないというものではないでしょう。いろいろな手を尽くせば、倉庫の問題も、冷蔵庫の問題も、あるいはそういう場合の緊急措置の問題も、いろいろあると思います。そういうふうな問題を含めて、とにかく五%ラインを大きくこしてはいけない。四・八とはあえて言わなくても、そういうふうな問題をきびしい一つのラインとして受け取らなければならない、こういうように感ずるわけです。そういう点は季節的な問題であるからしかたがないんだというふうにあれをお考えにならないで、それを含めて四・八を堅持する。つまり四・八——こまかい〇・二%くらいのところはどうでもいいでしょう。五%というところを堅持するという態度が必要だと思うのですね。  これは特に最近の世界的な政治の方向ですけれども、公害に対する態度と物価に対する態度は、やはり近代先進国における政治態度の一つの大きな指標だと思うのですね。公害の問題については、たとえ生産の事業計画をやめさしても公害の問題を重視するのだという判断がだんだん出てきつつありますけれども、物価の問題は、現在ではそれに劣らぬほど重要な問題だと思うのですね。そういうふうな一つの政治態度というものが必要だと私は思うのです。その点ひとつぜひとも、いまの長官の言明でよくわかりましたけれども、お願いしたいと思うのです。  それからもう一つは、これはうちの河村君が予算委員会の総括質問で質問したことですけれども、チクロがいけないということで、急速に転換しているわけですね。これは砂糖に転換する。その場合には、当然チクロよりも砂糖が値段が高いわけですから、砂糖を使う商品は非常に——ほとんど全般的な食料品に関係してくるということになると、チクロから砂糖への転換ということで、食料品の値段が非常に上がってくる可能性がある。この問題に対して、実情をどういうふうにお考えになっておられるのか、あるいはその対策をどう考えておられるのかということです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 このチクロの問題は、御存じのような経緯がありまして延期にはなりましたが、結局、砂糖に転換する部分が相当に出てくるでしょう。砂糖は、一方において、御存じのように自由化にはなったのですけれども、一方において関税、物品税、課徴金の問題がございます。  率直に申し上げまして、日本の国内産の砂糖の今後のあり方といいますか、これを一体どの程度に置くのか、砂糖の自給というものを、日本の農業としてどの程度のものを持つ心がまえなのか、ここいらのところも、基本的にむずかしい問題があるのです。  この間も、実はそういう点も農林省ともちょっと議論をしておるのですけれども、いまのところ、国際的な価格といたしましては、国内産糖を育成しようとする日本と同じような立場の国々との比較においては、大体そう違いはない。オランダであるとかあるいはイタリアであるとか、日本とやや似た立場の国の糖価とはそう違いはない。しかし、輸入糖を中心にするイギリスとかアメリカとかいうような国に比べると明らかに高い。ここいらの、国内産糖の保護をどうするかということなんですが、いまはまだ農林省は、依然として従来の方針の堅持を主張して譲ってはいません。ですから、この問題はちょっと時間をかけなきゃならないと思います。率直に言って、すぐ砂糖の価格を引き上げるということは、御存じのように自由化して相当引き下げましたけれども、それでもまだ、もっと安くできるんじゃないかという議論に対しては、不十分な点を認めざるを得ません。もうちょっと農林省とも議論しなきゃいかぬとも思っておるのですが、そういう意味においては、チクロがいかぬと言ったけれども、砂糖の値段が高いということになると、砂糖によって補おうとすれば、やはりどうしても、その間多少の負担増という面が生ずることになると思いますし、これはもうちょっと長い目で検討したいと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 きょうの新聞によりますと、チロクから砂糖にかわることによって、かん詰め類、つけもの、マーガリン、ジャムなど、一〇%から四〇%まで上がると調べておるのですね。つまり平均して二、三〇%のものが、かん詰めあるいはつけもの等の甘味を使う食品が上がるということは、物価問題から見ましても非常に重大ですね。こういうような点から見ても、つまり砂糖の関税あるいはその他のいろいろな課税、あるいは公課があるわけですけれども、こういう問題をそういう目から再検討する御意思はないですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 実は私も、そういう気持ちを持っておるものですからやっておるのですが、いまその点は、本格的にこれをやるということになるには、なかなか準備が要ると思います。そういう意味では、まだ下の検討を始めたという段階であります。