物価問題等に関する特別委員会 第4号
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- 開催日
- 1970/02/26
会議録
○松平委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
○武部委員 先日、公取委員長から、四十四年度における公正取引委員会の業務についていろいろ説明がございました。いずれ具体的に、各項目について委員長の見解を承りたいのでありますが、きょうはほかの件がございますから……。 第一点として、あなたがごあいさつに述べられました中で、第二点に再販の問題について触れておられるわけです。当委員会は、この再販の問題について相当長い間論議をいたしました。特に再販の抜本的な改正について、北島委員長の時代に非常に大きな改正を含んだ法案が提出されるという事態がありまして、私ども、この問題について賛意を表して、ぜひ国会でこれを承認をしたい、このように考えておったところ、いかなる理由か、この法改正が流れてしまいました。当時、北島委員長はその直後に辞任をされたわけであります。また、事務局長も相次いで辞任をされました。その後山田委員長になりましてから、再び再販の問題が爼上にのぼったわけでありますが、結果は洗い直しという程度にとどまって、今日を迎えたわけであります。 委員長の発言によりますと、一般の消費者の利益を不当に害することのないよう厳重に規制を加えていきたい、こういう一項目があります。私どもは、二十四条の二、こうした点を取り上げていろいろ論議をしたわけでありますが、現在の再販行為が、異常な物価高の今日、一体どのような地位を占めておるか、再販行為というものがいまの物価高にどういう影響を持っておると委員長はお考えになっておるのか、最初にこの点についてお伺いをいたしたい。
○谷村政府委員 最初に申し上げておきますけれども、はなはだ申しわけないことでございますが、私は就任いたしましてから三カ月ほどでございます。一生懸命、職務を遂行いたそうと思いまして、各般の勉強をいたしておるところでございますが、何ぶんまだ、そういう点では足りない点もあるかと思いますので、もしさような点がございましたら、容赦なくひとつ御指導、御教示をいただきたいと存じます。 さて、いまの再販の問題がまず物価、特に消費者物価の中でどの程度の意味を持っておるかというと、これの評価はいろいろございましょうし、また、いわゆる物懇あたりでもその問題を指摘しているところでございますから、消費者物価上昇あるいは消費者物価問題を見る上において、一つの要素にはなっておるものと私も思います。ただ、今日の消費者物価問題というもののいろいろなつかみ方と申しますか、評価のしかた、これについてはもっともっといろいろな他の要因があろうかと思います。私どもの立場からは、いまの物価問題に対して有効な競争条件を整備しておく、それによって需給関係、あるいはその他もっと広い意味でいってもいいのですが、公正な価格形成ができるということに私どもの立場は立っておるのでありますが、これに対して、いわば再販維持という形は一つの例外をなしておることは、御指摘のとおり事実でございます。そのことが消費者物価の上昇というものにある程度の役を買っておるのか、あるいはいわゆる下ざさえとなっておるのか、どの程度のウエートを持っておるか、これを具体的に申し上げることは、なかなかむずかしいかと思います。
○武部委員 あなたのお述べになった再販のこのあいさつの中では、非常に抽象的でありまして、この中から、再販というものに対して公正取引委員会が今後どのような姿勢で取り組むかということを、ちょっと理解できにくいのです。非常に短い文章ですからそれはなかなか困難だと思いますが、いずれにしても今日再販行為があり、同時にやみ再販が現実にある。それはあとで申し上げますが、すでに審判が行なわれておる。そういう事態から、私は、この再販というものがいまの日本の消費者物価の中において非常に大きな影響を持っておる、このように見ております。また、これに隠れて各種の行為が行なわれておる。したがいまして、公正取引委員会は、今後この再販行為について抜本的に検討をされる意思があるかどうか、それとも、前委員長がやったような洗い直しのそういう程度で今後も済まされようとするお考えなのか、この点について、ひとつお伺いしたい。
○谷村政府委員 公正取引委員会という一つの行政官庁でございます。そしてそれが、たとえば委員長がかわったからといって、すぐにその仕事のしかたが変わったりなんかするということではない。一つの組織体としての行動をとるわけでございますから、そこにはある程度行政の連続性というものがあるはずであろうかと、一方では思います。しかし一方では、どんな問題でも、常にこれでいいのだろうか、こういうやり方ではたして適切だろうか、正しいだろうかという疑問を持ち、それに対してどういう対策なり考え方をとっていったらいいかということは、これはそれぞれ、その時点において責任ある方々が当然考えるべき問題だというふうに思います。そういう意味で北島委員長も、また山田委員長も、それぞれの時点に立ってよくお考えになって、いろいろやられたことだと思います。 私は、実はこの問題につきまして、過去の経緯あるいは立法当時の考え方、それから、いろいろととられてきました問題のスポットライトの当て方、そういったものについて、短い期間ではございますし、いまここにおいでになる委員の方々のお持ちになっておるほどの十分な知識、経験を持ち合わせませんけれども、しかし、私なりに勉強してみましたが、いまのところ、直ちに前委員長がとっておられた方針をひっくり返してしまうというところには、私はいっておりません。すなわち、申しますことは、いまやろうとしておること、前委員長が言われたこと、それはそれなりにそれとして、私はしっかりやっていくべきものだと思っております。しかし、それでいいのだと言い切れるかどうかとなりますと、私は再販ということの実態、意味、そういったことについて、もう少し勉強さしていただきたいと思うのです。
○武部委員 それならば、この問題についてはいずれあらためて、私は具体的な品名、事実をあげてお伺いをいたしたいので、これ以上申し上げませんが、実は前委員会で私が資料要求をした、この再販に指定をされておる薬品のリベート、マージン、現品添付の一部を、私の手元に資料として提出をいただきました。特売というケースであったにしても、一〇〇に対して現品添付が一〇〇というような事例があることもはっきりいたしたわけであります。リベート、マージン、現品添付で七割以上こういうものがあることも、現実に公正取引委員会はつかんだはずであります。こういうような具体的な問題が実はあるのです。したがいまして、私は再販問題については、そうした問題を具体的に指摘をして、あらためて次回に、この問題について委員長の見解をお伺いしたい。 なお、管理価格の問題もお触れになりましたが、これはあとで同僚委員から触れますから、私はこの問題を省略いたします。 そこで、現在公正取引委員会が審判を係属中のものは一体何件あるか、そうしてその審判は、一番長いのは何年かかっておるのか、そうしてその審判が、なぜこれだけの長い時間がかかるのか、その原因は一体何か、また、このように審判が非常に長引くということについて、これでいいとお考えになっておるのか、この点についてお伺いいたします。
○谷村政府委員 ただいま審判手続中のものといたしましては、五件あると思います。
○武部委員 松下のやみ再販は何年かかっておりますか。
○谷村政府委員 審判開始決定が四十二年八月でございますから、二年半ほどになるかと存じます。
○武部委員 その結論は、大体いつごろ出る予定ですか。
○谷村政府委員 私は、就任いたしましてから、こういった問題についての経過も伺ったわけでありますし、また、かなり膨大ないろいろな資料も拝見して、担当者に、また従来からやっております委員の方に、その趣、進めぐあいのことが、先生と同様たいへん気になりましたものですから、伺ってみたのでありますが、いつというふうにいま申し上げられる段階ではなくて、まだ最終的な審決案の作成段階であるという状況でございます。
○武部委員 五件が、非常に長い期間かかっても、いまだに結論が出ない。あとで申し上げますが、四十二年の七月に問題になりました牛乳審判は、先般ようやく結論が出たようであります。このように非常に長い期間かかって審判が行なわれるその原因は一体どこにあるか、これは人員の不足なのか、それとも、相互に皆さんが、それぞれの立場からそれだけの資料の収集も必要でしょうし、そういうためにそういうことになるのか、これだけ長期にわたる原因は一体何なのか、どのようにお考えでしょうか。
○谷村政府委員 私もまずそのことを、いろいろ中で聞いてみたわけでございます。特にいまのカラーテレビの関係等につきましては、一つは参考人といいますか証人と申しますか、そういうことでたくさんの人が出てまいりまして、その人たちの話を聞くのも長かったのでございましょうけれども、実はそういうことに手間どったということは、すでにある程度終わってしまっているわけでございまして、むしろそれからあとの、それだけの膨大ないろいろな問題点をどう正確に——と申しますか、あるいはもっと別のことばで申し上げれば、かりにさらに訴訟事件になった場合にでも、十分に証拠力を持って当方の立場を詳述することができるかという、そういう論理構成、証拠の採用、そういった問題についての整理がやはり非常にむずかしいようであります。私がちょっと両方のいろいろなのを見てみましただけでも、供述人と申しますか参考人の話が、あっちとこっちで非常に食い違っておったり、そういう事実を言った覚えはないとか、いや、ああいうときああいう話があったとかいうふうな、一つ一つの具体的な問題になってまいりますと、なかなかそういう整理の問題がたいへんなのであろうというふうに私は思っております。それから、全体としての一貫した論理づけといったようなこと、それも大きいと思います。
○武部委員 なるほど、そういう点もあろうかと思います。しかし、現実にあなた方が立ち入り検査をし、調査をし、そうしてこれを摘発し、審判にかける、これは非常に重要な問題です。特にこれは価格問題ですから、そういう点について、二年半たっても三年立っても結論が出ない——あとで私は具体的に言いますが、そういうようなことであっては、これは国民として、公正取引委員会についての信頼というものは非常に私は薄れると思うのです。そういう点で、何か審判のあり方について改善の方法等でもお考えになっておるか、これは審査官の増員等、この間もちょっと出ておったようですが、足らないとか、かけ持ちをするとか、相手の弁護士がなかなか出てこぬとか、いろいろな話もあったようですが、改善について何か公正取引委員会としてお考えになっておるか、それとも、しかたがない、いまの現状はどうにもならぬのだというふうにお考えでしょうか。
○谷村政府委員 もちろん、これは改善しなければならないと思っております。いまの現状でしようがないのだというようなことは考えておりません。私もその点について、はなはだ及ばずながらではありますけれども、今後委員の各位及び事務局の者とも十分にポイントを探るようにいたしまして、御指摘のような、いわば国民の不信を買うことのないようにいたしたいと考えております。
○武部委員 そういたしますと、今度は具体的な問題に入るわけですが、独禁法第六十七条に「裁判所の緊急停止命令又はその変更・取消」、こういう項目がございます。この内容には、十五条の一項、合併の制限とか、あるいは十九条、不公正な取引方法の禁止、こういう問題があるわけです。こうした緊急停止命令を、現実に公正取引委員会は発動されたケースがたしかあると思うんですが、それはどういうケースですか。第何条に基づいての発動ですか。
○谷村政府委員 いま例をあげられました、たとえば十五条関係では、この前富士・八幡の合併問題のときに申し立てをいたしました。もちろん、緊急停止ということにはならずに済んだわけでございますが、過去に、申し立てまして、そうして申し立て理由ありとして裁判所の決定を受けました件は、たしか四つあったと思います。そうして、それはいずれも、いわゆる十九条によります不公正な取引の問題であったと記憶いたしております。十九条以外のものはたしかなかったと思います。
○武部委員 お答えのように、十五条の一項と十九条の不公正な取引方法の禁止に基づいて、数件緊急停止命令を要請されたことはあるようですが、私がお伺いをいたしたいのは、それならば、「私的独占又は不当な取引制限の禁止」というこの第三条をめぐっては、今日まで公正取引委員会は緊急停止命令を要求されたことはなかった、そのように理解できるわけです。そうですか。
○谷村政府委員 そうであるように私も思っております。
