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63回国会衆議院1970/04/27

農林水産委員会社会労働委員会連合審査会 第1号

発言数
149
登壇者
12
会派数
3
開催日
1970/04/27

会議録

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 これより農林水産委員会、社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、農林水産委員長の私が委員長の職務を行ないます。  芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出農業者年金基金法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。     —————————————     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 本案の趣旨につきましては、お手元に資料が配付いたしてありますので、これにより御承知願うこととし、質疑に入ります。  この際、質疑される各委員に申し上げます。先ほどの両委員会の委員長及び理事の協議により、質疑者が多数おられますので、質疑時間は、日本社会党八十分、公明党四十分、民社党四十分といたしました。質疑はこの時間内で終わるよう御協力をお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はこの農業者年金基金法案につきまして、問題を約七点に集約いたしましてお伺いをいたしたいと思うのであります。  まず第一問といたしまして、この法案の名称でございますが、どういう意味で農業者年金基金法案というお名前をおつけになったのかどうか、名称の由来を農林大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 これは御承知のように年金の制度でありますので、農業者年金基金法案という法律を出したわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣の御答弁は雑で、どうも質問の核心に触れてないと思う。社会党はこれに対抗する案といたしまして、農民年金法と銘打って法案を提出いたしておるのであります。真に農民のための年金であるならば、あるいは農業者年金あるいは農民年金、こういう名称でいいものを、なぜ一体その下に基金法というふうな名称をおつけになったのか。言いかえれば、名は体をあらわすというのでありますから、これはやはり農民のための年金にはあらずして、基金のための法案ではないかという疑いを持つがゆえにあえて私はお尋ねをいたしている。なぜ一体農業年金法あるいは農民年金法という名称をうたないで、基金法などという名称をその下におつけになったのか、そのいわれをお尋ねいたしているのであります。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 年金を行なうために特殊法人で年金基金をつくるわけでありまして、それと一緒にやるのはやはり年金基金法が一番いいのではないか。もう御存じのように、国民年金と農業者年金とは最終的には一緒にやるものでありますから、そういう意味でいまのような名前をつけるのが一番妥当ではないか、このように思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はそういうふうな大臣のわかったようなわからないような答弁で納得するわけにはいかない。それでは答弁にはならないのです。少なくともこの法案を見れば、農業者年金に中心があるのじゃなくて、基金に中心を置いてあるとしか解せざるを得ない。基金とはなんだ、すなわち農民の零細な金を吸い上げる一つの機関をつくるとしかわれわれは考え得ない。これをしぼり上げて、その金をまた他の独占のほうへ融資するとか、あるいはこの基金を育成強化して別個の方向へその金を活用するとかという、基金の育成、保護、強化ということにこの法律の重点を渇いて、そして農民のための社会保障——年金というならば社会保障だが、そういう農民のための社会保障などというものを第二、第三義的に考えているとしかわれわれはこの名称から受け取れない。内容がまたそうです、だんだん御質問していきまするけれども……。  そこで私は、一体この法案は、先ほども言った名は体をあらわすというならば、ほんとうに農民のための社会保障をやろうという考えなのか、基金を中心にして零細な百姓の金をしぼり上げて、それを活用し強化するというふうなところに本心があるのかどうか、これを私はお伺いしているんですよ。なぜ基金などという名前をおつけになる必要がある。農民のための社会保障であり年金保障であるならば、そのものずばりの名称でいいじゃないですか。なぜ基金などという名前をおつけになるのかお聞きしているんですよ。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 先ほどお答えいたしたとおりであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はその説明じゃどうもさっぱりわからないのでありまするけれども、いまも言うように、こういう基金法などという名前を特におつけになったのは、やはり日本における支配階級の思惑を考えておつけになったのじゃないかと私は思う。そういう以外に理由がつけられないのじゃないか。そうしてまた、こういう別個の金融機関というか、財団をつくって、ここで農民の金を別の形で吸い上げて、これを企業家の設備投資や、あるいは在庫投資のためにこれを回す、そうしてこの基金は銀行より利子が安いやね。そうして企業のほうへ回してだんだん企業を育成強化していく。いまの国民年金から厚生年金から、みんなそういう形で零細な金が集められて、そうして独占のほうへその金が回されておるが、そういう形のものをまたここで一つつくり上げよう、私はそれしか考えられない。そうすれば独占のほうも喜びますよ。支配者のほうも喜びます。そういう基金法ならばおつくりになってもよろしいから賛成いたしましょう、私はそういう意図がこの名称の中に含まれていると解さざるを得ないのです。さもなければ、基金法などという名称をつける必要はないのですよ、農民のための保障なら。その意味において、この点をいま一回、大臣、明確にお聞かせをいただきたいと思う。もしそうでないならば、ここでこういう形で集めた金をそういう独占だとか企業のほうへ回さない、せめて集めた金は全部農民の利益のために活用するのだという歯どめが一体この法案のどこかにありますか。歯どめがあれば、私はあなたの不満足な回答でも一応満足をいたしますが、どこかにありますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 小林君、何か誤解していることがあるのじゃないですか。あなたも私も、社会労働委員会でもう何年かやっている。公的年金の金の使い方についていまここでお話がありましたが、これは厚生省の事務当局から、一応そのほうの解説を先にやってもらいましょう。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いいです。公的年金の使い方なんかいまさらここで聞かなくても、私は一から十まで承知しております。あと必要に応じて順次聞きますからいいです。ただ、農民の零細な金をまた国民年金のほかに集めるのですよ。集めたその金が農民の利益のために使われるという歯どめが一体この条文のどこにありますかと言うのです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 国会の論議というのは速記録に載りますから、それで私は大事をとっているわけであります。小林君の御発言についてもそのとおりであります。したがって、いままでやっております公的年金のそれぞれの資金がどのような任務を持ち、どのように扱われているかについて、ただいまの小林君の御発言の前提において私どもと非常に違う、誤解があるようでありますから、それを明らかにした上で農業者年金基金のことにも及ぶほうがいいのではないかと思ったので、そういう手だてをとろうとしたのです、これは大事なことでありますから。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 どうもそういうところへ無理に大臣が議論を持ってくるから……。今度、私のほうであなたに教えてあげますよ。それは、国民年金や厚生年金の集めた金が大体そういう零細な、保険料を出した人たちのところへ回らないで、別な方向へだけ使われているからけしからぬというのが、多年の国会における論議の中心なんだ。それを追って追って追い抜いて、そしていまを去る十年ばかり前の岸内閣のときに、岸さんに社会労働委員会に来てもらって、あなたは一体こういうやり方がいいと思うか、それを問い詰めた結果、そこで岸さんがこういうことを言われたんだ。いわゆる国民年金、厚生年金が毎年預託される、その中の増加見込み額の二五%だけはひとつそういう関係者のほうへ還元いたしましょう、これを初めて取りつけたのですよ。いいですか、農林大臣。ところが、その後そういう形の中で、やれ厚生年金会館だとかあるいは厚生年金病院だとか、一応庶民、大衆の保険料を出した方向へ還元されるようなものが出てきた。もっとも、それもまだ満足じゃないのです。実は、約束どおり行なわれていないというのが今日の実情なんです。私はその長い歴史の中で、またこういう農業者年金基金などというのをつくって、ここでしぼり上げた金がまたそういう形でいまの方向へ使われるのじゃないかということで御質問申し上げているのです。私はまず、名は体をあらわすというんだから、この名称がどうしても気に入らない、あなたが何と言われたところで。もっとすっきりした名称にしたらいいじゃないですか。ほんとうに、農民の社会保障、年金保障のためにやるのなら、年金法でいいじゃないですか。年金保障法でいいじゃないですか。なぜこんな基金という名称をつけるかと言うのです。いま少しわかりやすく御説明をしてくださいよ。大臣、勉強足りませんよ。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 大体何でもわかっていてお互いに質疑応答をやっているような感じを受けるのです。まあいろいろ御意見もあるようでありますけれども、私どもは、現在のように移り変わりいく経済社会の中で、農業というものを国際競争に立ち向かっていかれるだけに体質を改善して、維持、強化したい、こういうためにいろいろ考えました結果、どうしてもやはり自立経営農家のような規模拡大をしていくことが必要である。しかし一挙に全部がそうなるということもなかなか不可能なことでありますので、したがって、自立経営のほかには、御存じのように兼業農家がたくさんあるわけでありますが、それらの方々の労働力をもっと効果的に、効率的に発揮することによって農家全体の所得をふやしていくという政策が必要ではないか。そのためには、やはり御自分の選択で兼業農家が土地をどのように処分なさるか、離農していくという希望のある方については離農しやすくすることが必要である。同時にまた、兼業農家のままで離農せずにやっていきたいという者にはそれ相当の御協力をするという考え方を持ち、地方に産業を分散していくと同時に、雇用機会を増大していこう、こういういろいろな型を考えているわけでありますが、その中で離農しようとされるような方々の土地については、やはり基金のような制度を設けて、中間的にあっせんをする。農地の規模拡大が行なわれやすくするために基金をつくるのでありますし、そういうことの一体となっての目的があるわけでありますから、私どもといたしましては、そういう意味で基金制度をこれに一緒にして運営をしていくことがいいではないか、こういう考え方で御提案いたしておるわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、大臣の御説明はさっぱりなぜこんな名称にしたかということの回答にはなっていないと思うのですよ。参考までに、ひとつ厚生省はいかがでございましょう。こういう農業者年金基金法という名前が、農民の年金を実行するという立場から見て、このような名称で正当であるかどうか。  同時に社会党案の提案者でありまする芳賀先生にもお伺いいたしたい。社会党案の名称と政府案の名称とどちらがすぐれているか、一言でよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 先ほどから小林先生、たいへん名称にこだわっておられるようでありますが、石炭鉱業年金基金法という法律もあることでありまして、私どもは必ずしもこの基金という文字がこの法律の性格を云々するものだとは考えておりません。でありますから、この法律の名称自体を変える必要は別にないものと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 政府案と社会党案の優劣というお尋ねでありますが、これは結局法律案の持つ内容、目的が法律の名称をそれぞれあらわしておると思うわけであります。社会党提出の農民年金法案の場合は純粋な農民年金の法律でありまして、政府の場合は、何のために年金基金法とうたっておるかということをわれわれが判断した場合、被保険者の保険料を基金に積み立ていたしまして、その基金の相当部分をいわゆる農地の買い入れ、売り渡しあるいはまた農業者が農地を取得して経営拡大する意思があるような場合には、その農業者に対して基金から農地取得資金を貸し出しをするというところに、他の公的年金と大きく異なった目的、任務というものを持っておるので、そこであえて農業者年金基金法と名称したと考えておるわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 芳賀先生の御答弁が一番明快でございました。政府・自民党の案は何ら農民の社会保障にあるのではなくて、金を集めて土地の売買、金融その他のことをやることにむしろ法律の目的を置いてある。それはそのとおりだと思う。ここに私は第一にこの法案のインチキ性といいますか、ごまかし性があるといわざるを得ないのである。その点を明快にするために私は第二問に移ります。  この法案の目的であります。政府法案の目的は一体何かということを私はお伺いをしておきたいのであります。政府案によりますと、これは第一条でありますか、「基金の目的」の中に書いてある。書いてあるが、実にごちゃごちゃと書いてある。大体法律の目的などというものは、これは特に実体法で手続法でないんだから、だれもがわかるように、きちっと明快にしておかなければならぬ。これは立法に携わる者の当然の責務ですよ。しかるに、この法律案に関する限り、実に目的がごちゃごちゃだ。ここに私は一つの官僚政治の悪いところがあらわれていると見ている。実に悪いところがある。少なくともわれわれがこの国会において法律を審議する場合には、第一にいって何のためにこの法律を必要とするのか。第二番目は、出た法律が立法の趣旨に基づいて正しく運用されているかどうか。国会議員の任務なんというのは大別すればこの二つしかないと私は思っています。あとのこまかい手続のごちゃごちゃした条項は官僚にまかしてもいい、専門家にまかしてもいいけれども、法律が出たら立法の趣旨とでき上がった法律が目的どおりに正しく運用されるかという監視、監督の責任は、われわれは一日もないがしろにすることはできない。どうも最近は、ともすると官僚が立法の作業に入ってきている。入ってくることによって、法律の目的が非常に技術的に事務的に扱われて、わかったようなわからぬような、ごまかしたようなごまかさないような、そういうような形ででき上がってしまっている。あとでだんだん言いますが、特に政令だとか省令とか、いいところはみんな政令、省令にまかせるという、実に不穏当きわまる法律作業をやってきた。一体この法律の目的は何か。これを見ればわかるんですよ。第一番に、第一条ひとつ分解をしてみれば、一、二、三、四、五と四つも五つも目的が並んでくる。一つ、農業者の経営移譲、第二番目は、農地の買い入れまたは売り渡し、三番目は、農業者の老後の生活の安定と福祉の向上、第四番は、農業経営の近代化と農地保有の合理化、これにみんな羅列している。どっちにもこっちにもみんな当たりさわりのないようにうまいことを述べているんだ。真意は一体何です。経営移譲というか、農林省でいう総合農政の一環として、その目的に沿うために、農民の首切りといいますか、離農といいますか、追い出しといいますか、煙り出しといいますか、それが必要で、この法律が必要なのか、あるいは老後の生活の安定と福祉の向上という社会保障本来の目的のためにこの法律ができるのかどうか。