農林省のほうも国内産業をかかえておるわけですから、率直に言いまして、なかなかいま固い立場です。もうちょっと検討していただいて、おっしゃるように、できるだけやはり下げていく方向に持っていかないといかぬというふうに私も思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 両佐藤さん、総理も長官も、輸入政策というものは物価安定の方途として、極力これを採用するという御方針です。これは推進会議の提案でもあると思いますけれども、この砂糖の問題は、突破口を開いていくのに非常にいい問題じゃないかと思うのです。やはり国内で砂糖の自給といいましても、これは六〇%もできる見込みがあれば、それはそういうことに力を注いでもいいと思います。しかし、二〇%やそれ足らずのものしか何ぼ努力してもできないということになれば、そう大きな犠牲を払ってまでこれをやるということは、私個人としてはどうかという感じがするのです。そういう問題を判断する場合に、先ほどから申し上げた、現在物価の安定というものが一番大事だという判断に立てば、そのような選択ができるわけです。いま長官もそういうようにお考えだということですから、ぜひ輸入政策という問題は、相当広範にわたって考えなければならない問題ではないかと思います。いまチクロから砂糖への転換ということを契機にして、非常に重要ないい転換点が与えられておると思うわけですけれども、ぜひともこの問題は慎重に検討いただくようにお願いしたいと思います。  それからもう一つの問題は、あの物価安定推進会議というのを何か名前を変えますか、今度。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 物価安定政策会議というふうになっております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 推進会議ということばは、政策を立てるだけでなくて、立てた政策をどんどん押し上げていく、必要があれば全国を回って、この前牛乳のときやったように、言うだけでなくてやらしていくというようなニュアンスがあるけれども、政策会議ということになると、何かこう机上の政策をつくるだけだという印象を受けるのですけれども、そういう変化はありますか、ないですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 実は全然そういう気はないのです。今度看板を変える、気分を新たにしようということで看板を変えたわけです。推進の字をとったから推進しないという気持ちは決してございません。ただ、安定会議も昨年の春発足いたしまして、だいぶいろいろと議論をいたしておりましたけれども、この際としてはやはり、——従来の推進会議あるいは物価懇談会で取り上げておったものが、どっちかというと個別対策にあまり集中し過ぎていたきらいがある、いま一番大事なのは総需要の抑制だということで、総需要の抑制政策の答申が最初に出たものですから、多少個別対策について後退するのではないかという御心配をあるいは与えておるかもしれませんが、いま第二部会ですか、やっておりますが、行政介入、政府がいろいろと行政的に介入しておったことのために、下がるはずの価格が逆に下がらない、行政介入によって物価引き下げを阻害しておるような問題を、別の部会でいま検討しておりまして、それの提言が間もなく出るということになっております。引き続いて、私が実は一番強く願っておる生鮮食料品の問題を、いま別の部会が扱っておりまして、これは非常にむずかしい問題なものですから、秋になってしまって、ちょっとおそいので、私も多少歯がゆい思いはしているのですが、何といってもこの審議会というのは相当慎重に議論するものですから、そういうようなことで、個別対策もこれからどんどん提言をしていただく、こういう予定にしております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま、ちょうど長官のお口から出た行政指導の問題、あれは私、この委員会で何回か問題にしたことがあるのですけれども、行政の介入によって下がるべき値段が下がらないということですね、これは確かにそういう面があると思いますけれども、もっと一歩進めて、つまり流通状態を正常にする、あるいは公正な取引条件をつくり上げるというような問題について、行政が積極的に介入するということは、あの公取委員会の法律の実施ということではなくて、政府みずからが、現にあるいろいろな独占的な組織によってもっと上がろうとしておるものを押えるという積極的な面もあるわけですね。そういうふうな行政指導を積極的にやってもらいたいという感じが深いんですよ。つまり四・八%を守るためには、そういうことも必要な段階がくると私は考えますので、マイナスの行政指導は、当然これはやめなければなりません。