○武部委員 それならば、第三条の「私的独占又は不当な取引制限の禁止」これについて、いままでにそういう事項が全然なかった、このように公正取引委員会はお考えですか。 さらにお聞きしたいのは、第三条の私的独占の禁止、これは前段。後段の不当な取引制限の禁止、これについて、それならば、どういう事例が当てはまるような事例になるだろうか。しいていえば、むしろ私のほうから申し上げれば、実は牛乳審判が問題だと思うのです。これは御承知のように、非常に長い期間かかってこの審判が続けられました。私どもは当委員会で、昭和四十二年の春この問題が起きたときから、これを取り上げたわけです。そうして、今日ようやく審判が出た。これは当然、この第三条後段の、不当な取引制限の禁止に該当すると思うのです。そのようにお思いでしょうか。
○谷村政府委員 牛乳事件その他、カテゴリーといたしましては、要するに競争制限を組合員等について組合がやったことになりますから、不当な取引制限、競争制限ということになると存じます。
○武部委員 そういたしますと、この第三条の後段、この独禁法の第三条と第二条、これが関係があるわけですが、時間の関係で私のほうから先に申し上げておきたいのですが、六十七条と第三条との関係について、取引委員長はどういうお考えでしょうか。
○谷村政府委員 これは、三条と申しますよりは——三条でもございますけれども、もちろんそこにもございますし、六十七条に引用いたしておりますが、さらにいろいろ実質的に一定の取引分野において競争を制限する行為というのは、ここにも引いてございますが、たとえば八条一項、「事業者団体は、」たとえば「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」をしてはならないというような、それも引いております。それからあとは、いわゆる一つの事態が生ずること、たとえば会社が合併することとか、あるいは会社が持ち株会社になることとか、そういう一つの組織態様ができますこと、そういうことに関しても触れております。そして、いま六十七条は確かに、競争制限といったような不当な取引制限の問題あるいは不当な拘束の問題、そういったことにもやっているのでありますが、私の理解するところによりますれば、これはまだはなはだ未熟なもので、私がただ頭の中で考えていることだけだと御承知いただきたいのですが、独占禁止あるいは公正取引の確保に関する法律のいわば内容というのは、大きく分けて二つになるのだと私は思います。 一つは、いま申し上げました、一つの態様ができ上がること、あるいは組織と申しますかそういう形ができ上がることを、何とかそれを競争制限が行なわれないようにしておこうという、そういう問題が一つございます。それから、一方では、いわゆる競争条件を維持するという立場から見て不当な行為、行ない、まあ英語を使うわけでもありませんがビヘービアと申しますか、そういう動きを、あり方をと申しますか、何かこう取引の姿や何かを押えようという問題と、こう二つあると思うのでございます。 そして、六十七条の緊急停止命令が実効を持ちますところは、一つの形ができ上がってしまう、たとえば不公正な取引でどんどんやっつけていく、とうとう相手がつぶれてしまう、そういうような事態が起こってしまってから一体もとに戻せるかというふうになると、それはなかなかもう戻せない。あるいは、もう合併ができてしまう、それでは困るというふうなときに、その緊急性ありという考え方をもって申し立て、差しとめと申しますか、緊急停止命令をお願いするということに一つの意義があるかと思いますが、もう一方の、いわば競争条件を契約とか協定とかによって一時維持して——維持じゃありません、むしろ実質的に拘束を加えちゃったりなにかしているこの行為、これはその協定なら協定というものが破棄されれば、それでその事態はまた解消して、競争、拘束のない状態に戻る。そういう意味において、必ずしもその問題を、常に緊急に停止命令をかけなければならぬかどうかということについて、停止命令までかける緊急性はない、もとに戻ればそれでいいのだ、そういう考え方が従来ずっとあったように、私は勉強したときに聞いたわけでございます。 ですから、六十七条と三条との関係はどうかというときに、当然のことながら、緊急にその必要があれば、そういうことをすることは、法律上当然だと思います。 ただ、従来は、その緊急性と申しますか、もちろん独禁法に違反していることは前提でございますけれども、緊急停止命令をお願いするその緊急性がはたしてあるかどうかという点に、法律の厳正な執行の問題として、法の目的とするところをこえてあえてやるかやらぬかというような問題があったために慎重であった、こういうふうに私は聞いております。
○武部委員 そうすると、過去において第三条後段の、不当な取引制限の禁止に触れるものがあったとしても、それは第六十七条に基づいて、裁判所、高裁に対して、緊急停止命令を要請すべきような内容ではなかった、そのようにお考えなんですか。
○谷村政府委員 もちろん、緊急停止命令をかけるべきかどうかということを検討したことはあると思います。しかし、それがはたして緊急停止命令までかけなければならないような事態であるかどうかという点を考えたことと、第二に、緊急停止命令をかけるということの意味、すなわちその意味は、そのような違反の行為を差しとめることをお願いするわけでありますけれども、違反行為というのはいわば協定していること、拘束していること、それを差しとめるということでありまして、そのことがはたして一体どれだけの効果を持つかというようなことも議論したようでございます。
○武部委員 ちょっとよくわからぬですが、そういたしますと、不当な取引制限の禁止に該当するようなケースというのは、どういうケースが想定できますか。いままでは全然ないのですから、おやりになっておらぬのですから。
○谷村政府委員 おっしゃる意味は、不当な取引制限であって、しかも緊急停止命令をかけなければならぬようなケースはどんなものがあるだろうかということでございますね。
○武部委員 そうです。
○谷村政府委員 私もそういうふうに考えてみたわけでございます。六十七条ではちゃんと引いているわけでございます。たとえば商業組合が組合員を全部拘束して価格をやったというふうな場合に、それはまさに八条の違反でございまして、八条の違反でも六十七条の緊急停止命令はやれることになっておりますから、おっしゃるとおりやれるものなんでございます。ただ、どういう事態がそうかということになりますと、従来の場合はそこまでまだいかない、こう考えたのだと思います。将来どういうのが出てくるかということは、私もまだそこまで、いろいろなケースをよく存じておりませんので……。
○武部委員 なるほど、あなたの前任者の時代のことですから……。それですと、四十二年八月二日の当委員会で、やめられた竹中公取事務局長と私と牛乳審判のことについてやりとりしたときに、竹中事務局長は、緊急停止命令の要請を考慮するという答弁があったわけです。それははっきり言えば、回復しがたい利益を守るためには、私はそういうことをしなければならぬじゃないかという点について公取の見解を求めたわけですが、初めて緊急停止命令ということをおっしゃったわけです。結果的には、そういう高裁に対しての要請はなされずに終わってしまいました。そうした牛乳の値上げが、業者の協定によって一斉にやられた。そのことについて、いままでの経過からいえば、審判が二年も三年もかかるんだ。だとするならば、当然この第六十七条に基づいて緊急停止命令を要請すべきではないか、公取の中でも、現実にそういう意見があったのです。ところが、どういうわけか、それがなされずに済んでしまった。その後山田委員長に対して、審判の非常に長引くことについていろいろ意見を述べたところが、こういう牛乳の値上げ等についての緊急停止命令はなじまない、そういうことばが出たんです。なじまないのでできにくい、こういう答弁でした。そのなじまないというのはどういうことか私はわかりませんが、そのために先般のような、三年もかかってようやく審決が出た。審決が出たけれども、現実には、この牛乳の二円の値上げというものはもとに戻らないわけですね。もう上がったままで、次はまた上がっておるのですから。そういうことでは、この審判の結果というものに対して国民がどういう考え方を持つだろうか。何年もかかってたいへんな大騒ぎをしておったが、結果的に、その協定は違反だというふうに公正取引委員会が審決を下したって、実効は何もないじゃないか、こういう気持ちを、あの新聞記事を見てみんなが持つと私は思うのです。それならば、当然、高裁において裁判で争うために、この第六十七条を発動して緊急停止命令を要請し、堂々と相手と裁判の上において争う、こういうことをおやりになるのが、少なくとも私は公正取引委員会としての役目ではないだろうか、こう思うのですが、これについてはどうお考えでしょうか。
○谷村政府委員 私はこの問題を勉強いたしますときに、やはり詳細に武部委員と前委員長との間のやりとりと国会の速記録などを見て、私は私なりに、現在の独禁法の運用がこれでいいのだろうかどうだろうかという疑問を持たないわけではないのでございます。当初申し上げましたとおり、何のためにこういう法律があるのか。それから、公正取引委員会のただいまやっております、たとえば協定なら協定を破棄するように勧告し、勧告が聞かれなければ審判になり、またその審判が時間がかかる、こうなっている。一体勧告というのは何を勧告しているのか。それから、かりに差しとめ命令といいますか緊急停止命令を出すとすれば、何を一体停止命令するのか。それからまた、協定の中身というものは一体どういう意味のものとしてやっているのか。それから、かりに協定があるということあるいはなしということ、それから俗なことばで申しますれば、協定はないけれども、何となくお互いにわかっちゃったというようなことでやっているような仕事、そういうこと。それからまた、協定が審判になっておろうとなっておるまいと、牛乳の値がかりに上がる、人件費等がかりに上がってきたときに牛乳の値を上げなければならないというような事態が起こってくること、そういうふうなことと公正取引委員会のやっていることとは、一体どういう関係があるのだ。それは率直に申しまして、私は私なりの疑問を持って考えたわけなんであります。 そして、確かに私どもが、値上げ待て、そういうものの言い方が端的にできるならば、それはまた一つのあれでありまして、値上げということがむしろ不合理なんだとかおかしいぞとかいう話として、値上げそのものにストップをかけるという権能が——そういう法律がいいかどうか別といたしまして、かりにあるならば、それはまたあれだと思いますけれども、いま公正取引委員会に与えられている権能は、協定していろいろなことをしてはならない、こういう共同行為を禁止しているわけなんです。その共同行為ということを破棄させるということ、あるいはお互いがお互いを拘束するということを破棄させるということと現実の値上げの問題とは、これは一体どう結びつくのか、この辺は正直に申しまして、私は自問自答したり、内部で議論しているということは、これは事実でございます。 しかしながら、この間のような問題が起こったときに、結局なぜ緊急停止命令ということが発動できなかったのかという問題、それを私はいまここで十分に御説明申し上げるだけの確信と申しますか、自信はまだ持てません。 なじまないということばもはなはだあれでございますけれども、そういう説も確かにございます。それから先ほどおっしゃいましたように、それじゃ一体全然関係ないのかといえば、価格を引き上げたというような問題のときにはなじまないという考え方かもしれないけれども、たとえば、それでもってみんなの生産を制限してしまったりなにかしてしまったという、いわゆる生産制限カルテルのようなことをやったようなときには、これはそういう一つの状態を破棄させる——状態を継続させるために何をやっていたかといえば、それはお互いの申し合わせでやっているわけですから、それじゃその拘束を解けばその状態が解けちゃうわけですけれども、そういう一つの状態が継続するというのにはやれるじゃないか、そんなことを言っているのもございます。 しかし、それじゃ生産制限の場合と価格引き上げの場合とはどう違うのかということになりますと、生産制限というのは一つのやはり状態でありましょう。それから価格を引き上げるということは、引き上げた結果が続くという状態がございましょう。しかし、生産制限をずっと維持させているという拘束と、それから、二円なら二円上げようじゃないかというその申し合わせをしたこととは、何と申しますか物理的な条件において多少違うのじゃないか、こういうことも考えられます。 いろいろなことを申しましたが、正直のところ私自身も、よくいろいろ考えてみなければならぬ問題だと思っているところが実際でございます。