いわば農地の合理化だとか近代化だとか、そういうことと老後の生活を安定するという社会保障とは両立するわけがないんです、こんなことは。それをごちゃごちゃに、竹で木をついだように持ってきて、そうしてこういう法律の第一条の目的と称するものをつくり上げている。どこに一体真意があるんです。そんなに個条書きに幾つもあげないで、この法律の最終の目的と称するものは一体どこにあるんです。お聞かせを願いたい。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 この法律の第一条にあるとおりであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 だから大臣、いま私が言ったでしょう。あなたは私の言うこと聞いているのですか。第一条に四つも五つもそういう目的の項目が書いてあるが、その中には水と油がみんな一緒になっていますよ。だから、第一条に、四つも並べた目的の項目の中のほんとうの目的は何ですかと、それを聞いているんですよ。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 ほんとうの目的が第一条に書いてあると言っているんであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 弱りましたね、これは。法律の目的は農業の近代化のための農地の所有の合理化にあるのでございましょう。そうでございませんか。いま一回聞き直しますが、そうでございませんか。農業の近代化、合理化、そのために経営の移譲をやらせる必要がある。その経営の移譲をやらせるためには、古い思想で土地に執着している老人が少しじゃまになる。だから、これを移譲年金という形で追い出そう、これが立法の趣旨ではないのでありますか。だから第一条の趣旨をもっと切り詰めていえば、目的は近代化、合理化にあるんだ。そのために手段として移譲年金をやったり、老人を追い出したりして近代化の目的を達成しよう、これがこの法案の目的でないのでありますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 小林君に対して私がくどくどと申し上げることはかえって失礼で、しかられるといけないと思って、なるべく簡略にしているわけでありますが、第一条の目的はすなおに読んでいただければ少しも矛盾しているところはないわけであります。大体小林さん、あなたのお国でも隣の信州でもそうですけれども、農業をやっておられる人々が、今度の政府提案にかかるところの法案の成立をみんな望んでいるわけですな。それはどういうことであるかといえば、つまり私どもは、いまあなたが、簡略なおことばだからどうかわかりませんが、煙り出してしまうとか、追い出してしまうとか、法律の目的のどこにもそんな趣旨はありませんで、御当人の選択にまかせるのであります。そこでやはり何といっても規模を大きくしていかなければ、いまの開放経済の世界でわれわれが農業の面で競争をしていくにはむずかしいので、やはり農業を維持していくためには規模を広げる必要がある。このことはいかなる農業団体でも十分御理解のことであります。おそらく失礼なことを言っても、懇意だからおこらないでください、あなたも私どもと同じ思想に立っていると思うのですけれども。  そこで、小さいほうの人たちについて、これは地方で聞いてみますと、兼業農家で何かほかのこともやりたいし、うまくいくならば離農して所得の多いほうに転換したいと考えている人もかなりいらっしゃるわけであります。そういう方々に対してはそれなりの施策を講ずると総合農政の中でもいっているのでありまして、しかしそれには行きやすくしてあげることが必要ではないかということが反面においてこの一条の目的に書いてあるのです。でありますからして、近代的な移り変わりいく社会情勢に対処して、農業もまた国際競争力を維持すると同時に、農業者の立場を十分考慮した上で考えていることでありますから——まああまりいろいろ申し上げる必要はありません。大いに勉強家の小林君、御理解の上で言っておられるのだと思いますけれども、そういうことであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣、ちょっと御注文をつけておきますけれども、あなたと私はなるほど個人的には親しい仲であります。その点は私も光栄の至りでございます。ただ答弁なさるときにあるいは小林君と言ったり小林さんと言ったり、あなたの答弁の内容のように名称までも適時適切に変えられるのは、私ははなはだ迷惑でございます。小林君なら小林君、小林さんなら小林さんと、ひとつその呼び方も一定にしていただきたいと思う。  私は単なる名前のことだけを言っているのじゃない。御答弁のほうも右往左往いたしておりますので私はあえて申し上げるのでありますが、しかしいまはややほんとうのことを言われた。確かに零細農業の中では、農業近代化に即応して離農したい、他にもっと有利な職業を求めたいという人たちもいる。その人たちを気に入るような形で離農せしめあるいは権利を移譲せしめて、総合農政の一環としてやや近代的な農業をつくり上げていく、そして国際競争にたえ得るものをつくり上げる、それが目的だとおっしゃった。これはおっしゃるとおりだ。私、このおことばはちょうだいいたします。それは確かにこの法律の目的だということ。小さいものはなるべく追い出せ、そうして近代的な農業をつくり上げていく、そのためにはトンビに油あげでもやるような形でおん出ていく者に移譲年金もやろうあるいは離農一時金もやろう、それが目的だとおっしゃった。そのとおりです。そのとおりならば、なぜ一体こういうごまかしで農業者年金などという名称をおつけになったかということなんです。それならばあなたのおっしゃったように、農業近代化あるいは大農促進法とでも名前をつけたらどうだ。あるいは旧農民手切れ金法とでも名前をつけるかあるいは農業構造改善事業法でもよろしいし、縁切り料でもよろしい、そういう名前でもおつけになればいい。(「離農促進法はどうだ」と呼ぶ者あり)そうです。農業近代化離農促進法でもよろしい。それがこの法律の目的なんです。それをごまかしているから内容が全部おっつけはっつけわけのわからぬ法律になってしまった。よくおっしゃいました大臣、そのとおりだ。この目的からいけば、農業の近代化あるいは大農促進化のためにあるのだから、年金などという名前をこの法案におつけになったこと自体が私はけしからぬと言うのです。これは農民に対する侮辱です。国民に対するごまかしです。それを私はおやめになったらよろしいと考える。いま、だからこの法律は総合農政促進のためにこういう処置が必要なんであって、決してこれは農民年金じゃないですよ。これを年金などと名称をおつけになられた。実におこがましいし、迷惑千万です。だからその意味において、年金ならば年金法らしく、総合農政つくる、近代化つくるような、そんな名称はむしろ目的の中から省いて、年金は年金らしく、農業で苦労した老後の農民の生活の安定と向上を守るという方向で目的を一緒にしてもらえばいいし、総合農政なら総合農政、近代化なら近代化、その目的のためにこの法案をつくったと言って、年金などという名称はとってもらわなくちゃならない。先ほどから言っているように、これで竹と木を一緒にしたようなわけのわからぬ目的を持った法律ができ上がったということを私はあなたに申し上げた。さっきのお答え、りっぱでした。その意味ならば、この目的をひとつ改正されたらいかがです。私は時間もありませんから——お答えになりますか。ひとつお答えいただきたい。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 あなたが演説される時間がなるべく長いほうがいいと思って、私の答弁簡略にしていたわけなんですが、さっき御指摘になった煙り出しということについてこちらでひとつ申し上げたいんであって、この法律を通覧してごらんになれば、年金の部分が大きにあることはもう否定できません。御存じのとおりであります。われわれ、いままで社会保障のことをやってきた。六十五歳から国民年金がありますが、農業者に限っては二十年かけられた者は六十歳から年金はあげる、同時に六十五歳になりましたならば国民年金と一緒になってその上に上積みをいたして、農業をずっと継続なさる方には年金を差し上げると、こうなっていますから、農業者年金と言って一向差しつかえない。これがその目的の大きな柱であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これは私も大臣と話してもかみ合いませんけれども、私はこの法律の目的は、農業を近代化し、大農化して、そうして日本の高度成長に最も適応する農業、これをつくるための農民に対する縁切り料としてでき上がったのがこの法律の目的だと思っておる。それをごまかしてこういうふうなことをいろいろ書いておられるが、目的はそこです。  近代の資本主義は、日本の農村に対してこういうことを要求しております。  第一番目に、あまり米をつくってもらいたくない。外国の食糧に依存して、これを輸入したその見返りとして日本の工業製品を海外にひとつ売りさばいて進出していく、そのための農業の改革を要求しております。これにこたえるためにこの法律ができたんだと私は思っておる。  二番目には、現在の日本の資本家たちがこの高度成長の中で一番ほしいものは人なんです、人手がないので困っておるのです。その人手というものを、それは特に高度に教育を受けた人でなくて、工業生産の底辺におけるほんとうの苦汗労働者だ、汗を流して働くそういう労働者がほしい。これはどこで求めるか。農村なんですよ。これを農村から求める必要がある。その求人難を解決するためには、まず農村の労働者か農民の労働者か、そのためにこういう法律が必要なんです。  第三番目は、現代の資本主義は、これはいつの世の中でも資本の習性、本能ですけれども、労働者を安く使いたい。そして利潤をあげたい。そのためには安い食糧を提供させる必要がある。その安い食糧を提供させるための省力化、農村の近代化、合理化が必要なんだ。その目的に沿うためにやはりこの法律が必要だということなんです。だから、言いかえれば安い労働力を農村から引っぱり出し、外国の食糧をたくさん輸入して、日本の工業の成長をさらに伸ばしていく、そのため国内の主食を制限していく、安い食糧をつくって労働者の賃金の値上がりを防いでいく、その三つの目的のために、農業者年金基金法などというおこがましい名前をつけてこういう法案ができ上がったものである。何と言われても私は法案の目的はここであると思う。ほんとうにそうでないならば、社会党の年金法のようにちゃんとその目的を明らかにしたらよろしいじゃありませんか。社会党の年金法は、その点は明確にしております。第一条に、決して縁切り料でもなければ農民を追い出すのでもなければ、近代の資本主義にも協力するのではないという形が明確になっております。だから、あなたがそれは資本のために奉仕するための法律じゃないと言うならば、目的は社会党のこの目的を持ってきて、いまの第一条と入れかえられたらどうですか。おやりになる元気がありますか。それならあなたの意見に賛成しますよ。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 いま小林君のお読みになった資本云々というのは、それはそういうことを言う人もどこかにあるかもしれませんが、私どもの考えではありません。私どもは、やはり農業の維持、強化ということ、自立経営農家を育成していくということは絶対に必要であるので、そういうたてまえを農政の基本に置いている。しかし当分の間は、もちろんいまでも八割余りあるのでありますから、兼業農家、そういう人たちの所得を多くするためには産業の分散化も必要であるし、諸施策が必要であるということで、農業者年金法におきましては、一つには離農を希望する者には離農しやすくしてあげることが必要であるし、農業をずっと継続される方のためには、老後保障の意味における年金制度というものを国民年金と合わせて実行することになっている、こういうのでありますからして、私どもは私どものいまの段階においては政府案を実行していただくことを農民の利益ではないか、このように考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はまだ自分の要旨や質問の十分の一もやらないのですけれども、時間が来たというので、残念でございますけれども……。この法案を審議する上においてひとつどうしても必要な資料があります。もちろん、大臣も出すのだからおわかりになっているのだろうと思うのですけれども、第一番には、ブルガリアの農業政策です。特に、農民が農地を移譲する法等については相当新進的な方策をつかっておりますから、この資料と、もしおわかりになっていたらひとつ御説明をいただきたいと思います。次に、第二番目に、農業従事者に対する特別制度というものが社会保障制度の形でフランスではでき上がっております。この資料と御説明を願いたい。第三番目に、同じく西独です。西独では自営農業者に対する特別制度というものができ上がっておりまして、これもあなたの言うようなこんなものではないのです。社会保障の一環として特別立法ができ上がっている。同じドイツでも東独のほうは農業従事者に対する変わった社会保障制度を特別に設けられておる。ひとつその資料も整えると同時に、あなたから御説明をお聞きしたい。大臣、こういう法案をおつくりになるのですから、もう暗記するくらいおわかりになっているでしょう。第五番目にはイタリアです。イタリアも自営農業従事者に対する特別制度というものを設けて、やはり社会保障制度と関連しました特別立法を持っております。この点もひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。なお第六番目には、チェコスロバキアの年金法について、これも農業年金、これを勉強するためには非常に参考になります。大臣からこの点をひとつお聞かせいただきたいと思うのでございます。いまおわかりになりましたらすぐひとつ御説明をいただくことにいたします。もう時間がないと言っておりますから、私はその点を要求いたしておきます。  次は、もうやめなくては悪いけれども、これは資格要件の中ですけれども、私は法文でどうしても了承のきない法文が一つある。それは先ほどもちょっと序論で申し上げましたけれども、第二十三条ですよ。任意加入被保険者です。もうやめろと言いますからやめますけれども、第二十三条の第一項第一号ですが、「農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう者であって、所有権又は使用収益権に基づいてその事業に供する農地等の面積の合計が前条第一項の政令で定める面積には満たないが政令で定める面積以上であるもののうち、」一つの条文のうちに二つも政令が出てくる。「政令で定める面積には満たないが政令で定める面積以上であるもののうち、」から、今度はそこへきて「省令で定める基準に適合する者」、どうですか。この中には法律をやってきた諸君もいるだろうけれども、一条項の中で、政令で満たないものを政令で満たす、それの関係は今度は省令で基準を示すなんという、こんなでたらめな条文がどこにありますか。これはもはや日本の政治が、民主的に国会の中で国民代表によって法律をつくるのではなくて、全部官僚に壟断されている何よりの証拠です。みんないいところは政令だ。そして政令でできなければ今度は省令だ。法律の条文だけは、どうせ国会議員なんというのは小林進なんかをはじめ大体いいかげんなのがいるのだから、こんなのはいいかげんにごまかしておけばいい、あとは全部官僚が政令だ、省令だ、これですっかりまとめあげて人民大衆をしぼりあげていこうというのだ。そして官僚の権力を強化していく。大臣、あなたも官僚出身ではない。あなたと私の共通点があるとすれば、それはお互いに雑草のように伸びてきた。官僚のめしは食わぬ、それならばこういう条文をあなたは黙って見ておられるかというのだ。私はまだ幾つも言いたいが、時間がないので後日また日を改めてやりますが、こういう条文の訂正だけはやりなさい。ほんとうに現在民主政治は危機に瀕しております。政党政治は危機に瀕しております。官僚に牛耳られている。私はいままで法律に親しむこと四十年、こんな条文がありますか。ひとつ斎戒沐浴して答弁してください。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 二十三条の政令、最初の政令は五ヘクタール、あとの政令は三ヘクタール、したがってその政令につきましては、こうやって法案の審議を願うときに、この政令の中の制約は一体何反歩を考えているかというふうなこともみんなこうやって御論議の対象にしていただいて、その御論議の結果御決定を願うのでありますから、何も民主主義をそこなう心配はありません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 残念ながらまだたくさん質問がありますけれども、私は留保いたしまして、一応同僚諸君に質問を譲ることにいたします。