しかし、プラスの行政指導があり得るし、四・八ということを非常な熱意で守ろうとすれば、プラスの行政指導というものも考えられるのではないか、こういうように思うのですが、どうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 お説のように、考え方をまた別に立てて、そうした点で大きな役割りを果たすような方向に運営されるということがあれば、これは私、非常に望ましいと思うんです。ただ、実情を見ますと、まことに残念なんですけれども、御存じのように、現在の行政機構というものは縦割り方式に一貫しております。省の分け方もそうですし、省の中の分け方もそういう傾向があって、どうしても縦割り中心主義、すなわち、生産者中心主義というような根深いものを持っております。物価問題というような問題を取り扱うものとして、企画庁がこれを声を大にしておるのですけれども、実際問題としては、そういう面で、従来のそうした機構の担当者との立場の相違というものが、しばしば出てまいります。これを一つ一つそのときどきに説得をして、調整をして実行してまいる、これが現状でありますけれども、そういうバックがあるだけに、これはへたをしますと反対の方向に作用しがちであります。よほどこれは慎重に取り組まないといけない。今度の行政介入の問題等もあわせて、また私たちとしても一ぺん検討さしていただきたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これは私、問題にしたのは、牛乳の問題を契機にして問題にしたのですけれども、牛乳なんていう問題は、まさしくあれは、農林省の指導をやめてから、そして自由取引にしたということで、逆に上がったんですね。つまり牛乳の小売り商の中の一つの系列的な、あるいは独占的なといってもいいかもわからぬけれども、そういうふうな実態があるので、その実態をそのままにして行政指導をはずしますと、その独占的な組織がにょきにょきとこう出てくる。それで、自由価格という名のもとで、牛乳の価格が上がっていくという問題が現にあったわけですね。こういうふうなことが一つ問題になっている。  こういう問題は、特に企画庁長官がよく監視しなければならないし、発言権を強化しなければならない、そういうような問題があると思うのです。そういうようなもののためにも、企画庁長官の力をオーソライズするという意味でも、もっと権威的な一つの安定推進会議とか政策会議とかいったようなものが必要な段階になりはしないか。政府の企画庁長官として、四・八%という物価安定を中心にすべきだという意図をもっと強力に進めていく必要があるとするならば、それを保障するような、オーソライズできるようなものが必要だ。そういう意味で、私は、推進会議を政策会議なんて、何かなまぬるいような感じを与えるところに何か不安を感ずるのですが、もっとぴりっとした、物価を見守っていく、安定に焦点が当たっているような政治態度を表現するような、そういう機関が必要だと思うのですけれども、どうでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 物価問題がむずかしければむずかしいほど、また、そういうような立場の機関というものの要求も強くなると思います。私たちもそういう意味で、この物価安定会議が、名前はともかくとしまして、今後の運用につきましては、できるだけひとつ、そうした方向の運営をまた考慮していただかなければならぬと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 終わります。

武部文日本社会党

○武部委員長代理 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 経済企画庁長官に、時間もそうたくさんはありませんので、政治姿勢に関係をして、幾つかの点をお聞きしたいというふうに思います。  長官が、当委員会におけるあいさつの中で「物価安定を経済運営の最重点課題とし、一切の安易な態度を捨てて、その実行に取り組んでまいる所存」であるという趣旨のことを述べられました。また、本日の委員会でも、他の委員から、三年くらいの見通しを立てて、しっかりやらなくちゃいかぬとか、あるいは長官自身も、ちょっと手をつけて手放すというようなのではだめだ、しんぼう強くやらなくちゃいかぬ、こういう趣旨のことも言われましたけれども、そこで私、最初にお聞きしたいのは、最近、新聞雑誌によりますと、あなたが来年の東京都知事選挙に出馬するということが、いろいろ取りざたされておるわけなんです。これは率直に申しまして、いま経済企画庁長官をやっておるのに、しばらくたって都知事にというようなことでは、そういう態度では、これはとてもいまの物価安定の課題を遂行することは、絶対にできないと私は確信するわけです。