○武部委員 いまの点が実は問題なんです。共同行為については独禁法上確かに取り締まる。値上げについては、それをストップさせるだけのあれがあるのかないのかということについて非常に微妙だ。そうして第三条の問題について緊急停止命令を発動できなかったというところに、私は問題があると思うのです。そういう論争をやってきたけれども、なかなからちがあかなかった。あかなかったところへもってきて、現実に牛乳の審判が出てきたのですね。国民の側から見れば、一体何のことだいということになるのだ。したがって、いまの法の解釈やあなた方の運用で一体将来いいのだろうか、こういう点について非常に疑問を持っておると私は思うのです。その疑問に答えなければならぬと思う。ですから、きょうこれ以上のことをやっても——私も、あなたよりもまだわからぬのです。わからぬが、国民の側に立てば、何らかの形をとらなければだめじゃなかろうか。また同じことをこの次にやって、三年先に審判が出たらまたどんどん上がっておった、何のことだい、こういうことになる。ですから、こういう点については、公正取引委員会においては十分に御検討いただきたいし、私どもとしても、法の不備があれば、あるいは運用の面において何かいい方法がありはしないかということを考えてみたいと思うのですが、新しく就任された公取委員長の見解を承っておきたかったのです。いままで六十七条で、十五条やあるいは十九条の緊急停止命令は確かにありました。ありましたが、現実の問題として三条はないのだということについて、私は多くの疑問を持っておるのです。ですから、これはまた後日あらためて問題にして議論をしてみたい、こう思うのです。 事務局長はおいでになっておらぬようですが……。
○谷村政府委員 事務局長は、ちょっと所用あって、私出張を命じました。失礼いたします。
○武部委員 最後に、独禁法第六条第二項国際契約の問題です。 前回私はここで、外資法の違反の問題といまの国際契約に基づく第六条第二項の公取に対する届け出の問題について、公正取引委員会に御質問いたしました。そうしたところが、事務局長は、いまさがしておる最中だ、こういう話だったのです。御承知のように、国際契約を結んだときには三十日以内にこれを届け出なければならぬ、こういうふうになっておるわけですが、あの問題はその後どうなっておるのか、これをちょっとお伺いしたい。
○谷村政府委員 あの問題は、たしか御答弁申し上げた翌日に、俗なことばで申し上げれば、あわてて届け出がございまして、その届け出は受理いたしました。それから、その契約そのものは、実はもうすぐ期限が切れる契約でございまして、また新しい契約が結ばれまして、その契約は、成立とともに、三十日以内の所定の時間に届け出がございました。 そこで、前の届け出がなかったということに対する処置をいかにすべきかという問題があったのでございますが、公正取引委員会のほうといたしましては、たしか始末書を徴求いたしまして、今後かかることのないようにということを厳重に申し渡して処分いたしたと思っております。
○武部委員 あなたのほうも、やはり農林省と同じようなことをやっているのですよ。私が質問したのは九月十日だったのです。九月十日のときに、事務局長はさがしてみますと言った。よく聞いてみたら、あくる日の十一日に、いまあなたがおっしゃったように、あわてて持ってきた。これはコカ・コーラが十一日に持ってきたのですね。日本ペプシコーラは、たしか九月二十二日になって公正取引委員会に持ってきているはずですね。これは一年半以上にわたって届け出をしていないのです。それならば、独禁法の七十三条に「公正取引委員会は、この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならない。」こういうふうになっておりますね。そういうことはおやりになっていない。ただ単に始末書を取って済ました、こういうことなんですが、そのとおりなんですか。
○谷村政府委員 何ぶんにも国際契約の関係では、従来もできるだけそういうことは円滑に履行していただきたいと思い、またそのために、いわゆる必要なPRもしておったということなのでございますが、十分徹底しておらなかったためにそれを怠っておったものがあって、まことに残念だと思います。そういう意味で、もちろん法律のたてまえからいえば、違反したならば、これは厳重に法の定めるところに従って処分しなければならないということもございましょうし、また、それが悪質なものであり、当然知っておりながら隠しておいてやれとかいうふうなことであれば、何のために罰則をもって届け出を担保しておるかという問題になりますから、これは当然でございましょうが、しかし、情状によりましては、将来を十分に戒めて間違いのないようにということで指導をしてまいることも、これもまた法の一つの運用であろうかというふうに思いまして、また、そのことがかえって、届け出を怠ったためにもうこれは罰がくるんだということで、みんながおそれをなしてしまうというのも、これもちょうどたての両面でございますが、これはケース、ケースによって判断すべきことかとかように考えております。決して法の執行をおろそかにするとか厳正にしないという意味ではございません。
○武部委員 この両社は、いずれも一〇〇%外国資本ですね。そういうマンモス企業が、独禁法なんていうものはあってもなくても知っちゃいないというような態度とするならば、これはたいへんなことなんです。ですから、外資法違反について、農林省もあの当時始末書を取って済ましたという程度で、始末書の内容も私見ましたが、全くなっていない。こういうことについて、公正取引委員会は独禁法の第七十三条のことはおやりにならぬ、ただ始末書を取って済ませる、こういう運用であってはならぬと私は思うのです。ただうっかりして忘れておったというようなことでは済まされぬわけです。ですから、あなたがおっしゃるように、もうすでに期限も切れてしまって、新しいものはおそらくそれぞれまた提出されておるでしょうから、それはそれとして、このようなことの万々ないように厳重に、外国資本だからといって遠慮することは何もないのですから、独禁法の運用に基づいてひとつ厳重な規制をやってもらわなければならぬ、こう思います。これはただ、さがしておるとかいうようなそんな答弁で済ませるような考え方は——私は、事務局長がそういう答弁をしたからおかしいと思ったのです。ないならない、あるならあるで、はっきり言えばいいのです。いかにも九月十日の日には、あるかもしれぬ、ないかもしれぬというようなわけのわからぬことを言って、さがしております——さがしてみると言ったあくる日、ちゃんと持ってきているのです。あなた方が連絡をとらなければ持ってくるわけがないのです。そういうことをあなたたちが裏でやって、そうして始末書で済ませるというようなことは、今後厳重に慎んでもらわなければならぬ、こう思います。
○谷村政府委員 先ほど申しましたように、法律を法の目的に従っていかに実効あるように運用していくかという立場から、私どもは考えてまいりたいと存じます。外資系であるとか外資系でないとか、民族資本であるとか、そういうことで特に区別するということではないと思います。
○武部委員 それでは、公正取引委員会については同僚議員の質問があとでございますから、私はこれで終わります。 次に、きょう初めて総理府の統計局長においでをいただいたわけでありますが、実は当委員会でも何回か、消費者物価の指数の問題について論議をしたことがございました。総理の施政方針演説や企画庁長官のあいさつの中にも、消費者物価の動向について、数字をあげて御説明がございました。また予算委員会でも、今後の消費者物価の見通しについていろいろ論議があります。 私がきょうお伺いをしたいのは、この消費者物価の指数の真実性といいましょうか、こうしたことについて、当委員会で、当時の宮澤企画庁長官とこの問題についていろいろやりとりしたときに、総理府統計局がやっておる物価指数のとり方については根拠がある、このように思う。ですから、それを一応信用しておるのだ——ただ国民の側から見れば、この異常な物価の上昇が、四%だ、四・八だというような数字で、政治の場で解決されるということに非常に大きな不満を持っておる。というよりも、何かそこに数字の魔術があるんじゃないか、いわゆる庶民の感覚からたいへん離れた論議がなされておるじゃないかという声を、私どもはたくさん聞いてまいりました。したがいまして、消費者物価の指数というのは、現行おとりになっておる三百六十四品目のこの品目の内容にあるのか、それともウエートのとり方にあるのか、こういう点についていろいろ疑問を持つわけであります。 そこで具体的にお伺いをするわけであります。 まず、現在三百六十四の品目を、全国どの程度の商店について、どういう方法で調査をされたのがあなた方の数字となってあらわれるのか、最初にそれをお伺いしたい。
○岡部(秀)政府委員 まさにおっしゃるとおりに、物価指数をつくりますときに、品目のとり方、ウエートのとり方をどうとるかということは、これは一番問題ですし、私たち物価指数を作成する者にとりましても、絶えずこれを研究をいたしておる重要な問題だと思います。その面で、総理府統計局で現在採用いたしておる品目は三百六十四品目、この三百六十四品目をどういうふうにしてきめたかということについて、これは全国の八千世帯、層化三段層の無作為抽出でやっております。ですから、これには作為はございません。その意図は、全家庭が消費しておる品目、それの代表、これを選ぶことによって全国の全家庭を代表できるという品目は一体何なのか、そういう点で選ぶわけであります。これには恣意を全然加えない八千世帯の家計簿を実際につくらせまして、そしてそれを全部集計し、平均をいたしまして、その比重の大きいものからとっていくということで、三百六十四品目というとり方をいたしておりますような次第でございます。 この三百六十四品目が多いか少ないかという問題がいろいろあろうと思いますが、この点で、日本の三百六十四品目というのは非常に多い数字であるということを申し上げれば御了解ができると思うのですが、百三十国の調査をいたしてみましたら、三百以上の品目をとっております国が十二カ国、それから二百から三百までの品目をとっております国が二十五カ国、二百未満が九十三カ国、こういう状況でございます。数字で申しますと、アメリカが三百九十八品目、イギリスが三百二十九、フランスが二百五十九、西ドイツが四百二十九、こういう状況でございます。そういたしますと、日本の三百六十四品目というのは、品目をわりあい多いほうのとり方をいたしておるということが言えると思います。 この品目は、さらにわれわれの家計調査の実態をよく検討いたしまして、できるだけ全家庭を代表できるという品目を選ぼうと思っております。 それから、価格を調べます店舗につきましては、全国の二万店舗を対象といたしておる。町村は百七十市町村にわたりますところの二万店舗につきまして価格をとっておるという状況で、これも無作為に抽出をいたしまして、店を選ぶについては、そういう意味での全国を代表できるような価格の店を選択いたしまして、その店で調べておる、こういう状態でございます。
○武部委員 それは毎月一回でございますね。
○岡部(秀)政府委員 価格の調査につきましては、毎月の十二日を含みます週の水木金というのを採用いたしております。これは月末だと高くなるとか、いろいろ長い間のわれわれの調査の結果から、月の十二日というところ、それで水木金、まあ日曜などはあるところでは廉売になったりするので、そういうところで調べております。そのうち、生鮮食料品、野菜、くだもの、鮮魚等は、値段が日によって非常に高低がございますので、その点研究いたしました結果、最近こういうことをやっております。三旬——前は一旬でございますが、三旬にいたしまして、上旬、中旬、下旬、上旬が五日を含むところの週の水木金、それから下旬が二十二日を含むところの週の月水金、これを平均いたしておりますと、大体月全部の平均で標準的なところが出るんじゃないか、こういうふうに考えております。
○武部委員 そうしますと、生鮮食料品については上、中、下旬と、前と違って三回の価格の変動をとっておる、その他の耐久消費財等については従来どおり一回だ、ということですね。わかりました。 そこで、前回の消費者物価指数のウエートと品目の改定があったのは四十年でしたね。五年ごとにおやりになっておるということですが、私のほうから見ると、こうした急速な高度成長の経済のもとで消費構造が非常に変わってくる、変化が非常にきびしい、こういう時代で、はたして五年ごとのそういう改定で実態がほんとうに反映されるだろうか、こういう点について疑問を持つのです。なるほど、昔はそれでよかったかもしれぬ。しかし、いまはもうそういう時代じゃない。そのときに、五年間というような経過を経てウエートなり品目なりを変えていくというようなことでは、事実を反映しないんじゃないだろうかという気持ちを持つのですが、これについてあなたのお考えはどうかということと、外国の例をひとつお伺いしたい。