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 先ほどから小林委員のほうからいろいろ質問がありました。それはこの法案の性格が年金的な性格を帯びていない、むしろ離農促進的な性格を帯びているのだ、こういう質問があったわけであります。そこで、その前にお聞きしたいことがあるわけですけれども、昭和四十五年三月二日、社会保障制度審議会で農業年金制度要綱についての答申がありました。これは農林大臣、厚生大臣に対する答申だと思うのですけれども、その諮問の件について「たとえ国の農業政策的要請があるとしても社会保障制度としての年金制度のあり方になお疑念が残る」こういうことがございました。続いて「とくに国庫負担その他の点において他の年金制度に及ぼす影響も大きいと思われるので、その運用にあたってはとくに慎重を期せられたい。」こうあります。先ほどの小林委員の質問とあわせて、社会保障制度審議会においてもこういう答申が寄せられておる。私は、年金というものは底上げをしなければならぬ、これはよくわかります。しかし同時に、それは将来の方向としては一元化をやはりはかっていかなければならないのではないだろうか、それが私は趨勢であると思うのですけれども、こういう答申が寄せられております。そのことについて農林大臣並びに厚生省の次官がお見えになっておりますので、お二人の御意見を伺いたいと存じます。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 いま山本委員からお話しになりました答申は、読まれましたように、たとえ国の農業政策的な要請があるとしても、社会保障制度としての年金の制度のあり方になお疑問の残る点があるという趣旨のことが書かれております。しかし、この農業者年金制度というものが現在の年金の体系を根本的にくずすものではないということから、その運用にあたっては特に慎重を期せられたいという一言をもってこの制度を認めていただいているわけでございまして、御承知のとおり国民年金を基礎として築かれたこの農業者年金制度でありますから、私どもはなお社会保障全体の方向をくずさないように、運用には十分注意をいたしながらこの制度を進めてまいるつもりでおります。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 社会保障制度審議会の答申についての見解はただいま厚生省から申し上げたとおりでありますが、私どもも同様に考えて、これを運用にあたっては慎重にやらなければならない、こう思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 何かこの法案が制度として考えてみた場合には、農林省サイドの要求、これはそういうことが当たるかどうかわかりませんが、あえて申し上げますと、小林委員のおっしゃっているようなむしろ離農を促進する、そういう政策といいますか、農林省サイドの要求と、そしてそれを結局補完をするという厚生省サイドの要求とが混淆したような感じがするわけです。  そこで時間がございませんので、そのままこまかい質問に入りたいと思うのですけれども、保険料は七百五十円ですね。そうすると総保険料、これは国庫補助を含みますけれども、総保険料は幾らになりますか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  経営移譲年金に対する国庫負担が三分の一ございますので、必要経費からその分を除いたものが約千七十円でございます。それに対しまして三百二十一円の保険料に対する国庫補助がございますので、その残りが七百五十円ということになるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると経営移譲分の保険料というのは幾らになりますか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 経営移譲に要する保険料所要経費は六百八十円でございます。先ほど総経費を落としましたが、全部の、国庫負担、補助も含みましたいわゆる総経費は千二百九十八円でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると総保険料が千二百九十八円、これは国庫補助を含んでいる。経営移譲分の保険料が六百八十円。その三分の一を国庫で補助をするわけですね。それが二百二十七円ですね。そうしますと本来的な保険料というのは千七十一円になりますね。それに政令でしたか、当初の国庫補助が三百二十一円、こういうことでしょう。そうすると国庫補助の合計をしますと、二百二十七円と三百二十一円ですから、これが五百四十八円になります。その結果総保険料千二百九十八円から五百四十八円を引いて七百五十円と出たこれを保険料として取る、こういうわけですね。それは間違いございませんか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 そのとおりでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると二十年ですから、七百五十円かけるの十二カ月かけるの二十年間の元利でありますね。そうして六十五歳からもらう場合にはこれに、据え置きですから五年分の利息がつくわけですね。その結果が四十一万円というふうになる。これは間違いございませんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 ほぼ四十万という金額間違いございません。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 四十一万を今度年金原価で割りますと四万八千三百十三円になるはずです。それを結局月に直すわけですから、四万八千三百十三円を十二で割ると四千二十六円になるでしょう。そうなるはずですけれども、それはどうですか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 そういう計算になります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうしますと、これは農林水産委員会の調査室でできたものですけれども、六十歳で経営を移譲した人は一万六千円もらう。六十五歳になりますとこれは国民年金の定額給付とそれから比例給付がありますから、それにプラス三千六百円、これは経営を移譲しないあるいは移譲した場合、いずれの場合でも支給されるわけですね。移譲しない場合には三千六百円しかもらえないわけです。移譲した場合にはこれに千六百円上積みされて五千二百円。そうすると、ちょっとお伺いしますけれども、二十年間掛け金を掛けて離農しない場合には元利合計は戻ってこないことになりますね。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 その御指摘そのものについてはそのとおりであります。ただ先日から何回か当委員会で同じ問題で御答弁をしてまいったわけでありますけれども、御承知のとおりに、一般的に老後保障と老後の生活安定という目的にはすでに国民年金という制度が今日あるわけであります。しかし先ほどから農林大臣が何回か答弁をされましたような、現在の農業界の置かれておる趨勢というもの、それを考慮に入れ、農業者の上に何らかの一つの上積み部分をこしらえていかなければ、特に農業に従事される方々の老後保障というものに欠ける点がある。その一つの支給要件として私どもは経営移譲という制度をとったわけでありまして、その点制度のたてまえからまいりますならば、経営移譲を六十歳でなさってくだすった方々、また六十五歳まで経営移譲されずにこの年金の恩恵を受けていかれようとする方々、この間には、どうしても差異が出る点はやむを得ないと考えております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 少くとも国家が年金基金制度を設けるんですよ。民間でも二十年間契約して掛けた場合は、元利合計は戻ってきます。しかし離農しないからといって、なぜ元利合計が戻ってこないのか。しかも国家のものじゃないですか。国家が掛けさしておって、掛ける場合には国家だったら、最大の保証になるでしょう。民間よりは保証者としては最大のものになるのが、なぜ掛け損になるのか、なぜ元利合計が戻ってこないのか、そういう年金制度が、一体国家として考えられて至当なのかどうか。つまり離農ということを考えるから上積みをしなけりゃならぬからということは私法上の問題ですよ。しかし制度として考えた場合には、そういうことは年金制度としては、しかも国家がやるものとしては考えられないはずなんです。私はそう思う。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 いま申し上げましたようなたてまえでこの制度を運用しておりますので、五分五厘という金利を考えるならば、経営移譲をされない場合に確かにそれだけマイナスが出るということは言えます。しかしこの場合におきましても四分六厘程度の金利は付与されるわけでありまして、その意味では、私どもは掛け捨て的な考え方をとっておるわけではございません。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私が申し上げておるのは、元利合計が戻ってこないということなんですよ。掛け金をすれば、それについていまの金利とすれば、普通五分五厘というものが加算されるわけでしょう。それを、加算されたものが戻ってくるなら話がわかるけれども、そういうものは捨象してしまって、そして離農した人、つまり経営移譲をした人にそれを上積みにやるというのは、少なくとも国家のやる法として私は適正を欠いていると思うんですよ。大体、職域年金というものの考え方はそんなものじゃないでしょう。その点いかがなんですか。これは年金局長、ひとつお願いいたします。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 いまの、数字的には先生のおっしゃったとおりの計算になるわけでございます。ただ考え方といたしましては、この農業者年金基金の目的なり、性格が、先ほど来いろいろ御質疑がありましたが、これは単なる社会保障だけの年金制度ではございませんで、先ほど来お話がございましたように、農政上の要請にこたえるために経営移譲の促進ということが、もう一つの目的に加わわっておるわけでありまして、その両方の目的を兼ね備えておるわけでございます。  そこで、一定の金額をどのような設計でするかということになりますが、経営移譲した人、しない人、あるいは途中で脱退する人、あるいは途中でなくなった人にも一時金を出すわけでございますが、それぞれの目的に対応するような年金設計にした結果、こういう結果になっておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私の問いに答えてないんですよ。なぜ私は初めに社会保障制度審議会の答申を皆さんに申し上げたかというと、そういうことがあるから言っているわけでしょう。そして、大臣も次官もそういうふうにお答えになったと思うんですけれども、こう書いているんですよ。国の農業政策上の要請があっても、社会保障制度としての年金のあり方に問題があるというのはまさにここにあるわけでしょう。それを次官は、運営にあたって慎重を期したい、こうおっしゃったわけだ。だけど、運営にあたってそういう慎重な考え方があらわれておらぬということを私は指摘しているのですよ。それじゃどこであなた方は運営にあたって慎重を期したのかどうか、その点をお伺いしたいわけだ。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 おしかりでありますけれども、先ほど来お答えを申しましたような考え方を私どもはとり、経営移譲というものを一つのこの年金の受給開始の要件として設定をいたしました。その要件を満たしていただく方と、満たしていただけない方と多少の差異が出ること、これはこの制度の上においてはやむを得ないと今日考えております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 民間は、これは営利ですね。しかし民間は少なくとも二十年かけたら二十年分の元利合計は戻ってきますよ。しかし、国で法によって拘束をした場合にそれが戻ってこないなんていうばかなことはない。  それじゃもう一つお伺いしますけれども、一体職域年金というものの性格はどんな性格か、ちょっと聞かしていただきたい。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 年金の目的は、御承知のように、職域年金でありましても、一般の自営業者に対する年金でございましても、所得の喪失または減少が起こった場合に、その所得を補うために年金を出すというのが一般的な目的でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それじゃ再度お伺いします。あなたがおっしゃったように、なぜ年金制度というものを置くかということの中に、職域年金の中には確かにそういう収入が低減をした場合にそれを補完するとか、あるいは収入がなくなった場合にそれを補うとかという意味がある。しかし、そういう年金制度をつくった背景というものは、そういう制度をつくることによって職域における長期滞留というものを期待をしておるということがあるはずです。そうじゃありませんか、その点はどうでしょうか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 そのとおりだと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だから職域年金というものについては大体二十年という長期のことをやっているわけでしょう。ところが、この農業者年金基金法というのはそうじゃなくて、六十歳になったらおやめなさいということでこの法案をつくっているわけです。つまり、長期滞留とまさに逆に、若いうちにやめなさい、こういう職域年金制度になっているわけですよ。そうすると、本来の職域年金制度の性格と、今度新しく出てきた農業者年金基金制度というものとは全く相反したる性格という、対照的な性格になっているわけです。私が申し上げたいのは、これは従来の年金制度という概念からはずれた年金制度ではないだろうか、とするなら、本来的にいう年金の性格とは違った意味というものが一体どこにあるだろうか、それは離農促進でしかないのじゃないだろうかということを私はお伺いしているのです。この点は農林大臣にお伺いしたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 先ほども小林さんに申し上げたとおりでありますが、私どもとしては老後保障が一つ、もう一つは、いまの時代の要請に応じまして、できるだけ規模拡大のために、小規模経営の人々には、他産業に転換するための御協力をいたしながら規模拡大を進めてもらいたいという、こういう二つの要請で今度の法案を提出したわけでありますが、これは御存じのように、われわれが発明いたした考えというよりも、いろいろ各国でやっておりますが、やはり私どもは一つには国際競争力の増強、そのために農業にしっかりした体質を備えたいというのと同時に、並行して老後保障を考えてまいりたい。しかし、当初これをやります過程におきましてもいろいろ研究いたしました。けれども、先ほど社会保障制度審議会の御意見にもありましたように、これから運営してまいるには社会保障制度審議会のような考え方に立って慎重にやってもらいたい、これは私はいろいろ御意見のあるところだと思います。しかし、ねらいました目的が、いま申し上げましたように、二つに存在しているということを御理解いただきたいと思うのです。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 一歩譲りまして、国際競争力に耐え得る力をつけるためにということはわかります。だけれども、二つの目的というものがあるわけでしょう。そうすると、少なくとも政府がおやりになる政策なら、なぜ二つの目的を満足させるような政策をとることができないのか。片一方、六十五歳になって、なお経営移譲しないという事情がある場合に、その人たちが不利益をこうむるような法の制定というものはおかしいと思うのです。  年金局長にお伺いしたいのですけれども、年金の目的というのは一体何なんですか。