念のためではありますけれども、この新聞、雑誌でいろいろ取りざたされている問題についての長官の所見をお伺いしたい、こう思うわけであります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これは、全く私の関知しないことでございまして、身に覚えのないことですから……。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういたしますと、結局、そういう意思は全くないということでございますね。ちょっと……。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 もちろん、現在そんなことは考えてもおりませんから……。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 現在、物価の安定ということは、国民の最も切実な要求になっておるわけなんです。ところが、先ほど来論議をされておりますように、激しい物価の値上がりが襲ってきそうだということで、国民の非常な不安を巻き起こしておるわけであります。  私たちの党は、公共料金の引き上げ反対あるいは独占価格の抑制、それから、公債発行をやめるとか、いろいろ物価安定のための抜本的な政策を出しておるわけでありますけれども、きょうは、その独占価格の抑制の問題につきまして、鉄鋼を例といたしまして長官の意見をお聞きしたいというふうに思うわけであります。  鉄鋼産業は、御存じのように八幡製鉄と冨士製鉄が合併して、新日本製鉄が四月に発足をするということになっておりますが、そうなりますと、売り上げ高は一兆円になるだろうといわれるし、アメリカのUSスチールに次ぐという世界企業になろうということになりますか、また同時に、この鉄鋼が国民生活とはもう切っても切れない関係にあると思います。建築資材にいたしましても、自動車にいたしましても、鉄道車両、機械、直接鉄鋼を使うのはもちろんでありますけれども、われわれ国民が手にする物資は、衣服からちり紙一枚に至るまで、これは製造過程においても、運搬、流通過程においても、鉄鋼製品を消費しておるわけであります。たとえば最近でも問題になっておりますタクシー料金の問題にいたしましても、あの車両は鉄鋼でできておる。鉄鋼の値段というものがタクシー料金にもひいては及んでくるわけであります。そういう意味で国民生活にきわめて重大な影響を及ぼすと私どもは考えるわけであります。そういう意味でこの鉄鋼の価格というものは、物価全体に大きな影響を及ぼす独占価格の典型的なものであるというふうに私たちは考えます。そういう点でいろいろお聞きしたいというふうに思うわけです。  総理大臣も施政方針演説で「高い生産性を実現している産業においては、その成果の一部を価格の引き下げという形で社会に還元するようつとめることを強く期待するものであります。」ということを述べられました。あなたも経済演説で「企業の生産性向上の成果を、その配分にあたって、価格引下げにも充てるよう強く要望いたすものであります。」というふうに述べておられるわけであります。  鉄鋼産業は生産性がきわめて高く上がっているということは、これはもう申すまでもないと思います。したがって、この鉄鋼の独占価格についての長官の取り組みの姿勢というものが、物価安定に長官はどれだけ真剣であるかということのものさし、指標になるのではないかというふうに私思いますので、その観点からお聞きするわけであります。  そこで、質問でありますが、鉄鋼の価格が、八幡・富士の合併が発表された四十三年四月から、市中価格の引き上げがずっとはかられておる。八幡を中心に富士製鉄をはじめ各社が、中小メーカー向けの市中価格の引き上げをやっておる。そして、私どもが調べましたところでは、中型形鋼の場合、四十三年四月に三万円のものが昨年の暮れには五万円以上、小型棒鋼は、同じく四十三年四月に三万円以下であったのが約五万だ。十二ミリ鋼板が、同じく三万円くらいであったのが四万五千円以上、冷延薄板一・六ミリのものが、四万円程度のものが五万円以上になっている。これは中小向けのものに限られていたわけですけれども、昨年の暮れからは自動車あるいは造船、そういう機械用などの大手向けのものにも及んで、実は昨年の暮れには、トン当たり二、三千円値上げになっているようです。これはスケジュール値上げだというふうにもいわれておるわけであります。この鉄鋼の値上がりは、新日本製鉄だけ見ても、売り上げ高一兆円ということになりますと、一%上がっただけでも百億円の利益、一〇%上がっただけで一千億の利益というばく大な影響を持つわけです。  こういうことでありますし、国民の鉄鋼消費量も年々増加をしておりますので、この鉄鋼の問題については、先ほど来申しておりますように、非常に重要だと思うのです。この新日鉄誕生に際して、巨大独占企業誕生に際して、物価の値上がりは、先ほどもスケジュール値上げというようにいわれているように、だんだん上げられてきておる。