○岡部(秀)政府委員 まさにこの基本の基準時をいつにするかという問題も、学者の間で、また私ども統計行政を実際にやる者の間で、いつもいろいろと議論をいたしております。おっしゃいましたように、国民生活が安定して変化がないというなら、十年でも二十年でもよろしいということが言えますけれども、消費構造が非常に変わっておりますところの国、状態では、その点ではおっしゃるとおりに五年が長い、あるいはもっと変えたらいいじゃないか、あるいは一番よく反映するには毎年基準を変えていくようにしたほうがいいじゃないか、こういう議論を、私たちも実は繰り返しいつもやっておる次第です。 その点について、では、どうして日本の国が五年ごとというふうにしておるかという理由につきましては、一つは、卸売り物価指数あるいは生産指数、賃金指数など、他の経済指数がございますので、そういうものと基準時を合わせるということが一つございます。それで、統計審議会で基準時をきめるときに、そういう観点を一つ頭に置くべきであるということで、これらと合わせるという点で、いままで昭和三十年、三十五年、四十年、四十五年と、こういうふうに五年ごとにウエートを変えてきている一つの理由です。 それからもう一つ、国際的にも、国際連合の経済社会理事会の統計委員会というのがございまして、そこでも、基準時改定についてはいろいろあるだろうが、少なくとも十年ごとに行なうという必要がある、また五年ごとに行なうことがより望ましい、こういうふうなサゼスチョンもあり、国際統計上いろいろ比較をやりますのに便利である、そういう点が一つございます。そこで各国の例を見ますと、アメリカが十年でございます。それからイギリスが、これは一番ひんぱんに変えて、毎年やっておるという状況です。それからフランスも十年という状況でございます。しかし、イギリスとかスウェーデンなどの二、三カ国を除きますと、各国とも大体毎年というやり方はいたしておりませんで、大体わが国のような状況をやっておりますのが、百三十カ国中で百二十五カ国という状況でございます。 それからさらに、その点でいわゆる毎年変える連鎖基準指数というのと、五年ごとに変えておる日本の国のような方式と一体どういう差があるだろうかということについて、私たちもこれを試算をしてみた例がございます。それを申し上げますと、東京について試算をいたしましたら、昭和三十年を基準にして四十四年平均の結果を五年ごとと、イギリスの毎年基準時を変える連鎖基準指数というのをやってみますと、日本のやり方でやりますと一八一・二という数字でございます。それから、英国式のでやりますと一七六・九こういうことで、この指数同士の差を見ますと、十四年間で二・四というすこぶる小さい差で、そんなに差がない。しかも、毎年この基準時を変える連鎖方式というのは、非常に煩瑣でございますし、非常な経費がかかります。しかもその差はそんなにないということで、大体世界の情勢、諸国の状況、学者の考え方というのを考えると、五年というところがいいのじゃなかろうか、そういう考え方でございます。
○武部委員 イギリスの連鎖基準方式、それと日本のやり方については、いまおっしゃったように、長い目で見て計算をしてもそう差がないというようなお話でございますね。私は、これは専門じゃありませんから、いろいろと研究してみたのです。あなたの前任者、いまは青山学院大学教授ですが、元統計局長森田優三さん、この人が物価指数についてという論文をここへ書いておられます。これを読むと、ちょっとあなた方のおっしゃっていることと違うのです。はっきり言うと、いまの二十四年以降日本がとっておるラスパイレス方式、それを「この計算方式だと、基準時点から時日が経過すればするほど、ウエイトを決定している消費パターンが実情に合わなくなる。つまり、ウエイトが時代おくれになる」、こういうことをこの人は言っておるのです。森田さんの意見だと、やはりイギリスのような連鎖基準方式のほうが実は適当ではないか。そして、一番最後のところでこういうことを言っております。「現在の計算方式による物価指数に対する疑惑の最も大きい理由、そしてある意味で正当な理由は、ウエイトの基礎になっている消費パターンが、時間とともに時代おくれとなり、消費生活の実態を反映しないということである。連鎖基準方式は、この問題を最大限度に解決する。」ということをこの人は言っておるのです。これは四十二年です。 この人はそういうことを言っておるが、あなたのいまのお話を聞くと、これとちょっと違った現実が出ておるということになっておるのですね。ただ、これはちょっと長いものですから詳細には言われませんが、この中に出ておる数字の差は、あなたのおっしゃったのとちょっと違うのです。違うのですが、いまのやり方を連鎖基準方式に変える意思は統計局としてはないのか、それを統計審議会にはかる意思はないのか、これが一つです。つまり生活実態をほんとうに反映する——特に非常に急激な高度成長の中で、生活水準が変わってくる、消費経済が変わってくる。それを具体的に反映をするためには、五年ごとではぐあいが悪いのではないか、これが一つ。 いま一つは、アメリカでは、家屋の購入費を消費者物価指数の中に入れているわけですね。四十一年の十二月に第二次物価問題懇談会が政府に提言した中に、こういうことが書いてあるのです。「土地が信用創出の基礎となりうる以上、地価の高騰は信用膨脹の一因ともなりうるわけで、一般的な物価騰貴に地価上昇が及ぼした影響は無視できないであろう。」一般的な物価騰貴の一因として、この地価騰貴というものが非常に大きな要素を占めておるのだという提言を、第二次物懇はしておる。こういう点を考えて調査してみますと、四十二年には土地の値上がりは八・三、四十三年は一三・六、去年は年率二〇%土地は上がっておるのです。そういう点でアメリカは、住宅の購入価格が物価指数に入っておる。日本では、この土地あるいは住宅の購入価格、こういうものを新しく消費者物価指数の根拠として入れる意思があるか。それを検討するお考えがあるかどうか。また外国では、この点についてはどういうふうにしておるのか。日本は特にひどいですから、この点についてどうお考えですか。
○岡部(秀)政府委員 森田先生の所論、それにつきましては、実はそういう点での連鎮方式のほうを強く考えていくときには、そういう利点というのが非常に大きく出てくると思います。その点で、実は森田先生の御意見は私たちいろいろと拝見しておりますし、いまの論文についても、われわれ、それを中心にいろいろ先生とも議論をしたり、先生の御意見も伺っておる次第であります。その点で差を少なくするという点をずっと極端にというか、そちらのほうを強く考えるとそういう説が大きく出てきて、そして現在の欠点を強く出していくということになると、そういう面が非常にライトを浴びてくる、こういうことだと思います。その点で、われわれ森田先生の御意見も伺っておりまして、現状においては五年に一回ということでやっておりますが、しかし、これを現在よりもっとよくするにはどういうふうにしたらいいか、連鎖方式をいますぐとったほうがいいのか、あるいはどういうふうにしていったらいいか、こういうことは絶えず研究していきたいと思っております。 それから、家屋の問題につきましては、これはその物価指数をどういう範囲に限るか、どういう点にしぼるかという問題になってくると思うのです。そういう意味で、従来の日本の方式は消費支出、消費生活のための直接支出に限っておる、こういう点に重点を置きましたから、土地、建物の購入というのは入れておりません。地代、家賃は入れておるわけでございますが、これを従来入れておらなかったのは、それは結局消費じゃない、財産を買う、そういう観点が強かったわけです。あるいは投資とか、そういう意味で直接消費じゃないという考え方で、この消費者物価指数を作成しておる。 土地の問題につきましては、いまおっしゃいましたように、土地の値段がぐんぐん上がっていく、これが諸物価に影響を及ぼしたり、各家庭のいろいろな支出に影響を及ぼすということが非常に出てきているような状況でございまして、まさにそういう点におきましても、実は私たち自身もそれについていかが対処すべきであるかという見地に立って検討をいたしておりますが、土地については、各国とも含めておりません。最近の学者あるいは諸雑誌等で、含めているように書いているのもございますけれども、これは私たちが調べた結果によりますと、土地については消費者物価指数には入れておらない。住宅についてはいろいろでございます。持ち家住宅につきましては、半数の国で含めておる、大体そんなようなところでございます。 そこで、私たちもこれを研究をいたしまして、従来消費者物価指数の中では、借家については入っておるが、持ち家については入っておらないという欠点があるわけでございます。これをどうするかという問題で、そのやり方も国々で非常に違っておりまして、アメリカでは購入価格方式、買いましたらそれは消費とみなす形にいたしまして、購入価格でとっております。イギリスでは帰属家賃といいまして、もし同じ八畳が三間、四畳半が一つ、そういう家を借りた場合にはどのくらいの金を払うのかということで、それが一万円なら一万円というところで、これをそういうふうにして計算するというやり方。もう一つは、買った家を償却するとしたら毎月どれだけになるか、そういうふうな考え方で入れておるのがカナダの方式でございます。 それで、これはどういう方式で入れていくか、それについて、これまたいろいろな資料が要りますし、すぐというわけにはまいりませんけれども、私たちも何とか御要望のような点に沿いたいと思いまして、どういう方式でやるか、いま盛んに研究をいたしております。帰属家賃方式でやるか、これなら私のところで住宅調査をやっておりますから、そうすると、全国で八畳三間、四畳半一つという家を全部調べて——大調査で調べております。抽出ではありますが、調べておりますので、その平均をとりながらいろいろなやり方をとって、全国で平均して大体幾らになるか、そうすると八畳三間、四畳半一つの家の家賃は幾らで計算するか。そういうやり方でやることは、私たちのいま持っておる統計でもできるという目安がつきますので、ひとつ何とかこれを採用してみたい、少なくとも参考的に研究の結果を発表いたしたい、こう思っております。
○武部委員 投資なんということは、いまのわが国の現状から見て、それは誤りですよ。私はそう思うのです。いまのとり方は地代、家賃としてとっておりますね。それを一歩前進をして——あなたがおっしゃるように、外国でも半分くらいやっておるのですから。そういう点では、あなたがおっしゃったような投資なんというのは——直接消費です。そういうふうに見なければうそなんですよ。ですから、日本の国民から見れば、物価指数が何だかわけのわからぬ指数だというふうに思うのです。やはり生活とかけ離れたようなそういうことじゃなしに、日本の現状に合ったような、外国が十年でやっておるからわがほうは五年だ、または五年も多いからというようなことじゃなしに、そうした経済の流れといいますか、消費構造の変化というか、そうしたものにマッチするような指数を——ことしはちょうどその期限なんです。四十五年なんですから、十分検討して、国民が納得できるような一つの指数を出すようにしていただきたい。いまの御見解を聞きますと、従来のあり方にこだわっておられないようですから、ぜひそういう点について御検討をいただきたいと思うのです。 最後にもう一つお伺いいたします。これも当委員会で論議になったことですが、所得階層別の消費者物価指数を出したらどうだという意見が出まして、これは宮澤さんでしたか、それも確かに一考を要する問題だということをここでやり合ったことを、私記憶いたしておりますが、経済企画庁がやった五分位単位の所得階層別のがございますね。低所得者は生鮮食料品その他の支出が多い、これは明らかなことなんです。そういう低所得者層の具体的な消費者物価の指数というようなものを皆さんのほうではどういうふうにお考えになっておるか、いわゆる所得階層別の消費者物価の指数はどうなっているか。 それから、最初のときにお聞きいたしました生鮮食料品の値上がり、これは毎月いつでも、一般の消費者物価の指数はたとえば四・八五なら四・八五、生鮮食料品については二〇%なら二〇%、一五%なら一五%という数字が、あなたのほうではばっと出てきますか。