年金の目的というのは一体どういうあれがありますか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 一口に申しますと、所得の喪失または減少した場合に、その所得を補償するのが目的でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 年金の目的というのは、安全性というものが一つ、効率性というものが一つ、そうして最後に福祉性というものがあるのですよ。それが年金の目的でなかったら年金の意味がないじゃありませんか。それじゃ政府の法案の中に、安全性は別にして、効率性がどこにありますか、福祉性がどこにあります、いま私が申し上げた中から。つまり掛け金の元利合計も戻らないというような福祉性というものがどこにありますか、効率性というものがどこにありますか。年金の本来の目的というものとはかけ離れたものじゃありませんか。それをあなた方はどう理解なさっておるかということですよ。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 効率性ということにつきましては、年金の積み立て金の運用につきましてはもう当然の原則でございますが、個人個人の場合につきましては、年金は多数の人が集まりまして、お互いに保険事故の危険を分散するということでございますから、必ずしもあらゆる場合におきまして自分の掛けた金が五分五厘の利息がついて戻ってくるというような貯金のようなわけにはいかないものでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 局長、民間の保険契約書を一ぺんごらんになったらいいと思うのです。民間の場合にはちゃんとこういうことをうたっているのですよ。安全性と効率性と福祉性というのはきちんとうたわれておるのです。そういうことをおっしゃるのは、あなただけですよ。もう一つ、それじゃ福祉性ということに言及なさらなかったのですけれども、福祉性ということについてはどうなんです。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 恐縮でございますが、その福祉性とおっしゃる意味がどういう意味で使われておられるのかわかりませんので、もうちょっとわかりやすく御説明願いたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 つまり冒頭あなたのおっしゃった、生活の不安を解消するためということがあるでしょう。それが福祉性でしょう。だけれども、あなた方がいまおつくりになろうとしておるものについては、少なくとも経営移譲しない人は不利益をこうむるという事実があるわけですから、そのことを私は言っているわけなんです。なぜ二つの目的を両立させるような法案をおつくりにならないのか。それは国庫補助というものをあなた方はお考えになればできるはずなんですよ、この法案だけに限定して言えばですね。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 この農業者年金基金は、先ほど来お話がありましたように、経営移譲した場合の年金あるいは経営移譲しない場合の六十五歳からの年金、その他途中で脱退した場合の一時金と、それらのいろいろの種類の給付があるわけでございます。それらのいろいろの給付をまかなうために保険料としては七百五十円という計算になっておるわけでございまして、その七百五十円と、経営移譲をしない人の場合の年金とが必ずしもつながるものではございませんで、七百五十円と比較する場合には、経営移譲した人の年金も含めての全体の計算で収支を合わしておりますので、一部だけ比較するというわけにはいかない性格のものでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 どうも平行線をたどるようですが、それではもう一つお伺いしたいのですけれども、この制度をつくることについて、一体経営移譲——経営移譲率といったほうがいいかもわかりません、これを幾らぐらいに見込んでおるのか、お聞かせいただきたいと思います。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 この制度ができました場合に経営移譲率がどれだけ促進されるかということを、審議会等で専門の方からもいろいろ御意見を聞きまして、また農林省とも十分打ち合わせしまして、結論的にはこの計算の基礎になっております数字は、一般的には現在の経営移譲率が五年早まるという考え方でやっております。  具体的に申し上げますと、現在の調査によります六十歳時点の経営移譲率が一四・二%となっておりますが、これが二五%になる。これは六十歳時点だけの数字でございますが、六十歳から六十五歳までの五年間の経営移譲率について申し上げますと、現在の時点が三〇・二%、これが三八・九%になるという前提で数理計算をしております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、その経営移譲したときに一万六千円ですか、六十歳の場合には給付をもらえる。実は私は八王子の、昨年農地を親からもらった人の話を聞いたのですけれども、二百万円税金を取られたというのです。そうすると、これに対する税法上の配慮があるのかどうか、この点はいかがでしょう。経営移譲した場合に税法上の配慮をするのかしないのか、この点はいかがでしょう。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 税法上の配慮はどうかというお尋ねでございますが、いろいろな税金の関係が出てまいります。経営移譲をいたしました場合に、その経営移譲によって土地の売り渡しをいたしました場合にそれがどうなるかという問題、あるいは年金の支給によって給付があるわけでありますが、それに対する、たとえば所得税の扱いがどうなるか、あるいは保険料がどうなるかというようないろいろなことがございますが、おも立ったことについて私どもが現在考えておりますことを若干申し上げますと、保険料につきましては、これは次の機会に、四十六年の税制改正になると思うわけでございますが、社会保険料の控除の対象にする、こういう予定でございます。それから年金給付につきましては、これも四十六年の税制改正、次の機会の税制改正の問題になるわけでございますが、これにつきまして、国民年金と同様でございますが、給付所得として扱うかどうか、これについても国民年金の給付の問題とあわせて税務当局と検討する、こういう約束に相なっております。  それから農地の譲り渡しをいたしました場合の措置でございますが、これは、基金に売り渡しをいたしましたような場合には百五十万円の特別控除を認めるというようなことにつきまして、まず政令改正になるかと思いますが、そういうようなことで税務当局と相談をいたしております。いずれにいたしましても、この法律が成立をいたしました段階で、全面的に税務当局とも相談をいたしまして、必要なものにつきましては次の年度の改正としてしかるべき措置をとりたい、こういう考えでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 ちょっといま聞き漏らしたのですけれども、たとえば移譲した場合の贈与税というのですか、このことについていまお触れになっていなかった。お述べになりましたですかね。一番問題点はそこにあるのじゃないかと私は思うのですよ。せっかく年金をもらうといっても、贈与税がばく大にかかってくれば、これは効果が全くなくなるといってもいいのじゃないか。五年間に四二%というのは、私はこれは多過ぎると思うのですよ。それくらいな離農ということが期待されるかどうか。私は、離農そのものに対しては別な意見を持っておりますけれども、しかし、政府の政策としてお考えになっている四二%というような高率な離農の促進が期待できるかどうか。それは、私は、税金のうちでこの場合に関しては贈与税というものが一番大きなかかわりを持つと思うのだけれども、それについてはお触れになっておらないわけです。私は、これをやらなければそんなに簡単にできはしないだろうと思う。再度、その点はいかがでしょう。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 贈与税の点触れなかったのでございますが、これにつきましては、私どもの考え方は、現在、御存じのような生前一括贈与の特例がございまして、その性格からいたしましてこれに該当をする、こういう考え方でおるわけでございます。したがいまして、生前一括贈与の対象になります農地というようなものにつきましてはその特例が適用される、こういう考えでございます。  なお、登録免許税でございますとかあるいは不動産取得税につきましても、御存じのとおり、やはり同じようなケースが当てはまるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 時間がないですから、もう一ぺん初めのことに戻ってお伺いいたしますけれども、農政審議会が四十四年の九月に答申を出しております。「農政推進上留意すべき基本的事項についての答申」というのですが、その中で、「農政推進上の基本的事項」というのがありまして、「離農の援助、促進」というのがありますけれども、ここを見ても、年金というのはつけたりについてるだけなんですよね。「就業構造を改善するためには、高年齢者の農業からの引退が果たす役割が大きいので、それを促進する必要がある。」そういっておいて、農業者年金制度の果たす役割りを、生活の不安もあるから、重視すべきである、こういうふうにいっているわけです。だけれども、いま私が質問を申し上げたように、実際は六百八十円で済むべきものを七百五十円取っているのですよ。国民年金を掛け、そして今度はこれを掛けるということになれば、二重の負担になるわけですけれども、そしてその中で、保険料七百五十円というのは、少なくとも経営移譲の本来的な個人負担といいますか、保険料の個人負担六百八十円からすればはるかに上なんですよね。たくさん掛けておって、そして元利合計というものが二十年後にもらえない、そういう制度というものは、私はどう考えても、二重の政府による収奪であるとしか考えられないのですよ。これは年金関係ですから、むしろ厚生大臣にお伺いをしたほうがいいと思うのですけれども、二十年間掛け金を掛けさしておいて、そしてその元利合計がもらえないというのは、一体正しい年金制度としての考え方なのかどうか。  そして、保険料というのは六百八十円であるべきなのにかかわらず、これはリスクを見込んでおるのかもわからぬです。しかし、私をして言わしむるならば、そのリスクというものは政府がむしろ負担すべきである、にもかかわらず、七百五十円という保険料をお取りになる。これはどう見ても二重の収奪ではございませんか。その点について、大臣は一体どうお考えになっておるか。これは大臣に対する社会保障制度審議会の答申もあります。運営を慎重にされたいということもあるのです。年金としては、社会保障制度としては問題がある、こういっているのですよ。しかし、それはそれとして、運営に慎重を期せられたい、答申はそういっているのだけれども、しかしそれを慎重に運用についてあなた方はおはかりになってないような気がする。なるべく国としては最低の補助でもって最大の負担を農民にかけさせよう、こういうお考えが貫かれているような気がしてなりません。その点について、大臣からひとつ……。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 山本先生いろいろ御計算もなされての結果の御質問と思いますが、私が理解をいたしております限りにおきましては、農業者年金制度運営のためには、まずその経営移譲した者に対しましては、年金給付額の三分の一は国庫が負担して、国が持ち出しがある。また、当面、しばらくの間ということになりますか、掛け金につきましても、国が三割ぐらい加入者のための肩がわりをするということでありますから、農業者年金保険全体の仕組みの中におきましては、国も相当の持ち出しをしておることは、これはうそ偽りはございません。ただ、問題は、実際年金が給付される場合が、六十歳から六十五歳までの間に、経営移譲をした者、こういう限定がありますから、経営移譲された方につきましては、これは大体この年金制度が単に農業経営者の老後生活保障ということばかりではなしに、農業政策の転換というもう一つの面も含んでおりますので、したがって経営移譲なさった方に重くしておるという面があるのは、当然そういうことになりますので、そこで経営移譲を六十五歳までにしなかった人に対しましては、経営移譲をした人よりも、利回りといいますか、年金をもらう歩合が減っているということは、これはある意味からいえばこの仕組みの出発から当然のことであって、農業者を政府が収奪しておるというような面は全体としては一つもないという点は、これはぜひひとつ御理解いただきたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 大臣、国が国庫補助をしているから、経営移譲をしなかった人に、二十年間の掛け金の元利合計をまるまるやる必要がないのだということは、筋が通りませんよ。それは筋として話が論理的に通らないでしょう。そう思いませんか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 この年金の制度は、いまも述べましたように、農業従事者の老後の生活保障ということと、まれそれに加えて経営移譲促進、こういう農業政策上の要請のためにできているものでありますので、どうしても経営移譲をした人に利益のウエートがよけいいく、したがって経営移譲なさらなかった方には、掛け捨てとかなんとかということはありませんけれども、その利回りが非常に有利にいくということでないのが、これは制度の趣旨からいえば初めからそういう仕組みにできている。それによって経営移譲を促進をしていただく。しかし経営移譲しなかった人にも御損はかけない、こういう趣旨でこの計算ができていると私は理解をいたしております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 大臣何か御用事があるそうですけれども、それでは一つだけお伺いします。  いま厚生大臣は、経営移譲を本来の目的としているからと、こうおっしゃった。農林大臣は、先ほどから、そのほかに生活の不安を解消するための年金制度というものが必要なんだ、こうおっしゃっておるわけですよ。農林省のサイドから言ったら、経営移譲ということをなるべく背後に隠しながら年金制度を強調しているんですよ。あなた方から言わせれば、年金制度の不備というものを背後に押しやりながら経営移譲ということに力点を置いておっしゃっておるわけですよ。農林省と厚生省では話が違うじゃありませんか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 表現が適当でなかったら私はまた言い直さなければなりませんが、この年金はただ単純に農業経営者の老後の生活保障ということだけでなしに、それともう一つは経営移譲という目的を加えておるということを申し上げたわけでございます。  したがってその点はただ一つの農業者という職種、あるいは他にもいろいろ職種がございましょうが、その職種だけを目的とする特別年金制度ということではない、こういう意味でそのことを私のほうから申し述べた、こういうことでございますので、どうか誤解をなさらないようにお願いいたします。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 たいへん不満足ですけれども、あと島本委員が質問されると思いますので……。私はこの制度が少なくとも均衡を欠いているということだけは言えると思うのです。離農した人、経営移譲した人とそれから経営移譲しない人との間に——もちろん経営移譲したという政策の是非は別としても、その人に対してプラスアルファがつくことはあり得るかもわからぬ。私は反対ですけれども、国の政策として国のほうでお考えになるのだったら、それはそれとしてあり得るかもわからぬ。しかし少なくとも掛け金を掛けた人が元利合計をもらえないという、そういうことは私は間違いだと思うのですよ。その点について運用を慎重にされたいという答申もある。したがってぜひこの点についてもう一ぺん前向きにひとつ考えていただきたいと思います。  私の質問を終わります。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私も今度政府から提出されております農業者年金基金法案関係資料に一通り目を通させていただいたものでございますが、先ほどから先輩委員がいろいろな立場から追及しておりますように、今度の農業者年金法案は、農業者が年をとってからのいわゆるる社会保障と農業政策の転換という立場からこの法案ができ上がっているようでございまして、中身は非常に複雑な感じを受けます。  まず私は農林大臣にお伺いいたしますけれども、これまでのわが国の農政は、率直に言って失敗であった。