これは巨大独占企業の誕生ということが物価の値上がりと直接関係しておるのだということを、私たち前から言ってきております。この問題についての長官の所見をまず伺いたい。新日鉄誕生とそれから鉄鋼価格の動き、こういう関係をどういうふうに長官は考えておられるか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 まあ松本さんも御存じのように、新日鉄が誕生するまでにはいろいろな経緯がございました。公取委員会におきましてもいろいろな条件をつけまして、そしてこれが満たされればこれは独占ということではないということで、ああいうふうな会社ができてきたわけであります。公取委員会はいろいろな問題で、われわれのほうからも検討を委嘱したりしておりますものもありますけれども、ああいうふうに、御指摘のような管理価格であるとか独占価格であるとか、こういうような判定はなかなかむずかしい。むしろ私は現状だけをとらえてみますると、これだけ強い需要がありまして、とにかく今日までこなしてきた、比較的鉄鋼価格というものがそんなにひどい上昇をしないでまいってきた、これにはやはり私は、今日の鉄鋼業というものは供給力の増加について相当の努力を継続してきた、それが相当あずかって力あるのじゃないか、これだけ急激な需要のしかも急上昇ということに対して、まあ何とかこたえてきた、むしろ私はそういう意味で、日本の鉄鋼業というものは相当健全な姿のものであるというふうに思っておるのです。今後も相当巨大な設備を巨額な投資でもってまかなっていかなければならないということになっておりますし、まあ鉄鋼業というのは、ある意味においては操業率が少し下がってもいい、そのくらいに少し十分な供給力を備えた産業にほんとうは育成すべきだ、基礎産業である以上、それは逼迫しているような形は好ましくない、もっともっとさらに現在の量産というものをある程度続けて、供給力に不安をなからしめる、こういう方向に私は持っていくべきが本筋だとかねがね考えておるのですが、ただ、その過渡期において、御存じのようにもう四十四年度で八千六百六十万トン、たいへんな急激な上昇であります。もう四十五年度は九千六、七百万トンから一億トンに近いでしょう。しかし、よくこなしておるほうだと私は思っておるのです。そういうような供給の体制づくりというものがあって、これだけの需要の急上昇にむしろこたえてきた。最近建設系統の需要の急上昇等もありまして、御指摘のように一部の棒鋼や何かについて相当の値上がりがあることは、まことに遺憾なことでありますけれども、まあこれについても、できるだけひとつその需要にこたえ得るようにというのでやっておるのですが、なかなかその生産の転換というものがスムーズにいってないようであります。そういうことで、まだ不十分ではありますけれども、全体論としては、私はいまの鉄鋼の姿というものは今日まではまことによくやってまいった、さらにさらにその需要に対してこたえ得るように育成していかなければならぬ、そういう感じのほうが実は濃いのです。ですから、ことさらに価格のつり上げをやっておる、むしろこういうような感じはないのじゃないか、各社ともやはり競争してやっておるというのがむしろ実情である、こういうふうに言えると思うのであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 独占価格ではないと言われることについては、私どもはかなりの違った見解を持っております。たとえば毎日新聞の発行している「新日鉄誕生す」という書物に書いてあることですけれども、鋼管の赤坂社長が、八幡・富士が合併してプライス・リーダーになってくれればいいということを、不用意に漏らしたということをいっている。これはいかに長官が否定をされましても、この新日鉄が独占企業でない、そしてそれが独占価格でないということは、これは国民のだれも納得をさせることはできないと私は思います。  そこでお聞きしたいのは、そのことで水かけ論ではなくして、その需要がある、それは私も、国際、国内の需要が若干増加しているということを認めるにやぶさかではありませんけれども、しかし、総理大臣やあなたがこの国会で言われた、生産性が上がっている企業ではそれを還元してほしいということを言われたのは、こういう需要があっても生産性が上がっていれば、値上げをするのじゃなくして、値下げをしてでも物価を下げてほしい、こういうことを言われたんじゃないですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 まあそういう意味において、私たちも、たとえばいま上がっておる部門についての生産の増強をするように、そして転換をアドバイスするということをしたわけです。