○岡部(秀)政府委員 階層別の消費者物価指数につきましては、これは私のところで現在つくっております。年間の所得者、これを五階級に分けまして、それぞれの消費者物価指数を出しております。 四十四年平均の結果をお話し申し上げますと、四十年を一〇〇といたしますと、一番収入の低い第一階層一二〇・二、第二階層が一二〇・四、第三階層が一二〇・九、第四階層が一二一・六、一番収入の高い第五階層が一二二・三、こういう状況でございます。 これを通覧いたしますと——実は私たちも、低所得者層のほうが非常に影響を受けているのではなかろうか、高いのじゃなかろうかと思っていたのですが、大体そんなに差がない。これは一体どこから出てきているのだろうかということを見てみますと、低所得者層で見ますと、これは食料関係がウエートが大きいわけです。これは御承知のとおりに食料、特に生鮮食料品等が上がっておりますから、これの影響を受けて上がってきておるということ。ところが高所得者層のほうにいきますと、教育、教養、娯楽という、消費者物価指数でいうと雑費関係が非常に大きいということで、高所得者層の指数はそちらのほうで高くなってきておる。こういう状況で総合指数においてはそんなに差がない、こういうような状況が出ておるような次第でございます。 これ一本でなくて、収入によって五階級に分けますと——大体一本の平均というよりは、五段階に分けて見るほうがさらにこまかくわかるわけですので、これは現在つくりまして、従来内部だけでの研究資料にいたしておりましたけれども、三十三年度からこれをつくって、一般にもお知らせいたしております。 それから、生鮮食料品等につきましても出ておりまして、総合指数のほかに生鮮魚介、肉、野菜、そういうような分類で作成いたしておりまして、発表もいたしております。たとえば四十四年平均は、総合では一二一・一ですが、生鮮魚介だけを見ますと一四六・九に上がっている。肉類については一三三・〇、野菜では一一六・六、くだものでは一一〇・四、このように九つの分類で出しておりますので、御利用いただけると思います。
○武部委員 わかりましたが、私は、いまあなたがおっしゃった五分位単位の物価指数の状況の率を聞きまして、意外に思ったのです。ということは、裏をひっくり返せば、これは品目のとり方あるいはウエートのとり方が問題だというふうに、私は直観で考えたのです。こういう結果が出るということはどこかに問題点があると思えてしかたがないのですよ。本来ならばこの第一分位の低所得者層が、いまの消費者物価の中では一番物価高に悩んでおるのですよ。ということは、生鮮食料品その他を毎日家庭の台所で使っておる。そのウエートがはたしてこのやり方でいいのかどうか。あるいは、あなたは第五分位は一二二とおっしゃった。なぜこんなに高いかといったら教育費だとおっしゃった。教育費は確かに五二五というウエートを持っておるようです。そういうとり方で出てきた数字があなたがいまおっしゃったことなんです。そうすると、庶民の実感からいうと、いまの消費者物価の異常な値上がりの中で低所得者層、第一分位、第二分位というところは非常に物価の値上がりが大きいということを、はだをもって感じておるのです。ところが、現実にあなたのおっしゃったことを見ると、むしろ上の高所得者層のほうが高い数字になっておる。ということは、さっきのように、この品目のとり方なりウエートの数字に何か問題がありはしないだろうかということを私はいま考えました。しかし、これはここで論争する時間もございませんが、非常に問題だと思うのです。ですから、私は、こういう具体的な実感に基づくものと数字としてあらわれたものとの間になぜそんな開きが出るだろうかということに、非常に大きな疑問を持ってきておるのです。これはあらためてまた論争いたしますが、きょうイギリスの連鎖基準方式の問題が出た。あなたのほうはそれをとらないというお考えのようですが、内容を見ると、前段森田さんは、固定されたウエート、これが物価指数の中で問題だということをおっしゃっているのです。こういう点について疑問を持つのです。ですから、佐藤内閣のほうで、いや、ことしは四・八だ、五・幾つだとおっしゃっているけれども、そんなことは全く、庶民の感覚からいうと無縁の数字なんです。その無縁の数字の根拠は一体何だろうかという点について、私は前から疑問を持っておったのです。きょうは初めておいでいただいて、わずかの時間のやりとりですから、具体的にはっきり了解のできぬ点もございますが、いずれにしてもこの消費者物価の指数というものについて、国民側としては非常に大きな疑問を持っていることは事実なんです、現実生活とかけ離れておるのですから。この点について、あらためてあなたのほうと論争してみたいと思うんです。ただ、四十五年度で、ことしいろいろ検討されて四十六年から実施されるちょうどいい時期にきておるわけですから、私が申し上げたようなことの点について御検討いただいて、またあらためてここでひとつ論議を取りかわしたい、こう思っております。
○岡部(秀)政府委員 いま確かに五階層であまり変わらないというので意外に思った、実は私たちも一般にはやはりそういうふうに思うので、意外に感じたのは、どなたでもおっしゃるところです。しかし、やはりそれは品目のとり方やらウエート云々の基準という問題とは関係ないのです。結局、第一階級のほうのウエートは食料費等が高く出ておるわけですから、入り用なものはそれだけ高く出ておりますし、それから第五階級のほうへいくと、それは少なく出ておって、教育が大きく出ておるということです。ところが、いまは両方が上がっておるからバランスで同じという意味で、一方教育費は上がらないということになりますと、それはもう第一階層のほうがぐっと上がってくるという形が出てきますので、基準時だって同じときにとっておりますから、四十年にとっておりますから、それは関係ございません。これはちょっと意外ですね。確かに統計を見ても意外なんです。そんな点が実態とちょっと違う。 物価指数というのは一二三・幾らとか、そういう現在のいろいろな物価の上がり下がりを一言で言え、しかも一つの数字で言えということにつきましては、やはりいろいろな条件がありますものですから、こんなむずかしいことを一言で言え、一つの数字で言え、そこに問題があるのです。というのは、結局何でやるかというと、平均という形でとっているわけです。ところが、平均なんていっても、それに合う階層は少ないわけです。それはたいがい多いか少ないか。だから、実際の統計と実感とが違うというのは、一つはそういうところにあると思うのですね。 それから、上がるものでも、たとえば定期が上がったといったって、自分でつとめをしていないところ、使ってないところは影響ないわけですから、あるところが上がったということが非常に響くこともあるし、同じ上がり方だって、前に上がったのは忘れてしまって、最近上がったのを強く感じる。しかも、自分が上がっちゃ困るというところが上がったら、非常に上がったというような感じを受ける。そういういろいろな問題がある。買うものだって、肉だって、いままでは安いものを買っていたが、金が入ってきたから今度上肉を買うということになると、実質がよくなっておって、それで支出が多くなる。いろいろな点で実感が違う。実感が違うので、私はそれはもっともだと思う、結局、平均で出しておりますから。しかし、物価の上がり下がりが四十年と比べてどうなんだということを一言で言え、一つの数字で言えということになると、それしか方法がないんじゃないかという点、その差があると思う。
○武部委員 わかりました。一つで言えと言えば、あなたの言うように平均を言うしかない。平均を言えばあなたの説明のようになる。しかし、問題は生活の実感です。解決の場は政治の場なんですから、それを——あなたの言うことを別に反論しませんよ。言えといえば、平均を言わなければしかたがないんですし、統計局長が違ったことを一ぱい言ったってしようがないんです。一つしかないんです。ただ問題は、一つだけれども、生活の実感からいえば、現実はそんなものじゃない。それをどうするかというのが、政治の場でわれわれがやることなんです。そのためにあなたから聞いておったのです。
○松平委員長 次に、松浦利尚君から質疑の申し出がありますので、これを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)委員 公取委員長に質問いたします。 公取委員長の所信表明については、また詳しく別の機会に質問をするといたしまして、ただ、先ほどの発言者に対する答弁を聞いておりますと、ちまたでは公正取引委員会というコウトリは、佐渡のトキと同じように、おるにはおるがまぼろしのようなものになってしまった、こういう意見が多分にあるわけです。幸いこの所信表明を見ますと、公取委員長が意欲的に取り組む、こう言っておられますから、おそらくまぼろしのコウトリも再び羽ばたくだろう、かように思いますから、ぜひ積極的にがんばってもらいたいと思います。 まず、私は、この所信表明の第三番目にあります管理価格の問題についてお尋ねをしたいと思います。 「管理価格等に関する政府関係見解抜萃」というのを資料としてここにいただきましたが、公取委員長は、管理価格というものについてどのように解釈をし、どのような定義を持っておられるのか、一応見解をお知らせいただきたいと思います。
○谷村政府委員 広い意味で価格と申しますものは、本来需給関係できまっていくというのがいまの自由主義経済体制のもとにおける原則であろうかと存じます。これに対しまして、何らかの意味でその価格を、需給関係以外の要素も含めてきめているような必要があるとすれば、それはコントロールされておるのだとかあるいは管理されておるのだとか、そういうふうなものの言い方で言っておるのだと思います。したがって、たとえば広い意味ではたばこの値段、これはもう政府がそうきめて、これでこう売れ、それ以下で売っちゃならぬと、専売益金を取るためにそういう値段をきめておるというのも入りますね。通例いわれておりますのは、やはり自由な価格市場を前提としておるものについて、しかも何らかの形で需給関係と離れた価格形成があるのではないかといわれるものがそれであるかと存じます。
○松浦(利)委員 いま言われたようなことだ、こう思っておるということで、具体的な定義その他というのはまだ出されておらないと思うのですが、この所信表明によりますと、管理価格的なものを調査するために、あなたはここに二つの業種をあげておられますけれども、私がお聞きした範囲では、三つ業種があったようであります。管理価格を調査するための基準はどのような基準を置いてお調べになったのか、お知らせいただきたいと思います。
○谷村政府委員 私どもの事務局がいわゆる管理価格調査ということで予算もいただいており、また調査をいたしておりますものは、いま御指摘になりました点、四十四年中には二つございまして、それより以前の段階におきまして一つございまして、最近で三つということでございますが、本格的にいろいろ調べてみようと思っておりました。 そこで、どういうふうにしてそういうものを選んだかといいますと、やはり価格というところから入りまして、まあ俗にいえば、値動きがあまりない品物というのに着目いたしましてやったわけでございます。もう少し詳しく申しますれば、日銀の卸売り物価指数等から見たりしているわけでございます。
○松浦(利)委員 価格の変動がないものということは、価格が硬直しておるものを選んだということですか。
○谷村政府委員 別の意味でいえば硬直ということばも使っております。 それからなお、具体的に選びますときには、それでは一体どういう業種、業態のものと申しますか、たとえばよく申します寡占体制とか、業者が少ないとか、そういったようなところにも着目して、それが一体どういう条件のもとにそういう価格形成になっておるのか、市場の構造はどうなっているのか、需給関係はどうか、たとえば、なぜ新しい業者は入ってこれないのだろうか、そういうようないろいろの角度から、品目と申しますか、調べてみようということでやったわけですが、一番最初のところは、おっしゃるとおり硬直ということばが当たるかどうか、価格の変動のあまりない値動き、それから何といいますか、動き方の頻度、一定の期間の中でほとんど動いていない、あるいは何年かに一ぺん、そういうふうな頻度と値幅、そういうところから品物を見ていく、こういうことでございます。
○松浦(利)委員 それは何業種ぐらいありましたか。
○谷村政府委員 全体でもってそういった種類のものが何業種というのは、これは私どもが具体的に調べたものじゃなくて、調べようかなと思って候補のリストに上がっている、そういう意味でございますね。
○松浦(利)委員 そうです。
○谷村政府委員 私は、そういうものがどれくらいあるかということについて、具体的に何業種というふうにはちょっといま記憶しておりませんが、たとえば過去においてざっと調べてみようかなと思ったものだけでも、いまメモをいただきましたが、大体二十業種ぐらいは一応考えてみようということでございます。
○松浦(利)委員 それは最終的に二十業種になったということですか、初めから二十業種ですか。