その原因についてはいろいろと論議されておりますけれども、最大の原因は、農業政策に対する長期的な計画あるいはその見通しの甘さにあったのではないか。つまり施策の貧弱さにあったのである、このようにわれわれ感じているわけでございます。私がここで申し上げるまでもなく、何をやるにしても基本的になる計画が問題でございます。たとえば農政の転換にいたしましても、最近総合農政ということばが非常に出されているわけでございますけれども、単なる総合農政という名前ではなくて、その中身に私は問題があるのではないかと思う。つまり根本的な農業の立て直しのポイントを一体どこに置いていらっしゃるのか、こういう問題になるわけでございます。きょうの法案審議に入りまして、この農業者年金がそうした総合農政という立場に立った上の関連性といいますか、位置づけと申しますか、そういう立場からまずお答え願いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 政府のずっとやってまいりました農政について御批判がございましたが、日本の農政というものは、それはいろいろ計画どおりに進まない点もありましょうけれども、私は決して失敗はしておらないと思います。たとえば農業者の生産団体の方々でも最近はしきりにヨーロッパ、アメリカその他を御視察になって来られる。いろいろな御意見を持っておられる方がヨーロッパ諸国などの先進国の農業を見てきましても、日本の農業が非常にきめこまかな配慮をしてやっておる、しかもかなりの成果をあげておるということについては、ほとんど異口同音にわれわれにその所感を報告していただいております。きょうは時間もありませんからそう言うことでもないでしょうが、総合農政というのは、私は、要するに農業の構造をどのように体質改善をして移り変わりゆく現在の国際社会に対処し得るかということのために、そういうところにピントを当てて進めていく考えでございます。そこでこれは、先ほど山本さんがちょっと御引用になりました農政審議会の答申の中にも、少数意見ではありますけれども、日本の農業に対して徹退作戦をやれという意見もあったと聞いております。私どもは、そういう学者の意見もあるかもしれませんが、農業に対する撤退作戦というようなことは毛頭考えておりません。いま生産調整を米に対してやっておりますが、これはしっかりした体質に改善するための一時的施策でありまして、米についても撤退作戦などを考えておるわけではないのであります。したがって、国際経済の中に対処してわれわれが勝ち抜いていくためにはどうしても体質改善をして、農業としてりっぱな体質を備えていかなければならないという考え方に立って、長期見通しの中でも五十二年に四ないし五ヘクタール、搾乳牛では二十頭というような一応の目標を立てておりますのもやはりそういうような見解からでございまして、そういう角度で考えてみますと、近来御存じのように他の産業が非常に発展してまいりまして労働力を要求しておる。労働力はだんだん不足の傾向にあります。それが農業はそろばんがとれないということで、そのほうに大部分いってしまうというようなことを放置しておいたのでは両方ともだめになるのでありますから、そこで私どもとしては、農業としては立ち行くような自立経営をできるだけ育成してまいりたいけれども、その過程において、わが国では、いまの現存しておる兼業農家というものが当分の間存在するであろう。そして兼業でやっていきたいという方々には、自立経営を中心にして集団的な営農地域をつくってまいって、農業をそれに一緒にして能率をあげていただくと同時に、余った労働力には、本人が御希望なら他に転職することを促進してあげましょう、本人が御希望であるならばその集団営農の中に入ってやっていただくようにしよう、こういうわけでありますから、私どもといたしましては、それの専門家、学識経験者及び生産者団体等の代表も参加しておられることのそういう中における意見も尊重しながら方針を立てたのが総合農政の一応の方針でありますが、その中でみずから望んで離農したいといわれる方々は、先ほどもここでお話がありましたけれども、その土地をどうするかという悩みがあります。それに対しては税法その他の面で御協力をいたすと同時に、離農しやすくしてあげるということが必要ではないか。そういうことのために、一つには農業者年金の一部で考えておりますような離農促進の考え方をとる、これは強制ではありません。したがって、農業者年金制度というものは、総合農政を推進してまいるために非常に大きなウエートを占めた効果のある手段である。  もう一つには、生産性が比較的おくれておって、そろばんがとれないなどといわれておる農業をずっと守っていただく方のためには、老後の保障も考えてあげなければならないし、また生産コストを下げるために、多々ますます圃場の整備であるとか土地改良であるとかいうものには、政府として全力をあげて促進してまいって、コストダウンに協力するようにいたしたい。こういうことでありますので、今度の年金法も、そういうことから見ますと、いろいろな大事な立場を占めておるものである、このように理解しておるわけであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いろいろとお答え願ったわけでございますけれども、農政に対して失敗してはいない。見解の相違でしょうが、今度の農業者年金基金法案の提案理由説明の中にもこういうふうに書いてあります。「農業者に他産業従事者と均衡のとれた所得と生活水準を実現し得るようにすることは農業と農政に課せられた基本的課題であります。」これを裏返せば、農業従事者は一般の方々の所得あるいは生活水準よりきわめて低くなっている。これは率直に言って、農政の失敗のあらわれではないか、私はこのように端的に申し上げたわけであります。きょうはそういうものを論議する時間じゃございませんので、これはまたの機会に譲りますけれども、今回の農業者年金のあらましを見ますと、要するに資質のある、いわゆる優秀な有能なる農業経営担当者をある程度確保して、そして農地を拡大して、いわゆる集約化していくといいますか、そういうところに主眼が置かれて、いわれております農業の近代化あるいは合理化がなされるのである、ここに柱があるんだ、このように見受けられるわけでございます。私もこの過程におきまして、中小農家の方は、何といいますか、切り捨てごめん的な立場に置かされることを余儀なくされるのではないか、このようにも感ずるわけであります。ここが非常に心配するところでございますけれども、私の地元にもかなり農家がありますが、そういう中小農家の方々のお話を承りますと、農協等にものすごい借金がある。五十万とか百万じゃない、平均百五十万、それ以上の借金を負って、やめようにもやめられないんだという声も聞いております。そういう点から見た場合、今回の年金基金の目的の中に経営移譲というのがありますが、この仕事が農業者年金のねらいのようでもありますし、また今回の法案の内容を見ていきますと、これは中小農家にはあまり恩典はなさそうにも私は思うわけでございます。そういう点についてもう一度お伺いしてみたい。つまり中小農家に対しては恩典の薄い法案になっている。これに対してはどう思われているかということです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 いわゆる大橋さんの言われます中小農家といわれる方々で、一般の情勢を判断されまして、ここでひとつ自分は他に幾らでも仕事があるのであるから、そういうほうに転換したいと希望される方に対しては、離農を促進しやすくするようにいたしたい、こういうことであります。そしてまたいま申し上げましたように、私どものいわゆる中小農家といわれる方の多くは兼業農家でありますから、そういう方々が中央に集まってしまって、いわゆる労働者としての方向に進まれるという傾向がありますので、そういうことは国全体としては好ましい方向ではないとわれわれは考えますので、できるだけ地方に産業を分散してまいりたい。そしていわゆる中小農家といわれる兼業農家の方々は、農業はそのままにしておいて、そこで新たなる職場をさがしたいと言われる方には、そういうことについてできるだけその便宜をはかるようにいたしましょう。実は政府部内で通産省、労働省等とも話し合いまして、いまだんだん地方に出かけていこうとする産業には地方の御要望とマッチするような計画を立ててもらいまして、それに対して職業訓練等いたしまして、その余った労働力を職場においてさらに所得をふやさせるという方向をとっていきたい。しかし農業はやっぱりやっていたいんだ、こういう方は、この間成立さしていただきました農業協同組合法の改正によって、農協に委託をすることもできます。それからまたそうでなくて、自分がその経営はそのままやっていきたいというものは、さき申しましたように、自立経営農家を中心にして大きく広げていこうとしておる集団営農の仲間に入っていただいて成績をあげていただく、余った労働力は地方に足元に分散されてくる産業に従事をしていただいて、そして所得をふやしていただく。大体そういうような考えで私どもは構想を描いておるわけでありますから、いま現に御審議を願っております農業者年金制度等も、そういうことにはたいへん都合がよく運べるようにお手伝いをいたしたい、こう思っているわけであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほどからも先輩委員も言っておりましたように、今度の農業者年金基金の姿というものを第三者的に高いところからながめた場合、要するにある程度の余裕のある農家の方から金を出さしめて、そして一カ所にそのお金を集めて、それに多少国家が補助をしてその集まった金でそうした中小農家の土地を買い上げて、そういう人を切り捨ててしまう、そうして再びその土地を今度は大農家の方に売り渡す。そうした政策のようにも見受けられるわけでございますが、運営にあたっては慎重に行なっていただきたい。つまり中小農家の方々がたとえ離農しても十分再起できていくような措置をとってもらいたいということが私の偽らざる心境でございます。  時間に制限がございますので次に移りますけれども、厚生省にお尋ねいたしますが、今度の農業者年金がいままでの一般公的年金との関係性といいますか、いままでの公的年金制度の九割までが厚生省所管であると思います。国家公務員共済組合法だとか、各種共済組合法あるいは厚生年金、国民年金あるいは船員保険など年金そのものもずいぶんと制度がありまして、その総合調整ということもいわれている中に、このような農業者年金という新しい制度がまた生まれてくるということは、先ほど言いました総合調整の趣旨からは逆行しているのではないかという感じを持つわけでございますが、厚生省としてはこの点どうお考えになっているか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 私どもは逆行しているとは考えておりません。と申しますのは、先生御承知のとおりに、現行行なわれております国民年金制度というものを足場に置いて、その加入者の方々を対象として上積みをされていく性格の年金制度でありますから、その意味においては私どもは従来の年金の体系をくずしておるとは考えておりませんので逆行とは考えておらぬということであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、総合調整というそうした方向から見た場合に私は逆行ではないかと思っておったわけですが、決してそうではないということになれば、今後水産業あるいは林業、そういう方々のほうからこうした年金の要請があり、必要と認めた場合はまた新しい制度をおつくりになる考えもあるかどうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 現在の農業が、また現在の農政が、あるいは現在の農業者が置かれておると同等の環境がそれらの職種にも発生したような場合、その場合には考える必要が出てくるかもしれません。しかし今日の時点においては、私どもはしいてそうした職種にまでこれらの年金制度を独自につくっていく、そうした方向は考えておらぬ。現在ではこの農業者、特に農業という一つの大きな国の基幹産業ともいうべきものが非常にきびしい情勢の中に置かれておるということから、こうしたものを考えてきたわけでありまして、その他の産業については今日では考えておりません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それではもう一面変わった立場でお尋ねいたしますが、わが国の公的年金制度の中で国民年金は最も新しい年金でございます。その対象者は公的年金の半ばを占めているほどのものになっておりますが、内容そのものは非常に劣悪だといわれているわけでございます。また一般公的年金と比較しまして、非常に年金額が見劣りする。すなわち支給開始年齢は恩給も、国家公務員共済組合をはじめとする各種共済組合あるいは船員、厚生年金、いずれも五十五歳から支給になっております。また、厚生年金の一般被保険者は六十歳ということになっておりますが、国民年金は六十五歳です。また、被保険者期間、これを見ましても、恩給は十七年、共済組合などは二十年、船員保険は十五年、厚生年金は坑内夫は十五年、一般は二十年。ところが国民年金は二十五年であります。このように支給開始も一般よりも五年ないし十年おそい。しかも被保険者期間が五年長い。このような内容になっておりますが、今度の農業者年金が成立しますと、農業従事者はこれによってある程度の恩恵を受けますけれども、先ほど言った林業あるいは水産業の方は国民年金の中でありまして、その格差をそのまま置かれていることになるわけでございますが、そういう点についてはどのようなお考えをお持ちであるか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 先般も今国会に国民年金法の改正案を厚生省は提出をいたしまして、衆議院社会労働委員会において御審議を願いましたわけでありますが、逐年内容の改善に国民年金自体もつとめております。今後ともそうした努力は私どもは怠るつもりはございませんので、国民年金制度自体も、今後もなおでき得る限りの改善をしてまいるつもりであるということのみこの際申し上げておきます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま国民年金は逐次改善の方向にいく、こういうお話でございますが、少なくとも支給開始年齢を六十五歳を六十歳まで引き下げるべきである、またそのほか、他の制度との均衡を一日も早く保たれていくことをこの際強く要望しておきます。  それから次に、今度は農林省のほうにお尋ねいたしますが、この制度は離農対策の一環としてきわめて農政的な色彩を帯びているわけでございますけれども、離農給付金といいますか、つまり制度に加入できない零細農業者また老齢者に対しては離農給付金というのが支給されることになっておりますけれども、そのことについて簡単でけっこうですが、御説明願いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 農業者年金の被保険者につきましては、この制度の趣旨から申しまして、将来とも農業経営を継続していただく見込みのある者とする必要があるのでございまして、経営規模にいまお話しのような下限を設けることにいたしたのはそういうわけであります。この下限規模につきましては農業に対します依存度、農業専従者の状況、それから農地のシェア、農業生産のシェアなどを総合的に勘案いたしまして、農業経営の用に供しております農地等の面積の合計が、都府県におきましては〇・三ヘクタール、それから北海道におきましては十ヘクタール、こういうことにいたしたわけであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 離農給付金の受給要件はいまおっしゃっただけでしょうか。私、この資料を見ますと、一定の要件を持った者は三十五万円、それ以下の者は十五万円で処理されるように伺っておりますが、その点はどうでしょうか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 離農給付金の支給というのは年金に入らない方、年齢の件でございますとかあるいは大臣から先ほどお話がございましたように、経営面積等の関係で年金に入らない方がございますが、そういう方が離農をいたします場合にそれを援助するというのがその趣旨でございまして、まあ内容といたしましては二種類の額を予定しているわけでございます。一つはいまお話しがございましたように、五十五歳以上の人で農地が〇・五ヘクタール以上の方、これには三十五万円、それ以外の方で年金に入ってない方が離農する場合には十五万円、こういう金額を予定いたしておるわけでございます。