まあ需要のほうが強いものですから、特に海外の需要というものを控えておるのですから、なかなか思うにまかせないことは事実でありますけれども、事実そういうことを慫慂したわけであります。もちろん物資の価格の問題でありますから、需要、供給というものが大きな要素になっておる、これはいなめない。ですからこそ、需要というものを一体どの程度に抑制するかということが、同時にわれわれとしても問題になっておる。ただ残念なことは、よくいわれていますように、最近における海外経済の動向というものが日本の経済に大きく影響をしてきておる。この影響というものは相当大きいものですから、われわれとしても、それをいかにして食いとめるかということは非常に苦心の要るところですけれども、しかし、いずれにしても需要と供給の関係が非常に逼迫しておることは事実です。これが私の考えでは、現在のままで、やりようによっては、いまの需要、供給でいけばもっともっと相当上がるかもしれぬという感じを、私は逆に持っている部面もあるわけですね。そういう点においては、今日の鉄鋼の供給というものは、いま一部において非常な値上がりをもたらしておりますけれども、今日までわりあいによくやってきた、今後、いま御指摘の点を、さらに需要に追いつくような対策をとっていかなければならない、こういうふうに感じております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 需要の問題は、これは需要、供給の関係で、需要があれば上がるのだというたてまえでいけば、これは長官おっしゃるように、今後もっともっと上がると思います。USスチールに次ぐ大製鉄会社になるわけでしょう。それが需要があるからといってどんどん上げていけば、鉄鋼の価格は無制限に上がっていく。押えるものはないです。だから私は問題にしておるわけですけれども、しかし、そういう長官の態度では、私は今後についてたいへん不安を感ずるわけであります。  生産性向上との関係で申し上げますと、これは詳しく申し上げるまでもありませんけれども、市中価格で売られているものはごく一部で、大部分は建て値とか公開販売価格で売られているということだと思いますが、これについて、鉄鋼の価格が低下をしようとすると、通産省が指導に乗り出して価格を安定させる、そうして恒久制度化していったのが公開販売制度だというふうに私どもは考えます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 これは建て値と公開販売制度の歴史を見れば、私はそう詳しく論ずる必要はないと思いますけれども、その典型的な例として——いま長官は、大体ずっと安定してきているんだというふうに言われた。確かにそのとおりで、鋳物銑鉄一号について見れば、その建て値は三十四年以来二万六千五百円に据え置かれている。昨年暮れに三千円ぐらい上がりましたけれども、ずっと据え置かれている。一方、この昭和三十四年以来の鉄鋼産業の生産性向上はばく大なものであります。これは経済企画庁の統計によりましても、四十年を一〇〇として、三十四年は月平均四一・七です。四十四年の十一月、昨年の暮れは二一九・四です。十年間に五倍以上の生産性向上をしているわけです。そうして建て値は一定している、むしろ上げている。これが総理や長官の言う、生産性が上がっている場合には社会に還元するということに当たらないのだったら、そのことは一体何を言おうとしているのかということになると思うのです。結局この鉄鋼価格のあり方というのが、鉄鋼独占に巨大な利益を保証して、物価上昇の要因の一つになっているというふうに私たちは考えるのだけれども、長官はこの点についてはどう考えますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 御存じのように、鉄鋼価格は四十四年も相当上がりました。六%ぐらい上がりましたが、四十三年には六%ぐらい下がっております。これはやはりある程度需給の変動というものが価格に影響する、これは私は現在の原則としてはやむを得ない。しかし、その基調については、いま松本さん御指摘になりましたように、ずっと同じ上がらない状態でもって続いてきているのですね。しかも、相当の急上昇の需要というものについて、これの供給に対応するだけのものを、役割りを果たしてきたわけです。そういう意味で、私自身としては、むしろ今日までに関しては、鉄鋼業というものについて相当実は高く評価をしてきているのです。そういうことですから、生産性ももちろん上がっておるでしょう。今日もし鉄鋼価格というものが大きく日本の物価上昇に影響するようなことになったら、これはもちろんたいへんであります。そういう際には、当然政府としても鉄鋼業界に対して話し合いをしなければならぬけれども、むしろ私は今日までは、そういう意味でもって、比較的安定した価格水準でもって円滑な供給をしてきたというように評価をしておる、こういうふうに感じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 長官の考え方はわかったけれども、かなり根本の問題があるように私は思うわけです。