○谷村政府委員 たくさんあるもののうちから大体この程度のところをしぼってみよう、相手にしてみようと思ったのが二十ということだそうでございます。
○松浦(利)委員 一番最初に選ばれた数字はそれよりも多かった、というふうに理解していいですか。
○谷村政府委員 選ぶということばでございますが、要するにどういうふうな価格の状況になっておるだろうかというふうにして見るわけでございますから、そういう意味でいえば全部でございますけれども、その中から、なるほど値動きの点からいえばこの程度のところかなとしたのが二十で、そこまでいくプロセスではもっといろいろなものがあったろうかと思います。
○松浦(利)委員 その二十業種の中から現在三業種の調査が終わっておるのですが、そのほかの業態においても調査が進んでおるわけですか。
○谷村政府委員 これは昭和四十五年度におきましても、何種類かのところを勉強してみようというふうに思っております。それから、現在でも三業種ほど、いろいろ調査の手をつけているということでございます。
○松浦(利)委員 この三つの業種、一つについて調査が終了するまでどれくらいの期間がかかっておりますか。
○谷村政府委員 ちょっと説明員から説明させたいと思います。
○辻説明員 早いもので一年、長くかかるものは一年半程度かかっております。
○松浦(利)委員 それでは、二十品目を全部調べ上げるまでにどれくらいかかりますか。
○辻説明員 二十品目一応選びましたわけでございますが、昭和三十九年に選びましたわけでございまして、その後すでに六年ほどたっているわけでございます。したがいまして、今後の調査におきましては、新しい情勢を考えて新しいものを選び直す必要があるかと思っております。
○松浦(利)委員 それでは管理価格というものが、消費者、国民の前に明らかに出てくるのは相当先だということになりますね。
○谷村政府委員 品物によりましては、いわゆる最終的な消費物資もありましょうし、あるいは中間的な素材といったようなものもございましょうし、一つの価格の動向なり、市場の状況なりを調査するということだけで全部を推しはかるということは、これはなかなかむずかしいと思います。しかし、かといって何が問題であるかというふうなことは、必ずしもそれの全部が終わらなければ出ないということでも、また、ないと思います。 そこで、いまおっしゃるような、何と申しますか、これは管理価格だぞといってらく印を押すというふうなことを、私どもはいましているわけではないので、むしろ、そういう業種あるいは品物の価格形成のいわば実態についていろいろ勉強する、そういう状況にございますのですから、いまおっしゃった、国民の前にこれが管理価格だぞというような、そういう意味でのものは、必ずしも私どもは結論として出てくるとは思っておりません。問題点としてはいろいろ出てくることは、これはいろいろの機会に出てまいると思います。
○松浦(利)委員 これは管理価格ということについて、定義を明確にする時期がお互いに来ると思うのです。ただ、いま調査が非常に長引くという問題について、ここに御園生さんという方が書かれた「公正取引委員会」という本があります。この本は、かっての同僚にたいへん悪いけれども、もうこの際発表することのほうが同僚のためになるといって出した本ですね。この本の内容を見てまいりますと、どうも最近の公取の調査活動というのが定員削減、予算削減のために非常に少なくなってきた、前ほど活動できる余裕がなくなってきておる、こういうことをいっておるわけです。ですから、そのことが私はおそらく真実だろうと思いますし、せっかく谷村委員長が今度就任されたわけで、しかも大蔵省の御出身ですから、ぜひ今度政府予算をよけいに取って、早く調査ができるように、こうした問題が早く解決できるように、われわれももちろんがんばりますけれども、委員長、ひとつ思い切ってがんばってもらいたい。こういうことをここで申し上げておきたいと思います。いいですか。
○谷村政府委員 たいへん御激励いただいてありがたく思っております。 もとより、管理価格問題と一口に言っておりますけれども、価格というものは、これは経済のいわば動脈と申しますか、中心をなすものでございますだけに、それの実態を把握したり問題点を究明したりするということは、決して容易なことではございません。また公正取引委員会は、ただいまの組織、権限でまいりますならば、有効な競争条件が整備しているかどうかということを中心にして見ていく立場でございますけれども、むしろ今後における物価問題あるいは消費者行政の問題という面から、またそれを取り上げてもいいのかと思いますけれども、そういった問題はもっと、いわば行政官庁の全力をあげて、しかもそれがお互いに連携しながら、むだなそれこそ二重の行政をやるというんではなしに、佐藤総理もそういうことをおっしゃったというふうに私も聞いておりますけれども、全体として取っ組んでいっていただきたい、そういう気持ちを私は強く持っておりますし、各省各庁もそれぞれの所管物資について、いわば生産者側の立場だけでない、もっと国民的な立場あるいは市場的な立場、消費者行政的な立場からものを見るというふうに、もちろん最近のことではございません、前からそうだと思いますが、そういう機運が出ておりますので、公正取引委員会を御激励いただくことはまことにありがたいと思いますけれども、私たちだけでやる問題ではない、たとえば経済企画庁も中心になり、みんなでこういうものは議論し、実態を究明していくべきものだ、かように考えております。
○松浦(利)委員 まことに優等生の答弁ですけれども、予算のことはまた別に議論しますが、年間予算五億ぐらい、しかも、その中で新庁舎費が約二千六百万ですか、それから独禁法施行経費が三千四百二十五万、これぐらいの金では、先ほど前質問者が質問したときに答えられた程度のことしかできないんじゃないかと思いますから、何もそう遠慮せずに、要求するところはどんどん要求していただきたいと思います。 それでは先に進みますけれども、いまの委員長の答弁に関連をして、ここに「反トラスト政策に関する大統領特別諮問委員会報告書(通称ニールレポート)一九六九年五月」という資料をいただいたのですが、この中に「非常に少数の企業しかない市場では、共同行為が存在しなくても、共同行為の効果と同じような効果が生ずることがある。」こういうふうに報告しておりますね。それと、これから寡占化体制に進めば進むほど、こういった状況というものは生まれてくると思うのです。そういう面から見て、お調べになった三業態の結論はどうであったのか、そのことを簡単に説明してください。
○谷村政府委員 おっしゃるとおり、経済というものがどういうふうな姿になっていくのか、特に日本経済がこれから国際化という時代を現実のものとして迎えてくる場合の市場構造、また供給体制あるいは需要の体制、そういったものがどうなっていくかということは、これはまた非常に興味ある問題であるとともに、むずかしい問題であると思います。いま御指摘のように、アメリカにおきましても、ただ競争さえしていればいいというだけではなくて、もう少し突っ込んで問題を見なければいかぬじゃないかというところから、過去においても、管理価格問題というものを国会が取り上げて勉強されたということを聞いておりますし、また、いま御指摘の反トラスト政策に関する大統領特別諮問委員会の報告の中でも、その問題をつかまえているわけでございます。 これは私は、つとにそのことを申しておるのでございますが、ただいま現在やっております経済社会発展計画の中でも、また、ただいま改定してこれからきめられようとしておる経済社会発展計画の中でも、そういった経済の体制が、ある場合には少数企業、しかしまた能率のいい企業、こういうようなことで国際化に対処しようとしているときに、同時にそれがもたらすところの、いま御指摘の寡占体制に対してどう対処するかということが問題であるという、問題指摘も出ています。そういう意味で、いま御指摘のようなこともたいへん重要だと思うのでございます。 御質問の、調べました三業種は、業種によって必ずしも一様ではないのでございますが、実態としては、たとえば一般写真用フィルムについて見ますと、もう複占でございます。日本の中には企業、生産者が二つしかない。三つあったのでございますけれども、一つはもうやめてしまいまして、二つしかないというような企業、よく複占といわれております。ただし、海外には相当有力なる企業があって、それが日本の企業と一戦を交えよう、そういう段階を迎えておる状況であります。 あるいはアルミニウムにおきましてはかなりの大企業が四つ、さらには新規参入がございまして五つというところで、これは産業の業態で申しますれば規模の利益というものが非常にはっきりとしておりますような、さような企業体でございます。ここでは、やはり日本の国内で新しく設備投資もやり、今後の需要拡大に備えて供給体制を広げていく、そのときにいかにそのシェアをお互いに確保していくか、広げていくかというふうな競争はございますが、同時に一方では、それの背後には国際的に見て一つの——昔からそういうことをいわれておるのだそうでございますが、国際的な巨大企業が存在しておる、そういう形のものでございます。 それから、さらに家庭用のものとして私どもが調査いたしました合成洗剤といったようなものになりますと、これは俗なことばでいうと両極集中などと申しまして、一方の側にわりと有力な企業で、市場のシェアを半分ぐらい占めるようなのが二つあるとか、それから片方には中小のと申しますか、いわゆる中小企業じゃございませんが、たくさんおる。また中位の企業もある程度存在している。しかし、圧倒的にブランドの強みと申しますか宣伝のうまさと申しますか、あるいは消費者に対する食い込み方と申しますか、そういったようなことでは、二社がいわば売り上げにおいても大きなシェアを占めている、たとえばそういうふうな業界。しかし、これもまた販売系統のほうまでいろいろな秩序づくりと申しますか、流通部門における支配とは申しませんけれども、提携関係、そういったようなことがあって一つの自分たちの場をつくっているという状態がある程度ございますけれども、これに対しても、実はまた資本自由化といったようなことがまいりますと、有力な世界企業ともいわれるくらいの、西欧諸国においてもある程度相当のまた食い込みをやったような企業が参入してくる可能性を持っている、そういう業界でございます。 いまの御質問に対するお答えでございます。
○松浦(利)委員 調査課が懇談会に出した資料の中に、その三つの「収益の動向」という項がありますが、製造業の平均八・八%以上の営業利益が、最近六年間の平均でアルミニウムは一六・九%、フィルムは一三・〇%、合成洗剤が六・三%と平均を下回っておりますけれども、この合成洗剤の広告というのはたいへんばく大なもので、さらに販売促進費というものをこれに加えれば、営業利益というものは——その広告費その他を削減していくとすれば、合成洗剤の営業利益というものはたいへん大きなものになると思うのですけれども、実際にこれだけの利益をあげておるということについては事実ですね。
○谷村政府委員 いま御指摘になりましたのは、実はこの間、独占禁止問題の懇談会で皆さんが御議論になったときの一応結論——結論というとおかしいですけれども、どんなことがあったかということの要約をしたものだと思いますが、いま申し上げましたのは、やはりそういう業界における平均ではなくて、上位企業の——上位企業というのはトップクラス、そういうところのあれであると思います。
○松浦(利)委員 こういう利益をあげておる業態の価格という問題をめぐって調査された管理価格というものが、一体物価に対してどれだけの影響を与えると推定されますか。
○谷村政府委員 物価、特に消費者物価の問題であろうかと思いますが、どのくらいのということを量的に申し上げることは、先ほどの武部委員に対する答弁と同様に、非常にむずかしいと思います。ただ、これが本来、たとえば生産性が上がったにもかかわらず、そうして企業が競争条件のもとにあるならば、生産性が上昇した結果を価格引き下げに向けていたであろうところが、そうはいっていなかったというふうにもしなるとするならば、それは、それだけ本来下がるべき価格が下がらなかったということになるのでありましょうけれども、では、具体的にそういうことであるのかどうか。生産性の上昇というものの効果というものが、さらに新しい投資のためのその資金に向けられる——具体的には法人の利潤になるかと思いますが、あるいはその他の原材料費等の上昇をまかなったということもございましょうし、さらに最近でいいますならば、賃金、所得の上昇がかなり激しいわけでありますが、それが上がったにもかかわらず、なおかつ生産性の上昇によって価格を上げないで済んでいるということであるのかもしれませんし、そういった意味での管理価格的なものと申しますか、価格がかりにあまり動いていないということを、どういう角度からどう評価していくかということは、これはもう少し、いろいろみんなで議論してみないと詰まらないと思います。