これにつきましてはもちろん全額国庫で負担をする、こういうことでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの三十五万また十五万という金額でございますが、先ほども申し上げましたように、確かにみずから離農をしたい、農業をやめたいという方の中に、借金に困ってしまってやめようにもやめられないという実情の方もかなりいるということを私は知っております。その規定の三十五万あるいは十五万で一切が解決されるわけではないわけでございますので、特に農業担当である農林省としては、そういう面にはまた新たな立場で方策を考えていかない限りはほんとうの救済にはならぬのではないか、私はそう思うわけでございます。  それから、いま離農給付金は全額国庫負担ということでございますが、これは確認の意味でお尋ねするわけでございますけれども、基金の経済的な内容には一切関係なく、それは全部国庫でまかなわれるということですね。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 そのとおりでございまして、国庫から基金に交付金としてその必要な額を給付する、こういうことに相なっております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ちょっとまた厚生省にあと戻りするわけでございますが、国民年金に加入している一般の商業者あるいは先ほど言った農林水産業の方々は、要するに二十五年保険料を掛けて定額部分八千円でございます。今度の農業者年金は五年掛けて八千円もらえるようになっているわけですね。ここに非常に大きな格差がつくと思うのでございますが、この点についてどのようなお考えをお持ちですか。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 年金額の比較におきましてはいろいろな考え方があるわけでございますが、国民年金は一人一人が被保険者でございまして、夫は夫、妻は妻ということで一人単位でございます。したがいましていま仰せのように国民年金二十五年で八千円、これは一人分でございます。夫婦で入ればその倍になるということでございます。それから厚生年金、農業者年金につきましては、これは家族単位で計算することになりますので、国民年金のほうは夫婦二人定額分、それから新しくできました所得比例を入れますと、合わせまして大体二万円になる予定でございます。厚生年金におきましても昨年末の改正で、大体二十四、五年で二万円になる、そういう計算になっておりまして、金額はぴたりと合いませんが、大体さほど相違のない金額になる予定でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 次に移りますけれども、結論としまして、経営移譲年金というのは、要するに保険金を二十年以上掛けて六十歳にならないとその年金はもらえない、このように理解してよろしいでしょうか。そしてまた二十年の場合月に一万六千円、二十五年の場合は二万円になる。要するに六十歳から六十五歳、しかも二十年間掛けた者のみがもらえる年金である。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 原則的には二十年拠出をいたしまして経営移譲をした場合に六十歳から支給をされる、こういうのが原則でございますが、経過措置といたしまして、制度発足当初につきましては、五年以上保険料の拠出をすれば、金額は若干減るわけでございますけれども、それに応じまして年金の支給ができるわけでございます。なお一部例外的な措置でございますが、十五年以上拠出をした方が六十歳の前におきまして経営移譲をしておる。そうするとこれは一応資格がなくなるということはございますけれども、これにつきましては特例措置としてさらに保険料を追加して払い込めば年金が受けられる、こういう特例措置が一部ございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 六十五歳になれば今度は国民年金のほうから支給が始まるわけでございます。したがいまして先ほど言った一万六千とか二万円の支給はその十分の一になる。その十分の一の部分はいわゆる上積みになるのだと思いますけれども、この辺老齢年金との関係はどうなるのでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 上積みになります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは次に移りますけれども、「農地等の買入れ及び売渡し等」の業務に関する規定の中に「基金は、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるように、」しなければならない、こういうふうにあるわけでございますけれども、確かにその方向はよくわかるのですが、今度ちょっと矛盾点を感ずるのでお尋ねするわけですが、「農業者年金基金法案要綱」の一一九ページにございますけれども、最後の行に「ただし、耕作又は養畜の目的以外の目的に供することが相当となった農地等又はその附帯施設については、この限りでないものとすること。」いわゆる先ほど言いました方向ではなくとも、かりに一般の人々にそれを売り渡そうともこれはよろしいのだというふうに私は理解するわけでございますが、この点はどうでしょうか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これはたてまえといたしましては、もちろん基金が買い取りました農地については、規模拡大なりそこに書いてございます農地の集団化ということに役立つというようなことになるように売却をする、こういうことが大原則でございまして、また大部分の場合がそうであろうと私どもは考えておるわけでございます。これはただし書きに書いてございますのは非常に特殊な場合でございまして、たとえばそういうことで離農者の農地を買い取りました者が必ずしも直ちに処分ができなかった、若干の期間が経過したというようなことで、ところがその後その付近の土地の条件がかなり異なってきまして、周囲が非常に宅地化をしたというような場合に、農地としても売り渡すというのが非常にむずかしいということになりますと、これは原則だけでございますと基金が永久に持たなければならぬ、こういうことになるわけなんで、これはいかにも実態にそぐいませんので、いわば日用品の処分みたいな意味におきまして処分をすることもあるいはまれにはあるかもしれない。そういう場合を実は想定いたしました非常に例外的な規定でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それじゃもう一カ所ちょっとわかりにくいところがありますので、お尋ねいたしますが、経過措置の中に「昭和五十年三月三十一日までの間は、農用地区域に準ずる一定の地域内の農地等であってもこれを買い入れ、あるいはこれの買入れに要する資金を貸し付けることができる」ここのところが非常に理解に苦しむのですが、ちょっと説明をお願いしたいと思います。   〔草野農林水産委員長退席、小沢(辰)農林水産委員長代理着席〕

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これも非常にわかりにくい規定でまことに恐縮でございますが、考え方はこういうことでございます。  この基金が、離農者の農地の買い入れをいたしますのは、これは先ほど来いろいろ御議論がありました農業構造の改善に資するというのが基本的なねらいでございますから、たとえば非常に都市化した地域におきまして農地を買い入れるということは予定をしておらないのでございます。そういうことで、原則的には前国会で成立をいたしました農業振興地域整備法という法律がございますが、その農業振興地域において買い取りをするというのが原則でございます。そういう考え方をいたしておるわけでございます。ただ、農業振興地域の指定というものが、実は五年間ぐらいにわたって指定をするという予定になっておりますので、それまでの期間は農業振興地域というのはございませんので、それ以外の地域におきましても、必要がある場合には農林大臣の承認を得けまして、基金が定める地域においてはそういうような事業ができる、こういういわば経過的な措置でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまお尋ねしましたように、内容を伺ってみるとなるほどというように大体うなずけるわけでございますけれども、いま配付されている資料によれば、非常に理解しにくい表現がたくさんありますので、一般農業者が見て、だれでもわかるような内容にわかりやすい表現で小冊子でも出されることが大事ではないか。法律内容を十分認識する上において、また今後の農業者の農業従事の上において大事なことではないかと思いますが、農林省としてもっと具体的にわかりやすくこれを書いた小冊子でも出されるような考えはございませんか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 それは大事なことでございますので、ぜひそういうことをしたいと思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう一つお尋ねしますが、農業者年金基金が農地の買い入れ、売り渡し業務を行なうことは、基金の安全性及び健全性の見地から見て適当でないと考えるがどうか。これは委託業務に関する農協の主張なんです。委託業務を行なう農業委員会に対し、加入員資格の認定や経営移譲の確認、離農の確認、農地の買い入れ、売り渡しのあっせん、農地の管理等を委託することは、健全性、安全性の立場からは適当ではないのではないかという意見が出ていると思いますけれども、これについてはどうお考えになっておりますか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 基金が農地の買い入れ、売り渡しをいたしますのは、先ほど来いろいろお話がございました農業経営規模の拡大あるいは離農の援助、こういうような趣旨でございまして、私どもは非常に重要なことだと考えているわけでございますが、確かに御指摘のようにやり方が適切を欠きますと、おっしゃるような不安が出てくることもございますので、私どもはこれをやる場合には、たとえば先ほど申し上げましたように、はっきりと農業振興地域におきましてその事業をやるということを原則にするとか、その他そういう農地のほうに資金を回しました場合には、これは積み立て金としては相当な利回りに運用しなければなりませんので、そういうものに対しましては国が必要な利子補給をするとか、そういうような措置を考えているわけでございまして、そういうような措置と相まちまして、実際のやり方についても相当厳重な指導をやりたい、こういう考えでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間がございませんので最後にもう一言お尋ねしますが、経営移譲年金の支給要件の中に、その相手はその者の直系卑属で、一定の要件に適合する一人の者すなわち後継者であるか、または農業者年金の被保険者であるかということになっているわけでございます。後継者の場合は問題ありませんけれども、被保険者に移譲する場合、経営にかかる農地等のうち、一定規模以内の自留地を除いたとありますね。このところを具体的に説明願いたいと思います。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 こういう自留地を認めました趣旨でございますが、私どもは原則として経営移譲をされる方は、その持っております農地を第三者等に全部譲渡をしていただきたいというのが基本的な考え方でございますけれども、ただ農村の実態といたしまして、従来農業をやっていた方でございますので、全く農地がなくなるというのはいかにもさびしい、あるいは日常の生活に必要な、たとえば菜園でございますとかそういうものは、わずかな面積でいいからぜひ残しておきたい、こういう要望が実はあるわけでございます。そういうようなことを考えまして、私どもも老後の生きがいといいますか、そういうことと同時に、日常の生活の用に充てるために、たとえば〇・一ヘクタールといった程度の規模の自留地を認めるほうがより実態に合うのではないかということを実は考えているわけでございまして、原則としては〇・一ヘクタール程度の面積のものを考えているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 将来総合的な農政をなさる場合、たとえば集団化し運営していく場合、そういうものがあるために全体計画が組めないというような心配は起こらないでしょうか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 確かに農地の集団化という点からまいりますと、非常にわずかな土地が残っているということは、決して好ましい条件ではございませんけれども、そういうわずかな面積のものでございますし、やはり全体からいたしますと、農地の集団化にそう大きな支障を来たすものではないと私どもは考えておりますけれども、実際にあたりましては、十分そこいらも農地の集団化に支障がないように私どもはやはり指導をしなければならないという考えでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 最後に農林大臣に。  今度の農業者年金基金法案がもし実施に移される段階になりました場合は、その目的やあるいは内容に対して忠実に守られ、そうして確かにこの年金をつくったために日本の農政が大転換した、こういうことに実効があがるようにがんばっていただきたいということを私は要望して終わるわけでございますが、大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 大事な仕事でございますし、御趣旨のような考え方で決意をしてまいりたいと存じます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 終わります。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 熱心な答弁に敬意を表して、私が最後でありますので、若干締めくくり的な意味を含めてここで皆さんに疑念をただしたいと思います。  先ほどからいろいろ議論されましたその最たるものは社会保障的な意味であり、またその運用についてであります。それで、これも大臣をはじめ、この社会保障の実施、これは近代国家の不可欠な要件になっておる、そういうようなことからしていろいろ考えられたのじゃないか、こう思うのであります。  この社会保障ということは、常識的に言えば、社会の構成員が疾病、それから老廃、失業、多子、こういうような生活過程に生起する諸事故によって所得能力あるいは所得機会を失い、もしくは不事の出費を来たしたときに、公共資金よりの給付で最低限の生活維持手段を与え、国民の生活安定をはかろうとする国家的制度だ、これが大臣、いわば統一見解になっておるわけであります。そうして厚生省等では、機能的に所得保障と医療保障と二部門で構成されており、これを運用しております。また組織的には、これは社会保障による防貧、それから公的扶助による救貧、これは社会福祉や保険施策の公的サービスで補完するという、包括的な形態で行なっております。  これが一口で言うと社会保障の考え方と現在行なっている様相になるのじゃないかと思うのです。  それで、いままでのいろいろ皆さんの質問、御答弁を承っておるのでありますけれども、特に今回の場合は、名称その他は別にいたしまして、経営の移譲や離農をその条件にするという政府の考え方、こういうようなものも社会保障の中に入れてくるということになりますと、これはやはり社会保障の概念が今後この農業者年金基金法、こういうようなものを実施するそれ以後においてまた変わるという一つの前提、こういうようなものが当然生まれるのじゃないか、こう思うわけです。そうなりますと、その制度そのものには逆選択も自由に行なわれるということも考えられ、今後は保険制度そのものの持っている意味からしてやはり重大な問題点があるんじゃないか、こう考えられるわけです。私はこの点で一つ疑問を持っておるのですが、この点で大臣にいま私が言ったことは、体系と実際の問題を合わして言いました。いままでの答弁を合わして、これがどうもごちゃごちゃのまま一緒になっているおそれがありはせぬか、これを通すことによって、今後あらゆる面でまたこういうようなことが発生してくるおそれがないか、今後やはり制度そのものに対しても重大だと思うわけであります。これについて、大臣並びに厚生省、労働省、並びに社会党ではどのような意図を持ってこれを出したのであるか、それを含めまして御三方の御意見をひとつ拝聴したい、こういうふうに思うがどうです。