というのは、いま四十三年は下がったと言われますが、四十年から四十三年にかけて多少下がっているわけですけれども、しかし、これはごくわずかです、生産性の向上に比べれば。むしろこのときから、新日鉄誕生の声が出てきているわけです。むしろ価格のプライス・リーダーとしての新日鉄誕生ということが叫ばれてきておるわけです。むしろそういう形で、生産性向上は、先ほど申しましたように五倍にもなっている。しかし、価格は一定だ。少し上げているけれども、その上げ方は少しでも、たいへんな影響をもたらす。こういう産業について、この鉄鋼の価格を下げれば、ほかのいろいろな要因があっても、物価を下げることはできるわけです。これは私は明白だと思うのです。生鮮食料品のことで頭を悩ましているということを先ほど言われましたけれども、それが一方にあっても、鉄鋼はもうかっているからこれは下げるのだ。こうやっていけば、全体としての物価は下がるわけです。それについて長官は——鉄鋼価格の引き下げということが、私たちは物価の安定に非常に役立つと考えますけれども、これは一体役立つとはお考えになりませんか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 鉄鋼価格の引き下げということがもし大きく実現すれば、これはもちろん、それだけ価格に影響するでしょう。ただ問題は、日本の産業は生産性の向上をしている部分がたくさんあるわけです。そうして、それぞれの産業の事情があるわけでありますけれども、特定の産業だけをとらえてやるには、やはりそれぞれのよくよくの理由というものが必要である。特定のものだけをとらえてやるというたてまえは、やはりそれだけのコンセンサスを得る必要があります。そういう意味において、むしろほかの産業に、生産性の向上という見地からいえばまだ問題があるものも、私はあるように思います。そうした面について、実は政府としても、経済企画庁としては、たとえば通産省に対して要請をしたりした例もあります。全体として見渡してみて、鉄鋼だけをとらえていま議論するというのは、むしろ鉄鋼の今日まで果たしてきた役割りを考えますと、問題があるんじゃないか、こういうふうに感じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 最初に私がお断わりしましたように、鉄鋼は一つの独占価格の典型的なものだ、だから例にするのだ、国民生活に非常に大きい影響があるからということで言っておるわけです。全体としては、もちろん独占価格全体の問題を言っているわけです。  そこで、いろいろな状況があるからというふうに言われますけれども、私は最初に長官に、長官が物価安定を最重点課題にするということを言われたということを指摘をしたのは、ここなんですよ。最重点課題にするということは、ほかのいろいろな事情があろうとも、物価安定のためにあらゆる努力を払う、そこのところを最高の判断の基準にする、こういうことじゃないのですか。そういうことではないかと私どもは思うわけです。そういう観点でやってもらいたいと思う。  それから、質問としては、私、これをちょっとちゃんと聞いておきたいのですが、鉄鋼産業は、総理や経済企画庁長官が言われた、生産性が上がっていて社会に還元してほしい、そういうふうに言った産業の中に入るのか入らぬのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これは私たちは実をいうと、そういうような具体的な材料を確定するにはいろいろと問題がありますから、大体公取に相談しているのです。そして、大体公取の判断というようなものを非常に重要視をしております。まあ、いままでのところ……(松本(善)委員「いま長官の頭では、鉄鋼が入っているか入っていないかでけっこうです。」と呼ぶ)それは一つ一つ具体的に議論をする、こういうたてまえでありますから、いま最初から、どこからどこの産業まで入る、こういうふうな考え方では進めていません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 長官がいまこの時点におきまして、どの産業、どの企業が、生産性が上がっていて社会に還元をしてほしいというものに当てはまるか当てはまらぬかは言えないというようなことはたいへん遺憾なことで、そのこと自身が、口では物価安定を重点としておられると言うけれども、実際は軽視をしておられるということの証拠ではないかと私どもは思いますけれども、時間がありませんので、次へ移りたいと思います。  いまの問題に関係をするわけでありますが、独占企業の生産する商品の製造原価を調査をする必要があるというふうに私どもは思うわけなんです。