○松浦(利)委員 この三業種については、さらに詳しく質問を次回に保留するつもりですが、ただ、この写真フィルムの一つの例ですけれども、いただいたこの資料の中で、X線用、医療用直截四つ切りの二十五枚のフィルムは、三十六年の一月から四十四年の一月まで、三本とも全く一直線ですね。こういう点についてどう思われますか。
○谷村政府委員 確かにそういう点は問題であろうと思います。ただ、では、なぜそういう姿になっておるのか。それから、それはたとえば大口の病院でありますとか、あるいはそれは国立病院とかあるいは公立のものもあれば、また私立のものもございましょうが、そういったところに入れておりますものが、これはここで見てもらいますとおわかりのように、いわゆる卸売り物価等がありますし、それからまた、実際に会社が卸なら卸に引き渡すときのいわゆる仕切り値段というようなことでありましょうけれども、その裏に実は、たとえば流通経費あるいはリベート等の関係がどう動いているかという問題も見なければならないかと思います。それから、よくいわれます健康保険等の医療費の関係で、薬価基準とかあるいは医薬材料等の基準、そういった問題との関係なんかもいろいろあろうかと思います。それは、よくほんとうに内容を見なければいけないと思います。 そうして、特にむずかしいのは、ある会社の製品の原価というものを見ますときに、さっきおっしゃったような意味でのいろいろな広告費のようなものもある。しかし、たとえばX線フィルムというようなものも一体広告というものでやっているのかというと、そうではなくて、むしろ使いなれという要素が多かったりする。それじゃ一体広告費のあれはどうなっているのか、あるいはまた会社全体の人件費の上昇、研究費のかけ方、それをどう割り振ってかけているのか、いろいろな問題がそこにあるのだと思います。しかし、価格それ自身が全然動いていないということについては、それでいいんだという問題ではないと思います。よくそこは見ていかなければならぬ問題だと思います。
○松浦(利)委員 それから「合成洗剤でみられるように本来の品質にあまり関係のない面が強調され広告費への多額な支出、商品のライフ・サイクルの短命化など社会的な浪費といわれる現象もみられる。」という懇談会の結論が出ておりますね。これに対してどう思われますか、実態調査の結果について。
○谷村政府委員 これは、実は私も一消費者として思うのでございますけれども、消費者の心理というものが、これがまたなかなかむずかしいことだと思うのです。昔から安かろう悪かろうといったようなこともあったりして、必ずしも価格ばかりが、消費者が商品を選択する基準にはなっていない。お読みいただいたかもしれませんけれども、たとえば、なぜあなたはこういうものをお使いになっているのかというアンケートをいろいろなところに出して、そしてそれを調べてみたところが、まあ信用できるからというのもあれば、前から使っていたからというものもあれば、広告を見てよかったと思ったからとか、いろいろなものがありましょうが、価格というのは、確かに経済社会を動かしている一つの大きな、中心的な要素であると思いますが、それだけではない。それがまた一方では、いわゆるメーカーが宣伝をやる、広告をやる、それにつぎ込んで——つぎ込むというと、ことばが悪うございますが、自分の商品を売り込んでいく。また、それに対応して一方では、賢明な消費者というものがどう考え、行動していったらいいのかという問題になってくるのだろうと思います。そうして、いまここで申し上げましたことは、具体的には、たとえば使ってみたら手が荒れてしまったとか、そういう人体に悪い影響を持つようなものであれば、これは困りますけれども、色とかにおいとか、これもやはり台所なら台所の気分を快的にする一つの要素である。何か香水のようなものが入っているのが——香水ではありませんが、そういうようなことが、一体われわれの消費生活の中でどれだけのウエートなり意味を持っているのか。いろいろデザインが新しくなったり、モデルチェンジといったようなことをやってみたり、いま御指摘になったように、ライフ・サイクルが短いわけでございますね。だんだん変わる。電気冷蔵庫でいえば、何やらよけいなものがついてくる。もっと標準的なものがあってもいいんじゃないか。私もずいぶん昔からそれを言いましたが、何かそこがそれだけではなかなか割り切れない、そういう問題があるのだと思います。私どもといたしましては、御指摘を待つまでもなく、できれば品質と価格とを中心にしてやっていただきたいと思いますけれども、しかし、これはいわば営業と申しますか、一つの商売の上のいろいろな政策でございましょうから、何を消費者が好むのか、また消費者をどう引っぱっていくのかといったような、そういういろいろむずかしい問題があるので、そこらは、むしろこれからのいろいろ消費者行政のあり方の問題ではなかろうかと私は思っております。
○松浦(利)委員 これからだんだん寡占化体制が進めば進むほど、独禁法では手の届かない業態というのがふえてくると思いますね。そうした場合に価格監視委員会、こうしたものを将来つくられる方向というもの、あるいは独禁法をある程度改正をして、そういったものにも監視をしていくといったような構想について、委員長はどう思われますか。具体的にプランを持っておられますか。
○谷村政府委員 冒頭申し上げましたように、非常に勉強不足でございまして、まだ具体的に腹案は持っておりません。しかし私は、かつて経済官庁に職を奉じていた者でもございますし、また現在でも経済企画庁のほうの仕事にいささかタッチいたしておりますのですが、そういった問題は、いま私は具体的にここに何もございませんけれども、確かに今後問題が出てくることになるのだと思います。それが一体独占禁止政策の問題であるのか、それよりもより高次の、あるいは別の面から見ていく問題であるのか。そしてそれは、さらにもっと基本的に言いますならば、どういう経済政策の基本的な姿というものに立ってやっていくことであるのか、少なくとも古典主義経済学派が言っていたような意味での、ただ競争、競争というだけで済む問題であるのかどうか、その辺は、私もう少し一生懸命勉強いたしますから——その勉強はすぐにどういうことになるか、ちょっと私はわかりません。アメリカでも、あるいは西欧諸国でも、そういうことが問題になってくると思うのです。 それから、お説のように、直ちにすべての業界が寡占化するかどうか、これはわかりません。寡占化しない業界もございましょう。それから、寡占化するからといって、直ちにそういうことになるかどうか、これもわかりません。ここにもいろいろな姿のものがあると思いますけれども、少なくとも、この問題はどうしたらいいのかということは、いろいろな立場の方からお考えになっていただかなきゃならぬ問題だろうと私は思っております。具体的にはまだ何もございません。
○松浦(利)委員 物価の問題は、これから管理価格といわれておるものについて非常に重要な影響を持ってくると思うのです。ですから、ここに出てくる三業態の内容については、まだたくさん質問したいことがありますけれども、一応次回に保留さしていただいて、管理価格の問題について、さらに質問を次の委員会に保留さしていただきたいと思いますから……。 それから、続いて通産省のほうにほかの問題で、もう時間がだいぶ経過しましたから、質問したいのですが、通産省からだれが来ておられるのですか。
○松平委員長 公益事業局の施設課長が来ております。
○松浦(利)委員 それでは説明員に説明を求めますが、あなたは、昭和四十三年四月十五日、本特別委員会において、自由民主党の砂田議員から井上通産省公益事業局長に質問された議事録を読まれたことがありますか。
○石井説明員 不勉強で、読んでおりません。
○松浦(利)委員 読み上げます。この内容は、砂田委員がいろいろと電気製品の不良品、不適格品をめぐって質問をして、それに対する電気用品取締法改正に対する質問の中で、井上公益事業局長はこのように答弁しておられますね。「学問的に、技術的に見て危険度は薄くても、やはり危険性があるというようなものにつきましては全部網羅する。したがいまして、従来の危険度の高いものは」云々と、こういうふうに言っていますね。これは速記録の抜粋ですから間違いないのです。だとすれば、この前私は——これは新聞で拝見をしたのですけれども、電子レンジの問題です。この新聞報道が出てから、公益事業局のほうに実態調査結果を出すように求めて、私の手元に「電子レンジの漏洩波の実態調査結果について」四十五年二月二十日、通商産業省公益事業局——これはおたくの資料に間違いありませんね。
○石井説明員 間違いありません。
○松浦(利)委員 この中には、「最近、アメリカにおいて電子レンジに使用されている極超短波(二千四百五十メガヘルツ)の漏洩について問題となったことにかんがみ、通商産業省はわが国の電子レンジの漏洩波の実態について、日本機械金属検査協会の協力を得て調査を行なったが、その結果は次のとおりであった。」そしてその結果、六割からが有害電磁波が出た、こういう結果が出ておりますが、その有害電磁波というのは、アメリカのUL規格に入らなかったものというふうに理解していいですか。
○石井説明員 調査の内容につきましては、常時料理をしているとき、ふたを締めているときの状態と、それから、ふたをあける瞬間の状態とはかったわけでございます。ふたを締めている状態では、アメリカでは、ふたを締めているときのUL規格を越えているのが相当あったわけでございますが、日本では、幸いなことに電波十ミリ以下でございました。 ただ、普通電子レンジの使い方といたしまして、ふたをあける前にタイムスイッチが切れる、あるいはタイムスイッチを切ってからふたをあけるというのが、通例の電子レンジの正しい使い方でございますが、それを無理にふたをあけた場合、直ちにスイッチが働いて電波が切れるように、しかも、これは二重のスイッチをつけろということが基準にございまして、必ずスイッチが切れることになっておりますが、切れるまでのごく瞬間、ふたがあきかけのときに出る強度がどうかということの調査もあわせてしたわけでございます。 これの測定のしかたは、ごく瞬間でございますので、これはメーターの針は動きません。したがって、それの測定のしかたとして、リレーが入って切れる直前の状態にふたをとめておきまして、長いことそれを出さしてはかったわけでございます。このはかり方につきましては、ULでも幾つかのはかり方がございますが、そのはかり方とは若干違っております。日本のが一番シビアーなはかり方でございますが、そういうはかり方ではかったところが、ULの基準をその瞬間に越えているものが半ば以上あったということは事実でございます。
○松浦(利)委員 その調査の結果を、通産省は新聞記者団に発表しておりますね。
○石井説明員 発表いたしました。
○松浦(利)委員 発表した背景は何ですか。
○石井説明員 発表した理由を申し上げますが、その前に、調査の目的から申し上げますと、この調査をいたしましたのは、アメリカでこういう問題が起こりましたので、日本の電子レンジの全般的なレベルはどうかということを調査いたしまして、われわれ電気用品取締法の技術基準の改正だとか、そういう行政上の措置をとるにはどういう措置をとったらいいかということを調べることを目的に調査をいたしましたので、これは法律に基づく立ち入り検査とかそういうものではございません。そういう全般的な調査を行なったわけでございます。 その結果がただいま申し上げましたように、常時の使い方では問題がない、幸いにそういうことがわかったわけでございますが、ごく瞬間的ではあるけれども、電波が漏れているということがわかったわけでございますので、こういうような状況を、国民の皆さん相当使っておられるわけでございますから、皆さまにも正しく認識していただき、あわせて絶対危険のないようにするためには、使い方を正しく守っていただく、これなら絶対に危険がないわけでございますから、そういうことを周知していただくということを目的に発表いたしました次第でございます。
○松浦(利)委員 これは新聞社の報ずるところですから明確ではありませんが、この電波から失明、皮膚炎など、あるいは動物実験の結果では血行障害、不妊症、こういった問題が起こるのだ、こういうふうに報道されておりますね。この調査の結果、内容につきましても、このように書いてあります。読み上げます。「また食品の過熱途中でとびらをあけた場合に電波の発射が停止する二重の安全装置が働くまでの瞬間的な漏洩による人体に対する障害については、学術的に未だ十分解明されていない点があるが、障害未然防止に万全を期するためには、正しい使い方(タイムスイッチが切れてからあるいは電源スイッチを切ってからとびらをあける)を守る必要がある。当省は、電気用品取締法の技術基準において漏洩波の基準を設けるとともに、とびらをあける瞬間の漏洩に対する規制を行なう等の障害を防止するための万全の措置をとる方針である。」この万全をとる方針の一環として、新聞に発表したのですか。