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 島本先生、非常にお詳しい方がわざと意地の悪い質問をあびせられるのでありますが、わざわざ御指名でありますから、私どもの考え方だけ申し述べたいと思います。  率直に申し上げまして、老後保障というその一点だけに問題を区切るならば、現行の国民年金制度に、私どもは農業者に対して特に何らかの措置をつけ加える必要は認めません。ただそれだけの理由であるならであります。しかし、現在何回も先ほどから申し上げておりますように、農業というものが一つの大きな転期に差しかかり、わが国の農業者の方々においても、またその農業という産業の中にも多くの問題を含んでおりますときに、農業に従事される方々に対して、できるだけより厚い老後保障をしていきたいということが私どもの考え方のもとであります。しかし、それには何らか一つの要件が満たされない限り、従来の国民年金という制度の体系をくずす理由はございません。私どもはその要件を経営移譲というものに求めたわけでありまして、その理由は、いわゆる生活手段の喪失というあるいは所得の喪失というそういう内容を新たな国民年金の上に加えて、給付を開始するであろうこの農業者年金というものの支給要件として定めたということであります。その限りにおきましては、私どもは従来の社会保障ということばの概念に新たなものをつけ加えたとも考えておりませんし、また変更を加えなければならぬとも考えておりません。あくまでもこの年金の支給を開始する一つの要件として、生活手段の喪失あるいは所得の喪失という実際上の問題を提起する経営移譲というものをその要件としてとらえた、そのように御理解をいただきたいと思うのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 社会党の場合、年金の原則規定から申し上げますと、基本原則はいまの憲法の二十五条の、国民はすべて健康で文化的な生活を営む権利を有する。したがって、国はこの実現手段として社会福祉、社会保障等について万全の政策努力をしなければならぬということが明定されておるわけであります。これを基本にして、またもう一つは、いまの国民年金法の第七条に示しておる点は、日本国民であって二十歳から六十歳までの者はすべて国民年金に加入する資格を有する、これが原則であります。ただし、現在の国民年金以外の公的年金の加入者については除外規定があるわけですが、しかし、日本国民である以上、国民年金に統合されて加入するのは将来の理想的な目標であるということが明確になっておるわけです。したがって、社会党としては、この憲法による基本原則、国民年金における基本的な指針というものを踏まえて、そうして日本における農業従事者を対象にした年金制度をこの際新たに創設する。したがって、その目的は農業従事者すべてに対する老齢、廃疾、死亡等を年金の保険事由と認めまして、これに対して国が重厚な社会保障制度の一環としての施策を講ずるとともに、また被保険者である農民においても、この制度を熱願しているわけですから、これをこの際国会において制度化するということが目的になっているわけであります。したがって、給付の範囲といたしましては、まず農民の老齢年金、障害年金、遺族年金、脱退一時金、死亡一時金、あわせて、この年金のすでに対象になることのできない五十五歳以上の農業従事者に対しましては、無拠出による農民福祉年金を国が全額負担をして支給すべきである、こういうことが柱になっているわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはりそういうふうな意味では、私のような頭でも理解できるのであります。厚生省で考えられている社会保障的な解釈の御発表がいまございましたが、どうも私にはその点ではまだ理解に苦しむ点があります。それは経営移譲的なものを年金にしていかなければならない。それほど救貧的な意味があるならば、なぜ社会保障全体でこれをやらないか、むしろ、そうではないというのなら、経営移譲年金は政策年金であるならば、これは全額国庫負担で当然やる性質のものではなかろうか、これを両方につけ加えたということに対して、やはり答弁した人も迷いがあるのではないか、苦しみがあるのではないか、こうも思うわけなんです。私はどうも理解が不十分なようでありますので、この点だけはっきりさせておいていただきたいと思うのであります。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 どうも経営移譲そのものを目的として御理解をいただいたようでありますが、この点はあくまでも繰り返して申し上げますように、老後の生活安定、老後の保障というものを目標にし、その支給開始要件として経営移譲というものをとったということで、これは経営移譲を目的とした年金ではございません。この点はまず最初に申し上げたいと思います。  それと同時に、いま島本先生からきわめて手きびしく御質問をちょうだいをいたしましたけれども、私どもはあくまでも現行の年金制度をくずさないという前提のもとに今日のこの制度を組み立てたわけであります。それには何らか従来の国民年金にかわり得る支給要件というものをどうしても考えなくてはなりません。また、それでなければ新たな年金制度をどういう理由でそこに創設をしなければならないかも非常に明確さを欠くわけであります。その背景にある理由は先生すでに御承知のとおりであります。それを私どもは理由づけとして経営移譲という一つの節をとったということでありまして、別にこの年金制度の中に救貧的性格を持たせた云々とかいう特別な意味を持たしているのではないということも、先生よく御承知のとおりのことであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この第一章総則、第一条目的、この中に「農業者年金基金は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、」とこの経営移譲がまっ先にきているわけです。これが一番あとであるならば、いま厚生省が考えられているようなことでいいと思いますが、まっ先にきているという以上、これはやはりいま、橋本政務次官もいろいろ社会保障に詳しいようでございますから、私はあえてこれ以上なんでございまするけれども、まっ先にきているのにそうじゃないということになりますと、これは修正する必要が当然ある、こういうようなことに私は思うわけであります。そして、重ねてこれは私は農林大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、一体外国の例ではこういうようなものがあるのかないのか。先ほど小林委員のほうでも、西ドイツの資料を求められたようであります。この離農や経営移譲に対する年金、こういうようなものは、これは社会保障制度から別建てとして、これは運営されているようなものじゃなかろうか。すなわち、国策年金ということで、国が一切行なっているんじゃなかろうか、こういうように思うのです。引退した農民に対しては、西ドイツでは百五十マルクを支給しているようであります。それから、単身者には百マルクを出しているようであります。そうなりますと、西ドイツの例は、日本のいまこれから行なわんとする例と同じような状態のものだと思いますけれども、しかしその内容等においては、ちょっと考え方と、これが実施が違うんじゃないかと思うのですが、大臣、これは同じものなんでございましょうか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 御存じのように、ヨーロッパでいろいろな国が、やり方を、それぞれニュアンスが違いますが、年金制度を採用いたしております。ちょっとその前に事務当局から御報告いたさせましょうか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 外国におきますこの種の年金の事例でございますが、先ほど小林先生からも最後に御指摘ございましたが、私ども全部を把握しているわけではございませんが、おもだったところについて申し上げますと、外国におきます例といたしましては、いわゆる離農年金という形をとっているものと、それから経営移譲年金というものと、まあ二種類あるように思うわけでございます。はっきりと離農年金という形をとっておりますのは、たとえばベルギーでございますとか、イギリス等がそのようでございます。フランスは離農年金でございますけれども、経営移譲の場合にもやはり一部支給対象になるようでございまして、いわば両方の析衷型と考えております。それから西ドイツの場合は、これは二種類ございまして、いわゆる離農年金に当たるものと、それから経営移譲年金に当たるものと二つあるようでございます。それで、今回御提案申し上げておりますのは、いわゆる経営移譲年金と申しておりますけれども、後継者に対する経営移譲と、それからあわせて第三者に対する農地の譲渡と、これはその結果離農になるわけでございますので、経営移譲と離農を包含している制度でございます。そういう意味におきまして、フランスなり、あるいは西ドイツの場合と比較的共通点が多いように考えているわけでございます。  まあ大体、必要がございますればさらに詳しく御説明申し上げますが、大体そういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 当然私は、先へ進む関係で、この答弁がございませんので、大臣にお伺いしたいのですが、経営移譲だとか離農、こういうようなのは政策年金の種類に属するとおっしゃるならば、当然全額国庫負担で行なうべき性質のものじゃないのか。個々の農民がこれを基金として拠出し合って、その中からあるいは差別のあるような扱いを受ける、この行き方は、社会保障の体系としてみても、また現行経営移譲年金または離農年金と、こういうようにいわれるものの性質等からしても少しおかしいのじゃないか、こう思うのです。全額国庫負担でやる性質のものでないのかどうか、これは当然国が政策としてやる以上、こういうようなところが力点を置かれるべきだ、こう私は思うのですけれども、私の考え、大臣間違いでしょうか、これは。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 この制度は農業者の老後生活の安定と、それからいまお話のあります農業経営の近代化、農地保有の合理化などという農政上の要請にこたえるのが一つの目的であることは、先ほど来お話しのあったところでありますが、そういう経営移譲を年金の支給要件として、これによって経営移譲後の老後の生活の安定をはかる、こういう二つの目的があるわけでありますが、経営移譲をいたさない者につきましても、先ほど来これは何べんかお話のありますように、年齢によって年金の支給を行なうものとありまして、いずれも老後生活の安定につながるものであります。それから国の負担のみによって、したがってこれをやるということは、実はほかのいろいろな公的年金等、そういうことも勘案いたしてみますというと、やはりこれは国が全額を負担するというわけにはいかないのではないか、このように理解しておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういたしますと、経営移譲、この目標はやはり先ほどからいろいろ議論がございましたが、一つの場所に労働力を長期的に、継続的に導入し、滞留させておくところに目的がある。それを早くやめなさい、やめたら年金をあげます、やめないときには年金は戻ってきませんよというような仕組みがあるとするならば、やはりこの辺も私は理解できないところなんであります。これは経営移譲と年金制度をごちゃごちゃにして農業者年金基金法では給付条件にこれを取り上げている、こういうようなことになり、かつかてて加えて経営移譲をしない者はかけた金の元利合計をもらえない。先ほどの議論で、月額四千円に該当する、これだけを自分らが納めていながら、三千六百円の給付しか受けられない。その分は離農したほうへ回してやるのだ。政策年金であるのに本人には掛けさせて、その余剰分は離農したほうに回してやる。これは農民を土台にして政府が命令して、何といいますか、これは移譲を慫慂し、離農を強要する、こういうようなことにどうもなるように思えて私はしょうがないわけであります。こういうようなことでは、私はほんとうの農業者の年金基金法、この趣旨にもはっりもとるのじゃないか、こういうように思うわけです。  私はこの点に対して、社会党では一体どう考えているのですかと、この点をまず——大臣の答弁はだいぶわかりましたから、今度は社会党の提案者である芳賀貢先生からお願いしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 私ども社会党の提案者として、別案である政府提出にかかる農業者年金に対してあまり強く非難、攻撃を加えるのはどうかと思っております。そのためにわれわれは独自の案を出しておるわけですが、ただ問題は、それではいまの日本の農業の実態から見て、この年金制度の中に経営移譲まで強力に含めた政策を強行する必要があるかどうかということであります。  これはあとでまた御質問があるかもしれませんが、たとえば農林省が発表しておりますところの全国の基幹的な農業従事者が現在約九百万であります。これが年齢別に十年ごとの階段で区分されておりますが、たとえば政府案にいたしましても、社会党案にいたしましても、これが成立いたしますと、いずれも満二十歳以上の、社会党の場合には農業従事者、政府の場合には農業経営者ということになるわけですが、現在の統計によりますと、二十歳から二十九歳までの年齢層は男女合わせて約九十万人であります。三十歳から三十九歳までの十年間の年齢層、これが百九十万人、四十歳から四十九歳までが二百十万人、五十歳から六十歳までが百九十万と、六十歳以上の農業従事者が百九十万ということになっておるわけです。ですから、将来後継者と目される二十歳から二十九歳、三十歳から三十九歳までの、それぞれ十年における世代というものを比較した場合、ちょうど二十代は九十万、三十代は百九十万ですからして、若い世代の後継者層というものが激減しておるわけですね。ですから年金でありますからして、保険料を満額納入して年金を受給できるということになると、これは二十年後ということになるわけです。二十年後の日本の農業の経営の実態というものは、いまのうちから年金制度を通じて強力に離農、離村や経営移譲を促進させるということが、長期的に見てはたして日本の農業発展にとって妥当な政策であるかどうかということは、これは十分考えなければならぬと思うわけです。むしろ若い後継者の世代に対して、社会保障の中においても将来十分希望の持てる安定的な制度というものを用意いたしまして、農業に従事することが、男であっても女であっても、日本の自立経営農家を中心としたいわゆる同一世帯内における農業従事者が二十年あるいはそれ以上農業に従事した場合においては、国民食糧の生産と確保のために半生を通じて努力した農民に対する国の重厚な保護政策というものはこういうものであるということを掲げることが、これからの農業政策の長期的な発展の路線でなければならぬというふうにわれわれは考えておるわけであります。  特に最近は、二十歳以下でありますが、ことしの農業白書によりましても、ことしの三月の末に中学校、高等学校を卒業いたしまして農村に残る者の数は、男女合わせてわずか三万六千人しかいないわけです。昨年から五年前までは大体五万ないし六万人の中学校、高等学校を出た新しい卒業者が農村に残ったわけでありますが、ことしはもう三万六千人です。ですから世代交代を三十年周期とした場合には、ことしのように三万六千人ずつ新しい予定後継者が出た場合においても、わずか百万人しかおらないということにこれはなるわけであります。こういうことは政府においても十分承知のことなんです。承知しておりながら、いたずらに離農を促進するあるいは経営移譲をすすめる、移譲しないものにおいては年金制度の中で強制加入の中で罰則的な適用をするというようなことになれば、ますます若い農民層に対して希望を失わせるというようなことになると思うわけであります。そういう点をわれわれは十分判断いたしまして、特に国民年金制度を基本にいたしまして、国民年金制度と全く別個独立のものということでなくて、いまのような内容貧弱な国民年金制度だけの中で十分これを満たすわけにはいきませんので、一方においては国民年金制度のすみやかな内容の大改善を行なうと同時に、それと並列して農民を対象にした農民年金制度というものを発展さして、この競争原理の中で農民年金制度が先に進んでいけば、国民年金もそれに追いついて発展できるというような、そういう刺激を持たした政策効果等もわれわれとしては考慮いたしまして、今度の法案を提出したようなわけでございます。