たとえば、先ほど来問題にいたしました鋳物用銑鉄の製造原価は、専門家に言わしても一万三千円くらいじゃないかというふうにいわれておるわけです。長官は一体どう考えておられるか。これは経済企画庁で原価を調べるという仕事をできるのか、おやりになる気があるのかどうか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これは、もしやるとすれば、通産省なりあるいは公取なりを通じて実際上やらなければならないたてまえでありますが、いずれにしましても、いまのところ、そういう計画はもちろん持っておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 しかし、一万三千円の原価のものが三万円ぐらいで売られるということであれば、これはもうけ過ぎている。独占がそんなにもうける必要はないじゃないか。そこを下げれば、先ほど長官の言われるように物価にも影響を与え——物価を下げると言うのですから、そういうことをやらなければ、これは政府としては物価安定対策をやっているということにならないのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。重ねて伺いますが、そういうことを調査をするというお考えはもう今後とも、将来とも全くないのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 これはいずれにしましても、現在の行政の仕組みからいいましても、公取なり通産省なりが必要に応じてこれのデータというものを入手できますし、それによって結局判断をするということになりますけれども、実際問題として、もうけ過ぎているかどうかということの判断というものは、これは非常にむずかしいと思います。つまり全体の産業の中での相対的な問題なんであります。ある特定の産業だけをねらってどうという問題ではない。そういうことでありますから、たとえば早い話が鉄鋼業一つとりましても、それじゃ株価はどうかというようなことになれば、ほかにもっといいのがたくさんあるじゃないか、こういうような議論になるわけです。そういうこともありまして、なかなか実際問題としても、これは判断もむずかしいのであります。しかし、われわれとしても、もちろんこれについて無関心ではありません。ですから、たとえば今後物価安定会議なんかでも、そうした議題についてはやはり取り上げて、大いに専門員等もわずらわしてみたいと思いますけれども、しかし、それは一般的な議論としてできるのですけれども、具体的な行政的な措置ということになれば、やはり通産なり公取なりというものとよく打ち合わせをして、そうしてやりたい、こういうふうに思っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 わが党は、物価安定対策特別法を制定をして、鉄鋼だけではなくて、重化学工業の製品だとか大企業商品の独占価格を引き下げるというために、国会に必要な調査権を与えて、おもな独占的大企業に対する監査を行なって、独占価格を取り締まるという内容を主張しているわけであります。これについてもいろいろ議論をしたかったわけですけれども、時間がありませんので、一つお伺いしておきたいのは、その中で電気ガス料金については、このもうけがあまり大きいので、前経企庁長官の菅野さんも、昨年の十月十七日に電気ガス料金は引き下げるべきだという趣旨のことを言われたわけです。長官はどうお考えになります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○佐藤(一)国務大臣 電気ガス料金については、実は私もまだ十分には勉強はしておりません。菅野さんからも特別の引き継ぎがありませんでしたが、私は私なりにまたあらためて、そういう問題があれば検討してみたい、こう思っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほど来申しましたように、長官が、「生産性向上の成果を、その配分にあたって、価格引き下げにも充てるよう強く要望」するというのが、ここでの御答弁では、どうも精神訓話に終わりそうだ、ほんとうにやる気がないんじゃないかということに、私はたいへんな不安を感ずるわけです。いまの長官がいろいろお答えになったことを聞きますと、就任されてもう二カ月になりますのに、まだ緒にもついてないという感をきわめて深くするわけです。これでは物価を安定をさせることはできないんじゃないかというふうに思いますが、また議論をする機会もあろうかと思いますので、その点の指摘をいたしまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十六分散会

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