○石井説明員 その一部と考えます。
○松浦(利)委員 それではお尋ねをいたしますが、現在の電子レンジの普及は約三十万台だ、こういわれておりますが、間違いありませんか。
○石井説明員 確実な数字はわかりませんが、三十万台を相当こしているようでございます。
○松浦(利)委員 それでは、新聞に発表するだけで、正しい使い方が消費者で行なわれると、あなたは判断したのですか——あなたじゃない、通産省は判断したのですか。
○石井説明員 新聞に発表するだけでは万全と思えませんので、この電子レンジをつくっております電機工業会には、直ちに指示をいたしまして、安全シール、使い方のシールをつくって電子レンジに全部張るように、いま消費者がお持ちになっているものにもシールを張って、電子レンジを使うときにはいつも見れるようにということで、あらためて措置をさせるように指導しております。
○松浦(利)委員 なぜそのシールを張るだけで、改善について指示しなかったのですか。現在普及されておるものについて改良するようにしなかったのですか。
○石井説明員 それは、先ほども申し上げましたように、今回の調査の結果が、電気用品の技術基準に違反しているものでもございませんし、正しい使い方をしていただけば絶対危険ないものでございますので、直ちに通産省が回収を指示するというようなことは、そこまでの必要はないと考えておるわけでございます。
○松浦(利)委員 回収しなくても、四割は正常に作動したわけですから。そうでしょう。だから、四割という正常に働く機械があるとすれば、電子レンジがあるとすれば、六割は技術的に改良を加えれば、直すことができるのでしょう。完全に回収しなければ、技術的に改良を加えることができないものですか。
○石井説明員 今後どのような手段をとれば漏洩のときの電磁波を非常に少なくすることができるかということについては、至急検討するように電機工業会にも指示してございます。
○松平委員長 ちょっと委員長から質問したいのですがね。この試験は世田谷でやっておるのですか。世田谷の日機検の試験場で……。
○石井説明員 この試験は日本機械金属検査協会の試験——この電子レンジの法律に基づく型式認可のための試験は、日本機械金属検査協会でやっております。ただ、今度の調査は各メーカーのところへ行ってやりました。
○松平委員長 その日本機械金属検査協会のやっておる検査は、その六割のそういうものが出たということについて、以前に検査をしたときにはわからなかったのかね。
○石井説明員 日本機械金属検査協会で検査しておりますのは、電気用品の技術基準に基づきまして、それの合格か不合格かを検査しておりますので、そういう基準がございませんから、そういう検査はやっておりませんでした。
○松平委員長 それでは、工検ではその検査はしてないのですか。
○石井説明員 正確には工検に照会してみないとわかりませんが、していないと思います。
○松平委員長 それでは、検査協会の基準をもっと詳細にするということは、通産省は指示していないのかね。
○石井説明員 これは電気用品の技術基準の改正でございますので、さっそく改正するように考えております。
○松平委員長 私は技術検査協会の役員をやっているから、私からも言っておきます。
○松浦(利)委員 あなたはシールを張るように指示したと、こう言われますけれども、シールを読めない人がおるのですよ。大体、珍しい電気製品が家庭に入ってきますと、まず一番先にいじるのは子供なんです。小さな子供がシールを読めなくて、あけて万が一ということがあったときにはどうするのですよ。よく消費者は王様だというけれども、通産省の答弁を聞いていると、消費者はモルモットだ、こういう感じがしますがね、明確に答えてください。
○石井説明員 子供さんなんかシールを読めない人が使うということは、事実だろうと思います。それで、そういう使い方をしないように、おかあさん方や何かに指導していただきたいと思うわけでございますが、危険性の程度が、これはわれわれ技術屋の常識からいいますと、おそらくあぶなくない——これは非常に表現がむずかしいわけでございますけれども、あぶなくないということはそのとおりなんでございますが、絶対あぶなくなくはないということは事実なんでございますけれども、このあぶない確率というものが非常に少ないということが、われわれ技術屋としては集積効果、時間と強さの積できまるわけでございますから、たとえば太陽を見ましたときに、太陽をじっと見れば目の網膜はやけるわけでございますが、しかし、太陽をちらっと見た、だけでは別に目に被害がないわけでございます。それと同じように、この漏洩波が相当の強さがあっても、ちらっと見ただけではまあおそらくたいした害はないだろう。この点につきましては、今後さっそく調査をする方法をとりたいと思いますので、その辺は注意をしていただくということで、この際やむを得ないのじゃないかと思う次第でございます。
○松浦(利)委員 なぜ人間をモルモットにするのですか。万が一あるかもしれないとあなたは言っておられるわけですから。先ほどの通産省の公益事業局長が当委員会で答弁した内容に、「学問的に、技術的に見て危険度は薄くても、やはり危険性があるというようなものにつきましては」と、こう言っておるのですからね。だとすれば、あなたが言うような考え方は間違っておるのじゃないですか。
○石井説明員 ただいまの、前の局長が申し上げましたのは——電気用品の品目が従来は非常に少なかったわけでございます。電子レンジなんかも入っていなかったわけでございます。そういうものを、どういうものに電気用品の適用範囲を広げようかというときに、そういうことで品目を拾ったということでございます。
○松浦(利)委員 同じことじゃないですか。電子レンジもこういうことじゃないですか、そうでしょう。
○石井説明員 したがって、電子レンジを一昨年電気用品の取締規則に入れたわけでございます。
○松浦(利)委員 この通産省の発表によって、消費者は欠陥電子レンジに対して恐怖感を持っておりますね。業界は、これが発表されたために、おそらく売れ行きが減るでしょう。なぜこの九社の調査した結果を公表しないのですか。メーカー、どういう年度のものか、どういう型のものか、こういった発表をして、消費者に、あなたが使っておるこういうものについては、万が一危険がありますぞという指示をしないのですか。そういう発表を消費者である国民に向かってしないのですか。
○石井説明員 これは先ほども申し上げましたとおり、この調査の目的が全般的レベルを調査することでございまして、法律に基づいてやった調査ではございません。また出た結果が、まあ技術基準の整備されていない関係もございますけれども、法律違反、基準違反ではないわけでございます。しかも、われわれが考えまして、その危険の程度はそれほど大きいものではないと考えますので、使い方によく注意していただく程度で、当面の手段としてはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えまして……。
○松浦(利)委員 どうも企業、業者のほうばかり見ておるような感じがしてならないのです。あなたは課長だから、局長なりあるいは次官、大臣等の答弁はまた変わるかもしれませんけれども、しかし、はっきり言って、万が一ということが起こり得るということはあなたも考えておられるわけだから。それでは、通産省が発表できないとすれば——たった、約三十万台しか普及しておらぬわけですからね。家電メーカー九社にとってはそう大きなものじゃないんですね、これから普及していく製品ですから。だとすれば、業者に対して、シールを張れという指示ではなくて、あなたのところのどれどれが悪かったから、あなたのところで自主的に回収しなさい、改良を加えなさい、こういう行政指導がなぜできなかったのですか。これは行政指導です。
○石井説明員 先ほどから御説明申し上げましたように、それほどまでの必要はないと考えた次第でございます。
○松浦(利)委員 それでは事故がないということと同じじゃないですか。万が一じゃなくて、完全ですよということと同じじゃないですか。シールを張る必要はないじゃないですか。矛盾しておるじゃないですか、あなたの答弁は。危険だからこそ、シールを張って、安全に使えと、こう言っておるのでしょう、いまあなたの話を聞いておると。全然人体に被害がないのなら、何もシールを張る必要もないし、安全に使いなさいと公表する必要もないじゃないですか。
○石井説明員 全然危険がないとは申し上げておりませんので、万が一のときに危険があるかもしれぬと申し上げているわけです。したがって、残念ながらそこがわからないわけでございます。
○松浦(利)委員 それはもう使うほうは心配でどうにもならぬじゃないですか。万が一という事故が起こったときに行政指導してみても、もう間に合いませんね。私は、通産省がなぜそういう態度をとるのかわかりません。この際通産省は自信を持って、消費者の立場に立って、業者が自主的にみずからの製品の欠陥について明らかにし、欠陥レンジの回収なりあるいは改造、そういうことを行なうように指示するように要望いたします。
○石井説明員 業者がそういうふうに、製品が売れないとかいうことで回収しようというようなことを考えるかどうか、これは私は知っておりません。しかしながら、役所として、法律違反でもないし、使い方に注意してもらえばまず危険が非常に少ないというものに対して直ちに回収を指導するということは、そこまでの必要性はないのではないかと思います。
○松浦(利)委員 通産省はいま言ったような考え方でしょうが、経済企画庁の国民生活局長は、いまのような答弁についてどう思いますか。
○矢野政府委員 最近、技術の進歩に伴いましていろいろ新しい製品が出てくる、それにつきまして、危険があるものも、そういうおそれもあるものもだいぶ出てくる可能性もございます。今度の電子レンジもその一環かと思います。この点につきましては、現在の法律、具体的には電気用品取締法の規定、それと危険の程度、そういうことを勘案して、通産省のほうの判断で今度のような処置をとったのだと思います。ただ、いずれにしましても人体にいささかでも危険がある場合には、これは何としても防止しなければならないということはもう鉄則だと思います。したがいまして、今度の場合に、何といいましても、基本的にはこうした瞬間的にも漏洩が起こらないように、電気用品取締法の基準を改正していく、あるいはそういう面の技術的な指導をしていくとか、こういうことが基本的に重要なことだと思います。この点につきましては、通産省ですでに検討しておられますが、私どもも十分それに協力して推進してまいりたいと思っております。 当座の処置といたしまして、現在すでに出ているものをどうするか。今度通産省で公表されたわけでありますが、それによって消費者も不安を持っておることは事実だと思います。したがいまして、この正しい使い方を普及していくということがまず第一に必要だと思いますが、さらに、すでに出ておるものにつきましてどういう処理をしていくのが妥当であるか、この点、その危険の程度あるいは技術的ないろいろの方法、その辺勘案しなければなりませんので、この点は引き続き、通産省とも十分打ち合わせてまいりたいというように思っております。
○松浦(利)委員 もう一時になりましたから、ここで最後に要望しておきます。 消費者である国民はよりどころがないのですね。結局モルモット、事故が起こらなければ何もしてくれない。いまのようなやり方では、原則的な、基本的な問題の解決にはならない。なるほど、電気用品取締法の改正をすればいい、その間はシールを張ればいい。しかし、シールを張っても、子供が万が一という状態で開閉した場合には、障害が起こる可能性もある。こうしたときには一体どうすればいいのかという点について、今度の欠陥電子レンジの問題というものは、国民に、電気製品に対して非常な不安感を与えたと思うのです。だから、この電気用品取締法の改正その他については、これはわが党としても十分検討を加えていきますけれども、この際、国民生活局、経済企画庁と通産省と、この問題についてどう事後処理するのかという問題についてさらに検討していただいて、次回の特別委員会でその結果について報告していただきたいと思います。以上、終わります。
○松平委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十八分散会