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 島本君に申し上げますが、だいぶ時間もたっております。そろそろ結論にひとつ入ってください。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大事な点でありますから……。  そうするといま言った御答弁の中で強制部分もあるということでございまして、これは相当体系からしても、皆さんも御存じのとおりでありまして、国民年金には定額分四百五十円、それから所得の比例部分が三百五十円、こういうのがあるわけであります。今度そうすると農業者年金分が七百五十円、こういうようなことに相なろうかと思います。その体制を見ますと、当然国民年金制度においてすでに所得の比例給付、これがもう導入されておりますが、これは任意になっておる。それを取り入れた農業者年金基金法ではこれが強制になる。こういうことになりますと、両方合わせたら片や任意であるものが農業者年金基金法では強制になる。そういうようなことでは、年金の体制そのものも使い方によって少し制度が変わってしまうおそれがないか、ここも少し疑義があるわけであります。これはもう当然問題の点であろうと思いますけれども、ただ国民年金を手段方法だけに使うということになりますと、この制度そのものはやはり将来に禍根を残すおそれがある、こういうように思うのです。この任意の部分も農家の人には強制部分になる。まして今後は加入者の定額部分は四百五十円、また入ると今度はもう千五百五十円から二千円になる、こういうような中でもっともっとこの部分は考えなければ将来の運営の面とあわせて禍根を残すおそれが当然生じてくる、こういうように思うわけです。大臣、この点はいかがでございますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 厚生省のほうからお答えいたすことが必要だと思いますが……。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 ただいまお話しのとおり国民年金法では所得比例は任意制でございます。ただしこれは今後強制にしていきたいと考えておるわけでございますが、何しろ制度を発足早々でございますのでいろいろ所得の把握その他の技術的な問題がありますので、とりあえず任意制にしたわけでございます。  ところが今回の農業者年金基金に加入される方は一定面積以上の方でございまして、当然所得があると思われますので、強制にしても一向差しつかえないと考えておるわけでございます。  なおいまお話しのように、本来の国民年金の掛け金千二百五十円と農業者年金基金のほうの七百五十円と合わせまして二千円になるわけでございますが、この点につきましてもこの制度をつくるにあたりましていろいろ実態調査なり掛け金の負担能力等につきまして聞きましたところ、まずまあ二千円程度の負担はけっこうであるという調査結果も参考にしておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ちょっと、あなたは一官僚ですが、大臣ならいざ知らず、あなたのほうが、政務次官を抜きにして、これはもう義務制にする、強制制にするつもりだ、こういうことを一官僚がぬけぬけとここで言っていいんですか。これはやはりいまのことばは政務次官からはっきり言ってもらわないとだめですよ。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 こまかい数字を申し上げるのに私は頭が粗漏でありますので間違うといけませんから事務当局からお答えさせたわけでありますが、それではあらためて私から申し上げます。  ただいまの御指摘の数字自体、これは決して誤りでもございませんし、また局長が申し上げました考え方も厚生省が現在考えておる考え方であります。  なお付随して申し上げますならば、国民年金の定額部分に対しましては国は三分の一の負担をいたしております。そして所得比例部分に対しましては現在四分の一の国庫負担をしておるわけであります。   〔小沢(辰)農林水産委員長代理退席、草野農林水産委員長着席〕 その上に重なる農業者年金加入者の方の負担を考えまして、これに対しては四二・二一%の国庫負担をいたしております。それだけの厚さは持たせておるつもりであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは大臣、今後の運営の面で、皆さんのほうが多数ですからこれはすぐ通ってしまうんじゃないか、そういうようなことがあったなら私は困るのですが、この問題だけは。ただ、運営の面で、十分考慮してもらわなければならないところは、この中にたくさんございます。私は願うならば、できるならば、社会党のこの年金法案を参考にして、今後、政令や省令でもってやる部分に対しては、十分これを取り入れるようにして運営してもらったほうがよろしい、こう思うのであります。  しかしながら、いまの場合、ちょっと私は疑念があるのは、これは大事なことなんでして、私自身、社労の中におりまして、これに対してぴんときたのです。それは、この制度の運営ですけれども、経営的立場にあるような人たちが、これは大臣任命になっておるようです。そうなりますと、これは当然、いままでのような、いわば官僚統制ということばは悪いですが、そういうような運営のあり方を当然われわれは予想できる。そうなりますと、農民の意思の反映がないおそれがないか。かつ天下り的人事の場所になるおそれがないか。そして農民の年金基金の特殊法人、これができるのですから、これに農民の意思の反映がない、こういうようなことになれば、私は、これをつくっても、今後重大な欠陥を包蔵しながら運営されるということに相なろうと思います。これは理事長と監事は大臣任命です。それから今度、理事は、理事長が大臣の認可を受けてこれをやるようになりますから、当然全部がもう皆さんの国家のほうに、中央に集権されてしまうわけです。これだったら、結局はこの運営のしかたそのものは、中央集権というか、官僚統制というか、そういうようなやり方に一番都合のいいような運用のされ方をするおそれがあるのです。これは、私は十分考えなければならない問題じゃないかと思うのですが、大臣、私はあまり農業のほうはわかりませんけれども、これは無知でございましょうか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 いま御指摘のような点は、大事な問題でありますので、運営については、十分各方面の意見が取り入れられるように努力をいたしたいと思いますが、年金基金のほうは、これは大事な数多くの人たちの金を扱うものでありますので、やはり政府の責任において、ただいまお話しのように大臣任命でいたすことが妥当であろう、こう思っておりますが、運営については、十分民主的にやるようにつとめてまいります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だいぶ時間がないからないからといって、もう首席理事から督促されて弱りますが、少しぐらいなくても、これは大事な点で、大臣も責任をもって、これをもう少し続けなさいということを委員長に言っておいてもらいたいのであります。というのは、同じ運用の面で危険性があるんじゃないかと思われるこの点はどうでしょう。先ほどの議論の中にも出たのですけれども、これはこの基金の運用上の問題であります。いわば、三つの原則、先ほど言っておりました安全性と効率性と福祉性であります。たとえば、北海道のような場合、あるいは鳥取のような山の中で、だれも利用しない過疎地帯の農地を買うこと、こういうようなことはどういうようなことになるだろうか。これはいわゆる不当債権というか、こういうようなことは——農民から預った金で買うことになるのじゃないか、そうすると、こういうような点からして、長い間それを保存することになってしまえば、そこに福祉性も効率性も安全性も、運用上からこれは当然指摘されなければならないような問題になってしまうのじゃないかと思うのですが、いまのような場合に、これを買い上げて、これは三つの原則にはっきり当てはまるでしょうか。また、こういうようなところは買わないのでしょうか、買わないとすると、本来の趣旨が生きないことになるじゃないか、この点に対する疑問を解明してもらいたいと思います。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 先ほどもお答えしたことでございますが、基金が農地を買いますのは、原則的には将来ともその地域が農業を中心に地域の振興をはかる、いわゆる農業振興地域というものを予定しているわけでございまして、一部にはあるいは多少過疎地域めいたところも入るかと思いますが、たてまえはそういうことでございますから、私どもは基金が買いました農地が処分に困るというような事態はないというふうに確信をいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いよいよ最後であります。残念でありますけれども、いずれまた時間をもらって質疑を尽くさしてもらいたいと思うのですが、業務委託について先ほども大橋君が触れられました。私は制度の内容、こういうようなものから、そのものが農民がほんとうに望むものであるならば、保険料の納付に対しての疑問もわりあいにないのじゃないかと思うのです。こういうような場合でない場合には、往々にして掛け金を徴収する事務、こういうものの委託がどこに行なわれるか、こういうようなことで運営上また重大な問題が生ずるのじゃないか、こう思うのです。すなわち、基金は、市町村、それから農業協同組合、それから農林中央金庫など、こういうようなことになっているのであります。そうなりますと、農協がもし断わったならば、これは市町村中心に業務委託が行なわれるのか、これが通ったならば農協は断わることができなくなるのか、この業務委託について、私ははっきりその点を解明する必要があろうかと思います。  あわせて、市町村に委託される場合には、国民年金の場合の印紙と農業者年金の場合の印紙とどういうようにして区別するのか、農協のほうへ委託される場合には農協に印紙を張らせるのか、農林中央金庫などにやらせる場合にはたしてその事務はどうなるのだ。土地の売買、こういうようなものも当然その中に入るとすると、出張機関または直接それに当たる機関を各都道府県に全部置くのか、こういうようなことが問題になってこようと思うのです。私はこの点はこの場所ではっきり解明しておいていただきたいと思うのですが、これはいかがなものでありましょう。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 委託につきましては、いまお話しのように、法律にも書いてありますが、市町村、農協、その他ございます。これはこれからそういう方々と十分お話し合いをして、全部を農協にお願いするわけではありません。そこで農協も、もちろん農業協同組合が農業運営について一番大事な役割りを持っておるのでありますから、そういうことの責任を十分感じられておるはずであります。農業協同組合というものが存立して農村民の利益のために活動していくについては、政府は非常な御協力を申し上げておるわけでありますから、農協の方々も十分そういうことは理解しておると思いますし、また基金の中には評議員会という制度を設けまして、生産者その他の各方面の意見を伺って民主的に運営する、そういうのが私どもの考えであります。  印紙のことについては事務当局から申し上げます。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 印紙のお話しございましたが、私どもは現在印紙によるということは実は考えておりませんで、現金でいただく、こういう予定でございます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 島本君、簡単に願います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ちょっと大事ですから……。  それで、強制徴収ということになりますと、もし農協にやらせる場合には二つの点で大きい問題がある。一つは、強制徴収ですから、農協の預金、こういうようなものを引き出せば、この基金そのものには損はないのだという一つの安易な考え方、もしそうなった場合には、農協はいわゆる税務署的な役割りをつとめてくれるのだから、どの道基金のほうには損はないのだという考え方、そうなると、国の下部機関として農協を今後は皆さんが自由に使いこなすということになって、私はこういうような点はどうも納得できない。まして今後は政令か省令にゆだねることになっております、経営面積についてこれは政令できめるということになっておりますけれども、当然加入者の要件の中で、〇・五ヘクタール、北海道の場合二・〇ヘクタールだ、こういうようにいわれておりますが、私どものいる道南方面では、約七〇%がもう二ヘクタール未満なんですが、こういうようなものも全国各地についてこれをやるようなことになると、これはやはりおかしいことになってしまう。同時にこういうような点は特殊性を十分考えて運営するのでなければならない、こういうように思うのですが、この点に対する考え方、これを大臣に伺いたい、こういうように思うのです。私はその点で終わります。終わりますけれども、厚生政務次官から先ほどの答弁の中で、石炭鉱業年金基金法があるじゃないかということになりました。これは、なるほどこの離農する人に対しては、おそらく同じようにして石炭鉱業年金基金法がある。これも年金だというならば、事業主がすべて掛けて、労働者の負担がないような運営であり、業者の財源措置はそれぞれ石炭一トンから幾らというふうにはっきりはかられているはずです。国の政策年金としてこれをやるならば、これも一つの政策年金として石炭鉱業年金基金法が運用をされたはずですから、農民に対してこういうようなものをすぐやったならば、国のほうで先ほど言ったように全額国庫負担ということで、すぐできるんじゃないか、こういうように思うわけなんです。石炭のほうにあるのに、なぜ農民はこれを利用できないのか。これはひとつ厚生政務次官のほうで御答弁伺いたい。三つ言いましたけれども、ほんとうはもっともっと大事なんですけれども、きょうはこれで終わらしていただきますので、最後の答弁は、これで終わりだからといって逃げたならば、再質問します。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 前の二つの御質問にお答え申し上げます。  強制徴収の問題でございますが、私どもは一般の業務につきましては市町村とか、あるいは農協とか、御相談をいたしました上で委託をする、こういうことでございますが、かりに強制徴収をどうしても使わなければならないような場合が起きましたときには、これは農協にやらせるということは全く考えておりません。法案の中でもその点ははっきりいたしておりまして、市町村にお願いをいたしまして、強制徴収をする、こういうことでございます。  それから加入者の資格面積の問題でございまして、北海道の場合、いかにも実態に合わないではないかという御指摘でございますが、私どもはこれは政令で定める予定にいたしておりまして、御審議の結果を十分配慮いたしましてきめたいということでございます。必ずしも一律に全部北海道の場合二ヘクタールということをきめているわけではございません。

橋本龍太郎自由民主党厚生政務次官

○橋本(龍)政府委員 島本先生実はたいへんうまくすりかえられましたが、先ほど小林先生にお答えをいたしましたのは、基金という名称について、それがけしからぬというお話でありましたから、石炭鉱業の基金というものがございます、法律に基づいた基金というものは現実にありますということを申し上げた次第でありまして、その中身についてその相似性を云々したわけではございません。  なおいま御指摘になりましたような点、あるいはこの農業者年金というものが、いわゆる年金業務だけであったならば、あるいはこれは国が直接やるほうがよりベターな姿であるかもしれませんが、その他にいろいろな業務がございます。土地の売買あるいは融資等の業務を、年金業務を行なう国の部門がそのままやっていくということには必ずしもまいらない行政上の体系もありますので、むしろこうした形態をとるほうが、われわれはより実態に合うものと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 皆さんのいままでの忍耐に敬意を表してこれで終わります。ありがとうございました。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 以上で本連合審査会は終了することとし、これにて散会いたします。    午後一時四十三分散会

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